第9号 令和3年5月19日(水曜日)
令和三年五月十九日(水曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 高鳥 修一君
理事 加藤 寛治君 理事 齋藤 健君
理事 津島 淳君 理事 宮腰 光寛君
理事 宮下 一郎君 理事 亀井亜紀子君
理事 矢上 雅義君 理事 稲津 久君
伊東 良孝君 池田 道孝君
泉田 裕彦君 今枝宗一郎君
江藤 拓君 金子 俊平君
木村 次郎君 小寺 裕雄君
佐々木 紀君 佐藤 明男君
斎藤 洋明君 鈴木 憲和君
高木 啓君 西田 昭二君
根本 幸典君 野中 厚君
福田 達夫君 福山 守君
細田 健一君 渡辺 孝一君
石川 香織君 大串 博志君
金子 恵美君 神谷 裕君
近藤 和也君 佐々木隆博君
佐藤 公治君 緑川 貴士君
濱村 進君 田村 貴昭君
藤田 文武君 玉木雄一郎君
…………………………………
農林水産大臣 野上浩太郎君
農林水産副大臣 葉梨 康弘君
経済産業副大臣 長坂 康正君
内閣府大臣政務官 和田 義明君
厚生労働大臣政務官 こやり隆史君
農林水産大臣政務官 池田 道孝君
政府参考人
(農林水産省大臣官房長) 横山 紳君
政府参考人
(農林水産省大臣官房総括審議官) 青山 豊久君
政府参考人
(農林水産省生産局長) 水田 正和君
政府参考人
(農林水産省経営局長) 光吉 一君
政府参考人
(農林水産省農村振興局長) 牧元 幸司君
政府参考人
(中小企業庁事業環境部長) 飯田 健太君
参考人
(農林中央金庫代表理事兼常務執行役員) 八木 正展君
農林水産委員会専門員 森田 倫子君
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委員の異動
五月十九日
辞任 補欠選任
上杉謙太郎君 佐藤 明男君
同日
辞任 補欠選任
佐藤 明男君 高木 啓君
同日
辞任 補欠選任
高木 啓君 上杉謙太郎君
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
農水産業協同組合貯金保険法の一部を改正する法律案(内閣提出第五八号)
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○高鳥委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、農水産業協同組合貯金保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、参考人として農林中央金庫代表理事兼常務執行役員八木正展君の出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として農林水産省大臣官房長横山紳君、大臣官房総括審議官青山豊久君、生産局長水田正和君、経営局長光吉一君、農村振興局長牧元幸司君及び中小企業庁事業環境部長飯田健太君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○高鳥委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○高鳥委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。宮下一郎君。
○宮下委員 自由民主党の宮下一郎でございます。
本日は、農水産業協同組合貯金保険法の一部を改正する法律案について質問させていただきます。
この法律は、一言で言いますと、農林中央金庫がグローバルな金融システム上重要な金融機関、G―SIB、お配りした資料によりますと、グローバル・システミカリー・インポータント・バンク、この略でG―SIBというわけですが、G―SIBとして選定された場合に備えまして、現行法の仕組みに加えて、金融システムの安定を図るための秩序ある処理に関する措置を追加するものであります。
そこで、まず、農林中央金庫の果たしている役割などについて質問したいと思います。
農林中央金庫の目的につきましては、農林中央金庫法の第一条に、農林中央金庫は、農業協同組合、森林組合、漁業協同組合その他の農林水産業者の協同組織を基盤とする金融機関としてこれらの協同組織のために金融の円滑を図ることにより、農林水産業の発展に寄与し、もって国民経済の発展に資することを目的とすると書かれております。
こうしたことを踏まえまして、農林中金が農林水産業の発展のために果たしている役割についてどう認識をしておられるのか、野上農林水産大臣にお伺いをしたいと思います。
○野上国務大臣 お答え申し上げます。
農林中金でございますが、今お話がありましたとおり、農協などの農林水産業者の協同組織を基盤とする金融機関としまして、これらの協同組織のために金融の円滑を図ることにより農林水産業の発展に寄与することを目的とする民間金融機関であります。
農林中金は、令和元年度のディスクロージャー誌によりますと、令和二年三月末におきまして、農協等から預かった資産について金融市場で有価証券の運用等約六十・五兆円を行いまして、得られた収益を農協等に約四千億円還元しているほか、農業者や関連産業への出融資としまして、農林中金の農業関連融資の残高で五千五百八十億円、関連産業の融資残高で九千六百三十七億円、関連産業への投資残高で九百三十七億円を行っていると承知いたしております。
具体的には、例えば、生産者にとって販路開拓につながる輸出につきまして、国産農産物を用いた加工食品を販売する海外の会社への投資を行うほか、海外店舗を有する会社に対しまして、そこで販売する農産物の供給産地の分散化を提言して、複数の産地との契約につなげるマッチングを行うなどの取組も行っております。
このように、農林中金は農林水産業の発展に寄与しているものと承知をいたしております。
農林水産省としましても、農林中金が今後とも協同組織や農林漁業者のニーズに応えた取組を進めることによりまして農林水産業の発展に寄与するように後押しをしてまいりたいと考えております。
○宮下委員 ありがとうございました。こうした多くの役割を果たしていただいておるわけであります。
そこで、今日は、農林中央金庫の八木常務にも御出席をいただいておりますので、何点かお伺いをしたいと思います。
農林中央金庫は、先ほど大臣からもお話がありましたように、様々な投融資を行って、農林水産業、食品産業、輸出産業の振興にも御貢献をいただいておりまして、また、農協等への収益還元によって、JAグループ全体の発展にも寄与していただいていると考えております。国内においてもそうした意味で非常に重要な位置を占めているわけですけれども、外貨での運用の増加などを通じまして国際的にも存在感を高めており、それだけにG―SIBに選定される可能性も高まっていると伺っています。
そもそも、今回の金融システムの安定を図るための秩序ある処理に関する措置は危機対応措置でありまして、そうした措置の発動がないように、危機を招かないような運用やリスク管理を行うことが更に重要であると考えます。そこで、農林中央金庫として、現在の融資、投資状況、リスク管理状況をどのように把握されているのか、お伺いをしたいと存じます。
○八木参考人 農林中金の八木でございます。今日はどうぞよろしくお願い申し上げます。
宮下先生の御質問にお答えさせていただきたいと思います。
農林中金の足下の総資産は約百八兆円となってございます。このうち、貸出金が約二十三兆円、市場運用資産が約六十兆円となっております。貸出しでは、会員や農林水産業者、食品企業、事業法人などに融資を行ってございます。また、市場運用では、グローバルな金融市場で国債、株式、社債などに投資を行ってまいります。
このような貸出し、運用を行うに当たり、農林中金では、メガバンク等と同様に、リスク管理の高度化のための枠組みを整備しております。
具体的には、目標収益と許容するリスクの種類と量を定め、コントロールしていく経営管理の枠組みを導入しております。また、こうした経営管理の枠組みの下で様々なリスクを総体的に把握し、自己資本などと比較して管理する統合的リスク管理や、様々なシナリオシミュレーション等による財務マネジメントなどを行っており、リスク管理の高度化に努めております。
○宮下委員 市場運用残高自体も、今、六十兆円というお話がありました。
内訳をちょっと見てみますと、二〇二〇年三月現在の市場運用資産残高は六十二・二兆円ということになっておりますが、このうちCLOと呼ばれる投資商品の投資残高が七・七兆円となっておりまして、これが国内の他の大手金融機関と比べて非常に多いという指摘がございます。確かに、二位の三菱UFJフィナンシャル・グループの二・三兆円や、三位のゆうちょ銀行の一・八兆円と比べて数倍の規模となっております。
CLOは日本語で訳しますとローン担保証券でございまして、企業のローン債権を集めて一つにまとめた金融商品でありまして、かつて世界的な金融危機につながった二〇〇八年のリーマン・ショックの引き金となりました、個人の住宅ローンを集めてつくったサブプライムローンと仕組みが似ていることから、たくさん保有していて大丈夫かという声が上がるのではないかと思っております。
そこで、農林中央金庫としてリスク管理の観点から現状をどのように評価しているのか、お伺いをしたいと思います。
○八木参考人 先生の質問にお答えさせていただきたいと思います。CLOのリスク管理の在り方ということでございます。
まず、農林中金は、系統信用事業の全国機関といたしまして、会員から預けられた資金を運用し、安定的な収益還元を行う役割を担っており、中長期的に安定したリターンを確保することを目指した運用を行っております。
具体的には、国際分散投資を基本とする中で、債券、株式、クレジット資産などの様々な運用資産に対し、適切なリスク管理の下、リスク、リターン等を踏まえてバランスを取った運用を目指しており、CLOもこうした方針の下、投資を行ってまいりました。
CLOにつきましては、企業向けローンを裏づけ資産とする優先劣後構造を持つ商品であることを踏まえ、投資対象は信用力の最も高いトリプルA格付の商品に限定しております。さらに、格付に依存することなく、投資時には裏づけとなる企業向けローンのストレスシナリオ分析などを農林中金自身が実施しております。さらに、投資後も定期的にモニタリングを実施することによって、リスク管理を徹底しており、慎重な投資を実施しております。
先ほど、農林中金のCLOの保有残高が多いという話でございましたが、令和二年十二月現在で約七・四兆円となっており、ピーク時の八兆円に比べて償還による減少傾向が継続しております。なお、足下では残高は七兆円を切る水準となっており、含み損益はほとんどない状況となっております。
○宮下委員 お話しのように、しっかりリスク管理しながら資金運用されているということでありますけれども、一方で、国際的な低金利が続く中、資金運用環境は非常に厳しいというふうに思います。
こうしたことを受けまして、平成三十一年度からJAや信連からの預け金に対する奨励金水準を段階的に引き下げてきているというふうに伺っております。農協等への影響もあると思うんですが、農林中央金庫として、奨励金はどのようなプロセスで決定されているのか、さらに、奨励金の引下げが農協等の経営に与える影響についてどう考えておられるのか、こうした点についてお伺いをしたいと思います。
○八木参考人 奨励金に関する先生の御質問でございます。
奨励金の水準等につきましては、農林中金が会員であるJA様、信連様と協議を行い、決定をしております。
厳しい運用環境が続く中、農林中金として安定した収益還元を継続するため、会員と協議を行い、令和元年度から四年間かけて奨励金を段階的に引き下げているところでございます。
奨励金は農林中金と会員との間の取決めであるため、具体的な水準や引下げの金額等、詳細の御説明は差し控えさせていただきますが、奨励金や配当などを合わせた還元額は、足下、おおむね年間四千億円程度の規模となっております。
農林中金等の収益還元は農協の収益の柱の一つであり、その引下げは相応の影響となると考えております。このような影響を踏まえ、JAグループ全体として、農林中金の市場運用へ過度に依存しない収益構造を確立すべく、会員の経営基盤強化の取組を進めております。
具体的には、個々の会員の事業環境に応じ、農業融資の強化、経済事業の収益力向上、業務の効率化、店舗再編等に取り組んでおります。農林中金といたしましても、これらの会員の経営基盤強化の取組に対し最大限の支援を行っているところでございます。
○宮下委員 ありがとうございました。
次に、法律の必要性について議論させていただきたいと思います。
かつて、三大メガバンクが金融安定理事会、FSBによりましてG―SIBに選定されたのは二〇一一年十一月でありますけれども、その時点では今回のような国内法の手当てはありませんでした。
その後、二〇一二年十一月にFSBから、今後新たにG―SIBに選定される金融機関の母国政府は選定から十二か月以内に国内法の制度枠組みの整備を前提として処理戦略を作成すべきという方針が出され、こうしたことも踏まえて二〇一三年六月に預金保険法の改正を行い、国内法の手当てを行ったと伺っております。さらに、二〇一三年九月にはFSBがG―SIBに選定済みの金融機関の母国政府は二〇一五年末までに国内法の手当てを履行すべき旨を決定し、これを踏まえて世界のG―SIB候補行の母国政府もほとんどが順次国内法を整備していると認識しております。
つまり、本来はG―SIBに選定されてから十二か月以内に国内法の整備をすればいいわけですが、候補である金融機関を抱える各国は選定される前にあらかじめ国内法を整備しているということだと思います。
では、なぜG―SIBに選定される前に今回のように法改正を行うのか。逆に言えば、国際的な基準に対応するための法改正を行っていない状態で農林中金がG―SIBに選定された場合にどのような影響があるのかという点につきまして、農林水産省から認識を伺いたいと思います。
○光吉政府参考人 お答え申し上げます。
金融システムの安定に係る国際基準におきましては、グローバルな金融システム上重要な金融機関につきまして、金融システムの著しい混乱が生ずるおそれがあると認められる場合に、その資産及び負債の秩序ある処理に関する措置を講ずることができる仕組みを整備することとされております。
仮に法改正をしないで、そのような仕組みを整備しないで農林中金がG―SIBとして選定された場合には、農林中金が国際的に求められる仕組みがない状態の下で選定をされたということになりますので、国際金融市場におきましても、あるいは各国の金融当局からもそのようなものとしてみなされるというふうな位置づけになるかと思います。
○宮下委員 やはり、各国政府がこういうことで法整備をしている中で、きちんと我が国としても備えておくということは大事だということだと思います。金融の世界は信用力が取引に物を言いますので、資金の調達金利等々でデメリットを受ければ農林中金自体の経済活動また収益にも影響が出るということだと思いますので、そういった意味でも、この法律をしっかり成立させておくということは重要なんだというふうに思っております。
次に、今回、G―SIBに選定された場合の対応でありますけれども、今日お配りした資料、国際金融ルールの具体的な内容ということでお配りしておりますけれども、G―SIBとして選定された場合に、ペーパーでいうと、三、政府は金融システムの著しい混乱が生ずるおそれがある場合に金融機関の秩序ある処理を行える仕組みを整備する、これに対応したことで、認定とか監視であるとか資金の調達について具体的な法整備をする、こういうことでありますけれども、一方で、選ばれますと、それ以外に、金融機関独自の努力として、二にありますように、選定された金融機関にはG―SIBに係る資本ルールが適用、TLAC規制というのがかかるということでございます。
TLAC規制は、左下の方に書いてありますけれども、トータル・ロス・アブソービング・キャパシティー、日本語に訳せば総損失吸収力ということで、通常のBIS規制に基づく資本に加えて、資本減少時にその改善を図るために出資転換可能なローン等の積み増しを求める規制であります。
そもそも、農林中金の自己資本は二三%以上ということで、三大メガバンクを上回る水準ということで、健全経営を行っておられるというふうに認識しておりますけれども、G―SIBに選定されてTLAC規制が適用になった場合に新たな対応が必要となるのか、農林水産省に見解を伺いたいと思います。
○光吉政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、国際的な基準におきましては、G―SIBに選定された金融機関につきまして、大きく二つの規制が追加的に課されることとなっております。
まず一つ目は、いわゆるBIS規制に関連したものでございます。自己資本比率、すなわち、リスクの程度に応じて資産を評価したリスクアセットに対する自己資本の比率につきまして、G―SIBに選定された場合は通常の水準に比べて更に〇・五%以上確保することが必要となりますが、農林中金は既にこの要件はクリアしているところでございます。
もう一つのグループはTLAC規制と呼ばれるものでございまして、今申し上げたリスクアセットに対する比率といたしまして、一つは、出資転換可能なローン等と要件を満たす自己資本で合わせて一八%以上という要件、もう一つは、今申し上げた出資転換可能なローン等のみで今申し上げた一八%のうちの三三%以上、すなわち六%以上を確保することが求められております。
農林中金は、これらのTLAC規制のうち一つ目の一八%以上につきましては既にクリアしているところでございますが、二つ目の六%以上につきましては、G―SIBに選定された後、三年以内に確保する必要があるところでございます。
○宮下委員 BIS規制、TLAC規制二、この二つはもう既にクリアしているわけですけれども、出資転換可能なローン等のTLAC規制一、ここは今現在ゼロということですので、今お話しのように、三年以内にここを積み上げていかなきゃいけないということだと思います。
