第4号 令和4年3月17日(木曜日)
令和四年三月十七日(木曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 平口 洋君
理事 江藤 拓君 理事 高鳥 修一君
理事 宮下 一郎君 理事 簗 和生君
理事 金子 恵美君 理事 緑川 貴士君
理事 空本 誠喜君 理事 稲津 久君
東 国幹君 五十嵐 清君
上田 英俊君 尾崎 正直君
加藤 竜祥君 神田 潤一君
高見 康裕君 武井 俊輔君
中川 郁子君 野中 厚君
長谷川淳二君 平沼正二郎君
藤丸 敏君 古川 康君
保岡 宏武君 山口 晋君
山本 左近君 若林 健太君
石川 香織君 梅谷 守君
神谷 裕君 小山 展弘君
後藤 祐一君 佐藤 公治君
渡辺 創君 池畑浩太朗君
住吉 寛紀君 金城 泰邦君
庄子 賢一君 長友 慎治君
田村 貴昭君 北神 圭朗君
仁木 博文君
…………………………………
農林水産大臣 金子原二郎君
農林水産副大臣 武部 新君
内閣府大臣政務官 小寺 裕雄君
農林水産大臣政務官 宮崎 雅夫君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 三貝 哲君
政府参考人
(内閣府沖縄振興局長) 水野 敦君
政府参考人
(内閣府地方創生推進事務局審議官) 三浦 聡君
政府参考人
(消費者庁政策立案総括審議官) 村井 正親君
政府参考人
(農林水産省大臣官房総括審議官) 安東 隆君
政府参考人
(農林水産省大臣官房総括審議官) 水野 政義君
政府参考人
(農林水産省大臣官房技術総括審議官)
(農林水産技術会議事務局長) 青山 豊久君
政府参考人
(農林水産省輸出・国際局長) 渡邉 洋一君
政府参考人
(農林水産省農産局長) 平形 雄策君
政府参考人
(農林水産省畜産局長) 森 健君
政府参考人
(農林水産省経営局長) 光吉 一君
政府参考人
(農林水産省農村振興局長) 牧元 幸司君
政府参考人
(林野庁長官) 天羽 隆君
政府参考人
(水産庁長官) 神谷 崇君
農林水産委員会専門員 梶原 武君
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委員の異動
三月十七日
辞任 補欠選任
北村 誠吾君 藤丸 敏君
長谷川淳二君 山本 左近君
後藤 祐一君 石川 香織君
北神 圭朗君 仁木 博文君
同日
辞任 補欠選任
藤丸 敏君 北村 誠吾君
山本 左近君 長谷川淳二君
石川 香織君 後藤 祐一君
仁木 博文君 北神 圭朗君
―――――――――――――
三月十六日
植物防疫法の一部を改正する法律案(内閣提出第三三号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
環境と調和のとれた食料システムの確立のための環境負荷低減事業活動の促進等に関する法律案(内閣提出第三二号)
植物防疫法の一部を改正する法律案(内閣提出第三三号)
農林水産関係の基本施策に関する件
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○平口委員長 これより会議を開きます。
農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房総括審議官安東隆君、大臣官房総括審議官水野政義君、大臣官房技術総括審議官・農林水産技術会議事務局長青山豊久君、輸出・国際局長渡邉洋一君、農産局長平形雄策君、畜産局長森健君、経営局長光吉一君、農村振興局長牧元幸司君、林野庁長官天羽隆君、水産庁長官神谷崇君、内閣官房内閣審議官三貝哲君、内閣府沖縄振興局長水野敦君、地方創生推進事務局審議官三浦聡君及び消費者庁政策立案総括審議官村井正親君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○平口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○平口委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。若林健太君。
○若林委員 おはようございます。自由民主党長野一区の若林健太です。
五年ぶりに常任委員会での質問に立たせていただきます。機会をいただいた諸先輩に感謝申し上げます。
さて、連日マスコミで報道されるウクライナ情勢、独裁者の暴走によって、武力によって主権国家がじゅうりんされ、一般市民を含む貴い命が奪われる、その姿に腹の底から怒りを感じるところであります。日本は、国際社会と連帯して、厳しく、経済制裁を含め、対処しなければならないというふうに思っているところです。
お手元の資料を御覧になっていただきますと、肥料原料の輸入先について記載があります。中国からの輸入が、窒素三七%、リンが九〇%、また、塩化カリは、ロシア、ベラルーシから二六%というふうになっています。いわゆる、肥料原料、窒素、リン酸、カリ、三大要素、それぞれこういった状況にありますが、まず、このロシア、ベラルーシからの輸入をどうするのかということについて伺いたいと思います。
○平形政府参考人 お答え申し上げます。
昨年の秋以降、肥料の原料の国際価格が上昇する中で、委員御指摘のとおり、主な輸出先国であります中国からの輸入について停滞が見られたところでございます。また、輸入先国の一つでありますロシアによるウクライナ侵略の影響も注視していかなければいけないというふうに考えております。
これまで、農林水産省といたしましては、全農や商社に対し、例えばリン安であれば、モロッコ等の代替国からの肥料原料の協調買入れを進めるように要請をいたしまして、全農等の取組の結果、本年の春用の肥料については例年並みに近い供給量が確保できる見込みとなっております。また、ロシア、ベラルーシから一部を輸入しております塩化カリにつきましても、本年の春用肥料につきましては、カナダ等から既に例年並みに近い供給量を確保しているところでございます。
なお、今年の秋以降の肥料につきましては、中国やロシア等からの原料調達が不安定になることも見据えまして、全農、商社、肥料メーカー等の関係事業者や関係省庁と連携して、代替国からの輸入拡大、さらに堆肥等の国内の資源の利用の拡大など、肥料供給の安定化に努めてまいります。
○若林委員 ロシア、ベラルーシからの輸入について、塩化カリ二六%、これは是非見直しをしてもらいたいというふうに思うところです。
今局長からお話がありましたように、昨年十月十五日から中国からの輸入が滞って大変苦労されたということで、国から全農などの穀物商社に働きかけをして、代替国からの輸入、何とかこの春の需要期をしのぐことができました。
こうした状況を見て、民間の取引でありますけれども、やはり国が、代替国からの輸入など、中国、ロシア、ベラルーシ、こういった国々からの輸入についてしっかりと主導していかなきゃいけないというふうに思いますが、民間取引、国の関与をどうやって整備していくのか、伺いたいと思います。
○宮崎大臣政務官 お答えをいたします。
これまで、農林水産省といたしましては、今先生御指摘のように、化学肥料原料の国際価格や輸出先国の動向を注視をいたしまして、状況に応じまして、全農や商社に代替国からの協調買入れを要請するなど、機動的な対応を促してきたところでございます。
引き続き、国際情勢それから生産現場の皆様方への影響をしっかり見させていただいて、全農や商社、肥料メーカーなどの関係事業者、そして関係省庁とも連携をいたしまして、輸入先国の多角化、これのほか、堆肥等、国内にも資源がございますので、その利用の拡大など、あらゆる方策を検討してまいりたいと考えております。
○若林委員 我が国の主要穀物、また、今話の出ました肥料原料とも、輸入に多くを頼っているところであります。食料安全保障の考え方に立って、こうした状況を見直していかなければいけないと思います。
今国会で提出されるいわゆる経済安全保障法案では、こうした食料関係について対象品目としてまだ挙がっているわけじゃありませんが、経済安全保障を考える場合に、食料安全保障というのは重要な位置を占めているというふうに思います。内閣の下に取組を進める経済安全保障における今後の食料安全保障の位置づけとその展望について伺いたいと思います。
○小寺大臣政務官 お答え申し上げます。
申し上げるまでもありませんが、食料は国民が生きる上で最も重要な要素の一つであり、その観点におきまして、食料安全保障は非常に重要であるというふうに考えております。そのため、食料安全保障につきましては、これまで農林水産省を中心に様々な取組が進められてきており、経済安全保障の観点から重要なものも含まれているというふうに認識をしております。
その上で、今国会に提出させていただいております経済安全保障推進法案におきましては、国民の生存や国民生活、経済活動にとって重要であるにもかかわらず、その供給を外部に依存している、また依存するおそれがあり、安定供給確保を図る必要があると認められる物資を特定重要物資に指定をし、平時からサプライチェーンの強靱化を図ることを通じて、当該特定重要物資の安定供給確保を図る枠組みを設けることとしているところでございます。
具体的にどのような物資を特定重要物資に指定をし、安定供給確保を図るかにつきましては、まずは基本方針において基本的な考え方を定めた上で、個別物資ごとに指定の必要性を判断していくこととなります。そのため、現時点で予断を持って言及することはできませんけれども、今後、関係省庁とも連携しながら検討を進めてまいりたいと考えているところでございます。
○若林委員 ありがとうございます。
食料安全保障、国家にとって大変重要なテーマ、是非しっかりと政府においては取り組んでいただきたいと思います。
今国会でこれから審議される農業経営基盤強化促進法の改正案について、少しお話をさせていただきたいと思います。
人・農地プランが、法的な裏づけを持って取り組むようになって、担い手への農地集積がこれによって加速することを期待をしているところであります。地域計画、人・農地プランの作成主体となる市町村には大いに期待をし、しっかり取り組んでもらいたいというふうに思っております。
お手元の資料にある農業新聞、過日の記事の中に、地域計画を市町村の任意としたという報道があります。この件について、農林省の基本的な考え方をお伺いしたいと思います。
○光吉政府参考人 お答えいたします。
今後、高齢化、人口減少が本格化いたしまして、地域の農地が適切に利用されなくなることが懸念されております。この中にありまして、農地が利用されやすくなるよう、農地の集約化に向けた取組などを加速化することは待ったなしの課題というふうに認識をしております。
このため、今回提出をさせていただきました農業経営基盤強化促進法等の改正法案でございますけれども、この中においては、市町村が、農業者等による話合いを踏まえて、将来の農業の在り方ですとか農地の利用の姿を明確化した地域計画を各地域で定めていただくこととしております。
地域計画の策定に当たりましては、既存の農業関係の協議会などを活用して話合いを行っていただくなど、現場の負担にならないようにしつつ、市町村による地域計画の策定を国としてもしっかり後押しをしていきたいと考えております。
○若林委員 報道に任意とありましたけれども、基本的には市町村にしっかりと地域計画、人・農地プランの作成を行っていただくという方針であると今答弁をいただいたものと理解いたしました。
この地域計画を作るに当たって肝になるのは、将来の農地利用の姿を描いた目標地図であります。そして、この目標地図の素案を農業委員会が作成するということになっているわけですが、日頃から最適化活動の一環として農業者の意向を把握している農業委員会だけに、素案を作るというのは適切だというふうに思いますが、しかし、農業委員会だけに任せるのではなく、農地バンクや、あるいは、もちろん市町村の連携というのが重要だというふうに思いますが、この点についてお伺いをしたいというふうに思います。
○金子(原)国務大臣 お答えいたします。
今回の法案においては、目標地図は市町村が作成するものでありますが、その素案については農業委員会が作成することとしております。
この場合、農業委員会が素案を作成するに当たりましては、農地の出し手、受け手の意向等の情報をタブレットにより収集しまして、これにより、これらの情報を現在インターネットで公開している農地地図情報に反映させることで省力化を図ることといたしております。
今回の法案では、農業委員会は、農地バンク、農協、土地改良区等の関係機関に対して必要な協力を求めることができる旨を規定しております。農地バンクにつきましては、現地コーディネーターを増員し、地域外の受け手候補の情報等を農業委員会に提供する等、関係機関が一体となって取り組んでいただくことといたしております。
○若林委員 市町村によっては、なかなか、今、非常に人員が削減をされて、農政を担当するのが一人しかいないとか、いろいろあります。こうした市町村がこの地域計画作成の主体となっていくとされているわけですが、やはりいろいろな、農業委員会や農地バンクなど、関係する人たちとの連携が必要だ、つくづくそう思います。
都道府県の農政部門もそうだと思いますが、そうした連携を是非取っていただきながら、この取組がスムーズに進むことを期待したいというふうに思います。
現行の人・農地プランに関して、農地集積率八割を目標にするということになってございます。実際、今、全国レベルで大体五八%ということでありますが、全国八〇%の目標を各都道府県ごとにブレークダウンしております。
我が長野県は、実は目標六八%でありますが、今、実績は三八%なんですね。実際、やはり中山間地の多い地域においてはなかなか農地集積が進んでいかないというのが実態でありまして、この高い八〇%という目標に対しては現場からも不安と反発がある、こう伺っております。
そこを何とか和らげながら進めていかなければなりませんので、この農地集積に向けて今回の人・農地プランの法定化を更に進めていくためのメリット措置ということについてどうお考えになっているか、伺いたいというふうに思います。
○光吉政府参考人 お答えいたします。
目標地図につきましては、市町村が、農業者、農業委員会、農地バンク、農協、土地改良区などの関係者等の話合いを踏まえまして、目指すべき将来の農地利用の姿を定め、それを実現すべく、農地バンクを活用した集約化等を進めていくこととしております。
この場合、現場における農地の集約化の取組を促進するために、集約化などを進めた場合のメリットといたしまして、今後高齢化が加速していく中で地域の農地を引き受けてもらいやすくなること、これに伴いまして、遊休農地の発生防止ですとか、あるいは新規参入の促進にもつながること、そして生産コストなどが低減することが可能であること、あるいはスマート農業などにも取り組みやすくなることなどを現場に対して丁寧に御説明していくことが重要と考えております。
また、これらの取組を後押しする上で、目標地図の作成に向けまして、地域での徹底した話合い、これを御支援申し上げるとともに、農地バンクと連携した農家負担ゼロの基盤整備について、区画整理などに加えまして、新たに農業水利施設などの整備を行えるようにする、地域でまとまった農地を農地バンクに貸し付けた際に地域集積協力金を交付する等の支援策を講じてまいりたいと考えております。
○若林委員 農地の集積に向けた取組は、ずっと様々な手を打ちながら取り組んできたところ、ここを更に、人・農地について法定化をすることによって、大きな挑戦をこれからやっていくことになります。現場、それぞれの主体となる方々の連携をしっかり取りながら、国がしっかりサポートをして実を上げられるように是非御期待をしたいというふうに思います。
さて、私は、一期六年参議院議員を務め、落選をして五年間浪人をいたしました。昨年の十月に国政復帰をしたところでありますが、浪人期間中は、長野一区、北信地域を一軒ずつ回って、多くの人に出会い、多くのことを学ばせていただいてまいりました。善光寺平を囲む山々に点在する山村、中山間地の集落へ行くと、過疎と高齢化が進む現実にぶち当たるわけであります。何とかしたいと国政復帰を執念として思う私自身の原点でございました。
ある集落でのこと。かつて七十世帯もあった集落が今や十世帯になって、一軒一軒その十世帯に歩いていくと、八十を過ぎたおばあちゃんが、お父さんと一緒に守ってきた家だから私は一生涯ここでこれを守り抜くんだ、こうおっしゃっている姿、本当に胸がぐっと締めつけられるような思いをしたものであります。
こうした集落、かつては集落営農組織を持って協定を結んで直払いの受皿というのはあったんだけれども、だんだんと高齢化が進んで、担い手がいなくなって、そして国の支援が届かなくなって、更に過疎化が進んでいく、七十軒が十軒になってしまう、こういう現実を目の当たりにしたんですね。
中山間地等直接支払い交付金に関しては、五年を一期として、もう既に四期経過をし、今五期目に入っているわけであります。集落営農組織などを組織して協定を結んだ実績を見ると、第一期目、この協定数は、最終年で三万三千件ありました。しかし、今、第五期に入って、令和二年は二万三千件、要するに一万件の協定が少なくなってしまっているわけであります。
この協定数が減少してしまっている原因というのは、やはり高齢化や過疎化によって受皿となる集落営農組織がつくれなくなった、協定が結べない、こういった集落がどんどん増えてきてしまっている、こういうことだということなんですね。私がこの山村を歩いて感じていたことがやはり国のデータでも裏づけられているな、つくづくそう思いました。
しかし、農政というのは、産業政策も大事だけれども、やはり社会政策として、地域を、山村をしっかり支えていく、それがやはり大事な肝だ、こう思っております。
こうした過疎で悩む山村に更に支援の手がしっかりと行き届くように、RMOや広域化、様々な取組を検討していると伺っておりますが、その点について、その決意と、そしてどういう方策を考えておられるか、伺いたいと思います。
○金子(原)国務大臣 議員御指摘のように、中山間地域では、少子高齢化や人口減少が都市部に先駆けて進行しておりまして、農地等の維持保全活動の継続が困難になるなど、地域コミュニティーの維持にも支障を生じつつあります。
