衆議院

メインへスキップ



第9号 令和4年4月12日(火曜日)

会議録本文へ
令和四年四月十二日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 平口  洋君

   理事 江藤  拓君 理事 高鳥 修一君

   理事 宮下 一郎君 理事 簗  和生君

   理事 金子 恵美君 理事 緑川 貴士君

   理事 空本 誠喜君 理事 稲津  久君

      五十嵐 清君    石井  拓君

      上田 英俊君    尾崎 正直君

      加藤 竜祥君    神田 潤一君

      坂本 哲志君    高見 康裕君

      武井 俊輔君    中川 郁子君

      中野 英幸君    西野 太亮君

      野中  厚君    長谷川淳二君

      平沼正二郎君    古川 直季君

      古川  康君    保岡 宏武君

      山口  晋君    山田 賢司君

      若林 健太君    梅谷  守君

      神谷  裕君    小山 展弘君

      後藤 祐一君    佐藤 公治君

      渡辺  創君    池畑浩太朗君

      住吉 寛紀君    金城 泰邦君

      庄子 賢一君    長友 慎治君

      田村 貴昭君    北神 圭朗君

    …………………………………

   農林水産大臣       金子原二郎君

   農林水産副大臣      武部  新君

   農林水産大臣政務官    宮崎 雅夫君

   政府参考人

   (農林水産省農産局長)  平形 雄策君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  光吉  一君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)            牧元 幸司君

   農林水産委員会専門員   梶原  武君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十二日

 辞任         補欠選任

  東  国幹君     中野 英幸君

  上田 英俊君     古川 直季君

  北村 誠吾君     山田 賢司君

  山口  晋君     西野 太亮君

同日

 辞任         補欠選任

  中野 英幸君     東  国幹君

  西野 太亮君     山口  晋君

  古川 直季君     石井  拓君

  山田 賢司君     北村 誠吾君

同日

 辞任         補欠選任

  石井  拓君     上田 英俊君

    ―――――――――――――

四月十二日

 家族農業を守り、食料自給率の向上を求めることに関する請願(塩川鉄也君紹介)(第八五二号)

 同(北神圭朗君紹介)(第九一一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 農業経営基盤強化促進法等の一部を改正する法律案(内閣提出第五五号)

 農山漁村の活性化のための定住等及び地域間交流の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第五六号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

平口委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、農業経営基盤強化促進法等の一部を改正する法律案及び農山漁村の活性化のための定住等及び地域間交流の促進に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として農林水産省農産局長平形雄策君、経営局長光吉一君及び農村振興局長牧元幸司君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

平口委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。宮下一郎君。

宮下委員 自由民主党の宮下一郎でございます。

 本日は、農業経営基盤強化促進法改正案と農山漁村活性化法改正案について質問させていただきます。

 今、我が国の農業は重大な岐路を迎えていると考えます。最も大きな要因は、言うまでもなく、我が国が歴史上初めて人口減少社会を迎えているということでありまして、これに伴い、農業者の減少、また耕作放棄地の拡大、こうしたことで地域の農地が適切に利用されなくなる懸念が高まっているということではないかと思います。

 一方で、カロリーベースの食料自給率は四〇%を割り込んでおります。万一、食料の輸入が途絶えた際に現在の農地面積でどれだけの必要カロリーを供給できるかを試算した食料自給力の視点で考えますと、バランスのよい食事を取れるような農産物を供給するためには現在の農地面積では全く足りない、こういう状況でございますので、人口が減少するのだから農地も減らしてもよいという状況にはないということであります。

 そこで、特に農業者の減少と担い手の高齢化が進む中で、今後どのように農地を確保し、人の育成を図り、誰がどのように農地を活用していくかを考えるということは、まさに今、喫緊の課題になっていると考えます。

 こうした状況も踏まえまして、平成二十四年からは、農業者の皆様が話合いに基づいて地域農業の将来の在り方などを定める人・農地プランの作成が進められてまいりましたけれども、アンケートなどを通じて農業者の意向が十分に反映されているものがある一方で、地域内の経営体や農地の一部しか把握されていない不十分なものもあり、実質化とは言い難いものもございます。

 今こそ、その将来の見通しを立てるためにも人・農地プランを実質化していくことが重要であり、そこに今回の法改正の最も大きな意義があると考えます。この点について、金子大臣がどのように御認識されているのか、まず御見解を伺いたいと存じます。

金子(原)国務大臣 宮下委員はこの問題については非常にお詳しいと思いますが、今いろいろとお尋ねになったことについてお答えをさせていただきます。

 今後、高齢化、人口減少が本格化しまして、地域の農地が適切に利用されなくなることを懸念される中、農地が利用されやすくなるよう、農地の集約化等に向けた取組を加速することは、待ったなしの課題と思います。

 このため、農業経営基盤強化促進法の改正案によりまして、人・農地プランを法定化し、地域の話合いにより目指すべき将来の農地利用の姿を明確にしまして、それを実現すべく、地域内外からの農地の受入れ手を幅広く確保しつつ、農地バンクを活用した農地の集約化等を進めていくことといたしております。

 他方、コロナ禍の下、新たな生活スタイルを求めまして都市と農村を人々が行き合う田園回帰が一層加速化しておりまして、この機を捉えて、食料の供給基地であり、多面的機能を有する農山漁村の地域を持続可能なものとしていくためには、まず、低下した集落機能を補完して、農用地保全、地域資源の活用等の取組を支援すること、地域資源の活用により事業を生み出す農山漁村発イノベーションを推進し、所得向上と雇用機会の創出を図ることが極めて重要であると考えております。

 このため、農山漁村活性化法を改正いたしまして、農用地保全に取り組む際、必要な農地等の権利関係の一括整理を行う仕組み、農山漁村発イノベーションのための施設を整備する際の農地転用に係る手続の迅速化等を措置することといたしております。

 このような両法案による措置を一体的に推進することによりまして、地域の農地の利用、保全を計画的に進め、農地の適切な利用を確保してまいりたいと思います。

宮下委員 ただいま大臣から、両法案の意義について丁寧に御説明いただきました。

 今回、この両法律案につきましては、我々与党側の提案で、野党各党の皆様の御理解もいただいて、一括での審議をさせていただくことになりました。

 今回、一括での審議をお願いした理由は、まず、農業経営基盤強化促進法の改正を通じて農地の集積、集約化を進めていくということが大切である一方で、どうしても集積、集約化が困難な農地についても手当てするということで、今回、農山漁村活性化法の改正によりまして、放牧などの粗放的利用や鳥獣緩衝帯としての利用、さらに森林化など、土地利用の選択肢を広げることができるということで、こうした選択肢が広がった上で、地域の土地利用をどうしていくか、こうした話合いを行っていくことが重要であると考えたからでございます。

 改めて、両法案を一体的に進める重要性につきまして、農林水産省としてはどのように認識されているのか伺いたいと存じます。

宮崎大臣政務官 お答えをいたします。

 農地につきましては、地域でしっかり話合いをしていただいた上で、農地が利用されやすくなるように集約等を進めていくことが基本であるというふうに考えておりますけれども、様々な政策努力、これを払ってもなお農業上の利用が困難な農地につきましては、荒廃化を防止をする取組が重要だというふうに考えております。

 このため、宮下先生からお話がございましたように、農業経営基盤強化促進法等の改正案では、各地域におきまして、農業者や関係者の皆様に、将来の農業の在り方、農業上の利用が行われる農地の区域やその農地利用の姿について十分に話合いを行っていただくことというふうにしております。

 その上で、農業経営基盤強化促進法等の改正案では、市町村が、今申し上げました農業者等による話合いを踏まえまして、農業上の利用が行われる農地の区域につきまして、将来の農地利用の姿を明確化する地域計画を策定していただくということでございます。

 そして、農山漁村活性化法の改正案では、活性化計画に農地の保全等に関する事業を位置づけさせていただきまして、粗放的な利用を行う農地につきまして、御指摘がございましたように、放牧でございますとか鳥獣緩衝帯など計画的な土地利用、これを推進をするということにしておるところでございます。

 このように、話合いを一緒に行っていただきまして、両法案による措置を一体的に進めていくことによりまして、地域の農地の利用そして保全を計画的に進めることによりまして、農地の適切な利用を確保していきたいというふうに考えております。

宮下委員 農地利用と保全、一体的に行うというお考えをお伺いしました。

 冒頭に、食料安全保障の観点から農地の確保が重要であるというお話を申し上げましたけれども、農地面積ということでいえば、残念ながら、年々減少をしております。農林水産省が二〇二〇年三月に出されました農地の見通しと確保においては、このまま何も対策を講じなければ、二〇三〇年時点で三百九十二万ヘクタールまで減少する、一方で、荒廃農地の発生防止や解消の効果を織り込んでいけば、こうした対策をしっかりやっていけば、四百十四万ヘクタールの農地面積が確保される、こういった見込みを推計しているところであります。

 今回の農山漁村活性化法改正案では、今私も申し上げましたように、土地利用の選択肢を粗放的利用や林地などにも広げておりますけれども、これは現実に即した対応だという一方で、農地確保の目標に影響は及ばないのかという懸念。また、先ほど大臣からお話がありました、農泊施設や交流施設の整備など、農山漁村の活性化に必要な施設の整備等を行う場合には、農地転用手続等の迅速化を図る仕組みも導入されることとなっております。こういったことによって、逆に優良農地の確保に支障が生じることがあるのではないか、逆から見ればそういった懸念もございます。

 この点についてどのように認識されているのか、農林水産省に伺いたいと思います。

牧元政府参考人 お答えを申し上げます。

 農山漁村活性化法の改正におきましては、荒廃化のおそれがある農地につきまして、放牧などの粗放的な利用、また、鳥獣緩衝帯の設置など省力的かつ簡易な管理など、極力、農地として保全する取組を推進いたしまして荒廃化による農地の減少を食い止めますとともに、林地化につきましても、これは、山際など条件の悪い農地につきまして、農地として維持することが極めて困難であるなどの場合に限って計画的に行うこととすることによりまして、農地面積の確保に資するものというふうに考えております。

 また、施設整備の際の農地転用手続等の迅速化を措置することともしておりますけれども、これにつきましては、従来の農地転用手続などと同様に、土地利用調整を行う仕組みとしているところでございます。

 以上のことから、令和十二年の農地面積四百十四万ヘクタールの見通しにつきまして影響が及ぶものではなく、また、優良農地の確保、農地の集約化等につきましても支障が生ずることはないと考えているところでございます。

宮下委員 是非ともそういった運用で、地域の農地の有効利用を図りつつ、農地面積も確保していくということでお願いをしていきたいと思います。

 次に、人・農地プランの中心となります地域計画の策定について質問させていただきます。

 この地域計画は同意市町村が策定する、こういうことになっておりますが、同意市町村というのは、農業経営基盤強化促進基本構想を定めることについて都道府県知事の同意を得た市町村という意味で同意市町村ということでありますけれども、二〇二〇年三月末現在で、全国で千六百七十二とされまして、全市町村数の約九七%となっております。

 本法律案では、この同意市町村が、自然的経済的社会的諸条件を考慮した区域ごとに、関係者による協議の場を設置し、協議の結果を踏まえて、農業の将来の在り方や、農用地の効率的、総合的利用に関する目標や、十年後の姿を農業の担い手ごとに利用地等を定めて地図に表示した目標地図などを定めた地域計画を、改正法の施行日から二年以内に策定することを求めております。なお、改正法の施行日は公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定めるとされておりますので、この地域計画については、合わせて、公布から三年程度の作成期間が設定されているということになります。

 この地域計画の策定は、農業者、農業委員会、農地バンク、JA、土地改良区等の関係者の皆様の協議を通じて、現状を再認識をして、地域の農業や農地について考える大切な機会となるものであり、また、今後の地域発展の基礎となるものと考えます。

 これまでの人・農地プランの取組におきましては地域の協議がなかなか進んでこなかった市町村もございますが、協議が調わなければ地域計画の策定は無理なのではないか、こういった意見も聞かれるところでありますけれども、この三年間をしっかり使い、協議を充実させて、農業上の利用が行われる区域と保全地や林地としていく区域を整理して、各土地、農地の将来の姿や担い手について考えることが大切だと考えます。

 また、受け手が今時点で見つからない地域につきましても、作成後も随時調整しながら反映していくことも想定されておりますので、今、完璧なものができないから地域計画はできないんだということではなくて、まずは、全ての同意市町村で地域計画をしっかり作ってもらうことが全てのスタートになると考えます。

 こうしたことで、この地域計画の策定、非常に重要だと考えますが、国としてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。

光吉政府参考人 お答えいたします。

 今後、高齢化、人口減少が本格化する中、農地が利用されやすくなるよう、農地の集約化等に向けた取組を加速化することは、待ったなしの課題となっております。

 このため、基盤法等の改正法案におきましては、基本構想を定めた市町村は、話合いを踏まえて、将来の農業の在り方や農地利用の姿を明確化した地域計画を各地域でしっかり定めていただくことが必要と考えております。このため、法律上も、同意市町村は地域計画を定めるものとすると規定しているところでございます。

 地域計画の策定に当たりましては、既存の地域協議会の場を活用して話合いを行っていただくなど、現場の負担とならないようにしつつ、市町村による計画の策定を国としても強力に後押しをしていきたいと考えております。

 また、委員御指摘のとおり、地域計画の策定は周知期間と合わせて三年程度の策定期間を設けており、この間に十分な話合いを行っていただきたいと考えております。

宮下委員 この地域計画については、追加的に、地域計画の特例という仕組みが設けられております。具体的には、農用地等の所有者又は農業委員会が、農地バンク及び所有者等の三分の二以上の同意を得て、農地バンクに利用権の設定を行う旨を市町村に対し提案することができ、提案を受けた市町村が特例の地域計画として策定する場合は、所有者が農地を貸し付ける先が農地バンクに限定されるという制度であります。

 この三分の二以上の同意という規定をめぐりましては、党内の議論でも、三分の一近くの反対があっても地域内の農地の貸付先が限定されるのは問題なのではないか、こういう意見もあったわけですが、実態をお伺いすると、この三分の二という規定は、現行の土地改良法や基盤強化法の農用地利用規程にも用いられておりまして、それぞれの法律で丁寧な合意形成のプロセスを経て運用されておって、実際は問題がないということも伺いました。

 また、今回の地域計画の特例は、通常の地域計画がまず策定されている集落の一部地域の所有者の方々が、合意の上で、もっと早く集約化をやっていこうということで、農地バンクに区域の農地を貸し付けて集約化を積極的に取り組もうとするときに市町村に対して提案することが前提となっておりますので、区域内に強力な反対者がいるときに、あえてそれを無視して提案するというようなことは考えにくい仕組みとなっていると思います。

 いずれにしましても、地域計画の特例を活用しようとする際には区域内での丁寧な合意形成が大切であると考えますけれども、農水省の認識をお伺いしたいと思います。

光吉政府参考人 お答えいたします。

 基盤法等の改正法案におきましては、地域の農地所有者等がその三分の二以上の同意を得て市町村に提案をして、地域の農地について貸付け等を行う際には相手方を農地バンクに限定する、その旨を市町村が地域計画に盛り込むことができる規定を措置しております。農地の集約化等を円滑に進めていくことが重要でございます。

 同じく、地域の農地所有者等の三分の二以上の同意を得る必要がある土地改良事業や現行基盤法の農用地利用規程の特例と同様に、できる限り丁寧に話合いを行って、地域の合意形成に努めていただくようにしたいと考えております。

宮下委員 次に、地域計画の変更について質問をさせていただきたいと思います。

 地域計画における目標地図には十年後に目指すべき農地利用の姿を描くこととなりますけれども、逆に、これが策定時に未来の姿を固定してしまうということになっては逆効果なのではないかなと考えております。一度計画を策定した後に、新規就農者を育成、確保していく、新たな担い手を確保していくこと、増やしていくことも大事でありますし、みどりの食料システム戦略を踏まえて、有機農業に取り組むために集落における農地利用の在り方を変更していこう、こういう取組も当然これから起こってくると思います。

 また、地域、農産物によっては、輸出に向けた産地づくりに取り組むための体制整備を行うなど、今後、様々な事態の変化も予想されます。また、こうした変化を取り入れていくことが地域の農業の発展にもつながると考えます。

