衆議院

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第7号 令和5年4月27日(木曜日)

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令和五年四月二十七日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 笹川 博義君

   理事 あべ 俊子君 理事 武部  新君

   理事 若林 健太君 理事 渡辺 孝一君

   理事 近藤 和也君 理事 緑川 貴士君

   理事 足立 康史君 理事 庄子 賢一君

      東  国幹君    五十嵐 清君

      伊東 良孝君    泉田 裕彦君

      上田 英俊君    江藤  拓君

      加藤 竜祥君    川崎ひでと君

      神田 潤一君    小寺 裕雄君

      坂本 哲志君    杉田 水脈君

      高鳥 修一君    西野 太亮君

      平沼正二郎君    細田 健一君

      宮路 拓馬君    宮下 一郎君

      保岡 宏武君    山口  晋君

      梅谷  守君    金子 恵美君

      小山 展弘君    佐藤 公治君

      堤 かなめ君    山田 勝彦君

      渡辺  創君    池畑浩太朗君

      掘井 健智君    稲津  久君

      角田 秀穂君    長友 慎治君

      田村 貴昭君    北神 圭朗君

      仁木 博文君

    …………………………………

   農林水産大臣       野村 哲郎君

   農林水産副大臣      野中  厚君

   農林水産大臣政務官    角田 秀穂君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房統計部長)          山田 英也君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           森   健君

   政府参考人

   (農林水産省輸出・国際局長)           水野 政義君

   政府参考人

   (農林水産省農産局長)  平形 雄策君

   政府参考人

   (農林水産省畜産局長)  渡邉 洋一君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  村井 正親君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)            青山 豊久君

   政府参考人

   (農林水産技術会議事務局長)           川合 豊彦君

   政府参考人

   (林野庁長官)      織田  央君

   政府参考人

   (水産庁長官)      神谷  崇君

   政府参考人

   (水産庁次長)      安東  隆君

   農林水産委員会専門員   飯野 伸夫君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十七日

 辞任         補欠選任

  宮路 拓馬君     杉田 水脈君

  金子 恵美君     堤 かなめ君

  北神 圭朗君     仁木 博文君

同日

 辞任         補欠選任

  杉田 水脈君     川崎ひでと君

  堤 かなめ君     金子 恵美君

  仁木 博文君     北神 圭朗君

同日

 辞任         補欠選任

  川崎ひでと君     宮路 拓馬君

    ―――――――――――――

四月二十六日

 漁港漁場整備法及び水産業協同組合法の一部を改正する法律案(内閣提出第五二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 漁港漁場整備法及び水産業協同組合法の一部を改正する法律案(内閣提出第五二号)

 農林水産関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

笹川委員長 これより会議を開きます。

 農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房統計部長山田英也君、消費・安全局長森健君、輸出・国際局長水野政義君、農産局長平形雄策君、畜産局長渡邉洋一君、経営局長村井正親君、農村振興局長青山豊久君、農林水産技術会議事務局長川合豊彦君、林野庁長官織田央君、水産庁長官神谷崇君、水産庁次長安東隆君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

笹川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

笹川委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。宮路拓馬君。

宮路委員 おはようございます。自由民主党の宮路拓馬でございます。

 ちょっと通告はしていないんですが、先週末、土曜日、日曜日、江藤先生の御地元宮崎でG7の農業大臣会合が開かれました。我が地元から野村大臣が就任され、そしてG7に出席されたことは、地元として大変うれしく、誇りに思っております。

 大分強行軍の日程だったというふうにもお伺いしておりますが、G7の農相サミット会合、どういう感想をお持ちになられたか、お伺いできればと思います。

野村国務大臣 ありがとうございます。

 先週の金曜日、土曜日、日曜日、G7の会合がございました。全ての大臣が御出席を賜りまして、しかも、宮崎の皆さん方、特に、県、それから市、それから県警を含めて、大変な皆さん方の、準備万端、整えていただいたおかげで、無事終わりました。

 大臣会合を一言で申し上げますと、今までとちょっと毛色が変わったなということを考えております。

 それは何かといいますと、今までは、やはり、G7といいましても、カナダ、フランス、アメリカ、こういう農業大国もありますが、イタリアだとか日本みたいに自給率の低いところもある、そういう中での議論ですから完全にかみ合うということがなかったんですが、今回テーマにいたしましたのは、今委員おっしゃいましたように、食料の安全保障というテーマで、しかも生産性の向上という、その文言を入れさせていただきました。

 今までは、輸出大国からは生産性向上で補助金を余り使うなというようなプレッシャーもかかっていたんですが、今回は全くそういうことはなくて、農業大国でも、気象の変動による干ばつだとか、あるいは洪水だとか、こういったもので大変生産が滞っている地域もあります。

 したがいまして、そういったことを考えていくと、国民にやはり食料を安定的に供給していくという視点ではみんな同じ気持ちでありましたので、いわば同じ方向を向いて議論ができたということは大変ありがたいと思いますし、生産性の向上という文句を共同声明の中で入れられましたし、それから、当然、気象変動なり、あるいはまたほかのことにつきましても、いろいろな我々の思い、日本の思いというものを共同声明の中に入れさせていただいたというのは大変ありがたいことでございました。

 それで、もう一つは、バイ会談を全ての国とやりました。その中で、やはり、日本の置かれている今の状況なり、あるいはまた食料、あるいはまた生産資材、特に、カナダと話をしましたのは、カナダから生産資材が相当入るようになりましたし、また、小麦もカナダから相当入っておるものですから、安定的に今後もそういった取引を是非させてほしいということをお願い申し上げまして、友好国でありますので、カナダの方からは大変心強い御答弁をいただいたところでございまして、一口に言えば大成功だったなと、これは自画自賛ということもあるかもしれませんが、そう思っております。

 そうなりましたのも、役所の皆さんや、あるいは、先ほど言いました県それから市、こういう人たちの大変な御尽力をいただいたということを、心からこの場をかりまして御礼を申し上げて、答弁とさせていただきます。

宮路委員 ありがとうございます。

 私も、メディアで知る限りでありましたが、食料の安全保障、そしてまた環境に配慮した農業の推進、そしてまたウクライナ、食料危機の発端はウクライナ危機でありましたので、そのウクライナに対する農業支援を我が国のリーダーシップで行っていくということも語られたというふうにお聞きをしたところでございます。

 是非、野村大臣のリーダーシップで、今回のG7農業大臣サミットの成果をしっかり発揮できるように御尽力いただければというふうに思います。

 今の御答弁の中で、生産性の向上というお話が、これはグローバルに大変重要だというふうに共通認識がなされたということがありました。

 生産性の向上とすれば、私は平成二十六年十二月の総選挙で初当選をいたしましたが、その翌年に提案されたのが農協法の改正案でありました。

 平成二十六年から与党内でもかんかんがくがく議論を行い、そしてまた、翌年の国会審議においても、与野党を通じ非常に活発な議論が行われて成立した農協法改正案だったというふうに記憶をしております。当時、まだ当選直後の私は、農政のことも不勉強な部分が多く、地元の農協の皆さん方から大変御指導賜ったということを記憶しております。野村大臣やあるいは森山先生になかなか言いづらいことも私になら言えるということで、よくよく御指導を賜ったことを今思い出しているところでございます。

 平成二十七年、法改正がなされ、二十八年、施行された農協法改正案、それに基づく農協改革、それから今、およそ七年たったわけでございますが、その間の農協改革に対する評価について、政府の見解をお伺いしたいと思います。

野中副大臣 平成二十七年の農協改革では、農協が農業者の協同組織であるという原点に立ち返りまして、農業者の所得向上に全力で取り組むことを目的として農協法を改正したところであります。

 この農協法改正を契機に、JAグループにおいては、農産物を一円でも高く売るのだという思いから、農産物の実需者への直接販売などの有利販売、また、生産者に一円でも御負担を減らすのだという思いから、生産資材の一括購入による有利調達や農業機械の機能の絞り込みなどによる価格の引下げなど、農業者の所得向上を図る取組が実践されております。

 また、私の地元でも支店の統廃合も進んでおりますので、自己改革という観点からも、私どもは進展しているというふうに評価をしております。

宮路委員 副大臣の御地元の農協でも、それぞれ自己改革ということで、様々な工夫がなされているということでございました。

 今御答弁いただいたとおり、農協法改正により、今、農業者の所得向上に全力投球すると。そもそも、協同組合ですから、組合員である農業生産者のためにある組織であるわけでありますが、改めて、その改正、改革に当たって、そのミッションを、使命を明確化したというところだろうと思います。

 農業者の所得向上のためには、今副大臣御答弁いただいたとおり、シンプルに考えれば二つあるわけでありまして、一つは、コストを削減するということ、そしてもう一つは、売上げ、つまり販売力を強化し、そして売上げを上げ、収益を上げるということだろうと思います。

 今、概要を御答弁いただきましたが、改めて、農協改革によってJAグループが農業者の所得向上のために生産資材のコスト削減策としてどのような取組を行ってきたのか、より具体的にお伺いできればと思います。

村井政府参考人 お答えいたします。

 平成二十六年の農協等に関する改革の推進に係る与党取りまとめにおいて、「単位農協は、農産物の有利販売と生産資材の有利調達に最重点を置いて事業運営を行う必要がある。」とされたところでございます。

 これを受けて、各地の農協におきまして取組が進められてきたところでございますけれども、JAグループとして、令和三年十月の全国大会において、改めて、肥料や農機の共同購入、農薬の担い手直送規格の認知度向上及び普及拡大等による生産資材価格の低減に取り組むことを表明されたところでございます。

 各地の農協におきましては、生産資材価格の低減に向け、肥料、農薬の銘柄の集約、予約の積み上げによるスケールメリットを生かした発注等の取組が行われていると承知をしております。

 また、JA全農におきましても、同様に、農薬に係る銘柄の集約や予約の積み上げ、農薬に係る担い手直送規格の対象品目の拡大、それから、組合員のニーズを踏まえて機能を絞り込み、価格引下げを実現した大型、中型トラクターの共同購入に続きまして、コンバインにおいても同様の形での共同購入を実現すべく、現在取組を進められていると承知をしておりまして、このように様々な取組が展開をされてきているところでございます。

宮路委員 今般のウクライナ・ショックで、生産資材の高騰、肥料、配合飼料価格の高騰というのが大変大きな問題になりましたが、農協改革を経て、それ以前に生産資材の合理化、製造の合理化、集約化が図られていたことは、今をもって、あのときに手を打っておいてよかったなというふうに思っておりますし、このウクライナ・ショックを受けたがゆえに、より一層、JAグループのそうした取組というのがこれからも更に必要になってくると思っておりますので、是非、そうした取組を国としてもしっかりサポートをしていただきたいというふうに思っております。

 もう一つの所得向上のための方策は、先ほど申し上げたとおり、有利販売、売上げを上げるということだろうと思います。

 これについても、農協改革以降、様々な取組がなされてきたと副大臣の御答弁にもありましたが、これについても、より具体的に、どういった取組が行われてきたのか、お伺いをしたいと思います。

村井政府参考人 お答えいたします。

 その前に、先ほどの生産資材関係の答弁の中で、私、JA全農の取組の中で、農薬に係る銘柄の集約というふうにお答えしたかと思いますけれども、これは肥料の銘柄の集約の誤りでございました。大変失礼をいたしました。

 それでは、販売の関係、お答えをさせていただきたいと思います。

 JAグループが、先ほど私の方から言及をいたしました令和三年十月の全国大会におきまして、マーケットと組合員の多様なニーズに対応していくため、有利販売の実現に取り組むことを表明されたと承知をしております。

 全国の農協では、有利販売の取組の一つとして、買取り販売が行われております。実施農協数が全体の農協数の約七割まで増加をするなど、農協が販売事業に力を入れる取組が広がってきているというふうに認識をしております。

 JA全農におきましても、米それから園芸作物につきまして、買取り販売、それから実需者への直接販売を進めております。

 具体的には、米の外食事業者や小売事業者等の実需者への直接販売は、農協改革前の八十万トンから令和三年産においては百六十万トンに達する見込みであるなど、その取組が拡大をしているところでございます。

 このほか、JA全農が資本提携している青果物流会社の物流センターを活用して、青果物の量販店への直接販売を開始したところであり、今後、この取組を拡大されていくというふうに聞いておるところでございます。

宮路委員 コストを抑え、収益を上げるための取組が様々なされているということでありました。

 先ほど申し上げた平成二十八年の農協改革法施行以降、七年間の間に農業をめぐる状況というのも大きく変わったというふうに思っております。

 先ほど来申し上げているとおり、難しい局面としては、生産資材等の高騰が起こったということがありますし、残念ながら、依然として農業従事者の高齢化、そして農家戸数の減少が続いているところであります。

 一方で、ポジティブな側面としては、輸出が大変伸びてきたということ。これまで我が国は食料輸入大国ではありましたが、いよいよ輸出も一兆円を超え、五兆円目標に向けて更なる力強い歩みを続けているというふうに思っております。

 その輸出の促進においても、農協改革以降、やはりこれも生産者、農業者の所得向上のためにJAグループが果たしてきた役割というのはあろうかと思います。むしろ、そこにこそJAグループのミッションが、使命があるというふうに思っておりますが、輸出についてどのような取組を行ってきたのか、これについてもお伺いをしたいと思っております。

村井政府参考人 お答えいたします。

 JAグループは、生産基盤強化と所得増大を目的といたしまして、グループ一体となった輸出拡大の取組を図るため、海外拠点の整備や産地リレー等による販売力の強化を進めることを表明されていると承知をしております。

 全国の農協等では、農産物の輸出に向けた様々な取組が行われております。例えば、岐阜県の飛騨ミート農業協同組合連合会におきましては、国際的な食品安全規格の認証の取得等による徹底した衛生管理に取り組み、アメリカやEU等へ飛騨牛を輸出しているほか、和歌山県の紀の里農協におきましては、卸売市場を経由する輸出形態でありながらも、数量や単価に係る商談への参加などにより、農家の所得安定を図りつつ、台湾や香港等への桃の輸出に取り組んでおられます。

 また、JA全農では、生産から販売まで一体となったサプライチェーンの構築に向け、輸出先国において、販売拠点だけでなく、加工、物流拠点を整備するとともに、安定した輸出量の確保に向け複数県のJAが連携する産地リレーを実施するなど、輸出拡大に向けた取組を実施していると承知をしております。

 これらの取組によりまして、JAグループ全体の輸出額は、平成二十七年度の百二十三億円から、直近の実績となります令和二年度におきましては二百三十一億円まで増加をしてきているところでございます。

宮路委員 それぞれ単位農協ごとにも、そしてまたJAグループとしても、全国系統としても様々な取組が行われている。やはり輸出を考えたときに、当然、生産から、流通から、そして最後の消費者への販売までの取組がそれぞれのフェーズで必要になるわけですが、やはりまず本となるのは産地化でありまして、その点において、最も現場、産地のことを分かっているのは単位農協でありますから、その役割が非常に期待されるところでありまして、産地化あるいは産地リレー、そういった取組をより進めていただけるように、国としてもJAグループと一体になってそうした取組を行っていただきたいというふうに思っております。

 先ほど申し上げたとおり、しかし、この七年間、農業従事者というのは減少をして、そして、耕作放棄地も残念ながら増加の傾向にあります。

 ただ、一方で、この七年間、農地の集約化についても様々ないわゆる武器というかツールが整備されてきました。中間管理機構を設け、そして、その機能をより強化するための改正も随時行われてきたところであります。

 そうした中で、担い手の育成、確保や農地の集約化のために、JAグループ、農協系統においても、まさに現場に基づいた取組が非常に期待されるところだというふうに思っておりますが、昨今どのような取組を行っているのか、これについてもお伺いをしたいと思います。

村井政府参考人 お答えいたします。

 地域農業の担い手の育成、確保のため、多くの農協で、新規就農者への支援や事業承継の支援が行われているところでございます。例えば、長野県のJA信州うえだにおきましては、新規就農者の育成のため、研修農場での研修生としての受入れや農地の貸借のあっせんをしております。また、石川県のJA金沢市におきましては、事業承継を支援するため、農協の職員が親と子の話合いを取り持ち、営農や金融などの担当者が連携をして対応する、こういった取組が各地で工夫をされながら展開をされているというふうに承知をしております。

 また、農地の集積、集約化に向けましては、目指すべき将来の農地利用の姿を明確化する地域計画の策定に当たりまして、農協が農業者団体として話合いに参加し、地域の営農に関する情報提供などを行うほか、地域によっては、農協やその子会社で農作業の受託等を行う例もあると承知をしております。

 JAグループ全体におきましても、現状の担い手の年齢構造や後継者等の状況等を総点検をし、次世代の組合員数などの目標を設定する次世代総点検運動に取り組んでいると承知をしております。

