第8号 令和5年5月10日(水曜日)
令和五年五月十日(水曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 笹川 博義君
理事 あべ 俊子君 理事 武部 新君
理事 若林 健太君 理事 渡辺 孝一君
理事 近藤 和也君 理事 緑川 貴士君
理事 足立 康史君 理事 庄子 賢一君
東 国幹君 五十嵐 清君
伊東 良孝君 泉田 裕彦君
上田 英俊君 江藤 拓君
大野敬太郎君 加藤 竜祥君
神田 潤一君 小寺 裕雄君
小森 卓郎君 坂本 哲志君
高鳥 修一君 西野 太亮君
平沼正二郎君 細田 健一君
宮路 拓馬君 宮下 一郎君
保岡 宏武君 山口 晋君
吉田 真次君 梅谷 守君
金子 恵美君 神谷 裕君
小山 展弘君 佐藤 公治君
山田 勝彦君 渡辺 創君
池畑浩太朗君 掘井 健智君
稲津 久君 角田 秀穂君
長友 慎治君 田村 貴昭君
北神 圭朗君 仁木 博文君
…………………………………
農林水産大臣 野村 哲郎君
文部科学副大臣 簗 和生君
農林水産副大臣 野中 厚君
農林水産大臣政務官 角田 秀穂君
政府参考人
(文部科学省総合教育政策局社会教育振興総括官) 森友 浩史君
政府参考人
(農林水産省大臣官房総括審議官) 高橋 孝雄君
政府参考人
(農林水産省大臣官房危機管理・政策立案総括審議官) 前島 明成君
政府参考人
(農林水産省農産局長) 平形 雄策君
政府参考人
(農林水産省経営局長) 村井 正親君
政府参考人
(水産庁長官) 神谷 崇君
政府参考人
(水産庁次長) 安東 隆君
政府参考人
(国土交通省不動産・建設経済局次長) 川野 豊君
農林水産委員会専門員 飯野 伸夫君
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委員の異動
五月十日
辞任 補欠選任
泉田 裕彦君 吉田 真次君
平沼正二郎君 小森 卓郎君
細田 健一君 大野敬太郎君
梅谷 守君 神谷 裕君
北神 圭朗君 仁木 博文君
同日
辞任 補欠選任
大野敬太郎君 細田 健一君
小森 卓郎君 平沼正二郎君
吉田 真次君 泉田 裕彦君
神谷 裕君 梅谷 守君
仁木 博文君 北神 圭朗君
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
漁港漁場整備法及び水産業協同組合法の一部を改正する法律案(内閣提出第五二号)
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○笹川委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、漁港漁場整備法及び水産業協同組合法の一部を改正する法律案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房総括審議官高橋孝雄君、大臣官房危機管理・政策立案総括審議官前島明成君、農産局長平形雄策君、経営局長村井正親君、水産庁長官神谷崇君、水産庁次長安東隆君、文部科学省総合教育政策局社会教育振興総括官森友浩史君、国土交通省不動産・建設経済局次長川野豊君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○笹川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○笹川委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。西野太亮君。
○西野委員 皆様、おはようございます。熊本二区選出、自由民主党の西野太亮でございます。
今日は、海業利活用法の審議に当たりまして、私にお時間をいただいて、本当にありがとうございます。
法案審議の前に、ゴールデンウィークに自由民主党の青年局で台湾に訪問してまいりましたので、それに関連しまして、政府の皆さん方に少しお願いをさせていただきたいと思います。
台湾では、蔡英文総統、さらには頼清徳副総統、彼は今度の、来年の総統選挙での民進党の公認候補でありますけれども、そうした政財界の要人の方々とお会いしてきました。彼らが異口同音におっしゃったのは、CPTPPに加盟したいということであります。是非とも、政府の皆さん方にはこの後押しをしていただければなと思っております。
私が言うまでもありませんが、台湾は基本的な価値観を共有できるパートナーでございますし、さらには、主権国家として申請をしているわけではなくて、一エコノミー、経済体、独立した保税地域として申請しておりますので、これはTPPルール上も十分可能だと思います。そもそも台湾は、従来より開放的な経済体制を構築しておりますし、蔡英文総統御自身も義務をしっかり果たすというふうにおっしゃっておりますので、TPPの加入要件を十分満たすことができるんだろうというふうに思いますし、さらには、何といっても、我々日本にとっても、一つでも多くの地域、国にTPPに加盟していただくということは、安倍総理が提唱されたFOIP、自由で開かれたインド太平洋という観点からも、国益に資するものだと思います。そうした観点から、是非ともお願いをしたいと思います。
一方で、台湾は、福島県産のシイタケ、キノコ類など、まだ輸入制限を行っております。こうした点についても、理性的に対応していただきたい、科学的な根拠に基づいて対応していただきたいということを要請してまいりました。さらには、夏以降にALPS処理水の海洋放出も控えております。政府の皆さん方には、こうした課題について、関係国の皆さん方に、科学的根拠に基づいて対応してくれというようなお願いを引き続きしていただければというふうに思っております。
それでは、本題の海業利活用法について質問させていただきたいと思います。
今回の法案は、長ったらしい名前でありますけれども、海業利活用法というふうに呼ばれております。
そもそも海業とは何ぞやということでございますけれども、私の理解では、沿岸地域そして漁村地域の人々が、海の資源あるいは地域の豊かな資源を活用して、その魅力を活用して地域の所得向上、さらには雇用の機会を増大させるということにつなげる取組のことを指すんだろうというふうに思っております。
元々は神奈川県の三浦市で始まった事業だというふうに聞いておりますけれども、現在では全国で多くの自治体が取り組んでおられます。
例えば、私がヒアリングをさせていただいたところでいいますと、宮城県の気仙沼市、ここは海業をてこに震災からの復興を図っている自治体でございますけれども、観光と水産業を融合させて、例えば、海辺におしゃれなレストラン、カフェを建てて、多くの観光客に来てもらう、そして、漁に使う網、氷、発泡スチロールの箱などを実際に子供たちに見てもらって、来てもらって、触ってもらって、体験型の観光ルートを設定していく、こうした取組を進めております。
ほかにも、兵庫県の新温泉町、これは日本海側の自治体ですけれども、海をテーマにした観光拠点を目指そうということで、居組プロジェクトというものを進めておりますし、大臣の御地元、鹿児島県でいえば、長島町という自治体が海業に取りかかっているというふうにお話を聞いております。
では、何で今、海業が必要なのかということでございますが、例えば、人口でいえば、漁村の人口、平成十七年には二百五十万人だったものが、令和三年には百九十八万人、この十六年間で二割強も人口が減ってしまいました。さらに、高齢化率は、平成十七年は二八・九%だったものが、令和三年には四一%、十六年間で一一・二%高齢化率が上昇しております。元々全国平均よりも一〇%ほど高齢化率が高かったわけでございますけれども、この十六年間で更に高齢化率の差が広がったという状況がございます。そしてまた、国民一人当たりの消費量でいえば、肉類の消費量がこの二十年間の間に二〇%ほど消費量が伸びているんですが、魚は逆に四〇%消費量が下がってしまったというような背景もあります。
一方で、可能性、潜在能力もたくさんあるんだろうと思います。例えば、交流人口でいえば、コロナの影響を受けました令和二年は少し交流人口は減りましたけれども、それまでは順調に伸びておりまして、令和元年には二千万人以上に到達しております。こうしたことを考えると、人口が減ってきて、必要性はあるんだけれども、ポテンシャルはある、だからこそ、海業を後押しして漁村さらには沿岸地域の活力を取り戻していく必要があるんだろうというふうに思います。
そこで、農林水産省にお尋ねしたいと思いますが、こうしたことを背景に今回の法改正が行われるんだろうと思います。海業利活用法とも呼ばれておりますけれども、今回、どのような改正が行われ、この法律によってどういったことができるようになるのか、御説明をお願いしたいと思います。
○神谷政府参考人 お答えいたします。
我が国水産業は、近年、水産物消費の大幅な減少や主要魚種の不漁などの厳しい状況に直面しております。消費喚起や輸出促進を図るとともに、都市と漁村の交流を促進し、水産業に関する国民の理解醸成、漁村の活性化を図ることが肝要となっております。
今回提出の法案は、こうした課題に対応していくため、令和四年三月に閣議決定された水産基本計画などを踏まえまして、漁業の根拠地である漁港について、その有する価値や魅力を生かし、漁業体験活動や水産食堂などの事業である海業を推進し、交流人口の拡大とともに、水産物消費の増進を図ること、漁港において、陸上養殖の展開、衛生管理の高度化といった漁港機能の強化を図り、漁業生産力などの向上を図ることなどの所要の措置を講ずるものといたしております。
○西野委員 ありがとうございます。
私の理解では、今回の法案は大きく二つの目的があるのかなというふうに思っております。
一つ目が、今まで利活用がしにくかった漁港について、その利用可能性を広げることによって交流人口を増やす、そのことによって漁村地域の所得の向上を図る、雇用の増大を図るというのが一つ。そして、もう一つが、水産庁からの説明もありましたけれども、流通機能を強化するということによって、従来型の水産業、これも強化していこう、そのことによって所得の向上を図っていく。二つのルートから水産業を活性化していこうということかなというふうに思っております。
いずれにしても、所得の向上、雇用機会の増大につながるというふうに思いますので、大いにやっていただければというふうに思います。
従来は、民間の活力やアイデアを生かして漁港でいろいろなイベント、事業に取り組みたいと思っても、それがなかなかできなかった。しかし、今回の法案によって漁港を十分に活用化できることになるというふうに思います。大いに活用していただきたいというふうに思います。
一方で、海業を着実に、確実に進めていくためには、まだまだ不十分な点があるんだろうと思います。今回の法改正だけではなくて、様々な観点から政府として取組を進めていくことが必要だというふうに思っております。
私は、自民党の海業振興専門部会の一員でもございまして、先ほど冒頭で触れましたように、気仙沼など、実際に海業に取り組んでいらっしゃる方々からお話を伺っております。また、有識者の方々からもお話を伺っているところでございます。そうしたお話を踏まえて、議論を重ねて、これから提言を取りまとめていきたいというふうに考えているわけでございますけれども、そこでの議論を踏まえて、水産庁に幾つかお尋ねをしたいというふうに思っております。
まず一つ目が、政府の体制を強化していただきたいということです。
海業というのは、水産庁を中心としつつも、やはり後背地域の農林水産物と組み合わせて海業を発展させていくべきだというふうに思いますので、水産庁だけではなくて、農林水産省本省とも密接に関連する、連携を取り合っていただきたいと思います。さらには、港湾を利用するという観点もありますから港湾局、そして、先ほど申し上げたように、観光と水産業を融合させていくという観点では観光庁も関連するだろうというふうに思います。そうした意味で、海業推進のために、省庁内での縦割りはもちろんのこと、各省庁が一体となって、政府一体となって取組を進めていく必要があると思います。
さらには、モデルケースを一つの自治体で独り占めするのではなくて、いろいろな自治体にモデルケースを広めていただきたい、いろいろな知恵をみんなで共有していただきたいというふうに思っておりますので、そうした意味では、自治体の垣根を越えて、都道府県や市町村が情報を共有する必要があろうかと思います。
こうした点で、自治体間の共有、さらには政府一体として取り組む、こうした観点から、政府はどのように考えておられるのか、お伺いしたいと思います。
○神谷政府参考人 お答えいたします。
海業は、海や漁村に関する地域資源を生かして地域のにぎわいや所得と雇用の創出を目指す事業でありますことから、水産業の振興とともに、農林業、観光などの振興や地域振興の取組と連携して取り組むことが有効であると認識しております。
そのため、昨年十二月には、水産庁だけでなく、委員御指摘のように、農水省、さらには地域振興などに取り組む関係省庁の協力の下、海業に取り組む際に活用可能な支援策を取りまとめた海業支援パッケージを作成し、周知を図っているところであり、引き続き関係省庁の連携を強化してまいります。
また、海業の取組を推進していくためには、各地で取り組まれている先行事例を横展開していくことが有効と考えており、水産庁ホームページでの取組事例の紹介や、地方公共団体や漁業関係団体などの協力の下での説明会やシンポジウムの開催などにより、自治体間の情報共有や連携に努めてまいります。
○西野委員 ありがとうございます。
自民党といたしましては、五年間で全国で五百件の取組が進められるように支援していきたいなというふうに考えておりますので、農水省としても是非とも、今おっしゃったような観点からも御協力をお願いしたいというふうに思います。
それから、持続可能な海業を実現するためには、資金面でも支援していくということが必要だと思います。政府の補助金というのはどうしても立ち上げの支援だけになってしまいます。やはり恒常的な費用というのはなかなか政府としては支援しにくい。そういった意味では、民間の資金を活用する必要があるんだろうと思います。
例えば、海業を発展させるということは海を守ることにつながる、むしろつなげていかなければいけないと思いますけれども、そういう意味では、ブルーエコノミーの取組の一環なんだ、そういう整理もできるんだろうと思います。そういうふうに整理いたしますと、ESG投資の対象にも十分なり得るのかなというふうに思いますので、こうしたことも、金融庁も関係あるかもしれませんけれども、検討していただきたい。ESG投資の対象になり得るということも検討していただきたいと思います。
それから、これもまた持続可能な海業を実現するために必要なことだと思いますけれども、やはり人材を育成していくということが必要だと思います。自民党の部会でいろいろお話を伺っておりますと、やはりいろいろな苦労がありますので、人材育成が必要だということは自治体の首長さんからも伺っております。人材育成も進めていただきたいというふうに思いますし、一方で、これから人手不足になりますので、省人化ということ、人を省いていくということも必要になります。例えば、アプリを使ってオンライン予約をする、さらには、どういった目的があるのか、どういった観光をしたいのか、マッチングアプリなんかも必要になると思いますけれども、こうしたアプリの開発、DX化を進めていくということもこれから必要になるんだろうというふうに思います。
海業を単に一時的なブームとして終わらせるのではなくて、持続可能な産業として発展させていくために、今申し上げたような資金の枠組み、そして人材育成、さらにはDX化、こうした取組を進めていく必要があろうかと思いますけれども、政府の方針はどうなっておりますでしょうか。お聞かせいただきたいと思います。
○安東政府参考人 お答え申し上げます。
海業を持続可能な取組として発展させていくためには、委員から御指摘いただきましたとおり、資金の安定的な確保や、海業に取り組む人材の育成、デジタル技術の活用は非常に重要だと認識しております。
水産庁といたしましては、地域から要望があった地区の中から海業振興モデル地区を選定いたしまして、海業の計画作りを地域の皆様方と一緒になって進めていくこととしております。この取組の中で、民間企業などとのマッチングや資金確保のスキームの検討を進めていきたいと考えております。
あわせまして、海業振興を担う人材育成やデジタル活用などの取組につきましても、関係省庁に様々な支援策がございますので、関係省庁とも協力をしながら推進してまいりたいと考えております。
○西野委員 ありがとうございます。
やはり、今申し上げていただいたこと、いろいろあると思いますけれども、自民党としても協力をさせていただきたいというふうに思っておりますので、農水省でも、今おっしゃったようなこと、しっかり取組を進めていただければというふうに思っております。
次に、海業というもの、しっかり効果を検証していくということも重要だというふうに思っております。
例えば、自民党の部会の話ばかりで恐縮ですけれども、海業について分析をされております政策投資銀行の役員の方のお話を伺いました。
彼の話によりますと、海業をすることによって交流人口は確かに増えている。しかし、来た方々がお金を落として、そのお金の行き先が全て地域に落ちているかというと疑わしい部分がある。例えば、宿泊をして、ホテルに泊まる。そのホテルが地場が経営しているホテルであれば地元にお金が落ちることになりますけれども、そのホテルが全国チェーンであったりすると、なかなか地元に、どこまでお金が落ちているかというのは怪しいところがある。さらには、食事をする。そして、その食事自体は、確かに、海産物で、地元で捕れたもので、漁師にお金が落ちるかもしれないけれども、お土産を買っていくときに、キーホルダーとか縫いぐるみとか、さらにはお菓子とか、それが、地元で作ったものではなくて、どこか都市部で、工業地域で作られた縫いぐるみだったりキーホルダーだったりするから、それを買っていったとしても、地元にお金が落ちるわけではない。だから、お土産とかまで含めて、しっかり地元にお金が落ちるような仕組みをつくっていかなければいけないというようなお話をされておりました。
私も、そのとおりだなというふうに思いましたけれども、政府として、補助金を使ったり、あるいは、党を挙げて、政府を挙げて応援していく以上、漫然と、だらだらと続けるのは好ましくないというふうに思います。やはり、目標を定めて、さらには、どういった課題があるのか、どうやったら本当に地域にお金が落ちるのか、そういったところの課題も含めて検証をする必要があるんだろうと思います。
定期的にその効果について検証していく必要があろうかと思いますけれども、政府の取組についてお聞かせいただければと思います。
