第15号 令和4年5月18日(水曜日)
令和四年五月十八日(水曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 平口 洋君
理事 江藤 拓君 理事 高鳥 修一君
理事 宮下 一郎君 理事 簗 和生君
理事 金子 恵美君 理事 緑川 貴士君
理事 空本 誠喜君 理事 稲津 久君
東 国幹君 五十嵐 清君
石原 正敬君 上田 英俊君
尾崎 正直君 加藤 竜祥君
神田 潤一君 坂本 哲志君
高見 康裕君 武井 俊輔君
中川 郁子君 西田 昭二君
野中 厚君 長谷川淳二君
平沼正二郎君 古川 康君
保岡 宏武君 山口 晋君
若林 健太君 梅谷 守君
神谷 裕君 小山 展弘君
後藤 祐一君 佐藤 公治君
渡辺 創君 池畑浩太朗君
住吉 寛紀君 金城 泰邦君
庄子 賢一君 長友 慎治君
田村 貴昭君 北神 圭朗君
…………………………………
農林水産大臣 金子原二郎君
農林水産副大臣 武部 新君
農林水産大臣政務官 宮崎 雅夫君
政府参考人
(国税庁長官官房審議官) 田村 公一君
政府参考人
(農林水産省大臣官房総括審議官) 安東 隆君
政府参考人
(農林水産省大臣官房総括審議官) 水野 政義君
政府参考人
(農林水産省消費・安全局長) 小川 良介君
政府参考人
(農林水産省輸出・国際局長) 渡邉 洋一君
政府参考人
(農林水産省農産局長) 平形 雄策君
政府参考人
(農林水産省畜産局長) 森 健君
政府参考人
(農林水産省農村振興局長) 牧元 幸司君
政府参考人
(農林水産技術会議事務局長) 青山 豊久君
政府参考人
(林野庁長官) 天羽 隆君
政府参考人
(水産庁長官) 神谷 崇君
政府参考人
(国土交通省大臣官房技術参事官) 遠藤 仁彦君
政府参考人
(国土交通省水管理・国土保全局次長) 高橋 謙司君
農林水産委員会専門員 梶原 武君
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委員の異動
五月十八日
辞任 補欠選任
上田 英俊君 石原 正敬君
同日
辞任 補欠選任
石原 正敬君 上田 英俊君
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
農林水産物及び食品の輸出の促進に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第五三号)(参議院送付)
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○平口委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、参議院送付、農林水産物及び食品の輸出の促進に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房総括審議官安東隆君、大臣官房総括審議官水野政義君、消費・安全局長小川良介君、輸出・国際局長渡邉洋一君、農産局長平形雄策君、畜産局長森健君、農村振興局長牧元幸司君、農林水産技術会議事務局長青山豊久君、林野庁長官天羽隆君、水産庁長官神谷崇君、国税庁長官官房審議官田村公一君、国土交通省大臣官房技術参事官遠藤仁彦君及び水管理・国土保全局次長高橋謙司君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○平口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○平口委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。高鳥修一君。
○高鳥委員 おはようございます。自由民主党の高鳥修一でございます。
今日は、質問の機会をありがとうございます。私、農水委員会に参りましてから、答弁席あるいは委員長席に座っている時間が長くて、久々の質問になりますが、今日はよろしくお願いをいたします。
早速質問に入らせていただきます。
まず、金子農林水産大臣の出張についてお伺いをいたします。
五月四日から八日の間、金子農水大臣はタイ及びシンガポールに出張され、バンコクそれからシンガポール訪問中に政府高官らと会談をされた。そのほかに、輸出支援プラットフォームの立ち上げ式に御出席をされたと承知をいたしております。
この輸出支援プラットフォームでありますけれども、輸出拡大実行戦略において、輸出先国における専門的、継続的な支援を行うために設立する旨が明記をされています。具体的に、今後、どういった活動を展開し、そして、どのような効果を期待しているのか、お聞かせください。
○金子(原)国務大臣 お答えいたします。
現在、在外公館とジェトロ海外事務所等、連携を取りまして、輸出先国において輸出拡大の支援を行います輸出支援プラットフォームの形成を進めておりまして、これまでに、私が参加したタイ、シンガポールを含め、四か国で立ち上がったところであります。今後、二〇二三年度までに、ベトナム、香港、中国、台湾を加えた八か国・地域におきまして設立したいと考えております。
輸出支援プラットフォームでは、現地の事業者と協力をいたしまして、現地の規制や消費ニーズ等をまとめたカントリーレポートの作成、新たな商流の開拓、現地法人の輸出促進の取組の支援、現地日本食レストラン等を通じた日本食普及等の現地発の活動を行っていく予定であります。
これにより、輸出事業者を専門的かつ継続的に支援する体制を整備し、現地での輸出拡大の支援を強化してまいりたいと思います。
バンコクとシンガポールで、地域のこういったいろいろな事業を長年やっている方々とお会いしまして、特にシンガポールでは、三十人ぐらいの、長年現地でレストランを経営している方、また、日本食のそういった輸入に積極的に取り組んでいる方々と意見交換をいたしました。
やはり、異口同音に皆さんおっしゃることは、まず、自分たちが築き上げてきた今日までのルートというのを大事に守ってもらいたい、したがって、これから国が立ち上げてやるそういったプラットフォームと一緒に協力し合って、より日本食の商品が、日本の輸出食品が有利に展開、販売できるようになっていきたいと。
どちらかというと今まで地方自治体を含めてばらばらなところを、プラットフォームでまとめて、そして一体的に取り組んでいくと、まだまだこれからの輸出枠は拡大していくんだという期待感を非常に持っておりましたので、今後は、そういった地元の長年蓄積を持っている方々と意見交換をしながら、有効にこれを活用していきたいというふうに思っております。
○高鳥委員 ありがとうございます。具体的なお話をいただきました。是非、効果的な取組をお願いしたいと思います。
次に、輸出額目標の積算の根拠及びその実現のための施策についてお伺いをいたします。
一応、資料を一枚用意してございますが、我が国の農林水産物、食品の輸出額は、昨年初めて一兆円を達成いたしました。これは、二〇〇六年に当時の輸出額四千四百九十億円を一兆円規模に拡大するという目標を設定してから十五年の期間を要したという計算になります。
一方で、政府は、二〇二一年を基準にしますと、四年後の二〇二五年に、これまでの一兆円目標を二倍とする二兆円目標、さらに、その五年後の二〇三〇年に五倍とする五兆円目標を掲げています。
その二兆円目標の品目別内容を見ますと、例えばですが、牛肉については、二〇一九年の輸出額二百九十七億に対して、二〇二五年に五倍超とする千六百億円、二〇三〇年には十二倍超とする三千六百億円の目標を掲げています。米についても同様でありまして、二〇二五年に二倍超、二〇三〇年に五倍超とする二百六十一億円の目標を掲げています。
五月十六日の日本農業新聞に、緑茶の輸出が好調で一五%増といういい記事も出ておりましたけれども、全体の輸出額を約二倍とするまでに十五年の期間を要したということを踏まえると、相当高い目標を設定したのかなと思われます。
そこで、この輸出額目標をどのように積算をしたのか、その根拠を示していただきたい。それから、それを達成するための政府の取組についても併せて御説明願います。
○渡邉政府参考人 お答えをいたします。
二〇二五年二兆円、二〇三〇年五兆円という農林水産物、食品の輸出額目標は、牛肉などの畜産物、米、ホタテなどの水産物、日本酒などの加工品など、輸出重点品目を中心として、生産基盤の強化、海外への販路開拓、加工品の輸出対策の強化などの取組を総合的に進めることとして、主要品目ごとの輸出の目標を考慮して作成をされたものであります。
また、諸外国と比較して我が国の輸出割合が低い中、農林漁業、食品製造業の国内生産額約五十兆円の約一〇%を海外市場へ販売することで五兆円目標の達成が実現可能と考えております。
これらの輸出額目標を達成するためには、ジャパン・ブランドを最大限に活用をして、海外における日本産農林水産物・食品の付加価値を上げるとともに、海外の規制やニーズに対応したマーケットインで輸出に取り組む産地や事業者を早急に増やすことが必要であります。
このため、今回の改正によりまして、生産から販売まで輸出に関連する事業者が参加をして、オール・ジャパンで、輸出に取り組む団体を育成するとともに、リスクを取って輸出に取り組む事業者の輸出への参入を促すための金融面での支援を行うなど、輸出拡大に向けた更なる取組の強化を進めていきたいと考えております。
○高鳥委員 ありがとうございます。
もし後で時間があればお聞きしますけれども、例えば牛肉については、三年以内に中国が輸入解禁をするということが前提でこの数字ができていますので、是非、しっかり取り組んでいただきたいと思います。
次に、認定団体制度の創設の効果についてお聞きをいたします。
法律案では、輸出品目ごとに、輸出の促進を図る法人を法人からの申請に基づいて国が認定団体として認定をする制度を創設するとされております。この認定団体は、輸出先国でのニーズ調査等、あるいは需要開拓、そして輸出促進のための規格の策定などの業務を行うとされています。
本法律案に基づいて新たに認定団体制度を創設することで、我が国の農林水産物、食品の輸出の拡大にどのような効果が期待されているのか、お聞かせください。
○渡邉政府参考人 お答えいたします。
更なる輸出の拡大に向けましては、日本の強みを発揮できる品目の輸出を伸ばすことが重要であります。このため、そのような品目ごとに、オール・ジャパンとして、輸出先国、地域の市場の調査、販路の開拓、ブランディング、輸出に関する規格の策定といった取組を進めることが重要であります。
このため、本改正案におきまして、主要な輸出品目ごとに、生産から販売に至る関係者が連携をして、業界一体となって輸出拡大に取り組む団体を国が認定する仕組みを構築することといたしました。認定された輸出促進団体に対しましては、ジェトロによる援助ですとか、予算的な支援を始めまして、施策を集中的に講じまして、ジャパン・ブランドの下で関係者が連携して輸出に取り組むということで、輸出拡大を加速化していきたいと考えております。
○高鳥委員 ありがとうございます。
限られた時間ですので、次の質問に行きたいと思いますが、米の輸出について伺います。
まず、経済連携協定の農林水産物の輸出促進に対する効果と、それから、一方で、米価への影響についてお聞きをいたします。
近年、TPP11、日・EU・EPA、RCEPなどの経済連携協定や日米貿易協定が相次いで発効をいたしております。こうした経済連携協定が我が国の農林水産物の輸出促進に与えるプラスの効果について、どのように分析をしているのか。
そして、一方で、この大型の経済連携協定が協議をされるに当たり、米価が暴落する可能性もゼロではないという記事が新聞に何度も見受けられました。
そこで、実際にどうだったのか、米の国内価格への影響が本当にあったのかどうか、政府の認識について、これはプラスの効果と併せて説明をいただきたいと思います。
○武部副大臣 これまで、経済連携協定の交渉に当たりましては、攻めるべきものは攻める、守るべきものは守るという考え方に立って交渉に臨んでおります。その結果、我が国の輸出関心の高い品目について関税撤廃等を獲得してきたところです。例えば、委員のお話にございました米の輸出促進につきましては、TPP11において、全加盟国向けの米、米加工品の関税の即時又は段階的な撤廃を獲得しております。RCEPにおいては、中国や韓国向けの米菓やパック御飯等について段階的な関税撤廃を獲得しました。
経済連携協定の成果が最大限活用されるように、今後とも、生産基盤の強化や新市場の開拓等に必要な施策を講じてまいりたいと思います。
また、米の国内価格への影響についても御質問がございました。
TPP11におきましては、豪州向けのみに国別の枠を設けております。二〇二一年は六千二百四十トンの枠がありますけれども、実際の輸入量は十分の一に満たない六百二十トンでございましたので、国産の米価格について特段の影響はないと承知しております。
また、日・EU・EPA、RCEP及び日米貿易協定においては、米は関税削減、撤廃等からの除外を確保しておりますので、国産米への価格への影響はないと承知しております。
○高鳥委員 今、武部副大臣からパック御飯というのがありましたので、要望だけさせていただきたいと思いますが、二〇〇六年に輸出一兆円目標を達成したときの大臣は松岡大臣でありました。当時、松岡大臣が、米を炊飯器つきで輸出すべきだということをおっしゃっていたことを私は思い出すのであります。このパック御飯というのは、レンジで温めれば、特別な炊き方の技術というのは必要ないわけで、私は大変有望だと思っております。ところが、これを輸出するとなると、外国向けにラベルを作り直すとか、様々な機械設備の導入が必要になることもありますので、これは政府として、しっかりと後押しをしていただきたいと思います。これは要望だけであります。
次に、ニシキゴイの輸出についてお伺いをいたします。
私の地元新潟県では、新潟県産農林水産物輸出拡大実行プランというのが今年の三月に策定をされました。ニシキゴイは新潟県が発祥の地でありまして、現在でも新潟県は全国で最大の生産地であります。二〇二〇年の輸出実績は約四十九億円ございますが、新潟県はそのうちの半分強の五一%を占めている、約二十五億円の輸出実績を誇っているということであります。
新潟県というのは一般的には米のイメージなんですけれども、輸出実績に関しては、米の二〇二〇年の輸出実績は約十億円なんですね。ですから、ニシキゴイの方が米の二倍以上実績があるということであります。
私、四年前に農水副大臣をやらせていただいたときに、全日本錦鯉品評会で一匹二億円というニシキゴイを見させていただきました。これは、オーナーは中国の方でした。これは極端な例でありますけれども、ニシキゴイというのは、今、世界から引き合いがあって、大変有望な品目だと思います。
ところが、ニシキゴイは、重点品目として国からは、政府からは位置づけられておりません。重点品目以外の支援はどうなるのかということ、そして、将来、重点品目への可能性はどうかということをお聞かせください。
○神谷政府参考人 お答えいたします。
近年、ニシキゴイの輸出は増加傾向にございます。先ほど委員より二〇二〇年に四十九億円の輸出実績と御指摘ございましたが、これが翌年の二〇二一年には約五十九億円と十億円増大し、過去最高の輸出額を記録しております。ニシキゴイは我が国の重要な水産輸出品目の一つであると認識しております。
これまで、農林水産省におきましては、ニシキゴイの輸出拡大に向けて、ニシキゴイの全国団体であります全国錦鯉振興会が海外において現地バイヤーに向けて行うセミナー、プロモーション活動及びマーケット調査などに対し支援をしてきたところでございます。また、輸出重点品目であるか否かに関わらず、輸出事業計画を作成し、主務大臣の認定を受けることにより、本改正案に伴って新設される金融や税制などの優遇措置などを受けることができます。
ニシキゴイ関係者などからニシキゴイを輸出重点品目にしてほしいとの要望が出ていることは十分承知しております。
輸出重点品目は、品質など海外で評価される日本の強みがあり、輸出拡大の余地が大きく、関係者が一体となった輸出促進活動が効果的な品目といった基準により選定しております。
さらに、他の輸出重点品目と同じように、各産地共通の全世界、国別の輸出目標を策定し、輸出を実際に行う産地、事業者をリスト化した上で、それぞれの産地、事業者が輸出事業計画を策定することが求められるため、ニシキゴイにつきましても、このような全国一体となった輸出拡大に向けた取組などが可能となった場合に、追加について検討を行うこととなります。
農林水産省といたしましては、ニシキゴイの輸出を拡大するため、ニシキゴイ関係者や都道府県などとも相談いたしながら、積極的に対応してまいります。
○高鳥委員 済みません、時間の関係で入れ替えます。
スマート農業についてお伺いをいたします。
二〇三〇年に五兆円の目標を達成するためには、やはり規模拡大、それからスマート農業を導入して生産性を上げていくことは非常に大切だと思います。現場からは、データ通信にかかる費用がばかにならないという声が上がっております。
私の地元の新潟県関川水系土地改良区では、スマート農業に取り組んでいるんですが、水門を遠隔操作する水管理システムについて、光回線を契約しますと、一か所当たり月六千円のデータ通信費がかかるということです。実証事業でありますから九割補助があるので今はいいんですけれども、今後、全ての水門にシステムを配置しますと、月に三百四十万円もかかるということであります。
このデータ通信費の低減、これは非常に重要な観点だと思いますので、政府の支援強化についてお聞かせください。
○宮崎大臣政務官 お答えを申し上げます。
スマート農業に関しまして行った実証事業におきましては、労働時間の削減でございますとか、収量、品質の向上などに一定の効果が確認をされた一方、スマート農機の導入に伴う機械費でございますとか、今、高鳥先生お話がございましたように、通信費の増大などによりまして、利益が拡大しないという事例もございました。
このため、農林水産省におきましては、シェアリング等による機械費の低減を推進をいたしますとともに、御指摘のデータ通信費に関しましても、スマート農機の自動走行に必要な位置情報を発信をいたします通信基地局の共同利用でございますとか廉価な通信システムの活用によりましてデータ通信費の低減を実証をするほか、農業、農村における情報通信環境の整備に当たりまして、情報通信技術の使い方に応じた適切な通信方法の選択などについて記載をいたしましたガイドラインを策定するなどの取組を行っておるところでございます。
