衆議院

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第8号 令和4年4月6日(水曜日)

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令和四年四月六日(水曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 平口  洋君

   理事 江藤  拓君 理事 高鳥 修一君

   理事 宮下 一郎君 理事 簗  和生君

   理事 金子 恵美君 理事 緑川 貴士君

   理事 空本 誠喜君 理事 稲津  久君

      五十嵐 清君    石橋林太郎君

      石原 正敬君    上田 英俊君

      尾崎 正直君    加藤 竜祥君

      神田 潤一君    坂本 哲志君

      高見 康裕君    武井 俊輔君

      中川 郁子君    西野 太亮君

      野中  厚君    平沼正二郎君

      藤丸  敏君    古川  康君

      堀井  学君    山口  晋君

      若林 健太君    青山 大人君

      梅谷  守君    神谷  裕君

      小山 展弘君    後藤 祐一君

      渡辺  創君    池畑浩太朗君

      住吉 寛紀君    金城 泰邦君

      庄子 賢一君    長友 慎治君

      田村 貴昭君    北神 圭朗君

      仁木 博文君

    …………………………………

   農林水産大臣       金子原二郎君

   内閣官房副長官      木原 誠二君

   農林水産副大臣      武部  新君

   農林水産大臣政務官    宮崎 雅夫君

   経済産業大臣政務官    岩田 和親君

   国土交通大臣政務官    泉田 裕彦君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房技術総括審議官)

   (農林水産技術会議事務局長)           青山 豊久君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房危機管理・政策立案総括審議官)            前島 明成君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           小川 良介君

   政府参考人

   (農林水産省輸出・国際局長)           渡邉 洋一君

   政府参考人

   (農林水産省農産局長)  平形 雄策君

   政府参考人

   (農林水産省畜産局長)  森   健君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  光吉  一君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)            牧元 幸司君

   政府参考人

   (林野庁長官)      天羽  隆君

   政府参考人

   (水産庁長官)      神谷  崇君

   政府参考人

   (経済産業省産業技術環境局長)          奈須野 太君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      松山 泰浩君

   政府参考人

   (観光庁観光地域振興部長)            大野  達君

   農林水産委員会専門員   梶原  武君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月六日

 辞任         補欠選任

  東  国幹君     堀井  学君

  北村 誠吾君     藤丸  敏君

  長谷川淳二君     西野 太亮君

  平沼正二郎君     石橋林太郎君

  保岡 宏武君     石原 正敬君

  佐藤 公治君     青山 大人君

  北神 圭朗君     仁木 博文君

同日

 辞任         補欠選任

  石橋林太郎君     平沼正二郎君

  石原 正敬君     保岡 宏武君

  西野 太亮君     長谷川淳二君

  藤丸  敏君     北村 誠吾君

  堀井  学君     東  国幹君

  青山 大人君     佐藤 公治君

  仁木 博文君     北神 圭朗君

    ―――――――――――――

四月五日

 農業経営基盤強化促進法等の一部を改正する法律案(内閣提出第五五号)

 農山漁村の活性化のための定住等及び地域間交流の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第五六号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 農業経営基盤強化促進法等の一部を改正する法律案(内閣提出第五五号)

 農山漁村の活性化のための定住等及び地域間交流の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第五六号)

 農林水産関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

平口委員長 これより会議を開きます。

 農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房技術総括審議官・農林水産技術会議事務局長青山豊久君、大臣官房危機管理・政策立案総括審議官前島明成君、消費・安全局長小川良介君、輸出・国際局長渡邉洋一君、農産局長平形雄策君、畜産局長森健君、経営局長光吉一君、農村振興局長牧元幸司君、林野庁長官天羽隆君、水産庁長官神谷崇君、経済産業省産業技術環境局長奈須野太君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長松山泰浩君及び観光庁観光地域振興部長大野達君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

平口委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。武井俊輔君。

武井委員 おはようございます。自民党の武井俊輔でございます。ありがとうございます。

 農水委員会での質問は七年ぶりということでございまして、久しぶりに出てまいりました。どうぞよろしくお願いをいたします。

 まず、そういうこともございまして、たくさん質問したいなと思うことがございまして、早速移らせていただきますが、今、ウクライナ情勢と並ぶ最も、まあ関係もしますが、政治課題でありますところ、また与野党の在り方にも影響しているような燃油の問題でございますが、お伺いをしてまいりたいと存じます。

 ガソリン、石油製品もそうですが、私ども宮崎、今日は宮崎の議員が私も含めて全部で四人いらっしゃいますけれども、施設園芸の非常に盛んな地域でございまして、特に、キュウリ、ピーマンなどもそうでございますが、今月は完熟マンゴーの解禁がございまして、非常に本県では期待をしているわけでありますけれども、しかし、農家やまた部会の皆さん、いろいろお話をすると、なかなか明るい顔をされない。もちろん、コロナで需要が若干落ちている部分もあるんですけれども、とにかく油代が高いので、このままだと、どんなにいいものを作っても収益が上がらない、中には廃業しようかというような方もいらっしゃるようなことでございます。

 まさに、産地としての本当に試練だ、今まででも経費の半分が油代だと言われていましたけれども、もう今は経費の六割を超えるぐらいが燃油に係る経費だといったような話でございまして、一晩に六万たいたとか七万たいたなどというのはざらに、よく聞く話でございます。

 そういう意味で、国でももちろん、基金のことも含めまして、この燃油対策、様々に取り組んでいただいているわけですが、やはり本当に営農意欲にかかっている、直結をしているということを実感をいたします。鳥獣害とか、もちろん価格もそうですけれども、水が出るとか、いろいろなことも営農意欲に大きく直結をするんですけれども、自分でいかんともし難いところで、非常に苦しい現状がまさに悲鳴のようにあるわけですが、今日は大臣にはこの一問だけお伺いをしたいというふうに思いますが、この燃油問題で営農意欲がそがれることがないように国がしっかり支えていく、その御決意を大臣にお伺いをしたいと思います。お願いします。

金子(原)国務大臣 お答えいたします。

 原油価格高騰対策につきましては、先月に、原油価格高騰に対する緊急対策を取りまとめたところであります。この中で、燃料油価格の激変緩和対策を講ずることによりまして、ガソリンなどと同様に、施設園芸で利用されるA重油についても価格の上昇が抑えられているところであります。

 さらに、農林水産省といたしましては、施設園芸農家に対しましてセーフティーネット対策を充実させるため、燃料価格の更なる高騰に備えまして、A重油価格で一リットル当たり約百四十円水準の高騰に対応できるよう、積立ての上限を引き上げる対策を取らせていただいております。

 その他、省エネ機器の導入を支援する産地生産基盤パワーアップ事業の別枠につきまして、予算枠を倍増するとともに、こうした機器本体、今までは、機器本体とリースの費用に加えまして、今回は設置する費用についても補助対象にしております。これを設置しますと、大体五〇%ぐらいエネルギーの消費減になるそうでございます。

 今後とも、燃油価格の動向や生産活動に対する影響を注視しまして、これらの対策を着実に実行して、農業者が安心して経営を継続できるように環境を整えてまいりたいと思っております。

武井委員 お願いいたします。そしてまた、それをしっかりとPRまた告知をしていただいて、営農意欲が切れないように農水省としてもお取組をお願いしたいと思います。

 しかし、いろいろと考えておりましても、これから、もちろん産地パワーアップで省エネの対策なども進めているわけですけれども、やはり燃油への依存というものをそもそもどう考えていくかということは非常に重要な論点だというふうに思います。

 昨日、航空特委というのがありまして、やはり飛行機なんかは、いわゆるSAFと言われる新しい燃料を開発をしていますが、将来的には、多分、ヨーロッパなどは、そういうエネルギーでない飛行機はもう乗り入れをしてはいけないとか、ヨーロッパは非常にその辺が厳しいですから、そういうことになっていくのではないかというような話もありまして、日系の航空会社がいろいろ対策を進めているという話もありました。

 その意味では、我が国も、輸出を農水省としても今しっかりと取り組んでいるところでありますし、成果もそれなりに出てきているわけですけれども、例えば、今後、そういったような問題にも、燃料はどういう燃料を使っているのか、化石燃料を使っているということが障害が起こるということもあり得るのではないかというふうにも思うところでございまして、抜本的な、在り方というものをやはり長期的に考えていく必要があるんだろうというふうに思います。

 その視点で二つ御質問したいと思うんですが、一つは、いわゆる営農型太陽光発電でございます。

 今、少し、田んぼとか水田なんかでも太陽光のパネルがあったりということもあるんですけれども、実際に現場で話を聞いてみると、やはり農業委員会とか地元の理解、非常にいろいろ課題が多いということでございまして、これは平成二十五年からスタートをしまして、直近の資料が令和元年までしかないんですけれども、二千六百件、全国で。ですから、そういう意味では、やはり当初言われていた、予想していたものに比べると、まだまだ見越していたほどにはないのかなというふうにも思うわけであります。

 その意味で、やはりこの燃油の問題を考えますと、特に私ども宮崎などは非常に太陽光など適しているわけでありますので、そういう意味では、農業と太陽光というものをより親和性を高めていって、化石燃料から脱却していくということが必要ではないかというふうに思いますが、この促進の状況、また課題についてお伺いをしたいと思います。

宮崎大臣政務官 お答えをいたします。

 営農型太陽光発電につきましては、農業生産と再生可能エネルギーの導入を両立する有用な取組でございまして、発電設備のための農地転用許可の実績につきましては、武井先生が今触れていただきましたように、調査を開始をいたしました平成二十五年度から令和元年度までには、全国で二千六百五十三件の許可が行われたところでございます。

 営農型太陽光発電の更なる普及に向けましては、地域ごとの発電設備下における栽培体系の検討でございますとか、取組事例や支援制度の周知などが必要というふうに考えておるところでございます。

 このため、農林水産省といたしましては、発電設備下における地域ごとの最適な栽培体系の検討などを行うほか、営農型太陽光発電取組支援ガイドブックを作成をさせていただきまして、取組事例でございますとか必要な手続、支援制度、こういったものを紹介するとともに、営農型太陽光発電の事業化を目指す農業者の皆さん方に対する相談対応をしっかり行うこと、こういったことなどを通じまして、営農型太陽光発電の導入を推進をさせていただいているところでございます。

 今後とも、優良農地、この確保は非常に大切なことでございます、これをやりながら、地域活性化に資する、こういう形で営農型太陽光発電の導入を進めていきたいと考えております。

武井委員 基礎とかその辺の課題があるわけですけれども、大分その辺も、土壌に負担をかけない形が進んできているというふうにも聞いていますので、是非お願いしたいと思います。

 続いて、農事用電力についてお伺いをします。

 そういうことで、燃油が高い中で、やはり、加温について、いわゆるヒートポンプ、電気によるものを活用したり、既にしている方もあるんですけれども、もちろん、電気自体も化石燃料を使っている部分というのはありますけれども、こちらはまた、原子力を始め様々な取組というものもまた進んでくるということもありますので、やはり化石燃料を減らしていくという意味においては有益だと考えます。

 このヒートポンプにつきましても、やはりなかなか、農事用電力というのは条件が非常に厳しいものがありまして、そもそもが、二〇二〇年の電力小売化のときに、そもそも、電力会社からすれば、安い電源ですから、平たく言えばやめられるのならやめたいという思いも本音であるのかもしれません。ただ、そこをやはり電力会社も公益性というもので維持をしてもらっているというようなところですから、これ以上電力会社に、しかも、小売自由化になった中で無理を言うというのは、正直、なかなか苦しいところというのはあるんですけれども。

 そういう意味でも、国として、ただ、やはりこれから化石燃料のこの厳しい状況を考えると、農事用電力というものを国としてもうちょっとしっかりと支援をしていく。例えば、今は、花卉、こういったようなものには使えないとか非常に条件も厳しいところもありまして、こういったようなものも含め、ある程度この門戸を広げるということも考えながら、農事用電力の在り方というものを今後考えていく必要があるのではないかと考えますが、見解を伺いたいと思います。

岩田大臣政務官 お答えをいたします。

 農事用電力は、戦前、日本の電力供給が主に水力に依存していた時代に、農事用かんがい排水等の電力需要が降水量の多い時期と一致をしていたことなどを背景に、かんがい排水に利用する電力については割安な料金設定で電気を供給してきた歴史的経緯がございます。

 このような経緯を踏まえまして、二〇一六年の全面自由化後も、大手電力会社が経過措置として提供する規制料金メニューの一部としてただいま存続をしております。

 また、その当時の政府の審議会における議論の際には、大手電力会社十社は、仮に経過措置、規制料金解除となっても、当面は現行の農事用電力を取りやめることは考えていない旨を表明をしております。引き続き、農事用電力の重要性を踏まえて、慎重な議論をしてまいりたいと考えております。

 花卉についても取組を拡大すべきではないか、このような御質問でございました。

 ただいまお答えをいたしましたけれども、農事用電力は、水力発電が中心であった時代に、農業用のかんがい排水の需要の時期と、そしてまた降水量が多い時期が一致をしていたというふうなことを背景とした歴史的経緯があったという点が一つ。そしてまた、この規制料金において、農事用電力を除いて、特定の業種に向けた特別な電気料金メニューは存在をしていないという状況でございます。

 こうした中で、仮に農事用電力の対象に花卉栽培を追加することとなれば、その負担が国民の皆様や事業者の皆様に及ぶこととなり、利用者間の公平性を損なうことになるおそれがあるだけでなく、新電力の顧客が大手電力に契約先を切り替えるきっかけをつくることとなり、大手電力会社と新電力の自由な競争をゆがめることになるおそれがあると考えております。

 経産省といたしましては、今後とも、電力の安定供給に取り組むとともに、入札制の活用、また、再エネ電源のコストの低減、安全性を最優先とした原発の再稼働等を通じまして、全体の電気料金の抑制に取り組んでまいりたいと考えております。

武井委員 経産省の立場はよく分かるわけですし、電力会社の立場も分かるわけで、そういう意味では、やはり、今後、この農業に係るエネルギーのありようというものを、広い視野で、また、農水省、経産省、よく連携して取り組んでいただきたいと思います。

 続きまして、野菜価格安定事業についてお伺いをしますが、やはり非常にこれも現場の中で様々な声もあるところでございまして、この保証基準額でございますけれども、直近の六か年平均価格で設定をされているわけですけれども、やはり価格が当然乱高下してくるわけで、非常にこの基準の変動が大きいということで、現場からは、いわゆる再生産価格を基準として価格設定をお願いできないか、そういう声もあるわけであります。

 このままですと、自分の労賃の部分を削っていくということで、やはり持続性というものにおいて、特に若い人たちにこれからやってもらうという意味では非常につらいわけでありまして、この価格設定のありようについて、今の状況、また見解をお伺いしたいと思います。

平形政府参考人 お答えいたします。

 野菜につきましては、需要に応じた計画的な生産、出荷に取り組むことで価格の安定を図っていくことを基本としております。

 野菜生産出荷安定法では、主要な野菜について、一定の生産地における生産及び出荷の安定を図ることにしておりまして、委員御指摘の野菜価格安定対策事業の保証基準価格につきましても、主要な野菜の大宗が取引される卸売市場の平均価格を基に設定することとしております。

 その中でも、具体的には、各対象野菜ごとに全国を十ブロックの市場群に分けて、それぞれの出荷時期ごとに直近六年間の卸売市場価格の平均価格に基づいて算定をしているということでございます。

 もう一つございました、野菜価格安定対策事業なんですけれども、市場価格の低落時に経営を下支えする、そういう考え方なのでございまして、生産コストの変動に対応する制度となっておりません。

 このため、例えば、経営に占める割合の高い、委員御指摘のありました燃油の高騰等につきましては、施設園芸等燃油価格高騰対策による補填金の交付ですとか、その拡充ということを実施しているところでありまして、こうした対策を併せて農業経営の安定を図っていきたいというふうに考えております。

武井委員 どうしても、野菜の価格が恒常的に下がっているというものの中でどんどん基準が下がってくるという現状がありますので、この辺り、農家の皆さんの営農意欲が継続できるよう、お願いしたいと思います。

 続いて、収入保険でありますけれども、収入保険も、これは農産物のいわゆる販売額に基準を置いた制度でありますけれども、今のような状況で、なかなか生産コストを価格に転嫁できないといったような状況を踏まえると、なかなか保険として厳しいなという声も多いわけであります。これだけ、燃油、資材も上がっているわけでございますので。

 そうしますと、いわゆる所得補償にしてもらえないか、非常に難しいというふうに思うんですけれども、そういったような声もあるわけですけれども、この収入保険、導入されて、こういったような更に厳しい状況が進んでいるわけですけれども、現状の認識についてお伺いしたいと思います。

光吉政府参考人 お答えいたします。

 収入保険は、個々の農業者の方の具体的な収入に着目をして補填する制度として実施をしております。

 仮に、コストの増加によります所得の減少に着目して補填をするというふうにした場合には、コストのかけ方が合理的かどうかの判断まで必要となりますが、例えば、農業者が高額の機械、設備を購入した場合に要したコスト一つを取ってみても、その妥当性を判断するということは難しい状況がございます。このため、収入保険では、所得ではなく収入を補填対象としているところでございます。

 一方、コスト増につきましては、燃油価格や配合飼料価格の高騰など、客観的なデータが取れるものにつきまして、施設園芸等燃油価格高騰対策や配合飼料価格安定制度など、それぞれセーフティーネット対策を措置しているところでございます。

武井委員 ある程度、例えばその地域の平均とか、そういったようなありようでコストを考えていくということもできるのではないかというふうにも思います。今後も、様々な不断の検討をお願いしたいと思います。