○安東政府参考人 お答え申し上げます。
海業の推進に当たりましては、令和四年三月に閣議決定いたしました漁港漁場整備長期計画におきまして、おおむね五年後を目途に、漁港における新たな海業などの取組をおおむね五百件展開することを目指すこととしております。
水産庁におきましては、この目標達成に向けまして、海業振興モデル地区における先行事例づくりを行うとともに、委員からも御指摘ございました地域経済循環分析を活用した海業の効果把握などを行いつつ、海業の普及促進を図ってまいります。
また、これらの取組の展開と併せまして、全国での海業などの取組状況のフォローアップを毎年度実施するなど、効果の検証にしっかりと取り組んでまいります。
○西野委員 ありがとうございます。
それから、広報活動そして国際発信についても是非取組を進めていただきたいと思っております。
私が地元を回っておりましても、地元は海沿いの地域でありますけれども、海業という言葉がまだまだ知られていないというふうに実感しております。各自治体のお取組とともに、国民の皆様方に知っていただけるように、海業という言葉、そしてどういう取組なのかということについて知っていただけるように、ユーチューブなどを活用して広報活動をしていただきたい。そのことによって、多くの自治体が更に海業に取り組むようになるんだろうというふうに思います。
それから、先ほど申し上げたように、海業というのはブルーエコノミーにもつながる、環境的な取組にもつながる活動だというふうに思っておりますので、こうした取組を日本各地でやっているんだということを国際的にも認知していただくことは日本の国益にも資するんだろうというふうに思いますので、世界中に発信していただくということも考えていただければというふうに思っております。
それから、もう一点指摘させていただきたいことがあります。
今回の法改正でも、漁港施設の利活用を可能にするということで海業の発展を図ろうとしますと、どうしても港を前提とした取組が注目されておりますけれども、漁港がない沿岸地域にも、温泉、あるいは絶景、こうしたポテンシャルのある地域資源はたくさんあるんだろうと思っております。
例えば、私の選挙区の話で大変恐縮でございますけれども、文豪夏目漱石が訪れまして、小説草枕の舞台となった熊本県玉名市天水町という自治体がございますが、海沿いの町なんですけれども、残念ながら、港、漁港はありません。しかし、小高い丘がありまして、その小高い丘の上に温泉があって、その温泉につかりながら有明海が見れる。さらには、有明海の向こうには長崎県の普賢岳が見えて、その普賢岳に夕日が落ちていくんですね。
本当にすばらしい絶景で、選挙活動で、あるいは政治活動でくたくたになった体、そして、ぼろくそに言われながら、痛んだ心を癒やしてくれる、すばらしい温泉施設があるんですけれども、残念ながら、漁港がないので、例えば日本海地域とかのウニとかイクラとか、本当に彩り豊かな海鮮丼なんかはないんですが、ノリはあるんです。ノリは我々も自信を持っているんですけれども、そうした彩り豊かな海鮮なんかはなかなか期待できないんですけれども、そういう温泉とか絶景とか、そういったところはあります。
少しずつ知られるようになってきておりまして、品川ナンバーの車もたまに止まったりしているんですけれども、漁港がない地域でも様々な観光資源といいますか、地域の魅力ある資源はあるんだろうというふうに思っております。
そうした地域資源を生かして海業を発展させていくということも必要だと思います。必ずしも漁港というものを前提としなくても海業を発展させていくべきだというふうに思っておりますけれども、こうした点について政府はどのようにお考えか、お聞かせいただければと思います。
○安東政府参考人 お答え申し上げます。
海業は、地の魚や自然環境など、それぞれの地域が有する価値や魅力を生かした取組であり、議員の御指摘のとおり、漁港がない沿岸地域におきましても高いポテンシャルを有しているものと考えております。
水産庁といたしましては、漁港以外の地域も含め、水産業の振興に資する海業の取組を推進していく必要があると考えております。
この海業の推進に当たりましては、関係省庁の協力の下で活用できる支援を取りまとめた海業支援パッケージというものを取りまとめてございます。このパッケージに位置づけた施策の活用を図るなどにより、地域のニーズに応じた支援に努めてまいります。
○西野委員 ありがとうございます。
私も、地元の自治体と協力しながら、水産庁の皆様方のお知恵を拝借しながら、地元の海業の発展のためにも少しでも力になっていきたいというふうに思っておりますので、御協力をお願いしたいと思います。
それから、最後になりますけれども、これまでの議論を踏まえまして、海業の発展に向けて、大臣の御感想、さらには意気込みをお聞かせいただければと思います。
○野村国務大臣 お答えを申し上げたいと思います。
今まで長官や次長からいろいろ、るるお話を申し上げましたが、水産業は、水産物消費の減少や主要魚種の不漁等の厳しい状況に直面しております。こうした課題に対応していくためには、水産業の成長産業化に加え、水産業の消費増進や都市と漁村の交流促進など、海業の取組を漁港、漁村で展開することにより、地域の発展に寄与していくことが重要だと考えております。
海業の推進に当たりましては、地域の理解と、漁業上の利用を確保した上で、本法案に位置づけた仕組みの活用促進、それから関係省庁との連携の下での地域の取組支援、それから自治体と連携した推進体制の強化などについて進めてまいりたいと思っております。
私の地元でも、大変、この海業の事業が非常に多くなってきまして、いろいろな取組をされておりますので、これを横展開していくということが大事だろうというふうに思っております。
○西野委員 大臣、ありがとうございました。
今回の法案、これはこれでしっかりやっていただいて、これだけでは不十分だということを今申し上げたと思いますが、いろいろな観点から取組を進めていただきたいと思います。
時間になりましたので、終わらせていただきます。ありがとうございました。
○笹川委員長 次に、庄子賢一君。
○庄子委員 よろしくお願いを申し上げます。
今、自民党の西野議員から、海業という言葉が余り定着していないというか広がっていないというかの趣旨のお話がありまして、私もそのことを申し上げようと思っていたんですけれども、今回のこの法案の審議や、またその後の展開等を通じて、水産業という業の枠を更に幅を広げる海業の業としてのイメージあるいは定義、こうしたことをしっかり定着させる、そういう大きなきっかけになればいいなというふうに思っているところでございます。
今回、この法案を審議し、また、できれば、これを成立させ、前に進めていくというのは、非常に大きなこと、また、いいタイミングだというふうに思っております。とりわけ水産業は、気候変動、海洋環境の変化に伴って非常に厳しい環境になっておりますし、私の地元東北は、間もなくALPS処理水の海洋放出という、そうしたことも今もう秒読み段階になってきている中で、とかく、海、水産業、海洋にまつわるニュースというのはネガティブなものが多いんですが、海業として、ここに人や人材やあるいはお金が集まってくるような、そうした求心力を持つ業として発展させるというポジティブなものに変えていくという意味で、非常にいいタイミングでの法案なのではないかなというふうに思っておりまして、是非力を入れて取り組んでいただければというふうに思っております。
具体の質問に入らせていただきますけれども、水産業が置かれている現状、今も申し上げましたが、主要な魚種の不漁、これはかなり深刻であります。水産物消費の大幅減少、こういう厳しい現実がございます。国民一人当たりの食用魚介類の消費量、これは、平成十三年度の時点で年間約四十キロ程度ございましたが、それをピークに減少を続けておりまして、令和三年度では二十三・二キロまで減っているというデータがございます。
今回の法改正がこうした現状をどのように改善していくか、どういう役割を果たしていくか、そのことをどう考えていらっしゃるか、伺いたいと思います。
○神谷政府参考人 お答えいたします。
近年、我が国の水産業は、委員が御指摘されましたように、水産物消費の減退や、サケ、サンマ、イカなど、主要魚種の不漁などの非常に厳しい状況に直面しており、消費の喚起や輸出の促進を図るとともに、都市と漁村の交流を促進して、水産業に関する国民の理解醸成、漁村の活性化を図ることが非常に重要となっております。
この法案は、こうした課題に対応していくため、令和四年三月に閣議決定されました水産基本計画などを踏まえ、漁業の根拠地である漁港について、その有する価値や魅力を生かし、漁業体験活動や水産食堂などの事業である海業を推進し、交流人口の拡大とともに、水産物消費の増進を図ること、漁港において、陸上養殖の展開、衛生管理の高度化といった漁港機能の強化を図り、漁業生産力等の向上を図ることなどの所要の措置を講ずるものとしております。
よろしくお願い申し上げます。
○庄子委員 日本は四方を海に囲まれた国ですから、そういう意味では、これまでも海の恩恵を本当に大きく享受をしてきたわけでございます。それを更に持続可能なものにしていくという取組を是非お願いをしたいと思っております。
今日までも、漁港機能の再編あるいは集約等によりまして空いたスペース、これを使いながら、いわゆる養殖あるいは直売所として活用をしてこられました。水産白書にも、そうした海業の取組が既に幾つか展開をしてきているということが記されておりますが、本改正案にこうした成果を、長期的、安定的に事業運営できるようにするということがこの法案の狙いだというふうにも理解をしておりますが、改めて、海業の持っている価値と可能性についてお尋ねをさせていただきます。
○神谷政府参考人 お答えいたします。
海業は、水産基本計画において、「海や漁村の地域資源の価値や魅力を活用する事業」とされており、海業に取り組むことで漁村における所得と雇用を拡大することを主眼としております。
特に、水産業の発展のためには、水産物の消費の増進が極めて重要な課題でございますが、近年、消費者のニーズは、従来の物やサービスを購入する物消費から、それを使ってどのような体験をするかという事消費へと変化してきており、年間約二千万人に及ぶ消費者が漁村を訪れております。
漁港では、市場流通の少ない水産物や高い鮮度の水産物、漁業体験、独自の風景や歴史など、事消費のための大きなポテンシャルを有しておりますことから、漁港で水揚げされた新鮮な水産物を提供する食堂や販売施設の設置、漁港で遊漁体験をするための釣り桟橋の整備などの取組が水産物の消費増進に有効と考えております。
このような海業などの取組を今後五年間で新たにおおむね五百件展開することを目標として、水産物の消費の増進と交流の促進を図るとともに、優良事例の収集、周知にも努めつつ、今回の法改正を契機に、海業の魅力やイメージが全国に浸透するように取り組んでまいります。
○庄子委員 今後五か年で五百件という具体的な数字も示していただきまして、より、今の長官の御発言のように、事消費に寄せていくというか、そこを強化していくという、そうした方向性は大きく評価し、歓迎させていただくところでございますが、一方で、どうしても、海、海岸線、漁場、漁港に近づく人たちが増えるということは、付近の地形をよく知らない国内外の利用者が多く訪れるようになりますと、やはり心配なのは、地震と津波の被害からどうやって確実にそうした方々を避難させるかということを考えざるを得ません。それから、津波だけではなくて、最近頻発化し激甚化しております台風あるいはゲリラ豪雨、こうしたことなどもあります。
海は、そういう意味では危険と隣り合わせの側面もございますので、今回、改正を踏まえて、漁港施設等活用事業の推進に関する計画を策定した際に、防災・減災対策、これをしっかり強化をする必要があるというふうに考えておりますが、いかがでしょうか。
○安東政府参考人 お答え申し上げます。
漁港の利活用の促進に当たりましては、漁港、漁村における災害リスクへの対応力強化や安全性の向上を図っていくことが重要と考えております。
このため、漁港及びその背後集落における就労者や来訪者、地域住民などの避難場所、避難経路の整備、漁港の安全対策としての防護柵やはしごの整備、ソフト対策として、避難計画、津波・高潮ハザードマップの策定などを推進しているところでございます。
また、今回の法改正におきまして、避難施設、避難経路等を漁港施設として明確に位置づけるとともに、漁港施設等活用事業の実施に当たって、漁港の利用者の安全の確保を漁港管理者が策定する活用推進計画の記載事項にするなど、ハードとソフトを組み合わせて防災・減災対策や安全対策を実施し、漁港や漁村における安全、安心の確保を推進してまいります。
○庄子委員 是非お願いをしたいと思います。
本法案の狙いが、水産物の消費喚起、そして、消費の増進、都市と漁村、漁港の交流促進など、いわゆる海業の取組による水産業の底上げだというふうに定義をするならば、いわゆる低利用、未利用魚を活用したそれぞれの浜々によってのオリジナルの食材販売、食材の開発、新商品の生成、こうしたところにも可能性があるというふうに思います。
三月、この委員会で、低利用、未利用魚が十一種、十六の道県で対象とされているということについて取り上げ、対象魚種と地域の拡大を柔軟に検討すべきというふうに申し上げております。水産加工資金を活用した海業の活性化について、是非御所見を伺いたいと思います。
○安東政府参考人 お答え申し上げます。
海業の取組による水産業の底上げの一環として、地元でしか食べられない水産物の希少性を売りにした取組は魅力的であり、低・未利用魚を活用した新商品開発なども推進することが重要であると考えております。
委員から御指摘ありました、水産加工資金の未利用又は利用の程度が低い水産動植物につきましては、今年度の見直しにおきまして新たに二魚種追加をしており、今後も、状況に応じまして、随時見直しを検討してまいります。
水産加工資金は、こうした低・未利用水産動植物を原材料とする食用水産加工品の製造、加工のための施設整備などに対しまして、長期、低利による資金の貸付けを行うことで、低・未利用魚の活用を後押ししておりまして、海業活性化にも貢献するものと認識してございます。
○庄子委員 是非、水産加工資金の取扱いについては、一層柔軟にお願いを申し上げたいと思います。
浜によっては、多分、同じ県内の浜によっても、その浜々によって全く違う魚が捕れたり、また加工技術があったりということで、ここは恐らく強みの一つになると思っています。既に国でも水産加工・流通構造改善促進事業という事業があって、これは国が二分の一お金を出してくれて、水産加工等の施設整備にお金を出していただいているんですが、年間、採択されているのは僅か十件しかありません。非常にそういう意味では使い勝手の悪いところもありますので、水産加工資金等を十分に使っていただきまして、浜を御支援をいただきたいというふうに思います。
そして、今回の法改正は、ある意味、ある意味といいますか、コンセッション方式、運営権を与えるという、そうしたやり方だと思います。例えば、今、仙台空港もコンセッション方式で空港民営化に踏み出しましたし、また、宮城県では、上下水道、工業用水道、三つをまとめて、これもコンセッション方式で民間活力を導入するという官民連携運営事業を行っているところでございます。仙台空港ですと三十年の契約期間、あるいは水道ですと契約期間が二十年間ということで、それぞれに契約期間が異なっております。
本法案においては、漁港施設等活用事業の実施期間を三十年、一方で、漁港水面施設の運営権の存続期間を十年とされておりますが、どのような判断によってこの期間設定をされているか、伺います。
○安東政府参考人 お答え申し上げます。
漁港施設等活用事業の実施期間につきましては、事業者の長期安定的な事業環境を整える必要がある一方で、漁業の根拠地としての漁港において漁業のために用いる施設を活用するものであることに鑑み、一定の実施期間を設定してございます。
具体的には、事業のサイクルや投資の回収といった観点から、事業により設置が想定される建築物の耐用年数などを考慮し、実施期間を最長三十年と設定してございます。
一方で、漁港水面施設運営権の存続期間につきましては、この漁港水面施設運営権が、水面に施設を設置し、排他独占的に事業を実施できる性質を有する権利であることから、同様の性質を有する区画漁業権が最長十年とされていることとのバランスを踏まえ、最長十年と設定しているところでございます。
なお、この存続期間につきましては、漁港施設等活用事業の実施期間内であり、適切に事業が運用されている場合には、原則として更新できることとなります。
○庄子委員 是非、健全といいますか、適正に運営権が行使されているところをしっかり国としてもチェック、監視をしながら、民間の活力をうまく引き出して、この海業の取組が成功裏につながるようにお願いをしたいと思っております。
その上で、漁港協力団体についてもお尋ねをさせていただきます。
海業の推進によって、いわゆる沿岸地域、漁港が活性化をしていくという中で、例えば、協力団体として、NPO法人、あるいは一般社団法人、地域のボランティア団体など、そうした皆様の活躍が期待をされるところだというふうに思っておりますが、そうした協力団体の皆様の活動に要した経費について、その支援については検討をされないのか、お尋ねをさせていただきます。
○安東政府参考人 お答え申し上げます。
今回の法改正案に漁港協力団体制度の新設を盛り込ませていただいておりますが、この漁港協力団体制度は、漁港の清掃を行うボランティア団体など、漁港の維持管理に寄与する団体を漁港管理者が指定し、その団体が活動しやすくなるような制度と考えてございます。
この漁港協力団体の活動内容や活動手法は、地域の実情に応じまして様々となると考えておりますので、既に取り組まれている漁港でのボランティア活動や、河川や道路など他法における協力団体制度の優良事例をしっかりと整理し、皆様にお示ししていくことなどにより、協力団体としての活動が多くの地域に広がっていくように後押しをしてまいりたいと考えております。
○庄子委員 是非、地域の皆様と一体となった海業発展の促進にしていただきたい。
水産に関連する業界の皆様だけのものではなくて、地域を挙げて、ある意味、訪れる皆様に接していっていただきたいというふうに思っておりまして、ボランティアも有償のボランティアというものもありますので、地域のシルバーの世代の方々が、地域から、古くから守ってきた漁村や漁港をまたみんなの力で再興させていこうという、こうした地域の地道な活動についても、今、横展開をしていただくというお話でございましたので、国としてもしっかり後押しをしていただくようにお願いを申し上げまして、質疑を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○笹川委員長 次に、近藤和也君。
