衆議院

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第11号 令和4年4月19日(火曜日)

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令和四年四月十九日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 平口  洋君

   理事 江藤  拓君 理事 高鳥 修一君

   理事 宮下 一郎君 理事 簗  和生君

   理事 金子 恵美君 理事 緑川 貴士君

   理事 空本 誠喜君 理事 稲津  久君

      東  国幹君    五十嵐 清君

      上田 英俊君    尾崎 正直君

      加藤 竜祥君    神田 潤一君

      坂本 哲志君    高見 康裕君

      武井 俊輔君    中川 郁子君

      中野 英幸君    野中  厚君

      長谷川淳二君    藤丸  敏君

      古川  康君    保岡 宏武君

      山口  晋君    若林 健太君

      梅谷  守君    神谷  裕君

      小山 展弘君    後藤 祐一君

      佐藤 公治君    渡辺  創君

      池畑浩太朗君    住吉 寛紀君

      金城 泰邦君    庄子 賢一君

      長友 慎治君    田村 貴昭君

      北神 圭朗君

    …………………………………

   農林水産大臣       金子原二郎君

   農林水産副大臣      武部  新君

   農林水産大臣政務官    宮崎 雅夫君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局審議官)            石田 晋也君

   政府参考人

   (農林水産省農産局長)  平形 雄策君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  光吉  一君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)            牧元 幸司君

   政府参考人

   (株式会社日本政策金融公庫代表取締役専務取締役) 新井  毅君

   農林水産委員会専門員   梶原  武君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十九日

 辞任         補欠選任

  北村 誠吾君     藤丸  敏君

  平沼正二郎君     中野 英幸君

同日

 辞任         補欠選任

  中野 英幸君     平沼正二郎君

  藤丸  敏君     北村 誠吾君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 農業経営基盤強化促進法等の一部を改正する法律案(内閣提出第五五号)

 農山漁村の活性化のための定住等及び地域間交流の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第五六号)


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     ――――◇―――――

平口委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、農業経営基盤強化促進法等の一部を改正する法律案及び農山漁村の活性化のための定住等及び地域間交流の促進に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として農林水産省農産局長平形雄策君、経営局長光吉一君、農村振興局長牧元幸司君、金融庁総合政策局審議官石田晋也君及び株式会社日本政策金融公庫代表取締役専務取締役新井毅君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

平口委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。坂本哲志君。

坂本(哲)委員 おはようございます。自由民主党の坂本哲志でございます。

 三十分間の質問時間をいただきました。与野党理事の皆さん方に心から感謝を申し上げたいと思います。

 今回の農業経営基盤強化促進法、これは非常に歴史的に見ても重要な法案である、岐路に立つような法案であるというふうに私は思います。

 といいますのも、我が国の歴史を見ましても、農地に関しては、あるいは農家に関しては、規制とそして自由化、これを繰り返してまいりました。規制が過ぎれば農業の進歩が滞るし、自由化が過ぎれば、これは国が混乱し、社会がゆがむというような歴史を私たちは見てまいりました。

 今回の法改正は、規制でも、あるいは規制緩和でもなく、十年後の未来の農地の図を描くというものであります。そして、そこに農業をする人を育成していく、当てはめていく、そういうことを法律で定めるというような法改正案であります。ですから、この法がうまく実効性を持っていけば将来の日本の農業の展望が開けますし、実効性が伴わなかったら、日本の農業社会、大きく混乱の法になるというようなリスクもはらんでいる、そういう法改正案であるというふうに思っております。それだけに、法の執行に当たっては、やはり、細やかな配慮と入念な準備と、そして現場に対して分かりやすい説明、こういったものが欠かせないというふうに思います。

 そこで、まず、蛇足的なものになりますけれども、私たちの農地の歴史、そういったものを少し振り返ってみたいというふうに思っております。

 農地というのが法律的に最初に現れたのが七世紀末になります。歴史の教科書で皆さん学んだと思いますけれども、班田収授の法というので初めて農地の問題が法律の問題として出てまいります。天皇の土地を口分田として農民の皆さんたちに分け与える、その代わりにしっかり米を作って租税を納入しなさいというような法律でありました。

 しかし、人口増とそれから生産量の増加で、自分たちで開墾して自分たちで農地を持つ、そういうことが増えてまいります。墾田永年私財法というのができて、自分たちで開墾して開田した田んぼは自分たちのものにしていいという、まさにそこに規制緩和、自由化が発生をいたします。いわゆる荘園の発生であります。そして、その荘園の中に守護を置く、あるいは地頭を置く、そして守護大名に成長する、それが戦乱の世につながっていく、そういう歴史をまずたどりました。

 それに終止符を打ったのは、豊臣秀吉の太閤検地であります。全国の農地を測量をして、そして権利関係を整理をする。さらには、面積を決める。あるいは、知行や年貢を決めていく。まさにデータベース化された農地というものがそこにでき上がって、そして、中央集権的に、税の収納体制、こういったものが確立をいたします。

 それを、江戸時代になって、更に徹底をさせていきます。農地の売買が禁止をされます。そして、農民の身分を固定をいたします。農地そして農民の身分の固定、この時代が以後二百三十年間続くことになります。

 そして、明治の世に入りまして、これが完全に今度は真逆の形で自由化をされます。地租改正であります。当時の産業の振興と相まって、運輸業や金融業やあるいは製造業と相まって、資本の力で農地の売買が行われます。大地主、大土地所有が生まれました。一千町歩、二千町歩、三千町歩という地主が現れて、いわゆる不在地主、寄生地主、こういった非常にゆがんだ社会というものになったまま戦争に突入していくわけであります。

 そして、最終的には、敗戦の後、GHQによりまして、一人当たり一ヘクタールから一・五ヘクタール、それぞれの自作農を認める、土地の所有を認めるというようなことで、農地解放というものが行われました。いわゆる七世紀末の口分田と同じような、そういう状況になり、そして、農地法という非常に規制の強い法律で農地の売買というものに再びある程度の規制をしていく、そして今日に至っているというのが大まかなざっくりとした歴史であります。

 しかし、その間に、列島改造、そういったものがありましたので、農地は何とか守らなければいけないということで、昭和五十年には農業振興地域に関する整備法というのができまして、農地をとにかく守りましょうということになります。その後、やはり経営的に農地を大事にしなければいけないということで、農用地利用の増進法というものができ、さらには、それを経営的にしっかりとした農地として経営をしていくということで、現在の農業経営基盤強化促進法ということに至っております。

 そういう中での今回の改正でありますので、これがうまくいくのか、それともなかなか実効性が伴わないようになるかということは、まさに、これまでの歴史を繰り返すことになるか、新しい歴史をつくり上げることになるか、こういった大きな意味を含んだ法律であるということも考えながら、それでは、どういうところに注意をしていかなければいけないか、どういう説明が必要なのかということで、幾つか質問と確認をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 先週の十三日のそれぞれの参考人意見陳述を聞きながら、将来の農地の効率的かつ総合的な利用に関する目標地図を作り、それを今度は市町村として地域計画にしてまいります。そのための鍵を握るのは、やはり、参考人の方もおっしゃっておりましたけれども、農業委員会の事務局と行政の農業担当者、この連携ではないだろうかというふうに思います。

 目標地図そのものの素案は、多分、農業委員会が作ると思います。そして、そこには、農業者の方々、農協、あるいは土地改良、そして農地バンク、こういった方々の熱心な協議の中で目標地図が作られていくだろうというふうに思います。そして、農業委員会の方でその目標地図を作った上で、それを行政の方で地域計画というものに落とし込んでいくわけですけれども、それが円滑に進むかどうかということは、やはり事務当局でしっかりとした作業ができるかどうかということであります。

 ということは、その事務局の中に、農家の方々と五分で話し合える方々、やはり、農業のプロの方々を相手にしてこれからの当該市町村の農地や人の在り方というものをどれだけ論じることができるかという、人材をそこに採用していくのかどうか、そこにどれだけ取り入れるかということが、今回の目標地図そして地域計画が成就するかどうか、前に進むかどうかの大きな分かれ目になるというふうに思います。

 しかし、参考人の意見陳述にもありましたように、非常にやはり市町村役場あるいは農業委員会の事務局は脆弱な体制であります。異動で二年、三年に一回替わっていく。そこで、農業的にはやはり素人の方々が多い。果たしてどれだけの目標地図が作れ、それを行政として執行していけるか、非常に、甚だ不安なものを感じます。

 そこで、やはりここには十分な人材を充てる必要があります。そういう人材が要るはずであります。専門家、あるいは県庁や役場のOB、あるいは様々な農地問題に携わってきた方々、そういった方々を臨時的にこの執行期間の中で採用する、そういうことをやはり考えていかなければいけない、そして、そのための財源が必要であるというふうに思っております。それを指導していくのは、国であり、そして当該の都道府県であるというふうに思います。

 より充実した人材を農業委員会事務局やあるいは市町村の行政当局に当てはめるために、どういうようなことが考えられるのか、そして、その財源の手当てをどう考えているのか、お答えをいただきたいというふうに思います。

光吉政府参考人 お答えいたします。

 本法律案におきましては、委員御指摘のとおり、市町村におきまして、関係者による話合いを踏まえて地域計画を定めていただくこととしており、地域計画の中で、目標地図につきましては、素案を農業委員会が作成することとしております。この場合、市町村及び農業委員会の事務負担につきまして軽減していくことが大変重要と考えております。

 令和四年度予算におきましても、市町村につきまして、地域での話合いを円滑に進めるための専門人材によるサポートですとか、農地、農政などに精通した意欲のある市町村、農協などのOBを活用するための支援、農業委員会につきましては、臨時職員の配置などの事務費としても活用できる交付金の支援などを措置しているところでございますけれども、今後とも、市町村や農業委員会の負担の軽減に取り組んで、地域計画の策定を後押ししていきたいと考えております。

坂本(哲)委員 負担の軽減と同時に、やはり人材というのが最も重要でありますので、是非、農政に精通した人材というものをしっかりと、目標地図作成に当たって、あるいは地域計画を規定するに当たって、採用していただきたい、そこに充てていただきたい、それが今回の法改正の狙いが成功するかどうかの、まず第一段階にかかっているというふうに思っております。

 そして、その次に重要なのは、目標地図ができました、そして地域計画ができました、そしてその次には、やはりその農地にどういう担い手を、どういう中心経営体を配置するか、どういう農業者で耕作をしていただくか、そのことであるというふうに思っております。

 参考人の皆さん方からも、中心経営体をいかに確保していくかというのが一番大事であるということをおっしゃいました。そして、認定農家を始めとして、やはり主な担い手というのがだんだんだんだん少なくなっていく、だから、半農半Xや中小の農家など、総がかりで農業を守っていく時代であるということでは、参考人の皆さん方もその認識で一致されていたというふうに思います。その方向性は私は正しいというふうに思います。

 ただ、農業従事者が、あるいは担い手が、あるいは認定農家が少なくなっているからといって、安易に半農半Xや、あるいは地域外の農業者の方々にそれを担わせる、任せるというのはやはり一定のリスクも伴いますし、その前に、当該の市町村でやはりやらなければいけないことがあるというふうに思います。それは、やはり、その地域を一番熟知し、そしてその農地に一番愛着を持っている地域の人々が一緒になって集落営農法人をつくる、この努力をしていかなければいけないというふうに思っております。

 集落営農法人の経営体にはいろいろありますけれども、やはり地域で一体になった法人経営体というのをつくるというものは非常に大事でありますので、私は、集落営農法人をつくり上げ、それを政策として定義づける、さらには、定義づけた後、地域のインフラとして人・農地プランに位置づける必要があるというふうに考えております。

 どういうふうにして育成をしていくのか、そして、人・農地プランの中で定義づけられた集落営農法人が位置づけられるのかどうか、こういったものを含めて、社会インフラとしての集落営農法人の在り方について、お考えをお聞きしたいというふうに思います。大臣にお願いいたしたいと思います。

金子(原)国務大臣 お答えいたします。

 地域農業が持続的に発展していくためには、継続的な発展が期待される効率的かつ安定的な農業経営を担い手として育成、確保していくことが重要であります。この場合、集落営農法人も、地域の農家が共同で農作業を行うだけではなく、集落が一体となって地域の農地を守り、農業生産を発展させていく担い手として、その育成が重要と考えています。

 今回の基盤法等の改正法案におきましては、将来の農地利用の姿を目標地図として明確化し、農業を担う人ごとに利用する農用地等を定めることとしていますが、集落営農法人もこの中に位置づけられ、地域の担い手として活躍していくことが期待されます。

 今後も、こうした集落営農法人がしっかり地域に根づいていくよう、国としても必要な後押しをしてまいりたいと思います。

坂本(哲)委員 地域インフラとして大切な経営体でございますので、しっかりと集落営農法人を位置づけていただきたいというふうに思います。

 ただ、集落営農法人を立ち上げ、運営していくということは、簡単なことではありません。

 認定農家の皆さん方、あるいは、それぞれ自分で様々な農業、個の立場として農業をやっていらっしゃったものが、やはり営農法人として、組織として農業をしなければならない、その中でどういう考え方を持っておかなければいけないのか、個でやる農業と法人としてやる農業、そこに様々な違いがあり、人間的な関係、あつれき、こういったものも生まれます。そして、法人としてどういう役割を地域で持たなければいけないか、こういうこともしっかりと理解をしていただかなければなりません。

 既に、全国には数多くの集落営農法人があり、そして、その中で先進的な好事例があります。こういった好事例を参考にしながら、集落営農法人を担っていく、運営していく人材の教育機関、教育的な施設、教育的なもの、こういったことがこれから必要になってくるというふうに思っております。

 是非、この教育機関あるいは新たな集落営農法人への育成についてどう考えていらっしゃるのか、お伺いをいたしたいというふうに思います。

光吉政府参考人 お答えいたします。

 集落営農法人につきましては、将来にわたって地域の農地を適切に利用する上で、地域農業にとって非常に重要な存在でございます。

 その運営に当たりましては、御指摘のとおり、集落での話合いの方法ですとか構成員の役割分担など、組織であるがための難しさというのもたくさんあるものというふうに考えております。その場合に、ほかの先行事例、これを参考にしたり、専門家などによるアドバイスを受けることが重要と考えております。

 今回、基盤法等の改正法案におきましては、都道府県が農業経営・就農支援センターとしての機能を担う体制を整備し、農業者等からの農業経営に関する相談への対応などを行っていくこととしております。

 このセンターにおきましては、集落営農法人の組織化、経営管理、事業改善など、法人の様々な課題に関する相談に応じまして、中小企業診断士などの専門家によるアドバイスですとか、先行して集落営農法人に取り組んでいる人を始めとする篤農家の方による助言、指導ですとか、全国で行われております集落営農法人の取組例の紹介ですとか、課題に応じてきめ細やかなサポートを行いまして、各地域で農業を担う集落営農法人の中心となる人材の育成に取り組んでいきたいと考えております。

坂本(哲)委員 集落営農法人を担う人材の育成には、少なくとも一年若しくは二年かかると思います。経営管理も含めて、あるいは農業経営も含めて、しっかりとその人材を育成していただきたいというふうに思います。

 まさに、集落営農法人がその地域の中心経営体になっていかなければいけないというふうに思います。

 そして、最終的には、その集落営農法人が、高齢者への見守りとか、あるいは様々な、通院への送り迎えとか、そのほかも含めて、RMOの展開まで考えていく。そこに農村の安心できる共同的な、前向きな農村社会というのが私はでき上がってくるというふうに思いますので、非常に経営感覚も兼ね備えた、そして地域の役割も兼ね備えた、さらには、元々持っている地域への、農地への愛着、集落への愛着、こういったものをしっかり持った方々の集まりである集落営農法人を中心に据える、そのことを今後も進めていっていただきたいというふうに思います。

