第5号 令和5年3月29日(水曜日)
令和五年三月二十九日(水曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 笹川 博義君
理事 あべ 俊子君 理事 武部 新君
理事 若林 健太君 理事 渡辺 孝一君
理事 近藤 和也君 理事 緑川 貴士君
理事 足立 康史君 理事 庄子 賢一君
東 国幹君 五十嵐 清君
伊東 良孝君 泉田 裕彦君
上田 英俊君 江藤 拓君
加藤 竜祥君 小寺 裕雄君
坂本 哲志君 高鳥 修一君
西野 太亮君 平沼正二郎君
細田 健一君 宮下 一郎君
保岡 宏武君 山口 晋君
梅谷 守君 金子 恵美君
小山 展弘君 佐藤 公治君
篠原 孝君 山田 勝彦君
渡辺 創君 池畑浩太朗君
掘井 健智君 稲津 久君
角田 秀穂君 長友 慎治君
田村 貴昭君 北神 圭朗君
仁木 博文君
…………………………………
農林水産大臣 野村 哲郎君
農林水産副大臣 野中 厚君
文部科学大臣政務官 伊藤 孝江君
農林水産大臣政務官 角田 秀穂君
国土交通大臣政務官 古川 康君
政府参考人
(農林水産省大臣官房総括審議官) 杉中 淳君
政府参考人
(農林水産省大臣官房技術総括審議官)
(農林水産技術会議事務局長) 川合 豊彦君
政府参考人
(農林水産省消費・安全局長) 森 健君
政府参考人
(農林水産省輸出・国際局長) 水野 政義君
政府参考人
(農林水産省農産局長) 平形 雄策君
政府参考人
(農林水産省畜産局長) 渡邉 洋一君
政府参考人
(農林水産省経営局長) 村井 正親君
政府参考人
(農林水産省農村振興局長) 青山 豊久君
政府参考人
(林野庁長官) 織田 央君
政府参考人
(水産庁長官) 神谷 崇君
政府参考人
(水産庁資源管理部審議官) 高瀬美和子君
政府参考人
(資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長) 井上 博雄君
農林水産委員会専門員 飯野 伸夫君
―――――――――――――
委員の異動
三月二十九日
辞任 補欠選任
梅谷 守君 篠原 孝君
北神 圭朗君 仁木 博文君
同日
辞任 補欠選任
篠原 孝君 梅谷 守君
仁木 博文君 北神 圭朗君
―――――――――――――
三月二十八日
合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三一号)
同月十六日
家族農業を守り、食料自給率の向上を求めることに関する請願(佐藤公治君紹介)(第三八九号)
同(山田勝彦君紹介)(第三九〇号)
同(渡辺創君紹介)(第三九一号)
同(赤嶺政賢君紹介)(第四六二号)
同(笠井亮君紹介)(第四六三号)
同(穀田恵二君紹介)(第四六四号)
同(志位和夫君紹介)(第四六五号)
同(塩川鉄也君紹介)(第四六六号)
同(田村貴昭君紹介)(第四六七号)
同(高橋千鶴子君紹介)(第四六八号)
同(宮本岳志君紹介)(第四六九号)
同(宮本徹君紹介)(第四七〇号)
同(本村伸子君紹介)(第四七一号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三一号)
農林水産関係の基本施策に関する件
――――◇―――――
○笹川委員長 これより会議を開きます。
農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房総括審議官杉中淳君、大臣官房技術総括審議官・農林水産技術会議事務局長川合豊彦君、消費・安全局長森健君、輸出・国際局長水野政義君、農産局長平形雄策君、畜産局長渡邉洋一君、経営局長村井正親君、農村振興局長青山豊久君、林野庁長官織田央君、水産庁長官神谷崇君、水産庁資源管理部審議官高瀬美和子君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長井上博雄君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○笹川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○笹川委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。長友慎治君。
○長友委員 おはようございます。
今日は、バイオマス発電、特に、木質バイオマスにつきまして質問をさせていただきたいと思っております。
ロシアによるウクライナ侵攻、カーボンニュートラルをめぐる動向など情勢が大きく変化する中で、世界各国、エネルギーの安全保障の重要性が高まっています。
欧米各国では、エネルギー分野のロシアへの依存度の低減やエネルギー自給率の向上に向け、引き続き再生可能エネルギーの導入拡大を目指しています。
日本も、東日本大震災以降の懸案である電力需給逼迫とエネルギーコストの高騰が、ウクライナ危機や円安の進行等によって一層深刻化している状況です。電気代の高騰が国民生活や産業の国際競争力等に多大な影響を及ぼしていることは周知のとおりです。
二〇五〇年までにカーボンニュートラルを実現すると宣言した日本ですが、資源に乏しい我が国は、エネルギーの供給のうち、石油、石炭、天然ガスなどの化石燃料が約七五%を占めています。そのほとんどを海外に依存しているという状況です。日本のエネルギー自給率は約一二%、これは先進国の中でも極めて低く、エネルギー資源のほとんどを海外からの輸入に頼っているわけです。
一方で、再生可能エネルギーは、国産のエネルギー源であるために、エネルギー自給率の改善にも寄与することができます。日本の再生エネルギーの電力比率は約二〇%前後ですので、そのうち三、四%がバイオマス発電という内訳になっております。
そこで、私の課題認識を質問していきたいと思うんですが、木くずや家畜の排せつ物などを燃料に使うバイオマス発電は、天候に影響されない安定した発電量を確保できるという特徴から注目を集めております。バイオマス資源はCO2を吸収して成長しますので、京都議定書においてもバイオマス発電は実質的にCO2を排出しないものとされていますので、これからますます力を入れていきたいところなのですが、日本国内で木質バイオマス発電用の燃料が足りない状況が続いています。樹木の伐採や造材のときに発生した枝葉などの林地残材、また、製材工場などから発生する樹皮やのこくず、住宅の解体材や街路樹の剪定した枝などの木材から成る木質バイオマス発電を今後伸ばしていくために、燃料の安定供給が不可欠です。
農林水産省は、この木質バイオマス発電用の燃料不足について、供給不足を具体的に把握しているかどうか、まずは伺います。
○織田政府参考人 お答えいたします。
木質バイオマス発電につきましては、近年、発電施設の増加ですとか、合板、製紙等向けの需要との競合、さらには円安等による輸入燃料の調達コストの上昇等によりまして、計画どおり燃料材が調達できないといった声があるということは承知をしてございます。
業界団体が本年一月に発電事業者向けに行ったアンケート調査によりますと、燃料調達や燃料価格の高騰が原因で計画どおりに稼働できていないとする事業者が全体の一七%ほどあったというふうに承知をしているところでございます。
○長友委員 お答え、ありがとうございます。
先ほど業界ということでおっしゃいましたけれども、日本木質バイオマスエネルギー協会によりますと、木質バイオマス発電用の燃料調達が難しくなると見通した発電所が六割を超えています。燃料が調達できずに一時的に休止した発電所も出ているという状況になっています。
エネルギー資源が乏しい我が国におきまして、木質バイオマス発電は国産電力として期待は大きいわけでございます。化石燃料を使わないことから地球温暖化対策にもつながり、着実に育てていきたい分野だと思っています。間伐材や製材に使えない細かい木や枝葉、また、林地に残した切り株、製材時の残材など、未利用の木材を有効活用できるわけですが、私の地元でも原料の奪い合いが起きているという状況です。
是非、木質バイオマス発電用の燃料を安定的に供給しやすい環境をつくるための政府の予算措置をお願いしたいのですが、現状どのような取組を行っているのか、伺います。
○織田政府参考人 お答えいたします。
木質バイオマス発電の原料の調達に向けて、安定供給、これに向けましては、利用率が低位にとどまっています、委員御指摘のあった林地残材、これの活用が非常に重要であるというふうに認識をしてございます。
このため、燃料材を安定的に供給しやすい環境整備に向けまして、一つは、移動式チッパーなどの、林地残材の効率的な収集、運搬に資する、そういう機材の導入支援を行っております。また、燃料の節約に資するチップ乾燥技術の開発等の支援等も行っているところでございます。
また、令和五年度の予算におきましては、新たに、燃料材の効率的な生産システムに関する調査なんかも支援をしていきたいというふうに考えてございます。
木質バイオマスの効率的、安定的な供給を推進していきたいというふうに考えてございます。
○長友委員 ありがとうございます。
木質バイオマスの利用促進につきましては、手だてはしていただいているというふうに聞いてはいるんですけれども、現状、足りていないという状況が事実なわけでありまして、そこに対するまたもう一歩踏み込んだ取組をしていただかないと、再生可能エネルギーの中の木質バイオマスの割合というものはなかなか増やしていくことは難しいのかなというふうに懸念をしているところでございます。
それで、先ほど、発電所が稼働を止めたという話をさせていただきましたが、特に大型の発電所は海外からの原料の輸入に頼っているという状況がございます。
内訳などを見ますと、例えば、発電用の燃料に海外のヤシ殻を使っていたり、また木材チップやペレットも使われているというふうに見られていますが、これらの中に、昨今、海外からの輸入が難しくなっている状況もありますが、それに加えて、違法伐採由来のものが利用されているということもあるのではないかという指摘もございますが、こちらについて、ヤシ殻については資源エネルギー庁の管轄だと思いますが、木材チップやペレットについては農林水産省に、そのようないわゆる違法伐採由来のものがないのかどうかについて伺いたいと思います。
○井上政府参考人 お答え申し上げます。
バイオマス発電の安定的な運営には、使用する燃料を長期にわたって安定的に調達することが重要でございまして、再生可能エネルギー、再エネ特措法の下で行いますバイオマス発電事業につきましては、FIT、FIPの認定に当たりまして、経済産業大臣が、使用する燃料の持続可能性、合法性を確認することとしております。
具体的には、委員御指摘のパームヤシ殻、あるいはパームトランク、こうしたものを含む、農産物の収穫に伴って生じるバイオマスにつきまして、発電事業者は、第三者認証によって持続可能性や合法性が認証された書類の交付を受けまして、FIT、FIP認定の申請時に提出することとしております。
さらに、持続可能性を担保する第三者認証の名称であるとか、発電所で使用した燃料の量等につきまして、自社のホームページで情報公開することを求めてございます。
再エネ特措法に基づく支援を行っているバイオマス発電におきまして、農産物の収穫に伴って生じるバイオマスについては、持続可能性、合法性が確認できない燃料がFIT、FIPに基づく発電に使用されている事実は現時点では確認されておりません。
○織田政府参考人 失礼します。
今ほど話もありましたけれども、輸入木質バイオマスに係る発電事業を行う場合のFIT制度の認定申請に当たりましては、合法性等が証明された木材等を用いているということを証明することが必要とされているところでございます。
具体的には、林野庁の方で策定いたしました「木材・木材製品の合法性、持続可能性の証明のためのガイドライン」というものにおいて定めております三つの方法、一つは、第三者機関による森林認証制度等を活用した証明方法、もう一つは、森林・林業・木材産業関係団体の認定を得て事業者が行う証明方法、さらに、個別企業等の独自の取組による証明方法のいずれかによって確認をすることとされております。
そういうことでございますので、輸入木質のチップですとかペレットに違法なものはないものというふうに考えてございます。
○長友委員 ありがとうございます。
木質ペレットにしろ、パームヤシなどについて、第三者認証をしっかりやっているということで、引き続き監視等に取り組んでいただきたいとは思うんですけれども、そもそも、海外から輸入するというものに関しては、国際的な資源価格の変動の影響も大きく受けます。加えて、輸入に対するCO2の排出も起こりますので、バイオマスの資源輸出国においては、さらに、認証しているということでありましたけれども、疑いとして、森林伐採のことという部分に関しては、やはりCO2排出に対する影響があることは分かっているわけですね。
さらに、今、パーム油については、インドネシア、マレーシアなどで農場で児童労働も行われているということも指摘をされておりますので、その点における持続可能性、それから人権デューデリジェンスに配慮というものをしっかりと行っていただきたいと思っております。
国産の木質燃料の導入を引き続き促進をしていただきたいんですけれども、燃料の生産から販売までの流れの全体を基本的には低コスト化していかないと、なかなか更なる割合を増やしていくことは難しいのかなと感じているところでございます。
また、木質バイオマス発電を国産エネルギーとして転換していくというためには、国内の未利用木質資源を効率的に運搬、収集する体制の構築も必要不可欠だと考えますが、政府の見解を伺います。
○織田政府参考人 お答えいたします。
木質バイオマスのエネルギー利用につきましては、委員御指摘のとおり、林業の活性化、地域雇用の創出への寄与、あるいは、エネルギー自給率や災害時等のレジリエンスの向上、さらには、二酸化炭素の排出削減等にも貢献するということで、基本的には、推進していくべきものというふうに考えてございます。
そういった中で、今後とも、未稼働の木質バイオマス発電施設が今後も稼働していくということでございますので、燃料材の需要は増加すると見込まれます。まだそういう状況がございますので、引き続き、特に利用率が低位にとどまっている国産の未利用材の更なる活用を進めることが重要だというふうに考えてございます。
このため、先ほども申し上げましたけれども、移動式チッパーなどの林地残材の収集、運搬の効率化に資する機材の整備ですとか、あるいは燃料の節約に資するチップ乾燥技術の開発等への支援、そういったものに加えまして、枝条、枝とか、そういったものも活用できる全木の集材方法による素材生産への支援ですとか、あるいは搬出に必要な路網整備なども総合的に推進することによりまして、国内の燃料材の低コストかつ安定的な供給体制の整備に努めてまいる考えでございます。
○長友委員 ありがとうございます。
発電に用いられるバイオマスですけれども、大型のバイオマス発電所では海外から輸入された木質ペレットなどのバイオマス燃料が用いられ、小型のバイオマス発電所では家畜の排せつ物や林地残材、また地域資源などが用いられる傾向があるのかなというふうに考えております。
課題は、バイオマス資源がそれぞれの地域に分散しているということでありますし、あと、発電所が小規模分散型の設備になりがちであってコストがかかるということでございますので、その点、戦略として、どこにしっかりと投資していくかということを考えていただいて、バイオマス発電の割合を増やしていただきたいと思います。
以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。
○笹川委員長 次に、仁木博文君。
○仁木委員 有志の会の仁木博文です。
今日は、十分の時間をいただきまして、質問したいと思います。
まず、学校給食の話でございますが、主食をお米にするのかパンにするのかによって食材もいろいろ変わってきまして、特に私は、従来の和食、大切なことだと思っています。
私は産婦人科医師ですけれども、健康になっていく上でやはりそういったことが大切という前提で、学校給食の、例えば今、国産のものの食材を推進して将来的には九〇%ということを目指すことでございますが、今日、文科省の方にもお越しいただきまして、ありがとうございます。実際の取組ですね。特に、例えば子供さんのニーズ、こういったメニューがいいなとか、そういったことを拾っていって、それをまたレシピで反映していくというようなことは実際あるんでしょうか。お願いします。
○伊藤大臣政務官 お答えいたします。
文部科学省におきましては、献立作成や食材の選定につきまして、栄養教諭や保護者などにより構成される委員会等を設置し、関係者の意見を尊重するよう促しており、学校設置者において地域の実情に応じた対応が行われているものと承知をしております。その中で、栄養教諭が生徒たちとも会話をしていく中で、子供たちの感想であったり、いろいろな意見を聞いたりして取り入れていくということも含めて、しているということも承知をしております。
学校給食は、食に関する指導を効果的に進めるための生きた教材であり、地場産物を学校給食の食材として活用することは、子供たちの食に関する理解を深めるために大変有効であると考えております。
このため、令和五年度予算におきましても、学校給食における地場産物の使用に当たっての課題を解決するための経費を支援する予算を計上しておりまして、こうした事業を活用し、学校給食における地場産物の活用を促進してまいります。
○仁木委員 ありがとうございます。
私も、学校給食というのは、いろいろと楽しい時間であるべきなんですけれども、昔に比べて大分変わっているんでしょうけれども、例えば、そういう楽しい時間であるため、そういうことが続くことも、健康に寄与するのみならず、食育ということにもつながっていくんだろうなと思います。
そこで、私は、個人的には、今まで給食費となると、いろいろ保護者の負担の問題もあって安く抑えられていたわけでございますけれども、この際、やはり子供中心の政策、こどもまんなか政策ということでおっしゃるならば、やはりこの給食、学校に行っている以上、あるいは通園している以上、一日一回あるわけでございますので、それを友達と共有、シェアしていく、そういう中で、やはりある程度の価格を取った方がいいんじゃないかということを申し上げておきたいと思います。
今、物価高、そして、この委員会でも議論されていると思いますが、農家の方がそういう農産物を作る際の肥料や飼料、あるいは、例えばそういうプラットフォームの資材、これが上がっていまして、価格にどうしても反映されなきゃいけなくなっています。そういったところに対する対策、これは通告していましたので、文科省の方、そして農林水産省の方でもお答えいただきたいと思います。よろしくお願いします。