○近藤(和)委員 近藤和也でございます。今日はよろしくお願いいたします。
先日、五月五日でございます、石川県珠洲市を中心として震度六強の地震がございました。
お亡くなりになられた方にお悔やみを申し上げます。そして、今もなお避難生活を送られている方、そして、家の修理等も含めて、後片づけも含めて、また、けがをされている方もいらっしゃいます。心からお見舞いを申し上げます。
そして、自治体関係者の方、各省庁の方も含めて、そして民間のボランティアの方も含めて、様々な形で御助力いただいておりますことに感謝を申し上げます。
それでは、質疑に入らせていただきます。
この資料一でございますが、まさしく今回の地震のございました珠洲市は、この資料一の一番先端の部分、青線より海側、先っぽに行ったところでございます。漁港で九、そして港湾で一つございます。全部で十の港がありまして、この海岸線だけでも五十キロ以上ございます。大変広い自治体でございます。
高齢化率も五二%を超え、平成に入ってからでも、人口が約半分、二万六千人から今一万三千人を切っている状況でございます。
大変厳しい中で、去年の六月にも震度六弱の地震がございました。去年直して、そして今回また直さなければいけないということを民間事業者の方、そして普通の生活者の方、そして漁港に関わる、港湾に関わる方々からも抗議いただいています。
資料二を御覧ください。
この1、2、3は、この一枚目の地図の上でいきますと、ほぼ先端部分、狼煙というところでございます。そして3は蛸島というところでございますが、御覧いただいているように、かなりの段差が起きています。二十センチ近く段差が起きてしまっているというところもございますし、2でいきますと、これは荷揚げ場ですが、屋根瓦も落ちてということで、去年も直したということを聞いています。
去年は激甚の指定の水準まで至っていなかったということも含めて、やはり自治体の負担、そして、それぞれの施設の管理者の負担も含めて大きかったということも聞いております。再度このようなことになってしまったんですが、改めて、農林水産省として今回の被災地の復旧復興に迅速に取り組んでいただきたいんですが、どうかよろしくお願いいたします。大臣、いかがでしょうか。
○野村国務大臣 お答え申し上げます。
石川県の能登地方を震源とする地震につきましては、被災された全ての方々に心よりお見舞いを申し上げます。
私も、今朝、それこそ岡田直樹さんが地元なものですから、同じ大臣として、ちょうど地震があったときには能登の方におられまして、それで電話でもかけようかなと思ったんですけれども、電話もかけづらくなって、電話していなかったんですが、本当に被災地の皆さん方のところにすぐにでも駆けつけたいという気持ちだったんだろうというふうに思っております。
ただ、農水省としては、被害状況については、地震の翌日より、農林水産省の職員を現地に派遣しまして、県や関係市町村等の職員と調査を行いまして、応急措置の検討を行っているところでございます。
農水省としては、農林漁業者への影響の緩和や地方負担の軽減に向けて、被害状況を速やかに把握しつつ、必要な対応を取ってまいりたい、かように思っているところでございます。
いずれにしましても、こういったような災害地域につきましては、被災された皆さん方でないと分かりにくいところもありますので、そういう意味では、寄り添った形で我々も対応していきたい、このように思っております。
○近藤(和)委員 ありがとうございます。
迅速な対応、そして寄り添った行動といったことも常々頭に置きながら動いていただければと思います。
海だけではなくて、農業用水の配管、せっかく圃場整備できれいにしたのに配管が壊れてしまったといったお話も聞いておりますし、あと、農水省から昨日聞きました、この被害に遭った港以外の港も岸壁が沈んでしまった、二十センチ沈んでしまったというお話も聞いておりますので、一度連絡が来たらそれで終わりということではなくて、今日も震度四、三の地震がありましたが、常々直していかなくてはいけないということも気にかけていただければと思います。
そして、元々過疎地でありますので、年齢も年齢で、もうやめようかという方々はたくさんいらっしゃいます。本当に苦しいんですが、やはり何とか続けていただきたい。そして、去年に続いて今年なので、もう心が折れると。折れてしまえばもうできないですから、その前に、心が折れる前に、お金で何とかできるところはしっかりとしていただきたいなというふうに思います。
この地図にありますように、拡大してある部分は、ちなみに私の選挙区全てでございます、七十七の漁港、そして十の港湾がございます。港湾の中にも漁港的な扱いのところもございますし、私の頭の中では、ここは漁港になっていないんだなといったところも実はございます。そのまさしく津々浦々に人が住んでいて、営みを行ってきているということでございます。
今、食料の安全保障の問題もあります。国土を守る、海岸線を守るということもございます。ただ単に修理をするということだけではなくて、国民の生活、文化、伝統を守っていくんだ、つなげていくんだという思いで頑張っていただきたいというふうに思いますので、どうかよろしくお願いいたします。
そして、先ほどからも観光のお話もありましたので、つけ加えて申し上げますと、珠洲市での震度六強の地震がございましたが、ほかの自治体では、表立った、宿泊施設など、被害は出ておりません。珠洲市の中でも、飲食店ですとか、私が日曜日、七日の日に漁港を訪れたときにも、既に魚を揚げていた方もいらっしゃいました。日々の営みを懸命につなげていただいている方もおられますが、宿泊のキャンセルも出てきているんですね、観光の。
ちなみに、この珠洲から、能登で最大の七尾、和倉温泉、五十キロございます。そして、珠洲から輪島港、千枚田ですとか朝市で有名なところですね、五十キロあるんですが、キャンセルが続々出ているということも聞いています。
そして、金沢市でさえもキャンセルが出ているということも少し聞いております。金沢と珠洲だと百キロです。距離感でいきますと、東京、この国会議事堂と大体鎌倉ぐらいが五十キロでございます。この国会議事堂でもし地震があったときに鎌倉でキャンセルが起きるようなものですから、本当に離れているんですよね。それこそ、東京と、百キロでいきますと、沼津ぐらいでございます。東京で何かあって沼津でキャンセルが起きているということでございますので、どうか皆様、安心、能登半島、石川県というと一緒くたになってしまうかもしれないんですけれども、安全だということを是非とも皆様に思っていただいて、観光に来ていただいて、そしておいしいものを食べていただいて、一次産業をしっかりと、お金を使うことによって復興を助けていくんだという思いでお越しいただければと思います。
それでは、法案の質疑に入らせていただきますが、先ほどからお話がございました海に関わるなりわいがかなり苦しくなってきているというお話でございます。
資料三では、漁獲高が三分の一になっている、そして魚の消費量が六割に落ち込んできている。そして、資料四では、漁業に就かれている方が平成十五年からでは二十三万人から十万人、十三万人まで減っています。そして、新規就業の方は、二〇一一年からのデータでございますが、二千人弱でずっと推移をしている。これは、大体、今の就業者数の六十分の一ぐらいの水準でございます。この二千人弱の新規就業者でいけば、どんどんどんどん先細りしていくということは目に見えると思います。
ちなみに、今年成人を迎えた二十歳、二十、十九、十八歳の若者は大体百十万人ぐらいでございます。百万人の計算でいきますと、二千人というのは五百人に一人。五百人に一人しか現代の子供たちは漁業に就いてくれていないということでございます。国会議員の数でいけば、七百人ですから、国会議員の母数で考えれば一人か二人しか漁業に就いてくれていない。
これで本当に漁業が大丈夫なのかということを念頭に入れて、その上ででございますけれども、やはりいかに海に関わる仕事に就いていただくかというところでは、私の地元でも水産高校がございました。宇出津水産というところでございまして、一枚目の紙でいきますと、青色の線、珠洲市から少し下にあるところ、宇出津港と書いてあるところでございます。宇出津港というところに宇出津水産といった高校がありまして、今は、統廃合の中で、一つの学科の中の一つのコースとして辛うじて残っている状況でございます。ちなみに、この能登高校におきまして、石川県では唯一の水産を教えてくれるところなんですけれども、教えてくれる先生は一人しかおりません。一人、今年定年を迎えられて、六十五歳までということでお手伝い、教えていただいているようなんですが、今年、ようやく一人採用をされたそうです。
要は、一人、二人の体制で本当に水産の教育を実行していくことができるのかといったところが心配でございます。生徒が少ないから先生が少ない、若しくは先生が少ないから生徒が少ない、鶏か卵かということになると思いますけれども、やはり先生を充実していくということは大変重要だというふうに考えています。その中で、水産高校の校長会さんからも少しお話を伺ったんですが、資格を持った先生が少ない中で、何度か、様々な方が教えられるようにしてほしいといったことも伺いました。
ここで質問させていただきます。
海技士養成や無線通信に関する科目について、内容が類似している例えば商船、例えば工業の免許を持つ方が担当していることも多い。その中で、教育職員免許法第三条の解釈に基づいてのことでございますけれども、今後もこれまでと同様にこの解釈で指導できるように、商船や工業の免許を持った方が指導できるように、大丈夫ですよと都道府県等にしっかりと周知をしていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○簗副大臣 お答えいたします。
御指摘の教育職員免許法第三条第一項においては、教員は各教科に相当する免許状を有する者でなければならないとされており、高等学校で水産科の専門教科を指導するためには、原則として高等学校の水産の免許が必要です。
他方で、商船や工業の免許を有する者については、水産科の専門教科に含まれる各科目のうち、それぞれ商船や工業に対応したものであれば指導することが可能であり、免許管理者である各都道府県教育委員会に対してもその旨をお示ししているところでございます。
ただし、教科水産において実際に指導される科目のうち、どこまでの範囲の指導が可能であるかについては、その科目の内容や形態等を踏まえ、免許管理者である各都道府県教育委員会の判断となります。
○近藤(和)委員 柔軟にしっかりと教えられる体制を確保していただきたいというふうに思います。
次の質問に参ります。
水産大学校の卒業生に対しても、必要な単位を取ることによって水産の免許取得が可能になるよう、そういった要請も出ていると思いますけれども、現在の教職員法では制度上厳しいということも聞いております。だからこそ特別免許状なんだということだと思いますけれども、その特別免許状での採用が絶対数としてやはり少ないということでございます。もっと増やしていけるようにしていくべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○簗副大臣 お答えいたします。
教育職員免許法においては、普通免許状を取得するためには、教職課程の認定を受けた大学において所定の単位を修得するとともに、学士等の学位を有することが必要となりますが、そもそも水産大学校は大学ではないことから、教職課程を開設することはできず、同校の卒業のみをもって教員免許を取得することはできません。
一方で、普通免許状を有しないが、水産に関する高度な専門的知識、経験や技能を身につけ、当該分野に関する勤務経験等を有する人材に対しては、都道府県教育委員会が実施する教育職員検定により特別免許状を授与することが可能です。
文部科学省としましては、令和三年五月に特別免許状の授与に係る指針を改正するなど、特別免許状の円滑な活用に向けた取組を進めているところでありまして、都道府県に引き続き積極的な活用を働きかけるなど、取組を進めてまいりたいと思います。
○近藤(和)委員 柔軟に頑張っていただきたいと思います。三十年前、五十年前の漁業と、環境とは変わってきていますし、教育機関もかなり厳しい、私たちの田舎にとってみれば、学校、学科が消えるということは一つ地域が消えるのと同じことなので、是非とも時代に合わせて柔軟に動いていただきたいと思います。
それでは、資料六になりますが、現状、水産高校の卒業生三千三百四十七人のうちで漁業に就かれる子供たちは僅か八・五%という状況でございます。これでは大変厳しいなと。この水産高校のカリキュラム、こういった努力、先生の数の確保もありますが、やはり漁業に魅力といったところも、これは大変、子供たちに、よしやろうという気持ちをつけてもらう努力もしていかなくてはいけないのかなというふうに思います。
その点では、水産高校の中身、そして今後の出口も含めて、文科省のみならず、農林水産省としてもしっかりとお互いの領域を組み合わせていくようにしていくべきだと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○安東政府参考人 お答え申し上げます。
まず、先ほど文科省さんから、簗副大臣の方からお答えのあった制度につきましては、水産庁としても、水産大学校を所管する立場として、所管省庁として、そういう制度があるということは周知の徹底に努めてまいりたいと思います。
それから、水産高校卒業生の漁業への就業の話につきましては、例えば、農林水産省といたしましては、漁業者等が水産高校において漁業の魅力を直接伝える漁業ガイダンスを実施しておりますし、これは、また、水産高校の方だけに限りませんけれども、漁業現場での漁労技術や経営ノウハウを習得する長期研修などを通じて、就業前から就業後まで切れ目なく支援をするということに取り組んでございます。
また、水産高校は、漁業に関する基本的な技術や知識の習得のための専門的な教育機関として極めて重要な役割を担っていると認識しておりますので、引き続き、漁業への就業に向けた人材育成の役割を果たせるよう、文部科学省と連携して取り組んでまいりたいと考えております。
○近藤(和)委員 水産高校に対してのガイダンスも、コロナ前でも年間二十回程度なんですよ。漁業高校の数は四十数校あります。そうなので、一校一校に毎年しているわけじゃないんですよね。こういったことも含めて、人手が足りないのか予算が足りないのか分かりませんけれども、ここはしっかりと力を入れていただきたいなと。
ちなみに、資料の七でいきますと、やはり国としても水産物の輸出を増やしていきたいということでございます。肝腎の教育、そして人材、先ほども人材育成での関係予算を増やしていこうという答弁も、別の方の質問もありましたけれども、もっともっと頑張っていただきたいので、大臣、ここについての心、思いをお願いいたします。
○野村国務大臣 お答えを申し上げたいと思います。
これは、農業高校も、それから水産高校も一緒でありますが、なかなか、この専門高校を出た生徒さんたちがそのまま農業なりあるいは水産業に従事してくれればいいんですけれども、ただ、よく言われるんですけれども、農業高校を卒業して、あるいは水産高校を卒業して何人が水産業に就いたかというのは、その後、大学に行ったり、よそを回ってみて、ほかの空気も吸って、そして、それから地元に帰ってくるというような例も出ておりまして、ストレートに高校から漁業者になるとか農業者になるとかというのは、その統計というのは余り重要ではないと思うんです。
ですから、大学に行くなり、あるいはほかの職業に就いて、ああ、やはり俺は水産業の方が向いているんだというのが分かって、そして水産業にUターンしてくるというケースもあるようでございますので、だから、余り私は悲観はしていないんです。
ただ、おっしゃるように、漁業に対する基本的な技術なり知識の習得のための専門的な教育機関として極めて重要な役割としては認識しておりますが、漁業の就業に向けた人材の育成の役割を果たせるように文科省とも連携してまいりたい、かように思っているところでございます。
○近藤(和)委員 時間が参りました。
済みません、先ほどの、少しだけ。三千三百四十七人の水産高校の卒業生のうち、水産系の大学に行っているのが百三十二人、三・九%でございます。そして、水産系の大学千九百八十八人から漁業に就業している方は一・六%でございます。本当に危機感を持っていただきたいなというふうに思います。
以上で質問を終わります。ありがとうございました。
○笹川委員長 次に、小山展弘君。
○小山委員 立憲民主党の小山展弘です。
まず、本法案の質問に入る前に、今年のお茶、一番茶の市況や茶況についてお尋ねさせていただきたいと思います。
今年のお茶は大変品質がいいということで、おいしいということで、是非、農水委員の先生方にも、お買い求めいただいて、御賞味いただければと思っております。
ただ、この裏腹でもあるんですけれども、静岡県内では、四月中旬の初取引以降に気温が低下して、天候が少し、雨が降ったり寒かったということで茶葉の伸びが悪く、収量が二割から三割減になったという声が多く聞かれました。
先ほどのおいしいというのは、葉っぱが余り伸び切っていない段階で取引が始まったものですから、茶葉を収穫した。なので、若芽というか、みるいと農家の方はよくおっしゃるんですけれども、そういう若くて柔らかい芽で茶葉がたくさん作られていますので、それでおいしいということなんですが、本来、量が少ないと、価格が上がっていけば収入は安定するわけですが、今年については、茶商さんの方でも、在庫状況が多いなどの見込み等もありまして、価格も弱含んでいると。量が減って、価格も弱含みということから、茶農家の方々の今年の収入は昨年よりも低下するということが見込まれております。
そこに、肥料、燃料、電気代等の物価高騰によるコスト高の影響から、農家収入、最終的な利益に当たるものもかなり低下するんじゃないか。ざっくり言って、十アール当たり今年は二十万円ぐらいの収益じゃないかな。肥料代が八万七千円ぐらい。国から、肥料に対しては、今年、高騰対策がありますので、六万五千円ぐらいかな。そこに農薬代が四万ぐらい。電気代などの諸経費を勘案すると、手元には数万円ぐらいしか残らないじゃないか、これは十アール当たりということですけれども、そのような見込みもあります。
農水省は、今年の茶業の動向についてどのように把握し、今後の見通しについてどのような認識を持っておりますでしょうか。お尋ねします。
