第14号 令和4年5月11日(水曜日)
令和四年五月十一日(水曜日)午後一時開議
出席委員
委員長 平口 洋君
理事 江藤 拓君 理事 高鳥 修一君
理事 宮下 一郎君 理事 簗 和生君
理事 金子 恵美君 理事 緑川 貴士君
理事 空本 誠喜君 理事 稲津 久君
東 国幹君 五十嵐 清君
上田 英俊君 尾身 朝子君
加藤 竜祥君 神田 潤一君
坂本 哲志君 塩崎 彰久君
高見 康裕君 武井 俊輔君
中川 郁子君 西田 昭二君
野中 厚君 長谷川淳二君
平沼正二郎君 古川 直季君
古川 康君 保岡 宏武君
山口 晋君 若林 健太君
梅谷 守君 神谷 裕君
小山 展弘君 後藤 祐一君
野間 健君 渡辺 創君
池畑浩太朗君 住吉 寛紀君
金城 泰邦君 庄子 賢一君
長友 慎治君 田村 貴昭君
緒方林太郎君 北神 圭朗君
…………………………………
農林水産大臣 金子原二郎君
農林水産副大臣 武部 新君
文部科学大臣政務官 鰐淵 洋子君
農林水産大臣政務官 宮崎 雅夫君
国土交通大臣政務官 木村 次郎君
政府参考人
(内閣府規制改革推進室次長) 辻 貴博君
政府参考人
(内閣府地方創生推進事務局審議官) 三浦 聡君
政府参考人
(警察庁長官官房審議官) 住友 一仁君
政府参考人
(法務省民事局長) 金子 修君
政府参考人
(文部科学省大臣官房学習基盤審議官) 茂里 毅君
政府参考人
(農林水産省大臣官房総括審議官) 水野 政義君
政府参考人
(農林水産省大臣官房技術総括審議官) 青山 豊久君
政府参考人
(農林水産省消費・安全局長) 小川 良介君
政府参考人
(農林水産省農産局長) 平形 雄策君
政府参考人
(農林水産省畜産局長) 森 健君
政府参考人
(農林水産省経営局長) 光吉 一君
政府参考人
(農林水産省農村振興局長) 牧元 幸司君
政府参考人
(林野庁長官) 天羽 隆君
政府参考人
(水産庁長官) 神谷 崇君
農林水産委員会専門員 梶原 武君
―――――――――――――
委員の異動
五月十一日
辞任 補欠選任
尾崎 正直君 古川 直季君
古川 康君 尾身 朝子君
佐藤 公治君 野間 健君
北神 圭朗君 緒方林太郎君
同日
辞任 補欠選任
尾身 朝子君 古川 康君
古川 直季君 塩崎 彰久君
野間 健君 佐藤 公治君
緒方林太郎君 北神 圭朗君
同日
辞任 補欠選任
塩崎 彰久君 尾崎 正直君
―――――――――――――
五月十日
農林水産物及び食品の輸出の促進に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第五三号)(参議院送付)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
農林水産物及び食品の輸出の促進に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第五三号)(参議院送付)
農林水産関係の基本施策に関する件
――――◇―――――
○平口委員長 これより会議を開きます。
農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房総括審議官水野政義君、大臣官房技術総括審議官青山豊久君、消費・安全局長小川良介君、農産局長平形雄策君、畜産局長森健君、経営局長光吉一君、農村振興局長牧元幸司君、林野庁長官天羽隆君、水産庁長官神谷崇君、内閣府規制改革推進室次長辻貴博君、地方創生推進事務局審議官三浦聡君、警察庁長官官房審議官住友一仁君、法務省民事局長金子修君及び文部科学省大臣官房学習基盤審議官茂里毅君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○平口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○平口委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。神田潤一君。
○神田(潤)委員 自由民主党、青森二区選出の神田潤一と申します。
本日、農林水産委員会で初めての質疑となります。十三分という時間、短いですけれども、どうぞよろしくお願いします。
青森二区は青森県の東側に位置しておりまして、農林水産業はやはり基幹産業となります。その中でも、米、あるいは、米からどのような農作物、あるいは酪農、畜産といったほかの農産物に移行していくか、こうした観点が非常に重要になります。
ですので、まずは米の政策について伺いたいと思います。
お手元の資料一をまずは御覧ください。
こちらは、米の生産、販売の推進に関しまして、農林水産省や地方の農政局などが米の生産県などでキャラバンと言われている意見交換を行った実績をまとめたものです。これを見ますと、昨年九月から今年四月までの八か月間で、左側、全国会議、テレビ会議で六回、これは三千四百人以上が参加をしているようです。また、右の方、主産県などと農林水産省とのキャラバンという形で百四十七回、また、農政局や支局の対応ということで二千二百五十八回実施をしてきたということが分かります。
このうち、例えば、主産県と農林水産省との意見交換については、八か月間で百四十七回ですので、一か月当たり二十回近くを、主に担当課長と課長補佐の二人で手分けをしながら、毎週のように東京から地方に出張して開催してきたというふうに伺っています。
そこで、まず農林水産省に幾つか質問させていただきます。
このテレビ会議やキャラバンの目的、あるいは、回数は例年に比べて多いのかどうか、また、こうした会議やキャラバンではどのようなやり取りが行われて、地域の生産者からはどのような意見が聞かれているのか、これらについて教えてください。
○平形政府参考人 お答えいたします。
主食用米の需要が毎年十万トン程度減少する中、主食用米から、需要がある麦ですとか大豆等の作物転換を図りまして、需要に応じた生産、これを推進していくことが重要な課題となっております。
このため、農林水産省としまして、こうした作付転換を進めていただくために、全国会議ですとか、委員御紹介のございました、キャラバンという産地ごとの意見交換会を各地で開催しております。
令和四年産に関しましては、昨年九月から本年四月末までに、全国会議六回、これは、全都道府県の関係者が五百名以上、ウェブで参加していただいているものでございます。
また、産地ごとの意見交換会、本省、農政局、支局を合わせて二千五百回以上、このうち百四十七回は本省が直接行っている。この回数は、昨年の同時期に比べ、全体で百五十回以上増えております。
今回、水田活用の直接支払交付金につきましては、畑作物の生産が定着している農地は畑地化を促す一方、水田機能を有しつつ転換作物を生産する農地につきましては水稲と転換作物のブロックローテーションを促す観点ということで、現場の課題を検証しながら、今後五年間一度も水稲の作付が行われない農地は交付対象としない方針としているところでございまして、こうした全国会議や意見交換会を通じて、現場の課題の把握、これに努めているところでございます。
現在までに現場の課題として伺っておりますのは、一つは、畑作物の産地形成を図るためには、基盤整備ですとか、施設、機械の導入など、産地化に向けた支援が必要じゃないかということ、それから、六年以上の間隔でブロックローテーションを行っておられるので、今後五年間で水稲作付の確認というのが難しい、そういう農地もあるというお話も伺いました。また、交付金の対象外となれば、中山間地域での耕作放棄地の発生ですとか、土地改良事業への影響が懸念されるのではないか、そういった意見も伺っているところでございます。
引き続き、現場の課題の把握に努めてまいりたいと考えております。
○神田(潤)委員 ありがとうございます。
農林水産省を始め、地方農政局、支局の皆さんが、非常に熱意と熱量を持って、地方の皆さん、生産者の皆さんと向き合いながら、現場の課題の把握に努めているという姿がよく分かりました。
続いて質問させていただきます。
このキャラバン等での意見交換を踏まえた、今後の進め方やスケジュールについてはいかがでしょうか。
○平形政府参考人 先ほど申しました全国会議やキャラバンにおいて、各地の個別の課題の把握に努めてまいりましたけれども、これと並行して、先月一日からは、全国の地域協議会を対象にしまして、一つは、五年間で水張りを困難とする事情ですとか、一つは、交付対象水田の整理状況について、全国的な調査を実施しているところでございます。
この調査は、各地域協議会から五月末までに中間報告をいただき、七月末までに最終報告をしていただくことになっておりまして、これを踏まえて、全体的な課題の把握、検証を行い、どのような対策が必要か、しっかり検討を進めてまいりたいと考えております。
○神田(潤)委員 ありがとうございます。
私は、当選から半年になりますけれども、この間、地元の生産者の皆さんと何度も意見交換をしてまいりました。
やはり、今もお話にありましたが、昨年十一月に発表された水田活用の直接交付金の見直しについては、当初厳しい意見が聞かれていました。一方で、最近の意見交換では、その見直しの趣旨や必要性も大分浸透してきて、厳しい声はかなり収まってきたように思います。
こうした地元生産者の皆さんの意見の改善も、こうしたキャラバンなどによる対話の効果だと思います。今後も丁寧に現場の課題について対話を続けていっていただきたいと思います。
それでは、次の資料に参ります。
資料の二の方を御覧ください。
こちらについては、農業従事者の年齢構成についてになります。
左のグラフは、基幹的農業従事者の平均年齢が六十七・八歳、七十歳以上が五〇%を超えており、また、六十歳代も合わせると、ほぼ八割になるというグラフになります。
また、右のグラフを見ますと、他国に比べまして、我が国の農業従事者は明らかに年齢構成が異なっており、欧米の主要国と比較して突出して高齢化が進んでいるということが分かります。
そこで、農林水産省に伺います。
我が国において、農業従事者の高齢化率が他国と比較して高い、また、若い担い手が少ないという背景をどのように考え、それらを改善するためにどのような取組を行っているのでしょうか。教えてください。
○光吉政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、主要国の中でも、我が国は農業従事者に占める六十五歳以上の人の割合が高くなっております。この背景といたしましては、親の農業を子供が当然に継ぐといった意識が変化する中で親元就農が減少してきたこと、また、農外から就農される場合にあっては、資金の確保、技術の習得などが課題となるといったことがあると考えております。
このため、農林水産省におきましては、若年層を中心に農業の内外から新規就農者を幅広く確保、育成するため、実際に農業現場で活躍されている若手農業者の方がSNSなどで語ったり、若手農業者との接点を持てるイベントを開催するなどの取組により、農業の魅力発信に取り組んでいるところでございます。その上で、就農準備段階や就農直後の資金の交付、技術習得のための研修、機械、施設等の導入支援など、それぞれの過程に応じたきめ細やかな支援を行っているところでございます。
若い方々に農業を職業として選択していただけるよう、農業の成長産業化を推進していくとともに、ただいま申し上げた施策を通じまして、若者の呼び込みと円滑な就農、定着を後押ししてまいりたいと考えております。
○神田(潤)委員 ありがとうございます。若い担い手が農業に入ってくるということは、農業の未来については非常に重要な課題だと思います。引き続きよろしくお願いいたします。
ここで、農業をめぐる国際的な情勢を俯瞰させていただきますと、ロシアによるウクライナ侵略などによって、これまでのグローバル化の流れが巻き戻されるような大きな変化が生じており、海外に依存していた食料についても、日本国内でしっかり生産し、安定的に確保していかなければならない時代へと変わりつつあるようにうかがわれます。つまり、安全保障の重要性は、防衛や経済だけでなく、食料安全保障についても高まっているというふうに考えられます。
こうした状況の中で、農業は、これまでの、もうからない、生産性が低い、高齢者が担うものといった固定的なイメージを払拭し、スマート農業や有機農業など次世代を担う生産性の高い農業、あるいはサステーナブルな産業であるという大きなビジョンを掲げつつ、生産者の需要に合わせた作物への転換を促すなど、最先端の格好いい産業であり、収益性の高い成長産業であるといった、農業全体のイメージの大転換を図っていくということも必要ではないかと思われます。
一方で、消費者である国民に対しても、米や国産の農産物の消費拡大などによって、消費の面から食料自給率を高め、農業を支えていくというような国民理解の向上も重要なのではないかと考えております。
そこで、大臣あるいは副大臣に伺えればと思いますが、国民の理解の向上などに関して政府はどのような取組を行っているのでしょうか。また、その取組の重要性についてお考えを伺えればと思います。
○武部副大臣 我が国の食料自給率の向上と、それから、今お話にありましたとおり、食料安保の確保のためには、消費者の方に我が国の国産の農林水産物を手に取っていただく必要がありまして、そのためには、国民の皆様方に我が国の農林水産業それから農山漁村についての理解を醸成していく必要があると考えております。
このため、農林水産省では、食料・農業・農村基本計画に基づきまして、食と農のつながりの深化に着目した国民運動として「食から日本を考える。ニッポンフードシフト」を展開しております。特に、今お話にあったとおり、若い世代、十代から二十代前半のZ世代と言われる皆様方を重点的なターゲットとして、官民協働による情報発信を行っているところです。
具体的には、全国の新聞社と連携しまして、各地で活躍する若手の生産者の皆様方の取組を紹介させていただいたり、あるいは、高校生による食の未来についてのプレゼン大会を開催させていただいています。また、大型書店やアパレルブランド、芸能事務所等の、いろいろなところ、今、業界とコラボレーションをしまして、情報発信をし、大学との連携の推進なども行っております。
若者に共感を得やすい情報の発信に取り組んでいるところでありますが、今後とも、国産の農林水産物の積極的な選択といった具体的な行動変容に結びつくように、官民協働による取組を推進してまいりたいと思います。
○神田(潤)委員 ありがとうございます。
若い担い手、あるいは、国民の若い世代のイメージ戦略という意味でも非常に大事な取組だと思います。今後とも私も取り組んでまいりたいと思います。
本日はありがとうございました。これで質問を終了いたします。
○平口委員長 次に、加藤竜祥君。
○加藤(竜)委員 長崎二区選出の、自由民主党、加藤竜祥でございます。
本日は、農水委員会初質問の機会を調整いただきました委員長並びに理事の皆様方に感謝を申し上げます。
また、同じ長崎県出身の金子大臣始め政府の皆様方に対して質問できますことを光栄に思い、早速質問に入ります。
我が国の農業は、今、深刻な状況であることは言うまでもありません。緊迫するウクライナ情勢により、輸入なしでは成り立たないことが顕在化をいたしました。燃油、飼料、肥料の原料など、多くのものを外国に依存し、さらに、円安が相まって調達が困難になっており、食料安全保障が脅かされております。
農地に関しては、優良農地が減少しており、現在の食料自給率はカロリーベースで三七%であります。単純に言えば、本来なら現在の農地の約三倍の農地面積が必要であることを鑑みれば、より農地の生産性を高める土地改良事業の重要性は増すばかりであると考えております。
私の地元長崎県では、ここ十年間で、営農者の数が約二七%減少をいたしましたが、農業生産額は約百十四億円増加をいたしました。これは、農地基盤整備事業が積極的に行われ、農業の機械化が進んで、省力化、高度化により効率的な農業が奨励された結果であり、数字にしっかりと表れております。
政府は、二〇二四年までに全農地の八割を担い手に集積することを目標としており、取り組んでおられますが、今の進捗状況は約五八%であると伺っております。農地の集積、集約を進めるためには基盤整備事業が有効であり、基盤整備により優良農地をより多くつくり、持続可能な農業を実現することが我が国の農政の要であると考えておりますが、今後の基盤整備事業について意気込みを教えてください。
○宮崎大臣政務官 お答えをいたします。
担い手への農地の集積、集約化を進めるためには、農業の生産性の向上を促進する農地の大区画化や汎用化等の基盤整備を推進をすることが重要でございます。
今般の土地改良法の改正におきましても、農地バンクと連携をいたしました農家負担ゼロの基盤整備事業の対象といたしまして、汎用化に資する暗渠排水等の整備も追加をさせていただいたところでございます。
こうした基盤整備によりまして、優良な農地の確保や有効利用が図られまして、我が国の食料自給力の維持向上や食料安全保障にもつながってまいると考えておるところでございます。
今後とも、このような観点を十分に踏まえまして、良好な営農条件を備えた農地や農業用水を確保いたしまして、国内農業生産の増大に向けて、基盤整備事業を計画的かつ効果的に推進をしてまいりたいと考えております。
○加藤(竜)委員 ありがとうございました。
次に、今国会で成立をしました、環境に配慮し持続可能な農業を実現するためのみどりの食料システム戦略についてですが、冒頭挙げましたとおり、国際情勢が不安な中、肥料原料などを輸入に頼っておる現状を考えると、農薬や化学肥料の使用を減らせば輸入の依存度が減少することとなりますし、欧米、EU諸国での有機市場の拡大や輸出先国のニーズなどを考慮すれば、進めていかなければならない政策であります。
農業の経営について、五年先までは見通せるが十年先までは分からないという営農者の不安の声を耳にします。その一方で、政府は二〇五〇年までの約三十年という長期の目標を定めております。
未来の農業経営に不安を持っている営農者に対して、みどりをしっかり認識してもらい、取り組んでいただくためにも、三十年という期間を細分して、さらに、高温多湿な我が国では、一律ではなく、品目別、地域別に、地域や風土等を考慮した上、例えば、五年ごとに、具体的に、調達、加工、流通、消費の過程で数値化して目標を立てることが重要であると考えておりますが、いかがお考えでしょうか。
