衆議院

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第3号 令和5年12月5日(火曜日)

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令和五年十二月五日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 野中  厚君

   理事 小島 敏文君 理事 古川  康君

   理事 細田 健一君 理事 山口  壯君

   理事 近藤 和也君 理事 緑川 貴士君

   理事 池畑浩太朗君 理事 角田 秀穂君

      あべ 俊子君    東  国幹君

      五十嵐 清君    伊東 良孝君

      上杉謙太郎君    上田 英俊君

      江藤  拓君    尾崎 正直君

      木村 次郎君    小寺 裕雄君

      齋藤  健君    高鳥 修一君

      高見 康裕君    橘 慶一郎君

      谷川 弥一君    西野 太亮君

      鳩山 二郎君    保岡 宏武君

      山口  晋君    山本 左近君

      梅谷  守君   おおつき紅葉君

      金子 恵美君    小山 展弘君

      佐藤 公治君    山田 勝彦君

      渡辺  創君    一谷勇一郎君

      掘井 健智君    金城 泰邦君

      山崎 正恭君    長友 慎治君

      田村 貴昭君    北神 圭朗君

    …………………………………

   農林水産大臣       宮下 一郎君

   農林水産副大臣      武村 展英君

   農林水産大臣政務官    舞立 昇治君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         杉中  淳君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房技術総括審議官)       川合 豊彦君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           安岡 澄人君

   政府参考人

   (農林水産省輸出・国際局長)           水野 政義君

   政府参考人

   (農林水産省農産局長)  平形 雄策君

   政府参考人

   (農林水産省畜産局長)  渡邉 洋一君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  村井 正親君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)            長井 俊彦君

   政府参考人

   (林野庁長官)      青山 豊久君

   農林水産委員会専門員   飯野 伸夫君

    ―――――――――――――

委員の異動

十二月五日

 辞任         補欠選任

  木村 次郎君     上杉謙太郎君

  橘 慶一郎君     山本 左近君

  梅谷  守君     おおつき紅葉君

  稲津  久君     金城 泰邦君

同日

 辞任         補欠選任

  上杉謙太郎君     木村 次郎君

  山本 左近君     橘 慶一郎君

  おおつき紅葉君    梅谷  守君

  金城 泰邦君     稲津  久君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 農林水産関係の基本施策に関する件(畜産問題等)

 令和六年度畜産物価格等に関する件


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     ――――◇―――――

野中委員長 これより会議を開きます。

 農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房総括審議官杉中淳君、大臣官房技術総括審議官川合豊彦君、消費・安全局長安岡澄人君、輸出・国際局長水野政義君、農産局長平形雄策君、畜産局長渡邉洋一君、経営局長村井正親君、農村振興局長長井俊彦君、林野庁長官青山豊久君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

野中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

野中委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。東国幹君。

東委員 質問の機会をありがとうございます。

 通告に従いまして質問をさせていただきたいと思います。

 まさしく農政の憲法とも言える食料・農業・農村基本法が四半世紀ぶりに改正に向けて動き出していることは承知しておるところでありますけれども、その柱の一つとなるのは、やはり食料安全保障であると思います。この分野に関しては、かねてより議論を積み重ねてきて、本委員会においても数々の歴代の大臣の答弁があったものと承知をしております。

 そこで、宮下大臣の食料安全保障の考え方、必要性について改めてお伺いをしたいと思います。

宮下国務大臣 現行基本法の制定から四半世紀が経過しようとしております。この間、気候変動による生産の不安定化、また世界的な人口増加に伴う食料争奪の激化など、世界の食料需給をめぐる環境は大きく変化してまいりました。そうしたことを踏まえまして、食料安全保障の強化を始め、基本法が農政の基本的な方針としてふさわしいものとなるように見直していく必要があるというふうに考えております。

 このため、まず、国内で生産できるものはできる限り国内で生産していくことが基本でありますけれども、その上で、輸入依存度の高い小麦や大豆、飼料などの国産化を進めること、そして、安定的な輸入と備蓄とを適切に組み合わせて行うなど、国民への食料の安定供給の確保に向けて、平時からの食料安定供給の強化を図ってまいりたいと考えております。

 加えまして、食料安全保障を確保するためにも、国全体としての食料の安定供給だけではなくて、国民全てが健康な食生活を送れることが重要と考えています。このため、国民一人一人の食料安全保障の観点から、近年顕在化しております物流面の課題への対応、また、買物難民やフードバンクなど、経済的理由などによって十分な食料を入手できないといった食品アクセス問題等にもしっかり対応していくことが必要だと考えております。

東委員 国内の生産、国内増産ということになりますと、物流の安定、国産品の内需拡大、つまり消費の喚起、あらゆる角度からの施策を講じていかなければならない、そしてサプライチェーンの確立をしていかなければならないのは当然のことでありますけれども、現下の情勢は、例えば畜産、酪農の分野でいけば、配合飼料価格、購入粗飼料価格の高騰など、酪農経営の厳しさ、これはいまだ収まってはおりません。今年の生乳生産は対前年度比で九四・七%、生産戸数も激減しております。

 この現状の認識と、改善に向けての意欲そして決意をお伺いしたいと思います。

宮下国務大臣 委員御指摘のように、酪農経営につきましては、生産コストの上昇などによって依然として厳しい環境にあり、そのため、生産者団体による生乳受託戸数の減少率は、令和五年十月時点で前年同月比七%と、例年より大きくなっていると認識しています。

 令和四年の離農に関する聞き取り調査によりますと、主な離農理由は高齢化、後継者不足が三九・一%ということで、一番大きな理由になっておりますが、経営状況を理由とする離農は一六・三%となっており、この数字は前年より増えていると認識しています。

 一方で、累次にわたり乳価が引き上げられてきたほか、農林水産省では、適正な価格形成に向けた協議会を立ち上げまして、まずは飲用牛乳を対象として適正取引を推進するための仕組みの検討を行っているところであります。

 また、令和四年度及び五年度の二か年にわたって生産量を減らしてきました北海道では、バターの堅調な需要を背景としまして、六年度の生産目標数量が一%引き上げられたほか、低迷する国内需要に対応して、東南アジア等に向けたLL牛乳の輸出促進にも取り組んでいるところであります。

 農林水産省としましては、これまで飼料価格の激変緩和対策を始め、経営安定対策や金融支援など、酪農経営の維持に向けて支援をしてきたところでありますけれども、今後は、さらに、酪農の省力化、スマート化を推進するとともに、輸入飼料の高騰等の外部要因に影響されないように、国産飼料の生産、利用の拡大を進め、飼料生産基盤に立脚した酪農経営を推進してまいりたいと考えております。

東委員 一言で言えば、大変厳しい状況ではあると思います。

 畜産、酪農、これは畜種の月齢ごとに飼育する農家が存在をしております。単価掛ける量、これが売上金額ということになりますけれども、これは畜産も酪農も同じであります。利益が確保できない農家は、より月齢の若い牛たちを飼育する、そして、農家が仕入れをする際に価格を抑えよう、そういう行動をしてしまう、ゆえに個体価格は上昇はしない、そういうことだと思います。

 飼料価格については、今まで特別補填金、異常補填金で対応していただき、大変助けられております。ただし、六割から七割は豚や鶏で使われているところであります。水田活用直接支払交付金による牧草が減額によって粗飼料不足が懸念されて、稲作地域では、WCS、子実用トウモロコシ、イアコーンなどの対応で国内飼料のウェートを高めて難局を乗り切ろうとしておりますので、そういったところも支援をどうかお願いをしたいと思っております。

 次に、御承知のとおり、平成三十年四月の改正畜安法の施行後、生乳流通の多様化が進み、需給緩和時の需給調整が難しくなっている、酪農家間で不公平感が生じているとの現場の声はかなり大きいようです。

 指定団体出荷者は、懸命な生産抑制に取り組んでおりますが、需給緩和時は乳業が引き受け、販売可能な量にも限界があるが、生産者から、前年に系統外に出荷していた分の生乳を翌年には指定団体に出荷したいと期の初めに申出があった場合、法律上、あまねく集乳する義務が課せられている指定団体は断るわけにはいかないわけであります。前年から契約を継続して生産抑制に取り組んできた酪農家は、不公平感が募るばかりです。

 このような改正畜安法の影響についての見解と今後の対策について、お伺いしたいと思います。

渡邉政府参考人 お答えをいたします。

 生乳需給の安定のためには、酪農家自らが市場ニーズを捉えて需要に応じた計画的な生産に取り組むことが重要でありまして、国としては、そうした取組をしっかり支えていきたいというふうに考えてございます。

 そうした中で、生産抑制に取り組む生産者団体の中で、個別の酪農家の間で協力に差がある結果、不公平感につながっているというふうに承知をしてございます。

 このため、あまねく集乳する義務が課されている生産者団体と個別の酪農家との関係について、組合員、構成員平等という原則の下で制度上何をできるのか、公正取引委員会とも議論をしておりまして、現場の声をよくお伺いしながら検討を進めているところでございます。

 また、先月六日でございますけれども、系統に加えまして系統外の各事業者と、需要に応じた計画生産などの考え方につきまして情報交換する場を設けました。今後、そういった情報交換を積み重ねていきたいと考えております。

 また、さらに、こうした内容も含めまして、年明けになりますと、次期酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針、いわゆる酪肉近の議論もすることになりますけれども、そういった議論の中でも、このような課題について整理、検証していきたいというふうに考えてございます。

東委員 まさしく生産抑制、その調整というものは生産者全体で行うべきものという考え方だと思いますので、どうぞよろしくお願いしたいと思っております。

 加工原料乳生産者補助金でありますけれども、生産コストの上昇等を踏まえ、酪農経営の再生産と将来に向けた投資が可能となる単価水準、そしてしっかりと直近の物価を踏まえた算定が重要だと思っております。

 算定ルールに基づき適切に設定されているとは考えますけれども、一方で総額ありきということになれば、単価が増えれば交付対象数量は減少する、そういうことになります。需要を踏まえた算定であるはずですけれども、総額ありきだと矛盾も来すのではないかと思いますけれども、その点の認識をお伺いしたいと思います。

渡邉政府参考人 お答えをいたします。

 加工原料乳生産者補給金などでございますけれども、算定ルールに基づきまして、補給金の単価につきましては生産に要する直近のコストの変動や物価動向を考慮して、また、総交付対象数量につきましては国産乳製品全体の需給動向を考慮して算定をいたしまして、食料・農業・農村政策審議会の意見を聞いて決定することとされております。本年度もこのルールにのっとりまして決定をしたいというふうに考えてございます。

東委員 また、条件不利地を含む地域からあまねく集乳を確実に行える、そういったことを期待されている集送乳調整金に関してでありますけれども、この算定基準の在り方についてですが、物流の二〇二四年問題への対応が求められるゆえに、過去の物流コスト等は必ずしも算定をしていく上で参考にはならないのではないかというふうに考えますけれども、なるべく直近の社会実相に合致した、そういった算定を進めるべきだと考えますけれども、見解をお伺いします。

渡邉政府参考人 お答えをいたします。

 集送乳調整金でございますけれども、集乳に要する直近のコストの変動や物価動向を考慮をいたして算定をいたしまして、食料・農業・農村政策審議会の意見を聞いて決定するルールでございます。本年度もこのようなルールにのっとりまして、適正に決定をしたいというふうに考えてございます。

 また、委員御指摘ございました物流問題ですけれども、物流コストへの対応は重要でございますので、現在も、生乳の運搬車ですとかバルククーラーの大型化、あるいは産地の中核的な生乳流通の中継ポイント、クーラーステーションといったものの整備を支援をするなどしておりまして、引き続き生乳流通の構造の改善を進めていきたいというふうに考えてございます。

東委員 補給金については、単価掛ける交付対象数量が総額である。そして、交付対象数量が減れば、これはもう手取りが変わらない構図になる。さらに、あってはならないケースなんですけれども、単価が上がれば、乳業メーカーの買取り乳価が下がる要因を作り出すことが考えられる。

 そうした意味でも、集送乳調整金の価格の上昇というのは、乳価の変動には少ない影響と考えているわけですけれども、しかしながら、補給金同様に、例えば、過去の三年間の経費の下で計算をされれば、これは二〇二四年問題の物流コスト高というのは加味されないということになるものですから、そういったところをしっかり検討していただきたい、このように思うばかりでございます。

 次に、和牛の生産をめぐっては、飼料など生産資材の高止まりが続く中、物価高騰のあおりを受けて、和牛肉の需要が伸びないで枝肉価格が低迷していることで肥育農家の経営が厳しく、その結果、価格の下がりが止まらない状況であります。現状が続けば、繁殖農家の廃業が急増し、重要な輸出品目でもある和牛の生産基盤が大きく衰退をしかねません。

 このような状況の中、農水省では、全国を北海道、東北、本州関東以西・四国そして九州・沖縄、この四ブロックに区分けして、ブロックごとに四半期の和牛子牛の平均価格を算出して、発動基準価格六十万円との差額の四分の三を支援する和牛子牛の生産者臨時経営支援事業を今年十二月末を期限に措置されております。

 一月以降も和牛子牛価格が改善する見込みが立たないことから、まずは価格が一定水準に回復するまで当該事業を継続するべきと考えますけれども、見解をお伺いしたいと思います。

渡邉政府参考人 お答えをいたします。

 委員御指摘の和子牛生産者臨時経営支援事業でございますが、御指摘のとおり、現下の畜産を取り巻く厳しい環境を踏まえまして、令和五年十二月まで措置している事業でございます。

 引き続き、十二月までこの事業を適切に運用していきますけれども、令和六年一月以降の子牛の対策の在り方につきましては、肉用子牛生産者補給金の保証基準価格などのいわゆる畜産物価格の検討の中、検討していきたいというふうに考えてございます。

東委員 その上でお伺いしたいんですが、北海道、東北そして九州・沖縄というブロックはまあまああり得るなと思うんです。残りの一つのブロックは本州関東以西・四国という地域になっているんですが、ちょっと余りにも何か広いような気がするんですね。

 まして、その中には神戸牛や松阪牛などのブランド牛の生産地もあって、そのプレミアムなブランドが平均価格を上げていることもあって、関東から山口県、四国までの広範囲であれば、産地によっては不公平感を誘発するのではないかという懸念もあります。複数県の団体や知事からも改善の要請は出ているとは思うんですけれども、子牛価格が低い県が子牛価格が高い県よりも支援額が少ない、いわば逆転現象も起こっているのではないかと思います。

 ついては、本事業のブロック分けを、肉用牛肥育経営安定交付金制度、いわゆる牛マルキンと同じブロック分けにするだとか、何かもう少し地域の実情を反映した仕組みに見直すこと、そういうことはできないのか、見解をお伺いしたいと思います。

渡邉政府参考人 委員にお答えをいたします。

 御指摘の和子牛生産者臨時経営支援事業でございますが、現下の厳しい状況を踏まえて、これまでにない臨時異例の仕組みとして、ブロック別の平均価格で発動判断をしてございます。

 その際、一般的な地域区分とした場合には、一部の地域において肉用子牛の取引頭数が極めて少なくて、価格変動が大きくなってしまうというようなことを踏まえまして、ある程度のまとまりとなるように、全国を四つのブロックに分けることとしたものでございます。

 子牛市場でございますけれども、これは平日ほぼ毎日開催される枝肉の市場とは異なりまして、月に一回程度決まった日付で、あるいは二月に一回というところもございますけれども、そういった規模の小さい市場ほど競りの参加者も限定される傾向にありますので、仮に牛のマルキンと同じブロック割りとした場合には、取引頭数や市場数がかなり少ないブロックが生じることになりまして、臨時対策の発動を見越して子牛を買い支える意欲がそがれて、逆に子牛価格を更に引き下げかねないというふうなことを懸念してございまして、現行のブロック割りでやらせていただいているところでございます。

東委員 次に、有害鳥獣被害対策についてですが、鹿、イノシシ、最近では熊の被害が目立っておりますが、当然のように、地域によって様々な獣種の違いがあるものと思うんですが、私の地元北海道においては、熊による被害が拡大しております。デントコーンを植えても、牛のために生産しているのか、熊のために生産しているのか分からないと。そして、極めつきは、熊のために一定面積のデントコーンを生産して、そこに熊を集中させておけば家畜に対しての被害も防ぐことができる、そういう現実のお話も聞かされました。

 更なる対策の強化が望まれるものと考えますが、捕獲活動経費の直接支援の拡充、そして、地域の実情に応じた、例えば、種類別単価の設定、鳥獣等野生動物専門の焼却処理施設の設置、支援の拡充、政府としても検討を進めていくべきと考えますけれども、その認識をお伺いします。