今、いろいろな、コロナ対策でも、融資に加えて、劣後ローン等、こうした出資にカウントできる形で基盤を強くするという格好の経済対策も進めようということでやっておりますけれども、国際的にもそうした出資転換可能なローンを持っておくというのはリスク管理上も意味がある、実際、資本にカウントできるわけですので、単なる借入れと違いまして、債務超過になるリスクを減らせるということで意味があるということだと思います。今後、G―SIBに選定されたら三年以内にということですので、着実に積み上げていっていただいて、TLAC規制を確実にクリアしていっていただきたいというふうに思います。
そこで、農林中金としてそうした努力をしていくことは大事なわけですけれども、一方で、それをフォローアップしていく政府の責任も重いというふうに思います。農林中金がG―SIBに選定された場合に、TLAC規制のフォローアップを含めまして、政府としては監督、指導をどのように見直していくのか、伺いたいと思います。
○池田大臣政務官 既にG―SIBに選定されております三メガバンクに対して追加的に課されているTLAC規制等の適用につきましては、金融庁におきまして、銀行法に基づく告示でTLACの適格性を有するローン等の要件などの具体的な内容を定め、主要行等への総合的な監督指針でTLAC規制等を適用するに当たっての運用方針を示しております。
農林中金に対しましてのTLAC規制等の適用につきましては、今後、農林水産省と金融庁におきまして農林中金がG―SIBに選定された場合に備えて詳細を検討することとなりますけれども、三メガバンクに係る対応と同様に、農林中央金庫法に基づく告示でTLACの適格性を有する出資転換可能なローン等の要件などの具体的な内容を定め、系統金融機関向けの総合的な監督指針でTLAC規制等を適用するに当たっての運用方針を示すことを予定いたしております。
○宮下委員 ありがとうございます。
今回の法律はそうした意味でG―SIBに選ばれた場合の備えとしても重要でありますし、そもそも、我が国として備えをしていくというのは、これからの農林中央金庫の経済活動をバックアップするということにもなると思います。この法律の成立によりまして、農林中金が国際的な評価を更に高めて、農林水産業の発展にも更に御貢献いただくことをお願いして、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○高鳥委員長 次に、濱村進君。
○濱村委員 公明党の濱村進でございます。
今日は農林中央金庫さんにもお越しをいただいておりますので、まず、TLAC規制への対応についてお伺いしたいと思います。
先ほど来、宮下先生の質問にもございましたとおり、G―SIBに選定されましたら、金融機関としてはG―SIBに対してしっかり適応していかなければいけません。これは、バーゼル合意によって確保する自己資本に上乗せする形で、しっかりと資本を積み増していかなければいけない、債務を積み増していくということでございますけれども。万々が一でございますが、農中さんが金融危機に陥った場合に出資に転換することができる債務を積み増す必要があるということでございますので、調達先というのをちゃんと想定した上で、しっかり準備をされなければいけないということだろうと思っております。ですので、まず、どのような調達先を想定されておられるのか。
まだG―SIBに選定される蓋然性が高まっているという状況でございますので、それに向けて準備をされているということなので、まだ決まったわけでも何でもないわけですが、想定される調達先にはそれぞれ事前に説明されておられるのかどうか、それに伴っての反応であったり、今後どのようにして準備をされていかれるのか、まず農林中央金庫さんに伺いたいと思います。
○八木参考人 お答えいたします。
TLAC規制の詳細につきましては、今後、告示、監督指針で定められると認識しております。したがいまして、現時点で、調達先や調達規模等については今後の主務省の御検討を踏まえて検討を進めてまいりたいと考えております。
会員に対しましては、将来的にTLACの調達の御相談を行っていく可能性があることを踏まえ、TLACに係る国際ルール等の枠組みについて既に説明を行っております。
会員からは、規制の詳細が固まり次第、TLAC調達の考え方を早く伝えてほしい、会員の収益や財務負担への影響等を十分に考慮して枠組みを検討してほしい等の要望を受けております。
農林中金においては、今後確定するTLAC規制の詳細を踏まえ、早めに考え方を整理した上で、会員に丁寧に説明を行ってまいります。
○濱村委員 是非しっかりコミュニケーションを取っていただいて、準備を進めていかれたいと思います。
農林中金さんは、財務内容として非常に、まあ、リスクがあるかどうかといいますと、どう評価されるかということでございますが、自己資本比率でいえば、二〇二〇年九月末ですと、農中さんが二三・八五%、三メガ、三菱UFJであれば一六・五五%、みずほ一七・二八%、三井住友一九・二八%。いずれも、農中さんの二三・八五%は高いですね、比較すればそうですと。
普通出資等ティア1比率も、農中さん二〇・五五%、三菱UFJは一二・五二%、みずほは一一・五七%、三井住友一六・〇二%ということでございます。一応コアティア1とかコモンエクイティーティア1とか言われているわけですが、直近、ゴールドマン・サックスであれば一三・七パー、シティは一一・八パー、JPモルガン・チェース一一・三パー、HSBCは一五・九パー。
内容としては一定の評価ができるんじゃないかと私は思っております。そういった意味で、今後もしっかりリスク管理をしていっていただきながら運用していただきたいということを申し上げたいと思うんです。
農中さんというのは、決して国際的な投資ビジネスだけをやっておられるわけではございません。当然、農中さんのビジネス領域としては食農ビジネスとかあるいはリテールビジネスとかも含まれるわけで、それにプラスして国際的な運用として投資ビジネスという三領域を掲げておられるわけでございます。
今般の貯金保険法改正については、いわゆる投資ビジネスに関する対応でございますけれども、私は、リテールビジネスについてはしっかり取り組んでおられるなと思いつつも、食農ビジネスについてはまだまだ物足りなさを持っております。是非頑張っていただきたいと思っているんですが。
生産者から消費者にまでわたるバリューチェーンの中で重要な役割を果たしておられます加工、流通、外食、こうした食品産業の皆様に向けて投融資していっていただきたい、まさにそういうところを担っておられるのが農中さんなんじゃないかと私は思っておるんですが、農中さんとしてもどのように取り組まれていかれるのか、お伺いしたいと思います。
○八木参考人 お答えいたします。
農林中金は、いわゆるバリューチェーン企業、加工、流通関係や、輸出関係の企業に対し積極的に投融資を行い、農業生産者の所得向上や食品産業分野の市場拡大につなげていくことを優先課題と考えております。
直近の例では、コンビニエンス業界において、資本、業務提携による国産農産物の販売や新規商品の開発など、川下である消費者、消費を意識した取組を進めており、今後もこうした案件を積み重ねてまいります。
また、今国会で成立いたしました改正投資円滑化法が施行された後は、農林中金が出資しておりますアグリビジネス投資育成株式会社において投資可能な領域が拡大されることを踏まえ、農林中金は、同社に対する必要な原資供給や業務体制の強化を支援してまいりたいと考えております。
○濱村委員 投資円滑化法を今国会でやりましたね。これも含めて、農中さん、是非頑張っていただきたいというふうに申し上げたいと思います。
私から農中さんへの質問はこれで終わりますので、もしあれでしたら御退席いただいて、休憩いただいても結構ですので、よろしくお願いいたします。
次に、大臣にお伺いしたいと思いますが、今回、G―SIBに選定される蓋然性が高まってきていますので、金融システムの安定を図るための農中の資産及び負債の秩序ある処理を行う必要性がございます。一方で、これまで、金融危機に対応するための措置というのは、この貯金保険法の中でもちゃんと規定されてきたわけなんですね。いわゆる第七章の金融危機への対応ということで、九十七条から百四条まで、そういう記載があるわけでございます。元々書いてある七章の金融危機への対応と今般措置する規定というのはどういう違いがあるのか、措置の対象とか内容、これが、どのような理由でどういう違いが生じているのか、野上大臣に伺いたいと思います。
○野上国務大臣 貯金保険法に既に設けております金融危機対応制度でありますが、これは、我が国又は農水産業協同組合が業務を行っている地域の信用秩序の維持に極めて重大な支障が生ずるおそれがあると認められるときに措置することとしておりまして、例えば、不良債権等によります金融機関の財務状況の悪化をきっかけとしまして、取付け騒ぎ等の預貯金者に信用不安の連鎖が生じるような状況を想定しております。
このような場合には、預金者の信用不安を解消する観点から、金融機関の財務状況を改善させるために、貯金保険機構による優先出資の引受け等の資本増強措置を講じることといたしております。
一方で、本法律案の資産及び負債の秩序ある処理に関する措置でありますが、これは、我が国の金融市場その他の金融システムの著しい混乱が生じるおそれがあると認められるときに措置することとしておりまして、例えば、金融市場の変調等によりまして金融機関の財務状況や資金繰りが悪化して市場取引が継続できなくなって、その影響が取引相手に連鎖することによりまして金融市場全体が機能不全に陥り得るような状況を想定しているわけであります。
このような場合には、金融機関の財務状況を改善させるための優先出資の引受け等の措置に加えまして、金融機関の資金繰りを改善して金融市場の参加者の取引を継続させるための資金の貸付け等による流動性供給の措置を講ずることといたしております。
このように、本法律案の資産及び負債の秩序ある処理に関する措置と現行の金融危機対応制度とでは措置の対象ですとか内容が異なっているところでありまして、平成二十五年に改正された預金保険法も同様の整理となっているところであります。
○濱村委員 ここは非常に重要なところでして、なぜ立て分けられているのかということをちゃんと意識しておかないといけないんだろう、逆に言うと、今回の秩序ある処理がどういう類いのものかというのが正当に評価できないというふうに思っております。いわゆる農協さんとか漁協さんというのはどちらかというと国内で活動しておられるわけでございますので、この秩序ある処理の対象外であるということだろうと認識しております。しっかりとこの措置がなされることが重要でございます。
続いて、資金の貸付けと百十条の十二について伺いたいと思います。
機構は、いわゆる特定認定を受けた農林中金に対して、資金の貸付け、債務の保証の申込みを受けた場合、委員会の議決を経て、必要の限度において資金貸付けや債務保証を行うことができることとなります。
金融安定理事会が公表しておられます金融機関の実効的な破綻処理の枠組みの主要な特性によりますと、破綻処理中の対象金融機関の資金調達については、当局からのいかなる一時的な資金拠出もモラルハザードのリスクを最小化する厳格な条件の適用を受けるべきということを明確に記載しております。
つまり、余り何でもかんでも破綻しそうなのでということで、モラルハザードを起こさない程度に支援しなければいけませんよねというところ、まあ、線を引かなきゃいけないわけですね。結構難しいんじゃないかなと思ったりもするわけでございますけれども。これは、どのような条件であれば資金貸付けあるいは債務保証を行うのか、農水省さんに伺いたいと思います。
○光吉政府参考人 お答え申し上げます。
貯金保険機構につきましては、農林中金から資金の貸付け等の申込みを受けた場合において、必要があると認めるときは、その必要の限度において資金の貸付け等を行うというふうにしております。
御質問の資金の貸付け等につきましては、まず、主務大臣が、内閣総理大臣を議長といたしまして財務大臣等により構成されます金融危機対応会議の議を経まして、資金の貸付け等を含みます特定措置の必要性を認定いたします。その上で、貯金保険機構が、金融実務に精通した有識者等により構成されます運営委員会、ここの議を経て資金の貸付け等の実施を決定するというふうにしておりまして、預金保険法と同様のプロセスを経て実施することとしています。
その場合、具体的にどのような条件の場合に貸付け等を実施するかにつきましては、その時点における金融市場の状況に応じて適切に判断する必要があることから、あらかじめ具体的に申し上げることは困難でございますが、法律上は、資金の貸付け等は我が国の金融システムの著しい混乱を回避するために行うというふうにしております。
したがいまして、具体的には、例えば、金融市場の急変によりまして、金融市場参加者の信用不安の連鎖が生じている事態などにおきまして、農林中金の手元の現金が不足して債務の履行が困難となり、取引相手のほかの金融機関にも影響を与えるおそれがあるような場合、このような場合に貸付け等について判断することになると考えております。
○濱村委員 国内、海外の金融の状況というのはその時点でそれぞれ評価しなければいけません、あらかじめ想定するのはなかなか難しいということなので、百十条の十二に記載のあるとおり、我が国の金融システムの著しい混乱が生ずるおそれを回避するために講じますよということとなりますと。これは定性的な書き方なので、ある程度弾力的な運用ができる必要があるんだろうと思っております。これも預金保険法と並びの話ではありますので、問題ないのかなと私は思っております。
最後に、もう一問聞きたいと思います。百十条の十四、優先出資の引受け等について伺いたいと思います。
主務大臣は、特定認定に係る農中から申込みを受けた機構の求めに応じて、機構による優先出資の引受け等を行う旨を決定できます。
ただ、要件はございます。まずは、取得特定優先出資又は取得特定貸付債権の処分が著しく困難であると認められる場合でないこと、分かりにくいですよね、今のは二重否定なので。次に、農林中金が提出した経営の健全化のための計画の確実な履行によって経営の合理化のための方策、経営責任の明確化のための方策が実行されることが見込まれるということ。
こうした全ての要件を満たさないといけない、要件の全てに該当する場合に限りと書いてあるんですね、条文上。その場合だけ優先出資の引受け等が可能となると規定されているんですけれども、こういう規定にした、要件にされたことはなぜなのか、理由について伺いたいと思います。
○光吉政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、主務大臣は、今御指摘いただいた要件の全てに該当する場合に限り決定を行うというふうにしております。
具体的には、例えば、貯金保険機構が取得しようといたします優先出資等につきまして、その処分が困難な契約内容になっていないかどうか、あるいは、計画の履行などを通じまして、金庫の場合でございますけれども、人員削減や店舗統廃合によるコスト削減、役員の外部登用、経営陣の刷新等によるガバナンスの抜本的見直しの実行が見込まれるかどうかなどを踏まえて決定することとなることが想定されます。
これは、本来、農林中金は会員からの出資が基本となる組織でございます。農林中金の自己資本の充実のために、ある意味特別に貯金保険機構が引き受ける優先出資等につきまして、機構が抱え続けるのではなく、やはりそこは適切に処分されることが望ましいという考えがございます。
もう一つは、機構による出資の前提といたしまして、当然、特別なこういう出資でございますので、農林中金には経営の健全性のための措置を着実に履行してもらうことが前提になるというふうな考え方でございまして、現行の金融危機対応制度あるいは預金保険法と同様の要件としておるものでございます。
○濱村委員 時間が参りましたので終わりますが、農中さんは会員からの出資によって運営されているということでございますので、しっかり会員さんのために役立つ農中さんであるということをお願い申し上げて、質問を終わります。
ありがとうございました。
○高鳥委員長 次に、佐々木隆博君。
○佐々木(隆)委員 立憲民主党の佐々木でございます。
今日は貯金保険法について質疑をさせていただきたいというふうに思いますが、その前に、今国会も終盤に入ってございますので、積み残しという表現が適当かどうか分かりませんが、そうした中の一つで、養鶏業者との疑惑について、大臣にその点についてお伺いをさせていただきたいというふうに思います。
今申し上げたように、今国会も終盤に入っているんですが、調査をするということになっているはずでありまして、国会開会中に我々としてはやはり最終報告を受けなければならないというふうに思うんですが、その最終報告というのはいつ頃提出されるのか。二月三日の第一回会議からもう四か月近くたっているわけでありますが、是非今国会中に報告をしていただきたいというふうに思うんですが、その点についてまずお伺いします。
○野上国務大臣 お答え申し上げます。
養鶏・鶏卵行政に関する検証委員会についてでありますが、吉川元大臣と秋田元代表の贈収賄容疑での起訴を受けまして、国民の皆様に疑念を持たれることがないように、養鶏・鶏卵行政の公正性につきまして第三者の委員の皆様に現在検証を進めていただいているところであります。
委員会で迅速かつしっかりと検証をいただいて、その検証結果を公表してまいりたいと考えております。
また、もう一つ、会食に関する追加調査でありますが、これも、吉川元大臣と秋田元代表の起訴を受けまして様々な御指摘があることを踏まえて、今般、養鶏・鶏卵行政の公正性に影響を及ぼした可能性のある会食がなかったか、より広い範囲で徹底的に把握する追加調査を実施しているところでございます。
