第2号 令和4年3月2日(水曜日)
令和四年三月二日(水曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 平口 洋君
理事 江藤 拓君 理事 高鳥 修一君
理事 宮下 一郎君 理事 簗 和生君
理事 金子 恵美君 理事 緑川 貴士君
理事 空本 誠喜君 理事 稲津 久君
東 国幹君 五十嵐 清君
上田 英俊君 尾崎 正直君
加藤 竜祥君 神田 潤一君
北村 誠吾君 坂本 哲志君
高見 康裕君 武井 俊輔君
中川 郁子君 西野 太亮君
野中 厚君 長谷川淳二君
平沼正二郎君 古川 康君
保岡 宏武君 山口 晋君
若林 健太君 梅谷 守君
神谷 裕君 後藤 祐一君
渡辺 創君 池畑浩太朗君
住吉 寛紀君 金城 泰邦君
庄子 賢一君 長友 慎治君
田村 貴昭君 吉良 州司君
北神 圭朗君
…………………………………
農林水産大臣 金子原二郎君
農林水産副大臣 武部 新君
農林水産大臣政務官 宮崎 雅夫君
政府参考人
(消費者庁政策立案総括審議官) 村井 正親君
政府参考人
(農林水産省大臣官房総括審議官) 安東 隆君
政府参考人
(農林水産省大臣官房総括審議官) 水野 政義君
政府参考人
(農林水産省大臣官房統計部長) 菅家 秀人君
政府参考人
(農林水産省消費・安全局長) 小川 良介君
政府参考人
(農林水産省輸出・国際局長) 渡邉 洋一君
政府参考人
(農林水産省農産局長) 平形 雄策君
政府参考人
(農林水産省畜産局長) 森 健君
政府参考人
(農林水産省経営局長) 光吉 一君
政府参考人
(農林水産省農村振興局長) 牧元 幸司君
政府参考人
(農林水産技術会議事務局長) 青山 豊久君
政府参考人
(林野庁長官) 天羽 隆君
政府参考人
(水産庁長官) 神谷 崇君
農林水産委員会専門員 梶原 武君
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委員の異動
三月二日
辞任 補欠選任
古川 康君 西野 太亮君
北神 圭朗君 吉良 州司君
同日
辞任 補欠選任
西野 太亮君 古川 康君
吉良 州司君 北神 圭朗君
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
土地改良法の一部を改正する法律案(内閣提出第一九号)
農林水産関係の基本施策に関する件
――――◇―――――
○平口委員長 これより会議を開きます。
農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房総括審議官安東隆君、大臣官房総括審議官水野政義君、大臣官房統計部長菅家秀人君、消費・安全局長小川良介君、輸出・国際局長渡邉洋一君、農産局長平形雄策君、畜産局長森健君、経営局長光吉一君、農村振興局長牧元幸司君、農林水産技術会議事務局長青山豊久君、林野庁長官天羽隆君、水産庁長官神谷崇君及び消費者庁政策立案総括審議官村井正親君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○平口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○平口委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。空本誠喜君。
○空本委員 おはようございます。日本維新の会の空本誠喜でございます。よろしくお願いいたします。
まず冒頭、ウクライナ情勢に関して、ウクライナの一日も早い平和を願いますとともに、ロシア軍の一刻も早い撤退を要求いたしまして、質問に入らせていただきます。
お手元に一枚資料を配付させていただいております。これに基づきまして、順次質問をさせていただきます。
食料安全保障、食料自給率、そして米価の下落の問題等についてまずお聞きしたいと思います。
現在の国際情勢を見ますと、ウクライナ戦争による小麦等の高騰、また、十四億人を超える中国のあの巨大な胃袋、また中国の食料覇権主義等を考えたときに、食料安全保障の強化というのは大変重要かと思います。しかし、我が国の食料自給率、これはカロリーベースでありますが三七%。少しといいますか、相当低い。
政府は、食料自給率、二〇三〇年四五%を掲げていらっしゃいますけれども、今の現状で本当にそれが可能なのかどうか。現在の国際的な有事が更に拡大して、我が国の国民の胃袋を本当に賄うことができるのかどうか。食料安全保障を確立できるか、本当に心配なところだと思います。
一方で、米の価格です。大きく下がっております。特に西日本、私の広島県におきましても、三十キロで概算金で五千円を下回る。大変厳しい。農家の方々からすごく悲鳴を聞いています。これ以上下がるならというか、今の価格のままだったらもう米作りは維持できぬ、もうやめてしまおうか、そういった農家もたくさんおられます。競争原理といえばいいんですけれども、一旦耕作放棄地にしてしまえば、なかなか元に戻すことはできません。
令和三年米の九月の下落、これは相対価格で前々年の六十キロ一万五千七百十六円から二千四百六十一円大きく下落して、危機的な状況になっている。さらには、このままでは田んぼが荒れまして、耕作放棄地が急増する。さらに、水田が荒廃して、鳥獣被害の激増が、また限界集落の急加速が進んでしまう。本当に今憂慮しなければならないと考えています。
そこで、金子大臣にお聞きしたいと思います。
現在の国際情勢、そして、この米の価格の衝撃的な下落、これを踏まえまして、食料安全保障の在り方、食料自給率、そして米価の下落に対する対策、農水省としてどのようにお考えか、御見解をお願いします。
○金子(原)国務大臣 空本議員の御質問にお答えいたしますが、食料自給率の問題につきましては、食料自給率の目標につきましては、国内外の需要に応じた生産を推進するとの方針の下、品目ごとに消費の見通しと生産努力目標を設定しまして、それらを積み上げた結果としてカロリーベースで四五%と設定したものであります。
また、米政策につきましては、主食用米の需要が毎年減少することが見込まれる中で、今後も国内の消費拡大や輸出拡大の取組を進めつつ、自らの経営判断によって需要に応じた生産、販売を着実に推進していくことが基本であります。
このように、需要に応じた生産を進めることによりまして、食料自給率の向上と農家の所得向上を実現してまいりたいと考えております。
○空本委員 ありがとうございます。
四五%の目標を細かく立てられているというのは理解できます。しかしながら、今の国際情勢を見ますと、やはり、五〇%、六〇%、もっと上げていかなければならない。できることならば、二〇三〇年に五〇とか、二〇四〇年に六五、二〇五〇年に八〇とか、大きく目標を掲げていただきたい。
それと併せて、米の消費、これも消費目標というものを設定していただきたい。有機米の生産目標と併せて学校給食をどんと進めるとか。これまで私も、平成二十三年の予算委員会の第六分科会で質問をさせていただきました。その際に、食料自給率と併せて米の消費目標というのを掲げたらどうかと。一人当たり一年間に六十キロ、今いっていません。やはり米を食べてもらわないと田んぼが駄目になります。
そういった意味で、米を消費するその目標設定、こういったものも農水省の皆様に考えていただき、そして、これは農水省だけではないかと思いますが、しっかりと政府の方として考えていただきたいと思います。
私たち日本維新の会は、農家を助けるという観点から、今の二〇一八年に終わった減反政策、生産調整、これから大きく、ヨーロッパ型の戸別所得補償、直接支払い制度、これへの見直しをお願いしたいというふうに強く訴えてまいります。農家の方々が本当に農業を、特に中山間地域の方々が維持できるようにお願いしたいと思います。
そしてもう一点、大きな懸念としては、トンガで一月に火山噴火がございました。海底火山が噴火し、予測もしないような津波がやってきました。
一九九三年、覚えていらっしゃると思いますが、平成の米騒動といいますか、そのときに作況指数が七四まで下がってタイ米を緊急輸入した。これからエルニーニョとかラニーニャとか、何があるか分かりません。この火山の影響というものを大変危惧するところであります。
そういった意味で、米をどうやって維持するか、農水省の皆様にはしっかりと、大臣を含めて、先頭として考えていただきたいと思っております。
続きまして、輸出戦略についてお聞きしたいと思います。
今政府は輸出拡大実行戦略とうたっておりまして、これにはやはり福島の原発事故の後遺症といいますか、出荷管理を厳密に行い、日本の農産物はより安全なんだということを強く打ち出していただきたい。
現在の福島県の農産物、私は、放射能に関して、放射線に関して、世界で一番安全な農産物だというふうに確信しています。
なぜかといいますと、私は原子力の専門家でありまして、放射線、放射能の専門家でございます。ちょうど原発事故当時、私は、官邸に入らせていただき、官房副長官、補佐官の下で、線量の在り方とか、農産物、食品の在り方とか、どうやって摂取管理するか、そういったことを提言させていただきました。
金子大臣、今の風評被害対策を踏まえた上で、福島県産若しくは福島の近郊の農産物、水産物、こういったものがどのような管理がされているか、御見解、お願いいたします。
○金子(原)国務大臣 お答えいたします。
政府といたしましては、食品衛生法に基づきまして、厚生労働省が食品中の放射性物質の基準値を設定するとともに、原子力災害対策本部が放射性物質検査のためのガイドラインを作成しています。このガイドラインに基づく検査の結果、基準値を超過した場合には、原子力災害対策本部が品目ごとに出荷制限を指示しているところであります。
農林水産省といたしましても、関係省庁と連携をしつつ、引き続き風評被害の防止に努めてまいりたいと思います。
○空本委員 ありがとうございます。しっかりと厳格な管理をお願いしたいと思います。
こちらの配付資料にも書いておりますが、安心、安全の醸成につながる有効的かつ合理的なモニタリングの継続というのが大事であります。現実で簡便なスクリーニングの測定。米については全数検査を行って、全袋検査を行っている。そして、水産物とかはサンプリングを行いながら詳細な検査を行う。
実は、原発事故が起こった五日後、三月十六日に、ちょうど、農水省さんと厚生労働省さん、大臣の方に強くお願いしたことが出荷管理であります。放射性物質を浴びた農産物がこれからたくさん出るであろう、そういった意味で、その出荷管理、全部やらなきゃいけないのか、それともサンプリングで済むのか、そういったものを細かく考えるというのはなかなか難しいんですが、私自身、放射線、放射能の専門家として提言をさせていただきまして、実は今日、本を提示させていただくと、「二〇ミリシーベルト」という放射線、放射能の管理に関する本、また、今一番福島で問題となっております汚染水、ALPS処理水、こういったものに関してどうあるべきか。
この中で、やはり、できれば福島産は全袋検査をして、ただし、それはラフな検査で結構です、ただし、サンプリングを時々行って厳密な検査を行う、こういう管理体制をしっかり取っている、これを是非とも海外にアピールしていただいて、福島産の農産物、水産物というのは一番安全なんだ、これが輸出の拡大につながるものだと私は思っておりますし、アジアに対して強く訴えていただきたい。
これはちょっと質問にしていませんが、大臣から一言御意見いただけたらありがたいです。
○金子(原)国務大臣 大変貴重な御意見をいただきまして、やはり、風評被害を払拭するためには、議員御指摘のような検査体制を整えることが必要だと思っていますので、これから参考にさせていただきたいと思っております。
○空本委員 是非とも、農水省、そして大臣、よろしくお願いいたします。
続いて、みどりの食料システム戦略、デジタル田園都市国家構想についてお聞きしたいと思います。
まず、国土保全の観点からも、また豪雨災害に対する多面的機能の観点からも、水源とか農地とか森林、これは絶対に守っていかなければならない。また、水資源の観点からも、水源、これを外国資本に取られちゃいけない。所有に対する外国の資本の制限、こういったものも厳しく管理する必要があるのかと考えております。
さらに、全国規模で今発生して、また、都市部に出没しているイノシシとか鹿とか、鳥獣の対策、これも今深刻な問題でありまして、これまでの狩猟とか電気柵とか箱わなとか、こういった、まず捕らえるというか捕まえるだけの対策ではなかなか今、鳥獣被害は収められない。農水省の皆さんと議論もさせていただきましたが、なかなか手だてがない。しかしながら、これはしっかりやっていかないといけない問題であります。
金子大臣、そして農水省として、この国土保全、国土安全保障について、また鳥獣対策と併せて、水源、農地、中山間地域、どのようにこれから対策を講じていかれようとしているか、御見解をお願いいたします。
○金子(原)国務大臣 お答えいたします。
中山間地域における農地は、我が国全体の約四割を占めておりまして、国土保全等の多面的機能の発揮の観点からも重要な役割を担っております。
このため、農林水産省といたしましては、中山間地域等直接支払交付金等による地域の共同活動への支援、それから、最適土地利用対策等による荒廃農地の解消等によりまして、荒廃農地の発生防止と解消を進めています。
我が国において、農地を取得する際、外国人や外国法人の別はありませんが、農地法におきまして、取得する農地の全てを効率的に利用して耕作を行うこと、役員の過半数が農業に常時従事する構成員であること等の要件を満たす必要があります。このため、地域とのつながりを持って農業を継続的に営めない者は農地を取得することはできません。外国人や外国法人が農地を取得することは基本的に困難であると考えております。
また、林地については、森林法におきまして、新たに林地を取得した者への届出の義務づけ、保安林制度や林地開発許可制度による開発等の規制などによりまして、外国法人等が林地を取得した場合でも森林の有する多面的機能が確保されるよう措置しております。
野生鳥獣による農作物被害額は近年減少傾向でありますが、依然として農山漁村に深刻な影響を及ぼしています。改正鳥獣被害防止特別措置法に基づきまして、市町村区域をまたぐ広域的な捕獲、人材育成等、更なる鳥獣被害対策の充実強化を図ってまいります。
地域の貴重な資源である農林地は国民共通の財産であることから、今後とも農林地の確保に努めてまいりたいと思います。
○空本委員 ありがとうございます。
そういう施策を取っていても、山は荒れています。田んぼは荒れ、耕作放棄地は増えています。また、鳥獣、イノシシはどんどん増えています。これでは止められないというのが現状かと思います。
鳥獣被害に対しては、大変ちょっとこれは言いづらいんですが、個体数を減らすしかないし、環境団体の皆さんからちょっとお叱りを受けるかもしれないけれども、ウリ坊の段階で個体を捕っていくしかないかなと。そういうことも考えていただくようにちょっとお願いしたいと思います。
森は海の恋人という言葉もございます。山が荒れて田んぼが荒れていけば、海も廃れます。今、アサリの問題で、後ほどうちの同僚議員が質問いたしますが、海が逆にきれいになり過ぎていて、アサリ、ノリ、カキとか、こういったものが捕れなくなっている。これが産地偽装問題につながったものだというふうに考えています。山をしっかりと守りながらも海も育てる、こういった施策を農水省さんにはしっかりと取っていただきたいと思っております。
続いて、農地バンクについてお聞きしたいと思います。
立地条件の悪い農地、借り手がなかなかつかない農地、これは耕作放棄地になるばかりなんですけれども、農地バンクの皆さんは、条件のいいところ、借り手があるところはお貸しするというかコーディネートするけれども、条件が悪いところをやはり対処できないといいますか、本来ならばそういう条件の余り優れない土地を有効活用するとか、そういったことを実際はお願いしたい。
もう一点。
今、自治体が土地改良するときに転作奨励します。しかしながら、田んぼから田んぼへの奨励というのはなかなかできなくて、アスパラガスを植えてくれとか、ネギ、タマネギを植えてくれとか、実効が上がるようなものをやってくれと。しかしながら、そういう条件のところはなかなか、田んぼの方が向いていまして、厳しいという農家もたくさんいらっしゃいます。
そういった意味で、農地バンクの今の在り方と土地改良の今の進め方、自治体が特に進めようとする転作奨励、これについて農水省の御見解をお願いします。
○光吉政府参考人 お答えいたします。
農地バンクについてでございますけれども、平成二十六年度に創設をされ、令和二年度までの間に担い手への農地集積面積は約三十二・七万ヘクタール増加したところでございます。このうち、農地バンクによる集積面積は約十三・四万ヘクタールと四割超を占めております。中山間地域が多い島根県、鳥取県においても農地バンクによる集積が熱心に行われております。
今後、農業者の減少などによりまして、地域の農地が適切に利用されなくなることが懸念されておりますけれども、農地バンクが受け手のいない農地を借りるだけでは、当然でございますけれども、農業の発展が望めるものではなく、その後、受け手に適切に貸付けが行われていくようにしていくことが重要と考えております。
このため、高齢化等が加速していく中で、地域の話合いによりまして目指すべき将来の農地利用の姿を明確化し、それを実現すべく、地域の内外から受け手を幅広く確保しながら、農地が使われやすくなるように、農地バンクを活用した農地の集約化等を進めていくことが重要と考えております。
○牧元政府参考人 御質問ございました土地改良事業の関係についてお答えを申し上げます。
農業の競争力強化を図るために、農地の大区画化あるいは排水改良を行います圃場整備事業を推進をしているところでございます。
圃場整備事業の実施に当たりましては、地域の皆様方が、この整備後の営農あるいは農地集積など、地域農業の将来の姿について合意形成を図った上で計画を作成しているところでございます。こうした話合いの結果、圃場整備事業の営農計画につきましては、全国一律といったものではなくて、水稲主体でありましたり、野菜主体でございましたり、地域の実情に応じた様々な内容となっているところでございます。
農林水産省といたしましては、引き続き、地域の課題に丁寧に対応しながら、それぞれの地域の意向に基づく営農計画の実現に向けて、事業実施に係る支援に努めてまいりたいと考えております。
○空本委員 ありがとうございます。しっかりとお願いいたします。
農業特区について、最後にお聞きしたいと思います。
養父市に二月に私も行きまして、実は、市役所、市長と会う前に、偵察的に養父市内、中山間をずっと見てまいりました。私自身、中山間をずっと歩いておりますので、どういう土地か大体分かります。見たときに、いろいろ養父市特有の問題もあるなというふうには感じております。
しかしながら、養父市の市長さんと話したんですが、これから、やはり後継者がいない、今、販売農家も養父市の全体の一割だけ、みんな田んぼをやめちゃったらもう田んぼが耕作放棄地になっちゃう、すごく困る、町が崩壊する、そういったような危機感で、養父市は農業特区を申請され、民間土地利用、所有をされている。
私自身、思うところ、実は、私も民間企業が持つことはまずいんじゃないかなとずっと思っていましたが、養父市に入って、養父市独特の問題があるなというふうに感じました。
そこで、御提案でございます。
ここに書いております、資料に書いておりますが、外国資本、外国人による土地の取得の制限とか、農地転用の逆に厳格化、ゾーニング、さらには、万が一耕作放棄となった場合に国若しくは自治体が農地を買い戻す制度、こういったものを、しっかり安全装置を仕組んだ上で、組み込んだ上で、民間が農業に参入する、こういったやり方もあるのではないかなと思っております。
農水省として、もっともっと議論はしたいんですが、どのようにお考えか、お願いいたします。
○金子(原)国務大臣 お答えいたします。
株式会社等の企業は、高齢化や担い手不足が進行する地域におきまして農業生産を担う存在として期待できるものであり、その農業参入を進めることも大変重要であると考えております。
企業の農業参入につきましては、平成二十一年の農地法改正によりまして、農業リース方式での参入を完全に自由化したところであります。現に、法改正前の約五倍のペースで参入が進んでおりまして、これを更に推進してまいります。
一方、企業の農地取得につきましては、農業からの撤退、農地の転売等に対する生産現場の懸念が存在することも事実でありまして、慎重に検討していくことが必要であると考えております。
養父市で活用されている法人農地取得事業については、昨年六月の成長戦略フォローアップで、当該事業のニーズと問題点の調査を特区以外においても二〇二一年度中に実施することとしており、本特例の取扱いについては、この調査の結果に基づいて検討してまいりたいと思います。
○空本委員 ありがとうございます。しっかりとこれからも議論させていただきたいと思います。
ありがとうございました。
○平口委員長 次に、住吉寛紀君。
○住吉委員 兵庫県姫路市よりやってまいりました日本維新の会の住吉寛紀でございます。
まず冒頭、ロシアによるウクライナへの侵略に強く抗議いたします。
昨日は、衆議院にて、ロシアによるウクライナ侵略を非難する決議案、これが決議されました。ロシアによるウクライナ侵略は、決して容認できるものではありません。私と同世代又は若い世代が、次の瞬間には命があるものか分からない状態で、銃を持って祖国を守るために立ち上がっている姿を見ると、心が痛みます。侵略により犠牲となられた方々に謹んで哀悼の意を表します。
ウクライナ危機は対岸の火事ではございません。また、国際社会が一致団結して制裁をしていかなければなりません。当然、相手あってのことですので、制裁をすることによって、我が国も様々なことに対して影響が出てくると考えられます。
そこで、ロシアの経済制裁による我が国の農林水産業の影響についてお伺いいたします。
ロシアからの日本への輸入を見ますと、液化天然ガスや石炭、石油など燃料関連が多く占める一方で、約一割を水産物が占めております。さらには、間接的には様々な商品先物相場にも影響を及ぼしております。ロシアの経済制裁による我が国の農林水産業の影響について、どのような事態が想定されるのか、またそれに対する対策についても含めて、大臣の見解をお伺いいたします。
○金子(原)国務大臣 お答えいたします。
我が国は、G7を始めとする国際社会と連携を取りまして、三月一日までに、ロシアの複数の銀行との取引制限やロシア向けの輸出の規制強化、また、ベラルーシ大統領の資産凍結等の制裁措置を実施したところであります。
現在、原油価格が高騰しており、特に影響の大きい施設園芸農家に対しましては、燃油価格の上昇に応じまして補填金を交付する制度や、省エネ機器の導入について支援をしております。
また、水産物につきましては、我が国の水産物輸入額のうち、ロシアの割合は約九%、金額で約一千四百万円であり、主に、カニ、サケ・マス等を輸入しています。
肥料につきましては、原料の一つである塩化カリウムの一部をロシア、ベラルーシから輸入しておりますが、今年の春用の肥料は既に一定の原料が確保されております。
小麦につきましては、ロシア、ベラルーシからの食料用の輸入はありません。
今回の経済制裁による影響につきましては、今後の動向を不安視する関係企業もあることから、農林水産省といたしましては、引き続き、情報の分析、収集と関係者の情報共有に努めてまいりたいと思います。
大変ちょっと失礼、答弁を間違えまして、金額で約一千四百億円でございまして、失礼しました。
○住吉委員 ありがとうございます。
この質問の趣旨は、制裁をするから我々にとってもデメリットがあるということなんですが、だからといって、制裁を緩めることではないと。実際に国民に対して、こういったデメリットもあるけれどもしっかりと制裁をしていくというメッセージを是非とも発していただきたいという趣旨で質問させていただきました。
また引き続き影響が出てくると思いますので、先手先手の対応をよろしくお願いしたいと思います。
次の質問に移りたいと思います。次の質問は、産地偽装問題の再発防止策についてお伺いいたします。
輸入品のアサリが熊本県産として販売されたことは、消費者に大きなショックを与えました。国内産の需要の多さに目をつけ、安い中国産を国産と偽って高く売り、利ざやを稼ごうとした行為は、国産が何となくいいという消費者心理につけ込んだもので、これまでも知らないうちに非常に多くの消費者が中国産のアサリを国内産と信じて食べていたということで、非常に悪質でございます。
また、これから二〇三〇年に向けて輸出五兆円を国を挙げて目指していく中で、日本のブランド価値を失う事態になりかねないと認識をしております。
今回はアサリがクローズアップされましたが、アサリ以外にも、ひょっとしたら同様のことが行われているのではないかと疑念を抱きます。アサリ以外も含めて、今後の再発防止対策、また、その効果について実効性があるのか、農林水産省にお伺いいたします。
○宮崎大臣政務官 お答えをいたします。
農林水産省では、現在、二月一日に公表いたしましたアサリの産地表示の実態に関する調査を通じて把握した疑義につきまして、仕入れ先や販売先等の流通ルートを遡って立入検査等を行っておるところでございます。
その中で、法に違反する事実を確認した場合につきましては、表示の是正の指示、公表を行いまして、消費者庁や警察に情報共有を行います。
また、調査結果の公表と併せまして、食品関連事業者の方々に、改めて産地伝達の確認や法令の遵守を徹底をしていただくよう、関係団体を通じてお願いをしております。
農林水産省といたしましては、引き続き、表示の適正化に向けまして、消費者庁や熊本県等の関係機関とも連携をいたしまして、厳正に対応をしてまいります。
○住吉委員 是非とも進めていただきたいと思います。
消費者庁の方にも質問させていただきます。
食品表示法は、輸入品は原産国名を表示すると定めておりまして、ただ、アサリなどの水産物で二か所以上で育てた場合は、育った期間が長い場所を原産地として表示することを認め、いわゆる長いところルールとも呼ばれております。どこで長く育てられたかは外見では判断できないため、食品表示法は、卸業者や小売店など流通に関わる業者に対し、どこで育てられた期間が最も長いかを取引先に書類で確認するように求められているものですが、そもそも、一般の消費者にとって、このようなルールを知らない人が多いのではないでしょうか。どこどこ産と記載があれば、疑いもなく、そこの産地であると思って購入します。
消費者が納得して信頼して購入していくためには、トレーサビリティーをしっかり行い、それも開示することが必要ではないかと考えますが、消費者庁の見解をお伺いいたします。
○村井政府参考人 お答えいたします。
生鮮食品など、原産地の表示の関係でございますけれども、食品表示法及び同法に基づきます食品表示基準におきまして義務表示の対象となっております。
原則として、農畜水産物が生産された場所を表示するというルールになっております。ただし、畜産物や水産物につきましては、その育成過程の中で複数の産地で育成されることがございます。その場合には、最も育成期間の長い場所を原産地として表示することとされております。
これは、例えば農産物の場合ですと、特定の土地、いわゆる農地に種なりを播種する、あるいは苗を植え付ける、そういったことで、特定の農地で一貫して生産されて収穫をされるということが通例であるのに対しまして、畜産物では、子牛が生まれた場所と飼養された場所が異なる場合があること、水産物におきましても二か所以上の養殖場で養殖される場合があることなど、生きたまま産地を移動し、複数の産地で飼養又は育成されることがあるということを考慮して、このようなルールになっているということでございます。
食品表示法を所管している消費者庁といたしましても、今回のアサリの産地表示の疑義案件に関しまして、今後、どうしたら表示の偽装を防ぐことができるのかという観点から、農林水産省とも連携をいたしまして、国内のアサリの生産あるいは流通の実態を把握するなど取り組んだ上で、ルールの適用の在り方につきましては必要な見直しを行っていきたいというふうに考えております。
いずれにしても、消費者の自主的かつ合理的な選択の機会の確保に資する食品表示制度とすることが肝要でございますので、そういった観点から、制度の適切な運用に努めてまいりたいと考えております。
○住吉委員 ありがとうございます。
ルールとしてはそういうことだと思います。しかし、一般の消費者とこのルールの間に、かなり誤解が生じやすいルールになっているのじゃないかなということで、今回質問させていただきました。
今後検討していくということなので、消費者に誤解を与えない、これを買ってだまされたと思わないような、そういうような制度をしっかりと構築していただきたいと考えております。要望して、次の質問に移らせていただきます。
次の質問は、日本の水産資源管理についてお伺いいたします。
日本は、四方を海に囲まれ、好漁場にも恵まれ、世界に冠たる水産大国でしたが、世界の水揚げ量が増加する一方で、日本の魚の資源量が減少し、不漁が相次いでおります。
水産国家として再興するには、漁業を持続可能に転換させるほかありません。そのためには水産資源管理が必要不可欠になってくるわけですが、漁業実績を積み上げて正確に把握する必要があり、怠れば管理策の意味がなくなってしまいます。
一方で、青森県大間産のクロマグロをめぐり、不正な漁獲管理が判明しました。大間の漁師の中で、マグロを釣っても水揚げの事実を地元の漁協に報告せず、これは国際的な信頼をも揺るがしかねない事態でもございます。
日本の資源管理は諸外国に比べて甘いという声もございます。今後、水産資源管理を国際標準並みに引き上げ、持続可能な漁業に転換させていくためにどのように進めていくのか、大臣の御所見をお伺いいたします。
○金子(原)国務大臣 お答えいたします。
水産資源の適切な資源管理と水産業の成長産業化の両立を目指しまして、平成三十年に約七十年ぶりに漁業法を改正しました。この新しい漁業法におきましては、資源管理は、持続的に生産可能な最大の漁獲量の達成を目標といたしまして、数量管理を基本とすることといたしております。
