衆議院

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第11号 令和3年6月3日(木曜日)

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令和三年六月三日(木曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 高鳥 修一君

   理事 加藤 寛治君 理事 齋藤  健君

   理事 津島  淳君 理事 宮腰 光寛君

   理事 宮下 一郎君 理事 亀井亜紀子君

   理事 矢上 雅義君 理事 稲津  久君

      伊東 良孝君    池田 道孝君

      泉田 裕彦君    今枝宗一郎君

      上杉謙太郎君    江藤  拓君

      金子 俊平君    木村 次郎君

      小寺 裕雄君    佐々木 紀君

      斎藤 洋明君    鈴木 憲和君

      西田 昭二君    根本 幸典君

      野中  厚君    福田 達夫君

      福山  守君    細田 健一君

      渡辺 孝一君    石川 香織君

      大串 博志君    奥野総一郎君

      金子 恵美君    神谷  裕君

      近藤 和也君    佐々木隆博君

      佐藤 公治君    緑川 貴士君

      濱村  進君    田村 貴昭君

      串田 誠一君    玉木雄一郎君

    …………………………………

   農林水産大臣       野上浩太郎君

   農林水産副大臣      葉梨 康弘君

   農林水産大臣政務官    池田 道孝君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房長) 横山  紳君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         青山 豊久君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           新井ゆたか君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  水田 正和君

   政府参考人

   (林野庁長官)      本郷 浩二君

   農林水産委員会専門員   森田 倫子君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月三日

 辞任         補欠選任

  佐藤 公治君     奥野総一郎君

  藤田 文武君     串田 誠一君

同日

 辞任         補欠選任

  奥野総一郎君     佐藤 公治君

  串田 誠一君     藤田 文武君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 農林水産関係の基本施策に関する件

 公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律の一部を改正する法律案起草の件

 建築物等における木材の利用の促進に関する件


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     ――――◇―――――

高鳥委員長 これより会議を開きます。

 農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房長横山紳君、大臣官房総括審議官青山豊久君、消費・安全局長新井ゆたか君、生産局長水田正和君及び林野庁長官本郷浩二君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高鳥委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

高鳥委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。奥野総一郎君。

奥野(総)委員 立憲民主党の奥野総一郎でございます。

 予算委員会の理事をやっておりまして、そのときに官房長を始めこの問題でお世話になりまして、続きをここで最後にやらせていただきたい。最後というか、ずっとですけれども、やらせていただきたいと思います。よろしくお願いをいたします。

 今日は次官にお越しをということで、予算委員会にはお越しいただいたんですけれども、今日はお越しいただけないと。非常に残念であります。また、報告書を取りまとめられた委員長もお見えでないということでありまして、本当にきちんと議論ができるのかと懸念をしているところでございますが、時間が短いので早速入っていきたいと思います。

 この報告書を読ませていただきますと、結論は、政策がゆがめられた事実は確認できず、政策決定における公正性に関する問題点は特に認められない、いずれの事案についてもそうだと。一言で言うと問題ないということでありました。

 一点一点見ていきたいんですが、まずアニマルウェルフェアについてですけれども、政策方針や検討中の案の変更は認められなかったと。吉川大臣への働きかけは検察が贈収賄と認めていますし、西川元参与についても事情聴取が行われていて、働きかけがあったということは明らかです。それによって結果が変わったことはないという論旨のようですが、全体をやはり見なきゃいけないと思います。要するに、一次案のときですね。問題は、二次案が出てくる以前のところを見ていかなきゃいけないと思うんです。

 この報告書の中にこういう記述があります。大野畜産部長と二〇一八年の三月に面会して、要望書を渡しているんですね。この要望書というのは、アニマルウェルフェアの問題は我々生産者の死活問題になると言って、ちゃんとやってくれというものでありまして、養鶏経営等の知見のある生産者も検討委員会に加えてくれということも言っているわけですよね。それから、一部とはいえども指針の改定は拙速にやるべきではありませんと、くぎを刺しているということなんですよ。だから、二次案、ケージの問題、エンリッチドケージの義務化の問題が出てくる以前からこういう紙が出てきていて。

 一番おかしいなと思ったのは、この記述の中で、この頃以前、三十年三月以前から、秋田元代表は一、二か月に一回程度の頻度で大野畜産部長を訪問し、二、三時間面会することがあった、余りに長いので、伏見課長が話が長くなるようであれば別室で話を引き取って聞くようにしていたということなんですが、農水省においてはこういうことがよくあるんですかね。

 途中で肩書も外れちゃっていますけれども、一業者、一個人が役所にやってきて、局長級あるいは課長級の方が二時間も三時間もへいへいと話を聞くというようなことが日常的に農水省ではあるんですか。ほかの業者でもこういうことをやっていますか。誰でもいいです。

横山政府参考人 なかなか、一般論として、二時間、三時間、同じ人がいるようなことがよくあるのかと言われると、必ずしもよく分からないところはあります。

 ただ、私どもがふだんから心がけておりますことは、生産者の方々、農家の方々あるいは地方の方々がお越しになるようなことがあればしっかり御要望なり御意見なりをお聞きする、それは我々は農林水産行政にとって非常に大事なことだと思っておりますので、その部分には重きを置いて対応しているというところでございます。

奥野(総)委員 でも、これを読むと、自慢話をしてですね、昔の自慢話とかを。こういう方はよくいらっしゃるんですね。選挙をやっていると分かりますけれども、よく地元にもいらっしゃると思うんですけれども。でも、大体、ああ分かりましたと言って、ぱっと切り上げるじゃないですか。仕事の、特に役所ですからね、ここにも書いてありますね、業務に差し障るから途中で課長が割って入ってなんて言っているわけですよ。

 でも、そういうことが毎回行われるぐらい特別な関係だった。秋田元会長とは、この例でいえば大野畜産部長ですし、伏見当時の課長ですけれども、特別な関係だったんじゃないかというのがここににじみ出ているわけですよ。

 この報告書の中でちゃんと取り上げていないことがありまして、会食の問題ですね、処分にならなかった会食。

 二〇一八年の八月二日、大野部長が退官されて後任の富田部長と会食をしているということですね。本文の中でも取り上げられていますが、出席者は西川元大臣、秋田元代表、養鶏協会の関係者ということで、大野元畜産部長は自己の費用負担なく会食したとの申述があったが、アキタフーズでの支払いは確認できなかったと言っているわけです。

 きちんと検証していますかね。誰が払ったんですかね。養鶏協会が払ったか。誰も払っていないなんということはないんだから、どっちでもなければ養鶏協会でしょう。養鶏協会は利害関係者ですよね。これは重要な問題だと思いますね。二次案の以前の話だけれども、秋田元代表と大野部長の関係、その後任の富田部長との関係を示す重要な場面なんですが、きちんと聞き取りをやって、誰が費用を持ったのかとか、どういう会話をしたのかとか、そういうことをちゃんと確認してありましたか。

横山政府参考人 本件については二月に一連の処分をした際にも整理もさせていただいたところでございますが、その際に、アキタ側の負担については、実際に処分に至った二回の会食については、アキタフーズの方に問合せをしたところ、一部、記録といいましょうか、本体そのものの領収書ではないんですけれども、エクセルに整理した形で金額を負担したという資料が残っていたので、アキタフーズの負担であろうということで処分に至ったわけです。

 御指摘のあったこちらの会食については、アキタフーズが負担したという、同じような、こういうようなものは残っていなかったということでございます。したがって、アキタフーズでの支払いは確認できなかったということでございます。

奥野(総)委員 余りここで時間を取りたくないんですけれども、行政がゆがんでいるかどうかの重要な場面じゃないですか。こういう要望書が出され、しょっちゅう秋田元代表がやってきて、部長が替わったので会食をしていますといったときに何が話し合われたか。費用負担。じゃ、秋田さんでもなければ部長も払っていないんだとしたら、養鶏協会ですか。養鶏協会だとしたらまずいじゃないですか。そこをなぜ確かめていないんですか。穴があるんじゃないですか、調査に。

横山政府参考人 重ねてでございますが、日本養鶏協会にも確認して、負担をしたということは確認されていないということでございます。

奥野(総)委員 じゃ、誰が負担したんですか。何でそこを掘り下げないんですか、重要な話じゃないですか。なぜ報告書の中に載っていないんですか。これはあれですよね、処分の、人事院に出した報告書からそのまま引いてきて、この報告書の本体の中では検証されていませんよね。

青山政府参考人 倫理関係の件につきましても検証委員会に報告されまして、その内容に基づいてここの報告書にあるわけでございます。ただ、OBの方たちが特段の影響を与えたということは確認されなかったということでございます。

奥野(総)委員 だから、確認したんですかと聞いているんです。確認したんですね、ちゃんと。大野部長にこの会食について、富田元部長にこの会食について話を聞いてきちんとやったんですか、ここに出ていないけれども。

青山政府参考人 検証委員会では大野部長なり富田元部長にも確認しております。

奥野(総)委員 だけれども、出てこないわけですよ。というのは、二次案のところから話をまとめようとしているから、それ以前の話については出てきていないわけですよ。

 日常的に秋田さんが来たり会食をしたりしている中で、当然アキタフーズの意向あるいは養鶏協会の意向というのは伝わっていたはずなんですよね。元々事務方が考えていた案のとおりだ、だから行政がゆがんでいないんだという理屈は通らないんじゃないですか。核のところはきちんと検証していますか。

 ここで聞きますけれども、追加の調査のところですよね。追加の調査のところで、職員が自己負担したことを証明する書類がないものについては利害関係者の聞き取りを行っているということで、その結果、利害関係者の負担で飲食したことが疑われる会食は確認されなかった、こうあるんですが、ちゃんと、利害関係者の証拠書類というのかな、伝票とかを職員から受け取ったとか、きちんとそこは調べていますね。口頭だけのものもあるんですか。