○伊藤大臣政務官 お答えいたします。
今般の食材費の高騰につきましては、地方創生臨時交付金を活用した保護者負担軽減に向けた取組を促し、ほとんどの自治体において取組が進んでおります。三月二十二日に、政府の物価高騰に対する追加策として、地方創生臨時交付金の電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金が増額をされました。引き続き、物価高騰による学校給食費の保護者負担の軽減支援が推奨事業メニューに位置づけられたところでもあります。
文部科学省としては、その周知と積極的な臨時交付金の活用を促し、各自治体における学校給食費の保護者負担軽減に向けた取組を後押しをしてまいります。
○青山政府参考人 農林水産省におきましては、地場産物の学校給食への利用を促進するため、直接の費用の負担等はしておりませんけれども、給食現場と生産現場の間の意見を調整する地産地消コーディネーターの派遣ですとか、地場産物を使ったメニューの開発などに対して支援をしているところでございます。
○仁木委員 ありがとうございます。
いずれにしましても、今は厳しい環境ですし、特に地場産のものということであるならば、本当にその小学校や地域の農家の方が作っている食材をその地域の学校に通う子供が食べていく、そういうことも究極の食育ではないかと思いますので、そのことも併せて、文科省の方、またよろしくお願いしたいと思います。
次の質問ですけれども、みどりの食料システム戦略についてお尋ねしたいと思います。
文科省の方はお帰りになっていただいて大丈夫です。
SDGs、CO2のゼロエミッションを目指してこういった戦略を練られているということでございますが、私も実際、徳島県、プラットフォームでいうと、農地がたくさんあるところでございますが、この施策、こういった事業が普及されていないわけでございます。もちろん始まって間もないというのもありますけれども、できれば、これは本当に内容を見るといい内容でございますので、やはりお願いしたいと思います。
そのことと、あともう一点は、今いろいろな行政的に伴走支援という言葉があります。この事業内容のことに関して、事業内容プラス、こういった伴走支援、特に、この内容の中で具体的に言うと、有機農業の話があります。
例えば、堆肥を作ってそれで、今、地元で、シイタケがあるんですけれども、生シイタケの菌床を使って堆肥化して、その堆肥で土地を軟らかくして、それでより収量の高い、そして、堆肥は細胞の壁になります、セルロースになっていきますので、より農薬を使わなくていいような有機農産物ができるわけでございますけれども、そういったことに対する伴走支援、これをより進めていっていただきたいと思いますけれども、広報のことと併せてお答えいただきたいと思います。
○角田大臣政務官 まず、予算措置についてでございますけれども、農林水産省では、令和三年度補正予算から、みどりの食料システム戦略推進交付金を措置をいたしまして、都道府県を通じて広く公募をいたしまして、これまでに全国で三百を超える地区において、有機農業の産地づくりやグリーンな栽培体系への転換等の取組を支援をさせていただいております。
また、みどりの食料システム戦略の策定以降、本省、そして、特に地方農政局を挙げて、現地まで出向いて、これまで生産者を始めとする様々な関係者に対して二万回を超える意見交換や説明会等を実施しまして、この中で、予算措置についても丁寧に説明をさせていただいているところです。
みどりの食料システム法に基づく認定制度と農林水産予算との連携を図るなどして、みどり戦略の実現に向けた取組を多くの方に知っていただき、更に後押しできるよう、現場への一層の周知を進めてまいります。
○仁木委員 最後に、野村大臣、この間、私は、分科会も含めて、市街化区域外の農地、いわゆる調整区域内農地のことについて質問しております。つまり、地方の水田、西日本の特に耕作面積のちっちゃい水田がもう危ない。これは、危ないというのは、どんどんと耕作放棄地になってしまうんじゃないか、担い手がいないという問題ですね。
大臣、この前の分科会のときにおいては、お米にはもう需要の伸びがないから転作をするということをおっしゃいました。その中で、そういった農地のマッチングにおいても農地バンクの活用ということをおっしゃったわけでございますけれども、実際、この辺の取組は都道府県の方にお任せという形でございますが、国ももう少し、地域地域の実情に合わせていろいろなアドバイス、特に農家の方というのは、一度始めた農産物、同じような手法で、来年も来年も、次の年もやっていく、採算が悪くともやっていく。
実際、お米がそういう事例でございまして、まさにこれは、今、農家としてなりわいとして成り立っていかない状況の中でこういったことをお進めになるということを答弁されましたけれども、実際、その土地の利活用、耕作放棄地に対する対策も含めて、今後のそういったところのお考えをお示しいただきたいと思います。
実は、私の同志の北神議員もこの農林水産委員会の委員でございますけれども、農地は重要土地であると。本当に大切な土地で、外国人に買われたりすると困るわけですね。これは水源もそうでございますけれども。そのことも併せてお答えいただきたいと思います。日本の地方が危ないです。
○笹川委員長 時間ですので、答弁は簡潔に。
○野村国務大臣 仁木委員にお答え申し上げます。
今、農地をどうするかということが、作物を何を植えるかももちろん大事なんですが、今は、先ほど委員がおっしゃいましたように、農地をどう守っていくのかということが最重要課題になってきておりまして、今年から人・農地プランを各農業委員会を通じまして作ってもらうようにしております。もう既に始まっておりますけれども。
従来も人・農地プランというのはあったんですけれども、私はよく言っていたんですが、魂が入っていないと。ただ役場が作っただけでは、これは補助事業を受けるための手段としてやっている、失礼ながら、そういうところもあった、だから、もう一遍この人・農地プランを見直そうじゃないかということで、話合い活動をやってほしいと。
これはもう私も自分で実体験をいたしまして、非常にそういうものが、地域の中で、地域の人たちが一番地域の農地を心配しておりますので、皆さんで知恵を出してもらえればすばらしい知恵が出てくるということを、私は自分で実体験として感じておりますので、是非、やはりこの人・農地プランでもって話合い活動をまずやってくれ、個々の地域の、集落の農地をどうするかということからスタートしてほしいということをいつも申し上げております。
幸いにして、この前、農政局長会議をやりましたら、九州農政局長の方からそういった報告がありまして、まずは、きっかけはこの人・農地プランの話合い活動からやっておりますという報告を受けたんですけれども、これはやはりきちっとマニュアルに基づいてやってくれているなということを理解いたしましたので、是非これを進めていきたい、こんなふうに思っております。
○仁木委員 ありがとうございました。
終わります。
○笹川委員長 次に、稲津久君。
○稲津委員 おはようございます。公明党の稲津でございます。
まず、大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。
昨日、閣議決定で、いわゆる追加の物価高騰対策が決定をされました。そのうち農業関係は一千三百十億円というふうに承知をしておりまして、とりわけ飼料価格高騰対策などが盛り込まれていると。
大臣に、この閣議決定について、大臣としてどのような思いでこれを受け止めていらっしゃるか、そのことをまずお伺いしたいと思います。
○野村国務大臣 お答え申し上げたいと思いますが、特に、物価高騰対策の中でも飼料対策というのが一番の私どもにとっては重たい話でありました。
これは、何次にもわたって、数次にわたって飼料対策を講じてきたわけでありますので、総理の方からも、要は、この一月から三月いっぱいまでの飼料対策については激変緩和措置を講じなさいというのが一つ。
それからもう一つは、四月以降の分についてはまだ何の方向も出していませんので、これについていきますと、やはり高止まりしていると基金の発動というのが非常に厳しくなってくる。厳しいというのは、当てはまらなくなって、発動がなくなっていくんじゃないか、あるいはあっても薄いんじゃないかというのがありまして、これについても特例的なものを考えろというのが総理指示でありました。
それからもう一つは、やはり、外国の粗飼料が、乾燥牧草が非常に高くなっておるものですから、これについても何らかの対策を講ずるべきではないか。
こういった三つの餌対策について総理の方からも指示があったものですから、内部で、役所の方で検討しておりまして、餌対策については、それまで、昨年の十月から十二月までは六千三百五十円を八千五百円に引き上げましたし、それから、一―三については、一月から三月までのものはまだ数字は固まっておりませんけれども、特別に何らかの対策を講じていこうと。
それからもう一つは、粗飼料対策として、前回もやりましたけれども、北海道が七千三百円か、それから都府県が一万円、さらには、もう一つ加えておきますと、粗飼料対策としては今申し上げましたが、単味飼料を使っている方には一切今まで対策を講じたことがありませんでしたが、これについては、トウモロコシを中心に、トン当たり千二百円というのを初めて今回措置したようなことでございます。
したがって、まだ四―六以降のことについては、今後のトウモロコシ等、あるいはまた為替相場との関連も踏まえながら検討を重ねていきたいと思っております。
いずれにしても、この餌対策をどうするかということが最重要課題でございますので、今後とも引き続き検討をさせていただきたいと思っております。
○稲津委員 ありがとうございました。
具体的に伺ってまいります。
まず、今の餌に関連しますけれども、畜酪関係について伺いたいと思っていますが、三月十八日に札幌市内でJAグループ北海道主催の北海道酪農・畜産危機突破緊急大会が開催されまして、私も参加をいたしまして、厳しい経営状況の思いを共有したところでございます。そして、全参加者の総意をもって、国に対して経営維持に向けた万全の対策を求める緊急決議が採択されました。
現下、酪農、畜産を取り巻く情勢が厳しいことから、政府の対策をやはり実効性のあるものにしていただきたい、こういう思いが非常に強くて、私ども公明党といたしましても、先日、大臣に特に酪農、畜産に関係して申入れをさせていただきました。その上で昨日の閣議決定になったということで、私も一定の評価はしたいというふうに思っております。
そこで、まずチーズについて伺いたいんですけれども、これは、海外からのチーズの年間輸入量三百六十万トン、国産チーズの年間国内消費量四十万トンということで、これは素人考えですけれども、これが置き換われば随分酪農を取り巻く状況は変わるんだろうということなんですが、この国産チーズの消費、生産拡大、期待をしていきたいと思うんですが、問題はやはり価格問題ですね。
価格でいうと、やはり、生乳価格でいっても、国産のものについては輸入物に比べてチーズ向けは随分差が開いている。これは、平成二十五年ぐらいまでは、EUあるいはニュージーランド、オーストラリアのものと比べて国産のものもそんなに価格の差はなかった。ここに一つやはり考えていくべきことがあると思うんですが、この価格差がどうして生じてきたのか、また解消する方途がないのか、この点についてお伺いをさせていただきたいと思います。
○渡邉政府参考人 お答えをいたします。
先ほど大臣から答弁がございましたように、第三・四半期の配合飼料価格への補填はトン当たり六千七百五十円で、第四・四半期が特別対策で八千五百円でございますし、酪農関係は、一頭当たりの購入粗飼料の関係は、都府県で一万円、北海道が七千二百円、一頭当たりでございます。
今お尋ねのチーズの価格差でございますが、国産チーズと輸入チーズの価格差でございますけれども、原料となる生乳価格ですとか乳業メーカーの製造コストの差に加えまして、時々の為替や国際乳製品相場などの動向により生じているものと認識をしてございます。
また、もちろん、チーズの生産コストの大部分は生乳の価格でございます。チーズの輸出国の生乳価格については、時々の為替や国際的な乳製品の需給動向等で大きく変動しつつも、大体一定の水準の中で変動をしてきたところでございます。
一方、国産のチーズ向けの生乳価格でございますが、これも輸入品の価格動向を踏まえて変動してきましたけれども、近年は、生乳生産量の減少ですとか生産コストの高騰を踏まえまして、生産者団体が乳業メーカーと乳価交渉を行いまして、チーズ向けの生乳価格も上がってきたという結果、価格差が拡大してきた面があるというふうに認識をしてございます。
○稲津委員 価格差は分かったんですけれども、やはり国内のチーズの需要というのは伸びているという、これが言われます。コロナが感染拡大した中で、牛乳の消費量というのは落ちたと言われていますが、チーズの消費量は落ちていない。これはポイント、私はそういうふうに認識していますけれども、農水省によると、国内のチーズの消費量は二〇二一年時点で三十五万四千五百トン、十年前に比べて三割以上増しているわけですね。
そういうことを考えていくと、この消費を更に拡大していくというものも一つのキーワードだと思っています。北海道でも、やっぱり道産Do!チーズプロジェクトというのをやっていまして、鈴木直道知事が、ピザの試食会を開いたりとか、道産チーズの呼びかけをしているということで、魅力呼びかけ、こんなことで、国産チーズに輸入チーズから置き換えていくようなプロジェクトもしっかり進められているという現実を踏まえたときに、やはり国としてもこの消費拡大について何らかの手を具体的に打っていくべきかと思いますけれども、大臣の見解を伺いたいと思います。
○野村国務大臣 稲津委員の御質問にお答えします。
確かに、国産チーズの消費は伸びていることは確かでございます。TPPの頃だったと思うんですが、あのときにも、相当チーズの消費が伸びていくという数字がTPPの交渉のときにも示されました。
確かに消費は伸びておるんですけれども、非常に内外価格差が大きい。いわゆる外国のものと日本のものと比べると、やはり価格的に日本のものが高い、こういうことになっております。ですから、単純に、付加価値の高い国産チーズをやっていかないと、輸入品と価格で対抗するということは、なかなかこれは難しい状況だと思います。
ですから、付加価値の高い国産チーズの生産量を増やしていくことが重要だということで、我が省としては、国産チーズの品質向上や、あるいはブランド化ということに力点を置いた支援を今現在行っているところでございまして、今委員もおっしゃいましたように、今の、チーズの生産を増やせばいいという形ではなかなか難しさがある、こんなふうに思っておりますので、できるだけ高級なチーズを、日本の場合はできるわけでありますから、そういうものを作っていただいて、そして消費者の皆さん方にブランド的に認めてもらうということもやっていかなきゃいかぬだろうと思っております。
したがいまして、これは乳業メーカーも絡む話でありますので、引き続き、生産者団体や乳業メーカー共に、どのようなやり方が一番、先ほどおっしゃいましたチーズの消費拡大につながっていくのかどうか、このことについての検討もしていかなきゃなりませんし、国産チーズの競争力の強化、それから需要の拡大に努めてまいりたい、このように思っているところでございます。
○稲津委員 ありがとうございました。
大臣の御答弁、やはり高品質で付加価値の高いものを求めていくというのは、これは大前提であると思うんですが、しかし、それをずっと続けていくことが果たして本当に了とするのかどうか。
私は、先ほど申しましたように、チーズの消費拡大が続いているという現実の中で、やはり国産のチーズの消費をどう見ていくのか、これはメーカーともいろいろ協議していかなきゃいけないことですから、是非そういう視点もいろいろ考えて、省としてもそこは注視していただきたい、このことは申し上げておきたいと思います。
次に、小麦の需給見通しについてお伺いしますけれども、この件について、国産小麦の需要の拡大というのはやはり非常に重要で、輸入の依存度を少しでも下げていくという方針は、これは揺るがすことができないものだと思います。
こういう中で、三月一日の食料・農業・農村政策審議会の食糧部会において、二〇二三年度の麦の需給見通しで、小麦の需要量が二二年度実績の見込みより四万トン多い反面で、国内の流通量は国内生産量減少を受けて三万トン減となっているということで、この差をどう見るか、これは簡潔で結構でございますので。それと同時に、こうしたことも背景にしながら、国産小麦の生産振興対策、これがやはり重要だと思っています。マークアップも含めた農家支援について具体的にお伺いしたいと思います。
○平形政府参考人 お答えいたします。
まず、本年三月に公表いたしました麦の需要に関する見通しの中で、国内産の食料用小麦の流通量が減っている件なんですが、令和三年産の国内の小麦の生産量百十万トンと大豊作であったのに比べ、令和四年産、やや良ですが、九十九万トンに減少したことから、流通量が減少すると見通しておりますが、生産量が回復すれば流通量も回復するというふうに見込んでおります。
一方、輸入小麦の政府売渡価格につきましては、昨年のウクライナ侵略に伴いまして、国際価格の急騰、この影響がございました。これを緩和するために、一つは、昨年十月期、算定期間を一年間に延長して価格を据え置く緊急措置を実施し、さらに、本年四月は上昇幅を抑制する激変緩和措置を講じることとしております。
これらの対策の実施によりまして、通常どおり半年ごとに売渡価格を改定した場合に比べて、国産小麦振興の財源となる収入が三百十一億円減少することとなります。
このため、今般、予備費を活用し、減収分の三百十一億円を手当てすることにいたしまして、国産小麦の振興に支障がないように努めてまいります。
○稲津委員 ありがとうございました。
次は、この国産小麦の品種改良について大臣にお伺いしたいと思います。
小麦の輸入量と国産小麦の生産量を見ると、この二十年間で輸入は五百四十万トンでほぼ横ばい、国内生産百十万トンで一・五倍増加している。喜ばしいけれども、まだまだ十分とは言えないというふうに私は思います。
特に北海道のきたほなみという品種がありますけれども、作付は大幅に伸びたものでありますが、麺用ということで、パン用ではないわけですね。問題は、このパン用の国産小麦の作付を進めなければいけない、こういうことを考えていったときに、面積の確保も大事なんですけれども、収量増、単収を上げていくということが非常に重要と思っておりまして、多収品種のパン用小麦の品種改良、このことについて大臣の思いを聞かせていただきたいと思います。