 今後とも、農協系統が地域農業における担い手の育成、確保や農地の集積、集約化にその役割を発揮していただくことを期待しておるところでございます。

宮路委員 冒頭ありました生産性の向上においては、農地の集約化というのは大変欠かせないことだと思っております。そしてまた、高齢化した農家の事業承継、あるいは、個人経営ではなく法人経営などもやはり多様な生産者の在り方というのがあろうかと思います。これは現場現場でまた異なることだと思いますので、是非きめ細かい対策を、JAグループだからこそ行っていけるところがあると思います。そうしたJAの機能をより発揮していただけるように、国としてもしっかり指導、サポートをお願いしたいというふうに思っております。

 続いて、農協改革の中で一点取り上げられた点についてお伺いをしたいと思います。

 私は、政治家のライフワークとして女性活躍を訴えているところでありますが、あのときも、JAの構成員、理事について、経営感覚に優れた理事をより登用すべきだということに主眼が置かれましたが、併せて、多様な農業者の意見をしっかりと反映させるべきだということで、若者、青年農業者あるいは女性農業者の理事の登用を図るべきだということでありました。

 この七年間、いわゆる農政は、プロダクトアウト、いいものを作れば売れるという思想から、マーケットイン、消費者が望むものをというふうに大きく転換をしてきたというふうに思っております。その消費者の目線というのは、つまり、どういうことかというと、やはり、今でも、スーパーで食材を選ぶ方は、これはよくも悪くもかもしれませんが、多くが女性であるケースが多いかと思います。とすれば、消費者の視点、マーケットインの視点というのは、つまるところ女性の視点が多分に重要だということだと思います。

 そういう意味では、生産組織であるJAの中で女性の意見がより反映されるために、女性理事の更なる登用というのは大変重要だというふうに改めて感じるところでありますが、この点についてどのような取組を農水省として行っていくのか、お伺いをしたいと思います。

村井政府参考人 お答えいたします。

 女性や青年が農業の現場で大変大きな役割を果たしておられます。平成二十七年の農協法改正におきましては、理事として農協の事業活動に活力を与えていただくことを促すため、農協の理事について、年齢や性別に著しい隔たりが生じないよう配慮することを農協法上明記したところでございます。また、第五次男女共同参画基本計画において、令和七年度までに農協役員に占める女性割合を一五%とする目標を設定しておりますが、現状、農協役員に占める女性割合は九・三%にとどまっております。

 こうした状況を踏まえまして、農林水産省としては、女性のスキルアップにつながるよう、令和五年度予算において、地域リーダーとなり得る女性農業者の育成に向けた研修を実施することとしているほか、農協における女性登用の取組事例と推進のポイントをまとめた手引書を公表して普及を進めるとともに、女性が登用されやすい環境となるよう、各農協に対して女性登用の目標及び取組計画を策定するよう通知をいたしまして、その状況を毎年調査し、公表することとしております。

 これらの取組を通じて、女性登用を強力に推進してまいりたいと考えております。

宮路委員 政治の世界でも女性の参画というのが求められてきましたが、さきの統一地方選挙、全国において女性議員が多く誕生しました。我が鹿児島においても、県議会そして市町村議会において女性議員が多数誕生したということですから、農協においてもできないわけがないというふうに思っております。是非、農協を勇気づけるような施策を農水省としても行っていただきたいと思います。

 最後、どうしてもこれはお伺いしたいので、済みません、委員長、お許しをいただければと思います。

 農協は、これまで様々な努力を行ってまいりました。ところが、お配りさせていただいた資料を御覧いただいて分かるとおり、農協は、やはり信用事業、共済事業で利益を上げ、残念ながら経済事業では損失が出ているというふうに言われております。しかし、よく考えてみれば、農業者の所得向上のために取り組むには、どうしても、経済事業では、農業者のことを思えば、農協が身を切らざるを得ないというところもあろうかと思います。

 しかし、三ページ目になりますが、信用、共済事業も今後非常に厳しい環境にあるというふうに言われております。

笹川委員長 持ち時間が経過しております。

宮路委員 はい。最後。

 そうした中で、更なる農協の自己改革というのが必要だというふうに考えておりますが、最後、大臣の今後の農協改革、自己改革に関する決意をお聞かせいただければと思います。

笹川委員長 短く。

野村国務大臣 時間が来ておりますということで委員長の方から言われましたので、一言で言えば、変わってきたなという印象であります。

 それは、やはり今までは農協と組合員さんとの距離がありましたけれども、この農協法改正によりまして、組合員との距離が非常に縮まった。

 一つの例を挙げれば、大体毎月一回は農家の組合員さんあるいは准組合員も含めて訪問活動というのをやって、御用聞きじゃありませんが、いろいろなことを聞きながら、そしてまたお応えしながらやっているという、いわば民主的な運営が非常にスムーズに最近行われているということをつくづく、OBとしても感じておるところでございます。

宮路委員 まさにOBとしての御意見をお伺いしたかったので……

笹川委員長 もう終了。

宮路委員 はい。

 農業者に向き合って、これからも活躍できるように、国としてもサポートいただければと思います。

 済みません、時間をオーバーしました。

 ありがとうございました。

笹川委員長 次に、稲津久君。

稲津委員 おはようございます。公明党の稲津でございます。

 今日は、麦、大豆等の生産拡大、またその品種改良について、さらに自給飼料の生産拡大、また漁業の資源管理について、通告に従って順次質問をしてまいります。

 まず最初に、国産麦、大豆の品種改良についてということをお伺いしたいと思いますけれども、今、ウクライナの危機、また、麦、大豆の世界的な動向、我が国が輸入する麦の価格、大豆の価格が高騰してきたということ、私は、これは食料の安全保障の観点からも、この際、やはり麦、大豆の国産の生産拡大、これをしっかりやる、重要事項にすべきだ、このように思っております。

 ここで問題になってくるのが、それでは、必要な作付のできる農地の確保ということなんですけれども、これは冷静に考えると、我が国の国土そして農地を考えていきますと、なかなかその農地を確保するというのは難しいのであろう。そうなってきますと、精査していくと、やはり水田から転作でどの程度できるのか。もう一方で、耕作面積の確保は難しいかもしれないけれども、しかし、そうであるならば、単収を引き上げていくということ、すなわち、高収量を上げる品種、その開発、作付を進めるべきだ、こう思っています。

 現段階で、麦、大豆の多収品種等の対応の状況について、取組を伺っておきたいと思います。

川合政府参考人 お答えいたします。

 食料安全保障の強化や、農業の生産力向上と持続性の両立を目指すみどりの食料システム戦略の実現におきまして、多収性品種を開発することは非常に重要でございます。

 まず、小麦でございますが、パン用のせときららが、従来品種より二割以上の多収品種として、平成二十五年に農研機構で開発されております。

 それから、大豆につきましては、はれごころという品種が、従来品種より一割以上の多収品種として、令和三年に農研機構で開発されております。

 今後も、これらを超える多収性の麦、大豆の品種開発に取り組んでまいります。

稲津委員 ありがとうございました。

 今御答弁ありますように、やはり品種改良については農研機構の役割が非常に大きいということだと思います。一定の成果を収めていただいている、このことも評価したいと思います。

 そこで、農研機構のところに着目してお伺いしたいと思いますけれども、食料安全保障強化に向けた革新的新品種開発プロジェクトのうち食料安全保障強化に資する新品種開発、長いネーミングなんですけれども、このことが取り沙汰されて、今、研究課題、そのことが三月三十日に、このプロジェクトの中で研究課題が審査をされて、そのうち五つの分野での採択が決まったと承知をしています。

 そこで伺いますけれども、このプロジェクトの目的、それから期待される効果、特に小麦の生産の強化についてお示しをいただければと思います。

 それから、国際競争力強化技術開発プロジェクトにおける大豆生産基盤強化のための極多収品種の育成は令和三年度から五年度までの三年間の事業となっておりますが、この中で、農研機構などが東北研など四機関と共同で研究する、そういうものであるということで承知していますが、ただ、私がここで気に留めたいのは、北海道が入っていないということなんですね。

 大豆の国内作付の十五万ヘクタール、これは全国でですね。このうち四万ヘクタールを有している最大産地の北海道、これは是非とも研究機関に入れるべきだ、こう思いますけれども、今後のことも含めてお伺いしておきます。

角田大臣政務官 食料安全保障強化に資する新品種開発プロジェクトは、化学肥料等の使用量低減と高い生産性を両立する革新的な品種の早期開発を目的としております。

 この中で、輸入依存度が高い麦類や大豆については、収量性の向上、病害虫抵抗性、加工適性等の強化により、国内生産を拡大するための品種の開発を目指しております。

 このプロジェクトについては、農研機構が代表となり、稲津委員御地元の北海道立総合研究機構などの研究機関が参加するコンソーシアムで取り組むこととしております。北海道も入っております。

 本プロジェクトで開発された品種を主産地である北海道を始め全国に普及することにより、国内生産力の強化を図ってまいりたいと考えております。

稲津委員 北海道も入っておりますということでございますので、是非大豆のところも強化していただきたい、このように思っております。

 そこで、重要な役割を担っている農研機構について、更にもう一問伺っておきたいと思います。

 やはり、冒頭申し上げましたように、特に麦、大豆、この品目の生産拡大というのは我が国の食料安全保障の重要事項だ、このことは、食料・農業・農村基本法の議論の中でも、私は最も重要な事項の一つであると思っています。であるがゆえに、この品種の開発等について、農研機構の取組を期待を大にしたいと思っております。

 一方で、農研機構の職員の数とか収入額の推移を見てみますと、残念なことに、常勤の職員数は二〇二〇年で三千八十六人と報告を受けておりまして、七年前に比べると七百人余りも削減をされているということ、それから、収入額は、民間企業からの資金獲得は増えておりますのでここは評価したいと思いますが、しかし、収入の決算額は二〇二一年で八百五億円ということで、多少推移はありましても、三年前に比べると百三十億円減少している。これで十分な研究開発事業ができるのかということを私は問題提起したいと思うんです。

 端的にお答えいただきたいと思いますが、食料の安全保障の構築を考えていかなければならない今、農研機構の人員、収入、私は検討すべきであると思いますが、この点についてのお答えをいただきたいと思います。

角田大臣政務官 農研機構は、麦や大豆の品種開発など、食料安全保障の強化において重要な役割を果たしていると認識をしております。

 人員については、この間の法人統合などによる業務の効率化を図りつつ、研究業務に必要な人数の確保に努めているところです。

 また、収入額については、年度ごとに繰越額などの変動はありますけれども、必要な運営費交付金は措置をしております。さらに、民間企業等からの資金獲得額も増加をしておりまして、全体として研究費の確保を図っているところです。

 農林水産省としては、農研機構の役割の重要性を踏まえ、麦や大豆の品種開発などをしっかり行えるように、所要の予算額の確保に努めてまいります。

稲津委員 ありがとうございました。

 これはまさに国家的プロジェクトになっていきますので、是非、人員、そして研究開発事業に向けた予算の確保にはしっかりお願いをしたいと思います。

 次は、自給飼料、餌の方の生産拡大についてお伺いしますけれども、ここもやはり配合飼料の価格高騰ということで、これはもう今、酪農、畜産の経営に大きな影響を及ぼしているということ、配合飼料の価格も数年前の一・五倍以上になっているということ、こうした状況を鑑みて、政府は補正予算等を組んで対応してきた。

 今年の三月には予備費を使った緊急対策パッケージとして配合飼料価格高騰対策を打ち出して、令和四年度の第四・四半期対策で補填金の交付、さらに、令和五年度第一・四半期以降の対策も打ち出したわけでございます。私は、このことは評価をしたいと思います。その上で実効性をしっかり上げていくということをお願いをしたいと思います。

 こうした対策を打つこととともに、強化しなければならないのは、先ほどの麦、大豆もそうなんですけれども、国産の飼料の生産拡大だろうと思います。特に、国産の濃厚飼料の生産拡大、これは非常に重要で、農水省としても施策を進めていると承知をしておりますが、どのような対策を講じようとしているのかを伺いますとともに、もう一つは、飼料の自給率の目標を設定していることも承知をしておりますが、濃厚飼料の令和十二年度の目標が示されていて、国産一五%とありますが、これは三年度と比べると僅か二%程度の目標ということを伺っておりまして、これはいかがなものかなと思っていまして、食料の安全保障を議論されている今、これは低い数字じゃないかなと思っています。このことについても喫緊に目標を見直すべきだ、このように思っておりますが、この点についての御見解を伺います。

渡邉政府参考人 お答えをいたします。

 飼料の自給率でございますが、全体で二五%、そのうち濃厚飼料につきましては、その自給率は一三%と、大きく輸入に依存してございます。

 輸入飼料の価格高騰の影響を軽減するためには、国内の飼料生産基盤を強化することが重要であり、令和十二年度に飼料自給率を全体で三四%に、濃厚飼料については一五%に、委員御指摘のとおり、一五%に引き上げることを目標といたしまして、子実トウモロコシなどの国産飼料の生産拡大を支援してございます。例えば、耕種農家の生産物を畜産農家が利用する耕畜連携、あるいは、新たな飼料生産の実証に取り組む場合に必要な機械の導入への支援といったようなことをしているところでございます。

 トウモロコシでございますが、これは最も利用されている濃厚飼料でございます。農地面積にどうしても制約があるという我が国ではございますけれども、可能な範囲でその生産を拡大をできるように、湿度に弱いといったような耐湿性の問題を解決するための技術開発ですとか品種改良などの課題にチャレンジをいたしまして、自給率の向上を図っていきたいというふうに考えてございます。

稲津委員 ありがとうございました。

 済みません、更問いさせていただきます。

 今の私の質問の中でお答えいただいていないのは、令和十二年度の目標が国産一五%ということ。粗飼料の方は目標を一〇〇%にしているんですね。これはかなり現実性は高いと思うんです。

 濃厚飼料のトウモロコシ等のところについて、実は、国産一五%の目標、現状一三%ぐらいかな、いいときは一四%いっているんですよ。僅か一%を上げるのを目標にしているというのはいかがなものかなと思うんですよ。

 もう一回明確に答弁してください。

渡邉政府参考人 お答えをいたします。

 濃厚飼料の自給率を一%上げるには、輸入トウモロコシ二十五万トン、大体、作付面積にいたしますと約四万ヘクタールを国産に置き換える必要があるということで、かなりの農地面積が必要になるというものでございます。

 まずは、現行の一五%の目標の達成に向けまして、耕畜連携などにしっかりと取り組んだ上で、更に高い目標の設定については、国産飼料の生産の状況なども見ながら検討していきたいというふうに考えてございます。

稲津委員 いやいや、更に更問いしたいぐらいだけれども、ちょっとそこは与党の立場としては言いませんけれども。

 濃厚飼料はトウモロコシだけじゃない。それはいろいろなものをミックスしてできるんですよ。それから、先ほど申し上げましたように、一四%までいっていたのは数年前ですよ。だから、本気度が問われるわけ。

 これはたしか令和六年度ぐらいに次の目標、五年見直しがあると思いますから、是非そこで検討してください。そのことを申し上げておきたいと思います。

 次の質問に移ります。

 次は、漁業実態に即した資源管理の実施についてということでお伺いをさせていただきたいと思いますが、水産資源の管理については、持続的な漁業を行うために欠かせないものとして、資源管理の重要性は言うまでもございません。資源を増やしていくために国がTAC管理を導入する必要性、これは私も十分認識しているつもりでございます。

 一方で、北海道における主要魚種でありますホッケ、マダラ、ブリなどのように、資源管理の制度や生態、混獲等の漁法の特性により、TAC管理が難しい魚種もあります。漁業者においては、漁業実態に即した実効性のある資源管理を求める声も大きいのが現実です。

 私の地元北海道においては、平成二十四年度から、漁獲圧力の三割削減等の取組を行うことにより資源回復に効果のあった、北海道、それから道総研と、沿岸そして沖合底引きの漁業者が共同で推進する資源管理の北海道スタイル、こういうものを実施をして、期待も寄せられているところでございます。

 このようなことから、以下数点伺いますけれども、まず、TAC魚種拡大による新たな資源管理の検討は、関係漁業者を対象に協議の場を設けて漁業者の理解や納得を得ることが必要であると思いますが、これはいかがでしょうか。

 それから、魚種の生態や漁法による混獲など、TAC管理が困難な場合の漁業実態に即した資源管理の必要性がある、このように思っておりますが、この点についていかがでしょうか。

 もう一つ、漁獲の大半が混獲される魚種の分別の技術、これをしっかり開発していくべきだ、このように考えますが、この点についての政府の見解を伺います。

神谷政府参考人 お答えいたします。

 TAC魚種の拡大に関しましては、これまでも、漁業者を始めとする関係者の意見を丁寧に伺いながら、検討のプロセスを進めてきたところでございます。

 具体的には、新たな資源評価結果の公表後、関係者に対しまして説明会を実施し、次に、資源管理手法検討部会を開催し、関係する漁業者にも参考人として出席いただき、水産資源の特性や漁業の実態、漁業現場などの意見を聞いて、この中には当然、管理の難しさとか漁獲の状況というのも入ります。そういうのを踏まえまして、TAC導入に当たっての論点や意見を整理し、その後、ステークホルダー会合を開催いたしまして、整理された論点を基に、具体的な管理措置について関係者と議論を行っております。

