衆議院

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第8号 令和2年12月8日(火曜日)

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令和二年十二月八日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 高鳥 修一君

   理事 加藤 寛治君 理事 齋藤  健君

   理事 津島  淳君 理事 宮腰 光寛君

   理事 宮下 一郎君 理事 亀井亜紀子君

   理事 矢上 雅義君 理事 稲津  久君

      伊東 良孝君    池田 道孝君

      泉田 裕彦君    今枝宗一郎君

      上杉謙太郎君    江藤  拓君

      金子 俊平君    木村 次郎君

      小寺 裕雄君    小林 鷹之君

      佐々木 紀君    斎藤 洋明君

      鈴木 憲和君    武部  新君

      西田 昭二君    根本 幸典君

      野中  厚君    福田 達夫君

      福山  守君    細田 健一君

      石川 香織君    大串 博志君

      岡島 一正君    金子 恵美君

      神谷  裕君    近藤 和也君

      佐々木隆博君    緑川 貴士君

      山川百合子君    濱村  進君

      田村 貴昭君    森  夏枝君

      玉木雄一郎君

    …………………………………

   農林水産大臣       野上浩太郎君

   農林水産副大臣      葉梨 康弘君

   農林水産大臣政務官    池田 道孝君

   政府参考人

   (出入国在留管理庁在留管理支援部長)       丸山 秀治君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房長) 横山  紳君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         青山 豊久君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           新井ゆたか君

   政府参考人

   (農林水産省食料産業局長)            太田 豊彦君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  水田 正和君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  光吉  一君

   政府参考人

   (農林水産省政策統括官) 天羽  隆君

   政府参考人

   (農林水産技術会議事務局長)           菱沼 義久君

   政府参考人

   (水産庁長官)      山口 英彰君

   農林水産委員会専門員   梶原  武君

    ―――――――――――――

委員の異動

十二月八日

 辞任         補欠選任

  武部  新君     小林 鷹之君

  石川 香織君     山川百合子君

  佐藤 公治君     岡島 一正君

  藤田 文武君     森  夏枝君

同日

 辞任         補欠選任

  小林 鷹之君     武部  新君

  岡島 一正君     佐藤 公治君

  山川百合子君     石川 香織君

  森  夏枝君     藤田 文武君

    ―――――――――――――

十二月四日

 一、主要農作物種子法案(後藤祐一君外八名提出、第百九十六回国会衆法第一三号)

 二、国有林野事業に従事する職員の労働関係を円滑に調整するための行政執行法人の労働関係に関する法律の一部を改正する法律案(佐々木隆博君外四名提出、第百九十六回国会衆法第一八号)

 三、国有林野事業に従事する職員の給与等に関する特例法案(佐々木隆博君外四名提出、第百九十六回国会衆法第一九号)

 四、畜産経営の安定に関する法律及び独立行政法人農畜産業振興機構法の一部を改正する法律案(佐々木隆博君外六名提出、第百九十六回国会衆法第二三号)

 五、農業者戸別所得補償法案(長妻昭君外六名提出、第百九十六回国会衆法第三三号)

 六、家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案(平野博文君外五名提出、第百九十八回国会衆法第三四号)

 七、農林水産関係の基本施策に関する件

 八、食料の安定供給に関する件

 九、農林水産業の発展に関する件

 一〇、農林漁業者の福祉に関する件

 一一、農山漁村の振興に関する件

の閉会中審査を本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 農林水産関係の基本施策に関する件(畜産問題等)

 令和三年度畜産物価格等に関する件


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     ――――◇―――――

高鳥委員長 これより会議を開きます。

 農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房長横山紳君、大臣官房総括審議官青山豊久君、消費・安全局長新井ゆたか君、食料産業局長太田豊彦君、生産局長水田正和君、経営局長光吉一君、政策統括官天羽隆君、農林水産技術会議事務局長菱沼義久君、水産庁長官山口英彰君及び出入国在留管理庁在留管理支援部長丸山秀治君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高鳥委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

高鳥委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。石川香織君。

石川(香)委員 おはようございます。石川香織です。けさもよろしくお願いいたします。

 本当にことし一年は大変な一年だったと思います。コロナの影響というものが一次産業にも大きく影響してきた一年だったと思います。

 きょうは、酪農、畜産ということですけれども、初めに一つだけ、北海道の種芋の作柄がよくないということについて、最初にお伺いをさせていただきたいと思います。

 種芋は、次期作に向けたいわば芋の種ということで、ほとんど、九割が北海道でつくられております。ことしは全道的に、日照不足や干ばつの影響で、一つ一つが大きい大玉で、種芋の数が少ないという傾向だそうです。例年は一株十一個ぐらい芋がついているそうなんですけれども、ことしは八個ぐらいにとどまっているものが多い。もちろん品種などによっても違いますけれども、少ない傾向である。

 その分、一つの大きさは非常に大きく育っておりまして、令和二年度の種芋、全道の平年比は、比べますと一二二・三%ということで、大きなサイズになっている。種芋は数が大事でありまして、大きなサイズになるとその芋を切る手間が出てしまうということで、ちょうどいいサイズである上芋は、十勝では平年の六五%にとどまっているということだそうです。

 農協ごととか品種ごとによってもばらつきはありますけれども、全体としては、工夫をして九割は確保できているということでしたけれども、十勝の場合であれば、十勝の管内の生産者に対して、希望数量に対して九割を配付するという対応をするということを地元から聞いております。

 これを、来年度の影響をどう分析されているかということをまずお聞きしたいと思います。また、種芋農家、これも次世代にどうつないでいくかということも課題だと思いますけれども、このことについてもあわせてお伺いをさせてください。

野上国務大臣 今お話のございました北海道の令和二年産のバレイショの作柄につきましては、春先の干ばつの影響によりまして生産量が少なくなったことから、ホクレンなどからは、種バレイショについても配付希望数量を賄えなくなっていると聞いているところであります。

 このために、規格内だけでなく規格外品も活用することとし、種子生産圃場の作付分を優先的に確保した上で、一般農家向けの種バレイショは、道内配付用について希望数量の九割、都道府県配付用については希望数量の八割で配付される見込みであります。

 また、作柄の悪化に伴う種バレイショ不足は数年に一度発生しておりますが、種バレイショ生産農家におきましては、種バレイショを通常より細かく切断をして数を確保するほか、植付け時に株間を広げるというような対応をとっているところでありまして、今回の種バレイショ不足が来春以降の一般バレイショ生産に大きな影響を生じさせるとは見ておりません。

 一方で、さまざまな支援も行っておりまして、種バレイショ生産圃場の確保と生産の省力化を図るために、令和元年度補正予算の畑作構造転換事業等によりまして、種バレイショ生産は、圃場を確保するため、ジャガイモシストセンチュウの蔓延を防ぐための抵抗性品種の普及拡大ですとか、罹病率の低い種バレイショ供給に向けた取組への支援のほか、種バレイショ生産の省力化のための、芋切り作業が不要となる消毒機能つきカッティングプランターの導入等への支援も行っているところでありますが、今後とも必要な予算の確保に努めてまいりたいと考えております。

石川(香)委員 北海道では、平成二十一年、二十二年、二十三年も厳しい年だったというふうに聞いております。そのときに比べればことしはまだ、工夫すればある程度の数は確保できるということでして、今大臣に答弁いただいたように、株と株の間を大きくとるとか、いろいろ工夫をされて何とか確保してくださっているということですけれども、日々、天候の変化ですとか、干ばつ、長雨、いろいろあるわけですけれども、こうやっていろいろやりくりをして工夫をしてくださっているからこそ、食料が安定して供給されるのであるんだなということを改めて私も感じました。

 一方で、種芋農家、非常に責任感を持って取り組んでいただいておりますけれども、暑い日も雨の日も圃場をくまなく歩いたりですとか、非常に負担が大きいというのも現状だと思います。ぜひ、感謝の気持ちだけではなくて、やはり次の世代にどういうふうにモチベーションを上げていただくかということの支援策というものも、しっかりこれからも考えていただければと思います。

 では、次からは、主に酪農の分野について質問させていただきたいと思います。

 二〇二〇年度の北海道内の生乳生産量が、前の年と比べて二%増加して四百十八万トンと、過去最高になる見込みであるというふうに聞いております。あらゆる方向から乳量、乳質を上げる努力、それから省力化などの努力もしまして、生乳生産においても北海道の役割は年々大きくなっていると思います。

 その一方で、農水省の畜産統計によりますと、二〇年の農家戸数は五千八百四十戸、五年間で一割以上が減少しているという状況になっています。また、一戸当たりの飼養頭数にしますと百四十・六頭ということで、五年前に比べて一九%多くなっておりますので、規模拡大が進んでいるということがわかると思います。

 次の世代に酪農業をつないでいくためには、若者が希望を持って営農できる環境にしなくてはいけないということで、そのためにも、これは間もなく決定をいたしますけれども、補給金、それから乳価などの適切な水準を維持することは絶対条件であると思います。特に集送乳調整金は、ドライバー不足などもありましたし、輸送コストが上がっているという現状を踏まえて設定をしなくてはいけないということで、酪農家をこれからもしっかり支えていきますよという大臣のメッセージをいただければと思います。

野上国務大臣 加工原料乳生産者補給金等につきましては、この補給金単価というものは、加工原料乳の生産地域の再生産が可能となるよう、生産コストの変動ですとか物価動向等を考慮して決める、また、集送乳調整金単価につきましては、あまねく集送乳の確保が可能となるように、集送乳に要するコストの変動や物価動向等を考慮して、これはいずれも食料・農業・農村政策審議会の意見を聞いて決定することになっておりまして、本年度についてもこれらのルールにのっとり決定をしていくことになりますが、生産者が安心して生乳生産に取り組めるように、また、輸送コストが上昇する中でも確実に集送乳が行われるように、適切な算定に努めてまいりたいと考えております。

石川(香)委員 よろしくお願いします。

 そして、ことしは、コロナの状況の中で、春には緊急事態宣言もありまして、牛乳が余ってしまうかもしれないという緊迫した状況がありました。その間、乳業メーカーのホクレンなどとの調整、それからJAグループ、北海道、農水省、そして消費者の皆さんが、プラスワンプロジェクトということで、牛乳を飲もうということで応援をしたことで、この危機を回避できたんだと思います。消費者の方にはなかなかこの舞台裏までは知り得ないかもしれませんけれども、これは本当にそれぞれの立場の皆様の頑張りということを評価するべき出来事だったと思います。

 その一方で、昨年の暮れからことしにかけて数カ月間の間、一号事業者、つまり指定事業者以外の会社、卸の会社が酪農家からの集乳を拒否して、生産者が生乳を廃棄していたという事案がございました。十一月二十四日の参議院の農水委員会でこの問題が取り上げられておりましたけれども、そのときの答弁として、廃棄された費用をどちらが負担するかが論点となっており、契約当事者間の取引上の問題であると捉えていると青山総括審議官の答弁がありましたけれども、私は、これは当事者間の問題とかそういうことではないと思っています。

 改正畜安法が二〇一八年四月にスタートいたしましたが、生乳の一部集荷停止ですとか廃棄という問題は、需給の安定それから畜産経営の安定を目指しているこの改正畜安法の趣旨から逸脱をしてしまっていると思います。改正畜安法に関しては当初からさまざまな懸念などがあったと思いますけれども、まず、こうした事案が起きてしまったというのは、農水省も重く受けとめなくてはいけないと思っています。

 制度の信頼性にかかわる大きな問題だと思いますので、昨年暮れからことしにかけて生乳を廃棄していたというこの事案についてどのように総括をしているのか、お伺いしたいと思います。

野上国務大臣 今御指摘のありました事案でありますが、昨年冬からことしの春にかけて、北海道におきまして、一部の集乳業者の集乳停止によりまして生乳廃棄が生じた件につきましては、農林水産省としまして、当該集乳業者を始め、生産者が属する組織、あるいは生産者に対して聞き取りを行ったところであります。

 その結果、当該集乳事業者からは、生乳段階での生乳への異物混入が原因で受入先の乳業者から生乳の受入れを断られた生産者がおり、その生乳が廃棄されたなどの報告を受ける一方で、生産者側からは、異物混入は事実であるが、既に改善をし、その後は当該集乳業者を経由せずに乳業メーカーへの出荷が受け入れられていたなどの話を伺ったところであります。

 今回の生乳廃棄の件につきましては、廃棄された生乳の費用をどちらが負担するかについて論点となっておりまして、契約当事者間の取引上の問題であると考えておりますが、いずれにいたしましても、この制度につきましては、これはいかなるものであっても不断に検証することは必要でありまして、本制度につきましても、制度運用を重ねていくとともに、その中で改善すべきことがないか、生産者、生産者団体等々、さまざまな方々の御意見を伺いながら検証してまいりたいと考えております。

石川(香)委員 ぜひ、検証していくということが大切だと思います、この制度の中身について。

 このことについて、やはり北海道内でもかなり話題になりました。ある生産者の方は、ほとんどがホクレンに出しているという中で、一度違う選択肢をとってしまうことで、それが周辺の農家の中からある意味孤立をさせてしまって、戻ってきづらい構造をつくってしまったのではないかという意見を言っておりました。そのときに違約金を払ってでも、廃棄をするというのは正常な状況ではないわけですので、もう一度生乳を出せる環境に戻っておいでというふうに周囲が説得するべきではなかったのかということもおっしゃっていました。ここまで周囲が周りのことを思い詰めていたということを聞いて、私は胸が痛くなりました。

 改正畜安法は、農家たちに選択肢をつくって、そして所得もふやすということも可能にしましたけれども、一歩間違えれば農家たちのきずなまでも分断をしかねない状況になってしまうのではないかということを感じました。助け合いで成り立ってきた農家のよき伝統というものも傷つけてしまうことになり得ないのかということも感じました。

 一番いいのは牛乳を余らせずということなんですけれども、牛乳を余らせず、廃棄させずということで、今回、いろいろな大変な中でクリアできたということは、結果、旧指定団体の需給調整の重要性を改めて確認する出来事にもなったのではないかと思います。

 ただ、その一方で、生乳は各農家が搾った牛乳を一緒にまぜてしまいますけれども、やはりそれぞれの地域の牛乳でつくったブランド牛乳をつくることができたり、また、そういうものをつくりたいと思っている方もいらっしゃいますので、一号事業者のような会社の存在は選択肢として非常に重要だと私も感じております。

 ただ、これからの、酪農の今後、この制度の今後ということを考えたときに、今回の課題について、しっかり対峙して振り返らなくてはいけないということは重ねて申し上げたいと思います。

 その上で、生乳の安定供給と、それから自分の生乳を高く売りたいという経営者として当然の要求をどう両立させるかということがポイントになると思いますけれども、今のこの制度では両立できているとお考えでしょうか。

野上国務大臣 現在の制度では、補給金等を受け取る全ての事業者に年間販売計画の提出を求めるなど需給調整の実効性が担保できる仕組みとなっており、また、指定生乳生産者団体に集送乳調整金を交付することで、集送乳を安定的かつ確実に行う体制を整備しているところであります。

 また、この改正では、酪農家が生乳の販売先を選択できる環境を整備したことによりまして、酪農家の判断によって、みずからの所得の向上等を図るために出荷先を選択することができるようになったと考えております。

 今先生から、生乳の安定供給と生産者のみずからの生乳を高く売りたいという意欲が両立するかという点でありますが、今申し上げたように、本制度においては両立するものと考えております。

石川(香)委員 この問題を考えるときに、いいとこ取りの問題を考える機会にもしたいと思います。

 一九六〇年代までは、生乳を集める、集荷する小規模団体というのが多くありまして、個別に酪農家が乳業メーカーと価格交渉をしておりましたので安く買いたたかれてしまうということがあったということで、その当時の方々が知恵を絞って、酪農家が助け合って束になることが大事だということをつくったというのが今のこの酪農のスタイルになったということです。

 いいとこ取りは、加工原料乳生産者補給金が一八年度から指定団体以外、旧指定団体ですけれども、以外の事業者に出荷した酪農家にも交付されるようになったことが、年度途中に自由に出荷先を変更できるのではないかという誤解を一部に生じさせてしまったということが、いいとこ取りにつながってしまったのではないかという分析もありますけれども、制度改正後もいいとこ取りは原則禁止であります。

 畜安法の施行規則によりますと、季節的変動を超えて数量が変動する取引は、旧指定団体が集乳依頼を拒否できる正当な理由とされております。しかし、いいとこ取りはこれまで毎年発生をしていました。

 民法六百五十一条の中では、当事者が委託契約をいつでも解除できるということになっています。これに従いますと、旧指定団体への生乳の委託販売でもその間の契約解除が可能になってしまいまして、旧指定団体は相手からの一方的な契約解除を拒否できないということになってしまいます。つまり、加工原料乳生産者補給金制度とほかの関連制度に整合性がないということが問題として一つ出てくるわけです。

 そんな中でありますけれども、ホクレンは、来年度から、いいとこ取りをする酪農家との契約を解除して、集乳を拒否できるようにするという北海道での新たなルールを導入するということを、北海道農協酪農・畜産対策本部委員会と生乳受託販売委員会の合同会議で決めたということがきのうの農業新聞にも出ておりました。

 このような制度の不備を改善するためにも、農水省も昨年九月に通知やパンフレットをつくったり、ことし七月には事例集などもつくっておりましたけれども、その通知の効果も含めて、どうだったでしょうか。

水田政府参考人 お答えいたします。

 年度途中で一方的に契約変更をするなどルール違反のいわゆるいいとこ取りでございますけれども、これは法律上も、指定事業者が生乳取引の申出を拒むことができる正当な理由ということとなっているところでございます。

 このルールを生産者や指定事業者の方がしっかりと守っていただくことが重要でございまして、これまでも、昨年の九月には、適正な生乳取引につきましての生産局長通知を発出いたしました。また、ことしの七月には、具体的事例に即して解説した、ルール違反のいいとこ取りの事例集というものを公表するなど、現場への周知に努めてきたところでございます。