この実現のため、令和二年九月には資源管理ロードマップを公表いたしまして、令和十二年には漁獲量を平成二十二年と同程度、約四百四十四万トンでございますけれども、まで回復させることを目標といたしております。新たな資源管理システムの構築のための道筋を示したところであります。
また、新漁業法におきまして、数量管理につきましては、漁業者に漁獲量等の報告を行うことを義務づけております。
新たな資源管理の推進に当たりましては、漁業者を始めとする関係者の理解と協力を得ながら、ロードマップに盛り込まれた行程を着実に実行してまいりたいと思います。
○住吉委員 ありがとうございます。非常に具体的な数字も目標として定めて、取り組んでいただきたいと思います。
ただ、法の抜け道といいますか、悪意があれば、それをカバーしていくというのは実際難しいと思います。より実効性をもたらしていくには、きれいごとかもしれませんが、漁業者の方に、なぜ資源管理をしていかなければならないのか、それはもう本当に納得して一緒にやっていかなければ、結局、いずれ破綻していく、上から目線で、こういうことをやってくださいよということでは、嫌々やっているのであればいずれ破綻してしまうと思いますので、漁業者と一緒に取り組んでいただけたらと思います。よろしくお願いいたします。
ちょっと時間も少ないので、次の質問に移らせていただきます。次は林業の話にさせていただきます。
日本の国土は、約七割を森林が占めております。このことを考えても、農林水産分野で林業も非常に重要な分野だと考えております。近年多発する豪雨災害で、毎年のように土砂災害のニュースを目にします。森林を適切に管理することは、国民の生命財産を守ることにもつながります。国がしっかりと責任を持って持続可能な森林管理を進めていかなければなりません。
ドイツでは、木材産業分野において、川上から川下まで経済活動を安定して継続することの要としてフォレスターという林業のプロフェッショナルが育成されており、森の番人として、ドイツ全体の林業を的確なデータや情報を基に管理されております。また、このフォレスターというのは子供たちの憧れの職業の一つだという話も聞いております。
そのような人材を日本でも育成することが必要だと考えておりますが、農林水産省の見解をお伺いいたします。
○天羽政府参考人 お答え申し上げます。
戦後造成された人工林が成熟して、本格的な利用期を迎えております。このような中、森林資源を循環利用して森林の多面的機能の維持向上を図るためには、森林の管理や整備を担う人材の育成、確保が極めて重要な課題だというふうに認識をしております。
このため、国におきましても人材の育成に取り組んでいるところでございまして、例えばということで申し上げますが、いわゆる日本型フォレスター、議員御指摘の、地域の森林づくりや地域の林業、木材産業の活性化などにつきまして市町村等を支援する業務を担う、森林総合監理士というのが正式な名称でございます。さらには、森林組合などにおいて施業の集約化や森林経営計画の作成を担う森林施業プランナー、また、伐採や造林などの作業を実際に担う現場の技能者、この中には、現場管理責任者、統括現場管理責任者など、キャリアアップができる仕組みになっておりますけれども、このような方々に対する研修の実施などを通じまして、その育成に努めているところでございます。
○住吉委員 ありがとうございます。
人材育成、いろいろされておると思います。日本型フォレスターという言葉もございましたが、ドイツのフォレスター、いわゆるフォレスターと比べると、かなり、まだまだ差があるのかなと思っております。理想は恐らくここだと思うんですけれども、まだまだこの辺りでやっておりますので、今後、しっかりとそういった人材育成、特にドイツのフォレスターに匹敵するような形を取っていただきたいと思います。
最後の質問、林業の課題、様々ございますが、国産木材の利用促進について最後にお伺いいたします。
コロナ禍において、ウッドショックという言葉も耳にしました。輸入木材の価格が高騰し、さらには日本に輸入材が入ってこない状況で、多くの方が日本に……。
最後、国産木材の利用促進について御見解をお願いいたします。
○天羽政府参考人 お答えを申し上げます。
国産木材の利用の促進、これは、先ほど申し上げた、豊富な森林資源を切って、使って、また植えるという形で循環利用していくためにも重要だと考えておりまして、これまでも、平成二十二年に制定されておりました公共建築物等木材利用促進法に基づきまして、公共建築物の木造化等を進めてきたところでございます。
同法の施行から十年間が経過する中、昨年の六月に議員立法で同法を改正していただいております。法律名が脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律に改正されますとともに、民間建築物を含む建築物一般で木材利用を促進するための様々な施策を講じることとされております。
林野庁では、この法律に基づきまして、公共建築物の木造化、木質化への支援を行いますとともに、令和三年度の補正予算や令和四年度の当初予算により、これまで木材が余り使われてこなかった非住宅の建築物や高層の建築物等における木材利用を促進するため、例えばCLTの利用促進、木質耐火部材等の製品、技術の開発、JAS構造材の普及などなどの支援に取り組むこととしてございます。
○住吉委員 終わります。
○平口委員長 次に、簗和生君。
○簗委員 自由民主党の簗和生でございます。
本日は、質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
まず、質問に入ります前に、昨日、ロシアによるウクライナ侵略を非難する決議が国会で採択をされたところでありますけれども、改めて、政府に対しまして、国際社会の秩序を守るため、毅然とした態度で厳格な対応を求めたいと思います。
それでは、質問に入ります。
まず、現下の農政の課題としましては、コロナ禍への対応が課題であるというふうに思っております。このコロナ禍の影響が長期化をし、農林水産業、食品産業を取り巻く環境は依然厳しい状況にあります。この影響は今後も予断を許さない状況にありまして、引き続き、影響を注視、精査し、必要な対策をきめ細かく、かつ、迅速に講じていく必要があります。
対応としては、大きく二つあると思います。
一つが、このコロナ禍による経済社会活動の制限に伴う農産物の需要減や需給バランスが崩れることによる影響への対応であります。特に米は需給の均衡が課題となっていましたけれども、コロナ禍により外食需要が大きく低迷をし、影響を受けました。また、年度末の生乳需給の動向等にも、これは昨年大変注意が必要で対応しましたけれども、引き続きまた大変になってくると思います。
もう一つが、世界的な需要増、海上運賃の上昇、円安などの影響による、輸入に大きく依存している肥料、飼料、燃油などの生産資材の価格高騰や調達難に係る対応であります。
また、食料安全保障の取組にも、これまで以上に力を入れなければいけないと思います。食料安全保障の強化の必要性は従来から国民的な関心事でございましたけれども、コロナ禍を機に、この問題意識は改めて高まっております。
食料のみでなく、生産資材を海外に依存するリスクが顕在化をしたということでありますし、今後の状況は引き続き予断を許さない状況にあり、また、ウクライナの情勢などによって、更なる悪化や長期化の可能性も指摘をされております。
生産資材の安定確保に係る対応とともに、我が国農政の根幹をなしている食料・農業・農村基本法の検証も含め、より中長期的な視点から法制度の在り方を総合的に検討していくことも必要になってきているというふうに思います。
そして、従来からの取組でもありますけれども、規模の大小や条件にかかわらず、幅広く生産基盤を強化することも重要であります。引き続き、小規模家族経営や中山間地域等の条件不利地域も含めた生産基盤の維持強化に向けて、政策を総動員して取り組んでいく必要があると思います。
総じて、農政におきましては、生産者の経営継続を確かなものとするため、コロナ禍の影響に引き続き適切な対策を講じるとともに、食料安全保障の観点から、国の基である一次産業を守り、成長産業化を実現するべく、幅広い生産基盤の強化等を図るべく、生産者、生産現場に寄り添う現場主義の徹底をお願いしたいというふうに思います。
それでは、質問に入ります。
まず一点目ですけれども、先ほども指摘をしました、コロナ禍の影響が長期化をしております。非常に厳しい状況が続いておりますが、農水省として、今後の対策そして現状認識等について、まず伺いたいと思います。
○武部副大臣 お答えいたします。
まず、コロナの影響が長期化しておりまして、国民の皆様方に、行動制限や営業自粛など、大変御苦労をおかけしております。
この感染症の拡大によりまして、例えば高級魚、マグロ、ヒラメなど、事業者向けの食材の価格が下落しています。また、飲食店の売上減少、それから、今、簗先生からもお話ございましたとおり、米の需給の緩和、乳製品の在庫の増加など、その影響が多品目に及んでいると認識しております。
このように影響が長期化する中で、農林漁業者や食品産業等、事業者の皆様におかれましては、大変御苦労をおかけしているものと認識しております。
農林水産省としましては、令和三年度補正予算におきまして、国産農林水産物等の販路拡大等の支援や、米の長期計画的な保管等の支援、漁獲変動等に伴う減収を補填する漁業収入安定対策、GoToイート事業の期限延長など、必要な支援策を盛り込んだところです。
引き続き、農林水産業また食品産業等の影響について注視しつつ、令和四年度の予算も活用しながら切れ目なく支援策を提供することで、関係業界の皆様の事業継続をしっかりと支援してまいりたいと思います。
○簗委員 副大臣から御答弁をいただきました。引き続き、生産現場、状況をしっかりと注視して、そして、きめの細かい、また状況によっては迅速に対応を取るべく、農水省としての体制をしっかりと整えて対応していただきたいと思います。よろしくお願いしたいと思います。
それでは、二点目でございますけれども、米政策についてでございます。
先ほど来申しておりますけれども、米についても、コロナ禍で大きく外食需要が減少したということで、従前より需給の均衡が課題となっておりましたけれども、影響が生じたという状況があります。
令和二年産米につきましては、コロナ禍による需要減に相当する十五万トンの特別枠を設定して、長期にわたり国が保管料等を十分の十支援しつつ、中食、外食等への販売促進を支援するというふうにしております。
また、米穀周年供給・需要拡大支援事業で、令和三年産米における助成期間の前倒し支援を行うということもしておりまして、需給の安定や販売環境の改善等に向けて対策を講じていただいております。
これらをいかに実効性ある形で運用していくかということが重要になると思いますが、まず、この実施状況、そして政策の効果について伺いたいと思います。
○平形政府参考人 お答えいたします。
特別枠につきましては、公募の結果、事業の実施主体となりました全国農業協同組合連合会が、令和二年産米で米穀周年供給事業に取り組んでおります集荷団体等に対し、枠の活用の意向を把握しているところでございます。これまでに十七の集荷団体からの申請を受け付け、計画の承認等の手続を進めているところでございます。
今後、この手続が終わり次第、集荷団体と結びつきのある卸売業者が市場に影響を与えないように連携をして、長期の保管、その後の販売を進めることとなります。
さらに、令和三年産米につきましても、同米穀周年供給事業の支援対象期間を五か月間前倒しをするというこの拡充を行いまして、事業の申請を受け付けたところ、二十六万トンの申込みがございました。
これらの対策を契機に、例えば、産地と卸売業者との本年一月の三年産米の契約数量、これは前年比二割程度増加しております。
今後も、需給の安定に向けた市場環境が整備されることが期待されているところでございます。
○簗委員 では、続けて米についてですけれども、令和四年産に向けて主食用米の需給バランスを改善し米価を回復させていく上では、各産地において更なる作付転換を図ることが不可欠であります。そのための予算として、令和三年度補正予算そして令和四年度当初予算案で措置しております水田リノベーション事業でございますけれども、これを大幅に増額をして、また、メニューも拡充をしたというふうな状況でございます。主食用米からの作付転換を強力に支援する、そういう強力なツールにはなると思います。
また、需要のある作物や定着性のある作物への転換を推進していくということがここにおいて大変重要になるわけですけれども、これらの実現に向けて、これもやはり実効性のある対策というものが求められております。
制度の周知あるいは各産地への働きかけとか、そういった面を含めて、現在の対応状況を確認したいと思います。
○平形政府参考人 お答えいたします。
令和四年産の主食用米につきましては、需給見通しにおきまして、全国で二十一万トン、約三・九万ヘクタールの作付転換が必要と考えております。
このため、令和四年産におきましては、麦、大豆、それから野菜、子実用トウモロコシ等の定着性、収益性の高い作物への転換、これが進むように、一つは、令和三年度の補正予算におきまして、水田リノベーション事業を拡充し、対象に子実用トウモロコシを追加するとともに、麦、大豆の団地化、それから技術導入に対する支援の拡充、これを行うなど、メニューの拡充を行いまして、さらに、令和四年度の当初予算におきましては、水田活用の直接支払交付金に必要額を計上しているところでございます。
これまでに、全国会議ですとか産地ごとの意見交換会を通じまして、このような施策の周知、それから、計画的な作付転換を働きかけているところでございます。
本年一月末の時点におけます作付意向の調査の結果では、麦を増やす意向の県というのは、昨年同期比、昨年が十三県だったんですけれども、今年は二十四県に増えております。また、大豆を増やす意向の県は十五県から二十四県に増えております。それぞれ大幅に増加ということになっております。
引き続き、需要のある作物の生産に取り組む生産者や産地が前向きに農業を続けていけるよう支援していく考えでございます。
○簗委員 予算とか支援メニュー、こういったものをしっかり議論をして拡充、増額をしてきたわけですから、先ほど答弁いただきましたけれども、生産現場としっかりと連携をして、実効のあるそうした政策の実施につなげていただくことを改めて強く求めたいと思います。
それでは次に、生乳需給対策でございます。
こちらも、先ほど申しましたけれども、コロナの影響によって乳製品の在庫の積み増しということが、特に年末に課題となりました。全国の生産者団体と乳業が協調して脱脂粉乳の在庫低減の取組を行っていただいて、そこに国も一定の支援をするという形で対策を取りました。また、牛乳・乳製品の販路拡大、消費拡大に係る取組も強化をしていただいて、大臣、副大臣が自らこうしてPRをしていただくような場面もございました。生産基盤を守り、生産者が営農継続意欲を維持できるように対策を講じるということが何よりも重要であるというふうに思っています。
また、三月末から四月上旬にかけても生乳需給の緩和が懸念されている状況にありますけれども、現状の把握と対応について伺いたいと思います。
○森政府参考人 お答えいたします。
新型コロナの影響によりまして増加しております脱脂粉乳の在庫につきましては、業界の自主的な取組として、令和四年度に、全国の生産者と乳業メーカーが協調し、飼料用への転用などの在庫低減の取組を実施することとしているところでございます。農林水産省としても、こうした業界の取組を支援し、需給の改善を後押しすることとしているところでございます。
また、御指摘の点でございますが、例年三月から四月にかけましては、生乳生産が増加する一方で、春休みの学校給食停止により生乳需給が緩和する傾向がございますが、本年は生乳生産が特に好調に推移をしており、例年以上に需給が緩和する可能性があると承知しております。このため、業界では、年末年始以上に気を引き締めまして、乳業工場の処理能力の向上、生乳出荷量の抑制など、生乳廃棄の回避に向けた対応を検討していると承知しております。
農林水産省といたしましても、危機感を持ちまして、需給の状況を注視しながら、業界と連携して引き続き「NEW(乳)プラスワンプロジェクト」などに取り組んでいく考えでございます。
○簗委員 しっかりした対応をお願いしたいと思います。
それでは、次の質問ですけれども、食料安保についてでございます。
冒頭でも状況についてはお話をしたところでありますけれども、やはり従来から食料安保の強化というのは国民的な関心事でもありましたし、また、コロナ禍を機に、改めてこの問題意識は今、国民的にも高まっております。
海外の諸情勢によって生産資材が一斉に高騰しておるということで、これまで食料というものには焦点を当てておりましたけれども、改めて、生産資材も重要な農業における一つの議論の分野であるということで、そうしたものも顕在化したというふうに思っております。
こうした状況を受けて、自民党では、食料安全保障に関する検討委員会というものを設置をしました。平成十一年に制定された食料・農業・農村基本法の検証も含めて、将来にわたる食料の安定供給の確保に必要となる対策を総合的に検討していくということで、今、党として取組を進めていくこととなりました。
農水省においても、しっかりと体制を組んで取組をしていただけるというふうに聞いておりますが、改めて武部副大臣に決意のほどをお伺いしたいと思います。
○武部副大臣 世界の人口が増加しています。ということは、世界の食の需要が高まっていきます。また、アジアを中心に新興国での競争相手が大変強くなってきています。頻発する自然災害や地球温暖化など、我が国の食料安全保障をめぐる状況は変化していると認識しています。また、簗委員が御指摘になったとおり、農業生産の増大には生産資材の確保というのが大変必須となっております。しかし、海外依存度が高い肥料原料、飼料原料及び燃油の価格高騰、大変リスクが顕在化しているという認識でおります。
こうした状況を踏まえまして、金子大臣より、農林水産省内に、私をチーム長として、全局庁の幹部をメンバーとする検討チームを立ち上げます。食料安全保障施策の包括的な検証を行うよう指示を受けたところでございます。
検討チームでは、幅広くしっかりと検証、検討を行っていく予定ですが、この検討の中ですぐに着手しなければならないものにつきましては、速やかに具体化していきたいと考えております。
○簗委員 副大臣から力強い御答弁をいただきました。農水省の中でもそういう組織をしっかりとつくっていただけるということで、ありがたく思っております。
今答弁にもありましたけれども、まず目の前の対応として、生産資材を始め、やらなければいけない対策、それから、基本法の検証も含めて、中長期でやる対策、そういうことで、両建てでじっくりと取組を進めていただきたいというふうに思っております。
それでは、今触れました生産資材について、個別に質問をさせていただきます。
まず、肥料についてですけれども、肥料の原料については、窒素、リン安、それから塩化カリのいずれも我が国は輸入に大きく依存をしているという状況があります。穀物需要の増加やエネルギー価格の上昇等に伴い、化学肥料原料の国際価格も高騰する中で、中国においては国内優先政策によって、化学肥料原料の輸入というものが我が国においては滞っておるという状況があります。
例えば、リン安は中国からの輸入に九〇%依存するという状況にあったわけですけれども、春用肥料における生産現場への影響と講じてきた対策、そしてまた、秋肥、秋用肥料に向けた今後の対応について、農水省の見解を伺いたいと思います。
○平形政府参考人 お答えいたします。
肥料は、農作物の収量を維持、確保する上で不可欠なものでございます。昨年秋以降、化学肥料の原料の国際価格が上昇する中で、主な輸入先国であります中国からの輸入にも停滞が見られているところでございます。
これを受けまして、農林水産省といたしましては、全農や商社に対し、例えばリン安であればモロッコ等の代替国からの協調買入れ、これを進めるように要請を行いまして、それに対して、全農等の取組の結果、本年の春用の肥料につきましては例年並みに近い供給量、これが確保できる見込みとなっております。
今後も、全農や商社、肥料メーカー、関係事業者、それから関係省庁とも連携をいたしまして、御指摘のございました秋用肥料を始めとしました肥料の供給の安定化に向け、あらゆる方策、これを検討していきたいというふうに考えております。
○簗委員 続けてですけれども、肥料の国内資源による代替ということも一部考えられるとは思います。これまでも、取組も農水省としてもしているということは承知をしております。
良質な堆肥の生産ですとか、あるいは広域流通の促進、あるいは汚泥発酵肥料、こういったものの利用拡大、リン回収の施設整備等、こういった取組が国内資源で代替する上では重要になると思いますけれども、現状と今後の対応の方向性などがあればお伺いしたいと思います。
○平形政府参考人 お答えいたします。
御指摘のとおり、輸入肥料原料から国内資源の有効活用による代替等を進めること、これは海外への依存を低減させるという意味で大変重要だというふうに考えております。
このため、三年度の補正予算におきまして、一つは、家畜排せつ物ですとか下水汚泥等を活用した肥料の運搬や散布、また、堆肥等の利用拡大のための施設整備、実証など、輸入肥料原料から国内資源への代替に資する取組を幅広く支援することとしております。
今後とも、国内資源の有効活用による肥料供給の安定化に向けて、畜産関係者、それから地方自治体、肥料メーカー等、関係事業者との連携を図ってまいりたいと考えております。
○簗委員 適切な対応を引き続きお願いします。
それでは、二点目、飼料の対策についてでございます。
トウモロコシ等、飼料原料価格、また海上運賃が上昇しているということで、さらに円安等もありまして、配合飼料価格が高騰するという状況が続いています。配合飼料価格安定制度により生産者に補填金が交付されているわけでありますけれども、補填の現状と、これによる経営継続への効果をまず確認したいと思います。
続けてですけれども、我が国の飼料自給率、これはトータルで見て二五%、粗飼料が七六%、濃厚飼料が一二%という数字ですけれども、今後の自給飼料の生産拡大や、又は国産稲わらの利用促進など、これも重要だと思うんですが、こういった関係での方策についてお伺いしたいと思います。
○森政府参考人 お答えいたします。
配合飼料価格につきましては、原料のトウモロコシや海上運賃等の高騰などによりまして上昇しているところでございます。
こうした配合飼料価格の上昇に対しましては、配合飼料価格安定制度による補填の仕組みがございます。現在、四期連続で補填が発動し、直近となる第三・四半期、令和三年の十月から十二月でございますが、第三・四半期におきましては、生産者に対し配合飼料一トン当たり八千五百円が交付をされまして、畜産経営への影響を緩和しているところでございます。
農林水産省としては、令和三年度補正予算におきまして、本制度の異常補填基金への二百三十億円の積み増しを措置したところでございます。引き続き、制度の安定的な運営に努めてまいります。
また、持続的な畜産物生産を実現するとともに、畜産経営の安定を図るという観点からは、やはり輸入飼料への過度な依存から脱却をいたしまして、国内の飼料生産基盤に立脚した足腰の強い生産に転換することが重要でございます。
今後は、現在二五%でございます飼料自給率を令和十二年に三四%に引き上げることを目標としまして、例えば、水田を活用した飼料用トウモロコシ等の生産拡大でございますとか、地域の飼料生産を担う飼料生産組織の機能強化、また、御指摘のございました国産稲わらの利用促進に向けた耕種農家と畜産農家のマッチング、さらに、稲わら収集に必要な機械の導入、草地の生産性向上等を支援いたしまして、自給飼料生産、利用の拡大を推進していくこととしているところでございます。
○簗委員 ありがとうございます。
配合飼料価格安定制度、これをしっかりと安定運用していただくということと、あとは、先ほど水田の話でもありましたが、子実用トウモロコシなど、今回、水田リノベーションの中で支援を強化するということになりましたので、耕畜連携という中で自給飼料の生産拡大も進めていただきたいと思います。
次に、燃料価格の高騰対策でございます。
原油価格の高騰を受けて、ハウス加温用のA重油の価格も上昇しております。
特に施設園芸等は、経営費に占める燃料費の割合が高く、この影響を非常に受けやすいという状況があります。施設園芸等燃油価格高騰対策として、施設園芸セーフティーネット構築事業によりまして、農業者と国で基金を設け、燃油価格が補填基準を超えた場合に一定の補填がなされるという状況にあります。
そこで、確認ですけれども、同制度への加入の状況、カバー率といいますか、それから補填による効果、影響を防げているかどうかということを確認をしたいと思います。
また、続けて、燃油価格の影響を受けにくい体質への転換を図るということも一方で重要でありますので、ヒートポンプなどの省エネ型の設備の導入に対する支援、こうした政策についてお伺いをしたいと思います。
○平形政府参考人 お答えいたします。
施設園芸セーフティーネット構築事業につきましては、できるだけ多くの方々に加入していただけるように、昨年、追加公募、それから公募期間の延長を行った結果、加入件数は一万八千五百三十件、加入数量は三十五万七千五百六十三キロリットル、それぞれ前年の一・五倍となっております。カバー率なんですが、燃油のこの時期の使用量からすると、約八割の方が入っているというふうに考えております。
また、令和二年度から、通常は購入数量の七割までの補填としているところ、今回のような価格高騰時には十割補填、そういうふうにするような見直しを行ったところでございまして、農家の方々の経営安定に効果を発揮しているというふうに考えております。
あわせまして、大きく価格が変動する燃油への依存度を下げて経営の安定化を図るために、令和三年度の補正予算、産地生産基盤パワーアップ事業におきましては、ヒートポンプなどの省エネ機器の導入を支援する特別枠を設けまして、燃油価格の影響を受けにくい体質への転換、これを進めていきたいというふうに考えております。
さらに、原油価格の上昇につきましては、燃油高騰の事業者に対する影響を注視し、対策の効果を確認しつつ、先日、総理から更なる対策の検討の御指示があったところでございます。早急に検討を進めていきたいというふうに考えております。
○簗委員 よろしくお願いいたします。
それでは、次ですけれども、家畜伝染病予防対策でございます。豚熱あるいは高病原性鳥インフルエンザ等の家畜伝染病への対応にも細心の注意を払い、対策を徹底していく必要があります。
自民党では、昨年、家畜伝染病予防対策検証プロジェクトチームというものを設置をして、改正家畜伝染病予防法の施行も踏まえて、現場の発生状況等を改めて検証して、制度の見直しも含め、対策の強化を進めてきたという経緯があります。
生産現場の日頃の飼養衛生管理の徹底を基本としつつ、実際に発生した場合に備え、蔓延防止に係る都道府県等の体制の強化等も進めてきておりますけれども、対策の現状と今後の取組等について確認をしたいと思います。これは宮崎政務官、お願いします。
○宮崎大臣政務官 お答えをいたします。
高病原性鳥インフルエンザや豚熱等への対応につきましては、簗先生お話がございましたように、飼養衛生管理の徹底を基本にいたしまして、発生の予防と蔓延防止のための措置を講じておるところでございます。
しかしながら、昨シーズンにおきましては、生産者間での飼養衛生管理基準の遵守状況の格差でございますとか、防疫業務の長期化等の課題が明らかになったところでございます。
先ほどお話がございましたように、こういった状況を受けまして、自民党の家畜伝染病予防対策検証PTにおいて御議論をいただいた上で、昨年九月に飼養衛生管理基準を改正をいたしました。例えば、大規模な農場におきまして、畜舎ごとに飼養衛生管理者を置くことを義務づけるということでございますとか、事前の埋却地の確保や発生に備えた対応計画の事前の策定を行うこと、そういう対策の強化をしたところでございます。
現在、この飼養衛生管理基準に基づいて対応を進めておりまして、大規模農場における畜舎ごとの飼養衛生管理者の配置でございますとか、特に規模の大きい家禽農場における対応計画の策定につきましては、本年一月には全ての農場において対応済みということになっております。さらには、家禽農場につきましては昨年十月から、シーズンでございますので毎月、また、養豚農場につきましては昨年十一月から三か月に一度、農場の一斉点検を行っておりまして、結果も公表をしておるところでございます。
これらの取組の結果、今シーズンの鳥インフルエンザにつきましては、欧州、韓国で大変な流行をしておるところでございますけれども、我が国では、昨シーズンに比べまして発生が一定程度抑え込めておると思っております。特に、昨シーズンに見られました大規模農場での発生でございますとか、養鶏密集地域での多発的な発生もないという状況でございます。
家畜伝染病の発生予防と蔓延防止に向けまして、引き続き高い緊張感を持って取り組んでまいりたいと考えております。
○簗委員 宮崎政務官、御答弁ありがとうございました。
最後におっしゃっていただいた、引き続き緊張感を持ってというところ、これが肝であると思いますので、関係者としっかり連携をして、農水省としても引き続き対応を進めていただきたいと思います。
次ですけれども、農地の最大限の利用と人の確保、育成という点について質問させていただきます。
農業者の減少や高齢化が進む中で、農業の成長産業化や所得の増大、食料安全保障の観点から、国産農畜産物の安定供給を図る上で、担い手の育成、確保、農地の確保、そして生産基盤の強化というものは不可欠となっております。農地の最大限の利用と人の確保、育成のため、持続的な農地の利用、農地中間管理機構による農地の集積、集約化、そして新規就農者の育成、確保等を推進する必要があります。
