衆議院

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第2号 令和6年3月13日(水曜日)

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令和六年三月十三日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 野中  厚君

   理事 伊東 良孝君 理事 小島 敏文君

   理事 古川  康君 理事 山口  壯君

   理事 近藤 和也君 理事 野間  健君

   理事 池畑浩太朗君 理事 角田 秀穂君

      東  国幹君    五十嵐 清君

      上田 英俊君    江藤  拓君

      加藤 竜祥君    神田 憲次君

      小寺 裕雄君    高鳥 修一君

      橘 慶一郎君    中川 郁子君

      西野 太亮君    鳩山 二郎君

      細田 健一君    堀井  学君

      保岡 宏武君    簗  和生君

      山口  晋君    梅谷  守君

      金子 恵美君    神谷  裕君

      緑川 貴士君    山田 勝彦君

      渡辺  創君    一谷勇一郎君

      林  佑美君    掘井 健智君

      稲津  久君    山崎 正恭君

      田村 貴昭君    長友 慎治君

      北神 圭朗君

    …………………………………

   農林水産大臣       坂本 哲志君

   農林水産副大臣      武村 展英君

   農林水産大臣政務官    舞立 昇治君

   国土交通大臣政務官    こやり隆史君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 和田  薫君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         杉中  淳君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         宮浦 浩司君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房技術総括審議官)

   (農林水産技術会議事務局長)           川合 豊彦君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房危機管理・政策立案総括審議官)            松尾 浩則君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房統計部長)          山田 英也君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           安岡 澄人君

   政府参考人

   (農林水産省輸出・国際局長)           水野 政義君

   政府参考人

   (農林水産省農産局長)  平形 雄策君

   政府参考人

   (農林水産省畜産局長)  渡邉 洋一君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  村井 正親君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)            長井 俊彦君

   政府参考人

   (林野庁長官)      青山 豊久君

   政府参考人

   (水産庁長官)      森   健君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            山本 和徳君

   農林水産委員会専門員   飯野 伸夫君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十三日

 辞任         補欠選任

  一谷勇一郎君     林  佑美君

同日

 辞任         補欠選任

  林  佑美君     一谷勇一郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 特定農産加工業経営改善臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第五〇号)

 農林水産関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

野中委員長 これより会議を開きます。

 農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房総括審議官杉中淳君、大臣官房総括審議官宮浦浩司君、大臣官房技術総括審議官・農林水産技術会議事務局長川合豊彦君、大臣官房危機管理・政策立案総括審議官松尾浩則君、大臣官房統計部長山田英也君、消費・安全局長安岡澄人君、輸出・国際局長水野政義君、農産局長平形雄策君、畜産局長渡邉洋一君、経営局長村井正親君、農村振興局長長井俊彦君、林野庁長官青山豊久君、水産庁長官森健君、警察庁長官官房審議官和田薫君、中小企業庁事業環境部長山本和徳君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

野中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

野中委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。山口壯君。

山口(壯)委員 自由民主党の山口壯です。

 今日は、食料・農業・農村基本法の改正ということで、質問をさせていただきます。

 この基本法の改正が目指すべきは、日本農業、正直言って私は衰退しているんじゃないかなという危惧を持っています。それを止めて、再生のための政策を打ち出していく、そういうことではないかなと思います。農家の数が激減し、また、担い手の数も激減し、そして、超高齢化が急速に進んでいる、まずそこの現実を認識しなければいけないと思います。

 初めに、農家の数について、一九六〇年に六百六万戸あった農家、現在何万戸になっているでしょうか。

山田政府参考人 お答え申し上げます。

 農家の数でございますけれども、ただいま委員おっしゃいました六百六万戸というのは、自給的農家を含めた総農家の数ということであろうかと思いますけれども、この総農家の数で申しますと、二〇二〇年、直近年のセンサスで申しますと、百七十五万戸となってございます。なお、一定以上の経営規模あるいは販売金額を有している方は現在農業経営体という形で取っておりますけれども、この数で見ますと、二〇二〇年は、個人の農業経営体で百八万経営体となってございます。

山口(壯)委員 一九六〇年に六百六万戸あったのが、二〇二〇年には百七十五万戸、三分の一以下になっているわけですね。その数え方は何かいろいろと変化があるみたいですけれども、少なくとも激減しているということはまず間違いないと思うんです。

 じゃ、農家の数とともに、農業就業人口、この辺はいかがでしょうか。一九六〇年に千四百五十四万人おられた農業就業人口、今現在はいかがでしょうか。

山田政府参考人 お答え申し上げます。

 農業就業人口という取り方でございますが、統計の取り方で、直近年が二〇一五年までしか調査していないんでございますが、その最新の数字で申し上げますと、二百十万人ということでございます。

 現在は、ふだん仕事として主に自営農業をやっている方ということで、基幹的農業従事者という数字を取ってございますけれども、こちらの数字で申し上げますと、直近の二〇二〇年で百三十六万人ということでございます。

山口(壯)委員 千四百五十四万人だった農業就業人口が二〇一五年には二百十万人、まずここを比べると、七分の一になっていると思うんですね。

 それから、先ほど百三十六という数字もありましたけれども、ちなみに、いろいろと私も数字を聞いたところ、二〇一五年以降調査していないという項目が幾つも出てくるんですけれども、済みません、基本的なことで恐縮ですけれども、まず、この辺の事情を説明していただけますか。

山田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、農家の方でございますけれども、今までですと、家という形で、農家という形で捉えておったんですけれども、むしろ、法人経営体等が増えているという事情もございまして、経営単位で調べた方がいいだろうということで、先ほど申し上げたような、個人の経営体あるいは団体、経営体という形で取らせていただいているということでございます。

 それから、人口につきましても、やはり、農業を主にお仕事をされている方を捉えるのが適当であろうということで、先ほど申し上げた基幹的農業従事者ということで、ふだんお仕事として主に自営の農業をやっている方、こちらを中心に取らせていただいている、そういうことでございます。

山口(壯)委員 数字的には、何か、その方が少なくなっているように思うんです。それはともかく、農家の、家ということであっても、そこで営んでいる以上、それもどういうふうにカウントするのか、きちっとカウントされているのか、若干心配なんですけれども。

 それはともかく、それじゃ、今度は、一九九五年に生産者の中に占める六十五歳以上の比率というのが四三%だった。じゃ、今はどういうふうになっていますでしょうか。

山田政府参考人 お答え申し上げます。

 四三%とおっしゃいましたのは農業就業人口に占める六十五歳以上の比率ということかと承知しますけれども、こちらで見ますと、直近年、二〇一五年でございますけれども、農業就業人口に占める六十五歳以上の割合というのは六三%ということでございます。

 基幹的農業従事者で申しますと、直近年、二〇二〇年でございますが、六十五歳以上の割合は七〇%というふうになってございます。

山口(壯)委員 九五年に四三%だった数字が、まずは、二〇一五年で見てみたら六三%、それから今、七〇%という数字も出てきましたけれども、どちらにしても、農家の数も激減、担い手も激減、その中で超高齢化が進んでいる、それが我々の農業のまずは実態の一部分だと思うんです。

 そういうふうに見てくると、耕作放棄地あるいは不作付地の急増というものの背景はそこにあるのではないのかなというふうに思います。耕作放棄地は今、何万ヘクタールでしょうか。

山田政府参考人 お答え申し上げます。

 耕作放棄地の面積でございますけれども、こちらも二〇一五年が最新の数字なのでございますが、数字で申し上げますと、四十二万三千ヘクタールとなってございます。

 それから、大変申し訳ございません、先ほどの答弁で、経営体の数を個人経営体百八万というふうに申し上げましたが、訂正させていただきたいと思います。こちらは団体も含めた全体の数字が百八万ということで、個人の経営体は百四万経営体でございました。大変申し訳ございませんでした。失礼いたします。

山口(壯)委員 二〇一五年までしか出ていないけれども、少なくとも、耕作放棄地、私はだんだんだんだん増えていると思うんです。いっとき、三十八万という数字で、すごくあるなということもありました。それが二〇一五年で見ても四十二・三万ヘクタール。

 ちなみに、これも同じ質問になりますけれども、なぜ、二〇一五年以降、この耕作放棄地についての調査が行われていないんでしょうか。

山田政府参考人 失礼いたします。

 先ほど申し上げた耕作放棄地は農業センサスの数字でございますけれども、こちらは、農家の、これ以降作付ける意思がないというような形の聞き方で集計させていただいた数字でございまして、若干主観に係るものが影響するだろうということでございまして、二〇一五年を最後に調査を中止させていただいているところでございます。

 なお、もうちょっと客観ベースで、農地が荒れている部分、荒廃農地と称しておりますけれども、こういった形で捉えていくということも引き続きやってございまして、こちらの方は、直近年、令和四年まで取ってございますけれども、荒廃農地という形で取らせていただきますと、二十五万ヘクタール程度というような数字もございます。

山口(壯)委員 荒廃農地は増えていますか、減っていますか。

山田政府参考人 お答え申し上げます。

 こちらの方は、傾向として増えている、減っているというのが若干読みづらいところでございますけれども、近年ですと二十万ヘクタール台ということで、そんなに大きく減っているというようなことも数値からは見て取れないところでございます。

山口(壯)委員 現実を直視するというところをもう少しきちっとやっていただいた方がいいんじゃないんでしょうか。

 昔、戦場で、軍医が、すごい重傷だったけれども傷を直視する兵士というのは割と助かっている、その代わり、割とこれは軽いかもしらぬなと思っても、怖くて傷が見れない兵士というのは案外命を落としていったと。そういう意味では、現実を直視してこそ問題が解決するということで、その辺、私は、もう少しきちっとした現実を直視するやり方、問題がどちらかというと過小になってしまう、そういう勘定の仕方というのは正直ちょっと違和感があります。

 どちらにしても、問題的に、この耕作放棄地、あるいは作付されていないところ、それがどうも増えているというところの認識というのはまずあると思います。

 専業農家については、何万戸、今あるのか、減っているのかどうか、そこを教えてください。

山田政府参考人 お答え申し上げます。

 専業農家でございますけれども、こちらも、申し訳ないんですけれども、直近年の数字は二〇一五年でございまして、専業農家というふうに区分される農家は四十四万戸というふうに、二〇一五年でございますが、なってございます。

 直近、二〇二〇年の数字で、先ほどの経営体という単位で見させていただきますと、農業所得が主である経営体、個人経営体でございますけれども、主業経営体という数字を取ってございますけれども、こちらは二〇二〇年には二十三万経営体というふうな数字もございます。

山口(壯)委員 さっき、主観が関わっているからそういう調査はやめたという答えもありましたけれども、専業家、兼業家というのは、大いにもちろん主観は関わるわけですね。だけれども、主観が関わるからやらないという議論には非常に私は違和感が強いです。

 どちらにしても、四十四が、名前は変わって主業経営体ということであっても二十三万。やはりこれは減っているというふうに見れるんですけれども、いかがでしょうか。

山田政府参考人 お答え申し上げます。

 主業経営体で見ましても、確かに減っているところでございます。例えば、二〇〇〇年、二十年前のセンサスと比べますと、二〇〇〇年のときは五十万経営体ほどございましたので、二十三万経営体と比べますと、二十年間で五四%減少というような形になっているかと思います。

 以上でございます。

山口(壯)委員 そういう意味では、農家も激減、就業者数も激減、その中で、超高齢化が進んで、耕作放棄地も増え、そしてまた作付されていないところも増え、そして専業農家は減っている。日本農業を何とかしなきゃいけない、そこがまず原点だと思うんです。

 食料自給率、この低下もよく言われます。一九六〇年当時に七〇%を超えていたものが、今、三八%まで激減している。理由はもちろん、日本人が、我々が米を食べなくなったというものもあるんでしょう。我々の米の量、六二年あたりは百十八キロだったものが二〇二二年には五十一キロまで減少している。

 そういうこともいろいろあるんですけれども、じゃ、食料自給率が低下している中で、ある意味で、四割は食料を自給しているけれども、あとの六割を海外からの輸入に依存。その中で、全国で耕作放棄地が増えている、農業従事者が超高齢化で、しかも減っている。こういう現実に対して、今まで、正直、十分な対応が取られてこなかったのかどうか、私はそう言わざるを得ないと思います。

 それで、今回の基本法の改正が、じゃ、そこにどういうふうに光を当てようとしているのか。こういう問題を抱える我々の農業、それを再生するためにどういう取組をしようとしているのか。耕作放棄地について、高齢化について、あるいは後継者難の問題について、どういう取組をしようとしているのか、大臣、いかがでしょうか。

坂本国務大臣 我が国の人口全体が減少する中で、委員御指摘のように、個人経営体の基幹的農業従事者につきましては、この二十年間でおおむね半減をいたしております。

 ただ、農業法人等につきましては、農業従事者が増加をしております。それから、法人の占める農地の面積の割合も四分の一を占めております。販売金額も、法人の方が全体の四割を担うまでになりました。その結果、農業総産出額は、二十年前と同水準である九兆円を維持しているところであります。

 基幹的農業従事者の年齢構成を踏まえますと、現在、個人経営体の農業従事者は、平均年齢が六十八歳でございますけれども、今後も大きく減少することが見込まれます。このために、次世代、次代の農業人材を育成、確保するとの基本法の考え方を踏まえまして、就農に向けてサポート体制の充実などの取組を今後も行ってまいります。

 それでも、現在よりも相当程度少ない人数で国内の食料生産を担うことを想定しておかなければなりません。このため、地域計画を策定をいたしまして、地域計画を通じて、農地の集積、集約化を図ります。

 基本法改正案におきましても、新たに、スマート技術の開発、実用化の加速等によりまして生産性を向上させること、それから法人の経営基盤の強化、こういったものを規定いたしまして、担い手の育成、確保のための施策を講じてまいりたいというふうに思っております。

 加えて、担い手だけでは全ての農地をカバーできないということで、担い手以外の多様な農業者についても基本法改正法案におきまして位置づけたところであります。地域の農地の保全管理等が適切に行われるよう、こちらの農地の管理保全の方もしっかり取り組んでまいりたいというふうに思っております。

 新たな基本法に基づきまして、こうした施策を総合的に講じることによりまして、人と農地の双方の確保を図ってまいりたいというふうに思っております。

山口(壯)委員 一歩前進だと思いますけれども、高齢化あるいは後継者難、あるいは耕作放棄地の増加、もろもろのこと、大臣、きっちりこれで解決に向かうんでしょうか。

坂本国務大臣 今考えられる範囲で、できる範囲で、やはり、より少ない人数でどうやって農地を守り、そして人を育成していくか。それを考えた場合には、法人の経営基盤を強化する、そして、それに伴うところの人材をやはりしっかりと育てていく、そして、それをカバーするために更にスマート農業を実践していく、実施をしていく。そのことによってやはり農業の労働力というのをカバーし、さらには、先ほど言いましたように、多様な人材によりまして農地を確保していく。このことによって、これからの農業の農地、そして生産性、こういったものを維持向上させてまいりたいというふうに思っております。

山口(壯)委員 今、法人ということもありました。その法人というのがいわゆる企業とどういうふうに違うのかというところもあると思うんですけれども、例えば、企業ということであれば、後継者難あるいは高齢化の問題もそういう観点から解決という手もあるんでしょう。

 ちなみに、この法人というものは、いわゆる一般に言われている企業、企業の農業への参入、そういう観点からいう企業と同じでしょうか、あるいは違うんでしょうか。

坂本国務大臣 企業の農業の場合と、それから農業でいいます農地所有適格法人の法人とは違います。

山口(壯)委員 そういう意味では、この企業について少し聞きたいんですけれども、いわゆる二〇〇九年に農地法が改正された。その前に、農地法の一条というところで、耕作者主義、要は耕作する人が土地を所有する、そういうことで来た。これが徹底されると、ある意味で企業というものがなかなか入りにくかったと思うんです。その意味で、二〇〇九年の改正で、厳格な耕作者主義から利用権の推進、あるいは、担い手の農家あるいは法人に農地を集積することが理念として明記。そういう意味では、少し道は開けられたとは思うんですけれども、もちろん、企業の新規参入だけで農業の危機的状況というものが打ち破れるとは思いませんけれども、一つの突破口だとは思うんです。

 今回の基本法改正で、農地関連法制の改正案という言葉もありますけれども、企業の新規参入についてはどういうふうに取り組むということになっているんでしょうか。

坂本国務大臣 一般に言うところの株式会社等の企業は、担い手が不足している地域や遊休農地が著しく増加している地域におきまして農業生産を担う存在として期待できることから、農業参入は進めなければいけない、進めていくことが重要であるというふうに考えております。

 そういうことで、今委員言われましたように、企業による農業への新規参入につきましては、平成二十一年の農地法改正で、リース方式で農業参入を完全に自由化したところであります。リース方式を基本とするという従来からの方針を、今回は変更するものではありません。

 その上で、人口減少や高齢化が進行する中で、四十代以下の新規就農者の約半数は法人への雇用就農となっています。このため、農地を所有できる農地所有適格法人は、人と農地の受皿として重要であるというふうに考えております。

 ただ、農地所有適格法人、いわゆる農業法人は、借入金比率などが高い、そしてその経営基盤が弱い、自己資本の充実を図るための増資を行おうとすると、農業者の出資割合が過半を占める必要があるため、農業者の負担が大きいということが課題でもあります。

 このことから、国による審査や農地転用の制限等の農業現場の懸念に対応した措置を講じた上で、農地所有適格法人の経営基盤強化のために、農業者の出資要件を今回緩和する特例措置を講ずることというふうにしたところであります。

山口(壯)委員 リース方式に変更なしということで、企業にはまだ農地を持つ権利が認められない、そういうことでよろしいでしょうか。

坂本国務大臣 はい、そのとおりであります。

山口(壯)委員 リース方式ということでも、前に前に進めるということで、確かに、若い人が農業生産法人に、あるいは農業生産法人以外に、一般的な企業、そこが農業をする際に、そこに勤めることによっていろいろなことを学び、その意味で育成される、そういう面も今見ていただいているわけだから、それはそれでよしとするんですけれども。

 ちなみに、どうして、いわゆる一般的な企業、そこに依然としてそういう制限というものが課されているのか。いろいろな意見があることを承知で伺わせていただきたいんですけれども、いかがでしょうか。

村井政府参考人 お答え申し上げます。

 企業の農地所有につきましては、従来から、農業からの撤退、あるいは農地転用、地域との調和等の観点から、農業現場において懸念が存在をしていたという経緯がございます。

 そういったことで、現在、農地法におきまして、法人による農地の所有につきましては、農地所有適格法人という形で様々な要件を課させていただいているということでございます。

 一方、先ほど大臣の方から答弁させていただきましたように、一般企業についても、リース方式であれば農地の利用権の取得ができるという制度になっているということでございます。

山口(壯)委員 一般法人による農地所有をめぐっていろいろな問題があるとすれば、では、リースという形ででも農地の集積というアプローチが今全国的に確かにそこは定着しつつあるかもしれません。その意味では、今、賃借あるいはリースによる農地利用の問題点、それを洗い出して除去する、それも一つかもしれません。どういう問題点が今ありますか。

村井政府参考人 お答え申し上げます。

 リース方式による企業の農地利用につきましては、賃借期間が短く設備投資をしづらいといった声がございました。ただ、地域を限定しないリース方式の全面解禁を行った平成二十一年の農地法改正の際に、借入期間を従来の二十年以内から五十年以内に延ばしたところでございます。これによって、企業が必要な投資を行いつつ、リースでの参入が可能になったと我々も考えております。

 現在の参入法人数でございますけれども、平成二十一年、改正前の五倍のペースで増加をしております。令和四年一月時点で約四千法人がリース方式で参入をしているところでございます。

山口(壯)委員 いろいろな問題点というのを聞くわけですけれども、例えば、業績が振るわなければあっという間に逃げ出してしまうんじゃないのかと、いろいろな危惧を聞きます。

 一つの考え方としては、あらかじめ供託金をもらって、万が一、夜逃げしたらその供託金を使って原状復帰する、いろいろなやり方があると思うんですね。そういう意味では、今、リース方式ということで、更にそれを充実させるということをやるとしても、将来に向けては更にいろいろな可能性について検討していただきたいと思います。

 気力あふれる若い生産者が耕地面積を拡大したいと思っても、なかなか農地の入手が極めて困難というようなことが今まで言われたわけですけれども、現状はどうでしょうか。あるいは、今回の基本法の改正でこの辺のこともカバーされるんでしょうか。

坂本国務大臣 委員おっしゃるように、高齢化それから人口減少が本格化する中にありましては、意欲ある担い手へ農地を集積し、農業基盤を維持していくことが必要であります。

 そのために、平成二十六年に農地中間管理機構、いわゆる農地バンクを創設をいたしました。農地バンクが借り入れて、まとまった形で転貸する取組というものを推進してきましたし、現在も推進をしております。

 さらに、昨年、令和五年に実施いたしました改正農業経営基盤強化促進法によりまして、地域の話合いによりまして、おおむね十年、十年先の農地利用の姿を示す地域計画を策定することにしました。そして、農地バンクの活用によりまして、地域計画に位置づけられた受け手に対して農地の集積、集約化を進めていくことといたしております。その中に、委員言われるところの意欲のある若い農家の皆さんたちを地域計画の中にしっかり位置づけていきたい、いかなければいけないというふうに思っております。

 現在、SNSも活用して若手農業者が地域計画の協議に参加することを促しつつ、やる気のある若手農業者が使い勝手のよい形で農地利用できるよう取り組んでいるところでございます。

 今回の基本法におきましても、農地の確保及び有効利用の施策として、新たに、農地をまとめて使い勝手をよくする農地の集団化を位置づけることとしております。

山口(壯)委員 前に前に進んでいただいているというところだと思います。

 農地を最大限有効活用できるという意味では、本当は、更に私は抜本的な農地関連法制あるいは農地制度の改革というものにいずれは取り組むべきではないかと思います。質問通告していましたけれども、この部分は飛ばさせてください。

 では、今、農地バンクということも出てきました。農地について、先ほど私は耕作放棄地とかいろいろなことを言ったわけですけれども、誰がどこにどれだけの農地を所有しているのか、あるいはその農地が耕作されているのか、あるいは耕作放棄地になってしまったのか、あるいは一時的な不作付地なのか。こうした農地情報というものをそれぞれの農業委員会とかで把握しているということかもしれませんけれども、全国見渡して一元管理している、そういう組織というのはあるんでしょうか。

村井政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員から御指摘があった点で申しますと、基本的には、やはり市町村ごとの農業委員会がまずは情報を管理をする主体になっているということでございます。

 農業委員会は、農地法に基づき、農地一筆ごとの所有者や耕作者の状況、遊休農地か否かの状況などを記載した農地台帳を作成することになっております。この農地台帳によりまして、農地に関する情報を一元的に管理をするということでございます。

 農地台帳は、毎年一回以上、固定資産課税台帳及び住民基本台帳との照合を行って、その記録の正確性を確保することとしております。

山口(壯)委員 それぞれのところでやっているけれども全体としては見れていない、そういうことだと思うんです。

 本当は、農地情報をデータベース化して誰でもそこにアクセスできる、そういう仕組みによって更に第三者機関を創設して、借りたい貸したい、あるいは双方のマッチングができればいいなと。先ほどの農地バンクという話で少しそっちの方向には行っているんでしょうけれども、是非、農地の最大限の有効活用ということを実現する、そして、今回の基本法の改正がそれに向けての大きな契機となる、そういうふうにあってほしいと思います。

 ちなみに、農地情報のデータベース化というのは、農地利用の監視システム的な要素も十分機能すると思うので、昔の耕作者主義であれば、逆に見れば、耕作していないのであれば所有すべからずというところにも本来はつながっていくんですね。だから、耕作放棄地というものが、本来だったら生まれないはずのものが生まれてしまっている。そういうことで、どういうふうに把握するかというところも大事だということで申し上げました。

 ちなみに、強い農業を実現するためには、農業政策で人を育成するということが極めて大事だと思うんですけれども、担い手の育成政策について、今回の基本法の改正ではどのような具体策を考えておられますか。

坂本国務大臣 現行基本法に基づきまして、担い手が農業生産の相当部分を担う望ましい農業構造の確立に向け、担い手の育成、確保を図ってきた結果、多くの品目でそうした農業構造を実現したというふうに考えております。

 現在、担い手というのは、個人に限らず法人もそうでありますけれども、認定農家数二十二万、そのうち法人が二万七千法人でございます。

 今後、人口減少に伴いまして担い手の数も減少が見込まれることもありますので、担い手の育成、確保が必要であるとの現行基本法の考え方に変わりはありません。

 このため、今後も、担い手が主体性と創意工夫を発揮した経営を発揮できるよう、経営所得安定対策、それから収入保険、そして出資や融資、税制などを通じた重点的な支援を行ってまいりたいと思います。

 加えて、農地の集積、集約化、あるいは農業生産基盤の整備なども含め、そして経営管理能力の向上と法人の経営基盤強化を総合的に進めることで、担い手の育成、確保を今後も取り組んでまいりたいというふうに思っております。

山口(壯)委員 法人型の農業経営というものが新規参入者のインキュベーターとしても機能している。その意味で、是非、法人、あるいは、場合によってはそれを超えて、企業の参入も含めて、いろいろと担い手育成効果もある手だてを取っていただきたいと思います。

 農業というのが、今までの一般的な感覚では国内産業中の国内産業というふうに思われていたかもしれませんけれども、今、その環境というのは激変していると思います。一つの例は、ウクライナで戦争があったら、小麦が値が上がって食料の価格が上がってしまっている。その意味で非常に、我々にとって農業というものが、どちらかというと国内、ドメスティックというわけでは必ずしもなくなっているというふうに思います。

 その意味で、先ほどの担い手育成の中でも、世界の可能性、あるいはその可能性を取り込むことのできる、そういうグローバルなセンスあふれる経営者というものを農業の世界にどれだけつくれるか、そういうことも大事なんだと思います。

 農業について、TPPというのもあります。今アメリカが抜けているとはいえ、RCEPはできたし、場合によっては、将来的には、環太平洋があったら環日本海もあっていいんじゃないのかというふうに私的には思っているんですけれども、ただ、ロシアも戦争しているし、北朝鮮もあるし、中国も大変だしということで、今のところ、それは一つの理論的な話ですけれども。

 将来、TPPにアメリカを戻して、トランプになったらなかなか難しいかもしれません、だけれども、TPPあるいはASEAN、RCEP、あるいは環日本海経済連携、そういうことを全部含めると、一つの大きな連携が可能になると思うんですね。平和というものは非常に、つなぐことによって可能になりますから、それも一つの意味だと思うんですけれども。

 ちなみに、TPPのときなど、特に農水省はむしろ非常に慎重だったと思うんです。でも、むしろそれを活用していくくらい、そして農産物輸出というところを念頭に置きながら、TPPとか経済連携に前向きに、あるいは貪欲に向かってもいいんじゃないかと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

坂本国務大臣 委員おっしゃいますように、CPTPP、あるいは日・EU・EPA等を活用して輸出を増大させた事例がございます。

 個別品目で申し上げれば、例えば、CPTPP協定におきまして、ベトナムへの冷凍サバ輸出で一八%の関税がかけられていたわけですけれども、これを即時撤廃を獲得し、その後二〇一八年から二〇二二年にかけて輸出額を二倍近く増加させました。また、日・EU・EPA協定におきましては、EUへの牛肉輸出で一二%プラス、キロ当たり約三ユーロの関税がかかっていたわけですけれども、これも即時撤廃を獲得いたしまして、二〇一八年から二〇二二年にかけて輸出額を四倍近く増加をさせました。