 こうした取組によりまして、いいとこ取りのルール違反の発生は減少しておりまして、平成三十年度には二十二件、令和元年度には十六件ございましたが、令和二年度、今年度は一件となっております。

 引き続き、現場への周知を図り、発生防止に努めてまいりたいと考えております。

石川(香)委員 農水省もいろいろな取組をしていたということもあって、一定の効果が出ていたと思います。重ねて、北海道ルールの導入というものも来年度から取り組まれるということでホクレンの発表がありましたけれども、このこともあわせて、このいいとこ取りというものがだんだんなくなっていく方向になっているのかなと思います。

 二〇二〇年度の北海道内の生乳生産量が前年度と比べてふえる見込みであるということですけれども、コロナの消費低迷の影響もありまして、乳製品の在庫もまただぶついてしまっているところがあります。乳価の上昇や、それから国のさまざまな施策が後押しになって、酪農家がより積極的な経営に乗り出して規模拡大につながったということ、これは非常にいいことでありますけれども、供給過多になるようなことは避けなくてはなりません。

 冬は、供給はふえていくものの消費が減っていくという時期でありますので、コロナの影響も長引く中、今後もこの不安は拭えないと思いますけれども、今後の見立て、もちろんコロナの状況がどうなっていくかということは誰にもわかりませんけれども、生乳を絶対廃棄させないという思いは大臣も強く持っていらっしゃると思いますけれども、改めて、その決意も含めてお伺いしたいと思います。

野上国務大臣 今お話のありましたとおり、例年、冬から春先につきましては、飲用の需要が落ち込むという一方で、乳牛は寒さに強いので生産量自体は増加する、その結果、生乳の需給は緩和する傾向にあるわけでありますが、加えて、今年度には新型コロナウイルスの影響があった。レストランやカフェ等の業務用の需要も減少していますし、あるいは、北海道を中心としました乳用牛飼養頭数の増加等による生乳生産の増加等もあって、例年以上に需給が緩和する要素があると考えております。

 一方で、農水省としては、これまで生乳生産基盤の強化を図ってきたところでありまして、令和元年度の生乳生産量は四年ぶりに増加に転じているというところであります。この増産の機運を冷やさないためにも、生乳の廃棄ということはあってはならないことだと考えております。

 今後とも、酪農家が安心して生乳生産に取り組めるように、生乳需給の状況を注視しながら、必要な対策をしっかり検討してまいりたいと考えております。

石川(香)委員 ありがとうございます。

 酪農家にとって獣医さんの存在は重要でありますけれども、最後の質問だと思いますが、農済から派遣される獣医さんは多い中で、今、農済が一つの県に一組合化という動きが全国的に進んでおりまして、来年、鹿児島も合併をして、残るは茨城と北海道だけだというふうに聞いております。

 北海道は五つの農済がありますけれども、令和四年四月から一つにするという計画が進められる中で、これを地域でしっかり決議をして決めるというタイムリミットが迫っております。

 北海道は、一つといっても、日本の国土の二割に匹敵する広さがありまして、その広さの配慮が必要ではないかということについて質問させていただきたいんですけれども、合併とか合理化などのもとに集約化が進んでいっても、結局、会議などでの移動距離がふえるだけではないかとか、財政もその影響でスリム化することができないのではないかなど、地元からは心配の声が上がっております。

 それぞれの、こういうことも上がっておりますけれども、やはり地域の事情に即したルールというものが必要ではないかと思いますけれども、このことについて御見解をお伺いしたいと思います。

光吉政府参考人 お答えいたします。

 農業共済事業につきましては、従来、国、都道府県連合会、農業共済組合、こういった三つの段階の制度で行われてまいりましたが、事業基盤の強化、あるいは、保険ですので、より多くの方が危険分散して、制度をより安定的に運営する、こういった観点から、一県一組合化いたしまして、国と農業共済組合との二段階制に移行することを基本として全国的に推進されてまいりました。

 これによりまして、委員御指摘のように、四十二都府県におきまして一県一組合への移行がなされてきたところでございますけれども、あくまで農業共済組合は組合員の方によって自主的に運営される組織でございます。したがいまして、体制やどういうふうに事業をやっていくかということについての御判断も、それぞれの団体において議論を十分に行ってお決めいただくべきものと考えております。

 北海道におきましては、今後、共済組合の代表委員の方による御検討ですとか、あるいは地区別の懇談会による組合員の意見交換が行われるとお聞きをしております。その中でしっかり御議論をしていただきたいと考えております。

石川(香)委員 残るはあと茨城と北海道だけという状況になっている中で、北海道も非常に、議論をしてくださいといっても、かなり追い詰められているところはあると思います。

 それぞれの地域でその事情に合ったルールづくりというものが大原則だと思いますので、ぜひ、こういった地域性というもののルールづくりというものを、つくっていくということをお願いをいたしまして、私からの質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

高鳥委員長 次に、金子恵美君。

金子(恵)委員 立憲民主党の金子恵美でございます。よろしくお願いいたします。

 我が国の畜産、酪農経営は、畜産クラスター等の地域の関係者が一丸となって、取組の成果として改善されているところもあるというふうにも思います。

 でも、一方で、担い手の高齢化、後継者不足は深刻を増すばかりであります。特に、中小・家族経営においては経営継続の危機にさらされているという状況でもありますし、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響も受けているということですし、またさらにはEPAの問題等もあります。さまざまな課題を持っているということであります。

 何とか我が国の畜産、酪農に光を当てたい、そういう思いは、この農水委員会の中でも党派を超えて一致していることではないかというふうに思います。

 ぜひ、お伺いします。我が国の畜産、酪農の将来像、どのようにお考えでしょうか。

野上国務大臣 我が国の畜産、酪農は、良質な畜産物の供給はもとよりでありますが、国土の保全ですとか、あるいは地域経済の活性化等々に対しても大切な役割を担っていると考えております。

 一方で、国内外の需要に生産量が応えられていない状況であるですとか、あるいは近年も家畜の疾病が多発をしましたり大規模な災害が起こったりということで、生産基盤の維持強化のためにも対応すべき課題が多数あるというふうに考えております。

 農林水産省としましては、このような課題に対応しまして、海外市場も含めて拡大が見込まれる需要に応えるための生産基盤の強化ですとか、あるいは次世代に継承できる持続的な生産基盤の創造等々の実現に向けまして、さまざまな取組を進めております。

 私も先般、北海道の十勝の酪農の現場に伺わせていただきました。そこでは、搾乳ロボットを使ってスマート農業等々も進めておられて、その効果として、働く時間の短縮ですとか働き方にも変化が出てきているというようなお話も伺いました。また、食肉の畜産公社等々にも伺ってまいりましたが、現場のさまざまな御意見を伺いながら、先ほど申し上げたような課題解決に向けて全力で取り組んでまいりたいと考えております。

金子(恵)委員 ここのところ、鳥インフルエンザの問題もあります。豚熱の問題も解決しているわけではありません。このようなことに対してもしっかりと対応しなくてはいけないですし、そしてまた、今おっしゃっていただきましたように、働き方改革の問題や、また新たな技術というものの導入、本当にさまざまな課題を持っているという分野であります。

 国内での課題をどう乗り越えていくかというのは本当に重要な時期に来ていると思うんですけれども、そういいながらも、政府としては、どうしても輸出を進めましょうということで、そこに目を向けているという気がします。

 十一月の三十日に農林水産物・食品の輸出拡大のための関係閣僚会議が開催されたということで、二〇三〇年の輸出額五兆円目標の達成に向けた実行戦略が決まったということでございますが、牛肉や米など日本産に強みがある二十七品目を重点品目に設定したということで、各品目で主に輸出向けに生産する輸出産地を二〇二〇年度中にリスト化し、重点的に支援するということです。

 産地ごとの目標、課題、対策も明確化するということですが、重点品目のうち牛肉は輸出額の目標額が最大だということを伺っています。その輸出産地というものもこれから決めていくわけなんですけれども、どのような形で選定するのかということも含めて、この実行戦略についてお聞かせいただきたいと思います。

野上国務大臣 今御指摘いただきましたとおり、二〇二五年に二兆円、それから二〇三〇年に五兆円、こういう輸出目標を達成するために、先般、輸出拡大実行戦略を取りまとめたところでありますが、その中で、二十七の輸出重点品目を選定して、品目別に具体的な輸出目標を設定し、輸出産地の育成、展開、目標達成に向けた対応等を明確化したところであります。

 特に牛肉につきましては、生産者、それから食肉処理施設、輸出業者の三者が連携したコンソーシアムを産地ごとに設立して、生産から輸出まで一貫した輸出促進を図る体制を構築して、プロモーション、商談等を実施していくことといたしております。このために、衛生水準が高く、さらに、輸出に先進的に取り組んでいる対米向け輸出可能な十五施設を核とした産地をモデル産地として今後育成していくことといたしております。

 一方で、このような輸出認定施設につきましては、二〇二五年までに十五施設から二十五施設までふやすこととしておりますので、これらを核としたコンソーシアムについてもモデル産地へ追加することも含めて、これから関係自治体、事業者等と調整の上、具体的なコンソーシアムの構築、選定を進めてまいりたいと考えております。

金子(恵)委員 輸出産地の育成に力を入れていくということでありますが、それも一つ悪いことではないんですけれども、ただ、それぞれの地域にある畜産農家をただ集約化していって規模を大きくするということだけではないというふうに思いますので。

 やはり、地域の財産として存在している畜産農家の方々を規模にかかわらず支援していくということをしていただきたいというふうに思うんですけれども、その中では、質が高い小規模農家もちゃんと支援していくということでよろしいですか。

野上国務大臣 これは大規模経営体に限らず、家族経営を含めた多様な経営体を育成していくということは重要であると考えております。

金子(恵)委員 輸出に力を入れていくということで組織改編までする方向ですので、輸出・国際局、そしてまた、輸出拡大の主翼を担う畜産分野については、新たな市場環境に適応した生産基盤の強化等を推進する畜産局を設置するという予定でいるということです。

 国際社会に向けて我が国の農畜産物の質のよさをアピールしたいというところもあるというふうに思うんですが、新型コロナウイルス感染拡大によって、残念ながら東京オリパラは延期ということになって今に至っておりますけれども、オリパラで提供する食材というのはGAP取得をしなくてはいけないということであります。その要件の一つがアニマルウエルフェアなんですね。アニマルウエルフェアというのは世界の潮流ですから、日本もしっかりとこの波に乗っていかなくてはいけないというふうに思います。

 まさかアニマルウエルフェアの基準を下げるような形での足を引っ張るような行動があってはいけないというふうに思うんですが、まずその件について一点お伺いしたいということと、そしてまた、今報道されているような形で捜査も進んでいることだというふうに思いますけれども、吉川元農水大臣の問題でありますけれども、この大臣の行動、言動が、OIEに対する日本のコメントがあったわけですが、それに対してどのような影響を与えたのか、お聞かせいただきたいと思います。

野上国務大臣 まず、アニマルウエルフェアについてどのように取り組んでいくのか、しっかり取り組むべきだというお話でありますが、このアニマルウエルフェアにつきましては、家畜を快適な環境下で飼育することによりまして家畜のストレスや疾病を減らす取組でありまして、その推進は重要な課題であると考えております。

 このため、農林水産省では、アニマルウエルフェアの取組を普及させるために、OIEが示すアニマルウエルフェアに関する指針を踏まえて、平成二十九年及び令和二年に、アニマルウエルフェアに配慮した家畜の飼養管理の基本的な考え、これは課長通知でありますが、これを発出したところであります。

 この通知の中で、飢え、渇き及び栄養不良からの自由を始めとするアニマルウエルフェアに配慮する上での五つの自由を確保するための対応ですとか、あるいは家畜の飼養管理に携わる者の責務等を畜産農家に示し、アニマルウエルフェアに取り組む指導を行っています。

 先生御指摘のありましたとおり、オリンピック、パラリンピック等々、これはアニマルウエルフェアの実践も含んだGAPの認証取得の支援ということもありますので、この支援等にも取り組んでまいりたいと思いますし、今後も生産者の理解を得ながら、アニマルウエルフェアの一層の努力に努めてまいりたいというふうに考えております。

 また、二つ目の御質問でありますが、そのような報道があったことは承知をいたしておりますが、捜査活動に関することでもあり、コメントは差し控えさせていただきたいと思いますが、報道で指摘を受けております施策の判断については妥当であったと考えておりますし、それぞれしっかり説明をしてまいりたいと考えております。

金子(恵)委員 私は、しっかりと、農水省の中で誰がかかわったかとか、そういうことも含めて調査をすべきだというふうに思いますが、いかがですか。

野上国務大臣 今申し上げましたとおり、農林水産行政の施策については今後もしっかりと御説明をしてまいりたいと考えておりますが、本件につきましては、現時点で捜査活動に関することでもあることから、まずは捜査活動に関する協力要請があれば適切に対応してまいりたいと思いますが、いずれにせよ、農林水産行政について国民に疑念を持たれることがないように対応してまいりたいと考えております。

金子(恵)委員 この問題というのは、もちろん世界の中でのアニマルウエルフェアの問題にもかかわっていることなんですけれども、国内の鶏卵生産者経営安定対策事業が、大規模業者に集中していくような、有利な形になっているんじゃないかというような、そういうことにもかかわっているわけで、つまりは、農林水産行政にかかわる問題なんですね。だからこそ、しっかりと、何が起こったかというのは調査すべきだというふうに思うんですよ。いかがですか。

野上国務大臣 今お話のありました鶏卵生産者経営安定対策事業につきましては、これは令和二年度から新たな事業期間に入ることを契機に、より多くの生産者の事業加入による需給安定を図るための見直しを行ったものであることから、妥当なものであると認識をいたしておりますが、調査の件につきましては、先ほど申し上げたとおりでございます。

金子(恵)委員 申しわけないです、ちょっと私はほかの質問もしなくてはいけないので。イエスかノーかだったんですよ。調査をする気があるのかないのか、それだけ聞かせてください。

野上国務大臣 先ほど申し上げたとおり、施策については、今申し上げたとおり、しっかりと説明をしてまいりたいと考えておりますが、本件については、現時点で捜査活動に関することでもありますから、まずは捜査活動に関する協力要請があれば適切に対応してまいりたいと考えております。

金子(恵)委員 説明をするためには、本当の真実というものを知っていなくちゃいけないと思うんですよ。だからこそ、省内でしっかりと調査をしていただきたいということをお願いを申し上げます。

 同僚議員も質問をされると思いますので、譲りたいと思います。

 私は福島の人間でありますので、被災地の問題も取り上げたいと思います。時間が限られているものですから、申しわけありません。

 畜産、酪農の放射性物質対策はこれからどのように進めていくのか。

 今のところ、東京電力第一原発に伴う牛肉の放射性物質検査というのは、この検査体制自体は縮小されてきています。安全性の確保というのが進んできたということだと思います。

 ただ、引き続き給与する牧草の検査は継続していくということだというふうに思いますが、今後、しっかりと被災地の畜産、酪農家の皆様を支えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

野上国務大臣 原発事故被災地の畜産農家におかれましては、安全な畜産物を生産できる環境の確保と、あるいは、原発事故による畜産物の風評被害の解消が重要であると考えております。

 このため、原発事故の被災地域におきましては、今お話のありました家畜に給与する自給飼料の放射性物質の吸収抑制対策等を支援するとともに、農林水産物の放射性物質検査の推進ですとか、販売フェア、商談会の開催といった総合的な支援も実施してきたところであります。

 令和三年度におきましても、復興庁を始めとした関係省庁と連携をしつつ、引き続き、これらの対策等に必要な予算の確保に努めてまいりたいと思いますし、復興に向けて全力で取り組んでまいりたいと考えております。

金子(恵)委員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

 最後の質問になってしまうんですけれども、牛マルキンのことについてお伺いします。

 肉用牛肥育経営安定交付金制度についてでありますけれども、五月支払い分から算定方法の見直しが行われました。標準的販売価格をブロック別算定としたところであります。

 実は、このことによって福島県の状況というのは大変厳しくなってきているということでありまして、試算によりますと、一頭当たり十万円以上の減額になるということなんです。

 その状況というのはなぜかというと、福島県は東北ブロックに区分けされていまして、東北六県の平均販売価格は、米沢牛、仙台牛、前沢牛等、ブランド牛に押し上げられているということでありまして、本県農家の計算上の赤字幅が圧縮された形になって、実際の販売価格に比べ交付金が大きく目減りしているということがあるわけなんです。

 もちろん、さまざまな問題もほかにもありまして、八月支払い分からはまた別な見直しもされていますが、それは福島県は対象になっているわけではないです。

 御存じのとおり、福島県の枝肉販売価格というのはずっと低い状況のまま固定されているという状況になっておりまして、大臣のところにも届いていると思いますが、十一月の十六日、福島県から農林水産省に緊急要望書が提出されているところであります。牛マルキンについては、速やかに地方ブロック算定の検証を行い、地域の実態に合わせ都道府県ごとの算定を可能とするなど制度運用を見直すこと、二つ目には、福島県肉用牛肥育農家の現状を踏まえ、肥育素牛の導入支援など新たな支援策を講じることの二点であります。

 福島県の肉用牛肥育農家の方々に不利益になっている牛マルキンの算定方法については、さらなる運用改善が必要だというふうに思いますが、大臣、いかがでしょうか。

野上国務大臣 今の件につきましては、私自身も福島県の皆様からよくお聞きをいたしております。

 牛マルキンの算定方法につきましては、五月に標準的販売価格をブロック別に算定するという見直しを行いましたが、これは、相対取引価格の下落率が市場取引価格の下落率より大きくなっている県が見られましたので、こうした県では交付単価が高くなる一方で、販売力を強化するなどによって買い支えを行うことで相対取引価格を大きく下げないように努力している県では交付単価が低くなるという状況に実施したものであります。

 このため、検証に当たっては、見直し後の六月以降の市場取引価格と相対取引価格の動きを把握、分析する必要がありまして、現在、枝肉価格の動向等についてデータを精査しているところであります。