横山政府参考人 会食をした場合に、利害関係者と会食をしたということで届出を出してきている者がございまして、かなりの数に上るわけですが、それについては大体、先ほどもおっしゃったような、それぞれの自己負担であるとか、全体の額は幾らかとか、そういった形での何らかのものがついているというようなことでございます。

 他方で、届出がなくて、申告で実はこういうのがありましたというふうに言ってきた者もございます。そういったものは、かなり昔の案件で、そもそも届出をしなかった時期のものもありますし、あるいは一万円以下ということであればそもそも届出義務がないもの、こういったものもあったわけでございます。

 そういったものについてはそれぞれの自己申告ということでありますが、他方で、当事者が自己申告といっても実は相手方が持っているという場合もあるんじゃないか、こういう指摘だと思いますので、それについては相手方にも確認しているということでございます。

奥野(総)委員 もう一度聞きますが、全ての案件について文書で確認が取れていますか。要するに、口頭だけのものというのはどのぐらいあるんですか。届出があるものについても、ないものについても、もう一回伺いたいんですよ。

 それから、自己申告ですから、遡って一番早い会食はいつですか。

横山政府参考人 まず、今の後ろの方の御質問からお答えしたいと思いますけれども、遡ってというのは、いつまでかということであります。調査の趣旨としてはどんなに昔でもということでございますが、実際に出てきたもので一番古いものは平成の二十二年度のものでございます。

 その上で、おっしゃるように全て文書というか書類があったわけではなくて、もちろん我々は、まず当事者から聞いて、その上でそのとき一緒にいたとされる相手方の利害関係者から聞いて、それぞれ確認しています。その際に何か書類があればもちろん出してもらうんですけれども、今申し上げましたように、かなり古い案件もあるという中で全て書類がそろっているというわけではございません。

奥野(総)委員 だから、結構曖昧なんですよね。養鶏業者の案件も入っているわけでしょう、過去、これを見ると。そういうのも悉皆できちんとやらないと。このときだけじゃないんですよ。

 西川さんも大臣をやられているし、遡って結構ずぶずぶの関係だったから、こういうことが起きるんじゃないですか。一企業を引退した方が役所に上がり込んで、何時間もぐだぐだ言っていくなんというのは普通はあり得ないんですよね。それだけの関係が築かれてきたということをきちんとやはり明らかにしなきゃ駄目なんですよね、どういう関係だったかというのを。だから、そういう意味でこの調査は非常に、倫理調査も甘いし、今の、会食も取り上げていないことを見ても甘いんですよ。

 時間がないので次に移ります。もっと聞きたいことがこの件はあるんですが。

 次は、本川次官から横山経営局長に電話があって、横山官房長のことですかね、秋田元代表から面会の申込みがあるので会ってやってほしいという電話がありましたと報告書にある。二〇一九年の十月三十一日ですよ。透明性が問題だと報告書も認めているんですが。

 こういうのは政策決定の公正性に疑義が生じるんじゃないですか、どうですか。昔の上司から電話があって会ってくれと。よくあるということはそうなのかもしれないんだけれども、当然お金が動いている話の中で、あるいは、本川さんはクルーザー接待を受けているわけですよね。結論が間違っていませんか。公正性に問題があるんじゃないですか。

青山政府参考人 面会はセットされているわけですけれども、結果として政策決定に影響はなかったという見解を示されております。

奥野(総)委員 この調査の一番おかしなところはそこで、途中のプロセスは何でもありと。大臣は大臣室で金をもらっていて、だけれども結果がゆがんでいないからオーケーだといって、そうなんですか。結果がゆがんでいるかどうかも分からないですよね。

 これを見ると融資関係は、それは他省庁の絡むことだから、そう簡単にいくかどうかは分かりません。だけれども、個別の融資案件がどうなったかというような話は全然見えていませんよね。これで個別の融資が増えたかどうかも全然見えていない。それをもって何も起こらなかったと言い切っているのもどうかと思うし、結論さえよければ途中のプロセスはいいんだというのはおかしくありませんか。

 クルーザーについても調査に問題があって、確かにクルーザーの話も出てくるんですよ、この調査報告書に。ただ、一回だけ、一回だけなんです。本川さんは、共同通信の取材で二年ほど前にと、二年ほどというのは、乗られたのが二〇二〇年の七月の三日ですから、その二年ほど前に船に乗っている、今回で二回目だと言っているんですね。ここはなぜ調査から漏れているんですか。二点。

青山政府参考人 委員会の調査では、アキタフーズが所有するクルーザーに乗船した元職員が二名、本川元次官と大野氏ですけれども、この件については、クルーザーへの乗船については、招待を受けたので、その場では宿泊費と飲食費用は……(奥野(総)委員「分かっているから。答えてください、時間がないから」と呼ぶ)はい。本川元次官については、合計二回クルーザーに乗船したという供述を委員会において確認されております。

 なぜ記述していないかということでございますけれども、検証に必要なものとしては、クルーザーに乗船したという事実関係について記載がされているということで承知しております。

奥野(総)委員 いや、これを見る限り、一回目の話は一切出てこないですよね。

 なぜ重要かというと、横山当時経営局長に本川さんから電話があったのは一回目と二回目の間なんですよね。だから、そこが重要なんですよ。元々本川さんとはそういう関係、在職時から遡ってずぶずぶの関係だった、だからそういう電話があったというふうになるわけですよ。

 意図的に省いているんですか。何にも、一行もないじゃないですか。ヒアリングであったのに、何で書かないんですか。理由は。

青山政府参考人 検証に必要なものとしましては、クルーザーに乗船したという事実関係を示すことによりまして秋田元代表とOBである本川元次官が近いということを示しているわけですけれども、いずれにしても、今回の報告書では、本川元次官を含む元職員を聴取した結果、現役職員に対する政策の働きかけは認められなかった、それから、現役の職員側も、これらの元職員から個別の行政に関する要望等がなされた事実も認められなかったということで、これらの元職員の行動がアニマルウェルフェア等の養鶏・鶏卵行政の公正性に特段の影響を及ぼしたとは認められなかったという見解を示されております。

奥野(総)委員 いや、私が言ったのは、アニマルウェルフェアじゃなくて融資の話をしていて。働きかけがあったんじゃないですか。本川さんから横山さんに少なくとも電話がかかってきたわけでしょう。結果が出ていないからいいんだとおっしゃるけれども、それもおかしいと思う。ゆがんでいるんじゃないですか、プロセスが。こういうところをきちんと検証しなきゃ駄目ですよ。意図的に外したんじゃないですか。

 時間もなくなってきましたが、今度は、水田生産局長、お越しになっていますよね。

 八月二日、吉川さんが大臣室で百万円もらった日ですよね、この日に水田生産局長と渡辺畜産部長が大臣室に呼ばれて、吉川大臣から秋田元代表に引き合わされたと。報告書にはちゃんと書いてあって、このときは短時間の簡単な挨拶で終わったことから、吉川大臣は秋田元代表と農水省幹部職員ときちんと顔合わせすべきと考えていたのではないかということで次の九月十八日の会食をセットしたんじゃないか、こう言われていますが、水田さん、そのとおりですか。

 ちなみに、水田局長は東京新聞に最初は会食を覚えていないんだと否定していたんですが、何で隠したんですか。

水田政府参考人 お答えいたします。

 まず、八月二日の件でございますけれども、そのとき突然大臣室に呼ばれまして、行ったところ秋田さんがいたということでございますが、短時間だったということでございます。

 その後の九月十八日の会食でございますが、この会食の趣旨というのは私どもはよく分かっておりません。報告書にもそのように書いてあると思います。職員の証言の中に、一人そういう、一人というか、そういう証言をした者もあったということでございますけれども、趣旨自体は全体としてはちょっとよく分かっていないというものでございます。

奥野(総)委員 だけれども、時間があれですけれども、ちょうど融資の話も動いていたし、予算の話も出てきているわけですよ。時間がないから予算の話はできなかったですけれども、補助金の話も出ていたわけですよ。そこら辺はやはりきちんと解明すべきだし、解明するために、西川、秋田、吉川、この三人はきちんとヒアリングをすべきだと思いませんか。

 特に、西川さんは不起訴なんですよね。実は本川さんとかと同じような立場ですよ、元農水OBで。なぜ西川さんの話を聞かなかったんですかね、どういう意図で。今の会食もそうですし、いろいろな、会食等々、働きかけについては本人に聞かなきゃ分からないんじゃないですか。

高鳥委員長 既に申合せの時間が経過しておりますので、御協力をお願いいたします。

青山政府参考人 第三者委員会の検証につきましては、贈収賄容疑で起訴されている吉川元大臣、秋田元代表、これらの容疑の起訴事実とされております、アニマルウェルフェアに関して秋田元代表の吉川元大臣への要請を仲介したことが確認されている西川元大臣につきましては、今後の公判等への影響を考慮して委員会から連絡を行うことは控えたと承知しております。

奥野(総)委員 時間が来たので譲りますが、根が深いんですよね、結構ずぶずぶの関係が続いていたということだと思います。

 以上です。

高鳥委員長 次に、大串博志君。

大串(博)委員 立憲民主党・無所属の大串です。

 早速質疑に入らせていただきます。まず、私も養鶏業者との接待問題についてですけれども。

 今朝早く、これまで長く調査になっていた、第三者検証委員会による、行政へのゆがみがなかったかということの調査と、追加的な接待に関する調査の報告が出てきました。今朝のことなので、急ぎ私たちも目を通してこの質疑に臨んでいるわけでありますけれども。

 私は、農林水産行政が正しくあってほしいと思っています。長年この委員会に身を置いて、いい農林水産行政を本当に農水省にはしていただきたいと思う。だから、私たちも委員会も一体となってそういう農林水産行政を支えていきたいと思うがゆえに、今回の件は極めて残念。であるがゆえに、一〇〇%の努力をもってして疑念を払拭してほしいという思いが強いです。私は残念ながらそこには到達していないというふうな感じが今するものですから、大変厳しい思いで質疑をさせていただかなければならないことが大変残念です。

