第2号 令和4年10月27日(木曜日)
令和四年十月二十七日(木曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 笹川 博義君
理事 あべ 俊子君 理事 武部 新君
理事 若林 健太君 理事 渡辺 孝一君
理事 近藤 和也君 理事 緑川 貴士君
理事 足立 康史君 理事 庄子 賢一君
東 国幹君 五十嵐 清君
伊東 良孝君 泉田 裕彦君
上田 英俊君 江藤 拓君
加藤 竜祥君 神田 憲次君
神田 潤一君 工藤 彰三君
小寺 裕雄君 坂本 哲志君
高鳥 修一君 土田 慎君
長谷川淳二君 平沼正二郎君
細田 健一君 松本 尚君
宮路 拓馬君 宮下 一郎君
保岡 宏武君 山口 晋君
梅谷 守君 金子 恵美君
小山 展弘君 佐藤 公治君
山田 勝彦君 渡辺 創君
池畑浩太朗君 掘井 健智君
稲津 久君 角田 秀穂君
長友 慎治君 田村 貴昭君
北神 圭朗君
…………………………………
農林水産大臣 野村 哲郎君
農林水産副大臣 勝俣 孝明君
農林水産副大臣 野中 厚君
農林水産大臣政務官 角田 秀穂君
農林水産大臣政務官 藤木 眞也君
政府参考人
(内閣官房内閣人事局人事政策統括官) 横田 信孝君
政府参考人
(農林水産省大臣官房長) 渡邊 毅君
政府参考人
(農林水産省大臣官房総括審議官) 杉中 淳君
政府参考人
(農林水産省大臣官房総括審議官) 高橋 孝雄君
政府参考人
(農林水産省大臣官房技術総括審議官)
(農林水産技術会議事務局長) 川合 豊彦君
政府参考人
(農林水産省消費・安全局長) 森 健君
政府参考人
(農林水産省輸出・国際局長) 水野 政義君
政府参考人
(農林水産省農産局長) 平形 雄策君
政府参考人
(農林水産省畜産局長) 渡邉 洋一君
政府参考人
(農林水産省経営局長) 村井 正親君
政府参考人
(農林水産省農村振興局長) 青山 豊久君
政府参考人
(林野庁長官) 織田 央君
政府参考人
(国土交通省国土地理院長) 高村 裕平君
農林水産委員会専門員 梶原 武君
―――――――――――――
委員の異動
十月二十七日
辞任 補欠選任
高鳥 修一君 松本 尚君
長谷川淳二君 土田 慎君
細田 健一君 工藤 彰三君
同日
辞任 補欠選任
工藤 彰三君 神田 憲次君
土田 慎君 長谷川淳二君
松本 尚君 高鳥 修一君
同日
辞任 補欠選任
神田 憲次君 細田 健一君
―――――――――――――
十月二十七日
競馬法の一部を改正する法律案(内閣提出第七号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
競馬法の一部を改正する法律案(内閣提出第七号)
農林水産関係の基本施策に関する件
――――◇―――――
○笹川委員長 これより会議を開きます。
農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房長渡邊毅君、大臣官房総括審議官杉中淳君、大臣官房総括審議官高橋孝雄君、大臣官房技術総括審議官・農林水産技術会議事務局長川合豊彦君、消費・安全局長森健君、輸出・国際局長水野政義君、農産局長平形雄策君、畜産局長渡邉洋一君、経営局長村井正親君、農村振興局長青山豊久君、林野庁長官織田央君、内閣官房内閣人事局人事政策統括官横田信孝君、国土交通省国土地理院長高村裕平君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○笹川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○笹川委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。東国幹君。
○東委員 質問の機会をいただきまして、感謝申し上げたいと思います。
野村大臣が御就任をされて、業界紙等でも記事になっておりましたが、現場を一番よく知っておられる大臣の誕生ということで、農業関連団体また全国の農業生産者が期待をされているところだと存じます。
ただ、その期待というものが、一次産業の分野に関わる問題が多岐にわたっている、そして、それぞれ深刻な課題もあるということだと思いますが、まず初めに、食料・農業・農村基本法についてでありますが、まさに農業の憲法ともいうべきこの基本法、御承知のとおり、食料安定供給、そして多面的機能の発揮、農業の持続的な発展、農村の振興、この四つの理念を掲げております。
二十三年を経過した現在、世界情勢を含め、農業を取り巻く環境の変化も大臣は所信の中で述べられたところでありますけれども、また併せて、基本法の見直しに向けた検討を進めると明言をされました。
それに先立ち、基本法検証部会を設置して、初会合も今月十八日に開催されたと承知をしているところでありますが、その会議体の役割、そして十八日の第一回目の会合の中でどのような論議があったのか、まずお伺いをさせていただきたいと思います。
○野村国務大臣 今、東委員の方から御質問がございました農業基本法でありますが、先ほどもありましたように、九月の二十九日に見直しについての諮問をいたしました。
これはもう制定から二十年が経過いたしておりまして、その頃の農業、あるいはまたいろいろな経済情勢、あるいは内外のいろいろな課題等々、変化を来しておりますので、今にマッチしているのかということも十分考えました。また、総理の方からも御指示がございまして、是非見直してくれ、こういったような御示唆がありましたので、諮問会議を開いたわけであります。
その中で、全体会議の中ではなかなか議論が進まないということもありまして、その中に、基本法検証部会、今現在施行されております基本法の検証を、見直しをしないといけないのではないか、こういうことを考えまして、部会を設置いたしまして、十月の十八日に第一回目の会合をさせていただきました。
ただ、まだ第一回目でありますから、審議会のメンバーの中から入っていただいたり、あるいはまた外部の方も入っていただいたわけでありますが、私は途中からしか、もうほとんど最後の頃しかその会合には出席がかないませんでした、業務の都合で。だから、全体のものは後で議事録を見させていただきましたけれども、大変皆さん、各委員の方々、すごい、すごいというよりも、やはり適宜な質疑がされてきておりまして、そういう意味では、この部会での議論が深まっていくのではないかなと思っておりまして、中身は、何を変えるのかというのは、これは審議会の皆さん方の全体会議の中で検討していただきますが、部会でいろいろまとめ上げたものを中心に、たたき台としてやっていかれるということであろうと思います。
特に、一回目のときには、食料の輸入リスク、これはどういうリスクがあるのかというのを中心に議論されたと聞いておりまして、そういうところから今、座長の方で取りまとめをいただくわけでありますけれども、食料リスクの方から入ろうということで、第一回目は食料の輸入リスクについて議論が交わされた、こういうふうに聞いておるところでございます。
したがいまして、食料だけではなくて、農家の方からは、やはり生産資材の輸入リスクもあると。こういったように、食料だけではなくて資材の輸入リスクもあるのではないかというような指摘もあったということで、それらも考える必要があるというふうに思っておりますが、委員の皆様方からはいろいろな意見が出まして、各方面の深い見識を有する委員による有意義な議論を通じまして、国民的なコンセンサスをしっかり形成していくということを期待いたしているところでございます。
○東委員 今日的な課題を解決する上で重要な論議が今後も更に活発になるかと思いますけれども、私といたしましては、まさに所信の中で表明をされました食料安全保障、その観点を大いに盛り込んでいただくことを御期待を申し上げたいと思います。
その食料安全保障についてでありますけれども、御承知のとおり、昨今の国際情勢、そしてまた、それに起因する国内での経済情勢、もはや大臣は熟知をされていると思います。
それゆえ、輸入、備蓄、国内増産、それらを含めて、国民の食料をどのようにして安定的に確保するかを考えていかなければならないのは言うまでもございません。それが食料安全保障の強化、確立にほかならないわけなんですが、私としては、更にそれを一歩踏み込んで、まさにこの食料の在り方というものが、独立国の原点に立ち返って、エネルギー、国防と並んで、国家存立の三本柱である、そういった食料の立ち位置、国家を挙げて戦略的に取り組まなければならない、いわば恒常的なナショナルセキュリティーの問題だと考えておりますけれども、大臣の食料安全保障についてのお考えをお伺いしたいと思います。
○野村国務大臣 まさしく東委員の御指摘に同感でありまして、私ども参議院の場合は、七月の十日に選挙がございました。そのときに、今までは農業部門の出身でありますから農業中心にいろいろな選挙の演説をしていたんですが、このときからちょっと状況が変わっておりましたので、私は今本当に、おっしゃったように、三本の柱、まずは国の安全保障をどうするかという国防に関する話が一つ、それからもう一つは、今エネルギーとおっしゃいましたけれども、エネルギーだけではなくて、経済全体の安全保障をどうするかということが二つ目、それから三つ目に、食料の安全保障ということについてお話をさせていただきました。
私が何でそういうことをしたかといいますと、食料の安全保障というのは、農業者の問題ではない、これは消費者も含めた国民全体の問題なんだということを訴えたくてこういった話を実はしたわけでありまして、大変そのことが、やはり食料の安全保障ということでいろいろな方からいろいろな御意見もいただきながら、おまえは農業だけじゃなくていろいろなことを考えているねということを、お褒めの言葉じゃないんですが、そういうことを言っていただいて、一般の皆さん方の関心も非常に集まってきたなという手応えは感じたわけであります。
ですから、食料安全保障というのは、私は、基本的に、これは農業者だけの問題ではなくて国民一人一人の問題だという認識の下に、今回の食料安全保障、特に基本法の中にそういうことをきっちりとやはり整理していただきたいということも、諮問をするときに申し上げたところでございます。
もちろん、これは、国内の生産基盤をどうしていくのか、あるいは、担い手が不足している、そのことをどうしていくのか、いろいろな基本的な問題に関わってくる話でありますので、そういった食料の安全保障の強化に、今申し上げたようなことを盛っていきたい、こういうふうに思っているところでございます。
○東委員 具体の対策がそれぞれやはり出てくると思うんです。例えば、鶏、養鶏、これが例えば、国産が多いとしても、大体、我が国の現状、九八%の餌は輸入物であるとか、養豚も八〇%の餌が外国産であるとか、そういったこと一つ二つ考えても、安全保障への推進というのは相当な大事業だと思うんです。
その長期的な恒常的な新しい食料安全保障、それを確立するためには予算がかなりのものになってくると思うんですけれども、この際、食料安全保障の予算の別建ての創設を推し進めるべきだと考えますけれども、大臣の見解をお伺いしたいと思います。
○野村国務大臣 当然これは予算を伴う話であります。ですから、今、経済対策に向けての予算の編成に向けて省内で検討を進めております。したがいまして、そういったものが、今おっしゃったような食料安全保障という形で出すのか出さないのか、いろいろな議論もあろうと思いますので、もう少しこれは検討をさせていただきたいというふうに思っております。
ただ、やはり、今までの農林水産省の予算を見ておりますと、今までほとんど、これは財務からというか国家財政の視点から一定の枠をはめられてやっておりますから、ただ、こういった、先ほど申し上げました三つの、先生の御指摘のようなエネルギーであるとか防衛であるとか食料であるとかというのは、ちょっと視点を変えたやはり予算編成を、これは国全体としてやっていただきたいな、こんなふうに思っているわけでございます。
現在、おっしゃいましたように、食料自体、小麦なり大豆なり、あるいはまた生産資材についても非常に高くなっておるわけでありますから、これらの生産基盤の強化に向けた対応、あるいは輸入に対してどういったようなスタンスで臨んでいくのかということもあろうと思いまして、全ての、できれば食品の加工等についても国産に替えてもらおうという働きかけも今現在しているところでありまして、それらに対する予算編成というのはちょっと今までとは変わった形態になってこよう、こんなふうにも思いますので、そういう視点から、今、予算編成に向けて内部で調整をさせていただいているところでございます。
○東委員 次に、基盤整備に関わること、基幹的農業水利施設についてお伺いをさせていただきますけれども、もちろんこれは営農に欠かすことができない社会インフラだと思っているんですが、この基幹的農業水利施設の老朽化というものは顕著でございます。
大体、昭和の経済成長時代に設置されたものが少なくなくて、お配りをさせていただきました資料一のとおりの状況でございます。全国、基幹的施設七千六百五十六か所のうち、耐用年数を超過したもの四千二百二十七か所、割合で五五%、水路に関しては、五万一千四百七十二キロのうち二万二千百九十六キロ、割合で四三%がもはや耐用年数を超しているということ。
これらを整備するとなると、かなりこれは天文学的な事業費になるかもしれないんですが、その中にあっても、優先順位をつけながら、徐々にでも整備をしていかなければならない、そういったこともあろうかと思います。
どのように対処をしていくのか、現状の認識と併せて見解をお伺いしたいと思います。
○青山政府参考人 お答えいたします。
我が国の農業水利施設の多くは戦後から高度成長期にかけて整備されまして、基幹的な農業水利施設については、老朽化が進んで標準耐用年数を超えた施設も多いことから、施設の維持更新が緊急かつ重要な課題であると認識をしております。
このため、施設の点検、機能診断を行った上で、補修等で機能維持が可能なものについては耐用年数が延びるよう長寿命化を図り、これにより難いものについては緊急性の高いものから更新を行っているところでございます。
農林水産省といたしましては、農業水利施設の維持更新が計画的に実施できるよう、必要な予算の確保に努めてまいります。
○東委員 是非、推進を期待をしたいと思います。
次に、畜安法に関わる質疑をしたいと思うんですが、その前に、今月、鹿児島の地において、第十二回全国和牛能力共進会が開催をされました。三十万人以上の方々が御来場されたということで、盛会であったとのことでございます。
御地元出身の大臣が選出されたとのことで、二重の喜びだったと推察をいたしておりますけれども、鹿児島全共の感想と和牛振興にかける思い、そして五年後の北海道大会に何を期待をされるのか、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○野村国務大臣 今年の十月に開かれました全国の和牛共進会、大変な盛会でありました。これは、事鹿児島ということも、地の利もあったんだろうと思いますが、九区の中で六区を鹿児島が首席を占めましたので、大変ありがたかった。ただ、今日お見えの宮崎の江藤先生には大変申し訳ないなという気持ちでいっぱいでございましたが、しかし、総理大臣賞を宮崎がお取りになって、それで江藤先生の気持ちも少しは緩和されてきたのではないかな、こんなふうに思います。
いよいよ五年後には北海道でございます。ですから、北海道の皆さん方も大変力を入れておられまして、私は最終の本選のところで見ておりましたけれども、初めて岸田総理大臣も出席をされました。そして、当然、私は地元でもあるということでありましたが、タイミングよく出席がかないまして、農水大臣賞も授与できたというふうに思っております。
北海道も、一区、四区、五区でたしか賞を取られました。だから、三位なりあるいは五位なり、こういったようなことでやっておられましたけれども、非常にすばらしい次の五年後を見据えた牛づくりをされていた、こんなふうに審査員の方々から聞いておりましたので、大変すばらしい牛ができ上がっていたな、こんな印象でありました。
いずれにしましても、今回の共進会から変わってきましたのは、和牛の脂肪の質の向上というのが今回の大きなテーマでありましたので、オレイン酸がどのぐらい入っているのかということを中心にやりましたら、宮崎が見事優勝されました。ですから、私に言わせれば、鹿児島の牛は確かによく脂肪が乗っているということでありますが、おいしさからいえば宮崎の牛の方がおいしいのだったのかな、こんなふうに思って、ちょっと残念なところはありましたが、これから本当に牛飼いの皆さん方は、切磋琢磨されて、五年後を目指して、改良に改良を重ねながらすばらしい牛をつくっていただくというふうに思っておりますし、そのことが、特にインバウンドの方々が日本に来られたときに、やはり日本の牛はおいしいというのを思っていただければ、これから牛の輸出も伸びるし、また国内での消費も伸びていくだろう、こんなふうに思って、畜産の振興に大きく寄与していく大会だったな、こういうことを思った次第でございます。
○東委員 五年前に畜安法の改定が行われました。この際に、五年前の第百九十三回国会ですね、これは十項目にわたる附帯決議もなされたわけなんですけれども、お配りをさせていただいております、その中身、是非精査をしていただいて、推進できたもの、できないもの、あったと思うんですけれども、私は、この十項目の附帯決議、是非踏襲をしていただいて、今後も推進をしていただきたいと願うばかりでございます。その辺の見解をお伺いします。
○渡邉(洋)政府参考人 お答えをいたします。
新たな加工原料乳生産者補給金制度につきましては、衆農水委の決議を踏まえまして、適切に運用に励んできたところでございまして、委員御指摘のとおり、農林水産省といたしましては、引き続き、附帯決議の趣旨を踏まえて、制度の適切な運用に努めていきたいというふうに考えてございます。
○東委員 終わります。
○笹川委員長 次に、庄子賢一君。
○庄子委員 おはようございます。公明党の庄子でございます。
先日の大臣の所信に対します質疑、何点かさせていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
今の第一次産業を取り巻く環境の厳しさというのは、今始まったことではなく、何度も何度も国会でも答弁また質疑がされてきたところでございます。
この非常に厳しい状況の中で、JA御出身の大臣が御就任をされた、知見も経験も非常に豊富な大臣の御就任ということで、非常に御期待を申し上げる一人でございます。
ただ、所信の中でも大臣御自身が触れていらっしゃいましたとおり、今のこの取り巻く環境、大臣はこうおっしゃっています。今まさに、国内の生産基盤を維持強化し、将来にわたって食料を安定的に供給していくためのターニングポイントを迎えていると考えている、こう認識を披瀝をされているとおり、かじ取りが非常に難しい、そうした局面を迎えているというふうに思っております。
まず、そこで改めて、大臣が、この第一次産業の置かれている現状をどのように捉まえていらっしゃるか、そして、将来にわたってこの農林水産業がしっかり持続可能で、かつ稼げる産業であるように、どういう将来像を描いていらっしゃるか、改めて御見解を伺いたいと思います。
○野村国務大臣 ありがとうございます。
実は、私、今御紹介がございましたように、JAに三十五年間おりました。私が入りましたのは昭和四十四年でありまして、皆さん方はまだ覚えておられない御幼少の頃か、あるいは、まだお生まれになっていない方が多かったんだろうと思うんです。
四十四年でありますが、そのときに、私が入ったときに大変先輩の皆さんから言われたのは、野村、鹿児島の農業は変わるぞ、変わらなきゃいけないんだということを先輩が盛んにおっしゃるわけです。そのときに、何をおっしゃっているのかなと思っていたんですが、その頃の我が鹿児島の主の農産物といいますと、もちろん米が一位でありましたが、そのほかには、カンショだ、サトウキビだというローカル色の強い作目が多かったわけでありまして、そして、今は北海道に次いで農業生産額は第二位になっておりましたが、その頃は十八位でありました。それで、鹿児島の農業を変えるぞ、このままでは駄目だということで、十か年の計画を作られまして、そして畜産、野菜、こういう食生活が変わるものにやはり農産物の生産を特化させていかなければならないというのがその先輩たちのお話でありました。
それから今日を振り返ってみると、あのときのやはりターニングポイントは四十四年か四十五年だったなというのを思い出したものですから、農水大臣に就任させていただいて、幹部の皆さん方への訓示をしろということで官房長や事務次官から言われまして、そのときに思い出したのがターニングポイントというその言葉でございました。
いわゆる、今から日本の農業を変えていかなければいけない、このままでは、それこそ食料の不足なり生産資材の不足が今もう既に発生しているわけですが、そのことがなお厳しくなってくるのではないかということでございまして、私は、今年をターニングポイント、そして、農業基本法の改正あるいは見直しによってそのことを方向づけていこう、こういうふうに思いながら今仕事をさせていただいております。
要は、生産資材にしましても、あるいは食料にいたしましても、輸入すれば何とかできたというのが今までの状況だと思いますが、これから先、世界の人口はどんどん増えていくわけでありますから、日本は減っておりますが、要は、そういう中で日本だけが輸入ができるということにはならない。食料の争奪戦がもう既に始まっていますし、生産資材の争奪戦も始まっているわけでありますから、こういったことに対して日本でどうするのか。
ですから、国内にあるものを何とか有効活用しながら、やはり国内でできるものは国内で、そして、どうしても不足するものもございますので、これらは輸入に頼らざるを得ませんので、そういったようなやはり明確なポリシーを持ちながらやらせていただこう、こんなことを思っておりまして、これからの農業の未来については、私は決して悲観的なことは考えておりませんし、すばらしい農家の皆さんや、あるいはまた政策を今立案している農水省、あるいはまた団体の皆さん方の力によって必ず可能性が広がっていく、こういうふうに思っております。
○庄子委員 ありがとうございます。
るる御説明をいただきましたので、更に御期待を申し上げたいと思いますが、時間も限られておりますので一問飛ばさせていただきまして、第一次産業の価格転嫁の対策についてお尋ねをさせていただきたいと思います。
農林水産業の産品、産物は、他の食料品、加工品等と違いまして、なかなか生産コストを価格に転嫁できないでいるわけでございまして、もちろん、需給で決まるというのが市場の原則ということは当然ですけれども、さはさりながら、この現状の中では、生産者の皆様の収益を一層足を引っ張るということになっているわけでございます。
今年の六月、金子前農水大臣が記者会見の中でこのようにおっしゃっておられました。適切な価格転嫁のための環境整備を進めたい、こういうふうにおっしゃっておられます。
その後、具体的に価格転嫁対策がどう進められてきているのか、また、どのような施策を今後取り組んでいかれるか、具体に伺いたいと思います。
○野村国務大臣 ありがとうございます。
今、もう委員御承知のように、農産物の中で自らが価格を決めて交渉できるというのは牛乳しかありません。牛乳の場合は、北海道の出身の先生方は御存じのように、指定団体とメーカーが交渉して価格を決めます。ですから、今年の十一月からは十円アップというふうになりますが、ほかの作目でそういったようなことができるのか、いわゆる価格転嫁ができるかとなったときに、今はありません。ですから、金子前大臣も御答弁されたように、やはり皆さん、必要性は感じているんですが、今の市況なりあるいはまた構造の中でそういったことが可能なのかどうか、このことについて、今、役所の中でも検討を進めております。