 これらの関税撤廃などCPTPP協定等のメリットを広く事業者に利用してもらうため、農林水産省では、説明会の開催や農林水産省ホームページでの情報掲載を通じて事業者向けに情報発信を行ってきているところです。

 引き続き、これらの取組を通じて輸出拡大を図ってまいりたいというふうに思っております。

山口(壯)委員 さっき食料自給率が減っているという話の中で、米の我々の消費量というものが半分くらいに落っこちている、これを、例えば米を輸出することによれば、自給率というのも上がるわけですね。そういう意味では、米の輸出というものも一つのポイントだと思います。今増えているとは思うんですけれども、全体のいわゆる額からしたら、ごく僅かでしょう。でも、どこまで増えていますか。

平形政府参考人 お答えいたします。

 輸出拡大実行戦略において、米、パック御飯、米粉、米粉製品という形なんですが、二〇二五年の輸出額目標を百二十五億円と置いて、二〇二三年の輸出実績は百五億円、そのうち米の粒については九十四億円なんですが、これは四年前の二倍以上になっております。

山口(壯)委員 二〇二三年で三・七万トン輸出しているという数字も教えていただきました。その中で、全体の収穫量というのは七百十六万トンだから、まだある意味でごく微々たるものだという気がします。どんどん頑張っていただきたいと思います。

 残り時間僅かの中で、本当はEUの補助金がしっかり出ている中で、日本もそういうものを、WTOの規制をかいくぐりながらでもしっかりやっていく、そういうことが日本の農業に大事だということも言わんとしたんですけれども、そこは省いて、最後に林業について。

 いわゆる森林・林業政策について、いろいろ書かれていました。でも、間伐ということがよく言われるんですね。間伐というものについても人手が要る、なかなかそれが進んでいない。私の地元で神河町というところがあって、昔は神崎町というところが大河内町と一緒になって神河町なんですけれども、神崎町の森林組合の掲示板にこういうのがありました。きっと来る追い風、待つだけでは来ない、間伐、枝打ちに汗を流そう。林業の人たちの気持ちがよく出ていると思うんですね。私、自転車で一軒一軒回りながら、それを見たときに涙が出てきましたよ。

 その意味で、林業に対して、間伐についての補助を充実させるべきではないかと思います。二〇二四年度から森林環境税が徴収される。既に間伐について先に出しているとは思いますけれども、そこの部分、間伐に対する補助を充実させるべきではないかということに対して、いかがでしょうか。

坂本国務大臣 間伐等にかかる経費の約七割を今補助しております。令和六年度の予算におきましても、森林整備事業として千二百五十四億円を用意したところであります。

 現在、年間の林業への新規参入者が三千人いらっしゃいます。その中で、緑の雇用として、三年間、百三十七万円を用意して、そして新規就林の獲得を図っていますけれども、そういう方々が七百人から八百人おります。定着率が七割から八割でございます。

 これからも、間伐等の補助金を充実させながら、こういう新規の林業への従事者を増やしてまいりたいというふうに思っております。

山口(壯)委員 今回の基本法改正を契機に、補助金の次元も是非欧米並みにアップしながら、日本の農業を強い農業に生まれ変わらせる。国内自給率にきゅうきゅうとする次元を超えて、世界に冠たる国際競争力を持った一大産業に農業を育てるということも私は夢ではないと思います。是非頑張っていただくようによろしくお願いします。

 終わります。

野中委員長 次に、角田秀穂君。

角田委員 公明党の角田秀穂でございます。

 今日は、質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 初めに、被災地の復旧復興、被災者のなりわい再建について質問いたします。

 能登半島地震の農林水産関係の被害が徐々に明らかになってきたことに対して、地盤隆起によって被災をした漁港の直轄代行を始め、施設の復旧等のため当面必要となる経費が今月初めに措置をされたところですが、まだ被害の把握は一部にとどまっており、一日も早い復旧復興のために、被害状況の早期把握と手続の簡素化も含めた迅速な支援が望まれます。

 道路の寸断等で人が入れない地域等ではドローンなども活用して調査を進めているとのことですが、現時点で被害状況の把握はどの程度進んでいるのか、進捗状況と今後の取組について伺いたいと思います。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 農林水産関係の被害状況につきましては、現時点で調査中でございますけれども、三月十二日現在の状況としまして、六県からの被害の報告がございます。まず、農地や水路、ため池などで四千三百五十か所以上、山林災害や林道、木材加工施設で四百五十か所以上、漁船の転覆等で二百九十一隻以上、あるいは漁港で七十三漁港以上などで被害の報告を受けております。

 現在、例えば稲作の営農再開に当たりましては、五月からの田植期に向けまして、作付が可能なところではできるだけ営農が再開できるよう、被災自治体や関係団体と連携して、農地でございますとか水路の被害状況の把握、あるいは応急復旧に取り組んでいるところでございます。

 また、石川県の漁港等の復旧につきましても、直轄調査を開始しておりますほか、狼煙漁港などにおきましては、直轄代行により国が工事を行うこととしております。

 農林水産省としましては、引き続き、被災自治体と連携し、復旧に努めてまいりたいと考えております。

角田委員 農業者にとって、これから水稲などの作付の時期が迫っております。被災者のなりわいの支援のため、施設等の復旧に対する補助率のかさ上げや、農業用機械、ハウス等の再建支援のほかに、営農再開に向けた融資や、種子、種苗の確保、資材導入に対する支援など、各種のメニューが用意をされておりますが、これら支援メニューを必要とする人が活用して早期になりわいを再建してもらうこと、そのための関係する方々への周知と相談窓口など利用しやすい環境整備が重要と考えます。

 上下水道などインフラの復旧が進みつつある一方で、いまだ避難生活を余儀なくされている方も多い状況がある中で、支援メニューを活用してもらうための周知、窓口開設、手続の支援に国も積極的に取り組んでいただきたいと考えますが、この点について、大臣の見解を伺いたいと思います。

坂本国務大臣 農林水産省では、一月二十五日に支援パッケージを決定をいたしました。そして、直ちに生産現場での周知活動に入りました。さらには、政府広報を活用して、新聞で広報をいたしました。そして、事業の申請受付を開始をいたしているところであります。

 また、国と県で合同チームをつくりまして、二月の十九日から、石川県内の合計二十八か所の会場で説明会を開催をしました。このように、市町村や生産現場の末端までの周知活動を現在行っているところであります。

 加えて、JAのと本店等を含む石川県内六か所で、石川県やJAと連携をいたしまして、農林水産省職員も常駐した相談窓口を設置をいたしました。農林漁業者の個別の相談を受けながら事業申請の手続もお手伝いするという伴走支援を行っております。これまで五百二十八件の相談を承っております。

 今後も、農林水産業者の皆さんに寄り添いながら、一日でも早いなりわい再建のために全力を尽くしてまいります。

角田委員 被災された方々の不安に寄り添った対応を国としてもしっかりとお願いしたいと思います。

 その上で、次の質問に移らせていただきます。

 食料や肥料、飼料の多くを輸入に依存する体質は、基本法制定当時から今日まで変わっておりません。一方で、食料、生産資材の高騰、気候変動による食料生産の不安定化が進み、安価かつ安定的な食料輸入の確保が困難になってきていることに対して、食料供給の安定確保のために主要作物や肥料、飼料の国産化を進めることは当然取り組まねばなりませんが、今後も食料、生産資材の多くを海外からの輸入に頼らざるを得ないという体質は変わらないと思います。

 将来にわたって食料の安定供給を確保するためには、リスク分散として、可能な限りの調達先の多角化とともに、農業分野での国際協力、これにも更に力を注ぐ必要があると考えております。

 気候変動の影響による干ばつあるいは集中豪雨などの被害が世界中で頻発するようになっていることに対して、日本のかんがい排水技術や温室効果ガス排出抑制型の栽培技術など、アジア地域を始めとする海外の食料生産性の向上など食料システムの強化に貢献することは、日本の食料安全保障の観点からも極めて重要なことだと考えます。

 世界及び日本の食料安全保障に向けた農業分野での今後の国際協力の推進について、考えを伺いたいと思います。

水野政府参考人 お答えいたします。

 ウクライナ情勢の長期化や気候変動に伴う異常気象などを背景に、食料安全保障の確保が我が国及び世界で大きな課題となっております。

 こうした状況を踏まえて、我が国の農林水産分野における国際協力といたしましては、例えば、日ASEANみどり協力プランに基づき、持続可能な農業に必要な我が国のイノベーション技術の普及、活用を図るほか、国際機関と連携して、アフリカ諸国における学校給食向けの地元農業生産を支援するなどの取組を実施しているところでございます。

 これらの国際協力を通じて、我が国の技術を世界的に利用、拡大させることにより、農業生産の競争力の向上を図るほか、持続可能な農業生産をグローバルサウスへ更に拡大させることにより、我が国及び世界の食料供給の安定化につなげることを目指してまいります。

角田委員 次に、都市農業について質問させていただきたいと思います。

 都市の市街化区域内の農地は、かつては宅地にすべきものとして農業振興施策の光が当てられることはなかったわけですけれども、これが、二〇一五年、平成二十七年に制定された都市農業振興基本法によって、農地としてあるべきものとして光が当てられ、大きく方向が転換をされました。

 こうした都市農業の方向転換の背景として、身近な畑で取れた、生産者の顔が見える野菜であるとか果物に対するニーズの高まり、農業体験を通じたコミュニケーションの活発化など、都市農業の価値を見直す機運の高まりがあったわけですが、農業の担い手不足が叫ばれる今、都市住民の身近なところで農業との接点を提供し、農業に魅力を感じてもらう場としての都市農業の重要性はますます高まっていると考えます。

 加えて、防災の面からも、都市の農地は貴重な役割を果たしています。国土交通省が、密集市街地のうち、延焼危険性や避難困難性が特に高く、地震時等に最低限の安全性が確保されていない、著しく危険な密集市街地として、全国約六千ヘクタールについて、令和十二年度までにおおむね解消することを目指して、道路の整備や、公園や空地の確保を進めるとしていますが、地震時等に危険な密集市街地はこの六千ヘクタールに限った話ではありません。

 能登半島地震でも、輪島市の朝市通りで火災が発生し、五ヘクタール以上の広い範囲が焼失をいたしましたが、輪島市のみならず石川県には、こうした著しく危険な密集市街地というものはそもそも指定をされておりませんでした。

 危険密集市街地解消の方策として、地区内の公園や広い幅員の道路整備などによって不燃領域の割合が四〇%以上になると火災で燃え広がる面積が大幅に抑制されることから、危険密集地の解消もここを目指して進められているわけですが、公園整備や道路拡幅によって新たな空地を確保する取組もこれはこれで重要ですが、元々その地区にある空地、しかも、地域住民のニーズに応え、地域住民とのコミュニケーションを通じた農業に対する理解増進など重要な役割を担っている都市農業、これを守るための施策を更に充実していく必要があると考えますが、この点について見解を伺いたいと思います。

長井政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、都市農業は、都市住民の身近に存在する農業として、食料生産のみならず、農業体験や交流の場の提供、災害時の避難場所の提供等の多様な機能を有しており、都市住民の農業に対する理解の醸成を図る上で大変重要であると認識しております。

 このため、農林水産省といたしましても、こうした都市農業の有する多様な機能が十分に発揮されるよう、都市農業に関する情報発信のほか、地域での農業体験や防災協力農地の導入といった防災機能の強化等の取組を支援するなど、今後とも都市農業を守るために必要な施策を講じてまいります。

角田委員 次の質問は、食育について少し伺いたいと思います。

 現在、カロリーベースでの食料自給率は三八%、これが、一九八〇年は五三%、一九六五年は七〇%以上でした。明らかに食料自給率は低下をしているわけですが、ただ、栄養のバランスが取れていない食生活、こうした食生活をベースに、摂取カロリーを国内で賄えているのか、食料自給率が低いあるいは高めろといった議論にいささかの違和感を覚えておりますので、この点について少し質問させていただきたいと思います。

 栄養バランスを測る指標であるPFCバランス、食事から得られるエネルギー量に占めるたんぱく質、脂質、炭水化物という三大栄養素ごとの割合で見ると、一九八〇年頃の食生活が最も理想的なPFCバランスが保たれていたと言われています。

 ちなみに、農業構造の変化もあり、そのまま現在に当てはめることはできませんけれども、この頃の食料自給率はカロリーベースで五〇%を超えていたわけです。更に遡って、一九六五年頃の食料自給率は七〇%を超えていたと言いましたけれども、栄養のバランスで見ますと、炭水化物が過剰、極端な脂質不足、その上での自給率七〇%以上であったわけです。

 一九八〇年以降、この日本型食生活は、御飯の摂取量が減り、肉や油脂を多く取る欧米型の食生活に大きく変化をし、今は炭水化物不足、脂質過剰の食生活となっております。この食生活の変化は、男性ではメタボリックシンドロームの増加、また、若い女性の低体重の増加といった健康問題を現在招いています。

 元々、三食何を食べるかはあくまでもその人の自由ですが、食生活の栄養バランスが偏っている今、自身の健康のために食生活を考えてもらう働きかけの必要性も高まっていると考えます。

 この意味からも、食育への取組を更に推進すべきと考えます。現在及び将来にわたる健康で文化的な国民の生活と豊かで活力ある社会の実現に寄与するとの食育基本法の目的達成のため、現在、第四次の食育推進基本計画の推進が図られようとしておりますが、この中で、若い世代の朝食の欠食の減少、栄養バランスに配慮した食生活の実践の増加についても、目標値を設定して取組を進めておりますが、例えば、若い世代の朝食の欠食も低下していないなど、余り改善が見られておりません。

 食育について一層の取組が必要と考えますが、この点について見解を伺いたいと思います。

安岡政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、食生活が大きく変化する中で国民が健全な食生活を実践できるようにするため、食育が改めて重要になっているところでございます。

 農林水産省では、第四次の食育推進基本計画に基づいて、関係省庁と連携して、家庭、学校、職場、地域など、生活の様々な場面での食育というのを推進しているところでございます。

 具体的には、子供の基本的な生活環境づくりに向けた「早寝早起き朝ごはん」国民運動の展開、さらには、栄養バランスに配慮した食生活の推進などに取り組む、食育の優良事例の表彰、そして、日本型食生活の実践など、地域の関係者が連携して取り組む食育活動への支援などを行っているところでございます。

 一方で、今現在、第四次の計画に基づく取組状況のフォローアップを行っているところなんですが、委員御指摘のとおりで、若者中心に朝食を欠食する国民がかえって増えているということであったり、栄養バランスに配慮した食生活を実践する国民の割合が伸び悩んでいるといった課題が明らかになっております。

 今後、こうした課題の検討を更に進めることとしておりまして、例えば、子供や若者、中高年など、世代ごとで食に関する課題は異なりますので、世代に応じたアプローチを考える。さらには、学校を離れた、今度は大人に対して食育を進めるということで、地域や民間主体との連携、協働を検討するなどにより、食育の一層の推進を図ってまいりたいと考えております。

角田委員 是非、フォローアップ、また、そうした中で見つけた課題について具体的にどうすれば進められるのか、そこを真剣に考えて、更に力を注いで、この食育について進めていただきたいと要望させていただきます。

 それからもう一点、食料の六割以上を海外の輸入に頼る現状に対して積極的に進めていかなければいけない課題として、食品ロスの削減についても伺いたいと思います。

 まだ食べられるのに捨てられてしまう食品ロスは、令和三年度の推計値で五百二十三万トン、これは前年度比で一万トン増加という結果となっております。このうち、食品関連事業者から発生する事業系食品ロスが二百七十九万トンで、前年度に比べて四万トンの増加となっております。

 こうした食品ロスの削減のための取組も是非積極的に推進しなければいけないと考えますけれども、今後の取組について伺いたいと思います。

宮浦政府参考人 お答えいたします。

 食品ロスの削減につきましては、家庭系と事業系を合わせまして、二〇〇〇年度に九百八十万トンございました。二〇三〇年度までに半減するということを目標に掲げて今取組を進めているところでございます。

 これまで、直近の二〇二一年度で食品関連事業者から発生いたします事業系の食品ロスが、議員御指摘のとおり二百七十九万トンでございまして、二〇三〇年度目標の二百七十三万トンまで近づいてはきているところでありますが、更に削減を進めるという観点から、まずは発生を抑制する、それから、その一環として未利用食品の有効利用を図るという観点で取組を進めております。

 具体的には、民間事業者ですとか消費者、行政で構成いたします食品廃棄物等の発生抑制に向けた取組の情報連絡会というものを昨年十月に設置いたしまして、三分の一ルールなどの商慣習の見直しを官民共同で進めているところでございますし、また、未利用食品につきましては、フードバンクなどに円滑に提供されますように、衛生管理などの専門家をフードバンクなどに派遣するような支援を行っているところでございます。

角田委員 二〇三〇年の半減目標を目前にして、今、足踏みの状況を打開するために、食品ロス削減についても更に積極的な取組を要望させていただきまして、時間となりましたので、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

野中委員長 次に、金子恵美君。

金子(恵)委員 立憲民主党の金子恵美でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 冒頭、能登半島地震でお亡くなりになりました皆様方に哀悼の意を表しますとともに、今なお大変厳しい状況にあります全ての被災した皆様方に心からお見舞いを申し上げます。

 現在、避難生活をされている皆様も多くいらっしゃって、まずは、命と生活を守る、生活再建が最も重要な課題だというふうに認識をしておりますけれども、一方で、愛するふるさととともに農業、漁業、林業を守ってきた方々が心折れることのないようにしっかりとお支えすることが重要かというふうに思っております。

 先ほど既に現場での対応等については御答弁があったというふうに認識しておりますし、この後、私たちの仲間であります近藤和也議員からも多々質問があるというふうに思いますので、ここでは、大臣の思いと、そしてまた御決意をお伺いしたいと思います。

坂本国務大臣 私自身、一月二十一日と二月四日、二回現地を訪れました。

 二十一日は、陸路が閉鎖されておりましたので、ヘリから能登半島を時計回りに一周回りました。非常に、漁港、林地、それから棚田も含めて、大変な被害というものを目の当たりにいたしました。

 二月には、漁業者そして林業者の皆さん方、農業者の皆さん方とそれぞれ意見交換をしました。悲痛な思いで、とにかくなりわいの再建をさせていただきたいというような意見があちこち出ました。

 そういうことで、先ほど言いましたように、まずはパッケージをつくりまして、それに対する相談窓口を今継続させているところでございますけれども、やはり、短期のものと中長期のものに分けて、短期のものについてはできるだけ速やかになりわいが再開できる、再建できる、そういうことでしっかりとやってまいりたいと思いますし、長期のものにつきましては、県や市町村としっかり連携を取りながら、これからの能登半島の一次産業のために全力を尽くしてまいりたいと思っております。

金子(恵)委員 ありがとうございます。全力を尽くしていただくわけです。

 私は、東日本大震災原発事故を経験している福島県の人間です。そして、今もなお大変厳しい状況にある一次産業を何とか支えなくてはいけないというふうにも思っておりますし、今大臣おっしゃっていただきましたように、短期でできるもの、そして中長期的な対応が必要となっているものがあるというふうにも思います。

 どうかどうか、東日本大震災原発事故からの教訓もあるというふうに思いますので、しっかりと能登半島地震の被災地の第一次産業を支えていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 そして、私、三・一一、三月十一日は、福島県主催の東日本大震災追悼復興祈念式に参列させていただきました。東日本大震災原発事故から十三年となります。まだ原発事故の影響を大きく受けておりまして、帰還困難区域が残っています。解除に向けて取組はなされておりますけれども、課題は多い状況です。

 こういう中で、農業の再生はなかなか進みません。やはり、先ほども申し上げました、本当に、農業者の方々が心折れることなく、いつかは福島県の農業をしっかりと再生できるんだ、特に双葉地方でありますけれども、双葉地方の農業を再生できるんだということで、継続した形で、しかも柔軟性を持ってしっかりとお支えいただきたいというふうに思うんです。

 今、例えば、帰還困難区域の営農再開には大変遅れがあるというお話をさせていただきましたけれども、福島県の七市町村の計三百三十七平方キロのうち、これは帰還困難区域があったその七市町村の件でございますけれども、復興拠点に指定されて避難指示が解除されたのはたったの八%となっておりまして、六町村、二十七平方キロということでございます。

 震災前の年の農水省の農林業センサスによると、浪江町、双葉町、大熊町、富岡町、飯舘村、葛尾村の六町村の経営耕地面積は計七千二百八十五ヘクタールであったわけでありますけれども、原発事故に伴う避難指示で営農が先ほど来申し上げましたようにできなくなって、そして、現在までに解除された地域でも営農再開面積は計千七百二十五ヘクタールということでありまして、震災前の二四%にとどまるということです。厳しいです。

 本当に営農再開はできるのかも含めまして、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

坂本国務大臣 おととい、東日本大震災から十三年目を迎えました。まだまだこれから努力しなければならないことがいっぱいあるというふうに思います。

 とりわけ、福島県の、今委員言われました原子力被災十二市町村におきましては、営農を休止した農地が一万七千ヘクタールありました。令和五年三月現在で八千ヘクタール、四六%で営農が再開されたところでございますけれども、一方で、営農再開状況には地域差がありまして、双葉郡の浪江町や富岡町など避難指示解除が遅かった地域はまだ二〇%台でございます。これから営農再開に向けた取組を更に本格化させなければならないというふうに思っております。

 このため、農林水産省では、営農再開に向けた農地の集積、集約化を進めます。そして、広域的に生産と加工が一体となった高付加価値型の産地形成を展開してまいりたいというふうに思います。そして、福島国際研究教育機構、いわゆるF―REIにおける超省力、高付加価値で持続性の高い新たな生産システムの実証研究の推進等の取組を行ってまいりたいというふうに思います。

 引き続き、営農再開に向けて力強く後押しをしてまいります。

金子(恵)委員 ありがとうございます。

 私は今、質問の中では、特に六町村、帰還困難区域がある部分で御質問をさせていただいたんですけれども、今、全体として十二市町村、原発の事故によっての避難指示があったところ全てについても触れていただきました。

 その中で、もう既に避難指示が解除されている地域においても、例えば南相馬市というところでは、福島県営農再開支援事業の保全管理事業等をしっかりとこれからも継続していただきたいというような要望も、個別にはあります。

 これは結局、打ち切るという方向が令和六年度そして令和七年度と来まして、そういう方向性が見えてしまっているということもあり、先ほども申し上げましたように、担い手が見つからなければ打ち切りますということですけれども、今、現状、避難指示が解除されたからといって人が戻るのかというとそうでもないですし、そうでなくても農業というのは全国的にも厳しい状況ではありますけれども、その中で特に、一度原発事故を経験し、そして避難指示があった地域においては、大変担い手を見つけるということは難しい。だからこそ、やはり柔軟性を持ってしっかりと対応していただきたいということを申し上げさせていただきたいと思いますが、大臣、一言お願いします。

坂本国務大臣 先ほど言いましたけれども、営農再開に向けて全力で努力をしてまいりたいというふうに思います。

金子(恵)委員 中長期的に是非よろしくお願いしたいと思います。ありがとうございます。

 もう一つ、原発事故の関係ではありますけれども、原発事故及びALPS処理水の海洋放出に伴う諸外国・地域の食品等の輸入規制についてお伺いしたいというふうに思います。

 十三年が過ぎても、日本産食品は中国や韓国など七か国・地域が輸入規制を続けているという状況です。特に、昨年のALPS処理水の海洋放出に反発する中国は、日本産水産物の輸入を全面的に停止したわけでありますけれども、この規制撤廃、政府は懸命に働きかけをしながら様々な交渉をしてくださっていると思いますが、ただ、難航している。いまだに本当に厳しい状況にあります。

 ALPS処理水の海洋放出、昨年八月二十四日に始まりまして、ちょうど半年ぐらい過ぎたときに、共同通信が、全漁連に加わる都道府県レベルの四十二漁連、漁協にアンケート調査をしたところ、実際に風評被害があった、あるいはどちらかといえばあったと答えたところは八割を超えました。そしてまた、実際に今の政府、東電の対策の評価について言うと、不十分あるいはどちらかといえば不十分と答えたところが六割あったというふうな、そういうアンケート調査もあります。

 ちょっと雑駁な御説明で大変恐縮ではありますけれども、ただ、まだまだ不安が残っているという状況でありますので、このことについてどのような対応をしていくのか、お聞かせいただきたいと思います。大臣、お願いします。

武村副大臣 お答え申し上げます。

 原発事故に伴う輸入規制につきましては、四十八の国、地域で既に撤廃をしていますが、いまだに七の国、地域が維持をしています。委員御指摘のとおり、このうち中国及びロシアは、昨年八月のALPS処理水の海洋放出に伴い、更に日本産水産物を輸入停止をし、香港及びマカオは、十都県からの水産物を輸入停止をいたしました。

 これらの科学的根拠に基づかない輸入規制に関しては、引き続き、政府が一丸となって、輸入規制の即時撤廃を強く働きかけてまいります。

 水産業への支援策につきましては、総額一千七億円の「水産業を守る」政策パッケージ及び八十九億円の補正予算におきまして、国内消費の拡大や輸出先の転換、多角化、国内加工体制の強化等の支援策を講じているところでありまして、引き続き、現場の情報収集、把握に努めながら、対策の実施に万全を尽くしてまいりたいと考えております。

金子(恵)委員 大臣の御意見も伺いたかったのですけれども、今、武村副大臣におっしゃっていただきましたが、例えば一千七億円の水産業への支援策ということもおっしゃっていただきましたけれども、このことについてのアンケート調査では、先ほど申し上げましたように、どちらかといえばも含めて不十分と答えた方々、漁連、漁協関係者が六割いたということでありますので、まだ届いていないのか、それとも仕組みに問題があるのかということも含めてお考えをいただきたい、しっかりと御検討をいただきたい、現場の声を更にしっかりと聞いていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

武村副大臣 おっしゃいますように、現場の御意見をしっかり聞きながら、情報収集に努めながら万全を尽くしていきたいというふうに思いますし、この一千七億円のパッケージ、これの執行を着実にしていきたいというふうに思います。

金子(恵)委員 是非お願いいたします。

 農水省は、二〇二三年、農林水産物・食品の輸出額は一兆四千五百四十七億円で、十一年連続で過去最高を更新したということで、これは喜ばしい数字だと思います。うち中国は二千三百七十六億円と首位で、全体の二割近くを占めていた。ただ、水産物の輸入停止により冷凍ホタテなどが落ち込んで、全体の成長も鈍化しているという現状であります。ですから、先行き不透明ということです。でも、二〇三〇年までに輸出額を五兆円に引き上げる目標を掲げているわけですから、達成に向けた新たな輸出先の開拓も必要になってくると思います。

 一方で、実は処理水について、汚染水について言えば、昨年十月もALPS処理水に関連する作業の中で事故があったり、そしてまた、今年も二月になってから汚染水の漏えい問題というのが発生したりということで、その都度中国は本当に厳しい批判をしてくるという状況もありまして、もう中国ではない、ほかの国に対しての、輸出先の開拓というのはしっかりやっていくということだと思うんですが、一言何かありますか。

坂本国務大臣 まず、先ほどの質問の福島の漁業の問題ですけれども、これは私、先日、福島に行きまして、県漁連の会長その他とお話をしました。なりわい再生プラス、やはり若い人たちが浜のなりわいをどう活性化させるかというようなことで、御要望もいただきました。しっかりそれに取り組んでまいりたいというふうに思います。

