第4号 令和4年12月8日(木曜日)
令和四年十二月八日(木曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 笹川 博義君
理事 あべ 俊子君 理事 武部 新君
理事 若林 健太君 理事 渡辺 孝一君
理事 近藤 和也君 理事 緑川 貴士君
理事 足立 康史君 理事 庄子 賢一君
東 国幹君 五十嵐 清君
伊東 良孝君 泉田 裕彦君
上田 英俊君 江藤 拓君
加藤 竜祥君 神田 潤一君
小寺 裕雄君 小森 卓郎君
坂本 哲志君 塩崎 彰久君
高鳥 修一君 西野 太亮君
長谷川淳二君 平沼正二郎君
深澤 陽一君 古川 直季君
細田 健一君 松本 尚君
宮路 拓馬君 宮下 一郎君
保岡 宏武君 山口 晋君
石川 香織君 梅谷 守君
金子 恵美君 小山 展弘君
佐藤 公治君 山田 勝彦君
渡辺 創君 池畑浩太朗君
掘井 健智君 岬 麻紀君
稲津 久君 角田 秀穂君
長友 慎治君 田村 貴昭君
仁木 博文君
…………………………………
農林水産大臣 野村 哲郎君
農林水産副大臣 野中 厚君
農林水産大臣政務官 角田 秀穂君
政府参考人
(スポーツ庁審議官) 星野 芳隆君
政府参考人
(農林水産省大臣官房総括審議官) 高橋 孝雄君
政府参考人
(農林水産省消費・安全局長) 森 健君
政府参考人
(農林水産省輸出・国際局長) 水野 政義君
政府参考人
(農林水産省農産局長) 平形 雄策君
政府参考人
(農林水産省畜産局長) 渡邉 洋一君
政府参考人
(農林水産省経営局長) 村井 正親君
政府参考人
(農林水産省農村振興局長) 青山 豊久君
政府参考人
(農林水産技術会議事務局長) 川合 豊彦君
政府参考人
(水産庁長官) 神谷 崇君
農林水産委員会専門員 梶原 武君
―――――――――――――
委員の異動
十二月八日
辞任 補欠選任
上田 英俊君 西野 太亮君
神田 潤一君 松本 尚君
長谷川淳二君 深澤 陽一君
宮下 一郎君 小森 卓郎君
山口 晋君 古川 直季君
佐藤 公治君 石川 香織君
掘井 健智君 岬 麻紀君
北神 圭朗君 仁木 博文君
同日
辞任 補欠選任
小森 卓郎君 塩崎 彰久君
西野 太亮君 上田 英俊君
深澤 陽一君 長谷川淳二君
古川 直季君 山口 晋君
松本 尚君 神田 潤一君
石川 香織君 佐藤 公治君
岬 麻紀君 掘井 健智君
仁木 博文君 北神 圭朗君
同日
辞任 補欠選任
塩崎 彰久君 宮下 一郎君
―――――――――――――
十二月五日
食料危機の下で、国産食料の増産、食料自給率向上、家族農業支援強化を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二一〇号)
同(笠井亮君紹介)(第二一一号)
同(穀田恵二君紹介)(第二一二号)
同(志位和夫君紹介)(第二一三号)
同(塩川鉄也君紹介)(第二一四号)
同(田村貴昭君紹介)(第二一五号)
同(高橋千鶴子君紹介)(第二一六号)
同(宮本岳志君紹介)(第二一七号)
同(宮本徹君紹介)(第二一八号)
同(本村伸子君紹介)(第二一九号)
同(緑川貴士君紹介)(第二六七号)
同(佐藤公治君紹介)(第二九三号)
同(渡辺創君紹介)(第二九四号)
同(赤嶺政賢君紹介)(第四二七号)
同(笠井亮君紹介)(第四二八号)
同(穀田恵二君紹介)(第四二九号)
同(志位和夫君紹介)(第四三〇号)
同(塩川鉄也君紹介)(第四三一号)
同(田村貴昭君紹介)(第四三二号)
同(高橋千鶴子君紹介)(第四三三号)
同(宮本岳志君紹介)(第四三四号)
同(宮本徹君紹介)(第四三五号)
同(本村伸子君紹介)(第四三六号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
農林水産関係の基本施策に関する件(畜産問題等)
令和五年度畜産物価格等に関する件
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○笹川委員長 これより会議を開きます。
農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房総括審議官高橋孝雄君、消費・安全局長森健君、輸出・国際局長水野政義君、農産局長平形雄策君、畜産局長渡邉洋一君、経営局長村井正親君、農村振興局長青山豊久君、農林水産技術会議事務局長川合豊彦君、水産庁長官神谷崇君、スポーツ庁審議官星野芳隆君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○笹川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○笹川委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。山口晋君。
○山口(晋)委員 皆さん、おはようございます。衆議院議員の埼玉十区選出の山口晋と申します。
本日、この農水委員会で初めて質問の機会をいただき、地元の皆様方、そして自民党の先生方に本当に心から感謝を申し上げる次第であります。
今、自由民主党の部会においても、まさに畜産物の価格について様々な議論をさせていただき、この十二月中旬に向けた最終局面を迎えているものと承知をしております。その中において、輸入価格、輸入飼料の高騰が続いておって、経営環境が大変に厳しく、事業を継続するのが本当に厳しい、瀬戸際だという切実な声を、地元の鶏卵業者の方々、また酪農の方々からも聞いているところでもあります。
ただ、その一方で、牛乳や卵などの販売価格を上げざるを得ない状況にもかかわらず、マスコミでは、この時期になぜ値上げなのか、消費者に更なる負担を強いるのかなど、生産者に対して大変厳しい視線が向けられております。
是非、農水省としては、関係機関を通じて丁寧な広報をしていただいて、国民の理解を得られるようにまずお願いを申し上げてから、質問に移らせていただきたいと思います。この件に関しては、私たち政治家もしっかりバックアップをさせていただきたいと考えております。
まず、一問目でありますが、食料安全保障に対して、農林水産省の考え方についてお伺いをさせていただきます。
さて、昨今の混迷を極める国際情勢を踏まえると、我が国の安全保障を考えるに当たって、国防に加えて、経済安全保障、エネルギー安全保障、そして食料安全保障も大変重要なテーマであると考えております。
足下、少し円安の動きが落ち着きを見せたところではありますが、様々な資源を海外から輸入する我が国にとって、物価の高騰への対応は重要な課題であると承知をしております。畜産、酪農分野においても飼料の多くを輸入に依存しておりますので、長期的に見れば、やはり国内飼料の増産の推進による自給率向上が必要だと考えております。
現状、日本の食料自給率は三八%、畜産物についても、輸入飼料をカウントしないと自給率は一六%と大変厳しい状況だと認識をしております。もちろん全てを国産で生産することが望ましいと思いますけれども、やはり重要なことは、私は、日本の国情を考えると、バランスが最も重要だと考えております。
来年に向けて、農政の憲法と言われる食料・農業・農村基本法の見直しが行われることと承知をしておりますが、そこで、改めて食料安全保障に対する農林水産省の考え方、意気込みについてお聞かせください。また、その中で、畜産物の自給率をどのように向上させていくのかについても、併せて御見解をお願いをいたします。
○野村国務大臣 ただいま山口委員の方から食料の安全保障についての御質問がございました。
食料安全保障は、生産者だけの問題ではなくて、消費者を含めた国民一人一人に関わる国全体の問題だというふうに思ってございます。
その上で、食料安全保障を強化していくためには、一つは、安定的な輸入、これは今までもそうでありましたが、安定的な輸入というのも必要ですし、それからもう一つは、適切な備蓄というものも大変必要だろう。こういったものを組み合わせつつ、国内で生産できるものはできる限り国内で生産していこうというのが私どものスタンスであります。
畜産物につきましても、令和十二年度の生産努力目標を設定して、生産性向上に必要な機械導入や施設整備、あるいはまた、家畜改良等による飼養管理の改善など、需要に応じた生産に必要な基盤整備に取り組んでいく所存でございます。
さらに、飼料につきましても、できる限り自給飼料の向上を図ろう、自給飼料の自給率を図ろうということで、現状二五%でございますが、これを令和十二年度には三四%に引き上げることを目標として、一つは、水田を活用した飼料用トウモロコシ等の生産拡大、二つ目が、地域の飼料生産を担うコントラクター等の飼料生産組織の機能を強化していくというのが二つ目、三つ目が、草地の整備等による牧草の収量、品質の向上等を推進するとともに、本年度第二次補正予算として、畜産農家と飼料作物を生産する耕種農家との連携への支援を措置したところでございます。
特に、粗飼料につきましては、畜産地帯と稲作地帯との交流といいますか、流通をもう少し後押ししながら、できるだけ国産の稲わらを使ってもらおうと。今、中国からの稲わらも高騰しておりますので、可能な限り国内の稲わらの支援をしながら、そして流通経費等の支援をしながら、国内の畜産と耕種農家との結びつきを強めていきたい、こんなふうに思っておりまして、このような取組を通じまして、畜産物の自給率向上を推進してまいりたいと思っているところでございます。
○山口(晋)委員 大臣、御丁寧な答弁、誠にありがとうございます。
しっかりと飼料を国産で作ること、大変重要だと思いますし、私は、先ほども、冒頭、大臣からも答弁ありました安定的な輸入、これはやはり大変日本にとっては重要なことだと思いますので、引き続き、関係諸外国と緊密な関係を取っていただいて、食料安全保障を進めていただければと思います。
次に、我が国の飼料をめぐる基本的な考え方についてお伺いをさせていただきます。
我が国の畜産、酪農業界は、将来の人口減少による国内市場の縮小リスク、担い手の高齢化など様々な課題に直面をしているほか、先ほど御答弁をいただきました食料安全保障のリスクへの対応や、気候変動問題へも適切に対応することが求められていると承知をしております。
ただ、足下では物価高騰対策が大きな関心事項であり、政府においても、先日成立した令和四年度第二次補正予算において、先ほど大臣からも御答弁いただきましたけれども、飼料作物の国産化の推進への予算措置や配合飼料価格安定制度における高止まり対策など、しっかり取組をしていただいているものと理解をしております。
ただ、畜産経営のコストに占める飼料費の割合は、牛で約三割、豚と鳥で約六割となっており、畜種によって影響の度合いは異なるものの、飼料価格の高騰は確実に畜産経営を圧迫しており、かつ、物価高騰が長期化してしまうのではないかという不安の声があるのも事実であります。
実は、私自身、前職がエネルギー業界の出身でありまして、エネルギーの基本指針はSプラススリーE、安全性を大前提として、自給率、経済効率性、そして環境適合性を同時に満たすものが基本指針として考えられているわけでありますけれども、私は、やはり飼料においても、これからの持続可能な我が国の畜産、酪農業界を発展させていくに当たっては、同じような視点を持つべきではないかなというふうに考えております。
農林水産省としての飼料をめぐる基本的な考え方についてお聞かせいただければと思います。
○渡邉政府参考人 お答えをいたします。
SプラススリーEについてのお尋ねでございます。
飼料の安全性につきましては、飼料安全法に基づき、基準を定めるとともに、検査などで安全性を確保してございます。
また、飼料の自給率につきましては、大臣からもお話ございましたとおり、自給率を二五%から令和十二年度に三四%に引き上げることを目標として、輸入飼料への過度な依存から脱却、国内飼料生産基盤に立脚した足腰の強い生産への転換を推進をするということに併せまして、輸入が途絶するような不測の事態に備えまして、飼料穀物について、一か月分の輸入量に相当する約百万トンを国内において備蓄をしてございます。
また、次の経済効率性でございますけれども、これは、草地の整備などによる牧草の収量あるいは品質の向上、地域の飼料生産を集約的に担うコントラクターなどの飼料生産組織の機能強化などによりまして、国産飼料の生産コストの低減を推進してまいります。
また、三番目の環境適合でございますけれども、これは、濃厚飼料の自給率一三%から令和十二年度に一五%、粗飼料につきましては自給率七六%から令和十二年度一〇〇%というようなことで、引き上げることを目標として取り組んでおりまして、そうしますと、海外からの飼料の輸入によります二酸化炭素排出量の低減にも貢献することができるというふうに考えてございます。
○山口(晋)委員 ありがとうございます。
SプラススリーEが一番いいのか分かりませんけれども、何か農水省としても飼料に向けた共通の指針というか共通の理解を示して、多くの方々が図れる尺度というのが、やはり何かこう創設していただけるといいのかなというふうに感じておりますので、是非、御検討いただければと思います。
あわせて、更問いになりますけれども、飼料の国産化に向けての取組についてお伺いをさせていただきます。
先ほど、答弁の中でも、やはり飼料の国産化に向けた動きを進めていくという御回答がありましたが、具体的な取組について教えてください。また、農水省として、どのような支援を行っているのか、また、どのような横展開を行っているのか、教えていただければと思います。
○渡邉政府参考人 お答えをいたします。
飼料自給率を令和十二年度に三四%に引き上げるということで目標としてございますが、取組といたしましては、水田を活用した飼料用トウモロコシなどの生産の拡大ですとか、地域の飼料生産を担うコントラクターのような生産組織の機能の強化、草地の整備による牧草の収量、品質の向上、国産稲わらの利用促進に向けた耕種農家と畜産農家のマッチング、あるいは稲わら収集に必要な機械の導入、あるいは県域を越えた国産粗飼料の広域流通体制の構築をするための実証の実施、それから低利用、未利用地での放牧などの推進、あるいは、食品残渣のような未利用資源を活用した、いわゆるエコフィードといった飼料といったものの利用拡大といったものを推進しているところでございます。
○山口(晋)委員 ありがとうございます。
特に水田活用に関しては、本当に私の地元でもなかなか理解が進んでいないところもありますので、是非、農水省として粘り強く折衝していただければと思いますので、お願いいたします。
次に、配合飼料の安定価格制度について質問をさせていただきます。
統計によれば、九月の配合飼料価格は一トン当たり十万二百八十七円となり、二〇二〇年度同月比で約一・五倍に上昇しているなど、価格の高騰は生産者にとって非常に大きな問題となっております。
配合飼料安定制度による七―九月分の補填金は一トン当たり一万六千八百円でありますが、それを加味しても、二〇二〇年度同月比と比べて約三割高い水準と承知をしております。
こういった事態を踏まえて、政府においても、更に、配合飼料価格高騰緊急特別対策として、生産コストの削減等に取り組む生産者に対して、配合飼料価格安定制度による補填金とは別に補填金を交付する特別措置を行っていただいていると聞いておりますし、承知をしております。
実は、今回の質問をするに当たって地元の鶏卵業者の方にお話を聞いたんですけれども、このような補填金を踏まえても、やはりまだ経営が本当に厳しいというふうに聞いております。恐らく、この背景には、鶏卵事業者の方々が配合飼料に依存する割合が高いというのも一因だと理解をしております。
私の埼玉県においては、独自の支援策として、配合飼料費の一部補助、一トン当たり五百円の措置を講じております。このように、都道府県ごとに追加的な措置を実施しており、地域によって対応が異なるのは各自治体の判断でもありますが、地域間で事業者が不公平感を感じないように、農林水産省として各地域への目配りをしっかりしていただきたいと思います。
その点に関して、配合飼料の価格安定化を含め、農林水産省のお考えをお聞かせください。
○渡邉政府参考人 お答えをいたします。
国といたしましては、配合飼料の高騰の影響を緩和するために、配合飼料価格安定制度を措置してございます。異常補填基金への六百六十五億円の積み増しですとか、今回の二次補正でも百三億円の積み増しというのを措置をしてございます。
また、これとは別に、この制度とは別に、飼料価格高騰の緊急対策といたしまして予備費で五百四億円の措置をいたしまして、これによってトン当たり六千七百五十円を交付するというような対応をしてございますが、これらは全国一律の支援でございます。
これらに加えまして、各地方自治体におきましても、地方創生臨時交付金などを活用いたしまして、地域の実情ですとか各地方自治体の考えに基づいた独自の支援策を講じていると承知をしております。
私どもといたしましては、引き続き、このような地方独自の取組について、もちろん、情報を収集をいたしまして、こういった事例を地方自治体さんとかにも情報提供を行いながら、各地方自治体と連携をして、生産者の支援に当たってまいりたいというふうに考えてございます。
○山口(晋)委員 ありがとうございます。
是非、地方との緊密な連携、また事業者の皆さんとの緊密な情報共有、進めていただければと思います。
ここからは、ちょっと需要促進の方に質問を移らさせていただきます。
まずは、和牛肉の輸出促進についてであります。
現在、我が国の農林水産物・食品の生産額の約九八%は国内市場向けであると承知をしておりますが、今後、人口減少などにより国内の食市場の規模が減少する一方、アジアを中心に世界の食市場の規模は大きく拡大すると見込まれている中で、輸出に取り組むことが重要であると考えております。
今般の補正予算においても、円安を生かした地域の稼ぐ力の回復、強化が柱となっております。
政府の輸出拡大実行戦略では、今後、牛肉の輸出額については、二〇二五年には一千六百億円、さらに、二〇三〇年には三千六百億円を目標としているものと承知をしております。
例えば、私が留学をし、また民間企業において働いておりましたシンガポールを始め東南アジアでは日本食は大変人気が高く、特に、おいしい和牛肉への潜在的な需要は大きいものがあると感じております。特に、この円安局面を利用して、おいしい和牛肉を更に売り込むチャンスがあるのだと私は強く確信をしております。
輸出の拡大は食料自給率の向上に寄与するものでもありますし、牛肉の価格形成のためにも、和牛肉の輸出を促進していく必要があると考えておりますが、農林水産省として、どのようなビジョンで進めていくのか、さらに、事業者に対してどのような支援をしていくのかについても、併せて見解をお聞かせください。
○野中副大臣 牛肉でありますけれども、政府といたしましては、輸出の重点品目に位置づけております。
今、山口先生からもお話がありました、二〇三〇年の三千六百億円、この目標を掲げており、その目標達成のために、積極的に輸出拡大を後押ししているところであります。
そのような中、二〇二一年の牛肉の輸出額でありますが、前年比の一八六%、五百三十七億円と過去最高を記録しており、本年も、一月から十月の累計輸出額でありますが、前年同期比九八%の四百十二億円と、好調だった昨年とほぼ同水準で推移をしているところであります。先ほど例として挙げられたシンガポールでありますが、これについても、前年同期比一三二%の約二十八億円と増加傾向にございます。
私どもといたしましては、更なる輸出促進に向けまして、オール・ジャパンのプロモーション等の取組に加え、畜産農家、食肉処理施設、輸出事業者の三者が連携したコンソーシアムによる商談会開催等の新たな商流構築、また、世界的な内食化の傾向など多様化するニーズに対応するための、スライス肉等の輸出促進、輸出先国の求める高い衛生水準を満たす食肉処理施設等の計画的整備及び輸出施設認定の迅速化等を支援してまいります。
また、政府一丸となりまして、新たな輸出先国の解禁、牛肉の月齢制限の撤廃等の規制緩和についても推進してまいります。
○山口(晋)委員 野中副大臣、本当にありがとうございます。
表現が適切か分かりませんけれども、東南アジアの方々というのは、どんなに高くてもおいしいお肉であれば買っていただけるというのが私の肌感覚でありますので、この輸出、どんどん進めていただければと思います。
関連して、輸出促進に向けた現地でのプロモーションについてお伺いをさせていただきます。
やはり、輸出を考えるに当たっては、日本の農林水産物・食品のすばらしさを海外の皆様にしっかりと理解をしてもらうことが大事だと考えております。東南アジア各国で友人と日本食を一緒にする際に、その食品の産地や日本での位置づけなど、様々なことを日本人以上に質問された経験があります。まさに、すばらしさを知りたいという海外の方々のニーズに応えるような現地でのプロモーションが大事になってくると思いますし、その積み重ねによって、最終的には、まさに日本の農林水産物・食品のブランド力を高めることができると思っております。
円安の進行や海外の外食需要の回復などを主な理由として、二〇二二年一月から十月までの我が国の農林水産物・食品の輸出額は一兆一千二百十八億円となり、二年連続で一兆円を上回り、五兆円目標に向けた戦略も先日発表されたものと承知をしております。まさに、このいい流れを確固たるものにしていくためにも、農林水産物・食品の輸出促進の一環として、例えばシンガポールであれば、現地日系百貨店、スーパーや、また、日系のクッキングスクールなどとタイアップしてプロモーションをすることが効率的であり、効果的であると考えておりますが、どのようにして現地での輸出促進活動を強化していくのか、農林水産省のお考えをお聞かせください。
○水野政府参考人 お答えいたします。
農林水産物・食品の輸出につきましては、委員御指摘のとおり、本年一月から十月までの輸出額が一兆一千二百十八億円となり、昨年より一か月早いペースで一兆円を超えたところでございます。円安の好機を最大限に活用しつつ、海外での商流構築に向けたプロモーションを強化することが重要になっていると考えております。
