衆議院

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第3号 令和6年3月21日(木曜日)

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令和六年三月二十一日(木曜日)

    午前九時二分開議

 出席委員

   委員長 野中  厚君

   理事 伊東 良孝君 理事 小島 敏文君

   理事 古川  康君 理事 山口  壯君

   理事 近藤 和也君 理事 野間  健君

   理事 池畑浩太朗君 理事 角田 秀穂君

      東  国幹君    五十嵐 清君

      上田 英俊君    江藤  拓君

      加藤 竜祥君    神田 憲次君

      小寺 裕雄君    高鳥 修一君

      橘 慶一郎君    中川 郁子君

      西野 太亮君    藤丸  敏君

      細田 健一君    堀井  学君

      宮下 一郎君    保岡 宏武君

      簗  和生君    山口  晋君

      山本 左近君    梅谷  守君

      金子 恵美君    神谷  裕君

      本庄 知史君    緑川 貴士君

      山田 勝彦君    渡辺  創君

      一谷勇一郎君    掘井 健智君

      稲津  久君    山崎 正恭君

      田村 貴昭君    長友 慎治君

      北神 圭朗君

    …………………………………

   農林水産大臣       坂本 哲志君

   農林水産副大臣      武村 展英君

   農林水産大臣政務官    舞立 昇治君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         宮浦 浩司君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房統計部長)          山田 英也君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           安岡 澄人君

   政府参考人

   (農林水産省農産局長)  平形 雄策君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  村井 正親君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)            長井 俊彦君

   農林水産委員会専門員   飯野 伸夫君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十四日

 辞任         補欠選任

  鳩山 二郎君     宮下 一郎君

同月二十一日

 辞任         補欠選任

  橘 慶一郎君     藤丸  敏君

  西野 太亮君     山本 左近君

  渡辺  創君     本庄 知史君

同日

 辞任         補欠選任

  藤丸  敏君     橘 慶一郎君

  山本 左近君     西野 太亮君

  本庄 知史君     渡辺  創君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 特定農産加工業経営改善臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第五〇号)


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     ――――◇―――――

野中委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、特定農産加工業経営改善臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房総括審議官宮浦浩司君、大臣官房統計部長山田英也君、消費・安全局長安岡澄人君、農産局長平形雄策君、経営局長村井正親君、農村振興局長長井俊彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

野中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

野中委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。中川郁子君。

中川(郁)委員 自由民主党の中川郁子です。

 農林水産委員会での質問はとても久しぶりになります。どうぞよろしくお願いしたいと思います。

 本日は、特定農産加工業経営改善臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして質問の機会を頂戴しましたこと、誠にありがとうございます。

 それでは、早速質問に入らせていただきたいと思います。

 まず、特定農産加工業経営改善臨時措置法といっても、今日、インターネットでこの議論を聞いておられる方は、何のことか分からない、こういう方も多いかというふうに思います。そこで、少し歴史を振り返りながら話を進めていければというふうに思います。

 昭和から平成にかかる頃、この委員会でも最も議論が白熱をしたのが牛肉・オレンジの輸入自由化であったと承知していますし、報道でも、紙面、画面をにぎわしていたと記憶をしているところでございます。

 この特定農産加工法は、牛肉・オレンジの輸入自由化を背景として、平成元年、一九八九年に、有効期限を五年に限った臨時措置法として制定をされたところであります。そして、これまで、CPTPPや日・EU・EPAの発効による関税の引下げなどの農産加工業を取り巻く状況の変化を背景といたしまして、六回にわたって法の有効期限が延長されてきたところです。

 農産加工業と地域農業の結びつきは大変強いものであるというふうに思っていますので、これまで特定農産加工法が果たしてきた役割は、非常に大きい重要なものであったというふうに考えています。

 これまでの経済連携協定等による関税引下げの影響を受ける農産加工業者に対し、金融、税制上の支援措置を講じ、農産加工業者の経営改善を図ってきたわけでありますが、特定農産加工法によるこのような支援措置によって、どのような成果が上がってきたのか、この点について伺いたいと思います。

宮浦政府参考人 お答えいたします。

 現行制度、関税引下げの影響に対処するための農産加工業者の経営改善ですとか事業提携の取組を推進してきてございますが、この法律の実績でございます。平成元年度から令和四年度までの実績といたしまして、経営改善計画と事業提携計画を合わせまして、千八百四十の計画が都道府県知事によって承認をされてございます。

 また、これらの承認計画に基づきまして、日本政策金融公庫から二千七百四十一件、総額といたしまして八千百四十五億円の融資が行われているところでございまして、農産加工業者の経営基盤を強化するための設備投資というものが進んでいるというふうに承知をしてございます。

中川(郁)委員 ありがとうございます。

 本当にたくさんの届出があって、財政措置そして金融措置が行われてきたということでありますが、現行制度によって農産加工業者の経営改善が図られてきた、そして、国産農産物の取扱いの向上にも寄与しているのではないかということで、一定の成果がこれまでもあったということだというふうに思います。

 次に、現在の農産加工業者が置かれている状況について、伺いたいと思います。

 特定農産加工法は、先ほどの御答弁にもあったとおり、平成元年の法制定以来、約三十五年間にわたりまして措置をされてきたということですが、特に近年、農産加工業者を取り巻く環境は目まぐるしく変わってきたというふうに思います。

 具体的には、CPTPP、日・EU・EPA等の発効による農産加工品等の関税の引下げはもとより、最近では、新型コロナウイルス……

野中委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

野中委員長 速記を起こしてください。

 中川君。

中川(郁)委員 ありがとうございます。

 現在の農産加工業者が置かれている状況について、お伺いしたいと思います。

 特定農産加工法は、平成元年の法制定以来、約三十五年間にわたって措置されてきたところですが、特に近年、農産加工業者を取り巻く環境は目まぐるしく変わってきたと思います。

 具体的には、CPTPP、日・EU・EPA等の発効による農産加工品の関税の引下げはもとより、最近では、新型コロナウイルス感染症の感染拡大やロシアによるウクライナ侵攻などに伴い、小麦、大豆といった農産加工品の原材料である農産物の国際価格の高騰なども、農産加工業者に大きな影響を与えているというふうに思います。

 そこで、今回の特定農産加工法の一部改正に当たり、政府として現在の農産加工業者が置かれている状況をどのように評価しているか、伺いたいと思います。

宮浦政府参考人 お答えいたします。

 農産加工業者の現状の評価でございます。

 一般的に、農産加工業者は中小企業の方々が多うございますが、昨今の原材料の高騰に伴いまして費用支出が増大してございます。また、各事業者によっては、取引先と調整の上、価格改定を行っている方々もいらっしゃいますが、費用の増加分を十分に吸収するだけの改定は難しいという話を伺ってございます。

 こうした中で、特に現行の特定農産加工業者の方々におかれましては、関税引下げの影響が継続をしておりますほか、新たに、小麦ですとか大豆の価格水準の上昇、高止まりというような状況が生じてございまして、例えば、食パンの製造業の方々では、主要な費用となります小麦粉が約二割上昇をしてございますし、豆腐製造業の方々でも、大豆が約三割上昇しているというような状況でございまして、コスト上昇によります経営への影響というものが多分に生じているというふうに承知してございます。

中川(郁)委員 ありがとうございます。

 農産加工業者は非常に厳しい経営環境に直面しているということを確認させていただきました。

 次に、今回の一部改正において新たに措置することになる原材料の調達安定化措置の支援対象について伺いたいと思います。

 今御答弁にもありましたが、国際情勢の変化によって、小麦、大豆等の農産加工品の原材料の価格の上昇、高止まりが生じている状況となっており、こうした影響により御苦労されている農産加工業者を支援していくことが非常に重要であると考えます。

 こうした状況を踏まえ、今回の改正では、法の有効期限の延長に加えて、原材料の価格上昇、高止まりが生じている小麦、大豆等を原材料として使用する農産加工業者を支援するための新措置を講ずることになったと思います。

 他方、小麦、大豆等を原材料として使用する農産加工業者は非常に多岐にわたっていることから、新措置の対象となる業種は農林水産省令において定めるということになっていますが、支援対象として具体的にどのような事業者を想定しているのか、この点について伺いたいと思います。

宮浦政府参考人 お答えいたします。

 今回の調達安定化措置の支援対象でございます。コロナあるいはウクライナ情勢ということで価格が上昇、高止まりしておりますのが、現在、小麦、大豆が代表的なものでございます。したがいまして、小麦、大豆、それからこの一次加工品を主要な原材料といたしますような製造業の方々、こういった方々を支援対象とすることを想定してございます。

 具体的には、小麦であれば、パンの製造業、それから麺の製造業、菓子製造業などでございますし、大豆であれば、豆腐製造業、それから納豆製造業、みそ製造業、こういったものが対象の業種となってまいります。

 こういった農産加工業者の方々は、国内の水田地帯ですとか、それから議員の御地元の畑作地帯ですとか、産地と連携を強化しながら、国産小麦への切替えですとか、それから外国産小麦から国産の米粉への切替えですとか、こういった調達安定化を進めていただきたいと考えているところでございます。

中川(郁)委員 ありがとうございます。

 次に、農業の生産現場の課題についてもお伺いしたいと思います。

 今回新たに措置する調達安定化措置においては、農産加工業者の行う輸入の小麦、大豆から国産の小麦、大豆への切替え、そして、代替原材料として米粉の利用の促進を支援することになるというふうに思いますが、国産小麦、国産大豆の利用推進をする上でも、国産の米粉の利用拡大を促進する上でも、そして、それらの農産物を生産している農地を維持する上でも、農業の生産現場での人手不足の解消が必要不可欠と考えております。