 今後も引き続き、努めて現地に赴き、関係者の意見を丁寧に聞き、理解と協力を得ながら、水産資源の特性や漁業の実態を踏まえたTAC魚種拡大のプロセス、さらに、必要な場合には、技術的な対策も併せて進めてまいります。

稲津委員 これで質問を終わりますけれども、漁業者は非常にこの点について危惧しております。

 それで、一番重要なのは、このTACの資源管理について、漁業者の理解、協力がなければいけないのは、これは大前提ですから、私は、ある意味、漁業者の方々が十分理解されるまではTAC導入も見合わせるぐらいの覚悟で、強い決意で、きちんと漁業者の方々に理解をしていただける努力を引き続き行っていただきたい、このことを申し上げまして、質問を終わります。

笹川委員長 次に、佐藤公治君。

佐藤(公)委員 本日は、林野行政関係についてお聞きしますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 最初に、地元広島の森林組合からの陳情をいただきましたので、それに対しての確認と要望をさせていただきたいと思います。

 地元森林組合からは、十月から導入のインボイス制度についてということでございますが、私は、このインボイス制度導入に関しては、今は立ち止まるべき、現時点での導入反対の立場、そのことは強く申し上げておきます。しかし、このままですと、十月から導入されてしまうことを前提に、様々なことを考えなくてはいけないという思いでおります。

 全文は省きまして、このような二つの要望でございます。

 一つ目は、「農産物と林産物の取引構造が違うことから、現状の協同組合特例(農協特例)と同様に、森林組合を通じて出荷される林産物においては特例措置(森組特例)を設け、森林所有者(組合員)と森林組合が従来と同じ精算できるように講じること。」、これが一点目でございます。

 二点目は、「国の林業政策である「森林整備事業」と「森林経営計画」での契約方法が委託であることから、インボイス制度の施行により林産物取引での適格請求書発行における様々な問題と事務負担が生じるため、林野庁と国税庁で協議を行い、これまで通りの森林整備事業の補助金の活用が出来るインボイス制度の特例を講じること。」。

 この二点の要望、陳情がございました。

 さて、そこで、確認をさせていただきます。

 インボイス制度の導入に当たり、森林組合等を通じて丸太等の林産物の販売を行う場合、農協を通じた農産物の取引と同じように協同組合特例が適用できないのか、特例適用の考え方について、財務省と協議した結果のものなのかを含めて、御答弁いただきたいと思います。

織田政府参考人 お答えいたします。

 インボイス制度の協同組合特例につきましては、インボイスの交付が困難な取引として、インボイスの交付義務が免除される特例の一つでございます。

 具体的には、組合員である生産者が農協等の協同組合に出荷した農林水産物につきまして、無条件で販売を委託をし、かつ共同計算方式で精算を行う場合に、生産者が買手を特定してインボイスを交付できないため、この特例となるというものでございます。

 森林組合に林産物を出荷する場合でございますけれども、例えば、複数の所有者の森林を集約化した施業団地から出荷される丸太につきまして、売上げ全体を所有者ごとの面積に応じて精算する場合ですとか、複数の生産者から出荷され、共同販売されるシイタケについて、生産者ごとの出荷量に平均単価を乗じて精算する場合は、出荷物について、その出荷者と買手を特定することができないということなので、本特例の対象となり得るというふうに考えてございます。

 一方で、丸太の取引では、一般的に、複数の出荷者の材を集めて、はいと呼ばれる単位で競り、入札が行われるわけでございますけれども、それぞれのはいについて出荷者と買手が特定できることから、協同組合特例の対象にはなり得ないものと承知をしているところでございまして、このことは、国税庁や財務省に取引の事実関係を説明した上で、このように整理をされているということでございます。

 こうしたことから、林業者等におかれては、一方で、経過措置として、制度開始から六年間は、免税事業者からの仕入れについて買手が一定割合の仕入れ税額控除が認められている、こういったことも考慮していただきながら、免税事業者から課税事業者や簡易課税事業者への転換をするですとか、あるいは取引先と価格面を含めた取引条件について話合いを行うなど、今後の対応方法について検討いただくことが重要と考えているところでございます。

 林野庁といたしましては、インボイス制度の開始に向けまして、林業者がそれぞれの取引実態を踏まえて適切に準備ができますよう、関係省庁とも連携しつつ、説明会の開催、個別相談の受付を集中的に行ってきておりまして、引き続き、丁寧かつきめ細かに対応してまいる考えでございます。

佐藤(公)委員 ありがとうございます。

 次の質問の前に、前提を、流れを少しお話ししますと、特例が適用され難い場合、森林組合を経由した委託販売の丸太については、免税事業者の丸太であればインボイスを発行できないため、買手の製材所にとっては、免税事業者の丸太なのか課税事業者の丸太なのかが分からないと、取引価格を決められないこととなります。

 免税事業者の丸太を森林組合が所有者から一旦買い取ることで、丸太の販売は森林組合と製材所との取引ということになるため、取引における混乱を避けるためには、買取り販売に切り替えるということは現実的な解決策の一つになると思います。

 森林所有者は、森林の伐採などの施業と伐採木の販売を森林組合に委託しているが、この伐採が間伐等の場合、伐採に関わる経費について、森林整備事業の補助金を受けることができます。

 ところが、伐採した丸太の販売を買取り販売に切り替えた場合に、この補助金が受領できなくなるのではないか。森林整備事業は、作業を委託することが前提となっております。買取り販売だと補助金の対象外になるのではと、地元で非常に懸念する声が上がっております。

 そこで、二つ目の御質問に入りたいと思いますが、間伐等の伐採作業の委託と伐採した丸太の販売は別の行為であり、インボイス制度が始まって森林組合が委託販売から買取り販売に切り替えたとしても、従来と変わらず、森林整備の補助金を受けることは可能だと考えますが、この点について林野庁の見解をお尋ねいたします。

織田政府参考人 お答えいたします。

 森林整備事業につきましては、国土保全、水源の涵養等の森林の有する公益的機能の維持増進を図るために、森林所有者や森林所有者から委託を受けた森林組合等が行います造林、間伐等の施業に対しまして、国、都道府県合わせてその費用の約七割を補助するものでございます。

 委員御指摘のとおり、森林整備事業の補助の対象といいますのは施業でございますので、施業の結果生じた間伐材等の林産物の販売とはまさに別行為になるわけでございますので、インボイス制度が開始された後も、森林所有者から委託を受けた森林組合等が行います造林、間伐等の施業は、引き続き本事業の補助対象になるということでございます。

 林野庁といたしましては、森林組合等に、引き続き、計画的な森林整備に補助金も活用していただきながら努めていただきたいというふうに考えておるところでございます。

佐藤(公)委員 大臣、これは大変に細かいことで、マニアックな質問かもしれませんが、これは、現場の方では大変に重大な問題、関心事だということを、取りあえず意識しておいていただきたいかと思います。

 最後になりますが、現場がどのような状態か、実態かどうかを確認されていますよね。大丈夫ですよね。もう一度、林野庁長官の御答弁、若しくは大臣の答弁でもいいですけれども、いただけたらありがたいと思います。大丈夫ですねという念押しの確認。

織田政府参考人 繰り返しになりますけれども、インボイスの制度が入った後も、当然、委託を受けて森林組合が施業をやるということに対しまして、引き続き森林整備事業の対象ということは間違いありません。

佐藤(公)委員 ありがとうございます。

 ところで、長官に聞いた方がいいかと思うんですけれども、全国の全森連等の団体から、インボイスに関しての何か要請というのはありましたでしょうか。

織田政府参考人 お答えいたします。

 森林組合系統の方からは、直接、全森連からは、直接、そういうインボイスの関連の要望はいただいていないというふうに承知しております。

佐藤(公)委員 だとすると、林野庁の皆さんが財務省と話をしていただいて、インボイスの交付義務免除をされる特例に森林組合関係の取引を入れていただいたということでよろしいですね。

 つまり、林野庁が努力して、インボイスに関して、きちっとこういうふうに整理をしていただいたということで、そうですと言えばいいんだと思います。

織田政府参考人 お答えいたします。

 木材の取引、特に、市場とか、森林組合が市場的なものとして売る場合とか、そういったものの場合にどうなるのかという疑問の声は従前からありましたので、そういった声を踏まえて、財務省にも、よく話を聞きながら、取引実態を説明した上で、そういうふうに整理をされたというところでございます。

佐藤(公)委員 先ほども、丁寧な制度周知をしていただけるとのお話でしたので、混乱がないように、誤解がないようにお願いを申し上げたいと思います。

 さて、先日、クリーンウッド改正法案が成立いたしました。

 大臣、G7、お疲れさまでございました。

 そこでですが、前回の委員会で少し気になる議論又は大臣の答弁があったことで、お尋ねさせていただきたいと思います。

 違法伐採は気候、生物多様性、人権の全てに悪影響を与える、違法伐採された木材が安価に流通することで、法律を守って出荷した事業者の木材が市場から締め出され、市場の健全性が失われるリスクも大きい、これまでの努力義務から今回の改正で強制力を持たせたこと、事業者への取組が強化されたことは評価したいが、もっと強い規制が必要だというのが私の思いでございます。

 今後の違法伐採の動きを注視したいと思っております。

 前回の委員会において、我が党の金子委員とそして渡辺委員とのやり取りの中で、まず、金子委員とのやり取りで、G7の件にも触れられておりました。

 金子委員の方で、このように質問されています。

 改めて大臣からお言葉を頂戴したいというふうに思いますけれども、今回の広島サミットの関連会合等で、今回の改正をするということで、堂々と我が国は違法伐採木材を根絶するというふうにおっしゃることができるのか、お伝えをいただきたい、教えていただきたいということ、そして、改めて、このG7の中でどのような形で発信をしていくのかということをお聞かせいただきたいと思いますという質問がございました。大臣は覚えていらっしゃると思います。

 それに対して、大臣の方から、大変に前向きな、非常に意欲ある御答弁をいただけたかと思いますが、じゃ、そのG7サミット、最終的なものはまだ先ですが、事前の関連会合等々はございました。

 G7の農林大臣会議、これが先般ございましたけれども、そういったところで、大臣が、どういう場で、どのようにして、こういったことをアピールしたのか、各国に状況をお話ししたのか、お話し願えればありがたいと思います。

野村国務大臣 お答えを申し上げたいと思いますが、G7の中の大臣同士で、この違法伐採の話は直接的にはしておりません。

 ただ、この大臣会合の中で、別なところでございました。別なところというのは、会場が別なところでセミナーをしました。やはりこれは、各国とも、違法伐採なり、材の話が相当出たらしくて、私どもは、大臣はその場では、そのセミナーに出席がかないませんでした。これは物理的にできなかったということで、ほかの大臣とのバイ会談をずっとやっておりましたので、私はそのセミナーにも直接出ておりません。

 ただ、このセミナーの結果につきましては大臣会合声明という形で入っておりまして、まだそのまとまったものは見ておりませんけれども、いずれにしても、大臣会合の中の一つのテーマになった。ただ、大臣同士では話をしませんでしたが、まずはセミナーをやろうということで、セミナーをやらせていただいて、その中で、G7各国が入りまして、議論をさせていただいたということでございまして、大臣は、どこの大臣もそうでありますが、直接的にはその会合には入っておりませんでしたけれども、事務方も全部入りながら議論をしたところでございます。

佐藤(公)委員 大臣、さきの委員会での答弁を見ますと、これは全部読んでもいいんですけれども、我が国が議長国でございますので、G7会合は、森林・林業に関する我が国の考え方を国際的に発信する絶好の場所だ、こういうふうに考えております。ちょっと飛ばします。今年のG7会合におきましては、我が国としては、持続可能な木材利用の促進というテーマでもって重要性について強調して、G7各国で確認、共有をして、そしてまた、これを対外的にもアピールしていきたい、こんなふうに思っているところでございまして、いいチャンスだなというふうにも思っております。

 大変に前向きな答弁があったにもかかわらず、大臣は、直接的なこういうお話、アピールをしていないということの今御答弁をいただいたようですが、何か言っていることとやっていることが違うように思えるんですが、いかがですか。

野村国務大臣 先ほど委員にお答え申し上げましたのは、私は直接入っておりませんということでしたが、日本政府を代表しまして、角田政務官が出席しまして、主催者挨拶の中でクリーンウッド法改正の重要性について述べましたし、また、合法で持続可能な木材利用の推進について議論が行われたということを承知いたしておりまして、委員おっしゃいますように、私は直接入れなかった、ただ、角田政務官が政府を代表して入って、ちゃんと挨拶もしたし、議論にも加わっていただいていたということだけは是非御承知おきいただきたいと思います。

佐藤(公)委員 ただ、この答弁をもう一度読み返しますと、大臣が自ら乗り込んでというようなふうにも見えました。僕は、決して政務官が駄目と言っているわけではないんです。政務官は、その政務三役という立場から大変に重たい職務にあり、大臣の代理として物事をすることに関しては、私は全く否定しません。そういう意味で、もう少し大臣が前面に出て、こういったことを訴え、そして、日本のある意味、覚悟を示すのかなというふうに思っていたんですが、そうなっていないことには、ちょっと残念な思いがしております。

 政務官が答えたがっていますが、済みません、簡単にだったらいいです。どうぞ。

角田大臣政務官 簡単に御答弁させていただきたいと思いますけれども、今回のG7の会合、非常に同時並行で、様々な重要な会合が行われておりまして、その中で、私自身においては、並行して、農業大臣会合に併せて行われたセミナーにおいて、主催者挨拶の中で、クリーンウッド法改正の重要性等について述べるとともに、合法で持続可能な木材利用等の推進についての議論がここで行われたところでございます。

 私自身も、大臣の意を体して、参加者の皆様にこの重要性について共有するとともに、日本の取組についても発信をさせていただいたところでございます。

佐藤(公)委員 引き続き、そういったアピールをすると同時に、やはり我が国の体制をきちっとつくっていかなければ表面づらだけになってしまう、私はそこを非常に危惧しているところでございます。

 前回の委員会でも、渡辺委員との質疑のやり取りがあり、私が気になったことは、登録事業者の件数及び合法性が確認された木材の量は一定程度増加しています。数字を申し上げて恐縮ですが、平成三十年は二七%でありましたけれども、これが現在四四%まで増加しているということでありまして、登録事業者数も六百件程度になってまいりました。こんなお話があって、国内総需要量の四割強で、これは高いのか低いのかというふうに評価は分かれるところですが、我々は、低位にとどまっていることのような認識でございまして、まだクリーンウッド法の所期の成果を十分上げていない、こういう認識でございますと大臣はお答えになられましたよね。

 こういうお答えをされるのであれば、私は、まるで、今の現状の改正をされたというものの、法律がざる法に見えてなりません。そして、まるで見て見ぬふりをしている。

 私は、今回、実は、このクリーンウッド法案が改正されていくに際して、少なくとも、業界の事情はあるかもしれません、構造的仕組みの問題点もあるかもしれません。しかし、それを改善すべき猶予期間を設けて、最終的には、強い規制、世界の先進国と同レベルの強い規制をきちっと明確にする。具体的に言えば、分かりやすく言えば、三年なり五年の期間を経て規制法にするんだという一つの目標を立てながら、また、数値化をきちっとして、どこまでだったらその達成をしたと言えるのか。一〇〇%が一番理想的です。それを目指すべき。ただし、その段階的な数値を表してほしかった。

 しかし、そういったこともなく、大ざっぱに、それはまるで見て見ぬふり、ざる法のようになってしまっている、私にはそう見えてなりません。

 大臣、どうですか、その辺のお考えについては。

織田政府参考人 お答えいたします。

 クリーンウッド法の改正、昨日、可決、成立いただきまして、誠にありがとうございました。

 その上で、このクリーンウッド法、二年以内を目途に施行させていただく、そして、施行後三年を目途に、必要に応じて検討を加えて見直しを行う、そういった附則の規定も置かさせていただいているところでございます。

 施行後三年を目途に、令和十年を目途に、合法性の確認をされた木材の割合を十割まで高めるんだ、そういう目標を掲げさせていただいているところでございますので、先ほどの附則の規定につきましては、そういう目標を掲げて取組を行った状況をよく見極めさせていただいた上で、その時点の状況をよく把握した上でまた検討させていただきたいというふうに考えているところでございまして、初めから規制強化ありきといったことについては、そういう言及は避けさせていただきたいというふうに存じております。

佐藤(公)委員 避けさせていただきたいと。

 実際問題、三年後見直し等々の話、それは僕も分かっています。しかし、それは今の延長線上での話であって、やはり、促進法じゃなくて規制法に切り替えていく、こういった覚悟が私は要るんじゃないかというふうに思います。そうしなければ、逆に言えば、見て見ぬふりをしたらばどんどんこの木材関係に関して悪化することが懸念される、危惧される、私はそんな思いでおります。

 聞きたいことがまだまだあるんですけれども、もう時間があと三、四分というふうになってしまいましたので、森林環境譲与税に関して、もう私の方から要点だけを言って大臣の御答弁をいただきたいと思います。