○青山政府参考人 お答えいたします。
みどりの食料システム戦略につきましては、十四の目標を設定いたしまして、項目によっては二〇三〇年から二〇五〇年という中長期の目標としております。
目標の進捗状況につきましては、農林水産省に大臣を本部長とするみどりの食料システム戦略本部を置きまして、毎年確認することとしております。
戦略の進捗管理を行っていく中で、もう少し短期の中間的な目標を設定すべきではないかという御意見があることは承知しております。
現時点で確たることは申し上げられませんけれども、みどりの食料システム法について、成立させ、公布していただきましたので、今後、その運用を図っていくに当たりまして、そうした御意見も踏まえて検討してまいりたいと考えております。
○加藤(竜)委員 ありがとうございました。
みどりの食料システム戦略を進めるに当たり、私は、適地適産の考えのような、技術的支援が重要になってくると考えております。
食料安全保障の観点からも、生産性の高い農地を確保するために、基盤整備を進め、規模拡大していかなければいけない中に、一方で、温暖化が進行し、高温多湿な我が国の気候を考えると、大規模農業では、一般的に、脱炭素化、化学肥料、農薬の低減は、農作物の管理上、技術的、労力的に大変難しいと思われます。
有機農業を二〇五〇年までに百万ヘクタールという目標達成は、大変厳しい目標であります。
この二つの政策目標をどのように両立させていくのか、お伺いいたします。
○平形政府参考人 お答えいたします。
農林水産省では、二〇五〇年までに有機農業の取組面積を、農地の二五%、百万ヘクタールに拡大する目標を掲げております。
この目標の達成に向け、当面は、二〇三〇年までに有機農業の取組面積を六・三万ヘクタールまで拡大することを目標として、マーケットの拡大を進めながら、先進的な農業者や産地の取組の横展開を進めることとしております。
このような中で、委員から御指摘ございましたけれども、有機農業者の作付規模の拡大につきましては、令和三年度補正予算から、生産から消費まで一貫して有機農業の拡大に取り組む市町村に対して支援を行う中で、新技術の導入ですとか技術講習会の開催など、大規模化に資する取組事例を創出し、横展開することとしております。
さらに、二〇四〇年までに、品種開発、除草ロボット等の技術開発を進め、より容易に有機農業に取り組むことができる環境をつくり、普通の農家が経営の一つの選択肢として有機農業に取り組むことができる技術体系を確立することで、飛躍的な取組面積の拡大を図り、二〇五〇年の目標を達成したいと考えております。
○加藤(竜)委員 ありがとうございました。
また、人・農地プランの地域計画として、農業の将来の在り方、その在り方に向けた農用地の効率的かつ総合的な利用に関する目標の中に、みどりの食料システム戦略の考え方を反映させた地域の取組を政府が支援することも必要であります。
二〇五〇年までにと定めた政府の各目標達成のために、具体的にどのような支援、周知を行っていくのか、お伺いをいたします。
○金子(原)国務大臣 加藤議員におかれましては、長崎県の農業地帯、島原半島は長崎県内の農業の六割を占めておりますので、どうぞこれからもいろいろと勉強していただいて、お父さんに負けないような、そういった農政通になっていただくよう期待を申し上げております。
それでは、答弁をいたしたいと思います。
本戦略の実現に向けましては、令和三年度補正予算及び令和四年度の当初予算におきまして、現場の農林漁業者が活用する技術開発の促進、地域ぐるみで行う土づくりや有機農業の取組の後押しなどを支援しているところであります。
また、先頃可決いただきました、五月二日に公布されましたみどりの戦略のシステム法に基づきまして、計画の認定を受けた者に対しましては環境負荷低減に必要な設備導入への税制、金融などの支援措置を講ずるとともに、流通、消費対策を含めて、これから必要となる施策を検討していくことといたしております。
現在、政省令及び基本方針を定める準備を進めるとともに、法律の趣旨や支援措置につきましても、生産現場や消費者の皆様に広く周知するための説明会の開催等を検討しておりまして、今後、こうした場を通じて丁寧な説明に努めてまいりたいと思います。
○加藤(竜)委員 ありがとうございました。
最後に、私は、農は国の基であり、命綱であると考えております。いついかなるときも食料の安定供給をしっかり確保をしていくことは国家の最大の責務であり、すなわち、食料自給率を向上させることが極めて大事であります。そのためには、優良農地をいかに多く確保し、持続可能な農業を実現するかにかかっておると思いますので、一日でも早く圃場整備を完成していただきますようお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
○平口委員長 次に、金城泰邦君。
○金城委員 こんにちは。公明党会派、金城泰邦でございます。
先ほど来お二人の、神田先生、加藤先生からもありましたように、みどりの食料システム戦略に関連しまして、私の方からも、地元の沖縄県を回った際の農家の方の声から届けさせていただきたいと思っております。
まず一点目ですが、初めに、有機農産物等に係る検査認証制度、通称、有機JAS制度について質問いたします。
私の地元沖縄県で、有機農産物の栽培に一生懸命取り組まれている農家の方がおられます。近年、消費者は食の安全、安心に関心が高く、スーパーマーケットに並ぶ食品の表示を見ますと、有機農産物とか、有機野菜、あるいはオーガニック野菜などが表示されております。割高でも、そのような食品を求める消費者の方が増えているように思います。
ところが、有機農産物JAS認証を取るためには費用がかかります。また、認証の維持のための費用も毎年必要になります。令和三年度補正予算で、グループ単位の認証申請と売上先確保業者に費用補助制度が導入されました。しかし、それ以外は補助対象となりません。
中小零細農家が有機農産物のJAS認証を手軽に受けられるように、補助条件の見直しを行っていただきたいと思っております。農林水産大臣の御答弁をお願いいたします。
○金子(原)国務大臣 お答えいたします。
委員御指摘の補助事業は、有機農産物のJAS認証に係る費用の一部を支援するものでありますが、その対象は、グループ単位で認証を取得する生産者でなくとも、有機農産物の売り先を確保している場合も認めています。例えば、販売先との継続的な取引実績等が確認されれば、幅広く支援の対象といたしております。
仮に、生産者が補助事業の対象とならなかったとしても、農林水産省では昨年十月に有機JASの認証方法に関する運用改善を行っておりまして、これにより、認証に係る費用の軽減が相当程度見込まれています。具体的には、圃場のサンプリング調査を導入することにより、調査対象の圃場数が減り、また、オンラインでのリモート調査を導入する結果として、圃場訪問に要する旅費が削減されるなどが見込まれております。
今後、関係者の御意見を伺いながら、必要に応じて有機JAS制度の更なる運用改善を行いまして、有機JAS認証が取得しやすい環境を整備していきたいと考えております。
○金城委員 大臣、御答弁ありがとうございました。
是非、中小の零細農家の方におかれましても、そういった形で有機農産物のJAS認証、これが進んでいくように、先ほどおっしゃいましたような補助制度、しっかりと取り組んでいただきたいと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。
二点目でございますが、次、天敵農薬について質問をいたします。
みどりの食料システム戦略において、二〇五〇年までに化学農薬使用量の五〇%の低減を掲げておられます。病害虫の防除の推進の事業では、緊急的な防除対策の確立を支援するとなっており、指導者の育成や実証事業の支援を実施することになっております。また、グリーンな栽培体系への転換サポートの事業は、産地に適した技術を検証し、定着を図る取組を支援することになっております。
環境への負荷をできるだけ低減した、自然の農薬である天敵等生物農薬という方法があります。これにつきましても、地元の沖縄で天敵等生物農薬の導入に取り組んでいる農家がございました。ピーマンを栽培している農家の方で、スワルスキーというものを購入してやっておりましたけれども、そのような化学農薬を使用しないで農産物を生産する方法として、今後、積極的にこのようなものを取り入れるべきだと考えます。
現時点では、天敵等生物農薬の導入に補助、助成はございません。天敵等生物農薬の導入実証事業に是非、補助制度の導入をしていただきたいと思っております。これも農林水産大臣からの御所見を伺いたいと思います。
○金子(原)国務大臣 お答えいたします。
化学農薬の使用量の低減のためには、病害虫が発生しにくい生産条件の整備などの予防的な取組や、天敵等生物農薬の導入などを組み合わせた総合防除の推進が重要であると考えております。
このため、令和三年度補正予算及び令和四年度の当初予算におきましても、グリーンな栽培体系への転換サポート事業に係る予算を計上したところであります。
天敵等生物農薬の活用等による総合防除は、化学農薬使用量の低減等、コスト低減につながる面もあると考えておりまして、この事業によりまして、地域に最も合った防除体系が確立されるよう、コスト等の生産性や防除効果に対する実証への支援を行うことといたしております。
また、既に各県から天敵等生物農薬の導入に係る実証についても申請が行われておることを承知いたしております。
さらに、今般は植物防疫法の改正によりまして総合防除を推進するための仕組みを新たに創設したところでありまして、今後、こうした仕組みも活用いたしまして、全国的に総合防除の普及が進むように取り組んでまいりたいと思います。
○金城委員 大臣、御答弁ありがとうございました。
やはり、みどりの食料システム戦略ということで、有機農家をしっかりと支援する必要性は先ほど来議論がなされたところでございますが、有機でやろう、農薬をなるべく使わないでおこう、そういった中で、私の地元沖縄なんかもそうなんですけれども、熱帯、亜熱帯、暑い地域だとやはり害虫は多く発生すると思われますし、そういったリスクの中で、農薬を使わないで、天敵の農薬を使う方向に行こうと頑張っている農家の皆さん、そういった方々への支援というものは、これからもしっかりと着目していただいて、一層また御尽力いただければと思いますので、これからもよろしくお願いいたします。
三点目に、海上船舶のDX推進対策について質問をいたします。
質問に入る前に、四月二十三日に発生しました北海道知床半島西海岸沖の観光船沈没事故でお亡くなりになられた皆様の御冥福を心よりお祈りいたしますとともに、行方不明の皆様方が一日も早く家族の元に戻られますことをお祈りいたします。
さて、海上の漁船や各種船舶でのネット環境を充実する必要がございます。漁船に関しては、令和元年度補正予算から、競争力強化型機器等導入緊急対策事業において、海上ブロードバンド用機器の導入に補助を出し、支援しておられます。この海上ブロードバンド用機器導入補助のこれまでの実績をお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
○金子(原)国務大臣 まず、競争力強化型機器等の導入緊急対策事業の支援対象についてですが、委員御指摘のように、令和元年度補正予算から海上ブロードバンド用機器を追加したところでありまして、平成二十七年度補正予算から令和二年度補正予算までの本事業全体の実績は、七千三百三十四件、二百二十四億円でありますが、御指摘の海上ブロードバンド用機器の導入実績はまだございませんところで、関係団体の漁業者や、今後、周知を図って、着実な実施に努めてまいりたいと考えております。
○金城委員 海上のそういった取組実績がまだないということでしたので、これはしっかりとまた周知もしながら取り組んでいただく必要があると思っております。
また、この海上ブロードバンド用機器を船内に整備をしても、現状は、回線接続は衛星電波を利用する方法しかないということであります。費用の面で壁になっております。海上船舶のDX推進のために、衛星電波利用について経済的支援を行うべきと考えます。
四月二十三日に発生した北海道知床半島西海岸沖の観光船沈没事故の報道を見ていますと、観光船備品の携帯電話は言うまでもなく、乗客の携帯電話につないでも、回線接続が行われていれば、悲惨な、不幸な今の結果は変わっていたかもしれないと思っております。台風、集中豪雨、河川氾濫、土砂崩れ等の災害や地震災害の際には、SNSの発信で助かる命は多数であります。防災の観点においても、海上における携帯電話の回線接続は必要であると考えます。
また、遠洋を操業する漁船の乗組員、漁業者の個人携帯電話の回線接続は、乗組員、漁業者の従業員確保のために絶対に必要であります。特に若者世代は、どこにいても自分の携帯電話がつながることが必須条件とも言えます。
このように、海上船舶のDX推進は焦眉の急でありますが、衛星電波使用料は高額で、導入に踏み切る船舶や船会社は必要最小限の契約を行っているのが現状であります。
そこで、海上船舶の事故の際の緊急連絡やSNSの発信のため、また、船舶乗組員の人材不足解消対策のために、関係省庁は、所管する船舶に乗り込んだ全員が携帯電話を使用できるように、海上船舶のDXの推進を図るべきであります。そのために、衛星電波使用料に対して何らかの形で補助制度を設けるなど、通信環境の改善を図るべきと考えます。どのように対策を進めていかれるのか、御見解をお伺いいたしたいと思います。農林水産大臣、国土交通大臣政務官にも、それぞれ御答弁いただきたいと思います。よろしくお願いします。
○金子(原)国務大臣 衛星電波の使用に関しましてのお尋ねでございますが、現在、複数の通信事業者におきまして、新たな海上向け衛星通信サービスの提供に向けた取組が行われているというふうに聞いております。これらのサービスが開始されれば、通信事業者間の競争を通じた衛星通信の価格の低廉化が期待されております。
農林水産省といたしましても、このような通信事業者の動向を踏まえながら、関係省庁と連携を取りまして、漁業のニーズに対応したサービスがより低額で提供されるように後押しをしてまいりたいと思います。
○木村大臣政務官 久しぶりに農水委員会室に入らせていただきました。ありがとうございます。
お答えいたします。
海上の携帯電話がつながらないエリアにおきましても、技術の進展等によって、今し方、金子大臣の答弁でも触れてございましたが、低廉化、高速化した衛星通信サービスの導入、普及が期待されているところでございます。
こうした中、総務省、農林水産省及び国土交通省の三省庁で連携し、海上通信環境の改善に向けた課題整理や、海運事業者へのアンケートやヒアリングを通じた利用実態の把握及びニーズの掘り起こし、最新の衛星通信サービスに関する海運事業者向けの説明会など、低廉化、高速化、普及しやすい、実用的な衛星通信サービスの提供に向けた取組を行っているところでございます。
引き続き、総務省及び農林水産省との連携を図り、海上通信環境の改善に努めてまいります。
○金城委員 それぞれ御答弁いただきまして、ありがとうございます。
これまでも、レクを通して伺ったところによりますと、海上ブロードバンド対応の関係省庁連絡会議というものが行われているということも伺いました。
私も、前回の一般質問の中で、やはり、特に漁船を持っている方々、そういった方々が、若手の人材確保が非常に大きな課題であるということをおっしゃっていました。仮に水産高校を卒業した生徒も、そういった生徒たちが漁船に乗るのではなく、船舶、そういったところに行く傾向があると。そういったことも、若者たちの、船に乗ってスマホが使えないという、こういった状況の中で、漁業者、水産業の確保というのは一つの大きな課題になっているんだろうなと思っているんですね。
皆様の行っている関係省庁連絡会議におかれましても、そういったことは既に課題として取り上げられているようでございます。衛星を使った場合の遠洋漁業の約三割は月々二十万円以上の通信料を支払っているということも述べられておりました。沖合漁船の八割以上は月々十万円未満の使用料ということで、このように、明らかに課題はもう見えているわけでございます。
ですので、今政府が進めているデジタル田園都市やそういったDXの取組、陸上の施策はしっかりとやっているところは実感として感じるんですけれども、洋上、海上におけるDXというのは、やはり、当然、農水省だけの取組でもできませんし、船舶の、国交省だけの取組でもできませんし、皆さんの、関係省庁の連絡会議で行っている、総務省も含めて、そういった各省庁の皆さんがしっかりと議論したものを、それから、内閣全体として、この課題の解決に向けた取組をしっかりと政府としてやっていただく、そういった必要があると思っております。
是非そこは大臣にもしっかりと力を入れていただいて、政府全体として海上船舶のDXの実現も頑張っていただきたいと思いますので、是非ともよろしくお願いいたします。
時間もそろそろ参りましたので、以上で質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
○平口委員長 次に、小山展弘君。
○小山委員 立憲民主党の静岡選出の小山展弘です。
私が出てくると、またおまえかと言われそうですけれども、最初にお茶のことについてお尋ねさせていただきたいと思います。
四月十九日に、大臣から、大変心強いというか力強い、茶の市況について、令和三年産と比較しても単価はやや高く推移するのではないかという、もちろん、これは予断を持って、天候などの不確定要素もあるので、予断を持って言えることではないということではあったんですけれども、そのような答弁をいただいてはおりました。
私も、このゴールデンウィークの間、静岡は鹿児島よりも少し遅いものですから、ちょうど最盛期で、ずっとお茶工場を歩いておりました。去年は工場があったところが、今年もあるだろうと思って行ってみたら更地になっていたりとか、工場にお茶を買いたいと電話をしたら現在使われていないというようなこともあって、毎年そういうところが増えていって、大変つらくも思っておりますが、初取引以降、予想以上に価格、市況が低下しまして、静岡県内のある地域のある茶農家さんは、一番茶の取引の中で一キログラム当たり千円を割り込んだ取引もあって、非常に経営が苦しいと訴えておられる方もいらっしゃいました。