○平形政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、静岡県での新茶の成育につきましては、四月中旬頃からの朝晩の低温が続いたことから、反収が伸び悩んでいるというふうに伺っております。
一方、取引につきましては、在庫はやや多く、慎重な仕入れが続いていると聞いておりますけれども、品質は全体的によいということで、品質のよいものは引き合いが強いとも伺っております。
こうした中、昨年来、肥料、燃料の高騰が見られるため、農業経営への影響を緩和すべく、肥料につきましては、肥料の上昇分の七割を支援するとともに、堆肥等の国内資源の利用拡大を進め、また、燃料につきましては、ハウスやお茶を対象にした施設園芸等燃油価格高騰対策による支援を行っておりますけれども、本年からガスも支援対象に、セーフティーネット対策を強化しているところでございます。
他方、お茶の需要拡大、これは重要な課題でございまして、一つは、有望な市場であります輸出や、ニーズの高い有機への取組を促進するとともに、本年度は、静岡を含めた全国の茶産地での茶摘み体験や新茶の試飲会などの情報を発信する、日本茶「出かけよう、味わおう!キャンペーン」を展開しておりまして、茶業界と連携して消費拡大にも取り組んでいきたいというふうに考えております。
○小山委員 大変、取組のことなどもお話しいただきまして、ありがとうございます。実は、これは通告を大臣の方に申し上げておりましたのですけれども、繰り返しでなくても結構ですので、是非、野村大臣の御地元も鹿児島で茶産地でございますので、お茶の振興についての大臣の意気込みをもしお話しいただければ、御答弁いただきたいと思います。
○野村国務大臣 お茶の場合は、毎年、価格がどうなっていくのかというのが非常に気になっておりまして、今年の場合は、先ほど局長の方からもありましたけれども、いいお茶ができていることはもう間違いないんだけれども、やはり在庫が悪さをしまして、価格がさえないということでございます。
ですから、いろいろなキャンペーンなんかもやっているんですけれども、それに加えて、昨年の秋肥と、それから本年の春肥を、肥料上昇分の七割を支援はしたんですけれども、農家の皆さん方からは、これではなかなかお茶を今後もずっとやるぞという気持ちが湧いてこないというようなことも言われておりますが、ただ、R三年からしますと二百四億円、R四年は二百十九億円ぐらいになっていますから、徐々に回復してくるのかなという鹿児島経済連の見通しでありまして、それはそういうふうになるかどうか分かりませんが、余りそんなに悲観するような状況でもないし、そしてまた、非常にいい状況でもない。まあ、ふだんと余り変わらないというのが、鹿児島経済連なんかの今年の一番茶の状況の把握でありました。
ですから、できれば、昨年は一挙に二千円を超えたわけでありますから、そういったような相場感が出てくれば、農家の皆さん方も元気が出てくるんですけれども、なかなかそういった相場感が出てこないので、どうなったんだろうかという、委員にもいろいろ、小山委員にもそういった御地元からのお話が来るんだろうと思いますけれども、これはもう需給とバランスの問題ですから、何ともしようがない。
昨年までは、三番茶を鹿児島はほとんど取らなかったんですよ。ですから、それによって需給調整が図られて、価格がよくなってきた、在庫が減ったということが非常に好材料に見えたんだろうと思うんですが、今年は、しかし在庫もある程度また出てきていて、在庫感がやはりあるというのを茶商の皆さん方は言っておられるようであります。
○小山委員 去年と大きく違いますのはコスト高のところでございまして、また、農家の方や、あるいはJAの方々からも、今年度も是非この肥料、燃料高騰対策の御継続をという声もありますので、是非御検討いただければと思います。
それと、実は委員の皆様方にお願いがございまして、二〇一七年、平成二十九年五月十一日に、実はこの農林水産委員会で、あっ、委員長も笑顔になっていただいています、お茶を提供させていただいたことがございました。
それまで、参議院の方ではコーヒー、牛乳が委員会の中で飲めた、衆議院の方では水道水のみということで、このとき、宮路拓馬議員とも一緒に提供させていただいたんですけれども、やっとコロナも終わってまいりまして、水差しも復活してまいりましたので、是非、委員の、職員の皆様方には迷惑をかけずに、私どもの差し入れという形でさせていただきたい、前回と同様にと思っておりますので、委員の先生方からも御理解を賜りますよう、理事の先生方からも御理解を賜りますようお願い申し上げて、是非、理事会で御協議を賜れればと思っております。
それと、今の質問の続きですけれども、初取引後の気温低下による茶葉の成長が悪いことが減収の要因と言われておりますけれども、収入保険の発動はされるのでしょうか。
○村井政府参考人 お答えいたします。
収入保険は、全ての農産物を対象に自然災害や価格低下による販売収入の減少を補償する制度になっております。
このため、四月の低温による収入の減少によって茶の販売収入が減少した場合は、その分については収入保険の対象になるというふうに考えていただければよろしいかと思います。
○小山委員 是非、収入保険を今回も使われる方もいらっしゃるのではないかというふうにも思っていますし、こういったことも、今回、ゴールデンウィークに地元を回っておりまして、多く声を聞きました。
また、制度のところで、例えば、これは私の個人的な思いですけれども、EUなどでは、農業生産をしておらなくても、適切にその地、その場、土地を管理していれば、環境を維持している、多面的機能を維持しているということで環境支払いというものがあるということをJCAの和泉真理研究員さんなんかも紹介をしておりますが、特に産地で、お茶の場合、全国的でいうと品目としては黒字なんですけれども、鹿児島とか大変、非常に調子がいいところと、静岡のように非常に調子の悪いところとありまして、しかし、耕作放棄地や荒れ地が増えていって多面的機能が特定の地域だけで失われていくということも、これもいかがなものかと思いますので、こういった環境支払いといったようなことも、是非、今後検討していっていただきたいということを申し上げたいと思います。
それと、済みません、もう一問だけ。
先ほど、御答弁の中でも、有機の輸出についてのお話もございました。日本の有機JAS法のことについてお尋ねしたいと思うんですが、日本の有機JAS法、農薬の不使用とか、不使用にして三年以上の農地などで作られた農作物など、様々な条件がございますけれども、一方で、JAS法には、厳密に農薬が検出されないということは条件として実は入ってはおらないと。なので、仮に農薬が検出されても、直ちに有機JAS商品ではないということにはならない、そういう仕組みとなっております。そして、この有機JASの商品は、EUや米国と同様の、有機農産物の認証制度との同等性があると伺っております。
しかし、このJAS法にのっとって生産しているにもかかわらず、農薬が、有機でなければ基準値以内なわけですけれども、ごくごくごく微量検出されてしまうケースがあると。先月も、フランスに輸出したお茶から、有機食品でなければ基準値以内であるとはいえ、農薬がごく微量検出され、空港で差止めされて日本に回送するといった事案が発生をいたしました。有機農産物であっても、輸出を進めていくとこういう問題が発生することが今後も可能性としてあると考えられます。
日本国内の法令にのっとってやっていても、農薬がごく微量飛散してくるだけで検出されてしまうということもあると伺っておりますけれども、このような、JAS法の仕組みにのっとって生産しているにもかかわらず農薬が検出されてしまうようなケースについて、農水省としてどのように認識し、また今後の対策を立てていらっしゃるんでしょうか。
○高橋政府参考人 お答えいたします。
まず、有機JAS基準の適用の考え方についてでございますけれども、日本では、有機食品から残留農薬が検出された場合、有機JASの基準に基づきまして、圃場における農薬等の飛散や流入、あるいは保管や加工の段階におけます慣行品との混合、また機械、機具等を介した汚染、こういったものが生じないように管理されているかどうかを登録認証機関が認証事業者に対して調査を行いまして、その結果に応じまして認証事業者において再発防止策が講じられることになっております。
また、有機JASに、委員御指摘のように、残留農薬の基準値は設定されておりませんが、残留農薬の検出されました有機食品につきましては、有機JASの基準に基づく管理、これが確実に行われておらなければ有機として扱うことはできないという取扱いになっております。
これらにつきましては、EUにおいても同様の対応が取られているものと承知しております。
○小山委員 またこういったことが起きてきて、輸出して、外国の国内で流通してから回収ということになると、もうそれだけでも経営にも大変大きな影響も出ますので、こういった課題もあるということも是非御理解いただければと思います。
それでは、海業のことを、済みません、質問させていただきたいと思いますが、まず大臣にお尋ねしたいと思います。
農水省は、ICAなどによる協同組合原則第七原則、協同組合は組合員が承認する方針に沿って地域社会の持続可能な発展に努めるという原則がございます。漁協さんも、漁村地域のライフラインの一部となっている、そういう業務も行っておりまして、ある地域では、員外利用の範囲内でA重油を病院に納入している事例があります。
こういった、漁協さんも協同組合の一つとして、漁業者のためだけに存在しているだけではなく、地域や地域の持続的発展にも貢献する存在としてあると思いますけれども、このようなことについて、農水省としてどのように認識をしておりますでしょうか。
○神谷政府参考人 お答えいたします。
漁協は、その組合員のために直接の奉仕をすることを目的としておりますが、漁業を中心に漁村の生活が営まれてきた経緯もあり、各地域に根差した地域共同体的な性格を有する面もあると認識しております。
漁協は、漁業生産や水産物の加工、販売により地域経済に貢献するほか、燃油や物資の購買事業や共済事業などについて一定の範囲内で組合員以外の者も利用可能となっており、地域の生活にも貢献する存在であると認識しております。
○小山委員 本改正案では、海業の取組を推進するため、漁協が漁港施設等活用事業を実施する場合には、労働力の二分の一以上を組合員とする員外利用制限を適用しないことが含まれております。
これについては賛同いたしますけれども、漁協の現場の方から、燃油購買事業についても、民間作業船等への燃油供給などについて員外利用制限を更に緩和あるいは不適用とし、海業についてより進展するように図るべきではないか、こういう声がありますけれども、これについてのお考えをお尋ねしたいと思います。
○角田大臣政務官 今回の法改正では、漁港施設等活用事業については、漁獲物の消費増大や交流人口の増大によって組合員の所得向上につながるということが期待をされております。ただ、当該事業への員外利用制限がかえって組合員の利益向上を阻害するおそれがあるということを踏まえ、その制限を撤廃をするということといたしております。
他方で、漁協が行う燃油等の購買事業については、員外利用制限を緩和、撤廃すると、例えば、大口の員外利用が優先されるなど、組合員への事業や生活に必要な物資の供給に支障を来すおそれがございます。このため、員外利用制限を引き続き維持することが適切であると考えております。
○小山委員 一方で、例えば、漁協の組合員さんなんかでも、漁船の燃油なんというのは、系統利用だけではなくて、ガソリンスタンドの方が、例えばタンクローリーで船まで入れてくれる。ある圏域なんかでは、漁連の燃油事業については、自分で行って自分でセルフでやって、かつ、燃油代が、当時は、今は違うかもしれませんけれども、単価が高いというようなこともあって、商系利用もしておりますので、漁協さんの方でも、こういった、特に遊漁船とかあるいは今申し上げた民間作業船等への燃油供給等、今後、是非また声もお聞き届けいただいて御検討いただければと思っております。
それと、これに関連して、かなり古い話ですけれども、新潟県の島嶼部で、かつて、農協さんが漁協さんに事業譲渡するという形で、事実上の漁協さんと農協さんの合併がなされた事例がございました。
漁村の地域では、農協さんの組合員さんと漁協さんの組合員さんが重なっているという地域も多々あります。こういった、複数の経営体によって市場競争できない、そういう環境の地域、これは、例えばスーパーとか、あるいは漁協さんの購買施設とか、農協さんの購買施設とか、そういう、幾つも複数あって競争すればいい、いや、そうじゃない、ATMにしたって物品販売のお店にしたって町に一つしかない、それをどうやって維持していくか、こういう地域も多々あるわけなんです。
こういうような地域については、例えば、農協さん、漁協さん、こういった協同組合が合併をして、生命産業協同組合、あるいは、先ほども御答弁の中にあった地域協同組合として、中山間地域や漁村地域を維持するインフラとして機能を果たすべきというような道筋もあるんじゃないだろうかという議論もかつてございました。
実際には、今、それぞれの系統で合併をしていく、あるいは、それぞれの事業で、特に漁協さんは信用事業分離をもうしておりますけれども、そういった議論もかつてはあったんですけれども、このような系統をまたぐ協同組合の合併について、大臣はどのように御認識されていらっしゃいますでしょうか。
○神谷政府参考人 協同組合は、相互扶助を目的とする特定人の結合体という性格の組織でありまして、漁協とそれ以外の協同組合では、その利害が一致しない場合、少数派の業種に係る組合員の意見が反映されにくくなる組織となることなども想定されますことから、系統をまたぐ協同組合の合併は、組合員から見て必ずしも適切ではないと考えております。
しかしながら、個別の事業単位で見ますと、漁協と他の協同組合等とで協同で取り組むことで利益向上につながる場合もあると考えられますことから、地域としての必要性、ニーズに応じて連携して事業を展開することにより、漁村地域のインフラとしての機能を果たしていくことは重要であると認識しております。
○小山委員 かつては、産業組合が戦前ではありまして、それは定款によって事業内容を決めていたと。信用金庫さんも同じような産業組合の法律にのっとって事業をやっていたものですから、こういった今御答弁いただいた地域協同組合的な要素も現場の実態としてはあるということも、今後、是非御議論を深めていただきたいと思います。
それと、海業の担い手として、漁協さんや漁業者、あるいはいろいろな観光レジャー企業等も考えられますけれども、先ほど西野議員からの質問にもありましたが、本来は、浜ごと、あるいは漁村、漁港ごとにこういった海業の取組の単位が、経営体があるというのが望ましい。なるべく地元にお金が落ちていく、回っていく。
一方で、漁協さんということについて言えば、県一漁協も誕生しておりまして、合併によって、一つの漁港や漁村で一つの漁協というようなことではない地域や圏域もございまして、中には、組合員さんや漁村と漁協経営の間で若干の距離感があるんじゃないかという声も聞かれないわけではないようにも思っております。
漁村地域ごとにまとまる経営単位として、あるいは、都市からそれぞれの個人の時間的な余裕に合わせて関わりたい、そういった人たちを受け入れる受皿としての経営体として、昨年十月から法施行になりました労働者協同組合、これを海業の中でも活用するということも考えられ得ると思いますけれども、もちろん、NPOとかほかにもありますけれども、農水省さんの認識をお尋ねしたいと思います。
○角田大臣政務官 海業の推進に当たっては、地域が一体となって多様な主体が連携し、事業を担っていただくことが効果的であると考えております。
議員御指摘の労働者協同組合は、令和二年度に成立した労働者協同組合法に基づいて設立される法人であり、様々な分野での活用が期待をされております。比較的新しい制度ですので、今年四月末現在で、全国で三十八の法人ということですけれども、これから更に拡大していく、地域の担い手として育っていくというふうに期待をされているところであります。
したがって、海業を進めていく上でも、労働者協同組合が担い手の一つになり得ると考えております。
○小山委員 最後に短くお尋ねしたいと思いますが、先ほど、神谷長官の方からも、協同組合間の連携を進めていくというお話もございました。漁協さんは、魚を売りたいけれども、なかなか直販施設を持てない。農協さんは魚を売るということがなかなか内陸部ですとできない。ですけれども、そこがお互いに連携することで、農協さんはAコープで例えばお魚を売ると売上げが伸びた、漁協さんも自分のところで自前の直販施設を造ることまでしなくても魚が売れた、こういったような協同組合間連携というものも進んでおりますけれども、これを更に後押しするような政策も必要かと思っておりますが、これについてどのように政府として認識されていらっしゃいますでしょうか。
○安東政府参考人 お答え申し上げます。
漁協と農協や森林組合の連携につきましては、農林水産物の直売所の運営に係る農協との連携ですとか、植林活動による漁場環境の改善等に係る森林組合との連携などを実施している漁協があると承知してございます。
これら団体間の連携につきましては、直売所の集客力の向上、漁場環境の改善、地域住民との交流の活発化などの様々な効果があると考えてございます。
水産庁におきましては、漁業者の所得向上のための取組の一環として、浜プランの策定や海業振興のビジョン作りの機会において、漁協と地域の団体との間の連携による地域活性化に向けた幅広い取組を取り組んでいけるように促進してまいりたいと考えてございます。
○小山委員 それでは、時間が来ましたので、これで質問を終わらさせていただきたいと思います。
○笹川委員長 次に、神谷裕君。
○神谷委員 立憲民主党の神谷裕でございます。
本日は久しぶりにこの農水委員会の場に立たせていただきました。仲間の皆様にも、御配慮、本当に感謝を申し上げたいと思いますし、また、大臣におかれましては、これから質問させていただきます。どうぞよろしくお願いをしたいと思います。
早速、この法案について質問させていただきたいと思います。
私自身も、浜の活性化というのは非常に重要だと思っております。何よりも、漁村、里海、これを大事にしていく、そのためにはしっかり振興していかなきゃいけない、このことには大いに賛同するわけでございます。
今回、この法改正によって海業を振興していこうということは十分に理解をするところでございます。その上で、海業を振興していく上においては、当然、その地域の皆さん方が一番やはり豊かになっていかねばいけないというふうに思うわけでございますが、今回、これを実行に移していくためには、当然、外部からもノウハウであるとか、あるいは投資であるとかを呼び込まなきゃいけない。ただ、それが結果として外部がもうかるけれども地域がもうからないというようなことになったら、これは本末転倒になってしまうと思うわけでございます。