今回の追加調査は、調査対象が約百五十名と多数に上ります。また、畜産事業者との会食等が確認された場合には費用負担に関する事実関係について詳細な調査を行っているところでありまして、調査には一定の期間を要しておりますが、引き続き迅速に調査を進めて、その結果を公表したいと考えております。
○佐々木(隆)委員 大臣、もう四か月近くもたっているわけですから、早急にといっても、はるかに遅れているということでありますのと、この国会中にやはり何らかの報告をしていただくという作業を進めていただかなければ、国会が終わってしまったら勝手に報道の前だけで報告されるというのでは、我々国会としてはなかなかそれは認めるわけにいかないというふうに思いますので、是非今国会中での報告を求めておきたいというふうに思います。
OIEのコメントについてでありますが、三次にわたってOIEから提案があって、特に二次案についてコメントをしているというふうに思うんですが、その点について、簡潔にといいますか、要点のみを。これは事務方で結構でございますが、五月にもOIEの総会があるというふうに聞いているんですが、それの見通しも併せて伺います。
○水田政府参考人 お答えいたします。
OIEのアニマルウェルフェアに関する採卵鶏の指針の二次案につきましては、平成三十年の九月に止まり木などの設置を必須とする内容で加盟国に示されたところでございまして、農林水産省におきましては、この二次案に対しまして、養鶏の生産者団体、消費者団体や学識経験者などの多くの方々からOIE連絡協議会などを通じて意見を伺った上で、その翌年の平成三十一年の一月と、更に令和元年の七月に、止まり木などの設置については任意事項とするなど多様な飼養形態が認められるべきとの旨のコメントをOIEに提出いたしました。
その後でございますけれども、三次案、四次案等、さらには、現在、OIEの採卵鶏の指針につきましては、今月二十四日から開催されるOIE総会での採択に付される予定の指針案が示されておるところでございますが、止まり木などの設置については推奨事項とされておりまして、多様な飼養形態が認められる内容となっております。
○佐々木(隆)委員 必須事項から任意事項になったから、今の答弁を聞いていると、だからやらなくてもいいんだみたいなふうに聞こえるわけでありますが、日本の協議会の中でも、コメントをするに当たっていろいろな意見が出たというふうに聞いてございます。
農水省のこれまでの答弁から類推すると、平飼いだと鶏の中でけんかが起きるとか、あるいは平飼いだと卵の衛生がどうだとかというような話をされているんですが、それはアニマルウェルフェアの観点ではないと思うんですよね、人間の都合ですから、全部。アニマルウェルフェアというのは、動物にとってどうかということを考えるのがアニマルウェルフェアで、極端な話、同じ場所に平飼いとケージと置いておいて鶏を放したら、じゃ、全部ケージに行くのかといったら、そんなことは恐らくないと思うんですね。みんな平飼いの方へ行くと思うんですよ。それが動物福祉ということではないかというふうに思うのであります。
五月の総会以降、養鶏についてアニマルウェルフェアというのをどのようにやっていこうと思っているのか、全く変える気がないのか、このことについても答弁ください。
○水田政府参考人 お答えいたします。
我が国で広く行われているバタリーケージ飼いでございますけれども、鶏がつつき合いをしないでいられるといった闘争を防止するという観点とか、卵と排せつ物を分離することによって寄生虫病の蔓延を防止するといった観点、こういったものには資するものでございますので、アニマルウェルフェアの五つの自由との関連では、苦痛、傷害及び疾病からの自由の面では優れているものと考えております。
また、バタリーケージ飼いではなくて、エンリッチドケージとか多段式の平飼い、こういったものについては、委員が御指摘された通常の行動様式の発現の点では優れているということでございまして、一方では闘争行動が生じやすく健康観察に手間がかかるといった恐怖及び苦痛とか傷害などの点では、アニマルウェルフェアの五つの自由との関係では制約が生じているということがございます。
このように、各飼養様式にはそれぞれのメリット、デメリットがございます。
今回、OIEの採卵鶏の指針について採択がされた場合には、これまでも、OIEで議論がされて決まった場合には、アニマルウェルフェアに関する畜産課長通知とか、あるいは公益社団法人の畜産技術協会が作っております国内指針、こういったものについて必要に応じ改定を行った上で普及を図っておりますので、そういった取組を引き続きやってまいりたいというふうに考えているところでございます。
普及に当たりましては、アニマルウェルフェアは飼養管理におきます総合的な取組によるものでございますし、また、生産者による施設投資の努力のみならず、やはり畜産物の価格への影響といった点も含めまして消費者の理解も必要でございますので、アニマルウェルフェアの取組を推進する重要性、メリットを示しつつ、生産者や消費者の理解を得ながら取組を拡大していくこととしたいと考えております。
○佐々木(隆)委員 今局長から答弁があったのは、ほとんど人間の都合だというふうに思うんです。ケージ飼いでストレスで死ぬ鶏も結構いるというふうに聞いておりますので、ケージ飼いが必ずしも、つつき合いをしなくなるからそれでいいんだということにはならないし、卵の衛生ということでいえば、衛生の技術を開発すればいいのであって、ケージの方がその手間が省けるからいいんだみたいな話では、これはアニマルウェルフェアとは言えないというふうに思います。
そこで、今日は貯金保険法の質問なんですが、最後に一点だけ伺います。
空舎予算についてちょっと伺いたいんですが、ちょうど空舎予算が、平成三十年から極端に跳ね上がっているんですね。それまで、予算は一つですから、一つの予算の中でほとんど空舎予算というのは使われていないんです。ところが、平成三十年、いわゆる大臣の献金の時期とほぼ一致するわけでありますが、ここから執行予算が跳ね上がっているんですね。
これは、鶏が古くなって、一回空にして新しい鶏を入れるまでの間を補償しようという予算なんですが、どうも価格調整に使われているのではないか。意図的に空舎にすれば、その分だけ鶏が少なくなりますから卵が少なくなるということで、結局そういうふうにだけ使われてしまっているのではないか。
それから、当初、十万羽以上が対象だったんですが、今、十万羽未満でも対象になる。どうも使われ方が急に平成三十年から変わっているという点について疑義を持たざるを得ないんですが、この点について最後にお伺いいたします。
○水田政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘の、まず空舎延長事業でございますけれども、これは、卵の価格が相当下がったときに需給の改善を行うという観点から、通常、空舎期間というものは三十日ぐらい取っているんですが、それを六十日とか更に長く取るといった場合に補助をするというものでございまして、価格が下がったときに需給を改善させていく、そういう目的で実施しておるものでございます。
三十年から増えたという理由は、そのときに生産が増えて価格が非常に下がったということでございましたので、発動が多かったということでございまして、それ以前、需給が非常によくて価格もよかった時期にはこれは発動しておりません。そういったことから補助金の実績が増えたということでございまして、予算上の補助金の額はほとんど変わっておりません。実績が変わったということでございます。
それから、十万羽基準の関係でございますが、空舎延長事業につきましては、平成二十九年以降は、十万羽以上の大規模な方々は、空舎延長事業はかなり価格が下がったときでございますので、価格が下がったときに十万羽以上の方々は価格差補填事業の対象にならないということにしておりました。
そうすることによって、そういう方々には価格差補填をしないで、空舎延長事業に積極的に参加していただいて、需給改善を積極的に図っていただく、こういう取組をしようということでやっておったわけでございますが、二十九年以降、実際に価格が下がって空舎延長事業が発動されますと、価格差補填事業の方が発動されない、価格差補填金が出ないということになりまして、そういった方々の不公平感が顕在化した。小規模な方は出るわけでございます、価格差補填事業の方でですね。この事業から中規模以上の方々が脱退したケースがございまして、こうした動きが更に進むという懸念がございました。
需給の安定を図るためには、飼養羽数の大きい生産者によりますこの事業への参加というものが重要でございますので、令和二年度の見直しにおきましては、そのインセンティブを高めるという観点から、十万羽以上の方々も、飼養羽数の規模にかかわらず、空舎延長事業の発動期間中も価格差補填金を受け取れるという見直しを行ったということでございます。
○佐々木(隆)委員 今日は農林中金にも来ていただいておりますのでやめますけれども、価格安定事業として両方がセットになっている予算で、予算はずっとこの間余り変わっていない、むしろ少し少なくなっているぐらいなんです。卵の価格も、それは確かに平成三十年は安くなっていますけれども、平成二十九年あたりから下がっているんですね。それまで、結局、価格差補填の方しか使われていないわけですから、ずっと余してきたということになるわけですね。三十年から急に使われ出したということで、どうも今の説明だけでは十分納得はしておりませんけれども、次の課題に移らせていただきます。
保険機構について、私は一組合員でありますので、組合員という視点で何点かお伺いをさせていただきたいというふうに思います。
貯金保険機構で会員、会員というんですが、会員は農業者のことをいっているわけではなくて、信連とか単協のことをいっているわけであります。この改正は農業者とかあるいは漁業者にとってはどんな改正なのかということについて、まずお伺いをさせていただきたいと思います。
○野上国務大臣 お答え申し上げます。
金融システムの安定に係る国際的な基準におきましては、グローバルな金融システム上重要な金融機関につきまして、金融システムの著しい混乱が生ずるおそれがあると認められた場合に、その資産及び負債の秩序ある処理に関する措置を講じることができる仕組みを整備することが求められているわけであります。
農林中金は、農林水産業者の協同組織を基盤とする金融機関として、国際的な活動の規模を拡大し、金融システム上の重要度が高まっており、今般、国際的な基準に対応するため、本法案を提出した次第であります。
このため、本法律案は直接農業者を対象として何らかの措置を講ずるものではございませんが、これによりまして、農林中金が国際的な基準に対応した仕組みの下で継続的にその役割を発揮して、その収益の還元を受けた農協から農業者へのサービスを安定的に実施していくことが期待されるものと考えております。
○佐々木(隆)委員 中金さんにもおいでいただいておりますので、お伺いをさせていただきます。
今回、保険を充実させるわけですよね。保険が充実するということは負担が増えるというふうに普通は考えるわけでありますけれども、負担の考え方についてお伺いをしたいのと、それと、中金として、リスクの場合の責任というのはどういうふうに変わっていくのかについて、それぞれ。今、中金自体も不良債権の保険だとかあるいは既に貯金保険というシステムを持っているはずでありますが、そんなことも含めて、今回のことについて中金のお考え方を伺いたいと思います。
○八木参考人 今の御質問は、保険料への影響がどのようになるかといったことかと思います。
今回の法改正につきましては、ペイオフ等の貯金保険事故への対応措置であるとか金融危機対応措置に加えて、新たに国際的な金融市場不安に対応する措置が導入されるものと認識してございます。
貯金保険料を積み立てる一般勘定はペイオフ等に対応するものであって、今回の措置は一般勘定とは異なる独立した勘定で経理されるものと認識してございます。したがいまして、新たな措置の導入により保険料が引き上げられることはないというふうに考えてございます。
また、先ほどリスクというところの点がございましたけれども、既存の金融危機対応措置と同様に、貯金保険機構に損失が生じた場合に政府の決定により事後的に業界に負担を求めるという形になるものと理解しています。
ただし、ここは、仮に農林中金が秩序ある処理により貯金保険機構から借入れ等を行った場合は、農林中金がしっかりとお返しすることが当然であり、農協等の負担が生じないように業務に取り組むことが責務であるというふうに考えております。
○佐々木(隆)委員 かつて、住専のときの話ですけれども、農家には負担させませんと言いましたけれども、結局我々は負担しましたので、別な形で負担しておりますので、そのことについて今お伺いをさせていただいたんですが。
要するに、不良債権、国内向けの保険、そして今度は新たにもう一つ保険ができるという、三つあるんだ、別々にというふうに考えればいいということと、事後処理だということなので、まずは中金が自分の責任でその責任を果たす、こういうふうに理解をさせていただきました。組合員の皆さん方はなかなかそこら辺の仕組みが理解できないというふうに思いますので、お聞きしました。
最後になるかもしれませんが、もう一つ、昨日あたりの農業新聞などでも書いてありますが、規制改革会議に関連して大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。
平成二十六年の第二次答申で提言をされているわけでありますし、更に令和元年にも最終的にまた規制改革から提言があったというふうに思うんですが、いわゆる金融事業、信用事業の二段階方式というのは昔から言われている話なんですが、その二段階方式というのもいろいろあって。中金と信連をくっつけてしまうというやり方と、信連と単協をくっつけてしまうというやり方と、そして、規制改革会議などが言っているのは、代理店化ということを言っておりますので、中金の代理店に全部してしまえという話で、かなり乱暴な話だというふうに思うんですが、この議論が今どのようになっているのか、あるいは農水省としてどう考えているのか。
私は支店、代理店化というものには反対でありますし、北海道は金融に過度に依存した農協は少ないです。経済事業もそれなりにやっておりますけれども、信用事業のウェートが非常に高い単協もありますので、北海道的に言うと総合農協であってこそ初めて農協の役割を果たしていくというふうに思っているんですが、この点について、信用事業の代理店化について、現状とそれから農水省、大臣の決意などを伺いたいと思います。
○野上国務大臣 御指摘のとおり、令和元年十二月の規制改革推進会議農林水産ワーキング・グループの重点フォローアップ事項において、JAグループの信用事業の健全な持続性を確保するために、代理店方式の活用の更なる推進等、自己改革の実施状況について確認を行うとされたところであります。
農協の信用事業を農林中金や信農連に譲渡する仕組みにつきましては、農協法ですとかあるいは再編強化法におきまして必要な制度的な手当てを行って、農協が信用事業譲渡を選択できるよう措置しているところであります。
その上で、やはり、民間組織である農協が農林中金や信農連に信用事業を譲渡するかどうかの決定につきましては、組合員の意向を踏まえて、農協自らが行うべきものであると認識をいたしております。
○佐々木(隆)委員 あと一、二分しかありませんけれども、私も、今大臣からお答えをいただいたように、農協というのは本来自主的な組織ですから、自主的な判断に委ねるべきだというふうに思うんですが、ある意味規制改革会議が、普通はそんなことないのに、一般の、普通の企業として見ている割にはいろいろと口出しをするわけですよね。
農協というのは協同組合法に基づいて設立されているものですから、一般企業と同一視してその仕組みを持ち込むというのは私は間違いだというふうに思っておりますので、是非大臣に今のことを貫いていただきたいというのと、農協改革で一番私が気になっているのは、地域貢献という言葉が消えてしまったことなんですね。協同組合の一番のメリットは、地域貢献と経済行為を一体的にやるというところに最大の貢献があったわけでありますので、最後に更にもう一度大臣にその決意をお伺いして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
○野上国務大臣 農協改革につきましては、農業者の所得向上を図るとの原点を踏まえて、これまで農協におきまして自己改革に取り組んでいるところでありますが、JAグループにおきましても引き続き自己改革に不断に取り組んでいくことを宣言しているところであります。
今後とも、農協におきまして自己改革を不断に進めて、農業者の所得向上に向けた取組を継続、強化して、事業を取り巻く環境が厳しさを増すと見込まれる中で、地域農業を支える農協経営の持続性の確保を図っていく必要があると考えております。
農林水産省としましては、農業者の所得向上のための自己改革の取組を推進することが重要と考えておりますので、引き続きJAグループの取組を後押ししてまいりたいと考えております。
○佐々木(隆)委員 終わります。
○高鳥委員長 次に、大串博志君。
○大串(博)委員 立憲民主党・無所属の大串です。
早速質疑に入ります。
貯保法ですけれども、私は、農中さんの最大の役割というのは、全国の一次産業の皆さんから集まってくる預金、百兆円とも言われています、その大宗が運用先を求めて農中さんに届いてくるわけですけれども、これを、適切なリスク管理をしながら最大限の運用を行って、それによって一次産業の皆様に還元していくというところに最大の特徴があり役割があると。全世界を見てもこのような金融機関はありません。極めて全世界の中でも特徴のはっきりした金融機関だと私は思うんですね。その役割をしっかり果たそうと頑張ってもらっていると私は思います。
