第8号 令和3年5月12日(水曜日)
令和三年五月十二日(水曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 高鳥 修一君
理事 加藤 寛治君 理事 齋藤 健君
理事 津島 淳君 理事 宮腰 光寛君
理事 宮下 一郎君 理事 亀井亜紀子君
理事 矢上 雅義君 理事 稲津 久君
伊東 良孝君 池田 道孝君
泉田 裕彦君 今枝宗一郎君
上杉謙太郎君 江藤 拓君
金子 俊平君 小寺 裕雄君
佐々木 紀君 斎藤 洋明君
鈴木 憲和君 西田 昭二君
根本 幸典君 野中 厚君
福田 達夫君 福山 守君
細田 健一君 渡辺 孝一君
青山 大人君 石川 香織君
大串 博志君 金子 恵美君
神谷 裕君 近藤 和也君
佐々木隆博君 佐藤 公治君
緑川 貴士君 濱村 進君
田村 貴昭君 藤田 文武君
玉木雄一郎君
…………………………………
農林水産大臣 野上浩太郎君
農林水産副大臣 葉梨 康弘君
農林水産大臣政務官 池田 道孝君
農林水産大臣政務官 熊野 正士君
政府参考人
(消費者庁政策立案総括審議官) 津垣 修一君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 大坪 寛子君
政府参考人
(農林水産省大臣官房長) 横山 紳君
政府参考人
(農林水産省大臣官房総括審議官) 青山 豊久君
政府参考人
(農林水産省大臣官房総括審議官) 森 健君
政府参考人
(農林水産省大臣官房危機管理・政策立案総括審議官) 村井 正親君
政府参考人
(農林水産省消費・安全局長) 新井ゆたか君
政府参考人
(農林水産省食料産業局長) 太田 豊彦君
政府参考人
(農林水産省生産局長) 水田 正和君
政府参考人
(農林水産省経営局長) 光吉 一君
政府参考人
(農林水産省農村振興局長) 牧元 幸司君
政府参考人
(農林水産省政策統括官) 天羽 隆君
政府参考人
(農林水産技術会議事務局長) 菱沼 義久君
政府参考人
(林野庁長官) 本郷 浩二君
政府参考人
(水産庁長官) 山口 英彰君
農林水産委員会専門員 森田 倫子君
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委員の異動
五月十二日
辞任 補欠選任
佐藤 公治君 青山 大人君
藤田 文武君 森 夏枝君
同日
辞任 補欠選任
青山 大人君 佐藤 公治君
森 夏枝君 藤田 文武君
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五月十一日
農水産業協同組合貯金保険法の一部を改正する法律案(内閣提出第五八号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
農水産業協同組合貯金保険法の一部を改正する法律案(内閣提出第五八号)
農林水産関係の基本施策に関する件
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○高鳥委員長 これより会議を開きます。
農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房長横山紳君、大臣官房総括審議官青山豊久君、大臣官房総括審議官森健君、大臣官房危機管理・政策立案総括審議官村井正親君、消費・安全局長新井ゆたか君、食料産業局長太田豊彦君、生産局長水田正和君、経営局長光吉一君、農村振興局長牧元幸司君、政策統括官天羽隆君、農林水産技術会議事務局長菱沼義久君、林野庁長官本郷浩二君、水産庁長官山口英彰君、消費者庁政策立案総括審議官津垣修一君及び厚生労働省大臣官房審議官大坪寛子君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○高鳥委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○高鳥委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。青山大人君。
○青山(大)委員 立憲民主党の青山大人です。
本日は、質問の機会をいただきまして、本当にありがとうございます。ふだんは外務委員会に所属をしております。
先月、日中韓そしてASEANを加えたRCEP、経済連携協定が承認されました。今後、今まで以上に海外からの農産物が流入する可能性が高まる中で、今まで以上に国内の産地をしっかりと守っていくこと、そして消費者へ安心、安全な食を提供することが我が国の農林水産行政にとっての使命だと私は思います。
私は当選以来、この農林水産委員会にて、日本一のレンコンの産地である茨城県の圃場における様々な課題について取り上げてきました。これまで、レンコンの線虫の被害対策ということで、グランドオンコルの早期承認を行ってもらい、これは本当に地元の皆様も大変感謝をしております。本当にありがとうございます。
ただ、最近は、外来種のジャンボタニシやカワヒバリガイの被害が急激に増えてきております。ちょうどこのゴールデンウィーク中も、田植の季節でございます。地元を回っていると、二年前に比べて爆発的な繁殖力で増加を続けるジャンボタニシの被害が急速に悪化しております。レンコンだけではなくて、霞ケ浦周辺の水田へも被害が拡大をしております。ジャンボタニシを新たな鳥獣との認識を持つべき、そういった被害の深刻さ、それを担当省庁の皆様方に認識してほしいと思いまして、一昨年に引き続き、この質問をいたします。
一昨年の質問における政府参考人の答弁では、ジャンボタニシの対策として、様々な駆除方法を、パンフレットなどを作るとして、農家の皆様方へ指導や助言をされている、そういった答弁がございました。しかし、もう農家への指導や農家任せの対策では防げないような領域に入ってきていると私は思っております。
そこで、ジャンボタニシの対策についてまずはお伺いいたします。
○新井政府参考人 お答えいたします。
スクミリンゴガイ、いわゆるジャンボタニシでございますけれども、これは昭和五十年代に食用として養殖のために海外から輸入され、それが放置され、あるいは野生化したということで広がっております。基本的には関東以西の地域の水田を中心にでございまして、委員御指摘のとおり、水田も水稲の移植後の柔らかな小さな苗を食べるということで、レンコンも新芽を食害するということで、被害が発生しているところでございます。
近年、特に暖冬により越冬するということによりましてジャンボタニシの発生が非常に多くなっておりまして、私も非常に危機感を持っているところでございます。そういうこともございまして、去年の七月には県と専門家、農業者団体の全国協議会を設置いたしまして、秋から冬、それから春から夏にかけての防除対策を徹底していくということを行っているところでございます。
基本的な対策といたしましては、秋と冬、既に終わったことでございますけれども、秋期に石灰窒素を散布する、冬期の耕うん、これが非常に重要でございます。それから、春と夏には、水口網、水路の導入部のところに網をつける、田植時の薬剤散布、田植後の浅水管理ということで、これがまさに今行っていただくことということでございます。このような防除対策をポスター、リーフレット、それから各県の防除所を通じまして今行っているところでございます。
それから、レンコンにつきましても、茨城県におきまして薬剤散布や卵塊の除去といった防除対策を普及所が呼びかけているというふうに聞いているところでございます。
このように、食害が広がらないように、いろいろな情報発信を通じまして引き続き対応して、全国の実情に応じた対策をしっかりと徹底していきたいと考えております。
○青山(大)委員 今御答弁があったように、石灰窒素を使ったりとか、薬剤の使用といった御答弁がございました。
ちょうど、お米の場合はどうしても、専業農家じゃなくて兼業農家の方がほとんどでございます。そういった兼業農家の方にとっては、やはりそういった薬剤とかの費用もとても負担になってくるわけでございます。茨城県じゃないんですけれども、ある自治体によっては、稲刈り後にまく石灰窒素の購入費用の補助金を創設したという話も聞いております。
農水省として、ジャンボタニシを含む害虫の新たな防除方法を検証するような事業に数十億円予算が充てられていますけれども、私は、兼業農家でも本当に使いやすい、農薬の補助など、直接支援のような、分かりやすい対策制度をつくるような段階に来ているのかなというようにも認識しております。そういった農家への直接支援についての対策のお考えはあるのでしょうか。
○新井政府参考人 お答え申し上げます。
このリンゴガイは、基本的に水路、水を通じて広がっていくということでございますので、地域一体となって水路管理とともにやっていただくというのが非常に重要でございます。したがいまして、先ほどの防除の全国会議におきましても、各地の土地改良区の皆様にも御協力を呼びかけているところでございます。
それから、兼業農家というお話がございましたけれども、地域と一体としてやる中におきまして、令和二年度の第三次補正予算を活用いたしまして、発生密度が増加している地域におきまして、各地の実情に応じた適切な防除体系の実証ということで、防除の仕方も含めたいわゆる助成体系を講じているところでございます。
それから、更に皆様の負担を減らしていくという意味におきましては、それぞれ技術開発も行っております。農研機構におきましては、電気による誘引技術、トラップによる一斉捕獲技術など、新たな防除方法の確立にも努めてまいりたいというふうに考えております。
○青山(大)委員 茨城県のかすみがうら市周辺は、そのまま、霞ケ浦からの水で一気にそういった外来種が広がってくるような地域でございますので、どうしても、湖の茨城県独自の環境保全条例がございまして、農薬についても、ほかで使えてもこの周辺では使えないといったケースもございますので、茨城県と十分協議しながら、是非適切な対策を行ってほしいと思います。
ジャンボタニシ、そして前回はカワヒバリガイですね、水田等の送水管に張りついて水の流れを悪くしてしまう、そういったカワヒバリガイの対策についても質問する中で、研究機関で配管内に定着したカワヒバリガイを除去する技術を開発しているですとか、国土交通省においてまめに掃除してくれるような対応をしたというふうにも聞いていますけれども、これも引き続き関係省庁と協力して是非行ってほしいと思います。
また、最近、私も聞き慣れない名前だったんですけれども、タウナギといった、また新たな被害も出てきているようでございます。あぜ道に穴を空けてしまって、これがまた、なかなか厄介だそうでございます。私も、タウナギと聞いて幾つか農家の方たちに聞いたんですけれども、ちょうどまだ行政の方でも被害の状況について適切に把握をされていないといったことも聞いております。
タウナギについては、何か農水省の方で現状を認識していますでしょうか。
○牧元政府参考人 お答え申し上げます。
タウナギについてでございますが、中国、朝鮮半島からの国外外来種でございまして、本州から九州の地域で生息が確認をされているところでございます。
タウナギは、農地、排水路等に生息いたしまして、泥の中に穴を掘って生活しているということでございます。したがいまして、地域によっては委員御指摘のような水田の畦畔などに穴を空けるというような被害が生じておりまして、例えば委員御地元の茨城県では、レンコンの生産現場におきましてタウナギによる畦畔の破壊も見られるというような被害が生じていると聞いているところでございます。
今後、生息が確認されておられます地域とも連携をいたしまして、生産現場の状況把握、また知見の収集に努めてまいりたいと考えております。
○青山(大)委員 繰り返しですけれども、日本一のレンコンの産地である霞ケ浦周辺、茨城県において、以前は、今もそうですけれども、野鳥の鳥獣被害、今度は線虫問題、それに加え最近は外来種のジャンボタニシやカワヒバリガイ。とかくレンコンというのは、後継者も育っているし、非常に収益も高いような農業でございます。こういったところをしっかり守っていくためにも、茨城県とも協力してもらって、様々な対策を重ねてお願い申し上げます。
お米関係なんですけれども、茨城県の南部につくばみらい市というところがございまして、ここは例年、九割以上が一等米なんですけれども、昨年からカメムシの被害が急速に広がってしまいました。昨年は一等米が約七割にとどまってしまったというような状況でございます。
いろいろ事情を聞くと、この辺りは昭和六十年ぐらいまでは有人ヘリコプターで上空から農薬の散布を行っていましたが、平成になって水田と住宅地が隣接し始めたため有人ヘリの散布がなくなって、それ以降はそれぞれの農家任せになっていましたが、いよいよカメムシの大きな被害が出てしまったそうでございます。そこで、彼らはドローンを使って農薬散布を行おうと思った次第でございます。
農水省が生産局の技術普及課で出している農業分野におけるドローンの活用状況においても、カメムシの防除効果や労力が軽減できたということで非常に推進されているというふうにも書いてあるんですけれども、いろいろ国の制度を使ってドローンの導入をしようと思ったんですけれども、本当に、いわゆる行政のたらい回しに遭ってしまったような状況なんですよね。私はやはり農家の方たちがもっと使いやすいようにそういった制度を考えることが必要なのかなと思っていますけれども、その辺、現場から何か状況を聞いていますでしょうか。
○水田政府参考人 お答えいたします。
カメムシ、いわゆる斑点米カメムシ類でございますけれども、これは、稲の養分を吸い取ることで不稔米、くず米、斑点米を生じさせる害虫でございます。対策といたしましては、発生源となる水田周辺の雑草の除草を徹底いたしまして、カメムシの発生密度を下げた上で、水田に飛んでくるカメムシが増加する出穂期の前後に農薬散布による防除を行うことが有効でございます。
委員御指摘のとおり、その防除に当たりましてはドローンを活用することが今有効であると考えられるところでございまして、農林水産省といたしましても、産地生産基盤パワーアップ事業、さらには強い農業・担い手づくり総合支援交付金におきまして、農業用ドローンのリース導入又は取得につきまして支援を行っているところでございます。
これらの支援につきましては、産地生産基盤パワーアップ事業におきましては、現場の御意見等を踏まえまして、成果目標につきまして、例えば、労働生産性の向上という目標も選べるようにしたり、さらには、農業支援サービス事業体、これはドローンとかで農薬散布を行うなどの作業を請け負ってもらえる事業体でございますが、農業支援サービス事業体の利用割合の増加など、こういった目標も選択できるようにいたしまして、より産地が活用しやすい仕組みとさせていただいているところでございます。また、強い農業・担い手づくり総合支援交付金におきましては、ドローンを含む先端技術を活用した農業用機械の導入につきまして優先枠を設けさせていただいているなど、導入の加速化を図っているところでございます。
今後とも、農業の省力化、生産性向上に資するような農業用ドローンの普及拡大に向けた取組をしっかりと進めてまいりたいと考えております。
○青山(大)委員 そういった立派な制度があるんですから、現場の出先の役所の方が、困って相談に行った農家の方に対して、いや、国のこういった支援制度は使い勝手が悪いんですよ、複雑で手続が大変なんですよ、そういうことを言って追い返すような、そういうようなことにならないように。せっかくいい制度をつくっているんだから、むしろ、困っている農家の皆さんたちに、使ってください、もし難しかったら我々がサポートしますよ、そういったことをお願いしたいと思います。困っているから相談に行くんです。行った先でそんなことを言われたら、私は農家の皆さんたちも悔しいと思います。いい制度があるんだから、それを活用できるように、是非とも推進の方をお願いいたします。
それでは、次の質問に行きます。中国輸入菌床シイタケの脅威に脅かされている国産の菌床シイタケの保護についてお伺いいたします。
近年、中国から安い菌床の輸入が急増しています。今問題なのは、現行の表示ルールでは菌床製造地の表示は生産者の任意に委ねられており、必ずしも菌床製造地中国と表示されるわけじゃなくて、収穫地が日本であれば国産シイタケというふうに扱われる点でございます。
おがくずを利用して作る菌床は、里山の保全や環境の循環にも結びついています。最近、そういった中国からの安い菌床シイタケ栽培への投資を誘ってくるような話もございます。中国からの輸入菌床を元にした国産シイタケが大規模に出荷していく不安がございます。
そこで、まずは現状について政府に伺います。中国から菌床の輸入が増えている、まず輸入量の推移をお伺いします。そして、いわば純日本産菌床のシイタケ農業の市場が危機にさらされている問題について認識があるか、お伺いします。
○本郷政府参考人 お答えいたします。
国産菌床を用いたシイタケの栽培は、いわゆる里山に生育するコナラやクヌギなどの国内の広葉樹を伐採し、おが粉にしたものを活用しております。伐採後は自然の再生力を活用して、樹木の萌芽により更新して循環的に森林の再生が図られることにより、森林を常に健全な状態に保つ上で重要な役割を果たしていると認識しております。
また、菌床シイタケの生産については、東日本大震災後の影響もあって一旦落ち込んだ後、現在は生産量は増加してきているところでございます。そのうち国産の菌床を用いて生産したものが大半を占めると考えておりますけれども、ここ数年、中国からの菌床の輸入が急増している状況と把握しております。今後とも重大な関心を持って注視してまいりたいというふうに思っております。
○青山(大)委員 本当に、早めに対策を打たないと大変なことになるなと思います。
どうしても、現行の表示ルール、食品表示基準では、いわゆる法令上は、中国の菌床と書くような義務が生じるわけじゃございませんと。また、内容も、原産地と菌床の製造地を一応別に表示することが望ましいとだけされております。すなわち、別に中国から輸入した菌床を用いて日本で栽培すれば日本産と表示することも法令上は問題がないわけでございますけれども、やはり、消費者の方から見ても、国産シイタケということで誤解して購入するわけでございます。
現在の食品表示基準で任意表示を求めるのみでは私は不十分であると考えます。今後はきちっと表示するような具体的な策を講じるべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。お願いします。
○津垣政府参考人 お答え申し上げます。