 こうした様々な事態の変更があった場合、目標地図も必要に応じて変更していくことが必要となると思います。そこで、地域計画の見直しや変更がどのように行われるのか、手順を含めてお教えをいただきたいと思います。

光吉政府参考人 お答えいたします。

 地域計画におきましては、農業の将来の在り方を定めるとともに、目指すべき将来の農地利用の姿として、農業者ごとに利用する農用地等を明らかにした目標地図を作成することとしております。

 この場合、委員御指摘のように、目標地図の作成後に、受け手が見つからなかった農地で新規就農者が新たに農業を行う場合ですとか、新たに地域で有機農業や輸出など産地づくりに取り組む場合などもありますことから、市町村は、情勢の推移に応じ、地域計画を変更できることとしております。

 基本的な手続といたしましては、地域計画の策定主体である市町村におきまして、関係者の意見聴取や案の公告縦覧を経て、変更後の地図を含む地域計画を公告していただくこととしております。

宮下委員 次に、下限面積要件の廃止について伺いたいと思います。

 現行の農地法では、原則として、北海道二ヘクタール、都府県で五十アールに達しない場合には権利移動の許可をすることができないとされておりますが、二〇〇九年の農地法改正で、地域の実情に応じて、下限面積十アール以上で別段の面積を定めることができることになりまして、さらに、そうした下限面積未満の農地等を利用する者の増加で農地等の総合的な利用に支障を生ずるおそれがない場合には、新規就農を促進するために適当と認められる面積とすることとされておりまして、十アール未満の面積の設定も可能とされております。

 随時こうした要件緩和が行われてきたわけで、二〇二一年七月時点では、全国の七割に及ぶ市町村が別段の面積を設定しておりまして、設定した区域の四割が下限を十アール以下の面積としております。

 こうした流れも踏まえてということでありますが、今回の改正では一律に要件そのものを廃止することとしております。下限面積要件の廃止で、半農半Xを始めとする幅広い人材の就農が促される効果が期待される一方で、農業にしっかり従事しない方が増えても困るんじゃないかという懸念もあります。

 そこで、下限面積の要件の廃止の考え方と運用の在り方について、農水省としての見解を伺いたいと思います。

光吉政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、下限面積要件につきましては、全国の約七割に当たります千二百四十八市町村において引下げが行われております。

 新規就農者の部門別の参入数を見ますと、一般的に小規模でも高い収益を上げることが可能な野菜、果樹が全体の約七割を占めており、これらの部門の新規就農者の参入時の経営面積は、約五割超が五十アール未満となっております。

 これらの状況を踏まえまして、高齢化等が加速していく中で、農業への新規参入者の増加等によりまして農地が適切に利用されるよう、今回、下限面積要件を廃止することとしたところでございます。

 一方、この要件以外の、農地の全てを効率的に利用して耕作を行うこと、必要な農作業に常時従事することといった要件は引き続き措置することとしており、これを満たす必要があり、適切な営農の確保を図ることとしております。

宮下委員 時間が来ましたので、ここで終わらせていただきますが、今回のこの法律の後押しとして、土地改良事業、農業者の負担なく土地改良ができるようなものも、地域計画の策定とセットで打ち出していただいております。国としても、人・農地プラン、地域計画、しっかり後押しをしていただいて、推進をお願いしたいと思います。

 終わります。

平口委員長 次に、稲津久君。

稲津委員 おはようございます。公明党の稲津久です。

 まず、本題に入ります前に一つ発言をさせていただきたいと思いますが、これは質問ではありません。

 日ロのサケ・マス交渉が昨日から開始しました。これはオンラインで行ったところでございますけれども、日本が今ロシアに経済制裁を科す中で、このサケ・マス交渉についてはどういう流れなのか、そういう疑問を持つ方もまれにいらっしゃると思うんですけれども、これはあくまでも、日本の漁業の権益、それを確保するということが大前提の話でございますので、ここはしっかりやらなくてはいけない。

 例年、四月十日前後には、この日ロのサケ・マス交渉はもう決まって、漁が解禁になるんですけれども、いまだこういう状況ですので、昨日のオンライン交渉も、なかなか日程等について、まだ今後も何も決まらないようなことも聞こえておりますので、難航は予想されると思いますが、是非とも、これは水産庁、農水省を挙げて、政府を挙げて全力で取り組んでいただきたい。

 これから貝殻島の昆布漁等の三つの交渉もありますので、関係漁業者の方々におかれましては、大変な思いでこれを見ております。是非よろしくお願いを申し上げます。

 そして、こうしたことに関連して、本題に入ります前に、これは大臣に、緊急経済対策について一言お伺いをさせていただきたいというふうに思っております。

 今月の五日に、物価高の対応をするために、総合緊急対策を協議する閣僚会議の初会合を官邸で行われたというふうに承知をしておりまして、総理からは、直面する危機に緊急かつ機動的に対応すると表明をされて、四月末までの取りまとめに向けて検討作業を加速化させる、こう話がありました。

 財源は、二〇二二年度予算の一般予備費と新型コロナウイルス対策予備費、こういうような話もありまして、その上で、金子大臣からは、燃油や化学肥料原料、穀物の高騰や、輸入木材や輸入水産物の調達への懸念にしっかりと対応していく、こういうふうに述べられまして、注目すべき、また重要な事項であるというふうに認識をいたしております。

 我が党も、実はこの問題について関係団体から意見聴取をしておりまして、JA中央会ですとか、また肉牛の事業組合、酪農政治連盟、また養豚、養鶏の協会、それから食品産業センターなどからもお話をお聞きしまして今日に至っておりまして、この対策をしっかり講じていかなくてはならないというふうに思っています。

 そこで、三月十五日に、私がこの農林水産委員会で、このときは原油高騰対策ということで大臣に御質問させていただきました。是非、機動的な対応をお願いしたいということで、大臣もこのときに、農水省だけですること、これは対策としては範囲が限定されるので、政府全体の中でどういうふうにできるか、参考にしてやっていきたい、こういうお話がございました。

 その上で、今回、こうしたことで、政府を挙げてということになりましたので、この段階で、この緊急経済対策、どのように大臣として対応していくのか、予算のボリュームのこともありますけれども、まずは大臣のお考えをここで表明していただきたいと思います。

金子(原)国務大臣 先般からお尋ねがありました件につきましては、私どもといたしましても、省庁内でいろいろと検討させていただいております。そういう中で、三月二十九日の閣僚懇談会において、総理から、今般の対策については一般予備費、コロナ予備費を活用した迅速な対応を優先との指示がありましたので、この方針に従って、現在検討を進めているところであります。

 いずれにしましても、農林水産業、食品産業を取り巻く状況にしっかりと対応する決意で、必要な検討をしてまいりたいと思います。

 その上で、実は総理から、さらに、新しい資本主義実現会議における議論を併せて進め、新しい資本主義のビジョンと実行計画を六月までに取りまとめます、その上で、これを前に進めるための総合的な方策を打ち出すとの指示もありましたので、それに対する対応についても今後検討を進めてまいりたいと思っております。

稲津委員 二点申し上げておきたいと思います。

 一つは、予算の関係で申し上げますと、予備費で本当に十分なのかということ。むしろ、機動的に行うのであれば、補正予算を組んでまでも検討すべきじゃないか、こういう意見もかなりございまして、私もそこについては考えを一にするところでございます。これがまず一つ。

 もう一つは、先ほどの新しい資本主義の話で、六月という話が、計画の取りまとめの話がありましたが、ここについては、果たして、切れ目のないことをやっていくためには、もう今からやれることをどんどんやりながら、そして進めていく。

 前回も、私、国難ともいうべきという話を触れさせていただきましたけれども、これからどういう状況になるか、なかなか不透明で、よく把握ができません。それで、今朝の一般紙を見ていますと、小麦の価格も相当また上がってきて、現段階でも一五%、一六%の話もありますが、恐らくそれ以上に上がってくることも懸念されています。これは様々な、肥料とか飼料とかそうしたところにも影響しますので、いずれにしましても、是非、しっかり機動的にやっていただくことをお願い申し上げる次第でございます。

 それでは、本題に入りまして、質問させていただきたいと思いますが、今回のこの二つの法律改正案につきまして、私は法案の必要性というのを強く感じている一人でございまして、党としても、しっかりこの法案を成立をさせて、施策を大きく前に進め出すべきだと思っています。農地利用の計画、これを策定をしっかりして、例えば十年後の農地利用者も明確にしていく、そして農地中間管理機構、農地バンクを通じて利用者に農地を集積させていくという、この考え方はしっかり進めていかなければならないというふうに思っております。

 その上で、まず、大臣にお伺いさせていただきたいと思いますけれども、この農地集積目標の総括と実現の可能性について、まず触れさせていただきたいと思います。

 活力創造プラン、二〇二三年までに担い手の農地利用を全農地の八〇%とする目標について、現状では六〇%程度と、八〇%の目標はなかなかこれは厳しい状況にある、このことをどう評価するか、また、本改正案で今後どのように実現を図っていくのか、こうしたことについてまず見解をお伺いさせていただきたいと思います。

金子(原)国務大臣 稲津委員の御指摘のように、農地の集積につきましては、政府としては、令和五年度末までに全農地の八割を担い手に集積するという目標を掲げているところであります。

 平成二十六年度に農地バンクを創設して以降、担い手への農地の集積率は年々増加しております。令和二年度の集積率は五八%となっております。

 八割という目標に向けては、恐らく更なる取組の加速化が必要だというふうに私も考えております。この場合、農地が分散していく状況を改善して、農地を引き受けやすくしていくことが重要であり、地域において具体的な農地の集約化等に向けた取組を推進していくことが必要と考えております。

 このため、基盤法等の改正案では、目標の実現に向けまして、人・農地プランを法定化し、地域の話合いにより目指すべき将来の農地利用の姿を明確にしまして、地域内外からの受け手を幅広く確保して、農地バンクを活用した農地の集約等を進めていくこととしており、これによりまして農地の集約化等を進めることは、農地の集積率の向上にも寄与するというふうに考えております。

稲津委員 ありがとうございます。であるからがゆえに、人・農地プランの法制化をしっかり進めていくんだという今御答弁がございました。

 三年前の中間管理法の改正で農地集積を図ることを強化したというふうに私も理解しておりますが、問題は、要するに、どこに、誰に、どうやって農地を集積させていくかということが最終的なやはりテーマだと思っておりますので、これは後でまた質問させていただきますけれども、しっかり今日もまた議論させていただきたいと思います。

 その上で、ちょっと質問の通告の順番を変えさせていただいて、もう一問大臣にお聞かせいただきたいと思いますが、農地中間管理機構の果たしてきた役割と成果についてここで確認をさせていただきたい、このように思っておりますので、よろしく御答弁のほどお願いします。

 この農地中間管理機構による農地の集約化と担い手に対する貸出し等の取組に私も一定の評価はするものでありますが、当初の目的を十分に果たしてきているかどうか、これは評価が分かれるところかもしれません。実際に、自治体等のアンケートでは、農地中間管理機構に対する認識として、事業が軌道に乗っていない、改善はしているが軌道に乗っているとまでは言えないという答えが約七割を占めているという現状があります。

 こうした状況を踏まえて、農地中間管理機構の果たしてきた役割と、軌道に乗り切れていないとすればどこにその隘路があるのか、このことについて見解をお伺いします。

金子(原)国務大臣 農地バンクは平成二十六年度に創設されまして、担い手への農地集積面積は、令和二年度末までに約二百五十四万ヘクタール、創設前の平成二十五年度に比べまして約三十二万七千ヘクタール増加しており、このうち農地バンクによる集積面積は、約十三万四千ヘクタールと、全体の四割を占めております。

 一方、担い手への農地の集積率は令和二年度におきましては五八%となっており、令和五年度末までに全農地の八割を担い手に集積するという目標に向けておりまして、更なる取組の加速化が必要というふうに思っております。

 農地バンクを経由する手法は、分散している農地をまとめて借り受けて、農家負担ゼロの基盤整備や集積のための協力金等を活用して、一団の農地で転貸すること等によりまして農地の集約化等の実現を可能とするものであります。

 このため、基盤法等の改正案では、地域計画の実現に向けまして、農地バンクを活用して農地の集約化等を進めることといたしております。

稲津委員 ありがとうございました。

 更なる取組を加速化させる、その役割がまさに今回の本法の施行にあるんだというお話でございましたので、これをしっかりお願いしたいと思います。

 今度、具体的なことについて、二点ほどお伺いさせていただきたいと思います。

 まず、目標地図の作成についてですけれども、今後十年後の目指すべき農地利用の姿を明確化する目標地図についてお伺いしますが、農地利用を効率的、効果的にするために、地図の作成は異論のないところでございますが、その上で、誰がどの農地を利用するかは、現状を考えると、いろいろな難しい問題があるというふうに理解をしています。

 そもそも、農村地域の高齢化、担い手不足が厳然とある中で、認定農業者、また多様な経営体、サービス事業体など、利用者をどのように今後コーディネートしていくのか、その考え方について見解をお伺いします。

光吉政府参考人 お答えいたします。

 基盤法等の改正法案におきましては、目標地図を含めた地域計画は市町村が作成することとしておりますが、目標地図の素案につきましては農業委員会が作成することとしております。

 目標地図につきましては、目指すべき将来の農地利用の姿を明らかにすることとしており、その中で、将来の農業を担う多様な経営体などが位置づけられるものと考えております。

 農業委員会が素案を作成するに当たりましては、聞き取り等によりまして把握をした農地の出し手、受け手の意向などの情報をその場でタブレットに入力し、これらの情報を現在インターネットで公開しております農地地図情報に反映させることとしております。

 また、今回の法案におきましては、農業委員会は、農地バンク、農協、土地改良区等の関係機関に対しまして必要な協力を求めることができる旨を規定しておりまして、農地バンクにつきましても、現地コーディネーターを増員し、地域外の受け手候補の情報などを農業委員会に提供するなど、関係機関が一体となって取り組んでいただくこととしております。

稲津委員 このこととちょっと関連して、次の質問に入りたいと思いますけれども、事務負担増に対する国の支援の在り方についてお伺いしておきたいと思います。

 この改正法を実際に施行するとなりますと、今も触れましたことも併せて、やはり現場では、仕事量がどの程度増えるのか、また、大変増えるんじゃないか、そういう懸念の声を私も実際に聞いています。市町村、農業委員会、農地中間管理機構、少なくとも業務の増加は懸念されるわけでございまして、特に農業委員会の負担がどうなるのかなという、私も不安があります。

 昨今の基礎的自治体の農業委員会の人員の配置は、事務担当者が減少しているなど、そうした十分な対応ができるのか、不安な面も否めないわけでございまして、こうしたことに対して国はどのように支援していくのか。また、こういうときだからこそ、やはり広域自治体である都道府県の関わり方も重要になってくると思いますので、この点について確認させていただきます。

光吉政府参考人 お答えいたします。

 委員から農業委員会についてまず御指摘をいただきましたが、農業委員会は目標地図の素案を作成することとしておりますが、その事務負担の軽減を図ることが必要と考えておりまして、意向等の情報を調査をした際にその場でタブレットに入力すること等で省力化を図ることとしております。

 この場合、農業委員会の推進委員等がタブレットを円滑に活用できますように、収集すべき情報の項目を分かりやすい形で統一的に定めたり、容易に入力ができるようタブレット入力画面を可能な限り簡素化したり、都道府県の農業会議が、タブレットの使用方法などにつきまして、農業委員会に対する研修や巡回による操作指導などを行うこととしております。

 また、市町村が地域計画を定めることになるわけでございますけれども、この場合に、協議の場につきまして、既存の農業関係の協議会の場を活用するなどして、現場の負担にならないようにすることが重要と考えています。

 国といたしましても、地域での話合いを円滑に進めるため、専門人材によるサポートを行うほか、協議の進め方や計画の策定方法をマニュアルにしてお示しをしたり、地方農政局におけるサポート窓口を設置したり、優良事例を紹介するなど、市町村の円滑な策定のため、強力に後押しをしてまいりたいと思います。