大臣は、所信において、農業の成長産業化や所得の増大を更に進めていくために、生産基盤である農地については、地域の話合いにより目指すべき将来の農地利用の姿を明確化し、それを実現するべく、農地バンクを活用した農地の集約化等を進めていくこととして、そのための法制度の整備を行うと述べられましたけれども、これまでの取組の現状と、今後必要な対応としてどのような法制度の整備を検討しているのか、お伺いしたいと思います。
○光吉政府参考人 お答えいたします。
農林水産省におきましては、担い手への農地利用集積などを進めるために、平成二十四年から人・農地プラン、平成二十六年から農地バンクなどの取組を進めてきております。現在、農地の集積率は五八%となっているところでございますが、高齢化、人口減少が今後本格化し、地域の農地が適切に使われなくなることが懸念をされております。このような農地が利用されやすくなるよう、農地の集約化などに向けた取組を加速化していくことが必要と考えております。
このため、地域の話合いによりまして目指すべき将来の農地利用の姿を明確化いたしまして、それを実現すべく、農地バンクを活用した農地の集約化等を進める、それと、人の育成、確保も図っていく、こういったことを進めるための法制度の整備を検討しているところでございます。
○簗委員 農村現場においては、こうした政策をしっかり打っていくことが待ったなしの状況でございますので、今国会での審議も含めて、しっかりと議論をして、農水省には適切な対応を取っていただきたいと思っております。
次に、土地改良についてでございます。
農業の競争力強化に向けては、地域の話合いによる農地利用の姿の明確化、農地バンクによる農地の集約化等と併せて、農地の大区画化、水田の汎用化、畑地化、水利施設の整備等の土地改良事業も推進していく必要があります。また、近年、豪雨、台風による被害が毎年のように発生をして、農地、農業施設の被害が全国的に発生をしている状況にあります。このような自然災害に対して、農業、農村の安全、安心を確保する国土強靱化の取組も強力に推進していくことが重要であると考えております。
こうした課題への対応として、今国会に土地改良法の一部を改正する法律案が提出されているわけでございますけれども、土地改良事業については、関係する施策とも連携をしながら必要な予算を確保して、今後も着実に推進していく必要があると考えておりますが、今後の取組、そして決意を宮崎政務官にお伺いしたいと思います。
○宮崎大臣政務官 お答えをいたします。
簗先生お話がございましたように、担い手への農地の集積、集約化を加速化するとともに、頻発化、激甚化する豪雨災害に対応するために、今国会に土地改良法改正案を提出をさせていただいたところでございます。
具体的には、農地バンクが借り受けた農地につきまして、農業者の費用負担なく圃場整備を行う農地中間管理機構関連事業の対象工種に農業水利施設や農道、暗渠排水等の整備を追加したいというふうに考えております。また、農業者の同意手続等を省略をいたしまして迅速に工事を実施する急施の防災事業の対象に豪雨対策を追加をすることとしておるところでございます。
今後とも、まさしく地域の課題に適切に対応していくために、本法律案の早期成立に向けて全力を尽くすとともに、必要な予算を安定的に確保いたしまして、関連施策とも十分連携をいたしまして、土地改良事業を着実に進めてまいりたいと考えております。
○簗委員 力強い御意気込みをいただいたと思います。よろしくお願いしたいと思います。
輸出の促進と、あるいはみどりの食料システム戦略という問いをさせていただくことで準備もいただいているので、時間の関係も迫ってきているので、順番を変えまして、森林・林業についてお伺いしたいと思います。
こちらも、コロナの影響で昨年から世界的な木材需要の急激な高まり等がありまして、林業、木材産業においても、建築用木材の供給不足と価格高騰をもたらした、いわゆるウッドショックというものが起きた次第であります。
国産材の供給体制の強化が課題となっておりますけれども、国産材の自給率向上に向けた施策について林野庁に伺いたいと思います。
○天羽政府参考人 昨年来のいわゆるウッドショックと言われる状況について御質問をいただきました。
現在、我が国の建築用の木材需要、この約半分は輸入木材によって賄われておりますが、北米や欧州といった海外での木材需要が高まっていること、また、コンテナ不足等によります国際的な需給の逼迫により、昨年の上半期以降、木材の輸入量が減少し、我が国においても輸入木材や国産材の製品価格が高騰しているという状況でございます。
足下についてでございますが、木材の輸入量につきましては、二〇二一年一月から十二月で、例年より少ない水準、対前年比八五%となっておりまして、海運コストが高いということに加えまして、第三・四半期以降、高値で海外の産地と契約したものが現在国内に流通しているところでございます。
一方で、国産材につきましては、製材工場等が稼働率を上げて対応しているところでございますが、その価格は輸入材とともに高値で推移をしてございます。今回、輸入材の供給リスクが顕在化したことを踏まえまして、国産材の供給力を強化し、国産材のシェアを高め、海外市場の影響を受けにくい需給構造としていくことが重要と考えております。
このため、農林水産省では、川中において木材の乾燥施設の整備などによります国産材製品の供給力の強化、川上におけます原木の安定的な供給に向けます間伐や路網整備の取組の更なる推進などに必要な対策を令和三年度の補正予算及び令和四年度の当初予算に計上しておりまして、これらを通じて国産材の安定供給に向けた環境整備に取り組んでまいります。
○簗委員 それでは、続けて水産政策について伺います。
水産庁は、令和二年十二月に施行した改正漁業法や令和二年九月に策定をした新たな資源管理の推進に向けたロードマップ等に基づいて、新たな資源管理システムの構築などに取り組んできているというふうに承知をしています。また、令和二年七月に制定をして令和三年七月に改訂をした養殖業成長産業化総合戦略に基づき、国内外の需要を見据えて、生産から販売、輸出に至る総合戦略によるマーケットイン型養殖業への転換にも取り組んでいるというふうに承知しています。
一方で、水産をめぐる現状は、海洋環境の変化を始めとした地球規模の環境変化を背景に、サンマ、スルメイカ、サケの不漁が継続をしており、また、北海道において発生した赤潮被害、あるいは、小笠原諸島の海底火山噴火による軽石の漂着等による被害、燃油価格高騰、コロナ禍など、様々な問題も生じております。
本年は、水産基本計画の見直しに向け、農林水産省として検討を行っていただいていると伺っておりますけれども、こうした水産をめぐる現状を踏まえ、水産業の成長産業化等に向けた見解や意気込みを武部副大臣にお伺いしたいと思います。
○武部副大臣 水産業の成長産業化というのは、水産物の安定供給や漁村の活性化の観点からも重要な課題と認識しております。
このため、水産庁では、平成三十年に漁業法を改正しまして、水産改革を実施しているところです。
簗委員の御指摘のとおり、本年は水産基本計画の見直しの年でありまして、水産改革を確実に実行するために、今後取り組むべき事項を水産基本計画の中にしっかり反映させていきたいと考えております。
具体的には、これまでの水産改革の成果や地球規模の環境変動や社会経済の変化など、水産業をめぐる状況の変化等も考慮しまして、海洋環境の変化も踏まえた水産資源管理の着実な実施、増大するリスクも踏まえた水産業の成長産業化の実現、地域を支える漁村の活性化の推進、この三本を柱と位置づけまして、これらを中心に施策を展開したいと考えています。
今般の計画の見直しにより、水産資源の適切な管理を通じた水産業の成長産業化を実現し、水産業が若者にとって魅力ある産業となるように努めてまいります。
○簗委員 最後にお話しいただいた、若者にとって魅力あふれるという、そうした産業に向けて、政策を力強く、引き続き、武部副大臣には先頭に立って進めていただきたいと思います。
時間が残されているところで、幾つか最後に質問させていただきます。
輸出について取り上げます。
自民党では、農産物輸出促進対策委員会というものがございまして、輸出先国、日本産の農林水産物、食品の販売に取り組む関係者から、今、ヒアリングを随時行っております。
その中でよく指摘をされるのが、国を挙げて、いわゆるオール・ジャパンで、官民一体となって行うべき取組が不十分であるという指摘がよくなされています。いわゆる品目ごとにジャパン・ブランドとして現地の人々が認識できるような売り込みがなされていなかったり、あるいは、販売促進イベント等やPR活動がそれぞれの主体ごとにばらばらに行われており非効率で効果的ではないとの具体例も挙げられているところでございます。
今国会に提出予定のいわゆる輸出促進法案の改正案等により、今後、これらの課題の克服に向け、国としてどのような取組を展開していくのか、確認をしたいと思います。
○渡邉政府参考人 委員の御質問にお答えをいたします。
御指摘のような課題を克服いたしまして輸出の拡大を図るためには、品目ごとの団体が、輸出先国でのニーズの調査、販路の開拓、輸出促進のための規格の策定、ブランディング、相談窓口の設置などの取組を進めることが重要だと考えております。
このため、品目ごとの団体の組織化に向けた取組を強化する支援策を措置するとともに、今通常国会に提出予定の輸出促進法改正案に、業界一体となって輸出に取り組む団体の育成を図る制度を盛り込んでいるところでございます。
また、アメリカ、中国等の八つの主要な輸出先国や地域におきまして、在外公館とジェトロ海外事務所等が連携した輸出支援プラットフォームの形成を進めていくこととしております。
このプラットフォームにおきまして、輸出事業者を専門的かつ継続的に支援する体制を整備いたしまして、現地流通やニーズの把握、商流の新規開拓など、現地での輸出拡大の支援を強化してまいりたいと考えております。
これらを通じまして、官民一体となって、オール・ジャパンでの取組を推進していきたいと考えております。
○簗委員 ありがとうございます。
みどりの食料システム戦略、これを質問する予定でした。用意もいただいたので申し訳ないですけれども、法案の方の審議に譲らせていただきたいと思います。
時間になりましたので、これで終わらせていただきます。ありがとうございました。
○平口委員長 次に、庄子賢一君。
○庄子委員 公明党の庄子でございます。
まず冒頭、今回のロシアによりますウクライナへの侵攻、強く抗議を申し上げますとともに、一刻も早い収束を願い、順次質疑をさせていただきたいというふうに思います。
今日、質疑を申し上げたいのは、大きく分けて二点です。燃油、原油の高騰対策と、そして米政策という二点について伺ってまいりたいと思います。
まず初めに、燃油高騰の部分でございますが、全体的に、原油高騰による農業への影響についてという観点から伺いたいと思います。
近年の原油価格の高騰、あるいは生産資材の上昇、さらには農作物の価格下落等によりまして、農家の経営実態は厳しさを増してきておりました。
本年一月に農水省が発表をいたしました二〇二一年農業物価指数によれば、二〇一五年を一〇〇とした指数で、生産資材は一〇六・七、前年比四・八%の上昇ということでございますので、この実態がより浮き彫りになったのではないかと思います。そこに、今般のロシアによりますウクライナ侵攻という深刻な事態が、より追い打ちをかけているということでございます。
農業は、申すまでもありませんけれども、燃油、原油とは密接な関係でございまして、ビニールハウス等の被覆資材、あるいは、私は東北でありますので、冬の時期、特に暖房用燃料のA重油、灯油といったものをよく使うわけであります。生産現場、農家の皆様は、メーカーとは違いますので、資材や燃料にかかる費用の増加分を農作物価格に転嫁するということはできません。こういう情勢が長期化すれば生産資材の更なる高騰を招く、そうしたリスクが高まってきていると思います。
この状況下、農家の生産活動をいかに持続可能にしていくのか、非常に重要な観点ではないかと思いますが、今後どのように対策を講じていかれるのか、御所見を伺いたいと思います。
○武部副大臣 昨年来、原油価格の高騰や海上運賃の高騰等によりまして、A重油や配合飼料、肥料といった農業生産に必要な資材の調達コストが増大しているものと認識しております。また、今回のウクライナの情勢の緊迫化を受けまして、その影響をしっかりと注視していく必要があります。
農林水産省としましては、これらの影響を緩和するために、施設園芸農家に対しまして、燃油価格の上昇に応じて補填金を交付する制度や省エネ機器の導入支援、畜産農家に対しましては、配合飼料価格高騰の影響を緩和する補填金を交付する制度、土壌診断や堆肥等の国内の資源を利用拡大するなど農業現場に対する化学肥料の節減等に資する取組への支援などを実施しているところです。
今後とも、農業者の生産活動が持続可能となるよう、各生産資材の状況や生産活動に対する影響を注視してまいりたいと思います。
特に、原油価格の上昇につきましては、先日、総理から更なる対応策の検討の指示があったところでありますので、早急に検討を進めてまいりたいと思います。
○庄子委員 是非、早期の対応を重ねてお願いを申し上げたいと思います。
今国会では、経済の安全保障が議論をされているところでございますが、世界的な感染症の拡大、そして有事といった今のこの事態に鑑みますと、やはり、経済の安全保障はもちろん大事ですが、資源やエネルギーの安全保障、併せて食料の安全保障ということが極めて今重要な時代になってきているのかなというふうに思います。
近年の気候変動で大規模な干ばつあるいは自然災害等が世界的にも頻発をしておりますので、この食料の安全保障という考え方は今は喫緊の課題ではないかなというふうに思いますが、先ほど来もお話が出ておりましたけれども、我が国の食料自給率、これはカロリーベースで四〇%弱、届いておりませんし、餌、飼料の自給率については二〇%台ということで推移をしております。
農水省、国としては、一九九九年、食料・農業・農村基本法を制定し、凶作あるいは輸入の途絶といった不測の事態に備える食料安全保障の規定を設けました。二〇二〇年には新たな基本計画が閣議決定をされております。
私は、現在のこの情勢に鑑みまして、既存の計画目標を前倒しをするぐらいの勢いで取り組んでいくべきではないかと思いますが、御所見を伺います。
○武部副大臣 昨年来、穀物等の国際相場が高値で推移しております。さらに、先ほども申し上げましたけれども、肥料、燃料、飼料といった農業生産に必要不可欠な資材の調達コストも上昇しておりまして、大変大きな課題だと認識しております。
こうしたリスクが顕在する中で、将来にわたって食料を安定的に供給するためには、担い手をしっかりと確保すること、そして、農地の集積、集約化によって国内の農業生産基盤をしっかりと強化していくことが大事だと思います。また、もう一つ、海外依存度の高い化学肥料の利用低減、国産飼料の生産促進、こういったことの課題を克服しまして、国内で生産できるものはしっかりと国内で生産すること、できる限り国内で生産することが大事だというふうに認識しております。
委員からも、食料自給率の計画の前倒しとの御指摘もございましたけれども、まずは令和十二年度にカロリーベース四五%と設定いたしました現行の食料自給率目標を着実に達成すべく、こうした今申し上げましたような施策についてしっかりと講じていく、こういうことで足腰の強い農林水産業を構築していく考えです。
○庄子委員 ずっと自給率は踊り場状態です。急に下がりもしていませんが、上がってもいません。どこかでやはりアクセルをぐっと踏まないと着実な上昇カーブということすら難しいという認識であります。是非リーダーシップを持って、お願いを申し上げたいと思います。
具体の肥育生産者のお話に移らせていただきますが、肥育の生産の皆様からは、この配合飼料高騰への対策強化について強い要望をいただいております。燃油高騰による海上輸送運賃の値上がり、トウモロコシや大豆油かす等の相場高、為替相場の円安傾向など、こうしたことで配合飼料の値上げが続いております。肥育の生産現場は厳しい状況に立っております。価格安定制度の補填金だけでは足下の支援が不足をしているというのが多くの生産現場の皆様の声でもありました。
こうした窮状を救う対応策が急務ではないかと思っておりますが、いかがでしょうか。
○森政府参考人 お答えいたします。
配合飼料価格安定制度につきましては、飼料価格の高騰が畜産経営に及ぼす影響を緩和するということを目的として措置されております。配合飼料の原料となります穀物価格につきまして、直近一年間の平均価格に対して当該四半期の平均価格がこれを上回った場合に、その差額を補填する仕組みということでございます。これまで、令和二年度第四・四半期から四期連続で発動をしておりまして、直近でも配合飼料一トン当たり八千五百円が補填されるなど、経営への影響緩和が図られてきたところでございます。
また、あわせまして、肥育農家に対するセーフティーネットといたしましては、一頭当たりの販売価格が生産コストを下回った場合に、その差額の九割を補填いたします牛マルキン制度が措置されているところでございます。仮に配合飼料価格が高止まりということになった場合には、この制度におきまして、配合飼料費等の変動が生産コストに反映される仕組みというふうになっております。
引き続き、これら制度を適切かつ円滑に運営をいたしまして、畜産経営の持続的な経営の展開を支えてまいりたいと考えております。
○庄子委員 全ての生産資材が同時多発的に高騰しております。足下の経営が非常に心配でありますので、対応をお願いをしておきたいと思います。
また、生産現場におきましては、高齢化によりまして離農が進んでおります。肉用牛の生産基盤の弱体化が懸念をされているわけであります。
そうした中で、畜産経営の基盤強化の一つといたしまして、繁殖肥育一貫経営育成支援、地域内一貫生産というものが一つの対策としてございます。これに要する牛舎の建設や技術の習得、人材育成、地域内の飼料供給体制の構築など、時間と経費のかかる作業ではございますけれども、国として一層手厚い支援を行っていただきたいと思っておりますが、いかがでしょうか。
○森政府参考人 お答えいたします。
近年、和牛子牛価格の高止まりでございますとか繁殖農家の減少が生じている中で、子牛価格の変動に左右されずに子牛の安定的な確保が可能となります繁殖肥育一貫経営の育成や、離農する経営を含め、地域で飼養されていた繁殖雌牛を地域内で継承していく地域内一貫生産の取組を進めることが重要となっているところでございます。
一方で、肥育経営が繁殖肥育一貫に取り組むに当たりましては、新たに繁殖雌牛を飼養するための牛舎、繁殖雌牛の導入のための投資が必要となるといったことでございますとか、飼養管理技術につきましても、肥育牛と繁殖雌牛では異なるといったような課題もあるところでございます。
また、地域内一貫生産を進めるためには、キャトル・ブリーディング・ステーション等の施設の利用や運営の体制等に関する地域内の関係者の合意形成が必要ということになります。
こうした観点から、農林水産省としては、牛舎やキャトル・ブリーディング・ステーションの整備のための支援、比較的安価な交雑種の雌牛を用いました和牛の受精卵移植によります繁殖雌牛の導入、さらに、人材育成のための研修の実施でございますとか、地域内一貫生産の体制構築に向けた検討会の開催等のきめ細やかな支援を引き続き実施していくこととしているところでございます。
○庄子委員 今の、講習、研修会とか人材育成のための機会、地域での合意形成の場、これがコロナの影響もありましてなかなか開催できていない、あるいは人が集まらないというふうに伺っておりますが、今、オンラインなどもありますので、是非、来年度以降は積極的に開催をしていただいて、一貫生産に向けた体制づくりを急いでいただければというふうに思っております。
大綱といいますか、もう一点、米政策について、水田フル活用についての質疑をさせていただきます。
昨年十一月に水田活用の直接支払交付金の見直しが打ち出されまして、農家の皆さんが注目をしておられます。水稲と転作作物とのブロックローテーション体系の再構築を促すため、現場の課題を検証しつつ、今後五年間に一度も水張りが行われない農地は交付対象水田としないという方針、そして、播種しない多年生牧草地の減額といった見直しが出されたわけであります。生産現場ではそれが課題となっており、私の元にも声が届いております。
まず、この見直しによります農政上の効果についてはどのような見通しを持っておられるでしょうか、伺います。
○平形政府参考人 お答えいたします。
米の需要の減少が続いております。水田を有効に活用するには、需要に応じて水稲と他作物をバランスよく生産すること、これが必要でございます。
水田活用直接支払い交付金は、水田において他作物への作付転換を支援する、そういう政策であります。その趣旨を明らかにするように、平成二十九年度に実施要綱を改正いたしまして、あぜなど水をためる施設を有しない農地ですとか、用水路を有しない農地など、水稲の作付が困難な農地は交付の対象外であることを明確にいたしました。
今回の見直しは、この現行ルールの再徹底をした上で、畑作物の生産が定着している農地に関しては畑地化を促すこととし、一方、水田機能を有した上で、麦、大豆等の転換作物を生産する農地につきましては、これらの作物は同じ農地で連作をいたしますと収量の低下ですとか病気の発生が起きやすくなるために、水稲と転換作物とのブロックローテーション、これを促すというふうに考えております。
このような観点から、現場の課題も検証しながら、委員おっしゃられたとおり、今後五年間に一度も水張り、すなわち水稲の作付が行われない農地は交付の対象としない方針というふうにしたところでございます。
また、御指摘のございました牧草につきましては、収穫のみを行う年は播種、管理、収穫を行う年よりも生産に要するコスト、これが低いために、令和四年産から、国が定める戦略作物助成の単価を十アール当たり現在の三万五千円から一万円とすることとしたところでございます。
今後とも、施策の実施状況を把握しながら、必要な見直し、これを行いながら、需要のある作物の生産に取り組む生産者が前向きに農業を続けていけるような支援、これを行っていくというふうに考えております。
○庄子委員 ありがとうございます。
今るる御説明をいただいたわけでありますが、やはり今後、国として、生産現場の実態と課題の検証、これを急いでいくことが重要だと思います。
その上で、ルールの詳細を含めたきめ細かい、かつ丁寧な説明が必要でございまして、さらには重層的な相談体制、これをつくっていくことが必須だというふうに改めて申し上げたいと思いますが、どのように対応していかれるか、御所見を伺います。
○平形政府参考人 お答えいたします。
水田活用直接支払い交付金における今回の見直しにつきましては、委員おっしゃられるとおり、今後五年間に、各地域において、今後の水田利用ですとか産地形成をどのように図っていただくのか検討していただくことが大切だというふうに思っております。
農林水産省としては、これまでも、本省、地方農政局を問わず、全国会議ですとか産地ごとの意見交換会を通じて今回の見直しの趣旨の説明を行うとともに、連日多くのお問合せや相談をいただいております。これらに対して丁寧に対応していきたいというふうに考えております。
その上で、現場での課題につきましては、全国会議や産地との意見交換会を通じて事例を把握いたしまして、今後五年間ではブロックローテーションができないとする課題について丁寧に検証を行っていくというふうに考えております。また、それらの課題を踏まえつつ、必要があれば、全国的にも調査を実施し、全体的な課題の把握、検証、これに努めてまいりたいというふうに考えております。
○庄子委員 やはり現場にはそれぞれの考えがあり、また、理解にも濃淡がございます。今御説明をいただいた丁寧かつ誠実な説明、これを重ねて農水省にはお願いを申し上げ、質疑を終わります。ありがとうございました。
○平口委員長 この際、暫時休憩いたします。
午前十時四十八分休憩
――――◇―――――
午前十一時三分開議
○平口委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。金子恵美君。
○金子(恵)委員 立憲民主党の金子恵美でございます。よろしくお願いいたします。
昨日、衆議院本会議で、ロシアによるウクライナ侵略を非難する決議案が可決されました。
立憲民主党も、二十七日に開催されました定期大会において、ロシアによるウクライナ侵略を強く非難する決議を行ったところでございます。
改めて、多くの犠牲となられた皆様方に心から哀悼の意を表しますとともに、本当に、避難民となって厳しい状況に置かれている皆様方の御無事を心からお祈りしたいというふうに思います。
我が国は、国際社会と結束して、平和的な解決の道を進まなくてはなりません。しっかりと心合わせをしていきたいというふうに思います。
このようなウクライナ情勢の緊迫化をめぐって、大臣も、二十五日の閣議後記者会見で御発言をされています。
もちろん、まずは、ウクライナの人々の命と生活をいかに守っていくかということが最優先の課題だというふうに思います。そして、平和に向けて進んでいくということだと思います。でも、一方で、大臣が御発言されたのは、間接的に我が国の農林水産業が影響を受ける可能性があるということで、国内の食品価格への影響を含め、情報収集、分析に努めるとしておられました。
これももちろん重要な課題だというふうに思いますが、是非、どのように情報収集、分析を進めてこられているのか、この何日間の間でも日々日々情勢は変わってきておりますけれども、是非お聞かせいただきたいと思います。お願いいたします。
○金子(原)国務大臣 お答えいたします。
我が国とウクライナの農林水産物の貿易は御承知のとおりほとんどありませんが、ウクライナ情勢が緊迫する中で、原油や穀物の国際相場は不安定な動きを見せています。
我が国は、G7を始めとする国際社会と連携を取りまして、三月一日までに、ロシアの複数の銀行との取引制限やロシア向けの輸出の規制強化などを実施したところであります。
二〇二一年の我が国の農林水産物の総輸入額のうち、ロシアの割合は二%、金額で二千億円であり、主に、カニ、サケ・マス、製材を輸入しています。
今後の相場の動向や今回の制裁措置の影響を懸念する声があることは認識しておりまして、農林水産省といたしましては、在外公館や調査会社、関係企業等と連携を取りまして、情報収集、分析を強化し、引き続き注視してまいりたいと考えております。
○金子(恵)委員 ありがとうございます。
引き続きの情報収集そしてまた分析を行っていくということでありますけれども、実際には、他国で起こっている出来事で終わってはいけないわけで、もちろん、我々、本当に心を一つにしてしっかりとウクライナを支援していく、そういう仕組みもつくっていかなくてはいけないわけなんですけれども、ロシアとの関係やウクライナとの直接的な貿易の関係ということだけではなくて、やはり間接的に影響を受ける部分が出てくると思うんです。
それが、例えば、小麦の国際指標価格が乱高下しているわけですけれども、実際に、両国は小麦の主要生産国で、黒海の沿岸での港湾業務停止などに伴って輸出の停滞が懸念されているという状況だと。実際には両国の小麦は北アフリカとか中東に輸出されているわけですけれども、でも、それが止まっている状況であれば、今度は需要が、日本の主な輸入元であるアメリカとかカナダ、オーストラリア産への代替の需要が高まる可能性もあるということで、巡り巡って、ぐるぐる回って、結局はこの日本にも影響を与える可能性があるというふうにも言われています。
そういうところもきちんと見ながら、是非分析もしながら、そしてまた、さらに、こういう状況をいろいろ見ていきますと、コロナ禍にあって、それで影響を受けてきた、その部分もありますけれども、有事の際、我が国の、この日本の農業というのはやはり大変厳しい状況にいつもいつも陥ってしまうということが分かるんだと思います。
それは、まずは燃油、そして肥料等も海外に依存している状況である、そしてまた、さらに、先ほど来お話がありますけれども、食料自給率、カロリーベースでは三七%、そういうとても低い数字であるということで、まさに日本の食料の安全保障というのは全く確立されていない状況にある。
このままでは我が国の国民の皆様に必要な食料を本当に供給することができないのではないかという、危惧する声は与党の方からもあるようでございますので、ここで改めて、省内に設置された食料安保に関する検討チーム、これには期待をしたいというふうにも思います。
今までの政策、間違っていたところがあるのか、その反省に立ってこのチームを立ち上げられたのではないかというふうにも思いますけれども、このチームの目的となるものは何なのか、そしてまた、今後、食料安全保障に関する取組をどのように進めていかれるのか、お伺いしたいと思います。
○金子(原)国務大臣 検討チームについてのお尋ねでございますが、国民への食料の安定供給は、国家として最も基本的な責務の一つであります。国内では少子高齢化が進む一方、世界人口の増加や新興国の経済発展、頻発する自然災害や地球温暖化など、我が国の食料安全保障をめぐる状況が変化しています。こうした状況を踏まえまして、我が国の食料安全保障に関する施策全般について検証と検討を行うため、庁内に今回チームを立ち上げました。
まず、この検討チームでの検証、検討をしっかりと進めまして、すぐに着手すべきとなったものにつきましては速やかに具体化していきたいと考えております。
○金子(恵)委員 そうしますと、せっかく検討チームは立ち上がったということでありますけれども、具体的な内容についてはまだこれからということですか。
○金子(原)国務大臣 議員御指摘のように、これからでございます。