ですから、どの部門からできていくのか、あるいは、どういう内容でならば生産者あるいはまた卸さんなり消費者が納得されるのかというのは、大変難しい問題ではございますけれども、今検討をしている最中だ、こういうことだけしかまだ申し上げられる状況ではありません。
ありがとうございました。
○庄子委員 是非御検討を加速をしていただきまして、この状況、少しでも明るい兆しが見えるようにしていただければと思います。
どうしても食料品というのは安売りの目玉という取扱いなので、ここを変えていかなければなりませんが、フランスの、恐らく参考にもされていらっしゃると思いますけれども、エガリム法のように、農業者に公正な報酬をという趣旨、そして商取引の透明性を確保する、あるいは環境と健康に配慮をした食を提供し食品残渣を減らしていく、こういう目標の下で作られた法律を是非十分御参考にしていただきまして、対策を急いでいただきたい。お願いを申し上げます。
次は、人・農地プランでございます。
今後の人口減少、あるいは生産者側の人口減少等も踏まえれば、これからの農業を、その農業の成否を占うと言っても過言ではない、非常に大事なプランがこの人・農地プランでございます。いよいよこれが法定化されるということになりまして、明年の四月から動き出すわけでございます。今年五月に農業経営基盤強化促進法が改正されまして、人・農地プランの法定化、そして地域計画作り、目標地図の作成、こうしたことが決まったということは非常に大きな取組です。
後でも触れますけれども、今農業は、例えばスマート農業、GX、DXといったデジタルに踏み込んでいっている。一方で、人・農地プランという極めて、人対人、人間対人間の協議の中で地域、集落の将来の農業の絵を描こうという、一方のデジタルと、対極的にやるヒューマンな取組ということで、ここがうまく機能するかどうかということが人・農地プランに魂が入るかどうか、そういうポイントになっているんだろうなというふうに理解をしておりまして、是非ここは大切に進めていきたいなというふうに思います。
ただ、一方で、多くの利害関係者が協議の場に着いて、どういうものをどれだけ作って、どういう収益を上げて、将来の農地の絵はこういう絵なんだという難しいコーディネート、意見の調整、利害調整、こうしたことをやっていく能力の高い、また知見のある、合意形成能力を備えた人材の確保ということが非常に重要になってくると思っておりまして、この点について、農水省さん、どういうふうに進めていかれるか、伺いたいと思います。
○村井政府参考人 お答えいたします。
本年五月に成立いたしました一部改正法による改正後の農業経営基盤強化促進法では、市町村において、これまで取り組んできていただいた人・農地プランを土台といたしまして、農業者等による話合いを踏まえて、将来の地域の農業の在り方や農地利用の姿を明確化した地域計画を定めることとしております。
しっかりとした地域計画を策定するためには、それぞれの地域において、生産する作物や農地の集約化の方針などについて関係者が一体となって密度の濃い話合いがなされることが重要であります。御指摘のとおり、話合いを的確にリードする人材が必要であると考えております。
このため、これまで人・農地プランの取組を進めてきた市町村職員、農業委員、農地利用最適化推進委員、都道府県の普及指導員が、それぞれの役割を果たしながら緊密に連携して話合いを進めていくことに加えまして、令和五年度予算編成において、地域計画の策定に向けた話合いを円滑に進められる人材の確保のための支援を検討しているところでございます。
また、農林水産省では、地域計画の策定に当たっての関係者の役割を明確化したガイドラインを現場の皆様の御意見を踏まえて作成しているところでございます。
こうした取組によって、人材の確保を含め、地域計画が着実に策定できるようしっかりと後押しをしてまいりたいと考えております。
○庄子委員 大事な取組でございます。是非注力をお願いをしたいと思います。
人・農地プランのプラン策定で、目標地図に落とし込んでいく作業の中で大事なのは、農地の集積以上に、集約をどう図っていくかということではないかと思います。
先般視察したスマート農業、大規模な生産法人でございましたが、集積はされているけれども、飛び地が多くて非常に効率が悪いということもおっしゃっていまして、この集約をどうインセンティブをつけて進めていくかということが大事です。
協力金などは当然ございますが、例えば、団地化した、さらに例えば一〇ポイント団地化が進めば一反当たり一万円という程度の協力金でございまして、私は、まだこれは十分ではないのではないか、もちろん今年度から始まった事業でございますので十分な精査はこれから必要ですが、ここの集約化に向けたインセンティブづくり、これは是非考えていただきたいと思っていますが、お考えを伺います。
○村井政府参考人 お答えいたします。
改正後の農業経営基盤強化促進法では、人・農地プランを地域計画として法定化し、将来の農地利用の姿を目標地図として明確化した上で、農地バンクを通じた農地の集約化等を進めていくこととしております。
集約化等の取組を後押しするため、まず、農家負担ゼロの基盤整備につきましては、従来の区画整理に加え、新たに農業水利施設等の整備を行えるようにするとともに、機構集積協力金につきましては、農地バンクが貸し付けた農地の集約化割合に応じて集約化奨励金を交付する等の支援策を講ずることとしております。
また、地域計画に基づく農地の集約化の取組をより一層推進するため、今後、国の補助事業につきまして、地域計画の策定と一定の関連づけを行うことも検討してまいりたいと考えております。
○庄子委員 よろしくお願いをいたします。
次に、スマート農業の普及についてでございます。
先般、岩手県の北上市にございます生産法人を視察をいたしました。コンバインによる収穫時に収量センシング技術を使って、圃場ごとの収量データを記録し、改善が必要な圃場の把握、さらには改善効果の確認の取組、あるいは、圃場の凹凸をトラクターからのデータ情報で掌握をしまして、圃場に明渠、溝を切って排水の均一化を図るといった、そうした先進的な事業でございました。
国全体といたしましても、もう終わったものも今継続中のものを含めて二百以上スマート農業の実証事業を今やっておられます。
現在やられておりますこうした実証事業の効果、課題について、整理をされていると思いますけれども、課題はやはり高い導入コスト、これをどうするか、それから、自分のところで、自分がプレーヤーとなってスマート農業をするだけではなくて、外部のサービスを入れるというやり方でスマート農業を推進するといったことも含めて、検討課題があるのではないかというふうに思っております。
スマート農業がより汎用化されるような具体の検討を進めていただきたいと思いますが、今後の農政への反映方針を伺いたいと思います。
○川合政府参考人 お答えいたします。
本プロジェクトを通じまして、スマート農業技術の導入による労働時間の削減や圃場別の収量データに基づく作型、品種構成等の最適化による収量、利益の増加、新規就農者などでも熟練者と同等の精度、速度で作業が可能となるなどの効果が明らかとなっております。
一方で、先生御指摘のとおり、スマート農機の導入コストを賄うためには、一定規模の稼働面積を確保する必要があること、野菜、果樹などの品目では、現場のニーズにかなう機器、技術の開発が依然として不十分であること、経営効果の高いスマート農業の取組を実践できる技術力や人材が不足していることなどの課題も明らかとなっております。
こうしたことから、スマート農機の作業受託、シェアリングなどを行う農業支援サービス事業体の育成、普及、開発が不十分な分野での技術開発や実証、スマートサポートチームを通じた他産地への実地指導による人材育成とデータ活用の推進などを行うことにより、社会実装を加速化してまいります。
○庄子委員 ありがとうございます。
最後に、大臣に改めて食料安全保障の考え方について伺いたいと思います。
生産資材価格の高騰と高止まりが続いておりますし、これからもしばらく、当面の間はこれが続くだろうというトレンドであります。そして、生産基盤の弱体化あるいは農業者の減少といったリスクの顕在化も、この安全保障に影を落としているのではないかという指摘がございます。
予備費で対応といったつけ焼き刃なやり方ではなく、当初予算にしっかり食料安全保障予算を確保して、そして対処すべきではないか、こう考えておりますが、大臣の御所見を伺います。
○野村国務大臣 委員の発言のとおり、今、我が国におきましては、価格変動や、あるいはまた供給への不安というのが高まっておりまして、食料安全保障上のリスクは高まってきているところであります。
このため、私どもとしましては、先ほど申し上げました、いろいろな形で日本の農業の構造を変えていく必要が出てくるというふうに思っておりまして、そのためには、生産基盤の強化、あるいはまた担い手の確保、こういったことについて、継続的な施策を土台としながら、小麦や大豆、そしてまた飼料等の増産や、そして、一番大きくなってくるのが肥料の国産化、こういったことを促進していかなければならないという、いわゆる構造転換を図っていくというのが大きな節目にございます。
したがいまして、経済対策等においてもしっかりと今検討を行っておりますので、与党の議論も踏まえながら必要な予算の確保に全力を傾けたい、こういうふうに思って決意しているところでございます。
○庄子委員 終わります。
○笹川委員長 次に、金子恵美君。
○金子(恵)委員 立憲民主党の金子恵美でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
野村大臣には、現場に寄り添っていただき、そして現場の声を反映した施策を是非つくり上げていただきたいというふうに思いますし、また、この農林水産委員会のこの場においても、誠意を持った御対応をいただければというふうに思っているところでもございます。よろしくお願いいたします。
まず最初に、十月十四日に大臣宛てに申入れをした件でございますが、十月十一日より入国規制が緩和されて、人の往来の活発化により、意図しない家畜伝染病や植物の病害虫の流入が懸念されることから、我々立憲民主党は、入国規制緩和に伴う検疫強化等に関する申入れを野村大臣宛てにいたしました。
残念ながら、申入れのその当日、大臣にお目にかかることはできませんでしたが、改めて、この場で大臣からの御所見を、あるいは御決意をお伺いしたいというふうに思っております。よろしくお願いいたします。
○野村国務大臣 先般、金子議員、それに近藤議員、徳永エリ議員にお越しいただいたということで、不在をいたしておりまして、大変申し訳なかったなと思っております。特に、金子議員とは参議院で御一緒でしたから、そういう意味では、久しぶりにお会いできるかなと思っておりましたし、徳永エリ議員は、私の、議員宿舎が隣同士なものですから、大変仲よく、仲よくと言うと、変な仲じゃないんですが、仲よくいたしておりまして、そういう意味では、皆さん方がせっかくおいでになるなと思いながら、不在で大変申し訳なかったと思っております。
ただ、今御質問のように、いろいろな水際対策というのがこれほど、家畜衛生上の問題もいろいろありまして、強化してきたところでございまして、もう委員も御承知のように、家畜防疫員は、ちょうど平成元年から見ますと、その当時四百八十一人だったのが今現在五百二十六名ということで、大幅に増員させております。植物防疫官も、九百四十七人でありましたが、今現在九百七十八人。一番増えたのが検疫探知犬でありまして、五十三頭から今現在百四十頭に増えております。
よくテレビ等で出てくるのでお分かりのとおりでありますが、幸いにして、こういったような増員なり増犬なりをやったおかげで、今のところ、水際でのストップをかけられているというふうに認識をしておりますが、しかし、どういう形で入ってくるかというのも、これは、手紙で、封筒で入ってくる場合もあるし、探知犬だけでのチェックもなかなか難しいところもありますので、今後とも十分検討しながらやります。
ただ、一番の問題は、農家の皆さん方がどう飼養管理を徹底していかれるかというところに尽きるわけです。ですから、水際では止めたにしても、あとは人が運んできたり、あるいはまた、鳥インフルなんかは特に、鳥が運んでくるわけですから水際はなかなか難しい。そういう意味では、畜産農家の方々が、皆さんそれぞれ、やはり徹底した防疫対策をやっていくというのが基本になってくるわけでございます。
しかしながら、今後とも、今からまた鳥インフルの時期になってまいりましたので、怠ることなく徹底した防疫対策をやりながら、一方ではまた、農家の皆さんに対する注意喚起も呼びかけていきたいと思っております。
○金子(恵)委員 ありがとうございます。
当日も、今の水際対策の増強については数字もいただいておりました。ただ、準備はできているというふうに言っても、それをしっかりと機能させるということが重要だというふうに思っておりますので、よろしくお願いしたいというふうに思います。
そして、私たちの申入れの中で、水際対策の強化、そして家畜伝染病予防対策の支援として、生産現場や自治体等に対し、財政上の支援を講ずることということもお願いをしていて、三つ目には、正しい情報の啓発です。
ほぼ、今大臣、お答えになったんだというふうには思います。つまり、飼養衛生管理基準、これを高位の平準化に引き続き取り組むということではあるんですけれども、しっかりと生産の現場でもやっていかなきゃいけないということを今触れてはいただいたというふうに思いますし、情報発信もしっかりやるということでありますが、やはり財政上の支援というのはとても重要だというふうに思っていまして、現場生産者に対する、あるいは自治体に対する財政支援ということについてはいかがでしょうか。
○野村国務大臣 人間もそうですが、やはり災害は忘れた頃にやってくるということで、だんだん防疫対策が徹底していきまして、そして発生しないと、農家の皆さん方の気の緩み、あるいはまた、家畜の保健所についてもやはりそういった気持ちも出てくるというふうに思います。
しかしながら、今おっしゃいましたように、私どもは、今後、やはり徹底した封じ込めをしていかなきゃなりませんので、そういった予算等々についてもいろいろと現業当局の方で検討してもらっておりますので、予算面で足りなかったということにはならないように十分気をつけたいと思っております。
○金子(恵)委員 引き続き、必要な予算獲得、よろしくお願いしたいというふうに思います。
次に参りますが、大臣は、東日本大震災原発事故の被災地での視察もされました。九月の二十二日には福島県を視察されました。私の地元であります。
所信的発言の中でも、原子力災害被災地域では、営農再開や水産業、林業の再生、風評払拭等、まだまだ取り組むべき課題があります、引き続き、被災された農林漁業者の方々が再び立ち直るための万全の支援をしていきますと述べられていますが、改めて、視察をされての御所見とそして決意をお伺いしたいと思います。
○野村国務大臣 ありがとうございました。
私は、被災地については、参議院の農林水産委員時代も三回、四回、委員の皆さん方と一緒に行きましたし、それからなかなか、ここしばらく行けなかったものですから、久しぶりに被災地を見まして、こんなに様変わりしたのかというのを大変印象深く見ました。確かにハード面での復興へのつち音は大きく聞こえてきましたけれども、ただ、その中におられる方々がどうなのかということで、一か所だけ、農家の皆さんとお話をさせていただきました。
その中で、私が、これは福島は大丈夫だなというふうに思ったのが、一人の、やはり水稲、稲作農家でしたけれども、法人経営をされていて、その中に、八人、若い人たちが、いわゆる帰還者が入っておられました。特に、その中の若い人たち三人と意見交換をさせていただいたんですが、三人とも非常に、これから私どもがここの中心的な担い手になります、こういうことをはっきり言ってくれまして、また非常にその目が輝いておりました。特に、女性の方もおられたんですが、自分のうちは農家じゃないけれども、ここで学んだことを是非生かして農業をやりたい、法人から独立したいというようなこともおっしゃっておられました。
知事とお会いしたときも、ああいう若手の人たちが育ってきつつあるということは、彼らがやはり先駆者になって、そして福島の農業を引っ張ってくれると私は確信しましたということを知事に申し上げましたら、知事も、本当に自分でもいつもそういったところに行っているけれども、だんだん若手の帰還者が帰ってきて、そして地域の農業を興してくれている、これで今後の福島は、大丈夫とは言いませんけれども、発展するというか、活躍が期待できるところまで来つつあるなということを感じたわけでございました。
また、山もそうでありますし、また水産業もそうでありますが、私がお話をしたのは、済みません、つい長くなっちゃいまして申し訳ありませんが、いろいろな意見をお聞きしながら、そしてまた役所の方で検討もさせていただきたいと思っております。
○金子(恵)委員 ありがとうございました。
現場で話を聞いていただいた方々は喜ばれたと思います。ただ、大変時間が短かったということですので、いろいろな思いを残しながらの視察になってしまったようでもあります。
その中で、今回の九月の二十二日には、いわき市で県漁連の野崎会長にも面談されています。ALPS処理水の問題ですけれども、実は、今日の朝、福島県町村会の皆さんの要請、要望活動というか、皆さんがされていまして、意見交換もできる、そのような場がありました。そこで、ふくしまの復興・再生に向けた要請書というのをいただいてきましたけれども、やはりその中で大きく項目として挙げられているのが、ALPS処理水の処分に関する責任ある対応ということなんです。
もちろん、これまで私はこの委員会で何度も何度も、このALPS処理水、時には汚染水とも呼ばせていただいていますけれども、それについて質問をさせていただきました。もちろん、政府全体でしっかりと取り組んでいくというような大ざっぱな答弁は今までもいただいていましたけれども、でも、今回も大臣は所信の中で処理水について述べられています。
ただ、ちょっと気になることがありまして、処理水については前大臣の所信とほぼ一緒なわけです。
ちょっと時間がかかりますけれども、読みますと、前大臣の所信は今年の三月の一日に述べられていたと思いますが、「ALPS処理水への対応については、福島県及び近隣県で漁業を安心して持続できるよう、生産、流通、加工、消費の各段階における徹底した対策を行うこととし、風評影響対策等も含めて、政府全体で取り組んでまいります。」。
今回の野村大臣の所信は、「ALPS処理水への対応については、福島県及び近隣県で漁業を安心して持続できるよう、風評を生じさせない取組や、生産、流通、加工、消費の各段階における徹底した対策を行うこととし、政府全体で取り組んでまいります。」。
一か所だけ違うとすれば、「風評を生じさせない」というところを前に出して、そして後、「生産、流通、加工、消費の各段階における徹底した対策を行う」としているところなんですが、これは違いが何かありますか。
なぜかというと、もうそこから、今、金子大臣の所信から半年過ぎて、そしてまた、半年後には、もしかすると海洋放出が始まるのではないか、そういう段階に来ています。ぎりぎりのところで、それでも、なかなか漁業者の方々は、御存じのとおり、全漁連の会長ともお話をされた、面談されたというふうには聞いておりますけれども、海洋放出に断固反対、このお立場を取られているという状況です。
何か具体的に、どのような取組をされるのか、ここのところに変化はあったのかどうか、是非お聞かせいただきたいと思います。
○野村国務大臣 今御指摘、御指摘というよりもお話がありました、福島漁連の野崎会長さんともお会いして、ALPS処理水の話もさせていただきました。そのときに、まだ実際の放出はされておりませんので、どういったような問題が出てくるのかというのはシミュレーションで、これは農水省だけの話ではありませんので、経産省、あるいは環境省、こういったところとの連携をしながら進めてきておるわけでありますが、今御指摘がありましたように、現段階においては、私も金子前大臣も、ほとんど状況は変わっていないと。
ただ、先ほど申し上げました、生産、流通、加工、消費の各段階において徹底した対策、特に風評被害に対する対策等について、これは経産省や環境省や各省庁間の垣根を越えて政府一体的に取り組んでいく、こういうことしか今のところは申し上げられないところであります。
○金子(恵)委員 十月十三日に、全漁連の方です、全漁連は東京都内で集会を開いて、処理水の海洋放出をめぐって、全国の漁業者の漁業継続を支援する新たな超大型基金の実現を求める決議を採択しました。
もう本当にぎりぎりのところなんだと思います。でも、基金をいただければいいとか、何かそういう形での支援をいただければいい、そういう話じゃない。やはり、なりわいを守りたい、そして、海、漁村を守りたい、そういう思いというのはとても強い。
今、後継者不足というのもどんどん進んでしまっていて、ちょっとした風評被害が生まれれば、本当になりわいが継続できるかという、本当に厳しい状況に陥る。もう既に、私は風評被害は進んでしまっているというふうに思うんです。風評はもう発生しているというふうに思うんですね。
今言ったような超大型基金の実現を求めると言いつつも、もちろん、根っこのところは海洋放出に断固反対という立場にいささかも変わりはない、政府の確実な対策を求めるというふうに強調されているわけです。
野村大臣のお立場は、やはり日本の漁業を守るということだと思うんです。現場の皆さんの本当にそのような苦しい声というのはしっかりと受け止める、そういうお立場だと思いますので、もう一言、大臣、農林水産大臣として何をすべきかということをお聞かせいただければと思うんです。どのような御努力をしていただけますでしょうか。
○野村国務大臣 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、今後、放出することでどういった影響が出てくるのか、そしてそれはどうリカバリーしていくのかということで、先ほど委員からお話がありましたように、大型の基金をつくって、そしてという話があります。
これは被災地だけの問題じゃありません。日本全体の漁業者のやはり切なる願いでありまして、風評被害が出た場合については、被災地だけの話じゃありませんで、私の鹿児島でもやはり魚離れができてきたりとか、そういったことをやはり考えますと、何らかのそういう基金をつくった対策というのは必要だろうなというふうには思います。
ですから、あともう一つは、被災地の中で、また、どういった形でALPS処理水を放出していくのかというのは、科学的なやはり知見に基づいてやっておられるわけでありますけれども、それについては私ども農水省だけで処理できる話ではありませんので、先ほど来申しておりますように、経産省やあるいはまた環境省と連携しながらやっていかないと、農水省だけでの問題ではないということだけは是非御認識いただきたいと思います。
○金子(恵)委員 ありがとうございます。
経産省等との連携というよりは、農水省は是非漁業者を守るんだという強い決意を持って御対応をいただきたいというふうに思っておりますし、前回ありました、経産省の基金というのもあるんですね。
それは、例えば、相双漁協の方とちょっとお話をしたときに、沿岸漁業の方々にとっては使えないものだった、そういう声もありました。どちらかというと輸出向け加工のもの、これには使えるかもしれないけれどもと、そういう形でもおっしゃっていました。