 とりわけ農村部を中心に人口減少が急速に進んでいる中、私の地元の北海道においても、農業の人手の確保は待ったなしの課題となっております。

 昨年改定されました政府の食料安全保障強化政策大綱においては、国内全体の人口減少が不可避となる中、持続的な食料供給を確保するためには、食料供給を担う者の確保を図りつつも、それでもなお少ない人数となった場合に備え、これに対応可能な生産基盤に転換していく必要があるとしており、スマート技術等の活用や、それに対応した圃場整備などを進めつつ、農村の活性化などの観点も踏まえ、農業の人手確保の取組を進めていく必要があると思います。

 そして、農業における働き方改革などを通じまして人材の確保を図っていくことが重要であると考えていますが、農業の人手不足に対して、今後、農林水産省としてどのように対応していくおつもりであるのか、伺いたいと思います。

村井政府参考人 お答え申し上げます。

 今後、農地などの食料の生産基盤を維持し、食料の安定供給を図るため、次世代の農業人材をしっかりと育成、確保していかなければならないと考えております。

 このため、令和四年度から措置をしております新規就農者育成総合対策におきましては、就農準備資金あるいは経営開始資金といった資金面の支援に加えまして、経営発展のための機械、施設等の導入、地域におけるサポート体制の充実等を支援をしておるところでございます。

 また、委員から御指摘のありました、農業における働き方改革を一層推進をしていく必要がございます。令和五年度補正予算におきまして新たに労働力確保体制強化事業を措置をいたしまして、農繁期における短期、短時間の働き手を確保するための労働力募集アプリの活用ですとか、あるいは、繁閑期の異なる他産地、他産業との調整のための体制構築。労働時間、休日の設定や保険加入など就労条件の改善により、地域の農業経営体が魅力ある労働環境を確立するために必要な取組を支援することとしております。

 さらに、外国人材の受入れに当たりましては、適正かつ円滑な受入れと働きやすい環境を整備することが必要になります。外国人材が農業知識や科学的素養等を身につけるための学習機会の提供、技能試験の円滑な実施や相談窓口の設置、海外の教育機関等と連携した現地説明会、相談会の実施などを支援することとしております。

 これらへの取組によりまして、引き続き、農業を担う人材の育成、確保に努めてまいります。

中川(郁)委員 ありがとうございます。たくさんの支援措置を講じていくというお話をいただきました。全てを総動員して頑張っていただきたいというふうに思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 最後に、原材料の調達安定化措置の具体的内容について伺いたいと思います。

 調達安定化措置の内容の一つである生産地の変更については、農産加工業者の国産の小麦、大豆の利用の促進などを想定していると伺いました。私は、この新たな措置は農産加工業者の方々への応援となるだけではなく、農業者の方々に対して国産の小麦、大豆をもっと生産してほしいというメッセージを発信するものであると捉えております。

 私の地元北海道では、御存じのとおり、国産小麦、国産大豆の新品種の開発や生産の推進を行っており、小麦については、全国の生産量の約三分の一を北海道で、特に私の地域ではその四割を生産をしておりますし、大豆については、全国の収穫量の四割強を北海道が占めている、そして私の地元十勝においてはその三分の一の生産量、一大生産地となっているところであります。

 全国で水田の畑地化が進む中、北海道を始めとする農業の生産現場で畑地化後の農地において国産の小麦、大豆が作られ、その小麦、大豆を農産加工業者の方々が利用されていくことになると思います。

 その一方、例えば、北海道では十勝地域を中心に小麦や大豆に加えビートの生産が盛んでありますが、今年はビートから小麦、大豆の生産に切り替えるといった農業者の方々の声も多く耳にいたします。政府におかれましては、需要を考慮しつつも、国産小麦、大豆の利用の促進とともに、様々な作物に対してバランスの取れた施策をお願いしたい、こう思っています。

 国産小麦や国産大豆の利用促進の取組を着実に進めていくためには、一方で、生産から流通、加工に至るまでの一貫した支援が必要となります。例えば、国産原材料の需要が増大したときに必要な量が生産できるのか、また、生産現場で増産ができたとしても、それを調整保管するための流通面での対応は可能かといった課題がクリアできない限り、国産の利用促進にはつながっていかないと思います。

 是非、政府におかれましては、加工分野での支援により、農産加工業者の国産利用の促進とそれによる国内生産地や国内農業の振興を図るとともに、生産、流通面を含めた一貫した支援に取り組んでいただけたらと考えておりまして、この点については、是非大臣に御所見を伺えればと思います。よろしくお願いします。

坂本国務大臣 ありがとうございます。

 今般、新たに導入いたします調達安定化措置は、二つの狙いがあります。委員おっしゃるとおりで、一つは国産利用の促進、それから二つ目は、需要側の農産加工業者では原材料の調達の安定化ということで、供給側、生産者と、それから需要側、流通、消費も含めた加工業者、これがしっかりとやはりマッチングすること、これが大事であるというふうに思っております。

 その中で、生産面では、基盤整備によります水田の畑作、汎用化、それから作付の団地化やブロックローテーションを推進していただくこと、さらにはスマート技術等の営農技術の導入、そして、委員言われましたように新たな品種の開発、こういったものを生産側としては進めていかなければいけないというふうに思っております。

 一方、流通の方では、生産拡大がそのまま受け入れられるように、ストックセンター、こういったものを整備していかなければなりませんし、民間側の調整保管機能というものをやはり確実に拡充をしていく必要があるというふうに考えております。

 それから消費面でも、これは非常に、消費が増大するように進めていかなければいけませんので、国産小麦、大豆を使いました新商品の開発、そして原材料切替え等に伴う機械、設備の新たな導入、そして生産から流通、加工に至るまでの一貫した支援、こういったものを私たちはやっていかなければいけないというふうに思います。

 これらの支援を通じまして、国産小麦そして国産大豆の生産振興と利用を図ると同時に、ビート等も含めて、バランスある供給体制あるいは需要体制、こういったものを確立していかなければいけないというふうに考えております。

中川(郁)委員 時間となりましたので終了させていただきますが、政府におかれましては、国産農産物、そして、それらを使用した食品が生産から流通、加工を経て消費者の食卓に届くように、是非よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

野中委員長 次に、稲津久君。

稲津委員 おはようございます。公明党の稲津久でございます。

 今日は、特定農産加工業経営改善臨時措置法の一部改正ということで法案審議をさせていただきます。通告どおりにやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いいたします。

 まず最初の質問は、これは大臣にお聞きしたいと思うんですけれども、この法律のたてつけについて伺いたいと思っているんです。

 この法律は、昭和六十三年に、日米間の協議において、牛肉・かんきつその他の農産物について輸入数量制限の撤廃、関税の引下げ等が決定されたことを受けて、これらの影響を被る農産加工業者に対して経営の改善を促進する、そのために金融、税制、そうした支援を講じて、経済環境、これをしっかり対応する、こういうことを目的としてできたわけです。その後、五年ごとの期限の延長を経てきておりますけれども、いずれも、関税の引下げですとか輸入数量制限の撤廃とか、こうしたことの影響を受ける特定農産加工業者を支援するということを目的としているわけでございます。

 今回は、一番肝の部分の条文は、第二条の二項、小麦、大豆その他の世界的規模の需給の逼迫による価格の高騰その他の輸入に係る事情の著しい変化がある農産物として農林水産省令で定めるもの又はこれを使用して生産された農産加工品を原材料として使用する農産加工業者であって、当該輸入に係る事情の著しい変化により、当該事業を行う相当数の事業者の事業活動に支障を生じ、又は生ずるおそれがあると認められる業種として農林水産省令で定めるものと。ちょっと全て、このところを読んでしまいましたけれども、こういうことが今回の改正の肝の部分だというふうに思っています。

 ここで伺いたいのは、輸入原材料の価格水準の上昇、高止まりにより、その調達が困難になっている状況を踏まえということになってきますと、特に、品目では、後ほどまたお聞きしますけれども、小麦、大豆など省令で定める、こうなってきますと、今回ここを改正をして、省令で追加していく、その理由が、国際価格の高騰による輸入の状況変化でなってくるということになると、そもそものこの法律のたてつけの、関税の引下げによるとか、こういった骨格が、あるいは現行法のたてつけがちょっと違ってくるんだろうと。

 そうなってくると、見方によるんだけれども、例えば別な法律で対応するとか、今回も小麦等輸入価格高騰で予算措置しましたけれども、そういうことでやっていくとか、そういう考え方も一部あるのかなというふうに思います。

 このことについて大臣はどのような見解をお持ちなのか、まずお答えいただきたいと思います。

坂本国務大臣 委員の御指摘、十分理解できます。

 元々、牛肉・かんきつ類の自由化によりまして、これから、例えば果汁とかトマトジュースとかいうのも含めてどんどん、牛肉の缶詰も含めて、日本に入ってくるのではないか、その自由化のときに、ですから、日本の加工業者をやはり支援しなければいけないということで作られた法律で、これまで、臨時特別措置法として作られて、特措法として作られて、六回改正をされております。

 今回はやはり、今言われるように、ウクライナあるいはコロナもありまして、小麦、大豆が高騰している、それで、大豆を使う、あるいは小麦を使う、そういう加工業者をやはり支援しなければいけないということで、元々の、発端のたてつけが違うのではないかというような御指摘だというふうに思います。

 そういうことでありますけれども、大豆それから小麦等につきましては、小麦は、特に国家貿易でありますので、政府買入れで、そして、売渡価格を据え置くというようなことで、応急的な予備費でこれまで措置をしてまいりました。

 それ以外にも、肥料、飼料等がありまして、こういったものに対しても、安全保障上、肥料原料の国際相場が異常に今高騰して、肥料価格の高騰が見込まれる場合には、これまでの実施した対策も含めて、影響緩和策というものをやってきたところでございます。