○野村国務大臣 小麦の品種改良は、これまでも農業の生産性向上や農産物の品質向上に重要な役割を果たしてきたというふうに理解しておりますが、特に、今委員からありましたように、北海道で開発されました、きたほなみにつきましては大変評判がよくて、一番高値で取引がされているということは理解いたしておりまして、私の鹿児島では小麦がなかなかできにくい、これはもう気象現象が、非常に梅雨が早くなってきたということで、もう芽が出てしまう、ですから、鹿児島あたりではもう小麦は作れない、今おっしゃいましたように、品種改良も進めていかないと、今までの品種では鹿児島ではもう小麦は作れないという状況になってまいりました。
北海道はまだ寒冷地で、きたほなみなんかが非常に麺には向いているということで評判が高いわけでありますが、なかなか、地域によっては適した品種もあれば、適さない品種もある、こういうようなこともあるものですから、当面の取組方針として、みどりの品種育成方針を昨年の十二月に作りましたので、これに基づきまして、小麦については、パン用などの用途に応じた品質と高い収量性を有した品種の育成を全国的に推進することにいたしております。
今後とも、優良な品種の育成、普及を通じて、国産小麦の生産拡大に取り組んでまいりたいというふうに思っているところでございます。
それからもう一つは、私は地元ではよく申しておるんですが、小麦が作れないのであれば、やはり米粉で麺を作ったり、パンを作ったり、こういうことも必要だぞということを申し上げておりまして、我々の党の中で勉強会で出てきましたのが、福井の農家の方がインディカ米でパンを作っておられまして、私はそれを、私だけじゃなくて、党の中で、五、六人で試食会をしました。それで、三つのパンを食べたんですが、その中で一番おいしかったのがインディカ米のパンでした。
これは、その方を褒めるということよりも、やはり適したものがあるんだと、パンに。それで、私は、大臣になってから、農水省に、これからは日本の水田にもインディカ米を植えようよと言いましたら、穀物課長から怒られまして、大臣、日本のジャポニカ米にもパンに向いている米があります、あるいは麺に向いている米がありますというので見せられました。
ですから、今までは種が足らないから一斉にそれを普及できないと思うんですが、今、一生懸命、そういうパンに向いた米、あるいは麺に向いた米、こういうものを米粉から作れるということもありますので、小麦をなかなか普及できない私どものような梅雨の早いところなんかは、やはり水田で米を作りながらやってもいいのではないか、こんなふうに個人的には思っております。
○稲津委員 米粉も私も大事だと思っています。その上で、国産小麦、パン用のところは、農研機構、予算も人も増やしていかないと品種改良は進みませんので、是非、大臣、よろしくお願いしたいと思います。
時間の関係で、最後に一問だけ。これは角田政務官にお伺いしたいと思います。
サンマの資源回復のための国際協調の研究ということなんですけれども、今回、三月二十二日から三日間の年次会合を、NPFC、北太平洋の漁業委員会、九か国参加して行いまして、合意した内容というのは、二〇二三年と二四年の漁獲総量を前年比二五%減の二十五万トン以内にする。ちょっとこれは、日本が要求、要請したものとはかなり幅が、格差がありまして、結果としては、努力は認めますけれども、なかなか受け入れられなかったものだ。
そこで、このサンマについては、日ロ二百海里水域と公海にまたがって回遊をして産卵していることが、ここでの資源管理は資源回復の絶対条件であるということから、各国の理解を求めるとともに、九か国の国際協調での研究を進め、科学的な見地から議論を進めるべきだ。この日本の取るべき立場についてお示しをいただきたいと思います。
○笹川委員長 時間ですので、答弁は簡潔に。
○角田大臣政務官 はい。
我が国では、従来より、北太平洋においてサンマの資源調査を実施をし、その成果をNPFCの科学小委員会に提供するなど、小委員会における議論を積極的にリードをするなど、重要な役割を果たしてきたと考えております。
我が国としては、今後も精度の高い調査研究を推進するとともに、引き続き、科学的議論をリードし、よりよい交渉成果につなげてまいります。
○稲津委員 終わります。
○笹川委員長 次に、篠原孝君。
○篠原(孝)委員 おはようございます。
立憲民主党、略称民主党の篠原孝でございます。
この度は、委員でもないのにもかかわらず、一時間五分の質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
それでは、早速質問を始めさせていただきます。
その前に、初めてですので、大臣、副大臣、政務官、御就任おめでとうございます。
今日は、水産問題、水産関係の法律が三本提出されています、そういうこともありますし、私の関心事項でもありますので、最初に水産関係の、それから、後半では畜産のことを質問させていただきたいと思います。ただ、後半、ちょっと時間が足りなくなって相当はしょらなければならないかもしれませんけれども、その点はおわびいたします。もしそうなった場合はですね。
まず、今の農政、大臣も御苦労されていると思います。農林水産省だけでびしばしやれればいいんですけれども、大分前から、よく言われています官邸農政、特に安倍さんのときに安倍官邸農政と。これは、農林水産省だけじゃなくて、規制改革会議、それから国家戦略特区とそのワーキンググループとか、そこからわんわんわんわん、いろいろ、私から言わせますと素人的な思いつきの意見がいっぱい来て、それに相当惑わされてきたんじゃないかと思います。
大臣も農業関係のところに三十数年、私も農林水産省に三十年、禄をはんでおりました。そういう経験をしたから、こんなこと、何をへんちくりんなことを言っているかと、そんなことだらけ。たまには聞いてもいいような意見もありますけれども。それはあるんですけれども。それで強引にやってきている。
その一つに、農地を企業の所有にと。そういうのをしなくたって、農業なんてできるんです。欧米先進諸国ではみんな借りてやっているわけです。借りてというか、固定観念が物すごくあってしまっているんですけれども、あちらは耕作権なんですね。耕作している間だけで、後でちょっと説明しますけれども、元々、農地も何も、土地も何でも、みんな天からの授かり物で、今利用させていただいている、そして、それで食べさせていただいている、きちんと保全してまた子孫に残していく、こういう考えでみんなやっているはずなんです。だから、個人の所有なんていうのは元々いっときのもので、大したことはないんです。
それを、何かしつこく言っていて、そして、その代表的なのが養父市ですね。そこのところにオリックス、それが進出したいということでいろいろやってきた。ところが、三月二十日だったと思いますけれども、農業新聞の二面で、オリックスが全面撤退と。元々、農地を所有したりしていなくて、野菜工場とかそんなのですよ。ですけれども、象徴的な出来事だったと思うんです。
これは、農業界の人、農業関係者は非常に神経をとがらせてこの動向を見ていたと思いますけれども、この出来事について大臣はどのように受け止めておられますでしょうか。
○野村国務大臣 篠原委員とは非常に長い間のおつき合いをしていただきまして、いろいろ御指導いただいておりまして、ありがたいことだったなということを思っておりまして、久しぶりに篠原節をお聞きしたいなと今日は思って、楽しみに来たところでございます。
今お話がありましたオリックスの問題でありますが、いろいろ調べてみますと、オリックスが養父で農業経営を行っているオリックス農業というのがありました。これは、農業生産法人に譲渡したというのが新聞で載りまして、調べさせてみたところが、このオリックス農業というのは農地を使っていなかったんですね。学校の廃校の跡地を使って、水耕栽培でここでレタスを作っていたというのが分かりまして、農地とは関係のない撤退ということでございました。
したがいまして、農地所有適格法人なりあるいはリース法人でもなかったということで、撤退したわけでありますが、今回のことは個別の企業の経営判断だろうということで、コメントは差し控えさせていただきたいと思いますが、直接的には農地とは関係がなかったということでございます。
○篠原(孝)委員 大臣の言われるとおりです。農地には、手を出していないけれども、手を出せなかったのかどうか知りませんけれどもね。
大体、企業ができるのは、年がら年中、農業はおてんとうさまとのつき合いですから、毎日同じ労働があるわけじゃないですから、企業的なのが成り立つんだったら、私の地元でキノコ栽培、あれは冬だけやっていたのに、冷房で夏までやって、通年で。建物の中で恒常的に仕事があるようなものしか私は成り立たないんじゃないかと思います。だから無理なんですね、最初から。
しかし、宮内義彦さん、オリックスの会長だか顧問だか、勇名をはせていましたけれども、彼が、規制改革会議、一九九六年です、規制改革小委員会、それで、規制改革関係のところでずっといろいろな役をやっていました。そして、最後、マスコミに登場したのは、かんぽの宿ですが、その七十施設を自分が買い取ると。規制改革、官から民へ、官から民へと自分でさんざんやっていて、自分のところに払い下げると。そういうことでやっておられるのかと思うと、僕は愕然としましたね。
それが今度、経済財政諮問会議で竹中平蔵さんに引き継がれて、また似たようなことをして、似たようなことが続いていて、ここで何か断ち切られたと思いますけれどもね。
しかし、私は、宮内さんは、明治の頃の、政商という言葉がよく使われましたけれども、それに近いんじゃないかと思います。政府に取り入って、そして、規制改革といいながら、逆に新しい規制改革の利権が生じて、それでもってうまい汁を吸う。同じことが言われている。こういうのが、今この現代、日本でも行われている。
JR東海の会長の葛西敬之さん、安倍さんと親しくしている。この人については森功さんが本を書いています。「国商」ですかね、国家的商人と。政府に取り入っている。六兆円でやっているリニア新幹線、三兆円国が援助して九兆円のビジネスになる、ビジネスというか事業になってと。こういうのが行われている。これはよくないことじゃないかと思います。
私も言葉を作っているんです。後で説明しますけれども、政治的官僚という、政僚というんだ。官邸に巣くってこういうことをしている。それに、我々というか、真面目な農林水産省なり国土交通省なり厚生労働省が非常に悩まされている。
そういう意味では、ちょっと古くて、大臣はその頃はまだ大臣じゃなくて、農林水産委員会や部会でいろいろやっておられたと思いますけれども、二〇一八年の秋の臨時国会で漁業法が改正されたんですね。臨時国会で漁業法、これは常識ではあり得ないんですね、こんな基幹的な法律を期間の短い臨時国会でやるというのは。
例えば、今、農林水産省は挙げて農業基本法の改正を急いでいます。それは二年、三年かかります。前の農業基本法の改正は、私はまだ農林水産省の現役の役人でしたけれども、たしか三年か四年かかったと思います。それを臨時国会でぱぱっとやってしまう。七十年ぶりの大改正だと。
古い話で、大臣に責任はこのときはないわけですけれども、大臣、この点について、あんなときに、あのときは、皆さんはもう五年前のことをお忘れかと思いますけれども、入国管理難民法で、これまた農業界に非常に大事なことなんです、技能実習生、その扱い。これは少々急ぐ理由があったんです。三月でビザが切れたりする、それをどうするか。できればそのまま長くいさせてやりたいというのがあったから、臨時国会で早く仕上げる必要があったんですけれども、漁業法、七十年ぶりの大改正を臨時国会で短期間のうちにやるなんというのはあり得ないと思うんですが、その点はどのように、大臣の責任じゃないんですけれども、聞いておられるでしょうか。
○野中副大臣 失礼いたします。
当時、私は、取りまとめのときまでは政務官としておりまして、その当時の秋の臨時国会のときは、委員会のメンバーとして、たしか金子先生と一緒に現地を視察に行ったという立場でお答えさせていただきたいというふうに思っております。
いっとき世界一を誇った漁業生産量でありますが、御承知のとおり、もう半分以下になりまして、そして漁業に関わる就業者数も減っていったということで、まさに待ったなしの状況ということを踏まえて、当時は、水産政策待ったなし、改革待ったなしというところで、臨時国会で法案を提出したということであります。
水産資源の持続的な利用の確保、また水面の総合的な利用を図り、漁業生産力を発展することで本腰を入れて取り組むことが必要ということの認識の下で、制度の在り方については、三、四年はかかっておりませんけれども、一年以上の期間をかけて検討したということであります。
二〇一八年六月にこれらの方向性をまとめて、そして、秋に、臨時国会に法案を提出させていただきました。
○篠原(孝)委員 十五ページの資料を皆さんにお配りしてあります。お分かりいただけると思いますけれども、相当時間をかけて作りましたので、じっくり見ていただきたいと思います。
一ページ、漁業法改正に関する会議がどうやって開催されてきたか。
副大臣は、ここに委員として、あるいは政務官として携わられたということですけれども、見ていただきたいんですが、この一番右側、国家戦略特区ですね。これだけ水産庁ヒアリングというのをやっているんです。これを見てみますと、非常にでたらめな審議です。本当は、七、八人、ワーキンググループの人たちがいて、半分出席しないと会議は成り立たないと書いてあるんですけれども、うそっぱちでして、一人だけのものもあるんです。一人だけしか出席せずに、あと水産庁の真面目なお役人が行って、ああでもない、こうでもないと言われている。
ここにみんな、時間と、水産庁の人が何人行っているかというのを書き出しました。
つまり、二〇一四年から、漁業権の民間開放というのを、後で触れますが、これを議論しているんです。
次に、漁業権の免許優先順位の見直しというのをここでやっているんです。
そして、一六年の真珠に関わる漁業権の民間緩和というのは、これもまた変なあれで、これは皆さん御存じだと思いますが、国家戦略特区というのは、申請に基づいて委員たちがやって、それで議論して、はい、規制緩和してやったよと。典型的なのは加計学園の問題ですけれどもね。これもひどいものですけれども、似たようなことがずっと行われていたということなんです。
それで、二〇一七年になると、規制改革会議の方のワーキンググループになって、またぎっちりとやる。それで、規制改革の方はちょっと真面目で、業界ヒアリングというのをいっぱいやっているんですが、国家戦略特区は、水産庁を呼び出しては、ああでもない、こうでもないと。業界も呼び出しているんです。一緒のときもあります。議事録にないんです。そこで非常に何か変な議論が行われているんです。全部じゃないんです、実は。そういうのがあるんです。そして最後に、最後はやはり水産政策審議会のところへ行くんです。
次に、二ページを見ていただきたいんです。
じゃ、同じような大改正、漁業法としては七十年ぶりですけれども、一九九六年に大改正をやっているんです、TAC法。二百海里というのを設定した。
このときにこういう形で、そのときには沿岸漁業振興審議会というのが、今の水産政策審議会、そこで海洋法制度研究会の設置を決めて、それから精力的に議論を重ねるんです。何時間もやっています。そして、沿審、水産政策審議会に当たるところに法案を提出して、そして、一九九六年に非常にきちんと審議したのが、ここに書いておきましたけれども、海洋法条約の批准と法律八本です。これを四つの委員会で連合審査、総理入りでやっています。
参議院は、青木幹雄さんが新人議員でおられて、参議院は衆議院と同じようにはしないといって、わざと特別委員会をおつくりになって審議したんです。しかし、念入りに審議して、七月に、条約も法案もみんな通って、そして、七月二十日、海の日というのをつくったんです。
なぜこれを滑らかに説明できるかというと、このときの水産庁企画課長が私です。三年間やりました。普通は二年で替わるんですけれども、長官三人、漁政部長三人にお仕えしました。このときのメンバーをちょっと見てください。次、三ページ。どういう人たちが議論して、どういう人がやっているか。
この規制改革会議と水産ワーキンググループは、私からするとめちゃくちゃです。私は、はっきり言って、こんな人たちの意見をほとんど聞かなくていいと思いますよ。ずっと農業の、これは大臣もお分かりだと思います。同じなんです。農業ワーキンググループで最初やったりしていたんです、聞いたことない人たちばかりで。辛うじて有識者なのは、新山陽子さんという京都大学の前の農学部の教授で、食の問題とか畜産の問題をやっておられます。この方が農業ワーキンググループと水産ワーキンググループにいて、国家戦略の方はもっとひどくて、誰もそんな人はいません。この人たちが思いつきでいろいろ聞いているんです。
それに対して、TAC法というのを作ったわけです。それの担当課長、海洋法制度全体の取りまとめを私がやっていました。政府全体のところでも、私が一番関わりがあるところのヘッドをしておりました。
四ページを見ていただきたいんですが、丸をつけてあります。この丸、三人だけが水産界に関わりのない人、これはちょっと、もっと多くした方がいいと思います。余り資料が多くなりますのでつけませんでしたが、今はもっと水産関係以外の人が入っています。したがって、客観的な議論ができます。
外部の人を入れちゃいけないんじゃないんです。外部の意見も必要だけれども、外部の意見だけで何か決めていくなんというのは、それはとんでもないことです。例えば私が感染症対策についてのメンバーになって意見を言って、それでいろいろお医者さんや厚生労働省に意見を言ってと。そんなことは、委員会でちょっと質問するぐらいなんていうのはあり得ないことだと思います。そういう政策決定をずっと、この十年間ぐらい、我が国はしてきているんですよ。
私は、これはだから、この二〇一八年の漁業法の改正というのはめちゃくちゃな感じで行われたと思うんですよね。水産業界の意見など、いろいろよく見ました、見ましたけれども、ほとんど取り入れられていなくて、最後は、簡単に言うと丸め込まれたみたいな感じになって、まあこれでいいやということになっています。現場の人たちは全然知らないと。
ちょっと私の勘違いがありまして、ここで一斉更新というのを、五年物と十年物があって、農地と違いまして、漁業者は非常に不安定な地位にあるわけですね。五年に一回、つまり、養殖をやっていると、続けることができるかどうかというのは知事に判断してもらわなくちゃいけないんです。だから、五年後、十年後、心配なんです。