 やはり、譲与税に関しての配分方式ですね。そういったことに関して、見直しの議論もされているということ、していくということが報道等でも私も目にしております。私は、やはり、この配分方式は、間違っているとは言いませんが、今やるべき配分ではない、今必要なことは、やはり森や林や山に集中的にお金を回していくことが大事だ、それが今やるべきことだと思います。

 何かいろいろと資料を読んでいると、やはり、税金ということなので、国民の皆さんに納得感があるというか、理解していただける公平さ、こういうことでこの計算方式ができ上がったようにも言われていることも分かっています。しかし、そういったことは、逆に、やはり森林の荒廃をより進めてしまう。今やるべきこと、集中してやるべきこと、このプライオリティー、選択と集中です。これをきちっと私は林野庁として打ち出して、やるべきことをやっていっていただけたらありがたいと思いますが、いかがでしょうか。

角田大臣政務官 森林環境譲与税については、主として山間部の市町村から、森林整備を一層推進する観点から、譲与基準を見直すべきだとの声があるところです。

 このため、農林水産省としては、令和五年度税制改正において、森林環境譲与税に係る所要の見直しの検討の要望を行ったところでありまして、昨年十二月に決定された令和五年度税制改正大綱においては、「各地域における取組みの進展状況や地方公共団体の意見を考慮しつつ、森林整備をはじめとする必要な施策の推進につながる方策を検討する。」とされたところであります。

 今後については、令和六年度の森林環境税の課税開始も見据えて、自治体の取組内容やニーズ等の分析を行い、譲与税がより一層森林整備を始めとする必要な施策の推進に活用されるよう、検討してまいります。

佐藤(公)委員 是非お願いを申し上げたいと思います。

 私の持論は、やはりイの一番にやってほしいこと、それは、ほかのこともやらなくてはいけないことは分かりますが、地籍調査、これを進めない限り、土台ができ上がらない限り、何をしてもなかなか動かない。特に総務省、そして国交省、農林水産省の連携をより強化していただくことが私は重要なポイントでもあると思いますので、よろしくお願いします。

 もう最後になりますが、先日、ある方から一冊の森林に関する本を勧められました。題名、タイトルは「絶望の林業」という本です。「絶望の林業」、聞いたことはありますか、大臣。

 大変にショッキングなタイトルですが、最後は、まだまだ林業は可能性がある、希望がある、まさに絶望の先には希望があると締めくくられていると思います。

 この本の中身がいいか悪いか、正しいか間違っているかを論じるつもりはありませんが、この本に書かれていた一文が私の林業に関して感じることに近かったので、読ませていただきます。

  ここまで現代の日本林業が絶望的な状況にあることを記してきた。それは目の前の森が荒れているとか、人手が足りないから作業が行えないとか……そういった次元ではない。もっと根本的・構造的に産業としての体制が整っておらず、自然の摂理にも従わず、政策が誤った方向に進んでいるのではないか、という危惧から感じた状況である。

  改革が必要、とは業界内でも何十年も前から言われ続けているのだが、正直、私にはどこから手を付けたらよいのかわからない。おそらく、ほとんどの林業関係者が改革の必要性を感じつつも、何をやったらよいのかわからず戸惑っているのではなかろうか。さらに言えば、やる気を失い改革自体に興味を持たなくなっている。

こんなことを書かれていて、私も同じように感じるところがあります。

 そのような中、真面目に志を持って日々仕事をしている林業関係者の皆さんには心から敬意を表し、感謝を申し上げ、当然、林野庁、そして地方自治体の皆さんにも私は敬意を表し、感謝を申し上げたいと思います。

 大臣、政務三役の皆さん、そもそもの、今までの延長線上ではなく、森林の根本改革を決断、実行していただく、それをお願い申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

笹川委員長 次に、梅谷守君。

梅谷委員 立憲民主党の梅谷守です。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、質問に入らせていただく前に、資料の一枚目なんですが、これはJA新潟中央会の作文コンクールで最優秀賞を受賞された高校生の作文です。

 この冒頭、家庭の食卓を預かるお母さんのつぶやきに問題意識を抱き、そして、その中段辺りですけれども、どうして直売所にたくさんの人たちが集まるのだろうかといった疑問から、消費者と生産者の顔の見える関係の大事さや生産者を守っていくことの大切さに思いを致し、「身近なところから「地産地消」をすすめていける「消費者」になることができれば、そのことから生まれる力は、とても大きな力になるかもしれません。」とつづっています。

 地産地消は、産地を守っていくためはもちろんのこと、消費者のため、大きな言い方をすれば食料安全保障のためにもとても重要だということを高校生は肌で感じているのかなと私は受け止めまして、これをきちんと政策にしていくことが私たち政治家の使命だと改めて思い、今日配らせていただきました。

 地産地消に関してなんですけれども、これは言うまでもありませんが、食料・農業・農村基本計画の中にも地産地消推進という文言がつづられておりますし、また、これは民主党政権のときですけれども、二〇一〇年の頃には、六次産業化、そして地産地消法しかり、我が国が地産地消を推進してきたことは、もうこれも言うまでもありません。

 この地産地消の本格的な展開に当たり、これは私の問題意識なんですけれども、ここにどう適地適作を絡めていくのか、絡め合わせていくのかが課題だというふうに私は考えていまして、そこで、まず適地適作について質問させていただきたいと思います。

 まず、二枚目の資料なんですが、令和三年度都道府県別農業産出額及び上位三品目を御覧いただけますか。

 これは農水省から提出してもらったデータなんですけれども、一位が一兆三千百八億円の北海道、二位は大臣の御地元鹿児島で四千九百九十七億円、三位が茨城で四千二百六十三億円、以下、四位宮崎、五位熊本、六位千葉、七位青森などなどと続きます。私の地元の新潟は十四位でして、二千二百六十九億円。

 この順位と数字の結果で見ればこういうことなんですけれども、ここに至るには、それぞれの地域で、本当に大変な御苦労だったり、また、工夫、努力があったことは、もうこれは間違いないわけです。

 例えば、私が言うのも恐れ入りますが、北海道では、先人たちが大変な苦労をされて農地を開拓されてこられました。そして、大消費地から遠いということで、小麦、芋、タマネギ、てん菜など日もちのする作物や加工原料作物を広大な農地で生産してきました。また、寒冷で作物が育ちづらいような地域では酪農をやり、加工して乳製品を製造してきました。

 次に、二位の鹿児島では、これはもう大臣、私から御説明するまでもないですが、大臣に後でお聞きしたいですけれども、何十年も前にサツマイモなどの畑作物が主要産品だったところ、消費地から遠い、米にも余り適さないという中で、JAなど関係者が話し合って、畜産ならできるのではないか、畜産をやっていこうと始めたことで今日の姿があると聞いています。

 そして、我が新潟なんですけれども、潟という名前があるように、分かるように、例えば新潟市の三分の二、ここが海抜ゼロメーター以下の低湿地で、地図にない湖とも呼ばれていました。

 これは新潟市にある潟のデジタル博物館というところのホームページに記してあったんですが、読ませていただきます。

 「なみなみと水が溜まった泥田に一歩足を踏み入れれば、ズボッと胸まで一気につかる。」「現在は」「新潟市の中心地となりつつあるこの土地も、昭和二十年代以前までは、子どもが田んぼの中に立つと口の中に水が入ってくるほどだったそうだ。農作業中にあやまって水に流され、命を失う人もいたという。」「田植えは」「六月から七月にかけて行われた。田植えが遅いので収穫の時期も遅い。稲の刈り取りはあられが降る頃まで続いた。秋の彼岸を過ぎると、田んぼの水は身を刺すような冷たさに変わる。そのような泥田での力仕事は、言葉にならないほどのつらさだったことだろう。」とつづっています。

 こういった厳しかったところが、土地改良事業によって排水対策を行うことで、一大米地帯として生まれ変わりました。その上で、品種改良、品質管理、ブランド対策を行うことで、新潟の今の米の地域を確立してきました。

 こうして見ていくと、各地域が、気候風土や、また地理的条件を踏まえて、メリットを生かして、時にはデメリットを乗り越えたりして、適地適作を進めてきたことが分かります。

 国としても、全国一律に何かを増やせ、減らせというようなことではなくて、地域の判断を尊重しつつ、こうした適地適作への取組を支援していくことが、結果として日本農業全体の発展や農業者の所得の向上にもつながり、このことが私は食料安全保障の入口だとも考えています。

 そこで、お尋ねします。

 地域の特色を生かして適地適作を進めることで農業者の所得向上、地域農業の振興を図っていくべきと考えますが、鹿児島の例もお聞かせいただきつつ、大臣のお考えを教えてください。

野村国務大臣 お答え申し上げたいと思いますが、私は大臣になりましたのが昨年の八月でありました。就任の挨拶に行きましたら、幹部職員を全部集めてありますから訓示を下さい、こういう話になりまして、さてさて何を話すかなと思ったんですが、そのときにやはりふと考えましたのが、ウクライナの問題なり、あるいは気象変動なり、これから先、今までどおりでいいのかということでありました。ですから、今年をターニングポイントにしようよということを皆さんに申し上げました。

 それはなぜかといいますと、今委員御指摘がありましたように、私がJA鹿児島中央会に入りましたときに、当時の先輩の皆さんから、野村、鹿児島の農業は変わるぞ、十年後には目をみはるような農業になっているぞと言われました。何が変わるんだろう、委員がおっしゃいましたように、それまでは、鹿児島の一位は米、そしてカンショ、サトウキビ、こういったような畑作目中心でしたから、どういうふうに変わるんだろうと思っていたら、先ほどのお話がありましたように、牛、豚、鳥、これをどんどんどんどん進めていくと。ちょうど高度成長期に入る時期ですから、日本人の食生活も変わる、それに合わせて鹿児島は産地をつくっていくんだということで、それまでは一、二匹しかいなかった、私のうちもそうでありましたが、牛だとか豚がどんどんどんどん増えていきました。それで、この四十数年間で、今おっしゃいましたように、全国二位の生産額を誇れるようになりました。

 一方では、適地適作ということでいいますと、鹿児島も南北六百キロありますから、そこで、例えば、暖かいところでは霜が降りませんので、今年はやられてしまったんですが、雪にやられたんですが、エンドウ類を作ったり、換金作目としては、面積は狭くても換金率は高い、こういった作目を導入しながら、畜産も入れるし、それから野菜の園芸作目も入れていくという、いろいろなこういうことを先輩の皆さん方がデッサンしまして、そしてそれを市町村や県と一緒になって進めてきたという歴史がございます。

 したがって、私が入ったときが、先ほど申し上げましたように、ターニングポイントだったんだなということをつくづく感じた次第でございます。

 ですから、これから日本の農業というのを、私は、農水省でもターニングポイントだぞと言うのは、やはり今何が不足しているかといいますと、大豆なり小麦なり、こういうものが変わっております。だから、適地適作というお話がありましたが、いろいろなものが日本全国いろいろな形で植付けがされておりますので、適地適作、昔みたいな形での作目選定というのは余りそんなにしなくても、いろいろなところで研究も進んでまいりました。

 ですから、じゃ、日本はこれから何を作るかということになりますと、今大変に不足しておりますような小麦なり大豆、日本の食の中心にある作目だと私は思っておりますし、さらに、畜産でいえば、やはり飼料作目を作ってもらおう、そこにやはり大きく転換していくべきだろう、こんなふうに思っておりまして、委員がおっしゃるような、今から先もいろいろな適地適作があるのかもしれません。

 ただ、一番やはりこの適地適作で、私は、皆さん方の先輩でした近藤基彦先生が副大臣時代に一緒に政務官もさせていただきました。そのときに近藤先生がおっしゃったのは、おい、野村、今一番作目で作れるのは米だぞと。女性でも米は作れる、これだけ機械化が進んで、私はそのとき印象に残ったんですが、ハイヒールを履いてでもできる農業は米だけだと。だから、米はこれだけ全国的にもいろいろな技術も進んだし、そして品種改良も進んだし、おいしい米が食えるようになったんだぞというお話をお聞きしたときに、なるほどなということを考えた次第であります。

 いずれにしましても、余計なことを申し上げましたが、そういったような形で、これからみんなでどっちの方向へ進んでいくかということはまた皆さん方の意見も聞きながらでありますが、今回の基本計画の中で我々はお示しをして、できればやはり麦、大豆、それから飼料、ここを中心にした作目の拡大を図っていかなければいけない。でなければ、またやはり輸入に頼らざるを得ない日本の農業の姿が変わってまいりませんので、そこを中心にやりたいと思っておるところでございます。

梅谷委員 鹿児島の経緯を伺わせていただき、そして、今、日本の中で必要なのはこれだということで、そこを進めていきたいというお話でしたが、それももちろん私は否定はしません。

 ただ、やはりこれからを考えたときに、私は地産地消、これまでせっかく推進してきているわけですから、そして地産地消足す適地適作足す輸出、例えばですよ、そういうものを総合的な視点に立って方向性を提起して、そして総合的な我が国農業を示していく。そこに向けて、農協が存在する地域、そしてそこで農家も考え、農協も考え、そして最適な解を自ら見出していく、自分たちで。そこに向けて政治が根本となる方針を打ち出して、市場の分析とか将来を見据えつつ、私は地域の主体的な取組を支援することが重要だと考えています。

 今ほど、基本法見直しの中でもというお話がありましたが、是非、適地適作による、適地適作という文言も含めて、産地の形成を通じた所得の向上というのを議論、位置づけをしていただきたいと思います。また、農水省としても、例えば専門部署や専門の担当官を設けるなど、各地域の取組を全力で支援していただきたいですが、改めて、短めに大臣、お答えをいただいてもよろしいでしょうか。(野村国務大臣「済みません。今くしゃみをしたもので」と呼ぶ)はい。

 基本法の見直しの中に適地適作というものを具体的に位置づけしていただくとともに、できれば、例えば専門部署や専門の担当官を設けるなどして各地域の取組を全力で支援していただきたいと考えますが、大臣、いかがでしょうか。

野村国務大臣 委員のおっしゃっておられる適地適作、これからも新しい作目もあるいは品種も出てくるんだろうと思うんですが、我々が基本法の中で目指しているのは、やはり過度な輸入を避けようじゃないか、何とか国内で自給できるものは自給していこうじゃないかということが中心にあります。

 ですから、基本法もそういった趣旨のことが書いてございます、書こうと思っておるんですが、いずれにしても、じゃ、何が足らないかとなりますと、これは当然、先ほど申し上げましたような、一番輸入の大きいのは、油脂類、それから小麦、大豆、そして飼料であります。ですから、ここを何とか自給率を高めていかないと、ほかのものを入れてもなかなか難しい。

 やはり日本人のまずは食を、おなかを満たす、そういうものを中心に考えていかないと、金があってももう買えない時代になってきたというのは、今般、G7でも、私ども日本やイタリアが全く同じような考え方でしたが、アメリカとて、気象変動で何がなくなっていくのか分からぬ、こういうようなことで大変危機感を持っておりました。

 ですから、今後はやはり国内で何が自給が不足していて何を引き上げていくかということの議論を皆さんともさせていただきながら、そういうものを中心に私どもは奨励をさせていただきたい、こう思っております。

 ですから、適地適作は、これはもう地域でお考えいただく話でもありますが、日本国全体と考えた場合は、今申し上げたようなことに私どもは誘導していきたいと考えております。

梅谷委員 この点は交わらないので、ちょっと時間もあるので次に進ませていただきますが、私は、もちろん大臣のおっしゃることは否定はしません。もちろん大事なことです。それでも、これまでの経緯とかを考えたときに、やはり適地適作、地産地消、これらを踏まえた上でまた大きな方向性を示すことも大事だというふうに思っていますので、是非御検討いただければと思います。

 次に、実質農業GDPについてお尋ねをします。

 資料、きずなノートというのをちょっと飛ばしちゃったんですが、自公政権、特に安倍政権になって、政府は農業の成長産業化と規模拡大を推進してきました。そして、輸出が増えた、農業所得が増えたと政府はこれまで成果を喧伝されてこられました。もちろん、輸出が増えたことについては私も評価をしております。しかし、農業全体で見たときに、農業従事者の減少、農地面積の減少など、日本農業の危機的状況は全く変わっていないというふうに思います。

 そこで、この配付資料なんですが、これは、通常、農業の世界で統計を見るときというのは、農水省からは、農業産出額や生産農業所得といった数字で説明されることが多く、GDPを見ることは余りないと思うんですが、GDPだと名目値と実質値の両方を見ることができるんです。

 そこで、資料ですが、二〇〇九年、農業のGDPが、名目値、青ですね、ブルーのところで、四兆四千四百四十億、実質値で五兆四千九百九十億円。これを、今申し上げた二〇〇九年を一〇〇として、指数をグラフ化したものなんです、これは。名目値、青い棒のグラフでは、二〇一六年、二〇一七年に一一三、一一六と一旦上がるんです。その後、最近はまた戻ってきていますが、おおむね一〇〇前後で推移しています。一方で、実質値、オレンジの棒グラフで見ると、二〇二一年で七四・二六%に下がっているんです。