ですから、もし本当に風評被害対策としての支援策というのを作るということであれば、やはり現場の実情に即した、そういうものを作っていただきたいというふうに思いますので、是非よろしくお願いしたいと思います。
次ですけれども、生産資材の価格高騰等で厳しい状況にある生産現場を支える取組ということでございますけれども、飼料、肥料等の対策というのは、これまでも政府予備費を使ったりしてされてきました。
本当に生産現場は営農継続が危ぶまれるほどの甚大な影響を受けているということでありまして、これまでの対策だけでは足りないんじゃないかという声も出てきている。国産農畜産物の安定生産に本当に支障を来すだろう、そういうぎりぎりのところまで来ているんだというふうに思います。
例えば、政府が出しました肥料価格高騰対策でありますけれども、肥料コストの上昇分の七割を補填ということですが、価格上昇率一・四として、七割補填であると。しかも、肥料の使用量の低減率を除した上での七割ということなので、実際には七割助成という言い方はできない、それとは随分異なるようなものではないか、その懸念がありました。
そこで、私たち立憲民主党は、「生活氷河期」を乗り越えるための緊急経済対策というのを発表させていただきましたが、経済対策の中に、化学肥料の使用量低減を前提とせずに、しかも、価格の上昇率は一・七とさせていただいて、補填率を九割とした、支援の拡充強化を図る予算を盛り込んだところでもあります。
これは、なぜこういう形にしたかというと、やはり現場では、上昇率一・四じゃないよ、もっと高い、そういう声や、実際に二十四県、これは肥料も飼料も合わせてなんですけれども、この生産資材の経済対策では足りない、政府のやり方では足りないということで、二十四県は独自に肥料、飼料の支援対策というのを作ったわけですね。簡単に言うと、例えば、七割補填じゃ足りないから、あと一・五は、あと三割のその半分、二分の一は自治体で支援しましょうとか、そういうことをやっている自治体が多いわけです。
それを考えれば、やはり現場の声からしたら足りないんだという声に応えようとしているということですので、それを私たちもいろいろ調べまして、そうすると、やはりできるだけ現場の声に応えるためには補填率を上げていくということなんだというふうに考えて、これは一つの例でありますけれども、私たちは、肥料はこのような形でさせていただきまして、経済対策にも盛り込ませていただいています。
もちろん、それ以外に、飼料対策や国産粗飼料の支援の対策等も入れさせていただいています。
大臣、このように、今までの対策がもし現場で足りないという声があれば、今度出てくる経済対策にそれを今度は盛り込んで、きちんと予算として、予備費ではない、補正予算として上げるということになっていくのかどうか、そこを教えていただきたいと思います。
○野村国務大臣 今、金子委員おっしゃった、生産資材価格の高騰に対する政府の対応でありますけれども、金額的に申し上げますと、肥料については七百八十八億なんです。
それで、これは総理がG7で行かれていたときに、私どものちょうど選挙期間中だったんですが、記者会見で、夜ニュースを見ておりましたら、七割補填するとおっしゃったものですから、私の地域の皆さん方、また、選挙期間中でありましたので、演説会でそういう話をしましたら、大変みんな喜んでくれまして、七割補填してもらえれば何とかやれると。
今、それじゃ足らないんだというお話なんですけれども、ただ、一〇〇%、十割の補填をしていきますと、農家の皆さん方は、もうそれで安心してしまう、ほかのものにやはり替えようという気持ちにならないんじゃないかという思いがします。
その証拠に、例えば私の鹿児島で申し上げますと、もうこれから堆肥を活用して化成肥料を減らすんだ、もう一割どころじゃない、今のところは三分の一ぐらいの負担減にもなります。
ですから、それをペレット化して、牛ふんを七割、豚ぷんを二割、それから鶏ふんを一割入れたペレットを作って、それでもって今年の秋肥からもう既に経済連、JAの方では供給しておりまして、特に秋肥は麦だとかお茶が中心になりますから、鹿児島、静岡はお茶が中心でありますので、そういう農家の皆さん方はもうほとんどそういう堆肥肥料を使うということになって、化成肥料をほとんど使わなくなってくるのではないか、こんなふうに思います。
ですから、これが本当の私はあるべき姿だと思います。お金を出して海外のそういった肥料の資材を購入して日本で生産するよりも、日本にあるものをやはり使った方がこれはいいわけでありますから、北海道にしてもあるいは東北にしてもそうでありますが、皆さん、そういった方向で今後は考えていただきたい。
だから、一〇〇%の補填というのは、これは農家の皆さん方が望むところでもないだろう。私はやはり、地元にある堆肥、汚泥の処理、そういったもので対応をしていけるのではないか。今後、研究も重ねます。
○金子(恵)委員 ありがとうございます。
大臣がおっしゃっているのは今後の取組、その部分については、もちろん、国産の肥料等をしっかりと作り上げていくということ、それは賛成です。応援をしたいというふうに思います。
しかし、今、今本当に肥料高騰で困っている、そして営農継続もできません、未来ありませんという方に今後の対応を伝えていっても響かないと思います。そのことは御理解をいただきたいというふうに思います。今、本当に継続できないというふうに言っている。
時間がありませんので、またの機会を是非、経済対策が出れば、またこのように、どのような対応をされていくかということを議論はできるというふうに思いますので、次の質問をさせていただきたいと思うんですが、食料・農業・農村基本法の見直しでございます。
これはいよいよスタートいたしました。私もこの委員会で、この基本法の見直しについて、前大臣にもさせていただいたところではありますけれども、そのときは納得のいく答弁はいただけませんでしたけれども、今回、野村大臣になられまして、いよいよスタートをしているということでございます。
これも応援をしたいと思いますし、立憲民主党の中でも、農水部門会議の下、新食料・農業・農村基本法検討ワーキングチームを立ち上げましたので、この基本法改正に向けた議論を私たちも進めていきたいというふうに思います。
なぜ今なのかというのは先ほど来御答弁がもうあったというふうに思いますので、ただ、この基本法検証の端緒となるその方針、食料安全保障の強化と農林水産業の持続可能な成長を推進というここの部分なんですが、基本法と現実との乖離は本当に顕在化していると思うんですね。それはもう言うまでもなく、食料自給率です。
基本計画に定める食料自給率の目標、その向上を図ることを旨として定めることとされていますけれども、これが基本法の第十五条の第三項です。基本法が制定以来、食料自給率は向上していない、食料自給率の目標は達成していないということがもう分かっています。とても残念なことではありますけれども、本当にここを真剣に、食料安全保障の観点からもしっかりとここを進めていかなくてはいけないことでもあります。
また、担い手の育成なんですが、これは少し後退しているのではないかと。例えば、令和四年度農林水産関係予算の重点事項というのがあるんですが、その柱から、担い手の文言が消えているんですね。これは、令和五年の概算要求もそうなんです。これは、担い手への農地集積とかそういうことも少し後退して考えているということなのかどうか。
二点お伺いしたいと思います。
○野村国務大臣 金子委員のおっしゃる、食料・農業・農村基本法のこの見直しにつきましては、今おっしゃったようなことを我々は念頭に置きながら、今、見直し作業というか議論を審議会の部会でしていただいているところでございまして、基本理念として、今おっしゃった政策の方向では、やはりこの自給率というのは、今までも掲げてはおったんですけれども、いわば本気度が違うと、今回は。
というのは、それは、やはり、もう御承知のように、いろいろな食料の輸入が、価格が高騰したりあるいはストップしたりというような今現象が起こっておりますので、本気になってやはりこの自給率を引き上げる努力をしていかなければいけない。そこに、中でもやはり小麦であるとか大豆で非常に低いところがありますけれども、幸いにして、ここは少しずつ持ち上がってきておりますから自給率も少しは上がったと思うんですが、こんなものじゃないというふうに私個人的には思います。
ですから、これから、今おっしゃった自給率をきちっとやはり目標を掲げ、これにどう近づけていくか、どう実現していくかということのやはり議論というのは大変必要になってくると思います。
ですから、いろいろなものをただ輸入に頼っているような日本の農業は、それでは今後は進展していかないと思いますので、今おっしゃったような自給率をやはり一つの目標にしながら、どう具体化していくかというのが、私ども農林漁業に携わる、政策もそうでありますが、また実際、市町村なり県なり、あるいはまた農業団体なり、一体的にこのことは一緒に同じ方向を向きながらやっていきたいと思っております。
○金子(恵)委員 時間になりましたから終わりますけれども、最後に、是非、既存の予算とは別に食料安全保障予算を獲得していただきたいということを申し上げさせていただきまして、そして、私の参議院議員時代のことも覚えていただいたことに御礼を申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。
○野村国務大臣 先ほど金子委員に答弁した中で、家畜防疫官などのデータに関しまして、平成元年ということを言ったそうですが、古い人間なものですから、令和元年でございました。
大変申し訳ありません。
○笹川委員長 次に、近藤和也君。
○近藤(和)委員 石川県能登半島の近藤和也でございます。よろしくお願いいたします。
我が方の金子農林水産ネクスト大臣からの質疑の後を受けて、質疑に入らせていただきます。
まず、大臣所信の中身に入らせていただく前に、二点伺います。
旧統一教会について、そしてアキタフーズとの関係について伺わせていただきます。
なぜ旧統一教会のことをこの農林水産委員会でも聞くのかということでございますが、私は日本海側に生まれ育った人間でございます。日本海側に住む人間として、そして、能登半島には日本海有数のイカの水揚げをしています小木漁港というところがあります。この数年間、中国そして北朝鮮の違法操業に随分と悩まされておりますし、また、私の知り合いの船長さんから、朝方ミサイルが飛んでいったのを見た、本当に怖い思いをしたと。また、警報なども水産庁さんなどからもいただくこともありながら、私たちにとってみて、北朝鮮の脅威というのは本当に許されざるものがあります。
統一教会というのは、私たち日本人からお金を巻き上げて、そして韓国、そしてさらには北朝鮮へもお金が行っているというお話がございます。日本人から巻き上げたお金が違法操業の燃料代に変わっている、日本人から巻き上げたお金がミサイルの開発費に使われている、ふざけるなというのが私たちの思いでございます。
もし政務三役の方々に関係ある方がいらっしゃったら、その資格があるのかといったところはやはり問うていく必要があるという観点から質問させていただきます。
お手元に推薦確認書の写しを配らせていただきましたが、旧統一教会関連団体からこの推薦確認書を、まず、提示されたことがあるか、そして、署名を求められたことがあるか、署名をしたか、そしてまた、選挙支援、パーティー券購入、寄附金など、協力を受けたことがあるか、それぞれ皆様、大臣、両副大臣、両政務官に伺います。
○野村国務大臣 今の近藤委員の御質問にお答えしますが、御指摘の団体からこのような推薦確認書が提示され、署名したことはございません。さらにまた、私の知り得る限り、御指摘のような協力を受けたこともございません。
以上であります。
○勝俣副大臣 御指摘の団体から推薦確認書を提示されたり、署名をしたことはございません。また、私の知り得る限り、御指摘のような協力を受けたこともございません。
○野中副大臣 御指摘の団体から推薦確認書を提示され、署名したことはございません。また、私の知り得る限り、御指摘のような協力を受けたこともございません。
旧統一教会関係団体の行事に出席をしたことはございます。当時、当該団体の現状について認識を欠いておりました。今後については、厳正に見直していく所存であります。
○角田大臣政務官 御指摘の団体から推薦確認書を提示され、署名をしたことはございません。また、私の知り得る限り、御指摘のような協力を受けたこともございません。
○藤木大臣政務官 お答えをいたします。
御指摘の団体から推薦確認書を提示されたり、署名をしたことはございません。また、私の知り得る限り、御指摘のような協力を受けたこともございません。
○近藤(和)委員 皆様からそれぞれ承りました。ありがとうございます。
野中副大臣のみが、今まで出席したこと等がある、関係があった、以前ですね、そういったお話を伺いましたが、今後一切関係を絶つということで、そのことについて確認したいと思いますが、いかがなんでしょうか。
○野中副大臣 委員のおっしゃるとおりでございます。
○近藤(和)委員 議事録に残りましたので、本当に皆様が誠実にお答えいただいたと信じた上で、質疑を進めていきたいと思います。
それでは、次、大手鶏卵業者アキタフーズとの関係についてでございます。
今年の五月に吉川元農水大臣に有罪判決が下されまして、そして六月に収賄罪が確定ということになりました。この点につきまして、野村大臣、どのように受け止めていらっしゃるでしょうか。
○野村国務大臣 個別事件の裁判所の判断でございますので、私の方からコメントすることは控えさせていただきたいと思いますが、いずれにせよ、政治家は、その責任を自覚して、国民の皆様方に疑念を持たれないよう、常に襟を正していかなければならないというふうに考えております。
○近藤(和)委員 個別ということは私は納得がいかないんですね。
少なくとも吉川さんが農林水産大臣だったときにお金を受け取って、しかも、このアニマルウェルフェアについての国際的な議論も国内的な議論も進んでいたときでの事案でございますので、現在の農林水産大臣として、個別の事案だからというのは私は答えにならないと思います。誠実なお答えをお願いいたします。
○野村国務大臣 農林水産省で起こしている、大臣室だったわけでありますが、それはそれとして、それが相当農林水産省との関わり合いでどうなるのかということであれば少しはコメントできるんですが、ただ、今おっしゃったような、これは事件としては裁判所の判断がもう出たわけでありますので、そのことについてコメントはできませんということを申し上げたところであります。
○近藤(和)委員 少なくとも、一次産業に関わらない方々からとってみたら、政治家はまた汚いことをしていた、そして、農林水産に関わるところというのがこういったことをいまだにやっているんだというイメージ悪化につながったことは間違いありませんので、そこは深く受け止めていただきたいと思います。知らぬ存ぜぬでは私はちょっと違うかなと。少し残念な答弁でございます。
そして、アキタフーズの元代表との接点につきましては、大臣も以前報道されたことがございますが、この点について、いかがでしょうか。
○野村国務大臣 養鶏団体の皆さん方とは、前の会長もそうでありますが、お替わりになりまして、秋田さんとは、余り、親しい間柄というよりも、ほとんどお会いしたことも、少なかった、なかった。団体の皆さんが陳情で見えたときにはお会いしましたけれども、個人的に会うというふうなことは余りなかったわけであります。
ですから、いろいろな団体の、特に畜産団体の方がお見えになりますけれども、その中でのお一人だ、こういう認識でおります。
○近藤(和)委員 仄聞してみますと、吉川元農水大臣も余り親しくなくて、むしろ不意打ちを食らっていつの間にかずぶずぶになって逃げ切れなかった、知っている方ほどうまいこと逃げていた、そういったお話も伺っていますので、その点では少し、今後、今大臣になられましたら、過去のこともまたいろいろ出てくる可能性が、私たちもしっかり調べていかなくてはいけないなというふうに思いますので、できれば、何もなければそれはそれで一つのことなのかなというふうに思います。
それでは、所信の中身に入らせていただきます。
所信の中でも輸出額五兆円を目指すといったことが書かれてございます。
これについては、食料・農業・農村基本計画、今走っているものの中から出てきたものでございますが、私の石川県でも、ルビーロマン、高級ブドウが残念ながら韓国に流出をしていたということでございます。大変残念です。
農家の方々からお話を伺うと、もう十数年前、開発するときは、剪定した苗木、捨てたものまでわざわざ集めて焼却処分するとか、相当気を使ってやっていた、そして、今でも生産はそんな簡単なものではありません、自分たちはできる限りの努力をしてきた、だから、後はあんたらっちゃがちゃんとやってくれということも本当に強く言われてございます。
実際には、種苗法の改正等もそういった流れで行われてきたというふうには思いますけれども、後追いでできないこともあると思いますが、逆輸入をいかにして防ぐか、そしてまた、次なる新たな新種では二の轍を踏まない、こういった覚悟を、農家の方々に、安心して生産してください、そういった心意気を、どうか大臣、見せていただけたらと思いますが、いかがでしょうか。
○野村国務大臣 このルビーロマンについては、私も、新聞なりそういうもので、テレビで見ただけで、実際現物を見たことがありませんでしたが、幸いに、私のところに生産者の方々がお見えになりまして、そしてルビーロマンもいただきました。大変おいしいものだなと思っておりまして、そのときに、海外流出の問題がやはり気になったものですから、その辺についてはどういったことをされておりますか、こう申し上げましたところ、いや、これは海外に持っていかれてもできませんよ、こういうことを代表の方がおっしゃっておられました。
それは、それだけ技術を要するものだし、それから、そのときに聞きましたときは、百十数名の生産者でルビーロマンを作っていて、それ以上には広がらない、だから海外に持ち運んでいかれるようなことはない、こういうふうに非常に自信を持っておっしゃったんですが、先般の新聞でルビーロマンが韓国で栽培されているというのを見て本当にびっくりしました。あれほど生産者の人たちが、これは持っていっても技術力がなければ絶対できませんと。
ですから、どういったような味のルビーロマンなのか、韓国ではどういう栽培方法をしているのか分かりませんが、いずれにしても、生産者の方々はやはり自分たちの作っているものに対する自信というのを持っておられたものですから、ああ、それならばいいですね、こう申し上げたんですけれども、ついに海外に流出することになってしまって、残念だなと思っております。
ただ、今現在、海外で育成者権者の許諾なく無断で栽培され、輸入された場合は、育成者権者の申立てがあれば、関税法に定める手続に従い、輸入差止めを行うことは可能でございます。
新品種は育成者権者自らが管理することが重要でありますので、こうした考えでの品種登録や、早く品種登録を、私はそのことも申し上げました。品種登録されましたかと言ったら、していないと。
だから、先ほど言ったような理由で、そんなに、こんな簡単にできるものじゃない、うちのメンバーも百十六人しかいないんだ、そんなことをおっしゃっておりましたから、流出することはないのかなと思いながら聞いていたんですけれども、ただ、現実的にはやはりこういったことが起こってしまったということでありますので、早く海外での品種登録なり、侵害対応を支援してまいりたいと思っております。
○近藤(和)委員 ありがとうございます。
悪いことをするやからも進化しますので、どうかそこはしっかりと進化し続ける、気合を入れ続けるということで、よろしくお願いいたします。
そして、ルビーロマンの御感想をいただきまして、ありがとうございます。今回は受け取った、いただいたという形だと思いますが、これからは定期購入をしていただければありがたいなと思います。
それでは、食料・農業・農村基本法の見直しに移ります。
こちらにつきましては、なぜ変えるのかということについては先ほどから何度か質疑がございましたので、私の立場からしてなぜということから議論を進めていきたいと思います。
この食料・農業・農村基本法については、現在、この理念法としての法律の上にというか横にというか、基本計画があるわけですね。私も、二年半前の議論の中では、農水のそのときも筆頭の理事として、党内での議論、そしてこの委員会での議論に参加をさせていただきました。
当時の江藤大臣には、相当気を使っていただいて、私たちの思いも酌み取っていただいたということで、大変感謝をしていますし、現在走っている基本計画というのは、私たち一緒に作ったものなんだという思いを持っています。これがある中で、なぜその基本法を変えるのかということなんですね。こういった漠然とした思いがございます。
そして、そもそもが、現在の食料・農業・農村基本法については、その前身の農業基本法が一九六一年に作られて、そこから時間がたって、高度経済成長、そしてバブルも崩壊して、ガット・ウルグアイ・ラウンド、そしてWTO体制が、自由主義経済が一気に広がったということで、さすがに合わなくなってきたということで、食料・農業・農村基本法というものに作り変えられたわけですね、その歴史的な経緯を考えれば。
そして、その中で、生産者の立場だけではなくて、食料安全保障という観点や農村という観点も入れようということで今の法律ができた。そして、農業基本法の考えとすれば、理念法だけでなかなか時代への対応ができないから、だから食料・農業・農村基本法を作った上で、計画というものも、十年を見通した上で、五年置きに作っていきましょうねということで、大体五年置きで作られてきた経緯があるわけですよね。
ですから、基本計画が柔軟にある程度作られてきた中で、なぜその理念法である基本法まで変えなきゃいけないのかなというところが問題意識としてあるわけです。この点については、どこが今の基本計画では足りないという御認識なんでしょうか。
○野村国務大臣 近藤委員はやはり非常に見識が高くて今のようなお話が出たんだろうと思いますが、私どもがこの基本法を変えるというのは、先ほどもお話があったように、もう二十年経過して、内容的なものは計画で五年を機に実質的に見直しているのだということが委員のお話、お考えじゃないかな、こんなふうに思いました。
ただ、やはり整理しておかなければ、食料、農業、農村に関する施策の方向性を示すものが基本法でございます、法律です。施策の方向性を示すのが基本法でありまして、その方向に即して政府が講ずべき施策を示したものが、五年置きに今見直しをしている基本計画だ、こういうふうな理解で私どもは取り組んでいるところでございます。
したがいまして、大変、今、内外を問わず、いろいろな食料をめぐる環境というのが大きく激変してきておりますので、やはりここで基本法を見直そうということで、今、審議会にお諮りをしたところでございます。
ですから、どういうところを直していただくとか、全くそれはもう予断を持ってお願いしているわけじゃなくて、委員の方々に、検証してみてください、そして見直してみてくださいということからスタートをさせていただいているところでございます。
○近藤(和)委員 いいものであれば、三十年たっても四十年たっても変える必要がないと思いますし、駄目なものであれば、二年でも三年でも、たってすぐ変えなければいけないというふうに思います。その二十数年というのは、ちょっと、余り理由でどうこう今後言われない方が、私は、むしろ議論は深まるのかなというふうに思います。