 その次に、農地の集積目標の八割ということについてお伺いをいたします。

 平成二十五年、農地中間管理機構がつくられた際に、十年後に農地の八割を担い手に集積という目標が定められました。その十年後は令和五年であります。令和二年現在の集積率は、四百三十七万ヘクタール分の二百五十四万ヘクタール、五八%であります。

 今回の法改正によりますと、周知期間も含めて施行期日から起算して三年後、いわゆる令和七年に目標地図の作成と地域計画を定めるというふうに規定をされております。

 令和五年の目標がもう既に過ぎているわけであります。目標が過ぎた中で、新たな八割への目標年を決めるのか、それとも、目標地図が次の八割への達成年となるのか。集積率八割についての目標年についてどういうお考えか、お伺いをいたしたいというふうに思います。

宮崎大臣政務官 お答えをいたします。

 坂本先生が御指摘のとおり、担い手への農地の集積につきましては、平成二十五年に閣議決定をされました日本再興戦略におきまして、令和五年末までに全農地の八割を担い手に集積をするという目標を掲げておるところでございまして、現在の集積率、令和二年度の集積率は五八%となっておりますので、更なる取組の加速化が必要だというふうに考えておるところでございます。

 今回、地域計画を策定をいたしまして、農地バンクを活用いたしました農地の集約化を進めていくということとしておりますけれども、地域計画の策定につきましては、施行日前の周知期間、それから施行日から二年とを合わせて三年程度、この策定期間、令和七年三月までということになるわけでございますけれども、設定をすることとしておるところでございます。

 地域計画の策定期間につきましては、集積の目標の時期というよりは、地域で計画の策定にしっかり取り組んでいただくために必要な期間として設けさせていただいたものでございますけれども、いずれにいたしましても、地域計画に即しまして農地の集約化を進めていくということは、担い手に八割を集積をするというこの集積率の向上にも寄与するものというふうに考えておるところでございます。

坂本(哲)委員 目標率をはっきりは決めないということですよね。目標地図を作り、そして地域計画を規定していけば、おのずと集積の八割が達成できるというふうに考えていらっしゃるというふうに受け止めさせていただきました。

 今、政務官の答弁にもありましたけれども、集積と集約、何か所かばらばらな答弁がありました。集積と言ってみたり、あるいは集約と言ってみたり。

 もちろん、法案では、第五条、あるいは第九条、そして二十二条などで、「農用地の利用の集積に関する目標」というふうに記されております。しかし、大臣答弁も役所の答弁も、見ると、集積ではなくて集約であります。規模拡大の集積、それから、より効率的に農作業を進めるための、分散錯圃を防ぐための集約、この違いは十分に分かるところでございますけれども、それでは、農地の集約化とは、今回の法案ではどこで読み取れるのでしょうか。

 集約化という文言は、この法案の中にはありません。多分、法令用語ではないからだというふうに思いますが、どこで、どういうふうに読み取れるのか、お答えいただきたいと思います。

光吉政府参考人 お答えいたします。

 今回の改正法案の中で、基盤法第十九条第四項におきまして、地域計画に関連した箇所でございますけれども、農用地の利用の集積、農用地の集団化その他の農用地の効率的かつ総合的な利用というふうに規定をしております。委員御指摘の農地の集約化は、法律上、この「農用地の集団化」という表現で規定をしております。

 第五条の都道府県知事の基本方針等におきまして、各所に「農用地の効率的かつ総合的な利用」という用語を使っておりますが、農地の集約化、法律上、「農用地の集団化」としておりますが、これはその重要な要素と位置づけております。

坂本(哲)委員 それが現場に分かりやすい形で伝わるかどうかというのが、やはり一番大事なところだというふうに思います。法律は法律の用語で、現場は現場で、やはり、しっかり、分かりやすい、みんなに分かるような、農業者の方々が参加して作る地図でありますので、そういう理解が必要であると思います。

 ですから、そのほかにも、農用地の「効率的かつ安定的な農業経営」という表現があります。また一方で、「農用地の利用の効率化及び高度化」というような表現もあります。そして、「農用地の効率的かつ総合的な利用」という表現もあります。

 効率的、総合的、安定的、高度化、農地に対して様々な用語が使われておりますけれども、それぞれの違いについて御説明いただきたいと思います。

光吉政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のあった用語につきまして、「効率的かつ安定的な農業経営」という表現がございます。これは、現行の基盤法の第五条などに書いてございますが、意味といたしましては、効率的でございますので、経営の効率を上げて生産性を高め、長期にわたって安定して所得を確保して農業を行っていくような経営ということで、担い手としてこれを育成することとしている用語でございます。

 それと、今回の法案にも出てまいりますけれども、「農用地の効率的かつ総合的な利用」という用語でございますけれども、これは、農地が使われなくなるというようなことがないように、集積ですとか集約などを行って農地の利用の効率を上げて生産性を高め、農地が適切に使われるようにすること。あと、総合的というのは、個別の方の農地だけではなくて、地域として、全体として、総合的に今申し上げたようなことが図られるという含意でございます。

 最後に、「農用地の利用の効率化及び高度化」という御指摘がございましたが、これは現行の農地バンク法で中間管理事業の目的などにおいて規定をされておりますが、これにつきましては、農地の利用の効率を上げて生産性を高め、農地が適切に利用されるようにしてというところは先ほどの効率的と同じでございますが、それにより、ブロックローテーションですとか有機農業の団地化など、様々な農地の利用に取り組めるようにするということを含んでいるところでございます。

 現場の方に、非常に、今御指摘のあった法令用語も含めまして、各種説明会で、現場目線で分かりやすい表現あるいは説明に努めていきたいと考えております。

坂本(哲)委員 この法律が実効性あるものになっていくためには、やはり、先ほど、一番最初に言いましたように、入念な準備と人材の登用、そして現場に分かりやすい説明、これがまずは必要であるというふうに思いますので、しっかりとした分かりやすい説明、こういったものを現場にお伝えいただくようお願いを申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

平口委員長 次に、稲津久君。

稲津委員 おはようございます。公明党の稲津久でございます。

 農地関連二法改正案につきまして質問をさせていただきますが、本題に入る前に、喫緊の課題から確認をさせていただきたいと思います。

 ロシアによるウクライナ侵略により、今後更に、原油やエネルギー価格、さらに食料品の値上がりですとか、農林水産業の各般への影響が心配をされます。

 さらに、食品の値上がり等については、今後の展開によって更にどうなるかということがありまして、私どもは、三月二十八日に続きまして、先週の十四日に、政府に、物価高騰から国民生活を守る新たな経済対策に向けて、第二弾の緊急提言を行ったところでございます。

 そこで、この中から二点伺っていきたいと思います。

 まず一点目は、米粉、国産小麦等についてでありますけれども、輸入小麦の価格は、ロシアとウクライナの小麦の供給不安が高まる中で、米国シカゴ商品取引所の先物相場は十四年ぶりに高値を記録しました。これに加えて、そもそも、原油の高騰などから燃料費、包装資材、物流経費が高騰し、さらに、円安などの影響によりまして、農林水産業、そして食品製造業は、かつてないほどの影響を受ける可能性が高まってきております。

 我が党は、輸入小麦の原料の代替が必要として、米粉や国産小麦を原料とする商品への転換、販路の開拓、また、国産小麦の生産拡大を支援することが必要と考えまして、先般の提言に書かせていただきました。

 農林水産省として、これらのことについてはどのようなお考えを持つのか、所見を伺います。

武部副大臣 昨年来から、世界的な穀物相場の高騰の中で、ロシアによるウクライナ侵略によりまして、特に、先生御指摘のとおり、小麦の国際相場は不安定な変動を続けております。このような中で、緊急提言にもいただきましたけれども、国産の米粉や小麦を原料とする商品への転換、それから国産小麦の生産拡大を進めることは大変重要だと考えております。

 総理からの総合緊急対策の策定の指示の中にも、小麦を含む穀物等の価格上昇等により食料等の安定供給に支障が生じることがないよう、調達先の多様化を進めることが含まれておりまして、対策の具体化に向けて今検討を進めているところです。

稲津委員 是非、中身のあるものにしていただきたいと思っております。

 もう一点、現在、子供食堂や子供宅食等に対する政府備蓄米が提供される中で、関係者から喜びの声をいただいているところでございます。これらの利用が進む中で、運用改善を求める、そうした声を団体からも聞かせていただいております。具体的には次の二点。

 まず、世帯数規模に応じた段階的な上限を設定していただきたいということ。現状のルールでは団体ごとの一律の上限が設けられていまして、四半期ごとに一団体当たり三百キログラムとなっております。例外として、同じ団体であっても活動実態が異なる場合にはそれぞれの支部単位での申請が可能となっておりますが、団体ごとの支援世帯の幅は十世帯から数百世帯と、幅が大変広くなっています。よって、上限設定を柔軟に変更してほしいということ。

 また、申請手続の簡略化で、四半期ごとではなくて、団体の状況を見て、例えば一年分でまとめて申請を可とするとか、あるいはオンラインの申請を可能とする。

 こうしたことにどのように対応していただけるか、お伺いします。

平形政府参考人 お答えいたします。

 農林水産省では、食育による御飯食の拡大を図る観点から、令和二年五月から子供食堂、令和三年二月から子供宅食を対象に、政府備蓄米の無償交付を行っております。この間、実施状況を踏まえ、昨年七月からは年一回の申請を四半期ごとに、また、本年一月からは、子供食堂につきましては、申請一回当たりの上限数量を百二十キログラムに見直しをしております。

 また、手続につきましては、農林水産省本省の職員が直接相談に対応するほか、ホームページに申請書類の記載例を記載、また、過去に無償交付を受けた団体が追加申請を行う場合に定款等の添付書類を省略するなど、簡略化を図ってきたところです。

 引き続き、利用されている方々の活用状況を踏まえながら、政府備蓄米の無償交付の制度趣旨を踏まえつつ、どのような工夫ができるか検討してまいります。

稲津委員 是非、現場の声をしっかり反映をしていただきたいことを強く望んでおきます。

 それでは、改正法についてお伺いしますけれども、地域計画による農用地の利用権について、関連して伺いますが、本改正法では、農業委員会が目標地図の素案を作り、これを基に市町村が地域計画を策定する、また、農業委員会は、地域計画の作成に向けて、農地バンクへの貸付けを積極的に推進する。私は、これまで以上に農地バンクの事業の関わり方というのは非常に濃厚になってくるんだろうなというふうに思っております。その上で、機構は、所有者に対して協議を進めて、受け手となる利用者に農地を貸し出す仕組み、これが、恐らく、これまで以上に積極的に関係者と関わってくる、濃密になると思っております。

 ここで確認したいのは、所有者からの意見、特に、計画もできて、そして農地も機構にしっかり貸し出した、それが事業として進んでいく中で、例えば、所有者が農用地の貸出しを、例えばいろいろな理由で途中で断ってきたりとか、これは仮にですけれども、訴えに出た場合、要するに、受け手に対して返せとか、そういうようなこと、これは誰に訴えるかということにもよると思うんですけれども、そういう場合に機構が全面的に対応していくのかということを確認しておきたいんです。

 農地中間管理機構推進法では、第二十一条の二項に、受け手との契約解除規定として、受け手の利用者が農用地等を適正に利用していないと認められるときは契約を解除できる。貸し手の農用地所有者が一方的に正当な理由なく農用地の貸出しを断る、こういう場合などはどう対応するのか。

 私は、いずれにしても、こういったことについては全面的に機構が対応していくということが必要じゃないかと思っていますが、確認も含めてお伺いしたいと思います。

光吉政府参考人 お答えいたします。

 農地バンク事業につきましては、農地バンクが農地の所有者から自ら農地を一旦借りて、その上で、その農地を最終的な受け手に転貸するものとなっております。このため、仮に、御指摘のように、所有者が農地の返還を求めてきた場合には、所有者と農地バンクの関係になります。したがいまして、所有者との契約の当事者となっています農地バンクが、地域計画や契約の内容などを踏まえながら、契約の当事者としてしっかり対応することとなります。

 なお、農地法によりまして、農地の賃貸借につきましては、適正に利用している農地について、所有者が一方的に解除することはできないこととなっております。

稲津委員 借り手の方としては、借りている権利、それから利用している権利というのが発生しているでしょうし、そういう意味では、決して借り手の方が不利にならないということが一番大事かなと思っていますので、今お答えいただいたことをしっかりまた進めていただきたいと思います。

 次に、農用地の保全等に関する事業で、定住、地域間交流の促進に資するものの基準や効果についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 先日の参考人質疑で、明治大学の教授で、農水省の新しい農村政策検討会座長でもあります小田切徳美氏が、半農半Xも含めて総がかりで農業を守っていく時代だ、多様な担い手を食料・農業・農村基本法に位置づけるべきだ、こうした発言もありました。大変意味のある提言だと私は受け止めました。

 そこで、伺いますが、この保全等に関する事業は、農用地の保全管理と農業利用のための周辺の土地の利用に関する事業で、定住、地域間交流の促進に資するものとしていますが、ここで言う定住、地域間交流の促進に資するものとは、どのような基準や効果によって資するものになるのかということをお伺いしたいと思います。これまでも、例えば、定住、移住の推進というのは地方創生の事業等でも取り組まれてきておりまして、そうした整合性もこれから関連してくると思っておりますので、この点について見解をお伺いしたいと思います。

金子(原)国務大臣 お答えいたします。

 農用地保全事業は、活性化計画を作成する市町村等が、地域の実情に応じまして、実施するかどうか判断するものであります。この場合、農地の荒廃化や周辺事業への悪影響を防ぐものか、他の地方創生施策や行政計画と調和が取れたものか、住民の生活環境の改善に役立つものか、景観の維持等による観光への好影響をもたらすものかといった基準や効果をもって判断されるものと考えております。

 なお、活性化計画を作成する市町村等が適切に判断することを可能とするよう、基本方針等においてしっかり明示するとともに、優良事例の紹介なども含む情報提供をしっかりと行ってまいりたいと考えております。

稲津委員 ありがとうございました。

 地方創生事業で、地域おこしとか、それから、いわゆる協力隊の活動とか、いろいろございます。まさに活発に取り組んできている自治体は多数あると思っておりますので、そうしたことも踏まえていただいて、今後、自治体や関係機関とも連携しながら、これらの取組をしっかりお願いしたい、このことを申し上げておきたいと思います。

 次に、林地化についてお伺いさせていただきたいと思いますけれども、これも、この委員会の中で論点の一つとして議論されてきました。

 農用地の保全等に関する事業は、放牧、鳥獣緩衝帯、林地化などが例示されておりまして、現在ある農地を何が何でも農地として存続させるのは、ある意味、過疎化とか高齢化が進む中山間地の中では限界のあるところもあるんだろうというふうに思っております。どうしても農地として存続させることが難しいという場合には、林地化することも重要な、私は、選択肢の一つだと思っています。

 ただ、そこで問題になってくるのが、林地化させた後、そこをどう管理していくのか。例えば、間伐、枝打ちとか、下草刈りとか、そういう作業をしっかりやっていかなければ、これはなかなか、大変厳しい状況になっていきますし、それから、林業として業を行うことができれば、これは最高なことなんですけれども、いずれにしても、林地として維持できるかどうか、これは最低条件になってくると思っています。

