第11号 令和5年5月17日(水曜日)
令和五年五月十七日(水曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 笹川 博義君
理事 あべ 俊子君 理事 武部 新君
理事 若林 健太君 理事 渡辺 孝一君
理事 近藤 和也君 理事 緑川 貴士君
理事 足立 康史君 理事 庄子 賢一君
東 国幹君 五十嵐 清君
伊東 良孝君 泉田 裕彦君
上田 英俊君 江藤 拓君
加藤 竜祥君 神田 潤一君
小寺 裕雄君 坂本 哲志君
高鳥 修一君 西野 太亮君
平沼正二郎君 細田 健一君
宮路 拓馬君 宮下 一郎君
保岡 宏武君 山口 晋君
梅谷 守君 金子 恵美君
小山 展弘君 佐藤 公治君
山田 勝彦君 渡辺 創君
池畑浩太朗君 遠藤 良太君
住吉 寛紀君 稲津 久君
角田 秀穂君 長友 慎治君
田村 貴昭君 緒方林太郎君
北神 圭朗君
…………………………………
農林水産大臣 野村 哲郎君
農林水産副大臣 野中 厚君
農林水産大臣政務官 角田 秀穂君
国土交通大臣政務官 西田 昭二君
政府参考人
(農林水産省大臣官房総括審議官) 杉中 淳君
政府参考人
(農林水産省大臣官房総括審議官) 高橋 孝雄君
政府参考人
(農林水産省農産局長) 平形 雄策君
政府参考人
(農林水産省経営局長) 村井 正親君
政府参考人
(農林水産省農村振興局長) 青山 豊久君
政府参考人
(水産庁長官) 神谷 崇君
政府参考人
(水産庁次長) 安東 隆君
政府参考人
(中小企業庁経営支援部長) 横島 直彦君
政府参考人
(国土交通省大臣官房審議官) 佐々木俊一君
政府参考人
(国土交通省海事局次長) 宮武 宜史君
政府参考人
(海上保安庁警備救難部長) 渡邉 保範君
政府参考人
(海上保安庁交通部長) 君塚 秀喜君
農林水産委員会専門員 飯野 伸夫君
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委員の異動
五月十七日
辞任 補欠選任
掘井 健智君 遠藤 良太君
北神 圭朗君 緒方林太郎君
同日
辞任 補欠選任
遠藤 良太君 住吉 寛紀君
緒方林太郎君 北神 圭朗君
同日
辞任 補欠選任
住吉 寛紀君 掘井 健智君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
遊漁船業の適正化に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第五三号)
――――◇―――――
○笹川委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、遊漁船業の適正化に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房総括審議官杉中淳君、大臣官房総括審議官高橋孝雄君、農産局長平形雄策君、経営局長村井正親君、農村振興局長青山豊久君、水産庁長官神谷崇君、水産庁次長安東隆君、中小企業庁経営支援部長横島直彦君、国土交通省大臣官房審議官佐々木俊一君、海事局次長宮武宜史君、海上保安庁警備救難部長渡邉保範君、交通部長君塚秀喜君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○笹川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○笹川委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。江藤拓君。
○江藤委員 皆様、おはようございます。自由民主党の江藤拓でございます。
質問の時間を与えていただきました理事の皆様、それから委員の皆様方に心から感謝申し上げます。どうぞよろしくお願いいたします。
まずは、大臣、大臣御就任、改めておめでとうございます。
農政の大転換点とも言えるこの時代に、本当に隅々まで農政の現場を知っていらっしゃる方が農林水産大臣におられるということは、農業、林業、水産業、全ての業界の方々が喜んでおりますし、頼りにしております。そして私も大変頼りにしておりますので、どうぞお体を十分に御留意されまして、頑張っていただきたいと思います。
大臣とはたくさんの思い出があります、同じインナーとして頑張ってきたわけでありますから。農協改革から、それから様々な経済連携協定、土曜も日曜も返上して、東京でみんなでこっそり集まって様々な対策を講じたことを懐かしく今思い出しながら質問に立たせていただいております。
それから、さきのG7の農業大臣会合、すばらしいリーダーシップでありました。ありがとうございました。
宮崎県民も本当に喜んでおりまして、宮崎県民を挙げて対応させていただき、各国の方々も大変喜んでお帰りになりました。ありがとうございました。
ここにおいて大臣がまとめられました大臣声明、これはまさに歴史に残るレガシーと言えるものになったと思います。国際的にも本当に高く評価されております。
特に、この声明文の中に盛り込まれました、持続可能な生産性向上のための実践的な措置に各国が取り組むこと、この文言は、今までのWTOのルール、これは食料が生産過剰の時代に作られたWTOルールですから、絶対に書き込んではいけない、タブー的な文言だったと思います。これが、今の歴史の変化、世界の変化を踏まえてこの文言が書き込まれたことは、まさに画期的なことだというふうに思います。世界のサプライチェーンとか、様々な混乱を踏まえたものであって、すばらしい声明になったと思います。
特に、大臣声明の中にあった、ロシアが食料を武器化すると。この武器化という言葉については、刺激的な言葉でありますが、非常に率直に表現していました。まさに世界の食料システムは不安の中にあります。そして、食料安全保障の確立、これが世界的にも、そして日本では特に求められているということをこの言葉の下で示すことができたというふうに思います。
今回の農業大臣会合、大変セキュリティーが厳しかったわけであって、県警も大変だったんです。各国の要人に対する警護も厳しかったです。私も、大臣の中には何人も知っている方がいらっしゃるので、事前に、ちょっと話がしたい、レセプションが終わったらその後お話ができないかということを農林水産省にお願いしたら、ちょっと難しいかもしれませんということでした。けれども、私は御存じのように結構ずうずうしい性格ですので、レセプションが終わった後に最初にビルサック農務大臣のところにひゅっと行って、大臣、ちょっと話したいことがありますと。横が空いていたので、座ってもいいですかと言ったら、SPは嫌そうな顔をしていましたけれども、長官がいいよと言ってくれたので横に座らせていただいて、久しくいろいろな話をさせていただきました。大臣はバイの会談でしっかり話をされたと思いますけれども、私も私なりにいろいろな話ができて非常に有意義だったと思います。
その後、アメリカが許したんだからということだったと思いますけれども、カナダ、EU、ドイツ、イギリス、フランス、イタリア、それぞれ全て話をすることができました。そして、初めてでしたけれども、国際農業開発基金の総裁とも話をすることができました。
私だけではなくて、例えば、この間の鹿児島全共で内閣総理大臣賞を受賞した佐藤孝輔君、そして、宮崎県の未来の農業を担っていくであろう若者たちがたくさん来ていました、ゲストとして。彼らも、ビルサック大臣始め各国の代表が気さくに記念撮影に応じてくださいまして、みんな、こんな機会が与えられるとは思わなかったと本当に喜んでおりました。本当にありがたかったなと思っております。
そして、会場の外では、AIを始め日本のすばらしい農業技術、こういった展示がたくさんされました。そして、日本中の、被災地も含めた、おいしいものがたくさん展示をされて、提供されました。各国の随行者の方々もそれを召し上がって、ああ、本当に日本にはおいしいものがたくさんあるなあと、宮崎牛は当然ですけれども、大変皆様方喜んでおられて、本当に有意義な会合になったと思います。
そして、ここではビジネスチャンスも生まれました。私の選挙区の中の新富町のベンチャー企業でAGRISTというのがあるんですが、ピーマンを摘果する機械、AIなんですけれども、これが展示されていました。御覧になっていただいたというふうに聞いております。これも、サミット後、宮崎県と、これを現場に導入を目指す連携協定を結ぶに至っております。様々なチャンスを与えていただいたことに改めて感謝をさせていただきたいと思います。
ちょっと前置きが長くなりましたけれども、早速、それでは、遊漁船業の適正化に関する法律の一部を改正する法律案、これについて質問させていただきます。
何でこれを、江藤、おまえはやりたいんだと思っている方もいらっしゃると思いますが、多分、一番釣り船にお世話になっているのは、国会議員の中で、間違いなく私です。乗っている回数が一番多い。友人も一番多い。そして、魚釣りが一番うまいのも私。これはもう自負でありますから、異議を唱えることは許さないというところでありますけれども。
そういうところで、私にとって釣りは生きていく上で本当に私を支えてくれているものです。いろいろなことがあります、生きていれば、公私共に。政治の世界はいろいろな泥水も流れていますから嫌な思いをすることもあるわけですけれども、そういったことがあっても、釣り仲間と海に出て、朝日を見て、釣りをして、本当に立場なんか関係ないですから。社会的地位とか全く関係ない、時には年齢も関係ない。本当にイコールの立場で、ばか話をしながら釣りをして、えらいいじってくるんですよ、私のことを。ばかにしているんじゃないかというぐらいいじってくるわけですけれども、そういう人間関係ができました。
私にとって、釣り仲間、そこでできた友人は、人生の宝であります。この宝を与えてくれた遊漁船業の世界、これが今後とも振興することが、私にとっても、そして漁村にとっても、とても大事なことだという思いがありましたものですから、今回、無理を言って筆頭にお願いをして、質問に立たせていただいた次第でございます。
始めに、法改正の経緯、それから背景について質問させていただきます。大臣、よろしくお願いします。
これは、言うまでもなく、昨年の北海道知床沖で発生した遊覧船の事故、これによって海上運送法の改正が行われるということでありますから、当然、同じくお客さんを乗せる遊漁船についても法改正が必要だ。私もそう思います。
ここでお尋ねしたいのは、遊漁船業独特の理由、遊覧船とは違う独自の理由がもしおありになるということであれば、その背景、その理由等を説明していただきたいと思います。
よろしくお願いします。
○野村国務大臣 私の先輩の大臣であり、なおかつ、今現在、党でいきますと、党の農林大臣、調査会長をやっておられます江藤委員から、こうして大変お話をいただきましたこと、心から御礼を申し上げたいと思います。
今まで、農水大臣をされて党の調査会長をやられた方は何人かいらっしゃいますけれども、一番印象に残っているのは、私はやはり、入った頃が中川昭一先生だったものですから、中川昭一先生は、農水大臣をされて、党の調査会長をされた。そして、その後また何人か替わられたんですけれども、やはり両方の農水大臣といいますか、農水省の大臣と、それから、我々も党の方の農水大臣、こういうふうに言っておりますが、調査会長をやられていると、もう両方をよく分かっておられる方でありますので、非常にお話をしやすいなと思っておりますし、また、党の中でも、またこの場でも、いろいろ先輩として御指導いただいておりますことを心から御礼を申し上げます。
それと、もう一つ御礼を申し上げたいのは、先ほど出ました宮崎でのG7の農業大臣会議でありました。
まだ皆さん方にはそんなに詳しくは御報告申し上げておりませんでしたが、大変これは評判がよくて、実は、来年イタリアが議長国になるんですが、私と同じテーブルだったものですから、もうイタリアの大臣が恐縮しちゃって、俺は来年はもうやめようと思うと。何でですかと言ったら、こんな日本みたいな会合は開けないよ、こんなに至れり尽くせりの会合をやってくれると困ったものだ、来年がという話をされました。
お褒めの言葉の中でも最高の褒め言葉だったんだろうと思うぐらいに大変イタリアの、年配の方はいらっしゃらないから分からないと思いますが、私はすぐイタリアの大臣の名前だけは覚えました。ロッロブリージダ大臣と言って、昔、私が高校時代に見た映画のジーナ・ロッロブリージダという女優さんがおられました。その人の甥っ子になる方でありまして、それこそ有名な女優さんでありましたので、すぐ、そこから話を始めたんです。私は高校時代に映画をよく見ておりましたが、あなたの親戚の方だと思いますけれども、ジーナ・ロッロブリージダさんというのが私は大好きでしたという話から始まって、そして親しくなったという、そんなこともありました。向こうの方々の大臣の名前をすぐ覚えられるということはまずないんですけれども、ジーナ・ロッロブリージダさんだけはよく覚えておりましたので、すぐ話をしました。そのロッロブリージダ大臣が、野村さん、俺はもう来年イタリアでやることが怖くなってきたよと言うぐらいに大変な、これはもう微に入り細に入りの、いろいろな、我が日本国の接待から、あるいは会の持ち方から、全てでありました。
そのために農水省から百四十人行っていただいたんですよ。百四十人の職員が行って、それこそ大部屋というぐらいの一部屋に皆さん詰め込まれてやったんですが、済みません。そうですね、時間がないですから。はい、分かりました。
今チェックが入りましたので、短く答弁を申し上げますが、そのぐらいすばらしい宮崎会合を、大成功だったということだけを御報告したいと思います。
遊漁船の、先ほど御質問がありました話につきましては、死傷者が、この前の北海道の事故もございましたし、昨年の知床ですね、これがありましたし、安全対策を強化していく必要があるということは、もうこれは江藤委員も御存じのとおりでありますし、自分でよく船に乗っておられますからよくお分かりいただけておりますが、昨年閣議決定しました水産基本計画におきましても、地域の実情に応じた秩序ある遊漁船業の振興を図って活性化をやろうということはやりました。
この中で、課題に対応するために幾つか挙げました。一つは、遊漁船の安全性の向上の中では、特に、業務規程の提出の義務化。こういったものはありませんでした。遊漁船の業務規程の提出の義務化。それから遊漁船業者の登録要件の厳格化。船長さんが大体なられるんですけれども、この登録要件が非常にゆるゆるだったということがあります。それから事故の報告の義務化。これもなかなか徹底されておりませんでした。それから標識のインターネットにおける提示の義務化。こういったようなことを、いろいろ法律の中で今まで抜け落ちていたことを義務化していこうということになっておりますので、こういったことを徹底しながら、できるだけお客さんにも楽しんでもらうし、それから安全性にも気をつけながらやっていこうと思っておるところでございます。
○江藤委員 ありがとうございます。
それでは、もう少し詳しくお伺いをいたします。これは答弁を求めません。
登録の業務規程の提出の義務化ということでありますけれども、義務ということになると、今までもちゃんと提出はしているんですよ。提出はしているけれども、法律に書かれて義務ということになると、やはり現場は緊張しますので、丁寧な業務規程の例、水産庁としては、例を示して、ひな形を作って、それを出していただきたいというふうに思います。
それから、登録要件の厳格化、これは必要だと思います。必要だと思いますが、厳格という言葉がつくと、やはり現場は緊張するわけですよ。この内容も早めに、施行まで一年ありますから、その間になるべく早く内容を現場に知らせることが必要だと思います。
これは御答弁を求めたいと思います。
事故報告の義務化。事故はいろいろあるんですよ。大体の事故は釣り人の責任ですよ。私も海に落ちたことがあります。それは、魚が釣れて、たもですくうんですけれども、なかなか瀬が高いと網が届かなかったりするんですよ。つい魚が欲しいものだから低いところに降りて網を出したら高波が来てさらわれて海に落ちました。ライフジャケットを着ていましたから当然何ともなかったわけでありますけれども、これはもう完全に私の過失です。船長が悪いわけじゃ全くありません。
それから、瀬づけのタイミングで落ちる人がいます。岩場に船が、がっと乗りつけるわけですけれども、そして、着いたらエンジンをもう一回吹かせて、ぐっともう一段乗り上げて船を固定化してから、船長がいいですよと言ったら釣り人はいそに上がるんですよ。それを待たなきゃいけないんですよ。でも、慣れていない人、それから、釣りは楽しいですから、一刻も早く釣り座に上がりたい人は、船長の指示を待たずに、ぱっと行っちゃう人もいました。私も二回か三回か見たことありますよ。見事に海に落ちました。これを事業責任者、いわゆる遊漁船の責任だと言われても、指示に従わないわけですから。
ですけれども、報告の義務化というのは、都道府県からしかるべき指導がちゃんとできるようにするために、事故を全て、漏れなく報告しろという内容になっているようでありますけれども、これを例えばインターネットに、江藤のやっている釣り船がこれだけの事故を去年起こしましたとべたで報告をされたら、船頭は何も悪くないのに、事業者は何も悪くないのに、釣り人の身勝手な行動によって起こった事故であったり死亡事故であったりするのに、それが数字だけ載ってしまうということになると、その釣り船の評判が落ちてお客さんが減ってしまうとか、そういうことになると非常に私は不公平だと思うんですね。そこのところの運用の仕方をしっかり私は考える必要があるんだろうというふうに思います。
協議会の設置については、これも質問はしません。協議会はやはりつくった方がいいですよ。どんな場面でも話合いをすることが大事です。なかなか、海の男というのは我が強いですから、それぞれの思いがあります。そして、遊漁船は漁業者との調和も取らなきゃなりません。いわゆる釣り船というのは、やはり漁業者からすると時に邪魔だなと思うときもあるわけであります。そういうときも、やはり漁協も含めて、役場も含めて、話合いの場をつくることも必要だと思いますので、これはできる規定になっていますよね、義務化じゃなくて。できるだけやはり地域の実情を踏まえて、地域の特性を生かした協議会をつくれるように指導していただきたいと思います。
御答弁をよろしくお願いいたします。
○安東政府参考人 お答え申し上げます。
四点ほど御指導いただきましたけれども、そのうち一点御質問ということで、事故の届出の話です。
今般の法改正で事故発生時の知事への報告を義務づけた目的は、業を監督する都道府県が事故情報を迅速に把握し、適切に指導監督等を行うことができるようにすることでございます。
このため、遊漁船業者にありましては、瀬渡しであっても、事故が生じた場合には、責任の所在について、予断することなく、まずは都道府県知事に報告していただきたいと考えております。