 その上で、牛マルキンの算定方法につきましては、標準的生産費もブロック別算定とすべき、あるいは標準的販売価格も標準的生産費も全国算定とすべきなどさまざまな声があることから、それぞれのメリット、デメリットがありますので、十分に検証した上で、必要があれば見直しを行うことも考えてまいりたいと考えております。

金子(恵)委員 このことによって、福島県の生産者の皆さんは本当に憤っているということです。

 とにかく、今までも苦労に苦労をして、やっとここまで、東日本大震災、原発事故からの畜産の再生ということで頑張ってきた、今に至っているということなんですけれども、どこに目を向けていくか、やはりその地域地域の実情に合った形でしっかりと検証していくということが第一だというふうに思っておりますので、ぜひよろしくお願いを申し上げまして、時間が参りましたので、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございます。

高鳥委員長 次に、武部新君。

武部委員 自由民主党の武部新です。

 本日は畜産、酪農政策について質問をさせていただきたいと思います。

 けさもありましたけれども、我が党におきましては、畜産・酪農対策委員会、隣の伊東良孝委員長を中心に、コロナ禍でありましても、オンラインで各地の現場の声を、要望を聞かせていただいているところであります。きょうも伊東委員長からしっかりと政府を追及しろと言われておりますので、質問をさせていただきたいと思います。

 まず、現在西日本を中心に広がっております高病原性鳥インフルエンザにつきまして、既にもう殺処分の数が過去最多となっている大変大きな被害が出ておりまして、厳しい状況にありますけれども、これまでの発生状況と政府の対応についてお聞きしたいと思います。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 高病原性鳥インフルエンザにつきましては、十一月五日に香川県三豊市で今シーズン一例目の発生が確認されて以来、香川県におきまして十事例、それから宮崎県におきましては、本日未明にも確認されましたので五事例、それから福岡県、兵庫県、奈良県、広島県ということで、合計六県十九例の発生が確認されております。殺処分につきましても二百万羽を超える状況ということでございます。大変危機感を持って対応に臨んでいるところでございます。

 これまで、農林水産省といたしましては、総理指示を踏まえまして、県が行う迅速な防疫措置の実施を支援するための人的、物的支援、それから、疫学調査チームの現地派遣によりまして感染経路を調査、分析する、それから国民への正確な情報提供ということを行ってきたところでございます。

 しかしながら、今般の発生につきましては、香川県の三豊市におきまして、三キロ圏内の非常に狭い範囲で続発をしているということで、かつてない発生状況でございました。このような発生状況を踏まえまして、十一月二十四日には家きん疾病小委員会の専門家から緊急提言を取りまとめ、地域全体で消毒をして環境中のウイルスを下げるということで、今三豊市で取り組んでいただいているところでございます。

 いずれにいたしましても、今後も渡り鳥のシーズンは続くということ、今般は、日本だけではなく欧州諸国でも非常に多発をしているということでございますので、野鳥の状況を踏まえますと、全国どこでも発生のリスクがあるというふうに考えているところでございます。

 このため、昨日の対策本部におきまして、全国に対しまして、養鶏農家が自主点検をしっかりやっていただくということで、疫学調査の中で不十分が指摘されております消毒、それからすき間をなくす、野生動物の侵入を防ぐといった諸点につきまして、自主点検を行ってきた上で各県から報告を求めるということで、全国的な防疫体制を高めている状況でございます。

武部委員 この前に豚熱の発生もありまして、ことし三月には家畜伝染予防法を強化いたしました。家畜の所有者、国、都道府県、市町村、関連事業者の責任を明確にしたところでありますけれども、やはり一番肝心なのは、飼養衛生管理基準の徹底を図ることなんだろうと思います。

 これは、都道府県によってその対応に差があってはならないですから、今お話があったとおり、これから渡り鳥の季節になって、ピークを迎えていくことが予想されます。全国的にも広がる可能性もあるというお話でございます。都道府県と緊密な連携を進めていただいて、より高い緊張感で感染拡大の防止に万全を期していただきたいと思います。

 次に、新型コロナ感染症の影響についてお聞きしたいと思います。

 インバウンドが消失いたしました。それから、外出自粛などで、外食産業、業務用の牛肉や牛乳・乳製品、これらの需要が落ち込んでおります。営農にも大変大きな影響が出ていると思いますけれども、この畜産、酪農に対する新型コロナ感染症の影響をどのように評価されて、これから、それからこれまでも、どのような支援対策を行っていくのか、お聞きします。

水田政府参考人 お答えいたします。

 ことしの三月以降でございますが、新型コロナウイルスの感染拡大によりまして、まず酪農関係でございますが、生乳につきましては、学校の休校でございます、それから業務用需要の減少ということがございまして、これによりまして、脱脂粉乳などの乳製品工場をフル稼働させても行き場を失う生乳が発生するのではないかということが危惧されました。それから、牛肉の関係につきましては、インバウンドとか外食需要が減少いたしまして、和牛の価格が大幅に下落する、こういった影響がございました。

 このため、農林水産省といたしましては、酪農、乳業への支援といたしましては、まず、学校給食用牛乳から脱脂粉乳などの加工品向けへの生乳の仕向け先変更を行いまして、これに伴う原料乳の価格差を支援いたしました。さらに、これによりまして生産が多くなりました脱脂粉乳の在庫でございますけれども、これを飼料用へ用途変更する、これに伴う価格差の支援というものも実施をいたしました。関係者の懸命な取組と相まって、生乳廃棄を何とか回避することができたというふうに考えております。

 それから、牛肉につきましては、生産者への支援といたしましては、マルキンの生産者負担金の納付猶予、あるいは肥育牛経営等緊急支援特別対策事業、いわゆる二万円事業でございますけれども、これを措置させていただきました。それから、流通、販売対策といたしましては、和牛の在庫につきまして、販売促進計画を作成する食肉卸売事業者に対しまして、この販売実績に対しまして冷凍、保管の経費あるいは販売奨励金を交付するなどの対策を措置したところでございます。

 経済活動の回復と相まって、和牛の価格につきましても回復をしてきているというふうに認識をしておるところでございます。

武部委員 畜産、酪農に関して、非常に効果的な対策を、緊急対策を打っていただいているんだと思います。

 特に、新型コロナの影響によって生乳需給が大きく変動いたしました。今お話にあったとおり、緊急事態宣言によって学校が休校されて、給食がストップしました。これは、今のお話にあったとおり、需給緩和対策事業を行っていただいて、飲用乳については脱脂粉乳、バター等に仕向けていただきました。そして、それによって在庫がふえた脱脂粉乳等について飼料用への用途変更することを支援していただいたり、チーズへの配乳調整への協力についての協力金を用意してくださっています。

 一方、学校が再開しましたら、これは近年ずっとそうなんですけれども、需要の多い夏場については、都府県の飲用の生乳が足りないものですから、北海道から移出をしています。これも増加しております。北海道が生乳の需給の全体の調整の役割を担っています。更に言うと、自然災害のときもそうだったんですけれども、このコロナの非常時でも、指定団体が大変安定供給に大きな役割を果たしてくださいました。だからこそ、この需給調整が、廃棄することなくうまくいったんだと思います。

 これは、一つには、我々、TPP関連対策で行ってきました畜産クラスター、この事業などで生乳生産の増産体制が着実に進んでいるんだと思います。

 石川先生からもお話がありましたけれども、北海道は生産量が四年間で五%伸びて、二十万トン増加しています、これがあるからこそ飲用乳で足りない本州にも送ることができているんだと思いますけれども。乳価も上昇していますから、これまで政府が行ってきた政策というのはその効果がしっかりと出始めているんだと思います。

 ただ、この新型コロナ、この一年間、ジェットコースターのような需給変動があったわけですよね。足りない、あるいはもういっぱいだというようなことを経験して、やはり生産者の皆さん方、引き続き、これまでしっかり増産体制を築いてきたけれども、このまま継続できるのか、継続していいのか、そういう不安の声も聞こえてまいります。冬場の非需要期においても出荷不能乳を発生させないということ、やはり、もう十五年近く前になりますけれども、生乳を廃棄した記憶というのが、どうしても生産者の皆様方、ずっと心に残っていまして、これに対する不安というのは大変大きいんです。

 このことを考えますと、しっかりと、そういう廃棄乳、牛乳を廃棄するようなことはさせないよという政府の姿勢が重要だと思いますし、これから決まっていく補給金の総交付対象数量、この設定も、しっかりとつくっていただいていいんだよという大きなメッセージになるんだと思います。

 そこで、生乳需給安定に向けた取組について、年間を通じて安定生産、安定供給を確保するためには、機動的な支援、恒常的な出口対策が必要だと考えますが、所見を伺いたいと思います。

水田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、これまで、畜産クラスター事業等の活用によりまして、生乳生産基盤の強化を図ってまいったところでございます。

 令和元年度生乳生産量、四年ぶり増加に転じているところでございます。しかしながら、本年度につきましては、コロナがございまして、新型コロナウイルス感染症拡大の影響によりますカフェとかレストランとかの業務用需要の減少、それから、北海道を中心といたしまして、乳用牛の飼養頭数の増加によります生乳生産量の増加ということがございました。先ほど答弁いたしましたように、乳製品の在庫が非常に高い水準で推移をしているということがございまして、こうした中で生乳廃棄を発生させないということが非常に重要でございます。

 この春、緊急的な対応として、先ほど申し上げましたように、脱脂粉乳の在庫を飼料用に転換する価格差を支援する、こういった需給緩和対策等々も講じたところでございます。

 今後も例年以上に需給が緩和する要素があるのではないかと考えられるところでございますので、今後とも、この増産の機運というものを冷やすことなく、酪農家の方が安心して生乳生産に取り組めるように、生乳需給の状況を注視しながら、必要な対応を検討してまいりたいと考えております。

武部委員 ありがとうございます。よろしくお願いしたいと思います。

 次に、今のこととも関連するんですけれども、国産チーズの競争力強化の必要性について質問したいと思います。

 昨年度の国内チーズ消費量ですけれども、約三十五・八万トン。年々着実に伸びています。ところが、国内生産を見るとずっと横ばいでして、国産のシェアは十何%と低下しています。ほぼ九割近くが輸入のチーズを消費しているということになっています。これはTPP、それからEUのEPAがございまして、輸入チーズとの競争は更に厳しくなるんだろうなという予想がされるんですけれども、先ほど申し上げた生乳の需給調整の観点からも、保存のきくチーズ、この用途は大変重要な役割を持ちます。

 それから、アジアにおいても乳製品の消費も拡大しておりますので、我々の目標の二〇三〇年までに輸出額五兆円、この中でも輸出品目としての国産チーズの可能性というのは非常に高いというふうに思います。

 それから、各地のチーズ工房さんも大変頑張っていただいていまして、世界のチーズコンテストでも我が国のナチュラルチーズが大変高い評価を得て、数々の賞を受賞されていますし、今後成長の期待できる分野だと私は思っております。

 その一方で、どうしても、順番からいうと、保存のきかない飲用、それから生クリーム、脱粉、バターといって最後にチーズに用途が仕向けられるので、チーズをつくる、量も足りないんじゃないかという気も私はするんですね。

 国産チーズのシェアを拡大するためには、やはり高品質なものをつくること、それからコストの削減、製造コストを削減することが重要となってきます。

 そこで、国産チーズの競争力強化事業などに一層力を入れるべきだと考えますが、所見を伺いたいと思います。

水田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、国内のチーズ消費量は非常に伸びておりまして、令和元年度に三十五・八万トンに達しているような状況でございます。しかしながら、国産チーズの生産量は横ばいという状況でございまして、需要の伸びを輸入チーズにとられている、こういった状況にございます。

 この原因でございますけれども、やはりチーズ用の原料乳が確保できないという状況がございます。これは、北海道では生乳生産量が増加する一方で、飲用乳の大半を消費する都府県においては減少傾向にございました。その需要を補う形で、北海道から生乳を本州の方に、都府県の方に移出している、それがふえてきているという状況の中で、なかなかチーズ向けの原材料が確保できなかったということが考えられるところでございます。

 このため、農林水産省といたしましては、都府県酪農の増頭ということで、増頭奨励金によります乳用牛の増頭を図っておりますし、それから中小規模層の農家の施設整備など増頭、増産を支える環境整備、これを進めてきているということでございます。

 また、国産チーズにつきましても、二十九年度補正予算以降、チーズ向けの原料乳の品質を高める対策、あるいはコスト削減をする対策、さらには、チーズ工房等の施設整備をする対策、さらに、国産チーズの消費拡大、こういったものへの支援を行いまして、生乳の品質向上、あるいは国際チーズコンテストの入賞など、一定の成果が得られてきているというところでございます。

 農林水産省といたしましては、引き続き、国産チーズの競争力強化を推進いたしまして、国産チーズの品質向上、そしてチーズの生産のために必要な生乳生産をしっかりと増加させていくということで、取組を進めてまいりたいと考えております。

武部委員 国産チーズ、非常に重要な品目だと思いますので、ぜひ競争力強化に向けての予算を確保していただきたいと思います。

 次に、集送乳の経費について政府のお考えをお聞きしたいと思います。

 北海道でお話を聞いていますと、まずトラックの運転手も不足していますけれども、特にローリー運転手の人材が足りないという声を聞きます。働き方改革の影響でまた更に人員を確保しなきゃならないということもあり、北海道では十の農協が集乳費を引き上げたと聞いております。

 酪農は、先ほどからもお話がありましたけれども、中山間地域など条件不利地で経営される方が少なくないんですね。まさに、もうここは酪農しかできないんだ、米もつくれないし畑作もできないんだ、そういうようなところで酪農をやられている方がいらっしゃいまして、あまねく集送乳を行うということは、大変死活問題であります。それが行うようにできるようにするためにも、適正な集送乳調整金の設定をしてほしいという要望を大変強くいただいております。

 輸送費の上昇等を適切に反映した集送乳調整金の設定、それから、集送乳の経費の削減のためには合理化も重要だと考えますけれども、政府の考え方をお伺いしたいと思います。

水田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、集送乳に係るコストでございますけれども、近年、運送業界の働き方改革等がございまして、ドライバーが不足をしている、こういった状況の中で輸送環境が厳しくなりまして、輸送コストが上昇傾向で推移しているというふうに承知しております。

 この生乳の輸送コストが増加いたしますと、酪農家が受け取る乳代の減少につながってくるということでございます。所得の減少を招くということでございますので、集送乳の合理化によりましてコストを削減するということは重要な課題であるというふうに認識をしております。

 このため、指定生乳生産者団体等におきましては、効率的な集送乳路線を設定していただくということがございます。また、農林水産省といたしましては、タンクローリーの大型化、あるいはクーラーステーションの整備、こういったものへの支援を行うことを通じまして、集送乳の合理化を図っているところでございます。

 また、御指摘の指定生乳生産者団体があまねく集送乳を行うために要する経費でございます。

 これは、国から集送乳調整金を交付することで、一定の負担軽減を図らせていただいているところでございます。輸送コストが上昇する中でも確実に集送乳が行われるよう、令和三年度の集送乳調整金の単価につきましては、適切な算定に努めてまいりたいと考えています。

武部委員 よろしくお願いしたいと思います。

 輸出の件についてちょっと質問させていただきます。

 農林水産物、食品の輸出拡大に向けた牛肉などの畜産物の取組についてでございますが、政府は、二〇二五年までに二兆円、二〇三〇年までには五兆円の農林水産物の輸出額目標を設定しています。先ほどもお話がありましたが、農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略を決定いたしました。この中でも、牛肉は、輸出拡大の重点品目として、五年後には現在の輸出額の五倍を超える一千六百億を目指すとしています。

 これは、生き物ですので、急にあしたふえるということにはならないわけですから、輸出の産地づくりを早急に進める必要があると思います。牛肉を始めとした畜産物の輸出拡大にどのように取り組んでいく方針か、見解を伺いたいと思います。

水田政府参考人 お答えいたします。

 農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略というのを先日策定をいたしたところでございます。輸出額を二〇二五年までに二兆円、二〇三〇年までに五兆円とする目標を達成するための計画でございます。

 この中で、輸出拡大の余地が大きい品目を重点品目として、二十七品目を選定いたしましたが、その中で畜産物につきましては、牛肉、豚肉、鶏肉、鶏卵、牛乳・乳製品、この五品目が重点品目に入っているところでございます。委員御指摘のとおり、特に牛肉については、和牛として世界で認められております。人気が高いというような観点から、さらなる輸出拡大の主翼を担う分野というふうに考えているところでございます。

 牛肉の輸出目標の達成に向けましては、国内生産をふやすことはまた非常に重要でございます。昨年の暮れに策定いたしました農業生産基盤強化プログラムに基づきまして、和牛の増頭、増産を実施するということにしておりまして、これによりまして国産牛肉の生産量を大きく増加させるという計画でございます。

 また、輸出先国の衛生水準を満たす食肉処理施設の整備、認定の迅速化、こういったものも進めていきたいというふうに考えているところでございます。

 さらに、先ほどの農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略の中で、これまでのオール・ジャパンの品目別団体の取組に加えまして、牛肉の場合ですと食肉処理施設がございます、対米で認められている十五カ所がございますので、こういった食肉処理施設を中核といたしまして、これに輸出事業者そして生産者も連携いたしまして、コンソーシアムといった形で、しっかりと、生産から輸出まで一貫して輸出促進を図る体制を産地ごとに構築して、プロモーションや商談、こういったものにしっかり取り組んでいくということとしたいと考えております。

武部委員 最後の質問になりますけれども、輸出拡大するにしても、増頭、増産体制を構築するにしても、やはり中小の家族経営も含めて地域一体で生産性を上げたり収益性を上げていくことが大事なんだと思います。外部支援組織の機能強化やスマート農業、あるいは農業基盤整備、こういったことを進めていくためにも、しっかり予算を確保しなければならないと思います。

