衆議院

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第6号 令和5年4月12日(水曜日)

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令和五年四月十二日(水曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 笹川 博義君

   理事 あべ 俊子君 理事 武部  新君

   理事 若林 健太君 理事 渡辺 孝一君

   理事 近藤 和也君 理事 緑川 貴士君

   理事 足立 康史君 理事 庄子 賢一君

      東  国幹君    五十嵐 清君

      伊東 良孝君    泉田 裕彦君

      上田 英俊君    江藤  拓君

      加藤 竜祥君    神田 潤一君

      小寺 裕雄君    坂本 哲志君

      高鳥 修一君    土田  慎君

      西野 太亮君    平沼正二郎君

      古川 直季君    細田 健一君

      宮路 拓馬君    宮下 一郎君

      保岡 宏武君    山口  晋君

      梅谷  守君    金子 恵美君

      小山 展弘君    佐藤 公治君

      山田 勝彦君    渡辺  創君

      池畑浩太朗君    掘井 健智君

      稲津  久君    角田 秀穂君

      長友 慎治君    田村 貴昭君

      北神 圭朗君

    …………………………………

   農林水産大臣       野村 哲郎君

   農林水産副大臣      野中  厚君

   農林水産大臣政務官    角田 秀穂君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 友井 昌宏君

   政府参考人

   (林野庁長官)      織田  央君

   政府参考人

   (林野庁次長)      森  重樹君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         菊池 雅彦君

   農林水産委員会専門員   飯野 伸夫君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十二日

 辞任         補欠選任

  東  国幹君     古川 直季君

  宮路 拓馬君     土田  慎君

同日

 辞任         補欠選任

  土田  慎君     宮路 拓馬君

  古川 直季君     東  国幹君

    ―――――――――――――

四月五日

 食料危機の下で、国産食料の増産、食料自給率向上、家族農業支援強化を求めることに関する請願(本村伸子君紹介)(第六七八号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第七九八号)

 同(笠井亮君紹介)(第七九九号)

 同(穀田恵二君紹介)(第八〇〇号)

 同(志位和夫君紹介)(第八〇一号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第八〇二号)

 同(田村貴昭君紹介)(第八〇三号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第八〇四号)

 同(宮本岳志君紹介)(第八〇五号)

 同(宮本徹君紹介)(第八〇六号)

 同(本村伸子君紹介)(第八〇七号)

 家族農業を守り、食料自給率の向上を求めることに関する請願(宮本岳志君紹介)(第六七九号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三一号)


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     ――――◇―――――

笹川委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として林野庁長官織田央君、林野庁次長森重樹君、警察庁長官官房審議官友井昌宏君、国土交通省大臣官房技術審議官菊池雅彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

笹川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

笹川委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。平沼正二郎君。

平沼委員 皆さん、おはようございます。自由民主党の平沼正二郎です。

 農林水産委員会においては初の質問となります。冒頭、質問の機会をいただきました理事、委員各位に御礼を申し上げます。ありがとうございます。

 早速ですが、質問に入らせていただきます。

 今回は、いわゆるクリーンウッド法改正となりますけれども、改正の背景には、合法性が確認されている木材が我が国の木材総需要量の約四割程度にとどまっているという状況があると認識をしております。私の地元の岡山県においても、多数の森林を抱える森林県の一つでありまして、ヒノキの国・岡山として有名でもあります。また、近年においてはCLTの製造等にも大変力を入れておりまして、今回の法改正における影響に関しても、しっかりと取り組んでいかなければならないなと考えている次第でございます。

 先般、地元に帰った際に、本法律の改正に関して事業者にヒアリングを行いましたけれども、本法律、つまりは合法性、合法材に関する認知はまだまだであるかなと私自身は感じております。今後しっかりと合法材の重要性を認知してもらうためには、やはりいま一度、違法伐採がどういった影響が今あるのかというのを周知する必要性があるのかなと思っております。

 違法伐採木材が流通することによる弊害に関して、農林水産省の方ではどのように認識をしているのか、まず教えていただけますでしょうか。

野中副大臣 我が国また原産国の樹木の伐採に関する法令に違反して伐採された違法伐採及び違法伐採に係る木材等の流通でございますが、これは、当然、計画性のない伐採、計画性のない流通になりますので、地球温暖化の防止、地球環境の保全、自然環境の保全、林産物の供給等の森林の有する多面的機能に影響を及ぼすおそれがあるとともに、木材市場における公正な取引を害するおそれがあるなど、極めて問題があると認識をしております。また、近年の国際会合等においても、違法伐採への対策の強化が課題として取り上げられているように、国際的な問題であると認識をしております。

 このため、違法伐採及び違法伐採に係る木材等の流通を抑制するため、合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律、いわゆるクリーンウッド法の下で、木材等の合法性の確認等を確実に行う木材関連事業者を第三者機関が登録する等により、合法伐採木材等の流通及び利用を促進してきたところでありますが、登録事業者により合法性が確認された木材の量が、先生おっしゃった、国内総需要量の四割程度にとどまっている状況を踏まえ、この法律によって更なる取組の強化が必要であるというふうに考えております。

平沼委員 ありがとうございます。

 副大臣、御回答いただいたとおり、本当にいろいろな面で影響があるということでございまして、御説明もありましたけれども、本来森林が有する多面的機能の保全が崩れて、災害のリスクが高まって、人命に影響が出るということも考えられますし、また、海外の違法伐採木材については、ゲリラ、テロ組織などへの資金供給などの可能性も指摘されているということもありますので、環境保全という観点だけではなくて、意図しない資金供与につながることがないよう、海外の違法伐採木材流通に関して注意をしなければなりません。

 しかしながら、海外輸入木材に関しては、水際の木材輸入業者による合法性の確認というのがなかなか困難な場合も多いと聞いております。一方で、別の見方をすれば、海外流通木材の合法性確認が取りにくいという状況があるのであれば、逆に、合法性確認が比較的取りやすい国産木材の木材流通につながるという可能性もあるのかなとちょっと考えております。国産木材の木材流通が基本となる市場形成ができれば、国産材の更なる流通の拡大にもつながるのではないかなと思っております。

 引き続き、合法性木材流通に関してお伺いをいたします。

 今回の法改正について、原木市場や製材工場など、つまり市場の川上側の合法性確認を義務化するという部分が本改正は大きいと感じておりますけれども、現状、懸念されているのが、義務化により事業者の合法性確認に関する負担が大きくなるのではないかという部分がございます。

 今回の法改正に当たり、事業者負担に対するケアや配慮に関しての取組予定などがありましたら、教えていただけますでしょうか。

織田政府参考人 お答えいたします。

 今般の改正法案におきましては、事業者が合法伐採木材等を利用できる環境を整備するために、川上、水際の木材関連事業者に対しまして、木材等の譲受け等をする場合に、合法性の確認等、記録の作成、保存及び情報の伝達等を義務づけるとともに、素材生産販売事業者に対しましては、川上、水際の木材関連事業者からの求めに応じて、原材料情報等の提供を義務づけることとしているところでございます。

 これら事業者に対し義務づけを行うに当たりましては、現行法の下で登録木材関連事業者に既に取り組んでいただいている合法性の確認等の手続内容、これをベースといたしますとともに、政府調達分野においてグリーン購入法の下で行われてきた合法性証明に関する手続について、クリーンウッド法上も活用できるようにするなどによりまして、事業者の負担は必要最小限のものにする考えでございます。

 その上で、木材関連事業者による合法性確認等が行いやすくなりますように、合法性確認の具体的な手続や方法をまとめた、分かりやすいフローチャートやチェックリストの作成等を行いますとともに、事業者向けの説明会、研修会の開催、相談受付体制の強化等を行うほか、合法性確認等に係る情報の受渡しや記録保存等を電子的に行える使いやすいシステムを構築するといった取組も進めていくこととしているところでございまして、これらによりまして、事業者が合法性の確認等に取り組みやすい環境を整備したいというふうに考えてございます。

平沼委員 ありがとうございます。

 様々な取組をしていただいている、考えていただいているということでございますけれども、その中で、御紹介もありました、やはりデジタル申請のシステムというのは私はマストではないかなと思っております。事前のレクでも、デジタル庁と連携して申請システムを構築をしていくんだというような御説明をいただきましたけれども、この辺りは、やはり利便性、つまりは使いやすさ、UXとも言いますけれども、こういった辺りにこだわっていただいて、より申請がしやすいような、簡便な形にしていただければなと思っております。

 また、現在クリーンウッド法を登録されている事業者の登録動機の上位にあるのが、国や地方自治体の補助事業の採択要件というのが上位に来ております、アンケートを取ると。この辺りとやはり事業連携した取組を推進していただくことも、是非とも引き続きよろしくお願いをいたします。

 今回の法改正では、合法性を確認できたもの、できなかったものにかかわらず、合法性の確認のみが義務化であり、流通を規制するものではないと認識をしております。

 冒頭申し上げましたが、現状の調査によると、合法性が確認をできているものは約四割で、今回の合法性確認義務化により、今までは合法性の未確認であったが、単純に合法性が確認できていなかったというものが明確になって、ある程度国産材の合法性の割合が増えるかなと思っております。

 しかしながら、これも先ほど言いましたけれども、冒頭言いましたが、海外から入ってくるものに関しては合法性の確認が取りにくいものがあるということを認識しておりまして、その上でやはり留意をしていかなければならないのが、合法性確認が取れない木材が結果として多く流通してしまうと、本法律の義務化というのが形骸化をしてしまう可能性があるのではないかなと思っております。

 そこで、やはり重要なのが、最終消費者、つまり国民の皆さんにも違法木材というものがあるということを認識してもらうことが重要ではないかなと。合法木材として確認をされたものを率先して消費することが、例えば、違法材は環境破壊につながるので、ちゃんと合法材を利用すれば結果的にカーボンニュートラルに貢献ができますよということや、合法性確認ができる木材は実質的に国産材になる可能性が高いということは、国内の森林産業にも貢献ができますよ、こういったことをやっていくのがいいのではないかなと思っております。

 合法性確認がやはり取れているものを使った方がいいという国民理解の醸成が、事業者に対して、合法性確認活動にしっかりと取り組むためにも重要であるかと思いますけれども、合法材に関する国民認知活動に関しての取組状況をどう考えているか、教えていただけますでしょうか。

森政府参考人 お答え申し上げます。

 合法伐採木材等の流通及び利用の取組を進めていくためには、御指摘のとおり、消費者を含む国民の皆様に、違法伐採が及ぼす森林の有する多面的機能への影響等の問題や合法性の確認の意義等について理解を深めていただく、こういうことが重要と考えてございます。また、事業者の取組等の情報が伝達されるようにいたしまして、消費者から合法性が確認された木材等を求めていただくことが有効と考えてございます。

 このため、今般の改正法案におきましては、消費者にじかに接する小売事業者を木材関連事業者に追加をいたしまして、合法性が確認された木材等かどうかの情報が消費者まで伝わるような仕組みを設けてございます。

 また、合法性確認木材等のみを取り扱うなど、優良な木材関連事業者につきましては、公表をいたしましたり、マークづけを行うなどによりまして、事業者の取組を見える化してまいることとしてございます。

 こうした仕組みの下で、違法伐採の問題やクリーンウッド制度の内容、事業者の役割等について認識していただけるように、これまでも、木材関連団体等と連携しつつ、パンフレットの配布やイベント等での周知を実施してきたところでございますけれども、さらに、SNS等の多様な媒体も活用しながら情報発信等を行うことにより、国民の皆様の理解が深まるよう取り組んでまいります。

平沼委員 ありがとうございます。

 いろいろな観点から取組を強化していくことを考えられているということで、是非とも進めていただきたいと思います。

 海外においては森林の認証制度が進んでいるとも認識をしております。森林の認証制度は、認証された森林から産出される木材及び木材製品、これは認証材と呼びますけれども、認証材と非認証材を分けて表示管理して、消費者の購入、選択機会というのを与えております。

 一方で、日本の森林面積における森林認証割合は約一割程度にとどまっておりまして、欧米各国に比べて低い状況であります。こういった取組増進も含めて、最終消費者への認識を広げていただければなと思っております。

 最後に、本年はG7がございますけれども、合法材の促進に対する日本の取組を諸外国と共有することは非常にやはり重要でして、輸入木材に関しても合法性の確認を取りやすくしていくということが我が国においても非常に重要かと思っております。

 違法伐採に関する取組に関して言及するのか否かも含めて、G7における意気込みをお伺いをいたします。

織田政府参考人 お答えいたします。

 我が国が議長国である本年のG7会合につきましては、森林・林業に関する我が国の考え方を国際的に発信する重要な機会と捉えているところでございます。

 違法伐採を抑制するためには、合法伐採木材等の利用を促進するという、利用の観点からのアプローチが非常に有効だというふうに考えておりまして、今般の改正法案も、そうした考え方の下、取組を強化するということとしているわけでございます。

 このような考え方に立ちまして、本年のG7会合においては、我が国として、合法伐採木材等の利用を含む持続可能な木材利用の促進ということの重要性について強調をし、G7各国で確認、共有していきたいと考えております。

 また、今般の改正法案により義務化される輸入事業者の合法性の確認等が円滑に行われますよう、あらゆる機会を捉えまして、諸外国の政府機関等に対して合法伐採に係る証明書等の発行を働きかけてまいりたいというふうに考えてございます。

平沼委員 ありがとうございます。

 今年はG7議長国でございますので、やはり日本のプレゼンスをしっかりとここでも発揮をしていただければなと思っております。

 今回の法改正により、より健全な木材流通が促進されるということを期待をいたします。

 しかしながら、今回の本改正に関しては、輸入木材の合法性確認の弱さであったりとか、違法木材流通に対して行政指導による是正というところにとどまっております。合法性確認が取れなかった木材流通に関してどれぐらい寄与できるかが課題にもなってくるかと思います。

 現在の流通形態を維持しつつ、合法性木材の流通を当たり前の状態に持っていくのにはまだまだ課題も多いかと思いますけれども、本改正後には今後の運用状況の把握や課題抽出を引き続き行っていただくようお願いを申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

笹川委員長 次に、庄子賢一君。

庄子委員 公明党の庄子でございます。よろしくお願いいたします。

 何点か伺いますが、まず、現行法では国の責務についてどのように定めているかということの確認です。

 法令等に関する情報の収集及び提供、あるいは木材関連事業者の登録に係る制度周知、さらには事業者の優良な取組の公表、合法伐採木材等の流通、利用促進の意義についての教育、広報活動といった定めがございます。

 しかし、二一年、林野庁が行いました調査によりますと、クリーンウッド法の認知割合について、内容について知っているというのが四三%。つまり、六割近くは内容についてはよく分かっていないという数字が示されています。

 今般の法改正によりまして、民間事業者には義務を課すということになるわけでありますので、国としてはその責務を一層強く果たしていくべきだというふうに考えます。

 二〇一七年の法施行後、国はその責務を十分にこれまで果たしてきたかどうかということについてどう考えるか、さらには、今後の対応についてどのように取り組んでいかれるか、お考えを伺います。

野村国務大臣 庄子委員にお答えを申し上げたいと思いますが、ただいま御質問の中にもありましたように、合法伐採木材の流通あるいは利用の取組を進めていくためには、木材を取り扱う木材関連事業者はもとよりですが、消費者を含む国民の皆様方に合法性の確認の意義等について理解を深めていただくことが重要だと考えております。

 しかしながら、先ほどもお話がありましたように、クリーンウッド法の認知につきましては、これは林野庁が調査をしましたけれども、四三%だ、こういったような状況でございます。