そこで、今日は八木代表理事にも来ていただいているのでお尋ねしたいんですけれども、そういう意味から最も期待される一次産業の皆さんへの還元ですね、取りも直さず現場のJAや現場の信連に対する奨励金という形で還元されていくわけですけれども、四千億からの奨励金に関しては、先ほど話がありましたように、四年間かけて奨励金を引き下げるという流れをしていますということでした。これはこれで分かります。運用環境からそういうふうになってしまうのは分かります。
是非決意を簡潔にお聞かせいただきたいと思うんですが、一方で、ただ、先ほど申し上げたように、農中さんとしての役割は運用成績を上げてしっかり還元していくというところに私はあると思いますので、現下の運用環境は厳しい中ではありますが、今後もしっかりとした還元を行っていきますということの決意を簡潔に述べていただきたいのが一つ。
そしてもう一つ、併せて農林大臣にお尋ねしておきたいと思います。
今、先ほどの佐々木さんじゃないですけれども、奨励金が減ってきている。現場の農協や信連の収益の柱である金融事業に関して、奨励金が減ることによって非常に実入りが少なくなってきている。これによって現場の農協あるいは信連が非常に厳しい状況になって、この現状を奇貨とするかのごとく、規制改革推進会議等々では、だから農協はもっともうけなきゃならないんだ、だから農協はもっともっと効率を上げなきゃならないんだ、もっと安いものを売れとか、こういった、ややもすると経済重視を更に推し進めるような議論に使われてしまうような気がするんです。
私は、先ほど佐々木さんが言われたように、やはり農協というのは協同組合のよさを生かして組合員の皆さんにメリットを届けるというのが一番の鍵だと思いますので、安いとか、もうかるとか、そういう観点じゃなくて、例えば、アクセスしやすいとか、頼れるとか、便利だとか、組合員の皆さんに対してそういうメリットを届けるのが非常に重要だと思うんです。
くぎを刺させていただきたいんですけれども、今回、奨励金の議論が引下げの方向になっている、後ほど決意をお聞かせいただきますけれども、その中で、しかし、農協に与える影響を鑑みたときに、間違っても農協が経済重視、営利重視という方向に行かないような議論を農水大臣として先導してほしいと私は思うんです。
この二点、農中さんと大臣から答弁をお願いしたいと思います。
○八木参考人 お答えさせていただきます。
先生のおっしゃるとおり、非常に厳しい環境が続いておりますので、令和元年から四年間かけて奨励金を段階的に下げさせていただいております。年間、基本的には、最大限頑張って、奨励金を合わせると足下で四千億程度の還元になっているということも事実でございます。
こういう厳しい環境ではございますけれども、農中の役割は会員への安定的な還元であるということは全く変わりございませんので、今後もリスク管理の高度化を図りつつ、安定還元に最大限の努力をしてまいります。
○野上国務大臣 農林中金によりますと、世界的な利ざや縮小など、資金運用環境の好転が見込まれない中で、農協等々の会員とも協議をした上で、奨励金を令和元年から四年かけて段階的に引き下げるとしたところと承知いたしております。
農協の事業収支は、取り巻く環境が厳しさを増すと見込まれる中で、地域農業を支える農協経営の持続性を確保するために経済事業の収益性を図っていくことが必要であると認識しておりますが、農水省としては、将来、農協がその事業を継続していけるように、各農協が中長期の収支等の見通しを適切に立てて経済事業の収益力向上に取り組んでいく必要があると考えておりますし、やはり、農協改革につきましては、農業者の所得向上を図るということが原点でありますので、その原点を踏まえて、自己改革の取組が推進できるように後押しをしてまいりたいと考えております。
○大串(博)委員 今回の農中さんの議論を契機に是非いい議論をしていただきたいと思いますし、間違っても過度に経済重視、経営重視、効率重視みたいな農協改革論にくみすることにはならないような形を、是非、念頭にきつく置いていただきたいと思います。
次の質疑は、諫早湾干拓問題を取り上げさせていただきたいと思います。
先般、四月の末に福岡高裁が非常に画期的な動きを見せてくれました。現在の状況を抜本的に解決するためにということで、裁判所として和解協議の場を設けるということを判断されました。これに対して先般の質疑の中で大臣は、係争中の訴訟に関わる具体的な対応は答弁を控えるというふうに言われていましたが、一般論として、基金案に沿って解決すべしという考え方を示されました。
ただ、一方で、この基金案というのは、皆さんから提案されてもう四年以上たっているんですね。四年以上たっているけれども、かつ、裁判所からの和解勧告もその間ありました、そういう経緯を経たにもかかわらず全関係者の理解を得ることができなかった、四年以上かけてというものです。私は、これに固執すると進まないことは明らかだと思います。
牧元局長にお尋ねしましょうか。これまで、開門によらない基金案というのは全く動いてこなかったわけです。今、一般論として基金案に沿った解決をと言われていますけれども、これまでうまくいかなくて、今後うまくいくと信じるに足る新たな事実関係が一つでもあったら、この場で言ってください。
○牧元政府参考人 お答えを申し上げます。
委員から御指摘がございましたように、国といたしましては、平成二十九年の大臣談話、開門しない前提での基金による和解という方策で、これまでも関係者の皆様方の御理解を得るように努めてきたところでございます。
国といたしましては、引き続きまして、二十九年の大臣談話の方針に基づきまして、関係者の御理解を得るべく努めていきたいと考えているところでございます。
○大串(博)委員 委員長、しっかり聞かれたことに対して答えるように言ってください。
牧元局長に聞いているのは、しっかり頑張りますということを聞いているんじゃなくて、基金案がこれまでうまくいかず、今後うまくいくと信じるに足る新たな事実関係が今一つでもあったら、この場で言ってくださいと聞いているんです。ないなら、ないと答えてください、どうぞ。
○牧元政府参考人 お答えを申し上げます。
基金案について、どのように進むのかということにつきましては、まさに今、福岡高裁におきまして請求異議訴訟の裁判が行われているところでございます。係争中の訴訟に関わる具体的な対応についてお答えをすることは差し控えさせていただきたいと考えております。
○大串(博)委員 裁判に関することは答えられないというふうに答弁されると思ったがゆえに、皆さんが一般論であえて答えていらっしゃるので、私も一般論で聞いているんです。
一般論として、今後うまくいくと信じるに足る新たな事実関係が一つでもあるなら、ある、何がと答えてください。ないなら、ないと答えてください。一般論です、裁判ではありません、どうぞ。
○牧元政府参考人 繰り返しで恐縮でございますけれども、国といたしましては、二十九年の大臣談話に従って解決を図るべく努力をしているところでございます。
○大串(博)委員 聞いていただいている皆さんもよくお分かりになったと思いますけれども、基金案が今後はうまくいくという、何か新たな事実関係があるわけではないんです。すなわち、このままでは進まないんです。
大臣にお尋ねします。基金案は前に進みません、絶対に前に進みません。というか、これまで四年以上、五年近くにわたって前に進まなかったものが、新たな事実関係がないにもかかわらず前に進むわけがありません。基金案は一センチでも一ミリでも譲歩することができないのか。大臣、今のままでは動きません。一センチでも一ミリでも内容に関して国として譲歩して考えることはできないのか、お答えいただきたいと思います。
○野上国務大臣 平成二十二年の開門を命ずる福岡高裁の判決が確定した後、国は開門義務の履行に向けまして諫早湾周辺の農業者また漁業者、地域住民の理解と協力を得るための努力を重ねてまいりましたが、必要な事前対策工事の着手すら行うことができませんでした。
また、平成二十二年の判決後に、開門による防災上の支障が増大しているほか、排水門の締切りを前提とした農業も発展しているところであります。
こうした状況を踏まえまして、国は、請求異議訴訟において開門を命ずる確定判決の執行力の排除を求めているところであります。
さらには、令和元年六月の最高裁決定によりまして国の開門禁止義務が確定するなど、開門を認めない司法判断も尊重する必要があります。
このように、開門することは現実的にも実現困難である上、多くの深刻な問題を引き起こすことから、国としては、引き続き、有明海の再生に全力で取り組むことを通じて、平成二十九年の大臣談話に沿うように出口を探ってまいりたいと考えております。
○大串(博)委員 今、開門は現実的にも難しく深刻な状況を引き起こすと言われましたけれども、深刻な状況とは何ですか。
○野上国務大臣 例えば、防災効果が失われることですとか、あるいは、調整池が塩水化することで農業用水としての利用が不可能となる上、塩害、潮風害が発生すること等でございます。
○大串(博)委員 今、防災上の理由と、農業面から、塩水化すると影響があるんじゃないか、この二つを言われました。
私たちも、開門を求めながら、当然、防災上の懸念を持つ皆さん、農業上の懸念を持つ皆さんと理解し合えるようなもので進めなきゃならないと私たちも思います。当然です。私たちだけの主張を言っているつもりはありません。原告団、弁護団の皆さんも繰り返し、私たちの提案する方法を絶対視するつもりはありません、こういうふうに言ってこられております。こういう中で事を進めなきゃならないということなんです。防災、そして塩水化の問題。
大臣は、開門はできないというふうに言われます。開門というのはどういう意味ですか。つまり、できない開門とはどういう意味ですか。
○牧元政府参考人 お答えを申し上げます。
お尋ねの開門というのは、淡水である調整池の中に海水が流入するような操作、これをもって開門と言っているところでございます。
○大串(博)委員 皆さんもお聞きになっていて想像できると思いますけれども、諫早湾干拓、堰がありまして、外側が海ですね、内側が調整池です。
今、有明海というのは干満の差が非常に激しくて、潮が引くときは六メートルぐらい下まで下がるんですね。ですので、その干満の差を利用して、調整池に流れ込む水、たくさんあります、これが基本的に外に出るように、実は開門というのは今でもやっているんです。当然、本明川を始め大きな川から調整池に流れ込む水は日々ありますから、これを外に出すために、開門というのは今でも毎日、毎日といいますか、とにかくいつもやっているんです。防災上の観点から、常に調整池の水位は外側の海よりも一メートル低くなるように管理されているんです。
かつ、先ほど、塩水が淡水の中に入り込まないような運用、これが開門しないという意味だとおっしゃいましたけれども、これも、いわゆる調整池側から海水側へ水が流れる、そういう水位のときだけ開門するということですね。すなわち、海水側が調整池より水面が高くて、だから海水が淡水側に流れ込むような開門はしない、こういうこと、これを開門しないという意味の開門というふうにおっしゃっているということなんですね。それは分かりました。
その上で、大臣、先ほど申しましたように、これまでの開門を前提としない基金案では絶対に事は成りません、一般論としておっしゃっているこの基金案は成りません。そのときにどうするかということなんです。
外側の塩水が淡水に入らない、これを開門しない意味だというふうにおっしゃっているのであれば、例えば一立方メートルでも塩水が入るというのは、先ほどの防災上の問題あるいは塩水化の問題、これに抵触するんですか。一立方メートルでも海水が入ったら防災上の問題を生じるんですか、塩水で農業の問題が生じるんですか、どうですか。
○牧元政府参考人 お答えを申し上げます。
国営諫早湾土地改良事業によって造成されました各排水門の管理につきましては、排水門及び調整池排水施設管理規程に必要な事項を定めておりまして、淡水である調整池内に海水を流入させるような操作は行わないこととなっているところでございます。
淡水化された調整池の水は諫早湾干拓事業によって造成された農地へのかんがい用水として利用されておりますし、また、干拓農地の農業者の皆様方からも、調整池が塩水化することによりまして塩害等が発生するというような強い懸念が示されているところでございます。
○大串(博)委員 今、管理規程のことを少し言われましたけれども、管理規程は元々国が定めたものですから、自分が定めたものを前提にできませんと言うのは全然説得力がありませんので、意味がないと思います。
その上で、引き続き言われた塩水化することの農業への影響ですけれども、そのことは私たちも本当によく分かるんです。農業の方々がやはり農業を続けたい、それはそのとおりです。しかし、一方で、干拓地においては水田農業が盛んに行われているというわけではなくて、畑作中心ですね。ですから、使う水の量にもやはり違いがあります。ほかのところから水は取ってこられないのかという検討も私はできると思います。
防災上の観点といっても、今でもきちんと調整池の水位は海水より一メートル下に維持できていますので、少々、先ほど言われたような塩水が入り込むという運用をしたところで、一メートル下にちゃんと管理することはできるわけです。
こういったことを考えると、大臣、よく考えてください。今まで言ってきたことから一歩も動かなかったら、事は動かないんです。そのことから考えて、先ほど言われた、塩水が中に入るという運用、これができないと言われた。本当に一立方メートルでも二立方メートルでも不可能なんですか。どうですか、大臣。
○牧元政府参考人 お答えを申し上げます。
現在、淡水化された調整池の水というのは、繰り返しになりますが、まさに農地へのかんがい用水として利用しているところでございます。したがいまして、淡水化を維持するために、まさに、開門、淡水である調整池内へ海水が流入するような操作をしないということになっているところでございます。
○大串(博)委員 それは非常によく分かっているんです。干拓農地の農業者の皆さんが農業をしなきゃならぬ、これは非常によく分かります。ですから水が必要だ、これは非常によく分かる。そこは畑作農業が中心ですから、それに必要な水をどう確保するのか。水田とは違う水の量ですよ。それはよく分かるんです。それも含めた上で何がしかのことを話し合っていかないと。
これまで、四年以上にわたって開門しない前提の基金案だと動かなかったんですよ。開門しないということは何なのかと、今までざくっとしか言われていなかったので、よくよく調べてみると、今言われたように、塩水が淡水の中に入ることだ、こう言われている。そうであれば、それがどの程度かという議論ができるんじゃないですか。
牧元さん、お尋ねしますけれども、調整池の中には全体で何万リットル、何十万リットルの水が入っているんですか。
○牧元政府参考人 お答えを申し上げます。
調整池内の水の量は約二千九百万立方メートルでございます。
○大串(博)委員 二千九百万立方メートルですね。それだけの巨大な調整池ですよ。そういう中において、本当に一立方メートルでも二立方メートルでも塩水が入るということは駄目なんですか。そういう、一ミリでも譲歩するような、譲歩という言葉がよくないのであれば、一ミリでも柔軟性を示すようなスタンスを国は考えられないんですか。
弁護団、原告団の皆さんは、私たちの提案する方策を絶対視するつもりはありませんと先方は言われているんです。国も自分たちのスタンスを絶対視しないという態度は取れないんですか。
一立方メートルでも二立方メートルでも塩水が入るということが駄目な客観的な具体的な理由を、大臣、この場で言ってください。二千九百万立方メートルの調整池ですよ。そこに一立方メートル、二立方メートルの塩水が入り込むことが絶対に駄目な客観的な具体的な理由が、世の中の皆さんに、ああ、そうだなというふうに思わせられるような理由が、一ミリも動けないという理由があるんだったら言ってください、この場で。
○野上国務大臣 各排水門の今後の操作に関する御提案でありますれば、これにお答えすることは、係争中の訴訟に関わる具体的な対応について臆測を呼ぶものとなるため、適切ではないと考えております。
私自身も昨年、現地の方に行きまして、現地の皆様のお声を聞かせていただきました。干拓地では、レタスですとかタマネギですとかキャベツなど、大規模な環境保全型の畑作農業が展開されておりましたし、輸出にも取り組む法人があるなど、非常に農業者の方々は意欲的に営農に取り組まれているところでありまして、調整池に海水を流入させるということはできないと考えております。
○大串(博)委員 それは先ほどから繰り返し言われていることなんです。二千九百万立方メートルの調整池に対して一ミリでも海水が入っては駄目な理由はあるんですかということなんです。
干拓地の農家の方々が、一ミリでも塩水が入っちゃ駄目だ、農業ができなくなるということなんでしょうか。干拓地の皆さんの農業への懸念は非常によく分かります。だからこそ、そことも両立できる、水をどうしていくのかという話合いは私はできると思います。防災に関しても、マイナス一メートルを維持しながら開け閉めする方法は、今でも開門しているわけですから、できると思います。
これから、裁判の中での和解の話合いが続きます。その中で、大臣、いま一度聞きますけれども、一ミリでも譲歩できない具体的な理由をもう一度言ってください。
○高鳥委員長 既に持ち時間が経過しておりますので、簡潔にお願いいたします。
○野上国務大臣 今申し上げましたとおり、干拓農地の農業者の皆様からは調整池が塩水化することによって塩害や潮風害が発生するといった強い懸念が示されているところでありますが、各排水門の今後の操作に関する御提案であれば、それにお答えすることは、係争中の訴訟に関わる具体的な対応について臆測を呼ぶものとなるため、適切ではないと考えております。
○大串(博)委員 今問題となっているのは和解です。和解は双方が譲歩しないと成りません。しかし、今国が取っている態度は、理由が全く言えない中でかたくなな態度を取り続けている。極めて問題の大きい態度だと私は思います。この点、是非、裁判や国会を通じて更に議論させていただきたいと思います。
ありがとうございます。