 そういうことで、それぞれに事情は違いますけれども、小麦、大豆、それから肥料、飼料、それぞれ大きく事情が違っておりますけれども、ここでまとめて別の法律を作って対策を講ずるというよりも、できるものは速やかに対策をまずやるべきではないか、そっちの方が望ましいのではないかということを考えたために、今般、小麦それから大豆につきましては、特定農産加工法に新たに調達安定化措置を導入し、そして、新型コロナやウクライナ情勢による農産物の輸入価格の高止まりの影響を受けている加工業者の方々に集中的に支援をしようというような法律にしたわけでございます。

 なお、調達安定化措置の対象品目につきましては、現状では小麦、大豆を省令の方で想定をしておりますけれども、これから国際情勢がどう変わっていくか分かりません。今後五年間の変化に迅速に対応するため、省令で定めている農産加工業者の実情に合った施策に今後もしていきたいというふうに思っております。

稲津委員 ありがとうございました。

 私は、今回の次に議論していく食料・農業・農村基本法の改正の中でも、食料の安全保障ということが今最も重要視されている時代になっていますので、国産でできるものはできるだけ生産していく、とはいえ、我が国の耕作面積とか様々考えたら、やはり安定した輸入をしっかり図っていくということが基本ですから、小麦や大豆等について今回のこの法律でも措置していくことに賛成なんです。その上で、今日は、このたてつけのところに触れるわけですから、ちょっとそこを明確にさせていただきたくて質問いたしました。

 大臣、今、後段の方で少し触れていただいたんですけれども、調達安定化措置における今後の品目追加についてということについて少し具体的に答弁をいただきたいと思いますが、第二条の二項のところの一番冒頭に「小麦、大豆その他の」とあります。この「その他」というのを省令でこれから場面場面によって加えていくということだと思うんですけれども、この第二条二項のその他の農産物の追加の考え方について、ここをもう少し明確に、具体的に説明いただきたいと思います。

宮浦政府参考人 調達安定化措置の対象品目の考え方でございます。

 この対象品目といたしましては、まず第一に、輸入原材料の価格水準というものが上昇したり高止まりしているのかどうかといったことでございます。それから二つ目には、この品目が輸入依存度が高いものなのかどうかといったことでございます。それから最後の三点目といたしましては、やはり、国内で相当数の事業者の方々の事業活動に影響が出ているのかどうか。こういったことを勘案いたしまして、省令で最終的には指定するということを検討してございます。

 現時点では小麦、大豆を想定をいたしてございますが、先ほど大臣からも御答弁差し上げましたとおり、今後五年間の変化には迅速に対応するような形で、実情に合った施策としたいと考えているところでございます。

稲津委員 大臣の答弁と余り変わらなかったのであれですけれども、いずれにしても、今後はそういう場面になったら省令改正でつけ加えていったりするという判断かと思って理解しました。

 次は、経営改善計画、事業連携計画の承認実績と今後の対応についてということで、ずばり聞きます。実績の少ない業種の対象見直しはどうするのかということなんです。

 これは、承認計画件数、融資実績、令和二年度から四年度までの三か年間、それなりに実績はあります。ここをもう少し詳しく分析してみると、例えば、重立って考えると経営改善と事業連携というのがあるんですけれども、まず一つは、経営改善の方は、令和二年、三年、四年合計で百五件の実績がありますから、それなりにある。ただ、事業連携のところは三年間で十四件しかない。それから、業種名でいきますと、米加工製造業、麦加工製造業、乳製品製造業というのは、それなりに実績は、経営改善の方は特にあります。ただ、かんきつ果汁製造業とか砂糖製造業におかれては、経営改善のところも極端に少ない。事業連携については、なしということになります。

 このことについて、どのように認識して、どう対応しようと考えているのか、この点についてもお伺いしたいと思います。

宮浦政府参考人 お答えいたします。

 まず、御質問のございました事業提携計画についてでございます。経営改善計画より実績がかなり少ないというのは事実でございます。事業提携計画は、複数の事業者の方々が連携をして、事業者単独で取り組むことができる経営改善計画よりも案件の形成に時間を要する面がございます。そういったところが影響はしているかと思ってございます。

 それから、一方で、事業提携計画の場合は、業種の異なる複数の事業者の方々が連携をするというような取組でございまして、消費者のニーズに適合した形で原材料から製品開発まで実施することが可能となるという意味で、より効果的な取組になるというふうに承知をしているところでございます。

 それから、経営改善計画の承認実績の中でも少ない業種があるということでございます。御指摘のとおり、中には、先ほど先生から御指摘のいただいたもののほかにも、コンニャク製造業とかカンショでん粉製造業とか、非常に実績の少ないものもございます。こういったものは、各業種において非常に、工場数あるいは地域が限定されるといったことですとか、施設の老朽化の度合い、資金計画、各事業者の方々の御事情を踏まえてこの計画というものが出てくるというふうに承知をしてございます。

 一方で、この品目につきましては、今後もまだ関税が下がるというような状況でございまして、各事業者の方々が自らの資金計画に合わせて承認申請を出したいと思った際に、この資金計画への融資などの支援措置に応じられないという事態は回避したいということで、少ないものに関しても引き続き対象としているというような状況でございます。

稲津委員 そういう答弁になると思ってはいますけれども、なぜ実績が少ないのか、理由は簡単だと思います。例えば、要するに、うまく適合しないというのもあるかもしれないけれども、使い勝手が悪いとか、あるいは、もう少し事業者の立場に立って使い勝手のいいものにするとか、それから周知をきちっとしていくとか、不断の見直しを行っていかなければ、私のような質問になるわけですよ。だから、ここは、せっかく今回法改正をしてまで充実させるわけですから、是非この実績が上がるような、事業者に対する丁寧な、そういう対応をしていただきたいと思いますので、このことは指摘をさせていただきます。

 次は、同じく第二条二項における条文の中で、最後の段落の「又は生ずるおそれがあると認められる業種として農林水産省令で定めるもの」、この「おそれ」ということも、ここに文言として入っているんですけれども、これは具体的にどういうことなのか、これも確認の意味で申し上げますけれども、できるだけ分かりやすくお答えいただきたいと思います。

宮浦政府参考人 お答え申し上げます。

 この、おそれがあるという場合でございますが、例えばなんですけれども、外国におきまして、国境措置の変更が、輸出禁止とかですね、こういったものが決定された際に、まだ国際価格の変動自体は生じていないというような状況の下でも、農産加工業者の事業活動に支障が生ずる可能性が高いというときには、速やかに対策を講ずることができるようにという趣旨で、おそれというものを規定しているところでございまして、業界の実情をよく把握して、業界が混乱することのないようにいろいろと取組を進めていきたいと考えているところでございます。

稲津委員 では、最後の質問です。

 これもずばり聞きますけれども、第五条の原材料の調達安定化措置について、想定される具体的な取組は何かということなんです。例えば生産地の変更とか代替原材料の使用とか、例えば小麦の代わりに米粉を使うとか、大体想像はできますけれども、このことについて確認の意味でこれをお聞きして、質問を終わりたいと思います。

宮浦政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員から御指摘のありました調達安定化措置の中身でございます。

 まず最初に、原材料の生産地の変更という規定がございます。これは、パンの製造業の方々とかが外国産の小麦粉を国産の小麦粉に転換する、その際に、小麦粉の特性に応じた新しいパンの製造設備、こういったものを導入するようなことを想定いたしてございます。

 また、代替原材料の使用につきましても、議員から御指摘ございましたとおり、製粉事業者の方が小麦粉から米粉に転換するために精米機などを導入するような、機械。

 それから、そのほかにも、原材料の効率的な使用といった規定がございます。大豆の加工業の方々が、大豆の圧搾能力の高い機械を導入することによりまして、従来より少ない大豆の量で同じだけの大豆油を生産するといったような、こういう取組を想定しているところでございます。

稲津委員 終わります。

野中委員長 次に、緑川貴士君。

緑川委員 皆様、おはようございます。

 おとといの金融政策決定会合で日銀が、マイナス金利政策を含む大規模緩和の解除を決めました。ちょっと通告に間に合わなかったんですけれども、この金融緩和の解除の農業関係者への影響について、もしお答えいただけたらというふうに思います。

 政策金利を引き上げるというのは十七年ぶり、金融政策の正常化にかじを切る大きな転換期でありますけれども、当面は緩和的な環境というものは続いていくというのが日銀の見方ですけれども、今後、為替相場への影響が出てくるかというふうに思っています。

 日米の金利差が縮まって円高に向かっていきますと、輸入肥料あるいは飼料、石油製品、こうした農業生産資材が安くなって、農業経営には確かにプラスに働いていく材料が出てくるかもしれません。

 他方で、今回の法案との関連では、同じく安くなっていく農産物、畜産物、そしてそれらの加工品の輸入による国内への影響が大きくなってくる可能性ということもやはり考えなければならないというふうに思いますし、資金の借入れという点では、今回の法案との関連では、日本政策金融公庫が特定農産加工業などを含めた農林水産関係の事業者に向けて、これまで低利で資金繰りを支えてきましたけれども、金利環境もこれから変わっていくことになります。

 帝国データバンクがおよそ九万社を対象にしている調査では、借入金利が一%引き上げられた場合には、一割近い事業者が赤字になるという調査結果もございます。

 民間の金融機関に比べて公庫の利率というのは確かに低いので、これからも比較的借りやすい状況であるというふうに思いますし、公庫の融資のほとんどというのは固定金利です。ですので、一旦借入れが始まれば、完済するまでにほとんど同じ金利で済むわけですけれども、ただ、既に公庫の融資利率の算定の基礎である基本金利というものはもう上がっていますので、各種の利率も更に上がってくることになるというふうに思います。

 今回の法案の対象事業者が輸入事情の影響を受けているということに加えて、これから金利環境が変わっていくことで借入れコストがやはり上がっていったり、そして今後、公庫が貸付けする際の影響、何かお答えいただけることがあればいただきたいというふうに思っております。