 次に移ります。農泊についてお伺いしたいと思うんです。

 最近、若手の農家の方とお話ししていても、地域活性化の核として、いわゆる農家民泊について関心を持っている方が結構増えてきたというふうに感じます。農山漁村余暇法におけるところの農家民泊ができて十五年ということでありますが、非常にリピーターもあるんですけれども、まだまだ一般的というところまでなっておりません。いろいろ、バラエティー番組なんかで農家に泊まるみたいなものもあるんですけれども。

 農泊の盛んなヨーロッパでは、本当に高級ホテルに負けないようなものも少なくありませんし、地域の核となる施設、例えば、駅であるとか郵便局とかJAとかの支店とか、そういうところがいわゆるフロントみたいな機能を担って、地域の空き家を活性化して、地域全体をホテルにするといったような取組、こういうのをイタリア語でアルベルゴディフーゾというんですけれども、こういったようなことも含めて、農泊の推進というものについてどのように取組をしていこうというお考えか、お伺いしたいと思います。

牧元政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘いただきましたアルベルゴディフーゾ、これは、イタリアで、村一つを丸ごとホテルと見立てて、宿泊、食、体験コンテンツ、こういう関係者が一体となりまして、地域全体で旅行者のニーズに対応できる取組というふうに伺っております。

 また、宿泊施設の高級化、高クオリティー化、これもインバウンドを始めとする多様な旅行者ニーズに対応する大変重要な取組と考えております。

 農泊の推進に当たりましては、これまでも、体験コンテンツの充実でありますとか古民家の宿泊施設整備、こういったものに取り組んできたところでございますけれども、御指摘のようなこういうアルベルゴディフーゾ、あるいは宿泊施設の高級化、高クオリティー化なども含めまして、地域の魅力の向上、ビジネスの展開を後押しをいたしまして、農泊の一層の推進に努めてまいりたいと考えております。

武井委員 様々な取組、海外などを含めて参考に取り組んでいただいておるわけでございますけれども、一層の取組をお願いしたいと思います。

 やはり、農家の方、行くと本当にすばらしいところが多いんですけれども、ただ、年に三組しか来ませんとかというようなところもあって、これは農産品とも一緒なんですけれども、販路がなければ売れないわけでありまして、実際に、感動するすばらしい施設でも、なかなかうまくいかずにやめてしまうというところがあるわけです。

 ですから、やはり売り方が大事でありまして、今、地域DMOなどの観光の在り方もありますが、旅行会社にどういうふうに売っていくか、こういった活性化、PRにつきまして、今日は観光庁から来ていただいていますが、どういうふうに取り組んでいこうとされているか、お伺いしたいと思います。

大野政府参考人 お答え申し上げます。

 農山漁村地域に宿泊し、豊かな地域資源を活用した食事や体験を楽しむ農泊につきましては、アフターコロナを見据え、また、今後、地方への更なる誘客を図る観点からも、重要な観光資源であると認識しております。

 そのため、観光庁では、地域の観光地域づくりの中心となって農泊に取り組むDMOに対して、外部専門人材の登用など、その体制整備への支援を行うとともに、令和二年度補正予算事業であります域内連携促進事業において、地域独自の観光資源を活用したコンテンツ造成を支援する中で、地元農家と連携した農業体験ツアーの造成も支援してきたところでございます。

 さらに、現在公募中の看板商品創出事業におきましては、地域独自の観光資源を活用したコンテンツの造成から、委員御指摘の販路開拓まで、一貫した支援を実施するとともに、地域により近い地方運輸局が伴走支援を行うこととしておりまして、これまで以上に手厚い形で地域の取組をしっかりと応援してまいりたいと考えております。

 引き続き、農泊を始めといたしました地域独自の資源を活用した観光の更なる推進、それを通じた地域活性化に向けて取り組んでまいります。

武井委員 是非、やはりどう売れるかが鍵だと思いますので、お願いをしたいと思います。

 続いて、今年の四月に施行されましたプラスチック新法の関係でお伺いをしたいと思います。

 これは、年間五トン以上のプラスチックを排出する事業者には削減の義務づけができたということでありまして、最近、皆さんもホテルなんかに行かれると、フロントにいろいろとアメニティーが置いてあって部屋にはないみたいなのを御覧になることがあるんじゃないかというふうに思うんですが、一方で、コスト削減を、法律が変わったからこれはできなくなりましたとか、若干過剰解釈している部分とかも問題はあるとは思いますけれども、こういうふうに制度が変わっていっているわけであります。

 その中で、非常にやはり聞いてみて皆さん苦慮しているのは、歯ブラシといわゆるひげそり、シェーバーとか、つまり、そういったものを置けないということで、非常に、減らしていかなければいけないということで苦慮しているわけですが、その中で最近、竹の歯ブラシ、木の柄などを使って生産をいろいろしているんですが、まだまだ非常にコストが高くて、ただ、特に竹の歯ブラシは、歯ブラシというのは力を入れて磨くものですから、折れたりとか、かなり曲がってなかなか力が入らないとかということで改善も課題なんですが、ただ一方で、やはりこういった時代の要請もあるわけであります。

 そういう意味では、このような竹の歯ブラシ、竹などは、特に地域では、中山間地ではすぐ生えて非常に迷惑なものでもありますから、こういったようなものがしっかりお金になっていくということになれば地域においても非常に意義があるというふうに考えておりますが、そういう意味で、この竹製品の活性化について経産省はどのように考えておられるか。また、活用について、林野庁、併せてお伺いをしたいと思います。

奈須野政府参考人 お答え申し上げます。

 プラスチック資源循環促進法では、使い捨てプラスチック製品について、ストロー、スプーンなど十二製品を対象として、代替素材への転換などの使用の合理化の取組を求めることとしています。

 そこで、委員が今御指摘になられたように、ホテルや飲食店の中では、歯ブラシ、ひげそり、こういったものについて、木製、竹製の製品を採用するといった取組が出てきております。

 他方で、木製や竹製の製品は、プラスチックに比べると、しなり過ぎたり折れやすい、こういった特徴がございます。

 そこで、経済産業省としては、令和三年度の補正予算におきまして、木製や竹製の製品の製造のために必要となる、プレスに使う金型とか、あるいは機械、装置の変更、導入、こういったものについて企業の設備投資などを支援することとしております。

 こういったことで、引き続き、関係省庁とも連携しながら、木製や竹製の製品の製造、導入に取り組む企業の振興に努めてまいりたいというふうに考えております。

武井委員 ありがとうございました。

 終わります。

平口委員長 次に、庄子賢一君。

庄子委員 公明党の庄子でございます。どうぞよろしくお願いします。

 様々な国内外の要因によって、急速な物価高が農林水産業に与える影響ということを本当に直視をしなければいけない事態になってまいりました。そのことを念頭に置いて何点か御質問をさせていただきたいと思います。

 先月の二十九日、総理の方から緊急経済対策の取りまとめの指示が出されまして、調達先の多様化、あるいは、飼料の高騰の問題が畜産経営等に影響を与えないように緩和すべしという具体的な指示が出されたわけであります。

 去る五日の日にも、関係閣僚会議で、総理からは四月中の取りまとめということを重ねて御指示があったというふうに伺っておりまして、是非、農林水産省におかれましても、今般取りまとめをされます対策に関して手厚い支援が盛り込まれるということを御期待を申し上げたいと思います。

 そこで、まず、具体的に何点かお尋ねをさせていただきますけれども、輸入依存度が高い畜産の飼料、そして肥料についてであります。

 この問題は、先月の二日の農水委員会で私は質問させていただいておりまして、同時多発的な原料、飼料の高騰で、足下の支援が足りていないのではないかということをお訴え申し上げました。その認識は今も変わっておりません。

 御案内のように、飼料の自給率というのはかなり低くなっておりますので、濃厚飼料においては、令和二年度の概算で約八八%が輸入に頼っているというのが現状であります。この配合飼料価格の高騰というのは、畜産経営にダイレクトに影響を与えてしまうわけであります。

 また、肥料につきましても、原料となります塩化カリウム、この主な輸入先にはロシアが名を連ねておりまして、令和三年度の統計によれば、全輸入量の約一六%をロシア産が占めているということでございます。

 こうした輸入に頼っている品目につきましての価格の低減対策あるいは安定供給については、セーフティーネットの機能の強化が必要ではないかというふうに思っておりまして、改めて、足下の支援の強化、これをお願いをしたいというふうに思います。

 さきの総理の指示をどのように反映をされるのか、伺いたいと思います。

金子(原)国務大臣 農林水産省といたしましては、畜産農家に対して、配合飼料価格高騰の影響を緩和する補填金を交付する制度、それから、農業の現場に対しましては、土壌診断に基づく適正施用や、堆肥等の国内資源の利用拡大など、化学肥料の節減に資する取組への支援等を現在実施しておりまして、生産者への影響緩和を図っているところであります。

 三月二十九日、閣僚懇における総理の指示を受けた原油価格・物価高騰総合緊急対策の取りまとめに向けましては、農林水産省といたしましては、現在、穀物や化学肥料の原料の国際価格が高騰していることなどの現状にしっかりと対応していくことが必要と考えており、その対策を現在検討しているところでございます。

庄子委員 大臣、ありがとうございます。

 是非その検討の中に加えていただきたいのは、飼料価格の、いわゆる配合飼料の価格安定制度ですね、今、補填とおっしゃっていただきましたけれども。

 例えば、通常補填と異常補填とございますが、異常補填の場合は、直前の一年間の平均の輸入価格に比べて一一五%値上がりしていれば発動されるという要件になっているはずです。

 したがいまして、仮に一一〇%、一一四%値上がりした場合でも、発動されません。これは高止まりしてしまうと効果を発揮しにくい、そういう側面がありますので、こうした数値の緩和等についても是非検討に加えていただきたい。具体的には、この高止まり対策ということについて踏み込んだ対策を講じていただきたいというふうにお願いをさせていただきたいと思います。

 二つ目です。今触れました配合飼料の価格安定制度におけます異常補填金の基金ですね。

 令和三年度第一・四半期から第三・四半期まで、異常補填は発動されております。約九百億円拠出をしておりますが、国とメーカーが二分の一ずつの負担ということになっておりますので、国の拠出は約四百五十億円ということになります。現在、異常補填の基金残高が約百四十二億円ということでございますので、今後もこうした不安定要素が続くということをにらめば、当然、これは早急に積み増す必要があるというふうに思います。

 あわせて、この補填の基金に対してはメーカーと生産者も拠出をしておりますけれども、この負担が大きく、重くなってきているという声も伺っております。この緩和も必要ではないかと思います。併せて御所見を伺います。

森政府参考人 お答えいたします。

 配合飼料価格安定制度につきましては、現在、生産者がトン当たり六百円、飼料メーカーが千二百円を積み立てます通常補填基金と、飼料メーカーと国が積み立て、異常な高騰時に発動します異常補填基金の二階建ての基金制度ということでございます。

 本制度によりまして、通常補填を含め四期連続で補填が発動している状況でございまして、直近となる第三・四半期につきましては、生産者に対しまして、配合飼料一トン当たり八千五百円が交付をされまして、畜産経営への影響を緩和しているという状況でございます。

 基金残高につきましては、異常補填が百四十二億円、通常補填が百五十一億円の、合計二百九十二億円ということで、当面の支払いについては対応可能でございますが、御指摘の、コロナ禍での価格上昇に加え、ウクライナ情勢によりまして、穀物の国際相場が不安定な動きをしており、今後の動向が懸念される状況ということになっております。

 農林水産省としては、トウモロコシ等の相場を注視してまいりますとともに、本制度の安定的な運用が図られますよう、状況の変化に応じ、また、生産者、飼料メーカーで構成されております基金団体の意見も伺いながら、必要な対策について検討してまいります。

庄子委員 余り検討に時間を要するいとまはないんだろうというふうに思います。是非機動的に対応をお願いを申し上げたい。枯渇してしまったら、これは生産者が大変な目に遭ってしまいます。是非よろしくお願いしたいと思います。

 次に、ロシア産の水産品調達ということについてお尋ねをいたします。

 私は、地元が宮城県でございます。水産県です。特に、塩竈という港は、水産加工業が大変盛んな町であります。先日、塩竈に行ってまいりまして、市長及び水産加工業の皆様から状況を伺う機会がありました。塩竈の水産加工というのは、原料をほぼ一〇〇%輸入をしています。魚もたくさんあるんですけれども、マグロが中心ですので、この町は、原料をほぼ一〇〇%輸入です。

 今回のロシアによるウクライナ侵略の事案から、ロシア産の原料、例えばタラ、ベニザケ、魚卵、カニ、こういったものが入手困難になるのではないかという懸念が広がっております。

 塩竈市が、先月、市内の加工会社二十五社に対してアンケートを行いました。そうしましたところ、既に影響が出ていると回答したのが七社、今後影響が出る可能性があると答えたのが十四社となっておりまして、既に原料高騰の影響が始まっているということが分かります。

 事業者の皆様からは、原料が入ってこなければ商品が作れない、したがって、長期化すると致命傷になりかねない。ロシア産国内在庫の出し渋りということも価格高騰を招いているのではないかという話がございました。加えて、コロナの融資で既に返済が始まっているということも経営の圧迫につながっているという現状も伺ってまいりました。

 そこで、農水省といたしまして、ロシア産原料の調達環境の変化、さらには、今後の輸入価格の全体的動向について、どのような認識を持ち、どのように対応されるか、伺いたいと思います。

神谷政府参考人 お答え申し上げます。

 水産物貿易に関しましては、最近の国際的な需要拡大や新型コロナウイルス感染症拡大による物流の問題等により、価格が上昇傾向にございます。

 最近のウクライナ情勢の影響などにより、今後のことを確実に見通すのは困難でございますが、情勢次第では、ロシア産水産物の調達が困難となることも考えられます。

 仮にロシア産水産物の調達が困難になれば、水産加工業者の中には大きな影響が出てくる方々も出てくることも想定されますことから、今般の緊急対策においては、水産物の価格上昇等により、国民生活や経済活動に不可欠な食料等の安定供給に支障が出ることのないよう対策を検討すべきとの総理指示が出されているところでございます。

 水産庁といたしましては、この総理指示の下、水産加工業への必要な対策について検討してまいります。

庄子委員 こうした水産環境の大きな変化の中で、去る三月二十五日に、新たな水産基本計画が閣議決定をされています。その第一の柱といたしましては、海洋環境の変化も踏まえた水産資源管理の着実な実施ということがうたわれているわけであります。

 このことは、漁協さんを始め関係者の皆様も、改正漁業法に基づく数量管理、これをベースにした資源管理については、自らの課題として実践をするというふうにおっしゃっておられます。

 また一方で、水産関係の方々からは、資源管理を行うだけで漁獲の維持あるいは増大が約束されるというものではなかろう、沿岸漁業の存続のため、プランを具体的に示して実行すべきだという声も頂戴しています。

 実効性ある対策実施に向けた強い決意と具体策を伺いたいと思います。

神谷政府参考人 お答えいたします。

 本年三月二十五日に、新たな水産基本計画が閣議決定され、今後の水産に関する施策についての基本的な方針等が定められたところでございます。

 本基本計画では、資源管理の着実な実施に加え、沿岸漁業に関しては、日々操業する現役世代を中心とした漁業者の持続的な生産活動を図るため、操業の効率化、生産性の向上、海洋環境の変化も踏まえた未利用魚の活用、加工、流通のバリューチェーンの強化による多種多様な漁獲物の高付加価値化、養殖業を始める地域における必要な機器等の導入、様々な業種とのマッチングを推進することとしております。

 また、漁業者の所得向上を目標として取り組んできました浜の活力再生プランについては、漁業や、なぎさ泊などの漁業外所得の取組の促進、漁村外からのUIターンの確保、地域の将来を支える人材の定着を通じて漁村の活性化の推進に向けて見直しをするよう位置づけております。

 こうした取組を通じて、沿岸漁業の成長産業化を実現し、若者にとって魅力のあるものとなるよう努めてまいります。

庄子委員 いろいろ御紹介をいただいたんですけれども、是非、これはまだまだボリュームが足りていないという私は認識です。

 例えば、水産加工・流通構造改革促進事業として実施した加工機器、あるいは商品開発、販路開拓の支援、これは、例えば、令和二年度でいいますと、採択件数は僅か八件、令和三年度では僅か九件の採択にとどまっておりまして、全く力不足だというふうに思います。

 是非、今の海洋環境の変化、漁業生産者の方々のこの苦境を思ったときに、もう少し踏み込んだものにしていかないと持続可能な水産業にはならない、計画が計画倒れに終わる可能性が強いということを申し上げておきたいというふうに思います。

 次に、林業の活性化についてです。

 いわゆるウッドショックと言われる木材価格の高騰が続いておりました。ここに来て、ロシア、ウクライナ情勢の悪化によって再び木材価格の高騰ということが懸念をされています。ロシアにおいては、経済制裁を行う日本を始めとした非友好国に対して、一部の木材や木材製品の輸出の停止を発表をいたしました。日本において、ロシアからの木材輸入というのは全体の六%ではありますけれども、世界のおよそ二割の森林を有するロシアからの木材供給が滞るということになりますと、一層価格の高騰ということを招くリスクがあろうかと思います。

 そこで、国産材の利活用、この推進ということにつながっていくのかなというふうに思います。木材の供給逼迫によります一時的な施策ではなくて、平時から国産材の利用を拡大することが重要です。

 令和元年には、森林経営管理制度、これが始まりました。森林所有者への意向調査は、令和元年度と二年度で合わせて約四十万ヘクタール。実際の森林整備事業や所有者不明森林への対応というのもまだまだ不十分と言わざるを得ません。

 森林経営管理事業、これを加速化をすることを是非求めたいと思いますし、林業全体の活性化を含めた抜本的な施策が必要だというふうに思います。特に、森林経営管理制度、この事業についての加速度的な事業の推進ということについて御所見を伺いたいと思います。