それをどうしたかというと、今まで優先順位がきちんとしていたのを、それを取っ払って、適切かつ有効に資源を活用する、そして、最も水産業の発展に寄与する人に許可を与える、そういうふうになってしまっているんですね。だから、ただでさえ将来が不安でやっていけるのかなと思っているのに、できなくなるわけです。そういう状況になってしまっているんです。そんなのをさっさとやってしまう。僕は、これは本当に間違っている、この改正は間違っていると思う。
農林水産委員会は大きく対立するのはほとんどありません。与党も野党も、日本の農林水産業をきちんと発展させていくんだと。環境委員会も似たような雰囲気ですけれども。ほかの委員会は、結構、どんちゃかどんちゃか、いろいろ対立、抗争があるんですけれども、ここはないんです。
だけれども、この二〇一八年の漁業法の改正については非常に問題があって、私はそんなに長く、長いと言えるんですかね、十九年、思いのほか長く国会議員をやらせていただいていますけれども、私は、ずっとこの委員会、メンバーではないんですけれども、このように何回も質問に立たせていただいています。党内の会合は私が出席率は一番いいんじゃないかと思います。ずっと出ております。
そういう中で、最悪の改正が二〇一八年の漁業法の改正ですね。これは大問題だと思います。現場から本当にかけ離れちゃっている。大臣にこの質問をするのは酷だと思いますが、農業界でやっておられる。だけれども、農業と比べるという点では、大臣の方がきちんと見られるんじゃないかと思います。
例えば、今の農業、ただでさえ将来が不安だ、だけれども、おやじの土地があって、自分が帰れば、今は耕作放棄地になっている、しかし、行けばすぐ、あと一年か二年やって、土づくりをやっていけば農業はできると。それを、今やっているのに、五年後、あんたは適切かつ有効に活用していないから、あんたに漁業権は渡さない、ほかの者にやらせるとか。そんなの、不安で、漁業をやる気がしないですよね、養殖業。こういう状況にしてしまったんです。
農業界は、しつこく、しつこく、農地は企業になど渡さないとやっているのに、はい、渡しますよという、とんでもない改正をしたんです。
これは大問題だと思うんですけれども、農業と比べて、大臣、どのように思われるでしょうか。
○野村国務大臣 私は、この質問が来たときに、どう答えるかなということを内部でも検討しました。
ちょうど私は、この頃、農林部会長をやらせていただいて、三年間やりました。農業改革の問題だとか農協改革のことをタッチさせていただきましたが、そういう意味では、水産関係、御存じのように、自民党の中では、水産部会と農林部会というのは分かれているんですね。昔は一つだったんですけれども、あるときから、いろいろありまして、水産部会と農林部会を分けようということで、私は農林部会の方を担当させていただいておりまして、余り水産部会に出ておりませんでしたが、時たま、やはり気になるものですから、出て、いろいろ御意見も申し上げました。
そのときも、篠原委員がおっしゃるようなことも、これは党の中でしたのでいろいろ申し上げたことはありますが、ただ、一つだけ申し上げたいのは、まだこの法律が通ってから、三年しかたっておりません。それで、今、漁業者の人たちが、もう漁業ができなくなってくるんじゃないかという、そういう御心配もされておりましたけれども、実はまだ三年しかたっておりませんので、令和二年の施行で、令和五年からこういったことが変わられる。
いわば、漁業者の漁業権の免許というのは令和五年からスタートしていくわけで、見直しがされますので、まだそういう、対象者がどなたかということも、あるいはまた、それで大変な、現場が混乱しているということもございませんが、あと二年たちますと、今、篠原委員がおっしゃいましたような懸念も出てくるのかな、こんなことも思います。
しかしながら、この法律の中で、農水省の方でも水産庁の方でも相当議論をしながら検討してきたんだと思いますが、やはり、既存の漁業者の利害関係人の意見を十分検討して、その結果を踏まえて、御存じの海区漁業調整委員会で議論をしてもらって、最終的には知事が判断をする、こういう手続的なものもありますので、すぐ、あしたからもう漁業権はないぞという話にはなっていかないだろう、こんなふうにも思っておりまして、いろいろなセーフティーネットといいますか、救済する措置というか、いろいろな意見を聞く場はつくっておられるようでありますので、あと二年したらこういった問題が、篠原委員がおっしゃるような心配が出てくるかもしれません。またそのときに十分検討もさせていただきたいと思います。
○篠原(孝)委員 大臣、あと二年じゃなくて、私も実は勘違いしていたんです。
二〇一八年、五年もたっているんだから、一斉更新というんです、もう行われていたと思っていたんですが、そうじゃなくて、いろいろ大改革なので、二年後施行で、二〇二〇年からなんです。今年の九月に初めてこの法律でもって漁業権の一斉更新が行われるということで、九月以降だとごちゃごちゃしているんですけれども、ただ、漁業者はみんな分かりませんからね。架空の上で、机の上だけで、文字だけで、話だけ聞いて、話だけ聞いて、ペーパーだけ読んで分かる人というのは世の中にそんなにいないんです、本当は。現実になって分かるので。その前に僕は大問題になるんじゃないかと思うんです。
本当に、大臣は、比べて、さっき言いましたのをお分かりいただけると思います。ただでさえ将来に不安を抱えている。それを、今年の九月ですよ、ここで養殖を続けられるのかどうか。適正かつ有効に、それは知事だと。知事に大権限が行き過ぎているんです。
今、海区漁業調整委員会の話をされました。これもワンパターンで、農業委員会の改革が行われて、選挙でやらずに市町村長が指名できるように任命制になりましたね。そこは分かっていますと、公明正大な市町村長だったら、非常に客観的にきちんと立派な人を選ぶし、現実的には、今までどおり、集落やその地区のところの、例えば小学校区域ごとに一人選ぶというような感じでやっていて、それの推薦を基に選ぶんでしょうけれども、いかがわしいというか、変な市町村長になると、ここを何か、農地を転用していろいろなものを作らせた方がいいと思ったら、それに反対するような人は農業委員には絶対任命せずに、自分の思いどおりになるような人を選ぶ。
海区漁業調整委員会も同じになって、例えば、村井宮城県知事は、同じようなものを先に、先走ってやられたですよね。産業界にも漁業をやらせるんだと。僕は、もう今現実にやっているので、やるんだったらやっていいんですよ。だけれども、後で触れますけれども、駄目なんですね。
どうして駄目かというのを、次の表を見ていただきたいんです、五ページ。
これは、私が、皆さんに理解していただくために、ない知恵を絞ってちょっと比較したんです。土地とか農地、林地、海、海岸。これをよく見ていただきたいんです。何か大学の講義みたいになって済みませんね。役に立つと思いますから。
農地は個人所有。だけれども、これも、民のことをやっているので余り触れませんけれども、ちょっと目をつぶって考えていただくと、江戸時代は、土地は島津の殿様の、隼人町の土地も、別に農地をお持ちだろうと思いますけれども、野村家の土地じゃないんです、お殿様の土地だから。だから五公五民で、半分はお殿様にやり、半分は自分たちだ、そういうふうになっていたんです。それは世界も同じなんです、結局。今耕してもらっているだけなんです。
そして、林地はもう同じで、ちょっとずつ違うんです。
そして、海です。海は所有なんかなしです。そして、慣行的な漁業の、漁業法にして明治以降やって、そして、うまく法律にしてきたのが日本の漁業法だった。だから、七十年間改正されなかったんです。本当に知恵ある人が作ったと思いますよ。久宗高さんという立派な人が書いて、そして解説書もB5判のぼろぼろになったのが農林水産省の図書館にありました。私は熟読しました。そしてTAC法というのを作ったわけですね。
僕は、アメリカに留学させていただいたときに、ワシントン大学の海洋総合研究所というところに二年いたんです。そこで変な名前の授業があったんです。コースタルゾーン・マネジメント、沿岸海域管理、それが授業の科目としてあるんです。僕は、そんなのは、何をやるのか分からないし、取らなかったんです。そうしたら、その教授が僕のところに来て、お前はこの授業に出て俺の質問に答えたら単位をやるから登録しろと言うんです。
ちょっとつまらない話をします。そうしたら、私のスチューデントアドバイザーというのが僕を、外国人留学生だけじゃなくてみんなつくはずなんですが、そうしたら、端的に言われたのは、お前の英語力ではこんなに科目を取ったら取れるわけがないからやめておけと言うんですよ。だけれども、先生は、テストはあるんですよね、テストはやるんですけれども、日本の沿岸がどのように利用されているかというのを質問する、それについて答えればいいと。あっちは、質問しては答える、そういう授業、大学院でしたから。それで行ったんです。
そうして、いろいろ目からうろこなんですけれども、その人は何を言ったかというと、日本の漁業界ほど賢い漁業界はないんだと。なぜかというと、世界の海は乱獲に陥っている、それに対して、日本の海では、明けの日、締めの日、ここからしかやっちゃいけないと。小魚や定着性の魚なんかをやっているときは捕っちゃいけないと自分たちで決めてやっている。資源を枯渇させない。そして、コモンズ、共有です。コモンズの悲劇、トラジディー・オブ・コモンズというのがあって、みんなのものだというと、みんな先走って競争してやってしまうから資源が枯渇する、だからそれは駄目なんだと。競争原理を働かせつつ、あとは規制でと言っているんだけれども、日本はそういうことをせずに、みんな仲よく、相談してと。それが林業でも、総有林ですね、みんなが乱伐はしない、非常に賢いと。
あれは世界に優れた制度で、これは世界の、そのときにも持続的と使っていたんです。そのとき初めて僕は知りました、マキシマム・サステーナブル・イールド、最大持続生産量。これを農業でいうと、今年だけではなくて来年のことも考えて土づくりをしていくと。そんなに密植しないで、来年のことも考えて、三年も四年もちゃんと同じ農業ができるようにと。漁業は親の魚を捕り尽くさない、そのことなんです。それを一番賢くやっているのが日本の沿岸漁業界だと。この考え方を、世界全体、自然環境の保全、資源保全に使うんだと言われている。分かりますか。それを踏みにじったのが二〇一八年の改正なんです。
ついでに、海岸。海岸の所有というのも、これも国によって違うんです。日本は海岸は絶対所有されないんです。欧米は海岸を所有されるんです。分かりますよね、ヌーディストキャンプもあります。フランスのニースの海岸はでかいホテルの客しか入れません。アメリカも、ビル・ゲイツがシアトルに住んでいるんです。湖岸ですけれども、ビル・ゲイツの大邸宅があって、その前のビーチはビル・ゲイツしか使えないんです。
ところが、日本は、下にわざわざ天皇のことをちょっと書きましたけれども、天皇は大権力者だと。これはヴェスパーという沿岸海域管理の教授に教わったんですが、天皇陛下は日本一の権力者だと。知っているんです、牧場も持っていた、帝室林野もあった、何でも持っていると。しかし、昭和天皇のことを言っているんです、昭和天皇は、海洋生物学者であるにもかかわらず、葉山の御用邸の前は天皇専属の海岸じゃないんだ、これに日本人の知恵が隠されていると。海岸とか海とか林とか、それは全部みんなのものなんだ、それを分かち合って生きていくんだ、その知恵を日本人は持っているんだという。
そして、そのついでに言いますと、そうやって天皇陛下にも使わせない海岸を、日本はとんでもない使い方をしたんだと。東京湾、大阪湾、伊勢湾、埋め立てて、みんなただ同然で輸出型企業に渡している、だから日本は高度経済成長ができたんだと。海外から原材料を輸入して、それを加工して輸出している。長野県に鉄工場もないです、重化学工業もないです、輸送コストでパンクしちゃいますから。海岸横づけがいいんです。天皇にも渡さなかった海岸を大企業に渡した、これが日本の高度経済成長ができた一番の原因だ、こういうことを言われ、そしてそういう話を、どうだどうだと僕に聞いてくるわけです。それで、めでたく単位をもらったか、もらわなかったか、ちょっと忘れちゃったんですけれども、授業は全部出ました。関心がありましたから出たんですね。
つまり、何を言いたいかというと、その下、今度は。
イギリスは、さっき言いました、クラウンランドで、だから、日本のような遊休農地というのは、イギリスもそうです、ヨーロッパでは生まれないんです。どうしてかというと、耕さなかったら、みんなのものだから、耕す者に自動的に行くんです。個人所有みたいですが、本当の所有じゃなくて、耕作権、使用貸借権とかそういうものなんです。だから、みんなのもの。
海。これから太陽光発電とか洋上風力発電があるんですけれども、クラウンエステートというんです。全部王様の海じゃないんですからね。そして、漁業界では、ここに書いた、海は、コモン・ヘリテージ・オブ・マンカインド、人類共有の財産、公海ですね。
今はどうなっているか。SDGsの時代です。人間のためだけではない、地球生命全体のものなんだ、だから持続的に使わなくちゃいけないというふうになっているんです。こういう状況なんです。
だから、世界はどうなっているかというと、競争競争で海を利用する、漁業資源を利用するなんてなっていないんですよ。それを、副大臣にお伺いしたいんですけれども、免許で、地元の漁協だとか七人以上が参加している法人とかいうのに優先的に漁業権が与えられることになっていたんです。ややこしいので、共同漁業権とか区画漁業権とか、特殊な、特別な区画漁業権というのがあるんですが、まあ、漁業権と言っておきますが、その法定優先順位がなくなっちゃっているんですね。これは一体どうなっているんだ。
この根本のところがなくなって、誰でもいいよと。養父市の件でいえば、誰でも農業をやる人、いいですか、分かりますか。適切かつ有効に農地を利用する人なら誰でもと。だから、遊休農地になっていたら、適切かつ有効に利用していないので、違う人にすぐ農地を渡すんだと。あと三年たったら定年になるから帰ると言っているのも許されずに、農地が誰かのところに行っちゃうんです。そういう状況が漁業に生まれているということなんです。
大問題だと思うんですけれども、地元優先の考え方は、二〇一八年の改正漁業法に少しは残っているんでしょうか。
○野中副大臣 まず、漁業法を改正したことによって、その優先順位を改めることで、しっかりと適切かつ有効に漁業に取り組んでくださる方ということが、漁業に継続して取り組めるということであります。
また、改正漁業法で、変わらず、共同漁業権は従前と同様に漁協のみに付与することということでありまして、これで頑張っている皆さんが安定して漁場を利用する仕組みというふうになっております。
また、頻度が落ちてきた場所について、外資なり企業が入ってくるんじゃないかという御懸念もありますけれども、その辺については、しっかりと現場そして地域の声を聞いて、そして都道府県の知事が判断することになっております。
そういうそれぞれの取組をもって、地域という色を残していきたいというふうに思っております。
○篠原(孝)委員 弱々しい声でお答えいただきましたけれども、ちょっと残っているんですね。ちょっとは残っているんです、共同でやらなくちゃいけないのを。だけれども、基本的にはいろいろな企業が入れるようになっているんです。
さっき、都道府県が判断してと。都道府県知事が漁業権のところをみんな判断できますか、適切かつ有効にと。それがないから順序を書いていたんです。順序を書いていて、そのとおりにやらなくたっていいんです、一応の基準として書いてあるのを全く取っ払ったんです。
僕もそこは納得しますよ、全部をぎじぎじの優先順位だけでやれなんて思いません。だけれども、ある程度の基準がなかったらいけないのに、何にもなくなって都道府県知事に丸投げ。それで、ちょっとそういうことに関心がなくて、誰にでもやらせればいい、誰でもいいとか言われて、そのとおりにやれとか言っていたら、めちゃめちゃになってしまいます。そういうふうになってしまうんですよ。
前の、五年前の答弁書を見ていますと、何か羽織漁師というのがいて、つまり、羽織を着て都会にいて、漁業権だけ持っていて漁業者にやらせているというのがあって、それがなくなったから漁業法の第一条に漁村の民主化って書いてあった。それが削られているんです。
これは大臣がお分かりだと思いますけれども、私は畜産の世界で現代の小作みたいなものが生まれているのにびっくら仰天したんです。口蹄疫のときに農林水産副大臣に任命されまして、農林水産省にはその日の午前中にちょこっといただけで、すぐ宮崎県に行きまして、私が三階、東国原知事は二階でしたかね、二か月ずっとそこを一歩も離れずに対応したんです。
そのときに、へえと思ったのがあって。何かというと、恐ろしかったですよね、いろいろ補償をしたりするというときに。みんな牛も豚も殺処分しました。埋却しました。七メートルも地下を掘って、自衛隊にも助けてもらった。そうしたら、補償金を出すかというところでもめ始めたんです。
年を取ったじいちゃん、ばあちゃん、二人で一生懸命肉牛を丁寧に飼育している。しかし、それは、預託というか、でっかい畜産業者が子牛を買って、あんたら、これをでっかく育てたら金をやるからやれといって、一生懸命丁寧に飼っている。じゃ、その所有権というか、やっているのは、預託したでっかい何とか牧場にやるか、二人で、年寄りの老夫婦が一生懸命育てている人にやるか。
そうしたら、だから老夫婦は小作人です、でっかい羽織牧場です。羽織畜産経営者がいっぱいいるわけです。そういうのを見てきたんです。現代の小作になっている。同じことが大企業の手に渡ったときになるんじゃないかと思うんです。
次のページの六ページを見ていただきたいんです。
よく見ていただくと何か黒塗りがあります。私は政府じゃないですし、あれ、あべさんがいなくなっちゃいましたね。理事の皆さん、私は黒塗りなんというのはやりたくないんですけれども、秘密なんか全然なくて、みんな公開です。
これも、分かりやすいように、農地と地先の海と公海漁業・遠洋漁業と。これを見ていただきたいんです。
農地は農民のみ所有、さっきと同じです。構造改革特区とか国家戦略特区で、養父市、オリックス完全撤退と。元々農地は持っていないというのは大臣の言うとおりですけれども。
それでは、地先の海はどうだったかというと、ここに、例です。これは漁業によってちょっとずつ違うんですが、真珠母貝。これは、国家戦略特区は何かそこから要請を受けてやっていたので、特にここのところだけしつこくやったんですが、一ページ目を見ていただくと分かりますけれども。地元の漁協が一番最優先です。そうではなかったら、漁協がやらなくても、漁民が、一生懸命やっている七割以上の人、そういう法人、それから次に、何か七が好きなんですね、七人以上で構成される法人、それで既存の漁業者、そして、その他。その他のところで企業が入れるんです。