 こうしたことの認識と、関係団体等との連携についてどのようなお考えであるのか、見解をお伺いさせていただきます。

牧元政府参考人 お答えを申し上げます。

 農用地保全事業によりまして農地を林地化するに当たりましては、地域内の話合いに基づきまして、農地として維持することが極めて困難である等の場合につきまして、優良農地の確保に支障が生じないことを前提としつつ、林地化した後に、当該土地が地域森林計画に編入され、適切な森林の整備及び保全が行われることが重要と考えているところでございます。

 このため、農林水産省といたしましては、市町村又は都道府県が活性化計画を作成、実施するに当たりましては、農業部局と林業部局とが綿密な連携を図りまして地域森林計画に編入するといたしますとともに、編入後も継続的に適切な森林の整備及び保全が行われますように、市町村等を通じまして、森林組合など森林の整備や管理を行う団体を紹介するなど、適切な制度運用に努めてまいりたいと考えております。

稲津委員 終わります。

平口委員長 次に、後藤祐一君。

後藤(祐)委員 立憲民主党の後藤祐一でございます。

 この法案審議は、どうしても基盤法が中心になる場合が多いんですけれども、今日は、活性化法を中心にお伺いをさせていただきたいと思います。

 まず、ちょっと具体的なイメージを持っていただくために、配付資料の二ページ目から四ページ目ぐらいを、ちらちら皆さん御覧いただきたいと思うんですが、これは、調査室が作っていただいた冊子のアンケートなんですけれども、農山漁村地域に移住してくる都市住民に期待することという中で、若い世代が地域で子育てすることというのが四八・四%でトップなんですね。つまり、この活性化法なんかを生かして、都市の方が農山漁村に来ていただくために、保育園とかこういったものが農山漁村でつくれると随分違ってくるのではないかという問題意識を持っておるんです。

 三ページ目、四ページ目を御覧いただきたいんですけれども、これは、実は、昨日の朝五時、NHKのニュースで、五分ぐらいですかね、特集されたやつなんですけれども、北海道の、函館の近くですかね、厚沢部町という人口三千九百人の町に立派な保育園をつくられて、保育園留学をしていると。

 お父さん、お母さんは両方ともお仕事をされていて、ワーケーションで、おうちでパソコンで仕事をする。そうすると、お子さんが家にいると大変なんですね。なので、こういう農山漁村に保育園をつくって、そうすると、都会だとすごい狭苦しいところで、園庭もないような子が、すごく大きなところで、あるいは、これは近くでアスパラガスを取ったとかいう映像なんですけれども、この保育園留学で農業にも親しんで、当然、この方々は、二週間ぐらいこの方は行ったということですけれども、相当なお金が落ちるわけですし、この町はいいなと思ったら、やがて住んでくれるということもあり得るわけですね。

 四ページ目に、家族滞在施設として四棟の住宅を用意していますが、もうこれはキャンセル待ちが三、四十組。百組来たうちの十組でも移住してくれればありがたいなと。まさにこの活性化法で狙っているような話そのものだと思うんですね。

 それで、農水大臣に伺いたいと思いますが、保育園ですとか教育や子育て関係の施設の設置あるいは運営というのは、この活性化法上の活性化事業に含まれるんでしょうか。

金子(原)国務大臣 お答えいたします。

 議員御指摘の教育、子育て関連施設の整備につきましては、農山漁村活性化法第五条第二項第二号ロの生活環境施設の整備に関する事業に該当し得るものと考えております。

 農林水産省としては、今回の改正により、事業に必要な施設の整備の迅速化を図るとともに、関係府省と連携を取りまして、各省が有する各種制度や予算を活用することによりまして、農山漁村の活性化を図ってまいりたいと思います。

後藤(祐)委員 これは、事務方にお話を伺ったとき、かなり渋いお話だったんです、答弁だったんです。これは、いろいろ御検討いただいて、対象に明確に今入れていただけるような答弁だったと思いますので、是非、この厚沢部町のような取組が全国で広がって、むしろ、保育園の状況だとか、近くに畑があるとか、そういったことで、都会の方に限らないんですけれども、全国に行っていただくというのが、今のワーケーションが進む中で物すごい大事な取組になってくると思いますし、この活性化法を生かしていただければなというふうに思います。

 それで、この地域間交流ですとか定住の話がありましたが、ちょっとこの法律の定義に問題があると思うんですね。

 配付資料の一ページ目に、これは現行の活性化法の定住等、地域間交流の定義なんですが、定住等というのは、ちょっと線の引き方を間違っていますが、農山漁村における定住及び都市の住民がその住所のほか農山漁村に居所を有することという定義があるんですけれども、これは、都市の住民に限るんですかね。農山漁村Aの方が農山漁村Bに居所を有するという場合も、例えば、さっきのようなすてきな保育園があるから、そこに行って、二週間、子供を預けながら別のところの暮らしを楽しみたいというのがあってもいいと思うんですね。

 あるいは、農山漁村と都市というのは、すごく言葉のイメージとしては、日本中がそのどちらかに分類されるというのはちょっと違和感があって、例えば、私の選挙区なんかは、どちらかというと、その間ぐらいの、郊外みたいなところなんですが、郊外みたいなところですとか、他の農山漁村に住民票がある方が別の農山漁村に居所を有するというのは、この定住等に入るんでしょうか。

牧元政府参考人 お答えを申し上げます。

 この農山漁村活性化法につきましては、農山漁村の地域外にも目を向けまして、農山漁村と都市との地域間交流を推進することによりまして、農山漁村に人を呼び込み、その活性化を図るということを目的に制定をされたものでございます。

 御指摘をいただきました、まず、この定住等の定義に関してでございますけれども、委員御指摘の資料にございましたように、定住等とは、農山漁村における定住及び都市の住民が云々という、こういう定義になっておりまして、今御指摘をいただきました、他の農山漁村など都市以外に住民票を有する住民が農山漁村に居所を有することも、まさにこの農山漁村における定住に当たりますので、定住等に該当するものと考えております。

後藤(祐)委員 定住の場合は当たるんでしょうね。だって、定住の場合は、農山漁村における定住とあるわけですから、元々どこに住んでいたかは問わないわけですね。

 ですが、その定住だけじゃなくて、居所を有することというのを別に定義しているということは、定住と居所を有することは別の概念だと捉えていらっしゃるということですよね。だって、同じだったら、定住だけにとどめればいいわけですから。

 まさに別荘を造って住民票は移さないようなケースなのか、ちょっとよく分かりませんが、他の農山漁村に住民票があって、農山漁村Aに住民票があって農山漁村Bに居所を有する、定住まで至らないけれども居所を有するようなケースはこれに入るんでしょうか。定住等に入るんでしょうか。

牧元政府参考人 お答えを申し上げます。

 この第二条の第一項の定住等の定義でございますけれども、定住等でございまして、前段の方の定住というのが、まさにこの農山漁村における定住でございます。そして、等として、都市の住民がその住所のほか農山漁村に居所を有することということで、二か所に住所を持って、都市にお住まいの方が農村にも住所を持っている、こういうものが等で読めるということでございます。

 御質問がございましたのは、他の農山漁村など都市以外に住民票を有する住民が農山漁村に居所を有することは定住等に含まれるのかという御質問でございますので、それにつきましては、この定住等に含まれるということを御答弁申し上げたところでございます。

後藤(祐)委員 含まれると明確な答弁をいただきました。なかなか文字の上では読みにくいけれども、でも、含まれると明確な答弁をいただいたので、これは、実際、部会なんかでも議論させていただきましたし、実務的にはそういったものを除外する理由はないので、含めて運営したいという御説明もいただいています。

 ただ、これはぎりぎり詰めていくと、すごく読みにくいんですね。ですが、実際のこの法律の運用としては、読めるというふうに今明確に局長に答弁をいただきました。これは、すごく大事なことだと思います。

 もう一つ、地域間交流の方、これの方はまだ読みやすいと思うんですが、第二条二項ですね、地域間交流の定義として、都市の住民の農林漁業の体験その他の農山漁村と都市との地域間交流をいうとあって、その他のというのは、都市の住民の農林漁業の体験というのが一つあって、そのほかいろいろなのがあって、そういうのを全部ひっくるめて農山漁村と都市との地域間交流という意味だと理解していますが、それでよろしいでしょうか。

 だとすれば、今言ったような、農山漁村Aに住んでいる人が農林漁業の体験を農山漁村Bで行うようなケースも、その他ので読めて、この地域間交流に含まれるということでよろしいでしょうか。

牧元政府参考人 お答えを申し上げます。

 地域間交流につきましては、今委員から御指摘いただきましたように、都市の住民の農林漁業の体験その他の農山漁村と都市との地域間交流をいうということでございます。

 この都市の範囲につきましては特段の限定はつけていないところでございまして、この地域間交流の取組につきましては、広く本法の支援の対象になり得るものと考えているところでございます。

 今回の改正の機会を捉えて、こうしたことにつきましてもよく周知を図ってまいりたいと考えております。

後藤(祐)委員 大事な答弁をいただきました。

 これは、大臣、念のためというか、大臣としての御答弁もいただきたいと思いますが、他の農山漁村に住んでいる方が、もう一つ別の農山漁村に居所を有するですとか、あるいは農林漁業の体験など地域間交流を行うですとかいうものも含めて、要は、元々住んでいるところは都市ということに限定されず、定住等あるいは地域間交流をこの法律の対象とするということでよろしいでしょうか。大臣からお願いします。

金子(原)国務大臣 本来の目的は、都市と農山漁村が交流し、都市から農山漁村へ人を呼ぶことにより、農山漁村の活性化を図ることとされております。

 このため、本法における支援は、都市と農山漁村との地域間交流に主眼が置かれておりまして、例えば、限界集落同士の交流は、本法の支援対象となりません。

 しかしながら、現行でも、都市の範囲においては特段の限定は付されておらず、地域間交流の取組につきましては、広く本法の支援対象となり得るため、活性化計画の作成に当たっては、個別の相談に応じるなど適切なサポートを行い、幅広い支援につなげてまいりたいと考えております。

後藤(祐)委員 是非、要は、どこから来た人でも対象にするということなので、そういう前提で法律の運用をお願いします。

 それともう一つ、先ほどの北海道の事例なんかもそうですが、ワーケーション、お仕事をパソコンでできるような方が農山漁村などにおいてテレワークをするというようなケースというのは、これはこの地域間交流というものに含まれるんでしょうか。

牧元政府参考人 お答えを申し上げます。

 ワーケーションとは、観光庁の資料によりますと、テレワーク等を活用し、ふだんの職場や自宅とは異なる場所で仕事をしつつ、自分の時間も過ごすことというふうに説明されているところでございます。

 農山漁村におけるワーケーションといたしまして、宿泊施設等に滞在をしてテレワークなどを行う場合は、一般的には、この法第二条第二項の地域間交流に該当すると考えられるところでございます。

後藤(祐)委員 是非促進いただければと思います。

 続きまして、資料五ページ目に、今回の基盤法で定めるところの地域計画の区域と、あと、活性化法で定める活性化計画の区域の関係が、これは、皆様、法律の説明でよく見た絵だと思いますが、この緑色のところが基盤法、オレンジ色のところが活性化法と、あたかも排他的に、どちらかの色を塗るみたいな感じに見えるんですが、実はそうではなくて、基盤法上の、この緑色に塗った地域計画の区域の上に重ねて、活性化法に基づく活性化計画の区域を塗るということもできるということでよろしいでしょうか。

 逆に言うと、活性化計画の区域として、例えば、観光農園をやるとか農業レストランとかというのが具体例として挙げられているわけですけれども、これは、基盤法の地域計画上の、ここでいうところの緑の区域のところで観光農園とか農業レストランをやる場合も当然あり得るものだと理解しておりますので、この二つは、排他的ではなくて、重なって塗るということもあり得るということでよろしいでしょうか。

金子(原)国務大臣 活性化計画につきましては、農林漁業が重要な事業な地域において、地域の活性化を図る等の観点から定めることといたしております。

 また、地域計画につきましては、市町村が、農業者等による話合いを踏まえまして、農業上の利用が行われる農用地等の区域について、将来の農地利用の姿を明確化し、農用地の効率的かつ総合的な利用を図ることといたしております。

 このため、例えば、農業上の利用が行われる農用地等においては、農業用施設や市民農園が活性化事業により設置される場合等については、農用地の効率的かつ総合的な利用に支障を及ぼさないことを前提に、両計画の対象となる区域は重複し得るものと考えています。

後藤(祐)委員 明確な答弁をありがとうございました。

 観光農園とか農業レストランというのは、あらかじめここにできると分かるわけじゃないので、活性化計画の区域というのは、余り、ここと明確にしておくというよりは、それこそ広く、ここはあり得ないだろうという、都会のど真ん中とか山の上とかいうところ以外に、むしろ広くあらかじめ網をかけておくような指定の仕方というのは可能なんでしょうか。

牧元政府参考人 お答えを申し上げます。

 活性化計画には、活性化計画の区域、また当該区域において実施する定住等及び地域間交流を促進するために必要な事業に関する事項、そして計画期間などの項目を記載されているところでございます。

 当該計画には、あらかじめ全ての事業を記載しておく必要はないところでございまして、計画を作成する時点において具体化している広域を対象とした事業の記載でございますれば、計画区域を広く指定することは可能であると考えております。

後藤(祐)委員 明確な答弁をありがとうございます。

 私の選挙区である神奈川県は全く指定されていないんですが、まさに今の局長の答弁で、広くこれは指定をしておいて、いつ何どき、観光農園だとか農業レストランをやりたいという人が出てきたときに活性化法が使えるような形にしておくということ自体が、すごくこの法律を使いやすくすることになると思いますので、是非、今の局長答弁を、通知というか、各都道府県ですとか市町村に伝えてあげていただきたいというふうに思います。

 それで、先ほど稲津先生からも、農用地であっても耕作放棄地になっているようなところというのはあって、全部が全部、農地として実質的に農業をやってもらうことはなかなか限界があるというようなお話がありましたけれども、今回、先ほどの配付資料の五ページ目に、放牧とか鳥獣緩衝帯、林地化というのがありますけれども、こういったものを、今申し上げたような基盤法の地域計画の上でやって、活性化計画の区域、要は重なったような形で塗って、その上で、特に、農地であるところは放牧をやるのはどうかと思いますけれども、耕作放棄地になってしまっているような、基盤法の地域計画の区域の上にオレンジ色の活性化計画の区域を塗って、放牧をそこでやる、耕作放棄地で放牧をやるというようなものも対象になり得るんでしょうか。

牧元政府参考人 お答えを申し上げます。

 先ほど大臣からも、この基盤法の計画と活性化計画については重複し得るという御答弁があったところでございます。

 また、今委員から御指摘いただきましたように、この図でいきますと緑で塗ったような、基盤法におきまして集積、集約化すべきエリアの中におきましても、耕作放棄地と申しましょうか、荒廃農地が存在するような場合もあるわけでございまして、そういうところにつきまして、活性化計画の今回の対象と一致して、例えば、放牧地でありますとか鳥獣緩衝帯などの設置について事業を行うことは可能と考えております。

後藤(祐)委員 可能と明確な答弁をいただきました。是非、これも運用上、大変重要な事実だと思いますので、都道府県や市町村などに通知をいただきたいと思います。

 続きまして、農用地などで観光牧場をやったり、農家レストランをやったり、観光農業をやったりといったことをするときに、集客するためには駐車場とトイレというのが必要になるんですね。ある程度大きなものを造ろうとすると、これは、どうしても、農用地の除外ですとか農地転用ですとかとの関係というのが微妙になってくるわけです。