 まず、委員長に申し上げさせていただきたいと思います。

 再三再四、この問題に対して極めて重要な人物である枝元農水次官の出席を求めています。倫理監督者です。かつ、自分も接待を受けている。しかし、この委員会に呼ばれない。与党の皆さんがそれを認めてくれない。与党の皆様にも私は猛省を促したいと思います。

 かつ、第三者検証委員会の、行政がゆがんでいないかの報告を今日出されたわけですけれども、第三者という立場で議論されている井上座長さん、この方にもこの委員会に来ていただくようお願いしました。これも、しかし、与党の皆さんの反対によって議が調わず、おいでいただいていません。

 これで、皆さん、一連のいろいろな接待疑惑がありました、与党の皆さんとして、うみを出し切ったということに与党として努力をしていると皆さんは言えますか。私は大変残念な態度だと思います。これまで、いろいろな不祥事がありました。河井夫妻の問題もあった、菅原さんの問題もあった。菅原さんは昨日、離党、辞職ということを発表されたけれども、国会では一度も話をされていない。こういうのを許していらっしゃる、これが極めて残念。でも、農林水産行政に関しては大変私は重要だと思うので、しっかりうみを出していただきたいという思いから質疑をさせていただきます。

 まず、今回の第三者検証委員会の方ですけれども、内容を見て、私は非常に残念です。お手盛りと言わざるを得ません。とにかく、行政にゆがみはなかった、公正性を疑わせるような結果には結びついていないという結果が先にある、それを追認するためだけの報告書になっていると言わざるを得ません。

 お尋ねします。五十一名の方々にヒアリングをされた、第三者の皆さんも含めてヒアリングをされたということですけれども、ヒアリングで、接待によって影響を受けましたか、大臣から言われて、あるいは西川さんから言われて影響を受けましたかと聞かれて、影響を受けました、手心を加えましたと言う人はいないですよ。にもかかわらずヒアリングのみで終わっていらっしゃる、これが決定的に駄目なところなんです。

 第三者検証委員会による調査で、五十一名中、第三者によってヒアリングをされているのは何名ですか。

青山政府参考人 五十一名の中で、当時の事務次官、生産局長、経営局長、一部報道でアキタフーズとの関係が指摘された元職員六名に対して、委員自らが聴取を行っていただいております。それ以外の四十五名については、法曹資格を有する職員が委員の指揮の下で聴取を行ったところでございます。

大串(博)委員 第三者の調査といっても、五十一名のヒアリング対象中、六名しか実際には第三者検証委員会の人が自らヒアリングをしていない。お手盛りですよ。厚生労働省の統計疑惑のときもありました。第三者といいながら、結局事務方の皆さんがヒアリングをしていた。同じじゃないですか。

 先ほど申し上げたように、影響を受けていませんかと聞かれて、影響を受けましたと言う人はいません。それをさせないように、真実をきちんと見抜くようにした工夫は何かありませんか。

青山政府参考人 今回の検証では、省内で保管されている関係書類の精査をまず第一に行いまして、問題点を整理した上で、委員の指示に基づいて関係職員の聴取を行ったということでございます。

大串(博)委員 関係書類の中にメールは入っていますか。

青山政府参考人 いろいろな経緯の中で、メールもございます。

大串(博)委員 メールは五十一人の方々に関して全員分を確認されたんでしょうか。

青山政府参考人 私どもが行いましたメールといいますのは、メールの打ち出しを提供いただいて事実関係の確認を行ったということでございます。

大串(博)委員 そうすると、メールというのは、出してくださいねと言われたものだけをチェックしているということですね。これだと、さっき言ったように、自主的に出してくださいねだと適正な調査になるわけがないんですよ。そのような調査で行われている中で、かつ、吉川さんと西川さんはヒアリングの対象ですらない。ここを聞かないと、今回の行政の公正性がゆがめられたかというところは分からないんじゃないですか。

 先ほど奥野さんからもありましたけれども、吉川さん、西川さんに関してはヒアリングすら行われていない。誰の意思決定の下でヒアリングが行われなかったんですか。

青山政府参考人 委員会の意思決定に基づいてでございます。

大串(博)委員 委員会というのは誰ですか。

青山政府参考人 四名の検証委員の方々でございます。

大串(博)委員 なおさら、委員長、四名の皆さんの、吉川、西川、このお二人にヒアリングをしなかったということ、四名の方々がそういう意思決定をされた。決定的な意思決定ミスだと思います。

 是非、今後、また別の機会に改めて、井上座長にこの場に来てもらって、なぜ、西川、吉川、このお二人からヒアリングをしなかったのか、この場で説明していただきたいと思いますので、お取り計らいをお願いします。

高鳥委員長 後刻、理事会で協議いたします。

大串(博)委員 検証委員会の報告は、問題がなかった、行政の公正性はゆがめられなかったということですけれども、論旨を見ると、吉川大臣の問題が起こったのは平成三十年の秋の就任、そして令和元年までの大臣が在任期間中のことを中心にやられているわけですね。論旨を見ると、大臣の在任期間中前から、例えばアニマルウェルフェアに関して、止まり木に関しては日本としては受け入れられないということを常々から議論していたがゆえに、大臣が来たがゆえにこの問題がゆがめられたわけじゃない、そういう論旨になっているんです。

 ただ、疑問になるのは、その前から実はアキタフーズの、秋田元会長を含めて、盛んなロビーイング攻勢があって既に農林水産省の意思決定がゆがめられていたんじゃないかという点は、非常に大きな論点として残っているわけです。先ほど奥野さんから言われた、平成三十年の春には秋田元会長が畜産部長のところを訪れて、二、三時間居座っていろいろなことを言っていたということが言われている。この部分の検証をせざるを得ないと思うんですね。

 追加の倫理調査において、新たな会食のことも調べられています。これまでは問題となっていた二回の大臣を含む会食のことのみが論点となっていたんですけれども、今回、追加の調査で、それ以前も含めて、それ以外も含めて、深く百五十人規模の調査を行ったと言われています。これも、本当にどのぐらいいったかというのはきちんと調べなきゃならないんですけれども。

 この中で、新たに、養鶏・鶏卵業者と十八回の会食があったということが確認されています。十八回。問題となった大臣を含む二回の会食以外に、十八回の会食があったということが確認されています。この中に秋田元会長と一緒の会食は何回あったんでしょうか。

横山政府参考人 秋田元代表も参加されていた会合は二件ございます。

大串(博)委員 それは、いつ、誰との会食でしょうか。

横山政府参考人 具体的にいつ、誰かということについては差し控えさせていただきたいと思います。

大串(博)委員 どうして差し控えなきゃならないんですか。問題になっているのは、吉川大臣着任前から既に接待が行われていて、事務方に対しても含めて、それによって既にアニマルウェルフェアに関してはゆがめられていたんじゃないかという論点があるのが明らかになっているじゃないですか。そのことをそうじゃないと言うために、いつ、誰とだったかと。私は言うべきだと思いますけれども、なぜ言えないんですか。よほど怪しいんですか。

横山政府参考人 御指摘の点については、二点の側面があると思います。

 まず一点目。倫理という観点での調査なわけでございますけれども、そうした中では利害関係者の負担かどうかというところを調べておって、そうした中で、特に今件について例えば秋田さんが負担したというようなことは確認されていないということ、これがまず第一点でございます。

 あと、行政がゆがめられたんじゃないかということとの兼ね合いでの御指摘でございます。この点につきましては、まさに第三者委員会の方に我々の調査結果もフィードバックした上で、全体として御検討いただいているということであります。

大串(博)委員 ゆがめられたかどうかに関して第三者委員会に検討を求めているということですけれども、第三者委員会の検討報告書の中で、確かに、食事によってゆがめられたのではないかというところも検証されています。

 では、今言われた新たに発覚した二件について、この第三者検証委員会の検証の中で検証し、それに関し、それによってゆがめられたのではないということを検証した報告は、どのページのどこに書かれていますか。

青山政府参考人 追加調査につきましても第三者委員会において検証いただいておりますけれども、かなり前の話でございましたので、アニマルウェルフェア等と関係ない時期だということで省略されております。

大串(博)委員 そこまで言われるんだったら、いつだったのかということを言ってください。横山官房長は、いつ、誰とは言えないと言われた。しかし、今、青山総括審議官は、かなり前だったから関係ないということでここには書かなかったと言った。そこまで言うんだったら、いつかを言ってください。そんなことも言えないで、大丈夫ですなんて言えないですよ。言ってください。

横山政府参考人 この場は、まさに倫理の調査ということで調査をした中で、先ほど申し上げたとおり、そうした負担関係について疑念がないということ、その場で個別の働きかけは確認されていないこと、それから、そもそも、いわば私といいましょうか、勤務時間外に行われた席の話でございますので、個々の会食の日時、相手方、場所などの詳細を公にするということは差し控えさせていただきたいと思います。

大串(博)委員 全く、真実、重要なところは解明されていないということがよく分かると思います。これでは幕引きにはなりません。お手盛り、結果ありきと言われても仕方がない。非常に残念と言わざるを得ません。

 委員長、引き続き、第三者委員会の委員長、そして次官にもちゃんと来てもらって、いま一度、これに関して、今の点も含めて、どこまできちんと言えるのか、参考人の招致と、そして議論の場を持っていただくようによろしくお願いします、どうぞ。

高鳥委員長 この件については、引き続き理事会で御協議いただきます。

大串(博)委員 諫早湾干拓の問題に移らせていただきます。

 四月二十八日に裁判所の方から、和解すべきだ、双方譲歩すべきだという極めて重要な考え方が示されました。これを受けて、昨日、六月二日は第一回目の進行協議期日でありました。大臣にお尋ねします。第一回目の進行期日協議、六月二日、昨日です、どのようなスタンスで臨み、どのような受け止めでいらっしゃいましたか。