 最後に、畜産、酪農の生産基盤を強化することに対して、政府の意気込みを伺いたいと思います。

葉梨副大臣 時間もありますので、簡潔に申し上げます。

 武部委員も本当に中心となりまして、これまでも畜産クラスター事業、さらには楽酪事業等、予算獲得に努めてきたところでございます。

 きょうの議論でも明らかになりましたとおり、牛乳・乳製品、さらには牛肉の分野というのは、国内外で需要が見込まれるものでございます。昨年十二月に策定した農業生産基盤強化プログラムなどに基づいて、しっかりと、委員の応援もいただきながら、予算の獲得に努めてまいりたいというふうに思います。家族経営も大事にしていきたいと思います。

武部委員 質問を終わります。ありがとうございました。

高鳥委員長 次に、稲津久君。

稲津委員 それでは質問に入らせていただきますが、きょうは、私が酪農、そして濱村議員が後ほど質問しますけれども畜産ということで、分けてさせていただきます。

 十分間が持ち時間ですので、簡潔に質問しますので、簡潔明瞭に、手短にお答えいただきたい。御協力よろしくお願い申し上げます。

 まず、バター、脱脂粉乳の過剰在庫についてですけれども、新型コロナでの影響で、九月末時点のバターの在庫が約三万九千トン、それから脱脂粉乳の在庫が八万二千トンで、大変大幅な過剰状態にあります。バターの在庫は、外食など実需の需要減少、さらに、お土産物それからお菓子で利用されるクリームの需要減退で、貯蔵性のよいバター、脱脂粉乳に加工されている、こういう現状。とにかく余りにもこの新型コロナウイルス感染拡大の影響は大きい、こう言わざるを得ないと思っています。

 この間、春先のコロナ禍では、北海道においては、国の緊急対策、それからJAグループ北海道の消費拡大の取組等によりまして、出荷不能の乳を発生させずに乗り切ったという経過がありまして、特にJAグループ北海道の需要拡大の取組、これは約十三億円を要して、生乳処理能力の向上等を図ってまいりました。私はこうした取組は大変影響が大きかったというふうに思っております。

 そこで伺いますけれども、このバター、脱脂粉乳の在庫について、現状認識と対策をお示しいただきたいと思います。

水田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、コロナの関係で学校給食用あるいは業務用の牛乳・乳製品の需要が減退し、生乳廃棄を回避するために、生乳を長期保存が可能なバターや脱脂粉乳に仕向けてまいりました。その結果といたしまして、バターの在庫数量でございますけれども、十月末の時点で対前年同月比で四四・五%増になっております、約三万八千トンでございます。脱脂粉乳の在庫量でございますが、対前年同月比で二〇・九%増の約八万トンということでございまして、前年を大きく上回っているところでございます。

 この対策でございますけれども、バターにつきましては、一つは、この後、年末のクリスマス等の最需要期を迎え、消費の増加が見込まれているわけでございますが、それにプラスいたしまして、本年九月には、バターの国家貿易の輸入数量につきまして、二万トンから一万四千トンに見直しまして、六千トン削減をいたしました。

 それからまた、脱脂粉乳でございますけれども、同様に、国家貿易の輸入枠数量について四千トンから七百五十トンということでございまして、三千二百五十トン削減をいたしております。また、本年四月に、脱脂粉乳の在庫につきまして、飼料用等、こういった分野に回すということで、そこの価格差を支援するという事業、措置をいたしまして、この事業を通じまして在庫の解消を今図っているところでございまして、今後約二万トンの在庫が解消される見込みでございます。こうした取組によりまして、八万トンの脱脂粉乳の在庫につきましては、約六万トンに減るということでございます。

 今後とも、しっかりと、需給動向を注視しながら、必要な対応をしてまいりたいと考えております。

稲津委員 これは申入れだけで終わっておきますけれども、チーズの需要が伸びているものの、国産チーズの消費が非常に横ばいでございまして、国産チーズは伸び代がありますので、競争力の強化対策を引き続き行っていただきたいと思います。

 次に、ドライバー不足等による集送乳のコスト高について申し上げたいと思いますが、まず、加工原料乳生産者補給金について、持続的再生産が可能となる水準で単価設定をしますとともに、適切に総交付対象数量を設定していただきたい。また、集送乳の調整金について、輸送費の上昇等を踏まえて適切に単価を設定する、このことを申し上げたいと思います。

 具体的に、新型コロナの影響が長期化する中で、酪農家が営農を継続できるよう、生産者補給金と集送乳調整金を合わせた単価水準は現行のキロ十円八十五銭を下回ることがないように設定すべき、それから、総交付対象数量は、加工原料乳、地域の生産が拡大する中で、国産乳製品の需要拡大を後押しするために十分な水準で設定すべきと申し上げたいと思います。

 特に、集送乳の調整金については、ドライバーの不足、高齢化、人件費増加で酪農経営コストの増加要因になっております輸送費への影響を適切に反映し、設定する必要があると思います。

 このドライバー不足の影響による現状と対策についてお伺いします。

池田大臣政務官 今委員御指摘のように、ドライバー不足ということで、輸送環境が非常に厳しくなっております。そのために、輸送コストが上昇傾向で推移をいたしております。

 このため、酪農家が受け取る乳代の減少につながって、酪農家の所得の減少を招くことから、集送乳の合理化によりコストを削減することは重要な課題であると認識をいたしております。

 このために、指定生乳生産者団体においては、効率的な集送乳路線の設定等を図るとともに、農林水産省としても、タンクローリーの大型化、あるいはクーラーステーションの整備等の支援を行うことを通じて、集送乳の合理化を図っているところでございます。

稲津委員 ありがとうございました。

 最後の質問になりますけれども、畜産クラスターについてお伺いしたいと思います。

 畜産クラスターを活用して大型法人化している酪農、これが増加している。一方で、規模拡大農家へ優先されていた畜産クラスター事業については、今後は、中小の家族経営を含めて地域一体となった生産性、収益性向上の取組を継続して支援するために、規模要件が緩和された畜産クラスター事業、これをぜひ基金化、あるいは十分な予算を確保することを願うところでございます。

 畜産クラスターの重要性については、やはり、地域にとっても生産者にとっても極めて重要である、このように思っております。

 こうした見解についてお伺いさせていただきたいと思います。

池田大臣政務官 御指摘のように、我が国の畜産、酪農は中小規模の家族経営が大半を占めていることを踏まえまして、大規模な経営体に限らず、家族経営を含めた多様な経営体を育成していくことが重要であるというふうに考えております。

 そのために、規模拡大が進展した地域におきまして、中小規模の経営あるいは家族経営が本事業を活用しやすくなるように、令和元年度補正予算におきまして、規模拡大要件である平均飼養規模のとり方を緩和いたしたところでございます。

 今後とも、現場の声を聞きながら、家族経営を含めた多様な経営体にとって取り組みやすい事業となるように努めてまいります。

稲津委員 以上で質問を終わらせていただきます。

 ぜひとも、きょう私が申し上げさせていただいたことを農水省としても適切に対応していただきたい、このことを申し上げまして、質問を終わります。

高鳥委員長 次に、濱村進君。

濱村委員 公明党の濱村進でございます。

 まず、牛枝肉卸売価格について伺いますが、新型コロナウイルスによる影響はどの程度出ているのか。大きな影響が出たというふうに認識しておりますけれども、現状、回復してきているとも聞いております。農水省の現状認識について、まず伺いたいと思います。

葉梨副大臣 御指摘のとおり、新型コロナウイルスの影響によるインバウンドあるいは外食需要の減少ということで、この三月、四月、和牛、さらには交雑種の枝肉価格は非常に低下をいたしました。ただ、経済活動が回復してまいりまして、徐々に回復しているというふうに認識をしています。

 十一月の和牛枝肉価格の平均価格は、一キロ当たり二千五百三十二円ということで、対前年比でプラス二・二%というふうになっています。この理由ですけれども、関係者からは、量販店における和牛肉販売強化の動きや外食、和牛輸出の回復に加え、年末需要の高まりへの期待から引き合いが強まっているというようなお話を聞いておりますが、引き続き、今後の価格の動向についてはしっかり注視をしていきたいと思っています。

濱村委員 十一月直近は非常に回復、対前年度比プラス二・二%まで戻ってきているということでございますが、その上で、新型コロナ対策で措置されてきました肥育生産奨励金や和牛肉の保管在庫支援、あるいは経営継続補助金等については今後どのように取り扱うのか、伺いたいと思います。

    〔委員長退席、宮下委員長代理着席〕

水田政府参考人 お答えいたします。

 ことしの二月以降、新型コロナウイルスの感染拡大によりましてインバウンド、外食の需要が減少いたしまして、和牛の関係、枝肉価格が大きく下落したところでございまして、これに対しまして、委員御指摘のとおり、体質強化に資する取組を行った肥育農家に対しまして出荷頭数一頭につき二万円の交付をする事業、それから和牛肉の在庫解消と需要喚起を図るための冷凍、保管経費や販売奨励金の交付、こういった事業を行ってきたところでございます。

 先ほど葉梨副大臣から答弁をさせていただいたとおり、十一月の平均価格が前年を若干上回る水準となっておりますが、最近の新型コロナウイルス感染症の拡大の状況を踏まえれば、今後の動きを引き続きよく注視していく必要があるというふうに考えているところでございまして、こうした対策につきましては、今後の枝肉価格や食肉流通の動向をよく見きわめた上で検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。

 なお、経営継続補助金につきましては、第一回公募で採択した分に対して補助金を交付するために六百四十一億円の財源を確保したところでございますが、令和二年度の第三次補正におきましては、第二回公募に係る分について必要な財源をしっかりと確保してまいりたいと考えているところでございます。

濱村委員 しっかり注視をしていただきながら、状況に合わせて適切に予算を確保した上で支援をお願いしたいというふうに思っております。

 次、牛マルキンの負担金について伺いたいと思いますけれども、令和二年度の牛マルキン負担金につきましては、枝肉価格の下落に伴って、全国で前年度を上回りました。私、地元兵庫県でございますけれども、兵庫では四月分の交付から生産者積立金が不足したんですけれども、国費分の交付金を交付いただいたことによって、肥育農家は非常に感謝しているような状況でございます。

 一方で、十月以降の牛については価格が戻ってきているという中で、負担金の納付再開についてはどのように考えておられるのか、伺いたいと思います。

水田政府参考人 お答えいたします。

 牛マルキンの生産者負担金の納付猶予、これは実質免除でございますけれども、これにつきましては、四月から当面六カ月やるということでございまして、九月末までということで当初ございましたが、肥育農家の資金繰りの観点から、十月以降も延長しているところでございます。

 こうした中でございますが、最近の和牛肉の枝肉価格、十月には昨年とほぼ同じ水準まで回復をしてきているという状況でございまして、肥育農家の資金繰りは改善しつつあると考えられているところでございます。実際に肥育農家の方の購買意欲も出てきておるということでございまして、子牛価格がそれに伴いまして上昇してきておりまして、一頭当たり八十万円ほどまで上昇してきているという状況ではございます。

 こうした状況も踏まえまして、牛マルキンの生産者負担金につきましても、納付の再開ということを視野に入れて検討を始めているところでございまして、各都道府県の御意見を聴取した上で、また納付を再開する具体的な条件等についてしっかりと検討を行っていきたいと考えております。

濱村委員 しっかり農家さんのお声を聞いていただいて、納付再開について検討していっていただきたいというふうに思います。あくまでも丁寧にやっていただきたいということでございます。

 こうした肥育農家さんを始めとして、非常にこうしたところに丁寧に農水省としても支援をしていただいているなというふうに実感をしておりますけれども、ちょっと周辺事業者の皆様についても伺いたいと思っております。

 当然、枝肉を出荷するためには、加工処理業者さん、いわゆる屠畜場さんですね、屠畜場さんはもちろんのこととして、原皮事業者であったりレンダリング事業者、あるいは、いわゆるホルモン、内臓を食用として処理するような畜産副生物事業の方々も生産者の皆様と一緒になって事業をされてこられたわけでございます。こうした事業者の皆様に対してもぜひ支援を行っていただきたいと思っているんですが、業界自体を取り巻く環境については非常に事業環境は悪化している、こういう状況もございますが、その中で新型コロナの影響も受けておられるというわけでございます。

 生産者だけではなくて周辺事業者への支援も重要だと思っておりますが、どのように取り組まれるのかお伺いしたいと思います。

水田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の原皮事業者さん、それからレンダリング事業者さん、それから副生物の事業者さん、こういった方々の、周辺事業者さんというふうに委員からお聞きいたしましたけれども、こういった方々は、畜産物の流通におきまして、食肉の円滑な生産、流通の一翼を担っておりまして、重要な産業であるというふうに認識をしているところでございます。

 こうした事業者さんの経営における資金の確保という面では、中小企業を対象といたしましたセーフティーネット五号におきまして、実質無利子の融資の措置が講じられているところでございます。

 また、今回、新型コロナウイルス感染症の影響によりまして、世界的に物流が停滞をしたということがございます。皮革製品の素材である原皮の流通にも大きな影響が出てきておるところでございます。こうした中で、新型コロナの影響により輸出できなくなった原皮の一時保管あるいは焼却、こういったものについて、ALIC事業におきまして支援をいたしているところでございまして、これにより原皮流通の円滑化というものを図っているところでございます。

 本年十月時点で、原皮の輸出価格でございますが、これまで低下傾向で来ておりましたが、下げどまりを見ております。内臓の卸売価格も若干持ち直しております。

 そういったところでございますが、引き続き動向を注視いたしまして、必要に応じて対応を検討してまいりたいと考えております。

濱村委員 今、局長からもございましたとおり、コロナの影響を受けて、一時保管であったりとか滞留防止の措置、とっていただいているんですが、輸出前提としているんですね。

 実は、原皮、使われるところでいえば野球のボールとかもそうでして、野球のボール、プロ野球とかあるいは大学、高校とか、全てとまっちゃったりして、ボールがさばけなかったというようなことがあります。需要が一気に減ってしまったということで、非常に原皮事業者の皆さんはお困りになられたというようなところがございます。

 原皮需給安定緊急対策事業、とっていただいたALICの事業がありますが、二十億のうち四億しか使われていないという声も聞いております。これはなかなかそうした原皮事業者の皆様には使いにくいといった事業なのかもしれません。

 ぜひ、こうしたところも丁寧に目くばせいただいた上で、しっかり需要拡大をしていくというところを促進するということも含めて、事業者の皆さんが事業継続できるような環境の構築に引き続き取り組んでいただきたいということをお願い申し上げて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

    〔宮下委員長代理退席、委員長着席〕

高鳥委員長 次に、近藤和也君。

近藤(和)委員 石川県能登半島の近藤和也でございます。よろしくお願いいたします。

 最近、暗い話ばかりでございますけれども、当農林水産委員会も何となく暗いなという思いがいたします、野上大臣になってから。なぜでしょうかということなんですけれども、江藤大臣のころには花をつけておりました。花がないんですね、今。花いっぱいプロジェクトが、今でも花の業界の方は苦しまれておられますので、どうか花のある委員会にしていただきたいなというふうに思います。

 そして、今、私は理事ではありませんが、以前は、理事会でも、牛乳を安定して消化していこうということで、理事会室には牛乳が置いてございました。こういったことも含めて、やはり近くのところから始めることは始めていこうということが大事ではないかなということで、提案をさせていただきます。

 それでは、質問に入ります。

 まず、豚熱、アフリカ豚熱を受けて、ことし、家畜伝染病予防法が改正をされました。この改正については私たちもかかわらせていただきましたけれども、飼養衛生管理基準も厳しくする、こういったことはやらなくてはいけないですけれども、現場にはいろいろな問題が出てきているのではないかなと思いますが、現状はどのように把握されておられますでしょうか。

野上国務大臣 今お話がありましたとおり、飼養衛生管理基準につきましては全畜種で改正を行ったところでありまして、各農場において飼養衛生管理に係る責任者を選任をして、自己点検を実施するとしたところであります。

 農水省としましても、畜産農家が本基準を遵守して、都道府県が生産者に対して適切に指導できるように、畜種を問わず、わかりやすいガイドブックや指導手引を作成し、今、広く周知を行っているところであります。

近藤(和)委員 先日、業界団体の方から伺ったんですが、防鳥ネットが間に合わないという声をいただきました。今までの防鳥ネットと比べて網の目をちっちゃくしてくれということですね。

 今、残念ながら、例えば豚熱に関しては、発生農場そのものは、二年三カ月前の発生から、そして去年など、ことしと比べて、随分少なくはなってきましたけれども、野生イノシシの感染拡大はとまっていません。そして、鳥を媒介にするのではないかということも含めて、防鳥ネットを整備せよ、しかも今までよりも網目をちっちゃくせよということなんですけれども、この防鳥ネットを整備しようにも、やはり、例えば県に申請したら、予算がないという声が聞こえています。

 これは鳥獣対策交付金のときにもよく言われていたんですが、国では予算を準備している、一方で、現場の皆様が申し込まれる都道府県であったりJAさんであったり、こういったところでは、いや、ちょっともう予算がなくてねというやりとりが常々行われてきていますが、しっかりと予算を国として準備しているから、その中間の都道府県であったりJAさんのようなところは気兼ねなく国に言ってくれということを周知していくべきだと思いますが、いかがでしょうか。

野上国務大臣 飼養衛生管理基準に応えるために、農場バイオセキュリティーの向上に必要な、今おっしゃられた防鳥ネットの話ですとか、あるいは動力噴霧器等の整備につきまして、これは消費・安全対策交付金によりまして整備費用の二分の一を支援しているところでありますので、都道府県に対しまして数次にわたり要望調査を行うなど、活用を促しているところであります。

 また、地方自治体の負担部分についても、これは特別交付税五分の四の措置があるところでありますので、引き続き、都道府県と連携しつつ、必要な整備が適切に行われるように対応してまいりたいと考えております。

近藤(和)委員 消費・安全対策交付金の予算そのものも何となく少ないかなというところもありますし、実質的には、都道府県、自治体等の負担は結果的にはほぼないというところだと思いますので、現場の皆様は、今、鳥インフルもそうですし豚熱もそうですし、さまざまな病気がやってきておりますので、気兼ねなく準備をしていけるような体制づくりをお願いしたいと思います。