今はどうなっているかというと、適切かつ有効に活用し、これは改正漁業法の条文です。こんなきれいごとばっかり。水産業の発展に最も寄与する者に免許すると。二〇二〇年に施行されました。
その下に、以上の優先順位がなくなると、私の冗談で、しゃれなんですよ、左側はオリックスだったから、右側はユニクロとソフトバンクと書いたんです、片仮名で。こういう企業が来て、やれてしまうんです、それでいいんですかと。そして、先が見えるんです、私には、人よりちょっとだけですけれども。海を荒らして撤退して、漁業権が消滅。怖ろしいことですね。そして、洋上風力発電です。
お分かりになりますか。農地には手を出そうとしている。それは、農地を手に入れて転売利益を狙っているからこればっかり。そんなにやりたくて、もうけられるんだったら、借りてやればいいじゃないか。もうけっこないからやらないんです。
漁業は、洋上風力発電です。日本の大規模な投資は、今後何が行われるか。さっきちょっと話しました。リニア新幹線九兆円で終わりです。これ以上道路は日本に要らないです。それから、統一教会問題で吹き荒れる日韓海底トンネルは十兆円の大プロジェクトだそうです。日本の周りにそういう大プロジェクトがあるでしょうか。原発に代わる洋上風力発電があるんです。
僕は、洋上風力発電がいけないと言っているんじゃないんです。このとき妨げになるのが漁業者なんです。漁業権の補償、それがなくなっていると一番いいんです。こういう悪い魂胆が悪いことを考える人たちにはある、そう思っていただいてもいいと思います。オリックス、宮内さん、規制改革、規制改革と、かんぽの宿を自分のものにしてリースする、そういうのです。
世界はどう動いているかというと、公海の遠洋漁業は自由でした。これがトラジディー・オブ・コモンズです。日本は、一九八四年、今から四十年前、世界一の断トツトップの遠洋漁業国です。千二百八十二万トン。ちっちゃい魚は捨てて、高価なものだけ持ってきて、日本が始めとして余りにやっているので、これはひどいというので、第三次海洋法会議が開かれて、さんざんすったもんだして、二百海里の漁業水域が設定されたのでした。
日本は公海でサケ・マスを捕れなくなったんです。なぜかというと、帰っていく母川国のものだと。サケは旗を立てていませんからね。はい、ソ連生まれのサケです、アメリカ生まれの、カナダ生まれとやっていません。日本に帰ってくるのを、みんなまとめて捕っていましたけれども、ほっとけばみんな母川国に戻るんだから、母川国の権利だ、そういうふうになったんです。そして、二百海里では、遠洋漁業国がみんな捕っていたけれども、駄目だ、二百海里の中は、日本なら日本で管理していい、それで余ったら外国に割り当てると。分かりますか。一番近くの人が管理して使うのが道理だということになるんです。
じゃ、そのままいったら沿岸の資源は誰が使うんですか。沿岸漁業者に決まっているんです。遠洋漁業は駄目だ、沿岸国に資源管理を任せる、沿岸国に捕らせると。その延長線上でいったら、一番地元でやっている人。
それで、下を見てください。あの過激な反捕鯨団体やIWCも、原住民捕鯨とかひどいことを言っていますけれども、つまり、沿岸捕鯨は許すんです。だけれども、南極海に行って捕る捕鯨は駄目だと。近くでやる人、なぜ近くを許すかというと、近くの人は枯渇させることなんか絶対ないんです。ヴェスパー教授が日本の沿岸漁業者は大したものだと言ったとおり、自分たちがその資源に依存しているから、それを枯渇させるような愚かなことはするはずがないんです。
それで、今はやりの太陽光発電、今問題になっています。外部資本が入っています。めちゃくちゃやってトンズラしたりして変なことをしている。だから、欧米先進国は、地元の人しか投資できない、地元の人たちが自分たちが工夫して太陽光発電をやるんだったら許すけれども、外部資本が変なことをするというのは駄目だという規制をし始めているんです。分かりますか。地元の人優先です。
だから、右側、解説です。世界の潮流は、自然環境の保全、資源保全、資源の持続的利用は、そこに住んで生活している人が最優先だと。日本の漁業法がまさに世界の最先端を行っていたわけです。
それを日本は、規制改革会議、国家戦略特区、競争原理、競争原理と。僕は、八田達夫、原英史と、変なことを、議事録を見ました。漁業権を入札でやったらいい、そして一番高い金を払える人に漁業権を与えるんだと。そんなばかなというものに対して、もう考え方が僕は狂っていると思う。一番お金を払える人がもうけているんだから、一番経営感覚があるという証拠だから、経営感覚がある人が漁業権を使ったら一番水産業を発展させてくれるから、一番高い人にみんなやればいいんだと。こういう考え方があってもいいと思いますけれども、我がいとしい漁業界には、こんなとぼけた論理は使ってもらいたくないですね。これをやってしまっているんです。
本当に大問題だと思う。だから、私は、これは皆さんも、与党の皆さんも、本当に考えていただかないとと思います。
例えば、具体的に考えていただくなら、さっきの農地、ちょっと体を壊して二、三年農業ができない、遊休農地になっている、そのときに一斉更新になって、有効活用を進めるから、あんたは農業をやらないからもうほかのところにやらせるぞ、いやいや、うちの息子があと二年たったら帰ってきて農業の跡を取るというのを、できなくなるんです。そんなことをするんですか。副大臣、政務官、どちらでもいいですから、お答えいただきたいと思います。
○野中副大臣 お答えいたします。
まず、洋上風力等を企業に売られてしまうんじゃないかという、最初、前段で御懸念がありましたけれども、漁業権は漁業を営む権利で、場所を占有する権利ではありませんので、洋上風力事業者等に漁場を売られるという心配は、御懸念は当たらないというふうに思っております。
それと、長く漁業をやっていらっしゃる方が体調を崩された場合はどうなるのかということでありますけれども、これも、例えば、輪番で漁場を使用するために利用していないとか、資源管理のために漁業活動を制限しているとか、また、漁船の修繕、そして病気、けがで出漁していない、そういった合理的な理由がある場合は、そういった適切かつ有効に活用されているものの運用に当たるということでありますので、そこで権利が剥奪されるということはございません。
○篠原(孝)委員 ここでいろいろやっても、これは地方創生の担当のところでじっくり今度やりたいと思いますけれども、大問題だと思いますので、直していきたいと思っております。
それじゃ、次の畜産の問題に入らせていただきたいと思います。
これは大臣の専門分野だと思います。私のところはほとんど畜産はないんですけれども、鹿児島に行くとびっくりしました。鹿児島は真面目で、鹿児島県の農政部と中央会で一泊二日の勉強会を開いていますよね。私は、私の同期の米田実というのが農政課長をやっていたときと、さっきその辺にいましたけれども、村井経営局長が鹿児島県農政課長に出向しているときに、来てくれと言われて、大臣は中央会の参事から常務になられるような頃だと思いますけれども、霧島グランドホテルか霧島ロイヤルホテルかなんかに行って、そして、ちょっとでかい口をたたいたら、寝ていたら起こされて、一晩中議論させられたのを覚えています、食ってかかられて。そこに大臣はおられなかったからよかったですけれども。
それで、日本の畜産、今言った漁業のところはあれだけれども、日本の畜産ほどゆがんでいるのはないと思います、しようがなかったと思いますけれども。
七ページをちょっと見てください。
飼料自給率の推移、これは農林水産省から出していただいたのですけれども、飼料穀物の輸入量、ぐちゃぐちゃ数字が書いてありますが、一番右側に、千三百万トンです。かつては二千万トン近くです。もうめちゃくちゃですね。そして、粗飼料まで輸入しているんです。飼料穀物は、一九六五年とか、昔と比べると三倍ぐらいですけれども、粗飼料、わらとか、そんな、草ですよ。それも二百二万トンも輸入しているんですよ。そして、農林水産省は二〇三〇年には一〇〇%の粗飼料の自給と言っていますけれども、粗飼料の自給率は今七六%ですよ。
これは、皆さん、一般の人たちは御存じないと思うんですけれども、何だ、草とかそんなのまでわざわざ外国から輸入しているのかと。アメリカ、豪州、カナダ、船で運ばれてくるんですね。今、飛行機はなるべく使わないようにというので、フライトシェーム、飛び恥と日本でも訳されていますけれども、CO2をいっぱい出すような交通機関はなるべく利用しないとグレタ・トゥンベリちゃんが言い出して、そのとおりだと思います。飛行機と比べればずっと排出量は少ないんですけれども、でっかい船に、たかが草ですよ、それを入れて、持ってきて、日本の牛に食べさせる。これは日本でできるんじゃないかと思うんだ。
国土交通省の古川政務官においでいただいているので。
国土交通省はいいことをしているんですよ。どういうのかというと、次の八ページを見ていただきたいんですが、八ページの資料。
これは兵庫県ですけれども、佐賀県は、いろいろな河川敷とか、農業と水害とか川の一体化というのを、もうちょっと違うんですが、水害防止のために水田ダムというのをやっているんですね。これは知事時代にもうやられたんだろうと思います。多久市ですか、そういうところが先行をしているというのです。
似たようなものですね。これはびっくりしたんですが、「粗飼料自給 畑は河川敷」。そこら中に河川敷はいっぱいあります。草ぼうぼうです。誰の土地でもない。国有地です。それを、気が利いているんですね、ここの草を使わせてくれと言って、粗飼料が足りないから、こういうことをやっているんです。
これは非常にいいことだと思うんです。古川さん、これは是非全国に広めていただきたいんですけれども、今、現状、どうなっておりますでしょうか。
○古川大臣政務官 国土交通大臣政務官の古川康でございます。
お答えを申し上げます。
河川区域内の国有地を利用するという場合には、土地の占用等に関する河川管理者の許可が必要となります。そして、現在、御指摘ございましたように、今、占用の対象として採草地は認められております。
議員御指摘の兵庫県豊岡市円山川の河川敷と同じように、市町村が占用の主体となって採草地として占用をしている事例は、島根県の斐伊川あるいは長良川などで行われていると承知をしているところでございます。
採草地の占用について新たな要望がございましたら、国土交通省といたしましては、地元の御意向を踏まえて丁寧に対応をしてまいります。
○篠原(孝)委員 ありがとうございます。非常にいい答弁、前向きに取り組んでいただいています。
そうしたら、もう一押しですよ。いいことですから、大臣、個々の農家や各県で要望したらやってやる、そんなことじゃなくて、農林水産省から、これだけ粗飼料がなくて、二百万トンも外国から粗飼料をわざわざ輸入しているんだと。草なんか幾らでもあるわけです。飼料穀物まで全部作るとなると、二百万ヘクタールぐらい必要だそうです。それは無理だと思いますけれども、少なくとも草ぐらいは日本で作る。なぜかというと、世界の平均降雨量は六百ミリです。日本は千八百ミリです。北緯三十五度か三十六度です。ヨーロッパ、西洋は北緯五十度前後なんです。一平方メートル当たりの植物生産量が全然違うわけです。だからこれを利用しない手はないんです。
農林水産省から国土交通省にちゃんと要望し、こういうことがあると。知らない人がいっぱいいるわけですから。これをやってくれるように働きかけていくべきじゃないかと思いますけれども、いかがでしょうか。農林水産省が挙げて国土交通省にお願いして、河川敷の草をちゃんと利用させてくれ、もうルール化していった方がいいと思うんですが、いかがでしょうか。
○野村国務大臣 ただいま古川政務官の方からありましたが、河川敷の活用につきましては、国交省の方で前向きに取り組んでいただいております。
篠原委員が出されました粗飼料の輸入量でございますけれども、これは多分、酪農だと思います。非常に輸入乾牧草が上がってきましたので、それでこれがどんどんどんどん金額も増えてきているんだろうと思いますが、いわゆる酪農以外の黒牛等については、これはもうほとんど稲わらですから、粗飼料の輸入ということは余り考えられないんです。
ただ、例えば私の鹿児島にしても、稲わらが足らないものですから、今回、初めて宮城県から稲わらを輸送してもらうようになりました。秋田なんかは、稲わらの飼料用に向けているのは僅か四%しかない。あとはすき込んだり燃やしたりというのがありますが、私の鹿児島では、足らないものですから、中国から輸入しているんです。ですから、そういったようなこと、おかしな現象が起こっているものですから。
一方では、東北の米地帯の方は稲わらが余り過ぎている、我が南九州の宮崎だ、熊本だ、鹿児島は稲わらが不足している、よって、中国から輸入しているというこんなおかしな現象が出てきたものですから、やはり国内にあるものは国内で活用しようということで、今年から稲わらを鹿児島は宮城とやり取りをするようになりました。また、佐賀や福岡も稲わらが余っているわけです、稲作が非常に盛んですから。そうすると、熊本は畜産県の一部でもありますから、熊本と佐賀と、稲わらの交換をやらせて、そして堆肥をやっている。そういう国内での流通を、耕畜連携をやっている、そういうのが今ようやく根づいてきたというようなことです。
篠原委員がおっしゃいました粗飼料、河川敷も使っている人たちも多いです。ですけれども、酪農家の皆さん方の粗飼料というのは、やはりちょっと乳量の問題やら乳質の問題があって稲わらだけでは駄目だということがあって、乾燥の牧草を使っておられる。そして、それが不足した、規模拡大したけれども不足しているから輸入に頼り出したということで、こういう数字が出てきているんだろう、こんなふうに思います。
河川敷の活用は、これからも国土交通省と連携しながらやらせていただきたいと思っております。
○篠原(孝)委員 是非やってください。
ホールクロップサイレージというのがありますので、全体利用で、日本でできるものはみんな活用して、循環的な農業にしていかなくちゃいけないんです。だから、中国から稲わらというのもよくないんです。
鹿児島に宮城から持っていくというのもまた輸送コストの面でも大変で、それは、覚えておられますか、物すごく汚染された仙台平野の稲わらが但馬牛や松阪牛や飛騨牛や、そういうところにみんな行っていたんです。最後に、なぜかしら仙台平野の、なぜかしらの理屈があるんですが、その稲わらを出荷の二週間ぐらい前に食べさせるときれいな霜降りができるというので、全国に散らばっていたんです。幸いにして、長野県はそういう銘柄牛がないので全然来ていなかったんですけれどもね。
ちょっと過去の話ですけれども、僕が副大臣をやっていたとき、汚染されて、それはトレーサビリティーで、その牛の肉がどこに行っているか、みんな分かったんです、BSEの関係で。そういうことまでしているんです。そこまで凝ってやる必要はないと思いますけれども、全体利用という意味では当然で、稲わらを利用すべきで、河川敷の前に稲わら利用と、地元でリサイクルしてやっていくといいんだ。
日本の畜産のゆがみは規模拡大し過ぎたというのはこの次のときにさせていただいて、ちょっと予算関係のところを最後にお伺いしたいと思います。指摘をしておきたいと思います。
十四ページを見ていただきたいんです。十四ページをお開きください。農林予算の推移というのを。十三ページを先にしますかね。十三ページ、小さい字の方を見てください。
これは、日本は農業に過保護だ過保護だと言われていますが、そうじゃないというのを数値化したものなんです。
上、農業総生産、GDP比でどれだけ農業総生産額が占めているかと。韓国が一番で、日本が三番目なんですね。ほかの国は第三次産業の方がずっと多い。
次に、ここから大事なんです。
農業予算が国家の予算と比べてどれだけか。韓国が一番多いんです。十三ページの表ですね。日本はびりから二位、イギリスの次です。
農業予算の生産性というのは、私が考えたんですけれども、農業予算でもって農業総生産額を割った数。ドイツが一番効率がいい。日本は二番目です。だから、結構スリムなんです。
ここから後が、日本は全然冷遇されているという数値が出ています。
国民一人当たりの農業予算額は先進国で四位。アメリカが一番です。アメリカが一番なのは、アメリカは農家数が少ないからです。
農業就業者一人当たりの農業予算額はびりです。全然農業予算が多くない。
一経営体当たりも六位。そして、一経営体当たりの直接支払い額も五位。
保護なんかされていないんです。
そして、今度、十四ページを見ていただきたいんですが、時系列です。農業予算は一体どうなっているか。一九七〇年から九〇年と、そして最近は十年ごと、ちょっと昔は二十年でやりましたけれども。
私が農林水産省へ入った一九七三年、農林水産予算というのは大体三兆円前後でした。ずっと減ってきて、一九七〇年と比べて二・三倍。総予算は史上最高で百十四兆円になっていますから十四・四倍。防衛費は、まだ伸び切っていませんけれども、これからうんと伸びるそうで、十一・九倍です。文科省は五・八倍。厚労省は、社会保障なんて二十七・二倍です。こうなっているんです。
それに対して、今どうなっているか。一番最後のページ。これはばあっと書き出したのでちょっと不正確な面もあろうかと思いますけれども、それはお許しください。
安全保障絡みでどれだけお金を使っているか。二三年度は六・八兆円、これから五年間で四十三兆円にする。僕はこれは反対しません。反対しませんというか、ほかのところに使ってというのはあるけれども、大事なので。
コロナ対策には、どれまでコロナ対策に加えるかどうか分かりませんけれども、三年間で百二兆円使っている。これも必要経費だったと思います。
エネルギー対策で、今、GX推進法の採決、我が党は反対してきたんです、でたらめなので。何か、二十兆円を投資すると。投資しておいて、後から賦課金を取ると。賦課金も、いろいろ今ある賦課金がちょっと下がった分も、だから実質的に賦課に全然ならないようにしている、そういうなまくらで二十兆円も投資すると。
そして、我が農林水産予算は、食料安保は大事だと言いながら、ずっと、さっき言ったように、下がりに下がって、二兆二千六百八十三億円。食料安保予算は、防衛と比べて、エネルギーと比べて、全然金目では増えてなんかいないんです。本当に少ないですよ。これを何とかしなけりゃいけない。これは我々農林水産委員会のメンバーのやることです。是非これをよく頭の中にたたき込んでいただきたいと思います。