金子(原)国務大臣 お答えいたします。

 林業の活性化に向けましては、戦後造成された人工林が本格的な利用期を迎える中で、切って、使って、植える、資源の循環利用を確立することが重要であり、このことが国産材の安定供給や利活用の推進につながるものと考えています。

 一方で、木材価格の低迷や世代交代もあり、経営意欲を持てずにいる森林所有者もいることから、令和元年に森林経営管理制度を創設しまして、市町村を介して森林の経営管理の集積、集約を進めているところであります。

 農林水産省といたしましては、森林経営管理制度の取組が一層進むよう、優良事例の横展開や市町村の体制整備の支援を引き続きしっかりと進めてまいります。

 さらに、昨年六月に閣議決定いたしました新たな森林・林業基本計画に基づきまして、成長に優れたエリートツリー等、様々なイノベーションを活用いたしまして、伐採から再造林、保育までの収支をプラスに転回する新しい林業の展開などにより、林業の活性化に取り組んでまいりたいと思います。

 これらの取組を通じて、森林、林業、木材産業によるグリーン成長の実現を目指してまいります。

庄子委員 今大臣がおっしゃっていただいたとおりでございますが、この森林経営の管理制度は大変いい制度だと思います。所有者不明の部分も含めまして市町村が代行できるという制度ですので、是非これは普及をお願いをしたいというふうに思っておりました。

 また一方で、今、海外の輸入材がなかなか入ってこないという環境で、パワービルダーと言われる方々は、今、国産材にシフトし直しています。そうなると、元々地元にあった地域の工務店の皆様が、国産材が入らないという状況に今置かれておりますので、林道の整備とか乾燥機の整備だとか、こうしたことをかなり急がないと、地域の工務店の皆様が大変厳しいという状況を伺っておりますので、この辺の対応についても是非お願いをしておきたいと思います。

 最後に一問、小麦価格の高騰について伺いたいと思います。

 さっきも申し上げましたロシアのウクライナ侵攻というのは、大変大きな影響を与えております。ウクライナも、世界有数の小麦の輸出国でございます。是非、こうした小麦の価格の高騰対策についても考えていただかなければなりません。

 令和二年に決められました食料・農業・農村基本計画、これがございます。自給率は今約一六%にすぎない国内小麦、更なる推進が必要と考えますが、いかがでしょうか。

平形政府参考人 お答えいたします。

 国産小麦につきましては、近年、単収や品質の高い品種の開発、普及、それから、排水対策などの栽培技術の導入が進んだこと、さらに、天候に恵まれたことから、令和三年産の生産量は、基本計画の生産努力目標と同水準の百八万トンに到達いたしました。

 一方で、一時的な生産努力目標の達成では十分でないと考えております。また、今般の国際情勢なども踏まえますと、一層需要に応じた生産の拡大、これを推進していくことが必要と考えております。

 このため、令和二年度の補正予算から、麦・大豆収益性・生産性向上プロジェクトを措置いたしまして、作付の団地化、営農技術の導入を推進することで更なる省力化、収量、品質の高位安定を図るとともに、作付の拡大に必要な施設、機械の導入を支援しているところでございます。

 さらに、実需との結びつき、これをしっかりやって、国産小麦、更に拡大できるように頑張っていきたいと思っております。

庄子委員 終わります。ありがとうございました。

平口委員長 次に、後藤祐一君。

後藤(祐)委員 立憲民主党の後藤祐一でございます。

 与党のお二人から、物価高対策、幾つかありました。昨日も物価高騰に対応する関係閣僚会議が開かれたようでございますが、ちょっとこれは通告はしていないんですが、先ほどの武井議員の質問に対する大臣のお答えで、A重油など農業用燃油の話がありましたけれども、これは今、リッター二十五円、補助が入っていると思うんですが、プラスアルファやっていただくということでよろしいでしょうか。

 そして、農業の観点からは、肥料も高くなっているんですよね。尿素ですとかリンですとか塩化カリですとか、こういった肥料の高騰に対する対策も必要だと思いますが、いかがでしょうか。

金子(原)国務大臣 今の御質問がありました件については検討中でございまして、どのような対策ができるか、今、省内で検討中でございます。

後藤(祐)委員 検討中ということでございますが、二十五円、もう既にやっている状況でございますので、更にこの後、原油価格が上がりますと農家は困りますので、是非、そのプラスアルファの対策、そして、肥料の高騰対策に対しても具体的な対策をお願いしたいと思います。

 この高騰対策の中で麦価の話が出てきておりますが、これは、もちろん、国産の麦の価格を当然考えなきゃいけませんので、いろいろ慎重に考える面があるんですが、それにしても高くなってきている、それがパンの値段などに影響しているわけでございます。

 配付資料に、実は、この輸入麦価については、日本の大体九割が輸入の麦だと言われていますが、この引上げについては四月一日から一七・三%上がったんですけれども、配付資料一ページ目にあるように、実は、輸入麦価の引上げ幅を圧縮したことがかつてございます。平成二十年、福田内閣のときに、本来であれば二三%上がる予定だったところを一〇%に圧縮したということがかつてございました。江藤理事は、このとき、政務官であったのではないかと思いますが。

 この引上げ幅をどうするかといったときに、マークアップ分がどうなるかというのが非常に重要になるわけでございますが、平成二十年の麦価の引上げ幅圧縮のときのマークアップ分は何%だったんでしょうか。

武部副大臣 委員御指摘のとおり、平成二十年十月期の輸入小麦の政府売渡価格の改定の際には、算定による上昇幅が二三%でございましたけれども、一〇%に圧縮いたしました。

 二三%から一〇%への圧縮については、全てマークアップの圧縮で捻出しております。

後藤(祐)委員 マークアップ分は、ゲタ対策ですとか特別会計の財源になっているので、この財源を別途確保する必要がございます。

 ですから、マークアップ分の引下げを一般会計から財源を持ってくれば、何とかお金としては回るんじゃないかと思いますけれども、平成二十年の引上げ幅の圧縮のときは、特会の収入減についてはどう対応したんでしょうか。一般会計から持ってきたんでしょうか。

金子(原)国務大臣 平成二十年当時は、政府売渡価格の上昇幅の圧縮後、小麦など、諸外国の作柄が好転いたしまして、結果としては、輸入小麦の国際価格は下落したことによりまして売買差益が増加したこともあり、価格上昇幅の圧縮に伴う一般会計からの補填は行われなかったところであります。

後藤(祐)委員 平成二十年のときは、偶然だと思いますが、国際価格は急落したんですね。なので、この財源の問題は何とかなったというふうに伺っておりますけれども、今度はそうはいかない可能性もあるわけですよね。ですので、もし引下げを検討するとき、あるいは引上げ幅圧縮を検討するときには、マークアップ分は当然一般会計から持ってくる必要があるのではないかというふうに考えます。

 ただ、当然、国産の麦の価格との関係を考えなきゃいけないんですが、平成二十年のときはどう考えておられたんでしょう。

 ちなみに、平成二十年のときは、引上げ前がトン当たり六万九千百二十円だったものが、二三%上がると八万五千円ぐらいに上がる予定だったところが、七万六千三十円、一〇%上げで済ませたということだったんですね。つまり、トン当たり七万円を超えるぐらいから、さすがにこれはちょっと考えなきゃいけないんじゃないかという段階に入るということだと思うんです。

 今回の、先週金曜日からの値上げも、トン当たり六万千八百二十円から七万二千五百三十円と、七万円を超えるところに、一七・三%引上げで至ったわけですから、二〇〇八年の当時とかなり似た状況になっていると思うんですね。

 ですから、全体の価格水準が余り低いときにそういうことをやってはいけないと思うんですけれども、平成二十年のときのことを考えますと、トン当たり七万円を超えてきている中で、引上げ幅の圧縮ということをそろそろ考えてもいいときだと思うんです。

 平成二十年のときは、国産の麦の価格への影響はどういうふうに考えて、引上げ幅の圧縮を御決断されたんでしょうか。

金子(原)国務大臣 国内産小麦の売買は、生産者と製粉企業等が合意した民間流通の仕組みに基づき取引されておりまして、播種前に入札により価格形成を行った後、現在は、収穫後の引取り時に輸入小麦の政府売渡価格の変動率を反映させる事後調整を行った価格で取引されています。

 この価格の事後調整の仕組みは平成二十三年から民間流通に導入されたため、平成二十年十月期の輸入小麦の引上げ幅の圧縮は、国内産小麦価格への影響を与えるものではなかったと考えます。

後藤(祐)委員 やはり、国産麦の価格への影響というのは、平成二十年当時は影響は少なかったということでございますが、そこを考えながら、そろそろ輸入小麦の価格を考えるべきときだと思うんですね。

 ただ、四月一日に既に上がってしまいました。本来は、ここで考えるべきだったのではないか。トン当たり七万円を上回ってきているわけですから、この段階で考えるべきだったと思うのですが、もう既に上げてしまったので、次は十月まで待つんでしょうかね。

 これは、通常であれば、四月と十月に、半年に一回、引上げをしたり引下げをしたりすることになっていますが、四月と十月の途中で価格を変えるということは、まず、法的に可能なんでしょうか。あるいは、ほかの問題が何かあるんでしょうか。

金子(原)国務大臣 今期の政府売渡価格について、次回十月期を持たずに期中で引き下げることも、食糧法等の制度上は可能です。

 他方で、今期の政府売渡価格は既に適用されており、近く、製粉企業が小麦粉等の価格改定を公表し、販売先である食品メーカーと価格交渉を開始することが想定されています。

 そうした中で、仮に期中に政府売渡価格の引下げを行った場合には、製粉企業等の価格交渉に大きな混乱を来し、適正な価格転嫁を妨害するおそれがあります。

 また、輸入小麦の政府売渡価格の上昇幅の圧縮等を行う場合は、国産麦の振興対策の財源の問題だけではなく、大豆、トウモロコシ、食用の油、輸送料等の価格が高騰する中に、小麦だけ価格を抑制することは慎重に考えるべきものと考えています。

後藤(祐)委員 残念ですね。財源の確保ができれば、これは考えるべきじゃないですか。

 大きな混乱というのは、上げた場合の混乱は非常に大きいと思いますけれども、下げの場合は、それは何とかするものなんじゃないんですか。原料価格が思ったよりも下がったというときの段取りというのは、それは、民間の方は何とかするものなんじゃないんでしょうか。

 是非、これは平成二十年のときにやったんですから、途中ではないかもしれないけれども。もう七万円を超えてきているわけですから。これは、二ページ目を皆さん御覧になってください。今まさに政府でまとめようとしている物価高対策の紙かと勘違いするぐらい、これは平成二十年の紙ですよ、同じじゃないですか。このときは、輸入麦の政府売渡価格の引上げ幅の圧縮というのは、具体的項目で入っているんです。

 今の大臣の答弁ですと極めて消極的ですが、これはやらないということですか。我々はやるべきだと思いますけれども、国産麦の価格に対しては配慮をしながら、かつ、一般会計から財源を持ってくることでマークアップ分の財源を確保しながら、これは十月までの間にでも麦価引下げは決断すべきだと思いますけれども、大臣、いかがですか。

金子(原)国務大臣 先ほど答弁したように、ほかの大豆、トウモロコシ、食用油、いろいろなものがあります。そういう中で小麦だけやるというのは非常に難しいということと、今、価格はずっと高騰してきております。この高騰が果たしてここで止まるかどうか、先の見通しが立ちにくい。そうすると、高騰しているときにそういった形でやっていくと、上限をどうするかという話になってまいります。

 したがって、半年に一回、これは価格を決めていくわけですから、小麦市場が安定して、先が大体安定してやっていけるな、買えるなという状況を見極めたときに、いろいろと考えることもあるかなというふうに思っております。

 現在では、もう上げるという前提で、それぞれのメーカーはそれぞれの小売と交渉していますから、これをまた改めて据え置くということになったら、やはり混乱があるんじゃないかと思いますので、その辺は慎重に見極めながらやっていかなきゃいかぬというふうに私どもは思っております。

後藤(祐)委員 先が下がる見通しがないとできないというのは、何か答弁が私はよく分かりませんが、これは与党の先生方もよくお考えいただきたいなというふうに思います。

 続きまして、国有林野事業の職員の労働協約締結権の話に行きたいと思います。

 実は、国有林野事業の職員については、昭和二十八年以降、六十年にわたって労働協約締結権がありました。現業としてありました。労働協約を締結して賃金交渉ですとかをやってきたわけでございますけれども、二〇一三年の四月に国有林野事業が一般会計に移行したことをもって、労働組合法上の労働組合から国家公務員法上の職員団体に労働組合の位置づけが変わったということで、この協約締結権を含めた自律的労使関係制度が剥奪されてしまいました。

 会計の在り方が変わることで労働者の権利が、憲法で保障された労働者の権利が一瞬にしてなくなるというのは、これは理不尽だと思いますが、大臣、いかがですか。

金子(原)国務大臣 国有林野事業の職員につきましては、国家公務員法上の特例として、昭和二十七年度に協約締結権が認められ、昭和二十八年一月以降、労使間の団体交渉によって労働条件を決定したところであります。

 このような中、国有林野事業については、平成二十四年度末をもって企業的運営が廃止され、平成二十五年度から一般会計に移行したことに伴いまして、職員の労働関係に関する特例が廃止されたところであります。

 このため、国有林野事業の職員につきましては、非現業の国家公務員となり、その勤務条件につきましては、国家公務員法や人事院規則等に基づいて対応することとされたところであります。

 国有林事業が一般会計化されてから十年目を迎えておりまして、今後とも、職員団体と国家公務員法に基づく必要な交渉等を行いつつ、円滑な業務運営に努めてまいりたいと思います。

後藤(祐)委員 昭和二十八年から平成二十五年、二〇一三年まで六十年間、労働協約締結権があったんです。その六十年間、何か問題があったんですか、大臣。

天羽政府参考人 お答え申し上げます。

 国有林野事業の変遷につきましては、様々なことがあったわけでありまして、その様々な変遷というのを御説明し始めると長くなるのでここでは申し上げませんけれども、平成二十四年度末をもって企業的運営が廃止されたというのは、当時、大きな議論を経た上で、このような政策判断をするに至ったということだと承知をしております。

後藤(祐)委員 様々なと言いますけれども、何か問題が一つでもあったら、具体的に言ってみてください。

天羽政府参考人 当時、昭和三十九年度、林野庁の職員は八・九万人おりました。昭和五十三年度、改善計画を策定をすることになるわけでありますけれども、それは、国有林野の特会をめぐります様々な問題、要すれば、赤字の累増といったようなことも背景として改善計画を策定し、さらに、平成十年度からは、集中改革期間ということで改革をするとともに、国有林野の事業の在り方も、公益的な機能を重視するというふうに転換をしていったわけであります。そのような流れの中で、職員の数も大幅に減少して今日に至っているわけでございます。

 国有林野事業の特別会計から一般会計への移行、累積債務への対処といったようなことが課題であったと認識をしております。

後藤(祐)委員 それが何の問題なんですか。国有林野事業の全体としての職員の必要数が変わるということは、別に会計がどっちであろうが起きる話だし、それに合わせて労働組合と話をするのは別に変わらないことじゃないですか。何が問題なんですか、今の話は。

天羽政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しになりますけれども、国有林野事業は、特別会計をもって運営をしておりました。赤字がどんどん累積をしてまいりました。この赤字を特別会計で持ち続けるということが国民経済にとっていいことか、国有林野事業の在り方としていいことか。さらには、先ほども申し上げましたけれども、国有林野の果たすべき機能が、従来考えられていたことから、事業としての国有林野事業ということから公益的機能をより重視をする機能というふうに変わってきた。これは、日本の中で国有林野事業の在り方として変わってきたというだけではなく、国際的な森林に対する見方も変わってきたということではないかというふうに考えておりますが、そのようなことがあったわけであります。

 給与の特措法とか労働関係につきましては、法律に基づいて適正に行われてきたと承知をしております。

後藤(祐)委員 適正に行われていたんじゃないですか。

 事業の在り方とか定員がどうなるかというのは、それは会計の在り方にかかわらず重要な問題だし、その人数が減らざるを得ないとかいうようなことになれば、それは、その状況を前提にいろいろな交渉をするんでしょう。それは、労働協約締結権があろうがなかろうが、やることじゃないですか。問題ないという答弁じゃないですか。

 これは大臣にお聞きしたいと思いますが、本来は、ほかの国家公務員を含めた一般職の国家公務員全体に労働協約締結権を回復する法案、これは我々も提出したいと考えておりますし、以前は私も筆頭提出者として提出しておりますけれども、これはこれでやります。ただ、特に国有林野事業の職員については、六十年間締結権があったんですから、これはまず先に手当てをすべきじゃないですか。

 国有林野事業について、自律的労使関係、労働協約締結権、これを復活させるべきだと思いますが、大臣、いかがですか。

金子(原)国務大臣 国有林野事業の職員につきましては、平成二十五年度から非現業の国家公務員とされていることから、国家公務員の自律的労使関係制度を措置するかどうかといった対応につきましては、政府全体として検討されるべきものと考えております。

 いずれにいたしましても、現場の職員の方々が元気でしっかりと役割を果たし、そのことが国民の皆様からも評価されるような職場づくりに今後ともしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

後藤(祐)委員 是非、これは一般職公務員も当然大事なんですが、国有林野事業については特別だと思いますので、そこの特別な労働協約締結権の回復、これを改めてお願いしたいと思いますし、我々としても法案を出していきたいと思っております。