○高鳥委員長 次に、近藤和也君。
○近藤(和)委員 石川県能登半島の近藤和也です。よろしくお願いいたします。
コロナ、大変厳しいです。私の地域では、能登半島輪島で朝市があります。この朝市もやはり観光のお客様が激減して、特に団体のお客様が来なくて大変苦しんでいます。
朝市というところは、大臣もお隣なのでお越しいただいたことはあると思いますけれども、私たち農林水産に関わる人間が一次だ、六次産業だということを言い続けてきていますが、六次産業の元祖、お手本のようなものだと思うんですよね。海や畑から取ってきたものをそのまま出したり、焼いたり、煮たり、切ったりして出したり、いろいろなものと組み合わせて売ったりということで、お手本だというふうには思います。ただ、一つ、国際化のルールの波、これはある意味乗らなきゃいけない部分もあると思いますが、それによって苦しむ局面ということも出てきています。
HACCPに関してなんですけれども、六月一日から改正食品衛生法が施行となります。こちらについては、元々自分たちなりに衛生面も考えて、それなりの売り方をずっと長年やってきたものが、HACCPに適合させなければいけないということで、新たな設備を加えなきゃいけないかとか、資格を取らなきゃいけないんじゃないかとか、ただでさえコロナで苦しいのに、お客さんも今は少なくて、もうやっておられぬわ、これを機会にやめてしまうわ、そういう声さえも出かねない状況です。
そこで、今日は当農林水産委員会に厚生労働政務官にお越しいただきました。このことについて、現場の声に私は配慮してほしいなというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
○こやり大臣政務官 委員御指摘のとおり、HACCPの制度化におきまして、様々な御心配の声があるということは承知をしているところでございます。
そもそも、HACCPの制度化でございますけれども、平成三十年六月に食品衛生法が改正されまして、昨年六月から施行されており、先生御指摘のとおり、一年間の経過措置の後、本年六月一日から本格施行となります。
そもそも、当該制度でございますけれども、まず、大規模な事業者の皆様にはまさに国際規格を策定する政府間組織であるコーデックス委員会が示している衛生管理を求めることといたしておりますけれども、さっきお話がありました朝市のような小規模事業者さんの皆様にはこうしたものの簡略化されたアプローチを求めることといたしております。
簡略化された衛生管理でございますけれども、小規模な事業者の皆さんが取り組みやすいように、今、百五の団体に作成いただいておりますけれども、手引書に従って計画を作成していただく、そして衛生管理の内容を記録、保管していただく、これが基本になってございます。
したがいまして、御懸念の、新しい設備が要るのではないかとかのお声もございますけれども、これはあくまでもソフトの基準となっています。今までの経験則をしっかり客観視していただくというのが趣旨でございまして、新たな施設あるいは設備等の整備を求めるものではございません。したがいまして、まさに今ある設備を前提に衛生管理に取り組んでいただくというものでございます。
六月一日からまさに本格施行になりますけれども、これが特に小規模な事業者の皆様にとっては本当に新しい制度の導入であるということも踏まえまして、しっかりまずは知っていただく、あるいはしっかりとこういうものであるということを理解していただくということが重要であるというふうに考えておりますので、仮に取組が不十分であるとか不備があるといった場合には、きめ細かな助言、指導をまずは重点的に実施していって、継続的にこうした取組を行っていっていただけるように、しっかり取り組んでいきたいというふうに考えております。
○近藤(和)委員 配慮していただいた御答弁、ありがとうございます。改めて、国際ルールにのっとっていかなくてはいけないと思いますが、やはり、現場現場、日本なりの商いのやり方ということがありますので、本当にありがとうございます。ただ、その上で、計画だ、記録だということも含めて今までやってこなかった方もたくさんいらっしゃるとは思うので、そこも是非とも配慮していただけたらというふうに思います。ありがとうございます。
それでは、政務官、ありがとうございました。この件については質問は以上です。ありがとうございます。
それでは、販路多様化事業について質問いたします。
こちらは前回、四月の当委員会でも質問いたしましたが、まず御礼申し上げます。農林水産省さんから経産省さんにお話をちゃんとしていただいて、商工会、商工会議所さんにお話をしていただいて、事業者さんにもお話が行ったということも私も確認をいたしました。ありがとうございます。そして、第三次募集も今行われ始めてきているということも、これも本当にありがたいなと思っています。
そこで、まず一つ目ですけれども、第二次の募集は想定どおりだったのか、そしてまた反省点等はなかったのかということを伺います。
○青山政府参考人 お答えいたします。
第二次募集につきましては、四月十五日まで第二次募集を実施いたしまして、六百二十四件、百三十四億円を採択したところでございます。
○近藤(和)委員 済みません、よかった点、反省点を。金額はいいんです。
○野上国務大臣 今申し上げましたとおり、第二次募集で六百二十四件、百三十四億円の採択をしたところでございます。
また、先般、農林水産委員会で先生から御指摘のありました、商工会、商工会議所も含めて広く事業内容の周知を行った結果、事業内容が浸透しまして、一次募集に比べて優良な取組が大幅に増加した点は評価をいたしております。
他方、本事業につきましては、生産者や加工業者あるいは流通業者のみならず、提供先となります小中学校ですとか子供食堂を含めまして、関係者が非常に多岐にわたりますので、更なる事業内容の周知が必要と考えております。
五月十四日から実施しております第三次募集におきましても、一層丁寧な事業周知に努めてまいらなければならないと考えております。
○近藤(和)委員 ありがとうございます。募集期間も長めに取っていただいたということで、本当にありがたいと思います。
そして、やはり私もここだなと思ったんですけれども、販促キャンペーンですね。私の地元でいけばカキ丼フェアとか地酒フェアとか、そういったことができればいいなと思ったんですが、販促キャンペーンでいけば第一次と比べて九倍ですよね。ただしなんですけれども、全体として三百四十億の予算がある中で、第一次、第二次を合わせてまだ百六十億程度ということで、まだ半分ぐらいなんですよね。まだまだ運用上改善していかなきゃいけないところがあるのではないかなと思います。
それで、私が連絡を取らせていただいた先で、これは言った言わないになるので余り押し問答はしたくないんですけれども、こう言われたんです。私が申し込みましたかと聞きましたら、いや、申し込まなかったと。なぜかというと、一つには、そこはお酒を造っているところで、原材料も作っているんですが、電話した先は業務委託先ですよね。そこで、一次産業の生産者の方の事業であって加工者向けじゃないかのようなことを言われたらしいんです。これはうそか本当かをどうこう言っても致し方ないですから。そういう声を私は間違いなく聞きましたし、その方にはそう聞こえたはずなんです。
そうじゃないですよね。生産者の方を何とかしたいという思いの中には、流通業者の方も卸も何とかしなきゃいけないし、そして飲食店も盛り上がっていけば結果としてみんなハッピーだよねということだと思うので、生産者のためであって加工業者のためじゃないんだというところは、間違ってもそういう誤解を与えるようなことは言っちゃいかぬと思うんです。この点についてはいかがでしょうか。
○野上国務大臣 御指摘のとおりだと思いますので、そのような誤解が生じないように、しっかりと丁寧な周知に努めていくということが重要であると考えております。
○近藤(和)委員 ありがとうございます。
申し込まなかった理由はそういったこともありますし、あと、期間が短かったといったところもありますし、私は聞いてあれっと思ったんですけれども、例えばお酒であれば、来年造る用のお米の注文をしていないんですよね。フェアをしようという方、飲食店さんに伺うと、もう既に在庫が少なくて値段が上がっていてフェアができない、そういったお話もありました。望まない形での値上がり、こういう状態も起きているということも受け止めていただきたいというふうに思います。
あとは、販促キャンペーンということはイベントをするということですよね。今、石川県も蔓延防止の地域になりました。全国で半分ぐらいの地域がなってきている中で、二次募集で採択されたところがイベントを、五月だ、六月だ、七月だという、予定どおりできない可能性が高いんですね。そうなので、二次募集で採択されたところを、三次募集は九月末までということなので、ここでの事業を七月末までにするのではなくて、九月までというところも、これは猶予していかなきゃいけないんじゃないかなと思うんですが、いかがでしょうか、ここは是非とも。
○青山政府参考人 お答えいたします。
第二次募集は四月十五日で締め切ったわけでございますけれども、これは七月末までの取組分ということで実施をさせていただいております。
また、第三次募集も行っておりますので、こちらの方は九月末ということでございますので、事業全体として対応できていくものだと思っています。
○近藤(和)委員 済みません、私の申し上げたかったことは、二次募集のところが七月末までにイベントをしなきゃいけない、でも、もしも蔓延防止などがずっと続いてしまったら、せっかく採択を受けて事業をしようと思ってもイベントができなくなるから、七月じゃなくて、それも八月、九月に猶予してください、そういう意味なんです。これは現実的な提案だと思いますが、いかがでしょうか。
○野上国務大臣 おっしゃる意味はよく分かります。ただ、感染拡大の状況は予断することができませんので、その状況はしっかり注視をしてまいりたいと考えております。
○近藤(和)委員 ありがとうございます。これも私の知り合いのところで、採択を多分受けた、ただ、こんなときに何ができるのと。そういった御意見をいただいたので、是非とも今後、現在進行形での話なので、考慮いただきたいと思います。
それでは、農水産業協同組合貯金保険法についての質疑に行きますが、まず、バーゼル3に対しての評価と課題についてお願いいたします。
○和田大臣政務官 お答え申し上げます。
二〇〇八年のリーマン・ショックの後に、G20やバーゼル銀行監督委員会等におきまして、国際的な金融危機の教訓を踏まえた金融規制改革が進められてまいりました。
具体的には、国際的に活動する銀行に対する健全性の規制につきましては、バーゼル3として、自己資本の量と質の向上を求める自己資本規制の強化に加えまして、流動性リスクに対応するための新たな定量的な最低基準の導入などに合意をしてまいりました。
各国におきましては、バーゼル3を含む国際的な金融規制改革を順次実施しているところでございます。
金融庁といたしましては、こうした金融規制改革につきましては、コロナ禍で、グローバルな金融システムが大きなショックに対してもしっかりと耐え、バッファー機能をしっかりと発揮して市場機能を維持して、実体経済への資金供給を継続させることを容易にしたというふうに評価しておりまして、昨年三月のG7財務大臣・中央銀行総裁会合の共同声明でもこうした認識が確認されたところでございます。
○近藤(和)委員 バーゼルに対してですけれども、そもそもでいけば、立ち位置からすれば、やはり、私は、バブルのときの日本の金融機関が世界を席巻する中で、商業銀行を中心とした日本の金融機関を狙い撃ちにした、それで結果的に日本はバブルが崩壊して苦しくなってきたという見方をしている人間でございますので、バーゼル3に対してもそれこそ、うのみにしない方がいいのかなという思いと、あとは、コロナ後ということでもう既にアメリカ経済などは動き出していますけれども、緩めるのか、厳しくするのか、どちらにしても、日本がしっかりと日本の金融機関の立ち位置を守っていくという形での、バーゼル4という形なのか、別の形なのか分からないですけれども、そこについては意識を持って動いていただけたらというふうに思います。
そこで、農林中金さんなんですけれども、現状と課題、先ほど少しありましたが、立ち位置、そしてバーゼル3に対しての所見をお願いいたします。
○八木参考人 お答えいたします。
現状ということでございますので、私どもは、二〇一九年度から五か年の中期経営計画を作ってございまして、食と農、リテール、投資の三つの三事業分野を通じて、多様なステークホルダーへ農林中金の価値を提供し続けることを目指してございます。その前提として、会員への安定的な収益の還元も含めた持続的な財務・収益基盤の構築に取り組んでおります。
これまでのところ、厳しい運用環境ではございますが、中期経営計画に沿った堅調な実績を確保しているといったところでございます。
今後更に現状の取組を強化して、会員の経営基盤強化、農林水産業や地域への貢献、更なる取組をしてまいりたい。
決算発表は今年はまだできない状況で、二十六日ということでございますが、直近で申しますと、十二月末の仮決算の状況でございますけれども、厳しい運用環境ではございましたが、経常利益については、十二月末の時点で千四百八十四億円と、前年同期比プラス三百四十五億円の増益となってございます。
また、自己資本比率についても二三・七四%、有価証券の評価益についても、プラスの〇・七二%増加となっている、そういった状況でございます。
また、バーゼルについての評価といったことでございますけれども、私どもは、先ほど来繰り返し、国際分散投資といった形で世界的にグローバルに投資を行ってございますので、国際的なルールをきちんと守らないとなかなか世界の取引先に相手にされないということでございますので、こちらの方はきっちりルールを厳守しながらやっているということでございます。
○近藤(和)委員 相手にされないことはないのかなというふうには思うんですけれども、ありがとうございます。
CLOの話も先ほど出ていましたけれども、私も、農協さん関係、組合員の方々に対して収益を還元するということは大変重要だというふうに思っていますので、運用の在り方ということも大変重要だとは思っていますが、ただ、やはり、CLOに関しては、商品性というものよりは、マーケットに対しての飛び込み方というか、そこはちょっといかがだったのかなというふうには思います。
大き過ぎるところに行き過ぎるのも変ですけれども、大きい方が小さいところに首を突っ込み過ぎて、逆の形での身の丈に合わないような、それで逃げようがなくなる。いかにトリプルAだということを言ったとしても、トリプルAだって間違いがあるわけですから、そこは気をつけていただきたいなというふうに思います。
そこで、バーゼル3に対してはルールを守らなければ相手にされないというお話がありましたが、少し思いますのが、このルールでいいのというところは正直あります、G―SIBの枠組みですね。なぜかといいますと、先ほど大串さんや佐々木さんのお話にもありましたが、農林中金さんの立ち位置のような大きな世界の金融機関に、今、G―SIB候補は七十六ですよね、農林中金さんに類するところはないわけじゃないですか、ないという前提でお話をいたしますが、その中にルールを当てはめられることが本当にいいのかなというふうに思っています。
そこで、済みません、ちょっと時間がなくなりまして、秩序ある処理の仕組みのところを少しお話ししたいと思うんですが、資料一のところで、こちらは、下のところが秩序ある処理の仕組みで、農林中金さんに関しては、貯金保険機構しかある意味ないわけですよね。一対一に近いような感じだと思います。
裏面、資料二を見ていただけたらと思いますが、農林中金さんが、左側、貯金保険制度のところでいけば、大部分を農中さんが占めるわけですよね。一方で、預金保険機構の中でいけば多くの金融機関があるわけであって、しかも、秩序ある処理ということでいけば、預金保険機構に関わるところで、ほかに、保険であったり証券であったり、いろいろなところが入ってくるから何とかできる部分はあると思うんです。一対一という関係の中で、果たして秩序ある処理ということがしっかりと責任を持ってできるのかということ。
そして、更にいけば、狭い枠組みの中で、預金保険法の中でいけば、金融機関も業種も幾つもありますから、そこでのお金の出し入れも含めて多様性があると思うんですが、農中さんの世界でいけば、業務の遂行等の監視、役員の解任及び選任ということが適切にできるのかという不安があります。
この点についてはいかがでしょうか。
○光吉政府参考人 お答えいたします。
議員の今御質問いただいたのは、農林中央金庫との一対一というふうに御質問いただきましたけれども、預金保険の方はいろいろなプレーヤーがおられて、貯金保険機構の方は農林中金が……(近藤(和)委員「一、一に近いようなイメージ」と呼ぶ)基本的には、これまでの、委員から御配付いただいた仕組みの中で、保険金の支払いとか金融危機対応につきましては、中金だけではなくて、御案内のとおり、農協など、いろいろな、ここに関わって、数もここに載せていただいていますけれども、こういった全体の多数の金融機関を対象にしているものでございますので、委員から御指摘のあった一対一という意味では、今回改正をお願いしている秩序ある仕組みについてのお話だと思いますが、これにつきましては、農林中金が国際業務をJAバンクシステムの中で、基本的には農林中金がやるという仕組みでございますので、農林中金を対象にした制度としてお願いしているところでございます。
それにつきまして、これは基本的には、金融システムの安定化をやるときに、先ほども御議論がありましたが、保険料で賄う仕組みではございませんので、一義的には、金銭的なことにつきましては、現在の金融危機の対応と同様に貯金保険機構が政府保証の下で借入金を活用して行うものであり、これにより対応できるものと考えています。