このため、例えば、委員御指摘のとおり、シンガポールの日系百貨店で、牛肉や日本酒、菓子など日本産食品をPRし、特設ECサイトでの購入を促すなどの取組を実施しているところでございます。
今後は、シンガポール、バンコクほか、東南アジア、欧米の七都市に設置しました輸出支援プラットフォームの活用により、このような現地発のプロモーションを拡大してまいりたいと考えております。
○山口(晋)委員 ありがとうございます。
是非、この輸出のプロモーションに関して、私は、野村大臣自ら各国を訪れていただいて、日本の食のすばらしさというものを伝えていただければ、更に輸出事業が活発になるのではないかなと思いますので、是非よろしくお願いをいたします。
次の質問に移らせていただきますが、次は、岸田政権が掲げるスタートアップについてであります。やはり、このスタートアップということも日本の農林水産分野において非常に重要だと思いますので、その点について御質問をさせていただきます。
先日、岸田内閣の新しい資本主義実行会議において、スタートアップ育成五か年計画が決定をされました。岸田総理からも、スタートアップは社会的課題を成長のエンジンへと転換をして持続可能な経済社会を実現する新しい資本主義の考え方を体現しますとの御発言もあったと承知をしております。
また、先日の本委員会においても、野村大臣より、新たな技術開発なり事業化を目指すスタートアップの支援にも取り組んでいきたいと御発言があったと記憶をしております。やはり、畜産、酪農分野においても、将来を見据えたスタートアップ支援は大変重要だと考えております。
例えば、福島県では、福島イノベーション・コースト構想の下、福島牛のブランド力強化のため、帯広畜産大学と連携をし、成育途中の肉の品質をAIで診断するシステムを開発したと聞いております。これは、飼育中の牛の超音波画像と屠畜後の枝肉を撮影した画像をAIに学習をさせ、ビッグデータとして蓄積をし、育成途中の牛の超音波画像データから将来の枝肉の横断面を推定する、これにより飼育効率や畜舎の回転効率を向上させることができるもので、現在はその実証実験が行われているものと承知をしております。
こういった、まさにデジタル化を推進し、AIやICTを活用していく中で、世界と戦える日本の畜産、酪農業を考えていくに当たっては、新しい発想を持つスタートアップ企業の支援強化、また、スタートアップ企業を支援するベンチャーキャピタルを含めた産官学、これはいつも産官学があるわけでありますけれども、ここに私は産官学金ということで、やはり金融機関もしっかりと交ぜていただいて連携を深めていくことが重要だと考えておりますが、今後の具体的な取組方針やスタートアップ支援の考え方についてお伺いをさせてください。
○渡邉政府参考人 お答えをいたします。
畜産経営が成長産業として更なる発展を遂げるためには、勘に頼る家畜の飼養管理から、データですとか科学に基づく飼養管理に転換していくということがとても有効だというふうに考えてございます。
委員からAIの肉質評価システムについて言及がございましたけれども、ほかには、例えば、搾乳中の乳についてセンサーで検知するような搾乳ロボットですとか、そういったAIですとかICT技術を生産現場に導入を支援をいたしまして、そういった機器あるいはセンサーから得られる情報をビッグデータとして集積をして、様々な民間企業が活用できるようなプラットフォームの構築にも取り組んでいるところでございます。
また、スマート農業実証プロジェクトにおきまして、開発が不十分な分野での技術開発ですとか実証を進めまして、スタートアップにも参画をいただくということとともに、農林水産・食品分野のスタートアップ育成のために、発想段階の研究開発から、ビジネスモデル構築、人材のマッチング、創業期の需要創出に向けた社会実証などの事業化段階の取組に至るまで、専門家による伴走支援を行いながら、切れ目ない支援を行っているところでございます。
このような取組によりまして、畜産におけるスタートアップに資する環境の整備に取り組んでいきたいと考えてございます。
○山口(晋)委員 ありがとうございます。
まさに、先ほども申し述べさせていただきましたけれども、岸田政権において、このスタートアップ、大変に重要な部門でありますし、ここをうまく成功させていく、特に畜産、酪農と言われるところに、このスタートアップ、またDXをうまく融合させていくことがやはり今後の日本の成長にも一番つながることだと思いますので、引き続き、農水省だけではなくて、経済産業省や様々な省庁との連携を進めていただければと思います。
それでは、時間が来てしまいましたので、最後に、お願いになりますけれども、今やはり飼料米の問題が議論されているわけでありますけれども、是非、農水省として、農家の皆様方に丁寧な説明をしていただいて、そして、みんながこの国の農業を支えていくんだという気持ちになるような形で、野村大臣を先頭に、農水省の皆さんで一致団結して頑張っていただければと思います。どうかよろしくお願いいたします。
本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
○笹川委員長 次に、稲津久君。
○稲津委員 おはようございます。
私は、今日は、酪農対策のみ質問させていただきたいと思います。
大要、三問質問いたします。
時間がありませんので早速本題に入っていきますけれども、まず一点目は、国産牛乳・乳製品の消費拡大ということで、とりわけチーズについてお伺いさせていただきたいと思っております。
国産の牛乳・乳製品の需要がコロナの感染などによりまして落ち込んでいる、その結果、現場では牛乳の需給調整をせざるを得ない状況となっているということ。一方で、これはもう何年も言われてきていることですけれども、まさに問題提起しなきゃいけないのは、国産チーズの需要拡大であるというふうに思っております。
国産牛乳のチーズ向けの需要量は約四十万トンぐらいということで、これは、輸入の乳製品の中のチーズと比べると、輸入の方のチーズは三百六十万トン余りですから、実に九倍ですよ。悲しいことに、輸入のアイスクリームなどは五十七万トン、だから、これにも及ばないという現実があるということ。
今回、令和四年度の第二次補正予算では、国産チーズ生産奨励事業、またチーズ工房等の生産性向上支援、また国産チーズの品質向上、ブランド化、消費拡大支援、こうしたことが予算化されていることは喜ばしいことではありますが、やはり何よりも、輸入品から国産品への置き換え、すなわち国産チーズの消費拡大というのが広がっていかなければ、問題の進展にはならないわけです。
そこで、伺いたいんですけれども、この国産チーズの需要拡大について、具体的に今後の対応策についてまず伺っておきたいと思います。
○角田大臣政務官 生乳需要を確保し、国産牛乳・乳製品の消費を拡大するためには、今、稲津委員が御指摘されたとおり、国産チーズ市場を拡大していくことは非常に重要なことであるというふうに認識をしております。
我が省としては、国産チーズの競争力の強化を図るため、総合的なTPP等関連政策大綱に基づき、原料となる生乳の高品質化、国産チーズの製造コスト低減と品質向上、ブランド化等に対する支援につきまして、令和四年度第二次補正予算において措置し、引き続き支援することとしたところであります。
近年は、国際的なチーズコンテストで複数のチーズが金賞を含め上位入賞を果たすなど、国産チーズの品質の評価は高まっており、昨年、一昨年と見ましても、僅かずつではございますけれども、国産チーズのシェアが向上してきているところでもございます。更なる国産チーズの競争力強化、需要拡大に向け、引き続きしっかりと支援を行ってまいりたいと思います。
○稲津委員 ありがとうございました。
国産チーズの需要拡大、これはこれまでも常々言われてきたことでありまして、しかし、具体的な成果がまだ見えてきていないんですね。そこで、是非ともこの酪農を取り巻く厳しい状況を、大いなる転換のとき、そういうふうに捉えて、ピンチをチャンスに切り替えていただく積極的な取組を要望いたします。
次の質問に移ります。
次は、加工原料乳生産者補給金と集送乳調整金についてお伺いをさせていただきます。
先日、JA北海道の小野寺会長が、畜酪対策を野村大臣に要請をいたしました。特に、加工原料乳生産者補給金について、酪農の置かれている厳しい現状を鑑みた単価の引上げと交付対象数量の適切な引上げ、これを求めたところでございます。
昨年から今年にかけて、酪農現場を直撃する大変に厳しい、そのような状況が続いております。もう言わずもがなですけれども、燃油の高騰から始まって、飼料、餌代ですね、飼料の価格高騰、さらに酪農生産資材の一連の価格高騰ということで、これがウナギ登りですね。だから、そのために生産コストが急激に増しているということ、もう御存じのとおりです。
国産牛乳・乳製品の需要も、冒頭申し上げましたように、コロナの影響があってここ数年低迷をして、酪農家を取り巻く環境は最悪だ、このように言っても過言ではないと思います。このまま酪農経営を続けても見通しが立たない。将来だけじゃないですよ、もうここ数年のところの見通しも立たない。展望が開けないわけですね。したがって、離農を決意した、こういう本当に悲しい言葉も聞いております。
そこで、伺いますけれども、酪農経営の安定化、これが確実になるように、加工原料乳生産者補給金を大幅に引き上げるべきだ。あわせて、数量についても現状を維持していくべきだ。それから、集送乳の調整金についても、燃油の高騰等条件不利地、そうしたところを含めて確実に集乳ができるように単価設定を求めたい。こうしたことに関して、大臣のお考えを伺いたいと思います。答弁を求めます。
○野村国務大臣 稲津委員にお答えを申し上げます。
先ほどお話がありましたように、今週は、北海道の皆さん方が、大変多くの皆さん方から御要請をいただきました。その中身は、今、稲津委員がおっしゃいましたように、補給金の単価の引上げ、あるいは集送乳の引上げ、あるいはまた限度数量の維持、こういったようなことが主な内容だったと思っております。
これらにつきましては、加工原料乳生産地域の再生産を旨として、生産コストの変動や物価動向等を考慮して、最終的には食料・農業・農村政策審議会の意見を聞いて決める、こういうことのルールがございます。
本年度もこのルールによりまして適切に算定をするということを申し上げたいと思いますが、ここ二、三日のうちには必ず皆様方に御提示できるのではないか、こんなふうに思ってございます。
○稲津委員 ありがとうございました。
そして、もう一点、今度は喫緊の対策を求めておきたいと思うんです。
農林漁業セーフティネット資金、これはコロナ特例ですけれども、借入れが増加しています。JA北海道信連の取扱いでは、令和四年度四月から十一月までの間の貸付実績と実行予定で約百十億円を超えています。令和三年度の貸付実績が四十五億円なんですけれども、実にこの時点で三倍になっておるわけですね。そして、いよいよ中には据置期間が終わって償還になる、もう酪農家は非常に頭を抱えているのが現実です。さらに、ぬれ子の価格の低迷、これはもうほとんど値段がつかない状況になっておる。ですから、副産物収入もないに等しいということでございます。
政府は、これまで補正予算や予備費を使って支援されていることは私は一定の評価をさせていただきたいと思いますが、現状は抜き差しならぬ危機的状況である。
緊急の対策として二点申し上げたいと思います。
一つは、セーフティネット資金の償還に当たって、既往資金の柔軟な条件変更と返済負担の長期平準化。もう一つは、酪農経営に対する緊急的、追加的支援を講じること。今、国が取り組んでいただいた酪農対策で、北海道の一頭当たり七千二百円、これは、残念ながら効果は半減でした。酪農経営を確実に支援するために、この際、機動的な追加支援を要望いたしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○野村国務大臣 お答え申し上げます。
今御意見がございました条件変更等、特に資金につきましては、農水省の方から各金融機関に対しまして、資金の円滑な融通あるいは返済猶予等の条件変更への対応を依頼しておりまして、十一月二十二日付で各金融機関に連絡をさせていただいたところでございます。
特に、北海道の話も我々も十分聞かせていただきまして、政策金融公庫なり、あるいは農林中金なり等々に対しまして、十二月の一日に通知を出させていただいたところでございまして、何とか酪農家の皆さん方が年を越せるようにしてくれ、こういうことをお話をさせていただいているところでございます。
したがいまして、政策金融公庫では、セーフティネット資金の五年間の無利子等々、いろいろ条件を緩和した形で変更をしているところでございまして、また、現在行われております来年度の畜産物価格の改善に向けた対応、例えば和牛受精卵の利用等についてどのような対応ができるのか、こういったようなこともいろいろ御提言をいただいておりますので、どういうことが可能かどうか、今省内で議論をさせていただいておるところでございますし、また、それぞれの党からも我々に対する御提言をいただいているところでございまして、これらを参考にしながら決定をさせていただきたいと思っております。
○稲津委員 終わります。
○笹川委員長 次に、庄子賢一君。
○庄子委員 早速質問に入らせていただきます。
冒頭、山口委員の質疑と少し重複をいたしますけれども、飼料自給率についての質問をさせていただきたいというふうに思います。
昨年度のいわゆる餌、飼料自給率については、全体として約二五%、そのうち、粗飼料の自給率については七六%、先ほども御答弁がございました。一方で、濃厚飼料の自給率については一三%程度にとどまっているということでございまして、濃厚飼料を原料とする配合飼料、これは大きく輸入に依存しているということが改めて明確になったのかなというふうに思っておりましたが、食料・農業・農村基本計画によりますと、水田を利活用した飼料の作付、あるいは、子実用、青刈りトウモロコシといった飼料用トウモロコシの増産、またエコフィード等の製造、利用拡大などを通じまして、二〇三〇年度の飼料の自給率、この目標は全体で三四%にしたいということでございます。
その内訳ですが、いわゆる国産粗飼料については七六を一〇〇%にということなんですけれども、濃厚飼料についてですが、これは現行の一三%を一五%という数値目標になっているわけでございまして、餌の割合の八割はいわゆる濃厚飼料を原料とした配合飼料でありますので、ここの自給率を高めるということが全体の生産者の皆様への対応としては必要だろうなというふうに思います。
というのは、やはり、今回のような飼料価格高騰、高止まり、そしてそれが長期化する、恒常化するといったことがこれからも起こり得るということだと思います。生産国での大規模な干ばつであったりとか、あるいは、今回のようなウクライナ侵略による国際情勢の変化、為替の流動化など、やはり輸入に依存をしていると、そうした今回のような状況をまた招くということを想定がされます。
そこで、国内の濃厚飼料生産供給体制、ここの抜本強化ということを、ハードルが高いというのは承知をした上であえて御提案をさせていただきたいなというふうに思っておりますが、この目標値の再設定を含め、この基本計画を更にブラッシュアップをしていただきまして、濃厚飼料の供給体制強化を打ち出し、畜産経営の皆様に展望を抱いていただくような、そうした努力を国としてすべきではないか、こう考えますが、大臣の所感を伺いたいと思います。
○野村国務大臣 庄子委員にお答えを申し上げたいと思いますが、先ほど御指摘ございましたように、飼料の自給率は二五%でございまして、そのうち、濃厚飼料の自給率は御指摘のとおり一三%と輸入に依存しておりまして、このことが、価格高騰や供給不安のリスクがあることから、飼料の生産基盤をどうしてもやはり強化していきたい、こんな思いでございまして、輸入依存度を低くする生産構造への転換を進めていかなければならない、こんなふうに思っております。
委員御承知のとおり、濃厚飼料、いわゆる濃厚飼料の半分は、五〇%はトウモロコシでございますので、このトウモロコシの増産に向けて、子実トウモロコシもそうでありますが、今そこに力を入れていこうということでやっておりまして、先ほどのお話のとおりで、なかなか、十二年度の飼料の自給率を三四%にしよう、ただし、濃厚飼料の自給率は低いという御指摘がありましたが、一五%ということで今設定をいたしておりますけれども、国産飼料の生産、利用の拡大への支援を実施しておりまして、四年度の二次補正予算でも、新たに、畜産側と飼料作物を生産する耕種側との持続的な連携などを進めていこう、こういうことを今計画をいたしておるところでございます。
農水省としましては、将来の展望を抱いていただけるように、食料・農業・農村基本法の検証を踏まえながら、先ほど御指摘がありました基本計画の策定の中で、この飼料の自給率目標についても十分に検討させていただきたい、こんなふうに思ってございます。
また、粗飼料については、先ほどもお答えを申し上げましたけれども、産地間での、例えば、九州、南九州と東北、北陸の水田地帯との稲わらの交換をしていただくとか、そういったようなことの今予算づけをしたところでございまして、可能な限り国内で調達できるものは国内で、こんな考え方で今進めているところでございます。
○庄子委員 是非、大臣のリーダーシップ、発揮をしていただきますようお願いを申し上げます。
もう一問、農地の集約化ということについてお尋ねをさせていただきたいというふうに思います。
我が国の農業がこれからも、効率性と持続性を高め、品質はもとより価格面でも国際競争で優位性を持っていくために、農地の集約化というものは不可欠であります。農水省としてもこの点にかねてから注力をしていただいておりまして、昨年度までの集積協力金、これを改めて、今年度からは集約化奨励金ということで、単価や要件の見直しも図っていただいているところであります。
この委員会でもこれまでも指摘を申し上げてまいりましたとおり、集積というのは一定のエリアに飛び地になって土地が集まっている状況でございまして、これでは非効率的であります。できるだけ面的につながりを持った集約を図っていくということが非常に重要でございまして、スマート農業をやっているところでも、出し手、貸し手がどんどん来るけれども、飛び地が増えて、かえって逆に効率性が悪くなってしまうという、そんな声も伺っておりまして、改めて、この集積率の数字の陰で、集約化率というのはなかなか見える化できておりません。農地の集約化に向けた取組方針について伺いたいと思います。
○笹川委員長 時間が経過しておりますので、答弁は簡潔にお願いいたします。
○村井政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、担い手への農地の集積を進めていくためには、農地が分散している状況を解消し農地を引き受けやすくしていく、いわゆる集約化を図っていくことが重要であると考えております。
このため、改正後の農業経営基盤強化促進法において、人・農地プランを地域計画として法定化し、将来の農地利用の姿を目標地図として明確化した上で、農地バンクを通じた農地の集約化等を進めていくこととしております。
農林水産省といたしましても、集約化等の取組を後押しするため、農家負担ゼロの基盤整備につきましては、従来の区画整理に加えて、新たに農業水利施設等の整備を行えるようにするとともに、機構集積協力金につきましては、農地バンクが貸し付けた農地の集約化割合に応じて集約化奨励金を交付する等の支援策を講じることによって、地域計画に基づく農地の集約化の取組をより一層推進してまいりたいと考えております。
○庄子委員 終わります。
○笹川委員長 次に、仁木博文君。
○仁木委員 有志の会の仁木博文と申します。
今日は、まず、質疑の順番に御配慮いただきまして、ありがとうございます。
それでは、野村大臣の方に質問したいと思いますが、私も実は、お米を作っていた中小な零細農家、いわゆる第二種兼業農家の中で育ちました。今地元の活動の中でグラウンドゴルフとかゲートゴルフへ行っていますと、先生、このままだと私もうお米を作るのやめようと思うんだということを言われます。息子さんも娘さんもその農地を本当に預かってお米作りを続けていくかというと、そうじゃない厳しい現実があります。
そういう中で、今日は、特に中山間地域というよりは、平野部にも点在する我が国の、特に西日本に多い、私は四国、徳島ですけれども、本当に農地が点在しております。先ほども庄子議員の方から御質問があったように、集約化がなされていない、土地改良もなされていない土地もまだ多々あります。そういう農家で、本当にサンデーファーマー的にいわゆるお米作りをしている農家に向けての国の政策、今後のありようをただしたいと思いますので、大臣、前向きに、お答えいただきたいと思います。
まず米価。米価も去年は本当に安かった。こちらの西日本、私の周りで、一俵、三十キログラムで五千円ぐらい、もう本当にやっていられない状況でありました。このところの円安に伴う、あるいは様々な資材高騰、これは、農薬、飼料、今飼料の話も出ていますが、農薬や様々な堆肥や、肥料ですね、それが高騰しておりまして、ただでさえ、一反、例えば、よく反収といいますが、十アールを耕して十万円、上がりがないんですね。人件費なんか出てこない。
だからもう、本当に、自分がここを休耕田にしてしまって耕作放棄地になってしまうと周りの農家に申し訳ない、先祖代々の土地を守る、そういう中で、農業、特にお米作りを細々とやっているのが、今、西日本、四国の私の周りの現実でございます。これは私の今大きな命題。国がある程度方向性を示してほしいと申し上げたのは、私は、前にこの委員会に立ちまして、金子農水大臣の方に質問を申し上げました。