 続きまして、特定生産緑地について聞きたいと思います。

 これは何かと申しますと、生産緑地という制度がございまして、衆参の農水委員会で神奈川県選出の議員は私だけなので、まさに都市農業を代表してこの議論をさせていただきたいと思いますが、配付資料のむしろ四ページ目を見ていただいた方が分かりやすいと思いますが、生産緑地というのは、三大都市圏の特定市、あるいはちょっとプラスアルファがあるんですが、で生産緑地という制度があって、この生産緑地に指定されていないと、市街化区域内で宅地並みの固定資産税を取られちゃうんですね。あるいは、相続税ですとか、いろいろな優遇措置がなくて、都会で宅地並みの固定資産税なんかを取られたら、農業は成り立たないわけです。

 そこで、農地課税という形で、生産緑地では大幅に安い固定資産税になっているんですが、この生産緑地が一九九二年に制度が始まって、三ページ目を御覧いただければと思いますが、三十年たったところで買取り請求ができる、逆に言うと、生産緑地でなくなってしまう、ほっておくと生産緑地でなくなってしまうような設計になっていて、いや、生産緑地を続けたい、固定資産税が安くないと農業が続けられないという方は、特定生産緑地に移ってください、手続をしてくださいということで、各市町村、農協なんかが頑張って、多くの方にこの特定生産緑地としての、いわば継続ですよね、手続を進めてきておりますが、これができないと、都市近郊には農地がなくなっちゃいますので、極めてこれは重要な話なんですが、これについて今の状況をちょっと確認したいと思いますが、今日は、国土交通委員会も開かれている中で、泉田国土交通政務官、ありがとうございます。

 平成四年指定の生産緑地は、今年三十年を迎えてしまいますが、令和三年十二月末現在で、既に特定生産緑地への指定済みは三七%、その受付をしたというのが四二%、そういう意向があるという方が七%、これらを合わせると八六%の生産緑地が特定への意向という方向になっているんですが、一方で、意向がないが七%、未定だとか把握できていないという方が七%といったデータもございます。

 これは昨年十二月段階なんですが、直近のこれに関しての把握している数字をお答えください。

泉田大臣政務官 お答えをいたします。

 特定生産緑地の指定見込み調査なんですけれども、四半期に一回ということになっています。そうすると、直近が三月末ということになるわけでございまして、直近の数字で最も新しいのは、令和三年十二月末時点の数値が、今御指摘いただいた数値が最新です。

 三月末の数字につきましては、現在、調査の実施に向けた準備を進めておりまして、五月頃の公表ということを予定しております。

後藤(祐)委員 これは、今がリアルタイムにすごい大事なときなので、是非リアルタイムに国交省としても把握していただきたいと思いますが、このまだ把握できていない、あるいは決めていないという方々がそのまま何もしないで三十年の期限を迎えると、一体どうなっちゃうんでしょうか。

 三ページ目の資料の下の方を見ると、以降、特定生産緑地の指定は受けられない、もうアウトです、二度と固定資産税は下がることはありませんというかのような説明がなされているんですが、これは、もう二度と特定生産緑地に指定することはできなくなっちゃうんでしょうか。

泉田大臣政務官 お答えをいたします。

 特定生産緑地の指定、これは、御指摘のとおり、三十年経過をする日である申出基準日までに行うという制度になっております。したがいまして、申出基準日以降は、特定生産緑地としては指定できなくなるということであります。ただし、新規に生産緑地への申出、これをすることは可能であります。

 また、御指摘がありましたとおり、特定生産緑地の指定がなされず申出基準日が到来した場合は、いつでも宅地化、これが可能になりますので、当該生産緑地の固定資産税については、五年間の激変緩和措置があるものの、宅地並みの評価となります。最終的には、課税も宅地並みということになる制度になってございます。

後藤(祐)委員 新規に生産緑地に指定することは可能であるというのは、これはかなり重要な答弁だとは思います。ですが、そんなことをするんだったら、特定生産緑地を、一旦切れてしまったとしても、少したって、やはり私は続けたいという方は特定生産緑地に復帰できるというか、そういう運用をできないでしょうかね。

 条文を見てみたんですが、五ページ目に生産緑地法の条文がありますが、この十条の二というところで、確実に行うことが良好な都市環境の形成を図る上で特に有効であると認められるものを、特定生産緑地として指定することができるとか、生産緑地所有者は、市町村長に対し、当該生産緑地を特定生産緑地として指定することを提案することができるとか、かなり柔らかい規定ぶりなんですね。期限が切れた瞬間からもう二度と駄目ですよというような条文ぶりにはなっていないと思うんです。

 つまり、国土交通省の運用についての考え方次第で、少し遅れてしまった方も特定生産緑地に移せますよと。ちょっと百歩譲って、一回、固定資産税が一段階目、上がっちゃいました、激変緩和措置がありますから、上がっちゃって、えっ、こんなに上がるのとびっくりして気づくような人もいると思うんですよ。そういう方がそこから手を挙げたら、そこからまた特定に戻せるといった柔軟な形でこれをできるようにしていただいたらと思うんですが、政務官、いかがですか。

泉田大臣政務官 お答えをいたします。

 御指摘の条文、第十条の二、これは、頭の部分がついていまして、申出基準日が近く到来することとなる生産緑地のうちという形容詞がついております。

 したがって、一度期限が到来したものについては要件を満たさないということにやはりなってしまう。制度を変える必要があって、国交省の運用でできる範囲をちょっと超えているということだと思います。

 特定生産緑地制度は、建築物の建築を制限し、税制の特例措置を講じるということでございますので、都市農地を継続的に保全するという大変重要な制度であるというふうに認識をしております。

 そしてまた、申出基準日以降も特定生産緑地の指定ができるようにしますと、特定生産緑地に指定されるまでの間、いつでも宅地化が可能ということになります。これは、十年で再び申出ができる土地と、それから、新規に生産緑地にした場合、これは三十年ということになって、農地によって公平性に差が生じるという実態的問題というのもあるわけです。

 このような状態というのは、都市農地を継続して保全をするという特定生産緑地制度の制度趣旨にも合致をしないというところでございますので、申出基準日までに特定生産緑地に指定をするという現行の制度になっております。

 国交省としては、生産緑地の所有者がそうした制度趣旨を十分理解をした上で、申出基準日までに特定生産緑地の指定を受けるかどうか判断ができるように、地方公共団体や農業団体と連携し、周知を図ってまいりたいと考えております。

後藤(祐)委員 いや、農協も市町村もこの二年ぐらいずっとやっているんですよ。それでも、やはり七%ぐらい漏れちゃうんです。

 新規に生産緑地に指定することは法律上可能ということでしたから、そこから更に三十年というと長いので、今まで生産緑地で、間違って切れちゃった方が新しく生産緑地にする場合は、例えば短くするですとか、そういう運用の範囲で、是非、新しく生産緑地に指定することも含めて柔軟な対応をお願いできないですか、政務官。

平口委員長 申合せの時間が来ていますので、簡潔にお願いいたします。

泉田大臣政務官 先ほど申し上げたとおりなんですけれども、運用でできる範囲を超えていまして、法令の条文で縛られておりますので、現在においては、困る人が出ないように、これは市町村がそれぞれ期日を設定している部分もございますけれども、それにはとらわれず受け付けられるように、特に、十月を目指してしっかり取組を進めてまいりたいと思います。

後藤(祐)委員 ちょっと残念ですね。これは、是非、生産緑地があるような県の方々も含めて、これは与野党関係ない話だと思いますので、どうしても法律上必要だったら、議員立法も含めて、都市の農地を守るということをお願い申し上げまして、終わります。

 ありがとうございました。

平口委員長 次に、金子恵美君。

金子(恵)委員 立憲民主党の金子恵美でございます。よろしくお願いいたします。

 冒頭、是非大臣から御所見をいただきたいというふうに思いますが、昨日でありますけれども、全漁連の岸会長が萩生田経産大臣と会談いたしました。そこで、改めて、トリチウムを含む処理水の海洋放出、これに対して断固反対の姿勢を示されました。

 農水大臣は、やはり漁業者の方々に寄り添う、そういうお立場でございます。いろいろな御配慮もこれまでもされてこられたというふうに思いますけれども、まだまだ、まだまだ本当にたくさんのハードルがあるこの問題でありますけれども、大臣、一言お願いいたします。

金子(原)国務大臣 昨日、萩生田大臣から昨年四月に全漁連から示された五項目の要望に対し回答し、さらに、総理と全漁連が面会したというのは、承知いたしております。

 これらの会談後に、全漁連から、放出に絶対反対という立場はいささかも変わらない、全国の漁業者が安心して漁業ができる環境をつくっていただきたい、政府には、国民の理解を得ること、漁業者への丁寧かつ真摯な説明、実効性のある対策についてお願いしたいなどの発言があったことを承知いたしております。

 農林水産省としては、漁業者に寄り添いながら、経済産業省を始め関係省庁とも連携し、被災地域の漁業の本格的な復興を目指すとともに、全国の漁業者が漁業を安心して継続できる環境を整備してまいりたいと思います。

金子(恵)委員 ありがとうございます。

 それが大臣の御決意ということでよろしいでしょうか。今までおっしゃっていたことと変わらないんですけれども、私は、しっかりと説明をしていくこととか、そしてまた、いろいろな御意見を聞いてしっかりとしたやり取りをし続けるということ、丁寧な対応というのはもっと必要なんじゃないかというふうに思っているんです。是非よろしくお願いしたいと思います。

 そこで、今日は、一つ目の質問はプラスチックの問題なんですが、そこに入る前に、みどりの食料システム法案自体についてのことなんですけれども、四月の一日の日農新聞で示されました農政モニター調査の結果、極めて残念なものなんです。

 これを見ていらっしゃると思いますし、もう大臣も、閣議後の記者会見等でしょうか、そこで発言をされてはおられるんですけれども、実際にみどり戦略を知っている方が余りにも少ないということで、内容についても言うと、実際には農政モニターの七二・七%が知らないということになるわけです。名前を知らないというふうに言っているのが三割、名前は知っているけれども内容は知らないということも含めまして、内容を知らないとおっしゃっている方は七割以上いらっしゃるんですね。

 戦略自体は、つくって、今一年、そして今回の私たちのこの国会で法案審議、衆議院は通っていますけれども、もっともっと更に法案審議をすべきだったかな、そういう反省点もありますし、では、ここからどうやってまた多くの方々にしっかりと丁寧に説明をしていかれるのか、それは大きな課題になってくると思うんです。大臣、一言ありますか。

金子(原)国務大臣 御質問のモニター調査は、昨年も実施されておりますが、みどりの食料システム戦略の認知度がこの一年間で四割から七割に向上したという結果についてお聞きしておりまして、七割、確かに、三割の方が戦略を知らない状況にあるということは、我々としても、今後、やはり十分に現場に意見を、また、いろいろな内容について説明していかなきゃいかぬというふうに思っておりまして、七割の方が理解をしておれば、前回に比べるとこれだけ向上したのかというふうに私は思っております。

金子(恵)委員 済みません、名前を知らない方は三割、でも、七割の方はどうなっているのかというと、実際に内容を本当に知らないという方を含めると七二・七%になっているということなんですよ。大きな数字だというふうに思うんです。名前も知っていて、そして内容も知っていてと、やはりそうならなかったら、せっかく法律を作ったって、法律を成立させたって、動かないじゃないんですか。

 日農新聞によれば、農水大臣は、今後も丁寧に説明しますというふうにはおっしゃっている。今の御答弁とそごがないということでいいというふうには思うんですが、何となくここでの御答弁がそっけなかったので、ちょっと残念です。

 でも、これは四月の二日の日農新聞なんですが、例えば、これは一面にあったんですが、生分解マルチ面積が最高になったという何か大きな見出しがあって、私、今プラスチックの問題を取り上げようとしているんですけれども、いろいろな取組を現場ではされているんだというふうに思います。

 私は、三月の二日の農林水産委員会、ここでこの問題について取り上げさせていただきまして、農業及び漁業におけるプラスチックごみの排出抑制、流出防止対策について改めて質問させていただいたときに、大臣からは、農業分野では、マルチ栽培等で生分解性資材の利用や、プラスチック被覆肥料の流出抑制技術や代替肥料の導入など、環境に優しい生産技術の導入の実証を実施しており、また、漁業分野では、生分解性プラスチックを用いた養殖用資材の開発支援やリサイクルを促進するための分解、分別しやすい漁具の試験研究などを行っている、そういう御答弁をいただいています。

 生分解性プラスチックの活用というのはとても重要だということで、今私が紹介いたしました日農新聞の一面に出ていました、生分解性マルチを使った面積というのが最高になって十年間で二倍に増えたというふうには言っている。でも、実際に、基準値が余りにも低いので、二倍となってもまだまだなわけです。

 ちょっと新しいデータではないかもしれませんけれども、マルチ栽培の圃場の面積から見ると、実際に生分解性マルチの被覆面積というのは九%だということでありますので、まだまだこれからの課題だということではありますが、もっと思い切った取組をこれからも進めていかなくてはいけないというふうに思いますし、また、被覆の肥料についても、これまでも挙げていただいているんですけれども、こちらについても、やはりこれを技術開発していくこととか、そしてまた、製品の購入時の支援というものをしっかりやっていかなくてはいけないというふうに思っています。今の段階では大変高額なものになっていくわけです。

 スピード感を持って、そして強く進めていく必要があるというふうに思いますが、大臣、いかがでしょう。

金子(原)国務大臣 議員御指摘のように、農業、漁業分野におけるプラスチック対策の取組は、海洋流出による環境負荷を低減するため、重要と考えております。

 農業分野におきましては、令和三年度の補正予算から、マルチ栽培などでの生分解性資材の利用拡大や、プラスチック被覆肥料の流出抑制技術、代替肥料の導入など、環境に優しい生産技術の導入の実証を支援しているところであります。

 また、漁業分野におきましては、生分解性プラスチックを用いた漁業、養殖用資材の開発支援に加えまして、使用中の漁具の流出防止のための適正管理につきまして、都道府県や漁業者団体を通じて指導するとともに、環境省の事業を活用した海洋ごみの回収について周知しているところであります。

 さらに、資材メーカーや生産者などの関係団体においても、独自にプラスチック資源循環アクション宣言を策定いたしまして、プラスチックの排出抑制や回収、適正処理、生分解性資材の利用拡大を積極的に進めているところであります。

 こうした取組と連携をしまして、官民一体となって農林水産分野におけるプラスチックの使用削減に取り組んでまいりたいと思います。

金子(恵)委員 ありがとうございます。

 先ほど申し上げました生分解性マルチの話も、認証製品じゃないものも出ているということでありまして、本当に質のいいもの、間違いのないものが届くというような仕組みづくりをしっかりとやっていかなくてはいけないというふうに思いますので、是非よろしくお願いします。これからの課題だというふうには思っています。

 時間が限られておりますので、次の質問に入らせていただきます。

 先ほどもお話があったんですが、ウッドショックにいかに対応してきたかということと、これからもウッドショックがまた続く可能性があるという世界情勢の中でありますけれども、私は、基本としては、やはり国産材の安定供給をしっかりとやっていくということに尽きるというふうに思っているんです。

 少し質問を飛ばさせていただきますけれども、改めて、国産材の安定供給体制の確立に向けた取組を今後どのようにやっていくかということと、それと、基本、実はとても重要なところというのは、例えば、ウッドショックにおいて国産材、素材等の価格は上昇しました、でも、これが山元立木の価格にしっかりと反映されているのかというところです。そこにきちんと反映されていないと、結局は、切って、そしてその後ちゃんと再造林ができるのか、そういう問題にもつながってきてしまう。

 現段階では、山元立木価格というのは、大変低いまま横ばいになってきています。そして、それが結局、再造林を賄うような収入になっていないということも問題になっている。ただ単に全体の、輸入材の製品の価格が高騰した、そして国産材の価格も高騰してしまった、そうしたら、どういうふうに実際には現場に影響があるのか、ここをしっかりと見ていかなくてはいけないというふうに思うんです。

 いずれにしても、国産材をとにかく安定的に供給する仕組みの中では、川上から川下までしっかりと連携を取っていくということだと思いますけれども、二つ今質問させていただきました。安定供給の部分、そして、山元立木価格、今回の価格上昇、これはどういうふうになっているんでしょうか。教えてください。

宮崎大臣政務官 私の方から、山元の立木価格の状況についてお答えをさせていただきたいと思います。

 山元立木価格につきましては、一般社団法人の日本不動産研究所が、例年秋ぐらいに春時点の価格を公表しておりまして、最新の値につきましては、いわゆる先生がおっしゃったウッドショックによる影響が顕著になる前の、昨年の三月の時点の値でございますので、素材でございますとか製材品の価格上昇が反映されているかどうかということは、ちょっと分析が困難ということでございます。

 ただ、立木価格につきましては、昨年度、関係者でブロック単位に需給の連絡調整会議というのを開かせていただいておりますけれども、その場におきましては、現場のお声としては、確かに、立木の単価は上昇しているという声もございましたけれども、その一方で、運材費等のコストが高くなっているということもあって、値上げの実感は強く湧いてこない、そういったいろいろな声があったということでございます。

金子(原)国務大臣 国産材の安定供給体制についてのお尋ねでございましたが、農林水産省といたしましては、木材の乾燥施設の整備による国産材製品の供給力強化や、原木の安定的な供給に向けた間伐や路網整備の取組の更なる推進等に必要な対策を令和三年度補正予算及び令和四年度当初予算において措置しているところであり、これらを通じて国産材の安定供給に向けた環境整備を行っていく考えであります。

金子(恵)委員 時間が参りましたのでこれで終わりたいと思うんですが、実は国有林の公益的機能を今後どのように維持していくかということを伺いたかったんですけれども、これにつきましては、樹木採取権制度が創設されていまして、やっと第一号が決まったということでありますけれども、しっかりと樹木採取権者に選ばれた方が再造林まで責任を持って進めるということを願っているところであります。御答弁は結構でございますが、よろしくお願いいたします。