 まず、これは局長に事実関係をお伺いしたいと思いますが、トイレ及び駐車場について、どの程度の規模から農用地解除と農地転用が必要になってくるんでしょうか。それと、農用地解除と農地転用の関係について、農用地の解除というか、除外という言い方ですね、失礼しました。農用地の除外が不要という範囲になったものについては、全て農地転用は不要ということでよろしいでしょうか。

牧元政府参考人 お答えを申し上げます。

 農用地区域内に設置可能な農業用施設、あるいは、農地に附帯をして、農業者が営農に必要なものとして、トイレとか駐車場、こういうものを設置する場合には、その規模にかかわりませず、農用地区域から除外することなく、農業用施設として設置をすることが可能なところでございます。

 農業用施設の設置に当たりましては、あらかじめ農用地区域の用途区分を農地から農業用施設用地に変更する必要があるところでございます。

 なお、設置する農業用施設の規模が二アール以上の場合には、あらかじめ農地転用を受けることが必要でございますが、逆に言いますれば、二アール未満のものでございますれば、転用許可が不要ということになっているところでございます。

後藤(祐)委員 二アール以上の駐車場というのも、お客さんがいっぱい来るところはあり得ると思うんですね。二アール以上の場合は、やはり農用地の除外と農地転用が必要だということなんだと思いますが。

 更に言うと、農業用施設用地指定をする必要がない軽微な変更という、もっと小さいレベルの場合もあると思うんですね。これはまさに畑をやっている農家の方が、一日いるのにトイレが必要になるので、簡易なトイレを置くようなケースだと思いますが、この軽微な変更として、農業用施設用地の指定もせずに置けるようなトイレというのは、どの程度の規模以下で、かつ、どの程度の期間置くことまでが認められているんでしょうか。

牧元政府参考人 お答えを申し上げます。

 農業用施設を農用地区域内に設置する場合には、農用地区域から除外することなく、農業上の用途区分を農業用施設用地に変更した上で設置することが可能ということでございます。

 この場合、トイレや駐車場については、営農上必要なものであれば、規模にかかわらず設置可能ということでございます。

 なお、今、軽微なという御指摘もいただいたところでございますけれども、必要な規模の仮設トイレを設置する場合までには、農業上の用途区分の変更が必要となるものではないところでございます。

 この場合、仮設トイレとして設置する年数につきましては、設置する農業者の意向によるものと考えておりますので、仮設として取り扱う具体的な年数等の定めはないところでございます。

後藤(祐)委員 仮設トイレであれば年数の定めはないというのは、これも重要な御答弁だと思いますので、仮設トイレとしてしばらく置いておいていただいて、観光農園をやるといった対応も可能だという御確認がいただけました。

 仮設でなくきちっとした施設としてのトイレを造る場合は、それはそれで、農業用施設用地の指定をすれば可能ということでございますが、先ほどの二アールというのがありましたけれども、これは配付資料六ページですね。

 これはちょっと確認になりますが、まずは、レストランみたいな形で施設があって、それに附帯するようなトイレの場合は、この六ページの上の、「農業振興地域制度に関するガイドラインの制定について」、第2、4(5)というところで、農業用施設にこういったトイレは該当するという理解でよろしいでしょうか。

 また、観光農園みたいに施設そのものがないようなケース、だけれども、トイレは必要だということで、施設としてはトイレしかない。つまり、元々ある、レストランみたいな場合は、そのレストランという農業用施設に附帯する形でトイレという概念になるんでしょうけれども、それが六ページ目の上なんですが、観光農園で施設そのものがないというような場合でも、トイレだけを施設として設置する場合は、その六ページ目の下のところの第6、農業用施設用地例というところで、その注の二というところでこれもオーケーだというふうに読めますが、確認です、これは可能ということでよろしいでしょうか。

 これは、大臣に通告をしているんじゃないかと思います。

金子(原)国務大臣 観光農園に来場する者のために必要となるトイレにつきましては、これらの施設を農業者が利用する場合と同様に、農業用施設に該当します。

 したがって、農用地区域内の農地に設置する場合であっても、農用地区域から除外することなく、農業上の用途区分を農地から農業用施設用地に変更しまして、農地転用許可を受けて設置することが可能であります。

後藤(祐)委員 二アール以下の小さいものでも、農地転用が必要になってしまうんでしょうか。

牧元政府参考人 お答えを申し上げます。

 先ほど転用許可不要で二アール以下というふうに申し上げましたのは、これは、あくまでも農業用施設として設置する場合、すなわち、農業者の皆様方が営農上必要な施設として設置をするような場合で二アール以下のものについては転用許可不要ということで申し上げたところでございます。

 これに対しまして、例えば、交流施設のような形、交流施設にトイレとか駐車場を設置をする場合、こういったものにつきましては、規模にかかわりませず、農用地区域から除外をいたしまして、農地転用許可を受ける必要があるところでございます。

後藤(祐)委員 そうすると、六ページ目の上のやつとの関係がよく分からないんですが、レストランみたいな施設があって、それに附帯するような、併設して設置されるトイレについては、農地転用をしないといけないということなんですか。農業用施設用地として、農用地の除外をしなくていいという意味なんじゃないんですか、この六ページ目の上のところのガイドラインは。

牧元政府参考人 お答えを申し上げます。

 観光農園に来場する方のために必要となるトイレにつきましては、先ほど大臣からも御答弁がございましたように、これらの施設を農業者が利用する場合と同様に、農業用施設に該当するところでございます。

後藤(祐)委員 それは、六ページ目の下のところの話ですよね。観光農園のように、施設がないところに、トイレだけが施設のような場合でも農業用施設に該当するという形で、農用地の除外はしなくていいというのが六ページ目の下のガイドラインだと思いますが、今質問したのは、農家レストランみたいな、施設があって、それに併設されるようなトイレについても農用地の除外はしなくていいというのが、その六ページ目の上の、このガイドラインの第2、4(5)なのではないんですか。

牧元政府参考人 お答えを申し上げます。

 この六ページの上段のところについては、委員御指摘のとおりでございます。

 なお、先ほど私は、この転用許可不要の農業用施設に当たるトイレにつきまして、二アール以下と発言をいたしましたが、正しくは二アール未満でございます。

 おわびして、訂正をさせていただきます。

後藤(祐)委員 ちょっとごちゃごちゃして分かりにくかったと思うんですが、少なくとも、二アール未満ですか、二アール未満のトイレとか駐車場については、いずれも農業用施設に該当するので、農園のようなケースでもオーケーだという確認は取れたということでよろしいですか、局長。二アール以上の場合は、これはやはり農地転用、農用地の除外が必要だという、そういう簡単な整理ですね、結論としては。

牧元政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘のように、二アール未満は許可不要、二アール以上のものにつきましては転用許可が必要ということでございます。

後藤(祐)委員 これは重要な答弁だと思います。現場では、結構、駐車場が造れなくて、よく分からぬところに車をいっぱい止めたりとか、トイレで困っている、それが集客の限界になっているような施設は私のところにいっぱいありますので、是非この解釈についても徹底をしていただきたいと思います。

 終わります。ありがとうございました。

平口委員長 次に、小山展弘君。

小山委員 静岡三区選出の小山展弘です。

 それでは、早速質問に入らさせていただきたいと思います。

 今年も、もう既に地域によっては、鹿児島や静岡の一部でも新茶の初取引が行われまして、一番茶が始まりました。私の地元の袋井、掛川、菊川は四月二十一日に初取引が行われる予定ですけれども、今年のお茶の需給見通し並びに市況の見通しについて、また茶業振興にかける大臣の意気込みについて、お尋ねをしたいと思います。

金子(原)国務大臣 令和四年産の茶につきましては、既に鹿児島県産の新茶の取引が本格化しておりまして、前年の新型コロナウイルスの影響から需要の回復が見られた令和三年産と比較いたしましても、単価はやや高く推移いたしております。また、昨日、静岡県産についても新茶の取引が開始されまして、前年を上回る単価でスタートしたと承知しています。

 これから全国で新茶の取引が本格化する中で、市況については、今後の気象などによって左右されるため予断を持って申し上げることはできませんが、引き続き注意深く見守ってまいります。

 農林水産省といたしましては、新たに、毎日お茶のある暮らしのキャンペーンとして情報発信を行うこととしており、茶業界と一体となって、国民の皆さんにお茶をもっと飲んでもらえるよう、新茶シーズンを迎えるお茶の需要拡大に取り組んでまいります。

 先般も、記者会見で、私はお茶を飲みながらキャンペーンをやりました。

小山委員 ありがとうございます。

 是非、今日、委員の皆様方におかれましても、毎日お茶を飲もうキャンペーン、私自身も、お茶を急須で是非入れて飲んでいただきたい。

 かつて、私、二期目のときに、この農林水産委員会でお茶を、新茶のときに、鹿児島の宮路先生と一緒に、森山先生と一緒に出させていただいたことがありました。

 今、コロナ禍で残念ながら水差しがありませんものですから、ペットボトルのお茶は、逆な、茶農家の方からも、何で急須で入れた、あるいは冷茶を出さないんだと言われてしまいますので、なかなか今難しいですけれども、コロナが収まりましたらまた是非そのような取組もさせていただきたいと思っておりますし、御協力をお願いできればと思っております。できれば予算委員会で、水差しがまた使えるようになったらお願いしたいなと思っております。

 それでは、今回の改正法についてお尋ねさせていただきたいと思います。

 先ほど、坂本哲志議員から、農地規制の歴史あるいは集落営農の役割について、大変示唆に富んだお話が、質問がございました。

 このこと、担い手とは何かということについてお尋ねしたいと思うんですけれども、今まで、担い手への農地集積、集約化ということが政策目標として掲げられ、また、その担い手については、これまでの基本計画では、効率的、安定的な農業経営及びそれを目指して経営改善に取り組む農業経営、認定農業者、新規認定農業者、あるいは先ほどのお話のあった集落営農、将来法人化して認定農業者になることが見込まれる集落営農と示されてまいりまして、これは大体、人・農地プランの中心経営体とおおむね一致してきたかと思います。

 一方で、二〇二〇年三月の新たな食料・農業・農村基本計画では、多様な人材といったものを掲げられ、中小・家族経営など多様な経営体による地域の下支え、こういったことも掲げられるようになってまいりました。

 また、令和三年の活力創造プランにおいては、農地を将来にわたって持続的に利用すると見込まれる者として、半農半X、これは、余りむやみやたらにということはかえって混乱が生じるということも当然と思いますけれども、新規兼業農家と言ってもいいのではないかと思いますけれども、こういった中小規模の経営体なども含んだ多様な経営体を認定農業者とともに位置づけております。

 大規模化や農地の集積というものは否定はいたしませんけれども、大規模専業農家あるいは認定農家だけでは農村と農業を維持することはできず、中小規模の農家や兼業農家も農政の対象として、今までも決して対象ではなかったわけではないんですけれども、今まで以上に位置づけていかざるを得なくなった、そのような意味合いもあろうかと思いますし、小田切参考人からもそういった御意見がございました。

 総がかりで農地を守っていくということで参考人からも発言がありましたが、政府は、今回の法改正で、新規、既存にかかわらず、半農半Xを含む新規兼業あるいは既存の兼業農家、中小規模の農家をどのように位置づけていくお考えでしょうか。

金子(原)国務大臣 地域の農業が持続的に発展していくためには、継続的な発展が期待される効率かつ安定的な農業経営を担い手として育成、確保していく必要があり、これらの者への農地の利用集積を進めていくことが重要であります。

 一方、今後、高齢化、人口減少が本格化し、地域の農地が適切に利用されなくなることを懸念される中、農地が利用されるよう、地域の農業を担う人材を幅広く確保、育成することが重要と考えております。

 このため、今回の法改正案におきましては、地域における目標地図においては、目指すべき将来の農地利用の姿として、農業を担う人ごとに利用する農用地等を明らかにすることとしています。

 この場合、目標地図には、経営規模の大小にかかわらず、また、家族か法人かの区別は問わず、将来にわたり地域の農地を適切に維持活用する方々が位置づけられ、それらの方々による農地の効率的、総合的な利用を図ることといたしております。

小山委員 中小規模の農家さんについては、先ほど坂本議員の指摘のあったとおり、集落営農ということになるのが大変望ましいとは思いますけれども、そこにも至らない地域あるいは諸事情がある地域もあろうかと思います。

 是非、農業を担う者といいますと、言葉の響きの上では担い手とほとんど変わらないような響きを持っておりますけれども、今まで以上に、こういった、もう一度、中小規模の農家さん、兼業農家さんも今までよりも位置づけを重くしていただいて、日本の農業を担っていただけるように取り組んでいただければと思います。

 次に、地域計画の策定や見直し、目標地図の作成に当たっては、これも坂本議員や稲津議員の御質問にもありましたが、農業委員会や市町村に大変な業務負担がかかるということを懸念する声もございます。

 現在でも、利用状況調査など業務は増える一方でございまして、一方で、農業委員会の事務局の人員は減少傾向です。市役所もローテーションで人事異動というようなことも参考人質疑の際にもお話がございましたが、こういった目標地図の素案作りについて、このような業務負担増加の現状もある中で政府からの支援も必要と考えますが、どのような支援、対策を考えておりますでしょうか。

金子(原)国務大臣 基盤法等の改正法案において、目標地図は市町村が作成するものですが、その素案については農業委員会が作成することとしておりまして、農業委員会の事務負担の軽減を図ることが必要であると考えています。

 この場合、農業委員会が素案を作成するに当たっては、聞き取り等によって把握した農地の出し手、受け手の意向等の情報をその場でタブレットに入力しまして、これらの情報を現在インターネットで公開している農地地図情報に反映させることで省力化を図ることといたしております。

 農林水産省におきましては、農業委員会に対して、農業委員会交付金で基礎的経費への支援を行うとともに、農地利用最適化交付金によりまして農業委員会の農地集積等の最適化活動を支援していくことといたしております。この農地利用最適化交付金においては、現場で使い勝手がよくなるように、令和四年度予算において、委員報酬に加えまして、新たに事務費にも活用できるよう見直しを行い、この中で臨時職員の配置等も支援することといたしております。

 さらに、都道府県農業会議に対しては、農業委員会の業務を巡回サポートするための経費を支援しており、農業委員会の業務の円滑化を図ってまいりたいと考えております。

 これらの活用等によりまして、農業委員会による目標地図の素案作成が円滑に進むように支援してまいりたいと考えております。

小山委員 この農業委員会のところが業務負担を乗り越えていけるかどうかが大変肝だと思いますので、是非お願いしたいと思いますし、タブレットにつきましては、操作がやや苦手な方もいらっしゃるということも想像されますので、是非その辺りのフォローもお願いしたいと思います。

 それと、農協も、この地域計画を作っていく上で、協議をしていく、話合いの重要なアクターの一つと思いますけれども、どのような品目を作るかを決め、農地利用のビジョンを考えていく上で農協の果たす役割も大きいと思いますけれども、政府としては、地域計画策定における農協の役割をどのように認識をしておりますでしょうか。

金子(原)国務大臣 地域計画の作成に当たりましては、市町村が農業者、農業委員会、農地バンク、農協、土地改良区その他関係者による協議の場を設け、将来の農業の在り方等を話し合っていただくことといたしております。この協議の場において、関係する機関がそれぞれの強みを生かしまして、連携して取り組んでいただくことが期待されます。