そういった、いわゆる中山間地域という形で御回答いただいたんですけれども、そうではなくて、大臣も、霧島市隼人町の御出身でございまして、シラス台地というふうなことはありますが、やはり田園地帯もあると思います。お米作りの農家もいらっしゃると思います。
そういう中で、いわゆる第二種兼業農家というか、そういった、いわゆる点在する土地を持っている、お米作りをしていらっしゃる農家に向けての、何か国としての今後の展望、ありようを示していただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○野村国務大臣 仁木委員の御質問にお答えしたいと思いますが、先ほど、よくお調べになったのか分かりませんが、私の地元も中山間地地帯でありまして、全く広範な農地というのはありません。ですから、私も、もちろん水田を持っておりましたが、今回、全部集約させていただいて、全て委託をいたしております。これはもう、農地バンクに預けましたところが、今までは三十戸の農家が持っておりました農地が一枚の水田になりまして、そうしたら早速借りてくれる人が出てまいりました。
ですから、そういう形で集約をしながら、そしてまた、誰がここの地域の農地を引き受けてやるのかということをやはり地域で話をしてもらいますと、必ずそういう方が出てきてくれておりまして、私も今安心して水田をお任せしているところであります。
いずれにしましても、全国の、日本の中でのそういった農地、非常に狭い農地がたくさんあるところ、特に中山間地の農地をどうするかというのは、これはこれからの大きな農政の課題になろうというふうに思っておりますので、経営基盤強化促進法を改正をいたしまして、今年からみんなで話合いをしていただく、特に、ここは農業委員会が中心になってリーダーシップを取っていただこうと思っております。
今、農業委員さん方に一人一台ずつノートパソコンを貸与しまして、そして、全部そこの農地の地図を落としてもらうということもやっておりまして、こういうことを進めながら集約の方向でやっていかないと、これから誰がここの農地を守っていけるんだということはそろそろはっきりさせていかないと、私は、今さっき委員から御指摘があったようなことになっていくんじゃないか、耕作放棄地は絶対に避けなければならない、こんな気持ちでおります。
○仁木委員 大臣、ありがとうございます。
大臣、今、一つの示唆として、いわゆる農地バンク、農地の中間管理機構の話もされました。残念なんですけれども、私の徳島県は、実は、加盟率というか、非常に低いんですよ。ということは、やはり、国の、今大臣がおっしゃったような一つの示唆として、方法として、そういった農地バンク等々を活用して担い手を探して、その方に委託してその土地を活用していただく、農業をやっていただく、そういうふうな仕組みが今後国として、そういった零細な、そして点在する、場合によっては土地改良のなされていない土地をお持ちの方々に向けてのメッセージとして十分伝わっていないような気もします。ですから、そういう一つのことを今日おっしゃいましたので、私も地元に帰りまして、そういうことも訴えていきたいと思います。
お米の値段もやはり重要で、それが、担い手が法人なのか。私もさっき、冒頭、そういう第二種兼業農家の息子であったということを申しましたが、やはり、地元で、例えば一町を超えて、十町近くお米作りばかりやっている農家の人に実際耕作してもらって、栽培していただいて、一部のお米をいただくようなことを取っていることもありました。
ただ、そういう方々も、今の、このところのコスト高、もうやっていられない、やめようかなという形で、その方の息子さん、お孫さんがまた同じようなことをするかというと、そうでもないような形もありますので、やはりこれは、日本の農政、本当に大きいところでございます。とかく、輸出とか、体力のある元気な農業をもちろん育成していくのも御省の、大臣の職責だと思いますが、やはり西日本とか四国のそういう零細なところに向けても、今後とも目を向けて政策を発信していっていただきたいと思いますので、重ねてよろしくお願い申し上げます。
二番の問題ですけれども、今、食料安全保障という概念が出ています。これは、いろいろ、カロリーベースで今食料自給率とかありますし、それを値段ベースでするという捉え方もあると思います。値段ベースですると、もう少し自給率も高いかもしれませんが、いずれにしても、基本は、日本の国土を考えると、やはり農業に適した国だと言えると思います。
そういう中で、生産性を高めていくということは非常に大切でございまして、最近、バイオファーム、これは、私の地元徳島にもやっと、農学部のような、生物資源産業学部というのができまして、バイオファーム、いわゆるLEDを用いて二十四時間ずっと光合成をして生産量を増やしたり、あるいは、AIやICTを駆使してそういった栽培状況を管理して科学的に農業を行う、スマート農業というふうな概念も実践されておりますが、その辺に対する予算、ますます、農業というのは経営的に、最初のイニシエーション、ふ化時期、インキュベーションの時期が非常に難しいので、軌道に乗るまでの間、そういった予算づけを、現場をよく分かった人とコラボしてやっていただきたいと思いますので、そのことも併せてお願いしたいんです。
もう一点、今までと違う食材の検索も重要でして、今、私の地元徳島でも、コオロギという昆虫を、プロテイン、たんぱくのいわゆる原材料として発信して、これは、大臣、お笑いになっていますけれども、実は、結構、コンビニとかでも今売られているんですよ、全国的なコンビニでも。だから、そういう形で、今まで食材にならないなと思っていたような昆虫が実はプロテイン、たんぱくの大切なもととなるというようなことも食材として考えられています。
私が申し上げたいのは、生産体制の効率化に寄与する、今までのバイオファームに象徴されること、そして、そういう新たな食材の検索等と、それに対しての予算づけ、あるいは大臣のそういう政策に対するお気持ち、心構えをおっしゃっていただきたいと思います。
○野村国務大臣 今、二つの御質問をいただいたと思っておりまして、一つはスマート農業に関する質問、一つは昆虫食というんですか、そういうものにつきましては、ちょっと、参考人の方から答弁をさせていただきたいと思います。
私は、スマート農業というのは、非常にこれは効果が出てき出したなと思っておるんです。それはなぜかといいますと、今、全国の二百五の地域でスマート農業の実証事業をやらせていただいております。
私の鹿児島でも今十四か所やっておりますが、一番評価が高かったのがハウス農業、これはハウスでピーマンを生産している農家の皆さんだったんですが、農水省の人たちに、ちょっと見に行ってみてくれと。先行的に自分のお金を出して、そしてその設備を整えた方がいらっしゃるというのを聞いたものですから、そして、そこが物すごく収量が上がってきていると。
それから、もう一つは、時間の余裕ができ出したと。ハウスの中でずっと管理する必要がないといったようなことで、奥さんが大変喜んでおられまして、百四十戸ぐらいのピーマン農家の人たちの団地があるんですが、そこにこの実証事業を入れてみたところが、収量が大体四九%、一四九%に増えたということで、収量が伸びたということで、収益も伸びたということで、大変喜んでおりました。
なおかつ、先ほども言いましたように、奥さんたちが時間ができて、子供の学校のことまでちゃんとやれるようになってきたということもおっしゃっておられましたので、今後、若い人たちあるいはまた年齢を重ねた方々にも、是非、このスマート農業の導入を進めていきたい、それに対する予算づけはちゃんとやっております。
○高橋政府参考人 お答えいたします。
世界的な食料需要の増大等が進む中で、委員からも御指摘ございましたように、昆虫を活用した新しい食品の開発など、フードテックに関するビジネス、これが拡大しております。
農林水産省といたしましても、フードテックの官民協議会というものを設立いたしまして、課題解決に向けた議論などを行うとともに、フードテックに関する研究開発あるいは新たなビジネスモデルの実証、こういったものを支援しておりまして、令和二年度の第二次補正予算におきましても支援事業を盛り込んでおります。
今後とも、このようなフードテックを活用しながら、持続可能な食料の供給体制の確立を目指してまいります。
以上でございます。
○仁木委員 ありがとうございます。
最後にですけども、先日も、カーボンニュートラルという中で、予算委員会で岸田総理に私が主にグリーンカーボンについて質問した中で、それは、森林環境譲与税等々、いわば山の葉緑素を持ったクロロフィルが二酸化炭素を吸収、固定するということを言いました。その際にブルーカーボンの話もさせていただきまして、今、御省においてもそういった研究がなされています。
まさに、これは海の海藻、例えば、ヒジキ、昆布、私の地元徳島でもワカメというのがありますけれども、ふんだんにヨウ素も含んでいて、ヨウ素というのは抗がん作用もありまして、健康にいい。そして、これがもし環境問題とも相まって、例えば、グリーンカーボンにお金が下りるように、ブルーカーボンにもお金が下りるようになってくると、地元の漁師の方にとっても非常にいい形になると思います。漁師の担い手、若者が少ないんですね、参入が。
そういう意味で、大臣、この研究成果も踏まえながら、ブルーカーボンという概念に対しても政治が目を向けていただいて、予算づけ、よろしくお願いしたいと思いますが、御答弁をお願いします。
○神谷政府参考人 お答えいたします。
ブルーカーボンとは、委員御指摘のように、海藻などの海洋生態系に吸収される炭素のことであり、世界的に二酸化炭素の吸収源として注目を集めております。
農林水産省では、令和三年五月に策定いたしましたみどりの食料システム戦略におきまして、カーボンニュートラルの推進に向け、海藻類による二酸化炭素の固定化の推進、つまり、ブルーカーボンをしっかり推進していくと位置づけたところでございます。
具体的取組に関しましては、藻場による二酸化炭素固定量の把握とともに、海藻が着生しやすい基質の設置やモニタリングなど、ハード、ソフト、一体的な取組を推進しておるところでございます。
農林水産省といたしましては、引き続き、地域における藻場の保全、創造にも取り組んでまいります。
○仁木委員 ありがとうございました。今後ともよろしくお願い申し上げます。
○高橋政府参考人 失礼いたしました。
先ほどの答弁の中で令和二年度補正予算と申し上げてしまいましたけれども、令和四年度の第二次補正予算の誤りでございました。失礼いたしました。
○仁木委員 ありがとうございます。
○笹川委員長 次に、石川香織君。
○石川(香)委員 立憲民主党の石川香織でございます。
今日は、委員の皆様に御配慮いただきまして、三十五分間質問させていただきたいと思います。
野村大臣、先日も予算委員会で質問させていただきましたが、今日も、ちょっと聞きそびれたところなども含めまして、引き続き質問させていただきたいと思います。
まず、カレントアクセスについて伺いたいと思います。
カレントアクセスは、消費に対して輸入量が五%以上のものを、その輸入量を維持していきましょうというもので、生乳がこれだけ日本でだぶついていると言われている中でも、毎年生乳換算で十三万七千トン輸入しているということでありますが、これは、十三万七千トンは義務ではないし、WTO協定にも全量輸入しなければならないと書いていないということは先日も御答弁いただきました。このことはこれでいいと思うんですけれども。
先日の予算委員会の中で、野村大臣からも御答弁いただきまして、WTO協定ではカレントアクセスの全量輸入は義務ではないということと、そして、平成六年の政府統一見解の中で、国家貿易として通常の場合には当該数量の輸入を行うべきであるという見解が出されているという御答弁をいただきましたが、通常の場合には当該数量の輸入を行うべきであるということでありますけれども、通常の場合とはどんな状態を示すんでしょうか。
○渡邉政府参考人 お答えをいたします。
政府統一見解の中の通常の場合とはどのような場合かということでございますけれども、政府統一見解におきましては、我が国が輸入しようとしても、輸出国が凶作で輸出余力がない等の客観的に輸入が困難な状況を例外的なケースとしてございまして、そのような、客観的に輸入が困難な状況にない場合を通常の場合であると考えてございます。
○石川(香)委員 輸出国の余力がないなど客観的に輸入が困難な状況ということがありましたけれども、今、まだ搾れる牛を早く肉にして処分している、それに奨励金を今つけているということで、頭数も減らし、酪農家は思うように牛乳を搾れない。在庫の脱脂粉乳は今九・三万トン、通常は四か月から五か月分の在庫が適正ですけれども、八か月に積み上がっている。多額の投資をして、何十年という償還計画もなかなか見通しが立たないという農家が国内にも大勢いる、こんな状況が、今、通常と言えるでしょうか。
○渡邉政府参考人 お答えをいたします。
繰り返しになりますけれども、輸出国が凶作で輸出余力がないような客観的に輸入が困難な状況ということが例外的なケースでございまして、そのような状況にない場合が通常の場合と考えてございます。
例えば、十一月のバターの入札なども、基本的には、国家貿易のバターの入札も、ほとんど全量が落札されているところでございまして、現在、客観的に輸入が困難な状況に当たるということは考えてございません。
○石川(香)委員 あくまでこれは相手国の都合の話を例に挙げつつも、輸出余力がない等というふうに書いてありまして、今、国内の状況を見ますと、十分これは輸入が困難な状況とも私は逆に見えるのではないかな、国内の状況から見て、そういうふうに見えるのではないかなということも感じております。
先日、岸田総理にも、この辺りを改めて、国内で生乳がだぶついていると言われているのに毎年毎年生乳を輸入し続けるというのは、やはりこれは誰が聞いてもおかしいと思いませんか、納得できないと思いますということを質問いたしましたら、答弁は、運用については国内需給に極力悪影響を与えないようにする、国家貿易によって、需給動向を踏まえながら、脱脂粉乳とかバターの割合を具体的に変化することができるという答弁をされていましたけれども、この割合を変えても、結局、生乳換算十三万七千トンという枠自体は変わらないと。
私は、この枠そのものが必要なのかどうなのかという議論をしているわけでありまして、今、国内は抑制それから減産というところに踏み切っている以上、既に国内の需給に影響が出ているとも十分言えるのではないか。
十三万七千トンといいますと、例えば私の十勝管内の一つの町の出荷量にもなるわけですね。それを考えると非常に大きな数字なんです。
そこで、野村大臣にもお伺いしたいんですけれども、カレントアクセス、通常ならまだしも、先ほどから言っているようなこういった厳しい状況の中で、明らかに通常とは言えない状況の中で、十三万七千トン輸入し続けることはどうしても納得できないという声はやはり生産現場から出ているのはお耳に入っていると思いますけれども、改めて、生産者の方にどのように説明するのか、大臣の言葉で是非言っていただきたいと思います。
○野村国務大臣 お答え申し上げますが、先般もそうした同じ御質問をいただいて、同じ答弁になってくると思うんですけれども、このことにつきましては、我が国が、ガット・ウルグアイ・ラウンド交渉の結果で、WTO協定に基づきまして、今貿易をやっているわけでございます。
だから、そのときも申し上げたんですけれども、今委員おっしゃるのは酪農の乳製品のカレントアクセスの問題だと思いますけれども、お米を考えていただきたいとそのときも申し上げました。お米も、これだけ生産調整といいますか、減反をしていただいている中で、それでも七十七万トンの輸入を、これは約束事でありますから、輸入している、それと同じことなんですよということを先般も申し上げたとおりでございまして、これは義務だとか、そういった法的な義務を負っているわけではありませんけれども、これが全てやはり国際的な制約といいますか、WTOでのルールとして我が国は輸入せざるを得ない、こんな状況でありますので、是非、お米と酪農、同じようにやはり考えていただいた方が分かりやすいんじゃないかと思います。
米を作っておられる農家の皆さん方からも、あるいはWTOで交渉している最中にも、いろいろな意見がございました。減反をさせていながら何で輸入するんだ、米の輸入なんてやめてしまえばそれだけ農家の皆さん方が米作りができるじゃないか、こういうお話もあったんですけれども、しかし、これはWTOの法的な義務を負っているということを申し上げながら今日まで来ているところでございますので、是非御理解をいただきたいと思います。
○石川(香)委員 お米の話と一緒だというお話もいただきましたが、おっしゃるとおり、課題は同じなんですよ。
ミニマムアクセスの課題について、ちょうど今年の五月十一日に緒方委員が農水委員会で質疑をされておりまして、このミニマムアクセス米も、ガット・ウルグアイ・ラウンド交渉、WTO協定の中に、国家貿易であれば全量を輸入しなければならないと直接書いていないわけでありますけれども、実際、令和三年度のミニマムアクセス米の入札では、アメリカ産の米が一回、二回と入札成立せず、三回目の三月三十一日の年度末に全量を輸入するためにタイ産の米を輸入していると。
このミニマムアクセス米は、七十六万七千トン全量輸入している理由として、内外価格差、価格差を挙げているんですけれども、問題は、今円安で、相場も国産と外国産のものが変わらないという状況の中で、果たしてそこまでしなきゃいけないことなのかということなんです。
先日の予算委員会でも触れましたが、入札の機会を国が提供するということで、安く外国産の脱脂粉乳などが手に入るのであればやはり業者にとってはニーズがあるかもしれませんけれども、実際、ミニマムアクセス米の入札の中でも不落になっていることもあり、それから、カレントアクセスの中でも不落になっているということが実際起きているということで、国内の業者のニーズがそこまで高くないときまで全量輸入することはおかしいのではないかという論点は、大臣おっしゃるとおり、カレントアクセスもミニマムアクセスも全く同じだと思っております。
今、海外産のものが価格差がなくなってきているという中でありますけれども、結局十三万七千トンという数字があるわけでありまして、今後、円安とか相場の状況を注視する毎日だと思うんですけれども、年度末までに十三万七千トン、入札で必要とする人がいるのであればこれはいいと思うんですけれども、状況によっては、不落を連続させてしまうということも今の状況ではあり得るということだと思います、仮定の話ではありますが。今、まだ年度末まで時間もありますし、現実的に、この九月、十月、不落になっているということも考えますと、万一の場合ということも考えておく必要はあるのではないかと思います。
そこで、お伺いしますが、カレントアクセス未達のおそれもあるわけでありますけれども、こういった場合、政府の対応としてはどのようなことが想定されますでしょうか。
○渡邉政府参考人 お答えをいたします。
委員御指摘のとおり、国家貿易によります乳製品の入札でございますが、バターの九月と十月の入札において、これは輸入品の価格が高かったということで、一部不落があったところでございます。一方、直近、十一月に行われましたバターの入札では、輸入品価格が下落をしたことから、全量が落札されてございます。
バターの入札でございますけれども、これは毎月実施をしておりますけれども、ある月、不落が発生した場合は、WTO上の義務でございます輸入機会の付与のために、その後の月に再度入札機会を提供することとしてございます。
引き続き、入札、落札の状況を注視していきたいというふうに考えてございます。
○石川(香)委員 非常に、今の御答弁を聞いていただいてもお分かりいただけるように、綱渡りなんですよね。
一月に翌年度の数量を決定するということになっておりますけれども、このカレントアクセスについては、凍結であったり、やはり数量を見直すべきではないかというところも非常に今現場から声が上がっていることであります。今、現状、非常に厳しい状況の中で、来年は更に日本の酪農業界、厳しくなる可能性もあるという状況の中で、カレントアクセスについての疑問というのはなかなかクリアにならないと思います。
そして、先日もまたお伺いしましたけれども、では、食糧支援に使えないのかということでありますけれども、なかなか高いハードルであるということも理解しつつも、現場の要望も高く、前例もあるということで、私も先日の予算委員会、その前の分科会でも質問しているんですけれども、二〇〇六年に、余剰の脱脂粉乳が出たということで、ウズベキスタンの障害児施設に百トン送っているということでありますけれども、二〇〇六年当時は、現地でお砂糖とか小麦とか油と混ぜて調理して食べたと。当時の報告書では、現地の子供の栄養状態も改善された、しかし、なかなかこれを常にやるということは難しいけれども、インパクトのあったものであったというような内容でありました。
相手のリクエストやニーズがないとできないということでもありますが、そもそも、途上国はなかなか乳製品になじみがないのではないかということも感じますし、一方で、食糧支援というのは形が残るものが適切であるという考えに基づくということも聞いておりますので、二〇〇六年の例は例外的であるということであったとしても、岸田総理も、三年間で二十八億ドル、三千億円ほどの食糧支援をするということをスタートさせるというところになってきておりますし、こうした取組、本当にできないのかどうなのか。
改めて、様々な調整が必要なのは確かでありますけれども、もう一度やはり積極的に政府に考えていただきたいということも含めて、大臣に再びお伺いしたいと思います。