あともう一点は貯金保険機構の体制的なことでございますか、違いますか、失礼いたしました。
以上でございます。
○近藤(和)委員 ちょっと聞き方が粗くて申し訳ありません。私の一意見として聞いていただけたらと思います。
私が申し上げたいことは、秩序ある処理、本当に処理しなければいけないという事態で、ここでは相当心もとないなということを私は指摘しておきたいというふうに思いますし、例えば、万々が一のことでいけば、今回、FRBが格付の低い債券を買い入れましたよね、それによって米国のマーケットが安定したということがありましたので、そういったことも含めて国、日銀なりがしっかりとすぐ動き出す。この仕組みでは、私は、ほかの銀行や証券会社とは違う形でのスピードの遅さ、万々が一のときにはですね、そこを指摘しておきたいと思います。
それでは、持続化給付金のことについて伺いたいんですけれども、農林水産に関わる方も、持続化給付金、かなり喜んでいただいています。そして、当委員会でも、農協さん、漁協さん、それぞれの皆様に伝えていくということもお話を伺いましたが、ただ、どれだけの方が受給されたか農林水産省としては把握していないということを伺いました。
中小企業庁としても業種の把握はしていないというふうに聞いたんですが、私は、今、国が出している制度の中では比較的まだいいものだと思いますし、再支給法案を私たちの方も出しているんですが、どの業種に出しているかということはやはり把握をしておくべきだというふうに思います。いかがでしょうか。
○高鳥委員長 既に持ち時間が経過しておりますので、簡潔にお願いいたします。
○長坂副大臣 持続化給付金につきましては、事務局の集計では、約四百四十一万件の申請を受け付けまして、約四百二十四万件、約五・五兆円の給付を行いました。
一時支援金につきましては、三月八日から申請受付を開始いたしまして、五月十八日までに約三十万件の申請を受け付け、約二十万件、約七百八十億円の給付を行っております。
なお、持続化給付金の業種別の内訳は、申請時に集計を行っておらず、現時点でお示しすることはできませんが、委員御指摘のとおり、今後の事業者支援に際して重要な情報となり得るために、準備が整い次第、取りまとめて集計したいと考えております。
○近藤(和)委員 ありがとうございました。
○高鳥委員長 次に、田村貴昭君。
○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。
最初に、諫早湾干拓問題について質問します。
野上大臣、五月十二日の本委員会において私が質疑したときの大臣答弁なんですけれども、大臣はこのように述べられました。江藤前大臣から、様々な立場の関係者がバランスよく参加するのであれば一堂に会して話し合うことがあってもよい旨を発言されたと承知しております、私もこの考えが変わっていない旨を述べたものでありますと。ですから、様々な立場の人が一堂に会して話し合うことについて、変わっていないと。
先ほど大串議員の質問のやり取りを聞いていて私が非常に疑問に感じたのは、開門して、開門調査をして有明海の問題を解決しようとする主張がある。一方で、先ほど答弁があったように、調整池に海水を入れてもらっては困る、農地に塩害被害が起きては困るという立場の人たちがいる。そういうのを様々な立場というのではないんですか。そういうのを解決するのが話合いじゃないのですか。
大臣がずっと言われている様々な立場の人が一堂に会する機会で、どういう話合いをするんですか。それについてお答えください。
○牧元政府参考人 お答え申し上げます。
先般大臣から御答弁がございました一堂に会する場でございますけれども、これにつきましては、令和元年の十月の意見交換の場におきまして、開門派弁護団から、和解協議という文脈ではなくて、話合いをする場をつくっていただきたい旨の発言があったのに対しまして、江藤前大臣から、様々な立場の関係者がバランスよく参加するのであれば一堂に会して話し合うことがあってもよい旨の発言をされまして、野上大臣もこの考えは変わっていないという旨の御答弁があったところでございます。
これに対しまして、今委員から御質問がございました件につきましては、まさに今後の裁判に関わるものでございますので、予断を持った形でお答えするのは適切ではないと考えているところでございます。
○田村(貴)委員 裁判のことは一言も言っていません。
大臣が、この委員会の場で、様々な立場の関係者の方がバランスよく参加するのであれば話合いをすると。ですから、様々な立場と話合いのテーマは一体何を想定されているのですかと聞いているんですよ。大臣、答えてください。
○野上国務大臣 今も答弁がありましたが、御指摘の一堂に会する場についてでありますけれども、これは、令和元年十月の意見交換の場におきまして、開門派弁護団の方々から、和解協議という文脈ではなくて、話合いをする場をつくっていただきたい旨の発言があったことに対しまして、江藤前大臣から、様々な立場の関係者がバランスよく参加するのであれば一堂に会して話し合うことがあってもよい旨を発言され、これについて、私もこの考えは変わっていないということを申し述べたところであります。
一方、今後、裁判の内容を予断するような形であるものにつきましてお答えすることは適切でないと考えておりますが、その上で、一般論として申し上げますれば、平成二十九年の大臣談話に沿った和解を前提として、和解協議等の手法等に関して、国の何らかの対応を含めて具体的な御提案があれば、それは真摯に検討させていただくということになるというふうに考えております。
○田村(貴)委員 結局、大臣、それは自己矛盾なんですよ。非開門、基金案に固執するのであれば、様々な立場もあり得ないし、一緒にテーブルに着くこともできないですよ。だから、そういうかたくなな態度だったら、話合いもできなければ今後の和解協議も進行しない、私からも強くそのことを指摘しておきたいというふうに思います。
農水産業協同組合貯金保険法の一部を改正する法律案について質問します。
改正案の出発点となっているのは、農林中央金庫が国際金融市場における有力な機関投資家になっていること、そして、G20の下に設置されている金融安定理事会によって、グローバルな金融システム上重要な銀行、G―SIBに選定される可能性があることとされています。したがって、貯金保険制度に、国際的な金融ルールに対応できる仕組み、秩序ある処理を追加するとされています。
お伺いします。そもそも、G―SIBに選定されることによる規制というのは法的拘束力があるんでしょうか。
○光吉政府参考人 お答えいたします。
今般の法改正に関わります金融安定システムの安定に係る国際的な基準でございますが、これは、金融安定理事会におきまして平成二十三年に策定され、G20カンヌ・サミットで合意されたものでございます。
この基準は法的拘束力を有するものではございませんが、各国の当局におきまして、この基準に基づいて必要な措置を講ずることができるようにするため、自国の法令を国際的な基準と整合性のあるものに整備してきているところでございます。
仮に法改正をしないでG―SIBとして指定された場合、国際的な基準に基づいて必要な措置を講ずることができる仕組みがないものとして、国際金融市場でも、各国の金融当局からも評価されかねないという問題があるところでございます。
○田村(貴)委員 法的拘束力がないにもかかわらず、この規制に従わなければ国際金融取引上様々な不利益が生じる、だから破綻リスクを軽減するための様々な規制を受けなければならないとおっしゃるわけですね。
法案では、農林中金の危機の際には、農水産業協同組合貯金機構による特別監視と資金の貸付け、それから優先出資の引受け等の措置を行うことを定めています。さらには、優先出資の引受けをしてもらう際には経営合理化計画を政府に提出して認定を受けるとして、役員の解任及び選任までできるとしているわけであります。
総理大臣が特別認定を行う、そこまで政府が踏み込む事態というのはどういう状態を想定しているんでしょうか、それを教えてください。機構による資産及び負債の秩序ある処理に関する措置が講ぜられなければ金融システムの著しい混乱が生じるおそれがあると認めるときというのは、農林中金がどういう状態になっているんでしょうか。分かりやすく答えてくれないですか。
○光吉政府参考人 お答えいたします。
今回の法律案で対象となる場合につきまして、金融システムの著しい混乱が生じるおそれがあると認められる場合というふうにしております。
これは預金保険法で手当てされる場合と同じでございます。例えば、リーマン・ショックがございましたけれども、ある金融機関の財務状況が悪化して、ほかの金融機関に連鎖して、金融市場の全体の取引が著しく停滞してしまう、それによって例えば流動性が供給されなくなる、そういったような事態が想定されるところでございます。
○田村(貴)委員 その原因に至る理由というのは一体何なんでしょうか。特別認定に至る事態というのは、農林中金を、その資産を支えている農協、それから漁協、森林組合、そこに加入する組合員や生産者の方々が原因を招いたということで生じる事態なんでしょうか。いかがですか。
○光吉政府参考人 失礼いたします、これは、先ほど申し上げましたように、農林中金だけの事象ということではなくて、預金保険も含め、あるいは国際的なことを含めて、先ほどのような事態が特に国際的に活躍しているような金融機関について発生した場合に、それが甚大な影響を及ぼすおそれがあるということから講じられるものであって、個々の何らかの理由ということが特定されているわけではありません。
○田村(貴)委員 国際金融市場において生じていく問題であります。そして、そういう不利益を被っていくのは一体どこにあるのかということも問題です。
金融危機と読みますと、バブルのときの住専への貸し込み、破綻、そういったものを思い起こすわけでありますけれども、農林中金がリーマン・ショックではどのような損害を受けて、どのように処理しましたか。農林中金の方に答えていただきたいと思います。
○八木参考人 お答えさせていただきます。
リーマン・ショック時に国際的な金融市場の混乱が継続かつ拡大したことによりまして、保有する証券化商品や株式等の価格が下落し、減損処理を行ったことを主因に、二〇〇九年三月期決算において約六千億円の経常損失を計上いたしました。
こうした状況に対し、農協、信連等の会員に要請し一兆九千億の資本増強に応じていただいたことにより、二〇〇九年三月末の自己資本比率は一五%超を確保することができました。
会員からの大規模資本増強が必要となった事態を真摯に受け止め、財務・リスク管理手法の見直し、協同組織中央機関としての一層の機能発揮を柱とする四年間の経営安定化計画を策定し、会員への安定還元や農林水産業への一層の貢献に取り組むことといたしました。
その後、安定的な資金運用を心がけた結果、財務の改善が進展し、一年目には約七百億円の経常利益を計上し黒字に回復、二年目にも約一千二百億円の経常利益を確保し復配を実施いたしております。
四年間の経営安定化計画に二年間で一旦区切りをつけて、三年目より新たな中期経営計画を策定しましたが、経営安定化計画の趣旨を踏まえ、その後もリスク管理の高度化や協同組織中央機関としての機能発揮に取り組んでいるところでございます。
○田村(貴)委員 リーマンのとき増資をしたというのは、全国の農協組合員が出資して応援したということです。損害を穴埋めした、農林中金を支えてこられたわけですね、そうやって。
今の農協金融は百五兆円もの資産があります。健全な財務状況にあると今の説明でも伺いました。実際、自分たちの手で支えられる状況にあるのではないかな。このような政府による介入の制度が必要なのか、甚だ疑問であります。巨額な市場運用を行うということ自体が農林中金の本来の役目なんでしょうか。
再度お尋ねします。農林中央金庫法に定められた、そもそもの農林中金の役割、目的について説明をしていただけますか。
○光吉政府参考人 お答えいたします。
農林中金は、農林中央金庫法に基づきまして、農協などの農林水産業者の協同組織を基盤とする金融機関といたしまして、これらの協同組織のために金融の円滑を図ることにより農林水産業の発展に寄与することを目的とする民間金融機関でございます。
農林中金は、こうした目的を達成するために、農協等から預かった資金につきまして、農林水産業や関連産業への出融資、金融市場における有価証券等の運用などによりまして収益を還元しているものと承知しております。
農協系統においては、JAバンクシステムの中で、現場に近い農協が農業者のニーズに応えて農業関連融資を行うこと、これが基本となるわけでございますけれども、農林中金は、農協への融資審査ノウハウの提供、審査システムの開発といったサポートを行うとともに、農業法人などへの出融資を行うことにより、役割分担を行いながら農林水産業の発展に寄与しているものと認識しております。
○田村(貴)委員 つまり、農漁協の信用事業というのは、組合員の相互金融によって営農と生活の改善、向上を図ろうとするものであります。
しかし、系統金融の状況はどうなっているでしょうか。
農林中金の資料によりますと、総資産は百五兆五千億円、うち貸出しは二割弱にすぎず、六十兆円が有価証券に投資されています。系統金融の構造的な問題として、資金調達機能に比べて資金運用機能の極端な弱さが言われています。農協の預金残高に対する貸出金残高を示す貯貸率は、他の金融機関が七割から十割になるのと比べて、三割、四割と際立って低い状況です。
野上大臣、なぜこのような実態になっているんでしょうか。その原因については何なのでしょうか。
○野上国務大臣 近年の農協におけます貯貸率でありますが、すなわち貯金に対する貸出金の割合の動きを見てみますと、平成十年度に三一・六%だったところ、平成三十年度には二一%となっております。低下しているわけであります。
これにつきましては、貸出金がほぼ横ばいで推移する中で、農協の貯金は平成十年度の六十九・四兆円から平成三十年度百三兆六千億円へと大きく増加していることが要因となっております。
貸出金につきましては平成十年から三十年まではほぼ横ばいで推移をしておりますが、データの取得できる平成二十七年度以降、農業関連融資につきましては二・三兆円から平成三十年度の二・六兆円へと増加しているところであります。
○田村(貴)委員 貸出金の用途別残高の推移を見ても、農業資金の比率がどんどん低下しています。貯金財源の内訳の変遷を見ても、農業収入の比率がどんどん低下しています。その上で、なぜこういう状況になってきたのかということは歴史的に見る必要もあると思うんですけれども、時間がありません。
六〇年代、七〇年代、輸入増加の一途、そして各種の自由貿易協定、こうしたところによって、第一次産業の将来性に展望が見えない、とても子供に自分のところの農業を継がすわけにいかないという声が出されていますし、農業センサスでは、この五年間で四十万人も基幹的農業従事者が減少してきているわけであります。こうした状況を招いてきているのは、やはり長年続いてきた農政と表裏一体の関係にあると指摘せざるを得ません。
それでは、お伺いします。各単位の農協は、農業で利益が出せないから営農・経済事業は赤字にならざるを得ない、信用事業で穴埋めせざるを得ないという構造になっています。ところが、農林中金は、毎年四千億円ほど支払ってきた運用益還元を三段階で削減する計画を今実施しています。どうしてこういうことをするんでしょうか。
○八木参考人 お答えいたします。
先ほども申し上げましたとおり、グローバルな金融環境をめぐる状況は大変厳しゅうございます。国内におきましては、日銀のマイナス金利を含め、国債の金利がほぼゼロ%といった中で、世界においてもなかなか金利が低い状態が続く中、この中で我々はグローバルに運用しているわけでございますけれども、大変厳しい状況が続いているといった中で、今までは、貯金をきっちり預かって運用して、その分還元をしてまいりましたが、余りここで無理をすると、それこそ持続可能な経営ができなくなるといったことにもつながりかねません。
私どもは、一時的に収益を上げてたくさん還元するということではなくて、安定的に継続的に還元をするといったことが趣旨でございますので、農協さんも、総合事業をやる中できちっと収益を上げていただく、信用事業がなかなか難しくなってきた、そういった中でいうと、経済事業の赤字のところをどうやったら赤字を改善できるか、又は信用事業のところのコストをどうやったら削減できるか、そういったことを含めてきちっと農林中金としてはサポートしてまいりたい、そういうふうに考えているところでございます。
○田村(貴)委員 農林中金の資料を読ませていただいたら、調達費用のその他というところが三四・三%、ドル中心の外貨調達などがここに入るというふうに説明を受けました。そして、奥和登理事長が二〇一九年の会見で述べたように、アメリカの段階的な利上げによるUSドル調達コストが上昇しているといったところがこうしたところの原因ではないでしょうか。還元金の削減によって、越後ながおか農協は、三億円の還元金の減少、人員を六十人削減し、十六支店を三支店に統合せざるを得ない状況に陥っている、こうしたことも伺ったわけであります。
大臣にお伺いします。G―SIB選定によって自己資本比率のアップが義務づけられたら、一層リストラの圧力が強まる可能性が出てくるんじゃないでしょうか。運用益を確保するために単位農協や組合員へのサービスを削減せざるを得ないというのは本末転倒した議論ではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
○高鳥委員長 既に持ち時間が経過しておりますので、簡潔にお願いいたします。
○光吉政府参考人 お答えいたします。
先ほど来申し上げておりますけれども、G―SIBに選定されるというのは、国際的な基準に対応して農林中金が安定的な業務を行って、その結果として国際的にも活動を安定的に継続して、その結果としてきちんと現場に対する還元ということもできるようにするものでございまして、これを通じて現場に対する貢献というのも図られるものと考えております。