野上国務大臣 昨日二日でありますが、午後に、請求異議訴訟の差戻し審に関しまして福岡高裁において進行協議期日が行われたと承知しておりますが、進行協議期日の内容につきましては、裁判所が非公開の場である進行協議期日を設定した趣旨に鑑み、お答えすることは適切ではないと考えております。

 いずれにしても、係争中の訴訟に関わる事項でありまして、具体的な対応についてお答えすることは差し控えますが、関係省庁と連携して適切に対応してまいりたいと考えております。

大串(博)委員 弁護団の皆さんは昨日、見解をメーリングリストで示していらっしゃいまして、国は、裁判所の考え方、和解すべし、両方譲歩すべし、四月二十八日に示された考え方への対応について更に検討したいということだったというふうに言われています。今、訴訟中のことに関して答えられないということでしたけれども、少なくとも今はまだ対応については検討中ということですか。

野上国務大臣 繰り返しになって恐縮なんですが、今回の期日におきまして、国が裁判所の御提案について裁判所とどのようなやり取りをしたかについてお答えすることは、係争中の訴訟の具体的な対応に関わる事項であり、適切ではないと考えておりますが、一般論として申し上げれば、国は訴訟の手続に従って適切かつ誠実に対応しておるところでございます。

大串(博)委員 ごめんなさい、最後の一般論のところをもう一回言ってもらっていいですか。今言われた最後の、一般論のところをもう一回言ってもらっていいですか。よく聞き取れなかったので、ごめんなさい。

野上国務大臣 今申し上げましたのは、一般論として申し上げれば国は訴訟の手続に従って適切かつ誠実に対応しておりますと。

大串(博)委員 開門によらない基金による解決策が一般論としては国のスタンスだということを先般までは言ってこられました。今、一般論としておっしゃったのは、訴訟に関することに対して一般論として誠実に適切に対応していきたいというふうに、若干トーンが変わられたかなというふうに私は思いました。少なくとも、昨日の進行協議期日において、和解の話合いをすべしという裁判所からの考え方を拒否したということではないという理解でよろしいですね。

野上国務大臣 前回、四月二十八日でありますが、この期日におきまして裁判所から今後の進行に関する御提案があったものと承知しております。

 今回の期日におきまして国が裁判所の御提案について裁判所とどのようなやり取りをしたかについてお答えすることは、係争中の訴訟の具体的な対応に関わる事項でありまして、適切ではないと考えております。

大串(博)委員 私は、和解すべしという裁判所から示された考え方に関して拒否するというのは、国としてもできることではないと思います。かつ、開門によらない基金案というものが四年半以上前に国から既に示されて一歩も進まなかったという現実を踏まえれば、また開門によらない基金案というものをもう一度考え方として出すというのも事実上拒否を意味するので、あり得ないというふうに思います。

 先ほど大臣は、一般論として裁判に対する対応に関しては誠実かつ適切に対応するというふうにおっしゃいましたので、前回とはちょっと違った言いぶりでありました。

 是非、次の期日がまた来ますので、具体的に、原告団の皆さんも自分たちの考え方を絶対視しないとまで言われています、かつ、このような手続でいろいろな方々の利害も含めて議論できるんじゃないですかという枠組みも提案されています、そういった柔軟な態度で国の方も臨んでいただくようお願いし、私の質疑を終わります。

 ありがとうございました。

高鳥委員長 次に、金子恵美君。

金子(恵)委員 立憲民主党の金子恵美でございます。よろしくお願いいたします。

 冒頭、養鶏・鶏卵行政に関する検証委員会報告及び追加の倫理調査の結果についての公表ということがありましたので、既に先輩議員の方から質問がありました。なかなか明確な答えはなかったわけなんですけれども。

 私は、プレスリリースされた文書をいただきまして、最後のところをもう一回確認させていただきました。二度と国民の皆様から疑念を持たれる事態が生ずることがないよう、常に国民の皆様からの厳しい視線を意識しつつ、公正で透明性のある農林水産行政の遂行に取り組んでまいりますというふうに締めくくられています。

 とても重要な言葉なんですが、でも、農水省の信頼回復は簡単にできるものではないというふうに思っています。まずこのことについて申し上げさせていただき、そして、是非農水省として信頼回復のためにどんな努力でもするということをまず念頭に置いてお働きいただきたいということを重ねて申し上げて、私の質問に入らせていただきたく存じます。

 私は今日は、地元福島県で発生した凍霜害について質問したいと思います。

 福島県では四月の凍霜害によって県内農作物の被害が二十七億六千七百二十三万円に上るということでありまして、国と県と地元自治体がしっかりと連携を取っていただきながら、被害に対しての対応策ということを考えていただいていることだと私は信じたいというふうに思います。

 実際に、一昨年ですと台風十九号の被害もあった、昨年は実は桃せん孔細菌病の被害もありまして、そして今年はこのような形での凍霜害です。

 御存じのとおり、この委員会でも私は何回も取り上げさせていただいていますけれども、ALPS処理水の海洋放出の問題もありまして、地元の第一次産業を含めて、多くの方々は本当に厳しい状況の中で現場で働くということになっています。そんな状況です。その中で、風評被害対策も十分になされていないけれども、しっかりと果樹農家の皆さんは産地を守っていくという方向で頑張ってこられたわけなんですけれども、今回の被害があった。

 五月の二十四日には、内堀福島県知事が定例記者会見で、農家支援経費の、補正予算を専決処分したということで発表されました。

 この中身を見ていきますと、農水省の交付金は、福島県農林水産業再生総合事業といいまして、既に福島県に渡すことが決まっている予算なんですが、その枠の中で、これを活用して、例えば、農地十アール当たり三万六千円を支払って枝の芟除事業の補助金を定額補助するということを決めていたり、あるいは、県独自で品質維持に必要な資材購入費などを補助するということで、市町村は三分の一、県も三分の一の負担を決めているということ、三つ目になりますけれども、防霜ファンの導入は十アール当たり百万円程度かかるものなんですけれども、国は二分の一の補助率でもう既に補助制度を持っています、それに県としては独自で四分の一を上乗せするということであります。これは、既に国が持っていたいろいろな対策を福島県で使ってくださいとお願いしただけのように見えてしまうわけなんですね。

 こういうことというのは、つまり、気候変動によって開花が早かった、発芽が早かった、そういう果樹、そこに霜が降りたということで、普通の年よりも二週間も三週間も早く開花してしまっている桃とか梨とかということで、柿は発芽が早かったので、そこからもう芽も枯れてしまっているというふうな状況で、花をつけるはずの茎が伸びなかった、こういう状況なんです。

 私がここで申し上げたいのは、国として気候変動という中でどうやって適応策をしていくかということが見えなくて、福島県については既に復興予算とかそういうものがあるから取りあえずそれでやりなさいということなんだと思うんです。私は改めてここで姿勢を問いたいと思っているんです。国はどのような考えを持ってこの福島県の対策を支えたのか、伺いたいと思います。大臣にお願いします。

野上国務大臣 今御指摘がありましたように、本年四月に連続して発生しました低温や霜によりまして、特に福島県の果樹で大きな被害が発生したと認識しております。

 このような中で、農林水産省としても、今お話をいただきました福島県農林水産業再生総合事業の活用につきまして福島県と相談して、被災農家による園地の管理作業に対して支援を行うこととしたほか、防霜ファン等の設置に対して福島県とともに支援をするとしていることなど、震災後、市場等の信頼回復策に取り組んでこられた福島県果樹産地全体の努力が将来にわたって損なわれることがないように、できる限りの支援をさせていただいたものと考えております。

 また、果実が実る秋に向けまして更に明らかになってくる被害もあろうかと思いますので、引き続き状況を注視するとともに、今後とも福島県の果樹産地の振興に向けて福島県に協力をしてまいりたいと考えております。

金子(恵)委員 よろしくお願いします。

 そして、今も申し上げましたように、全国各地でこういうことが起こってくるわけなんです。ですから、やはり新たな支援策というのをしっかりつくり上げていくということも必要になってくるのではないかと思いますが、お考えをお聞かせください。

野上国務大臣 近年、自然災害が頻発する中で被害を最小化するためには、やはり、過去の災害の教訓から学んで、事前の備えを徹底する必要があると考えております。

 まず、農業者の皆様が、ビニールハウスなどの園芸施設の被害の程度に応じて補償する園芸施設共済や農業共済、また収入保険等に加入して備えていただくことが重要であると考えております。

 その上で、農林水産省としましては、事前の備えとして、自然災害等の農業経営へのリスクに備えるために、農業用ハウスの補強ですとか、低コスト耐候性ハウスの導入、あるいは事業継続計画の普及などに努めているほか、国土強靱化基本計画がございますので、これを踏まえた、農業水利施設等の豪雨、地震対策ですとか、防災重点農業用ため池の改修、統廃合等のハード対策と、ハザードマップの作成等のソフト対策を適切に組み合わせた取組などを推進しております。

 大規模な自然災害が発生した際には、例えば、令和元年東日本台風ですとかあるいは令和二年七月豪雨による被害に対しまして、土砂の撤去や、あるいは農業用ハウスや農業用機械の復旧、再取得、追加的な防除、施肥の支援など、被害状況に応じて必要となる支援策を取りまとめて丁寧に周知して、被災された農林漁業者の皆様に寄り添いながら営農再開を後押しさせていただいております。

 被害が発生した際には迅速な被害状況の把握に努めるとともに、これらの支援策を参考にしながら、それぞれの被害状況を踏まえて、個別災害ごとにどのような支援が必要かを判断しながら機動的に対応してまいりたいと考えております。