食品表示法に基づく食品表示基準におきましては、シイタケ等のキノコ類につきまして、原産地として採取地を表示することを義務づけております。一方で、食品表示基準において肥料等の生産資材の産地を表示することは義務づけられておりませんことから、御指摘のとおり、シイタケの菌床製造地を表示することも義務づけられておりません。
ただし、消費者は通常、キノコ類の作付地と採取地は同一であると認識することが多いと考えられるため、誤解を招かないよう、菌床栽培のシイタケにつきまして、種菌を植え付けた場所と採取地が異なる場合には菌床製造地を採取地とは区別して表示することが望ましいと通知において示しているところでございます。
また、一般的に、食品表示基準において表示禁止事項となっていないものにつきましては、消費者に誤解、誤認を与えない限り、食品関連事業者の判断で、外国で製造された菌床と区別するため、例えば国内製造された菌床との事実に基づいた表示を行うことは可能であると考えております。
○青山(大)委員 せっかく純国産で頑張って栽培している農家にとっては、やはり、きちっと差別化が図られることが当然必要であるというふうに思っています。
この問題、今はちょっとまだ大きくなっていませんけれども、私は将来的に大変大きな影響を与える問題かなと思っています。現行のルールの中ではちょっと限界があるかもしれません。自国産品の応援についての新たなルールをつくるなど、今後、新しい取組も始めるべきだと思っていますけれども、大臣、最後に、もし何か見解があればお願いいたします。
○高鳥委員長 既に申合せの時間が経過しておりますので、御協力をお願いします。
○野上国務大臣 農林水産省としましても、消費者庁と連携をしまして、適切な菌床の原産地表示につきまして地方自治体、JAあるいは全国森林連合会、種菌事業者で組織する団体等を通じて生産者に周知を図るとともに、消費者向けのチラシを作成して森林の保全に果たす役割について啓発を図るとともに、引き続き国産菌床シイタケの生産の振興を図ってまいりたいと考えております。
○青山(大)委員 以上で質問を終わりにします。ありがとうございました。
○高鳥委員長 次に、神谷裕君。
○神谷(裕)委員 立憲民主党・無所属、神谷裕でございます。
貴重な農林水産委員会の質疑の時間を頂戴いたしましたこと、感謝を申し上げたいと思います。
早速質問に入らせていただきます。主食用米についてちょっと伺わせていただきたいと思います。
現在の主食用米の作付状況というのはどういうふうになっているのか。また、現下の作付状況において、もしも平年作であったとすれば需給はどのような状況になるとお考えなのか。これについてまずお伺いをしたいと思います。お願いします。
○天羽政府参考人 お答え申し上げます。
今年産の水稲の作付状況ということでございますが、委員御存じのとおり、ゴールデンウィークの前後で田植をやっておる時期でございまして、まだ作付状況がどうということを数字をもって申し上げる段階には至っておりません。
ただ、私どもは、令和三年産の主食用米、全国で過去最大規模の六・七万ヘクタールの主食用米から他の品目への作付転換が必要というふうに考えております。
平年作であればということでございましたけれども、これが実現できなければ需給と価格の安定が崩れかねない正念場だというふうに考えておりまして、昨年の十二月には大臣からも談話を出していただいたということでございます。
令和三年産の作付に向けまして、農林省といたしましては、令和二年度の三次補正予算で水田リノベーション事業、麦・大豆収益性・生産性向上プロジェクト、令和三年度当初の水田活用の直接支払交付金などを措置しておるところでございます。
水田リノベーション事業の採択の手続の中で、申請の際に、今年産の作付転換をどれだけ行いますかということを申告していただいています。協議会が事業申請時に申告した新規の作付転換面積を集計いたしますと、約二・一万ヘクタールということでございます。更に作付転換を積み上げていく必要がございますので、水田活用の直接支払交付金も活用して、主食用米からの作付転換を支援していきたいというふうに考えております。
○神谷(裕)委員 ありがとうございます。
多分、昨年の出来秋、あるいは今年も含めて、恐らく危機感を共有しているものだと私は思っています。このまま主食用米を普通に作っていたら大変なことになるよね、また、そんな中で六・七万ヘクタールを転換していただかなきゃいけないということで、そこは農水省さんの方も必死になっていただいているというふうに認識をしています。
今まとめている最中だというふうにお話もいただきましたけれども、ここはやはりしっかりと危機感を役所の皆さんにも持っていただきたいと思うし、同時に、農家さん、農業者の皆さんにも持っていただかなきゃいけないんだと私自身は思っています。ですので、そういった意味で、時々刻々と、どれくらい転換していただいているのか、あるいは、この段でいったら経営としてどうなるのかというメッセージを常に発信していただきたいと思います。そういった意味で、今回、こういった質問をさせていただいたわけでございます。
ですので、今のままいったら今年の出来秋は恐らく米価に相当な影響があるんじゃないかと思うわけでありますが、これについてはどのようにお考えなのか、改めてお伺いしたいと思います。
○天羽政府参考人 委員御指摘のとおり、今年の主食用米の需給状況、それから作付の意向などにつきましても集荷業者の皆さんそれから生産者の皆さんにも正確な情報をお伝えしていく必要があるというふうに考えておりまして、私どもはキャラバンというふうに呼んでおりますけれども、全国会議をして関係者の皆さんに集まっていただいて、若しくはウェブで御説明をしたり、地域の協議会なり地域の集荷業者の皆さん、それから生産者、法人経営の皆さんなどにも御説明をしているところでございます。
今年の作付につきましては、六月末が営農計画書の提出期限でございます。これに向けまして全国の産地におかれては現在検討が進められているところというふうに承知をしておりまして、委員御指摘のとおり、危機的な状況に陥りかねない正念場だというふうに考えているところでございます。
米価が下がるのではないかという御指摘でございます。
一般論として申し上げますと、米価が下落したような場合には、生産者の経営安定のためのセーフティーネットということで、収入減少影響緩和交付金、いわゆるナラシ対策ですとか収入保険の制度があるわけでございます。過去の平均的な水準との差額の大宗について補填が行われるという仕組みになっております。
しかしながら、まずは、今年産、令和三年産の過去最大規模の作付転換に向けまして、産地や農家、生産者団体、地方自治体、商系業者など、全ての関係者が一丸となって需要に応じたお米の生産、販売に取り組むことで需給と価格の安定を図っていくことが重要というふうに考えておるところでございます。
○神谷(裕)委員 今、くしくも、収入影響減少緩和対策であるとか収入保険であるとか、米価下落の際の対策についてもお話をいただきましたけれども、それ以前にやはりこういったことにならないことが大事でございますし、米価の下落が農業者経営については直接響くわけですから、やはりそこは、それがあるから大丈夫なんだということでは到底ないということは、天羽さんもそう考えておられると思うんです。
特に、キャラバンをやっていただいていますけれども、コロナ禍があって、なかなかちょっとこれも難しくなっているのかなという部分もありますし、そうはいいながらも、やはり目標というか適正生産数量というか目安にしっかり従って作っていただかなきゃいけないというところで、これからも努力していただかなきゃいけないと思いますし、今からでも転換していただかなきゃいけない部分があるんだと思います。現に北海道では、二万トンでしたか、協力をいただいたというような経過もございます。そういった中で、やはり引き続きやっていかなきゃいけないというふうに思うわけです。
協力していただくに当たっては、先ほど触れていただきましたが、水田リノベは非常に重要なんだろうと思っています。ただ、これは、御案内のとおり、R二の補正でついているわけでございます。ということは、次年度以降がどうなるのかというのが、やはり農業者にとっては非常に不安なんじゃないかなと私は思います。
もちろん単年度で切られるということはないんじゃないかなとは思いつつも、ただ、予算の性格上で考えれば、これまでのほかの予算とは、やはり補正予算の部分ですから違うわけでございます。せっかく転換していただいたけれども今年一年で終わりということになっても困るわけでございますから、この部分について、しっかりとしたメッセージを、今からでも遅くないから、若干早いんですけれども、出していただかなきゃいけないんじゃないかと思うわけです。
そういった意味で、ここは大臣に、この後の、例えば水田リノベも含めた、生産数量目標をしっかり守っていただく旨での財政的なというか支援、こういったところをしっかりやるんだというようなことを含めてお話をいただけたらと思うんですが、いかがでございましょう。
○野上国務大臣 今先生からお話がありました水田リノベ事業でありますが、これは、令和二年度の第三次補正予算におきまして、産地と実需者の結びつきの下での生産者の低コスト生産等の取組等に支援をするということで実施したものであります。
本年一月から三月にかけてこの要望調査を行いまして、三月末にその採択結果を産地にお知らせしたところでありまして、この結果を踏まえまして、今後、産地と実需者との連携に基づきました、実需者ニーズに応えるための低コスト生産等に向けた取組が進められるものと考えております。
本事業は、令和三年産を対象として補正予算で措置されたものであり、まずは、採択された産地におきまして令和三年産で新市場開拓ですとか低コスト生産等にしっかり取り組んでいただくことが重要であると考えております。
その上で、令和四年産における支援措置につきましては、今後、今申し上げました令和三年産の支援措置の活用状況ですとか作付転換の状況なども踏まえつつ、農家の自由な経営判断により所得向上を図るとの米政策改革を促進する観点からしっかりと検討してまいりたいと考えております。
○神谷(裕)委員 大臣、そこはしっかり検討だとは思うんですけれども、予算のこの国の在り方は分かるんですけれども、農業者経営というのは御案内のとおり長期を見通してやるわけでございますから、今年一年だけ転換してもらったらそれで終わりみたいな、要は二階に上げて、もうなくなるみたいなことがあると、やはり農業者にとっては非常にそれもまたブレーキになるわけでございます。
もちろん本来であれば当初予算にがばっと盛り込めればいいんでしょうけれども、そういうことがなかなか難しいのであるとすれば、例えばまた補正でやるのかもしれませんし、実際は補正が今何も見えていない状況でございますから、だとしたら、せめて大臣の言葉で、これはしっかりやっていくんだというようなメッセージが必要なわけですし、欲しいわけでございますし、しっかり検討していくというよりはもう少し強いメッセージが欲しいんですけれども、いかがでしょうか。
○野上国務大臣 需要に応じた米政策改革をしっかりと進めていくということ、これに資するような対策ができるようにしっかり検討を進めてまいりたいと考えております。
○神谷(裕)委員 本当にしっかりと、是非お願いしたいと思いますし、危機感は共通だと思います。そういったメッセージもしっかり発していただきながら、だけれども、そのために、しっかり転換していただけるんだったら我々もしっかり支えるんだというような意気込みを是非見せてください。お願いいたします。それがまた次につながると思いますので、お願いしたいと思います。
次の質問でございます。農産物貿易について若干伺いたいと思います。
先般、米国産牛肉についてのセーフガードがかかったと思います。その際に、セーフガードがかかった後すぐに再度交渉しなきゃいけないというルールになっていたと思うんですが、日米間の見直し等の交渉について状況を伺いたいと思うんですが、いかがでございましょうか。
○森政府参考人 お答えいたします。
米国産牛肉のセーフガードにつきましては、日米貿易協定に関する日米間の交換公文で規定されましたルールに基づきまして、三月二十五日に一回目の協議を行ったところでございます。その後も米国とは事務レベルで断続的にやり取りを行っているところでございます。
○神谷(裕)委員 もちろん今は米国とやり取りをやっていると思うんですけれども、中身について触れられない部分があるのかとは思いますが、当然この国の畜産について実際に影響があってはいけないと思うんです。当然そういったところは守るべきは守るんだという姿勢で交渉に臨んでいただいているとは思うんですけれども、その辺はいかがですか。
○森政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、協議の詳細につきましてはお答えすることは差し控えさせていただきたいと思いますが、農林水産省といたしましては、協議の結果を予断せず、関係省庁と連携いたしまして、畜産農家等国内関係者の理解が得られるよう、しっかりと協議に臨んでいく考えでございます。
○神谷(裕)委員 このセーフガード以外に私自身が気になっているのが、ポテトチップ用ジャガイモの通年輸入の話であるとか、あるいは生食用ジャガイモの輸入の話がございます。先般、ポテトチップ用のジャガイモの通年輸入が実施されているんですけれども、実際に解禁後、通年になってからの実績についてお伺いをしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○新井政府参考人 お答えいたします。
米国産のポテトチップ加工用バレイショにつきましては、昨年の二月に輸入期間の制限を撤廃いたしまして、通年輸入を可能としたところでございます。
統計を見ますと、令和元年の米国産のポテトチップ加工用の輸入は約三万トンでございましたが、令和二年は全体として二万三千トン、そのうち、撤廃をいたしました八月から十二月までの輸入量は千六百六十二トンというふうになっているところでございます。
○神谷(裕)委員 今お話があったように、やはりこの国の取れ高によって輸入の実績というのは大きく変わってくるんだなというふうに思うわけでございます。ということは、基本的には、我が国の作ったものというのが優先してもらっているという状況、これはいいと思うんです。ただ、そういった上で、この後、生食用のジャガイモの解禁というのが非常に気になるところでございますので、やはり、我が国の農業者に迷惑のかからないような交渉でなければいけないと思いますし、この辺のところは是非しっかりとやっていただかなければいけないと思います。
そういった意味で、これはちょっと大臣に御通告申し上げていないんですが、我が国の農産物を守っていく、畜産物を守っていくのは、一義的には農林水産大臣がその先頭に立っていただいていると思いますので、この辺についてもし一言あれば、お伺いをしたいと思います。
○野上国務大臣 生食用バレイショにつきましては、輸入後直ちに加工されることを前提としたポテトチップ加工用とは異なりまして、輸入後に繁殖用として転用可能でありますので、それを経路として国内に病害虫が侵入するリスクが大きいことから、病害虫の侵入防止に向けて、科学的根拠に基づいて引き続きより慎重な検討を行っていく必要があると考えております。
○神谷(裕)委員 もちろん、病害虫、シロシストセンチュウ、そういったことは大事な問題だと思いますが、それも含めて、この国の農家に、農業者に影響が当たらないように、そこについても是非御配慮いただけたらと思いますので、引き続きしっかり見ていただけたらと思います。お願いいたします。
次に、農地政策についてちょっと伺いたいと思います。先般、特区法において農地の株式会社所有についての議論がなされておりますけれども、農地の株式会社の所有について、一般論で結構でございますが、大臣の所感をお伺いしたいと思います。
○野上国務大臣 企業の農業参入は重要と考えておりまして、平成二十一年の農地法改正でリース方式を完全に自由化したところであります。現に法改正前の約五倍のペースで参入が進んでいるところでありまして、これを更に推進していくことが重要と考えております。
一方、企業による農地所有については、農業、農村現場におきまして、農業から撤退したり、あるいは農地を他用途に転売されたり、産廃置場になるのではないかとの心配の声があるところであります。
農地は農業生産の基盤でありますし、それと同時に地域における貴重な資源でもあります。食料安全保障あるいは食料自給率の向上に直結するものであることから、これらを踏まえて慎重に検討していく必要があると考えております。
○神谷(裕)委員 この議論が出てきたのは、どうしても、耕作放棄地も含めた、農家も減少しているということもあって、誰にしっかり我が国の農地を耕していただくかという大命題を解決するということに尽きるんだろうというふうに思っています。農地を考えていく上で、農地を誰に耕作していただくのか。農業者はもちろん当然だと思うんですけれども、この後、空いていくあるいは減っていく中で誰に耕してもらうのか、これは本当に大事な問題だと思うんですけれども、これについて、大臣、いかがでしょうか。
○野上国務大臣 今、農業者の高齢化が進んでおりまして、その中で耕作放棄地の発生も懸念しているところであります。その防止につきましては、例えば、多面的機能支払いですとか中山間直払い等によって地域の共同活動への支援を行いましたり、担い手への農地の集積、集約化、あるいは農地耕作条件改善事業等による荒廃農地の解消等の対策を講じているところであります。
その上で、農業者の減少によって農業の持続性が損なわれることがないように、地域の農業を担う農業者を幅広く育成、確保していくことが重要であると考えております。
そのために、経営改善を目指す農業者を担い手として育成、確保していくとともに、就農準備段階あるいは経営開始直後における資金の交付ですとか実践的な研修への支援等によりまして新規就農を促進していかなければならないと考えておりますし、さらに、雇用の受皿となる農業経営の法人化も加速させるとともに、女性が能力を発揮できる環境の整備ですとか、あるいは農業現場を支える多様な人材の確保、新たな農業支援サービスの定着等を進めていく上で、幅広い農業者の育成、確保をしていかなければならないと考えております。
○神谷(裕)委員 大臣がおっしゃるとおり、多様な人材というか、多様な担い手が必要だと思います。そういった中で株式会社の農地所有という在り方が恐らく出てきたと思いますし、あるいはそれを進めていくということにおいては、少なくとも私自身は例えばその地域の集落の合意があるということは非常に大事だと思いますし、それであるならば恐らく進めても問題はない部分があるんだろうというふうに思っています。そういった意味では非常に考えなきゃいけない部分なんだろうとは思うんですけれども。