 議員お尋ねの農協につきましても、地域の農作物の販売戦略を立てていく立場から、今後、地域でどのような作物に力を注いでいくのか、有利に販売できる品種は何か、輸出や有機作物などの新たな取組をどうするかなどについて積極的に議論に参加していただくことが必要と考えており、将来の農業の在り方を話し合う上で重要な役割を果たすことになると考えています。

小山委員 今回の法律の条文の中に余り農協さんのことは触れられていないわけですけれども、しかし、今の大臣のお話にもありましたとおり、何を作るか、作るものが売れるのかどうかという販売戦略、まさにこの重要な要素が農協さんの担っている部分が大きいと思いますので、是非そのことも含めて政府の方も対応していただきたいと思います。

 今改正案では、条文に出てくる部分では、委託を受けて行う農作業の実施を促進するほか、農協は、「自ら委託を受けて農作業を行うように努めるものとする。」となっております。農協による農作業受託の現状と今後期待される役割について、政府はどのように認識をしておりますでしょうか。

光吉政府参考人 お答えいたします。

 改正法案の中で、基盤法第二十七条におきまして、農協が行います農作業の委託のあっせん、農作業の委託を受ける農業者の組織化の推進等に加えまして、農協が「自ら委託を受けて農作業を行うように努めるもの」としております。

 農作業受託を行います農協は、JA出資法人で取り組んでいる場合なども含めまして、令和三年度に三百七十一JAと全体の約六割強となっておりまして、農業現場での労働力不足などから、組合員から委託を受けて農作業を行う事例が多くなっているものと承知をしております。

 今後、高齢化、人口減少が本格化いたしまして、地域の農地が適切に利用されなくなる懸念がある中で、組合員あるいは地域のニーズに応じた農作業受託を推進し、農地が利用されやすくしていく必要があることから、今般、農協が自ら委託を受けて農作業を行うよう努める旨の規定を措置しております。

小山委員 それでは、次にお尋ねしたいと思いますが、地域計画というものは十年後の将来を見据えて策定をしていくということになっておりますけれども、前回の参考人の発言にもありましたが、なかなか十年後の姿を描き切るというのは、地域によっては難しかったりするケースもあろうかと思います。

 私も聞きましたのは、高齢者の農家の方で、私は働けるうちは農業がしたい、五年たったらやめるなんて言わないんです、だけれども、かなりの高齢の方だったりすると、農業委員会さんの方でも、もうやめるということを見込むんじゃないですかと言いにくいというような、そうなると、じゃ、十年後の将来というのはどうなるのか、今非常に高齢者の方々が頑張っている地域も多いものですから、そういった声も、本当になかなかこれは悩ましいんですという声も聞きます。

 受け手がどうなるかということを予測できない、描き切れないということもあろうかと思いますが、ゆえにこそ、市町村の一部あるいは農業委員会の一部からも、一律に計画を義務化したり、あるいは一律のレベル感を求めるということについては大変懸念をする声もあり、地域の実情に合った計画策定を市町村にも求めていくべきと考えますけれども、この点について政府の認識をお尋ねします。

光吉政府参考人 お答えいたします。

 今後、高齢化、人口減少が本格化いたしまして、地域の農地が適切に利用されなくなることが懸念される中で、地域の内外から受け手候補を広く探すことが重要と考えております。

 このため、地域計画の策定に当たりまして、地域の受け手が見つからない場合には、当面、例えば、多面的機能支払交付金や中山間地域等直接支払交付金の活動組織ですとか、先ほど申し上げたJAなどのサービス事業体、こういった方による農作業受託を活用するといった取組も推進してまいりたいと考えています。

 また、目標地図の作成時に、受け手が直ちに見つからないなど、最終的な合意が得られない、そういった農地につきましては、地図の作成後も随時調整しながら、その調整結果を目標地図に反映できることとしています。

 地域計画の策定程度については、策定後においても必要に応じて変更できることとしているところでございます。

小山委員 今の局長さんの答弁にもありましたけれども、ますます、受け手がいないといった場合に農協の果たす役割というのは実は大きくなってくるのではないかといったことも、今の答弁を伺いながら思いました。

 それと、ちょっと観点を変えてお尋ねしたいと思うんですが、先ほども同じような御質問がありましたけれども、二〇二三年に担い手の農地利用が全農地の八割を占める農業構造の確立ということを目指してまいりましたが、現状、先ほどの答弁にもありましたとおり、農地集積率は五八%にとどまり、平成二十五年から、四八・七%からは増加しておりますけれども、大きく計画を達成していない状態です。

 これについては、今までの、そもそも当初の目標設定は妥当だったのか、あるいは、平成二十五年、この当時の、更にそれを加速しようとして、一〇%ぐらいしか上積みできなかった、一〇%も上積みできたという見方もあろうかと思いますが、現場を踏まえない目標設定だったのではないかというような指摘もありますけれども、この点について政府はどのように認識しておりますでしょうか。

光吉政府参考人 お答えいたします。

 食料・農業・農村基本法第二十一条におきまして、「効率的かつ安定的な農業経営を育成し、これらの農業経営が農業生産の相当部分を担う農業構造を確立する」とされております。これを踏まえまして、委員御指摘の利用集積につきまして、全農地の八割を担い手に集積するという目標を掲げたところでございます。

 平成二十六年度に農地バンクを創設以降、担い手への集積率は年々増加をし、令和二年度の集積率は五八%となっております。ただ、八割という目標に向けては更なる取組の加速化が必要な状況でございます。

 この場合、農地が分散している状況を改善して農地を引き受けやすくしていくことが重要と考えておりまして、地域において具体的な農地の集積化に向けた取組を推進していかないといけないと思います。

 このため、今回の改正法案におきましては、目標の実現に向けて人・農地プランを法定化いたしまして、地域の話合いにより目指すべき将来の農地利用の姿を明確化して、地域内外から受け手を幅広く確保して、農地バンクを活用して農地の集積、集約化等を進めていくということとしております。これによりまして、農地の集約化を進めることで農地の集積率の向上にも寄与すると考えております。

小山委員 四年前、五年前にも、当時、農地中間管理機構の集積、集約がなかなか進んでいないんじゃないかという議論がよく農水委員会でも行われておりましたものですから、四年たってみて、改めて伺ったところです。

 ところで、ちょっと金融関係のことをこれからお尋ねしていきたいと思いますが、令和三年十二月の「人・農地など関連施策の見直しについて」では、農水省の文書では、認定農業者に限らず、目標地図において明確化された多様な経営体、サービス事業体等の利用者も、その実現に向けて取り組む場合には制度資金で後押しするとされております。これを踏まえて、認定農業者以外の方々への資金面の支援の在り方について、どのようなメニューを政府は考えておりますでしょうか。

宮崎大臣政務官 お答えをいたします。

 今回の見直しにおきましては、目標地図で明確化された多様な経営体に対しまして、制度資金で後押しをさせていただくということとしておるところでございます。

 具体的には、認定農業者でなくても、地域において継続的な農地利用を図り生産の効率化に取り組む経営体であれば、民間金融機関が融資をする農業近代化資金でございますとか、公庫融資の利用を可能としているところでございます。

 これらを通じまして、地域の農業を担う経営体を幅広く確保、育成をしていきたいというふうに考えております。

小山委員 是非こういった面からも後押しをしていただきたいと思っております。

 ここから日本政策金融公庫の資本性劣後ローンについてお尋ねしたいと思いますが、農林水産関係については、令和三年三月時点で、五十二件、二十七億円の融資実行を行っております。これまでの、実は既往の農林水産関係の資本性ローンは、一般的な資本性劣後ローンと異なりまして、期日一括償還という案件はなくて、八年据え置いて二十五年で約定弁済をしていくということになっております。これが、他と同様の資本性劣後ローンが今回の法改正で可能ということになるんですけれども、認定農業者など現場からどのようなニーズがあって、また、どのような効果を期待してこの法改正に至ったのでしょうか。

光吉政府参考人 お答えいたします。

 農業経営の現場におきまして、民間金融機関から融資を受けるに当たりまして、自己資本が十分ではなく、民間金融機関からの融資が受けにくいといったケースが見受けられます。

 例えば、畜産業を営んでおります法人が、生産頭数の拡大に向けて畜舎を増設する大規模投資、これを計画されているケース、あるいは、施設で花卉生産を行っている農業者が、花卉を原料とした加工品の製造、販売に取り組もうとされているケースなどにおきまして、当該農業経営者はもとより、その取引先の民間金融機関からも、借入金であっても資本とみなすことができて、農業経営の財務基盤の強化につながる資本性劣後ローンが必要との要望が日本政策金融公庫にあったというふうにお聞きをしております。

 こうしたことを受けまして、今回の改正法案におきましては、株式会社日本政策金融公庫法の特例を設けまして、認定農業者を対象として、長期にわたって償還が不要の運転資金及び施設資金を措置できるよう、同法に規定する据置期間の上限を償還期限と同じ長さまで延長することとしております。

 これによりまして、借入先の財務基盤が長期にわたって強化される資本性劣後ローンを措置できることとなり、民間資金の呼び水効果が期待されると考えております。

小山委員 かつては、例えばマグロ船の融資なんか、債務超過から始まって、だんだんだんだんそれが返していく。そのことも、金融機関自体も、これは貸出しとしていかがなものかなんということは、金融検査マニュアルとかそういったものがない時代にはその業界の特性だと言われておりましたけれども、いろいろな見方、あるいは金融機関の健全性ということが叫ばれるようになって、ある意味、形を変えた、業界に応じた融資の在り方という側面もあるのかなと思いますけれども。

 それで、実は、ちょっと時間の関係で一問飛ばさせていただきまして、コロナ対応とか震災対応とか、一時的な経営の悪化等、そういった災害が終息した際に、経営改善が図られて、元々その経営体の収益力がある、資金を返済できる見込みがあるという場合には、資本性劣後ローン、非常にこれは有効なローンだと思いますし、今の資本が拡充することで民間資金の呼び水効果というものもあろうかと思いますけれども、中長期的にローンの返済が可能かどうかというのは非常に見極めが難しいと思います。悪いケースの場合には不良債権が増えるということにもなりかねないですし、実際に公庫さんも一兆円近い赤字を出されていらっしゃいます。

 経営体の単なる延命とならないように、安易な貸出しは慎むべきですけれども、公庫さんはどのようにこの資本性劣後ローンのリスクを分析していますでしょうか。

 また、農水省は、この資本性劣後ローンに見合う引当金について、どのように積んでいくように指導を行う方針ですか。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 資本性劣後ローンは、長期間元金返済を要しないことを前提とするものでありますから、御指摘のとおり、従来の資金にも増して見極めが極めて重要だというふうに認識しております。

 したがいまして、融資の検討に当たりましては、今後の事業見通しや返済原資の蓄積が可能かどうか等を慎重に確認して、当該事業計画の実現可能性を見極めてまいりたいと考えておりますし、また、融資の際には、財務諸表の真実性等に関します表明保証ですとか、融資後の経営状況の報告義務、業績が悪化した場合の経営改善指導の受入れ義務などを盛り込んだ特約を締結することを今検討しているところでございまして、こういったことによりまして融資後のフォローアップを綿密に行うことで必要な経営指導、助言を行うよう、しっかりと努めてまいりたいと考えております。

光吉政府参考人 引当金についてでございます。

 当然でございますけれども、日本政策金融公庫が金融機関といたしまして適切に貸倒引当金を計上することが重要と考えています。

 今般の資本性劣後ローンにつきましても、その特性、これを踏まえた上で適切に計上することが重要と考えております。

 具体的に公庫におきましてどのような算定方法で引当金を計上するというふうにしていくかにつきましては、今後、公庫におきまして検討していくことになりましたが、農林水産省といたしましても、今申し上げたような点を踏まえながら、適切な方法となるよう、指導に努めてまいります。

小山委員 なかなか民間が対応しづらい、リスクの高い資本性劣後ローンのようなものを公庫さんが対応して、それによって自己資本比率が増して民間金融機関も対応しやすくなるという、官民の役割を分担した融資の形になれば非常に美しいと思います。しかし一方で、安易な貸出しということになって、そこに民間も乗っかると、これは債権の焦げつきということにもなりかねないとも、そういった懸念も両面あって、前者の方であっていただきたいと思いますけれども、ここで金融庁にお尋ねしたいと思います。

 資本性劣後ローンは、これまで述べてきたとおり、金融機関にとっては極めてリスクの高い貸出しであると考えられます。正常先への貸出しであればまだしも、要注意先や破綻懸念先への経営再建のための貸出しということになれば、これは、経営改善計画を債務者と債権者が一緒に策定をして、その実績を管理するというような濃密な取引関係が必要になると思われます。また、楽観過ぎる見通しの下では焦げつくというようなことも出て、借り手、貸し手、双方にとって不幸なことになってしまうと思います。

 貸出しすべきじゃないというふうには思いませんけれども、この資本性劣後ローンのリスクについて、金融庁はどのように認識して、どのような指導方針を立てておりますでしょうか。

石田政府参考人 お答え申し上げます。

 一般に、金融機関の経営に当たりましては、いわゆる金融仲介機能、リスクテイクと、金融機関自身の健全性の維持、リスク管理のバランスを取ることが必要でございます。

 御指摘の資本性劣後ローンにつきましては、事業者の財務基盤を強化することで金融機関からの融資を呼び込む効果が期待できる一方で、委員から御指摘があったとおり、一般的に、返済期間が長期にわたり、法的破綻時に他の債務よりも返済順位が劣後することから、通常の融資とは異なるリスクが金融機関に生じるものと考えられます。

 金融機関が資本性劣後ローンを活用する場合には、こうしたリスクを理解し、適切に把握、管理することが重要であり、金融庁といたしましては、顧客企業の経営実態を深く理解し、事業の収益性、将来性を適切に評価すること、単に融資を行うだけではなく、中長期の視点に立って事業者の実態に即した経営改善、再生支援等の取組を進めること、その上で、事業者の経営状況や支援による改善効果を継続的にフォローアップすることなどをしっかりと求めてまいりたいと考えております。

小山委員 政府系金融機関というのは民業補完との位置づけであります。しかし、二〇一七年など、農業融資においては、新規貸出しが民間金融機関を大幅に上回って、残高シェアを拡大した年もございました。民間金融機関からは、とても民間が太刀打ちできないスーパーL資金のような低金利で公庫さんが非常に積極的に融資を推進してくるというような声も聞かれております。

 これは意図せざる結果かもしれませんけれども、公庫さんの貸出姿勢が民業圧迫ではないかという声もないわけではございません。また、そういうところの声から、逆に、今回、民間金融機関さんから、委託貸付けではなくて、直貸で、資本性劣後ローンのような、官が果たすべき役割をもっと拡充させてほしいという声が出てきたというような背景も私は感じております。

 この点について、公庫さん並びに農水省さんの認識を伺いたいと思います。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 公庫法第一条におきまして、「日本政策金融公庫は、一般の金融機関が行う金融を補完することを旨とし」と規定されているところでございます。

 これまでも、民間金融機関と比較しまして、公庫の制度の優位性を誇張するようなことは厳に慎むよう、全職員に徹底してきたところであります。

 特に平成三十年度からは、農協系統金融機関も含めました民間金融機関との連携を重点取組事項に位置づけまして、連携を新たなステージに進めるため、お客様の了解を得た上で、民間金融機関へ融資案件を紹介することを進めるとともに、現場の担当者から役員レベルに至るまで顔の見える関係、いわゆるホットラインをつくりまして、情報交換を密にすることで、事後ではなくてタイムリーに問題を解決すべく取り組んできたところでございます。こういった取組も引き続き進めてまいりたいと考えております。