 そして、現在、鳥インフルエンザが全国各地で発生してきてしまっております。資料の二の方を見ていただきたいんですけれども、これは豚熱に関する、この二年三カ月の間で、発生農場、そして経営再開にどこまで至ったかというデータです。再建に向け準備中というのは九件ございますので、この豚導入済みというのは再建しているということで、五十九件。七十七分の五十九で、七六%ということでございます。

 そして、鳥インフルエンザに関しては、この十数年のデータを伺いました。細かくはデータはとりにくいというふうに事務局から伺ったんですけれども、大体九割弱だというふうに聞いています。

 鳥インフルにかかった場合には九割弱が経営再建に至っている、豚熱に関しては大体七〇%台半ばが経営再建に至っている。この数字について、どのようにお考えをお持ちでしょうか。

野上国務大臣 今御指摘ございましたとおり、豚熱ですとか鳥インフルエンザの発生農家の経営再開状況でありますが、豚熱の発生におきましては約八割弱、それから高病原性鳥インフルエンザの発生においては約九割の農家が経営を再開しているわけであります。

 農水省としましては、発生農家の経営支援策としまして、家畜伝染病予防法に基づきまして、原則、殺処分した豚や鳥の評価額の全額を手当金として交付をしております。また、経営再開に必要な豚や鳥の導入、飼料、営農資材の購入等に要する資金につきましては、家畜疾病経営維持資金ですとかあるいは農林漁業セーフティネット資金の活用が可能となっております。加えまして、家畜防疫互助事業に加入している方が新たに豚や鳥を導入して経営を再開する場合には、経営支援互助金の交付を受けることが可能となっております。

 農林水産省としましては、各都道府県に対しまして、鳥インフルエンザ今シーズン一例目の香川県での発生を踏まえまして、これらの経営支援対策の周知に関する課長通知を発出したところでありますが、しっかり周知をしつつ、農家の方々が安心して従事できるように対応してまいりたいと考えております。

近藤(和)委員 さまざまな対策が打たれているのは理解をしています。

 そこで、資料一なんですが、これは乳牛、肉用牛から鳥、採卵鶏に至るまでですが、全ての農家の方々が、飼養戸数が減ってきています。

 ちなみに、ちょっと年によっては抜けているところがあるんですけれども、これは統計のとり方で農水省の方で数字がはっきりとれていないんだということなので、そこは考慮していただきたいんですけれども、見ていただいても、大体数%ずつ年々減ってきています。

 やはり底打ちはしなければいけない、ふやしていきたいということもあると思うんですけれども、例えば、豚でいけば大体三%から四%、そして鳥でいけば二%、三%、四%程度。この平均と比べても、鳥インフルエンザにかかってしまう、そして豚熱にかかってしまう方が割合高いんですよね。ですから、これで自分たちの対策が十分なんだというふうに思わないでいただきたいな、どうして経営再建に至らなかったといったところをもうちょっと詳しく調査をしていただければと思います。

 税の免除なのか、金額そのものなのか、時間的な配慮、一遍に経営再建がきれいにできるわけではないですから。若しくは、失ってしまった販売網を再構築するといったところも含めて、せめてこの平均的な水準まで、何らかの病気がやってきた場合でも、そこに至るような努力、そして、そもそもとして、この一次産業にかかわる方々の減少を食いとめるというところに力を入れていただきたいなというふうに思います。よろしくお願いいたします。

 それでは、コロナに関して三つ問合せをしたいと思います。

 まず、第一次の補正予算で、国産農林水産物等販売促進緊急対策、一千四百億の予算がつぎ込まれたものがございます。一月三十一日までのイベントということなんですけれども、実は、年度の不公平感というものがあります。

 何かといいますと、私の地元でいけば、十二月にカニ祭りがございます、一月に寒ブリ祭りがあります。これは物としては対象になるんですね。二月になった場合には、タラの祭りであったり、また、カキのお祭りがあるんですが、一月までのイベントであれば、新しくする若しくは工夫をしたものにはお金を出すというものですが、一月までの旬のものだと対象内ですが、二月以降が旬のものは対象外なんですね。

 年度末だからといった理由ということも伺いましたが、生産物、消費物に関しては政府の年度末というものは一切関係ありませんから、そういった不公平感というものはなくしていく必要があると思います。

 コロナの災害というものはまだ続いていきますので、一回目の補正予算でありましたこの緊急対策に続く、そして、この不公平感をなくすということに対しての今後の方針を教えてください。

青山政府参考人 お答え申し上げます。

 新型コロナウイルス感染症の影響によりまして、イベントが中止になるなど、地域の農林水産物の販売機会を失い販路に困っている生産者が多くいると承知しております。こうした生産者を支援するため、国産農林水産物等販売促進緊急対策事業における地域の創意による販売促進事業においては、販売促進キャンペーンを行う際の食材費や輸送費等について支援を行っております。

 本事業の補助対象となるキャンペーン実施期間は、委員御指摘のとおり令和三年一月三十一日までとなっておりますが、新型コロナウイルス感染症の状況を注視しつつ、現在検討を進めております補正予算を含めまして、必要な対策を検討してまいります。

近藤(和)委員 補正で検討ということでよろしいんですね。

野上国務大臣 今申し上げましたように、このキャンペーンは一月三十一日までということになっておりますが、今先生、二月や三月あるいは年度末というお話もありましたので、今、補正の予算も含めて、必要な対策を検討してまいりたいと考えております。

近藤(和)委員 前向きな御答弁、ありがとうございます。

 それでは、米についてですけれども、在庫が積み上がってきています。価格も下がってきています。来年つくるのはしんどいという声が出てきていますけれども、このことに対しての対処方針を教えてください。

野上国務大臣 主食用米につきましては、今お話のありましたとおり、令和三年産の生産量を六百九十三万トンとする見通しをお示しするなど、大変厳しい需給環境にあると認識をしております。

 さらに、コロナウイルスの影響等により、中食、外食向けの需要が落ち込んでいる状況もありますので、こういう状況を踏まえまして、米穀周年供給・需要拡大支援事業による保管経費の支援対象期間を拡充する。このほか、今お話のありました国産農林水産物等販売緊急対策、この対象品目としまして、需要が大きく減少しております中食、外食向けの米を新たに追加をして、販売促進の取組を支援することとしています。

 また、来年産に向けましては、需要に応じた米の生産、販売が進むように、国内の消費拡大あるいは産地の調整保管、輸出拡大の対策の充実ですとか、あるいは実需、輸出ニーズを踏まえた、輸出用米あるいは加工用米、麦、大豆、野菜、果樹等につきまして低コスト生産技術の導入に取り組む生産者等への新たな支援のほか、水田活用の直接支払交付金については、主食用米から高収益作物への転換インセンティブを高めるための見直し等々を検討しているところでありまして、引き続き財務省等々と調整してまいりたいと考えております。

近藤(和)委員 さまざまな支援策を出していただいてありがたいんですけれども、やはり、コロナがなくても米作農家の方々はずっと不安を抱えていらっしゃいます。私たちがその根本的な対処法と考えています戸別所得補償制度の復活法も提出しておりますので、どうか次の国会では検討していただきたいなというふうに思います。

 それでは、GoToイートに参ります。

 GoToイートに関しては、二種類、食事券の部分とオンラインの部分がございますが、私の地元では、やはりオンラインに関してはすこぶる評判が悪いです。ネットの、一々手続も見なければ、チェックしなければいけない、別の対応をしなければいけない、手数料も高いということで、本当にごくごくわずかの店舗しか入っていませんし、そのごくごくわずかの店舗の、そのほとんどが大手のチェーンという実態です。地場の商売をされている飲食店にとっては極めて使いにくいという状況です。

 一方で、食事券に関しては、賛否両論あるんですが、おおむねよい評価の方が大きいと思いますが、このGoToイートに関して、GoToトラベルは六月まで延長しようかといった話が出てきておりますが、GoToイートについて今後どのような方針であるのか、教えてください。

野上国務大臣 GoToイート事業につきましては、今、第三次補正予算の中で、食事券の追加発行と実施期間の延長につきまして、予算が確保できるように調整を進めているところであります。

 今お話のありましたオンライン予約事業につきましては、飲食業の速やかな需要喚起を図ってまいりましたが、既に全てのオンライン予約事業者におきましてポイントの付与が終了しております。今後は、全国的に地域の飲食店で利用できる食事券事業を中心に対応してまいりたいと考えております。

近藤(和)委員 食事券は継続して、オンラインはここで終わりということでよろしいのかなというふうに今理解をいたしました。ありがとうございます。

 実際には、この事業については手数料、事務諸経費だけでも四百六十億程度かかっているということであったりとか、オンラインは、やらないにしても、やはり反省ということも、検証ということは私は必要だと思っています。ですから、よいものの検証、悪いものも含めて検証、検証しながらよい策を出していくということで取り組んでいただけたらと思います。

 そしてまた、例えば東京や大阪など、飲食店などが休めば、時間短縮に応じれば協力金などをもらえますけれども、例えば、お酒の卸ですとか、カキ業者の方であればカキを卸す、そういった方々には支援はない、持続化給付金しかないという状況でもありますので、こういったところへの今後の配慮もお願いをしたいと思います。よろしくお願いいたします。

 それでは、質問をかえまして、吉川元大臣と株式会社アキタフーズ前社長秋田氏との関係、農林水産省との関係について質問をしたいと思います。

 先ほど同僚の金子議員からも質問がございましたが、まず大臣にお聞きしたいんですが、OIEのアニマルウエルフェア生産システムに関しての第一次から第五次まで案が出てきていますけれども、このOIEの案に対して大臣はどのように今後臨んでいくのか、その姿勢について教えてください。

野上国務大臣 採卵鶏のアニマルウエルフェアに関する国際基準につきましては、平成二十九年の九月に第一次案がOIEから加盟国に提示をされまして、その後、数次の修正を経て、現在まで検討が継続中ということであります。

 農林水産省では、この検討に当たりまして、養鶏の生産者団体、あるいは消費者団体や学識経験者等の多くの方々から出された意見も踏まえて、平成三十一年の一月及び令和元年の七月に、多様な飼養形態が認められるべきとの旨のコメントをOIEに提出したものであり、これに沿って対応してまいりたいと考えております。

近藤(和)委員 大臣も、しっかりと認識をした上で、一つ一つチェックした上で臨んでいくということでよろしいんですよね。

野上国務大臣 はい、そのとおりです。

近藤(和)委員 ありがとうございます。

 それでは先ほどの、もう一問、質問でしっかり答えていただかなかったことについて再度伺いますけれども、今調査が入ってきているということで、協力要請があれば農水省として協力していくということですが、協力要請というものは捜査機関からないんでしょうか。

横山政府参考人 お答え申し上げます。

 近藤委員の御質問は、捜査について協力依頼があるのかということだと思います。そうしたことも含めまして、捜査活動に関することになりますので、コメントは差し控えさせていただきます。

近藤(和)委員 大臣からお願いいたします。

野上国務大臣 今答弁のありましたとおり、そうしたことも含めて、捜査に関することでありますので、コメントは差し控えさせていただきたいと考えております。

近藤(和)委員 大臣自身に協力要請は来ていませんでしょうか。

野上国務大臣 そのような件も含めて、捜査にかかわる件につきましては、差し控えさせていただきたいと考えております。

近藤(和)委員 いや、本当に、答えないという姿勢がちょっとひどいなと思うんですけれども。

 それでは、協力要請があるなしにかかわらず、農林水産省が少なくとも疑惑をかけられているわけですが、捜査協力が来ているかどうかにかかわらず、みずから調査しようということはしないんでしょうか。大臣、お願いします。

野上国務大臣 先ほど来、農林水産行政の施策等々につきましては今後ともしっかりと説明してまいりたいと考えておりますが、本件につきましては、捜査活動に関することでありますので、まずは捜査活動に関する協力要請があれば適切に対応してまいりたいと思います。

 いずれにしても、農林水産行政に国民に疑念が持たれることのないように対応してまいりたいと考えております。

近藤(和)委員 いや、でも、やはり身の潔白をしっかりしていくことの方が私は重要だというふうに思います。協力要請があってもなくても、まずはみずからしっかりと説明をしていく、事実関係を示していくのが、私は現大臣の責務だというふうに思います。

 それで、ちょっと質問の趣旨を変えますけれども、まず、この事実関係メモを見ていただきたいと思います。資料三です。

 ざっと簡単に説明いたしますけれども、OIEからの一次案が出たのは二〇一七年の九月です。そして、それに対して、二〇一八年の一月、一次案に対してのコメントが出されました。この一次案というものは、おおむね日本に対してはショッキングなものではありませんでしたけれども、この資料の一番上、二〇一八年の九月に第二次案が提示されて、これは日本にとってとんでもない、例えば巣箱やとまり木の設置を勧告するなどの中身があって、そして、十一月十二日、これは鶏鳴新聞というんでしょうか、日本養鶏協会や国際養鶏協議会が適切な対応を求める要望書を農水省に提出いたしました。

 そして、二〇一九年一月、二次案に対し日本からのコメントが提出されたんですけれども、その前の十一月の段階で、報道に出ていますけれども、朝日新聞で、都内のホテルでアキタフーズの元代表が吉川元大臣に二百万円を渡したといったことが報道されていました。そして、三月の時点でも更に二百万円を渡したということなんですけれども、七月に二次案に対して再度コメントが提出をされました。そして、八月には再度百万円、吉川氏に対して元代表から資金が渡ったということなんですけれども、九月の段階で三次案がOIEから提出をされて、この三次案というものが、日本にとって、日本からの提示をかなりのみ込んでくれたというもの、こういう時系列でございます。

 まずは、日本から一月の段階で第二次案に対してのコメントを提出していますが、このコメントを出すときに吉川大臣の決裁があったと思うんですが、いかがだったんでしょうか。事実関係を教えてください。

水田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の点につきましては、捜査活動にかかわることでございまして、コメントは差し控えさせていただきたいと思います。

近藤(和)委員 それでは、関与若しくは把握はなかったんでしょうか。

水田政府参考人 質問の趣旨がちょっとよくわかりませんでしたので、もう一度お願いできればと思います。

近藤(和)委員 いや、ですから、第二次案に対しての日本側からのコメントを提出するに対して、大臣が決裁したかどうかというのは答えられないというふうに伺ったんですが、では、大臣がかかわっていた、若しくは把握をしていた、関与していたかどうかということを教えてください。

水田政府参考人 御質問の点につきましても、捜査活動に関することでございまして、コメントは差し控えさせていただきたいと思います。

近藤(和)委員 それでは、現在は第五次案まで来ています。第五次案に対しての日本からのコメントはまだ出されていませんが、第五次案について野上大臣はかかわられるのかどうか教えてください。大臣、お願いします。

 今、五次案に対しての日本のコメントを出すかどうか、コメントを出す、出さないも含めて、大臣がどうかかわられるか。先ほどの最初の質問の方では、OIEの今後の活動に対してはかかわっていくという答弁もいただきましたので、第五次案に対してはどう行動されるのか、お願いします。

野上国務大臣 第五次案につきまして、今後の話でありますので予断を持って申し上げることはいたしませんが、必要に応じて対応してまいりたいと考えております。

近藤(和)委員 必要に応じてということで答えをいただきました。ありがとうございます。

 国際会議で日本の意見を表明するということは、私は、これは政務にかかわる人間は必ずかかわっていかなくてはいけないと思っています。例えばIWCのことであったりクロマグロのことであったりとか、政務が知らないで役人の方が勝手にどうこうコメントを出すというのはあり得ないと思うんですね。OIEの今回のことに関しては、やはり養鶏業界にかかわる、全般にかかわる大変重たいことですから、当時の大臣が知らない、そして役人の方が勝手にやったということは、それこそ政治をないがしろにしていることだと思いますので。そのかかわりについて答えられないということは私はあり得ないと思っていますし、しっかりと答える努力をしていただきたいと思います。

 そして、お金の授受があったかどうかということなんですが、吉川元大臣とアキタフーズ前社長との接見記録、こちらがあるかどうか示してほしいんですが、お願いいたします。

横山政府参考人 報道によりますと、アキタフーズについては、本年七月に検察当局からの家宅捜索を受けて、捜査にも協力しているということをみずから公表されているというふうに承知しています。

 こうした状況のもとでございます。お尋ねのアキタフーズと元大臣なりとのやりとりということにつきましては、捜査機関の活動内容にこれはかかわり得るものと認識してございます。

 したがいまして、当省としては、関係資料の有無ということも含めまして、コメントを差し控えさせていただきます。

近藤(和)委員 それでは、吉川元大臣と日本養鶏協会との接見記録についてはいかがでしょうか。

横山政府参考人 お答え申し上げます。

 今ほど申し上げましたとおり、アキタフーズの件に対する捜査報道が現在かなりなされているという状況下でございます。

 そうしたことを踏まえますと、委員から御指摘のありました団体との面会記録なども含めまして、捜査機関の活動内容にかかわり得るものと思いますので、当省としては、関係資料の有無も含めて、コメントを差し控えさせていただいております。

近藤(和)委員 本当に説明する気がないんですね。

 それでは、野上大臣、就任されて今三カ月がたちますけれども、日本養鶏協会の関係者と会われたことはあるでしょうか。

野上国務大臣 日本養鶏協会との面会につきまして、この十月に、日本の畜産ネットワークという団体の中のお一人として、就任の挨拶の際にいらっしゃったと承知をいたしております。

近藤(和)委員 その就任の挨拶の中で、このOIE等に関しての話というのはなかったでしょうか。

野上国務大臣 それぞれ、例えば牛の関係の方、豚の関係の方、鳥の関係の方、おられまして、畜産の情勢等について懇談をしたと記憶しております。

 詳細な記憶はないわけでありますので、事務方に確認したところ、アニマルウエルフェア等についても先方から発言があったと承知をしております。

近藤(和)委員 業界団体の方と会われるのはむしろいいことなんですよね、はっきり言えば。それをなぜ前々大臣のときのことについては答えられないのか、むしろ不思議でなりません。