その後の安全情報に係る公表について、その事故をどう公表するかについては、先生から御指摘ありました責任の在りか等も含めて検討してまいりたいと考えます。
それ以外の御指導いただいた点については、よく、御指導の下、しっかり取り組んでまいりたいと思います。
○江藤委員 やはり、誰が責任を取るべきかということは、釣りにかかわらず、登山でも何でもそうですよ。その責任の所在はしっかりと峻別されるべきだということを指摘しておきたいと思います。
それから、答弁はもう求めません、ちょっと時間がなくなってきたので。
零細事業者にはやはり配慮しなきゃいけません。漁村はなかなか大変ですよ。温暖化も進んで魚も捕れなくなったり、この時期はほとんど漁がない、そういう時期もあります。そういうときに、漁業者が休みの時期に遊漁船を営むときもあります。ですから、小規模事業者なんですね。
そして、皆さん方は分からないと思いますけれども、非常に過酷な仕事なんですよ。瀬渡ししますよね、朝四時とか五時に、暗いうちに。そして、大体九時か十時ぐらいに一回見回りに行きます、大丈夫ですかと。安全確認ですね。そして、場所を変えたければ、瀬変わりといって場所を変わらせます。そして、気象が急激に変化をすれば、釣り人が嫌がっても、早上がりと我々は呼んでいますけれども、撤収ですね、回収しますと。回収しますから用意してくださいと電話がかかってきて、私も一時間ぐらいで帰らされたことがありますよ、せっかく楽しみにしていたのに。そうやって、やはり船長たちは安全に物すごく気を配っているわけですよ。
そして、夜釣りともなると、今度は夜でしょう。寝ていられないですよ、船頭は。寝ていて、電話が鳴って、例えば、心臓が苦しくなったとか誰かが落ちたとかいったら駆けつけなきゃなりませんし、緊急連絡しなきゃいけない。そういうことがありますから、これはなかなか過酷な仕事なんですよ、本当に、責任のある。
ですから、私の地元で若干例を言うと、非常に私の友人であった、私が生まれた在所、門川町の清栄丸、やめてしまいました。船も立派な船だったけれども、他県に売られてしまいました。北浦町の康栄丸も廃業してしまいました。私も大変お世話になっています勝丸も今月廃業します。そして、島浦の清福丸、それから利丸、これも廃業してしまいました。お客さんはいるんですよ。このコロナで釣りに対する注目が高まりました、ぐっと。それにもかかわらず、事業承継ができない、廃業に追い込まれるということは、やはり非常に漁村の振興という面から見ても私は問題だと思うんですね。
ということであれば、この法律の中にも書いてある、地域の実情に応じた秩序ある遊漁船業の振興を図って、それで漁村の活性化に寄与するという法の趣旨を守るような指導をしなきゃいけない。余りに厳しいことをがりがりとやって、そんなうるさいことを言うんだったらもうやめちゃおうというようなことになるのであれば、これは漁村の振興とは真逆でありますので、そういうことについてはしっかり考えていただきたい。
そして、法律の中には、遊漁船業に対する支援、こういったものをやるというようなことは書いてありますけれども、具体的なことはまだ分かりません。もちろん、法律が成立して一年以内ということでありますから、検討する時間はしっかりありますけれども、やはり、振興するということであれば、何らかの支援策を、負担も増えるわけですから、しっかりと考えていただけるように、そして、零細事業者が、事業承継も含めて、事業が成り立つようにやっていただきたいというふうに思います。
時間がないのでもう答弁は求めないことにします。どうしてもやりたいことがありますので。
皆様方にお配りしました一枚紙だけちょっと御覧ください。
これは、自民党の中にある食料産業政策委員会、私の一番の親友で、友人であります宮下一郎先生が委員長を務めていただいているその会で配られた資料であります。私、これを配られたときに、ミスプリじゃないかと思いました。何だこれは、何かの間違いだろうと思いました。
というのは、まず、一九八〇年のところを御覧ください。飲食料品の国内最終消費額、四十九兆五千億。これが、ちょっと資料は古いですけれども、二〇一五年、八十三兆八千億になっています。随分伸びました。それはそうでしょう。それは当然だと思いますよ。しかし、一九八〇年、国内生産(生産者)のところは十二兆三千億。そして、二〇一五年、国内生産(生産者)は九兆七千億。何で、こんなに伸びているのに、生産者の手取りがこんなに減るんですか。やはり、生産、流通、加工、販売、購買、そういった商流の流れが本当にゆがんでいるということの一つの証左ですよ。
もちろん、加工するのに手間もかかります、運送賃もかかります、様々ありますから、全ての数字が正しいというふうに言うつもりはありませんけれども、余りにもひどい。余りにもひどいと私は思うわけであります。
大臣は、大臣に就任されてすぐ、フランスのエガリム2法、これを参考にして、価格転嫁がしっかりできるようにやりたいということをおっしゃいました。勇気のある発言だったと思います。すばらしいと思いますよ。
それには、やはり生産費統計、これをしっかり取らなければなりません。独禁法の壁もあります。生産者も、自分たちにどれだけのコストがかかっているか、そういった費用の把握ということも、生産者の努力も欠かせません。そして、高くなれば国民の理解も求めなければなりません、どうしてそうなったのかと。
しかし、国民が理解したとしても、国民に購買力がなければ安い海外の野菜を買ってしまうようなことになりかねない。ということであれば、やはり所得の向上、賃金を上げることが、農業を支える上でも、一次産業を支える上でも、経済を再生して、しっかりと今の内閣の下で、国民が、所得が向上したんだ、購買力が上がったんだという体制をつくらなければ、農業の未来は暗いというふうに思います。
もしこのままの状態をずっと放置してしまったとするならば、私はもう生産現場はもたないと思いますよ。今までは、お人よしで、ずっと市場任せで値段が決まってきました。大手の購買者の力に負けてきました。でも、我々が立ち上がらなければならない。大臣と同じ思いであります。
困るのは国民ですから、食料が安定的に供給されなくなったら。憲法の下でも、国民の生命と財産を守るということは、我々国会議員の最低限の義務です。そして、憲法二十五条の一項にあります健康で文化的な最低限の生活を営む権利の実現、これができなくなってしまいます。食べるということは基本ですから。下手をすると、これだけ世界の中で紛争が頻発する世の中になってしまったら、何が起こるか分かりません。
我々は、戦中戦後、いわゆる国民が飢えるということを経験しました。予算委員会で私が食料安全保障の質問に立ったときに、パネルを出させていただきました。国会議事堂の前には、あの噴水があるところも全部畑で、芋を作って、そして、国民の飢えをしのぐために、あらゆる土地に芋やいろいろなものを作って飢えをしのいでいた。都会の人は買い出し列車に乗って芋を買いに行っていた。そういう飢えというものを我々は八十年で忘れてしまいました。
しかし、今こそ、党派の壁も超えて、幅広の議論をしっかりとして、国民のために、そして農家の皆さん方が希望を持って、そしてしっかりと担い手が育つように、我々は食料安全保障の確立を実現しなければならないというふうに思っています。
私の申し上げたことについて御感想をいただければ、一言お願いいたします。
○笹川委員長 答弁は簡潔にお願いします。
○野村国務大臣 もう仰せのとおりでございまして、私は言葉を挟む必要はないぐらいに、江藤先生の方からいろいろなことをおっしゃっていただきました。
今、基本法の見直しを進めておりまして、その中の議論の中でも、今おっしゃいましたようなことが出てまいりました。
特に、今回、江藤調査会長も出ておられたんですが、全中の方からは、やはり価格転嫁を中心にした要請というのが非常に大きくクローズアップされた形で出ておりましたので、これはやはり基本法の中でも、今検討もしていただいておりますが、いろいろな要件があるものですから、なかなか難しい面もあります。ただ、フランスでも始まりましたけれども、まだ緒についたばかりだし、日本ではどういうやり方をしていけばいいのかという、いろいろな課題を今整理もしております。
ただ、私は、全中がそこだけ我々に、我々というか政府に価格転嫁をしろと言うのであれば、昔やっていた、生産者自ら生産費調査をやって、コストはこれだけかかるということを自らもやはりきちっと出してこないと、ただ政府の出した生産費調査で議論をするというのは、同じ土俵の上には乗らないんじゃないの、こういう話はいたしておりますので、それぞれのいろいろな条件といいますか、そういったこともやりながら、お互いに話合いを進めていこうと思っております。
いずれにしても、今回の基本法、農政の改正の中で大きな大きなテーマになるというふうには認識をいたしておるところでございますので、是非また皆さん方のお知恵もかりたい、かように思っているところでございます。
○江藤委員 ありがとうございました。終わります。
○笹川委員長 次に、庄子賢一君。
○庄子委員 よろしくお願いいたします。
法案の中身に入ります前に、これまでも海難事故というのは数多く起きております。いろいろな理由がありますけれども、安全確保を怠る、そうしたヒューマンエラーのような事故はやはりなくしていかなければなりません。道路と違って、警察官が検問して免許証を確認するということは海の上ではできませんので、しっかりとした事前の管理、チェックが必要なんだろうというふうに思っております。
そこで、具体的に一件だけちょっと事例を挙げて今後の糧にしたいという意味でお尋ねをさせていただきますが、二〇二〇年の十一月に、貨物船と遊漁船が衝突をして、遊漁船の釣り客一人が亡くなって、八人が重軽傷を負うという痛ましい事故がございました。この際、遊漁船の船長は、小型船舶の免許は持っていたんですが、特定操縦免許は持っていなかったということが後に分かっておりまして、ある意味、無免許状態で船を出したということでございました。
こういうことが起きないようにしなければいけないという意味で、法案の入口ということも含めて、こうしたことをどうしたら防ぐことができるのか、御所見をお尋ねをしたいと思います。
○神谷政府参考人 お答えいたします。
一般の利用客を輸送する上で必要な特定操縦免許につきましては、船舶職員及び小型船舶操縦者法において義務づけされておりますが、遊漁船業法に基づく都道府県知事の登録の際の申請に添付する仕組みには、これまでなっていなかったということがございます。
農林水産省といたしましては、委員御指摘のような事故も生じておりますことから、利用者の安全確保に向け、本法案において、業務規程を登録更新時の審査書類に追加し、船長の免許の取得状況も含めて、安全性に関する事項に不備がある場合には登録できないようにすることといたしたところでございます。
○庄子委員 さっき大臣がおっしゃったように、これまでが本当に緩かったんだなということを、今、長官の御答弁を聞いていても思いますが、しっかり体制の整備をお願いを申し上げたいというふうに思います。
それで、安全をどう高めていくかということの中で、二点目、お尋ねをいたします。
いわゆる遊漁船の業務主任者になるためには、今申し上げた小型船舶操縦の免許と特定操縦の免許の取得が必須でございます。そして二つ目には、一年以上の実務経験か若しくは十日間の実務研修も義務づけられています。そして三つ目、都道府県ごとの主任者講習を修了しなければいけないという、その三段階がございます。
申し上げたとおり、免許の取得というのは最低限のこととして、都道府県の講習は四時間程度で修了してしまう。ある種、講習を受ければ誰でも修了ということになるので、二つ目に申し上げた十日間のいわゆる実務研修の中身、研修のカリキュラムあるいは研修を受けている方の実技の習得度合いのチェックなど、これまでやってきたことを一層深掘りをして見直していく必要があるのではないか、こんなふうに思っておりますが、いかがでしょうか。
○安東政府参考人 お答え申し上げます。
遊漁船業務主任者について、求められる要件は委員から三点御紹介いただきましたけれども、遊漁船業の安全性向上に向けましては、利用者の安全管理をつかさどる遊漁船業務主任者の資質が大変重要であると考えております。
この法改正に向けて、昨年開催した遊漁船業の在り方に関する検討会の中でも、まさに委員から御指摘をいただいたような点、実務研修の充実ですとか、知識習得度をチェックする取組の導入の在り方について提言をいただいているところでございます。
このため、その具体的な内容について、現場や有識者の声も踏まえつつ、その充実に向けて内容を今しっかりとこれから詰めていこうとするところでございます。
○庄子委員 可能な限り早く構築をお願いを申し上げたい。法案が成立をしますので、それに合わせてお願いをしたいと思っております。
本法案は、法令違反を犯して事故を起こしたにもかかわらず、改善を行うことなく再び事故を起こす、あるいは違反を改めないといったような安全意識の低い遊漁船業者について、これまでは五年とされておりました登録有効期間を四年以内に短縮するというものでございます。
一層事故を抑制するという観点から、法令違反を犯した者に対して具体的にどのように改善をさせていくのか。更なる検討が必要だと思っておりますが、いかがでしょうか。
○安東政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、繰り返し事故を起こす者の事例も見られたことから、本法案において、遊漁船業の安全性向上のため、法令の遵守状況等が不良な者についての登録有効期間を短縮できることとし、通常より短い期間で事業者の適格性を確認することとしております。
また、事故を引き起こして利用者の安全などを害する事実があった場合には、業務改善命令による是正措置により、これまでの取組内容を見直していただき、安全確保を図ってまいるというようなことに取り組んでまいります。
この業務改善命令につきましては、今般の改正案において、安全に関する命令に違反した者の罰則を引き上げる措置を取っておりまして、この命令の実効性を担保していくこととしてございます。
さらに、悪質なケースに対しましては登録の取消しなどにより対応していくこととなりますが、本法案による登録更新要件の厳格化によりまして、安全な営業のできない不適格者の安易な再参入等を防止することも併せて図っており、遊漁船業の安全確保を図っていくこととしてございます。
○庄子委員 分かりました。
それで、この法案の中でちょっと気になっているというか、少しクリアにしなきゃいけないなと思っているところが一点あるんですが、遊漁船の業務主任者が船に乗り込むことを義務化するということなんです。このことは、安全確保の面から大きな前進と言えると思います。その上で、気象条件などで出航を中止するか否かの判断については、遊漁船業者が出航を可能だ、出航しましょうとした場合でも、業務主任者が自身の経験値あるいは知識の上から出航の中止を進言した際に、本法案では、遊漁船業者は業務主任者の意見を尊重する義務があるとされています。
この尊重する義務というところが非常に厄介な表現になっているのかなというふうに思っておりまして、尊重する義務を課すということで一体どのように政策的な効果が上がるのか、それを期待しているのか、お尋ねをさせていただきます。
○安東政府参考人 お答え申し上げます。
遊漁船業の出航判断について、最終的に責任を負う者は遊漁船業者となりますが、遊漁船業務主任者は、利用者の安全確保や漁場の安定利用の確保などの重要な役割を担っており、地域の気象、海象、操船の経験や知識なども有していることから、その判断が尊重されることが重要と考えております。
このため、今回の改正案におきまして、遊漁船業務主任者に対しまして職務を誠実に行う義務を課した上で、遊漁船業者に対し、利用者の安全確保等に関し、遊漁船業務主任者の意見を尊重する義務を課すこととしたところでございます。
このことにより、各遊漁船業者において、現場の意見が十分に反映され、これまで以上に利用者の安全性や適切な業務運営が確保されることになるものと考えておりますが、また、こうした制度上の意義につきまして、水産庁としても十分に周知徹底を図ってまいりたいと考えております。
○庄子委員 御答弁としては、そのとおりなんですが、意見が尊重された、義務が履行されたという確認は、なかなかこれは取りようがない。だから、どうやってそれがちゃんと現場で、いや、これはやめておきましょうという業務主任者の意見が尊重されるかどうか。出航させて、御商売ですから少しでも売上げにつながった方がいいという判断が勝ってしまうと、これはせっかく具申した意見が尊重されないということになるので、ここをどうやって現場で機能させていくかというところは、今後ちょっと同時進行で、ここでは再度は申し上げませんが、法案が成立をした後、しっかりこれはチェックをさせていただきたい。現場がどうなっているかということについては、随時また御意見を申し上げさせていただきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いをしたいと思います。
運輸安全委員会が行いました調査がございまして、事故発生要因に関する分類があります。それによりますと、遊漁船業者の関係する事故のうち、約六割をほかの船との衝突が占めており、その上で、航行中の遊漁船において、状況に応じた見張りが行われていないなど、相手の船に対する認識がないまま衝突したものがそのうち約八割を占めているという、そうした調査がございます。
ほとんどの場合、多くの場合は船長さんお一人で複数人の釣り客の面倒を見ているわけでありまして、それに加えて、例えば魚群探知機の操作、それを注視するなど、どうしても見張りは常に手薄になりがちでございます。
そこで、様々な規制を強めるということだけではなくて、例えば遊漁船業者がレーダーを搭載する、あるいはAISを整備する、いわゆる衝突防止装置、こうしたものを導入するといったことについての支援など、安全対策に対する国としてのバックアップも同時進行で検討していくべきではないかと思っておりますが、いかがでしょうか。
○神谷政府参考人 お答えいたします。
レーダーやAISの設置につきましては、船舶安全法などにおきまして大型の船に義務づけされておりますが、遊漁船は小規模であり、義務づけの対象となっていないものが多いと承知しております。
他方、委員御指摘のように、遊漁船の場合は船長一人で業務を行う場合も多く、こうした実態に応じて、利用者の安全確保を図っていくための注意すべきポイントを整理し、その上で、都道府県が指導監督するに当たっての留意事項についても示してまいりたいと考えております。