光吉政府参考人 お答えいたします。

 日本政策金融公庫につきましては、公庫法第一条におきまして、「一般の金融機関が行う金融を補完すること」が書かれております。

 これに則しまして、公庫におきましては、民間金融機関では対応が難しい大型の長期、低利の資金を取り扱うとともに、民間金融機関との協調融資ですとか、民間金融機関を窓口とした委託貸付けといった連携融資に取り組んでいるところでございます。

 農林水産省といたしましても、民間金融機関と公庫との役割分担などを踏まえながら、農業者の方の資金ニーズに的確に対応していけるよう、公庫の指導に努めていきます。

小山委員 そろそろ時間が来ますので終わらさせていただきたいと思いますが、いずれにしましても、あってはならないと思いますが、政府系金融機関が自らの存在を継続するために積極融資をしていく、そういう中で、過去の例では、借りなきゃばかだみたいなことを言われて借りたら、業況が悪くなって、そうしたら、借りたものを返せみたいなことを担当者が替わったら言われるようになった、非常に心外だというようなことを、実際、私自身もそういうことを言われたことがありまして、そういうようなことがないように、是非慎重な、そしてまた、官民の役割を分担した事業、融資を行っていただきたいとお願い申し上げまして、質問を終わらさせていただきたいと思います。

平口委員長 次に、金子恵美君。

金子(恵)委員 立憲民主党の金子恵美でございます。よろしくお願いいたします。

 今朝八時十六分に、福島県中通りを震源とする地震がまた起きましたが、我々立憲民主党も、すぐに情報連絡室を設置しております。

 福島県沖地震からもう既に一か月が過ぎて、ようやく被害の全容も見え始めたのではないかなというふうに思っています。

 四月の十日に、中村副大臣が現地調査のため宮城県、福島県に入られました。大臣は残念ながら現地にお越しくださることができなかったんですが、報告を受けられているというふうに思います。

 そこで、福島県では、私もこの委員会で取り上げました相馬市の松川浦漁港と荷さばき施設等の被害状況を調査していただいたわけなんですけれども、もちろん、早期の復旧を願い、農水省として、被災地に寄り添い、全力で取組を進めていただきたいというふうに思っていますが、大臣の御決意をお伺いしたいと思います。

金子(原)国務大臣 三月十六日に発生した福島県沖地震における農林水産関係の被害状況や東日本大震災からの復旧復興の状況を確認するために、四月の十日、中村農林水産副大臣が宮城県及び福島県で現地調査を行いました。

 現地においては、被災状況を確認するとともに、農業や漁業者の関係者の皆様と意見交換を行ったところです。

 東日本大震災以降、農林漁業関係の皆様が様々な困難を乗り越えながら農林水産業を復興再生してこられたと承知しており、この御努力を無駄にしないためにも、今回の地震被害には早期に対応する必要があると改めて認識をいたしております。

 このため、農林水産省といたしましては、関係者の皆様が一日も早くなりわいが再建できるよう、早期の災害復旧の支援を行うとともに、引き続き、現場の声をよくお聞きしながら、東日本大震災からの復旧復興を推進してまいりたいと思います。

金子(恵)委員 ありがとうございます。

 実は、私は、同行させていただいて、それで同席もさせていただいて、漁協の立谷組合長からは要望書が副大臣に提出されたわけなんですが、その要望書にも記載されているように、昨年の地震被害による修復というのは、様々な事情で補助金を結局受けずに、約九千万円かけて、漁協の自費で実施したということだったんです。そういう御挨拶がありました。今回は、前回よりも数倍も上回る費用が予想されるということでありまして、改めて要望書を提出させていただいたということを組合長は発言されていらっしゃいました。ですので、今回こそはきちんと、農水省、水産庁からしっかりと支援を受けることができるんだろうなと思います。

 漁協の様々な施設につきましては、実は、一部は市の所有、一部はまた漁協の所有というふうに大変複雑にもなっているものですから、様々な補助金等を組み合わせるような形になっていくのかなというふうに思っています。

 いずれにしましても、丁寧なやり取りを、現場としていただければありがたいというふうに思っていますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 法案の中身に入らせていただきたいというふうに思います。

 十二日から法案審議が始まって、十三日は参考人質疑もいたしました。

 参考人質疑においては、農政上の担い手の位置づけなどを踏まえて、食料・農業・農村基本法を改正する方向で議論を求める旨の発言が小田切参考人からありました。

 一つ前の基本法は、農業基本法、これは一九六一年に制定されていて、制定後三十年を経過した頃から見直しが意識されたということでありますが、結果としては、約四十年後の一九九九年に現行の食料・農業・農村基本法が制定されたということです。

 ただ、この経過を見ますと、やはり時代のスピード感が異なる今日でございますので、制定からもう二十年以上たっているという現行の基本法については、見直しをめぐる議論を始めても遅くはないのかなというふうにも思っています。

 どういう内容で改正をするかとかということについては、ここで触れることはできませんけれども、ただ、農水省の中で既にそのような検討とか議論とかということが始まっているんでしょうか。もしそうであれば、ここで一度申し上げたいのは、やはり農業者等を始め幅広い関係者を巻き込んだ形で議論、検討が必要だというふうに思いますが、いかがでしょうか。現時点での見解で結構でございますので、大臣、お願いいたします。

金子(原)国務大臣 食料・農業・農村基本法におきましては、食料の安定供給の確保、農業の有する多面的な機能の発揮、農業の持続的な発展、その基盤としての農村の振興を基本理念として掲げ、政策方向を明示しているところであります。一方、現行基本法制定から二十年以上が経過しまして、国内では、少子高齢化が進む一方、頻発する自然災害や地球温暖化など、我が国の食料安全保障をめぐる状況が変化しています。

 こうした情勢の変化を踏まえまして、農林水産省内に検討チームを設置して、現行基本法に基づき進めている食料安全保障施策について包括的な検証を行っているところであります。このチームでの検討は現行基本法の改正ありきで行うものではありませんが、しっかりと検証を行い、我が国の食料安定供給を確かなものにするために必要となる施策を検討していく考えであります。

金子(恵)委員 ありがとうございます。しっかりとした検討を進めていただきたいというふうに思います。

 それでは、今回の二つの法律案は、必要な農地を守ることと、そしてまた農村を守ることではありますけれども、基本はやはり農地を守ることというのが二法案の目的であるというふうに認識をしているところでございます。

 その観点から、直近の食料・農業・農村基本計画においては、二〇三〇年の農地面積を四百十四万ヘクタールと見込んでいるわけです。何もしないで、方策を講じなければ、これが三百九十二万ヘクタールになってしまうということを想定しているということですので、つまりは、どんどん減っていく、それを何とか阻止したいという思いで、今、様々な手だてを考えているということだというふうに思います。

 一方で、先日の参考人質疑の際に、山下参考人からなんですが、危機対応のためには最低限千四十万ヘクタールの農地が必要だというような御発言もありました。

 基本計画において、食料自給率、食料自給力等の指標も示されていますけれども、食料安全保障という観点から、その一千四十万ヘクタールという数字に対する農水省の見解があるのか、お聞かせいただきたいと思います。

 今まさに、ウクライナ情勢等を見ますと、食料安全保障、これは、省内に食料安全保障に関する検討チームが立ち上がっていて、武部副大臣がチーム長であるというふうに伺っておりますので、今後も、この基本計画における見通しだけではなく、危機対応のために必要な農地について、政府としてしっかりと具体的な数値というのを出していかなくてはいけないというふうに思いますけれども、武部副大臣、いかがでしょうか。

武部副大臣 先日の山下参考人が、千四十万ヘクタールという、言及されたことは承知をしておりますが、前提条件がどのようになっているかということはおっしゃらなかったので、コメントは差し控えたいと思いますが、いずれにしましても、そのときに山下参考人も、輸入が途絶えたらということの前提でお話しされていたんだと思います。

 将来にわたって食料を安定的に供給していくためには、やはり輸入が国際情勢等によって、様々な要因に影響されることを踏まえれば、国産で生産できるものについてはできる限り国内で生産していくということは、これは大変重要でありますし、そのためには、農業生産基盤である農地を適切に確保していくということが大変重要であると考えております。

 このようなことを踏まえまして、食料・農業・農村基本計画においては、品目ごとの食料消費の見通しと実現可能な生産量の目標を積み上げまして、今委員おっしゃったとおり、令和十二年度までに、食料自給率の目標を四五%と定めて、その前提として、四百十四万ヘクタール、この農地を確保する見通しを立てております。

 まずは、基本計画に掲げた目標等の達成に向けて、担い手や優良農地の確保を始めとする生産基盤の強化、これにしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

金子(恵)委員 ありがとうございます。

 食料安全保障に関する検討チーム、前回、私、この委員会で取り上げさせていただいたその段階では、何をどのように動かすか、どのような検討をするかという、その具体的なところはまだ決まっていないということでありましたが、その後、検討チームというのは動かしていらっしゃるということでよろしいんですか。

武部副大臣 今、基本法にあるとおり、食料安全保障上で基本法に載っているのは、安定的な供給体制と、それから輸入と備蓄ということ、これが大事な三つの要素であります。

 それぞれの三つの要素について、どんなリスクがあるかということを項目ごとに今整理しています。例えば、安定供給の中でいうと、当然、畜産もあれば、水稲もあったり、畑作もあったりする。品目ごとにどういうリスクがあるかというのを、また、それぞれ細かくありますので、今、全省挙げて、リスクの項目を挙げて、それについてどういったリスクがあり、そしてどういった対応をしなければならないかということを今整理している最中です。

金子(恵)委員 リスクを挙げて検討しているということでございますので、しっかりと進めていただきたいとは思うんですけれども、本来であれば、やはり、食料自給率をできるだけ高めていく、輸入に頼らない、そういう農業をしっかりと確立していかなくてはいけない。そうでなければ、やはり、農は国の基でありますけれども、本当の独立国と言っていいのかという議論にまで発展するんだというふうには思うんですけれども、今は厳しい状況です。

 とにかく、農業者の数もどんどん減っている、農業力、労働力というのが減っている、その状況の中で、いろいろなイノベーション、スマート農業も含めて、何とか、農業をこれからも続けていく、そういう方々を増やしていかなくてはいけないというふうにも思っています。

 ただ、そうやって考えるところ、今回の法案を提出されて、そして今審議しているわけですけれども、農地の八割を担い手に集積と言っていますけれども、じゃ、どれぐらいの面的な農地が本当に必要なんだろうという、そのゴールというものが見えなければ、本当に、単なる集積を今の段階で進めていっても、なかなかゴールを見通せなくてやりにくいんじゃないかなというふうに思うんです。

 やはり、食料の自給率四五%を目指すとか、そういうことでも足りないというふうに思いますし、今の段階ではこれを目指して、何とか今の農地を少しでも減らさないでいよう、そのレベルなんですね。これはちょっと私はまだまだ弱いなというふうに思っていまして、しっかりと農林水産省として対応をしていただきたいと思います。

 私は農水省の応援団だと思っていますけれども、いろいろな議論を聞いていますと、どうも農水省はなくなっていくんじゃないか、単なる産業省になっていくんじゃないか、そういう懸念があった時期もありましたし、是非頑張っていただきたいと思うんです。

 それで、今回の二法案は一括で審査でした。私も筆頭理事をさせていただいておりますから、与党の宮下筆頭理事といろいろな協議をさせていただいて、最終的にも国対のオーケーを得て、今こうやって一括審査なんですけれども、一括審査する理由、そして運用を一体的に進めていく理由、これについてはもう既にこの委員会で確認がされているところでありますけれども、でも、改めて確認をしたいのは、それではなぜ、ここまで一体でやりたいとおっしゃっているのであれば、別々の法案として提出されたのかということでございます。ちょっと切り口を変えています。

 原則論からいえば、基盤強化法が六本の法改正を束ねています、このことにも疑義はあるということですが、それほど一体と言うなら、活性化法も束ねて一本の法律案として提出しなかったのはどういうことかということなんですが、私も、考えるところ、基盤強化法等は経営局の所管、活性化法は農村振興局の所管ということでありますから、それが理由となるのかなと思っていますけれども、そうであれば、本当に一体的な審査、運用、これが必要ならば、法改正の素案作りから部局をまたいで一体的に検討、整理を行って、一つの法律案として提出すべきだった、そういう考え方もあってしかるべきではないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。大臣、お願いいたします。

金子(原)国務大臣 お答えいたします。

 二つ以上の法律の改正を提案しようとする場合におきましては、一般に、法案の趣旨、目的が一つであると認められるとき、法案の条項が相互に関連して一つの体系を形作っていると認められるときは、政府としては、一つの改正法案として提案できると考えています。

 今回、農業経営基盤強化促進法等の改正案と農山漁村活性化法の改正法案の異なる二つの法案として法案を提出していますが、両法案は、高齢化や人口減少が本格化する中で、地域でどのように農地を利用していくのかを話し合い、対応を定める点で共通しており、一括審議していただいているものと理解しております。

 一方で、地域で話合いを行った後、農業経営基盤強化促進法等の改正案では、農業上の利用が行われる農地につきましては集約化等を行っていくこととしていることに対しまして、農山漁村活性化法の改正法案では、粗放的な利用等を行う農地については、放牧や鳥獣緩衝地帯など、計画的な土地利用を推進していくこととしており、両法案は異なる方向性を有していることから、二つの法案として国会に提出をいたしております。

 実際の地域の話合いについては、具体的に両法案に基づく取組を進めていく際に、両法案の趣旨を御理解いただいた上で一体的に取り組んでいただきたいと考えております。

金子(恵)委員 何回も説明を受けていて、基盤強化法は集積できる、集積をする方向、そして、活性化法はそれができない土地についての利用について等も含めてなので、そこの違いがあるよ、でも、面的にはしっかりと一緒に考えていかなくてはいけないので、それで今回、一括の審査をすることになっているというふうには聞いているんです。

 でも、一つの法案として提出するということは考えなかったということでいいんですか。

光吉政府参考人 お答えいたします。

 法律の検討に当たりましては、当然でございますけれども、法律ありきではなくて、どういう政策をやるか、それで、現在の法律に照らしてどうかということでございますので、一つにする、二つにするがスタートではもちろんございません。

 政策内容を考えた上でそれぞれの法律をどういうふうにするかということを内部で検討したときに、先ほど大臣からの御答弁もございましたが、趣旨としては、もちろん、現場で高齢化などが進む中でどうしていこうかということが出発点になるわけでございますけれども、その後の方向自身につきましては、違う方向、異なる方向を示しているものですから、法案としては二つ出すということで判断したところでございます。

金子(恵)委員 異なる方向とかそういう言葉を聞くと、やはりちょっと一括審査をしちゃいけなかったのかな、一本ずつきちんと対応すべきだったのかなと今反省をしてしまったんですけれども、その言葉を今聞いてしまうと残念なんですね。

 でも、一体的な運用というのはちゃんとできるんですよねと私はここで確認しているんですよ。それが、何か真逆の方で、何とか私たちにきちんと説得力のある答弁で対応していただければなと思うんですけれども、今、少し残念だなと思いつつも、でも、やはり一体的に、この二法案に係る農地の集積、集約化、保全と地域の土地利用に関するその話合いもやらなきゃいけないということだというふうに思うんです。