とするならば、こういった地域の利益を最大化するために、あるいは何よりもそれが優先するんだというようなことをあらかじめしていくというような、そういった計画になるような工夫をしていかなければいけないと思うわけでございますが、この点についてまずはお考えを伺いたいと思います。いかがでございましょうか。
○神谷政府参考人 お答え申し上げます。
海業の取組は、水産物の消費の拡大、漁港の水揚げ額の増大、水産物の高付加価値化等を通じ、漁業者の所得向上につながるなど、地域の漁業関係者にメリットがあるものと考えております。
今回の漁港漁場整備法の改正における漁港施設等活用事業は、当該漁港に係る水産業の発展及び水産物の安定供給に寄与する事業と定義されており、国が漁港施設等活用基本方針を定める中で、真に漁業地域の発展に寄与していくことをしっかりと書き込む考えであります。
漁港施設等活用事業は、地方公共団体である漁港管理者が、基本方針に即しまして、漁業者や漁協等の漁港関係者からの意見聴取の上、活用推進計画において事業の基本的な内容を定めることとしております。
次に、漁港施設等活用事業を実施しようとする者は、実施計画を作成し、具体の事業内容を定めることとしており、当該実施計画が活用推進計画に適合していること等を条件に、漁港管理者が認定することで、地域の意向に沿った事業を実施する仕組みとしております。
また、海業の取組に当たっては、地域の所得の向上につなげていくことが重要でありますので、こうした効果の確認を図りつつ、地域の水産業の発展及び利益の向上につながるものとして進めていく考えでございます。
○神谷委員 是非、地域の利益がやはり最大化していかなければいけない、そうでないと本末転倒になってしまうということ、その上で、今回、基本方針を大臣の方でお定めになると思います。そういったことに是非留意をしていただいて、ここが非常に肝になってまいりますので、是非御留意をいただいてやっていただきたいと思います。
ただ、反対に申しますと、うまく外部からの投資を活用した上で地域振興をしっかりやっていただければよいのですけれども、あるいは、そういうものを外部から利用しなくても、漁業者の方や漁協や管理者の方が自発的に事業を実施できるようにしていく、こういったことも重要なのかもしれません。そういった意味において、国が、例えばノウハウの提供であるとか、あるいは資金の融通であるとか、こういったこともできないかというふうに思うわけでございます。
今回、この法律の改正によりまして、従来認められなかった様々な施設が漁港の施設として認められることになってまいります。そうなると、今後、漁港施設に対する支援というものの幅が広がっていくんじゃないかと思うわけでございますが、これが本当にそういうふうに対象として広がっていくのか。できれば、先ほど申し上げたように、国としてどんどんできる範囲を広げていった方がいいんじゃないかなと思うわけでございますが、この辺の確認を是非お願いをしたいと思います。
○神谷政府参考人 海業の推進に当たりましては、海業に取り組む際に活用可能となる支援策を幅広く示していくことが重要であることから、地域振興などに取り組む関係省庁の協力の下、海業支援パッケージに位置づけられた施策の活用を図るとともに、海業に関する様々な相談を一元的に受け付ける窓口を水産庁に設置したところでございます。
また、国も協力して、モデル地区における先行事例づくりを進めることとしており、得られたノウハウなどを共有し、横展開により各地の取組を支援することとしております。
新たに追加する漁港施設につきましては、既に、避難路や避難施設などの防災関連施設や、陸上養殖施設や直売所などの共同利用施設など、既存の補助事業の適用により整備への支援が可能となっており、引き続き必要な支援を行ってまいります。
○神谷委員 是非、海業をやっていく上で何が必要なのかというのをしっかり見ていただいた上で、その上でまた漁港施設というのをどういうふうに読み替えることができるのか、あるいはこういったことでより幅広く支援ができるようにしていくことというのが非常に重要じゃないかなと私自身は思っています。外部からお金を入れることも重要なんですけれども、国から支援いただいて、要はできるだけ少ない負担でやっていくということも必要なんだろうと思います。そういったことからも、引き続きこの辺は検討いただけたらと思うわけでございます。
ただ、この漁港施設について、三条を見てみますと、若干、違和感とは言わないんですけれども、様々な施設、今、神谷長官からも例示をいただきましたが、若干、ちょっと気になったのが、発電施設というのがございました。
念のため、何でこの発電施設が特出しして加えられたのか、この辺についてお伺いをしておきたいと思います。
○神谷政府参考人 お答えいたします。
今回、漁港漁場整備法の改正案におきまして、漁港施設のうち、漁港管理施設に発電施設を追加した趣旨は、太陽光発電や風力発電など再生可能エネルギーの活用も含め、発電機能を集約し、効率的に漁港施設への電力供給を行うことを目的としたものでございます。
なお、漁港における再生可能エネルギーの導入につきましては、令和四年三月に閣議決定された漁港漁場整備長期計画においても、漁港、漁場における環境負荷の低減や脱炭素化に向けた取組を推進していくこととしており、引き続き、カーボンニュートラルの実現に向けて取り組んでまいります。
○神谷委員 長官、念のため確認ですが、これは、あくまで漁港施設に提供するためにこれを設置することができるということであって、有効活用のためにあえて発電施設を前に出して造るということではないということだけ、もう一度御確認いただけますか。
○神谷政府参考人 そういう認識でおります。
○神谷委員 ありがとうございます。
あくまで漁港施設に再生可能エネルギーを使うという認識であればこれは問題ないかなと思いますが、一応、念のための確認でございました。
また、この法律によって水面の長期利用が可能となります。海面の利用に当たって、漁業者との競合関係が起きないようにするということが非常に重要なことだと思いますが、この合意形成について、どのように行うのか、あらかじめ確認をしておきたいと思います。いかがでございましょうか。
○安東政府参考人 お答え申し上げます。
漁港施設等活用事業の実施に当たりましては、事業者が実施計画の認定を受けることで、漁港施設や漁港の水面を利用する権利や地位を付与されることとなります。具体的には、水面の長期占用を最大三十年間、それから漁港水面施設運営権の設定最大十年間、さらに、事業の実施期間内で更新可能となってございます。
この権利の付与の前提となる実施計画でございますけれども、漁港管理者の定める活用推進計画に適合するものであることが認定の要件の一つとなりますが、この活用推進計画の段階で漁業者との調整を経た上で、漁港の漁業上の利用の確保に関する事項を定めて、漁業者の意見を適切に反映することとしております。
また、漁港水面施設運営権の設定を受けて事業を行う場合には、その設定に当たりまして、地域の漁業を阻害しないよう、地方公共団体である漁港管理者が定める活用推進計画の段階で、漁業者等の漁港利用者からの意見聴取を行うことに加え、水域を管轄する都道府県知事が海区漁業調整委員会からの意見聴取を経て同意することが必要となっておりますので、漁業及び漁業権との調整を十分に図った上で設定する仕組みとなっていると考えてございます。
○神谷委員 どうしても、海面の利用、水面の利用というのは、この間も様々あつれきがあったところでございまして、当然、新しいことをしようとするときには、既存の漁業者の方から異論が出ないとも限らないわけでございます。
ただ、当然にして、地域で合意形成が得られなければこういったことは前に進められるということではないものですから、そういった観点からも、是非、この辺の海面の調整については十分に御留意をいただきたいと思いますし、その際に、新しく使いたいという方と漁業者の間で、特に漁業者の考え方がねじ曲げられることのないようにだけはしていただきたいと思います。何分にもここは漁港でございますので、そちらが優先すべきであるということは間違いのないことだと思いますので、是非お願いをしたいと思います。
その上で、この法律の四十三条一項三号に「著しく阻害」とあります。この場合、「著しく阻害」とあるんですけれども、「著しく」というのはどの程度を指すのか、これは誰が判断するのか、その辺の確認をさせてください。
○安東政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘の実施計画の認定要件でございますけれども、これは、漁業上の利用の関係と漁業上の利用以外の利用との関係がございます。
まず、漁業上の利用との関係につきましては、今御指摘いただいた「著しく阻害」の前に別の号がございまして、そこで「漁港の漁業上の利用を阻害するおそれがない」ということを規定してございます。
他方で、漁業上の利用以外の利用との関係では、地域水産業の発展に向けて、海業も含めた漁港の利用の在り方を考えていく場合に、これまでの漁業上の利用以外の利用については、その在り方を見直す場合もあり得ると考えてございます。
このため、この四十三条第一項第三号では、「阻害するおそれがない」ではなくて、実施計画の内容が特定漁港漁場整備事業の施行又は漁港の利用を「著しく阻害」するおそれがないことを要件と定めてございます。
この「著しく阻害」に該当するかどうかにつきましては、例えば、特定漁港漁場整備事業の実施目的が果たせなくなるですとか、漁港利用者の安全に悪影響があるですとかといったことが定性的には考えられますけれども、具体的にはケース・バイ・ケースであると思いますので、個別の事情に応じて漁港管理者が判断するということになります。
○神谷委員 念のための確認でございました。
また、漁港の形状を変更することも可能とする計画を認定することが可能となりますけれども、形状変更について、安全上の確認など一定の歯止めやチェック体制などはやはり必要だと思いますが、原状回復義務などはこの場合でもかかると思いますけれども、原状回復がしっかりとなされるための仕組みについても伺いたいと思います。いかがでございましょうか。
○安東政府参考人 お答え申し上げます。
漁港施設等活用事業を実施するに当たりましては、施設の基礎工事や柵などの設置のために漁港施設用地に穴を空けるといった行為が想定されることから、事業者が策定する実施計画におきまして、漁港施設の形質変更に関する事項を記載することができることとしてございます。
この形質変更に関しましては、漁港管理者が、漁港の漁業上の利用に支障が生じないか、範囲や手法が適切かといった点をチェックし、内容が適切であると認めた場合にのみ事業計画の認定をする仕組みとなってございます。
そして、実際の形質変更に当たりましても、適切に工事が実施されているかどうか、漁港管理者が管理を行うよう、これは国の定める基本方針に盛り込もうと考えてございます。
また、形質変更に関する、御指摘のありました原状回復につきましては、実施計画の記載事項として、原状回復の措置の内容を定めることとしてございまして、これに基づき、あらかじめ計画に位置づけられた主体、方法によって、漁港の機能に支障が出ないよう原状回復をすることとしてございます。
○神谷委員 今のところが実は一番心配でございまして、うまくいけばいいんですけれども、不幸にしてこの計画が頓挫した場合に、原状回復義務、どのようになされるのかというのはやはりしっかり聞いておかなきゃいけないだろうと思っていました。
特に構造物等、どのように撤去が行われて、あるいは漁業者や漁港管理者に負担等が生じるおそれがないのかどうか、この辺のところをあらかじめもう一度確認をさせてください。お願いします。
○安東政府参考人 お答え申し上げます。
先ほども答弁の中で盛り込まさせていただきましたけれども、漁港施設等活用事業の実施に当たり、事業者が作成する実施計画の記載事項として、原状回復の措置の内容を定めることとしてございます。したがって、仮に事業がうまくいかず撤退を余儀なくされた場合には、事業者があらかじめ計画に位置づけられた方法によって原状回復をするということが求められます。
このため、原状回復について、現地漁業者や漁港管理者が負担を負うという仕組みとはなっていないと考えてございます。
○神谷委員 いささか心配な点もあります。
仮にそういった形にはなっているとしても、完全に撤去する際に、肝腎の当事者、撤去しなければいけない当事者がどうなっているかというような現状もあると思います。そういったところでの工夫というのはやはり必要だと思いますし、あらかじめ方針等でお定めになると思いますが、そういったところには是非工夫をしていただいて、万が一の不幸な事態に陥ったとしても、例えば、管理者であるとか漁協、漁業者に対しての負担、こういったことが極力抑えられるように、そして、その上で、原状回復義務を速やかにしっかりなされるような形、これについてはしっかりと是非お考えをいただきたいと思います。
今ほど、あらかじめ方針等にも書かれるというような御答弁だったと思いますが、もちろん、それは当然のことだと思います。ただ、実際に実務において問題がないか、そういった点検は是非していただきたいと思いますし、今後策定される方針の中で、しっかりとそういったところについても心を留意いただいて、是非やっていただけたらと思う次第でございます。
まだ残余、幾つか質問を用意しているところでございますけれども、残念ながら時間が来たようでございますので、今回はこの質問で終了させていただきます。
是非、しっかりと海業の振興を頑張っていただきたいのと、そして、漁業者の方にこれでメリットがあるような、そういった形にしていただけたらと思います。
本日はどうもありがとうございました。
○笹川委員長 次に、池畑浩太朗君。
○池畑委員 日本維新の会の池畑浩太朗でございます。本日もどうぞよろしくお願いいたします。
本日は、漁港漁場整備法及び水産業協同組合法の一部を改正する法律案について質問させていただきたいと思います。
地元では、赤穂市、赤穂浪士の赤穂市ですが、坂越、家島、坊勢、たつの市の室津、岩見、相生市の鰯浜漁港、たくさん選挙区に漁港を抱えておりますが、その中で、家島町というところでは、基幹産業の海運業や採石業の低迷から、地域の資源を利用した新たな産業として、観光業の取組を重視しております。
その中で、都市部から研修生を募集したり、そういったことも受入れなんかをしておりますけれども、その家島諸島の四島では、渚泊推進会議を設置して、日帰りの観光業から宿泊観光型に転換をしていこうとしております。その中で、交流推進協議会などを設置いたしまして、インバウンドへの対応もしております。
大臣にここでお聞きさせていただきたいというふうに思っているんですが、このように、持続可能な文化観光とか、観光業を交えて振興を進めていくべき時代に入っている。今まで委員もずっと質問をしておられましたし、答弁もお聞きしておりましたけれども、以前の委員会で大臣が他党の委員の答弁の中で、JAの先輩に言われてインパクトがあったというエピソードを披露されていまして、鹿児島でのこれからの畜産業の拡大だったように記憶をしておりますけれども、その中で、今回は、大臣が考えるこれからの水産業又は漁港、漁場に関して、大臣の受け止め方とか、また、これから先の漁業の在り方の指針だったなあとかインパクトがあったなあというように、回顧されるようなインパクトある答弁を求めて質問させていただきたいと思います。
○野村国務大臣 お答えを申し上げます。
池畑委員は非常にお詳しいのでびっくりしているんですが、国民への食料供給というのはやはり地域を支える重要な産業だ、これはもうお互い共通認識だと思います。水産物を地域資源として生かして集客を図る、そして水産業を軸に漁村の活性化に取り組んでいる。これは私の地元でも何漁協かあります。ですから、非常に活気のある、朝市というところがやはり活気があるのが漁協の特徴なんだろうなと思いますが、非常に活気があります。
そこで仕入れたもので、水産資源の減少による漁業生産の低迷、魚介類の国内消費量の低下、漁業就業者の減少など様々な課題がありますが、皆さん大変いろいろな知恵を絞ってやっておられまして、こうした状況を打開して水産業の展開を図るには、資源量の回復を目指すとともに、担い手の確保あるいは育成、ICTの活用による生産や流通の効率化、海業の振興等に取り組み、我が国水産業や漁村の潜在力を引き出していくことが重要であります。
これらの施策を着実に実施することによって、持続性のある水産業の成長産業化と漁村の活性化の実現を図っていき、水産業を若者に魅力のある産業にしてまいる考え方でございます。
大変若者の、漁業生産量も減っていますけれども、従事者も減ってきている、こういう実態にありますので、何とかここでこれを乗り切りながら、もう一遍、漁業の立ち直りをさせたい。それには、やはり海業という、なかなか聞き慣れない言葉なんですけれども、役所の方で海業というのが今回法律改正として出てきましたので、これをてこに、これが全てじゃありませんが、これをてこにしながら、やはり地域の、あるいは港の活性化を取り戻していきたい、こんなふうに思っております。
私のところなんかは、あちこち、漁協がそういう海業についていろいろな取組をし出してきておりますので、楽しみだな、こんなふうに思っています。
○池畑委員 今、大臣からも海業について楽しみだというお話をいただきました。
この次の質問は、今の大臣の答弁を受けまして、いろいろ農林水産省の方にも詳しくお聞きしたいというふうに思いますし、今大臣がお話しだったお話とかぶっても構いませんし、また全然正反対の答弁でも構いませんけれども、我が国の水産業の現状と水産業についての取組についてお聞きしたいと思います。
四面環海の我が国にあって、水産物は古くから国民の生活を大変支えてきたという産業であります。かつては世界一の漁業量を誇っておりましたけれども、二〇二一年、養殖を含めた総生産量は四百二十万トン、一九八四年のピーク時は千二百八十万トン。比較して三分の一に減少を今しております。当時は自給率が一〇〇%を超えておりますけれども、海外にも多く水産物を輸出をしていた時代もありました。
そのような状況の中で、低迷する国の水産業を再生して活性化をさせるために取組が必要と今大臣からも答弁いただきましたけれども、新たな水産基本施策の三本柱の一つに、増大するリスクを踏まえた水産業の成長産業化の実現とありました。我が国の水産業の現状についてどのような認識を持っているのか、水産業を成長産業化するために具体的にどのような取組が必要であると考えておるか、質問させていただきたいと思います。