長井政府参考人 お答えいたします。

 鹿やイノシシのほか、地域によりましては熊や猿など、全国の農村におきまして野生鳥獣による農作物被害は深刻な状況にあると認識しているところでございます。

 このため、農林水産省では、鳥獣被害防止総合対策交付金によりまして、野生鳥獣による農作物被害の防止に向けまして、地域ぐるみでの被害防止活動や、ハンターを含む捕獲の担い手育成等を支援しているところであります。

 本交付金につきましては、これまでも、獣種ごとの被害状況など、鳥獣被害をめぐる情勢の変化に応じまして、支援内容の拡充、見直しを行ってきたところでございます。

 例えば、熊につきましては、生育状況調査等の基本的な取組に加えまして、研修会の開催やセンサーカメラ等のICT機器の導入など、一定の取組を行う場合の加算措置を令和四年度から導入しているところでございます。

 農林水産省といたしましても、地域の実情に応じた支援ができますよう、今後とも、必要な対策の検討を行うとともに、予算の確保に努めてまいります。

東委員 次に、令和六年度の懸案事項といえば、あらゆる産業界が手だてを講じていかなければならないものとして、先ほど質問の中に取り入れさせていただきました、二〇二四年問題です。時間外労働九百六十時間の上限設定ということになりますが、産業動物の長距離輸送となれば、その管理だけでも特殊な事項があると推察されます。

 そこで、家畜遠隔流通体制転換実証事業を推進していくものと理解はしているものの、一つに、家畜輸送に優れたドライバーの確保とか、例えば、フェリーなどを活用するモーダルシフトが生体家畜輸送に通じるのかどうかなど、課題が多々あると感じておりますけれども、今後この事業で期待するものというのは何かをお伺いします。

渡邉政府参考人 お答えをいたします。

 委員御指摘の二〇二四年度の問題でございますけれども、この家畜遠隔流通体制転換実証事業でございます。これは、国内を広域的に流通している家畜につきましては長距離のトラック輸送に頼らざるを得ないわけですけれども、やはり、生き物だという特殊性がございますから、暑熱対策ですとか、衛生管理ですとか、輸送について高度なノウハウが必要とされるということでございます。

 こういったこともありますので、令和五年度の補正予算でも、御指摘の実証事業を措置をいたしまして、トラック輸送と海上輸送あるいは鉄道輸送の組合せがどうなるのか、あるいは中継拠点を活用したリレー輸送への転換というのがどうかということを実証をしまして、そういった実証的な取組を支援することとしてございます。

 この事業で、より効率的な家畜の流通体制が構築されまして、二〇二四年問題に対応した持続的な家畜の流通が確保されるということを期待をしているものでございます。

東委員 大変広域な国土を擁するところは、その輸送の手段というものが物すごく根幹を成すところがかなりあるものですから、是非御期待を申し上げて、私の質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

野中委員長 次に、角田秀穂君。

角田委員 公明党の角田秀穂でございます。

 本日は、質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 時間も限られておりますので、早速質問に入らせていただきたいと思います。

 初めに、加工原料乳生産者補給金単価等についてでございますけれども、新型コロナウイルスの感染の拡大により牛乳・乳製品の消費も減退をし、さらには、一昨年来の燃油や電気、ガスの価格高騰、また配合飼料の価格の高騰などなど生産コストが高止まりをする中、酪農経営は現在においても危機的な状況が続いております。

 これまで生乳の生産抑制などで対応をしてきた生産現場では、これからは生産抑制からの脱却で方向転換をして経営を立て直ししなければいけない、そのような判断にかじを切り出しております。しかし、これも増産とまではいかず、積み上がった脱脂粉乳の過剰在庫を踏まえて、微増から始めようとしております。

 こうした状況に対して、農水省でもこれまでにも対策を講じ、令和五年度補正予算において、飼料自給率向上緊急対策や、収益性向上のための所要額を確保して支援を行っていこうとしております。このことについては、まず評価をさせていただきたいと思います。

 その上で、特に大きなウェートを占めている北海道の酪農経営を考えるとき、加工原料乳生産者補給金等の改定は、直接影響を受けることから、酪農の現状を十分に踏まえた改定を望むものです。

 酪農経営の再生産、将来に向けた投資が可能になるような補給金単価の設定、また、物流二〇二四年問題が迫る中での、輸送コストの上昇を踏まえた集送乳調整金を是非とも設定いただきたいと思うものです。あわせて、十分な総交付対象数量を設定をしていただきたい、このことについては強く望むものですが、こうしたことに対してどのように受け止めていただけるか、まず所見をお伺いしたいと思います。

武村副大臣 お答え申し上げます。

 加工原料乳生産者補給金等につきましては、算定ルールに基づきまして、補給金や集送乳調整金の単価は、生産や集乳に要する直近のコストの変動や物価動向を、総交付対象数量は、国産乳製品全体の需給動向を、それぞれ考慮して算定し、食料・農業・農村政策審議会の意見を聞いて決定することとしております。

 本年度もルールにのっとり、決定をすることとしております。

 以上です。

角田委員 続きまして、酪農の離農対策についてお伺いをしたいと思います。

 現下の厳しい酪農経営の要因として、生産コストの高止まりがあることはもちろんのこととして、これに加えて、生乳需給の緩和、また脱脂粉乳の在庫、系統出荷、系統外出荷による不公平感、ぬれ子の価格低下による副産物収入の低下などなど、様々な課題を抱えております。

 今年の夏の記録的な猛暑で、冷涼な気候の北海道を始め各地の酪農家から、生乳の出荷量が一割減った、子牛や搾乳牛が熱中症で死んでしまったとの声が聞かれます。

 生産コスト高、酪農を取り巻く課題、気候変動による環境の変化、相次ぐ課題に酪農家の心が折れてしまわないか、そこが最も心配をされます。このような状況から、酪農経営を断念し離農することを強く懸念をするものですが、実際にこれまでも離農した戸数は言うまでもなく多いというのが現状であることから、こうした状況に対して、農林水産大臣はどのように受け止め、またどのように対処をしていこうとしているのか、そのお考えをお伺いしたいと思います。

宮下国務大臣 委員御指摘のように、酪農経営は、生産コストの上昇、また生乳需給の緩和などによって、厳しい環境にあると認識しております。

 令和四年の離農に関する聞き取り調査によりますと、主な離農理由は、高齢化、後継者不足が三九・一%と一番多いわけで、ただ、これは前年と余り変わっておりません。一方で、経営状況を理由とする離農は一六・三%、これは前年より着実に増えてしまっている、こういう認識であります。

 そのため、様々な施策で酪農経営を支えていこうという取組が行われております。その一つは、累次にわたる乳価の引上げということでありますし、もう一つは、今、農林水産省で適正な価格形成に向けた協議会を立ち上げて、まずは飲用牛乳を対象として適正取引を推進するための仕組みの検討を行っております。

 また、令和四年度及び五年度の二年間にわたって生産量を減らしてきた北海道では、バターの堅調な需要を背景として、六年度の生産目標数量が一%引き上げられたということもあります。また、今後の方針として、低迷する国内需要に対応して、東南アジア等に向けたLL牛乳の輸出促進にも取り組んでいるところであります。

 農林水産省としましては、これまでも、飼料価格の激変緩和対策を始め、経営安定対策や金融支援など、酪農経営の維持に向けて支援をしてまいりましたけれども、今後は、さらに、酪農の省力化でありますとかスマート化、これを応援をしていくこと、また、輸入飼料の高騰等の外部要因に影響されないように、国産飼料の生産、利用の拡大を進めて、飼料生産基盤に立脚した酪農経営を応援をしてまいりたいというふうに考えています。

角田委員 次の質問としまして、令和五年度の補正予算に盛り込まれております乳用牛長命連産性向上緊急事業についてお伺いしたいと思います。

 この事業は、従来型の配合飼料多給による乳量偏重から長命連産性に重きを置いた牛群構成への転換を図るため、長命連産性の能力の高い牛の精液、受精卵利用に対する奨励金を交付しようというものですけれども、この事業、酪農家にとって具体的にどのようなメリットが期待をされているのか、お伺いをしたいと思います。

渡邉政府参考人 お答えをいたします。

 乳用牛長命連産性等向上緊急支援事業でございますが、配合飼料の多給によって乳量を多く生産することを偏重するようなことから、より長い期間にわたって、より多くの子牛を産んで生乳を生産する長命連産性の高い牛群構成への転換を支援することを目的としてございます。

 この事業を活用して生産される長命連産性の高い乳用の後継牛は、より長い期間にわたって搾乳に供されることで生涯の生乳生産量の増加が見込まれますし、結果として後継牛の必要頭数を減少させることが期待される。

 そういたしますと、酪農経営における乳用牛を育成、導入するための経費ですとか飼料費といった生産コストの低減を図ることができるので、この事業を活用いただけるよう、生産者の皆様に丁寧に説明をしていきたいと考えてございます。

角田委員 しっかりと事業の趣旨、目的を現場の方々に丁寧に説明することが重要だと思っておりますので、是非、この点、要望したいと思います。

 最後になりますけれども、厳しい状況を乗り越えようと頑張っていらっしゃる、特に中小・家族経営農家の方々の努力が報われるよう、再生産が可能になるよう、また、将来に明るさが見える畜産、酪農を目指してしっかりと対策を強化していただきたいということを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

野中委員長 次に、渡辺創君。

渡辺(創)委員 立憲民主党の渡辺創でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、別の話になりますが、先日、予算委員会で宮下大臣に通告をしておきましたが、別の案件との絡みで質問が行き届きませんで、どうも大変失礼をいたしました。御容赦いただきたいと思います。今日はその分も含めてと思っておりますので、どうぞよろしくお願いします。

 まず冒頭、所管外の確認から入らざるを得ず、大変残念でありますが、一点確認をさせていただきたいと思います。現在大きな懸案ともなっております、自民党主要派閥の政治資金の問題についてであります。

 先週金曜日の朝日新聞及びそれに続く各報道機関のニュースによりますと、清和政策研究会では、派閥パーティーの際に各議員のノルマを超えて販売した部分は各議員にキックバック、還元される仕組みになっており、収支報告書上記載のないキックバック分が二〇一八年から二〇二二年の五年間で一億円を超えるのではないかという指摘がされております。仮にこの内容が事実であり、それが収支報告書上確認できない形であれば、これは政治資金規正法違反の疑いが濃厚になります。

 宮下大臣は清和政策研究会のメンバーであられるというふうに認識しておりますが、清和政策研究会ではこのような仕組みがまずあるのか。また、大臣は、報道機関の取材に、私自身の事務所にキックバックはないというふうにお答えなさったというふうに理解をしておりますけれども、まず、大臣自身がキックバック、還元を受けていたという事実はないか、念のために確認をさせていただきたいと思います。

宮下国務大臣 個々の政治団体に関するお尋ねについては、政府の立場にある者としてはお答えは差し控えるべきだと考えておりますけれども、あえて私の所属する清和政策研究会に関して申し上げますと、今回の報道に関する取材に対して塩谷座長が、これから事実関係を精査するとコメントをしていると承知をしております。

 今後、事実確認の上、適切に対応するものと認識しております。

渡辺(創)委員 今私が伺ったのは、清和政策研究会のことというよりも、所属されている大臣御自身が還元、キックバックを受けたことがあるかどうか。また、会見で一度御質問にお答えなさっていることだと思いますから、国民の代表者である議員が聞いているこの委員会においても、こういう言い方は失礼かもしれませんが、場合によっては大臣御自身の資質が問われる可能性があるわけですので、是非御答弁をいただきたいと思います。

宮下国務大臣 十二月一日の閣議後会見では、そのような認識はないというお答えをしたところでありますけれども、先ほど申し上げましたとおり、派閥において事実確認をしているというところでありますので、事実確認をしっかりした上で対応するものというふうに認識をしています。

渡辺(創)委員 先ほども、繰り返したくはないんですが、派閥の問題というよりも、大臣御自身が、政治団体なのか大臣御自身か分かりませんが、受けたかどうかという問題でありますので、大臣御自身の問題だというふうに思います。

 ちょっと聞き方を変えますが、今回の一連の報道等を受けた後、大臣自身が、御自分の政治団体、若しくは、こんなことはあってはいけないと思いますが、御自身のポケットも含めてそういうことがあったか否かということを、御自身の方を調べるという作業をまずなさっていらっしゃいますでしょうか。

宮下国務大臣 私の政治資金につきましては、法律にのっとって適正に対処しているというふうに認識しています。

渡辺(創)委員 それでは、改めて確認をしたいと思いますが、大臣自身が、この派閥の政治資金パーティーを通して御自分の元に政治資金が還元をされる、キックバックをされるようなことは過去にはなかったというふうに、大臣は御説明できますか。

宮下国務大臣 そうしたことも含めまして、今、事実関係について清和政策研究会として調査をして、そして対処していくという段階でありますので、特にこの委員会の場で、政府にある立場としては、この場ではお答えは控えさせていただきたいと思っています。

渡辺(創)委員 それでは、先週の大臣閣議後会見での発言を撤回されて、私の事務所にはキックバック、還元はないというふうにおっしゃったことを取り消されないと整合性が合わないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

宮下国務大臣 言いましたように、今、政策集団全体として事実確認をしていますので、この段階で個々の事案について個別に説明するというのは不適切な局面なのではないかなというふうに思っています。

渡辺(創)委員 二点問題があると思うんです。

 先ほどから繰り返していますように、派閥の問題ではなくて、派閥と連動して大臣自身が還元を受けているかという問題でありますので、先ほどから繰り返し申し訳ありません、こういう言い方は失礼かもしれませんが、大臣の資質が問われるかもしれないわけです、政治資金規正法にのっとった処理をされていないということになれば。

 ですので、大臣は、この場でお答えになる責任が。派閥のことだから、調査中だから答えられませんということではなく、清和会のことを聞いているわけではなくて、大臣御自身のことを聞いておりますので、是非もう一度、きちんと国民の皆さんに分かるように御説明いただきたい。

宮下国務大臣 私の事務所の経理に関しては、政治資金規正法にのっとった処理をしております。

渡辺(創)委員 繰り返しで申し訳ありません、もう一点だけお願いします。

 今回、先ほど御答弁がありませんでしたけれども、きちんと今回のことを受けて調査をなさって、調べた上で適正になされているというふうにおっしゃっているのかということを一つ確認をしたい。

 もう一つは、清和会において、パーティー券のノルマの設定があるということ自身は事実なんでしょうか。

宮下国務大臣 この前の会見では、目標に向けてお願いをしていたというふうにお答えをしました。清和研のパーティーがあるということに対して、そういう目標があって、そしてお願いをして購入をしていただいたという事実はあるということだと思います。(渡辺(創)委員「ちょっと、前段の方に御答弁が。チェックはなさったのかどうか」と呼ぶ)

 政治資金規正法上の適正な処理が行われているかどうか、チェックの上でお答えをしております。

渡辺(創)委員 ありがとうございました。

 この件、最後にしますが、大臣は今、目標があって、そこに向けてそれぞれの皆さんが努力をされているものはあるという旨の御発言がありましたが、これまでの長い政治キャリアの中で、派閥のパーティーに関して、大臣の事務所なり大臣が、派閥のその目標を超えてパーティー券を販売されたということは過去にあったでしょうか。

宮下国務大臣 これまでの長い政治生活においてということですので、改めて確認をしたいと思いますけれども、基本的にはそういうことはないというふうに認識しています。

渡辺(創)委員 どうもありがとうございました。

 本来のテーマに入りたいというふうに思います。

 今日は畜産がメインでありますが、貴重な機会でございますので、その前に、農林水産政策全体の方向性について、大臣の認識を確認したいというふうに思います。

 岸田総理が総理就任前に、厳密に言えば総理を目指していらっしゃっていた時期ということになるでしょうが、執筆をされた「岸田ビジョン」があります。大臣も恐らくお読みになっているだろうというふうに思いますけれども。

 この「岸田ビジョン」に二ページだけ、農林水産業について触れています。四十四ページ、四十五ページの二ページですが、ここでは冒頭で、地方の活力を考える中で改めて再認識すべきなのは、農林水産業の役割の大きさというふうに触れていらっしゃいますけれども、ボリュームが二ページ未満というのは、ちょっと寂しいところであります。

 この二ページの部分のポイントは、岸田総理は農業については二つの考え方があるというふうにおっしゃっていて、一つ目は、農業は、農産物の生産活動により、生産だけではなく、農地や環境の維持、地域文化、コミュニティーの維持に貢献をしている。経済合理性を求めるのではなく、支援もその観点から行うべきという考え方。二つ目は、農業は産業として育成すべきで、競争力のある経営体を育て、コスト削減など体質強化によって経営の安定を図るべき、農業が産業として成長すれば農村も活性化するという考え方。この二つの考え方がある、要はそのバランスであるというふうにおっしゃっています。