そして、その中で、私も、この基本法を見直す方向だということそのもの、その問題提起というものはすごく大事だというふうに思っています。ですから、私たちも党内での議論を始めたわけでございますが、気になることがございます。
それは、所信の中でもありましたが、九月九日の総理指示を受けて今回の検証、見直しに行くと。そして、今、私の手元にありますのが、これは官邸のホームページの中で、この九月九日の総理の談話が載っています。「新しい資本主義の下、」云々かんぬんと来まして、「食料・農業・農村基本法について、」「見直しを進めてください。」ということなんですね。
農水省さんからも資料をいただく中で、新しい資本主義というキーワードが一番大きく出てくるわけなんですけれども、この新しい資本主義というのは、大臣、農林水産省にとって、そして今の基本法の見直しについて、どういったものと捉えていらっしゃるんでしょうか。
○野村国務大臣 先ほどおっしゃいました、総理からの指示というのは確かでありまして、そのことは、かねがね総理も、新しい資本主義の中でいわば農業をどうしていくのかということは、やはりお考えいただいていたんだなということはよく分かりました。
そこで、新しい資本主義というのが、じゃ、農業とどう関わっていくのかという御質問の趣旨だろうと思いますが、今の気候変動問題などの社会的な課題を解決しながら成長を実現していくことで持続可能な経済社会を目指していくということであろうというふうに認識しております。
農林水産分野においては、もう委員御承知のように、生産者が減少した、あるいは高齢化が進んだ、また、先ほど来申し上げておりますような、食料安全保障上のリスクが高まってきている、こういった中で、社会課題を解決しながら農林水産業の持続的な発展を目指す、それには、やはり新しい資本主義は実現されていくものだ、こういうふうな認識でやっておるところでございます。
○近藤(和)委員 ちょっと私の求めている、新しい資本主義との関係ということでお話しいただいたんですが、新しい資本主義とは一体何なんでしょうか。
○野村国務大臣 常々総理がおっしゃっておられる新しい資本主義、これについて、今ちょっとメモを忘れておるものですから、はっきりあれですが、四本の柱を立ててございます。その中で、やはり、新しい資本主義ということについて、農業分野ではどうするか、あるいはそれぞれの分野ではどうするかということが今検討がされているところでありまして、私どもの農業分野においては、農業基本法を改正しながら、そしてその議論を深めていこうということでありまして、その中の、総理からの指示を受けました、新しい資本主義の中の柱の一つを、私ども農水省の方でどういう中身にしていくのかというのは、今現在、検討し、そしてまた、予算の中にそれを織り込んでいくということをやらせていただいております。
○近藤(和)委員 るるお話しいただきましたが、私は、この新しい資本主義についての議論というのは、昨年の臨時国会から、岸田総理も、何度も、野党、また与野党超えて議論されていますが、正直、私たちの立場からとってみたら、新しい資本主義って何なのという思いがやはりあるんですね。
つい最近の例でいけば、令和版所得倍増計画と言っていたのが去年であって、今は資産倍増計画に変わっているということですとか、ニュアンスとしてアベノミクスに対して相当厳しい言われ方もしていたな、新自由主義だけじゃ駄目なんだとか、トリクルダウンでは、トリクルダウンが起きていなかったんだと。そして、分配が大変大事なんだというふうに言われていながら、今国会での所信の中でも分配という言葉がなかったりとか。ゴールデンウィーク期間中に総理がロンドンで講演されたときに、この新しい資本主義というのは、大胆な金融政策、そして機動的な財政運営、そして成長戦略だ、こういう、三本柱と言っていないだけで、アベノミクスそのものなんですよ。
要は、固まっていないもの、不安定なものというふうに私は受け取っています。恐らく、農業関係者の方もそう受け取っている方が多いと思います。
この不安定なものを、基本計画どころか、基本法のところで盛っていくということは、この新しくなるかもしれない基本法がもっともっと私は不安定になるということを、不安をしています。
できれば、今もう時間がなくなりましたので、恐らくは、お話を伺う中では、この基本法の見直しの議論の中で、今はこの新しい資本主義という、総理から、命で、指示の下で議論がされるんでしょうけれども、私からしてみたら、この新しい資本主義を除いて、横に置いておいて基本法の見直しをされた方がいいと思いますが、どうお考えでしょうか。
○野村国務大臣 私どものいわば農林漁業分野では、新しい資本主義の下で、まず一つはスマート農林水産業でありまして、いろいろなものを、先進的な技術を導入しながら、あるいはそういった機械を導入しながら、まずは進めていこう。それから二つ目は、やはり何といっても輸出の促進、これが二つ目の柱。それから三つ目が、農林水産業のグリーン化でございます。先ほど金子委員のところでも申し上げましたけれども、堆肥を肥料として使う、こういったものがやはりグリーン化につながっていく。それから四つ目が、食料の安全保障の強化ということでやらせていただいて、また、それについての予算の編成もしているところでございまして、私どもは、この新しい資本主義の下で今申し上げましたようなことを進めていきたい、こんなふうに考えておるところでございます。
○近藤(和)委員 今日は初回ですから相当かみ合っていないなというふうに思いますが、どんどんどんどんよい意味でかみ合っていくようにしていければいいなというふうに思います。
それでは、資源高対策に移らせていただきますが、こちら、先ほど金子委員の方から幾つか御提案等させていただきましたが、足りないという我が方の思いと、いやいや、ある程度やっているし、それぞれの改革努力も必要なんだという大臣とのやり取りを伺わせていただきました。
この点について私は質問を飛ばさせていただきまして、現在の一次産業に携わる方々の苦しみ、生産資材上昇、物価上昇、今、日本全体で見れば、この一次産業を含めた上でいけば、為替ですね。円安要因が物価上昇の五割程度というふうに言われています。農林水産省の立場として、現状の円安を大臣はどのように捉えていらっしゃるでしょうか。
○野村国務大臣 資材の高騰の要因というのは、今委員から御指摘がありましたように、やはり、これは争奪戦もありますが、円安も大きく影響しておりまして、農家の努力だけではこれは吸収できない今状況にあるというふうに思っております。
特に、やはり飼料や肥料、それから燃油等の資材価格が農業者の経営に大きな影響を与えているというのは、これはもう御承知のとおりでありますが、このために為替や国際価格の変動が農業者の経営にどのような影響を与えるのか、あるいはその影響を小さくしていくためにどういうことが必要なのかということを、肥料や配合飼料の価格高騰対策を講じていきたいというふうに思いますし、さらには、海外依存の大きい小麦なり大豆、こういったものの、あるいは飼料の、餌もそうですが、増産なり肥料の国産化等も進めていくということで、今回の経済対策の中にも織り込んでいるところでございます。
円安だけではなくて、やはりこれは、今現実的に起こっておりますのは資材等々の争奪戦でありますので、それを国内でどう作っていけるのかというようなことを検討していかなければならないし、そのことが食料の安全保障につながる、こんなふうに思います。
○近藤(和)委員 現在の円安というのは食料の安全保障を脅かしている、これは、消費者にとってみても、生産者にとっても同様だと思います。
そして、今、現場では、技能実習生など、日本に既に来られている方が海外に送金するのをためらっているという話も私も直接伺いましたし、また、新たに例えば酪農をされておられる方のところに技能実習生が来るか来ないかといったところで、いや、日本で働いたってといったところで、違う国に人材も取られかねない、そういった事態も十分想定されるわけです。
一番最後のチャートにつけましたけれども、ドルだけが高いのではなくて、ほとんど、日本が関わる輸出入に係る、ポンドはあえて例示のために載せましたけれども、円がそれこそ独り負けの状況です。様々な穀物等も買わなければいけない中で、ようやく落ち着きつつあるドル建てでの取引価格についても、今、百四十六円台というふうに伺っていますが、せっかく元の値段が下がってくれても、為替の分で相殺若しくは更に高くなってしまうということが起きてしまっています。
この円安というのは農林水産省にとっても大変大事な問題であるということも受け止めていただきたいですし、今の黒田日銀総裁の超金融緩和、そしてアベノミクスの影響、日本は経済がよくなかったから金利を上げることもできない、物価高を抑えることもできないといったことも含めて、これは何も財務省や日銀の問題ではなくて、農林水産省の問題として、今の経済金融政策の見直しを、一次産業に携わる方々の守り神として、そして消費者の守り神として、強く主張していただきますことをお願いいたしまして、終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○笹川委員長 次に、梅谷守君。
○梅谷委員 立憲民主党の梅谷守です。
近藤和也議員からバトンを受けて質問をさせていただきますので、大臣また皆様、どうぞよろしくお願いいたします。
まず、質問項目の順序を変えさせていただきたいんですが、二番目の、定員について、ここから入らせていただければと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
その上で、お配りさせていただいた資料の一枚目、「全省庁・農林水産省の定員(年度末)の推移」というものを配らせていただきました。御案内のとおり、国家公務員の削減、定員削減計画は、一九六八年から始まり、おおむね五年をスパンに五から一〇%の削減を目標に進められて、二〇〇〇年までの間においても、農林水産省は、他の省庁に比べて、この図で一目瞭然のとおり、突出した削減を余儀なくされています。中央省庁再編後の二〇〇一年以後も更に顕著になっております。
今期、定員合理化計画は、内閣人事局の通知、「令和二年度から令和六年度までの定員合理化目標数について」という通知がありますけれども、これに基づいて進められておりまして、ここでも、農林水産省の合理化目標は二千八百二十人、全省庁平均を上回る最大の削減率というのが引き続き続いているんです。
お配りさせていただいた二枚目のペーパーなんですが、内閣人事局が九月七日に公表した「令和五年度機構・定員等の要求状況」では、多くの省庁で減員を上回る定員要求をしているのに対して、農林水産省は、この「差引」を見ていただきたいんですが、内閣府の一部機関を除いて、時限増員を除けば減員が増員を上回る要求になっています。こうした状況に加えて、職員の年齢構成が高齢化もしております。特に、地方、地域を支える地方農政局県域、地域拠点が顕著になっているのが実情。
そこで、まずお尋ねしますが、農林水産省として、この激減の理由をどのように受け止めていらっしゃるのかお伺いをしたいと思います。
○渡邊(毅)政府参考人 お答えをいたします。
今先生御指摘のとおり、国家公務員の定員合理化につきましては、平成二十七年以降、五年ごとに基準年度を設定して計画的に実施するということになっておりまして、令和二年から令和六年度までを対象とする第十四次定員合理化計画については、政府全体で毎年度二%、五年間で一〇%以上を合理化するということを基本とするということになっておりまして、農林省につきましては、先生御指摘のとおり、五年間で二千八百二十人の合理化目標ということで、合理化率にしますと一三・五九%になっております。
この合理化目標数につきましては、各府省の行政需要の動向ですとか定員の増減の状況を踏まえまして、内閣人事局の方が府省ごとに示すものというふうに承知しているところでございます。
○梅谷委員 ありがとうございます。
今日はその内閣人事局からもお越しいただいておりますけれども、内閣人事局にもそこでお尋ねしますが、この平成二十六年七月二十五日閣議決定の国の行政機関の機構・定員管理に関する方針というものに基づいて定員合理化計画が進められておりますけれども、ここ、リアルな話、内閣人事局としては、農水省だけが突出した削減を行われていることに対してその理由をどう考えていらっしゃるんでしょうか、改めてお伺いしたいと思います。
○横田政府参考人 国の定員管理につきましては、平成二十六年に閣議決定されました国の行政機関の機構・定員管理に関する方針、これに基づきまして、現下の厳しい財政状況に鑑み、不断の業務の見直しを進める一方で、必要なところには適切に定員を配置し、政府の重要課題に機動的かつ柔軟に対処できる体制の構築を図っているということでございます。
計画的な定員合理化を行うに当たりましては、全ての府省に対して一定の合理化を求める中で、各府省それぞれの直近の定員の動向等を反映しまして、五年ごとに府省ごとの合理化目標数を決定しているということでございます。その結果といたしまして、農林水産省が高い削減率となっているというところでございます。
○梅谷委員 答えがよく、なっていない、なっているようでなっていないというのが、私の今の理解でした。また後ほど内閣人事局の方には質問をさせていただき、是非、ちょっと御検討いただく質問をさせていただきます。
そこで、定員削減によって業務量に見合う定員、人員が配置されない状況が続いて、職員の方々にとって厳しい労働条件が余儀なくされているといった切実な声が私のところにも届いております。特に、地方農政局等、県域、地域拠点においては、近年、若手職員の配置は進められているんですけれどもそれ以上に削減されているものですから、退職者に見合う補充が行われていないものですから高齢化が進んで、そして職員の方々のモチベーションも低下していると耳にしています。
二十年ぶりに食料・農業・農村基本計画、基本法の検討がされる中で、進む中で、また、食料安全保障の強化、みどりの戦略システム法案、これによる要請、またカーボンニュートラルの要請などなど、もっと言えば、先ほど来質問になっている水際対策の強化、外国漁船の取締り、これらなどを考えていけば、我が国の農林漁業を取り巻く環境も激変していることは言うまでもないわけでして、これからこうした時代にこの人員体制で的確に対応できるのかというのが私の今回の大きな問題意識でして、そして、そのしわ寄せは、結局、国民の生活に悪影響となって及ぼしかねない、このことも強く危惧しております。
そこで、大臣にお尋ねしますが、新しい農林水産業の確立に向けて、この体制のままで、私は極めて不十分と考えますが、大臣の御見解を伺うとともに、あわせて、日本の農林水産業を支える大事な農政局県域、地域拠点の人員拡充及び若手の人材育成、確保に向けた決意をお尋ねします。
○野村国務大臣 先ほど官房長の方から申し上げましたように、令和二年度から六年度までの五年間において定員、人員が減少する中で、やはり今御指摘がありましたように、農林水産省としては、やはり事務のデジタル化など、事務事業の効率化を図りながら、政策課題にも対応できるような人員の配置をしておる、こういうことでもございます。
ただ、委員のお示しされました先ほどの数字でありますけれども、正社員、正職員だけではなくて、最近の傾向として、新規採用者の継続的な確保や、職員数が少ないといったようなことから、就職氷河期時代の中途採用を年間百五十人ぐらいずつ今やっておりまして、これをちょっと調べさせてもらいましたら、平成の三十一年はこういった中途採用が五十八人しかおりませんでしたが、今年になりまして、三年度は百五十人になっておるところでございまして、そういう形で、必要な定員なり人員の確保、そして新たな需要に対応できる専門的な知識を持った人たちの採用をやっておるということでございます。
また、今後とも、先ほど来ありましたように、基本法の見直しなり、また食料安全保障の強化、こういった課題もございますので、各主要課題の着実な実施に向けての更なる実務、事業の効率化を図りつつ、必要な定員、人員の確保に努めていきたい、こんなふうに思っているところでございます。
○梅谷委員 ありがとうございます。
大臣から、お調べいただいて、そして中途採用の方々が約三倍にも上っているし、ほかにもこれから頑張っていきたいというような趣旨の御答弁をいただいたと受け止めさせていただきました。
これも私の問題意識なんですが、今、合理化計画で縮めなければいけない、でも、一方で、いろいろな課題に取り組まなきゃいけない。だから、そのために新しい室なりそういうものをつくって、そしてそこに新しい、新規の増員を当てはめていくと。でも、これはよく考えたら、結局、同じ課の下にいろいろな室がどんどんどんどんできたりすると、それはそれで、やっていることはそこまで変わらないに違いないのに、その分の負担がかかってくるという部分も私はちょっと注視しておりまして、そういうことも考えて、是非、根っこから、農林水産業は、大事な大事な、日本人の命と暮らしを守る省庁ですから、是非この点で、また更なる鋭意努力をお願いをさせていただきたいと思います。
先ほど来、水際対策が議論になっています。私の方からは、植物防疫所、動物検疫所の体制強化についてお尋ねをしたいと思います。
二〇一九年の訪日外国人旅行客は、三千百八十八万人と、二〇一六年の六百七十九万人に比べて四六九・五%と激増。十月十一日以降、これも御案内のとおり、コロナ禍による入国制限が解除されたことから、人流はまた増えるだけでなく、先ほどもお話があります動植物等の検疫体制の強化、これが政府の重要課題の一つだと受け止めております。
そこで、まず数字をお尋ねしますが、植物防疫所及び動物検疫所の二〇一六年度から二〇二二年度の定員削減数と増員数をお伺いをします。
○森政府参考人 お答えいたします。
植物防疫所及び動物検疫所の定員について御質問いただいたところでございます。
二〇一六年度と二〇二二年度を比較をいたしますと、植物防疫官につきましては、九百一名から九百七十八名で、七十七名が増員されております。内訳としては、増が百七名、減が三十名となっております。
また、家畜防疫官につきましては、四百十六名から五百二十六名で、百十名が増員をされております。内訳としては、増が百二十九名、減が十九名ということでございます。
○梅谷委員 ありがとうございます。
七十七人の純増、そして百十人の純増ということです。これは、政府決定の緊急重点分野であるCIQの実現に係る体制としては、他省庁に比べて、空、海、港などにおける対応に必要な定員と人員配置が不十分な状況にあると私は受け止めていまして、そこで、大臣にお尋ねをさせていただきます。
農林水産省は、八月公表の、このペーパーにありますとおり、令和五年度組織・定員要求の中で、1の5で体制の強化を示しておるんですが、他省庁に負けないほどの更なる体制強化を期待しますが、大臣の見解をお伺いしたいと思います。
○野村国務大臣 今局長の方から、動植物の検疫官等の数字の説明を申し上げましたけれども、やはり動植物の検疫につきましては、令和二年の七月に施行された改正家畜伝染病予防法によりまして、輸入禁止品の廃棄権限の付与など、家畜防疫官の権限が強化、これは植物だけではなくて、家畜の防疫官の権限も強化されたところでございます。
また、植物検疫につきましては、令和五年四月に、改正植物防疫法によりまして、入国者に対する検査権限が強化されることに加えて、輸入検査に対する罰則も強化されたところでございます。
したがいまして、今、水際のこういったような、人員的にも増加しましたし、また権限も付与してございますので、今のところ、非常にこれが機能的に動いているというふうに思います。
しかしながら、先ほどもほかの先生、委員の方から御質問がありましたように、最終的には、植物にしても動物にしても、やはり農家の皆さん方のこういった対策、あるいは家畜伝染病の防疫体制を、どう農家の皆さん方が高い意識でもって飼育していかれるか、これに尽きていくというふうに思いますので、こちら側はこちら側としての水際対策なり予防対策をしっかりとやる、そして、それを受けての、やはり農家の皆さん方が自分のこととして、当然自分のことなんですけれども、警戒心を持ってやっていただきたい。
なかなか、喉元過ぎればという言葉もありますように、済んでしまっていくと気が緩んでしまうというのが私どもの地元でもやはりありますので、農家の皆さん方にも緊張感を持ってやっていただきたい、こんなふうにも思います。
○梅谷委員 ありがとうございます。
内閣人事局の方に改めてもう一度お尋ねしたいと思いますが、今お聞きしていただいたとおり、頑張るところはしっかり体制強化に向けて頑張っているところですが、何せ突出した削減率が根っこには、もう一方であるわけなんです。
そこでちょっと、通告していないんですが、お尋ねしたいんですが、この場で、昨年、今年かな、一回、大臣に向けて聞いたことがあるんですが、雪が解けると何になると思いますか。ちょっとこれは通告していないんですが、お答えいただけますか、内閣人事局から。どうぞ思うように答えてください。
○横田政府参考人 ただいま委員の方からもお話のございました定員の関係で……(梅谷委員「違う。雪が解けると何になりますかと聞いています。雪が解けたら何になると思いますか。一言で。時間もない、早く。分からないですか。答えられない」と呼ぶ)済みません、ちょっと手元に今ございません。
○梅谷委員 通告していなかった私が悪うございました。
往々にしてこれは水と答える方が多いんですが、越後では春になるんですね。つまり、感覚としてやはりそういう部分があるということを今申し上げたくて、お伝えしたくて質問をさせていただいたんですけれども。
これは内閣人事局の事務方の方といろいろお話をさせていただくと、これももちろん合理化に、進めていかなきゃいけないわけですから、やれ数字、やれDX、やれデジタルだというようにおっしゃるのはもちろん正論だと思います。
ただ、私の地元、新潟六区では六割以上を中山間地域で占めておりまして、そしてここに、今、農水省の職員の方々、本当におじいちゃん、おばあちゃんもそうですし、農家の方々、また農協の方々、いろいろな方々に対して、それこそ、仕事という以上に、私が見た限り、人と向き合う、そういうふうにして汗をかいていらっしゃるなというのが私の認識でして、それ以外にも、仕事以外のことも丁寧に関わりを持たせていただいたりとか、顔をよく見せ合って、そしてやっとお互いに気脈が通じ合って、そして信頼関係が生まれていく、そんなような世界でもあるんです。そういう中で、みんな必死に、農業を守らなきゃいけない、現場を守らなきゃいけないと必死にやっているんです。
だから、内閣人事局さんがおっしゃっていることはもちろん正論なんですけれども、でも、正論だけれども現実は違うじゃない、現実はこうじゃないというところはあるじゃないですか。だから、私は、皆さんがおっしゃることは正論だけれども、それを振るって現場が血しぶきを浴びているように見えなくもないと思っていまして、だからこそ、内閣人事局として、どうか、激変している農林漁業を取り巻く環境を考慮していただき、そして、日本全体の農林漁業が守られ、国民が安心して暮らせるような、そういうところに向けて、次回の五か年計画における農林水産省の定員は、合理化の削減数引く増員数がイコールゼロになるような、そういうことを強く求めますが、いい答弁を期待して、お願いします。
○横田政府参考人 国家公務員の定員につきましては、厳しい財政状況の中、効率的な業務実施体制となるよう、不断の改革に取り組むことが必要であるというのが私どもの認識でございます。
他方、政府の新たな重要課題に適切に対処する、そういうことのために、自律的な組織内の再配置によることを原則としつつ、特に必要が認められる場合には、定員措置を行ってきているということでございます。