○神谷政府参考人 お答えいたします。
我が国の水産業は、水産資源の減少による漁業生産量の低迷、魚介類の国内消費量の減少、漁業就業者の減少や高齢化の進展など、大臣も先ほど申されましたように、様々な課題に直面しております。
このような状況を踏まえまして、令和四年三月には新たな水産基本計画を策定し、水産資源の適切な管理などを通じた水産業の成長産業化を図っていくこととしたところでございます。具体的には、資源管理のロードマップを踏まえたTAC管理などの推進、新規就業者の確保、育成やスマート水産業による省力化、省人化、ブリ、ホタテなど戦略的養殖品目の増産や輸出の拡大、海業を含めた漁村活性化の取組の推進など、各般の施策を総合的に実施していく考えでございます。
○池畑委員 今も長官からお話をいただきました。やはり、海業をどうにか推進をしていきながら確保していく、そういった答弁もいただきました。
まず、水産物の消費拡大についても改めて質問させていただきたいと思いますが、政府は、水産基本計画において、近年五〇%台に低迷しております食用の魚介類の自給率を九四%まで引き上げる目標を設定しておりますが、我が国では様々な理由から魚離れが進んでおります。国民一人当たりの食用魚介類の消費量は、ピーク時であります二〇〇一年度の四十・二キロから、二〇二〇年度には二十三・四キロに減少をしております。
水産物の消費が減少傾向にある中で、水産業を持続可能な産業として持続をしていくために、分かりやすい話になるんですが、国民に水産物を消費してもらうことが極めて重要だというふうに思っております。魚介類が美容や健康にいいということは多くの消費者が認識しているところでありますが、政府は、国民の魚離れを食い止めるために、今長官からもお話をいただきましたけれども、どのような取組をしておられるか、また、これからいこうとしているのか、具体的な取組があれば御説明していただきたい、また、答弁をいただきたいと思います。
○神谷政府参考人 お答えいたします。
我が国における水産加工品を含めた食用魚介類の一人当たりの年間消費量は、先ほど委員からの御説明もありましたように、二〇〇一年度の四十・二キロをピークに減少傾向にあります。直近の令和三年度においても、前年度から〇・四キロ減少し、二十三・二キロでございました。
こうした中で、少子高齢化や共働き世帯の増加などを背景とした消費者の簡便化志向の高まりや、SDGsへの関心の高まりなど、消費者ニーズを的確に捉えた水産物の提供や若年層における魚食の習慣化を促進することが必要と考えております。
このため、水産庁では、水産物の消費拡大に向け、国産水産物の学校給食への利用を促進する学校給食関係者向けへの講習会などの開催や、栄養教諭等が行う魚食に関する指導の推進、消費者の内食需要等に対応した簡便性に優れた商品や提供方法等の開発、実証、生態系や資源の持続性に配慮した方法で漁獲、生産された水産物であることを示す水産エコラベルの普及推進などの取組に対して支援を実施してまいります。
これに加えまして、消費者に対する国産水産物の魅力や水産物の消費機運を高めるために、昨年十月にさかなの日を制定し、水産物の消費拡大に向けた取組を官民協働で実施しております。
現在、七百を超える様々な業態の企業、団体等が賛同メンバーとなっており、その取組を更に推進し、今後も、さかなの日の定着を図っていく等を通じて、水産物の消費拡大に努めてまいりたいと考えております。
○池畑委員 長官、ありがとうございました。
やはり取り組んでおられることは多分たくさんあります。今も官民で取り組んでおられることもたくさん披露していただきましたけれども、この法改正に当たって、更にこれがどう進んでいくのかということを次の質問でさせていただきたいというふうに思いますけれども、今回の法改正により、今長官が説明をしていただきました官民の連帯とか、給食とかそういったところで連帯をしていくんだというお話がありましたけれども、海業を振興して消費減少を食い止める狙いについて、法改正の観点から質問をさせていただきたいというふうに思います。
漁村の活性化を図るために、取組として、海業の取組は極めて有効である、今の長官また大臣のお話から大事なんだなということは皆様もよく分かったでしょうし、これから進めていこうとしておられるわけですから、漁村の地域の経済を支える三本柱、漁業、水産業と海業と言われている中で、海業の振興は、水産物への理解増進、今言われていました、これだけ取り組んでおりますという長官のお話もありましたが、今回の法律改正により、海業の振興を通じて、魚介類の消費減少など、法改正をすることによってどのように食い止めていこうとお考えであるか、お聞きしたいと思います。
○神谷政府参考人 お答えいたします。
近年の水産物消費の減少といった水産業をめぐる課題に対応するため、水産物の消費増進や都市と漁村の交流促進の取組を通じて、地域水産業の健全な発展を図ることが重要となっております。
今回の法改正では、こうした課題に対応していくため、漁業の根拠地である漁港について、その有する価値や魅力を生かし、事消費の取組として漁業体験活動や水産食堂などの事業である海業を推進し、水産物消費の増進や交流人口の拡大を図ることとしております。
具体的には、漁港施設等活用事業制度を創設し、漁港管理者が漁業者等との調整を図りつつ、漁港施設等を活用して水産物の消費増進や交流促進に資する取組を推進する計画を策定するとともに、事業者に対し、漁港施設の長期貸付けや漁港水面施設運営権など、長期安定的に事業を実施する権利や地位を付与するといった、事業者が海業の取組を実施しやすくなるための措置を講ずることとしてまいっております。
○池畑委員 法改正をすることと、今まで取り組んでおられたことと、やはり少し変わっている部分と全く変わっていない部分があるというふうに思います。漁業者の方にも、海業がどういうところかというのを理解していただきながら、今、最初の委員の自民党の西野先生からもありましたし、庄子先生からもありましたけれども、やはり海業というものがどういうものなのかということを理解をしていただくということが大事なんじゃないかなというふうに思います。
地元でも、この海業の今回の質問をさせていただくに当たりまして、いろいろと漁港を回ったり飲食店を回ったりさせていただきましたが、なかなかその言葉自身を理解はされていないところもございましたけれども、それは大事なことだよねということは皆さん口をそろえて言われますから、認知をしていただく、また、周知徹底をしていくということが大切なんだなというふうに思いました。
その中で、海業と漁業の共存について質問させていただきたいと思います。
漁村において、海業の発展が重要ということは、もう十分先ほども理解をさせていただきました。
漁業の業務に支障が出てしまっては本末転倒だというふうに私は思っております。新たな制度の施行に当たりまして、漁業上の利用に対してどのような配慮がなされているのか、また、漁業者と十分調整をしていく必要があるというふうに考えますが、その辺り、どのように取り組んでおられるか、質問させていただきたいと思います。
○安東政府参考人 お答え申し上げます。
漁港は、漁船の係留や水産物の荷さばきといった、漁業活動を営むための根拠地であることから、漁業上の利用が第一と考えます。
今回の改正により創設する漁港施設等活用事業は、こうした漁業根拠地としての機能を維持しつつ、その有効活用により水産物の消費増進などに資する事業を展開するものであり、漁業上の利用を阻害しないことが要件となってございます。
具体的には、海業の取組を推進するに当たっては、漁業者を始めとする漁港関係者の業務や漁港の本来の機能に支障が生じないよう、地方公共団体である漁港管理者が、漁業者や漁協などの漁港関係者からの意見聴取、施設の位置調整などの手続を経て事業の内容などを決定する仕組みを講じることとしてございまして、十分に漁業との調和が図れる仕組みとなっていると考えてございます。
○池畑委員 安東次長、ありがとうございました。やはり現場を回っておられるなというふうに思いますが、いろいろなお声を聞いておられると思います。
そこで、地元の事例も交えながら次の質問に移らさせていただきたいというふうに思いますけれども、海業の振興のモデル地域の選定の考え方と取組の概要について質問させていただきたいと思います。
水産庁では、海業振興の先行事例を創出して広く普及を図っていく、先ほどお話をいただきました。全国十二か所を海業振興モデル地区として選定をしておられます。
従来から、漁港には地元の特産品を取り扱う飲食店等がありますが、漁港における飲食店等に関しまして、これまでどのような取組がなされていたんでしょうか。この法律によって、先ほどの、海業に対しての何がどう変わるのか、そして、この法律改正によるメリットについてお尋ねをしたいと思います。また、あわせて、国土交通省が推進している道の駅との連帯についても必要ではないかというふうに考えておりますので、そこも含めて答弁をいただきたいと思います。
○安東政府参考人 お答え申し上げます。
これまで、漁港において飲食店を営業しようとする場合には、漁港区域内では漁港施設用地を飲食店用に貸し付けることが制度上困難であるという課題があり、漁港区域外に適地を探さざるを得ないという場合が多く見られたところでございます。
そこで、今回の法改正によりまして、漁港施設等活用事業制度を創設し、漁港区域内においても飲食店の営業が可能となるよう、事業者に対して、漁港施設用地の長期貸付けなど、長期安定的に事業を実施する権利や地位を付与するといった措置を講ずることとしておるところでございます。
また、道の駅との連携についての御指摘でございますけれども、本年三月に選定いたしましたモデル地区の中で、例えば、漁港に隣接した道の駅と連携した地元水産物の提供体制強化の取組も含まれておりまして、こうしたモデル地区の育成、横展開なども含め、道の駅との連携についても積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
○池畑委員 次長、ありがとうございました。
先ほど、地元の要望というか例というお話もさせていただいたと思いますが、今次長も答弁いただきましたけれども、今回の漁港の整備法の主務大臣は農林水産大臣ですが、国土交通大臣や経済産業大臣や環境大臣、いろいろな省庁をまたいでいるということはよく理解できます。
これも、ああ、そうだなと地元を回っていて思ったんですけれども、我々、道の駅というふうに具体的にお話をさせていただきましたが、できれば、私たちは、今、飲食店のお話がありましたけれども、道の駅の駐車場とか、さっき言いましたように、せっかく漁港エリアで飲食ができても、駐車場がなかなか確保ができないというお話をいただきました。国土交通省が管轄しているところが多くて、なかなか地域の許可を得ることはできません。国土交通省にお願いをしに行っても、そこを駐車場利用するのは難しいですというお話を今までは受けてきた。せっかくお客様がたくさん来ていただいているのに、駐車場が確保できなくて、その地域をスルーしてしまうということが結構多く出るようでございます。
せっかく連帯をするのであれば、具体的に、人が集まるような地域を確保するには駐車場というのが大変大事になってくるというふうに思いますので、関係省庁とかなりそういったところも連帯をしながら進めていただきたいというふうに思います。
そこで、漁港の施設の追加について、これは先ほど申し上げました駐車場に近いところではございますけれども、今般の法律改正では、陸上養殖の施設、配送用の作業施設、仲卸施設、直売所等の漁港施設が追加をされております。具体的には、どのような狙いを持って追加をしようと考えておられるのか。特に、水産物の輸出拡大等、前向きな取組につながる施設が必要だと私は考えておりますけれども、今回の追加施設にはそのような施設が含まれているんでしょうか。
○安東政府参考人 お答え申し上げます。
今回の改正による漁港施設の見直しは、養殖の推進、輸出促進などに向けた衛生管理の高度化、販売機能の強化など、近年の我が国の水産業をめぐる重要な課題に対応していくことを目的としております。
具体的には、配送用作業施設、仲卸施設を追加し、陸揚げから出荷までの一連の流通経路において一貫した衛生管理体制を構築し、委員から御指摘ありました、輸出先国の衛生管理基準に合わせた輸出を可能とするということで、輸出促進につながるものと考えてございます。
このほか、陸上養殖施設を追加し、気象、海象条件に影響されない安定的な供給体制の構築を促進する、あるいは、直売所を追加し、直接販売も含めた販売機能を強化する、それから、漁船のための給油施設を、水素燃料を含めた燃料供給施設に拡充し、脱炭素化に向けたクリーンエネルギーの導入を推進するといった各措置を講ずることとしてございます。
○池畑委員 次長、ありがとうございました。
やはり、輸出の施設と聞きますと、そういった施設をばんばん建てていくというイメージになりそうなんですが、地元の赤穂市の坂越でもそういったものを利用させていただいて輸出に転換しているところもあります。
その中で、今答弁いただいた中にもありましたけれども、具体的に、いろいろな施設がある中で、これからどのようにやっていこうかと。やはり、海が枯渇している、海が枯れているという表現をよく漁師さんたちはされますけれども、養殖に転換していかざるを得ないということも踏まえております。そして、その中で輸出をするとなると、やはり、これから日本の食料を確保する上でも、養殖も確保しながら、余った分というのはおかしいですけれども、それを輸出しながら展開をしていくというのがこれからの日本の農林水産業には大変必要なことだというふうに思いますので、今の答弁をいただきました内容も含めて、是非周知徹底していただけるようにしていただきたいというふうに思います。
その中で、次の質問に移らせていただきますが、海業の振興に関する具体的な支援施策について質問させていただきたいと思います。
漁港における海業の取組については大きな施設も必要、先ほど次長から答弁をいただきました。十分な支援施策が必要であるというふうに改めて考えておりますけれども、支援施策があっても、その内容が分かりにくくて有効に活用されなければ、法制化しても何の意味もないというふうに思っております。
支援施策とその推進手法について、改めて具体的にお聞きしたいというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○安東政府参考人 お答え申し上げます。
海業の振興に対しましては、水産庁では、地域水産物の普及施設や漁業体験施設などの整備、漁村における交流面での活性化のための計画調査、外部人材招聘や、商品開発、販路開拓などの事業を令和五年度予算に組み込むとともに、関係省庁と連携して海業振興に有効と考えられる支援制度を取りまとめた海業支援パッケージを作成し、情報提供することで、地域の創意工夫を生かした地域所得の向上に向け、引き続きハード、ソフト両面から支援してまいりたいと考えております。
加えて、こうした支援制度が十分に地域において理解が進み、浸透するよう、相談窓口を設置するとともに、関係省庁との連絡体制づくりを行うこととし、さらに、海業の取組に意欲のある地区を募集し、モデル地区としての先行事例づくりや地域経済循環分析手法などを用いた海業の取組効果把握の進め方についての助言指導などを行うことで、海業の普及促進を図ってまいりたいと考えております。
○池畑委員 ありがとうございます。
やはり地元でも、県が所有している海浜公園とかいろいろな、すごく整備はされているんですが、なかなか有効利用できていないのかなというふうに思うような施設もたくさん見受けられます。
その中で、意欲ある事業者、飲食店の方々がやはり口をそろえて言いますのが、ハード、ソフトというふうなお話を今いただきましたけれども、トイレの整備とか、そういったいろいろな、今駐車場のお話もさせていただきましたけれども、そういった整備も含めて、もう少し具体的、ちょっと小さい話なのかもしれませんけれども、そういった取組にどういうふうに我々が取り組んだらいいのか、我々というのは、地元の事業者さんたちが取り組んだらいいのかということを、是非その手法についてもっと分かりやすく、今、説明しますというふうにお話をいただきましたので、もっともっと県や市に周知徹底するようにお話を水産庁からもしていただきたいというふうに思います。
時間がちょっと迫ってまいりましたので次に移らさせていただきますが、近藤委員からもありましたけれども、水産業に関わる人材の育成について質問させていただきたいと思います。
私も農業高校の質問をよくさせていただくんですが、大臣からも先ほど答弁をいただきましたので少し短めにさせていただきたいというふうに思いますけれども、関係者の方からいろいろと聞き取りをさせていただきますと、漁業とか水産業に関わる方の高齢化、これはもう農業でも全部一緒なんですけれども、今、文科省の簗副大臣からもお話をいただきましたし、大臣からも、すぐ卒業してなかなか就農できないというお話もいただきましたし、私も現場におりましたので、なかなか難しいんだろうなということも分かります。
あとは、その中で、今、文科省との話をこれからも詰めて、また連帯もしていきたいというふうな話をいただきましたけれども、水産業に関わる人材の育成について、より具体的に、どのような取組をしようと具体的に考えておられるのか、もしありましたら、答弁をいただきたいと思います。
○野中副大臣 水産業を成長産業としていくためには、水産資源の適切な管理だけじゃなくて、やはり人材、そして特に若年層の確保というのは大切だというふうに思っております。
先ほど来お話がございましたが、高校からすぐ就業される方、そしてまた様々な経緯を経て就業される方、それぞれ就業前から就業後まで私どもは切れ目のない支援を行っているところであります。例えば、水産高校向けであれば、漁業者等が漁業の魅力を直接伝える漁業ガイダンスの実施とか、また、海技士免許取得に必要な乗船履歴を短期に取得するコースの運営、そしてまた、一般の方向けでは、就業相談会の開催や漁業学校等で学ぶ者への資金の交付など、様々な支援をしているところであります。
これからもしっかりと取り組んでいきたいというふうに思っております。
○池畑委員 ありがとうございます。
やはり農業高校、水産高校、活性化をしていただくには必要なんですけれども、そういったUターンも大切だというふうに思っておりますので、是非取り組んでいただきたいと思います。
最後に、農業における農福連携というのはよくお聞きします。
神奈川県においては、水産業と福祉を連帯させる水福連携というのが進められております。障害者だけじゃなく高齢者や生活困窮者まで対象を拡大していく。その中で、是非、政府は水福連携についてどのようにお考えなのか、答弁をいただきたいと思います。