今後、生産現場の課題にございまして、御指摘の点も含めて、コスト面も含めた適切なスマート農業、この技術を導入をいたしまして、収益の向上が図られるよう実証を引き続き進めまして、それを横展開していくように努めてまいりたいと考えております。
○高鳥委員 ほぼ時間が来ましたので、有機酒類のことは質問しませんが、是非積極的に取り組んでいただきたいということで、最後に、大臣の輸出に取り組む決意をお聞かせください。
○金子(原)国務大臣 国内の食市場が縮小する一方で、世界の食市場は今後大幅に拡大することが見込まれる中、農林水産物、食品の輸出拡大は、我が国の農林水産業の持続的な発展を図る上で必要不可欠な取組であります。
このため、これまで、輸出促進法に基づき、私を本部長、関係大臣を構成員とする農林水産物・食品輸出本部の下で、関係省庁が一体となって取り組んできました。
今後も、二〇三〇年に五兆円という輸出額目標の達成に向けまして、主導的かつ精力的に取り組んでいきたいというふうに考えております。
○高鳥委員 力強い御決意、ありがとうございました。
時間になりましたので終わります。ありがとうございました。
○平口委員長 次に、稲津久君。
○稲津委員 おはようございます。公明党の稲津久です。
通告に従いまして順次質問をしてまいりますが、質問に入ります前に、先ほど高鳥委員からも話がありましたけれども、この度の大臣の、輸出プラットフォーム、その体制づくりでタイなどに行かれたこと、また武部副大臣におかれましては、G7の大臣会合、ドイツ等を訪問されました。大変大きな成果があったというふうに思っております。まず、そのことについて、今回のこのことについてまず一言触れさせていただきました。
それでは、質問に入りますけれども、今日は輸出促進法改正案についての質疑でございますが、この質問に入ります前に、水田活用の直接支払交付金について一言触れさせていただきたいと思います。
これは先週の委員会で自由民主党の委員の方からも質問されまして、それに関連して伺いたいと思いますが、このときの政府参考人の答弁で、四月から全国の地域協議会を対象にした調査についてのお話がありました。五月末には中間報告、そして七月末には調査を取りまとめて最終報告をするという話がありまして、その結果について注目をしていきたいと思っております。
調査は、現場の課題を検証すること、そこから必要な対策を検討する、これが目的と承知をしております。しっかりと進めていただきたいと思います。
私も現場で、農業団体また生産者の方々、多くの方から様々な意見をこれまで伺ってまいりました。その中で代表的なものを一つ触れさせていただきますと、水稲と転作の作物のブロックローテーションについて、水田の機能の維持ですとか、それから連作障害、また、雑草、病害虫抑制に効果がある、このように承知はしているけれども、例えば区画整備や汎用化、水利施設の更新等のいわゆる土地改良事業、これを実施する場合に、五年のローテーションでやっていけるのか、この五年というところが維持できるのか、こうした不安などの声もいただくところでございます。
そこで、伺いますけれども、ブロックローテーションと土地改良事業との考え方など、そして、今回の調査を行った暁に、必要な施策を対策としてどのように反映するのか、基本的な考え方についてお示しをいただきたいと思います。
○平形政府参考人 お答えいたします。
水田活用直接支払い交付金につきましては、畑作物の生産が定着している農地は畑地化を促す一方で、水田機能を有しつつ転換作物を生産する農地につきましては、ブロックローテーションを促す観点から、現場の課題を検証しながら、今後五年間に一度も水稲の作付が行われない農地を交付対象としないという方針にしているところでございます。
畑作物につきましては、委員御指摘のとおり、同一の圃場で連続して生産をしますと、病気の発生ですとか収量の低下、連作障害が起きやすくなる、こういうことから、ブロックローテーションによって一定期間ごとに水張りを行うということで、連作障害を回避して収量の向上を図っていく、これが農地を有効利用する意味で大切だというふうに考えております。
これまで、全国会議や産地ごとの意見交換を通じて現場の課題の把握に努めてきておりますが、この中では、畑作物の産地形成を図るためには、基盤整備あるいは施設、機械の導入など、産地化の支援が必要ではないか、また、六年以上の間隔でブロックローテーションを行っているので、今後五年間で水稲作付の確認が難しい農地があるという話、また、交付金の対象外となれば、中山間地域での耕作放棄地の発生ですとか、土地改良事業への影響が懸念されるといった意見は伺っているところでございます。
また、先月一日からは、各地の地域協議会を対象にした全国的な調査を実施しております。本調査では、五年間で水張りを困難とする事情等について、各地域協議会から五月末までに中間報告、七月末までに最終報告をいただくことになっておりまして、それを踏まえるのですが、委員御指摘のような点も踏まえて、全体的な課題の把握、検証を行い、どのような対策が必要か、しっかり検討を進めていきたいというふうに考えております。
○稲津委員 四月から七月までの調査をされているということ、私は、非常にこれは大事だと思っております。現場の課題をどういうふうに把握し、検証していくのか、そうした、ある意味、科学的なしっかりとした根拠をつくっていく、その上で、必要なその課題に対応する対策を講じていく。ここは非常に大事なことなので、私もしっかり注目していきたいと思っていますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。
それでは、輸出促進法改正案について順次質問してまいりますが、まず、オール・ジャパンで輸出促進に取り組む必要性について伺っていきます。具体的には、輸出が頭打ちになっている品目とか相手先国があるのか、あるとしたら、その対策をどう講じるかということなんです。
令和三年の品目別の輸出額を見ますと、やはり加工食品の割合が極めて大きい。四〇%ぐらいですね、全体の。続いて、ホタテガイなどの水産物の割合も多い。それから、令和二年と比較して三年の輸出額の増加が大きかった主な品目というのは、今触れたホタテガイとか牛肉とかウイスキーとか、こういうものが挙げられるわけですけれども、輸出先国とか地域別の輸出額を見ると、やはり、中国、香港、アメリカ、これが非常に大きな輸出額になっています。
ここで注目したいのは、対前年比の主要十か国・地域で見てみますと、およそ、ほとんどの国が前年比二五%から四〇%、これは二〇二一年ですけれども、上昇しています。
ただ、その中で、例えば香港とかベトナムとかタイは一桁台になっているんですね。ここは少し力を入れていく必要があるんだろうと思いますし、隣国の韓国がノミネートが十分されていない、輸出が、十分、どうなのかなという状況でありまして、こうしたことに対する対策をどう講じていくのか、この点についてまずお伺いしたいと思います。
○渡邉政府参考人 お答えをいたします。
二〇一六年から二〇二一年の五年間の品目別の輸出額の推移を見ますと、例えば、真珠、鳥肉、サケ・マス類、たばこなどが減少しておりますし、また、国や地域別に見ますと、やはり韓国向けがかなり小幅ということは御指摘のとおりでございます。
これらの輸出が伸びない理由といたしましては、例えば真珠につきましては、新型コロナウイルスの感染拡大によりましてオークションが中止されたことですとか、あるいは鳥肉の場合には、我が国国内における動物疾病の発生に伴う輸出の停止、あるいはサケ・マスについては、天然資源の減少など、国内外の様々な要因によると考えております。
二〇三〇年五兆円の目標の達成に向けましては、我が国が強みを持って、関係者の努力によって輸出が増加する品目を重点品目というふうにいたしまして、今回の法改正によりまして、これら重点品目について、業界一体となって輸出拡大に取り組む団体を国が認定する仕組みを構築するということと併せまして、主要な輸出先国・地域で、輸出支援プラットフォームを活用いたしまして、海外展開を行う事業者を現地で支援する体制を整備するといったことなど、生産から販売に至る関係者が連携をして、オール・ジャパンで輸出に取り組めるような仕組みと支援体制を構築したいというふうに考えております。
○稲津委員 今、重点品目、そしてプラットフォームの話がありました。そういうことをしっかり進めていくことが、オール・ジャパンで輸出促進に取り組む必要性をカバーするんだというお話だと思います。私も全く同意見なんです。
従来の輸出業者だけの取組では、今後の市場規模の拡大というのはどこかで頭打ちになってくるんだろうと。したがって、そこの壁を破っていくためには、今回のこの法律でしっかり整備して、そうしたオール・ジャパンで取り組んでいける基盤をしっかりつくるということが趣旨だと思っておりますので、しっかりこれは取り組んでいただきたいと思います。
次に、輸出拡大に期待される品目の国際力強化の支援についてということでお伺いしたいと思いますが、具体的には、品目でホタテとそれからお米について伺いたいと思います。
ホタテなどの水産物の輸出拡大というのは、非常に期待もされているし、ホタテ自体は非常に伸びてきていると思っていますが、ホタテについては、もう既に水産物の輸出のエース的な位置も占めているんだろう。令和二年と令和三年の比較の増加の一番手にもなっていますし、中国、アメリカの需要拡大とか、それからヨーロッパへの輸出増も、これはHACCPの取組も更に進めていきながら、輸出増を期待できるんだと思っています。主産地の北海道などの生産増も順調に来ていると思っております。それで、ホタテがまず一つ。
それから、米及び米粉、米の加工品の輸出増大ということで、ここは私はちょっと問題なしとは言えないのかななんて思っているんですけれども、これも重点品目にされていて、令和三年の輸出額の合計は約六十六億円、このように上がっております。
ただ、今後、令和七年の目標が百二十五億ですから、倍ぐらい、これは相当高い目標値になっております。これをしっかり細かく分析していくと、例えば米粉なんかはもう少し伸びていったらどうなのかなと。先ほどパック御飯のお話もありましたが、ここも同様かなと思っています。
いずれにしても、米の輸出についても期待も大きいところだと思うんですが、この二点、ホタテと米についての輸出拡大の強化支援策についてお伺いします。
○神谷政府参考人 お答えいたします。
まず、ホタテに関してでございますが、昨年十二月に、オール・ジャパンで輸出拡大に取り組む全国団体として、生産、加工、流通業者などが参画した、日本ほたて貝輸出振興協会が設立されたところでございます。この団体では、海外における販路開拓活動や新規輸出先国開拓に向けた調査などに取り組むこととしております。
農林水産省といたしましては、この団体の活動支援などを通じ、官民一体となったホタテの輸出拡大を進めてまいります。
○平形政府参考人 お答えいたします。
米・パック御飯・米粉及び米粉製品につきましては、二〇二〇年の輸出拡大実行戦略重点品目の一つとして、二〇二五年輸出額目標、百二十五億と設定しております。
この間、着実に増加をしてきておりまして、委員御紹介のとおり、二〇二一年では六十六億というふうになっているんですけれども、更なる拡大に向けましては、まず、オール・ジャパンで、輸出先国、地域の市場調査、販路開拓の取組を進めることが重要だと思っております。
品目ごとに見ますと、米につきましては、日系だけではなく、現地系のレストランチェーンですとか輸出事業者の進出が不十分な国、地域などで新たな市場を開拓すること、また、パック御飯、米粉、米粉製品につきましては、小売の市場の規模の拡大が望めますアメリカ等における市場の開拓を図る必要があると考えております。
このため、農林水産物輸出促進団体を中心にしましたプロモーションの強化などによりまして、これら製品の更なる拡大に取り組んでまいりたいと考えております。
○稲津委員 いずれも、この重点品目、ここを深掘りして更に輸出拡大につなげていく、非常に大事なことでございますので、よろしくお願いします。
次に、品目団体の認定制度の対象について伺いますけれども、法律案では、輸出品目ごとに、輸出の促進を図る法人を法人からの申請に基づいて認定団体として認定することとしております。
認定されれば様々な支援措置もあるということで、こうしたことからオール・ジャパンでの輸出促進が取り組まれることがここである一定の意味で確約されるんだと思いますが、そこで、伺いますけれども、品目団体の認定制度の対象は全国団体のみなのかということと、地域のいわゆる小規模な団体にも対応すべきではないか、これまで輸出拡大に取り組んできた既存の輸出事業者が不利益を被ることはないのか、こうした視点での問題意識を持っていますので、この点についてお示しいただきたいと思います。
○武部副大臣 認定団体につきましては、輸出の重要品目についてオール・ジャパンで輸出促進に取り組む全国団体でございますが、認定団体は、業界共通の輸出拡大の解決に向けた調査ですとか、あるいは、オール・ジャパンでのプロモーション等、非競争分野の活動を通じて、輸出に取り組む各産地、団体、事業者等が協力して輸出の拡大を図るものであります。既に輸出に取り組んでいただいている事業者にとってもメリットがあると考えています。
具体的には、輸出に取り組んでいただいている団体や事業者等は、認定団体の活動によって、個別に調査等を行わなくても済むということで負担が軽減するということ、それから、ジャパン・ブランドの確立によって他国産競合品との差別化等が可能となりまして、更なる輸出促進につながることが期待されています。
このため、団体や事業者等は、認定団体に加入していただくことなども、これも進めなきゃならないと思っておりますけれども、積極的に団体と連携を強化していただいて、業界一丸となってオール・ジャパンの輸出拡大を進めていただきたいと考えております。
○稲津委員 これまでの輸出に取り組んできた事業者、また、この認定団体が、市場調査とか事業拡大のそうした業務、そういう責務を果たして、しっかりこうした方々にも応援をいただくということをよろしくお願いします。
最後の質問です。
輸出促進が農家所得につながるための施策について伺います。
我が国の農林水産業の発展には、農林水産物、食品の輸出促進は欠かせない。今日、世界各地で、安全で質の高い、食味のよい我が国の農林水産物、食品が人気を博し、年を追うごとに評価が上がっていると思います。
それから、円安が今あります。これは、そういう意味では、チャンスが高まって、輸出の促進のばねにしたいと思います。もちろん、あしき円安とか過度のものは困りますので、そこは注視しなきゃいけませんが。
もう一つの問題として、先ほど、今触れましたように、農林水産事業者の所得向上につながるかどうか。輸出の総額は増えたけれども農家所得が増えていないとなれば、私は本来的な意義は少し薄れると思っております。
一つ例を挙げれば、食品の輸出が堅調で、中でも加工品、調味料などの輸出は常に拡大しているが、我が国で生産される農林水産物を原料としているかどうかは、農家所得に連動するから、私はここは注視しなきゃいけないと思っています。
輸出の総額だけを見ていては農家所得向上を見失うことになり得るということで、輸出促進が農家所得にしっかり連動していく、そのための施策について、これは大臣にお伺いさせていただきたいと思います。
○金子(原)国務大臣 国内の食市場が縮小する一方で、世界の食市場は今後大幅に拡大することが見込まれる中、輸出に取り組むことは、我が国の農林漁業の市場規模拡大を図るものであり、農林漁業者の所得向上に資するものであると考えております。
なお、輸出重点品目の中には、みそ、しょうゆなどの一部で輸入原料を使った加工食品も含まれており、これらの品目についても、国産原料の増産などにより、使用の促進を図ってまいりたいと思います。
一方、これらの加工食品は、日本の文化に裏づけられた、地域にとって重要な産品でありまして、輸出を通じてこれらの製造業者の成長を促すことは、地域経済の発展に寄与するものであり、輸出拡大の支援を行う意義があると考えております。
○稲津委員 時間が参りました。終わります。
○平口委員長 次に、渡辺創君。
○渡辺(創)委員 立憲民主党の渡辺創です。よろしくお願いをいたします。
農林水産物及び食品の輸出促進に関する法律の改正案の質疑に入るに当たり、まず、ロシアのウクライナ侵攻の関係でお伺いをします。
二月二十四日に始まったロシアの侵攻から間もなく三か月になろうとしています。まずは、一日も早い戦闘の停止を国際社会全体で求め、急ぐべきだというふうに思うところですが、影響は確実に各方面に広がっています。
食料という側面から考えても、ロシア、ウクライナ共に世界有数の小麦の輸出大国であり、エネルギー問題とともに、世界中の食料確保にも暗雲が立ち込めています。長期化する中で、我が国への影響も避けられないという状況にあると思います。
一方で、日本の主な農林水産物、食品の輸出先を見ると、ロシアは上位十番目にも入っていないという状況であります。輸出戦略への影響は限定的なのかなというふうにも考えられますが、現在の輸出拡大戦略への影響をどのようにお考えか、お伺いしたいと思います。
○渡邉政府参考人 お答えをいたします。
農林水産物、食品の輸出額でございますけれども、ウクライナ情勢が緊迫化をした本年二月以降も前年同期比を上回っておりまして、また、現時点で農林水産物、食品の輸出への影響は確認をされておりませんので、現在進めている輸出施策に引き続き取り組みたいと考えております。
一方で、世界的には、ウクライナ情勢だけでなく、近年、海上輸送の遅延ですとか輸送費の高騰といったようなものが発生をしておりまして、このような農林水産物、食品の貿易に与える事態への対応を図る必要があると考えております。
このため、今回の改正案で、品目団体による長期間の輸送に対応するための温度管理ですとか、あるいは包材などの規格の策定、コールドチェーンの確保のための倉庫の整備ですとか、そういった輸出物流の構築など、必要な支援を図ってまいりたいというふうに思っております。
○渡辺(創)委員 ありがとうございました。
ロシアのウクライナ侵攻の影響、さらには長く続くコロナ禍で、世界は一体のネットワークで回っているということを強く実感させられます。一国の存在というのが一国の力だけでは成り立たないということを肌身で実感をしているわけですが、そのことからも、外交を軸に国際社会や他国との友好な関係を維持することが実に重要だというふうに感じるわけです。他方で、経済安全保障の法案等でも背後にその思想は見えるわけですが、有事に備え、国民生活を維持するのに不可欠な要素については、しっかり守ろうという流れも強まってきています。