金子(恵)委員 大臣、気候変動適応法に基づく気候変動適応計画の見直しが今年度に予定されているということでありまして、産地の現状をしっかりと把握して、実態に合った適応計画を作って、産地を守っていく新たな財政支援等の仕組みというのもつくるべきだと思うんです。いかがでしょうか。

高鳥委員長 既に持ち時間が経過しておりますので、御協力願います。

野上国務大臣 気候変動法に基づく政府の気候変動適応計画につきましては、令和三年度に見直しが予定をされておりまして、この見直しに向けまして、今、農林水産省においても省の計画を見直すこととしております。

 今後、生産現場の気候変動の影響等を十分に踏まえながら、実態に合った気候変動適応計画の見直しの検討を進めてまいりたいと考えております。

金子(恵)委員 終わります。

高鳥委員長 次に、神谷裕君。

神谷(裕)委員 立憲民主党・無所属の神谷裕でございます。

 今日も質問の時間をいただきましたことに感謝を申し上げたいと思います。

 率直に、今の委員会での質疑を聞いておりまして、一問、大臣にお伺いしたいと思いました。先ほど奥野委員あるいは大串委員からもお話が様々ございましたアキタフーズの報告書について単刀直入に伺います。大臣はこの報告書で十分とお考えなのか。この報告書についての評価を伺いたいと思います。

野上国務大臣 養鶏・鶏卵行政に関する検証委員会におきましては、吉川元農林水産大臣が収賄容疑で起訴されたことを受けまして、養鶏・鶏卵行政の公正性につきまして、委員会を九回開催して、職員等約五十名の聴取を行うなど、約四か月間にわたって徹底した調査、検証を第三者の視点から行っていただき、報告書を取りまとめていただきました。

 この報告書によりますと、調査の結果、養鶏・鶏卵行政については、政官業の距離が近く、行政が政治や生産者からの働きかけを受けやすい構造にあり、秋田元代表から吉川元大臣等への働きかけも確認されたものの、政策がゆがめられた事実は認められなかったとのことであります。他方で、今後養鶏・鶏卵行政に関する国民の皆様からの信頼を得ていくためには課題があるとの御指摘と、養鶏・鶏卵行政の透明性の向上に向けた御提言をいただいたわけであります。

 農林水産省としましては、この御指摘、御提言を真摯に受け止めて、直ちに改善策を検討し、それを実行していく考えであります。

神谷(裕)委員 大臣、農林水産省としましてはではなく、大臣自身はこの報告書で国民の疑念は晴れたとお考えなのか、それだけ伺わせてください。

野上国務大臣 今申し上げましたとおり、第三者委員会では、徹底した調査、検証を第三者の視点から行っていただき、報告書を取りまとめていただいたわけであります。

 一方で、様々な課題があると御指摘を受けているわけでありますので、その御指摘を真摯に受け止めて、透明性の向上に向けた改善策、これを検討して、実行してまいりたいと考えております。

神谷(裕)委員 大臣、くどいようですけれども、これで十分とお考えなのか、それだけ聞かせてください。

野上国務大臣 この調査、検証につきましては、徹底した報告書を取りまとめていただいたと考えております。

神谷(裕)委員 先ほど大串委員あるいは奥野委員からもありましたとおり、必ずしも十分ではないと思いますし、あるいは、これから先、農水省としてはしっかりと疑念回復に向けて頑張っていただきたいと思いますし、そのことをあえて申し上げたい、このように思います。

 そしてまた、私自身が少し懸念をいたしておりますのは、私自身、この場に立って何度も、農家の声を聞いてください、あるいは漁業者の声を聞いてくださいということも申し上げてまいりました。ですので、今回のこのことで、逆に、役所の方々と現場の方々の距離が遠くなるようなことではこれはいけないと思うんです。そういったことも十分考えていただきたいと思います。

 逆に、今回、調査をしていただいて、多くの会食が見られました。ただ、届けられている部分も相当多くあるわけで、私はこのことは、むしろ農水省は健全だと思っているんです。

 ですので、これからも現場の声を聞いていただきたいですし、役所の方々には、農業者、漁業者、林家、こういった方々の声を絶対に聞いていただかなければならないので、そういった面にも是非、大臣、配慮をいただきたい、このことはあえて申し上げたい、このように思います。

 それでは、この後に林業の話もございますので、若干そちらの方の質問をさせていただきたい、このように思います。

 農林水産省においては、公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律に基づき新農林水産省木材利用推進計画を策定し、率先して公共建築物等への積極的な木材利用を進めていると承知いたしております。

 推進計画においては、庁舎等の施設を始め、補助事業における建築物等の施設等、いわゆる公共建築物以外にも、農林水産省関係の公共土木工事における工作物及び施設も木材利用の推進に取り組む対象としているわけでございますが、推進計画の対象に公共土木分野を含めているその意図するところをお伺いしたい、このように思います。

本郷政府参考人 お答えを申し上げます。

 毎年一定程度の事業量が見込まれる公共土木分野において積極的に木材利用を推進することは、細いものや短いものなど建築用材には使いにくい木材資源の活用にもつながり、木材の安定的な需要の創出に寄与する取組であると考えております。

 このため、新農林水産省木材利用推進計画においては、農林水産省自らが整備する施設や補助事業を活用して整備する施設の木造化、木質化のみならず、公共土木分野における木材利用も含めて、農林省自らが率先して木材利用に取り組むことにより、木材需要の拡大に努めているところでございます。

神谷(裕)委員 この法律は、隗より始めよということで、公共の部分からまずしっかり木材を使っていこうじゃないかという法律でございますので、農林水産省が率先してやっていただく必要がございます。ここはしっかり林野庁さんが音頭を取っていただいて、これからも推進をよろしくお願いしたい、このように思うわけでございます。

 公共土木分野でも木材利用を進めていくという意図とは裏腹に、実績は実際伸び悩んでいるところがございます。林野庁が所管する森林土木分野では、平成二十八年度以降、毎年、工事費一億円当たりの使用量が残念ながら減少しております。推進計画が今年の四月に改定されたことや、林野庁も森林土木工事における更なる木材利用の推進に向けていろいろと御努力されていることは承知しておりますけれども、いま一歩の努力が必要ではないか、このように思っているところでございます。

 本日、公共建築物等木材利用促進一部改正法案がこの後審議をいただくというふうな運びだと聞いておりますけれども、公共建築物のみならず、一般の建築物等に対象を広げ、更なる木材利用に向けた取組を進めることとなります。これを契機に、林野庁自らが率先して森林土木工事分野での木材利用に努めることにより、他の公共土木分野においても一層の木材利用の推進が図られるよう取組を進める必要があると考えますけれども、農林水産大臣の御所感を伺いたい、このように思います。

野上国務大臣 新農林水産省木材利用推進計画におきましては、森林土木分野の目標としまして、工事費一億円当たりの木材利用量を九十九立方メートルとしたほか、柵工等の工作物における木製の割合を一〇〇%としております。

 これに対しまして、令和元年度の実績でありますが、近年の山地災害の激甚化により強固なコンクリート等を用いた工作物とせざるを得ない箇所が増加したことなどによりまして、工事費当たりの木材利用量は五十七立方メートルと目標を下回っておりますが、柵工等の工作物における木製割合はほぼ目標を達成しているところであります。

 農林水産省としましては、本年四月の同計画の改定時に、木製の割合を一〇〇%とする対象に筋工の工作物を追加したほか、南海トラフ地震対策として海岸防災林における木製防風柵の整備を進めるとともに、新たな工法の事例を収集しまして、発注に必要な情報を整理したマニュアルを策定して、他の土木工事の参考となるよう普及に努めるなど、土木工事における更なる木材の利用推進に努めてまいりたいと考えております。

神谷(裕)委員 大臣、本当にここを積極的によろしくお願いしたいと思います。残念ながら当初掲げた目標が高かったということは十分承知をしているんですけれども、さはさりながら、この目標を達成していただくということが非常に大きな意味のあることでございますから、ここはやはり農林水産省の頑張りどころだと思っておりますので、ここはしっかり音頭を取っていただいて、農林水産省あるいは林野庁が率先垂範していただくということで、是非お願いをしたいと思います。

 時間もそろそろだと思いますので、この辺で終了させていただきたいと思いますが、先ほど、調査は十分というふうに必ずしも大臣に言っていただけなかった、このことは本当に残念に思いますし、引き続き信頼回復に向けて御努力いただくことを心からお願いして、私の質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

高鳥委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 養鶏・鶏卵行政に関する検証委員会の報告書で明らかになった文書があります。二〇一八年、平成三十年三月十五日に、国際養鶏協議会の秋田善祺代表から畜産部長宛てに「動物福祉(アニマルウエルフェア)問題に係わるお願い」と題する文書が出され、一部とはいえども飼養管理指針の改定は拙速にやるべきではありません、鶏卵経営等に知見のある生産者も検討委員会に加えた後に再検討していただきたいとの要望がありました。

 OIEコード委員会がアニマルウェルフェアで巣箱、止まり木の義務化を提示する九月十八日よりも半年も早く農水省に働きかけをしていたわけであります。この文書は、取扱注意、コピー不可とのメモ書きが加えられています。重要な文書であったんでしょう。事実、この要望を境に、農水省の態度の変遷が報告書からも読み取れます。

 報告書二十三ページのイ、平成二十九年十二月十一日、OIE連絡協議会において伊藤国際衛生対策室長は、採卵鶏のアニマルウェルフェアについて、日本としては、委員の皆様の御意見をいただくとともに、国内農家がどの程度受け入れられるか、実態を見極めながら実現可能な範囲で求めていく方針になると思う、こう述べたわけです。つまり、アニマルウェルフェアの実施に含みを持たせているわけです。