このため、令和二年度からの中山間地域等直接支払交付金の第五期対策では、人口減少や高齢化による集落機能の弱体化、担い手不足等に対応するために、集落協定の広域化を支援する加算の拡充、人材確保や集落機能強化に向けた活動を支援する加算の新設などの措置を講じています。
これらに加えまして、令和四年度の予算では、農村の多様な地域資源を新分野で活用し、付加価値を創出する農山漁村発イノベーションの促進や、複数の集落の機能を補完して地域で支え合う村づくりを推進する農村型地域運営組織形成推進事業等を措置することといたしております。
これらの支援によりまして、中山間地域における所得と雇用の機会を確保しまして、人が住み続けるための条件整備を進め、地域に寄り添いながら中山間地域の振興を力強く進めてまいりたいと思います。
○若林委員 ありがとうございます。
中山間地の活力を取り戻していく、どんな集落でも、どんな山村でも国は見捨てない、しっかり手を差し伸べ、そして応援をしていくんだ、こういう心意気を大臣から伺わせていただいたと思います。新しいこうした取組に是非御期待を申し上げるところでございます。
今日は、こうして農林水産委員会での質疑時間をいただきまして、自分自身の思い、そして、その質疑をいただいたこと、チャンスをいただいたことに感謝を申し上げて、これで質疑を終わりたいと思います。
ありがとうございました。
○平口委員長 次に、金城泰邦君。
○金城委員 おはようございます。公明党の金城泰邦と申します。
質問に入ります前に、昨夜十一時過ぎに起きました宮城、福島での震度六強の地震、東京の方でも大分揺れましたが、宮城、福島におかれましては、一人の方がお亡くなりになり、少なくとも百二十六人以上の方がけがをされたということで、亡くなられた方には心からお悔やみ申し上げますとともに、けがを負われた方にお見舞い申し上げたいと思います。政府におかれましては、迅速な状況把握と支援をお願いしたいと思います。
それでは、質問に入らせていただきます。
まず初めに、沖縄の基幹作物でありますサトウキビの生産農家及び製糖工場への支援についてでございます。
サトウキビの生産構造は、農家戸数が全体的に減少しておりまして、農業従事者の高齢化が進んでおります。結果的に、単収は減少傾向にある。今後は、担い手の育成を始め、老朽化した製糖工場の更新などの生産体制の強化が必要になっております。
私も、去年、おととしと、沖縄の各離島を回る中で、特にこのサトウキビの生産に御尽力されております南北大東島に行ってまいりました。今回は、その南北大東の頑張っている状況と課題についてお話しさせていただきたいと思います。
まず、南大東島でございます。沖縄県那覇市から約三百六十キロ離れた島でございます。こちらは、島のつくりも石灰岩でありまして、農家の方々への貯水池、そういったものも、また、自然の池もあるんですが、海水が浸透してきて、水をためているところの半分はもう海水、上が真水という状況の中で、サトウキビ農家の方々は、水の確保に非常に苦労しておられます。
その南大東島におきましても、貯水池は既存のものがあるんですが、それが老朽化しておりまして、その貯水池の新設が必要ということで、今工事が着手をしたところでございますが、また、なかなか厳しい状況もあります。
ある農家の方は、自分でタンクを造って、マリンタンクというもの、小さいプールのようなものを自前で造りまして、そこのタンクの水をトラックに入れて、そして畑まで、一日二十回も往復したりしてサトウキビを栽培している。その努力も報われて、沖縄県でも一番作物を出荷した、そういった努力をされている方が南大東島で頑張っておられました。
そういった農家の方が収穫した作物、それを製糖工場で砂糖にしていく過程があるんですが、製糖工場におかれましても、働き方改革によりまして、今まで二交代体制でやってきたものが三交代にしなければいけない、そうなると、季節労働の方からやはり正社員という形でやっていかないとなかなか人員確保が難しい、そういったところから、人材を確保するための取組として宿舎の建設も今後必要になってくるということがありました。
そういったことも含めまして、南大東島におけます貯水池の新設の取組の促進、そして、働き方改革によります製糖工場の宿舎建設に御支援をいただきたいと思っております。
また、隣の北大東島、こちらも同じく雨量が非常に少ない状況でございましたが、これまで、水の確保はしっかり取り組みながら、また、土を、様々な堆肥を使いまして、牛ふん、鶏ふん、そういったものを活用しながら、地力の増進に取り組んでこられました。
そういった中でも、近年、令和元年度になりますと、農家の方の戸数も増えてきまして、その一年で六戸の方々が、農家が増えまして、今百四戸まで増えたというような報告もされている状況でございます。
農家の方々は非常に頑張っているんですが、それを最後に砂糖にしていく段階で、製糖工場が非常に老朽化している状況でございました。私も工場、現場を見ましたが、砂糖にするためのボイラーが、昭和三十七年製ぐらいですか、そういった古いボイラーを使っている状況。さらには、その工場の建屋が非常に古くて、ひびが入っているどころではなくして、柱の一部が欠けているような状況もございました。非常に危ない状況の中で工場が営まれている状況でございます。
そういった状況におきまして、農林水産省の御支援をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○武部副大臣 お答えいたします。
私も、自民党の農林部会で何度か沖縄を視察させていただいて、残念ながら南北大東島にはまだ訪問したことはないんですけれども、サトウキビの圃場、貯水池ですとか、あるいは製糖工場も見させていただきました。今委員御指摘のとおり、沖縄の皆様にとってサトウキビというのは大変重要な作物であるということを強く認識をしております。
今お話がありましたとおり、南大東島におきまして、サトウキビ等の生産性向上と安定的な生産を確保するために、沖縄振興公共投資交付金等を活用していただいて、貯水池の整備を行ってきていると承知しております。
農林水産省としましても、老朽化に伴う貯水池の整備に対しまして、農業農村整備事業の水利施設整備事業等による支援をすることが可能です。
今後とも、地元の意向を踏まえつつ、大変老朽化しているところが多いと承知しておりますので、貯水池の整備等を支援してまいりたいと思います。
あわせて、製糖工場のお話をさせていただきます。
北大東のお話がございましたけれども、北大東製糖の工場は、築六十三年と、大変老朽化が進んでいると承知しています。ほかの製糖工場も築六十年近くなっているところが大変多くあるということもまた承知しております。私も視察させていただいて、相当古い建物であったり、なかなか効率化が進まないですとか、また、今お話があったとおり、働き方改革の問題もあって人繰りも大変だというお話も伺っております。
工場の施設整備につきましては、産地生産基盤パワーアップ事業ですとか甘味資源作物生産性向上緊急対策事業等において支援対象とさせていただいております。補助率も、農林水産省の施設整備の補助事業の中で最高水準の十分の六、六割を補助しているところであります。
ただ、工場の新設整備になりますと大変大きな予算がかかりますので、国費補助の残りの十分の四の負担について、大変大きな負担があるんだというふうに思います。工場と北大東村、沖縄県などの関係者で十分に話し合って決めていただく必要があると思っています。
農林水産省としましては、まずは、地元の関係機関で適正な施設整備、整備スケジュール、整備費用の負担の在り方等を十分検討していただいて、具体的な計画が作成されるよう、検討に要する経費についても支援を行うとともに、しっかりと相談に乗ってまいりたいというふうに思っております。
○金城委員 ありがとうございます。
そういった遠く離れた離島は、建設するに当たりましても、建設費が大体、都市部と比べましても約三倍ぐらいに膨らむような建設費になるんですね。そういった意味では、しっかりとした支援があれば確保もできると思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
そういった形で農家の方が頑張ってサトウキビの生産増を果たしました。その結果、二〇一九年から二〇二〇年、生産が九千百八十トンを超えた。年間販売量の七千トンを上回る、今度は供給過剰の状況も近年発生しまして、二千トンから三千トンが在庫になっているという状況もありました。
そういったこともありましたので、昨年、JAの方々、そういった関係の方々から、在庫になっている黒砂糖の対応について要望が来ているところでございます。
昨年末から私も部会等で、こういった在庫になっている黒砂糖、これを、本来は皆さんが営業努力で販売していかなければいけないんですけれども、いかんせん、コロナ禍の影響で観光客も減ったりとかして、販売がかなり厳しい状況になっておりました。ですので、それを側面から支援する意味で、学校給食等への活用なども是非取り組んでいただきたいと要望してきたところでございます。
地産地消コーディネーターというものを、派遣地域を募集しているということも伺いましたし、給食への地場産物利用拡大ということをしっかりと取り組んでいくということを、農政の中でもしっかりと取り組んでいくということも伺いましたので、給食などへの活用についてもちょっと伺いたいと思いますが、御答弁できますでしょうか。
○水野(敦)政府参考人 お答えいたします。
先ほどの、その前の御質問の中で、南大東島における季節工等の宿舎整備に関する御質問もいただいていたと思いますので、併せて御答弁させていただきたいと思います。
委員からお話がありました南大東村の製糖工場の季節工等向け宿舎整備でございますが、この宿舎整備の事業は、御指摘のとおり、働き方改革に対応するという形で行ってございまして、製糖工場の安定操業に必要な季節工の人数や地域の実情などを勘案しまして、毎年度の事業実施に当たって、地元の要望を踏まえて推進してきているところでございます。
例えば、北大東村における季節工等向けの宿舎は今年度末に完成を予定しているところでございます。
委員御指摘の南大東村における季節工等向けの宿舎整備につきましては、南大東村から御要望が出されてきますれば、真摯に対応してまいりたいと考えてございます。
引き続きまして、黒糖の消費拡大について、学校給食への活用ということでございます。
委員御指摘のとおり、沖縄県産黒糖に関しましては、ここ数年、サトウキビ生産量の増産傾向に伴って産糖量も増えてきている中で、コロナ禍による需要低迷という影響もありまして、年々在庫量が増えているということで、黒糖製造事業者の経営に懸念が出てきている状況となってございます。このため、令和二年度より、沖縄県とも連携いたしまして、この問題に取り組んでございます。
内閣府におきましては、沖縄県産黒糖需要拡大・安定供給体制実証事業を実施しまして、販売部門の強化を図るなど、努めております。
また、委員からも御指摘がございましたとおり、黒糖の在庫問題に対する取組の一つとしまして、全国の小中学校の給食で沖縄県産黒糖を食べてもらえるよう、沖縄県黒砂糖協同組合から、全国学校給食会連合会を通じて、全国の学校給食会に対して沖縄県産黒糖の利用を呼びかけているところでございます。
内閣府といたしましては、学校給食を始めとする様々な活用方法を取りながら、関係者が一体となって、沖縄県産黒糖の魅力を多くの人に知ってもらい、需要を拡大することに引き続き取り組んでまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○金城委員 ありがとうございました。しっかりとまた応援していただきたいと思います。
次に、日台漁業協定につきまして。
沖縄の尖閣周辺などでは、今、漁業関係者の方が困難な局面にさらされております。そのような中で、日台漁業協定に関して、国の関与をやはり強めていただいて、漁業者をもっと守っていただきたいとの声を多く伺っております。
これまでの日台漁業協定の取組がどのように進められてきたのか、どのようなルール作りがされてきたのか、お互いにそれが守られてきているのか、説明をいただきたいと思います。
○神谷政府参考人 お答えいたします。
日台民間漁業取決めは、日台間における操業秩序の確立などが長年の課題となっていたため、その解決を図るべく、二〇一三年四月に署名されました。
本取決めにおきましては、東シナ海の北緯二十七度以南の一部の水域を適用水域と定め、日台漁業委員会を設置して、日台の漁船が安心して操業できるよう、操業ルールの協議などを行ってきたところでございます。特に、好漁場とされる八重山の北方の水域などについては、日台の漁船のすみ分けのルールを策定し、一定程度、安定的な秩序が構築されてきていると考えております。
ただし、台湾漁船による操業ルール違反が疑われる事案も発生しております。その場合は、台湾側に通報を行うとともに、再発防止などを求めているところでございます。
○金城委員 尖閣周辺や台湾の付近で操業している漁業者の方が安心して操業できるように支援をしていただきたいと思っていまして、これは農林水産大臣、是非、決意も含めて御答弁いただければと思います。
○金子(原)国務大臣 沖縄県の漁業者において台湾漁船とのトラブルを懸念する声があることは承知いたしております。
こうした声も踏まえまして、我が国の漁業者が安心して操業できるよう、日台漁業委員会において操業ルールの協議が行われてきており、農林水産省といたしましても、適切なルールの策定やルールの遵守確保に取り組んでおります。また、台湾漁船により影響を受ける沖縄の漁業者のために、沖縄漁業基金により経営の安定、被害救済を現在行っているところであります。
今後とも、漁業者の思いを受け止めながら、安心して操業ができるように、しっかりと取り組んでいきたいというふうに思います。
○金城委員 大臣、ありがとうございます。決意を伺いました。
水産業におかれましては、これから先、担い手の確保が非常に厳しい状況になっておりまして、具体的な対策も求められております。例えば、水産高校と業界が一体となった水産教育の充実だとか、若者にとって魅力のある就業環境の整備、つまり、洋上や船内におけるWiFi環境の確保や船内居住環境の改善が求められておりまして、さらに、外国人材の受入れ環境も整備、強化が必要と思われます。
これにつきまして、また大臣に御答弁をいただければと思いますが、いかがでしょうか。
○金子(原)国務大臣 水産業の成長産業化に向けまして、次世代を担う若者を確保、育成していくためには、所得の向上に加えまして、就業環境の整備を進め、若者にとって魅力のある産業としていくことが重要であると考えております。また、国内の人材確保のための取組を行ってもなお不足する労働力につきましては、外国人材を円滑に受け入れていくためにも、就業環境を魅力あるものにしていくことが必要であると考えております。
このため、業界団体や関係省庁と連携を取りながら、洋上や船内におけるWiFi環境の確保や、個室の確保による居住環境の改善などの就業環境の整備などを現在進めているところであります。さらに、外国人材につきましては、生活支援や相談対応の充実等、外国人材にとって満足度の高い受入れ環境の整備についても今後進めてまいりたいと思います。
このような取組を進めることによって、水産業の成長産業化を支える人材を確保してまいりたいと考えております。
○金城委員 大臣、御答弁ありがとうございました。
洋上のWiFi環境の整備とかも、具体的には、電源をどう確保するか等、必要になってまいります。私、昨日、風力発電の展示展に行ってまいりました。洋上風力を活用して電源を確保する施設設備、そこにWiFiをきちっとやっていく、そういったものも今後具体的に提案してまいりたいと思いますので、しっかりとまた取り組んでいただきたいと思います。
以上で質問を終わります。ありがとうございました。
○平口委員長 次に、小山展弘君。
○小山委員 静岡県の小山展弘です。
四年ぶりに農水委員会で質問の機会に立たせていただいて、大変感慨深く思っております。
それでは、早速質問に移らさせていただきたいと思います。
まず最初に、リニア新幹線に関係することについてお尋ねしたいと思います。
リニア新幹線のトンネル工事に際して、三百七十万立米の大量に土砂、残土が発生をいたします。これについては、大井川の燕沢に十八万平米の発生土、残土の置場を設けて、最大七十メートルの高さの盛土をするということを計画されております。七十メートルというと、大体、建物でいうと二十三階建てです。それが三百七十万立米の盛土になる。また、藤島沢付近の残土置場については、これはいろいろ鉱物とかそういった有害物質が含まれている土壌ということになるんですが、これは盛土にして永久保管という方針であるとのことでございます。
このことについて、南アルプスの崩れやすい地形や地質、安全性の推定に不確実性があることを考慮していないと、静岡県でも難波副知事が県議会でそのように答弁し、疑問視をいたしております。
もちろん、事業者も誰も土砂崩れを起こしてやろうと思ってこういう事業をしているわけではないということは十分に承知して、また感情的になってはいけないと思いますが、今回、閣議決定までされていて、今国会で審議を予定されている宅地造成及び特定盛土規制法案に基づいて、仮に静岡県が、大井川上流の燕沢そして藤島沢付近の二地区について、当該区域を規制区域に指定した場合に、国がその指定を取り消したりとか、あるいは取消しを前提に協議を求めるということは想定されるんでしょうか。
○天羽政府参考人 お答え申し上げます。
宅地造成等規制法につきまして御質問をいただきました。
宅地造成等規制法の一部を改正する法律案、通称盛土規制法案というふうに呼んでおりますけれども、先生御指摘のとおり、令和三年の七月、静岡県の熱海市で、大雨に伴って盛土が崩落し、土石流が発生をし、さらには甚大な人的、物的被害に見舞われたということがございました。この国会に、国土交通省と農林水産省の共管の法律案といたしまして、土地の用途にかかわらず、危険な盛土等を全国一律の基準で包括的に規制する盛土規制法案を提出しているところでございます。
この盛土規制法案におきましては、国が、規制区域の指定に関する考え方を含む基本方針を定めることとなっております。その上で、都道府県知事などが、この基本方針に基づき、かつ、規制区域の指定や盛土等による災害防止のための対策に必要となる基礎調査の結果を踏まえ、規制区域の指定を行う法案としておりまして、この規制区域の指定につきまして、都道府県知事等に対して、国が個別に協議を求めたり、指定を取り消すような仕組みとはなっていないと承知をしております。