坂本国務大臣 目下の一番の課題は、やはり、配合飼料等も含めて円安による非常に高騰、これが畜産農家も含めて大きく経営を圧迫しているということですので、この方面については、少し円高に振れればある程度安定した価格になるのかなというふうに思っております。

 それから、一方、加工業者の借入金その他につきましては、やはり、そういうのも含めて、今回の経営改善法でしっかりと支援をしていく必要があるというふうに考えております。

緑川委員 ありがとうございます。

 円安を追い風にしてきたこれまで、輸出の関係でも、農林水産関係物、農林水産物・食品の輸出というものは過去最高額をこれまで円安を追い風にして更新してきた背景もございますし、様々な影響を私もしっかり捉まえてまた議論をさせていただきたいというふうに思っております。

 取引先との関係で、既にこれまでのコストの上昇分の価格転嫁が十分にできていないという食品加工関係の事業者の方もいらっしゃると思います。利息の負担というものがそのまま利益の圧縮につながってしまいかねない状況です。低利の融資で経営の強化を支えてきた公庫の役割、責任というのはこれからも非常に大きなものであるというふうに思いますし、この新たな今回の特定農産加工資金で、輸入事情に負けない、現在の状況に負けない新たな商品開発、事業展開を進めていく、この資金需要に応えていく必要があるというふうに思います。

 他方で、法律を延長する上での一つの確認をしたいんですけれども、二〇一九年の法改正のときに定めている業績評価の指標、KPIでは、この法律による支援を受けた事業者の国産農産物の取扱量を二割増やすということをKPIにしていましたけれども、農水省にこれを確認しますと、二〇一八年度に承認を受けて二〇二二年度に実施を終えた計画の国産農産物の取扱量は一二六・九%と、確かに二割を達成している計画もあるんですけれども、一方で、二〇一九年度に計画の承認を受けて、二二年度、四年目に入って実施されている計画の国産農産物の取扱量は九八・七%と、減っているんですね。計画の承認前より国産が使われなくなってきています。

 コロナ禍で国産原料への切替え策を国として強化をしてきた期間でもあったんですけれども、結果として国産の取扱量が計画の前よりも下がっている。

 これまでの取組について、大臣の御認識をお伺いしたいと思います。

坂本国務大臣 今委員御指摘いただきましたように、令和元年に現行法にして以来、KPIの達成状況につきましては、事業を実施した三十八事業者について見ると、事業実施前に比べまして国産農産物の取扱いが一二六・九%、二割以上増加をいたしております。国産農産物の利用拡大、ひいては地域農業の発展にも寄与しているというふうに私たちは考えております。

 また、これまでの政府の対応といたしましては、経営改善計画に、目標の一つとして、地域の農産物の利用の促進ということについても記載をされているところでございますので、今後更に、地域の農産物の利用というようなところにも着目しながら、この充実を図ってまいりたいというふうに思っております。

緑川委員 大臣がおっしゃいましたように、計画が承認される要件に、地域農業の健全な発展に資するものであるということ、そして、その地域の農産物を使ってもらったり、あるいはその農産物の特色を生かした加工品作りを行うということが要件になっているんですけれども、今私が申し上げたような、先ほどの九八%という数字で申し上げれば、そこがなかなか見えてこない計画というものがやはりあるというふうに思います。

 この今の要件が達成されていれば多少輸入の原材料を使っても融資の対象になるんですよというのが、これまでの過去の法改正での政府の答弁であったわけなんですけれども、今の計画の達成状況、一部、以前よりも使われなくなってきている、数字としては使われなくなってきているということがある以上は、多少使ってもいいよという、この多少というのがどの程度なのかというのが大きく目標に関わってくるだろうというふうに思っています。それがこれまで曖昧だったので、国産への切替えが進んでこなかった面があると思います。

 原料には、確かに、国産では季節性がありますし、加工品によっては原料全てを国産にするというのは難しいのかもしれませんが、地域農業の発展に真に資するというようにするためには、WTO協定との整合性は確保するということは前提ですけれども、その上で、例えば過去の統計や農産物の生産目標に基づいて、加工品それぞれに対して、国産農産物、どれだけ使ってくださいよと、使うべきおよその目安というものを国がしっかりと示して、事業者にその上で取り組んでもらう必要があるというふうに思っていますけれども、この辺りは、お考え、いかがでしょうか。

坂本国務大臣 今後のことにつきましては、生産者側、供給側と、そして需要側、流通、そして加工業者も含めて、この両者がそれぞれにしっかり連携する、契約栽培をする、そして契約を結ぶ、そのことによって国産品の使用頻度を高めていく、そういうことが大事であるというふうに思っております。

 ですから、生産面の方では、基盤整備による汎用化、畑地化の推進と併せまして、作付の団地化やブロックローテーション、そしてスマート技術の営農技術、新たな品種の開発等によりまして需要側に応えていく。それから、需要側、特に加工面では、国産小麦、大豆への原材料の切替え等に伴う機械、設備の導入、例えば、これまで小麦粉を使っていたのをやはり米粉に替えるんだというようなときの機械導入への支援、こういったものを進めることによりまして、今後、地域を中心として国産原材料を使用する加工業者、こういったものが確実に増えるようにしっかりと支援してまいりたいというふうに思っております。

緑川委員 政府が昨年末に安全保障強化政策大綱ということでまとめていますけれども、海外依存の高い農作物、大臣おっしゃった小麦や大豆を始めとした生産の拡大、そして輸入原材料の国産転換などをやはりそこでもうたっていますし、さらに、二〇三〇年までに生産面積を、小麦では二一年比で九%、大豆では一六%増やすということで、具体的に数字も生産の面では明記もしているわけでございます。

 需要に応じた農作物の生産を前提としているわけですから、仕向け先として大きい食品加工業で国産の需要量というものをしっかりと国として示すこと、国の責務としてそこはしっかり確保していくことを目指していかなければならないというふうに思います。

 小麦、大豆というのは、国産原料への切替えを今回支援をすることになりますけれども、特に大豆について、ちょっと時間の関係で資料一を飛ばして資料の二を御覧いただきますけれども、生産コストや年によって単収が変動するというのは小麦と同じですけれども、さらに、大豆については、実需者が求める安定供給の課題として、大豆食品によって国産と海外産の使用割合というものが大きく変わります。煮豆なら国産使用割合が七二%ですけれども、豆腐では二九%。みそになると更に下がって三%、大豆油に至っては〇・〇三%と、そのほとんどが輸入大豆で作られています。

 この中で、大豆が最も使われているのが大豆油、その使用量が圧倒的で二百四十一万トン。原料の高騰で影響を受ける一番がこの大豆油ですけれども、本来ここへの支援が法案の趣旨であるというふうに思いますが、大豆油用の大豆というのは、大豆油に合った品質また品種の大豆と、安い価格が求められています。

 輸入が高くなっているとはいえ、やはり国産では手に入りにくい、さらに、割高だということで、結局、支援は受けても、国産原料としての目安を国がしっかりと示していかなければ、国産の取扱量というものもなかなかこれは、その時々で変動してしまう、海外の農産物をやはり使いやすくなってしまう状況というのは変わらないんじゃないかというふうに思います。

 この原料調達の安定化計画の方は、農林水産大臣の承認ということですから、国内の産地と加工業者の連携を支援しながらマッチングを進める、大臣がおっしゃっていただいたように、やはり産地との密接な関連というものをしっかりと国が結びつけてあげる、国産原料としての目安を国がそこでしっかりと示していく、国産の利用をより積極的にそこで促していけるのではないかというふうに思いますけれども、大臣、その辺りはいかがでしょうか。

坂本国務大臣 今言われましたように、今般のこの法律におきましては、マッチングをしっかりやって、生産者側と需要者側、この連携を図ることによって、国産の麦、大豆、こういった使用量を増やしていこうというものであります。

 一方、基本法改正の方で、食品産業の健全な発展に資する施策を総合的に講ずるというふうに基本法の方で明示しております。現在、民間の有識者二十四人から成りますけれども、有識者の方々に御参画いただきまして、食品産業の持続的な発展に向けた検討を進めているところでございます。

 時期が来ましたら、いろいろな中間取りまとめ、その他もあると思いますけれども、今般のこの法律と、そして基本法の趣旨も踏まえながら、食品産業の健全な発展に取り組むと同時に、国産品の原材料の拡大、こういったものを図ってまいりたいというふうに思っております。

緑川委員 有識者の意見に加えて、生産現場、農業者団体、そしてブロックローテーションの、なかなか産地で合意が取りにくいといった、地域の話合いが進まないといったところもあるということは聞いておりますので、しっかり現場の御意見を踏まえて、実需者が求める大豆食品ごとの数量あるいは品質などをできるだけ国産で確保するために、やはり品種の更新を含めてその支援が必要ですし、また、産地の支援、産地と事業者の連携というものをより密にしていく、そうした支援が大豆には求められている。

 特定農産加工業の中でも特に支援が必要な作物であるということに加えて、これは麦についてもです。麦の加工品の業者にとってみれば、これまで国境措置の変更で関税が大きく引き下がってきました。海外の麦製品の国内シェアが高まって、競争環境がより厳しくなっているという従来の影響に加えて、小麦の価格もやはり上がってきているという、この二重の影響を受けているわけです。

 こうした麦や大豆の特定農産加工業者については、従来の経営改善計画と、そして調達安定化計画、どちらかの計画が承認されれば支援を受けられる。そういう意味では、二つの計画があることで支援を受けられやすくはなりますけれども、更に言えば、今の申し上げた状況に対しては、どちらか一方の計画の承認ではなくて、両方の計画が承認されるということであれば、より充実した大豆や小麦への支援が求められるというふうに思いますけれども、二つの計画が認められた場合にはやはり支援を拡充していく必要があるんじゃないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