農産物の輸出促進の取組は、先ほど来質疑の中でもあっておりますが、二〇〇六年の第一次安倍政権時に大きなステージチェンジを迎えたというふうに思っています。輸出額一兆円規模を目指すということが示されました。その後、目標時期の変更などを経ながら、基本的な方針は維持され、二〇一三年の第二次安倍政権で二〇二〇年までの一兆円の目標が再掲をされ、さらに、二〇二〇年三月には二〇三〇年までの五兆円というのがセット、設定されたわけであります。
この間、先ほど申したように、国際情勢の変化も加わりましたし、食料の国内調達、地産地消という消費者サイドの欲求も高まっています。さらに、依然として農政を取り巻く、例えば担い手不足であるとか、根本的な問題を我が国の農業は抱えているという状況は、深刻さを増していると言えるかと思います。
そのような中で、輸出拡大が、先ほど来ありましたが、農家の収入増にきちんと結びつくという可能性があるのであれば、国がしっかり取り組むということには全く異存はないところでありますけれども、ただ、二〇〇六年にスタートを切った取組であります。日々刻々と変わっていく情勢を加味していけば、輸出戦略も現実的な見直しや軌道修正もあり得るというのが一般的な考え方ではないかというふうに思いますが、その辺りも踏まえて、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
○金子(原)国務大臣 現在、我が国の農産物、食品の生産額の約九八%は国内市場向けでありまして、今後、国内の食市場の規模が縮小する一方、アジアを中心に世界の食市場の規模は大きく拡大すると見込まれる中で、国内生産の維持拡大を図るためにも、輸出に取り組むことが重要であると考えております。
輸出の拡大は、食料自給率の向上に寄与するものでありまして、また、不測の事態が発生した場合には国内に回すことも可能であるため、食料安全保障の観点からも重要な政策であると考えております。
引き続き、二〇三〇年五兆円の目標達成に向けまして、輸出拡大実行戦略に基づき、輸出促進の取組を強力に進めていきたいと思います。
○渡辺(創)委員 ありがとうございました。
輸出額を二〇二五年に二兆円、二〇三〇年に五兆円にするという目標を掲げる中で、市場としての大きな可能性を秘めているのは中国ということになるはずです。十四億人という人口、購買意欲の高い富裕層の存在はマーケットとしての価値を大変大きく高めているというふうに思います。
二〇二一年の輸出額を見ると、対中国という意味では二千二百二十四億円で、全体の一九%を占めるということになっています。香港を抜いて一位ということになりましたが、現状では、アルコール飲料、ホタテガイ、丸太というのが一位から三位という流れになっていますけれども、今後のやはり大きな柱は牛肉ということになるのはほぼ間違いないだろうというふうに思います。
独立行政法人農畜産業振興機構のホームページに掲載をされていました中国の大学の先生のレポートによると、中国では年間八千八百万トンの食肉が消費をされていて、輸入は世界の食肉貿易総量の四分の一を占める五百万トンに及ぶということのようであります。
我が国の輸出拡大実行戦略品目別輸出目標では、二〇二五年の中国への牛肉輸出額を四百億円というふうに設定してあります。ちなみに、牛肉全体で一千六百億円を見込んでいるという計算でありますので、全体の四分の一を中国で賄うという計算であります。ある意味では、中国への牛肉の輸出再開が目標達成の鍵とも言える状況だというふうに考えますが、輸出再開に向けた交渉はどのような状況になっているのか。
原子力発電所事故の関係で制限が続くお茶なども含めて、中国の扉を広げるという取組が重要になってくるかというふうに思いますけれども、大臣にその辺りを丁寧に御説明をいただければと思います。
○金子(原)国務大臣 議員御指摘のように、中国は、農林水産物、食品の輸出額が昨年一位となるほど重要な輸出先であるというふうに考えております。
茶を含む食品の放射性物質規制に関する輸入規制につきましては、中国を含め、規制を維持する国、地域に対しまして、早期に撤廃するよう協議に取り組んできたところであります。
牛肉につきましては、二〇一九年十二月に、中国政府がBSEと口蹄疫に関する輸入禁止令を解除しておりまして、現在は、輸出再開に向けて、食品安全システムの評価を中国政府が行っているところであります。
相手のある話でありますので、協議の見通しを予断することはできませんが、科学的知見に基づきまして、関係省庁とも連携を取りまして、あらゆる機会を捉えて働きかけてまいりたいと思います。
○渡辺(創)委員 大臣のお話にありましたように、相手もあることですし、今の流れを確実なものにしていくということが確かにならないと、今立てている目標自体が、元のもくあみといいますか、達成不可能なことになるのは政府が出している数字から見ても間違いがないという状況であるかと思いますので、是非、その辺り、十分に力を注いで取り組んでいただきたいというふうに思います。
次の質問に移りますが、輸出拡大の政府の取組については、先ほども申したとおり、第一次安倍政権からステージが変わったというふうに言えるかと思います。その流れに呼応するように、全国の各地方自治体でも、それぞれの都道府県の農産品の輸出促進に熱心に取り組んできた、ある意味では、政府の動きに呼応するような形で各地方自治体も一生懸命取り組んできたというふうに思います。
私が県議をしておりました宮崎県も、輸出促進と定期空路を生かした観光促進の両面を意識して香港に事務所を開設したのが二〇一三年でしたので、来年十年になろうとしています。今は、県職員二名と現地スタッフ二名という四名の体制で事務所を維持しているところであります。
香港は、日本からの輸出額が二〇二一年ベースで二千百九十億円、全体の中での構成比は一八・八%と、中国に抜かれましたけれども、ほぼ一位と変わらない二位という位置にあるかと思います。
また、宮崎県が事務所を出した当初から言われていましたが、将来の中国への輸出拡大を見据えた上で、県内企業等が中華系の商慣行を学んでいったり、それに慣れるという意味でも非常に重要なトレーニングの場だという話もしながら、香港に事務所を出すようなことを行ったところでありました。ですので、当初は、県のオフィスの中に、香港への進出を目指す県内企業が足がかりとなるような、小さなオフィスを同居させるような取組もしてきたところであります。
現在も、九州の中でも福岡や熊本、鹿児島、沖縄、さらに、全国的にも栃木や兵庫などが、単独の事務所であったりジェトロと連動した形であったりと形式はいろいろありますけれども、全国の都道府県が拠点を有しております。
自治体国際化協会、CLAIRの資料を見ると、更に業務委託なども含めるとその数は膨らんでいくようで、香港が日本の農林水産物、食品輸出の一大拠点であることは間違いがないというふうに思います。
こういう努力を重ねてきたこともあって、宮崎県でいえば、宮崎県産品で宮崎牛、さらにマンゴー。マンゴーは、国内では太陽のタマゴという言い方で展開をしていますけれども、香港では太陽の子という形で宮崎のマンゴーとして認識をされて、十分にシェアも獲得できているという状況になっております。そこに加えて、最近は、生食用のキンカンなど、宮崎県では、この辺のものは宮崎県産品ということで香港でのブランド確立がある程度できてきているという状況であります。
香港は、地理的には近く、コロナ以前は訪日の観光客も多かったので、日本の各地域の名前が浸透しやすいという特性はあるかと思いますが、恐らく、各都道府県も、それぞれの特性を生かした形で県産ブランドの浸透に取り組み、成果を上げてきたところです。
政府の取組に呼応するような形で各自治体が取り組んできた、こういう流れ、こういう自治体の取組を、農林水産省はどのように評価しているのか、お伺いしたいと思います。
○渡邉政府参考人 我が国におきましては、地方自治体が中心となりまして、いわゆる産地ブランドを前面に押し出して輸出の取組を進めてこられたということは十分認識をしておりますし、成果が上がってきたというふうに考えてございます。
一方、日本産の農林水産物や食品であることを評価する海外の消費者は多いわけでございますけれども、個々の産地の名称それぞれを認識してもらうのは必ずしも容易でないという実態もあるかと存じております。
結果として、限られた現地の日系の商流の中におきまして、産地の間で競合するといったことですとか、産地間の協力がなかなかできないがために通年で小売の棚を確保することができないというようなケースも課題として認識されていると理解をしておりまして、産地間の競争が余りプラスにならないような面もあったということも考えてございます。
他の輸出に取り組む多くの輸出先進国におきましては、品目ごとのオールカントリーの団体がナショナルブランドを確立をして、業界一体となって戦略的に輸出を行っているという事例もございますので、更なる輸出拡大に向けましては、我が国におきましても、オール・ジャパンで輸出拡大に取り組むことが重要だと認識をしております。
このため、認定農林水産物輸出促進団体を認定をして支援をする制度を創設をいたしまして、そういった団体が、業界共通の輸出の課題の解決に向けた調査ですとか、オール・ジャパンでのプロモーションですとか、商売上の競争ではない、非競争分野での活用を通じまして、輸出に取り組む各産地、各事業者さんを支援をするということにしたいと考えております。
なお、当然でございますけれども、地域段階で、独自の産地ブランドですとかといった、そういった取組の重要性を否定するものではないわけでございまして、例えば、認定団体におきましては、ナショナルブランドを浸透をさせて、日本産というのはほかの国の産品に比べてやはりいいものだというオール・ジャパンでのブランドを浸透させた上で、その上で、そういった他国産よりも優れた日本産の中で、地域段階での独自の取組で、切磋琢磨して輸出に取り組むといったような、そういう取組が行われることが輸出の拡大につながるのではないかというふうに考えております。
○渡辺(創)委員 産地ブランドとジャパン・ブランドと、それぞれ、例えば場所と品目によって何が合致するのか、状況が、これだけの量にしていこうとしているわけですから、それぞれあると思いますので、質問の趣旨は、それを踏まえて、やりやすい形をジャストフィットでやれるように是非考えていただきたいということを申し上げたいというふうに思います。
次の質問に行きますが、今回の法改正の中には、輸出品目ごとに、生産から販売に至る関係者が連携し、輸出促進を図る法人を法人からの申請に基づき国が認定農林水産物・食品輸出促進団体として認定する制度の創設が含まれております。この品目団体は、輸出促進に資する役割を果たすと同時に、国から幾つかの支援措置を受けられることになるようです。
当然、政府は、対象となり得るような団体と十分にコミュニケーションを取って、その意向もある程度踏まえた上で制度設計に当たっていると思います。
具体的に、今回の法改正に呼応して品目団体を目指す動きがどのような形であるのかをどのように把握をしていらっしゃるでしょうか、また、いつまでにどのくらいの輸出品目においてこのような品目団体の認定がなされていくというようなイメージをどのような形でお持ちか、お伺いしたいと思います。
○渡邉政府参考人 お答えいたします。
農林水産物・食品輸出促進団体の認定の候補といいますか、対象でございますけれども、これは、日本の強みがございまして、輸出拡大の余地が大きい、また、関係者が一体となった輸出の促進活動が効果的ないわゆる輸出重点品目が基本になると考えてございまして、現在、対象となる二十八品目ございますけれども、そういった品目の関係の既存の全国団体ですとか主要な企業さん、その他の関係者と品目団体認定制度等につきまして意見交換を行っているところでございます。
また、令和四年度予算などでございますけれども、認定農林水産物・食品輸出促進団体になることを念頭に活動を強化する意向があるような輸出重点品目の全国団体を対象にいたしまして、品目団体輸出力強化支援事業という事業を実施をいたしまして、その事業への公募をしましたところ、米ですとかお茶、あるいは畜産物、青果物、ホタテを始めといたしました十四団体から申請が上がってございます。
実際の認定に向けた体制整備に要する期間などには、やはり業界により異なるというふうに思いますけれども、これらの団体が認定輸出促進団体を目指していく中心的な役割を担うということになるかと考えております。
農林水産省といたしましては、これら輸出重点品目につきまして、認定団体が速やかに、円滑に認定されるように、認定団体の必要性ですとか、あるいは体制の整備に向けた関係の皆様への情報の提供、あるいは助言、アドバイスといった支援を行ってまいりたいというふうに考えてございます。
○渡辺(創)委員 ありがとうございました。十四団体が今年度の予算のやつでも応募があるということでした。
今御説明になった、品目団体の認定についてなんですが、ちょっと、対象を改めて確認をしたいというふうに思います。
今答弁にもありましたが、国は、海外で評価される強みがあり、輸出拡大の余地が大きい品目を輸出重点品目に選定して、二十八ですね、数値目標もそれぞれ設定しているわけですが、今回の法改正で認定が始まる品目団体は、この重要品目を扱う団体が対象となるのか、それとも、それ以外の品目でも対象となるのかという辺りなんですが、先ほどの答弁では基本というふうにおっしゃったような気がしますし、高鳥委員の御質問では重要品目以外でもあるという御説明だったと思いますが、公明党の稲津委員の質問に対しては、基本的には重点品目を品目団体の認定というふうにおっしゃって、ちょっと、あっち行ったりこっち行ったりしているような気がするので、はっきりしていただきたい。
つまり、重点品目の二十八以外のものであっても、国が条件としている、海外で評価される強みがあり、輸出拡大の余地が大きいと判断できるものであればこの対象に加えられるという判断なのか、お伺いをしたいと思います。
○渡邉政府参考人 お答えをいたします。
認定輸出促進団体でございますけれども、現在の方針といたしましては、法律上の認定要件を見ますと、農林水産物及び食品の輸出の促進に関する基本方針に照らして適切であることといったような要件もございます。
現在考えておりますところでは、この基本方針におきまして、認定輸出促進団体が対象とする品目といたしましては、海外で評価される日本の強みがあって、輸出拡大の余地が大きくて、関係者が一体となった輸出促進活動が効果的に行える品目というふうに規定をいたしまして、したがって、輸出拡大実行戦略で選定をされております輸出重点品目がその認定の基本となるというような趣旨を規定することを考えてございます。
現在輸出重点品目として定められている以外の品目を対象とする輸出促進団体を認定するに当たりましては、まずは、当該品目を輸出拡大実行戦略における輸出重点品目に含めることが適当かどうかを検討いたしまして、今申し上げましたような、海外で評価される日本の強みがあって、輸出拡大の余地が大きく、関係者が一体となった輸出促進活動が効果的に行える品目ということであれば、輸出重点品目に含まれることになりますので、輸出重点品目の追加も行いたいというふうに考えてございます。
○渡辺(創)委員 今の説明を聞いていると、じゃ、現在の二十八の輸出重点品目以外のものが、もし、先ほどのニシキゴイのお話のように、希望するという場合には、まず輸出重点品目になることが先で、それをクリアできればこの対象だからそういう措置も受けられますよという御説明のように聞こえましたが、その認識で間違いがないのかという確認をもう一度させていただきたいのと、ごめんなさい、不勉強で申し訳ありません、輸出重点品目になるためにはどんな手続を経たら、今二十八あるわけですが、それを増やすという判断をするには、行政上といいますか、役所の、国としての手続としては何の変更が必要なんですか。そこまで御説明いただけますか。
○渡邉政府参考人 お答えをいたします。
輸出拡大実行戦略における輸出重点品目でございますけれども、これも定義は同じでございまして、先ほど、基本方針に書こうと思っている認定要件の、海外で評価される日本の強みがあり、輸出拡大の余地が大きく、関係者が一体となった促進活動が効果的な品目であることということが輸出拡大実行戦略上の輸出重点品目の要件でございます。ですから、これは同一の品目の要件にしたいというふうに考えてございます。
法律上の議論といたしましては、輸出拡大実行戦略上の輸出重点品目に定められていないと法律上の認定ができないかといいますと、必ずしもそういうことではございませんけれども、基本的に、定義が同一でございますので、輸出重点品目というのは輸出拡大実行戦略の中に定まっておりますので、輸出関係の閣僚会合で随時、輸出拡大実行戦略の改定をしておりますので、今二十八でない品目がまさにこれに該当するということになれば、もちろん、随時行われる閣僚会議の中で輸出拡大実行戦略の改定をして輸出重点品目に加えるということと、それとまた、法律に基づく品目団体としての認定も行う、そういう手続になろうかと考えております。
○渡辺(創)委員 やはり今の御説明を聞いても、輸出重点品目でなければ、その対象には、措置は受けられないということに聞こえました。その上で、輸出重点品目にするためには閣僚会議で二十八が増えればいいという話に聞こえましたので、そう理解をしようと思います。
要は、いろいろなチャレンジをしようと思ったり、これから市場の状況が変わったりして品目が増えることもあるだろうと思いますし、先ほど高鳥先生のお話にあったように、もう既にそういう欲求があるものも国内でありますし、まだここの議論に出ていないだけでほかにもあるような気がするんです、二十八の枠から漏れているものでもそういうもの。ですので、その辺の基本的な考え方は、ある種、はっきり、すっきりしていただかないと、頑張ろうという皆さんにとっても、頑張ろうとしているのに足かせになるんだったら変な話かなという気もしますので、是非、その辺りは分かりやすいように御検討をいただきたいというふうに思うところであります。
とにかく、頑張ろうという皆さんの力になるということが大事だと思いますので、その姿勢で取り組んでいただくことを期待をしたいと思いますし、実態に即してフレキシブルにやれる形を模索いただきたいというふうに思います。
最後の質問になりますけれども、輸出重点品目の一つである本格焼酎と泡盛についてであります。