 でも、ちょっと違いがあるという話になったんですが、実は、基盤強化法では協議の場の設置について法律に位置づけられているわけなんですが、活性化法ではその話合いについての位置づけがないんですよ。このように、法律上の位置づけが異なっている状況で、どのように一体的な話合いを進めていくのかということも一つの私は課題になるんだというふうに思います。

 基盤強化法の協議の場の関係者と活性化法に求められる話合いの関係者は必ずしも一致しないということも考えられますし、その調整などもやらなくてはいけませんけれども、これは基盤強化法の協議の場の設置主体である市町村が担うことになるのでしょうか。どのような形で話合いの場をつくり上げて、そしてまとめていくのか。この二つの法案には違いがあるということが明確になっていますので、御答弁をいただきたいと思います。副大臣、お願いいたします。

武部副大臣 改正法案の活性化法に基づく協議会と、それから基盤法に基づく協議の場、これはいずれも、一番肝腎なところは、地域の計画的な土地利用の在り方についてしっかりと関係者で協議していただきたいという法律で、そのために設けたものでありますので、目的は同じだと思います。

 将来の農業の在り方等については、話し合っていただく協議の場について、活性化法に基づく協議会を兼ねるものとして一体的に開催していただく方が、地域の農地の活用方法についての合意形成がより円滑に図られるものと考えております。

 両法案に基づく関係者の協議やその後の取組について、現場で一体的に推進していただけるようにしっかりと運用してまいりたいと考えております。

金子(恵)委員 ありがとうございます。

 できるだけ一体的にとはおっしゃっているんですが、やはりこういう部分でももう少し、本当に一体となれるように、基盤強化法の書きぶりと、そして活性化法に入っているこの位置づけの書きぶりと、本当は同レベルで考えていけるように、それで理解をすっとできるようにすべきだったのではないかというふうにも思います。

 やはり、いずれにしても、活性化法の改正、協議会というのは確かに追加されるわけですけれども、基盤強化法の協議の場とは完全に異なるもので、協議会は任意でありますし、法律上、位置づけも緩いものとなってしまっているので、是非、しっかりと協議の場、話合いの場を確保することができるような御対応をいただきたいというふうに思います。

 こういうことは、特に中山間地域などの条件不利地域において喫緊の関心事項だというふうにも思っていますので、地域の実情に応じて、地域の判断でしっかりとということではあるかもしれないですけれども、具体的にしっかりと話合いができる、そういう環境づくりができるようにしていただきたいというふうに思っています。何かお答えがあれば、副大臣。

武部副大臣 おっしゃるとおりで、地域でその土地をどうやって利用していくかということの議論になってくると思いますので、これを一体的にしっかりと議論していただくように、我々もしっかりサポートしてまいりたいと思います。

金子(恵)委員 ありがとうございます。

 この基盤強化法、全国市長会からは随分といろいろな意見が出てまいったところでもありまして、先ほど来、事務負担がどうなっていくのかの問題とか、いろいろと質疑がされたところでもありますけれども、まずは、二月の九日、全国市長会から、人・農地プランの策定義務化等に対して強く反対する、そういう緊急意見が示され、そして、それに対しては、農林水産大臣発言によりますと、定例会見等で発言されたのだと思いますが、全国市長会に農林水産省の考え方を説明し、理解を得たというふうにされています。法律案が国会に提出された後、三月二十二日にも、全国市長会からもう一度意見が示されているわけなんですね。

 これだけ意見が示されていて、それで本当に、この法律案が成立した場合、対応ができるのかということでありますけれども、その約束をここでしていただけるのでしょうか、大臣。

金子(原)国務大臣 今回の人と農地の関連施策の見直しについて、法案の検討を行っている中で、二月九日に全国市長会から地域計画の策定等について御意見をいただきました。

 その後、農林水産省において法案の具体化を進め、全国市長会に実際の具体的な法案の内容や考え方等について情報提供したところです。

 その上で、先月二十二日に新たに出された御意見では、今回の基盤法等の改正法案について、「「地域計画」の策定をはじめ、新たな事務の義務付けがなされることなどから、」として、その具体化に当たりましては、地域の実情に応じた対応等、運用上の御要望をいただいたものと理解しております。

 地域の御要望をよく聞きながら、今後進めていきたいというふうに思っております。

金子(恵)委員 地域の要望をしっかりと聞いてくださるということでありますけれども、参考人質疑においても、実は、今回の法案の中で、基盤強化法の現行の市町村の集積計画を農地中間管理機構の促進計画へ統合するという段階で、農地中間管理機構が実務として対応できるのかということについて大変不安視する意見というのが、これは現場をよく知っている全国農業会議所の稲垣事務局長からあったんです。参考人の陳述としてなされました。

 具体的にどういう内容で事務の簡素化をしていくのかというのを早く出してほしい、早く内容について示してほしい、そういう要望もありましたけれども、その件についてはいかがでしょうか。様々な不安な材料があるわけですから、それを払拭していただきたいと思います。

光吉政府参考人 お答えいたします。

 今回、委員御指摘のとおり、農地バンクの方で計画を立てる形で統合するということでございます。

 これにつきまして、これまでも当委員会でもいろいろな御意見をいただいておりますけれども、様々な新しい取組に対して御不安を思われたり、あるいは、こういうところを改善してもらわないと困るといったお話があると思います。

 例えば、一番分かりやすい例でございますと、できるだけ現場で負担がかからない形で、計画のいろいろな書類など、簡素化をして手間がかからないようにするというのが非常に分かりやすいと思いますけれども、そのほか、人が不足している中でどういうふうに体制を整えて対応したらいいのか、様々な課題があると思います。

 これにつきまして、当委員会でも御答弁申し上げているところはございますけれども、現場に対して分かりやすい形でお示しをしていかないといけないというふうに思っております。

金子(恵)委員 時間が参りましたのでここまでとさせていただきますが、私は、具体的な内容を示してほしいというふうに質問をさせていただきましたが、事務的な部分でどのように簡素化していくかということは、今、具体的な内容をお聞かせいただいたとは私は思えません。まだ不安は払拭されていないという状況であるということでありますけれども、これからしっかりと丁寧な対応をしていただくようお願いを申し上げまして、私からの質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございます。

平口委員長 次に、神谷裕君。

神谷委員 立憲民主党の神谷裕でございます。

 本日も質問の時間をいただきましたことを、皆様に感謝を申し上げたいと思います。

 私からも、大事なことをちょっと二、三お伺いをさせていただきたいと思うんですけれども、今回の二法案は、本当に大事な法案だと思います。これまでも、やはり農村からどんどん人がいなくなっていく、そういう中で、どうやって、誰に農地を耕していただくか、これは本当に大事な問題だったと思います。

 そういった意味で、農地の維持、そのための法案ということであれば、これは本当に大事だなと改めて思うわけでございますが、もう一つ、やはりこの二法を通じても、私自身、ちょっと心配になったのが農地の集積の話ということでありまして、農地の集積八割を目標にしている、これそのものは、その目標は大事な目標なんだろうと思うんですけれども、逆に言いますと、八割を担い手にやっていただくということになったときに、農村はどういう状況になっているんだろうか、あるいは、農村の振興というのはどういうことになっているのか、この辺がやはりどうしても気になるところでございます。

 農地の集積を進めるということは、やはり農村から離農者や農村人口の減少を、逆に言うと、促すとは言わないまでも、進めることになるんじゃないかというふうに思うわけでございまして、八割が集積を達成したときに、我が国の農村の風景というのはどういうふうになっているんだろうか、これがやはり気になるんです。

 当然、今回の施策は、農地の維持には大変重要な施策であるということはもう論をまたないところでございますが、逆に言うと、農村の振興というところについては問題はないのかということを私自身は思っているところでございます。

 やはり農地の維持が実現をする、これは大事なことなんですけれども、ただ、同時に、そのときに地域のコミュニティーがなくなるということでは、大きな問題だと思うんです。

 これについて大臣の所感をお伺いをしたい、このように思います。

金子(原)国務大臣 農地の集積につきましては、全農地の八割を担い手に集積するという目標を掲げて取組を推進してきています。

 しかし、これは、担い手以外の方のリタイアを促進しようとしているものではなく、むしろ、我が国が高齢化、人口減少をしていく中で、使われなくなる農地を担い手が引き受けていくようにしようとするものでありまして、農地集積を進めることが農村人口減少を促すということではないと考えています。

 また、農地の集積と併せて、地域コミュニティーの維持、強化が重要であるため、農地などの保全管理を行う地域の共同活動や、中山間地域等の農業生産活動への支援、農村型地域運営組織の形成、地域を支える人材の育成、確保などによりまして、農村の振興を今後図ってまいりたいと考えております。

神谷委員 やはり、今大臣はいろいろとおっしゃっていただいたんですが、もちろん、今の事象、どんどんどんどんリタイアをしていく、だから、誰かが農地を耕さなきゃいけない、その手当てをしていくんだ、これは大事なことなんです。というか、これはやっていかなきゃいけない。

 ただ、そこで農地の集積八割という目標が逆に来てしまうと、促すとは言わないまでも、そこに対して、何らかそれに向けての行動が起こるんじゃないか、そのことも心配しなきゃいけないと思いますし、逆に、八割が移ったときには、本当に人がいなくなっていることが現実に想定されるわけですから、逆に言うと、農村からどんどん人がいなくならないような施策も考えていかなきゃいけないんじゃないかな、こう思うわけなんです。その面でいいますと、特にやはり人が出ていっているのが、条件不利地であるとか中山間地域じゃないかなと思うんです。

 だとするならば、こういうところでどんどんリタイアをしていく、あるいは諦めていくというような状況というのはやはり考えていかなければいけませんし、そういった支援策というのはこれまで本当に十分に図られていたのかなということももう一回見なきゃいけないんじゃないかなと思います。

 こういった中山間地や条件不利地に対する支援策が、地域の農業を支え、農地を維持するのに十分であったのか、農村に暮らす皆さんのニーズにかなったものであったのか、この際、再度こういった点についても点検するべきじゃないかなと思うんですけれども、大臣の所感はいかがでございましょうか。

金子(原)国務大臣 中山間地域等の条件不利地域につきましては、中山間地域等直接支払いによる営農継続等への支援や、中山間地域農業ルネッサンス事業による地域の特色を生かした取組への支援等、これまでも多様な施策により振興を行ってきたところです。

 これらの事業の効果については、例えば、中山間地域等直接支払いに関して、令和元年度の第三者委員会におきまして、耕作放棄地の発生防止を含む約七・五万ヘクタールの農用地の減少が防止されたなどの評価を受けたほか、都道府県、市町村からは、所得形成や人材確保等の点からも効果を発揮しているとされました。

 一方、中山間地域では、少子高齢化や人口減少が都市部に先駆けて進行しておりまして、農地等の維持保全活動の継続が困難になるなど、地域コミュニティーの維持にも支障が生じつつあります。

 こうした状況を踏まえまして、これまでの支援に加えて、令和四年度の予算では、農村の多様な地域資源を新分野で活用し、付加価値を創出する農山漁村発イノベーションの推進や、複数の集落の機能を補完し、地域で支え合う村づくりを推進する農村型地域運営組織の形成などを支援することといたしております。

 これらにより、中山間地域における所得と雇用機会を確保しまして、人が住み続けるための条件整備を進めまして、地域に寄り添いながら中山間地域の振興を力強く進めてまいりたいと思います。

神谷委員 今、様々な施策についてもお話をいただきましたけれども、効果がないと言っているわけではないのですが、これで十分だったのかということをもう一度やはり見るべきなんじゃないかなと私は思います。もちろん、離農を抑制をしたり、あるいは、農地が使われなくなるようなことを防いだ、そういう側面があると思います。あるいは、中山間地の直接支払いのお話もありましたけれども、これがやはり地域のコミュニティーを支えているという側面があるということは十分に理解をしています。

 ただ、もう一方でいいますと、中山間地を中心に、あるいは条件不利地を中心に、どうしてもやはり離農者が、手間がかかることもあるんでしょう、あるいは、機械力を入れるにしても大変なこともあるんでしょう、そういったこともあってだと思いますけれども、残念ながら、おやめになっていく方も多いんじゃないかと思うわけです。

 だとするならば、やはりこれで十分だったのかというところは、もう一回目くばせをする必要があるんじゃないかと私は思います。

 ですので、様々な施策を取っていただいていることは十分に理解をし、そしてまた、これは進めていただかなければいけないんですが、もう一方でいいますと、これで十分だったのかというところは、やはり大臣、ここはしっかり見ていただきたいと思うんですけれども、もしよろしければ、もう一回お話をいただくことはできますでしょうか。

金子(原)国務大臣 確かに、政策の検証というのは必要だというふうに思っております。

 ただ、中山間地域も、いろいろな地域によって違いますから、恐らく先生の地域も私の地域も、それぞれの地域の実情というのがあると思うんです。地域に合ったような、そういったコミュニティーを守りながらその地域を守っていくためには、やはり地域が一体となって共同でやっていかないと、僕はなかなか難しいと思うんですよね。

 やはり、それぞれ離散していきます。離散しながらも、ほかに行く人と、それから、残って、ほかで働きながら、地域に残る方がいらっしゃいます。だから、我々は、できるだけ生活の基盤を中山間地に置いていただいて、働く場所は外でということも考えながら、そういった後に残された農地をどう管理していくかと考えたときには、共同体でやっていくしか、私はもうやむを得ないというふうに思っております。

 したがって、そういった共同体の中で、どういうふうなインセンティブを与えることによって、彼らが、地域のお互いが協力し合ってやっていくかということが非常に大事であると思いますので、考え方はほとんど一緒だと思いますので、できるだけ、問題は、いろいろな施策をやっていくためにも限界があるんですよ、予算に、財政的に。だから、当然、全体の予算の中でどういうふうなやりくりをして、どこに重点的に配分するかというのも考えながらやっていかなきゃいかぬ。

 そういう中で、御意見も踏まえながら、我々もこれから検討していきたいというふうに思っております。

神谷委員 大臣、ありがとうございます。

 その上で、今まさにコミュニティーということを言っていただいたと思いますし、やはり農村コミュニティーは大事だと思うんです。

 そういった意味で、今回、話合いによって未来地図を作っていただくわけでございますけれども、要は、そういったことによって、将来、この地域を誰が耕していくかということは見えてくると思うんですけれども、今言っていただいたように、地域の将来像、あるいはそういった農村振興の未来像が見えてくるのかなというところがどうしてもやはり気にかかるんです。

 今回のこの法案によって、農用地の、地域資源の保全というのは図られると思います。農地の保全や農用地の保全は見えてくると思うんですけれども、逆に言うと、そこは見えてくるんですけれども、集落や農村の未来というのが見えてくるのかなというと、私は必ずしもそこまで見えてこないんじゃないかなと。そこは、もう少し見えるようにしていただきたいというふうに思うんです。

 そういった意味で、今回、もちろん農地ということに焦点を当てるわけですから、そこは分かるんですけれども、部分最適が全体最適になるのかというところはあると思いまして、やはり農地は大事です、農地を守っていくことも大事です、ただ、同時に、農村振興ということも考えていかなければいけないという意味において、これはやはり農水省全体の施策の中でもしっかり考えていかなきゃいけないと思うんですけれども、そういったところについて、大臣の所感はいかがでございましょう。

金子(原)国務大臣 農村地域では、人口の減少、高齢化の進展等により、地域コミュニティーの維持等に支障が生じつつあると認識しておりまして、こうした現状を踏まえて農村政策を推進していくことが必要だと考えております。