○金子(恵)委員 速やかにというふうにおっしゃっているんですけれども、検討チームが立ち上がったら、やはり普通であれば、今後の日程感とか、どのような形で何を検討していくのかというのは明確に示さなきゃいけないものだというふうに私は思うんですけれども、何かそれでは大臣のアイデアがあるのか、そして、このチームというのは武部副大臣が中心になられるというふうには伺っていますが、大臣からはいろいろな御指示というのがあったのでしょうか、大臣。
○金子(原)国務大臣 今回の検討チームというのは、一堂に会して会議をするような形ではなくして、各局ごとにいろいろな問題点を検証していただいて、その都度に武部副大臣を中心としたところで話合いをして速やかに結論を出していくような、そういった検討チームでございまして、一応、庁内でそういった形で立ち上げているところでございます。
○金子(恵)委員 これまで政府は、やはり、国内の農業生産の増大ということを考えることよりも、TPPとかEPAなどの貿易自由化を優先してきたのではないかというふうに思います。その結果、農村が大変疲弊して、そして、農業の担い手不足が深刻化し、最低の自給率にもつながっている状態だというふうに思います。
海外に依存する農業をやめて、特に有事の際に懸念なく食料の安定供給がなされるよう、まさに食料の安全保障を確立するための仕組みづくりこそが政策の中心となっていかなくてはいけないというふうに思います。そのことをしっかりとつくり上げる、そういうチームとなっていただきたいなと思います。
ただ検証、検討、それで終わるわけではないと思いますので、改めてお伺いしたいと思いますが。
○金子(原)国務大臣 検証、検討するということは、次の政策につなげるということではないんですか。何も政策につなげないんだったら、検証、検討する必要はないわけですから。だから、我々は、あくまでも、今の現状を十分に理解し、お互い庁内で議論しながら、今後どういった政策を取り組んでいくかということについてのやはり一つの方向づけをしていきたいというふうに思っております。
○金子(恵)委員 大臣、ありがとうございます。そのとおりです。
何のための検証か、悪いところもいいところもきちんと見ていくということだと思いますので、今まで間違っていた方向で政策が動いていたというところも含めてしっかりと検証をしていただけるものだというふうに思っていますので、是非、期待しておりますので、看板倒れにならないようにしていただきたいなというふうに思っています。
そこで、武部副大臣が中心となられるということでありますけれども、水田活用の直接支払交付金の見直しについて、これも混乱を招いてきたわけですけれども、私たち立憲民主党は、二月二十二日、見直しに対する要請を農水大臣にいたしました。当日、武部副大臣に面会をさせていただきまして、三点について要請いたしました。
一つ目は、生産現場に混乱を起こすことがないよう、今回の水田活用交付金の見直しに関して、現場の生産者の意見を聴取した上で、一旦白紙とすること。二つ目には、生産者の営農意欲が失われることがないよう、今後、主食用米の作付転換を進めるに当たっては、農業者の経営に留意し、十分な予算を確保すること。三つ目に、我が国の食料安全保障の確立に向けて、米を始めとする農作物の支援の在り方について、公平公正な議論の下で、恒久かつ安定的な制度の確立に取り組むこと。以上三つ、この三点について要請をさせていただきました。
残念ながら、大臣宛ての要請ではありましたけれども、そのときは金子大臣にお会いすることができませんでした。武部副大臣からは御丁寧な御説明等もいただきましたけれども、全ての中身を私たちが納得するものではなかったかもしれませんが、改めて、大臣からこの要請についての御回答をいただければと思います。
○金子(原)国務大臣 先般、立憲民主党の皆さん方がお見えになりましたが、私は前からの予定が入っておりましたので、武部副大臣に代わって対応させていただいたわけでございまして、要請内容については、私も、ちゃんと受け取って読ませていただきました。
水田活用の直接支払交付金は、主食用米の需要が減少する中で、水田における主食用米から他の作物への作付転換を支援するための措置をしているものであります。
今回の水田活用の直接支払交付金の見直しは、この制度の趣旨を徹底するために行うこととしたものであり、要請書にある、今回の見直しを一旦白紙に戻すということは、なかなか難しく、できないことというふうに思います。
農林水産省といたしましては、今回の見直しを含め、需要に応じた生産につながるよう、必要な見直しを行いつつ、生産者を今後とも支援していく考えであります。
○金子(恵)委員 一旦白紙ではないけれども、大臣御自身も、やはり現場からの様々なお声というのは御理解いただいているものだというふうにも思います。混乱をした、そしてまた、今までの国の施策によって転作もしてきた、水田を活用するために頑張ってきた、その農家の方々は、国によって振り回されている、そういう思いがあると思うんです。やはり現場主義、現場を無視した政策づくりは駄目、現場主義、これが基本のところだというふうに思いますし、先ほど来申し上げている食料の安全保障に関するチームも、やはり現場主義でしっかりと検証していかなくてはいけないし、何のための農林水産省だということになると思います。
私、以前からいろいろ申し上げているんですが、農林水産省が一番現場の方々に寄り添っている、そういう役所だというふうに思っているんです。現場を歩いて職員の方々が頑張っている姿もずっと拝見させていただいておりますし。
ですから、大臣も先頭に立って、そのような方向で様々な検討をして、この見直しによって本当にお困りになるような方々が増えるようなことがないようにしていただきたい。いつも神谷委員もおっしゃっているんですけれども、例えば、畑地化した部分についても支援をしっかりとやっていく、所得が安定できるようにやっていく、こういう施策をつくり上げていただきたいというふうに思いますが、一言お願いいたします。
○金子(原)国務大臣 今回の水田活用の直接支払交付金というのは、平成二十九年に一応皆さん方にお伝えをして、これまでやってきた事業なんですね。
そういう中で、もう議員御承知のとおりに、需給バランスが非常に、大変厳しい状況です。米が余る状況の中で、どうして米政策をやっていくことがうまくいくかという中で転作というものが出てきたわけですから、そういったもろもろのことを考えていくと、我々は、この問題については、やはり従来どおりの主張どおりにやらせていただきたい。
ただ、しかし、現場でそういったいろいろな意見があるということはよくお伺いしておりますので、地域地域の実情というのをよくお伺いして、それにはまた対応していきたいというふうに考えております。
○金子(恵)委員 ありがとうございます。
最後の大臣の御答弁はとても重要なことだと思います。実情に応じた形できちんと対応していくという言葉をいただいておりますので、繰り返し申し上げますけれども、混乱を招いてしまった、しっかりと情報が届かなかったというのは事実でありますし、これ以上、本当に、お困りになる、苦しむ、悩む、そういう農業者の方々が増えないように、是非御対応をよろしくお願いいたします。
それでは、次の質問に入らせていただきます。
台湾が東京電力福島第一原発事故後に日本産食品に設けていた輸入規制を緩和したということが二月の二十一日に発表されたわけですけれども、中身を言いますと、福島、栃木、群馬、茨城、千葉の五県の全食品、酒類を除く、キノコ類や野生鳥獣肉を除く、そういう状況ですけれども、輸出が可能となったということでございます。
ただし、五県の食品は放射性物質検査の報告書の添付の義務づけ、全都道府県の食品は産地証明書の添付を義務づけている、そういう規制は続き、その撤廃というものも課題となっているということでありますので、まあ、半歩進んだかなと思いながらも、まだまだ課題は多いということでありまして、大臣も、これまでも、日本産食品の安全性は科学的に証明されており、規制は早期に撤廃すべきだとして働きかけをしているということであります。
もちろん、安全性は科学的に証明されているという部分について、いろいろな、諸外国の考え方もあったり、消費者の考え方もあると思います。ですから、やはり丁寧にいろいろな働きかけをしていかなくてはいけないということだというふうに思います。これは、国内の消費者の皆様方のお考えでも、やはりずっと続けて一割の方々は福島県産のものを例えば召し上がらないとか、そういう数字はまだまだ変わっていないということもありまして、本当に丁寧な丁寧な取組や、そして、諸外国に対しましては、あるいは地域に対しましては、やはりしっかりとした働きかけもしなきゃいけないと思っています。
どのような具体的な働きかけをこれからしていただけるのか、お伺いしたいと思います。
○金子(原)国務大臣 原発事故に伴う日本産食品への輸入規制につきましては、事故後、輸入規制を導入した五十五の国、地域のうち、現在までに四十一の国、地域が規制を撤廃しましたが、依然として、十四の国、地域が日本産食品に対して規制を維持しています。
今後の取組については具体的に言及することは差し控えますが、あらゆる機会を活用いたしまして、科学的知見に基づき規制を早期に撤廃するよう、より一層働きかけてまいります。
○金子(恵)委員 あらゆる機会を生かしていく、科学的知見、それを示しながら進めていくということであります。
そこで、処理水、ALPS処理水の問題が出てきておりまして、政府はもう既に海洋放出をするということを決めているわけです。でも、やはり、この準備をしている段階で新たな風評被害等が発生しているという状況であったり、まだまだ漁業者の方々は海洋放出に断固反対の姿勢をお持ちになっていらっしゃいます。
大変きっとデリケートな問題ではあると思います。私、福島県民としては、福島県だけが負担になるような、このような海洋放出というのはどうなんだというふうに思っています。もう既に、福島県民の多くは同じ考えをお持ちです。
しかし、もう政府は海洋放出を決めた。私たちは、もっと丁寧な、国民的議論をしてから方針を決めるべきだったと主張させていただいておりまして、昨年の段階で立憲民主党として政府に申入れもさせていただいているという状況というのは、大臣も御存じのとおりだというふうに思います。
実際に今後どのような取組をなさるのかということをお伺いしたいと思います。
大臣はしっかりと、所信の中でも、ALPS処理水への対応については、福島県及び近隣県で漁業を安心して持続できるよう、生産、流通、加工、消費の各段階における徹底した対策を行うこととし、風評被害対策等も含めて、政府全体で取り組んでまいりますとおっしゃってくださいました。具体的に何をしていただけるのか、お聞かせいただけますか。
○金子(原)国務大臣 農林水産省といたしましては、二〇一一年三月の原発事故以来、福島県を始めとする漁業関係者の皆様とは様々な形で対話を行ってきております。
私自身、農水大臣に就任後の昨年の十一月、福島県を訪問いたしまして、福島県漁連の野崎会長を始め、漁業関係者の御意見をお聞きしたほか、今年の二月の福島復興再生協議会に出席しています。
このほか、水産庁の本庁職員が、福島県漁連が毎月開催する福島県漁協組合長会議などの会議に出席をし、漁業者の皆様の御意見や御懸念をお聞きしております。これに加えまして、水産庁の出先機関である仙台漁業調整事務所としても、現場の状況やニーズの把握に努めております。
農林水産省といたしましては、引き続き、原発被災地の復興が確実に進むよう、今後もこういった対話を重ね、漁業者の皆様の御要望を酌み取った施策を立案してまいりたいと考えております。
なかなか、特に、いろいろと風評被害というのが一番大きな問題でして、この風評被害を払拭するためにはどうするかというのが一番のポイントになるのかと思っています。それはやはり、科学的な知見に基づいて、十分、それは日本だけじゃなくて、世界の皆さん方に理解していただけるような努力をこれから積み重ねていく必要があるのかなというふうに思っております。
○金子(恵)委員 ありがとうございます。
大臣がおっしゃるとおり、努力の積み重ねでもあるんですが、その努力を積み重ねていただいているのにもかかわらず、他省庁で余りよくないことをしてしまった。それは、御存じのとおり、ALPS処理水の安全性を示すチラシが、小学校、中学校、高校に直接、エネ庁、復興庁から送られてきたということがすごく問題になっているんです、今。
今、恐らく、大臣としては、水産業の現場の皆様方と、漁協の皆様方ともやり取りをされて、そして、いい関係を結ぼうとしている、信頼関係を結ぼうともしていらっしゃったと思います。でも、そのことで、漁業者の方々ももちろん御苦労はあります。一方で、ALPS処理水は安全だから海洋放出しても大丈夫だというふうな、本当に言いたげな、そういうチラシを、教育委員会を通さずに、安全性の押売のような形で教育の現場に送ってしまっているんです。これは政府に対する信頼というのも地に落ちますよね、当然のことながら。
手続論でいうと、手続は全く問題です。中身も、いろいろな考え方はあります。いろいろな考え方がある、国民的議論は全然まだ進んでいない、そういう状況だからこそ、安全性の単なる一方的な押しつけをしてしまったら、教育の現場の先生方とか、あるいは保護者の方とか、本当に、これは一体何のためのものなのか、そういう思いを持たれてしまったということなんです。
御所見を伺えますか、大臣。
○金子(原)国務大臣 大変機微に触れる問題でございますので、今後こういった問題が起こらないように、十分関係省庁と連絡を取り合って、本当に地域の皆さん方の立場に立った、そういった広報活動ができるように努めていきたいというふうに思っております。
○金子(恵)委員 ありがとうございます。
一回海洋放出がされたら、一番打撃を受けるのはやはり漁業者の方々なので、これは、農林水産省がやはりど真ん中にいていただいて、水産庁に頑張っていただいて、そして是非、取組を、政府全体でとおっしゃいましたけれども、取組を進めていただきたいし、今のような、本当に不信感をどんどんどんどん助長させるような、そういうことをしていけば、全く国民的議論すらできない状況で、福島だけが本当に厳しい状況にもっとなっていくと私は思います。是非よろしくお願いいたします。
残された時間でありますけれども、プラスチックによる海洋汚染が深刻になっているということから、農林水産業における取組についてお伺いしたいというふうに思います。
昨年成立したプラスチックに係る資源循環の促進に関する法律、この四月に施行されるんです。衆参の環境委員会による附帯決議も行われておりまして、衆議院の方の環境委員会に付された附帯決議の一項目に、これも私も携わりましたけれども、このようなことが書かれています。「漁具及び農業用の器具等に係る使用済プラスチック使用製品による環境汚染を防止するため、これらの環境への流出状況を把握し、その流出量の削減のため必要な措置を行うとともに、自然循環する生分解性素材等による海洋環境に悪影響を与えない代替製品の研究開発に一層努めること。」とあります。
農水省としてどのような取組をされるのか、お伺いします。
○金子(原)国務大臣 お答えいたします。
農業分野においては、プラスチック被覆肥料などでプラスチックが使用されています。これらの資材は、生産に不可欠である一方で、海洋流出などにより環境への負荷となっています。
このため、農林水産省では、マルチ栽培等で生分解性資材の利用や、プラスチック被覆肥料の流出抑制技術や代替肥料の導入など、環境に優しい生産技術の導入の実証を支援しているところであります。
また、漁業分野におきましては、生分解性プラスチックを用いた養殖用資材の開発支援やリサイクルを促進するための分解、分別しやすい漁具の試験研究などを行っているところです。
引き続き、こうした取組を進めることによって農林水産分野におけるプラスチックの使用削減に取り組んでまいります。
○金子(恵)委員 時間が参りましたので、終わります。
ありがとうございました。
○平口委員長 次に、緑川貴士君。
○緑川委員 皆様お疲れさまでございます。立憲民主党・無所属の緑川貴士です。
今日の御審議、ウクライナ情勢について御答弁、議論いただいております。ウクライナの情勢不安による国内農業関連の影響について、私からもお尋ねをいたします。事態の一刻も早い収束に向けて国際社会は一致結束していかなければならないという中で、やはり輸入関連の影響が深刻になる懸念がございます。
日本の十二倍の農地がある、ヨーロッパの穀倉と言われるウクライナ、そこに武力侵攻している産油国そして資源国のロシア、こうした情勢不安の中で、今、燃料、資材、穀物、飼料、各種の国際相場が更に上昇している状況です。今日御答弁でいただきました水産物そして肥料原料、こうしたものについても影響があるということで、直接日本は、穀物についての輸入はほとんどないというところなんですけれども、私からは、家畜の飼料用のトウモロコシについてお伺いをしたいと思います。
二〇一四年のクリミア半島の併合時と同じように、ウクライナからの穀物輸出が大きく制限されれば、例えば、トウモロコシをウクライナから輸入していた他の国々、その需要がほかの輸出国、アメリカなどに集中していくおそれがあります。アメリカ産に需要が集中すれば、主な輸入国である日本として、更なる値上がりという形でトウモロコシの飼料価格に跳ね返ってくる、飼料の十分な確保ということも難しくなってくるという懸念もございますけれども、現状でどのように御覧になっているでしょうか。
○金子(原)国務大臣 お答えいたします。
我が国では年間約一千二百万トンの飼料用穀物を輸入していますが、ロシア及びウクライナからの輸入量はごく僅かであります。両国と日本の関係でいえば、飼料の供給自体に直ちに支障を生じる状況にはないと考えています。
一方で、両国がトウモロコシや小麦の主要な輸出国であることを踏まえますと、今回の事態で穀物の国際相場に影響を与える可能性も否定できません。既に、トウモロコシの国際相場は、ウクライナ情勢を受けまして、二月二十四日に上昇しましたが、翌二十五日には下落し、週明けの二十八日には再上昇するなど、直近では不安定な動きとなっております。
こうした相場の動きが今後どうなるかを予見することは困難ですが、農林水産省としては、引き続き、トウモロコシ等の相場を注視してまいります。
○緑川委員 そもそも、元々の、ウクライナ情勢以前の問題であると思います。トウモロコシを始め飼料用穀物の国際価格、中国国内の旺盛な需要というものがこの数年続いております。そして、南米での不作が続いています。天候不順の影響で、非常に穀物の生産というもの自体が厳しくなっている。おととしから高止まりが続いているという状況。そこに、今また乱高下をしているというところでも高い状況での乱高下ですから、直ちに影響がないというふうに楽観視することは到底できないというふうに思っています。
国内の飼料メーカーは、当然、トウモロコシの調達先、アメリカだけでは不安になっていきます。様々多角化しようとしても、やはりどこも需要が厳しい、需要が本当に高くなっている中で、調達が厳しくなっている。
一方で、トウモロコシの代わりに小麦の利用を増やそうというふうになっても、これも、日本としてほとんどがやはり輸入です。八五%が輸入であって、ロシアとウクライナだけで世界全体の輸出の三割を占めるという穀物でありますから、その国際相場の上昇に伴う輸入価格の値上がり分というものをいよいよメーカーが吸収できない、それが生産現場を直撃していくことにもなっていく、そうなりかねないというふうに思います。
燃料の高騰の影響も受けてきた畜産、酪農の生産者にとっては、これはやはり追い打ちを受けているような状況になっています。
酪農に至っては、コロナの影響で生乳の需要が落ち込んで、生乳の六割を占める北海道では、来年度から十六年ぶりの生産抑制が始まります。他県でも需給調整が求められているという中で、売上げを伸ばすということができない状況です。余り搾らないでくださいね、値段も安くします、でも材料費は高いですよ、燃料費もかかりますよというのでは、これではやっていけないというふうに思います。
経済的に、本当に精神的にも負担が増している畜産そして酪農家への、この生産現場への配慮、そして更なる支援の在り方はどのように考えていらっしゃいますか。
○金子(原)国務大臣 お答えいたしますが、トウモロコシを主原料とする配合飼料価格の上昇に対しては、配合飼料の原料穀物の直近一年間の平均価格に対して当該四半期の平均価格が上回った場合に、その差額を補填する配合飼料価格安定制度があり、畜産経営への影響が緩和されます。
農林水産省としては、令和三年度の補正予算におきまして、本制度の異常補填基金への二百三十億円の積み増しを措置したところであり、引き続き、制度の安定的な運営に努めてまいります。
○緑川委員 この配合飼料価格安定制度、先ほどの御審議の中でも、四期連続で支出、拠出が続いているということであります。しかしながら、この影響が長期化しているという中で、調達してきたものが、いよいよ、価格のこの高さにもかかわらず、やはり物理的に調達できなくなる、そういう厳しさが出てくるという懸念も考えなければならないというふうに思います。
この不足する飼料を代替で補うような場合に、この成分割合も、配合飼料の中での割合も、これは多少の変動を覚悟していかなければならない。そうなれば、家畜の健康への影響、そしてまた、さらには、それを日々、都度管理しなければならない生産者への影響も出てきます。どのように対応されていきますか。
○森政府参考人 お答えいたします。
先ほど大臣から御答弁を申し上げましたとおり、今後、ロシア、ウクライナがトウモロコシ、小麦の主要な輸出国であるということで、穀物の国際相場に影響を与える可能性は否定できないところでございますが、一方で、日本の飼料穀物輸入につきましては、御紹介のありますように、アメリカですとか、ブラジル、アルゼンチン、さらに、飼料用小麦、大麦につきましてはオーストラリアが主体ということでございますので、そういった、既に多様な輸入先の方からこうしたトウモロコシ、小麦等の輸入をして確保しているという状況でございます。
また、飼料穀物につきましては備蓄制度の方もございまして、激変に対応できるような体制も対応しているという状況でございます。
当面、やはり中長期的な影響は見極めていく必要があると思いますが、農林水産省といたしましては、関係の事業者、さらに輸入事業者等とも情報共有を図りながら、安定的な飼料原料穀物の輸入に努めてまいりたいというふうに考えております。
○緑川委員 今やはり世界的に確保が厳しくなっている、調達競争にも発展しかねない状況であるということを楽観視できませんから、非常に注視をして対応していただきたいというふうに思っています。
そして、販売についても、酪農家では生乳が余っている。国内のものは厳しい需給調整が行われている一方で、これまでのグローバル化の中で、輸入というものは、この間、制限されずに継続してきています。牛乳の需要を喚起する取組も、「NEW(乳)プラスワンプロジェクト」というお話も、先ほどの御答弁もいただきましたけれども、やはり需要喚起策だけでは十分ではないです。
TPPなどに対する国内対策として、そもそも、畜産クラスターなどの大型の設備投資、多額の借金を抱えながら大規模化を進めてきた畜産家というものがいらっしゃる中で、収入が伸びないという、赤字を重ねるような状況になってきているわけです。
国策を信じてこれまで取り組んできた、そのグローバル化による帰結として今この大きな影響にさらされている生産現場に対して、融資返済も本格化してくる畜産家も多くなりますから、その不安を抱えている農家への猶予、あるいは柔軟な借換えの支援なども含めて、現場に寄り添って、声を聞いて、是非率先して国として対応していただきたいというふうに思います。
漁業の影響についてもお尋ねしていかなければなりません。
オミクロン株の感染拡大を受けて、今、三十一の都道府県、蔓延防止等重点措置が適用されています。飲食店にも営業時間の短縮などを要請しているところと、蔓延防止等重点措置内で要請されていないところもありますが、客足が落ち込んでいることから、要請されていないところでも自主休業している飲食店がかなり多いですね。
そうした中で、魚の需要というものが落ち込んでいます。地元のおすし屋さん、そこの魚を大きなお得意先としてそこに卸していた漁師の方が、御高齢ということもありますが、そのおすし屋さんは客足の厳しさから年明けから休業を決めて、そのために、その漁師さんの需要先がなくなったことをきっかけに、その漁師が廃業されています。
需要が戻るまで今を持ちこたえている漁師、漁業者でも、従来はその地域で捕れていた魚が、しかも捕れなくなっているという状況が今、各地域で起きています。
私の地元秋田県の県魚であるハタハタ、これも不漁だった、昨シーズンも大変な不漁だったんですけれども、そこに輪をかけて、昨シーズンの半減です。九五年、禁漁期間が明けたところ、その直後の数字以来の、この三十年では過去二番目に厳しい数字になっています。記録的な不漁になりました。
海洋環境が変化していることへの対策も併せてですけれども、この不漁続きのところに、漁船の燃料の軽油、こうした高騰の影響を受けている。漁に出ても赤字になって、需要先もしぼんでいる。この二重苦、三重苦、コロナの影響を受ける中でなりわいを維持していくことの難しさ、政府としてどのように認識して、どのように支援をされていくんでしょうか。
○金子(原)国務大臣 御指摘のとおり、漁業者の経営は厳しい状況に置かれています。農林水産省としては様々な対策を実施しており、燃油等の高騰につきましては、価格が上昇した場合に補填金を交付する制度を着実に実施しているところです。
また、不漁や需要減少の影響によりまして漁業者の収入が減少した場合には、漁業共済及び漁業収入安定対策事業による減収補填を行っているところであります。
水産物需要の減少については、水産物の消費拡大を進めていくことが重要と考えており、学校給食関係者向けの魚食普及セミナー等の開催や、簡便性に優れた商品開発等の支援を実施しているところであります。
特定魚種の不漁問題については、対象魚種や漁法の複数化、操業化など、状況に応じた操業形態への転換等の必要な施策の検討を行ってまいります。
これらの施策を組み合わせて、漁業者の経営を支援してまいりたいと思います。
○緑川委員 減収補填等々の様々なメニューの組合せというお話をいただいておりますが、例えば、漁業者、養殖業者に対しては水産庁の燃料代の補助制度というものがありますけれども、これらの制度も、事業者が次の原油の高騰に備えて積み立てた基金から補助を受けるという仕組みですから、今の時点で救われない。
この異例の燃料高騰の状況が続いている状況の中で、やはり、加入していない、そうした経営体は非常に大変な状況に陥っています。そうした制度の網に漏れている漁業者に対してはどんな支援をされていきますか。
○神谷政府参考人 お答えいたします。
現在、燃油対策につきましては、新たな加入者を募集中でございます。
農林水産省といたしましては、燃油対策につきましても、引き続き、事業者に対する影響を注視し、対策の効果を確認しつつ、更なる対応策の必要について検討してまいりたいと考えております。
○金子(原)国務大臣 加入していない方はこれから加入を勧めるということですが、実は、地域によっては、地方自治体が補填をいたしているところもあります。それは、特交とか、それからコロナ対策で出ているコロナ対策費の、地方創生基金ですか、こういったものを活用しながら、その地域においてどれだけ漁業が重要であるか、やはりこれを補填しなきゃいけないというのは、地域の判断によって、多くの地方自治体が、そういった対応をしているところもあります。
○緑川委員 水産庁の御答弁のところで、事業者を募集して、加入をしたとして、その補助の対象にはいつからなるんでしょうか。その加入したところでなるんですか。
○神谷政府参考人 お答えいたします。
四月一日からの対象となっております。
なお、つけ加えますと、現在、セーフティーネットへの加入件数は二万九千四百七十四件でございまして、令和三年十二月三十一日時点で、燃油を利用する漁業者等をおおむねカバーしておる状況だと認識しております。
○緑川委員 四月一日以前の部分でのこの影響の重大さというところもしっかりと御認識をいただきたいというふうに思います。
リスクに備えていなかったからだといってやはり切り捨てるのではなくて、通常ならば何とか操業できている、このコロナがなければ、そうした状況の経営体が非常に多く聞かれます。二年以上、本当に長引くコロナ禍でじわじわと打撃を受けてきた漁家、漁業者、こうした影響の中で救済に頼らざるを得ない、本来健全な経営体が苦境に立たされているというところの認識にも立ちながら、特段の配慮と後押しを求めてまいりたいというふうに思います。
エネルギー、資材、また穀物、こうした海外に大きく依存しているもの、そして、その依存のリスクが顕在化している中で、国際相場、また海上運賃の値上がり、物流の遅れという状況を踏まえて、政府は、緊急事態食料安全保障指針をこのほど改定して、昨年の七月、新設した早期注意段階というものをその月から適用されてきました。
食料の安定供給の懸念が生じる前に、平時から必要な情報の収集、分析、発信を強化してきたということですけれども、この事態の改善に向けて、具体的にどのような取組につなげてきたのか、この八か月余り、どういう効果があったのか伺いたいと思います。
○安東政府参考人 お答え申し上げます。
新型コロナなど新たなリスクの発生、主要穀物の国際価格や海上運賃の上昇等の状況を踏まえ、先生御指摘のように、昨年七月に緊急事態食料安全保障指針を改正し、早期注意段階を新設し、即時適用しております。
この早期注意段階では、平時からの情報の収集、分析等を強化しており、在外公館や調査会社等と連携した情報収集、分析、商社や業界団体との意見交換、報道機関等への適切な情報提供などの取組を重点的に行っております。
これにより、安定的な食料供給の確保への懸念が生じるよりも前の段階から情報の収集、分析や関係者への情報共有が可能となっており、引き続き取組の充実に努めてまいります。
○緑川委員 情報をやはり早くキャッチする、そして分析をしていく、それに越したことはないですが、情報提供されて、その先だと思うんですね。そうした知見、得られた知見とかデータというものをどういうふうに官民が連携して活用していくのか。今の現状の海外依存のリスクをどのように、長期にわたる取組が必要ですけれども、どのように改善を図っていくのかという道筋の一つの材料として活用していかなければ、やはり意味がないと思うんですね。