私は、南九州、宮崎の出身でありますので、晩酌は専ら焼酎でありますが、輸出においては、大手メーカーが中心のウイスキーや、日本食と併せて浸透をしている日本酒、清酒と比べると、なかなか広がっていないという実態があると思います。海外での認知度の低さというのが影響しているのかなというふうに思われますけれども、現状と課題をどのようにお考えか、国税庁にお伺いをいたします。
○田村政府参考人 お答えいたします。
本格焼酎・泡盛につきましては、令和二年十二月に決定されました農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略において重点品目とし、品目ごとのターゲット国、輸出目標等を定めたところでございます。
国税庁といたしましては、この戦略を踏まえまして、本格焼酎・泡盛を含む日本産酒類の一層の輸出拡大を図るため積極的に取り組んできておりまして、こうした取組や各事業者の御努力の成果もございまして、本格焼酎・泡盛の輸出金額は、昨年一年間で過去最高の約十七・五億円となり、さらに、本年一―三月も約四・六億円と対前年比三二・四%の増となっているところでございます。
また、本格焼酎・泡盛の輸出に当たっての課題につきましては、本格焼酎・泡盛は、米国や欧州だけでなく、アジア圏におきましても、日本酒やいわゆるジャパニーズ・ウイスキーに比べると十分に認知されているとは言えないこと、このため本格焼酎・泡盛の販路が限定的となっていることと認識をしてございます。
このため、本格焼酎や泡盛の更なる認知度の向上や海外販路の開拓に取り組んでいくことが重要と考えておりまして、具体的には、オンラインを含む商談会や、輸出商社、卸売業者と本格焼酎や泡盛の製造者とのマッチングを支援させていただくとともに、昨年十一月には、ニューヨークにおきまして本格焼酎・泡盛を含む蒸留酒に特化した海外商談会やセミナーを開催したところでございます。
国税庁といたしましては、引き続き、農林水産省やジェトロなど関係機関とも十分連携いたしまして、本格焼酎・泡盛の輸出促進にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
○渡辺(創)委員 ありがとうございました。
本格焼酎に関しては、まさに、さっきの議論じゃないですが、オール・ジャパンで取り組むことが望まれるということを、関係の皆さんもおっしゃっていますし、宮崎でも聞くところですので、是非御支援をお願いしたいと思います。
もう終わりますけれども、先ほど稲津委員の御発言にもありましたが、やはり、輸出拡大をして枠を増やしていくことはとても大事ですが、それが確実に国内の農業者の所得に結びついていくということが一番重要なところだと思いますので、改めてそれを意識した対策の進め方をよろしくお願いいたします。
以上で終わります。ありがとうございました。
○平口委員長 次に、金子恵美君。
○金子(恵)委員 立憲民主党の金子恵美でございます。よろしくお願いいたします。
今回、海外出張から戻られたばかりの武部副大臣にもこの委員会に御出席いただいているわけでございますけれども、十三日、十四日と、ウクライナ情勢が及ぼす世界の食料安全保障への影響や持続可能な農業、食料システムの構築について議論するため、G7農業大臣会合が開催されました。その会合に武部副大臣は御出席されています。
それ以外にも、御視察などもされてこられたということでありますので、改めて、武部副大臣、お戻りになられたところ、お疲れのところ本当に恐縮でございますけれども、今回のG7農業大臣会合の成果について、お考えをお聞かせいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○武部副大臣 御質問ありがとうございます。
ウクライナ情勢、ロシアによるウクライナへの侵略、そして農産物それから肥料等の価格高騰等、世界の食料安全保障が大変脅かされる中、G7の農業大臣、各国、それからウクライナの農業大臣も参加されました。一堂に会して、連帯して対応していくという強い意思を示すことができたのは大変意義があったというふうに思います。
また、会合では、ロシアによる不当な侵略戦争を批判するとともに、戦争によって悪化した農産物価格の高騰が特に途上国に与える重大な影響について、与えているということについて留意すること、それから、ウクライナの人々に対する食料供給の確保を支援するということと、また、これはウクライナの大臣からも御要請がありましたけれども、ウクライナの農業復興を支援するということ、それから、食料のサプライチェーンについて、これの回復を脅かす、少しずつ各国で出始めていますけれども、輸出規制措置について、いかなる輸出規制措置も取らないようにするということも併せて議論させていただいて、コミュニケの中で採択されたところであります。G7としても協力してこれに取り組んでまいりたいと思います。
また、会合期間中に、各国の大臣とも、要人とも会談を行いました。
その中で、EUのボイチェホフスキ農業担当委員、それからドイツのエズデミル食料・農業大臣に対しまして、EUが行っています日本の食品の放射性物質に対する輸入規制について、早期撤廃について要請してまいりました。特に、EUの委員に対して、かなり強い要請をやってまいりました。食品の安全性について、科学的な根拠、知見に基づいて進めていくべきだということを要請してまいりました。
また、このG7の会合に先立ちましてポーランドを訪問しまして、ウクライナ政府からの要請に基づいて、食料品や医薬品について支援物資を引き渡して、日本政府及び日本国民に対して感謝の言葉が述べられたことを申し添えたいと思います。
○金子(恵)委員 ありがとうございます。
議長国であるドイツでは、今おっしゃっていただきましたけれども、エズデミル食料・農業大臣と会談をされて、EUの日本産食品の放射性物質に係る輸入規制の早期撤廃、これについて要請を行ったということでもありますが、お触れにならなかったんですが、モロッコでベンアリー・エネルギー移行・開発大臣との会談があって、モロッコがリン安の原料であるリン鉱石の世界的な産出国であるということから、副大臣からリン安の安定供給を直接働きかけたということでありますけれども、これはとても重要なことでもあるんです。
そもそも、私、行かれる前からいろいろレクを受けていましたけれども、我が国の最大の輸入先国である中国からの輸入が昨秋より制限されているということで、今後の見通しも不透明であるので、モロッコから何とかリン安を安定的に輸入できる環境を模索するのだということ、そういう理由だったというふうに思いますが、成果は上がったということでよろしいでしょうか。
○武部副大臣 モロッコで、今委員の御指摘があったとおり、エネルギー大臣とも会合させていただきました。農林大臣ともお話をさせていただきました。
御指摘のとおり、今、九割を中国から輸入、リン安については輸入しております。これが実質的に輸入停止になっているということもありまして、これは全農等と向こうのリン鉱石の公社との民間の取引ではありますけれども、モロッコとの政府関係ですね、安定的に供給できるように、その協力を大臣に対して要請してまいりまして、先方からも、しっかりと協力してまいりたい、そういうような発言をいただいたところであります。
○金子(恵)委員 重要なことなんですけれども、結局、国内では入手できないものを海外から持ってこなきゃいけないというお話をしてきてくださったんですけれども、今、この化学肥料の問題、肥料高騰ということで、大変喫緊の課題となっている現状です。改めてそれを確認していただきたいという思いもあります。
もちろん、国内で入手できないんだったら、海外から。でも、今このような状況の中で、実際に肥料高騰の対策というのをしっかりとやらなくてはいけない。もちろん、ないものを持ってくるということは、それはそれで必要なんですけれども、今度は、それをもってどうするか、高騰してしまった肥料をどうするかということと、それからもう一つは、やはり、国内でもう少し、例えば耕畜連携を強化することで化学肥料の使用を減らしていくとか、そういうことも一方で考えなくてはいけないんだというふうに思うんですが、武部副大臣はどのようなことをお考えになられますか。
○武部副大臣 春用の肥料については確保できております。今委員の御指摘のとおり、まず、必要な、代替先、中国の代替先であるモロッコですとか、肥料を安定的に確保するためには、調達先を多元化していく必要もあると思います。
また、これはみどりの食料戦略にも関わりますけれども、土壌審査を適正にやっていただいて、肥料を適正に施肥していただくということも重要でありますし、また、今お話があった耕畜連携で、国内で生産できるものについては国内でしっかりと生産していくということも含めて、しっかりと対応していかなきゃならないなということを感じます。
○金子(恵)委員 円安の影響、そしてウクライナの情勢等、本当に揺れ動いている今の状況の中で、やはり国内外の食料安定供給の在り方とか、特に食料安全保障というものが重要な課題となっているわけです。
今ほどありました、肥料をどうするんだ、飼料もどうするんだ、燃油の高騰もある、いろいろな状況の中でも安定した食料の供給ができなくてはいけないわけですけれども、こういう課題がある中で、我が国の農林水産政策における農林水産物及び食料の輸出の促進に係る施策、これをどういうふうに位置づけていくか、どのように認識していらっしゃるでしょうか、お伺いします。
○金子(原)国務大臣 昨年来、穀物相場などの価格が上昇している中で、今般のウクライナ情勢によりまして国際相場が更に上昇するなど、食料安全保障上のリスクが高まっていると認識をいたしております。
現在、我が国の農産物、食品の生産額の約九八%は国内市場向けでありまして、今後、国内食市場の規模が縮小する一方、アジアを中心に世界の食市場の規模は大きく拡大すると見込まれる中、国内生産の維持拡大を図るためにも、更なる輸出拡大に取り組むことが重要であると考えております。
このように、輸出に取り組むことで国内生産の基盤強化を図ることは、食料自給率の向上に寄与します。また、不測の事態が発生したときには国内に回すことも可能であるため、食料安全保障の観点からも重要な政策と考えております。
引き続き、二〇三〇年五兆円の目標達成に向けまして、輸出の促進の取組を強力に進めていきたいというふうに思っております。
○金子(恵)委員 ありがとうございます。
先ほど来、この委員会の中でもいろいろな議論がありまして、実際に農業者の所得にどのようにつながっていくかということ、今現在は生産額の割合からすると二%という輸出額でありますので、それが本当に形となって農業者の所得向上につながっているんだというような、そうしていかなくてはいけないということで、しっかりと注視していきたいというふうに思っていますので、よろしくお願いいたします。
限られた時間でございますので次に参りますけれども、先ほどから少しお話もありました、輸出の産地リストというものを拡大実行戦略の中で作り上げることになっておりまして、産地の中でどのような品目をしっかりと輸出していくのかということで、リスト化するということになっています。
JA全農福島県本部とかJAふくしま未来が共同で作成したリンゴ、桃に関する輸出事業計画が認定をされていまして、輸出産地リストに載っている福島県の産地としては、リンゴ、桃、柿・柿加工品、米の産地というのが挙げられているんですが、今申し上げたような形で輸出事業計画も認定されているということでございますので、このようにリストに入っている産地に対してはまずどのような支援があるのか、お伺いしたいと思います。
○武部副大臣 二〇二〇年十一月に取りまとめました輸出拡大実行戦略に基づいて、日本の強みのあります二十八の重点品目、合計千二百八十七産地をリスト化しております。
リスト化された産地につきましては、今委員のお話のあったとおり、輸出事業計画を策定していただいて、輸出の目標や輸出拡大のための措置などを明確にしていただいています。
支援策でございますが、この輸出事業計画の認定を受けることによりまして、今般法改正によって新設されます公庫の融資、それから税制等の支援措置のほかに、補助事業の優遇措置等を受けることができます。
○金子(恵)委員 しっかりとした支援策を進めていただきたいと思うんです。
次に、今回の輸出促進法改正で盛り込まれました、新たに創設される認定農林水産物・食品輸出促進団体、また、既に設置が進められている、輸出先国で販路開拓を支援する輸出支援プラットフォームにおいて、原発事故による輸入規制の撤廃、緩和の働きかけや海外における風評被害対策等を行うことができるのか、お伺いしたいと思います。
先ほど私の地元の福島県の産地について、産品についても申し上げましたけれども、まだまだEU等でも輸入規制がそのままという状況でありまして、今回もいろいろな働きかけはしていただいたということでありますけれども、今申し上げたような中での対策というのはどのように講じられるのか、お伺いしたいと思います。
○武部副大臣 今般創設いたします輸出支援プラットフォームでございますけれども、これまでの我々の問題意識というのは、輸出の更なる拡大をするためには、輸出国の規制ですとか、交渉等が大変重要になるんですけれども、この交渉等は、専門的な知識を要するとともに、長くなるということがあります。
これまでは、在外公館やジェトロというのは、大抵、その担当の方が数年ごとに交代されたりしますし、規制に関する高度な専門知識を有していない場合もありますので、こういった継続性や専門性の課題がありました。
今回、輸出プラットフォームでは、ローカルスタッフを活用しながら、相手国の規制等の継続的な調査や、人的な継続性の確保とか、専門性、食品安全の専門家の助言などを提供するなど、質の高い交渉を生かせる体制をつくるということであります。
そこで、今お話ありましたとおり、福島などの被災地の農産品のプロモーションなど、これについては、オール・ジャパンで取り組むべき課題でありますので、輸出支援プラットフォームと認定団体と連携し、官民一体となってしっかりと働きかけてまいりたいというふうに思います。
○金子(恵)委員 時間が参りましたので終わりますけれども、被災地の産地もしっかりと守っていくということだと、支えていくということだというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
ありがとうございます。
○平口委員長 次に、緑川貴士君。
○緑川委員 皆様、お疲れさまでございます。
人口減少などに伴う国内市場の縮小もある中で、輸出に活路を求めて、これまでの現地での販売促進あるいは国内の産地支援、官民で輸出体制の強化に取り組んできたという成果は、昨今のこの輸出の数量に確かに表れてきているというふうに思いますが、輸出が増えたことには円安が大きく影響していることも考えなければならないというふうに思います。
お配りしている資料を御覧いただきたいんですけれども、早速ですが、1の折れ線グラフ、赤色がドルに対する円相場、そして青色が物の輸出額、そして黒色が民間企業の設備投資額で、二〇〇六年から今年までの推移です。
御覧のように、輸出額は、円高の局面では減って円安が進むと盛り返していくというように、円相場と輸出額の動きというのはおおむね連動して、強い相関があります。
そして、次の2の資料、裏なんですが、御覧いただきたいと思います。これは、輸出額が過去最高になった昨年の農林水産物の輸出についてです。
その品目ごとの数量と金額のデータなんですが、赤で囲ったところ、昨年の輸出の数量は多くの品目で確かに伸びているんですが、青で囲ったところ、輸出金額ほどの伸びになった品目というのはほぼありません。そして、数量が減った品目でも、その輸出額が減らず、むしろプラスになっているものがあります。
貿易統計で公表している輸出金額や輸入額というのはあくまで名目値であって、この円相場の影響を強く受けて、そして、円安によって輸入する原材料が値上がりした分、その生産コストの増加分が価格に転嫁されていることも含めて輸出額が伸びていることについて、御見解はいかがでしょうか。
○渡邉政府参考人 お答えをいたします。
一般論といたしましては、委員御指摘のとおり、円安が輸出金額を押し上げるということは、原則といたしまして、農林水産物や食品の輸出額にも当てはまるものではないかというふうに認識をしてございます。
他方、輸出金額でございますけれども、その増減につきましては、輸出に向けた国内生産体制の整備ですとか、輸出拡大のためのマーケティングを含む事業者の努力ですとか、様々な要因が複雑に関係するものでありまして、為替の変動につきましてはあくまでその要因の一つだろうと認識をしてございます。
二〇一六年から二〇二〇年にかけましては、一時的な変動はあるものの、全体を通しては円高傾向にあった。ただ、その中でも、農林水産物、食品の輸出は堅調に伸びていたということですので、その輸出金額が増加したのは、もちろん、為替の変動による影響を乗り越えた関係者の輸出拡大の努力にあるものではないかというふうに考えてございます。
○緑川委員 御答弁にあるように、もちろん、産地や事業者のこれまでの、やはりなかなか輸出が伸びていかないという中での官民一体での取組というのは評価をしたいんですけれども、輸出額の単純な伸びというのを、やはり輸出だけを見て手放しで喜ぶことはできません。
輸入について見ても、農林水産物の輸入数量というのは、おととしより数量は減っているんですが、輸入額は増えています。つまり、輸出量が好調な陰で、農林水産物の貿易赤字というのはおととしより一三%増えているわけです。
輸入についても見なきゃいけないのは、やはり加工貿易の国であるからです。値上がりした輸入原材料から造られるものを多く輸出して、これは加工食品も四割近く占めているわけですから、その結果として生産コストが押し上がっているわけですので、それを含めた名目の輸出額の数字を見ただけでは、農林水産業の利益にどの程度貢献しているのかがやはり見えにくいというふうに思います。
名目の輸出額だけでなく、輸入した、今回特に高騰している小麦や飼料など、原材料の費用を輸出金額から除いた上で、実質の輸出額も算定して、名目と併せて公表する、そしてその実質の輸出額に対して目標設定をしていくという必要があると思いますが、お考えはいかがでしょうか。
○渡邉政府参考人 お答えをいたします。
名目の輸出額と、為替の変動ですとか、あるいは輸入される原材料の価格の変動、そういったものを差っ引きました実質の輸出額というものの計算という御指摘でございますけれども、それはなかなか、統計データを取る問題などもございましょうから、御指摘を踏まえて慎重に検討すべきものかなというふうに考えてございます。