 そのとおりで、この委員会にいらっしゃる方で片方を完全否定するという方はいらっしゃらないというふうに思います。ただ、安倍政権は明らかに二の方ですね、後者の方に重点を置いてきた。岸田総理も著書の中で、安倍政権を振り返って、そういう認識をお示しになられております。

 一方、現状を見詰めると、ロシアとウクライナの紛争、さらには、円安や物価高、国内での食料安全保障を重要視する流れなど、こういうことを考慮すれば、二から、後半の方から一の方にその重点を移していくというのが自然の流れだというふうに私は感じていますが、岸田政権の農政はどう進むのか、岸田総理の著書での記載も踏まえて、大臣の認識をお伺いしたいと思います。

宮下国務大臣 御指摘の「岸田ビジョン」において、農林水産業は、我が国の基幹産業であると同時に、地域を維持し、国土を保全するという社会的役割を担うとされているということは認識しております。

 その上で、これまでの政策を振り返ってみますと、もちろん、農地バンクによる農地の集積や集約化をして、また農林水産物、食品の輸出促進をしてというような、前向きな施策、産業としての振興をやってまいったのは事実ですが、同時に、農業の有する多面的機能の発揮に向けた日本型直接支払いを進めるなど、産業政策と地域政策の双方を推進してきたというのが私の認識でありまして、引き続き、こうした両面のバランスを取りながら施策を着実に推進していきたいと考えております。

 ただ、その上でですけれども、今後は、その二つのバランスを取っていけばそれでいいかといえば、先ほど来議論になっております気候変動のリスクもありますし、様々な食料安全保障上のリスクに対応するためには、平時から国民一人一人の食料安全保障を確立すること、また、環境に配慮した持続可能な農業、食料産業へ転換していくこと、また、人口減少下でも持続可能で強固な食料安定供給基盤を確立すること、こうしたことにしっかり取り組んでいかなきゃいけないというふうに思っています。

 こうした申し上げたようなことを踏まえて、新たな基本法が今後の農政の基本的な方針としてふさわしいものとなるように検討を進めていきたいというふうに思っています。

渡辺(創)委員 先ほど述べたように、「岸田ビジョン」では、農政への言及が二ページ弱でした。今年の施政方針演説では、過去最低レベルの百二十一文字しか農業について触れていないという状況で、何が言いたいのかというと、大臣のホームページにも書いていらっしゃいましたけれども、農業は国の基であるというその大事な理念を、岸田総理の予算委員会であったり本会議での発言からは、なかなかダイレクトに国民に伝わってこない。

 置かれている環境が大きく変わりつつあるし、これからの国の行く末を考えたときに、まさに国の基としての農林水産業を大事にしなきゃいけないというメッセージがもっと国民にダイレクトに伝わっていくような、方向性を分かりやすく示さないといけないというふうに問題意識としては持っておりますので、是非、その部分を。

 私、ちょっと調べてみたんですが、岸田総理は衆議院議員になられて恐らく三十年のはずですが、私が調べた限り、農林水産委員会の所属は一度もないということになっておりましたし、ここで質問をしたこともないという議事録になっておりました。もちろん、いろいろな分野がありますから、それだけで一概には語れないでしょうが、是非、大臣の方で正しい方向に導いて、岸田政権の農政を引っ張っていただきたいというふうに思いますので、そのことをお願いして、次に移りたいというふうに思います。

 本題の畜産についてであります。特に、和牛生産の現状と課題を中心にお伺いをしてまいりたいと思います。

 飼料価格の高騰、消費鈍化による枝肉価格の低迷、子牛価格の不調など、厳しい環境が続いていることは共通理解でありますし、子牛の補給金制度を発動するような各種の対策も実施をされているところです。

 この委員会には、自民党の江藤先生や国民民主党の長友先生もいらっしゃって、宮崎県、私も含めておるわけですが、私も宮崎一区の選出ですので、十分かは別として、生産者の方々といろいろお話をさせていただく機会がありますけれども、やはり非常に厳しいというお話を聞くことが少なくありません。

 私は、県会議員をしていた時代から感じていましたが、和牛生産というのは、ある意味では、生産者の皆さんの技術が結集した伝統技能というか、伝統技術のようなところがあるというふうに思っています。特に、繁殖であろうと肥育であろうと、一定期間以上心血を注いで育てているわけでもありますので、そこには特別な思いもこもるわけであります。政治活動を始めた頃に、二〇一〇年の口蹄疫を経験しましたけれども、あのときの生産者の方々の思いというのは、こういう側面が裏打ちをしているのだというふうに感じます。

 是非、こういう特別な価値を持つ営みが、産業としての安定性を確保しながら、これからもきちんと維持そして継承されていく社会であることを強く望みたいというふうに思います。失ってしまっては二度と取り戻すことができないというのが今の日本の和牛生産という面があるんじゃないかというふうに思っていますので、そういう立場で質問してまいります。

 まず、和牛の海外輸出についてでありますけれども、政府は、農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略の中で、和牛輸出について、二〇二五年、再来年でありますが、輸出額一千六百億円を掲げています。これは、食料・農業・農村基本計画で定める二〇三〇年の三千六百億円に向けた中間目標としての位置づけでもあるというふうに思います。

 ただ、一方で、実績は二〇二一年が五百三十七億円、二〇二二年が五百二十億円、二〇二三年は、前年を少し上回るペースで、九月までで四百二億円という状況ですが、大きな伸びとは言い難い状況かと思います。

 果たして、再来年の一千六百億円というのは、一千億円以上の上乗せが必要なわけですが、なかなか厳しいのではないか。政府の現状認識、課題と、さらには二〇二五年目標の実現可能性についての見解をお伺いしたいと思います。

渡邉政府参考人 お答えをいたします。

 二〇二三年の牛肉の輸出実績ですが、一月から十月までで前年同期比一一一%の四百五十九億円となって、増加をしてございます。委員御指摘のとおり、過去最高だった二〇二一年の五百三十七億円というものを上回るペースで推移をしております。

 御指摘の、二〇二五年の牛肉輸出目標である一千六百億円でございますけれども、これは確かに、野心的な水準として設定をされてございます。これは、中国への輸出再開を含めて新たな輸出先国の解禁、あるいは規制緩和を進めるということで、そういった対応をしっかり、働きかけなどをしっかり行って新たな市場を開拓するということと、それから、令和五年度の補正などを活用いたしまして、オール・ジャパンのプロモーションですとか商流構築の支援、食肉処理施設の施設整備なり認定の迅速化、そういったものに取り組みまして、輸出目標の達成に向けて取り組んでいきたいと考えてございます。

渡辺(創)委員 済みません、確認ですが、二〇二五年の一千六百億円は、現時点では実現可能な目標であるという認識ということでよろしいですか。

渡邉政府参考人 お答えをいたします。

 実現可能なのかというのを、今この場で、可能ですとか可能ではないと思いますとかという、そういう答弁はちょっとなかなかできないところでございまして、しっかり目標として設定されておりますので、その目標の実現に向けて各種の取組をやっていきたいということでございます。

渡辺(創)委員 もうこれは繰り返しませんが、やはり本来は、実現可能ですと言える状況でなければ目標として掲げ続けているのは変だというふうに思いますので、そこはしっかり検討もいただきたいというふうに思います。

 次の質問に移りますが、予算委員会でも自民党の尾崎委員の質問にありましたが、子牛の競りの価格が下落する中で、政府は、繁殖雌牛の増頭奨励事業を一時停止し、繁殖雌牛の質に着眼を変えた優良繁殖雌牛更新事業に切り替えるという判断をされました。高齢の母牛を淘汰して、水準の高い赤ちゃんを産めるお母さん牛を増やすというので、私は妥当な判断だというふうに思っております。

 実は宮崎県では、九月の県議会で補正予算を既に通して、県独自で同種の事業を先行するような形で実施をしているところでありますけれども、改めて国の基本姿勢をお伺いしたいんですが、これまで続けてきた増頭奨励の総括を含めた上で、新たに始める優良繁殖雌牛の更新事業の狙いについてお伺いします。

渡邉政府参考人 お答えをいたします。

 肉用牛の繁殖雌牛の増頭奨励事業でございますが、これは牛肉の旺盛な国内需要への対応と、それから輸出の拡大に向けて生産基盤の強化を図るために、令和二年度から実施をしてきてございます。

 その結果でございますけれども、この三年間で見てみますと、繁殖雌牛の飼養頭数でございますけれども、六十二万頭から六十五万頭へ増加をするということになった。また、繁殖農家一戸当たりの飼養頭数につきましても、一戸当たり十六頭から十九頭に増加をしてきてございまして、肉用牛の生産基盤の強化に大きな役割を果たしたというふうに考えてございます。

 一方、先ほど輸出の議論もございましたけれども、大きな需要が期待されていた中国向けの輸出がいまだ再開に至っていないということ、それから、最近の経済状況ですと、物価高などによる消費者の生活防衛意識の高まりなどを背景にいたしまして、比較的単価の高い和牛肉の消費が伸び悩んでおりまして、枝肉価格やあるいは子牛の価格が低迷をしている。

 こういうような状況を踏まえまして、これまでの増頭奨励事業の実施は当面見合わせることとしたところでございまして、委員御指摘のとおり、優良繁殖雌牛更新事業の方に重点をシフトするということでございます。

 この狙い、お尋ねでございますが、肉用牛の取引価格が低下する中で、調べてみますと、やはり高齢の繁殖雌牛から生産された肉用子牛の方がより低い価格で取引される傾向にございます。

 そういったことがありますので、令和五年度補正予算におきましては、高齢の繁殖雌牛から若い能力の優れた繁殖雌牛への更新を支援をして、成長がよくて肉質に優れた肉用子牛が生産されるように努めていきたいということで、それによって肉用牛の生産基盤の強化を図っていきたいというふうに考えてございます。

渡辺(創)委員 分かりました。ありがとうございます。

 これは農政の施策全般にも関わりますが、予算委員会で金子委員や近藤委員もお話ししてきましたが、補正予算での対応ですよね。本来であれば、これはやはり本予算でやっていくような継続的な中身ではないのかなという気がしております。

 今回の更新事業も、しばらくの間きちんと継続するという安心感がないと、生産者の皆さんにとっても、効果を上げない、まあ、上げないということはないんですが、安心感は伝わるのではないかと思いますけれども、これは継続してしばらくの間やる必要があるものだと思いますが、その見解はいかがでしょうか。

渡邉政府参考人 本事業の継続についてお尋ねがありましたけれども、継続するかどうかも含めまして、肉用牛の生産基盤強化対策の在り方につきましては、今後の枝肉の需給状況ですとか子牛価格の状況がどうなるかといったことを見ながら、適切に判断していきたいというふうに考えてございます。

渡辺(創)委員 畜産についてもう一つお伺いします。

 宮崎県の県北に日之影町という町があります。大分県境と接した最も北側の地域で、中山間の静かな町であります。この日之影町に、耕作放棄地や切り開いた竹林、森林などを活用して放牧を行っている繁殖農家の岩田篤徳さんという方がいらっしゃいます。

 先月には、牛の餌となる穀物が高騰する中で、自然に生える草を食べさせることで低コストで持続可能な経営を実現しているということが評価され、公益社団法人大日本農会の農事功績表彰も受けていらっしゃいます。

 九月に私もお伺いしたんですが、資料で写真をお配りしておりますけれども、見ていただければ一目瞭然でありますが、牛が非常に伸び伸びと斜面で草をはんでいます。牛は、朝、牛舎から隣接の放牧地に出勤するように出かけていって、一日過ごして、夕方には帰宅してくるというリズムで過ごしています。

 飼料代が低減されるのは当然ですが、岩田さんによると、生産コストも下がるし、作業量も軽減され、牛は健康でお産も軽くなるということでありました。実に自然の摂理にかなった話でありました。

 私は、中山間地の耕作放棄地が拡大していく中で、非常に魅力的な畜産の一つの手法であるのではないかと感じたところです。もちろん、誰もが同じようなやり方ができるというわけではないというふうに思いますけれども、一つのモデルであることは間違いがないと思います。

 この地域は、世界農業遺産のGIAHSサイトの一部でもありますが、その理念とも通底するものがあるやり方だというふうに思いますけれども、耕作放棄地や中山間地の山林を活用した放牧という手法について、農水省の認識をお伺いしたいと思います。

武村副大臣 お答え申し上げます。

 放牧は、御指摘のとおり、粗飼料の生産、利用や家畜排せつ物処理の省力化が可能でありまして、肉用牛、酪農経営のコスト低減を図る上でも有効な飼養管理方法であります。

 また、中山間地などで耕作放棄地や低利用地を放牧地として活用することは、農地や景観の維持、再生など、多面的な効果をもたらすものでもあります。

 このため、農林水産省といたしましては、令和五年度補正予算におきまして、中山間地域で放牧を行うために必要な電気牧柵等の導入、放牧地の簡易な整備、また、クラスター事業による放牧に必要な牧柵の整備や資材等の導入などを支援し、傾斜地でも活用できる放牧の取組を推進してまいります。

渡辺(創)委員 最後に、花粉症対策に関連して伺います。

 総理も結果を出したいとおっしゃっている政策でありますが、やはり根本的な対策は、伐期を迎えている杉林をきちんと花粉症対策苗で再造林して山を守ることと両立をさせることだというふうに考えます。そのためには、国産杉材の販路、活用先の拡大を図りながら、山元の皆さんが林業という産業をきちんと維持していくことのできる環境を守ることに尽きるというふうに考えます。

 花粉症対策のためももちろんですが、やるべきことは日本の林業を守るためにも不可欠なことだというふうに思います。

 林野庁は、花粉症対策の在り方、根本、どのようにお考えでしょうか。

舞立大臣政務官 お答えします。

 本年五月に花粉症に関する関係閣僚会議で取りまとめられました花粉症対策の全体像では、花粉発生源となる杉人工林を十年後には約二割減、将来的、三十年後でございますが、半減を目指すということを目標としたところでございます。

 この目標を達成するためには、花粉の発生源となる杉人工林の伐採を加速化し、花粉の少ない苗木による植え替えを着実に進めていくことが重要と考えております。令和五年度補正予算におきましてもこれらに必要な予算措置をしたところでございますので、今後ともしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

渡辺(創)委員 宮崎県は、杉の素材生産三十二年連続日本一でありまして、圧倒的な杉の生産地であり、再造林率も七割と高いんですが、県ではまだ、日本一を目指すということで、高めていくことを目指しています。

 さらに、花粉症対策苗、資料を配っておりますので御覧いただきたいんですが、花粉症対策苗木の生産も、全国の約四割を宮崎県が担っています。宮崎県で作っている苗木のうち九五%は既に対策苗木ですが、全国ではまだ五割程度という実態であります。宮崎県では百三十二の事業体が、宮崎市の田野や高岡という地域や小林市を中心に生産を行っているんですけれども、出せる範囲は、宮崎のものは例えば近畿ぐらいまでという、環境との関係もあると思いますが、制限があります。

 今回の通った補正予算の中では、事業内容を見ると、花粉症対策苗木の広域流通支援なども含まれていますが、そもそも対策苗木の供給に課題はないのか、見解をお伺いしたいと思います。

野中委員長 時間が来ておりますので、答弁は簡潔にお願いします。

青山政府参考人 お答えいたします。

 杉の苗木の供給につきましては、地域において生育のしやすさがございますので、ブロック単位で分けておりまして、九州の場合は九州全域で分かれております。

 各県で杉の苗木について生産に努力いただいておりますので、今回は、現行五割程度の花粉の少ない苗木から十年後に九割以上に引き上げるということで、宮崎県、頑張っていただいているわけですけれども、国レベル、県レベル、それから現場レベルにおきまして苗木の増産が図られるよう、今回措置をしているところでございます。

渡辺(創)委員 これも今回六十億ついていますが、継続的な対策が必要だと思いますので、そのことをお願いして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

野中委員長 次に、山田勝彦君。

山田(勝)委員 立憲民主党の山田勝彦です。どうぞよろしくお願いいたします。

 今回の物価高、畜産農家の皆さんにとって大変な苦境が続いています。長引く円安、輸入に依存する飼料の価格急騰、そして子牛価格の暴落、さらには販売価格の低迷。既に多くの方々が廃業され、若しくは廃業を検討している状況です。この現場の悲壮感や危機感が果たして宮下大臣にどの程度伝わっているのか。経営難に苦しむ畜産農家を救う政策が実行されることを心から願い、質問いたします。