ただ、もう一方でいうと、株式会社の場合、当然、利益追求という前提があるわけでございますし、不採算であるとか、これはもうできない、あるいは倒産も含めてでしょうけれども、そういった場合の撤退ということが現実味のある話としてこの間議論がされていたと私自身は思っています。
だとするならば、転用なんかも含めて考えなきゃいけないような状況が起こり得るとするならば、せめて、転用ができないようなとは言わないまでも、農地は農地として使っていくんだ、守っていくんだという意味での厳格なゾーニングみたいなことがむしろ企業参入の在り方を考える上では必要なんじゃないかと思うんです。
このゾーニングの考え方について、今よりもより厳格なものが必要だと私自身は思っているんですけれども、大臣の所感を伺いたいと思います。
○野上国務大臣 今ほども申し上げましたが、企業の農業参入も重要と考えておりますが、その農地所有につきましては、農業、農村現場における先ほど申し上げたような懸念の声があることも事実でありますので、これは慎重に検討していく必要があると考えております。
今お話のありました農地に係るゾーニングについてでありますが、現在、農振法によりまして農業生産基盤整備事業の対象地等の優良農地を市町村が農用地区域に設定することとしまして、農地法によりまして原則転用禁止とされているところであります。
今後とも、優良農地を確保していくために、農振制度によるゾーニングですとかあるいは農地転用許可制度を適切に運用してまいりたいと考えております。
○神谷(裕)委員 やはり農地を考える上で大事なのは、農業委員会とか、そういったことを考えていかなきゃいけないと私自身は思っているんですが、先般、農業新聞を読んでおりまして、兵庫県農業会議とみどり公社の合併の話が出ておりました。そして、都道府県段階での農業会議が一つ、名称が消えたということは非常に私自身大きな衝撃を受けました。本来であれば、農業会議が残って公社側が合併されるというような、存続は農業会議じゃないかなというのが私自身の率直な思いでございましたし、非常にこういった意味での違和感を実は感じておりました。
というのは、現場においては、各農業委員会の方々、四万人のマンパワーを使って頑張っていただいているわけですし、市町村、そして都道府県、あるいは全国農業会議所という一連の流れの中での系統立った仕事もあったと思いますので、そういった意味において非常に心配というのか違和感を感じております。
こういった動きが今後も拡大するとなると、私自身は農業委員会の皆さん方のモチベーションにとってもちょっとこれは大丈夫なのかなというふうに思うわけでございますが、この辺のところの大臣の所感をお伺いできたらと思います。
○野上国務大臣 お話がありましたとおり、本年四月に、兵庫県農業会議と兵庫県の農地バンクであります兵庫みどり公社が合併しまして、公益財団法人ひょうご農林機構を設立しまして、農地集積等を推進する新しい体制がスタートされたと承知をいたしております。
農地集積を推進するためには、管内の農業委員会のネットワークを構築してその事務を支援する農業会議と、農地を所有者から借り入れて担い手に集積するために転貸する農地バンク、これが緊密に連携して取り組んでいくことが重要であります。
その場合、具体的にどのように取り組んでいくかにつきましては、今般のような体制も含めて、各都道府県において、それぞれの実情に応じて御判断をいただくべきものと考えております。
今般の合併は、兵庫県におきまして農地集積等を推進する体制について検討された上で連携の一つの在り方として決定されたものと承知しておりますが、引き続き農業会議が担っていただいた役割もしっかりと発揮していただくことを期待しております。
○神谷(裕)委員 もちろん農業委員会の皆さん方は現場で本当に頑張っていただいていますし、そういった方々がいるからこそ今農地も守られていると私は思っております。
そういった意味で、農業会議という名称がなくなること自体に非常に大きな衝撃を実は受けております。ある意味中間管理機構はあくまで手段でございますから、残るべきは本来農業会議だと私自身は思っておりました。
そういった意味で、今後、こういった農業会議という看板がなくなること自体が非常に大きな問題だと思っておりますので、是非もう一度、農業委員会の在り方であるとかそういったところについて、実際の現場がどうなっているのかを見ていただければむしろ答えは出てくるんじゃないかと思っておりますので、その辺を是非お願いしたいというふうに思います。
この後、実はサンマについて伺おうと思っていたんですが、時間が来ておりますので、今日のところは遠慮させていただこうと思います。御準備いただいて、水産庁長官には本当に申し訳ございませんでしたけれども、御理解をいただけたらと思います。
これで私の質問を終了させていただきます。ありがとうございました。
○高鳥委員長 次に、緑川貴士君。
○緑川委員 皆様、お疲れさまでございます。立憲民主党・無所属の緑川貴士です。
昨年時点のデータでございますけれども、アジアでなぜコロナの感染者の割合が少ないのか、その要因を分析した論文というのが農業との関連で発表されています。お配りした資料、一枚目の一を早速御覧いただきたいと思うんですけれども。
玄米と健康について研究しているメディカルライス協会の理事長で医学博士の渡辺昌氏と、ライステックの社長で工学博士の飯沼一元氏が、昨年六月にアメリカのオンライン研究誌で論文を発表しています。
今の感染状況と変わっている部分は当然あるんですが、コロナが世界で確認されて半年頃までの状況を示しているんですが、一人当たりの米の年間消費量とコロナの罹患率には負の相関関係があるということが分かっています。つまり、米をたくさん食べる国ほど人口当たりの感染者の数が少ないと。顕著なのがやはりアジアの国々です。米の年間消費が一人当たり五十キロ以上の日本、あるいはそれ以上に消費しているインドや韓国では罹患率が低いです。さらに、インドネシアのように一人当たりの消費が日本の三倍近くにもなる国では罹患率が更に低くなっています。
なぜ米なのかということにも触れられているんですけれども、渡辺氏によれば、米は腸内細菌をよくするんだと。具体的には、米をよく食べるとファーミクーテスという特有の腸内細菌が増えて、酪酸という物質が腸内で作られる、この酪酸が腸管の組織を通じて免疫を抑制する細胞である制御性T細胞を増やし、コロナに感染したときの免疫過剰反応を抑えることになるんだ、だから重症化しないんだということを論文で説明しています。
コロナに強い食べ物であるということ、あきたこまちの生産県の秋田に暮らす者としても耳寄りな情報なんですけれども、この論文を農水省としてはどのように受け止めていらっしゃるでしょうか。
○野上国務大臣 今御説明いただきました、渡辺昌メディカルライス協会理事長らが世界十九か国の米の消費量と新型コロナウイルス感染症の感染者数の関係を統計解析しまして、米消費量と新型コロナ感染者数の相関を五大陸を含む主要十九か国に対して統計分析したところ、強い負の相関関係があることを確認した、こういう論文を昨年六月に発表されたということを承知いたしております。
これは、アジア各国で新型コロナウイルス感染症の罹患率が低いことにつきまして様々な要因分析がされている中で研究、分析されたものの一つであると受け止めております。
○緑川委員 政府として、コロナではやはり米によって日本人の健康が守られているという面があるんだということ、これが説得性を持って伝えられていますので、主食用米の需要量が年々下がっている、今日、議論もあります、需給がかつてないほどまで緩んできているという状況の中で、やはり米離れが大きいと思うんですね。その米の優位性についてこうした論文が出ていくことを、機運を高めていって、米の優位性について国民に訴求をしていく大きなチャンスではないかというふうに私は考えております。
農水省の若手職員も今SNSで頑張っているというのを承知しておりますし、公式SNSの中で、BUZZMAFFという取組、本当に軟らかい形で国民に訴えているという姿勢はすごく共感できますし、こうしたものを通じて、日本の農林水産物、さらには日本の大事な食である稲、米を、その魅力をBUZZMAFFで情報発信していただくことも念頭に置いて、まずは情報をしっかり確認した上で発信していただきたいというふうに考えているんですけれども、現状はいかがでしょうか。
○野上国務大臣 米の消費拡大は極めて重要な課題でありまして、昨年三月に閣議決定されました食料・農業・農村基本計画におきまして、米飯学校給食の推進、定着や、米の機能性など米と健康に着目した情報発信ですとか、あるいは企業と連携した消費拡大運動の継続的展開などを通じまして、米消費が多く見込まれる消費者層ですとかあるいはインバウンドを含む新たな需要の取り込みを進めることで米の一人当たりの消費の減少傾向に歯止めをかけることが示されておりますので、これに基づく取組を進めているところであります。
農林水産省では、米の消費拡大の取組を応援すべく、平成三十年三月に「やっぱりごはんでしょ!」運動を開始しまして、企業等が実施する消費拡大につながる取組情報を幅広く集約したウェブサイトを新規開設しまして、各種SNSによる情報発信をしているところであります。BUZZMAFFにつきましても御言及いただきまして、御評価をいただきましてありがとうございます。各種SNSの情報発信の中で、米をめぐるトピックスの一つとして先ほど御紹介をいただきました論文についても紹介しているところでございます。
今後とも、米と健康に関する情報も含めて、米食の肯定感が高まるような情報発信を行いつつ、やはり、民間の取組とも連携しながら米の消費拡大について全力を尽くしてまいりたいと考えております。
○緑川委員 今の農業の在り方も、転作を進めていくということ、この後も具体策については議論をしてまいりたいと思いますけれども、やはり、中心作物である稲ですね、米の消費拡大ということをしっかりと社会に向けても粘り強く発信していくという取組が非常に重要なのではないかというふうに思っております。是非この取組に期待したいというふうに思います。硬軟織り交ぜて様々な角度から伝えていくということで、日本が置かれている米の生産状況、また政策に対する理解も同時に国民には深まっていくものというふうに期待をしております。
こうした取組と並行して需要に応じた作付への転換を図るということが必要になってきている、そうした中で水田農業の経営を安定させて所得を確保するということ、これを前提として作付転換をどのように図っていくかということがやはり重大な命題になっていくというふうに思っています。
資料の二をここで御覧いただきたいというふうに思うんです。
転換作物の安定生産が不可欠な中で、食料・農業・農村基本計画では、食料の安定供給の重要な柱、食料自給率目標が示されていますけれども、その目標達成の前提としているものが、大豆や小麦、こうした主要作物の生産拡大ですけれども、十アール当たりの収量、つまり単収の飛躍的な向上、さらには作付面積の拡大というものを目指しますが、特に大豆については苦しい状況になってきています。
赤枠で囲っているところ、二〇三〇年度、今から九年後に生産努力目標がこれまでの二十一万トンから一・五倍以上の三十四万トン、そのための単収の二百キロへのアップ、更に作付面積の拡大が必要になってきます。それができてようやく目標である大豆の自給率一〇%を達成できるということになっているんですが、大豆生産の拡大というのはずっと長年取り組んできても課題になっている。各産地でも知恵を出して生産性を高めようという取組を続けてきましたけれども、やはり簡単ではありません。
昨年産の単収も百五十四キロ止まり、百五十キロ前後でずっと伸び悩んでいるというんですね。作付面積も十四万ヘクタール余りで、以前よりも減って、その結果、昨年産の大豆のトータルの生産量というのは二十二万トン弱。やはりこれはおととしから比べてもほとんど伸びていない。目標の三十四万トンの六割という状況になっております。
作付面積が減っているのは、最近では米価が回復して大豆から主食用米に切り替えた農家が増えたということも影響と言われていますけれども、面積も変動しやすい。三年連続で大豆の作付は減っています。加えて、天候不順の影響もやはり受けやすい。ですから、単収が安定しにくい、向上しにくいという難しさがあります。産地の取組状況の御認識、基本計画上のシナリオのようにはいかない厳しい状況になっているんじゃないかというふうに考えるんですけれども、農水省、御見解はいかがですか。
○天羽政府参考人 お答え申し上げます。
大豆の生産の現状について御質問いただきました。
委員御指摘の、令和二年四月に閣議決定された食料・農業・農村基本計画におきましては、大豆の生産努力目標は、平成三十年の二十一万トンから令和十二年度には三十四万トンという目標でございます。この中で、十アール当たり収量を百六十七キロから二百キロに向上ということでございますが、これも、全国を分けて見てまいりますと、北海道では既に二百キロを超える単収になっておるわけでございますが、本州以南におかれましては百二十キロとか三十キロとかというふうな現状にあるということでございます。さらに、作付面積を十五万ヘクタールから十七万ヘクタールに拡大するという目標でございます。
国産の大豆につきましては堅調な国産需要がございます。一方で、生産量は平成二十九年で二十五万トンということですが、委員御指摘のとおり、以降三年間は二十一万トン台ということでございます。この理由として私どもが考えておりますのは、農地の分散により作業効率が上がらない、また、豊凶の変動が大きく収入が不安定であるため機械などへの積極的な投資が行われていないことなどによるというふうに考えてございます。
このため、令和二年度の三次補正予算及び令和三年度の当初予算におきまして麦・大豆収益性・生産性向上プロジェクトを措置いたしまして、需要に応じた生産を実現するため、関係者が連携して計画的に行う団地化、営農技術の導入を推進し省力化や収量の安定を図るとともに、生産拡大に必要な施設や機械の導入を支援することとしているほか、水田リノベーション事業や水田活用の直接支払交付金も措置しているところでございます。
これらによりまして、大豆の需要に応じた生産拡大にしっかり取り組んでいきたいというふうに考えております。
○緑川委員 先ほど神谷委員の議論でもありましたように、水田リノベーション事業、そして今年度予算に計上されている麦・大豆プロジェクト事業、こうしたもので予算を厚くしていく必要がまずございますけれども、技術導入などを支援して安定的な生産を後押しする、そして、主食用米以外の作物を定着させながら産地を応援できるという対策が実際になればいいんですけれども、取組メニューが現場で果たして実践できるものなのかというところをちょっと見ていきたいんです。
麦・大豆プロジェクト事業では作付の団地化から取り組んでブロックローテーションで進めていただきたいというふうに農水省は言うんですが、ここで、資料二枚目の三、農研機構の資料なんですけれども、大豆作の水分管理技術の難易度が示されています。
ブロックローテーションというのは、一番難しい、高度であるというふうにしています。九州の筑後平野での栽培事例も紹介されているんですが、国内有数の大豆の生産地と比べて、ほかの全国の多くの産地では、環境が整っていないという地域は多いわけです。そうした中で紹介されてはいるものの、ブロックローテーションは取り組みやすさとしては最も難しい。
地元の営農組合でもお話を聞いたんですけれども、水分管理云々という前に、集落営農でブロックローテーションをやるという合意がそもそも取れないんだと。地域内の調和が集落組織の性質上求められる以上は意思決定に踏み切れないという声が多数上っています。法人化でもしない限りは団地化してブロックローテーションを普及させるというのは難しいんじゃないでしょうか。いかがでしょうか。
○天羽政府参考人 委員御指摘のブロックローテーションでございます。麦、大豆の生産性を上げていくためにブロックローテーションが大変有効な手段であるというのはそのとおりだというふうに考えておりますが、一方で、全国どこでもブロックローテーションへの取組が行われるか、また、産地における合意形成のプロセスにも様々難しいことがあるということは承知をしておるところでございます。
今回、麦・大豆収益性・生産性向上プロジェクトの中でブロックローテーションをあえて入れておりますのは、やはりブロックローテーションというのは麦、大豆の生産性向上のために目指すべき一つの道であるということ、それから、特に九州でありますけれども、ブロックローテーションに従前から取り組んでおられてそういう実績があるところを更に広げていってほしいというふうな観点から掲げているところでございます。
○緑川委員 それは、ですから、元々からある程度取り組めているところを想定していらっしゃるわけで、ゼロから、ブロックローテーションというものを入口から頑張ろうという集落営農組織は結局対象になりにくいということになってしまうんじゃないでしょうか、今の御答弁では。
団地化の規模要件というのは一律に農水省として課すつもりはないというお話はしているんですけれども、結局、採択要件の中に団地化というのは大きなポイントになっています、生産性向上と併せてですね。団地化率が高い事業主体から優先的に採択されるという仕組みにプロジェクト事業ではなっているわけです。小規模な、ゼロから始めて頑張ろうという組織が、これから小規模でもいいからと言われても、小規模の取組では結局、事業としては採択されないということになるんじゃないでしょうか。いかがでしょうか。
○天羽政府参考人 麦・大豆収益性・生産性向上プロジェクトの営農技術の導入についての御質問でございます。
営農技術の導入可能な技術といたしましては、先ほど来委員御指摘のブロックローテーション、畑地化に向けた新規輪作体系の確立というのがございます。これをやっていただくと十アール当たり七千五百円という支援単価になってございますが、湿害対策技術の導入につきまして十アール二千円ですとか、高度湿害対策技術の導入に対しまして十アール三千円ですとか、効率的播種技術等の導入に対しまして十アール五千円ですとか、様々、全部で八つのメニューがございまして、この八つの中から十アール当たり一万五千円以内で複数選択をしていただくということが可能な仕組みにしてございます。
○緑川委員 将来的に、まず二百キロというところを目標にしているんだとすれば、やはり、団地化、先ほどおっしゃったようにブロックローテーションというのは避けて通れない、重要な柱になるものをそれ以外のものでいいですよと言ったら、結局、生産性は上がりにくい、目標の年度までには達しにくいということになるんじゃないでしょうか。