 ありがとうございます。

平口委員長 次に、青山大人君。

青山(大)委員 早速質問に行きます。

 私は茨城県の出身なんですけれども、茨城県霞ケ浦、北浦の漁業について、まずは質問をさせていただきます。

 茨城県霞ケ浦、北浦のワカサギ漁の歴史というのは明治時代まで遡るものでございまして、風の力を利用して網を引く帆引き網の漁がかつて盛んに行われた地域でもございます。また、茨城県では全国に先駆けて七月に漁を解禁するので、夏にワカサギを味わえるのが特徴でもございます。

 さて、そんな霞ケ浦、北浦の漁業ですが、実は私は、茨城の県議会議員の頃、もう十年ぐらい前ですけれども、ずっとこういった霞ケ浦、北浦の漁業について取り組んでまいりました。当時は、いわゆる後継者の不足、そういったことが一番の課題であったんですけれども、近年、霞ケ浦、北浦の中の、例えば北浦ですと、ワカサギの漁獲量が二〇一四年の四十三トンを境に一気に減少の一途をたどり、近年では僅か数トンしか水揚げできない異常な状況が続いております。大きな方の霞ケ浦でも、ここ数年、急激に不漁となっております。

 ワカサギに限らず、全国でも有数のカワエビ、そしてシラウオも同じように急に捕れなくなってしまったということで、国では、この茨城県霞ケ浦、北浦のワカサギやカワエビ、シラウオなどの漁獲量が急激に減少している事実を把握されているか、そして、把握されているとすれば、どういった原因が考えられるのか、まずお伺いいたします。

金子(原)国務大臣 お答えいたしますが、全国のワカサギやエビ類の生産量は、十年前と比較いたしますと、ワカサギで五三%、エビ類で七一%減少しています。また、霞ケ浦でも同様に減少傾向にあると承知いたしております。

 昨年、茨城県が行った不漁要因の調査によりますと、ワカサギに関しましては、夏の間の猛暑による水温上昇が親魚の減少の一因と指摘されています。また、エビ類に関しましては、現在のところ、減少の原因がはっきりしておりません。このため、ワカサギ及びエビ類の不漁原因について引き続き調査を行う予定であるとお聞きいたしております。

 農林水産省といたしましては、霞ケ浦の環境、資源調査によりまして不漁要因の究明と対策の検討が進むよう、茨城県と引き続き協力してまいりたいと思います。

青山(大)委員 地元では、幾つか言われていることとして、例えば、利根川との合流点にある常陸川水門、いわゆる逆水門によって霞ケ浦の水位が変わったことが原因ではないかとか言われておりまして、これについては、昨年も、地元の漁業組合から国土交通省の方へ対策の要望書も提出をされておりますし、また、先ほど大臣からも御答弁があったように、水温の変化とかそういったものが原因じゃないかというふうにも言われております。

 いずれにしましても、これはもちろん茨城県の方が中心に原因究明に向けて取り組まれているわけでございますけれども、先ほど大臣がおっしゃっていたように、是非、国の方としてもしっかりバックアップしてほしいなと。

 今言ったように、これは農水省だけじゃなくて、常陸川水門の逆水門の件もあるので、例えば、国土交通省の方にも少し働きかけをしてもらったりですとか、又は、気候の話になると環境省も加わってくると思います。

 なので、これは茨城県にお任せじゃなくて、もう少し国の方もちょっと関心を持ってもらって是非支援してほしいなというのを、改めて要望も兼ねて質問いたします。

 もし参考人の方から、何か国の方でこういうことをできるよとかあったら、ちょっとつけ加え、補足があれば、御答弁の方をお願いいたします。

神谷政府参考人 お答えいたします。

 国の方では、霞ケ浦の環境、資源調査に対する令和三年度の支援事業などもやっておりますし、併せまして、県の方でワカサギの資源増殖技術の開発を行っておるところに、国としての支援を実施しております。

青山(大)委員 分かりました。

 いずれにしましても、しっかり、是非茨城県の方をバックアップしてもらって、連携してもらって、原因究明、対策の方を重ねて要望させていただきます。

 次の質問に移ります。

 飼料の価格の高騰については、当委員会でも様々な議論がなされていると思いますけれども、今回は、飼料の国産化を進めるべきという立場で、その中でも、子実用トウモロコシの国産化の促進についてお伺いいたします。

 これも、私の地元の方で、挑戦してみたいなという生産者、組合からの相談を基に質問をさせてもらうんですけれども、補正予算や当初予算でも、子実用トウモロコシの増産へ様々な支援策が出てきているんですけれども、国として、子実用トウモロコシの国産化について、今後、具体的にどのぐらい増やしていくのかとか、そういった目標をどのように設定しているのか、そしてあわせて、支援策のメニューについてもお伺いいたします。

森政府参考人 お答えいたします。

 子実用トウモロコシの生産につきましては、令和三年で、栽培面積が全国で九百九十二ヘクタール、生産量は六千四百四十九トンとなっているところでございます。

 主食用米から、麦、大豆や、野菜、子実用トウモロコシなど、定着性や収益性の高い作物への作付転換が進むよう、令和三年度補正予算におきまして、水田リノベーション事業を拡充し、対象に子実用トウモロコシを追加したところでございますし、また、様々な技術的な課題に対応していくという観点から、農林水産省としては、専門家によります現地指導、研修会の実施、生産、保管、調製に必要な機材の導入、生産、調製技術の開発等について支援を行っていくこととしているところでございます。

 生産目標の観点につきましては、食料・農業・農村基本計画におきまして、国産飼料基盤に立脚した畜産業を確立するという観点から、飼料自給率目標というのを設定しております。

 このうち、子実用トウモロコシでございますとか飼料用米、エコフィードなどを含めました濃厚飼料につきましては、国産の自給率を、平成三十年度の一二%から、令和十二年度に一五%まで引き上げるということを目標としているところでございます。

 議員御指摘のような、子実用トウモロコシについてのという目標につきましては、現在まだ作付面積が千ヘクタール弱ということで、今後の生産拡大、定着のためには、例えば台風などの気象リスクを踏まえた栽培地域、時期の選定ですとか、あと病害虫、カビ毒の発生、あるいは耐湿性といったような技術開発ですとか品種改良が必要な課題等もあるということで、現時点でなかなか明確な目標というものを設定するのは、いろいろな課題が多いというふうに考えておるところでございます。

 いずれにいたしましても、しっかりと国産化に向けて取り組んでまいりたいというふうに考えております。

青山(大)委員 いろいろな課題があるのは承知していますけれども、やはり、これぐらい増やしたいんだという、当然、数値目標と期限は区切って、それに向けて促していく方が私はいいのかなというふうにも思いますし、あとは、先ほど支援策の中で水田リノベーション事業の話も出ましたけれども、非常に令和三年度の補正予算でもたくさんの額がついております。

 ただ、生産者の立場からすると、この支援制度、水田リノベーション事業も、本当に、いつまで続くんだろうか、たまたま補正は出たけれども、もう次は終わっちゃうんじゃないだろうかとか、そういった不安の声も聞きます。年ごとによってころころ制度が変わっては困るというのが一番の声です。当然、初期の投資がかなり大きく、生産者の皆様にとってもなかなか勇気ある一歩が踏み出せない現状がある中で、例えば、こういった水田リノベーション事業がきちっと今後も何年間かは続けていくんだというようなアナウンスを私はすべきかなと思うんですけれども、いかがでしょうか。

平形政府参考人 お答えいたします。

 子実用トウモロコシにつきましては、水田リノベーション事業、これは補正予算と当初予算、両方とも入っておりますけれども、元々、水田活用の直接支払交付金の中でも飼料作物として入っておりますし、また、その加算等もございます。予算編成の中で、どのような執行状況になるのかということも踏まえながら検討していきたいというふうに考えております。

青山(大)委員 額は五千円の違いかもしれませんけれども、その五千円の違いがやはり私は大きいのかなと思っていますし、たくさんのお申込みがあるというふうに聞いていますので、その辺は現場の声を踏まえて是非検討の方をお願いいたします。

 最後に、豚熱の対策についてもお伺いいたします。

 これも、先日もうちの地元でも生産者の方から本当に悲痛な、つらい声を聞いております。

 公表の資料を見ますと、二〇一八年の九月から二〇二二年三月二十五日までの間に、国内で七十七の事例が発生し、約二十八万頭が防疫措置の対象となったということでございます。また、野生のイノシシが豚熱発生からの三年間は頭数は減少傾向にあった一方で、最近また野生のイノシシが再び増えてきているといった声も聞かれます。野生イノシシの頭数回復も念頭に、引き続き豚熱の対策には力を入れていかなければいけないというふうに思っています。

 まずは、最初の質問として、国産のマーカーワクチン開発の状況について、現状と今後の見通しについてお伺いをいたします。

小川政府参考人 お答えします。

 ワクチンを使用しながら豚熱の清浄国への復帰を目指すためには、ワクチン接種豚における野外感染の有無を識別できる豚熱マーカーワクチンの開発が重要と認識しております。

 農林水産省では、農研機構や大学と連携いたしまして、令和二年度から国産の豚熱マーカーワクチンの開発に取り組んでおります。現在、マーカーワクチンの作出に必要なウイルス株及びマーカーとして使用する遺伝子の各候補について、性状解析等の研究を進めているところでございます。

 令和六年度までに、ワクチン接種豚における野外感染の有無を識別できるマーカーワクチンの候補株を作出すべく、鋭意開発を進めているところでございます。

青山(大)委員 しっかりそれはやってほしいんですけれども、今御答弁の中で、つくばの農研機構で研究開発をしてもらっているというお話があったんですけれども、ちょっと関連して、研究所の施設整備について伺います。

 これまでも、私は過去に農林水産委員会で何度か質問をさせてもらったんですけれども、茨城県つくば市には独立行政法人等の研究機関が数多くございます。そのほとんどは一九七〇年の筑波研究学園都市建設法を基に整備されたものでございますので、現在、非常に老朽化が進んでいるものが多いんです。

 私も何度か森林総研とか農研機構などに視察に行っていますけれども、もちろん、最先端の研究、今おっしゃったように、国産マーカーワクチンの開発とかを頑張ってもらったりとか成果も上げているんですけれども、研究のまさに環境、施設整備、これは非常に脆弱だという中で、最先端の研究を今後も支えるためにも、私は、やはり施設整備、まずはその環境整備、ここは力を入れるべきだと思って何度も質問させてもらっております。

 改めて、日本の国力を支えるためにも、森林総研や農研機構などの施設整備の補助について、政府の今後の見通しを大臣に改めてお伺いいたします。

金子(原)国務大臣 農研機構は、最先端の研究開発等を通じて農林水産分野のイノベーションを促して、農林水産業の発展に貢献する重要な役割を果たしていると認識いたしております。

 議員御指摘のように、農研機構の施設の老朽化が進んでいることは承知いたしております。このため、農林水産省といたしましては、農研機構と協力しまして施設の維持保全に努めておりまして、令和三年度補正予算ではネットワーク環境の整備や種苗管理センターの施設の整備、令和四年度予算では動物衛生研究部門の安全性評価実験施設の改修等の予算を確保しているところでございます。

 今後とも、農研機構が十分な機能を発揮できるよう、機構の要望を踏まえまして、優先度の高いものから予算の確保に努めてまいりたいと考えております。

青山(大)委員 しっかり進めてほしいと思います。

 最後の質問です。

 また豚熱の方に戻りますけれども、豚熱のワクチンの接種の話です。

 子豚は母豚からの移行抗体を保持していますけれども、移行抗体の量の減り具合は個体により差異があるため、全ての子豚に適切な時期にワクチン接種をするのは困難でございます。そこで、できるだけ豚熱感染リスクを減らすためには、現在の一回接種から二回接種に広げることで、適切な時期にワクチンを打てる範囲を広げるべきではとの声が現場の生産者の間で上がっております。

 ただ、こうした声に対し、国の方では、科学的なデータがないということで否定的と伺っていますけれども、むしろ、豚熱対策の一環として、二回接種の効果について国の方で真っ先に研究をすべきではないでしょうか。効果の有無を確認した後で目的に沿った手段を選択してみてはどうでしょうか。

 豚熱を発生させないためにも、政府と生産者は同じ方向を向いて取り組みたいというのが現場の思いでもございます。二回接種の効果について国は研究を行わないのか、また、二回接種への取組状況について、最後に質問いたします。

平口委員長 申合せの時間が過ぎておりますので、簡潔にお願いします。

小川政府参考人 お答えします。

 豚熱ワクチンの二回接種につきましては、母豚には初回接種から半年後に二回目、その後、年に一回の補強接種というのを行ってきておりますが、約半年で出荷される肥育豚につきましては、母体からの移行抗体が消失する時期に一回接種をしております。

 ただし、肥育豚への豚熱ワクチン二回接種の御指摘につきましては、一回接種と比べた場合の有効性を判断するための科学的なデータが得られていないことから、推奨しておりませんが、都道府県が農場ごとに免疫付与状況確認検査を行い、免疫付与の割合が八割に満たない場合には、農林水産省と協議の上、二回目のワクチン接種を認めているところでございます。議員御地元の茨城県におきましても、検査の結果を踏まえた二回目の接種を実施していると承知しております。

 また、この豚熱のワクチンでございますが、群単位での管理により接種を行っていることから、たとえ二回接種の有効性の向上が図られたとしても、全ての豚が免疫を獲得できるものではなく、感染を完全にブロックすることはできません。

 したがいまして、野生動物や人等を介してウイルスが農場に持ち込まれないよう、飼養衛生管理の向上を図ることが豚熱対策にとって最も重要と考えております。

青山(大)委員 以上です。ありがとうございました。

平口委員長 次に、空本誠喜君。

空本委員 日本維新の会の空本誠喜でございます。本日も、よろしくお願いいたします。

 本日は、農水省のSNS戦略、そして、ウクライナ情勢を踏まえまして、食料安全保障の観点から、二〇三〇年の食料自給率四五%の目標達成、そのための具体的な取組、さらに、特に米の消費拡大というのが大事だと思います。米といえば、おいしいおにぎりを皆さん想像されると思うんですが、そのおにぎりの米、この生産する水田の交付金の方針の見直し、そして、おにぎりにはなくてはならないノリ、海産物のノリなど水産資源の問題、また、田んぼ、水田を集約、集積するに当たっての農地バンクの在り方、必要性、時間が許せば、今田んぼ等を荒らしているイノシシ、こういう鳥獣被害の対策についてお聞きしたいと思います。

 今日は、資料をお配りをさせていただいております。

 白黒の資料でございますが、まずはこちら、表面に書いておりますのが、食料安全保障に係る、世界の小麦の生産量と輸出量、これはウクライナ情勢に関連して大変重要な図表だと思います。また、下段の方には、食料消費構造の変化と食料自給率の変化、昭和四十年と平成三十年の比較をしております。

 また、もう一枚、裏側でございますけれども、今、水田の利活用とかそういったものの問題が上がっておりまして、地元、私は広島でございますが、東広島市の再生協議会が出している手引書、そして中段の方には、今、水田の活用に関する麦畑、また、今、農地バンクが農業委員会とタッグを組んで、いろいろ地元の農家の方に聞き取り等を行っています、そのときの聞き取り調査の意向書、さらに、一番下の段には、私の地元の方のイノシシの十日前の被害状況、こういったものをお示しをさせていただいております。

 その中で、まず、これは本当ならば与党の方から聞いていただきたいことでございますが、農水省として、今、職員の皆さんが一生懸命ユーチューブチャンネルをやっています。BUZZMAFFですね。このチャンネル、私も、見させていただいて登録させていただいています。

 その中で、登録数が十四万四千人以上といいますか、そのぐらいいらっしゃって、例えば、農水省のあるある、「課長補佐が一番怖い」という動画、これは百二十二万回、すごいです。

 こういった再生回数をされておりますけれども、農水委員会の皆さんの中でも、見られた方、見ていない方もいらっしゃるかもしれませんけれども、どういった取組なのか、まず、農水省の方から御紹介を、分かりやすく、堅苦しくなく御説明をお願いいたします。

前島政府参考人 お答えいたします。

 過分なお褒めのお言葉、ありがとうございます。

 職員が自らユーチューバーとなりまして国産農林水産物などの魅力を発信するプロジェクト、BUZZMAFFにつきましては、令和二年一月に立ち上げてから約二年が経過したところでございます。

 BUZZMAFFは、こちらにいらっしゃる江藤元大臣の発案によるものでございますが、職員の自主性に基づく取組ということになっておりまして、上司は口出しをしないという考え方の下に進めているところでございます。

 これまで、花、牛乳、米の消費拡大を呼びかける動画ですとか、農泊、地理的表示、地域の農林水産物を紹介する動画を含めまして、八百六十六本の動画を本省、地方農政局、植物防疫所などの職員が作成し、公開してまいりました。先ほどお話がありましたとおり、現在、チャンネル登録者数は十四万四千人、総再生回数は二千三百二十七万回まで増加しておりまして、多くの方から注目をいただいていると考えております。

 今後とも、BUZZMAFFユーチューバーによる分かりやすく楽しい発信を通じまして、我が国の農林水産物や農林水産業、農山漁村への理解、関心を深めて、高めていただくことを目指して取り組んでまいりたいと思います。

空本委員 金子大臣も先日、職員の方からインタビューを受けられて、動画に出演されたと。見ております。その中で、似顔絵が出まして、大臣は似ていないとおっしゃったんですが、私は似ているんじゃないかなと思うんですが、大臣、この取組について御所見をお願いいたします。