○小山委員 今、まだこれから審議中の法案の内容について御答弁をいただきましたが、また是非、誰も不幸を願ってこういった事業を行ったり規制をかけたりということではないものですから、是非、県と事業者が十分に話合いができるように、国としてもリードしていただく、サポートしていただければと思います。
次に、農業経営基盤強化促進法等の一部改正法案が今後この農水委員会でも審議されることになろうかと思いますが、この法案についてお尋ねしたいと思います。
農業委員会は、この法案によりますと、農業者の意向などを勘案しまして、農地中間管理機構、農地バンク、JA、土地改良区の関係者の協力を得て、地域計画、いわゆる目標地図の素案を作成し、市町村に提出するという法案の内容と伺っております。また、地域計画の達成に向けて、農業委員会が中心となって、関係機関が連携して取組を推進することも記載をされております。
農業委員会や農地バンクには職員などのマンパワーが非常に少ない中で、この目標地図の作成や計画の達成に向けた取組をどのように進めていくのか、ややこのマンパワーのところで心配がございます。このことについて、農水省はどのような見通しを持っておりますでしょうか。
また、農協や土地改良区の関係者の協力を得るという内容もございますけれども、農協に対してどのような協力を求め、事務作業に係る手数料等が発生することも想定されますでしょうか。
○武部副大臣 お答えいたします。
今後、高齢化それから人口減少が本格化してまいります。地域の農地が適切に利用されなくなることが懸念されている中、農地を利用しやすくされるよう、農地の集約化等に向けた取組の加速が必要だと考えております。
このため、地域の話合いによって目指すべき将来の農地利用の姿を明確にし、目標地図を作っていただき、それを実現すべく、地域内外からの受け手を幅広く確保して、農地バンクを活用した農地の集約化を進めていくことが必要だと考えておりまして、そのための関連法案を国会に提出させていただきました。
この中で、目標地図でございますが、市町村が作成することになっているんですけれども、素案については農業委員会に作成していただくことになります。農業委員会が素案を作成するに当たりましては、農地の出し手、受け手の意向等の情報をタブレットによって収集していただき、これらの情報を、現在インターネットで公開しておりますけれども、農地地図情報、eMAFF地図、これに反映することで省力化を図ることとしております。
人手が足りないんじゃないかという委員の御指摘もございましたけれども、今回の法案で、農業委員会は、農地バンク、農協、土地改良区等の関係機関に対して必要な協力を求めることができる旨を規定しておりまして、特に農地バンクにつきましては、必要な現地コーディネーターを増員することとしております。地域外の受け手候補の情報等を農業委員会に提供するなど、関係機関が一体となって取り組んでいただくこととしております。
それから、今農協のお話がございましたけれども、例えば、農協が地域の作付方針を提供するなど、こういうことにつきましては、法律に基づいて行う協力でございますので、手数料等が生じるようなことはないと想定しております。
○小山委員 また、詳しくは今後、法案の審議の中でいろいろな御議論があろうかと思いますが、二〇一六年の農協法の改正の際に、農協にこういった事務負担がかかる場合には、それまでと違ってちゃんと手数料を払って契約関係を明確にしていくというような改正の内容がございました。そこまでの過大な負担ではないということかもしれませんが、また是非、こういった負担がかかる場合には御配慮をいただきたいと思っております。
次に、養父市の国家戦略特区で行われている企業の農地取得についてお尋ねします。
国は、このような企業による農地所有を全国的に展開するといったことを考えていらっしゃるんでしょうか。
養父市の特区では、違法転用などの問題があった場合には養父市がその土地を買い取るということで違法転用に対する歯止めとしております。ただ、これは養父市の中で今回の特区の対象となる農地が大変小規模であるために可能となっている歯止め策でありまして、これが例えば仮に全国に広がった場合には、二十町や三十町といったような規模の農地の違法転用の問題が発生することも考えられます。
こうなりますと、全てのところで自治体が買い取るということは困難なケースも想定されるんですが、そういったことから、私は現時点では全国への展開は困難と考えていますけれども、政府の認識はいかがでしょうか。
○三浦政府参考人 お答え申し上げます。
この特例につきましては、昨年の通常国会で特例の期限を二年間延長する法改正を行いますとともに、その間、政府として、ニーズと問題点の調査を特区区域以外においても実施をいたしまして、その結果に基づいて、全国への適用拡大について調整をし、早期に必要な法案の提出を行う、こういうこととされております。
全国展開を含めたこの特例の取扱いにつきましては、したがいまして、この調査の結果でございますとか養父市における取組状況などを総合的に勘案して検討していきたいと考えております。
○小山委員 たしか、この法案が出たときにも、当時の奥原事務次官も、こういう企業の土地所有というのはいかがなものかと、奥原さんでさえそういうふうにお話しになっていたのを覚えております。
実際、リースでやって採算が取れるケースが多いですので、こういった違法転用の有効な歯止め策が見つからない中で、私は、全国展開ということはやはり慎重に、慎重の上にも慎重を期すべきではないかと考えております。
次に、みどりの食料システム戦略についてお尋ねをしたいと思います。
農水省では、二〇五〇年に有機農業の取組面積の割合を全耕地面積の二五%、百万ヘクタールに拡大するとの方針案を示しております。有機農業が発展することは、私も、個人的には有機野菜とか有機の方が好きなものですから大変望ましいと思いますけれども、有機農産物を生産、供給できたとしても、日本の消費者のニーズが伴っていくんだろうかというところについては、若干、この見通しについて一〇〇%の確信を持てないところもあるかと思っております。
せっかく作ったのに供給過剰だということになってしまわないように、農水省は、有機農産物の需要や市場のニーズについて、どのように見通しを持っておりますでしょうか。
○宮崎大臣政務官 お答えをいたします。
今先生御指摘のように、有機農業の取組の拡大をこれから進めていくわけでございますけれども、これは、生産の拡大のみならず、市場の拡大を同時に進めることが非常に大切なことだというふうに考えております。
世界の有機食品市場は、近年十年間で倍増をしております。金額的にも十兆円を超えております。我が国の有機食品市場でも、過去八年間で四割拡大しているという状況にございます。
一方、日本の一人当たりの有機食品の消費額につきましては、依然としてアメリカの十分の一程度にとどまっておるということでございます。環境意識の高まりの中で、拡大の余地は非常に大きいのではないかというふうに考えているところでございます。
農林水産省といたしましては、有機農業を核といたしまして、地域の中で生産から消費まで一貫して取り組むモデル的な産地を全国で育成をいたしまして、消費者に有機農業の意義を御理解をいただきまして、消費につながる取組、こういったものを進めるというようなこと、そして、流通・加工業界などの参加をいただきながら、流通の効率化、有機加工品の生産によりまして消費者が有機食品を購入できる機会を増やすということで、これらの市場の拡大に向けてしっかり取り組んでまいりたいと考えております。
○小山委員 今のまま、世界では倍増、我が国では一・四倍で世界ほどの伸びはないわけですけれども、決して需要が見込まれないような見通しではないということではありますが、こういった見通しに加えて、具体的な供給先というものも是非御検討いただきたいと思います。
私どもの党の川田龍平議員や篠原孝議員が提案しておりますように、例えば、学校給食へ有機農産物の供給などを促進するといったことも一案ではないかなと。子供の頃に有機食品の味になじめば、未来に向かっても有機食品の需要拡大といった効果も期待できるのではないかなとも感じておりますが、普通にこの市場が伸びていくだろうということに加えて、こういったやや公的な機関などでの積極的な販売先の確保といったことにも是非御配慮をいただきたいと思います。
次に、私が質問すると、いつもおまえはそういう質問をすると言われそうですが、お茶について質問させていただきたいと思います。
もう来年の、四月には、一番茶の生産が始まります。なかなか今の時点で、今年の茶価とか市況の見通しというのはまだまだ立てられる状況ではないのかもしれませんが、今年度の、令和三年産の茶価の動向とともに、今年のお茶の需給並びに市況について、もし御認識がお話しできることがあればお話しいただきたいと思いますし、また、茶業振興に対する大臣の意気込みを是非お話しいただきたいと思います。
○金子(原)国務大臣 近年のお茶の需給については、リーフ茶の需要が減少する一方で、ペットボトルの需要や輸出が増加しておりまして、新たな需要の拡大も見られているところであります。
直近の令和三年産の需給で申し上げますと、新型コロナウイルスの影響を大きく受けた令和二年産から比較して需要の回復が見られたほか、一番茶や二番茶の価格についても、前年から上昇した産地が多かったと把握をいたしております。また、令和三年の輸出額も、過去最高の二百四億円となったところであります。
令和四年産の茶の需給は、今後の気象条件などにも大きく左右されるため、現時点で需給を見通すことは非常に困難でありますが、農林水産省といたしましては、輸出の更なる拡大に向けた産地の対応やプロモーションなどを進めるほか、簡便化や本物志向など、多様なニーズに対応した産地の取組を今後とも支援してまいりたいと思います。お茶が有する健康への効果など、お茶の魅力の積極的な情報発信も今後行ってまいります。
こうした取組を通じまして、新茶シーズンを迎えるお茶の需要拡大に向けた関係者の取組を応援してまいりたいと思います。
○小山委員 是非、お茶の需要拡大に向けてお取り組みいただきたい。
先日、災害対策特別委員会の際にもお越しをいただいておりました、茶業会議所の会頭もお務めになって、自民党の皆さんにも大変なじみのある戸塚進也先生が今日は傍聴にお見えになっておられまして、大変お茶のことにも、進也先生からも私も御指導賜っております。
今年の令和三年のお茶の茶価が回復したというお話が今御答弁の中でございまして、それ自体は悪いことではない、いいことなんですけれども、ただ、去年のお茶の価格というのは過去最悪なんですね。その前の年も、その前の年時点では過去最悪、ずっと下がってきておりますので、茶農家の方々の経営体力というのはもう限界に来ている。
中小の茶農家あるいは家族でやっている方で、廃業される方、私も、一番茶の季節になると茶工場などを訪問したり、それこそ進也先生に御指導いただいて伺ったりしておりましたが、年々、茶農協、工場を閉鎖してやめるところがある。これは産地によっても違うのかもしれませんが、是非、お茶の需要拡大、そしてまた茶農家の方々の所得の向上に向けて今後もお取り組みをいただきたいと思います。
今の大臣のお茶の健康に対する効果というところに関連して、次の質問をさせていただきたいと思います。
実は、今から私が申し上げることは、厚生労働委員会で、私どもの党の山井和則議員が田村厚労大臣に質問した部分と重なる部分もございます。
京都府立医科大学の松田修教授によると、試験管実験において、お茶のカテキン、カテキンの中でもエピガロカテキンガレートというものですけれども、これによって、新型コロナウイルスの従来株についてはウイルスの不活化が認められた。ウイルスで、えへん虫みたいなとげのところにエピガロカテキンガレートが取りついて、スパイクをつるんつるんにしちゃって、スパイクの機能をなくしてしまうというような不活化です。
このことから、お茶を飲むことは薬の代わりにはならないですけれども、新型コロナウイルスが例えば口腔内に、無症状の方でいらっしゃった場合に、お茶を飲みながら御飯を食べるとか、お茶を飲んでいるというのは、口腔内のウイルスを不活化できる可能性が高いこと、また、新型コロナウイルスは飛沫感染ですから、口腔内、口の中が事実上の殺菌されるようなことによって、うつす可能性も低く抑えていくことができるのではないだろうかと。こういった、薬やアルコールのような消毒剤ではないんですけれども、他人への感染のリスクを低減できるというような公衆衛生的な効果というものまでは考えることができるのではないかな、そのように認識されております。
しかし、今私も試験管の中で従来株のと限定して申し上げてまいりましたとおり、一つには、人体への臨床実験というものが伴っていないということと、従来株での実験であって、変異株の出現に追いついていない、恐らくある程度は共通性はあるとは思うんですけれども、やはり変異株そのものでやれていないというようなことから、なかなかこのような研究成果、非常にすばらしい研究成果を公衆衛生的な予防にも生かし切れておりません。
もっと、このような公衆衛生的な効果が予想できる、期待できるお茶などの食品についての研究を政府としても予算を増額して後押ししていく、また、国内農産物の消費にも関係をいたしますので、農水省としても支援をしていくべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
○宮崎大臣政務官 お答えをいたします。
今先生お話がございましたように、お茶に含まれるエピガロカテキンガレートに抗菌作用など様々な効用があるといった研究があることにつきましては、農林水産省としても承知をしているところでございます。
一方で、これも先ほどのお話にございましたように、現状では、新型コロナウイルスにつきましては、短期的に変異株が出現するということなどから治療方法を確立をする医薬の研究が優先される状況にあるため、食品に関する臨床研究、これを行うということは難しい状況にあるというふうに認識をしております。
その一方で、農林水産物の健康への寄与に関するエビデンス、これを蓄積していくことは、これはお茶も含めまして重要なことだというふうに考えておるところでございます。農林水産物の健康機能性の研究につきましては、令和三年度、本年度から、緑茶など一部の農産物につきまして免疫機能への効果をヒト介入試験で検証する事業を実施しておりますので、引き続きこれらの取組を推進していきたいと考えております。
○小山委員 もちろんこういったことは慎重に発言をしていかなければいけないことでございまして、薬になるわけでもないし、アルコールのような消毒剤になるわけでもないですけれども、ただ、一方で、こういった疫病あるいはウイルスの流行というのに対しては、知見を総動員してやはりこの発生予防をしていく、社会全体としても、この発生を抑えていくことが全体の利益にもなっていくかと思っております。
東洋には医食同源という言葉もございまして、食は薬にもなり得るという考え方もあります。是非今後、今、これからも免疫機能についての食品としての研究は進めていくということでお話もございましたが、できれば公衆衛生的な予防効果の研究なども省庁の枠を超えて研究開発支援、効能の検証などが行えるように、是非、お茶にこれは限らず、期待したいと思います。
次に、肥料のことについてちょっと伺いたいと思います。
石油の世界的高騰も原因となって、肥料価格の高騰は農家の所得を圧迫をしております。また、肥料メーカーの企業収支も圧迫しております。農水省は、この肥料の高騰に対する対策を考えておりますでしょうか。
また、あわせて、二〇一七年の農業競争力強化プログラムにおいては、肥料銘柄数を削減し、肥料業界の企業を再編統合して企業数を減らせば、規模の利益を生かせるので肥料価格の低下が見込まれるというようなことが言われてまいりました。肥料メーカーの統合はどの程度進んだんでしょうか。また、肥料価格の低下効果はあったんでしょうか。併せてお答えいただければと思います。
○平形政府参考人 お答え申し上げます。
肥料コストの低減につきましては、委員御指摘のとおり、農業競争力強化支援法に基づきまして、まず、全農において、約五百五十銘柄あったものを二十四に集約ということにいたしまして、競争入札によって購入先となるメーカーを約半分に絞り込んだということで、実は取組前と比べて約一割から三割の価格引下げということが実現をされておるというところでございます。
一方で、農林水産省といたしましても、肥料を含む農業資材の販売価格に関する調査、これを毎年実施、公表しておりまして、農業者が安価に農業資材を購入できる環境づくり、これも推進しているところでございます。
他方、委員御指摘のとおり、化学肥料の原料を海外からの輸入にほとんど依存しておりますので、化学肥料の原料の国際価格が上昇する中で、肥料の国内価格も上昇傾向というふうになってきております。
このため、令和三年度の補正事業なんですけれども、肥料コストの低減体系緊急転換事業、これを実施いたしまして、肥料の適切な施用のための土壌診断ですとか肥料設計に要する経費に対する十分の十の支援、また、堆肥等の国内資源を活用した肥料の運搬や散布など、肥料ですとか施用の方法の変更に要する費用の二分の一の支援、こういったことを実施いたしまして、肥料コストの低減、これを進めているところでございます。
○小山委員 肥料のまくものを減らしていくというような土壌の診断をしていくということですが、実際、例えばお茶の茶商さんなんかですと、お茶の味が落ちているというような農家さんがいる、それはどうしてかといろいろ聞いてみると、ちゃんと肥料をしたり世話をしていないというようなことで、価格を下げるんだみたいなことをおっしゃっている方もいて、なかなか、そのぐらい農家さんの、これはお茶に限らないと思いますが、肥料に対してお金を使う余裕もなくなってきている。肥料を減らすとそのように、場合によっては味が落ちてしまうというようなことから、価格の低下を招くこともあろうかと思います。是非この肥料高騰対策にも力を入れていただきたいと思います。