昨日の大臣の所信にはスマートやデジタルという言葉が多用されました。安全保障という視点からもこうした技術が十分に活用されるべきものだと思いますけれども、残念ながら、昨日の所信には食料の安全保障という言葉は一つも出てこなかったんですね。省内の検討チームは立ち上げたというふうに言いますけれども、この所信に書いてなかったことは、非常に、本気度というものも含めて、残念な思いがあります。
革新的な技術というものは進めていく、そして早期の社会実装には期待をしたいと思います。しかしながら、その不確実性の中で、農地、また水で育まれている農村、その生産基盤を食の安全保障を通じてどうやって守っていくのか、国内農業の発展にどうつなげていくのかという視点が、まずはこのデジタル、スマート以上に先に立たなければならないというふうに思います。
現状を客観的に判断する上で、食料安全保障に係る指針においても触れていきたいと思います。
お配りしている資料を御覧いただきたいと思いますけれども、食料・農業・農村基本計画で示している食料自給力指標というものです。
一方の食料自給率というのは、ふだん国内の食料消費が国内生産でどれくらい賄われているかというのを示すのに対して、食料自給力というのは、不測の事態が起きたときにどれだけの潜在能力があるのか。書いてあるように、花を栽培している農地、また荒廃農地をカロリーが高い作物の栽培に変えて、二毛作も可能な限り行った場合の指標がこの食料自給力。
これは、農地、また農業労働力、省力化の技術というものは考慮している。それに加えて、右の下線にも引いてあるように、原料をほぼ全量輸入しているような肥料、そして農薬、化石燃料、こうしたものも生産に十分な量が確保されているという、それを前提とした自給力指標の試算になっています。
平時の今でさえ、今の議論にあったように死活問題になっている、肥料や燃料の高騰、供給制限などが考慮されていない仮定の数字が不測の事態に当てはめられている、現実味を帯びない指標になっているんじゃないかと思いますが、いかがですか。
○安東政府参考人 食料自給力は、国内の農地、農業者などを最大限活用した場合に、国民一人につきどれだけのカロリーを供給できるかを示した指標でございます。
先生御指摘のように、肥料、農薬、燃料、種子などの生産資材は十分に供給されるという前提に基づく試算でございますけれども、これは、平素から潜在生産能力を把握し、その維持向上、必要性の議論を深めるという意味もこの食料自給力という指標については込めているものでございます。
○緑川委員 最大限活用した場合の指標であることは分かりました。
では、食料輸入が制限がかかっている、途絶するような、仮にそうした状況を想定するような不測の事態、そのときにおける、国内のその状況における食料自給力指標というものは考えられていますか。
○安東政府参考人 不測の事態に備えては、先ほど先生からも御紹介のあった緊急事態食料安全保障指針を定めておりまして、必要な対策とかレベルに応じて、レベルゼロからレベル二までございますけれども、その段階ごとの対策、それからその対策の機動的な発動の在り方をまとめさせていただいております。
食料自給力につきましては、繰り返しになりますけれども、先生御指摘の肥料等については十分供給されるという前提で試算をしておりまして、それが賄えないという前提での試算は行ってございません。
○緑川委員 やはり、条件が整った状況での生産力は当然ですけれども、食料安全保障というのは、条件が整っていない状況下を想定する、最悪の事態を想定しておくということが危機管理の要諦ではないでしょうか。不測の事態のときに発揮できる生産能力でなければ意味がないというふうに思います。
有機農業も進んでいない日本の現状においては、やはり肥料に代わる養分の不足を補わなければ作物が十分に育ちません。すなわち、単収が下がります。そして、燃料費、種子代の高騰などでも、生産コストが上がることによる営農の意欲の低下、農地の保全、労働力の確保にも影響していく。
こういう生産資材というものは、やはり農地、労働力とは切り離せない重要な生産要素であるというふうに思います。これらが不測の事態でもどれだけ確保されるかを考えなければ、潜在能力とは言えない。つまり、農地や労働力、農業技術という指標だけではなくて、生産資材も指標に加えて、その調達が困難な状況でどれだけ現状で対応できるのか、それを反映した自給力を考えるというのが食の安全保障であるというふうに思いますけれども、御見解を伺います。
○金子(原)国務大臣 食料・農業・農村基本法では、その基本理念として、国内の農業生産の増大を基本に食料の安定供給を図り、そのために、生産資材を含む必要な農業資源を確保することによりまして、農業の持続的な発展を図らなければならないとされています。
また、同法では、こうした理念を実現するための基本的な施策として、食料の安定的な供給のため、農業資材の生産及び流通の合理化の促進を図ることが位置づけられています。
農林水産省では、同法を踏まえまして、農作物の収量の維持、確保に必要な肥料を始めとした生産資材の供給の安定化に向けまして、全農やメーカー等の関係事業者や関係省庁と連携を取りまして、輸入先国の確保に取り組むとともに、堆肥等の運搬や散布など、輸入肥料原料から国内資源への代替に資する取組への支援を行っています。
今後とも、全農や生産資材の関係事業者、関係省庁の協力を得ながら、生産資材の供給の安定に努めてまいりたいと思います。
○緑川委員 生産資材の安定供給ということと、現状のこの数値を客観的に認識をするということは全く、御答弁がちょっとすれ違ってしまっていて残念ですけれども、時間がないので、最後に問わせていただきます。
これは、食料自給力指標にはない、そしてその根本である法律、今のこの食料・農業・農村基本計画には、国内の農業生産の増大に不可欠なはずの生産資材というものが法律に明記がありません。農業生産、食料自給の基礎として、この生産資材の確保を明確に位置づけるべきではないでしょうか。いかがですか。
○平形政府参考人 お答えさせていただきます。
現在の食料・農業・農村基本法の中では、第四条、ちょっと省いて言いますけれども、農業については、必要な農地、農業用水その他農業資源が確保され、その持続的な発展が図られなければならないというのがまず四条でございます。それから、三十三条でございますけれども、国は、農業資材の生産、流通合理化の促進その他必要な施策を講ずるものとするというふうになっておりまして、生産資材も含めた農業資材については、基本法の中には位置づけられているところでございます。
○緑川委員 質問はいたしませんけれども、やはりこの法律以下の具体的な自給力の指標に表れていないことは大きな問題であるというふうに思います。
国民が国産を買い支える意識、この現状をしっかりと示すことによって、国産を守らなければならないという国民の意識を高めることにつなげていく重要な議論だというふうに思いますので、水活のお話も今日は予定していたんですが、また議論させていただきたいと思います。
ありがとうございました。
○平口委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時四分休憩
――――◇―――――
午後一時開議
○平口委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。神谷裕君。
○神谷委員 立憲民主党、神谷裕でございます。
本日も質問の時間をいただき、ありがとうございます。
また、私からも、昨日、本院でも決議がなされましたウクライナの問題、これについては本当に一日も早くロシアが撤兵していただきたいと思いますし、一日も早くウクライナの皆さんに平穏な日が訪れることを私も心から祈念を申し上げたい、このように申し上げたいと思います。
本日は、大臣の所信に対する質疑でございます。しっかりと大臣の所信に対して、私から伺いたいことを様々聞かせていただこう、このように思っているところでございます。どうぞよろしくお願いをいたします。
早速でございます。ほかの同僚議員からも質問ございました水活について、私からもちょっと二、三質問させていただきたいと思います。
地元でいろいろとお話を聞いていますと、水活から外れるということがやはり相当経営的に怖いというような話を聞いています。特に中山間地、条件不利な地域ほど、そういったところでは大きな声が聞こえてまいりました。特にこういった条件不利地で水活から外れる、これがもう直ちに耕作放棄地になるんだ、そんな意見も聞こえてくるところでございます。
やはり条件のいい平場では田んぼを作られるんだと思いますし、あるいは、こういった中山間地において、これまで支えてきたこの水田活用交付金、これがなくなるということはやはり本当に怖いことなんだろうと思います。
このことについての所感を伺えたらと思います。
○金子(原)国務大臣 お答えいたします。
今回の見直しについては、水稲の作付が困難な農地は交付金の対象外との現行ルールを再徹底した上で、今後五年間に水稲の作付が行われない水田を交付対象としない方針としているものであります。
このため、水田機能を維持している水田が来年度から直ちに本交付金の対象外となることはありませんが、今後五年間の間に、中山間地域も含めまして、今後の産地形成をどのように図っていくのか検討していただきたいと考えており、その中で明らかになった現場の課題についてしっかりと検証していく考えです。
また、委員御指摘のような、本交付金の対象外となることにより生じる様々な影響についても把握し、どのような対応が必要か否かを検討していく考えであります。
○神谷委員 大臣、後段のところ、本当にありがたく思っています。
しっかり検証していただきたいんですが、やはり話を聞いていますと、当然、平場では復活もできるんですよ。ただ、中山間地は、やはりもう既に、均平というか、なだらかでなくなっているところも多い。そしてまた、この水活、かつては水田で主食用米というか、米以外のものを作ってもらおうというようなことでやってきたわけですから、当然、畑地化というか、実際、畑として使ってきたという経過があります。そういった中で、やはり中山間地ほど元に戻しにくいというのも、これは現実だと思います。現実に外れるとなったときに、経営は大丈夫なのかと心配するのは当然のことだと思います。
その上で、あえて重ねてというか、水田活用交付金がなくなってもう経営できないんじゃないかということをこれだけ指摘されるということは、実は、この条件不利地に対する支援が十分ではないんじゃないかということにも思い当たるわけでございますけれども、こういった中山間地に対する支援が十分ではないといったところについて、手厚くしていく、もちろん、地方負担も発生しますからそこは考えなきゃいけないんですけれども、やはりここは、中山間地あるいは条件不利地についても、しっかりと自立していけるだけの支援をやっていく必要があるんじゃないかと私は思うわけなんですけれども、これについて所感を伺えたらと思います。
○平形政府参考人 お答え申し上げます。
水活における今回の見直しでございますけれども、今後五年間に、各地域において、今後の産地形成をどのように図っていくかということを考えていただく。中山間地であっても、水稲を本当に条件のいいところで、有機栽培のお米をやるようなところもありますし、平場で、転作作物といいますか、転換作物をたくさんやるところもありますし、いろいろな産地形成があるんだと思います。そういった検討をしていただく中で、いろいろな明らかになってくる現場の課題についても、当省としてもそれはしっかり把握して検証していくというふうに考えているところでございます。
特に、中山間地域等の条件不利地域に対しましては、別途、中山間地域等直接支払交付金等による対策を講じているところでございます。委員御指摘のように、本交付金の、つまり水活の交付金の対象外となることによって生じます様々な影響についても把握し、どのような対策が必要か否かということについても検討を加えていきたいというふうに考えております。
○神谷委員 局長、ありがとうございます。
是非検討していただきたいと思いますが、何より、私は、耕作放棄地をこれ以上出してはいけないと思いますし、特に、先ほど大臣のお話にもあったんですけれども、別の委員のお話にもあったんですけれども、この国はやはり平場が少ない、七割以上が条件不利というか中山間になるわけでございますから、そういったときに、やはり、こういうところを切り捨てるとは言いませんが、なかなか戻せないのも現実だと思うんです。戻せないときに、直ちにやめていくなんということがあってはやはりいけないので、だとするならば、これに対する支援というのを、どういうアプローチをするかというのは多方面から考えていかなきゃいけない。
その多方面から考える上で、この中山間地直接支払いの話をしていただきましたが、一部地方負担があるのでここは厳に考えていかなきゃいけないところかもしれませんが、ここを厚くしていくことというのは一つの解決策にもなり得るというふうに私は思いますので、ここについても、率直に、何とか離農者あるいは中山間地の耕作放棄を出さないための方策として是非お考えをいただけたらということを重ねて申し上げたいと思いますし、是非御検討いただけたらと思うわけでございます。
水田活用の場合、先ほど酪農、畜産の話もございましたけれども、今年というかR四から、多年生牧草、単価が変わるという話が出てきておるところでございます。
多年生牧草の単価の変更について、農業者からはやはり様々な声を聞いております。経営的に考えたときに、これを当てにしていた、あるいは、当然、経営と考えると、もうかるところもあれば余りもうからないところもある、そういった中で経営を回している。確かに、播種年以外は手間がかからないんじゃないかというような御指摘はあるのかもしれませんが、そこも踏まえての経営だということを是非もう一度考えていただきたいと思いますし、何らかこれは考えていく必要があると思うんですけれども、そういったことについてお答えをいただけたらと思いますが、いかがでございましょう。
○平形政府参考人 お答え申し上げます。
水田活用の直接支払交付金につきましては、これまでも、毎年の作付転換の実施状況等を踏まえながら、毎年度、需要に応じた生産、販売、どうこれをうまく進めていくかということで、根幹は変えなくても、いろいろな見直しを行ってきているところでございます。
こうした中で、品目ごとの支援水準を再検討する中で、牧草については、収穫のみを行う年は、やはり播種、管理、収穫を全て行う年に比べてどうしてもコストがそれだけかかっていないということが明らかになってまいりまして、それで、令和四年度から、国の定める戦略作物助成、この単価を三万五千円から一万円にという見直しをさせていただいたところでございます。
一方、委員よく御存じのとおり、都道府県ですとか地域の判断で助成の対象の作物ですとか助成単価を設定可能な仕組みとして、産地交付金というものがございます。こういった、牧草を含めて、地域の中で、これは重要だ、あるいは地域の特色を生かした産地形成には是非必要だということであれば、この産地交付金の制度、これを十分活用していただく、そのための地域の合意を取っていただくということも非常に重要なポイントになるんじゃないかなというふうに考えております。
○神谷委員 今のも大変重要な答弁だと思います。
しっかりとやはりそういったところに対しても手当てをしていくことが必要だと思いますし、先ほど生乳の廃棄の話なんかもございましたけれども、やはり、この先、かなり不透明なところ、あるいは経営的にもどうなるのかなと思うところがあると思います。燃油あるいは飼料の価格高騰、そういった状況の中で、一方で、出ていく方がどんどんどんどん高くなる可能性があるのに、入っていく方が減っていくというようなことになると、これはやはり相当大きな問題だと私は思うんです。
だとするならば、やはり、こういうところをしっかりと支えていくということでのメッセージ、これがたまたまR四、この時期だということも余りよくないなと私自身は思っていまして、これが、例えば、それこそ激変緩和で何年後かというのであればまだ対応の仕方もあって、あるいは産地交付金の中から合意形成をいただいてということもあるのかなと思うんですが、直ちにということになってくると、ここはやはり心配なんだなと私自身は思うわけなんです。
特に、様々なものが上がっていく中での単価の切下げというのは、非常にタイミングが悪いと私は思います。ここについて、やはりしっかり考えていただきたいということを重ねて申し上げたいと思います。
そしてまた、水田活用のことについてなんですけれども、やはり、農業者の中では、農水省あるいは政府が言っているんだからその方針に頑張って従おうという方々が大勢いらっしゃいます。しかしながら、戻すに当たって、これまで長いこと実際には畑地化して使ってきたようなこともあって、戻すには相当コストもかかるというところが結構あると思います。
ただ、じゃ、これまで彼らが畑地として使ってきたことが悪いことかと言われれば、我々も、というか政府も、水田の中で別のものを作ってください、あるいは、実際には主食用米あるいは稲作以外のものを作ってくださいという中で、少なくとも畑のものを作っていく。そして、それをなるべく、当然、経営的に何とかいいものにしていこうという努力の中で、例えばこういった畦畔を取ったとか、そういうようなことが経過としてあったと思うんです。あるいは均平も取ってしまったというようなこともあると思います。
そういったものを、やはり、今回の方向性がしっかり示されたところで戻していきたいと考えている方々がそれなりの数いらっしゃると思います。長いことやっていると、例えば水田用の機械をまた再導入しなきゃいけないというような方もいらっしゃると思います。そういった方々について、こうやって政府のこれまでの方向性に従ってやってきたというような経過もあると思いますので、何とかそれを支えてあげる、後押しをしてあげる、そういったことも必要なんじゃないかと私は思うんですけれども、これについての考え方、教えていただけたらと思います。
○金子(原)国務大臣 水田活用の直接支払交付金につきましては、議員御承知のとおり、平成二十九年度に交付の根拠となる実施要綱を改正しまして、あぜなど水をためる設備を有しない農地や用水路を有しない農地など、水稲の作付が困難な農地は交付金の対象外であることを明確にしており、その旨を毎年通知しているところであります。現在、交付金は、通知に従って、地域農業再生協議会において交付対象水田と整理されている農地に支払われているところであります。
今後五年間の間に、水田機能を有しながらブロックローテーションの実施が困難な課題がある場合、それを丁寧にお聞きした上で、検証し、どのような対応が必要か否かを検討してまいります。
なお、主食用米の需要が毎年減少すると見込まれる中、畑作物の定着した水田は畑地としての利用を進めていくことが必要であると考えており、畑地化のための支援を措置しています。委員が指摘されるような水稲作付のために相当の費用を要するといった農地につきましては、畑地として利用していくことが適切と考えています。
○神谷委員 大臣、そこは若干違うんじゃないかと私は思います。
畦畔を取っているのはもう除外するよ、二十九年にあるよというお話をいただいたんですけれども、このときの予算要綱の改定は、一時的に畦畔を除去していたとしても対象になっていたはずです。ただ、一時的という言葉がどれくらいの範囲を示すかというのはあるかもしれません。ですから、直ちに畦畔を取ったから駄目だということではなかったということを是非もう一度確認をいただきたいと思います。
その上で、もう戻せないところは、大変なお金がかかるところは畑地として使ってくれというのは、思いとしてはあるのかもしれませんが、この政策そのものが、水田活用交付金の対象とする範囲として、もう一度五年以内には水稲の作付をしてほしいと言っていて、それに対応しようとしている、ただ、お金がかかるところは畑地化、これはやはりちょっと政府の方針としても切ない答弁だと思うんですけれども、ここは、もう一回、どうでしょうか。
○平形政府参考人 お答え申し上げます。
委員今おっしゃられたとおり、今の要綱の中では、水田機能を喪失しているかどうかという中で、一つは、湛水、畦畔等を有しない農地というのがあるんですが、一方で、作物の生産性向上のために一時的に畦畔を撤去している場合は除くというふうになっております。
これはどういうことかと申しますと、長年にわたり畦畔がなくなっているような状態ではなく、一時的に畦畔の一部分を抜いたり、あるいは、隣り合った畦畔のところを取って畑地として大きく利用するような場合、そういったものを想定してやっているものでございまして、基盤整備等を行わないともう一度水がためられないというところまで一時的にというふうに読むのはとても難しいというふうに考えております。
一方で、水田でなくなったとしても、畑地については、例えば輸入する農産物と価格を競争しなければいけない麦ですとか大豆ですとか、そういった作物については、よく御存じのとおり、ゲタ対策というのが行われておりますし、また、野菜ですとかいろいろな対策についても、これは、水田、畑地問わず、我々としては施策をしっかりやっていくというふうに考えておりますし、今回のこの五年間の見直しの検証の期間の中、どういう政策が本当に必要かどうかということについては、これはしっかり検証していきたいというふうに考えております。
○神谷委員 今、図らずもゲタ対策のことを言っていただいていましたけれども、この今の状況のゲタではとてもとても間尺に合わないというのが現状じゃないかなと私は思っています。要は、喜んで畑地化できない理由はそこにもあるように私は思っています。
ですので、できれば、このゲタの幅についても今後議論をしたいなというふうに思っていますが、今日はそこまでは触れません。
是非、様々な地域に行っていただいて、説明というのではなく、話を聞いてきてください。そして、その上で、現実に対応しようとしている、あるいは頑張ろうとしている、なおかつ、耕作放棄地を出さないように頑張ろうとしているところに対しては、是非、様々な形で支援というのか、支えていただきたいと思います。それがやはり、今、この水田活用交付金の方向についての皆さん方にとって一番必要なメッセージだと私は思います。是非そういった観点から、検証というのか、作業を進めていただけたらと思います。
大臣、その辺、もう一回、そういったことについての答弁をいただけますでしょうか。
○金子(原)国務大臣 先ほど局長から話がありましたように、地域地域によっていろいろな実情があると思いますので、そういった現場の意見をよく踏まえた上でいろいろと検討させていただきたいと思っています。
○神谷委員 ありがとうございます。是非その方向でお願いします。
畑地になったところがどうなるか、あるいは、これから変えようとしている、元に戻そうとしているところがどうなるのか、あるいは、中山間地はどうなのか、そういったことも含めて、様々な角度で、何よりも農業者が困らないように、是非お願いしたいと思います。
質問を進めさせていただきます。
コロナの関係でございます。
私自身、米作り地帯なものですから非常に関心があるんですけれども、米価下落の要因にはコロナの影響があると考えているのか、まずそれを教えてください。
○平形政府参考人 お答えいたします。
令和三年産米の米価につきましてですが、一つは、近年、米の価格が比較的高かったことから、令和元年、二年産で需要減少に見合った作付転換、これがなかなか進まなかった事情がございます。また、特に令和二年の春頃から新型コロナの影響によりまして、特に業務用の需要が減少、これが顕著だったというところでございます。それによりまして民間在庫が増加し、令和三年産の米価がこのように低くなっている、そういった背景になっているというふうに考えております。
対策の方も話してもよろしいでしょうか。
このため、昨年十月なんですけれども、米の当面の需給の安定に向けて、一つは、新型コロナの影響による需要減に対応する十五万トンの特別枠、これを設けまして、長期にわたる保管料の十分の十、それから販売促進経費の二分の一の支援、また、令和二年産米の調整保管を行う米穀周年供給事業の補助率も四分の三に引き上げるというような対策を行ってきたところでございます。
さらに、令和三年産米を対象にした同米穀周年供給事業の対象期間も五か月間前倒しをし、事業の申請を受け付けたところ、二十六万トンの申込みがございました。
この両事業の活用を通じた長期計画的な販売により、需給の安定に向けた市場環境、これは整備されつつあるというふうに考えております。
○神谷委員 ありがとうございます。
様々、今、調整保管というのか、周年供給事業というのか、保管の話もしていただいて、その助成をするという話をしていただいたんですが、必ずしも、現在の米価に対する影響というのはどれくらいあるのかなというのが、私自身、余り見えにくいなというのが率直なところでございます。
なかなか米価の回復というのは難しいなと思っておりますし、これは長期戦になるかもしれません。そういったときに、ここをどういう形で支えていくかというメッセージがやはり大事だと私は思っています。
もちろん、主食用米を作ることも大事だと思います。供給過剰というところはあるのかもしれませんが、その一方で、やはり、お米農家に別に罪があるわけではありませんから、今の価格で所得を確保するというのが第一だと思いますので、だとするならば、ここをしっかり手当てをしていただきたいと思います。今の対策が必ずしも利いているとは私には思えません。
そういったところで、是非いろいろなこと、要は、最終的に米価がどうなっていくのかにもしっかり注視をしていただいて、様々な対策をこれからも続けていただきたいというところでございます。
米以外にも様々な作物が需要減退によって在庫などが滞留しているというふうに聞いております。これは、長引くとまたこれ以降もどんどん悪さをしていくことになると思いますので、この解消についてどう考えていくのか、お願いをいたします。
○武部副大臣 コロナの影響で様々な作物の需要減退、在庫の影響が出ているというふうに承知しております。
農林水産省では、令和二年度一次補正予算と三次補正予算によりまして、新型コロナによるインバウンドや外食需要の減少等の影響を受けている国産農林水産物について、販売促進や販路の多様化を支援してきております。
さらに、新型コロナによる需要減少等の影響を受けている生産者に対する支援については、令和三年度補正予算においても、販路新規開拓緊急対策事業を措置しております。本事業を通じて、引き続き、新型コロナの影響を受けている国産の農林水産物について新たな販路を開拓する取組を支援してまいりたいと考えております。
○神谷委員 是非、いろいろな形でこれも進めてください。これは長引けば長引くほど大変なことになると思いますので、是非よろしくお願いをしたいと思います。
今日は深掘りをする議論の場ではないと思いますので次に進みたいと思いますが、コロナの影響という意味では、外国人の労働者が入国できないという影響が言われておりますし、私の地元でも、現に外国人労働者が来ないことによって大変な影響を受けております。
これに対しての対策、影響、これをお聞かせいただきたいと思います。
○金子(原)国務大臣 お答えいたします。
外国人材の来日が困難であることに伴う人手不足につきましては、国内の外国人人材の在留延長や他産業からの雇用等により、必要な労働力の確保に努められているものと認識をしています。
農林水産省におきましては、産地内外の労働力の募集やマッチングの取組の支援を行うとともに、代替人材の雇用によるかかり増し経費等に対しまして支援しているところであります。
水際措置が見直され、本年、昨日三月一日から、観光目的以外の外国人の新規入国を認めることとされたところでありますが、引き続き、現場における労働力の状況を把握するとともに、これらの事業の活用などによりまして、各地の労働力の確保を後押ししてまいります。
○神谷委員 大臣、このコロナでの水際対策、外国人の数を、五千人なのか、受入れ抑制というような形でやっていると思うんですけれども、逆に言うと、厳格に、例えば二週間なら二週間隔離をする、その上で感染していないかどうかを白黒つける、これをむしろ厳格に適用してしまえば、そういった外国から受け入れられる方々というのはきっちりできるんじゃないかと逆に思うんですね。国を制限したりあるいは人数を制限したりではなく、そこの入り方のところで厳格に水際対策をやってしまえば、私は、逆に、むしろこれはできるんじゃないかと思うんです。
そういった意味で、考え方を少し変えていただいて、現場は相当困っていると思います。日本人で何とか、それも考えは分かります。ただ、現実に何とかなっていないし、これまで長いこと外国の方とおつき合いをいただいて、働いていただいて、慣れている方も大勢いらっしゃる、そういう方々が入れない。やはりこれは、産地にとっても、あるいは雇用される側の皆さんにとっても、余りいいことではないと思うんです。
是非、そういった水際対策の見直しでここはクリアできるんじゃないかとむしろ思うんですが、そういった考え方で何とか外国人の働き手の方を確保する、そういったことは考えられないものなのでしょうか。いかがでしょう。
○光吉政府参考人 お答えいたします。
外国人材につきまして、今大臣から御答弁申し上げたところでございます。
それで、日本人の代替人材だけではなくて、在留期間を延長された外国人の方を活用されるとか、様々な取組が行われていると思います。
それと、水際の話でございますけれども、先ほども御答弁申し上げましたけれども、三月一日から見直しが行われたということでございまして、これは、今後、日本人の帰国需要なども含めて、その状況を見ながら、どういうふうにしていくかということを政府全体で検討されていくものと考えております。