産地によっても、市場によっても違うのかもしれませんけれども、このような茶価の低迷の原因について、また今後の見通しについて、政府の御認識をお尋ねしたいと思います。
○金子(原)国務大臣 静岡での新茶の取引につきましては、スタート時点では先日もお話ししたように単価が前年を上回っていましたが、その後は、雨が多くて、摘み遅れで品質の低下が生じているというふうにお聞きしております。
価格が前年を下回って推移しているそうでございますけれども、一方で、品質のよいものは例年並みの価格で取引されているというふうに聞いておりまして、鹿児島産等については大体例年よりいいというふうな、そういった情報が入っております。
農林水産省としては、引き続き、全国各地の生産地や市場の状況の把握を努めるとともに、リーフ茶の需要を喚起するための毎日のお茶の暮らしのキャンペーンを展開するなど、業界と連携して消費拡大に一層力を入れて取り組んでまいりたいと思っております。
以前は、会議をしましても、リーフ茶でお茶を入れて持ってきておりましたけれども、最近は、ぽっぽっと、もうポットですね。だから、やはりもう少しお茶文化に親しんでいただいて、できるだけそういったグリーン茶、お茶そのものを入れて飲んでいただけるように、我々もこれから努力をしていかなきゃいかぬ。うちのお客さんにも全部パックを出していますから、これは一つはコロナの関係もあってそういうふうにしているんですが、できるだけお茶わんでお茶を出すことによって、またそういった茶の需要が増えていくように、我々も努力していきたいと思っております。
○小山委員 是非、茶の需要拡大、消費拡大に向けて官民一体となって取り組んでいただきたいと思います。
御参考までに申し上げさせていただければと思いますが、対面販売ですね。
よく静岡のお茶農家さんなんかが、千葉とか東京とか東北の方なんかに行かれる方がいるんです。私も、自分でお茶を入れると、対面販売でお茶屋さんとかお茶農家さんが入れてくれたようになかなかできないんですね。やはりおいしいのを飲むと、またこれを飲みたいと思うようになりますし、リピーターにもなると思いますので。
でも、なかなか、対面販売に行く個々の農家さんには、個々の農家さんということもあって、支援の制度というのは今のところない、ガソリン代も宿泊代も出ない。だけれども、これこそまさに、需要を広げて、また、こういった直売といったようなところでも、農家の方が直接販売ルートを持つという意味でも大変重要なことだと思っておりまして、何かここにまた支援の制度というものを考案していただければなというふうにも思います。
お茶の品質については、大臣がおっしゃられたようなことを現場の方からも聞くことも多くございまして、お茶全体の、リーフ茶の需要の低下とか、あるいは、二月、三月も気温が低かったので、そのことも葉が硬くなった影響ではないかというような声も聞かれました。私自身も専門分析官ではありませんので、いろいろな声があったということですけれども。
こういった、特に静岡なんかでは、価格の低迷に加えて、ここからは全国的に、他の品目もそうだと思うんですけれども、燃油代それから肥料代、電気代も大変高騰しておりまして、茶農家さん、農家さんの経営を圧迫をしております。こういった状況が続くと、廃業とか耕作放棄地の増加といったことも懸念されるかと思うんですけれども、こういう燃油代とか肥料代、電気代の高騰をなかなか価格転嫁できなくて、自分のところの収益、収入が減っていくというようなことが現場では起きております。
例えば、これはいい提案だなと思ったんですけれども、販売をした、取引を証明できるといった場合に、その販売額、売上額の一〇%を燃油代、コストの上昇分見合いとして支援をする、補助をするというような、これは農地にというと捨て作りみたいな問題も出てきますし、コストというと非常に計算も大変になってくるので、販売した金額に一割乗っけたら、かえってそれはクリーンじゃないか、販売を証明したものに限るということで、そんな声もありましたけれども、政府は、こういった燃油代や肥料代の高騰についてどのような対策を検討されていらっしゃいますでしょうか。
○宮崎大臣政務官 お答えをいたします。
原油価格の高騰対策につきましては、三月に取りまとめました原油価格高騰に対する緊急対策におきまして、燃料油価格の激変緩和措置を講ずるとともに、茶のセーフティーネット対策につきまして、支援の対象とする燃油価格の高騰の上限でございますけれども、過去の平均価格の一五〇%までとしておりましたところを一七〇%までに引き上げさせていただきまして、公募受付期間も例年よりも長く、延長させていただいているところでございます。
これによりまして、茶の生産に必要な燃油使用量に対するセーフティーネット対策への加入割合を試算をさせていただきますと、昨年の約四割から、本年は七割を超えるところまで大幅に増加をしているところでございます。
また、肥料につきましては、先月決定をされました総合緊急対策におきまして、代替国からの調達に要するかかり増し経費、これを支援をさせていただくとともに、令和三年度の補正予算で措置をいたしました土壌診断等に対する支援につきまして、運用改善をさせていただいて、取組の加速化を図ることとしたところでございます。
農林水産省といたしましては、このような対策を着実に実施をするとともに、引き続き、肥料等の資材価格の上昇が農業経営に及ぼす影響を見極めさせていただきながら、今後、どのような対策が必要か検討してまいりたいと考えております。
○小山委員 特に今年の秋以降の肥料の高騰が予想されておりまして、春肥の分についてはかなり肥料会社さんも確保できたというようなことを聞いておりますけれども、秋肥については高騰が見込まれるということで、是非ここは補正予算で、そういうような状況になっていった場合にはまた対応、対策をやっていただきたいと思います。
また、今の輸入価格というのは、物価高というのは複合的な要因だと思っておりまして、このことを話しているだけでも時間がもったいないので余りできないですけれども、ただ、その要因の一つに、やはり金融緩和の継続というものをそろそろ考え直す時期に来ているんじゃないだろうかと。量的緩和から、例えば少しずつやめていくとか、そろそろ出口を模索していかないと、内外金利差で円安がずっと続いてしまいますので。
しかも、先進国のいわゆる第二次世界大戦後に生まれたベビーブーマーの方がイギリスでもアメリカでも一斉に退職、リタイアをされて、どこでも賃金が上がっているとか、カーボンニュートラルに備えて、産油国なんかでは、新規設備投資をしても長期的にはこれはよくないということで、だけれども、足下のところでは、新興国の産業が増えて燃油の需要が増えている。
こういうようなところがエネルギー価格の高騰になっていたり、実はウクライナの問題とかコロナ以外にも構造的な物価高の原因があろうかと思いますので、諸外国が金利を上げていく中で、日本だけが金利が上げられない、量的緩和もやめていない、こういうことをやはりそろそろ与野党で真摯に議論して、岸田さんはこういう政治の責任を取れる方だと私は期待したいと思いますので、是非お願いしたいと思います。
それと、お茶について最後の質問ですけれども、産地間競争というものの優勝劣敗があるというのはよく分かっております。ただ、特定の地域では開墾が進む、これはいいことだと思うんですけれども、一方で、特定の地域で耕作放棄地が増加し、結果として多面的機能が失われている、こういうことがかなり極端に差をもって進行していると思うんですけれども、このことについて、農水省はどのように認識をして、どのような対策が必要だとお考えでしょうか。
○武部副大臣 我が国の農村地域、特に中山間地域は、都市部に比べまして人口減少とそれから高齢化が進んでおりまして、その地域の農業者の方々が農用地を保全するのが大変困難になっている、そういうケースがあるのも承知しております。
また、一方で、今多面的機能のお話ございましたけれども、水田を含めて、農地は、洪水を防止する機能ですとか地下水を涵養する機能ですとか、多面的機能を有しておりますので、その機能を発揮させていくためには必要な農地をしっかり確保する必要があると思っております。
このため、農林水産省としましては、多面的機能支払交付金や中山間地域等直接支払交付金による地域の共同活動等への支援ですとか、農地中間管理機構による担い手への農地の集積、集約化、農地耕作条件改善事業等による荒廃農地の解消等を進めております。
さらに、令和三年度から、最適農地利用対策として、地域ぐるみで話合いをしていただいて、荒廃農地のおそれのある農地の有効活用あるいは農地の粗放的利用について必要な農地の簡易的な整備等を支援をする対策を講じたところです。
このような対策を通じまして、農用地の保全を図りまして、多面的機能の保持に取り組んでまいりたいと思います。
○小山委員 耕作放棄地、農地の維持ということになると、品目の話は全くなくなってしまうわけですけれども、実際の農業の現場あるいは地域の現場というところでは、特定の品目を栽培をするという農業と一体で耕作放棄が増えていったり、私の今話してきた例でいいますとお茶ですけれども、他の地域でも、他の品目で、やはりそういう農業、実際のこの品目を栽培するということと一体だと思うんですね。ですので、地域の計画を作るという面では、こういった地域ごと、あるいは品目ごとに具体的にもっと議論していく必要があるんじゃないだろうか。
例えば、私の地元の掛川市の中山というところですと、これは東海道が通っておりまして、昔、西行法師が歌を詠んだようなところなんですが、かなり急傾斜地で、なかなかお茶以外の品目に転換できない、こういうような地域もありまして、そうしますと、私は、耕作放棄地を増加させない対策というのが、多面的機能あるいは農地というような観点だけではなくて、やはり品目と一体となった地域ごとの振興計画というものも必要ではないかなということを一つ感じます。
もう一つは、今まさに武部副大臣もおっしゃられたとおり、農地というのは非常に多面的機能を持っている。ですけれども、農地そのものを多面的機能があるということで評価する制度というのは、実は棚田と中山間地域ということになって、ほかは農地を維持する作業に対する補助になっているかと思います。ですけれども、ここも中長期的には、全ての農地が、やはり農地として評価するというような基盤の部分がもう少し拡充していってもいいのではないかな、個人的にはそのように考えております。
次の質問に移らさせていただきたいと思いますが、静岡県の磐田市に農林環境専門職大学というものが開校しました。これは県立です。近々、山形県でも設立、開校予定と伺っております。農業と農業経営の専門家を育成することをコンセプトとした農林環境専門職大学は、これからの日本農業を担う人材を育てる上で非常に重要な役割を果たしていくのではないかと思っておりますけれども、この農林分野の専門職大学の果たす役割について、政府の認識と支援策についてお尋ねをしたいと思います。
○武部副大臣 専門職大学につきましては、特定の職業としてプロフェッショナル、その必要な知識、それから実践的なスキル、両方を身につけることを目的とした新しいタイプの大学と承知しております。平成三十一年度より制度化されまして、今委員御指摘がございました静岡県で、農林環境専門職大学、農林業分野では全国初となる専門職大学として令和二年度に開学したと承知しております。
大変人気も高くて、入試の倍率も非常に高いということも承知しておりますが、この専門職大学におきましては、基礎的な生産技術だけじゃなくて、流通、加工、それから販売、先端技術に対応する能力を習得するための教育を行っておられると聞いております。まさに将来の農業の成長産業化を担う人材を育成している教育機関だ、そのように期待しているところであります。
農林水産省としましては、こうした専門職大学を含めた農業教育機関に対しまして、教育の高度化をしていただくために、研修用の機械、設備の導入ですとか、カリキュラムの強化、それから外部からの専門家や講師などの招聘等、そういったことについて御支援をさせていただいております。将来の農業を担う若者の育成にしっかりと取り組んでいきたいと思いますし、大いに期待したいと思っております。
○小山委員 大変心強い答弁をいただきました。ありがとうございます。
ちょっと話題を変えまして、先日、一部メディアにも取り上げられましたけれども、ウクライナから日本に避難してこられた方々がペットの犬を連れていた場合、今回、日本政府は、狂犬病の検疫手続について、条件付で、自宅で隔離して飼育することをお認めいただきました。これは、ウクライナ人の方も、ウクライナから避難してきた日本人の方も同様の対応であると伺っております。
一方で、渡航中止勧告が出ているロシアから帰国する日本人には同様の措置は適用されずに、入国前にワクチンを二回接種したことを示す証明、この場合でいうとロシアの証明書が必要で、それがなければ、空港の検疫所にとどめ置かれ、その費用も支出しなければならないと伺っております。
この証明書、発行するのにも、確かにロシアは政府機関が機能していないわけではないですけれども、証明書を発行してもらうのに非常に時間がかかる。しかも、ロシアと日本は現在、非友好国ということに残念ながらなっておりまして、今後、突発的な出来事が起きないとも言い切れないとも感じます。政府が出国を呼びかけて、早く日本に戻ってくるようにという点では、ウクライナと共通するところもあるんじゃないでしょうか。
飛行機もほとんど飛ばない状況の中で、ロシアからの帰国者に対してもウクライナからの帰国者のペットの犬と同様に対応すべきではないかと考えますけれども、いかがでしょうか。
○小川政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、今回のウクライナから避難されてきた方の犬は、ウクライナで戦闘が開始されたことに伴う避難でございます。あらかじめ検疫条件を満たすことを示す証明書の発給が事実上困難な状況にあり、犬等の輸出入検疫規則の特別な事情があると判断をしたところでございます。
委員御指摘のとおり、この取扱い、ウクライナから避難のために帰国する日本人の犬であっても変わるところはございません。
他方、ロシアについて御指摘がございました。ロシアでございますが、ロシア政府当局は十分に機能しております。ロシアから犬等を日本に輸入する際、ロシア政府からの証明書の発給を受けることが困難な状況にはございません。このため、ロシアから帰国する日本人の犬につきましては、ロシア政府からの証明書を求めているところでございます。
○小山委員 済みません、更問いをさせていただければと思うんですが、仮に、今、ウクライナ、ロシア間で戦争状態になっていって、ウクライナの方も反撃していくかもしれない、今後そこのところは予断を許さないかと思いますが、ロシアがもし仮に退避勧告の対象になった場合には、ロシアからの帰国者もウクライナからの帰国者と同様の対応が行われる可能性はあるんでしょうか。
○小川政府参考人 お答え申し上げます。
私からどこの国とどこの国が戦争状態になるかということについて言及することは適当ではないと思っておりますけれども、動物検疫当局といたしましては、動物検疫当局が正常に機能しているかどうかということを判断することになると思います。
○小山委員 どうもありがとうございます。
それでは、次の質問に移らさせていただきたいと思います。
規制改革推進会議と国家戦略特区会議についてお尋ねしたいと思いますが、この会議のメンバーというのはどういう基準で選ばれているのでしょうか。
○辻政府参考人 お答えいたします。
まず、規制改革推進会議の委員でございますが、政令上、優れた識見を有する者のうちから、内閣総理大臣が任命するということになっております。
○三浦政府参考人 国家戦略特区諮問会議の方についてお答え申し上げます。
国家戦略特区諮問会議の有識者議員でございますけれども、国家戦略特別区域法の方で定めがございまして、法の第三十三条に議員に関する規律がございます。この中で、有識者につきましては、「経済社会の構造改革の推進による産業の国際競争力の強化又は国際的な経済活動の拠点の形成に関し優れた識見を有する者」ということでございまして、この中から内閣総理大臣が任命する者、こういう定めがございまして、この規律に基づいて選んでいるということでございます。
○小山委員 三浦審議官にもう一度お尋ねしたいんですけれども、構造改革の構造というものは何でしょうか。定義をしていただけますか。
○三浦政府参考人 お答え申し上げます。
この構造改革という文言なんでございますが、これは何か法令上、技術的な定義がどこかにあるかというと、そういうものではございません。したがいまして、日本語としてというか、国語辞典的にと申しますか、構造的な改革という一般的な意味で理解をするものというふうに考えております。
○小山委員 構造というのは、辞書的には、有形物の組立てを表す概念。それから、私が大変尊敬している富永健一さんという社会学者は、構造というのは、社会構造とかいろいろな言い方がありますけれども、物事を成り立たせている各要素の機能的な関連、そのようにして成り立っているものの全体と言っておりまして、さらに、社会構造について、社会を構成している構成諸要素の間の相対的に恒常的な結びつきと定義をして、じゃ、その諸要素とは何だ、個人の役割とか、規則としての制度、社会集団、地域社会、社会階層、国民社会、このように定義しているわけですね。
構造改革に資する、そういう言葉があって、その条件で委員が選ばれているわけですけれども、その構造改革という言葉が、定義が一般的に使われているというのではかなり曖昧じゃないかと思うんです。
もう一つだけ聞かせてください。改革というのは、何をもって改革なんですか。
○三浦政府参考人 お答え申し上げます。
この改革ということも、特に、構造改革という言葉、何か法令上、技術的な定めがございませんので、ここは恐らく上位概念である法目的の中で解釈していくのだろうと考えております。