○庄子委員 済みません、ちょっと今、よく最後の方があれだったんですけれども、要するに、今後、業者がそうした設備を導入するについて、国としては何らかの支援を検討するということで理解をしていいかどうか、済みません、改めてもう一回御答弁をお願いします。
○神谷政府参考人 遊漁船の場合は船長一人で業務を行う場合も多いので、こうした実態に応じて、利用者の安全確保を図っていくための注意すべきポイントを整理し、その上で、都道府県が指導監督するに当たっての留意事項についてまず示してまいりたいと考えております。
○庄子委員 お答えいただいていないような気もしますが、いろいろ国が業者に対して規制を強める以上は、是非、財政的な支援も含めて、国として、地方と連携しながら、バックアップをしていただきたいということを重ねて申し上げておきたいと思います。
一方で、業者やいわゆる船長さんではない、利用客の側の安全意識の改善といいますか、向上といいますか、そうしたものが必要だと思います。これは、やはりライフジャケットの装着ということが非常に重要でございます。
そこで、海上保安庁さん、来ていただいていると思うんですが、救命胴衣の適切な装着について、この十年間の、船舶から海中転落された方のうち、ライフジャケット着用、非着用別の死亡率、生存率についてお示しいただきます。
○渡邉政府参考人 お答えいたします。
平成二十五年から令和四年までの過去十年間における船舶からの海中転落者について、ライフジャケットを着用していた方の生存率は約八八%、死亡率は約一二%となっております。また、ライフジャケットを着用していなかった方の生存率は約五〇%、死亡率は約五〇%となっております。
○庄子委員 ありがとうございます。
ライフジャケットを着けていた方は海中に転落しても約九割近くが生存しておられる、逆に、ライフジャケットを着けていない方については死亡率も高いという、かなり具体的な数字だったと思います。
一層、これは、業者もそうですし、利用するお客さんの方もそうですけれども、ライフジャケットの着用、これはしっかり正しい装着をするということがとても大事ですので、これも是非、水産庁さんなどを中心に、現場でしっかりとそうしたことが履行されるように、適宜お願いを申し上げたい。
それで、そのためにも、例えば海の安全教室、小学校や中学校等で開催をするケースがございますが、海の安全教室などを開催し、船に乗る利用者、船に乗った際の安全意識、この向上をさせるということが非常に重要です。
背浮き、それから今申し上げたライフジャケットの着用、あるいは水の入っていないペットボトルを使っての救助方法といったものもございますので、そうしたことを通じ、自分の命を守るために必要な知識習得の機会、これを今後一層確保していただきたいというふうに思っておりますが、いかがでしょうか。
○安東政府参考人 お答え申し上げます。
ただいまの質問にお答えする前に、先ほどの設備の関係で、ちょっと長官答弁を僭越ながら補足をさせていただきます。
昨年の知床の関係を受けて、一連の、私どももそうですし、国交省さんもいろいろな見直しをされている中で、設備の義務づけに関する見直しもされていると聞いておりますので、その見直しに対応して、どのような対応が必要か、設備の関係で対応が必要かということは、国交省さんとも連携しながら、今後検討していきたいと思います。
次に、今ほどいただいた質問に対してでございますけれども、利用者に安全に釣りを楽しんでいただくためには、乗船に当たって、利用者が安全についての情報をきちんと得られるようにする必要があると考えてございます。
そのため、現在でも、主任者が乗船前に遊漁船の利用者に対して乗船中の安全確保についての注意事項を周知することとしており、業務規程にもその旨記載をいただいているところでございます。
さらに、今回の法改正において、業務規程を登録申請の際に提出させることとしており、利用者に対する安全指導に関する内容も含め、安全に関する記載事項が一定の基準に適合しない場合には登録できないこととしてございます。
このほか、水産庁のウェブサイト「遊漁の部屋」において、ライフジャケットの着用など、遊漁船の利用者自らが行うべき安全対策についてのパンフレットを掲載し、いろいろな機会を利用して普及啓発に努めておりますが、このことも引き続きしっかりやっていきたいと考えてございます。
また、今回の法案で、安全の関係の取組も強化をしてございますので、こうした措置も活用して、遊漁船の利用者の安全確保に対する意識を高めてまいりたいと考えております。
○庄子委員 るる申し上げましたが、しっかりと前向きに御対応いただきますようお願いを申し上げ、質疑を終わります。ありがとうございました。
○笹川委員長 次に、金子恵美さん。
○金子(恵)委員 立憲民主党の金子恵美でございます。よろしくお願いいたします。
昨年の三月に閣議決定されました水産基本計画、そしてまた漁港漁場整備長期計画がありますけれども、両計画において、海業を育成し根づかせることによって、地域の所得と雇用の機会を目指すこととされています。
そういった中で、この海業の振興というのはとても重要であるということが、さきの法案、漁港漁場整備法及び水産業協同組合法の一部を改正する法律案の審議の際にも議論がなされたところでございますけれども、海業の振興においては、代表的な海業である遊漁船業はどのような位置づけとなっているのか、お伺いしたいというふうに思います。どのような役割を担っているというふうにお考えでしょうか。大臣、お願いいたします。
○野村国務大臣 お答えを申し上げたいと思いますが、海業につきましては、また、この次の委員会等々で御検討をいただきたいと思っておりますけれども、この海業につきましては、水産基本計画におきまして、先ほどおっしゃいましたように、「海や漁村の地域資源の価値や魅力を活用する事業」とされておりまして、釣り客を乗船させ、漁場に案内する遊漁船がその代表的なものだというふうに思っております。
また、この遊漁船は、釣りを通じて多くの方に海に親しんでもらう役割を担うとともに、漁業者が営んでいることも多く、ほとんどが漁村の所得と雇用を支えているという認識をいたしております。
今回の法改正を通じまして、こうした重要な海業の一つである遊漁船業の秩序ある発展や漁村の活性化を図ってまいりたい、かように思っております。
○金子(恵)委員 海業としての遊漁船業は一定の期待がされているものだというふうに思っておりまして、漁村の発展のためにもプラスになっていくでしょうし、先ほど来お話がありますけれども、趣味として、レジャーとして、多くの方々にとってはある意味心のよりどころであるというところもあるかもしれませんし、家族で楽しむこともできるかもしれないということで、レジャー、観光分野の中ではこれからの発展というのが見込めるものではないかなというふうにも思っています。
ですから、そういった意味で、しっかりとルールを作って、そして、やはり、人の命をお預かりすることにもなっているわけですから、安全、安心に楽しんでいただける、そういう環境づくりをしていただきたいというふうにも思っているところであります。
そういったところで今回の遊漁船業の適正化に関する法律の一部を改正する法律案が審議されているということだと思いますので、大臣も、本法律案の提案理由説明では、一般の釣り客を乗船させ、漁場に案内する遊漁船業については、近年、事故による死傷者数が増加傾向にあることなどから、安全性の向上を図る必要があるとして、遊漁船業の登録に関する有効期間の見直し等の措置を講ずることとしているというふうに説明くださっています。
ということであれば、まず、死傷者数が増加傾向にあるという背景と要因についてお伺いしたいというふうに思います。もちろん、死亡事故がゼロになっていく、それが目標となるべきことだというふうには思っていますが、その目標をどのように設定し、そして取り組んでいくのかということも併せてお伺いしたいと思います。
○神谷政府参考人 お答えいたします。
技術的なもので申し訳ございませんけれども、遊漁船業は、魚の捕れやすい漁場に複数の船が集まりやすいことから、衝突事故の可能性も高くなる可能性がございます。
さらに、近年は、新規に遊漁船業者の登録を受ける者が増え、経験不足の者が増加していることから、見張り不十分などによる衝突事故が増加傾向にあると認識しております。
事故を減らしていくために、本法案におきましては、遊漁船業務主任者の乗船の義務化、遊漁船業者の登録制度の厳格化などにより、利用者の安全確保を強化する措置を講ずることとしております。
○野村国務大臣 私の方からもお答えさせていただきますが、やはり、事故の起こってきた背景を見ていきますと、なかなか、今まで言われていたことがきちっと守られているかどうかというのがやはり大きなことになってくると思いますが、特に、遊漁船の業務主任者の乗船の義務化、先ほども庄子委員からも質問がございましたけれども、これに対するものが、例えば、船長がいわば主任者になっていて、一人二役もやっていて、なかなかそこが徹底していかないとか、いろいろなことも聞くわけでありますが、実は、実務者研修なりあるいは講習会も受けなさいとか、こういうのがちゃんと省令の中で出ておるのでありますけれども、これらについて全てちゃんとクリアしているのかどうか、この辺のチェックが甘かったのではないかというふうにも思いますので、今回は、こういったような安全性に関する義務化の問題だとか厳格化の問題につきましては、徹底してやはりやっていかないと事故は減らないだろう、こんなふうに思っておりますので、利用者の安全確保を強化する措置を是非ともこの法令でやっていただいて、あとは省令とかそういう形できちっと守らせていきたいと思っておるところでございます。
○金子(恵)委員 今、遊漁船業務の主任者の話があったんですけれども、そもそも、遊漁船業者と遊漁船を運航する船長とは必ずしも同一ではないかもしれないけれども、兼任率は九五%であるということ、そして、船長と遊漁船業務主任者が兼務している、これは九九%というふうに言われているんですよね。だから、ほぼ同じ方が全てを担っている、こういう状況なんですね。
そういう中でしっかりと安全対策をしましょうということですから、かなり私は、ある意味、本当に事故を徹底してなくしていく、しかも死亡事故をなくしていくということで進めるのであれば、もちろん、単なる講習だけではなく、しっかりと規制をしていくということは大切だというふうにも思っています。
漁業者の就業者数というのは十二・九万人ということで、六十五歳以上の方は四・九万人ということですけれども、漁業者と遊漁船業者の兼業が多いということを考えると、遊漁船業者の方々のある意味の高齢化率と言ったらいいんでしょうか、結構高いという可能性もあるわけなんですよね。そうですね。
ということを考えたときに、やはり、登録をする段階でも年齢に考慮した形の有効期間を設定するということも、ある意味必要なのではないかというふうに思うんです。もちろん、多くの方々が経験を積まれて、そして、そういう意味で、知識とそして技術をお持ちだと思います。海のことをよく御存じの方が多いというふうに思います。
ただ、一方で、様々な技術革新のある中で、それに追いついていない方々もいるかもしれない。そういったことで、もしかすると安全性の担保ができない状況にある可能性もある。釣り客の世代も変わっているということを考えたら、そこにきちんと追いついていくような、そういう意味での安全性担保をしていかなくてはいけないと思うんですが、大臣、何か一言ありますでしょうか。
○角田大臣政務官 遊漁船業の事故の発生を抑止していくためには、船長の適格性も含めて、遊漁船業の安全管理体制が確保されていること、これが重要でありますが、業としての安全管理体制は、単に船長の年齢のみで判断はできないことから、業務規程の内容やこれまでの業務の状況等を総合的に勘案して判断することとなります。
こうした観点から、今回の改正においては、登録更新の申請時に、業務規程の利用者の安全管理体制等について基準に適合しているかを確認をして、適合していない場合には登録ができないというように措置をしたところであります。
こうした仕組みを通じて、適切な運航が確保できるものに限って登録更新できるようにして、事故の発生抑止に努めてまいります。
○金子(恵)委員 そもそもの話になってしまうと思うんですけれども、今回の改正では、遊漁船業者の登録の更新に関して、本法律等の遵守の状況が不良な者について定めているわけなんですね。これは、当然遵守されるべき法律について、遵守しない者が一定数存在することを正面から認めるような規定を置いたというふうにも言えるのではないかというふうに思います。
これら不良な者に対して登録の更新を認めることは、この法律を遵守しなくてもよいという誤解を招くおそれがあるのではないかというふうにも思うのですが、この点についての認識をお伺いしたいと思います。
○角田大臣政務官 今回の法改正において、法律の遵守の状況が不良な者については、その更新期間を通常の五年よりも短縮することとして、業務の適正さや安全性の確保の状況を通常よりも短い期間で確認することとしております。
この措置の対象となります法律の遵守の状況が不良な者とは、具体的には、業務改善命令や業務の一時停止命令を受けた者ですが、こうした処分を通じて、必要な是正を図っていくこととしております。
○金子(恵)委員 ちょっと入口のところに戻らせていただくんですが、事業への参入規制の在り方ということなんですけれども、遊漁船業については登録制が取られている、遊覧船等については、人を運送する海上運送業において許可制が取られているということになっているんです。当然、許可制の方が強い規制ということになっているんですが、遊漁船業は登録制ということですね。
今回の法改正では、海上運送法における遊覧船等に関する許可の欠格期間の延長と同様の改正内容を含むものだということで、私も説明を受けています。
そういうことであれば、規制の根本的部分には手が入っていないという状況というのはよくないのではないかと思いまして、やはり、そもそものその規制の部分で考えれば、海上運送業と同じように許可制にすべきなのではないか、そういう議論というのはなかったのかどうか、確認をさせていただきたいと思います。
○角田大臣政務官 今お話のありました、今国会で成立した改正海上運送法において、一度に十三人以上の大人数を運ぶ旅客船等については許可制となりまして、それ以下については登録制となっております。
遊漁船業法においては、遊漁船が小規模であることを踏まえまして、不適格な者以外は事業に参入できる登録制としております。
この登録を拒否する不適格な者としては、現行制度では、登録を取り消されてから一定期間を経過しない者等が対象になっておりますが、今回の改正において、処分逃れで廃業した者や、暴力団員等を加え、不適格な者の安易な参入を阻止するための措置を講じることとしたところであり、安全性の確保される事業者のみが営業を行うことができるよう措置をしているところです。
○金子(恵)委員 ありがとうございます。
遊漁船業者の登録に当たっては、都道府県知事に提出する申請書に業務規程の添付を義務づけるということですけれども、都道府県知事は、業務規程を確認した上で登録の可否を判断することができるようになるわけです。
一方、業務規程には、波高や風速等の出航中止基準や帰航基準が記載されているわけなんですが、こちらの基準については、海域の状況や船の大きさによって適正な基準が大きく異なるため、判断の明確な基準はないという指摘が、第一回遊漁船業の在り方に関する検討会でも示されたということでありまして、議事要旨にもそのように示されているということであります。
そこで、登録に際し、都道府県においてどのように業務規程に記載された基準の妥当性を判断していくことになるのか、お伺いしたいと思います。また、国が改めて基準を示す必要性についてどのような認識をお持ちか、お伺いしたいと思います。
○角田大臣政務官 今回の法改正において、遊漁船業の安全性の確保を図る観点から、遊漁船業の登録更新の際に業務規程を確認をして、利用者の安全の確保等に関する事項が一定の基準に適合していない場合には、登録更新を拒否できる仕組みを設けているところです。
そして、この具体的な基準については、利用者の安全を確保するための体制等が取られているか、都道府県知事が確認をできるように、必要な人数の船長や遊漁船業務主任者が確保できているか、事故発生時における連絡体制が整っているか等を省令で定めることを考えております。
また、都道府県知事が遊漁船業の登録を受けようとする者の添付した業務規程の妥当性を判断する際の考え方を示すとともに、必要な助言を行っていく考えです。
○金子(恵)委員 ありがとうございます。
その必要な助言というのがどこまでなのかということもありますけれども、ある意味、しっかりと支える仕組みというのはつくっていただきたいというふうにも思っています。
その支える仕組みというところですけれども、やはり、現場で、例えば、適切に業務規程を運用していくためのサポート体制の構築というのは本当に必要であるというふうに思いますし、もちろん、規制をしっかりやっていくということである、安全性の向上のために現場で御努力をいただくということであれば、そのサポートはしっかりと国としても進めていかなくてはいけないというふうに思っています。
そこで、業務規程を運用していくためのサポート体制の構築についてどのような支援ができるのか、あるいは、そもそも支援の必要性についてのお考えをどのようにお持ちなのか、お伺いしたいと思います。
○野中副大臣 業務規程の適切な運用でありますけれども、これは利用者の安全確保のために極めて重要であるというふうに思っております。ですので、支援は必要であるという認識であります。
このため、遊漁船業者が、今回の法改正による新しい基準に対応した業務規程に沿って適切な業務運営を行えるよう、遊漁船業者の指導監督を行う都道府県に対して、国としても、必要な助言等を行ってまいります。
また、本法案に盛り込んだ遊漁船業に関する協議会制度を通じ、業務規程の運用に当たっての地域的な連携の促進等も図ってまいりたいと考えております。
○金子(恵)委員 本当に、これからのことなのかもしれませんけれども、様々な点で、先ほどもお話があったかもしれません、余り厳しくすると廃業に追い込まれることもあるよという江藤委員からのお話もありました。そのように私は取ってしまったんです。
ただ、もちろん、命をお預かりするわけですから、安全性向上、安全確保というのはとても重要であって、その部分についての規制をしっかりとやっていくということについては譲らないということだと思います。ただ、もちろん、現場で業者の方々が御苦労をされていく部分も出てくると思いますので、そういったところでしっかりとサポート体制をつくり上げるということだと思います。