 輸出に対しましては、今、中国がそういう状況でもありますので、新たな輸出先、ベトナムそれからアメリカ、こういったところ、東南アジアそしてアメリカ、こういったところに非常に多角化するということで取り組んでいるところでございます。早速、台湾やベトナムとのホタテ等につきましては効果が出ておりまして、倍増あるいは五倍増というようなことが出ております。こういう努力を今後も全世界に向けてやってまいりたいというふうに思っております。

金子(恵)委員 ありがとうございます。是非よろしくお願いいたします。

 それでは、次に参りますけれども、食料・農業・農村基本法改正についてであります。

 特に、今回、食料安全保障という言い方で、基本理念の食料安全供給の確保が食料安全保障の確保に改められたというところは、大変大きな部分だというふうにも思っております。大臣も、所信の中で、「農林水産省の最も重要な使命は、国民に食料を安定的に供給する、食料安全保障の確保です。」というふうにもおっしゃっておられます。

 そこで、食料安全保障の定義についてお伺いしたいというふうに思うんですが、改正案では、良質な食料が合理的な価格で安定的に供給され、かつ、国民一人一人がこれを入手できる状態をいうということです。

 審議会の答申では、国民一人一人が活動的かつ健康的な活動を行うために十分な食料を、将来にわたり入手可能な状態というふうにしていたり、それと、国連食糧農業機関では、全ての人が、いかなるときにも、活動的で健康的な生活に必要な食生活上のニーズと嗜好を満たすために、十分で安全かつ栄養ある食料を、物理的にも社会的にも経済的にも入手可能であるというふうにしています。

 今回の改正案はすごくシンプルだなと思うんですが、まずは、良質だけでいいのか。あるいは、良質の中には安全という意味が含まれているのか。そしてまた、量についてはどのように考えているのでしょうか。この中には、十分という言葉が消えてしまったことによって、量をどのように確保するかということが見えないというふうにも読めるのではないかというふうに思っています。

 それから、この中にあります合理的な価格でありますけれども、今まで、審議会の中でもそうですけれども、審議会答申の中でも、適正な価格形成というものが使われていました。もちろん、現行法の中でも合理的な価格というのはあるんですが、これで十分でない、もっと改正すべきだったのではないかという議論が今まであったのかなかったのかということと、適正な価格と合理的な価格の、その違いがあるのかどうか、お伺いしたいと思います。三点申し上げました。

舞立大臣政務官 世界の食料需給が不安定化し、我が国の食料安全保障上のリスクが高まる中で、平時から食料安全保障を確立することが重要と考えますし、国内では新たな問題として食品アクセス問題が顕在化しているなど、いろいろな理由から、背景から、今回、基本法の改正案を提出させていただいているところでございますが、先生御指摘の食料安全保障ということにつきまして、国連食糧農業機関、FAOの定義も参考に定義しているところでございます。

 FAOの食料安全保障の考え方としては、適切な品質の食料が十分に供給される供給面と、個人の食料の入手可能性、アクセス面に加えまして、安全で栄養価の高い食料を摂取できる利用面という考えも含みます。

 この点、改正案に位置づけました、良質な食料が安定的に供給されという定義の中に、十分な量に加えまして、安全かつ栄養価の高い食料の供給という考え方も含んでいるところでございます。

 また、合理的な価格の形成につきましては、食料の価格は需要と品質を反映して形成されることが基本であることはこれまでもこれからも変わらないところでございますが、国内外で資材費、人件費等の恒常的なコスト増が生じていることを踏まえまして、持続的な食料供給を確保するために、これらのコストを価格に反映する必要性が高まっていることから、本改正案におきまして、食料の持続的な供給に要する合理的な費用が考慮されるようにしなければならない旨を新たに規定させていただいたところでございます。

 その際、いろいろと議論があったと思いますけれども、合理的なと規定しているのは、食料の価格は、あくまで食料システムの各段階での価格交渉を経て決定されるものである中で、持続的な食料供給に要する各段階の費用について、食料システムの関係者が認識を共有し合意した上で決定される必要があることから、関係者の納得の得られる価格ということで、合理的な価格という用語を使用させていただいているところでございます。

金子(恵)委員 合理的な価格というのは、つまりは、関係者がみんな合意ができる、理解ができ得る、そういう価格であるということなんですけれども、一番大切な部分、まあ、どの段階も全て大切です、ですけれども、まずは生産者がしっかりと持続的に農業を経営できるかというところだというふうに思うんです。そこにしっかりと配慮した形での価格形成をすることが最も重要なことだというふうに思っているんです。そこが何となく曖昧になってしまっているのではないかということが、私はここが問題だと思っているんです。

 ただし、今のこの社会情勢の中で、価格を例えば上げていくということが難しい。実際には、今、農業者の方々というのは、生産資材が高騰している、でも販売価格はそのまま、そういうことであれば赤字ですから、本当に厳しい状況にある。もっともっと本当は販売価格も上げていきたい。ですけれども、恐らく食品産業の方々というのは、価格は、できるだけ原材料としては抑えたいということにもなっていく。ですから、ここは合意というのは難しい。

 消費者の方々も、生産者がどういう形で農業を、本当に大切に農産物を育てているかということの理解をもっともっと進めなければ、やはり安いものを買いたいということにもなっていくかもしれませんし、ここは本当に難しい話だというふうに思うんです。

 でも、何を守らなければいけないかというと、やはり生産者、農業者、農家だというふうに思うんですよ。だからこそ、私は、ここが曖昧になっていて本当に適正な価格の形成ということが十分に進んでいくかという疑問点というのを今持っていますけれども、これができないのであれば、やはり直接支払いのような形で生産者を支えていくということはとても私は重要なことだというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

舞立大臣政務官 適正な価格形成の議論については、フランスのエガリム法ですとか、いろいろな議論があったところ、日本といたしましても、昨年、生産から流通、加工、消費、小売、消費者等、関係者が一堂に集まって協議会という仕組みをつくって議論を開始したところでございまして、確かに、昨今の社会情勢、資材高等の情勢を踏まえまして、今回、食料の持続的な供給に要する合理的な費用が考慮されるようにしなければならない旨を新たに規定したところでございまして、関係者の理解、合意形成等にしっかりと努めてまいりたいと考えております。

金子(恵)委員 一部の品目を対象として、協議会は立ち上がり、議論をしたようですけれども、全体の話ではなかった。そして、今回も、日本版エガリム法、これは法案としては提出されていない。ということであれば、ここは、なかなかやはり適正価格というのは形成できないのではないかというようなことで、諦めが入っているのではないかというふうに私は思っているんです。

 だからこそ、もしそうであれば、しっかりと、まず、どこに私たちの大切な税金を持っていくかということの議論を真っ正面からすべきだというふうに思うんです。やはり、直接支払いじゃないんですか。持続可能な農業、守っていきたいというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

坂本国務大臣 持続可能な生産者に対する価格形成というのは大切だと思います。一方の方で、今、先ほど政務官が言われましたように、生産者あるいは流通、そして加工、小売、消費、そういう中でそれぞれの合理的な価格というのが決められるというふうに思っております。合理的な価格が必要であるというふうに思っております。

 持続可能なということにつきましては、私たちは、合理的な価格形成と同時に、所得安定対策、あるいはそれぞれの価格安定制度の基金、あるいはマルキン、そういった重層的な政策によって、農業者の、生産者の営みというのを持続させる、そういう方向で、これからも充実した政策にしてまいりたいというふうに思っております。

金子(恵)委員 また基本法についてはしっかりと審議をしていきたいというふうに思いますが、先ほど、良質の中には安全性ということも含まれるような、そのような御説明もあったかというふうに思いますが、でも、実際には、有機農業の推進に関する法律の基本理念には、安全かつ良質な農産物という文言が使用されているんです。ですから、安全と良質というのは別な概念という考え方もあるわけなので、ここは、少し違うのではないかと私は思っているので、もう少し丁寧な御説明をしていただかないと私たちも納得ができないわけです。

 実際に、食料・農業・農村基本法は、今回、SDGsに対しての関心も高まりまして、そして、先に、二〇二二年にはみどりの食料システム戦略の法制化がありまして、今回の改正に当たっても、環境という柱が入ってきました。

 私たちは、立憲民主党としまして、実は昨年の六月に野村大臣に対しまして提言をさせていただいているんですが、そのときに、食料・農業・農村・環境基本法という形がいいのではないかというふうにも申し上げさせていただいていたのですが、今回は、そのようなタイトルに変わるということではありませんでした。しかし、環境と調和の取れた食料システムの確立、三条、これが新設されたということですので、ここについては、今後もこの条文がしっかりと実現できるようにしていかなくてはいけないというふうにも思っているんです。

 その中で、食料供給が環境に負荷を与えている側面にも着目し、環境と調和の取れた食料システムの確立を柱として位置づけると、大臣所信の中でも大臣はおっしゃったわけですし、そしてまた、もう一つ申し上げさせていただくと、大臣は、就任直前に、オーガニック給食を全国に実現する議員連盟の共同代表をされていました。私もその議連の役員でもありますし、私たちの仲間にも事務局長をされている方もいるわけです。山田委員は事務局次長でいらっしゃいます。

 ということは、坂本大臣におかれましては、有機農業を大切にするという、その心もしっかりと持ちながら、今申し上げました形での、みどりの食料システム戦略をいかに具現化するかという知恵をしっかりと持っていらっしゃるのではないかというふうに思うので、是非そのお考えをお伺いしたいと思います。大臣、お願いします。

坂本国務大臣 まず、地域ぐるみでオーガニックに取り組むというオーガニックビレッジ、これを推進してまいります。そして、先ほど言われましたオーガニックによる給食の普及、これに対しても、政府として、農林水産省として、学校給食への有機農産物の活用も支援をしているところでございます。

 それぞれの地方自治体との連携もございます。地方自治体の財政事情等もございますので、そういうところを、しっかりお互いに、自治体との、意見も取り入れながら、これからの有機による給食をどう普及させていくのか、そして、日本全体のオーガニックビレッジ、最終的には百万ヘクタールというような目標を持っておりますので、それに向けてどうアプローチしていくかを、しっかり政策の中で具現化してまいりたいというふうに思っております。

金子(恵)委員 ありがとうございます。是非よろしくお願いしたいというふうに思います。

 基本法改正案の四十六条、障害者等の農業に関する活動の環境整備についてであります。

 大臣も、所信の中で、農村を支える人材を一人でも多く確保し、活力ある農村を次世代に継承していくため、日本型直接支払いにより地域を下支えする、農泊、六次産業化、農福連携等の農山漁村発イノベーションの取組、農村RMOの形成、中山間地域等における農用地保全の取組などを推進するほか、鳥獣被害の防止やジビエの利活用を進めてまいりますとおっしゃっている。

 ここで、農村を支える人材を一人でも多く確保するために農福連携をするというふうにも読めるのですけれども、農村を支える人材が少ないから、だから障害のある方々の活動の場をつくって、人がなかなか集まりにくい地域には障害のある方々に来ていただいて、その方々に任せるというふうにも読めるのですが、その関係というものについてお伺いしたいと思います。

坂本国務大臣 これは、あくまでも、農業と福祉が連携して、障害者の農業分野での活躍を通じて、農業経営の発展とともに、障害者の自信や生きがいを創出し、社会参画を実現するという取組でございます。

 そういうことで、農林水産省といたしましても、現場でアドバイスする専門人材の育成、それから、障害者が農業現場で働きやすい生産施設や、トイレ、休憩所などの整備、こういったものも行っているところでございますので、いろいろな、工賃等も含めて、優良事例というものをしっかり紹介をして、それを横展開をして、処遇の問題に対しては、所管でございます厚生労働省と連携しながら、これからの農福連携を進めてまいりたいというふうに思っております。

金子(恵)委員 搾取はあってはいけません。是非、人権の問題も含めて考えていただきたいと思います。

 時間が参りましたので、ここで終わりたいと思うのですけれども、今後数十年の農政の在り方を決める重要法案、しっかりと私たちは審議をしていきたい。そして、国民の皆さんの中でもしっかりと議論をしていくような、そういう場というのをつくっていかなくてはいけないと思います。今の段階で盛り上がりに欠けている、何が起こっているか分からない。国民的議論の必要性、これを申し上げさせていただきまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

野中委員長 次に、近藤和也君。

近藤(和)委員 石川県能登半島の近藤和也でございます。どうかよろしくお願いいたします。

 能登半島地震が発災してから七十日を超えました。農林水産省の関係の皆様、そして各委員の皆様に御支援をいただきまして、心から感謝を申し上げます。

 そして、長い長い復旧そして復興への道のりになると思います。

 正直なところ、発災から一か月ぐらいの間は、農業者や漁業者の方々、私はまだ林業の関係の方とは接点を現時点では持ててはいないんですけれども、当初は、自分の住むところ、自分の命の確保に頭がいっぱいで、なりわいのところまでは到底考えられないという段階でした。

 そして、現在は、漁業を再開された方もいらっしゃいますし、少し暖かくなってきたということ、そして、避難所、若しくは家に戻って、次の自分の仕事を考えられるような段階になってこられた方もおられます。そうすると、では自分の現場はどうなっているのか、今後どうやっていくのかという考えに至っている方もいらっしゃいます。

 さらには、この後も質問をさせていただきますけれども、特に、海が干上がってしまっているという状況の中で、何年かかるか分からないというような方々もいらっしゃいます。山、田んぼでいけば、土砂崩れはもう数年単位でかかるのではないか、そういったこともありますので、恐らくは、現時点での困り事と、半年後、一年後、二年後でも別の困り事が出てくると思いますので、どうか政府の皆様にはその時々の困り事に真摯に対応していただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 本当であれば、この三月、二月ぐらいは、能登半島ではカキ祭りが行われている時期でございました。ただ、残念ながら、カキ祭りも中止でございます。そして、一つありがたいことに、二十四日の日には、能登のカキ祭りを、そのまま小松市でカキ祭りを開いていただくということも聞いております。今週には北陸新幹線が敦賀まで延びますので、その途中の小松で能登のカキを使った祭りをするということでございますので、皆様もどうかお越しをいただければと思います。

 それでは、質問に参ります。

 大臣の所信の中にも、一番最初のページのところで、創造的復興ということを触れていただきました。岸田総理も、そして石川県の馳知事も、創造的復興ということを言われています。

 この創造的復興とは、坂本大臣、どのようなことを指すのでしょうか。

坂本国務大臣 委員におかれましては、地元の大変な被害に対しまして様々な御尽力をされておりますこと、心から敬意を表したいと思います。

 今回の令和六年能登半島地震の発災直後から、石川県の馳知事が、農林水産業の復旧なくして能登の創造的な復興はない、単に元に戻すだけではなくて、世界農業遺産、トキの放鳥などの能登の強みを生かし、被災前からの課題を解決しながら再生、強靱化する、いわゆる創造的復興が不可欠というふうに私にも申されました。

 そういうことで、私としても、改良復旧をまず視野に入れて全力を尽くしてまいりたいというふうに思っております。

 熊本地震から八年近くがたちますけれども、熊本の蒲島知事も、創造的復興というのを最初に言われました。今、かなり復興をしてまいりました。崩落いたしました阿蘇大橋あたりは、二百メートルの橋でございましたけれども、大体全長一キロのすばらしい橋になって復興いたしました。それ以外の復興にいたしましても、トンネルが新たにできたり、そして、これからの若い人たちが活用しやすいような様々な施設、そういったものも造られました。

 そして、農業にいたしましても、農地の大区画化、こういったものが進んだところでございますので、これまでよりどれだけ若者も含めて地域に根差して、農林水産業をしっかりとなりわいとして再開することができるか、そして、よそからも多くの方々が訪れていただけるか、こういったものを考えての復興が創造的復興につながるというふうに思っております。

近藤(和)委員 ありがとうございます。

 創造的復興ということでいけば、やはり意欲、更に過去を乗り越えるんだという意欲ですね。そして、現実的にやはり、お金というところがついてこないとどうしようもないのかなというふうに思います。意欲だけで創造的復興ができればこんな楽なことはないですけれども、やはり現実的には、お金というところが必ず問題として出てきます。

 そこで、今回、農林水産業だけではなくてほかの支援策でも、なりわい支援金という、元々のグループ補助金から進化をしたものを今回も用意をしていただいています。けれども、あくまでも、それぞれ一つ一つの支援策は原状回復なんですよね、基本は。原状回復を乗り越えるようなところはオーバースペックという言われ方もされることもあるようですけれども、原状回復では創造的復興じゃないと思うのですが、現実的な原状回復と創造的復興との関係において、それを乗り越えていかなくてはいけないと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

武村副大臣 お答え申し上げます。

 石川県の馳知事が進めたいとされています創造的復興につきましては、農林水産省としてもこれを最大限支援をしていきたいというふうに考えております。

 一月二十五日に決定した被災者の生活となりわい支援のためのパッケージにおいては、被災した農地や農業用施設の復旧に当たって、震災前の状況に復旧をするだけではなくて、再度災害の防止、水管理の効率化、排水能力の向上、農業の生産性の向上等に向けた改良復旧の取組も一体的に推進するための支援策を措置しているところであります。

 また、漁港施設につきましても、災害復旧と連携した漁港機能強化対策等を措置をしております。

 今後とも、こうした施策を活用して、創造的復興への支援を行っていきたいと考えております。

近藤(和)委員 先ほどの大臣の答弁、そして武村副大臣の答弁の中でも、行政としてのところはプラスアルファで創造的というのは分からないでもないんですけれども、それぞれの事業者にとっての創造的というところには、プラスアルファのところは現場現場ではされていないと私は思っています。

 具体例を申し上げたいと思います。資料の四でございます。これは、奥能登のある地域で集落営農を頑張られておられる地域でございます。この写真に写っているところは、これは普通の建物に見えるんですが、本当は二階ぐらいの高い建物が、一階部分がぺしゃんこになったという写真でございます。

 この右側の写真のところに出ているものは、乾燥機であったり、もみすり機であったり、選別機であったり、コンバインであったり、田植機であったり、草刈り機であったり、いろいろなものが埋まっていて、機械もやられてしまったという状況です。

 そして、この集落は今、圃場整備を進めようとしております。このままでいけば、来年、再来年に調査、測量をして、更に三年間、今から考えればあと五年後には全部の圃場整備、きれいにしよう。そしてそのときに、若手の農家にどんどんどんどん田んぼを集めていって、そして規模を何とか維持拡大をしていきながら地域の農業を、なりわいを続けていこう。そういう本当に頑張っていらっしゃる地域でございます。そこで頑張ろうとしていて、集落としてもいろいろなお金を集めて積み立てて、四年後か五年後に最新の設備を造ろうとしていた、そこまで合意を取れて進んでいたところが、今回こういう地震に遭ってしまいました。

 ここで現実的な問題として、あくまでも原状回復だということで言われて、四年後、五年後に最新の設備を造ろうとしたら、それは違いますよと。

 まずは、壊れてしまったところの復旧ですね。あえて分かりやすい、金額でいけばもっともっと高いんですけれども、例えばこの建物、全部を含めて二千万だとします。二千万の復旧であれば、大体今回、十分の九を出していただけます。大変ありがたいことだと思います。自己負担二百万で済むわけなんですね。

 この集落の方々が望んでいるのは、復旧ということではなくて、四年後、五年後の、まあ、圃場整備ももっと短期間でやってほしいという願いがあるんですけれども、圃場整備が完成する前後の段階で、フルスペックのものを、今の段階で、今年は造れるか造れないか分からないので、今年なのか来年なのかで機能を更に強化したものを、例えば二千万の価値のものではなくて、四千万円の価値のものを造りたい。ただ、それは復旧とは違うでしょうということになってしまっているらしいんです。

 そうなので、今のままでいけば、二千万のものは造ります、今年か来年造ります、十分の九を負担してもらえます、二百万の自己負担でいいですよということになっても、圃場整備がしっかりとなった四年後、五年後のときにはまた四千万出さなきゃいけないわけですよ。

 今でいけば大体半分ぐらいお金を出してもらえるんですが、二千万ぐらい負担をしなければいけないということで、それを少し分かりやすい図でいたしましたのが七でございます。今の支援制度で、復旧する施設が二千万円で、新しい施設を仮に四千万円ということでいたしました。このままでいけば、自己負担が一で二百万円、二で二千万円で、二千二百万円かかります。

 この地域の農業を頑張ろうという方々、そして集落の皆様の願いとすれば、下の図になります。復旧ではなくて、ちょっと誤解を与えてしまうとあれかもしれないんですけれども、もちろん、今年復旧したいという方には、ちゃんと支援はしてほしいんです。それはそれで大変重要だと思いますが、復旧をして、復旧の先の復興もあるかもしれないけれども、復旧を通り越した復興が創造的復興ではないかという考えのものです。

 下の絵を見ていただきたいんですが、新しい施設を四千万円、今年か来年造りましょうと。ということで、二千万円の価値のものに対しては、復旧の十分の九を出していただければありがたい。四千万の十分の九はあり得ないということは重々私たちも分かってはいますけれども、せめて、潰れてしまった、壊れてしまった機械や建物の価値の部分の十分の九は出していただきたいですが、残りの創造的な部分も一緒になって併せてやっていくことが、これは金銭的に見ても、自己負担も、農業者の方々の負担も減りますし、国や行政が出すお金も減らすことができます。そして、時間的な短縮も図ることもできると思いますので、これは概念的なものでございます。今すぐできるかどうかは分かりません。こういったことが本当に必要だと思うんです。

 ここは政治判断が必要だと思うので、坂本大臣、これを見て、いかがでしょうか。

坂本国務大臣 私の熊本地震の経験からいいますと、どうしても、市町村の窓口に行きますと、やはり皆さん、法令をきちっと守らないといけませんので、法令どおりの政策しか返ってきません。しかし、そのことについては県や国といろいろ相談していただければ、いろいろなメニューを用意をいたしております。

 例えば、熊本の場合、先ほど言いました大区画化につきましては災害復旧工事をやりましたし、それ以外にも、農地中間管理事業を使って大区画化をする、あるいは圃場整備をする、そういうものもあります。

 そして、将来にわたって、こういうような規模拡大をしたい、創造的復興をしたいということであれば、産地パワーアップ事業や、あるいは強い農業づくり交付金等、様々なメニューがありますので、是非、それぞれの事業によって、皆さんたちが将来に備えた創造的復興についての青写真を県や国と相談をしていただきたいというふうに思っております。

近藤(和)委員 県や国の方、役所の方では判断できないというか、乗り越えることができないから、私がこの場で、委員会でお願いをしているのでございます。できるのであれば、こういうことは私も取り上げることはいたしません。

 そして、最初に山口委員も取り上げられておられましたが、農業は、漁業もそうですが、就業者人口がどんどんどんどん減ってきて、農地なども減ってきて、いわば下り坂なわけですよ。下り坂で原状復帰したって、下り坂なわけですよ。だから、一次産業こそが私は創造的復興ということが大変重要だと思っています。

 この集落は、今本当に、若手に集めよう集めようということで、原状回復を、彼ら自体が現状を乗り越えようと頑張っているわけでございますから、一つ一つのメニューを足し合わせることが可能であったとしても、それを融合させる、本当の意味での融合させるというところには至っていないと思います。

 こういった例が実現できれば、ほかの省庁のものにも、私は農林水産省からのいい事例となると思います。要望として具体的に上がってくると思います、県にも北陸農政局にも恐らく相談に来られると思います。大臣は先ほど、それぞれのところに言ってくださいということをおっしゃっていただきましたので、私もここで食い下がることはやめますけれども、今言っていただいたので、農業者の方々から、地域の方々から県か農政局にこういった話が来ると思いますので、大臣から、ちゃんと受け止めていくようにという答えはいただいたということで、何とかして前進をしていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 それでは、次の質問に参ります。

 各地域で、これは漁業者から聞いたお話なんですが、先ほど大臣も、様々な支援のメニューに関して二十八か所で説明会を、石川県内で行っていると。なんですが、ある方から聞きましたら、説明会が終わるぐらいに、半分ぐらいの人が帰っていたということでした。これは、その方々の支援のメニューが、自分はハードルが高いから帰ったという方もいらっしゃったようですし、こんな面倒なことはやっていられないからということで帰ったということだそうです。

 実際に、私、一人の方しか伺っていないので、ほかの会場がどうだったかというのは分からないんですけれども、申し上げたいことは、帰ってしまった方々の思いも、どうして帰ったか分からないままですよね。これをすくい上げるということをしていただきたいと思うんです。

 こういった会だと、数十人いらっしゃるので、手を挙げづらい方はたくさんいらっしゃいます、正直言って。その場では思いが至らないという方もいらっしゃるので、説明会を開くことでよしとするのではなくて、説明会のフォローアップといったところも必要だと思います。そこで、支援策でまだまだここが足りないよねとか、手続はもうちょっとここを簡単にした方がいいよねという考え方が出てくると思います。

 この点について、私は、現場の方々、開いていただいた方を責めるつもりは一切ありません。現実的にこういったことが起きているので、それを改善してほしいということで質問していますが、いかがでしょうか。

舞立大臣政務官 説明会でのお話だったと思いますけれども、これまで、例えば一月三十一日、農、林、水の合同の説明会を金沢市で行いましたが、これに加えまして、二月の十九日から二月の二十二日にかけて、石川県内七か所で開催した現地説明会に水産庁本庁からも担当者を派遣し、漁業者向けの支援パッケージ全体を説明させていただいて、各会場で十三名から九十名ほど、総勢三百名を超える参加をいただいたものと聞いております。

 そこで、各会場での参加者の出入り、十分把握しているわけではございませんけれども、二月の十九から二十二にかけての七会場で実施された各説明会におきまして、石川県及び水産庁から丁寧な説明と質問対応を行っておりまして、出張から帰った職員から、今日も聞きましたけれども、参加者の半分が途中で帰ったような会場はなかったというふうに伺っておりますので、またちょっと詳しい会場とかを教えていただければと思います。

 いずれにしましても、支援策につきましては、石川県や漁協等ともしっかり連携しながら、現場に寄り添う形で、これからも丁寧に説明してまいりたいと考えております。

近藤(和)委員 半分だったかどうかということを、私、白黒つけようということが主眼ではないんです。帰ってしまわれた方がたくさんおられて、そういった方々がなぜ帰ったのか、中身だったのか手続だったのかということを把握をしていくことが今後の更なる支援につながっていくわけですから、ここを考えてくださいということなんです。

 舞立政務官、もう一度お願いいたします。

舞立大臣政務官 しっかりと相談窓口は設けておりますので、県や漁協等とも連携しながら、これからも丁寧に説明してまいりたいと考えております。

近藤(和)委員 私も、現場現場を回りながらも、全部が回れるわけじゃないので。本当に、皆様の意見をいかにして伺っていくかということは大変大事なことだと思いますので、せっかく開いていただいて、せっかく皆様も家の片づけとかを置いておいてその会場に行っているわけなので、ここを酌み取っていただきたいと思います。あとは、実際に運営された方々を責めることがないようにだけ、私はそういうつもりで質問しているつもりではありませんので、どうかそこは御理解をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 それでは、次の質問に参ります。

 資料の一です。これは輪島や珠洲の漁港ですが、特に右上と左下、これは同じ漁港の湾内になります。隆起してしまった中から、下に降りて外を見た写真が右上で、陸地を振り返ったのが左下の写真でございます。

 大臣も輪島を視察をされたということを伺っていますけれども、この復旧の見通し、頑張っていきますという答弁は恐らくいただくんだと思いますけれども、どのくらいかかるものなのか、とことんまで直していっていただけるのかということも含めて、見通しから伺いたいと思います。

坂本国務大臣 海岸線の隆起というのはこれまで例がなかったことであって、非常に難しい工事になるなというふうに思います。輪島港も、ここは港湾ですので大体国土交通省の管轄でありますけれども、漁港としても使用しておりますので、国土交通省と連携をしながらこれからの復旧復興を進めていかなければいけないというふうに思います。