国家戦略特区法については目的の条文がありまして、これは、我が国を取り巻く国際経済環境の変化その他の経済社会情勢の変化に対応して、少し長いのではしょりますけれども、経済社会の構造改革を重点的に推進することにより、産業の国際競争力を強化するとともに、国際的な経済活動の拠点を形成することが重要であることに鑑みてということでありまして、国家戦略特別区域に関して、規制改革その他の施策を総合的かつ集中的に推進というふうに、少しはしょっておりますけれども、こういったことが定められております。なので、こういった取組を進めていくということを念頭にこの言葉も理解すべきかなと考えております。
○小山委員 いろいろ三浦さんばかりにお尋ねしてちょっと申し訳なかったんですけれども、なぜこんなことを尋ねたかといいますと、規制改革推進会議や国家戦略特区会議のメンバーというのは、我々のように選挙で選ばれたわけでもなければ、試験で選ばれたわけでもなければ、日本学術会議のように学会の推薦があって選ばれたわけでもないんですね。
ですから、メンバーの選定に対しては非常に公平でなければ、会議での議論というものも、選ぶメンバーが八割ぐらい一定の方向を向いた人で固めちゃったら、もう結論ありきの議論になってしまうというようなことも懸念されようかと思います。ですから、こういったメンバーの選定に当たっては極めて慎重に、また、公平、公正性を担保してやっていかなきゃいけない、説明責任を果たせるものでなければならないと思うんです。
そこで、次の質問でお尋ねしたいんですが、こちらにお配りをさせていただいた表を御覧いただければと思うんですが、先ほど、識見を有する者ということで議員、委員の選定があるということだったんですが、特定の人物がかなり長期にわたって委員を任命されております。
例えば、さすが岸田さんだなとも思っておりますけれども、令和四年三月に、八田さんとか竹中さんとか、これは一応、委員をここで区切りになったということで伺っておりまして、私、この質問を最初にさせていただきたいと、なかなか一般質問の機会がなくて今日になってしまいましたが、今年の三月に、まだこの方々が委員のときにこういう質問を準備をしておったんですけれども、かなり長い期間、平成二十六年から今年の三月までやっておられた。
あるいは、過去には、本間正義委員は、平成二十年の八月から十年以上も委員をやっておられた。
そして、今、現時点でも続いておられるのは林いづみさん、平成二十五年の九月から現在に至るまで。八年以上にもわたって特定の個人が委員であるというのは、私は、ちょっと異常じゃないか、識見のある人はこの人だけなのかということを感じますけれども、林さんが知見を有するとした判断の根拠を教えていただきたいと思います。
○辻政府参考人 お答え申し上げます。
お尋ねの林委員でございますが、この方は弁護士でいらっしゃいまして、法律全般に高い専門性をお持ちでございます。それに加えまして、農林水産分野の知的財産に関する御本を執筆されていたり、農林水産省の各種の検討会等の委員も務めておられまして、中でも農林水産分野全般に高い識見をお持ちと考えております。
農林水産分野は、私どもがやっております規制改革の重要な分野の一つでございまして、専門的な議論を行っていく必要が高いものですから、農林水産分野等に高い識見をお持ちの林委員を任命いたしまして、改革推進に向けた検討に御協力いただいている、そういうことでございます。
○小山委員 時間も迫ってきたのでこれ以上は申し上げませんが、二〇一七年二月十五日にも、私、農水委員会で今から申し上げることと同じことを申し上げているんですけれども、日本の規制改革推進会議は、二〇一六年に、国際協同組合同盟、ICAから協同組合に対する不当な干渉と強く非難された恥ずかしい過去があります。是非真摯に反省していただいて、国際的に恥ずかしいと思われるような議論がないように是非進めていただきたいと思います。
最後に、国有林について、樹木採取権制度でお尋ねしたいと思いますけれども、業者が倒産したりとか、あるいは十分に契約を履行しないというようなケース、契約違反のケースも想定されるかと思うんですけれども、その点についての対策についてお尋ねしたいと思います。
○天羽政府参考人 お答え申し上げます。
御質問の樹木採取権制度は、国有林野の管理経営に関する法律によって定められた仕組みでございます。
同法の第八条の二十二第一項の規定によりますと、樹木採取権者が事業を実施できなかったとき、又はこれを実施することができないことが明らかになったときは、農林水産大臣は樹木採取権を取り消すことができることとされております。
この場合、樹木採取権者が国に支払った権利の設定料、樹木料は返還せず、また、国は採取権者に対して違約金を請求することとなっております。
また、樹木採取権が取り消された後の国有林野につきましては、通常どおり、国有財産として国が責任を持って管理経営することとなってございます。
○小山委員 最近では水道の民営化なんというようなことも言われておりまして、海外などでは、水道の民営化を請け負った業者が、請け負うときには、安くやります、経営努力でやりますといいながら、請け負ったら全然保守管理をせずに、それで、保守管理をしない、コストを下げることによって利益を上げようと。特に営利目的の企業ですと、そういうようなことも場合によっては起こり得るということだと思っております。
国有林野でやはりこういうことが起きてもらいたくない。何か問題が起きてから対策を立てる、対応するということになるといろいろ大変ですので、是非、期間が長い契約、あるいは樹木採取権を与える範囲が、規模が大きい契約というものはやはりやるべきではなくて、なるべく慎重に、もしものことがあっても素早く対応できる範囲に抑えていくべきではないか。
やはり基本は、こういった公益性の高い、元々、民間ができない、森林管理できないところを法的に国有林として管理しているわけですから、この公益性を維持するということを第一に考えて国有林の運営というものを行っていっていただきたいと思います。
それでは、質問時間が参りましたので、これで私の質問を終わらさせていただきます。ありがとうございました。
○平口委員長 次に、野間健君。
○野間委員 立憲民主党の野間健です。鹿児島三区選出であります。
本日は、質問の時間を与えていただきまして、本当にありがとうございます。
今日の委員の皆さんからの質問にも多く出てまいりましたけれども、今、ウクライナの問題を一つのきっかけとして、これは数年前からのことでありますけれども、円安、また原油高等も含め、あるいは、中国を始めとした新興国の食料の爆買いということも含めて、我が国は、本当に、食料危機を迎える直前に来ているのではないか、そういう危機感を持って質問をさせていただきたいと思います。
申し上げるまでもなく、例えば小麦にしても、四月に、政府が、輸入小麦の価格、政府の売渡価格を一七・三%引き上げております。
また、様々な化学肥料、これも、大きな要素として、尿素というものが化学肥料にありますけれども、これも、昨年、大体一トン三百ドルぐらいで取引されていたものが、今、千ドルを超えるようになってきている。そしてまた、リン酸アンモニウム、これは九割を我が国も中国から買っているんですけれども、これも、去年四百ドルぐらいだったのが、今、九百ドル、倍になっている。
そのほか、粗飼料としてよく使われます、アメリカ等から乾牧草あるいは稲わら等、こういうのも一二〇%、昨年から価格が上がっております。
もちろん、配合飼料、トウモロコシなんかは、二〇〇八年に非常に高騰したとき、トン当たり六万七千円ぐらいでしたけれども、これが八万七千円を超えているという、大変な飼料あるいは小麦等の価格の上昇が生じていることは、御承知のとおりであります。
ですから、これはもちろん、飼料等は畜産農家にも大きな、今、打撃を与えております。もちろん、小麦も、ひいては、私たちの家庭を直撃しているわけでありますけれども、食料メーカーにとっても大変な、今、コスト高になっております。
私の地元の鹿児島県でも、どことは申しませんけれども、養豚業で毎月五千五百頭ぐらい豚を出していた、三本指に入る企業が、民事再生法を先々月申請しました。
これは、やはり大きな要因が畜産の飼料の高騰、急騰ということで、もう耐えられなくなったということでこんなことになっているわけでありまして、大変な、今、状況にあります。
非常に難しいのは、従来であれば、高くてもお金を出せば買えるという状況があったわけですけれども、今、御承知のとおり、中国を始め新興国が、アメリカ等の小麦とかいろいろな飼料用の穀物を大量に、しかも高い値段で買っている。日本が買い負けているわけであります。
同時にまた、これを運ぶコンテナ船とか海外からの船便も、先般も、鹿児島県になかなかアメリカの牧草が入ってこないということで調べましたら、いや、コンテナが日本に行かないんだ、全部韓国から中国にコンテナが買い占められて向こうに行ってしまっている、日本にどんなにお金を出しても入ってこないんですよということを言っておりました。
こういうふうに、日本が国際的な穀物市場で買い負けている、そしてまた船便も全部買い占められている、こんな状況になっているわけでありますから、ただ単にお金を出せば買えるという状況でもなくなってきています。
そしてまた、このウクライナの問題で、海外からも、お金を出して、そこに物があっても、これが、輸入の禁止、禁輸、いろいろなことで買えなくなってきているという状況もあります。
これも大臣も御承知のとおり、今月の二十三日ですか、バイデン大統領が日本に来日されて、岸田総理と会談するそうですけれども、その際に、TPPに代わるインド太平洋経済枠組み、IPEFというのをつくるんだということでやるわけですね。そうなりますと、TPPの枠組みもこれからどうなっていくか分かりません。
このIPEFは、一言で言うと中国外しですよね、アメリカがやってきている。それに日本も入っていかざるを得ない、ウクライナの問題で、ということになると思うんですが、こうなってきますと、いろいろな、肥料の問題にしても、中国との貿易というのもこれからどうなっていくのか分からない。
非常に私は、食料危機、極端に言うと、いろいろなものが、輸入が途絶するということもあり得るのではないかと危機感を持っております。
こういった様々な食料危機に対して我が国の備えはどうなっているのか、また、直面するいろいろな、化学肥料や畜産用の飼料の高騰に対してどういう手を今打っているのか、教えていただきたいと思います。
○金子(原)国務大臣 お答えいたしますが、もう野間議員も既に御存じかもしれませんが、現時点で、小麦、飼料につきましては、必要な輸入量の確保に支障は生じておりません。引き続き、情報収集と分析を行って、支障がないようにここは努力していかなきゃいかぬというふうに思っております。
化学肥料につきましては、モロッコなどの代替国からの買入れを進めまして、今年の春の肥料は例年並みに近い供給量を確保するとともに、秋用の肥料につきましても、先月決定された総合緊急対策に基づきまして、調達国の多角化による肥料供給の安定化を図りながら、価格の動向、農業経営に与える影響についても注視していく考えであります。
原料の高騰については、配合飼料のセーフティーネットを活用いたしまして、できるだけ農家の負担が少なくて済むように努力をしていきたいというふうに思っております。
○野間委員 是非、リンについても、モロッコ等ですかね、代替の国、早急にその辺の整備をしていただきたいと思います。
特に配合飼料のことについてもお聞きしたいんですけれども、今、価格の安定制度で補填金が出るということにはなっていますけれども、二〇二〇年の末でトン当たり六万六千九百八十六円だったものが、現在、昨年末ですと、もう八万円を超える金額になっております。今、八千五百円の異常補填金と通常補填金、補填が出ているわけですけれども、それにしてもまだまだ生産者の赤字というのが出ております。
また同時に、この異常補填金、補填をされるんですけれども、これが、申請といいますか、発生してから最長で四か月後にならないとこのお金が来ないということで、これも非常に、今、生産農家は困っています。余裕があるときでしたら四か月くらい何とかなるわけですけれども、非常に、今、厳しい経営状況の中ですから、この期間を何とか、こういうデジタルの時代ですから、そんな何か月も待たせるというのはどんなものかな、何とかならないのか。あるいはまた、少なくとも、じゃ、この間はこうやってつなぎの融資を行うとか、何らか手を差し伸べていただかないと、非常に、今、厳しい状況になりますので、その辺はいかがでしょうか。
○金子(原)国務大臣 異常補填金につきまして、発動基準は臨時的に引き下げたことは、もう議員も御存じのとおりと思います。
支払いの早期化につきましてのお話がありましたが、本制度の補填は、四半期ごとの配合飼料の購入実績などに応じまして、当該四半期翌々月に支払われることになっておりますが、令和三年度におきましては、関係者の努力によりまして、通常翌々月の中下旬に支払っていたところを、最短で翌々月の上中旬に支払うように短縮したところであります。
今後とも、農林水産省としましては、引き続き、関係者と協力いたしまして、早期の補填金の支払いに努めてまいりたいと思います。
○野間委員 是非、短期の間に、資金がショートしないうちに支払っていただけるようにお願いしたいと思います。
続きまして、これは委員の皆さんも、地元、地域を回っていられるとよく話が出ることだと思うんですけれども、農業をやっている方でもそうですけれども、自分の農地を持っている、あるいは山を持っている、もちろん自分の自宅の宅地も持っている、しかし、所有者が一体誰なのかというのを、これを売るとか、いろいろな開発をするとか、そういったときに分からないんですね。私ども、田舎ですから、例えば、実際、登記簿とかを見ても、聞いたこともない人の登記になっている、百年前の人の名前がそこに書いてあったり、そういったところがいっぱいあります。あるいは、相続で何十人、何百人に分割されて、その土地を動かすことができない。
農地の場合、それから森林の場合、それから通常の宅地の場合、あるいはまた公共事業に使うような土地の場合、いろいろ、農水省さん、それから法務省、また国交省さんも、平成三十一年に所有者不明土地法というのを新しく作られたりして、正直、通常の国民にとって、どこに何を頼んで、どうやって調べていいかというのは、これはさっぱり分からないような状態になって、土地が流動化しない大きな原因になっているわけです。
まず、農地そして森林について、これを農地や森林としてずっと使っていくという場合に、そういった所有権をどうやって明確にして、きちっとした引継ぎをしていったらいいのか、教えていただきたいと思います。
○宮崎大臣政務官 お答えをいたします。
農地及び森林につきましては、地域の貴重な資源でございますので、所有者不明の農林地の有効利用、これを図っていくことは非常に重要なことでございます。
委員お話がございましたように、農林地だけではなく、いろいろな土地での所有者不明の問題については、政府全体でも取り組んでいるところでございます。
このために、所有者不明の農地につきましては、平成三十年度に農業経営基盤強化促進法等を改正をいたしまして、所有者不明農地につきまして、農業委員会が所有者を探索、公示等をした上で、農地バンクへ最大二十年間貸付けできるよう措置をさせていただいたところでございます。
さらに、今国会に提出をさせていただきまして、委員会でも御議論をいただきました基盤法等の改正法案におきましては、農地バンクへの利用権の設定期間の上限を最大二十年間から四十年に延長をさせていただくとともに、農業委員会による不明者の探索後の公示期間を六か月から二か月に短縮をするなど、より使いやすい仕組みに見直すこととさせていただいたところでございます。
もう一つの、所有者不明森林の対応でございますけれども、これにつきましても、森林法を累次改正をさせていただいておりまして、新たに森林の土地の所有者となった方の市町村への事後届出制度の創設でございますとか、森林の土地の所有者や境界の情報等を一元的に取りまとめた林地台帳の創設などに取り組んできたところでございます。
さらに、令和元年度につきましては、森林経営管理制度を創設をいたしまして、この中で、所有者不明森林について、市町村が、所有者を探索をいたしまして、公告等の手続を行えば、経営管理の権利を取得できる特別措置を設けたところでございまして、本制度の活用を進めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
○野間委員 なかなかこの制度が複雑で、普通の方が、これをどういうふうにやっていったらいいんだろうかということがなかなか分かりませんので、是非その辺の制度について周知徹底していただきたいと思います。
それから、今日も法務省の方からもお見えいただいていると思うんですが、通常の宅地とか、あるいは商業地等も含めて、これも所有者不明の問題が全国で発生しているわけですが、それについてもちょっと御説明いただきたいと思います。
○金子政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘のように、他人の土地を借り受けたり、あるいはその土地において開発工事を行ったりする場合には、一般に、その土地の所有者の承諾を得る必要がございます。
しかし、所有者が誰だか分からない、あるいは所有者が特定できてもその所在が分からないといったケースでは、承諾を得るということが現実には困難ということが起こります。
現行法におきましては、土地の所有者が不在者であるような場合には、利害関係人からの申立てによりまして、裁判所から不在者財産管理人の選任を受け、その管理人との間で契約を締結するということが可能になっております。
この不在者財産管理制度、現行法、使われているものですけれども、管理人が不在者の財産全般を管理しなければならず、その分、管理人の報酬等の費用が高額になるといった指摘がございましたことから、昨年に民法を改正いたしまして、個々の所有者不明土地の管理に特化した管理制度が創設されました。これは令和五年四月一日の施行を予定しております。
そのため、先ほどのようなケースにおきましては、改正民法の施行後は、この制度によって選任された所有者不明土地管理人との間で、売買契約なり、あるいは賃貸借契約を締結することなども可能となるところでございます。