 それでは、もう一度資料三の方に戻っていただきたいんですけれども、最後の質問になります。

 十一月に現金が渡されたのではないかということがございますが、十二月十九日の日に平成三十年度第二回OIE連絡協議会が開かれました。このときに初めて、この渦中の方になっています秋田氏が臨時メンバーとして選ばれました。この臨時メンバーに選んだのは、選ぶその経緯、どのように行ったのか、そして、そのことについては吉川氏若しくは政務の方は知っていたのかについてお答えください。

高鳥委員長 水田生産局長、申合せの時間が経過しておりますので、簡潔にお願いします。

水田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の二〇一八年十二月に開催いたしましたOIEの連絡協議会で、臨時メンバーとして、アキタフーズの秋田正吾氏が出席をしております。

 OIE連絡協議会のメンバーの選定でございますけれども、これはOIE連絡協議会の開催要領におきまして、議題に応じて参集するメンバーといたしまして、必要があれば専門的立場から積極的に発言ができる、議題に関連するその他事業者団体等からの推薦者などの有識者を臨時メンバーとして選定するということになっております。

 秋田正吾氏につきましては、日本養鶏協会から推薦がございまして、採卵鶏の飼養管理技術に造詣が深く、専門的立場から積極的に発言ができる方として、臨時メンバーの一人に選定をしたというものでございます。

近藤(和)委員 政務の方がかかわったかどうかはわからないんですが、ただ、時系列だけで推察をすれば、秋田氏が吉川さんに会った後で結果的にこのメンバーに選ばれたのではないかな、そういったことも想像でき得るわけです。

 今、少なくとも、ちょっと時間がなくなりましたので、やはり関係者に話を聞かなければいかんともしがたいなと。むしろ、私は、第一次産業にかかわるところはしっかりと守って、育てて、未来へつなげていく。身の潔白を証明してこそ、私は、胸を張って行政を進めていくことができると思っています。

 ですから、吉川元大臣の参考人、そして関係者の、きょうはできませんでしたけれども、本川氏、大野氏、元農水事務次官や元の畜産部長の参考人招致を求めます、委員長。

高鳥委員長 後刻理事会で協議いたします。

 持ち時間が終了しておりますので、御協力を。

近藤(和)委員 はい。

 それでは質問を終わります。ありがとうございました。

高鳥委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 吉川元農林水産大臣の献金疑惑について、真相究明を求める国民の世論が広がっています。まず最初に、この問題について質問します。

 吉川大臣就任後の二〇一八年十一月十二日、日本養鶏協会と国際養鶏協議会は、吉川大臣に対して、OIE、国際獣疫事務局のアニマルウエルフェアの基準案に巣箱、とまり木の設置が勧告された場合に、現実的に不可能として、日本の現状を踏まえたOIE改定案となるように要望しました。

 吉川大臣は、大手鶏卵生産会社アキタフーズの代表から、二〇一八年十一月、二〇一九年三月と八月に数百万円を大臣室等で受け取ったという報道がされています。そして、その現金授受の前後の二〇一九年一月と二〇一九年七月に、政府は多様な飼養形態が認められるべきとのコメントをOIEに対して提出しています。アキタフーズの代表は、現金を渡すときに、鳥の国際飼養基準案が日本の業界に不利にならないよう依頼し、その後、お礼をしているから厳しい話にはならないと周囲に語っていたとの報道もされています。

 これらの経緯の中で、もしこの金銭授受が真実であるならば、まさに金で農林水産行政がゆがめられたという大問題になっていくわけであります。にもかかわらず、農水省は、舞台が農水省の中の、しかも大臣室であるにもかかわらず、真相究明の声に応えようとしていません。先ほど、近藤議員からの質問にも、言ってみればゼロ回答でありました。

 再度伺いますけれども、アキタフーズの代表の秋田善祺さんが大臣室を訪ねた記録は確認できたんですか。

横山政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員からも御紹介のありましたとおり、アキタフーズの件に関しましては、さまざまな捜査報道がなされているという状況であると認識してございます。

 そうした中でございますので、捜査機関の活動内容にかかわり得るものでございますので、当省としては、関係資料の有無も含めて、コメントを差し控えさせていただいております。

田村(貴)委員 金銭授受は、私、言っていないんですよ。いろんな要望とか陳情が来るじゃないですか。アキタフーズの元会長が大臣室に来られたかどうかだけ聞いているんですよ。その事務的な質問に対しても、どうして答えられないんですか。それはおかしいじゃないですか。

 野上大臣、野上大臣にお伺いします。野上大臣しか答えられない質問です。聞いてください。

 いろんな方が農林水産行政をめぐって陳情に来られます。要望活動があると思います。そのときに、野上大臣は、秘書官とかそれから担当の部局の職員の方を言ってみれば外して、人払いをして、差し向かいでお話を聞く機会というのはありますでしょうか。いかがですか。

野上国務大臣 例えば、いろんな場面が想定されると思うんですが、例えば、そういう国際交渉では、テタテの場面がありましたり、その政務の場面がありましたり、さまざまな場面があります。大臣室は大臣の執務室でありますので、一般論としては大臣が一対一の省外の方と面会することはあり得ると考えますが、それはもうそれぞれの大臣の御判断だと考えております。

田村(貴)委員 野上大臣はいかがですか、これまで。

野上国務大臣 私自身は、これまで、九月十六日に就任以来、そういう状況にはなっていないと認識しておりますが、しかし、今後どういう状況があるか、それはそれぞれの判断だというふうに考えております。

田村(貴)委員 では、農水省に伺います。

 アキタフーズの前代表は、大臣在任中の吉川氏への現金提供を認めて、渡してはいけない違法性があるお金だとわかっていた、だから二人の場面で渡したと説明している報道がされています。

 伺いますけれども、農林水産行政に関することで、大臣が大臣室で担当部局も秘書官も置かずに応対するということは、農林水産省にして、あるんですか。

横山政府参考人 はい。大臣が自分のお部屋でお客様と一対一で会われるということはあり得るものと考えております。

田村(貴)委員 もし、今度の場合、吉川元大臣とそしてアキタフーズの元会長がさしの環境でお会いしたというのであれば、そこで現金の授受があったとするならば、そういう場所を提供したということになりかねない話なんですよ。

 また、秘書官とか関係部局の職員が同席していた場でもし現金授受がその場で行われていたのであれば、アキタフーズの会長がこのように二人の場面で渡したといったときに担当部局の人や秘書官の人がその周りにおられたとしたら、これは見たことになるし、あるいは見て見なかったことになる、ひいては、これは農林水産省がこういった現場にかかわっていたということになるんですよ。だから、事実関係でちゃんと説明をしないとわからないということなんですよ。

 一体何をかくまっているんですか。元大臣ですか、それとも組織ですか。どうなんですか。

横山政府参考人 私どもとしては、何かかくまうとかいうことではなくて、捜査に関することについてはお答えすることができない、コメントを差し控えさせていただきたい、このように申し上げているところでございます。

田村(貴)委員 それでは国民は納得しませんよ。

 安倍前総理の桜を見る会の前夜祭の問題だって、そして、安倍政権の中で吉川元大臣が、数百万円、しかも大臣室で、複数にわたって現金の授受があった。渡した側の方は、その周りの発言から、二人だけで、大臣室でと言っているわけですよ。それを農水省の方が確認しなかったら、真相究明できないじゃないですか。

 アキタフーズは、吉川大臣が辞任した後も、アキタフーズのクルーザーで、当時内閣参与だった西川公也元農林水産大臣、そして本川一善元農水事務次官、大野高志元畜産部長を接待しています。この事実関係もちゃんと調べてください。農水省を退職後に、農水省に対して発言力を持つ立場の人たちであります。

 この人たちから、養鶏あるいは鶏卵に関する働きかけはあったんですか。きょう質問しておきます。ちゃんと調べてください。現職の幹部、農水省の現職幹部の方たちは接待とか供応を受けたんですか。この際、省を挙げて調査を行うべきではありませんか。これだけの疑義がかかっているんです。

 野上大臣、最後、伺います。

 農水省や、これは役所の問題であります、組織として、事実を明らかにする責任がやはりあるんじゃないですか。いかがですか、大臣。

野上国務大臣 先ほどから申し上げておりますとおり、捜査活動に関することにつきましてはコメントは差し控えさせていただきたいと思いますが、農水省としても、捜査活動に関することについては、協力要請があれば適切に対応してまいりたいと思っております。

 一方で、施策の妥当性については、これは妥当であったと考えておりますので、それぞれがしっかりと説明をし、国民に疑念を持たれないことが、ないように対応してまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 政策は妥当だったと言うんだったら、その周りの経緯も含めて、意思形成過程も含めて、ちゃんと説明して、資料も出してください。

 高鳥委員長にお願いします。

 アキタフーズと吉川元大臣との面談記録、そして要請後の行政の意思形成過程を示す調査資料、及び、同社の農水省職員そして農水省OBに対しての接待の事実関係等にかかわる資料を本委員会に提出していただきたいと思います。

 これを求めたいと思いますので、取り計らいをお願いします。

高鳥委員長 後刻理事会で協議をいたします。

田村(貴)委員 ますます疑惑は深まるばかりであります。

 大事な問題がありますので、鳥インフルエンザの対応策について伺います。

 十一月に香川県の養鶏場で鳥インフルエンザの感染が確認されて以降今日まで、六県、十九の養鶏場で発生しています。殺処分は高病原性の鳥インフルエンザでは最多の二百数十万羽に上る見通しであります。

 殺処分の手当金について質問します。

 私は、昨年三月七日の当委員会で、豚熱の発生農家への手当金が処分時の月齢によって決まるために、成長させて出荷した場合に得られるはずだった金額が補填されない問題を指摘しました。

 これは鳥インフルエンザでも同じであります。ブロイラーは成長して出荷した場合に、そして採卵鶏では成長して採卵ができた場合に得られるはずだった金額との差があります。この金額との差が十分に補填されなければいけないと思います。

 先ほど近藤議員からの質問で、豚熱の場合にどれだけ再建できたのかという資料が提出されていました。これまで発生した豚熱の七十七養豚経営体のうちに、豚の導入済み、再開準備中の経営体は五十九にとどまっています。廃業は十八に及んでいます。

 大臣に伺います。

 豚熱の場合、再建は実に五十九にとどまって、二三%の経営体が経営を諦める、再開を諦めるという事態になっています。これは非常に大きい数字ではありませんか。

 なぜこうなるのかというと、やはり、本来入るはずだった収入、これが次の家禽の購入、仕入れに回っていた、その仕入れに対するお金がないからですね。だから、もう養豚を諦める、畜産を諦めるという結果になっているんじゃないんですか。

 だから、ここをちゃんと手だてをしていないと、鳥インフルエンザについても、今後やはり養鶏を断念する、そういう農家がふえてくると思います。制度の改善が求められると思います。

 香川県の三豊市、ここは三キロ圏内に四十八農場が移動制限であります。市長さんはこうおっしゃいました。一つの産業が消えかかっている、だから、日齢で数えずに全部支援をしてほしいと述べられました。

 従来にない支援措置が必要だと思いますけれども、大臣、いかがですか。

野上国務大臣 家伝法における手当金につきましては、殺処分した鳥の所有者に対して、その評価額について原則として全額を交付するものでありますが、委員御指摘のとおり、逸失利益というものは含まれておりません。

 一方で、発生農家の経営再開に向けた支援としては、これは家畜防疫互助支援事業によって、生産者みずからが積立てを行って発生農場の空舎期間の固定経費相当分を経営支援互助金として支援する仕組みに、これは国としても支援を行っているところでございます。

田村(貴)委員 互助基金の話が出ましたけれども、やはり数字はリアルですよね。豚熱の場合に二三%の方がやはり諦めているという実態は、この手当金にあるわけです。この改善なくして、鳥インフルエンザの被害農家に対する補償、そして対策は確立できないというふうに考えますので、ぜひ検討していただきたいと思います。

 次に、防疫業務にかかわる課題について、私は福岡県の宗像市にも行っていろいろな問題があることを確認してまいりました。順次質問します。

 まず、発生地における行政の情報共有の問題です。

 宗像市の市職員で防疫業務を派遣しようとしたら、殺処分の数がわからないという状況が続いたそうであります。これはやはり拠点ですね、行政と現場、この拠点間をオンラインで結ぶなど、農水省がイニシアチブをとって支援を講じるべきだと思いますけれども、いかがですか。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 今回県で、発生して実際に防疫措置を行うに際しましては、私どもも各地、県にリエゾンを派遣してそれぞれ支援を行っているところでございます。しかしながら、各県の体制、それから市町村の連絡体制、各県さまざまでございます。

 委員御指摘がありましたとおり、今回、香川県におきましては特に殺処分が多かったということでございまして、県庁内、それから県と市町村、それから県と農家といったところの情報共有がなかなかうまくいかず、現場で混乱を生じたという事例も承知しているところでございます。

 委員御指摘がありましたオンラインでの情報共有、非常に有効だと思っております。そのような対応も含めまして、どういうことができるのかということを検討してまいりたいと思っています。

 他方、これらに際しましては、やはり日ごろから防疫演習をしているということが大変重要だというふうに考えておりまして、宮崎県におきましては、市町村とも連携して、昨年は二十三回の防疫演習をしたということでございます。

 やはり、このような日ごろの体制もしっかり組むようにということで今各県に指導をしているところでございます。

田村(貴)委員 その助言とアドバイスができるのは農水省でありますので、ぜひやっていただきたいと思います。

 次に、自治体職員の手当について伺います。

 防疫と殺処分というのは、これは過酷な業務であります。防護服を着込んで、暴れる鳥を捕まえて十羽ずつ袋に入れて、そして炭酸ガスを注入していきます。身体的にも精神的にもダメージを受ける仕事であります。その業務にふさわしい手当があってしかるべきだと考えます。自治体の負担も相当なものであります。

 厚生労働省の感染症予防事業費等負担金では、これはわずか日額二百九十円でありますけれども、感染症法の一、二類感染症、指定感染症などの防疫に当たれば、手当金の二分の一を国庫負担、残る二分の一にも交付税措置があります。また、自衛隊の災害派遣等手当では、日額一千六百二十円の手当があります。こうしたところも参考にしていただいて、国の制度支援を拡充する考えはあるかないか、お答えいただきたいと思います。

新井政府参考人 お答えいたします。

 家畜伝染病予防法上、患畜それから疑似患畜の殺処分、死体の埋却、焼却につきましては、一義的に都道府県職員である家畜防疫員の指示に基づき家畜の所有者がみずから行うというふうに法第十六条それから二十一条で定められております。しかしながら、所有者が行うことができない場合に家畜防疫員が指示にかえて行うということで、県庁職員の方々に御尽力をいただいているところでございます。

 これらのことにつきましては、焼却、埋却にかかった費用は、その公共性に着目いたしまして、二分の一を国が負担するということにしております。それから、先般の家畜伝染病予防法改正におきましても、都道府県の責務といたしまして、国及び市町村と連携を図りながら発生予防、蔓延防止の措置を一体的かつ効果的に実施する、それから、市町村の責務につきましても新たに条項を起こしたところでございます。

 私どもとしては、都道府県や市町村の給与や手当につきましては、やはり都道府県や市町村からしっかりと支払っていただくべきということで認識しているところでございます。

田村(貴)委員 支援もぜひ検討していただきたいと思います。

 次に、大臣にお伺いします。

 私もお話を聞いてやはりびっくりしたんですけれども、防疫の業務に当たる職員が例えば十時間連続で当たったとか、そして防護服を着てしまうのでトイレにも行けない、飲まず食わず、そうした例も聞きました。これはちょっと人道上の問題も出てくるんじゃないかなと思います。

 防疫指針の表現をより具体的にして、職員の心身の健康を損なわないようにすべきであると思います。この点について全国通知を発すべきだと考えますけれども、大臣、いかがでしょうか。

野上国務大臣 現在、防疫指針におきましては、相談窓口の設置等の具体的な対応に努めるよう規定する、あるいは精神保健主管部局等との連携を確認する、こういう通知をしているところであります。

 蔓延防止のための防疫措置につきましては、都道府県の事務であり、これに付随する作業者の心身の健康維持についても、防疫指針の通知を踏まえて各都道府県において主体的に検討いただくべきものと承知をしておりますが、ただ、香川県におきまして、今先生御指摘のあったような混乱が当初発生をしていたということは承知をしております。

 多くの県では、県庁以外からの動員者も含めて、適切な交代制をとるなど防疫作業者の労務管理ができていると聞いておりますが、農水省としましては、防疫措置における優良事例を整理をして各都道府県に提供してまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 これからどこでどれだけの鳥インフルが発生するかわかりませんので、教訓を糧として、通知そして自治体に対する助言、アドバイスをしていただければというふうに思っております。

 時間が参りましたけれども、牛マルキンのことについて一問質問を予定しております。

 先ほど、金子議員の方からありました。特に、二〇一三年にマルキンの販売価格の算出を県からブロックごとに変えたことによって、とりわけ福島県が大変大きな影響を受けている。米沢牛、前沢牛、仙台牛といったブランド牛に引っ張られて、実際の取引価格より標準的な販売価格が高くなって、計算上の赤字の幅が狭まってくるという問題があります。

 金子議員からも質問があったんですけれども、この牛マルキン制度に拘泥していたら改善できないんですよ。ここを踏み越えて、今の現状に打開の支援あるいは対策を講じるべきじゃないかと思うんですけれども、いま一度質問します。いかがでしょうか。

高鳥委員長 既に申合せの時間が経過しておりますので、答弁は簡潔にお願いします。

野上国務大臣 牛マルキンの状況につきましては先ほど答弁したとおりでありますが、一方で、福島県の枝肉価格の低下につきましては、原発事故に伴う風評被害による影響があると考えられるわけでありますから、復興予算等も活用して、福島県と連携しながらその諸課題の解決に向けて取り組んでいくことが重要であると考えております。