農林水産省におきましても、先ほど御指摘のございました動植物検疫の関係のほか、農林水産業を取り巻く環境の変化を踏まえまして、農林水産物、食品の輸出促進、それから漁業取締り、そういったものの、重要課題への対応について重点的に定員措置を行ってきているということでございます。
いずれにいたしましても、その増員の原資となる定員合理化につきましては、先ほど来御指摘のございました、五年ごとに計画を策定して行ってきておるこの合理化計画によって取り組んできているというところでございまして、現在の計画終了後の定員合理化、この取組につきましては、先ほど来お話でございましたような現場の実情、それから農林水産省の抱えておりますような政策課題、こういった部分につきまして、また丁寧に伺いながら検討していきたいというふうに考えておるところでございます。
○梅谷委員 丁寧に是非よろしくお願いいたします。
それでは、時間も限られてきたので、次は、MA米について、ミニマムアクセス米についてお尋ねしたいと思います。
まず、ちょっと端的にお伺いしたいんですが、事務方の方といろいろ話していると、このミニマムアクセス米は最低輸入機会で合意をされていて、諸外国で全量輸入まで行っていない国が散見される中で、事務方ではどうしても、協定書の附属書五の一部に数量が規定されていることから、法的拘束力があって、全量輸入は義務だと譲らないんですね。かたくななんですよ。
私の理解は、協定上は、文言上、輸入機会の提供となっていますし、また、主食用米に回さないということも書かれていないんですね。もちろん、それをそのままやってしまうと、七十七万トンが国内に入って主食用米として流れてくるわけですから、それだと困るから、日本政府が、国家貿易として輸入をして、これを主食用に回さないように対応、運用しているという理解なんです。
すなわち、MA米全量輸入、七十七万トンの全量輸入は、義務ではなく、輸入するものとした対策だというふうに私は受け止めているんですが、この理解で間違っていないでしょうか。
○平形政府参考人 お答えいたします。
ちょっと正確かどうかというのはあるんですけれども、委員おっしゃるとおり、輸入全量のもの、義務というよりは輸入機会の提供というふうに考えてございます。
ただ、その上で申し上げますと、平成六年に政府統一見解というものがございまして、米は国家貿易品目として国が輸入を行う立場にあることから、ミニマムアクセス機会を設定すれば、通常の場合は当該数量の輸入を行うべきものというものがございます。これを踏まえて、現在、入札を行っているところでございます。
○梅谷委員 ありがとうございます。
WTO協定は、いわば複雑かつ精巧な細工のように成り立っておりますし、また、一般原則に対して特例を要求したら補償を要求される、代償を要求されるのがガット、WTOの基本ルールであることを考えると、誰かが言い出さない限りできるだけ触れたくないという気持ちは分からないでもないんです、分かります。
ただ、今、一九九五年当時一千万トンほどあった米消費量が、今やもう大激減しているじゃないですか。そして、農山漁村の人口減少と高齢化、減反廃止、米余り。そして、そもそも納税者としても負担を迫られている。ここに来ての急激な円安による物価、飼料高騰などなど。ある意味、このままでは農家の方々にとっても、また納税者、消費者にとっても浮かばれないんじゃないかなと私はちょっと考えています。
そこで今回、私は、MA米に関して見直し議論を本格化すべきという立場から質問をさせていただきます。もう時間も限られていますので、幾つかちょっと質問を飛ばさせていただいて。
まず、MA米に関しては、これももう重々御案内のとおり、例えば二〇一三年度までの十九年間で累計二千七百二十三億円の損失が生じたというふうにも言われていました。ですので、お尋ねしますが、例えば米保管料や飼料用米への転用、海外援助に回す際の輸送料などにかかる税金、政府は毎年一般会計から特別会計に繰り入れるなどして損失を穴埋めしています。
そこでお尋ねしますが、この間トータルでどれくらいの財政負担がかかったか、また、直近各五年の負担額と内訳をお尋ねします。
○平形政府参考人 お答えいたします。
ミニマムアクセス米、この財政負担でありますが、買入れ、販売に伴う売買差損、保管料等の保管経費により生ずるものでございます。
総額として、一九九六年度以降二〇二〇年度までの財政負担、総額で五千百三十一億円となっております。直近の五年間のを申します。直近五年間の負担額でありますが、二〇一六年度三百五十一億円、二〇一七年度百六十三億円、二〇一八年度三百十一億円、二〇一九年度三百六十八億円、二〇二〇年度三百六十七億円となっております。
これは内訳もですか。このうち、売買差損につきましては、二〇一六年度二百三十四億円、二〇一七年度六十七億円、二〇一八年度二百三十五億円、二〇一九年度二百八十七億円、二〇二〇年度二百七十億円。保管料は、二〇一六年度七十二億円、二〇一七年度六十一億円、二〇一八年度五十六億円、二〇一九年度六十五億円、二〇二〇年度七十八億円となっております。
○笹川委員長 既に持ち時間が経過しておりますので、質疑は終了してください。
○梅谷委員 ありがとうございました。
まだ慣れていないせいか、時間が来てしまいました。これで終わりにしますが、質問を幾つか余らせてしまいました。御迷惑をおかけしたことをおわび申し上げますとともに、引き続き、ちょっと余らせたこととこのMA米についてはどこかの機会で議論させていただければと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
ありがとうございました。
○笹川委員長 次に、掘井健智君。
○掘井委員 日本維新の会の掘井健智でございます。
早速質問に移りたいと思います。
今日は、農福連携を進めるということで、強い思いで質問をしていきたいと思います。
この農福連携という考え方は、ニッポン一億総活躍プランの中で、社会的に弱い立場の人が活躍できる、そんな場所を提供したい、そんな思いから始まりました。いわゆる福祉の観点から始まったんです。であることから、農業側の理解を今後進めていくということが成功につながってくるんだろうと思っております。
私は、県議会時代にこの農福連携のことについて農政にお尋ねしますと、どうも積極的ではなかった。農福連携は福祉に聞いてくれ、こんな感じであったものですから、福祉の観点から始まったんですけれども、例えば福祉事業団体が休耕地を活用して本格的にこれから農業に取り組むことが実現できるというか、本当に可能であると私は思っております。でありますから、やはり、積極的に農業側が本気で取り組むんだ、そんな必要があると思います。
この農福連携に対する大臣の意気込みをお伺いしたいと思います。
○野村国務大臣 議員は大変この農福連携に御関心が高いというふうに知って、敬意を表する次第でございます。
私も、現場でおりましたときにも、この農福連携をやらないと、両方、福祉の方から見ても働く場がある、農家の方から見たら働き手がない中でそういう方々が来ていただけるということで、これをやはり普及拡大していこうということで、取り組んでまいりました。
役所の方でも、目標が、R元年におきましては四千百十七件ぐらいの実績があるんですが、それを、五年間で、六年度末には三千件ぐらい増やしたい、こういう、いわゆる農福連携推進ビジョンというのができておりまして、これで今推進をしておりますが、おかげさまでR三年度は五千五百件を超えました。ですから、そういう意味で、着実にこの農福連携の関係が定着しつつあるし、また増えてきている、こんなふうに思っておるところでございます。
したがいまして、なかなか、皆さんからも指摘されておりますように、農業に従事する人が減ってきたとか、あるいは担い手が少なくなってきたというのを、こういう福祉の面からも、また農業サイドの方からの力の入れ方というのも、だんだん進んできているところがございまして、大変、方向としては、このビジョンに基づきまして、農福連携を強化していきたい、こんなふうに思います。
○掘井委員 やはり、農業側が本気で取り組むことでいろいろ現場で起こっている問題が解決していくんだろうと思いますので、まず最初に意気込みをお伺いしました。
農林水産統計調査を見ますと、農福連携を知っているかの問いに対しまして、知っていたと回答した割合が一〇・二%、知らなかったが六五・三%、聞いたことがあるが、内容は知らなかったが二四・五%でありました。つまり、農業者の約一割しか農福連携を知らなかったということになります。
この認知度の取組について、お伺いいたします。
○青山政府参考人 お答えいたします。
農福連携については、先ほど大臣の方からも答弁申し上げましたけれども、農福連携等推進ビジョンに基づきまして積極的に推進しているところですが、令和四年三月に公表した調査によりますと、農福連携を知っていた農業者の割合は、委員御指摘のとおり一〇・二%にとどまりまして、認知度の向上は課題の一つであると認識をしております。
引き続き、農福連携の優良事例を表彰しますノウフク・アワードの実施や農福連携に関心を持つ農業者の皆様への相談に応じていくなどの取組を通じまして、農業現場での周知に努めてまいりたいと考えております。
○掘井委員 分かりました。
これはやはり中身が問題だと思うんですね。例えば、周知する取組はどれだけあるのかとか、また、認知度を高めるための予算計上、こんなこともあるわけでありますけれども、この辺、どのように考えられておられますか。
○青山政府参考人 お答え申し上げます。
ノウフク・アワードの実施等について予算を講じまして周知を図っていくということで進めているところでございます。
○掘井委員 ノウフク・アワードという機会が年に何回、一回か二回か分かりませんけれども、それだけじゃなしに、本当に農業の現場に周知、伝えていくということが非常に大事であると思っております。よろしくお願いします。
次の質問でありますけれども、農林水産統計調査を見ますと、農福連携に取り組んでいない理由については、障害者を受け入れる設備が整っていないからが五六・一%、そして、障害者等との接し方が分からないからが一七・八%。
では、農業経営体と障害者就労施設等でうまくこういった状況の中でマッチングするために、今どんな取組をなされているんでしょうか。
○青山政府参考人 お答えいたします。
農業経営体と障害者就労施設等とのマッチングのためには、農業と福祉の双方に知見を有する者が介在することが重要と認識しておりまして、我が省としては、そのような人材の育成を支援しているところでございます。
具体的には、都道府県が行います農業者と福祉事業者等をマッチングするコーディネーターの育成や、農福連携の現場におきまして、障害特性を踏まえた配慮事項等をアドバイスする農福連携技術支援者の育成等に対する支援に取り組んでおります。
引き続き、都道府県に育成の取組を働きかけつつ、マッチングを推進してまいりたいと考えております。
○掘井委員 例えば、具体的に、私が福祉事業団体を経営していて農業をやりたいと思えば、これはどういった手順でマッチングしていくことになりますでしょうか。
○青山政府参考人 お答えいたします。
農業者と福祉事業者をマッチングするということで、その両方を知っておかないと、なかなかこのマッチングというのはできないということでございますので、都道府県が行いますそういうマッチング機会でありますとか、コーディネーターとして知見を持っていただきますよう研修を行っていることについて支援をしているところでございます。
○掘井委員 支援しているということなんですけれども、このこともほとんど周知されていないというのが僕は現状だと思いますので、こういうことからやっていただきたいなと本当に思います。
次の質問でありますけれども、マッチングした後は、いかに仕事に定着してもらうかということでありますので、農業版ジョブコーチ、農福連携技術支援者ですかね、この支援が非常に重要となると思っております。今、百七十四人しかいないという現状でありますけれども、これはやはり、全国展開していくために、確保する人数の目標とか、こういうことは設定されているんでしょうか。今現状はやはり少ないと思いますね。どんどんどんどん増やしていくのか、この辺を聞きたいということと、あと、農福連携技術支援者の支援内容、具体的にどんなことを期待されておるのかということ、それと人員配置計画ですね、お伺いします。
○青山政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘の農福連携技術支援者は、農福連携の現場におきまして、障害特性を踏まえた配慮事項等のアドバイスを行っていただいているところでございます。
令和四年十月までに国と都道府県が育成した農福連携技術支援者は累計で二百十五名となっておりまして、毎年その数は増えているところでございます。
現時点で育成する人数の目標は設定しておりませんけれども、引き続き、各都道府県での研修の実施を働きかけつつ、農福連携技術支援者の育成を進めてまいりたいと考えております。
この農福連携技術支援者というのは、現場で、障害者の方がどういった特性を持っていらっしゃって、どういう作業が可能かということを的確にアドバイスしていただく必要がございますので、そういう農業と障害者の両方の特性について知っていただくような研修を進めているところでございます。
○掘井委員 この農福連携技術支援者とのコンタクトの取り方を教えてほしいんですけれども。
○青山政府参考人 済みません、もう一回お願いできますでしょうか。
○掘井委員 農福連携技術支援者がおられますよね。私が福祉事業者としたら、そのコンタクトの取り方、これはどんな感じで取っていくんでしょうかね。
○青山政府参考人 コーディネーターが農業者の方と福祉事務所をつないでいくわけでございますけれども、その際に、県等が介在いたしまして、農業指導者、こういう方がいらっしゃるのでいかがでしょうかという形でお薦めしているところでございます。
○掘井委員 やはり自治体によっても様々なので、県に窓口があるところ、ないところありますので、非常に心配であります。
次の質問であります。
農地の取得は、制度的には、社会福祉法人であっても、農地を利用して、周辺の農地の利用に支障がないという場合には、農業委員会の許可を得た上で農地を取得することができます。農業ができることになるんですけれども。しかし、これは、地域によっては、農福連携の理解不足が原因で社会福祉法人への許可について誤解しておったり、また慎重である農業委員会があると聞いております。この認知度が低いことにもこれは関連してくると思うんですけれども、農水省が各農業委員会に対して農福連携の意義をもっともっと徹底するべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○青山政府参考人 お答えいたします。
法人が農地を利用するための権利取得につきましては、平成二十一年の農地法改正でリース方式を完全自由化したところであり、また、社会福祉法人が社会福祉事業の用に供するためには農地を所有することができるということになっております。
このことについては、当省のホームページでも公表しておりますマニュアル等を通じて周知しておりますけれども、引き続き、農福連携を推進するために、その意義等について周知に努めてまいりたいと考えております。
○掘井委員 障害者の適性に応じた労働環境の整備が必要であると思っております。例えば、これまで質問もありましたけれども、休憩所や道具用の小屋を設置する場合には、これは農地法の制限があるんですね。この手続の簡素化はできないんでしょうか。移動可能なトイレは優良事例の横展開などの取組を推進すると国会答弁で既にありましたけれども、その後いかがでしょうか。
○野中副大臣 障害者の方が農作業を行う際に必要となる、先生がおっしゃったトイレ、また休憩所、更衣室、これらにつきましては、原則農地転用が認められていない農用地地域を含め、営農に必要な農業用施設として設置を可能としております。
しかしながら、市町村の農業委員会に浸透していないというおそれもありますので、私どもも周知に努めてまいりたい、そのように考えております。
○掘井委員 まだまだ質問はあったんですけれども、時間が来ました。
福祉事業団体が農福連携をしようとすると、やはり現場で様々な問題が起こっております。こういった原因は、やはり現場の中で周知されていないということが本当に最大の問題であると思います。省庁間の情報共有や課題の認識が本当に行われているのかどうか、この辺も疑問でありますので、今後、どうぞよろしくお願いいたしたいと思います。
終わります。
○笹川委員長 次に、池畑浩太朗君。
○池畑委員 続きまして、日本維新の会、池畑浩太朗でございます。
さきの通常国会でも農林水産委員会所属でございました。今回もよろしくお願いいたします。
地元は兵庫県でございます。前回、委員会の冒頭にも申し上げましたが、改めまして、農業高校出身でありまして、農業大学校出身、農業高校の実習助手として九年八か月勤めてまいりました。思いを込めて質問させていただきたいと思います。
さて、お配りさせていただきました資料でございます。野村大臣は、新聞記事の「新閣僚に聞く」で、「農業従事者の減少や耕作放棄地の増加など、生産基盤の弱体化が指摘されている。」に対して、これは役所、農林水産省でございますけれども、意見が違うところだが、「「そんなに弱体化していますか?」と思う。」と述べられておられます。大臣の御地元を見ていると、悲観することはないのだと思います。
先ほど申しましたが、私は、地元は兵庫県でございますけれども、父方が鹿児島県の吹上町でございます。農業大国鹿児島の大臣が見る風景は分かるような気がいたします。
鹿児島の農業の強さを表す例として、具体的に、知覧茶、有名でございますね。お茶といえば小山委員でございますけれども。知覧のお茶の組合にお聞きいたしました。平成二十九年には七百軒あった農家が、現在、五百三十九軒。一軒の農家が約六ヘクタールでございます。このように、生産者の減少はどの委員の御地元でもありそうでございますけれども、令和二年にはコロナで売上げが減ったものの、その後、少し回復基調でありますということでございました。重油や資材の高騰で実入りは減っていると言われていましたが、鹿児島県の強さはここでございます、生産者が減っても作付面積は減っていかない。強いですね、鹿児島は。
そこで、大臣の御地元鹿児島県を見ていた限りでは、弱体化されておらず、悲観されていないと思いますけれども、私の地元などは中山間地域でございます。海も島もありますし、港もありますし、林業も盛んでございます。基盤の強化はまだまだ必要だというふうに思っております。地元の県会議員や地元の意見交換、そこでは、過疎の指定と一般地域とは違う、農業政策のすみ分けをしてほしいとよくお聞きいたします。
大臣所信では、機会あるごとに現場に足を運ばせていただきたいと述べられておられました。野村大臣、日本国の農林水産大臣として、この新聞取材を受けたときから心境に変化はございませんでしょうか。お聞きをさせていただきたいと思います。
○野村国務大臣 今御指摘のようなお話は役所の中でも私はやはり言うものですから、それは世界の情勢とちょっと違いますよということをよく指摘されます。
私は、地元は選挙区でございますので、参議院の比例区の、今日、先ほど来ておりました藤木眞也君は比例区ですから、日本全国の農業、農村を回っておりますが、私は鹿児島以外の農業、農村の実情を余り知りません。ですから、鹿児島のことはそんなに悲観するようなことじゃないよ、こういうことを申し上げているんです。
これは、今日お見えの先生方のところの地域も、あるいは作目によってもまた違う、こんなふうに思っておりまして、例えば、一番やはり高齢化が進んでいるのは稲作農家だと思います。それで、高齢化が進んでいないのは畜産農家や施設野菜農家だと思います。ですから、一緒くたにすると、もう六十八歳だとか、こういう話が出るんですが、それを地域なり、あるいは作目で切り分けていきますと、そんなにも深刻になる必要はないなと。
全体的には、これは高齢化が進んでいるわけですから、当然として、高齢化が進んでいるというのは我々もしょっちゅう使う言葉ですけれども、やはり、一緒くたにこうして見るのではなくて、分析をしながら、そういうものも必要ではないかなというふうに思います。
ですから、私は余り、ここに新聞で書かれておりますように、「弱体化していますか?」ということを申し上げるんです。だから、それはその見方によって違うということだけは是非御承知おきいただきたいと思います。
○池畑委員 ありがとうございました。
決して批判をしているわけではございませんでして、悲観だけでは当然駄目だというふうに私も思っております。強い鹿児島の農業の中央会でも御指導されてきたと存じますので、これからは全国にも御指導を是非よろしくお願いいたします。
次に、質問させていただきます。
また食料の安全保障の観点から質問させていただきます。国産飼料の課題についてお聞きをさせていただきます。
私は現在、予算委員でもありますけれども、その予算委員会で、公明党の佐藤代議士が、配合飼料が高騰している、十一月以降の対応策も聞かせてほしい、農業関連の質問はその一件のみだったように記憶をしております。外交、防衛、教育、農業はしっかりと国が主導していかなければならないというふうに強く思っております。
さきの通常国会の二月九日の予算委員会で、当時の金子農林水産大臣、斉藤国土交通大臣にも答弁いただきましたが、そのときには粗飼料について質問させていただきました。当時はかなり先行きが見えず、農家さんたちの切迫した声を聞かせていただき、質問をさせていただきました。当時も、アメリカのコンテナ事情であったり、気候変動であったり、まだ戦争は始まっておりませんでしたけれども、ロシアの、ウクライナの不穏な情勢問題など、影響を受けていると両大臣から答弁をいただいておりました。
要するに、国外の事情に左右されず、当然のごとく国内でどうにかしようとなったのが、その結果が今回の大臣の所信なんだというふうに私は捉えております。この点では大いに賛成でありますし、持続可能な農業、もうかる農業をきっちりと大きく予算組みをする必要があるというふうに改めて考えております。
今回の野村大臣の所信を心して聞かせていただきました。大臣所信の中で、国内の生産基盤を維持強化するターニングポイント、御認識されていると言われました。私は、ターニングポイントをいわゆる飼料国産化をこの時期から始めるというふうな意味で捉えました。大臣も、先ほどの答弁でありましたように、ターニングポイントから三十年から四十年かかると認識されているという答弁でございました。
農林水産省からは、国産飼料を生産する上で、増産の弊害として、隔離距離を一定取らなければいけない、これは品種が交ざらないためにやっていると思いますけれども、面積不足、冷涼地を産地指定することで、子牛を生産する生産者に栽培をお願いすると挙げてきていました。要するに、場所の不足と担い手の不足。
そこで、お聞きさせていただきます。
先ほど述べさせていただきました隔離距離など以外に何が、飼料の生産全体の自給率が上がらないというふうに、原因と考えておられるか、農林水産省の方からお聞きをしたいというふうに思います。副大臣、ありがとうございます。
○野中副大臣 飼料の自給率、現在の二五%から令和十二年度に三四%へ引き上げることを目標としまして自給飼料の生産に取り組んでおりますが、委員御指摘のとおり、畜産経営の規模拡大が進む中、担い手不足と土地不足、これらのそれぞれの確保が難しい等の課題があるというふうに考えております。
この持続的な畜産物の生産実現、そしてまた畜産経営の安定を図るためには、やはり、輸入飼料のみの過度な依存から脱却しまして、国内飼料生産基盤に立脚した足腰の強い生産に転換することが重要であるというふうに考えております。