機械の部分についてもちょっと触れたいんですけれども、採択では先進的な営農技術の取組も求められます。農研機構が研究開発した、例えば、耕起、つまり土を耕す、種まきをするという技術の実践なども想定されています。地域ごとに適した技術を確立していくということは大事なんですが、実際の技術の普及が難しいというのがやはり課題になっています。
例えば東北では、大豆が育つ夏から秋にかけては土の乾燥とか湿気の影響を受けやすいという気候の特徴がやはりあります。そうした中で、それを軽減するために適した技術として、耕起に使用する市販のロータリーがあります、回転するロータリーの一部の爪を外したりつけ替えたりということを促しているんですが、それが実際に夏場の畑で有効に使えるかということが、地元からもやはり声が上がっています。
畝となる列には爪が当たらないようにして、畝は耕さないんですね、畝と畝の間は土で耕起して。ですから、種をまく畝は不耕起のところで、その間で耕起した土をかぶせて畝立てしていくという栽培技術です。これが推奨されているんですが、ベテラン農家にお話を聞いても、播種する、種をまく時期の六月というのは畑全体に草が広がってしまう、生い茂ってしまっている中で、畝となるところも含めて一旦全部耕起しないといけないんです。草を全部やっつけてしまわなければ、まいた大豆が草に負けて育たないという声があります。
紹介されている技術であるものの、こうした技術が実用可能なものであるのか、現場の受け止めはどうなのか。技術の実用に取り組めている状況になっているのかを国としてしっかり調査するべきじゃないでしょうか。いかがでしょう、大臣。通告しております。
○天羽政府参考人 お答え申し上げます。
ただいま委員から御指摘のありました畝を立ててという技術につきましては、大豆の栽培において大きな課題であります湿気対策の一つとしてそういう技術も農研機構で確立しているということでございますが、委員御指摘のとおり、じゃ、それが全国どこの産地でも、どの圃場でも使いやすいものであるかというと、そこはそれぞれ、現場現場の圃場条件に合わせて、地域条件に合わせて考えていかねばならないということは御指摘のとおりだと考えております。そういう中で、機械、施設の導入につきましても先ほどの麦豆プロでは導入の支援をしておりまして、生産性向上等に必要な機械、施設の購入、リースを支援するところでございます。
また、大豆の栽培技術につきましては、委員御指摘のとおり、長年、産地も農林省の農研機構も、昔、地域農業試験場があった当時から悩みながら研究開発、技術開発をしてきた経緯がございます。現在それなりの水準には達していると考えておりますけれども、それを生産者の方により簡易に御理解いただくように、昨年度からスマホでその技術にアクセスできるような取組も始めているところでありまして、このような取組はもっとしっかりやって、大豆の生産性の向上、さらには単収の向上に努めてまいりたいというふうに考えております。
○緑川委員 御紹介いただいた、恐らく大豆栽培改善技術導入支援マニュアルということだと思いますが、確かに画期的です。個々の農家ごとに栽培条件そして減収要因との関連についてスマホで診断して、必要な技術の情報にアクセスできるというものが作られたということは前進であると思います。個々に取り組みやすくなってはきているんですけれども、一方で、昨年から実践した農家も多いはずなんですが、やはりデータ上は昨年産の生産量、単収共に伸びていないというのが現状なんですね。だからこそ改めて農水省として実態を把握していくべきだというふうに思っています。
時間がないので次に行ってしまいますけれども、大豆生産が更に有機農業ということを条件とすれば、なお厳しくなってしまうんじゃないかというのが懸念でございます。
みどりの食料システム戦略の中で、有機農業の取組面積割合の飛躍的増大を目標にしています。百万ヘクタール、国内の耕地面積の四分の一に拡大するということを目指しますけれども、二〇五〇年度で大分先に聞こえるんですが、二〇三〇年度時点でも取組面積を六万三千ヘクタールにしなければならないという意欲的な目標なんです。直近で二万三千五百ヘクタールです。この取組面積を九年後に二・五倍に広げなきゃいけないんですね。
これまでに有機栽培を頑張っている農家はたくさんいらっしゃいます。でも、その取組面積を結局減らしてしまうんですね。一番の理由としては、有機栽培には労力がかかるということであります。除草を含む作業時間が栽培よりも長くなって、所得確保の面でも厳しい状況になります。これはイギリスのデータでも明らかになっているんですが、有機農業に力を入れれば入れるほど単収は下がってしまうというデータがイギリスで出ています。
輪作作物として当然、大豆も重要なローテーション作物として関わってくるわけですから、通常でさえ単収を上げるのが難しい大豆について、九年後という近い将来に有機農業としても面積拡大に取り組まなきゃいけないわけであります。そうした中で、基本計画で目指しているような大豆の単収増というのは余計に厳しくなってしまうんじゃないでしょうか。いかがでしょうか。
○野上国務大臣 日本の有機農業でありますが、現在は野菜ですとか茶の取組面積が多くなっておりますが、今後、みどりの食料システム戦略で掲げました有機農業の目標達成に向けまして、大豆を始めとします土地利用型作物についても有機農業を拡大する必要があると考えております。
大豆につきましては、規模拡大による労働負担の増加ですとか、連作障害、湿害などの低単収要因を克服するために、今、麦・大豆収益性・生産性向上プロジェクトを措置して様々な対策強化をしているところでありますが、有機栽培で大豆を作付する場合には病害虫などによる単収の減少が課題でありますので、将来に向けて、例えば、主要病害に対する抵抗性を有した品種の育成ですとか、あるいは先端的な物理的手法や生物学的手法を駆使した害虫防除技術のほか、土壌微生物機能の解明と有効活用による減農薬・肥料栽培の拡大など、やはりイノベーションによる持続的生産体制の構築をしていかなければならない、そういう中で有機農業の取組を進める中にあっても、単収の向上を図ってまいりたいと考えております。
○緑川委員 カーボンニュートラルという取組が打ち出された中で、みどりの食料システム戦略というもの、私は、唐突にこれが現れた中で、非常に、つじつまを合わせるというか、食料基本計画との整合性というところを取るのが更に難しくなってしまっているんじゃないかなというふうに思っています。長期の取組の中で、基本計画上にみどりの食料システム戦略をどのように位置づけるのかということもしっかり捉え直す必要が私は出てきているんじゃないかなというふうに思っています。
ちょっと時間がないので最後の問いの方に移りたいんですけれども、一問、穀物輸入価格への影響については少し飛ばさせていただいて、最後に問いたいと思います。
今、国内外で大豆を含めた穀物価格が上がっています。中国では、アフリカ豚熱からの巻き返しを図るという形で大豆の飼料需要が高まっています。初めて一億トンを超える見込みになるということです。世界の大豆の生産が三億六千万ほどですので、その三割近くが中国で消費されることになります。
アメリカからの輸入のシェアを中国が更に占めていくという状況の中で、アメリカの農務省は需給見通しで、大豆のアメリカの今年八月末の期末在庫というのは全需要量の三%にまで落ち込む、非常に低い水準になるとしています。他方で、バイオディーゼルの原料となる大豆油の需要も高まっています。南米の主産地では干ばつで大豆が減産している、そして、ブラジルでは悪天候で収穫作業が遅れているということであります。大豆収穫の後の圃場にトウモロコシを作付するところも多いので、今後のトウモロコシの生産にも影響が生じるおそれがあります。
世界の大豆、トウモロコシなどの穀物価格の急騰というものが国内の配合飼料の価格にも影響を与えています。資料の四を御覧いただきたいんですけれども。
輸入飼料の価格が上がることで畜産経営に及ぼす影響というものを緩和するために配合飼料価格安定制度の補填があるんですが、通常補填と、価格が激しく高騰したときに通常補填を補完する異常補填の二段階の仕組みというものがあります。赤枠で囲ったところ、昨年度第四・四半期は平均輸入原料価格から基準輸入原料価格を引いた差額が三千三百三十七円なんですが、要は、今後検討する問題として、異常補填をも超えてしまう価格が生じるんじゃないかということです。
下の注にもあるように、異常補填は総補填の三分の一以内という上限があるんですが、総補填の限界を計算すると三万二千九百九十八円ですから、大体三万三千円を超えてきた場合に、それ以上は異常補填でも賄えなくなります。
直近で基準価格が低めの時期が続いていたことも影響していると思いますけれども、異常補填でも補填し切れないという状況が今後あり得ると思います。過去にも三万四千円を超えていますし、そうした可能性も視野に入れておく必要もあると思いますが、補填し切れない場合に政府はどのように対応を考えているんでしょうか。最後に伺いたいと思います。
○野上国務大臣 配合飼料価格についてでありますが、今御指摘がありましたとおり、昨年来、中国におけるアフリカ豚熱からの豚の飼育頭数の回復に伴って飼料需要の増加がありまして、トウモロコシ価格等も高騰していることから大きく配合飼料価格が上昇しているわけであります。
このような場合に対応するために、配合飼料価格安定制度によりまして、積立金による基金から畜産農家へ補填金が交付される仕組みが構築されておりますが、これによりまして畜産経営への影響は緩和されるものと考えております。
本制度につきましては、資料にもありますとおり、令和二年度第四・四半期、一月―三月におきましては一トン当たり三千三百円の補填発動が決定をしておりますが、補填金を支払った後においても、基金については約千三百億円以上の十分な財源が確保されております。
更に上がった場合はどうなのかという話でございますが、国としても引き続き配合飼料価格の動向につきまして注視をして、本制度が安定的に運営されるように適切に対応してまいりたいと考えております。
○緑川委員 もう質問はいたしませんけれども、二〇一三年の非常に高騰した時期に近づいているということを有識者からも言われております。飼料価格は畜産経営の生産割合の中ではかなりを占めておりますので、こうしたところ、餌代をしっかり注視していただきたいと思います。また議論させていただきます。
ありがとうございました。
○高鳥委員長 次に、藤田文武君。
○藤田委員 日本維新の会の藤田文武でございます。
今日は二十分間いただきましたので、早速質問に入りたいと思います。
今日は、農業の担い手の話と農協についてお聞きしたいと思います。
まず、担い手の話です。
二〇二〇年の農業センサスの結果を見てみると、個人経営は十年前より約四割減少、百六十四万から百四万になっています。五年前と比べると二割減少で、百三十四万から百四万になっている。一方で、法人経営は五年前と比べると一三%増加で、二万七千から三万一千、微増しているわけであります。
個人経営体の農家さんがどんどん減少していくということについてはなかなか歯止めが利かない状態になっており、一方でいろいろ後押しもあって法人経営体というのは少し増加しているという、農業の担い手の構図自体が少し変わってきているということについて、まず冒頭、御見解をいただけたらと思います。
○野上国務大臣 今御指摘いただきましたとおり、二〇二〇年農林業センサスにおきましては、個人経営体の数は百四万経営体となりまして、十年前と比べて六十万経営体、五年前と比べて約三十万経営体減少しているわけであります。一方、法人経営体数は三・一万経営体となりまして、十年前と比べて約九千経営体、五年前と比べて約四千経営体増加しているわけであります。
このように、雇用による就農機会の拡大などの効果が期待される農業経営の法人化が進展していることは一定の成果と考えておりますが、高齢化が進展する中で、個人経営体の減少によって農業の持続性が損なわれることがないように取り組んでいく必要があると考えております。
日本の農業経営体の約九六%は個人経営体でありますので、経営規模の大小ですとか、法人経営体、個人経営体の別を問わずに、意欲のある担い手を幅広く育成、支援していくことが必要であると考えております。
○藤田委員 ありがとうございます。おっしゃるとおりだと思うんですね。
そこで、新規就農者調査の結果を見てみると、特に若い世代、四十九歳以下の新規就農者の推移、三つに内訳が分かれていて、新規参入者、ど新規というやつですね、新規雇用就農者、雇われる人、それから新規自営農業就農者、つまりこれは、家族とか親族が農家さんという関係者が里帰りしてやるとかそういうパターン。この三つの内訳において、直近五年を見ると減少していっているわけです。この減少トレンドは、あらがえない形になってしまっている。これについて見解をお聞きできますでしょうか。
○光吉政府参考人 お答えいたします。
御指摘のとおり、四十九歳以下の新規就農者数につきましては、平成二十七年から令和元年の比較をすると減少しておるところでございます。一方、農林水産省として、就農準備段階及び経営開始直後の資金の交付ですとかあるいは技術習得のための研修支援などに取り組んできておりまして、令和元年までの五年間の平均就農者数は平成二十六年以前の五年間と比べると約二千人増加しているところでございます。
農業者の高齢化、減少が進む中で、農業が将来にわたって食料などの安定供給の役割を果たして成長産業化していくには、若い世代の新規就農者を育成、確保することが重要と考えており、引き続き必要な対策を講じてまいりたいと考えております。
○藤田委員 ありがとうございます。二十六年の前よりましだという話だったと思うんですけれどもね。
私、素朴に思うことは、やはり新規雇用の就農者というのをもうちょっと増やしていくべきだというふうに思うんですね。というのは、構造を見てみると、例えば私は、農業に全く親族も関わっていないし、関係がない環境で育ちました。ある日突然、農業をやりたいなと思ったときに、新規参入しようと思えば、すぐに農地確保はできませんし、あしたの生活のお金がないので、ちょっとお金も持っていないといけない、いろいろな資材を借りるためにお金も借りないといけないしという形で、結構体力が要るんですよね。片や、家族が農家さんというところ、私のような場合ではないですから。
そうした場合、普通に一般企業で考えて、私、元々就職したのは、スポーツ関係の会社に就職しました。でも、別にそういうノウハウがあったわけではありません。でも、いきなり行って勤めて、そこで勉強してノウハウとかを得られるという、いきなりのど新規がやる気を持って入るということができるわけですよね。そうやって考えた場合、若い人に入ってもらおうと思えば、何もなくて裸一貫で飛び込んでもらって、そこで農業に対して貢献してもらうということをやはりやらないといけないと思うんですね。
二つあって、一つは農の雇用の事業の話、事前に聞きました。実際、雇用者を増やすためのインセンティブを働かせようと。これはいいことだと思うんですけれども、やはり受皿自体を増やすということをやらないといけないし、法人化、もっと新規参入が行われるような、そういう土壌を農政においてつくっていかないと本当に担い手がいなくなるという問題意識があります。このことについて、端的に言うと、若い世代の雇用就農者ですね、これを増やしていくということの環境整備を是非ともやっていただきたいというふうに思うわけでありますけれども、どのようにお考えでしょうか。
○葉梨副大臣 おっしゃるとおり、雇用形態での就農は、非農家出身者でも就農しやすい重要な就農ルートであるし、法人経営ですね、これ自体もしっかり育てていかなければいけないと思います。
その上で、若い人たち向けに、御指摘がありました農の雇用事業ということで、法人などが雇用就農者の研修に対する支援を行っていくこと、あるいは、農業に入ってこようという方たちに対して求人等の情報を一元的に提供するサイトを立ち上げて、雇用就農を含む就農に関する情報発信の強化に取り組んでいます。
今後ですけれども、今月を目途としてなんですが、雇用就農者を含めた新規就農者を強力に育成、確保していくことは重要と考えていますので、新規就農に係る検討会というのを設置しようと考えています。若者を始めとした幅広い層からのヒアリングを実施して、今後の具体的な施策の見直しにつなげていきたいと考えています。
○藤田委員 ありがとうございます。是非、検討会で前に進めていただきたいなと。やはり僕は改めて、雇用就農者、農業に何の関係もなかったけれども思いを持って新しくやってみようという若い人に入ってもらえる土壌を是非つくってほしいなと。これは僕は結構可能性があると思っていて。
例えば、今、個人経営体は母数が約百万、百六十万から百万になりましたけれども、その百万の中でいわゆる後継ぎのようにして帰ってくる人というのが恐らく九千人ぐらいなんですね。それに対して約三万の法人経営体は七千の雇用を生み出している。割合でいったら多いわけですよ。だから、やはりこの比率というのを変えていって、新しい人が入ってくる、そして新しいアイデアが入ってくるというような農業の在り方というのを是非強く推進していただきたいなというふうにまず思います。
それから、農協についてお聞きしたいと思います。
農協法の改正、いろいろあって、それ以降も政府の規制改革会議等で農協についての在り方の継続議論がなされてまいりました。
足下では、法人経営体が増えたということだけが理由じゃないにしても、農協へ出荷される農業経営体数は少しずつ減っている。今後、法人経営を今私が冒頭提案したように増やしていこうというふうなことが行われた場合、農協の経営が徐々に厳しくなる可能性もあるわけでありますけれども、それを踏まえて、ちょっと在り方についてお聞きしていきたいなというふうに思います。
まず、輸出拡大、国策ですね、五兆円あります。この遂行に当たって農協、JAグループがどんな役割を果たしていくか、お聞きしたいと思います。
○池田大臣政務官 二〇三〇年の五兆円の輸出目標を達成するためには、主として輸出向けの生産を行う輸出産地の育成、展開や、大ロット、高品質、効率的な輸出物流の構築等に取り組むことが必要であります。
輸出産地につきましては、農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略に基づきまして二十七の重点品目あるいは産地のリストを公表し、このうち農協が輸出事業計画の策定主体となっている輸出産地は八十四産地あります。また、今回リストに掲載された産地だけでなく、その他の産地においても積極的に輸出産地に加わっていただきたいというふうに考えております。