○神谷委員 徐々に、少しずつ広がっていくんでしょうけれども、留学生もそうでしょう、あるいは働き手もそうでしょう、かなりの方が滞留しているし、これは逆に、厳格にやることによってできるはずなんです。問題なのは、分からない方がそっと入ってくることだと思っているので。
そこは、やはりもう一回考えていただいて、現実的な対策を是非取っていただきたいということを重ねて申し上げたいと思います。是非、政府部内で御検討いただけたらと思います。
次に、燃油、資材高騰の対策について伺いたいと思います。
報道では、一月の農業資材価格が八%上昇しているというような話がありました。ただ、一方で、作物価格というのは市場で決まってまいりますので、農家が決められるわけではありません。そういったことで考えると、やはり資材が上がっていくということは大変なことだと思うんですけれども、これに対しての対策も含めて、所感を伺いたいと思います。いかがでしょうか。
○宮崎大臣政務官 お答えを申し上げます。
昨年来、原油価格、海外運賃の高騰などによりまして、A重油や肥料といった農業生産に必要な資材の調達コストが増大しているものと認識をしております。
農林水産省といたしましては、これらの影響を緩和するために、施設園芸農家の皆さんに対しまして、燃油価格の上昇に応じて補填金を交付する制度や省エネ機器の導入の支援でございますとか、土壌診断や堆肥等の国内資源の利用拡大など農業現場における化学肥料節減等に資する取組への支援、こういったことを実施をしているところでございます。
今後、農業者の経営安定に向けまして、各生産資材の状況や生産活動に対する影響を注視をさせていただきまして、特に、原油価格の上昇につきましては、更なる対策の必要性につきましても検討を進めてまいりたいと思います。
○神谷委員 ありがとうございます。
それでは、水産はどうでしょうか。いかがでしょう。
○金子(原)国務大臣 現在、漁業で利用されている燃油価格が高値水準であることは承知しております。
漁業者等においては、経営費に占める燃料費の割合が高いことから、燃料等の価格が上昇した場合の経営の影響を緩和するための補填金を交付する制度を着実に実施しているところでございます。
確かに、セーフティーネットという制度の仕組みがあるんですよ。もう議員も御存じだと思います。一対一でやりましてね。先ほど緑川議員からもお尋ねがありましたけれども、なかなか、それで全部をカバーするというのは非常に難しい。しかも、浜値というのは漁協によって全然違うんですよ、地域によって。
だから、仮に国がこういった制度を打ったとしても、直接生産者に入るかどうかといった問題もあるし、そして、地域地域によって実情、実態が違うところがあるので、私はやはり、できるだけ市町村とか県が、ある一定のことを考えながら、それを特交とか、また、今回の地方創生交付金というのは意外と幅広く使えるんですよ。こういったところを活用してやっている地域もあるように見えますので、そういったことについても、今後、我々も話し合っていきたいというふうに思っております。
○神谷委員 大臣、そのとおりでございます。
一方で言うと、燃油対策というか、燃油は、多分しばらくは続くし、ひょっとするとこのまま上がっていく、更に上がっていく可能性もあると思います。ですので、こういった対策は時間稼ぎ。その上で、本質的なところは、どうやって、省エネ化というのか、余り使わないようにしていくのか、さらには、この燃油価格であっても経営を回せるか、そこまで持っていくことだと思いますので、もう大臣は十分御承知だと思うので、是非ここについても頑張っていただきたいということを申し上げたいと思います。
輸出について伺いたいと思います。
農林漁業者へのメリットについて、この一兆円のうちどれくらいあるのかなというのは、私自身、非常に疑問でございまして、農林漁業者へのメリット、輸出についてどれくらいあるのか、そういったことを是非考えていただきたいのと、あと、そもそも、五兆円という目標を掲げていただいておりますけれども、この五兆円に至る道筋というのか根拠、これについて伺えないでしょうか。
○渡邉政府参考人 お答えを申し上げます。
二〇二五年の二兆円、二〇三〇年の五兆円という目標を掲げているところでございますけれども、これは、牛肉といった畜産物、米、あるいはホタテといった水産物、日本酒などの加工品、そういった輸出の重点品目を中心といたしまして、生産基盤の強化ですとか、海外への販路の開拓、加工品の輸出対策の強化、そういった取組を総合的に進めることといたしまして、主要品目ごとの輸出の目標を考慮して作成されたものでございます。
また、諸外国と比較して我が国の輸出割合が低い中で、農林漁業や食品製造業の国内生産額約五十兆円の約一〇%を海外市場へ販売することで、五兆円の目標の達成が可能となるというふうに理解をしております。
また、二〇二一年の輸出実績の相当程度は一次産品でございまして、また、加工食品にも国産原料が相当割合使われていると考えられますので、農林水産物、食品の輸出拡大は農林漁業者の利益につながるものと考えております。
○神谷委員 本当の意味で一次産業というか農林漁業従事者の方に輸出のメリットが裨益をするのであれば、何も文句は言いません。ただ、実際に見ていると、やはり加工のものが多いであるとか、そんなような話、御批判も聞いているところでございます。
今例示をいただいた部分はあると思うんですけれども、ただ、現実には、そういうふうに現物が行っているのか。もちろん、加工で出すことも大事だと思うんです、付加価値をつけるという意味で。最終的に、輸出というものに当然我々も反対するものではありませんが、実際に、農業者、あるいは漁業者、林業者、こういった方々にメリットのある輸出戦略でなければ、この農林水産委員会というか農水省がやる意味もないのかなと私は思いますので、ここについては是非お考えをいただきたいと思います。
ですので、農林水産省が言う輸出の主体というのは何なのかということについて、いま一度確認をしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○渡邉政府参考人 お答えを申し上げます。
農林水産物、食品の輸出を拡大するためには、海外の規制やニーズに対応した生産に加えまして、物流の効率化や日本ブランドを活用した売り込みなど、様々な取組が重要だと考えております。
このためには、農林漁業者はもちろんでございますけれども、さらに、加工から流通、海外販売までの各段階の事業者がそれぞれの役割を果たして輸出に取り組むことが必要だと考えております。
このため、生産から海外販売までの事業者が輸出に向けた取組を的確に行うことができるよう、品目ごとの団体の組織化ですとか金融面の支援などを行う輸出促進法の改正を今国会の中で目指していきたいというふうに考えております。
農林水産省といたしましては、輸出の拡大を通じまして、我が国の農林水産物、食品の利用の促進を図りまして、農林漁業者の利益の増進につなげていきたいと考えております。
○神谷委員 是非、そこは忘れないでいただきたいと思います。その辺についてはもう今更言うまでもないことでございますが、大臣、よろしくお願いをしたいと思います。
このほかに、農地政策と水産政策についても質問をさせていただこうと思っていたのでございますが、質疑時間も参りましたので、この質問については別の日に譲らせていただきます。
本日は、どうもありがとうございました。
○平口委員長 次に、梅谷守君。
○梅谷委員 立憲民主党の梅谷守と申します。
今回、常任委員会、初めての質問に臨ませていただいています。新潟六区の皆さんから国会へ送り出していただいたその感謝と思いを胸に、経験と実績が豊富な大臣の胸をかりる気持ちで臨ませていただきますので、どうぞよろしくお願いします。
また、今回、質問作りに当たりまして、多くの農水省職員の皆さんからたくさんの御協力をいただきました。感謝を申し上げます。
そして、何よりも、今、この新型コロナウイルス対策、また、原油価格、エネルギー価格の高騰などで大変厳しい状況下にある、そうした中で懸命に農林漁業を守ろう、営みを守ろうと頑張ってくださっている、汗をかいてくださっている全ての方々に、心からの敬意と感謝を申し上げます。
まず、ウクライナについてお伺いさせていただきたいと思います。
緊迫するウクライナの情勢なんですが、これに対して、国内でも、国民の方々、不安を覚えない方はいないと思います。ですので、午前中も質疑があったようですけれども、私の方からは、このウクライナ情勢における我が国の農林漁業に及ぼす影響について、そして、その上で、国民の皆さんの安心につながるメッセージを大臣から是非お聞かせいただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
○金子(原)国務大臣 午前中も答弁したように、ロシア、ウクライナは小麦やトウモロコシの主要輸出国でありますが、これらの品目について、我が国は両国からの輸入はほとんどしておらず、現時点では食料供給への影響は確認されていません。
一方、ウクライナ情勢が緊迫化する中で、原油や穀物の国際相場は不安定な動きを見せています。我が国とウクライナの農林水産物の貿易はほとんどありませんが、ロシアは、二〇二一年の我が国の農林水産物の総輸入額のうちの約二%、金額で二千億円であり、主に、カニ、サケ・マス、製材を輸入しています。また、二〇二一年の我が国の農林水産物の総輸出額のうちロシア向けの割合は約〇・五%で、金額で六十一億円あり、主にインスタントコーヒーやアルコール飲料を輸出しています。
ウクライナ情勢が我が国の農林水産物の輸出入等に与える影響を懸念する声があることは認識しており、農林水産省といたしましては、在外公館や調査会社、関係企業等と連携した情報収集、分析を強化し、引き続き注視してまいりたいと思います。
○梅谷委員 大臣、ありがとうございます。是非、これを御覧になっておられる国民にとって、不安が少しでも軽減されることを祈ってやみません。
戦争は、言うまでもなく、弱い人にそのしわ寄せが行きます。戦争とは、国と国の戦いなんかではない、武器を持ち、残虐な行為を行う一部の人間たちと、その他大勢の、ささやかな幸せと平穏な日常を願う、武器を持たない世界中の人たちとの戦いだと私は考えています。
ロシアに対し、即刻の攻撃停止と部隊の撤収を強く私も求めております。仮に長期化した場合でも、ロシアに対する制裁の手を緩めないようにするためには、やはり国民の生活がきちんと守られる、影響が及ばないようにすることが肝要だと思っています。その意味で、農林水産省としても、その所管に限らずとも、いろいろ他と連携しながら、この点、十分に注意して対応していただくことをお願い申し上げます。
大臣所信について、ちょっと私の方から感想を申し上げさせていただきます。
感想なんというと本当におこがましいんですが、いただいた大臣所信表明と過去の五年間の所信表明、全部拝見させていただきました。
基本的に、少しずつ修正を図りながら毎年毎年臨まれている。構成そのものはそんなに大きく変わっておらず、あえて言うならば、今年は畜産と漁業がすごく分量が増えて、その意味では大臣の熱い思いがここに込められているのかなというふうにも拝察をいたしますし、また、やはり大臣ならではの姿勢なんでしょう、現場をということを強調されているようにも拝見しておりますので、是非その点、お願いをしたいと思います。
その上で、いろいろな文言もなくなったり、そして、新しい文言が増えたり。新しい文言も幾つか増えました、新しい資本主義という文言を始めとする。ただ、事務方と事前にいろいろ話を聞かせていただいたら、それほど新しいことをやっていないというのか、今まで、これまでずっとやってきている取組を新しいキーワードで掲げている、それはそれで新しいことだと思いますので、新しいキーワードを掲げることそのものが、それを見て国民の注目を集めるということは大事だと思いますので、そのことはもちろん否定はしておりません。
その上で、今回文言がなかった私なりの問題意識、地球規模の食料問題とか、フードセキュリティー、SDGs。SDGsは、一昨年にこの文言は載っていましたけれども。欧米を中心とする国際的な動向などを視野に入れながら、我が国としてどのように食料自給率や食料自給力の向上に努めるのか、どのようにして環境保全型農業の拡大を目指すのか、そして、これらを通じて多面的機能をどのように維持するのか、こうした問題意識を、課題意識を持ちながら、何よりも軸足を現場に置いてこれから私も大臣と一緒に日本の農業を盛り上げるために頑張ってまいりますので、よろしくお願いいたします。
今回、多面的機能という文言が二か所盛り込まれました。去年はなかった。一昨年はありました。その前はなかった。ここに来て二か所盛り込まれました。ここはすごくいいことだなと思っています。
自分の話をするようで恐縮ですけれども、私は元々東京生まれ東京育ちなんです。それが、御縁があって、新潟六区、本当にすばらしい地域ですけれども、政治活動をさせていただいております。
その中で、特に東京に住んでいた頃ですけれども、余り勉強しなかったので私だけかもしれませんが、農林漁業の多面的機能と言われてもぴんとこなかったですね、正直言って。そして、その上で、今こうして新潟六区の方々と、育てていただいて、本当につくづく感ずるのが、日本は都市部だけでもっているんじゃない、やはり地方と都市部がお互いに支え合って日本の魅力を織りなしているんだということを本当につくづく感じさせていただいておりまして、だからこそ、数や効率では都会にかなわないかもしれないけれども、地方にもっと政治の光を当てなければならず、そのために、農林漁業でひたむきに汗をかく方々がもっと思い切り力を発揮していただくことのできる環境を政治がそれこそ大胆に築き上げていかなければならないと私は考えています。
多面的機能が食料・農業・農村基本法で定義づけられてから二十三年。日本でも農業関係者の間では相当浸透してきているのかなというふうに思います。平成三十年に農林水産省大臣官房統計部が行ったアンケート調査によれば、農業、農村には食料を生産すること以外に、洪水の防止や自然環境の保全、良好な景観の形成などの様々な役割があること、すなわち多面的機能、これを知っているというのが四八・九%、知らないと回答した割合が五一・一%。また、知っていると回答した者で、この役割を多面的機能と呼んでいることを知っているが二三%。これの数字が大きいか少ないかは判断に任せなきゃいけないんですが、これは、聞いたら、アンケートの対象はどうやら食品関係者とか農業従事者。全国民にやっているわけではないんですね。
だから、ここでそろそろ質問に入らせていただきますが、私は、今この農林漁業をもっと大胆に前に進めるには、やはり新しい施策に伴う予算獲得がどうしても必要なんだろう、そのためにはやはり綱引きがどうしても他省庁とあるわけでして、その中で、じゃ、どうやってその綱引きで少しでもこっちに引き寄せるかといったら、やはり国民の理解、これが不可欠だと思っています。理解と支援。
そのためにも、なぜ農林漁業に、これだけの税金で支えなければならないのか、なぜ人口の少ない中山間地に税金を充てなければならないのかといったような、都会に住む方々からの疑問にしっかりと答えることが重要だと思っています。そして、その背骨となるのが、自然とは何か。すなわち、多面的機能の重要性を国民全員が認識することだと私は考えています。
農業、農村の多面的機能は大変重要であり、国民全体への理解に広げていくべき、学校教育を始めとする普及啓発が必要であると考えますが、見解をお伺いします。
○牧元政府参考人 お答えを申し上げます。
農業、農村の有する多面的機能でございますけれども、今委員から御指摘いただきましたように、国民全体が享受していることはもとより、農林施策についての御理解をいただくという意味でも、その内容や重要性につきまして、広く国民の皆様方の御理解を得るということが大変重要だというふうに考えております。
そのような中で、これも委員から御指摘いただきましたように、令和元年の農林水産統計によると、多面的機能の認知度は約五〇%ということでございます。これにつきましては、一定程度認知はされているものの、依然として十分ではないのではないかなというふうに認識をしております。
そしてさらに、この中で、多面的機能の中で特に何が重要だというふうにお尋ねしたところ、「雨水を一時的に貯めて洪水を防ぐ」といったようなものについては五〇%以上と大変高い割合を示しているわけでございますけれども、一方で、「体験学習や教育の場になる」というようなものについては約一五%ということで余り御理解をいただいていないということで、機能別にも非常に濃淡があるのではないかなというふうに考えているところでございます。
このため、農業、農村の有する多面的機能について、白書への記載、ホームページへの掲載、パンフレットの配布等を通じまして、幅広く国民の皆様方に普及啓発を図るということが大変重要というふうに考えているところでございます。
○梅谷委員 ありがとうございます。是非またその意識を強くしていただいて、国民全体への理解に広げていくことを私も期待をしております。
次に、大臣所信にも文言がなくなっていた食料自給率、これについてお尋ねをさせていただきます。
食料自給率は、言うまでもなく、食料・農業・農村基本法の第十五条三項でこれの向上を図るというふうに書かれているわけでして、ただ、これまでいろいろな議員の先生方が質問されているのを議事録で拝見させていただきました。基本的に、目標を達成するのは大丈夫か、三七%となっているけれども本当に届くの、どうやってやるのという質問だったと私は受け止めていますが、周知のとおり、食料自給率の計算式では、分母は国産品から輸出分を差し引くけれども、分子は国産品そのまま。輸出をこのように扱うため、農林水産省による輸出促進政策というのが見た目の自給率を引き上げる効果があると思います。
二〇三〇年に五兆円の輸出目標を達成すると食料自給率は幾らアップするんでしょうか。お伺いします。
○安東政府参考人 お答えを申し上げます。
農林水産物、食品の輸出額につきましては、二〇三〇年に五兆円とする政府全体の目標を設定しています。
二〇三〇年度の食料自給率目標をカロリーベースで四五%と設定しておりますけれども、このうち輸出額五兆円による寄与度は三ポイント分と試算してございます。
○梅谷委員 ありがとうございます。
このタフな輸出目標をクリアしても三%。今三七%だとすれば、四〇%。目標には届かない。
そこで、改めてお尋ねしますが、この目標値に達するためにどのような取組を現時点で行うお考えで、そして、決意をお伺いしたいと思います。
○金子(原)国務大臣 お答えいたします。
食料自給率目標につきましては、食料消費面と農業生産面で取り組むべき事項を明確にした上で、品目ごとに消費の見通しと生産努力目標を設定しまして、それらを積み上げた結果、四五%と設定したものであります。
生産面の取組といたしましては、担い手確保や農地の集積、集約化により、国内農業の生産基盤強化を図るとともに、今後も拡大が見込まれる加工、業務用需要や海外需要に対応した生産を支援してまいります。さらに、国産農産物が消費者から積極的に選択される状況をつくり出すため、食育や地産地消など、消費面の取組も進めてまいります。
これら生産面、消費面の施策を総合的に講じることにより、食料自給率を向上させていく考えであります。
○梅谷委員 ありがとうございます。過去の答弁とそこまで大きく変わるわけではないというのが、今のお話を伺わせていただいて感じたところです。
食料自給率には、これも釈迦に説法ですけれども、国民に必要な食料確保として、この水準を超えていれば問題ないというミニマムの水準がない。国内消費と国内生産の関係で、数式で決まるものだからです。これに対して、先ほど緑川委員もお話しされたようですけれども、国内の食料供給力については、国民に必要な食料確保の観点からミニマムの水準を設定することができる、こうした食料安全保障に関する議論を深めるために、二〇一五年に、食料・農業・農村基本計画において農水省は食料自給力を初めて指標化をしました。
東大の農学部の元教授で、また福島大学の食農学類教授の生源寺眞一先生が、ほか十三名の専門の先生方の寄稿を集めて編著をされたんですね。その「二十一世紀の農学」という中に、このようにあります。
「食料安全保障の観点から憂慮されるのは、現在の食生活からコメ・小麦中心の食生活に転換しても食料供給力が千七百キロカロリー程度であるところにある。しかも国内の農業生産は縮小傾向にある。その動向次第では、食料供給力はさらに低下する懸念もある。食料自給率の問題の核心部分はここにあるといってよい。目標とするべきは、食料自給率の向上よりも、食料自給力の向上なのである。」こういうふうに指摘をし、そして、「安定した社会のためには、ミニマムの食料確保が不可欠」、中略、「潜在的な食料供給力の水準をたえず確認し、これを向上させる施策に取り組むことは重要な政策課題である。」としています。
そこで、お尋ねしますが、この食料自給力を今後の食料・農業・農村基本計画の中に目標値として盛り込むべきだと考えますが、いかがでしょうか。
○金子(原)国務大臣 お答えいたします。
食料自給力は、我が国の農林水産業の潜在的な能力を把握するため、現在の農地、農業者、農業技術等を最大限に活用した場合、国民に対してどれだけの食料を供給できるかを試算した指標です。
現行の基本計画においては、令和十二年度の食料自給率目標を設定するとともに、同年度の食料自給力指標の試算も行っています。
食料安全保障を確保する観点から、平時のみならず、不測の事態を想定しておくことも必要であり、食料自給率、食料自給力のいずれも維持向上させていくことが重要と考えています。
○梅谷委員 今、私の聞き間違いでなければ、目標とし、指標化しているというふうにおっしゃったので、これは、じゃ、目標値ということでよろしいんでしょうか。令和十二年度のやつ。
○安東政府参考人 お答え申し上げます。
食料自給力は、我が国の農林水産業の潜在的な能力を把握するため、現在の農地、農業者等を最大限に活用した場合に、国民に対してどれだけの食料を供給できるかを試算した指標でございます。
一方で、この指標は、不測時に供給できる熱量を保証するものではございません。あくまで最大限に活用した場合の指標でございますので、達成すべき政策目標とすることにはなじまないのではないかと考えてございます。
○梅谷委員 ありがとうございます。
ここはなかなか、まだ見解が、私の考えとはちょっと違うところですけれども、私自身としては、やはりこれを指標のみならず目標に据えるべきだというふうに考えています。
続きまして、子供への食支援について質問させていただきます。
また、所信になかった食料安全保障という文言、この観点から、所得格差、とりわけ低所得層の食料確保が重要です。この問題は、食料価格が上昇したときに対症療法的に行うというだけでなくて、所得再分配の在り方をしっかりと政策課題につなげるべき問題だというふうに私は考えています。現在のエネルギー価格の高騰などで本当に食料価格が上昇したとき、低所得層の方々には特に深刻な影響を与えることはもう言うまでもありません。
これも御承知だと思いますが、厚生労働省の二〇一八年調査では、中間的な所得の半分に満たない相対的な子供の貧困率は一三・五%、約七人に一人が貧困状態にあります。特に、一人親世帯では五割に近い。そして、このコロナ禍で生活に困る方がますます増えています。
こうした子供への食料確保の問題に対しては、市民レベルでの取組は大分広がっています。これに対して、農水省は、子供食堂などには九十キロだったのが百二十キロに今、枠を拡大しましたし、上限とし、そして、昨年二月からは、家庭に食品を直接届ける子供宅食、これに対し、一団体につき年間三百キロを上限として、それぞれ政府備蓄米を無償提供しています。今年度の実績は、ちなみに、子供食堂は二百四十一件、十九トン、子供宅食には二百八十九件、七十五トン。
この数量は、子供食堂では何とか、いや、厳しいと思いますけれども、何とかなるかもしれません。しかし、これが宅食となると、三十キロを十袋なんというのはあっという間なんですね。一月ももたない。もちろん、何度も申請できますよというたてつけですけれども、仕組みですけれども、そこの事務手続が煩雑。だから、農水省としては日本全体の備蓄米の開放と言うかもしれないけれども、量的には、正直、微々たる量だというのが現場からの声です。この少ない量に対して煩雑な書類申請は割に合わないということで、申請しないというところもあるんです。
昨年十二月、暮れには、私も会員の一人であるJAえちご上越青年部というところがあります、ここが、米を精米してフードバンクじょうえつというところに届けました。その量一トン。この一トンの米を十二月のフードパントリー、ここで配り切る。これを考えたら、全国でこの量はやはり少な過ぎると思います。
農水省は、政府備蓄米の無償提供の目的を食育の一環としての御飯食の推進としています。また、フードバンクは、フードロス削減を目的にスタートしています。それで、ここに今、生活困窮者対策の目的が加わりました。農水省からすれば、これは厚生労働省、我々の所管じゃないというふうに思われるのかもしれませんが、違和感を覚えているかもしれませんが、だからこの提供量の慎重さが見えているんじゃないかという現場の声も聞こえてきます。
そこで、お尋ねします。
このコロナ禍における政府備蓄米の無償提供の政策目的をどのように考えていらっしゃるのか、また、この量で現下の子供たちの厳しい生活を支えるに足るとお考えなのか、お尋ねします。
○平形政府参考人 お答えいたします。
農林水産省では、政府備蓄米を子供食堂、子供宅食を対象に配付ということを始めているんですが、これは、将来の消費者でありますお子さん、それから、御飯を通じて地域ですとか日本に対して理解を進めていただきたい、そういう食育という観点から始めているところでございます。
元々、政府備蓄米につきましては、本来、国民全体の供給の不足に備えてためておくものでございますので、その無償交付については、元々、試験研究、教育の用に供するという中でもできることを考えて、このようなことをやっているところでございます。
委員のお話の中でも、子供食堂百二十キログラム、子供宅食三百キログラム、それから、昨年の七月からなんですけれども、今まで年一回の申請であったところ、四半期ごとに申請をしていただくというふうに運用改善をどんどんどんどん図ってきておりまして、現在、申請があったものについてはほぼ全てについてお応えをしているところでございます。
今のところ、実は、これは市町村も都道府県も農政局も通じず、我々本省が直轄でそれぞれの子供食堂の方、子供宅食の方と直接お話をしながら、どういう書類が要るかというのも相談しながらやっておりますので、そういった意味での手続の煩雑さというのは、相当、実は間がないという意味では、ないと思っております。
今のところ、我々の中で言うと、ほぼ全てのニーズに応えられているかなという感じではありますが、ただ、委員がおっしゃるようなことがあるのであれば、よくよくお話を伺って、どういった改善ができるか、それについても考えていきたいと思っております。
○梅谷委員 丁寧な御答弁、ありがとうございます。私のところには間違いなくそういう声が届いています。
そして、私の地元のフードバンクじょうえつでは、生活困窮者に対する宅食を行っています。彼らは、有償ボランティアに対しては最低賃金を補助、ガソリン代についても一キロ十六円、その運行管理とか、あと全体の運営や有償ボランティアの管理を行っているんですね。この有償ボランティアには福利厚生がなくて、職員として雇えるような補助金の仕組みになっていないんです。
政府はフードバンクを通じた生活困窮者支援を事業としてやらせる気があるのかどうか、仕組みとして本当に必要と感じているのかどうか。今の御答弁からは必要だとおっしゃっていただいたと受け止めていますので、是非その拡大を、拡充を期待してなりませんが、しっかり事業を行う気であれば、こういう最低賃金だけで人件費の積算を求めるというような仕様にはなじまないんじゃないかと思います。
だから、食料を必要としている方々に向かうには、当然そこにコストがかかるわけでして、それを、ただボランティア、ぎりぎりボランティアのような形だけでやっていただけるのではなくて、中心を担う方々には有給になるような仕組みをつくっていくべきと考えますが、いかがでしょうか。そして、農水省がやられているフードバンク予算は予算規模がそもそも少なく、拡充すべきと考えますが、大臣、いかがでしょうか。
○水野政府参考人 お答えいたします。
フードバンク活動が将来にわたって持続的に継続していくためには、その自立性を確保していくことが大切であると考えております。
農林水産省では、新型コロナウイルス感染症を受けた需要量の急増などの変化に対応できるよう、人件費を含めた支援を行っているところでございますが、その際にも、活動の自立性を確保するということが重要であると考えておりまして、その点で、委員御指摘のあったような一定の条件をこの事業の実施に当たって設けているところでございます。
引き続き、現場の声をよく聞きながら、必要な支援についてはできる限りのことをしていきたいということで考えております。
○梅谷委員 ありがとうございます。
時間も大分限られてきたので。
農水省として、私は、この事業は内閣府で受けるべきだなというふうに考えています。その上で、政府備蓄米の運営の在り方や財源、米の需給と価格に影響を与えない仕組みなどを検討して、米による食の支援の拡充の実現をもって、本当に困っている方々のところに支援が行き届くことを期待してなりません。よろしくお願いします。
最後に一問、時間もないので簡潔に移らせていただきます。
古米の呼称変更についてお尋ねをします。
米の輸出、消費拡大には、食料の確保のみならず、質の確保もとても重要になってきます。すなわち、お米の持つイメージをよりよくすべきことは言うまでもありません。
その中で、私、気になっているのが、新米と古米というこの呼び方、どうしても新鮮さや粗悪さといったイメージを持ってしまう。技術の進化が進んだ今、現代、この新米と古米のイメージでおいしさを格付するようなことから脱却すべきではないかというふうに考えています。