 今のところ、隆起で漁船が動かせませんでしたので、被害がどの程度なのか、船底がどのくらい損傷しているのか、こういった調査を今早急に進めております。そして、サルベージは確保しておりますので、その後サルベージを使って移動をさせる、そして仮設の停泊所を造る。そしてその後、国土交通省とも連携をしながら、今後、工事の方法としてどういう工法で輪島港を再生していくのか、こういったものをつくり上げてまいりたい、できるだけ早く進めてまいりたいというふうに思います。

 それ以外にも、狼煙漁港あたりについては国直轄でこれから始めるところでございますので、しっかりと工事を、再開に向けて進めてまいりたいというふうに思っております。

近藤(和)委員 どのくらいかかるかということをちゃんと話し合ってほしいんです。でないと、次に続いていく質問で、どのくらい支援というものはできるんですかということ、一年後なのか五年後なのか十年後なのか、こういった見通しは、今大臣のお答えからは聞けなかったです。

 実際には港湾は国土交通省、これは分からないでもないんですけれども、ただ、農林水産省としてもそれを把握しないと支援メニューというものが準備できないということでの質問でございます。

 見通しについて、もう一度お願いいたします。

坂本国務大臣 県とともに、これからどういう工程で進めていくかというのを話し合いながらやっていきますけれども、その辺の詳しい答弁につきましては、水産庁長官の方から答弁させます。

森政府参考人 お答え申し上げます。

 漁港の復旧に当たりましては、地元の方々と、今後、漁港をどのように仮復旧し、また本格復旧させていくか、あるいは漁業の再開をどのように進めていくか等々、丁寧な話合い、あるいは、県あるいは市町での復興方針の検討等、具体的ないろいろな作業が必要かと思っております。

 国として今、いつ、どこまでというようなところをなかなかお示しできる段階ではありませんが、大臣からもお話がありましたとおり、できるだけ速やかに、まずは漁業の再開ができるように、その上で、具体的な、漁港の復興をどう進めていくという、計画的に進めていくというようなことをなるべく早くお示しできるように議論を進めていきたいと思っております。

近藤(和)委員 要は、まだ分からないということだと思うんですね。

 本当は、五の担い手確保支援事業の最長二十四か月というところを、これは短いんじゃないかということですとか、収入保険の五年間の期間の中の数字が六年、七年たったらどうなのかということを質問したかったんですけれども、時間がないので、別の機会にいたしたいと思います。また見通しが出てくるぐらいに質問できればと思っています。

 それでは、密漁対策のことを伺いたいと思います。

 実際には、海岸線のところが隆起をしてしまって漁ができない、そして皆さんも避難をされているということで、元々この能登半島は、アワビですとかサザエなど豊富で、元々密漁で困っているという地域でございました。今、人が少ないから、人の監視の目も少ないということで、陸地においては空き巣対策といったことで警察の方々には頑張っていただいていますが、海の方向にも目を向けて監視をしていただきたいと思いますので、警察庁、答弁をお願いいたします。

和田政府参考人 被災地においては、石川県警察と全国警察から派遣された応援部隊により、沿岸部の地域も含めパトカー等によるパトロールを実施するなど、犯罪被害の防止や被災された方々の不安解消に努めているところです。

 お尋ねの密漁対策につきましては、平素より石川県警察において地元の漁協等との情報共有に努めているところであり、刑罰法令に抵触する行為があれば、水産庁、海上保安庁等の関係機関とも連携しつつ、法と証拠に基づき適切に対処してまいります。

近藤(和)委員 実際に今は、石川県警のみならず、全国各地から警察の皆様、パトロールしていただいています。家の方向ばかり見るのではなくて、海の方向もちゃんと見てくださいということでございます。何とかよろしくお願いいたします。

 最後の質問になります。

 これは珠洲で伺ったお話なんですけれども、皆様の中でも珠洲に行かれた方、この地震が起きてから、いらっしゃると思いますが、珠洲に行くまで、結構まだ道ががたがたなんですよね。今ようやく漁を再開するという、再開しているところもありますが、金沢の市場まで運んでいる。刺し網の方々は、珠洲の市場ではなくて、金沢まで運ぶそうです。

 そうすると、今までは満タンに積めたのに、減らさないと、がたがたして、ダンプも傷むし、中のものもこぼれるかもしれないしということで、満タンにできないそうです、捕れたとしても。一箱当たりを、例えば千円、二千円のものを、もう少し単価を上げてくれとかいうことも話として来るかもしれないし、トラック運送業界の方々がかぶってしまう。これも逆に、かぶってやめられても困る、誰が運ぶのかということで、漁業関係者の方々が、自分たちも助けてほしいけれども、運んでくれる方々への支援も必要ではないかということも言われました。

 それで、六の加工原料等の安定確保取組支援の事業ですけれども、これは、加工業のところに関しては、運搬料のところ、例えば、七尾港から捕れたものではなくて、新潟だとか違うところから運んでくる分については運搬料を支援する、こういった支援策は大変すばらしいと思いますが、従来の運搬のところでも支援をしてほしいという声、この点については、漁業者という観点は農林水産省ですが、今日は国交省から来ていただいておりますので、国交省の方から、何とか考えていただきたいんですが、いかがでしょうか。

こやり大臣政務官 委員御指摘のように、被災地の復興を担うトラック事業者を始めとして、運送事業者が適正に事業を行っていただく、これは持続的な復興のためにも大変重要な課題であるというふうに認識をしております。

 現在、国交省におきましては、運送事業者全体の取引環境、これの適正化をしっかりやっていかないといけない、二〇二四年問題もございますので、それに全力を挙げて取り組んでいるところでございます。

 被災地におきましても、しっかり適正な運賃を頂戴できるような環境、これをしっかりつくっていかないといけないということで取組を行っておりますが、現在、個別に、被災地の運送事業者においてもきめ細かく今お声を頂戴しているところでございまして、必要に応じてしっかりと対応してまいりたいというふうに思います。

近藤(和)委員 必要に応じてしっかり対応していきたいというお言葉、信じたいと思います。

 ありがとうございました。

野中委員長 次に、神谷裕君。

神谷委員 立憲民主党の神谷裕でございます。本日も質問の時間をいただきましたことを感謝を申し上げたいと思います。

 今ほど近藤委員からもお話ございましたとおり、石川の件、是非、大臣、よろしくお願いをしたいと私からもお願いをしたいと思いますので、お願いします。

 それでは、早速私の質問に入らせていただきたいと思います。

 まず、先般、予算委員会でも坂本大臣とやり取りをさせていただきました。その際にも伺ったわけでございますけれども、先ほど山口委員からもお話ありました、食料自給率の向上であるとか、あるいは農業者、農地の維持、確保であるとか、残念ながら、いずれもこの間できていなかったんじゃないかなというのが率直なところでございます。

 今回、そういった背景もありまして、大臣も所信でお触れをいただきましたけれども、基本法の改正というようなことになったんだろうと思いますけれども、私、今回の基本法を改正することによって、自給率は本当に上がるのだろうか、あるいは、農業者、農地の維持、確保はできるのか、こういったところを、是非、今回変えるんですから、どう思っているのか、所感を伺いたいと思います。

坂本国務大臣 農業者につきましては、この二十年間で、個人経営体の基幹的農業従事者がおおむね半減をいたしております。農地面積につきましても、基本法制定時から六十万ヘクタール減少しております。加えて、国内での自給可能な米の消費の減少、さらには、輸入依存度の高い飼料を多く使用する畜産物等の消費が増えることによりまして、自給率三八%というようなことになっているところでございます。

 そういうことで、農地の確保、それから有効利用を図りながら、少ない人数で食料供給可能な体制をつくるにはどうすればいいかというようなことをまず第一に考えて、今回の基本法改正というようなものになったところであります。

 先ほども答弁したとおりに、農地確保のために、様々な集約、そして適正な利用、こういったものを進めてまいります。それから、スマート農業技術の開発研究の推進を図ることによりまして、少なくなった農業従事者、これをカバーしてまいりたいというふうに思います。

 一方の方で、麦、大豆、飼料作物等や加工原料用野菜などの輸入依存度の高い品目の国産転換を進めてまいりますし、米粉の特色を生かした新商品の開発等による利用拡大、こういったものも図ってまいりたいというふうに思っております。

 数字につきましては、この食料・農業・農村基本法をお認めいただきましたならば、その後の基本計画の中でやはりお示しをしていきたいというふうに思っているところです。

神谷委員 率直に、この二十五年間というか、二十年間と今おっしゃったかもしれないけれども、二十年、二十五年間の状況について、我々はやはり振り返らなきゃいけないんじゃないか。前回の基本法から今日までこの目標を掲げてきた、しかし結果としてはどうだったのかというのは率直に見た上で、そして次の施策に展開をしていかなきゃいけないのではないか、このように思うわけでございます。それがこの基本法の修正、改正というようなところだと思いますので、そういったいい機会にしたいと思います。

 基本計画の論議、いよいよスタートいたしますが、その際にも、個別具体的な数字については今触れようとは思いませんが、やはりこれをいかにして上げていくのか、所期の目標を達成するのか、これは非常に重要なことだと思います。

 そういった意味で、今いろいろな施策についても御紹介をいただきましたけれども、今回、二十五年かけて新しい基本法になるということでございますが、じゃ、今回新しく基本法を、新しくというか、基本法を改正させていただいて、二十五年後の農業、農村の姿はどうなっているのか。今よりはよくなっているのか、あるいは悪くなっているのか。私は絶対によくしなきゃいけないと思っておりますけれども、この二十五年先の農業の絵姿、大臣はどう考えているのか、所感を伺いたいと思います。

坂本国務大臣 今回の基本法の改正は、やはり、地球規模の気候変動による食料生産の不安定化、それから紛争激化による不安定化、さらには、アフリカ等を始めとして人口増による食料争奪、こういったものが行われているというようなこと、世界の変化がございます。その変化については今後もやはり進んでいくということも、私たちも十分視野に入れておかなければいけないというふうに思っております。

 そして、国内に目を転じますと、二〇五〇年、これから二十五年後は、日本の総人口は一億人というふうになります。現在から二千万人減少いたします。それだけ食べる量もやはり少なくなってまいります。需要が少なくなってまいります。

 そこで、どういうふうなことにしていくかといいますと、農業従事者も、現在の百二十万人から三十万人に減るわけでございますので、こういう中で、新しい基本法といたしましては、百二十万人から三十万人に減少する、それは、スマート農業も含めて、あるいは法人化も含めて、しっかりカバーしていきましょう。農地につきましては、多様な経営体も活用してやはり農地を守っていきましょう。さらには、食料の国内の需要が細っていく中で、やはり、日本をアジアの輸出の拠点にする、アジアを中心に輸出を、マーケットを広げていきましょう。そういうことで、これからの日本の農業というものを持続可能なものにしていかなければいけないというふうに思っているところでございます。

 これから様々な論議が行われるというふうに思いますけれども、私たちは、これまで、昭和三十六年、高度成長期に作りました農業基本法、それから、平成十一年、一九九九年に作りました現在の食料・農業・農村基本法、これを、今後の世界と日本の変化に応じて、やはりしっかりと日本の農業を守っていくものにしなければいけないという思いで今回の改正に至ったわけでありますので、二十五年後、これを実行することによりまして、日本の農業が健在であるという姿をやはり証明しなければいけないというふうに思います。

神谷委員 大臣の最後の一言に全てが集約をされていると私は信じたいと思います。

 状況が変わってきているから今回改正なんだ、修正なんだ、これは非常によく分かるところでございます。ですので、議論がこれから行われるんだろうと思います。ただ、その結果として二十五年先の農業が今より悪いということでは、やはり何のための改正だったんだということにもなっていくんだと思います。

 ここで、二十五年先、あえて申しましたけれども、もちろん予測はなかなか難しいところではありますけれども、やはりその先のゴールへ向けてしっかり論議をし、そしてそのために今何をやっていかなきゃいけないか、何を変えなきゃいけないか、ここの論議をしっかりとこの委員会でもさせていただけたらと思います。

 是非、来るべき基本法の論議については、しっかりとした充実な審議をお願いをしたいと思いますし、委員長にもこの点を是非お取り計らいをいただきたい、このように思います。

 さて、次の質問でございますけれども、大臣所信の拝聴をしておりましたときに、食料安全保障について、更なる強化について構造転換を図っていくというお言葉がございました。

 この構造転換というのは何を指しているのか、これをお知らせいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

杉中政府参考人 お答えいたします。

 今回の所信表明で述べました構造転換につきましては、昨年十二月に改定いたしました食料安全保障強化政策大綱の中で位置づけられております。

 構造転換のための具体的な取組といたしましては、令和五年度補正予算及び令和六年度当初予算において、まず、過度な輸入依存からの脱却に向けた構造転換ということで、麦、大豆、飼料作物等の生産拡大、輸入原材料の国産転換や、生産資材の国内代替転換を進める。二つ目に、生産者の急減に備えた生産基盤の構造転換ということで、生産者の減少に備えた経営構造の確立、スマート技術の実用化、サービス事業体の育成、確保。三点目に、国民一人一人の食料安全保障の確立に向けた食料システムの構造転換ということで、合理的な価格の形成と国民理解の醸成、地域の食品アクセス確保に向けた環境整備といった取組を進めることとしております。

 こうした取組は、基本法の改正を待たず、食料安全保障の強化に向けて、速やかに実施できるものは実施するという観点から取り組んでいるものでございまして、これらの内容につきましては、基本法改正法案にも反映されているところでございます。

神谷委員 もちろん、今、様々なことを変えていかなきゃいけない、現状に合わせていかなきゃいけないというのはあるんだと思います。そして、その上で反転攻勢をかけていくということなんだろうと私も思います。そういう意味での構造転換というのを様々考えていかなきゃいけないんだろうと思っているところでございます。

 そのための食料安全保障という概念なんだろうと思いますが、ただ、若干気になりますのは、大臣も所信でお述べになっておりますけれども、世界的に見れば、先ほど申し上げたとおり、人口の増加であったり食料生産の不安定化を始め、なかなか安価に輸入というか、食料を外国から入れてくるということが徐々に徐々に難しい状況になっているんじゃないかなというふうに思います。

 加えて、我が国の国力というか経済力の方も、残念ながら低迷しているというような状況でございまして、円の脆弱性をやはり考えていくと、いかにして輸入の依存度を減らしていくのか、そして、国内の食料基盤を確保することができるのか、これは非常に重要な課題なんじゃないかと、逆に言うと思うわけでございます。

 今般の食料安全保障の中では、やはり海外からの食料の調達、確保というのが重要な手段として位置づけられているのかなというふうに思うんですけれども、ここに来て、一方でいうと、なかなか難しくなっていくよ、でも、一方でいうと、しっかり確保しなきゃいけないよね。やはり、ちょっとここについては考えなきゃいけないんじゃないかなと思うんです。

 やはり国内の食料生産が大事であって、これを増やしていくことで、この国の皆さん方に安心、安全な食料を供給していく、これが本意であって、輸入に過度に依存していくということについては、厳に慎むべきではないかと思ったりもします。コロナのときもそうでしたが、例えば、海外に食料品があったとしても、なかなか今度は船の手配ができないとか荷室の手配ができない、そんなこともあったと思います。

 そんな意味で、今更ではございますけれども、今回、海外からの食料の輸入というのか調達を食料安全保障の重要な手段として考えるということについてどう考えていくのか、ここについての所感を伺えたらと思います。

坂本国務大臣 まずは国内の生産基盤の強化、そして、まずは国内の食料供給の安定確保、これが第一であります。これはもう申すまでもありません。

 そのために、麦、大豆、飼料作物、加工原料用野菜等の輸入依存度の高い品目の国産転換をやはり推進していくこと、そして、米粉の特徴を生かした新商品の開発、そういったものをやることによって、米の利用拡大と輸出等も伸ばすと同時に、米の消費拡大も進めていく、そういうことを通して、国内の農業生産基盤の強化を図りながら、生産力の増大、これを図っていかなければなりません。

 しかし、その上で、現在の消費量に合わせて生産をもし図るとするならば、現在の農地面積の三倍が必要だというような試算があります。国民の皆さん方に食料を安定的に供給するためには、どうしてもやはり国内の食料だけでは足りない部分がある。そういうことで、輸入による食料供給というのも不可欠の手段であるということで、国内生産をまずやった上で、輸入による食料供給を図るというような位置づけにしているところでございます。

 そういうことで、委員言われましたように、いつでも必要な、肥料にしても飼料にしても生産資材にしても、そういったものが輸入できるという時代ではなくなりつつありますので、やはり肥料にしても、自分たちの堆肥も使う、あるいは下水道の汚泥を資源として使う、こういったものを進めていかなければなりませんし、輸入についても、やはり輸入国の多角化、多国化、そして同志国を募りながら、安定的に輸入できる体制をつくり上げていくこと。こういったことで輸入相手国をしっかりとつくり上げながら、日本の国民の皆さん方に安定した食料を供給できる体制を、国内、そして国外からの対応でつくり上げて、確立させてまいりたいというふうに思っております。

神谷委員 全く大臣の答弁そのまま、そのとおりだと私も思います。

 ただ、やはり、今確かに、海外に多く安い食料品というか食品を依存しているというのは現実だと思いますが、過度に依存するということは厳に慎まなければいけないと思いますし、ましてや、この先、本当に調達できるかも分からないような状況じゃないか、そういう状況が現に来ているんじゃないかというふうに思うわけでございます。

 もちろん、多角化であるとか調達先を同志国の中から募る、それはそのとおりだとは思いますが、ただ、やはり、そういう状況を鑑みたとしても、大臣が一番最初に言われたとおり、国内の食品というか食料の基盤をどういうふうに確保していくか、つくっていくか、あるいは向上していくか、やはりここを主眼にしなければいけないと思いますので、その確認ができただけでもありがたいなと思いますので、引き続きその決意でお取組をいただきたい、このように思います。

 その上で、農地の確保。今回、また農地の確保についても法律が出てくるようでございますけれども、大臣が所信の中でお触れいただいているように、食品事業者等の出資割合の拡充の話にお触れになっていると思いました。これが出てきたということについては、唐突で、かつ大胆な転換じゃないかと私自身は思っております。

 ここに来て、農業者、耕作者の出資割合というのか議決権というのかを大幅に変えるという大きな政策転換を行う理由は何なのか、また、農業者の理解がこれで得られるのか、ここについて伺いたいと思います。いかがでございましょうか。

坂本国務大臣 人口減少が続きます、高齢化も進みます。そういう中で、四十代以下の新規就農者の約半数は、法人への雇用就農というふうになっております。このため、農地を所有できる農地所有適格法人は、人と農地の受皿としてこれからますますその重要性を増してくるというふうに考えます。

 しかしながら、一方の方で、現在の農業法人は借入金比率が高いなど、その経営基盤が非常に弱くなっております。自己資本の充実を図るために増資を行おうとすると、農業者の出資割合が過半を占める必要があるため、農業者の負担が大きくなるというようなことになってまいります。

 このことから、農地法の基本原則を維持しながら、農地所有適格法人の経営基盤強化のために、出資要件、今の五一%を三〇%に緩和する特例措置を講じることとしているところでございます。その際、国による審査、それから農地転用の制限等の農業現場の懸念払拭などの措置を講じます。

 そして、議決権割合の特例につきましては、農地の権利移転、転用、取締役の選解任につきまして、株主総会における特別決議の対象とすることなどを要件としております。特別決議の対象になりますと、これは三〇%以上の株がありますと拒否権を持つわけでございますので、ここで農業者の皆さん方の決定権を確保をするということにしております。

 この法案が成立いたしましたならば、その付近の丁寧な説明というものを、農業者の皆さん方に会って御理解を得ていきたいというふうに思っているところです。

神谷委員 農地の問題は非常に重要な問題であると思います。

 今回、先ほど申し上げたように、過半から三〇%ということになります。もちろん、株式の世界のことを考えると、議決権のことを考えると、最低限そういうようなことで守っているというふうにも言えるんだろうと思いますが、やはり、農家の皆さんにしてみると、ここら辺、いかにして農地を大事にしていくかというときに、元々耕作者主義というのがございました。耕作者主義の考え方が外されてというか、精神としては残っているとは思うんですけれども、そういったところからスタートをして、今回またここまで議決権割合というのが下がってくるということに対して、やはりそれなりに農家の反対というか抵抗感というのはかなりあるんじゃないかなと思います。

 今回、それに当たって様々、先ほど大臣も御紹介いただきましたけれども、いろいろな規制というのかチェックというのか、そういったものをかけていただけるようではございますけれども、それであって実際に問題ないのかもしれませんけれども、単純に、ここは農家の皆さん方の抵抗感というのをいかにして払拭していくのか。

 今のお話ですと、この法案が成立してからというようなお話でございますが、やはり、この考え方、この法案が出てくるということであれば、しっかりとこういったところは丁寧に農家の方に説明をし、かつ、農業者の皆さん方の意思、議決権というのが今後も行使され得るんだよというところは丁寧に是非御説明をしていただいて、御理解をいただくように努めなければいけないと思うんですけれども、いかがでしょうか。

坂本国務大臣 一つ訂正させていただきます。三〇%と言いましたけれども、三分の一です。ですから三三%になります。

 しっかりそこは説明をしてまいりたいと思います。参入できる法人は、食品関連企業とか、それから地元の地域ファンド、こういったものを考えております。ですから、そこはやはり地域と農業者と一緒になって農業をこれから振興していくんだ、地域の農業をつくり上げていくんだ、その辺の合意形成をしっかりやっていくというようなことも含めて、農業者の方々にしっかりと丁寧に周知をしてまいりたいというふうに思っております。

神谷委員 ありがとうございます。

 実際、出資ファンドとかそういうところはあるんだろうと思います。そこはあれなのかもしれませんが、食品事業者というのも概念もいささか広うございますので、ここはしっかりと縛りをかけるのか、しっかりと書き込んでいただいて、何でもかんでもいいよというふうにならないように御尽力、御努力をいただけたらと思います。具体的なところは法案審議の中でまたお話をさせていただきたいと思います。

 さて、次の質問に移りますが、今回、不測時についての法案も出るというようなことでございますが、今回やはり気になるのは、従わないときに罰則がかかるというようなところでございます。不測時に食料増産や供給増を農業者にお願いするという話はあるのかもしれません。ただ、計画の提出がなければ即罰金、即というわけじゃないですけれども、罰金というのはやはりやり過ぎなんじゃないかなというふうに思います。

 やはり、罰則をかける、罰則を伴う義務を課すということであるならば、平時から農業者の営みに対して公的性という性格をしっかりと持っていただく。その上で、違反をするというか、たがうということであれば罰則をかけるみたいな形が、やはり二者択一なんじゃないかと思うわけでございます。

 罰則をかけないか、あるいは、しっかりと公的な性格を認めて、それに対してしっかりと平時から対価なり支払っていく、そういうことが必要なんじゃないかなと思うわけでございますけれども、これについての大臣の所感はいかがでございましょうか。

坂本国務大臣 ここはいろいろ誤解もあるようでございますので、少し丁寧に御説明をさせていただきたい。実際は、法案審議のときにかなり審議をいたしますけれども。

 主な狙いは、一応四段階に分けます。この前、予算委員会でも説明いたしました平時、それから兆候、そしてそれがいよいよ影響を与える、最終的には、一日の千九百キロカロリー取れるかどうか分からないようなところ。それで、影響が出るというときに、やはりどういう供給体制を取るかというようなことが一番大事なことでございます。

 そういうことで、罰則を伴う義務というふうなことについては、要するに、これから非常に食料困難期になるかもしれない、じゃ、誰がどれだけ、どの事業者が食料を供給してくれるかというのを出してください、その供給表を出してください、計画を出してくださいというようなことを皆さんたちに、これは生産者だけではなくて事業者の皆さんたちにも求めます。

 ただ、それは本当に困窮する状況になる前の、国として当然やらなければならない供給体制を確立するということですので、考慮しなければいけない。ただ、そのときに届出をしない、自分はペーパーを出しませんというようなことについては、これは供給が把握できませんので、そのときは、ほかの法律との横並びで、やはり罰則をかけざるを得ないということで罰則規定になります。

 ですから、例えば分かりやすい話が、よく柿農家に芋を作らせるのかというようなことを言われますけれども、法律的には、柿農家に芋が作れますかというようなことを届出として要求をいたします。しかし、実際に、いや、私は芋は作れませんというような届出を出していただければ、それは罰則の対象にも何にもならない。国全体として供給体制をいかに把握するかということをやっていかなければなりませんので、供給を拒否する、あるいは検査を拒否する者に対しては罰則を設けているということでございます。

神谷委員 ただ、いずれにしても、罰則をかけるということに対する抵抗感というのは相当あると私は思います。

 平時から農水省の皆さん方も、実際の供給であるとか、ある程度の把握はされているんじゃないか、この農地の適性は何なのか、ある程度お分かりになっていると思うんです。その上で協力的に出していただく。罰則まで伴う義務を課すということであるならば、やはりそれだけの平時からの構えというのをつくっておく必要があると思いますし、もしそれができないというのであれば、罰則まではやり過ぎじゃないかと率直に思うところでございます。そこについては、また法案の議論の際にいろいろと議論をさせていただきたいと思います。

 質問を移ります。林業について伺いたいと思います。林業、林産業全体で人手不足だということでございます。外国人材の活用についても議論が進んでいるというところでございますけれども、様々な理由、特に危険だ、そういうような理由もあって駄目だというような話もございました。これが今回、どうも外国人材が進んでいるというようなことでございまして、これについては何が変わってこういうことになったのか、そこら辺を教えていただきたいと思います。いかがでしょうか。

青山政府参考人 お答えいたします。

 林業における外国人材の活用につきましては、業界団体の要望を受けまして、現在、技能実習制度について、技能実習二号、三号の対象職種の指定に向けて取り組む業界団体を支援するほか、特定技能制度について、対象分野への追加に向けて検討を進めているところでございます。

 委員から御指摘ございましたように、林業は他産業に比べて労働災害発生率が高い状態にあることを踏まえまして、労働安全の確保が重要でございます。林野庁では、外国人材も含めた林業従事者全体の労働安全確保に向けまして、労働災害の多い伐倒作業を安全に行うための研修ですとか、保護衣等の安全装備の導入などの支援に取り組むとともに、令和五年度の補正予算においては、ベトナム語、インドネシア語、ラオス語によります外国人材向け安全テキストの作成を支援しているところでございます。

 引き続き、こうした取組を通じまして、外国人材を含めた林業に関わる方々の労働安全の確保に取り組んでまいります。

神谷委員 ここについても様々な論議が実はあると思っています。また別の機会を持って、この森林の課題についても触れさせていただきたいと思います。また、あわせて、この後、森林環境税について、配分基準、ここをもう少し、今回頑張っていただきましたけれども、更に頑張ってほしいということも申し上げたいと思いましたけれども、時間の関係で、ちょっと次の質問に移らせていただきたいと思います。

 水産について今度は伺いたいと思います。今回、またマグロに関連して、また漁業法の改正というのか、様々な水産に関しての法制の法案が出てくるというふうに承知をいたしております。

 マグロ漁船なんというのは典型なのでございますけれども、水産業全体、漁船漁業全体に人手不足というのが蔓延をしております。特にマグロ船なんというのは、遠洋船においては配乗基準というのか、資格のある方が必要なのでございますけれども、そういう方々についてもかなり不足をしている。また、一般船員についても不足をしている現状にあると思っています。

 先ほどの話ではないんですけれども、いかにしてこの漁船員を担保していくのか、ここは非常に重要な課題だと思います。これについて水産庁長官のお考えを伺いたいと思います。