幸い、立派な大臣を今頂いているんです。私は今ほっとしているんです。私よりも年上の議員ってだんだん少なくなっちゃっていて、数少ない一人が野村大臣です。だけれども、やり取りしていても、その辺のぼけっとした議員とやり取りするよりもずっとちゃんとしておられますよ。全然年を感じられません。
それで、是非頑張っていただきたい。どうやって頑張っていただきたいかというと、バイデンさんも頑張っておられます。バイデン大統領とどっちが年上ですかね。似たようなものですよね。あっちよりかはずっと元気に見えますよ。
それで、ほかのところを見ますと、プロ化しているんですね、大臣が。厚生労働大臣が、加藤さん、しつこく、三回目ですよね。田村さんとか、後藤さんも、初めてですけれども、結構プロの人がやっている。防衛もそうです。浜田さんも昔やりましたし、小野寺さんとか、中谷さんとか、石破さんとか。
農林水産大臣も僕はそうあってしかるべきだと思うんです。年齢にもめげず、長期政権、総理が替わっても、野村大臣だけは替わらず農政を推進していただく、そのことをお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
一時間五分、御清聴ありがとうございました。
○笹川委員長 次に、池畑浩太朗君。
○池畑委員 日本維新の会、池畑浩太朗でございます。
早速質問させていただきたいと思います。
農業大学校における有機農業教育の現状について今回は質問させていただきたいと思います。
長い間、担い手不足と言われております。就農するに当たりましては、エースとして大事に育成をしていかないといけないという観点から質問させていただきたいと思います。
ちなみに、私も農業大学校出身ではありますが、国会議員要覧の別冊というものがあります。その中には、それぞれの議員の先生方の出身校とか、そういったものが載っておりますが、私は、農業大学校というのはなく、その他ということになっておりまして、農林水産省の管轄だからかなというふうに思っておりますけれども、その他の学校なんですが、それについて質問させていただきたいと思います。
昨年五月、農林水産委員会においても、農業大学校について、有機農業の専攻科を多く設置するべきではないかと、今二校ですけれども、求めていく質問をさせていただきました。
さきの委員会でも、我が党の掘井委員も質問されておりましたけれども、農林水産省から答弁をいただきました。有機農業に関する学びの場が増え、有機農業の取組が広く広がるように支援をしてまいりたいという答弁をいただきました。
以降、今日まで、学科とかコースが急に増えるわけではないというふうに思っておりますけれども、有機農業に関する専攻科が現状今どうなっているかということと、有機農業、専攻科ではなくてもその科目などについて、現状、学ぶ場が増えているのか、そして増えている傾向にあるのか、農林水産省としてその方向に向かせようとしているのか、質問させていただきたいと思います。
○村井政府参考人 お答えいたします。
農業大学校における有機農業教育につきまして当省が行った調査によりますと、令和四年度は、約九割、三十六校の農業大学校において有機農業に関する教育を実施しております。このうち、有機農業に特化した専攻を設置している学校は二校、それから有機農業を主とした科目を設置している学校は八校となっております。
また、令和五年度におきましては、専攻を設置する学校は令和四年度と同様二校でありますけれども、有機農業を主とした科目を設置する学校が八校から十校に増加するなど、一定の進展は見られるのではないかというふうに考えております。
農林水産省といたしましては、農業大学校におきまして有機農業を学べるようにすることは重要であると認識をしており、今後とも、支援策の積極的な周知等により有機農業教育の充実を図ってまいりたいと考えております。
○池畑委員 答弁ありがとうございました。
先ほども申しましたけれども、急に増えたり減ったりするものではないと思うんですが、先ほど申し上げました、科目の方が少し減ったりする傾向も見えておりますので、県の管轄なのかもしれませんけれども、指示として、是非そういう傾向を進めてもらいたいという方の話をしていただきたいというふうに思います。
農業大学校における、先ほど申し上げました有機農業の教育をするに当たっての課題ということで、いろいろと農大の方にも確認を取りました。その中で、有機農業のコースをつくったり新しい取組をしようと思ったら、講師の確保だとか有機農業の実習の場というのがなかなか確保が難しい。こちらは、現場から手を挙げてこういうことをやりたいんだけれどもとは思ってはいるけれども、そういったような講師だとか、有機農業の圃場がなかなか確保が難しいということでした。
農林水産省は、みどりの食料システム戦略の関係で、有機無農薬栽培の指導員を確保する取組を進めているというふうにお聞きしております。たしか五百名ぐらいの目標だったというふうに思っておりますけれども、このような方々にも農業大学校において教鞭を執ってもらうということで、外部の講師としてそういう方々も受け入れるべきではないかなというふうに単純に思いました。事業の活性化にもなるというふうに私は思ったんですけれども、また、そういった取組を支援していくべきではないかというふうに思っております。
また、ちょっとこれは通告をさせていただいていないんですけれども、その五百名の指導員をどういった形で選抜をされているのか、どういう基準で選抜をされているのかも、併せてお聞きすることができれば答弁いただきたいと思います。
○野村国務大臣 お答え申し上げます。
先ほど村井局長の方からるるお話をさせていただきましたが、全国で九割の農業高校が有機農業の研修をやっているということの発表がありました。
一方で、その指導者の方でございますが、令和三年度で二十六府県で二百四十五人を育成しておりましたが、四年度までには累計で五百人の普及員が、有機農業の資格というかそういうものを、携わるということになってこようと思っております。
したがって、やはり指導者がいないと裾野は広がっていきませんので、こういう指導者育成について、我が省としては力を入れているのでございます。
このため、農水省では、農業大学校における教員の指導力向上に必要な研修の受講、それから外部講師による出前授業の実施、あるいはまた各都道府県における技術や経営指導を行う有機農業指導員の育成、確保を支援しておりまして、こうした指導員が農業大学校の指導者としても活用されているところだ、今後も続けていきたい、こういうふうに思っております。
○平形政府参考人 お答えいたします。
有機農業指導員でございますが、現在、都道府県において、一定の研修を受講していただくことで、有機農業の栽培技術それから有機JAS制度等について助言、指導を行う者として都道府県に認定していただくのですが、実際のところは、普及指導員等の都道府県の職員のほか、営農指導員等の農業協同組合の職員、それから委員御指摘のありました農業大学校の講師の方々、それから熟練の有機農業の生産者の方も含めて、都道府県の中でそういった方々を今養成をしていただいているところでございます。
○池畑委員 今、人数的にも五百人を目標ということで、農業大学校で講師をしていただく先生とはまた別の話だというふうに思いますけれども、是非、農業大学校の卒業生を含めた形も併せて、外部講師というのを結構充実させていかないといけないというふうに思っておりますので、また圃場の確保も含めてしていくべきだというふうに思っております。
時間が限られておりますので、次に移らせていただきたいと思います。
今、農業大学校の有機無農薬の課題についてお話をさせていただきましたが、今、農業大学校で、実習の充実は大分図られているというふうに思います。座学の面については、先ほどお話をいただきました、先生方というよりは、実習の教員の方々が同じく座学をしているということもあります。
また、今大臣からも答弁いただきましたけれども、先生方も勉強をしていかないといけないというふうに思うんですが、私、この質問をするに当たって官僚の方々とお話をするときに、農業大学校の教科書とか農業高校の教科書をお見せしながらお話をさせていただいたんですけれども、指導する教科書もあるんですけれども、農業大学校に関しましては、まあ分かりやすいんですけれども、非常に堅いというか、座学を改めてするにしては、すごく、分かりにくいことはないんですけれども、ちょっと堅苦しい教科書でして、それをるる、ずっと読まれても、座学として勉強になるかどうかというのはちょっと疑問があります。
是非、先生方の教え方を、大臣も答弁いただきましたけれども、しっかり、教え方の学習も大変必要だというふうに思いますので、プラス、有機農業の知識もないといけないし、経験もないといけないということで、かなりスペシャリストになってきますから、その方々の働く気持ちも大事だというふうに思いますから、転勤も含めた形になると思いますけれども、そこでずっと働き続ける専門員としても採用する必要もあるんじゃないかなと申し添えたいというふうに思います。
その中で、農業教育を今活性化させるという話なんですけれども、農業大学校に、今ずっとお話をさせていただいております専攻科、今二校だけということだったんですが、島根と埼玉だったと思うんですが、そこの先生方も、かなり外の農家の方に御協力をいただいて生徒たちを実習に行かせる、なかなか校内だけでは勉強できないというお話をいただきました。
その中で、例えば、近畿ブロックとか東海ブロックとか、一校ごとに、せめて先ほど言いましたスペシャリストの先生方とか、有機農業の専攻科をつくって特色を出していこうと。そのときに、静岡県に農林環境専門職大学校とか、開校予定の山形の専門職大学校があるんですけれども、農大をそういう方向性にリニューアルしていこうとしているのか、そういう方向性に持っていこうとしているのか、その辺も含めて答弁をいただきたいと思います。
○村井政府参考人 お答えいたします。
今委員の方からも御指摘のありました専門職大学校、そういったものに移行するかどうかということも含めて、各県において、県の実情を踏まえて検討していただくということが基本にはなります。
そういった中で、農業大学校などの専攻につきまして、各都道府県、幾つか動きが出てきておるということは御紹介をさせていただけるかなというふうに考えております。
例えば、群馬県立農林大学校でございますけれども、まず、農林水産省におきまして、有機農業のカリキュラムを強化する取組等に対して支援を行っております。この支援を活用して、群馬県立農林大学校におきましては、令和五年度に、有機農業に関する科目ですとか、あるいは就農希望者向けの研修コースを新たに設置をするということ、さらには、令和六年度には、有機農業専攻を設置する予定というふうに伺っておるところでございます。
このように、委員からの御指摘もありましたように面的に広がるというところまではまだいっていないんですけれども、こういった形で、様々、各都道府県においても、この有機農業に対するそういった重要性の認識というのが徐々に広がってきているのではないかな、そういった中で、この有機農業教育にも一定の進展が見られるのではないかなというふうに考えております。
今後とも、教育現場の御意見や御要望をよくお聞きしながら、有機農業教育の推進を図ってまいりたいと考えております。
○池畑委員 答弁ありがとうございました。
やはり、各県によって、近畿や北海道、また九州、沖縄では、全然作っていく作物も違うと思いますし、何よりもそこで学んでいただいた有機農法に興味を持ってもらって、有機農業でしっかりと生計を立てていこうと思う人物を何人も増やしていかなきゃいけないというふうに思います。
ですから、両方やっていかなきゃいけないと思うんですが、やはりそういった未来への投資に対してはしっかりと予算を組んでやっていただきたいと思いますし、私たちもしっかり応援をしていきたいというふうに思っています。
最後に、農業大学校には、女性も多く学んでおります。私の頃は女性寮ができ始めの頃だったんですが、男性寮と含めて壁だけ造って往来をさせないように、鍵だけちょっと一個だけついていましたけれども、大変、ちょっと大丈夫なのかなというふうに思うことも多々ありました。
今の時代ですから、農業高校なんかの要望は、女性のトイレだとか女性のシャワーの部屋だとか、そういったことに対してすごく、衛生面も含めてきれいにしていこうという方針があると思いますが、ここから、やはり、女性の方々に農業大学校で学んでいただこうということも大事だというふうに思いますので、そういった、魅力的になる、魅力的に映るように、こういった施設の整備も大変必要だというふうに思っておりますが、答弁をいただければと思います。
○村井政府参考人 お答えいたします。
農業大学校は、将来の農業の担い手を育成、確保する上で重要な役割を果たしております。農業大学校で学ぶ学生を確保するために、女子学生を含めて魅力を感じられる教育環境を整備する必要があるという点につきましては、委員の御指摘のとおりだというふうに我々も認識をしております。
このため、農林水産省におきましては、学生寮や研修施設などを含む施設整備や、スマート農業等の研修用機械、設備の導入、女性農業者等による出前授業など、農業教育の充実に必要となる取組を支援しております。
これらの支援を通じまして、女性も含めて、将来の農業を担う幅広い人材の育成、確保に取り組んでまいりたいと考えております。
○池畑委員 時間ですので、これで質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○笹川委員長 次に、掘井健智君。
○掘井委員 日本維新の会の掘井健智でございます。
昨年十月に農福連携の質問をしまして、若干残りましたので、今日はその続きをやっていきたいと思います。
前回、十月の農水委員会で明らかになりましたのは、何よりも、この農福連携の知名度不足であります。また、国の制度上可能でありますのに、理解不足の現場担当者ができないと勝手に判断して、農福連携をやっていこうとしている人の意欲をそいでいる、そんな現状がありました。
社会福祉法人が社会福祉事業の用に供する農地を所有することが、実際これは可能でありますのに、地元の農業委員会が認めない事例もございました。例えば、農地が、雷が鳴りまして、怖がる障害者がいるために、避難所が必要になったりします。また、障害者にはスコップとか重くてなかなか持参できないということで、保管庫が必要になったりするわけであります。こういったように、障害者の方が農作業を行う際にやはり必要となる避難所でありますとか、保管庫、またトイレ、休憩所、更衣室、こういったものを、営農に必要な農業用施設として設置が可能であったとしても、地元の農業委員会が認めない、こういう事例も伺いました。
これらの現場の農福連携の理解不足ということについて、農水省は周知に努めていくと答弁でありました。
質問から、今、約五か月がたっております。先日、この間の取組を伺いましたところ、農水省は、農地取得及び農地の転用については、引き続き、ホームページなんかでマニュアル、パンフレットを周知する、農福連携の初心者に向けてのオンラインセミナー等もホームページなんかで紹介する、こういうふうに回答されておりました。
しかし、一方通行ではやはり駄目だと思うんです。現場の担当者へもっと積極的にアプローチしませんと、なかなか状況は変わらないと思うんですね。現状、地域によって温度差があるという中で、農福連携を応援している感じではなくて、やりたい人が勝手にやっている、こういう感じに受け止められているのがやはり問題だと思うんです。
農福連携を推進していくために、農業委員会等に対してもっとガイドライン的なものを作成し、徹底を図るべきではないでしょうか。
○角田大臣政務官 農福連携については、令和五年六月に取りまとめられた農福連携等推進ビジョンに基づいて、障害者等が働きやすい環境整備への取組を進めているところですが、御指摘のとおり、認知度の向上が課題の一つであるというふうに認識をしております。
このため、令和四年度においては、農福連携の優良事例を表彰するノウフク・アワードの開催と、受賞者の取組のホームページ等での発信、さらに、これから農福連携に取り組もうとする方に向けたオンラインセミナーの開催、また、既に農福連携に取り組んでいる方に向けて優良事例を共有する農福連携取組促進フォーラムの開催などによって、農福連携への理解増進に取り組んでいるところです。
また、社会福祉法人が農地を所有できることや、障害者用の休憩所や更衣室、トイレ等については、営農に必要な農業用施設として農地への設置を可能としていることについても、当省のホームページで周知を図っているところです。
引き続き、農福連携を推進するため、ノウフク・アワードの開催等を通じて、広く認知度の向上に取り組むとともに、市町村の農業委員会、また、ほかの関係部局もそうだと思いますけれども、農福連携に対する理解の促進に取り組むなど、あらゆる機会を捉えてその周知に努めてまいります。
○掘井委員 できましたら、県の農業行政に対して直接お知らせしていただきたい、こんなふうに思っております。
農福の事業団体も、利用者である障害者に対して報酬を払う必要があるために、障害者が耕作した農作物を市場で売って収入にし、障害者の工賃として循環させていく必要があると思っております。販路を確保することが必要で、しかし、JAさんなんかは、農作物の規格の関係で、なかなか買取りに消極的であると聞いております。こういった状況では、福祉事業団体が自前で、なかなか、販路を切り開くということは非常に難しいわけであります。
そこで、農福連携における農作物の販路確保の支援体制について教えていただけますでしょうか。
○青山政府参考人 お答えいたします。
農福連携を推進する上で、委員御指摘のとおり、農産物の販路をしっかりと確保して、障害者の賃金や工賃に反映させていくことが重要と考えております。
このため、農福連携等応援コンソーシアムの活動の一環としまして、様々な課題について意見交換をするノウフク・ラボを立ち上げまして、販路拡大をテーマの一つとして意見交換を行っているところでございます。
この取組の中では、生産者と加工流通業者を集めました座談会の開催等によりまして、マッチングに取り組んでいるところでございます。
また、農福連携による産品を販売するノウフクマルシェを開催しまして、ノウフクアンバサダーのTOKIOの城島茂氏にも御参加いただいて、テレビニュース等にも取り上げていただいたところでございます。
あわせまして、JAのお話、御指摘ございましたけれども、JAへの出荷の促進に向けまして、農産物の栽培技術の習得に対して支援をしているところでございます。
引き続き、関係省庁とともにこうした取組を着実に推進しまして、農福連携による産品の販路確保に取り組んでまいりたいと考えております。