金子(原)国務大臣 大変人気がありまして、多くの方々から大変評価を受けております。江藤大臣のときに編成されたということで。

 それで、先般私も初めて出まして、非常に貴重な経験があったと思っております。

 ただ、私に対しては余り出演の要請がないものですから、ほとんど出たことはございませんけれども、こういうことを活用しまして大いにPRに努めていきたいというふうに思っております。

 これは職員が自主的にやっていることで、こんないいことはないかなというふうに思っております。

空本委員 では、大臣、どんどん出てください。よろしくお願いします。

 続いて、本題に入らせていただきたいと思います。

 まずは、食料安全保障に係る自給率の目標達成、四五%、二〇三〇年、こういった問題に対してお聞きしたいと思います。

 まずは、農水省の皆様に、米の消費拡大に向けて現在どういう取組をされていらっしゃるのか。また、今いろいろな生産努力目標を設定されていますが、自給率九七%の高い米、これをどうやって食べてもらうか、やはり目標設定というものが大変大事だと思っているんですが、そういう目標設定というのはされないでしょうか。また、もう一点、四五%の自給率を達成するに当たって、輸入に頼っている穀物、小麦、トウモロコシ、大豆、こういったものについて、四五%を達成するんだったらどのぐらいの作付をしなきゃいけないのか。

 農水省の方から御回答をお願いします。

武部副大臣 米の消費拡大の御質問をいただきました。

 米の一人当たりの消費量につきましては、御承知のとおりですけれども、食生活が変化しておりますし、それから、やはり高齢化が進んでおりますので、一人当たりの摂取熱量というのが減少傾向にあります。令和二年度に策定いたしました食料・農業・農村基本計画におきましては、米の一人当たりの消費量の減少傾向に歯止めをかける、そういうことを明記しております。

 このため、我々が今取り組んでいます需要拡大対策としましては、まず、お米や加工品の海外市場への輸出の促進、それから、パック御飯や米粉など、新たな需要拡大への支援を行っております。また、米飯学校給食の推進ですとか定着、堅調な需要が見込まれる中食、外食向けの生産者と需要者とのマッチングを支援をしております。それと、お米と健康に着目したシンポジウム、玄米ですとかお米の消費が体にいいということの、推進するようなシンポジウムの開催など、それから、今委員も御指摘いただきましたけれども、SNS、BUZZMAFFなどを使いながら情報発信を行っております。

 お米の消費を拡大する、そういう機運を高めるために、様々な取組を展開してまいりたいというふうに思います。

 消費目標を立てないのかという御質問もございました。

 今は、先ほども申し上げたとおり、目標というよりも、食料・農業・農村基本計画の中で、消費量の減少傾向を止めるということを明記しております。毎年十万トンずつ米の消費が減少しておりまして、平成三十年だと一人当たり消費量は五十四キロなんですけれども、このままいきますと、令和十二年度には四十八キロまで減少するというような予想がされています。

 ですから、まず、消費の減少に歯止めをかけるということで、そのことにしっかりと取り組んでまいりたいと思いますし、四十八キロまで下がってしまうというのを、何とか令和十二年度、一人当たりの米の消費見通しを五十一キロにしていきたいということで、その目標を掲げております。

 それから、食料自給率の向上についても御質問がございました。

 我が国の米の一人当たりの消費量は、先ほども申し上げたとおり、食生活が変化したり、高齢化による摂取熱量が下がっているというお話をさせていただきましたけれども、一人当たりにしますと、年間当たり〇・七から〇・八キログラム程度減少しております。ですから、大体、年間にすると、一人当たり四合ぐらいお米を食べていないことになっているんですけれども、繰り返しになりますが、五十一キロという消費見通しの目標を立てて、その拡大に一生懸命やってまいりたいと思います。

 引き続き、自給率向上のためにも、米飯給食の促進や米の機能性の発信などをしてまいりたいと思います。

空本委員 農水省として頑張っていらっしゃることはよく分かりますが、この十年、私も十年前に、こういう米の目標設定を、予算委員会の分科会で、立てたらどうか、そういう話をさせていただきましたが、この十年を見ても、食料自給率はどんどん下がっているだけでございます。

 今日お示ししておりますこちらの配付資料ですが、今、ウクライナ、ロシアの問題がございまして、ロシアとウクライナを足して、小麦、世界の輸出、三割強です。三割以上あります。もしウクライナで今年春、作付といいますか、播種ができなかった場合、もうウクライナからは入ってこないし、ロシアからも、今、ロシアの産物を輸出制限かけるとか、そういうふうになればロシアからも入ってこない。ならば、今こそ、米を食べてもらうとか、そういう対策、施策をしっかり打つべきじゃないかと思うんですね。

 下段のこの棒グラフでございますけれども、これは、左側、昭和四十年、東京オリンピックの次の年です。右側が、平成三十年ですから最近でございます。これを見ると、やはり米が食べられている。この当時は、四十年ぐらいは、一人当たり一年間に百キロ、百六キロと私は覚えているんですが、百キロを超していて、だから食料自給率が七三%あった。今は、先ほど副大臣からおっしゃっていただいたとおり、一人、五十四キロしか年間食べない。

 だったらこれを、百キロとは言いませんけれども、やはりもうちょっと食べてもらわなきゃいけない。六十キロ、もう少し、六十五、七十キロぐらい食べていただければ、四五%というのはすぐに行くんじゃないかと。計算すれば、十キロぐらい食べたら大体そのぐらいに当たりますけれども、そのぐらい食べなきゃいけない。

 でも、農水省さん、十年間、頑張っているが、何も動いてこなかった。じゃ、これは何かというと、やはり内閣全体として米を食べてくださいというお願いをしなきゃいけない。これは、農水省だけではなくて、内閣全体の問題ではないか。今度、小麦が入ってこない、若しくは小麦が高騰するとなれば、パンの値段が倍になったりすると、逆に、米騒動じゃないですが、生活者、消費者の皆さんが怒りますよ。ならば、今のうちに米をたくさん作れるような環境づくりも整えればいい。

 政府として、内閣官房として、広報とか、やはり米作りを支援するというような大きな施策、戦略、こういったものをしっかり発信していただきたい。まずは総理大臣、また官房長官がしっかり情報発信をする、こういったことが一番大事ではないかと思うんですが、いかがでしょうか。木原官房副長官、お願いします。

木原内閣官房副長官 まず、食料を将来にわたって安定的に確保していくということは極めて重要なことだというふうに思います。

 その際、輸入が為替とかあるいは国際価格の動向等によって極めて影響を受けやすいということを踏まえますと、国内で生産できるものはしっかり生産をしていくということも重要である。その際、先ほど委員の資料も改めて拝見をさせていただきましたが、主食である米の国内生産を持続可能とする観点から、米の消費拡大を図っていくということの重要性を改めて認識をさせていただきました。

 委員の御指摘は、内閣を挙げてより総合的にしっかり取り組め、こういうことであろう、こう理解をいたします。

 米の消費拡大に関しましては、現在、政府において、農林水産業・地域の活力創造プラン、これを取りまとめまして、米を始めとする和食の次世代継承と国内外への発信、また、国内外での需要の増大などに向けた取組、こうした方向性を政府として、内閣として示させていただいているところであります。

 これに基づきまして、例えば、先ほど武部副大臣からありました学校での米飯給食の推進、それから委員からも御指摘いただいた農水省でのBUZZMAFF、こういったことも取り組まれておりますが、さらに、これに加えて、政府広報等も通じてしっかり政府としても取り組む、こういうことも重要だというふうに認識をいたしますので、これからも、これまでも政府広報等を活用してきておりますけれども、引き続きしっかり検討をさせていただきたい、このように思います。

 いずれにいたしましても、委員の御指摘と思いは一緒でありますので、米の消費拡大に向けて政府全体としてしっかり取り組んでいきたい、このように思います。

空本委員 是非よろしくお願いしたいんですけれども、昨年末の牛乳の消費の問題がありまして、やはりマスコミ、メディアの力が抜群でございます。あのときに、本当にみんな飲んでほしいということを発信して、また、メディアさん、ニュース、報道機関もそれをどんどん取り上げた。だからこそ、コンビニエンスストアとかもそういう対策に協力してくれた。

 ならば、米についても、メディアを使って、一番いいのはNHKとかでニュースに載ること、一番皆さん見ていますよ。そういった中で、一番、報道機関とかに働きかけを行って、米を食べなきゃいけないんだ、今はウクライナ情勢なんだから、こういう情勢で小麦粉が厳しくなった、高騰する、これは間違いないですよ。そういう中で、今こそ米を食べてくれ。

 米を食べると何がいいかですよ。米を食べると、農家の方がまた助かる。米の価格も安定化します。そうしたら、米を作ろうかとみんな思う。そうすると、米を、田んぼを作ってくれれば耕作放棄地もなくなります。耕作放棄地がなくなれば、今、イノシシ、鹿の問題、都市部にも出てきています。住宅街に出てきています。こういった問題もなくなります。全てが循環、負のスパイラルではなくてプラスのスパイラル、好循環が確実にできます。

 だけれども、これはまだ、政府としてまだまだできていない。是非ともこれはお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

 私自身、農業の専門ではございません。原子力の専門です。また、副官房長官も、東京在住で、また大蔵省とか。やはり、こういう農業を知らない方に、農業といいますか、米の大事さというのをどんどん伝えていただきたい。これは副長官だからこそできることだと思いますので、是非よろしくお願いいたします。

 副長官、これで結構でございますので。ありがとうございました。

 続いて、時間は余りないんですが、水田の活用について、直接支払い交付金の見直し、今後五年間の間に水張りをしなきゃいけない。これは既に農水委員会でもいろいろ話が出ておりますが、一点、簡単にお聞きます。

 水田活用のこの交付金の見直しに関して、配付資料の中段に、私の方にも、こういう小麦に替えた田んぼをお見せしているんですけれども、畦畔や所要の用水路等、設備を有している農地であって、これから水稲に戻して作付する場合、例えば、米と小麦、大豆などのブロックローテーション、こういった推進も農水省はやられています。

 万が一、そういうブロックローテーションをする際に、水もちがよくない田んぼとか、また、水はけがよ過ぎる田んぼとか、そういったところに対して、元々水田農地であって、ブロックローテーションでまた田んぼにしようと思うときに、ちょっと土壌の改良、改修も必要になってくるんじゃないかなと。

 そういうときに、農水省として支援はないんでしょうかね。支援していただきたいんですが、どうでしょうか。今、本当に農家の方は心配されていますので、よろしくお願いいたします。

平形政府参考人 委員御指摘のございました水田活用交付金なのでございますが、今後、畑作物の生産が定着している農地は畑地化を促す一方で、水田機能を有しつつ、麦、大豆等の転換作物を生産する農地につきましては、ブロックローテーションを促すという観点から、現場の課題を検証しつつ、今後五年間に一度も水張り、水稲の作付が行われない農地は交付の対象としない方針、資料にありますとおりでございます。

 でも、御指摘のように、水田機能を有している農地につきましては、直ちに今年度から交付対象水田から外れるということはございません。

 ただ、今後五年間のうちに、各地域において水田利用をどのように図っていくか検討していただき、その中で、水稲とのブロックローテーションを困難とするような具体的な現場の課題については、我々としてもしっかり検証していきたい、その中でどのような対応が可能か、必要か否かについても検討していきたいというふうに考えております。

空本委員 是非しっかり現場を見てください。現場の声を聞いてください。よろしくお願いいたします。

 続きまして、水産資源の適正管理と海洋環境の再生についてお聞きしたいと思います。

 水産資源の適切な管理として、約七十年ぶりに漁業法が改正されて、令和二年度に施行されました。これまで、インプットコントロールと呼ばれてきた船舶数や漁具、漁法などの操業規制を行ってきましたけれども、改正後は、魚種の資源が持続可能な状態、MSY、最大持続生産量を保つための漁獲量そのものを規制する管理、こういった手法、アウトプットコントロールの原則への変更がなされています。

 これの中には、TAC制度とかIQ方式とかが採用されて、それを拡大していこうということで取組をされていらっしゃると聞いておりますけれども、実際、漁業者の方がどのような心配をされていて、そして、漁業者にどのような配慮をされているか、そして、この数量管理において効果があったか、逆にデメリットがあったのか、そういった、中間段階ではございますが、総括的な、農水省として今まとめている情報、そういったものを御提示をお願いいたします。

神谷政府参考人 お答えいたします。

 我が国は、かつて世界一の漁業国でありましたが、漁業生産量が長期にわたり減少傾向にあり、現在はピーク時の約三分の一の漁獲量となっております。

 一方で、同じ期間、ノルウェーやアメリカなどは、漁業生産量を高いレベルに維持し、水産業の成長産業化を実現しております。

 このような同じ期間に生じた変化を打開するために、平成三十年に漁業法を改正し、委員御指摘のように、水産資源の適切な資源管理と水産業の成長産業の両立を目指して、数量管理を基本とした資源管理を推進することといたしました。

 当然、大きな改革となりますので、漁業者の不安に対処するために、前述のような改革の必要性、背景、また方向性などの詳しい説明を、四百回以上、現地に赴き実施いたしました。さらに、その際、関係者からの様々な意見に真摯に対応いたしまして、理解を求めてきたところでございます。この現地説明会は現在も続けております。

 今後の取組についてでございますが、ここ数年間のタームでの取組を昨年九月にロードマップとしてまとめ、これにつきましても、作成の前後に説明会を実施しております。この説明会は現在も続けております。

 数量管理導入の成果でございますが、我が国における従来からのTAC魚種の中でも、例えば、スケトウダラ日本海北部系群、クロマグロ、ズワイガニ日本海系群などにつきましては、数量管理の実施により資源が回復し、また、一部につきましてはTACが増大したという、既にもう成果が表れております。

 このように、新たな資源管理の導入は漁獲量の回復を目的としており、長期的には漁業者の利益につながるものでございますが、一時的には漁業者に我慢をお願いする局面も考えられるところでございます。

 したがって、新たな資源管理の推進に当たりましては、関係漁業者の理解を得ながら進めていくとともに、漁業共済及び漁業収入安定対策によって、引き続き、資源管理に取り組む漁業者の経営安定も図ってまいります。

空本委員 この問題については、これからもう一度、今後行われる一般質疑とかでしっかりとお聞きしたいと思います。今日はこのぐらいにしておきます。

 そして次に、アサリの不漁問題に関連しまして、ノリの色落ちの問題もこれまで取り上げてまいりました。大臣からは、施肥の技術開発を進めるとか、そういったお話も、御回答いただきました。

 有明海、瀬戸内海をこれまで対象として話を進めさせていただいたんですが、今年は、三重県、伊勢志摩、鳥羽、こういったところも黒ノリが余りよくない、養殖が難航しているという情報も上がってきています。

 私のスタッフの中に、実家が伊勢志摩で、海産物、ノリそして乾物、こういったものの卸をされている方がおりまして、実家に直接聞いてもらったんですよ。やはり温暖化によって海水温が高めになっていて、魚介類や海藻の状況は悪化の一途であると。ヒジキ、アラメも育たないで、海藻を餌にする貝類も減少してきている。アオサは、常温で時間がたてば自然と色落ちしていく。出始めの頃は鮮やかな緑色やいい色なんですけれども、時間とともに退色していく。また、色落ちした商品、陳列を変えて、ちょっと値下げをすると、逆にばか売れする。こういった状況がありまして、ただし、伊勢志摩のものは大変おいしいというふうな、直接お聞きしました。

 そういった中で、このノリの色落ち、全国的に見てどうなっているのか、さらには、どういう対策、相違点があるのか、そういったものをちょっと水産庁の方からお聞きしたいと思います。

神谷政府参考人 お答え申し上げます。

 その前に、先ほどの答弁で、私、ロードマップが昨年作成と回答いたしましたが、一昨年の間違いでございました。おわびいたします。

 ノリの色落ちでございますが、これは、窒素、リンといった栄養塩類が不足し、ノリ細胞中の色素たんぱく質が減少して、ノリが黄色く変色する現象とされております。

 色落ちの発生状況には地域差があり、今漁期では、東海地区や瀬戸内海地区、九州地区の一部で発生したと承知しております。

 色落ちの対策につきましては、栄養塩濃度などの漁場環境の定期的なモニタリング、施肥による海中への栄養塩の添加、下水処理場の緩和運転による栄養塩の供給が、地域の特性を踏まえて行われております。

 農林水産省といたしましては、モニタリングへの支援、施肥の技術開発、下水処理場の管理運転を行っている海域における栄養塩濃度の上昇などの海域に対する影響の調査を行っており、引き続き、関係府県や試験研究機関とも連携し、ノリの安定的な生産の確保に向けて取り組んでまいります。

空本委員 やはり地域によっても違うということもございますし、また、施肥とか下水道の管理、こういったものが一番大事だというデータも上がってきています。私自身、今、広島大学の生物生産学部の先生から、やはり下水道管理というのはすごく大事だよと。瀬戸内海で、兵庫県で今やっていらっしゃいますが、そういった中でノリの色落ちが逆に戻ってきたとか、そういったこともございますので、率先して是非とも水産庁としてやっていただきたいと思います。

 また、逆に、ノリが取れる期間も短くなっている。やはり海水温が上がってしまえば駄目ですから。そういった中で、色落ちしたものでもおいしいものはある。そういうおいしいものをどうやって食べるか、加工するか、そういったことについても、このノリの色落ちしたものに対する在り方、消費の在り方、また流通の在り方、今見直す時期にも来ているのかもしれません。そういった意味で、水産庁として、新しい展開といいますか、そういったものをお考えいただければと思います。