法務省としましては、今般の改正の意義や内容を国民各層に浸透させることが重要であると考えておりまして、関係機関や関係団体と連携して、しっかりと周知広報に努めてまいりたいと考えております。
○野間委員 来年施行のその新しい改正案に基づいて、是非周知徹底していただきたいと思います。
いずれにしても、土地の問題は、法務省さん、それから農水省、国土交通省など、多岐にわたる省庁での非常に複雑な仕組みになっているかと思いますので、これはできれば法務省が中心になって、先頭になって、国民に分かりやすい簡易な制度につくり直していただきたいということを要望させていただきます。
続いて、昨年七月、私どもの地元の鹿児島県の伊佐市やさつま町、これは、国の激甚災害に指定をしていただいた地域の農業への大きな、甚大な被害が生じたわけであります。金額的には四十六億八千万円もの農林水産関係の被害が発生をして、今、復旧事業をずっと昨年来行っていただいているところなんですけれども、もう田植の時期に来て、なかなか今年は手がつけられない農地もいっぱいあります。また、水路が破壊されたり、農業ができないところがあるんです。
今どこまでこの復旧事業は進捗をして、いつから地域の皆さんがまた農業に戻ることができるのか、これを、その進捗状況等を教えていただきたいと思います。
○牧元政府参考人 お答え申し上げます。
令和三年七月豪雨による被害に対しましては、国の職員を派遣をいたしまして技術的支援を積極的に実施をしているところでございます。
その結果といたしまして、伊佐市及びさつま町における全ての災害査定を終えまして、順次工事に着手をしているところでございまして、本年四月末時点、復旧工事の着手率、一三%となっているところでございます。
復旧の見込みでございますけれども、農地、農業用施設の災害復旧事業につきましては、原則三か年以内で復旧するということになっているところでございますが、この伊佐市及びさつま町につきましては、一部、河川の復旧工事との調整をする地区を除きまして、令和五年の作付に間に合いますように、来年三月までに完了を予定をしているところでございます。
○野間委員 一部、来年三月ということで、これは地元にとっては大変な朗報かと思います。
いずれにしましても、さつま町でいえば農地の復旧箇所として三百二十八か所、伊佐市が百二十三か所、かなりの大きな数になっております。また、前年にも大きな被害が出ておりますので、それと併せて工事等をしなきゃいけないので、これは非常に大変な、地元の自治体にとっても大変な作業であり、町の職員さん始め、建設業の皆さんにもお世話になっているところです。
そうしますと、とにかく、三年以内にはこれをきちっと終わらせて、一部はその前に前倒しでいくということですけれども、三年ということは、再来年の十二月ということで考えてよろしいんでしょうか。
○牧元政府参考人 お答えを申し上げます。
原則三年以内の復旧ということでございますので、今御指摘いただきましたように、再来年までには復旧ということで考えているところでございますけれども、ただ、先ほどもちょっと申し上げましたように、一部、河川の復旧工事と併せてやらなきゃいけないようなところにつきましては、まず河川の復旧工事をやった後で私どもの工事に取りかかりますので、そこにつきましては、ちょっと、河川工事の進捗によろうかと思います。また、残りの地区につきましては、来年の作付に間に合いますように、来年三月までの完了を予定をしているところでございます。
○野間委員 是非そのスケジュールでお願いしたいと思います。
それで、そのことをなかなかまだ地域の住民の皆さんも御存じでない方も多いわけですので、一応区切りとしていつまでなんだということも、地元自治体とよく調整をして周知を図っていただきたいということを要望させていただきますので、よろしくお願いします。
最後の質問をさせていただきます。
これも当委員会でも取り上げられていることでありますし、私どもの地元の大きな課題でもあるんですけれども、今年の初めにNHKで放映されて、非常に私どもの地元でも不安感、危機感を持っている問題が、2・4・5Tという、ベトナム戦争の枯れ葉剤の材料も入っていたと言われる、ダイオキシンを含む除草剤、トリクロロフェノキシ酢酸というんでしょうか、この除草剤が、全国五十四か所、猛毒性があるということで、国有林の中に埋設されているわけであります。全国五十四か所、鹿児島県内も七か所、同じ市のところもありますけれども、私どもの地元の伊佐市や、また湧水町にも、国有林の中にこれが埋設されています。
このテレビを見た皆さんが、これは五十年前に埋設されていますから、これだけ豪雨災害やいろいろあって、ダムとか河川に漏れ出すんじゃないか、漏れ出しているんじゃないか、大丈夫かと多くの方に私も言われます。農水省さんの説明で、コンクリートに混ぜて埋設しているから大丈夫だとはいいますけれども、本当にこれは大丈夫なのか。
さすがに、これはこのままではまずいということで、今、掘削、撤去の試験的なこともされているようですけれども、今どのような状況になっていて、また、いつこういったものを完全に撤去していくようにするのか。その辺のスケジュール、日程、分かれば教えていただきたいと思います。
○天羽政府参考人 お答え申し上げます。
先生御指摘の2・4・5T系除草剤でございます。
これは昭和四十年代に埋設されたものでございますが、この埋設処理に当たりましては、先ほど先生からもありましたとおり、この薬剤をセメントと土と混ぜて固形化し、国有林内の地下一メートル以下の、崩壊のおそれがある場所を避けて埋設をしてございます。
埋設箇所は、埋設して五十年になる現在に至るまで異常は確認されておらず、土中で安定した状態にあると考えられるため、現状においては、埋設箇所への立入り及び土壌攪乱行為の禁止措置や年二回の定期点検等、保全管理を行っているところでございます。
一方、自然災害リスクの高まり等から、撤去を求める自治体等がございます。埋設物の撤去を行うためには、ダイオキシン類の飛散等が起きないよう慎重に作業する必要があると考えておりまして、令和三年度には、四か所のモデル箇所において、安全に試料を採取して成分や濃度を分析し、周囲に飛散させずに掘削処理をする手法について、コスト面も含めた技術的な調査検討を行ったところでございます。
この結果、四か所のモデル箇所で安全に掘削処理する手法等が確認されたことから、令和四年度には、このうち、埋設物等の成分濃度の分析が必要な三か所でボーリングによる試料採取に着手することとしてございます。
今年度実施する予定のモデル箇所での取組で、埋設物に含まれるダイオキシン類の濃度や処理に向けたコストの目安なども明らかになると考えており、その知見を生かして、それぞれの箇所の災害リスク、さらには、周辺の土地利用の状況、コストなどを踏まえて、どのような優先順位で対応していくか、今後、検討していく考えでございます。
○野間委員 そうしますと、ある程度手法が確立されてきたということでありますので、あとはスケジュール的なものになると思うんですけれども、地域住民は、とにかくやはり早く撤去してほしいということを、御承知のとおりだと思いますけれども、今のお話ですと、いつになるかというのはちょっと分からないわけですね。大体の、これぐらいの間では何とか完了させるということについては発言できないんでしょうか。
○天羽政府参考人 お答え申し上げます。
私どももできるだけ早くというふうには考えておりますけれども、ここは、先ほど申し上げましたとおり、それぞれの箇所の災害リスクや周辺の土地利用の状況、コストなどを踏まえて、どのように対応していくのか、それぞれしっかり検討しながら進めていかねばならないというふうに考えてございます。
○野間委員 そういう意味では、リスクは早ければ早いほど除去されるわけであります。特に豪雨災害、地震等も今、頻発しておりますので、早く終わらせていただかなきゃいけないと思います。
その辺、これは全国五十四か所もあります。国民が非常に不安に思っていますので、やはりここは大臣の決意を是非披瀝していただきたいと思います。
○金子(原)国務大臣 今長官からもお答えしたように、埋設箇所の状況はそれぞれ異なっておりますが、住民の方々の不安軽減に向けまして、埋設除草剤の撤去を念頭に置いて今後とも取り組んでまいりたいと思っております。できるだけ速やかにやりたいと思っております。
○野間委員 是非、できるだけ速やかに、また、大体五年以内にはとか、そういうふうに本来であればお話をいただきたかったんですけれども。
残念ですけれども、とにかく、大きな不安が渦巻いておりますので、早くこれを撤去していただきたいと思います。
時間となりましたので、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○平口委員長 次に、池畑浩太朗君。
○池畑委員 日本維新の会、池畑浩太朗でございます。
本日は、今回も担い手育成、農業教育を中心に質問をさせていただきたいと思います。
農林水産教育の質的向上に必要な施設設備の整備を促進しまして、時代の進展に対応した次世代の農業を担う人材の育成に努めていきたいというふうに考えております。
近年は、ICTが急速に普及しまして、人工知能や情報通信、最先端技術を活用した大型農業機械やロボット、ドローンにて農薬散布を行うようなスマート農業が急速に進められております。これまでの農業とは大きく変化をしております。
近年、このような状況を踏まえまして、高等学校における農業教育は、国際経済に十分に対応できる競争力を持った農業と活力ある農村を構築しまして、次の世代につなぐ重要な責務を担っているというふうに思っております。農業、水産、林業などの一次産業に関わる高校で学ぶ生徒たちに、将来の農業の担い手になるための必要な専門知識とは何か、それらの知識をどの科目や領域で教えるのか、また、それに伴う必要な技術をどうやって身につけさせるのかを明確にし、それらの知識、技術を一次産業に関わる生徒に確実に習得させることが何よりも肝要であるというふうに考えます。
そのためには、農業、水産実習教員、そして農業の教諭の質的向上、特に、直接指導に当たる、現場の実習に関わる教員が農業現場の高度な技術に対応できる専門力を身につけることが必要条件であるというふうに考えます。
ここからは、農業高校に特化して質問を続けさせていただきたいと思います。
技術を伴う領域の指導者が現場の実践に即した研さん、研修ができる環境や条件の設備のための予算的措置が求められるというふうに思っております。
そこで、平成二十四年の六月に自由民主党の橘慶一郎議員が質問主意書を提出されております。担い手育成のための地域の農業高校の役割と国の支援に関する質問主意書において、担い手育成のための地域の農業高校の役割について農林水産省の見解を問うておられます。
内閣からの回答は、農業に関する学科を設置している高等学校は、持続可能な力強い農業を実現するために必要な意欲と能力のある農業経営者の育成等という重要な機能を担っており、その果たすべき役割は大きいというふうに考えておりますという答弁がなされております。
この考え方は今も変わっていないのでしょうか。金子大臣から、農業、水産高校を卒業し、農業経営者、第一次産業に関わる可能性の高い彼らに対して、エールを含めた御答弁をいただきたいというふうに思います。
○金子(原)国務大臣 農業従事者の高齢化、減少が進む中、我が国農業が将来にわたって食料等の安定供給を果たしていくためには、若い世代の新規就農者を育成、確保することが大変重要であります。
こうした中、農業高校は、議員も御指摘のように、橘議員の質問主意書に対する答弁のとおり、持続可能な力強い農業を実現するために必要な意欲と能力のある農業経営者の育成という重要な機能を担っておると考えておりまして、その役割は非常に大きいものと考えております。
農林水産省といたしましては、農業高校がそのような役割を十分果たし、そこに学ばれた若い方々に、将来農業を職業として選んでもらえるように、農業高校の教育環境の充実に今後とも取り組んでまいりたいと考えております。
○池畑委員 大臣、ありがとうございます。
まさにそのとおりだというふうに思いますし、橘議員が十年前にそのように質問主意書を出された、経緯はちょっと分かりませんけれども、大臣が今答弁されたとおり、大事な環境であるというふうに私も思っております。
そこで、今回は、農業経営を志す若者も学ぶ農業高校にて文部科学省と農林水産省はどのような支援を行っているのか、質問させていただきたいと思います。
先ほど大臣の答弁にもありましたように、先進的な農業教育の推進のために、研修の充実や農業教育への理解啓発を推進するために、予算措置は十分確保されているとお考えでしょうか。
スマート農業推進に向けた教育現場において、施設の老築化が危惧されております。先日、現場の農業高校を視察してまいりました。実に、昭和三十五年から四十年頃から改修されていない施設も散見されました。たまたま母校に見学に行ったんですけれども、懐かしさ以上に不安を感じたところであります。
そこで、ちょっと通告をしていないんですが、国が農業高校や水産高校の改築要望のある施設状況を把握しているかどうか。詳細は結構ですので、そういう改築を、どういうところに改築が必要かということを把握しておられるか、おられないか、それだけ答弁を、もしできれば、していただきたいなというふうに思います。
○茂里政府参考人 お答えいたします。
農業高校などを含めました高等学校の老朽化した施設につきましては、原則的には設置者である都道府県等の判断により整備を行うものではございます。ただ、産業振興の点から、今ほど御指摘ありました実習室の増築、また、老朽化した施設を改築するためのそういった経費の一部につきまして、支援しているところでございます。
年度単位の予算措置でございますので、その時期時期に合わせまして、各学校現場からの御要望を承っておるところでございます。
○池畑委員 ありがとうございました。把握は一部しているということだというふうに認識させていただきました。
その中で、まず、施設の改築の意向、今答弁もいただきましたけれども、県内の農業高校、水産高校などから、県に改築の要望が上がってきます。そのときに、県が施設を把握をしに行きます。
県が、自分のところの県の予算を見ながら順番に施設を改善するスケジュールを立てているはずなんですけれども、先ほど申し上げましたように、学校から要望を上げながら、昭和三十五年から四十年ぐらいから余り変わっていないということは、県の予算がついていないということなのかなというふうに認識をしております。県の予算がついていないから、県も予算がないので国に上げられないということがずっと続いているのではないかなということが考えられます。
そこで、国からも県に、要望に、改築のスケジュール、耐用年数なんかもありますが、基本的には上げるべきではないのかなというふうに思います。国から指摘をしてあげるということですね。的確に把握をして、指示を含めてするべきではないかというふうに私は考えますが、いかがでしょうか。
○茂里政府参考人 お答えいたします。
ただいま御指摘ありました計画的な整備につきましてでございます。
文部科学省といたしましては、都道府県等に対し、産業振興等の所管部署とも連携を図りながら、産業教育の充実を図るための施設設備、この計画的な整備に努めるよう、通知や担当者が集まる会議などを通じまして促しているところでございます。
引き続き、今御指摘いただきました計画的な整備がなされるよう努めてまいりたいと思います。
○池畑委員 やはり県から昭和三十年ぐらいから上げられないというのは、引継ぎもなかなかうまくいっていないという状況もあるかもしれませんが、やはりガラスハウスとか、マスカットなんかを栽培するときにはビニールハウスよりもガラスハウスの方がよいということもありまして、それもなかなか、昭和五十年代のハウスが多くありました。
安全性の面からも早急に、県から予算がないから要望を上げられないという状況を打開していかなければいけないというふうに思いますし、これから改築はそういう面からもしていくべきだというふうに考えますので、是非よろしくお願いしたいと思います。
また、農業機械は農林水産省管轄ということですから、農林水産省に伺いたいと思います。
農業高校生たちが勉強するために使う農業機械も、施設と同様で、古い機械が多く散見しております。十分な実習ができないということも聞かせていただきましたが、設備等の改修が直ちにできないということでもありますから、せめて農業機械の導入に関しましてはしっかりと支援していくべきではないかなというふうに考えますが、施設同様、いろいろなしがらみがあるかもしれませんが、農林水産省としてどのように考えておられるか、答弁していただきたいと思います。
○武部副大臣 まず、農業高校は、将来の農業の担い手として期待される農業高校の生徒が、農業を職業として選択したいと思われるような教育を行えるようにする必要があると思います。
農林水産省も、令和四年度予算において、スマート農業や環境配慮型のカリキュラムの強化や、今お話にありました研修用機械や設備の導入も支援をさせていただいております。
まず、農業高校につきましては、今文部科学省からもお話ありましたとおり、地域の農業の担い手を育成するための学校でございますので、まず都道府県が、農業高校の運営主体として、主体的に教育環境の充実に向けて取り組む必要があるというふうに考えております。
その上で、農林水産省も、こうした農業高校の教育カリキュラムを強化する、それから、農業教育の高度化を図る農業機械、設備の導入をしているところであります。
導入に関しては、国が二分の一、都道府県が二分の一で、今委員の御指摘だと、その二分の一が、都道府県はなかなか財政が厳しいんじゃないかというお話でもありますけれども、そうはいいつつも、都道府県においても、農業高校における機械の耐用年数等を考慮して、計画的な更新に取り組んでいるものと認識をしております。
引き続き、文部科学省と連携しながら、農業教育の高度化に向けた取組をしっかりと農林水産省としても支援してまいりたいと思います。