 地元長崎県の各地の現場を回り、生産者の皆様から話を伺う中で、特に大きかった声として、物価高で今経営が本当に苦しい中、クラスター事業などの借入金の返済もあって相当きつい、金融支援策として、輸入物価がせめて落ち着くまでの間、借入金の返済を猶予してもらえないか、こういう声をたくさん伺いました。

 そこで、すぐに農水省に相談したところ、驚いたんですが、資料一を御覧ください、農水省は既に、全国各地の地方公共団体やJAグループ、各金融機関へ、畜産経営者に対し、既存の貸付金の返済猶予なども含めた金融支援を求める公文書が通知されていました。昨年の十一月、今年の三月、そして最近では今年十月にも、三度にわたってこういった文書が出されている。大変すばらしい取組であると思っています。

 しかし、問題なのは、この農水省の通知内容が実際には全く現場の生産者の方々には届いていない、この情報をほぼ皆さん知らないということです。今、お一人お一人に本当に草の根で回りながら情報提供しているんですが、とても追いつきません。ほとんどの方々がいまだ知らない状況。大変重要な情報です。

 生産者の皆さんへの周知徹底を含めて、改めて宮下大臣からメッセージをお願いいたします。

宮下国務大臣 まず、冒頭、委員が御指摘されました経営の状況ですけれども、飼料価格の高止まり、また、生乳需給の緩和、子牛価格の低下等の影響を受けて、畜産農家の皆様が、特にこれまでの設備投資等に対して、今後の債務償還に対する懸念を持っていらっしゃる、そのことは私も承知をしています。

 また、御指摘のように、資金繰り支援につきましては、これまで累次にわたって、既往債務の返済猶予等の条件変更等への十分な対応をいただくように、金融機関に対して要請をしてまいりました。今日お配りいただいた、この十月十三日もその一つ、こういうことであります。

 金融機関とは随時意見交換を行っておりますけれども、まず、債務を抱えていらっしゃる方は金融機関に相談に行かれることがやはり一番多いと思いますので、そのときに、しっかりこういった通知もあって、そういう支援のスタンスで臨んでいただくということが大事だと思います。

 現状、現場では既に一年間の返済猶予条件の条件変更で対応している例も多くあるというふうに聞いています。それから、その後も必要な場合は、再度一年間の条件変更をするというようなこともあるというふうに認識しています。

 こうした畜産農家の皆様への資金繰り支援につきましては、ウェブなども通じて周知に努めてきたところでありますけれども、この国会もこうした場であります。様々な機会を得て、こうした要請をし、金融機関が対応してくれているんだということを御指摘のようにしっかり周知徹底していく努力を続けたいと思います。

山田(勝)委員 力強いメッセージ、ありがとうございます。

 ただ、私がこの情報を提供して、実際に金融機関に相談された方々の中で、ちょっと懸念の声も上がっているので、念のため確認なんですけれども、こういう通知文で返済猶予を仮に実行した場合に、その金融機関の信用が低下してしまって、今後、将来にわたって融資が受けにくくなってしまうというようなことを言われてしまって、もう、それだったら返済猶予、諦めようといった農家さんが実際いらっしゃいました。

 すぐにそこに対しては対応したんですけれども、改めて、こういったことはないんだ、今は本当に危機的状況で、畜産農家さんは外的要因によって経営が厳しいんだ、なので、ここで返済猶予したからといって、その経営に対する信用が失われるとか、将来融資が受けられないリスクがあるとか、そういうことはないとはっきりとおっしゃっていただけませんか。

渡邉政府参考人 お答えをいたします。

 委員御指摘の、言われた農家さんのことにつきましては十分承知をしてございませんので、この場でそういうことは絶対ないんだというようなことは申し上げることはできませんけれども、私ども、個々の方々で御相談がある場合には、我々もしっかり相談に乗らせていただきまして、対応させていただきたいと思っております。

山田(勝)委員 ありがとうございます。

 是非、農水省も含めて、こういった生産現場の方々の金融支援、引き続き取り組んでいただきたいと思います。

 次に、子牛の価格、約三五%ダウンしているという状況です。一体何が起こっているのか。この暴落の原因について、どのように分析されているでしょうか。

武村副大臣 お答え申し上げます。

 まず現状ですが、黒毛和種の子牛価格については、本年五月に全国平均価格が六十万円を割り込み、それ以降も低下傾向で推移をし、十月には五十万円まで下落をしました。

 その要因についてですが、全体の傾向としては、物価上昇に伴う消費者の生活防衛意識の高まりによる枝肉価格の低下や、配合飼料価格の高止まりによるコストの増大等によりまして、肥育農家における素畜の購買意欲が低下していることが要因であると考えています。

山田(勝)委員 確かにそういう点もあると重々分かっております。しかし、これだけの暴落、もっと根本的な原因があるんじゃないでしょうか。

 肉用牛の増頭奨励事業、いわゆる畜産クラスター事業を一旦停止する方針を出されました。農水省は二〇一九年に、和牛の輸出拡大を目指し、二〇三五年度までに和牛の生産量を倍増、三十万トンまで拡大させる方針を示されました。その具体策として、これまで、クラスター事業に百四十億円、そして、和牛の受精卵を乳牛へ移植する事業などに五十八億円もの予算をつけ、強烈に生産体制の拡大を図ってきました。これが余りにも無謀な計画だったのではないでしょうか。

 当たり前の話なのですが、市場価格は当然需給バランスで決まってきます。子牛が増え過ぎた結果、市場が混乱し価格が暴落した、和牛の増産、輸出需要ありきで進めてしまっていた、これは農水省の政策的なミス、失政は明らかではないでしょうか。

 そこで、宮下大臣に伺います。このような過度な増頭政策により、市場をゆがめ、現場を混乱させたという自覚や責任は感じておられるでしょうか。

宮下国務大臣 御指摘のように、肉用牛の繁殖雌牛の増頭奨励事業については、牛肉の旺盛な国内需要への対応、また、輸出の拡大に向けて生産基盤を強化するという目的で、令和二年度から実施してまいりました。

 この結果、この三年間で繁殖雌牛の飼養頭数は六十二万頭から六十五万頭へ、おっしゃるとおりに増加しましたし、繁殖農家一戸当たりの飼養頭数についても十六頭から十九頭に増加しておりまして、肉用牛の生産基盤を強化するという目的の下にスタートした事業、その役割自体は果たしたと考えています。

 一方で、その事業をスタートした当初に想定していたような、大きな需要が期待される中国向けの輸出がいまだ再開に至っていないという要因がありますし、それから、コロナ等々もあり、消費者の生活防衛意識の高まりなどもありまして、比較的単価の高い和牛肉の消費が伸び悩んでいる、そのため枝肉価格や子牛の価格が低迷しているという、こうした事業のスタートのときには想定しなかった実態があるということは、おっしゃるとおりだと思います。

 そのため、当面は増頭奨励事業の実施を見合わせて、先ほど来お話がありましたように、高齢の繁殖雌牛から若い繁殖雌牛への更新の方にシフトして、子牛自体の単価が上がるような政策にまずかじを切ったということであります。

 ただ、今後については、引き続き輸出拡大についての交渉等も進めてまいりますし、また、インバウンドも戻ってまいりました。このインバウンドによる消費拡大、こうした可能性もありますので、そうしたことも踏まえて、今後の増頭のあるべき姿を考えていきたいというふうに考えています。

山田(勝)委員 今大臣自らおっしゃったように、当初、中国を開くという想定でこれだけの増産計画をした。しかし、中国とはそういった関係を築けなかった。まさに農水省の政策の失敗によって、多くの現場の皆さんが混乱したことは間違いありません。不確実な販路であったにもかかわらず、生産量を具体的に三十万トンと目標値まで定め、強引に補助金もつけて推進してきました。私たちの国は資本主義経済でありながら、余りにも国が強引にコントロールし過ぎたことは反省すべきではないでしょうか。

 一旦停止ということなんですけれども、少し後半部分、宮下大臣、今可能性を示唆されましたが、まさか、二〇三五年度までの三十万トン計画、これはまだ生きているということなんですか。それとも、もうこの計画はなくなったという理解なんでしょうか。

渡邉政府参考人 委員御指摘の二〇三五年度までに和牛の生産量を三十万トンと、これは二〇一八年が十四・九万トンでございますので、三十万トンということで倍増という計算だろうと思っております。

 これは、令和元年十二月に策定をされました農業生産基盤強化プログラムに位置づけられている数字でございます。このプログラム自体は、今でもあるものでございます。その時々の政策判断でこういったプログラムが作成されるわけでございますけれども、その後の状況の変化を見つつ、今後の政策の在り方については、枝肉価格の状況ですとか、子牛価格の状況ですとか、そういった状況を踏まえた形で、当然、不断に見直していくべき対象であろうかと認識をしてございます。

山田(勝)委員 このようなちょっと無理な計画は見直すという方針をしっかりと、大臣、示していただいた方が、今苦境の生産者の方々も安心されるかと思います。

 今回の補正予算、輸出支援に約八十九億円ほどの予算がついています。違和感がありまして、輸出支援自体は、もちろんあった方がいいとは思っているんですが、そもそも、大臣も御承知のとおり、輸出ができる畜産農家というのは限られていますよね。いわゆるメガファーム、相当な規模の農業法人に限られているという状況。今本当にそういった農家さん向けに緊急の支援が必要なんでしょうか。むしろ、支援が必要なのは、小規模、中規模ぐらいの畜産農家さん、本当に廃業を検討されているような方々への支援を手厚くする方が重要なのではないでしょうか。そういった観点から質問させていただきます。

 ちょっと予定を変更して、通告の七番に入ります。

 畜産経営の安定のために、最も基本的な支援制度である牛マルキン、子牛補給金についてです。

 先日、地元の肥育農家さんから話を伺って、ようやく牛マルキンが一頭当たり十一万円ほど補填されたと、明るいニュースがありました。その後、このマルキンが補填されると、子牛価格にも変化が見られたと。

 十二月一日に、私は壱岐の島の競り市に行きました。すると、農家さんたち、少し明るかったんです、ずっと悲壮感が漂っていたんですけれども。それは、子牛の価格が上がっていたという状況です。その原因を現場の皆さんにいろいろ聞いてみると、やはり元々のマルキンがしっかり発動されたことによって、肥育農家さんに余裕が出たから、いい子牛を積極的に購入するようになったと言われています。つまり、マルキン制度が十分に発動していれば、子牛価格を引き上げる効果があるということです。

 そして、繁殖農家にも、子牛補給金と臨時の支援交付金を合わせ、九州・沖縄ブロックで一頭当たり八万二千円が交付されました。

 それぞれの制度について、実は、牛マルキンにしろ、子牛補給金にしろ、生産現場から強い要望がありますので、お伝えしたいと思います。

 まず、この発動基準となる平均販売価格が、現状、全国一律やブロック平均で算出されているという問題です。これを、地域の実情に合わせた都道府県単位にしてほしいという強い要望が上がっています。

 資料三を御覧ください。

 実際に、資料三にあるとおり、これは全国四つのブロックごとに交付金が決められています。しかし、例えば、同じ九州・沖縄ブロック、資料四、資料五で示しているとおり、各県、実際の取引価格にはばらつきがあるんです。しかし、九州・沖縄ブロックということで、一律の平均値で出される。例えば、最も高い熊本県は五十九万八千三十三円、そして、最も低い沖縄県は五十二万一千二百九十七円です。一頭当たりの価格差が約七万七千円もあるにもかかわらず、ブロック全体の平均値となれば、例えば、この一年間の九州・沖縄ブロックの平均値は約五十六万円なんです。今、発動基準ラインが六十万。ということは、五十六万に対して六十万なので、四万円の補填金、これが九州、沖縄全体の交付金となるんですけれども、これは問題じゃないでしょうか。

 つまり、いい値で売れている熊本は、実質上五十九万八千円なので、本来二千円なんです。沖縄の場合は、離島ということもあって厳しくて、五十二万千円なので、本来八万円補填されないといけないんです。しかし、この制度上は、平均値を取るので、四万しか補填されない。これでどういうことが起きるかというと、より強い産地、より高く売れている地域は実際よりも高く補填され、本当に苦しい、厳しい産地には、実際補填されないといけない額が、沖縄のケースでいくと半分しか補填されていないという問題なんです。これは改めるべきじゃないでしょうか。本来のセーフティーネット機能が十分に果たされていません。

 生産現場からの強い要望、都道府県ごとに、この平均販売価格設定、見直していただけないでしょうか。

宮下国務大臣 委員御指摘の牛マルキン、肉用子牛生産者補給金、子牛の臨時対策につきましては、販売価格が低下した際に価格差の補填を行う対策でありますけれども、もしこれらを都道府県別にといった小さな単位で発動の判断を行うとした場合には、補填の発動を見越して、より安く購入できるとの期待が高まって、価格を更に引き下げかねない、いわゆる買いたたきが起こるのではないかという問題があります。このため、ある程度まとまりを持った単位で発動の判断を行うことが、セーフティーネットとしての制度の安定性を確保するためにも必要なのではないかということであります。

 特に、中でも、子牛の市場は、ほぼ毎日開催されます枝肉市場とは異なりまして、月に一回程度、決まった日付で開催されまして、規模の小さい市場ほど競り参加者が限定される、こういうことでありますので、ある程度のロットがまとまる単位というものを前提として制度を組まないとセーフティーネット機能を果たす仕組みが仕組めない、そういうふうに考えています。

山田(勝)委員 大臣、官僚の答弁そのままなんですけれども。大臣、牛の競り市、行かれたことありますよね、現場を見られたことありますよね。全く今の話は矛盾だらけです。

 まず、買いたたき、起こりようがないじゃないですか。だって、競りなんですよ、競争で入札するんですよ。買いたたきを起こすということは、じゃ、事前に談合するんですか、バイヤーが。事前にこのくらいの価格帯で抑えようと話し合って決めるんですか。それこそ大変な問題で、起こりようがないんです。全国各地からそういったバイヤーは来るし、毎月毎月同じ市場に同じバイヤーが来ているのであればそういうこともあり得るんですが、全く見当違いのお話です。

 大臣は、官僚と違って、政治家であられますよね。ですから、是非、これ、僕がずっと議論していても、ずっと農水省の担当者はこういった答弁しかないんです。大臣、お願いですから、この問題、生産者の方々と直接会って話をしていただけませんか。約束できませんか。

宮下国務大臣 まさに今、この場でも、生産者の皆様の御意見を直接、先生方の御意見を通じて受けておりますし、党内でも様々な現場の意見を踏まえた議論がなされています。様々なそうした生の声、現状をしっかり踏まえて判断をしていきたいというふうに思っています。

山田(勝)委員 端的に、ブロック単位、都道府県単位の問題について、生産者の方々から直接話を伺う機会をつくっていただけませんか。お願いいたします。

宮下国務大臣 常に、やはり、現場の声を聞くということでやってきましたし、これからもそういったことで、そういう姿勢で現場の声を聞けるように努力したいと思います。

山田(勝)委員 大臣が現場主義であられるということで安心しました。官僚の皆さんが言われている説明と現場の声には相当な乖離がありますので、しっかりとその辺りの政治判断をお願いしたいと思います。

 次に、長引く円安によって、飼料代だけでなく、電気代、燃料代、様々な生産コストが上がり続けています。臨時対策事業の六十万の基準価格では、現実的な生産コストに対して補填がとても足りていない。子牛繁殖農家の皆さん、声をそろえて言われるんですけれども、この基準価格がせめて六十五万円ぐらいないと再生産が厳しいとおっしゃいます。

 こういった生産者の声、宮下大臣、政治家としてどのようにこの要望に応えられるでしょうか。

宮下国務大臣 両面あると思います、この水準については。

 黒毛和種の子牛につきましては、繁殖農家の皆様にとってはもちろん販売収入ということになりますけれども、肥育農家にとっては素牛購入コストになるということで、これが安過ぎると繁殖経営が成り立ちませんし、高過ぎると肥育経営の方が苦しくなる、こういうことだと思います。

 その中で、繁殖農家と肥育農家の双方が納得する現場の相場感として六十万円程度というのが広く共有されてきている。そのため、六十万円を発動基準としたというふうに認識しています。

 臨時対策につきましては、十二月末までの措置としておりますことから、一月以降の子牛対策の在り方については、肉用子牛生産者補給金の保証基準価格等と併せて、今回の畜産物価格の議論の中で検討してまいりたいというふうに考えています。

山田(勝)委員 これは事前に農水省と確認したんですけれども、例えば、六十万の基準の中でも、実際、九十万ぐらいで売れる子牛もあって、六十万円以下の子牛だけが対象じゃなくて、そういった高値で売れた子牛まで対象になっているそうなんです、この補給金、一頭当たり。