○野村国務大臣 このことにつきましては、先般もお答えして、そしてまた林外務大臣からもお答えを申し上げましたけれども、やはり同じ答弁になってしまうんですが、二〇〇六年に行われましたウズベキスタンでの栄養改善事業への支援につきましては、当時も今と同じように、今よりもまだ厳しかったと思うんですが、需給が非常に緩みまして、生乳の廃棄という事態にまで陥ったわけでありました。そこで、これを何とかできないかということで、ウズベキスタンの方へ支援をしたらどうかという関係機関の要請に基づきまして実施をしたところでございます。
このような海外への食糧支援につきましては、被援助国などからの要請に基づいてやるということは先般も外務大臣もお答えされましたけれども、我々としても、要請がないのにこちらから送り届けるということはなかなかできない話でありまして、現在のところ、脱脂粉乳への要請があるということの情報は聞いておりません。
林大臣も、いろいろな機会を捉まえて、日本の今の脱脂粉乳の状況を説明して、もし必要であれば援助しますよということは言いたい、こういうことをおっしゃっておられましたので、こういったことを、他国の方から要請があるのかないのか分かりませんが、あった場合にはそれなりの対応をしていきたい、こんなふうに思います。
○石川(香)委員 これも、外務省や農水省、財務省なども関わって様々な課題があるということも理解をしておりますし、相手からのニーズがあるというところからスタートするということも聞いております。
とはいえ、先日の委員会の中で質問した中で、非常に反響があったところでありまして、日本人の胃袋だけではなかなか解決できない問題でもあるということも感じておりますし、一方で、今回、二〇〇六年は百トンでありましたので、これで全て在庫問題が解決するわけではないということも分かっております。ただ、国内にも、今日、明日食べるものに困っている方がいらっしゃる、世界にも八億人食べられない人たちがいるという中で、やはり無駄にしないで、必要とされているところに食料が行くということは誰もが望んでいると思います。
非常にいろいろな課題があるのは重々理解しつつも、非常にこういうことが求められているのではないか、そういう仕組みをつくるために是非努力をしていただきたいということを重ねて要望させていただきたいと思います。
そして、次ですけれども、早期リタイアの牛の奨励金についてお伺いをしたいと思います。
経産牛を、お乳が余り出ないとか受胎を余りしないとか、そういう低能力と言われる牛を、生産者自ら選んで、食肉の処理場へ、早めにお肉にしてもらうと奨励金を出すというものでありますけれども、この表現も、早期リタイアという表現ですが、こんな甘いものではないということを申し上げたいと思いますけれども、要は、家畜を処分しなさい、手放すということになります。
これが、三月から国が一頭当たり十五万円出すというものでありますけれども、牛に対して何か要件があるのかということをお伺いしたいと思います。例えば牛の月齢であったり、それから経営体ごとの頭数の上限とか、こういう要件があるのかということを御確認したいと思います。
○渡邉政府参考人 お答えをいたします。
委員御指摘の酪農経営改善緊急支援事業でございますが、例えば搾乳ロボットに合わない牛ですとか乳量が少ない牛といった経済合理性の低い牛の早期リタイアをして、生乳の需給ギャップの早期の改善と、あわせて酪農経営の改善を図ることを目的としてございます。このため、本事業に取り組む生産者には、生乳生産の抑制計画を提出いただくことといたしまして、月齢要件につきましては課さない方向で検討しているところでございます。
また、酪農経営の改善も目的としてございまして、全頭をリタイアさせて実質的に離農、酪農を廃業となるような計画については対象としない方向で検討しているところでございます。
○石川(香)委員 月齢に関しては要件を課さないということでありますけれども、そのほかの、頭数とか、それは今後決まっていくのかなというような答弁でありました。
既に、元々、早く、仕方なく、搾れる牛をお肉にするということは現場でもしている生産者が多いわけでありますけれども、三月からお金が出るのであれば、当然、三月までちょっと待とうという人もいるわけでありまして、それぐらいみんな今現場が厳しいと。年末ということもありますし、とにかく厳しいということがあって、それから、その後の様々なバランスも含めて懸念があるというふうに私も現場から聞いております。
三月になりますと、処理施設が、屠畜場もいっぱいになってしまうのではないか、受入れしてもらえぬのではないかということも心配であると。この施策自体は、やはり生産基盤を弱めるものに予算をつけるということですので私は評価はできないと思っておりますが、ただし、やるならば、みんなやはり今厳しいので、もっと、三月ではなくて、前倒しするべきではなかったのではないかという声も、これは本当に悲痛な声であるんですけれども、こういった声も上がっております。
この点についてはいかがでしょうか。
○野中副大臣 現在、生産団体の方々が、需給が大幅に緩和する、いわゆる学校給食がなくなる年末年始そして年度末に生乳を廃棄しないように、そういう状態に陥らないように、自主的に抑制的な生産に取り組んでいるというふうに承知をしております。
そして、先生からございました酪農経営改善緊急支援事業でございますけれども、これは、来年度以降の生乳の需給ギャップを解消することで、生産コストの上昇を適正に価格に反映できる環境を整え、酪農経営の改善を図ることを目的としたということであります。この需給改善を図ろうとする時期、期間が異なることを踏まえて、三月以降の実施とする方向で検討しております。
先ほど、生産現場から、三月に集中することで価格が下落するとか屠畜場の受入れを断られるんじゃないかという心配があるということを伺いました。
本事業に取り組む生産者に生乳生産抑制計画を提出していただくこととしており、食肉出荷が円滑に進むよう関係者間で調整をしていただくように促していきたいというふうに思っております。
○石川(香)委員 需給ギャップの解消と抑制というものを同時にやっていくような感じというような御答弁だったと思います。
確かに、これから春休みに入ったり、牛も分娩ラッシュに入りますので、非常に一年を通じて正念場の時期に入ってくるわけでありますけれども、とにかく現場では、年を越せるかどうか、酪農家は年を笑って越せるのかというような状況に陥っていることは確かであります。生活への不安だけではなくて、様々なこういった早期リタイアの話も含めて、メンタルがかなり、やはり非常に厳しい状況に追い込まれているということも感じておりますので、少しでも早く、スピード感を持って、酪農家を救済できるような政策として前に進めていただくというところを併せてお願いを申し上げたいと思うんです。
その上で、非常に今、現場も注視をしておりますのが、加工原料乳生産者補給金、集送乳調整金といった補給金でありますけれども、今後、審議会を経て決定するということになっております。
当然、この補給金等を上げてもらうということを非常に現場から求められていると思いますけれども、それと同時に、三百四十五万トン、これをしっかり維持していただくこと。これだけ経費が上がって、搾るに搾れないという状況の中で、補給金を上げていただくということは、現場の強い要望でもありまして、今の状況では、自分の力では、自分の努力ではどうにもならない状況に陥っているということだと思いますので、ここは、補給金等の単価、経営を支える上で非常に重要だと思います。大臣もこの点、お願いいたします。
○野村国務大臣 石川委員にお答えを申し上げます。
もう御承知のとおり、先ほどもお答えしましたけれども、補給金単価は生産コストの変動や物価動向等を勘案して決める、こういうことのルールがございます。この算式に基づきましてはじき出すわけでありますが、今お話がありました限度数量につきましても、交付対象数量につきましても、飲用牛乳及び乳製品の需給事情等を考慮して、これも、おっしゃいましたように、食料・農業・農村政策審議会の意見を聞いて決める、こういうルールになっておりますので、今年度もこのようなルールに基づきまして適切に算定をしてまいりたい、こういうふうに思います。
○石川(香)委員 いろいろな計算で算出をされているということなんですが、なかなか、これはブラックボックスでありまして、生産者の方が納得するということ、これは非常に重要だと思っております。
消費も、三百四十五万トンの維持というところですけれども、昨年はもう一杯飲もうとかは結構あったんですけれども、ちょっと今年はそれがトーンダウンしているような気もいたしますので、やはり消費をしてもらうということは非常に重要ですので、飲んでいただける方は、もっと買っていただける方は、もっと使っていただける方は、牛乳・乳製品をもっと消費していただくということも重ねてアピールをしていただきたいと思います。
続いて、餌の高騰についてお伺いをいたします。
目下、餌が高騰しておりますけれども、二〇〇八年にも今のような状況がありまして餌代が高騰したということですけれども、このときは長期化はしませんでしたので、その後の継続した対策というものは必要なかったわけでありますが、今回は、なかなか見通しが立たないということで、今後も高い水準が予想されるというところもあります。
配合飼料の価格安定制度でありますけれども、これは高止まりしてしまうと補填額が少なくなるということが問題であると。今のようにダメージが長期化する場合に、この制度の仕組みそのものがマッチしているのかどうなのかということになると思います。
この仕組みを状況に応じて変えるべきではないかということも感じますけれども、この点、そのような議論はあるんでしょうか。
○渡邉政府参考人 お答えをいたします。
配合飼料価格安定制度でございますけれども、これは飼料価格の急激な上昇の影響の激変緩和が目的でございます。高い配合飼料価格が長期間継続するような場合には、畜種ごとに講じられております経営安定対策が措置をされておりますし、これまでの飼料高騰時にはこうした対策により対応をしてきたところでございます。
これまで、同制度の異常補填基金への積み増しとして六百六十五億円、また飼料の高止まり対策として五百四億円を支援してきましたし、今回の第二次補正でも異常補填への百三億円の積み増しを措置してございます。
今回の高騰を受けまして、この制度につきましては、補填を受け取る生産者の一部からは、高止まりしたときにも補填が出るよう見直しを求める声が上がっているというふうにも承知をしておりますが、一方で、基金へ積立てを行う飼料メーカーですとか生産者団体の一部からは、後年度負担、あるいは補填のための大きな負担というような懸念から、補填単価の上限を設けるといったような負担軽減を求める声も逆に上がっているところでございます。
様々な意見があることから、幅広く関係者の意見がありまして、そういった議論があるところでございます。
○石川(香)委員 このカバーの話とそれから負担の話、非常に難しいところではありますけれども、とにかく、今の状況でしっかり機能するような仕組みを目指すということは必要であります。
この価格安定制度でありますけれども、配合飼料に限っての話であるということもあって、例えば牧草とかビートパルプとかトウモロコシとか単味飼料なんかも入っていないということもありますので、本来でいえば、トータルの飼料代をカバーして救済する制度とか予算も必要であるのだろうなということも感じております。
このことも是非、餌代の高騰は本当にダメージですので、しっかり今後も議論していきたいと思っております。
今、酪農業界の話を中心にお伺いしましたけれども、酪農業界は七千七百億円産業と言われておりまして、非常に裾野が広い。酪農経営を継続できるかどうかというのは、まさに様々な産業、雇用に影響するということで、日本の食料安全保障の観点においても非常に重要だと思っております。是非、この重要性も含めて、引き続き、どう経営を維持していくかということを念頭に置きながら支えていっていただきたいと思います。
次に、お砂糖についてお伺いをいたします。
ビートの交付金の上限を引下げということが今後正式に決まるということでありますけれども、これもなかなか、現場から非常に落胆の声も上がっておりまして、そもそも輪作体系の維持も非常に心配をされますし、加えて、加工用の芋に振り分けるといっても、種芋は少ないし、種芋農家も高齢化している、こういうたくさんの問題がある。加えて、地域経済への影響が非常に大きいということがあります。地域の雇用、関係人口に物すごく大きな影響を及ぼしている。
この点について、やはり地域の経済を衰退させてしまうのではないかということ、これは本当に地域にとっては大きな課題でありますけれども、この点について触れていただきながら、このビートのことについて、大臣にちょっと御所見をお伺いしたいと思います。
○野村国務大臣 ビート問題について御質問がございましたので、お答え申し上げますが、このことにつきましては、非常に、毎年毎年、限度数量が、大変、今までもこの議論が出てきたところでございまして、毎年この時期になると頭の痛い問題でありました。
それはなぜかというと、やはり相当生産量が増えてきた、それで、一方で砂糖の消費が減ってきたという、生産と製品の消費の方の下がり方が、ちょっとアンバランスが出てきてしまったために、何とかここを対処していかなければ、今、製糖工場を経営するてん菜糖業の在庫量が増大していきますと、経営が非常に厳しくなってくるということもございまして、このことについて、今年は、生産者の皆さんや団体の皆さんの御理解を得て、何とか九万トン減らして生産をしていただきたいということでのお願いをしているところでございます。
一番の問題は、これは、私の鹿児島の砂糖もそうなんですけれども、サトウキビもそうなんですが、糖価調整制度の砂糖勘定の収支が大幅に悪化してきた。このままではこの制度を維持していくことが非常に厳しくなってくる。そうなりますと、生産者にも、あるいはまた糖業メーカーの方にも大変な御迷惑をかけるというか、持続的なてん菜生産が非常に難しくなってくるのではないかというのを、もう数年前からそういうふうに思っておりまして、今回、皆さん方の御理解をいただきながらやって、いわば減らして、九万トン減らすということにしたわけであります。
その代わり、てん菜生産の一部を加工用バレイショや豆類などの需要のある作目に替えていただきたいということでございまして、あわせて、てん菜糖業の過剰在庫の解消に向けて需要拡大の促進をするというのも一方では大変重要なことでございまして、今般の補正予算におきまして、てん菜から需要のある作物への転換に必要な農業機械の導入や、種バレイショの供給拡大等への支援、あるいはまた、てん菜糖業の過剰在庫の解消に向けた需要拡大対策を補正予算で措置したところでありまして、これらを通じて、持続的なてん菜の生産及びてん菜糖業の経営につなげていきたい、こんなふうに思っておりますので、このことにつきましても御理解をいただきたいと思っておるところでございます。
○石川(香)委員 この糖価調整制度とか、日本人の消費が減っているといった様々な課題があるということは理解をしております。ただ、なくす、減らすのは簡単ですけれども、やはり資源の少ない日本で作れる貴重なエネルギー源であるので、やはりこれをどうやって工夫していくかという努力はまだまだ必要なのではないかと思います。
最後にお伺いしたかったんですが、もう時間がなくなってしまいました。
農業高校も、非常に担い手確保のために今頑張っているわけですけれども、物価高騰の影響を受けておりまして、いろいろな国の物価高騰の支援が使えないということで、実習とか頑張っておりますので、農業高校の支援も是非国で後押ししていただきたいということを申し上げまして、質問を終わらせていただきたいと思います。
ありがとうございました。(野村国務大臣「委員長、一言。いいですか」と呼ぶ)
○笹川委員長 野村農林水産大臣。
○野村国務大臣 今、農業高校のことがありましたので、一言だけで答えますが、現在、農業高校、我々も、いろいろな機材やいろいろな物が不足しているなというのを数年前から感じておりまして、今年、当初予算で四億、補正で三億つけまして、農業高校の機材をそろえようということを今やっているところでございます。
○石川(香)委員 ありがとうございました。
○笹川委員長 次に、緑川貴士君。
○緑川委員 皆様、お疲れさまでございます。
畜産経営は、餌が生産コストに占める割合が高いということと、そして、餌の四分の三が、全体の飼料のうちの四分の三が輸入飼料ということで、その価格の高騰はやはり死活問題ですし、他の資材であれば、その使用を控えたり、また購入の量を抑えるという余地もありますけれども、私の地元の秋田でお話を聞いても、やはり畜産は食べさせて何ぼの世界であるというお話がありました。
大きく育てて、そして高く売るために、また肉や生乳の質を落とさないようにするために、毎日違った、決まった餌の量を与えて健康状態を確認する。乳牛では、搾乳も毎日しなければ牛が病気になってしまうということでした。餌の量はもちろん、人手もかかりますので、人件費などのランニングコストの節約も極めて難しいというお仕事であります。
経営環境の厳しさの中で追い打ちをかけたのが、今年の八月の東北、北陸地方を中心とした記録的な大雨でありました。
秋田の養鶏場でも甚大な被害がありました。秋田県北部では、日本三大地鶏として、名古屋コーチン、さつま地鶏と並ぶ比内地鶏の産地なんですが、大雨によって鶏舎であるハウスが濁流とともに流されました。また、およそ一万七千羽の比内地鶏が水死してしまうという被害もありました。
弾力のある肉質、そして甘い脂が特徴であり、きりたんぽ鍋に、冬も特に重宝されますけれども、例年、出荷量の半分以上が首都圏などに向けて出されるんですけれども、例年であればですね、しかし、今シーズンは、出荷を予定していた地鶏も流されてしまいました。そして、今は品薄の状態です。流通の状況、生産現場以外でも、影響が今続いている状況であります。
必要となる生産現場での今後のひなの購入費、そしてハウスの再建、消毒薬の経費、そして水死した地鶏の処理費用など、今、県、そして市、村の補助があって、また、飼料が高騰した分についても一部の助成があるんですけれども、それにしても、農家の収入源が今全く閉ざされているという中で、それぞれの経費について一定程度自己負担をしなければならない、それぞれの経費の分が重なっております。そして、営農を再開した後も、追加的な費用というものが、やはり様々必要になってきます。
そして、今さらに、この大雨の前後で、夏から秋にかけては、被災した養鶏場で、複数回にわたって、野生動物、熊による比内地鶏の食害というものがございました。熊よけの電気柵を設置して農家は対策を取ってきたんですが、それでも被害に遭っているというケースがあります。
こうした相次ぐ食害、そして今多発している全国での鳥インフルエンザ、これに対しても気が気でないということで、現場の緊迫感が今高まっております。
自然災害、そして野生動物による食害、また感染症への脅威などに向き合いながら、今必死に営農再開に向けて努力している養鶏農家を、何とか行政として目配りをして、お支えをいただきたいと思います。大臣、いかがでしょうか。
○渡邉政府参考人 済みません。御指名ですので、お答えをいたします。
秋田県におけます本年八月の比内地鶏の大雨の被害でございますが、各種の支援対策が県あるいは市、村により措置をされてございまして、既にひなの再導入が開始をされ、鶏舎再建の計画が進められているというふうに聞いてございます。
また、農林水産省といたしましては、農林漁業セーフティネット資金の貸付当初五年間の実質無利子化等を措置してございます。
引き続き、配合飼料価格の高騰などへの対応も含めまして、そういった地鶏の農家さんの経営安定への支援を行ってまいりたいというふうに考えてございます。
○野村国務大臣 今、局長がお答えしたとおりでありますが、この八月の豪雨災害、そしてまたその後の台風災害等々、日本全国、災害が発生をいたしました。
御承知のように、特に台風十四号の被害は、宮崎県そしてまた静岡県、こういうところが非常に甚大な被害が出まして、激甚の災害の指定を受けました。
したがって、そういった激甚災害による対策というのがありましたけれども、先ほど御指摘の比内鶏の災害等については八月だったものですから、対象にはなっておりません。
ただ、先ほど局長が申し上げましたような、いろいろな形で県や市がやっていただいているということは伺っておりますので、何とかそこで再建をしていただければと、こんなふうに思いますが、ただ、いろいろな、セーフティネット資金なり、あるいは配合飼料の価格の高騰対策等々については、これはもう一様にやっておりますので、そういったものを活用していただきたい、こんなふうに思います。
○緑川委員 災害は、その土地にとっては毎年ではないにしても、全国それぞれのところで起こっている、そうした中での国としてのセーフティーネット、そして日頃の備えということも含めてやはり目配りをしていただいて、様々、のり面の崩落とか農業用排水路のインフラ設備に対しての支援などは国として頑張っていただいているんですけれども、こうした生産者の視点でのきめ細やかな視点ということで、そうした支援を是非お願いをしたいというふうに思っております。
今、御年齢もあって、養鶏農家の方で引退を考えている方は、やはりいらっしゃいます。今回の災害をきっかけにはしたくないけれども、やはり納得して区切りを迎えたい、だから、災害を機にというよりは、これでよかったと思えるまでは諦めたくないという思いで日夜踏ん張って取り組んでいらっしゃいます。この営農の今後の不安を生んでいる課題の一つ一つに対して、国として丁寧に向き合っていただいて、被災した農家が何とか前を向いていただけるような多角的な支援、是非お願いをしたいというふうに思っております。
経営基盤を安定させるために、今、輸入あるいは購入に頼り過ぎずに自給飼料を確保していくということはやはり大切です。牛や豚、鶏では子実用トウモロコシ、乳牛では青刈りトウモロコシが飼料として利用されていくということで、地元からも生産拡大に向けた関心が寄せられていますが、どちらの飼料も熊の大好物であります。青刈りトウモロコシの作付を始めた途端に熊の出没が多くなって、被害が急増したというお話もございます。