○角田大臣政務官 水産業において、障害のある方に就労の機会を提供することは、生きがいの創出、また社会参画の実現といった障害者福祉の進展に貢献するものと考えております。
これまでにも、水産加工業や養殖業を中心に、障害のある方が昆布の加工やカキ養殖に用いるバンガラの作成などの作業に従事する事例もあり、関係漁業者から、働き手不足の解消につながるといった声も聞かれているところであります。
今後とも、農山漁村振興交付金により、技術習得や作業工程のマニュアル化などを支援するなど、水福連携の取組を引き続き推進してまいる考えでございます。
○池畑委員 是非進めていただきたいと思います。
これで質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○笹川委員長 次に、長友慎治君。
○長友委員 国民民主党の長友慎治です。
今回の、漁港漁場整備法及び水産業協同組合法の一部を改正する法律案、これまで議論がありましたとおり、漁港における海業の推進等により、水産業の発展及び漁港地域の活性化を図り、将来にわたって国民に水産物を安定的に供給していく。そのために、漁港の持つ価値や魅力を生かして、水産物の消費増進や交流促進に寄与する取組を構築していく。例えば、直売所や水産食堂を新たに作って直接消費を促し、漁業体験などを通じた事消費を拡大させるためのにぎわいを創出する。そのように私としては理解をしたところでございます。
このにぎわいを漁港、漁村に創出していくという点では、私の地元に重要港湾の細島港という港があります。古くからの天然の良港で、商業港に工業港が増設されまして、重要港湾になっているわけですけれども、この細島港の一帯が、二〇一七年に国土交通省のみなとオアシスに登録されまして、海の駅ほそしまを代表施設とするみなとオアシスほそしまとして地域づくりの活動拠点ともなっておりまして、にぎわい創出に寄与をしているところでございます。
この細島港のように、国土交通省港湾局が地域のにぎわいの拠点を登録するみなとオアシスが全国にございます。現在百五十七か所あると聞いているところでございますけれども、今回の法改正が成立することによりまして、このみなとオアシスとどのような相乗効果を発揮していくのか、期待できるのかについて伺いたいと思います。
○神谷政府参考人 お答えいたします。
今回の法改正は、漁港の持つ価値や魅力を生かし、水産物の消費増進や交流促進を図るため、漁港で水揚げされた水産物の販売施設や飲食店、港内の水面を活用し、釣りや漁業体験活動等の事業である海業を漁港において取り組みやすくするものでございます。
海業の取組の実施に当たりましては、にぎわいの拠点であるみなとオアシスを展開する港湾と漁港が連携することで、提供する水産物や漁業体験活動等のメニューの充実、情報発信の連携により、更なる交流人口の拡大や水産物の消費増進の相乗効果が期待されると考えております。
今回の法改正では、漁港において海業に取り組む際に、漁港管理者が関係地方公共団体の意見を聞き、活用推進計画を定めることとしており、港湾管理者との連携が図られやすくなるものとも期待されております。
○長友委員 港を核とした町づくりのみなとオアシスと海業を促進していくことが、より港周辺、漁村周辺のにぎわい創出につながっていくということで、期待したいというふうに注目をしております。
私も、地元の漁師さんや関係者と一緒に漁港、漁村を盛り上げていこうと思うわけですけれども、いかんともし難い事実が一つございます。それは、最近の日本人の水産物の消費量が大幅に減少しているということになります。高度経済成長の時代から広まった食の欧米化、また、調理が面倒なこと、魚を面倒だというふうに思われてしまっているということ、さらに漁獲量の減少による割高感、そのようなことから魚食が敬遠されつつあるという事実があるわけです。
近年、我が国においては、特に若年層を中心に急速に魚離れが進行をしています。一人一年当たりの魚介類の消費量、農林水産省が公表した水産白書によると、一人当たりの魚介類の年間消費量、近藤委員の資料にもございましたけれども、二〇二一年度には二十三・二キロとなりまして、比較可能な一九六〇年度以降では最低となりました。ピークだった二〇〇一年度、四十・二キロの五八%まで落ち込んでいるという実態がございます。
これは、魚種別に見ると、全ての魚が落ち込んでいるわけではないわけなんです。サケ、マグロ、カツオ、サンマの購入費というものは一・四倍以上に増加しているという反面、サバ、アジ、イカといった水産物の購入量が半分以下に減少しているという背景もあります。これも農水省のモニター調査によると、例えば、生サケの購入量が増える理由は調理が簡単だから、イカの購入が減った理由は調理が面倒だから、そのような回答が多いということも明らかになっているところでございます。
調理のしやすさが水産物の購入に影響を与えることが示唆されるわけですけれども、水産庁としましても、水産業界と一緒に、これまで日本人のいわゆる魚食の消費拡大施策に様々取り組んできたというふうに思います。例えば、魚介類に関する幅広い知識を持ち、魚介類のすばらしさを伝えるおさかなマイスター。魚食普及のための水産業界が立ち上げた制度でございますけれども、魚離れを防ぐために取組をしていただいておりますし、小中学生を対象にした、魚を食べるための普及活動に力を注いでおられます。
また、水産庁が中心となって二〇一二年から取り組んできた「魚の国のしあわせ」プロジェクトというものがあるかと思います。これも官民協働のプロジェクトだったと思いますが、この「魚の国のしあわせ」プロジェクト、ちょうど実施から十年たったところでございますが、この成果というものがどのように総括されているのかについて伺いたいと思います。
○神谷政府参考人 お答え申し上げます。
水産物の消費拡大に向けた官民協働の取組として、二〇一二年から「魚の国のしあわせ」プロジェクトを実施してまいりました。
本プロジェクトに基づく個別の取組といたしましては、プロジェクト開始の十年の節目である二〇二一年までの間に、水産物の消費拡大に資するあらゆる取組を実証する「魚の国のしあわせ」実証事業において百十五団体が参画したほか、手軽、気軽においしく水産物を食べること及びそれを可能にする食品や食べ方を、ファストフィッシュとして、延べ三千三百七十五商品を選定いたしました。さらに、水産業界で輝く女性を応援する、海の宝!水産女子の元気プロジェクトにおきまして七十四名が登録されるなど、水産物の消費拡大に貢献したと認識しております。
十年目の節目であります二〇二一年九月をもって本プロジェクトは終了いたしましたが、引き続き水産物の消費機運を高めるため、毎月三から七日をさかなの日と制定し、現在七百を超える様々な企業、団体等の賛同メンバーとともに、水産物の消費拡大に向けた取組を官民協働で推進するなど、各般の施策に取り組んでいるところでございます。
○長友委員 御説明いただいたとおり、ファストフィッシュの取組とか水産女子元気プロジェクト、また、さかなの日という取組もあるという御説明をいただきました。
さかなの日のプロジェクト、お恥ずかしながら、私も先ほどの質疑の中で初めて知ったんですけれども、なかなかPRも足りていないんじゃないかなというふうに思ったりもします。
一方で、日本人の魚の消費量が減っているわけですが、世界の一人当たりの食用魚介類の消費量というものは上がっているわけですね。過去半世紀で約二倍に増加しているというデータがございます。日本人は魚を食べなくなっているんですが、世界では食べている。
今回の法改正によって、漁港の機能強化が、例えば、輸出をターゲットとする業者にとっては輸出促進につながっていくかと思うんですが、水産庁としまして、どのような海産物に狙いを定めているのか、また思いを持っていらっしゃるのかについて伺いたいと思います。
○安東政府参考人 お答え申し上げます。
国内の水産物市場が縮小する一方で、委員御指摘のとおり、世界の水産物市場は拡大しており、我が国の漁業者等の所得向上を図り、水産業が持続的に発展していくためには、水産物の輸出拡大を図ることが重要であると認識してございます。
このため、政府といたしましては、ブリやホタテなど、海外で評価され、日本の強みがある水産物を輸出重点品目として位置づけ、輸出拡大に取り組んでおります。これら輸出重点品目を含めて様々な水産物の更なる輸出拡大を図るためには、輸出先国の衛生管理基準に応じた品質管理や生産の安定化が課題となっております。
こうした課題に対応するため、今回の法改正におきましては、漁港施設を見直し、配送用作業施設や仲卸施設等を追加してございます。
これにより一連の流通経路における一貫した衛生管理体制及び水産物の安定的な生産供給体制を構築することにより、輸出先国の衛生管理基準に合わせた様々な水産物の輸出拡大につなげてまいりたいと考えております。
○長友委員 漁師の皆さんの稼ぎ、収入を上げるためにも、輸出の方でしっかりと稼ぐという方向も今回の法改正によって明確にしていただくのはいいのかなとは思っているところでございます。
我が国の漁船の登録隻数というのが、ピーク時から半減をしております。漁船が減少したことで、漁港には、次第に施設、用地、水域に余裕が生じてきているのかなと。この余ったスペースを活用し、漁村ににぎわいを取り戻すために海業の振興に取り組む、今回の法改正の狙いにはそのような背景もあるのかと理解をしているところでございますが、つまりは、漁師の皆さんの数が減少しているわけでございます。近藤委員の資料にもございました。漁業従事者、約六十年の間に五分の一まで減少しているという中で、漁業の担い手不足も深刻な状況ということになります。
今回の法改正が、漁師のなり手不足、また、漁業従事者を増やすことにつながるのか、つなげていこうという強い意思があるのかについて、政府の見解を伺いたいと思います。
○野中副大臣 海業とは、水産基本計画において、「海や漁村の地域資源の価値や魅力を活用する事業」とされており、海業に取り組むことで、漁村の所得と雇用を生み出すことを期待しております。
今回の法改正では、漁港において、海業の推進による交流人口の拡大や水産物消費の増進、陸上養殖の展開等による漁業生産力の向上を図ることで漁業者の所得向上につながり、その結果、多くの人に関心を持ってもらうことで、漁業従事者、そしてまた漁業者の増加に資するものというふうに考えております。
○長友委員 漁村では、特に全国平均を上回る速さでの人口減少や高齢化の進行が進んでいる、それによって活力が低下している。その漁村のにぎわいを創出していくことが重要な課題だということで、認識は同じだというふうに思っております。
先ほど、陸上養殖等も含めてという話がございました。例えば農業なんかは、スマート農業に若い従事者が集まってきているという実態がございます。これは漁業においても同じだと思うんですね。若い方たちが、今までの漁業から更に進んだ次世代の漁業、スマート漁業だったりスマート化した陸上養殖などに魅力を感じるという人たちはいるというふうに、私も周りにいるので、実感をしております。
私の地元でも陸上養殖に取り組もうとしている仲間がいますので、そういう方々に対する明確なメッセージも、是非、今回の法改正にはあるということを打ち出していただきたいなというふうに考えているところでございます。
陸上養殖、最後にお話をさせてもらうと、ポテンシャルが非常にあると思うんですね。生産性を上げやすいということと、様々な魚種の養殖が可能である、また、環境負荷も小さくて、トレーサビリティーの確保も容易であると、世界的にも注目をされています。
ただ、これは、導入時のコストがかなりかかるということと、エネルギーを使うときのコストというのが導入時のハードルになっているということを、取り組もうとされる方からよく聞きます。
ですので、陸上養殖を今回の中にメニューとして入れておいて推進するということであれば、この導入時のハードルを下げていただくような資金面のサポートというメニューも今後充実をさせていただきたいということを申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。
○笹川委員長 次に、田村貴昭君。
○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。
漁港漁場法改正案等について質問します。
全国の漁港周辺では、地元で捕れた水産物を活用したレストランや直売所が営まれていますけれども、これまでそうした施設を漁港の中に設置することは制約があって難しかったです。
本法案は、そうした水産物の消費喚起、交流促進を図る事業を漁港自体の中でやりやすいよう、法律上の障害を取り除こうとするものと理解しています。
事業の実施者は、港湾管理者である首長から計画の認定を受ければ、行政財産である漁港施設の貸付けを受けられるようになります。これまでの制約がなくなり、漁港施設の活用が進むことへの期待が寄せられています。
一方で、懸念もあります。
そこで、質問しますけれども、例えば、地元の漁業者、漁協の合意がないままに首長の認定を受けた事業者が開業し、漁業者の漁港の利用を阻害するようなことが起きないのか、改正案ではどういうふうになっていますか。
○安東政府参考人 お答え申し上げます。
漁港は、漁船の係留や水産物の荷さばきといった漁業活動を営むための根拠地であることから、漁業上の利用が第一と考えてございます。
このため、漁港管理者が活用推進計画を定める際に、漁業者を始めとする漁港関係者の業務や漁港の本来の機能に支障が生じないよう、関係地方公共団体、当該漁港を利用する水産業者及び水産業に関する団体、その他の関係者の意見を聞くこととしております。
この意見聴取は、地域の理解を得て漁港施設等活用事業を安定的に実施していく上で大変重要なプロセスと考えておりますので、水産庁としても、その進め方を分かりやすく整理し、漁港管理者に示してまいりたいと考えております。
○田村(貴)委員 私は、東海地方のある漁港内でレストランを営む漁業者兼事業者の話を聞きました。その方は、水上テラスの占用許可などで非常に手続が大変であった、今度の法案についてはありがたい、そういうふうに言われて、ただ一点、漁業法も改正されて、よそから来た事業者が浜の細かいルールを守らずに混乱を引き起こされるようなことがあったら、それは本当に困るというふうにおっしゃっていました。浜ごとにやはり生産のルールがあり、そして、漁港利用のルールがあります。ここはやはり大事だと思うんです。
それで、私たちは、やはり、宮城の桃浦であった水産特区、あのときの教訓を忘れてはいけないと思います。外部からの事業者をそのときの県知事がごり押しして、結果として漁業者の漁港利用を阻害してしまったというようなことがありました。きちんとこの点については徹底していただきたいと思います。
もう一点、販売とか加工業者など、漁港の周辺で営みをされている方、そうした利害関係者にも今度の法改正に当たっては幅広く意見を聞くべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
○安東政府参考人 お答え申し上げます。
先ほども申し上げましたけれども、この事業を実施しようとする場合に、漁港管理者が活用推進計画を定めることになりますけれども、その際には、水産業者、水産業に関する団体、その他の関係者の意見を聞くこととされておりまして、どういった関係者から話を聞くかというのは、一義的には漁港管理者の判断になろうかと思ってございます。
いずれにしても、水産庁といたしましては、地域での合意形成というのは、非常に、これは事業を安定的に進めていく上でも重要でございますので、その丁寧な進め方についてどういった進め方がいいのかというようなことをしっかりと考え方を整理し、地方公共団体とも意思疎通をしてまいりたいと考えております。
○田村(貴)委員 漁港の活性化、本当に大事だと思います。そして、周辺部も含めて、不利益が偏ったりとか、あるいは先ほど言った問題が起こらないように、しっかり取り組んでいただきたいと思います。
続いて、有明海のノリの不作の問題について質問します。
資料をお配りしています。
私もこういう色を見たのは初めてなんですけれども、諫早湾にほど近い佐賀県南西部のノリの養殖場であります。漁業者の方が驚いて撮影された写真でありますけれども、今年の三月、まさに血の色のような赤潮が広範に発生しました。当然、ノリなど捕れるわけありません。このノリの不作は今に始まったわけではなく、私も本委員会で色落ちして真っ黄色なノリ網の写真をお配りして、皆さんにも知っていただいたところであります。
この赤色の赤潮が起きる直前の三月十五日の当委員会で、私はこの問題も取り上げました。打開策となりわいへの支援を求めたところ、野村大臣は、近々水産庁を現場に行かせる、約束しますというふうに答えていただきました。
水産庁にお伺いします。
現場には行かれましたか。そして、その後の対応について説明してください。
○神谷政府参考人 お答えいたします。
四月五日及び十八日に水産庁職員が福岡県に、あわせまして、四月十七日に水産庁職員が佐賀県の現地を訪問いたしまして、ノリ養殖業者や県庁と意見交換を行いました。
養殖業者からは、今漁期の生産枚数は厳しい状況であったものの、来漁期に向けて自分たちでできる取組を進めたいので、そのための支援をお願いしたいとの声が上がりました。
これらを受けまして、水産庁では、赤潮に強い持続可能な養殖生産体制の構築に向けた漁場環境調査の内容について、現地で意見交換を行ったところでございます。
この結果を踏まえまして、水産庁では、二枚貝の増殖や海底耕うんなど、養殖業者の意見も取り入れた漁場環境の改善などを支援することとし、現在、関係県の養殖業者と県庁による具体の進め方を調整しているところでございます。
○田村(貴)委員 カキを海中に入れて赤潮対策をするという話を伺ったんですけれども、カキについてはどういうことになるんでしょうか。
○神谷政府参考人 ノリ養殖業者からは、水質改善を含む漁場環境の改善を求める意見が強いことから、関係県に対しまして、漁場環境改善のための調査を支援することとしております。
その一環といたしまして、例えば佐賀県におきましては、漁協と協力してノリ養殖漁場に設置するカキを今漁期の倍以上とすることや、カキ礁を造成することなどの具体的な進め方を調整しているところでございます。
農林水産省といたしましては、こうした取組の実行を支援することにより、養殖業者が将来に希望を持つことができる赤潮に強い養殖体制の構築につなげてまいりたいと考えております。
○田村(貴)委員 現地に行ってもらって、要望を聞いて、これから対処をされるということについては否定をしません。ただ、それが本当に効果的な対処になっていくのか、本当に実のある支援になっていくのか、ここが問われると思います。