 したがいまして、これまで農水省としては、関係団体と連携して、違法伐採の問題や制度の内容に関する普及啓発活動を行ってまいりましたが、木材関連事業者に対しても、登録促進のためのセミナー等を実施してきたところでございます。

 これらもありまして、木材関連事業者につきましては九割がこのクリーンウッド法を認知しているという答えが出てきておりますが、約七割が、木材を販売する際に合法性を担保することが重要だと一方ではまた答えていただいております。

 ただし、一方、消費者の認知度を調べていきますと、僅か二割しかない、こんな状況でございますので、制度の理解が浸透し切れていない、こんなふうに思っているところでございます。

 したがいまして、私どもとしましては、事業者の合法性の確認等の取組を進めた上で、消費者が合法性確認木材を求めていくという意味づけが一層重要になりますから、今回の改正法案においてお願いしておりますのは、消費者に対する小売事業者を木材関連事業者として追加することによりまして、合法性が確認された木材かどうかの情報が消費者まで伝わるようにしたい、このことが一点。

 それから、二点目としましては、合法性確認木材のみを取り扱うなど、優良な木材関連事業者につきましては、公表するとか、あるいはマル適マーク、そういったようなものを貼付して、消費者に対して、この事業者はきちっとした合法性の木材を取り扱っておりますよということを外部でも分かるように事業者の取組を見える化することにしているほかに、あるいは、パンフレットの配布だとかイベント等での周知といった、今までこれは取り組んできましたけれども、そのほか、SNSの多様な媒体も活用しながら情報発信もしてまいりたい、かように思っているところでございます。

庄子委員 是非お願いを申し上げます。

 二点目は、現場からの懸念の声でございますが、いわゆる事務手続の重複といった懸念が聞かれます。川上、水際から川中、川下に至るまで、合法性の確認並びに情報伝達が正確かつスムーズに実施することができますように、デジタルによる省力化した手続を構築すべきだというふうに思います。デジタルインフラの導入支援、きめ細かな相談体制の整備について、どのように取り組んでいかれるでしょうか。

織田政府参考人 お答えいたします。

 今般の改正法案におきましては、一つは、川上、水際の木材関連事業者に対しまして、合法性の確認等、記録の作成、保存、情報の伝達等を義務づけるということ、それから、素材生産事業者に対しましては、川上、水際の木材関連事業者の求めに応じまして、原材料情報等の提供を義務づけるということとしているところでございます。

 こうした中で、木材関連事業者あるいは素材生産販売事業者において合法性の確認等が行いやすくなるように、農林水産省といたしましては、合法性確認の具体的な手続や方法をまとめたフローチャート、チェックリスト、こういったものを作成しますとともに、事業者向けの説明会、研修会、相談受付体制の強化等も行いますし、さらに、各種手続が簡素化できるように、紙ではなく電子的に情報のやり取り等が行えるような仕組みを構築していくことが重要というふうに考えてございます。

 このため、改正法案の施行までに、森林法に基づく伐採造林届の写し等、合法性確認に関する情報を電子的に取り込んだり、あるいは、記録の保存や事業者間での情報が伝達できる機能ですとか、事業者が定期報告を電子的に行える機能、こういったものを備えたシステムの整備を行っていくこととしておりまして、事業者が合法性確認等に取り組みやすい環境を整備していきたいというふうに考えてございます。

庄子委員 次に、森林・林業基本計画に関してお尋ねをいたしますが、令和三年六月に閣議決定をしておりますこの計画、その中の政策指標を見ますと、第一種登録事業者により合法性が確認された木材の量を、令和七年度に、令和三年度時点で四四%であったものを、五〇%にすることを目標とされておりますが、この法案成立によって合法確認を義務化することを通じまして、この基本計画の政策目標をどの程度引き上げるべき、修正すべきと考えているか伺います。

織田政府参考人 お答えいたします。

 現行のクリーンウッド法における政策目標といたしましては、先ほどお話ありましたように、登録事業者により合法性が確認された木材の量を増加させていくということが重要という考え方の下、川上、水際のいわゆる第一種登録木材関連事業者により合法性が確認された木材の量を測定指標といたしまして、森林・林業基本計画の令和七年度の木材需給見通し、これは八千七百万立方メートルでございますけれども、これの約半数の量、四千三百五十万立方メートルを政策目標としているところでございます。

 今回の改正法案におきましては、先ほど来申し上げておりますとおり、川上、水際の合法性確認、情報の伝達等をそういう事業者に義務づけますとともに、合法性が確認された木材の数量を増加させるための措置ということも事業者の取り組むべき措置として規定するほか、小売事業者を木材関連事業者に追加すること等としておりまして、川中、川下の事業者や消費者からの求めも相まって、市場に流通する木材等が徐々に合法性確認木材等にシフトしていくよう取組を推進することとしているところでございます。

 このため、改正法案のKPIといたしましては、川上、水際の木材関連事業者が取り扱う木材量に占める合法性確認木材の割合を、施行後三年程度が経過する令和十年度までに十割とするということを目指す考えでございます。

庄子委員 大変意欲的な目標を示していただきました。是非しっかりお取組をお願いしたいと思います。

 次に、我が国の木材自給率、これは約四割でございます。供給量の六〇%程度を海外から依存している状況にあります。近年、木質のペレットなど、輸入が増加しているものもございますけれども、丸太、製材、合板等の輸入量は依然多い状況でございます。

 このクリーンウッド法の改正法案の成立を契機に、我が国がより信頼性と透明性の高い合法伐採木材を供給していくということを通じて、海外への輸出促進も含めた国産材の利用拡大につなげて、林業、木材産業の振興に結びつけていくべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。

織田政府参考人 お答えいたします。

 今般の改正法案によりまして、川上、水際の木材関連事業者が取り扱う国産材及び輸入材のいずれについても合法性の確認が義務づけられるということになります。

 この場合、国産材につきましては、森林法に基づく伐採造林届出等の収集を行って合法性の確認を行うということですけれども、今回の改正法案において、素材生産販売事業者が木材関連事業者の求めに応じて伐採造林届出等の情報を提供しなければならないということとしておりますので、合法性の確認は国産材の場合は比較的容易に行えるのではないかというふうに考えているところでございます。

 また、そのことによって、御指摘のとおり、国産材の利用拡大あるいは林業の振興にも資する可能性があるというふうに考えているところでございます。

 このため、農林水産省といたしましては、クリーンウッド法に基づく合法性確認等の取組の推進と併せまして、国産材の供給拡大に向けまして、森林・林業基本計画に基づいて、林業の担い手の育成ですとか路網の整備、木材加工施設、流通加工施設の整備、建築物等への木材需要の拡大等、川上から川中、川下に至る施策を総合的に推進していきたいというふうに考えてございます。

庄子委員 最後になりますが、報道によりますと、今週ですか、G7の気候・エネルギー・環境大臣会合が開かれます。世界で急速に失われた生物多様性を回復に向かわせるための新しい枠組み、ネイチャーポジティブ経済連盟といった連盟が設置をされる方向であるということが分かっております。

 生物多様性の保持、回復、これを強化することが国際社会の大きなアジェンダになっているということが分かります。

 一方で、我が国では、林野庁が指定する緑の回廊においても、いわゆるネイチャーネガティブとも言える施設建設計画がございます。G7が今進めようとする方向性にこれは逆行するものであり、認めるべきではないという認識を私は持っておりますが、国としてどのような見解を持ってこのことに対処するか、お伺いをいたします。

織田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のありました緑の回廊につきましては、野生生物の移動経路を確保し、生育、生息地の拡大と相互交流を促すことを目的として区域を設定しているという国有林独自の制度でございます。

 この緑の回廊につきましては、その機能の発揮に必要な森林の整備、管理等を行っているところでございますけれども、公用、公共用又は公益事業であり、かつ、やむを得ない事由があれば変更又は解除できるということとしておりまして、これまでも公道ですとか送電線等に活用されているという実態がございます。

 ただし、その場合におきましても、緑の回廊の趣旨を踏まえて慎重に対応するということとしておりまして、事業者が行う環境影響評価の内容を含め、緑の回廊の機能の維持保全等に支障がないことについて、学識者等により構成される保護林管理委員会からの意見聴取を経て確認をするなど、適切に対応してきたところでございます。

 委員の御指摘は、多分、風力発電のことかと存じますけれども、再生可能エネルギー、風力発電につきましては、FIT認定された計画に基づくものは公益事業として取り扱っているところでございますけれども、今ほど申し上げたような考え方あるいは手続等により、厳正かつ適切に対応していきたいというふうに考えてございます。

庄子委員 国のエネルギー政策の中で、経産省やあるいは林野庁、それぞれ省庁ばらばらに取り組んでいると非常にバランスがよくないと思います。

 保護林と保護林を結んでいる緑の回廊は、準保護林と位置づけるべき、そうした貴重な財でございますので、林野庁さん、是非ここは頑張っていただいて、対応をお願いしたいと思います。

 以上で終わります。

笹川委員長 次に、金子恵美さん。

金子(恵)委員 立憲民主党の金子恵美でございます。よろしくお願いいたします。

 今回のクリーンウッド法、制定時というのは議員立法でございました。様々な意見の交換があったというふうに覚えております。その中で、もちろん、これを規制法にしようという考え方もあれば、いや、そうではなくて、合法のものを利用そして促進するんだということで、そういう考え方もあり、そして最終的には、折り合った形で、与野党協議がされて、合法な木材の流通及び利用の促進法として存在しているということでございます。

 そして、当時、委員長提案で成立いたしましたので、その中身についてしっかりと発信する、そういう機会ももしかすると十分ではなかったかもしれないというふうにも思っておりまして、しかし、一方で、制定時の附則の検討条項が政府に検討を求めていたということもありまして、今回の改正になっているというふうに認識をさせていただいております。

 だからこそ、議員立法でございましたので、我々からもしっかりと質問をさせていただいて、そして中身について充実するものになっていけばというふうにも思っているところでございますので、よろしくお願いいたします。

 当時、クリーンウッド法が制定されたときというのは、G7伊勢志摩サミットが控えているときでありました。それに先立って新潟農業大臣会合が開催されまして、持続可能な森林経営と違法伐採の排除の項目を含む「G7新潟農業大臣会合宣言 世界とともに新しい時代を切り拓く」が公表されたところでもありました。

 今回もG7広島サミットが控えているということであります。先ほどもお話がありました、質問もありましたけれども、やはり、国際会合等でどのように今回のこの法改正を発信していけるかというのはとても重要な観点でありますし、趣旨説明では大臣も、近年の国際会合等において違法伐採への対策の強化が課題として取り上げられるなど、更なる取組の強化が必要となっているというふうに述べておられますので、認識もされていることだというふうに思います。

 そこで、改めて大臣からお言葉を頂戴したいというふうに思いますけれども、今回の広島サミットの関連会合等で、今回の改正をするということで、堂々と我が国は違法伐採木材を根絶するというふうにおっしゃることができるのか、教えていただきたいということと、そして、改めて、このG7の中でどのような形で発信をしていくのかということをお聞かせいただきたいと思います。大臣、お願いします。

野村国務大臣 金子委員にお答えを申し上げます。

 いよいよG7があと九日後に宮崎で開かれるということで決まっておりまして、間もなくこのことの議論もしていかなければならないということを思っておりますが、今お尋ねがありましたように、我が国が議長国でございますので、G7会合は、森林・林業に関する我が国の考え方を国際的に発信する絶好の場所だ、こういうふうに考えているところでございます。

 したがいまして、違法伐採を抑制するためには、合法伐採木材等の利用を促進するという、利用の観点からのアプローチというのも大変重要だ、有効であるというふうに思っておりまして、今般の改正法案もそうした考え方の下で取組を強化することにいたしておるところでございます。

 ちょうどG7がありますので、我が国としてはこういう法律改正をしましたということも御報告しようと思っておりますが、こういった考え方に立ちまして、本年のG7会合におきましては、我が国としては、持続可能な木材利用の促進というテーマでもって重要性について強調して、G7各国で確認、共有をして、そしてまた、これを対外的にもアピールしていきたい、こんなふうに思っているところでございまして、いいチャンスだなというふうにも思っているところでございます。

金子(恵)委員 ありがとうございます。

 今、御決意もいただいたというふうに思いますし、いい機会だということでありますけれども、しっかりと発信をしていただきたいというその一方で、もちろんEU等は新しい規制の中で、例えば合法性プラス持続可能性のデューデリジェンスということで、特に商品等にも扱う製品が森林破壊に由来していないということをしっかりと確認するような仕組みというものも言っているわけなんですね。

 ですから、かなりどんどん他国では前進しているという状況の中で、まだまだ規制という考え方は入っていない私たちのこの法律でありますので、それが本当にどこまで実効性があるものとして動くのか、そこについては懸念が残っています。

 国際的に協力体制をしていくということで、更なる前進をしていかなくてはいけないというふうに思いますし、今回、本当に、広島サミットの議長国ということでありますので、しっかりとイニシアチブを取っていただきたいということもお願いさせていただきたいというふうに思います。

 そういう意味でも、いろいろな提案も私はどんどんしていっていいと思いますが、なかなか提案のしづらいところというのは、日本は、とにかく合法のものをできるだけ利用促進する、そのことによって違法なものはなくなっていく、そういう考え方ではあるけれども、世界を見ますと、やはりしっかりと規制をしているところも多いということで、ますますそれが大きく前進しているということを考えますと、今回本当にリーダーシップを取れるのかというところで、まだまだ私は、繰り返し申し上げますけれども、懸念は残ります。是非頑張っていただきたいと思います。

 そういったところで、現行法の第六条に基づく合法性の確認については、「木材等が我が国又は原産国の法令に適合して伐採されていることの確認」が行われることとされてきました。これは本当にホワイト木材、白、合法であることの確認ということなんですが、今回の改正案の六条では、合法性の確認は、「木材等が違法伐採に係る木材等に該当しない蓋然性が高いかどうかについての確認」というふうになっています。この文言上の変更ということで、グレーが含まれるものが最終的に合法木材に入ってくるのではないか、そういう問題点、課題が出てきている。つまりは、合法性の確認が緩くなっていくのではないかということです。このことについてのお考えをお聞かせいただきたいというふうに思います。

 先ほどから、違法なものはなくしていく、合法性が確認できる木材というものを十割にしていくというような大きな目標というものも持っているけれども、その中身について、もしかするとグレーのものが混じっている、それで全て確認できましたよということになってしまったらこれは本末転倒の話でありまして、やはりグレーが残っているじゃないかということになるというふうに思うんですね。これでは本当に今回も、申し上げましたけれども、サミットの前のこの時期にこの程度の改正なのかと言われてしまっては極めて大きな問題ですので、是非この辺について所見を伺いたいと思います。

野村国務大臣 金子委員の、グレーゾーンが残ってしまうんじゃないのか、こういう御質問だと思うんですが、今のままでいきますとやはりグレーゾーンが残ってしまうということになってしまってはいけないので、今回改正をお願いしているわけですが、その中で特に私どもが注目しておるのが、川上、それから川下でもそうでありますけれども、やはり今回の法改正の中でのポイントというのは、合法性の確認等を確実に行う者、これを登録していこう、そしてなおかつ、合法性の確認を確実に行う者を登録して、そして、この合法性の確認を義務化していこうということを今回お願いをしておるわけでございます。

 こういったような、いわば今まで以上に踏み込んだ形での登録なりあるいは義務化なり、こういったもので、もちろん罰則の適用もあるわけでありますので、少し今までよりもやはりたがを締めていかなければならない、こういうような形で今現在、検討を進めておるわけで、法律をお願いしているわけであります。