 そして、秋田氏からの要望を受けた約二か月後、二十三ページ、ウの部分、平成三十年五月二十九日、枝元生産局長は参議院農林水産委員会における川田龍平議員の質問に対して、日本の経営の実態等からすると現時点ではバタリーケージを禁止する状況にはない、このように言われました。OIE指針が定められる前に、バタリーケージは変えないと言い切っておられるわけです。

 大臣にお伺いします。秋田氏からのこの取扱注意とした要望書によって、農水省における政策決定の意思が変わり、固まったのではありませんか。

青山政府参考人 秋田元代表と農水省の事務方、担当部局がお会いしていたというのは確かでございますけれども、今回の検証は、吉川元大臣の贈収賄を契機として、その影響がどのように公正性に影響したかということを検証する委員会でございますので、そこの部分は従前からのおつき合いの中で決まってきたことかと思います。

田村(貴)委員 意思形成過程の問題を聞いているわけです。二〇一八年前半の秋田側から農水省への働きかけは、もっと精査する必要があります。

 委員長にお願いがあります。

 平成二十九年度第二回OIE連絡協議会の議事録を提出していただきたい。

 そして、枝元元生産局長、現事務次官の委員会への出席、そして答弁を要求したいと思います。

 お取り計らいをいただきたいと思います。

高鳥委員長 後刻、理事会で協議いたします。

田村(貴)委員 二〇一八年から二〇一九年にかけて、養鶏、鶏卵を国際的に取引する上で、動物のストレスをできるだけ軽減するアニマルウェルフェアをルールに盛り込むかどうかが課題でありました。秋田氏や養鶏業界はOIE基準案は不可能として、秋田氏は、吉川元大臣に計五百万円の現金を渡し、農水省幹部を高級料理店で会食接待したわけであります。

 生産者も検討委員会に加えてとする秋田氏の要望は、二〇一八年十二月十九日、農水省OIE協議会に秋田氏の息子でアキタフーズの副社長である正吾氏が臨時メンバーとして出席してかなえられているわけであります。やはり政策がゆがめられたんじゃありませんか。報告書では、臨時メンバーを追加した経緯や理由について十分な説明が行われていないことが確認されたと指摘されているではありませんか。

 大臣、アキタフーズからの接待と贈賄が明確に行政をゆがめたのではありませんか。

野上国務大臣 第三者検証委員会の調査の結果、アニマルウェルフェアの国際基準策定プロセスにつきましては、秋田元代表から吉川大臣等への政策要望や働きかけ、また、吉川大臣及び西川元大臣からの担当部局への指示や働きかけがあったと確認をされました。

 委員会の報告書では、このような指示や働きかけがあったものの、吉川大臣在任期間中にOIEに提出されたコメントの考え方は、吉川大臣就任前の農林水産省の方針と同様のものとなっていること、また、平成三十年十月にOIEコード二次案の内容を確認した時点で我が国として反対意見を出すべきという方針が担当課内で既に固まっていたと認められることから、吉川元大臣からの指示や働きかけにより本事案に関する政策方針等の変更があったことは認められず、その内容面において政策がゆがめられたと疑われる事実も確認できなかったとの見解が示されております。

 また、OIE連絡協議会におきましても秋田元代表以外の多様な意見を聞いていることから、手続面においても本事案における政策決定の公正性に関する問題点は特になかったものと認められるとの見解が示されているところでございます。

田村(貴)委員 当事者としての責任感が全く感じられませんよ、大臣。はっきりしていることは何なのか。金を贈った側の要望が受け取った大臣の下で全て実現しているんですよ、本件は。政策変更がなかったの一言では、およそ片づけられません。

 先にこの問いに答えてください。追加の倫理調査というのがありますよね。会食についてです。鶏卵・養鶏業者との会食が十八回、政治家同席五回、それ以外の畜産事業者との会食が二百四十七回、うち政治家同席二十五回、この中に野上大臣は入っているんですか。平成二十二年から遡ってと言われましたけれども、政務三役、現職、そして元職の参加はどうだったんですか。お答えください。

野上国務大臣 今回の追加調査では、国家公務員倫理規程上問題のないものを含めて、期限を限らず過去に遡って、養鶏・鶏卵事業者を含む畜産事業者との会食の機会について幅広く把握したわけであります。

 調査の結果、職員から申告のあった会食の中で最も時期が古いものは、平成二十二年度の会食でありました。

 また、今回の追加調査で確認された会食については、利害関係者の負担での飲食が疑われるものではないこと、会食の場に出席した政治家や利害関係者から政策に関する個別の働きかけは確認されなかったこと、勤務時間外に行われたプライベートな会合であること等から、政治家と利害関係者が同席していた会食についても、個々の会食の日時、相手方、場所などの詳細を公にすることは控えさせていただきたいと考えております。

田村(貴)委員 一層疑惑は深まっていきますよね。政治家の介在があったのかなかったのか、それさえも言わない。それではやはり信用なりません。

 第三者委員会は検証ポイントに秋田元代表から吉川元大臣、西川元大臣に政策要望や働きかけがあったかどうかを挙げているけれども、肝腎の秋田氏、吉川氏、西川氏からはヒアリングをしていません。これが検証委員会における最大の問題であります。真相の解明にはほど遠いものがあります。秋田氏、吉川氏、西川氏の国会招致、本委員会への出席を強く求めたいと思います。そして、本件で、この委員会での集中審議を強く要求します。

 次に、この後起草される公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律改正案について質問します。

 地球温暖化対策としては、森林整備がなければ過剰伐採となります。将来的に、森林のCO2の吸収、蓄積にとってマイナスになりかねません。基本理念には、保育や造林など、木材を育て森林を守る施策の必要性がうたわれています。具体的にはどのような施策が考えられているんでしょうか。

本郷政府参考人 お答えを申し上げます。

 森林の有する国土保全や水源涵養などの公益的機能を持続的に発揮させるためには、秩序ある伐採が行われ、再造林による適切な更新が図られることが重要と認識しております。

 このため、農林水産省では、植栽、下刈り、間伐等の森林整備に対する国庫補助を行うとともに、伐採に使用している機械を続けて造林作業でも使用するといった伐採、造林の一貫作業の導入や、成長の速いエリートツリー等の活用による造林コストの大幅な低減等に取り組んでいるところでございます。

 また、秩序ある伐採と造林については、森林法に基づき、森林所有者等に伐採前の届出や造林後の報告を義務づけるほか、市町村長は、市町村森林整備計画で定める適切な方法で計画されていない場合や、届出に従った造林が行われなかった場合に指導等を行うことが可能となっています。

 しかしながら、再造林が適切に行われていない森林が存在する現状等を踏まえ、市町村が制度をより円滑に運用できるよう、森林・林業基本計画に係る林政審議会での議論や地方自治体の意見も聞きながら、制度運用の見直しについて検討しているところでございます。

 農林水産省としては、これらの取組により、引き続き森林資源の適切な管理と成長産業化の推進に取り組んでまいります。

田村(貴)委員 時間が参りました。以上で質問を終わります。

高鳥委員長 次に、串田誠一君。

串田委員 日本維新の会の串田誠一です。

 私は、ずっとアニマルウェルフェア関連の質疑をさせていただいている中で、今回の検証委員会の報告書を朝にいただきまして、既に農水省のホームページにも公開されておりますので、どなたでも見られるような状況になっているわけでございます。

 これを見せていただきますと、意外と検証委員会の報告書は農水省の考えている思考過程をかなり如実に表して、しっかりと踏み込んでいるなという印象を私は受けているんですね。ですからこそ、これを一つの参考として今後与野党を超えて考えていかなければならないんだろうなと思うんですけれども、一番端的に示しているところが、十四ページの二次案の入手というところに書かれています。一番下から五行目からなんですが。

 動物衛生課は採卵鶏のアニマルウェルフェアに関するOIEコード二次案を入手した、この二次案は止まり木等の設置を必須事項とする内容となっていた、この二次案の内容については、将来的に長い時間をかけて対応するならともかく、今これが国際基準になってしまうと日本で九割以上を占めているケージ飼いの方法が困難となり、ひいては卵の価格が高騰する可能性もあったことから、次なんですけれども、二次案を入手して間もなく伏見畜産振興課長と担当者が打合せをして我が国として反対意見を出すべきという方針を固めていたことが確認されている、この方針を踏まえ、畜産振興課はコメント提出に必要となる論文等の科学的知見の収集を始めた。

 要するに、結果がまずあって、それを裏づける資料の収集を始めたというのを報告書にはしっかりと書いてあるんですね。

 環境委員会で小泉環境大臣にもバタリーケージの質問をさせていただき、その後、小泉環境大臣は記者への回答として、バタリーケージは推奨しないという言い方をされていました。環境大臣と農水大臣とは連携するということになっているわけですから、農水大臣は環境大臣のこの発言を今後どういうふうに受け止めるのかなというふうに思ったんですけれども、まさに農水省の考え方というのはこの思考過程なわけですよ。既に結果がある。

 じゃ、この結果に対する思考過程というのは間違っているかというと、これはなかなか難しいですよね。現実に九四%が、日本の畜産業界がバタリーケージを採用しているときに、それは駄目だという基準を作られたら一体この日本はどうなってしまうのかということを農水省が考えていったというのは、私は、それはそれで、あながちこれは仕方ない部分もあったのかなと。

 ですけれども、本来の思考過程というのは、バタリーケージはアニマルウェルフェアに合致しているのかどうか、確かにこれは問題があるね、しかし、日本の畜産業は九四%がバタリーケージだからこれを決定されたら困るねと。だったら、私は、これを時間をかけてどういうふうに解決していくのかというふうに思考を考えていかなければならなかったんじゃないかと。今の畜産業界がどうなってしまうのかという結論を決めてしまった後で、後づけでそれを肯定するような、アニマルウェルフェアに合致しているんだとかということを言い出すから、これはおかしな話になってしまうということになると思うんです。