森政府参考人 お答えいたします。

 漁業全体で申し上げますと、漁業就業者の平均年齢は五十六歳程度で推移をしているところでございますが、例えば、議員より御指摘のありましたマグロ漁業、例えば遠洋マグロはえ縄漁業では、日本人船員のうち六十歳以上が六割を占めるといったような形で、高齢化が非常に進行している状況がございます。

 このように、漁船員の確保、特に漁船の運航に必要となります海技資格を有する乗組員の確保、育成が非常に大きな課題になっているということを踏まえまして、農林水産省におきましては、例えば、水産高校卒業生を対象に海技士免許取得に必要な乗船履歴を短期に取得するコース、これを令和元年に設けておりますし、その対象を令和四年度から四級に加えて五級海技士にも拡大するといったような取組でございますとか、未経験者向けの遠洋カツオ・マグロ漁業のリクルート動画作成への支援を行うほか、また、就業相談会の開催、水産高校での漁業ガイダンスの実施等々を通じまして、漁船乗組員の確保や資格取得を支援をしているところでございます。

 引き続き、海技資格の制度所管であります国土交通省や関係団体とも連携をして、こうした施策の的確な実施を通じて、乗組員確保に向けた取組を後押しをしてまいりたいと考えております。

 あわせて、漁船設備の充実ですとか、例えば航海日数の短縮を含みます職場環境の改善、これも大事でございます。こういった点についても、関係事業者としっかり議論をしてまいりたいと考えております。

神谷委員 ありがとうございます。

 大臣所信に対する質疑でございましたので、全般にわたっていろいろなお話を聞かせていただきました。詳細については今後また審議の場でたださせていただきたいと思います。

 本日は、どうもありがとうございました。

野中委員長 次に、野間健君。

野間委員 立憲民主党の野間健です。

 今日は、坂本大臣の所信などに対して質疑をさせていただきたいと思います。

 まず、私、地元が鹿児島県でありますので、農業県、畜産県、水産県なんですけれども、おととい月曜日、私は、地元の、時間があるときはいつも行くんですけれども、子牛の競り市がありました。競り市に行きましたら、私のよく知っている地元の市役所の職員さん、四十代の職員の方ですね、牛を引いて競りに連れてきているんですね。今日仕事はどうしたんですか。いや、今日、午前中、市役所の仕事は休ませてもらって、お父さん、お母さんは七十代、八十代で牛を飼っていますので、高齢で牛をトラックに乗せて引っ張ってくるのは大変なので、自分が今日は半日休みをもらって手伝っていますということで来てくれました。

 何か今、牛の相場も大変下がって厳しい。何かお困りのこと、やるべきことは何かありますか。もう牛舎が、畜舎が古くなって、そんな大したお金じゃないんだけれども、建て替えたいけれども、自分はサラリーマンだし、例えば三百万かかる、これを全部自分が借金して建て替えるというのも負担だし、どうしたものかなと思っているという話を聞きました。

 また、地元で田んぼを作っている方、もちろん、これも仕事をしながら、その時期時期でいろいろ頼まれたりして作っています、稲刈りもしています。もちろんこれは専業でやっているわけじゃないんですけれども、ちょっとしたやはり機械が欲しい、稲刈り機が欲しいというような話を聞きます。

 こういう、決して専業で農業だけしている方じゃないんですけれども、ちょっとしたことでやはり、資金とかお金とかが必要だという方は多いですよね。

 御承知のとおり、こういう話をしますと、それは認定農家、認定農業者になればいいじゃないですか、いろんな支援がありますよ、融資もある、いろんな補助もあると言われるんですが、そこまではちょっとできない。五年間の計画を作るとか、いろんな書類を出さなきゃいけないとか、そこまでしてはやりたくないけれども、やはりいろんな、親がしている、親戚がやっている、そういったことで少し手伝ったり、あるときは自分が少し集中してやったりとか、そういうことで地域の農業というのが維持されているのが現状だと思うんですね。大臣の地元、熊本県でもそういう方は非常に多いと思います。

 そういった方々に対して、認定農家だと確かにいろんないい補助等ありますが、今回の所信の中でも、基本法の問題でも、多様な人材を、いろんな方に農業に携わってもらうべきだということが度々うたわれていますので、大臣、認定農家とかそういうのを経ていない方々でも、いろんな形で地域の農業を支えている方は多いですよね。こういった方々に、何らかの形で、様々な融資とか機械の補助とか、こういった認定農家、全て、一〇〇%並みとは言いませんけれども、こういう支援をすべきじゃないかと思うんですけれども、いかがお考えでしょうか。

村井政府参考人 お答え申し上げます。

 高齢化する農業者の減少に伴って、今後、離農農地が多く生じることが懸念されております。そういった中で、経営規模の大小や家族、法人などの経営形態を問わず、認定農業者など農業で生計を立てる担い手を育成、確保することが重要であり、幅広く支援をしているところでございます。

 一方で、今委員から御指摘ありましたように、兼業農家など担い手以外の多様な農業者も農地の保全管理ですとか集落機能の維持などの役割を果たしていただいております。役割に応じて支援することは重要であるというふうに考えております。

 このため、今般提出させていただきました食料・農業・農村基本法の一部を改正する法律案におきましても、担い手である効率的かつ安定的な農業経営の育成、確保を引き続き図りつつ、担い手とともに地域の農業生産活動を行う、担い手以外の多様な農業者を位置づけたところであり、兼業農家につきましても、その役割に応じた支援を行って、農業生産の基盤である農地の確保を図ってまいりたいと考えております。

野間委員 もちろん、そういうことでやっていただいているんですが、やはりどうなんでしょうね。

 今回、基本法ということでいろいろ変わってきますけれども、こう言ったらなんですけれども、安倍農政、効率化や大規模化、成長産業化、これも一面、産業政策としてやらなきゃいけないところはあるんでしょうけれども、実際の我が国の農業は、例えば牛を飼うにしても、家族同然に牛と生活をして手塩にかけて育てる。そういう農業、ある意味、本当に職人芸的な農業が基本を、基礎を支えていると思いますので、そういった方々へのきちっとした政策、目配りを是非やっていただきたいと思います。

 続いて、今回の大臣所信あるいは基本法の中で度々出てくる言葉があります。それは、農業が環境に負荷をかけているんだと。環境に負荷をかける、ちょっと、そういう通告をしていないんですけれども、環境に負荷をかけるというのは具体的に何を指すんでしょうか。

川合政府参考人 お答え申し上げます。

 世界の温室効果ガスの排出量は五百九十億トン、CO2換算なんですけれども、このうち、農業、林業、その他土地利用の排出が二割ぐらいあります。

 一方で、日本の排出量は十一・七億トンということで非常に少ないんですけれども、このうち農林水産分野というのが四千九百四十九万トン、全排出量の四%となっています。そのうちの大半が稲作、それから燃料燃焼、それから家畜排泄物の管理、そういったものがあります。そういった温室効果ガスが発生しているというのも一面かということでございます。

野間委員 よく最近、水田からメタンが出ているんだ、これはよくない、農水省も、水田からのメタン排出削減のためだといって、簡単に言いますと、三百万ぐらいそれを止めるためにお金も出しているんですね。この前の補正予算でも、水田を宅地化すればということで七百五十億、予算をつけていますよね。

 水田からメタンが出る、これもやはり環境への負荷ということでやめるべきだとも取れるんですが、どうなんでしょうか。

川合政府参考人 お答え申し上げます。

 水田からメタンが発生する仕組みは、水を張った状態で活発に働くメタン生成菌が、土壌中の有機物を原料に温室効果ガスであるメタンを発生させるというものでございます。

 これに対しまして、中干しというものを行いますと、これは水を張らないということでございますけれども、一時的にメタン生成菌の働きも抑えられまして、メタンの発生量を、七日間延長しますと三割低減することが可能だということであります。

 こういった形で、中干しということで非常にメタンの生成を抑えるということができますので、これは農家の努力が必要でございますけれども、こういった理解を得ながらやっていきたいと考えています。

野間委員 なぜ私、そんなことを聞くかといいますと、皆さん御承知かもしれませんが、一月二十一日に、スイスで世界経済フォーラム、ダボス会議というのがありました。ここで、農薬あるいは化学肥料のメーカーのバイエルのビル・アンダーソンというCEOが、こういうことを発言しているんですよね。

 アジアのほとんどの地域では、いまだに田んぼに水を張る必要がある伝統的な方法で米が栽培されている。畑に水を張ると、基本的に水で雑草を殺すことになる。それはいいことのように聞こえるが、大量の水を必要とし、雑草の嫌気性発酵を引き起こす。雑草は水中で分解される。そうなると、メタンガスが発生する。実際、米の生産はメタンガスの発生源の一つであり、温室効果ガスの排出という意味でCO2の何倍も有害なんだといって、水田は有害なんだということを堂々とこの世界経済フォーラムの中で発言しているんですよね。

 このバイエル社というのは、モンサントを買収して、ラウンドアップ除草剤で有名ですけれども、そういった企業のCEOがそんなことを言っているんですね。

 ということは、今農水省さんがやっている中干しとか畑地化、水田の畑地化あるいは汎用化ということを何度も何度も言われていますけれども、そこと非常に結びついてくるんですよね。その辺は、どういうふうに認識されていますか。

坂本国務大臣 水田は、私たちの食料の大本であるだけではなくて、国土の保全、そして良好な景観など、本当に多面的な機能の発揮によりまして、私たちの生活や経済の安定に非常に重要な役割を果たしている、これが水田であり、日本人とは切っても切れないものでございます。

 しかし、その一方で、地球の、世界のルールというのが非常に環境に厳しくなってきております。農林水産漁業、食品産業においても、環境への負荷の低減を図らなければいけない、これは待ったなしの環境政策であるところです。

 そこで、令和三年に農林水産省としては、みどりの食料システム戦略というものを作りまして、法律も作りまして、環境と調和の取れた食料システムの確立を柱として位置づけて、水田の多面的機能についても、環境負荷低減を図りながら、十分かつ適切にこれから水田の機能を発揮しなければいけないというようなことを進めているところでありますけれども、そこに突然発言があったのが、今委員言われたところのバイエル社のビル・アンダーソンCEOのメタン発言でございます。

 しかし、これに対しましては、私たちとしては、水田というのは、私たちの方では中干しもしているんですよ、それから、秋の間に耕して稲わらなどをすき込みますいわゆる秋耕、こういったものを繰り返しながら、これまでメタン抑制を始めとして環境負荷の低減をやってきたところですよというようなことを、やはり、水田が悪者でない、我々はしっかりこれだけのことをやっているということを、これから世界に対して、やはり十分説明をして私たちの水田というものを守っていかなければいけないというふうに思っております。

野間委員 まさに今大臣おっしゃった、水田が悪者だというふうに今なりつつあるんですよね。バイエル社にすれば、水田はやめろ、水田の効能はそうやって、やはり雑草等を水によって殺す効果がありますから、もうやめろ、自分たちの除草剤を使って、また、一回しか使えない種を買いなさいということになりかねないんです。

 今大臣おっしゃったように、今までは、農水省は当然、水田というのは洪水を防ぐ機能がある、土砂崩れを防ぐ、あるいは、土壌の浸食を防止するとか、河川の流況の安定化、水質の浄化、非常にいい効果が、多面的な機能があるんだということで水田を守っていこうというのが一番の方針だったはずなんですが、そこは是非、どういうたくらみがあるか分かりませんけれども、こういった声に対しては毅然と反対をしていただきたい、反論をしていただきたいと思います。

 とりわけ、地方に行けば、春になれば五穀豊穣を祈るいろんな行事がいっぱいありますが、これも全部稲作に関連する伝統文化ですよね。こういったものまで否定していくような動きに対しては、毅然たる反論を言っていただきたいと思います。

 そういった意味で、ちょっと再度、どちらを取るかということも言えないかと思うんですけれども、大臣、やはりこういうものに対してはきちっと、水田はいろんなことはあるかもしれないけれども守っていくんだということを、もう一度明確におっしゃっていただけますか。

坂本国務大臣 水田はしっかり守ってまいります。その一方で、生産力の向上と持続性、この両立を図ってまいります。あわせて、環境負荷の低減への努力、これもやはり世界に対してアピールをしていきたいというふうに思っております。

野間委員 次の質問ですけれども、私の地元あるいは全国でも今非常に懸念されていることなんですが、私どもの地元では黒毛和牛の生産が盛んなのですが、二〇〇一年のBSEの頃から中国に対しての輸出がばたっと止まっています。

 政府は、畜産のクラスター事業ということで、牛をどんどんどんどん生産をしなさい、これは中国の富裕層が買ってくれるんだということで増産をしてきたんですけれども、残念ながら輸出は止まっているし、今相場が下がって、非常に、畜産農家が塗炭の苦しみにあえいでいます。もちろん配合飼料の高騰もコストを非常に上げているということでありますけれども。

 この中国との、いろいろ交渉はされているんですけれども、現在、どういう交渉をして、どんな段階にあるんでしょうか。

安岡政府参考人 お答えいたします。

 中国向けの日本産の牛肉の輸出については、これまで家畜衛生に関する協議を重ねてきた結果、令和元年、二〇一九年の十二月にBSEと口蹄疫に関する中国の輸入禁止令については解除されたところでございます。

 一方で、今後の輸出再開に向けては三つのステップが残ってございます。一つは、食品安全の観点からの中国による我が国の食品安全システムの評価。二つ目として、輸出する際の家畜衛生条件の設定でございます。三つ目として、衛生条件に基づく輸出施設の認定及び登録といった、残りのステップ三つがございます。現在、中国側によって日本の屠畜場の衛生管理などの食品安全システムの評価が行われているところでございます。

 協議の見通しでございますけれども、これはまた相手がある話でございますので予断を持って申し上げることはできないんですけれども、輸出再開に向けた手続が進むように、外務省などと連携を取りながら、あらゆる機会を捉えて中国側に働きかけてまいるということでございます。

野間委員 是非、多くの生産者が注目をしていることでありますので、なかなか情報が出てきませんけれども、その辺は広く伝えていただきたいと思います。

 続いて、昨年の福島のALPS水の放出に伴って、やはり中国側が、水産物、私どもの地元ですと養殖のブリなどの輸出が止まっている状況になっていますけれども、これは、もろもろ報道もありますけれども、いろいろ交渉はしていると思うんですが、どんな状況でしょうか。

森政府参考人 お答えいたします。

 中国等による水産物の輸入停止によりまして、ホタテ等を中心に影響が出ている状況でございます。

 中国等によるこうした科学的根拠のない規制については、政府一丸となって即時撤廃に向かって働きかけを行っているところでございますが、具体的なやり取り等につきましては、相手のある話、外国交渉に係ることでございますので、お答えは差し控えさせていただきます。

野間委員 これも一体どうなるんだろうか。そう簡単に代替の売り先が決まるわけでもないので、毅然とした態度で、しかし早期な解決を望みたいと思います。

 最後の質問になります。

 今回、基本法の改正等で、とりわけ食料安全保障の問題が取り上げられていますけれども、我が国の歴史の中で一番、食料安全保障が危機に瀕して厳しい状況にあったというのは、もう御承知のとおりですけれども、太平洋戦争、戦中戦後の時期だったと思います。食糧難にみんなあえいだわけです。

 これは、農水省の皆さん方の先輩の海野洋さんという方が、「食糧も大丈夫也 開戦・終戦の決断と食糧」、こういう四百八十七ページの、当時の、戦前から戦中戦後について、いろんな事情を詳しく述べられた本が出ております。

 この表題の「食糧も大丈夫也」というのは、日米戦の開戦の前に、御前会議に日本の食料事情はどうなんだということを提出する際に、当時の鈴木企画院総裁が、食料も大丈夫なりと言って、大丈夫ですということを報告しているんですね。後から見れば非常に甘い考えで、食料は何とかなります、だから日米開戦、戦って大丈夫なんですということを言っているんですね。当時もう、非常にこの見通しが甘いことで国民が大変なことになったわけです。

 これによりますと、大体、戦前も、昭和十年代も、日本の食料の自給率というのが七割ぐらい。あと三割はどうしていたかといいますと、米ですね、台湾と当時の朝鮮、日本の植民地だったところからのお米を入れて、それで何とか国内の需要に、一〇〇%になっていた。ところが、昭和十四年に朝鮮の南部の方が大干ばつになって、前年から三割ぐらいしかお米が取れなくなる。それで日本にお米が全然入ってこなくなって、それから日本は困って、タイ、それから当時のベトナム、南部仏印ですね、仏領インドシナ、そこからお米を持ってこざるを得なくなって、南部仏印進駐とか、当時のいろんな軍事的な動きが出てくるんですけれども、そういったところから、開戦に至る道も開けてきてしまったわけです。

 そういうように、当時から非常に日本の食料の事情、そして自然条件、これは八十年以上前の話ですけれども、今と全然、実は、この自然条件も、そういった条件も変わっていないということは御承知のとおりだと思います。確かに、いろんなところから今輸入できるといいますけれども、それが途絶したときは同じような事態になるということは目に見えているわけです。平成五年の平成の米騒動と言われたときも、お米をどうしたかといえば、タイから買ったわけですよね。やはり、当時と同じことをしているんですね。

 それで、今回の食料安全保障の問題でも、自国の生産基盤を確立するのが第一だ、次は備蓄だ、そして輸入。何か、三本柱でやっているように思われるんですけれども、三本柱じゃないですよね、自国の生産が八割か九割なければ輸入なんか簡単に途絶するわけです。

 最後は、朝鮮半島からも台湾からも輸送船が米軍の機雷封鎖で来れなくなって、本当に、あと半年終戦が遅れていたら、大変な飢餓状態になったであろうということも記されていますけれども、そういう状況でありますので、備蓄とか輸入は結構なことですけれども、それに頼っていては、これはできない。

 当時は、今と違って千二百万人ぐらい農業人口があったんですね。ですから何とか、何とか持ちこたえた、しかし、二十年後、農業人口は三十万ですよね、皆さんが予想しているのは。これでは基盤が完全に崩れているわけですから、その上に家を建てようとしても、これは崩れてしまいます。

 ですから、もうちょっと、国内の生産をどうしていくのか、基盤をどうやって固めていくか、こっちに注力すべきだと思いますけれども、大臣の見解をお聞かせください。

坂本国務大臣 私たちとしても、食の事情を非常に厳しく捉えております。気候変動による食料生産の不安定化、それから国際情勢の不安定化、さらには人口増による食料の争奪、こういったもので我々の国においても非常にリスクが高まる、だから、平時における食料安保の確立が必要なんだということで、今回の食料・農業・農村基本法の改正というものになっております。

 そして、その第一は、委員が言われるように、やはり国内で生産できるものは可能な限り生産するということ、そのためには生産基盤の確保が大事であります。しかし、一方の方で、人口減少とともに、国内の市場も減少していく中で、市場縮小が生産基盤の弱体化につながらないように、基本法の改正でやはり国内基盤を維持する一方で、輸出も拡大するという方針を立てているところでございます。

 そういうことで、国内の生産基盤の強化ということでいいますと、やはり、農業法人の経営基盤の強化をしましょう、そして、担い手を経営や技術面でサポートをしましょう、また、稲刈りとかいろいろな作業を専門的に行うサービス事業体、こういったものを育成しましょうと。農業もそういったサービス事業体の進出によりまして、ある程度分業体制というものができるようになります。

 と同時に、やはり農地を集積、集約をする、そして、少子化に当たっては、スマート技術を活用して、現場で生産方式の導入を促進し、新品種開発の推進といった生産性の向上も図っていきましょうというようなことで、あらゆる手段を総動員して、国内の生産基盤、そして生産力、そして担い手、こういったものを強くしていく、こういうのが、今のちょうどこの時点に差しかかっての、我々日本が立たされている立ち位置だというふうに思います。

 そういうことを考えながら、今回の食料・農業・農村基本法の改正ほか関連法案の改正ということで、皆様方にいろいろな審議をお願いしたいということでありますので、どうか今後ともよろしくお願いを申し上げたいというふうに思います。

野中委員長 野間君、時間が来ておりますので、簡潔に願います。

野間委員 ありがとうございました。また基本法の審議等で議論を深めていきたいと思います。

 終わります。ありがとうございました。

野中委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

野中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。一谷勇一郎君。

一谷委員 皆さん、どうぞよろしくお願いいたします。日本維新の会・教育無償化を実現する会の一谷勇一郎です。

 本日は、大臣所信に対する質疑をさせていただきます。

 まず、大臣所信に目標の数値の裏づけと数字が少ないように思いますが、これは一体なぜなのかということで、特に新規就農者の目標数値はどう考えておられるかということを、まずは大臣にお伺いをさせていただきます。

坂本国務大臣 今回の所信表明におきましては、限られた時間の中で、農林水産大臣としての私の基本的な考え方のその一端を申し述べたものであります。

 委員御指摘の新規就農者の目標としては、二〇一三年、平成二十五年に、二〇二三年に四十代以下の農業従事者を四十万人に拡大するとの目標を掲げておりますけれども、直近の二〇二二年、令和四年の数値は二十一万九千人となっています。

 これまで以上にしっかりと新規就農対策を推進する必要があることから、令和四年度から、現場の御意見も踏まえまして施策の見直しを行い、改めて、親元就農も含めて新規就農の皆さん方の支援をする、それから、地域におけるサポート体制の充実も支援することとしたようなところでございます。

 そういうことで、総合的な支援によりまして、新規就農者の確保から定着までを進めてまいりたいと思いますが、数字につきましては、これから食料・農業・農村基本法等に対して、基本計画の中でお示しすべきところはしっかりお示ししてまいりたいというふうに思っております。

一谷委員 やはり数字がないとなかなか説得力に欠けるのではないかというふうに思います。

 また、アンダー四十の方が目標四十万人で、結果二十二万人だったということなんですが、これは追加の質問になるので政府参考人の方でも結構なんですが、なぜ二十二万人で止まってしまったかというところの問題の洗い出しというか、そういったことはされているのかということを御答弁をお願いいたします。

村井政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員から御指摘いただいた点でございますけれども、例えば、今、新規就農者、行動としては農業法人への雇用就農という形で入ってこられる方も多いということで、比較的、四十代以下の若いところでは、個人の独立した経営で営んでいらっしゃる方もおられますけれども、雇用で入ってこられる方も結構多いという中で、法人数は増えておりますけれども、一方で経営をやめてしまうというような法人もある中で、そういったところの雇用のところで我々が想定したよりも人数が少し減少してしまっている、そういった状況にあるというふうに認識しております。

一谷委員 今、雇用ということが出ましたのでお話をさせていただきますと、やはり雇用先というのは非常に重要だというふうに思います。

 私は医療分野が専門ですが、我々の医療分野の専門学校も関西においてなかなか生徒さんが集まらないという状況で、実は林業に学科を変えていこうかというような我々の専門の大学もありましたので、若い方々が農林水産で働いてみようと思う意識は少しあるんだというふうに思いますし、医療従事者を育てる学科が多過ぎて、ちょっと学科を変えていこうかというところの流れもありますので、やはりこれは目標を、幾らぐらい新規、アンダー四十の方が必要でという数字を出せば、学校側も育成をしていく目標が立つのではないかというふうに思いますので、是非、目標というのはしっかり立てていただいた方が、見えるようにしていただいた方がいいように思いますし、雇用先は、こうやって新しい学生をつくっていくには一番出口戦略が大事ですので、必要だというふうに思います。

 それでは、次の質問をさせていただきます。

 これは私の考えが間違っていたら間違っていると言っていただきたいんですが、日本はたくさんの食料を輸入します。ですから、輸入をできなくなった場合どうしようかというふうに私も考えるんですが、逆に、輸出国からすると、日本に輸入をしてもらえなければ困るなというような意識も持っておられるのではないかなというふうに思うんです。こういった輸出国の考えることというのを、日本の農林水産の皆さんはコミュニケーションを通してしっかり対話をしているのかなというのが素朴な疑問です。こういったことがなければ、ちょっと足下を見られて、高い穀物レートで輸入してしまうということもあるんじゃないかと思うんです。

 これは二役の先生にお答えをいただけたらと思うんですが、よろしくお願いいたします。

武村副大臣 お答え申し上げます。

 食料など海外からの輸入につきましては、商社など民間事業者によって調達されているところでありまして、民間事業者によるビジネスベースでの輸入が安定的に継続されるよう、政府としても環境整備に努めているところです。

 このため、これら食料等の主要な輸入先国との間でも政府間対話を行っておりまして、例えば、豪州との間では、日豪間の経済連携協定におきまして、食料輸入の顕著な減少が予見される場合の連絡協議の枠組みが規定をされており、その円滑な実施に向けた両国間の対話を行っているところであります。また、カナダとの間では、昨年のG7宮崎農業大臣会合の際に設置した日加農業食料政府間協力対話におきまして、食料の需給が逼迫する際の両国間の協議方法を議論をしているところです。

 このような主要輸入相手国との政府間対話の機会等を活用しまして、食料等の安定的な輸入の確保に努めてまいります。

一谷委員 企業間同士だというふうには思うんですが、私も民間で仕事をしていて思うんですけれども、やはり政府でなければできない会話もあると思うので、是非そこはやっていただきたいと思います。

 我が党の池畑議員と話をしているときに、領事館のスタッフの方が非常に向こうの民間とか政府の方と話合いをしていて、いろいろな情報を持っているという話を聞きましたので、是非、領事館の、民間スタッフの方もいらっしゃると思いますし、政府のスタッフ、農林水産から出向されている方もいらっしゃると思うんですが、そういった対話を重要視していただければというふうに思いますし、そういうのを我々にもある程度分かるような形で示していただけると非常にありがたいなというふうに思います。

 それでは、次の質問をさせていただきます。

 食料・農業・農村基本法の改正案ですが、精査しますと、県は一回、地方公共団体は五回しか登場しません。農業者は現場にいるので、県や地方公共団体が参画できないような案には共感されないんじゃないかなというふうに思います。

 私は、この条文を読むと、何か、国主導でやっていくようなイメージが私の中ではつくんですけれども、この回数が少ないということはどういうことなのかということと、生産性と環境負荷技術は、現場で生きてきています、その他市町村長の定める条例によるというような、農業の地方分権が全く感じられないように思います。県、市町村をその気にさせる制度の余地が必要ではないかと思うんですが、併せて大臣に答弁を求めます。

坂本国務大臣 食料・農業・農村基本法は、施策の方向性を定める理念法であります。ただし、目的規定には国及び地方公共団体の責務等を明らかにすると規定していますように、施策の実施に当たりましては、地方公共団体である県、市町村の役割が重要であるということは言うまでもありません。

 このため、改正案の第九条におきまして、地方公共団体の責務を規定し、地方公共団体が、基本理念にのっとり、地方分権の考え方を踏まえつつ、国との役割分担の下で施策を策定、実施する旨を包括的に規定をしています。

 今後とも、地方公共団体であります県、市町村との役割分担の下で、基本理念の実現に向けて必要な施策を行ってまいりますけれども、農業の場合にはやはり常に現場の声を聞くということでありますので、積み上げ方式で、現場から市町村、市町村から県、そして国の施策というふうにこれまでもやってまいりましたし、そこは十分にこれからも連携を取ってやってまいりたいというふうに思っております。

一谷委員 今答弁いただきましたところを踏まえますと、地方分権で、地方の自治体にしっかりと権限と財源と人を送るというふうなことで問題はないのかということを改めて大臣にお聞きしたいのと、基本法を作るときに、農林水産省の中にも技術職の方がたくさんいらっしゃると思うんですが、そういった方も関わって作っていっておられるのかというのが、これは質問通達をしていないので答えていただかなくても大丈夫なんですが、もし答えられるのであれば、答えていただけたらありがたいと思います。