 とにかく、合法性の確認というところが、金子委員おっしゃるように、きちっとできるのかというところがあろうというふうに思いますが、この合法性の確認の定義につきましては、今般の改正において合法性の確認を義務づけることに伴って文言を精緻化したものでありまして、改正後の確認内容は、現行法に基づいて、川上あるいは水際の木材関連事業者に取り組んでいただけるものというふうに考えているところでございます。

 すなわち、現行法においては、改正法案においても、原材料情報の収集等ができれば合法性の確認木材と判断しますが、収集等ができなければ合法性確認木材でない、こういう逆の判断もできるわけでありますので、このことをもう少しこの法律でもって徹底してまいりたい、かように思っているところでございます。

金子(恵)委員 ありがとうございます。

 なぜ「木材等が違法伐採に係る木材等に該当しない蓋然性が高いかどうかについての確認」という内容になったかということだと思うんですね。これは、つまりは、黒でない蓋然性が高いことの確認をする、黒でないことにはグレーが含まれるわけですから、黒でない蓋然性が高いことにもグレーが含まれるだろうということで、グレーゾーンが残ってしまうだろうということだというふうに思うんですね。

 ですから、幾ら確認を義務化したとしても、やはりどうしても、全体の、合法性というもの自体の中身が緩くなってしまうということについては、今、大臣も、そこの部分については余り明確にお答えいただいていない。もちろん、努力義務が義務化されたとか、そういうところで厳しくはなっている部分はあるにしても、中身の確認をする内容が緩くなっている可能性があるという指摘を私はさせていただいているんですが、そのことについては、大臣、いかがでしょうか。

野村国務大臣 金子委員のおっしゃることも、今まではそういうことが懸念されておりましたけれども、これをきちっとやはり整理していくためには、おっしゃるようなグレーゾーンが許容されるようなことになっては、この法律でもって縛りをかけていこうという内容になっておりまして、御懸念は御懸念として、今やろうとしているものは、合法性の確認を義務づけることによって文言を精緻化したものでございまして、確認内容は、現行法に基づいて、実際、木材事業者に取り組んでいただかなければならない、こういうふうに思うわけです。

 要は、一方では登録をしていく、そして、その登録された人たちは確認をする義務がある、そして、それについては罰則の適用もある、こういったようなことでございますので、今までとすると一段も二段も厳しくなっていくというふうに私は考えております。

金子(恵)委員 時間が余りないので、先ほどから確認の義務づけ等というふうなこともおっしゃっていただいて、それで厳しくなっているというようなこともおっしゃっていただいていますので、ちょっと確認をさせていただきたいんですけれども、合法性の確認は法律上の義務となります、六条の一項では。指導助言や勧告の規定では、合法性の確認義務に違反した場合が対象となっていない、そういう事実もあります。これによって、命令や罰則の対象からも、合法性の確認義務に違反した場合が外れることになります。

 法律の実効性を高めるためには、合法性の確認義務の違反に対して、直接的に指導助言、勧告、公表、命令、罰則という一連の措置を講じられるようにする必要があるのではないかというふうに思いますが、そこはいかがでしょうか。

角田大臣政務官 改正法案においては、森林法に基づく伐採造林届の写し等の原材料情報の収集等を行って、この原材料情報を踏まえ、合法性の確認をすることを義務づけることとしております。木材関連事業者は、この原材料情報の収集等ができれば合法性確認木材等と判断をし、原材料情報の収集等ができなければ合法性確認木材等でないと判断していただくことになっております。

 すなわち、何をもって合法であるかどうかを判断したかというのは、原材料情報の収集等の可否が実質的な意味を持ってまいります。

 このため、原材料情報の収集等に対する罰則等の是正措置を設けておけば実効性は担保されることから、かかる規定としたものでございます。

金子(恵)委員 合法性の確認を義務づけていながら、その履行の確保は、情報の伝達義務という別の義務に対しての指導、勧告、命令等で間接的に担保されているということだと思うんです。担保はされているかもしれない。でも、間接的なんですよね。

 本来であれば、先ほど私が申し上げましたように、直接的にきちんと一連の流れというものをつくって措置をすべきだというふうなことを私は指摘をさせていただいたということでございますので、御理解をいただきたいというふうに思いますが、一言、もしあればお願いします。

角田大臣政務官 先ほど申し上げましたとおり、これはあくまで情報に基づいて判断をされるべきものであると思いますので、その行為自体を後から確認するというのは難しい。その前段としての情報がしっかりと収集をされていて、その記録がなされていることによって合法性が担保されるであろうということを考えておりますので、これは、あくまでも合法性の確認に対する是正措置を規定しなくても実効性は確保されるだろうというふうに判断をさせていただいているところでございます。

金子(恵)委員 ここの部分にも本当に明確化されていない部分が残っているなというふうに思いますので、ますます心配になってまいりました。

 合法伐採木材等の流通及び利用に係る検討会の中間取りまとめでは、「国内における違法伐採に係る木材等の流通や利用をなくすことを通じ、最終的に違法伐採を根絶することを目指していくべきである。」と言っています。またさらに、「合法性の確認に適切に取り組む事業者の輪を広げ、リスクの高い国・地域から調達している合法性の明確な確認が難しい輸入木材等の流通を排除する。」というふうにも書かれています。

 それで、本当に違法伐採のものが流通から排除されるのかというところでありますけれども、実際に、新しい十三条の第一項に基づき、「木材関連事業者が合法伐採木材等の利用を確保するために取り組むべき措置」には、「取り扱う木材等のうちの合法性確認木材等の数量を増加させるための措置」、そして、「合法伐採木材等の利用を確保し、違法伐採に係る木材等を利用しないようにするための措置」というものが盛り込まれているわけですけれども、これらの措置に十分に取り組んでいない場合には、十四条に基づく指導助言の対象となるということです。

 しかし、行政手続法では、行政指導については、「あくまでも相手方の任意の協力によってのみ実現される」ということであります。これは第三十二条の一項にあるわけなんですけれども。「その相手方が行政指導に従わなかったことを理由として、不利益な取扱いをしてはならない。」とも言われていますから、そうなってしまうと、例えば、悪質な木材関連事業者が合法性確認木材以外の木材等を大量に流通させたとしても、その是正については任意の協力を求めるしかないということになってしまうんじゃないかと思うんです。

 そうすると、合法性確認木材等以外の木材等の流通の排除というものが本当に今回の改正でどの程度の効果を持つのか分からないという状況だというふうに思うんですが、大臣の御認識をお伺いしたいと思います。

野村国務大臣 お答え申し上げたいと思いますが、今御質問がありましたように、まだ懸念材料というのはあります。しかしながら、合法性が確認できない木材の流通というのを、これを直ちに止めるということまでやれるかとなりましたときに、現実的に非常に難しさがあるというのを内部でも議論をさせていただきました。

 それはなぜかといいますと、我が国の木材自給率が五割に満たっておりませんし、また、事業者によりまして合法性が確認された木材は国内総需要の四割にしか満たない、こういう状況で、あとの六割はいわゆる登録木材事業者の合法性が確認されないものが流通しているという今の現状がございます。

 したがって、これを一気に止めてしまうと、またウッドショックのようなことで材が足らなくなって材価が上がっていくという、このこともやはり考えていかなきゃいけないだろうということもありまして、現状を踏まえますと、木材の安定供給に支障を生じさせないことが適当ではないかと考えまして、そういった今御懸念のようなことがありますが、これはもう川上から川下まできちっとした登録制度をすることによって、これは違法木材なんだというのを消費者も、それから中間の業者さんも、あるいはまた川上の事業者の皆さんも、みんなこれはもう違法木材なんだというのが分かるようなことに全体で啓蒙していかないと、一挙に止めるというのはいかがなものか、適当ではないのではないのか、こんなふうに思っております。

 我々もこの広報にも努めていきますが、今申し上げましたようなことをやはり懸念すると、一挙にはなかなか難しいだろうなということも一方では考えているところでございます。

金子(恵)委員 丁寧に御説明をいただいたと思うんです。一気には難しいよ、でも前進はしたい、だから今回の法改正、それは理解をさせていただいているんですけれども、でも、世界の中での流れ等もやはり見ていかなくてはいけないと思うんです。

 冒頭、国際社会の中で国際的に協力体制をつくっていかなくてはいけないという課題でもあるということの確認もさせていただいているんですけれども、やはり、EUや米国などでは、違法伐採の木材の流通がとにかく罰則つきで規制されているという状況にもありまして、今回、どうしても緩めの合法性の確認ということになる可能性がまだ残っているというふうにも思いますし、このことが、実際に我が国がどのように違法伐採の木材を本当に根絶させようとしているか、その姿勢をどのように示すことができるかというところで、本当に重要な部分なのではないかというふうに思っています。

 違法伐採木材やグレー材が市場に流入してしまうことで、日本市場でどういう影響があるかということをお考えいただいたことはありますでしょうか。お聞かせください。

角田大臣政務官 違法伐採木材等が我が国の市場に流入することには、適正な手続を経ず、廉価で生産された木材等の流入によって公正な市場取引が阻害され、国内林業、木材産業に悪影響を及ぼすおそれ、また、国際的な課題に対応できていないとして我が国の信用を損ない、我が国からの木材輸出にも支障を来すおそれ、さらには、違法伐採された輸入材を利用することで他国の森林の有する多面的な機能を害するおそれといった問題がございます。

 このために、違法伐採及び違法伐採木材を抑制するため、今般の法改正案により、川上、水際の木材関連事業者による合法性の確認等を義務づけるなど、取組を強化することとしております。

金子(恵)委員 ありがとうございます。

 そのとおりで、信用を失う。ですので、しっかりと対応しなくてはいけないということでありますし、実際に、そうであれば、例えば登録事業者から、これまでもそうですけれども、頑張ってもメリットがないんじゃないか、そういう指摘もあったというふうに思うんですね。

 だから、合法性確認製品を出荷してちゃんと収益上のメリットがあることとか、きちんとした製品として多くの方々にきちんと認めてもらうこととか、そういうきちんとした出口の部分での対応というものも必要になると思いますし、ただ単に、違法伐採、合法と認められないものが廉価で出回っているという状況で、質というのは実はなかなか比較しても分からない場合はあります。だから、そういうものが出回る可能性というのは、流通する可能性というのは否定できないわけです。

 だからこそ、しっかりと、頑張った人たちがばかを見ないような、そういう仕組みづくりというのは私は必要だというふうに思うんですね。それで、やはり価格にもそれが反映されるべきだというふうにも思いますが、政務官、いかがですか。

織田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の、頑張った人が報われる、ばかを見ないという観点は、非常に重要な観点だと思っております。

 ただ、一方で、木材の価格というのはいろいろな要素で決まってくるものですから、現時点で、今の登録木材関連事業者が扱っている合法木材がほかの木材と比べて価格差があるかどうかというのはなかなか判断しづらいところでございますけれども、まさに、そういう合法木材をしっかり使っていただくような方々に対しまして、例えば、先ほど来から話をしている、マークをつけて皆さんに広く知っていただくことですとか、あるいは、登録制度も維持するわけですけれども、登録したら補助金の加点をするですとか、いろいろなメリットを林野庁としても考えながら、この取組全体として推進していきたいというふうに考えてございます。

金子(恵)委員 是非よろしくお願いいたします。

 今回、川上、水際の木材関連事業者における合法性の確認等については義務化されているわけなんですけれども、ただ、体制整備については引き続き「取り組むべき措置」とされたままなんです。ここもしっかりと義務化していくべきではなかったかなというふうに思うんです。これだけいろいろなことで工夫して前進をさせようとしているのであれば、いかがでしょうか。

角田大臣政務官 改正法案においては、合法伐採木材等の流通及び利用を促進するためには、国内市場における木材流通の最初の段階での対応が重要であることから、川上、水際の木材関連事業者に、木材譲受け等をする場合に、合法性の確認等、記録の作成、保存、情報の伝達を確実に行うよう義務づけることとしております。

 一方で、木材関連事業者の規模等、これは本当に様々で、小さいところもたくさんあるということでありまして、小規模のところにまで義務づけを行うということは過度な負担になるというおそれもございます。確実にそうした確認や記録の作成、保存、情報の伝達が行われているのであれば、その実施体制までは問う必要はないということから、体制整備について義務づけることはいたしておりません。

 なお、改正後の第十三条第一項第一号において、木材関連事業者が取り組むべき措置として「体制の整備に関する事項」を規定していますが、これは、木材関連事業者の規模等が様々である中で、一律に一定の体制整備を義務づけることまではしていませんが、合法性の確認等に関する事務の適正な実施を確保する上で、望ましい体制の在り方について省令で規定する予定としております。

金子(恵)委員 ありがとうございました。

 義務化はされていないけれども体制整備はしっかりとやるということだというふうに思いますので、信じたいと思います。

 時間が参りましたので、言いっ放しにならないようにしたいというふうには思うのですけれども。

 やはり、例えば水際でしっかりと対応することはすごく重要なわけです。間違ったものを日本国内に入れないということだというふうに思っていますけれども、そういったときに、法律の中でも、例えば素材生産販売事業者の関与が位置づけられているほか、関係行政機関等の協力についても、しなくてはいけないことだというふうに思いますが、では、税関とか植物防疫所と連携するということも考えなくてはいけないんだと思いますが、最後にそのことを確認をさせていただきます。

野中副大臣 今般の改正法案によって、全ての川上そして水際の木材関連事業者に対して、合法性の確認等を義務づけることにしました。これによって、今までは登録を受けた一部の輸入事業者が水際において対象でありましたが、これが、全ての水際の輸入事業者を対象に合法性の確認等を義務づけることになったということであります。

 これらに対して、実施状況を適切に把握し、必要に応じて指導助言等の措置を講ずることができるよう、一定規模以上の事業者に対する定期報告義務を課するとともに、主務大臣が事業者に対して報告徴収や立入検査等を実施し、あわせて、木材の輸入に関し、税関や植物防疫所を含む関係行政機関等に対して情報の提供その他の協力を求めることができるとしております。

 ですので、法案を成立させていただいた暁には、私ども、税関、植物防疫所等、関係機関と連携を図ってまいりたいと思います。

金子(恵)委員 ありがとうございます。

 終わります。

笹川委員長 次に、渡辺創君。

渡辺(創)委員 立憲民主党、宮崎一区選出の渡辺創でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 統一地方選挙の第一ラウンドが終わって、間もなく第二ラウンドが始まろうとしておりますし、昨夏の参院選から九か月、岸田政権の中間評価という意味合いでも、国民がどのような評価を下すかに注目が集まる各国政補欠選挙も行われている最中であります。

 私も、一昨日は、林業が盛んな大分県の中山間地域で参議院補欠選挙の応援に一日駆け回っておりましたけれども、山には新緑が芽生え始めておりまして、里山にはボタンザクラやシバザクラ、チューリップが咲き誇る、本当に日本の山村は美しいと実感をしてきたところでありました。

 このように、非常に国会でもタイトな日程の中で、合法伐採等の流通及び利用の促進に関する法律、クリーンウッド法改正案の審議が、今日、こうして行われております。

 そもそも、違法伐採による気候変動や権利侵害等を意識した世界的な潮流を踏まえて、二〇一六年に議員立法で成立し、二〇一七年に施行された法律であります。言うまでもないかと思いますが。

 当時も、先ほど来指摘があっておりますように、二〇一六年五月の伊勢志摩サミット開催を相当意識した法整備であったというふうに思うところでありますが、今回もG7広島サミットを目前に控えての審議であります。