また、輸出拡大実行戦略におきまして、JAグループなどの農林漁業者団体は自ら目標等を設定しつつ輸出促進に主体的に取り組み、農林水産省はこれに助言を行うというふうにされております。こうした輸出産地の育成に向けまして、小規模農家の参加も促しつつ、マーケットインの輸出に向け中心的な役割を果たすことを期待いたしております。
また、輸出に当たりましては、大ロット、高品質、効率的な輸出物流の構築等が必要であることから、農協の全国的なネットワークを活用し、地域のJA間で連携したリレー出荷等による安定的な供給体制の整備や、大ロット、高品質な輸出物流体制の構築にも取り組んでいただきたいというふうに考えております。
○藤田委員 ありがとうございます。
ちょっと、今日、質問通告をさせていただいたものは結構重たいので、最後まで行けなさそうなので、聞きたいところを先に大臣の方に聞きたいと思います。
私、今の農協に関わっておられる方を否定するつもりは全くないんです。ただ、農協自体が自己改革でどこまで変われるのかというのはやはり突きつけられた問いだと思うんですね。実際に、株式会社化等の話というのは、やはりちょっとお茶を濁されたなというふうに私は思っています。
その中で、農協が、農業に関わる人たちのある種の共同体を守っていくというミッションと、それから海外に打って出て新たな成長産業化しないといけないという、こういう違うベクトルの二つを担っていかないといけないという中で、後者の方はすごくテクノロジーが発展していっているものをうまく使いこなしていかないといけない、また海外を含めて販路を開拓していかないといけないという中で、非常に、言葉がちょっと適切か分からないんですけれども、牧歌的な農協の在り方でいいのかという問題意識がまずあります。
その中で、構造の話をちょっとお聞きしたいのは、まず収益モデルの話です。
そもそも農協は農業者の所得向上のためにはやはり一生懸命やってもらわないといけませんが、今、経済事業が黒字のJAは全体の約二割というふうに言われています。それは、信用・共済事業、いわゆる金融部門で穴埋めしているという、これが実態なんですね。
私は、経済事業が赤字ということが構造として自然に変わっていくようになっていないというふうに思うわけです。これをやはり構造転換していかないと、実際的に言うと金融部門がお抱えなわけじゃないですか。民間企業がある事業をやっていて、銀行さんのお抱えで全部利益を見てあげているよという話になっているというのが実態なわけです。だから、経済事業をもっと頑張りましょうということなんですけれども。構造転換をやはりやっていくべきじゃないかということなんですけれども、大臣の御見解をお聞きしたいと思います。
○野上国務大臣 農協の事業収支につきましては、今御指摘がありましたとおり、平成三十事業年度では全国の約二割の農協が経済事業で黒字でありますが、その他の農協は経済事業の赤字を信用・共済事業で補う構造となっておりまして、信用事業を始め環境が厳しさを増すと見込まれる中で、農協経営の持続性を確保するために、経済事業の収益力を向上させることが必要であると認識しております。
JAグループにおきましては、昨年四月に公表しましたJAグループの自己改革の実践と今後の基本的な対応方向におきまして、経済事業の収益構造の改善等により持続可能なJA基盤の確立、強化を実現することなど、不断の自己改革に取り組むとしているところであります。
そういう中で、農林水産省としましても、農協が将来にわたって自己改革を継続していけるように、各農協が中長期の収支等の見通しを適切に立てて経済事業の収益力向上に取り組んでいく必要があると考えておりまして、こうした取組を行うことを前提に、JAグループの取組を後押ししてまいりたいと考えております。
○藤田委員 ありがとうございます。実際、おっしゃっていただいたとおりだと思うんです。
今、実際、大型農業法人、企業さんは農協と距離を置いて独自で経済活動を行うということが実際に増えてきています。こうした状況をどう評価するかという一つの問いと、このような、さっき言った前者と後者、共同体を守るということと、めちゃめちゃチャレンジしていく、このチャレンジしていこうという企業が農協とつき合っていくことのメリットというのはどの辺りにあるのかというのは私は結構疑問なんですね。一番根幹は私は組織的風土の違いなんじゃないかなというふうに思うわけなんです。見解をひとつ聞きたいなと思うんですが、いかがでしょうか。
○野上国務大臣 現在、農業経営の法人化ですとか個人経営体の規模拡大が進展しているところでありますが、農協は、組合員のために、そのニーズに応えるために、生産資材の有利調達ですとか農畜産物の有利販売などのサービスを提供する役割を果たしていく必要があります。
農協におきましては、現在増加している法人や規模拡大する経営体のニーズも把握しまして、経営規模の大小ですとか、あるいは法人経営体か個人経営体かの別を問わずに、農業者の所得向上のためのサービスを提供することが重要でありますが、例えば肥料や農薬の担い手への直送による価格引下げですとか大口予約割引など、法人ですとか大規模な個人経営体からも選ばれるメリットを提供しながら、農業者の所得向上のための取組を進めていただくことを期待しているところであります。
○藤田委員 ありがとうございます。
最後の問いを先にやりたいんですが、農協の今後の戦略についてです。
一番最初の雇用の話も、担い手の話を考えたときに、法人が担い手の一定割合を担っていってもらわないともたないよねというのがあって、その中で法人もなかなか、農協さんから離れて独自のチャレンジをやっていこうというのも増えてきている。
その中で、農協は、法人さんとしっかりとタイアップして、法人さんとともに伸びていけるような戦略、チャレンジングな戦略をやはり描いていくのか、又は、協同組織というか共同体みたいなものを守り、保護経済環境というのをある程度維持するのかという二つの違うベクトルに非常に難しい選択が迫られていると私は思っています、そもそもとして。このような方向性についてどのようにお考えか、大臣から御見解を聞きたいと思います。
○野上国務大臣 御指摘のとおり、個人経営体は減少しておりますし、法人経営体は増加している、こういう現状であります。
しかしながら、日本の農業経営体の約九六%は個人経営体であり、農協におきましては、やはり、経営規模の大小ですとか、法人経営体か個人経営体か、その別を問わずに、意欲のある担い手のニーズに応えるべくサービスを提供していくことが必要であると考えております。
○藤田委員 そのとおりだとは思うんです。だから、個人経営体を切り捨てろとは全く思いません。思いませんが、実際、マクロで見ると個人経営体が減っていき、若い人がなかなか入ってこられないという現状をどう支えるかということは思うわけです。
私も地元の農協の方とおつき合いがあります。地元の農協の方は非常にいい方で、ある種さっき言ったような牧歌的なところもあるし、地域の貢献もたくさんされている。その中で、全体で見たときに、政府が考えるような、輸出を拡大していこう、その中で農協が一定の役割を果たしていこう、そういうチャレンジングな、一翼を担おうというようなチャレンジングな雰囲気があるかというと、なかなか中からは出てきにくい。だから、私は、新しい新規参入が起こりやすく、また他業種から新しいアイデアが入ってきやすい、若い人も何もなくても裸一貫でも飛び込める、そういうような農業の受皿が必要なんじゃないかというふうに思うわけです。
そこで、やはり株式会社化というものを考えるべきじゃないかな、もっと進めるべきじゃないかなというふうに思うわけでありますが、余り進みませんでした、実際に選択制において。これは私は余りインセンティブがないんじゃないかというふうに思うんです。自分たちからそこに飛び込んでいこうという農協さん、実際にやっておられる人たちというのはなかなか出にくいんじゃないかなというのがあるんです。
事務方に、農協が自らの判断で株式会社化を目指すインセンティブはあるかということと、それから大臣に、私はもう一度本格的に株式会社化を目指していくべきじゃないかというふうに思うんですが、最後にお答えいただけますでしょうか。
○光吉政府参考人 お答えいたします。
農協の株式会社化につきましては、株式会社になったときに、例えば農協法上の員外規制ですとかあるいは事業範囲の制限がなくなるといった、民間企業と同じスキームで取引をするという側面があるかと思います。一方で、株式会社となれば、協同組織として組合員が相互に協力して事業をやっていくという性格ではなくなるという面があるかと思います。
こういった状況を踏まえまして、このような株式会社化した場合の様々な点がある中で、個別の農協にとってどのようなインセンティブがあるのかないのかというのは一概に言うことはできないので、あくまで個別の農協でこういった状況を踏まえて、必要があれば御検討をされるということだと思っております。
○高鳥委員長 既に持ち時間が経過しておりますので、簡潔にお願いいたします。
○野上国務大臣 株式会社化などの組織転換につきましては、平成二十七年の農協法改正によって規定が整備されておりますが、今事務方からもお話しさせていただきましたように、どのような組織にするかは農協で判断をいただくことでありますが、しかし、組織形態のいかんにかかわらず、全農や農協が例えば輸出などを進めて農業者の所得向上に積極的に取り組んでいくことが重要であると考えております。
○藤田委員 済みません、ちょっと時間がなくなりましたので、また引き続きさせていただきたいと思います。
ありがとうございました。
○高鳥委員長 次に、田村貴昭君。
○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。
諫早湾干拓問題と和解協議について質問をします。
国営諫早湾干拓事業をめぐって、国が漁業者側に潮受け堤防排水門の開門を強制しないように求めた請求異議訴訟は、福岡高裁判決で国の訴えが認められましたが、最高裁で破棄、そして差戻しとなりました。昨年の二月から福岡高裁で差戻し審が行われております。そして、福岡高等裁判所は、四月二十八日、国と漁業者側に対して和解協議に関する考え方と題する文書を提出し、和解協議を始めることを提案したのであります。このように書かれています。
当裁判所は、本件訴訟の審理が大詰めを迎えているこの機会を捉えて、柔軟かつ創造性の高い解決策を模索するため、本件訴訟を担当する裁判所の果たすべき役割の一つとして和解協議の場を設けることとしたい、このように書かれています。
大臣に伺います。福岡高裁の和解協議勧告、受け止めはいかがですか。
○野上国務大臣 係争中の訴訟に関わる具体的な対応についてお答えすることは差し控えさせていただきます。
いずれにしても、平成二十九年の大臣談話に沿った解決が図られるよう、引き続き関係省庁と連携して適切に対応してまいりたいと考えております。
○田村(貴)委員 いや、その方向性は聞いていないんですよ。
最高裁の差戻し審で、もう大詰めを迎えている段階での和解協議勧告なんです。話し合わないと駄目でしょう。出された和解協議に関する考え方というのは、極めて重たい公的文書です。そもそもこの裁判というのは、国が起こした訴訟じゃないんですか。裁判の当事者としては、まず裁判所から出された協議提案について真摯に受け止めるのが当たり前じゃないんですか。受け止めるんですか、受け止めないんですか。野上大臣、いかがなんですか。
○野上国務大臣 係争中の訴訟に関わる具体的な対応についてお答えすることは差し控えさせていただきますが、その上で、一般論として申し上げれば、平成二十九年の大臣談話に沿った和解協議には当然国としても応じることになると考えております。
○田村(貴)委員 それも含めて和解のテーブルに着きましょうという和解協議勧告なんですよ。素直に受け止めたらどうですか。農水省の主張以外は認めない、その固まった考え方が、これまでこれだけ膠着状態を続けているわけです。
今度の福岡高裁からの和解協議勧告はこのような文書になっています。
残念ながら、本件の判決、つまり開門確定判決に対する国の請求異議訴訟について、本件の判決だけでは、それがどのような結論となろうとも、紛争の統一的、総合的かつ抜本的な解決には寄与することができないこともまた明らかであるとして、話合いによる解決のほかに方法はないと確信している。
高裁がここまで踏み込んで言及しているわけです。判決では解決できないとしている、話合いによる解決以外にないとしている。裁判所が判断する以上、話合いをする以外にほかに方策はないじゃないですか。いかがなんですか。
○野上国務大臣 四月二十八日の進行協議期日における福岡高裁の御提案内容については、裁判所が非公開の場である進行協議期日を設定したという趣旨に鑑み、お答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。
その上で、一般論として申し上げれば、平成二十九年の大臣談話に沿った和解を前提として、和解協議の手法等に関して国の何らかの対応を含めて具体的な提案があれば、それは真摯に検討させていただくことになると思います。
○田村(貴)委員 そこにこだわるだけではやはり駄目ですよ。その主張は、和解協議の場でちゃんとおっしゃったらいいじゃないですか。
ただ、裁判所はこう述べているんですよ。当事者双方が腹蔵なく協議、調整、譲歩することが必要である。双方が譲歩することが必要だとしているわけなんですよ。
開門、非開門の双方の主張は、それはあるでしょう。それも含めて協議をしたらどうか、そして、それはまずおいておいて、とにかくテーブルに着こうじゃないかというのが今度の福岡高裁の提案です。もはや、ここからしか始まりません。
断ったら永遠に解決できませんよ。差戻し審の大詰めを迎えているんです。ちゃんと裁判所の和解協議の提案に従って、まずは胸襟を開いて、利害関係者、そのほかの関係者も集まって話合いを進めていこう、この提案は駄目なんですか。いかがなんですか。
○牧元政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど大臣から御答弁がございましたように、係争中の訴訟に関わる具体的な対応についてお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。
ただ、一般論として申し上げれば、平成二十九年の大臣談話、開門によらない基金による和解が最良の方策との考えの下、開門しないとの方針を明確にして臨むというものでございますけれども、この考え方に沿った和解協議には当然国としても応じることになると考えているところでございます。
○田村(貴)委員 局長、この和解協議の提案、ちゃんと読まれましたか。野上大臣、三ページにわたるこの協議提案、ちゃんと読まれましたか。このように述べています。
有明海沿岸地域の社会的、経済的現状等に鑑み、狭く本件訴訟のみの解決に限らない、これを含む広い意味での紛争全体の、統一的、総合的、抜本的解決及び将来に向けての確固とした方策の必要性と可能性を意識する、こう述べているわけであります。
つまり、請求異議訴訟のみの解決に限らない、紛争全体の、統一的、総合的、抜本的解決に向けた方策の必要性と可能性を裁判所が述べているということは、非常に重たい意義があると感じませんか。
そして、何度も何度もあなた方がおっしゃる基金案にしても、基金案を基にするにしても、利害の対立する漁業者、農業者、周辺住民の各団体、各地方自治体等の利害調整と、これに向けた相応の手順が求められていることには疑いがない、そこまで言われているんですよ。和解協議を訴訟当事者のみには限定しない、幅広い関係者の意向や意見を踏まえることが示されているわけです。どうですか。
裁判、十八年でしょう。紛争解決に向けた裁判所の強いメッセージがここに表れているじゃありませんか。
野上大臣に再度お尋ねします。話合いをすることについては、野上大臣も、そして江藤前大臣も、様々な立場の関係者がバランスよく参加するのであれば一堂に会して話し合うことがあってもいいと、本委員会でも、そして会見でも述べてこられたじゃないですか。それと、今まで述べてこられたことと、利害の対立する漁業者、農業者、周辺住民の各団体、各地方自治体等の方も入れて話し合っていこうじゃないか、解決の糸口を共につくり出していこうじゃないかと。やはり画期的な和解協議提案だというふうに思いますよ。
野上大臣が一堂に会して話し合うことがあってもよいと述べてきたことと、今度の裁判所の提案と、矛盾するものではないと思いますけれども、ちゃんと読んだのであれば、そうじゃないですか。いかがですか、大臣。
○野上国務大臣 御指摘の一堂に会する場についてでありますが、令和元年の開門派弁護団との意見交換の場におきまして、同弁護団から話合いをする場をつくっていただきたい旨の発言があったことに対しまして、江藤前大臣から、様々な立場の関係者がバランスよく参加するのであれば一堂に会して話し合うことがあってもよい旨を発言されたと承知いたしております。
これについて、私も、これまでの国会答弁ですとか、あるいは昨年十二月の開門派弁護団との意見交換の場において、この考えが変わっていない旨を述べたものであります。
一方、裁判所の今後の御提案につきましては、予断を持った形でお答えすることは適切でないと考えております。
○田村(貴)委員 私が聞いているのは、野上大臣が様々な立場の関係者がバランスよく参加するのであればという条件を示して話合いに応じてもいいと言われてきたことと、今度の裁判所の和解協議提案が、農業者、漁業者、周辺住民の各団体、各地方自治体、そうしたところを交えてと言っているところは、軌を一に、同じにするところじゃないのか、同じ中身で提案されているんじゃないかと聞いているんですよ。だから、これはちゃんと和解協議に応じる必要があるし、それ以外にはないと言っているわけです。和解提案に、もう一回言いますけれども、当事者双方が腹蔵なく協議、調整、譲歩することが必要であると言っています。
一方で、請求異議訴訟の被控訴人、漁民原告はどのように言っているか。非常に柔軟な対応を示していますよ。四月二十八日の意見書の陳述でこのように述べています。
私たちの提案する方策を絶対視するつもりはありません。もう一度言いますよ。私たちの提案する方策を絶対視するつもりはありません、こう述べて、裁判所と私たち、国との間で、利害関係人のそれぞれの利害状況を分析し、的確に捉え、いずれもが納得でき、利益になる和解原案を作成する、それを開門阻止派の人々に示しつつ、彼らの参加を得て更に改良を加え、和解案を練り上げようと呼びかけているわけであります。