 本来であれば、そうじゃなくて、やはり基準値の六十万以下の子牛に対象の牛を絞って、その分の予算は、しっかり発動基準を引き上げるとか、何らかの工夫をするべきじゃないかと思っています。この発動基準の引上げができないのであれば再生産が厳しいというのは、これはもう現実的に現場の実態であります。もしそれが難しいと言われるのであれば、飼料代の補填を大幅に増額すべきです。物価高によって、この畜産危機を救うには、補填基準の引上げか飼料代の補填、このどちらかを強化していかなければなりません。

 資料五を御覧いただきたいんですけれども、配合飼料価格の推移です。令和二年九月、トン当たり六万五千円程度だった。そして、今年の八月には九万七千円、一・五倍も上がっていて、トン当たり三万二千円上がっているんです。

 そういう状況で、今、農水省も頑張っていただいているとは思うんですが、実際、配合飼料価格の補填金というのは、今現在、トン当たり五千円程度なんです。これでは、当たり前なんですけれども、全く足りない。せめて二万から三万は補填してほしいという声が届いています。こういう経営難を乗り越えていくために、やはり、現場の経営状況、この数字もしっかりと併せた上で補填額というのが支給されるべきだと思います。

 大臣、もっと、飼料価格の高騰対策、引き上げていくべきではないでしょうか。

舞立大臣政務官 お答えいたします。

 配合飼料価格の安定制度におきまして、先生御案内のとおり、従来、直前一年間の平均原料価格からの上昇分を補填していましたが、本年度に入りましてからは、一定の要件を満たした場合にこの期間を二年半に延長することでより補填が発動しやすくなる新たな特例を設けさせていただいたところでございます。

 この特例で、本年度の第一、第二・四半期には、一年平均では補填が発動しなかったところ、二年半の平均としたため、補填が行われたところでございます。

 このほか、畜種ごとの経営安定対策や金融支援など、各種施策を総合的に活用しながら必要な支援をしていくとともに、今般の補正予算、重点支援地方交付金、五千億措置されておりますが、これにつきまして、飼料などの高騰への支援に活用することが可能でもございますし、農林水産省からも地方自治体に支援例をお示ししながら、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

山田(勝)委員 現状において様々な課題をお伝えいたしました。今の現状の様々な支援策では畜産農家さんの危機を救うことはできない。生産者の皆さんに直接届く対策の強化を訴えて、時間が参りましたので、終わります。

 ありがとうございました。

野中委員長 次に、掘井健智君。

掘井委員 日本維新の会の掘井健智でございます。

 維新の会は、これまで都市政策に力を注いできたんですけれども、全国政党として展開すべく、これからは農政のTFをつくって農業政策に力を注いでいきたい、このように思っております。

 それでは、質問をいたします。時間の関係から、申し訳ないんですけれども、順番を変えて質問させていただきます。題名をきちっと言って、分かりやすいようにいたします。

 和牛肉需要拡大緊急対策事業について御質問します。

 私の地元、兵庫県の加古川市ですが、加古川市で十一月に肉フェスを行いました。非常に大盛況で、四万五千人のお客さんが来たんです。テーマは、加古川は食肉センターがございますので、地場産業のこともあります。加古川から和牛を発信しよう、こういう思いで、大盛況に終わりました。その際には農水省の皆さんにも御協力をいただきまして、ありがとうございます。

 そこで、この和牛肉需要拡大緊急対策事業は、この度の補正予算で五十億円上がってきているんです。こういったイベントが各地で広がっていくことを期待いたしておりますけれども、この事業は具体的にどのような事業展開になるのか、どのような支援になるのか、イメージや規模についてお伺いしたいと思います。

渡邉政府参考人 お答えをいたします。

 和牛肉の需要拡大緊急対策事業でございますけれども、これは、和牛肉につきまして新規の需要を拡大するということを支援する取組でございまして、特に、産地の方が関係者と一緒になって需要拡大のための計画を作りまして、その計画にのっとって新規の販売を開拓するようなときに奨励金を交付するという対策でございます。あわせまして、和牛肉の関連のイベントなどの支援も行って消費の拡大を図ろうとするものでございます。

掘井委員 ありがとうございます。

 次の質問です。飼料の高騰対策について質問いたします。

 NHKが「食の防衛線」、これは二回のシリーズで番組が報道されました。一昨日には、畜産業がこれに取り上げられたんです。畜産業は、飼料の値上がりなど物価高騰が本当に直撃して非常に経営が危機的な状況である、しかも、二〇一四年に酪農クラスター事業によって施設を大きくした、そんな業者が逆に倒産寸前である、こんな報道がなされておりました。食料安全保障に関わる危機的状況だということなんです。

 大臣、この番組は御覧になられましたでしょうか。

宮下国務大臣 詳細に全部ではないんですけれども、一部、主なところというか、最初の方を中心に見ました。

掘井委員 ありがとうございます。本当に衝撃的だったんですけれども。

 価格転嫁への環境整備について、引き続きちょっと質問したいんですけれども。

 畜産業への緊急の支援策を後で取り上げますけれども、物価高騰はやはり価格転嫁するのが本来の姿であると思っているんです。このことは、総理の所信表明の演説の中でも、低物価、低賃金、低成長のコストカット型経済から、持続的な賃上げ、活発な投資が牽引する成長経済への変革が必要だ、このように言っておるわけでありますから、そのとおりだと思います。

 ところが、価格転嫁したくてもできない状況があるんです。生乳価格のことです。生乳価格転嫁が物価高騰の割にできないために、特に酪農経営は非常に厳しいということであります。

 生乳は、通常、地域別に農協などからつくる指定団体が集まって乳業メーカーに販売する一元集荷体制が取られております。

 飼料が年度内に上がり過ぎてもたないということで、去年の十一月から十円、生乳一キロ当たり、交渉して上がりました。でも、それでも、それ以上飼料が上がってまだもたないということで、メーカーと協議を重ねて、今年八月から更に十円、計二回にわたり上げたということなんですね。年一度の改定が通常なのに、期中で二回上げたということで、それだけ大変だったということであります。

 一年間で二十円上がるのは現行制度で初めてということでありますが、それでも生産組合からは、まだ二割以上の酪農家さんが出荷する収入よりも餌代の支出の方がまだ多いという状況、こういうことがあるとのことです。専業農家さんほどしんどいということです。牛乳一キロ当たり三十円赤字であって、本来三十円上げる必要があるとも試算されております。

 乳価は、指定団体と乳業メーカーの交渉で決まります。酪農家は、決定した価格を受け入れることなんですけれども、しかし、乳業メーカーは、上場企業で、大企業なんですね。なかなか農家さんが思う値段が上がらないという現状があろうと思うんです。酪農家には、物価高騰に見合うだけの価格転嫁をメーカーさんがなかなか認めないんじゃないかなと思っております。しかし、メーカーさんだけが物価高騰以上の価格転嫁をして収益を上げているならば、これは不公正であると思うんですね。

 といいますのは、スーパーの値段、小売価格の値段が、やはり五十円ほど上がっている。農家さんは十円、二十円上げるのに必死なんですけれども、メーカーさんは五十円ぐらい上がっている。それに、先週ぐらいですかね、新聞の中で見ましたけれども、メーカーさんが増収増益である、このしんどい中、増収増益であると。ひょっとしたら便乗値上げしているんじゃないのかな、こんな疑いもあるんです。

 だから、本当にこの仕組み、一元集荷体制の仕組みは、やはり農家もメーカーもきちんと安定供給できる仕組みだと思うんですね。メーカーだけじゃなしに、農家さんもきちんとやっていける、そんな仕組みにしなければいけないと思います。

 大臣、こういう現状をどう思われますでしょうか。

宮下国務大臣 委員御指摘のように、適正な価格設定というのは本当に重要な課題だと思っています。そのため、適正取引を推進するため、そうした新たな仕組みを検討するために、八月から、生産から消費までの各段階の関係者が一堂に集まる適正な価格形成に関する協議会、これを開催しているところであります。

 その中で、流通経路が簡素で、コストの把握も比較的容易であって、生産等の持続性を確保すべき品目として、まず、畜産分野においては、飲用牛乳を対象としたワーキンググループで検討を進めております。

 このワーキンググループでは、今まで二回開催したわけですけれども、生産者の皆様からは、委員御指摘のように、現状の乳価交渉についてはコストの増加を適正に反映しているとは言い難い、こういう御意見もいただいておりますし、一方、製造メーカーの皆さんからは、乳価を上げたのは、この価格では本来売れないんだけれども、生産者の皆さんが持続可能とならないから今回上げた、こういう事情だという御意見、また、小売や消費者側からは、価格の上昇は消費量の減少につながるのではないか、こういう意見もあったところであります。

 生産、加工、流通、販売、いろいろな立場で様々な意見がありますので、全体として食料システムが持続可能となる、そうした価格形成の仕組みづくりが必要だと思います。そのためにも、更に関係者間で丁寧に合意形成を進め、新たな仕組みづくりに取り組んでいきたいというふうに考えています。

掘井委員 その新たな取組を本当に期待しているところであります。

 次の質問であります。関連になりますけれども、配合飼料の価格安定制度の新たな特例終了後の支援についてであります。

 配合飼料価格が高止まりする中、畜産経営への影響を緩和していくために、配合飼料価格安定制度に新たな特例がありました。緊急補填制度を設けて生産者に補填金を交付してきたというところであります。しかし、特例の期間は今月で打切りということです。

 表をお配りしておると思うんですけれども、表からも分かるように、配合飼料価格が高止まりしておるというふうに見られます。緊急事態が継続していることには変わりないと思うんですね。

 十月の二十七日の予算委員会で、農水大臣は、来年の一月以降は従来の補填の仕組みで適切に支援していく、先ほどの答弁と同じでありますけれども、方針でありますと答弁しております。これは具体的にはどんな支援になるんでしょうか。

渡邉政府参考人 お答えをいたします。

 委員御指摘の配合飼料価格安定制度につきましての新たな特例、令和五年度以降、価格が二年間にわたって大きく上昇した後に高止まりした場合においても補填が出やすくなる新たな特例を設けて補填金を交付しておりますが、委員御指摘のとおり、三四半期までの特例ということでございますので、今年の末で一旦終了となります。

 どういう支援かという御質問でございますけれども、新たな特例自体は十二月で終わるわけでございますけれども、配合飼料価格安定制度による通常補填、それから異常補填、この仕組みは引き続き存続いたしますので、もし配合飼料価格が上昇するというようなことになって要件を満たせば、その通常補填なりが発動して補填が行われるということになりますし、あと、それから、配合飼料価格安定制度のほかにも、マルキンですとかいうような畜種別の経営安定対策がございますので、そういった経営安定対策を適正にしっかり運用するということや、先ほど来ちょっと議論になっておりますけれども、金融支援、セーフティネット資金ですとか、あと、既往債務につきましては、償還猶予といった条件変更というようなもののお願いをしておりまして、相談とかも乗っておりますので、そうした対策をやっていきたいということでございます。

掘井委員 このことは、例えばウクライナで戦争が起こっているとかコロナ禍であったとか、一過性のものじゃないと思うんですね。トウモロコシは、バイオエタノールの原料になるということで、もう取り合いになっております。だから、今後、やはりなかなか確保するのは難しいと思うんです。だから、抜本的な対策を講じていただきたいな、このように思っております。

 次の質問です。畜産に限定した交付金の創設ということで質問します。

 経営に占める餌の割合を見ると、酪農は五割です。半分なんですね。特に穀物の飼料が高いということですが、日本も国内で頑張ろうとしておりますけれども、なかなかそれは総合的な計画がないと難しいということで、粗飼料の牧草類は、国の目標として、一〇〇%自給を目指しているということです。この粗飼料対策が今後必要となるんですね。

 そのために、牧草類の増産が不可欠ということで、国からは、特に畜産クラスター事業もやって、機械導入の補助もしております。人気のある事業であると聞いておりますけれども、足らない部分は、県単独では、原資に重点支援地方交付金を活用しております。それで機械を買っているという現状があるんです。

 これは交付金なので、自治体によって使い方が違います。例えば、兵庫県と横の岡山を見ますと、兵庫県の方が人口が大きくて、行政サービスも大きければ、やはり使う当ても全然違うわけですから。これはどういうことかといったら、こういう支援をしていただいても、ここを使う限り、やはり格差ができていくと思うんですね。

 だから、交付金も、もうちょっと目的に沿った、目的に合ったような交付金を創設した方がいいんじゃないかと思っておりますけれども、いかがでしょうか。

渡邉政府参考人 お答えをいたします。

 兵庫県で配合飼料一トン当たり二千円支給という報道を拝見いたしましたけれども、そのことをおっしゃっているのかなというふうに思いますが。

 この重点支援地方交付金でございますけれども、これは、餌の関係、物価高騰対策支援のための餌の分野でも使えるということで、そこは、国の方から使えというような指示はもちろんできないわけでございますけれども、使っているような支援の例というのをよくしっかり周知をしていきたいと思っております。

 自給飼料の増産、持続的な畜産物の生産ですとか畜産経営の安定のためには、やはり国産の、国内の飼料生産基盤に立脚した生産への転換が重要だということで、このため、私ども、令和五年度補正予算あるいは令和六年度当初予算の要求におきまして、畜産農家と飼料作物を生産する耕種農家との連携ですとか、コントラクターといった飼料生産組織の強化ですとか、そういった必要な対策を盛り込んで、しっかり国産飼料の生産、利用の拡大を推進をしていきたいというふうに考えてございます。

掘井委員 時間がないので終わりますけれども、先ほど答弁をいただきましたけれども、分かっております、交付金ですからいろいろなものに使えるということで使っちゃうんですけれども、今足らないと思うんですね、恐らく。もっとしたいというところがあっても、お金が足らないということの印象を受けております。そのための質問でありました。

 あと、質問が残りましたけれども、申し訳ないです、また違う機会で質問をしたいと思います。

 ありがとうございました。

野中委員長 次に、池畑浩太朗君。

池畑委員 日本維新の会、池畑浩太朗でございます。

 少し時間が短くなりましたので、質問をまとめさせていただきたいというふうに思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。

 昨年も質問させていただきました、畜産物価格審議でございますけれども、早期リタイア事業について質問をさせていただきました。離農や廃業を促すのではなく、需給ギャップを解消するのが目的であるという答弁でございましたけれども、実際の事業効果はあったのでしょうか。生乳需給の状況は改善したのでしょうか。

 この事業は緊急的な対応であると理解をしておりますが、このようなびほう策ではなくて、構造的に需給ギャップが生じないような仕組みを官民連帯して構築していくべきだと考えますが、どのような取組をなされたか、お話を聞かせていただきたいと思います。

渡邉政府参考人 お答えをいたします。

 酪農経営改善緊急支援事業、いわゆる早期リタイア事業でございますけれども、十月末時点で約六千頭の申請を受けてございまして、これは、生乳の普通の生産ベースでいきますと約四万トンに相当するということでございます。

 生乳の需給は、ヨーグルト需要の低迷ですとか製品価格の値上げの影響もあって、特に脱脂粉乳がやはり需給が緩和傾向で推移をしてございます。

 リタイア事業のほかにも、生産者と乳業者が連携して取り組む脱脂粉乳の在庫低減対策を国も支援をするというようなことで、脱脂粉乳の在庫は十月末時点では約五万四千トンと適正水準となっておりますけれども、何ら対策を講じなければ在庫が積み上がってしまう状況は変わってございません。

 ですから、今回の補正予算におきましても、官民連携して取り組んでいる脱脂粉乳の在庫低減ですとか需要の拡大の取組を引き続きやっていくことで、生乳需給の安定を図りまして、生産者の取り組む需要に応じた生産を支えていきたいというふうに考えてございます。

池畑委員 渡邉局長には、地元の姫路にもお越しいただきまして地域のこともよく見ていただいていますので、今のような答弁を実行していただきたいというふうに思いますし、私たちの地元の姫路の夢前町とか宍粟、そして佐用町でも、飼料の高騰についていろいろ地元では悩んでおりますし、これから考えていかなきゃいけない事業だというふうに思います。

 今、掘井代議士からもありましたので、飼料に関してはお話を飛ばさせていただきまして、肉用牛と乳牛について、これから、どのような対策でやっておられるのかということをお聞かせいただきたいというふうに思います。

 渡辺委員からも少しありましたけれども、これまでの対策では、先ほども申しましたけれども、構造の転換にはなっていなかったというふうに考えております。例えば、配合飼料の高騰の影響を受けにくい粗飼料を多くする生産体系に見直すべきだというふうに私は考えておりますけれども、農林水産省の方でもそういったことを考えておられるということでございました。