○池畑委員 文科省とも連帯をしていただけるということですし、更新しているところは更新していると思うんですが、更新が遅れているところは、今私も申し上げましたように、引継ぎがうまくいっていないところというのがずっと続いている。機械は結構性能がいいのでずっと動き続けるということもありますが、やはりこれから、スマート農業も含めて、新しい農業に向けて刷新していく部分も必要ではないかなというふうに思います。答弁ありがとうございました。
その中で、今るる答弁もいただきまして、施設や機械の更新もとても大事だというふうに認識もさせていただいていますし、私自身もそう思っております。
そこで、更に必要と考えますのが、農業委員会でもよく質問が出ておりますけれども、農業教育の質の確保、人材の確保ですね。向上のためにも、これらの分野に精通した教員の確保が重要というふうに考えます。
教員の継続的な研修や、新しい技術習得に向けてどのような措置や工夫を行っているのか、質問させていただきたいと思います。
○鰐淵大臣政務官 お答えいたします。
高等学校の教職員定数につきましては、累次にわたる定数改善計画を通じまして改善を図ってきたところでございます。収容定員に応じた学級担任や教科担任等の基礎的な教職員定数に加えまして、農業高校や水産高校などに対する加算措置を講じております。
また、学校が個々に抱える課題解決等のための加配定数も措置しておりまして、この中で、教員が研修に派遣されている間に、その代替となる教員を配置できるようにするための定数も措置をしているところでございます。
さらに、学校教育活動等を支援する学習指導員など、支援スタッフの配置支援にも取り組んでおります。
文部科学省としましては、農業高校や水産高校も含む高等学校の安定的な教育活動が確保されるよう、引き続き、今御紹介したような支援をしっかりと講じてまいりたいと考えております。
○池畑委員 大臣政務官、ありがとうございました。
今、大臣政務官の答弁にもありましたように、研修を組んでいただいているんですが、よい研修を組んでいただいても、今、代替教員という話もありましたけれども、なかなか募集が集まらないということがあります。やはり現場の先生が研修に行ってしまうと現場が回らないということがあるということを聞いてまいりましたが、今、政務官の答弁からも、その点も注意していただいているということでございました。
今いる教員が座学や研修に行ってすぐレベルアップをするわけではないというふうに思います。根本的に、教員の数とか、研修を受けられるように調整をそもそもしておくべきだというふうに思います、新しい教員になったときからですね。新しい技術や有機農業について、どのように生徒たちを教育していけば、農業高校や水産高校の中で就農につながっていくか。勉強だけではない、さらに、将来に夢などを語れる魅力的な教員になってもらうためにも、かなり余裕を持った指導時間の配分や教員の数を考えていく必要があるというふうに私は考えております。
今、政務官からお話があったとおりですので、なぞっているような感じでございますけれども、次の質問に移らせていただきます。
現場の視察をしたときに、校長先生も言っておられましたけれども、農業教育は農業高校のみで行えるものではない、まして、その地域の周りでも、農業高校のある周りでは、実習で得た作物とか、そういうものを買っていただくとか、地域の方に育ててもらえる部分というのは多くございます。
今回は、小学校における社会科で取り組まれておられるものをちょっとお伺いをしたいというふうに思います。
将来、農業という職業を選択する人を増やす取組として、小中においても職業としての農業を学べる授業が行われているとお聞きしましたけれども、現在どのような教育をされているのか、お聞きしたいと思います。
○茂里政府参考人 お答えいたします。
小中学校におきましては、学習指導要領等を踏まえまして、農業に関することとして、例えば、小学校の社会科でございますが、我が国の農業や水産業における食料生産は国民の食料を確保する重要な役割を果たす、そういったことを理解するような授業を行いましたり、中学校社会科におきましては、農業を含む国内の産業の動向を基に日本の産業に関する特色を理解したり、また、中学校の技術・家庭科、これは技術の分野でございますが、作物の栽培を含む生物育成に係る技術、そういったものを身につけたり、様々な指導が行われているところでございます。
また、こういった座学に加えまして、体験型の授業というものも支援しているところでございまして、各地域において地域ぐるみで取り組んでいると承知しているところでございます。
いずれにしましても、文科省としては、引き続き、座学、実学共に、学習指導要領の趣旨の徹底に努めてまいりたい、かように思っておるところでございます。
○池畑委員 答弁ありがとうございました。
小学校、中学校では、更に踏み込んだ、食品の安全に関わりつつ、農業、水産など、今、自民党の神田委員からもありましたけれども、格好いい農業、格好いい第一次産業を認識してもらえるような、変な刷り込みではなくて、農業というのはこういうお仕事なんです、プラスアルファ、こういう機械を使いながら、こういった生産、また、生きていくためには必要な事業なんです、たくさんしていただいているとは思うんですけれども、小中で更に踏み込んだ、ページ数を少し増やす、これは教科書の会社の問題かもしれませんけれども、それぐらい踏み込んで教育をしていただきたいなというふうに思います。
大臣も、橘委員の主意書の中にあったとおり、やはり将来、中学校から高校に上がって、高校で、農業高校でなくても、ああ、農業ってやはり魅力があるなというふうに思ってもらえるような教科書、そしてまた、文科省としても、そういった方向性で考えていただければというふうに思います。
令和二年三月に示されました食料・農業・農村基本計画では、「農業を支える人材の育成のための農業教育の充実」とありました。若い人に農業の魅力を伝えて、将来的に農業を職業として選択する人材を育成するために、今まで質問させていただきましたとおり、農業高校や農業大学校等の農業教育機関において、先進的な農業経営者による出前授業、現場での実習に関する教育や、企業、ほかの教育機関、研究機関等と連帯したスマート農業技術研修等、実践的な、発展的な教育内容の充実や、そのための施設設備等の整備を進めるとされておりました。まさに質問させていただいた内容そのままでございます。
これまで、農業生産工程管理、GAPというものであります、私も県会議員時代から質問をさせていただいているんですけれども、具体的に、どのようなことを教えて、取組を行ってきたのか、お聞きさせていただきたいと思います。
○武部副大臣 今委員が御指摘のとおり、食料・農業・農村基本計画におきまして、若い人に農業の魅力を伝えて、将来的に農業を職業として選択する人材を育成するということが、特に農業高校において、しっかりと農業教育をしていただける環境をつくることは重要だと思っています。
先進的な農業者による出前授業のお話がありましたけれども、これに対する支援もしております。農業高校に対しまして、外部の専門家を招聘して実施する出前授業でございますが、昨年度では四十六の都道府県において出前授業が実施されております。
それから、今、GAPのお話がございましたけれども、私も自民党のGAP推進の、党の中で推進の座長も務めておりまして、これを推進するために、農業高校にもしっかりとGAPを取得していただくということも取り組んでまいりました。
昨年六月時点で、全国の農業高校の約三分の一に当たる百七の農業高校において、第三者機関による認証を取得していただいています。これは、交付金などを用意していまして、予算面からもこれは支援をしているところであります。
また、農業が魅力的であるということは、やはり、スマート農業、しっかりと現場でそれを実感していただく、学んでいただくということが大事だと思っておりますので、実際に生産現場で導入している先端技術を、スマート農業実証プロジェクトにおいてやっておりますけれども、多くの関係者のスマート農業を見て、試していただける場を提供しておりまして、このうち、農業高校については、令和二年度には、十六地区の実証プロジェクトに参画していただいているところでもあります。委員の御地元であります淡路高校もこの十六の地域の一つでございます。
こういった農業高校の生徒の意欲向上に、農林水産省としても、つながっていくような実践的な教育の実施を支援してまいりたいと思います。
○池畑委員 丁寧な御答弁、ありがとうございました。とても分かりやすかったですし、私がいた農業高校の頃の時代から更に、かなりGAPに関しても推進をされているということで、勉強させていただきたいと逆に思いました。
その中で、農業高校を出てすぐ就農ができるわけではありません。その中で、小山委員からもありました、専門職大学校がかなり人気ですと副大臣からもお話がありました。
従来からある農業大学校についてでございます。みどりの食料システム戦略でも有機農業の推進について提起をしておりますけれども、今、島根県、埼玉県の農業大学校において先進的に行われております有機農業の専攻科、いわゆるコースについてであります。
農業高校を卒業してから農大を出るに当たりまして、これは、更に日本がこれから有機の栽培を日本の農業の中心に据えていこうとしているわけですから、まさに全国的な有機栽培コース設置に、農業参入促進委員会の千葉代表も提案をされておりますけれども、有機コース、科、そして専攻、少なくとも専攻というふうに考えておりますけれども、設置を積極的に進めていくべきではないかというふうに考えますが、いかがでしょうか。
○武部副大臣 将来の農業の担い手を育成する農業大学校において、有機農業について学べるようにすることは、みどりの食料システム戦略からも、有機農業の取組を推進する上で非常に効果的だというふうに考えております。
今お話にありました埼玉県立の農業大学校それから島根県立の農業大学校で、埼玉は一年コース、島根は二年間の専門コースを用意していただいているというふうに承知しておりますし、また、そのほかでも、例えば兵庫県でも、農業大学校において、これはコースといいますか、就農してからおおむね五年以内の方を対象として有機農業の必要な知識を学べる、そういったようなコースも用意していたりしております。
いずれにしましても、農林水産省としまして、令和四年度の予算において、農業大学校における有機農業に関する教育カリキュラムの強化や指導者向けの研修も実施したりしておりまして、有機農業に知見のある方を招きまして出前授業を行うことなど、支援をしております。
引き続き、有機農業に関する学びの場が増え、有機農業の取組が広がるように支援してまいりたいと思います。
○池畑委員 ありがとうございます。
また、国が進めております有機栽培の方法を教えるマスターとして、五百人ぐらい考えておられるということでありました。将来その五百人に入る育成機関としても大事な機関ではないかなというふうに私は考えておりますので、是非とも進めていただきたいと思います。科、少なくとも専攻をどんどん全国に広めていただきたいというふうに思います。
最後の質問になります。
農業高校の女子生徒の割合が増加の傾向にあります。先日の委員会でも長友委員が紹介されていましたように、六割から七割を女子生徒が占めているところもあるというふうに聞いております。これからの農業を維持発展させるためには、農業分野への女性の参画が大変重要と私も考えております。
また、農林水産省による農業女子プロジェクトも約十年前から始まっておられます。とてもよい取組であるというふうに思いますし、カリスマ女性農業経営者も出てきているというふうに聞いております。
今後、女性農業者をどのように支援していこうと考えておられるのでしょうか。しっかり、女性農業プロジェクトを推進するためにも、予算組みを考えてほしいなというふうに思います。
前回、長友委員の折には参考人の方からの御答弁でしたけれども、政務の立場で、予算組みなどの在り方も協議をするという決意を含めて、御答弁をいただきたいというふうに思います。
○宮崎大臣政務官 お答えをいたします。
農業の発展、地域経済の活性化のためには、生活者の視点でございますとか多様な能力をお持ちの女性農業者の活躍を推進することが必要だと私も考えておるところでございます。
ゴールデンウィーク中に、先生の御地元でございまして、私のふるさとでもございます、兵庫県の女性農漁業士会の会長さんにも私もお目にかかって御意見もお伺いしたところでございます。
今お話がございました農業女子プロジェクトにつきましては、女性農業者と企業、教育機関とが連携をした様々な取組によりまして、農業で活躍する女性の姿を社会全体に広く発信をいたしまして、女性農業者の存在感を高めて、あわせて、先ほどからお話がございますけれども、職業として農業を選択する女性の増加に資することを目的といたしまして、二〇一三年に設立をされたところでございます。
現在では、九百六名の農業女子メンバー、農業内外の企業三十七社、教育機関八校が活動するなど、その取組が広がっているところでございます。
これまで、企業との連携によりまして、女性が扱いやすい農業機械等の開発でございますとか、農業女子メンバーが生産をされた農産物の販売イベント等の実施に取り組んできたというようなことでございますとか、出前授業のお話が先ほど来ございますけれども、高校、大学等におきまして、メンバーが農業の実態等を伝える出前授業を実施をいたしまして、農業女子が卒業後に新規就農する、こういった成果が出てきたところでございます。
先生お話がございましたように、近年、農業高校において女子生徒の方の割合が増加傾向にございますので、将来農業をやってみたいと思っていただけるように、是非農水省としてもこうした農業女子メンバーの取組を後押しをさせていただきたいと思いますし、あわせて、女性農業者の皆さん方が働きやすい環境の整備、それから女性農業者のグループの皆さんがやられる活動の支援等、様々な形で支援をさせていただきたいと思っております。
○池畑委員 大臣政務官、ありがとうございました。
地元では、宍粟市、たつの市、佐用町、地元の議員たちとも交流をいただいたというふうにお聞きしました。
しっかりとこの地域の農業を守っていきたいという思いは、党は違っても同じだというふうに思いますので、今後とも一生懸命頑張ってまいりますので、よろしくお願いいたします。
これで質問を終わらせていただきます。
○平口委員長 次に、長友慎治君。
○長友委員 国民民主党の長友慎治です。
まず初めに、JA全農さんの前向きな試みについて取り上げたいと思います。
JA全農が、気軽に農業に関わる新たな生活様式、九一農業を提唱しています。今の生活を変えずに十日に一日だけでも農業に関わることで農家を応援できる取組でありまして、人手不足に悩む生産現場を支援するということはもちろんですけれども、そのきっかけが農福連携や農泊などを通じて地方創生、地域活性にもつながるということが期待できるのではないかなというふうに私は見ているんですけれども、このJA全農の取組につきまして、農水省はどのような形で後押ししていくのか、見解を伺います。
○宮崎大臣政務官 お答えをいたします。
農業に携わる人や農村に住む人が減少をしていく中で、企業や国民の皆様方など多様な主体が農業、農村に関わる機会を増やして、将来的な農村の担い手の裾野を拡大をしていくということが非常に重要だと認識をしているところでございます。
こうした中で、先生御指摘、お話がございましたJA全農のお取組につきましては、農業、農村へ多様な形で関わる機会の創出でございますとか新規就農者の確保にも寄与するものであることから、農林水産省では、令和四年三月に設立をされました九一農業を推進をいたします全国労働力支援協議会に参加をするとともに、九一農業の普及啓発のためのポスターでございますとかチラシの作成における後援について、関係省庁と連携して行っているところでございます。
また、農林水産省といたしましても、今申し上げました取組も含めまして、多様な形で農業、農村に関わる人を創出、拡大をするために、農繁期の手伝いや地域資源の保全等、体験研修の実施でございますとか、今お話がございました農泊による体験、農村体験でございますとか、企業等のワーケーションの受入れ、農福連携による新しい働き手の確保等を支援をさせていただいているところでございます。
引き続き、JA全農など関係団体とも連携をさせていただきながら、農村の活性化に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
○長友委員 ありがとうございます。
農業に関わる人を増やす非常にいいきっかけづくりになる取組だなと考えておりまして、個人的に大変注目している施策になります。
これまで、週末農業という関わり方があったと思うんですけれども、今回の九一農業はコンセプトとしても分かりやすく、また、本業がある方が九本業、一農業ということもあり得ますし、子育ての空き時間に気分転換も兼ねて九育児、一農業という可能性も出てくるかなと。また、旅先で働く九旅行、一農業などもできるわけでございます。
私の地元の宮崎の事情でいうと、最近サーフィンで移住される方が大変多く、このような働き方ができるということがもし地元で広まれば、波が高過ぎる日はサーフィンはできないので農業をしようかなとか、天気が悪い日はハウス栽培を手伝おうかな、そういうふうに、一農業を申し込む人が増えるイメージが大変自然と湧くわけなんですね。私も、この取組が地元宮崎であったり九州で広がるようにしっかりとPRしていきたいと思います。
今のところ、農水省は、全国労働力支援協議会のオブザーバーであったりとか、後援等普及啓発に取り組まれるということでしたけれども、更にもう一歩踏み込んで進めていただきたいなと思っていますので、よろしくお願いいたします。
次に、生産者を取り巻く課題は、担い手不足、人手不足だけではなくて、足下では、燃油や資材、原料価格の高騰を背景に、生産者が苦境に立たされています。例えば、水より安いと言われる牛乳、物価の優等生と言われる卵、スーパーの目玉商品として安売りされるもやしなど、コスト増しが価格に反映できない品目を中心に、適正価格の実現が急がれるというふうに認識しています。
生産者を守るための農水省の価格転嫁の取組について伺います。
○水野政府参考人 お答えいたします。