田村(貴)委員 終わります。ありがとうございました。

高鳥委員長 次に、森夏枝君。

森(夏)委員 日本維新の会の森夏枝です。

 本日は、農林水産委員会におきまして質疑の時間をいただきまして、ありがとうございます。

 それでは、早速質問に入らせていただきます。

 先ほど田村委員からも金子委員からも質問がありましたけれども、私も福島県産の牛肉について質問をさせていただきたいと思っております。

 来年の三月十一日で東日本大震災から十年を迎えます。これまで十七万頭を超える福島県産の肉用肥育牛の全頭検査やお米の全袋検査等も行われ、福島県産の農水産物の安全性の周知に努めるなど、さまざまな風評被害対策を行ってこられたと思います。

 しかし、減ってきているとはいえ、まだまだ輸入規制をしている国もあります。福島県産の農水産物について、まだまだ根強い風評被害が残っている現状があります。私は、風評被害対策はまだまだ足りないという認識でおります。

 皆様の努力によって福島県産の牛肉の価格も戻りつつあると聞いておりますが、実際にどうなっているのか、福島県産牛肉価格の現状について教えてください。

水田政府参考人 お答えいたします。

 福島県産牛肉の価格でございますが、委員御指摘のとおり、いまだに全国平均価格よりも低い状況になっているところでございます。

 ことしを比較しますと新型コロナウイルス感染症の影響がございますので、一年前の令和元年を比較いたしますと、令和元年の価格で見ますと二千三百二十七円、これはキログラム当たりでございます、枝肉価格でございます。全国平均価格ではキログラム当たり二千五百十四円でございますので、七・四%下回る水準となっております。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 七・四%とのお答えですけれども、実際にはもっと下回っているということも聞いております。

 昨日も農水省の方から御説明を受けましたけれども、大分全国平均に近づいているんですというようなお話をされておりましたけれども、これだけ安全性を訴えて、全頭検査をして、これだけ地元の方々が必死に対策を打ってこられて、まだ平均に足りない、達していないというのは全くもとに戻っているとは言えないので、これを大分回復してきているんですと軽々しく言うのは、福島の方々にとっても、そういった回答はすべきではないと思っております。

 先日、東日本大震災復興特別委員会におきまして、復興庁にも風評被害対策について伺いました。復興庁としては、これからユーチューブを使って更に福島県産の安全性をアピールしていくとおっしゃっておりました。これまで届いていなかった方々に対しても届くような広告を打ち、風評被害をなくす取組に力を入れると伺いました。福島県産の安心、安全なものを知ってもらう機会を更にふやすことをもっと積極的に行ってもいいのではないかと思っております。

 農水省もユーチューブを積極的に活用して発信をされておりますが、福島県産の牛肉価格がもとに戻るまで、福島県から風評被害という言葉が消えるまで、さらなる取組をお願いしたいと思っております。

 風評被害対策について今後何か新しいことを考えられているのか、間もなく震災から十年を迎えるに当たり、風評払拭について、農水大臣の決意とともに、今後の風評被害対策についてお聞かせください。

野上国務大臣 農林水産省といたしましては、復興予算の中で生産、流通、販売に至るまで総合的な支援をさせていただいておりますが、例えば、首都圏の販売店等における福島牛販売フェアの開催ですとか、あるいはテレビCMの放映、また、グルメガイドの発行など、福島牛のブランド再生の取組への支援を行っております。流通事業者や消費者に対しても、福島牛を含む食品の安全性や魅力に関する情報、これを幅広く発信をしているところであります。

 農水省としては、復興庁と連携をして引き続き必要な予算を確保して、さらに、さまざまな取組を通して、福島県産牛肉の風評の被害の払拭に総合的に支援をしてまいりたいと考えております。

森(夏)委員 ぜひしっかりと予算も確保していただいて、さまざまな対策をお願いしたいと思っております。

 東日本大震災で被災された皆さんの中には、御家族を亡くされたり、家畜を失い、大変つらい思いをされておられる方がたくさんいらっしゃって、そして、風評被害と闘いながら頑張っておられる中でことしの新型コロナウイルスの影響も受け、また更に大変な思いをされております。今でも御家族を捜し続けられている方もいらっしゃいます。

 震災から十年を前に、これまでの九年八カ月の風評被害対策について検証をまだされていないという御説明を伺いました。この風評被害対策がおくれていること、どういった対策が効果があり、何が不十分であったのか、今後どのように進めていくか、それを検討するためにはこれまでの対策について検証する必要があると思いますので、今後、しっかりと検証をして前に進めていただきたいと思っております。

 ことしは日本じゅうで多くの方々が新型コロナウイルスの影響を受けることとなりましたが、突然の休校により学校給食がなくなり、酪農家の方々が大打撃を受けられました。酪農への影響について、その後について伺いたいと思います。

 新型コロナウイルスの影響を受けた酪農家への支援策とその効果について教えてください。

水田政府参考人 お答えいたします。

 この春の新型コロナウイルス感染症の拡大がございました。これに伴う需給の緩和といったものがございます。これに対しては、緊急対策といたしまして、まず、学校給食用牛乳が停止いたしました。これに伴いまして、この飲用乳を脱脂粉乳とかの加工品に回す、その際に生産者に生じる原料乳の代金の価格差を支援するということをいたしました。

 次に、こうしたことによりまして脱脂粉乳の製造がふえますので、その在庫が非常に大きくなってまいりました。これを飼料用などへ用途変更することに伴う価格差などへの支援を行いました。

 さらには、保存のきくチーズやバターなどの乳製品を積極的に受け入れて加工する乳業者、乳業メーカーに対する御支援もさせていただきました。

 また、生産者団体が、消費拡大を図るため、牛乳等を無料で提供するといった取組をしていただく、これについても御支援をさせていただきました。

 これらの対策に加えまして、関係者、生産者団体、それからメーカーさんの懸命な努力の結果、生乳を廃棄するといった事態を回避することができまして、酪農家さんへの影響を限定的にとどめることができたというふうに考えております。

 また、この先、冬から春先でございますが、気温が低いため牛乳の飲用需要が落ちつく一方で、乳牛は寒さに強いということでございまして、生乳の生産量がふえるということでございます。今後とも、酪農家の方が安心して生乳生産に取り組めるように、生乳の需給の状況を見ながら、注視しながら、必要な対応を検討してまいりたいと考えております。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 さまざまな支援によって廃棄するものを回避できたということで、今後ともさまざまな支援をよろしくお願いします。

 本当に、ことしのようなコロナ、このように日本じゅうで新型コロナウイルスが感染拡大するとは誰もが思っていなかったことと思います。さまざまなリスクを想定しながら、今後、対策を考えていってほしいと思っております。

 二〇二〇年のオリンピック、パラリンピックの需要増に向けて投資をして、施設整備をし、飼育頭数をふやすなど新たな挑戦をした農家さんたちが、この新型コロナウイルスの影響でオリパラが延期となり、見込んでいた売上げにつながらなかったということがありました。

 ビジネスにおいては、もうけようと挑戦をして、失敗することはあります。しかし、農業においては、畜産においては相手が動物です。売れなかったから処分というわけにはいかないと思います。和牛の飼育には二十カ月、三十カ月とかかります。何年も前から計画をして、このオリパラ需要に向け準備されたと思います。例えば豚肉においても、アフリカ豚熱が入ってくるのではないかとか、ことしのような新型コロナウイルスなどの感染症がいつはやるかもわかりません。災害もいつ起こるかわかりません。本当に、自然相手、動物相手というのは大変な仕事だと思います。

 例えば、二〇二五年の大阪万博や今後の国際的なイベントに対して、海外の方がたくさん集まる機会があるというときに投資をして準備をしてきたときに、ことしのようなコロナのようなことが起こると、今後、チャレンジする、勝負をするというのも難しくなってくるのではないかと思っております。

 病気や災害、さまざまなリスクが考えられますが、今後、国際的なイベント等に向け投資をして新たな挑戦をする農家や、海外に新たな販路を求めて投資する、挑戦する農家さんたちに対する支援策というのはどういったものがあるのでしょうか。

光吉政府参考人 お答えいたします。

 農業者が、その経営判断のもとで、例えば、今もお話がございましたが、新たな販路の開拓にチャレンジするなど、前向きなさまざまな取組、これを行われることを支援していくということは極めて重要と考えております。

 このため、昨年一月から収入保険の制度を導入したところでございまして、これによりまして、農業経営全体の収入を対象として、新型コロナウイルス感染症の影響も含めたさまざまなリスクによって収入が減少した際に補填を行える仕組みを設けたところでございます。

 今後とも、収入保険があらゆるリスクに対応できる制度であるということなどを周知しながら、より多くの農業者の方に活用していただけるよう、加入推進を図ってまいりたいと考えております。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 リスクに備えて保険制度があるということでしたので、農家の方々へしっかりと周知をしていただき、さまざまなリスクに備えて、挑戦のできる環境を整えていただきたいと思っております。

 次に、アニマルウエルフェアについて伺います。

 十一月十一日の農水委員会で、我が党の串田議員がアニマルウエルフェアの質問をしました。本日も質問が出ておりました。

 大臣も副大臣も、必要性、重要性は認識されておられ、ことしの三月に畜産振興課長から通知を出し、畜産業の皆さんに対して指導もしておられると伺っております。

 福島県の風評被害であったり、新型コロナウイルスと闘われている畜産農家さん、酪農家の皆さん、これからの時代、アニマルウエルフェアが大事とはいえ、さらなる経費をかけて施設を直して飼育環境を整えてくれというのは、実際問題難しいのではないかと思っております。

 しかし、来年のオリパラに向け、日本がおくれをとっていること、アニマルウエルフェアを推進していくというのは必要だと思います。また、二〇二五年の大阪万博などでも多くの外国の方が来られますので、今後推進していくことは大変重要なことと思っております。今後輸出するときにも、日本産のものはアニマルウエルフェアの取組ができていないとレッテルを張られることのないようにしていただきたいと思っております。

 そこで、アニマルウエルフェアに取り組む農家さんたちに対して、飼育環境改善のための設備投資に対する補助金というのは現実的ではないのかもしれませんが、通達を出し、指導もしていくというのは伺いましたけれども、それだけでは前に進まないように思っております。今後、アニマルウエルフェアを推進していくに当たり、農家さんたちに対して実際にどのようなことをされていくのでしょうか。

水田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のアニマルウエルフェアでございますが、家畜を快適な環境のもとで飼うということによりまして、家畜のストレスあるいは病気を減らすといった取組でございます。家畜の飼養管理などの営農行為の中で取り組んでいただくというものでございます。

 アニマルウエルフェアに直接着目いたして、例えば施設整備をする際に支援をするとか、そういったことは行っていないところでございますけれども、JGAP等の認証の中にはアニマルウエルフェアの要素がございますので、こういったものを取得している場合には、施設整備の事業でございます畜産クラスター事業ですとか、強い農業・担い手づくり総合支援交付金の産地基幹施設等の支援タイプ、こういったものにおきましては、ポイントの高い順に事業採択するという仕組みになっておりますので、その際に、加算ポイントをそういう認証を取得している方に設けているといった取組をさせていただいているところでございます。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 経費を直接的に支援するというのはちょっとなかなか難しいとは思いますけれども、今後、アニマルウエルフェアの推進にしっかりと取り組んでいただきたいと思います。

 ことしは、オリンピック、パラリンピックが延期になったことによって、多くの過剰在庫が出ました。ブランド牛も売れない、ブランドのお魚も売れないということで、学校給食に利用されたということを聞いております。どういった支援策で学校給食に利用したのかを教えていただきたいと思います。

 そして、廃棄を防ぐこと、食品ロス削減の取組というのは大変重要なことと思います。今回の支援が食育につながったのか、学校現場からの声も伺っていれば教えてください。

水田政府参考人 お答えいたします。

 本年の二月以降、新型コロナウイルスの感染拡大によりまして、インバウンド、外食需要が減少ということで、特に和牛の牛肉の在庫が積み上がりまして、枝肉価格が大きく下落をしたところでございます。ことしの四月の和牛の枝肉価格は、前年に比べまして二七%の下落といった状況でございます。

 このため、農林水産省では、和牛肉の在庫解消、需要喚起といったことを取り組んだところでございまして、一つは、在庫の関係で、和牛肉につきまして冷凍、保管経費とか販売奨励金の交付を行ったところでございますが、これとあわせまして、学校給食への提供とか、これに伴う食育活動の取組を支援させていただいたところでございます。

 学校給食事業の実施状況でございますが、十一月末時点で、四十六の都道府県、延べ三万五千三百四十二校において本事業を活用した給食が提供される予定となっているところでございまして、食育等の面でも効果があったものというふうに考えているところでございます。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 この新型コロナウイルスを逆手にとってといいますか、学校給食へ、子供たちに提供することで、食育につなげていただきたいと思います。

 ことし、WFPがノーベル平和賞を受賞しました。私もWFP議連に所属をしておりまして、食品ロス削減には取り組んでいます。世界では、学校が休校になったことで給食が食べられない子供が三億六千七百万人いるということでございます。こういったことも、日本の子供たちに、ぜひ、命をいただいているということとともに、食品ロスをしないということについても、一緒に、文科省さんとも連携をして、子供たちに教育をしていただきたいなと思っております。

 最後に、大臣に伺いたいと思っております。

 本日の質問の総合的なものになるんですけれども、アニマルウエルフェアを推進していくにも経費がかかります。豚熱であったり、鳥インフルエンザ、さまざまな家畜の伝染病に対しても心配があり、また、コロナというような人の感染症によっても経済がとまるというようなことしのようなこともあり、また、災害もいつ、どこで起こるかわかりません。本当に動物相手の仕事というのは大変で、さまざまな支援策があると思うんですけれども、若者が挑戦するという意味では、なかなか高いハードルがある職業のように思います。

 今回、私の周りでも、コロナによって職を失って、今、農業を手伝っている、農家さんを手伝っているというような友人もおります。自分が経営をしていく、農業を職業としていくというところまではなかなか若者が思えていない現状があります。若者が担い手となれる職業とするための支援策について、最後、大臣に伺いたいと思います。

野上国務大臣 私も酪農、畜産関係の皆さんといろいろ話をさせていただいておりますが、やはり、一つには就農の際の負担が非常に大きい、あるいは過重な労働負担がある、こういうことも軽減をしていかなければならないんだろうというふうに考えております。

 その上で、まず、施設を承継する際の負担軽減の観点から、個人版事業承継税制によりまして、畜舎などの資産を継承した場合に、贈与税、相続税の納税猶予の措置を講じております。また、新規就農者に対しては、畜産経営資源を円滑に継承するために必要な施設整備への支援を講じております。

 また、労働負担の軽減ということにつきましては、省力化機械、先ほど申し上げた例えば搾乳ロボットのようなものにつきまして、私も現場に行ってまいりましたけれども、お話をお聞きしますと、やはり非常に時間の短縮になる、あるいは働き方改革につながるというお話もありました。

 そういうものの導入ですとか、あるいは外部支援組織、コントラクター等々、こういうものを活用していく、あるいはヘルパーの確保、このヘルパーに対する御要望というものも非常に大きいと思いますが、ヘルパーの確保等を支援しているところであります。

 あわせて、技術や経営ノウハウの習得のための研修支援、あるいは就農準備段階、経営開始直後の資金の交付等の施策も実施をしているところでありますが、今後とも、このような施策も総動員しながら、新たに参入をしようと考えていただける方にしっかりと支援できるように全力を尽くしてまいりたいと考えております。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 ぜひ、日本の農業を守っていくために、若者が選ぶことができる職業となるように、積極的な支援をよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

高鳥委員長 次に、玉木雄一郎君。

玉木委員 国民民主党の玉木雄一郎です。

 最後ですけれども、二十分やらせていただきます。

 十一月二十九日に、鳥インフルエンザの発生が相次いだ香川県三豊市に行ってまいりました。少しピーク時に比べて落ちつきを取り戻していましたけれども、やはり大変なんですね。

 さっきも話がありましたように、県庁の職員、市の職員も複数回皆さん入っていまして、部長クラスとか、結構幹部も入って頑張っておられましたし、あとやはり、さっきもありましたけれども、日当が、危険手当というか、それをやって、じゃ、どれだけ、超過勤務とか休日手当は出るんですけれども、これに伴ってやるからって一日二百九十円なんですよね。まあしゃあないといえばしゃあないんですけれども、その二百九十円でやるような話ではないなというのは正直思いました。

 もちろんいろいろなこととの横並びがあるのかもしれませんが、頑張っておられる方々に対してもう少ししっかりとした待遇、手当をやることも大事だなと思いましたし、今回、香川県では本当に、現在まで十例発生して、世界的に見ても私は希有な状況なのではないかなと。

 ぜひ農水省にもお願いしたいのは、今回得られたさまざまな知見、これは、対応、例えばロジスティクスの面含めて、国と県の関係、市の関係、あるいは自衛隊との関係、こういったことを一旦整理をしていただいて、これぐらいの規模のことが集中して起こった場合にどうするんだということをこれからのまた、まだまだピークは来ておりませんので、他の地域で発生する事例に対して生かすような、そういった対応をぜひとっていただきたいな。

 一つ、これは農水省だけの話ではないんですが、今回、自衛隊の皆さんによく頑張っていただきました。自衛隊は本当によく頑張ってくれて、逆に、自衛隊の処理速度が速いので、ほかの、県の職員、市の職員とか業者がついていけないんですよね。ただ、それだけ自衛隊はやはりさすがだなと思う活動をしていただきました。

 ただ、今回、例えば、県の要請が殺処分までなんですね、自衛隊に行っていただくのは。最初のオーダーがそうなので、そこが終わったら撤収するんですが、実際困っているのは、やはり殺処分した鳥を埋却するところまで持っていって埋却する、これは建設業協会とかいろいろな人にお願いしていますけれども、できればある程度のめどが見えた時点で、埋却まで場合によっては自衛隊の皆さんに最初からお願いすれば、これはある程度やってくれるという話もあるので、こういったもののめどの立て方とか自衛隊とのコミュニケーションのとり方、こういったことも今後の課題として少し整理をいただきたいなと思っています。

 これから大事なのは、産地の回復というか、もう産業自体がめためたになっているので、最初の三キロ圏内のところにかなり集中していたということもあって、前回の質問でも行いましたけれども、初生ひな、ひなの供給、あるいは種卵、種鶏、最初の供給がないとその後のサプライチェーンが全部切れてしまうので、全体の産業が物すごく影響を受けている、これをどうやって回復していくのかということがこれから大きな課題になってくると思うので。