 現在の基本的な育て方として、高い餌を食べさせ過ぎではないかということもありますし、政府の考え方をお聞かせいただきたいと思います。交配支援なども取り組むということでしたので、併せてお聞かせいただきたいと思います。

渡邉政府参考人 お答えをいたします。

 まず、配合飼料価格でございますが、これまでも、主産地の不作ですとかバイオエタノール需要の増加、あるいは為替の変動などで高騰した経緯が過去にもございます。

 こうした高騰には、これまで配合飼料価格安定制度による補填をすることで、畜産経営に与える影響の緩和が行われてきたと認識しております。

 一方、我が国の畜産が国際情勢の変動の影響をより受けにくいものとなるように、今後は、影響の緩和策、激変緩和に加えまして、国産飼料の生産、利用の拡大をしっかり推進していきたいというふうに考えてございます。

池畑委員 政務官も手を挙げていただきましたので、せっかくですので、お願いいたします。

舞立大臣政務官 生産体系の見直しというお話の中で、先ほど先生が配合飼料の多給による乳量の偏重の話もございました。

 農水省といたしまして、配合飼料をできるだけ抑えていくといったような中では、より長い期間にわたって、より多くの子牛を産み、生乳を生産する長命連産性の高い牛群構成への転換を図って、持続可能な酪農経営を目指すということを重要と考えております。

 今般の補正予算においてその事業を措置したところでございまして、この事業を活用して生産される長命連産性の高い乳用後継牛は、より長い期間にわたって搾乳に供されることにより、生涯の生乳生産量の増加が見込まれる、そして結果として、必要な後継牛の頭数を減少させる、飼料の総量も抑えることができるんじゃないかと考えております。

 これらによりまして、乳用牛の育成、導入費や飼料費等の生産コストの低減を図りながら、基盤強化を図っていきたいと考えております。

池畑委員 ありがとうございました。

 続けて、肉用牛について。今のような長命また連産をしていくというのはすごく大事なことだと思いますけれども、肉用牛についてもちょっとお聞かせいただきたいんですが、A5のような偏重ではなくて、短期肥育により構造的、これも構造的なんですけれども、飼料コストの削減を目指す、今政務官もお話しいただきましたけれども。

 酪肉近などに見られるように、農水省としてもそういった方向にかじを切ると今局長の方からも答弁がありましたけれども、実際の現場への普及状況と、まだまだ浸透していないというふうに思われる場合はどのような理由とこれからの対策を考えておられるか、お話を聞かせていただきたいと思います。

武村副大臣 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、飼料を始めとする生産コストの高止まり等への対応といたしまして、肉用牛の短期肥育の取組は有効な方法の一つであると考えております。

 一方、生産、流通に携わる関係者の間で、短期肥育では、一般的な肥育に比べて肉質が劣り、十分な収益を確保できないのではないかという不安もあり、現場での取組は限定的であると承知をしております。

 このため、令和五年度には、肥育牛の出荷適期を見極めるために必要な機器の導入を支援することとしたほか、令和六年度当初予算におきましても、短期肥育を含む早期出荷の取組や、これにより生産された牛肉の品質調査、認知度向上、理解醸成等を支援したいと考えております。

池畑委員 副大臣、ありがとうございました。

 現場にいろいろな浸透の仕方があるというふうに思いますが、しっかりとそういった普及活動をしていただきたいというふうに思います。

 最後に、来る通常国会では、食料・農業・農村基本法が改正されると思われます。我々は国民の食料の安全保障を確保するための改正であるというふうに思っておりますが、農地の集約に関して我々日本維新の会は少しこだわっておりまして、生産の拡大を伴う輸出の拡大であるのであれば農地の集約というのは大事だというふうに考えております。

 そこでちょっと申し上げたいんですが、二〇〇九年度の補正予算についてです。二〇〇九年度の補正予算、大分前になるんですが、農地の集積加速化基金という基金があったそうです。

 自民党が議論というか論争を進めて、一生懸命取り組んだということでございますが、元農林水産大臣経験者の著書でそういったことを拝見させていただきました。その直後に政権交代が起こりまして、その後の民主党政権で戸別所得補償などについて取り組まれた、農地の集約が進まなくなり逆流が始まったとの解釈でありました。

 宮下大臣が、当時のことは詳しく御存じではないかもしれませんけれども、部会長もやられておりました、そして通告もさせていただいておりますので、この農地集積加速化基金というのはどういう性質のもので、また、当時の民主党が掲げた戸別所得補償によって農地の集積が遅くなったと思われているかどうか、お聞かせいただきたいと思います。

宮下国務大臣 御指摘の農地集積加速化基金でありますが、農地が分散、錯綜している経営農地を面的に集積する取組を加速するために、年間十アール当たり一万五千円を複数年分一括して農地の出し手に交付金を交付する仕組みということで、平成二十一年度補正予算において措置したものであります。

 しかしながら、御指摘のように、当時の民主党の事業仕分で、平成二十一年六月でありましたが、農地の出し手よりも農業の担い手への支援に使うべきということで、当該基金事業の廃止の方針が示されておりました。

 その後の民主党政権で、事業実施主体に対しまして、まず、平成二十一年九月十八日の閣議において、所管大臣は原則として基金事業の執行の一時留保の要請を行うよう、当時の総理大臣の発言がありました。また、十月十六日の閣議決定において、全額自主返納の要請を行うこととされたことから、本事業についても事業実施主体であります全国担い手支援協議会から全額が国庫に返納されたということであります。

 旧戸別所得補償制度の実施時において、担い手への農地集積率の実績ですけれども、平成二十二年度から平成二十五年度は年平均で〇・一五ポイントの増加にとどまっておりました。旧戸別所得補償制度の見直し以降、平成二十五年からは、政権が替わりまして、令和四年度までは、農地バンク制度の創設もありました、近年では年平均一・二〇ポイント増加という状況にあると認識しています。

池畑委員 時間が来てしまいましたので、大臣の考え方として、当時の集積が遅くなったと思われているかどうかだけ、最後、答弁いただきたいと思います。

宮下国務大臣 当初の基金は実際執行されずに廃止されてしまいましたので、そこの効果の検証はできないんですけれども、少なくとも、戸別所得補償制度時代よりもその後の政権交代後の方が農地集積は進んでいるという認識を持っています。

池畑委員 これで質問を終わります。ありがとうございました。

野中委員長 次に、長友慎治君。

長友委員 国民民主党の長友慎治でございます。

 子牛の価格が低迷していることに対する危機感ということは様々今までも御議論いただいておりますが、肉用子牛の生産者の経営基盤の、経営改善の支援が必要であるということは皆様も共通の認識だと思っております。肉用牛の生産基盤の維持強化を図るために、優良な繁殖雌牛への更新を支援するべきだということはこれまでも議論されておりますけれども、私の方からは伝染病に対する対策ということで、届出伝染病についてまずは質問をさせていただきたいと思います。

 届出伝染病の中でも年々増加傾向にある牛の血液のがん、牛伝染性リンパ腫がありますけれども、この牛の血液のがん、牛伝染性リンパ腫になると免疫力が低下しまして、乳量や体重が減少し、また、他の病気にもかかりやすくなるというふうに言われております。治療薬や有効なワクチンなどがなく、一度感染すると生涯にわたって持続感染しますので、治癒することがありません。殺処分などの行政措置が義務づけられていない届出伝染病ではあるんですが、感染が判明した場合というのは殺処分されることもあります。

 この発生数は、届出伝染病の中でも特に多く、二〇二一年の発生は全国で四千三百七十五頭、これは二〇一一年の二・五倍の数ということで、年々増加していることが指摘されているところでございます。

 この牛の血液のがんの牛伝染性リンパ腫を引き起こすウイルスに対する抵抗性遺伝子の有無を調べる簡易検査キットというものを、宮崎大学農学部獣医学科の関口教授と滋賀県の民間企業が共同研究で開発をしました。

 キットの費用は一般的な検査の二割程度、さらに、家畜衛生保健所にある機械で検査ができ、多くの牛の遺伝子を効率的に調べることが可能ということになっています。

 現在、子牛の価格が低迷していますが、この抵抗性遺伝子を持つことが付加価値となれば、子牛価格の上昇にもつながり、繁殖農家に貢献できると考えますが、国としてこの検査キットの普及を後押ししてはどうかと考えますが、見解を伺います。

安岡政府参考人 お答えいたします。

 牛伝染性リンパ腫、EBLですけれども、感染しても発症率は低いとされてはいますが、発症すれば、委員のお話のとおり、食用に供することができないなど農場における経済的被害が生じるということで、対策を進めることは非常に重要となってございます。

 農水省としては、本病の対策ガイドラインを定めて、農場内における感染拡大対策を推進するとともに、検査や高リスク牛の早期更新などの対策を行っているところでございます。

 委員から御指摘のあったとおり、今般、宮崎大学と民間企業が共同で開発した、牛における本病ウイルスの抵抗性に関わる遺伝子の有無をPCR検査で検出するというキットが販売されたことは承知しております。また、この抵抗性を保有する牛が本病の対策でどんなふうに活用できるかといった研究についても行われていると承知をしております。

 しかしながら、こうした抵抗性を持った牛の割合でありますとか、この遺伝子の肉質だとか乳質だとか増体などの畜産動物にとって重要な経済的能力との関係といったところに関しては、まだまだ知見が得られていないところでございます。今後の研究動向をしっかり注視していきたいというふうに考えております。

 農水省としては、こうした知見やEBL対策としての有効性が確認されれば、その活用についても検討していきたいと考えております。

長友委員 まだ知見が得られていないのでなかなか普及の後押しは難しいという答弁だったというふうに思いますけれども、この関口教授は、牛の命を牛伝染性リンパ腫から守りたいということで、元々、宮崎県の中で、宮崎県から委託事業ということで、県内の農家さんたちに向けて収益事業ではなくて展開をしてこられて、既に今もう二万件以上のこちらの検査というものをしている、ニーズというものも把握されているんですね。

 その結果、今まで県内でしか提供できなかった検査を、アンケートを取りました。全国の、獣医師を含め、生産者の皆さんで、このキットが安価で使えるのであれば利用したいと思いますかということでアンケートを取ったところ、九割近い方々がそれを使ってみたいというふうに回答されているわけです。

 サンプル数は五十ということで少なかったですけれども、それを参考にしていけば、全国の中で八割、九割の人が、それが安くて使えるのであれば検査したいというニーズがあることは把握をしているわけなんですね。

 関口教授の思いとしては、農家さんたちが今、飼料代が高騰していることで困っている、また、大事に育てた牛を殺さないといけなくなるというようなことに対して、何かしらこの研究を生かして社会の課題を解決していきたい、そういう思いで検査料金を安く抑えるためのキットを開発したということで取り組まれていらっしゃいますので、まだ農水省としては知見が足りないということではございますけれども、生産者の中ではこれを使いたいという声がたくさんあるということは事実でございますので、その点はしっかりとそういう声に応えていただけるようにお願いしたいなというふうに思っております。

 次の質問に移りたいと思います。

 昨今の海外情勢や国内の経済動向を踏まえると、食肉産業、乳産業の発展のためには、国内の畜産業、酪農業の安定経営が不可欠になります。現在行われている畜産業、酪農業の就農支援対策とその成果について教えてください。

渡邉政府参考人 お答えをいたします。

 農林水産省におきましては、畜産業あるいは酪農業でも活用をいただける支援策といたしまして、新規就農者育成総合対策によりまして、就農に向けた研修資金ですとか経営開始資金の交付、それに加えまして、令和四年度からは新たに、経営発展のための機械、施設や家畜の導入などの取組を支援しているところでございます。

 また、畜産を始めるに当たっては、もちろん畜舎が必要になりまして、畑作などに比べて初期投資額が多くなりがちな傾向があるということから、これら就農支援策に加えまして、畜産クラスター事業などによります畜舎の整備ですとか家畜の導入への支援も行っております。

 これらの成果といたしましては、今後表れてくるものもあると考えておりますけれども、ここ数年の新規就農者数を見ますと、一年当たり、酪農ですと百人程度、肉用牛ですと二百人程度で推移をしてきている状況でございます。

長友委員 御説明ありがとうございます。

 今年、一般社団法人中央酪農会議というところが、日本の酪農家百五十七人を対象に酪農経営に関する実態調査を行っております。

 その結果、飼料価格や燃料費、光熱費の上昇、子牛販売価格の下落等で経営が悪化し、酪農家の八四・七%が赤字経営で、そのうち四割以上は一か月の赤字が百万円以上に及んでいるという結果が出ております。

 改善の目途も見えず離農を考えているものの、生活の維持、借入金の返済、日本の食の基盤維持のために経営を続けているという実態が浮かび上がっているところなんですけれども、この状況を変えるために最も求められる対策としては、飼料価格の抑制と生乳価格の上昇ということが挙げられておりました。

 日本農業研究所の矢坂研究員が、日本の酪農のためには長期的なビジョンと消費者の皆様の理解が不可欠というふうにコメントしておりますけれども、このアンケートの中身を見ると、日本の酪農は存続の危機と言わざるを得ないということが明らかになっているんですね。

 数字で御説明しますと、日本の酪農家が経営する牧場の八四・七%は過去一か月の経営状況が赤字、赤字経営の酪農家の四割以上は一か月の赤字額が百万円以上、一か月で二千万円の赤字の牧場もあるという回答が出ております。酪農家の八六%が借入金を抱え、そのうち六軒に一軒は一億円以上というデータもあります。

 酪農経営への打撃要因は、飼料価格の上昇、それから子牛販売価格の下落ということを九割の方が答えていますし、経営悪化により、牧場投資の減少、それから借入金の増加、牛の飼育頭数の減少などの影響があり、経営だけでなく、家族の生活費を削減しているという方が五割以上いる。家計への影響も大きくなっているという実態があるわけです。

 さらに、精神的に、経営環境が改善するめどが立たないというふうに答えていらっしゃる方が八割以上いて、借入金が増える一方であることに対しても、離農をしたいというようなところに影響を及ぼしております。

 酪農家の約六割が、離農を検討するという状況ですけれども継続している。それでも継続する理由は、どうしても生活を維持しなければならない、また、借入金の返済だけでなく、酪農家の半数が日本の食の維持基盤のために酪農を続けていただいている。そういう厳しい状況の中でも、現場の生産者の方の奮闘が伝わってくるわけです。

 このように、酪農業は、現在、生乳の需給バランスが崩れ、生産抑制を余儀なくされています。今後、増産しようとする場合、数年単位の期間を要しますが、安定経営を目指すためには就農者の確保も重要なんですよね。

 ですけれども、それだけじゃなくて、根本的な解決策として生産を安定させることが不可欠になるといったときに、生産抑制に対する酪農経営改善緊急支援の成果、これをやってこられましたけれども、その成果と今後の生産安定に向けた取組というものを伺いたいと思います。

渡邉政府参考人 お答えをいたします。

 生産コストの高止まりなど、現在の厳しい状況を踏まえますと、やはり、生乳需給の安定ですとか、酪農経営の改善のための対策をしっかりやっていく必要があると考えてございます。

 そのため、配合飼料価格関係の幾多の措置をやったほか、生乳需給の改善のための在庫対策ですとか消費拡大対策、そういったものに取り組んでまいりましたし、そういった需給環境を改善した上で、コストが価格に適正に反映するための取組というようなものも進めてまいりました。

 これらに加えまして、今般成立した補正予算におきましては、引き続き、脱脂粉乳の需要低迷に対して業界が協調して行う在庫の低減対策、あるいは需要の見込まれるチーズの生産拡大のための対策、また、生産コスト低減につながるような形で、長命連産性に重きを置いた牛群構成への転換を支援すること、また、畜産農家と耕種農家が連携などをすることを進めまして、国産飼料に立脚した酪農の推進といったような対策を盛り込んでおりまして、こういった対策をしっかり我々はやっていきたいと考えてございます。

長友委員 補正予算でも対策を取っていただけるということではございますけれども。

 牛乳の販売価格の適正化という面について質問をしたいと思います。

 今、私たちが牛乳をふだん買おうとしたときに、量販店での一リットル当たりの平均価格は大体、現場を見ると、税込みでも二百円前後で推移しているというふうに感じております。

 国民の基礎食品としての位置づけとしては、まさに物価の優等生というふうに言えるかもしれませんが、メーカーの大小に関係なく、原料価格は百円を超えているということでございます。そこに光熱費、人件費、設備費や物流費などを含めると、量販店など次のステークホルダーに達した時点で二百円を大幅に超える価格で販売されなければ持続可能な産業とはならないということは、現場の方々も当然そういう声が上がっていますし、普通に考えれば、みんなも分からなければいけないことだというふうに思います。