被控訴人弁護団は、既に今の段階で、譲歩はあり得るとの姿勢を示しているではありませんか。開門賛成派も開門阻止派も一緒にみんなで和解案を作り上げようと呼びかけているわけです。裁判所もここまで踏み込んだ、そして漁民側もここまで踏み込んでいる。農水省、どうするんですか。この呼びかけに対して農水省は応じないんですか、どうなんですか。
○野上国務大臣 四月二十八日の進行協議期日における福岡高裁の御提案内容につきましては、裁判所が非公開の場である進行協議期日を設定したという趣旨に鑑み、お答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。
いずれにしても、開門することは現実にも実現困難である上、多くの深刻な問題を引き起こすことから、国としては、引き続き、平成二十九年の大臣談話に沿うような出口を探ってまいりたいと考えております。
○田村(貴)委員 非公開とかそういうことをおっしゃったんだけれども、国側が基金案による和解解決案を出したとき、これも非公開の和解協議の場じゃなかったですか。そのときには、提出の前からリークをし、そして提出後はマスコミを含めて、メディアも含めて積極的に宣伝していたじゃないですか。
基金案が協議の対象になるときは積極的に語って、都合が悪くなったら口をつぐんでしまう、余りにも虫がよ過ぎると言わざるを得ません。国が起こした裁判の当事者である、その国が取るべき姿勢ではありません。
今度の和解協議提案に対しては大変大きな反響が上がっています。私も、佐賀県の漁業者あるいは有明四県の漁業者からの声も聞いてまいりました。今度の和解協議は大変重みがある、ここで頑張っていきたい、国も応じてほしいとみんな一様に言われたわけであります。
自分たちの条件が認められない限り和解協議に応じないというのであれば、じゃ、これまでおっしゃってきた、条件が整えば会うと言っていた今までの発言、答弁というのはうそになっていくわけですよ。
和解協議勧告ではこういうことも指摘しています。これは国の立場についての言及です。よく聞いてください。
とりわけ、本件確定判決等の敗訴当事者という側面からではなく、国民の利害調整を総合的、発展的観点から行う広い権能と職責とを有する控訴人の、つまり国ですね、控訴人の、これまで以上の尽力が不可欠であり、まさにその過程自体が今後の施策の効果的な実現に寄与するものと理解している。
国がこれまで以上の尽力が不可欠であると指摘をされています。尽力が不可欠であると指摘された国は、どう受けとめていますか。
○牧元政府参考人 お答え申し上げます。
繰り返しで恐縮でございますけれども、四月二十八日の進行協議期日におきます福岡高裁の御提案内容につきましては、裁判所が非公開の場である進行協議期日を設定したという趣旨に鑑みまして、この内容についてコメントすることを差し控えさせていただきたいと思います。
国におきましては、訴訟の長い経緯がございますけれども、その中で、先ほど来大臣からも御答弁がございましたような形で、平成二十九年の大臣談話に沿うような形での出口の模索というものに努力をしてきたところでございます。
○田村(貴)委員 国は長年、基金による和解を二〇一六年から主張されてきているでしょう。全然前に進まなかったじゃないですか、これまで。だから今度の事態に至っているわけなんですよ。本当にかたくなだと、かたくなな態度と言わざるを得ません。不誠実な態度と言わざるを得ません。
既に裁判所からの和解協議提案は広く知られ、そして公開され、報道もされています。関係する団体からも声明が出されています。
例えば日本環境会議、JECは、五月十一日、福岡高裁による和解協議の開始提案を全面的に支持し、今後における速やかな進展を強く期待するとの理事会声明を発表いたしました。
沿岸漁業者一万二千人で構成する、原告の漁業者も参加しているJCFU、全国沿岸漁民連絡協議会は、この和解勧告を心から歓迎するとの声明を発表しました。
声明文の中に、有明海を再生し、次世代に豊かな海を継承し、持続可能な地域づくりを成し遂げていくためには、これまでの農民、漁民間の意見対立、地域分断を乗り越えて、夢のある有明の地域未来づくりに向け和解協議が進展に向かうことこそが最善の道としているわけであります。国は、排水門閉鎖や基金案に固執することなく、高裁勧告を尊重し、有明漁民との和解協議に真摯に向き合うように強く要望すると。
日本全国、いい勧告が出たな、これで歩み寄って、そして一からスタートして話し合って、いい和解の方向、解決案が出ればいいな、こんな声がたくさんあるわけです。裁判所の勧告からちょっと外れても、今、日本全国でこうやって、何とか話し合って解決してほしいという世論があるわけです。この世論についてはどういうふうに受け止めていますか。
○野上国務大臣 そのような要請があったことは承知をいたしております。
係争中の訴訟に関わる具体的な対応についてお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。
有明海の漁業をめぐっては、私も、昨年十二月に長崎県及び佐賀県へ出張しまして、両知事を始めとする地元関係者の方から直接御意見を伺いました。一刻も早い有明海の再生を望む思いを強く感じたところであります。
引き続き、有明海が豊かな海として再生したという、漁業者の皆様にその結果を実感していただけるように、関係者の皆様の御意見を伺いながら、有明海再生の取組をしっかりと推進してまいりたいと考えております。
○田村(貴)委員 だとするならば、これまでの対応では駄目ですよ。
大臣も現地に行かれた、そして有明海の一日も早い再生を述べられた、今も述べられた。そして、有明海のシンボルはタイラギだと言った。タイラギは九期連続休漁ですよ。捕れる捕れると言っているけれども、捕れているのはシバエビぐらいで、そのシバエビも捕れなくなった。潜水漁業がもう継承できない、これは佐賀県の県知事も漁業者も大臣にじかに言われたでしょう。今、危機的状況なんですよ。タイラギの漁業者が海に出ることなく、タマネギを作っているんですよ、農地で。そして、四か月、船に乗ることなく、漁に出られないんですよ。なぜ出ないのか。捕れるものがないからなんですよ。ノリだって不作の状況にある。
今日はちょっと質問する時間がなかったんだけれども、大変な状況を変えるためにやっと裁判所が画期的な提案をしたわけであります。そもそも紛争の原因をつくったのは国であります。確定判決に従わなかった国に責任があるわけであります。進行期日、あるいは非公開の和解の場と、いろいろ言いましたけれども、そういうことを理由にして逃げてもらっては困るわけであります。
和解協議勧告を正面から受け止めて、漁業とそして農地の問題解決に力を尽くしていただきたい、そのことを再度強く要請して、今日の質問を終わります。
○高鳥委員長 次に、玉木雄一郎君。
○玉木委員 国民民主党の玉木雄一郎です。
ちょっと順番を変えて、まず、備蓄米の子供食堂、子供宅食への支援について伺いたいと思います。
先日、NPOのしんぐるまざあず・ふぉーらむの調査が出まして、会員に聞いたところ、今年の二月までで、米などの主食を買えないということが、よくあった、時々あったを合わせて、都内で三割を超えるそういう家庭がある、都外では四割を超える、肉、魚を買えないというのは共に五割ということです。貧困家庭の状況というのは、特に一人親家庭は、非常にコロナによって影響を受けているということです。しかも、今回、緊急事態宣言が更に延長されて、対象地域も愛知県、福岡県が加わる、蔓延防止等重点措置の対象地域も広がるということで、こういったことにもっとやはり目を向けていかなければならないのではないかなと思います。
そこで、当委員会でも何度も議論に出ておりますけれども、コロナで一人親家庭の子供が体重が減ったという話があった、これも出ていましたけれども。都内で九%ぐらいの子供が、子供は普通ほっておくと体重が増えていくじゃないですか、ですが、体重が減少する。しかも、給食の止まる八月、九月は一一%の子供が体重が減った。これはやはり政治として、国家として見過ごすわけにはいかぬと私は思います。
そこで、この委員会でも何度も議論が出ています子供食堂や子供宅食への備蓄米の活用についてなんですが、今日はちょっとピンポイントで絞って申し上げます。
一部要件が緩和されて、子供食堂については年間六十キロから九十キロに、大臣も頑張っていただいて要件が緩和されています。
子供宅食については、食材提供団体ごとに年間三百キロ。ただ、これも、年間で六十キロとか九十キロとか三百キロというのも、人がいればすぐはけちゃうので、こういう上限については撤廃するか、ニーズに応じて、必要なら必要な分を出してあげたらいいと私は思うんです。
加えて、どうしても農林水産省の予算でやると、食育の範囲でやっていますといううったてが必要なので、レシピとか、御飯食の魅力が伝わるチラシを作らなきゃいけないとか、そういう要件がくっついていく。今まさに食べられなくて体重が減っている子供がいるので、それは役所のデマケというか役割分担とか位置づけとか関係なく、食べられなくて困っている子供がいれば出すということをこの緊急時にはやはりやるべきだと思うので、今申し上げたような、九十キロとか三百キロの年間の交付上限額や、あるいは、食育でやらなければいけないという、こういった条件、要件については大胆に緩和するか撤廃して、必要な額を必要な団体そして必要な子供に届けるべきだと思いますが、大臣、いかがですか。
○野上国務大臣 農林水産省では従来から食育の観点から学校給食に対して政府備蓄米の無償交付を行ってまいりましたが、お話をいただきましたとおり、昨年五月から学校給食の補完機能を果たす子供食堂についても対象としたところであります。また、コロナ禍の下で、子供が子供食堂に集まりにくい中で、本年二月から食育に取り組む子供宅食についても対象として交付を始めたところであります。
この子供宅食における食育につきましては、過大な要件とはしておりません。また、子供宅食の上限数量三百キログラムについては、代表的な団体への聞き取り調査の結果も踏まえまして、食材を配付している家庭の平均的な子供の人数ですとかあるいは食材の配付回数を元に設定したものであります。
その上で、子供宅食等への政府備蓄米の無償交付に当たっては、これは実施を始めたばかりでありますので、厚生労働省とも連携しつつ、効果的な事業実施に努めてまいりたいと思いますし、今後、子供宅食について取り組む団体から農林水産省に申請相談があった場合には、厚労省の支援対象見守り強化事業等も紹介するなど、双方の事業が効果的に活用されるように更に一層の連携を図ってまいりたいと考えております。
○玉木委員 似たような事業も、たしか、今大臣がおっしゃったような、厚労省の支援対象児童等見守り強化事業、食事の提供をする民間団体を支援するような事業もあるんですが、これはまさに役所の縦割りを超えてやるべき一番の問題だと思うんです。坂本大臣が担当するのかもしれませんけれども。
いずれにしても、各省庁、特に閣僚懇談会なんかで話してもらいたいんですよ。やはり大臣同士が認識を持って、これをやりましょうということでやればかなり進むと思います。反対する人はいないと思いますから。こんなところに農水省が手を出してきてけしからぬと厚労省も言わぬと思いますし。だから、この辺は、是非、これからいろいろな団体のニーズも聞きながら、必要であれば年間三百キロの上限なんかも柔軟に変えていただいて、やっていただきたいということを改めて求めたいと思います。
関連して一つ申し上げますが、備蓄米なんですけれども、私、選挙のことを言って申し訳ないんですが、秋選挙になったら出来秋が大変ですよ、本当に。我々が心配することじゃないけれども。いや、本当に、与党の先生方は特に危機感をお持ちだと思いますが、今年の出来秋は大変なことになるんじゃないかなと思います。
選挙のことだけではなくて、ある程度農家の安定的な収入を確保するとか、将来に希望を持ってもらいたいというときに、ここでやはりきちんと政治が動くべきで、生産調整をやめるとか直接需給に関わらないというのは建前でずっとやってきたんですけれども、減反を廃止しますということを言いたいがためにいろいろなことを工夫して、しかも需給調整を間接的に間接的にやってきているんですけれども、結局需給調整に関わるのであれば、緊急時には直接関わったらいいんですよ。平時においてはなかなかそういうことは難しいと思いますが。
まどろっこしいことをするんじゃなくて、危機時にはきちんと国が需給に対して関与していくということを、私は、危機時の対応としてやればいいと。コロナを見て、日本が弱いのは、平時と有事の切替えが非常に弱い体制なんですよ。平時のままずっと引っ張っていって、有事も同じことをするからうまくいかない。米価というか、需給の緩みについても相当いろいろなことを考えないと、この秋は大変なことになるなと農家の方も既に心配しています。
そこで、備蓄米二十万トン、五年間ということなんですけれども、ここは今申し上げたような備蓄米に対して一方の需要もあるので、緊急的に増やして買い上げるということもやるべきじゃないかと思いますけれども、大臣、改めてこれについて伺います。
○天羽政府参考人 お答え申し上げます。
備蓄米の買入れを増やすべきではないかという御指摘でございますが、先ほど来委員の御指摘のとおり、一年二十万トン、今はTPP対策の豪州分も含めて二十一万トンでございますけれども、これを毎年買って、適正備蓄数量百万トンの中で運用していくという方針でございます。コロナ対策ということで数量を増やしたりというふうなことは、政府備蓄米の運用としては好ましくないと考えております。
○玉木委員 役人はそう答えるんですよ。ここからはやはり政治判断だから。これだけ需要が、つまり飲食店を開くなという政策を一方でやっているんですから、それに伴って米の需要もどんどん減っていくし。ここをどうするのかというのは、通常の備蓄米の発想と考え方、もし必要だったら特別枠をつくるぐらいの立法をしてでも対応すべきだと私は思うんです。副大臣は頭を振っておられますけれどもね、横に。縦じゃなくて。でも、何か考えないと。
それだったら、価格についても需給についても国は知りませんといって突き放せばいいんですよ。中途半端に期待させるから、あるいは飼料用米をたくさん作らせれば主食用米が引き締まるから大丈夫なんてずっと言い続けてきたから、それを信じて頑張ってきても報われないことが、またこの秋に行われそうになっているということですよ。
であれば、百年に一回とかの感染症が起こっている以上は、何らかの特別な措置を講じるということは今年考えておかないと、いつまでたっても同じことは繰り返すし、将来見通しが立たないということは厳しく指摘をしておきたいと思います。こういうときこそ政治が動くべきだと私は思います。
次に、人・農地プランについて伺います。
大臣、まず、人・農地プランについては実質化ということが行われてきていますけれども、現状についてまず伺います。
二〇一九年度、二〇二〇年度として形骸化している人・農地プランを実質化しようというふうにやってきましたけれども、初年度の実績はたしか三%、私の計算だと二・八%だと思いますが、それは事実ですか。
○野上国務大臣 人・農地プランでありますが、御案内のとおり、地域の話合いに基づいて今後の地域農業の中心となる経営体あるいは将来の農地利用の在り方を明確化しようとするものであります。
このプランについて、真に地域の話合いによるものとなるように、令和元年の六月から実質化の取組を進めてきたところでありますが、今御指摘いただきましたとおり、令和二年三月末までの状況としては、実質化が終了した地域が十二万ヘクタール、これは全耕地面積の三%であります。実質化に取組中の地域が二百十二万ヘクタール、全耕地面積の四八%となっているところであります。
○玉木委員 三%しかないんですね、全耕地面積の実質化ができたところが。今取組中がまだ全耕地面積の四八%、それと実質化の取組が全く行われていない地域が全耕地面積の一一%ありますから、半分以上は今はまだ手つかず、結果が出ていないということなんですね。ここをどうしていくのかというのはすごく問題ですし、あと一年で本当にできるのかということ。
更に伺いますが、その三%の中身なんですけれどもね。実質化というから、ちゃんと地図も描けて、将来の話合いをして、こういうところはこういう人がやるんですよというふうに決まっていることを実質化と思ったら、一応実質化の取組が終了した地域の三%の中でも、中心経営体が農地を引き受けられない地域が六六%あるということなんですよ。
つまり、受け手がまだ決まっていないのがそのうち更に六六%ですよ。つまり、中心経営体が農地を引き受けることができているところは逆に言うと三四%です、三分の一しかないので。だから、実は、受け手も含めてきちんと決まって取組が終了した地域は全体の三%の三分の一ですから、一%しかないんですよね。これは正しいですよね。役所でいいから答えてください。
○光吉政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘の切り口での数字というのは求めていませんが、先ほど委員がおっしゃったように、三%ですとかあるいは六六%が、将来の受け手が、出し手の方が多いという状況にあるというのは事実でございます。
○玉木委員 でしょう。だから、単純計算ですよ。数字がないって、簡単じゃないですか。三%のうち六六%は決まっていない、決まっているのは残りの三四%ということだから一%じゃないですか。だから、私、結構大変なことだと思う。どうしていくんですかということなんです。
取組が終了した地域はまず三%しかない。その三%のうち受け手が、後継者未定、不明の高齢農業者の農地のあるプランのうち、中心経営体がその農地を引き受けられないものが六六%だった。誰が引き受けるんですか。
認定農業者、認定新規就農者、集落営農組織、この三者についてしか基本的には支援の対象にしてもいないし受皿としては認めていないんですけれども、一方で半農半Xということを最近やたら言い始めるようになって、果たして、人・農地プランはまずそもそも実質化が物すごく遅れているということ。できた中でも受け手が決まらない。大臣、どうやっていきますか。
○野上国務大臣 先ほどの数字、令和二年三月末までの数字でございますが、現在、令和三年三月末までの状況を調査しているところでありますが、新型コロナの影響もあって実質化の取組に遅れが出ている状況であることは事実であると認識をしております。
人・農地プランの実質化の取組につきましては、特に期限を設けているものではありませんが、農業者の高齢化の進展を踏まえれば、これは早期に取組を実施していく必要がありますので、更に実効性のある人・農地プランとしていくための具体的な方策についてしっかり検討してまいりたいと考えております。
○玉木委員 大臣、具体的な取組を検討すると言うけれども、検討しておかないとできないじゃないですか。