それでは、大分質問時間が残り少なくなってきましたが、もう一問だけ質問させていただければと思います。
実は、予算委員会の分科会の質問で、小林鷹之経済安保担当大臣は、経済安全保障の概念には食料安全保障やエネルギー安全保障などの概念も含まれるというような趣旨の答弁を行っております。
食料については、ただ、米の備蓄、エネルギーについても石油の備蓄などが行われておりまして、今回提出の経済安保の法案では食料安全保障については特段内容として盛り込まれていないけれども、今回から更に、こういった経済安全保障の観点から政策の見直しを行っていく必要があるのではないかと私も考えております。これまでの国際分業論的な発想、市場原理万能の発想だけではなく、今後、農政においても、経済安全保障、食料安全保障の観点から政策を見直して、また新たな政策の策定も行っていく必要があろうかと思います。食料の備蓄だけではなくて、食料生産体制の維持や食料自給率の向上にももっと目を向けられるべきだと思います。
大臣は、経済安全保障や食料安全保障についてどのような認識をお持ちでしょうか。また、そのような観点から、農水分野において新たな政策の策定や見直しを検討されていらっしゃいますでしょうか。
○金子(原)国務大臣 食料安全保障は、国家の最も基本的な責務の一つであり、経済安全保障の観点からも重要であると認識をいたしております。また、国民への食料安定供給は、食料・農業・農村基本法におきまして、国内の農業生産の増大を図ることを基本といたしておりまして、これと輸入と備蓄とを適切に組み合わせることによって確保することといたしております。
そのため、国内で生産できるものはできる限り国内で生産することが重要であると考えており、国内の農業生産の増大に必要な取組として、今後、農地の集積や集約化、スマート農業による生産性向上等により生産基盤の強化を図るとともに、今後も拡大が見込まれる加工・業務用需要や海外需要に対応した生産を支援してまいりたいと考えております。
こうしたいろいろな情勢の変化を踏まえまして、農林水産省内に検討チームを設置して、食料安全保障に関する施策全般について、包括的な検証を行い、必要な対応を検討してまいりたいと考えております。
○小山委員 時間が来ましたので終わりますが、水田利活用事業の、今の五年間水張りしていなかったら出さないとか、こういったのも、食料生産体制あるいは耕地面積の減少が伴うのではないかという観点からも是非御検討、見直しをいただければと思います。
終わります。
○平口委員長 次に、石川香織君。
○石川(香)委員 立憲民主党の石川香織です。
今日は、委員の皆様に御配慮いただきまして、三十分間質問をさせていただきたいと思います。
まず、未曽有の災害となりました赤潮についてお伺いをさせていただきます。
被害額は昨年末で八十一億円ということで、それに対して、補正予算で北海道赤潮対策緊急支援事業ということで、国が十五億、北海道三億、市町三億で合計およそ二十億円という対策を取っております。対象は、赤潮被害を受けた道内の十六の町と市ということです。
九月にこの赤潮の第一報がありまして、補正予算で組んでいただいたということで、水産庁の皆さんも本当に御尽力されたということに感謝を申し上げたいと思います。
その上で、その活用状況についてお伺いをします。
まず、この令和三年度の赤潮対策緊急支援事業にどのぐらいの申請が来たんでしょうか。
○神谷政府参考人 お答え申し上げます。
赤潮緊急支援事業の申請状況につきましては、まず、令和三年度の活動実績とそれに関連する令和四年度の調査事業に関する申請を受け付け、三月十五日付で交付決定をしたところでございます。申請は、七つの漁協から上がってきております。
○石川(香)委員 七つの活動組織で活用されているということですが、この総額二十億円のうち、一月末で結構ですので、使われる見込みの金額を教えていただきたいと思います。
○神谷政府参考人 お答えいたします。
令和三年度の実績に関する申請といたしまして、総額一・五億、うち国費が一・一億でございます。あわせて、申請にはそれに伴う令和四年度の調査もございますので、これが二億、国費が一・四億。合計いたしますと、総事業費として三・五億、国費が二・五億の申請となっております。
○石川(香)委員 今、十五億円、国が拠出した総額の二十億円の予算に対して三・五億ということでしたけれども、一月末で一億五千万円しか結局使われていないんです。これはちょっと少な過ぎると思いませんか。被害総額も八十一億円と言われているんですが、私、算定額はこんなものではないと思っていますが、これほど壊滅的な被害を受けたスケールの被害に対して、この申請件数と見込まれている総事業費、こんなに少ないのかと疑問を感じられると思います。
北海道内には、活動組織、例えば広尾前浜資源を再生する会、様似地区環境保全部会など、こういったものが全部で二十組織あるそうなんですけれども、令和三年度に既に申請をしている活動組織を見ると、今年一月時点の申請状況では、釧路とか厚岸に集中をしていて、例えば、赤潮が一番最初に発見された場所の一つでもある十勝地方では、広尾漁協は申請はしていますけれども、軒並み申請できていないという状況になっています。
令和三年度では申請している地域にかなり偏りがあるように感じますが、大臣、いかがでしょうか。
○金子(原)国務大臣 本事業の対象となっておる十六漁協のうち、今年度は、申請があったのは七漁協となっています、先ほど答弁がありましたように。これは、令和三年度に漁場環境調査、ウニ移植等の活動を実施した漁協の申請であります。
現在、その他の漁協においても活動計画を策定中であることから、今後、残りの漁協からも申請が行われる予定であると承知をいたしております。
農林水産省といたしましては、北海道庁と連携を取りながら本事業の適切な実施に努めてまいりたいと考えております。
○石川(香)委員 確かに、これは急な予算づけをしていただいたということもありますので、計画書を作るのに少し、そういう十分な時間がなかったのではないかというお話は水産庁の方から聞きました。確かにそういう側面はあるかもしれませんが、本当に困った人に満遍なく使ってもらえないのであれば、赤潮対策としては、対策できていないのではないかと思うわけです。
せっかく赤潮の予算がついたのにどうして申請しないのかと、北海道内の組合長さんなんかに、何人かにお伺いしましたが、ある北海道内の漁協の組合長さんは、いろいろ照会をかけても、あれも駄目、これも駄目と言われる、じゃ、やめたとなってしまうと。それから、本当の被害対策になっていないんじゃないか、使い勝手が悪いといったような声が上がりました。
申請していないという中には、この申請要件に事業がマッチをしなくて取り下げざるを得なかった、諦めざるを得なかった事業がかなりあるのではないかということがこういう証言から推測されるわけです。
次にお伺いしますのは、令和三年度の執行の状況についてお伺いします。
○神谷政府参考人 お答えいたします。
令和三年度の執行の状況でございますが、そもそもこの事業の活動内容といたしまして、ウニ殻の除去、処分、岩盤清掃、生残ウニの移植、漁場環境の把握などのメニューがございますが、このうち、今回申請が上がってきたもののほとんどは、生残ウニの移植、また漁場環境の把握のみがほとんどでございます。本事業の大きなメインとなっております岩盤清掃やウニ殻などの除去、処分に関しては、まだほとんど申請が上がってきておりません。
これにつきましては、水産庁といたしましては、漁協さんの方が取りあえず急いでできるものを申請したというふうに認識しております。これから、令和四年度に入りまして、岩盤清掃などの事業についても申請が上がってくるものというふうに認識しております。
○石川(香)委員 今御答弁いただいたように、ウニを扱う漁協では申請していると。例えば、何千匹とへい死をしてしまったサケ、それから、数がめっきり取れなくなって、赤潮の影響も排除できないツブとか昆布とかケガニとか、そういうものについては、直接的な支援という形では残念ながら使えないというふうに現場は感じています。
今お伺いしたこの赤潮対策支援事業のベースになっているものは水産多面的機能発揮事業というものでして、今御答弁いただいたように、環境を保つということを目的とするのがメインになっていますので、この事業の中身は、ウニの殻の除去、処分、岩盤清掃、ウニの移植、漁場環境の把握などというふうになっている。
そもそもの前提として、この被害額八十一億円のうち、ほとんどがウニの被害額だということもありまして、ウニは共済の対象外というところから、サケは共済があるからこれで対応してくださいというのが大前提にあるというふうに聞きました。ただ、赤潮というのは未曽有の災害でありますし、共済は、漁業者もお金を、掛金を掛けているわけですから、じゃ、それで補償というふうに言うのは、これは余りにもちょっと酷じゃないかなと私は感じます。
赤潮で甚大な被害を受けた町の中には、町独自の予算も計上して、赤潮対策として国の予算と連動させて使おうということで備えていたんですが、国の予算が残念ながら当たらないということで、年度内では予算を消化できないということで、予算を大幅に削減をするということになった地域もあるというふうに聞いています。とにかく、みんな、赤潮対策、この予算については非常に期待をしていたんですが、なかなかこれが使えていない。
令和三年度は、いろいろな急なこともありましたし、計画書などの十分な時間がなかったということが理由だとしても、令和四年度、繰越しもできるということでありますが、中身が今のままでは、結局来年度も使えないまま終わってしまうんじゃないかというふうに現場では心配をされています。
確かに、浜はここ数年不漁でしたので、どこまでが赤潮の影響なのか、それから、どこまでが不漁というものなのか、その線引きは難しいし、証明もなかなか難しい、こういうのが大前提でありますけれども、少なくとも、来年度以降の予算の中では、中身をバージョンアップしたものにしないと、来年度もこの予算を、せっかくつけてもらった予算を使えない地域が多く出てしまうのではないかと思います。
これは、赤潮という看板をつけていただいた対策ですけれども、中身は多面的機能ということですので、この中身を踏襲するだけではなくて、こういった状況も含めて、使い勝手がいいようにバージョンアップしていく必要があるのではないかと思いますけれども、御答弁、よろしくお願いいたします。
○金子(原)国務大臣 なかなか執行が進まないということは、私も余り北の海の状況については詳しくは知らないんですが、今、一番、しけどきというんですか、非常に気候的条件からいって操業もしにくい、海底調査もしにくい状況ではないかなと思うんですよね。
したがって、ある程度、海がないで、環境がよくなってくれば、こういったいろいろな事業が始まっていって、それが執行されていくような形になるのではないかな、私はそのように思っておりますけれども、よくこれは北海道庁とこれからも打合せをしながら進めていきたいというふうに思っております。したがって、もう少し推移を見守っていただきたいと思っております。
それから、バージョンアップの話につきましては、農林水産省としては、本事業の趣旨の範囲で、ウニ漁業以外にも、現地で必要と認められる活動につきましては、柔軟に、きめ細やかに対応していきたいと考えております。
○石川(香)委員 是非柔軟に、きめ細やかくということで、申請する内容は現場でやってください、道庁の皆さんと連携してということになっていますけれども、現場だけでは、工夫というものは、なかなか知恵も出てこないところもあると思いますので、そこは是非柔軟に対応していただきたいし、せっかく予算をつけていただいたのに、使われなかったら予算をつけなかったのと同じことになってしまいますので、是非そこは、こういった声が既に出ているということを重く受け止めていただきたいと思います。
コロナで本当に浜の皆さんは大変な思いをされていますけれども、漁業者だけではなくて、水産加工業の皆さんや卸の会社の方も、物が入ってこない、価格は物すごく高いということで、本当に大変な状況です。
コロナで、観光客の方や、インバウンドの方も含めて、来れなくなってしまったということもありまして、価格面でも影響を受けていますし、ダブルパンチ、トリプルパンチという状況で、一次産業の中でも漁業、水産業というのは特にやはり厳しい状況に置かれているのではないかと思います。
漁師の人は、魚が来なくても、若しくは漁に出られなくても休業支援金が出ない、なかなか当たらないということで、事業復活支援金というものもありましたが、これも不漁による減収は該当できないということで、これは証明がそもそも不可能に近いぐらい難しいということで、生活への影響は直接あるにもかかわらず、これも申請できないケースが実態として多くあるということを聞きました。
この赤潮ですが、元々はアキサケの異変から始まりました。たくさんのサケがへい死をしたということで、サケから卵を取るわけですので、これだけの数のサケがへい死をしたということであれば、四年後の卵の確保というのもやはり難しいかもしれないというのが想像できるわけです。
つまり、長いサイクルの中で見据えた被害額であったり被害の状況をカバーできるような対策でなければ、本当の救済に当たらないのではないかと思います。
この赤潮は、昨年から申し上げていますが、やはり災害という捉え方をしなければいけないと思います。中長期的に資源を保っていくというところ、それから再生していくところに重きを置く支援と、浜の皆さんの生活の支援、これをやはり両方の側面で考えていかないと、この何年かの間に、もう漁師を続けられないというふうな声も聞かれてしまいます。
今、共済、積立ぷらすという制度がありますけれども、この制度も、御存じのとおり、なかなか、補填する額が減ってきているという状況の中ですので、災害という認識の上で、共済と積立ぷらす以上の支援を必要としている状況だと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○金子(原)国務大臣 今回の赤潮による漁業被害については、重く受け止めています。
そのため、漁業共済等による減収の補填を行うほか、新たに北海道赤潮対策緊急支援事業を措置し、漁業者の経営継続を支援していくところであります。
この考え方を基本としつつ、北海道赤潮対策緊急支援事業の実施に当たっては、現場の状況を丁寧に把握した上で適切に対応してまいりたいと思います。
○石川(香)委員 今ある既存の制度はもちろんなんですが、やはり今の制度だけではなかなか厳しいと思います。この赤潮も、今モニタリングをしてプランクトンは検出されなくなっていますけれども、本当に、今年、来年、またこれが発生しないのかというのも、これは分かりません、海の中の話ですし。
そんな状況の中で、魚がないと収入が得られないわけですので、そういう見えない不安と闘っているという面で、中長期的に安心できるような制度というのはやはり必要だと思いますので、今まで何度か大臣とこの赤潮の議論をさせていただきましたけれども、依然厳しい状況だということを重ねて申し上げて、更なる支援の創設も含めてお願い申し上げたいと思います。
では、続いての質問に参りたいと思います。
生乳生産の話についてお伺いいたします。
昨日の参議院の農水委員会のやり取りも、新聞でですけれども、拝見いたしました。この春の生乳の需給緩和をめぐって、何も取組を行わなければ生乳が廃棄される事態も懸念をしているという答弁があったということですけれども、そうであれば、今までにない取組をしていかなければこの危機は回避できないと思います。
年末年始、それからこの年度末、その後は、五月、六月の危機と続きます。牛乳を飲もうという呼びかけは全国でも広がりまして、この影響は確かに大きいと思います。
ただ、増産、増頭の方針の下、農家にハッパをかけてどんどんどんどん生産量を伸ばしてきた北海道を始め生産者は、償還の計画も狂ってしまい、それから、もっと搾れるはずだった牛を早めにお肉にしちゃう。燃料や餌も値上がりする中で、本当に不安な思いを持ちながら毎日牛乳を搾っているということだと思います。
在庫対策について武部副大臣にお伺いしますが、在庫対策では、今年度、北海道内の生産者とホクレンがお金を出して、八十億円を拠出しているということですが、来年度、四月からは、国もお金を出して、全国の乳業メーカー、国が二十九億円ということですけれども、全体で八十億円から九十億円ということになるということです。
私も、昨年から、やはりこの生乳の問題、食料の問題は全国レベルで考えるべきだと言ってきましたので、この国の関与というのは評価できると思うんですが、ただ、北海道の生産者は、お金を負担するのが二年目になります。
問題は、この出口対策として、果たしてどれぐらいの効果が見込めるかということだと思います。
これまでの対策の結果を見ますと、直近のバターは少し減ったものの、脱脂粉乳は右肩上がりに増えていて、いまだに本来の在庫量をオーバーしてしまっている。つまり、結果的に、目に見えて減るという成果が出ていないわけですけれども、そんな中で、来年度の対策では、二・五万トンを子牛や子豚向けに脱脂粉乳を置き換えるということだそうですけれども、やはり、北海道の生産者の中には、去年も負担して在庫は減っていない、今年も負担しなければいけないということに納得をしていない人はたくさんいらっしゃいます。苦しい中での北海道の生産者、二年目の負担になるということで、在庫対策、しっかり結果を出していくという目標も必要だと思っています。
武部副大臣、北海道ですので、思いは同じだと思っておりますので、期待しながら、御答弁よろしくお願いいたします。
○武部副大臣 まず、生産者の皆様方には、コロナの影響で需給が緩和している中、生産調整といいますか、御努力いただいておりますし、また、今委員のお話にあったとおり、自ら拠出していただいて頑張っていただいていることに感謝を申し上げたいと思います。
令和二年以降、新型コロナの影響によって、生乳の需給緩和の対応としまして、脱脂粉乳を飼料用等の需要がある分野で活用する取組を支援してまいりました。これらの取組によりまして、令和三年度末までに約二万四千トンが活用される見込みとなっておりまして、在庫の積み増し抑制に一定の効果があったと思っています。私も、地元を回っていましても、この対策もかなりありがたかったというお話も聞いております。