 都道府県に対しましても、現場に近い立場である普及指導センターなどが市町村へサポートを行っていただけるよう、働きかけをしたいと考えております。

稲津委員 ありがとうございました。今、非常に大事なポイントだと思っていますし、非常に丁寧に答えていただきましたので、それをしっかり進めていただきたいと思います。

 時間が参りましたので、残余の質問につきましてはまた次の回に譲らせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

平口委員長 次に、緑川貴士君。

緑川委員 皆様、お疲れさまでございます。

 冒頭、昨年産米へのナラシ対策についてまずお尋ねをしたいと思います。

 昨年、米価が大幅に下落したことに伴いまして、その収入減の影響を緩和するナラシ対策として、昨年産米への交付金の申請が対策加入者から今まさに行われているんですけれども、昨年産から交付対象となる範囲が広がりました。

 まず、お配りしている資料の1を御覧いただきたいんですけれども、昨年産米について農水省が出した、これは、経営安定対策のパンフレットの抜粋であります。

 米のナラシ対策については、これまでは農産物検査を受けた米だけが交付対象だったんですけれども、右下にありますように、農産物検査を受けない米というふうに書いてありますが、これはいわゆる未検査米です。昨年産米からナラシ対策の交付対象になりました。赤線のところですけれども、未検査米であっても、一・七〇ミリ以上のふるい目幅で調製した主食用米であることが確認できれば、これは交付されることになっています。

 このパンフレットというのは、農水省によれば、七万四千部を印刷して、ホームページにもこれを掲載しながら、昨年に周知してきたということなんですけれども、個々の農家には、当然農水省から知らせるというのは現実的でありませんので、市町村の地域農業再生協議会、再生協から、コピーしたものを配付して、現場にこれは周知されていったのかというふうに思ったんですが、調べますと、農家に周知するべき再生協すらも把握していないところがありました。

 これが、資料の2を御覧いただきたいんですけれども、加入者向けに出された交付申請の通知書です。赤線のところ、未検査米はナラシの対象にはなりませんというふうに通知してしまっているんですね。その通知が、何と先月の十八日付です。この時点で、昨年周知していたのにまだ把握していなかったということになります。

 政策に関心の高い住民からの指摘を受けて、後でこの再生協からは訂正文書が出されているんですが、ほかの再生協でも確認したところ、多くのところで交付対象が広がったことを把握していませんでした。再生協が知らなければ、当然現場の農家の多くが知るはずもありません。

 まずは、改めて、国による徹底した周知も含めた対応が求められると思いますが、いかがでしょうか。

平形政府参考人 お答えいたします。

 担い手経営安定法に基づくセーフティーネット対策でありますナラシ対策につきましては、委員御指摘のとおり、農産物検査を受けなくても同等の内容が書類で確認できた場合には補助金等の対象とする見直し、これを昨年度、一環として行っておりまして、令和三年産から、栽培記録や契約書、販売伝票等により、数量、水分含有量等が確認できた場合には交付の対象にするということを決めたわけでございます。

 この制度改正につきましては、委員御指摘のようなものもあるんですが、一つは、農産物検査規格・米穀の取引に関する検討会、これの見直しの説明資料として周知をしたほか、令和三年三月に、ナラシの実施要綱の改正、各都道府県、関係団体に周知をいたしました。さらに、経営所得安定対策等の概要というパンフレット、これは七万四千部なんですけれども、また、農林水産省のホームページからも三万件以上ダウンロードをされておりました。

 農林水産省としては、このように丁寧に周知を図ってきたつもりなんですけれども、今委員御指摘のとおり、大潟村の例が一つございました。これにつきましても、我が農林水産省の秋田の拠点に、これについては大潟村は間違っているんじゃないか、そういう通報がございまして、村の方に確認をしたところ、四月四日に訂正の文書を全農家に配付したということになっております。

 今委員御指摘のような、ほかの再生協でもというようなことをおっしゃられていましたので、これの交付申請手続は四月一日から四月三十日ということになっておりますので、これについては、全国のそれぞれの再生協について、今回、こういう機会でございますので、まだ期間がありますから、それについては再度我々の方も徹底をしたいというふうに考えております。

緑川委員 再度周知をしていただくということでお答えをいただきました。

 その周知が届かず、未検査米は対象にならないものとして、従来どおり申請しなかった農家が多いわけなんです。再生協ですら把握していないところが多かったんですから。

 しかしながら、今から、期限内とはいっても、改めて周知を行ったとしても、未検査米も交付対象になるということが分かっても、実はこれは昨年の秋に出荷が既に終わってしまっていますから、その時点で、交付を受けるのに必要な申請書類、つまり、一・七〇ミリ以上のふるい目で調製して販売したということが確認できる資料というものを提出することはもはやできません、販売伝票を偽って作るわけにもいきませんから。

 周知が足りないことが原因で少ない交付金額にもなってしまう可能性があるわけですから、期限も柔軟に考えながら、そして、資金的な面、交付の部分でも救済措置が必要ではないでしょうか。いかがですか。

平形政府参考人 お答えいたします。

 ナラシ対策につきましては、令和三年産から、農産物検査を受けなくても、農産物検査を受けたと同等の内容が確認できた場合には交付の対象にするというふうにしたのでありますけれども、元々ナラシ対策は、主食用に出荷、販売した数量を確認できる書類と農産物検査の通知書、これは三等以上ということを対象にしております。

 現在、主食用に販売した数量の確認、これは、検査を受けたものも受けないものも同等に必要となっております。その販売先において、一・七ミリ以上、あるいは水分量一六・〇以上のものということを確認した、そういう販売伝票が今回必要になるというふうにしたところでございまして、その確認ができないものについてお支払いの対象にするというのは、現実的には困難だというふうに考えております。

緑川委員 結局、それでは、周知を行ったとしても、この要件を満たすような書類を提出できないという農家が多くなる場合に対してどのように対応していきますか。

平形政府参考人 お答えいたします。

 今、仮定で、もし書類がない場合ということをおっしゃられているんですが、実は、緑川先生に御指摘をいただくまでのところ、農産物検査のところで、知らなかったので書類が準備できないという話は今回初めていただきました。

 そういう意味で、一・七ミリ以上ですとか一六%以下の水分量ということをどうやって確認できるかということで、現実的に販売先の方ははっきり分かっていらっしゃるわけなんです。それが主食用であり、今残っている米穀が今どんな状態かということも確認していただくことも一つかなというふうには思っておりますので、対処については考えていきたいと思っております。

緑川委員 本来、周知が徹底されていれば、一・七〇ミリ以上のふるい目幅でしっかり調製できていたはずなんです。それが、もはや今のこの時点では、もう出荷が終わっていますから、できなくなってしまっていることに対して、やはり農水省による周知の徹底不足というところが根本的な原因であるというふうに思っております。

 どのぐらいの未検査米が交付対象になるのかということは、できるだけ、これは正確に把握することは非常に難しいんですけれども、参考までに、資料の3をお配りしています。

 農水省の資料で、ふるい目幅別の玄米の昨年産の重量割合というものが示されています。

 地域によっても異なりますけれども、多くの農家は、ふるい目幅一・九〇ミリなどを使って調製しています。一・九〇ミリで調製した場合には、そのふるいの下に落ちる一・七〇から一・九〇未満の米がふるい下米になります。つまり、検査を受けない米、未検査米になります。

 ですので、今、赤枠で囲ってある部分の多くが未検査米になるはずです。一・八五ミリで調製している農家も多いので、一・八五から一・九〇の部分は点線にしているところがあるんですけれども、それを考えても、昨年産の玄米のトータルの重量のうち四%から六%ほど、収穫量に直せば七百万トン余りのうちの四%から六%、つまり、三十万から四十万トンが未検査米ということになると思います。

 このうち、ナラシ対策の加入者の生産分について、申請に漏れが出ているということになるわけですから、こうした数字も参照していただいて、本来受けるはずだった交付金の補填というものを検討していただきたいと思います。

 まず、政府参考人からいただきながら、最後に大臣からも頂戴したいと思います。

平形政府参考人 委員配付資料3についてなんですが、一・七から一・九ミリのところが未検査というふうにおっしゃられておりますが、産地によって一・八五―一・九〇のふるい目を使いますけれども、農産物検査は、基本的に、何ミリ以上じゃなきゃいけないというものはございません。一・七から一・九であっても、農産物検査を受けて三等というのはたくさんあります。

 そういったこともありますので、このところが全て未検査ということではないということで申し上げております。

金子(原)国務大臣 周知が徹底されておればこのようなことになることはなかったのがというふうに、私も今、お互いの議論を聞いていて感じました。

 そういう中でどういった対応ができるか、省としては、省のいろいろな御意見もあるようでございますので、十分に省内で検討させていただいて、どういった対策を打てるかどうかについても含めて検討させていただきたいと思っております。

緑川委員 是非、今、コロナ禍、確かに、年々の需要減に加えて、コロナの影響ということで、非常に減収著しい米農家に対してナラシ対策が発動されているわけですから、現場に寄り添った対応というものを強く求めたいというふうに思います。

 二つの改正案についてお尋ねをしたいと思います。

 農業委員会の今後の協力内容というものが、法定化された人・農地プランである地域計画の原案を作るということ、そして、その中で、農地の一筆ごとに利用者を決めて、十年先を見据えた目標地図を作るという内容で具体化されています。

 ただ、地元の農業委員会でお話を聞かせていただいても、地域の将来の絵を委員会が主体となって描くということはとても重いことだ、規模の大きな市町村であればなおさら大変だと。

 複数の法人や個人の経営体が入っている中で、エリアを決めて、ここはどこどこの法人、そしてここは誰々の担い手さんというふうに、地域の中に入って決めていかなければならない。これまでも、意見や相談を受けて、農地の出し手や受け手の意向なども把握をしながら、意見の調整やつなぎの役割というものを担ってきたわけですけれども、法改正を受けては、それを更に踏み込んで、五年先、十年先の将来の経営に関わる重要な判断、さらには、農村の在り方にまでこれまで以上に深く関わっていかなくてはならないという心理的なプレッシャーがあるということを強調されていました。

 農業委員会の会長を始め、兼業で農業に取り組んでいる、兼業で生計を立てている方が多い中で、委員会の業務が膨大になることと、そして精神的な負担もあります。農業委員をやる方がこれからいなくなってしまうんじゃないかと危惧される会長もいらっしゃいました。

 これまで以上に業務が拡大する農業委員会の負担の軽減を含めて、どう活動を支援されていくのか、改めてお伺いしたいのと、そして、三年という準備期間があっても、結果として、一筆ごとに農地の利用者を明確にできなかった場合、十年後を見据えた農地利用の姿を明らかにできなかった場合は、国としてどのように対応されていくんでしょうか。

光吉政府参考人 お答えいたします。

 まず、農業委員会は、地域計画における目標地図の素案を作ることにしておりますけれども、その素案を作る際には、農業委員会の役割というのは重要になることから、その事務負担の軽減、これを図ることが極めて重要と思っております。

 その際、農業委員会が素案を作成する際に当たりましては、聞き取り等で把握をしました農地の出し手、受け手の情報、こういったものについて、負担を軽減すべく、タブレットに入力して、それで情報を集めることができるようにしたり、情報につきましては、白地図に書いてということではなくて、インターネット上で公開しております農地地図情報、これを、反映させて活用していく、こういった形で負担の軽減を図りたいと思っています。

 それと、農業委員会は農地についての番人と言われるぐらい詳しいわけでございますけれども、農業委員会だけではなくて、農地バンク、農協、土地改良区等の関係機関に対して必要な協力を求めることを規定しておりまして、また、農地バンクにおきましては、現地コーディネーターを増員するということで、農業委員会が中心となるわけでございますけれども、農業委員会だけではなくて、関係機関が一体となって取り組んでいただくこととしております。

 それと、地域計画の策定期間につきましては、周知期間と合わせまして、二年間、その施行後、取っておりまして、合わせて約三年間の策定期間を用意しているところでございます。

 法律といたしましては、この地域計画を市町村は策定するものとするとしているところでございます。

 この問題につきましては、地域を問わず、高齢化が進んでいく中で、農地が散発的に遊休化していく、こういったことを防がなきゃいけない事情というのはどこの地域も同じだと思います。

 まさに待ったなしの課題ということだと思いますので、この三年間のうちに、市町村、農業委員会もでございますけれども、話合いを重ねていただいて、それで計画を作っていただく必要があり、国としてもこれを強力に後押ししていきたいと考えております。

緑川委員 今後三年間の準備期間の間にも、農政の急な方針の転換ということも想定されなければならないというふうに思いますし、こうした負担も大きくなるということも考えていかなくてはなりません。

 特に、水活交付金の交付対象の見直し方針の影響は大きいと思います。畑になっても営農を考えていくのか、あるいは水活の枠で取り組むかの判断も迫られているわけですけれども、畦畔も潰してしまって水田に戻せないところは多々あるわけです。五年後、完全に畑扱いになって水活交付金がもらえなくなるのであれば、営農を続けられずに離農する方も出てきます。そうなった場合には、その農地の新たな引受手を探さなければならなくなります。

 これまで求めていなかった水張りを求めるようになることが、目標地図の策定の進捗に影響を与えることになりはしないのか、政府の御見解はいかがでしょうか。

光吉政府参考人 お答えいたします。

 地域計画につきましては、先ほど申し上げた策定期間のうちに、市町村におきまして協議の場を重ねていただきまして、それで策定をしていただくことにしております。

 その場合、策定をした後の情勢の変化というのはもちろんございます。例えば、新規就農者が、これまで受け手がいなかったところで新たに参入するようになるとか、新たに有機農業とか輸出の産地をつくろうとか、様々な情勢の変化というものも想定されることですから、市町村は、情勢の推移に応じまして地域計画を変更できることとしております。

緑川委員 水張りのルールの影響についてお答えください。

光吉政府参考人 今申し上げましたように、法律上は、地域計画につきまして、情勢の推移に応じ市町村が地域計画を変更できるということにしております。

 したがいまして、特定の事象に限定しているわけではございませんで、情勢の変化を踏まえて、市町村で判断して、計画変更を必要なときには検討されるものと考えております。

緑川委員 今まさに懸念されている、現場で非常に強いお声のあるこの五年以内の水張りルールというものが柔軟な形で見直されなければ、私は、十年先の営農ビジョンを描くのが困難な農地が出てくるというふうに思います。交付金が縮減されることで人の確保が見通せなくなるということに加えて、水田機能を維持するべき農地かどうかという判断も、実は関係者の協議の中でも意見が分かれるケースがあると思います。土地改良区やJAも関わってくるような、農家が負担する水利費、そしてまた賦課金、こうしたものは経営に大きく関わってくるわけですから、ワンチームと一口に言っても、合意が難しいという場面は多くあるというふうに思います。

 これまで得られていたような収益構造が変わる可能性もある中で、関係者が清濁を併せのまなければならない、うまく利害を調整していくためには、例えばJAとしては、農地の効率的な利用を進める中で、どの農産物をどのように作って販売していくかということを併せ持った計画にしていくこと、そのために、JAの役割というものも欠かせないというふうに思いますけれども、政府としてのお考えがあればお伺いしたいと思います。

光吉政府参考人 お答えいたします。

 先ほども申し上げましたが、市町村が地域計画を策定し、そして、目標地図につきましては農業委員会で素案を作ることとしております。その前提といたしまして、地域で協議の場を設けて、そこで関係者の皆様で将来の農業の姿について徹底して御議論いただいて、その結果を踏まえて計画を策定するということになります。

 その関係機関、関係者の中には、委員御指摘の農協、農業協同組合というのも重要な役割を果たすものと考えています。具体的には、地域でどういった作物を作っていくのか、作付を行うのかなどにつきまして、組合員に対して、相談をして、決定をしていく、そういう立場にありますので、重要なメンバーというふうに考えております。

緑川委員 是非、関係者の協議ということ、確かに、当事者同士の協議ということが主軸ですけれども、これは国がしっかりとそうしたところもケアをしていただきたいというふうに思っています。

 地域の関係者の協議の結果、農業利用する区域、そして保全や林地化をする区域というふうに整理をして、農業利用する区域では地域計画を策定することにもなっていますが、他方で、保全や林地化する区域の在り方というものは丁寧に協議されるべきものであるというふうに思っています。