 言うまでもありませんけれども、成立から七年ぶりの法改正が、今回、国際的なトレンドの影響も受けながら、他の先進国との間では、残念ながら必ずしも日本の状況は先頭を走っているとは言えないというのが現状ではないかと思いますが、その日本の現状を問い直すものになるだろうというふうに、私の私見を述べた上で、質問に入っていきたいというふうに思っています。

 言うまでもありませんが、クリーンウッド法は、米国やEUにおいて違法伐採対策の法制化が進められる流れを受けて、先ほど述べたような経緯をたどり、我が国としても同様の対策の強化を発信していこうと議論が深められたものと思います。その中で、政府調達のみならず、民間需要においても合法伐採木材等の流通及び利用促進を図るために成立した法律であると理解しています。

 七年の時間が経過し、今回は、課題解決を図り、状況を前進させるために改正案を政府が提出しているわけですが、そもそも、法制定時の想定、思惑を一つのフィルターとしてかけて見た際に、どの程度の目的、狙いを達成しているのか、施行後に見えてきた課題は想定外のものであったのか、想定の範囲であったのか、この間の国内外の状況変化も踏まえて、農林水産大臣にお伺いしたいと思います。

野村国務大臣 渡辺委員にお答えを申し上げたいと思いますが、御承知のように、クリーンウッド法は、違法伐採木材等の流通を抑制するために、事業者に対して木材等を利用するに当たっては合法伐採木材の利用の努力義務を課すということが一つ。それからもう一つは、合法性の確認を確実に行う木材関連事業者を第三者機関が登録する等の仕組みによって、合法伐採木材の流通及び利用促進をしてきたところでございます。

 法施行後、農林水産省としましては、合法伐採木材等の流通及び利用の促進を図るために、一つは、一般消費者を含め、広く制度の内容や合法性の確認の意義に関する普及啓蒙活動を実施してきました。それから二つ目は、木材関連事業者を対象とした登録促進セミナーの開催なり、あるいはまた登録事業者に対する予算上の優遇措置、これは優先採択等でありますが、そういったことも実はやってまいりました。

 こうした取組によりまして、登録事業者の件数及び合法性が確認された木材の量は一定程度増加しました。

 数字を申し上げて恐縮ですが、平成三十年は二七%でありましたけれども、これが現在四四%まで増加してきているということでありまして、登録事業者数も六百件程度になってまいりました。また、登録事業者により合法性が確認された木材の量は、国内総需要量の四割強で、これは高いのか低いのかというふうに評価は割れるところですが、我々は、これは低位にとどまっている、こういうふうな認識でございまして、まだクリーンウッド法の所期の成果を十分上げていない、こういう認識でございます。

 こうした中で、近年の国際会合におきましても違法伐採への対応の強化が課題として取り上げられることを踏まえまして、この取組の強化を図る必要がある、こういうふうな認識をして、今般の法改正をお願いをしているところでございます。

渡辺(創)委員 大臣から、十分に効果を上げられていない、今日の質疑の中でもいろいろな要因はあるというのは分かりますけれども、その認識をお示しをいただいた、確認できたところであります。

 立憲民主党の農林水産部門会議では、今回の法改正も意識をしながら、森林・林業政策ワーキング・チームを立ち上げておりまして、小山委員が座長をお務めでありまして、私も事務局としてお手伝いをしておりますが、そのような環境の中で、機会をいただいて、国際環境NGOであったり、日本林業協会、日本木材輸入協会、全国建設労働組合総連合のほか、前回の議員立法で同法を提案した際の先輩方にもわざわざお話を聞かせていただいて、ヒアリング等を行ってきました。

 その過程で多少なりの問題の構造も見えてきたというふうに思っておりますが、ヒアリングの中で関係団体、NGO等の皆様が口をそろえるのは、実質的にはリスクの高いのは特定地域からの輸入に集中をしているというお話であったと思っています。

 国際森林研究機関連合の、少し古いデータでありますけれども、二〇一六年公表の報告書によると、二〇一四年の違法伐採木材の丸太と製材の貿易額は世界で六十三億ドル、違法伐採木材の輸入は、東南アジアが三十五億ドルで、ロシアが十三億ドル、オセアニアが七億ドルと続いて、中国が三十三億ドルとなっています。ちょっと古いデータでありますけれども。

 東南アジア、ロシアからの材、さらには中国からの加工品がおのずと違法伐採木材のリスクが高くなるということがうかがえるわけかというふうに思います。

 ところが、クリーンウッド法の成立後も、輸入額で見ると、このような違法伐採木材への認識が脆弱な国家及び高リスクの国からの輸入はむしろ高まっているという資料も散見されるところであります。

 実態を変えるというのはなかなか簡単なことではないというふうに思いますが、違法伐採木材が国内流通するリスクを低減させ、クリーンウッド法の趣旨をより高めるためには、輸入先の転換を進めるような構造的な転換も意義があることではないかとの思いに至るところでありますけれども、現状認識も含めて、政府の認識を大臣にお伺いしたいと思います。

野村国務大臣 お答えを申し上げます。

 先ほど渡辺委員の方からもありましたように、違法伐採木材の貿易額は世界で六十三億ドルというふうに伺っておりますし、また、主な輸出地域は東南アジアなりロシアだ、こういうことも報告を受けているところでございます。

 我が国におきましては、そうした国々から木材等を輸入していることは事実でありますが、輸入先にかかわらず、違法伐採木材等の流通を抑制することは、これは重要でございます。このことに取り組んでいかなけりゃならないということでございます。

 このために、今般のこの法改正によりまして、全ての木材の輸入業者に対し合法性の確認を義務づけるというのが一点。それから二つ目は、木材関連事業者の取り組むべき措置として、合法性確認木材の数量を増加させるための措置を規定するということをしておりまして、合法性が確認された木材が入手できる取引先、輸入元の転換等を促してまいりたい、このように考えております。

渡辺(創)委員 ありがとうございました。

 ここからは今回の改正案のポイントについて幾つかお伺いをしていきたいと思います。

 まず、今回の改正では、クリーンウッド法の趣旨が一定程度、森林・林業、木材加工などの関係者に理解が広まってきた、十分かはともかくとして、広まってきたという前提に立って、法律の網のかかる範囲を拡大し、同法において求める行為についても深め、実効性の担保を図ろうとするのが全体の趣旨だというふうに思います。

 その中でも、特に川上、水際の木材関係事業者、いわば最初に国内流通に木材を投入する立場の方々ということになるかと思いますが、新第六条によって合法性の確認等が義務化されます。

 まず、この義務化により対象となる事業者が日本の国内にはどの程度あるのかということをお伺いしたいと思います。

森政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、現状でございますけれども、現行法において合法性の確認等を確実に行うこととされている登録木材関連事業者の数でございますが、川上の原木市場や製材工場等の事業者が約百四十、水際の輸入業者は約九十となってございます。

 これに対しまして、今般の改正法案によりまして合法性の確認等が義務づけられていく木材関連事業者の数でございますけれども、川上の原木市場や製材工場等の事業者については約四千五百事業者、水際の輸入事業者につきましては約六百事業者となる見込みでございます。

渡辺(創)委員 今の数字で分かりますように、圧倒的に関係する皆さんの拡大が行われるということだと思います。

 いろいろと資料を読みましたけれども、現行法においてもクリーンウッド法に基づく対応が十分になされているのかという実態の確認は、これはなかなか容易ではないという印象を持ったところです。

 今回の法改正がなされた後も、義務化が生じた事項が流通の現場で適切に対応されているか否かという実態をどのようにして把握、確認していくのかということが法改正の実効性を担保していく上で極めて重要ではないかというふうに思うところですが、林野庁はどのようなイメージをお持ちでしょうか。現行法での対応との対比が分かる形で今後の対応のイメージを御説明いただければと思います。

森政府参考人 お答え申し上げます。

 現行法におきましては任意の登録制度が設けられているところでございますけれども、この中では、登録木材関連事業者が合法性の確認等を適切に行っているかどうか、これにつきましては、登録を実施する機関が登録事業者からの報告により把握をいたしますとともに、これが適切に行われていないと認める場合には、登録の取消しをするなどの対応を取っているところでございます。

 一方で、今回の改正案でございますけれども、先ほど来御説明申し上げていますように、川上、水際の木材関連事業者に合法性の確認等を義務づけるということをいたしておりますので、この実施状況を適切に把握するために、まず、一定規模以上の事業者に対しましては、取り扱う木材等の数量、及び、そのうち合法性確認木材等がどれくらいあるかという数量、これについて主務大臣に定期的に報告をしていただく仕組みを設けてございます。また、主務大臣は必要に応じてこれらの事業者に対して報告徴収や立入検査等を実施するということといたしてございます。

 その上で、川上また水際の事業者が原材料情報の収集でございますとか合法性の確認、また記録の作成、保存、伝達、こういった義務を適切に実施していないなど、主務大臣が必要があると認める場合には、指導助言、さらには勧告、命令等の措置を講じて是正を行っていく考えでございます。

渡辺(創)委員 先ほどの政務官の御答弁にも重なるところはあったかと思うんですが、要は網の目をどのぐらい細かくするかということをしっかり考えていかないと、法改正はして、そうしたけれども、動いている実態は全然、たまたま分かったようなものには対応しますがというふうな話ではどうしようもないというふうに思いますので、そこは意見として申し上げておきたいと思います。

 引き続き、改正案の中身についてお伺いしますが、金子委員からも同趣旨の質問があっているところでありますけれども、現行法の第六条では、合法性の確認について、「木材等が我が国又は原産国の法令に適合して伐採されていることの確認」を求められていますけれども、改正案では、「木材等が違法伐採に係る木材等に該当しない蓋然性が高いかどうかについての確認」というふうにされています。先ほども質疑があったところです。蓋然性ですから、そのことが実際に起こるか否か、まことであるか否かの確実性の度合いということですから、つまり、確からしさということになるんだというふうに思いますが、この表現ぶりに変更される意図をお伺いしたいというふうに思うんです。

 非常に感覚的に捉えれば、先ほどあったやり取りと私はちょっと逆の感覚を持っているんですけれども、一般的に言えば、回りくどい言い方をする場合は、抜け道があるというか、許容範囲が広がるというニュアンスに取れることが一般的だというふうに思うんですけれども、どうか、現行法と実態に違いがあるのか否か、また、違いがあるのであればどのように異なるのかということを、是非明確に、分かりやすく説明いただきたい。

森政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の改正法案では、川上、水際の木材関連事業者は、森林法に基づく伐採造林届の写し等の原材料情報を入手して、これに基づき合法性の確認を行うことになります。

 この際、合法性の確認の定義、表現ぶりでございますけれども、今般の改正におきまして、合法性の確認等を義務づけることに伴いまして、義務として行っていただくわけですからその内容が明確でなければならないという観点から、文言を精緻化したものでございます。

 そういったものでございまして、改正後の確認する内容、これは、現行法に基づいて川上、水際の木材関連事業者に取り組んでいただいているものと同様のものというふうに考えてございます。

 その考え方をもう少し敷衍をさせていただきたいと思うんですけれども、合法性の確認につきましては、現行法では、任意の登録制度の下で、御指摘のとおり、「木材関連事業者が取り扱う木材等が我が国又は原産国の法令に適合して伐採されていることの確認」、こういうふうに規定をされているところでございます。

 これの実施に当たってどういうことになっているかということでございますけれども、木材関連事業者は民間の事業者でございます。何か調査権とかがあるわけでもない。そういった中で合法か違法かを最終的に判断する、これを求めることはできないというふうに考えてございまして、現行の制度におきましても、確認ということの意味するところの中身は、違法伐採に係る木材等に該当しないかの蓋然性を確認している、こういうことでございます。

 翻って、今回、原材料情報を入手して合法性の確認を行う義務づけが入るわけでございますけれども、この義務づけに際して、義務づけの内容を明確にする観点から定義を置きまして、規定ぶりといたしましては、今あるような規定になってございまして、これは先ほど申し上げましたように、義務づけを行うことに伴って文言を精緻化したというものでございまして、確認の内容、事業者が行うこととなる内容については、現行法に基づいて行っております取組と同じ、同様のものであるというふうに考えてございます。

渡辺(創)委員 今、大臣も、そして次長も、文言を精緻化したというふうにおっしゃいました。これはやはり、法改正があって、関係する方々の受け止めの問題が出てくるわけですから、大事な答弁だと思いまして、私は、厳しくなったのか緩やかになったのかと聞きたかったところでありますが、繰り返し、同様であるというふうに御答弁がありましたので、これは議事録にも残る大事なところだというふうに思いますので、言葉を精緻化したという意味は、今までの表現と同様であるというふうに理解をします。反論がなければそういうことで済ませたいというふうに思います。

 次の質問に行きたいというふうに思いますが、続けて、合法性の確認等を義務づけたことについて、関連してもう一問伺いたいと思います。

 これも金子委員と問題意識が重なりますけれども、何度も繰り返しますが、川上、水際の木材関連事業者に対するこの義務づけは、今回の法改正の大きなポイントの一つです。

 では、どのようにして実効性を担保していくか、裏返せば、行政側にどのような監督措置を定めるかということが肝になってくるというふうに考えます。

 そこで、監督措置のありようを確認してみますと、原材料情報の収集、整理、そして原材料情報に関する記録の作成、保存、他の木材関連事業者に対する原材料情報及び合法性確認木材等か否かの伝達については、先ほど金子委員からもあったように、それぞれ指導助言から勧告、公表、命令、罰則に至る一連の措置が用意をされておりますが、合法性の確認、合法性の確認の結果及び理由に関する記録の作成、保存については定めがなく、命令や罰則の対象行為とはなっておりません。

 なぜこのようなたてつけになっているのか、少々変則的な組立てになっているような印象もありますが、先ほども答弁がありましたけれども、その意図を御説明をいただくとともに、実効性を担保する上での課題とならないのか、林野庁の見解をお伺いしたいと思います。

森政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の改正法案におきましては、義務化の部分でございますけれども、森林法に基づく伐採造林届の写し等の原材料情報の収集をまず行いまして、これを踏まえまして、合法性の確認をしていく、こういう一連の流れを義務づけをいたしているところでございます。

 木材関連事業者につきましては、原材料情報の収集等ができれば合法性確認木材等と判断をできますし、原材料情報の収集等ができなければ合法性確認木材等でないと判断をしていただく、こういうことでございますので、このプロセスにおいては、原材料情報の収集等ができるかどうか、ここが実質的に重要な意味を持っている、こういうことでございます。

 そこで、このためでございますけれども、原材料情報の収集等について、先ほど申し上げました、指導、勧告からの罰則等の是正措置が設けられておりまして、こちらがございますれば、合法性の確認に対する是正措置を規定せずとも実効性は確保されるという整理でございまして、こういった規定ぶりとなっているところでございます。

渡辺(創)委員 今の次長の御答弁は、原材料情報の収集、整理、これが担保できていれば、実質的にそこが重要であるということをおっしゃいました。

 今、次長の答弁にはなかったですけれども、さっき政務官の御答弁の中では、間接的に担保できるという言いぶりがありました。素直に考えて、直接的に担保できる要件があるのに、なぜ間接的に担保する必要があるのか。分かりやすく考えれば、直接的に担保するというのが真っ当な考え方だというふうに思いますけれども、何の課題があって直接的な担保ではなくて間接的な担保を図ろうとしているのか、そこをきちんと国民に分かるように御説明いただけませんか。