 これについて、要因と分析をどう見ていらっしゃるでしょうか。政府参考人で結構です、お願いします。

山田政府参考人 お答え申し上げます。

 農業の実質GDPが減少している、その要因についてということでございますけれども、実質GDPということで申しますと、御案内のとおり、物価変動の影響を除いて計算するということでやってございますので、近年の推移ということで申しますと、生産量の変動というものが大きく反映されたというふうに考えております。

 他方、委員の方からもお示しいただきましたけれども、名目GDPという数字もございます。この名目GDPということで申しますと、その年々の価格の変動というものを反映するということになってございますので、農家の方々の購買力に結びつく農業所得との関係では、この名目GDPというものを併せて見るということが必要かなというふうに考えてございます。

 それから、委員から御言及のございました生産農業所得ということでございますけれども、私ども、農家の方々の所得という観点で見ますと、より実感に近いのかなということで公表させていただいているところでございまして、この生産農業所得につきまして、過去十年間、近年の推移を見ますと、おおむね三兆円台ということで推移しているところでございます。

梅谷委員 今、実質GDPは生産量の変動が大きく反映されているとか、また、名目GDPについては、年々の価格に変動され、大きくそれほど減少していないということなんでしょうね。それと、生産農業所得はおおむね三兆円で推移というお話がございました。

 そのとおりなんですけれども、私が言いたいのは、逆に、名目GDP、名目値だけでなく、実質値も併せてしっかり見るべきではないかということ。名目値では横ばいだからいいというわけではなくて、食料安全保障の観点からすれば、実質値が大きく減っている、生産量が大きく減っていることが問題ではないかと私は思っています。

 今、生産農業所得が三兆円台で推移をしているとのお話でしたけれども、それでは、その生産農業所得は実質値ではどう変化しているんでしょうか。あるいは農業産出額でもよいですけれども、その実質値はどう変化しているのか。通告していないんですが、可能であれば、政府参考人、お答えいただけますでしょうか。

山田政府参考人 お答え申し上げます。

 この生産農業所得と申しますのは、名目ベース、その年々の価格を反映させるという考え方で計算してございますので、ある意味、こういう意味では、名目ということのみの数字となってございますが、先ほど申し上げたとおり、おおむね三兆円台で近年は推移しているということでございます。

梅谷委員 ありがとうございます。

 今、名目値のみだという話でしたが、そこで、大臣、お尋ねしたいんですが、一つ提案なんですね。これは実質値も出してみたらいかがですか。今までは見えていなかったものも見えてくる可能性があると思いますが、大臣の見解を伺います。

野村国務大臣 今突然そういう御質問でございますので、統計部長が今日は来ておりますので、後ほどまたじっくりと検討をさせていただきたいと思います。

梅谷委員 済みません、私のちょっと誤解かもしれませんが、私は通告をさせていただいたという理解だったんですが、まあいいです。是非検討していただきたいと思います。

 GDPについて、名目値で横ばいとはいえ、実質値が十年でこれほどまで減少しているということが一体どういう意味を持つのか。日本農業が相当弱体化してきた、何か底が抜けてきているのではないかと危惧するものですから、引き続き、是非、大臣から詳細の分析をお願いしたいと思いますが。

 次に、新規就農支援の対象年齢についてお尋ねをします。

 今、農業次世代人材投資事業というのが、令和四年度から就農準備資金・経営開始資金事業に名称が変わりました。これは、現行、四十九歳以下を対象としています。三月九日の参議院農水委員会においても、大臣から対象年齢拡大を検討すると表明され、資料にも添付させていただきました、翌日の日本農業新聞にも大きく取り上げられました。私も、これは是非、対象年齢引上げ、拡大を行っていただきたいと考えています。

 その昔、高齢者がまだ少なくて、そして農業者の方々も多かった、たくさんいる時代には、若手に限定して、この先長く農業をできる人を支援していくというのは合理的な部分もあったと思います。でも、今は、平均寿命が八十歳、そして農業者が減少し、足りない時代です。

 専門家によれば、一九九八年から二〇一八年の二十年間、高齢男性は五歳以上、高齢女性は十歳程度、体力的に若返ったとみなすことができるというふうに言っています。また、現在の七十五歳は二十年前の六十五歳と同等であるとも言ったり、中には、一九九二年から二〇一七年の二十五年で、男性は十歳、女性は二十歳ほど若返ったと見ることができると分析する識者もいます。こうしたことを考えていくと、今の時代、赤いちゃんちゃんこは、もう六十歳ではなくて七十二歳とか八十歳なのかなというふうにも思うところなんです。

 今日の新聞にもありましたが、国立社会保障・人口問題研究所が昨日公表した将来推計人口によれば、二十年後の二〇四三年には、六十五歳以上の高齢者数が三千九百五十三万人でピークに達し、その後、その割合がおよそ四割で高止まりする見通しだというふうになっています。

 六十歳や六十五歳で定年退職されたような方が新規就農したとしても、体もまだまだ、今ほど申し上げたように、元気だし、そこから十年、二十年農業をやっていただけることを考えれば、新規就農支援の対象年齢を拡大すべきなことは私は間違いないというふうに思っております。

 そこで、お尋ねをしますが、大臣も、内部の方でも検討させていきたいと思いますというふうにおっしゃったんですね。ですので、対象年齢拡大に向けて、ハードルや課題、論点などがあれば、その点も含めて検討状況をお聞かせいただきたいと思います。これは副大臣又は政務官でも大丈夫です。お願いします。

野中副大臣 農業が抱える課題というのは、やはり就農、農業従事者の人口構成がアンバランスであるということで、六十五歳以上が七割を占めているということであります。その是正を図るために、四十九歳以下は約一一%ということで、その一一%の底上げをしようということで、資金面及び経営発展のための支援をしております。

 先生おっしゃるとおり、以前の年齢と今の年齢は全く違いますので、意欲のある方というのは五十代以上でも六十歳でも是非参加していただくということは大変ありがたいということであります。そういった方々に対しては、農業大学校における就農希望者向け研修に加え、令和四年度から新たに措置しております、地域における就農相談体制や実践的な研修農場の整備等、サポート体制の充実のための支援、これらについては、年齢に関係なく、新規就農者が農業技術等を身につけるための支援として実施しております。

 ですので、アンバランスを是正するというのと、一方で、プラス就農者数を増やすという面で、その面については、後者の面においては年齢制限は設けていない。それぞれの支援をしてまいりたいというふうに思います。

梅谷委員 そういう年齢制限を設けていない支援策がもちろんあるというのは私も存じ上げています。その上で、だから、就農準備資金・経営開始資金事業、これもバランスを考えたら、やはりここにも支援策として盛り込むべきだと思いますが、改めてもう一度、副大臣から御答弁いただけますか。

野中副大臣 四十九歳以下ではなくて、年齢の拡大という御意見をいただきましたが、これは人数とそれに関する予算の面が出てまいりますので、この場で申し上げることは困難でありますけれども、アンバランス是正のために、まずは四十九歳以下というところで、私ども、やっていきたいというふうに思います。

梅谷委員 今の副大臣の答弁だと、まずはそれでやっていきたいとおっしゃいましたが、じゃ、大臣にお尋ねするんですが、大臣は先日、三月九日に、重ねてですけれども、社会情勢も勘案しながら、できれば内部の方でも検討させていきたいと思いますというふうにおっしゃっているんですね。

 ということは、もうこれは諦めて、検討もやめて、当面はやはりこの四十九歳以下でもうずっとコンクリートしていこうという、そういう考え方なんですか。それとも、検討は続いているんですか。大臣、お願いします。

野村国務大臣 今の新規就農者の支援というのは、いわば金銭的な支援もしているわけですが、この年齢を引き上げることによって、サラリーマンを定年退職して、それから農業に入るというのは、生活費に困っているのかということがまず出てきます。それは、我々は、最初、この制度をつくるときには、新規就農になっても収入は余りない、ですから、これは支援をしていかなけりゃいわばおまんまが食えないじゃないかということもお話をさせていただきながら、百五十万という一定の支援をするようになったわけですが、じゃ、これを、今の四十九歳から、五十九歳までなんですが、六十に引き上げる、六十五歳に引き上げたときに、本当にそういう方々にも支援が必要なのか。施設的な支援というのは私は必要だと思っています。ですけれども、全く同じような支援という形には、どうなのかなというのは、ちょっと首をひねるんです。

 いずれにしても、今後、そのときも申し上げましたが、一般のサラリーマンの方々も定年延長になっておりますから、農家の方々も、こういう方々も、確かに私の地元でも新規就農者であることは間違いないんですが、社会環境から見たときに、どういう支援ができるのかというのは、やはり、今と同じような形での、ただ単純に延長するという話にはなってこないのでは、個人的には、難しいなというところは考えております。

 いろいろな、例えば、畜産をやりたいので、やはりこれには畜舎が要るので、その畜舎に対する支援とか、そういったようなものはある程度考えられるんですけれども、全く同じ形での、新規就農者と同じような形での支援というのは難しいのではないか、こんなふうには思います。

梅谷委員 大臣の御答弁からは、五十歳以上の方々で新規就農を御希望される方々に対する、生の声とかそういうものを受け止めているようには思えない。あくまでも、そうなんじゃないか、食うに困っている人じゃないでしょうという、そういうだろうの話が前提になっているのかなと思いますので、改めて、政策判断をされるに当たっては、その事実関係を抽出して分析をされるということを是非お願いしたいですし、やはりもう今これだけ農業も危機的な状況ですから、そういう意味で、是非、対象年齢の拡大、これを私は進めるべきだということを強く申し上げ、御検討いただくことをお願いしたいと思います。

 時間もないです。最後に、質問です。鳥インフルエンザについてお尋ねします。

 改めまして、鳥インフルエンザ発生によって影響を受けられた方々に対しまして、心からのお見舞いを申し上げます。

 家畜伝染病予防法では、鳥インフルエンザの発生の際、一義的な責任は家畜の所有者、原則は家畜の所有者が殺処分を行うことになっています。でも、実際には、都道府県が主体となってこれを行っているのは御存じのことだと思います。

 発生件数は、二一年度二十五事例だったんですが、二二年度、翌年ですね、七十八事例と、三倍に増えています。これに対して、実態として実動部隊をしている都道府県の職員は別に変わっていないと思います。変わっていない。例えば、地元の新潟における殺処分の現場を見ると、県職員数で見たときに、一回当たり約六割が動員されているんですね。これは、殺処分だけじゃなく、後方支援の動きもありますから、これを含めると、八五%ぐらいの職員が対応している状況にあるんです。負担が非常に大きくなってきているんです。

 そこで、お尋ねしますが、緊急に殺処分を実施をする場合は、実動部隊として、県職員だけでなく、国家公務員の応援も検討していただきたいですし、また、現状では、派遣いただいている獣医について、採用困難職種として以前から不足しており、現在でも定員を満たさず欠員のところが多いんですけれども、この獣医の充実策について検討していただきたいと考えますが、いかがでしょうか。

角田大臣政務官 お答えいたします。

 今シーズンは、過去最高といいますか、過去最悪の被害が発生をいたしておりまして、各道県の職員の方にもかなり御苦労をいただいているところでございます。

 お尋ねについてですけれども、高病原性鳥インフルエンザが発生した際、初動防疫対応を円滑に実施するため、特定家畜伝染病防疫指針において、まず、都道府県を挙げた動員体制、次に、都道府県のみでは迅速な防疫措置が困難と見込まれる場合には、農林水産省や他の都道府県からの職員の派遣を協議するとしているところでございます。

 農林水産省としては、防疫措置を迅速に実施できるよう、これまでにも、都道府県庁へのリエゾンとしての本省職員等の派遣、殺処分等の防疫措置への支援のための地方農政局、動物検疫所、動物医薬品検査所、家畜改良センターからの職員の派遣等を実施しているところでございます。

 また、獣医師については、発生都道府県からの要請に応じて農林水産省が他の都道府県からの獣医師の派遣について調整を速やかに行うこととしており、加えて、動物検疫所等からの獣医師が派遣をされております。

 ちなみに、今シーズン、新潟におきましては五事例が発生したわけですけれども、地方農政局から延べで二百八十二名、他の都道府県から、獣医ですけれども、延べ六十三人の支援が行われたところでございます。

 引き続き、都道府県等と連携しながら、迅速な防疫措置に取り組んでまいります。

梅谷委員 時間が来たので終わりにします。ありがとうございます。

 最後に、自衛隊の災害派遣も行っていただきまして、本当にありがたいことです。

 ただ、これも、事前の関係者の合意で、どれぐらいの割合と羽数を殺処分するのかということを決めたら、その与えられた役割分を終えたら、自衛隊の皆さんは、全てを完了する前に撤退してしまっているんですね。

 そこで、お願いなんですが、御検討いただきたいんですが、自衛隊の災害派遣について、殺処分の終了まで一緒に対応していただくことも含めて是非御検討いただくことをお願いをさせていただきたいと思います。

 以上をもって質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

笹川委員長 次に、掘井健智君。

掘井委員 日本維新の会の掘井健智でございます。

 大臣、G7の農業大臣会合、お疲れさまでございました。

 EUの農作物の輸入制限について質問したいと思うんです。

 福島原発事故後、日本産の食品に対しまして、現在、EUを含む十二の国と地域が輸入制限を解除していないという状況であります。

 この度、G7の宮崎農業大臣会合でバイ会談を行って、野村大臣から、原発事故に伴う輸入規制の撤廃を要請したと農水省より説明を受けました。

 EU加盟国の農業担当大臣の反応はどうだったでしょうか。また、EUの輸入制限の解除の見通しがあれば教えてください。

野村国務大臣 掘井委員にお答えを申し上げますが、先ほど来ちょっと答弁しましたが、私は今回は大変バイ会談に、二国間協議に重きを置きながらやってきたわけでありますが、その中では、EUの代表の委員も見えていましたし、それから各国の大臣も全て来ておりましたから、特にドイツ、イタリア、フランスの各大臣とは、今お話がありました輸入規制の話について働きかけを行ったところでございます。

 しかしながら、その結果あるいはその内容については、相手国のある話ですから差し控えさせていただきたいと思いますけれども、要は、日本側の熱意といいますか、あるいは私どものお願いしていることは十分聞いていただいた、こんなふうには思っておりますが、EU全体としてどうするかというのがまとまらないと、個々の国が、私はいいと思っているんだけれども、ただ、EU全体でまとまった話じゃないからというふうなことも言っておられる国もありました。

 ですから、そういう意味では、EU全体として、六月までには、見直しの時期ですから、これは変えていく、どういうふうになっていくのかは今からのEUの話合いだ、こんなふうに思いますので、内容については、大変申し訳ございませんが、差し控えさせていただきたいと思います。

 ただ、農水省としましては、関係省庁と連携しまして、EUのほか、まだ規制を維持する全ての国、地域に対して、あらゆる機会を捉まえて、私どもは規制の早期撤廃を働きかけてまいりたいというふうに思っております。

掘井委員 ある程度理解しておるんですけれども、これまで、除染の進捗、ALPS処理水の海洋放出に向けた安全性確保等、PRは行っております。IAEAなどが、日本の対策は適切であって、食品は安全に供給されていると評価されておられますよね。それにもかかわらず、EUがかたくなに輸入制限を講じているこの理由なんですけれども、これは農林水産省の管轄を越えているんでしょうか。

水野政府参考人 お答えいたします。

 ただいま、ALPS処理水の放出に関するお問合せがございました。

 これにつきましては、関係省庁それぞれございますけれども、農林水産省として、関係省庁とよく連携しながら、日本食品の安全性についてしっかりと外国に対しても説明していくという方針でございます。

掘井委員 ちょっと分かりにくいんですけれども、恐らく農水省の管轄の範囲外のものもあるのかな、そういうふうに理解しております。

 以下からは、特に私の地元の加古川市、兵庫県の加古川市なんですけれども、その地場産業である牛肉の輸出について質問していきたいと思います。

 輸出拡大実行戦略における牛肉輸出目標についてであります。

 牛肉の輸出額の目標は、二〇二五年には一千六百億円、そして二〇三〇年には三千六百億円である一方で、昨年、二〇二二年、実績は五百二十億円でありました。これは余り進んでいないように見受けます。この理由についてということと、それと、この二〇二五年、一千六百億円、輸出額のこの目標は、このままで達成できるんでしょうか。あと二年後に三倍にしていくということになります。非常に急ピッチな伸び率が必要であると思いますけれども、これはどうやって持っていくんでしょうか。

 施設のことでありますとか、輸出事業計画のことは後ほど詳しく質問しますけれども、お考えを伺いたいと思います。

野中副大臣 二〇二二年の牛肉の輸出実績でありますけれども、輸出先国での外食需要の回復等、台湾やEUは伸びた一方、米国向けが物価高による消費減退等の影響により減少したことから、前年比四%減の、先生おっしゃった五百二十億円となりました。