自給飼料としての生産を増やしていく、そして、その一方で、熊などによる飼料や家畜の食害、さらには人への被害、こうしたものを防いでいく、それが現場でしっかり両立できるように、どのように国として対応していかれるのか、お伺いしたいと思います。
○青山政府参考人 お答えいたします。
青刈りトウモロコシなどの飼料作物に対する鳥獣被害につきましては、令和三年度の数字で二十八・三億円の被害となっております。鹿が二十四・七億円、熊が一・六億円ということでございまして、鹿の方が多い状況でございますけれども、畑に侵入した野生動物が、御指摘のありました熊などにつきましては人に被害を及ぼす可能性もございまして、現場にとりまして深刻な問題であると認識をしております。
このため、農林水産省では、鳥獣被害対策交付金によりまして、電気柵等の侵入防止柵の整備、地域ぐるみでの捕獲活動、やぶの刈り払い等による環境整備等の取組に対して、総合的に支援しておりまして、被害がより少なくなりますよう地域に応じた対策を進めてまいります。
○緑川委員 聞いたところでは、養鶏農家の方も、熊の被害、僅かな柵の隙間から熊が入ってきたのではないかと。周囲も、やはり山際ですので、草木で茂っている部分があり、柵がそうした関係で漏電をしてしまって機能しなくなっているということもあるということで、そうした地域の実情に応じてきめ細かい対策をしていただく、また、自給飼料の作付状況も地域では異なりますし、野生動物の出没状況なども、自治体と是非連携をしていただきながら、地域に目配りをして必要な対応を取っていただきたいというふうに思います。
配合飼料価格安定制度の課題についてお尋ねをしたいと思います。
飼料コストでやはり特に大きいのは、配合飼料代です。お配りしている資料の1を御覧いただきたいんですけれども、全ての畜種のこれは加重平均での配合飼料価格なんですが、コロナ前は一トン当たり六万六千円から七千円で推移していたところが、この間、中国での需要増加、コロナ禍からの経済回復、ウクライナ情勢などによって価格が急騰しました。さらに、そこに、進行する円安、海上運賃の値上がりなどがあって、直近の今年九月では、配合飼料価格は一トン当たり十万円を超えています。つまり、コロナ前に比べて一・五倍に跳ね上がっています。
しかし、その補填については、例えば九月を見ても、跳ね上がっているにもかかわらず、確かに、配合飼料価格安定制度に基づいた補填額が一トン当たり一万六千八百円、そして、緊急特別対策として、今年度の予備費を使って、生産コストの削減に取り組むという条件付で一トン当たり六千七百五十円が来年二月に交付されますけれども、これらを足しても、なお一トン当たり一万円ほどもコロナ前よりも飼料の価格が高いですし、ほかの月もやはり十分な補填ではなく、農家の負担が常にこの間生じてまいりました。
こうした状況について、農水省、どのように御覧になっていますか。
○野村国務大臣 もうこの飼料高につきましては、農林水産委員会だけではなくて予算委員会でも取り上げていただきましたが、今委員おっしゃいましたように、ありとあらゆることを考えながら配合飼料価格の安定に向けて今取り組んでおりまして、十二月までの価格は、農家の負担もありますけれども、しかしながら、国がこういった対策、六百六十五億なり、あるいは五百四億なり、また、今回の補正で百三億の積み増し等をしながら、基金で何とか抑え込んでいるといいますか、少しはやはり農家の手出しというのはあるんですけれども、精いっぱいの対策をやらせていただいておるところであります。
しかし、基金といっても、国側だけで出しているわけではございませんで、飼料メーカーにも出していただいておるわけでありますが、これらが、なかなか飼料メーカーも経営的なところが厳しいところもありまして、ALICの方で、基金の方で借入れをして、そしてそれでやっているということもあります。
私の記憶では、八年前は、基金が九百億、市中銀行から借入れをして補填をしてきたということがありまして、ようやく昨年でこの九百億を戻したということもありまして、なかなか、こういった制度を使いながらも借入れをしなければならないような状況もあるということも、是非御理解をいただきたいと思います。
○緑川委員 やはり畜産経営のこの制度は、そもそも生産者の畜産経営を、影響を緩和するための制度としてありますから、本来のそうした目的、その機能が十分に発揮されていないように思います。
通常補填の基金と異常補填の基金を合わせたこれまでの累積額で見た場合には、国と生産者そして飼料メーカーのそれぞれの負担は、一対三対六という比率です。大臣が御答弁いただいたように、今の比率でいえば、積立額の数字でいえば、飼料メーカーに負担が偏っていますし、飼料価格が高止まりしてきた中で、一層飼料メーカーの積立金の負担というものがメーカーの経営を圧迫する構造に今のこの制度ではなっています。
そうした中で、昨年度の補正、今年度の予備費で、御答弁いただいたような国による異常補填基金の積み増しなどが行われていますが、その制度の仕組みとして、その都度同じように飼料メーカーも国と同じ額を積み立てることになりますので、飼料メーカーの積立金負担が、ここに来て、国が払うだけ、払うだけ、また増えています。そんなメーカー側も、負担額の一部を一方で小売に転嫁する必要が出てきますので、最終的には、購入する生産者の実質の負担がこの比率以上に大きくなっています。
地元の畜産家にお話を聞くと、濃厚飼料も、そして粗飼料も、どちらも購入に頼ってきたという方がいらっしゃいますし、これまでのコロナの影響での外食需要の低下、また子牛の価格の下落という累積で苦しんできた、そこに今回の小売価格の転嫁分をそのままかぶっているという経営状況があるわけであります。
大臣、この辺り、生産者の現場の声をしっかり聞くべきではありませんかね。
○野村国務大臣 私どもも、この制度ができていて、そして、何とか生産者の皆さん方が安心して安定した経営ができるようにということで、先達の皆さん方がこの制度をつくっていただいたわけでありますが、いろいろな不備があることも分かっております。
ただ、これをどこで求めるのか、では基金は誰が造成していくのかということになってくると、非常にこれは利害が反する話でありますので、生産者、メーカー、国という形で、通常基金、そして異常基金という二階建ての制度でもって今やっている。これ以上のいい方法があるのかというのを役所でも検討はしていたんですが、なかなかいい案が出てこない。
したがって、どうするかということは、やはり、配合飼料といってもトウモロコシが中心でありますから、何とかトウモロコシを国内で作ってもらって、そして、できる限り、トウモロコシの価格が上がっても余り影響がないような形になればということでやっておりますけれども、これも、飼料の五〇%を占めるトウモロコシを増産というのは一挙には進みませんので、代替品でできないかということで、実は私の鹿児島では、トウモロコシに代わって大麦でやってみようということで、今やらせています。
ですから、そういう形で、国内でできるもので代替品になるものを作っていかないと、基金だけをいじるということではなかなか難しいのではないか、こんなふうに思います。
○緑川委員 長期的な対策の話としては、大臣の方向性、おっしゃるとおりなんですが、今はやはり直近の対策の話をしています。これだけを進めろとは言っておりませんし、やはり制度としては、今、輸入原料価格の高騰分への制度としては補填なんですが、今はこの急場を、生産現場の急場をしのがなければいけません。小売段階での農家の購入費を踏まえて、十分な補填が今は行われなければならない、そんな時期であると思います。
そこで、この異常補填基金を、これまでいろいろな議論がもちろんあった、その上で、国と飼料メーカーによる半々の積立てではなく、やはり、メーカーや生産者の責任に帰さない状況が生まれているわけですから、国の積立割合をしっかりと増やしていく。その上で、異常補填の適用率である一一五%を恒常的に引き下げる、そして異常補填を行いやすくしていくということ、あるいは、この適用率そのものをなくして、異常と通常の基金を一階建てにして、基金の一本化を図っていく。
いずれにしても、異常基金からの支援をしっかりと強化をしていく、国が関与する異常基金の補填をして、通常基金、民間の支出を抑えていくことによって、民間サイドの積立金の負担軽減をしっかり図っていく必要があると思いますが、いかがでしょうか。
○渡邉政府参考人 お答えをいたします。
配合飼料価格安定制度でございますけれども、これは、配合飼料価格の急激な上昇が畜産経営に及ぼす影響の激変緩和でございます。
生産者と配合飼料メーカーの積立て、民間の積立てでの通常補填と、それから、国と配合飼料メーカーが積み立てた基金による、異常な価格高騰時における通常補填基金を補完する異常補填基金の二段階でございます。
先ほど委員から、補填、積立金の積立ては、結局、国、生産者、配合飼料メーカーということですが、配合飼料メーカーについては、当然、経営が成り立つためには、中長期的に見れば、もちろん、生産者に転嫁されている部分もあるということでございます。
この制度は、確かに、配合飼料価格が高止まると、基準原料価格が上昇することで補填金の額が減少するということで、それを懸念する声があるのは承知をしてございます。
一方、先ほども御紹介申し上げましたけれども、補填を受け取る生産者の一部からは、高止まっても補填が出るように見直しを求める声があるという一方で、基金に積立てを行う飼料メーカーや生産者団体の一部からは、負担への懸念から、補填単価の上限を設けるとか、負担の軽減を求める声がございます。様々な意見があるわけでございますけれども、幅広く関係者の意見を伺っていきたいというふうに考えてございます。
一方、委員御指摘の、国の役割でございますけれども、こういった配合飼料価格安定制度が激変緩和をする中で、高止まりするというような場合もございますけれども、その場合につきましては、畜種ごとの経営安定対策ですとか金融対策といった各種の施策を総合的に活用したいと思いますし、生産コストの上昇につきましては、基本的には価格に適正に反映することも重要ですので、そういったことの後押しというものもしていきたいというふうに考えてございます。
○緑川委員 今、現状の飼料価格の高騰は、一義的には国の責任においてしっかりと対策が取られるべき状況であります。
今、国産飼料を拡大をしていかなければならないというようなお話、議論になっていますが、飼料自給率も、今の二五%、二〇三〇年三四%という目標は今立てていますが、そもそも、この自給率というものも昭和六十年代からほぼ横ばいで、四十年近くも二〇%台半ばという状況で、これまで国策として力を入れてきませんでした。むしろ、農畜産物の自由化を進めながら、輸入飼料の依存を深めてきた、そんな農政の帰結として現状が生まれている、そういうことであります。国内の畜産農家がかつてない危機に直面しているという状況に対して、今、歯を食いしばって何とか今をしのごうとしている。これまでの飼料政策に責任を持つ国としての対応が、この飼料価格安定制度への対応としても問われているというふうに思います。
今後懸念されるのは、輸入原料の価格の高止まりというのが長期化することです。補填額を計算する際の、この直前一年間の基準価格そのものが高くなってしまうと、補填額がどんどん減ってしまう課題が残されています。補填が先細ってしまえば畜産経営は立ち行かなくなるわけですから、この補填の額が決まる直前一年間の基準価格の決め方についても見直しが必要であると思います。
例えば、輸入原料価格が一定値を超えた異常な四半期があった場合には、この異常な四半期の原料価格は計算に入れずに、代わりに、この一定値を超えた、この一定値を代入する。この低い一定値を入れて直前一年間を計算した基準値とすれば、補填額が先細りしていくということはなくなります。最低でも平行線になっていくはずです。
大枠の仕組みは維持をしながらも、こうした微修正を図るという検討もしっかり考えていく必要があるんじゃないでしょうか。いかがでしょうか。
○渡邉政府参考人 お答えをいたします。
一年間の平均価格を取るときに、異常に高い部分を、言ってみれば、何らかの形で低い価格であったということとして平均をするというアイデアであるということで、委員のアイデアをお伺いさせていただきました。今後の検討の参考にさせていただきたいと存じます。
○緑川委員 是非、この大枠の仕組みを変えるということは、先ほど私も質疑をしておりますし、その大枠を変えられなくとも、今の残されている課題についてはしっかりと向き合っていく、そんな細かい修正を図っていただきたいというふうに思っています。
他の、畜種ごとの経営安定対策ということについても御答弁がありましたけれども、例えばマルキンについても、この赤字補填の基金への農家の負担というものが、これまでの状況の中で、また負担も増えてきたわけです。その基金の農家負担が四分の一あると。そして、農家への補填金額が増えるにつれて農家の拠出金も増えて、今はその拠出金と補填金額が余り変わらないような事態が生まれています。せっかく積み立てたのに、結局それ以上には戻ってこないという嘆きが現場の声であります。
そうしたところについて、大臣、今、配合飼料価格安定制度の課題、そして、それを補うための畜種ごとの経営安定対策についても課題が残されています。こうしたところについて、生産者の目線に立った支援がやはり求められると思います。御答弁をお願いします。
○野村国務大臣 今、委員から御指摘がありましたように、今のこの制度、どういうふうにして見直すのかということは非常に厳しい話があります。
といいますのは、先ほども局長の方からも答弁しましたように、一方では、コストの方に対する対策というのが飼料の基金制度でありますが、一方では、今度は収入に対する対策としてはマルキン制度というのがありまして、これは牛と豚だけなんですけれども、これについて、いわば収支が合わないときにはそっちのマルキンの方で対応するという、二つのやり方で、今経営安定をしていこうという制度で支えているわけです。
ただ、これも、いずれにしても、生産者、そしてまた国なり、あるいはメーカーなりが金を出して、基金を積んで、その中から基金を取り崩しながらやっていくという、この仕組みが本当に長続きするのかと。こういう、我々は、今まではこれは、激変緩和というのを局長が言いましたけれども、激変したときの緩和策としては、これはいいだろうと。
だけれども、こうしてずっと高止まりなり、あるいは価格がさえないときには、本当にこの制度でいいのかということはやはり疑問が残るところでありますが、じゃ、これに代わるいい制度というのを本当に考えなければいけないという時期に来ているのか。あるいは餌も、これからまた、トウモロコシも今少し下がりつつありますが、餌の価格も下がっていくのか。
今まではそれの繰り返しだったものですから、この制度で何とかしのいできたというのが実態であります。だけれども、ずっと高止まりしていくということになっていきますと、これはやはり考えていかなきゃならないと思います。
ですから、例えば餌の対応にしても、十二月までの対策は出しました。だけれども、今度は、もうすぐ餌価格をそれぞれのメーカーが出してくると思いますが、一―三月がどうなっていくのかというのを我々は大変注視しております。これで上がってしまうと、じゃ、どういうやり方でいけば農家の経営の安定に資するかというのは、本当にこれはもう一遍考え直していかなきゃいかぬ話なのかな、こんなことも思います。
一方では、そもそもの基本的なその餌のところを外国のトウモロコシに頼るのかと。昔は、牛でも豚でも日本にあるものを使って、例えば私の鹿児島でいきますと、豚には甘蔗を食べさせて養っていた。あるいは、牛もわらだけで養っていた。じゃ、そういうような牛づくり、豚づくりというのを、昔に戻るのかということもまた議論をしていかなければ、これは国が金を出せば済むという話ではない、私はそう思います。
○緑川委員 やはり、国の財政負担、厳しい財政事情ということはもちろん承知をしていますけれども、それ以上に懐が厳しく、そして寒くなってきているのが今の現場であります。手元のキャッシュがないということから営農をやはり諦めてしまうような、そうしたベクトルに働きかけておりますし、この補填の算定方式ということも、時期も大事だというふうに思っています。補填の有無がやはり早く分かれば、それだけ営農に向いて、前向きな気持ちでしっかりとまた見通しを立てて営農することができる。
そんな、今は残念ながら、配合飼料価格の安定制度というのは、補填が決まる時期も、これが知らされる時期も遅いです。そうした営農計画に支障が出るような課題についても、是非これからも議論をしていきたいというふうに思いますし、省庁として前向きな御検討をお願いをしたいというふうに思います。
飼料のうち、粗飼料については、やはり国産の割合は高いんですけれども、これから高まるにしても、いまだ四分の一が輸入。
そして、資料の2にありますように、乾牧草は、コロナ前は一キロ当たり四十円前後でしたが、今年九月には六十五・四円、そして今年の十月、書いてありませんけれども、六十八・七円と一・七倍にまで上がっています。
この乾牧草は価格安定制度のような措置がありませんので、粗飼料を多く必要とする酪農家は、この値上がりの影響を強く受けています。一頭当たり一日二十五キロの餌を食べるという前提でいけば、生乳の生産コストを計算すると、この一年だけで一キロ当たり三十円以上もコストが上がっている状況です。
一方で、コロナ禍でメーカーの乳製品の在庫が積み上がっていましたので、その生産コストに見合わない乳価はずっと据え置かれていました。先月から一キロ当たり十円乳価が引き上げられたにしても、それでもやはり二十円以上不足していますし、国の緊急対策事業で経産牛一頭当たりに対する補填額も、今申し上げたコストの数字と比べれば、やはり全く足りていない状況です。
乳価は民間同士の交渉で決まっているというのは承知をしておりますし、生乳の需給ギャップにシビアに対応していく必要があるというのは、ここも承知をするんですが、それにしても、これまでに経験がない、飼料価格が高止まりをしているという状況。農水省としてはコストを価格にしっかり転嫁するということが基本であるというふうに現場にも伝えているにもかかわらず、それに見合った価格にはやはりなりません。
原価割れした状態での出荷を余儀なくされている現場の酪農家がいらっしゃいます。この現状、どのように見ていらっしゃいますか。
○渡邉政府参考人 飼料価格が高騰をするということで、これまで、酪農家さんなど、積極的に投資を行って、購入飼料の割合が大きい酪農家さんの中には、非常に厳しい経営に直面されている酪農経営もあると考えてございます。
政府といたしましては、飼料の高騰に対して、九月の予備費で配合飼料の高止まりに対応するための緊急対策ですとか、国産粗飼料の利用拡大を図るための酪農緊急対策として、合わせて五百四億円を措置をいたしました。
都府県では、十一月の飲用向け乳価の引上げによりまして、生産コストの上昇による影響が一定程度緩和されていると考えてございます。
酪農の場合、やはり生産コストの上昇は販売価格への適正な反映が重要でございまして、現在、業界ではこれに必要となる需給改善に向けた取組を行っておりますので、国としても、それに対する支援を今回の補正予算で措置をしたところでございます。
生乳需給の改善を図って、生産コストが適正に価格に反映できる環境を整えて、酪農経営の改善を図ってまいりたいというふうに考えてございます。
○緑川委員 今そうした生乳の需給ギャップを埋めていくということに注力する余り、相次ぐ廃業によって生産基盤が弱まり、いざ生産力を高めたいというふうに思っても、今や遅しという状況になってしまうのではないかというふうに危惧をしております。
来年度は十五万トンの生産抑制を行う、減産を行っていく、また、生産コストが上がっていることを踏まえて、酪農経営が維持できるような加工原料乳の補給金単価を決めるという取組の陰で、今日議論になっているように、海外からは年間十三万トンを超えるバターあるいは脱脂粉乳を今年も輸入し続けているわけであります。しかしながら、あくまでこれらは低関税で輸入するという枠であって、決して最低輸入義務があるものではありません。なのに、これを義務だといって大量に輸入を続けながら、国産を捨てているわけです。
米のミニマムアクセスと似たような問題が起きておりますし、輸出国の余力ということが、これは変化がなくても、今、円安が急速に進行して、そして為替、通商環境が激変しました。輸入国側の状況が変わっています。そして、相手を心配すると同時に、自分のことを心配しなければならないときになってしまいますし、場合によっては、他国のように柔軟に輸入量を調整していく、そして、義務でない輸入枠を確実に減らしながら乳製品在庫を解消していくということが、酪農家の廃業を防ぎ、そして生産現場の生産基盤を維持することにつながっていくというふうに思いますが、最後にお答えいただきたいと思います。
○笹川委員長 答弁は簡潔にお願いいたします。
○渡邉政府参考人 お答えいたします。
乳製品のカレントアクセスですが、WTO上の輸入機会の提供義務でございます。
現在の国内の状況からして、WTOにおいて輸入を約束している最低数量にとどめているところでございます。
○緑川委員 終わります。
○笹川委員長 次に、池畑浩太朗君。
○池畑委員 日本維新の会、池畑浩太朗でございます。本日もよろしくお願いいたします。私は、兵庫県の西播磨、東播磨を選挙区とさせていただいております。
早速質問に移らせていただきます。
本年の第二次補正予算の酪農経営改善緊急事業についてであります。