森政府参考人 お答えさせていただきます。

 この度の合法性の確認等のことにつきましては、必要な行為を義務として実施していただくわけですから、一体どういった範囲のことをしなくてはならないかということを明確に規定をしなければならないということが課題でございまして、そういった問題意識の下で、先ほども御説明したようなことで規定を整理をしてまいったところでございます。

 それで、罰則担保につきましても、ここも同様でございまして、この義務をやっていただく上で、どこの部分に罰則までかけて守っていただく必要があるのかということを、各義務について精査をいたしまして、必要な部分について罰則担保するということを整理をしたところでございまして、そういった考え方でこういった整理になっているということでございます。

渡辺(創)委員 先ほど大臣の答弁の中でも、この法案であったり、日本の木材流通を取り巻く現実の難しさというような御答弁があって、それは恐らくこの委員会に出ている全ての人間が分かっていることだろうというふうに思いますけれども、やはり今問題を指摘したような組立てのところがすっきりしなさを残しているというか、まあ、それが世の中の難しさだと言ったらそこまでかもしれませんが、やはりこの辺が、先ほど大臣が冒頭で課題としておっしゃったように、法の趣旨であったりとか効果というのがまだ十分に広がり切れていないという原因はこういうところにつながるところにあるような気がしておりますので、これ以上重ねませんけれども、是非、この先もやはりしっかりブラッシュアップさせ続けていくことが大事な法律だろうと思いますので、そこは課題を残しながらということで、次に進みたいというふうに思います。

 質問の前半でもお話をしてきましたので極端な重複は避けたいと思いますが、違法伐採木材を流通させない、使わないという取組、つまりはクリーンウッド法等の狙いを踏まえた取組でもあると思いますけれども、国際的な大きな潮流の中で問題の指摘がなされ、G7など各種国際会議等をきっかけに前進してきたと俯瞰して見ることができるというふうに思います。

 今回の法改正、もう間もなく開催されるG7広島サミットや関連の閣僚会議等を意識したタイミングと考えることができるかと思いますが、ただ、いろいろ事前に聞いていますと、農業担当大臣会合ではなくて、札幌で開かれるG7気候・エネルギー・環境大臣会合が主舞台のようでありますけれども、いずれにせよ、議長国として、政府はどのような意欲を持って臨み、どのような成果を上げたいというふうに考えているのか。札幌での気候・エネルギー・環境大臣会合であればもう今週末の開催でありますので、政府全体としての意欲や構えをお伺いしたいと思います。

野村国務大臣 先ほどもお答えを申し上げたんですけれども、あと九日しますと宮崎でG7の農林大臣会合が開かれます。これは、私どもにとりましては、我が国の考え方を国際的に発信できる重要な会議だというふうに考えておりまして、今年のG7会合においては、我が国としては、今まで御議論がありました合法伐採木材等の利用を含む持続可能な木材利用の促進の重要性について、これを強調しまして、G7で是非確認をしたい、このように考えているところでございます。

渡辺(創)委員 次の質問に移っていきたいと思います。

 クリーンウッド法から少し、直接的には離れますけれども、同法の趣旨である違法伐採木材等の流通、利用を低減させる方策の一つは、今日の審議の中でも出ておりますが、国産材の利用促進であるということは間違いないと私は思います。

 私は宮崎県選出の議員でありますが、ここには、江藤先生を始め、国民民主党の長友さんも含め、宮崎の選出、三人おりますけれども、宮崎県議会議員時代には、勉強は足りておりませんけれども、農政水産部を所管する委員会の委員長もさせていただいておりました。

 我が宮崎県は、平成三年以来、杉素材、丸太の生産は三十一年連続日本一でございます。さらに、木材全体の素材生産量も、あの北海道の広大なところに次ぐ全国二位という位置にありまして、令和三年の総数で二百四万二千立米、杉はそのうち百九十三万一千立米を産出している、全国有数の林業県であります。

 言うまでもありませんが、木材は、今年苗木を植えて、すぐに成果物を得られるというものではありません。ある意味では、長い時間を費やして、手もかけて成果物を得られる、自然の恵みでもあるというふうに思っています。

 杉の伐期が続く中で、これからも安定して素材供給を行っていくためには、安定した活用、消費先と、次の時代を見据えた再造林が重要なことは、説明するまでもありません。

 そこで、国産材の利用促進、また、次につながるための再造林の強化、特にエリートツリーの推進など、未来を見詰めた林業促進にどのように取り組んでいくのか、林野庁の見解をお伺いします。

織田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、国産材の活用を進める上では、需要拡大の取組と併せまして、伐採後の再造林を適切に行って、いわゆる資源の循環利用、これをしっかり進めていくということが重要だというふうに認識してございます。

 農林水産省といたしましては、まず、木材の需要の拡大に向けまして、中高層あるいは非住宅の建築物等での木材利用の促進に取り組むとともに、バイオマスエネルギー利用、さらには木材の利用の意義の普及、こういったことに取り組んでいるところでございます。

 また、確実な再造林を進めていくということも非常に重要でございまして、そのためには、林業の収益性を高めて、森林所有者の利益を増加させるということが基本的に非常に重要なことだというふうに考えてございます。

 このため、森林整備事業によりまして、国、県合わせまして造林費用の約七割を支援させていただいていることに加えまして、地ごしらえ経費を削減できる伐採と造林の一貫作業、こういったことも今一生懸命普及をさせていただいております。また、御指摘もありましたけれども、成長がよく下刈りの経費の削減にも資するということで、エリートツリー、この苗木の生産についても今一生懸命やらせていただいているところでございまして、そういったことで、造林施業の低コスト化も積極的に取り組んでいきたいというふうに考えてございます。

 引き続き、木材の利用促進及び着実な再造林に向けてしっかり取り組んでいきたいと考えてございます。

渡辺(創)委員 エリートツリー、ちょっとさらっとでしたが、もうちょっと伺いたかったところでありましたけれども、以前につくばの国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所でもエリートツリーのお話を聞かせていただいたんですけれども、大変重要な取組だというふうに思っています。エリートツリーが広がれば、下草刈りの省力化など、本当に、再造林を妨げている要素を低減させていくということにも確実につながるというふうに思っています。

 宮崎県では再造林率八〇%を目指していますが、現状は七〇%台で推移をしているところです。もちろん、全国の中ではこれはとても高い数字なわけでありますけれども、日本の林業が持続可能なものであるためには不可欠な取組だというふうに思っておりますので、是非、クリーンウッド法の趣旨にもつながるところだというふうに思いますから、しっかりとした対応をお願いします。

 エリートツリーの導入に向けては、宮崎県でもまだ母樹園の整備を行っている段階で、国の九州育種場から提供を受けた母樹を事業者や県の採穂場で育成をしているところで、令和四年の段階で母樹本数が六百六十三本になっているというふうに聞いています。令和八年になれば一万四千本ほどの苗木を山に出していくことができるというふうに大変期待をして、楽しみにしているところでもありますので、どうぞ国の更なる支援をお願いをしたいというふうに思います。

 最後に大臣に伺いたかったんですが、時間もないので、G7宮崎農業大臣会合、いよいよ、先ほど大臣答弁にありましたように、迫ってまいっております。三月の十七日、十八日には大臣自ら宮崎にお越しいただいて事前の視察もいただいたようでありますので、意気込みを聞きたかったのですが、時間が来ておりますので、是非、有意義な大臣会合にしていただき、日本の農業の魅力、そして、併せて宮崎、南九州の魅力も発信いただけますようにお願いを申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

笹川委員長 次に、池畑浩太朗君。

池畑委員 日本維新の会、池畑浩太朗でございます。

 今回は、合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律の一部を改正する法律案、いわゆるクリーンウッド法について質問させていただきたいと思います。

 まず、私の選挙区には、兵庫県宍粟市というところがございます。こちらでは、二年制の県立の森林学校がありまして、過去には波賀森林鉄道というものがございました。総延長が四十キロから五十キロ、かなりの総延長でありますけれども、木材を切り出して、林業に関わる方が多くおられた地域であります。

 そこで、早速質問に移らせていただきたいと思います。

 その中で、違法伐採についてまず質問させていただきたいと思います。

 世界市場に流通している熱帯材の約半分は、違法伐採の可能性があると言われております。

 そこで、法律案において、合法伐採、違法伐採という言葉が多く出てまいりますけれども、そもそも、違法伐採とはどのようなものを指すんでしょうか。また、国内、海外においてこれまでどれぐらいの違法伐採が確認されているのか、違法伐採が確認された木材が我が国にはどれぐらい流通しているのか、林野庁は把握されているんでしょうか。海外木材、国内木材のそれぞれの流通を把握をされていましたら、答弁をいただきたいと思います。

森政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、違法伐採の内容でございますけれども、クリーンウッド法におきましては、我が国又は原産国の樹木の伐採に関する法令に違反した伐採のことというふうにされてございます。

 国内での状況でございますけれども、農林水産省におきましては、森林所有者に無断で伐採が行われて、都道府県や市町村に相談などが寄せられた事案の調査を行ってございまして、これは毎年行っているんですが、直近の令和三年の調査での件数としましては百五件となってございます。

 現在、森林法に基づきまして、地域森林計画の対象となっている民有林を伐採する際には原則としまして伐採造林届の提出が義務づけられておりますので、そしてこの件数は年間約六万件程度が出されている、こういう非常に大量の届出伐採がある中で、こうした無断伐採といった不適切な伐採はごく限られた件数であると考えてございまして、国産の木材のほとんどは合法的に伐採されたもの、こういうふうに考えてございます。

 一方、海外についてでございますけれども、違法伐採木材の実態に関する正確なデータというところにおいては限られたものがございますけれども、国際森林研究機関連合、IUFROと言われていますが、この報告書によりますと、二〇一四年の丸太と製材に係る違法伐採木材の貿易額は世界で六十三億ドル、そして、そういったものを輸出している主な輸出地域は東南アジア、ロシアなどとされてございます。

 我が国におきましても、こうした国々からの木材輸入等もございますけれども、違法伐採された木材等が、じゃ、実際どれくらい国内に輸入されているか、こういったつぶさなデータはちょっと把握をしていないところでございます。

池畑委員 答弁ありがとうございました。

 今の答弁をお聞きしておりますと、やはり国内ではしっかりと管理をしていると。届出もきちっとされておりまして、六万近くに対して百五件ぐらいというお話もありました。一方、海外のお話になりますと、なかなか把握がしにくいというところにあるんだろうなというふうに思いました。

 今回、そもそも、サミットに合わせて法律ができたわけですから、いろいろな海外とのやり取り、また、先ほど来宮崎のサミットのお話も出ておりますが、海外で違法伐採とされているものは、流通や伐採に多く子供を働かすとか、そういった人権問題に大きく関わって問題があるというふうに認識されているというふうに私は考えておりますので、是非、今、海外の材木よりも国内がよいという認識の一つにしていきたいというふうに思っております。

 続きまして、先ほど答弁をいただきました、日本国内において、森林法において、切る際には届出を出すというお話でありましたから、今のお話、海外の輸入材よりも国内がかなり優位であるということを認識もしていただきたいというふうに思います。

 そこで、現在の木材の消費行動についてであります。

 国産木材であることは、輸入木材と比較して、金額的な付加価値となっているんでしょうか。また、合法伐採された木材であることは木材の価値となっているのか。お聞きしたいと思います。

織田政府参考人 お答えいたします。

 国産木材だから、あるいはそれが合法木材が多いだろうからということで、なかなか、価格にそれがどう反映しているのかしていないのかというのは非常に把握が難しいところでございますけれども、国産材を利用するということにつきましては、輸入材をやはり利用することに比べても、二酸化炭素の排出量は、運搬距離の違いがありますから、当然少ないということですし、国産材を利用することでまさに切って、使って、植えるという循環を進めることで、やはり脱炭素社会の実現にも資する、こういう国産材の付加価値があるのかなと。

 さらには、当然、雇用創出ですとか地方創生にも寄与する、そういう意義があるものというふうに認識をしてございます。

池畑委員 まさにそのとおりだと思います。

 やはり、国内で消費をすること、そして、林野庁でも国内木材を随分推進をしていこうというわけですから、今回の法律の改正に当たっては、もっと国内の木材を使ってもらえるようなお話をどんどんしていくべきだというふうに思います。

 その中で、登録木材関連事業者の登録について質問をさせていただきたいと思います。

 クリーンウッド法は、違法材木を扱う事業者を罰するということがメインの法律ではなく、合法木材を取り扱う登録事業者を増やし、違法木材を一掃していくという法律であると認識しておりますが、全木材関連事業者のうちどのぐらいの事業者が登録しているのか。また、登録木材関連事業者として登録した場合のメリットを幾つかお聞きさせていただきましたけれども、これがメリットだというものがありましたら、お答えいただきたいと思います。

森政府参考人 お答え申し上げます。

 現行のクリーンウッド法は、違法伐採及び違法伐採木材等の流通を抑制するため、木材等の合法性の確認等を確実に行う木材関連事業者を第三者機関が登録するということによりまして、合法伐採木材等の流通、利用を促進してまいったところでございます。

 現行制度における登録件数は全体で、トータルで約六百件となってございまして、このうち、川上及び水際の事業者は約二百三十件、川中、川下の事業者は約三百七十件となってございます。

 これら川上、水際の登録事業者により合法性が確認された木材の量でございますけれども、国内総需要量の四割強ということになってございます。

 お尋ねの登録制度のメリットでございますけれども、まず、法律上、登録事業者は、登録木材関連事業者との名称を独占的に用いることができるということになってございますので、これにより信用が増すということもございますし、取引関係者からの信頼も高まるというふうに考えてございます。

 また、登録事業者に対しましては、農林水産省の補助事業などにおきまして、予算上の優遇措置も講じているところでございまして、こういったことを活用して、登録事業者の登録を進めていきたいと思っております。

 特に、優良な事業者についてマークづけをいたしますとか、公表していくとか、そういったことも通じて、事業者の登録を今後も促してまいります。

池畑委員 補助や信頼に関してメリットがあるという答弁だったと思います。

 やはり、その信用という部分に関しては、林野庁さんがちゃんとチェックをしながら進めていくということですから、大事なことだというふうに思います。

 それを受けまして、海外の資本における森林伐採の防止についてお聞きしたいと思います。

 最近、いろいろな地域で、海外の資本家が島を買ったり山林を買ったりということはよくお聞きします。今回の法律案について、合法伐採について、海外の資本の方々の山を切って、海外の方が切ったといえども、日本の国内の森林法だとかそういうことをちゃんと厳守しなきゃいけないんですけれども、木材でなければ流通しづらい仕組みを今回構築されるというふうに認識をしております。

 その中で、流通することを結構防ぐ一翼を担うものであるというふうに考えておりますけれども、林野庁はどのようにお考えでしょうか。

織田政府参考人 お答えいたします。

 まず、森林法におきましては、外国資本か否かにかかわらず、地域森林計画の対象となる民有林を伐採する場合には、原則として、伐採造林届出の提出が義務づけられておるということでございます。

 この届け出られた伐採や造林の計画が市町村の計画に適合していないと認められる場合には、計画の変更の指導ですとか、最後は命令も出される仕組みとなってございます。

 無秩序な伐採等を防止する観点から、一義的には、こうした森林法の運用を徹底することが重要というふうに考えてございます。

 こうした中で、本法案により、新たに、木材関連事業者に、伐採造林届出の写しなどの原材料情報の収集や合法性の確認等を義務づけるとともに、素材生産販売事業者に対しましては、木材関連事業者からの求めに応じて、伐採造林届出等の情報提供を行うことを義務づけることとしたほか、これらの義務に対する農林水産大臣のいろいろ、指導助言、勧告、公表、さらには命令等々、そういうことも措置するということでございますので、これも、外国資本か否かにかかわらず、国内における無届け伐採といったような不適切な伐採の抑制に資するものというふうに考えてございます。