 乳価の適正価格の実現について、農水省の取組と方針を伺いたいと思います。

渡邉政府参考人 お答えをいたします。

 農林水産省では、適正取引を推進するための仕組みを検討するため、八月から、先ほど来大臣からも御説明しておりますとおり、適正な価格形成に関する協議会を開催してございます。

 この中で、畜産分野においては、まずは飲用牛乳を対象としたワーキンググループで検討を進めることとして、生産者サイド、また製造業サイド、あるいは小売サイド、消費者サイドからの御意見をいろいろ伺っているところでございます。

 様々な立場で様々な意見がありますので、関係者間で丁寧に合意形成を進めることが必要だということで、議論を進めていきたいと思っております。

 また一方、実際の生産者団体から乳業メーカーに支払われる生乳の乳代につきましては、生産者団体と乳業メーカーが個々に相対の交渉で定められております。それによりまして、昨年十一月ですと飲用乳向けにキロ十円、また、飲用乳向けということではまた今年の八月に十円ということで、二十円上がっております。

 この昨年十一月に生乳の価格が上がったときの例を申しますと、生産者と乳業メーカーとの間の飲用向けの乳価が十円上がったわけですが、その際は、多くの牛乳の小売価格は、小売物価統計によりますと、二十円程度上がっているという状況でございます。これは、乳業メーカーや量販店における製造や運搬などのコストの上昇分ももちろんあったからということで理解をしているものでございます。

長友委員 御回答ありがとうございました。

 最後、代替肉、ビヨンドミートのことについて質問をしたいと思います。

 世界の人口爆発や食料不足問題、また環境問題、アニマルウェルフェア、健康志向の高まりなどから、代替肉市場への注目度が高まっているところでございます。世界的なムーブメントに発展していく可能性もあるのかなというふうに思っておりますが、この代替肉市場が広がれば、食肉業界としては食肉の消費の落ち込みということをやはり心配をせざるを得ません。

 代替肉市場が今後どのようなマーケットに成長すると捉えているのか、農水省の見解とその後の対応というものについて伺いたいと思います。

渡邉政府参考人 お答えをいたします。

 農林水産省が委託して行ってもらった調査によりますと、植物性代替たんぱく質の世界の市場規模は、現状三兆円ですけれども、二〇五〇年には十五兆円程度になるというような推計もございます。

 この代替肉につきましては、高まる食肉需要への対応ですとか、畜産業の環境負荷への懸念、あるいは家畜を屠畜して食べることを否定的に考える消費者の方もおられるというようなことで、あるいは植物たんぱく質の方が健康的だという見方とかもあって、需要がもちろんあるということは承知をしておりますけれども、一方で、おいしい牛肉や豚肉、鶏肉を求める消費者も数多くいるということも考えてございます。

 この場合、もちろん、将来的にニーズのある代替肉の消費が拡大する場合でも、畜産業の発展と両立していくことが重要であると考えておりまして、畜産業の持続可能性を高めるとともに、その生産性の向上を図りまして、需要に応じた畜産物の生産、供給が行われるように各般の対策を講じてまいりたいと考えてございます。

長友委員 御答弁ありがとうございます。

 先ほどの牛乳のこともそうなんですけれども、食肉製品というものが、どうしても消費、価格共に消費者の意向が反映されやすい傾向にあって、小売での熾烈な価格競争に巻き込まれやすく、そこに製品を納入する製造業や物流にもしわ寄せが行く現状があるという中で、この食肉の魅力、そしてたんぱく質摂取の重要性というものは、政府としても是非啓発をいただいて、食肉産業に携わる皆様の後押しをしていただきたいと思います。

 以上で質問を終わります。

野中委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 先ほど、立憲民主党の渡辺議員から、宮下大臣の政治資金報告についての質問がありました。大臣の答弁、少々釈然としないところがありましたので確認させていただきます。

 清和政策研究会に所属する安倍派の議員がパーティー券の販売ノルマを超えて派閥に納めたときに、派閥からは集めた分の収入を議員側にキックバックをする、それはもう数十人に上っているというふうにも報道されています。これはもう大問題だと思いますけれども、宮下大臣は、十二月一日の会見で、私自身の事務所に関しては、そのキックバックというような事実はありませんので、そうしたことは認識していません、そして、ノルマについての問いについて、基本的に超えて戻すみたいなことはありませんでしたというふうに明確に否定されています。

 このときの会見で述べられたことと、今もお考えは変わっていませんね、イエスかノーかでお答えください。

宮下国務大臣 そのときのとおりであります。

田村(貴)委員 そのときの会見どおりですね。新たに疑義が生じて精査を必要とするところとなっていないということでよろしいですね。

宮下国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、私の所属する清和政策研究会に関して言えば、塩谷座長から、これから事実関係を精査する、今精査中、そういうことであります。(田村(貴)委員「大臣について」と呼ぶ)

 私について、私の認識は変わっておりませんけれども、派閥としては事実の精査はしているということです。

田村(貴)委員 時間がありますので、質問を変えます。

 酪農の危機が止まりません。農家戸数は、二〇二一年の一万三千八百三十戸から二〇二三年の一万二千六百二十戸と、ロシアのウクライナ侵略が始まって以降、二年間で一千二百十戸が離農しました。酪農経営を脅かしている最も大きな要因は、飼料の高騰です。中央酪農会議は、三月、酪農家の八五%が赤字経営と調査結果を発表しました。

 宮下大臣は、所信質疑、私の質疑の際に、飼料高騰は落ち着いてきていると答弁されました。そして、いろいろ施策を述べられました。

 では、局面は変わってきているのでしょうか。中央酪農会議の資料にある指定団体への出荷戸数を、私、月別で追ってみました。そうしたら、今年度も、四月から十月まで毎月出荷農家が減少しています。今年度で既に三百五十戸であります。毎月毎月酪農家が減少している。そして、もう何年も続いています。

 そこでお尋ねしますが、飼料高騰対策が農家の離農を止めるに至っていないのではありませんか。なぜ赤字を埋めるところまで支援をしないのですか。

宮下国務大臣 御指摘のように、酪農経営につきましては、飼料その他の生産コストの高止まり、また、脱脂粉乳需要の低迷が続いていることなどによりまして、依然として厳しい環境が続いているものの、政府による各般の対策に加えまして、昨年十一月以来、乳価が累次引き上げられておりまして、方向としては改善の方向にあるというふうには認識しています。

 このような方向をより確かにしていくために、国際情勢の変化を受けにくい生産構造に転換することといたしまして、国産飼料の生産、利用の拡大を進めて、国内飼料の生産基盤に立脚した酪農経営を推進していくことが重要であるという立場で、しっかりこれを進めていきたいと思っています。

田村(貴)委員 大臣、私がお伺いしたのは、なぜ酪農の離農を、廃業を止める対策に至っていないのですかと聞いているんです。そうしなければいけないんではないんですか。

宮下国務大臣 先ほども御答弁申し上げましたけれども、離農した方のアンケートによれば、最大の理由は、高齢化、後継者不足等々の事情ということであります。

 一方で、先生御指摘のように、経営が厳しいので廃業するという方が一定程度いる、それが増えているということも確かでありますので、今申し上げましたように、体質強化に向けた支援をしっかりやって、そこの経営をサポートしていきたいというふうに思っています。

田村(貴)委員 高齢化も、これは、赤字体質が続いているから後継者に継ぐことができないという本当に深い問題があるんですよ。

 三日に放映されたNHKスペシャル、「食の防衛線」、牛乳、肉、たんぱく源を守れるか。この番組は、酪農農家の困窮とその要因を報じて、大変大きな反響を生んでいます。先ほどの質問で、大臣はこの冒頭を御覧になったということでありますけれども、全編を通じて大変ショッキングな内容でありました。

 番組では、北海道の大規模農家が、この規模が完全に足を引っ張っている、この規模で自由が利かないと述べていました。北海道に限らず、畜産クラスターで借金をして、高度化、大規模化してきた、そして、やめようにもやめられない厳しい状況があります。

 そこで、質問です。

 輸入に依存してきた家畜の飼料、これは番組でもクローズアップされました。そして、大規模経営路線が完全に行き詰まっています。この転換が今こそ求められているのではありませんか。答弁を求めます。

 もう一つ、敷料とか子牛用のミルクとか電気代とか牧草、これは全て上がっているんですけれども、高騰しているんですけれども、これらに対する支援も必要ではありませんか。

渡邉政府参考人 お答えをいたします。

 畜産クラスター事業で、中小・家族経営を始めとする様々な経営体の収益力の強化に向けた取組を支援をしてきたところでございます。一般的には、飼養規模が拡大をすれば、スケールメリットによって収益性が向上するということが言えると思っております。

 他方、輸入飼料に依存しながら規模を拡大をした経営体、投資をして規模拡大をして自給飼料が追いつかないような経営体につきましては、輸入飼料価格が上昇することでその影響を大きく受けるというような状況にあるとも認識をしてございます。国産飼料の供給量に応じた適正規模での経営というのも重要であるというふうに考えてございます。

 私ども、国際情勢の変動の影響をより受けにくいものとなるような形に転換すべく、畜産農家と飼料作物を生産する耕種農家との連携、飼料生産組織の運営の強化、国産飼料の広域流通などをやりまして、国産飼料の生産、利用の拡大を加速化していきたいと考えております。

 また、二点目に委員から御指摘のあった様々な経費でございます。敷料ですとか、ございます。

 配合飼料価格につきましては、配合飼料価格安定制度で支えているわけでございます。

 ほかにももちろんコストが上がっているところはあろうかと思いますけれども、コストのそういった上昇は製品の販売価格に適正に反映するということが経済の基本であろうと考えてございまして、先ほど来御説明しているような、価格の適正な反映をするための協議会やワーキンググループをやるとともに、乳製品の需給の改善ですとか生乳需給の緩和状況の改善、消費の拡大、そういった環境整備を図ることで、指定生乳生産者団体と乳業メーカーの間の交渉が円滑に行われて、適正に価格に反映されるようにするということが大事かなと思っております。

田村(貴)委員 今の局長の答弁、酪農家の方が聞いたらびっくりしますよ。国内の飼料動向に合わせて経営規模と。だって、これは、Nスペでもやっていましたけれども、長年、アメリカから始めて、外国の飼料を日本は輸入してきた、それを食べさせることによって牛乳を供給してきた、お肉を供給してきた長い歴史があるわけです。その中で、飼料が高くなったから、それは経営を圧迫する、それは通用しませんよ。これまで、経営規模拡大、効率化、合理化、言ってきたんじゃないですか。それはやはり、反省がまず先にあって、そして対策を根本から変えていく、そうしたことが必要だと思いますよ。

 今の答弁を聞いていると、政府の対策は、全て合わせても赤字の状況を解消するには至りません。したがって、離農、廃業が止まらないわけですよ。それでいいのですかと聞いているわけです。今の調子だと、それを看過していくことになりますよね。そうなれば、国民に対して安定的に牛乳・乳製品を供給することができるのかというまた問題が出てきます。

 牛乳の生産量について聞きます。

 牛乳の生産量は、二〇二三年四月、六十五・七万トンから、今年十月、五十九・七万トンへと減少しています。同月比でも二・四万トン減少しています。北海道では生産抑制が行われてきました。離農が相次いだことによって、今度は供給不足の懸念が高まっています。来年の夏にまた猛暑が来て、供給不足が一層深刻化するのではないでしょうか。

 場当たり的な対策ではなくて、今から言いますので、しっかり聞いていただきたいと思います。脱脂粉乳を買い上げるとか、余裕を持って備蓄、国外への援助を進めるとか、酪農家にしわ寄せが行かない需給調整の仕組みをつくるべきだと思います。

 仕組みと見通しと対策を含めて、答弁をお願いします。

宮下国務大臣 今後の需給の動向について予断することは困難でありますけれども、累次の牛乳・乳製品の値上げの影響によりまして、例えば、牛乳等に向けられる生乳処理量は前年比三から四%減少となっておりますし、また、今月から乳製品についても更に値上げが予定されていることもあります。また、ヨーグルト等、脱脂粉乳を原料とする製品の需要が低迷していることなどを踏まえますと、特に脱脂粉乳については、何ら対策を講じなければ在庫が積み上がってしまう状況は変わっていないということで、今も対策を打っているということであります。

 農林水産省としましては、今回の補正予算で、来年度においても、脱脂粉乳の在庫低減、また国産チーズの競争力強化など、生乳需給の改善を図ってまいります。その上で、安定供給の観点からは、計画的な後継牛の確保など、引き続き生産者による需要に応じた生産の取組をしっかり支えていきたいと考えています。

田村(貴)委員 畜産経営安定法についても伺います。

 二〇一六年、畜産経営安定法の改定が行われました。酪農家は二股出荷が可能となったわけであります。畜産経営安定法は、元々、指定団体による一元集荷、多元販売をすることで、強い力を持つ乳業メーカーと農家側の価格交渉力を強化する狙いがありました。今や、飲用向け牛乳出荷量において、指定団体以外への出荷の割合は一割に達しています。これが更に増えていけば、生乳が分散化してしまい、必死で価格転嫁を図ろうとしている指定団体の価格交渉力は落ちることになるのではありませんか。

 この誤った政策を改めて元に戻す必要があると考えますが、いかがですか。

渡邉政府参考人 お答えをいたします。

 生乳販売量の全体に占める指定生乳生産者団体以外の主体の割合でございますが、畜安法改正前の平成二十九年度は三・九%でございましたところ、令和四年度は指定団体以外が五・八%ということで、約二ポイント増加をしたという状況でございます。

 今後の生乳流通の変化は予断できませんけれども、あまねく集乳する義務のある指定団体は、やはり、酪農家にとってみれば年間安定した価格で確実に集乳してもらえる安心感のある出荷先であるということや、大手乳業メーカーとも相対で交渉をしてきた実績があるというようなことを背景に、改正畜安法の施行後も引き続き九割を超える大きなシェアを維持しているということで理解をしてございます。

 このような中で、昨年から今年にかけての指定団体と乳業メーカーの交渉の結果、飲用向け乳価が一年間で二十円引き上げられるとか、もちろん乳製品向けの乳価も引き上げられてきておりますが、これは指定団体の価格交渉力が発揮をされたものということで評価をしてございます。

 農林水産省といたしましては、生乳流通の関係者は酪農家の多様なニーズに応えることで酪農家に選ばれる努力を続けていただきまして、指定団体には、その重要な機能が発揮されるように、集送乳や組織の合理化などを引き続き後押しをしていきたいと考えてございます。

田村(貴)委員 指定団体のよさ、安心感のある出荷先である、酪農家がそのことを評価している、九割を超えるシェアに至っている、そして指定団体と乳業メーカーとの間の交渉で二十円引き上げられた、大変いいところを強調されたじゃないですか。だったら、畜安法、やはり見直すべきじゃないですか。なおさらこの制度は不要だということではないでしょうか。

 酪農の危機が続けば、中長期的には、一円でも高く売ろうと、指定団体を経ない取引に動き出す農家も出てくるかもしれません。更に増える可能性もあります。価格転嫁を図ろうとしているときに指定団体の交渉力を落とすような制度を維持するのは、矛盾であります。

 時間がありませんけれども、最低所得保障についても質問します。

 仮に価格転嫁ができたとしても、販売価格の高騰と消費の減退を招きかねず、需給調整にならない問題も生じてきます。ほかの国でもやっている市場隔離などの価格政策、それでも生産費プラス利益を下回った場合の補填施策が必要ではないでしょうか。少なくとも赤字経営にならないようにする、赤字経営を防ぐ制度、最低所得保障制度がこの際必要になってきていると私は強く思いますけれども、大臣、いかがですか。

宮下国務大臣 もし生産コストが上昇した場合、その赤字を防いで一定の所得を保障する、こういった制度を導入しますと、逆に生産性を向上させようという意欲はそがれるということになってしまいますので、そうした面では、産業政策上、デメリットもあるのではないかなというふうに思います。

 また、我が国の生乳価格は、食肉のような卸売市場での取引ではなくて、先ほど来お話がありますように生産者団体と乳業メーカーの交渉によって決められておりまして、一定の所得を保障するような対策が取られますと、需要に応じた生産が行われないことによって過剰生産の懸念が発生いたします。また、所得を保障することによって、逆に乳価は低くゆがめられるおそれもあります。