ただ、漁業と遊漁船業をやっていらっしゃる方が本当に重なっているということ、そして、遊漁船業者と船長はほぼ同一、また、船長と主任もほぼ一緒ということになっていくと、本当に限られた方々が現場で頑張っているという状況にあるわけですから、それを考えると、私は、それぞれの地域地域で特定できるんだと思うんですよね。
ですから、そういう方々としっかりとよいコミュニケーションを取っていって、それでしっかりと安全性の担保のために、重ねて、いいチームワークというか、そういうものをつくり上げていくということも必要でしょうし、いいコミュニケーションを取っていっていただきたいというふうにも思います。
本法律案の附則においてなんですが、施行後、法律が施行されましたら、業務規程が農林水産省令で定める基準に適合していない遊漁船業者は、施行日から起算して六月を経過する日までの間に、当該基準に適合させることが求められているということであります。
法律が通るかどうかということはまだ先の話かもしれませんけれども、中身について、どのような手順でこの基準を適合させていこうとしているのか、その対応の方針をお伺いしたいと思います。
○野中副大臣 今回の改正法において、業務規程について、従業者に対する教育の実施に関する事項や利用者の安全管理体制に関する事項をその記載事項として明確化することとしております。
このため、遊漁船業者は、現在登録を受けている者についても、新たな基準に適合する業務規程を作成の上、変更の届出をする必要があります。
期間については、委員おっしゃったとおり、半年間の経過措置を設けているということであります。
私どもといたしましては、遊漁船業者が、新たな業務規程の提出を含め、新たな法制度に円滑に対応できるよう、十分な周知を行うとともに、都道府県に対し、新たな業務規程の模範例を早期に示してまいります。現行法でも模範例は示しておりますが、新法に対応する模範例を早期に示してまいりたいというふうに思っております。
さらに、都道府県において、できる限り余裕を持って変更の届出をするよう遊漁船業者に促すとともに、新たな業務規程の作成に当たって不安がある者の相談に対して、国が示した模範例も活用しながら適切に対応されるものと考えております。
○金子(恵)委員 ありがとうございます。
今、御答弁で、業務規程例もしっかりと公表していくということですけれども、早期にということだったので、これは施行日から起算して六か月以内には基準に適合させるということですから、もちろん、それに間に合うような形で、しっかりと業務規程例を出していかなくてはいけない、その模範を示していかなきゃいけないということだと思いますので、早期にというふうに今おっしゃったんですけれども、大体の、あらあらのルール作りというものはここでしていっていただきたいというふうに思いますし、計画はしっかりと頭の中に持っていらっしゃるのだというふうに思いますけれども、もしそれがあれば、今後、早い段階でお示しをいただきたいというふうに思っています。
遊漁船業者がどのような安全対策を講じているかということはとても重要な観点で、あるいはまた、過去に違反等をしたことがあるといった情報も、利用者、釣り客から見ると、自らの命を守るという意味で不可欠な情報だというふうに思っています。
その利用者の方々がどの遊漁船業者の船に乗るかという、その選択をする際の判断の一つになる情報提供というのはしっかりとやっていかなくてはいけないというわけなんです。
それで、今回の改正では、都道府県知事及び遊漁船業者に対して、農林水産省令で定めるところにより、利用者の安全や利益に関する情報の公表を義務づけているということであります。都道府県知事に対する義務づけについては、速やかにということで、二十二条にありますが、速やかに公表されることとされているんですが、遊漁船業者に対する義務づけについては、公表しなかった場合に五十万円以下の過料に処するとされているにもかかわらず、いつまでに公表しなければならないか法律上明らかでない状況になっています。これは、二十三条に、公表しなければならないということがあるわけなんです。
そこで、この公表期限というのはどのような形で表していくのか。農水省令において明記するのか、あるいは、そうだとしても、どの程度の猶予期間を置くことを想定しているのか、お伺いしたいと思います。
○野中副大臣 先生おっしゃるとおり、遊漁船業者に対して利用者の安全等に関する情報の公開を義務づけるに当たって、条文上は、速やかに公表ではなく、単に公表する、期限を設けていないということでありますが、これは、例えば損害賠償保険の加入状況等、恒常的な公表を想定しているためでありまして、ただ、一方、先ほど先生がおっしゃったように、やはり利用者というのは、非常に今、昨年の事故以来、意識が高まっておりますので、やはり速やかに公表されている遊漁船業者の方が、利用者が選ぶに当たって、こちらの方がしっかりした体制を取っているなという状況にはなるんじゃないかなというふうに思っております。
ただし、情報のうち、業務改善命令を受けて必要な措置を講じた場合の措置内容について、こういったことにつきましては、速やかに公表すべき事項として公表期限を明確化する方向で現在検討しております。
○金子(恵)委員 都道府県知事に対する義務づけの公表の中身というのは、事故の報告、業務改善命令等、また取消しも含めてですか、そういう内容になっていて、もちろん速やかに公表されなくてはいけないんですけれども、遊漁船業に対する公表の義務づけについても、しっかりと安全対策をどのように講じているかということはちゃんと示していかなくてはいけないし、これだけ、「五十万円以下の過料に処する。」と言っているわけですから、明確にここはしっかりと示していっていただきたいなというふうにも思いますし、速やかにでいいんですかね、もう一回お願いします。
○安東政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど野中副大臣の方からも御答弁もいただきましたけれども、この遊漁船業者の公表については、常時公表しなきゃいけないことですので速やかにということが法律上入っていません。
ただし、その中でも、措置命令を受けた場合など状況に変化が生じた場合には、なるべく早くということで期限を設けたいと考えております。速やかにとかという抽象的な言葉よりも、むしろちょっと具体的な期限が定められないか、ちょっとその定め方についても今検討中ですし、省令なのか省令より下なのかについても現在検討中でございます。
いずれにしても、明確になるようにお示しをしたいと考えてございます。
○金子(恵)委員 ありがとうございます。
今検討中ではあるけれども、明確にしっかりと期限を決めていくということですので、よろしくお願いいたします。速やかにという言葉よりももっときちんと数字が出てくるというふうに理解をさせていただきました。ありがとうございました。
もっと様々な点で、一つ一つ条文を見ていきますとまだまだ質問したい内容もあるんですが、少し全体の話をさせていただいて、やはり遊漁船業者とそして釣りをされる方々と、双方にとってしっかりとした安全対策を講じるということでなくてはいけないわけでありまして、そういった意味では、やはり片方にだけ規制を強めるということではないはずで、先ほどもお話がありましたが、しっかりと釣り客の方々に対しても普及啓発をして、安全な行動をしていくということをお願いしていかなくてはいけないのだというふうにも思います。
そのことと、最近では、多くの方に釣りに来てほしいという願いがありながらも、釣り人が増えることによって海が汚れるんじゃないか、そういう指摘もあるわけなんです。だから海ごみをなくしていこうという、そうやってしっかりと対応していくような、そういう団体さんもいらっしゃる。
ここは一つ、安全性の問題とそれとマナーの問題と、私は両方大切な部分だというふうに思っているんですけれども、水産庁としての取組というのはどうなっていくのかということなんですが、ここについては大臣からお答えいただけますでしょうか。大臣、お願いします。通告のときに大臣とお願いしたので。
○野村国務大臣 このことにつきましてはいろいろな、委員会等でも出ておるんでありますが、今までもお答え申し上げてきましたように、マナーの問題につきましては、これは、パンフレットを作成しながら、各種イベントでの配布やホームページへの掲載等を通じてやってきていることはもう事実なんですよね。
したがいまして、本法案に盛り込んだ協議会が今回できますので、これを活用しまして、そして、安全確保やマナーの啓発に関わる協力体制の協議等、地域の関係者による取組を推進して、秩序ある遊漁船業の振興を図り、漁村の活性化を進めてまいりたい。
要は、みんなで浜の活性化等、みんなでやはり楽しんで、海業だけじゃないんですけれども、遊漁船業の安全性を確保しながら楽しんでいただきたい、こんなふうな思いでございます。
○金子(恵)委員 大臣、ありがとうございました。
それでは、最後になりますけれども、私の地元の福島第一原発のALPS処理水の問題を取り上げさせていただきたいと思います。
一言で言いますと、四月の二十七日に、今まで言われていました、ALPS処理水の保管についてですけれども、タンクが満杯になる時期については今年夏から秋頃としていたものが、来年の二月から六月頃になると見通しを示されたということであります。だからといって、保管できる期間が延びたことで海洋放出の開始時期の判断に影響があるということはないというふうに政府は言っていまして、予定どおり、この夏までには海洋放出をするというふうに、そういう方針を示しているということです。
ただ、一方で、福島県漁連で四月の二十七日、同日なんですけれども、やはり漁業者の不安払拭のために県漁連の主催で意見交換会の開催をという意見が寄せられたことから、ちょうどなんですけれども、あした、これは相馬市の方で、まずは一つ、国、東電と漁業者の方々との意見交換会が開かれるというふうにも伺っておりまして、今日の朝の新聞にもそういう記事が載っています。
それで、今まで私もこの委員会で何回か取り上げさせていただいておりまして、漁業者の方々、関係者の方々の理解なしでは処分はしないという約束を今まで政府はしている、東電もしているということです。
まだまだ漁業者の方々の理解は深まっていない状況の中で、例えば、あした、大臣はもちろん福島には向かうことはできないかもしれませんけれども、水産庁の方々、あるいは農水省の方々、経産省の方々も含めて、国から、政府から皆さんは足を運ばれるんだというふうに思います。
ここで、意見交換ですから、しっかりとやはり漁業者の方々の意見を聞いてほしい。単なる説明会じゃないんです。説明会はもうたくさん開いたというふうには言っているけれども、実際に漁業者の方々の不安な思いというか、そういうものというのはどこで聞いてくれているんだろうか、これは本当に現場からそういう声が上がっているということで、今回の国と東電と調整して意見交換の場を設定したということになっておりますので、大臣から、どのような形で、ある意味円卓会議に近いような形にはなっていくんだと思いますけれども、現場の方々の声を尊重していくのかということの御決意を伺いたいと思います。
○野村国務大臣 お答えを申し上げたいと思いますが、今後ろでちょっとひそひそ話をしておりましたが、あしたは誰が行くんだということで、今、金子委員の方から、あした相馬の方で意見交換会があるというお話、私も初めてその情報を知りましたので、後ろの方に控えております担当課長に聞きましたら、長谷川研究指導課長があした行くというのが今分かりました。
したがって、皆さん方の御意見はどういうような御意見なのかというのはちゃんと伺いながら、そしてそれを聞いて持ち帰ってこいということでの指示はしたいと思います。
要は、今まで、基本的に、農水省は漁業者に寄り添う立場の認識の下で関係者の方々と対話を重ねてきた、こういうふうに私は自負をいたしております。
今後とも、丁寧な対話を重ねて、皆様に寄り添いながら、漁業を安心して継続できる環境が整備されるよう万全を尽くしてまいりたい。
ただ、このことについては農水省だけの話じゃありませんで、各省庁と連携を取りながらやっていきたい、かように思っているところでございます。
○金子(恵)委員 ありがとうございます。
大臣が最も漁業者の方々に近いところに立っていらっしゃるわけなので、是非寄り添い続けていただきたいということをお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
○笹川委員長 次に、梅谷守君。
○梅谷委員 立憲民主党の梅谷守です。よろしくお願いいたします。
今回の法案審議に臨ませていただくに当たって、私自身、遊漁船業を営む方々といろいろとお話をさせていただきました。
その中で話を聞いてまずびっくりしたのが、国会で、こうやって法改正が提案をされて、そして審議がまさに行われようとしている段階で、実は、法案改正、何か、何となくそんなのを耳にしたなとか、どんな法改正の中身なのか全く知らぬわというような方々で、誰一人として把握している者がいなかったんですね。
私から、だから今回このような改正をされるんですよということをお一人お一人ないしは団体の長の方々にお話をお伝えしてから、現場の声を聞かせていただいた次第です。
こんな話もありました。
ある団体からは、登録更新期間が五年に短縮されてしまうと、手数料だったり手続面で負担がかかるから、ペナルティーを受けた者だけにしてくれないかというようなことが求められたんです。
でも、そもそもこの法案の中身はペナルティーを受けた者に限定をされているわけでして、このように、全ての遊漁船業者の登録期間が五年から短縮されると誤認するなど、内容が中途半端に伝わるケースもありました。
何が申し上げたいかといいますと、法改正の内容は、法改正後の周知はもちろん重要、当然なんですが、本法のような業法の適切な改正に当たっては、改正を意図していることや、検討内容を幅広く周知をすること、共に業界から幅広く意見を吸い上げる、すくい上げる努力が必要なのではないかなというふうに率直に感じております。
この法案、きっかけは言うまでもなく知床の観光船の沈没事件から始まっているので、期間がなかなか難しいという部分もあるのかもしれませんが、でも、そもそも事故数がどんどんどんどん増加傾向にある中で、大分前からこのことは検討していたというふうにも事務方からは事前に伺っております。
是非、大臣を始めとする農水省の方々におかれましては、この点を今後御留意いただきながら、現場で懸命に汗をかかれている方々と、現場との対話、これを是非丁寧にしていただくことをまずはお願いを申し上げさせていただきまして、質問に入らせていただきます。
まず、現場の方々からこんな声がありました。
明らかに反社の人物が相当入り込んでいる。これはあくまで私の意見じゃないですから、その現場の方々からの御意見ですから。
そこで、まずお尋ねしたいんですが、水産庁として、遊漁船業として登録している事業者のうち暴力団などのいわゆる反社会的勢力がどのぐらいいると受け止めているんでしょうか。
○安東政府参考人 お答え申し上げます。
遊漁船業においては、現行制度下で暴力団関係者が登録を受けた後、営業している中で行政処分を受けた事例等を都道府県から聞いておるところでございます。
どのくらいの数があるかというのは、大変申し訳ありませんが、把握をしておりません。
暴力団関係者が遊漁船業を営むことにつきましては、遊漁船業を隠れみのとして組織的な密漁が行われる可能性があること、暴力団の資金源となるおそれがあることから、水産業と遊漁船業との調和が求められている中で、トラブルを引き起こすとともに、暴力団の不当な活動を助長するおそれがあると考えてございます。
このため、利用者の安全を確保するとともに、暴力団の資金源に遊漁船業が利用されないよう、暴力団員などであることを今回欠格事由に追加しようとするものでございます。
御質問の暴力団員であるかどうかの把握に当たりましては、各都道府県が必要な情報を得られるよう警察庁と連携しながら対応してまいりたいと考えております。
○梅谷委員 把握はもちろん難しいと思います。
しかし、その中で、今回の法改正を受けて、これまで以上に、暴力団などの、立入検査なども含めて、そういった人々をきちんと発見をして、排除をよりできるようになるという考え方でよろしいんでしょうか。
○安東政府参考人 お答え申し上げます。
本法案を成立いただいた後、施行に向けて、あるいは施行後も含めて、警察庁さんと連携しながら、各都道府県においていろいろな機会を通じてそういったチェックができるように、我々としても、どういったサポートができるか等も含めて、進め方についてしっかり検討してまいりたいと思います。
○梅谷委員 ありがとうございます。しっかり検討していきたいということです。
今回、まず誓約書を交わす、これは重要です。欠格条項に暴力団員等を含めながら、誓約書まで求めることは重要です。ただ、この場合、これまでのチェック体制では、やはり、結局は、何かが起こったときに調べて初めて反社であるとか、あと、うわさが出てきているよねというのでそこをすくい上げながら、警察等と連携しながらやられると思います。
ただ、これは実際に、真面目に経営されている、業を営む方々としては、もう明らかにそうだと分かっているから、自治体の方々に相談をしても、担当者によってはなかなか動いてくれなかったり、本当に一切動いてくれないんだ、話すら聞いてくれない、話を聞いてもナシのつぶてのような、そういうような対応をされていることもあるというような切なる声もいただいております。
ですので、より積極的なチェックが私は必要だというふうに思っていますので、是非そこに向けての、今ほどの御答弁のように、より体制強化に向けての検討を深めて、実施していただくことを期待をしております。お願いします。
この安全、安心のために積極的なチェックを行うには、今のマンパワーで足りるのかということが気になるわけなんです。
そこで、今ほどの反社へのチェック強化もそうですけれども、そもそも真面目に営業している遊漁船業の方々にとっては、立入検査なども含めて、もっときちんと取り締まってほしいという声が少なくないんです。
平成十四年の改正時には、まさに指導監督の実効性が高まることが期待をされていたと思います。でも、今現場から聞こえてくる声は、今ほど私が申し上げたように、問題事案について自治体にお願いをしたとしても、その年々の担当者によってはなかなか動いてくれない、相性が合わなかったらなかなか動かないみたいな、そういうところも出てきているというのが現場から私がいただいている声です。
今回の改正によって、利用者の更なる安全確保はもとより、今まで以上に監督指導の実効性を上げることが行政には私は期待をされると思いますし、その理解だと思います。
そう考えると、法改正がなされれば行政負担は増えるに違いないと私は見込んでいるんですけれども、この点をどのように考えていらっしゃるのか、そしてそこに向けた組織体制の強化についてどう考えるのか、お伺いします。