坂本国務大臣 技術会議、技術陣も含めて、総力でこの基本法というものの改正に向けて素案を作ったところであります。

一谷委員 ありがとうございます。

 今、しっかりと御答弁をいただきました。やはり技術職の方が重要だと思いますので、現場で生きる改正法案になっていけばというふうに思います。

 それでは、次の質問をさせていただきます。

 所信に、国内農業生産の増大を基本とする食料安全供給の考え方を保持した上でということで、現場の重要性を問いたいというふうに思います。

 我が国は南北に細長く、おのずと環境の影響を受け、適地適作が必要ですが、一律規定には制約があるのではないかというふうに思います。南北に細長い地形には複数の農業技術が存在し、産地ごとの得意分野があります。増産方法にも地域性があり、県、市町村を巻き込まないと解決できないと考えますが、県、市町村の重要性を改めて、産地ごとの得意分野ということにも絞って大臣にお伺いをいたします。

坂本国務大臣 委員御指摘のように、我が国の国土の特性上、農業生産においては、気象や土壌の条件に応じて適切な作物や生産時期が異なってまいります。そのような中で、各地域が自らの判断で地域の特性を生かした産品の産地化を進めることが、産地の競争力を強化させるばかりでなく、我が国農業の発展に向けて非常に重要であるというふうに認識をいたしております。

 こうした産地化に際しましては、地域の特性を踏まえながら生産者や関係者も参加して取り組まれる、産地の振興方針の策定、そして産地の特性を反映した施策の実施等において、地方自治体の役割が非常に重要であるというふうに認識をしております。

 農林水産省といたしましても、このような過程を経て策定されました方針に基づきまして取り組まれる産地の基幹となる施設の整備や農業機械の導入への支援などを通じまして、都道府県や市町村等を核とした産地の取組を後押しし、農業者の所得向上に向けて取り組んでまいります。

一谷委員 前回の国会で質疑をさせていただいたときに、産地が競争力の源じゃないか、競争することが農家にとって、日本の農業にとって非常に重要なことではないかというふうな質疑をさせていただいて、今回、大臣所信に産地という言葉が入っていましたので、非常にうれしく思います。

 温暖化で、農作物を作るのも変わってくると思いますので、農業試験場の役割も更に重要になってくると思います。私の兵庫は酒米の生産量が日本一でありますけれども、温暖化による水温の上昇、こういったことが非常に問題になってきているというふうにも聞いています。新潟県は、高温障害に強いコシヒカリを、これはNU1という商品で間違いないですかね、開発されたということを聞いておるんですが、産地ごとの強みを生かしていく、農業試験場にしっかりと、新しい品種の開発、そういったことをしていただくということが重要だと思うんです。

 もう一点、二役の先生に御質問させていただきます。

 高知県は、全国都道府県の政策として一歩リードしているというか、私も素人ながらいろいろ調べてみますと、園芸ですかね、こういった取組であるとか、オランダの方の技術者を特別に呼んでやっておられる、又は、技術革新を行うためのデータ基盤の連携、そういったものをやっているというところで、非常に一歩も二歩も進んだ取組をされているのではないかなというふうに思うんですが、国として、こうやって一歩進んでいる、リードされている事例があると思うんですが、これを更に後押ししていくというようなことはどのようにお考えになっているのかをお願いいたします。

舞立大臣政務官 先ほど先生、高知県の例を出していただきましたけれども、こうした先進的な取組等につきまして、全国のモデルとなるような取組については他の産地にも横展開することが重要と私どもも考えておりまして、農水省では、農業者や地方自治体、メーカーや関係団体等を対象とした優良取組事例セミナーを開催しておりまして、先ほどの高知県の取組につきましても発表いただいたところでございます。

 今後とも、産地自らが行う生産力の向上ですとか収益力の強化に向けた取組を支援いたしますとともに、全国を牽引する取組の横展開が図られるよう、情報発信に努めてまいります。

一谷委員 是非こういった取組をしていただきたいと思いますし、横展開が、効果が、取組として、全く隣の県がやっていることが自分の県でできるかどうかということは別として、取り上げていただくということは農業者にとっては非常にモチベーションになると思いますので、是非やっていただきたいと思います。

 次の質問をさせていただきます。

 農水省は、スマート農業、これを農業掛ける先端技術と定義していますが、私はここにベテランの就農者の視点が抜けているのではないかなというふうに思います。これはちょっと提案のところもあるんですが、スマート農業は、ベテラン農業者の視点掛ける先端技術ではないかなと。

 ベテラン農業者が植物体のどこを見ているのか、肥料のタイミングはいつなのか等、これをAI化していくべきではないかなというふうに思います。ベテラン農業者が植物体のどこを見ているかということを若者はなかなか知ることができない。そこをうまいこと、暗黙知を引き継いでいただく。

 これはかなり無理があると思いますが、もしも引退されたり、いきなり入院や介護施設に入った場合は、有償でもいいので、県職員の方に駆けつけていただいて、オーラルヒストリーをしっかり聞いて、これをデータ化するというようなこともしていただけたらいいのではないかなというふうに思います。

 江戸時代末期にはペリーが日本に来て、後の報告書に、日本ほどアジア諸国で農業技術の高い国はないと言っていただいたそうです。ですので、今、農業者の平均年齢は六十八歳とお聞きしていますが、かなり蓄積された暗黙知のデータがあると思いますので、これをどのようにスマート農業に生かしていくか、大臣のお考えをお聞かせください。

坂本国務大臣 我が国の農業の生産性向上を図るためには、暗黙知となっている熟練農業者のノウハウをデータ化して活用するスマート農業技術の推進が重要であると考えています。

 このため、農林水産省では、令和元年度からスマート農業実証プロジェクトというのを実施しております。そこで開発されました二つの事例を御紹介させていただきます。

 一つは、農業用ハウスの環境の自動制御装置です。これは、センサーで、この温度になったら加温する、あるいは加温を止めるというような装置ですけれども、これも熟練者の方々が自らの感覚をデータ化して、そしてセンサーというものにしたものであります。そしてもう一つは、スマートグラスというのがあります、サングラスみたいなものでありますけれども。これは、どのくらい果実が熟しているのか、取り入れ期になっているかどうか、表面を見える化して、そして収穫時期を探るものでありますけれども、これも熟練の方の様々なデータを積み重ねて、このスマートグラスというのが開発をされております。

 そういうことで、令和五年度補正及び令和六年度の予算におきましてもスマート農業技術の開発、改良への支援を措置しているところでありますけれども、更にスマート技術の活用を促進するため、新法も今国会に提出をしておりますので、引き続きスマート農業を推進してまいりますが、ベテランの暗黙知が積み重なってデータとなって多くのスマート化が今でき上がろうとしているということも御理解いただきたいというふうに思います。

一谷委員 若手の就農者が一人前になるのに時間がかかると思いますが、例えば十年かかったところを五年で一人前に働けるようになるとなれば、生産性はかなり向上していくと思いますので、これはいろいろな分野で言われていることだと思うので、是非農業分野でもやっていただきたいと思います。

 もう一つ、今、これは質問しませんけれども、ドローンの活用で、肥料をまいたりされています。このドローンの進歩が、この三年が物すごく速いそうで、オンライン化されてきている。ですので、五年ぐらい前に購入したドローンが、補助金をもらっていると大体五年から六年、七年ぐらいは買い換えられないところが足かせになっているというような意見も、この質疑のためにいろいろ地元の方の意見を聞くとお聞きしましたので、ここはまた見直しであるとか、地元の方のドローンの意見を聞いていただけたらなと思います。

 私も実際見に行ったんですけれども、びっくりする、大きくて、そこにあるテーブルぐらいのもので、ぶわあっと飛んで肥料をまいておられました。本来なら二、三週間かかるところを、一日もかからないようなこともおっしゃっていました。そして、ドローンの開発はもう本当に終盤にかかってきているんじゃないかな、オンライン化でという話をされていましたので、是非、スマート農業の中でドローンの技術も見ていただきたいと思います。

 続きまして、有機農業について、二役の先生に御質問させていただきます。

 有機農業を広げるというふうにお聞きをして、いろいろな資料も読ませていただいたんですが、実際に有機農業をやっておられる農家さんにお聞きすると、かなり手間がかかってしまうということも聞いています。私が聞いているのは、病害虫の件が一番大変だというふうにお聞きしています。私は、この病害虫、やはり高温になってくるからこういった病害虫が出てくるんだというふうに認識しているんですけれども、中山間地域を活用すれば、温度は低く保てるので、有機農業を広げるのに大変有効ではないかなというふうに考えます。

 また、有機農業がどこでうまくいっているのかなというふうにいろいろなデータを調べたんですが、成功事例の地図化というか、どこがうまくいっているのかというのをぱっと一目瞭然に見ることができなかったので、こういった地図化と、あと、共通の成功事例を示していくことが重要ではないのかなというふうに思うんですが、このことについて御質問させていただきます。

武村副大臣 お答え申し上げます。

 有機農業は、化学農薬や化学肥料を使用せず生産を行うことから、御指摘のとおり、病害虫や除草の防除に労力を要することなどが拡大を図る上で課題となっているところです。

 一方で、中山間地域は、比較的気候が冷涼であり、隣地と隔たっていることなどから、例えば、八ヘクタールの圃場で年間六十品目の有機野菜を生産する長野県佐久穂町の農業法人や、水稲からレタス、ホウレンソウ、ユズなどの生産を行う熊本県山都町など、中山間地域の特性を生かした有機農業の産地づくりに取り組まれている事例が全国各地には多くあります。

 有機農業の拡大目標の実現に向けては、こうした取組の横展開を進めることが重要だと考えておりまして、市町村主導で有機農業の拡大に取り組む先進モデルであるオーガニックビレッジにつきまして、市町村や取組内容をマップ化し、当省ホームページで公表をしているところです。

 加えまして、今後、有機の産地化に取り組む方々のヒントとなるように、オーガニックビレッジに取り組む市町村を農林水産省に招いて、防除技術や学校給食での利用など先進的な取組を全国に発信していただく、オーガニックビレッジ全国集会の開催、これを一月十五日に行いました。

 それからまた、地域の先進的なリーダーとして有機農業に取り組まれている農業者等を表彰する、未来につながる持続可能な農業推進コンクール、これは昨日開かれましたが、この開催などの取組を行っているところでありまして、引き続き、これらの取組を通じまして、有機農業の拡大を進めてまいりたいと考えております。

一谷委員 先ほどのドローンの話を私に教えてくださった農家の方は、有機農業に四年ぐらい取り組んでいるということなんですが、毎年、取れ高に波があって、非常にしんどい、もうやめようかなみたいなことを話したんですが、そこでぽろっとおっしゃったのが、もっと勉強できるところがないのかなというお話もされていたので、是非今の副大臣のお話を広げていただきたいのと、何か条件不利地域みたいな感じで中山間地域が言われているというふうに私は認識しているんですが、決してそんなことはないんじゃないかなと。これからの温暖化を考えれば、中山間地域、狭いエリアでも、それを集めれば大きな面積になりますので、生かしていく、逆転の発想がいいのではないかというふうに思います。

 ここで、次の質問をさせていただきたいんですが、有機農業も、農業もやはり出口戦略が大事で、農林水産省の方は価格形成と言いますが、なぜ粗利益というような言葉が出てこないのかなというのが素朴な疑問なんですが、大臣、答弁ありましたら、よろしくお願いいたします。

坂本国務大臣 私たちの方では、合理的な価格をそれぞれの連携の中で決めていくというようなことで、法的にも、合理的な価格という言葉を使っております。

一谷委員 価格形成、合理的な価格、それにはいろいろなコストもあると思いますけれども、やはり、粗利益がどれぐらい上がるのかなというのが、これから参入してこようかなと思っておられる方は一番気にするところだと思いますので、是非、どれぐらいの、これは事業者の努力もありますけれども、平均的な努力をしたらどれぐらいの粗利益が出るんだろうかというのは示していただく方が、もし私が、自分が農業をやろうと思ったときに、それがぱっと見えたら分かりやすいですし、平均的な粗利益が上がっていないのであれば、自分の何かコスト削減ができていないんじゃないかとかいうふうに、一つの物差しになりますので、是非ここは考えていただけたらありがたいというふうに思いますし、皆さんプロフェッショナルなので、一谷は何言うてんのやと思われるかも分からないですけれども、これから私が農業をしようと思えば、そういうことを念頭に置くというふうに思います。

 それでは、時間がありませんので、これは最後の質問になると思います。

 食品産業の成長と競争力強化というところで、いろいろ私なりにも考えたんですが、我々の灘、私は兵庫一区ですから、灘はお酒が有名でして、これは世界で戦っていけるお酒だと思いますが、世界へ出していこうと思ったら、脱炭素的な対応をしていかないといけない、カーボンフットプリントということをやっていかないといけないということなんですが、これは私が勝手に調べて話していることなんですが、そうなってくると、経産省も一緒になってやっていかなければいけないんじゃないかというふうな私の考えです。

 そこをこの問取りのときに経産省の方にもお伺いしたら、いやいや、それはジェトロさんが農水省さんとやっていますからという話だったんですけれども、やはりここは、世界にグローバルな価値を供給していくとか、海外市場へ進出していく、又は食品産業として国際競争力を高めていくとか、逆に、海外からの投資や技術をこっちへ呼び戻してくるということを考えると、これはやはり経産省とタッグを組んで農水省さんもやっていかれたらいいのではないかと思うんですが、その辺りについて、二役の先生に御答弁を求めます。

舞立大臣政務官 食品産業の関係でございますけれども、やはり大宗が中小企業でございますので、当然ながら、従来より、経産省、中小企業庁と協力しているほか、産業用機械製造業を始め幅広い産業を所管する経済産業省とは今後とも連携を強化してまいりたいと考えておりますし、また、環境負荷の低減のお話も出されましたけれども、カーボンフットプリント等の様々な取組、様々出していただきました。経産省とともに、環境省等とも連携しながら、しっかりと食品産業の成長産業化に努めてまいりたいと考えております。

一谷委員 ありがとうございます。

 私も、しっかり現場を歩いて、維新の方向性に合わせて、私なりの視点で質疑を続けていきたいと思いますので、今後ともお願いします。

 これで私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

野中委員長 次に、池畑浩太朗君。

池畑委員 日本維新の会の池畑浩太朗でございます。教育無償化を実現する会との統一会派を組ませていただいております。

 今回は、大臣所信をお聞きしての質問をさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 まずは、今回の大臣所信でも、食料安全保障の抜本的な強化を述べておられました。その中で、先ほど一谷代議士からもありましたけれども、適正な価格形成を促すとありましたが、この部分について質問をさせていただきたいと思います。

 農業者が作った作物を集荷して有利に販売するというのは農業団体の本来の役割ではないかというふうに私は考えております。促すとありますのは、国が価格形成をするのではないという意思表示の表れだというふうに思いますが、一般的に、価格は需要と供給に応じて民間の取引で決まるという原則です。それを無視して、仮に国が価格を示すということになったときに、その価格が本来の市場価格より高かった場合、売れなくなってしまいます。継続して生産ができなくなるということであります。そして、当然農地が荒れてということになっては、結果的に食料の安全保障が脅かされるということになるということであります。

 適正な価格形成を促すことについて、まずは、大臣、どのようにお考えか、お聞かせいただきたいと思います。

武村副大臣 お答え申し上げます。

 農産物と食品の価格については、需給事情や品質評価によって決まることが基本でありまして、この基本には何ら変わりがないと考えています。

 他方、近年の資材価格等の高騰は、生産から加工、流通、小売、消費等の各段階に幅広く影響が及んでおりまして、食料の持続的な供給を行っていくためには、生産から消費に至る食料システムの関係者には、その持続的な供給に要する合理的な費用が考慮されるようにしなければならないと考えています。

 こうした取組を具体化していくため、農林水産省では、昨年八月から、生産から消費までの各段階の関係者が一堂に集まる協議会を開催をし、議論を進めているところですが、消費者を始めとする関係者の理解を得るとともに、国が価格を示すというのではなくて、合理的な費用を明確にできるよう、丁寧に合意形成を図ってまいりたいと考えております。

 委員から御指摘のありました農業団体の役割につきましては、農業者の所得増大を図ることが基本であると認識をしておりまして、具体的には、全国の農協において、有利販売の取組の一つとして、連合会とも連携をし実需者と交渉を行う直接販売に取り組んでいると承知をしております。

 以上です。

池畑委員 今、副大臣のお考えだけではなくて、全体の考え方だというふうに思います。それに関連しまして、農業団体の役割を今お話をしていただきました。しっかり、農業基本法の現行法にも示されているように、役割を果たしていただかなければいけないというふうに思っています。

 先ほど申しましたように、農業団体の役割としては、価格形成にしっかりと関わっていただく、仕事をしていただく、すなわち価格交渉を積極的に行ってもらうべく、国も、先ほど副大臣からの答弁がありましたけれども、促していく必要があるというふうに思います。

 繰り返しますけれども、農業団体の役割として、価格形成にしっかりと関わっていただく、仕事をしていただく、現行法の解釈として大臣も同じ認識であるというふうに思いますが、答えは簡単で結構でありますので、同じ認識か、違うのかというだけで答弁をいただきたいんです。

坂本国務大臣 副大臣の認識と同様であります。

池畑委員 これは、基本法の一部改正案に対して、農業団体の役割がどのようになっていくのかというのを次の機会の質問にさせていただきたいと思いまして、今、質問させていただきました。

 次の質問であります。

 予算委員会でも触れましたが、減反政策の徹底ということを主張させていただきました。生産数量の目標配分は、二〇一八年に廃止をされました。三千億円程度の転作補助金はいまだにありますが、転作補助金によっていわば作付転換を強制するような政策ではなくて、自由に作付を農業者が判断できるような世界がよいというふうに考えております。

 先日の予算委員会でも、減反政策を徹底すべきというふうに私が質問したときに、与党側の席から、ええという声が聞こえてまいりました。今推進しておられる畑地化は、補助金が多い水田から畑作物に転換をして行政への依存を弱めるという見方をすると、減反廃止の徹底という主張と余りかけ離れていないというふうに私は思っているんですが、減反廃止の徹底と畑地化の推進について、大きな違いがあるのであれば、大臣の見解を、お話を聞かせていただきたいと思います。

舞立大臣政務官 減反の関係でございますけれども、先生御指摘のように、平成三十年産より、国から生産者に対する生産数量目標の配分を行わないということにしておりまして、農業者や産地が自らの経営判断により需要に応じた生産を行っていただくことを基本としているところでございます。

 その上で、主食用米の需要が毎年十万トン程度減少している中で、需要に応じて農家の経営判断で、麦や大豆、加工・業務用野菜などへの転換を推進していくことが、我が国の食料安全保障の強化に必要と考えております。

 こうした観点から、水田機能を維持しながら、麦、大豆等の畑作物を生産する水田については、水田でのブロックローテーションを促す一方、畑作物が連続して作付されている水田につきましては、産地化に向けた一定期間の継続的な支援や畑地化の基盤整備への支援を行っているところでございます。

 現在、各産地におきまして、畑地化一辺倒ではなく、水田機能を維持して産地化するのか、又は、水田を畑地に転換し、畑作物の本作化で産地化するのか、検討いただいているところでございまして、農水省といたしましては、各産地の意向を踏まえながら、いずれの産地の取組も後押しし、需要に応じた生産を徹底し、食料の安定供給の確保に向けた構造転換を推進しているところでございます。

 以上です。

池畑委員 予算委員会で大臣に答弁をしていただきましたとおりの部分もありました。

 今は検討期間であるということですし、これからどういうふうに進めていくのかというのは、そういった意見を聴取して、集約をしてから進めていくということはよく分かりました。

 大臣の言葉をおかりいたしますと、農業者や産地が自らの経営判断により需要に応じた生産を行うということが重要といただきましたので、そのままでありますけれども、改めてこちらも議論させていただきたいというふうに思います。

 今、政務官の答弁にもありましたけれども、転作の歴史は半世紀、五十年間に及んでおります。補助金をずっと投入をし続けてきたわけでありますけれども、小麦とか大豆の生産は伸びていったんでしょうか、これから伸びる見込みもあるんでしょうかという質問であります。

 昔と比べれば、品種改良も進んで、店頭でも国産小麦使用と書いてある製品を見ることが多くなりました。これは率直に申し上げまして農業現場の皆様の努力だというふうに私は思っておりますが、しかし、最近、生産量も、今政務官からもありましたけれども、増えた年もあるんですが、それは豊作であっただけで、実際は作付面積はそんなに伸びていないというふうに私は思っています。

 これは、米を作り続けるよりも負担となる麦とか大豆の作付について、これまで作付転換をしてきたところはいいんですけれども、今後更に伸ばそうと思うと限界があるのではないかというふうに私は思っています。何かてこ入れをしていかなければいけない、今のお話にもありましたが。

 そこで、予算委員会でも大臣から、今政務官からもありましたけれども、ブロックローテーションの話がありました。環境の保全からも大変重要であるというふうに、当時大臣もお話しでありました。

 今後、ブロックローテーションを導入するにしても、ある程度の面積が必要だというふうに思います。どの地域を中心に考えておられるのかということを少し考えていただきたいんですが、土地の集約が進んでいる北海道とか九州は別ですが、我々が選挙区としております近畿地方でもなかなか集約が進んでおりません。それを踏まえながらの、どういった地域を中心にこういうブロックローテーションなんかを考えておられるのか、見解をお聞きしたいというふうに思います。

坂本国務大臣 我が国の食料安全保障の強化のためには、輸入依存度の高い小麦、大豆の生産拡大が重要な課題であります。

 小麦、大豆の直近の作付面積、生産量は、小麦は令和五年産で二十三・二万ヘクタール、百九・七万トンであります。令和四年産で十五・二万ヘクタール、二十四・三万トンであります。おおむね前年比増となっております。

 五十年前の昭和四十八年と比べてみますと、小麦は作付面積で三倍強、生産量で五倍強、大豆は作付面積で二倍弱、それから生産量で二倍強と、年次変動はありますけれども、増加をいたしております。

 今後、小麦や大豆の生産を拡大していくためには、これらの作物は連作障害それから湿害等に弱いところがありますので、特に水田において、米と麦、大豆等の作付を団地化した上で輪作する、いわゆるブロックローテーションを推進することが重要であるというふうに考えております。

 私の地元には、再三紹介いたしますけれども、ネットワーク大津という集落営農法人があります。十三の集落が集まって、三百三十ヘクタールを所有しております。そして、そこでブロックローテーションをやっております。麦が二百三十四ヘクタール、さらには大豆が百十ヘクタール、そのほかに飼料用米とかあるいはWCSとか、こういったものを作りながら水田を回しているところでございます。

 この集落営農につきましては、北海道や九州に限らず、都市部の中でも、地域の話合いによって様々な集落営農法人が私はできるというふうに思っております。

 是非、そういう体制をつくり上げて地域の話合いを促したり、そしてその上で、ブロックローテーションや営農技術の導入によります生産性向上や増収の取組、そういったものが行われれば、それに対しては農林水産省としてしっかりと支援をしてまいりたいというふうに考えております。

池畑委員 特に地域を指定しているというわけではないということなんでしょうかね。今、大臣から熊本の話もありましたし、我々からすると、集約の進んでいない近畿地方を含めて、どんどん進めていけるような方針を掲げて、また、どういった仕組みかというのをつくり上げていただければというふうに思います。

 次に、森林整備について質問させていただきたいと思います。

 大臣所信において、森林整備や治山対策について取り組むべきというふうに取り上げておられました。

 現在、所有者の特定が困難な森林が多数存在をしております。所有者を特定する作業に大きな労力がかかっているということでありましたけれども、土地の集約、先ほどもありましたけれども、土地の集約というのは、今、農地バンクの件も含めまして結構大変だということはもう十分理解をしておりますが、土地の集約から集積へ、まさに山もそういったことであります。

 価値のある山、ない山というのがよく表現されますが、高い木が生息している山は価値があるというふうにいうんでしょうか、森林組合も、地元の森林組合はよく把握をしていらっしゃるというふうに思いますが、そういった地域でどのような対策を考えておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。

青山政府参考人 お答えいたします。

 森林整備を進めるためには、森林所有者の特定などが必要であることから、森林法におきまして、新たに森林所有者となった者に対して市町村への届出を義務づけるとともに、林地台帳制度によりまして、所有者や境界に関する情報等を取りまとめて、森林経営の集積、集約化等を行う者に提供するなどの取組を推進してきたところでございます。

 また、令和元年度に森林経営管理制度を導入いたしまして、市町村が森林所有者に意向調査を行った上で、所有者が自ら経営管理を実施できない森林について、市町村が森林の経営管理を受託する仕組みを始めました。

 この制度では、市町村が受託した森林のうち、森林経営に適した森林は林業経営者に再委託するとともに、林業経営に適さない森林については市町村自らが経営管理を行うこととしております。

 令和四年度末の時点で、私有林人工林があって制度の活用が必要な市町村の約八割で意向調査が実施されておりまして、取組が本格化してきているものと認識をしております。

 こうした取組を通じまして、円滑な森林整備につなげていきたいと考えております。

池畑委員 今、答弁をいただきました。やはり、土地の集約、山の集約というのは大変大事だというふうに思います。

 ちょっとこれは話が変わるんですが、分収林事業というので、国が始めた事業で、兵庫県も結構、兵庫県のみならず、いろいろな面で苦しんでいる地域があります。しっかりとけりをつけて次世代に受け渡すべきだというふうに思いますので、是非その辺りも含めて考えていただきたいというふうに思います。

 土地の集約と同時に、進めていかなければいけないのが、担い手だと思います。新規の就農に当たって、なかなか、これは神谷委員の方からも質問がありましたので、少しかぶらないように質問させていただきたいというふうに思いますが、労働災害の発生率は他の産業と比較して結構高いということであります。

 新しい人材をどのように確保していくのかということは結構大事なことだというふうに思いますが、数年ほど前から、農林水産省から、地元にもあります、宍粟市にもあります森林大学校とか、農業高校への機械導入の支援をいただいております。

 改めて、林業関係の高校への対応はどんなふうになっているのかということと、予算委員会でも、ちょっとこれは視点が違って予算委員会は輸出の質問だったんですが、大臣にもエンタメと輸出というのは結構大事なことですよと御賛同いただいた経緯もあります。こういう林業の教育ということも含めて、こちらもエンタメとかそういったところとコラボレーションしながら、今でもやっておられますね、映画を作成したりとか、どういう仕事だということは、そういったことも有効利用されていらっしゃいますけれども、この有効利用は連帯だというふうに思いますが、改めて、人材確保をするに当たってどのようなことを考えておられ、また活動されているのか、お聞かせいただきたいと思います。

坂本国務大臣 林業に関します人材を育成するために、様々な試みを農林水産省としてやっているところであります。

 一つは、林業大学校への研修用の林業機械のシミュレーターを導入しております。これは、スクリーンを前にして、そして高性能林業機器をこっちに置いて、そして操作しながら伐採した材木を運搬車に乗せる、そういうようなスクリーンによる教育であります。それから、傾斜地の伐倒に慣れるため、伐倒練習機の導入、こういったものも支援をしております。

 林業大学校や林業高校におけるスマート林業の学習機会を確保するためのオンライン学習コンテンツの作成や、教職員を対象にした研修も今行っているところであります。林業普及指導員が行います講義や実習や、カリキュラム策定の支援等も行っております。