○掘井委員 私は、農水省が作成しております農福連携推進ビジョンの概要に、やはり、農作物の販路が記載されていないことに危機感を持っております。
先日、私がこの委員会で推進を訴えましたけれども、有機農業ですね、有機農業なんかは、非常に手間がかかって、農福連携に適している面もあると思うんですね。障害者を助けるのではなくて、障害者に助けていただく、こういう仕組みがあったらいいななんて思うんですけれども、農福連携では、人の手によって手間暇をかけないとうまく収穫できない、今の有機農業のことでありますとか、こういった農作物の付加価値をやはり市場価格に上乗せして、どのように工賃に還元させるかという観点も重要であるのかな、そんなふうに思っております。
その仕組みを是非農水省につくっていただきたいと思うんですけれども、農水省の御所見をお伺いします。
○角田大臣政務官 済みません、一点。
先ほどの答弁で、農福連携等の推進ビジョンの取りまとめられた時期を、令和五年六月と発言したようですけれども、正しくは令和元年六月でございます。
おわびして訂正します。済みません。
○野中副大臣 失礼いたします。
付加価値をつけていくことで、結果、障害者の方々の賃金そして工賃に反映させていくということは、これは大変重要であります。
このため、障害者が農林水産業における生産行程に携わった生鮮食品、また加工食品を認証するJASであるいわゆるノウフクJAS、これを平成三十一年三月に制定をいたしました。このノウフクJASの認証を取得した事業者ですが、令和五年三月で計四十一事業者となり、取得した事業者からは、販路の拡大そして単価の上昇につながったという声を聞いております。
私どもとしましては、農福連携によって農産物、加工品の付加価値向上につながるように、引き続き、マルシェ等の場を活用して、消費者等に対してノウフクJASの認知度の向上に取り組み、また、その結果、付加価値につなげていきたいというふうに思っております。
○掘井委員 ありがとうございます。
続いて、障害者雇用代行ビジネスについて質問したいと思います。
障害者の法定雇用率をめぐって、企業に貸し農園などの働く場を提供して、就労を希望する障害者も紹介して、雇用を事実上代行するビジネスが急増しております。報道によりますと、十数事業者が各地計八十五か所で事業を展開しておるということで、利用企業は全国で約八百社、働く障害者は約五千人に上ります。
この大半の企業の本業は農業と無関係で、障害者を雇うために農作物の栽培を開始して、農作物は社員に無料で配布する、こういったケースも多く、仕事の実態も一日の大半が休憩時間だった、こういう証言もあります。従来の農福連携と目的が大きく異なる部分があります。農福連携では、農作物を市場で売り、収入を得て、稼げる農業を目指しているのに対しまして、この代行ビジネスでは、そもそも販路を不要として、農作物と経済活動を峻別しているという点でこれは全く違うわけであります。
また、極めてそこには単純な作業しかなく、障害者のスキルアップがないという点が問題だと言われておりますが、障害者団体からは、障害者の法定雇用率を形式上満たすためで雇用や労働とは言えない、本業から障害者を排除している、これでは本末転倒ではないか、こんなことがまかり通ったら苦労して障害者雇用に努めている真面目な会社がばかばかしくならないだろうか、こんな指摘が相次ぎました。
多くの批判を受けまして、衆参両院は、昨年十二月に、附帯決議で、代行ビジネスを利用しないように、企業の指導を検討することを政府に求めております。
しかし、この附帯決議にもかかわらず、今月も障害者雇用代行ビジネスによる農園が新規に開設されたと聞いております。
厚労省は、附帯決議を受けて実態把握を進めておって、国の趣旨等に照らして疑義が残るケースがあった場合、その場合には、事業主の責務等を踏まえた雇用の実現に向けて必要に応じて助言又は支援等を実施していきますということです。
では、農水省はどうでしょうかということで、私が問題視するのは、農作業をしている点は同じであるために、農福連携と代行ビジネスがなかなか、混同されてしまうというおそれがあると思うんです。農地を農地として利用していれば済む話ではなかなかないと思うんですね。この農福連携では、手間暇をかけた農産物が収穫できて、障害者を助けるのではなくて障害者にやはり助けてもらう、こういうことが可能なんですね。これは全く違うということなんです。
障害者の自信や生きがいをつくって社会参画を実現する、こういう取組を目的にする農福連携等推進ビジョンに照らして、障害者雇用代行ビジネスは適切かどうか、農水省の立場で。今後、当ビジョンの観点から実態把握をまずしてほしいと思うんですけれども、実態把握をしていくべきではないか。これは大臣の見解をお伺いいたします。
○笹川委員長 時間ですので、答弁は簡潔にお願いします。
○野村国務大臣 はい。
御指摘の農園型障害者雇用は、障害者等を雇用する企業が別の事業者から障害者等の紹介を受け、その事業者の管理する農園で就業するものであると認識いたしておりますが、その形態だけをもって、農業経営の発展とともに、障害者の自立や生きがいを創出する取組であるか、そうでないかを一概に判断することはできないものと考えております。
そのために、農林水産省としましては、農福連携を推進する立場から、厚生労働省とも連携しつつ、農園型障害者雇用で取り組まれている農業の実態や、そこで働く障害者の状況について把握してまいりたいと考えておるところでございます。
○掘井委員 時間がやってまいりました。
私は、元々これはすみ分けを、元々違う部署が連携するので、やはり最終的には農福連携基本法みたいなものがあればいいかな、こんなふうに願っております。
ありがとうございました。
○笹川委員長 次に、細田健一君。
○細田(健)委員 自由民主党の細田健一でございます。
質問の機会をいただきまして、本当にありがとうございます。笹川委員長を始め理事の先生方に心から御礼を申し上げます。
また、私の質問時間について、御調整をいただきました。御配慮いただきました関係委員の皆様には、本当に心から御礼を申し上げます。ありがとうございました。
私の地元新潟は、本州一の米どころでございます。東京から新潟に新幹線で参りますと、これはいらした方はお分かりになると思いますけれども、長岡を越えると本当に広大な水田が広がっておりまして、そこが私の選挙区でございます。地元には本州最大規模の土地改良区もございまして、本日は、その地元の声を踏まえて、米問題について幾つか問題提起をしたいと考えております。
まずお伺いしたいんですけれども、皆さん、今日の朝御飯は何を召し上がったでしょうか。
ちなみに、私は、今日のこの質疑がございますので、昨日スーパーマーケットに行って見つけた新潟産のパック御飯、これはレンジでチンで二分で非常に便利なんですけれども、パック御飯と、それから国産と書かれたシャケを焼いて、シャケ弁当みたいなものを食べて、日本人でよかったなという時間を過ごしたわけでございます。
これはお一人お一人聞いていくとすぐ二十五分たっちゃうので、そういうことはいたしませんけれども、いや、細田さん、今日の朝、白い御飯を食べましたよという方は、恐らくそんなには残念ながらいらっしゃらないんじゃないかなというふうに思います。
残念ながらとあえて申し上げますけれども、日本人はお米を食べなくなっています。これは、皆さん御存じのとおり。私は昭和三十九年に生まれましたけれども、その当時と比較しますと、今の日本人の年間一人当たりの米の消費量は、その五十八年前に比べて約半分以下ということになっているわけでございます。
そこで、まずお伺いいたしますけれども、日本人が仮に三食ともお米を食べるようになったら、カロリーベースの食料自給率は現在の数字からどれくらいアップするのか、まずこれを教えていただければと思います。
○杉中政府参考人 お答えいたします。
現代の食生活におきまして、日本人の米の消費量は、一人一年当たり五十一・五キログラムでございます。御飯で換算すると、一人一日約二・四杯食べているというふうに試算をしております。
米の消費量の増加分が輸入品を全て代替する、また、一人一日当たりの供給熱量を一定とするというような前提を置いた上で機械的に計算しますと、仮に御飯を一日一人三杯食べるようになった場合は、カロリーベース食料自給量は約六%増加いたします。
また、一人一日四杯食べるとしたときには、約一五%増加するというふうに試算されます。
○細田(健)委員 ありがとうございます。
私の理解では、現在の食料自給率、直近の数字は三八%という、カロリーベースですね、数字が出ていまして、これは目標値として四五%を二〇三〇年までに達成するというのが国の掲げる目標だというふうに理解しておりますけれども、今、事務方の方からお話があったように、要するに、日本の方が今二・四杯を三杯にということをおっしゃいましたけれども、例えば、今よりも本当に一杯多く食べるようにすれば、本当にもうあしたからでも四五%の目標数字というのは達成できるんですよね。
あるいは、一人二杯、一日に食べてくださいというと、あっという間に、これは一六%とおっしゃいましたか、ですから、五四%ぐらいになりますから、もう目標数字も超えちゃう形になるわけなんですけれども、その意味では、食料自給率の向上が国家的な課題であるということであれば、それこそ、国を挙げて米を食べる運動を進めるべきじゃないかというふうに思っております。
私自身、初当選をさせていただいて、この十年間、農政にささやかながら携わってきたわけでございますけれども、本当に最近つくづく感じるのが、日本人が何をどう食べるかということですね。これが、当然のことなんですけれども、食料の生産を担う農業あるいは水産業の生産現場に非常に大きな影響を与えるわけでございまして、我々は、どちらかというと、生産の現場、これも非常に大切です、生産の現場の状況に焦点を当てがちなんですけれども、私自身は、もう少し消費という点についてももっと焦点を当てて議論をしてもいいんじゃないかなというふうに考えております。日本人が魚を食べなくなったからこそ、日本の水産業は厳しい状況に置かれているのであって、この逆ではないというふうに思います。
この観点から、何をどう食べるかという食育が非常に重要であるというふうに考えておりまして、例えば、国産の食品をもっともっと食べようよ、あるいは魚をもっと食べようよというようなことを、本当に子供のうちからいろいろと議論したり、あるいは教えるということが大切なんじゃないかと思いますけれども、この点についての農水省の認識はいかがでしょうか。
○野中副大臣 食育基本法でありますが、食育は、食料自給率の向上に資するよう推進することとされております。令和三年に決定された第四次食育推進基本計画でも、御飯を中心に多彩な副食を組み合わせ、栄養バランスに優れた日本型食生活の実践を推進することとしております。
私どもとしましては、こうした日本型食生活の実践を推進する観点から、これは私も言ったんですけれども、米飯学校給食の推進、定着や和食給食の普及、確かに、先生おっしゃるとおり、一週間三・五米飯給食がありますけれども、ここで学校給食から家庭に米を食べたいという子供が増えれば、それは確かに、いっぱい増えれば六%増えるということにもつながるのではと思います。また、地域食文化の継承、日本型食生活の実践に向けた調理講習会や食育授業等の開催等の取組を支援しているところであります。
引き続き、学校、地域等の様々な場面において食料自給率の向上に資するよう、日本型食生活を推進してまいりたいと思います。
○細田(健)委員 ありがとうございました。
私も、今の御答弁を聞き、また御説明を伺って、理念あるいは目標というのは非常に立派なものをお持ちだと思いますし、まさに国を挙げて推進をしていただきたいというふうに思っております。
恐らく、霞が関で、農水省の担当の皆さん、本当に頑張っておられると思いますけれども、他方で、それが現場にどう反映されているのかということ、非常に立派な理念と目標を持っておられますけれども、それを現場にどううまく反映させるかということが一つの課題かなと思っておりますので、この点についてはまた更にいろいろな議論をさせていただきたいと思っております。
どんどんどんどん、残念ながら、米の消費が減っている。そうしますと、今度、需要を拡大しようという話になっていくわけでございますけれども、例えば、米粉を使うでありますとか、それから、やはり輸出ですね、これは農産品全てについて言えると思いますけれども、人口減少社会ですから、国内消費が減少する。そうすると、当然、外に打って出るということが大変重要になってくるわけでございます。これは済みません、ちょっと一問飛ばして、問いの三に行きたいと思います。
今、我が党では、農産品の輸出拡大の委員会、スペシャルチームをつくりまして、まさに武部先生を筆頭に、党内で様々な議論が行われております。この中で、米と米関連商品、これは日本酒でありますとか米菓、あるいは先ほど申し上げたパック御飯等々、本当にいろいろな商品があると思いますけれども、こういう、国を挙げて農産品を輸出しなきゃいけないというときに、特に米と米関連商品の輸出総量について、どういう目標を立て、そして、それを達成するためにどういう政策を打っておられるのか、簡単にお伺いしたいと思います。
○平形政府参考人 お答えいたします。
二〇二〇年、輸出拡大実行戦略の中では、米、パック御飯、米粉及び米粉製品を重点品目に位置づけておりまして、二〇二五年の輸出額目標を百二十五億円というふうに設定しております。
実績ですが、輸出額は、年々伸びてきておりまして、二〇二〇年に六十億、二〇二一年に六十六億、二〇二二年は前年に比べて二六%増の八十三億まで来ているところでございます。
今後、輸出の更なる拡大に向けましては、まず米については、日系だけでなく、現地系のレストランチェーンですとか、まだ進出が不十分な国、地域などの新たな市場に対しての開拓、それから、パック御飯、米粉等につきましては、市場規模の大きいアメリカ等における需要の開拓、これを図っていきたいというふうに考えております。
このために、米の認定団体を中心として、オール・ジャパンで、プロモーションの強化など、更なる輸出拡大に取り組んでまいりたいと考えております。
○細田(健)委員 ありがとうございます。
本当に最近の円安傾向で、非常に、農産品も含んだ輸出ドライブが大変かかりやすい状況になりつつあると思いますので、是非頑張っていただきたいと思っております。
今、いろいろ地域についても多少触れられたんですけれども、私は、中国本土に対して米あるいは米の関連製品を輸出するということ、これが大変重要じゃないかなというふうに考えております。中国は、御存じのとおり、巨大な市場でありまして、例えば、お米の消費は日本の二十倍、一億五千万トンを超えるというような統計もございます。また、中国は食料自給できない国でございまして、食料品の純輸入国、恐らく世界で最も食料品を輸入している国じゃないかと思いますけれども、本当に、この巨大な市場に対して、中国本土に農水産品、特に米を輸出できるようにするということが大変重要であるというふうに思います。
ただ、一方で、残念ながら、東日本大震災、また、これに伴う原発事故の余波を受けて、日本の農水産品が中国に輸出できないという問題がございます。この中国側の、ある意味、我々の観点からすればいわれなき輸入規制を解除しなければならないというふうに考えますけれども、これを解除するために、これまでどういう場で問題提起を行ってきたのか。
また、今週末に林大臣が急遽訪中されるというような報道もありますけれども、今後、仮に、例えば日中首脳会談が行われる場合など、ハイレベルで、こういう輸入規制というのは意味がないので是非解除すべきだということを主張すべきだと思いますし、また、もちろん、当然、事務レベルでは継続的に中国側に対して働きかけを行うべきだと思いますけれども、この点についてはいかがでしょうか。
○水野政府参考人 お答えいたします。
中国につきましては、新潟県産の米を除く福島県等十都県産の全ての食品、飼料の輸入停止を続けているほか、輸入が可能な品目についても、産地証明書等を要求しているところです。
この中国の輸入規制について、これまで、日中首脳会談や日中外相会談などのハイレベルの場や、担当省庁である海関総署との事務レベルの会合などの場において早期の撤廃を働きかけてまいりました。
農林水産省としては、関係省庁と連携し、引き続き、あらゆる機会を捉え、規制の早期撤廃に向けてより一層の働きかけを行っていく考えでございます。
○細田(健)委員 ありがとうございます。是非、本当に継続的に、粘り強く働きかけを行っていただきたいというふうに思います。
今週末の林大臣の訪中というのは、恐らくいわゆるスパイ容疑の問題というのがメインのトピックになるんでしょうけれども、あらゆる機会を捉まえて、是非中国側に、今の中国側の輸入規制というのはある意味全く意味のない、科学的に不合理なものであるということを、これは本当に強く働きかけを行っていただきたいというふうに思います。
これに関連して、地元の案件で恐縮なんですけれども、地元の新潟からは、新潟にも中国向けの米の輸出の施設の立地を働きかけるべきではないかというような非常に強い要望がございまして、これはJA新潟などが中心となって、中国が指定するいわゆる米の精米施設でありますとか、あるいは米の輸出用の検査施設を設置したらどうかという話が出ております。
具体的に中国側にも働きかけを行って、また、中国側からも担当官が検査をしに来たりというような一連の動きがあるというふうに認識をしておりますけれども、今、新潟県内における中国が指定する米の精米施設や輸出用の検査施設の進捗状況はどうなっているのか、また、今後の見通しはどうなっているのかということについてお伺いをできればと思います。
○森政府参考人 お答えいたします。
中国向けに精米を輸出するためには、中国側に認められた精米工場、それから薫蒸倉庫での精米、薫蒸処理が必要ということでございます。
この施設の追加指定、登録には、検疫対象害虫が発生していないことについて、日本側による確認調査に加え、中国側による現地確認調査が必要ということでございます。
御指摘の新潟県の二施設につきましては、この中国側の現地確認調査を待っているという状況でございます。
私どもといたしましても、中国向け精米輸出拡大のため、更なる施設の追加に向けて、日中経済協議などの場などを通じて中国側に働きかけを行っているというところでございます。
引き続き、しっかりと早期の追加に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