ただ、更に、コロナが二年にわたっておりますから、その影響が長引いて、また在庫がなかなか、積み増しているという状況なんだろうと思います。
令和四年度につきましては、全国の生産者と乳業メーカーが協調していただいて、積み上がった脱脂粉乳の在庫約二万五千トンを対象に飼料用の転用等に取り組む方針と承知しており、農水省も、今委員の御指摘にあったとおり、こうした業界の取組を支援するとともに、乳業メーカーに対して、対策の活用を、使っていただきたいということを促して、需給の改善を後押ししてまいりたいというふうに思います。
○石川(香)委員 今副大臣がおっしゃったように、とにかく長引いているんですよね、コロナの状況もそうですけれども。
私も、やはり国内の胃袋だけでは限界があるのではないかということで、過去、ウズベキスタンの障害児施設に百トン脱脂粉乳を送った前例なども挙げながら、何とか無駄にしない取組はできないものかと度々質疑をさせていただきました。
生き物ですので、一年や二年でなかなか前のように戻るということは考えにくいと思います。そういう意味で、この国の在庫対策、あくまで単年度事業ということを聞いていますが、単年度ではなくて、やはり長い視点で支えていかなきゃいけないんだと思います。
今も、ロシアの情勢も含めて、コロナも含めて、どうなるか分からないという状況もありますし、この状況の中で、穀物の輸出を制限する国も出てきたり、価格上昇とか、物がそもそも確保できるのかといった不安が現場にもじわじわ広がっている。
今、食品ロス五百七十万トンと言われている日本ですけれども、本来、牛乳とかお砂糖とかお米が余るということにはならないはずなんですが、やはりここは相当工夫が必要なのではないかと思います。
何とか、生産者の心が折れない支援策、それから食料を無駄にしないというこの取組を、単年度ではなくて長い視点で支えていただくということをお願い申し上げたいと思います。
この増頭、増産の方向性は政府がずっと打ち出してきたことでして、その反対側にカーボンニュートラルという目標もある。これは、一見、相反すること、矛盾することを同時に進めていこうとしているように見えるわけですけれども、増頭、増産をするのであれば、出口対策であるふん尿処理も一緒になってやらなきゃいけなかったところを、このふん尿処理の出口対策がどうも後回しになってきたという感じは否めません。
バイオマスプラントというのは非常に大事になってくるわけですけれども、今までは、送電線の容量がいっぱいであるからなかなかバイオマスプラントは造れないという状況もありましたが、ノンファーム型が出ましたので、これで前に進む可能性が出てきた。このノンファーム型、ローカル系統にも検討しているということですけれども、早期の実現を求める声が多く出ております。
農水省といたしましても、政府がこれまで推し進めてきた増頭、増産政策の出口対策として、再エネ、それからバイオマス計画に積極的に関与するべきだと思いますけれども、副大臣にお伺いします。
○武部副大臣 委員の御地元も私のところもそうなんですけれども、北海道の東部を始めとしまして北海道電力管内は、送電網の容量不足によってバイオマス発電の新規接続が進まない、そういった問題が生じているということを認識しています。私も、農業団体はもとよりですけれども、酪農地帯の自治体の首長さんたちからも、是非これを進めてほしいんだ、そういう声もたくさん聞いているところであります。
当省としましては、家畜排せつ物を活用したバイオマス発電は、温室効果ガス削減に寄与するのみならず、家畜排せつ物処理の円滑化につながる重要な取組と認識しまして、支援を行っております。このため、送電網増強を始めバイオマス発電の導入促進に向けた方策について、電力業界を所管する経産省ともしっかりとよく連携しまして対応してまいりたいと思いますし、北海道電力さんともお話ししましたけれども、バイオマスプラントについては大変重要な再エネだというふうにも認識していただいていると思いますので、しっかりと対応してまいりたいと思います。
○石川(香)委員 このノンファーム型ですけれども、出力制限があるということで、これがどの程度なのかというのは計画を立てる上で非常に重要な情報だと思いますし、固定買取り価格、バイオマスは今のところ価格が二十年据置きで下がらないということになっていますけれども、事業の生産性が合うかとか、現場ではなかなか、そういった疑問も出ていますので、是非、経産省と連携しながら、とても大事な取組ですので、進めていただきたいと思います。
では、次の質問に移ります。
新型コロナウイルス、それから大規模な自然災害が頻発する、昨日も地震がありましたけれども、今この日本において、公務員の削減によって深刻な、困難な状況が続いております。
国有林野事業の職員についてお伺いをさせていただきますが、国有林は、国土の保全、それから公益的機能の維持増進を一層促進しながら、国が責任を持ってこれを管理していくという大切な役割があります。この実施体制を強化していくためにも、定員削減をやめて人員を増やすこと、それから職員の労働条件を改善していく、こういう努力をする必要があると思いますが、いかがでしょうか。
○天羽政府参考人 お答え申し上げます。
国有林野事業につきまして御質問をいただきました。
国有林野事業につきましては、平成三十年十二月に策定をいたしております国有林野の管理経営に関する基本計画におきまして、先生御指摘のとおりでありますが、公益重視の管理経営を一層推進するとともに、民有林に係る施策との連携を図りつつ、その組織、技術力、資源を活用して林業の成長産業化の実現に貢献していくこととしてございます。
国有林野事業の実施に当たりましては、伐採、造林等の実施行為は全て民間に委託する一方、防災、減災や民有林行政に対する技術支援等の新たな政策課題への対応に必要な体制の充実を図ってきているところでございます。
引き続き、森林GIS、地理情報システムですけれども、などを活用した業務の効率化を図りつつ、必要な組織・定員の確保に努めてまいりたいと考えております。
また、現場での業務が多い事情も踏まえつつ、職員の安全の確保、森林調査等に係る手当の支給、路面状況が厳しい林道の走行に適した仕様の車両の更新や、急傾斜地等の危険な現地に立ち入らずに上空から現地の状況を確認するためのドローンの配備等による職場環境の整備など、勤務条件の改善に努めてまいります。
○石川(香)委員 今、次の質問も含めた御回答をいただいたような感じでしたので、最後の質問にしますけれども、答弁いただいたように、非常に危険な職務もあります。道のない森林に分け行く、急な斜面や足下の悪い中を移動して調査するということで、北海道でも誤射によって亡くなった職員がいらっしゃったり、マダニにかまれて亡くなった方がいらっしゃったり、林道から車で転落してしまった方がいたり、そういうことも起きている。
こういった公務災害が年間どれぐらい起きているのかということと、安全対策をしっかりしていくということですけれども、次の質問もセットにしまして、やはり、危険を回避するためにも、一人ではなくて、なるべく複数で業務を行う必要があると思いますけれども、最後にお伺いをします。
○天羽政府参考人 お答え申し上げます。
公務災害等について御質問をいただきました。
国有林野事業の職員の公務災害でございますが、現場での転落、転倒などがあるわけでございますけれども、令和三年度は二月末時点で二十八件、令和二年度は二十七件発生をしてございます。
先生御指摘のとおり、職員の安全確保は、人命尊重の立場はもとより、円滑な業務運営にとって欠くことのできない重要な課題でございます。このため、職員の安全確保については、林野庁本庁、森林管理局、森林管理署等が一体となって各種災害防止措置の推進に取り組んでおるところでございます。
その際、森林官などの職員がいるわけでございますけれども、職員の安全を確保するため、原則として単独行動を行わないようにすることを旨として、森林管理署等を指導しているところでございます。
具体的には、森林管理署内の他の職員等との合同行動や、合同行動の対応が困難な場合は、日程を含め業務の内容を変更することなどにより、単独行動とならないための方策を講じるよう、指導をしているところでございます。
○石川(香)委員 ありがとうございます。しっかりお願いいたします。
質問を終わります。
○平口委員長 次に、住吉寛紀君。
○住吉委員 兵庫県姫路市よりやってまいりました維新の会の住吉寛紀でございます。
今、世界情勢が非常に混沌としております。先日来より様々な委員会で様々な委員から質問が相次いだロシアのウクライナへの侵略について、私も、前回、ロシアへの経済制裁の考えられる影響について質問いたしました。金子大臣からは、小麦はロシア、ベラルーシからの輸入はないとおっしゃっておりましたが、小麦の先物価格を見ますと、侵略前から一・六倍ぐらいに跳ね上がっております。また、今後、小麦製品が上昇しやすくなることが見込まれます。また、アメリカは、コーン先物価格も侵略前の一・二倍ぐらいに跳ね上がっております。これはドルベースですので、今、急速に円安も進んでいますので、これもダブルパンチというような状況でございます。この今ぐんと跳ね上がっているのは一時的だったとしても、今の事態の長期化も見込まれ、また、ここ数年の推移を見ても、これらの価格は上昇し続けております。
食料自給率やエネルギー自給率が低い日本は、外的な要因を受けやすく、今後、抜本的にこれらの課題に対して向き合っていかなければなりません。空本委員からも、先日、野心的な食料自給率の向上についても質問があったところです。
その一方で、食品ロスが非常に問題になっております。政府の発表によりますと、令和元年度推計で約五百七十万トンもの食品ロスが発生しております。先ほども質問がございましたが、牛乳のニーズが減ってしまい、このままでは約五千トン廃棄になってしまうということで、大臣含めて、牛乳を飲もう、活用しようというPRを行っておりました。私も、一生懸命牛乳を飲んでいた一人でございます。
しかし、そもそも、毎年それと同等の牛乳が、様々な過程、生産段階であったり、流通、消費で廃棄されてしまっているという皮肉な状況になっております。
まずは、食品ロスの現状と、これまでの取組、また、それをどのように評価しているのか、大臣にお伺いいたします。
○金子(原)国務大臣 食品ロスの発生量は二〇一九年で五百七十万トンであり、そのうち事業系食品ロスは三百九万トンとなっています。
事業系食品ロスについては、二〇三〇年度までに二〇〇〇年度と比較いたしまして半減となる二百七十三万トンまで削減させる目標の達成に向けて、納品期限の緩和等の商慣習の見直し、未利用食品を活用するフードバンク活動、消費者啓発等の取組をサプライチェーンの各段階で推進してきました。
こうした関係者の取組の成果もありまして、食品ロスの発生量は、半減目標を達成可能なペースで堅調に推移してきました。
引き続き、施策の充実を図りつつ、目標達成に向けて全力で取り組んでまいりたいと思います。
○住吉委員 様々な取組で、目標は達成しそうな状況ということを御答弁いただきました。
一方で、更に加速していく必要もあるのではないかなと。せっかく生産者が作ったものがどんな形であれ廃棄されるというのは、やはり生産者の気持ちを考えると非常に心が痛むところでございます。
そこで、民間活力の活用についてお伺いしたいと思います。
日本維新の会は、民間企業の強みを生かした経済の発展をうたっているところでございます。また、この食品ロスに関して、非常にこの分野は民間企業の方が得意であると思われます。
三月十五日には、日本維新の会の会派より、ウクライナ危機等から国民生活を守るための緊急経済対策を提出しました。軽減税率の深掘りや社会保険料の減免など、困窮している方々への支援が多くあります。コロナ禍でも、政府も様々な補助メニューをつくり、湯水のように財政出動しているわけですが、食品ロスになりかけの食品、これを例えば生活困窮者とマッチングできることで貧困対策にもなり得ます。
例えば、民間の活力を呼び込む仕掛けの一つとして、ソーシャル・インパクト・ボンドも挙げられます。ソーシャル・インパクト・ボンドとは、行政の成果連動型支払い契約と民間資金の活用を組み合わせた官民連携手法の一つで、二〇一〇年にイギリスで始まりました。事業の成果を評価して可視化し、それに評価結果と支払いをひもづけた、成果連動型民間委託契約の一つとして位置づけられております。このような食品ロスと貧困対策という社会課題に対しても有効に活用できるのではないかと考えております。
食品ロスの民間活力の活用についてどのように考えているのか、御所見をお伺いいたします。
○水野(政)政府参考人 お答えいたします。
事業系食品ロスを削減していくためには、食品企業が自らの事業の中で食品ロスを削減する余地や手段を見出し、そうした取組について消費者からの理解を得ていくことが重要でございます。
現在でも、食品企業においては、例えば、長期保存が可能な商品を開発するですとか、AIデータを用いて商品の需要量を正確に予測するですとか、賞味期限が近づいた商品を値引き販売するといった、独自の取組を通じて食品ロスの削減が進められているところでございます。
さらに、農林水産省といたしましても、民間事業者の創意工夫を引き出すために、食品企業などによる新たな取組の実証を支援しているところです。例えば、賞味期限が近づいた食品を値引き販売する際に、値引き額の一部をフードバンクへの寄附金に充てる取組を実施しているということでございます。
引き続き、民間の取組を効果的に促し、食品ロス削減を推進していきたいと考えております。
以上です。
○住吉委員 民間企業も積極的にこの食品ロスに取り組む意識の醸成、引き続き行っていただけたらと思います。
更にちょっと質問をさせていただきます。
フードテックについてお伺いいたします。
日本維新の会は、さきの衆議院選挙のマニフェストで、フードテックについて、研究開発や投資環境の促進をするとともに、安全性を確保したルールの策定をし、フードテックが社会に受け入れられる環境を整えることを訴えてまいりました。
フードテックは、最新のテクノロジーを駆使することによって全く新しい形で食品を開発したり調理法を発見したりする技術で、新たな食の可能性として注目されております。例えば、植物性たんぱく質から肉を再現したりすることが可能になります。
そのため、フードテックは世界的に深刻化する食料問題を解決する方法としても大きな期待を集めており、マーケットも飛躍的に伸びると予測されております。食料自給率の低い日本にとっても、また、食品ロスの削減を促す観点からも非常に重要な産業であると考えます。
海外では、フードテックに関する関心は急激に高まっております。例えば、二〇二〇年五月に発表されたEUの新たな飲食品産業戦略、ファーム・ツー・フォーク・ストラテジーの中では、植物、藻類、昆虫などの代替たんぱく質に関する技術開発を重要視し、アメリカでは、バイオテクノロジーなど、自国のフードテック分野での競争力に直結する技術を輸出管理対象にしております。
そういったことを考えると、この日本は、フードテック分野で、技術開発の分野でかなり出遅れてしまっていると思われます。フードテックに対する研究開発や投資環境の更なる促進が必要だと考えますが、御所見をお伺いいたします。
○水野(政)政府参考人 お答えいたします。
世界的な人口増などによる食料需要の増大や、SDGsへの対応などへの社会的関心の高まりを受けて、農林水産省ではフードテックを活用した新たなビジネスの創出を促進しております。
農林水産省としては、まず、令和二年十月に、民間企業、研究機関、行政から成るフードテック官民協議会を立ち上げ、フードテックに関する研究、事業に関する情報共有や課題解決に向けた議論を進めているところでございます。
また、令和三年度補正予算と令和四年度予算を用いて、フードテックに関する研究開発や新たなビジネスモデルの実証等を支援することとしております。
さらに、新たな技術の進展に伴い必要となる食品の表示や規格等に関する制度面の対応についても、関係省庁と連携しつつ進めているところでございます。
このような取組を通じて、フードテックに関する研究、事業の推進を図っていく考えでございます。
○住吉委員 ありがとうございます。
様々な取組を進めていくとおっしゃられておりますが、やはりまだまだ、世界に比べてこの投資額というのは非常に、もう微々たる額でございます。我々日本維新の会は、増税や借金をして財源を生み出すのではなくて、こういった成長戦略、このフードテックも一つの大きな成長戦略だと思っております、成長戦略によって財源を生み出していくという考え方でございます。このフードテック、非常に我々も注目しております。この細かい内容については、また次の機会で議論したいと思います。
一方で、例えばゲノム編集技術応用食品については、消費者の間でも、本当に大丈夫なのかと思われる方もいるところでございます。こういった分野は消費者に対しても正しい理解が必要であると考えますが、そういったことに対してどのように取り組まれていくのか、御所見をお伺いいたします。
○青山政府参考人 お答えいたします。
ゲノム編集技術につきましては、品種改良のスピードを速めたり、従来では困難であった品種を開発できる画期的な育種技術として期待されております。
一方、ゲノム編集技術は新しい技術でございまして、国民の間では不安に感じられる方もいらっしゃることから、農林水産省としましては、国民が利益を享受できるような、健康的な食生活に貢献できる農作物、農薬の使用を大幅に低減できる病害虫抵抗性農作物、地球温暖化に対応した高温でも生育できる農作物などの開発においてこの技術を用いていくこととしております。
また、これらと併せまして、研究者等の専門家と連携いたしまして、一般の消費者等の皆様に研究内容を分かりやすい言葉で伝えるなどの活動や子供向けのホームページを設けるなど、今後ともアウトリーチ活動を展開していきたいと考えております。
○住吉委員 ありがとうございます。
続いて、消費者庁にもお伺いしたいと思います。
もちろん、啓発であったり様々な情報の提供というのは必要になってきます。