池畑委員 是非、周知徹底していただいて、そういった海外資本の方の違法伐採というのは日本国内ではできないというふうに認識をしていただきたいというふうに思います。

 最後に、大臣にお聞きしたいと思います。

 平沼委員からも質問がありましたけれども、消費者の理解醸成についてであります。

 消費者が合法伐採された木材であることに対して価値を見出さなければ付加価値にもならず、事業者が合法伐採木材を扱うインセンティブは生じにくいというふうに考えております。

 先ほどから大臣が答弁されておられますけれども、今回の法律は、川上から川下まで全体を通して合法伐採木材の利用促進を行うということが目的でした。

 先ほど答弁もありましたけれども、取組を見える化とか、パンフレットとか、イベントとか、SNSを活用する以外のことで、目的を達成するために消費者が合法伐採を扱う、それに対して価値を見出すことが重要であるというふうに考えるときに、是非、今、金子委員からもありましたけれども、頑張った事業者が報われる、また林業を営む方々がルールを守ることでもうかる仕組みを認識してもらうためにも、この法律の運用に当たり、合法木材に対する消費者の理解醸成をどのように進めていこうと考えているのか、質問させていただきたいと思います。

野村国務大臣 お答えを申し上げたいと思いますが、いずれにしましても、この違法伐採の問題につきましてはなかなかつかみにくいところもありましたけれども、今回の法改正によりまして、登録そしてまた義務化、こういったことを通じまして、これは、川上から、それから国民の皆様に至るまで、合法性の確認の意義については、これはきちっとやはり広報していかなければいけないだろう。

 今まで、役所の中でも、違法伐採だとかそういうのは新聞に載ったことがあるか、ないじゃないか、やはりこれは、我々も含めて広報が足りなかったなということは反省をいたしております。

 いずれにしましても、今回の法改正に基づきまして理解を深めていただくことは大変重要なことだ、こんなふうに思っておりますし、先ほど来お話がありますように、宮崎でのG7の会合でもこのことについては取り上げる、そういったことをやはりマスコミで大きく取り上げていただくことが、私は、これは川上から、それから水際まで広報が行き届く話だろう、こんなふうに思っているところでございます。

 これは、消費者の皆さんが合法性の確認木材を求めていくという意味が大変今後は重要になってくると思いますので、一般の皆さん方に、消費者の皆さん方に、ますます広報活動もやりながら、合法的に伐採された国産材なり、あるいは輸入材を是非使っていただこう、こういうような気持ちでおりますが、これは、脱炭素社会の実現に資する、こういう環境問題にもやはり寄与する話でありますので、消費者に対しましてはそういった視点も入れながら広報していきたい、かように思っているところでございます。

池畑委員 農林水産省、林野庁共に、しっかりと認知、啓蒙していただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、質問を終わらせていただきます。

笹川委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 法案については、今、池畑委員からも申し上げましたので、私はもうちょっと入門編というか、私は、農林水産委員会は初めてですので、この間、水産業についてもちょっとベーシックなところから御質問申し上げましたが、林業についてもちょっとベーシックなところからお願いをしたいと思います。

 まず、法案からちょっと離れますが、数年前からウッドショックということが言われました。国産材の見直しということもそういう中であると思うんですが、その価格等の現状がどうなっているか、教えてください。

織田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のウッドショックでございますけれども、世界的な木材需要の高まりですとか、コロナの関係のコンテナ不足などによりまして輸入材を調達しにくい状況となりまして、令和三年三月頃から、木材の需給が逼迫して価格が高騰する、いわゆるウッドショックと呼ばれる状況が発生したところでございます。

 現在は、需給は緩和されているものの、木材価格につきましては、ウッドショックの前と比べればまだやや高めだ、こういう状況だということでございます。

足立委員 国産材率というか、経済安全保障みたいな議論もある中で、外材と国産材ということで、国産材の割合が半分ぐらいなのかな、ただ、水産業だったら、この間やったように、目標があって、それを五年、十年でやるぞということで戦略性を持って、何か目標があるんですけれども、この世界、要は、国産材をどうしていくかということについては、例えば国産材率とか、そういうことについて何か方針というか、これは国産材率を上げていこうということなのか、上げていこうということであれば、それは目標があるのか、その辺を教えてください。

織田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の国産材率の関係でございますけれども、木材は、食料等とは異なって、その需要自体が年によって結構、経済情勢ですね、振れ幅がある。要は、分母が結構動くものですから、率としての目標は設定していないということでございます。

 一方で、森林・林業基本計画におきまして、木材の需要量の見通しを試算いたしますとともに、国産材の利用量、供給量、これの目標を定めておるところでございます。具体的には、木材の総需要量の見通しにつきましては八千七百万立方メートル、これに対しまして国産材の利用量の目標につきましては四千二百万立方メートル、これは令和十二年の目標として、現状が、今、令和二年で三千百万立方ぐらいの供給量、利用量なんですけれども、これを四千二百万立方まで上げていく、こういう目標を立てているということでございます。

足立委員 なるほど。

 そうした中で、先ほど立憲の渡辺先生なんかは、宮崎ってすごいですね、私も今数字をちょっと確認させていただいたら、やはり日本でも林業で繁栄している地域というのが、幾つか県があるわけですけれども、実は、私は大阪でして、大阪ってすごいんですよね。すごいというのは、逆の意味で、小さくて。そもそも国土面積が香川県に次いで二番目に小さいんですが、その中で、当然、森林率も一番低いんですよ。だから、面積が香川に次いで二番目に小さくて、森林率が三〇パー。千葉が三〇パー、埼玉が三二パー、東京が三六パー、神奈川が三九パー、みんな三〇%台ですね。だから、掛け算すると森林面積というのは大変小さいわけですが、その中でも私の選挙区は実は半分が山でして、一番大阪の北端でして、能勢町とか豊能町とか、あるいは隣の選挙区に行くと島本町とかあるわけでありますが、やはり地域の在り方、産業戦略としてというさっきの話も考えないといけませんが、別途、やはり地域の森林をどう戦略的に管理をしていくか、これが大変課題になっています。あるいは、そこからどうやって収益を上げていくか。

 地元、私の能勢町の議員さんたちと議論しても、大変これは議論があるということで、そういう観点からいくと、今日は大阪の話じゃありませんので、日本全体で見たときに、人工林がどれぐらいあって、そのうち、ビジネス、要は経営の対象になるところがどれぐらいか。そこは多分、私のこれは想像ですが、戦略的にビジネス化していく、収益性を高めていく分野と、ちょっとビジネスの対象ではないから、例えばもうちょっと管理コストを下げていくみたいな戦略的なめり張り、これが重要になってくると承知しています。

 私の地元でもそれは同じなんですが、全国的に見ると、それがどんな規模で、どんな戦略になるのかというのを教えてください。

織田政府参考人 お答えいたします。

 森林は、国土の保全、水源の涵養、温暖化の防止、さらに林産物の供給等、いろいろな多面的機能を有しておりますので、これらの機能が持続的、適切に発揮されるように、将来にわたって、日本全体の森林を適切に整備、保全していくということが必要でございます。

 森林・林業基本計画におきましては、全国で二千五百万ヘクタール、森林全体で面積があるわけでございますけれども、将来の望ましい森林の姿というものを示しておりまして、具体的には、この二千五百万ヘクタールのうちの人工林が一千万ヘクタール現在あるわけですが、このうち、まさに林業に適して、今後も林業をやっていこう、したがって、切って、使って、植えるということをやっていこう、そういうものを、将来的には六百六十万ヘクタールぐらい。残りの三分の一程度になりますけれども、それは、切って、広葉樹も入れながら、針葉樹と広葉樹と交じったような、そういう森林の方に誘導していこうとか、あるいは、元々非常に原生的な天然林もあるわけですけれども、こういうことはしっかり保全していこう。

 こういう方針を立てて、多様で健全な森林を育成していこう、こういう考え方を立てているところでございます。

足立委員 ありがとうございます。

 是非、戦略性を持って、とにかく山が荒れるばかりというのが一番よくないので、いわゆる森林環境税の話もあります。あるいは、森林経営管理制度みたいなことも、五年たって、私の地元でも、例えばさっき申し上げた能勢町でもその調査、実態把握から始まって、意向調査、今やっておりますので、そういう戦略性のある森林経営、あるいは、今あったように、管理コストのかからない自然に戻していくというか、そういう戦略を国と連携してやっていきたい、こう思います。

 地元で山を歩いていると、もう一つ大きな課題になっているのが、かねがねここでも取り上げさせていただいた残土なんですね。今日は、これは農水省も共管ですが、中心になってやっていただいている国交省にお越しをいただいているので、残る時間、ちょっとそれの話をさせていただきたいと思います。

 私の茨木の山でも、今度、大規模な残土処分場ができるということで、地元では、どういうふうにそれが適正な形で実行できるのかということで、関心が大変集まっています。

 さきの通常国会、昨年の通常国会で成立した盛土規制法の施行が五月に迫っていますので、その盛土規制法の施行の準備状況、それから、施行するためには区域指定をするわけですから、その基礎調査をしなければなりません。その基礎調査の実施状況も併せて御紹介いただければと思います。

菊池政府参考人 お答えいたします。

 盛土規制法の施行に向けた取組につきましてでございます。

 本法は、昨年五月二十七日に公布され、本年五月二十六日に施行を予定しております。本法の施行に向け、昨年十二月二十三日には政令が、本年三月三十一日には省令がそれぞれ公布されており、現在は、地方自治法第二百四十五条の四に規定する技術的助言の実施などに向け、関係省庁が連携して検討を進めております。

 また、法令や技術的助言の検討状況について地方公共団体へ情報提供するため、複数回にわたり説明会を開催してきたところです。

 加えて、地方公共団体においては、広島県を始めとする二十五団体が令和四年度から基礎調査の事前調査に着手すると伺っておりまして、本法の施行に向けた取組を進めているところです。

 引き続き、法施行に向け、関係省庁及び地方公共団体が連携して必要な取組を推進してまいります。

 以上でございます。

足立委員 なるほど。

 もう二十五団体とおっしゃったかな。だから、そういう意味では、やはり基礎調査が進まないとこれは始まらない。基礎調査をして、区域指定をして、規制が始まるわけです。ですよね。だから、調査が行われないと始まらないわけです。それが二十五団体、県とか政令市とかもあるのかな、広島を始め動き出しているということで。大阪は、私の地元は、いろいろあって今年度から本格的に調査を始めますが、とにかく急いでやっていきたいと思っています。

 やはり盛土処理場を造る人たちはまず森林をどおんと切ってやるわけですけれども、その残土処分場がちゃんと動かなければ、適正に行われなければ、単に森林を伐採して終わりというようなことになりかねないので、地域としては、これはもう注視をしているということで、大変期待をしています。この盛土規制法については、本当に私も体を張って成立をお手伝いしてきた関係がありますので、施行についても注視をしていきたい、こう思います。

 その際に、実は、法律ができるまでは、各地で条例があったんですね。大阪府では、先進的な土砂条例、土砂埋立て等の規制に関する条例というものを作っていました。

 実は、私の豊能町でまさに熱海みたいな大事故があったわけです。そこの地域は今、土砂搬入禁止区域になっているんですよ。禁止区域にすることによって、本当にそれは極めて実効性が上がっています。

 ところが、国の法律には禁止区域が入らなかったので、この条例をこれからどうしていくんだということを今大阪府で議論しています。私はこの禁止区域は残すべきだという立場でありますが、国交省として、盛土規制法ができたんだから大阪府のそういう若干踏み込んだ条例はやめてくれとか、そういうことはないですよねということを最後にちょっと聞きたいんです。

 これは大阪府が独自の判断をすればいい、別に盛土規制法をそんなに気にしなくていいんだということだけ答弁いただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

菊池政府参考人 お答えいたします。

 大阪府の土砂条例は、現に盛土が行われている区域について、追加的な土砂搬入が継続された場合に、災害発生のおそれがあるときは、一定の期間を定めて、土砂搬入禁止区域に指定する仕組みを設けているものと承知しております。

 一方、盛土規制法においては、工事施行停止、土地使用禁止、災害防止措置の命令、都道府県などによる迅速な行政代執行などを措置し、これらの運用面の徹底を図るとともに、無許可や基準違反、違反命令などに対する実効性の高い罰則を措置することとしており、不適切な盛土に対しては、大阪府条例で定める禁止区域の仕組みに類する規制が可能となります。

 本法の施行後は、大阪府において、条例の規制内容と本法の規制内容を勘案した上で、条例の内容を大阪府で御判断されるものと認識しております。

 以上でございます。

足立委員 分かりました。ありがとうございました。

 しっかり地域の制度、これはそれで守りながら、国と連携をしながら、地域の森林、これを守っていきたいと思います。

 ありがとうございました。

笹川委員長 次に、長友慎治君。

長友委員 国民民主党の長友慎治です。

 今回の法改正に当たりましては、合法性の確認の義務化が遅ればせながら日本でも導入されたことは、歓迎をしたいと思っております。EUなどでは合法性の確認義務化や罰則が導入されておりまして、今回の法制案には、日本の違法伐採対策を国際的なレベルに押し上げるという狙いもあるということも理解はしております。

 それを前提に、様々、今回の法改正につきまして、いろいろなところからの課題の提案も上がっております。

 例えば、国際環境NGO、FoE Japanなどによれば、今回の法改正の内容につきまして、違法リスクの高い木材を日本市場に流入させないための対策強化が必要である、その姿勢を法律の条文や基本方針にも明記をすべきだという声もいただいておりますし、合法性確認が義務化される事業者を政府が十分に把握できる仕組みになっていない、違法リスクの高い木材の流入を防ぐために輸入事業者や輸入に関する実態を所轄官庁が適切に把握をすべきだ、そのような御指摘もあります。また、欧州や米国で事業者に義務化されているデューデリジェンス、違法性リスクの事前調査などに関する判断基準を政府がしっかりと示すべきだ、また、クリーンウッド法は、合法性を、樹木が我が国又は原産国の法令に適合して伐採されたことの確認としていますが、その幅広い解釈が可能なものを定義と範囲を明確化することが必要だ。

 様々、今日の議論にもありますとおり、課題があるわけです。

 そこで、御質問をさせていただきますが、今回のクリーンウッド法の改正で完璧に合法伐採による木材管理をすることが可能と考えるのか、また、管理することによってどのような効果を期待しているのか、政府の認識を改めて伺いたいと思います。

野中副大臣 改正法案ですが、現行の枠組みをベースに更に取締りを強化していくということで委員からも説明をいただきましたけれども、合法性の確認等の義務づけを行ったところであります。

 この中で、川上、水際の木材関連事業者に対し、木材等の譲渡しをする際、合法性確認木材か否かを伝達する義務を課すこととしているほか、木材関連事業者の取り組むべき措置として、合法性確認木材等の数量を増加させるための措置を規定しており、また、消費者にじかに接する小売事業者を木材関連事業者に追加するとともに、合法性確認木材等のみを取り扱うなど、優良な木材関連事業者について公表、またマークづけ等を行っていくこととしていることから、近年のSDGs等の世界的な環境意識の高まりも背景に、川中、川下の事業者、消費者からの求めも相まって、市場に流通する木材等が合法性確認木材等にシフトしていくものと考えております。