燃油や資材、原料価格の高騰により生産コストが上昇する中、これらのコスト上昇について、生産者の理解を得て、農産物、食品の小売価格に適切に転嫁していくことが重要と考えております。
このため、農林水産省としては、昨年末に閣議了解された転嫁円滑化施策パッケージの下で、物財費等のコストの価格転嫁が進むように、公正取引委員会等と連携して、食品製造業、食品小売業に対する緊急調査を実施するなどの対策を講じているところでございます。
また、同じく昨年末に、食品製造業者と小売業者間における適正取引推進のためのガイドラインを策定し、食品業界に対して、原料価格等の上昇を適切に反映した取引価格の改定が進むよう、本ガイドラインの普及に努めているところでございます。
さらに、生産コストの上昇等について、消費者や小売店の理解を得るための広報活動などを通じ、価格転嫁のための環境整備を進めてまいります。
○長友委員 環境整備を是非進めていただきたいんですけれども、国内の農家を支えるためには、多少の値上げは受け入れようという理解を示す消費者がまず増えなければならないかなというふうに思っております。そうすれば、生産者も頑張れると思うんですね。
そういう意味では、小売するスーパーは消費者に対して理解を促す取組も必要だと思いますし、安さの裏で誰かが泣いているという事態が持続可能な経済活動とは言えないということを、今SDGsでみんな取り組んでいるわけです。農水省も、みどり戦略は、まさに持続可能性、SDGsを力強く前に進める政策なわけですから、生産者の負担が増えないように、食品の流通価格の改善にも是非善処をしていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
そのみどりの食料システム戦略で有機農業を推進するということがこの委員会でもしっかりと議論をさせていただいていますけれども、有機農産物を農水省の食堂で積極的に使用し、有機野菜の価値の向上、PRに努めるべきだというふうに思っています。
現在の農水省内での取組について伺います。
○青山政府参考人 お答えいたします。
農林水産省におきましては、環境省所管のグリーン購入法に基づく環境に配慮した物品の調達方針が見直されたことを踏まえまして、先月、令和四年度の当省の調達方針を作成、公表し、その中で、有機農産物等を積極的に使用する食堂を率先して調達するとしたところでございます。
実際に、庁舎内の食堂の運営事業者に対して協力をお願いしまして、一部の食堂で有機農産物を使用したメニューの提供を始めていただいているところでございます。
また、この夏に向けまして、現在、地下の第一食堂を改装しておりまして、その運営事業者の公募要綱に有機農産物を積極的に使用することを記載し、このことも加味して運営事業者を選定し、営業に向けた準備を進めているところであります。
まずは、農林水産省の食堂における有機農産物の使用に率先して取り組むとともに、こうした取組について、環境省と連携しながら情報提供を行いまして、各省庁の食堂における有機農産物の使用についても促してまいりたいと考えております。
○長友委員 今、有機農産物については、この委員会でも、給食など公共調達で積極的に活用すべきであるということは再三御指摘があるところでございます。
先日、私は、福島復興再生特別措置法の一部を改正する法律案に対する本会議での質疑に立たせてもらいました。その際、福島産農作物の根強い風評被害に終止符を打つために、農林水産省の食堂や議員会館の食堂でも一年を通して積極的に福島県産の農作物を活用する、そして風評被害の払拭と消費拡大に政府が先頭を切って取り組むべきだという質問をさせていただきました。
そうしたら、西銘復興大臣から、このような答弁をいただきました。
今年の二月から三月にかけて、衆議院会館の食堂において福島県産品を含む被災三県の食材を使ったメニューを提供するとともに、商品の展示即売会を開催したところであり、今後、参議院会館でも同様の取組を行う予定です、さらに、昨年度は、十八府省庁において、職員向けにオンラインにより福島県産品を販売いたしました、福島県産農林水産物等の消費拡大に向けて、政府一丸となって全力で取り組んでまいりますという答弁をいただいたところでございます。
まさに、政府一丸となってという大変前向きな答弁だったわけですけれども、金子大臣、通告はないんですけれども、このように西銘復興大臣がおっしゃっていただいている中で、農水省としても、衆議院会館また参議院の議員会館内の食堂などで積極的に有機農産物を活用することを是非一段階ギアを上げて求めてはいかがかなというふうに思っているんですけれども、もし金子大臣の見解を伺えるようでしたらお願いします。
○金子(原)国務大臣 先ほど局長からお答えしたように、まず、農林水産省の大きい食堂を今ちょうど改造していまして、ここをできたら有機農業のメッカにできないかな、私はこう思っているんですよね。先般もちょっとそういったお話をさせていただいていますので、まずはそこから進めながら、徐々にまた、ほかの、他省にもお願いしていくように努力していきたいというふうに思っております。
○長友委員 大臣、大変ありがとうございます。まずは隗より始めよの言葉どおり、国会議員の私たちの身近なところから取り組んでこそ国民の理解も得られると思いますので、必ず取り組んでいただくことを是非お願いしたいなというふうに思います。
次に、森林環境譲与税について、最後に質問をさせていただこうと思います。
二〇一九年度、二〇二〇年度に市町村に配られた森林環境譲与税の使い方を見ていきますと、全体の五四%が、森林整備や保全には使われずに基金に積み上げられているということが明らかになっています。この状況は想定の範囲内なのかということと、また、譲与税の配分ルールを見直して、山村に重点配分できるよう制度の改善を迫る声も聞こえてきております。この点につきまして、農水省の見解を伺います。
○天羽政府参考人 お答え申し上げます。
森林環境譲与税でございます。
森林の公益的機能の重要性に鑑みまして、市町村が実施する森林整備等に関する施策に充てるため、令和元年度から譲与が開始されております。
取組実績につきまして市町村から聞き取りを行ったところ、令和元年度及び令和二年度の市町村への譲与額合計五百億円のうち、執行は約五割となっておりまして、残りは、先生御指摘のとおり、基金として積み立てられている状況でございます。
その理由について聞き取りをいたしております。例えば、今後森林整備に活用することとしているが、今は森林所有者への意向調査等の準備段階であるため額が積み上がらないといったこと、また、譲与額が少ない市町村におきましては、複数年分をまとめて執行するためといった回答をいただいているところでございます。
農林水産省といたしましても、この譲与税につきまして、森林整備などに効果的に活用されますよう、全国の優良事例を収集、共有して、また、市町村の説明会等へ職員を派遣するなどにより、市町村における森林環境譲与税の活用について支援をしていきたいと考えてございます。
また、森林環境譲与税の譲与基準についての御質問をいただきました。
現在、私有林の人工林面積五割、林業就業者数二割、人口三割を用いることとされておりますが、山村部の市町村からは、森林面積が大きい山村部により手厚く譲与されるよう見直すべきという声があることは承知をしてございます。
この見直しにつきましては、森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律案に対する衆参両院の総務委員会の附帯決議、平成三十一年の三月でございますけれども、ここにおきまして、各自治体の森林整備の取組や施策の効果を検証しつつ、必要がある場合には、所要の見直しを検討するとされているところでございます。
農林水産省といたしましては、総務省と連携をして、森林環境譲与税を活用した取組の実施状況、効果の検証を進めるとともに、森林環境譲与税が効果的に活用されるよう、進めてまいりたいと考えております。
○長友委員 ありがとうございます。
一人当たり年間千円を住民税に上乗せして徴収する森林環境税が二〇二四年度から始まるわけですけれども、山村の活性化、森林整備はもちろん、中山間地域の暮らしを持続可能にしていくためにも、しっかりと議論を積み重ねていきまして、よりよい制度に改善することにも、是非、引き続き取り組んでいただきたいと思いますので、そのことを申し上げまして、質問を終わります。
ありがとうございました。
○平口委員長 次に、田村貴昭君。
○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。
災害を防ぐ、土砂災害を防ぐ林業の在り方について質問します。
昨年九月、自伐型林業推進協会、自伐協が、「災害と林業 土石流被害と林業の関係性の調査報告」を発表しました。台風や豪雨で起きた日本各地の土砂災害を調査したものでありますけれども、中でも、二〇一九年台風十九号での宮城県丸森町被災、二〇二〇年七月豪雨災害での熊本県球磨川流域被災の調査は、衛星画像やドローンなどを活用しての詳細な調査でありました。その結果、導かれた結論は、土砂災害拡大の原因は豪雨だけにあらずでした。
資料をお配りしています。1を御覧ください。宮城県の丸森町、熊本県の球磨村の崩壊の種類別集計です。双方共に、一般的な未整備林や放置林が原因で土砂崩落したのは数%で、皆伐と作業道など林業施業起因の崩壊が、丸森町では九八%、球磨村では九四%に至ることが分かっています。
そこで、大臣に伺います。
地形を考えずに、しっかりした土留めも行わない、排水も考えずに、三メートルを超えるような幅の広い集材路、こうしたものを造ったらどうなるのか、これは崩落が起こってしまいます。こうした粗い施業が災害を引き起こす可能性について、大臣はどのように受け止めておられるでしょうか。そして今、林野庁、農水省はどういう対策を講じていますでしょうか。
○金子(原)国務大臣 近年、地球温暖化の影響もありまして、記録的な集中豪雨など森林の機能を大きく超える自然の力が働いている中、森林においても災害が発生していると認識しているところであります。
一方で、皆伐等跡地における林地崩壊については、伐採、搬出のために一時的に設置された粗雑な集材路の周辺で多く確認されているところです。
このため、農林水産省としても、森林整備や治山対策による国土強靱化の取組など、災害に強い森づくりを進めることとしています。具体的には、集材路の適切な設置を行うための指針を作成しまして、その周知を図っています。さらに、令和四年四月からは、指針の内容を市町村森林整備計画に盛り込み、伐採造林届の提出時に市町村等が適切な指導を行うことができる仕組みとしたところであります。
農林水産省といたしましては、国土保全等の森林の有する多面的機能の発揮に向け、適正な伐採等が確保されるよう取り組んでまいります。
○田村(貴)委員 大臣が言われた粗悪な集材路、これはもう本当にやめていかなければ、正していかなければなりません。
森林・林業基本計画では、短期的な効率のみを重視するのではなく、持続可能な取組が重要だとしています。そうであるならば、小規模でも、百年、二百年、山を守りながら少しずつ切り出す林業者を全国津々浦々で広げていく、そういうことを軸に据えることが政策上重要になってまいります。
大雨、集中豪雨は待ってくれません。少なくとも、皆伐、幅広路網等の施業方式は見直していくべきではないでしょうか。そのことを強く求めたいと思います。
続いて、林野庁に伺います。
令和三年四月一日付林野庁長官通知、「「森林作業道作設指針」の一部改正について」では、幅員設定における留意事項に、「二・〇メートル程度の幅員設定も含め、検討するものとする。」とされています。その理由について教えてください。
また、これによって、二メートル程度の作業道も森林環境保全直接支援事業の対象になり得るとの理解でよろしいでしょうか。
○天羽政府参考人 お答え申し上げます。
森林作業道でございますが、間伐等の森林整備に必要不可欠な施設でございまして、林業用車両が安全に通行でき、壊れにくく丈夫なものを作設することが重要だと考えているところでございます。
このため、農林水産省では、実情に応じた適切な作業道の整備がなされますよう、幅員や勾配、排水施設などを定めた森林作業道作設指針を作成し、都道府県に対して通知をしてございます。
従前から、幅員の狭い作業道についても実情や作業システムに応じ補助事業の対象としてきたところでございますが、令和三年四月の改正では、その趣旨が明確となりますよう、先生御指摘のとおり、「必要な場合には二・〇メートル程度の幅員設定も含め、検討するものとする。」としたところでございます。
さらに、森林環境保全直接支援事業について御質問をいただきました。
この事業の対象となる間伐につきましては、従前、六十年生以下の森林で、一ヘクタール当たりの搬出材積十立方メートル以上、一申請当たり五ヘクタール以上などの要件を定めていたところでございます。
今般、間伐の一層の推進に向けまして、令和四年度当初予算から五ヘクタールの面積要件については撤廃をしたというところでございます。
また、経営計画を立てなくても補助が受けられる場合ということにつきましては、小規模で森林経営計画の策定が難しい森林所有者であっても、市町村が作成する特定間伐等促進計画に間伐等の施業を位置づけられた場合には補助を受けることが可能となってございます。
○田村(貴)委員 通告で、もう一括してお答えいただいたようであります。
幅の狭い集材路、これは減災型の作業道として是非位置づけていただいて、そして広く普及されるように、補助制度なども充実させていただきたいというふうに思っています。二・〇メートル程度の道が網の目のように張り巡らされる、この集材路というのは災害を招きにくいということが実証されています。
続いて、盗伐対策について質問します。
人の山林を無断で伐採して木々を盗み取る盗伐が後を絶ちません。大量の木が伐採された後に、植林はおろか、材木は置いたまま、路網も放置したまま。今述べてきたような災害の温床となります。
またしても宮崎県の事例を紹介するのですけれども、資料の2を御覧いただきたいと思います。上の写真は宮崎県串間市です。所有者、盗まれた杉の木が実に三千本。下は宮崎市高岡のところです。これは公道に面しているところで、大胆不敵といいますが、木を切られました。共に所有者の方は憤慨しておられます。
林野庁は、私はこの委員会で何度も取り上げてまいりましたけれども、昨年十月二十七日に宮崎の盗伐現場に行って被害者と意見交換をしたというふうに伺っております。どう受け止めておられますか。それから、被害者の話を聞いて、現地を見られて、今、対策としてどういったことを進めているのでしょうか。
○天羽政府参考人 お答え申し上げます。
林野庁では、宮崎県における無断伐採事案の実情を把握するため、昨年の十月に宮崎県に林野庁の担当者二名を派遣し、無断伐採事案に関する現地調査を行っております。現地調査においては、事案の四か所について、現地を確認するとともに、被害者の方々に林野庁における盗伐などの無断伐採事案の対策を説明をし、意見交換を行ったところでございます。無断伐採事案の発生につきましては私ども大変遺憾に思っておりまして、現地調査を通じて対策の重要性を改めて認識をしたということでございます。
その無断伐採への対策でございます。
昨年の現地調査を含めまして、都道府県を通じて把握をした無断伐採事案を踏まえて、森林法に基づく伐採造林届の運用を見直しまして、令和四年四月から施行しているところでございます。
具体的には、従来の届出では、その文面上、自らが所有する立ち木を伐採するのか、他者が所有する立ち木を委託を受けて伐採するのかが不明瞭であったことから、これを明確化することにより、市町村が届出者と立ち木の所有者との関係を容易に確認できるようにしたほか、伐採前の届出に加えまして新たに伐採後の報告を提出させることとし、無断伐採等の早期発見が可能となるよう措置をしてございます。
さらに、林野庁で開発をした衛星画像を活用した伐採把握プログラムにつきまして、各都道府県、市町村に提供し、試行運用を行ってきており、本年度から本格運用することとしております。このプログラムによって、二つの時点の衛星画像を比較することにより伐採が行われた箇所を抽出することにより、市町村が無断伐採の可能性のある箇所を効率的に把握することができるということでございます。
○田村(貴)委員 伐採届の改善、それから、衛星画像等を撮ってそれを伐採届と突合する中で、いつ切られたのか、そして盗伐の疑いがないか、そうしたことが検証できるシステムが今から動くということであります。これは前進だと私も考えております。
こうしたことによってもし森林法違反とか森林窃盗の疑いが判明した場合に、自治体はどうしていくんでしょうか。例えば、所有者、警察等への連絡、告発等、どういったことが考えられますか。
○天羽政府参考人 お答えを申し上げます。
無断伐採等の疑いのある事案が把握できた場合には、市町村が、森林所有者への確認、また現地確認等を行った上で、伐採を行った者への指導等を行うとともに、盗伐が疑われる事案につきましては警察への情報提供などを行うなど適切に対処するよう、平成三十一年の長官通知、「森林窃盗、無断伐採事案発生の未然防止対策の強化等について」ということで指導を行っているところでございます。
○田村(貴)委員 こうした情報を緊密にして、是非取締り機関は取締りを強化していただきたいというふうに思います。
取調べは警察の役割であります。警察庁にお越しいただいております。
盗伐は、れっきとした犯罪であります。この事例以外にも、例えば宮崎県のえびの市でこんな話を聞きました。私も見てきたんですけれども、ヒノキを二百本以上、勝手に切られた、その後、畑地にした、そしてニンニクとか牧草、イタリアンを勝手に植えておるんですよね。それで平然としているんですよ、切った人が。何でこういう犯罪がまかり通るのか。すなわち、捕まらないからなんですよ。
窃盗の上に不動産侵奪、これはひどいですよ。厳重に取り締まるように、立件するように繰り返して求めてきましたけれども、更に強化していただきたいと思います。
森林の無断伐採を防ぐために、宮崎県、熊本県、大分県、鹿児島県の九州四県は、立件されるなどとした悪質な業者をリスト化して、そして情報共有する取組を始めました。こうした県と連携を取って、取締りを強化していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○住友政府参考人 お答え申し上げます。