例えば、イタリアでは、古い方が価値の出るビンテージ米というのもある。私の地元では、全国に先駆けて雪冷熱エネルギーの活用が進んでおりまして、農産物の貯蔵や建物の冷房を用途とする雪室、これが安塚という地域を中心に市内各地にすごく設置されているんですね。もう言うまでもないですけれども、雪室の内部は温度変化が少なくて、そして雪室貯蔵の米は新米同様のおいしさを保つ。ほかにも言えば、ジャガイモ等の野菜は糖度が増し、肉はドリップが少なく良質な熟成肉になり、日本酒やコーヒーなどはまろやかな味わいになる。是非、大臣からも、副大臣からも、お越しいただいて、味わっていただきたいんです、私の地元に。
質問にします。最後にします。
古米の呼称を熟成米とかビンテージ米などに変更すべきと考えますが、いかがでしょうか。大臣の御見解、大臣、これは大臣でお願いします。
○金子(原)国務大臣 古米の呼称は、集荷業者や流通業者に広く慣行として使用されているものであり、国が古米の呼称を一方的に見直す立場にはないと考えています。
一方、米などの穀物については、適切な温度、湿度の管理がなされれば品質劣化が少ないと言われており、一部用途には新米でないことを売りにしている販売も見られるところであります。
今後、米の需要拡大を図っていく中で、このような呼称が市場にどう評価され、使われていくかを注視したいと考えています。
○梅谷委員 ありがとうございます。ちょっと切ない御答弁をいただいたんですけれども、これを機に御検討いただければと思います。
私、こんな質問をさせていただいたのは、るる、とにかく米の消費拡大、そこから今、現下で、米価下落で苦しむ農家の方々、その方々の少しでもお支えになれればという思いで質疑をさせていただきました。
どうもありがとうございました。
○平口委員長 次に、長友慎治君。
○長友委員 国民民主党の長友慎治です。
昨日、大臣から所信の表明をいただきました。また、農林水産省からも予算の説明をいただきましたので、そちらに沿って質問をさせていただきたいと思います。
まず、みどりの食料システム戦略について伺います。
私は、みどりの食料システム戦略、非常に画期的だと思っております。是非、絵に描いた餅ではなく、しっかりと実現したいと思っているんですけれども、このみどりの食料システム戦略に基づく政策として、有機農業の拡大に取り組むと大臣からの所信がございました。具体的にどのくらいの耕地面積を有機農業に拡大し、そしてオーガニック市場を創出していく計画なのか、まずお伺いいたします。
○金子(原)国務大臣 お答えいたします。
みどりの食料システム戦略では、二〇五〇年までに有機農業の取組面積を百万ヘクタールに拡大する野心的な目標を掲げているところであります。
この目標は、日本の一人当たりの有機食品の消費額がアメリカの約十分の一程度である中で、有機食品の国内市場規模は過去八年間で四割拡大し、今後更に拡大が見込まれること、世界の有機食品市場が拡大する中で、我が国からの有機茶などの輸出量も大きく増加していること、農業に新たに参入する者のうちの二割以上が有機農業に取り組むなど、取り組み意欲のある者が相当存在すると考えること、近年、米や根菜類など、有機栽培で安定的に生産できる品目が出てきていること、生産者や食品事業者等からは、二〇五〇年に向けてであれば、EU並み、二五%の目標は可能であり、意欲的な目標を掲げてほしいとの御意見をいただいたこと等から設定した数字であります。
この達成に向け、具体的には、有機栽培で安定的に生産できる品目においては先進的な取組を横展開していくとともに、抵抗性品種の開発、除草ロボットによる省力化など、有機農業に取り組みやすくなるような様々なイノベーションを創出し、普通の農家が経営の一つの選択肢として有機農業に取り組むことができる環境をつくっていく方針であります。
特に、先進的な取組の横展開につきましては、有機農業者の育成や国産有機農産物の需要喚起等の支援に加えまして、令和三年度補正予算によりまして、市町村が主体となって様々な関係者と連携して行う、生産から消費まで一貫した有機農業拡大に向けた取組を支援することとしております。
○長友委員 大臣、大変力強く、そして意欲的な目標までいただきました。ありがとうございます。
私は、非常に画期的だと思っております。今、有機農業に取り組んでいる皆様が、大臣の今の答弁を聞いて、非常に勇気づけられていると思います。
これは、ある意味でのムーンショットだと私は理解しております。ムーンショットを打ち上げていただいた。ムーンショットという言葉は、アメリカのケネディ大統領がアポロ計画を発表するときに、一九六一年に、六〇年代のうちに月面着陸を実現するということを力強く宣言したことによって、イノベーションや、これまでの、今までの実績を積み上げたフォアキャスティングでは目標は達成できない、バックキャスティングでしっかりと目標を達成するんだ、そういう力強い意思を感じておりまして、私も是非、御協力、そして実現していきたいと思っております。
その中におきまして、例えば、有機農業の割合を耕地面積でいうと百万ヘクタールに増やしていただけるという話です。今、現状、日本の耕地面積四百万ヘクタールのうちの百万ヘクタールですから、私たちの周りにある、見えている農地の四分の一が有機になるということです。これはすごいことだと思います。
一方で、既存のJAの皆さんにしっかりと協力してもらえなければ私は実現がなかなか難しい目標ではないかというふうに感じておりますけれども、そのことにつきまして、JAの皆様の御協力ということは得られるのでしょうか。お聞きしたいと思います。
○金子(原)国務大臣 当然、この百万ヘクタールを目指す以上は、地域のJAと、また市町村の協力がなくては到底難しいと思っていますので、JAとは十分話合いを進めながらこういった問題に取り組んでいっているところでございますので、今後とも御理解を深めていただくような努力をしていきたいというふうに思っております。
○長友委員 ありがとうございます。
JAの皆様と、しっかり地域と連携して取り組んでいただけるという力強いお話をいただきましたけれども、じゃ、面積を広げました、そのために、今度は出口が必要になってきます。作っても、きちんと市場がなければビジネスとして成り立ちませんので、オーガニック市場を創出していくということが大事になってくるかと思うんです。
今、日本全国で、給食にオーガニックを取り入れたい、オーガニック給食を推進していきたいという動きがあることはもう皆様御存じだと思います。私も、地元の子供たちに、地元の安心で安全な食べ物を、そして旬で新鮮なものを食べてもらうということは食育の意味でも非常に大事で大切で、いろいろなところで実現していきたいなと思うんですけれども、このオーガニック給食を導入することを国が主導的役割を持って推進していく、若しくは、支援するメニューというものを考えていらっしゃるようでしたら教えてください。
○平形政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど大臣の答弁の中でもございましたけれども、令和三年度の補正の中では、市町村が主体となって、生産者、流通、それから消費の方々と連携して、生産から消費まで一貫した有機栽培を、作って、それで渡して、利用していただく、そういう一貫した活動を支援しようと思っておりまして、その中で学校給食の利用というのはかなり現実的な問題でございまして、いろいろ、今三、四十の市町村で取組が進んでおりますし、こういったところをより各県の中で育てていき、それを横展開するというための事業を今仕組み始めたところでございまして、これを是非横展開していきたいというふうに考えております。
○長友委員 ありがとうございます。
横展開していくということですので、私も地元で是非広めていきたいと思っております。
有機の取組を広げるというときに、必ず、ある心配事が出てきます。つまり、無農薬、無化学肥料で育てるわけですから、慣行農業に比べると、病気がはやってしまったりして、収量がどうしても落ちるのではないか、そうなってしまった場合に、消費者がその部分を負担しないといけない、若しくは農家さんの収入が上がらないのでは意味がない、そういう不安も出てくるわけでございます。
また、国が、食料自給率をカロリーベースですけれども二〇三〇年までに四五%にするという目標を掲げています。そこについて、この有機農業を革新的に広げていくという部分で整合性が取れるのか、影響は与えないのかということにつきまして教えていただきたいと思います。
○平形政府参考人 お答え申し上げます。
委員の御指摘と直接合っているかどうかというところはあるんですけれども、有機につきましては、特に、有機のJASというのがございまして、これを取得して、これを目印に消費を拡大するということがかなりあるんですが、実は、この有機JASの取得に関しては、取得するかしないかというのは農業者の販売戦略ですとか経営判断によることなんですけれども、この認証の取得によって販売機会の拡大、これがかなり図られるということで、これを取得しやすい環境をつくっていくということも実は我々の中では大きな課題だというふうに思っております。
農林水産省は、令和二年度より、新たに有機農業に取り組む農業者を対象にした有機JASの制度に関する研修の受講の支援をやったり、都道府県の中で有機農業の指導員の育成によって、指導、相談体制、こういったものを整備していて、加えて、農業者の負担を軽減するための有機JASの運用改善として、令和三年十月からグループ認証で圃場のサンプリング調査を進めたり、令和三年度補正では、運用改善の効果を検証するために、グループ単位で申請を行う農業者に対して認証費用の支援みたいなことを行っておるところでございます。
いずれにしても、この有機の認証を得て、それで、販売だとか、いろいろな機会のところに売っていく、売る機会をしっかり確保する、そういったものの体制整備、これには是非農水省としても支援をしていきたいというふうに考えております。
○長友委員 ありがとうございます。
グループ認証、グループで取っていくということは非常にいい取組だとは思うんですけれども、農水省の資料が私の手元にあります。皆様も御存じだと思うんですが、有機農業の取組面積につきまして、平成二十一年から平成三十年度までの有機JAS認証を取得している農地、増えた割合と、有機JASの認証を取得していないけれども有機農業を行われている農地。JASの認証を取ったところが平成二十一年から平成三十年度でプラス二〇%に対して、有機JASは取っていないけれども有機農業をしているよという農家さんは四五%あるわけなんです。ここのギャップが私は気になっています。なぜJAS認証を取らない農家さんがこれだけいるのか。
私は、有機JAS認証を取る手続であったり費用面の負担が大きいのではないかというふうに考えているんですけれども、改めてお聞きします。有機JASの認証を取るための条件、そして費用がどのくらい現場の生産者さんに対してかかってくるのかについて、お答えいただけますでしょうか。
○平形政府参考人 お答えいたします。
委員おっしゃるとおり、有機JASというふうに我々が見ている中でも、有機JASの認証を取得されているところ、つまり、第三者機関によって認証を得ているところと、自分たちの中で有機の栽培の仕方をしているというふうに言われているところとございます。
今回の有機JASの認証に関しては、一圃場当たりといいますか、一つの認定当たりは年間十万円とか数万円というふうなお話は伺います。ただ、それは圃場の規模によって、数ヘクタールの方がやはりそれをやろうとすると、数百万円の売上げの中で十万円とか二十万円というのはなかなか大変かなと思いますし、五十ヘクタールぐらいの規模でやっていらっしゃる方であれば、多分、一件の認証として見ればそれほどでもないということかもしれません。
そういった意味で、今回、私も申し上げたんですけれども、グループ認証だとか、そういったことでできるだけまとまっていただいて認証を取っていただく、そういった負担の軽減ですとか、そういったことに関してもいろいろ支援はしていきたいというふうに考えております。
○長友委員 ありがとうございます。
これだけ、みどりの食料システム戦略において有機を是非広げていきたいということであれば、有機JASの認証を取る費用は国費で僕は賄ってもいいぐらいじゃないかというふうに思うんですけれども、国費で負担する、補助するということというのは考えられないことでしょうか。
○平形政府参考人 お答えいたします。
有機認証を取得するかしないかというのは、先ほど申しましたとおり、農家ですとか産地の中での販売戦略それから経営判断で、相手がどういう方かによって、直接顔の分かる方に対して販売する場合は必ずしも認証を取らなくてもということかもしれませんし、そうではなくて、不特定多数の方に、とにかくいろいろな方に認識していただいて買ってもらうという方に関してはやはり取られた方がいいのかなというふうに思っております。
そういった産地ごとの戦略に基づいて判断されるものでございまして、我々としてみると、有機認証の取得経費そのものを国費で払うというよりも、やはり、その取得に要するための研修の受講ですとか相談体制、そういったものをまず整備して、どういう需要があるのかということについてもしっかり検証してから考えていきたいというふうに考えております。
○長友委員 どのような需要があるかを検証していただいて取り組んでいただけるということでしたので、私もいろいろと地元の声、現場の声をお届けしていきたいと思いますので、是非前向きに取り組んでいただきたいと思います。
続いての質問になります。
大臣の所信の中に、活力ある農山漁村を次の世代に継承するために、日本型直接支払いにより地域を下支えしつつ、デジタル技術も活用して農山漁村発のイノベーションを推進するということがありました。
こちらの農山漁村発イノベーション、どのように推進していくのかお伺いします。
○牧元政府参考人 お答えをいたします。
この農山漁村発イノベーションでございますけれども、これは、活用可能な農村の地域資源を発掘いたしまして、磨き上げた上で、他分野と組み合わせて所得、雇用をしっかり確保していく、こういった取組の意味でございます。
これを推進するためには、農山漁村に賦存いたします多様な地域資源をしっかり保全をしていくこと、また、新事業を創出するためのインフラ整備、さらには、この農山漁村発イノベーションに必要な人材の育成、確保ということが極めて重要であると考えております。
具体的には、農林水産省といたしまして、この農山漁村発イノベーションを推進するために、まず一つには、日本型直接支払いなどによりまして地域資源をしっかり保全していく、守っていくということ、そして、地域の活性化やスマート農業の実装を促進するための情報通信環境の整備、こういったものを支援をしていきたいと考えております。
これに加えまして、農林水産業に関わります多様な地域資源を活用して付加価値を創出するための商品開発等の取組でございますとか、これらの事業に取り組む事業者の相談窓口の設置、あるいは地域が有する多様な課題解決のための専門家派遣というものを支援することによりまして、農山漁村発イノベーションに取り組む人材の育成、確保を図っていきたいというふうに考えているところでございます。
農山漁村発イノベーションを着実に推進し、農村地域の所得、雇用機会の創出を支援していく考えでございます。
○長友委員 ありがとうございます。
これまでも、農林水産省として、生産者さんたちの所得向上を含め、六次化等、取り組んでこられていると思います。
私が期待したいのはイノベーションということなんですね。イノベーション、今までの従来のやり方ではなくて、新機軸を打ち出さないといけません。新結合、新しい切り口、新しい捉え方で知恵とアイデアを持って社会課題を解決する、新たな価値を創造するというのがイノベーションの定義だと私は思っています。
そのようなイノベーションを起こせる人材をどうやって育てていくのか。また、先ほど答弁の中に、相談窓口の設置、専門家を派遣するということをお聞きしましたけれども、イノベーションを起こせる人材をどうやって見つけてくるのか等についてお聞きしたいと思います。
○牧元政府参考人 お答えを申し上げます。
この農山漁村発イノベーションを進めるためには、今委員から御指摘いただきましたように、従来からの六次産業化の枠を超えて、やはりいろいろな分野との連携というのがすごく大事だと思っております。
分野との連携と申しますと、これまでも、例えば観光と連携して農泊とか、あるいは福祉と連携して農福とか、いろいろな試みが行われてまいりましたけれども、更にそれを超えていろいろな分野との連携を進めていくということが重要かと思います。
そして、そのためには、今委員から御指摘いただきましたような、やはり人材の育成、確保が必要ということでございます。
このために、具体的には、この四年度の予算の中で農山漁村発イノベーション対策というのを盛り込みまして、その中で、農山漁村発イノベーションサポート事業ということで、サポートセンターというものをつくりまして、そこから、高度な専門家の派遣とか、あるいは新事業を起こす起業家の皆様方と農山漁村とのマッチングとか、そういうものを支援していきたいというふうに考えているところでございます。
○長友委員 ありがとうございます。
イノベーションを起こすための高度な人材を派遣するということがありました。
これはまたちょっと省庁が変わりますけれども、私、実は、地元で中小企業支援をしてきた人間でございます。商工会議所の専門家派遣、また経済産業省のよろず支援拠点等のコーディネーターの皆さんと一緒に、地元の中小企業支援をする、地方創生を行うということをやってきております。
その中で、人材派遣であったり専門家派遣、また、よろず支援拠点のコーディネーターを選考する過程で、地元のニーズを酌み取って最後まで伴走していただく人材というのは、なかなかいないんですね。成果が出るまでしっかりと責任を持って進めてくれる人材、なかなか出会うことができませんでした。
イノベーションを起こす人材となると、もっと、私は、民間の世界から連れてこないと見つからないと思っております。
キーになるのは、本気でイノベーションを起こそうとする情熱がある人で、そしてビジネスセンスがあって、アイデアがある人。そういう人材をしっかりつけていただかないと、結局、地元の農山漁村の方が、いい人が来てくれるということで相談に行ったら、大して、なかなかブレークスルーできるアドバイスがなかった、そういうふうな期待外れのサポートセンター等にならないように申し上げまして、お願いしたいと思います。
最後、農地バンクの御質問をさせていただきたいと思います。
食料自給率を上げるということにつきましても、やはり田畑を集積していくことが必要だということを私も認識しておりますので、農地バンクの取組は是非推進していきたいと思うんですけれども、先日、報道で、農地バンクの予算が、二割が未使用で、七年間で二百三十八億円が使われていなく、集約が停滞しているというような記事が出ておりました。
このような状況につきまして、御認識と改善への取組をお聞きしたいと思います。
○宮崎大臣政務官 お答えを申し上げます。
農地バンク創設時の平成二十六年度から七年間におきまして、農地バンク関連予算、約一千二百五十三億円でございますけれども、そのうち、約二百三十九億円が不用となったところでございます。
この約六割が、平成二十六年度、これは初年度でございますけれども、及び平成二十九年度の当初予算でございまして、農地バンク設立の初年度であったこと等が理由でございます。
令和元年度当初予算から、予算額の執行の実績と要求額を厳しく精査をしておりまして、執行状況は改善をしておるところでございます。
こうした取組を継続的に行いまして、予算の着実な執行に努めてまいりたいというふうに考えております。
○長友委員 ありがとうございます。
農水省は、二三年度まで、大規模経営を目指す農家や企業への農地集積率を八〇%にする目標を掲げています。そのための予算を用意していらっしゃると思うんですけれども、今現在、現在というか、私が持っている数字では、二〇二〇年度末時点での集積率は五八%にとどまっていると伺っています。
八〇%にする、二三年度までに、この目標の達成についてはいかがでしょうか。
○光吉政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のように、令和五年度末までに全農地の八割を担い手に集積するという目標を設定しております。令和二年度の農地集積率は五八%でございます。目標の達成に向けて、更なる取組を強化していかないといけないと思っております。
今後、高齢化、人口減少、これが本格化していくわけでございますけれども、地域の農地が適切に使われなくなるおそれ、懸念というのがございます。こうした中、農地が利用されやすくなるように、農地バンクを活用した農地の集約化等を進めていかないといけないと考えておりまして、そのための法制度の整備を現在検討しているところでございます。
○長友委員 ありがとうございます。
農地バンクの改革、整備、非常に大切な取組と同時に、みどりの食料システム戦略、私もしっかりと取り組んでまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
以上で終わります。
○平口委員長 次に、田村貴昭君。
○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。
まず、ロシアのウクライナ侵略は、戦後の国際秩序を根底から揺るがす暴挙であります。厳しく糾弾し、ロシア政府に対し、軍事行動の即時中止、ウクライナからの撤退を断固として要求するものであります。
質問に入ります。
ロシアとウクライナは、世界の小麦輸出の三割を占めています。穀物輸出大国です。ロシアは三千五百万トン、ウクライナは二千四百万トンを輸出しています。コーンや大豆も同様に、大きな比重を占めています。
情勢が悪化するならば、国際価格は今以上に高騰し、特に配合飼料の高騰に拍車をかける可能性が出てまいります。もとより世界の人口増、それから気候危機による不作など、食料を取り巻く情勢というのは今後一層厳しくなると指摘されています。
しかしながら、金子大臣の昨日の所信表明では、食料安全保障や自給率の向上への言及はありませんでした。金子大臣、なぜなかったんでしょうか。食料自給率は三七%と下がる一途のこの日本において、食料安全保障の確保は重要課題ではないのですか。重要課題ですよね。輸入依存の政策を改めて、食料自給率を思い切って引き上げていく必要があるのではありませんか。
昨日、所信でお述べにならなかったので、今日は金子大臣の本気度をお伺いしたいと思います。いかがでしょうか、大臣。
○金子(原)国務大臣 お答えいたします。
ウクライナ情勢の緊迫や世界人口の増加、気候変動等、リスクが多様化する中で将来にわたって食料を安定的に供給するためには、国内で生産できるものはできる限り国内で生産することが重要だと考えています。
このため、担い手の確保や農地の集積、集約化によりまして、国内農業の生産基盤の強化を図るとともに、今後も拡大が見込まれる加工、業務用需要や海外需要に対応した生産を支援してまいりたいと思います。
これらの施策を講じることにより、食料自給率を向上させ、食料安全保障の確立を図ってまいります。
○田村(貴)委員 食料自給率も深刻なんですけれども、日本の生産基盤も危機的状況にあります。
資料一を御覧いただきたいと思います。財政制度審議会の令和四年度予算の編成に関する建議に出された資料であります。
基幹的農業従事者数、五年間で三十九万四千人減りました。この建議では、趨勢を機械的に延伸すると、十年後には約四割減少、二十年後には六九%減少する見通しと書かれています。現在の百三十六万人の基幹的農業従事者数が七割減になっていく、そうすれば、数としても四十二万人しかいなくなっちゃうんですよね。私は驚きました。
そして、建議では、一層の農地の集約、集積が必要だ、輸出拡大だ、そして、こんなことまで書いてありますよ。「基幹的農業従事者一人当たりで見れば、十年後には概ね二倍、二十年後には概ね三倍の農地の集積を達成していることが必要」と書いてあるわけですよ。
農家が二十年後に七割減、農村に超効率的な大規模農家がぽつんとあるようなイメージです。農水省は、こうした財政審の予測と方策を共有しているんでしょうか。こうした建議に従う農政をこれから続けていくんでしょうか。大臣、いかがですか。
○金子(原)国務大臣 お答えいたします。
財政制度等審議会の資料における基幹的農業従事者数の将来推計は、基幹的農業従事者数の趨勢を機械的に延伸したものと承知しています。
農林水産省としては、高齢化、人口減少が本格化する中で、農業従事者の減少により農業の持続性が損なわれることがないように取り組んでいく必要があると考えています。
このため、青年層の新規就農を促進するとともに、経営規模の大小や法人か家族経営かの別を問わず、意欲ある担い手を幅広く育成、支援するとともに、中小・家族経営など多様な農業経営体が地域社会の維持に重要な役割を果たしていることを鑑みた支援を行うことで、農業を支える人材の育成、確保を図っていく思いであります。
○田村(貴)委員 私、やはり政策的に、耕地面積が減り、そして農業従事者が減っていく、ずっと下降線をたどる中で、やはり財政審がこのような建議を出してくるんだと思いますよ。
この財政審の建議に対して、特に農林水産分野について書かれたところに、岡山大学名誉教授の小松泰信先生がこのように指摘しています。食料自給率についても、多面的機能についても、全く触れられていない。二番目、そこで指摘されている内容と農林水産関係予算の編成にはそごが見られない。つまり、予算が追随しているということです。三番目、財政審の委員会の委員に農林水産が有する価値を語れる人がいない。
言わせっ放しでいいですか。こういう建議にやはりとらわれては駄目ですよ。結果としては、この財政審、財務省の主張どおりの展開になっている部分があるわけです。その結果、生産現場では、農家を苦境に陥れて、そして離農が進む状況を生み出しているわけです。
その典型が、水田活用直接支払い交付金の削減問題です。今国会でも、今日の委員会でも、この問題が各党から出されているところです。コロナによる米の価格暴落に対して、私も何度も質問しました。多くの議員が衆参両院で市場隔離を要求していましたけれども、政府は応じていません。農家に自主的な作付転換を要求しているだけです。
農家は過去最大となる六万ヘクタール以上の減反を行ったにもかかわらず、政府は転作助成金を削る方向を打ち出しました。水田から転作した畑では、水路やあぜがあったとしても、二〇二二年から二〇二六年の五年間で一度も水張りしなければ交付対象から除外。そして、多年生の牧草は、播種をせず収穫のみの年は、十アール当たり三万五千円から一万円。ここに全国の農家が驚いて、知ったら、それはないよと声を上げているんですよ。影響はまさに甚大です。転作指導に従って頑張ってきたけれども、はしごを外すのかと、撤回見直しを求める声が相次いでいます。
農林水産省にお伺いします。なぜこんなひどいことをするんですか。
○平形政府参考人 お答えいたします。
水田活用直接支払い交付金の見直しについてお尋ねでございます。
水田活用直接支払い交付金につきましては、平成二十九年度に交付の根拠となる実施要綱を改正いたしまして、水田でございますので、あぜなど水をためる設備を有していない農地ですとか、用水路を有していない農地など、水稲の作付が困難な農地は交付金の対象外であることを当時からも明確にしております。毎年の要綱の中でも入れております。
今回の見直しは、この現行ルールを再徹底した上で、畑作物の生産が定着している農地は畑地化、これを促していただく一方、水田機能を有しつつ、麦、大豆の転換作物を生産する農地につきましては、水稲と転換作物のブロックローテーション、連作をすると病気がどうしても発生するということからすると、やはりブロックローテーション、これが望ましいわけでございまして、それを促す観点から、現場の課題も検証しながら、今後五年間、一度も水張り、すなわち、水稲の作付が行われない農地は交付の対象としない方針としたところでございます。
ただ、今後五年間の間に、各地域において今後の産地形成をどのように図っていくか検討していただく中で、我々としても、その中で明らかになった現場の課題について検証をしていく考えでございます。
○田村(貴)委員 そうはいっても、できないという事情があるわけなんですよね。
私、直接、長野県の信濃町の農家からこういうお話を聞きました。転作にずっと協力をしてきた、うちの地域では、大豆、麦の単価ではやっていけないのでソバしか作れない、三十ヘクタールの水田をソバに転作してきた、水田のままだとソバが育つ土壌にはならない、何年もかけて、ソバ用のさらさらの細かい土にするために努力を重ねてきた、五年に一度、水田に戻せというのは机上の空論でしかない、このように話されています。
逆もあるんですね。一方で、畑地にできない事情もあるわけですよ。中山間地では、山から水が流れてきて乾田にならないために、麦類も大豆も栽培が困難なんです。ブロックローテーションできないじゃないですか。
こういう農地はどうしたらいいんですか。不利益をどうしたら補えるんですか。お答えください。
○平形政府参考人 お答えいたします。
現場現場の本当に事情はいろいろあるんだと思います。今委員おっしゃられたとおり、特に、中山間地で水が豊富にあり、なかなか畑作物は作れないという水田はございます。そういったところこそ、まさに水田の機能を持っていただいて、お米を作っていただきながら、特色のある作り方をするということができると思っておりますし、また、平場だとなかなか水稲以外できないというか、そうでもなく、平場であれば、麦とか大豆というのは、固めて団地化をするということによってより産地化が図れる、その中でブロックローテーションをすることによって、農薬だとか肥料代の方も抑えることができる、そういうようなことがございます。