 今日はまだまだ質問したかったんですが、最後に一言だけお示しさせていただきたいんですが、一番下に、田んぼのあぜがございます。畦畔でございます。これは川沿いにありまして、電柵もつけています。こういった中で、イノシシが、葛根とかそういうのがあったら、おいしいから食べに来て、掘るんですね。掘るのがすごく、十センチ、二十センチじゃないんですよ。三十センチ、四十センチじゃないんですよ。五十センチ、六十センチ、もっと掘っているところもありました。

 こういった状況がありまして、今、農水省として個体数を減らそうという努力はされている、それは十分承知しています。その努力だけでは何とかならない。大人のイノシシも捕らなきゃいけないし、ウリ坊も捕らなきゃいけない。環境省の方とこれは話していただきながら、ウリ坊はかわいいのでなかなか捕らないということもありますが、ある程度個体数量の削減といいますか、狩猟をしない限りこの問題は解決できない。根本解決できません。

 私も二十年間ずっと中山間地域を歩いて見てきましたが、この問題はずっとですよ。米の値段の問題と、イノシシ、鹿、この鳥獣被害の問題、こういった問題は、農水省として頑張っていらっしゃると思うんですが、更に、環境省とか関連の省庁と話し合いながら、取組を更に前に進めていただきたいと思います。

 これで終わります。

平口委員長 次に、長友慎治君。

長友委員 国民民主党の長友慎治です。よろしくお願いいたします。

 今日は、農地の番人とも言われる農業委員会について質問をいたしたいと思います。

 農業委員会、その主たる使命は、農地等の利用の最適化の推進を中心に、農地法に基づく農地の売買、賃貸の許可、農地転用案件への意見具申など、農地に関する事務を執行する行政委員会ということで理解しております。

 具体的には、農地の担い手の集積や集約化、また、遊休農地の発生防止、解消、新規参入の促進を推進していくというようなことだと思いますけれども、あっせんをしていただいているこの農業委員会につきまして、農水省が把握、認識している農業委員会の課題について、まずは伺いたいと思います。

光吉政府参考人 お答えいたします。

 今委員からは、特に農業委員会で農地のあっせんを行っている面、ここに着目して御質問をいただいたものというふうに承知しています。

 農業委員会は、委員御指摘のとおり、農地の権利移動の許可事務などを行うとともに、農地の利用集積など農地利用の最適化業務を行っておりますが、その一環として、個々の農地の出し手、受け手の要望に応じまして、当事者間の相対での貸借などのあっせんを行っております。

 一方、課題でございますけれども、今後、高齢化、人口減少が本格化する中で、地域の農地が適切に使われなくなるおそれがございます。こういうことが懸念される中で、農地が使われやすくなるように、農地の集約化などに向けた取組を加速化することが課題と認識しております。

 しかし、この場合、個々の要望に応じて相対の貸借などを重ねていても、農地の集約化等が自然に、予定調和的にできるということはなかなか厳しい話だと考えております。

 このため、地域の話合いによりまして、目指す将来の農地利用の姿を目標地図として明確化をいたしまして、それを実現すべく、地域内外の受け手を幅広く確保して、農地バンクを活用した農地の集約化等を進めていくことが必要と考えており、今回、関連法案を国会に御提出しているところでございます。

長友委員 ありがとうございます。

 今、御答弁の中にも、地元の皆様で話合いをして農地の集約化を加速させていきたいという話をいただきました。

 私の地元からこんな声が聞こえてきます。農業委員会さんの下で農地の相続のこと等を話合いをしていて、なかなか意見がかみ合わないと。例えば、具体的にこういう御意見が出てきました。

 遺産相続の場合、それは民法の範囲内なので普通に相続してくださいということになるんですけれども、農地を、今度は、もう手が回らないので生前贈与したいということを農業委員会に相談したところ、それは農地になりますので、贈与する相手が常時農業に従事している方かどうか、また、相続の登記をするにしても、法務局も、農業委員会の許可が出ていないとできないよというようなことを言われて、それに余り納得がいっていないというお話でした。

 所有者は、もちろん、所有権はその方にあるんですけれども、農地となると、ちゃんと使っていない田んぼや畑というものは、農業委員会としては、相続できない、きちんと農地として使っていただけるものであれば相続もできるというようなことの説明を受けたんだけれども、その方からすると、人手が足りなくて手が回らないから荒れている部分があるんだ、だから、それを早く、若いうちに子供たちに譲りたいと思っている、そうしないと、山村が荒れるばかりだろうというような意見があって、農業委員会の方となかなか意見が合わない、そういうことが私の方に連絡が来たりするんです。

 このように、地元で農業委員会と農地の持ち主の間でなかなかうまく前に進まない、解決できない問題が生じたときには、誰が間に入って調整をすることになるのかについて伺います。

光吉政府参考人 お答えいたします。

 農地の権利移動につきましては、委員御指摘のとおり、農業委員会において許可の事務を行うこととなります。ですから、申請を受けて、基本的に農業委員会の方で判断をして許可をするということでございます。

 その許可の基準につきましては、農地法で明確にされており、さらに、具体的な処理基準について、各農業委員会が統一的な判断できちんと許可事務を行えますように、農林水産省において、「農地法関係事務に係る処理基準について」というものを定めております。

 個別具体的な農地の許可につきまして、農業委員会において、この基準に照らして適切に判断されるということが重要でございます。同時に、申請をされる農業者の方々にも基準の内容をしっかり御理解をいただいて、円滑な許可事務が行われるようにするということが重要と考えております。

 このため、農林水産省といたしましては、法律はもちろんでございますけれども、先ほど申し上げた基準の具体的な内容につきまして、農業委員会に対してより周知徹底を図っていくとともに、農業者の皆様に対してもこの基準の内容が御理解をいただけるように、周知等に努めていきたいと思っております。

長友委員 ありがとうございます。

 先ほどの方に、より具体的に話を聞いていくと、農業委員会の方がちょっと高齢者の方で、説明がいまいち要領が得ていなくて、駄目なものは駄目なんだと、なかなか法的に説明もしてもらえなくて納得がいかなかったというようなこともありました。おっしゃるとおり、地域の高齢化が進んでいますので、なかなか、高齢化した農業委員では、まとまるものもまとめられないというような実態も出てきているんじゃないかと思います。

 その上で、最後の質問にしますけれども、これから農業経営基盤強化促進法等の一部を改正する法律案を審議してまいりますけれども、その中において、例えば、また目標地図の策定と実行を始め、農地の確保や利用集積に向けた農業委員会の役割というものがますます重要になってくるんじゃないかなというふうに感じております。

 農業委員会が農村対策で果たす役割はどこまでなのか、また、本当に政府が求める業務をこれからの農業委員会が担うことができるのかということが議論が必要になってくると思うんですけれども、農地に関わる団体は、JA、土地改良区、普及センター、農地バンク、農業委員会を含め、いろいろあります。その皆様と一緒になってやっていくに当たっての役割分担というのは今後どのように考えているのかについて、教えていただけますでしょうか。

武部副大臣 委員の御指摘のとおり、農業経営基盤強化促進法の改正法案を提出させていただいております。

 この中では、地域の話合いによって地域計画を作っていただいて、また、その中で、将来のその地域の農業の在り方ですとか、将来の農地の利用の姿ですとか、目標地図を定めていただき、それを実現するために農地バンクを活用していただきたい、農地の集約化を進めるということを目標としています。

 その中でも、やはり農業委員会が中心になっていただくんだと思います。関係する団体の、連携していただいて必要な取組を推進していただく中心となっていただきたいと思っております。

 農業委員会は、農地の出し手、受け手の情報収集、目標地図の素案の作成、それから農地バンクへの貸付け等の積極的な促進をお願いします。

 農地バンクにつきましては、地域外の受け手候補の掘り起こし、農地バンクへの貸付け等の協議の積極的な申入れを行うこととしています。

 また、市町村については、地域計画を策定する主体でありますし、農協については、地域の農作物の作付方針を作成する立場にあります。土地改良区につきましても、地域の土地改良事業の計画に関わる機関でありますから、それぞれ重要な役割を担っていただくことを期待しております。

 このように、関係する機関がその強みを生かしながら連携して取組を推進することにより、農地の集約化等を推進していきたいと考えております。

長友委員 ありがとうございます。

 以上で終わります。

平口委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 四月一日付日本農業新聞の農政モニターによりますと、生産資材の価格高騰等、農業経営に影響があるかとの設問に、大きな影響があると答えた方が五三%、やや影響があるが二八・五%、計八一・五%になっています。

 政府の総合緊急対策に、実効ある価格高騰対策が組まれることを求めて、質問をします。

 まず、飼料高騰についてです。

 ロシアのウクライナ侵略によって、燃油、小麦、トウモロコシ、大豆の国際価格が急騰しています。特に、トウモロコシ、大豆の高騰は、畜産を直撃しています。養豚は、経費に占める飼料費が六割と最も高く、今、非常に厳しい状況にあります。

 四月現在の配合飼料工場渡し価格は、トン当たりで幾らになっているか、どういう水準になっているか、簡単に説明してください。

森政府参考人 お答えいたします。

 配合飼料の工場渡し価格につきましては、最新で公表されておりますのは令和四年一月時点までということでございまして、一トン当たり八万三千三百八十一円、これは全畜種平均でございますが、という数字でございます。

 一方で、令和四年四から六月期の飼料価格につきましては、例えば、全農が一トン当たり四千三百五十円の値上げを行う旨を公表しているということでございますので、これらを単純に足し上げますと、令和四年四月時点の配合飼料価格は、一トン当たり八万七千七百三十一円と推計されるところでございます。

田村(貴)委員 今の数字は、資料1で記したところです。過去最高となっています、配合飼料が。

 このグラフの左端は、平成十八年四月、二〇〇六年、四万三千二百五十円となっていますけれども、それより以前の二〇〇〇年は、トン当たり三万四千円となっています。つまり、この二十年間で飼料代は約二・五倍に上がったということです。

 資料2、裏面を御覧いただきたいと思います。当然、生産費用も上がってまいります。

 政府にお伺いします。どのような対策を取っていますか、図られますか。

森政府参考人 お答えいたします。

 配合飼料価格の上昇に対しましては、配合飼料価格安定制度によります補填の仕組みがございます。現在、四期連続で補填が発動いたしておりまして、直近でございます第三・四半期、令和三年の十から十二月につきましては、生産者に対しまして、配合飼料一トン当たり八千五百円が交付をされまして、経営への影響を緩和しているところでございます。

田村(貴)委員 配合飼料価格安定制度の説明がありました。

 これは、四半期の平均輸入原料価格が過去一年の平均を上回ったときに、上回った額を上限として補填する制度です。この二十年間のように、ずっと生産費が上がり続けていく状況の中では、高騰したときの衝撃の緩和になったとしても、経費がどんどん重くなることには変わりがありません。そうですよね。

 先月、鹿児島県有数の養豚農家が民事再生法の適用を申請し、保全命令を受けました。常時四万頭を飼養し、月五千頭を出荷する大規模な養豚農家でした。豚流行性下痢、PEDという病気でダメージを受けて、そして、豚熱等の予防のために飼養衛生管理基準の強化で設備投資が重なった、そこに配合飼料価格の高騰が襲ったということでありました。この代表者にお話を伺ったところ、政策金融公庫がお金を貸してくれない、そういうふうに訴えておられました。

 大臣に決意を伺います。答弁原稿なしで結構です。

 資材高騰です。飼料、肥料、燃油、こうした資材高騰で生産費がかさんで、廃業とか離農に追い込まれることは、これは絶対あってはならないと思います。農水省、政府を挙げて回避する、そういう方向を確認させていただきたいんですけれども、大臣の決意を聞かせてください。

金子(原)国務大臣 生産コストが全てにおいて上がっているということは、かつてなかったことだというふうに私も思っております。本当に生産者の皆さん方の苦しい実情を考えますと、政府としても、農林水産省としても、何らかの対策を今後考えていかなきゃいかぬというふうに思っております。

田村(貴)委員 廃業、離農、これを絶対につくらないという思いで臨んでいただきたいと思います。

 TPPによってでも、豚肉の関税がまた大きく下がってまいります。さらに、世界のトウモロコシの輸出国第四位のウクライナが、四月、五月に作付ができないとなれば、あるいは、秋にオデーサやミコライウの港から輸出できなければ、更に需要が逼迫する可能性が出てまいります。このままだと、いよいよもってして経営維持ができなくなる農家が続出するのではないかと思います。

 経営合理化、大規模化、もし豚熱が侵入すれば、膨大な頭数が全頭処分されることになってまいります。これは、農家にとっても国民にとっても大きなリスクであります。

 もう一つ、資料のグラフを紹介しますと、資料2の下のグラフですね、豚肉の枝肉価格の推移ですけれども、これは微増、横ばいの傾向です。養豚は、経費の六割を占める飼料が二・五倍に達したのに価格は上がっていないという状況があります。だからこそ、やはり抜本的な支援が必要であると思います。

 飼料の購入の支援の在り方をやはり見直す、そして、既存の対策の延長線では駄目だと思いますが、農水省、いかがですか。

森政府参考人 お答えいたします。

 飼料高騰に対しましては、短期的には、先ほど御説明申し上げました配合飼料価格安定制度によります対応ということでございますが、これに加えまして、各畜種ごとの経営安定対策におきまして、飼料費等の変動が反映される仕組みということでございます。これらを併せて畜産農家を支援をしているところでございます。

 他方、中長期的には、国内の飼料生産基盤に立脚した畜産物生産へ転換することが重要と考えておりまして、国産飼料生産、利用の拡大を推進していく必要があると考えております。

 なお、豚肉枝肉価格の推移につきまして、グラフによりまして、横ばい、微増という御指摘がございましたが、ちなみに、この御提示いただきました資料を、二〇〇〇年の価格、これは数字にいただきますと、四百三十九円、二〇二一年五百五十五円。これは、二〇〇〇年を一〇〇といたしますと一二六ということでございますが、ちなみに、上のグラフの二〇〇〇年と二〇二〇年の比較は、一〇〇と一二二ということでございます。

 ただ、いずれにいたしましても、畜産経営は厳しい状況、これから餌価格の高騰が影響してくる可能性がございます。こういった点、しっかり対応してまいりたいと思います。

田村(貴)委員 豚肉の価格が生産コストを下回っているのは明らかなんですよ。だから、抜本的な対策が必要だということです。

 あわせて、今、国産の飼料についても言及がありました。飼料の七五%を海外に依存、そして、穀類等の濃厚飼料に至っては八八%を輸入に頼っています。こんな状況でいいのか、輸入依存をやめて食料自給率の向上をと、私も本委員会で何度も問うてきました。世界人口の増大、国外の政情によって、飼料の安定的な供給が今後断たれる可能性も出てまいります。

 大臣に伺います。

 食料安全保障の確立に向けて、食料、飼料の自給率を抜本的に引き上げる政策転換が今求められると思いますけれども、大臣、いかがですか。

金子(原)国務大臣 昨年来の配合飼料価格高騰に対しまして、農林水産省として、補填金の交付等を実施し、生産者への影響緩和を図ってきているところであります。

 また、現在、原油価格・物価高騰総合緊急対策の取りまとめに向けまして、飼料をめぐる現状にしっかりと対応すべく、必要な対策を検討しております。

 他方、中長期的な観点からは、持続的な畜産物生産の実現と畜産経営の安定を図るため、輸入飼料への過度な依存から脱却し、国内飼料生産基盤に立脚した足腰の強い生産に転換することが重要と考えております。

 このため、水田を活用した飼料用トウモロコシ等の生産拡大や、地域の飼料生産を担う飼料生産組織の機能強化、食品残渣等の未利用資源の利用拡大等の推進をし、飼料自給率の向上を図ってまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 粗飼料も、二五%は輸入です。なのに、水田活用直接支払い交付金で牧草への支援をカットするなど、これはもう逆行する政策と言わなければなりません。

 この飼料高騰を受けて、やはり水活の交付金の見直しはやめるべきではないでしょうか。若しくは、この制度に代わる新たな支援制度を設けるべきではないでしょうか。いかがですか。

金子(原)国務大臣 水田活用の直接支払交付金は、今後五年間に一度も水張り、すなわち水稲の作付が行われない農地は交付の対象としない方針としているものでありまして、令和四年度から直ちに交付金の対象外となるわけではありません。

 今後五年間の間に、各地域において、今後の水田利用や産地形成をどのように図っていくのか検討していただき、その中で明らかとなった現場の課題について、その検証を行っていく考えであります。

田村(貴)委員 矛盾ですよね、飼料の国産を増やすといって、牧草の交付金を減らすというのは。納得できません。

 肥料の高騰も大問題になっています。肥料の三要素である窒素、リン、カリの国際シェアは、ロシアが一四・五%、ベラルーシが六・一%、両国で二割を占めています。カナダ五九%だけでは、世界的な供給不足が起こる可能性が出てきます。特に、国内のカリの年間需要量は四十一万二千トン、ベラルーシから四万二千トン、ロシアから六万三千トン輸入しており、全体の輸入量の二六%を占めています。

 この先、これはどうなっていくのかということで、農林水産省に聞きましたら、カリは、当面は国内備蓄で大丈夫、春は足りる、秋肥は国内の材料である程度めどは立ったみたいな話を伺いました。本当なんでしょうか。

 私は、北海道や長野の農家からお話を聞いてきたんですけれども、二年前からもう二、三割、肥料は上がっています、高度化成肥料は五割上がっているものもある、原料が輸入で入ってこないものもあるために、生産をやめているものもある、代わりのもので何とかやりくりしている、このままでは生産できないという声も伺いました。

 ある程度めどが立ったと言うんですけれども、農水省の言い分と現場の実態がかけ離れているところもあります。いかがなんでしょうか。中長期的な対策も含めて、肥料問題はどうされますか。