 都道府県や市町村が作成する農山漁村活性化計画の対象事業として放牧や林地化などを新たに記載できるようになって、区域の活用を図るということですけれども、地域計画、一筆ごとに何とか利用者を見出して農業の基盤である農地を守ろうと努力するこの地域計画と比べますと、活性化計画はやや後ろ向きといいますか、関係者との協議の段階で、特に中山間地域で、農用地としての活用ができなくてもこれはいたし方ないというような、妥協的な協議の動きにつながりかねないというふうに考えていますけれども、政府のお考えはいかがでしょうか。

牧元政府参考人 お答えを申し上げます。

 これは委員御案内のとおりのことかと思いますが、人口減少社会、また、農業従事者の急激な減少ということがございまして、農山漁村地域におきましては、特に中山間でございますけれども、様々な政策努力を払っても、なお農用地として維持することが困難な土地が拡大してきているというような状況かと思います。こういった荒廃農地につきましては、病害虫の発生源とか野生鳥獣のすみかとか、いろいろな農山漁村地域の活性化の阻害要因となっているということかと思っております。

 そのため、今回の法律改正におきましては、放牧などの粗放的な利用とか、あるいは、鳥獣緩衝帯の設置など省力的かつ簡易な管理、こういうことによって、何とか荒廃化による農地の減少を食い止めていきたいというふうに考えているところでございます。

 なお、活性化法の中で、こういう粗放的な利用などをするということにつきましては、あくまでも地域の話合いの中で決めていくということでございまして、基本的には、集積、集約化する農地をしっかり確保するというのが基本でございます。

 ただ、そこをしっかり守っていくためには、周辺部分から徐々に荒廃化するというところを食い止めるために、粗放的な利用によって何とか計画的なマネジメントができないのかというような観点で今回の改正を御提案申し上げているところでございます。

緑川委員 先ほど、宮下委員への御答弁で、保全管理をする区域というものを設定したとしても農地面積の確保に資するというような御答弁もありましたけれども、現状では、やはり年々耕地面積というものは二ヘクタールから三ヘクタールずつ減り続けている中で、活性化計画によって保全管理、林地化する区域が膨らんでいく場合には、これは耕地面積に数えられませんから、その減少幅がこれまで以上に広がってしまうのではないか、国の想定した耕地面積というものを維持することが見通せなくなってしまうんじゃないかということを改めて問いたいと思いますが、いかがですか。簡潔にお願いします。

牧元政府参考人 お答えを申し上げます。

 農地面積がだんだん減少しているというのは委員御指摘のとおりでございまして、令和二年三月に定めました食料・農業・農村基本計画における農地面積の見通しといたしましては、令和元年時点で四百三十九・七万ヘクタールの農地につきまして、令和十二年度に四百十四万ヘクタールと見通しているところでございます。

 ちなみに、これは、趨勢値で取ってみますともっと減少幅が大きいということに対しまして、政策努力によって何とか二十六万ヘクタールの減少にとどめたいというふうに考えているところでございます。

 そして、御指摘いただきましたような鳥獣緩衝帯でありますとか林地化、こういうことになりますと、御指摘のとおり、農地ではなくなるということでございますけれども、放っておけばどんどん荒廃農地が更に増えていくというところを何とかこういう計画的な管理によって押しとどめるということで、農地面積の減少幅を抑えるというところにも貢献するというふうに考えておりまして、したがいまして、先ほど御答弁申し上げましたように、令和十二年の農地面積四百十四万ヘクタールの見通しについては影響を及ぼすものではないというふうに考えているところでございます。

緑川委員 特に、林地化する区域というのは、そもそも、これは農地として維持が難しいと判断されたから林地化していくわけです。食料の安定供給には利用することができない、これは譲っても、本来は農地なのに農業利用せず粗放的な土地利用にする、やはりそうしたところが出てくる、あるいは、非農地として森林に戻さざるを得ない、地域によって苦渋の決断をしなくてはならないところもあると思いますが、農地のコーディネーターでもあり、農家を兼ねる職員も多い農業委員会からすれば、保全管理区域にするのはやはりもったいない、保全管理するにしても積極的な活用を図ってもらいたいという現場のお声は強くあります。

 計画的な植林で森林にしていくにしても、周辺の農地を守る機能というだけではなくて、人の手をできるだけ入れて、林産物の生産を重視する、例えば、成長の速いナラを植えてキノコ栽培をするとか、菌床栽培用にナラをチップに加工していく、あるいは、国産の漆の生産がここ五年でこれまでの倍近くに増えている中で、工芸品作りとか文化財の修復を支える漆の生産を進めていったりとか、その地域の農家が半農半林などの副業的な形で林産物を生産して、所得を補えるような林地化に進めていくべきであるというふうに思いますけれども、お考えはいかがでしょうか。

牧元政府参考人 お答えを申し上げます。

 林地化につきましては、これは、山際などの条件の悪い農地につきまして、農地として維持することが極めて困難である場合等の場合に限り計画的に行うことというふうに考えているところでございます。

 委員御指摘のとおり、荒廃農地をどうするのかということにつきましては、まずは農地として再生させるというのが、まずは考えるべき手法かと思っております。そして、それが難しかったとしても、何らかの計画的な管理ができるという手法をいろいろと考えた上で、それでもやむを得ないような場合には林地化ということになろうかと思います。林地化に当たりましては、これは委員から御指摘ありましたように、なるべく利用していくというのは、これは基本だというふうに思っております。

 したがいまして、林地化する場合に当たりましては、森林法に基づく地域森林計画の対象になるように速やかに編入したいというふうにも考えておりますし、また、そのような中で、御指摘ありましたような、例えば漆なんかもそうでしょうし、それからあと、木材として使う場合にあっても、エリートツリーとか、そういう非常に回転の速いような植林を行っていく、そういうのも非常に有力な手法ではないかと考えているところでございます。

緑川委員 是非、保全等の土地利用だけではなくて、林地化する土地についても、できるだけ積極的に活用していける取組事例というものを現場に伝えていただきたいというふうに思います。

 地域計画の方に戻りますけれども、計画に沿って農地利用を進める上で担い手の存在は重要ですが、この担い手の意味合いが変化してきていると思います。

 担い手への集積、集約化という場合には、効率的かつ安定的な農業経営を行う認定農業者などを指します。人・農地プランで言う中心経営体とほぼ同じ意味ですが、今回、地域計画の中には、農業を担う者という形で、認定農業者だけではなくて、多様な経営体も目標地図の中に落とし込んでいくことになりました。

 そして、農水省で昨年の六月に公表された、新しい農村政策の在り方に関する検討会の中間とりまとめでは、農村の担い手という言葉も出てきました。営農だけでなく、農村にも多様な形で関わっていく人が農村の担い手であるという考え方ですが、農政で言う担い手の意味が非常に多義的になっていて、必ずしも明確でなくなってきているのではないかと思いますが、いかがですか。

光吉政府参考人 お答えいたします。

 食料・農業・農村基本法第二十一条におきまして、国は、効率的かつ安定的な農業経営を育成するというふうにされております。このような農業経営を目指す認定農業者などの経営体がいわゆる担い手と考えておりまして、これらの人への農地の利用集積、これを進めていくことが重要と考えています。

 一方で、今後、高齢化、人口減少が本格化し、地域の農地が適切に使われなくなることが懸念される中、農地が利用されるよう、地域の農業を担う人材を幅広く確保、育成することは重要と考えております。

 このため、今回の改正法案におきましては、例えば、都道府県の基本方針などにおきまして、農業を担う者の確保、育成というふうにしております。この中には、先ほどの担い手を含め、農業経営を営んでいる者、雇用されて農業に従事している者など、農産物の生産活動等に直接関わっている者が幅広く該当するものと考えております。

 担うという漢字自身がかぶってはおりますけれども、それぞれの政策目的に応じて、人の位置づけがされて、必要な支援をしていく、そういう整理でございます。

緑川委員 従来の担い手、中心経営体というものを軸に据えながらこれまでも市町村では人・農地プランが作成されてきましたが、アンケートなどを通じて農業者の意向が十分に反映されているプランと、そうでない、地域の経営体や農地のごく一部しか把握されていないプランも多くあります。

 そうした実質化されていない区域の多い市町村では、話合いをリードして調整できる人材がいなかったり、中心経営体となる農業者の確保が大きな課題となって、将来の地域農業の姿を描くことが難しいという状況が続いてきています。

 そうした地域では、やはり担い手だけが集積、集約化の主な対象ではなくなってきているというふうに思いますし、担い手への集積率八割という目標値をこれから掲げることへの妥当性が問われていると思います。

 従来の担い手だけではなくて、実際には、準担い手と呼ばれるような中規模の農家、こうした経営体も、集積している数も相当ありますし、営農や農村に多様な形で関わっていく経営体もこの集積率算定の分子に加えた目標設定の方が合理的であると思います。農地利用の実態をより反映したものにしていくべきではないかというふうに思っております。

 もう一つ、まとめてお答えいただければと思いますが、これまでの担い手のような本格的な営農に限らずに、担い手が受けにくい中山間地域も含めた、多様な形で農業、農村に関わっていける経営体というものを国として後押しすることが一層必要になってきている法案であると思います。

 その支援の在り方として、これまでの青年農業者等育成センターから、農業経営・就農支援センターに機能を拡大して、支援対象を広げて、そのサポート内容も、就農時だけではなく、経営サポートにまで広げるということですけれども、その支援対象は、認定農業者だけではなくて、中小規模の経営体や半農半Xなどの副業的な経営体も対象になるのかどうか、こうした経営体への支援の在り方について、お伺いしたいと思います。

光吉政府参考人 お答えいたします。

 まず、いわゆる担い手への集積でございますけれども、効率的かつ安定的な農業経営を育成し、これらの農業経営が農業生産の相当部分を担う農業構造を確立するということが基本計画に定められておりまして、こういった構造をつくることによって、日本の農業の体質を強化するということ、持続性を確保するという観点から、極めて重要と考えております。

 一方、先ほど申し上げましたように、高齢化などが進展していく中で、担い手を含めまして、多様な経営体などを幅広く確保、育成していくということが重要でございます。

 その観点で、今回、委員御指摘の、センターの体制につきまして、対象とする人を農業を担う者としておりまして、これには、いわゆる認定農業者等だけではなくて、幅広く、多様な経営体などが含まれるところでございます。

緑川委員 担い手の高齢化も待ったなしの状況でありますし、農地の効率的な利用、その前提である、農村を守る人を維持できるような支援ということで、両方の計画作りを後押ししていただきたいと思います。

 質問を終わります。ありがとうございました。

平口委員長 次に、渡辺創君。

渡辺(創)委員 立憲民主党の渡辺創でございます。

 当選後、農林水産委員会での質疑も三度目となりました。改めて、食を通じて国民の生活に直結する第一次産業の重要性を実感しながら臨んでいるところでございます。特に、ロシアによるウクライナへの侵攻など不安定化する国際情勢や、カーボンニュートラルの観点を踏まえれば、国内で生産されたものを国内で消費するという、本来、自然な、無理のない構造を再度意識した食料提供のシステムを考えていかなければならないのではないかと強く感じます。

 さて、小学生のときに教わったことを振り返れば、縄文から弥生時代への変化は、狩猟を中心としていた生活から、食物の栽培という農業の始まりによるものでした。その時代から日本人は、農を営むために、集落、村を形成し、共同体の結びつきを深め、強めることで、生活の安定性を確保してきたわけです。

 今回議題となっている農業経営基盤強化促進法などの改正案は、長く日本の農業の礎となっている農地と集落の在り方に大きく関わるものですので、丁寧な審議が必要と考えます。

 私の持ち時間においては、人・農地プランの法定化により格段上のリアリティーを持つことになる地域計画に関することを中心に伺っていきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

 最初の質問でありますが、平成二十四年に取組の始まった人・農地プランですが、地域を歩いて行政や農業委員、農家の皆さんの話を聞いてみると、その狙いや趣旨を理解し、必要性を浸透させるには、相当な時間と大変なエネルギーが要ったということが実感できました。特に、令和元年からの実質化に向けた取組で加速してきたわけでありますけれども、今回の改正では、それを法定化するということになります。

 報道等によると、制度設計の過程では地域計画の策定を一律に義務づけるという構想であったようですが、全国市長会の要望等もあり、見送ることになったとのことのようであります。

 当初、一律にと考えたのには、その方が施策の目的を担保しやすいからではないかというふうに推測をいたしますが、変更の理由と、変更を伴っても施策の目的は十分に担保されるというふうにお考えかどうか、御認識をお伺いします。

光吉政府参考人 お答えいたします。

 今後、高齢化、人口減少が本格化しまして、地域の農地が適切に使われなくなることが懸念されます中、農地が利用されやすくなるよう、農地の集約化等に向けた取組を加速化することは、先送りできない課題と考えております。

 このため、基盤法等の改正法案におきましては、基盤法に基づく基本構想を定めました市町村につきまして、農業者等による話合いを踏まえて、農業の将来の在り方や農地利用の姿、これを明確化した地域計画を各地域でしっかり定めていただくことが必要です。法律上も、このため、同意市町村は地域計画を定めるものとすると規定しているところであり、このような考え方に従来から変わりはありません。

 地域計画の策定は、周知期間と合わせて三年程度の策定期間を設けておりまして、この間に十分に話合いを行っていただきたいと考えております。

 全国市長会からは、先月の二十二日に出された御意見では、「「地域計画」の策定をはじめ、新たな事務の義務付けがなされることなどから、」とした上で、その具体化に当たって、地域の実情に応じた対応など、運用上の御要望をいただいたものと理解をしております。

 地域計画の策定に当たりましては、目標地図作成時に農地の受け手が直ちに見つからないなど、最終的な合意が得られなかった農地につきましては、地図の作成後も随時調整しながらその調整結果を地図に反映できるなど、地域の実情にも十分配慮してまいりたいと考えております。

渡辺(創)委員 確認ですが、今いろいろ御説明ありましたけれども、結果として地域計画を作れないという地域が発生することを想定しているということでよろしいでしょうか。

光吉政府参考人 地域計画につきましては、市町村の判断で作成しても作成しなくてもよいというものではなく、法律上、地域計画を定めるものとすると規定しておりまして、各地域でしっかり定めていただくことが必要です。

渡辺(創)委員 今の御答弁の中身は分かっておりますので、ものとするとしているけれども、結果として地域計画を策定できていない、改正案が通った場合に三年後が目安になるというのは先ほどからずっと出てきている話ですが、できていないという地域が出てくるということを想定しているか否かということを伺っています。

光吉政府参考人 お答えいたします。

 地域計画につきましては、周知期間と合わせ三年程度の策定期間を設けておりまして、その間に、市町村において、関係者による協議の場を設け、その協議の結果を踏まえて、策定期間のうちに法律を策定していただく必要があり、国としても強力に取組を後押ししていきたいと考えております。三年のうちに策定していただくことを法律に盛り込んでおります。

渡辺(創)委員 分かりました。農水省としては、全て作成していただくということがあくまでも今回のことであるというふうに理解をしたいというふうに思います。

 実際にはかなり難しい問題ではないかなというふうに考えるところでありますが、私は宮崎一区の選出でありますけれども、その中心であります宮崎市の話をいろいろ聞いてみますと、例えば宮崎市では、今、約一万ヘクタールの農地のうち、令和三年度末で人・農地プランの実質化ができている地域の農地面積を合わせると、約六千八百ヘクタールというふうになります。七割弱ができている、残り三割ではできていないという状況です。

 担当者の方々の感覚では、実質化できている七割というのは、今回、法定化されて、地域計画の策定に向かって動いていくということがそれなりにスムーズにいくところだろうというふうなお話でありましたけれども、今実質化ができていないところというのは、それぞれ難しい課題を抱えているから現時点で実質化できていないという認識だというふうに、複数の方にお話を聞いても、そういうふうに伺いました。

 エリアを例えば宮崎県全域に広げてみても、実質化できている農地面積は四万三千二百三十一ヘクタール、できていないところは九千百八十一ヘクタール。つまり、二割程度はやはり何らかの理由で今実質化できていないという地域になっているわけです。

 そこで、お伺いをしたいというふうに思いますが、人・農地プランの実質化の全国の状況と、現状に対する農水省の問題認識をお伺いしたいと思います。

光吉政府参考人 お答えいたします。

 人・農地プランは、平成二十四年に開始をされまして、令和元年からその実質化を進めることといたしまして、令和三年三月末段階におきまして、耕地面積の約九割で実質化の取組が進められているところでございます。