○田村(貴)委員 本法案は、農林中金や系統金融の本来の在り方から一層遠ざかることを是認するものではないか、そうしたことを指摘して、質問を終わります。
○高鳥委員長 次に、藤田文武君。
○藤田委員 日本維新の会の藤田文武でございます。
今日は法案について質疑をしたいと思います。
冒頭、そもそも論として、今、銀行さんは預金保険法、そして農林中金、農協は貯金保険法、今回は貯金保険法の改正でございますけれども、二つの設置基準というか、設置法が違うわけでありますけれども、この二つの制度で運用する意義又はメリット、デメリット。経緯はいろいろあると思うんですけれども、今回は国際基準にいかに対応していくかというのが論点でありますから、相当農林中金は大きな金融機関であります、その上で、二つの制度で運用している、対応するという意義、そもそも論についてお答えいただけたらと思います。
○光吉政府参考人 お答えいたします。
預金保険法の対象となります銀行等につきましては、金融業務以外の業務が制限されているところでございます。
一方、今回の貯金保険法の対象となる農協あるいは漁協につきましては、信用事業のほかに共済事業あるいは経済事業を兼営する総合事業体でございます。したがいまして、両者のリスク構造が異なることから、貯金保険法は預金保険法とは別に措置をしているところでございます。
今申し上げたように、二つの法律の対象となる金融機関のリスク構造が異なることに鑑みまして制度をそれぞれ設けているところでございまして、二つであることを理由として、メリット、デメリットというのは余り認識をしておりません。
○藤田委員 ありがとうございます。簡潔に言うと、経済事業とかがある特殊性みたいな話だと思うんですね。
例えば、リーマン・ショックやサブプライムローンのような世界的な金融危機が生じた場合、農林中金さんの内部的問題ではなくて世界中が金融危機に陥った場合、何らかの処理や対応をしていかないといけないわけでありますけれども、協同組織の一翼を担う、中心的な一部である農林中金さんの特殊性によって対応は違うものですか、同じですか。お願いします。
○葉梨副大臣 今経営局長が申し上げたとおり、制度が二つあるというのは、対象となる機関のリスク構造が異なるからということでございます。
今御質問にありました、グローバルな金融システム上重要な金融機関について金融システムの著しい混乱が生ずるおそれがあると認められる場合、この法律でその資産及び負債の秩序ある処理に関する措置を講ずることができるようにということを考えているわけですけれども、貯金保険法と預金保険法で、正確に言うとちょっとの違いはあるんですけれども、ほとんど同じ対応を取る。
強いて言えば、貯金保険法の場合はG―SIBの対象となるのが農林中金一行、一つだけですが、預金保険法の場合はもう既に三行がG―SIBの対象になっていて、またG―SIB候補もほかにもあるというようなことに伴う違いはありますけれども、それ以外は預金保険法にのっとった対応策を取っているということでございます。
○藤田委員 ありがとうございます。農政全般の構造に関わる問いなのかなというふうに思うわけでありますけれども、要するに、金融機関としてのビヘービア、振る舞いというのはほとんど同じですし、危機が起こったときも同じ対応をする。
じゃ、後でちょっと聞きますけれども、経済事業の方はどうかというと、経済事業が農林中金の大部分を占めているわけでもない、非常に厳しい状態である、農林中金だけじゃなくて農協全体が厳しい状態であるというのであれば、私はやはり、制度とか規則、決まり、ルールというのはシンプルで分かりやすい方が一番いいと思うんですね。
実態として、金融機関としては通常の銀行と遜色がない。また、例えば、経済事業をやっているグループの銀行、分かりやすく言えば楽天銀行さんとかソニーとか、そういうところも、事業体をやっていますけれども、特別な枠組みの中でやるわけではなくて、可能だと思うんですね。それは今後の検討課題かなというふうに思います。
その中で、G―SIB候補と言われるリストを拝見していて、いろいろな指標を見比べてみました。その中で、海外の協同組合系の金融機関というのが幾つかありまして、六、七行あります。代表的なので言うと、クレディ・アグリコル、フランスですとか、DZバンク、ドイツですとか、いろいろあるわけでありますけれども、それらと比較した場合に、トレーディング・アンド・AFS・セキュリティーズ・インディケーター、つまり、換金可能な有価証券とか債券のような、割とチャレンジングな投資的なものの数値が非常に高い。積極投資されているんだと思うんですね。
私は、誤解がないように言うと、農林中金さんの経営自体は悪くないと思うし、健全だというふうに思います。その中で、本質的には、国際金融における重要なプレーヤーであるという農林中金の顔と、協同組織の守護神のような、一部であるという顔と、この両面があるわけなんですよね。そのバランスが実務的にはどうなんだろうという疑問が素朴にありまして、この指標をどのように見ておられるか、御見解をいただけたらと思います。
○八木参考人 お答えいたします。
先ほどからの繰り返しでございますけれども、農林中金の役割というのは、会員から預けられた資金を運用し、安定的な収益還元を行う、さらには、その目的を果たすために、適切なリスク管理の下、国際分散投資を基本に様々な資産にバランスを取って、さらには流動性にも勘案しながら運用し、中長期的に安定したリターンを確保することを目指してございます。そういった性格を持っています。
海外の協同組織金融機関に関しましては、国ごとに置かれている事業環境であったり役割といったものが異なるといったことがありますので、同列に捉えるには難しいと考えてございます。農林中金は安定的な収益還元の役割を主に有価証券運用によって担っているといった点が、御指摘の点につながっているのではないかなというふうに考えるところでございます。
○藤田委員 ありがとうございます。
ちょっと一問を後回しにして、三番を飛ばさせていただきます。農協全体の話を少し農林中金さんに聞きたいと思います。
これは先週大臣にも質疑させていただいた内容と同じなんですけれども、農協は農業者の所得向上に向けた経済活動を積極的に行える組織であるべきという前提がある中で、経済事業に目を向けると黒字のJAは全体の二割ということで、信用・共済事業、金融部門が赤字を穴埋めしてあげている、そういう構造があるわけでありますけれども、農協の経済事業の評価を、農林中金さんから見ると、どのように見ておられるか。
また、私の問題意識としては、経済事業で適切に利益を上げられる構造にいち早くやはり転換すべきだというふうに思うわけでありますけれども、その点について、農林中金さんからの景色を教えてもらえたらと思います。
○八木参考人 お答えさせていただきます。
議員の御指摘の状況を踏まえまして、JAグループでは、二〇一九年二月のJA全国大会におきまして、持続可能なJA経営基盤の確立、強化ということを重点課題に定めまして、JAの経済事業の収益力向上、収支改善に向けた点に取り組むということを決議してございます。
これを踏まえまして、信農連及び農林中金においては、中央会さんや全農さん、経済連さんとも連携して、JA営農・経済事業の成長・効率化プログラムというものを展開し、現在取り組んでいるところでございます。
この成長・効率化プログラムといいますのは、信農連さん、農林中金の担当者がJAに十四週間常駐の上、財務分析とJA役職員へのインタビューを通じて課題を特定し、全農さん、経済連さんの知見も活用の上、課題解決の施策を立案し、それをJAさん自身の行動計画に落とし込むところまでサポートしているところでございます。
二〇二〇年度末までに、四十五JAで約六百の課題解決策を立案いたしております。二〇二〇年度単年度の収支改善額については、現在集計中ではございますけれども、少なくとも五億円程度の成果が出ているというふうに確認してございますので、御指摘のとおり、信用事業が苦しい中、経済事業の収支改善といったところに今取り組んでいるというところでございます。
○藤田委員 ありがとうございます。
今いただいた事例についての評価をいただきたいんですけれども、コロナの状況と実際時期的にかぶっているので通常の評価は難しいかもしれないんですが、今の取組、実際に五億円ぐらいのという話もありましたが、それに対して、よしと見ているのか、ちょっと進みが、もう少し努力が要るかなと見ておられるか、それをお聞かせいただけますか。
○八木参考人 お答えいたします。
これはまだ緒についたばかりでございますので、まだJA数も少ない段階でということでございますけれども、これを拡大させていくということで、立ち上がりとしてはまずまずというふうに考えてございますが、私の考えといたしましては、JAさん自身がこの課題に取り組み、やっていく、それが、農家さんとの連携を含めて、経済事業の収支改善、ウィン・ウィンの関係を担っていけるといったところの発端になればよりいいかなというふうに考えているところでございます。
○藤田委員 ありがとうございます。
中から出てくる努力というのは是非やっていただきたいなと思うわけでありますが、我々は構造を考えるのが仕事の一つでもありますから、その点から、あと何問かさせてもらいます。
農協のいわゆる正組合員の数が減っていっているという問題、准組合員制度という特殊な制度によってそっちの方が人数的には逆転していっている、つまり、もろの農業従事者でない組合組織に組織が変貌していっているという問題があります。これは、先週やらせていただきました担い手の問題というのにも直結している話だと思うわけでありますけれども、この現状についての評価をまずいただきたいと思います。
○光吉政府参考人 お答え申し上げます。
十二日の委員会でも委員から御指摘をいただいたとおり、二〇二〇年農林業センサスにおきましては、個人経営体数が減少している一方、法人経営体数は増加をしているという状況でございます。
このような状況の中で農協にとって重要なことは、生産資材の有利調達あるいは農畜産物の有利販売などを通じ、農業者の所得向上のための取組を進めて、農業者から選ばれる組織になっていくということだと考えております。
このような観点に立って、農協においては、経営規模の大小、あるいは法人経営体か個人経営体かの別を問わず、農業者から選ばれるメリットを提供しながら、引き続き農業者の所得向上のための取組を進めていただくことが重要と考えております。
○藤田委員 ありがとうございます。正会員数が減っていく、担い手が減っていくということは、農協の金融部門である農林中金さんにも少なからず影響が出てくる話かなと思うんですが。
農業の担い手の話、私は先週、企業体の受皿をやはり増やすべきだ、雇用される人を増やしていくべきだというような提案と指摘をさせていただいたんですけれども、担い手の構成比が徐々に徐々に変わっていくとします。そうすると、今でも実際に企業体は、農協さんに頼らずに独自のルートで販路を開拓したりとか、よりチャレンジングな風土で事業を展開されるというところが、特に大型の法人なんかでは出てきているわけであります。そうすると、調達方法も一般の金融機関からというように多様化してくるわけであります。
農業のそもそもの担い手の構成が変わっていく中で、農林中金さん、また農協の金融部門というものがどのような影響を受けていくのかということをどう捉えているか、お答えいただけますでしょうか。
○八木参考人 お答えさせていただきます。
基幹的農業従事者数の減少が見込まれる現状におきましては、新規就農者であったり半農半Xなど、多様な担い手を増やしていくことや、担い手の経営の安定や承継を図ること、さらには意欲のある担い手の法人化や大規模化を進めることなど、様々な取組が必要と認識しております。
JAバンクでは、多様な担い手との間で取引関係を構築し、当該担い手とJAグループとで協力し合って食と農業に関わるバリューチェーンをつくり上げ、共に農業全体を発展させていくことによって、直接、間接の形で組合員の利益につなげていきたいと考えております。
○藤田委員 ありがとうございます。
あともう一つ、市場運用のための資金調達先がほぼ貯金なわけでありますけれども、少子高齢化や人口減少といった農業従事者からの貯金残高の減少というのも長期的には予測されるわけでありますし、今、この市況ですから、金利で利ざやはなかなか得られないという厳しい環境の中で、今後の農中のビジネスモデルの課題というものを教えていただけますか。
○八木参考人 お答えさせていただきます。
御指摘のとおり、少子高齢化と人口減少の影響は地域金融機関に共通した課題だと認識してございます。
JAバンクでは、JAが貯金を調達いたしまして、その余裕金を信連、農中が運用するという構造にあります。このため、農中固有の課題というよりも、JAバンク全体の課題というふうに捉えているところでございます。
今後、厳しい金融環境が継続することを前提に、JA段階では、先ほども申し上げましたが、JA営農・経済事業の収益力向上であったり収支改善、さらには店舗、ATM再編等を通じて、信連、農林中金の市場運用へ過度に依存しない収益構造を確立するための取組を、農中共々取組を進めているところでございます。
加えて、信連、農林中金におきましては、リスク管理体制の高度化を図りつつ、収益性の高い投資機会の獲得や投資領域の拡大等を通じて安定還元に最大限努力することで、引き続き持続可能な経営基盤強化に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
○藤田委員 ありがとうございます。
今日、総合して思うことは、金融機関として、世界の中でのプレーヤーとしては超一流というか、すごく重責を担っているわけです。その中で、私はやはり構造的な問題に目を向けたいなと思うのは、経済事業にもっと積極的に構造転換を図るような役割を、農林中金さんには、協同組織のある種の守護神、ある種の後押し役としてやられるという方に、もっともっと積極果敢にやってほしいなという思いがございます。
例えば、悪いことじゃないと思うんですけれども、それは現場の努力もあって、正組合員さんが減っていく、担い手が減っていく、これを転換していかないといけないという中で、じゃ、そこが減っていくのはしようがないから、准組合員さんとして、町のJAバンクという形でそれを全部囲ってしまおうというような、それはそれでいいと思うんですけれども、それだけじゃなくて、産業構造の転換を中から沸き起こすような役割を農林中金が中心となって担うべきだというふうに私は思います。
その中で、最後に、ちょっと飛ばしたところで、農中の本来の趣旨である、農林水産業の発展に寄与し、もって国民経済の発展に資するという役割を踏まえたときに、金融機関としては、今、実際に利益を得ているのはそういう農業の経済事業に特化した金融機関じゃないわけでありますから、いわゆる担当者としては、投資リターンがいいところをやはり探して、なおかつ安全性とのバランスの中でファンディングしていくわけでありますけれども、現在のリスク・アンド・リターンのバランスをどう評価しておられるかということと、G―SIB候補であるということはある種競争による資本主義経済の中心にある金融市場に不可欠なプレーヤーという、先ほどから申し上げている二つの顔ということについて、冷静に見るとある種の矛盾があるというふうにも考えられるわけであります。
この点についてどう評価され、どのような方向性を持っておられるか、最後にお聞かせいただけたらと思います。
○八木参考人 御指摘のとおり、農林中金は、農林中央金庫法の目的規定において、協同組織のために金融の円滑を図ることにより農林水産業の発展に寄与することが求められております。
こうした中で、過去、いろいろな役割はあったかと思うんですけれども、現在においては、適切なリスク管理の下、国際分散投資を通じて安定的な収益還元の役割を果たしており、農協等の経営の安定や農林水産業に貢献する取組を現在はサポートしているところでございます。
議員御指摘のとおり、両面の顔を持っているということでございます。なかなかユニークなビジネスモデルだと我々も認識してございますが、農協さんが地域で中心的な役割を果たし、農林中金が世界で運用し、私どもの中ではグローカルという言葉で呼んでございますけれども、こういったユニークなビジネスモデルの中で、農林中金は協同組織の重要な一翼として引き続き役割を果たしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
○藤田委員 ありがとうございます。
今日はもう時間なので終わりますが、やはり私は、この両面の顔が相互に、いい相乗効果で両方とも発展していくという構造には今この時代になっていないんじゃないかなという問題意識があって、もう少しまた詳しくやっていきたいと思います。
今日はありがとうございました。
○高鳥委員長 次に、玉木雄一郎君。
○玉木委員 国民民主党の玉木雄一郎です。よろしくお願いします。
大臣、ちょっと別な話から入りたいと思うんですが、NHKの朝ドラを御覧になっていますか。
○野上国務大臣 まだしっかりとは見ておりません。
○玉木委員 しっかりと見ていただきたいんですが、今週から新しいクールになって、「おかえりモネ」という新しいドラマが始まっているんです。その前は「おちょやん」だったんですけれども。
そこは、森林組合とか、あとカキの養殖とか、宮城県がテーマになってやっていますけれども、農林水産省に関係するものが出てくるので、非常にいいなと私は思って見ているんですね。林野庁の職員さんが、その中に出てくる例えばヒノキという言葉の解説をしたり、森林組合というのは多くの人になじみがないので、どういうものですよというようなことの解説をホームページなんかで始めておられるので、そういうことを是非奨励いただいて、農林水産業を、特に林業そして水産業をアピールすることにも是非生かしていただきたいので、大臣にも見ていただきたいなというふうに思います。