昨年末から、委員会で八回、予算委員会で二回、飼料高騰や酪農家について、その対策を質問させていただきました。一年かけて質問してきてまいりましたけれども、十二月の初旬にこの酪農経営改善緊急事業が新聞報道になるのには、農林水産省内で、いつ頃から、どこで議論がなされたのでしょうか。ここでのどこは、委員会などを指すものではありません。また、最終的に畜産局でしょうか。どこで省内で最終判断をされたのか、教えてください。
○渡邉政府参考人 お答えをいたします。
酪農経営改善緊急支援事業につきましては、酪農経営が飼料価格の高騰で厳しい状況になる中で、生産コストの上昇は販売価格に適正に反映することが重要なので、そのために、昨年来課題となっている生乳の需給ギャップを解消することが必要でございました。
このため、業界がこの需給ギャップの解消に向けた取組を行っているということに着目をいたしまして、我が省といたしましても、今般の補正予算、この編成指示が出たことを受けまして、生産者の取組を支援するという観点から、この事業につきましては、畜産局において案を検討いたしまして、予算要求をいたしまして、予算編成過程において補正予算に盛り込まれたものでございます。
○池畑委員 その畜産局は二十年ぶりに復活したと聞きました。これは、畜産行政をめぐる今までいろいろな委員の先生方の質問がございましたけれども、その畜産行政をめぐる諸課題に的確に対応していくためというふうに考えております。
そこで、この事業は、よく世間で、早期に経産牛をリタイアをさせて一定期間の生乳の生産抑制に取り組む場合に奨励金を交付するとありました。野村大臣からは、現場の自主的な取組を後押しするものでありますともありました。
まず、奨励金の額は確定しましたでしょうか。お聞きしたいと思います。
○渡邉政府参考人 酪農経営改善緊急支援事業についての奨励金の単価でございますけれども、令和五年三月から九月の取組につきましては二十万円、国費十五万円に生産者団体等で五万円、令和五年十月から令和六年三月の取組につきましては一頭当たり五万円、国費五万円という単価でございます。
○池畑委員 ありがとうございました。
世間では、世間というのは農家さんたちです、一頭当たり二十万円で、一部報道も含めましてですけれども、牛乳が余っているから成牛を殺せということでしかないとされています。また、一気に離農しかねないとも言われております。
そのおつもりなんでしょうか。お聞きしたいと思います。
○渡邉政府参考人 酪農経営改善緊急支援事業につきましては、廃業や離農の促進を目的としたものではございませんで、その目的といたしましては、生乳の需給ギャップを解消することで、生産コストの上昇を適正に価格に反映できる環境を整えまして、酪農経営の改善を図ることを目的としているものでございます。
○池畑委員 農林水産省が今答弁をしていただきましたように、まさにそういうつもりは当然ないということでありますし、まさに需給調整をしているというお話でありました。
野村大臣になってから、私は三回目の質問になります。大臣に一番最初の質問で、新聞記事となっていました、新大臣に聞くを取り上げさせていただきました。そのときに、私も父方が鹿児島県の吹上町であるということもお伝えさせていただきました。そのときに、大臣の答弁は、これは一部です、私は鹿児島以外の農業、農村の実情は知りませんのでというふうに答えていただきましたが、これは何かの間違いだというふうに思いますし、前後の話がありますのでそこをつくわけではございませんが、今回は、先ほど当局からの答弁にありましたように、まさにそのような離農とか成牛を殺せとかいう方向性は全くありませんというふうな話がありましたけれども、一部報道や農家さんたちからそういう声が確かに上がっているというのは間違いございません。
農林水産省から見たら、それは誤解であるというふうにされているわけでしょう。ですから、大臣の御経歴とか、農協さんの立場から見て、やはり農政、農業をよく知っていらっしゃる大臣だからこそ、明確で分かりやすい、トップリーダーの決断を丁寧に発言されるすべをつくるべきであるというふうに思います。まさに誤解を生じさせてはいけないというふうに思います。離農させるつもりなどはないと言われておきながら、酪農の農家さんたちから、もうもたない、やめるにやめられない、生き物を相手にしているから、餌を欲しがる、お乳を搾ってほしいと寄ってくる、切実に訴えられておられます。
その中で、中央畜産会の森山裕会長から年頭の挨拶、これは中央畜産会の年頭の挨拶の文章でございましたけれども、肉用牛と鶏、豚に関してはそれぞれ効果を上げているとか相場は堅調だとされておりますが、事酪農になりますと、昨年から需給のバランスが崩れています、需給安定のために国、生産者、乳業メーカーが一体となって対応していくことが重要と書かれておられました。
この年頭の会長の挨拶からも、業界の危機は既に分かっていました。冒頭にお話をさせていただきましたけれども、年末からこの十二月に関する一年間の間でも、今委員の間でもるる説明がありましたし質問もありましたが、飼料の高騰がかなり分かっているというような状況でございましたけれども、大臣として丁寧に分かりやすく救済方法を発信していかないと、こういった誤解が生まれるというふうに思います。どのような対応また発信方法を考えておられるか、大臣からお聞きをしたいと思います。
○野村国務大臣 全国の畜産農家の皆さん方が固唾をのんで今見守っていただいていると思うのが、いよいよ、今週それから来週に畜産の価格等々を決めていかなきゃならない時期がやってまいりました。
そこで、今おっしゃいましたように、餌対策については、これは相当の金が要るわけでありますから、補正予算等々で今まで対応してきましたけれども、じゃ、これでいいのかということになると、酪農でいきますと、補給金をどうしていくのか、あるいは限度数量をどうしていくのかというような、集送乳の価格のところもありますけれども、そういうところに非常に注目が集まっているのではないかなと思います。
さらに、黒牛等々でいきますと、子牛の価格が下がってきているところもあります。ですから、その子牛の価格を今のままでの最低保証基準価格でいいのかとか、こういった問題もやはり抱えてございまして、畜産全体のことをどうしていくのかというのを今省内でも議論していただいておりますし、さらにまた、それぞれの党でも御検討をいただいていると思いますけれども、いずれにしましても、専門家の皆さん方の部会もありますので、これらを参考にしながら、御意見を参考にしながら、この一週間以内には決めていかなければならないだろう、こんなふうに思っておりまして、今どうするということはまだ申し上げられませんが、できるだけ畜産農家の皆さん方の経営が安定するような仕組みを、仕組みというよりもやり方をちょっとやはり考えていかなきゃいかぬだろう、こんなふうに思っておるところです。
○池畑委員 私は、大臣の御経歴、そして専門知識、答弁書を見なくてずっと空でお話をされている内容をいかに発信をしていくか、どういうふうに発信をしていくかという質問をさせていただきましたが、今、なかなかお伝えしにくい、センシティブな内容もございますけれども、大臣自らが、前の金子大臣のときには、農林水産省もかなりユーチューブを使ったりとか、大臣が先頭に立って、それだけの知識があられますから、どのような、もう一度お願いをしたいんですが、発信力として、その発信するすべ、これからSNSを使うとか、何か大臣の番組を作るとか、そういうことも考えておられるかどうかをもう一度答弁いただけたらと思います。
○野村国務大臣 私は余り存在感がないものですから、発信力もないし、それは、役所の方でどういう発信をしていくかということはまた検討はさせていただきたいと思います。
いずれにしましても、私どもが畜産物の価格等々を今ちょうど決めなきゃならない時期に来ておりますから、その議論はさせていただいておりますが、もう一つ頭が痛いのが鳥インフルでありまして、これだけ毎日毎日あちこちで出ましたので、そのことの終息に向けて今発信をそれこそやっている最中で、昨日、対策本部を開きまして、そのことを全国の養鶏農家あるいはまた関係する皆さん方に警鐘を鳴らしたところであります。
今の発信はその程度でありまして、決まりましたならば、全国の皆さん方に、我々はこういう対策を考えましたよというのをはっきり申し上げられるんですが、これはそれぞれのところで今検討しているという最中でありますので、もうしばらくお待ちいただきたいと思います。
○池畑委員 決して、存在感がないというふうには思いません。農業をされている方からすると、大臣の存在感というのはかなり大きいというふうに思います。これは変にごまをすっているわけではなくて、実際、農業をやっておられる方は大臣のことをよく知っておられますし、それだけの御経験をいかに適期に発信をしていくかということを考えていただきたいというふうに思います。ありがとうございました。
私は、まず、国産化、前回の委員会でも取り上げさせていただきましたけれども、粗飼料とか、緑川委員からもありましたけれども、自給率がかなり低い、二五%で、今は目標数値が三四%というお話もありました。やはり安定した、持続化する、畜産業を安定させていくためにも、バックヤードの採草地、草を作るところ、あとは担い手の育成環境を整備することは喫緊の課題であるというふうに思います。餌の供給がストップしたら、まさに牛を飼うことを止めなければいけない、これは誰が考えても分かることでございます。
時間が参りましたので一つ飛ばさせていただきますけれども、そこで、予算委員会でも取り上げさせていただきました。世界経済フォーラムでアメリカのバイデン大統領が、グローバル・メタン・プレッジとの関わりで、経済産業省では、バイオものづくりで三千億円組んでおるということを予算委員会で西村大臣から答弁をいただきました。
家畜の消化器官内の由来から発生する、牛のげっぷなどから排出されるメタンガスは、車、工場からも全体で排出されるものから四割程度も発生をしております。酪農経営や畜産業でJクレジットも含めた世界展開の事業も併用することが、畜産業界としても可能であります。西村大臣も、農林水産省と話合いをして取り組んでいくと答弁する予定だったと予算委員会の後に言ってきてくださいました。
農林水産省としても、経済産業省と協議しながら、畜産業界にプラスアルファの事業として、カーボンニュートラルであったり脱炭素に向けた事業をサポートするべきと考えますが、大臣のお考えをお示しください。
○野中副大臣 お答えいたします。
畜産経営の持続可能性というのは、やはり需要の、生産の推進だけではなくて、環境負荷軽減に取り組むのが大変重要であるというふうに考えております。畜産業界における環境負荷軽減、これはみどりの食料システム戦略等に沿って、牛のげっぷ等由来の温室効果ガスを抑制する飼料の開発等に取り組んでいるところであります。
先ほど御指摘をいただきましたJクレジット制度でございますが、これは経済産業省、環境省、そして農林水産省で運営をしておりまして、例えばアミノ酸バランス改善飼料を餌として与えることによる家畜の排せつ物由来の温室効果ガスの削減量についてクレジット化が認められており、今年八月に、従来の豚、ブロイラーに加え、牛についてもクレジット化の対象として認められたところでございます。
いまだ家畜のげっぷから排出されるメタン削減については技術が十分確立してはおりませんけれども、引き続き関係機関等と連携いたしまして、排出削減に資する必要なデータの収集等に取り組み、持続可能な畜産物生産の推進に努めてまいります。
○池畑委員 副大臣、ありがとうございました。
今、大臣からも中盤の辺りで答弁がございましたけれども、持続可能にしていくためには、ずっと補正予算を組んだりとか予算を組み続けるだけではなくて、今生き残りをかけて農家たちが集合している部分もありますし、それから経営的に能力のある他業種からの参加によって、かなり畜産業もまとまっていかなければいけない時期に来たかもしれません。その間に、西村大臣のお話にもありました、畜産業界が大きくなったところに、餌が高いから補助金を、これから飼料がなかなか、ロシアやウクライナの問題のような、いかに自国で生産をしていくかということが喫緊に迫られるわけですけれども、やはり畜産は、およそ、忙しい時間帯もありますけれども、しっかりこういった未来の事業を、プラスアルファを考えていく必要があるのではないかというふうに思います。
実際、今大臣のお話もいただきましたけれども、全国で農家がかなり厳しい状況にありますが、新しい兆しを明るく持ってこういったこともサポートしていくというような内容も、是非大臣、発信をしていただきたいというふうに思います。新しい事業の予算とかそういったものではなくて、畜産業もこれから明るい未来がありますと。ただ、高く物が売れますとか牛乳がたくさん売れます、そういう問題ではなくて、日本の自給率を上げていくためにも、我々は昨日、いろいろなメンバーと集まって、自給率を八〇%まで上げていくんだ、それぐらいの気概でなければいけないというふうな思いもあります。農業問題は党派を超えてしっかり頑張っていかなきゃいけない場面だというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、時間が参りましたので、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○笹川委員長 次に、岬麻紀君。
○岬委員 日本維新の会、岬麻紀でございます。
本日、農林水産委員会の委員ではございませんので、初めての質問となります。このような機会をいただきまして、誠にありがとうございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
さて、本日、委員会の最後に、令和五年度畜産物の価格等に関する決議が行われることを承知しております。その中にあります高病原性鳥インフルエンザの感染拡大防止について、まさに私の地元でもあります愛知県においても発生したことを踏まえまして、質問をさせていただきます。
さて、言うまでもありませんが、高病原性鳥インフルエンザが一たび蔓延をしますと、鳥肉や鶏卵の安定的な生産と供給を脅かし、また、国際的にも日本からの鳥肉、鶏卵の輸入を禁止する措置が取られるなど、個々の農家の経営のみならず、また、養鶏産業全体に甚大な被害が、影響が出ると考えられます。
したがって、まさに決議案にあるように、高病原性鳥インフルエンザ等の家畜伝染病の感染拡大防止は最重要課題であると考えます。先ほど大臣のお言葉にもございました。
そこで、本日は資料を四枚お配りしております。
まず、一枚目、御覧ください。
先ほど御紹介をしました私の地元でもある愛知県、その中でも豊橋市におきまして鳥インフルエンザが発生したという中日新聞の記事でございます。
記事によりますと、十二月五日、愛知県特定家畜伝染病緊急対策会議におきまして、大村秀章愛知県知事が、全庁を挙げてこの防疫措置に万全を期す、さらには、養鶏農家に寄り添った対応をすると危機感を示したとございます。
また、本日十二月八日木曜日も、同じ豊橋市におきまして、愛知県で二例目となる鳥インフルエンザの感染が確認をされております。
この鳥インフルエンザの発生でございますが、愛知県に限らず、北は北海道から南は鹿児島県まで、日本各地に発生をしております。それも毎日のように連日報道がされているわけです。この新聞記事にある愛知県豊橋市の事例は今季で二十五例目、本日も含めますと既に三十例を超えております。なぜ、全国各地に、このように鳥インフルエンザの感染は拡大しているのでしょうか。
さらに、この高病原性鳥インフルエンザの病原体、ウイルスと承知をしておりますが、感染源、感染経路、感染力など、感染拡大の原因について、農水省の見解をまずはお聞かせください。
○森政府参考人 お答えいたします。
御指摘のとおり、高病原性鳥インフルエンザにつきましては、今シーズン、欧米を始めとしまして世界各地で流行している状況でございます。
我が国におきましても、野鳥において広く感染しており、専門家の方からは、環境中のウイルス濃度が非常に高くなっているといった指摘があるところでありまして、これが感染拡大の一因であるというふうに考えられるところでございます。
また、感染経路につきましては、発生の都度、疫学調査チームを現地に派遣して調査しているところでありまして、今後、調査結果に基づいて、感染経路などについて、専門家による分析を進めたいというふうに考えているところでございます。
また、御指摘の感染力などのウイルスの性状につきましても、今後の専門家による解析結果等を待って、更に検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。
○岬委員 ありがとうございます。
是非、的確に、そして迅速に対策を進めていただきたいと考えております。
続いて、配付資料の二枚目、御覧ください。
こちらは、令和四年十月の、最近の家畜衛生をめぐる情勢についてという農水省の資料でございます。
率直に申し上げまして、この表の黄色い部分です、こちらを見ますと、二〇二〇年からなぜこんなに急激に増えているのか、疑問を持ったわけです。
今後の感染拡大の見通し、今月も含めた、まずは短期の見通し、その後に、来年、再来年度を含めた中長期の見通しについて、農水省はどのような見解を示されているのでしょうか。どのような対策、また、どのような対応をしていくおつもりでしょうか、教えてください。
○森政府参考人 お答えいたします。
今シーズンにつきましては、この鳥インフルエンザにつきましては、昨年、一昨年を上回るペースで発生をしているという状況でございます。先ほども申し上げましたとおり、環境中のウイルス濃度が非常に高いということで、今後とも発生の可能性というものが高いのではないかというふうに考えているところでございます。
また、他方、今後、さらに、中長期の発生の見通しにつきましてはなかなか予断を持ってお答えすることはできないところでございますが、本年九月に公表されました昨シーズンの疫学調査チームの報告書の方では、「世界各地で発生が継続している現状を踏まえると、今後は毎シーズン、本病の発生リスクが高まる可能性が考えられる」とされているところでございます。
私どもといたしましては、今後、引き続き、関係都道府県と連携しながら、飼養衛生管理の徹底、発生予防、蔓延防止に全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
○岬委員 ありがとうございます。
ただ、ここで少し疑問に思うのは、黄色い部分の二〇一一年は二十三件発生したにもかかわらず、翌年にはゼロで収められております。それが二〇二〇年の三十三件からは、二〇二一年、二十九件、そして二〇二二年、これは途中でありながらも、もう既に十五件というふうに示されております。
これは何らかの対応が必要でもありますし、具体的に改めての対策が必要である、喫緊の課題であると思いますので、よろしくお願い申し上げます。
続きまして、養鶏場の経営者の支援について伺いたいと思います。
国の財政支援を調べてみますと、家畜伝染病予防費負担金であるとか、また患畜処理手当等交付金というように、国の財政措置があることは承知をしております。
そこで、生産者が経営難で廃業に至った事例、二〇二〇年に鳥インフルエンザの感染が拡大してからどれくらいあるのか、把握をしていらっしゃいますでしょうか。
さらに、この廃業というものに関しますと、担い手の高齢化であるとか、また後継者の不足という、いわゆる承継問題が挙げられます。
このように、一度廃業してしまうと、再開するというのは難しく、ほぼ不可能であるのではないかと考えられます。
こうして考えていきますと、まずは廃業をさせない努力、廃業に至らせないことが重要であると考えますが、この点、どのようにお考えでいらっしゃいますでしょうか。
○森政府参考人 お答えいたします。
高病原性鳥インフルエンザにつきまして、令和二年度及び令和三年度シーズンにおきましては、合計六十四の経営体で発生しているところでございますが、これまで約九割に当たります五十八の経営体が経営再開済み又は再開に向け取り組んでいるというふうに聞いているところでございます。
そうしますと、残る六経営体、こちらが、廃業あるいは廃業予定、又は、経営は続けますが、家禽は飼養しない予定といったふうに聞いているところでございますが、この要因等につきましては、御指摘の高齢の問題でございますとか、あるいは経営方針の変更等といったものというふうに伺っているところでございます。
農林水産省といたしましては、都道府県とも連携をいたしまして、安心して経営再開ができるよう、指導の方、あるいは支援の方を徹底してまいりたいというふうに考えております。
○岬委員 ありがとうございます。
とはいいましても、どんどん少なくなっていく現実がございますので、しっかりと経営が継続、そして、承継して継続していけるように、是非ともよろしくお願い申し上げます。
次の質問は、是非とも野村大臣にお答えをいただきたいと思います。
愛知県の担当者にも直接、今回の件を伺いました。経営が難しくなった生産者への経営支援、また防疫に係る経費など、財政の面でのまずは支援が必要である、求められております。さらには、風評被害を心配するという生産者の声も多く届いております。
最近は、この鳥インフルエンザ、蔓延をした結果、随分と知識も皆様方に波及されまして、人へは感染をしないということですとか、市場に出回る心配はないと言われてはおりますけれども、なかなか払拭することができません。
そういったことを踏まえまして、大臣、お願いをいたします。
○野村国務大臣 お答えを申し上げたいと思います。
この高病原性インフルエンザが発生した農場につきましては、先ほど局長の方からも御答弁させていただきましたが、鶏の評価額、いわゆる殺処分をした鶏が何か月齢なのか、一か月齢、二か月齢、それぞれによって違うものですから、その月齢によって試算したものを、評価額の全額が手当金として交付されていきます。
農家によっては、向こうの方が俺のところよりも多く出たという、ちょっと苦情も来たこともあったんですが、それは、月齢によって評価をして、そして手当を、交付金を出しておりますので、それは不公平とか不平等とかという話ではなくて、ちゃんとした算式に基づいて計算をいたしております。