私は、ずっと人・農地プランをやれやれと言ってきた立場でもあるし、それとセットで中間管理機構もつくろうということだったんですが、農業委員会等の機能を分けたりいろいろなことをしながら複雑な仕組みにしてしまって、なかなか地域の、まあ、複線化してしまってややこしくなっているところもあって、誰がどう担っていくのかということについても非常に不明確になっているんですね。
さっき神谷委員からもありましたけれども、一部現場では、農業会議と中間管理機構が合併をするとかいろいろなことが行われているんです。それぞれ地域の取組は様々尊重してやったらいいと思うんですが、そろそろ農地バンクの一本足打法は無理じゃないですか。そもそも人も少ないし。
だから、推進主体そのものも含めて見直していかないと。こういう合併が出てきていることも一つの表れなのかもしれませんが、余りにも農業委員会を軽視してというか、機能を低下させて隅に置いて農地バンク中心だというふうにやり過ぎたところも、連携が法律が通って少し進むようにはなってきましたけれども。こういうところもやはり根本的に見直していくべきではないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○野上国務大臣 先ほど兵庫県の事例なども御議論があったところでありますが、具体的にどのように取り組んでいくかについては、そのような体制も含めて各都道府県におけるそれぞれの事情に応じて御判断をいただくべきものだと考えておりますが、農地集積等を推進する体制について検討される上で、兵庫県におきまして連携の一つの在り方として決定されたものと承知をしております。
今後、農地集積等の推進に向けてやはり一層の連携強化が図られていくことが必要であるというふうに考えております。
○玉木委員 今のまま何年やっても進んでいかないと思います。農地の集積八割目標も二〇二三年までですよね。あと二年でできますかね。しかも、非担い手から担い手にいかに集積していくかということをきちんと取らないと、担い手から担い手に集積が幾ら進んでも、それは本当に制度が求めたものではないと思うんですね。
こういったことについてももう一度検証して、この間進めてきた農政、あるいは推進の主体についても、このままでいいのかということについてはやはり併せて見直していかなければならないということを強く求めて、今日は質問を終わりたいと思います。残りの質問は、また今度やりたいと思います。
以上で終わります。
○高鳥委員長 次に、稲津久君。
○稲津委員 公明党の稲津久でございます。
今日は、数点、通告をしっかりさせていただいたんですけれども、大臣の御都合等もございまして、順番を変えさせていただきますので、よろしくお願いします。
まず最初に、農林水産業関係者の表彰制度についてお伺いをさせていただきたいと思います。
表彰という定義を調べてみますと、善行や功績をたたえて人々の前に明らかにすること、このようにございます。農林水産業関係者の表彰の制度、これは農林水産省を始め各種団体等において整備されておりまして、私も過去にこうした表彰式に同席したこともございまして、受賞者の励み、それから御家族、関係者の方々の喜びの姿を目の前にしたときに、つくづくと、この表彰制度はいいものだな、このように思ってまいりました。
一方で、表彰の別な面での意味合いを考えていったときに、例えば、現場での農林水産業が抱える課題を克服したとか、あるいは新たな展開をなし得た先行的なモデルを広報する、そうした意味もあるんだろうな、このように思っております。
これらのことから、功績をたたえるとともに、後に続く方々に取組を広く伝えていく、そうしたことを目的として現在の表彰制度を、何かを変えていくというよりはむしろ更に充実させていく、そうしたことが必要だろう、私はそのような問題意識を持っています。それから、農林水産省として様々な重要政策課題の対応として行う予算措置、税制、法律の制定、改正など、そうした措置の波及効果的な意味合いも含めて、表彰制度の持つ意味合いは私は大きいと思っています。
ただ、一方で、農林水産業における現代的な重要政策課題、これは、その時々で時代状況を反映して変化しています。例えば、今現在でいうと女性活躍とか農福連携、六次化、スマート農林水産業、農林水産物・食品の輸出など多岐にわたっておりまして、こうした現代的重要政策課題に対応した表彰制度にも大臣そして省としても着目をしていただきたい、私はこのように思います。
特に、農林水産大臣表彰の影響力、波及性は大変大きなものがありまして、受賞者、周辺地域あるいは関係自治体にも施策推進のモデルケースとなるものでありまして、そこで、これらの取組を推進する考え方について一つお伺いさせていただきます。
それから、農林水産祭についてですけれども、これは、天皇杯や内閣総理大臣賞などの受賞者の一段の励み、そして更に一層の波及効果があると考えます。農林水産祭を高校野球に例えると甲子園大会のようなもので、そのための予選が各分野での大臣表彰。従来からの農産、園芸、畜産、林産、水産などの大臣表彰の機会は多いと思いますが、女性活躍や農福連携、六次化などはまだまだ表彰の機会も少なく、その分、甲子園に駒を進める可能性が高くないと思います。この際、今後、これらの現代的重要政策課題の分野にも大臣表彰の機会を増やすなどを検討すべきと思いますが、いかがでしょうか。
○野上国務大臣 農林水産省では、農林水産物や製品の優劣を競う共進会ですとか品評会等におきまして成績優秀な農林漁業者、あるいは食育や農林水産物・食品の輸出等の政策課題に対応して農林水産施策の推進に貢献した事業者又は団体に対して農林水産大臣賞を授与しております。
こうした枠組みの下で、農林水産業や農山漁村の活性化等における女性活躍推進に積極的に活躍している者については農山漁村女性活躍表彰について表彰している、また、農福連携に取り組む者につきましては日本農業賞における農林水産大臣賞ですとかあるいは農林水産祭多角化経営部門における天皇杯を受賞しているところであります。
今後とも、新たな分野に取り組む農林漁業者等の励みとなり、また、農林水産施策の推進につながりますように、表彰制度の拡充につきまして積極的に対応してまいりたいと考えております。
○稲津委員 ありがとうございました。是非こうした表彰制度を更に一層充実させていただきたいことを申し上げておきます。
大臣はここで御退席していただきますので、どうぞそのようにお願いいたします。
次に、農業者の健康づくりについてということを質問させていただきたいと思うんですが、熊野政務官に今日はお越しいただきました。熊野政務官はお医者様、ドクターでいらっしゃるということで、この質問を私は前からさせていただきたいと思ったので、是非、お医者様の立場も含めて見解を伺えればな、このように思っております。
農業者はある意味個人事業主で、そして体が資本であるということから、健康診断や人間ドックを受けるなどして健康づくりを積極的に進めるべきじゃないだろうか、こう考えております。ついては、農業者の健康づくりについて農林水産省はどのような問題意識を持って、どのように対応しようとしているのかということについてお伺いしたいと思っております。
ちなみに、御案内のとおりですけれども、例えばサラリーマン等について、ここは、労働安全衛生法第六十六条に基づいて、事業者は労働者に対して医師による健康診断を実施しなければならない、逆に、労働者は事業者が行う健康診断を受けなければならない、こういうふうに義務づけになっていまして、最低でも年に一回ごとの定期健康診断が必要で、いわゆる胸部のレントゲン、エックス線検査ですとか、あるいは肝機能とか、血中の脂質、血糖、心電図検査等々がございます。
加えて、昨今の健診とか人間ドックの受診状況を見てみますと、厚生労働省が二〇一九年に国民の生活基盤調査というのを出しましたが、その中で、健診や人間ドックを受けた者の割合は、二十歳以上ですけれども、大体、二十歳以上で七〇%ぐらい。ただ、女性が一〇ポイントぐらい低いんですね。これが今の実態で、かつ、先ほど申し上げましたように、事業主あるいは労働者の方々は、いわゆるサラリーマンの大宗は健康診断をそこでしっかり受けているんですけれども、ともすれば農業者の方々についてはそうしたものが十分でないんじゃないかな、こういう懸念もありますので、政務官にお答えいただきたいと思います。
○熊野大臣政務官 お答えいたします。
農業者の方々は、日々、農作業などの生産活動のほか、経営管理など様々な業務に従事され、食料の安定供給という極めて重要な責務を担っていただいているものと認識しております。
このような中、会社勤めであれば定期的な健康診断の機会が確保されている一方、農業者においては個人経営の場合も多く、日々多忙な中で健康管理にまで十分手が回らず、健康診断の受診ができていないケースもあると承知をしてございます。
農林水産省としては、農業者の方々が健康な状態で活躍いただくためにも、今後、厚生労働省と連携し、定期的に健康診断を受診することの重要性について周知を図り、農業者の健康管理の促進に取り組んでまいります。
○稲津委員 是非お願いをしたいと思います。
ここで一点だけ御紹介しますと、東京大学の医学部附属病院の中川准教授の発表がありましたが、がんなんですね、がんはかなり進行しない限り症状が出にくい病気、だから早期がんの発見が大事だということで、大体、一センチ大のがん細胞になるまで十年から三十年ぐらいかかる、先生がこういう報告をしました。ただ、一センチの病巣が二センチになるのに二年間しかかからないと。平均ですね。だから、多くの人の体内で一、二年かけて進行がんに成長していくと。
こういうこともございますので、やはり、定期的な健康診断、そしてがん検診等、これはしっかりやっていくということを省を挙げて取り組んでいただきたいということを申し上げておきます。
熊野政務官も、所用があると伺っていますので、ここで退席して結構でございます。ありがとうございました。
次の質問ですけれども、これも済みません、ちょっと通告を変えさせていただきます。ウッドショックについて伺わせていただきたいと思いますけれども。
今、世界的な木材不足の傾向にあるんじゃないか、こういうことがよくささやかれています。輸入材が十分に日本国内に入ってきていないのではないか。それから、実際に輸入材の価格も高騰している。私が現場で聞くと、大体倍以上になっているんじゃないかというところもありました。いわゆるウッドショックが起きている。
原因は何かというと、例えば、アメリカを中心とした新築住宅の建築需要が急増している、あるいは中国が輸入を増やしている、そんなことも言われていて、一方で日本国内では、コロナの影響で家にいることが多くなって、そういう中から、この際増改築しようじゃないかとか、そういうニーズも高まってきているというふうにも関係者から伺っています。
いずれにしましても輸入材不足というのは明確だということで、日本国内ではこれまで国産材よりも輸入材への依存が高かった、それゆえに、ここに来て木材不足によって建築物件の工事の着工がされても納期が遅れるという現象が本当に顕著になってきています。このような現状をどう認識しているのか、また、その対策をどう考えているのか、お伺いします。
同時に、木材自給率三割と言われている我が国において、やはり中長期的には国産材の供給を強化する必要があるのは自明の理だと思っています。今こそこうしたコロナ禍をきっかけに必要な政策を総動員する対策を行うべきと考えますが、この点について見解を伺います。
○本郷政府参考人 お答えいたします。
輸入木材については、委員御発言のとおり、米国や中国の木材需要の増大、また世界的なコンテナ不足や船の運賃上昇等を背景に、原産国における産地価格の高騰や輸入量の減少などによって建築事業者等において不足感が生じており、国内販売価格も上昇しております。
また、輸入材の代替として国産材製品の引き合いも強くなっており、国内の加工工場も既に稼働率を上げて対応しておりますが、生産が間に合わない品目もあり、全体として製品価格が上昇するなどの状況が生じています。
こうした状況において正確な情報を把握し需給の変動に適切に対応することが重要と考えており、川上から川下までの関係団体による意見交換を実施し、情報共有を図るとともに、関係団体に対し実際の需要に基づく適切な発注等への協力要請を行ったところでございます。
さらに、将来を見据えて、関係者間で一定の信頼関係の下に輸入材からの転換を含めた国産材の需要を定着させ、川上、川中、川下の相互利益の拡大を図りつつ更なる国産材の安定供給体制を構築することが重要と考えており、具体的には、川上では、施業の集約化、路網整備、高性能林業機械の開発、導入による施業の効率化と伐採、造林の一貫作業の導入による再造林対策、川中では、製材工場の規模拡大、生産性向上に資する施設の整備、川下では、輸入材が高い競争力を持つツーバイフォー材や横架材等の国産材化に向けた技術開発、普及等を推進し、川上から川下までの関係者をつなぐサプライチェーンの構築を進めつつ、国産材が適正に評価され、安定的に供給されるように取り組んでいく考えでございます。
○稲津委員 今答弁いただいたとおりなんですけれども、短期的なところは緊急的な対応も必要かと思うんですけれども、やはり、先ほど私も申し上げましたように、今こそ中長期的なところにも視点を置いた取組が必要だろうと思っております。
昨日、国産木材の需要拡大に取り組む全国知事会のプロジェクトチームがオンラインで会合を開きまして、提言をまとめるということになっておりまして、CLTの普及促進ですとか、あるいは造林や間伐といった森林整備をしていく、また建築士の人材育成を図っていくということで、近々全国知事会で正式決定をしていく、こういう話もございました。是非そうしたことも視点に入れながら対応をしていただきたいと思います。
残りの時間で有機農業についてお伺いをさせていただきたいと思います。
消費者の食料に対するニーズの高度化、多様化などに対応した農産物の供給、あるいは環境保全に配慮した農業の推進を図ることを目的といたしまして、議員立法により有機農業の推進に関する法律が制定されまして、この法律の下に有機農業の推進に関する基本的方針が策定をされて、この中で、有機農業の推進、普及の目標、それから推進に関する施策、これが明記をされまして、非常に大事な法律が制定されてまいりました。昨年の四月に改定があったところでございますけれども、ここには推進、普及の意欲的な目標が設定された。今日はこのことから数点お伺いしたいと思います。
まず、今回改定の有機農業に関する基本的な方針に、令和二年改定ですけれども、二〇三〇年目標が設定されました。有機農業者数は一万一千八百人、二〇〇九年度です、ここから三万六千人まで増やす。もう一方で、有機JAS取得農家戸数の目標というのは特に設定されていません。JAS認証を受けなければ有機、オーガニックの表示ができないわけで、私は、こうした有機農業を進めていくのであれば、もう一方でこの有機JAS取得というところに着目した目標も本来的にいうと設定すべきじゃないか、このように思っております。この点についての所見を伺います。
○水田政府参考人 お答えいたします。
有機やオーガニックの表示を行うためには委員御指摘のとおり有機JAS認証を取得する必要があるわけでございますが、一方で、生産者と消費者の顔の見える関係、こういう中で流通しているため認証を必要としない場合もございます。そうしたことから、昨年四月に改定いたしました有機農業の推進に関する基本的な方針では、農業者が有機JAS認証を取得するかしないかについては農業者の販売戦略や経営判断によるものとしておりまして、目標につきましても、有機JAS認証の取得の有無を問わずに、有機農業をされている有機農業者の数を目標ということで設定しているところでございまして、有機JAS認証を取得した農家のみでの目標設定は行っていないところでございます。
ただ、一方で、今後、有機農産物の生産を拡大するとともに、有機食品の市場の拡大といったものもございます、量販店など販路の多様化といったものが進んでくるということになりますと、有機JAS認証の取得は更に重要になってくるというふうに考えているところでございます。
今後、こういった有機JAS認証を取得した農産物に対するニーズ、あるいは認証取得に対する有機関係者の御意見、こういったものもしっかり伺いながら、必要に応じて、有機JAS認証を取得した農家戸数などを目標とすることの可否など、こういったものも含めまして、有機農業を進める上での目標設定の在り方についても検討してまいりたいと考えております。
○稲津委員 もう一点、有機農業の取組面積に関してJASの目標も設定されたので、このことも申し上げたいと思ったんですが、時間の関係上やめます。
はっきり申し上げますけれども、有機農業を本格的に本気で推進していくのであれば、私は、有機JASにきちんと着目しなきゃいけないだろう、このことは明確に申し上げておきたい。もちろん、今答弁なされたことがベースになると思いますけれども。
その上で一点だけ伺って終わりますけれども、実際に有機JAS認証を受けている方からお聞きしますと、大変な困り事がありました、今日の議論の中でもありました。欧米のように有機野菜が売れない、販路が確立していない、消費者、農業団体等の有機農業に対する理解が浸透していない、農業高校、農業系の大学で学生が有機農業について学ぶ機会が少ない。だから、そういうことを本気で考えていくのであれば、私は課題解消の施策を今こそ打つべきだと考えています。
そこで二点だけ伺って終わりますけれども、一つは、やはり、先ほどの販路拡大とか多収品種の確保とか、現場は非常に困っている、それなりに有機農業経営を支援するためには、税制上の優遇措置ですとかそうしたことも必要ではないか。二点目、有機JAS認定の手数料を負担軽減できないか。相当高額になっている場合もございます。そのことについて是非明確な御答弁をいただきたいと思います。
○高鳥委員長 既に申合せの時間が経過しておりますので、簡潔にお願いします。
○葉梨副大臣 御指摘のとおり、有機食品のマーケット拡大、また輸出のことを考えますと、国際標準であります有機JASの取得というのは非常に重要です。ただ、私自身も農業者の方から非常に負担となっているというお話は聞いています。
現状の取組を簡単に申し上げますと、令和二年度からでございますが、新しく有機農業に取り組む農業者を中心に、研修受講あるいは初回の圃場実地検査の受検、有機JAS制度に関する相談、指導を受けやすくするための指導者の育成支援、さらには、環境保全型農業直接交付金による支援単価、これを増額したというのは非常に大きいと思いますが、今年度もこの取組を続けてまいります。