長友委員 御答弁ありがとうございます。

 今回の法案の名前も合法伐採木材等の流通及び利用の促進ということでありますので、合法な、確認できたものの利用を促進していこうという側面が強いというふうに理解をしております。

 これは、クリーンウッド法という言い方にすると、もっと更にクリーンな木材を世界的に使っていこうというふうな意識が僕は強まるのかなと思っているんですが、そのクリーンウッド法が施行されて、二〇一七年から今日の改正に至っていますけれども、二〇二一年に林野庁が実施した調査、先ほど庄子議員からも御指摘がありましたこの調査によると、いわゆるクリーンウッド法の認知というものが、まだまだ国内の事業者の中でも低いという事実がございます。

 木材等を販売する際の合法性の担保を重要だと考えている木材関連業者は約七割、クリーンウッド法について内容まで知っていると答えた木材関連事業者は約四割というデータがあるわけですけれども、全ての事業者の意識改革が私は必要だと思うんですね。

 まさに、木材関係事業者の認識、意識の促進も併せてすることが重要だというふうに考えますが、政府の見解を伺います。

森政府参考人 お答え申し上げます。

 合法伐採木材等の流通及び利用の取組を進めていくためには、御指摘のとおり、木材等を取り扱う木材関連事業者自身が、違法伐採が及ぼす森林の多面的機能への影響の問題や合法性の確認の意義等について理解し、意識を持って合法性の確認等に取り組んでいただくことが最も重要と考えてございます。

 これまで、農林水産省といたしましては、こういった事業者に対して、違法伐採の問題やクリーンウッド法の制度の内容、また登録の手続等についてセミナーを行うなど、普及啓発に取り組んできたところでございます。

 今般、改正法案におきまして、川上、水際の木材関連事業者に対し合法性の確認等を義務づける、こういったことで違法伐採に対する取組を強化してまいりますので、全ての木材関連事業者が更に意識を高めて、合法性の確認等や合法性の確認された木材等の利用拡大に取り組んでいただくことが重要でございます。

 こうしたことで、農林水産省といたしましては、事業者に対する普及啓発でございますとかセミナー等、様々な機会を捉えて、事業者の取組を促してまいる考えでございます。

 また、今般の改正法案におきましては、川上、水際の事業者に合法性確認木材等か否かを売り先に情報伝達していただく義務も課しております。また、消費者にじかに接する小売事業者を木材関連事業者に追加して、登録の対象にもいたすわけでございますので、こういったことを通じて、事業者の取組が消費者などにしっかり伝わっていく仕組みも整備いたします。

 木材関連事業者がよりしっかりと合法性の確認や合法性確認木材等の利用拡大に取り組むベースができるというふうに考えてございますので、こうした取組を後押しするため、合法性確認木材のみを取り扱う優良な事業者の公表でございますとかマーク等、こういったことを検討してまいりたいと思っております。

長友委員 ありがとうございます。

 優良な事業者をしっかり後押ししていただくということを答弁いただきましたけれども、現場の話としまして、今回の法改正、いろいろと確認したいというか関心があるということで質問させていただきますが、まず、今回、国の責務として、指導及び助言、また勧告及び命令が新設をされております。現場から、具体的にどのようにこれが行われるのかということを聞かれております。

 そこで、どういった場合に勧告及び命令が下されまして、そしてその勧告及び命令とは具体的にどのような措置を取るのか、教えていただけますでしょうか。

森政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど委員から御指摘もございましたけれども、クリーンウッド法は、合法伐採木材等の流通及び利用を促進することを目的とする、いわゆる促進法でございまして、今回、川上、水際の木材関連事業者に合法性の確認等の義務づけを行いますけれども、基本的な考え方は、そういった考え方の下でしっかり取組を促していくことが重要だと考えてございます。

 このため、合法性の確認等の義務が今回明らかになるわけでございますけれども、この義務の違反に対して、違反があったから直ちに罰則を適用する、こういう方法を取るのではなくて、主務大臣が段階的に措置を講ずることによって取組を促していく、こういう仕組みで考えてございます。

 まずは、法に定められた義務の実施に関して主務大臣が必要と認める場合には、指導や助言を行ってまいります。そういったことを行いましても、なお従っていただけなくて義務の違反が続くということになりました場合には、勧告をいたします。その勧告にも従っていただけないということでありますと、社会的な制裁も期待いたしまして、そういった事業者の方々を公表していく、こういう手順でございます。これらの手順を踏んでも、なお勧告に係る措置を取られない事業者がいらっしゃる場合には、命令を行います。そして、それでもなお是正されない、極めて悪質な場合には罰則が科される、こういう段階的な手続を考えているところでございます。

長友委員 段階的に流していただけるということを確認できました。

 さらにまた、現場からこのような懸念が出ております。

 私たちの国の木材自給率、先ほどからも出ていますが、約四割でございます。国内供給量の約六割を輸入材に依存している状況の中で、合法性の確認ができない木材等の流通が排除された結果、国内供給量が国内の需要を満たさなくなるおそれはないのか、もしそうなった場合に政府はどのように対応していくつもりかということを伺いたいと思います。

織田政府参考人 お答えいたします。

 今回の改正法案におきましても、従来のクリーンウッド法の考え方に沿って、直接そういう流通を規制するということはしないということでございますけれども、一方で、今回の改正法案によりまして、川上、水際の木材関連事業者に対して合法性確認木材か否かを伝達する義務を課すということですとか、木材関連事業者の取り組むべき措置として、合法性確認木材の数量を増加させるための措置を規定するとともに、事業者に対する指導助言あるいは消費者に対する普及啓発等を実施することによって、合法性が確認できない木材は市場から淘汰されるように誘導していくという考えでございます。

 そこで、御懸念のような話が出てくるのかもしれませんけれども、この場合に、特に森林法に基づく伐採造林届出等によって合法性の確認が比較的容易に行えると考えられる国産材、これにつきましては、しっかり、担い手の育成ですとか路網の整備、加工施設の整備等の施策を総合的に推進することによって、国産材の供給を拡大していくという取組を併せてやるということとか、あと、輸入材につきましても、合法性の確認が円滑に行われるように、諸外国の政府機関に対して、しっかり証明書をちゃんと発行してくださいねという働きかけをするということを行いたいというふうに思っているところでございまして、これによって、合法性が確認された木材そのものの量を着実に増やしていくことで、国内需要に支障を来さないように対応していきたいというふうに考えているところであります。

長友委員 現場で話を聞いていると、国内の素材生産者などは、森林法の部分で、もう既に、伐採届を出すところから、国内での違法伐採はない、しっかり管理している、国産木材についての管理は厳しくやっているんだと。

 一方、輸入材のみが当事国の法律で管理されて、第三国経由などの証明の曖昧なものが入荷して国内産業を圧迫するということを心配をする声があります。そのようなおそれがあるのではないかというふうな指摘があるんですが、そこについて、政府の方の見解が、もしお話ができればお願いしたいと思うんですが、難しいですか。

織田政府参考人 お答えいたします。

 第三国を迂回してそういったものが入ってくるおそれがあるのではないのか、そういう懸念があるという声は承知をしておりますけれども、この実態を、今の現行制度あるいは政府の体制の中でしっかり把握することがなかなか難しいというのも実態上、事実でございますので、今回、この法律で、水際の輸入事業者の全てが合法性確認をちゃんとやって、確認できたか、できなかったかというふうにちゃんと仕分けをしなきゃいけないということになりますので、御指摘のような事案も含めて、少なくともこれまでよりはちゃんと把握できるようになるのかなというふうに思っていますので、そういう効果も今回の改正案ではあるというふうに認識をしているところでございます。

長友委員 御答弁ありがとうございます。

 地元の業者も含めて、現場からは今回の法改正に対してのまだまだ不安等ございますので、そこに対する配慮も含めて進めていただきながら、今回の法改正の取組を行ってもらいたいと思います。

 以上で質問を終わります。

笹川委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 合法伐採木材の流通利用促進法について質問します。

 輸入材であれ国産材であれ、違法伐採による流通は、地球温暖化防止、森林の多面的機能を阻害し、木材市場における公正な取引を阻害するものであり、合法木材の利用促進は当然のことであります。

 法案では、最初の譲受人が合法性を確認することが義務づけられました。伐採届の確認が重要でありますけれども、伐採届自体が改ざんされて、盗伐が横行していることを本委員会で度々私は取り上げてまいりました。したがって、伐採届だけでは合法、違法の判断ができない場合もあります。

 林野庁にお伺いします。

 通報などで違法伐採の疑義が生じた場合に、衛星画像でしっかり追尾、確認し、対処していくということは重要だと考えますけれども、いかがでしょうか。

森政府参考人 お答え申し上げます。

 市町村が行う伐採及び造林届出制度の円滑かつ適切な運用を図るため、林野庁におきましては、衛星データを活用して事後的に伐採の状況を確認するプログラムを作成いたしまして、市町村に配布してこれを活用してもらっているところでございます。

 今回のクリーンウッド法改正案では、木材関連事業者に原材料情報の収集等を義務づけてございますけれども、これ以外に、必要に応じて、様々な情報収集をすることも可能というふうに考えてございます。

田村(貴)委員 大臣にお伺いします。

 違法伐採木材について相談窓口、これを設置するというふうに伺っています。どういう形を想定されていますか。木材関連事業者や盗伐の被害者などが通報し、ほかの木材関連事業者や自治体、警察などと情報共有する取組が必要であるというふうに思います。

 違法伐採というのは、必ず被害者がいるわけなんですよね。その被害者がちゃんとその被害を解決する、あるいは違法伐採をなくすという目的に立った相談窓口、こうあるべきだと思うんです。いかがでしょうか。

野村国務大臣 お答えを申し上げます。

 違法伐採につきましては、農水省において、木材関連事業者がクリーンウッド法に基づいて合法性の確認を円滑に行えるように、定期報告の具体的な方法等について相談できる相談受付体制の強化等を進める考えでございます。

 他方、無断伐採等については、これまでも自治体において相談等に対応していると承知しておりますが、今回クリーンウッド法に関して相談を受け付けることとしている窓口とはその役割が異なるというふうに思っておりまして、今般の法改正によりまして、木材事業者の取り組むべき措置として、違法伐採木材を利用しないようにするための措置を規定することとしている中で、木材関連事業者が違法伐採に関わる情報を入手できるようにしておくことが重要だというふうに思っております。都道府県の関係機関とも連携しまして、違法伐採に関わる林野庁の情報提供サイト、クリーンウッド・ナビなどを通じて提供していくことについて検討しているところでございます。

田村(貴)委員 大臣、今から述べていきますけれども、違法伐採には必ず被害者がいるという視点が要ると思います。

 林野庁にお伺いします。

 国内で結構ですので、この間の無断伐採の件数について教えてください。

森政府参考人 お答え申し上げます。

 農林水産省におきましては、森林所有者に無断で伐採が行われ、都道府県や市町村に相談等が寄せられた事案の調査を平成三十年から毎年実施しているところでございます。

 その結果によりますと、初年度、平成二十九年についてはちょっと変則的なんですが、同年四月から平成三十年一月までの間で六十二件、これ以降定例化しておりますけれども、平成三十年一月から十二月までが七十八件、平成三十一年一月から十二月までが九十五件、令和二年一月から十二月までが九十八件、令和三年一月から十二月までが百五件となってございます。

田村(貴)委員 警察庁にもお伺いします。

 この間の森林窃盗の件数について教えてください。

友井政府参考人 お答えいたします。

 警察におきましては、森林窃盗を、手元にある数字で、平成三十年に二十六件、令和元年に三十七件、令和二年に三十二件、令和三年に五十件、令和四年に五十六件検挙しており、検挙件数は増加しております。

田村(貴)委員 共に増加しているわけです。伐採届の提出に当たって裏づけとなる書類を添付するとか、あるいは衛星画像の確認などの対策は取ってきているんですけれども、違法伐採の件数は年々増えているということです。

 しかも、今お答えのあった数字は、これは一面的に過ぎないのではないかと考えます。直近で林野庁で百五件、警察庁で直近で五十六件と。例えば、宮崎県の盗伐被害者の会というのがあるんですけれども、この会だけで百六十五家族にも達しています。一面的な状況ではないかと思います。

 違法伐採というのは、同時に、森林所有者の財産を奪う犯罪であります。九州の盗伐の実態を紹介したいと思います。曽於市のことなので、大臣、聞いてください。

 資料一、写真をおつけしています。鹿児島県曽於市末吉町の山林です。樹齢五十年から六十年ほどの杉約二百本が無断で伐採されました。そして、持ち去られました。所有者は怒り心頭であります。上の写真は伐採直後、おととしの写真。そして、下は去年私が撮ったものですけれども、雑草が生えて見えなくなっているんですけれども、草を刈るとこうやって幹が出てくる状況ですね。

 伐採した業者は分かっているんです。これは曽於市にいる業者で、宮崎県の都城市の業者の依頼を受けて無断伐採したと。そして、大事なところは、市役所への伐採届が出ていないんですよ。現在、所有者との間で民事訴訟が行われていますけれども、伐採業者は、和解協議の中で、事もあろうに、伐採届は出したことにしてほしいと言っている。とんでもない悪質な事例であります。

 警察庁にお伺いします。

 このケース、被害者から警察への被害届は受理されています。しかし、告発して一年たっても連絡がないという状況です。業者は違法伐採したことを認めています。立件して当然ではないでしょうか。何もしないんでしょうか。こういうことはどういうふうに考えますか。

友井政府参考人 お答えをいたします。

 個別の事案に対する警察の対応につきましてはお答えを差し控えさせていただきますが、一般論として申し上げれば、警察では、告発を受理すれば、所要の捜査を遂げて検察官に送付するものとしております。

田村(貴)委員 告発をまず受理しなければならないんですよ。後で申しますけれども。

 大臣、ちょっとほかにも例があって、今度は宮崎県小林市の例なんですけれども、盗伐が去年十二月に発生しました。業者に木を売ってくれと言われたんだけれども断った、なのに切られてしまった。警察に被害届を出しに行ったら、これは不受理となったんです。

 この業者は常習ということで、警察が捕まえないから被害が続くと被害者の方は憤慨されています。しかも、この宮崎県の小林の事例も伐採届は出されていない、勝手に切られて勝手に盗まれたという事例です。

 大分県豊後高田市でも、昨年盗伐が起きました。ある所有者は、百三十二本、自分の所有森林の木が切られて被害に遭っています。ここも伐採届が出されていません。

 このように、伐採届を出さぬで、そして勝手に盗んでいくんですよ。こういう事例が九州に多い。

 被害者は被害届を出したんだけれども、これは不受理です、警察。これは何で受理しないんですか。

 周りの複数の所有者が言っているんですけれども、広く盗伐されています。高齢者が多くて諦めている、こういうふうな状況であります。

 資料二をお配りしています。

 これは、警察庁が、今年の二月十六日、警視庁と道府県警に宛てた事務連絡です。ここでは、最後の段落でこう書かれています。

 「各都道府県警察においては、林野庁における無断伐採等への対策強化の趣旨を踏まえ、引き続き、森林窃盗事案の発生状況に応じて、各自治体の林務担当部局等と連携を密にし、適切に対応されたい。」。

 表現が非常に曖昧なんですけれども、この「適切に対応されたい」というのは、どういう対応のことを言っているんでしょうか。

 併せて質問します。

 今、曽於市の例も出しました、鹿児島の。それから、宮崎の小林の例も出しました。大分の豊後高田の例も出しました。事ほどさように、被害者は泣き寝入りという状況です。そして、多くの事案で被害届そのものも受理されない。これを、取締りの担当の警察としては見過ごしていくということなんでしょうか。