 一方、これまでの人・農地プランは、将来の農地利用の姿と実現方策を具体的に示すところまでは至っていないところでございます。このため、今後、農地が適切に使われなくなることが懸念される中、農地の目標地図を策定して必要な法的な措置を講ずることができるよう、今回、人・農地プランを法定化することとしているところでございます。

 実質化の取組が行われていない地域があるという御指摘でございますが、これまでの人・農地プランにつきましては、法律に基づいたものではなく、一部の地域ではプランの策定についての地域の理解が十分に浸透しておりませんで、話合いをリード、調整する人材がいない、あるいは地域の農業の姿を描けないなどの理由によりまして、取組が行われていない地域もございます。

 しかしながら、地域の農地を利用されやすくなるようにしていくことは、どの地域におきましても喫緊の課題というふうに考えております。

 国といたしましても、先ほど申し上げましたように、地域で最終的な合意が得られていないところは、地図の作成後も随時調整を重ねながらその結果を反映していくことができるようにする、作成の最初の段階で全筆きちんと必ずしも合意ができるというものでもないので、随時改定をしながらやっていくことを可能としつつ、地域での話合いを円滑に進めるための専門人材によるサポートなどを行ったり、協議の進め方や地域の策定方法をマニュアルとしてお示ししたりして、市町村が地域計画を円滑に策定できるよう強力に後押しをしていきたいと考えております。

渡辺(創)委員 ありがとうございました。

 人・農地プランが始まって、取組が始まって、なかなかなので、実質化への加速を図って、今に至っている。

 現時点で実質化できていないところというのは、先ほど申したように、いろいろな課題がやはりあるわけですよね。今回、法定化して、様々な支援が新たに始まる、そして、やらなきゃいけない、必要性は十分に分かっていたとしても、やれない事情があるから今いっていないというところを、法定化したというだけで課題解決していくのは難しい、それは十分に御認識のことだと思いますけれども、ちょっとそこのところを確認しておきたいというふうに思います。

 やはり、ここまで、今の時点で実質化が実現できていない地域にはそれなりの理由があるというふうに考えるのが自然なわけですから、今回、改正が実現した場合に、おおむね三年後ぐらいに、実質化よりもその先にある地域計画を策定するわけです。容易でない地域もあるはずなので、それができてこないと、私自身はやはりそれでもなかなか困難なというところがあると思うんですけれども、その背景にはどのような事情が考えられるか、ちょっと前提の立ち位置は違うかもしれませんが、お伺いしたいと思います。

光吉政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、地域計画は協議の結果を踏まえて策定するものでございますが、周知期間と合わせまして三年程度の策定期間を設けておりまして、この間に十分な話合いを行っていただきたいと考えております。国としても、地域での話合いを円滑に進めるための専門人材によるサポートを行ったり、協議の進め方などにつきましてマニュアルを作成してお示しをしたりして、市町村の円滑な策定を強力に後押ししていきたいと思います。

 困難な場合、実質化に絡んでということでございますけれども、今回、地域計画や協議の場の区域につきましては市町村がその判断で設定できるというふうにしておりますので、市町村において、地域の実情を踏まえて、話合いや計画策定が円滑に行えるような区域を、まとめ方は御判断でできるわけでございまして、そこのところを対応することが可能としております。

 地域で農地の受け手がなかなか見つからないといった場合、こういったこともあって将来の姿が描きにくいということで実質化の取組がなかなか進んでいないところもあると思いますが、このような場合に対しましては、農地バンクの現地コーディネーターが地域外の受け手の候補者の掘り起こしを行ったりしたり、当面、例えば、多面的機能支払交付金ですとか中山間地域等直接支払交付金の活動組織ですとか、JAなどのサービス事業体などによります農作業受託を活用するといった取組も推進していきたいと考えております。

 これも先ほど申し上げましたが、目標地図の作成時に直ちに受け手が見つからないなど最終的な合意が得られなかったところにつきましては、随時調整しながら調整結果を地図に反映できることとするなど、地域の実情にも配慮していきたいと考えております。

渡辺(創)委員 ありがとうございました。

 今回、まだ短時間ですが、質疑を聞いていても、日本の農業も実に多様であって、地域の形状もあれば、やっている農業の種類でも、なかなか一様に語ることが難しいというのがよく分かる中で、今回、全国でこういう取組をやっていく、そこに課題の難しさみたいなところもあるような気がしていまして、やはり地域実態をしっかり踏まえたような対処が必要ではないかというふうに感じるところです。

 今回、質問の前に、農業委員の方々、何人かの方とお話をしてみたんですが、皆さん、これまでの人・農地プランの実質化に向けた取組の中で苦労したのは、宮崎あたりでは地区協力者という言い方をしておりましたけれども、いわば集落のリーダーの育成であり、そういう存在のありなしによって物事の進み方が相当変わったということを、皆さん、口をそろえていらっしゃいました。

 例えば、ある地区では、そういう方がいらっしゃらなくて、何とかしろというときに、隣の地区の人が行ってやれというふうに言うけれども、そんなに簡単に、そんなことで解決できる問題ではないという、なかなか、仕組みとしては合理的なようであるけれども、実態としてはそぐわないというようなことがいろいろ起きているという話も聞いたところであります。

 特に、そういうことが進まない地域というのは、基本的には、条件が不利な農地であったり、高齢化が進んでいたり、後継者がいない、今の農業の課題が凝縮されたような場所であるわけでありますので、今のまさにそういう課題が凝縮されたような地域で、今実質化が難しいというところを、さらに、地域計画を作っていくには相当なエネルギーが要るということをやはり前提にいろいろな対処を考えていかなければならないというふうに思っております。

 次に、大臣にお伺いをしたいというふうに思いますが、今回の法改正では、地域計画の策定、また、目標地図を作成するということが、今後の国の補助事業が入る前提になっていくというふうに聞いております。

 そのような誘導策がないと地域計画を進めていくという原動力にならないというのは十分に理解をできるところでありますけれども、一方で、条件不利地であったり、高齢化が進んでいたり、後継者の見通しが立っていなかったり、そういう厳しい環境にあるところ、そこを更に厳しい環境に追い込むようなことになってはいけないというふうに思います。

 先祖代々の土地を大事に、大変だけれども、そういう土地であるから、一生懸命、せめて自分の代では農業を続けていこう、そういう思いでやっていらっしゃる方もたくさんいる、そのことをしっかり大事に考えていただきたい。

 そういう地域の農業や農地にも、どのようなまなざしを向けて、どういう手を施していくのか、これは片方で重要な問題になるかというふうに思いますが、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

金子(原)国務大臣 現在の人・農地プランについても、その取組を推進する観点から、一定の補助事業と関連づけられているところであります。

 今回の基盤法等の改正法案におきましては、市町村は、農業者等による話合いを踏まえて、将来の農業の在り方や農地利用の姿を明確化した地域計画を各地域でしっかりと定めていただくこととしており、地域の目標を関係者で共有しまして、その実現に向けて一体となって取り組んでいただくことが重要であると考えております。

 このような地域計画の取組を後押しする観点から、今後、国の補助事業について、地域計画の策定と一定の関連づけを行うことも検討していきたいと考えております。

渡辺(創)委員 施策の大きな方向性が間違っているとも思いませんし、必要な対応だというふうに思うんですけれども、やはり、大きな転換があって、これからはこうなっていくんだというものに進んでいくときに、そこからこぼれ落ちるものに対してどういう視点を持ち、どういう手を施すかというのが政治の役割だというふうに思いますので、もう重々お考えのことだと思いますが、是非、改めてその点を強調しておきたいというふうに思います。

 次の質問に入りますけれども、今回の法改正が実現をすれば、先ほど御説明もありましたように、周知期間等も含め、三年後までに地域計画を策定していくということになります。市町村はそれを決定していくという立場になるかと思います。

 その中でも、特に、目標地図を作っていく作業のエネルギーは相当なものだろうというふうに思います。農地一筆一筆の情報を把握しながら、全体の意向を調整し、同時に集落の合意形成をしていくという作業ですので、これは実に大変な作業だろうというふうに思います。

 宮崎市の場合、先ほど説明した、既に実質化されたプランのところの農地だけを見ても、十三万筆の農地があるというふうに言っています。

 現在、宮崎市には、農業委員が二十四名、農地利用最適化推進委員が四十四名、そして、市の農業委員会の事務局は三名という体制であります。このような体制の中で、自治体の担当者の方とお話をすると、少なくとも今の倍の体制がないと対応できないのではないかというふうに本音を漏らしていらっしゃいました。

 今回、こういう新たな方向性を更に推進をしていくためには、体制をきちんとサポートしていかなければならないというふうに思いますし、そうしなければ、人・農地プランの法定化という取組も、ただの絵に描いた餅になりかねません。

 今年度予算の中でも、人・農地将来ビジョン確立・実現支援事業、三億円かと思いますけれども、予算化されていますが、継続的かつ十分な予算措置が今後も必要だろうというふうに考えますけれども、基本的な考え方をお伺いしたいと思います。

光吉政府参考人 お答え申し上げます。

 基盤法等の改正法案におきましては、目標地図を含めた地域計画は市町村が作成することとしていますが、目標地図の素案については農業委員会が作成することとしており、農業委員会や市町村の負担を軽減することは大変重要というふうに考えております。

 この場合、農業委員会が素案を作成するに当たりましては、聞き取りなどによりまして把握した農地の出し手、受け手の意向などの情報をその場でタブレットに入力し、これらの情報を現在インターネットで公開しております農地地図情報に反映させることで省力化を図ってまいります。

 また、今回の法案では、農業委員会は、農地バンク、農協、土地改良区等の関係機関に対して必要な協力を求めることができる旨規定しており、また、農地バンクにつきましては、現地コーディネーターを増員し、地域外の受け手候補の情報などを農業委員会に提供するなど、関係機関が一体となって取り組んでいただくようにする必要があると考えております。

 地域計画の策定は、周知期間と合わせまして三年程度の策定期間を設けていますが、国としましても、地域の話合いを円滑に進めるための専門人材によるサポートを行ったり、協議の進め方や地域計画の策定方法をマニュアルにしてお示しをしたりして、市町村が地域計画を円滑に策定できるよう強力に後押しをしていく考えでございます。

渡辺(創)委員 自治体の担当者の方に、平成二十四年に人・農地プランに取り組み始めて、今回の法改正を経て法定化をしてということをゴールに仮に設定した場合に、今どのぐらいの位置にいると感じていらっしゃいますかというふうに尋ねてみたんですが、率直なお答えは、一合目を越えたぐらいでしょうかということでした。

 つまり、これまでかかってきたものと、これから本当にこれを物にしていくためには、まだ十分の一しか来ていない、そういう意識の下で、今、この法改正の議論も見ていらっしゃるところだというふうに思います。

 こういう現場にいらっしゃる方の本音をしっかり認識をした上で、市町村や農業委員、農地利用最適化推進委員、また当事者の皆さんなどには非常にハードな作業を課すことになるわけですから、施策の方向性を定めた国としては、是非しっかりした対応を求めるということを改めて強調しておきたいと思いますし、例えば農地バンクの方も、中間管理機構、私が県議のときにできましたけれども、ずっと見てきましたが、今日も議論でありましたけれども、なかなか効果を発揮するのにはまだ十分な環境にないのかもしれませんし、この動きが活性化されれば、本当に農地バンクの方が各地区から求められるものに対応し切る力を持っているのか、そこも検証していかなければならないことだと思いますので、是非、その点もよろしくお願いをいたします。

 次の質問に移りますが、自民党の宮下先生や我が党の緑川委員の御質問にもありまして重なりますけれども、今回の一連の法改正の枠組みの中では、例えば、宮崎も非常に中山間の農地が多いところでありますけれども、中山間地等においては、農山村活性化法の枠組みを使って、耕作放棄地になる可能性の高い農地を、保全であったり、林地化を進める区域というふうにすることもできるということになっているわけです。

 現場の声を聞くと、迫田であったり谷戸など条件不利な農地では、維持していくのも困難なために、有害鳥獣の被害を食い止めるためであれば、そういう指定にしていった方が逆に精神的にも楽だなという声も聞いたところであります。片や、一方で、そういう対応によってどんどん農地が減っていって、十年後ではなかったとしても、もう少し先のときには農地が半分ぐらいになってしまうのではないかというふうに感じていらっしゃる農家の方々もいらっしゃいました。

 どちらも素直な感想として非常に納得できるものでありましたけれども、これから農地の効率的かつ合理的な利用を模索する取組を進めていく中で、結果として、将来的な農地面積の維持に支障を来す可能性も否定できない状況なのかなというふうに思っております。

 繰り返しになって恐縮でございますけれども、支障はないという御答弁がありましたが、改めてお伺いをしたいというふうに思います。

牧元政府参考人 お答えを申し上げます。

 この農山漁村活性化法の改正におきましては、農業上の利用が難しくて荒廃化のおそれのある農地につきまして、放牧等の粗放的な利用、また、鳥獣緩衝帯の設置等の省力的かつ簡易な管理など、極力、農地として保全する取組を推進をいたしまして、荒廃化による農地の減少を食い止めたいというものでございまして、農地面積の確保に資するものだというふうに考えておるところでございます。

 また、御指摘いただきました林地化でございますけれども、これにつきましては、山際などの条件の悪い農地につきまして、農地として維持することが極めて困難である等の場合に限り、計画的に行うこととしているところでございます。

 なお、じゃ、現在、林地化がどれぐらい行われているかということでございますけれども、農林水産省の調査結果では、農地転用許可によりまして植林された面積というものは、全国で、年平均いたしますと二百五十ヘクタールというところでございます。今般の措置によりまして増加するということも考えられるところでございますけれども、国全体の農地面積に影響を及ぼすような増大にはならないのではないかというふうに考えているところでございます。

 いずれにいたしましても、優良農地をしっかり確保していくということがまずもって基本でございますので、それを基本に考えながら、この活性化法の運用を図っていきたいと考えております。

渡辺(創)委員 ありがとうございました。

 あくまでも優良農地を守るための、その中でのオプションであるというのは、十分これまでの御答弁でも理解できたところだと感じております。

 最後の質問にしたいというふうに思いますが、宮崎の水田では、既に田んぼに水が張られて、かなり田植も終わっているという状況です。早場米の産地だからということだけではなくて、WCSとか飼料用米をやっていくには、農繁期を避けるために少し早めに田植をしたりという面もあるんだということを、私、今回、ちょっと不勉強であれだったんですが、そういうことを知ったところであります。

 宮崎ではシャクと言ったりしますが、人が食べる稲作の面積はどんどん下がっていって、畜産と連動するような前提の稲作の比率がどんどん高まっているところです。時代の変化の中で、それに適応しよう、何とか農業を維持しようというふうに努力をしている生産者の方々が、宮崎にもでありますが、日本中にいることだろうというふうに思います。今回の改正は、そういう方々の未来に大きな影響を与えるものだというふうに思います。

 時代の潮流や土地集約を進めることの必要性は十分に理解されながらも、戸惑いを抱えていらっしゃる方々がいるというのも事実だろうというふうに思います。

 だからこそ、今回の法改正の先にある施策は、つまり、実効性をどのように担保していくのかということと、今日もこの質疑の中でも見えてきましたが、見ている農業の姿が地域によって様々違うと思います。そのことをしっかり踏まえて、そこからこぼれ落ちそうなものがあるとするならば、フォローアップを一定程度していくということも大事だというふうに思います。

 加えて、ある農業委員の方はおっしゃっていましたけれども、今日の質疑でも出ていましたが、地域計画の策定後も、どんどん変わっていく現実を、きちんとその現実と向かい合い続けて、更新作業を続けていくということが重要なんだというふうにおっしゃっていました。これをやらなければ、今回こういう取組をしていることも何の意味もないというふうに大変強くおっしゃっているのが印象的でありました。私もそのとおりだというふうに感じたところであります。

 この辺りも踏まえ、今後の取組に向けた決意を最後に大臣からお伺いをしたいというふうに思います。

金子(原)国務大臣 今後、高齢化、人口減少が本格化し、地域の農地が適切に利用されなくなることが懸念される中、農地が利用されやすくなるよう、農地の集約化等に向けた取組を加速化することは、待ったなしの課題であります。