 私どもとしては、更なる輸出促進に向けまして、オール・ジャパンでの和牛の認知度向上の取組に加え、畜産農家、食肉処理施設、輸出事業者等の三者が連携したコンソーシアムによる商談会開催など新たな商流構築、多様化するニーズに対応するため、ロイン以外の部位やスライス肉等の新たな輸出製品の輸出促進等を支援するほか、輸出認定施設の増加のための施設整備及び認定の迅速化、中国向けの輸出再開や台湾向けの月齢制限の撤廃といった規制緩和の促進等に取り組んでおりまして、これらに積極的に取り組むことによりまして、目標達成に向けてしっかりと図ってまいりたいというふうに思っております。

掘井委員 急ピッチでやらないと目標は達成できないということであります。

 質問がちょっと前後するんですけれども、次に、この目標を達成するための牛肉の輸出認定施設について質問します。

 二〇二五年、一千六百億円、先ほども言っておりますけれども、この輸出額目標を単純に数量で当てはめれば、現時点で生産されている和牛肉の三分の一が海を渡るということであります。そんな計算になります。牛肉の輸出額目標達成の成否は、海外向けの和牛を増産できるかどうかに懸かっていると思うんですね。そのため、輸出認定施設をもっと増加させていく必要があると思っております。

 その施設整備目標は、二〇二五年に、一番ハードルが高い対米向けの輸出施設の目標が二十五施設。現在、十五施設で、追加で二の施設が申請中と伺っております。

 この施設整備目標は、このままで達成できるんでしょうか。

渡邉政府参考人 お答えをいたします。

 委員御指摘のとおり、農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略におきましては、アメリカなどへの輸出に対応した牛肉処理施設を、二〇二〇年の十五から二〇二五年までに二十五施設とする目標を設定いたしまして、相手国の衛生条件に適合した施設の整備とその認定を進めてきてございます。

 施設の整備から輸出施設として認定を取得するまでにやはり複数年要するということから、現在のところ、新規認定にはまだ至っておりませんけれども、新たに二施設について、今年度中に整備が完了して、新たな認定取得を目指しているほか、一施設について、認定取得に向けた整備が進められてございます。

 引き続き、牛肉の輸出に意欲的な事業者や産地による施設整備を支援するとともに、厚生省と連携をして迅速な施設の認定を進めて、目標の実現に向けて支援をしていきたいというふうに考えてございます。

掘井委員 分かりました。

 今、厚労省との話がありましたけれども、やはり施設整備というのは非常に大事であると思いますので、もっと、待ちじゃなしに、積極的にやっていただきたいなと思っております。

 続いて、輸出事業計画の認定への支援についてであります。

 二〇二一年改正輸出促進法で、輸出事業計画の認定が認められております。農林水産省では、輸出拡大に向けて、この輸出事業計画書を策定することによる優遇措置として、生産から流通までのあらゆる面から支援策が講じられております。二十七事業の牛肉の輸出事業計画が公表されておりますけれども、認定事業者が掲げている輸出事業計画の輸出目標額を見ますと、全ての輸出事業者が認定を受けているわけではないんでしょうけれども、先ほどから言っておりますように、牛肉における輸出目標一千六百億円に数字的にはなかなか足りていない、そういうことであります。

 この輸出目標の達成に向けた輸出事業計画の認定に向けての支援、また、そこにある課題があれば教えていただきたいと思うんです。

渡邉政府参考人 お答えをいたします。

 既存の食肉処理施設が牛肉の対EU、対米国輸出に対応するためには、食肉処理施設を相手国の衛生条件に適合した施設に改修する必要があるということでございます。そのため、農林水産省では、これまでも、国産食肉の輸出拡大に必要不可欠な食肉処理施設の整備を支援をしてきてございます。

 補助事業を活用するに当たっては、整備後の施設で将来にわたって安定した輸出が行われる必要がありますので、その事業計画に、しっかり確実性の高い家畜の集荷計画ですとか食肉の販売計画、輸出額の成果目標などが含まれるということが大事だというふうに思ってございます。

 事業実施主体がしっかり意思決定をするということを前提に、これら事業計画の内容について、都道府県を含めて、関係者による十分な検討を行って支援をしていきたいというふうに考えてございます。

掘井委員 よろしくお願いしたいと思います。

 従来の食肉処理施設への支援についてということで質問したいと思うんですけれども、国内向けの食肉処理施設の主な担い手は、食肉センターなど、処理場を中心とした、市町村が設置者である従来からの施設があります。こういった従来からの食肉処理施設は、ただでさえ老朽化の問題がありますけれども、この際、インバウンドを起こす機会になるのではないかなと考えております。輸出施設としてイノベーションを起こす機会になるのではないかな、こんなふうに思っております。

 しかし、対米国、対EU輸出施設は、会社が設置者になっている施設がほとんどであります。従来からの食肉処理施設は、地場産業であって、地方創生のためにもっともっとそこに追いつくように頑張っていただきたい、そんなふうに思っております。

 まずは意思決定のスタートからだと思うんですけれども、施設整備も含め、意思決定が早い会社と、やはり追いついていかないという課題があると思うんですけれども、輸出認定施設の増加のために、やはりこういった施設に対して今後どういったことが期待できるのか、そしてどういった支援を行うべきなのか、この辺をお伺いしたいと思います。

渡邉政府参考人 お答えをいたします。

 輸出に取り組んで積極的に行われている施設、確かに民間のものが多うございます。そういったところが輸出に販路を見出していくというために、しっかり取り組んでいるということがございます。

 また、一方で、既存のこれまでやってきている施設、そういうところでも、輸出に取り組みたいという意欲は持っておられても、なかなか、施設については、既存の施設ですと改修にまた相当な費用がかかりますし、関係者の合意形成といったものも当然必要になってくるということでございます。

 そこは、私ども、意思決定についてはもちろん開設している主体の方でしていただく必要があるわけでございますが、必要に応じて相談に乗らせていただいたり、輸出の意欲があるということであれば、こういう改修なり、こういったものが必要になるというようなソフト面での支援も含めて、しっかり支援をしていきたいというふうに考えてございます。

掘井委員 ありがとうございます。

 時間がありませんので、最後に、やはり意思決定というのは当事者がしなければいけないんですけれども、計画書を出してくださいというだけじゃなしに、やはり輸出のスピード感を、食肉を輸出に向けてやっていくにはもっともっとスピード感が上がらなあかんと思いますし、やはり身内経営の意識を変えていく機会だと思うんですね。

 是非、農水省も積極的に予算も講じていただきたい、このように願います。

 ありがとうございます。

笹川委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 今日も、野村哲郎大臣には通告はございません。

 何か、そそらないんですよね。いろいろな大臣がいらっしゃいますが、例えばどうかな、河野太郎大臣とか、事務方じゃなくて河野さんに聞きたくなるんですよ。高市大臣もそうかな。

 最も閣内の中で、閣僚の中で、余り、もう大臣、いいわという、御答弁を、わざわざ労を取っていただく必要はないという二大大臣が、野村大臣と西村康稔大臣。まあ、いいんですけれども、それは。

 ただ、勝負デーは、ここは勝負だというときは大臣にまたお願いをして、ちょうちょうはっし議論をさせていただきたいと思います。その前段の議論はもう事務方で。

 事務方の皆さんに、いや、もう大臣はいいですよと言うと、ありがとうございますとか言ってね。ああ、済みません、やめておきましょう。やはり手間が、手間じゃない、もうやめておきましょう。要らぬことを言うとまた怒られるので。

 基本法の話をさせてください。

 まず、基本法検証部会ですね。審議会の基本法検証部会の進捗と今後の予定をまずお教えください。

角田大臣政務官 食料・農業・農村基本法の見直しに当たっては、食料・農業・農村政策審議会に諮問を行い、昨年十月以降、これまで十三回、基本法検証部会が開催されており、野村大臣以下、私も含め政務二役もできるだけ参加して、議論を積み重ねてきているところでございます。

 基本法検証部会では、例えば、食料分野では、平時から国民一人一人の食料安全保障を確立する観点から、食品アクセスの改善や適切な価格の形成、国内市場が縮小する中で、農業、食品産業を海外市場も視野に入れたものへ転換することなどを推進するべきではないか。

 また、農業分野では、将来、より少数の農業者で食料供給を担う必要が生じると想定されるため、農地の集積、集約化に加えて、スマート農業や新品種の導入等を推進すべきではないか。

 また、農村分野では、農村人口の減少、高齢化が進む中で、農村への移住、関係人口の増加や、末端の用排水路等の保全管理の効率的な継続のための施策や、鳥獣害対策を推進すべきではないか。

 また、このほかにも、より環境負荷の低減に貢献する農業、食品産業への転換を目指していくべきではないかなどといった議論がなされているところです。

 こういった議論も踏まえつつ、引き続き、食料・農業・農村基本法の見直しに向けた検証を進め、本年六月を目途に政策の新たな展開方向を取りまとめてまいります。

足立委員 角田政務官、ありがとうございます。

 大臣も通告していませんけれども、いや、ここは俺にしゃべらせろというところは手を挙げていただいたら、全然構いません。

 六月に、何か、中間取りまとめなのかな、よく分からないけれども。とにかく、今おっしゃったように、方向性がまとまると。だから、もうすぐなんですよ。

 だから、これは二十年ぶりかなんかの基本法改正ですから、むちゃくちゃ日本の農政の未来を決める大切な議論が今行われているんだけれども、じゃ、国民的にこれが十分に理解され、また国民的に議論されて農政の未来が決まっていくみたいなことに、何か余りなっていないような気もします。それは独り農水省の問題じゃなくて、私たちの責任でもありますから、これはしっかり盛り上げていきたいと思いますし、しっかりと、六月にまとまってからでは、いや、もうまとまりましたということになるので、この委員会でもしっかり、私は基本法の話を一貫してやっていきたい、こう思います。

 さきの、いつだったかな、大臣所信質疑だったかな、食料安全保障の話を申し上げて、自給率、自給率ってみんな言うし、何か、国会議員の中には、政党の中には、自給率をとにかく上げるんだといって胸を張っている人たちが結構いるんですが、大臣も、そのときに御答弁くださったように、いや、それは、むちゃ言っても仕方がない、できないことはできないし、かつ、自給率といっても、輸入といっても、それは、中国みたいにいろいろ難しい国もあれば、アメリカとかカナダとか豪州とか、友好国、同盟国もあるわけですから、そういうこともちゃんと踏まえた戦略をしっかりと考えていただく。むやみに自給率という数字だけが何か独り歩きして議論されることについて、若干の苦言を申し上げました。

 その輸出と輸入なんですけれども、そのときも、ちょっと僕は、改めて、素人だからびっくりしたんですけれども、やはり日本って特殊な国なんですね。とにかく輸入が多い。実は、輸入が多いのはいろいろな国があるんです。ヨーロッパの国々でも輸入しています。でも、ヨーロッパの国々は、例えばアメリカもそうかな、輸入も多いけれども、輸出も多いんですよ。それが普通の国、普通の大国はそうあるべきだと思うんですが、日本は輸出が少ないという特殊な産業構造になっています。

 何でこんなことになっているのか、背景があれば背景、現状、それからその対応策みたいなことを御答弁いただきたいと思います。

水野政府参考人 お答えいたします。

 これまでは、国内の生産余剰分を輸出できる国だけに輸出するという傾向が否めませんでしたけれども、輸出を更に拡大していくためには、品質等に関する現地の要求をつかまえて、輸出先の規制や基準に合致させていく必要があると考えております。

 このため、マーケットインの発想で輸出にチャレンジする農林水産事業者を後押しし、政府一体として輸出の障害を克服するため、輸出拡大実行戦略を策定し、課題に対応してきたところでございます。

 農林水産省としては、二〇二五年、二兆円、二〇三〇年、五兆円の目標達成に向け、政府一体として輸出力の強化に取り組んでまいります。

足立委員 ありがとうございます。

 本当は、背景ももうちょっとおっしゃっていただきたかったんだけれども、まあ、それはいいや。

 戦後の食文化とか、高度成長で経済的に豊かになってきた。中国なんかもそういう傾向があって輸入が多いわけですけれども、だから、国内市場が大きいから、国内に安住してきたみたいなこともあったかと思います。

 私は、輸出は絶対ちゃんと、国土が狭いとか、あるいは、農地が十分に、ヨーロッパの農業大国、アメリカとかに比べると農地が少ないとか、いろいろな限界はあるんだけれども、それでも、もっともっと輸出はやっていくべきだという立場ですが、食料の輸出というのはそもそも何のためにやるんだと。

 実は、さっき盛り上がっていないと申し上げましたが、審議会の基本法検証部会の資料はたくさんネットに上がっています。私は全部読んでいます。よくまとめていただいていると思います。

 いろいろな論点とか審議会の部会の委員の意見とかが出ていますが、特に輸出に係るところの委員の意見が錯綜しているんですよ。いや、何か輸出なんかどうでもいいんじゃないかみたいな人もいたり、何かそんなことよりもみたいな意見があったり、いやいやいや、国内が縮小するんだから輸出は大事だとか、何か結構、ごめんなさい、国会議員だからちょっと偉そうなことを言いますけれども、ちょっとレベルが低いというか、ちょっと混乱をしているようにしか見えないんです。

 だから、やはり六月の取りまとめに向けて、輸出というのは何のために振興しているんだ。二十年来やってきている輸出振興ですが、特に、令和二年かな、一昨年に一兆円、二五年に二兆円、三〇年に五兆円かな、そういうなかなか立派な目標を立てているわけですから、これは何のためにやっているのか、ちょっと改めてお願いします。

水野政府参考人 お答えいたします。

 国内の食市場が減少する中で、今後大きく拡大すると見込まれる世界の食市場を、輸出に取り組んでいくことは、国内生産を維持拡大するために必要だと考えております。

 これは、輸出促進が、単に国内の生産余剰を海外に振り向けるということではなく、マーケットインの発想に基づいて、海外の新たな需要を取り込む形で生産を拡大していくことを目指しているためです。

 また、輸出の拡大は、農林漁業者の所得向上や地域経済の振興を図るものであり、農林水産業の維持拡大に資するものであると考えております。

 このように、平時において輸出促進を通じて生産を維持拡大することは、不測時において供給先を国内に振り向けることも可能である点を考えれば、食料安全保障の確保に重要な役割を果たすものだと考えております。

 このような輸出促進効果を踏まえて、政府全体としてしっかりと施策を進めていく考えでございます。

足立委員 大変いいと思います。賛成です。

 やはり、産業戦略としてその産業の維持拡大のため、そして安全保障のため、私もしっかり、今の御答弁でいいと思いますので、応援をしていきたい、こう思います。

 最後に、私の地元も実は中山間地がむちゃくちゃ多い。大阪の北端でして、いわゆる大阪府能勢町とか豊能町、それから茨木市、箕面市、池田市も北半分は山です。だから、多分、大阪、十九小選挙区ある中で、最もそういう中山間地を預かる選挙区の議員の一人である、こう思っていますが、その農村の未来ということを考えたときに、かつての人口の社会減に加えて、自然減が併せ持って進行していて、大変未来が見えないという御意見が、そういう状況にあります。

 いわゆる、例えば、この委員会にもいらっしゃる農業県の方々と、私みたいに大都市大阪の都市農業とか近郊農業を預かる、大分そこは同じ農業といっても違うように思うので、その辺をちょっと区別しながら、農村の未来をどう戦略的に考えておられるのか、御答弁ください。

青山政府参考人 お答えいたします。

 農村につきましては、農業者を含めました地域住民の生活の場で農業が営まれていることにより、食料の安定供給、多面的機能を発揮しているところでございます。

 こうした農村では、人口の減少、高齢化が都市部に先駆けて進行していることから、農業生産活動が持続的に営まれていくよう政策を推進していく必要がございます。

 このため、これまで、日本型直接支払制度による生産活動の下支え、多様な地域資源を活用して所得と雇用機会を確保する農山漁村発イノベーションの取組などを行うほか、委員から御指摘ございました大都市近郊の地域におきましては、大消費地に近いというメリットを生かしまして、身近にある農地を活用した農業体験の場の提供ですとか、新鮮な野菜、果物を供給するマルシェの開催など、地域条件に応じた施策を講じているところでございます。

 また一方で、農村の中でも中山間地域につきましては、人口減少、高齢化の進行が深刻さを増していることから、直接支払い等の取組に加えまして、農地保全や地域の暮らしを守る役割が期待される農村RMOの形成支援ですとか、地域ぐるみの話合いによって守るべき農地を明確にして、粗放的利用を含めた農地利用に必要な基盤整備等に取り組むための最適土地利用総合対策の推進、また、デジタル技術を活用した販売力の強化、生活支援等を行いますデジ活中山間地域の取組に対する支援を進めることとしております。

 引き続き、現場の状況に応じまして政策を推進していきたいと考えております。

足立委員 時間が来ましたので終わりますが、私、実は経産省にいたときに中小企業庁にいたことがありまして、商店街対策をやっていました。実は同じようなところがあって、例えば、所有と経営の分離。もちろん、皆様の世界でもそういうことをいろいろ、大規模化とか、中間機構とか、いろいろやっていらっしゃいますが、その所有と経営の分離みたいな手法をやはりしっかりと根づかせていくというか普及させていく、それがちゃんとワークするようにしていくことがもう一つ大事であるとちょっと思っていまして、ちょっと通告、一問、今質問できませんでしたが、そういうことも含めて、また引き続き討論をさせていただきたいと思います。