大臣、聞いていただきたいと思います。
実は今、カキをつるすということもあったんですけれども、これは今に始まった対策ではありません。海底耕うんもずっと長年やっています。それにもかかわらず、毎年のようにこうした赤潮被害が生まれて、今期、収入ゼロ、またそれに近いという漁業者がどんどん生まれている。これは毎年毎年こうなんですよね。全く展望が持てないということで、有明海のノリ漁場では廃業が続出しているわけであります。
佐賀県鹿島の七浦の地域、行かれたのはいいんですけれども、実は会合は三十分で終わっちゃって、すぐに立ち去ってしまったというふうにも後で聞いています。
三月の委員会で、大臣は、なかなか実態を私どもつかんでおりませんというふうに述べられました。ということは、実態をつかむという意思だと私は受け止めております。その実態というのは、更に深刻な状況となっています。毎年の被害が全く改善されておらず、そしてなりわいを失っているわけです。
例えば鹿島のノリ漁師さんたちは、もっと小まめな排水をしてほしい、それから既にあるカキ山を削ってほしいと具体的な要望を出しています。それは水産庁、聞いているはずであります。そこにしっかり応えていただきたいと思います。
それから、廃業を生まないためにも、もっとやはり時間を取って現地の声に耳を傾けて、そして実効ある対策を、今お聞きしたんですけれども、それにとどまらず、追求していただきたい、検討していただきたい、実践していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○野村国務大臣 お答え申し上げます。
田村委員から、先般の委員会で、現地に水産庁の職員を派遣すべきじゃないかということがございました。その後、毎月現地に職員を派遣して実態調査をいたしているところでございまして、そのときに漁業者の要望も聴取してきました。
今後とも、必要に応じて水産庁職員を現地に派遣して漁業者の声をしっかりと聞きながら、関係県とも協力し、必要な取組を進めてまいりたいというふうに思っておりまして、何にもしていないんじゃないか、こういうようなお叱りだったんですが、毎月行っておりまして、その効果も、具体的な効果というのがどういう形で出てくるのかというのもなかなか難しいんですが、一生懸命、水産庁の職員としては、毎月行って実態調査はしているというところでございます。
○田村(貴)委員 その実態の把握というのが一番大事であります。ただ、それを聞き取ったところで終わらせては駄目なんですよね。
全国ブランドですよ、有明ノリというのは。ここがもう屋台骨が崩れていく、それほどの被害になっている。被害はどんどん拡大している。東の方にも行っている。
そんな中で、対策としては、私はやはり有明海特措法二十二条、この適用が何としても大事だというふうに思っています。いろいろ対策を講じても、例えば共済、積立ぷらす、これはあるんだ、それで二十二条に代わる、これに基づいた対策をしているというんだけれども、じゃ、それでなりわいが継続できるかといったら、それで継続できればいいですよ、でも、継続できないから廃業がどんどん生まれているわけなんですよね。
ある漁師の方はこう言っています。太良、大浦だけでも幾人もやめている、佐賀全体でも四十人ぐらいやめたという話も聞いていると。今この瞬間にも、ノリ漁というのはお金がかかります、だからやめようと思う方がいるわけなんですよね。
そういう実態があるんだったら、やはりこれまでどおりの対策では駄目だということです。漁済、積立ぷらすがあっても廃業が続いているんだったら、法律があるんです、有明海特措法二十二条の適用で損失を補填すべきではないでしょうか。まず、これは本当に真剣に考えてみるべきではないでしょうか。大臣、いかがですか、方策として。
○野村国務大臣 前からそのお話をずっとされてきておりましたが、なかなか、水産庁が、経営調査によりまして、収入が大幅に減少しても、漁業共済と積立ぷらすが経営の下支えを果たしていることが明らかになっているというのは実態として出てきておりますので、今漁期についても漁業共済及び積立ぷらすにより漁業被害に関わる所要の救済が可能と考えているところでございまして、委員おっしゃるように、救済措置、二十二条の適用をしろ、こういうお話なんですけれども、今のところは積立ぷらす等々で何とかやっていけたということでございます。
○田村(貴)委員 やっていけないからこれしかないじゃないかと言っているんです。
有明海異変を生み出した最大の元凶は、何といっても諫早湾干拓事業です。そして、潮受け堤防で湾を閉め切ったことにあるわけですね。漁業者の方は、やはりここをクリアしないといけないと、開門調査を行うことを強く要求されています。これも、私も強く要求しておきたいと思います。
大臣、何度も言いますけれども、今回は漁港と漁場の活性化、これを目的とした法案の提出ですよね、水産業の活性化ですよね。でも、現に海を糧として、なりわいとしている方がばたばたとやめていると。悲観している、将来に展望が持てないと。
こういうのがあるんだったら、やはりここを解決するのが行政の役割、政治の役割ではないでしょうか。
そのことを強く申し上げて、時間が参りました。質問を終わります。
○笹川委員長 次に、仁木博文君。
○仁木委員 有志の会の仁木博文です。
今日も質問の方を行いたいと思いますが、野村大臣、今回、この法案の趣旨にも該当すると思いますが、二〇〇三年に二十三万人いました漁業従事者、約十七年たって、二〇二〇年には十三万七千人と約十万人減少していますが、この原因はどのようにお考えでしょうか。
○神谷政府参考人 お答えいたします。
我が国の漁業就業者の減少の原因につきましては、生産量の減少に伴う産業規模の縮小、高齢層のリタイアの進展、リタイアする高齢層の数に対して新規就業者の若年層が少ないことなどが挙げられます。
我が国の漁業が持続的に発展していくためには、新規就業者の確保とその定着を図ることが重要であるため、引き続き、漁業学校などで学ぶ者への資金の交付や、漁業現場での漁労技術や経営ノウハウを習得する長期研修などを通じまして、就業前から就業後まで切れ目のない支援を講じてまいります。
○仁木委員 この間、セキュリティー、特にフードセキュリティー、食料安全保障ということがいろいろな場面で議論されておりますけれども、一次産業、かつて日本、そして今もそうでございますけれども、海洋国家、農業もそうでございますけれども、地方に行くとそういったプラットフォームがあるわけでございますので、それをよりフルに活用できるようにしなきゃいけない。
そして、その担い手の、今私が冒頭に質問しました漁師の方の、そのイメージというか、特に新規参入が少ないというお言葉もありましたが、要は、格好いいとかもうかる、そういうことが特に漁業従事者にも必要だと思いますので、そのことを補う意味のこの法改正というふうに私は位置づけております。
そういう意味で、個別の質問をしたいと思いますけれども、今回の、専ら漁業をやる方の拠点たる漁港の利活用ですけれども、例えば、この法改正に伴って、プレジャーボート、ヨットや、あるいはリゾート地によくあるようなバナナボートみたいな、人を寄せつけるような形の港になり得るというふうに捉えておりますが、その辺に関してはいかがでしょうか。
○安東政府参考人 お答え申し上げます。
今、委員から御指摘のありましたプレジャーボート等、マリンレジャーの関係の係留施設につきましても、漁業上の利用に支障を生ずるものではなく、かつ、当該施設の運営によって多くの方に水産資源や自然環境の魅力を体感してもらい、水産物の消費増進や漁村の活性につながるものであれば、今回の漁港施設等活用事業の対象となり得ると考えてございます。
○仁木委員 今後、SDGsを踏まえまして、漁船のありようも変わってくると思います。化石燃料、原油等の分解というか、灯油とか、重油、軽油を含めて、そういったものから、電動化、あるいは水素燃料船とか、あるいはハイテク船、いろいろな形があって、漁港の見た目というか、形態が変わってくる可能性もありますので、そういうことも踏まえた形での、今、水素燃料船に関しましてはまだ実証実験段階というふうに伺っておりますので、対応をお願いしたいと思います。
今日は、ちょっと一方で、漁業組合というか、漁師の方の構成する組合のことについてお聞きしたいと思います。
昭和三十七年に閣議決定されております公共用地の取得に伴う補償基準、漁業補償という名の下で、内水面であったり、漁業補償があるわけですけれども、私は徳島で、実際そうなんですけれども、様々な公共事業をする上でなんですけれども、そこがちょっとネックになるようなこともあるわけです。
つまり、悪い言い方ではないんですけれども、そこに、内水面の人たちで、漁業の組合員になる資格が本当にあるのかどうか分からない人が急に入ってきて、ごねて、例えば補償額を上げたりするんじゃないかとか、あるいは、より多くの利益を得るというような形で、インフラができる期間が延びたりするようなことも想定されます。
そういった既得権益とも捉えられがちな漁業補償のことについて、まず国土交通省の、今日、政府参考人を呼んでいますけれども、一般に、例えば、国土強靱化の名の下で、護岸工事とか、あるいは内水面の小水力発電とか、あるいは治水対策として行う事業においてのそういった算定根拠、特に個別事案ではございますけれども、総論的にこれはどうなっているのか、一応教えていただきたいと思います。
○川野政府参考人 お答え申し上げます。
国土交通省が施行する公共事業の実施に伴う漁業権等に対する補償につきましては、昭和三十七年に閣議決定されました公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱に準じて、国土交通省において基準を定め、漁業権等の権利者に対して補償を行っているところでございます。
具体的には、漁業権等を消滅又は制限させる場合においては、当該権利について収益を生み出す資産として評価した額を基準とし、これに係る水産資源の将来性や権利制限の内容等を考慮した算定額をもって補償することとしております。
また、漁業権等の消滅又は制限に伴い漁業の継続が不能となる場合等におきましては、通常生じる損失額等を補償することとしております。
○仁木委員 私が申し上げたいのは、農協もそうでございますけれども、例えば、地方においては組合員が減ったりとか、いわゆるMアンドAを重ねて大きくなっていくような形もありますし、漁業組合もそういうのがありますから、海区の問題があってなかなかうまくいかないとかいうこともあります。
されど、やはり、今、個別の組合で、組合員の数が減って、組合員になるための要件を個々の定款等で緩和して組合員を増やそうとして頑張っているような組合もあるわけですけれども、ただ、漁業補償とかを目的として入るようなことも、現に資格審査的なチェックはされているみたいですけれども、そういった、なんちゃって漁師みたいな形が増えるのはその趣旨に反しますので、本当に頑張って、漁、特に漁業というのをなりわいとしている人が報われるような仕組みというのはやはり国として適正に監督していただきたいと思います。
大臣、その辺、いかがでしょうか。
○野村国務大臣 組合員資格の問題につきましては、きちっと、役所の方というか、これは県なりそれから農水省の方でもチェックをしているはずでありまして、そういったような、今委員おっしゃったような事実があるのかどうか、これはゆゆしき問題になってくるわけですから。
ただ、組合員になるには、利用してそこでいろいろなものの享受を受けるというのが目的なはずですから、どういう意味で補償金目当てのために漁協に入っているのかどうか分かりませんけれども、そういった方々についてはやはりこれは排除していかなければいけないというふうに個人的には思いますから、また、漁協検査の中でも組合員資格がちゃんとあるかというところはチェックをかけさせたいと思っております。
○仁木委員 私が冒頭申しましたように、やはり、漁師のイメージが格好いいとかもうかるというような形を取らないことには、一次産業の担い手が増えないというのは認識されていると思いますので、漁師であるがゆえ、つまり、組合員に入っていることで、先ほど大臣もおっしゃったようなメリットがある、いろいろな国からの助成なりいろいろな支援が、あるいは法的にも、今回の法改正のようにメリットがあるということで入っているわけでございますので、そういった基盤をやはりうまく活用して、一次産業を、特に漁業を盛り上げていっていただきたいと思います。
大臣、最後に、通告しておりますけれども、この間申し上げている藻場とかの再生に関する、例えば、海の中のCO2を吸収する葉緑素を持った海藻、あるいは、そういう藻に関する手入れを行うことによって、将来、森林環境譲与税にあるような形で、そういった再生作業を実際やっている漁師の方々にお金が入ってくるような仕組み、今も支援制度も当初はあるということでございますけれども、そういったことに関して、大臣、今後、今、実証段階が終わって、エビデンスが出れば、そういったことも将来考えていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。最後の質問です。
○野村国務大臣 お答え申し上げます。
委員おっしゃるように、ブルーカーボンのお話だと思いますが、海藻による二酸化炭素の固定化、いわゆるブルーカーボンとして注目されている海藻は、水産生物の産卵場や育成の場として大変重要でございます。
農水省としては、こういった藻場や干潟の保全、創造を推進するため、地方公共団体による藻場が着生しやすいブロックの設置なり、漁業者等による食害生物の駆除といった取組に対して支援を行っているところでございまして、引き続き、地域の実情を踏まえながら、漁業者の声をお聞きしながら、藻場、干潟の保全、創造に向けて効果的な支援をやってまいります。
○仁木委員 ありがとうございます。
是非とも推進をお願いしまして、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
○笹川委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
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○笹川委員長 これより討論に入るのでありますが、その申出がありませんので、直ちに採決に入ります。
内閣提出、漁港漁場整備法及び水産業協同組合法の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○笹川委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
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○笹川委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、武部新君外六名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会、公明党、国民民主党・無所属クラブ、日本共産党及び有志の会の七派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を聴取いたします。梅谷守君。
○梅谷委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表し、その趣旨を御説明申し上げます。
案文を朗読して趣旨の説明に代えさせていただきます。
漁港漁場整備法及び水産業協同組合法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
我が国の水産業は、国民への水産物の安定供給を担い、漁村において雇用を生み出す等地域の産業として重要な役割を果たしているが、主要魚種の不漁、漁業者の減少、気候変動による海洋環境の変化等厳しい状況に直面している。これらに対応するため、科学的知見に基づく資源管理を適切に実施し、新規就業者等の担い手の就業・定着促進を進めるとともに、漁業の根拠地である漁港について、その有する価値や魅力を活かした海業の取組を、漁業利用との調和を図りつつ推進し、豊かで住みよい漁村の振興を図るべきである。
よって政府は、本法の施行に当たり、左記事項の実現に万全を期すべきである。
記
一 漁港施設等活用事業の推進に当たっては、漁港の漁業上の利用を阻害するおそれがないことを十分に確認した上で実施計画の認定が行われるよう必要に応じて助言又は勧告を行うこと。
二 漁港施設等活用事業の推進に当たっては、漁港管理者、認定計画実施者、漁業者、漁業協同組合など幅広い関係者の間で利害調整が円滑に行われるよう環境整備に努めること。
三 認定計画実施者が経営破綻して活用事業施設の撤去等の原状回復が不能となった場合等には、原状回復を円滑に進めるために必要な措置を講じること。
四 海業は、商業、観光業、環境保護等とも密接な関係にあることから、関係省庁との連携を強化し、施策の展開を図ること。
右決議する。
以上、委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
○笹川委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○笹川委員長 起立総員。よって、本法律案に対し附帯決議を付することに決しました。
この際、ただいま議決いたしました附帯決議につきまして、政府から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産大臣野村哲郎君。
○野村国務大臣 ただいま法案を可決いただき、ありがとうございました。附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。
可決いただきまして、本当にありがとうございました。
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○笹川委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○笹川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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〔報告書は附録に掲載〕
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○笹川委員長 次回は、明十一日木曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時七分散会