 このため、食料・農業・農村基本計画におきましては、農村政策について大きく見直しを行い、地域資源を活用した所得と雇用機会の確保とともに、地域コミュニティー機能の維持や強化等を通じて、農村に人が住み続けるための条件整備を図り、地域運営組織の形成など、農村を支える新たな動きや活力を創出することを三つの柱として推進することといたしております。

 また、今般の農山漁村活性化法の改正によりまして、関係者の話合いを基に市町村等が定める活性化計画において、集約化等が困難な農地の粗放的管理の在り方を含め、地域の将来像について定めることといたしております。

 引き続き、現場の声に耳を傾け、農村の現状や課題を踏まえ、農村政策をしっかりと推進してまいりたいと思います。

神谷委員 全体の農政の中でも、この農村振興と農地の維持、これを両立させる方向での施策、期待をしておりますので、是非よろしくお願いをしたいと思います。

 一方で、残念なことでございますが、高齢化、日本全体が高齢化というか人口減少が進んでおりますので、農村だけそうはならないということにはならないと思うんですが、特に、これから十年近く、後継者のいない高齢層の農業者のリタイアが多数予想されているところでございます。

 大変に厳しい時期をこれから迎えるわけでございますけれども、私の地元の北海道では、リタイアした農業者の皆さんの農地の受け手を探すことがだんだんだんだん難しくなっているというふうに聞いています。十分に皆さん大きくなっておりますが、そろそろ引受手は限界に近いんじゃないかというようなことを聞いています。

 それでも何とか引き受けようと努力をいただいているところなんですけれども、そこに今回の水活の問題が出てまいりまして、なかなか、農地を更に引き受けてくれといっても、引き受けにくい、あるいは、不安に思っているというようなことを聞いております。規模拡大や集積の判断をこれによって若干遅らせている方がいるんだというふうに聞いています。

 これも、水活の今回の方針についての副反応ではないかなというふうに思うわけでございますが、この水活に関する問題が農地の集積や引受手に対する影響をどのように考えるのか、また、これについて、やはり大丈夫なんだ、安心なんだというような御答弁も伺いたいところでございますけれども、これについてお伺いをさせてください。

武部副大臣 もう委員とは何度も委員会等で水田活用の直接支払交付金については議論をさせていただいておりますけれども、今回、水稲の作付が困難な農地については交付金の対象外との現行ルールを再徹底させていただいた上で、今後五年間に水稲の作付が行われない農地を交付対象としない方針としております。

 このため、水田機能を維持している水田が令和四年度から本交付金の対象外になるということにはなりませんので、直ちに農地の集積、引受手に影響を与えるわけではありません。

 ただ、今後五年間の間に、各地域において、今後の水田利用や産地形成をどのように図っていくのかを検討していただき、その中で明らかになった現場の課題についてしっかり検証していく考えです。

 また、今回の法改正において、将来の農地の利用の在り方について目標地図を作っていただきます。その際は、関係者、農協も含めて、どんな農地を利用し、どんな作物を作っていくか、どういう産地をつくっていくかという議論も当然その中でされていくんだろうというふうに思いますので、影響はございませんけれども、この中でも、どうやって産地をつくっていくかということの議論は進んでいくんだろうと思いますし、私どもも、本交付金で対象外となることによって生じる様々な影響についても把握し、どのような対応が必要か否かについてしっかりと検討してまいりたいと思っています。

神谷委員 副大臣、御答弁ありがとうございます。

 ただ、現場では、やはり水田活用交付金が当たらない農地を引き受けるというのはなかなか困難だというふうに言われています。将来、これはどうなるのかというふうなことも含めて非常に悩ましいところだというふうに聞いていますので、やはりそこは丁寧に見ていただきたいと思いますし、そのことによって、ひょっとしたら引き受けられないんじゃないかというような農家さんがいらっしゃるのも現実だと思います。

 是非そういった不安に応えられるような方向を早急に打ち出していただきたいというのがお願いでございます。

 今この場では、多分、これ以上のことは出てこないと思いますので、是非この後も御検討をお願いをしたいと思います。よろしくお願いします。

 またこの法案について伺いたいんですけれども、中小・家族経営や多様な農業の重要性というのは言われているところでございます。こういった多様な農業が、農地集積八割というところでどのように位置づけられるか、私は若干気になるところでございまして、もちろん、地域の話合いの中でしっかり位置づけていただくということが重要になると思うんですけれども、もう一方でいうと、農地の集積をやはり八割という目標を示し、そこに進んでいくということと、こういう多様な、中小であるとか本当に小さな農業であるとか、こういったことがぶつかっていかないか、そこが気になるところなんですけれども、これについての所感をお伺いをしたいと思います。いかがでしょう。

宮崎大臣政務官 お答えをいたします。

 地域の農業が持続的に発展をしていくためには、継続的な発展が期待をされる効率的かつ安定的な農業経営を担い手として育成、確保していきまして、これらの者への農地の利用集積を進めていくことは重要なことだというふうに考えております。

 一方で、先ほどからも御議論がある中で、高齢化、人口減少が本格化していく中で、地域の農地が適切に利用されなくなることが懸念をされる中で、農地が利用されるように、地域の農業を担う人材を幅広く確保、育成することは喫緊の課題だというふうに認識をしているところでございます。

 このため、今回の基盤法等の改正法案におきましては、地域計画における目標地図について、目指すべき将来の農地利用の姿として、農業を担う人ごとに利用する農用地等を定めることとしておるところでございます。

 この目標地図の中で、経営規模の大小にかかわらず、また、家族か法人かの別を問わず、将来にわたり地域の農地を適切に維持活用する方々が位置づけられるということとしておるところでございます。

 このように、担い手の方のみならず、多様な経営体により、地域の農地の効率的、総合的な利用が図られるように進めてまいりたいというふうに考えております。

神谷委員 是非そこはお願いをしたいと思います。やはり多様な担い手、多様な経営体があって初めて農村の振興というのは私は図られるものと思いますので、集積ばかりではなくて、もちろん集積が大事ではないとは言いませんが、そういったこともしっかり配慮した上で、多様な、強い農村づくり、振興策、是非お願いをしたいということを重ねて申し上げたいと思います。

 また、今お話にありましたけれども、目標地図についてちょっと伺いたいんですけれども、地域で農村の未来を話し合い、目標地図を作っていくことは非常に重要だと思います。多種多様な農村があって、実動部隊を担う農業委員会についても、本当に多様だ、体制は様々だというふうに思います。話合いや将来像がある程度はっきりしている地域もあると思いますけれども、その反対もあるのではないかと思います。

 ですので、率直に言ってしまうと、百点満点の地図を作ることを求めても、対応できないところも相当数あるんじゃないかなということを心配しています。先般の参考人のお話でも、そういったことが聞かれたのかなというふうに思っています。

 私自身、現場の農業委員の皆さんとお話をしていても、現在の話合いの結果を基にある程度の地図は作成できても、その後の話合いの都度に、いろいろな事情の変更によって、その都度都度、新しいものに変えていくことが必要で、むしろ、逐次、事情を勘案しながら変えていくことが大事なんじゃないか、逆に言うと、そういうものでないと作れないというような言い方もされていました。

 実際にどういう地図を作っていただくかということが非常に大事だと思うんですけれども、今後、政省令で定めていくというふうに聞いているんですけれども、この政省令の考え方あるいは目標地図の考え方、これについてあらかじめ考え方をお伺いをしたいと思いますが、いかがでございましょう。

光吉政府参考人 お答えいたします。

 今回、基盤法等の改正法案におきまして、将来の農地利用の姿を地図上で明らかにすることとしています。

 この場合、地図を作成する時点において、農地の受け手が見つからないというケースが想定されます。このときには、当面、例えば、多面的機能支払交付金や中山間地域等直接支払交付金の活動組織、JAなどのサービス事業体などによります農作業受託を活用する取組も推進していく考えです。

 目標地図の作成時に、受け手が直ちに見つからないなど、最終的な合意が得られない農地につきましては、地図の作成後も随時調整しながら、その調整結果を地図に反映していくことが重要と考えております。

神谷委員 ありがとうございます。

 実は、目標地図の肝というのはここにあるんじゃないかなと思っていまして、実際にどういったものを求めていくのかというのは本当に大事な話だと思います。

 余り細かいもの、完璧なものを求めたら、恐らくできません。どこもできないと思います。逆に、粗いものであったら、本当にこの意味があるのかというような話になっていくと思いますので、ここのところは相当注意して考えていただかないといけないんじゃないかと思います。

 それによって、農業委員会の皆さん方の困惑の度合いというのか、実際の作業にも大きな大きな違いが出てくると思いますし、現実に対応できないところも相当出てくるんじゃないかと思います。そこは是非御注意をいただきたいと思います。

 そういった意味において、参考人のお話にもあったんですけれども、農業委員の皆さんや事務方の皆さんのマンパワー等、やはりこれも心配でございまして、先ほどから多くの皆さん方に御指摘をいただいていますけれども、やはりばらつきがあります。

 やはりそれなりの支援策というのは必要だと思うわけでございますけれども、ここについてのお考えをもう一度お聞きをしたいと思います。

光吉政府参考人 お答えいたします。

 改正法案におきましては、目標地図の素案を農業委員会が作成することとしており、その負担の軽減を図ることが重要と考えています。

 この場合、素案を作成するに当たって、eMAFF地図の地図情報を活用するなど、省力化を図ることとしていますが、農業委員会に対しまして、農林水産省においては、農業委員会交付金で基礎的な経費への支援を行うとともに、農地利用最適化交付金によりまして、農地集積等の最適化活動を支援していくこととしております。

 この交付金につきまして、現場で使い勝手がよくなりますように、令和四年度予算におきまして、委員報酬に加えて、新たに事務費にも活用できるよう見直しを行い、この中で臨時職員の配置なども支援することとしております。

 さらに、都道府県農業会議に対しまして、農業委員会の業務を巡回サポートするための経費を支援しており、農業委員会の業務の円滑化を図ってまいりたいと考えております。

神谷委員 是非、十分な支援をお願いをしたいと思います。交付金の話は、先般も大変歓迎をされておりました。実際に使い勝手がいいということで、言っていただきました。これからもしっかりとそういったところを手当てをしていただけるようにお願いをしたいと思います。

 次に、現場の方から様々なお話を伺っています。そういった意味で、率直に伺いたいんですけれども、基盤法十九条、先ほどの話の延長線上になってくるんですけれども、政令については、どのようなことをこの政令で規定しようとされているのか、伺いたいと思います。

 また、二月の二十五日に報道がなされているんですけれども、計画策定にそぐわない判断例として、話合いが十分進んでいない場合などとあったんですけれども、これについてはそういったことでよろしいのか、伺いたいと思います。

光吉政府参考人 お答えいたします。

 改正法案におきましては、基盤法第十九条第一項におきまして、同意市町村は、地域計画を定めるものとすると規定をしております。これによりまして、各地域でしっかり定めていただく必要があるとしているところでございます。

 その際、条文上、政令で定めるところにより、定めるものとするとしていることから、この政令につきましては、市町村が協議の結果を踏まえて地域計画を定めるに当たっての運用に関することを規定することを見込んでおりまして、具体的にどのような政令にするかは、今後検討していきたいと思っております。

 なお、地域計画につきましては、例えば、画一的、一律に、法律の施行日に策定しなければならない、作成していなければならないなどとしているわけではございませんで、施行日までの周知期間と施行日からの二年間と合わせまして、三年程度の策定期間を設けているところでございます。

 この間に、市町村が関係者による協議の場を設け、十分話合いを行っていただいて、農業の将来の在り方等について一定の方向が出たと市町村がそれぞれ判断していただいた上で、先ほど申し上げた策定期間のうちに地域計画を策定していただくものと考えております。

 政令につきましては、本法案の施行までに、現場の声を丁寧にお聞きしながら、しっかり詰めていきたいと考えています。

神谷委員 是非、その現場の声を本当に聞いていただいて、しっかり運用できるように、動くようにお願いをしたいと思います。

 また、基盤法十九条の第四の二の省令についてなんですが、この省令で、集積、集団化の基準を定めるということなんでしょうか。また、担い手への農地集積八割をこの省令にも反映させるということなのか、これをお伺いをしたいと思います。

光吉政府参考人 お答えいたします。

 地域計画におきましては、農業上の利用が行われる農用地等の区域、農業の将来の在り方、それに向けた農用地の効率的、総合的な利用に関する目標、関係者が取るべき措置について、それぞれの地域で定めていただくこととしています。

 改正後の基盤法第十九条第四項第二号の省令では、この地域計画が、農用地の利用の集積、集団化その他の効率的かつ総合的な利用を図るため必要な基準を定めるとしております。

 このことから、地域計画におきましては、将来の農業の在り方について具体的に考えていただく必要があることから、地域で生産する作物やその栽培形態などを定めること、農用地の利用集積、集団化その他の効率的、総合的な利用を図るための計画であることから、農用地等の集積、集約化等を進めたり、地域の農地がより適切に利用されるようにしたりするための取組を定めることなどを想定しています。

 なお、省令の具体的な内容につきましては、今後、本法案の施行までに、現場の声を丁寧にお聞きしながら、しっかり詰めてまいりたいと考えています。

神谷委員 ありがとうございます。

 次に、基盤法の利用集積計画の農用地利用集積等促進計画への統合によって、バンクが農地利用の実務を担うことになると思いますが、例えば、いわゆる小作料についてどうなっていくのか。どれくらいの件数があって、現実にバンクが担うことが可能なのか。また、焦げつき等の発生について対応ができるのか。これについて伺いたいと思います。

光吉政府参考人 お答えいたします。

 農地バンクが、転貸した農地の受け手から受け取る小作料でございますけれども、都道府県平均で、年間約千九百件となっております。

 また、小作料の支払いが遅れた場合には、農地バンクが支払いの督促等も行っているところでございます。

 これらの業務は農地バンクが自ら行うものでございますけれども、例えば、農地バンクの業務量が多くなったなどの場合に、農地中間管理権の取得の決定等の業務を除いて、農地バンク事業に係る業務を委託することが可能でございますので、小作料の管理に関する業務についても委託することが可能となっております。

神谷委員 ありがとうございます。

 また、バンクによってはですが、農地の貸借双方の当事者から手数料を徴収しているが、物納小作料についてなんですけれども、この辺はいかがでございましょう。

 また、賃借権の再設定の業務については、全てバンクが実施すると考えてよいのか、伺いたいと思います。

光吉政府参考人 お答えいたします。

 一部の農地バンクにおきまして、小作料以外にその数%分を手数料として徴収をしているというふうに承知をしております。

 また、小作料につきましては、一部の地域において、物納で行われているところがある。その場合に、物納される作物を金銭的価値に換算をして、これに基づいて算出した手数料を現金で徴収しているものと承知しております。

 また、契約期間が満了した賃借権の再設定の業務につきましては、改正後の農地バンク法等におきまして、農用地利用集積等促進計画や農地中間管理権の設定の決定の業務は委託できないということとしていることから、全て農地バンクが実施することとなります。

神谷委員 ありがとうございます。

 まだまだ様々、現場では、いろいろ伺いたいというようなことがあるようでございます。是非これからも丁寧にお話を聞いていただいて、あるいは、政省令等にも是非御反映をいただきたいと思います。

 本日は、どうもありがとうございました。

平口委員長 次回は、明二十日水曜日午後零時五十分理事会、午後一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時五十四分散会


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