 このため、今回御審査いただいている法案に基づきまして、各地域の農業者や関係機関等の方々と一緒になって、国も、しっかり支援しながら農地の集約化等を進めるとともに、必要な農地の保全等を図ることにより、地域の農地が今後とも適切に利用されていくように努めていく考えであります。

 法律は、作って終わりではなく、各地域で取組が実践されていくことが重要であります。現場の声をよく聞き、耳を傾けまして、寄り添いながら、関係者と一体となって課題の解決や施策の推進に努めてまいりたいと考えております。

渡辺(創)委員 最後にしますが、私は、今回の質問に当たって、私の選挙区内で、人・農地プランの実質化が図られた際に、市町村から公表されている協議の結果という資料を、全部の選挙区内のやつを見てみたんですけれども、やはり相当内容に濃淡があるなというふうに感じます。読んでいて、地域実情が実に的確に反映されていて、悩みが深いというのも分かる面もありますけれども、かなり粗い作りだなというものもあれば、よく考えて作られているものもあるなというのが実感でありました。

 これから地域計画を策定するには、ここをみんな充実したものにしていくというのが極めて重要なことだろうというふうに思いますので、是非そのことを農水省にもお願いを申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

平口委員長 次に、池畑浩太朗君。

池畑委員 日本維新の会、池畑浩太朗でございます。

 私の選挙区は、兵庫県でございます。私の選挙区には、農林水産業が全てございます。家島、坊勢島や赤穂、相生などの漁港、宍粟市などの林業、今まで質問させていただきましたけれども、新しい農法の、アサリとか、畜産や放牧について質問させていただいていました。

 今回の法案について、地元を回ってきました。プラン作成、農地の農地バンクへの集積や集約、それを貸し出す、いつも言われますよねという声が多かったです。しかし、私は、土地を集約することや集積することは大事だというふうに思いますし、進めるべきだというふうに考えます。中山間地域の直接支払いや多面的支払いが入っても、とても自立ができないという声もございました。だから、年金生活者しか田んぼはできないんだ、どんなに農地バンクで集めてみても、それを受け入れる人が現状いなければ国の農地は守れない、中山間地が多い地域でございますから、そういった声が多くございました。

 私は、今回の質問は、人に注目をしていきたいというふうに思います。以下、幾つかに分けて質問させていただきたいと思います。

 今回は、多様な経営体に、持続的な農地利用についてということでございます。人・農地プランにおいて、農地を将来にわたって持続的に利用すると見込まれる人として、多様な経営体を認定農業者とともに積極的に位置づけ、その利用を後押しするとしております。宮下委員からもありましたし、今の渡辺委員からもありましたけれども、その多様な経営体として、継続的に農地利用を行う中小規模の経営体や、作業、機械などを共同で行う、農業を副業的に営む半農半Xの経営体などを示しております。

 しかし、これらの育成をするノウハウは今まで培われていなかったというふうに思います。このように政策の支援対象を広げることで、異論もありました。施行二十年を経過した基本法二十二条に、専ら農業を営む者等に、農業の展開を掲げていることとの関連で、今後、これらの多様な経営体についてどのような整理をして政策上位置づけていくのか、また、基本法の見直しを行うのか、お聞きをしたいと思います。

光吉政府参考人 お答えいたします。

 今後、高齢化、人口減少が本格化いたしまして、地域の農地が適切に利用されなくなること、これが懸念される中で、農業の将来の在り方や農地利用の姿を明確化した地域計画を定めていただくこととしております。

 地域計画におきます目標地図につきましては、目指すべき将来の農地利用の姿として、農業を担う人ごとに利用する農用地等を明らかにすることとしております。

 このため、目標地図には、例えば、認定農業者だけでなく、多様な経営体が位置づけられるものと考えており、それらの方々による地域の農地の適切な利用が期待されるところでございます。

 委員御指摘の食料・農業・農村基本法第二十二条におきましては、意欲ある農業者が創意工夫を生かした農業経営を展開できるようにするための施策を講ずるということが規定されておりますが、今回の改正をもってこの規定を見直す必要があるとは考えておりません。

 農林水産省におきましては、従来から、意欲ある農業者といたしまして、経営規模の大小や、法人かあるいは家族農業経営かの別を問わず、幅広く育成、支援するとともに、中小・家族経営など多様な農業経営体が地域社会の維持に重要な役割を果たしていることに鑑みた支援を行ってきているところでございます。

 今後も、引き続き、地域の農業を担う人に対し、品目別対策、多面的機能支払い、中山間地域等直接支払い等を含め支援策を実施するとともに、各地域で策定される地域計画の達成が図られるよう、必要な後押しを行ってまいりたいと考えております。

池畑委員 ありがとうございます。

 従来どおりいろいろな農家を支援していきますというお話をいただきましたが、それを受けまして、今回の法案の中に、農業経営・就農支援センターについてお聞きいたします。

 地元を回っておりますと、また、たつの市というところで、百年近く続く米農家があります。前田さんと言われるんですが、私と同世代の農家さんです。兵庫県内でも大きな、三十ヘクタールぐらいで、そのうち有機農法で十五ヘクタール、かなり兵庫県内の中でも一番、二番の、大きく有機農家をされている農家さんです。

 その中で、私はその農法についていろいろとお聞きをしてまいりましたが、近くの農家さんにもその農家さんが指導をするということで、栽培した農作物を買い取って独自に販売する能力も持っておられます。

 そこで、今回、本法律案において、都道府県農業経営・就農支援センターを整備して、国、地方公共団体、農業委員会、農地バンク、JA等の関連機関を連帯をする、そして、今答弁もいただきましたけれども、経営、就農サポートを実施するものとしております。

 その中で、従来の担い手はもとより、中小規模の経営体、先ほどもありました半農半X等の多様な経営体も対象になると思われておりますが、具体的にどのような組織、個人が支援対象となるんでしょうか。

光吉政府参考人 お答えいたします。

 今後、高齢化、人口減少が本格化していく中で、地域の農業を担う人材を幅広く確保し、育成することが重要と考えております。

 このため、基盤法等の改正案におきましては、青年等に限らず、幅広い者からの就農に関する相談への対応、就農に向けた市町村等の関係者との調整、農業者からの農業経営に関する相談への対応、円滑な継承のための助言、指導などの業務を行う農業経営・就農支援センターとしての機能を担う体制を都道府県が整備することとしております。

 この農業経営・就農支援センターの業務におきましては、農業経営を営む者、雇用されて農業に従事する人、新たに農業を始めようとする人などにつきまして、法人か家族経営か、経営規模がどうかなどの別を問わず、幅広くサポートすることとしております。

池畑委員 今のように、幅広くサポートをする、先ほどの、前の前の答弁でもいただきましたけれども、幅広くサポートをするということなんですが、サポートする人として、先ほど取り上げました、たつのの百年続く農家さんなんですけれども、ほかの農家を支援する農家さんもいるんだということを認識を持っていただきたいなというふうに思います。

 また、前々回来ていただきました参考人の方々の例もございます。サポートや支援ができる農家さん、そして、しゃべれる農家さん、いろいろな面で知識を持っていらっしゃる農家さん、エビデンスを持っていらっしゃる農家さん、たくさんおられます。この委員の皆様の中にも、地域に、この方はかなり先進農家だなと言われる方が思い浮かぶと思います。

 その中で、せっかく、私も前々回に質問させていただきましたけれども、七十二年間、四十四兆円もかけました立派な農地が日本国にはあります。その中で、地域をよく知っておられる農家さんも巻き込みながら、技術的に的確に把握をしておられる農家さんを巻き込みながら、その方々が、農家が農家を支える政策も必要ではないかというふうに私は思います。

 今回説明をされておられました農家さんは、パワーポイントを使って一生懸命我々に説明をしていただきました。私も農業高校の教師をしておりましたけれども、的確に、物すごく短く説明をしてくれました。競走馬の馬ふんを使って、七年間同じ田んぼでエビデンスを取って、どんな作物ができるか。有機農法で、同じアスパラの品種で、糖度が高いことから引き合いがありまして、技術は変わらないんですけれども、やはり引き合いが多くなって、どんどん単価が上がっていったということもお聞きをさせていただきました。

 そういう中で、半農半Xということも踏まえて、今しっかりとこういう農家さんたち、農家を支えることができる農家さんたちもよく注目をして、サポートしていただきたいというふうに思います、サポートの仕方が違うと思いますので。

 そこで、私も、昨日、夕方のNHKのニュースに出ておりましたけれども、たまたまそのニュースに出ておられた農家さん、そして農家をまとめる農業学校の方々と接触することがありました、ニュースの出る前に接触をしていたんですけれども。

 その方がお話をされるんですが、首都圏で七十一万人ぐらい、潜在的に農業をしてみたいなというふうに希望される方がおられます、また、農業を始めたいと思っても、農業委員会、先ほどから出ております農業委員会で農家となかなか認定されない、認可が欲しかったら、最低限、農業大学校に行くとかするべきではないかというような指摘も受けます、でも、会社勤めで、なかなか農業大学校まで行って就農するという冒険もできない。そこで、民間の農学校としてNHKで取り上げられていましたのが、週末にそういった農業技術を勉強しながら、果たして私が農業に向いているのかどうか、就農に向いているのかどうかということを一年ないし二年ぐらい勉強してから、これが向いているか向いていないか、いきなりやめてしまうのではなくて、そういったことから入り込むということもお聞きをさせていただいておりました。

 その中で、やはり、先ほどありましたけれども、やる気のある方々と中山間地の、私は中山間地という話をさせていただきましたけれども、やる気のある方々と中山間地の農地とのマッチングというのも可能性があるのではないかなというふうに思います。

 農山漁村発イノベーション対策事業の中で、市民農園の形式の農地の支援が可能ということでしたが、こうした人材を幅広く育てる、こういった市民関係の学校に関しても何らかの支援を行ってはどうかなというふうに考えますが、見識で結構ですので、答弁をいただけたらと思います。

光吉政府参考人 お答えいたします。

 農業者の高齢化、減少が進む中で、我が国農業が将来にわたって発展していくためには、人材の確保ということが重要と考えています。

 そのため、新規就農者に対する支援などを行ってきておりますけれども、あわせて、本格的なそういった就農を行うだけではなくて、できるだけ、委員御指摘のような市民農園などで農業に親しむ機会を持ってもらって、そこから本格的に農業への意思を固めていただくということも、ルートとしてはあるのかなというふうに考えております。

 こういった取組を促進されるようにしていきたいというふうに考えております。

池畑委員 その中で、今答弁もいただきましたが、農業委員会というところにひっかかります。農業委員会で農家として認定されるというふうな表現を使われておられましたけれども、農業委員会の役割の見直しについて質問させていただきたいと思います。

 人と農地プランの法定化の中で、協議の場を設けるとしております。

 そこで、ちょっと質問を二つ重ねさせていただきますけれども、協議の場を設けるというふうにございます。そこで、スーパーとか農業関係の企業者、企業など、実際に農作物のニーズを持った第三者を入れることが重要ではないかなというふうに思います。いつものメンバーでいつもの話をしていても、なかなか、発展的ではないんじゃないかなというふうに思いました。

 その中で、実際、第三者を入れることが重要ではないかというふうに私は思っておりますが、どのように思われているでしょうか。

光吉政府参考人 改正法案におきましては、基盤法第十八条で、市町村が、一体として地域の農業の健全な発展を図ることが適当であると認められる区域ごとに、農業者、農業委員会、農地バンク、農協、土地改良区その他の当該区域の関係者による協議の場を設け、将来の農業の在り方等を話し合っていただくこととしております。

 この場合、地域の関係者として具体的にどのような方々に話合いに参加していただくかは市町村に御判断いただくことになりますが、家族経営や法人かの別などを問わず、幅広い農業者の意見や新規就農希望者の意見を取り込んでいくことが重要であり、市町村の判断で、地域の農産物の販路先となる事業者等の御意見を聞くことが有益なケースもあると考えられます。

 国としては、この協議の場で、地域の御判断でしっかり御議論が行われるように、取組を後押ししてまいります。

池畑委員 地域の判断もとても大事だというふうに思いますが、やはり同じ場所で同じ人たちが話をするのではなくて、農林水産省、国が率先して、方針をこういうふうに変えていこう、こういう人を入れていこうという指示も、ある意味、必要ではないかなというふうに私は思いました。

 今回、目標地図を作成されておられます。この目標地図、私は、一番最初見たときに、ああ、すばらしいなというふうに思いました。

 私も農業大学校を卒業して、卒業する二週間ほど前に、就農してはどうかということを大学の先生に言われまして、二週間前でしたので、就職が決まっていなかったというだけなんですが、就職をするに当たって、その二週間前あたりにいろいろなプログラムのお話を聞かせていただきました。

 私はメロンが専攻でしたので、メロン農家になった場合、三十アール、そしてまた一町作った場合にこれぐらいの利益が上がりますよというシミュレーションが三十年以上前にありました。そんなに難しいシステムではなかったんですけれども、それを見て、何時間働いたらこれぐらいもうかるんだということを見せていただいたことがありました。

 でも、最終的に何がなかったかといいますと、農地がなかったということで、静岡県のように、ばりばりのメロン農家さんたちではなくて、岡山県を主とした、そういった地元のメロン農家を目指すにしても、なかなかそういった農地が見つからなかったがために、就農せずに今ここにいるわけでございますけれども。

 まず、その目標地図を作成するという中で、この地図はどのような形で閲覧ができるようになるのか。

 従来ずっと質問させていただいておりますが、マーケットインの農作物を生産するためには、このデータベースを活用して、出口を持った法人とのマッチングが不可欠であるというふうに思いますけれども、どのようなイメージで公開をしていこうと思われているのか。

 また、公表から公告まで三年程度を要するというふうにありますが、随分時間がかかり過ぎではないかなというふうに思います。併せて答弁いただけたらと思います。

光吉政府参考人 具体的な目標地図、これは素案につきまして、先ほど来申し上げておりますが、農業委員会で作成し、最終的に市町村が計画の一部として策定することにしております。

 この具体的な目標地図を作成するに当たって、マーケットインという御指摘をいただきました。

 この地図、計画自身は、そもそも地域の関係者による協議の場において議論した上で、地域としてどのような農業を将来在り方として考えていくか、こういったことを徹底的に議論していただいた上で、農地の利用の姿として描かれるものでございます。この中で、将来の地域の作物の方向ですとか需要を踏まえてどういうふうに対応していくか、こういったことを御議論した上で協議が行われ、その結果を踏まえて、地図の中あるいは計画の中でも姿が描かれていくものと考えております。

 そして、三年というのは、法律の施行までの周知期間とそれから二年間の期間を合わせて、合計で三年の間に策定期間としておりまして、この間に地域で徹底した議論を重ねていただいた上で計画、地図を策定していただきたいとしているところでございます。

池畑委員 私の実体験もありながらなんですが、やはりデータベースがありますと、とても計画的にはすばらしいというふうに思いましたし、将来、農業をしてみたいといった、半農の方々もシミュレーションがしやすいんじゃないかなというふうに思いました。

 理想論ではないかという声もたくさんありましたけれども、農業委員会がその土地を当然把握をしておられますし、渡辺委員からもありましたけれども、地域の農業委員の方というのは、詳しく当然御存じであります。

 実際に、新しい方を違う県から入れるだとか、企業をそこに入っていただくだとか、そのためにこのデータベースがあるのかどうかということもあるんですけれども、そもそも、外部から入ってくるということを想定しているのかどうかということもありますが、保守的だというふうに私は思っておりましたが、農業委員会は、そういった新規就農をされる方に対してはちょっと否定的な声があるということもお聞きをさせていただきます。

 その中で、ちょっと前段、前後いたしましたけれども、農業委員会の役割の見直しについて改めて質問させていただきますが、農業委員会が、今回、農地利用最適化推進指針の中で定めなければいけないということで、今回の法改正で義務化することになりました。

 全般的に農業委員会の負担が大きくなるというふうに私は見たんですけれども、令和三年六月の規制改革実施計画に示されたように、農業委員会の役割が今回きちっとした見直しにつながるのかどうか、教えていただきたいと思います。