○野村国務大臣 要員なり人事の問題でありますので、私の方から答えさせていただきます。
今回の法改正によりまして、現在、農林水産省におきましては、水産庁に担当室を置いて遊漁関連行政を行っているところでございます。担当室でございます。
この遊漁船の業者への直接の指導というのは、農水省ではありませんで、実は各県なんです。したがいまして、直接の指導監督権は県にあるものですから、県で行っておりますので、今回の法改正を受けて、改めて都道府県との連携強化の在り方は検討させていただきたいというふうに思っております。
農水省にそういう特別な担当部署を設けるかどうかということはちょっとまだ考えておりませんが、要は、県の方の連携強化の図り方を検討はさせていただきたいと思っているところでございます。
○梅谷委員 ありがとうございます、大臣、わざわざ御答弁いただきまして。
都道府県との連携を強化をされるということで、まさにおっしゃるとおりだと思いますよ。今、現時点で、この監督については自治事務ですから、その上で、所管する農水省の担当は、室内で僅か二名。今、一万三千のこういう事業者の方々が、遊漁船業、いらっしゃるわけですから、これらに対して適正な指導監督を行うには、やはり都道府県がしっかりやっていただかなきゃいけない。
ただ、都道府県でもそれぞれでまちまちだというんですよ。温度差があったり、また、受け止め方、やり方が異なるという実態もある、ばらつきがあるのが実態なんです。
ですので、都道府県への支援もそうです。支援というのは、つまり、底上げが私は必要だなというふうに思っています。今ほどは連携強化を御検討いただくということですので、この点をしっかりと協議をしていただいて、そして、きちっと都道府県が、より連携しながらも体制強化につなげられるように、そしてその上で、チェック体制の強化、そして、利用者の安心、安全につながることを期待をし、是非お願いをしたいと思います。
次に、遊漁の振興についてお尋ねをします。
先ほどの金子委員の御答弁にありました、我が国の水産基本計画において、まさにこの遊漁は代表的な海業と位置づけられている。水産業の成長産業化の中でも、遊漁の活用が位置づけられています。このことは、遊漁に相当の経済効果があることを念頭に置いていると私は理解をしますが、この遊漁ないしは遊漁船業の経済効果をどの程度あると見込んでいらっしゃるんでしょうか。お願いします。
○安東政府参考人 お答え申し上げます。
遊漁の及ぼす経済効果について、数字があるものでございますけれども、民間の分析になりますが、二〇二〇年度のレジャー白書において、釣り人口が五百五十万人、釣り具に限ったことですけれども、釣り具の市場規模が千六百五十億円と推計されております。
遊漁が及ぼす経済効果については、この釣り具市場の規模にとどまらず、来訪者のもたらす経済効果はもっと大きいものと認識をしており、遊漁が秩序を持って持続的に発展することは、漁村地域の振興、存続にとって有益であると考えております。
遊漁や遊漁を含めた海業が地域にもたらす経済効果につきましては、これは地域単位での分析になりますけれども、地域経済循環モデルというモデルが既に開発されておりまして、これを用いた分析も可能でありまして、こうした手法も活用して数字を具体化することも含め、遊漁も含めた海業振興に取り組む機運を醸成してまいりたいと考えております。
○梅谷委員 ありがとうございます。
事前の事務方との話合いでは具体的な数字はないというふうに伺っていたものですから。ありがとうございました。
アメリカでは、じゃ、これも御存じだと思うんですけれども、遊漁の経済効果を年間六百三十億ドルとやっておりまして、これは、当時、水産庁の委託調査、釣りと漁業の共存及び資源管理の推進に関する政策的検討というもの、これは令和二年の三月に公表になっていますが、この中で、二〇一六年にデータを取った数字がこのアメリカでの経済効果年間六百三十億ドル。これは二〇一六年当時の貨幣価値に換算すると約七兆円。これは米国の商務省大気庁、NOAAのデータです。
余談なんですが、米国では、一九九〇年代頃まで、娯楽の選択肢が増えたことや、釣り文化を持たないヒスパニック系の人口が増加したことなどにより釣り人口が減少していたが、レクリエーショナル・ボーティング・フィッシング財団といった遊漁団体のアウトリーチ活動などにより近年は釣り人口が増加しつつある。非常に増えているんです。これが同じことで公表されています。
我が国として、今ほど、釣り具市場においては千六百五十億、レジャー白書ですか、ここであります。
資料は、第一に、ないとおっしゃっていたので、私は、せめてと思って、資料1を御覧いただきたいんですが、これは京都府の沿岸地域における経済効果の試算。上にも赤い文字があります。ここに交通費を足した下の段の合計、約十七億円とここで試算をしています。
これはあくまでも地域限定だし、経費ベースのもの。だから周辺産業への波及などはないんですが、釣り具以上にも経済効果をこの地域限定でもやっているんです。
今後、海業として遊漁の振興を図っていくためには、こういった基礎データとして経済効果をもっとしっかりと調査をして、そして公表していくべきだと考えます。先ほどのお話だと、地域経済循環モデルというものに基づいてこれから検討していきたいということなんですかね。ちょっと、具体的に、これからの、基礎データとしての経済効果の把握、そして公表、これに対する考え方を改めてお聞かせください。
○笹川委員長 安東水産庁次長。
○梅谷委員 これは副大臣でいいですか。駄目。通告は……
○笹川委員長 やってください。
○安東政府参考人 まず、ちょっと事実関係をいいですか。
お答えを申し上げます。
先ほど申し上げました地域経済循環モデルを用いた分析は、これは、市町村単位での、どれだけ人が入り込んでくればその地域にどれだけ経済効果を及ぼすかというモデルでございまして、これを活用すれば、その市町村での遊漁でも可能ですし、遊漁を含めた海業でも可能ですし、そういったことの経済効果が数字ではじき出せるものになってございます。
ですので、こういった数値の活用方法も含めて、海業を普及啓発していく中での活用方法をいろいろと水産庁としても考えてまいりたいと思っております。
○梅谷委員 次は副大臣に是非答えていただきたいんですが、私は、この経済効果は極めて大きいものだというふうに考えています。地域振興にもなり、そして漁村のにぎわいを取り戻すことにもつながると確信しています。
もちろん、先ほどの御答弁のとおり、いろいろな課題もその裏側には出てくるとは思います、ごみの問題とか。ただ、この海業という新たな業を標榜するのであれば、是非、農業などの他分野との連携を深めるとともに、経産省と連携をしていただきながら、海業、経済の好循環をつくり上げていただくことを強く期待をしておりますが、副大臣の見解をお願いします。
○野中副大臣 お答えいたします。
農業も水産業も全てやはり経済につながるものだというふうに思っております。
私も知らなかったんですけれども、市場規模が一千六百五十億というところで、先ほど質問をされた委員の中にも、非常に積極的に、リフレッシュを兼ねて、釣りをされている先生方もいらっしゃるということであります。
とにかく、私どもは、海業も含め、今回の遊漁船の取締りも含めて、しっかり体制を整えるということが地域経済の発展につながっていくというのは間違いないというふうに思っておりますので、しっかり私どもも取り組んでまいりたいというふうに思っております。
○梅谷委員 今のしっかり取り組んでまいりたいというのは経済効果の把握と公表も含むというふうに私は理解をしたいんですが、念のため、もう一度お願いしてもらっていいですか。
○野中副大臣 その経済効果というのがどういうふうな指標で出せるかというところ、ちょっと私は知識を持ち合わせておりませんが、実際こういうふうな、市場規模一千六百五十億というのもありましたし、先生が提示された資料についても数値が出ておるということでありますから、数値が出るということがより実感に伴うということでありますので、できるだけ数値化というものは試みていきたいというふうには思っております。
○梅谷委員 副大臣、ありがとうございます。
次に、クロマグロの遊漁についてお尋ねをします。
現在、クロマグロの遊漁には、漁獲枠が設定されています。今年度、年間三十七・四トン。これは、本来四十トンなのが、昨年度の超過分二・六トンを差し引いてこの三十七・四トンが上限になっています。
三十キログラム未満は採捕禁止、捕ってはいけないとされているのはもう周知のとおりです。一匹、例えば、これは三十キロを境にしていますから、三十キロ以上の枠内で釣れるのは、年間、この数字だと千匹程度ですね。釣り客が仮に年間二千人いたとした場合、これはまさに早い者勝ち状態になってくるんです。さらに、月ごとの上限もあって、実際に、この四から五月、これは五トンの上限に対して、既に上限に達したとして、四月二十八日以降のクロマグロ釣りが禁止されているんですね。
現実の遊漁船の経営を見ていただければ分かるんですが、これは、楽しみに予約していたお客さんを断らなければならない事態を意味しまして、特にこの四月二十八日というと、まさにゴールデンウィークというときにもかかわらず、予約が全てスタート時点で水産庁からストップされる事態が生ずるんです。遊漁船業に携わる方々にとってはこのことは極めて重大な問題だということは言うまでもありません。海業振興にも影を落としかねないと思います。
水産庁は、このような突然の漁獲禁止が遊漁に与える影響についてどのように考えるんでしょうか。お願いします。
○神谷政府参考人 お答えいたします。
遊漁につきましては、先ほど来より説明しておりますように、秩序ある発展を図っていくということは当然申すまでもございませんが、一方で、クロマグロにつきましては、国際資源でございまして、厳格な捕獲枠が定められた中で管理を実施していかないといけないというところでございます。
そのため、委員が御指摘されましたような捕獲の規制をしておるわけですが、これにつきましては、以前は年間で四十トンそのままだったわけですけれども、そうしますと、ますます早捕り競争というものを生じさせますので、月別の漁獲の上限を定めて管理しているところでございます。
いずれにいたしましても、キャッチ・アンド・リリースなんかも含めて、これから、いろいろな御意見はございますけれども、遊漁も大事でございますけれども、一方で、日本の中には約二万隻を超える漁業者が狭い海域でクロマグロを漁獲するため、様々な規制を守っておりますので、そことの調整を含めたしっかりした管理を実施していきたいと考えております。
○梅谷委員 日本の食卓におけるマグロの重要性を考えれば、漁業には多くの漁獲を割り当てるのは当然だと私も思います。
ただ、今まで申し上げたとおり、現実的にはそういう部分での課題も出ておりますので、水産庁の方におかれましては、大臣を始めとする農水省の方におかれましては、こういった切実な現実について、いま一度、現場の方々と意見交換するなどして、今後の対応を是非御検討いただければと思います。
資料2を御覧いただきたいと思います。
我が国のクロマグロ漁獲では、まき網漁に対し、遊漁の枠は非常に小さいんですね。アメリカのケースと比較しても、その差は歴然です。もちろん、今ほど申し上げたとおり、だからといって、漁業に多くの漁獲を割り当てることは私は当然だともちろん思っています。なので、他国と同じように考えられないということも理解しているつもりです。
ですが、それこそ、経済効果なども踏まえて、もう少し遊漁船業に不測の影響を及ぼさない設定にすべきと考えますが、現在の遊漁に対するクロマグロの漁獲枠の設定規模の見直しも、是非、これを検討していただく必要があるのかなと私は思っていますので、難しいことは重々承知していますが、御検討いただければと思います。
時間がなくなってきたので次の質問に移ります。キャッチ・アンド・リリースです。
アメリカを始めとする海外では、釣っていい漁獲枠も大きいけれども、それ以外にキャッチ・アンド・リリースという手法が認められています。釣って持って帰るのではなくて、釣ったら海に帰すということで、釣りとして、釣りというスポーツを楽しむ考え方です。なぜ日本ではこれが認められないんでしょうか。お願いします。
○神谷政府参考人 お答えいたします。
一概に、キャッチ・アンド・リリースを一律的に認めるか認めないかというところは別でございますが、特にクロマグロに関しましては、日本の場合、多くの漁業者が厳格な漁獲枠を守っておりますので、漁業者自身が漁獲枠が満限に達しましたらば操業を停止しないといけないということになっております。
そういたしますと、日本全体で約二万隻近くの沿岸漁業者が漁獲を我慢しているときに、隣で遊漁の方がキャッチ・アンド・リリースと称していろいろなことをやっておるという場合には、どうしても、確実にそれが実施されているか確認や取締りをすることが現在では困難でございますので、採捕禁止期間中はキャッチ・アンド・リリースも含めて禁止とさせていただいております。
○梅谷委員 今までの御答弁だと、心情的なもの、それと追跡調査し切れないということだと受け止めました。
資料3を御覧いただきたいんですが、これは英文なんですけれども、アンダーラインを引かせていただいたところ、この論文は、追跡調査によって、キャッチ・アンド・リリースにおけるクロマグロの生存率が九五%であると示したものです。現実に、アメリカなどでも、およそ同程度の計算の死亡ロスを見込んで、漁獲枠の中にキャッチ・アンド・リリースの枠を設定しています。
日本にはこういった科学的なデータがないということなのか。
ちょっと時間がなくなってきたのでここはもう指摘にとどめさせていただきますが、科学的なデータというのは恐らく私はないんじゃないかなと。今の御答弁を伺っていると、ないんではないかと思うんですが、もしあれば後で是非教えていただきたいと思います。
そこで、これも指摘にしますが、日本ももっとスポーツとしてのフィッシングを認めていくべきと考えますが、大臣の御見解をお伺いをします。スポーツとしてのフィッシングを認めていく。
○野村国務大臣 海業の中でも、いろいろな遊び方というか遊漁の仕方があるんだろうと思うんですけれども、今日御意見をいろいろいただいておりますようなお話は、重要な海業の一つだと認識はいたしております。
ただ、海業が秩序を持って持続的に発展することは、これは漁村地域の振興にとっても大変有意義なことだろうというふうに思っておりまして、今般の改正法の適切な実施を通じて、利用者の安全確保、それから遊漁者の振興を図ってまいりたいと思っておりまして、今委員御指摘のようなお話もあるんだろうと思うんですが、なかなかマグロの世界のところは非常に厳しいような私は感触を受けたところでありますが、先ほど長官の方から答弁しましたようなやはり背景なり実情があるので、なかなか日本では難しいのかな、こんなふうに思っております。
○梅谷委員 私は、もっとデータとか、また、諸外国でどんどん今スポーツとして本当に広がっているんです。イギリスにも広がっているし、いろいろなところで広がっている。だから、日本ではこうだというある意味結論がありの御判断ではなく、いま一度、いろいろなことを情報収集していただいて、御検討していただければということをお願いします。
最後に、もう時間が恐らくなくなるので、ミニボートについてお伺いします。
いろいろな現場の方々から聞かせていただくと、法案と直接関係ないように聞こえてしまいますが、二馬力以下のエンジンを載せたミニボートに対していろいろな懸念する声が聞こえてきます。
これは、数字はいただいておるんですが、一言で言えば、期間内の船舶事故全体の件数はどんどん下がっています。でも、その中でこの二馬力以下のエンジンのミニボートの事故は右肩上がりに増えているんです。これは何で増えているかというと、私は、免許を持つ必要がないからだというふうに思いますし、免許を持てないからこそ、取締りを具体的に海上保安庁ができない。
最後にお尋ねします。
ミニボートを直ちに免許制にしろなどと言うつもりはありませんが、啓蒙啓発を言い続けるだけではなく、国土交通省として何らかの対策を急ぐべきだと考えますが、御見解をお願いをします。
○笹川委員長 答弁は簡潔にお願いします。
○西田大臣政務官 お答えをいたします。
船の長さが三メートル未満かつ機関の出力が一・五キロ未満のボートについては、低出力、低速で航行できる水域が限られることから、免許や船舶検査が不要となっております。
一方で、当該ボートの事故の発生を未然に防止するため、国土交通省としては、出航前のユーザーに対する安全啓発リーフレットを使用した安全指導を行い、また、ボートメーカーの協力を得て、販売時に安全対策について注意喚起をいただくなど、関係省庁やボートメーカー等の民間企業と連携した安全啓発活動を行い、ユーザーの安全意識の向上を図ってまいりました。
当該ボートの事故件数は右肩上がりの傾向でございましたが、このような取組を通じて、令和三年から四年にかけて減少したところであり、国土交通省としては、更にこうした取組を徹底し、引き続き事故の減少に努めてまいりたいと思います。
以上でございます。
○梅谷委員 時間が来ましたので、以上で終わりにします。
政務官、ありがとうございました。大臣、ありがとうございました。皆さん、ありがとうございました。
○笹川委員長 次に、池畑浩太朗君。
○池畑委員 おはようございます。日本維新の会の池畑浩太朗でございます。
本日は、遊漁船業の適正化に関する法律の一部を改正する法律案について、質問させていただきたいと思います。
まずは、漁業者を応援する観点から質問させていただきたいと思っております。
海業について、地域理解を深めて、新しい漁港についての考え方も支援していきたいとも思っております。地元では、赤穂市や姫路、坊勢、家島、たつの市、たくさんの漁港を抱えておりますので、改めて質問させていただきたいと思います。
前回、漁港漁場整備法の際に議論となりました海業、今も委員の先生方からもたくさん質問が出ておりますが、海の資源をフル活用するということと、漁港を中心とした地域の活性化を行うということに関しまして、漁業者以外の人たちが、釣り、潮干狩り、レジャーなどによります漁業目的以外での海の利用を排除するものではないかということも、いろいろ地元でも聞いてまいりました。
まず、農林水産省のお考えとして、それでよいのか、お考えを含めてお聞きしたいと思います。
○角田大臣政務官 海業は、水産基本計画において、「海や漁村の地域資源の価値や魅力を活用する事業」とされており、海業に取り組むことで、漁村における所得と雇用を拡大をして、水産業の発展や漁村の活性化に寄与することを主眼としております。
その推進に当たっては、漁業や水産業との調和を図りつつ、観光業や販売業など幅広い分野の事業者に参画いただき、消費者を漁村に呼び込んでいくことが重要と考えております。