○池畑委員 副大臣、ありがとうございました。
やはり担い手不足に関しましては、先ほど庄子委員からもありましたけれども、人・農地プラン、どんなに法制化しても、受ける人がいなければ成り立たない。地域で話し合ってくださいということを作っても、なかなか成り立たない。魅力ある若者たちが飼料の生産に意欲を燃やすようなスケジュール感とスピード感を、そして、食料自給率もそうなんですけれども、やはりそういった農家に対して普及をしていくためには、食料自給確立補助金というような感じの予算もつけていかなければいけないというふうに私は思っております。
それでは、もう時間も迫ってまいりましたので、質問させていただきます。
飼料作物の種子の国産化について質問させていただきたいと思います。
国内で使用されています品種は、民間の企業、農研機構が品種改良を日本でしたものを海外で増やす、増産している。品種改良したものを海外で作って、種を増やして日本に戻す、そういうことをしております。日本では、気候が安定しない、種を取る時期に寒くなってしまうという時期もありまして、大体海外で六割強そういうことが行われている。日本の品種なんですけれども、海外の農地を使って、種をこちらに持ってきている。国内は当然三割程度であります。これでは永遠に、日本の国産、純国産というふうに捉えるのはなかなか難しいというふうに私は捉えております。
先ほど副大臣の答弁にもいただきましたけれども、粗飼料とか濃厚飼料を合わせて現在は二五%の自給率で、令和十二年には三四%の目標を立てているということでございました。事務方とお話をさせていただきましたとき、未利用のわらの再利用、たくさんあちこちにわらがありますけれども、それを、流通に関してうまいこといかないこともありまして、なかなかかき集めることができないということも含めて、次、頑張ってまいりますと。
あとは飼料米ですね。代替濃厚飼料の生産もなかなか上がらない中で、三四%に到達するまでに具体的にどのようなスケジュール感があるのか。大臣、こういうことはすぐやっていただきたいというふうに思っております。
いつから取りかかる、先ほど三十年から四十年ぐらいターニングポイントからかかるというお話もありましたけれども、国産の飼料、自給率がアップする方法を具体的に提案していく必要が私はあるというふうに考えますけれども、答弁をいただければと思います。
○野中副大臣 国産飼料の生産拡大、これらの全てを組み合わせて積み上げていくものだというふうに考えております。
まず、先ほど御発言がありました国産稲わらの利用促進、これは、農家同士のマッチング、そしてまた、収集に必要な機械の導入、そしてまた、水田を活用しました飼料用トウモロコシ等の生産拡大、また、地域の飼料生産を担うコントラクター等の飼料生産組織の機能強化、食品残渣等の未利用資源を活用したエコフィードの利用拡大、草地の整備等による牧草の収量、品質の向上、県境を越えた国産粗飼料の広域流通体制構築の実証など、取組を今進めているところであります。
これらを更に充実強化させて、国産飼料の生産、そして利用拡大に努めてまいりたいというふうに考えております。
○池畑委員 ありがとうございました。
やはり二五%から三四%に上げるための具体的なスケジュールというのはなかなか出しにくいものなんでしょうか。もう一度答弁いただければと思います。
○野中副大臣 まず、二五%から三四%、これらについても粗飼料と濃厚飼料がございます。まず、一〇〇%を粗飼料で目指していく、そしてまた、一五%に濃厚飼料を目指していくという、それぞれ分けて、スケジュール感についてはなるべく早くというか、先ほどの話になりますが、充実強化に向けてしっかりと努めてまいりたい、そのように考えております。
○池畑委員 ありがとうございました。なるべく早くといただきました。
畜産農家は、特に最近、餌がなくなる恐怖、いわゆる餌がないイコール廃業ということになってしまいます。先ほど農林水産大臣からも答弁いただきましたけれども、鹿児島はかなり強い、ですが、やはり地域のことも考えつつ具体的に取り組んでまいりますというふうな答弁もいただきました。
やはり、今副大臣からも答弁いただきましたけれども、もろもろきっちり具体的なスケジュールを示していただきたいというふうに思います。食料の争奪戦というふうなことも、農林水産大臣、先ほど答弁いただいておりましたけれども、やはり、これから日本がしっかり国内生産を維持するためにもかなり大事な時期だというふうに思っております。具体的なスケジュールを示していただけるように是非指示を出していただきたいというふうに思います。
もし、具体案がない、またスケジュールがなかなか組みにくいということでございましたら、我々の方から提案をさせていただきたいというふうに思いますので、しっかり我々も使っていただきたいと思います。是非、今後ともこの問題については取り組んでまいりますので、よろしくお願いいたします。
質疑を終わらせていただきます。
○笹川委員長 次に、足立康史君。
○足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。大臣、よろしくお願いします。
農水委は初めてでありまして、ほとんど存じ上げない先生方もちょっといらっしゃいますが、しっかり勉強していきたいと思います。
私の地元は大阪なんですが、大阪の一番北部でありまして、選挙区のほとんど北半分は山というか里山でございます。しっかり取り組んでまいりたいと思います。
実は、数年前に、私の地元豊能町で大規模な崩落事故がありました。これは、自然の山が崩れたのではありません。残土が崩れて、半年間、府道が止まるんですね。大量の土砂です。そこにもしバスが走っていたら大惨事でした。ただ、たまたま、その府道を、車も走っていない、人も歩いていないときに崩れたものですから、死者は出なかった。
ただ、私は、これは大変重要な事件だということで、それ以来、議員立法を出したり、対策を取ろうということで走り回ってきましたが、自民党の皆様は、いや、それは無理だと。私の地元の自民党の代議士、今落選されていますが、いや、無理だと一蹴されました。
その後、熱海で同様の事故が起こり、関連死を含めて二十七名の方が亡くなられ、そして、先般、盛土規制法が成立をした。来年の五月、施行になります。私は、このために国会議員をやっているみたいなものです。
そういう意味で、国交省のリーダーシップには感謝をしてきたわけでありますが、これは共管法なんですね。農水大臣と共管法です。
私、農水委に初めて来まして、大臣所信を伺うとき、楽しみにしていたんですね。いや、楽しみって変ですよ。期待をして、しっかりこれからこの盛土対策をやっていただけると思ったら、大臣所信に入っていないんです。何で入っていないんですか、大臣。
○野村国務大臣 足立委員の御指摘は、私の所信表明の中で盛土対策が入っていない、けしからぬ、こういうお叱りだと思いますが、御承知のように、私の所信は限られた時間の中で、国会の方で時間を制限されておりますので、その中で我が国の農林水産業をどうするかということを重点的にお話を申し上げたために、私の基本的な考え方の中に入れなかった、そういうことでありまして、重要性というのはもう十分理解をしておりますし、当然これは、さきの国会で盛土規制法ができました、それによって実効性を持って行われるように、これは農水省だけじゃなくて国土交通省も連携しながらやっていかなければならないことでありますので、盛土等による災害の防止に向けた取組をしっかりと国土交通省とも連携しながらやってまいりたいというふうに思います。
○足立委員 大臣、是非リーダーシップをお願いします。
正直、私の目から見ていて、国交省の後ろについていっているようにしか見えません。しかし、実は、この盛土規制というのは、森林法を含めて、農林水産省の果たすべき役割、私はそっちの方が大きいと思っているぐらいなんです。是非、これから大臣としてしっかり取り組んでいただきたいと思います。
そのときに、今御指摘あったように、盛土規制法は国交省と農水省の共管法です。私は役人をやっていましたので、共管というと、普通は、ここの条項は何省で、ここの条文は何省でというような共管法もありますが、何かそうでもないようだと。かねてから農水省と国交省は、日本の国土を、大体、ショバ争いというか、言葉は悪いですが、そういう面もあった時代というか、今もあるのかもしれませんが、じゃ、それはショバで割っているのか、共管というのは一体何が共管なのか、ちょっと、事務方で結構ですから、教えていただけますか。
○織田政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、盛土規制法は、農地、森林や宅地等の土地の用途にかかわらず、危険な盛土等を規制するために、農林水産省と国交省の共管法として成立いただいたというところでございます。
このため、農林水産省は主に農地ですとか森林等に関する見地から、それから国交省は主に宅地に関する見地から、それぞれにおいて蓄積した知見を合わせて、一体となって必要な対応を進めるということとしているところでございまして、具体的には、農林水産省と国交省が連携をして、盛土対策に係る技術的基準ですとか規制区域の指定に係る実施要領などについて、本年六月に一緒になって有識者の検討会を設置し、検討を進めますとともに、十月からは、これも一緒になって地方のブロックごとに都道府県等への説明会を実施しているところでございまして、引き続き一体となって進めてまいりたいというふうに考えてございます。
○足立委員 織田長官ですね、ありがとうございます。
是非、私は共管でやってほしいんですよ。共管でいい。その代わり、国交省にお任せするのではなくて、技術基準も含めて、しっかり林野庁として取り組んでいただく。私はいつも行政監視、スキャンダル追及の行政監視は大嫌いなんですけれども、そういうことはどこかでやってくれ、国益のためにやるんだということですが、こういう問題はやはり政府だけに任せておいたらできません。
大体、盛土規制なんて、私が最初これを国会で質問するとき、ネガティブ権限争議で、農水省、環境省、国交省、警察、みんな私の事務所に集まってきて、全員が私の担当ではありませんと言うわけですよ。国交省に音頭を取っていただくのに何年もかかりました。
でも、当時、太田昭宏国交大臣が、足立さんが言うことは大事だよなと。じゃ、一応、国交省で庶務をやって、関係省庁連絡会議というのをつくってくださったのが始まりです。それで関係省庁の庶務は国交省というのがようやく決まった。それで、今回、盛土規制法が両省の共管でできた。すごいイノベーションなんです、これは。イノベーションというか、すごい制度なんですね。
ちょっと林野庁長官、これは通告していないんですが、可能であれば。身構えますよね。
この盛土規制法、私は若干課題があると思っていて、防災の観点だけなんです。だから、人家等に被害を及ぼす可能性があるかどうかだけで議論をされているんですね。しかし、例えば森林法とかは、別に人家等にかかわらず、環境保全みたいな観点もありますよね。だから、私は、これから農水省に重心を置いて、法律は法律だけれども、森林法とか既存の法律も含めて、人が亡くならなければいいんだということでなくて、環境保全の観点も含めてこの盛土というものを見ていっていただきたいと思いますが……(発言する者あり)ありがとうございます。立憲からそうだと言っていただいたのは人生で初めてなので。済みません。林野庁長官、ほわっとしたことで、頑張りますで結構です。お願いします。
○織田政府参考人 失礼します。
盛土規制区域の指定の在り方、いわゆる最終的に実施要領という形で制定しますけれども、それを今検討しているところでございますけれども、リスクのあるエリアはなるたけ広く、森林であっても相当広く指定する方向で今検討をしているということでございます。
規制区域外になった奥地の森林も含めまして、森林法によって、先ほど申されました法益を確保するために、保安林制度ですとか林地開発許可制度といったような、そういった制度もございますので、そういった制度の適正な運用を通じまして、水源涵養を含めた森林の有する公益的機能の発揮に努めてまいりたいというふうに考えてございます。
○足立委員 何でこういうことを申し上げるかというと、大阪府で、まさにこの私の地元で起こった土砂崩落の後に作った土砂条例、これは、防災と環境保全と両方目的があるんです。でも、今回の法律は片っ方なのでということで申し上げました。
ちょっと時間がないので先に行きます。
二月の予算委員会分科会で、私は、森林法との関係で、要は、森林法というのは、例えば、私の地元でまた残土処分場ができようとしていますが、森林伐採します。森林伐採するときに届出したらいいんですが、その届出するときに、残土処分場を造りますといって書いてあるんですが、処分場の許可を得ないまま、取りあえず森林伐採が進むんです。それは連携して、許可が出ないかもしれないんだから、しっかりと許可を取ることをちゃんと見据えた上で森林伐採してくださいということで分科会で指摘をしましたら、九月三十日に森林法施行規則を変えていただきました。
もう時間がないので、早口で回答をお願いします。どういうことをしたか。
○織田政府参考人 御指摘いただきましたように、本年九月に森林法施行規則を改正いたしまして、来年の四月から、届出の際に、盛土規制法を始め他法令の許認可に関する書面の添付、これを義務づけることとしたところでございます。
○足立委員 これは施行が来年四月なんです。でも、今も日本中でこの事態は進んでいます。
規則が公布されているのであるから、施行は来年四月だけれども、例えば、自治体が、いや、こういう規則があるのよね、施行はまだだけれども公布されているので、ここに書いてあるような書類、これを出してねと言ってもいいですよね。いや、まだ施行されていないから言うなということはないですよね。ちょっといいですか。
○織田政府参考人 お答えいたします。
今回、施行規則にレベルを上げて、しっかり書類を添付することを義務づけたということでございますけれども、従来から通知においてそういった同様の趣旨のことを指導するようにということを市町村に対して言っておりますので、そういう内容でございます。
○足立委員 ありがとうございます。
先ほどあったように、技術基準をこれから作ります。千ページに及ぶ大部のものです。
ただ、私は、これは大臣にできれば、砂防法とか森林法の技術基準、これと同じだったら意味がないんです。熱海を受けて、しっかりと、より高い、ハードルの高い技術基準を整備すべきと考えますが、いかがですか、大臣。
○野村国務大臣 ただいま長官が答弁しましたように、今回の、九月に規制法を改正して、四月から、届出をする際に盛土規制法を始めとするほかの法律との関連書面も添付するということは今までにないことでありましたけれども、これを早速やらせていただきますが、さらに、今後、市町村に対しまして、伐採造林届の情報を都道府県を始め関係機関と共有をするよう指導するということで、適切な運用を図ってまいりたいと思っております。
○足立委員 もう時間が来ます。
国土地理院の院長にもお越しをいただいて、盛土の把握にも有効な国土の基盤情報の整備ということについても通告しておりましたが、分かっておりますので、ごめんなさい、お越しいただいて恐縮ですが、割愛をさせていただきます。
今申し上げたように、盛土、太陽光とかいろいろな議論がありますが、この根本は盛土の議論です。ようやく法律ができた、これをしっかりと施行していくことは、本当に、熱海の二十七名の亡くなられた方を弔う意味でも、しっかりやっていく、政治の責任であるとお訴えをして、お願いをして、質問を終わります。
ありがとうございます。
○笹川委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午前十一時五十九分休憩
――――◇―――――
午後一時開議
○笹川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。長友慎治君。
○長友委員 国民民主党の長友慎治です。
私は宮崎の出身です。大臣のお隣、鹿児島県の隣になりますけれども、私は九州ブロック比例での選出なものですから、先日の全共鹿児島大会、鹿児島県勢、そして我が宮崎県、そして大分県の活躍に喜んでいる者の一人でございます。改めて、鹿児島県の畜産にかける強い思いを目の当たりにさせていただいた次第でございます。
また、午前中にも池畑委員から、大臣の新聞のインタビューを引用する形で、生産基盤の弱体化については、地元鹿児島に関してはそんなに悲観する必要もないんじゃないかということも披露されましたけれども、日本全体を見たときに、そういうわけにはいかないのかなというふうに感じているところでございます。
そこで、まず大臣に一言質問をさせていただきたいと思います。
所信的発言の中で、今まさに、国内の生産基盤を維持強化し、将来にわたって食料を安定的に供給していくためのターニングポイントを迎えているというお話をいただきました。
国内の生産基盤を今日まで中心になって維持する役割を大きく担ってきたのは、私は各県のJAの皆さんだと思っております。野村大臣は、政治家になられる前に三十五年間、鹿児島県の農業協同組合中央会で働いてこられました。
日本の農業、また日本の食料安全保障が今ターニングポイントを迎えたというところでございますけれども、これらのJAの皆さんが地域にとってどのような存在に変わらなければならないのか、まず大臣の見解を伺います。
○野村国務大臣 御質問ありがとうございます。
今お話がありましたように、私はちょうど三十五年JAにおりました。ですから、冒頭、先ほど御質問の中でも申し上げましたが、四十四年に入ったときに、本当に、鹿児島の農業は変わるぞと言われたときには半信半疑だったんですが、今振り返ってみると、やはり先輩の皆さん方、そして農協の皆さん方が何よりも一生懸命になって、その頃は営農団地といって、牛の団地だ、豚の団地だ、野菜の団地だという、いわば団地づくりに励んでいただいたんですが、その結果が今日を迎えている、こういうふうに思います。
そこで、今の御質問なんですけれども、やはり農協の職員の皆さん方は、高い信念と、高いあれを持って農協に入っておりますので、これからの農協の職員の皆さん方が、私もあちこちでそのことを言っているんですが、要は、ターニングポイントだぞ、みんなで頑張ろうぜ、こういう話をしているんですが、そのことがどれだけ伝わっているかというのはまだ分かりませんけれども、やはりこれからの地域の農業を支えていく、また農家の皆さん方に寄り添っていくというのはやはりJAの職員だろう、こういうふうに思います。
ですから、これから先が、今から真価が問われるんだろう。今までは、いわば、JAにもう就職した、よかった、安定したところだというぐらいのものじゃ駄目なので、これからは、やはり地域の農業を支えていく、そういう気構えで是非働いてほしい。
あちこち、私もJAに行く機会は多くなっておりますので、そのことを彼らにも、私の今まで長年培ってきた経験を生かしながら、彼らにもそういう話をしていきたい、こういうふうに思います。
○長友委員 大臣、ありがとうございます。
これからのJAの職員の皆様がまさに真価を問われるというふうに御発言いただきました。
御承知のとおり、資材が高騰し、肥料もなかなか手に入らない、また国産化に変えていく、地元の地域の農家の皆さんは、本当にJAの職員の皆様の力を必要としております。
私の地元でも、いろいろとJAの皆様とのやり取りの様子が伝わってまいります。最近だと、肥料価格高騰対策事業の申請手続、その説明会等が各地で始まっていることが、皆様も御承知だと思いますが、対象農家を全職員で訪問されるJAさんもあると伺っておりますが、あるところは、紙切れ一枚が回ってきて、農家さんに対する丁寧な説明もなく、現場が戸惑っている、そういう声も私のところに届いています。
生産者の皆さんが、肥料や燃料、そして農薬の価格も上がり、飼料も上がり、また、この前は台風の災害、被害に遭われた方もたくさんいらっしゃいます。いろいろな心配が尽きない農家の皆さんにしっかり寄り添うJAであり、職員の皆さんであってほしいということを冒頭大臣にもお願いいたしまして、続けさせていただきたいと思います。
もう一つ、JAさんの大きな役割の一つとしまして、担い手の確保、育成があると私は思っております。担い手不足に対する決定打がないまま、農業の就業人口は減り続けているのが我が国日本の農業だと思います。
農林水産省の農業構造動態調査によりますと、二〇〇五年に調査を始めたときの農業経営体の数は二百万九千三百八十でした。それが、二〇二二年、最新のデータですと、九十七万五千百となりまして、初めて百万を割り込んだ状況でございます。統計を開始した二〇〇五年から二十年足らずで半減というのが実態になります。
大臣が鹿児島県の農業協同組合中央会を退職されたのは二〇〇四年でございますけれども、農林業センサスによりますと、二〇〇四年の農業就業人口は三百六十二万人、それが二〇二〇年には百五十二万人まで落ち込んでいるという状況でございます。
日本の人口を例えば百に直すと、たった二人の農家さんが日本全体の百人の食を支えている、そういう状況になってしまったわけでございます。
高齢化に伴う基幹的農業従事者の減少もどんどん進んでおります。農業に携わる人をどう確保していくのか。このままでは日本の食料自給率も上がりませんし、食料安全保障を語る上で、生産者が増えなければ戦略は描けないというふうに私は感じています。
少子化を止められない日本の課題と、生産者が減り続ける農政の課題は似ている部分があるのかなと思うんですけれども、政治が本気で思い切った政策を取らなければいけない、それがまさに今だというふうに感じています。
JAグループ御出身の大臣は過去にいないというふうに伺っております。是非、転換期を迎えた農政のかじ取り役を強いリーダーシップを持って果たしていただき、JAグループが提唱します国消国産を実現することをお願いしたいと思っているんですけれども、改めて、これからのJAに期待すること、そして大臣としての決意、もう一度お伺いできますでしょうか。
○野村国務大臣 大変ありがたい御質問をいただきました。
やはり地域農業を支えていくのは、先ほども申し上げましたように、JAだけじゃないんです。これは普及所もあったり、あるいはまた、ほかの団体の皆さん方との協力もあって地域が支えられていくわけでありますから、そういう意味では、農協がそのリーダーになってほしいということを私はかねがね思っておるんですが、これからのJAの在り方については、いろいろ、規制改革会議からもいろいろなことを言われながら自己改革を現在も進めておりますので、それに基づいて、やはりちゃんと自分たちの使命というのは何だというのをたたき込まれているはずですから、それに基づいて是非行動も共にしてほしいと思います。
今最大のものは何かといいますと、先ほどお話がありましたように、肥料が高い、餌が高い、じゃ、その中で、JAの職員として何をやるんだというところを是非考えてほしいと思うんです。
これもまた手前みそになるんですが、鹿児島では、今日お話ししたかもしれませんが、堆肥を使ったペレットで、秋の肥料から経済連が供給し出しました。ですから、もう化成の肥料を使わない、そういったことを農協の皆さんと一緒になってやっておりますので、だから、何から手をつけて、何をやっていくのかということも、先ほどの人の問題もありますけれども、こういった今農家が一番求めているものについてちゃんと応えていく、そういったことをみんなで検討してほしいな、こんなことを思います。
○長友委員 農家の皆さんが今何を一番求めているのか、そこに寄り添うJAの皆様と、私もしっかり地元のJAと取り組んでまいりたいと思いますので、また御指導をいただきたいと思います。