そのほか、家畜疾病経営維持資金、これは、生産者、そしてまた国の方で資金をつくりまして、セーフティネット資金の低利融資の活用もできますし、加えまして、家畜防疫互助事業というのがあります。これが、先ほど言いました、生産者、国が一ずつ、そして加入率も八六%という。ですから、再開に向けては、こういったようなお金を活用して、そして再開をしていただくように支援をしているところでございます。
また、先ほどおっしゃいました風評被害のことですけれども、私どもは、毎度毎度というぐらいに、これは国の食品安全委員会の方から、鳥インフルエンザが卵を食べてもお肉を食べても人には感染しませんというのを食品安全委員会の方からきちっと専門的に言っていただいておりますし、我々も常々このことを発信しておりまして、もう鳥インフルが出るたびに、このことは記者会見ではっきり申し上げているところでございますので、少しそういったところは払拭できているのではないか、こんなふうに思います。
○岬委員 ありがとうございます。
経営再開の支援ですとか、タイムリーに、タイミングよく、評価額の満額を是非とも基本としていただきたいと思います。
それでは、続きまして、資料の三枚目、四枚目を御覧ください。
鳥胸肉三十年ぶりの高値という見出し、二〇二二年十一月十六日の日経新聞です。鳥肉といいますと、比較的高たんぱくであり、低カロリー、健康志向に持ってこいでございます。さらに、比較的安いということで、消費が増えております。四枚目、これは物価の優等生という鶏卵、いわゆる卵、朝昼晩の食生活、お弁当にも大変活用されまして、家庭にはなくてはならない卵でございます。
これらの新聞記事でございますが、今、コロナ禍から経済活動も徐々に再開をされまして、外食の需要の回復、さらに、年末となりまして、ケーキの材料にもなる、おでんや鍋物にも欠かすことができないという一方、十月以降は各地で鳥インフルエンザの発生が確認されています。今年度、十二月五日朝の時点で、殺処分、何と約三百九十九万羽、これは四百万羽ですよね。過去最多であった二〇年を上回るペースで増えております。
鳥肉、鶏卵の価格、更に押し上がっていく可能性があるという指摘もございますが、鳥インフルエンザの感染拡大による鳥肉や鶏卵の価格の影響、農水省はどのようにお考えでしょうか。
○野中副大臣 お答えいたします。
今シーズンの高病原性鳥インフルエンザの発生した農場における飼養羽数の全国の割合でありますけれども、全国全体の肉用鶏で〇・五%、そして採卵鶏で二・七%となっております。
先生の資料にもございました。そして、その中で、卸売価格が上昇していると、資料三でもございました。前年同期比で鳥肉一二〇%、そして鶏卵一三一%と、いずれも高い水準で推移をしておりますけれども、これは、理由として、先ほどもございました、これから鍋の需要とかケーキの需要とかも増えてまいります。そしてまた、コロナの影響でしばらく疲弊していた外食産業も回復傾向にある。そしてまた、飼料価格上昇に伴う一定の価格転嫁が進んでいるなどの理由がございます。
そして、この鳥インフルエンザによる影響はあるのかということでありますが、関係者からの聞き取りによりますと、発生県からの輸出停止に伴う国内仕向け量の増加、流通在庫による調整により、一定程度は緩和され、現時点では流通段階で不足感は生じていないと聞いているところであります。最近の価格上昇は、必ずしも鳥インフルエンザ発生の結果であるということは考えておりません。
しかしながら、今シーズンは非常に発生件数が高うございますので、引き続き、需給と価格の動向について注視してまいりたいというふうに存じます。
○岬委員 ありがとうございます。
是非とも、需要が増えて供給が足りないということにならないよう、安定した家庭の食、しっかりと守っていただきたいと思います。
それでは、時間が少なくなりましたので、六番目の質問を割愛とさせていただきます。
しかし、指針を国が作成をして、実際に計画を県が指導を行って、制度を実行していくわけですけれども、どれだけ対策を実行しても、完全に感染を防いでいくということは難しい、できないと思われます。
最後に、大臣にお聞きしたいと思います。
もちろん、基準を遵守して、リスクの軽減をしていく、これは皆が頑張ってやっていることだとは思いますけれども、もっともっと生産者の声をしっかりと聞いていただきまして、都道府県との連携も深めていただきたいと考えます。
十二月七日に、野村大臣、メッセージを発していただけておりますけれども、最後にいま一度、お心構えを皆さんに発信をお願いいたします。
○笹川委員長 答弁は簡潔にお願いします。
○野村国務大臣 大変貴重な御指摘をいただきました。
我々は、やはり各県の方で非常によく処理をしていただきまして、早い埋却処理等々をやっていただいておりますので、あちこち蔓延はしておりますけれども、そこからどんどん広がっていくというふうには余りなっていないんです。
ただ、私どもは、今回、秋田だったか、昨日出たのは……(発言する者あり)山形。必ず、初めに出たところについては、知事さんと、確実に私どもは、山形はまだ一回も出たことがないものですから、野中副大臣の方が知事さんと話をしていただく。あるいは、私も何回か話をしましたけれども、手分けをしながら現地に行ってみるとか、そういうことをやりながら、県の皆さん方との連携はきちっと取っているつもりでおりますので、今後ともそういったことはやりたいというふうに思っております。
○岬委員 ありがとうございます。
今、野村大臣のお声も聞かせていただきました。
本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございました。終了いたします。
○笹川委員長 次に、長友慎治君。
○長友委員 国民民主党の長友慎治です。
私の地元宮崎も畜産が盛んな県になります。今年十月の和牛のオリンピック、全共では、四大会連続の内閣総理大臣賞受賞という快挙も得ることができました。特に今年は、おいしさの部の肉質の部で内閣総理大臣賞を取れたということで、県民としては大変、日本一の宮崎牛を全国の皆さんにアピールできるということで、今地元が沸いているところでございます。
先日、生産者の方ともお話をしましたが、もう既に気持ちを切り替えられて、五年後の北海道大会の方に向けてもう準備を始める、そういう決意を伺いまして、大変頼もしいなと思っているところでございます。
その宮崎におきまして、もう一つ日本一のものがございます。それは、キャンプ地の誘致数になります。プロ野球やJリーグのキャンプの誘致でございます。その宮崎で、今、スポーツ掛ける農業という取組が全国的に注目されています。
例えば、新富町という人口一万六千人ほどの町がございます。ここも畜産が盛んな町なんですけれども、テゲバジャーロというサッカーチームがあります。J3のチームですけれども、その本拠地となるユニリーバスタジアムの近くの公有地約八ヘクタールに、手始めに今ビニールハウスを整備し、農業実習を始めました。サッカー場の脇に農林振興拠点をつくり、地域農業の持続化、活性化を図る、町と地元のJAが始めた取組になります。
その新富町には女子のサッカーチームがあります。ヴィアマテラス宮崎というチームになりますけれども、これは日本の女子プロサッカーリーグ参入を目指すチームで、二〇二〇年にクラブを創設し、新富町の行政のバックアップを受けまして、今活躍をしていただいております。
九州の女子サッカーリーグ二部で現在全勝という強いチームなんですけれども、このチームがユニークなのが、二十三人の選手のうち十八人が地域おこし協力隊として地域の課題解決に関わる仕事に従事しながら試合に出場しているということです。その中には農業チームがありまして、農家さんのところに行って農業のお手伝いをしながら、一緒に収穫した野菜を試合会場で販売する、そういうことも取り組まれています。
同じく宮崎の都農町、ここは人口九千七百人ぐらいの町になります。ここも畜産が盛んなんですが、ヴェロスクロノス都農という九州リーグに所属するサッカークラブがあります。ここも二十九人の選手のうち十七人は町の地域おこし協力隊員です。
このチームがいつも試合をする総合運動公園の陸上競技場の隣には、町の特産品であるキウイの畑が広がっていまして、地域おこし協力隊の選手十七人のうち六人が農業班のメンバーとして農業に携わっています。
農業班、自前の畑でトマトやゴーヤーなどを栽培するほか、梅の実の収穫を手伝ったりビニールハウスを造ったりするなど、高齢化と人手不足に悩む町内の農家からのリクエストにも応じたりしています。やはりこちらも、試合会場でマルシェを開いて農作物の販売の促進に貢献していたりということもされていたりします。
この都農町が、先日、スポーツ庁による「スポまち!長官表彰二〇二二」を受賞しました。ヴェロスクロノスの選手やスタッフが、人手不足の農家で作業を手伝うほか、移住、定住促進を図る広報などにも取り組み、貴重な若者として町に活力を与えていることが評価されたものになります。
そこで、農水省にまず質問をしたいと思います。通告ではスポーツ庁が先だったんですけれども、順番を変えます。
農水省も、補助事業で、農業をはじめる・JPでは、ロールモデルとして、元アスリートが新規就農している事例も見られます。日本農業新聞でも、プロサッカー選手が農家に転身した広島の岡崎和也さんの事例、自ら野菜を栽培しながら、地域農業を盛り上げる様子などが紹介されていました。
このように、スポーツと農業を掛け合わせた視点での新しい農業の在り方、また、農業の魅力発信のためのアスリートの活用ということを農林水産省として検証したことがあるかどうかについて、まず伺います。
○村井政府参考人 お答えいたします。
特にアスリートにフォーカスをしてという形になりますと、なかなかちょっと具体的に御紹介できる取組というのがありませんけれども、アスリートの方も含めて多様な人材を広く農業に呼び込むということはとても大切だというふうに考えておりまして、そういった観点から、農林水産省では、農業の魅力発信の取組を行っております。
具体的には、実際に農業現場で活躍する若手農業者が農業の魅力を語るイベントの開催ですとか、就農に関する情報を一元的にまとめたポータルサイトなどでの情報発信の取組を進めているところでございます。その中で、サッカー選手が就農する事例を含めて、異業種から新規就農した方の事例を紹介をしているところでございます。
このような取組を通じまして、農業の魅力を高め、多様な人材の呼び込みを推進してまいりたいと考えております。
○長友委員 ありがとうございます。
多様な人材を農業の分野に呼び込んでいかないといけない、そういう課題認識はお持ちだということは分かります。新規就農者の確保ということがもうずっと議論をされていますが、なかなかいい手だてが見つかっていないというのが現状の私の理解ではあるんです。
一方で、アスリートの皆さんのセカンドキャリアの問題ということも、今、社会課題の一つと取り上げられるようになりました。
スポーツ庁では、アスリートが安心してスポーツに専念できるように、現役時代から引退後のキャリアについて準備する支援を行っているところです。就農への道を選択することにより、自らが経営する農場の農産物のブランディングや、食を通じての栄養管理などでアスリートの健康支援など、様々な可能性があると考えています。
そこで、スポーツ庁にお伺いしたいんですけれども、アスリートがセカンドキャリアとして就農することについて見解を伺います。
○星野政府参考人 お答え申し上げます。
アスリートが、競技生活中のみならず、引退後も競技を通じて培った能力や経験を生かして社会で活躍することは、アスリート個人の人生の充実のみならず、アスリートが有する価値を社会に還元するという点においても重要と認識しております。
こうした考え方の下、委員御指摘のとおり、スポーツ庁では、企業やスポーツ団体等が参画するスポーツキャリアサポートコンソーシアムを運営し、キャリアに関する情報提供を行うアスリートキャリアコーディネーターの育成、あるいはキャリア形成に関する啓発、教育等の取組を進めているところでございます。
そうした中、これらの取組において、セカンドキャリアの事例として農業を取り扱うことは決して多くはない状況でございますけれども、現役引退後に農業に従事したり、農業をしながらスポーツ活動を行っているクラブチームもあると承知しております。
今後も、アスリートが引退後もその能力を十分生かせるよう、様々な業界と連携して、しっかりと支援してまいります。
○長友委員 アスリートの方が農業をセカンドキャリアとして選ぶという事例はまだまだ少ないという御認識でありますし、実際、そうなんだとは思うんですけれども、アスリートの方々は体が資本なわけでございます。その体は何でできているかというと、食によってできているわけですね。体調管理、それから栄養のバランスに特に気を遣うアスリートの皆さんは、農業の親和性がとても高い、相性がいいというふうに私は考えますし、そのことはスポーツ庁長官の室伏広治さんも一番よく分かっていらっしゃるんじゃないかなと思います。
そこで、御提案をしていきたいなと思うんですけれども、国は、スポーツを成長産業の一つとして、二〇二五年までに日本のスポーツ市場規模を十五兆円に拡大するという大きな目標を掲げられています。そこで、農業とスポーツを掛け合わせたアグリートを提唱したいなというふうに考えているところです。
アスリートと農業を掛けたアグリート、造語になりますけれども、スポーツ、また、アスリートの方々がブランディングやマーケティング、販路開拓、商品開発、コラボレーションなど、農業の魅力発信なども含めて、スポーツと農業を掛け合わせていく活動、取組、これを地域でのビジネスを生み出していく活力にしたり、また、スポーツファンの拡大につなげていくという、地域の振興や課題解決にも貢献できるんじゃないかというふうに考えて、今、いろいろな有識者の皆さんと、アグリートという取組を進められないか、検討したいと考えているところなんですが、スポーツ庁と農林水産省のお二方に見解を伺いたいと思います。
○星野政府参考人 お答え申し上げます。
スポーツを通じた地域活性化に当たっては、交流人口や関係人口の拡大、地域でのなりわいづくりなど、地域づくりに関わる幅広い分野との連携が欠かせないと認識しております。
そのため、スポーツ庁といたしましても、スポーツと文化芸術資源を観光に結びつけるスポーツ文化ツーリズムの推進など、スポーツと他分野との連携による地域活性化を図っているところでございます。
スポーツと農業を始めとする地域資源が緊密に連携することによって、例えば観戦客の増加を通じた地域への来訪者の拡大、あるいは地域の農産品を活用した商品開発、販路拡大など、地域経済への波及が期待されるとともに、クラブチーム自体も地域に愛され、地域と一体となって成長することができるなど、大きな相乗効果が発揮できるものと考えております。
スポーツ庁といたしましても、農林水産省など関係省庁とも連携を図りながら、スポーツを通じた地域活性化を推進してまいりたいと思っております。
○青山政府参考人 お答えいたします。
農林水産省では、農山漁村の多様な地域資源と多様な事業分野を組み合わせることによりまして、新事業や付加価値の創造を図り、所得と雇用機会を確保する農山漁村発イノベーションの取組を推進しております。
委員御指摘のスポーツと農林水産業の連携の事例といたしましては、プロ野球独立リーグ四国アイランドリーグプラスに所属する高知ファイティングドッグスでは、地域の農林水産業者や飲食店と連携した特産品の共同開発等が実施されていると承知しております。
農林水産業とスポーツの連携につきましても、農山漁村発イノベーションの取組の一つとして想定されるところでございまして、生産された農産物を通じた新商品の開発やその販路開拓の取組等の支援を通じまして、農山漁村の振興を図ってまいりたいと考えております。
○長友委員 ありがとうございます。
アスリートの皆様の知名度を生かしたり、アスリートの皆様が農家の生産者の皆様が苦手な部分を補えるという、大変これから可能性のある分野だと私は思うんです。
もう一つ、全国各地で、公立中学校の部活動の地域移行が今始まろうとしているところで、今後、スポーツコーチの需要も増えてくるということが考えられます。こうしたアスリートが農業に従事しながら地域を支える人材として活躍いただければ、農業は魅力的な仕事だとしっかり情報発信し、見直してもらうきっかけともなると考えています。
積極的にアスリートのセカンドキャリア形成に農水省としても取り組んでいくことが得策だと私は思うんですが、野村大臣、いかが思いますでしょうか。
○野村国務大臣 お答え申し上げます。
先ほどから聞いておりまして、アグリートというこの造語は非常にネーミングがいいなと思いながら聞いておったんです。
我々の方も、農業者の高齢化なり、あるいはまた減少が進む中で、アスリートの方も含めて、様々な経験を有する若い世代の人材が新規就農者として農業に参入するということは、非常にこれは重要であるというふうに思っております。
先ほど共進会の話がありましたが、鹿児島で天皇賞を取りましたのは、実は前職がホストをやっておりまして、非常にそれで人当たりがよくて、牛をかわいがっておるのか分かりませんが、そのぐらい牛飼いに向いていたんだろうと思いますけれども、やはりいろいろな方の、職業を持っている人でも農業に入ってこられるという、非常に重要なところがあります。
このために、農水省におきましては、農業の魅力発信の取組に加えまして、就農前後の資金面の支援、それから技術習得のための研修、それから機械、施設の導入支援等を行っているところでございまして、いろいろな職業からの、アスリートも含めて、多様な人材の呼び込みと定着を一層推進してまいりたいと思っております。
○長友委員 大臣、ありがとうございます。
アグリートという言葉も御評価いただきまして、大変うれしく思うところでございます。
先ほど大臣からのお話にもありましたけれども、いろいろな多様な方が畜産の方にも農業にも従事していただけることで、今まで気づいていないマッチングだったり可能性を見出していく、そういう姿勢がこれからの農政にも必要であるというふうに感じているところでございます。
そこで、スポーツ庁に最後に質問します。最初にお聞きしようとしていたところです。
スポーツ庁として、アスリートを通じて地方の農業の課題解決につなげている地域、またその事例、農水省の把握していることは聞きましたけれども、スポーツ庁として把握していること、もし御存じでしたら教えていただけますか。
○星野政府参考人 お答え申し上げます。
委員の方から、新富町あるいは都農町の御指摘がございました。
スポーツ庁といたしましては、例えば、佐賀県みやき町におきまして、農業法人等も含め地域を挙げてサッカーチームをサポートし、地域における選手のセカンドキャリアの確保も検討しているという例を把握しておりますけれども、全国的に見れば、スポーツを通じた地域の農業課題解決への取組は緒についたばかりと認識しているところでございます。
○長友委員 ありがとうございます。
まだまだ事例は少ないかもしれませんけれども、幾つか私は象徴的な事例を知っております。例えば、サッカーの高原選手、今、沖縄でコーヒー農園に取り組んでいまして、農業を展開されています。日本代表選手でしたよね。また、もう一人、久保竜彦という選手も、農業掛ける哲学ということで、地元で農業を展開している。
このように、一流のアスリートの皆様が農業の方に行っている事例がたくさんありますけれども、まだまだ実は知られていないだけという部分もありますので、そういう情報発信も踏まえてこれから取り組んでいくということをしたいと考えています。
といいますのも、この前の日本代表の試合で日本中が盛り上がったことを皆様も目の当たりにしたかと思いますけれども、やはり、夢がある、そして憧れるというところが非常に大事な部分なのかなということを私は今回改めて感じました。農業も、憧れる職業、生産者、農家になることも格好いいんだ、夢があるんだ、そして私たちの代表として頑張ってくれているんだということをやはりメッセージとして発信していける、そういうことを取り組まないといけないと思っています。
農業に携わることが、地域そして日本を守るということであること、また、国を支える仕事なんだ、国を背負っているんだ、大変やりがいのある、誇らしい、リスペクトされるべき仕事なんだ、そういう農業の本質、魅力をアスリートの皆様と伝えていくということ、これをアグリートというふうに提唱しまして推進していきたいと思っておりますので、農水省とスポーツ庁の皆様も是非一緒に取り組んでいただきたいということをお願いいたしまして、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
○笹川委員長 次に、田村貴昭君。
○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。
酪農支援について質問します。
十一月三十日、農林水産省前で、資材高騰に苦しむ農家が畜産の窮状と支援を求めました。その中で、千葉県からやってきた酪農家の金谷雅史さんはこのように訴えました。自ら育てる牛を連れて訴えました。
今日もまた赤字を増やしながら牛乳を搾っている。政府の増産せよの号令に従って牛舎を建てたり機械を買ったりしているから、借金がやめて返せる金額ではない。ただ牛を飼って普通に御飯が食べたい、しかし、もうそれができなくなっている。年内に諦めて、年始から廃業に向かう人が大量に出る。残りは三月まで待ってから早期リタイアを使って廃業する。このままいけば、需給ギャップどころか足りなくなる、スーパーの棚から牛乳がなくなると述べました。
メディアも報じたこの酪農家の訴えを、大臣、お聞きになりましたでしょうか。どう受け止めておられますか。