○緑川委員 実は、政府統計ではそれで算出しているものがあります。カロリーベースの食料自給率を計算するときでも、全体から輸入した飼料の分を除いて算出しているわけですから、できないわけではないんじゃないでしょうか。
○渡邉政府参考人 お答えをいたします。
御指摘の畜産物の自給率でございますけれども、これは、飼料の自給率、飼料の国内生産がどれだけあって、飼料を輸入している分がどれだけあってという比率が出ますので、それによって、実際の飼料を使って生産された畜産物のどれだけが国内の飼料に立脚していたかというような計算をするわけでございます。
実質的な輸出額というのを考えるときには、輸入される原材料の価格の変動というのは、これは各品目、いろいろばらばらでもちろんございますし、為替の変動、これはもちろん計算できるわけでございますが、輸入される飼料と国内で生産される飼料の比率を生産される畜産物の生産の自給率に掛けるというほど単純にできるのか、現時点でちょっと知見、答弁を持ち合わせてございませんけれども、慎重に考えることが必要かというふうに考えます。
○緑川委員 必ずしも個々のそうしたものに対しての事実上の計算ができなくても、ある程度の基準を設けてしっかりと推計をするということは可能であるというふうに思います。今後、是非そうした算定方法での検討をお願いしたいと思います。
先ほど、円相場は名目で見てきたんですけれども、3の資料を御覧いただきたいんですが、円の実質実効為替レートについて御覧をいただきます。
ちょっと時間が押してしまったので、左側にある実効レート、これは、ドルを含めた全通貨でそれぞれの通貨に対する円相場とその相手国の貿易額を加味したレートなんですが、これは一五%、名目よりも下がりました。そして、真ん中の日本の物価上昇率、海外と日本の比較では、海外では消費者物価指数がこの二十七年でおよそ二倍に上がっているのに対して、日本の上昇率は五%に届いていません。
その結果として、右側の、円の本当の実力、実質実効レートは九五年と比べて五五%以上も下落していますし、農産物の輸出が増加傾向になったこの十年で見た場合でも、二割から三割、実質実効レートが下がっています。つまり、海外からすれば、高級品とこれまで言われていた日本の農林水産物が、この十年で二割から三割も安く買えるようになったわけです。
二五年に二兆円の目標達成というのも確かに射程圏内にこういう状況では入るのかもしれませんけれども、海外の富裕層向けに多く輸出されるような農林水産物や食品と、一方で、国内で日常的に消費されるものにはずれが生じています。今日、農林漁業者の所得向上につながるかという議論に加えて、輸出向けの生産に力を入れ過ぎれば、国内で一般向けに消費するものとのバランスを欠いてしまうのではないかという懸念がございます。
高い国産の農産物に今なかなか手が出ない、賃金が上がらない、そして、少しでも安価な輸入品を選ぶという傾向が強い中で、消費者が国産国消から離れていかないように、国内外にしっかり目配りをして輸出政策に取り組んでいく必要があると思いますけれども、お考えを伺います。
○渡邉政府参考人 お答えをいたします。
海外に輸出を促進するに当たってはマーケットインでの輸出の促進が重要でございますが、輸出に向けられる産品につきましては、御指摘のとおり、一部国内向けの産品と違いまして、例えば、相手国のニーズに合わせた価格帯のもの、高級品ですとか、あるいはもっと安いものという場合もあるかもしれませんし、あるいはサイズ、日本では規格外のものが外国では意外に、なぜか需要があるといったような、カンショのような例ですとか、あるいは規制の問題がございますので、食肉とかであれば、相手国の基準で認定された施設でなければ駄目だとか、あるいは相手国の添加物規制に対応したものというようなことで、もちろん異なる場合、異なる部分はございますけれども、基本的には日本人が日常的に消費するものと大きな違いはないものではないかということでございますので、例えば何かあったような場合は、輸出向けを国内向けに回すような対応も可能ではないかというふうに認識をしてございます。
○緑川委員 こうした輸出が、生産額に対しての今二%という輸出額ですけれども、二〇三〇年にはこれを五倍以上にする、一〇%にするというわけですから、十個のうちの一個が海外向けになるということであります。ですから、国内の食料の安定供給につながるような、一次産業の生産基盤が維持されるのかどうか、やはり、引き続き注視をしつつ、今後も議論していきたいというふうに思います。
今回の法案で、輸出拡大に取り組む関係者で構成する品目団体を国が認定して支援をするということであります。これまで、品目によって、各産地や事業者が個別に輸出をすることで、一部の国や地域で品物が同じ時期に集中してだぶついてしまったり、過当な競争が起こっていたことを回避するために、認定団体として、品目ごとに関係者がまとまって活動することが期待されています。
その中で、それぞれの輸出先の輸出の時期、数量が調整された場合には、例えば、この国にこれだけの量を輸出したいという会員の意向が必ずしもかなわずに、認定団体の意向に沿って取り組む場合もあるかと思います。
ただ、認定団体として輸出先のニーズを調査したり、また、需要の開拓を行って十分な需要があることが確認できたとしても、その国がコロナの感染の再拡大などで、輸出先による急な規制の影響を受ける場合があります。実際に、香港で年明け以降に飲食店の人数制限などの規制が強化されたことが影響して、日本の牛肉の輸出額が今年の三月は落ち込みました。
産地や事業者への適切な調整が行われて、会員がそれに従って輸出した場合に、輸出先やタイミングによって会員に不利益が生じたり、それによって別の会員との利益に差が生じた場合にはどのように対応されていくのか、伺います。
○渡邉政府参考人 お答えをいたします。
認定団体でございますけれども、業界共通の輸出課題の解決に向けた調査ですとか、オール・ジャパンでのプロモーション、あるいは、商売上の競争ではない、非競争の分野での活動を通じて、産地、事業者を支援して、業界全体の輸出促進に取り組むものでございまして、産地や事業者さんの具体的な輸出先ですとか輸出量の調整などを行う、そういうことは想定をしてございません。
輸出先で御指摘のような不測の事態が発生した場合についてのお尋ねですけれども、確かに、牛肉の例では、コロナの影響で外食需要が落ち込んで巣ごもり需要が増大するといった中で、内食需要を取り込むために、団体と産地、事業者が連携をして、家庭用のスライス肉の市場調査をしたり、実証輸出を行ったりしているところでございます。
これまでも、各事業者が競争する商売的な分野でございますけれども、それはそれぞれの事業者さんが創意工夫を凝らして輸出に取り組んできたわけですけれども、非競争的な分野では、認定団体を通じて、事業者が協力することで全体としての輸出競争力の向上を図っていきたいというふうに考えてございます。
○緑川委員 時間がないので、有機酒類についてお伺いをします。
有機米で造る清酒など、有機食品を原料とした有機酒類はJAS法に基づくJAS規格の対象外でしたけれども、これを規格の対象に加えて、国が品質を保証する形で輸出を後押ししていますけれども、これまでなかった有機酒類のJAS認証を行うために、国内の体制は現状で万全であるのか。そして、現状は認められていても、今後、EUなど有機食品に関心の高い輸出先国から遺伝子組み換え作物に由来しないことなどを求められる可能性、また、その際の対応についてお伺いしたいと思います。
○水野政府参考人 お答えいたします。
有機酒類の認証規格につきましては、外国政府でも有機加工食品と共通のルールとして規定されている例が多く、同等性交渉の進めやすさも考慮して、有機酒類に関するJAS規格は有機加工食品のJAS規格の一部を改正して制定する予定でございます。
このため、委員御指摘の有機酒類のJAS認証の体制についても、現在有機加工食品の認証を行っている登録認証機関が認証を行うことになると想定しております。
委員御指摘のもう一つの点、有機農産物の生産に使用される堆肥については、欧米の規格では、遺伝子組み換え作物由来の堆肥の使用を認めないという厳しいルールになっている一方、我が国の有機JAS規格においては、遺伝子組み換え作物由来の堆肥の使用も例外的に認めるということになっております。
これは、我が国では、堆肥の元となる家畜の飼料の多くを輸入しており、飼料の詳細を海外の生産現場まで遡ることが難しいという事情を踏まえたものでございます。
また、国際基準であるコーデックスガイドラインにおいても、有機農産物の一般的な基準を定めた上で、各国の事情に応じて各国が使用可能と定める資材を追加することを認められております。
EU等から有機同等性交渉の場などで我が国の基準との相違点を指摘されたとしても、このような我が国固有の事情や国際基準での扱いなどを説明して、先方の理解を求めていきたいと考えております。
○緑川委員 今、世界的な需要がやはり有機食品で高まっている中で、輸出先の規格と同等に認められるよう、政府の交渉力、期待したいと思います。
最後に、重点品目である米関係について伺います。
米関係の輸出割合を最も伸ばそうとしている先が中国であります。二〇二五年には一九年実績の四倍以上に増やすということなんですけれども、米については、中国産のコシヒカリも現地で生産されていまして、二キロパックでも、新潟産コシヒカリよりも日本円にして二千円以上安く売られていることがあったり、また、パック御飯については、資料の4の赤線が引いてあるところにあるように、課題がございます。
そして、世界的な小麦不足の中で、日本の米粉の輸出のチャンスが広がっていますし、グルテンフリーで、アレルギー対応食品の市場も活発になっています。
こうした米関係の生産から販売に係る体制の充実、米、パック御飯、米粉についての支援について最後にお尋ねしたいと思います。
○平形政府参考人 お答えいたします。
委員おっしゃるとおり、お米の輸出は大変重要でございまして、オール・ジャパンで、輸出先国、地域の市場調査、それから販路開拓等の取組を進めることにしております。
特に、米につきましては、やはり日系だけではなく、現地系のレストランチェーンですとか輸出事業者の進出が不十分な国、地域、これに対しての開拓、それから、パック御飯、米粉、米粉製品につきましては、市場規模の大きいアメリカ等における需要の開拓だけでなく、委員、今の資料にありますけれども、中国の中でもいろいろな売り方がありますので、そういった輸出先国の需要に合ったような、そういった施設整備等も含めて、市場に合った輸出を進めていきたいというふうに考えております。
○緑川委員 和食のブームというものを更に超えて、海外の食文化に本格的な日本食の浸透が図られる取組、期待したいというふうに思います。
質問を終わります。ありがとうございました。
○平口委員長 次に、住吉寛紀君。
○住吉委員 兵庫県姫路市よりやってまいりました日本維新の会の住吉寛紀でございます。
少し重複するような質問もございますが、質問に移らせていただきます。よろしくお願いいたします。
まず、最初に、輸出五兆円目標についてお伺いいたします。
二〇二一年には、輸出額が一兆円を超えました。稼げる日本を実現するためには、高い目標である輸出額五兆円を実現していくことには異論はございません。今回の法案は、農林水産物・食品輸出促進団体の認定制度の創設や、認定輸出事業者に対する支援の拡充、民間検査機関による輸出証明書の発行など、今後、必要な支援や機動的な輸出体制を構築していく上で重要であると考えます。
そこで、まず確認ですが、輸出額を増やしていく目的と、農林水産業やその従事者にどのような効果が期待できるのか、御所見をお伺いいたします。
○金子(原)国務大臣 国内の食市場が縮小する一方で、世界の食市場は今後大幅に拡大することが見込まれる中で、輸出によりまして海外の成長を取り込み、我が国の農林水産業の維持拡大を図るため、二〇三〇年に輸出額五兆円という目標を掲げています。
我が国の農林水産物、食品の輸出拡大を図ることによりまして、地域農業の維持拡大、国内で取引されない規格外品等の販売による売上げの確保、地域活性化、雇用の創出などにつながるものと考えております。
○住吉委員 是非、その効果をお願いしたいと思います。
地域農業の維持拡大や地域活性化、雇用の促進、こういった効果、本当に期待したいんですが、果たしてそういった効果があるのか、この内訳を見ると疑問があるところでございます。
二〇二一年において輸出額は一兆を超えておりますが、加工食品が約四割を占めております。二〇三〇年目標でも、輸出五兆円に対して加工食品が約二兆円と、非常に高い割合になっております。四割ぐらいになっております。
これは二〇二一年ですが、内訳は、ウイスキーが約四百六十億円、ソース調味料が約四百三十億円、菓子が二百四十億円となっております。食品製造業が供給した加工原料は、輸入原料比率が高く、国産割合が非常に低い。また、大手食品企業が主でございます。これでは、日本の農業と地場産業との関連性は非常に小さいと思われます。
輸出五兆円目標を掲げて我が国の農林水産業の活性化を図る上で、内訳を考察すると、効果が限定的ではないかと考えます。農林水産業者などの生産者によりメリットができるように推進すべきだと考えますが、御見解をお願いいたします。
○渡邉政府参考人 お答えをいたします。
御指摘のとおり、五兆円目標の中で二兆円、加工食品ということで、二〇二一年の加工食品の輸出額は輸出額全体のうち約三七%でございます。
これらの輸出加工食品におけます国産原料の調達割合のデータというのはちょっと存在しないのでございますけれども、輸出加工食品の中には、例えば日本酒のように、国産原料を使用しているというようなものがあるのも事実でございます。
こうした国産原料の使用ですけれども、地域の農林漁業者に安定的な販路を提供いたしまして、その所得の向上につながるものと考えておりますので、引き続き、加工食品も含めた農林水産物、食品の輸出の増大を促進していきたいと思っております。
なお、食品製造業でございますけれども、みそ、しょうゆのように、地域の食文化を反映する日本の強みのある産品が多く存在するということですとか、あるいは、特に北海道や九州、沖縄などの農山漁村地域で、雇用される従業員や出荷額の割合が高いといったことですとか、地域経済の振興の観点からも、食品製造業の振興、そのために輸出を推進していくことには意義があるというふうに考えてございます。
○住吉委員 先ほど来より、各委員からも要望としてあったと思います。是非とも進めていただきたいと思います。
そこで、輸出を進めていく中で重要になってくるのが価格変動リスクです。今、足下は急速に円安が進んでおります。輸出する業者にとっては円安というのは追い風ですが、これが、当然、円高に急激に振れる場合もございます。また、原油価格であったり、また原材料、これを輸入して加工している場合は、いわゆるコモディティー価格、これの影響も大きく受けるわけでございます。
私も様々なところに視察に行きましたが、生産者さんからは、物価の高騰が経営を圧迫しているという話を聞きます。これから輸出を拡大していく中で、このような価格変動リスクに向き合っていかなければなりません。
理論上、これらのリスクをヘッジしながら、価格変動に対しても耐性のある経営を行うことは可能です。しかし、金融の知識を学び、金融リテラシーの向上を一農林水産漁業者が取り組むということは現実的ではないと思いますし、難しいと考えます。むしろ、農林水産漁業者の方々が自分たちの仕事に真剣に取り組みやすい環境を整備して、よりよい生産物を作ったり開発していくことが重要だと考えます。
こういったところは、本来は民間、例えば保険会社とかそういったところがやるべきことかもしれませんが、農林水産漁業者が価格変動リスクを気にせず、安定的な収益を出せるような支援を検討してはどうかと思いますが、御所見をお伺いいたします。
○宮崎大臣政務官 お答えをいたします。
農林水産物、食品の輸出に取り組む際には、委員からお話がございました価格変動のリスクでございますとか、相手先との代金決済における為替のリスクに加えまして、相手国の規制に対応いたしました施設整備の投資を行ってから収益化するまで一定の期間がどうしても必要になってくることでございますとか、相手国の規制が変更されまして、規制に適合するような急な対応が求められること、そういう場合があるというようなことで、特有のやはりリスクが存在をするわけでございます。
輸出目標の達成に向けまして輸出を拡大をしていくためには、こうしたリスクに対応する、経営基盤が強固な事業者の育成が非常に重要だというふうに考えているところでございます。
このため、今般の法改正によりまして、輸出事業計画の認定を受けた事業者に対しまして、長期運転資金など新たな長期、低利の制度資金を創設をするほか、計画に基づく施設等の整備に対する所得税、法人税の特例措置の創設など、支援を強化することとしているところでございます。
また、農業経営を幅広くカバーをいたします収入保険がございますけれども、これにつきましては、為替リスクや価格リスクなど、農業者の経営努力では避けられない収入減少を補償の対象とさせていただいているところでございます。
今申し上げましたような措置を通じまして、リスクを取りながら果敢に輸出に取り組んでいただく、規制やニーズに対応した事業者の育成に努めていきたいと考えております。
○住吉委員 ありがとうございます。
いろいろなメニューがあるということです。これから輸出を進めていくということで、様々な価格変動リスクがあると思います。これで対応できないケースも多々出てくると思いますし、急激に変わった場合には資金が底をついてしまう、そういうようなケースもあると思います。
そういったことを、これからの課題かもしれませんが、金融という力を使って、一定の収益を見込めるような、そういう仕組みをつくっていくことも可能だと思っています。これは今後の課題にしていきたいと思います。また引き続き議論させてください。
次の質問に移りたいと思います。
次に、米の輸出についてお伺いいたします。
四月十三日に参考人質疑をさせていただいた際に、キヤノングローバル戦略研究所主幹、また経済産業研究所上席研究員の山下様より様々な御意見を頂戴いたしました。