一方で、例えば、ホームページに掲載した情報を一国民が見るとか、いろいろな啓発のポスターを一々国民が見る、もちろん、アンテナの高い人はそういったところに対してアンテナを張ってキャッチすると思いますが、一般の消費者がそういったゲノムの食品について知る、正しい知識を得るというのはなかなか難しいのではないかなと。一番やはり、見るとき、何か物を買うときの食品の表示、最終的に、消費者が正しく理解して、消費者が判断する材料として食品表示が重要になってくると考えます。
その辺りの対応についての御所見を消費者庁の方にお伺いしたいと思います。
○村井政府参考人 お答えいたします。
食品表示は、消費者の自主的かつ合理的な食品の選択の機会を確保する上で重要な役割を果たすものでございます。このため、消費者庁におきましては、ゲノム編集技術応用食品の表示の在り方について令和元年九月に公表をしております。
具体的には、ゲノム編集技術応用食品のうち、厚生労働省の整理に従いまして、まず、安全性審査の対象となるものにつきましては、食品表示基準に基づき、遺伝子組み換え表示を行っていただく必要がございます。一方、厚生労働省への届出の対象となるものにつきましては、消費者の自主的かつ合理的な選択の機会の確保の観点から、事業者には表示等の情報提供を行っていただきたいということで考えておるところでございます。
これまでのところ、厚生労働省には、ゲノム編集技術応用食品といたしまして、ギャバ含有量を高めたトマト、それから可食部増量マダイ、さらには成長速度の速いトラフグが届出をされております。これらの届出をした事業者は、商品を販売する際に、ゲノム編集技術を利用したことにつきまして消費者に対する情報提供に取り組んでいただいていると承知をしております。
消費者庁といたしましては、引き続き、ゲノム編集技術応用食品が厚生労働省に届出され、市場に流通する場合には、消費者の自主的かつ合理的な選択の機会の確保の観点から、事業者に対して積極的な情報提供に努めるよう引き続き働きかけを行ってまいりたいと考えております。
○住吉委員 ありがとうございます。
まだ品目が少ないというところで、しっかりと対応できているものと承知しております。ただ、これからフードテックの技術が発展していく、また海外でもどんどん発展していて、当然、それが原材料で使われているものなんかは、実際、トレーサビリティーとかは難しいとは思います。今後、これだけフードテックの市場規模が増えていくにつれて、こういったところがもう少ししっかりとしていかないといけないんじゃないかなと危惧しておりますので、しっかりと消費者の信頼に応えていけるような対応をお願いしたいと思います。
最後の質問に移らせていただきます。種苗の不正な海外流出についてお伺いいたします。
日本の先人たちが試行錯誤を繰り返して品種改良を重ねた結果、作り出した作物、これはまさに日本の知的財産と言っても過言ではありません。高級ブドウ、シャインマスカットであったり、高級かんきつ類のデコポン、高級なイチゴなどは、海外でも人気が高く、また、輸出五兆円を達成する意味でも非常に重要でございます。
しかし、それらの高級品種の苗木が海外に流出し、韓国産シャインマスカットの輸出額は日本の五倍超にも膨らみ、また、中国国内の中国産シャインマスカットの栽培面積、これは日本の四十倍にも及ぶという報道もございます。
日本の知的財産を守るという意味でも、これらの不正な海外流出についてはしっかりと対応していかなければならないと考えておりますが、どのような対応を取られ、またその効果についてお伺いしたいと思います。
○宮崎大臣政務官 お答えをいたします。
シャインマスカットなど、委員から御指摘がございました、我が国の優良品種が中国や韓国に流出をいたしまして、大規模な産地が形成をされて、その一部がアジア諸国に輸出をされていることは、我が国の輸出機会の損失につながる問題であるというふうに認識をしておるところでございます。
悪意のある持ち出しに対抗するためには、育成者が国内外で品種登録を行っていただいて、流出を発見した場合には速やかに差止め請求、損害賠償などの法的措置を取っていただくことが必要でございます。このため、改正種苗法に基づく海外持ち出し制限でございますとか、自家増殖の許諾制を活用いたしまして、育成者権者が登録品種の管理を行うように徹底をしていきたいというふうに考えております。
また、仮に海外に流出した場合にも、育成者権者が栽培の差止め等を行い、日本の品種を守れるように、農林水産省といたしましても、海外での品種登録や侵害対策を支援をしてまいりたいと考えております。
○住吉委員 済みません。もう時間もないので終わりますが、またその効果についても議論していきたいと思います。
これで終わります。ありがとうございます。
○平口委員長 次に、空本誠喜君。
○空本委員 日本維新の会の空本誠喜でございます。よろしくお願いいたします。
一昨日、本会議で大臣の方に、我が国の食料システムについてお伺いいたしました。また、もう少し深掘りしてお聞きしたいと思います。
一昨日の本会議では、六割以上の食料等の輸入を踏まえて、地球規模の農業生産等でかかる環境負荷の観点から、食料システムをどのように考えているか御説明いただきたい、特に、輸入している食料と飼料、こういったものに関して環境負荷をどう捉えたらいいのかという質問をさせていただきました。大臣の方からは、環境と調和の取れた食料システム確立を図ることとし、食料や飼料の輸入も含めて、国内外は問わず、農林水産物、食品の生産から流通までの過程において環境負荷の低減を図るということを目指すと御回答いただきました。
みどりの食料システム戦略におきましては、二〇三〇年、持続可能に配慮した輸入原材料調達の実現を目指す、そういった原材料に切り替えていくというふうに明記されています。
そういった意味で、環境に、そして体に、健康にいい食材、そういったものを輸入するんだろうなと考えているんですが、この法案の中で、具体的にどういうふうなものを輸入していくのかとか、そういった食料や飼料の環境負荷の観点からの具体的な施策というのがまだ見えづらいと思います。特に、海外から輸入する食料品とか飼料とか、こういったものについて、これから農林水産省としてどのように取り組んでいくのか、大臣から御所見をお願いします。
○青山政府参考人 お答えいたします。
みどりの食料システム戦略におきましては、食品企業における持続可能性に配慮した輸入原材料調達の推進等についても盛り込んでいるところでございます。
これを踏まえまして、みどりの食料システム法案では、食品企業等における資材や原材料の輸入による調達を含め、農林水産物、食品の生産から流通までの過程において環境負荷の低減を図ることを目的としており、国が講ずべき施策におきましても、食品の製造、加工における環境への負荷の低減に資する原材料の利用の促進等を法律上に位置づけております。
これによりまして、農林水産省としては、関連する施策としまして、海外における原材料の生産、流通状況に関する情報収集等を通じた調達先情報の共有や、また、飼料については、飼料用トウモロコシ等の生産拡大による輸入穀物への依存の低減等に取り組んでまいるところでございます。
○空本委員 まだよく分からないんですけれども、例えば、アメリカから穀物を輸入する際に、グリホサートを使った小麦とかが入ってきています。また、輸入する際に防カビ剤を使っています。こういったものを使っているものに対して、実際は、現実的には難しいとは思うんですけれども、そういった農薬とか防カビ剤、除草剤というようなものを使っている穀物、飼料、こういったものを輸入していくのかどうか。
現実的には大変難しいと思います。日米間の関係もございますので、その辺も配慮しながら考えていくべきことと思いますけれども、今法案においては環境にいいものを輸入しようじゃないかという元々の理念でありますので、そういった意味で、こういった農産物をどういうふうに輸入していくのか、逆にそういったものを抑制していくのか、大臣から御所見いただきたいです。
○金子(原)国務大臣 農林水産省としては、持続的な輸入原材料の調達や自給飼料の生産拡大による輸入依存の低減等の取組を今後進めてまいります。
また、今後は、みどりの食料システムに基づきまして、環境と調和の取れた食料システムの確立を図るため、農林漁業の環境負荷低減に向けて総合的に施策を推進していくことといたしております。
こうした取組を通じまして、まずは、我が国が率先して、高温多湿なアジア・モンスーン地域の持続可能な食料システムのモデルを確立いたしまして、世界のよりよい食料システムの構築に向けて積極的な役割を果たしてまいりたいと考えています。
○空本委員 日本の技術力と、また化学的な技術、こういったものもしっかりと日本がリードしながら、体にいいものを作っていただくように海外にも働きかけをお願いしたいというふうに思います。
今回の食料システムのこの法案というのがすごく大風呂敷でありまして、なかなか農水省の皆さんも大変かなと思います。中身のあるものをしっかりとお願いしたいと思います。
続いて、最後に、ノリの養殖、瀬戸内そして有明海の違い、そういった意味でお伺いしたいと思います。
本会議でもお聞きしましたけれども、アサリの問題に関連しまして、ノリの色落ち、大臣から、ノリの養殖漁場など、施肥の技術開発を行っていく、施肥を行っていくという回答をいただきました。
有明海、ノリの色落ちがあって、施肥も行われていますが、実際、潮流の流れの影響もあり、また赤潮の懸念もあって、どう赤潮を抑制しながらどのように施肥を行っていくのか。また瀬戸内海とちょっと違うのかなというふうなこともあります。水産庁、どういうふうにお考えでしょうか。
○神谷政府参考人 お答えいたします。
ノリの色落ちの主な原因といたしまして栄養塩不足が指摘されていることから、有明海や瀬戸内海の一部海域におきましては、海中に栄養塩を添加する施肥が行われております。
都道府県からの報告によりますと、有明海では福岡県と佐賀県が、瀬戸内海では山口県が通常の養殖の中で施肥を実施しておると聞いております。このほか、香川県を始めとする瀬戸内海の複数の県においても施肥の技術開発が行われていると承知しております。
一方で、過度に栄養塩を添加すると、委員御指摘のように赤潮を発生させるおそれがあることから、施肥の基準を設けている県もございます。
有明海の場合ですと、例えば佐賀県におきましては、ノリの色落ちが発生し、かつ、植物プランクトンの濃度が低い場合に限り施肥を行うという規定がございます。その際には、必要な窒素の総量を算定し、佐賀県の栄養塩添加連絡協議会の承認等のプロセスを経て実施するというふうに伺っております。
○空本委員 やはりこのノリの色落ちの問題はすごく大きな問題でありまして、水産庁の方もしっかりとやっていらっしゃるというふうに聞いておりますけれども、大臣、最後に、ノリの色落ちの問題に対して、取組、大臣の御所見をいただきたいです。
○金子(原)国務大臣 ノリは、和食文化にとって欠くことのできない食材であるとともに、我が国の海面養殖業におきましても、生産量で一位、生産額で二位の重要な位置づけであると認識いたしております。
一方で、近年の環境変化に伴う海水温の上昇による漁期の短縮や栄養塩不足による色落ち等の課題があることも承知いたしております。
農林水産省といたしまして、これらの課題を解決するため、環境変化に適応したノリ養殖技術の開発や、栄養塩類の適切な管理や供給のための調査研究を進めるなど、ノリ生産者の御意見を聞きつつ、関係府県や試験研究機関とも連携を取りまして、ノリの安定的な生産に向けて今後とも積極的に取り組んでまいります。
○空本委員 しっかりお願いいたします。
ありがとうございました。
○平口委員長 次に、長友慎治君。
○長友委員 国民民主党の長友慎治です。
本日は、約九年前に制度化されましたJクレジット制度について質問をいたします。
こちらは、省エネルギー機器の導入や森林経営などの取組による温室効果ガスの排出削減量や吸収量をクレジットとして国が認証する制度で、CO2排出が伴う経済活動を行う事業体が、クレジットを創出して、そのCO2の排出をオフセットする、埋め合わせる、また、森林管理をする事業体がそのクレジットを販売して、その利益をもって森林を管理する、持続可能な森林管理をしてカーボンニュートラル社会の実現に向けて努力していく、そのような制度と理解しております。
環境省、経済産業省、農林水産省が制度管理者となっておりますけれども、今日は、農林水産省が管理する分野に絞って質問をさせていただきたいと思います。
二〇一三年の四月より開始となったこのJクレジット制度ですけれども、農林水産分野に関するプロジェクトの実績について伺います。
この九年間でのプロジェクトの登録数、また認証見込み量について教えていただけますでしょうか。
○青山政府参考人 お答えいたします。
Jクレジット制度は、省エネ、再エネ設備の導入や森林管理等による温室効果ガスの排出削減、吸収量をクレジットとして認証する制度でございます。
農林漁業者及び食品産業事業者等が実施しているプロジェクトの登録件数は百七件でございまして、全体の二八%を占めております。これらによる認証見込み量はCO2換算で約百五十万トンと承知しております。
○長友委員 ありがとうございます。
これまでの九年間で、農林分野について百七件。九年間で百七件ですので、年間にすると約十二件のようなペースだなというふうに理解できます。月一回の登録があるかないかという感覚なので、まだまだ少ない印象であるというような理解になりますけれども、PRや関係団体のプロモーション等をしっかり進めていくことが必要なのかなと思います。
その農林水産分野での認証対象となる方法論、こちらもなかなか理解が浸透していないのではないかというふうに思いますが、教えていただけますでしょうか。
○青山政府参考人 お答えいたします。
Jクレジットでは、現在、六十一の方法論が承認されております。
このうち、農業分野では、豚、ブロイラーへのアミノ酸バランス改善飼料の給餌、家畜排せつ物管理方法の変更、茶園土壌への硝化抑制剤入り化学肥料又は石灰窒素を含む複合肥料の施肥、バイオ炭の農地施用の四つの方法論が承認されております。
また、森林分野では、間伐などの森林経営活動と植林活動の二つの方法論が承認されております。
このほか、再生可能エネルギー分野では、バイオマスによる化石燃料又は系統電力の代替の方法論が承認されているところでございます。
○長友委員 ありがとうございます。
森林分野についての方法論についても御説明をいただきました。
私の地元の方からこのような声が出ております。森林分野について、Jクレジット制度を利用して活用したい、取り組もうとするんですけれども、境界線問題があってなかなか難しい部分がある、地権者が複数いまして、境界を全て測量するのに膨大な費用と労力がかかる、なかなか申請に積極的になれないというふうな声が上がっています。
これは通告にちゃんと書いていなかったので、もし答えられなかったらまたの機会でもいいんですけれども、そのような声について、農水省としてアドバイスするなり、見解としてありましたらお伺いしたいのですが、いかがでしょうか。
○青山政府参考人 お答えします。
クレジットの設定に関して、いろいろな手続について御意見があることは承知しております。
また、今後、システムの改善につきましては、関係省と協議しながら検討していきたいと思っております。
○長友委員 お答えいただきありがとうございます。
このJクレジットの制度、私も地元で是非積極的に取り組む事業者さんたちを増やしていきたいなと思うんですけれども、クレジットの創出者のメリットをより明確に示す必要があるかと思っております。その共通認識を持つために改めて伺います。
農水省として、このJクレジットをつくる創出者のメリットはどのようなものとお考えでしょうか。
○宮崎大臣政務官 お答えをいたします。
Jクレジットの制度につきましては、国内の資金循環を生み出しまして経済と環境の好循環を促進するものであることから、農林水産省としても推進に取り組んでおるところでございます。
このため、昨年五月に策定をいたしましたみどりの食料システム戦略でも本制度の活用を位置づけておるところでございます。
お尋ねのございましたメリットでございますけれども、農林水産分野における温室効果ガスの排出削減や吸収の取組をクレジットとして販売収入にできること、そして市場等を通じて価値の見える化につながることなど、Jクレジット制度の活用をすることのメリットにつきまして引き続き周知をしていきたいと考えております。
○長友委員 ありがとうございます。つくる人のメリットを今、御回答いただきました。
それでは、クレジットを購入する人のメリットについても共通認識を持ちたいと思います。改めて教えていただけますでしょうか。
○宮崎大臣政務官 お答えをいたします。
購入をされる方のメリットでございますけれども、地球温暖化対策促進法に基づく排出量の報告に活用していただけること、そして、環境貢献企業等としてのPR効果、これが期待をされること、CO2排出量をオフセットすることによる製品、サービスの差別化、ブランディングが図られること、そして、関係企業や地方公共団体との新たなネットワークを活用したビジネスの機会、これの獲得などが期待をされるところでございますので、購入者のメリットにつきましても、農林水産省としても、経産省、環境省と連携をしながら周知に努めていきたいと考えております。
○長友委員 ありがとうございます。
持続可能な活動としていくためにも、つくる人と使う人とが相応にメリットがなければこの制度も魅力的なものにならないと思います。先行して取り組んだ方の中に成功談とか成果があると思いますので、それをしっかり見えるように発信していただきまして、後に続く人を増やしていきたいなと思いますので、よろしくお願いいたします。
続きまして、Jクレジット制度について、幾つか指摘される課題について伺いたいと思います。
これまで私がお話を伺ってきた方の中に、Jクレジットのこういうところが使いにくいんだよねというお話がありました。例えば、プロジェクト登録までの手続が複雑で時間がかかる。それから、クレジット売却までの見通しが立てにくい。また、申請準備からクレジット売却益を得られるまで約四年かかる。また、一件当たりのクレジット創出量が低くてクレジット創出者がメリットを得にくい。また、中小企業にとってはモニタリングの負担が大きい。
いろいろとまだこの制度につきまして解決すべき点があるかと思うんですけれども、農水省の見解を伺います。
○青山政府参考人 お答えいたします。