宮浦政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、小麦に関しましては、現行の法の仕組みでは関連業種という規定でございまして、事業連携という形での計画策定になってまいります。そういう意味で、直接は経営改善措置の方には入ってこれないというところを、今回、原材料の調達安定化という仕組みをつくりまして、自ら直接入ってくるような、計画を出せるような形になるというところでございます。

 いずれにいたしましても、議員御指摘のとおり、加工業者と産地との連携強化というのは非常に重要なことだと思ってございますので、そういった観点で、私どもも加工業者の後押しをしっかりとしていきたいというふうに考えているところでございます。

緑川委員 様々な施策も、これまで食品加工業に対する支援ということで、例えば六次産業化ということで、農林水産物・食品の価値を高めるための予算措置も従来から講じられてきています。

 今回、関連業というのが、先ほど、今日の審議にあるように、全く使われていない事業というものもあるわけでございますので、果たして今後、事業連携という形で使われるのかどうか。使いにくいといった課題がある上では、やはり、特定農産加工業をメインにしてしっかりとした支援を届けるというのが私はスタンダードな在り方だというふうに思っておりますので、六次産業化のこれまでの支援も併せて、従来の施策を総合的に組み合わせながら、何とか支援をしていただきたいというふうに思っております。

 麦加工製品業でいえば、一つ、抜け道といいますか、こぼれてしまっている産業があるということも触れておきたいと思っています。

 今回、小麦粉の代替調達としての米粉を使って製麺やパンなど加工品を作った場合には支援対象になるんですけれども、例えば、創業当時からグルテンフリーを売りにして、小麦製品を一切使わない、米粉だけを使って製麺してきた業者もありますけれども、この場合には特定農産加工業には含まれません。米粉自体を製造する場合、こうした一次加工品は米加工品として現行法では特定農産加工業に含まれるんですが、麺のほかに、パン、ギョーザ、いろいろあると思うんですが、米粉を使った加工品、製品作りというのはいわゆる二次加工品扱い、つまり特定農産加工業には含まれないので、単独の事業だけでは支援が受けられません。

 今回の法改正で、途中から小麦粉から切り替えて米粉で製麺する業者は支援対象になるのに、当初から米粉で頑張ってきた製麺業者が単独では支援が受けられないというのは不公平感があると思いますし、今、米の麺は、ビーフンやフォーなどアジアの米の麺の輸入量が昨年初めて一万トンを超えて過去最大の輸入量になって、特に米粉の製麺業にも影響を与えています。

 小麦の高騰、そして健康志向の高まりの中で、米余りと言われてきた中でも、米の活用そのものへの関心というものがやはり高まっていると思います。水田農業を食料安全保障のベースとして、政府も、二〇三〇年までに米粉用の米の生産面積を二一年比で一八八%拡大させると、食料安全保障強化政策大綱にも数字をしっかり、はっきり書いているわけですね。

 ですから、米粉の国内供給をもちろん急いでいかなければなりませんけれども、更なる需要先として、グルテンフリー市場を更に広げていくために、米粉の二次加工業も今回の法案でしっかりと支援をしていただきたいというふうに思っております。大臣、この辺り、いかがですか。

坂本国務大臣 ビーフン、それからフォーなど、米由来のいわゆる麺類につきましては、まず、現行の経営改善措置について見ますと、関税引下げ等の影響により相当数の事業者の事業活動に支障が生じているとは認められないため、措置の対象にはならないというふうに考えております。

 また、新設の原材料の調達安定化措置について見ますと、米麺の輸入は増えているものの、今言われました、一万トンに達するものの、米麺の国際的な価格高騰によりまして相当数の事業者の事業活動に支障が生じているとも認められないため、対象にはならないというふうにしたものであります。

 なお、個別の事業者の方で御要望がある場合には、令和五年度補正の予算措置におきまして、原材料調達の多角化を通じた調達リスクの軽減のため、国産原材料への切替えに伴う機械そして設備導入を支援しておりますので、それぞれに御相談いただければというふうに思います。

緑川委員 需要に応じた生産ということは、政府が再三、答弁でいただいております。こうした中で、やはり需要の拡大ということが先にあって供給がしっかり進むものだというふうに思っております。

 米粉用米の生産というものは、米余り、年間で主食用米の需要量が十万トン減っているというこの日本の状況においては、米粉用米に活路を見出す生産者は多いというふうに思いますので、そこの需要先として、輸入量の影響というものをしっかり引き続き注視をしていただきながら、グルテンフリー市場をしっかりと広げていくための支援というものを政府として引き続き検討して、お考えをいただきたいというふうに思っております。

 ちょっと時間の関係で最後の一問になると思いますが、もう一つ、トマト加工品以外の野菜加工品の製造業も支援の対象にはなっていません。

 しかし、直近で、冷凍野菜のおととしの輸入量というのは、コロナ前よりも更に増えて、百十四万トンを超えて、ここも過去最大になっています。海外の冷凍の枝豆やブロッコリーの輸入が拡大していることから、国内の野菜加工品の製造業への影響が出てきています。

 野菜の王様と言われているブロッコリーですけれども、栄養が豊富で、国内で消費が増えていることから、ジャガイモ以来、半世紀ぶりに指定野菜に追加されることに農水省が決めていますけれども、食品の中でも特に野菜は天候の影響を受けやすい、季節や時期によって市場の価格が大きく変動しやすい、こういう変動を抑えながら安定的に供給できるようにする、そのための指定野菜制度であるというふうに承知をしています。

 そこで、加工用や業務用を含めて安定的に供給をする上では、やはり国内生産が第一だというふうに思いますし、増えている加工野菜に対応するために、ブロッコリーなどの冷凍野菜を始めとした野菜加工品製造業も、今回、支援の対象とするべきではないかというふうに思います。大臣、最後に、いかがでしょうか。

坂本国務大臣 御指摘のブロッコリー、それから枝豆もでございますけれども、主な輸入の冷凍野菜につきましては、輸入価格が二割程度上昇をいたしております。ブロッコリーにつきましては一一七%でございます、一七%の上昇でございます。一方、大豆、小麦の方は六割超の値上がりでございますので、上昇の幅が小麦、大豆に比べると抑制的であるというふうに考えております。

 また、加工・業務用野菜の相当数の事業者の事業活動に今のところ支障が生じているとは認められないというふうに考えております。今回の調達安定化措置の対象にすることは、今のところ想定しておりません。

緑川委員 非常に大きな影響を受けている小麦、大豆と比べての影響をおっしゃいましたけれども、同じ品目で従来からの状況と比べて、しっかりとそこは検討していただきたいというふうに思っております。

 時間が来ましたので、これで質問を終わりにしますけれども、食品加工業の国産割合をしっかり高めて食料自給率をしっかり向上させること、そして、輸入に係るフードマイレージを極力減らすことで環境負荷の低減にもつなげるべきであることも強く申し上げて、質問を終わります。

野中委員長 次に、神谷裕君。

神谷委員 立憲民主党の神谷裕でございます。

 本日も質問の機会をいただきましたことを、感謝を申し上げたいと思います。

 早速質問に入らせていただきたいと思います。

 今回の特定農産加工法、ちょっと意地悪な質問になるかもしれませんが、先ほど中川委員からも御紹介がありました、これは牛肉・オレンジ交渉を端緒として、実に今回で六回目の改正というか延長ということになります。

 時限立法というのはやはり意義がありまして、短期集中型というか、今だけだったらこれだけしっかり支援してあげるからなるべく早く整備してねみたいな意味もあるのかなと思います。しかし、これが実に、六回目になると、三十年という時間になります。

 これまで数次にわたる延長を行っております。最初に牛肉・オレンジ交渉があって、そのときに、当然これは早急にやらなきゃいけないということで支援をしてきた、そのことは十分に理解をしております。ですが、所期の目的が達成されたというか、だらだらととはあえて言いませんけれども、目的を達成しているということであれば、やはり一回は閉じなきゃいけないんじゃないか。

 ただ、この間、様々な事情の変更、当然、国際環境の中で事情があったということは十分に理解をいたしますが、だからといって、所期の目的が達成されたということであれば、一回は考えなきゃいけないのではないか。その上で、事情の変更があったから、今回、法律の題号も変わって新たな施策を追加したのではないかとも思えるんですけれども、そういったスクラップ・アンド・ビルドとは言いませんが、一旦はこの法律、なぜ再度延長しようと、牛肉・オレンジの環境が、まあ、整ったとは言いませんけれども、一旦は廃止するというようなことも考えなかったのか、この辺はいかがなのか大臣にお伺いをしたい、このように思います。

坂本国務大臣 これまでの法律の経緯につきましては、委員御指摘のとおりでございます。

 牛肉・かんきつ類に端を発しました昭和六十三年の日米間の合意によりまして、農産物十二品目の関税引下げに対処するためにスタートをした。その後も、平成六年のウルグアイ・ラウンドの農業合意、さらには、平成十四年以降の各国とのEPAというのがあります。そして、平成三十年のCPTPP、さらには平成三十一年の日・EU・EPAに伴う関税引下げ等に対処するために、延長を重ねてまいりました。実績は確実に出ているというふうに思っております。

 現時点でも、今後関税引下げは継続していくもの、そしてその影響は見込まれるものというふうに思いますので、本法の延長が必要であるというふうに考えます。

 そして、そういったさなかに、貿易の自由化が進展してきた一方で、ウクライナ情勢等の最近の国際情勢で、関税引下げ等にかかわらず、食料安全保障という立場で見た場合には、非常に、食品加工も含めて、それを支援していかなければいけないということで、加工業者の原材料の調達の安定化への支援措置も本法に盛り込むべきだということで、今回の本法の改正というふうになったところであります。

神谷委員 この間の様々な国際環境の変化というか、我が国の対外的な条約なり、あるいはWTOもありましたでしょうけれども、そういったことの変化によって様々延長を重ねてこられたということは理解をいたします。