かなり辛辣な意見もございまして、水田を水田として利用しないことに補助金を与える米の生産調整政策は、水資源の涵養や洪水防止という多面的機能を損ない、水田を壊廃して食料安全保障を害し、水田面積は百万ヘクタール以上も減少した。今輸入が途絶えたら、小麦、牛肉、チーズや、輸入穀物の加工品や、さらに、飼料を輸入に頼っている国産畜産物ですら食べられなくなる。終戦時は、人口七千二百万人で、農地面積は約六百万ヘクタールでしたが、現在は、一億二千万人で、農地面積は四百四十万ヘクタールと、減少の一途をたどっております。山下さんいわく、最低限、一千四十万ヘクタールが必要で、国内で七百万トン、また輸出八百万トン、合計一千五百万トンの米を作ることで、平時の輸出は無償の食料備蓄の効果もあるとのことです。
少し極端な意見かもしれませんが、昨今の世界情勢を見ると想定外のことが発生しており、様々な状況を考慮していく必要がございます。
食料自給率の向上を目指す上でも米の海外市場への拡大は必要不可欠だと考えますが、どのように今後取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いいたします。
○平形政府参考人 お答えいたします。
国内の主食用米の需要が減少する傾向が続いている中で、主食用米から麦、大豆、野菜など需要のある作物への転換を図っているところでございますが、海外の需要拡大を通じた輸出の促進を図ることは、国内の生産力を維持拡大し、ひいては食料自給率の向上にも寄与するという観点でも重要というふうに考えております。
このため、二〇二〇年に取りまとめました輸出拡大実行戦略では、米・パック御飯・米粉及び米粉製品を重点品目の一つとして選定しまして、二〇二五年輸出額百二十五億円へと伸ばす目標を設定しております。
この達成に向けて、マーケットインの発想が重要というふうに考えておりまして、オール・ジャパンで、輸出先国、地域の市場調査、販路開拓の取組を進めることによりまして、品目ごとには、米につきましては、現地系のレストランチェーンですとか輸出事業者の進出が不十分な国、地域など新たな市場を開拓すること、また、パック御飯、米粉、米粉製品につきましては、市場の規模の大きいアメリカ等における需要の開拓、これを図ることとしております。
さらに、農林水産物・食品輸出促進団体を中心としたプロモーションの強化などによりまして、更なる輸出の促進に努めていきたいと考えております。
○住吉委員 マーケットインの発想が重要であると御答弁がございました。本当にそうだと思います。
国内の需要も喚起していかないといけないと思いますが、先日来より、各委員からも、日本での米離れが一段と進んでおり、お米を食べようというようなキャンペーンも必要ではないかというような議論もございました。
我が党の空本理事も、米の需要を少しでも上げるため、毎日お米を食べていると聞いております。
私の地元兵庫県でも、長引くコロナ禍で外食等を中心にお米の消費が低迷している状況の中、兵庫県産米の消費喚起のため、おいしい御飯を食べよう県民運動、兵庫県産米を食べて、兵庫の農家を応援しようというキャンペーンをしております。これはどういうものかといいますと、兵庫県産米の販売店舗でお米を購入して、兵庫県産米の袋に表示されている食品表示欄又は購入したレシート、これを封筒に入れて応募した方に対して、兵庫県のおいしい特産品、神戸ビーフ、日本酒、タマネギを、これは抽せんですが、プレゼントするというものです。
これが実際、どこまで効果があるのかということなんですが、行政がこのようにお米を食べようと呼びかけたところで、なかなか日本人の食生活、今、パンとかパスタなどがもう当然、生活の一部に取り入れられております。こういう、ある意味、少し上から目線の効果というのは限定的なのではないかと思ってしまいます。
逆に、今の日本人の食生活に合わせて、食料自給率の向上にもつながる米粉を活用していく方が政策として合っているのではないかと考えております。さらに、現在は輸入小麦が高騰しており、米粉は、国内で自給でき、健康志向の消費者にもグルテンフリーであるということで注目されております。
単なる輸入小麦の置き換えではなくて、米の強みを生かした商品開発を行っていくことで国内外の需要を増やしていくことが可能であると考えますが、どのように商品開発や支援に取り組んでいかれるのか、米粉について、御所見をお伺いいたします。
○平形政府参考人 お答えいたします。
現在、小麦は約八五%が輸入ですが、国産米粉を活用して輸入小麦の需要の一部を置き換えることは、食料の安定供給の確保からも重要な課題というふうに考えております。
しかしながら、米粉は、最終的にはパンや麺等として消費者が消費するものでございますので、消費者が好んで選択していただける商品を造ること、これが需要拡大には一番大事だと考えております。
このようなことを踏まえ、農林水産省といたしましては、粒子が細かく良質な米粉になる品種の開発、普及、それから、加工コストの低減に資する米粉製品の製造施設の整備への支援、また、海外需要も視野に入れた、日本産米粉の特徴を生かしたノングルテン米粉のJASの推進それからプロモーション等に対する支援等の取組を行ってきたところでございます。
さらに、今般の総合緊急対策におきましても、消費者ニーズに合った新商品の開発ですとか施設の導入等を加速化することとしておりまして、これらの支援を通じて、国産米粉の需要の拡大、生産拡大、これを図っていきたいというふうに考えております。
○住吉委員 是非進めていただきたいと思います。
ちょっと時間もないので、最後、質問させていただきます。最後に、輸出重点品目、この選定基準についてお伺いいたします。
私が県会議員のときに、鹿児島県に県産木材の利活用について視察に伺った際に、この材木が中国や韓国に向けて輸出のニーズが非常に高いというお話を伺いました。主に棺おけや家具に用いられているようですが、距離的な優位性から、ニーズに全く追いついておらず、どんどん切り出せば買われていくというようなお話を聞いております。
一方で、日本の林業の状況を見ると、林業自体がもうかりにくい産業であり、林業従事者によって管理が行き届かない人工林は放置され、その結果、大雨や台風による土砂災害を引き起こし、国民の命や財産を脅かす可能性がございます。
林業の振興の観点からも、木材の輸出というのは、川下のニーズを増やしていく手段として有効であると考えられます。実際に、二〇二一年の丸太の輸出額は約二百十一億円と、前年比二八・九%増となっており、非常に顕著に推移しております。
一方で、輸出重点品目には製材や合板が含まれておりますが、丸太は含まれておりません。丸太は海外で評価され、輸出拡大の余地が非常に大きいと思いますが、先ほど来より繰り返しになるかもしれませんが、どのような基準で輸出重点品目を選定しておられるのか、また、この品目は定期的に見直されるのかについて、お伺いいたします。
○天羽政府参考人 お答え申し上げます。
輸出重点品目についてでございます。
これは品目全体についてということでありますけれども、品質など海外で評価される日本の強みがあり、輸出拡大の余地が大きく、関係者が一体となった輸出促進活動が効果的といった基準で選定をしており、現在、二十八品目が選定されております。
この輸出額の目標のうち、林産物の内訳は、二〇二五年、七百十八億円というふうにしておるわけでございます。
重点品目の選定時の検討データとして使用いたしました二〇一八年の林産物の輸出額は三百七十六億円、品目別には、丸太が百四十八億円、製材が六十億円、合板が六十七億円ということでございますが、一方、FOB価格、輸出額を輸出量で割った金額であります、二〇一八年ですけれども、一立米当たり、丸太が一万三千四百円、製材が四万円、合板が五万円ということでございまして、林産物の輸出額を拡大していくためには、低価格な丸太中心の輸出から、付加価値の高い製材、合板製品の輸出を促進していくことが重要と考えてございまして、林産物では製材、合板を選定しているところでございます。
なお、輸出重点品目につきましては、基準を満たした上で、現場からの自主的な取組や要望が確認された場合には、追加について検討を行うということでございます。
○住吉委員 ありがとうございます。
終わります。
○平口委員長 次に、空本誠喜君。
○空本委員 日本維新の会、空本誠喜でございます。よろしくお願いします。
先ほど来、米の話とか重点品目とか、そういう話が出ておりまして、私の立場からは、輸出拡大に関して、水稲の転作奨励をされていますが、それとの関係を含めて御質問させていただきたいと思います。
先ほど、渡辺委員からも重点品目について質問がありましたし、また、住吉委員の方も、この選定の方法というのを今お聞きしました。日本酒とか、グルテンフリーを実現できる米、米粉等の製品。
これはちょっと質問通告していないんですが、有機米というのは、やはりこれは、米に入りますので、強く推していく輸出品目と考えてよろしいですかね。どうですか。
○渡邉政府参考人 お答えをいたします。
輸出重点品目でございますけれども、米・パック御飯・米粉及び米粉製品というものも含まれておりまして、有機米もその一部であると考えてございます。
○空本委員 ありがとうございます。
私の方からも、重点品目をどのように選定するかという質問をさせていただく予定だったんですが、先ほどお答えいただいておりますので、ここで割愛させていただきたいと思います。
その中で、日本酒とか米粉、酒米、また有機米、こういったものを今、土地改良に併せてどんどん奨励していただいて、土地改良をうまくスムーズに進めていただきたいなというふうに考えているんです。
その中でまた、今、ウクライナ情勢を踏まえて、小麦の高騰。ならば、国内においても小麦の生産を拡大させ、そして国内消費、その国内産の小麦をどんどん消費してもらうような活動、こういったものを、転作奨励に関して言うと、やはり、農家の方々は、手間がかからないものがいいと。転作するに当たって、新しい農産物をやるといったって、すごく手間がかかります。また、設備も入れなきゃいけない。大変困っていらっしゃるという状況でありますので、そういった、普通の、農薬を使う米から有機米に持っていくとか、それでいろいろ策を農水省の方には考えていただきたいなと思っております。
その中で、土地改良における転作奨励、三月二日と三月十五日に私の方から確認させていただきました。水稲から農産物、普通の野菜に替えるという話、でも、水稲でも容認いただけるのではないかなという話でございましたけれども、地域の実情に応じた様々な内容、水稲も容認というように私は理解したんです。
その中で、今お配りした配付資料がございます。表面、地域から様々な声が上がっております。水稲から、米から白ネギに替えるとか、そういった話の中では、やはり、この地域は水稲でなければならないし、野菜の導入は反対である、本当は。逆に、あった話が、これは義務的な思いでやっている、高収益に全くなっていない。例えば三番目に書いている認定農業者さん。設備、機械を百五十万入れました、売上げは幾らだったかというと三十万。百二十万も赤字なんですね。そういった意味で、大変厳しい状況にあるということでございます。
そういった意味で、転作奨励、水稲から野菜でも、できればいいんですが、できない、そういった状況。
水稲から水稲、例えば有機米に替えるとか、そういったことでもよろしいんでしょうか。
○牧元政府参考人 お答えを申し上げます。
営農計画につきましては、事業主体でございます県、また受益者である農家、農業関係機関が一体となって、将来の地域営農の方向性を十分に検討した上で、受益農家の意向を踏まえた営農計画を策定するとなっているところでございます。
今、地域の声ということで御紹介をいただきましたのは広島県の安宿地区というふうに承知をしておりますけれども、この地区におきましては、営農計画を基本とする事業計画に基づきまして事業が実施をされまして、令和三年度までに九割以上の工事が完了しているというふうに承知をしているところでございます。
そのような中、今委員からは、営農計画に沿った作物の作付が困難との声があるのではないかという御指摘かというふうに思います。
このような声がある場合には、本事業の効果が適切に発揮されますよう、事業実施主体であります広島県、また生産農家、JA等関係機関におきまして適切な作物を協議をしていただくということが大変重要と考えております。
農林水産省といたしましても、担い手の収益力の強化に向けまして、整備した農地が継続的かつ適切に利用されますように、広島県等に対し必要な支援を行ってまいりたいと考えております。
○空本委員 是非、適切な支援をお願いいたします。
次に、配付資料の裏面にありますが、圃場整備している地域、河川がありまして、しゅんせつ工事等をしなきゃいけない時期に来ています。また、土砂が堆積することによって河川がもういっぱいいっぱいになっている。また、下の方は、こちら、治山ダムなんですが、治山ダムも、砂がもうたまってたまって、いつでもあふれる、その下には民家もございます。
こういった中で、やはり、しゅんせつについて、圃場整備と一緒にうまくやっていただく、これは国交省さんと農水省さん、また治山ダムについては林野庁さん、しっかり行っていただきたいと思うんですが、まず農水省さんと国交省さんの方から、圃場整備に関して、河川のしゅんせつ、こういったところをどういうふうにされるか、また、林野庁さんの方から、こちらの治山ダムについて、今後どう対応されるか、御回答をお願いいたします。
○牧元政府参考人 お答えを申し上げます。
農地整備事業の実施に当たりまして、隣接する河川の安全度を確認をするということは大変重要でございまして、農林水産省といたしましては、河川管理者を含む関係者と適切に協議、調整が進むよう、広島県等に対して支援を行ってまいりたいと考えております。
○天羽政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘の、治山ダムに異常堆積した不安定土砂等が下流の集落等に被害を及ぼすおそれがある場合について、支援策といたしましては、次の二つがございます。一つ目が、治山事業の流木防止総合対策事業でございます。もう一つが、地方財政措置であります緊急浚渫推進事業債においてでございます。
いずれにいたしましても、県からの要請があれば、それを踏まえて必要な支援を行ってまいりたいと考えております。
○高橋政府参考人 お答えいたします。
議員より御指摘がありました沼田川水系椋梨川における農地整備と河川整備の調整に当たりましては、農地に隣接する河川の安全度や今後の河川整備のスケジュールについて、広島県の農政担当部局も含めた関係者が一堂に会する流域治水協議会において、情報共有を図り、各事業との調整を適切に行っていくことが重要であると考えております。
流域治水協議会等の議論を踏まえて河川管理者である広島県が検討されると考えており、国土交通省として、必要に応じ技術的助言を行ってまいります。
○空本委員 是非、農水省、国交省連携して、協力して、よろしくお願いいたします。
ありがとうございました。
○平口委員長 次に、長友慎治君。
○長友委員 国民民主党の長友慎治です。
私からも、まず最初、農林水産物の食品輸出促進団体の認定制度について一つ御質問させていただきたいと思います。
輸出品目ごとに、生産から販売に至る関係者が連携して、輸出の促進を図る法人を認定農林水産物・食品輸出促進団体、品目団体として認定して、政府が支援するということに関しては、全く異論はありません。
その認定された団体が、では、何をするのかというところを見ていくと、法案の概要等ではこのように説明があります。
輸出先国でのニーズ調査等の調査研究や商談会参加等の需要開拓、輸出事業者に対する情報提供を行うほか、必要に応じて輸出促進のための規格の策定などの業務を行うという説明になるんですけれども、これは、見ていくと、これまで、経済産業省のジェトロであったり、そのジェトロの一組織である日本食品海外プロモーションセンター、JFOODO、それからまた、三年前に立ち上がった農水省のグローバル・ファーマーズ・プロジェクト、GFPなど、既にある、既存の組織の活動とかぶるというか、そこが担ってきたんじゃないかなというふうに思う気もします。
そうなると、この認定団体さんがやるべきことと、これまでの既存の組織の、それぞれの役割分担と整理ということを一度明確にお示しいただきたいと思うんですが、政府の見解を伺いたいと思います。
○武部副大臣 二〇二五年二兆円、二〇三〇年五兆円の輸出目標の達成に向けては、海外市場で求められるスペックの産品を専門的に生産、輸出し、あらゆる形で商流を開拓するマーケットインの体制整備が不可欠だと考えております。
このため、今お話にあった品目団体ですけれども、日本の強みを発揮できる品目について、品目ごとに、生産から販売まで関係者が連携して、業界一体となって輸出拡大に取り組むいわゆる品目団体には、業界の中心的な役割を担っていただく団体として、輸出促進活動を担っていただくことを期待しております。
今お話にあった各組織でございますけれども、まず、GFPですけれども、輸出意欲のある産地、事業者の発掘と国内での支援を行っていただきます。このGFPには、品目団体の構成員等でもあります産地や事業者への輸出診断等の国内での支援をお願いしています。
ジェトロでございますけれども、これは、輸出事業者への販路構築に向けた支援を行っていただきます。商談会や見本市を通じた販路の開拓を支援し、調査事業を実施していただくということです。
それで、最後ですけれども、JFOODOですが、JFOODOには、海外消費者へのプロモーションを行っていただきますが、連携したプロモーション事業の実施など、品目団体への機能的な支援を行う役割を期待しています。
いずれにしましても、各組織が連携して取り組むことで、更なる輸出拡大を加速してまいりたいと思っております。
○長友委員 ありがとうございます。
各組織が連携して、オール・ジャパンで輸出拡大に当たっていくという答弁をいただきました。
理解はできましたので、それぞれの持ち場と役割をしっかりと果たしていただきまして、縦割りがないように、また、たらい回し等がないように、それぞれが矢面に立って力強く輸出拡大に取り組んでいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
続きまして、農林水産物、食品の輸出先で販路を開拓する輸出支援プラットフォームにつきましての質問です。
五月十六日に、フランスのパリで一つまた立ち上がりました。今年の四月以降、アメリカ、タイ、シンガポールと輸出支援プラットフォームを設立し、五月十六日のフランスで欧州初の設立ということになりました。ベトナムでも今年度中の設立を目指しているというふうに聞いていますが、さらに、今後はどの国、地域でのプラットフォーム設立を検討しているのかについて伺います。