なぜ今回のこの五年間の検証期間というのを設けるかというと、今年から直接すぐというふうになりますと、今まで準備もしていなかったのにということになりますし、今後五年間のうちに、じゃ、まずブロックローテーションをやれるかやってみようと。どこの土地だったら、じゃ、水田の中でも、湿田だったら、できるところ、できないところ、当然ございます。畑地化に向いているところ、向いていないところがございます。
そういった検証をしていただきながら、じゃ、どういうものだったらできるのか、どういった条件が整えばできるのか、どうしてもできないのかどうか、そういったものについてもいろいろ課題を明らかにして、整理をして、農林水産省としても、この水田活用以外もいろいろな政策がございます。そういった政策の中でどういった手当てをすればいいのか、そういうことを全省的に検討していく期間だというふうに考えております。
○田村(貴)委員 検証、検討といえば、大臣も先ほどからそういう答弁をされていますけれども、そうはいっても先行き不安ですよ。交付金が生産コストの中に入って営農を続けてきたんです。しかも、国策によって、畑化しろと言われてきて、やむなくやってきたじゃないですか。そこではしごを外されたら、そして今から検証すると言われても、展望を持てないですよ。このことが分かって、いや、それでもどうにもならないと言っているわけですよ。
やはり、一旦立ち止まって、この制度を見直しする必要があるんじゃないですか、提案を。
さきに紹介した財政審の建議では、大規模経営ほど補助金依存度が高まっているとして、転作助成金の膨張リスクを指摘し、その抑制を主張しています。
補助金の削減によって、大規模農家はどうなっていくのか。これも、ちゃんと説明が財政審提出の資料でありました。
資料の二を御覧いただきたいと思います。下の方の棒グラフであります。水田経営における大規模経営体の収益性というグラフです。ここで、水田作延べ面積十アール当たりの農業粗収益、これが水色、そして、農業経営費、これがオレンジ色で描かれています。
大規模経営と言われる十五ヘクタール以上、二十ヘクタール以上、三十ヘクタール以上、ここでの水田作経営で農業粗利益のうち農業経営費の割合、これは単純に計算できるんですけれども、その割合について教えてください。
○菅家政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘の資料におきましては、平成三十年の農業経営統計調査におきます水田作経営を営む主業経営体の十アール当たりの農業粗収益、農業経営費、補助金等受取金のデータが規模階層別に示されているところでございます。
これによりますと、御質問のありました農業粗収益の総額に対する農業経営費の割合ということでよろしゅうございましょうか。(田村(貴)委員「数字だけ」と呼ぶ)はい。
その割合は、十五ヘクタール以上二十ヘクタール未満の経営体におきましては六二・九%、二十ヘクタールから三十ヘクタールでは六四・五%、三十ヘクタール以上では六八・三%というところでございます。
○田村(貴)委員 質問がちょっとちぐはぐしているんですよね。水田作延べ面積十アール当たりの農業粗収益と農業経営費、ここで割っていくと、十五ヘクタール以上、経営費の割合は八八・二%なんです。そして、二十ヘクタール以上は八三・四%なんです。そして、三十ヘクタール以上は一〇一%なんです。
つまり、どういうことかといいますと、十五ヘクタールを超えると、どんなに集積したところで収益性は上がらないんです。コストが収益を超えちゃうんですよ。これが実態ですよね。三十ヘクタール以上では農業経営費が粗利益を上回っているじゃないですか。このグラフを見ても分かるとおりです。大規模経営は助成金があって初めて経営が成り立っている、ここが読み取れます。
大臣、大規模経営であっても、この補助金を引き剥がしてしまったら、水田作経営は成り立たないじゃないですか。だから、財務省が言うように抑制することもできないじゃないですか。どうなんですか。私は矛盾だと思いますよ。
○平形政府参考人 お答えいたします。
委員の今回御指摘のところは、かなり大規模な経営のところを指しておられます。水田の中でこれだけの経営をされるというのは、地域の中でいうと担い手の方であります。そういった担い手の方のところには、例えば、麦だとか大豆というのは、小さい農家が取り組むと、収益性も上がりませんし、品質もよくありません。そうなりますと、まとまって大規模の方が引き受けるという形になります。
また、飼料用米につきましても、同じ品種ならばともかく、専用品種であれば、やはり、大規模の方が固まった農地で経営されるということが多くなります。
このため、我々の中で用意しております、神谷先生のときに言いましたゲタ対策ですとか、水田活用についても、数量払いのものというものは、地域の中では大規模の方が割合と背負っていられるというのが現実でございます。
そういった意味でいうと、農業の経営費の中で補助金の占める割合が高い、つまり、水稲以外の作物を作って、ほかの作物への転換というものを図っていただいている中で大規模の方がかなりいらっしゃるということがこの中で分かるというふうに思っております。
○田村(貴)委員 その水田活用交付金があたかも大規模営農の障壁となるような書き方をされていますよ。こんなの、認めていいんですか。
○平形政府参考人 そちらの方は財政審の方でまとめられたことではありますけれども、農林水産省としてみれば、やはり麦ですとか大豆というのは大規模の方にかなり背負っていただいておりまして、そういった面については、農林水産省としても財務省に対してはそういった意見は申し上げているところでございます。
○田村(貴)委員 だったらこれは、大臣、抗議しないといかぬ話ですよ。減らせ減らせ、合理化だ、大規模経営の障壁になっている、こんな書き方までされているんですよ。
そして、将来にわたっては、あと二十年後に七〇%農業人口が減っていく、そして集約化だけですよ。全然日本の農業を考えていないですよ。
岩手県の集落営農の農家からこんな話を聞きました。私の村では、七十ヘクタール程度の集落営農が五法人あります、合わせて千五百万円の減収になります、何でこんな勝手なことをするのか、これでは耕作放棄地になるしかない。話を全部聞いて、どういう推移をたどるのかを全部分かっての上での生産者の声ですよ。
毎日のように報道もされているし、農水省にも声が届いているはずですよ。この声にやはり耳を傾けるべきじゃないですか。五年間やってみる、検証してみる、それではやはり展望を持てません。
転作を推進してきたのは農水省なんです。大臣、今回のカットは、どんな理由をつけようとも、実態は、経営を支えてきた補助金、これの単純な減額になってまいります。経営が成り立たなくなってまいります。放棄地が増えていくだけです。
そこで提案なんですけれども、交付金カットを強行すれば減収になっていく、そしてかなり厳しい状況になってくる、だったら、この減収分を補って経営を支える別の方策が最低でも必要になってくるんじゃないかと思いますが、そういう手だてをやはり打つべきじゃないですか。いかがですか、大臣。
○平形政府参考人 水田活用の担当の局長でありますので申し上げますけれども、そういった面も含めて今後検証していく中で、この水田活用で本当に出すのがいいのかどうか。
水田活用というのは、やはり水田の中で水稲とほかの作物とどういうふうにバランスよく作っていただくかということになります。水田ではもう機能的にないところについて、同じようにというのはなかなか難しいと思います。ただ、その場合、どのようなことをやれば転換するのがより定着するのか、そういった課題についてまさに整理して、どんな政策が必要か否かということについても検討していきたいと考えております。
○田村(貴)委員 大臣、いかがですか。
○金子(原)国務大臣 今局長から話がありましたように、いろいろと地域地域によって実情があるようでございますので、今日は田村委員からもいろいろな御意見を伺えましたので、そういったことを踏まえながらいろいろと検討させていただきたいと思っております。
○田村(貴)委員 減収をしっかりフォローする対策は最低必要だということを要求しておきます。
最後に、農家の事業復活支援金についてお伺いします。
農林水産業の現場では多くの方が新型コロナによる影響を受けておられますと、大臣の昨日の所信の中のお言葉です。農家はコロナで大変苦労されている。そこで、事業復活支援金というのは大きな役割を果たすと思うんですけれども、これは去年の十一月から今年三月の五か月間が対象となる月であります。
お伺いします。季節性のある農業であってもこれは対象となりますね。確認です、いかがですか。
○光吉政府参考人 お答えいたします。
事業横断的に行われているものでございます。農業は対象になるというふうに思っております。
○田村(貴)委員 それで、是非、農林水産省は経済産業省、中小企業庁に要望もしていただきたいんですけれども、飲食店などの中小企業の場合は、一年間を通じて毎月の売上げが二〇一九年の売上げより五〇%以上減少していれば、持続化給付金、一時支援金、月次支援金、事業復活支援金と連続して支援を受け取ることができるんです。
しかしながら、季節性のある農業の場合、連続して給付を受けられません。例えば、佐賀県のタマネギの主たる出荷時期は四月から七月、近畿のタマネギの農家の出荷時期は五月から八月なんですよ。対象期間から外れるんです。
こうした季節性のある事業も対象としながら出荷の事情を反映していないのは、これはやはり制度上の問題だと考えます。季節性のある農業も、一年を通じて支援をできるようにすべきではないか。それを農林水産省は独自に、農家が制度を受けられるようにする、あるいは中小企業庁に、事情を反映するように制度を運営する、こういう方向に進めていただけないでしょうか。これは農家からの強い要望です。いかがですか。
○光吉政府参考人 お答えいたします。
新型コロナの影響を受けました事業者に対する支援につきまして、経済産業省において、二〇二〇年十二月までの売上減少につきましては持続化給付金、二〇二一年一月から三月までの減少は一時支援金、四月から十月までの減少につきましては月次支援金による支援が行われており、今回、御指摘のあります二〇二一年十一月から本年三月までの減少につきましては事業復活支援金による支援が行われているということでございまして、新型コロナの影響を受けた事業者への業種横断的な支援としては連続した形で行われてきているものと考えています。
○田村(貴)委員 それは中小企業庁の答弁ですよ。
農林水産省、先ほど言いましたね。季節性のある農産物を作っているところは、十一月―三月で出せないんです。今までも受けられなかった人たちが、これにお願いしたいといって、月の線引きによって受けられない。この問題を解決しないと、やはりコロナ対策をやっているとは農水省は言えませんよ。
ちゃんとやっていただくことを強く要求して、今日の質問を終わります。
○平口委員長 次に、北神圭朗君。
○北神委員 有志の会の北神圭朗です。
今日は、立憲民主党さんと日本維新の会の皆さんに大変御配慮いただきまして、時間をいただきまして、ありがとうございます。
まず冒頭、ウクライナに対するロシアの侵略、皆さんとともに強く抗議を申し入れたいと思います。ヨーロッパであろうと台湾海峡であろうと、力によって現状変更することは絶対に許すべきではないというふうに思います。
それでは、質問に入りたいというふうに思いますけれども、大臣、また例の水田活用直接支払い交付金、この問題について取り上げたいと思います。もう既にたくさん議論が出てきましたけれども、そのぐらい全国で皆さんは困惑をしている、農家の皆さんが非常に動揺しているということの表れだというふうに思います。
まず、農林水産省の政府委員の皆さんにお聞きしたいのは、そもそも、水田活用直接支払い交付金、水田交付金と言いますけれども、この目的というのは何なんでしょうか。私の理解は、地元の理解でもあるんですけれども、水田にあって、麦とかソバとか野菜とか、こういうある程度付加価値のあるものを、転作を推進するというのが目的だというふうに思います。であるならば、この五年ルールというのは何か方向性が違うような気がしまして、それで地元の人もそういう困惑の声が上がっておりますので、その趣旨についてお聞かせ願いたいと思います。
○平形政府参考人 お答え申し上げます。
農産物は、やはり消費をされて有効性といいますか、意味があるものでございます。消費者の動向に応じて、必要な作物、量、それがだんだん変わってきております。
米の需要量につきましては、ここずっと、やはり消費量が全国的に減ってきております。そういった中で、水田という大変有効な農業資源をお米だけの生産にしてしまうと、せっかくその機能がありながら、作る作物がお米だけというのではなく、やはりお米をある程度作りながら、ほかに自給率の低い、麦ですとか大豆ですとか、あとは野菜といったものもございます、そういったものへ作付を転換をしていって、水田全体をやはり有効に活用していこう、それがそもそもの考え方でございます。
そういった意味で、需要に応じて水稲と他作物をやはりバランスよく生産する、そういったためにこの水田活用交付金というのを交付しているところでございまして、特に水田活用の直接支払交付金は、水田における他作物への作付転換、主食用がどうしてもやはり所得は高いので、そこの間を埋めるものとして措置をしているところでございます。
○北神委員 ありがとうございます。
要するに、おっしゃっているのは二毛作ですね。お米と、また別のものを一緒に作る、それを推進するという、そういう理解でよろしいんですか。
○平形政府参考人 お答えいたします。
二毛作となりますと、例えば関西でありますと、五月から九月ぐらいまでのうちは水稲を作り、その後、十月か十一月ぐらいに麦を作って、次の年の五月ぐらいに収穫するという、その表作、裏作というのが、これが二毛作でございます。
こちらの、申し上げております水田活用の方は、表作の中で、例えば十ヘクタール全部水稲を作るのか、水稲は七ヘクタールにして、三ヘクタールは麦にする、そういうようなすみ分け、同じ時期でのすみ分けのことを申しております。
○北神委員 ありがとうございます。
そうしたら、やはり地元の皆さんはなかなかそういうふうに理解していないというのが私の率直な感じですね。
私の地元というのは、京都府の、先ほども長野県のソバの話が出ましたけれども、京都府も実はソバを作っていまして、亀岡市に西別院町というところがあって、犬甘野という営農組合がある。これが、水田を活用して、皆さんのその交付金を使って、一生懸命二十年ぐらいソバ作りに励んできたわけです。そこに販売所も作って、季楽という販売所で、麦畑がきれいに見えるのを見ながら、おいしい手打ちそばを食べるというような、要は、皆さんの交付金によって、かなりソバに特化をして、そしてそれを、農業のみならず地域づくりの中心ぐらいになっているわけであります。
今回、五年に一度水張りをしないと交付金が出ないということで、大変村の中で動揺が走っているわけであります。
これは、先ほどの長野県の例では、たしか、一旦水田機能にするともはやもうソバの土壌としては使えなくなるという話があったんですけれども、私が聞いているのは、これも皆さん釈迦に説法だと思いますけれども、やはり、水を張ってしまうと、おそばも麦も野菜もそうだと思いますけれども、大変湿度に弱い、湿害に遭ってしまうと。そうしたら、彼らの意識は、国にやれと言われて一生懸命転作をしてきて、麦の作付に頑張って、販売所も作り、そこで地域づくりをやってきたのに、今回、五年に一度のルールを突きつけられて、大変、はしごを外されたような、そんな思いになっております。
今日は時間がありませんけれども、大臣にお聞きしたいのは、現場を非常に大事にされるということだと思いますので、今日出た話でも、私の地元亀岡だけじゃなく、いろいろなところでいろいろな事情があって、なかなか、畑地にしろと言ってもできない、水田に戻れと言ってもできない、そういう状況の中で、弾力的な運用というものを、この五年間の間に現場の声を聞きながら、お願いをしたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○金子(原)国務大臣 ソバにつきましては、経営所得安定策の畑作物の直接支払交付金、いわゆるゲタ対策の対象としておりまして、水田、畑地を問わず、農業で生計を立てていく農業者に交付しております。
今回は、要するに、水張りができない、もう水田じゃないところは当然畑地としてみなすわけなんですよね。したがって、畑地でずっとやっている方はそのまま転作の畑地を続けてくださいと。
だから、元々水張りができないところに交付金というのは出せませんから、当然、水張りをしていないという前提の中で私たちは対応しているところでございますので、御理解いただきたいと思います。
○北神委員 皆さんの理解はそれで、理解というか、実際そういう方針で交付金の要綱とかそういったところにもそういうふうに記載されているんだと思いますけれども、実際、今申し上げた西別院というところも非常な中山間地域で、まさにこの交付金によってそういうソバ作りをしてきているから、先ほど神谷委員がおっしゃったように、もし、いわゆる畑地としての交付金というのが、ゲタの部分があるというふうに思いますので、そうであるならば、水田交付金の対象にならないのであれば、例えばそこを拡充して中山間地域対策としてまた修正をする、そういう考えもあるというふうに思いますので、今日はお返事は求めませんけれども、一回そういったことも検討して、何よりも現場の話を是非聞いていただきたいなというふうに思っています。
次の質問は、もう一つは、これも大臣の所信に、大区画化ということで、農地の集積、集約というものをうたっておられます。当然、私も非常に大事な、農業の生産基盤というのを強固なものにするというのは大事だということであります。
ただ、細かい話になるかもしれませんが、圃場整備の中で、農道、支道というんですか、農道というものがある。一つはアスファルトで舗装する、もう一つは砂利で舗装する。この砂利で舗装するところに、いわゆる再生砕石というものが一部使われる。
この再生砕石というのは、再生というと聞こえがいい、リサイクルで、何か環境にいいということなんですが、これは結構異物が混入をしている。農林水産省としても、聞いたら、そういう前提だということなんですが、ただ、後で拾ったらいい、舗装した後にいろいろなガラスの破片とかが出ても後で拾うんだ、だから問題ないというふうにおっしゃるんですが、これも限度があります。
具体的な話をしますと、これも同じ亀岡市の曽我部というところなんですが、ここで皆さんのお力で国営の圃場整備をさせていただいております。平成二十五年に、元々京都府の府営だったのを国営に切り替えていただいて着々と進んでいる、これは大変ありがたいことで、地元の皆さんも非常に感謝をしております。
感謝をしておりますけれども、そのいわゆる再生砕石の中から、ガラスの破片、鉄の破片、針金、電気コード、プラスチックの鋭利な破片とか、こういうものがたくさん出てきて、農政局さんもいろいろ後片づけをしてくれているんですが、これは非常に不安がある。例えば、農家の人に言わすと、軽トラで走っているとパンクするのと違うか、あるいは、こういう産業廃棄物みたいなものをよりによって食料の生産現場に持ち込んでもらわぬでもいいのにな、こういう悲鳴のような声も正直上がっております。
これについて、これは別に私の亀岡だけじゃなく、あるいはこれがもう特殊な特殊な事例なのかもしれませんけれども、一般に圃場整備にいわゆる再生砕石というのが使われておりますので、これについて農林水産省としてどのようにお考えになっているのか、お聞きしたいというふうに思います。
○牧元政府参考人 お答えを申し上げます。
国が行います直轄事業におきましては、建設リサイクル法等に基づきまして、再資源化された建設資材の利用を促進するということになっておりまして、御指摘ございました亀岡中部地区におきましても、支線農道の舗装に再生砕石を利用するなど、再生資源の利用の促進を行っているところでございます。
そして、この再生砕石でございますけれども、建設工事等から発生をしますコンクリートの塊などを粉砕して製造するものでございまして、その過程で異物の除去というのは行われるわけでございますけれども、ガラスとかプラスチック片などを完全に除去するということがなかなか難しゅうございまして、御指摘のように、その一部が支線農道の表面に残ったものではないかというふうに考えております。
今後の再発防止に向けまして、本地区におきます支線農道への再生砕石の利用に際しましては、工事の実施に当たりまして、異物をなるべく含まない材料を使用し、路面上の異物が確認された場合には除去すること、また、材料の搬入時に国の職員による検査を行うことなどを仕様書に明記いたしますとともに、現場の状況を確認をいたしまして、必要な対応を取ってまいりたいと考えております。
○北神委員 チェックリストをして、今後、異物ができるだけ総体的に少ないものを採用するという話だったというふうに思います。
大臣、地元のことで恐縮なんですけれども、実際に、いまだに結構異物が残って、農政局の皆さんが除去した後でも、例えば地元の亀岡の市会議員なんかがそこで拾ったりしているというような状況です。
ただ、まだまだ足りない部分がありまして、というのは、私は科学的な分析は分かりませんけれども、この再生砕石というのは、普通の砂利と違って、引き締まりの度合いが非常に弱い、ぱらぱらになっている。だから、例えば、田んぼの進入口なんかにちょっと雨が降ったり風が降ると、田んぼの中に場合によっては異物が入ってきたりする、これは地元の声なんですけれども。あるいは、農道のカーブのところに異物の混入した塊みたいなものができて、軽トラがそこを行くとつまずいて事故に遭いそうになったというようなことがあります。
何を申し上げたいかというと、大臣も、ちょっと部下の皆さんに指導して、ちゃんと現場の声を丁寧に聞いて、こういうことが今後も起きないように是非指示をしていただきたいというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
○金子(原)国務大臣 現場の声に寄り添いながら、施工管理の徹底にしっかりと取り組んでいきたいと考えております。
○北神委員 次の問題は、問題ではないんですけれども、大臣所信の中に輸出促進ということがあります。そこでおっしゃったように、一兆円の規模に到達した、これから勢いをつけて頑張るということで、私らも当然賛同しますし、協力をしてまいりたいというふうに思っています。
ただ、昨年、これも中山間地域なんですが、ある農家の人たちと車座で話をしていると、八十歳を超えるような方、これも本当に小さな集落です。そこで、その方が言うには、北神さん、わしも輸出に関心がある、テレビとかを見ていると、政府が何か農業の輸出に頑張っているということはよく知っている、ただ、一向に我々にそういう情報が届いていないというような話がありました。
こういった中山間地域の小さな農家の皆さんも、割と、今は京丹波町というところの話をしましたが、ほかのところでも結構そういう方がおられます。小さなそういう農業組合みたいなところも関心を非常に示して、私らに話が来ます。ただ、どうやら、そういったところにまだ、どういう手続でやったらいいのかとか、当然、この方たち、もしかしたらインターネットとかそういうのを使えない方もたくさんおられるというふうに思います。
この辺の方々の支援体制というものを是非お願いしたいというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
○渡邉政府参考人 お答えをいたします。
輸出に関心がある産地ですとか事業者さんにつきましては、既に輸出商流を確立していて、更なる拡大を見込む事業者さんがいる一方で、御指摘のとおり、輸出に関心はあるけれども何をすればよいか分からないという農林漁業者さんも多いところでございまして、そういった輸出に取り組む事業者の皆さんの状況に応じたきめ細やかな支援が必要だと考えております。
輸出を軌道に乗せるためには、海外の規制ですとかニーズに対応したマーケットインの取組が重要でありまして、農林水産省といたしましては、輸出に対応できる産地を育成するために、輸出に取り組む事業者のコミュニティーである日本の農林水産物、食品の輸出プロジェクト、GFPを立ち上げまして、一から輸出を始める農林漁業者さんや事業者さんに対する、例えば訪問診断の実施ですとか、あるいは、各地方農政局などに配置をいたしました輸出産地サポーターによる輸出産地の取組への伴走型の支援ですとか、あるいは、GFPグローバル産地づくり推進事業による産地支援ですとか商社とのマッチングなどを行いまして、中山間地域も含めまして、産地の育成を図っているところでございます。
○北神委員 大臣からも決意をお願いします。
○金子(原)国務大臣 今局長から申し上げましたように、これまでも、現場できめ細かな支援を行っておりまして、今後も、実情に応じて、事業者に寄り添った支援を実施してまいりたいと思います。
中山間地の、しかも田舎の八十歳の方がそんなに輸出に関心があるというのは、私も、今お聞きして、大変驚いております。それほど今、多くの方々が輸出というものに関心を持っているということでありますので、より輸出をこれからも強力に推進してまいりたい、そのように考えておる次第でございます。
○北神委員 大変力強い答弁、ありがとうございます。
最後に、もう時間がないので、副大臣、食料安全保障、もう話が出ましたけれども、今後の取組についてのお話を聞きたいと思いますので、よろしくお願いします。
○武部副大臣 食料の安定供給につきましては、食料・農業・農村基本法に基づきまして、国内の農業生産の増大を図ることを基本としますけれども、輸入と備蓄を適切に組み合わせて行っております。
今回、将来にわたって食料を安定的に供給するためには、国内で生産できるものは、できるだけ国内で生産するということが重要だと思います。このため、担い手の確保、それから農地の集積、集約化、スマート農業による生産性の向上、それから、輸入品から代替需要のあるものについては、国産農産物の増産や、加工食品、外食、中食向けの原料の国産への切替え、輸出拡大にも対応した畜産物、果実等の増産などに取り組んでおります。
今後とも、これらの取組を着実に実施することによって、食料安全保障を確立してまいりたいと思います。
○北神委員 ありがとうございました。
――――◇―――――
○平口委員長 次に、内閣提出、土地改良法の一部を改正する法律案を議題といたします。
これより趣旨の説明を聴取いたします。農林水産大臣金子原二郎君。
―――――――――――――
土地改良法の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○金子(原)国務大臣 土地改良法の一部を改正する法律案の提案理由を説明いたします。
土地改良法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
土地改良事業は、農用地の区画整理や農業用用排水施設の新設、更新など、農業、農村における基盤の整備を通じ、農業の生産性向上と、農村の安全、安心な生活環境の確保に寄与してきました。
また、防災・減災、国土強靱化の取組や、農用地の利用の集積の促進など重要な政策課題に対応して、迅速な事業実施のための手続の簡素化や、事業メニューの拡充などの措置を講じてきたところです。
近年、台風の大型化や全国各地で頻発する集中豪雨などにより、豪雨災害が激甚化する中、農業用用排水施設の豪雨対策を迅速かつ機動的に実施していくことが求められています。
また、担い手への農用地の利用の集積を促進するため、農地中間管理機構が借り受けた農用地を対象に、農業者の申請によらず、都道府県が農業者の費用負担や同意を求めずに区画整理等を行うことができるよう措置しておりますが、生産条件として重要な農業用用排水施設や農業用道路等の整備が進まなければ、担い手の借受けが進まないおそれがあるため、これらの土地改良施設の整備を促す措置を講ずる必要があります。
さらに、農村人口の減少が著しい中、将来にわたり土地改良施設の適切な整備や管理を確保していくためには、土地改良区等の事業実施体制の充実が求められています。
こうした状況を踏まえ、自然災害に対する土地改良施設の安全性の向上を図るとともに、農用地の利用の集積を促進する観点から、豪雨対策を目的とした農業用用排水施設の急施の防災事業の実施、農地中間管理機構が賃借権等を取得した農用地を対象とした土地改良事業の拡充等の措置を講ずるため、この法律案を提出した次第であります。
次に、この法律案の主要な内容につきまして、御説明申し上げます。
第一に、急施の防災事業の拡充であります。国又は地方公共団体は、農業用用排水施設の豪雨対策を目的とした土地改良事業を急速に行う必要があると認める場合には、現行の耐震化を目的とした事業と同様に、原則として農業者の費用負担や同意を求めずに事業を実施できるよう措置することとしております。
第二に、農地中間管理機構関連事業の拡充であります。都道府県は、農地中間管理機構が賃借権等を取得した農用地を対象として農業用用排水施設等を整備する事業又は当該農用地の改良、保全のため必要な事業を実施する場合には、現行の区画整理等の事業と同様に、原則として農業者の費用負担や同意を求めずに事業を実施できるよう措置することとしております。
第三に、土地改良事業団体連合会の業務の拡充であります。全国土地改良事業団体連合会は、土地改良区等が行う土地改良施設の適正な管理に必要な資金の交付に要する費用に充てるため、長期借入金の借入れ及び債券の発行をすることができることとします。また、全国土地改良事業団体連合会又は都道府県土地改良事業団体連合会は、市町村、土地改良区等から委託を受けて、土地改良事業の工事を行うことができることとします。
第四に、土地改良区の組織変更制度の創設であります。土地改良区は、その選択により、一般社団法人又は認可地縁団体への組織変更ができることとします。
以上が、この法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
○平口委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後三時二十二分散会