 ところで、だとするならば、この制度は現在どんな形で利用されているのか、活用されているのか、この点について、先ほどもお話があったかもしれませんけれども、念のため確認をさせてください。お願いします。

宮浦政府参考人 お答え申し上げます。

 この法律の制度の活用状況でございます。

 まず、平成元年から令和四年度までの計画の承認数ですけれども、経営改善計画と事業提携計画を合わせまして千八百四十に及びます。また、この計画に基づきます政策金融公庫からの融資の件数ですが、二千七百四十一件、総額で八千百四十五億円というものでございます。

 また、この法律には税制の特例もございます。現在、地方税の事業所税の特例がございますが、過去五年間の平均で見てみますと、一年当たり約百件程度コンスタントに出てございまして、負担軽減分としましては七千百万円程度に及んでございます。農産加工業者の場合は、一般的に工場が非常に広い敷地を持ってございます。収益率が総じて低い中で、財務負担の軽減という意味での効果が非常に大きいというふうに考えているところでございます。

神谷委員 ある程度利用されているということは確認をいたしました。

 その上で、今ほどお話にありました、この制度というか法律の中で、優遇されているというか支援策としては、一つは金融面での措置、それから先ほどの税制面での措置というお話でございますが、金融面で考えたときに、御案内のとおり、先日、日銀の政策変更がございましたけれども、総じて言いますと、実は金利は低い状況に置かれている。しかも、最近ですと金融商品も多角化しているような状況であって、もちろん、制度資金というか政策資金というか、そういう融資を否定することはいたしませんが、もちろん、食品加工業者云々では、例えば融資を受けにくい部分もあるのかもしれません。

 そういったところもあるとは思いますが、一方でいうと、これだけ金融環境がある意味進んできているというようなこともあって、この制度融資そのものは、ある程度整理というのか、そういったことも必要なんじゃないか。

 これもまたちょっと意地悪な質問なんですけれども、この法律の中で、まあ、使われているようではありますので、なかなかはしごを外すということにはならないと思いますが、果たしてこの制度においても、こういった融資、必要なのかどうか、整理統合の必要はないのか、ここについて伺いたいと思います。いかがでしょうか。

村井政府参考人 お答え申し上げます。

 農林水産業、加工流通業につきましては、自然災害等による影響を受けやすく、投下資本の回収に時間がかかる、あるいは他産業に比べて自己資本も脆弱であるといった実態にございます。このため、民間金融機関にとりましては貸付けリスクが高い業種ということになろうかと思います。一般的に農林漁業者等が十分な資金供給を受けにくい構造が基本的にはあるというふうに認識をしております。

 このため、政府が全額出資をする株式会社日本政策金融公庫が長期、大型の資金を融通することによって、農林漁業者あるいは加工流通業者への資金の円滑な供給を図っているところでございます。

 日本政策金融公庫の具体的な資金メニューにつきましては、公庫法、あるいは本日御審議をいただいております特定農産加工法等の各法律の規定の範囲内で政府が決定をするという仕組みになっておりますが、農林水産省といたしましても、引き続き、政策目的や農林漁業者等の資金ニーズを踏まえまして、隅々まで資金が円滑に供給されるように対応してまいりたいと考えております。

神谷委員 もちろん、産業を支えるという意味での金融というのは大事だと思いますが、一方でいうと、何でもかんでもということにもならないと思いますし、逆に言うと、金融、民業圧迫とは言わないですけれども、そういった部分の分担分担もあるのかなと思いますし、逆に言うと、食品加工業者そのものが普遍的に、普通に金融機関から借りられる状況をつくっていくということも大事だと思いますので、逆な言い方をすれば、そちらの方も是非御対応いただけるように御尽力、御努力をいただけたらと思う次第でございます。

 次の質問ですが、先ほど、この法律の立法事実としての、いわば外国産原料に頼っている方についてですけれども、我が国で加工する食品事業者、特に海外から入れている方については、当然、為替や原材料の調達コストなどの上昇をこの間相当受けているんじゃないかというふうに思われます。いろいろと話は聞くところでありますが、農水省としてこの状況をどのように把握をされているのか、伺いたいと思います。

宮浦政府参考人 お答え申し上げます。

 原材料費などの状況でございます。

 大変費用支出が増大している状況でございますが、製造業者の方々は、原材料費だけではございませんで、ほかにエネルギーなどの製造経費、それから人件費などの販売管理費など、多様なコストを積み上げて経営をなさってございます。

 例えば、食パン製造業の方でいきますと、原材料費では小麦ですとか油脂というものが約二割程度上昇いたしてございますし、それから、製造経費ではエネルギーなどを中心に約二割上昇してございます。また、販売管理費も、人件費などが約一割上昇してございます。それから、豆腐の製造業の方でも、原材料費で見ますと大豆が約三割、それから製造経費も一割弱上昇しているというような状況でして、総じてやはりコスト上昇というものが、負担感が出てきているという状況でございます。

神谷委員 こういうふうに、輸入することに対するリスクの上昇というのは、逆な言い方をすると、国産に切り替える非常に後押しというかチャンスである、このように思うわけです。

 一方で、為替がこういう状況になるということは、一方でいえば、国産の農林水産物が海外に出ていく、輸出するというところのチャンスでもあると思いますけれども、輸出については盛んに政府でも頑張っていただいているというふうに認識をしているところでございますが、例えばこういう輸入についての国産原料への切替えの取組、これをむしろもっと積極的にやっていかなければいけないんじゃないかなというふうに思っているところでございます。

 先ほど実は、この法律はもう廃止する、そういったことも検討したらいいんじゃないかという御提案をさせていただいたんですけれども、でも、逆な言い方をしますと、影響を受けているのは今言われている品目だけではなくて、先ほど緑川先生もおっしゃいましたけれども、実は、多くのものが影響なり、あるいは、国産のものに切り替えるチャンスじゃないかなとも思うわけです。

 という意味で、実はこの法律は非常に重要、大変大事なんだと思っているんですが、海外から入ってくるものに対するリスクを考えたときに、それに対応する対策をつくるというこの法律は一方で大事なんですけれども、それと同時に、むしろ、国産のものをどんどん使っていこうじゃないかという、切り替えていくための支援策、支援法というような形に切り替えていくことができなかったのか。私は、むしろ、そういったものを体系的に整備していただいて、国産原料へと切替えを促すための促進法案みたいな形に新しく新法を立てていただきたかったな、こういう思いがあるんですけれども、大臣の所感はいかがでございましょうか。

坂本国務大臣 委員の御指摘、まさに正鵠を得ているというふうに思っております。

 国産原材料への切替えのために、令和四年度の予備費を活用いたしましてこれまで推進をしてまいりました。

 輸入小麦では、パン、麺類、それから菓子などの製造業で国産小麦への切替えが進められました。それから、輸入大豆では、しょうゆ、納豆、それから豆腐などの製造業で国産大豆への切替えが進められてまいりました。この二品目で活用実績が全体の九割を占めるという状況でございました。

 他方、予備費を活用した対策や今回の法案の原材料調達の安定化措置は、あくまでも応急的、集中的対策でありまして、基本法改正に明記したような食品産業の健全な発展に資する取組は、今後、更にその重要度を増してくるというふうに思っております。このために、二十四人から成る、民間の有識者の方々にも御参画いただきまして、検討を今進めているところでございます。

 そういうことで、食料・農業・農村基本法の趣旨を踏まえまして、そして、本法の狙いも併せまして、今後、国産の原材料の拡大、こういったものを進めてまいりたいというふうに考えております。

神谷委員 大臣、本当にこれは大事な部分だと思っておりまして、応急的に、集中的にこの法律では対策を打っていただく、これは本当に大事だろうと思うんです。特に、影響がある方についてはやっていただかなきゃいけない。それと同時に、やはり、いかにして国産のものに切り替えていただくのかというのは、むしろ我々の課題、この農林水産委員会の本当に重要な課題だと私自身は思っております。

 そういった意味において、大臣にはここの部分、是非総合的に、体系的に後押しするような、この法律を変えろということではありませんが、やはりそういったところをやっていただきたいと思います。先ほどお話にあったように、多くの農産物、漏れているとは言いませんが、本来、対象としてすくい上げてというか、どんどん後押しをすることによって切り替えていくチャンスがもっとできたんじゃないかなというようなことも思うわけです。

 先般も大臣との議論の中で、今、海外との間での輸入輸出のリスクというのが高まっていますよね、だとすればやはり国産のものに、どれだけ国内の食料品の安定供給というのに力を入れていくかという話もさせていただいたと思いますし、その際に、大臣にも非常に温かい答弁をいただいたと私自身思っております。是非、この辺の部分、国産の原料あるいは国産の農産物をどんどん使っていこう。

 ただ、聞いておりますと、海外のものを国内に切り替えるというのは、これは結構、食品事業者にすると大変な作業だというふうに聞いております。小麦一つ取ってもライン一つ取っても本当に大変なんだということを聞いておりますので、ここの部分は、実は政治の後押しというのは本当に重要なんじゃないかなと私自身思っております。

 そういった意味で、この法律だけではないのですが、様々な法律で後押しをするのもいいんですけれども、やはりここを体系的に、総合的にやっていただきたいと思うんです。その辺のところ、重ねてというわけではないのですが、大臣、いかがでしょう。

坂本国務大臣 本当に、海外依存の原材料の調達リスクは高まっております。中国の台頭、円安による我が国の厳しい輸入状況、そしてウクライナ情勢、こういった様々なリスクというのが顕在化をしているところでございます。

 そこで、先ほど、繰り返しになりますけれども、食料・農業・農村基本法も見直しまして、食料安全保障の強化を図ろうというようなものにしたところでありますけれども、本法においても、従来の関税引下げ等への対処ばかりではなくて、輸入原材料に依存した構造を改善するため、新たな措置によりまして国産利用の促進等を図ってまいりたいというふうに思っております。しっかり食品加工業者を支援することによりまして、国産の供給体制というものを充実させてまいりたいというふうに思っております。