○渡邉政府参考人 輸出支援プラットフォームですけれども、在外公館やジェトロ、JFOODOなどが現地の事業者と協力して立ち上げまして、現地発の輸出促進活動を戦略的に行う主体として順次立ち上げてきております。
今日までに、輸出支援プラットフォームですけれども、アメリカ、タイ、シンガポール、欧州という四か国・地域で立ち上がったところでございます。
今後は、二〇二三年度までに、ベトナム、香港、中国、台湾を加えた八か国・地域において順次立ち上げることで、体制を整備していきたいというふうに考えております。
○長友委員 ありがとうございます。
もう一つ、済みません、更問いで恐縮なんですが、先ほど私からも御指摘させていただきましたように、これまでもジェトロ、そしてJFOODO、またGFPとがあった中で、改めてこのプラットフォームをそれぞれのターゲット地域が設立する、その必要な理由について、一度教えていただけないでしょうか。
○渡邉政府参考人 お答えをいたします。
従来からも、現地、アメリカですとかタイですとか、そういった現地には在外公館ですとかジェトロがございますし、一部にはJFOODOのような機関もございます。
ただ、これらの機関の方々は基本的に日本から行っておりまして、三年とか、やはり数か年で交代して帰国されるというような、継続性の問題がございますし、それから、現地の規制とかの専門的な知識が必ずしもあるかといいますと、なかなか、専門的な知見を持った、現地に精通しているようなことがあるかといいますと、必ずしもそうではなかったという課題がございます。
そこで、在外公館やジェトロといったような機関が中心となりまして、あとは、そこに、実際に海外で事業される方には、もうかなりの長い期間、海外で事業をされておられる方もございます、あるいは大学の先生ですとか現地の規制とかに詳しいような方ですとか、そういった方もおられますので、そういった方のネットワークを活用いたしまして、また、現地でローカルスタッフを継続的に、数年で帰ってくるような日本からの職員というわけではなくて、現地で何年にもわたって、例えば輸出のアドバイスをしていただくような方をローカルスタッフとして雇用などをいたすことによりまして、現地発で、現地に合った、本当にマーケットインの戦略的なプロモーションの発案ですとか、そういったことがやれるようにするというのが大きな狙いでございます。
○長友委員 ありがとうございます。
輸出の拡大を促進するに当たって必要不可欠だということが分かりましたので、是非しっかりと機能をしていただきたいと思うんです。
御答弁の中で、今後プラットフォームをつくる場所が中国であったり、香港、台湾ということを御説明いただきました。まさに私たちのお隣の国、アジアへの輸出拡大を目指すというふうに理解をしたところですが、輸出には、やはり輸送コストという部分で、原油高が続くことが予想される中、農作物の輸出拡大を目指すのであれば、輸出に係る費用を低コスト化していくということが必然になってまいります。
そこで、私が注目しているのが、国交省が船便を使った農作物の輸出で混載輸送の試験を行っているということになります。先日は、リンゴのような大口の品目の入ったコンテナの空きスペースに輸出量の少ないメロンなどの小口の品目を混載する試験をしたというふうに聞いております。
そこで、国土交通省に伺いたいんですが、これまでの試験の結果と今後の混載輸送についての取組について教えていただけますでしょうか。
○遠藤政府参考人 お答え申し上げます。
国土交通省港湾局におきましては、二〇三〇年の農林水産物、食品の輸出額を五兆円とする政府目標の達成に向け、農林水産省と連携をし、施設整備や実証事業等の取組を行っております。
これまで、船便を利用した農水産物、食品の輸出促進に向けて様々な混載輸送試験を実施をし、鮮度保持状況等についての確認を行ってまいりました。
その一つとして、昨年度、阪神港におきまして、市場関係者や物流事業者の声を踏まえ、通年で安定した量を輸出している大口貨物であるリンゴに、単独では少量のために輸出されにくいメロン等の小口貨物を混載した輸送試験を実施をし、小口貨物の品質確保及び梱包方法の有効性を確認しているところでございます。
国土交通省といたしましては、今後、これらの試験結果等を踏まえながら、混載作業時にもコールドチェーンの確保ができる温度・衛生管理が可能な施設や水産物輸出のための屋根つき岸壁等の整備など、農林水産物の効率的な流通の確保等に向け、農林水産省と連携をして、しっかり取り組んでまいります。
○長友委員 ありがとうございます。
混載輸送について、前向きにまたこれからも取り組んでいただけるということで、是非お願いしたいところなんですけれども、農水省にも伺います。
物流コストを下げるための農水省としての取組がありましたら教えてください。
○水野政府参考人 お答えいたします。
輸出に係る物流コストの引下げにつきましての農水省の取組でございます。
昨年度、農林水産省では、神戸港、京浜港から輸出されることが多い南九州産の青果物の輸出について実証事業を行ったところでございます。その結果、野菜の混載により志布志港からの輸出ができれば、神戸港との比較で国内輸送費を抑えられる上、海上輸送費に大きく差がないことから、トータルで輸出コストを抑えられることなどが明らかとなりました。
今後は、この実証事業の結果も踏まえながら、大ロット化、混載を始めとする輸送コスト低減の取組を一層進めるため、輸出産地、物流事業者、行政等が参加して情報を共有するためのネットワークの形成、複数の輸送ルートの中から商品、物流、時期などに応じた最適な手段を特定するための実証を支援するなど、経済的かつ安定的な輸出物流の構築に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
○長友委員 ありがとうございます。
いろいろな物流コストを下げるための取組を進めていただいているということで、これからターゲットとしていただいている中国、香港、台湾は、私が住む、出身の九州から非常に近い国々になります。九州に住む人間としては、地元の港から輸出が拡大することを期待しておりますので、是非、引き続き、船便の空きスペースを活用した混載等の実用化に取り組んでいただきたいなと思います。
次の質問に行きたいと思います。
世界の市場を相手にした際に、マーケットということで、イスラム市場への輸出を想定することもこれから議論をしていくことが大事なのかなと思っています。
つまり、ハラル対応ということになりますけれども、このハラルが、国や地域での解釈が異なったり、どの国でも通用する認証がない中で、なかなか輸出促進に向けての統一した取組が難しい部分があるのかなと思う一方、イスラム市場の魅力、非常に若い世代が多く、今後も市場の伸びが期待できる、また、イスラム教徒の皆様が将来的には世界で最も信者数の多い宗教となるということが予測されている中、政府として、ハラル向けの輸出促進をどのように支援していくのかについて伺いたいと思います。
○渡邉政府参考人 お答えをいたします。
ハラル認証制度につきましては、御指摘のとおり、世界で統一された基準はなくて、国ごとに制度や基準が異なるということでございますので、基本的に、輸出先国ごとにハラル認証制度に対応していく必要があるということだと考えております。
このため、農林水産省といたしましては、輸出先国のハラル認証を含めた規制についての情報を輸出の事業者さんへしっかりと提供するというような取組をしておりますし、また、輸出先国のハラルを含む規制に対応するために必要な施設の整備、例えば、ハラル認証を受けるために必要になる施設ですとか、あるいはHACCP認定も含めましてですけれども、そういった施設整備、あるいは、そういう認証の取得に必要となる経費などについても支援メニューを準備をしてございます。
こうした支援メニューを、GFPの取組などを通じまして、ハラル市場への輸出に取り組む産地や事業者さんへ提供することで、マーケットインに基づく産地の育成を進めて、輸出拡大を推進してまいりたいというふうに考えてございます。
○長友委員 ありがとうございます。
輸出重点品目、二十八品目ということですけれども、その品目団体同士の連携とか、また、ハラル向けのオール・ジャパンでの活動ということも、支援も必要になると思いますので、その辺り、引き続き今後も議論をさせていただきたいと思います。
今日は、私の質問は以上で終わります。ありがとうございました。
○平口委員長 次に、田村貴昭君。
○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。
農産物輸出促進法の改正案に関連して質問をします。
まず、輸出促進に関連する予算について、二〇二一年度の補正予算と二〇二二年当初予算の額について、その合計について、幾らになっていますでしょうか。
○渡邉政府参考人 お答えをいたします。
輸出に関連する輸出促進の予算といたしましては、マーケットイン輸出のための輸出産地、事業者の育成ですとか、ジェトロなどを通じた海外需要の開拓ですとか、海外の規制に対応するための施設整備や認証への対応といったような支援を行っておりますけれども、こういった関係の経費、予算でございますが、令和三年度補正、令和四年度当初で、まず、令和三年度補正におきましては四百三十三億円、令和四年度当初予算では百八億円ということで、合計五百四十一億円ということでございます。
○田村(貴)委員 その多額の予算に見合った成果が出ているのか、ここが大変大事なところであります。
現在の食料・農業・農村基本計画の「施策の推進に当たっての基本的な視点」では、輸出拡大の目的についてどのように記述されているでしょうか。
○渡邉政府参考人 お答えいたします。
令和二年三月に策定をされております食料・農業・農村基本計画におきまして、「輸出拡大の目的は、海外への販路の拡大を通じて農林漁業者の所得向上を図ることであり、国内生産の増大を通じて、食料自給率の向上に寄与する。」というふうに記載をされております。
○田村(貴)委員 輸出拡大の目的は農林漁業者の所得向上と食料自給率の向上、ここを確認しておきたいと思います。
ところが、参議院の審議で、我が党の紙智子議員が、農家の利益は上がったのか、所得が増えたのかという質問をしたところ、金子大臣は、農林水産業全体の所得に目に見える効果はまだ大きくありませんと答弁されたわけであります。
農産物、食品の輸出額は、十年前の二〇一二年、四千四百九十七億円だったんですけれども、二〇二一年は一兆二千三百八十五億円と倍増しています。なのに、なぜ、農家の所得と自給率の向上に対する効果がまだ大きくないのか。一兆円の中身をよく見る必要が出てまいりました。
配付資料1の上の表を御覧ください。
二〇二〇年の農林水産物、食品の輸出額九千二百十七億円の内訳を見てみますと、加工食品が三千七百四十億円と四割を占めています。しかし、加工食品の原料が国産の農林水産物でなければ、所得向上にも自給率向上にもつながってまいりません。
お尋ねしますけれども、加工食品のうち、原料として国産農林水産物が使われた割合はどれだけなんでしょうか。
○渡邉政府参考人 お答えをいたします。
輸出される加工食品につきまして、原料に国産農林水産物がどの程度使われているかという割合でございますが、そういった割合に関するデータはございません。
ただ、令和三年に、聞き取りベースではあるものの、約七百社の食品製造業者に対しまして、これは国内向けも含めてのお話でございますが、国産原料の使用割合を調査したところ、国産原料の使用割合につきましては、七〇%以上が三二%と最も多く、次いで、一〇%未満が二一%、一〇から三〇%未満が一九%、三〇から五〇%が一二%というふうになっております。
業種別に見ますと、畜産食料品の製造業ですとか農産食料品の製造業で国産原料の割合が比較的大きくなっている一方で、パンですとかお菓子の製造業や動植物油脂の製造業では国産原料の使用割合は比較的少なくなっているという調査がございます。
また、原料に国産農林水産物を使った加工食品の輸出の事例は多々あるわけでございまして、例えば、兵庫県で、国産大豆を使用して、オーガニックの付加価値を利用してみそやしょうゆを輸出している事例ですとか、宮城で、地元農家と大豆の栽培契約を結んで、国産大豆を使用して乾燥した納豆を輸出している事例とか、そういった事例はございますけれども、御指摘のデータはございません。
○田村(貴)委員 そのデータがないことがやはり問題だと思います。
七割という話もあったんですけれども、輸出加工食品に使う原料の国産率ですね。また、資料で加工食品の内訳を見ているんですけれども、例えば、ウイスキーに使われる麦、これは国内自給率は低いですよね。しょうゆに使う、みそに使う大豆だってそうです。ソース混合調味料、清涼飲料水、国産率は七割には遠く及ばないと思います。
穀類等は五百十億円になっています。内訳を見ると、小麦粉、即席麺、米、うどん、そうめん、そば、その他となっています。これらの国産率については分かるでしょうか。
○渡邉政府参考人 お答えをいたします。
輸出される農林水産物、食品のうち穀物等に分類されているものには、御指摘のとおり、米ですとか、パック御飯、小麦粉、うどん、そうめん、そばといった麺などがございます。
これらのうち、加工されている品目につきまして、原料に国産農林水産物がどの程度使われているかといった割合を示すデータもございません。
○田村(貴)委員 やはり小麦粉については小麦粉の自給率を反映しているはずです。即席麺、うどん、そうめん、そばについても自給率は相当に低いはずであります。米に関しても、絶対にミニマムアクセス米が輸出されていないとは言い難いと思います。国産率はかなり低いのではないかと推測されますけれども、やはりこの国産率をつかまないと議論にならないのではないでしょうか。
金子大臣にお伺いします。是非聞いていただきたい。ここは大事なところなんです。
原料の国産割合を正確に把握しないと、基本計画の目的にある農林漁業者の所得向上の効果は検証できないし、食料自給率の向上も展望が見えてこないのではないでしょうか。そして、基本計画でも、合理的根拠に基づく施策の立案と、政策効果に着目した達成すべき目標の設定、EBPMを定めています。しかし、ベースとなるエビデンスがなかったら、政策が立てられないのではないでしょうか。実際、輸出は倍増しました。しかし、農家の所得は、二〇一七年、それから二〇一八年、二〇一九年と下がっているわけです。まずは正確な国産率をつかむべきではないでしょうか。
そして、大臣にもう一つ検討していただきたいのは、国産率の実態が分からない、そうした加工食品はやはり除外してカウントすべきだ、また、小麦や飼料など、輸入原材料を輸出額から控除することも併せて提案したいと思いますが、いかがでしょうか。
○金子(原)国務大臣 輸出されている加工食品については、原料に国産の農林水産物が使われている割合についてのデータはありませんが、農林水産省といたしましては、国産原料を使用して輸出を拡大している加工食品事業者の事例があることから、そうした事例を積極的に収集していきたいと考えております。
また、加工食品の国産原料の使用割合を把握するため、今年から複数の品目でサンプル調査を行うことを検討してまいります。
なお、食品製造業は、みそ、しょうゆのように、地域の食文化を反映する日本の強みのある産品が多く存在すること、特に北海道や九州、沖縄などの農山漁村地域で、雇用される従業員や出荷額の割合が高く、地域経済の振興の観点からも重要であることから、食品製造業の振興のために輸出を推進していくことが意義があると考えております。
○田村(貴)委員 資料2の下の表は、北海道大学農学部の研究です。これは、産業連関表を用いて国内の農林水産業における生産物の輸出額を算定したものであります。その額は、二〇二〇年の輸出額九千二百十六億円に対して、農林水産業は一千二百九十億円にすぎなかったとされているわけであります。
こうなると、農林水産業の生産者の実感にも合う数字ではないかと思うわけです。
今度の法改正におけるように、個々の産地や農業者などの輸出拡大の努力を政府が支援することは、これは大事であると私たちも考えます。しかし、冒頭申しましたように、五百四十一億円の予算を投じて、農家の所得向上もごくごく一部に限定的である、加工食品の国産率も分からない、こうした輸出促進戦略では、生産者、国民の理解は得られないのではないでしょうか。
盛りに盛って、輸出額一兆円突破、二〇三〇年五兆円という数字だけが独り歩きする、それではやはりいけないと思います。きちんとした数字を出してほしい。むしろ、一兆円とか五兆円とかいう数字よりも、日本の農産物を外国の方が食べていただいて、農家の所得が上昇した、あるいは食料自給率が目に見えて上がった、そうした数字の方が歓迎されるのではないか、私はそういうふうに思うわけであります。
大臣、これは通告していないんですけれども、ちょっと聞いてください。
共同通信アグリラボの石井勇人所長が農業新聞に書いた記述があります。二月十三日付なんですけれども、輸出額の増加の最大の要因は十年前と比べて二割、三割増加した円安だと、先ほども議論がありました、指摘した上で、このように書いておられます。ちょっと聞いてください。
少数の富裕層が消費する高級品を生産、輸出する一方、和牛に見られるような、消費者の多くは高級な国産品に手が届かなくなり、少しでも安い輸入品を選び、国際分業と国内分断が加速している、日本の農業が国民の食よりも海外の富裕層の飽食に奉仕する構図だ、既に和牛や高級果実などでは普通の消費者には手が届かない、今、こういう加工型貿易が輸出促進の象徴になっているという記事でありました。
日本の農業の在り方として、大臣はこの指摘をどのように思われるでしょうか。私は、何か矛盾した状況になっているというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○金子(原)国務大臣 私は、地方自治体が、もう十数年前から、地域の特産を売り込むということで、香港とか北京とかにいろいろな事務所を設けて積極的にやっております。そういうことを考えていくと、やはり地域の農産物、地域でできた食品、加工品を積極的に売り込むことによって地方の創生を図りたいという気持ちもあると思うんですよ。したがって、一概に否定する必要はないんじゃないか。当然、輸入したものを使って、食品加工で輸出します。それは地域の雇用につながっているわけですから。
それと、もう一つは、私も今回ずっと視察に行きまして、日本のイチゴとか、そういった農産物、また野菜も、結構、シンガポール、タイで売られているんですよ。だから、いろいろと現状を見てみると、そういった農産物が輸出されてそういった地域で売られていることを考えてみますと、個々の農家のためには非常に役に立っていると私は思うんです。