これに関して、通告していないんですが、結構地元からも問合せがあるので、大臣の決意だけ聞きたいんですが、最近、輸入材がなかなか入ってこなくて高騰している。特にアメリカなんかでは、大規模な経済政策もあって、郊外に新規の住宅を建てるというのは、中国もそうかもしれませんが、特に木材の需要が非常に逼迫しておりまして、日本が輸入材を入れるときに買い負けしてしまうようなこともあってですね。
実際に私の地元でもあって、先生方の地元でもあると思うんですが、家を建てたいんだけれども建てられないということを現に聞くようになりました。建設を待っていただいたり、仕事がなかなか進まないということがあるので、材の安定供給については是非大臣としても、すぐに出せと言って出てくるものではないんですが、国産材の需要を掘り起こすという意味でも、チャンスとも捉えられるんですが、当面困っているので、そういった材の安定供給については特に農林水産省としても大臣としても是非配慮いただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○野上国務大臣 今お話がありましたとおり、輸入木材は、米国ですとか中国の影響で産地価格が高騰して、輸入量も減少しておるところであります。輸入木材の代替として国産材製品の引き合いも強くなっておりまして、今、国内の加工工場も既に稼働率を上げて対応しておりますが、生産が間に合わない品目もありまして、建設業者等においても不足感が生じている、価格も上がってきているという状況であります。
こうした状況に対して、やはり、川上から川下までの状況がどうなっているか、需給の変動に適切に対応することが重要でありますので、川下から川上までの関係団体との意見交換を図っておりまして、業界団体に対しましても需要に基づいた適切な発注等への協力要請を行ったところであります。
やはり、木材の需給の動向は地域によって少し差異がありますので、今後は、川上から川下もそうなんですが、地域ごとの意見交換の場も設けることが大事だと思っておりますので、その取組も進めてまいりたいと思いますし、中長期的な観点からいえば、輸入木材からの転換も含めた国産材の安定供給の構築につなげていきたいというふうに考えております。
○玉木委員 コロナにはいろいろなことを教えてもらったなと思ったんですが、例えば、マスク一つ国内で造れなかったなどというのが去年ありました。今回のこともうまく国産材の活用とかにつなげていってもらいたいなと思うんですが、一方で、うまくやらないと、木造あるいは木材を使う家はちょっとリスクがあってやめておこうかみたいになってしまうとかえって需要を落としてしまうので、今の対応は結構大事だと思うので、今大臣がおっしゃったような、地域間のやり取りであるとかいろいろなことで、是非、この逼迫状況、困っている方もたくさんいらっしゃいますので、農林水産省としても対応に万全を期していただくことを改めてお願いしたいと思います。
本題に入りたいと思いますが、先生方からも指摘がありました、まず私から確認したいのは、この間の農協改革との関係なんですね。
信用事業については基本的に譲渡することが改革のように言われてきたんですが、農協改革の進捗状況にも、信用事業の譲渡等のところには、農林水産業・地域の活力創造プラン改訂以降現在までの信用事業の譲渡の実績は三農協ですというふうに書かれてあって、そのほか、農林中金によると今後信用事業譲渡を予定しているのが五農協あります、こういうふうなことが書かれてあるんですね。
私は基本的認識を聞きたいんですけれども、譲渡することが改革なんでしょうか。つまり、あのときの農協改革の議論は、やはり信用事業、金融事業というのは分離した方がいいというのが前提にあって、総合農協はけしからぬという前提がどこかにあったと思うんですね。そうすると、分離して譲渡することが善ですということで改革の絵がつくられてきたと思うし、今もなおその薫りが若干残っているんですが。
大臣に伺います。農協改革の一環で、信用事業の分離、特に農中さんに分離、譲渡して代理店化する、こういう話が唱えられてきたんですけれども、私は、地域を支えるという意味での総合農協の機能を低下させると思っているので、これを改革と呼ぶことには非常に今なお違和感があるんですが、菅内閣においても、あるいは野上大臣としても、信用事業を譲渡することは善なる改革と捉えているのかどうなのか、その点の基本認識をお聞かせください。
○野上国務大臣 今お話がありましたいわゆる代理店方式についてでありますが、農協が農産物の有利販売ですとか生産物の有利調達などの経済事業に重点を置いて事業を行えるようにするためには、農協の経営における金融事業の負担やリスクを極力軽くして、人的資源を経済事業にシフトできるようにすることが必要な場合もあるという趣旨で取りまとめられたものであります。
農協の信用事業を農中や信農連に譲渡する仕組みにつきましては、御案内のとおり、農協法や再編強化法におきまして必要な制度的な手当てを行って農協が選択できるように措置しているところでありますが、その上で、民間組織である農協でありますので、この制度を使って農林中金や信農連に信用事業を譲渡するかどうかの決定につきましては、組合員の意向を踏まえて農協自らが行うべきであると認識いたしております。
○玉木委員 改めて確認したいんですけれども、あくまでそれは農協の自主判断であって、譲渡することが善だとか、譲渡しないことが悪だという、そこに価値観はないですよね、あくまで自主的に経営の中で判断する話であって。譲渡した方がいいんですよと。こういうふうに、結構政府のメッセージは大事なので、することがよくて、しないことが悪いという、そこの価値観はないですね、あくまで自主判断で。いろいろな経緯があったから、改めて確認させてもらいたいんです。
○野上国務大臣 趣旨につきましては今申し上げたとおりでありますが、これは選択肢でありまして、選択できるように措置をしておりますので、それは農協自らが組合員の意向を踏まえて行うべきものであると認識いたしております。
○玉木委員 選択肢ができて、経営判断でやるということでの改革であって、その先に譲渡実績を三つだ、五つだ、四つだとか書くことが余り私は改革だと思わないので。規制改革会議などはそれを注目されているのかもしれませんが、余り私は、ここの農協改革の進捗状況に、何農協が譲渡したとか書くことに意味がないと思うので、その点はちょっと、成果の取りまとめの在り方についても是非お考えをいただきたいなというふうに思います。
次に、これも大臣にまず聞きます。今日も複数の先生からありましたけれども、奨励金水準の段階的な引下げなんです。
運用状況が厳しくなってきたから下げるということは分かるんですけれども、一方で、総合農協としての安定的な経営からすると、入ってくるものが減るので、それはそれで問題だと私は思うんですね。もちろん、ほかの営農や経済事業で頑張ってくださいというのは、それは頑張ってくださいという話なんですが、ただ一方で、段階的な引下げの影響ということもばかにならないし、四千億円という大きな額がどうなるかという話ですから無視できないわけであって。
特に農協の信用事業に対するある種の減収の影響について、大臣としてどのようにお考えになっているのか。今後の影響についても併せてお伺いをします。
○野上国務大臣 農林中金によりますと、世界的に利ざやが縮小しているなど、資金運用環境の好転が見込まれない中で、農協等の会員とも協議をした上で、奨励金を令和元年度から四年かけて段階的に引き下げることとしたと承知いたしております。
そのため、農協の事業収支は今後、取り巻く環境が厳しさを増すと見込まれますので、地域農業を支える農協経営の持続性を確保するために、経済事業の収益力向上を図っていくことが必要であると認識しております。
農林水産省としましては、農協が将来にわたってその事業を持続していけるように、各農協が中長期の収支等の見通しを適切に立てて経済事業の収益力向上に取り組んでいく必要があると考えておりまして、農協系統組織の取組を後押ししてまいりたいと考えております。
○玉木委員 週刊ダイヤモンドという雑誌があって、それを見ると、一番その影響を受けて厳しいのはJA香川県と言われて、JA香川県としても反論のペーパーを書いていましたけれども、結構そういうことで、潰れるとか潰れないとか言われると組合員さんも不安になるので、そういうところは情報の出し方も含めて気をつけなきゃいけないなというふうに改めて思います。
そこで、農林中金さんの八木常務にお伺いしたいと思うんですが、ちょっと厳しいことを言いますね。
運用が厳しくなったからといって奨励金を下げるのは、私はこれは運用責任者としてどうなのかなと思うんです。仕方がないと思いますけれども。ただ、元々、お金の出し手に対してきちんと責任を負っていくというのは、資産運用をしている者からしたら、一定程度果たさなければいけない義務かもと私は思っているんです。
特に、農林中金は最終的には、お金の出し手である農家の皆さんとか浜の皆さんとか、まさに林業をやっておられる方のお金が全部集まってきているわけですから、そこに対してできるだけ還元していく、歯を食いしばってでも還元していくというのが私は農中の設立の趣旨かなと。一般的な金融機関であれば運用が難しくなったらちょっとなかなかリターンが出せないので済みませんという話なんですが、そこは頑張る必要があるかなと思っているんです。
伺いたいのは、確かに厳しい金融状況だということと、国内の円建てにして、ドル建ての資産で運用することで外貨建てコストが上がるというのは、特に内外金利差が開いているときなんかはしんどいなというのはよく分かるんですが、一方で、であればもう少し運用のプールを大きくする。具体的に言うと、系統全体で、全共連さんなんかも一緒にして、よりプールを大きくして、リスクをしっかり管理しながらオルタナティブ投資をするとか、いろいろなことでですね。運用の在り方の改善というのは、もっともっと工夫ができるのではないのか。よってもって、それでちゃんと上げることができれば奨励金を減らさなくてもいいということだってできるので、その辺の努力とか工夫というのはどのようにされているのかをお伺いします。
○八木参考人 お答えいたします。
運用責任者の機関として歯を食いしばってでも、還元率を下げるというのはやってはいけないのではないかという御指摘、大変厳しいお言葉だと受け止めてございます。
ただ一方で、農林中金は今まで、貯金がたくさん上がってくる中で、それに応じた還元をしてまいりました。ただ、これがどんどんどんどん上がって、JAさんが上乗せ金利をしてどんどんどんどん預けて、それが結局、農中がリスクを取るといったことは、これは限界があるといったことでございます。これは国際規制、外貨調達も含めてそういった規制の中で一定程度はできますけれども、それ以上はできないといった中で、今回、そういった判断、会員さんとお話をさせていただきながら、四年間に段階的に下げさせていただくといった話をしてきたという経緯がございます。
その中で、先生からお話があった、もう少し大きな枠組みの中でできないのかといったところでございますけれども、現在、農林中金とJA共済連の間で、共同出資による資産運用子会社、農中全共連アセットという会社を持ってございます。ここは今までは伝統的な運用分野でございます債券とか株といったものを中心にやってまいりましたが、昨今のこういう難しい環境の中で、クレジット資産であるとか、そういったものも扱う運用期待が高まっていることを受けまして、この三月を契機に、より一層この資産運用会社を強化していくという取組を決定し、既に始めているところでございます。
具体的には、農林中金は、グローバルなクレジット投資に二十年以上の経験を有している中で、この分野で活躍してきた人材であったりノウハウを資産運用子会社に移管していく予定にしてございまして、これによって資産運用子会社の運用機能の高度化、効率化を実現し、JA共済連さんと連携して資産運用ビジネスの強化をしていくこととしてございます。
○玉木委員 大変優秀な方がたくさんいらっしゃるのは私もよく存じ上げているので、そういった世界に冠たるある種の機関投資家というか運用機関として、投資の高度化というのは是非英知を結集して進めていっていただきたいなと思います。
もう一つ、中期経営計画も見せていただいたんですが、先ほど少し話がありましたけれども、系統のいろいろな、収益力とかそういったものを上げていくということももちろん大事だと思いますね。特に、営農・経済事業、両方ともそうなんですけれども、なかなか収益が上がらない分野だということはそうなんですが、そこに、現場力強化ということで五年間で六百人規模で農林中金グループの職員を、全体の一割相当の方を配置していくと書かれてあるんですが、具体的にどのようなことをされて、その目的と実績と効果について改めて伺います。
○八木参考人 お答えさせていただきます。
議員から御指摘いただいたとおり、農林中金グループでは、現行の五か年の中期経営計画期間中に六百人規模の人員再配置の計画を掲げております。
農林中金、系統会員の事業変革を推し進めていくという観点から、農中自身の既存業務の合理化、さらには効率化を徹底することによって生じる六百人規模の人員のうち、約六割を系統会員の現場力強化のため、約四割を農林中金の収益力強化のため、それぞれ再配置することを計画してございます。
これまでの二年間で約四百人を再配置済みでございまして、このうち約二百二十人を系統会員の現場力強化に再配置しているところでございます。
系統会員への人員配置については、JAの営農・経済事業の収益力強化支援や貸出し強化等の会員支援を行ってございます。
これまでに、延べ百七十三JAに農林中金の職員を配置し、現場支援業務を行ってございます。
例えば、JA営農・経済事業の成長、効率化の取組におきましては、JAの営農・経済事業の事業分析を行い、経営課題の解決に向けて、全農さんと連携しながらソリューションの提案をする取組を進めております。
また、貸出し強化支援の取組につきましては、対象JAに農林中金の職員を出向させ、農業貸出しの提案力強化のための同行指導や、審査体制強化のための人材育成支援等を行っております。
○玉木委員 是非そういう連携も強化をしていただきたいなと思います。
例えば高松だと、農中さんの支店もありますよね。そうすると、信連もあるし、JAとしても、香川の場合は一つにまとめていますけれども、例えば融資しようと思っても、三つの系統があるんですよ。その辺の役割分担とか相互連携とかも含めて、また、皆さん非常にノウハウもあるから、そういったところで是非、御指導いただくところはいただきながら、全体として農業者や漁業者、あるいは林業に関わっている方がプラスになるように、是非この機会に更に強化をしていただければと思います。
以上申し上げて、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
○高鳥委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
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○高鳥委員長 これより討論に入ります。
討論の申出がありますので、これを許します。田村貴昭君。
○田村(貴)委員 私は、日本共産党を代表して、本法案に反対の立場から討論を行います。
第一に、改正案は、G―SIBへの選定を口実として、協同組合金融である農林中金に政府が介入することを許し、公的資金導入の仕組みを持ち込むものだからです。
農林中金は協同組合の金融機関であって、自主、自立が原則であり、危機に際しては単位農協、組合員に依拠して対応すべきです。
第二に、農林中金の本来の在り方から一層遠ざかることになるからです。
政府は、一九九八年に金融ビッグバンに対応するとして本法律の改正を行い、金融規制の全面緩和と自由化によって農林中金に投資の拡大を促しました。
我が党はこれに対して、野方図な投資につながる可能性を拡大するとともに農林中金の系統金融としての性格を変質させるとして反対しましたが、指摘したとおり、現在、農林中金は海外での資産運用に大きく傾斜し、国内の農林漁業への貸出金は落ち込んでいます。
G―SIB認定に備えて資産をため込むため、単協への奨励金が削減され、信連、単位農協等に人員削減、統合などのリストラが押しつけられるのは本末転倒です。
農漁協の信用事業は、本来、組合員が相互金融によって営農と生活の改善、向上を図ろうとするものであります。
このような状況を招いた原因は、政府の金融規制緩和政策にあり、さらには、際限のない輸入自由化路線、競争力偏重路線による農漁業そのものの落ち込みにあります。農林漁業が展望を持って経営を維持、発展できる農政に転換することで、農林中金が農林漁業融資を中心とした本来の在り方に立ち返る条件をつくるべきであります。
以上、反対討論とします。
○高鳥委員長 これにて討論は終局いたしました。
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○高鳥委員長 これより採決に入ります。
内閣提出、農水産業協同組合貯金保険法の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○高鳥委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
お諮りいたします。
ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○高鳥委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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〔報告書は附録に掲載〕
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○高鳥委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時七分散会