神谷委員 是非よろしくお願いしたいと思います。

 先般、実は、買い負けの例として、ちょっとショックを受けた例がございました。先日、新聞を見ておりましたら、水産経済新聞さんだったんですけれども、我が国事業者との価格の折り合いがつかない結果として、これは水産物だったんですけれども、かずのこの原料となるニシン漁で、アメリカ、カナダの漁業者が出漁を見合わせたという記事がありました。

 日本の加工業者との価格が折り合わなかったために、あえてもうそんな合わない価格だったら出漁しないというようなことで、アメリカ、カナダの漁業者さんが出漁しなかったようです。資源量そのものは回復している基調だというふうに聞いておりまして、豊漁も期待されたようでございますけれども、結局、我が国事業者が出した価格が採算に折り合わないというようなことだったということでございました。

 実は、こういう例ばかりではなく、買い負けというのが国際的に、この国にとっての国力の反映ではない、経済面での反映ばかりとは思わないんですけれども、やはり相当多くなっている、そういう話は聞いているところでございます。

 消費者にとっても食べられないというのは非常に大きな問題だと思うんですけれども、食品事業者にしてみると、原料調達について非常に大きな問題なんじゃないかなというふうに思っておりまして、食料安全保障からの面でも、海外からの原料調達に対するリスクの低減、これは本当に大事なんじゃないかなと思います。

 これからの海外原料の調達について、大臣の所感をお伺いをさせていただきたいと思います。

坂本国務大臣 食料調達の、海外からの調達リスクというのは本当に高まっているというふうに思っております。あらゆる手段を通じてそのリスクを低減する、そのためには、やはり国内の生産をいかに充実させるのか、それは多岐にわたるというふうに思います。

 今般のこの法律もしかりでございますけれども、やはり、輸入依存度の高い麦、大豆等々をしっかりとブロックローテーションで確保していく、そういうような総合的な国産の自給率を高めること、それから、肥料も資材等も含めて、我が国でできるものはできるだけ我が国でやはり、肥料等も堆肥等も活用して作り上げていくこと、こういったことをこれから総合的に進めていかなければいけない。そのための食料・農業・農村基本法の改正と、それに付随する様々な法律の改正によって、将来に備えてまいりたいというふうに思っております。

神谷委員 海外調達のリスクは顕在化していると私は思います。そういった意味において、特に、食品事業者を抱えるこの農林水産省、農林水産委員会でございます。そしてまた同時に、我が国の生産者、これについてもしっかりと目くばせをしていく、そういった意味での国内への原料転換、是非お進めをいただきたいと思いますし、先ほど申しましたけれども、是非そういった総合的な施策をつくっていただくこと、このことを御要望申し上げて、私からの質問とさせていただきます。

 本日はどうもありがとうございました。

野中委員長 次に、野間健君。

野間委員 立憲民主党の野間健です。

 早速、本延長改正案について質問させていただきます。

 今、神谷委員からも質問がありましたように、この法律、一九八九年、平成元年に制定されて、六回既に延長しております。三十五年、制定からたっているわけですね。

 この間、確かに、先ほど御答弁ありましたように、メキシコですとか、タイ、ベトナム、スイス、オーストラリア、EUなどと、EPAあるいはTPP、様々な条約も締結されております。随分、この間、各国とやってきていますので、もうこれ以上そういった関税引下げ等、あるのかなと思うんですけれども、今回の法改正の背景として、いや、まだまだあるんだ、関税引下げが予定されている品目はあるということなんですが、どういったものが主なものがあって、これから更にどれぐらいの期間、二十年、三十年、あるのか、その辺いかがなんでしょうか。

宮浦政府参考人 お答え申し上げます。

 関税引下げが依然予定されている品目でございます。

 これまでの改正経緯で各種の国際約束が積み重ねられてきてございまして非常に多数ございますが、分かりやすいもので少し申し上げますと、CPTPPですとか日・EU・EPA、こういったものが非常に現状では影響が長く続くものでございます。

 具体的には、ビスケットでは段階的に関税が引き下げられるということになってございますが、これは令和十年度までかけて関税が撤廃されるというもので、これは菓子製造業のところに影響が出ているようなものでございます。それから、ハード系のチーズでございますが、これも段階的に引き下げられて、最終的には令和十五年度までに関税が撤廃されるというものでございますが、こういったものも乳製品製造業には影響が及ぶようなものでございます。

野間委員 そうしますと、そんな未来永劫ということではないのかとは思いますけれども、これからまだ続いていくということですね。

 先ほどお話ありましたように、この法律ができたのは牛肉・オレンジのことが発端になっているわけですけれども、これは一例としてオレンジとかリンゴとかグレープフルーツ、こういう果汁が確かにいろいろ入ってきている。元々この法律は、そういう海外から安くてしかも大量にいろんなものが入ってくるということで、これの影響を受ける加工業の皆さんを支援していかなきゃいけないということからできていると思うんですけれども、例えばオレンジですとか、いわゆる果汁のこういったものというのは、もう相当、現状、外国製品のシェアが高まっているということなんでしょうか。

平形政府参考人 お答えいたします。

 まず、オレンジ果汁につきましては、これは平成四年に自由化されておりますが、それまでの昭和六十三年から平成三年まで段階的に輸入枠を拡大いたしまして、国産温州ミカンの果汁と輸入オレンジ果汁の合計を分母としてオレンジ果汁の重量を輸入割合というふうに表現いたしますと、昭和六十三年が二九%だったんですが、平成三年で六六%、自由化後の平成五年には八〇%、平成十年以降は大体九割程度になっておりまして、直近の令和四年でも九三%になっております。

 リンゴの果汁についても、これは平成二年に自由化されたんですが、それまでの六十三年、平成元年というふうに輸入枠を拡大したときは一六%から三九%だったんですが、自由化後は五一%、平成十一年以降は八割前後の輸入割合というふうになっておりまして、直近も八五%というふうになっております。

野間委員 そうしますと、かなりなシェアがもう外国製品に取って代わられているというのが現実でありますよね。ですから、本法が確かに様々な業者さんへの支援ということでは効果を発揮していると思うんですけれども、大きな意味でなかなかこれが国産化等の、後の議論になりますけれども、効果が出ていないというのも言えるんじゃないかと思います。

 そういった意味で、先ほど神谷委員のお話がありましたけれども、本当であれば、こうやってずうっと切れ切れで延長延長していくというのではなくて、ある意味ではそういったところを恒久化すべきだということも逆に考えられるんじゃないかと思いますけれども、その辺、本当はいかがなんでしょうか。

宮浦政府参考人 お答え申し上げます。

 この法律につきましては、先ほど来御指摘ございましたとおり、元々は平成元年に五年の臨時措置として作られたものでございますが、その後、国際約束自体が、平成六年のガット・ウルグアイ・ラウンド、それから平成十四年以降も各国とのEPA、さらに平成三十年のCPTPPといった形で、積み重ねて約束が行われてきたことを踏まえまして、延長しているというような状況でございます。

 結果として長年にわたって延長してきたというところではございますが、基本的な法律の枠組みというものには変化がないようなところに、今般、調達安定化措置というものを導入をいたしましたところでございます。

 農産加工業者への影響というものはやはり出てございますので、速やかに、また集中的に措置をするということで、こういった有効期限を限った臨時措置法ということで御提案を差し上げているというところでございます。

野間委員 ですから、恒久化なのか、あるいは先ほどのお話のようにもう一回見直して新法を作るか、今回については五年延長ということで私どもも賛成はしておるところですけれども、考えていかなきゃいけないところに来ているんだと思います。

 先ほども実は御指摘があったんですが、この法律は、大豆、小麦を新たにつけ加えて指定農産物ということになるんですけれども、ちょっと二つの逆なベクトルの法律が一緒になってしまうということですよね。今までは安くて大量の輸入品が入ってくるということに対する対処でした。今度、大豆、小麦の場合は価格が高騰して手に入りにくいものが出てきたということで、全く別のものを、しかし加工業の皆さんにとっては困難な状況だからということで、何らかの支援をしていこうということで、お話がありましたように、ちょっとたてつけが違うものが入ってくるわけです。

 私ども消費者から見て、過去、二〇二〇年から考えても、食品の値上げというのが、今年も予定されているものを加えると六万品目以上、価格が一四、五%以上値上げをされています。これはもう日々買物をしている皆さんからの声、皆さんも御承知のとおりであります。

 そういった意味で、食品について、価格転嫁は、消費者から見たら大分進んでいるんじゃないかなと見えます。これを作っている農産加工業の皆さんにとっても、これはやはり裨益しているんじゃないか、価格転嫁によってある程度利益は確保されているんじゃないかとも思えるんですけれども、そうなりますと、じゃ、そこまで支援する法律も要らないんじゃないかということにもなるわけですけれども、実際、現在の価格で、加工業者の皆さんの経営とか、その辺はどういうふうに捉えているんでしょうか。

宮浦政府参考人 お答え申し上げます。

 食品分野の値上げについてでございます。

 民間の調査では、令和四年を通しますと、二万五千七百六十八品目、値上げ率にいたしますと一四%程度の値上げ、さらに令和五年では、三万二千三百九十六品目、値上げ率にいたしますと一五%という形で、やはり値上げは進んでございます。これは大手の食品会社の商品というものが牽引役となっているというふうに理解をいたしてございます。

 また、直近の国内の物価を見ましても、二〇二四年の一月現在では、三年前の二〇二一年の一月と比べまして、総合では一〇六・九ということでございますが、食料は一一五・七といった形で、やはり総合よりも高い水準になってございます。