 今日はありがとうございました。

笹川委員長 次に、長友慎治君。

長友委員 国民民主党の長友慎治です。

 野村大臣、G7宮崎農相会合、大変お疲れさまでございました。

 私も、金曜日の夜の歓迎レセプションに参加させていただきまして、そのレセプションの乾杯ドリンクに、私の地元の千徳酒造の発泡清酒「はじまり」が採用されておりまして、大変うれしく思いました。

 それ以外にも、宮崎県の最古の酒蔵が日之影町という中山間地域にあります。そこで、創業百九十二年の姫泉酒造、そこの七代目の当主の姫野社長も、自ら地元の焼酎をアピールさせていただいておりましたし、クラフトビール世界一に輝きました、ひでじビールというメーカーのクラフトビールがあるんですけれども、そこの自慢の「栗黒」も振る舞われておりました。これも、行縢山という山の麓にブルワリーがあるところでございます。

 また、観光地としても有名ですけれども、高千穂町、そこで杉本商店という、原木シイタケをオーガニックで海外に輸出し、また、これも農福連携で生産をされている杉本商店さんのシイタケも、レセプションの料理の中で提供されていた。

 このように御紹介させていただきましたけれども、私が今触れたもの、全部中山間地域で作られたものばかりでございます。千徳酒造さんの日本酒の米も高千穂のお米から造っておりますし、この仕込み水に関しても高千穂を源流とする五ケ瀬川の伏流水を使用しておりますので、改めて、我が地元の中山間地域のポテンシャルの高さというか、恵みの豊かさを実感をさせていただきました。

 日本の国土の七割を中山間地域が占める中で、山合いで営む農業をどう守り、活性化するかが問われていると私は常々思っております。特に、先ほども触れましたけれども、私の地元宮崎県は、県土の約九割が中山間地域になります。豊かな自然や伝統文化など貴重な地域資源を有するとともに、約四割の県民が暮らす生活の場でもあります。また、森林整備や農業生産活動等を通じた県土の保全、それから水源の涵養、食料の供給といった多面的機能に加えまして、観光や余暇活動による心身の健康や心の安らぎの提供など、中山間地域ならではの魅力を有しており、今、私たち県民にとっての暮らしには欠かすことのできない役割を果たしています。

 つまり、中山間地域は、私たちにとって、宮崎だけに限らず、日本人にとって貴重な財産だというふうに思うわけでございます。その貴重な財産である中山間地域を次世代に引き継ぐために、中山間地域の理解を深め、みんなで盛り上げていかなければならないということを改めて考えさせていただきました。

 そこで、今日、御提案なんですけれども、海外には、アグロフォレストリーという言葉がございます。農業のアグリカルチャーと林業のフォレストリー、これを組み合わせた造語になりますが、樹木を植え、森を管理しながら、その間の土地で農作物を栽培したり、家畜を飼ったりすることを指す。森を伐採しないまま農業を行うことが特徴で、農業と林業を両立させるこの考えは、世界中から評価され、森林農業とも呼ばれています。

 ただ、農林水産省の資料やホームページなどでは、この森林農業という言葉は出てきません。農水省としまして、アグロフォレストリーをどう評価しているのか、また、今後、日本の中山間地域で取り組む予定はあるのかにつきまして伺いたいと思います。

角田大臣政務官 アグロフォレストリーは、食料やまきの確保等による森林の劣化、減少を防ぐため、食料の生産と森林保護の両立等を目的として、同じ土地で樹木と農作物、家畜とを組み合わせて生産する土地利用法で、途上国などの地域において取り組まれているものと認識をしております。

 一方、我が国の中山間地域では、食料の供給基地として重要な地域であり、日本型直接支払制度による生産活動の下支えのほか、最適土地利用総合対策による粗放的利用を含めた林地化や農地保全の取組の推進、さらに、農山漁村振興交付金において、中山間地域の特性を生かした多様な複合経営の推進などにより支援を行っているところです。

 いずれにしましても、今後とも、中山間地域等において農林業等の生産活動が継続的に行われるよう、地域の要望も聞きながら、支援をしてまいります。

長友委員 そもそも、このアグロフォレストリーが元々熱帯地方などの広い平野部で行われているということから、中山間地域にはそぐわないという見方もあるんだろうなということは分かるんですけれども、私の地元に日之影町というやはり中山間地域の町がありまして、そこでは、低コストで手間もかからない畜産として牛を放牧する飼育方法が注目を集めています。

 牛の放牧、飼育に十六年前から取り組んでいる方がいらっしゃいまして、岩田さんという方なんですけれども、山の斜面に造った牧草地で、九・七ヘクタールに十八頭の牛を放牧しまして、主に植え付けた牧草や自生する草を食べさせて飼育をしている。放牧は、牛のしつけとか土地の整備ができれば、餌代が減り、飼育の手間も省けるとして注目を集めています。

 この岩田さんのところに研修に来たり、放牧の方法を習いに来る方が定期的にいるということで、宮崎県内のおよそ五千二百戸の肉用牛の農家のうちの九十九戸が、今この放牧飼育を取り入れているという状況がございます。ある繁殖農家さんに話を聞きましたら、奥さんとお茶の栽培を斜面でやっていましたけれども、そこを、茶畑を放牧地にして、それから放牧飼育をやってみようという方もいらっしゃいました。

 実際に放牧する畜産をアニマルウェルフェア、動物福祉やSDGsにつながる畜産の形だというふうにも言えますので、このアグロフォレストリーが確かに日本の傾斜地になかなかなじんでいくかも分からないというのはあるかもしれませんが、全くそのままやれというわけじゃありませんので、日本の環境に沿った形で、中山間地域の皆様が新しい可能性にチャレンジしやすい日本版アグロフォレストリーを模索して、モデル地区になっていけるような予算づけであったりとか後押しなどは是非検討をしていただきたいというふうに思います。

 中山間地域の農業を営む場合なんですけれども、平野部と比べて経済面で不利であるということももちろん皆様御存じだというふうに思いますが、二〇二〇年に販売額が五百万円以上の階層が、平地では、経営体の二七%と高かった中で、特にここ十年で七%増えている。一方、中山間地域では同一六%と、平地と比べると一〇ポイント以上の開きがあるという実態がございます。

 この差を解消する方法がやはり必要じゃないか。平野部と中山間地域とのいわゆる稼げる力の差を埋めていく、ギャップを埋めていく。そうしなければ、中山間地で農業を営む方が減ってしまいます。

 そのために、例えばなんですが、国連やEUが取り組む山地ラベルというものがございます。この認証ラベルをつけて、再生可能な価格で販売できる。消費者の理解を促して、応援消費を促すということを日本でも取り組んではどうかと考えております。この日本版山地ラベルの導入というものは、農水省として検討したことはあるのかどうか、伺います。

青山政府参考人 お答えいたします。

 委員御提案のEU等で導入されております山地ラベル認証制度は、標高が高く、営農条件が不利なことから、コストが高くなり、価格も高い、そうした山地で生産された農産物等に認証ラベルを付しまして、消費者の理解の下、購入してもらうことで山地の農業者を支援する制度と認識をしております。

 我が国におきましては、こうした制度は行っておりませんけれども、中山間地域は、傾斜があることで、大区画化や機械化が困難など、営農条件の不利性があることから、中山間地域直接支払い制度による営農の下支え、中山間地農業ルネッサンス事業による地域の特色を生かした取組への優先採択等の支援を行っているところでございます。

 これに加えまして、今、委員がおっしゃいましたラベルと似たような話になりますけれども、山村活性化対策におきまして、展示商談会で各山村地域の商品を山の恵みをキーワードとして出品していただきまして、消費者やバイヤーに山村の魅力を発信し、理解、共感を呼び起こす応援消費を促進する取組を行っているところでございます。

 今後も、こうした消費者等の共感を呼ぶ取組を広げるとともに、中山間地域に対する施策を着実に推進しまして、中山間地域の農業や暮らしをしっかりと支えていきたいと考えております。

長友委員 ありがとうございます。

 農水省としても応援消費の後押しをしていただけるということではございますけれども、私も冒頭、中山間地域の理解を深めて、みんなで中山間地域を盛り上げていくということが必要だと申し上げさせていただいております。

 中山間地域の生産基盤は、急速に弱体化が進んでいるという状況です。中山間地域を応援する機運を高めていく必要があるという認識が一緒、共通しているということであれば安心なんですけれども、中山間地域で離農する農家が増えれば、農家が存在しない集落が出現していくということになります。里山の危機は都市の危機ということにつながってまいりますので、持続可能な農業の実現で、日本版山地ラベルの導入等をまた御検討いただきたいなというふうに思っております。

 次の質問に移ります。

 外国人の技能実習制度や特定技能制度の在り方を検討をしてきた政府の有識者会議が、中間報告書のたたき台を示しました。外国人の育成と国際貢献が目的だった技能実習制度を廃止若しくは見直しまして、人材の確保と育成を目的に掲げる新制度の創設が検討されているというふうに聞いています。

 その中で、特定技能二号の対象が現在の二分野から十一分野に拡大される方針だ、その中に新たに農業が加わるというふうに聞いています。

 そこで、質問なんですけれども、農業だけじゃなく、林業分野、又は木材・木製品製造分野も追加されるのかどうかにつきまして、伺います。

織田政府参考人 お答えいたします。

 我が国におきましては、少子高齢化が進む中で、林業・木材産業の成長産業化を進めますためには、労働力を確保することが非常に重要と認識をしております。

 こうした中、昨年八月、林業・木材産業関係団体によりまして、外国人材に関しまして、技能実習二号の対象職種に加えまして、特定技能制度への林業・木材産業分野の追加が要望をされたところでございます。

 このため、林野庁といたしましては、特定技能制度への林業・木材産業の追加に必要な外国人材の確保に関するニーズの調査ですとか、評価試験として活用可能な技能検定の整備、こういったものへの支援等を行っているところでございまして、引き続き、関係団体、関係省庁とも連携を図りながら、特定技能制度の対象分野への追加に向けた検討を進めていきたいというふうに考えているところでございます。

長友委員 検討をしていただけるということなんですけれども、そもそもが特定技能制度一号の対象にもなっていない。この点について、なぜなのかということを教えていただけますでしょうか。

織田政府参考人 お答えいたします。

 平成三十年の特定技能制度の創設の際に、林業、木材産業に関しましては、関係団体において、一つは、外国人材の受入れについて、言葉の壁もある中で、安全の確保等の懸念から積極的な動きが見られなかったということ、そして、林業、木材産業とも、まだ技能実習二号の対象職種になっていないということで、まずは技能実習二号の対象職種への追加について議論されていたということなどから、特定技能制度の対象分野に追加することを求める業界全体としての要望がなかったということで、対象としていないという状況でございます。

長友委員 現場からは、一年しか受け入れられないとなると、結局、教えたときには帰ってしまう、しかも、林業は大変危ない職種ですから、正直、言葉は悪いですけれども、使い物にならないという言葉が現に寄せられておりますので、そういう点をちゃんと踏まえていただいて、是非前向きに検討していただきたいと思います。

 以上で質問を終わります。

笹川委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 農薬の安全性確認について質問をします。

 二〇一八年の農薬取締法の改正により、昨年より農薬の再評価が開始しています。農水省の説明では、これまで三年ごとの形式的再登録だったけれども、今後、定期的に科学的なリスク評価をすることで、一層、安全かつ適正な使用を確保するとされています。農薬のリスク評価の科学性を担保するのがこれまで使われてこなかった学術論文、つまり、公表文献です。

 公表文献の収集、選択等のためのガイドラインでは、公表文献の研究結果は、毒性や人への影響のメカニズムなど、安全性評価を行う際の有益な情報となり得ることから、評価を最新の科学的知見に基づき実施するために重要であるとされております。

 資料をお配りしています。

 農薬の登録、農薬再評価に関わる府省庁の関係の図であります。

 ここで、お伺いします。

 農薬の登録に当たって、公表文献というのは、誰が集めて、どこに提出するんですか。説明してください。

森政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の、農薬の再評価の際のリスク評価において取り扱います公表文献につきましては、農業資材審議会農薬分科会で審議の上、その収集、選択の手順を明確化をしましたガイドラインが定まっているところでございます。

 具体的には、査読プロセスのある学術ジャーナル掲載論文を対象に、広範なキーワードを用いた文献検索を行い、評価目的との適合性や結果の信頼性を評価しなければならないということにしておるところでございます。

 さらに、この過程で選択された文献に加え、欧米等のリスク評価機関の評価書で引用されている文献も収集の対象となっているところでございます。

 この文献収集につきましては、個別の農薬の審査に当たって、まずは当該農薬の製造等を行う者として、その製品の安全性について一義的に責任を持つ立場にある農薬メーカーに対しまして、このガイドラインに従って関係する公表文献を収集、選択の上、農林水産省に提出することを求めているという仕組みでございます。

田村(貴)委員 なぜ農薬製造企業が収集するんですか。安全性の評価、リスク判断の基礎となる学術論文を審査される側が集めれば、利益相反となりはしませんか。公表文献は、公正、適切に収集、評価されるのでしょうか。農薬製造者、農薬輸入者に不利な文献が削除されることはないのですか。

森政府参考人 お答えいたします。

 先ほど御答弁申し上げましたとおり、文献の収集、選択に当たっては、手順を明確にしたガイドラインが定められておりまして、まずは当該農薬の製造を行う者として、製品の安全性について一義的に責任を持つ立場の農薬メーカーがこのガイドラインに従って収集、選択の上、提出をするという仕組みでございます。

 その上で、農林水産省は、このガイドラインに従って公表文献が適切に収集、選択されたかを確認し、必要な場合には追加等の指示を行っているところでございます。

 さらに、食品安全委員会等のリスク評価機関が追加の公表文献等が必要と判断する場合には、求めに応じ、追加情報を提出させるということになっております。

 これらの措置によりまして、公表文献の使用に関する一貫性、透明性を確保するということでございまして、評価に重要な文献は網羅されるものと考えております。

 また、こうした仕組みにつきましては、海外では、例えばEUでも取られているというふうに承知しております。

田村(貴)委員 評価に重要な文献が網羅されていないんです。事実、そうなっていません。公開された公表文献の報告書、資料を見たところ、企業に不都合な文献が削除されています。

 例えば、住友化学が作成したネオニコチノイド系クロチアニジンの報告書です。

 ガイドラインに沿って学術文献データベースをクロチアニジン又は農薬製剤名のダントツで検索すると、千百三十九報、これがヒットします。

 ところが、報告書では、適合しない文献四百四十七報を削除して、六百九十七報が残るとしています。残った六百九十七報については文献情報と評価内容が記載されていますが、削除された四百四十七報については情報の記載がありません。つまり、削除の理由がないわけなんです。

 ネオニコチノイド系の研究者で医学博士の木村・黒田純子さんが調査したところ、毒性に関連した星信彦神戸大学教授の論文十編のうち六編の情報が削除されていました。これは農水省、御存じですか。

 削除された星教授の六論文のうち四報は、クロチアニジン投与後の行動試験や、発達神経毒性、そして生殖系への影響などを調べたもので、多くが無毒性量、すなわち農薬の無毒試験で有害性が観察されない投与量、この中で異常が起こっており、再評価に必要な内容が含まれています。これは重要論文であります。

 また、もう二つの研究では、クロチアニジンが鳥類の生態系に悪影響を及ぼして、日本のトキやコウノトリの繁殖を妨げていることも示しています。示唆しています。これも削除されています。

 農水省にお伺いしますけれども、明らかに評価目的に適合する文献が削除されています。これは重大でありますよ。この事実を知っていますか。このまま見過ごしますか。いかがですか。

森政府参考人 御指摘の個別の農薬の件につきましては、御通告いただいておりませんのでお答えすることは困難でございますが、まず、制度として、御答弁させていただきますと、御指摘のとおり、ガイドラインにおきましては、検索して得られた公表文献の中から、文献の表題や概要に基づいて、明らかに評価の目的と適合しない文献については、適合性や信頼性の分類作業から除外することを認めているという仕組みでございます。

 具体的には、政策、社会、経済分析に関する論文、農産物の生産、流通に関する論文、分析法やその開発に関する論文など、十五の類型を示して、これらに該当する文献については報告を不要とするということで、いわゆる主観が入る余地はないと考えているところでございます。

 さらに、先ほど申し上げましたとおり、欧米等のリスク評価機関の評価書で引用されている文献については別途収集の対象としておりますし、評価に重要な文献、社会的に関心の高い文献が報告されない場合には農水省からの指摘も可能でございますので、現行の仕組みでの、表題や概要に基づく選抜によりまして、評価に重要な文献が除外されることもないというふうに考えているところでございます。