農林水産省としては、Jクレジット制度を活用して温室効果ガスの排出削減に資する取組を後押ししていくことは重要であると考えております。一方、農業分野においては、普及に係る課題とともに、一件当たりのクレジット創出量が小さく、Jクレジット実施のインセンティブが働きにくいという課題があると承知しております。
このため、農林水産分野のクレジットの創出拡大、活性化に向けまして、農林水産省としても普及に努めるとともに、農業分野においては、複数の削減活動を取りまとめて一つのプロジェクトとするプログラム型プロジェクトを推進しております。また、森林分野においては、昨年八月に、航空機やドローン等による航空レーザー計測の活用を可能とするなど、運用を改善することにより、モニタリングの簡素化等も進めているところでございます。
引き続き、関係省庁とも連携しながら、制度の運用改善を進めてまいりたいと考えております。
○長友委員 ありがとうございます。
制度として十年目に入るまだ新しい制度だと思いますので、運用改善を続けまして、引き続きブラッシュアップをいただければと思います。
このJクレジットの取組なんですけれども、温室効果ガスによる地球温暖化防止に世界規模で各国が足並みをそろえる取組が求められる中での日本が行っている取組の一つというふうに私も理解しております。
このJクレジット制度、いつまで続ける計画かということをお伺いしたいと思います。
○青山政府参考人 お答えいたします。
二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けまして、Jクレジット制度は二〇三〇年度以降も必要な制度であると認識をしております。このため、昨年、Jクレジット制度の実施要綱の改定がございまして、制度は二〇三〇年以降も続くことになってございます。
○長友委員 ありがとうございます。
二〇五〇年に向けてもしっかりと続けていただけるということで、安心しました。
農林水産分野におけるJクレジットを使ったカーボンオフセットの目標値、また、現時点で目標の何%を達成できているのかということにつきまして伺いたいのですが、教えていただけますでしょうか。
○青山政府参考人 お答えいたします。
二〇二一年十月二十二日に改定されました地球温暖化対策計画において、Jクレジット制度について、二〇三〇年度の目標の更なる引上げを行いまして、全体についての累積クレジット認証量を千五百万トンCO2といたしました。二〇二〇年度までのクレジット認証量は、累積で六百九十七万トンCO2となりまして、二〇三〇年度の目標に対して四六%の進捗となっております。
農林水産分野のみを切り出した進捗状況はちょっとカウントをしておりません。
引き続き、農林水産分野を含めましたJクレジット制度の更なる活性化に向けまして、制度の見直しや普及啓発等を行うことで、クレジットの需要と供給を拡大し、目標の達成に貢献してまいりたいと考えております。
○長友委員 ありがとうございます。
私は、これまでJクレジットに取り組んで成果を出された方の事例をいろいろと調べさせていただきました。
その中には、佐賀県のJAからつさんが、組合員や准組合員がビニールハウス等、農業施設において高効率のヒートポンプの空調設備を導入して化石燃料を削減するということに取り組んでいるところもありました。
また、宮崎の、私の地元になりますけれども、宮崎市場の方が、市場管理者が主体となって、市場内で使用するフォークリフト、これをCO2排出削減ができるように電動フォークリフトに一遍に替えたという取組もなかなかいい取組だなというふうに見受けられました。
また、鳥取県の日南町、道の駅では、自分たちの運営から生じるCO2、経済活動で生じるCO2を、町有林のJクレジットを利用することでカーボンオフセットするという取組もあるということを調べまして、理解しました。
このように、個々の事業者が取り組むよりも、やはりJAさんだったり、関係団体が多くの組合をまとめたりとか、ステークホルダーの多いところが代表して申請するとか、そのような運営をこれからもプログラム型で是非取り組んでいくべきだと思います。
大臣、もしよければ最後に一言お伺いしたいんですけれども、カーボンニュートラルの社会を実現するために、みどりの食料システム戦略と併せて、このJクレジット制度につきまして、どのように、今後、大臣としてもJクレジット制度を活性化させていこうというふうにお考えか、一言で構いませんので、お伺いできればと思います。
○金子(原)国務大臣 できるだけ農業も環境負荷を低減するということで取り組んでおりますので、今のやり取りを聞いておりまして、非常に、このJクレジット制度というのは大変大事なものだというふうに感じましたので、これからも積極的に主導しながら共にやっていきたいというふうに思っております。
○長友委員 大臣、ありがとうございました。しっかりとよろしくお願いします。
以上で終わります。
○平口委員長 次に、田村貴昭君。
○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。
昨夜、福島県沖を震源とする地震でお亡くなりになられた方、そして被災された方に心からお悔やみとお見舞いを申し上げます。政府は、被災地、被災者の支援に全力を挙げていただくことを強く要望します。
昨年十二月二十二日の本委員会での質疑に続いて、佐賀県有明海西南部のノリ不作の問題について質問します。
一昨日、立憲民主党の大串博志議員が、二つのノリを手にかざして、この委員会で質問されました。色落ちして商品価値がなくなったもの、色は黒いけれども安値でしか取引されないノリ。そうしたノリしかできない養殖現場に私も調査に行ってまいりました。
お手元配付の資料、写真の方を御覧いただきたいと思います。二月の十一日に佐賀県鹿島市で私が撮影したものであります。
こんな黄色いノリ、委員の皆さん、御覧になったことはあるでしょうか。現地では、この色落ちしたノリを金髪と呼んでいます。全く商品にならないので、早くも一月から二月にかけて、張り込んだ網を引き揚げている。私も、若い夫婦が角船に乗って黙って網を引き揚げている、そういう現場に立ち会いました。つらい光景でした。下の写真は辛うじて生育したノリでありますけれども、鹿島の養殖場では僅かにすぎません。これが佐賀県有明西南部のノリ養殖の現実です。
鹿島の青年漁師が私にこう語りました。ノリ漁は好きだし、魅力がある、子供たちにも残してやりたい、しかし、このままでは携わっていけない。
大臣、この写真を見てどう感じられましたか。西南部のノリはもはや危機的な状況だとの認識にありますか。お伺いします。
○金子(原)国務大臣 先日、佐賀県のノリ養殖業との意見交換を行いまして、そのときにも委員にも御出席いただきまして、ありがとうございました。
そのとき、意見交換を行いまして、佐賀県のノリの生産量、生産額は十八年連続で日本一ですが、地域によって厳しい現状があるというようなことをお聞きいたしました。
過去十年間の佐賀県の共販の実績を見ると、西南部は、他の地域と比較すると、年による変動幅が大きいとの特性を有し、今漁期につきましては特に生産量が少なかったと認識しています。
また、西南部の平均単価については、他の地域と比較して高い年もあれば低い年もあり、今漁期については低い単価であったと認識をいたしております。
○田村(貴)委員 大臣は共済で対応すると答弁されています。しかし、ノリ漁師たちは口々に、共済だけではやっていけない、廃業の危機だと言っておられます。大臣も先日聞かれましたよね。
佐賀県有明西南部のように、また、こうしたところでなくても、販売金額が下がれば、基準漁獲金額、つまり、最高と最低の年を引いた五中三の三年の平均額、五中三の三が下がるわけなので、共済限度額も下がってまいります。そういうことでよろしいですよね、大臣。
○金子(原)国務大臣 お答えいたします。
漁業共済における継続契約特約は、漁業共済の発動ラインである共済限度額が前回契約時の九〇%を超えて下がらない仕組みであることから、委員が御指摘のように、生産金額が長期間連続して下がり続ける場合にも、発動ラインも少しずつ下がっていくということになります。
○田村(貴)委員 それで、九〇%を超えて下がらないということも大臣は強調されてきたんですけれども、この九〇%を超えて下がらない仕組みが措置されていても、共済では、次の年、一割減るということなんです。これも私、漁師さんたちから聞いてまいりました。投資と維持には一定の費用がかかります。九割を超えて下がらないというのは、共済金が下がり続けるということなんですよ。
大臣は、先日現地を訪問されたときに、年々限度額が下がっている、共済金でやっていけない人がほとんどですと訴える漁師さんたちに対して、共済金が一人一千万円近くあるのに足らないのか旨の発言があったというふうに私は伺っています。
それでは、約一千万円の共済限度額の漁業者の場合はどうなのか。私、実際に聞いてまいりました。直接漁業者から聞きました。
共済の大半は投資と経費に回っていきます。例えば、ノリ床の行使料、共同乾燥場の利用料、網の購入費、船の整備費、軽トラックと二トントラックの維持費、そして、人件費を支払い、共済掛金を支払い、税金を引かれて、手元に残るのは二百万円余りなんです。一千万円の共済限度額でも、手元に残るのは二百万円余りなんです。これで一家三人、一年間暮らしていくとのことでありました。
かつかつの生活ですよね。投資と経費にたくさんのお金がかかる、これがノリ養殖なんです。長崎県の県知事を務められた金子大臣だったらよく御承知のことだと思います。共済が一〇%減り続けていけば次期作に踏み切れない、生活ができないじゃないですか。
お伺いします。
大臣も農林水産省も、このノリ漁業、廃業やむなしとの考えの立場に立っているんですか。
○金子(原)国務大臣 私は、先般もお話ししたように、有明海のあの地域であれだけの漁獲金額が上がるというのは、なかなかほかの地域にはないと思うんですよ。
だから、特にノリを含めた有明海の湾内は、我々もこれから、維持管理をしながら、積極的にやはりお互い協力し合って守っていかなきゃいかぬという気持ちでおります。
○田村(貴)委員 だからどうするのかということなんですよ。
おとといの大臣の答弁では、漁業経営の状況を把握できるよう、「漁業経営の状況を調査してまいりたい」、そう述べられました。これは、共済制度に加えた支援を前提とする調査なんでしょうか。
○金子(原)国務大臣 基本は、漁業共済と積立てで対応するというふうになっております。
それで、私は、先般もお話ししたように、漁業者から更なる支援を求める声があることを踏まえまして、まず、佐賀県と連携しつつ、関係漁業者の漁労収支の状況を詳細に把握した上で、既存の制度による補填が十分なものかについて確認をしたいと考えております。
○田村(貴)委員 確認をすることは大事なんですけれども、私は一日で確認してまいりました。もう時間は待ってくれませんよ。次の作業に入っていかなくてはいけない、投資しなければいけない、借金を抱えているわけなんです。
共済ではノリ漁業も生活も成り立たない。だったらどうするのか。
有明海特措法にはこう書かれています。有明海及び八代海等を再生するための特別措置法二十二条。「赤潮等により著しい漁業被害が発生した場合においては、当該漁業被害を受けた漁業者の救済について、当該漁業被害に係る損失の補填その他必要な措置を講ずるよう努めなければならない。」と明確に定めているわけであります。
率直に大臣にお伺いします。
この共済は、法律の定める「漁業被害に係る損失の補填」となっているんですか。
○金子(原)国務大臣 有明海特措法第二十二条において、有明海及び八代海の海域における赤潮等により著しい漁業被害を発生した場合、漁業被害を受けた漁業者を救済する措置が規定されています。
有明海特措法第二十二条に該当する措置として漁業共済及び積立ぷらすがあり、佐賀県のノリ養殖業者は全員加入していると聞いておりますので、今漁期の減収については、これにより減収の補填が行われることとなります。
農林水産省といたしましては、これらによる支援が基本と考えていますが、漁業者から更なる支援を求める声があることを踏まえまして、漁労収支における支援の効果を把握できるよう、漁業経営の状況を今後ともまた調査してまいります。
○田村(貴)委員 大臣、私が聞いているのは、共済はこの法律の定める「漁業被害に係る損失の補填」となっているんですか。イエスかノーかでお答えいただきたいと思います。
○金子(原)国務大臣 制度の仕組み上はそうなっております。
○田村(貴)委員 これは重大ですよ。共済ではやっていけない、廃業やむなしと言っているときに、これで間に合っているという見解は撤回していただきたいと思います。
グラフを御覧いただきたいと思います。西南部の共販金額の推移であります。例のない不作でありましたけれども、それでも秋ノリは僅かながら収穫できました。これは昨年です。しかし、今期は、秋芽も、そして冷凍も冬も全滅で、昨年以下になることが確実視されているわけであります。
今、漁師は、借金をして共済の掛金を支払っています。色落ち、不作が分かっていても、その共済金のために経費をかけて張り込みをせざるを得ない状況が続いています。そして、その共済金が年々目減りをしている。
共済が損失補填に対応していないのは、大臣、明らかなんですよ。そうである以上、特措法二十二条の適用しかないじゃないですか。これはもう大臣、決断です。いかがですか。
○金子(原)国務大臣 過去十年間の西南部の生産額は、毎年の生産事情や需給状況によって変動するため、連続して減少を続けている状況にはないと認識いたしております。
○田村(貴)委員 特措法二十二条の発動を、先日、自由民主党の古川康議員が、「これだけの不作だと、結局、暮らしが成り立っていかなくなるのではないかと不安を感じておられます。有明海特措法という法律はこのためにあるのではないでしょうか。」と、自民党からも特措法二十二条。立憲民主党の大串議員からも、これを進めるべきだ。そして共産党の私が言っているんだったら、もう問題ないじゃないですか。大臣、決断してくださいよ。
もう一枚資料を用意いたしました。二〇二一年度の有明海の佐賀県のノリ養殖行使者一人当たりの共同販売金額です。これを支所別に記したものであります。西部、南部が深刻な状況にあるのは、この共販金額からも見て取れます。たらは四十六万七千六百八十円。東部と中部と桁が二つ違います。大浦は八万七千円。桁が三つ違います。
大臣、諫早干拓潮受け堤防に近い支所ほどノリの不作が顕著になっています。その原因についてどのように認識されておられますか。
○金子(原)国務大臣 有明海におけるノリの生産の現状については、全体として、昨年並み又は前年を上回る収穫となっている一方、佐賀県西部においては、昨年に続き、大変厳しい状況にあると聞いております。
佐賀県によれば、育苗期に同地区を中心に発生した赤潮と雨が少なかったことによる栄養塩類の濃度の低下により色落ちが生じたことが原因であると聞いております。
有明特措法に基づき、環境省に設置された評価委員会の平成二十九年の報告では、有明海の環境変化の要因については、多数の要素が複合的に関連している可能性を指摘しており、諫早湾干拓事業を要因、原因として特定する記述はありません。
○田村(貴)委員 実態は、漁業者の方は、潮受け堤防によって海が壊されたと口々に語りました。そして、開門調査をしてほしい、これは強い要望なんですよ。
やはり、ここまで至った原因を究明する、そして一回開門調査をする。農漁共存の立場に立って、関係者みんな一堂に集まって、行政も含めて話合いをするしか解決はないんですよ。こうした立場に立つこと、これを強く求めたいと思います。
今日の金子大臣の答弁は、本当に合理的な説明がなかった、そして、漁業者の今の困窮を本気で受け止めておられるのか、そこも非常に疑問が残りました。また議論をさせていただきたいと思います。
終わります。
○平口委員長 次に、仁木博文君。
○仁木委員 私、有志の会の仁木博文と申します。徳島県で第二種兼業農家の家庭で育ちました。
今日は、食料安全保障という概念、私はすごく大切だと思っています。従来のように、お金さえ払えば海外から食料が手に入る、そういう時代ではないという認識の下で、されど、実際、徳島、私の選挙区においても、歩いてみると、悲痛な現場がございます。特に、実際に農業を担っている方の高齢化、そして、そういった方々の後を継いでいく後継者不足ということがあって、実際に、将来こういった日本の農業を担っていく人材が育っていないという現実がございます。
そこで、まず、大臣に質問したいと思いますけれども、中小企業的な、いわゆる中小零細農家に対して、JA、農協等の組織を活用して農業の経営を、例えば、今はこういうトレンドで農作物がいいけれども、将来性のある農産物がまだありますよとか、そういうことで、作付している農作物の転換でありますとか、あるいは、今問題なのは、農業機械が非常に高いです。例えばお米とかで、反収が十万あるかないかの状況で、そんな高いコンバインとかトラクターとかを購入しても、なかなか返していけないという現実があるわけですけれども、そういったコストを抑えるという概念で、農協とかが主導して、これは既にやられていると思いますけれども、農薬とか肥料とか、そういったものを共同購入するとか、コストを抑えるための取組も大切だと思いますし、また、融資等ですね。
もっと言いますと、今まで欠けていた概念ですけれども、やはり農協の中に、経営のコンサル的なことを担っていく部署、セクターがあってもいいと思っています。
このことに関しまして、特にこういう中小零細農家に対する支援という枠組みで、大臣、何か今後の展開も含めてお考えを聞かせていただきたいと思います。
○金子(原)国務大臣 農協系組織では、昨年のJA全国大会におきまして、組合員による農業経営の高度化、多様化に対応していくため、農業経営支援に取り組むことを決議しておりまして、それぞれの組合員の経営を総合的にサポートする農業経営コンサルティングの取組を進めているものと承知をいたしております。
さらに、国といたしましても、今通常国会に提出している農業経営基盤強化促進法等の一部を改正する法律案において、都道府県が、農業経営の助言、指導等を行う農業経営・就農支援センターの機能を担う体制を整備することといたしております。