 さらに、林業大学校におきまして、林業就業を目指す青年に対して給付金を支給をしているところでございます。

 委員がせんだっても言われましたエンタメ等につきましても、かつて酪農をテーマにした映画がございました。非常に好評でありました。そういったものも進めていけば若い林業家がまた参入してくるであろうというふうに思います。

 こういった支援策を通じまして、次世代の林業を担う人材の確保、育成に今後も取り組んでまいります。

池畑委員 農業高校、水産高校そして林業高校と、林業高校の話というのは今回初めてさせていただきましたが、大変重要なことだというふうに思いますので、是非進めていただきたいというふうに思います。

 同じく林業で、大臣所信でもこちらもありましたが、花粉症対策がありました。私は幸いにも花粉症ではありませんが、閣議決定までされていろいろなことを取り組んでいこうということでありました。

 杉の人工林を伐採するということでありましたけれども、この伐採木材を利用してどうにか進めていこうということでありましたが、杉も、大体五十年ぐらいたってきまして、かなり大きな木材になっております。どういったことに利用していこうというふうに考えておられるのか、答弁いただきたいと思います。

青山政府参考人 お答えいたします。

 昨年十月に取りまとめられました花粉症対策初期集中対応パッケージにおきましては、杉人工林伐採重点区域を設定いたしまして、杉人工林の伐採、植え替えの加速化等を集中的に実施するとともに、あわせて、杉材を始めとした木材需要の拡大に取り組むことを位置づけているところでございます。

 このため、主たる木材の需要先であります住宅分野におきまして、たわみにくさが求められるはりや桁などの横架材で杉材を活用するための技術の開発、普及への支援や、地域の建築の担い手であります工務店が杉材を用いた設計、施工を行う際の支援を行うとともに、大規模、高効率の木材加工流通施設の整備支援等に取り組んでいるところでございます。

 加えまして、住宅分野以外でも木材需要を拡大しようということで、中高層の建築物での利用を促進するため、強度や耐火性に優れた建築用木材の技術の開発、普及等に取り組んでいるほか、林野公共事業においては、木材利用の事例を収集して情報提供するとともに、林道整備の際には、木製ガードレールの設置についても補助対象としているところでございます。また、国土交通省においても、木製ガードレールの活用事例集を作成し、普及に取り組んでいただけているということを承知しております。

 こうした取組によりまして、杉材を始めとする木材の更なる需要拡大に努めていきたいと考えております。

池畑委員 今、お話をいただきました。私も、県会議員時代に木製ガードレールの質問をさせていただいたことがありました。

 この質問をするに当たりまして、農林水産省の方々とお話をするときに、そのガードレールの話をしましたら、ああ、ありましたねみたいな、結構過去のような話だったんです。今取り上げていただいて、これからも進めていただくということだったんですが。

 また、今、木材をビルに使うという話もありました。銀座高木ビルというところで、銀座の真ん中で、林野庁長官の賞もいただいたり、ウッドデザイン賞みたいなのをいただいたりしているものがあるというふうにお聞きしておりますし、是非、そういった銀座高木ビルさんのような事例なんかを、どんどん普及をしていくためにも、公表をどんどんしていくべきだというふうに思いますので、どんどん取り組んでいただきたいと思います。

 次は、水産政策についてであります。

 ALPS処理水の放出をめぐっては金子委員の方からありましたので、水産輸入物の停止を続けている一部の国、地域、これは結構、最近ここ一日、二日前ぐらいのニュースで、また更に大きく変化がありましたけれども、どのような地域で、どのような協議を行っておられるのか、伝えられる範囲でお答えをいただきたいというふうに思います。

水野政府参考人 お答えいたします。

 昨年八月二十四日のALPS処理水の海洋放出に伴い、同日以降、中国が日本産水産物を全面的に輸入停止し、香港、マカオが十都県の水産物等を輸入停止するといった措置が続いております。また、十月十六日以降、ロシアが水産物を全面的に輸入停止しております。

 これらの輸入規制を続ける中国等に対し、日本政府としましては、これまで、二国間での会議の場や国際的な議論の場において、規制の即時撤廃を働きかけてきているところでございます。

池畑委員 国際情勢は刻々と変わってまいります。是非、注視をしながら進めていただきたいと思います。

 私も復興特で質問させていただくときには、IAEAも含めてかなりの調査が入っているにもかかわらず、そういった風評被害をやられるということに対しては、強く抗議をしていくべきだというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。

 次に、水産業の環境への適応策についてお聞かせいただきたいというふうに思います。

 地元の、たつの市の室津漁港、今回、東京で牡蠣―1グランプリというのが開催されまして、地元の、たつの市の室津は、カキが準グランプリになったわけであります。

 環境適応策の中で、地元の防波堤、テトラポッドとか、波よけは幾つでもあるんですけれども、環境に配慮するということで、波に浮かぶような防波堤、これは浮消波堤というふうに言うそうなんですが、こういった技術を各大学や研究機関で、民間で取り組んでおられることがたくさんあるというふうに思います。

 是非、全国展開をしていく必要があると思うんですが、ただ、予算がないということが多いというふうに言われます。この技術を把握されているのかということと、まさに、こういったことを把握されているのであれば、積極的に展開していくべきだというふうに思いますので、是非、長官、どのように考えているか、お聞かせいただきたいと思います。

森政府参考人 お答えいたします。

 委員から御指摘のございました兵庫県たつの市の被害でございますけれども、台風の影響による高波で養殖カキのいかだが壊れるといった被害が発生したことがあったというふうに伺っているところでございます。

 こうした被害への対策といたしましては、養殖水域の静穏度を確保するための御指摘の消波堤の整備というのが考えられるわけでございますが、これにつきましては、水産基盤整備事業の支援の対象となっておるというところでございます。

 兵庫県の方に伺いますと、まだ漁協としてまとまった要望には至っていない状況というふうにお伺いしておりますけれども、農林水産省といたしましても、兵庫県、たつの市、地元漁協等の関係者間でのまず合意形成を図っていただいた上で、私どもとしてもしっかりと御相談に乗ってまいりたいというふうに考えております。

池畑委員 ありがとうございます。

 タイムスケジュール感も大事だというふうに思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 本日は、大臣所信に対しての質問でありました。基本法の一部の改正については、大いにまた次回議論をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 本日は、質問をこれで終わらせていただきます。

野中委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 最初に、能登半島地震の被災者支援について質問します。

 地震によって農林水産業も甚大な被害を受けました。田んぼ、畑はひび割れ、ため池は水漏れ、用水路は破断、農業用施設そして農機具も使えない。石川県では、港の八割が被災し、船も損傷しています。いつ出漁できるかも分かりません。被災した農漁業者は塗炭の苦しみの中にあります。既に廃業を覚悟した生産者もおられます。そういう報道も相次いでいます。

 坂本大臣にお聞きします。

 これまで、地域経済を担い、食料の供給に頑張ってきた生産者たちです。災害がきっかけで農漁業を断念させてはいけないと私は考えますけれども、大臣はいかがでしょうか。

 もう一つ、再建しようにも自己負担がネックになっています。今から投資したって元は取れぬとか、支援はありがたいけれども自己負担が厳しいとか、この年で借金はしたくない、こうした声がたくさん出ています。この声に坂本大臣はどうお答えなさいますか。

坂本国務大臣 自然災害に対して、やはり被災者の方々にできるだけ負担が軽い再建策、こういったものを示していかなければいけないというふうに思います。

 そういうことで、再建に当たりまして、農地利用効率化等支援交付金、被災農業者支援タイプを発動することにいたしました。これは、国が十分の五、そして県が十分の二、市町村が十分の二で、十分の九を支援するということであります。そういうことで、でき得る限り皆さん方の負担を少なくしながら、小さくしながら、再建に向けて私たちも後押しをしてまいりたいというふうに思っております。

田村(貴)委員 九割はありがたいんだけれども、その一割がネックになっているという話があるわけなんですね。

 軽トラックは、例えば農家にとって、漁師にとっても絶対必要な機材であります。そして復興の鍵となると思います。しかし、農林水産省の支援パッケージでは、軽トラックの買換えは対象となっていません。経済産業省のなりわい再建支援補助金制度では、被災事業者が仕事として使う自動車は補助対象となり、軽トラックも含まれます。そのことはレクチャーで何度も確認してまいりました。

 しかし、個人経営が圧倒的に多いのに、企業名が車体に印刷されている等とか、ただし書で、業務外利用の可能性があるものについては補助対象となりませんとか書かれています。業務外での使用が確認された場合は補助金交付後であっても補助金相当額の返納が求められますなどと、極めて厳しい条件が示されています。これでは、トラック一つ買換えができない状況にあります。

 経済産業省にお尋ねします。

 農家は、軽トラックで病院に行くこともあります、買物に行くこともあります。生活に全く使わないトラックなどあり得ません。現実的ではないですよね。そして、被災地なのに、これでは瓦れきの撤去もできないじゃないですか。こういう現実的でない厳しい条件が再建の妨げになっている。車両復旧の補助金制度を柔軟に、そして弾力的に使えるようにすべきだと考えますが、いかがでしょうか。

山本政府参考人 お答えいたします。

 なりわい補助金は、被災地域の復旧復興の促進に向けて、被災中小・小規模事業者の事業に不可欠な施設設備の復旧を支援するものでございます。

 車両の復旧につきましては、被災前に所有していたこと、また、事業のみに用いており、事業内容に適した車種であることの二要件を満たした場合に、事業に不可欠な設備として支援対象とさせていただいております。

 このうち事業のみに用いていることにつきましては、事業用として資産計上されていることに加えまして、複数の要件を複合的に判断いたします。例えば、車体に企業名が明示されていることや運行記録や業務日報など、事業目的の使用を証明する書類など、これらを複合的に判断いたしまして、適当と認められることを意図しております。

 その上で、個別具体的な事案は様々ございます。一概に判断をお示しすることは難しいと考えておりまして、事業者の方より、各県において設置されている相談窓口にお問い合わせいただくことになるかと存じます。

 このような御相談もお受けしながら、自治体と連携いたしまして、被災された事業者に寄り添いながら適切に対応してまいる所存でございます。

田村(貴)委員 個別具体的に相談は乗ると言うけれども、この厳しい条件というのは絶対条件なのか、それは個別の相談によって柔軟な対応もあり得るのか、そこをちょっと答えていただけますか。

山本政府参考人 お答えいたします。

 車両の復旧につきましては、先ほど申し上げましたとおり、被災前に所有していたこと、事業のみに用いており、事業内容に適した車種であることの二つの要件が満たされているかどうか、ここを個別の事情にも即しまして、判断をさせていただくことになろうかと存じます。

田村(貴)委員 非常に固いですね。被災地の現状に合っていませんよね。この議論は、災害のたびに起きているんですよ。必需品なんですよね。

 そして、畑に行く、あるいは浜に行くだけじゃないでしょう、所有している方は。それを個別具体的な相談で柔軟な対応に充ててほしいと言っているんです。どうもお答えがないので、是非、現地でそういうふうに対応していただくように強く要望したいと思います。

 農水省も、パッケージの中で、軽トラの買換え支援、これを追加したらどうですか。ここから始まるんですよ、移動しないといけないから。経産省のなりわい補助金が使えること、そして、これを柔軟に適用することも含めて、農水省も当たっていただきたいと思いますが、いかがですか。

村井政府参考人 お答え申し上げます。

 農業用機械等の再建、修繕等を支援する農地利用効率化等支援交付金の被災農業者支援タイプにおきましては、農業用機械として利用される軽トラックについても支援対象としております。

 具体的には、被災前に農業専用に使用していた車両が被害を受けた、今後も農業専用に使用される軽トラックについて、支援の対象になるということでございます。

 本交付金は、農業者の一日も早いなりわい再建を目的とするものであり、復旧を支援する対象は農業用機械としているということについて御理解をいただければというふうに考えております。

田村(貴)委員 坂本大臣、たくさんの支援メニューがあると言われます。でも、必ず自己負担というのがつきまといます。加えて、これが欲しいなという施策が、入口でこれだけ厳しい条件を突きつけられると、申請そのものをためらってしまう、そういう状況になると思うんですよね。

 坂本大臣は、所信表明で、農林水産業を再開できるよう、農林水産大臣として誠心誠意努めるというふうに述べられました。誠心誠意と言うのであれば、廃業を覚悟せざるを得ない生産者に対しても、少し思いとどまってみないか、ここまで国と自治体で支援できるから一緒に頑張ってみようか、そういう被災者、被災農業者、漁業者に寄り添った支援のことを誠心誠意とおっしゃっておられるのか、そこを確認したいと思います。大臣、答弁をお願いします。

坂本国務大臣 これは、なりわい再建を目的としている補助金でございます。そして、農業用に用いられる機械等の復旧を支援するものでございますので、そこは御理解いただきたいというふうに思っております。

 補助目的どおりに使用されている限り、先ほど、一番最初に言われました補助金返還とかそういうものはございませんので、その辺は御安心いただきたいと思いますけれども、残り一割につきましては、私の経験からいいますと、熊本地震の場合には、いろいろ農業者の方から、その一割の問題についての負担感の重さというのは余り聞こえてきませんでしたというのが、私の経験上、感じることでございます。

田村(貴)委員 この議論をする時間は余りないんですけれども、高齢化率が違いますよね、それから被災の度合いが違いますよね、地理的条件が全く違いますよね、新しく起こった地盤隆起という問題もありますよね。坂本大臣、熊本地震のことは一番詳しいかも分からないですけれども、そこは比較できない問題がありますね。そして、コロナで苦しみ、物価高騰で苦しみ、自己資金がない、ここに大きな地震が来たといったことを前提にしたら、今までの施策の入口条件というのは私は緩和されてしかるべきだと思います。そういう方向で柔軟に当たっていただきたいと思います。

 鳥インフルエンザの感染経路について質問します。

 昨年十一月以降、鳥インフルエンザが全国で発生しており、多数の養鶏が殺処分となっています。対策に対策を重ねてきたはずの養鶏農家の悲しみ、そして心労はいかばかりでしょうか。

 私は、昨年来、鳥インフルエンザの感染経路において、ハエが媒介し、研究者たちの科学的知見を生かすべきだ、このように本委員会でも主張してまいりました。国立感染研究所と九州大学が長期にわたって積み上げてきた研究がまさにそれであり、オオクロバエなど冬に活動するハエが渡り鳥の飛来地と養鶏の鶏舎を橋渡ししていた可能性が実証されています。

 坂本大臣にお伺いします。ようやく省庁縦割りを超えて、厚生労働省、環境省、そして国立感染研究所や九州大学などと協力し合って有効な対策を探る体制が組まれつつあるというふうにお伺いしました。進捗状況について教えてください。

安岡政府参考人 お答えいたします。

 専門的な質問でもございますので、私の方からお答えをさせていただきます。

 農水省では、ハエによる鳥インフルエンザの媒介の可能性、感染の可能性を検証するため、今ほどお話もございましたけれども、既に九州大学、そして国立感染症研究所、そして農研機構の動物衛生研究部門などの研究機関との連携を開始したところでございます。

 今シーズンは、まさに、九州大学が毎月実施している渡り鳥の飛来地域におけるハエのウイルス保有状況調査、これに農林水産省、農研機構の方も協力をしておりまして、十二月に調査で採取したオオクロバエ二百五十二匹を調査をして、一匹から高病原性の鳥インフルエンザウイルスが分離されたといったような結果も出ているところでございます。

 一方で、専門家の皆さんとも議論しているところですけれども、実際にハエが高病原性鳥インフルエンザを媒介するのかという観点からは、農場又は鶏舎におけるハエの行動、侵入の状況などを調べるということ、さらには、ハエの消化管の中のウイルスが実際に鳥に感染可能なだけの十分な量があるかといった知見が不足しているといったような課題があるということでございます。

 今後、農水省としては、こうした九州大学を始めとした連携により、実地調査を実施するとともに、知見の集積などを進めさせていただいて、ハエについて更に追加的な対策が必要かどうかなどを検証してまいりたいと考えております。

 引き続き、九州大学を始めとした研究機関と連携して、新たな知見が得られれば、速やかに現場にも還元しながら、発生予防、蔓延防止に努めてまいります。

田村(貴)委員 連携が取られているのは非常にいいことだと思いますけれども、新たな知見が得られればと。もう新たな知見が得られているからそうやっているんでしょう。もっと物事を前に進めてまいりましょう。

 私は、せんだって、九州大学院の藤田竜介准教授から直接お話を伺ってまいりました。オオクロバエというのは、冬の一定の気温下でも活発に活動している。ぶんぶん飛ばないんですよ、低空飛行する。獲物を見つけたら瞬時に食いつきに行く。それを鶏が喜んで食べるというような状況を教えていただきました。

 坂本大臣、ハエの習性を知れば、養鶏農家の対策にとって非常に大きな前進となります。飼養衛生管理を徹底してやってきたけれども、何で感染するのか、ウィンドーレス鶏舎に何で感染が入ってくるのかといった養鶏農家の苦しみ、そして疑問はずうっと続いてきたんですよね。是非、実効ある対策を農水省を先頭に進めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

坂本国務大臣 今、消費・安全局長が言いましたとおり、引き続き、九州大学等の関係する研究機関と連携し、新たな知見が得られれば、速やかに現場にも還元しながら、発生予防、蔓延防止の対策に活用してまいりたいというふうに思っております。

田村(貴)委員 次に、食料・農業・農村基本法の改定に向けて質問をします。

 基本法の前回の改正は一九九九年でした。このときの改正に至るまで、どのような議論がなされてきたのでしょうか。

 八年前の一九九一年に、当時の近藤農林水産大臣が改正に言及しました。新しい食料・農業・農村政策検討本部が設置され、多方面から意見を取りつつ、政策の基本方向について検討が始まりました。一九九五年には、農業基本法に関する研究会で更に具体的に旧農業基本法の課題が議論されました。その後も継続して検証と議論が積み重ねられ、改正まで八年の月日をかけました。

 今回は僅か一年の検証部会での法案提出になったのですけれども、なぜこんな短い期間で提出に至ったのでしょうか。

杉中政府参考人 議員御指摘のとおり、現行基本法の制定期間と比べまして、今回の基本法改正の期間というのは二年程度ということでございますけれども、一方、基本法検証部会につきましては、二週間に一回、十七回にわたって相当集中的な議論を各分野の専門家とともに行ったところでございます。

 現在の食料供給の不安定化ということを考えますと、一刻も早く新しい基本法の下での施策を推進するということが必要だと我々も考えておりまして、検証を急いだということでございます。それに従って、期間が短いということ、検証の内容が不十分だったということはないというふうに考えております。

田村(貴)委員 二十五年にわたる検証が必要ではないでしょうか。

 農業基本法に関する研究会は、一九九六年に報告書を発表しています。少し読み上げます。

 輸入自由化された農産物については、関連する価格政策における所要の手当てや、相当程度の関税水準の設定、関税割当て、差額関税の導入等、国内生産への影響を緩和するための一定の措置が取られてきている。しかし、こうした貿易自由化の流れの中で、国内農業に目を向けると、外国産農産物に対する国内農産物の競争力は、農業基本法が目指していたようには必ずしも強化されなかった。

 このように分析しているんですよね。客観的に、事実に基づいて検証していくことが極めて大事です。

 今回の検証部会で、例えば、WTO、TPP、日米FTA、日欧EPA、こうした自由貿易協定、輸入自由化が国内の農林水産業にどのように影響してきたのか、時間をかけて検証されてきたんでしょうか。いかがでしょうか。

杉中政府参考人 お答えいたします。

 基本法検証部会におきましては、過去の輸入自由化の影響につきまして、自由化の結果、海外から安価かつ大量に輸入できるということになり、一九九九年に制定された現行基本法においても、食料の安定供給はいざとなれば輸入で確保できるという前提に基づいているのではないかという議論が行われたところでございます。

 一方で、近年では、気候変動による食料生産の不安定化、世界的な人口増加に伴う食料争奪の激化、国際情勢の不安定化など、これまでのように食料をいつでも安価に輸入できる状況ではなくなってきており、輸入リスクの増大に対応し、平時から食料安全保障を確立することが重要であるという方向性が打ち出されたところでございます。

 したがって、基本法検証部会におきましては、どちらかというと、自由化の影響によって食料供給というものの基礎が変わってしまって、それを見直す必要があるという議論が行われたところでございます。

田村(貴)委員 検証部会は、輸入の増加が国内農業生産を弱体化させている、輸入に頼って国内生産が減り更に輸入に頼る負のスパイラルが懸念される、こうした指摘があったにもかかわらず、十分な検証が行われていません。自由貿易協定をどうするのか、この方向性がないじゃないですか。機軸が打ち出されていないじゃないですか。私は、非常にここを危惧するものであります。

 昨年六月、中間取りまとめ案の発表以降にパブリックコメントも行われました。大臣、これはすごい数ですね。千百七十九件ありました。

 一番多いのは、種子法、種苗法廃止に反対、種子の自給率を上げるべき、国内で確保すべき、こういう意見が五百四十件でありました。そのほかに、食料自給率向上を最大の目標とすべき、農家への所得補償、経営支援の拡充を求める、家族農業、中山間地農業が継続できる支援を求める、食料自給率目標をなぜ達成できなかったのか検証が不十分等々の意見、そして農政の抜本的変更を求める意見が相次ぎました。

 注目されるのは、後継者と見られる十代の若手農業家の意見、ここで紹介します。

 根本的なところで、なぜ就農者が大幅に減少しているかの対策がない。二〇二一年の調査で、個人経営だと平均年百二十五万円となっているが、仮に倍であっても、日本の消費者が農産物に求めるクオリティーに対するコストは見合わないし、もうからないから、後継者はいなくなるのは当たり前。大幅な補助金等で現在就農者がもうかるとなれば、新規就農者もどんどん増える。生産物でもうからなくとも、働きに見合った所得を得ることができるなら、農産物も安くできて、低所得者層も食べることに困らずと。

 十九歳の青年が現状を的確に表現し、しかも、重要な政策提言まで行っておられます。私は、これは本当に大事だなと思って読ませていただきました。

 大臣、パブコメを読まれましたか。種の国内自給と生産拡大は必須でしょう、原種も守るように努力してほしいと。種子に関する意見、要望も最も多いんですけれども、これらの意見は最終取りまとめに反映されていません。何のためにパブリックコメントをされたんですか。

杉中政府参考人 議員御指摘のように、パブリックコメントにおきましては、種子の安定的な供給という点について多数の御意見をいただいたところでございます。

 種子については、重要な農業資材の一つでございます。このほかの農業資材、肥料等についての安定供給についても問題というのはかなり提言されましたので、基本法の制定に当たって、農業資材の低減のための生産、流通の合理化ということだけではなくて、新たな基本法において、農業資材の安定的な供給を確保するための施策というのを位置づけたところでございます。

 また、種子については、新しい種子の開発、また開発をしたものに関する知的財産の保護というものも併せて重要だという問題がありますので、そのような規定についても基本法に反映させたということでございまして、こういったパブリックコメントの提言に基づきまして、新たな基本法の制定を行ったところでございます。

田村(貴)委員 それが十分読み取れないし、理解が広がっていないんじゃないでしょうか。

 資料をお配りしています。大臣、ちょっと見ていただきたいんですけれども、実は、予算委員会で坂本大臣にはこのグラフを一回見ていただいております。

 農業で生計が立てられないから、農業従事者も耕地面積も減少の一途であります。基本法の前回改正後、農業従事者は百十七万人減少、耕地面積は五十三万ヘクタール、私、福岡県に住んでいますけれども、福岡県の面積を超える耕地がこの二十年余りで減ったということであります。

 大臣は、今日、午前中の質疑で、二十五年後の農業のときに二千万人、人口が減るというようなお話があったと思うんです。でも、人口減少と農業従事者の減少というのは度合いが全然違います。その比じゃありません、農業生産者の減少というのは。このまま推移すると、二〇五〇年には、お米は六割減になる、ホウレンソウの栽培はゼロになる、そんな民間シンクタンクの分析、試算もあります。

 大臣、この急降下の生産、資源の低下を歯止めをかけるために、人口減少であっても歯止めをかけて、そして増やすための農業基本法の改正なのか、それについて大臣はどう思われているのか、お答えいただきたいと思います。

野中委員長 時間が来ておりますので、答弁は簡潔に願います。

坂本国務大臣 今回の基本法の改正案につきましては、それを全て入れております。どうやってこれからの農業従事者を確保していくのか、少なくなっている中で、何でカバーをしていくのか、そして、農地をいかにしてそのことによって守るのか。農地を守り、食料を守り、後継者をしっかり育成していく、それを全て包含した上での基本法の改正案だというふうに私たちは思っているところであります。

田村(貴)委員 増やすと明言してほしかったですね。この続きはまたさせていただきたいと思います。

 終わります。

野中委員長 次に、長友慎治君。

長友委員 国民民主党の長友慎治です。

 まずは、農業の担い手不足について質問をさせていただきます。

 昨日の大臣の所信の中で、人口減少、生産者の減少、農業者の数が減少、農村人口の減少など、人口が減少するということについて、また、農業の担い手が減少することに言及された箇所が八か所出てきました。それだけ農業従事者の減少に危機感を持っていると受け止めた次第です。

 この人口減少のフェーズで人手不足の中、新規就農者を新たに獲得することは容易ではございません。農業に従事する人手を本気で増やすのであれば、これは私の考え方なんですけれども、子供の頃から農業に親しみ、小学生、中学生、高校生と大人になる前から土に触れ、田畑で体を動かし、農業の豊かさ、農業の尊さ、農業は国としてしっかり保護すべき産業であるということを学べる環境、また体験できる環境があるべきだというふうに考えます。

 現状、農水省として、子供たちに農業に親しんでもらう施策があるのかどうか、また、農業について考えてもらう機会を創出する取組としてどのようなことを実施しているのか、伺います。

坂本国務大臣 委員御指摘のとおり、幼少期から農業に親しむ農業体験などの取組は、我が国や地域の自然や文化、産業等に関する理解を深め、生産者の努力や食に関する感謝の念を育み、ひいては、将来の農業を担う人材育成につながる重要な取組というふうに考えております。

 実際に、農林水産省が実施しました調査によりますと、農林漁業体験に参加した者の七割が自然の恩恵や生産者への感謝を感じられるようになったというふうに答えておりますし、四割の方々が地元産や国産の食材を積極的に選ぶようになったというふうに言われております。

 農林水産省の方では、農林漁業体験等の各地域での食育活動への支援を行うとともに、小中学生等が農山漁村に宿泊して農林漁業体験を行う取組への支援、これは子ども農山漁村交流プロジェクト、文科省も含めて、内閣府も含めて五府省でやっている事業でありますけれども、こういうものを盛んに実施しながら、今後、引き続き幼少の頃からの農業体験と農業人材の確保を図りたいと考えております。

長友委員 大臣、ありがとうございます。

 農林漁業体験についての調査結果を御披露いただきましたけれども、親子で参加される方が多いと思うんですね。その中で、自然の恩恵や生産者への感謝を感じるようになったとか、地元産や国産の食材を積極的に選ぶようになったと。恐らくこの体験をすると、生産者の価格転嫁とかの理解も多分進んでいると思うんですね。

 そういう面もあるんですが、もう一つ、政府参考人の方に是非聞きたいんですけれども、親子で体験した方の調査はあると思うんですよね。子供の方がどんな感想を持ったのか、そういう調査結果があれば、お示しいただきたいんですが、いかがでしょうか。

安岡政府参考人 お答えさせていただきます。

 私どもの食育に関する支援の交付金の中で、実際に体験活動をやっているような地区に対して支援を行っております。

 そうした中では、実際にお子さんが農業体験を行うというふうなところで、ちょっと感想をいろいろ報告いただいていますので御報告すると、とても農作業に対して関心を持ちましたとか、農作業や食品にすごく興味が湧いて、もっと農作業のことを知りたいと思いましたといったような感想があったり、さらには、これはミカンの場合ですけれども、収穫を実際に体験してみて、農業に対して興味が湧きました、こんなような感想なんかも見られているところでございます。