光吉政府参考人 農業委員会につきましては、平成二十七年に農業委員会法を改正していただきまして、農地集積、遊休農地の解消などのいわゆる最適化活動を必須業務とするとともに、最適化活動の目標や取組方針につきまして、農地利用最適化方針、これを定めるよう努めることとしております。

 今回、目標地図の達成のために農業委員会が中心的な役割を果たしていくことが求める内容としておりますが、地域内の出し手、受け手の意向などの把握、目標地図の素案の作成、目標地図に基づく農地バンクへの利用権の設定等の促進など、これまで以上に積極的に最適化活動を実施することが必要となります。

 このため、これらの取組がより効果的に行われるように、あらかじめ地域の実情に応じて最適化活動の方針を定め、その方針に基づきまして、必要な改善、検証を行いながら活動を推進していただくことが必要であることから、今回、全ての農業委員会で指針を作成するということにしているところでございます。

 なお、この点につきましては、昨年十二月に、農業委員会系統組織におきましても、全ての農業委員会が最適化活動に関する目標を設定することについて、組織決定がなされたと承知をしております。

池畑委員 今回の法案を見ても、どこを見ても、やはり農業委員会、農業委員会ということで、いろいろな主導する立場にあるというふうに思います。

 その中で、どこを見ても、先ほど言った農業委員会という文言が出てきますが、稲津委員からもございましたけれども、今回、農業委員会が、やはり担い手の農地の集積率八〇%というのは、なかなか、目標だけではないかということで、当時の河野太郎規制改革担当相は、ほとんどの農地が違反で転用されていることについて、追認ということは納得がいかないと。そういうことで、随分プレッシャーをかけられているように私は見受けるんですけれども。

 その中で、改めてちょっとお聞きをしたいというふうに思いますけれども、手続が負担になってはいないという認識でよろしいんでしょうか。

光吉政府参考人 お答えいたします。

 手続が農業委員会の負担になっていないかということでございますね。失礼いたしました。

 農業委員会は、これまで地域の農地の利用の促進などについて御尽力をいただいていますが、先ほど申し上げましたように、二十七年に法改正をして、そこからこれまで法定業務として農地法の許可などをやってこられてきておりますけれども、それ以外に最適化業務をやっていくんだということを、新たに必須業務として法律上位置づけていただきました。

 これについて、現場の農地利用の状況ですとか所有者の状況等については、様々な御事情がそれぞれの地域にあるとは思いますが、一つ一つ解きほぐしながら、最適化業務に、難しい局面もあるかと思いますけれども、取り組んでいただいているものと考えております。

池畑委員 農業委員会の方々は、私も地元でお聞きする中で、一生懸命頑張っている当然農業委員会もありますし、今回、報告を求められることによって、人数が足りないというふうな話もありましたし、今後どういうふうに進めていくかということも、議論をしていく上で市町村と決めていくということはすごく大事なことだというふうに思います。

 これは、これから施行期間、合わせて三年程度ということで、しっかりこのプランは頑張っていかれるというふうに思いますけれども、今後、このプランを使って、また農地の、先ほども申し上げました、これからいろいろな農家、農業体制、経営体というのがあるというふうに思いますけれども、総じて、今いろいろなお話が出ましたけれども、大臣にお聞きしたいんですけれども、そういった農家たちを集約をして、勉強される機関を設けるべきだというふうに思いますし、農業大学校や農業高校を卒業した人たちをいかに積極的に、こういうやはり農業に就いてほしい、農家になって努力をしてほしい、農地を守ってほしいということを周知徹底していくのか、大臣からお聞きしたいというふうに思います。

金子(原)国務大臣 農業者の高齢化、減少が進む中で、我が国農業が将来にわたって発展していくためには、新規就農者を育成、確保することが重要であると思います。

 このため、若者の就農を促進するため、就農前の研修や就農後の資金の支援等に加えまして、令和四年度予算におきましては、経営発展のための機械、施設等の導入や、先輩農業者における技術指導等、地域におけるサポート体制の充実を支援することとしたところであります。

 また、こうした若者の独立、自営での就農以外にも、農業法人に雇用される形での就農を促進するための資金の支援のほか、他産業で就職した後に就農を目指す方々に対しましては、研修を本格的に始める前に試行的な形で農業を体験することができるインターンシップの取組、農業大学校等の農業教育機関におけるリカレント教育の実施等を支援しているところであります。

 このように、農業への関わり方等に応じた多様な支援を講じることによりまして、農業への幅広い人材の呼び込みと定着を推進してまいりたいと思います。

池畑委員 大臣、ありがとうございました。

 私は、最初の質問のときに、人にこだわって今回は質問をさせていただくということだったんですが、やはり担い手がいなかったら、せっかくこれだけ集積しても、なかなかこだわりにならない。やはり、これだけ農業というのはもうかるんですよ、しかし、きっちり技術も習得しなきゃいけないですよというお話は進めていきたいというふうに思っておりますし、そういう政策だというふうに思っております。

 フランスのように、面積を一番最初に決めて、これだけは農地として守るんだということを決めて、これ以上は減らさないというところから必要な人材も育成していかなければいけないんじゃないかなというふうに私は思います。こういったことをかなり、農家としてとどめておくためには、米価の保障であるとか、所得補償等をまずしなければいけないというふうに思いますし、この政策を進めるためには、農家さんたち、また農業をやってみようと思う方々がきっちりとこれを読み込んでいただいて、最後は周知をしていただかないといけないというふうに思います。

 最後にお聞きをさせていただきますけれども、こういったことを徹底して周知していくためには、うちの、日本維新の会の空本理事からもありましたけれども、農林水産省がユーチューブなどで広告をされていると思いますが、しっかりと広告をするためにどのようなことを考えておられるか、お話を聞かせていただきたいと思います。

光吉政府参考人 お答えいたします。

 現場に対して政策を周知をして、それをしっかり現場の方々に使っていただく、それで初めて取組が実行されて、現場の方の例えば所得が上がるですとか、成長産業化が実現していくものというふうに考えております。

 したがいまして、今回の法律案もそうでございますけれども、予算も含めまして、政策につきましては、その考え方ですとかその内容について現場の皆様に丁寧に御説明をしていくことが肝要と考えております。

池畑委員 これからも地元の意見を聞いて、私自身も日々研さんを積んでいきたいというふうに思います。

 これで質問を終わらせていただきます。

平口委員長 次に、長友慎治君。

長友委員 国民民主党の長友慎治です。

 今日は、私が三月二日のこの委員会で、大臣所信に対する質疑でも触れさせていただきました農山漁村発イノベーション対策について質問をしたいと思います。

 農山漁村発イノベーションサポート事業についてでありますけれども、中央サポートセンターはどこの誰が担うことになったのか、伺いたいと思います。

牧元政府参考人 お答えを申し上げます。

 御質問いただきました農山漁村発イノベーションサポート事業でございますけれども、これは、前身でございます六次産業化サポート事業を改変した事業でございまして、毎年度、公募によりまして事業実施主体を選定をしているところでございます。

 令和四年度のこの中央サポートセンター運営事業の公募結果につきましては、本年四月八日に公表しておりまして、株式会社パソナ農援隊が選定をされたところでございます。

長友委員 パソナ農援隊さんが請けられたということで、私も、公募要項等を見て確認をしております。

 このイノベーションサポート事業は、高度な専門家の派遣ということで、中央プランナー又はエグゼクティブプランナーによる伴走支援をうたっています。今回、その中央サポートセンターをパソナ農援隊が請けたことになりますけれども、では、パソナ農援隊は、中央プランナー、エグゼクティブプランナーはどのような方々を公募するのかについて伺います。

牧元政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、この中央プランナーでございますけれども、これは、中央サポートセンターが設置、開催をする中央支援検証委員会におきまして、農山漁村発イノベーションの取組に関する専門的な知識経験を有する方々として、民間の専門家を公募により選定するということになっておりまして、具体的には、中小企業診断士とか民間のコンサルタントの方、元食品メーカーにお勤めになっておられた衛生・品質管理の御専門の方、管理栄養士さん、こういった個別の課題に対応できる人材を選定をしているところでございます。

 また、エグゼクティブプランナーでございますけれども、これは、やはり中央支援検証委員会におきまして、専門的な知識経験が特に豊富で高度な指導能力を有する方々を中央プランナー等の中から選定するということになっておりまして、具体的には、非常に多角的なアイデアとか様々な人的ネットワークを活用いたしまして、経営改善、発展の戦略構築を行うということで、経営全体にもこういう助言ができるような人材ということで選定をされているところでございます。

長友委員 このイノベーションサポート事業を利用しようとした農林漁業者等で支援を希望する方が、都道府県のサポートセンターを通して、今御説明のありました中央プランナー、またエグゼクティブプランナーの支援を受けることができるということと理解しておりますが、その方々を一回派遣するに当たる謝金というのは幾らと設定されているのか、教えてください。

牧元政府参考人 御質問いただきました謝金については、大体一日当たり三万円程度となっているところでございます。

長友委員 一日三万円というお答えがありました。

 この中央サポートセンターの下には、各四十七都道府県にそれぞれサポートセンターが設置されます。そこは、県から委託を受けて、これまでと同様に、農業公社、農業支援センターや商工会連合会、中小企業団体中央会やJTB、地銀、六次産業化サポートセンター等がまた請け負うことになるんだろうなと私も理解しております。

 さらに、そこで地域プランナー、地元で活躍する民間の専門家がそれぞれの地の事業者のサポートをするというふうに理解しているんですけれども、その地元で活躍する地域プランナーさんを、じゃ、支援をいただくときに、一回の謝金というのは幾らで設定されているのか、教えてください。

牧元政府参考人 御指摘をいただきました都道府県のサポートセンターなどが派遣をいたします専門家につきましても、先ほどと同様に、大体一日当たり三万円程度の日当となっているところでございます。

長友委員 ありがとうございます。

 それでは、この農山漁村発イノベーションサポート事業の部分のみで、幾ら一体予算を確保しているのかについて教えてください。

牧元政府参考人 お答え申し上げます。

 令和四年度におきます農山漁村発イノベーションサポート事業の予算につきましては、農山漁村振興交付金という大きな予算の中で、その内数ということで所要額を計上しているところでございまして、この農山漁村振興交付金全体額は九十八億円、その内数ということでございます。

 なお、実績で申し上げますと、この事業につきましては、前身が六次産業化サポート事業という事業だったわけでございますけれども、この六次産業化サポート事業の令和二年度の決算額は、約四億二千万円となっているところでございます。

長友委員 今、御答弁で、四億二千万円というふうに説明がありました。

 まず、中央サポートセンターを請けるパソナ農援隊さんの方が今回応募しているのが、公募上限が一億円を上限とする事業になるんですね。その四億二千万からパソナ農援隊の取り分の一億円を差し引いて、残りの三億二千万が四十七都道府県に割り振られる、そういう理解になってくると思います。そうすると、一都道府県当たりのサポート事業の予算というのは七百万ぐらいになってくるわけですよね。

 先ほどもありましたけれども、都道府県にサポートセンターを設置する、そこの運営費、恐らく、一人、事務局をつくれば人件費で五百万ぐらいかかってくるんだと思います、出張の諸経費等がかかりますし。そうなると、七百万から五百万の運営、事務費を引くと、大体、相談の支援にかけられる予算というのは二百万あるのか、三百万から二百万ぐらいになってくるんだろうなと思うんですね。

 そうすると、先ほど、一回の謝金は大体三万円というお話がありました。私が、じゃ、地元で相談を受ける、イノベーションを起こすために相談を受けるのに、一回の相談を三万円、そして、一年間に毎月一回受ける、十二月と一月は受けなかったとして、年間で約三十万使ったとしたら、大体都道府県当たり十事業者あるかないか、それぐらいの規模になるんだということが今ので見えてきました。

 そこで、私がちょっと議論がしたいところなんですけれども、各都道府県に約十事業者、四十七都道府県で、全国で五百ない、四百七十事業者を対象とするようなこのサポート事業で、本当に農山漁村発のイノベーションが起こせるのかどうかというのが私の疑問でございます。

 大臣、今日の答弁、質疑を踏まえまして、実際に、この事業でイノベーションが本当に果たして生まれるのかということについて所見を伺いたいと思います。

金子(原)国務大臣 農山漁村発イノベーションサポート事業は、多様な地域資源を活用した商品開発等に取り組む事業者を対象に、相談窓口の設置や専門家の派遣等の支援を行うものでありまして、各地域において農山漁村発イノベーションに取り組む新たな人材を創出しまして、これらの者が中心になって地域の取組を牽引していくことを期待しているものであります。

 令和二年度の支援対象者は全国で四百五十七名であり、これらの中には、地域のリーダーとして活躍し、表彰を受けるなど、全国モデルとなる方々も現れているところであります。

 今後とも、全国モデルとなり得る人材の育成、確保を目指しまして、サポート事業による支援を推進するとともに、農山漁村発イノベーションに必要な施設整備等について、農山漁村振興交付金等により支援していく考えであります。

長友委員 是非、期待外れのサポートセンターにならないように強くお願いしまして、本当なら、もっと予算をつけるべきだということを申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

平口委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 農業経営基盤強化促進法について質問します。

 政府は、二〇二三年に、全耕地面積に占める担い手の利用面積の割合、集積率を八割にする目標を掲げてきました。実際は、二〇二二年度、五八・〇%。二〇一〇年度の四八・一%から九・九%増という状況にあります。

 農地の集積を担う農地バンクは、当初、条件の悪い農地は借受けをせず、農業委員会を排除するなど、多くの問題がありました。その後、二〇一九年の法改正によって、農業委員会の関与が明記され、人・農地プランを位置づけ、地域の自主的な取組を補助する機構、組織として一定の改善がなされてきました。

 後で述べますけれども、全国市長会の声明では、人・農地プランの実践の段階に入ったばかりという段階です。そんな中で、今度は、プランを市町村計画として法定化するという提案です。

 そこで、伺います。

 これまでの地域主体の取組について、政府はどのように評価しているんでしょうか。評価されていないんでしょうか。なぜ制度をこれほど大きく変える必要があるんでしょうか。

光吉政府参考人 お答えいたします。

 これまでの人・農地プランの取組についてでございます。

 平成二十四年にプランが創設され、その後、実質化に各地域で取り組んできていただいているところでございます。将来の農業の在り方、あるいは、地域住民の、所有者等の方々の今後の意向、考え方などを議論していただいて、それを盛り込む形でプランが策定されつつあると思います。

 ただ、この場合、将来の方向について議論していただいても、その内容が抽象的で、具体的にどうしていくかということがなかなか描かれていない状況でございます。

 今回、このため、法律案を提出をいたしまして、地域の場で協議をしていただいた上で、その結果を踏まえて、将来の農地利用の姿を目標地図として描いて、それを含めた地域計画を策定していただくということにしているところでございます。

田村(貴)委員 改正案十八条では、市町村は、農用地等の区域等について、農業者、農業委員会、農地中間管理機構、農業協同組合、土地改良区等による協議の場を設けるとしています。

 この協議の場というのは、地域的にはどのような範囲を想定されているんですか。

光吉政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のように、改正法案におきまして、基盤法の十八条で、自然的経済的社会的諸条件を考慮して一体として地域の農業の健全な発展を図ることが適当であると認められる区域ごとに、協議の場を設けることとしております。

 具体的には、地形や水利等の自然的条件、農産物の生産状況や圃場整備の状況などの経済的条件、自治会や校区などの社会的条件を考慮して、農地の出し手や受け手の話合いや合意形成が行いやすく、取組を進めやすいと考えられる区域ごとに市町村で考えていただくこととしております。

 具体的には、集落単位のほかに、隣接した複数の集落、大字、小学校区など、地域の状況に応じて、これまでの人・農地プランの策定地域も参考にしながら御判断をしていただいて、適切な区域を設定していただきたいと考えております。

田村(貴)委員 学校区、それから集落、字、こうした地域外からの借り手も当然おられるわけです。

 協議の場に域外借り手の声というのは反映しないのでしょうか。事前のレクでは、想定しないというお話だったんですけれども、いかがですか。

光吉政府参考人 お答えいたします。

 協議の場につきましては、まず、農地の所有者の方と、農業者としてはですね、それと、そこで農業をやっておられる方、重なる場合もあると思いますけれども、そういった方が中心になるとは思います。