したがいまして、海業の推進に当たりましては、漁業以外の方々の海の利用を排除するものではなく、むしろ積極的に参画いただくべきものと考えております。
○池畑委員 政務官、ありがとうございました。
非常に分かりやすかったと思いますし、江藤委員からもこの点に関してはいろいろお話をいただきましたので、少し割愛をさせていただきながら行かせていただきたいというふうに思いますけれども、次に、漁業権、今政務官からも話をいただきましたけれども、水産資源の管理という観点から、その必要性は当然理解をいたします。
一方で、私もテレビでちょっと見させていただいたんですが、警察や海上保安庁、水産庁の面々の方々が浜辺で違法操業ですよと話しかけている姿を見させていただいたことがあります。漁業権を一般の人に、浜辺で魚介類を捕ったり釣りをしたりすることで、規制しているように、規制しているようにというか、規制しているんですが、国民側にとってはかなりきつい言い方に聞こえるというふうに見受けております。海業の推進をするためには、その概念とは逆行すると言う方もいらっしゃいました。
そもそも漁業権というのは、漁業者にとっては当然の権利でありますが、実は、漁業者以外の人にとっては理解しにくい、また分かりにくいものであると考えております。レジャーの一環であります遊漁船と漁業権の関係をどのように整理して考えればよいのか、農林水産省の考え方をお聞きしたいと思います。
○野中副大臣 漁業権でありますが、都道府県知事の免許を受けて、定置網のように一定の水面において排他的に特定の漁業を営む権利であります。遊漁船業でありますけれども、これは、都道府県知事の登録を受けて、船舶でお客さんを乗せて漁場に案内するという事業であります。仮に、漁業権の免許された区域において、漁業権に基づく漁業を妨害しない場合であれば、遊漁船が入って営むということは可能であります。
ただ、一方、やはり遊漁と漁業でそれぞれの立場がありますから、トラブルも想定されますので、今までは任意で協議会が設置されておりましたが、今般の改正法において、地域の水産業と調和の取れた遊漁船業を振興するため、遊漁船業者、漁業者等の地域の関係者が集まる遊漁船業に関する協議会制度を創設することとしておりますので、是非それを活用してトラブルを未然に防いでいただければというふうに思っております。
○池畑委員 副大臣、ありがとうございました。
やはり周知徹底というのが大きく関わってくるというふうに思いますので、是非農林水産省としても、そういった協議会も含めて、県や市、そういったところと連帯をしていただきたい、また推進をしていただきたいと思います。
今回、また法案について質問をさせていただきたいと思います。
遊漁船業は本来の漁業と調和を図っていく、今副大臣からもお話をいただきました。都道府県に設置できる規定が盛り込まれておりますが、漁業を守る観点から、この規定の必要性は十分私も理解をさせていただいております。しかし、海は国民みんなのものという観点に立つと、遊漁船業が本来の漁業を阻害しない、こちらも答弁いただきました。そもそも本来の漁業ありきの論理で理解を示さない人もいるということを考えさせていただくようになりました。これは地元でも聞いてまいりました。
遊漁船業を始めとする本来の漁業以外の活動は、海業を推進する上で重要な要素であると私は思います。それらの活動より本来の漁業を優先させる妥当性について、農林水産省としてどのようにお考えなのか、答弁をいただきたいと思います。
○安東政府参考人 お答え申し上げます。
まず、今回の法案において、先ほども話に出ましたけれども、協議会を設けることができるとしておりまして、この協議会において、遊漁船業と漁業との調和について地域の関係者の中でしっかりと協議、調整をしていただきたい、そのための制度改正だと認識をしております。
その上で、どちらが優先するかということは、先ほど、漁業権の話になれば、どうしてもやはり漁業権を侵害しない範囲でとなります。
これは、漁業権につきましては、やはり国民の食料を安定的に供給するという形で排他的に特定の漁業を営む権利が与えられているというふうに認識しておりますので、その関係上、どうしても、漁業権に侵害を与え水面を、別に入っちゃいけないということではなくて、漁業権に侵害を与えない範囲でということですので、その調整を協議会でしっかりやっていただけるように、我々としても、どんなサポートができるか検討してまいりたいと考えます。
○池畑委員 これからだというふうに思いますし、いろいろな意見も、また、いろいろな弊害も出てくるというふうに思いますので、その都度、いろいろ議論を、明確にしながら、していきたいというふうに私自身も思います。
次に、遊漁船業の安全性の向上についてと法案の周知徹底について質問させていただきたいと思います。
本法案の経緯は、お話も何遍も出ておりますが、昨年の北海道の知床遊覧船の事故を契機として国土交通省所管の海上運送法が安全性向上の観点から改正されたことに伴って、今回の遊漁船業について、同様の規定を設け、安全性向上を図るということが主な目的の一つであると理解を私もしております。
安全性向上は、国民の命にも関わることでありまして極めて重要であると考えますが、本法案を施行することで、遊漁船業の事故について、どの程度減らす、減らそうとしておられるのかのお考えと、数字的なお話もいただきましたけれども、成果目標は設定されているのかどうかを質問させていただきたいと思います。
また、本法案が海業の振興に資するのであれば、本法案が成立した際に、遊漁船業を営む方々や利用する釣り客だけではなく、ふだん釣りをしていない国民の方にも理解を深めるべく周知を徹底していただきたいというふうに思っておりますが、遊漁船業の安全性向上はもとより、我が国の漁業や魚の消費拡大、そして、冒頭質問させていただきましたけれども、国民の方が余り理解をされていない漁業権について、国民の理解醸成を図るいい機会だと私は思っておりますが、このような観点から、国民に法案の内容をどのように周知徹底していこうと思われているのか、また、いろいろな設置をされる委員会についてどのような考えでおられるか、質問させていただきたいと思います。
○安東政府参考人 お答え申し上げます。
今回の改正法案は、遊漁船業における死傷者数が増加傾向にあることなどを踏まえ、利用者の安全性の向上を図る観点から行っており、御指摘いただいた数値目標、政策目標でございますけれども、法施行後五年後までに年間の事故隻数及び死傷者数を半減させることを政策目標として設定してございます。
この目標の実現に向けまして、本法案に盛り込んだ安全性の向上に向けた措置が遊漁船業者にも正しく理解されるよう十分な周知、準備期間を設けるとともに、遊漁船業者に対する現場での説明会の開催や、分かりやすいガイドラインの提示など、新たな制度の丁寧かつ十分な周知に努めてまいります。
○池畑委員 答弁、ありがとうございました。
私も、地元を回らせていただきまして、この日本というか、私たちの選挙区もそうなんですけれども、決して国民にとってなかなか自由ではないんだなというふうに思いました。ルールや規制が多い。海外のように、船舶が行き来したり、楽しんでレジャー施設を、瀬戸内海の中で運航、また楽しんだりすることがなかなか難しい国なんだなということが分かりました。
海業と本来の漁業者にとってとてもよかったなというふうに言ってもらえる法案にしていけるよう、私も、地元の漁港とともによい方向に向かえるようにこれからも関わっていきたいというふうに思いますので、今後ともしっかり頑張っていきたいと思います。
これで私の質問を終わらせていただきます。
○笹川委員長 次に、足立康史君。
○足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。
今、池畑委員から法案について議論をさせていただきました。私の方からは、少し、この法案の関連としてもうちょっと広い視点で議論させていただきたいと思います。
質問する側が、私自身がちょっと悩みながらの質問が多いので、答弁いただく皆様も、要は懇談的に御答弁いただいたらいいので、余りこう言ったからどうだと問い詰めたりしませんので、一緒にちょっと相談に乗っていただく、そんな感じでお願いしたいと思います。
今日は、遊漁船業ということですが、言うまでもなく、知床の大変残念な事故が背景にあったと承知しています。当然、国交省でも海上運送法の改正をされているわけでありまして、これは、基本的には国交省の動きを横目に見ながら農水省でも今回こういう形になっている、こう承知していますが、国交省の動きと農水省の動きはどういう形で展開してきたか、簡単で結構ですから、流れをちょっと教えていただけますか。
○安東政府参考人 お答え申し上げます。
今回の法改正は、御指摘のとおり、直接的には知床の事故を受けまして国交省さんで検討をし、それをにらみながら農林水産省でも検討したと。それはにらみながらなのか同時並行なのかという問題、どちらも知床の事故を契機としております。
そして、お互いに有識者等をメンバーとした検討委員会をそれぞれ設けておりまして、国交省さんの検討委員会には我々からも参加をしますし、農水省の検討委員会には国交省さんからも御参加をいただくということで、お互いの検討内容を見ながら、同じ、人を運ぶ船に対する規制ですので、平仄を取りながら検討しておりまして、でき上がった内容も同等の措置を盛り込む内容となってございます。
○足立委員 そういうことで、今日は導入でこういう話をさせていただいているんですが、同じような議論をしているわけですね。委員会でも、国土交通委員会の議論もちょっと拝見していますが、同じような議論があります。当然ですね、同じ事案が背景にあってやっているわけですから。
ただ、私が前から申し上げているように、農林水産委員会一年生でありますので、ちょっと、一年生の目から見ると、そもそももう一緒やんと思うことがたくさんあります。
例えば、去年の盛土規制法。私は担当というかライフワークでやってきましたので、盛土規制法は、今日は取り上げませんが、これは国交省と農水省が完全に一つになって、別にそこにほとんど役割分担もへったくれもなくて、これは盛土規制ということでいうと、国交省の所管分野と農水省の所管分野が何の規制上の分け隔ても必要ないということで、基本的には一緒にやっているわけですね。
そういう分野が私はすごく増えてきているという印象を持っているんです。だから農水省は要らないとか言いませんが、しかし、農林水産省という立派な役所があって、都道府県や市町村に行っても農政部局が縦にがあんとなっている。当然ですよね。そういう中で、やはりそれのメリットよりもデメリットが目立つような気がします。
ちょっと、今、通告していないんですが、水産庁がいらっしゃるので、もし分かればでいいんですが、もう既に審議が終わった漁港漁場整備法がありましたね。そのときに、今、梅谷さんからも再三取り上げられた海業みたいな話がありました。海業というのは、まさに業的にはすごい広がりのある業ですね。ところが、法律では主務大臣は農林水産大臣になっていたと記憶していますが、そういうことでいいですよね。それをちょっと確認。
もし可能であれば、なぜそういう広がりがあるのに主務大臣は農林水産大臣なのか。当時の法案審議でちょっと議論が出たかどうか記憶にありませんが、もし可能な御答弁があったらお願いしたいと思います。
○安東政府参考人 先般御審議いただいた法律改正は、海業全体を振興する法律改正ではなくて、漁港において海業を振興しやすくするための法律改正でございますので、あくまで漁港の活用ということですので、主務大臣は農水大臣というたてつけになってございます。
○足立委員 今の御答弁に象徴されているんですね。されているように、漁港があるんだ、農村、農地があるんだ、それから森林があるんだということで、国土の利用において、あるいは土地利用というか、海利用、国土利用ということでいうと、まさに農水省が漁港だ農地だということで非常に強大な存在として、JAの存在もありますが、別にネガティブな意味じゃありません、ネガティブな意味じゃありませんが、そういうことをずっとやってこられた中で、ところが、じゃ、漁港をどういうふうに活用していくのかというと、今みたいに、もう漁業だけではないわけですから、海業なんだから。だから、それは何か農政部局が縦割りで籠城しているような感じになっても、ノウハウとかいろいろなところで課題があるんじゃないかという問題意識があります。
同じように、都市計画を見ても、今日通告させていただいているのは、都市計画における国交省と農水省の関係ですよ。
これはまず農水省からお答えいただけたらありがたいんですが、要はどうなっているかということなので、御用意されていることをちょっとお願いします。
○青山政府参考人 お答えいたします。
都市計画法に基づく市街化調整区域は、市街化を抑制すべき区域との位置づけであることから、農業振興地域の整備に関する法律に基づいて、広がりのある集団的な農地を農用地区域に設定し、農業施策を集中的に実施することとしております。
その上で、都道府県知事等が都市計画を変更して市街化調整区域を市街化区域に編入し、農業以外の土地利用を行おうとする場合は、知事等は都市計画の変更案について国土交通大臣に同意を求めるとともに、国土交通大臣は同意を行う前に農林水産大臣に協議することになっております。
この協議に当たりまして、農林省としましては、優良な集団農地を適切に確保すること、住宅や産業用地などの市街化区域の必要規模、計画的な市街地開発の見通し等の観点から適正な市街化区域の設定であることなどを確認しまして、具体的な調整を行っています。
今後とも、国土交通省と連携を図りながら、農業的土地利用と都市的な土地利用との調整に努めてまいりたいと考えております。
○足立委員 国交省も御準備があると思いますので、もう質問しませんが、御用意していただいているものをお願いします。
○佐々木政府参考人 お答え申し上げます。
ただいま農水省さんの方からお答えあったとおりになりますけれども、私どもが運用させていただいています都市計画法、これにおきまして、まちづくりとして一体に捉えるべきエリア、これを都市計画区域と定め、その中を市街化区域と調整区域とに分けている、それは一体のものとして扱う。
その中で、市街化区域と市街化調整区域を分けるいわゆる線引きですとか、あるいは区域全体のビジョン、こうしたものを定めるマスタープランというのがございます、都道府県がお作りになる。このマスタープランをお作りになるような場合には、国土交通大臣へ協議し、同意を得ることが必要になる。この手続の中で、農業政策との連携をしっかり確保するという観点から、国土交通大臣は農林水産大臣と協議しなければならないとなっております。
さらに、現場レベルでもしっかり連携が図られるように、私どもとしては、そこが一番重要だと考えていますので、ガイドライン等による指導助言等を通じて、各部局が連携を図られるように支援していきたいというように考えています。
○足立委員 そういうことですが、これは釈迦に説法ですが、そういうことになっていますと。
一番現場でみんなが困っているのは、都市的利用と都市的利用を抑制する、皆さんの世界というか私たちの世界は都市的利用を抑制する制度がどんとあるわけですね。それで、都市的利用を抑制すると言っているんだけれども、里山は、あるいは大都市近郊、私は大都市近郊ですが、大阪の大都市近郊の里山、もう、いわゆる農林業的な、農業的なことだけで地域を維持できなくなっているわけです。そもそも人もいなくなってくる。
だから、漁港が海業と言っているのと同じように、里山は里山で、ただ農福連携するとか、何かレストランをいろいろつくっていくとか、観光をもうちょっとこう、うちは大都市近郊ですからもうちょっと人の交流を増やすとか、それはもうほとんど農業であったり林業という概念を超えて、様々な産業、産業というかビジネス的な利用をしてお金を生み出していかないと、そもそもそこで生活を、なりわいを維持していくこと自体ができなくなっているという状況にあるので、私は、この分野の素人の目から見て、そういう都市的利用と都市的利用を抑制するという都市計画法のフレーム自体がちょっともう古いんじゃないかと。
そして、里山についても、それは、市街化調整区域、抑制区域ということで個別に一筆一筆開発許可を出していくんじゃなくて、もっとエリアマネジメント、例えば里山の谷ごとにいろいろな、もうちょっとビジネス的な観点からの参入をしやすくするような形とかを取っていかないと、そもそも人がいなくなって、山も村も農村も荒れていくということに今なっていると思います。
今私が問いかけているのはちょっと根本的な問いなので御答弁は難しいかもしれませんが、問題意識は伝えています、事前に。今私が申し上げたような捉え方は、いや、足立さん、あなたは一年生で分かっていないということだったらそう教えてほしいし、もし問題意識が正しいのであれば、それを共有しているということを言っていただきたいんですが、いかがですか。
○青山政府参考人 お答えいたします。
国土を計画的に利用するというのは、農業上でありますと、農業水利施設とかの整備をいたしますので、そういったものを計画的に調整しなくてはいけないということでこの計画制度はあると思います。
一方で、委員がおっしゃったように、中山間地域、とにかく農業だけでは食べていけないようなところがありますので、そういったところは、六次産業化でありますとか、農山漁村発のイノベーションということを通じまして、いろいろな食べていく手法を推進していこうということで考えております。
そういう意味で、計画制度は計画制度として調整を図らなくちゃいけないということで都市計画法と農振法の関係がございますし、実態としては、みんなで考えて、食べていけるようにイノベーションを図っていこうということを進めようとしております。
○足立委員 ところが、まさに今おっしゃった、都市計画法と農振法が対応しているのかな、例えば農業振興地域みたいなフレームで、あるいは農業委員会がどんと控えている。それは、一言で言うと、首長がもうちょっとちゃんとやれば、要は都道府県知事とか市町村長がやれる権限もすごく大きいと思います。
だから、地域によっては地方分権の中で相当なことができるんだという面はあるものの、やはり開発許可みたいなところの手続が大変で、それも一件一件ですから。エリア的なプランが、この谷ではもうこういうふうにしていこうということが合意形成されて、そして、エリアマネジメントとして、地域が活性化して、ビジネスも、そこでお金がある程度落ちていくというようなことが事実上なかなか私の地元でもできていない。若い人たちはそれをやろうやろうとしているんだけれども、制度が阻んでいるということがあります。
今日は問題提起ということにさせていただきたいと思いますが、またちょっと機会を見つけて局長さん方と議論をさせていただきたいと思います。