 そういう意味では、農業に対する関心、さらには食育としても非常に効果のある取組というふうに考えております。

長友委員 お子さんからの前向きなというか、農業に関する理解が進んでいるという声を、ちゃんと農水省も受け止めているということが分かって安心しました。

 昨日、実はオーガニック給食を全国に実現する議員連盟の総会がありまして、私もそこに参加させていただいたんですが、そこでは、三つの教育委員会、またオーガニック給食若しくは安全給食を実施している方々から現場の声を聞かせていただいたんです。

 例えば、四十五年前から安全給食を実施している武蔵野市の教育委員会の方は、オーガニックだったり地産地消を進める中で、子供たちに収穫体験等をしてもらうと、農家さんたちの、子供たちが給食を残さず食べるようになった、それはもう生産者の顔が見えるようになったからだということをはっきりとおっしゃっていました。

 静岡県の袋井市、こちらは日本一の給食を目指すという取組をされていますけれども、こちらも、子供たちが収穫した野菜を次の日の給食で使用したりとか、袋井産のグリーンピースを、さやを外す作業をして、それをその日の昼に、自分がむいたグリーンピースを食べる。食べたときに、いつものグリーンピースとは違う、自分が実際手をかけたグリーンピースはおいしいということで完食する。そういう体験を通して、農家の皆さんに対するリスペクトというか尊敬、また、雨の日や風の日とか暑い日にも休まずおいしく安全な野菜を作ってくださっているということに対する感謝の気持ちが芽生えるということを、報告をいただいております。

 この議員連盟の総会には、農水省からも農業環境対策課の松本課長と伊藤課長補佐も参加されていましたので、どういう報告があったかは具体的に是非大臣も聞いていただきたいと思うんですけれども、食育に取り組んで、そしてそこで農林漁業の体験を子供たちにさせてもらうということが、長い目で見ることになるかもしれませんけれども、行く行くは農業の担い手不足にもつながる、そんな視点を持って、是非、農水省の皆様には、給食の無償化やオーガニック給食の実現等にも前向きに取り組んでいただきたいなというふうに思っております。

 こういう食育の体験を進めることが、農業の担い手不足にも多分効いてくると思うんですね。農家が憧れるというか尊敬する職業になるということについても、是非農水省には力を入れていただきたいというふうにお願いをしたいと思います。

 続きまして、食料供給が困難な事態への対応について、これは午前中に神谷委員からも御指摘がありました。大臣からも、誤解がいろいろあるということで、丁寧な説明が必要だということで御認識をされていましたので、私も、ちょっと質問がかぶる部分はありますが、質問させていただきます。

 食料安全保障の観点から、食料供給が困難な事態への対応強化を図るため、新法、食料供給困難事態法が今国会に提出をされております。

 しかし、現場からは困惑する声が上がっています。事態が悪化し、供給量が二割以上減ったり、実際に価格高騰に至ったりした場合に政府対策本部が困難事態を宣言すれば、生産者や事業者に食料の確保に向けた計画策定を政府が指示できるとし、計画を届けなければ二十万円以下の罰金を科すことが盛り込まれています。

 なぜ、農業の人手不足が言われる中、全国各地で奮闘いただいている生産者に罰則を科すことになったのか、その経緯について、大臣、教えていただきたいと思います。むしろ、生産者のやる気につながるインセンティブを設定すべきだと考えますが、見解を伺います。

杉中政府参考人 お答えいたします。

 検討の経緯ということですので、まず私から答えさせていただきます。

 今国会に提出いたしました食料供給困難事態対策法案におきましては、供給減少の兆候があるときから、食料供給に関する全ての事業者、すなわち、出荷、販売業者、輸入業者、生産者などに対して食料供給確保の要請を行うこととしております。また、要請でも事態への対処が困難なとき、あと御指摘のあった公示があったときには、政府が出荷、販売、輸入、生産といった食料供給を担う事業者に対して供給の届出等を指示することができることとしております。

 この事業者からの計画の届出につきましては、政府として確保可能な供給量を把握し、供給確保のための対策を実行するために不可欠であるという考えの下、計画の届出を行わなかった場合ということに対して二十万円以下の罰金を措置したところでございます。

 なお、この計画の指示につきましては、生産者だけではなく、出荷、販売事業者や輸入事業者など重要な食料を供給する者全体を対象とすることに加えまして、増産の計画を強制するものではなく、実施可能な範囲で計画を作成することを指示するものであること、また、届け出たら、計画の内容を実施できなかったからといって罰則の対象となるというものではないことから、生産者だけに過度な負担をかけるものではないというふうに考えております。

 また、二十万円以下の罰金にした経緯でございますけれども、他法の例も参考に、法目的を達成するための必要最小限のものとし、生産者を始めとする事業者への過度な負担とならないように十分配慮した規定としたところでございます。

 本法案が成立した際には、こうした点についても関係者に対して丁寧に説明してまいります。

 また、議員御指摘のように、輸入や生産の拡大の要請については、事業者に対する財政的支援が不可欠であると考えておりまして、必要な財政上の措置についても規定をさせていただいているところでございます。

長友委員 御説明いただきました。

 罰則のところが、生産者だけじゃなくて、出荷、販売業者、輸入業者にもかかるんだという御説明と、生産計画等が出せないということで、できないのであればできないという提出でいいということで、まずは在庫を把握するのが目的だと。そういう説明で、しっかり丁寧に生産者に説明を是非お願いしたいんですけれども、であれば、別に生産者に罰則を科す必要は私はないと思うんですね。

 経緯として、米騒動が平成五年にあった。そのときに、日本産のジャポニカ米が根強い人気と市場の品薄感で買占めと売惜しみが発生していたと。これは、僕は生産者に責任はないと思うんですね。もし買占めと売惜しみがあったとしたら、出荷、販売業者とかが売惜しみとか買占めをしたんだというふうに思うんですね。であれば、生産者じゃなくて、出荷、販売業者等にそういう罰則を科すということは理解するんですけれども、生産者にまで科す必要は私はないと思うんですね。

 それよりも、強調すべきはインセンティブだと思うんです。今御支援もあるということでしたが、もう少しインセンティブについて詳しく説明できるのであればお話をしていただきたいなと思うんですが、生産者に対するインセンティブですね。

杉中政府参考人 新しい法案におきまして、財政上の措置という規定を設けております。

 まず要請、あと指示等に基づいて生産の増大を行うという場合について、そういうときにおきましては、いろんな経費が高騰しているということが想像されますので、事業の遂行に必要な経費について財政上の措置を講ずることにしております。

 また、更に事態が進展をいたしまして計画の変更が要請されるときということについては、各事業者が生産計画を、事業計画を変更するということになって間接的な損失を被ることがありますので、そういう事態になったときには、それによる損失についても考慮をして財政的な措置を行うということを規定をしております。

長友委員 閣法については、また後日議論する場がありますので、引き続き、そこで議論をさせていただきたいと思いますけれども、現場に対して誤解が、そして生産者に対して誤解が広がらないというように是非丁寧な御説明をお願いしたいと思います。

 次に、農水省と国交省が取り組んでいる、若手職員を派遣する地方応援隊について質問をしたいと思います。

 条件不利地域の課題の解決を支援する地方応援隊という取組がありますけれども、令和六年度の活動対象となる小規模市町村の公募が三月八日に応募の締切りだというふうに聞きました。令和六年度、どのくらいの市町村からの応募があったのか教えてください。

長井政府参考人 お答えいたします。

 地方応援隊は、条件不利地域の小規模市町村を対象に、国の若手職員が自治体の職員と協力して地域課題の整理や、その解決策の検討、提案などを行う取組でありまして、農林水産省と国土交通省とが連携して実施しているところであります。

 この取組の対象となる市町村は公募によって決めており、令和六年度は、現時点で八自治体から応募があったところでございます。

長友委員 令和四年度から農水省は本格的に活動を開始されて、当時は二十三市町村、令和五年度に関しては三十六市町村で応募があったと。そこに国交省から三十八名、農水省から三十六名の計七十四名が応援隊として大体一年間伴走し、地域の課題、条件不利地域の課題に向き合っていただいているということは把握しているんですけれども、地方自治体との連携が強化されると思うんですね、農水省や国交省の若手職員の皆さんと一緒に。その効果が出ている事例や、引き続き継続することでどのような課題を解決することが期待できると考えているのかについて教えてください。

長井政府参考人 お答えいたします。

 地方応援隊では、これまで、例えば、地域特産物の生産に必要な人手の確保に向け、収穫体験を盛り込んだ農業労働力支援ツアーの企画提案と旅行代理店の担当者の紹介、あるいは、離島の高校が全国から学生を受け入れる離島留学に着目いたしまして、関係人口の拡大につながるよう、全国各地に在住する離島留学卒業生が地域への提案を目指すコミュニティーの設立、運営等への助言など、地域課題に応じた取組を支援してきたところでございます。

 このような活動を通じまして、国の職員が地方の身近な相談窓口となりまして、協力して課題の整理等を行うことで、各地域における課題解決に向けた機運の醸成が図られるとともに、地域資源の発掘や、民間企業との連携の促進など、地域における新しい事業の展開や関係人口の拡大等につながっていくことを期待しているところでございます。

 また、ちょっと数が減っているという話もございましたけれども、地方応援隊の活動内容につきましては、現在、ホームページに掲載するなどの周知を行っているところでありますが、今後は、自治体へ各種施策を説明する機会に本取組につきましても紹介するなど、更なる情報発信に努めてまいりたいと考えております。

長友委員 八市町村の応募だということに関して、僕は責めるつもりはないんです、もったいないなと思っているだけなんですね。私の地元でも是非これは広めたいと思いますし、この制度を多分知らない自治体職員も多いんじゃないかと思うんですね。

 私、隊員の皆様が報告書をA4一枚でまとめていただいているのを、裏表で二枚ですかね、全部読ませていただいて、一年という期間の中でできることは限られているとしても、アドバイスをいただいている中で、しっかり課題解決につながる第一歩が踏み出せている自治体もあったりとか、これは非常にいい制度なので、もっともっと実績を積み上げていただきたいなというふうに思います。

 取組終了後も気軽に相談ができる関係性を構築することができたというような記述もあって、これは地方の自治体も望んでいることですし、農水省は何も国会議員を通してだけじゃなくて、地方自治体と意見交換しないとかそんなことじゃないんだよ、直接やれるんだよということを是非示していただきたいと思います。

 一つお願いがあるのが、是非、地方自治体議員とも、この隊員の皆さんとは、一年間の伴走支援をする中で意見交換をしていただきたいなと思うんです。

 私自身も、地元の地方自治体議員からいろいろ、農政について、また国交省の施策についても質問等をいただきます。そのときに、いろいろ地元としての意見を言いたい、地域の実情を話したいということは、非常に熱意を持っている自治体議員さんがいっぱいいますので、市の職員さんとか町の役場の職員さんだけじゃなくて、自治体議員さんとも是非連携をお願いしたいと思うんですね。これは、現場に農水省の職員さんがちゃんと足を運んでいるという事例で、非常にいいと思うんです。

 もう一つ、農村研修というものも農水省はやっていただいています。五十五年以上も続けているということで、農水省独自の農村研修、これは、若手の職員、主に入省二年目の本省勤務の職員の方々を、農林漁村の現場に約一か月派遣する研修制度になります。農林漁業を直接体験することにより、現場の実態に即した政策の企画立案ができる人材を幅広く養成することを目的に実施されているというふうに承知をしています。

 この研修での経験がどのように政策に生かされているのか、教えていただきたいと思います。

杉中政府参考人 お答えいたします。

 農村研修は、農林水産省の若手職員を農林水産業の現場に派遣することにより、現場の実態に即した政策の企画立案ができる人材を幅広く養成することが目的でございます。

 研修におきましては、農林水産業、それぞれ多岐にわたる分野に派遣を行い、現場の皆様と一緒に作業を行うとともに、様々な関係者と意見交換等を実施しています。

 令和五年度におきましては、都市部出身や農林水産分野以外の専門を持つ職員を含めて約百二十名を現場に送り、農林水産業、農山漁村の実態や課題を肌で感じてもらっております。

 地域ごとに農林水産業を取り巻く状況や直面する課題というのは様々でございますので、これら研修に参加した者は、こうした農村研修で培った現場感覚を大事にしつつ、地域の実情を的確に把握して政策の企画立案に生かすということを実施しているというふうに考えております。

長友委員 御答弁いただきまして、ありがとうございます。

 大臣の所信の中でも、大臣自身も、機会あるごとに現場に足を運んで、様々な声に耳を傾けというふうに御決意いただいておりますし、今日も、農業の場合は常に現場の声を聞くと大臣もおっしゃっていただきました。農水省の職員の皆様にも、是非、現場の声にしっかりと寄り添うということに引き続き取り組んでいただきたいなというふうに思います。

 毎年百人から百二十人ぐらいが手を挙げて行っていただけるということですので、そこでまたできたパイプ等を生かして、地方に寄り添った、地域に寄り添った政策をこれからもお願いしたいと思います。

 最後に、料理マスターズについての質問です。

 二〇一〇年から始まった農林水産省の料理人顕彰制度、料理マスターズというものがありますが、日本の食や食材、食文化のすばらしさや奥深さ、その魅力に誇りとこだわりを持ち続け、生産者や食品企業等と協働して地産地消や食文化の普及の取組に尽力した料理人を国が顕彰し、更なる取組と料理人相互の研さんを促進することにより、日本の農林水産業と食品産業の発展を図る目的で創設されたと認識しています。

 この十四年間で百人を超える料理人が表彰されていますが、この料理マスターズという顕彰制度を継続してきた成果、そしてまた、農水省として引き続きこの顕彰制度を継続するに当たって期待する効果、また達成したいゴールについて教えてください。

宮浦政府参考人 お答えいたします。

 料理マスターズ、今議員から御紹介いただきましたとおり、生産者ですとか食品企業と協働して地産地消あるいは食文化の普及、こういったことに御尽力いただいた料理人の方を顕彰する仕組みでございまして、これまでに百五名の方々が受賞されているところでございます。

 この受賞された方々の中では、地場の食材を利用して、この食材を誰が作ったかというのが分かるような料理名をつけて、その食材にも生産者にも付加価値をつけるようなことをやっていらっしゃる方もおられますし、海外におきましては、抹茶ですとかユズといったような和の素材を用いて洋菓子を提供し、日本の食材の魅力を広めるといったような、こういう成果が出ているというふうに考えてございます。

 それから、今後、期待する効果ということでございますが、今般、新しい食料・農業・農村政策の展開方向として、食料安全保障ですとか環境負荷の軽減といったことが大きなテーマになってございます。私どもといたしましては、国産農産物の利用拡大ですとか有機農産物の活用といった、新しい展開方向に即した取組がまた料理人の方々に取り上げていただけることを期待したいと考えているところでございます。

長友委員 今御説明がありましたけれども、農水省としてというか、日本として抱える課題、たくさんあると思うんですね。風評被害の払拭とか、被災地復興支援メニューの開発、販売、また米粉の活用とか価格転嫁、食料安全保障のPR等。せっかく、これらの課題解決のために、農水省の顕彰制度なんですから、この料理マスターズのシェフの皆さんにも是非一肌脱いでもらえるような関係性を構築していただきたいなと思います。

 幾つかのお店、地元でも、東京でも行きましたけれども、なかなか料理人の皆様にそこまで農水省さん、突っ込めていないなというふうに思いましたので、引き続き、料理マスターズ、応援していきたいと思いますので、取組を強化していただきたいと思います。

 以上で質問を終わります。

野中委員長 次に、北神圭朗君。

北神委員 有志の会の北神圭朗です。

 まず、立憲民主党さん始め野党の先生方に時間をたっぷりいただきまして、ありがとうございます。いつも、毎回言うわけにはいかないんですけれども、いつも心の中で感謝しておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

 坂本大臣、初めて質問することになりますので、よろしくお願いします。

 先ほどの審議の中でも、農地を守ると強い決意を表明されておられましたが、農地を守る方策は様々ありますけれども、やはり基本は、農地法の第三条一項の、ちゃんと農業をやるために農地を活用するということにあるというふうに思います。

 前回、前任の宮下大臣に質問したんですが、京都市という私の地元で、中国の方が農業をやると言って認可をもらった。最初は怪しいと思っていたけれども、農業委員会は、形式的要件を満たしているということで認可した。

 そうしたら、案の定、一年たって調査に行きますと、余り農業をする気配がない。勧告する。二年目、行きますと、もはや資材の置場になっているということで、今も多分そういう状況になっているというふうに思います。

 農業委員会の認識は、我々は調査することはできるけれども、認可して、約束を守っていないのに、本来は認可の取消しをすべきだろう、ただ、我々にはそういう権限は与えられていないという認識でした。

 前回質問したときに、村井参考人さんが、いやいや、これは一般行政法の考え方として、認可権者として農業委員会には取消しをできるとおっしゃいましたけれども、取消しといっても、無効にするということになるというふうに思いますけれども、実際、売手から買手に農地が、所有権が移転している。この所有権の移転に対してはどういう法的効果が及ぶのか、教えていただきたいと思います。

村井政府参考人 お答え申し上げます。

 一般論といたしまして、許可権者は、虚偽申請等に対する許可処分につきまして、事案ごとに判断の上、職権として取り消す権限を有しているということでございます。

 農業委員会が許可を取り消した場合、その許可に係る所有権移転につきましては、許可時に遡って効力を生じていないものと解されるというふうに承知をしております。

北神委員 つまり、認可をしたそのときまで法的に遡及しないという考えですね。

村井政府参考人 お答え申し上げます。

 許可によって所有権移転の法的な効力が生じるということでございますので、その許可を取り消せば、許可時に遡って、所有権の移転の効力は生じないというふうに考えられるところでございます。

北神委員 ちょっと私の頭がついていっていないのかもしれませんけれども、要するに、新しく農地を取得した人は、もはや所有権を持っていないということになるというふうに思います。そうですか、分かりました。それだったら、そういうことができる、少なくとも法的にはできるということになっています、制度的に。

 ただ、これも、農業委員会がそこまでやると、場合によっては訴訟が生じたり、これは民民の契約の側面もありますので、訴訟が生じたり、あるいは農業委員会に対しても訴訟が生じたりする可能性があって、なかなか荷が重いというのが率直なところで、これはやはり一定理解できるというふうに思いますけれども、実際にこういう事例というのは過去にあったんでしょうか。

村井政府参考人 お答え申し上げます。

 農林水産省として、実際に許可を取り消した件数そのものは把握をしておりませんが、虚偽申請であったことを理由として、農業委員会が実際に許可を取り消した事例があることは承知をしております。

北神委員 私の問題意識は、今回、局長からお話があって、実際に取り消して、そして所有権というものに法的効果が及ぶということが明らかに、明らかというか、前からそうなんでしょうけれども、私は初めて知ったということであります。

 ただ、私の感じでは、これはやはり、過去そういう事例はあったというお話なんですけれども、なかなか農業委員会としては、こういうことに踏み切ることは非常に難しいだろうと。

 そして、農地法の五十一条の第一項にも、別途、今回の件は資材置場ということですので、いわゆる違反転用ということに当たるというふうに思いますので、これに対しても指導できる、あるいは書面によって勧告ができる、最終的には命令、それでも駄目だったら行政代執行というところまで用意はされているんですけれども、私の感覚では、皆さんは簡単にできるとおっしゃるのかもしれませんけれども、なかなかこれは難しい、現実に運用するのが。

 したがって、やはり事前の、認可をするときに、かなり、それなりに慎重に農業委員会の方が判断しなければいけないというふうに思います。

 この点について、今回、大臣に是非知ってほしいのは、この中国の方は、日本語を一言もしゃべれない方なんですよ、一言もしゃべれない。現に、農業委員会に認可申請をしているときも、あるいは実際に現場に行って調査をしているときも、代わりに、仲介をされた日本人の不動産業者の方が全部しゃべっている。それも、中国の方に何も、例えば農業委員会が何か質問して、こういう質問だけれどもといって中国語でしゃべって、それでまたこれを翻訳して通訳しているわけではなくて、ぺらぺらと、仲介の方が、慣れた感じでいろいろ農業委員会の質問とかに答えている。

 これは、農地法の第三条に認可のいろいろな基準がありますよね、効率的に農地全体をちゃんとやらなければいけないとか。その一つに、周辺の地域との調和というところがあります。私の感覚では、日本語が一言もしゃべれない人が地域で調和して農業を営むということはまず難しい。だから、認可の時点でこういったものははねるべきだというふうに思いますけれども、こういう解釈でいいんでしょうか。

坂本国務大臣 その前に、一番最初に言われました、前の宮下大臣のときに、属性とは何ぞやということで、検討中という答弁をしていたというふうにお伺いいたしました。

 今回の改正案では、農地法の第三条第二項第一号の規定におきまして、耕作者の属性を確認をして、そして、農業関連法令の遵守状況を例示して追加するというふうにしております。ですから、過去に農業関連法に違反するようなことがあれば、それはバツであるというようなことで、そこは厳しくして、これからの適正な農地利用に努めたいというふうに思っております。

 それから、今の農地の取得の要件、日本語ですけれども、従来から、農地を取得する際は、日本語力を有するか否かの別はありませんけれども、農地法には、取得する農地の全てを効率的に利用する、そして必要な農作業に常時従事する等の要件を満たす必要があります。まずはこれをしっかりと運用すること、これが重要であろうというふうに思います。

 そして、こうした従来の措置に加えまして、今言いました属性に対しては、法令違反があれば、それは認めないというふうな措置を強化をしたところです。日本語力を有しているかを問わず、農地の不適正利用の防止、これを図っていくことがまず第一であるというふうに考えております。

北神委員 宮下大臣が、認可申請する属性にも着目するというお話があって、今大臣からお答えがあったように、違反したら将来もはやそういう資格を持たない、そういう将来のことが一定の抑止力になるというふうに思いますので、それはいいことだというふうに思います。

 ただ、要件のところで、今回の件がどこまで頻繁に行われているのか私は分かりませんけれども、私が知っているだけで、自分の地元で三件ぐらいあります。これは京都だけなのかもしれませんけれども、外国人がかなり入ってきている。別に、私は差別するつもりはないです。真面目にちゃんと周囲の人たちとうまくやって、常時農業をやって、効率的にやられるんだったらいいんですけれども、やはり言葉ができないというのは、水利権の調整とか、みんなで草抜きをするとか、川掃除をするときとか、これが本当にできるのかというふうに思います。

 そういったことも周辺の農家との調和というところに、私は、一〇〇%読み込む必要があるかどうか分かりませんけれども、やはり一定、そういう言葉というのも大事なんじゃないかというふうに思いますけれども、どうお考えですか、大臣として。

坂本国務大臣 私たちとしては、基本法におきましても、そしてそれに関連する農地、農振法にいたしましても、まず農地を守ること、しっかり現在の四百三十万ヘクタールの農地を守る、これを第一に考えて、農地を守れないような行為が見られたら、それはそのときに厳しく断ずるというような方向性でいきたいというふうに考えております。

北神委員 これは通告がないので、答えられなかったらいいんですけれども、事務方でも結構ですけれども、外国人に限らず、こういう事例というのは皆さん把握されているんですか。農業をやるといって認可をもらって結局やっていないという状態、皆さんどこまで把握されているのか。把握されていませんか。

村井政府参考人 お答え申し上げます。

 具体的な件数等、そういったファクトでなかなか把握はできていないという状況でございます。

北神委員 最後にしますけれども、大臣、これは一回、全国的に調査をされたらいいと思います。

 そして、現場の農業委員会というのは、よい面では分権、権限を分権して、農村の方々が、人間関係もあり、信頼がある中で認可をするということなんでしょうけれども、彼らも結構悩んでいるところもあるというふうに私は思いますので、是非そういう調査をして、場合によっては、皆さん研修を農業委員会にされたりしているというふうに思いますので、そういった周知徹底を含めて、先ほどの取消権とか、こういったこともすごく大事だと、彼らは認識していなかったので、そういったことも含めてお願いをしたいというふうに思います。何かありましたら。

野中委員長 時間が来ておりますので、答弁は簡潔に。

長井政府参考人 お答えいたします。

 委員おっしゃっている、例えば資材置場に転用しているような違反転用という件数でございますと、令和二年に違反転用された数でいいますと九千五百件余りがございます。それに対しまして、違反転用に対する原状回復の勧告は四百十件、さらに、原状回復の命令は七十二件、告発、告訴まで進んだものは二十三件というような状況になっております。

 また、農業委員会なり県に対するそういった、要は目合わせですね、それぞれの、要するにちゃんと目合わせをしていくということはしっかりと必要でありますので、研修はしっかりとやってまいりたいと思っております。

北神委員 終わります。ありがとうございました。

     ――――◇―――――

野中委員長 次に、内閣提出、特定農産加工業経営改善臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。農林水産大臣坂本哲志君。

    ―――――――――――――

 特定農産加工業経営改善臨時措置法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

坂本国務大臣 特定農産加工業経営改善臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。

 本法は、農産加工品等の輸入に係る事情の著しい変化に対処して、金融及び税制上の支援措置を講ずることにより、特定農産加工業者の経営の改善を促進するため、有効期限を限った臨時措置法として平成元年に制定されたものであります。

 これまで、本法の活用により、特定農産加工業者の経営の改善に一定の成果を上げてきたところでありますが、今後も関税引下げが予定されている品目がある中、国産農産物の重要な販路である農産加工業の持続的な発展が地域農業の健全な発展のためにも必要であること等を踏まえると、引き続き特定農産加工業者の経営の改善に取り組んでいく必要があります。

 また、近年の国際情勢の変化等を受け、農産加工品の輸入原材料である小麦及び大豆の価格水準が高騰していること等を踏まえ、農産加工業者の原材料の調達の安定化を図っていく必要があります。

 このような状況を踏まえ、特定農産加工業者の経営の改善を図るための支援措置を引き続き講ずるとともに、原材料の調達の安定化を図るための支援措置を新たに講ずるため、この法律案を提出した次第であります。

 次に、この法律案の主要な内容につきまして、御説明申し上げます。

 第一に、本法の有効期限を五年間延長し、令和十一年六月三十日とすることとしております。

 第二に、小麦、大豆等の世界的規模の需給の逼迫による価格高騰などの輸入に係る事情の著しい変化がある農産物を指定し、指定された農産物又はこれを使用して生産された農産加工品を原材料として使用する農産加工業者であって、その輸入に係る事情の著しい変化により、相当数の事業者の事業活動に支障を生じ、又はそのおそれがあるものを、原材料の調達の安定化を図るための支援措置の対象に追加することとしております。

 第三に、第二の対象となる特定農産加工業者等は、調達先としての農産物の生産地の変更や代替原材料の使用、原材料の効率的な使用、新商品又は新技術の研究開発又は利用、原材料の保管等の原材料の調達の安定化を図るための措置に関する計画を作成し、農林水産大臣の承認を受けることができることとし、承認を受けた計画に従って原材料の調達の安定化を図るための措置を行う場合に、日本政策金融公庫による長期かつ低利の融資等の支援措置を受けることができることとしております。

 このほか、これらの措置を講ずることに伴い、法律名を特定農産加工業経営改善等臨時措置法に改めるとともに、その他の規定について所要の整備を行うこととしております。

 以上が、この法律案の提案の理由及び主要な内容であります。

 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。

野中委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る二十一日木曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時七分散会


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