 盗伐被害者からの被害届は受理すべきではありませんか。伐採届も出さずに森林窃盗する業者が現存しています。取締りを強化し、そして立件すべきだと考えますが、警察庁、いかがですか。

友井政府参考人 お答えをいたします。

 まず、一点目にお尋ねの、適切に対応するの内容でございますけれども、こちらは個別具体の事案に応じてということにはなりますが、一般論として申せば、刑事事件として取り上げるべきものについて、法と証拠に基づき厳正に対応すべきという内容と承知をしております。

 二点目の被害届の受理につきましては、被害申告の意思が明確である届出があれば、その内容が明白な虚偽又は著しく合理性を欠くものである場合を除き、これを受理すべきものであると承知をしております。

 警察庁としては、引き続き、盗伐被害に係るものも含め、被害者、国民の立場に立って被害の届出に対応するよう、都道府県警察を指導してまいります。

田村(貴)委員 今日、三例、事例を申し上げました。それが著しく合理性を欠く事例でしょうか。被害者がいて、伐採した人がいて、そして伐採業者が違法行為を認めているんですよ。だったら、ちゃんと、あなたが言われたように法に基づいて適正に対処していく、そして立件していく、これが筋じゃないですか。

 犯罪捜査規範第六十一条、何と書いてあるか。「警察官は、犯罪による被害の届出をする者があつたときは、その届出に係る事件が管轄区域の事件であるかどうかを問わず、これを受理しなければならない。」と書かれているわけです。

 せっかくこうやって法律で違法伐採をなくしていくという法改正が行われるんですから、この機会をしっかり見据えて、これだけの被害が出ている、そして、通告があっている、被害届を出そうとしている。もっと正面から受け止めていただきたいというふうに思います。

 大臣に、最後、お伺いしたいと思うんですけれども、短期間に、私が聞いただけでもこれだけの事例があっています。盗伐が後を絶ちません。冒頭、林野庁と警察庁が述べた数字は掌握されている数字なんだけれども、そのほかにもいっぱいあるということを知っていただきたいと思います。

 森林の多面的機能、これを保持するのは当然のことであります。同時に、国民の先祖代々の財産を侵害するこの行為を防ぐためにも、対策の強化を求めてもらいたいというふうに思いますけれども、大臣の決意をお伺いしたいと思います。

笹川委員長 答弁は簡潔にお願いします。

野村国務大臣 農水省としましては、ただいまお話がありましたように、警察等と連携し、伐採現場のパトロールなり、あるいは衛星画像による伐採把握プログラムもできておりますので、これらを普及しながら、きちっとした証拠を取りながら、もう少し綿密な検討をさせていただきたいと思っております。

田村(貴)委員 前向きな検討をお願いします。

 そして最後に、木材関連事業者が合法性を確認する措置の在り方の検討を加えたり、それから、違法伐採の可能性がある木材等の流通、利用に対する規制の在り方を検討する、こうしたことが必要なので、法の修正が必要であるということも申し上げて、質問を終わります。

笹川委員長 次に、北神圭朗君。

北神委員 有志の会の北神圭朗です。

 まず、法案の前にちょっと質問したいのは、ウクライナ戦争の後に、ロシアは、日本は友達にあらず、非友好国ということで、丸太とかチップとかあるいは単板、これを輸出禁止としています。ところが、日本はしおらしくどんどんロシアからまだ輸入をしているということで、その理由を問いたいと思います。いかがでしょうか。

森政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国のロシアに対する制裁措置でございますけれども、外交的、経済的圧力を加える観点から、国際社会との連帯なども総合的に考慮いたしまして、昨年四月以降、ロシアから輸入している木材のうち、チップ、丸太、単板の輸入を禁止しているところでございます。

 引き続き、国際社会との連帯なども総合的に考慮し、政府全体として適切に対応してまいる考えでございます。

北神委員 私の理解では、ロシアの方が輸出を禁止している、それに合わせて、日本も、じゃ、要らないよと言っていることなんですか。それとも、ロシアは別に何も、私の読んだ資料では、ロシアが、今おっしゃった丸太、チップ、単板、輸出禁止を日本に対してする、友達じゃないと。でも、今おっしゃったのは、日本が輸入禁止というふうにおっしゃったんですけれども、そこはどう、両方言っても論理的にはあり得ると思うんですけれども、いかがでしょうか。

森政府参考人 お答え申し上げます。

 少し時系列に遡って御説明申し上げますけれども、御指摘のとおり、二〇二二年三月九日から、ロシアが、我が国を含む非友好国に対して、木材チップ、丸太、単板の輸出を禁止いたしました。その後、我が国も制裁措置といたしまして、先ほど申し上げたチップ、丸太及び単板についてのロシアからの輸入禁止を措置してございます。

 その後、二〇二二年八月三十日には、ロシア側が、我が国を含む非友好国に対して、単板の輸出禁止措置を一部解除してございます。また、二〇二三年三月にも同様に、木材チップの輸出禁止措置を一部解除してございますけれども、我が国は二〇二二年四月に講じた措置を引き続き維持している、こういうことでございます。

北神委員 よく分かりました。

 それで、日本はまだそれ以外、製材とか集成材はロシアからずっと輸入をし続けている。これはどういう、さっきのあれですよね、総合的に勘案してということなんでしょうけれども、恐らく、これは私の推測ですけれども、日本の国内における木材の流通、供給量が、やはりそこまで禁止をしてしまうと困るところもあるという理解でいいでしょうか、ロシアから集成材とか製材を入れている理由は。

森政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しの答弁となって誠に恐縮でございますけれども、我が国が取っておりますロシアに対する制裁措置につきましては、外交的、経済的圧力を加える観点から、国際社会との連帯なども総合的に考慮して、政府全体としてこういった対応を取っているということでございます。

北神委員 ここが、御案内のとおり、国際認証制度でも紛争木材ということでロシアは指定されているところですので、そこはもう一回考え直していただきたいというふうに思います。

 ただ、供給量が減るということが多分背景にあると私は勝手に推測しますが、というのは、先ほど大臣の話からもありましたとおり、需要の四割ぐらいしか国内で満たすことができないわけですから、これは背に腹は代えられない。

 今回の法案というのは、違法木材をできるだけ排除して合法木材の流通を促進する、これはすばらしいことだと私も思いますが、背に腹は代えられないところで、やはりそんな厳しくいまいちできないというのが根本の問題点だというふうに思います。

 そこで、やはり業者じゃなく、消費者に対して、私は、広報宣伝をして、やはり国産の木材というのが合法性の確率は一番高い、そこまで言えるのか分かりませんが、森林法に守られているということで、そこを是非具体的に、どういうことを考えているのかを聞きたいと思います。

森政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、合法伐採木材等の流通及び利用の取組を進めていくためには、消費者を含む国民の皆様に、違法伐採が及ぼす森林の有する多面的機能への影響等の問題や合法性の確認の意義等について理解を深めていただくとともに、消費者から合法性が確認された木材等を求めていただくということが有効だというふうに考えてございます。

北神委員 これは、僕がちょっと提案しますけれども、何かイベントでいろいろ啓発活動をやっているとかそういうのは聞いているんですけれども、やはりそれじゃ足りない。やはり、テレビとかSNSとかそういったところに大々的に。しかも、違法木材の問題点だけじゃなく、国産が安心だと。

 これを、例えばコマーシャルでいうと、最初、アマゾンの森林がごそっと切られている、そして、すぐ、どこかの国で洪水で人々が苦しんでいる映像を出して、そこで深刻な声で、違法伐採は深刻なことであると。次に、日本の晴れやかな春の山々で、林野庁の職員が作業服を着て地元の業者と楽しく語り合っていて、やはり日本の森林法に守られている山はいいなと。そして最後に、大臣がヘルメットをかぶって出てきて、やはり国産は安心だと。そこまでやらぬと、皆さん、名刺にウッドチェンジとか、何か考えているのはいいんだけれども、あんなのじゃ全然効果ないのでね。

 やはりこの法案を機会に、是非、地産地消というものを高める。それにはやはり、日本の国産木材というのは森林法に守られて、さっき長友先生から話があったとおり、第三国から経由したりして来ると、なかなか外国の木材というのは安全かどうかという証明が難しい。だから、やはりそういうことを考えると国産がいいんだと。

 そういうことを、是非、大臣、ヘルメットをかぶらぬでもいいですけれども、そういう思いで、地産地消に結びつけて、日本の林業を盛り上げる、そういう姿勢が大事だと思いますが、いかがでしょうか。

野村国務大臣 お答え申し上げますが、今お話がありましたように、今般の改正法案において義務化される合法性の確認につきましては、これはもう、伐採造林届等の収集も行って確認を行えばいいわけですから、国産材というのが一番、最も理にかなっているというふうに思われます。そしてまた、木材関連事業者の求めに応じていろいろな情報も提供しなければならないんですが、合法性の確認は比較的国産材だと容易にできるというメリットもあります。

 また、このことにより、国産材の利用拡大や、また林業の振興にも私はつながっていくんだというふうに思っておりますので、農水省としては、クリーンウッド法の取組の推進と併せて、国産材の供給拡大に向け、森林・林業基本計画を作っているわけですから、川上から川中、川下に至る施策を総合的に推進してまいりたいと思っております。

北神委員 どうもありがとうございます。

 終わりにします。

笹川委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

笹川委員長 この際、本案に対し、金子恵美君外三名から、立憲民主党・無所属、国民民主党・無所属クラブ、日本共産党及び有志の会の四派共同提案による修正案が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。金子恵美さん。

    ―――――――――――――

 合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

金子(恵)委員 ただいま議題となりました合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、提出者を代表して、その趣旨及び内容を御説明申し上げます。

 森林は、豊かな生物多様性を育むとともに、気候変動の緩和においても重要な役割を果たしています。また、木材資源は私たちの生活のあらゆるところで利用されており、日本は世界有数の木材利用国でもあります。

 違法伐採及び違法伐採に係る木材等の流通は、地球温暖化の防止その他の気候変動の緩和、生物多様性の保全、自然環境の保全、林産物の供給等の森林の有する多面的機能に影響を及ぼすおそれがあり、また、木材市場における公正な取引を害するおそれがあるものであります。そこで、これを抑制するため、本法律案では、川上、水際の木材関連事業者による合法性の確認を義務づけることなどが規定されています。

 しかし、合法性が確認された木材等以外の木材等の流通及び利用については、G7各国において規制が行われているにもかかわらず、我が国においては今回の改正でも規制措置が設けられておらず、果たしてどこまでの効果があるのかについては疑問があると言わざるを得ません。このため、更に踏み込んだ違法伐採対策に向けた検討が求められるところであると考えます。

 また、違法伐採の状況は樹木が伐採される国や地域によって異なるとともに、人権問題や環境問題に関する状況、国際法の遵守状況等も踏まえて判断されるべきであることから、木材関連事業者が違法伐採に係るリスクを十分に勘案して合法性の確認を行うためには、国による一層の取組が不可欠であります。

 以上のことから、政府原案に対して、規制の在り方等についての検討条項を追加することを内容とする本修正案を提出するものであります。

 次に、本修正案により追加することとしている二つの検討条項について御説明申し上げます。

 まず、政府は、この法律の施行後速やかに、木材関連事業者が樹木の伐採された地域における違法伐採の状況を勘案して適切に合法性の確認をすることを確保するための措置の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとしております。

 次に、政府は、この法律の施行後三年を目途として、違法伐採に係る木材等に該当しない蓋然性が高いと確認することができない木材等の流通及び利用に対する規制の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとしております。

 以上が、本修正案の趣旨及び内容であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

笹川委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

笹川委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入るのでありますが、その申出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、金子恵美君外三名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

笹川委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。

 次に、原案について採決いたします。

 原案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

笹川委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

笹川委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、武部新君外六名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会、公明党、国民民主党・無所属クラブ、日本共産党及び有志の会の七派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。緑川貴士君。

緑川委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文を朗読して趣旨の説明に代えさせていただきます。

    合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  違法伐採及び違法伐採に係る木材等の流通は、地球温暖化の防止、自然環境の保全、林産物の供給等の森林の有する多面的機能に影響を及ぼすおそれがあり、また、木材市場における公正な取引を害するおそれがあるものであることに鑑み、これを抑制するための取組を一層強化していくことが極めて重要となっている。

  よって、政府は、本法の施行に当たり、左記事項の実現に万全を期すべきである。

      記

 一 合法性の確認の方法等をはじめとした各措置の詳細を定めるに当たっては、関係者の意見を十分に踏まえるとともに、本法と類似制度との関係について木材関連事業者に分かりやすい形で整理を行うこと。

 二 新たに合法性の確認等が義務付けられる川上・水際の木材関連事業者及び素材生産販売事業者に対しては、罰則等の規定が設けられることに鑑み、改正内容の周知徹底を図るとともに、川中・川下の木材関連事業者に対しては、新たに追加される小売事業者も含め、合法性の確認等に関する情報が消費者まで伝わるよう、制度の趣旨及び改正内容について十分周知すること。

 三 無断伐採によって森林所有者の資産が毀損されることのないよう、1市町村が伐採届等に係るチェックを適切に行えるよう、また、2木材関連事業者による合法性の確認に当たって十分な情報提供が行われるよう、助言等を行うこと。

 四 木材関連事業者が樹木の伐採された地域における違法伐採の状況を勘案して適切に合法性の確認をすることを確保するため、原産国・地域ごとに整理した違法伐採の発生状況及びリスク情報、合法性の確認の方法に関するフローチャート等の情報を提供する等合法性の確認が適切かつ円滑に行われるようにするための必要な措置を講ずること。

 五 違法伐採及び違法伐採に係る木材等の流通の抑制には、需要側である消費者から合法性確認木材等を求めていくことが重要であることに鑑み、合法性確認木材等の流通及び利用を促進する意義に関する国民の理解醸成を一層促すための措置を講ずること。

 六 違法伐採に係る木材等を利用しないようにするための措置に十分に取り組んでいない木材関連事業者に対して実効性のある指導等を行うことにより、合法性確認木材等でない木材等の流通及び利用を抑制すること。

 七 違法伐採に係る木材等の流通の抑制に向け、リスクの低い国産材の供給拡大が図られるよう、国産材の安定的かつ持続的な供給を可能とするための施策を推進すること。

 八 木材関連事業者による合法性の確認及び情報の伝達等について、義務付けの有無にかかわらず多くの木材関連事業者が取り組むよう、積極的に取り組むことが木材関連事業者自らのメリットにつながるような措置を講ずるとともに、電子的に手続が行えるシステムを含め事業者負担の軽減が図られるよう、必要な措置を講ずること。

 九 森林所有者、素材生産販売事業者、木材関連事業者の相互の利益を確保し、林業・木材産業が持続的に発展することができるようにするため、流通過程において現場の実態等を的確に反映した価格形成が行われるよう、必要な措置を講ずること。

 十 木材関連事業者による合法性の確認や情報の伝達等の実施状況について、チェック体制を構築し、適切な指導及び助言等を行うこと。

  右決議する。

以上です。

 何とぞ委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。

笹川委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

笹川委員長 起立総員。よって、本法律案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、ただいま議決いたしました附帯決議につきまして、政府から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産大臣野村哲郎君。

野村国務大臣 ただいま法案を可決いただきまして、本当にありがとうございました。附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。

 ありがとうございました。

    ―――――――――――――

笹川委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

笹川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

笹川委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時五十九分散会


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