○野村国務大臣 私は、いろいろな会合の中で申し上げておりますのは、飼料高騰によって畜産の経営は非常に厳しい、その中でも特に厳しいのが酪農だ、こういうことを申し上げておりまして、今お話がありましたように、今現在、その補給金のところを検討しておりますが、どういう形で、これはルールに従ってもちろん決めていかなきゃなりませんけれども、本当に酪農家の皆さん方が、もう一遍やり直してみようというような、前を向いていただける、そういう施策というのが今非常に必要だということは感じております。
○田村(貴)委員 飼料や資材の高騰によって酪農経営は赤字が続いて、今、離農が続出しています。日本農業新聞の指定生乳生産者団体への調査では、半年で四百戸も減少したことが五日報じられました。
農水省として、酪農の離農それから廃業の実態を把握しておられますか。
○渡邉政府参考人 お答えをいたします。
畜産統計によりますと、酪農家の戸数は毎年五百戸から六百戸程度減少しております。現時点での最新の離農の戸数は明らかではありませんけれども、農水省といたしましては、生産者団体や地方自治体などとの意見交換を通じまして、積極的に現場の声に耳を傾けまして、酪農経営は大変厳しい状況にあると認識をしてございます。
なお、五日の日本農業新聞の記事でございますが、指定生乳生産者団体に出荷する酪農家戸数の本年四月と十月への推移であるということだと認識をしてございます。
○田村(貴)委員 しっかり把握をしてもらわないと困りますね。
大臣、これは農業全般に言えることだと思うんですけれども、今危機にある酪農への支援というのは、離農と廃業、これを生まない、広げない、ここがやはり基本的に大事だと思いますけれども、この視点に立って、廃業を生まない、その立場に立って対策を図ることが肝要だと思います。いかがでしょうか。
○野村国務大臣 お答え申し上げます。
牛乳・乳製品の安定供給のためには、酪農経営を維持することは非常に重要であると考えております。
予備費による、先ほど来申し上げておりますが、配合飼料価格の高騰対策に加え、国産粗飼料への切替えのための緊急対策、あるいはまた資金の円滑な融通のための金融対策等を今まで講じてきたところでございます。
意欲ある経営者が引き続き酪農を続けてほしいとの思いは委員と全く同じでありまして、引き続き、関係者の声に丁寧に耳を傾け、各般の経営支援対策を適切に実施してまいります。
○田村(貴)委員 大臣から、維持することが重要だと答弁がありました。
農水省、離農、廃業、今年顕著で、急増している、この把握なしに生産量の増減を推し量ることはできません。そして、それ抜きに今後の見通しや対策を立てることはできないじゃないですか。やはりリアルな視点を持つ、そのためには、農水省が自ら聞き取りをして把握に努めることを強く要望しておきたいと思います。
昨日聞いた話なんですけれども、千葉県の北部酪農農業協同組合では、二十二戸の酪農家のうち、既に六戸が離農したということです。新規就農数年目の三十代の組合員が次々見切りをつけて廃業している。農業新聞のこの間の報道でも、若い人たちが見切りをつけているということです。また、この千葉の北部酪農のある農家は、乳価が十一月に手元で八円上がったんだけれども、飼料の値上げでそれでも月に五十万円不足している、貯金を使い果たして、夫婦で生命保険二つを解約した上に、新たに一千万円の借入れを行ったという本当にびっくりする話を伺いました。
先ほど緑川議員から、飼料価格安定制度の政府の支出を増やして、制度の見直し、この提案がありました。これも必要だと思います。予算委員会で、野村大臣、私も取り上げました。そして、やはり農家の飼料代の高騰分を直接支援することが今まさに求められると私ども何度も言ってまいりました。
畜産局長、ちょっと確認ですけれども、これでマックスなんですか。こういう窮状がある以上、やはり価格安定制度の見直しあるいは改善、それから直接支援といった対策の強化がまだ求められると思いますけれども、その考えはございませんか。局長、いかがですか。
○渡邉政府参考人 お答えをいたします。
飼料価格の高騰などによりまして酪農が非常に厳しい経営環境にあるということは、よく認識をしてございます。
配合飼料価格安定制度に対する異常補填基金への積み増し、あるいは、それとは別途の予備費による特別の緊急対策、粗飼料の価格の上昇に対する影響を緩和するための酪農緊急対策などを対応してきてございます。
また、今回の補正予算でも、異常補填基金への百三億円の積み増しも措置をしてきてございます。
また、そういった配合飼料価格の関係の制度はしっかり運用していきたいと思いますし、それに加えまして、畜種ごとの経営安定対策をやってございますし、金融支援など、対応してございます。
また、先ほど来御説明しております、生産コストの上昇を適正に価格に反映するための需給改善の対策、そういったものをしっかりやっていきたいというふうに考えてございます。
○田村(貴)委員 いろいろ言われたんだけれども、これから収入として入る点をもってしても赤字の問題は解消できないと畜産農家が、酪農家が訴えている。これは非常に重要なんです。大臣が経営を維持することが重要だと言ったところの矛盾になってくるわけですね。ですから、更に対策、支援を強める、このことを強く申し上げておきたいと思います。
補正予算で生乳需給改善対策の酪農経営改善緊急支援事業に五十億円が計上されました。経産牛四万頭を肉用に早期処分するという内容ですけれども、これを行ったら牛乳の需要増の季節に供給不足を招いてしまうのではないかと思うんですけれども、いかがですか。
○渡邉政府参考人 酪農経営改善緊急支援事業でございますけれども、これは、抑制的な生産の取組を支援をし、生乳の需給改善を後押しをして酪農の経営の改善を図るということのために早期のリタイアを促すものでございますが、そういった経営の改善も目的としているものでございまして、実質的に離農ですとかになるような計画は対象としない方向で運用するものと考えてございます。
今後の需給状況については、この事業を受けた今後の需給状況についてしっかり注視をして、生乳の生産動向や牛乳・乳製品の消費動向を注視をして、安定供給の確保に努めたいと考えてございます。
○田村(貴)委員 先ほどの農水省前で訴えた酪農家は、来年の夏には足りなくなると。これはもう生産者の実感として訴えられたわけなんです。一旦飼育している牛の数を減らしたら元に戻すのにどれだけの労力と時間を要するか。搾乳まで二年かかると言われています。そもそも、増産とそれから乳量アップ、これを先導して行ってきたのは農水省ではないですか。今になって減らせというのは、これはひどい話だと思います。
生産抑制の一方で、政府は十三万七千トンものバターやホエイなどの国家貿易を行っています。生産抑制とそして輸入、こんなやり方を繰り返していたら、農家の意欲をそいで、そして離農に拍車をかけるだけではありませんか。
大臣と農水省に提案ですけれども、需給における緩和と逼迫が繰り返されてきている、そういう構図を改めて、政府が乳製品の備蓄などによって需給調整を図る仕組みに切り替えていく必要があると思いますが、いかがでしょうか。
○渡邉政府参考人 お答えをいたします。
委員御指摘のとおり、生乳の生産というものは、短期的に、工業製品のように簡単に変えられるかというと、そういうものではございませんので、需要に応じて機動的に生産量を調整することができないということで、長期保存が可能な乳製品に加工することでの需給調整が必要不可欠でありまして、国としては、補給金制度によりその下支えをしてございます。
需要に応じた生産に努めるとともに、需給の季節変動などに応じて的確に需給調整を行うことが重要であると考えてございまして、その意義を酪農家や乳業メーカーにしっかり理解いただくことが必要だと考えておりまして、需給調整の意義を丁寧に説明をして、需給状況などの情報発信に努めたいと思ってございます。
農産物備蓄につきましては、もちろん、国内生産量の減少ですとか、海外における不測の事態の発生による供給途絶に備えるための対応として、主要穀物などでは実施をしてございます。
一方、乳製品につきましては、原料となる生乳が日々生産されることと、それから賞味期限が総体的に短い乳製品を備蓄ということになりますので、それを例えば国がするということですと、なかなか理解が得られる状況にはないというふうに考えてございます。
一方、国としては、乳製品につきましても、需給の調整をするということが必要だと思いますので、まさに在庫低減対策ですとか消費拡大に取り組むこととしておりまして、そういった民間の取組も含めて、農林水産省としてもそういった取組を後押しをしているところでございます。
○田村(貴)委員 畜産局長、需給の安定というのは政府の責任ですよ。
では、少なくとも廃棄が出ないように緊急的な対応はできないのか、もう一つ提案したいと思います。
和牛繁殖も酪農も子牛用の輸入粉ミルクが倍以上に高騰して大変苦慮しています。農水省に伺えば、今余っている乳製品在庫を使用して粉ミルクを提供しているといいますけれども、これは高い輸入価格に合わせているとのことでした。国産の乳製品在庫を活用して、高騰前の価格まで下げて提供することはできないでしょうか。
○渡邉政府参考人 お答えをいたします。
委員の御指摘、子牛用の粉ミルク、いわゆる代用乳ということだと思いますけれども、なかなか国産脱脂粉乳と輸入脱脂粉乳の価格の条件、やはりどうしても国産の方が価格が高いという価格条件にございますので、輸入脱脂粉乳を原料とする代用乳が多く使われていたというような実態でございます。
ですから、そういった中で、国産の脱脂粉乳在庫を低減するという観点から、国産脱脂粉乳を原料とする代用乳が輸入脱脂粉乳を原料とするものと同程度の価格で提供できるように、生産者と乳業者が協調して行っている脱脂粉乳在庫低減のための取組で必要な経費を支援しておりまして、国としても、これを後押しすることで、安い代用乳が提供されるような取組をしているところでございます。
○田村(貴)委員 今の現状を何とか打開するために、廃業、離農、そして、もう本当に愛してやまない酪農をやめざるを得ないという現状を打開するために、私たちも一生懸命提案しているんですよ。できないできないではやはり駄目だと思いますよ。
防衛予算の審議があって、私、財務金融委員会でも言ったんですけれども、建設国債まで使っての議論もある。そして、増税までして工面するという話がある。一方で、国民の大事な食料を確保する生産現場がこれだけ行き詰まって困窮しているのに、ここを打開する方向が見えないじゃないですか。補正予算、たくさん組んでいるんですよ。ちゃんと実効ある対策を積んでいただきたい。これは強く申し上げておきたいと思います。
ちょっと時間がなくなってきたんですけれども、大臣、今日、委員会で、大臣の発信力について質問がありました。私も大臣にお願いしたいと思います。
酪農家、畜産も含めて、極限状態にあります。搾乳するたびに赤字を生み出す状況から一刻も早く抜け出す対策が求められています。これからの季節、牛乳に限って言えば、学校が冬休みになる、そして、続いてお正月を迎える、飲用牛乳の消費量が一番落ち込んでいく季節に入ってまいります。
農水省が、牛乳・乳製品の消費拡大をするために、牛乳でスマイルプロジェクトを行っていることは承知もしています。昨年は、金子農水大臣が牛乳を飲んで、そして消費の拡大をPRしました。そして、年末年始、牛乳・乳製品の購買が増えました。懸念されていた牛乳の廃棄は回避されました。
野村大臣、タイミングとしては私は今だと思います。先頭に立って、生産現場の窮状も説明して、牛乳・乳製品の消費拡大に大臣自らがやはりアピールすべきだと思います。発信力の、それがどうのこうのじゃなくて、やはり大臣の出番だと思います。いかがでしょうか。
○野村国務大臣 発信力の強弱じゃなくて、おまえが出てちゃんと訴えろ、こういう御指摘だと思いますが、おっしゃるように、昨年は、前金子大臣が牛乳を飲むシーンがテレビというかニュースで出てまいりまして、大変そのことがPRになったということは私も思っておりまして、私が飲めばみんな飲んでくれるかなという思いはありますが、やれとおっしゃれば幾らでもやります。毎日私も牛乳を二本ずつは飲んでいますので、そのことはあちこちでも申し上げておるんですが、そういったような形で、今から、おっしゃるように、不需要期に入っていきますので、やはり牛乳の消費については拡大していかなきゃならぬというのは、これは委員がおっしゃるようなことを十分私も感じております。
そのほか、何か、牛乳のいろいろな製品をもう少し拡大して、メーカーの皆さん方が考えていただければな、こんなことも思いますし、これは私の発信力じゃなくて、すばらしい商品を作っていただきたいな、こんなことを思っておりまして、余り、他力本願じゃないんですが、やはりそういうものでもう少し牛乳の消費が伸びる、加工品として伸びていくような、そういうものの開発というのも必要ではないか、こんなふうなことを思っております。
○田村(貴)委員 やはり農林水産大臣自らが牛乳を飲んで、そしてメディアも通じて国民、消費者に理解を求めてアピールするというのは、それは大きな力があると私も思います。先頭に立っていただきたいと思います。
質問をもう一つ予定しておったんですけれども、時間がなくなりました。
和牛遺伝資源流出防止対策緊急支援事業、農家の方が大変ありがたがっていますけれども、これが今年で終了する。この延長を求めて、今日の質問を終わります。
――――◇―――――
○笹川委員長 この際、武部新君外六名から、自由民主党、立憲民主党・無所属、日本維新の会、公明党、国民民主党・無所属クラブ、日本共産党及び有志の会の七派共同提案による令和五年度畜産物価格等に関する件について決議すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を聴取いたします。山田勝彦君。
○山田(勝)委員 ただいま議題となりました決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。
案文の朗読により趣旨の説明に代えさせていただきたいと存じます。
令和五年度畜産物価格等に関する件(案)
我が国の畜産・酪農経営は、依然として担い手の高齢化、後継者不足が進行しており、特に、中小・家族経営における経営の継続を困難なものとしている。こうした事態に対応するためには、生産基盤をより一層強化する取組や次世代に継承できる持続的な生産基盤を創造する取組の継続が重要である。
このような中、ウクライナ情勢等に伴う穀物価格の上昇等による配合飼料等の資材価格の高騰や、新型コロナウイルス感染症等による需要の減少は、畜産・酪農経営に対し営農継続が危ぶまれるほどの甚大な影響をもたらしている。特に、飼料価格の高騰は、飼料自給率の低い我が国において食料安全保障に関わる問題であることから、飼料の輸入依存からの脱却を目指すとともに、畜産・酪農経営の安定を図り、営農継続の意欲を維持し、高めていくことが重要な課題となっている。
よって政府は、こうした情勢を踏まえ、令和五年度の畜産物価格及び関連対策の決定に当たり、左記事項の実現に万全を期すべきである。
記
一 配合飼料価格の高騰による畜産・酪農経営への影響を緩和するため、配合飼料価格安定制度を安定的に運営し、配合飼料価格の高止まりによる生産者の負担増加を抑制するための対策を着実に実施するとともに、今後の畜産・酪農経営の動向を見定め、離農・廃業を回避できるよう必要に応じて追加の対策を講ずること。また、耕畜連携による飼料用とうもろこし等の国産飼料の生産・利用の拡大、飼料用米、稲発酵粗飼料の生産・利用の推進、草地等の生産性向上、稲わら等の国産粗飼料の広域流通等による国産飼料に立脚した畜産・酪農への転換を強力に推進し、飼料自給率の向上を図ること。加えて、飼料穀物の備蓄をはじめとする配合飼料の安定供給のための取組を支援すること。
二 配合飼料に加え、単体の濃厚飼料、購入粗飼料の価格高騰等により、生産コストが上昇している酪農・畜産経営を支援する施策を講ずること。また、新型コロナウイルス感染症等による需要の減少で乳製品在庫が高水準にある中、生乳の需給ギャップを早期に解消するため、生産者による一定期間における生産抑制への取組、国産チーズの競争力強化、生産者団体・乳業者による乳製品の在庫対策を支援すること。その際、生産者の経営継続、所得の安定、将来的な生産力回復に配慮すること。さらに、牛乳・乳製品の消費拡大に取り組むこと。
三 高病原性鳥インフルエンザ、豚熱の感染拡大防止は、現下の家畜伝染病の防疫上、最重要課題である。そのため、各種対策を強力に推進し、農場における飼養衛生管理基準の遵守の徹底を図り、感染リスクを低減させる取組を支援すること。また、アフリカ豚熱等の家畜伝染病の流入防止のため、水際での防疫措置等の発生予防対策を徹底すること。さらに、これらの措置を着実に進めるため、地域の家畜衛生を支える家畜防疫員や産業動物獣医師の確保・育成を図るとともに、豚熱の予防的ワクチン接種体制を強化すること。
四 加工原料乳生産者補給金については、飼料等の資材価格の高騰を踏まえ、中小・家族経営を含む酪農経営の維持が可能となるよう単価を決定すること。集送乳調整金については、輸送環境が急速に悪化していること等を踏まえ、条件不利地域を含めて確実にあまねく集乳を行えるよう単価を決定すること。また、総交付対象数量については、新型コロナウイルス感染症等による需要の減少を踏まえつつ、国産乳製品の安定供給が図られるよう適切に決定すること。
五 肉用子牛生産者補給金制度における保証基準価格等については、中小・家族経営を中心とする繁殖農家の経営努力が報われ、営農意欲が喚起されるよう、生産コストの動向等を踏まえ再生産の確保を図ることを旨として適切に決定すること。また、肉用子牛の価格が短期間で大幅に下落し、生産者の経営環境が急激に悪化していることに鑑み、肉用子牛生産者の経営改善を支援すること。さらに、肉用牛生産基盤の維持・強化を図るため、優良な繁殖雌牛の導入、和牛受精卵を活用した和子牛の生産等酪農経営と肉用牛経営の連携等の取組を支援すること。
六 経済連携協定等が、我が国の畜産・酪農経営に与える影響について、統計データ等を常に注視し、分析を行い、これを公表すること。また、関税削減や日米貿易協定に基づく牛肉セーフガードの見直し等に対する生産者の懸念と不安を払拭し、生産者が経営の継続・発展に取り組むことができるよう、実効ある経営安定対策を講ずること。その際、実施した施策の効果を検証し、適宜必要な見直しを行うこと。
七 畜産・酪農経営における経済性や採算性の分析を不断に行い、大規模化の効果やリスク、飼養形態・飼養規模の在り方などを検証し、現場と情報の共有を図ること。
八 中小・家族経営をはじめとした地域の関係者が連携し、地域一体となって収益性の向上を図る畜産クラスターについて、引き続き、現場の声を踏まえた事業執行に努めつつ、飼料増産や収益性向上等に必要な機械導入や施設整備、施設整備と一体的な家畜導入等を支援すること。また、既往債務が畜産・酪農経営に与える影響に鑑み、償還負担の軽減に向けた金融支援措置が十分に活用されるよう、その周知徹底を図ること。さらに、乳業工場・食肉処理施設の再編整備及び機能強化等を支援すること。
九 酪農経営の労働負担の軽減のため、飼養方式の改善、機械化、育成の外部化を支援するとともに、特に中小・家族経営にとって不可欠な存在である酪農ヘルパーについては、その要員の育成や確保、傷病時の利用料金の軽減等のための支援を行うこと。また、ICTやロボット技術の活用等により生産性の向上と省力化を図るとともに、後継者による継承や新規就農の推進のための取組を強力に支援すること。
十 国際社会において、SDGsに基づく環境と調和した持続可能な農業の促進が求められていることを踏まえ、持続的な畜産物生産に向けた家畜ふん堆肥の利用推進や高品質化、家畜排せつ物処理施設の機能強化等の温室効果ガス排出量の削減に資する取組を支援すること。また、畜産GAPの普及・推進体制の強化を図るための指導員等の育成やGAP認証取得等の取組を支援するとともに、アニマルウェルフェアに配慮した家畜の飼養管理の普及を図ること。
十一 家畜能力等の向上を図る取組を一層支援すること。また、関係者の長年の努力の結晶である和牛遺伝資源の厳格な流通管理及び知的財産としての価値の保護を確実に実施すること。
十二 畜産物の輸出促進を図るため、畜産農家・食肉処理施設等・輸出事業者が連携した産地のコンソーシアム化、コンソーシアムと品目団体との連携による販売力の強化等を進めるとともに、国産畜産物の需要の増加に対応できる生産基盤の構築や輸出対応型の処理加工施設の整備に取り組むこと。
十三 原発事故に伴う放射性物質の吸収抑制対策及び放射性物質に汚染された稲わら、牧草等の処理を強力に推進すること。また、原発事故に係る風評被害対策に徹底して取り組むこと。
右決議する。
以上です。
何とぞ委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
○笹川委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○笹川委員長 起立総員。よって、本件は本委員会の決議とするに決しました。
この際、ただいまの決議につきまして農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産大臣野村哲郎君。
○野村国務大臣 令和五年度畜産物価格等に関する件に対する発言をいたします。
ただいまの御決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。
○笹川委員長 お諮りいたします。
ただいまの決議の議長に対する報告及び関係当局への参考送付の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○笹川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時四十六分散会