 さらに、例えば、グリホサートの、今ネオニコでございましたが、ネオニコチノイド農薬につきましては、例えば、公表文献報告書につきまして九千を超える文献が検索で該当いたしますが、こうした中で、該当した文献全てについて除外理由などを含めて提出をさせるということにつきましては、なかなか、評価に直接関連のない情報を報告書に含めることとなり、現実的、合理的ではないと考えております。

 ただ、これまで既に十七成分について再評価の諮問を行います中で、公表文献の収集、選択の実例も蓄積されておりますので、その経験を踏まえ、現在、ガイドラインの検証を行っているところでございます。例えば、より広範な文献収集を行う観点から、検索対象とする学術ジャーナルの分野の拡充などを検討しているところでございます。

田村(貴)委員 質問していることに答えてくださいよ。

 あなたは、クロチアニジンのことを知っているのかと聞いているんですよ。そして、農水省はちゃんと検証すると言っているんじゃないですか。その中でこれが見つかっていないから、こういう事態が起こっているんじゃないですか。明らかに評価目的に適合する文献が削除されているんですよ。

 大臣、ここからちょっと聞いてください。

 農水省の公表文献の収集、選択等のガイドライン、先ほど言われたシステマチックレビューの枠組み、これを資料としてお配りしています。こういう段階を経て文献を収集するんですけれども、一の段階では、これはもう単なる検索ですから全部ヒットします。二、三の段階で、農薬製造企業がここで自分たちで取捨選択するわけなんですよ。この中で必要な文献が漏れているわけなんですよ。製造会社にとってみたら、自社に不利な論文は出したくないはずであります。だから、こういうことが起こるんです。二、三の過程で農薬製造業者が行った取捨選択について、それが適切だったかどうかについて、農水省あるいは農業資材審議会はちゃんと検証すべきなんです。それをやらないと駄目なんですよ。

 大臣、この農薬取締法の改正というのは、三年置きに形式的な書類審査だけだったものを、最新の研究成果を取り入れて実質的な再審査ができるように法改正したんですよね。ところが、客観評価ができないのであれば、これは意味がないじゃありませんか。私は、事実を申し上げているんですよ。

 今回の審査が終わったら、次の再評価はいつですか。十五年後ですよ。十五年間危険な農薬がまかり通ってしまったら、これは大変なことになります。国民の命、健康、そして自然環境の維持に関わることなんですよ。もうちょっと真剣に捉えていただけませんか。私は、事実を述べているんです。

 大臣にお伺いします。

 再評価を受ける当事者、農薬製造企業が公表文献の収集、選択を行うのではなくて、利益相反のない、専門知識を持った第三者によって構成される委員会などを設置して、公表文献の収集、そして選択等を行うべきではありませんか。そして、その過程及び結果の全てを公開するように、ガイドラインを改正すべきではありませんか。ガイドラインの見直しはこういうことをやらなければいけないということを言っているんですけれども、大臣、いかがですか。

野村国務大臣 お答えを申し上げたいと思いますが、先ほど来お話がありましたように、全ての農薬の再評価制度というのは、前回の法改正におきましてこういった形になったわけでありますが、委員おっしゃっておられます再評価に必要な資料については、農薬の安全性について一義的に責任を持つ立場から農薬メーカーに提出をさせているということは御理解いただいていると思いますが、農林水産省がその内容を確認するという仕組みが適切に私は機能しているというふうに考えます。

 ただ、委員御提案の、第三者委員会による公表文献の収集や、公表文献の収集、選択等の経過を全て公表するという点につきましては、検索に該当する文献の量からしても、ちょっと難しいのではないかなというふうに考えております。

 他方、先ほど事務方から答弁しましたとおり、これまでの公表文献の収集、選択の実例の積み重ねも踏まえ、現在、ガイドラインの検証が行われておりますので、今後とも、事務方にしっかりと検討させたいと思っております。

田村(貴)委員 ガイドラインを見直してください。

 バイエル・クロップサイエンスが集めてきたイミダクロプリド、この農薬成分についての論文でも肝腎な学術文献が排除されています。ちょっと詳しく言う時間がありません。

 大臣、続けて、これを聞いてください。

 先ほどの星信彦教授の論文が削除されていた件なんですね。森局長も既に御存じでしょう、報道もされているので。奥原正明元農水省事務次官がこのことを聞いたんですよ。苦笑いされているけれども。聞いたんですよ。そして、奥原さんはこういうふうに述べているんですよ。ゆゆしき問題、これでは制度を変えた意味がない、行政に自ら調べる意思がない。あなた方はこういうふうに言われているんですよ、元事務次官から。審議会、委員会の学者に資料を全部見てもらい、消費者も交えてリスクコミュニケーションをするべきだと毎日新聞で報道されています。御存じのはずなんですよ。

 大臣、行政に調べる意思がないと元事務次官から指摘を受けている、リスクコミュニケーションを取るべきだと指摘されている。少なくとも、システマチックレビューの経緯と経過、これをやはり調べ直さないといけないんじゃないですか、ここから始めないといけないんじゃないですか。いかがですか。

野村国務大臣 最新の科学的知見に基づき安全性を評価することが何よりも重要だというふうに思いますので、通常要求する試験成績だけでなく、委員御指摘のとおり、公表文献の収集にもしっかりと取り組むべきものと考えているところでございます。

 また、現在、再評価に必要な資料については、当該農薬の安全性について一義的に責任を持つ立場の農薬メーカーに提出させ、農林水産省がその内容を確認するという仕組みが適切に私は機能しているのではないか、こんなふうには思いますけれども、今委員からのいろいろな御指摘がありました、また、先輩の次官からの話もあるわけですが、詳しく聞いておりませんでしたので、またの機会にでもちょっと検討させていただきたいと思います。

田村(貴)委員 公表文献が農薬の安全性の確認にきちんと位置づけられること、これを求めて、今日の質問を終わります。

笹川委員長 次に、仁木博文君。

仁木委員 有志の会の仁木博文と申します。今日もよろしくお願いします。

 まず、野村大臣、この間、私は、比較的耕作面積が小さい、西日本とかの、お米を先祖代々受け継いだ土地で作っている、そういう農家のことの実態をこの間ずっと、予算委員会分科会も含めて議論してまいりました。

 今日は、お手元に、耕作放棄地の実態ということで、私が住んでいる徳島県阿南市の一地域の状況をお見せしておりますけれども、大臣、この資料をお持ちでしょうか。

 これは、上から、耕作放棄がなされて一年とか二、三年、そして、三年ぐらいたつと写真の3のようになっていき、また、挙げ句の果てには小木が生い茂るような状態になっていくというような現象が起こっていまして、私は、いわゆる、大臣、中山間地域の農地というよりは、こういった調整区域内農地において、比較的住宅があって、こういった農地において、こういう現象がもう散在するような地方になるのではないかということを非常に憂えておりまして、まず、これは政府参考人でもいいんですけれども、ちなみに、こういう写真3のようになった場合の農地は今後どのようになっていくのでしょうか。お願いします。

青山政府参考人 お答えいたします。

 写真3の農地の御指摘ですけれども、状況を見ないとなかなか確たることは言えないと思いますが、基盤整備等を通じて耕作条件を改善するような事業もございますので、そうした農地が条件的によいということであれば、更に基盤整備を行って、耕作者の方に耕作していただけるように整備することもあるというふうに認識をしております。

仁木委員 所有者が耕作していただくようにということでございますが、今、地方は、少子高齢化の波が、非常に都会に比べても先行しておりまして、いわゆる耕作、実際に農業に従事する主体がいないような実態が結果としてこのようになっています。

 この写真1から始まって3に推移する経緯は、様々な理由があると思いますが、とどのつまりは、やはりお米だけではもうからない、それがまず一番にあると思いますし、大臣はそのことを踏まえた上で、私が、この委員会あるいは予算委員会分科会で質問した際には、やはり収益を高めるためには転作しかないのではないかというようなこともおっしゃいましたし、農地をほかの側面で利活用していただく、農地バンクの活用のこともおっしゃっていただきました。

 ただ、実態として、このようなこと、今いろいろ当事者にも伺ってみると、やはりコスト、このところの資材高騰でありますとか、コストが要ります。この辺の地域は、比較的3のようなところですと、鳥獣被害、鹿とか猿の被害も非常に多いということで、そういった鳥獣対策に対するコスト。これもなかなか合わないということですね。

 反収が十万ない、こういったお米づくりを細々と真面目にやってきている農家の方々が、そのことを断念せざるを得ない事態に陥っている。こういう認識は大臣はお持ちでございますが、こういった状態にならないことを、改めて、大臣、転作だけで都道府県の方のそういった所管の、例えば農業関係者、県の職員であるとか農業委員とか、それぞれの地域の方々にお任せするというようなこともおっしゃっていただきますけれども。

 大臣、このことに対してやはり国として本当にしっかりと認識していかないと、地方はこういう事態になって、例えば、2とかでもそうなんですけれども、この周辺でお米を頑張って作っている農家の人にすれば、農薬の使用量とか増えますよね、出荷の際の等級が落ちるとまた収益が下がっていきます。

 大臣、こういう実態を踏まえて、まず御感想と、改めて、転作といいますけれども、具体的にどういうふうなお考えをお持ちなのかということを、改めてこの委員会で御答弁いただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

野村国務大臣 お答え申し上げたいと思いますが、私の地域にもやはり似たようなところがございます。ですから、そういう意味では、これは各地でも同じような、委員のところと同じような現象が出てきているんだろうと思うんです。

 ただ、限られたやはり農地ですから、じゃ、この農地をこのまま荒らしていいのかというのは、これはもちろん国も考えていかなきゃならない、県、市町村も考えていかなきゃなりませんが、それよりももっと、一番環境が悪化しているのはここの地域の皆さんですから、今、三月から始まりました人・農地プランで、ここをどうするかというのは集落でよくよく考えていただきたいと思うんです。

 ですから、その活用につきましても、あるいはここに植え付ける作目についても、こういう使い方をすればいいだろう、あるいはこういうふうにすればいいんじゃないかという、やはり議論をしていただかないと、上からこうしろああしろということは、なかなか難しいというふうに思います。

 ただ、私は、自分でも体験がありますけれども、私のところも、中山間地の、本当に荒らせばそのままになって、このような形になるような農地でしたけれども、やはり集落のリーダーが、ここはこのままでは全て耕作放棄地になっちゃうぞということから、一枚にまとめられまして、今、隣の集落の方が全部これを耕していただいております。

 やはり、そこをどうするかというのは、集落の皆さん方の環境にも関する問題ですが、人・農地プランでどうするかというところを、是非、青写真を作っていただきたいと思っております。

仁木委員 ありがとうございます。

 人・農地プランに基づいて、こういう状態にならないようにワークする。今がもう限界点に来ているかもしれません。

 ですから、こういうのを超えてしまうと、同志である有志の会の北神議員もほかの場面で質問しましたが、こういった農地を、これを見てください、1番。これは調整区域内農地ということで、圃場整備もちょっとしたんですね。こういった、ある程度集約できるようなプラットフォームになりつつあるところを、場合によったら、外国企業が、外国人が購入してそこでお米を作ったりするかもしれない。食料を作ったりするかもしれない。そういった外国人からお米を買うような日本では困るわけですよね。食料安全保障、水のことも山のことも私は申しましたけれども。そういうことを踏まえて、早めに人・農地プランがワークするような段階でやはり推進を、PRを含めて現地への周知徹底、啓発を改めてお願いしたいと思います。

 残りの時間で、ちょっと漁業のことで申し上げますけれども、今、私の選挙区においても、やはり漁業従事者、新規の就業をされる方も減ったりしまして、やはり経営が厳しい状況があります。

 その中で、やはりよく聞くのが、漁に出ても魚が捕れない、地球温暖化に伴って海水温も上昇していまして、従来捕れていたはずの海産物、いわゆる水産資源が捕れないということがあります。これは、今通告しておりましたけれども、こういった対策として何かお持ちでありましたら、ちょっと改めてお答えいただきたいと思います。

安東政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、海洋環境の変化等によりまして、魚種の分布なり捕れる量がかなり大きく変わってきております。

 従来より、水産業の競争力を高めるための施策をいろいろやってきておりますけれども、こうした大きな状況に対応して更にどのようなことが必要かということで、今、水産庁の方で在り方の検討会をやっております。この検討会、五月には取りまとめをしたいなと思っておりますので、また、その取りまとめも踏まえまして、いろいろな施策を講じていきたいと考えております。

仁木委員 一次産業の疲弊というのは、やはり、もうからない、あるいは格好悪いというか、ですから、逆に、もうかる、格好いいという一次産業にするべきですけれども、農業従事者でもそうであったように、やはり今までやっている日々のルーティンワークを、なかなか、そこから変えて、新しい取組というのができない、そういう特殊性がこの一次産業の従事者にはあると思います。

 そういう意味で、漁師の方々におかれましても、例えばブルーカーボン、海のCO2を吸収、固定するようなことの栽培とか、あるいは、さっき申し上げた、海産物を含めた水産物の調査とか、そういった新たな収益、収入が漁師にももたらされるような政策も、これから、大臣、総合的に考えていただきたいと思います。そのことが、地方の漁村あるいは農村を守っていく、農林水産省を所管されている大臣の果たす役割だと思いますけれども、大臣、時間が来ましたので、最後に、今日は漁業従事者のことも言いましたけれども、そういったことに対しての私の質問に対してお答えいただきたいと思います。

笹川委員長 簡潔にお願いいたします。

野村国務大臣 今、仁木委員の方からありました。

 確かに、漁業をめぐる状況というのは非常に厳しくなりつつあるなということは、もう私も肌身で感じておりますが、いずれにしましても、水産業を成長産業化して維持発展させていくためには、若い世代を中心に、将来にわたり、我が国の水産業を支える人材の漁業への就業を促していくということが大変必要になってくるんだろうと思っております。

 今、新規の就農者というのが千七百人ぐらいなんだそうですが、しかしながら、近年、ほとんどこの千七百人が変わっておりませんので、そういう意味では定着していってくれるんじゃないかなと思うんですが、やはり農業もそうでありますけれども、後を担う人たちが入ってくれないとなかなか発展性はない、こう思いますので、頑張ってまいりたいと思っています。

仁木委員 時間が参りました。

 大臣、ありがとうございました。

 皆さん、どうもありがとうございました。失礼します。

     ――――◇―――――

笹川委員長 次に、内閣提出、漁港漁場整備法及び水産業協同組合法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。農林水産大臣野村哲郎君。

    ―――――――――――――

 漁港漁場整備法及び水産業協同組合法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

野村国務大臣 漁港漁場整備法及び水産業協同組合法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。

 我が国の水産業は、国民への水産物の安定供給を担い、漁村において雇用を生み出すなど地域の産業として重要な役割を果たしていますが、近年、国内の水産物消費の大幅な減少、主要魚種の不漁等の厳しい状況に直面しており、水産物の消費喚起や輸出促進を図るとともに、都市と漁村の交流を促進し、水産業に関する国民の理解醸成や漁村の活性化を図ることが急務となっております。

 このため、漁業の根拠地である漁港について、その有する価値や魅力を生かし、水産物の消費増進や交流促進に寄与する海業の取組を、漁業利用との調和を図りつつ推進する制度を創設するとともに、養殖の推進、水産物の輸出促進等に資する衛生管理の高度化、販売機能の強化等の課題に対応できるよう、漁港施設の追加等の措置を講ずることとし、この法律案を提出した次第であります。

 次に、この法律案の主要な内容につきまして、御説明申し上げます。

 第一に、漁港漁場整備法の一部改正についてであります。

 まず、漁港施設等活用事業制度の創設についてであります。

 漁港漁場整備法の目的に漁港の活用を促進することを追加し、法律名を漁港及び漁場の整備等に関する法律に改めることとしております。

 また、漁業管理者は、漁業者からの意見聴取など、関係者との調整を経て、漁港の漁業上の利用の確保に配慮しつつ、漁港施設や漁港の区域内の水域等を有効活用することにより水産物の消費増進や交流促進に寄与する漁港施設等活用事業の推進に関する計画を策定できることとしております。

 さらに、漁港管理者の認定を受けて漁港施設等活用事業を実施する者に対し、事業が安定的に実施できるよう、行政財産である漁港施設用地等の貸付け、水面等の長期占用、漁業水面施設運営権の設定を可能とすることとしております。

 次に、漁港施設の追加等についてであります。

 漁港の機能を構成する漁港施設について、養殖の推進、水産物の付加価値向上などの課題に対応していくため、陸上養殖施設、配送用作業施設、仲卸施設、直売等を追加することとしております。

 このほか、漁港内の漂流物の除去など漁港の維持管理に寄与する活動を行う団体を指定する制度の創設や、漁港の区域内にない施設を漁港施設とみなすための手続の簡素化等の措置を講ずることとしております。

 第二に、水産業協同組合法の一部改正についてであります。

 漁業協同組合等が、漁港管理者の認定を受けて漁港施設等活用事業を実施する場合には、組合員の労働力を活用する漁場利用事業に係る員外利用制限を適用しないこととしております。

 以上が、この法律案の提案の理由及び主要な内容であります。

 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。

 よろしくお願いいたします。

笹川委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る五月十日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十三分散会


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