統計的な数字が出ていないということについては我々も反省しなきゃなりませんが、今後、そういった輸出の拡大というのは、地域の農業にとって、水産業にとって、私はプラスになるというふうに考えておりますので、いろいろな考え方、また見方もあると思いますが、今後、我々も努力をしていきたいと思っております。
○田村(貴)委員 これは農林水産省の基本中の基本文書ですね、食料・農業基本計画。ここで、輸出拡大の目的は、農林漁業者の所得向上を図ることと食料自給率の向上に寄与するということですね。ここがやはり導き出されないといけないというふうに考えます。
輸出戦略は金額ではなくて中身、その本質が問われている、そのことを指摘して、質問を終わります。
○平口委員長 次に、北神圭朗君。
○北神委員 有志の会の北神圭朗でございます。
輸出促進法に関連して、まず、技術的な問題というか、ちょっと細かい話を聞きたいと思います。
まず最初に、先ほども何回も出ていますけれども、重要品目リストというのが二十八あって、これに基づいて、認定団体というものをつくって、その認定団体が皆さんと一緒に連携をして輸出拡大に向けて頑張る、簡単に言えばそういうことだと思うんですが、この二十八品目を、追加することも可能だというふうに先ほどの質疑で聞きました。私、それを質問しようと思ったんですけれども、答えが出てしまったので。
聞きたいのは、誰が決めているんですかね、この認定というのは。先ほど閣僚会議とかおっしゃっていましたが、閣僚会議というのは、大臣たちが決めているわけですか。それをちょっとお聞きしたいと思います。
○渡邉政府参考人 お答えをいたします。
二〇二〇年十一月に、輸出関係閣僚会議におきまして輸出拡大実行戦略を取りまとめたわけでございまして、その後の改定も含めましてですけれども、その中で、現在、日本の強みがある全二十八の輸出重点品目につきまして、合計でその産地リストといたしましては千二百八十七の産地が今リスト化をされておりまして、いろいろな輸出事業計画の策定支援ですとかそういったことを進めてございます。
これにつきましては、関係の業界の、既存の業界団体、全国団体がございますし、また、いろいろな事業者さんから農林水産省におきましてヒアリング、意見交換を行いまして調整をした結果、農林水産省において原案を取りまとめまして、輸出関係の閣僚会議に提出をして、その御了解をいただく、そういうプロセスで選定をしているものでございます。
○北神委員 了解しました。ありがとうございます。
私も詳しくありませんけれども、輸出で皆さんが三つぐらい条件を出していて、相手国に需要がある、もう一つは輸出の余地がある、三つ目はオール・ジャパンで取り組んで効果がある、大体三つぐらい条件があると思うんですが、これは、例えばうちの地元でも、輸出するのには数が足りない、いわゆるロットが少ないというふうな先入観があるところもあって、これは昨日聞いたばかりなんですけれども、でも、意外と、例えばうちの地元でいえば、丹波グリなんかは非常に少ない、たくさん供給量が出せない。しかしながら、これがかえって、例えば中国に売り込んでいる商社なんかに言わすと、限定的に、季節限定で数も少ない、その方が付加価値が生じて売れるというような話があるらしいので。
何を言いたいかというと、皆さんが最終的にいわゆる重点品目というのは決められているんでしょうけれども、柔軟な発想で、これからも追加的に、様々な輸出にふさわしい品目があると思いますので、心を広げて取り組んでいただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいというふうに思います。
二問目、それはそれで結構なんですが、認定団体について。
この認定団体に、私の考えでは、いわゆる産地の事業者とかがそこに連携をして輸出をしたい場合、認定団体を通じて例えばお米とかを、こういうお米を海外に出したいですと、認定団体で認められたら、いろいろ、ブランド化とか市場調査とか、そういうのも一緒にやってくれるというふうに理解しているんですが、どうしても、私らのイメージでは、輸出というと、結構大きなところがやっているような印象がございます。
前も大臣に私はお話ししたと思うんですけれども、結構、中山間地域で、八十歳を超えた人でも輸出に非常に関心が高い、ただ、なかなか情報がないという話、多分覚えていらっしゃると思うんですけれども、小さな農家とか、小規模農家あるいは組織、こういったところもそういう認定団体に申請をして一緒に連携することができるのかどうか、お聞きしたいというふうに思います。
○渡邉政府参考人 お答えをいたします。
認定農林水産物・食品輸出団体は、オール・ジャパンとして輸出拡大に取り組むものでございますので、輸出に関心のある方、農業者さんであれ、あるいは食品の事業者さんであれ、そういった方が加入を希望するにもかかわらず加入できないというようなことがないように制度運用したいというふうに考えております。
農林水産省におきましても、もし認定をされた後は、その認定された団体につきまして、問合せですとかを含めた情報を公表して、これらの団体とも連携をして、輸出に取り組む、関心のある農業者さんや事業者さん、その他の関係者に関連情報が広く周知されるようにしていきたいと思っております。
また、小規模な農業者さんですとか事業者さんですと、例えば所属する事業の協同組合ですとか、農協、協議会ですとか、そういった所属する団体が全国団体である認定団体の会員となりまして、例えば孫会員として団体の活動に参加していくことも可能であるというふうに考えてございます。
○北神委員 ありがとうございます。是非、小規模の農家とか組織を大事にしてやっていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
三つ目は、今、田村委員からも非常にいい指摘があったんですが、輸出、もちろん私らも大賛成で、国内の市場が人口減少などで縮小する中で、活路は外に見出す、当然のことで、大臣も先ほどおっしゃったように、雇用にもつながるし、非常に重要だというふうに思います。
しかし、農林水産省としては、雇用も大事ですし、地域の活力も大事ですけれども、農家の所得につながり、もっと言えば、今非常にやはり国民の関心事である食料の安全保障、いざというときにちゃんと食べることができるのか。農林水産省、私から言わせれば一番重要な使命だというふうに思いますけれども、ここにどのようにつながっているのかということを知りたいと思います。
二〇三〇年まで五兆円という金額の目標はこれで、目標がなければいけないというふうに思いますけれども、具体的に、先ほど指標の話も出ましたけれども、どのように戦略的に位置づけているのか。あるいは、漠然と、輸出が増えるのは別に、当然いいことなので、そうしたら、農家の方も多少もうかって、何となく農地が確保されるのか、こういう漠然とした姿勢じゃなくて、やはり食料安全保障というのはきちっと戦略的に輸出というものを位置づけるべきだというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
○渡邉政府参考人 お答えをいたします。
食料安全保障の確保、食料の安定供給でございますけれども、これは農林水産省の大きな使命でございます。
昨年来、穀物相場などの価格が上昇している中で、今般のウクライナ情勢もございまして、国際相場が更に上昇する、あるいは今後どういうふうになっていくかというのも必ずしも分からない状況の中で、食料安全保障上のリスクは高まっているというふうに考えてございます。
輸出の戦略的な位置づけということでございますが、輸出に取り組む、輸出の促進を図る、五兆円を目指すということでございますが、これは国内生産の維持拡大につながるわけでございまして、食料自給率の向上にも寄与しますし、また、輸出向けの農林水産物、食品につきましては、不測の事態にあっては国内に回すことも可能ということでございますので、食料安全保障の確保につながる重要な政策であるというふうに考えております。
このため、輸出の拡大に向けまして、生産基盤の強化、あるいは輸出産地の育成や展開、海外販路の開拓といったような支援の取組を進めていきたいというふうに考えております。
○北神委員 重要だと言っていただけたのは結構なんですが、何を言いたいかというと、輸出がよいことだ、そこで食料自給率の向上にもつながるということ、そういうことだけで本当によいのかと。
私はかなり危機感を持っていて、農林水産省の考えとしては、自前で調達する分だけじゃなく、輸入の多様化とか備蓄とか、もちろん総合的な考え方でやるというのは当然のことですが、やはり最終的に、食料の安全保障というのは、輸入が止まったときにどのぐらい持ちこたえられるのか。スイスの国なんかは、一人一人このぐらいのカロリーというものを保障して、三か月もたせる、それを逆算して、そのための農地資源というものをどのように確保するか。こういう戦略的な発想が非常に重要だというふうに思っているんです。
というのは、このままいくと、今は、何か農林水産省の話を聞くと、お芋だけで暮らすんだったらそれなりに、最低限のカロリーというのを国民一人一人に保障することはできると。しかし、これも、数年たっていけば農地もどんどん減っていく、こういう中で、国内の市場も縮小し、海外に活路を見出しているわけですから、極めて輸出というものが重要になってくるというふうに思っていますので、その辺、是非具体的に、どのようにつなげていくのか、そういう意思を持って取り組んでいただきたいというふうに要請をしたいというふうに思います。
最後に、大臣に、ちょっと法案を離れますけれども、やはり私は、ずっと、農林水産の関係のいろいろな集会とかで話を一般の方々にするといつも思うのは、これは、当然、特に農業とか林業なんかは、やはり所得、農業や林業をやりながらも、それで暮らせるというものが最終的にないと、どんなに農林水産省が補助金をやったり輸出を奨励したりしてもなかなか厳しい、これはもう分かり切ったことだと思います。しかしながら、財政も厳しいのと同時に、私が常日頃感じるのは、特に町中に住んでいる人たちがなかなか理解していない。何となく、自分たち、都会から税金を取られて、そして農村地域ばかりにばらまいている、こういう印象があるわけですね、私の感じではね。
やはりこの人たちもちゃんと説得をしないといけない。治山治水とか、そういう機能を果たしているとか。皆さんもそういう努力をされていると思いますけれども、ますます、このウクライナ情勢の中で、食料の安全保障、いざというときに、こんな今のままの農業、林業政策では我々は食べられなくなってしまいますよと、こういうことを、あおるんじゃなくて、事実に基づいて説得をしていくことが非常に政府としても重要だというふうに思いますけれども、大臣のお考えを聞かせていただきたいと思います。
○金子(原)国務大臣 食料の供給を支える農業、農村の重要性について、国民の理解を深めていくことは大変重要だと考えております。
このため、農林水産省では、食と農のつながりの深化に着目した国民運動、ニッポンフードシフトを通じた官民協働による情報発信や、職員が自ら動画を発信するBUZZMAFFの取組、各都道府県に配置された地方参事官による消費者向けのセミナーや学校への出前授業などに取り組んでいきます。
これらの取組を通じて、我が国の食料供給を支える農業、農村の重要性、必要性について、若者や都市部の人々も含めた国民各層への理解の醸成を図ってまいりたいというふうに考えております。
○北神委員 よろしくお願いします。
ありがとうございました。
○平口委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
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○平口委員長 これより討論に入るのでありますが、その申出がありませんので、直ちに採決に入ります。
内閣提出、参議院送付、農林水産物及び食品の輸出の促進に関する法律等の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○平口委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
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○平口委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、簗和生君外五名から、自由民主党、立憲民主党・無所属、日本維新の会、公明党、国民民主党・無所属クラブ及び有志の会の六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を聴取いたします。緑川貴士君。
○緑川委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
案文を朗読して趣旨の説明に代えさせていただきます。
農林水産物及び食品の輸出の促進に関する法律等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
我が国の食市場は、人口減少や高齢化を背景に今後縮小する一方で、世界の食市場の拡大が見込まれている。農林水産物・食品の輸出の拡大は、我が国農林水産業の生産基盤を維持・強化し、持続的な食料システムを構築するとともに、農山漁村の活性化を図るためにも重要である。これまでの産地、関係団体及び国一丸となった取組により、令和三年の輸出額は、一兆円に達したところである。しかしながら、輸出先国政府による食品安全、動植物検疫上の規制が輸出拡大の障害となる事例があることに加え、一部の国・地域が東京電力福島第一原子力発電所の事故に伴う輸入規制措置を依然として実施しているなど乗り越えるべき課題も残されている。また、新型コロナウイルス感染症、気候変動等に加え、ウクライナ情勢により食料及び生産資材の安定供給への世界的な影響が懸念されており、食料安全保障の確保が求められている。こうした状況を十分踏まえ、農林水産物・食品の輸出の促進に戦略的・計画的に取り組む必要がある。
よって政府は、本法の施行に当たり、左記事項の実現に万全を期すべきである。
記
一 農林水産物・食品の輸出の促進に取り組むに当たり、農林漁業者をはじめとする関係事業者及び農村地域関連の所得向上が図られることが重要であり、これまでの輸出促進に係る諸施策の効果を検証し、効果的かつ効率的な施策を講ずること。その際、効果を正確に把握するための手法を速やかに検討すること。
二 農林水産物・食品の輸出をオールジャパンで推進していくため、農林水産物・食品輸出促進団体の運営基盤の強化に向けた支援を行うとともに、団体の適正な業務運営の確保及び団体間の連携の推進を図ること。
三 輸出拡大のために施設整備や海外現地法人の設立等に取り組む事業者や新たに輸出に取り組む事業者に対し、輸出事業計画の認定を通じて、補助、融資、税制面できめ細かな支援措置を実施すること。
四 高鮮度で付加価値の高い輸出物流の構築や輸出に係るコストの低減のため、輸出産地との密接な連携が可能となる地域の空港や港湾の活用など効率的なサプライチェーンの構築を促進すること。
五 農林水産物・食品の輸出に必要な輸出証明書の発行手続及び相談についてのワンストップサービスの充実を更に進め、輸出に取り組む事業者の負担軽減に取り組むこと。
六 輸出支援プラットフォームについては、在外公館や日本貿易振興機構海外事務所等の構成者間の連携を強化するとともに、現地事情に精通した人材を活用し、農林水産物・食品の輸出に取り組む関係事業者と海外バイヤー等との効果的なマッチングの実現に努めること。
七 原発事故に伴う輸入規制措置については、政府間交渉に必要な情報及び科学データの収集、分析等を十分に行い、諸外国・地域に正確な情報を提供し、あらゆる機会を捉えて輸入規制措置の撤廃を強く要請すること。また、動植物検疫に関し、輸出解禁に向けた協議を推進すること。
八 日本産農林水産物・食品のブランド力を維持・向上し、競争力を強化するため、GAP認証等、世界の食市場において通用する認証の取得を更に支援するとともに、JAS等の我が国発の規格の国際標準化に向けた取組を推進すること。また、地理的表示の相互保護を行う国・地域の拡大、種苗法に基づく登録品種の海外持出制限等の制度の厳格な運用及び海外での品種登録への支援など、農林水産物・食品に関する知的財産の戦略的な創出・保護・活用を図ること。
九 酒類を含む国産有機食品の海外での販路拡大に向けて、認証取得の負担を軽減するため、同等性の承認を得る国・地域の拡大に向けた交渉を推進すること。
十 現下の国際情勢を受けた原材料価格の高騰など、原材料の調達に不安定さが増している現況に鑑み、国産農産物の安定的な生産・供給に努め、加工食品における国産原材料の使用を推進するとともに、その消費拡大を図ること。
右決議する。
以上です。
何とぞ委員各位の御賛同を賜りますようよろしくお願い申し上げます。
○平口委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○平口委員長 起立総員。よって、本法律案に対し附帯決議を付することに決しました。
この際、ただいま議決いたしました附帯決議につきまして、政府から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産大臣金子原二郎君。
○金子(原)国務大臣 ただいま法案を可決いただき、ありがとうございました。附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえまして、適切に対処してまいりたいと存じます。
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○平口委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○平口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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〔報告書は附録に掲載〕
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○平口委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時十四分散会