次の質問になります。
所信の中で、食品アクセス困難者への対応を図るため、食品ロスの削減、またフードバンク、子供食堂等への支援等も進めてまいりますとの御発言もいただいております。
この子供食堂やフードバンク等の支援につきまして具体的にどのような施策を講じるのか、伺いたいと思います。
○野中副大臣 まだ十分に食べることができる食品を最大限に活用していく、そうすることで食品企業のコストを下げて、また生活困窮者を支えていくということは、今般の、今足下である物価高騰の中で更にますます重要さを増していくというふうに考えております。
このため、厳しい納品期限、三分の一ルールですが、これらの見直し等を企業に促す。それでも発生する消費・賞味期限内の食品について、フードバンク、子供食堂等へ寄附を進めてまいります。
これに向けて、引き続き、寄附食品を受け入れ、提供するための保管、輸送等への支援、企業とフードバンクとのマッチングやネットワーク強化の推進を行っていきたい、そのように考えております。
○長友委員 ありがとうございます。
先日、岸田総理が、経済的に困難を抱える家庭の子供たちを支援する団体の方々と車座の対話をしていただきました。そのときに、その場で、家庭や企業などから提供された食品を必要な人に提供するフードバンクに対し、子供食堂等への食品提供を支える倉庫の支援も含め、フードバンク支援緊急対策事業を大幅に拡充するということを表明いただいております。子供の貧困対策に取り組む自治体への交付金を引き上げる考えも示していただきました。
これを受けまして、農林水産省としてフードバンクを支援するメニューが拡充されるのかどうか等につきまして伺いたいと思います。
○高橋政府参考人 お答えいたします。
フードバンクへの支援につきましては、ただいま副大臣からも御答弁ありましたように、私どもも非常に重要な課題と考えております。
したがいまして、先ほど申しましたフードバンクの場合には、フードバンクに食品を提供する企業からフードバンクまできちんと食品が届くということが非常に重要でございますので、それに必要な保管、輸送の経費、あるいはそれに必要な人件費、あるいは企業とフードバンクのマッチングの支援、様々な取組について、当事者からの御意見を伺いながら引き続き対策を進めてまいりたいと考えてございます。
○長友委員 ありがとうございます。今、フードバンクに対する支援のメニュー、少しずつお話をいただきました。
実は、私は地元でフードバンクを三年やっております。丸三年たって、今四年目になっているところでございます。NPO法人フードバンク日向の理事長を務めまして、生活困窮家庭に月一回の定期便、それから、地域の子供食堂等に寄贈いただいた食品を届けるということを三年やってきまして、感じている実感がございます。
今、農水省の支援の中に、これからフードバンクをやられる方のスタートアップの支援というようなメニューがあったりします。でも、丸三年たつとその支援はないわけなんですね。私どもを含め、同じような、三年経過するようなところが共通して持っている課題が、立ち上げ時に比べて利用者の方々が増えてしまったことによる、いわゆる物流をさばく、食品ロスを削減するための量をさばく量、それから利用していただく家庭に届ける運送費が非常にかさばったり、また、人も、基本、ボランティアでやっている団体がほとんどです。私どものフードバンクも、十人の理事がおりますけれども、皆さんボランティアで、誰一人有償でやっている人間はいないわけなんです。
具体的に数字を申しますと、私どものフードバンク、地元では、昨年九月、十月、利用世帯、個人でフードバンクを利用して食材を受け取っていただいている世帯が二十四世帯の八十五人だったんですね。このコロナ禍で一年後どうなったかといいますと、先月と今月、四十二世帯、百六十二人。つまり、ほぼ倍増しております。
そうなってくると、これまでの、ボランティアの人間だけで対応し、また、フードロス削減の下に集めていただく食品の回収、フードドライブで集めた食料品等の賞味期限切れのチェック等を含めて、なかなかさばき切れなくなってきたなというのが現場の実感です。
そういうときに、どうしても次の発想として、専従の有償のスタッフを入れたいなというふうになるのが各団体の次のステップになるんですけれども、人件費のサポート補助というのがこれまでなかなか見つけられなかったんです。
農水省の今までのフードバンクの支援の対策事業を見ていくと、これからもフードバンクは必要であって、フードバンクの活動強化に向けて支援を強くしていくということなんですけれども、支援を強化していただくのはありがたいんですけれども、そうすると、そこを今度は受けて事業をする人たちの人件費というのもやはりかさばるというか、人が必要になってくるんですよね。そこに対する手当てというものをどのようにお考えになっているか、御意見を伺いたいと思います。
○高橋政府参考人 お答えいたします。
ただいま委員から御指摘ございましたように、フードバンク活動を拡大して、寄附の、受入れ食品を増やす、そして、お届けする量を増やす。そのためには人件費が必要だということでございます。
私どもとしても、御紹介いただいた補助費の中で、人件費を含めた支援を行っているところでございます。
引き続き、現場の声をよく聞きながら、必要な支援を届けられるように取り組んでいきたいと思っております。
○長友委員 ありがとうございます。
フードバンク、子供食堂を支援する所管が、フードロス削減の観点からでは農林水産省になりますけれども、子供の孤立対策等で見守り事業になってくると内閣府や厚労省になってきます。食育、また学習支援になると文科省というようなたてつけというか予算取りになっているということを現場でも実感しているんです。
今、人件費の方の手当ても始めておりますということではありましたけれども、現場の実態として、子供食堂やフードバンクをやっている方々が人件費が取れなかったとき、十分にないときは何をしているのかというと、本来である専門分野ではない、フードロスを削減するという意味ではフードバンクをやっています、子供食堂支援はそれを生活困窮家庭に届けるという意味ではやっているんですけれども、そこに、地元の自治体から、コロナ禍の子供の虐待防止の見守り支援事業もやりませんかとか、農水の予算ではないところからの事業を一緒にやって、そこから人件費を捻出してはどうかみたいな提案、苦肉の策なんですけれども、あったりするんですね。
そうすると、何を恐れているかといいますと、私たちは、子供の見守りや生活困窮家庭の自立支援の専門家ではないわけですね、フードロスを削減するというところがフードバンクの上位概念ですから。そこに対して、地元の自治体を通して、過度な、いろいろな事業をお願いするというようなことは、大変、現場の人間として危機感を持っている、危惧を持っている人間がたくさんおりますので、そのことにつきましては、是非、省庁に持ち帰っていただきたいなと思っております。
政府がフードバンクを今後全国的に、もし、広げていく、またニーズがあって必要なのでという方針であれば、そこの事務を担う事務長の人件費等もしっかり手当てを今後もやっていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
続きまして、みどりの食料システム戦略につきまして質問をします。
みどりの食料システム戦略で設定した目標の達成には、有機農業に取り組む生産者を増やさなければなりません。
しかし、農水省が調査したアンケート調査、令和四年の六月十七日に公表されたものによりますと、今後、有機農業の面積を拡大したいという回答が一四%ありましたが、その反面、縮小したいという回答も一〇%ありました。縮小を考える農家も多いとなると、耕地面積に占める有機農業の割合をどのような施策で増やしていくのかということについて伺いたいと思います。
○野中副大臣 失礼いたします。
委員おっしゃるとおり、取組面積を拡大したいが一四%、そして縮小したい意向が一〇%ということで、なぜ縮小したいかという問いに、人手が足りない、栽培管理が手間がかかる、収量が上がらないといったことが挙げられております。
その上で、農水省といたしましては、特に手間のかかる除草作業の省力化を図るため、高能率水田用除草機等の導入支援、水田や畦畔の除草ロボットの開発を進めるとともに、収量の安定化に向けた、地域に合った有機農業の栽培体系の実証、技術習得に向けた講習会の開催等を支援しております。
こうした支援に加えまして、地域ぐるみで有機農産物の生産から消費まで一貫した取組を行う市町村を支援するとともに、生産面だけではなくて、販売を含め、有機農業に取り組みやすい環境づくりを進めて、拡大に努めてまいりたいというふうに思っております。
○長友委員 ありがとうございます。
生産から消費までしっかりサポートしていくというお話がありました。私も、地元含め、これから有機をやろうとされている方、また既にやっている方の不安な面をお聞きしますと、どうしても出口の部分、作っても、本当にそれが希望の値段で売れるのか、また安定して収入になるのかというところは、どうしても踏み切れない、また拡大できないという現場の声をいただきます。
その際の一番の有効的な手段は、私は従来から、学校給食に取り入れていただく、そういうことを申し上げているわけですけれども、日本の各自治体で学校給食に今オーガニック、有機を取り入れているところはまだ一割に満たないような状況だというふうに伺っています。
本当はもっと国に強力にプッシュしていただきたいところなんですけれども、それも自治体の意向を尊重するということでありましたら、産地をサポートする動きを加速するという意味で、最近、日本でも、生産者と消費者が連携して、消費者が前払いすることによって、農作物の契約を通じて相互に支え合う仕組み、CSA、地域支援型農業を導入する企業も出てきておりますので、そのような企業を後押しする、そのような企業を増やすということも農水省としての力を入れていただきたいところではありますが、見解を伺いたいと思います。
○平形政府参考人 お答えいたします。
CSAでありますが、農業者にとっては経営の安定化、消費者、企業にとっては信頼の確保といったメリットがありまして、有機農業の拡大にも有効な取組というふうに考えています。
このため、これまでも、有機農産物の安定供給体制の構築を支援する中で、CSAに取り組む農業者を含む農業者グループに対して、技術習得あるいは商談会の開催、この支援を行ってきたところなんですが、令和三年補正予算のみどりの食料システム戦略推進交付金において、市町村が主体となって、生産から消費まで一貫した有機農業の拡大に取り組む方に関して支援をするんですが、例えば有機農業の生産者と環境保全に関心のある企業との連携など、CSAに取り組む、これも支援対象というふうにしているところでございます。
○長友委員 支援対象の中に入っているということではございますけれども、まだまだ、その認知度を含め、プッシュが足りないと感じております。
今、物価も上昇して、有機野菜を買っていたという方からは、ちょっと消費支出が増えるということで、買い控えたりというようなことも起きているというふうに聞きます。消費者が有機農産物を買う余裕がないという状況だということは皆さん分かると思います。それは、でも、有機農業をやる方にとっては逆風なわけですよね。
そんな中、安心して有機農業に取り組んでもらうために、また、リスクとコストを共有する、経営理念をお互いに分かり合って支え合うというCSAの取組というものは、農作物の価格転嫁という面でも推進していいものだというふうに私は思っております。
欧米でのCSAが普及している背景には、CSAをサポートする団体、NPO法人等がしっかりあるんですね。アメリカでいうところは、ジャストフードというNPO法人があります。スイスやフランスなどにもあります。しかし、専門家によりますと、日本にはCSAの導入を支援する組織がまだないということでございますので、農水省のやはり後押しというものをしっかりとお願いしたいと思っております。
もう一問、スマート農業について準備しておりましたけれども、時間になりましたので、これは次に回したいと思います。
大臣から、今日は、所信に対する、JAのお取組を含め、力強い決意をいただきました。私もしっかりと取り組んでまいります。どうぞよろしくお願いいたします。
ありがとうございました。
○笹川委員長 次に、田村貴昭君。
○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。
最初に、統一協会問題について質問します。
午前中の近藤議員の政務三役に対する質問と答弁を踏まえて、改めてお尋ねします。
三役の方は、推薦確認書への署名は全員なかったとのことでありました。
まず、野中副大臣にお聞きします。
関連団体への行事参加があったということですけれども、これはメディアにも公表されている選挙区内のピースロードに出席のお誘いがあって出席されたというふうに理解しておりますけれども、今後の関係についてどうされるのか。見直すではちょっと分かりませんので、しかと答えていただきたいと思います。
そしてもう一つ、岸田総理は旧統一協会と自民党との関係について、党として関係を絶つということを述べておられます。では、統一協会の何が問題であるのか。反社会的集団であるとの認識はございますか。
○野中副大臣 お答えいたします。
今後についてということでありますが、岸田政権の一員として、今後のおつき合いについてはわきまえてまいるということであります。
そして、反社会集団としての認識はあるかということでありますが、社会的に問題が指摘されていることは承知しております。ですので、今後についてはおつき合いを控えたい、そのように考えております。
○田村(貴)委員 野中副大臣、岸田総理は、党としても、政権としても、関係を絶つと言われているんですね。絶つと言えないんですか。関係、絶つと。
○野中副大臣 政権の一人としても、党の一人といたしましても、関係を絶ってまいります。
○田村(貴)委員 野村大臣にも同じ質問です。
反社会的集団との認識はございますか。
○野村国務大臣 新聞等では、マスコミの報道では反社会的集団とか書いてありますけれども、社会的に問題が指摘されていることは十分承知しております。
したがいまして、当該団体の問題につきましては、今後、担当省庁において、法令に基づいて処理されるというか、対応が行われるものと認識しておりますので、反社会集団なのかということにつきましては、コメントは控えさせてください。
○田村(貴)委員 まさに反社会的集団なんですよね。
今日は農水の基本事項について質問しますので、この問題については、また機会を見て尋ねさせていただきたいと思います。
大臣は所信表明で、国内市場の縮小や生産者の減少、高齢化、ロシアのウクライナ侵略などによる食料安全保障上のリスクの高まり、あるいは気候変動等々の問題を挙げて、国内の生産基盤の維持強化をし、将来にわたって食料を安定的に供給していくためのターニングポイントを迎えているというふうに述べました。そして、食料・農業・農村基本法について、総合的に検証し、見直すということを表明されました。
午前中の大臣の答弁にもありましたように、世界的な人口増、そして食料争奪という状況の中で、私も同じ思いです、お金を出しさえすれば外国から食料、食品が入ってくるという保証はもうない時代に入っています。
求められるのは食料自給率の向上ではないでしょうか。なぜ、所信の中で、正面から自給率の向上をお述べにならなかったんでしょうか。
○野村国務大臣 今、田村委員からの御指摘で、所信の中で自給率を上げるとかそういうことに何で触れなかったのかということですが、先ほどお話がありましたように、今後、国内でやはり調達できるもの、あるいは利活用できるもの、それをどんどんどんどん入れていけば、自然と結果として自給率は上がってくる、私はそういう確信をいたしております。
ですから、例えば、先ほどのお話じゃありませんが、食料についても、いろいろな形で国内で調達できるものは国内でやろうぜ、こういうことを今申し上げておりまして、例えばですよ、私は本当にびっくりしたんですが、農水省の皆さん方というのはいろいろなことを考えたり、あるいはやっているなと思うのが、これから米粉の拡大をやろうと思っていますと。それはなぜかといいますと、米粉でパンを、あるいは麺をというのはもう最初からやっていました。しかしながら、それは今、お茶わんで食べる御飯を、それを米粉にするというのはこれは余りよろしくなくて、評判が悪かったわけですが、それに適したお米というのはいっぱいあります。(田村(貴)委員「大臣、自給率だけ」と呼ぶ)はい。それで、そうしていきますと自給率は上がっていくという結果論であります。
○田村(貴)委員 大臣、自然と上がるというふうにおっしゃいましたけれども、夏の参議院選挙の自由民主党の候補者紹介のホームページに野村候補の公約的なコメントがあるんです。「力を入れている政策は何ですか?」との問いに、大臣は、「国内の自給率の向上のため、国内資源の有効活用や新たな生産体制の構築、循環型農業や持続可能な農業の基盤整備に取り組むこと。」と答えている。「今の夢・目標」に対しては、「国家の喫緊かつ最重要課題である「食料の安全保障」の確立に取り組むことです。」「数十年先を見据え、国内生産体制を整えることで食料自給率を向上させ、」ここでも出てくる、「輸入に頼る肥料や飼料の原料も日本国内で確保する仕組みを構築していく。」「これが私の最後の使命だと思っています。」ここまでお述べになっている。
そして、農業基本計画では、二〇三〇年までにカロリーベースで四五%に上げる。これは基本方針ですよね、食料自給率。そして、大臣は、選挙の公約で最後の使命と言われるほどまでに食料自給率を掲げて、言葉として発している。
じゃ、何でこの大事な農業基本計画を今から抜本的に変えるときにキーワードとしてお使いにならないのか。しかとこれを位置づけると決意を述べてください。
○野村国務大臣 もう田村委員のおっしゃるとおりなんですが、ただ、今までも自給率の目標を掲げながら達成できなかったことは、もうこれは御承知のとおりであります。
ですから、数字自体は、数字を出せばもう独り歩きしていきますし、いつまでも数字だけではなくて、結果を見て、そして結果によって四五になってきたということを、私どもは当然これは数字を目標にしながらやらなきゃいけませんが、その数字だけを先に言ったからできるとかできないという問題では私はないというふうに思います。その過程でどういう具体的なことをやっていくか、それが一番最高の施策だ、こういうふうに思いますので、結果としては上げる、それはもう間違いない信念であります。
○田村(貴)委員 自給率をしっかり上げる、これが全国の生産者を何よりも励ますことになるかと思います。
次に、畜産、酪農についてお聞きします。
今、畜産、特に酪農が、飼料、あらゆる資材の高騰によって極限状態に陥っています。
二十三日のNHKの朝のニュースで、子牛を育てるのにかかった経費が三万円だった、しかし、販売価格は千円にしかならなかったと北海道の酪農家が紹介されていました。千円というのは子牛市場の最低価格です。引取り手がおらずに、これは本当に私も衝撃を受けたんですけれども、殺処分を余儀なくされている、そういう状況が生まれています。そして、離農が相次いでいるということが指摘されています。
大臣、この状況は、もう一刻も放置できない状況だと思います。
九州宮崎でも酪農家の悲痛な声を聞きました。政府の方針に従って、多額の借金をしてミルクパーラー、そして給餌、搾乳ロボットなどを導入してきたけれども、もう先が全く見えない、そして、どうやって廃業したらいいのかということさえも分からないというような訴えも聞いてまいりました。
そこで、提案ですけれども、飼料は、少なくともウクライナ危機以前との差額を全額補填していく、そして緊急に取引乳価を引き上げる、このぐらいの措置を、思い切った措置をやらないと、離農とか、それから殺処分とか、こういう状況は回避できないと思いますけれども、大臣、いかがですか。
○野村国務大臣 今朝の質問でもお答えしましたけれども、唯一、農畜産物で、自らの価格を決めて交渉できるのは牛乳だけであります。これはもう御承知のとおりです。ですから、今度、十一月から十円値上がりをするということで、これは指定団体の皆様方がかち取った成果だ、こんなふうに思います。
ですから、そういう意味では、私は、先端を行っている、農畜産物の中で、自ら価格を決めて、そして交渉していくというすばらしいシステムになっていると思うんですが、ほかのものは全くありません。
それで、我々は総理から指示を受けまして、今おっしゃった、畜産の中でも、牛、豚、鶏がおるわけでありますけれども、酪農が一番厳しい状況にある、こんなふうに思っておりますので、対策の検討を、今後必要な対応について進めさせていただきたい。今の段階ではこれだけです。
○田村(貴)委員 必要で実効ある対策を急いでやっていただきたいと思います。
次に、米政策についてです。
お米の状況も全国的に深刻であります。各JAの概算金では、昨年比で五百円から二千円の引上げとなる銘柄もあります。しかし、ほとんどが、全国で生産費、全国平均六十キロ一万五千円を大きく下回る水準のままになっています。
宮城ひとめぼれ、千葉ふさおとめ、これは一万円台ですね。北海道ななつぼしや茨城コシヒカリは一万一千円台です。九州は更に厳しくて、マイナスという状況です。福岡元気つくし、一万一千九十円、マイナス六百十円、宮崎県の早場米コシヒカリで一万二千二百円、マイナス六百円という状況です。
肥料、燃油、資材費共に、何もかも高騰している中で、二〇二〇年の生産費が一万五千円を下回ることはまずありません。この米価では、労働費を割り込むどころか、物財費すら出せない可能性も出てまいります。
大臣は、自給率向上、食料安全保障の強化と述べられました。でも、その前に離農が続出してしまいます。
私たち日本共産党は、米価下落に対して、価格、市場から切り離して、そして備蓄米をちゃんと増やしていくということを要求してきました。しかし、政府は、まともな対策になっていません。
では、生産が続けられる米対策というのをどのようにお考えになっておられますか。
○平形政府参考人 お答えいたします。
令和四年産米におきまして、主食の需給安定に必要な作付転換であります三・九万ヘクタールに対して、五・二万ヘクタールの作付転換が行われまして、民間在庫は、今年六月、二百十八万トンでしたが、来年六月の見通しは、百九十一から百九十七万トンと見通しまして、需給改善の効果が見込まれているところでございます。
こうした中で、令和四年産、九月の相対取引価格は、前年産対比で六十キロ当たり千百四十二円上昇いたしまして、全銘柄平均一万三千九百六十一円となったところでございます。
また、お米の価格変動などに伴う所得の減少に対しましては、ナラシ対策、それから収入保険制度を措置しているところでございます。
さらに、委員御指摘の昨今の肥料価格の高騰に対しましては、化学肥料の低減に取り組む農業者に対して、価格高騰分の七割を補填する支援金を新たに設けたところでございます。
引き続き、米については、需要に応じた生産、販売を推進するとともに、麦、大豆、野菜など、需要ある作物への転換を支援して、農家の所得向上に取り組んでいきたいというふうに思っております。
○田村(貴)委員 引き続きこの問題も論議していきたいと思いますけれども、肥料の価格高騰対策についてもお伺いします。
農水省の対策の算式に基づくと、これはなかなか生産者の肥料高騰に対する思いに合致していないということを述べたいと思います。