 今後、高齢化、人口減少が本格化していく中で、地域の内外から受け手候補を幅広く探すことが必要です。ですから、同じ集落の中で受け手が見つかればいいですが、そうじゃない場合は、いわゆる出入り作みたいなことで引き受けてくれる方なども探していかないといけない状況です。

 これのために、農業委員会がタブレット等で集めた情報を全国で共有するためのデータベースを整備したり、農地バンクについて、現地コーディネーターを増員したりして、地域外の受け手候補の情報を農業委員会に提供できるようにしたいと考えております。

 こうしたプロセスの中で、市町村の判断により、協議の場の区域の外の農業者の方も受け手候補として話合いに参加することも考えられます。

田村(貴)委員 協議の場に参加することもあるということですね。

 その耕作者を何とかして協議の場に参加してもらうことができたとしても、地域計画における目標の地図を作るには、区域の農地所有者を全員集めないと地域計画にならないのではないでしょうか。

光吉政府参考人 お答えいたします。

 協議の場におきまして、具体的にどのような方々に話合いに参加してもらうかは、市町村に御判断していただくこととなりますが、将来の農業の在り方などを話し合うこととなることから、できるだけ幅広く意見を取り込んでいくことが望ましいと考えています。

 農地の所有者は、市町村の判断で協議の場にもちろん参加することも可能ですが、市町村が地域計画を策定するに当たっては、農業委員会が目標地図の素案を作成いたしますが、区域内の農用地を保有し、又は利用する人の農業上の利用の意向を把握し、勘案することと法律上しております。

 市町村は、また、地域計画を定めようとするときに公告縦覧をする際、利害関係人のために意見書提出の機会を確保することとしており、こうした手順を経ることで、農地の所有者等を含め、地域の関係者の意見を踏まえたものとしていただくこととしております。

田村(貴)委員 いろいろおっしゃったけれども、できるだけ幅広で集まることが望ましいという理解でよろしいですね。

 協議の場への参加というのは、これは義務でしょうか。そして、参加してもらう努力というのはどなたがされるんでしょうか。

光吉政府参考人 お答えいたします。

 協議の場につきましては、地域の関係者として具体的にどのような方々に参加をしていただくかは、市町村に御判断していただくことになるところでありまして、法律上、例えば、農地の所有者に参加の義務を課しているものではありません。

 市町村が地域計画を策定するに当たって、所有者の方を含めた意向を把握し、勘案することは、先ほど申し上げたとおりでございます。

田村(貴)委員 局長、抜けています。参加してもらう努力はどなたがするんですかと聞いているんです。

光吉政府参考人 お答えいたします。失礼いたしました。

 協議の場につきましては、法律上、市町村が協議の場を設定をして、その結果を取りまとめることにしております。その過程の中で、どなたに参加していただくかを法律を踏まえて御判断いただくことになりますが、したがって、参加について呼びかけをするなどは、市町村にお願いをするところでございます。

田村(貴)委員 そうであるならば、市町村の役割はいよいよ重要であります。

 本法案では、市町村に地域計画策定を義務づける内容となっています。当然、仕事量も増えてまいります。しかし、合併と人員削減の中でマンパワーが確保できない、そうした根本的な問題があるわけです。

 いつまでに地域計画を策定しなければならないんですか。

光吉政府参考人 お答えいたします。

 地域計画につきましては、施行日までの周知期間と施行日からの二年間と合わせまして、三年程度の策定期間を設けているところでございます。

田村(貴)委員 つまり、三年後までには策定しなければならないということなんですよね。これは本当にできるんでしょうか。今日も議論があっているんですけれども、地域地域、それぞれ差があるわけですよね。取組の到達度も違うわけなんです。

 担い手に八割を集積するという、この目標に合わせた三年後までの地域計画策定、そういう理解でよろしいんでしょうか。

光吉政府参考人 お答えいたします。

 策定期間につきましては、先ほど申し上げましたとおり、施行日までの周知期間、それからの二年間、合わせまして、ほぼ三年程度の策定期間を用意していると申し上げました。

 これは、地域の方の御議論、協議を踏まえまして、将来の農地利用の在り方の姿、およそ十年後というふうに想定をしておりますけれども、その姿に向けて、地域で話合いを行っていただいて、農地の効率的、総合的な利用が図られるようにするものでございます。

 一方、利用集積につきましては、農地の八割を担い手に集積することを令和五年度末までにすることを目標と掲げているところでございます。

 今回、地域計画を作って集約化等を進めることで利用集積が進むというふうに考えておりますけれども、期間について、これを整合性を取って合わせた、その結果として三年ということではございません。

田村(貴)委員 一つの八割集約というところに向かって強力に、力で作っていくような感じと受け止めました。

 大臣に伺います。

 資料をお配りしています。この資料は、全国市長会からの声明そして要望であります。本法案に対して、人・農地プランの策定義務化に関する緊急意見として、反対を表明しています。市長会が強く反対する理由はどこにあるのか。ちょっと読み上げます。

 人・農地プランが実践の段階に入ったばかりにもかかわらず、唐突に現行の仕組みを変え、計画策定を一律に義務づけることは、目下、地域の実情を踏まえ、同プランの実行等にひたむきに取り組んでいる現場に大きな混乱をもたらすとともに、これまでの地方分権改革の取組にも沿わないものであり、強く反対するとあります。

 大臣、これはどういうふうに受け止めておられますか。市長会がここまで強く反対をされる、二月九日の段階でですね、その理由はどこにあると考えておられますか。

金子(原)国務大臣 全国市長会からは、二月の九日に地域計画の策定等について御意見をいただきまして、その後、実際の具体的な法案の内容について情報提供をいたしました。

 先月二十二日に新たに出された御意見では、「「地域計画」の策定をはじめ、新たな事務の義務付けがなされることなどから、」とした上で、その具体化に当たって、地域の実情に応じた対応等、運用上の御要望をいただいたものと理解しています。

 地域計画の作成に当たりましては、農地の受け手が直ちに見つからないなど、最終的な合意が得られなかった農地につきましては、地図の作成後も随時調整しながら、その調査結果を地図に反映できるなど、地域の実情にも十分配慮していくことといたしております。

田村(貴)委員 大臣、全国市長会からの意見と要望は重く受け止めておられますか。

金子(原)国務大臣 はい、大変重く受け止めております。

田村(貴)委員 まず、唐突の提案であるんですよ。そして、地域がそれぞれの事情があるにもかかわらず、集約の到達が違いがあるにもかかわらず、一律に地域の計画を策定する、義務づける、しかも、期限を決めて迫るものになっている、これはクリアできるんですかね。そして、マンパワーがとにかく少ない。小さな自治体にとってみたら、人を集める、協議の場をつくる、そして農業委員会と一緒に地図を作っていく、これだけの仕事が今できるんでしょうか。

 こういう問題をクリアできるのかということについては、次回また論議させていただきたいと思います。

 今日は、これで終わります。

平口委員長 次に、北神圭朗君。

北神委員 有志の会の北神圭朗でございます。

 今回の法案は、農地を集約をする、地元でいろいろ話合いをして集約するということであります。これはこれで、私も大事なことだと思います。農政の仕事が究極は農地資源を守るということであるならば、やはり集約をして、担い手が減る中で、できるだけ効率化する、生産性を上げるということだと思います。

 ただし、今までの審議で分かりますとおり、なかなかこれは言うはやすしで、地元の事情があったり、今の田村先生の話じゃないですけれども、市の方も本当にもう既に手いっぱいのところに、こういった計画をすることができるのかとか、様々な問題があります。

 ですから、一方で、この集約化も大事ですけれども、集約化がまだできない、あるいは、見通していずれやりたいと思っているけれども、現時点では、少なくともこの法案のスキームを使うことはできないというところも大事にしていきたいというふうに思っています。

 具体的には、私の地元で京都の嵐山というところがありますけれども、そこで桂川というのがゆるゆると流れて、南の方に流れていく、国道九号線というのがありまして、右岸の方に河川敷があって、ここは徳川時代からずっと農業を営んでいる地域です。河川敷でありながら、いわゆる農業振興地域としても指定をされています。いわゆる高水敷というんですか、何十年に一回は水がつくけれども、基本的に農地として非常によいところである、こういうふうに言われています。

 ここは、しかしながら、多分この三十年、四十年の間に、やはり高齢化が進んだり、小さな田んぼとか畑がたくさんあるというような状況です、ここが今まで、少年野球のグラウンドに貸してしまったり、あるいは又貸しして何か不動産化してしまったり、そういった状況が実は続いていました。

 ところが、地元の、名前が桂上野徳大寺野菜生産組合という組合がありまして、ここの組合長さんが一生懸命この数年間、みんなを説得して回って、やはり農業として、農地として頑張ろうということでかなり又貸しとかをやめさせたり、一生懸命取り組んできました。

 ところが、用水路とか農道の方が経年劣化をしている状況の中で、この法案でいえば、みんな、農業委員会とか農協さんとか土地改良区とかを呼んで話し合ってプランを作っていくという話なんですが、残念ながら、私も集約化を図ったらどうやという話をしたところ、これまでのいろいろな説得をした中でも大変だった、集約化するというのは非常に厳しいので、今後、そういう課題はあるけれども、とにかくそういうことをせずに用水路とか農道の国の支援というものをいただけることはできないのかということなんですが、これについて何か方策はありますでしょうか。

牧元政府参考人 お答えをいたします。

 今御指摘いただきました桂川の右岸には大変歴史ある農地が存在しているというふうに承知をしております。

 こういった農地を対象に、御指摘いただきました用水路とか農道とかの整備、基盤整備ができないかということでございますが、この基盤整備につきましてはいろいろなタイプの事業がございまして、かなり受益面積が小さいものであっても対象にするような事業もあるところでございます。

 例えば、総事業費二百万円以上、受益面積五ヘクタール以上、受益者数二者以上といったような実施要件を満たせばできます農業基盤整備促進事業というものもございますので、こういった事業を活用して、水田の畦畔除去による区画整理でありますとか、あるいは用水路、農道など、こういった迅速かつきめ細やかな基盤整備が可能であると考えているところでございます。

北神委員 ありがとうございます。

 ここは、土もやはり河川敷のせいかもしれませんけれども非常によい、おいしい大根が取れたりナスビが取れたりする、風通しも非常によいし、鳥が飛んできてふんをちゃんと落としてくれるというようなすばらしい農地なので、集約化も大事ですけれども、こういった優良な農地を守る、そういう強い意思を持っている組合の組合長とか地元の方がいますので、またいろいろと御支援いただきたいというふうに思っています。

 次の質問に行きますと、今回、人・農地プラン、これをみんなで作成して、最後は市が、自治体がそれをやるという話なんですが、もう既に、法定化される前にいろいろこの人・農地プランというのは少しずつ進んでいるというふうに思います。

 京都では、京力農場プランというのがあって、これは私の地元でも、かなり行政から多分勧められて、検討し始められています。亀岡市というところの篠町というところに土地改良区がありまして、ここが中心になってこの篠の地域でこれを進めています。

 この人たちの現場の声なんですけれども、私もその実態も併せてお聞きしたいんですが、単価が安い、圃場整備をいずれやらないといけないんですが、単価が安いというふうに言うんですよ。何に比べて安いんですかというと、いわゆる国土交通省が実行するような公共事業で同じような、例えばコンクリートの製品とかの単価が農業の圃場整備の場合は安いと。何が困るかというと、やはり入札に業者がなかなか寄ってこない、一回そういう圃場整備の仕事をしたら、余りもうからぬなということで、もう余りやりたがらないということがあるんですが、これは本当にそうなのか、事実関係と、もしそうだったら、多分京都府なんかは結構入札で困っているところがあると思いますが、そこの改善策についてお尋ねしたいと思います。

牧元政府参考人 お答えを申し上げます。

 圃場整備に係るコンクリート製品などの工事発注単価が他の公共事業よりも安いのではないかという御指摘でございますけれども、令和二年度から、私ども、都道府県とか各地の建設業関係団体と意見交換を行っておりまして、その中で同じような御意見を頂戴したところでございます。

 このため、まず、このコンクリート製品などの単価を適正に反映するために、令和二年度からは、毎月材料単価を調査をいたしまして所要の改正を行うという取組をしております。また、圃場整備の工事費を適正に算出するために、圃場整備工につきまして、〇・三ヘクタール未満の狭い区画で活用できる新たな歩掛かりというものを令和三年度に制定するなど、現場状況により即した工事費の算出方法の整備に取り組んでいるところでございます。

 今後とも、このような取組を通じまして圃場整備に係る工事費の適正な算出に努めますとともに、その旨、関係機関にも指導してまいりたいと考えているところでございます。

北神委員 ありがとうございます。

 やはり現場の感覚としては安いということだというふうに思います。確かに、京都府の入札不調、不調率もたしか一七パーとか、結構そこそこ高いので、やはりそういったことも起因しているんじゃないかと思いますので、そこら辺、また現場の相場というものを把握していただいて、指導していただければというふうに思います。

 もう一つ、人・農地プランで現場の声から聞いているのは、同じ亀岡市の篠町というところで、真剣に検討しているわけですね。自分たちの集落でやろうとしている、ちゃんと農地集約をして、いずれ圃場整備したいと。ただし、ちょっと離れたところにため池があって、このため池から用水路で水を引っ張ってこないといけない、既にあるんですけれども、これが経年劣化しているという状況で、このため池から自分たちの集落に水を持ってこないといけないので、主要な用水路もいわゆる国の支援の対象にしたいと言っているんですね。

 ところが、今、京都府さんから多分言われているのは、それは対象にならぬと。なぜなら、ため池から用水路で水が行く、その行く間にほかの集落にも何か水を及ぼして、そのほかの集落はいわゆる人・農地プランに入っていない、だからあかんということなんですが、これは本当にそうなんでしょうか。これがないと、彼らが言うには、ほとんど意味がない、ため池から水を引っ張ってこないと、自分たちの集落だけ整備してもほとんど意味がないというふうに言っているんですね。

牧元政府参考人 お答えを申し上げます。

 ため池から水を引いてくる水路の改修ということにつきましては、これは一般の補助事業でもちろん対象になるところでございますが、ただ、御指摘いただいておりますのは、恐らく農地中間管理機構の関連事業のことかと思います。

 これは、農家の御負担なしでできる事業ということで、非常に御要望の高いものでございますけれども、先般の、令和四年三月の土地改良法改正におきまして、区画整理等に限られておりました整備内容にこの農業用用排水の施設整備等の整備も追加をされまして、まさに意欲ある担い手のニーズに応えるような整備ができるところとなったところでございます。

 ただし、農地中間管理機構関連事業を使うためには、受益農地の全てに農地中間管理権を設定した上で担い手への農地集積を行う、こういった要件がかかっているところでございます。

 今委員からの御指摘は、離れたところにあるため池という御指摘ですけれども、幾ら離れていても、受益地全てに中間管理権が設定をされていればこの事業の対象になるところでございますけれども、恐らくは、引いてくる途中で別の集落の方も使っていて、そこには多分中間管理権が設定されていないというような状況かというふうに思います。

 したがいまして、もちろん一般の補助事業で整備することは可能でございますけれども、農地中間管理機構関連事業を使おうとすると農地中間管理権を設定するという要件がかかる、そういう内容でございます。

北神委員 逆に言えば、中間管理権というんですか、中間管理権を設定すれば、その支援策を地元負担なしでもらえるということの理解でいいんですね。

牧元政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘のとおり、受益農地の全てに農地中間管理権が設定をされれば、農地中間管理機構関連事業の対象になるものでございます。

北神委員 ちょっと私も詳しく分からないんですけれども、じゃ、京力農場プランという、いわゆる今、法定化される前の人・農地プランなんですけれども、ほかの集落もそこに巻き込むということが依然重要ということでしょうか。それとも、別に設定できるのか、ほかの集落にということをお聞きしたいと思います。

牧元政府参考人 お答え申し上げます。

 農地中間管理機構が賃借権等を設定した農地であれば対象になるということでございますので、そういう方向でほかの集落の方々も取り組んでいただければ対象になるということでございます。

北神委員 どうもありがとうございました。

 もう時間が来ましたので、ここで終わりたいと思います。ありがとうございました。

平口委員長 次回は、明十三日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時一分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.