 そこでちょっと、地元からもどうなんだということで要請、要望をいただいている話をまずさせていただきたいんですが、この移動制限区域内にひなが不足しているわけですね。ですから、制限区域外から制限区域内にひなを入れることはできないのか。

 正直、今はまだ続発しているような状況なので、簡単に特例というか、農水省に協議をしてもうんとは言えない状況というのはよくわかるんですが、ただ、今後のめど、見通しも含めて、いわゆる制限区域の外からひなを持ってきて、最初の供給ですね、これをしてその後の、さまざまな産業が立地していますので、そういった外からひなを入れるということについて、これは国にも協議をしていると思いますけれども、これについての国の今後の方針をぜひ伺いたいなと思いますので、大臣、いかがですか。

野上国務大臣 半径三キロ以内につきまして家禽の移動等を禁止する移動制限区域を設定しているわけでありますが、一方で、今先生からお話あった初生ひなにつきましては、これは、ふ卵後七十二時間以内に密閉の車両で運搬するなど外部からの感染リスクを回避する措置が可能でありますので、防疫指針に基づいて、運搬ルートを限定してあるいは消毒ポイントを通過するなどの一定の措置を講ずる場合に限り、移動制限区域外から移動制限区域内の農場に対して初生ひなを搬入することは、これは制限の対象外としております。

 また、農水省では、香川県から制限の対象に係る協議がなされた場合には、先ほど申し上げました要件を満たしているか否かを確認した上で県を通じて生産者に回答しておりますので、今後とも、この防疫指針に基づいて適切に対応してまいりたいと考えております。

玉木委員 大臣、ありがとうございます。

 局長にちょっと確認なんですけれども、七十二時間以内の初生ひなは今大臣がおっしゃったとおりなんですが、例えば七十五時間とか、微妙に初生ひなじゃないひな、これは無理ですか。これは結構いるんですよ。どうですか、これ。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 大臣から答弁をさせていただきましたとおり、防疫指針に基づきまして、リスクに基づいて判断をしていくというのが原則でございます。

 まず初生ひな、ふ卵後七十二時間以内のものにつきましては、今答弁させていただきましたとおり、香川県の要望に基づきまして回答して、導入するということでございます。

 ふ化七十二時間以降の大きく成長したひなにつきましては防疫指針上制限の対象外ということになっておりませんので、これにつきましては例外的な運用はいたす予定ではございません。実際に香川県からも相談がございましたけれども、指針に基づき移動ができない旨の回答をしているところでございます。

 いずれにいたしましても、移動制限区域を早期に解除するということが根本的な問題解決だと思っておりますので、殺処分それから埋却、消毒までの防疫措置を早期に終えるよう、香川県とも連携してまいりたいと考えております。

玉木委員 そこはなかなか厳しいところだとは思いますけれども、ちょっと余りにも大規模なので、そのあたりも、これまでのルールではそうですけれども、少し柔軟な運用ができないのか、あわせて今後のこととして検討いただきたいなと思います。

 加えて、家伝法に基づいては殺処分した鳥の補償などは行われるようになっているんですけれども、今回は極めて大規模でサプライチェーン全体に影響を与えたので、生産農場とか食鳥の処理場も含めて全体が影響を受けているので、このままでは本当に産地全体が崩壊してしまうおそれもあるということなので。

 例えば新型コロナウイルス感染症の、要は持続化給付金みたいに、一定の因果関係が認められて、例えば生産あるいは売上げが一定以上落ちた場合については、こういった減収があった事業者に何らかの支援を家伝法を超えて行うということは、何かできませんかね、大臣。

野上国務大臣 サプライチェーン全体について大きな影響が及んでいる、そのとおりだというふうに思います。

 まずはその防疫措置を完了して、生産者の経営を再開すること自体が問題解決になりますので、先ほど来申し上げてきた支援を通じてしっかりと経営再開に向けて取り組んでまいりたいと思いますが、一方で、この鳥インフルエンザ発生時の流通事業者あるいは処理業者に対しましては、日本政策金融公庫の経営環境変化対応資金貸付けといった支援がございますので、これは売上げの減少などの業況悪化を来している業者に対する支援でございますが、こういった支援の活用について、丁寧に相談に応じてまいりたいと考えております。

玉木委員 公庫の貸付けもぜひフル活用というか柔軟に対応してもらいたいんですが、ただ、一方で、コロナが起こっているので、ただでさえ非常に経営が苦しくなってきて、既にコロナで借入れを起こしていて、もうめどが立たないのにさらなる借金がなかなかきついというところが結構多いのが事実なので、そういったところにもきめ細かく目配りをして、貸付け以外の何らかの給付金等々も、ぜひ補正とか来年の当初予算で検討いただきたいなというふうに要望を申し上げておきたいと思います。

 加えて、今、香川県だけではなくて各県でこの鳥インフルエンザが広がってきています。大変心配しております。きょう、日本農業新聞には、ため池の多いような県にはやはり発生しているんじゃないかというような記事も出ておりましたけれども、確かに、広島県にしても香川県にしてもため池が多いんですね。一定程度原因になっているのかなと思います。

 心配しているのは、先ほど申し上げたように、ひなにしても種卵にしても、最初の供給が途切れてしまうと末端まで全部影響を受けるということで、その調達を別のところからやろうということで、これまでの流通形態ということが非常に変わってしまう、あるいは、そういった新しい供給先を探さなきゃいけない、そういう生産農家とか生産農場とか食鳥処理場、こういったところもふえてきていると思うんですけれども、そういった、今回の鳥インフルエンザを受けて、全体としての供給とか需給の調整といったようなことに対して、国として、農林水産省として、何らかの調整あるいは計画の役割を果たすべきだと思うんですけれども、それはいかがでしょうか。

野上国務大臣 鳥肉につきましては、全国各地において、生産者と処理加工業者との間で、長期契約に基づいて、生産、処理、販売まで一貫となったいわゆるインテグレーションによりまして、計画的で安定した生産が行われていると認識をしております。

 そうした中で、国が調整をして他地域からブロイラーの成鳥ですとか屠体を確保するということは、事業者の混乱を招きかねない面もあり、慎重に対応することが必要と考えておりますが、地域ごとのブロイラーの需給状況につきましては、鳥肉の生産、流通に係る全国団体とも相談しつつ、処理加工業者への情報提供を行うなど、丁寧に相談に乗ってまいりたいと考えております。

玉木委員 基本的には市場原理に任す話だと思うんですね。それは、いいものを引き合ってやるということなんですけれども、これだけ大規模に、また、ある程度、西日本についてはかなり広範に広がっているので、そこは一定程度、農水省におかれても、そういった団体等々ともよく話をしながら、調整の役割を、円滑に乗り切れるような調整をぜひお願いしたいと思います。

 最後に一問質問したいのは、そこで働いている人の話です。

 特に外国人労働者、技能実習生も含めてかなり現場で働いておったんですけれども、地域全体の農場がもう壊滅的になっていますので、彼らが働く場所がなくなっているんですね。逆に言うと、働く場所がないんだけれども、草刈りとか清掃の仕事を何とか見つけて、それで雇っている側は賃金を払う。どっちかをやっています。

 これは、鳥インフルエンザではなくて、新型コロナウイルス感染症の影響によって技能実習が継続困難になった技能実習生に対して、雇用継続の特例の支援ということを法務省出入国管理庁がやっているということを聞いておりますので。

 今回の件は新型コロナではないんですけれども、同じように短期的に、集中的に仕事が奪われてしまったということですので、近隣の農場でも働けないわけなので、ですから、そこで働いていた外国人技能実習生、仕事を失っているような方々に対して、一時的な特例として他の業種、例えばブロッコリーを選果するとか集めるとか、いろいろな時期時期に忙しい別の仕事があるんですよ。一方で、彼らは、本来入ってくる技能実習生が入ってこなくなったので、人材不足で困っているという人もいる。これはマッチングしたら双方ハッピーなんですよ。

 ここを少し柔軟にやれば、非常に両方の問題が解決すると思うので、他の業種での再就職支援や特定活動の在留資格付与などを認めるべきではないかな、新型コロナで認められたような特例を、今回の鳥インフルエンザで集中的に仕事を失った地域の外国人技能実習生にも認めるべきだと思うんですが、これは大臣、いかがでしょうか。

 まず、じゃ、お願いします、法務省から。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 技能実習制度について御質問ございました。その辺を中心に申し上げます。

 実習先を解雇等されたことにより技能実習の継続が困難となった場合には、技能実習法におきまして、まずは監理団体等が技能実習生の円滑な転籍の支援を行わなければならないということにされております。また、監理団体等において新たな実習先を確保できない場合は、外国人技能実習機構が実習先の変更支援を行っております。

 その上で、現在、出入国在留管理庁におきましては、新型コロナウイルス感染症の影響により解雇等され実習が継続困難となった実習生等に対しては、それまでと異なる職種につくことも可能となる最大一年間の特定活動への在留資格変更を許可しているところです。実習が継続できなくなった原因、または新たな実習先が見つからない原因として新型コロナウイルス感染症の影響が認められる場合には、この特定活動を許可することは可能でございます。

 出入国在留管理庁としましては、申し上げた措置を含め、本人の責めによらず技能実習を途中で継続できなくなった実習生につきましては、個々の状況に配慮し、引き続き柔軟に対応してまいりたいと考えております。

玉木委員 コロナだと、一年を最大で、本人の責めによらない理由では一定の特例が認められるということなので、これは大臣、どうですかね。コロナじゃないんですけれども、今回の鳥インフルエンザはまさに本人の責めによらないことですから、一年ぐらいの最大の期限を設けて、一定の特例を同じように認めるということをちょっと法務省ともやりとりしていただいて、認めるようにこれはぜひ動いていただいたら、人材不足で困っている他の農業分野とか他の業種でも非常に役に立つと思うんですが、いかがでしょうか。

野上国務大臣 実際、鳥インフルエンザが発生した農場におきましては外国人技能実習生を受け入れている農場がありまして、実習生に従事させる業務がなくなっているという現場の声は承知をしているところであります。

 技能実習生につきましては、実習期間中は我が国できちんとやはり実習されることが重要であると考えております。

 しかしながら、今回のケースのように、実習生に本来の養鶏関連業務を実施させることができない場合にどのような対応が可能か、農業者の声や現場の状況をよく聞いて、今、法務省からも個々の状況に配慮して引き続き柔軟に対応してまいりたいという話がありましたので、その実情を、制度を所管する出入国在留管理庁等によく伝えていきたいと考えております。

玉木委員 これは両省でしっかり協議をいただいて、やはり本当に困っていますから、こういった具体的な解決策をぜひ見出していただけるように、大臣のリーダーシップを発揮していただくことを強く求めて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございます。

     ――――◇―――――

高鳥委員長 この際、宮下一郎君外五名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・社民・無所属、公明党、日本共産党、日本維新の会・無所属の会及び国民民主党・無所属クラブの六派共同提案による令和三年度畜産物価格等に関する件について決議すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。緑川貴士君。

緑川委員 ただいま議題となりました決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の御説明にかえさせていただきます。

    令和三年度畜産物価格等に関する件(案)

  我が国の畜産・酪農経営は、畜産クラスター等の地域の関係者が一丸となった取組の成果として、乳用牛、肉用繁殖雌牛の飼養頭数が増加に転じる一方、担い手の高齢化、後継者不足は深刻さを増しており、特に、中小・家族経営においては経営継続の危機にさらされている。こうした事態に対応するため、新たな酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針を踏まえた生産基盤のより一層の強化や次世代に継承できる持続的な生産基盤の創造が急務である。また、規模の大小を問わず、生産者の生産性向上等を強力に支援するとともに、より多くの若手が就農を目指す魅力ある労働環境を構築することが重要な課題となっている。

  このような中での新型コロナウイルス感染症の拡大は、畜産・酪農経営に大きな影響をもたらしている。また、環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)等のEPAが発効、締結又は署名され、我が国の畜産・酪農の将来に対する懸念と不安を抱く生産者も多い。

  よって政府は、こうした情勢を踏まえ、令和三年度の畜産物価格及び関連対策の決定に当たり、左記事項の実現に万全を期すべきである。

      記

 一 新型コロナウイルス感染症による畜産・酪農経営への影響を克服するため各種支援策を強力に実施すること。また、新型コロナウイルス感染症の影響により乳製品在庫が高水準にある中、酪農経営の安定と牛乳・乳製品の安定供給の確保が図れるよう、非需要期における国産乳製品の需要拡大等の取組に対し、機動的な支援を講ずること。さらに、近年頻発する大規模災害に対応するため、飼料穀物の備蓄をはじめとする配合飼料の安定供給のための取組や施設での非常用電源設備の導入を支援すること。

 二 高病原性鳥インフルエンザ、豚熱の感染拡大防止は、現下の家畜伝染病の防疫上、最重要課題である。そのため、各種対策を強力に推進し、農場における飼養衛生管理基準の遵守の徹底を図り、感染リスクを低減させる取組を支援すること。また、高病原性鳥インフルエンザ等の発生農場及び移動・搬出制限を受けた農家に対する万全の支援を行うとともに、風評被害対策に万全を期すこと。アフリカ豚熱については、水際での防疫措置を徹底すること。これらの措置を着実に進めるため、地域の家畜衛生を支える家畜防疫員や産業動物獣医師の確保・育成を図ること。

 三 環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)、経済上の連携に関する日本国と欧州連合との間の協定(日EU経済連携協定)、日本国とアメリカ合衆国との間の貿易協定(日米貿易協定)、地域的な包括的経済連携(RCEP)協定等が、我が国畜産・酪農経営に与える影響について、統計データ等を常に注視し、分析を行い、これを公表すること。また、新たな国際環境下において、関税削減等に対する生産者の懸念と不安を払拭し、生産者が経営の継続・発展に取り組むことができるよう、実効ある経営安定対策を講ずること。その際、実施した施策の効果を検証し、適宜必要な見直しを行うこと。

 四 加工原料乳生産者補給金・集送乳調整金の単価及び総交付対象数量については、中小・家族経営を含む酪農家の意欲が喚起されるよう、再生産の確保を図ることを旨として適切に決定すること。また、期中における一方的な出荷先の変更により集送乳の調整に混乱を来す事例は、減少傾向にあるが、適切な需給調整が図られるよう、引き続き、必要な措置を講ずること。

 五 肉用子牛生産者補給金制度における保証基準価格等については、中小・家族経営を中心とする繁殖農家の経営努力が報われ、営農意欲が喚起されるよう、再生産の確保を図ることを旨として適切に決定すること。

 六 中小・家族経営をはじめとした地域の関係者が連携し、地域一体となって収益性の向上を図る畜産クラスター等について、引き続き、現場の声を踏まえた事業執行に努めつつ、収益性向上等に必要な機械導入や施設整備、施設整備と一体的な家畜導入等を支援すること。また、乳業工場・食肉処理施設の再編整備、国産チーズの競争力強化に向けた取組等を支援すること。

 七 酪農経営、特に中小・家族経営にとって不可欠な存在である酪農ヘルパーについては、その要員の育成や確保・定着の促進のための支援を行うとともに、外部支援組織の育成・強化を図ること。また、ロボット、ICT、IoT、AI等の新技術の実装を推進し、生産性向上に加え労働負担の軽減等を図るとともに、次世代を担う人材を育成・確保するための総合的な対策を実施し、既存の経営資源の継承・活用に向けた取組を強力に支援すること。さらに、畜産GAPの普及・推進体制の強化を図るための指導員等の育成やGAP認証取得等の取組を支援すること。

 八 家畜のストレスや疾病を低減し、畜産・酪農の生産性や畜産物の安全性を向上させるため、適切な飼養スペースの確保等、アニマルウェルフェアに関するOIEの科学的知見に配慮した家畜の飼養管理の普及を図ること。

 九 資源循環型畜産の実践に向け、家畜排せつ物処理施設の整備や堆肥等の利用推進等の取組を支援するとともに、これらの取組に資する新技術の活用を図ること。

 十 家畜能力等の向上を図る取組を一層支援すること。また、家畜改良増殖法及び家畜遺伝資源に係る不正競争の防止に関する法律に基づき、関係者の長年の努力の結晶である和牛遺伝資源の適正な流通管理及び知的財産としての価値の保護強化を図ること。

 十一 輸入飼料に過度に依存した畜産・酪農から国産飼料に立脚した畜産・酪農への転換を推進し、飼料自給率の向上を図るため、優良品種の普及、気象リスクに対応した飼料生産、水田等の活用、放牧を支援するとともに、大型機械による飼料生産を可能とする草地整備等を推進すること。また、畜産・酪農経営の安定に資するよう、配合飼料価格安定制度の安定的な運営を図ること。

 十二 国際社会において、SDGsに基づく環境と調和した持続可能な農業の促進が求められていることを踏まえ、地球温暖化防止や生物多様性保全等の環境負荷軽減に取り組んでいる生産者を力強く支援すること。

 十三 畜産物の輸出促進を図るため、生産・流通・輸出事業者が連携したコンソーシアムの組織化・販売力の強化や、輸出先国・地域の衛生条件を満たす食肉処理施設の整備等を進めるとともに、国産畜産物の需要の増加に対応できる生産基盤の構築に取り組むこと。

 十四 原発事故に伴う放射性物質の吸収抑制対策及び放射性物質に汚染された稲わら、牧草等の処理を強力に推進すること。また、原発事故に係る風評被害対策に徹底して取り組むこと。

  右決議する。

以上です。

 何とぞ委員各位の御賛同を賜りますよう、お願い申し上げます。

高鳥委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

高鳥委員長 起立総員。よって、本件は本委員会の決議とするに決しました。

 この際、ただいまの決議につきまして農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産大臣野上浩太郎君。

野上国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。

高鳥委員長 お諮りいたします。

 ただいまの決議の議長に対する報告及び関係当局への参考送付の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高鳥委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十四分散会


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