今御指摘の点でございます税制ですとか手数料の軽減、これは、二〇五〇年を目標にしたみどりの食料システム戦略を五月半ばに策定して、六万三千は二〇三〇年ですが、二〇五〇年には百万ヘクタールという目標を掲げておりますので、やはり更なるいろいろな支援を検討していかなければいけないと思いますので、御指摘を踏まえて、しっかりと多面的に検討をさせていただきたいと思います。
○稲津委員 終わります。
○高鳥委員長 次に、加藤寛治君。
○加藤(寛)委員 しんがりになりましたけれども、時間に限りがございますので、農林水産関係の基本施策について質問をいたします。
まず申し上げたいことは、政府が独立国家として果たさなければならない責任と使命は、国民の安全、安心な生活、暮らしを保障することだと受け止めております。また、そのような条件を満たすためには、数多くの諸課題を解決しなければなりません。
中でも、まず第一は、人間がお互いに生きていくために必要不可欠な食料の安定的な供給であると思います。農は国家の大本なりは言い古された言葉ではございますけれども、自分自身、片時も忘れることなく、肝に銘じるためにもあえて申し上げました。
しかしながら、御承知のように、我が国の食料自給率は、昭和四十年には七三%余ありましたけれども、以降、下がり続けて四〇%を切って、現在三八%でございます。政府として、令和十二年達成目標として食料自給率四五%を目指しておりますが、これまでも数値目標を定めて取り組んでまいりましたけれども、なかなか達成できずに下降傾向の一方であります。そこで、達成するための基本的な施策と、また自信についてもお伺いをいたします。
それと、御案内のように、現在、新型コロナウイルス感染の影響によりまして、あらゆる産業が大変厳しい状況下にございます。農業界においても、ほかの産業と同様に大変危機的な状況にあります中で、政府、農水省におかれては、厳しい状況にある作目等において、営農継続を可能にするために再生産対策を打ってこられました。これらの施策について、農家も、感謝をしながら希望と意欲を持ってこれまで営農継続、再生産に取り組んでおります。しかしながら、これほど新型コロナウイルス感染状況が長引くとは誰しも思わず、農業関係者は今後の営農継続に大変不安を抱いております。そこで、農水省において今後の営農継続対策としてどのような対策を打っていかれるつもりか。
まずこの二点についてお伺いをいたします。
○葉梨副大臣 時間の関係もありますので、簡潔にお答えしたいと思います。
食料自給率目標ですけれども、一つには、やはり、食料・農村・農業基本計画にも位置づけられました、米について一人当たりの需要量の減少傾向に歯止めをかけるということが非常に大切だと思います。党においても議論していただいておるところです。
その上で、やはり、我が国の農業の生産基盤、これをしっかりと高めていかなければいけないということで、小麦や大豆等の輸入品を国産農産物に切り替えること、五兆円の輸出目標に向けて対応した畜産、リンゴ、ブドウ、イチゴなどの果実の増産、農業経営の底上げにつながる生産基盤の強化、荒廃農地の発生防止や解消、持続可能な農業構造の実現に向けた担い手の育成、確保、さらに、食と環境を支える農業、農村への国民理解の醸成、これを国民運動として行うということを本年考えておりますが、こういったことをさせていただいております。
これが相まって、食料自給率目標というのは消費面と農業生産面で取り組む事項を明確にした上で品目ごとに設定させていただいておりまして、私は実現は可能だと思っておりますが、更なるしっかりした努力が必要であることは言うまでもないというふうに肝に銘じております。
また、コロナの影響でございますけれども、御指摘のように、第二回の緊急事態宣言がありました、そのときも、例えば、つま物ですとかスダチやカボス、これが価格がぐっと低下をしたということで、御指摘のありました次期作の支援ということ、これを第四次募集ということでかけさせていただいて、市場価格が低下した農家についてしっかりした支援を行わせていただいて、農家の安心を確保させていただいたというふうに考えておるところでございます。
今回、第三次の緊急事態宣言ということ、あるいはコロナの影響がどのように長期化するかというのがなかなか見通せないということでございますので、外食の動向、中食の動向、消費の動向、あるいは市場価格の動向をしっかりと注視して、適宜適切な支援策を検討できるように、しっかり市場の動向を注視していきたいというふうに考えています。
○加藤(寛)委員 それぞれ御答弁をいただきましたけれども、コロナ対策につきましては、今後とも農業関係者が営農を継続できるよう、状況等を見極めていただきながら政府としてしっかり対策を講じていただくように、重ねてお願いを申し上げておきたいと思います。
もちろん、食料安保の面からも、様々な政策、施策を講じて農業を守ることは政府の使命だと私は考えております。中でも、農業の基本というのは農地、水、太陽であると思います。農地は、いかに多くの優良農地を確保できるかが大命題であろうと思います。太陽、自然は人知ではいかんともし難いことでありますけれども、しかし、農地と水は人知と努力によって私は解決できるものと確信をいたしております。
ところが、農地については年々減少傾向にございます。統計によりますと、平成二十一年には現農地が四百六十万ヘクタールであったのが、平成二十七年には四百五十万ヘクタールに減少しておりますし、さらに、令和二年では四百四十万ヘクタールを切っております。一定の面積の農地が確保できなければ、国民への安定した食料の供給は不可能となります。
平成二十七年当時だったと思いますけれども、農水省の食料自給力試算の中で、最低四百五十万ヘクタールが確保できておれば、一旦有事の際でも国民の食料は最低生きていけるだけの量を賄うことができるということでした。その際は、もちろん主食は米やパンではなくサツマイモということだったと思います。しかし、現在四百四十万ヘクタールを切った状態であり、更に今後減少すると予測されております。このような状況では、有事の際には国民に芋でさえも十分供給できなくなるのではないかと私は非常に危惧をいたしております。
そこで、農地が減少している原因と、優良農地を確保するための施策についてお伺いをいたします。
○牧元政府参考人 お答えを申し上げます。
農地は委員の御指摘がございましたように農業生産の基盤でございまして、食料の安定供給の観点から、適切に確保していくことが大変重要でございます。
我が国の農地面積でございますけれども、昭和三十六年をピークにいたしまして減少しているということでございます。
農地面積の減少の理由でございますけれども、高度経済成長期またバブル経済の頃には転用需要が大変多かったということが最大の要因でございましたが、近年は、農業者の高齢化の進行あるいは担い手不足等の構造的な要因によるところが大きいのではないかと考えているところでございます。
こういった中で、優良農地を確保するために、農業振興地域制度また農地転用許可制度といったような制度の適切な運用によりまして農地の確保に努めますとともに、農地中間管理事業による担い手への農地の集積、集約化を加速化いたしますとともに、日本型直接支払制度あるいは基盤整備などの各種の施策を強力に動員いたしまして、荒廃農地の発生防止と再生利用というものに努めているところでございます。
今後とも、食料の安定供給のために必要な農地が確保されるよう、施策を推進してまいりたいと考えております。
○加藤(寛)委員 農地の減少の原因として、転用とか高齢化により耕作されない土地が増えたという答弁もいただきましたけれども、耕作放棄地、耕作されない農地の最大の原因というのは、私はやはり圃場整備の未整備が非常に大きな原因ではないかという思いを常々持っております。
転用された場合は、それぞれ目的があって転用されて、農地から宅地になれば固定資産評価が上がって税収はそれなりのものがありますけれども、ただ単に放置、耕作を放棄された土地というのは周囲の農家にも迷惑をかけますし、荒れ地になりますと害鳥獣のすみかにもなって、二重三重の害があって、百害あって一利なしというような思いが私はしております。
そうした中で、いかにして耕作放棄地を少なくするかというのが私は大きな命題であろうと思います。もちろん、中間管理機構とか農地バンク等々の施策を講じられて、これまでそうした状況を解決すべく取り組んでこられましたけれども、私もその施策については当時評価をしながら非常に期待を持っておったわけですけれども、なかなか思うに任せないというような状況が現在もあるようです。
そうした中で、本人の所有の農地であれば少々使い勝手が悪くても耕作を継続していくわけでございますけれども、その農家に後継者がいない場合には、使い勝手の悪い農地というのはどなたも借受け手がいなくて、結果的に耕作放棄地となってしまいます。しかしながら、圃場整備された機械化できる農地であれば、友人、知人が借り受けて、規模拡大のために耕作が継続されますから、耕作放棄地は発生せずに、農地の減少に歯止めがかかる、私はこのように理解をいたしております。
そこで、農地基盤整備、圃場整備は毎年いかほど、何ヘクタールの進捗状況であるのか。平成二十五年から令和二年まで、でき得れば各年別、そして合計の面積についてお伺いします。ただし、以前整備済みで大区画化したものは除いてお願いします。
○牧元政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のように、農地を守っていくためには基盤整備を進めていくということが大変重要かというふうに考えているところでございます。
そして、お問合せがございました圃場整備の面積、畦畔除去による簡易な大区画化を除いた面積でございますけれども、平成二十五年度から、最新の調査結果が平成三十年度まででございますので六年間のデータでございますが、六年間で合計四万四千ヘクタールということでございます。各年度別の整備面積は、平均で約七千三百ヘクタールとなっているところでございます。
○加藤(寛)委員 人・農地プラン施策の中で、農地集積を進めて、全農地の八割が担い手、経営体により耕作されるような構造にしていくという目標が定められております。その際、担い手に利用されていない農地を利用している中小規模の経営体においても、担い手とともに地域を支えている実態を踏まえて、営農の継続が図られるように配慮していくとされております。
優良農地を確保していく観点から、今後とも圃場整備並びに農地集積にしっかりと取り組んでいくことが私は重要であると考えますが、改めてその考え方についてお伺いをいたしたいと思います。
○池田大臣政務官 多様な経営体が我が国の農業を支えている現状を踏まえまして、中山間地域等の地理的条件あるいは生産品目の特性など地域の実情に応じ、家族、法人の別など経営形態にかかわらず、経営改善を目指す農業経営体を担い手として育成していくとともに、担い手に利用されていない農地を利用している中小規模の経営体等につきましても、持続的に農業生産を行い、担い手とともに地域社会を支えているという実態を踏まえて、営農の継続が図られるよう配慮していくこととしております。これらを踏まえまして取り組んでまいりたいと考えております。
○加藤(寛)委員 それぞれ、食料自給率向上のためのいろいろな施策についてお伺いしたわけでございます。
例えば、イギリスの例を取って考えましたときに、イギリスは現在、食料自給率が日本の昭和四十年当時の七十数%であると聞いております。ところが、イギリスも第一次世界大戦当時は四〇%前後だったそうです。ところが、第一次世界大戦、第二次世界大戦の中で海上封鎖をされて食料が入ってこなくなった、それで非常に英国の国民は悲惨な目に遭ったというその経験を踏まえて、イギリスは、食料増産、食料は自国で生産しておかなければ将来悲惨な目に遭うというようなことで取り組んで、ようやく一九八〇年代、第一次世界大戦後五、六十年して達成して現在に至っておるという話を聞いております。
日本もイギリスと同様に島国でありますから、一旦有事があった場合にそのような同じような状況になったら、食料が入ってこなければ日本の国民というのは悲惨な目に遭うということが私が非常に危惧する大きな要因の一つであります。どうかそういうことに至らぬように、農地だけはしっかり確保しながらしっかりと食料自給率を上げていくことが、私はやはり政府として、国家として最重要課題ではないかという思いです。
食料自給率向上のためには、やはり基盤整備をしっかりして農業後継者を育てる。農業は三K産業と言われますけれども、私は四K産業だと思います。危険、きつい、汚い、三K産業。四Kは、収入が少ない、要するに金欠。だから農業は四K産業だ、私はこのように考えております。そういうことで、しっかりと、収入がなければ後継者は育ちません。規模拡大を図れば必然的に収入も増えるわけです。そのためにはやはり、圃場整備をしなければ機械化できません。機械化できなければ規模拡大ができません。そういうことを基本に置きながら、是非とも食料自給率アップのために圃場整備の更なる推進をお願いしておきたいと思います。
最後に、肉用牛肥育経営安定交付金制度についてお尋ねをいたします。
牛マルキン制度につきましては、当初は県単位での算出方法で交付金決定がなされておりましたけれども、複数の県から現状の県単位での算出方法での不公平の点を指摘されたのを受けて、近隣の数県を含むブロック制での算出方法に変更した結果、大部分の不公平感は払拭できたかに見えました。しかしながら、その後、一部の地域の指摘により、昨年八月、枝肉価格の極めて高い県については県単独で算定する運用改善をされたとお聞きしました。
まず、どのように改善されたかをお聞きいたします。また、今後そうした状況が指摘された場合には現場の声をしっかり聞いて対応してほしいと思いますので、よろしくお願いをいたします。その点についての御見解もお願いをいたします。
○水田政府参考人 お答えいたします。
牛マルキンにつきましては、従前から交付金単価の県間格差が大きくなっていたところ、昨年春に新型コロナの影響で枝肉価格が大きく下落した中で、十万円以上の交付金単価となる県もあれば発動がない県も見られ、このままでは関係者間の不公平感が高まり牛マルキン制度自体への信頼が失われかねない状況であったことから、昨年の五月、標準的販売価格を県別算定からブロック別算定とする見直しを行ったところでございます。
その後、枝肉価格の回復に伴いまして、一部の県では枝肉価格が極めて高い水準になりまして、こうした県が属するブロックにおきましては標準的販売価格が引き上げられまして、同じブロックのほかの県におきましては、その県の事情によらずして交付金単価が極端に低くなってしまうという事態となったところでございます。
このような事態を回避するために、昨年八月支払い分から運用改善を行いまして、枝肉価格が極めて高い県につきましてはブロック別算定から除いて県単独の算定とする運用改善を行うこととしたところでございます。この運用改善と併せまして、昨年五月のブロック別算定とする見直しの効果があったものというふうに考えているところでございます。
農林水産省といたしましては、引き続き、牛マルキンが肉用牛肥育経営のセーフティーネットとして有効に機能するよう、現場の声も聞き、適切に運用してまいりたいと考えております。
○加藤(寛)委員 以上で終わります。
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○高鳥委員長 次に、内閣提出、農水産業協同組合貯金保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。
これより趣旨の説明を聴取いたします。農林水産大臣野上浩太郎君。
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農水産業協同組合貯金保険法の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
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○野上国務大臣 農水産業協同組合貯金保険法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
金融システムの安定に係る国際的な基準においては、グローバルな金融システム上重要な金融機関について、当該システムの著しい混乱が生ずるおそれがあると認められる場合に、その資産及び負債の秩序ある処理に関する措置を講ずることができる仕組みを整備することが求められております。
農林中央金庫は、農林水産業者の協同組織を基盤とする金融機関として、国際的な活動の規模を拡大し、金融システム上の重要度が高まっており、今般、国際的な基準に対応するため、この法律案を提出した次第であります。
次に、法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
第一に、農林中央金庫の資産及び負債の秩序ある処理に関する措置の必要性の認定についてであります。
主務大臣は、農林中央金庫について、その資産及び負債の秩序ある処理に関する措置が講ぜられなければ金融システムの著しい混乱が生ずるおそれがあると認めるときは、金融危機対応会議の議を経て、この措置を講ずる必要がある旨の特定認定を行うことができることとしております。
第二に、農林中央金庫に対する農水産業協同組合貯金保険機構による監視等についてであります。
主務大臣は、特定認定を行ったときは、農林中央金庫を、その業務の遂行並びに財産の管理及び処分の貯金保険機構による監視をされる者として指定するものとし、貯金保険機構は、農林中央金庫の役員等の解任及び選任を行うことができること等としております。
第三に、農林中央金庫に対する資金の貸付け及び優先出資の引受け等についてであります。
貯金保険機構は、特定認定に係る農林中央金庫に対する資金の貸付け等を行う旨の決定をすることができることとし、主務大臣は、貯金保険機構による特定認定に係る農林中央金庫の優先出資の引受け等について、その経営の合理化のための方策の実行が見込まれる等の場合に、これを行うべき旨の決定をするものとしております。あわせて、農林中央金庫又は会員である農水産業協同組合に係る特定負担金、政府による補助等について定めることとしております。
以上が、この法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
○高鳥委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
次回は、来る十九日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時十三分散会