今委員御指摘がありました、熊本県、大分県、宮崎県及び鹿児島県を主体としてこうした情報共有が行われているということは、我々も承知をしております。
そして、都道府県警察においては、従前から、自治体や関係機関と連携をし、森林窃盗被害に関する情報共有、合同パトロールや取締りを行っておるところでございます。
そして、警察庁としては、昨年の十月に、林野庁の、先ほどもお話が出ておりましたけれども、新たな取組といったものを踏まえて、都道府県警察に、森林窃盗事案発生の未然防止に向けた関係機関との緊密な連携について改めて周知を図ったところでございます。
自治体等と一層連携を図りながら、森林窃盗被害に対応できるように、我々としても、引き続き都道府県警察を指導してまいります。
○田村(貴)委員 最後に、金子大臣、歴代大臣に、私、この盗伐の実態をお知らせして、対策を求めてまいりました。人の財産を奪う、そして土砂災害の温床ともなるべきこの盗伐を許さぬ大臣の決意をお聞かせいただきたいと思います。
○金子(原)国務大臣 盗伐等の無断伐採事案が発生しておることにつきましては、大変遺憾に思っており、将来の伐採を期待されていた森林所有者の方の落胆を思うと、許されないものであると考えます。
農林水産省といたしましては、警察と連携を取りました伐採現場のパトロールに加え、森林法に基づく伐採造林届の運用を見直すとともに、衛星画像による伐採把握プログラムの活用などを進めているところであります。
引き続き、都道府県や市町村、警察庁と連携を取りながら、こうした対策を徹底しまして、無断伐採の未然防止に向けて取り組んでまいりたいと思います。
○田村(貴)委員 盗伐根絶、取組の強化を再度求めて、質問を終わります。
○平口委員長 次に、緒方林太郎君。
○緒方委員 農林水産委員会は初登板でありまして、よろしくお願いいたします。
まず、農福連携についてお伺いをしたいと思います。
障害者就労施設の事務所、これを設置しようとする土地が農業振興地域の農用地区域内にある場合は、農用地区域から除外する必要があるんですね。農用地区域からの除外については、一定の要件を満たしたときにそれが可能になる。そして、除外後、農地の転用許可を受けなきゃいけない、そういうことなんですね。
私の地元で、農福連携で障害者就労施設を農地の中に設けようとしたんだけれども、この手続がちょっと厄介で、仕方ないので、事務所を市街地に置いて、実際の就労自体は農地でやっているというケースがあって、非常に何か、農福連携をしようとする事業者が通常の障害者就労に比べて過剰な負担をしなきゃいけないというケースが出てきております。
これは土地政策の絡みがあるので、いろいろ難しいことはあると思うんですけれども、こういうことを簡素化できないかな、運用改善で。それで、局長にお伺いをしたいと思います。
○牧元政府参考人 お答えを申し上げます。
農地転用の問題でございますけれども、これは、どのような施設をどこに造るかということによって対応が変わってくるわけでございます。
農福連携を進めるために必要な施設のうち、障害者の方が農作業を行う際に必要となるような、休憩所でありますとか、トイレでございますとか、こういった施設であれば、営農に必要な農業用施設として、農用地区域から除外することなく設置が可能でございますし、一方、営農に直接関わりのないような施設については、今委員から御指摘いただいたような、農用地区域からの除外、農地転用許可というような手続を踏んでいただく必要があるわけでございます。
なお、今、国会で御審議をいただいております農山漁村活性化法案の中では、まさに地域の活性化に資する施設ということで、これは農福の御指摘のような施設も念頭にあるわけでございますけれども、農用地区域からの除外とか農地転用手続を迅速化するような措置を考えているところでございまして、こういった福祉事業所についても、農福連携に必要であれば、その対象になるわけでございます。
いずれにいたしましても、冒頭申し上げましたように、どのような施設をどこに造るのかというところによりまして対応が変わってまいりますので、現場の御要望というものをよく伺いながら、農地転用許可権限を有します福岡県等に対して適切な助言を行ってまいりたいと考えております。
○緒方委員 全部、質疑通告のときにそれを言っているんですよね。どうなっているんですか、農林水産省。まあ、いいです。次に行きたいと思います。
ミニマムアクセス米の輸入についてお伺いをいたしたいと思います。
その前に、まず一つだけ。
ウクライナ情勢を踏まえて、今後、小麦等の値段がすごく上がっていくことが想定されているわけですよね。こういうときだからこそ、総理大臣や農林水産大臣が先頭を切って、今こそお米を食べようというようなキャンペーンを張って、今、お米の消費量も減っておりますから、そういうことだからというわけではなく、これから小麦の価格の高騰とかが想定される中、お米の消費量を増やすようなキャンペーンを打たれてはどうかなと思うんですけれども、大臣、いかがですか。
○金子(原)国務大臣 食料を将来にわたり安定的に確保していくため、国内で生産できるものはできる限り国内で生産していくことが重要であります。中でも、主食である米の国内生産を持続可能とする観点から、米の消費拡大は重要と認識いたしております。
このため、米の需要拡大対策として、米や米加工品の海外市場への輸出の促進や、パック御飯、米粉など、新たな需要拡大への支援をいたしました。また、米飯学校給食の推進や、職員による広報活動による情報発信などを実施してまいりました。
さらに、今般の原油価格・物価高騰総合緊急対策においては、ウクライナ情勢等に関連して高騰している輸入小麦等から国産米や米粉等への原材料の切替え支援や、自給率の高い米の消費促進に資する情報発信を行うことといたしております。
引き続き、あらゆる機会を捉えて、米の消費拡大をしっかり取り組んでまいります。
議員からもいろいろお話がありましたが、確かに、一つのこういう時期でございますので、私も、できるだけ積極的に米を食べるような、そういった機会を設け、また、多くの方々にお願いをしていきたいと思っておりますので、機会があれば、総理にもちょっとお話ししてみたいと思っております。
○緒方委員 最後の答弁だけでよかったので、よろしくお願い申し上げます。
それでは、米のミニマムアクセス米の輸入について質問させていただきたいと思います。
米のミニマムアクセス輸入は、玄米ベースで七十六・七万トンと、全量輸入しております。国家貿易ということで輸入をいたしております。ガット、WTO協定によりまして、市場アクセスの規定とか国家貿易の規定を守らなきゃいけない、つまり、マーケットのメカニズムのみに基づいて輸入することが求められております。
そういう中、昨年度末、一般輸入で立て続けに三回、一万二千七百トンの入札不調を出しているんですね。理由は、入札をアメリカ産のウルチ米中粒種に指定したからです。
現在、アメリカ産米は、向こうの天候不順とか、あと円安とかで非常に値段が上がっておりまして、輸送費も全部含めると、トン当たり大体二十万円を超えるんですね。結果として、一俵当たり一万二千円近くに上がってきている。この価格では輸入業者は応札しないんです。
そして、この輸入米を飼料米や援助米に回すときの価格補填は食料安定供給特別会計でありまして、同特別会計には一般会計からの繰入れをいたしている、つまり国民負担です。
なぜ、価格が高くて応札者が出ない、さらには国民負担を増大させる、そういうアメリカ産米をマーケットメカニズムに沿わない形で三回も無理をして入札をかけたのでしょうか、農林水産省。
○平形政府参考人 お答えいたします。
ミニマムアクセス米につきましては、国内実需者のニーズ、輸出国の生産状況、輸出余力等を勘案して入札を実施しております。
米国中粒種につきましては、国産の加工用米の品質に近く、主に米菓、みそ、しょうゆ向けに国内の実需者から一定の需要がございます。
令和三年度の入札におきましては、例年どおり国内実需者のニーズが見込まれたことから、産地を指定して入札を実施しました。委員おっしゃるとおり、三回機会がありましたので、三回、ぎりぎりまでやりました。
需要に見合う米国産米が調達できないことが分かりましたので、最終回は国の指定なしに入札をし、国際約束の数量を確保したところでございます。
したがって、その運用は、通常の関税以外の輸入障壁を禁止するWTO農業協定第四条二項の規定に基づいて実施されているというふうに考えております。
○緒方委員 今、需要がある、需要があると局長は言われましたよ。しかし、入札して、応札者がいたけれども落札しなかったんじゃなくて、そもそも応札する人間すらいなかったわけですよ。ゼロですよ。これは需要があったと言えないでしょう。価格が高いせいで、もしかしたら物そのものには需要があるかもしれないけれども、価格が高いせいで手が出せなかったということのはずなんですよ。
あなたが言われている需要があるというのは、それは何かの誤解ではないかと思いますが、いかがですか。
○平形政府参考人 お答えいたします。
委員おっしゃるとおり、今回は三回不落にはなりましたけれども、これは、米国産中粒種につきましては、それぞれの入札機会ごとに、国内の実需者のニーズはあったというふうに考えております。
可能な限りそのニーズに沿った調達を実現したいというふうに考えておりまして、年度末までに、機会があったので三回まで入札を延ばしたわけなんですけれども、実は、三回の入札の結果、米国産米を調達するというか、米国内で調達する輸出事業者の方から国内実需者のニーズに見合う入札がなかったということで、米国産米の調達ができないというふうな事態になっておりまして、最終回は国指定なしの入札を行ったと考えております。
○緒方委員 一回成立せず、二回成立せず、三回とやっているわけですが、三月三十一日、最後、年度末に駆け込んで、その一万二千七百トンについては、全量輸入するためにタイ産米を輸入しているわけですね。
タイ産米輸入は、一トン当たり七万を切るんです。アメリカ産米というのは恐らく二十万円近いですから、その差額の分は、農林水産省は一生懸命、国民負担が多い方、国民負担が多い方に振って、国民負担を増やすような米の輸入の仕方を一生懸命しようとしたんですね。
あなた方は国民負担を増やすための政策を打った、その認識をお持ちですか、農林水産省。
○平形政府参考人 委員おっしゃるとおり、アメリカ産はタイ産に比べて価格は高騰しておりますし、直近の状況からしても、米国産については価格が上昇しているのは承知しております。
ただ、国内の中で米国産に対してのニーズがあるというふうに考えましたので、ぎりぎりまで米国産の入札を国指定で行ったということでございます。
○緒方委員 皆さん、聞いて分かったと思いますが、答えになっていないんですね。
質問を続けたいと思います。
入札が一回、二回、三回と不調で、そして年度末、一番最終日にぎりぎりで一万二千七百トンの入札を打ってタイ産米にしたわけですが、入札が不調であった後、アメリカと何らかの調整をされましたか、局長。
○平形政府参考人 お答えいたします。
そのような調整はしておりません。
○緒方委員 これは昔から言われているのが、年度末になると神の手が働くと言われていて、最後必ず、さっき言った七十六・七万トンの四六%から四七%ぐらいを必ずアメリカ産米で輸入するように、ぴたっと合うようになっているんです。だから聞いているんです。
かつて、山本有二農林水産大臣は、予算委員会の審議において、共産党の畠山議員の質問に対して、今ミニマムアクセス米を全量、七十六・七万トン輸入している理由として内外価格差を挙げています。
アメリカ産の米と日本産の米の内外価格差がほぼない状態になってしまえば全量輸入する必要はないのではないかと思いますけれども、局長、いかがですか。
○平形政府参考人 お答えいたします。
米のミニマムアクセスにつきましては、ガット・ウルグアイ・ラウンドの交渉の中で、全体のパッケージの一つとして、従来輸入がほとんどなかった品目について、最低限度の市場参入機会を与える観点から、全ての加入国の合意の下に設定されたものでございます。
このような合意の下に導入されたものであるため、米のミニマムアクセスの数量の見直しは極めて困難だというふうに考えております。
○緒方委員 ガット、WTO協定の中に、国家貿易であれば全量輸入しなきゃいけないということが書いてありますか、局長。
○平形政府参考人 直接的にそのように書いてあるわけではありませんが、輸入機会を提供するということは書かれているというふうに考えております。
○緒方委員 じゃ、機会を提供すればいいじゃないですか。機会を提供した上で、内外価格差が、外国のものが高くなるときまで全量輸入する理由はないですよ。機会を提供して、日本の国内の事業者が買わなければ、七十六・七万トン買わなくてもいいかもしれないじゃないですか。いかがですか。
○平形政府参考人 お答えいたします。
米のミニマムアクセスにつきましては、WTO協定に基づき、我が国が負う法的義務の内容は、一定の数量について輸入機会を提供することでございます。
一方、ミニマムアクセス米につきましては、国産米の需給に極力悪影響を与えないようにするため、国家貿易により国が一元的に輸入して国内で販売することとしております。
その場合、平成六年の政府統一見解において示されているとおり、米は国家貿易品目として国が輸入を行う立場にあることから、ミニマムアクセス機会を設定すれば、通常の場合は当該数量の輸入を行うべきものと考えております。
○緒方委員 もうそろそろ終えさせていただきたいと思いますけれども、協定に書いてないんですね。しかも、私、さっきから言っているじゃないですか。内外価格差が、日本の国産米よりも上がる、先ほど言ったように、今のアメリカ産米の価格というのは日本の国産米よりも高いところに来ちゃうんですよね。そんなときにまで全量輸入する必要はないじゃないですかと聞いているんです。
あなたは市場アクセスを提供するとかいろいろなことを言っていますけれども、全量輸入しなきゃいけないなんて、あたかも当然のように言っていますけれども、そんなルール、どこにもないんですよ。おかしいと思いませんか、局長。
○平形政府参考人 お答えいたします。
先ほど答弁したとおりでございますが、平成六年の政府統一見解によって示されているとおり、国家貿易として国が輸入を行う立場にあることから、ミニマムアクセス機会を設定すれば、通常の場合は当該数量の輸入を行うべきものと考えております。
○緒方委員 論理になっていなかったことは御理解いただけたと思います。
終わります。
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○平口委員長 次に、内閣提出、参議院送付、農林水産物及び食品の輸出の促進に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。
これより趣旨の説明を聴取いたします。農林水産大臣金子原二郎君。
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農林水産物及び食品の輸出の促進に関する法律等の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
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○金子(原)国務大臣 農林水産物及び食品の輸出の促進に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
我が国の農林水産物・食品の輸出については、日本食への世界的な関心の高まりや日本産農林水産物・食品に対する信頼等を背景に急増しており、昨年の輸出額は一兆二千三百億円を超え、初めて一兆円に到達しましたが、更なる輸出の拡大を図るためには、マーケットインの発想で海外市場から求められる産品を専門的、継続的に生産し、輸出することが必要不可欠であります。
このため、農林水産物・食品の需要の開拓等を行う団体の組織化や事業者が行う設備投資等への支援、輸出先国の政府機関からの求めに対応する輸出証明書の発行体制の整備等、需要のある農林水産物・食品の輸出を拡大できる環境を整備する観点から、この法律案を提出した次第であります。
次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明を申し上げます。
第一に、農林水産物・食品輸出促進団体の認定制度の創設についてであります。
主要な品目について、生産から販売に至る関係者が連携し、需要の開拓等、輸出の促進を図る法人を、法人からの申請に基づき、主務大臣が認定農林水産物・食品輸出促進団体として認定し、認定を受けた団体は、日本貿易振興機構による助言等の支援措置を受けることができることとしております。
第二に、輸出事業者に対する支援の拡充についてであります。
輸出事業計画について、施設の整備に関する事項を記載できることとし、農林水産大臣の認定を受けた場合に、日本政策金融公庫による融資等のより充実した支援措置を受けることができることとしております。
第三に、民間検査機関による輸出証明書の発行についてであります。
主務大臣の登録を受けた民間の専門能力のある機関が、輸出先国の政府機関から輸出証明書を発行するよう求められている場合に、輸出証明書を発行することができることとしております。
第四に、日本農林規格の制定対象への有機酒類の追加であります。
輸出先国での有機認証を受けなくとも、有機JASの認証を受ければ、有機酒類の輸出をできるようにするため、日本農林規格の制定対象に有機酒類を追加することとしております。
以上が、この法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようにお願い申し上げます。
○平口委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
次回は、来る十八日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後四時八分散会