 農水省は、私がずっと質問しても、かたくなに日本のアニマルウェルフェアとしては合致するんだとおっしゃられているんですが、ここの報告書に書かれているように、農水省の判断というのは、伏見畜産課長と担当者が打合せをしてすぐに反対意見にする、機関決定というのはこんなようなことで決められているんですか。まず、農水省の機関決定のお話をいただきたいと思います。

水田政府参考人 お答えいたします。

 農林水産省でございますけれども、OIEへのこれまでの対応の中で、一次案のときからでございますが、OIEのアニマルウェルフェアコードの検討に当たりましては、我が国で主流でございますケージによる飼養も含めて多様な飼養形態が認められるべきという考え方で対応してきたところでございまして、二次案が出たとき、つまり、止まり木等の設置を必須事項としておりまして、多様な飼養形態が認められない二次案ということでございますので、入手後間もなく、担当課でございます畜産振興課でございますが、この二次案に対しまして、これまでの考えと合わないということで、反対の意見につきまして、そういった方針で課として案を作るということについては問題があったということではないと考えております。

 二次案に対します最終的な対応方針というものは、OIE連絡協議会の御意見も広くお聞きした上で、吉川元大臣に御説明した上で決定をいたしまして、OIEにコメントを提出したものでございます。

串田委員 ここの報告書の十六ページには、吉川大臣は、自分のところに言ってくる生産者はアニマルウェルフェアについて理解していないと。何か所か出ているんですね。理解していないのに子供が協議会の臨時メンバーに採用されているという、非常に不思議な流れというのも書かれているんですけれども。

 業界と非常に近い関係になっているんだという反省を述べられていらっしゃいましたけれども、業界の声を聞いたら、業界はやっていけないというのは確かにそのとおりだというふうに思うんですけれども、まさに報告書のところで書かれているように、この二次案の内容については、将来的に長い時間をかけて対応するならともかくと。

 すぐに変えるというのは難しいけれども、国としてアニマルウェルフェアの方へ向けるような支援をしながら、業界を助けながら、アニマルウェルフェアで世界から批判されないような国にしていくということが私は農水省には求められているんだろうなと思うんですよ。

 世界動物保護協会、WAPから、日本の畜産福祉は最下位なんですよ、Gなんですね。これはどういうことになっているかというと、農水省は輸出を進めるといいながら、ブランド力をこんなに下げていることはないでしょう。最下位と言われちゃっているんですよ。それに対して世界の投資機関も、日本のそういう業界に対しては投資を見合わせるような動きも出てきているわけじゃないですか、将来性がないんだから。そして、後継者問題に関しても、世界から動物に一番優しくない国の産業に誰が後継者として進んで行きますか。

 そういう意味からすると、農水省が本当に畜産業界を助けよう、保護していこうというんだったら、世界の潮流をちゃんと見届けながら日本としての要するにブランド力を高めていくということが私は必要だと思うんです。大臣、この思考過程、アニマルウェルフェアに合致しているかどうかをまずは考えた上で、今の日本の畜産業界をそれによってどうやって生き残らせてブランド力をもっと高めていこうかというのが私は思考過程として必要だと思うんですが、大臣としての御意見をお聞かせいただきたいと思います。

野上国務大臣 今御議論いただいておりました我が国で広く行われているバタリーケージ飼いでありますが、細かくは申し上げませんが、アニマルウェルフェアの指針である五つの自由との関連では、苦痛、傷害及び疾病からの自由の点で優れていますが、止まり木や営巣の区域が設置されていないので、通常の行動様式を発現する自由の点ではデメリットがある。

 一方で、EUで導入が進んでいるエンリッチドケージや多段式平飼い方式は、通常の行動様式を発現する自由では優れているものの、恐怖及び苦悩からの自由ですとか、苦痛及び疾病からの自由などでデメリットがある。

 ですから、飼養方式にはそれぞれのデメリット、メリットがあり、一概に比較することは難しいわけでありますが、アニマルウェルフェアは飼養管理における総合的な取組ですので、気候風土など他の要素も考える必要があって、多様な飼養形態が認められるべきと考えております。

 そういう中で、農林水産省としても、アニマルウェルフェアの一層の普及を進めていく、これは極めて重要だと考えております。家畜が少しでも望ましい形で飼育されるように、専門家の御意見も伺いつつ、どのような技術的な対応が可能なのかも含めて、更に検討を進めてまいりたいと考えております。

串田委員 鶏というのは、まさに庭の鳥としてニワトリという名前がついているわけで、地べたに足がついているからニワトリと言われているのであって、ワイヤーで一生懸命体を支えているというのは本当に苦痛だと世界の国々が考えているわけですから、日本独自で考え続けるということはなかなか難しいということで、急な転換は難しいでしょうけれども、日本としての方向性を是非示していただきたいと思います。

 終わります。ありがとうございました。

高鳥委員長 次に、玉木雄一郎君。

玉木委員 国民民主党の玉木雄一郎です。

 今日は、米政策一本でやりたいと思います。

 委員会で何度も私も指摘しておりますが、この出来秋は大変なことになるんじゃないかなと。米価の大幅な下落が懸念されております。私は、米価下落緊急事態宣言を出さなきゃいけないような事態になるんじゃないのかと思っています。そうなってはいけないので、蔓延防止等重点措置ではありませんけれども、米価下落防止重点措置を幾つか講じていかないと本当に大変なことになるんじゃないかなと。

 我々、農水委員会に身を置いておりますと、農業に従事する日本人の数は減ってきておりますので、大臣の御地元の富山県で百年前に米騒動があって、二年ぐらい続いて、あのときは寺内正毅内閣が総辞職しているんですね。それぐらいやはり米というのは政治に直結するので、現代においても私は政治がしっかり向き合っていかなければいけない問題だと思っております。

 そこで、大臣に伺いますけれども、コロナ禍によって需要が相当落ちていますよね。家で食べるのは高級な、少し高めのお米を買ってきて食べるようになっているとはいいますが、中食とかそういった、たくさん消費されるところの、ファミリーレストランも含めて、大きく需要が減っているのは間違いない。一方で、いわゆる需要に応じた作付をしましょうということで、国が主導する生産調整はやめてきた流れの中で、需給サイドと供給サイドがある意味大きな変化の中で去年、今年を迎えているわけです。このままだと非常に二一年産の需給が不安定になるだろうと予測されておりますので、これを安定させるために大臣として今どのような対策を考えているのか。まずお伺いします。

野上国務大臣 今御指摘のとおり、令和三年産の主食用米につきましては、過去最大規模の六・七万ヘクタールの作付が必要となるわけであります。四月末の作付意向では対前年で約三・七万ヘクタールの減少と見込まれておりまして、一定程度作付転換が進んでいると評価できますが、米の需給と価格の安定のためには、より一層の作付転換の推進が必要なわけであります。

 六月に入りまして、米の主産地では田植もおおむね終了している段階でありますので、今後は、主食用米として植え付けた米の用途を飼料用米ですとかあるいは新市場開拓用米等へ転換していくことが中心になると考えております。

 飼料用米等への転換につきましては、御案内のとおり、水田活用の直接支払交付金による収量に応じた十アール当たり五・五万円から十・五万円ですとかあるいは産地交付金による支援を行うほか、都道府県が転換拡大に取り組む農業者を独自に支援する場合、拡大面積に応じた国による追加支援を措置したところであります。

 また、JAグループからの要望もあって、令和三年度からは、集出荷団体等が交付金を代理受領することで、営農計画書の提出間際まで集出荷団体が主導して主食用米の一部を飼料用米等の用途に変更しやすくする措置を講じておりますので、こういうことを活用しながら産地単位でまとまって飼料用米等への転換に取り組んでいただきたいと考えておりますし、六月末が営農計画書の提出期限でありますので、残された時間が少ない中でありますが、農水省としても、各産地での説明会ですとかキャラバン等を通じてその推進に努めてまいりたいと考えております。

玉木委員 餌米への転換ということが主な政策だと思うんですが、大臣、私は飼料用米の政策についてはいろいろこれまでも指摘してきましたけれども、あと三万ヘクタール追加で転換していくことが必要ですよね。令和二年の餌米の作付面積はそもそもどれぐらいか御存じですか。

野上国務大臣 令和二年の作付面積でありますが、七・一万ヘクタールでございます。

玉木委員 去年は七万なんですよ。最近のピークはたしか二〇一七年だったと思いますが、あるところまでいったんですが、最近、餌米は減少傾向なんですよね。私も近所でやっていますけれども、補助金はつけるんだけれども、輸送費とか乾燥費とかいろいろ入れると結局手取りが少ないんだろうということもあるので、なかなか、一時盛り上がったんだけれども、やめていって主食用米に戻すところも増えてきているわけですね。

 去年が七万ですよね、七万ヘクタールで、追加で三万をやるということは、一・五倍ぐらいにしなきゃいけないんですよ。それって現実的なんですかね。私は非常に疑問を感じるんです。

 今日は久しぶりに資料を作って配りますけれども、ブルーの資料を見ていただきたいんです。

 政府が見通しを出しているんですが、JA全中さんも出しておられて、長期トレンドで毎年十万トンずつ減ってきているんだけれども、国は更にコロナで五万トン減ると言っているんです。全中でも、五万トンじゃ及ばなくて、コロナの影響で更に追加で十万トンぐらいは減るだろうと。去年もそうだし今年も減るだろうということになると、例えば来年六月の民間在庫は五十万トン以上になるんじゃないかということが、もちろん生産を引き締めることもそうですけれども、需要自体が農水省が予想しているよりももっと下がってしまう。