昨年からの肥料代の上昇、一・四倍としています。一・四倍と決め打ちしてしまったら、上昇分の七割にもならない人が出てきます。昨年百万円だった肥料代が今年百四十万円になったと、農水省の一・四で計算すると、受け取る額というのは二十万円にしかならないんですよね。
そして、例えば、北海道の農家さんなんですけれども、五百万円だった肥料代が九百万円まで上がってしまった。この人の場合を計算すると支給額は百三十万円にしかならない。四百万円上がったのに百三十万円しか支援金がない。この額ではやはりダメージが大き過ぎます。
そこで、提案しますけれども、実際の高騰分、差額を証明できる農家には、その差額を全額補填してはいかがでしょうか。
○平形政府参考人 お答えいたします。
今回の肥料価格高騰対策におきましては、事務手続の簡素化ということと肥料の使用量低減に向けた取組を公平に評価するという観点から、当年の肥料費の実費と統計データにより求められる価格上昇、これは小売段階での価格上昇を基に肥料コストの上昇分を算定し、その一定割合、七割を支援することとしております。
今年八月の農産物物価統計で、委員おっしゃるとおり、対前年同期比で一・四ということになりましたので、上昇率一・四というふうにしたんですけれども、委員御指摘の中で、使っている肥料だとか地域によっては、例えば堆肥を多く使っているものと化学肥料を多く使っているとで上昇率が違うというのは、確かにそのとおりなんですけれども、ただ、統計的なものとして出てきているのは、この一・四というのが小売段階は一本でございます。
また、二〇〇八年の肥料価格高騰対策のとき、委員がおっしゃるとおり、前年産の伝票と当年産の伝票、これを比較したんですが、非常に作業が膨大になって、事務処理する方々も、とてもこれはできないというお話でございました。
また、実は、肥料の低減を余りされない方ほど助成金が多くなったということがございまして、今後、肥料のコストそれから化学肥料をだんだん抑えていこうという方向からすると、そういう意欲を阻害する仕組みになっていたということもありまして、今回のような取組といたしておるところでございます。
○田村(貴)委員 とはいいながら、やはり、二倍近くまでなった、そして、一・四倍以上であるという農家がいっぱいいるわけですから、これはもう、実際に、実態に応じた支援措置というのは、やはり検討の中に入れていかないといけないと強く要望したいと思います。
ミニマムアクセス米についても質問します。
今年三月十八日、三月二十五日のミニマムアクセス米の輸入の応札者はゼロでありました。これは何ででしょうか。お答えは、ちょっと時間がないので、私は思うんですけれども、それは余りにも高くなっているからじゃないですか。
農水省の調査では、カリフォルニア州にある日系小売店のカリフォルニア米の現在の価格は五キロで二十五・七二ドル、ここまで高騰しています。これは日本円で五キロ三千八百五十八円です。高い、カリフォルニア米。
一方、今年九月十六日の入札は、米国産一万三千トンが、これは一発落札されています。金額はタイ産と合わせた加重平均になっているので不明ですけれども、このときの米国産米の金額はトン当たり幾らか教えてください。
○平形政府参考人 お答えいたします。
本年九月十六日、ミニマムアクセス米の入札における落札額については、入札実施日に、アメリカ産ウルチ精米中粒米一万三千トンとタイ国産ウルチ精米長粒米四万トンの落札数量全量の加重平均価格でありますトン当たり十二万一千百八十一円を公表しています。
なお、産地、種類、落札者ごとの契約数量及び契約金額については、次回の入札における各社の応札価格に影響を与えないように、約二か月後の十一月中旬に公表するというふうにしております。
ただ、委員おっしゃられた中で、今年の三月よりも現在の方がアメリカのお米であれば価格は上がっているというふうに承知しております。
○田村(貴)委員 高い国費を使って、そして輸入しているのに、その金額が答えられないようでは、これは困りますよ。
私、試算しました、七月二十日のタイ産米がトン当たり七万四千円だったと。これを参考に九月十六日の入札を試算すれば、アメリカ産米はトン当たり二十六万六千三百五十三円になります。国内産の二一年産米の相対価格は十九万八千四百六十七円ですから、いかに高いアメリカ産であるか分かります。トン当たり二十万円台、二十六万円、こんな価格で買っているんじゃありませんか。いかがですか。
○平形政府参考人 先ほど、価格については十一月中旬をめどに公表ということでございますが、今回、九月の入札については落札をされた。我々、ミニマムアクセス米につきましては、国内の実需者のニーズですとか輸出国の生産状況、輸出余力を勘案して入札を実施しております。
国内の実需者のニーズが見込まれるものについては入札にかけていきたいというふうに考えております。
○田村(貴)委員 ニーズということがありましたけれども、こんなに高いアメリカ産米を買って、そして、高いMA米で国内の需要はあるのかどうかということですね。
答弁を聞きたいんですけれども、資料を配っていますので御覧いただきたいと思います。資料一、ミニマムアクセス米の販売状況であります。
直近の二〇二一年、主食用米は五万トン、加工用米が十万トン、飼料用が六十一万トン。その前を遡っても、圧倒的に多いのは、グラフに示したこの緑色の部分、飼料用であります。しかも、このミニマムアクセス米は保管料も政府持ちです。運送料も政府持ちです。高額でアメリカから輸入して、そして、その大半を飼料用に回していますが、その結果、巨額の売買損益、売買差損が発生して、保管経費、運送料、さらにはカビ解体料も合わせたら、とんでもない金額を投入しているわけです。それを示したのが、午前中、梅谷議員の質問で触れたミニマムアクセス米等の損益全体です。
これは間違いないですね、農水省の資料ですから。二〇一八年度は三百十一億円の赤字、二〇一九年度は三百六十八億円の赤字、二〇二〇年度は三百六十七億円の赤字となっています。どうでしょうか。高いんですよ。高くて、そして、管理費も含めて赤字になっている。これは見直すべきじゃないですか。
そして、資料の三枚目を見ていただきたいと思います。各国別のミニマムアクセス米の輸入数量です。これは、アメリカからは、毎年量ったように三十六万トン前後を輸入しています。グラフの赤い部分であります。
通告していますので、大臣、お答えいただきたいんですけれども、このミニマムアクセス米七十七万トンのうち、三十六万トンになんなんとするアメリカからの定量輸入というのは、これは条約上の義務ですか。
○平形政府参考人 米のミニマムアクセス米につきましては、実需者のニーズ、輸出国等からの状況でやっておりますけれども、WTO上、アメリカも含めて、国別にこれだけ輸入しなければいけないという義務はありません。
○田村(貴)委員 義務なんですか、この三十六万トンのアメリカ産米は。義務ですか、この部分は。
○平形政府参考人 先ほどお答えいたしましたとおり、義務ではありません。
○田村(貴)委員 ならば、この高いアメリカ産米は大幅に減らすべきであります。
今月十九日、財務省が財政審の歳出改革部会に提出した農林水産に関する資料で、飼料用米の生産が過剰だとして、水田活用交付金を専用品種に限定すべきと提起したわけであります。
最後、大臣にお伺いしますけれども、国内では飼料用米の転作を奨励してきた、そして今度は、飼料用米を作ったんだけれども、飼料用米が余って、水田活用交付金を引き揚げていく。これだけでも農家は頭にきていますよ。その一方で、巨額の税金をつぎ込んでアメリカからお米を大量に、高いお米を買って、そして大量に飼料用米に流して、そして毎年三百億円の赤字をつくり出している。これは、大臣がおっしゃる食料安全保障の主張からしても、大きな矛盾ではありませんか。農家にとってみれば、これは絶対に納得できない話です。
水活交付金で、私もいろいろな方の農家のお話を聞きました。農家の方は、必ず最後にミニマムアクセス米を言われます。
○笹川委員長 大変恐縮なんですが、申合せの時間が経過していますので、御協力をお願いします。
○田村(貴)委員 はい。分かりました。
大臣、どうですか。見直しますか。
○笹川委員長 答弁は簡潔に。
○野村国務大臣 ミニマムアクセス米については、もう委員御承知のとおり、国内の実需者のニーズ、輸出国の生産状況、その時々の需給動向を勘案して実施することになっておりますが、ただ、これは、国際約束数量の七十七万トンというのが、キャップがありますから、これはどうしても、やはり国際ルールですので守っていかなきゃならないということであります。
したがいまして、今後とも、このミニマムアクセス米については、国際約束に従って適切な運用をしていくということしか今は答弁はできません。
ただ、今後どういう形で国際的な話合いがあって、今おっしゃったようなルールを変更していくのかどうか、大変これは至難の業だと思います。WTOで約束したこの七十七万トンについては、やはり国際的な約束事として日本としては守っていかなければいけない、こんなふうに思います。
○田村(貴)委員 見直さなければいけないものはしっかり見直さなければいけないと思います。
終わります。
○笹川委員長 次に、北神圭朗君。
○北神委員 有志の会の北神圭朗といいます。
大臣、初めまして。よろしくお願いしたいと思います。
私は最初、大臣の報道を、就任の御挨拶とか見たときに、大変力強く思いました。食料安全保障のことを、自給率の話はあると思いますけれども、安全保障について強い思いを持たれたということで、我が意を得たりということなので、一緒に頑張っていきたいというふうに思っています。
それはなかなか、中長期的な課題にならざるを得ないというふうに思います。
ただ、今日質問したいのは、その中長期的な課題もありますけれども、今、足下で、先ほども話がたくさん出てきましたが、肥料の高騰ということで、円安あとはウクライナ戦争、こういった要因が絡まって、大変農家の皆さんを直撃をしている。農林水産省の調査によりますと、大体、農家の経営費の六%から一三%をこの肥料代というのが占めると。これが大体今一・五倍ぐらい前年比で上がっているという状況であります。特に畑作農家とか、こういったところを直撃している。
何回も話が出てきましたが、今回の政府の支援策が数か月前に出まして、私も、地元を回っていますと、なかなか、これはもうみんな、使い勝手が悪いと。支援の割合も七割だ、条件もついている、二割いわゆる化学肥料というものを削減しなければその支援ももらえないということで、こんなんだったらもう使うことはないなというような声も当初はあった。最近、ちょっといろいろ皆さんも説明を、農政局とか協議会とか、されているようでありますけれども、若干そこは緩んできているような気はします。
ただ、やはりここで問いたいのは、それはもちろん多い方がいいんでしょうけれども、先ほどの話があったとおり、秋肥の高騰率とか掛け合わせると実際に高騰している部分にはとても補填というふうにはならないというところもたくさん出てきています。
ですから、やはり一〇〇%というのは難しいんだというふうに思いますけれども、ある方が、これは肥料を販売している業者なんですけれども、前回、多分二〇〇八年のことを言っていたんですが、前回は一〇〇%出してくれたというふうに言うんですよ。これも、確認したんですけれども、恐らく、国は七割だったんですが、うちの場合だったら京都府それから亀岡市とか京都市とか、こういったところが上乗せをして一〇〇%になったということだと思います。
ちょっと通告になかったんですけれども、そういう話、それが昨日判明したんですが、もちろん、これは、地方分権の時代ですからそれぞれの地方自治体が決めることですけれども、やはり大臣あるいは農林水産省から、命令はできないと思いますけれども、できるだけ国の補助に上乗せをしていくべきではないか、そういう指導、指導と言ったら駄目なのかもしれません、助言でもいいですけれども、やはりそういう働きかけをすべきではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
○平形政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘の肥料価格高騰対策でございます。二〇三〇年までに化学肥料を二割低減させるという政府の目標を踏まえて、目標の達成に先行して取り組む農業者の方を支援する観点から、化学肥料の二割低減に取り組む農業者に対して肥料コスト上昇分の七割ということの補填でございます。
一方で、既に化学肥料の節減に取り組んできた農業者の方ですとか地域の実情に即した取組にも配慮して、一定の取組を行っていただければ化学肥料の二割低減に向けて取り組んだものとして支援を行うというふうにしているところでございます。
委員御指摘の中で、七割ということなんですが、二〇〇八年のときに十割というのは、ちょっと実は私も承知はしておりませんでした。その当時にあったかどうかというのは分からないんですが、実は今回の対策では、政府の全体の中では、地方創生臨時交付金、これが、活用していただくようにということで、実は、県段階それから市町村段階で、この七割に対して残りの部分というんでしょうか、そこのところを補填する自治体の方もいらっしゃって、そういった事例を我々としては自治体の方ですとかいろいろな方に御紹介しながら、自治体の判断の中で、特に高度化成が多くて上がったところは補填していただくための参考にしていただくだとか、そんなことを我々も周知をさせていただいているところでございます。
○北神委員 今、二点あったと思いますけれども、順番を逆に言うと、自治体の方には地方創生のお金があるんですね、それを使って国の七割支援に上乗せをするように促している、あるいはそういう事例を出しているということだというふうに理解しました。それは是非よろしくお願いしたいと思います。
それからもう一点は、いわゆる条件の化学肥料二割削減というのは必ずしも厳密なものではないと。というのは、それでいいと思います、運用でそういうふうに、頑張ろうという意思があればということというふうに理解していますが、これは非常に大事なことで、やはり彼らにしてみたら、ほとんどが、化学肥料というものをこれまでも国の方針に従ってずっと削減してきた。今度、今年ですか、みどりの食料戦略ということで、たしか二〇三〇年までに二割と。今、二〇二二年ですから、八年間かけて二割削減すると言われているのに、一方で、この支援策については短期間で、この支援をもらいたいんだったら二割いきなり急速に削減しないといけない、こんなのはどだい現実的に無理だという声もありますので、是非ともそこは運用の方で、それぞれの農家の事情というものを考慮しながら決めていただきたいというふうに思いますけれども、そういう理解でよろしいでしょうか。
○平形政府参考人 お答えいたします。
委員おっしゃるところもありますけれども、二〇三〇年までに化学肥料を二割低減させるという大きな目標、グリーン化という意味で大きな目標でございますけれども、その目標に先行して取り組もうという農業者を支援するということでございます。
ただ、具体的には、農業者の方、もう既に取り組んでいらっしゃる方というのもいらっしゃいますし、一つは、様々な取組のメニューから二つ以上を選択して、こういう取組をやるというふうにしていただくということと、あと、本年から二年間の間に取組を実施していただくということ、さらに、これまで化学肥料の使用量の低減に向けた取組、これも評価して、例えば、同じ取組をされる場合には、拡大する、強化するといったことも評価したいというふうに思っております。
委員おっしゃる中で、制度の周知なんですけれども、農林水産省それから各都道府県での説明会を開催しているほか、実は、ユーチューブ等の動画の説明、あるいはパンフレット、こういったものも周知して、できるだけ皆様方に分かりやすく、理解していただきたいなというふうに思っております。
○北神委員 いろいろほかにあるんです、土壌の審査とかをしないといけないとか。これも、それをするのに検査キットを買わないといけないとか、あるいは、審査をするために人にお願いして、またそこでお金を払わないといけない。この支援をもらっても、ほとんどそこに消えてしまって、やはり計算してみたら割が合わないというようなところもありますので、是非そういったところを理解していただきたいというふうに思います。
大臣、私が心配しているのはやはり特に小規模農家であって、兼業農家とか、こういったところが、やはりこの支援策について、非常に使い勝手が悪いという声が出ています。
ただ、私は、農林水産省の職員の皆さんと話をしていると、一部、誤解に基づいていたり、あるいは、一部、本当はもう少し柔軟に農水省は考えているということがまだ伝わっていない。先ほど、今おっしゃったように、大臣からもひとつ、説明がちゃんと行き渡るようにしなければ、最初から諦めて申請をしないようなところも出てくるような気がしますので、そこの決意をお聞かせいただきたいと思います。
○野村国務大臣 先ほど担当局長の方からお答え申し上げたとおりなんですが、やはりまだ農家の皆さん方に誤解があるのが、一割減らさなきゃいけない、二割減らさなきゃならないという、数字が頭にこびりついておられると思うんですが、今度の申請の中には、取組メニュー、例えば、土壌診断をしていますとか、いろいろなそういう、取り組んで、いわゆる化成肥料を減らすための、肥料代を減らすための取組を何をしておられますかというところで、二つ以上、二つあればいいんですが、丸をしてもらうような仕組みを取ってあります。
ですから、そんなに使い勝手の悪い補助事業じゃありませんし、前回のときは、去年の伝票と今年の伝票で比較させて、そしてそれで七割補填をしたんですが、もうそんなことは求めておりません。求めておりませんので、今申し上げたように、どういう、今後、化成肥料なり肥料の削減をするために取組をしておられますかというところをやはり重点に見ていきたい、こんなふうに思っております。
そしてまた、先ほどの、七割じゃ不足だよというお話ですから、これはやはり地方創生臨時交付金を使っていただいて、それぞれの県なり市町村で上積みをしていただければ、農家の皆さん方に大変貢献していくのではないか、こんなふうに思いますので、どうかよろしくその辺の御指導もお願いいたします。
○北神委員 大臣、ありがとうございます。
是非、そういった説明をまた事務方でも、あるいは都道府県もしていただくということが非常に重要だというふうに思っていますので、よろしくお願いしたいというふうに思います。
食料安全保障の話、もう終了間近なので、最後にお聞きしたいと思います。
今の話も、七割でも十分じゃないかと。例えば中小零細企業なんかは五割ぐらいの補助だ、国の補助というのは大体ね。しかし、やはり企業というのは、一応、資本主義の前提に立つと、それなりに競争があって、淘汰をして、それが本当かどうか分からぬけれども、より消費者にとってよい結果になるというような世界ですけれども、やはり食料というのは命をつなぐものであり、大臣がおっしゃるように、ウクライナ戦争の前からこれは当然本当はやるべきだったんでしょうけれども、やはり自分の国の国民は自分たちで食べさせられる、そういった農業政策というのを本来は実行すべきだったというふうに思います。
非常に時機を失してしまったような感はいたしますが、ようやく、このウクライナ戦争の関係で、私らも、選挙区でいうと都会の部分、京都市内の方に行くと、昔はこういう話は、私ども、二十年前から、食料安全保障の話をしても、みんな余りいい反応はなかった。ところが、このウクライナ戦争の後、やはりみんな非常に関心を持って、やはり、食べられなくなる、こういう危機感というものが出てきていますので、大変な仕事だと思いますけれども、そして、先ほども話が出たように、財務省が立ちはだかるというふうに思いますけれども、やはり食べる保証がないことに誰も参画はしない。
つまり、農業の担い手というのは基本的に国が支援をして、やはり農業によって生活が成り立つ、そういうものがなければ、なかなかこの食料安全保障というのも達成が厳しいというふうに思っていますので、最後にその決意だけを聞かせていただいて、終わりたいというふうに思います。
○野村国務大臣 今御指摘の、あるいは御意見のとおりでございまして、総理の方からも、今回、経済対策としていろいろなことをやはり盛り込んでいけよと。特に、私ども農林水産省としては、食料の安全保障という視点で是非枠をつくってくれということでお願いをしておりますので、党の方でも一生懸命今検討していただいておりますので、これらを踏まえながら取り組まさせていただきたいと思います。
○北神委員 是非よろしくお願いします。
終わります。
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○笹川委員長 次に、本日付託になりました内閣提出、競馬法の一部を改正する法律案を議題といたします。
これより趣旨の説明を聴取いたします。農林水産大臣野村哲郎君。
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競馬法の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
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○野村国務大臣 競馬法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
地方競馬においては、令和二年度には二十九年ぶりに売得金が九千億を超えるなど、堅調な売上げとなっていますが、施設の老朽化が著しく進行しており、地方競馬主催者が今後長期にわたり多額の施設整備費用を負担していかなければならない状況になっております。
また、馬産地については、軽種馬生産農家の戸数が約二十年間減少し続け、現在も多くの経営体において後継者が確保できない状況にあります。
さらに、近年、競馬関係者による勝馬投票券の購入、給付金の不適切な受給等が発生し、競馬に対する国民の信頼が揺らぎかねない状況になっております。
このような状況を踏まえ、地方競馬の経営基盤や馬産地の生産基盤の強化を安定的に推進するとともに、競馬に対する国民の信頼を確保するための措置を講ずるため、この法律を提出した次第であります。
次に、この法律案の主要な内容につきまして、御説明申し上げます。
第一に、地方競馬の支援措置の拡充についてであります。競馬活性化計画の目的及び記載事項を見直すとともに、地方競馬の活性化を図るため、地方競馬全国協会の畜産振興勘定から競馬活性化勘定への資金の繰入措置の恒久化及び日本中央競馬会が地方競馬全国協会に対し必要な資金を支援するための措置の延長を行うこととしております。
第二に、馬産地への支援措置の恒久化についてであります。競走馬の生産の振興を図るため、日本中央競馬会が地方競馬全国協会に対し必要な資金を支援するための措置の恒久化を行うこととしております。
第三に、競馬に対する国民の信頼を確保するための措置の充実についてであります。日本中央競馬会又は都道府県若しくは指定市町村が競馬の円滑な実施を確保するため必要があると認めるときに競馬主催者として必要な処分を行うことができるよう必要な措置を講ずるとともに、競馬関係者による勝馬投票券の購入又は譲受けに関する罰金額の上限を二百万円に引き上げるなどの措置を講ずることとしております。
以上が、この法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
よろしくお願いいたします。
○笹川委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
次回は、来る十一月二日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後二時十分散会