農林水産省といたしても、今後とも、地方公共団体や農業団体と連携協力しながら、農業者の経営支援に積極的に取り組んでまいりたいと思います。
○仁木委員 ありがとうございます。
関連としまして、新規就農者。
私は例えば徳島だから、藍を復活させて、藍を使った何か商品開発につなげるような藍の栽培を行いたいとか、あるいは、鳴門金時みたいなサツマイモもありますけれども、そういった分野でよりおいしい、あるいは栄養価の高いサツマイモを作ってみたいとか、そういう農産物をまず固定して、決めて、新規に異業種から新規就農される方も結構現実にいらっしゃるんですが、農業次世代人材投資資金に象徴されるような、そういった新規就農者を応援するスキームはあるんですけれども、私は、これはまだまだ現場、現実的にはうまくいっていない面もあると思います。
つまり、農業という属性からいいますと、育てるプラットフォーム、例えばビニールハウスとか、お金がかなり要るものを用意して、そして、収穫して初めてお金になるということで、なかなか初期のインキュベーション、この事業としては、ふ化的な、初期段階にかなりコストがかかる割には、何か途中で災害があったり、物が売れなかったり、あるいは、想定していた収入がないことも想定されます。
そういった意味でいいますと、今新たにこの制度にメンター制度みたいなのを加えて、例えば農地も、この地域で初めて農家になるといって借りられたけれども、Aという農地とまたBという農地が非常に離れていて、栽培するには、農業を営むには経営効率が悪いような状況もあります。そういうことで、地元の事情をよく知った、農家の状況をよく知った方々がそういう新規にその地域で農業をされようとする方々に、応援していくような仕組みも大切だと思います。
そういうことで、新規就農に関する、いわば、今いろいろなほかの省庁でも出ていますけれども、伴走的な経営コンサルみたいな形の対応をできるような形を支援のお金以上に、加えて、創設していただけないでしょうか。
○金子(原)国務大臣 さっきも答弁いたしましたように、今回の法の一部改正によりまして、農業経営とか就農支援センターとしての機能を担う体制を整備することといたしております。
それから、これまでも都道府県の普及指導員による営農指導を行ってきたところでありまして、特に、令和四年度予算におきましては、農協などの伴走機関が研修を行うための研修農場の整備、新規就農者にとって身近な存在である先輩農業者における技術面や経営面の指導など、地域におけるサポート体制を強化するといたしております。
いずれにしましても、やはり新規就農者については、それぞれ、やはり農業経験者又はいろいろな組織の体制が協力していかないとなかなかうまくいかないというのもよく分かります。したがって、そういう体制をどう整えていくべきかというのが地域の農業の発展につながるわけでございますので、これは地域の問題として、自治体も考え、JAも考え、そして協力しながらやっていく、そこに国がどうサポートするかというような形を取り組んでいくことが大変大事なことではないかというふうに考えております。
○仁木委員 大臣、ありがとうございます。
確認ですけれども、そういった、私が申し上げた、五年間例えばお金をもらっているんだけれども、結果的に、農業で行き詰まって、またほかの業種に転換する若者も結構います。
ですから、お金を出していて、そういった方々のいわゆる動向、どういった結果になったか、そして、何が問題で農業従事者として継続できなかったのかということを例えば改めて調べるとか、調査して、そういった制度そのものをバージョンアップしていく、いわゆるPDCAサイクルに乗っけていくようなことも、この事業を強化すると、今、今回の法案でおっしゃっていただいておりますので、そのことも検証していただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
○金子(原)国務大臣 大変大事なことだと思いますので、そういったことも含めてこれからやっていきたいと思っております。
○仁木委員 大臣そして、私の地元徳島も、四国山地というかなり急峻なところで、中山間地域を多く控えております。大臣の御地元の長崎もそうだと思いますけれども、そういう意味でいうと、西日本というのは一般に耕作面積がちっちゃいんですね、日本の国内。もちろん、オーストラリア、アメリカに比べると百分の一、十分の一とかいう耕作面積の統計が出ていますけれども。
私は農水省の皆さんに問いたいんですけれども、いわば昔は、古くは三ちゃん農業とかいう言葉がありましたけれども、そういう零細で、家族的に、例えば、細々といわゆる先祖代々の土地を守って一町以下でお米を作っている農家、こういった農家の農業のありようというのは、今後、大臣、政治家としてどのようなビジョンというか将来、後継者がいないと冒頭私申し上げたので、その代で終わってしまう農地もあるかもしれないんですけれども、そういったことは、農地バンクに象徴されるように、集約されていってほかの人が担っていくようになるのか、あるいは、何か別の、国としてこういう農業あるいは作物がありますよということを提示して、また少しでも希望をつないでいくのか。
その辺に関しまして、大臣、西日本、四国とか、やはり水田が多いです、米価も下がる中で、どのようにこのビジョンをお持ちなのか、示していただければありがたいです。
○金子(原)国務大臣 中山間地域の問題は大変大事な問題というふうに私も重く受け止めておりまして、中山間地域のいろいろな支援の交付金というのはもう議員も御存じだと思います。
そういった支援交付金を使いながら、各地域でそれぞれ、私の長崎県を見てみますと、中山間地域で営農をやっている方というのは、どちらかというと兼業農家の方が多いですね。したがって、兼業農家の中で、どちらかというと、お父様が農業をやりながら、それから息子さんは地域で働いて、土曜、日曜、働いておる。そういった中で、地域としても、お互いに協力し合いながら、いろいろな催し等をやりながら、そして、地域の特産物を生かしながらいろいろなものを作っているという農家が非常に多いし、また、中山間地を非常に活用しながら、有機の要するに米を作ったりして付加価値を高くしたりとか、いろいろなこともあります。
ただ、やはりだんだんだんだんお年を召した人が増えていきますとこれは非常に厳しくなっていくと思いますから、一地域の中間地域じゃなくて、ある程度、少し幅広く見ながら、共同的にどうそれを維持管理していくかということを今後は考えていく中で、国の政策としてそういうものをどうバックアップしていくかということを考えていかなきゃいかぬかというふうに思っております。
○仁木委員 私も、冒頭申し上げましたが、第一種兼業農家より更に農業依存の低い第二種兼業農家出身でございますし、冒頭申し上げた、同じく食料安全保障という概念で言いましても、そういうちっちゃい零細な、平地の、中山間地域以外の都市部でも平地に農地がありますし、そこで水田があります。そこで栽培されたお米もやはり農協を通じて一般の国民の方々の食料になっているわけでございますので、そういったことを含めての国家的な将来ビジョンをお示しいただきたいと思いますので、今後、またよろしくお願いします。
そして、ちょっと話題が変わりますけれども、私も地元を歩いていますと、鳥獣被害、猿、鹿、イノシシ、そういった被害をよく耳にしますし、本当に困っているということがありますけれども、この辺のレクを受けた際に、ドローンを使ったりして、例えば、その生態それぞれの、これは加害個体というふうに定義はなっておられるそうですけれども、その加害個体の生態、生息を把握されて、例えば獣道というか、そういった鳥獣が通るところに重点的にわなをかけるとか対策を講ずるとかいうことになっております。
このことを、予算をもう少し取って、実は、鳥獣から受ける農業被害というのは、商業ベース、いわゆる出荷して出すものしか統計上上がっていないみたいなんですけれども、予算を増額して、一般の家庭向けというか、いわゆる自分で作って自分で食べるとか、あるいは身内の方に配るとか、そういう商業ベースに乗っていない実態把握も改めてお願いしたいということ。
あと、最近では、事例で、熊とかが出現して人的被害に及んだ例もあります。そういった熊とかそれぞれの鳥獣に対する属性を理解した上で、例えば、科学的根拠に基づいて、ハイテクを利用してそういった鳥獣対策をやっていくということ。大学によっては研究されている、そういう教室もございますので、その辺も実態を、現場をよく把握されて、鳥獣対策として農水省も生かしていただきたいと思いますが、大臣、そのところの御答弁、よろしくお願い申し上げます。
○金子(原)国務大臣 野生鳥獣による農作物の被害額は、平成二十二年度で二百三十九億円から令和二年度には百六十一億円と減少傾向にありますが、熊が出没すると農作業が行えなくなるなど、被害額として数字に表れる以上に深刻な影響を及ぼしていると認識しています。
こうした中で、令和四年度鳥獣対策予算においては、出没、捕獲や被害情報等を分析、科学的データを活用して対策を実施する、ICTを総動員した被害対策の推進、熊の生息調査や追い払い等を実施する熊複合対策等について拡充し、令和三年度の補正予算におきまして、合計して百六十二億円を計上しています。
これらの予算を活用しまして、鳥獣被害の一層の低減を図ってまいりたいと思います。
○仁木委員 大臣、ありがとうございます。
ICTを活用してという中で、ドローンとかを例えば林業、農業にも用いることによって、そのエリアでどういった栽培がされているかも含めて、被害のこと、あるいは、今回の大臣の御答弁では鳥獣そのものに対する生態把握のためのドローンでございますけれども、そういったことにも利活用できますので、今後とも、そういうのを実際に地域でやっていって、広げていただくことでまた日本の農業全体もハイテク化していくというふうに思いますので、そのことも併せてよろしくお願いします。
委員長、御質問の時間をいただきまして、ありがとうございました。
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○平口委員長 次に、内閣提出、環境と調和のとれた食料システムの確立のための環境負荷低減事業活動の促進等に関する法律案及び植物防疫法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
これより順次趣旨の説明を聴取いたします。農林水産大臣金子原二郎君。
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環境と調和のとれた食料システムの確立のための環境負荷低減事業活動の促進等に関する法律案
植物防疫法の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
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○金子(原)国務大臣 環境と調和のとれた食料システムの確立のための環境負荷低減事業活動の促進等に関する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
近年、気候変動や生物の多様性の低下等、農林水産物及び食品の生産から消費に至る食料システムを取り巻く環境は大きく変化しています。そのため、農林水産省においては、令和三年にみどりの食料システム戦略を策定し、農林漁業及び食品産業における環境への負荷を低減していくこととしました。将来にわたり農林漁業及び食品産業の持続的な発展と食料の安定供給の確保等を図るためには、農林水産物等の生産から販売に至る各段階で環境への負荷を低減し、当該農林水産物等の流通及び消費が広く行われる環境と調和の取れた食料システムを確立することが必要となっています。特に農林漁業は環境の変化による影響を受けやすい産業であり、その持続的な発展を図るためには、環境への負荷の低減の取組を促進することが重要となっています。
このような状況を踏まえ、農林漁業及び食品産業の持続的な発展、環境への負荷の少ない健全な経済の発展等を図る観点から、農林漁業者、食品産業の事業者から、消費者等の食料システムの関係者が取り組むべき視点を基本理念等として定めるとともに、農林漁業に由来する環境への負荷の低減を図るために行う事業活動等に関する計画の認定制度を設け、認定を受けた者に対する特別の支援等の措置を講ずるため、この法律案を提出した次第であります。
次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
第一に、基本理念等についてであります。
環境と調和の取れた食料システムの確立を図るため、基本理念として、食料システムの関係者の連携、環境への負荷の低減と生産性の向上との両立の実現に資する技術の研究開発等を定めることとしています。その上で、国の責務等を定めるとともに、国が講ずべき施策として、食料システムの各段階における環境への負荷の低減に資する取組の促進等を定めることとしています。
第二に、環境負荷低減事業活動の促進等に関する基本方針等の策定についてであります。
農林水産大臣は、農林漁業に由来する環境への負荷の低減を図るために行う事業活動の促進及びその基盤の確立に関する基本的な方針を作成するとともに、市町村及び都道府県は、この環境負荷低減事業活動の促進に関する基本的な計画を策定することができるとしています。
第三に、環境負荷低減事業活動の促進及びその基盤の確立のための措置についてであります。
農林漁業者は、環境負荷低減事業活動等の実施に関する計画について都道府県知事の認定を受けられるものとし、認定を受けた者には、農業改良資金等の償還期間の延長、農地法等に基づく手続の簡素化等の支援措置が講じられるほか、有機農業の生産団地を形成する場合には、栽培管理法等を定めた協定を締結し、市町村の認可を受けることができることとしています。また、これらの活動の基盤を確立するため、先端的技術の研究開発や実証等を行おうとする者は、その実施に関する計画について主務大臣の認定を受けられるものとし、認定を受けた者には、農地法等に基づく手続の簡素化等の支援措置が講じられることとしています。
続きまして、植物防疫法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
輸出入植物の検疫及び有害動物等の防除は、安定的な農業生産を図る上で重要な役割を担っております。
しかしながら、近年、温暖化等による気候変動、人や物の国境を越えた移動の増加等に伴い、有害動物の侵入、蔓延リスクが高まっています。他方、化学農薬の低減等による環境負荷低減が国際的な課題となっていることに加え、国内では化学農薬に依存した防除により薬剤抵抗性が発達した有害動植物が発生するなど、発生の予防を含めた防除への移行及びその普及が急務となっています。また、農林水産物・食品の輸出促進に取り組む中で、植物防疫官の輸出検査業務も急増するなど、植物防疫をめぐる状況は複雑化しています。
このような状況を踏まえ、有害動植物の国内外における発生の状況に対応して植物防疫を的確に実施するため、この法律案を提出することとした次第であります。
次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
第一に、有害動植物の国内への侵入を早期に発見するため、農林水産大臣は、国内に存在することが確認されていない等の有害動植物の一部を対象に、国内への侵入の状況等を調査する事業を行うこととしております。また、その事業の対象有害動植物の国内への侵入等を認めた者はその旨を国又は都道府県に通報しなければならないこととしております。
第二に、新たに侵入した有害動植物に対する緊急防除を迅速かつ的確に行うため、農林水産大臣が緊急防除の実施に関する基準をあらかじめ作成できることとし、その基準に従って緊急防除を行う際には、告示による事前周知期間を短縮することができることとしております。また、特に緊急に防除を行う必要があるときに事前周知期間を取らず実施することができる措置の内容を拡充することとしております。
第三に、国内に既に存在する有害動植物について、発生の予防を含む総合的な防除を推進するため、農林水産大臣が基本指針を、都道府県知事が当該防除の実施に関する計画を定めることとするとともに、都道府県知事は、その計画において農業者が遵守すべき事項を定めることができることとしております。また、都道府県知事は、この遵守すべき事項に即して農業者に必要な助言、指導を行うとともに、それに即した防除が行われず、農作物に重大な損害を与えるおそれがあると認めるとき等において、農業者に対して勧告、命令を行うことができるよう措置することとしております。
第四に、有害動植物が農機具等の物品を通じて侵入し、又は蔓延することを防ぐため、植物防疫官が行う立入検査、国際植物検疫及び国内植物検疫並びに緊急防除のために講じる措置の対象にこれらの物品を追加するとともに、近年の出入国旅客による動植物の持込み又は持ち出し事例の増加に対応し、旅客の携帯品に対する植物防疫官の検査権限を強化することとしております。
第五に、輸入国が輸出国の植物検疫証明を必要としている植物等の輸出に当たり必要となる植物防疫官による検査について、農林水産物の輸出拡大に伴う検査件数の増加に対応するため、農林水産大臣の登録を受けた者が植物防疫官に代わり輸出検査の一部を実施することができるよう措置することとしております。
以上が、これらの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようにお願い申し上げます。
○平口委員長 これにて両案の趣旨の説明は終わりました。
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○平口委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
両案審査のため、来る二十四日木曜日午前九時、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○平口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
次回は、来る二十三日水曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時十四分散会