平形政府参考人 お答えいたします。

 委員おっしゃるとおり、化学肥料は、主な原料であります窒素、リン酸、カリ、いずれも世界的には非常に偏在をしておりまして、我が国はほとんど輸入に依存しております。

 こうした中、昨年の秋以降、化学肥料の原料の国際価格が上昇する中で、主な輸入先国である中国からの輸入停滞、それから、最近におきましては、ロシアによるウクライナ侵略の影響もありということで、これを大変注視しております。

 御紹介がありました春肥につきましては、例えば、リン安でありましたら、全農、商社等と原料調達の協調買入れ、これでモロッコ等の代替国からの買入れを進めるということで、関係事業者、関係省庁と連携して、例年並みに近い供給量を確保できる今見込みとなっております。

 また、秋肥につきましても、全農を含む主な輸入事業者といろいろ調整しているんですけれども、例年並みの数量の確保に向けた取組を今進めているところでございます。

 ただし、今後の国際情勢は予断を許さないものがあるというふうに考えております。調達状況、価格動向については一層注視していきたいというふうに考えております。

 また、根本的な問題といたしまして、やはり輸入依存度の高い肥料につきましては、農業現場における肥料コストの低減、あるいは、堆肥等の国内資源の有効活用による輸入肥料の代替に向けたことをこれから進めていかなきゃいけないというふうに考えております。

田村(貴)委員 肥料については、救済策をすぐにつくっていただきたいと思います。

 時間が来ました。今日は、質問は以上で終わります。

平口委員長 次に、仁木博文君。

仁木委員 有志の会の仁木博文と申します。

 今日は、前回に引き続きまして、ちょっと質問したいことがあります。それは、大臣、私、前も申しましたように、四国、徳島の選挙区でございまして、私も兼業農家の息子でありました。零細な、いわゆる耕作面積がちっちゃい、そして先祖代々の土地を受け継いでお米を作っている、そういう方が意外に多いと思います。

 そういう中で、やはり今、この間も、例えばお米を作るにしても、様々なコストがかさみます。その中でも、地元を歩いていて聞かされることがありまして、それは何かというと、税制面において、固定資産税を納めなければいけない。そして、昭和四十三年に施行された都市計画法に基づいて線引きがなされておりまして、調整区域、そして市街化区域内、それぞれの農地があぜ道を挟んで全然違うというふうな現実があって、実際、市街化区域内農地でそういった零細な形でお米を作っている農家の方々から、何でこんな高い税金を納めなきゃいけないのかという声を聞きます。

 このことに関しましては、過去にいろいろ是正策もされてはきましたが、それでも、今、地方の状況というのは変わっているんです。この四十三年に施行された都市計画法に基づく状況は、日本が右肩上がり、そして都会にどんどんと市街化が押し寄せてくるような時代でして、地理の教科書にもありましたけれども、いわゆるスプロール現象みたいな虫食い的な乱開発を予防することもあったんですが、今、全国の、これは徳島県以外でも、地方の都市の状況というのは、市街化が勢いよく迫ってくるような状況ではないんですね。

 そういう中で、市街化区域内農地をお持ちの農家の方が、容易に、自分が思っているような価格で農地を売るようなことを想定できるような状態でもないわけですけれども、そういう中で、今私が冒頭に大臣に申し上げて、前回も質問したんですが、こういった兼業農家で、それでもお米を作っている。これは、私たちが食べるお米、先ほども委員の御質問もあったと思うんですけれども、米価にも影響するかもしれませんし、そういったお米を作っている農家の方々の、これからの国としてのありよう、どういった形がいいのか、これは何かお示しになっていただけないでしょうか。いかがでしょうか。

金子(原)国務大臣 都市部の市街化区域内では、全国の農業者の約一割が営農し、農業産出額も七%を占めているなど、我が国の農産物供給において重要な役割を担っています。

 また、市街化区域内の農業は、農産物供給に加え、農業体験、交流の場の提供、災害時の避難場所の提供など、多様な機能を有しています。

 このため、農林水産省としては、都市農業振興基本法に基づきまして、消費者に近いという利点を生かしていただいて、農産物の直売などに取り組む農業者への支援をいたしております。また、固定資産税の軽減や相続税の納税猶予措置が講じられる生産緑地への指定の促進も行っております。都市農地の貸借の円滑化に関する法律による貸借の円滑化などにより、市街化区域内の農地を守り、農業者を支えるための施策を講じております。

 引き続き、これらの施策を講じることによって、市街化区域を含む都市農業を振興してまいりたいと思います。

仁木委員 大臣、御答弁ありがとうございます。

 私が配付しました二枚目の資料を見ていただきたいんですが、農地の分類で、一般農地、そして市街化区域の農地というのがありまして、横に税額のイメージというところがあるんですけれども、一般市街化区域内農地というのは、十アール、一反当たり数万かかる。

 これは上の十アール当たり千円単位の納税額と比べると全く違うわけでございまして、そもそも、この辺のこと、いわゆる社会情勢の変化と先ほど私は申しました。都市計画法に基づいた乱開発予防であったり、市街化を想定した制度である、そのことと、今、世の中がもうドラスチックに変わって、地方においては本当に、都市部であったとしてもなかなかそういった市街化が想定しにくいような状況になっているというこの人口の動態あるいは日本の今の現状ですけれども、そういうことで、今この辺の土地をお持ちの方々のこれからの農業、これをしっかりと考えていただかないと、こういうことになるんですね。

 今、例えば、農業を担っているのは、現役で働いている方々のお父さん、お母さんかもしれません。その親は、もう引退されて久しいわけですね。その現役で働いている世代は、お父さん、お母さんが農業、お米を作っているけれども、自分自身がお米を作った経験がない方も結構いらっしゃるんです。そういう方々にバトンタッチされるときに、果たして、例えば農業機械、トラクターやコンバインとか、高いものに設備投資して、またそれをやるのか。

 あるいは、今、様々、エネルギー政策に相まって、農地の上にソーラーパネルをつけるような形でとにかく収益を増やしていくようなことも考えていますけれども、例えば、今一例で私が申し上げた、地元で、農地の上にソーラーパネルを設置した太陽光発電というのがいろいろ問題にもなっていますが、光合成をするというのが基本的な農作物の特徴でございまして、光が当たらないと収量が落ちると思いますが、そういった地方の農地における太陽光発電等々に関しましては大臣はどういうふうな御見解をお持ちでしょうか。

金子(原)国務大臣 営農型太陽光発電は、農業生産と再生可能エネルギーの導入を両立する有用な取組であります。

 また、営農型太陽光発電の普及に向けては、発電設備の下で栽培する作物や栽培技術の検討や、各地の取組事例や支援制度の周知等が必要と考えております。

 このため、農林水産省では、発電設備下における地域ごとの最適な栽培体系の検討等を行うほか、営農型太陽光発電取組支援ガイドブックを作成し、取組事例や必要な手続、支援制度を紹介するとともに、営農型太陽光発電の事業化を目指す農業者に対する相談対応を行うことなどを通じまして、営農型太陽光発電の導入を推進しているところであります。

 今後とも、優良農地を確保しつつ、地域活性化に資する形で営農型太陽光発電の導入を進めてまいりたいと思います。

仁木委員 ありがとうございます。

 私が申し上げていますのは、そういった刹那刹那、断片的な局面における、農家の方の収入を少しでも増やして経営を安定して続けていただける政策はよく分かるんですけれども、やはり、今の国の方針として、何回も繰り返しになりますが、そういった地方における兼業農家、ちっちゃい面積で零細農業を営んでいる方々の今後の十年、二十年後、そういったところに向けての施策が乏しいと思うんですね。そういうメッセージもこの際併せて検討していただきたいと思いますので、また大臣、よろしくお願いしたいと思います。

 ちょっと時間がないものですから、二つ目に行きますが、今、農業における輸出も伸びていると思います。しかし、例えば、輸出する際には様々な相手国の規制があります。農薬規制であったり様々あると思うんですけれども、先般も、徳島でスダチをヨーロッパに輸出しようとしたときに、ヨーロッパの農薬基準が厳しくて、日本の徳島で作ったスダチ、ミカン等々、そういうかんきつ類が売れないというふうな状況が、向こうに輸出できないというような状況も生じました。

 ということで、私は、農家の方々に、輸出を考えていらっしゃる場合、これはJAとかそういうのでタイアップして、連動してやるパターンもあると思いますけれども、いずれにしましても、そういった輸出に関する手続面、そして、今までいわゆる商談というかおつき合いのない海外の方々とそういった売買をするわけでございますから、そういったコンシェルジュみたいな人を据えてやるべきだと思います。そういったこともお願いしたいと思う。

 同時に、安倍元総理のときにもいろいろ進んできたと思うんですけれども、例えば日本酒と和食とのコラボした、いろいろ日本の食材を送った際に、このようにレシピとして調理して、それで味わっていただくというようなパッケージのいわゆる和食文化、日本の食文化の展開、そういうのを、現地、いわゆる相手国において国内で広めていただくようなマーケティングも必要だと思います。

 同時に、また、最近、イスラム圏の人も日本に来られたりしますので、日本食的なものをイスラム圏の方が本国に帰られてまた食べるときのハラール認証等々、そういった対策も必要だと思いますけれども、何か特別に、今やられていること、そして今後展開しようと思っている施策、ございましたら、金子大臣、教えていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

金子(原)国務大臣 輸出拡大に向けては、海外の規制やニーズに対応したマーケットインの取組が必要であるというふうに考えております。

 このため、輸出先国で使用可能な農薬や残留農薬の基準値など、輸出先国の規制に対応できる輸出産地を育成することが重要であります。

 このため、農林水産省では、在外公館やジェトロを通じた輸出国の情報収集、農林水産物・食品輸出プロジェクトを通じた輸出先国の規制情報などの周知、各地方農政局等に配置した輸出産地サポーターを活用しまして、小規模な農家も含め、輸出産地を育成するための伴走支援等を行っております。

 また、ハラール認証の問題につきましては、輸出拡大に向けて、日本の強みがある二十八の輸出重点品目で合計千二百八十七産地をリスト化しまして、マーケットインに基づく産地の育成を進めています。その中で、輸出先国の規制に対応するために必要なHACCP認定やハラール認証等を受けるための施設整備を支援しています。

 また、業界一体となって輸出拡大に取り組む農林水産物・食品輸出促進団体の認定制度を創設し、輸出先国の輸入条件等の調査研究等を実施し、輸出先国に適合した生産、流通体制の整備に取り組んでまいります。

 さらに、主要な輸出先国、地域においては、輸出支援プラットフォームを形成し、市場の動向を取りまとめたカントリーレポートを作成するなど、海外の情報を輸出産地、事業者に提供してまいります。

 これらの取組によって、輸出を拡大化、加速化していきたいと考えております。

仁木委員 ありがとうございます。

 いずれにしましても、日本のいわゆる貿易、TPPも含めていろいろな、また円安も今ありますので、これから日本の農家にチャンスとも思える状況が起こっていると思われますので、大臣、この農水分野におきましても、日本の成長エンジンになるような農家の育成、そういった実績をどんどん、今おっしゃったような施策を前に進めていただいて、行っていただきたいと思います。

 最後になりますが、三枚目の資料で、学校給食の現状なんですけれども、私は、食育というのは非常に大切だと思っています。やはりちっちゃいときに得た舌、いわゆるフレーバー、味、そういったテイストというのはずっと残っていくと思うんですね。

 そういう中で、学校給食も、やはり和食をベース、つまり主食を御飯に置いた方がいいというふうに思っていまして、御飯に据えた方がやはり地場のお野菜とかそういうのが合うと思いまして、地域で農家の方々が一生懸命作っている食材が学校の給食として子供たちに食べられていく、それが私は目指すべき究極の食育の現場のように思うわけでございますけれども、そういう中でいうと、お渡ししました資料においては、農業県と思われるようなところでも、まだまだ地元の地産地消が進んでいないところもあると思います。

 そういったことで、何か政府として、農林水産省として、こういった食育における、学校給食の現場で地元の地産地消を進めるような政策、ありましたら、最後にお答えいただきたいと思います。ちょっと時間を追加しまして、済みません。

金子(原)国務大臣 学校給食に地場産の農産物を使用して、食に関する指導の生きた教材として活用することは、我が国や地域の自然、食文化、産業等に関する理解を深めるとともに、生産者の努力や食に関する感謝の念を育む上で重要であると考えております。

 学校給食における地場産の利用を進めるために、農林水産省では、給食現場と生産現場との間の意見を調整する地産地消コーディネーターの派遣や地場産を使ったメニュー開発なども支援しております。

 関係省庁連携を取りまして、学校給食等で地場産を活用した食育を進めるなど、引き続き、地産地消を積極的に推進してまいりたいと考えております。

仁木委員 ありがとうございました。

 質問を終わります。

     ――――◇―――――

平口委員長 次に、内閣提出、農業経営基盤強化促進法等の一部を改正する法律案及び農山漁村の活性化のための定住等及び地域間交流の促進に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 これより順次趣旨の説明を聴取いたします。農林水産大臣金子原二郎君。

    ―――――――――――――

 農業経営基盤強化促進法等の一部を改正する法律案

 農山漁村の活性化のための定住等及び地域間交流の促進に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

金子(原)国務大臣 農業経営基盤強化促進法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明いたします。

 我が国の農業は、高齢化、人口減少が本格化する中で、農業者の減少等が更に加速化し、地域の農地が適切に利用されなくなる懸念があります。

 このため、生産の効率化やスマート農業の展開等を通じた農業の成長産業化に向け、地域において、農地が利用されやすくなるよう、目指すべき将来の具体的な利用の姿等を描き、分散錯圃の状況の解消に向けて農地の集約化等を進めるとともに、人の確保及び育成を図る措置を講ずる必要があります。

 このような状況を踏まえ、人と農地の関連施策を見直し、地域計画の策定、農地の集約化等、人の確保及び育成の三つを柱とした措置を講ずるため、本法案を提出した次第であります。

 次に、法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。

 第一に、農業経営基盤強化促進法の一部改正であります。

 まず、市町村は、農業者や地域の関係者による協議の場を設け、農業の将来の在り方及び農業上の利用が行われる農用地等の区域等について協議をし、その結果を踏まえ、農用地の効率かつ総合的な利用に関する目標等を定めた地域計画を策定することとしております。また、地域計画においては、その区域において農業を担う者ごとに利用する農用地等を定め、地図に表示することとし、その素案を農業委員会が作成することとしております。

 次に、農業委員会は、地域計画の達成に資するよう、農用地等の所有者等に対し、農地中間管理機構に利用権の設定等を行うことを積極的に促すこととし、農用地等の所有者等は、農地中間管理機構に対する利用権の設定等を行うように努めることとしております。

 さらに、農地中間管理機構関連農地整備事業の対象に農地中間管理機構が農作業等の委託を受けている農用地を含めることとしております。

 このほか、都道府県知事が定める基本方針等に農業を担う者の確保及び育成に関する事項を定めることとし、都道府県は、農業経営の助言、指導等を行う農業経営・就農支援センターとしての機能を担う体制を整備することとしております。また、日本政策金融公庫が認定農業者に対して融資する農業経営の安定に必要な資金等について据置期間の延長を行う等の措置を講ずることとしております。

 第二に、農地中間管理事業の推進に関する法律の一部改正であります。

 まず、農地中間管理機構の事業に農作業等の受委託等を追加することとし、農地中間管理機構は、地域計画の区域において、農用地等の所有者に対し農地中間管理権の取得等に関する協議を積極的に申し入れることとするとともに、農地中間管理事業を重点的に行うこととしております。

 次に、市町村が定める農用地利用集積計画と農地中間管理機構が定める農用地利用配分計画を統合し、農地中間管理機構は、農用地利用集積等促進計画を定めることとし、農業委員会は、当該計画を定めるべき旨を農地中間管理機構に対し要請することができることとしております。

 第三に、農業委員会等に関する法律、農業振興地域の整備に関する法律、農地法及び農業協同組合法の一部改正であります。

 農業委員会による農地利用最適化推進指針の策定の義務化、地域計画の区域内の土地の農用地区域からの除外の制限、農地等の権利取得に係る下限面積の要件の廃止、農業協同組合による農業経営に係る組合員の同意手続の緩和等を行うこととしております。

 続きまして、農山漁村の活性化のための定住等及び地域間交流の促進に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。

 我が国の国土の大部分を占める農山漁村においては、人口減少、高齢化が進み、その活力が低下するとともに、農業上の利用が困難となり、荒廃化した農地の増加が懸念されております。

 このような状況を打開し、農山漁村の活性化を図っていくためには、田園回帰の流れの高まりといった社会情勢の変化を踏まえ、農山漁村の豊かな地域資源を活用した取組等を推進するほか、地域の貴重な資源である農地について、地域での話合いを踏まえ、保全等の取組を推進する必要があります。

 このため、地域における計画的な土地利用の下、農山漁村の活性化のための取組を推進する措置を講ずることとし、この法律案を提出した次第であります。

 次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明を申し上げます。

 第一に、活性化計画の記載事項の拡充であります。都道府県又は市町村が作成する活性化計画に記載する事業として、農用地の保全等に関する事業を位置づけることとしております。

 第二に、農用地の保全等に関する事業に対する支援措置であります。活性化計画の円滑な実施を図るための農林地等の権利移転に関する措置を、農用地の保全等に関する事業についても活用できることなどとしております。

 第三に、農山漁村の活性化のための取組を行う際の手続の迅速化であります。活性化計画に記載された事業が速やかに実施できるよう、農地法に基づく農地転用許可手続等の迅速化を図ることとしております。

 以上が、これらの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。

 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようにお願い申し上げます。

 以上です。

平口委員長 これにて両案の趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

平口委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 両案審査のため、来る十三日水曜日午前九時、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、来る十二日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十九分散会


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