もう一つ、残る時間、もう時間がないと思いますが、今申し上げたのは土地利用です。もう一つは、ノウハウ、経営ノウハウですね。例えば認定農業者の制度とか、私も勉強させていただきましたが、やはり農業の技能とか技術に着目し過ぎていて、経営能力がやはりないわけです。だから、経営ということを考えたときに、私は経産省にいましたが、中小企業庁が、中小企業横割り大臣として、様々なツールがあるわけですね。
今日ちょっと御準備いただいているのは、中小企業庁が持っているリソース、予算とかいろいろな相談窓口とか信用保証とか中小企業金融とか、様々な中小企業庁の政策、施策がありますが、そのうち農林水産業が使っているのは何%ぐらいですかというのが分かれば教えてくださいとお願いしているんですが、可能でしょうか。
○横島政府参考人 中小企業庁は、多様な事業分野で活動する中小企業の育成、発展を任務としており、中小企業基本法等に規定される資本金の額や従業員の数の範囲内であれば、農林水産業者も中小企業として支援対象に該当します。
比率でありますが、例示をさせていただきます。
例えば、中小企業の経営上の相談に応じるため、中小企業庁が各都道府県によろず支援拠点というものを設置しております。農林水産業者も利用可能ですが、各拠点からの報告を集計したところ、昨年度の相談件数の約三%は農林水産業者によるものでした。
また、新たに輸出に乗り出す中小企業がジェトロのポータルサイトに登録すれば支援策の提案を受けられる新規輸出一万者支援プログラムというものを実施しております。これも、農林水産事業者も利用可能です。昨年十二月から登録を受け付けておりますが、登録の約五%は農林水産業者となっています。
○足立委員 ありがとうございます。
農林水産業のGDP比とか、あるいは就業者数とか、いろいろなことを考えると、決して全く使われていないじゃないかということではない数字だとは思います。
今日私が皆様に御提起したのは、ちょっと時代が変わってきた、海業であれ里山振興であれ、時代が変わってきたので、ちょっと農政というフレームからもっともっと大きく出ていただく、出ていく。そういうことで、要は、土地利用であれ地域計画であれ、あるいは産業振興であれ、やはり、いろいろなノウハウがそれぞれの部局にありますので、そういうものをフル動員して、新しいアイデア、既存の法的なフレームに閉じこもらずに、新しいイノベーティブな制度的なフレームをつくっていくことをまた党として提案していきたい、こう思っていますので、そう申し上げて、今日の質問にさせていただきます。
ありがとうございます。
○笹川委員長 次に、長友慎治君。
○長友委員 国民民主党の長友慎治です。
遊漁船業法の質疑に入る前に、冒頭、大臣に一言、一言というか、質問をさせていただきたいんですけれども、前回、五月十一日の農林水産委員会におきまして、私が法定外公共物について質疑をさせていただきました。
日本全国に赤道、青道が、里道や水路ということですけれども、あります。このことが、例えばその管理責任、農家さんとの関わりについて、そして、利用する農家と、財産上、所有する地方自治体間のトラブルなどを防止する必要性を問題提起させていただいたつもりでおります。
日本全国にこの赤道また青道はあるわけなんです。政府の方でどのくらいの長さがあるというのは把握していないということでございましたので、調べられる範囲だと、例えば金沢市、ホームページで公表されていました。赤道、青道、合わせても、金沢市だけで一・二万キロあると。これは日本を一周する距離ですから、全国には日本を何百周もする、若しくは何千周もするいわゆる法定外公共物があるということが推察されるわけでございます。
そのような赤道や青道を農家の皆さんが今も利用されていますし、これからも利用していくわけですけれども、私の地元で、管理責任、また受益者負担の部分でトラブルが起きてしまっているんですね。全国的にそういうものが起きているということは、政府は関知しない、また、把握はしていない、する立場にもないという見解を前回の質疑ではいただいたんですけれども、大臣におかれましては、御地元でも中央会にいらっしゃいましたし、いわゆる現場の実態に精通されていらっしゃると思いますので、この青道や赤道の利用、農家さんとの、今後の管理、維持を、トラブルが起きないようにどうしていくべきか、大臣にまず見解を伺えればと思っております。
○野村国務大臣 お答えを申し上げたいと思いますが、今、長友委員がおっしゃいましたように、直近の令和三年において、農作業中の事故により二百四十二人が亡くなっておりまして、これは、全てが里道だとかあるいは水路の利用時であるかどうかには限らずに、農作業の安全対策は非常に重要になってまいりました。
これだけとは限らないんですけれども、ただ、農業者に対する農業機械の安全研修、こういったことは、それぞれ、JAを通じたり、あるいは集落でやっておりますが、やはり多いのが転落、それから転倒、こういった形が多いようでございまして、これは、やはり道幅によるようなものも起因しているんだろうなというふうに思っております。
そこで、委員御指摘の里道や水路などの法定外公共物は市町村において管理が行われているということでありますけれども、農林水産省は指導を行う立場にはありませんが、安全に利用できるように適切な維持管理が行われることは大変重要なことだというふうには思っております。
このため、農村地域の共同活動により保全管理されている水路、道路等の草刈り、補修については、多面的機能支払交付金によって農水省としては支援をしているということでありますし、また、農業用として利用されているなど一定の要件を満たすものについては、農業農村整備事業による再整備と併せて、柵などの安全施設の設置に対する支援も可能になっている。だから、農水省でも予算は、そういったものはきちっと確保はしているということを御理解いただきたいと思います。
これらを通じまして、是非、農作業等の安全の確保を担保させていただきたい、確保させていただきたい、こんなふうに思っておるところでございます。
○長友委員 大臣、御答弁ありがとうございます。
大臣にも触れていただきましたように、所有する自治体と利用する生産者、農家さんの間でしっかりと適正に安全に管理していくことが農水省としても当然大事であるということをしっかり議事録でいただきましたので、それを基に現場でも対応を促していきたいと思っております。
といいますのも、私がいろいろお話を聞くと、管理の責任の所在が曖昧なまま今も使っているんですね。自治体と所有者、生産者の間で、受益者の皆さんで管理委託契約書を結んでいるかというと、結んでいません。覚書も取っていないわけです。その中で、転倒して事故が起きた、後遺症が残っている、これは誰が補償するのか、そういう質問が上がってきておりますので、このような曖昧なまま管理するということをこれからできるだけなくしていこうと。
利用する側も高齢化しております。また、利用する側も減少もしている中で、受益者負担という形で自治体が逃げるのも無理があると僕は思いますので、そこは今後の課題だと思っておりますので、取組を、私もやりますし、皆様にもお願いをしたいと思っております。
それでは、遊漁船業の質問に移りたいと思います。
これまで、今までの委員の皆様も御指摘いただいておりますけれども、遊漁船業における死傷者数、事故、船舶事故等における数が、最近、近年、増加をしているという傾向がございます。この理由を私も質問しようと思ったんですが、これまでにも御答弁いただきましたので、そこは割愛しようと思っております。今までの御答弁だと、漁業者からの転向などがあって新規に登録が増えている、その背景に、それに起因する経験不足だったり、見張りが不十分だったりすることによる事故があるというお話でございました。
それによって、じゃ、どう対応していくのか。これは、事故防止講習会等をやるのであれば、それは県の管理だということで答弁をいただいております。では、それを開催するということを各都道府県がしっかりやっているのか、その監督責任はやはり国に出てくるのかなと思いますし、地域によって、事故が多いところ、多くないところというのも調べれば分かると思うんですね。であれば、事故が多い地域には改善を促していく、そういうことも、農水省、水産庁としても取り組み、そして発信をしていただきたいと思っております。
釣り人の保護という観点から、釣り人の安全確保に関する情報を広く公開し、釣り人が安全面から釣り船を選択できるようにすること、それを各釣り船の事業者が自ら積極的に安全確保へ取り組むということを促していくということを、今まで皆様のお話の中であったと思います。しかし、この安全確保に関する自社の取組などを自主的に釣り船の事業者さんがホームページで公開しているかということを見ると、ないわけではないんですけれども、全体から見れば決して多くないというのが今の私の実感でございます。
今回の法改正を基に、例えば、釣り船の事業者さんが自ら、今までホームページを持っていなかったところがホームページを立ち上げて、利用者に安全の取組を公開する釣り船が増えればいいと思うんですけれども、これは当人任せにしておいても私は増えないと思います。なぜなら、釣り船の事業者さんは、これまでの質疑にもありましたとおり、高齢化もしておりますし、一人でやっているようなところもあります。なので、ホームページを制作する事業者に丸投げする、制作を依頼してということであればできるかもしれませんが、その元手が必要になってきますよね。それに対する相談やサポートする窓口があるのかということも含めて、水産庁から、県からでも、また組合からでも構わないんですが、きちんと情報を伝達していただきたいなと思います。
例えば、ホームページを作ることに関しては、経産省の持続化補助金なども使えたりするんじゃないかと私は思うんですね。その申請をする、また、寄り添って伴走するサポートをよろず支援拠点もやりますよと、そういう具体的なお手伝いをしていただけるような情報も、釣り船のオーナーが、それを聞いて、じゃ、やってみようかと思うところまで是非踏み込んだ支援をしていただきたいと思っております。
これは特に通告はしていないんですけれども、当然すべきだと思うんですが、見解を伺えるようであればお願いしたいと思います。
○安東政府参考人 お答え申し上げます。
今回の法改正で、遊漁船業者さんに対しまして、利用者の安全情報の公表を義務づけております。この公表については、先生からも御指摘がありましたけれども、利用者の利便性を考えると、ホームページなどを活用したデジタル化の取組が非常に重要だと思っております。
デジタル化につきましては、現在は、登録申請をしていただく際に、農林水産省のいろいろな手続、あらゆる手続が全てデジタル上で申請できるeMAFFというシステムがございまして、遊漁船業の登録もこれでやれることになっているんですけれども、実態としては、ほとんど利用がないというのが実態でございます。
この活用をいかに図っていくかというところから始めるということと、あともう一つは、都道府県段階では、都道府県さんのホームページ上で遊漁船業者さんの情報をいろいろ公表されている取組も幾つもの県で行われておりますので、そうした取組とその遊漁船業者さんのデジタル上での公表をどう結びつけていくか、さらに、農水省のデータベースとどうやって結びつけていくか。そういったところから、どうすれば遊漁船業者さんが手軽に取り組めるのかということをちょっと具体的に検討してまいりたいと考えております。
○長友委員 まさにデジタル化の部分、課題になっておりました。前向きに取り組んでいただける、検討をいただけるということでしたので、是非お願いをしておきたいと思います。
遊漁の資源管理についてお尋ねしたいと思います。
これまでも、遊漁における資源管理は、漁業者が行う資源管理に歩調を合わせて実施するというふうに求めてこられたと思いますが、水産資源管理の観点からは、魚を採捕するという点では漁業も遊漁も変わりはないため、今後、資源管理の高度化に際しては、遊漁についても漁業と一貫性のある管理を目指していくというふうに理解をしております。
遊漁に対する資源管理措置の導入が早急に求められている中で、令和三年六月から、クロマグロについては、小型魚の採捕制限、大型魚の報告義務づけを試行的取組として開始をされています。
その運用状況や定着の程度を踏まえつつ、漁業と同じレベルの本格的なTACによる数量管理に段階的に移行していく、そういう段階だと思うんですが、漁業における数量管理の高度化が進展し、クロマグロ以外の魚種にも遊漁の資源管理、本格的な数量管理の必要性が高まっていくことが予見されるということで、アプリを使って、遊漁関係団体の自主的取組等を活用した遊漁における採捕量の情報収集の強化に努めているということで、私も、LINEでやっているものを自分でも試してみたりしたんです。
現在、どのくらいの遊漁船業者が協力いただいているのか、そして、これまでに取得してきたデータというものがどのように活用されていくのか、また、活用していこうとしているのかについて教えてください。
○安東政府参考人 お答え申し上げます。
遊漁採捕量の報告の協力依頼についてでございますけれども、まず、遊漁に対する資源管理措置の導入が早急に求められたクロマグロについては、令和三年六月から大型魚の報告義務づけを開始をしておりまして、クロマグロを採捕した遊漁者からメールや水産庁で開発したアプリなどを利用して採捕量などの報告をしていただき、それらの情報を基に、必要に応じて採捕を禁止するなど、資源管理に活用しております。
クロマグロ以外の魚種についてでございますけれども、報告への協力、これは任意で協力を求めているところでございますけれども、どれだけの数が上がってきているのかというのは、それほど多くはないというところが現状でございまして、今後とも、遊漁者が採捕報告をしやすくなるようアプリの改良等に努めているところでございまして、遊漁者及び遊漁船業者に対して、採捕報告への協力について、ウェブサイトへの掲載やポスターの配布などによる周知も図っているところでございます。
○長友委員 そのクロマグロについてもう一問質問したかったんですが、もう時間が来てしまいましたので、お願いだけしておきたいと思います。
私の地元で、クロマグロが捕れる、捕れて困るという声をいただいております。いわゆる、規制以上にかかってしまうんですね、捕りたくないのに。それをリリースしているというのは、正直にリリースしている写真、動画も見せてもらっております。
現場の人たちは、もう回復しているという実感がある中で、どのくらいまで回復すればクロマグロの漁獲枠拡大がなされるのかという指針を是非今後示せるようにお願いをして、私の質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。
○笹川委員長 次に、田村貴昭君。
○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。
遊漁船業法について質問します。
改正案では、遊漁の規制を強化して事故を防ぎ、地域の水産業との調和を図ろうとしています。これは必要な規制そして制度だと考えます。
調整についてお伺いします。
自由漁業で広域を移動する漁師たちは、競合する漁場では地元の漁師たちと調整しながら漁をしているというふうに話を聞いています。魚種や漁場によっては、都道府県だけでは調整し切れない場面も出てくるのではないでしょうか。そうしたときに、水産庁が調整に参加する、そういう場合もあり得ると私は考えるんですけれども、水産庁、いかがでしょうか。
○安東政府参考人 お答え申し上げます。
今回の法律改正の関係で申し上げますと、協議会制度を新しく法定をしてございます。この場で、遊漁船の利用者の安全確保の取組ですとか、漁場の安定的な利用のための操業ルールの策定などについて、地域の関係者が協議をし、各地域の自主的な取組が円滑に進むようにするということを目的としてございます。
このため、この協議会は、都道府県知事が組織し、それぞれの地域の遊漁船業者、漁協、その他の関係者で構成されるものとしておりまして、地域の方々の間での協議の場であると考えております。
ただし、全国的な知見や広域的な調整の観点から、都道府県知事から求められた場合には、水産庁から協議に参加することもあり得ると考えてございます。
○田村(貴)委員 分かりました。確認しました。
遊漁船の多くを占める沿岸漁業の漁船が非常に大事な役割を果たしていることについても一言付言をしたいと思います。
二〇二〇年十一月、香川県坂出市沖で修学旅行中の小学生らを乗せた船が沈没した事故がありました。真っ先に現場に駆けつけたのは、そして六十二名の命を救助したのは、四隻の漁船でありました。
沿岸漁業は、その多面的機能の一つ、海難事故から国民の命を守る重要な役割を果たしています。したがって、沿岸漁業を守って、そして振興することの重要性を改めて強調し、その支援を要望しておきたいというふうに思っております。大臣、よろしくお願いします。
続いて、食料・農業・農村基本法の見直しに関連して質問します。
朝日新聞五月十一日付の記事を配付しています。この一面トップの記事に、私は、当日朝、非常に驚きました。こういう内容です。
「有事に輸入が止まるなど国内で食料が不足する事態に備え、農林水産省が農産物の増産を農家や民間事業者に命令できる制度をつくる方向で検討を始めた。来年の改正をめざす「食料・農業・農村基本法」に盛り込んだうえで、強制力を伴う新法を整備する方針だ。」とあります。
また、報道では、花農家に米や芋を作るよう強制的に命令したり、価格統制、流通統制、配給制も盛り込むとあります。
こうした生産者への作付命令制度が持ち出された議論、これは食料・農業・農村審議会の第十四回検証部会です。これも資料をお配りしています。農水省の「今後の施策の方向(基本計画等)」という資料から該当部分を抜粋しました。
1の部分で、指針、これは緊急事態食料安全保障指針のことですけれども、「指針は法令に基づくものではなく、それ自身が不測時の制約を伴う措置を行う根拠にはなりえないこと」と書いてあります。また、一つ目の矢印の下には、「必要な対応を講ずるための意思決定や命令を行うための法的根拠に加え、具体的な措置を講ずる法律的な根拠も十分とは言えず、」と書かれています。
お伺いします。
制約を伴う措置そして命令、これは一体どういうことですか。
○杉中政府参考人 お答えいたします。
まず、確認のために説明をさせていただきますけれども、現行の食料・農業・農村基本法第十九条におきまして、凶作、輸入の途絶等の不測時において、国民が最低限度必要とする食料の供給を確保するために必要があるときには、食料の増産、流通の制限等の施策を講ずるといった旨の規定がなされております。先ほど御紹介があった緊急事態食料安全保障指針はこの規定に基づき作成されまして、政府として講ずべき施策の基本的な内容、実施手順等を示しているところでございます。