 様々な懸念が予想されるため、最低所得保障制度の導入というのは望ましくはないんじゃないかなというふうには考えております。

田村(貴)委員 今生じた問題を解決するのが行政の役割、農水省の役割というのではありませんか。そういうことをずっと続けていくから、赤字経営から脱却できないんですよ。離農、廃業が続くばかりじゃないですか。やはり、酪農をやって、畜産をやって、将来においても安心できるという担保がないから、これだけ農家が減っているわけです。赤字経営が変わらないわけですよ。やはり対策を真剣に農家に向き合って取っていかないと、本当に食料不足が起こってしまいますよ。私は強くこのことを懸念するものです。

 時間が来ましたので、この次にまた議論をさせていただきたいと思います。今日の質問はこれで終わります。

野中委員長 次に、北神圭朗君。

北神委員 有志の会の北神圭朗です。

 私は、畜産関係者、地元の方々のちょっと声を聞いてまいりましたので、切々たる声ですので、是非、誠意ある答弁をお願いしたいというふうに思います。

 時間がないので、簡潔に答弁をお願いしたいと思います。

 まず一つ目が、養豚関係の生産者なんですが、非常に今厳しい状況の中で、いろいろ国の補助金が、頭数、豚の数が増えないと補助金が出ないと。ここの関係者は、要は、人手の問題もありますし、あと、品質管理のためにそんなに増やしたくないという状況の中で、なかなか補助金の使い勝手が悪いということなんですが、これについて答弁をお願いしたいと思います。

渡邉政府参考人 お答えをいたします。

 畜産クラスター事業の施設整備事業では、一定規模以上の農家であれば、頭数を増やすことをせずとも、生産コストの削減のための取組をして支援対象になるというのが現状でございます。

北神委員 ありがとうございます。

 それ以外、畜産クラスター制度以外にそういう補助があるわけではないんですよね、何か頭数が増えないと補助金がもらえない。そこでうんと、あるいは違うと言ってくれたらいいんですけれども。要するに、この方は多分畜産クラスター制度だと思うんですけれども、それ以外で、頭数が増えないと補助が下りない、そういうのは、私も役所に確認したら、多分ないというふうに話があったんですけれども、その認識でよろしいでしょうか。

渡邉政府参考人 先ほど来お話があるような、例えば家畜の増頭を要件としているような事業は、もちろん増頭しないと補助の対象になりませんけれども、クラスターのような施設整備事業で増頭自体を要件にしているもの、ちょっと、今すぐ私も思い当たりません。

北神委員 分かりました。それも伝えておきます。

 それから、二点目は、これは酪農関係で、今、皆さんの認識どおり、外国産の飼料にずっと依存してきた。それはそれなりに、いわゆる乳の生産量には貢献した経緯はあるんですけれども、大変外的な要因に弱いということで、国産の飼料に転換をするということなんですが、これも地元の方が言っていたのは、要は山地酪農ですね。山林に牛を放牧をして、野芝を餌にして食べさせる、冬はサイレージで対応するというような、これでしたら、いわゆる外国飼料によらずに、まさに自然そのものの国産の飼料で対応できる。ほかにもいろいろな利点はあるというふうに思います。

 あと、あわせて、これはちょっと違いますけれども、Jクレジット制度というのがあって、外国の飼料に頼ると、船舶の輸送とか、そういった意味で温室効果ガスというものが排出される。これを、例えば国内、国産の飼料でやった場合に、このJクレジット制度にちゃんと取り込める、そういうことをやるべきではないかということなんですが、この二点について伺いたいと思います。

渡邉政府参考人 お答えをいたします。

 まず私から、山地酪農についてお答えをいたしますと、山地酪農を含む放牧でございますけれども、粗飼料の生産や利用、あるいは家畜排せつ物の処理が省力化できるということで、酪農経営のコスト低減を図るということと、あとは農地の維持にも資する有効な飼養管理方法だというふうに考えてございます。

 今回の補正予算でも、中山間地域などで放牧を行うために必要な電気牧柵の導入ですとか放牧地の簡易な整備、あるいはクラスター事業で、放牧に必要な牧柵の整備や放牧関連機械の導入などを支援をしてございますので、そういった取組を続けていきたいと思っております。

川合政府参考人 お答えいたします。

 環境省、経済産業省、農林水産省の三省で運営しておりますJクレジット制度についてでございますけれども、これにつきましては、国連気候変動枠組み条約に基づきまして、我が国が報告する温室効果ガスの排出量の削減に貢献する取組を対象とするものでございます。

 一方、議員御指摘の、輸入飼料から国内飼料に切り替えることに伴いまして、船舶などの国際輸送から排出される温室効果ガスにつきましては、国連気候変動枠組み条約に基づきます報告の対象外とされておりますことから、Jクレジットの対象にはならないものと考えております。

 しかしながら、持続的な畜産物生産の実現に向けまして、国内の飼料生産基盤に立脚しました生産に転換することは非常に重要でありまして、引き続き、国産飼料の生産、利用の拡大に向けて取り組んでまいります。

北神委員 山地酪農については、補正予算にも計上されたという話なので、もちろん、できるところ、できないところはありますけれども、中山間地域には非常によい話じゃないかというふうに思いますので、是非推進をお願いしたいというふうに思います。

 Jクレジット制度は、要は、国連がそういう、今申し上げたような、いわゆる外国飼料が、船舶輸送によって温室効果ガスが排出されることをカウントしない、外しているということなんですが、なかなか計算方法は難しいかもしれませんけれども、農林水産省としては、これからまさに国産の飼料の方に切り替える大きな取組をされるわけなので、これは一つ、もちろん我々も条約締結国として提案することもできるというふうに思いますので、そういう御検討をまたお願いしたいというふうに思います。

 三点目は、大臣にお聞きしたいんですけれども、これはもうるる今まで話があったと思います。卵、牛乳というのは今まで食品の優等生と言われて、栄養があるけれども価格が安い。卵の方は、上がっても結構やはり需要がありますのでそんなに販売量は減っていないという認識なんですけれども、やはり牛乳の方は、先ほどずっと話があるように非常に厳しい状況にあると思いますので、簡潔明瞭で結構ですので、これに対する対策というものをお聞きしたいというふうに思います。

宮下国務大臣 委員御指摘のように、やはり足下では、今般の値上げが需要に影響を及ぼしたという認識でありますけれども、こうした中でも、酪農家の収入を確保して持続的な酪農を実現するために、生乳需給の安定、また、酪農経営の構造改善を図る必要があると考えています。

 そのため、具体的には、まず、生乳需給の安定のために、脱脂粉乳の在庫低減を図るための対策、また、国産チーズの競争力強化のための対策を取っておりますし、また、牛乳でスマイルプロジェクトによります消費者の皆様の理解醸成、また、訪日外国人観光客への消費拡大対策を取っております。さらに、東南アジア等に向けたLL牛乳の輸出促進などを進めているところであります。

 また、酪農経営の構造改善のためには、畜産農家と耕種農家との連携などによる国産飼料に立脚した経営の推進、また、生産コストの低減につながる長命連産性に重きを置いた牛群構成への転換などを進めていくこととしておりまして、これらによってしっかり持続的な酪農経営を支えてまいりたいと考えています。

北神委員 是非よろしくお願いしたいというふうに思います。

 最後に、畜産農家が一つ悩んでいるのは、鶏ふん、これは鶏でいうと鶏ふんですね、いわゆる畜産ふんというものが非常に大量に出てきている。鶏の場合は非常に近年需要が増えているという関係で処理に非常に困っているということなんです。

 これも地元の京丹波町というところの提案なんですが、二つあります。

 一つは、海が今、いわゆる赤潮対策で、栄養がたくさんあり過ぎて赤潮が出てきて困ったということで水質の改善を図った。ところが、逆に海が非常に栄養分が貧しくなってしまっている。これを栄養分を復活させるためにこの鶏ふんというものが非常に有効だという取組が行われているというふうに伺っていますが、これを是非全国的に広めるべきではないかということです。そうすると、そういう新しい販売のルートができますので、畜産ふんの処理にもつながるというふうに思います。

 もう一つ、カーボンコークスというのを、近畿大学の方で今研究をしていて、カーボンコークスというのは石炭の代替になるもので、植物性バイオマスを使った固定燃料だと。普通、草刈りの草とか剪定の枝とか、あるいはコーヒーとかお茶のかすとか、そういったものでできるんですが、近畿大学では、いわゆる畜産ふんというものも使えるというような研究が進んでいるというふうに伺っています。

 こういう、農家の非常に悩みになっている畜産ふんの処理のいわゆる選択肢というものを広げるために是非農林水産省に頑張っていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

渡邉政府参考人 お答えをいたします。

 家畜排せつ物につきましては、堆肥化することで、畜産農家が自らの圃場に施肥したり、肥料として流通して農業利用されることが一般的でございまして、農林水産省としても、国内の肥料資源として、堆肥の有効活用に取り組んでいきたいと考えてございます。

 令和四年の推計値ですけれども、家畜排せつ物発生量約八千万トンのうち、農地への還元が約六千五、六百万トンということで、約八割ぐらいが農地に還元されている。また、エネルギーとして使われている部分が四百三、四十万トンということで、五%ちょっとということだというふうに聞いてございます。

 今委員からございました、鶏ふんを海というのは、ちょっとデータはございませんし、余りちょっと、私、この場でコメントする知見もございませんけれども、いずれにいたしましても、農水省としては、この家畜排せつ物、農業利用も含めまして、国内資源として有効に利用されることが望ましいと考えてございまして、堆肥化の取組に加えまして、バイオマスエネルギーとして利用されるような場合も含めまして、地域の実情に応じた様々な方法で家畜排せつ物の有効な活用が図られることを期待しているものでございます。

 農水省といたしましては、例えば、良質な堆肥の生産に必要な施設整備への支援ですとか、あるいは、家畜排せつ物をエネルギーとして利用するためのバイオマスプラントへの支援といったようなことを行っております。

 鶏のふんについては、燃えやすいので、エネルギーになりやすいという話も伺っております。地域の実情に応じた家畜排せつ物の有効活用を後押ししていきたいと考えてございます。

北神委員 ありがとうございます。

 海に堆肥をまいて栄養を復活させるというのは瀬戸内海でやっているみたいなので、是非、また調査をしていただいて、参考にしていただければというふうに思います。

 以上、地元の声をいろいろ申し上げましたけれども、農林水産省、大臣始め、皆さん奮闘されんことを要請して、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

     ――――◇―――――

野中委員長 この際、細田健一君外六名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会、公明党、国民民主党・無所属クラブ、日本共産党及び有志の会の七派共同提案による令和六年度畜産物価格等に関する件について決議すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。緑川貴士君。

緑川委員 ただいま議題となりました決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明に代えさせていただきます。

    令和六年度畜産物価格等に関する件(案)

  我が国の畜産・酪農経営は、依然として担い手の高齢化、後継者不足が進行しており、畜産物の生産基盤は弱体化している。また、飼料等の資材価格の高騰により生産コストが上昇している一方で、畜産物への価格転嫁は十分とは言えず、さらには家畜伝染病の発生・まん延の脅威に常にさらされているなど、畜産・酪農経営を取り巻く環境は厳しいものとなっている。これらに対応し、畜産・酪農経営の安定と営農意欲の維持・向上を実現するとともに、畜産物の安定供給を確立することが重要である。

  よって政府は、こうした情勢を踏まえ、令和六年度の畜産物価格及び関連対策の決定に当たり、左記事項の実現に万全を期すべきである。

      記

 一 加工原料乳生産者補給金については、飼料等の資材価格の高騰等により酪農経営が危機的な状況であることを踏まえ、中小・家族経営を含む酪農経営が再生産可能なものとなるよう単価を決定すること。集送乳調整金については、物流の二〇二四年問題を始めとする輸送環境の悪化を踏まえ、条件不利地域を含めて確実にあまねく集乳を行えるよう単価を決定すること。総交付対象数量については、乳製品向け生乳消費量を適切に把握し数量を決定すること。

   また、酪農家の努力が報われるよう畜産経営の安定に関する法律の趣旨に即して生乳の需給の安定を図り、酪農経営の継続、所得の安定、将来的な消費及び生産力の回復のための支援策を早急に講ずること。加えて、需要の減少により高水準で在庫が推移する脱脂粉乳については、需給状況を慎重に検証した上で国家貿易による輸入枠数量を決定するとともに、在庫低減対策等の取組を支援すること。さらに、国産チーズの競争力強化に取り組むこと。

 二 肉用子牛生産者補給金制度における保証基準価格等については、中小・家族経営を中心とする繁殖農家の努力が報われ、営農意欲が喚起されるよう、生産コストの上昇を踏まえ、再生産を可能とすることを旨として適切に決定すること。また、子牛価格が低迷する中、経営環境が悪化している肉用子牛生産者の経営改善を支援するとともに、肉用牛の生産基盤の維持・強化を図るため、優良な繁殖雌牛への更新等を支援すること。さらに、物価上昇により需要が減退した和牛肉の需給の改善を図るため、和牛肉の消費拡大を支援すること。

 三 高病原性鳥インフルエンザ、豚熱の発生予防及びまん延防止については、農場における飼養衛生管理基準の遵守の徹底を図るとともに、農場の分割管理の導入等の取組を支援すること。また、アフリカ豚熱等の家畜伝染病の侵入防止のため、水際での防疫措置を徹底すること。さらに、これらを着実に進めるため、地域の家畜衛生を支える家畜防疫員及び産業動物獣医師並びに輸入検査を担う家畜防疫官の確保・育成及び処遇の改善を図ること。あわせて、農場の経営再建及び鶏卵の安定供給を図るための支援策を拡充すること。

 四 配合飼料価格の高止まりによる畜産・酪農経営への影響を緩和するため、配合飼料価格安定制度を安定的に運営するとともに、生産現場における負担の実態を踏まえ、離農・廃業を回避できるよう、必要に応じて生産者の負担を軽減するための対策を柔軟に措置すること。また、国産濃厚飼料の生産・利用拡大や、耕畜連携及び飼料生産組織の強化、国産粗飼料の広域流通体制の構築等により、国産飼料基盤に立脚した持続的な畜産・酪農への転換を強力に推進し、飼料自給率の向上を図ること。さらに、飼料穀物の備蓄や飼料流通の合理化による飼料の安定供給のための取組を支援すること。

 五 畜産・酪農経営を再生産可能なものとするため、生産から消費に至る食料システム全体において畜産物の適正な価格形成が推進される仕組みの構築を図るとともに、消費者の理解醸成に努めること。

 六 畜産・酪農経営の省力化を図るため、スマート技術の導入やデータの活用を支援するとともに、飼養管理方式の改善等の取組を支援すること。また、中小・家族経営の酪農家の労働負担軽減のために不可欠な存在である酪農ヘルパーについては、人材の育成や確保のための支援のほか、酪農家が利用しやすくするための負担軽減策を講ずること。

 七 中小・家族経営の畜産農家・酪農家を始めとした地域の関係者が連携し、地域一体となって収益性の向上を図る畜産クラスターについて、引き続き、現場の声を踏まえつつ、生産基盤強化や経営継承の推進に資する施設整備等を支援すること。また、大規模化の効果やリスクを十分に分析した上で、飼養規模の在り方について検証し、現場と情報の共有を図るとともに、構成員の既往債務については、返済負担の軽減に向けた金融支援措置等の周知徹底を図ること。

 八 畜産物の輸出拡大に向けて、畜産農家・食肉処理施設・食肉流通事業者等で組織するコンソーシアムが取り組む食肉処理施設の再編、コンソーシアムと品目団体との連携による販売力の強化等を支援するとともに、輸出対応型の畜産物処理加工施設の整備を支援すること。

 九 SDGsにおいて気候変動を軽減するための対策が求められ、我が国においても二〇五〇年カーボンニュートラルの実現を目指していることを踏まえ、家畜ふん堆肥の利用推進や高品質化、家畜排せつ物処理施設の機能強化等の温室効果ガス排出量の削減に資する取組を支援すること。

 十 畜産GAPの普及・推進体制を強化するとともに、家畜伝染病予防法の定める飼養衛生管理基準や新たに策定された飼養管理指針に基づき、アニマルウェルフェアに対応した家畜の飼養管理の普及・推進を図ること。

 十一 東日本大震災からの復興支援のため、原発事故に伴う放射性物質の吸収抑制対策及び放射性物質に汚染された稲わら、牧草等の処理を強力に推進すること。また、原発事故に係る風評被害対策に徹底して取り組むこと。

  右決議する。

以上です。

 何とぞ委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。

野中委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

野中委員長 起立総員。よって、本件は本委員会の決議とするに決しました。

 この際、ただいまの決議につきまして農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産大臣宮下一郎君。

宮下国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。

野中委員長 お諮りいたします。

 ただいまの決議の議長に対する報告及び関係当局への参考送付の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

野中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十三分散会


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