 裏側は、うちの地元の四国新聞をつけたんですが、うちの地元でも影響が出てきて。

 何かというと、普通なら高いお米で、魚沼産コシヒカリとか、皆さんのところの、米どころのお米が香川県でも売られているんですが、高いんですよ。香川県のお米はそんなに有名じゃないので余り高くないんだけれども、最近そういうのが流入してくるので、ブランド米の方が更に安いんですよ。そうすると、香川県産のお米が、そんなに有名じゃないんだけれども、そっちの方が高くなっちゃって。釣られて下げなきゃいけないので、二週間前に地元に帰って農家の人と話していたら、丸亀の人ですけれども、これ以上下がったらできないわということを言っていて。米価の下落というのは全国的に影響を及ぼすので、本当にきちんとした需給の安定化ができるのか。

 さっき申し上げたように、餌米は、去年が七万で、更に三万を。だから、これを十万ヘクタールにできるのかということですよ。去年が七万ヘクタールで十万ヘクタールに、皆さん、できると思いますか。今からですよ、六月末の営農計画書の提出までに。うちの近所は田植が終わっていますよ、主食用米で。後で、事後的にそれを餌米に振り替えていくのは私はそもそも禁じ手だと思うけれども、大臣、去年が七万の飼料用米の作付面積を、プラス三万で十万ヘクタールに今からできますか。改めて伺います。

野上国務大臣 やはり主食用米の需要が毎年減少しておりますので、そういう中で、産地ごとの実情に応じて主食用米から需要のある作物への転換を推進することが重要と考えておりますが、その際、飼料用米でありますが、飼料業界では年間百三十万トンの受入れが可能としておりまして、水田フル活用のための重要な選択肢であると考えております。

 そういう中で、食料・農業・農村基本計画におきましては令和十二年度に七十万トンとする生産努力目標を定めているところでありますが、今後とも、その目標に向けまして、農業者の方々が飼料用米を含めた需要のある作物の生産に取り組めるよう必要な支援を講じてまいりたいと考えておりますし、令和三年産に向けましても、先ほど申し上げましたとおり、様々な措置を使いながら飼料用米への転換に取り組んでまいりたいと考えております。

玉木委員 いや、これは納得できません。百三十万トンの受入れがあるとかと聞かされて、全農は六十万トンとこの政策をやるときに言っていて、全然、まず全農だって六十万トンを受け入れていないし。

 だって、百三十万トンの潜在的なニーズがあるというんだけれども、最近のピークでいうと、飼料用米の生産は二〇一六年が五十一万トンですよ。令和二年はまだ出ていませんけれども、令和元年で三十九万トン。多分、三十七万トンぐらいに令和二年はなりますよ。百万トンの差がある。本当にあるんですか。いや、私は別に責めるわけじゃなくて、現実的な数字を並べてみたときに、できるのかどうかという。

 ちょっと時間がなくなったので、皆さん、真面目に考えて、大丈夫ですかね。需要の方も供給サイドも両方ぐすぐすで、下がるしかないですよ。せめて緊急的に二十万トンぐらいの市場隔離政策を今回はコロナだということでやるのは、いつもやるといろいろなことで税金の無駄遣いとか言われますけれども、今回に限っては二十万トンぐらいの市場隔離を、大臣、やるべきじゃないですか。いかがですか、最後に。

野上国務大臣 需給状況に応じて買入れ数量を増減させるなど、国による需給操作や価格の下支えにつながる運用は例えば政府備蓄米制度の趣旨にも沿いませんし、また、自らの経営判断による需要に応じた生産、販売を進める米政策改革の考え方にもそぐわないものと考えております。

 主食用米につきましては、毎年需要が減少していくことが見込まれておりますので、そういう中で、やはり、需給と価格の安定を図っていくためには、今後も、国内の消費や輸出の拡大の取組を進めつつ、自らの経営判断による需要に応じた生産、販売を着実に推進することが重要であると考えております。

玉木委員 もう終わりますけれども、役人答弁だとそうなんですよ。でも、ここは政治が判断しないとその先には行けないと私は思います。ですから、今日はちょっとあえて申し上げました。

 最後に申し上げますが、需要に応じた生産をやりましょうとずっと言うんですけれども、需要に応じた生産だったら餌米はどんどん増えていくじゃないですか。減っていますよ。減るところにお金をつけて何とか誘導したって、限界が来ているのはこの数年の政策から明らかだと思うので、結果として事後的な生産調整みたいなことをするのであれば、私は、生産調整と助成をセットにした、かつての戸別所得補償政策のようなことをやはり正面から認めて……

高鳥委員長 既に持ち時間が経過しておりますので、質疑を終了してください。

玉木委員 一定程度こういったことを、やはり政策の大きな変更が必要だということを強く求めて、危機感を表明して、質問を終わりたいと思います。

     ――――◇―――――

高鳥委員長 次に、公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。

 本件につきましては、各党間の協議の結果、お手元に配付いたしておりますとおりの起草案を得ました。

 本起草案の趣旨及び主な内容につきまして御説明申し上げます。

 本案は、脱炭素社会の実現に向けて、建築物等における木材の利用の一層の促進を図ることを目的とするものであり、その主な内容は次のとおりであります。

 第一に、法律の題名及び目的の改正についてであります。法律の題名を脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律に改めるとともに、目的に脱炭素社会の実現に資することを追加することとしております。

 第二に、基本理念の新設についてであります。木材の利用の促進は、森林による二酸化炭素の吸収作用の保全及び強化が十分に図られること、二酸化炭素の排出の抑制その他の環境への負荷の低減が図られること、森林の有する多面的機能が持続的に発揮されること及び山村その他の地域の経済の活性化に資することを旨として行われなければならないものとしております。

 第三に、責務規定の改正等についてであります。国は、建築用木材等の適切かつ安定的な供給の確保のために必要な措置を講ずるよう努めなければならないものとしております。また、林業及び木材産業の事業者についても、基本理念にのっとり、建築用木材等の適切かつ安定的な供給に努めるものとしております。

 第四に、木材利用促進の日及び木材利用促進月間の新設についてであります。国民の間に広く木材の利用の促進についての関心と理解を深めるため、十月八日を木材利用促進の日、十月を木材利用促進月間とすることとしております。

 第五に、基本方針等の対象の拡大についてであります。基本方針、都道府県方針及び市町村方針の対象を公共建築物から建築物一般に拡大することとしております。

 第六に、建築物における木材利用促進のための協定制度の創設についてであります。国又は地方公共団体及び事業者等は、事業者等による建築物における木材の利用の促進に関する構想及び国又は地方公共団体による当該構想の達成に資するための支援に関する事項を定めた協定を締結することができるものとしております。また、国は、当該協定に係る構想の達成のための事業者等の取組を促進するため、必要な支援を行うものとし、地方公共団体は、国の措置に準じて必要な措置を講ずるよう努めるものとしております。

 第七に、木材利用促進本部の設置についてであります。農林水産省に特別の機関として木材利用促進本部を置くものとし、同本部は、基本方針の策定及び木材の利用の促進に関する施策の実施の推進等に関する事務をつかさどるものとしております。

 なお、この法律は、令和三年十月一日から施行することとしております。

 以上が、本起草案の趣旨及び主な内容であります。

    ―――――――――――――

 公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

高鳥委員長 お諮りいたします。

 公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律の一部を改正する法律案起草の件につきましては、お手元に配付いたしております起草案を本委員会の成案とし、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

高鳥委員長 起立総員。よって、本案は委員会提出の法律案とするに決定いたしました。

 なお、ただいま決定いたしました法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高鳥委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

高鳥委員長 この際、鈴木憲和君外五名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、公明党、日本共産党、日本維新の会・無所属の会及び国民民主党・無所属クラブの六派共同提案による建築物等における木材の利用の促進に関する件について決議すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。亀井亜紀子君。

亀井委員 ただいま議題となりました決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明に代えさせていただきたいと存じます。

    建築物等における木材の利用の促進に関する件(案)

  木材の利用を促進することが森林の有する多面的機能の発揮及び山村その他の地域の経済の活性化に貢献すること等に鑑み、建築物における木材の利用の促進及び建築用木材の適切かつ安定的な供給の確保に関する措置を講ずること等により、林業及び木材産業の持続的かつ健全な発展を図り、もって森林の適正な整備及び木材の自給率の向上に寄与するとともに、脱炭素社会の実現に資することは極めて重要である。

  よって、政府は、「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律の一部を改正する法律」の施行に当たり、左記事項の実現に万全を期すべきである。

      記

 一 木材の利用の促進による森林資源の循環利用の確立に向けて、確実な再造林をはじめ、森林の適正な整備が図られるよう、森林整備事業に係る予算の確保及び支援措置を拡充すること。また、木材の利用の促進・確保を通じた山元への一層の利益還元を推進するとともに、内外における木材の需給状況を踏まえ、建築用木材の安定的な供給体制の構築に努めること。

 二 木材の適切な供給及び林業の持続的かつ健全な発展を図るためには、人材の育成・確保が喫緊の課題となっていることに鑑み、林業就業者の所得の向上、労働安全対策をはじめとする就業条件改善に向けた対策の更なる強化を図ること。

 三 持続可能な社会の実現に向けて、木材の利用の拡大による炭素貯蔵、二酸化炭素の排出削減効果の最大化により二千五十年カーボンニュートラルの実現を目指すとともに、循環型社会の形成、自然との共生等を統合的に推進するため、本法の措置に加え、建築物等における木材の利用の促進のみならず、公共土木分野での木材の利用の促進、熱利用など高効率な木質バイオマスエネルギーの活用を推進すること。

  右決議する。

以上です。

 何とぞ委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。

高鳥委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

高鳥委員長 起立総員。よって、本件は本委員会の決議とするに決しました。

 この際、ただいまの決議につきまして、農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産大臣野上浩太郎君。

野上国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その御趣旨を十分に尊重させていただき、関係省庁と連携を図りつつ、今後、最善の努力をしてまいる所存でございます。

高鳥委員長 お諮りいたします。

 ただいまの決議の議長に対する報告及び関係当局への参考送付の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高鳥委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時四十四分散会


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