我が国の食料供給による不測の事態の際には、本指針に基づき、例えば、食料の増産につきましては、不作付地や裏作を活用した生産、あと、供給熱量が低い作物から米や芋類といった熱量効率の高い作物への生産転換、流通の制限に関しては、適正な流通の確保のための食料等の売渡し、輸送、保管に関する指示などの対応を行うこととしております。(田村(貴)委員「審議官、それは知っています」と呼ぶ)はい。
その上で、先ほど御質問のあった食料等の制約を伴う措置を講ずることにつきまして、四月二十八日、基本法検証部会で議論が行われましたけれども、まず、指針については、先ほど御説明があったように、こうした措置を行う根拠にならないのではないかという姿勢の下に、まず、意思決定については、不測の事態に関係省庁が連携して対応できるように政府全体の意思決定を行う体制の在り方、あと、体制を整備する法的根拠、あと、体制を整備するための基準についての検討を行う、また、食料安全保障のリスクに応じた措置につきまして、現行の法的措置で十分かどうかの検証、その義務的措置の内容、これが制約の中身になるわけですけれども、などの議論が行われたところでございまして、こういった基本法検証部会の議論を踏まえまして、更に具体的な内容について検討していきたいというふうに考えております。
○田村(貴)委員 長い答弁の割にはなかなか分からないんですよ。
これは農水省が出した文書でしょう。ここに制約を伴う措置とか命令と書いておるわけですよ。これは何ですか。法的に命令させるということを基本法に明記するということなんですか。
緊急事態食料安全保障指針では、こう書いてあるんです。レベル二、一人一日当たり供給熱量が二千キロカロリーを下回ると予測される場合を目安とし、熱量効率が高い作物などへの生産の転換、こう書いていますよね。
農水省は、この指針が法令に基づくものではないから法制化させたいんでしょう。つまり、報道にあるように、花農家に米や芋を作るよう命令ができることを考えているんですか。これを聞いているんです。いかがですか。
○杉中政府参考人 先ほどお答えしましたとおり、現行基本法第十九条におきましても、増産や流通の制限等の施策を行うという規定がされておりますけれども、これが、必要なときに必要な施策を行うための法的根拠、その中には当然財産権の制限を伴うようなものもあり得るということなので、そういった根拠となり得る法律的な条項について引き続き必要な検討を行っていく必要があるのではないか、そういう議論を行っているところでございます。
○田村(貴)委員 野村大臣、これは戦前の臨時農地等管理令、これをほうふつとさせる話であります。太平洋戦争開始の一九四一年、昭和十六年の国家総動員法を根拠とする臨時農地等管理令は、田には稲以外の作物を新たに栽培することを禁止、花卉等の不急なる作物は制限する、こうした命令であります。こうやって戦争に入っていったわけですよね。
今後の施策の方向にある不測時というのは、これはどういう事態を指しているんですか。指針の食料の供給に影響を及ぼす不測の要因、これは国内要因と海外要因の二十五例が書いてあるんですけれども、ここには、今この国会でも審議されている存立危機事態とか、あるいは敵基地攻撃能力とか、それから集団的自衛権の行使と相まっての日本に対する武力攻撃があった、ある、そういったことはこの指針では適用されるんでしょうか。
○杉中政府参考人 不測の事態の基準等についても今後検討する必要があるのではないかと御指摘をいただいているところでございますけれども、検証部会につきましては、不測の事態が起こる理由、背景としまして、例えば、気候変動による不作みたいなものによる日本の輸入食料の減少であるとか、あと、今回のコロナウイルスのような、世界的な物流の停滞による輸入の減少、それから、BSE、鳥インフルエンザ等による供給の途絶、若しくは、そういったことが今回のウクライナ事変によって人的に行われるという形で、不測の事態になり得るものが多様化しつつあるのではないかという議論の下、必要な検討を行う必要があるのではないかという御指摘をいただいているところでございます。
○田村(貴)委員 言葉しか言わなかったんだけれども、膨れ上がってくると、対象が。敵基地攻撃や日本に対する武力攻撃、つまり、有事あるいは戦闘状態、こうしたところを想定して議論を始めようというのではありませんか。花栽培を芋栽培にするなんてことが現実的に命令されたりしたら、これは大変ですよ。
この報道を知った関東のある花農家はこう言っています。
花農家は芋の作り方など知らねえよ、今更芋を作れなんと言われても作れるわけがねえ、大体、これまでさんざん自由競争だ何だと外国産と競争させておいて勝手過ぎる、花の関税を言ってみろ。
こういうふうに憤慨して言われました。
切り花の日本の関税は幾らですか。
○平形政府参考人 お答えいたします。
我が国の切り花の輸入に関する関税は、無税となっております。
○田村(貴)委員 ゼロなんですよね。ゼロなんですよ。だから、ゼロで大変厳しい戦いを強いられているわけなんですよ。韓国は二五%、台湾は二〇%。花農家を守る必要があると感じている国はちゃんとやっていますよね。
大臣、花農家は関税ゼロで、減少しています。花だけじゃない。低い米価にあって、米農家にしても、ミニマムアクセス米を輸入しておきながら、そして、自分で需給に応じて生産しろ、そして競争しろと突き放された。補助金はカットされた。芋農家にしてみたら、大臣、鹿児島も宮崎も基腐れ病に苦しんで、そして補償がない。酪農はどんどん離農、廃業しているという状況です。
こうした議論が私は本当に奇異に感じます。今最も必要なのは、経営苦にある農家を支援することではないのか。いかがですか。
○野村国務大臣 お答え申し上げますが、今の基本法の検討の中で、今委員おっしゃいましたように、平時と不測時の措置、これをどうするかという、両方ありました。
今まで余り不測時の措置というのはなかったような気がします。平時の、自給率だとか、あるいは自給率を向上させるとか、そういう話はあったんですけれども、じゃ、不測時になったときは自給率なんかの問題じゃないだろうということになりまして、特にウクライナのああいったようなことがありましてから、委員の皆さん方も大変御心配されまして、今申し上げましたような意見が出てきました。
したがって、食料安全保障という視点で考えたときに、このリスクの高まりはかつてないぞという、皆さん、非常な危機感を持っておられまして、もはや、いつまでも必要な量だけを安く海外から輸入できるという時代は終わった、もう続かないよという議論がございます。したがいまして、輸入依存度の高い食料なり生産資材について、国内生産を増大して、まずは輸入への過度な依存を低減しようじゃないかと。
今委員おっしゃいましたように、急にあしたから花をサツマイモに替えろとか、そういったような議論は全然起こっておりませんで、それで、まずは備蓄をやろうと、緊急なときのために。それからもう一つは、増産しよう、不足分について。そしてさらには、代替品で何かできないのか。こういったような議論を今していただいているところであります。
例えば、代替品というのは、米粉で麦の代わりにできないか、米粉で麺ができないか、あるいはほかのパンができないか、こういうことの議論をしていただきながら、代替品を作っていってもらおう、それから、先ほど言いました、増産もしてもらおう、不足しているものは、小麦、大豆、あるいは飼料作目、それから、備蓄をやはりやっておかないと、いつまでも安心して輸入ができるという状態ではないよ、こういう議論をさせていただいておりまして、これらを総合して、是非、六月末では結論を出していきたいと思います。
○田村(貴)委員 大臣、言っていることは分かりますけれども、それはちょっとずれているんですよ。
農水省が基本的な施策の方向として、立法措置によって命令という形を出してきているわけですよ、文言として。日本が当事者となる不測の事態は、これはもう政治の問題ですから、そういう事態を招かない、そういう政治の努力をするのがまず第一段階、第一前提じゃないでしょうか。
○笹川委員長 大変恐縮ですが、時間が経過しました。
○田村(貴)委員 はい、分かりました。
じゃ、最後、言いますけれども、こうした話を農家が聞いたらどう思うか。これは生産意欲がなくなってしまいますよ。荒唐無稽な、不測時の制約を伴う措置、そうした考えをする前に、そんな事態が起こらないで済むように、それを考えるのが政府の役割だろう、大臣の職務だろうということを指摘して、質問を終わります。
○笹川委員長 次に、緒方林太郎君。
○緒方委員 よろしくお願いいたします。
農林水産委員会は今回が初であります。尊敬する笹川委員長の下で質問できることを光栄に思います。
まず、法案に入る前に、大臣に農林水産品の価格適正化についてまずお伺いをしたいと思います。
農林水産省は、どうもいろいろ見聞きしておりますと、フランスのエガリム法をかなり研究しておられるというふうに承知をしております。基本的に、生産者と小売の方とかが相対で交渉して価格を決めることによって、できるだけ農林水産品の価格が適正化され、できるだけ多くのお金が生産者に残るようにという取組だと思います。
農林水産省はかなり研究しておられるんですが、なかなか具体的に結実をしていないような印象を持っております。何がうまくいっていないんでしょうか、大臣。
○高橋政府参考人 お答えいたします。
農産物等の持続的な生産のためには、生産コストの上昇分を適切に価格に反映していくことも重要と考えております。
一方で、農産物等の取引価格につきましては、需給、あるいは品質、取引形態、他の商品との競合の状況など、様々な要因の影響を受けますことから、品目によりまして、価格転嫁の困難度合いには差があるというふうに承知をしております。
ただいま委員から御指摘のございましたフランスのエガリム法につきましては、その適用対象品目は畜産物を中心に限定されておりまして、また、本年一月から全面施行されたばかりということもございますので、その効果が分かるのも今後になるというふうに承知をしております。
私どもといたしましては、引き続き、品目ごとの生産から流通までの実態、これをよく踏まえまして、コストを反映した価格が形成されるには何が必要かしっかり検討し、適切な価格転嫁のための環境整備を進めてまいる考えでございます。
○野村国務大臣 今、総審の方からお答えを申し上げましたけれども、要は、まだ日本の場合で、こうして価格の転嫁ができておりますのは実は牛乳だけでありまして、牛乳は今回また八月から十円上がるわけでありますが、こういった交渉をやっておるのは牛乳だけです。ほかは一切ありません。
それで、委員も御承知のようなフランスのエガリム法なんかも、もう勉強には農水省から行って検討はしておりますけれども、日本に当てはめた場合にどうなっていくのかというのは、方向としては、価格転嫁をしようじゃないかという方向は大体意見の一致は見ているんですけれども、じゃ、具体的にどうなっていくのかというのは、非常にまだ分かりにくいといいますか、どういう方法が日本の場合には当てはまって、どういうようなやり方ができるかというのは、まだ検討中でございます。
○緒方委員 多分そういう答弁だろうなと思っておりました。
それでは、法案に移っていきたいと思います。
法案第三条、遊漁船業者の登録についてなんですが、この登録のところに、「この法律及びこの法律に基づく命令の規定並びにこの法律の規定に基づく処分の遵守の状況が不良な者」という表現が出てまいります。命令や処分の遵守の状況が不良な者であったとしても、決して登録の取消し事由に入っているわけではありません。
私は、思うんですけれども、命令や処分の遵守の状況が不良な者というのは、そもそもこれは欠格事由ではないかというふうに思うんですけれども、水産庁、いかがですか。
○安東政府参考人 お答え申し上げます。
今回の改正により登録期間が短縮される遊漁船業法の遵守の状況が不良な者とは、具体的には、業務改善命令や事業停止命令を受けた者がこれに当たると考えています。
遊漁船業法の遵守の状況が極めて悪質な場合には、登録の取消処分の対象となりますが、そこまでの悪質な状況に至らない場合には、業務改善命令や事業停止命令の対象となります。
この場合には、まずは違反状態の改善を求めるということとしておりまして、事業停止命令を受けている場合は、その間はもちろん更新できませんが、違反状態の改善が確認されれば、業務の継続を可能とすることとしております。
こうした改善措置が適切に講じられているかどうか、通常より、通常というと五年ですけれども、通常よりも短い間隔で確認できるよう登録の有効期間を短縮することとしたところでございます。
○緒方委員 今の答弁はちょっとおかしいんですよね。命令が出た人間をそもそも不良な者といっているんですが、この法律に何と書いてあるかというと、命令の遵守の状況が不良な者であって、単に命令が出た人間をこれに当てはめるというのは間違っていると思いますよ。間違っていませんか、次長。
○安東政府参考人 お答え申し上げます。
命令を受けた者がまず対象になっており、その命令を受けた者に対しては改善措置を求めますので、改善措置の状況を踏まえて判断をするということでございます。
○緒方委員 しかし、命令が出た人間が不良ではなくて、今の説明だと、命令が出た人間がそもそも不良な者であるというような言い方をしていますが、そうじゃないですよね、違いますよね。もう一回。
○安東政府参考人 お答え申し上げます。
やや説明がちょっと単刀直入過ぎて言葉足らずだったことをおわび申し上げます。
遵守の状況が不良ということでございますので、停止命令を受けて、あるいは業務改善命令を受けて、改善措置の状況がどうかということを見るということでございます。
○緒方委員 じゃ、質問を移したいと思います。
第十二条、第十三条で、遊漁船業者と、遊漁船業務主任者というのと、実際に船を操縦する人、この法律の中で、この三者が同一人物であるケースが多分大多数であろうと思います。そうすると、遊漁船業者にかかっている規制、遊漁船の業務主任者にかかっている規制、そして実際に船を操縦する人、この人が全部一緒である場合というのは、なかなか規制が利きにくいということがあるんじゃないか。そして、さらに、これらの方々が高齢者になっているケースというのが多いと思います。
今言ったような条件に全て当てはまる方については特別なルールを作るべきではないかというふうに思いますが、次長。
○安東政府参考人 お答え申し上げます。
遊漁船業におきましては、利用者に目の届く小規模な船舶を用いている場合が大半でございまして、御指摘のような、船長や操縦者が兼任したとしても、遊漁船業務主任者の責任を果たしていれば、利用者の安全管理や指導などの業務を適切に行うことができると考えております。
したがいまして、遊漁船業務主任者の責務をちゃんと果たせるかどうかというところが一番重要なポイントでございまして、この主任者は五年ごとに講習を受けることになってございますので、その講習の内容をしっかりと充実させていくということですとか、業務規程上でどういう安全管理の体制を組んでいるかということをしっかり今回の法律改正で、そこがちゃんとできていないと更新できないことになりますので、そういったところもしっかりチェックをして、安全確保に努めてまいりたいと考えてございます。
○緒方委員 続きまして、第二十八条、協議会なんですけれども、地方ごとの協議会なんですが、うまくやっているところがたくさんあるというのは、これはよく分かっておりますが、ちょっと心配してしまうのが、なれ合いの場になってしまうんじゃないか、ルールの適用とかについて、なれ合いの場になってしまうんじゃないかという懸念を持っております。
きちんと機能させることが必要だと思いますが、大臣の所見を求めたいと思います。大臣。
○野村国務大臣 お答え申し上げます。
なれ合いの場になってしまうんじゃないかというお話でありますが、地域のことですから、確かにそういったことも懸念があります。
ただ、やはり、地域というのはちゃんとリーダーがおられまして、この協議会の場というのは、まず知事が入る、それから漁労長が入る、こういう人たちが、きちっとした地域の皆さん方が入った中での議論ですから、地域の声でなれ合いの場になるということは、やってみなければ分からないことですけれども、私は、余り心配することではない、こういうふうに思います。
○緒方委員 最後にもう一つだけ。
今回、カズワンの話があって、国交省の所掌、そして農林水産省の所掌でいろいろな規制を強めたわけですが、我々、会派で聞き取りをしているときに、最後、時々事故が起こるんですけれども、バナナボートのようなもの、ああいうもので事故が結構起きているというのがあります。
国土交通省にお伺いしたいと思います。
何か安全性を担保するような措置を取るべきではないかと思いますが、国土交通省。
○笹川委員長 答弁は簡潔にお願いいたします。
○宮武政府参考人 お答えいたします。
現在、法律の仕組みで申し上げますと、免許制度において、このバナナボートに関する、そのバナナボートを引っ張る水上オートバイに対する規制というのがございます。これによって、現在、安全性を担保するとともに、我々といたしまして、安全啓発のリーフレットを作成するなどによって、それを配布して、安全を確保していただくように努力しております。
このように、こういった仕組みと取組を通じて安全性を担保しているというところでございます。
○緒方委員 終わります。
○笹川委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
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○笹川委員長 これより討論に入るのでありますが、その申出がありませんので、直ちに採決に入ります。
内閣提出、遊漁船業の適正化に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○笹川委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
お諮りいたします。
ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○笹川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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〔報告書は附録に掲載〕
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○笹川委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時九分散会