○細田(健)委員 ありがとうございます。これも是非継続的に働きかけを行っていただきますようによろしくお願いをいたします。
冒頭お話をいたしましたけれども、私の地元は本州最大の土地改良区がございます。新潟の、新潟市も含めたいわゆる越後平野の歴史といいますのは、本当に水との闘いの歴史でございまして、いわゆる信濃、昔は新潟市内も含めて、蒲原と言っておりますけれども、越後平野というのは沼沢地だったんですね。沼と沢の場所だったわけでございますけれども、本当に長年にわたって干拓をしてきて、今あるような広大な水田地帯に生まれ変わったというような歴史がございます。
この中で、低湿地地帯だったところを農地に変えたわけでございますけれども、ゼロメートル地帯なんかも非常に多く存在をしておりまして、ここに農業用水も本当に四方八方に張り巡らされておりますけれども、この農業用の特に排水施設については、いわゆる農業の利排水というのを超えて、本当に住民の安全を担う治水の一部を担っていただいて、非常に重要な施設になっております。これは実際に相当の国費も投入していただいているわけでございますけれども、私も先日見に行きまして、これは本当に、新潟を水害から守る非常に重要な役割を担っていただいているということを実感をいたしました。
これは、土地改良の事業予算で維持、更新が行われているわけでございますけれども、今地元が大変心配しておりますのは、この土地改良予算が将来的に削られてしまうんじゃないか、削られてしまうと、まさに治水、安全を担っている新潟県の農業水利施設が非常に悪い影響を受けちゃうんじゃないかというような心配が広がっております。
といいますのは、これは、今、防衛予算の話がございますけれども、昨年の議論を振り返りますと、今まで補正予算の財源になっていた部分というのが、今後防衛費に振り替えられるんじゃないかというような趣旨の、そういうふうに受け取られる趣旨の記載もございまして、その意味では、大臣よく御存じのとおり、今の土地改良事業予算というのは、補正予算と事実上一体となった形で運用されておりまして、その補正予算の分が減額あるいはなくなっちゃうと、本当に今後立ち行かなくなっちゃうんじゃないかというような懸念の声が強くございます。
ここで、大臣に是非お伺いしたいと思いますけれども、今後の土地改良事業予算については、これはもう今の規模をしっかりと堅持していくという強い決意を是非披瀝をしていただければと思います。
○野村国務大臣 お答え申し上げます。
農業の成長産業、これを図るためには、やはり土地改良事業というのは大変必要な事業でございますので、そういった認識は私どももいたしております。
ただ、委員おっしゃいましたように、年々のこの予算を見ていきますと、今年も六千百三十四億なんですが、本予算でいきますと四千四百五十七億になって、あと補正予算でクリアしているというような状況になっておるものですから、その辺の御心配があろう、こんなふうに思っております。
ですから、予算の中身の問題につきましては、ほかの委員会といいますか、参議院の方でもいろいろ言われまして、農林予算全体的に補正で賄っているんじゃないか、こういったようなことがございますが、予算を組むときにいろいろな状況がございます。
したがいまして、できるだけ本予算として確保した方が、これはもう非常に確定的なものですからありがたいんですけれども、ただただそれだけ言っていたって総額をやはり賄えないので、今年も補正の方で千六百七十七億ということで、全体的には前年とほぼ同額のような予算を確保したところでございます。
しかしながら、皆さんの認識というのは、食料の安全保障ということについて大変みんな関心が高まっておりますから、それのベースになってくるのは、何といいましても基盤の整備をしていかないとなかなかできない、そういった畑地化なり汎用化なり、こういったことも加えてやっていかないとできないということでございましたので、したがって、土地改良事業を着実にやはり推進していくためには必要な予算は安定的に確保する、このことだけは、我々は責任を持って、また委員の皆さん方の御協力もいただきながらやっていきたい、このように考えております。
○細田(健)委員 力強い御答弁を本当にありがとうございました。地元の皆さんも安心されたんじゃないかと思っております。
以上で終わります。ありがとうございました。
○笹川委員長 次に、田村貴昭君。
○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。
二十二日に発表された畜産・酪農緊急対策パッケージについて質問します。
今回の対策で新たに追加される農家への直接支援、総額では幾らになるんでしょうか。
○渡邉政府参考人 お答えをいたします。
今回出しました畜産・酪農パッケージでございますが、令和四年度第四・四半期に生産コスト削減などに取り組む生産者に対しまして、配合飼料一トン当たり八千五百円の補填金を交付するということと、配合飼料価格安定制度に新たな特例を設けまして、これは令和五年度の第一・四半期以降でございますけれども、生産者に補填金を交付する対策を盛り込んだところでございます。
これらに加えまして、生産コストの削減等に継続して取り組む酪農経営に対し、購入粗飼料などのコスト上昇分の一部に対する補填金を交付するということとしてございまして、これらの対策を合わせますと総額で九百六十五億円を計上しているところでございます。
○田村(貴)委員 追加支援は非常に大事だと思うんですけれども、これで大丈夫でしょうか。八日の委員会でも私は述べたところですが、飼料高騰前と昨年第三・四半期までの飼料価格との差に年間の輸入総量を掛けると、およそ四千億円から四千三百億円程度となります。政府の支援策を差し引いても約二千九百億円、約三千億円ぐらいが農家の負担となっています。この累積の赤字は今まさにまだ積み上がっていて、数字は更に大きくなるのではないでしょうか。
資料をお配りしています。配合飼料価格の推移です。第二・四半期、第三・四半期、この六か月間、およそ十万円程度で高止まりしています。二年前のおよそ二倍です。
具体的に聞いていきますが、今年度の第四・四半期、一月から三月について、配合飼料価格安定制度による補填と今回の緊急対策を合わせた飼料価格というのは、第三・四半期と比べて上がるのでしょうか。このグラフでは上がっています。どの程度の水準になると考えられるのか、説明をしてください。
○渡邉政府参考人 お答えをいたします。
第四・四半期の配合飼料価格安定制度によります補填単価でございますけれども、これは現時点で予断を持ってお答えすることは困難でございます。ただ、配合飼料価格の高止まりによりまして、制度による補填が第三・四半期よりも減少をいたしまして、生産者の実負担額が大きく上昇する懸念がございます。
このため、昨日閣議決定された予備費によりまして、一トン当たり八千五百円の緊急対策ということで、第三・四半期の六千七百五十円から拡大をさせていただきまして、農家の実負担額の上昇を抑制をしたところでございます。
農水省といたしましては、畜産、酪農が厳しい状況を乗り越えて、意欲を持って営農ができるように努めていきたいと考えてございます。
○田村(貴)委員 日本農業新聞三月二十五日付では、農水省は、一月―三月の配合飼料価格を十万円程度と試算、配合飼料価格安定制度による補填と緊急補填を合わせると、農家負担は、生産コスト削減の取組を考慮すれば八万七千円程度、考慮しない場合も同九万円程度に抑えられると見込むと報じられています。
まさにそのグラフが八万七千円程度の軌跡を描いているわけですけれども、高騰前は五万円あたりだった飼料価格が、この農水省の資料にあるように八万七千円、九万円程度では抑えられたことにはならないのではないでしょうか。
来年度について、この後がまた気になるところなんですが、今年四月、第一・四半期はどうなっていくんでしょうか。配合飼料価格安定制度で、変更するといいます。上昇分を計算する基準額を、直近一年の平均から直近二・五年の平均に変更する。こうして、高止まりによる補填金の目減りを防ぎ、補填金の基金の積立てに国が基金を拠出するとしています。
ならば、第一・四半期は、圧縮してきた補填額が増えることになるんでしょうか。つまり、グラフの基金補填、この赤い矢印ですけれども、第四・四半期は圧縮されています。これが大きくなるという理解でよろしいでしょうか。畜産そして酪農農家の負担は第四・四半期よりも新年度は軽減される、そういうふうに受け止めてよろしいでしょうか。希望のある答弁を期待しているんですけれども、いかがですか。
○渡邉政府参考人 お答えいたします。
これまでの配合飼料価格安定制度の仕組みでは、一定期間補填が発動した後に配合飼料価格が高止まりをいたしますと、補填が急減をして、生産者の実負担額が急増するおそれがあったところでございます。
このため、今回創設をいたしました、令和五年度第一・四半期以降の対策、新たな特例では、委員御指摘のとおり、基準輸入原料価格の算定期間を一年間から二年半といたしまして、そのような高止まりの場合でも一定期間補填が発動するようにして、生産者の影響を緩和することとしたところでございます。
これによりまして、従来の仕組みに比べて補填が発動しやすくなりますけれども、現時点では、そもそも第四・四半期の補填単価もまだ判明をしていない状況でございますし、第一・四半期以降の穀物の買い付けもまだ終わっていないという状況でございますので、第一・四半期以降に補填単価がどうなるのかというのは、大変恐縮でございますけれども、現時点で予断を持ってお答えすることは難しいと考えてございます。
○田村(貴)委員 なかなか、制度を改定して、そして補填金が出るような仕組みをつくるんだけれども、その見通しについては見えない、言えないということで、今日明日にも廃業それから離農を考えている畜産農家、酪農農家にとってみたら、やはりこれはもう不安で不安で仕方がないと思うわけですよ。
基金の補填額はどの程度と見ているんでしょうか。二年半前に、つまり高騰が始まる前の価格は大体五万円台前後でした。現在の価格が十万円とするならば、これが基準輸入原料価格となれば、トン当たりざっと一万数千円以上になるのではないかと私は見たんですけれども、その辺はいかがでしょうか。
○渡邉政府参考人 お答えをいたします。
高騰が始まって、配合飼料価格安定制度による補填が二年間程度行われる状況でございます。委員御指摘のとおり、二年半分の価格の平均ということですと、高騰が始まる前のやはり数か月も、もちろん基準輸入原料価格の平均の中に入ってきますので、平均輸入原料価格が一年間の平均に比べるとかなり下がるということでございます。
ただ、それが一万数千円になるのかというお尋ねですが、それは数千円になるのか、ちょっと、大変恐縮でございますが、現時点では予断を持ってお答えすることは難しいと考えてございます。
○田村(貴)委員 確認しますけれども、このグラフ、このとおりなんですね、第四・四半期の補填反映後の飼料価格は上がるんですね、第三・四半期よりも上がるんですね、昨日レクチャーでも確認しました、上がると。
今度、新年度の第一・四半期はここから下がるのか、それとも横ばいなのか、上がるのか、こういう展望を示さないといけないんじゃないですか、いかがですか。
○渡邉政府参考人 第三・四半期に比べまして、第四・四半期の農家実負担額、これはある程度上昇すると見ているのは御指摘のとおりでございます。
第四・四半期の農家実負担額に比べて、令和五年度の第一・四半期の農家の実負担がどうなるかということでございますが、現時点では予断を持って額などを申し上げられませんけれども、農家実負担につきましては、上がる可能性が高いというふうに考えてございます。
○田村(貴)委員 畜産・酪農緊急対策パッケージ、これをもってしてもやはり上がるんですか。上がるんだったら、やはり下げる努力をしないといけないですよね。
大臣に伺います。
北海道大学の清水池義治准教授は、新たな提言をされています。消費が伸びているチーズを余っている生乳で生産する、そこで、外国産チーズとの差額を国が補助する考え方もあるのではないか、こういう提案です。私は、検討、採用に十分値する提案だというふうに思います。いかが思いますか。
もう一点。各地の酪農家、そして、今日、農民連の方が上京されています。多分この時間だと思うんですけれども、署名を国会に提出する、生産コストと乳価との差額補填を要求する署名です。短期間で八万筆を超えて集められた署名だと伺いました。もう切実だと思います。
酪農家の方、畜産農家の方が、皆さん、こう語っているのを聞きました。一頭当たり十万円を支給していただければ、何とか一年もたせることができるんだがと。これは、やはり経営されている方々の実感の数字だと思うんです、一頭当たり十万円。そうした支援がないと、経営が成り立っていかない、離農、廃業やむなしということだと思います。現場からの声にやはり耳を傾けて、新しい対策パッケージを出されましたけれども、追加も含めて、金額、スピード、やはりそういう水準に上げていく必要があるんじゃないかと思います。
第一・四半期も上がるというのであれば、更にまだ検討が必要じゃないでしょうか。大臣、いかがですか。
○野村国務大臣 お答えいたします。
今委員御指摘のように、チーズにつきましては、消費が着実に伸びております。生乳換算では大体四百万トンが消費されておりますが、関税を払えば誰でも自由に輸入できる、三百六十万トンが輸入でありますので、四百万トンのうち三百六十万トンが輸入でありますので、国産については、需要のあるソフト系チーズ、いわゆるカマンチーズだとか、こういったようなものが四十四万トンが消費されている、ほとんどが輸入物を消費されているということで、これは内外価格差との問題でありまして、安いチーズの消費が伸びているということで、委員の御指摘は、三百六十一万トンの大宗を占める価格勝負の安いチーズについて、財政負担によりその内外価格差を補填することで輸入を国産に置き換えるというアイデアだと理解しますが、そのような対応は、政策として妥当なものなのかなということはやはり考えざるを得ないと思うんです。
といいますのが、内外価格差を国が埋めるということにつきましては、ほかの作目との関連で問題がやはりあるなというのが一点ありますし、また、それを賄えるような、いわば、今、北海道を中心にチーズ工場があるわけですけれども、こういったメーカーの皆さん方が受けられるのかどうかというような問題もこれあり、そういったことを、酪農経営の改善はどういうふうに図っていけばいいのか。
今、生産抑制をしていただきながら需給のバランスを取ろうとしておるわけであります。さらに、現在、指定団体とメーカーとが価格交渉をいたしておる最中でもございますので、これらも含めながら検討させていただきたいと思います。
○田村(貴)委員 十分検討していただきたいと思います。
今大臣が言われた、新たに設置される生産者と乳業メーカー、こことの協議会というのは、乳価を引き下げる場となり得るんでしょうか。最後、いかがでしょうか。
○野村国務大臣 そういう場にならないように、我々も適切に、やはり、生産コストの上昇が価格に反映できる、経営を継続できる、こういう環境を整備していくのが我々の務めでもありますので、こういったことを、今、生産者団体の皆さん方も需給ギャップの解消を図るためにいろいろと努力もしていただいておりますし、また、役所の方でもいろいろな消費拡大に向けての対応もしておるわけでありますので、そういう暗い話ばかりではなくて、明るい方向を向きながらやらせていただきたいと思っております。
○田村(貴)委員 時間が来ました。
終わります。
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○笹川委員長 次に、内閣提出、合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
これより趣旨の説明を聴取いたします。農林水産大臣野村哲郎君。
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合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
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○野村国務大臣 合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
違法伐採及び違法伐採に係る木材等の流通は、地球温暖化の防止等の森林の有する多面的機能に影響を及ぼすおそれがあるとともに、木材市場における公正な取引を害するおそれがあることから、事業者に合法伐採木材等の利用の努力義務を課すとともに、合法性の確認等を確実に行う木材関連事業者を第三者機関が登録する等により、合法伐採木材等の流通及び利用を促進してきたところでございます。
しかしながら、登録を受けた木材関連事業者により合法性の確認がされた木材等の量は、一定程度増加してきたものの、低位にとどまっており、また、近年の国際会合等において違法伐採等への対策の強化が課題として取り上げられるなど、更なる取組の強化が必要となっております。
このため、川上、水際の木材関連事業者に合法性の確認等を義務づけること等により、事業者が合法伐採木材等を利用できる環境を整備するため、この法律を提出した次第であります。
次に、この法律案の主要な内容につきまして、御説明申し上げます。
第一に、木材関連事業者による合法性の確認等の実施等についてであります。
国内市場における木材流通の最初の段階での対応が重要であることから、川上、水際の木材関連事業者に対し、素材生産販売事業者等又は外国の木材輸出事業者から木材等の譲受け等をする場合に、合法性の確認等、記録の作成、保存及び情報の伝達をしなければならないこととしております。
第二に、素材生産販売事業者による情報の提供についてであります。
木材関連事業者による合法性の確認等が円滑に行われるよう、素材生産販売事業者に対し、当該木材関連事業者からの求めに応じ、原材料情報等の情報を提供しなければならないこととしております。
第三に、木材関連事業者の範囲の拡大についてであります。
合法性の確認等の情報が消費者まで伝わるよう、小売事業者を木材関連事業者に追加することとしております。
以上が、この法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
よろしくお願いいたします。
○笹川委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
次回は、来る四月十二日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時十一分散会