 現在、政府全体といたしまして、コストカット型の経済から所得増と成長の好循環への移行というものを進めるという観点で、適切な価格転嫁を新たな商習慣として定着させる、そのためにも賃上げを実行するということで取組を進めているところでございますが、今後は、大手だけではなくて農産加工業者の大宗を占めます中小企業者にも、こういった動きが広がるということを期待しているところでございます。

野間委員 そうしますと、今おっしゃった、中小の農産加工業者の皆さんのところにまではこの価格転嫁の利益は及んでいないということでしょうか。

宮浦政府参考人 中小企業の方々からすると、まだまだその実感というものは薄いのではないかというふうに受け止めてございます。

野間委員 そうですね。ですから、本改正案、延長も必要だということに多分なってくるんだと思います。

 次に、そうしますと、今回、新たに小麦、大豆等が指定農産物ということに、恐らく省令でこれから指定されるということになります。

 ただ、小麦や大豆は、確かに、今、ウクライナの問題等で国際的な市況は上がっている、なかなか品不足ということもよく分かるんですけれども、ただ、国際的な市況商品でもありますので、様々な相場の局面があって値段が下がることもありますよね。豊作になったら値は下がるでしょう。また、いろいろな国際情勢で、余り仮定のことを言ってもあれですけれども、例えば、ウクライナとロシアが停戦したとなると、一挙に需給の見通しががたっと変わって、また値が下がるということも当然考えられることであります。

 今回は、高騰しているんだ、品薄だということを前提に、指定農産物にするんだということでなっているんですけれども、こういう事態も当然予測しておられると思うんですが、もし、そんなふうに相場が下がって、小麦や大豆の値が下がってきた場合、指定農産物だということは、この指定を解除する必要も出てくると思うんですけれども、その辺りはいかがなんでしょうか。

坂本国務大臣 今般創設いたします調達安定化措置の対象品目については、三つの要素を勘案しております。一つは、輸入原材料の価格水準の上昇、高止まり。それから二つ目は、当該品目の輸入依存度の状況。そして三つ目が、相当数の事業者の事業活動への影響があるということ。この三点を勘案いたしまして、御指摘のように、今後五年間において指定をするものであります。価格水準が下がった場合にはどうするのかと。事業活動への影響等の事業者の実情などもしっかり踏まえて、今後、適切に対応してまいりたいというふうに思っております。

野間委員 先ほどからの質疑の中でもありますけれども、今回、ある意味で、為替の水準それから国際情勢、国産の原材料に転換していく非常にいいタイミングであるということも言えると思います。

 先ほど緑川委員からも質問がありましたけれども、せっかく国産品に、それではもう小麦にしても米粉にしていこうとか、変えていこう、転換させていこうということを考えて頑張っている業者の皆さんに、ちょっといろいろな相場が変わったり、情勢が変わったからといって、そういった大豆、小麦等への切替えの様々な支援等がなくなるということは非常に困ることでもありますので、その辺、国産農産品を使用するインセンティブを低下させないように、多少情勢が変化したとしてもそういう歯止めが、きちっとした歯止めが必要だと思いますけれども、いかがでしょうか。

坂本国務大臣 インセンティブが低下しないようにする、歯止めをしっかりかける、これは今後の国産調達に対して重要なことだというふうに考えます。

 そのために、計画の承認に当たっては、原材料たる農産物の国内の生産地との連携、加工食品企業が、事業者がどういうふうに連携していくのか。それから、調達方法が適切かどうかというようなことをしっかりと考慮してまいりたいと思っております。

 品質や量、一次加工の有無等も踏まえて、国内の生産地から国産原材料がしっかり確保できる体制を構築していただかなければなりません。

 それから、農産加工業者によります国産利用の促進等によりまして、国内の生産地にも安定取引のメリットが享受されるような関係を構築していかなければなりません。

 今回の法改正を機に、そういった供給地と事業者がしっかりと連携できる、それを構築していけば、多少、様々な為替変動が起きても、国内の原材料の使用というものを引き上げることができるというふうに考えております。

野間委員 時間となりましたけれども、先ほどお話ありましたように、加工業の皆さん、ほとんどが中小企業であります。そういった産地との連携等、やらなきゃいけないということは分かっているんですけれども、なかなかそこまで手が回らない企業も多いわけであります。

 そういった意味で、今おっしゃったような非常にいい政策、施策、方針がありますので、是非、こういったことは中小の皆さんに分かりやすく周知を進めていっていただきたいと思います。最後に、そのことについて、周知のことをお願いしたいと思います。

宮浦政府参考人 現場への周知についてでございます。

 この法律ももちろんですし、今後、国内の農業、産地との連携強化というのは非常に大きなテーマでございますので、食品産業とそれから現場の産地の溝を少しでも埋めて、マッチングしていくという取組を是非積極的にできるように、今後とも関係者と協力して取り組んでまいりたいと存じます。

野間委員 ありがとうございました。終わります。

野中委員長 次に、掘井健智君。

掘井委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の掘井健智でございます。

 それでは、早速質問いたします。

 先に、この法案がこういう心配があるということを言っておきたいと思うんです。

 特定農産加工業経営改善臨時措置法が成立して三十五年になります。三十五年になるんですけれども、今回のこの改正は、これまでの国境措置の変更のために影響を受ける加工業の措置の枠を超えて、需給の逼迫による価格の影響が追加されましたことによって、本来の法の趣旨が少し希薄になっているのではないのかなという点。

 また、小麦の場合、製粉業界というのは、食品業界の中で数少ない寡占状態であると認識しておりますけれども、農林水産省の製粉工場実態調査によりますと、政府と取引している大手製粉四社、これが、小麦の生産量が約三百八十一万トンと、生産量の七八%を占めておると。

 これは寡占状態にあると思うんですけれども、こういった状態、もし安定的に利益を上げているということであれば、農産加工業の経営状態はそんなに問題がないのではないのかな、この心配があるわけであります。そうであれば、この法の根拠の前提もどうなのかなと思ったりするんです。

 それを踏まえて、先ほどから質疑の中に、国産利用をしてほしい、こういう希望の声がたくさんありました。この法案の大目的には、国産の利用を高めるということがあると思うんですね。そういうことを確認していきたいと思います。

 現行法の立法趣旨と目的について、法の第一条でありますけれども、改めて、改正案が本当に国内産業の保護にかなっているのか見極めていくために、まず、そもそもの現行法の立法趣旨と目的を確認したいと思うんですね。

 健全な発展に資するの対象が、農業及び農産加工業であって、農産加工業じゃなしに農業と、こう書かれておるんですね。改めて、日本の農業を守るという大目的がそこにあるのかどうか、こういったことを確認したいと思います。よろしくお願いします。

坂本国務大臣 現行法は、昭和六十三年の日米協議に基づきまして、牛肉・かんきつ等に係る自由化等によりまして、農産加工品の輸入の増加等に対応するために、平成元年に制定をされました。

 このため、その目的としては、農産加工品等の輸入に係る事情の著しい変化に対処して、安価に輸入される農産加工品との競争にも耐えられるよう、特定農産加工業者の経営の改善を促進するための措置を講ずることによりまして、地域の雇用機会にもなり、農業の需要先でもある農産加工業の発展と併せて農業の健全な発展に資するというようなことで、この法律が作られたところであります。

宮浦政府参考人 議員の方から、法の目的が、いろいろなものが混ざっているんじゃないかといったことですとか、大手製粉メーカーが入っているので困っていないんじゃないかといったような御指摘がございました。ちょっとその点について御説明させていただきたいと思います。

 今回の改正案は、現行の経営改善措置、これは関税の引下げによる影響ということでございますし、それから、調達安定化措置というものは、むしろ農産物の輸入価格が上がったことに伴う措置ということで、差異があるんじゃないかということで、それは御指摘のとおりかと存じます。

 これらの措置を一つの法律にまとめたというところでございますが、輸入事情の著しい変化への対処という意味において共通の枠組みを持っているということが一つ、対象が同じく農産加工業者であるということ、それから、対処方法として集中的に措置をするということで、今般の改正案としてまとめたところでございます。

 それから、製粉メーカーでございますが、今回、小麦について指定を検討しているところでございますが、製粉業に加えまして、パンですとか、麺とか、菓子といったような対象業種が出てまいります。これらにつきまして、金融支援というものがまず主要な政策ツールになってまいりますが、日本政策金融公庫からの融資を想定してございますので、中小事業者を対象としたものとなっているところでございます。

掘井委員 今のお答えの質問をこの後じっくりとしようと思っておりますので、また再度よろしくお願いします。

 大臣、目的について聞きました。加工業を守るということは分かるんですけれども、やはりその奥底に、日本の農業、日本の産業を守るということがないと、本来のこの法のたてつけの目的からやはり反していくのかな、このように思っておりますので、確認していきたいと思うんです。

 計画の承認要件、法の三条についてなんです。地域農業の健全な発展に資することの意味についてです。特に、特定農産加工業における原料農産物の調達の在り方、この調達の在り方についてどのような御所見を持っておられますでしょうか。

坂本国務大臣 現行法の経営改善措置又は事業提携に関する計画の承認というものに当たりましては、特定農産加工業者が新たな経済環境に円滑に対応するために有効かつ適正なものであること、それから、地域の農業の健全な発展に資するものであることを基本的な基準としております。

 都道府県知事による承認手続の参考となるように、農林水産省からマニュアルを示しているところでございます。

 マニュアルでは、特定農産加工業者の経営力、それから技術力等から判断をして計画の達成される見込みが確実であり、資金調達力から判断して調達が確実であること、そして、地域の農産物の利用の促進に資するとともに、地域農業の現状、今後の見通し等から見て地域農業の健全な発展に資するものであること等を承認基準の内容としております。

 私のところでも、豆腐屋さんがありまして、その豆腐屋さんは地域の農業をやられている大豆を作っていらっしゃるところと契約栽培をされております。そういう契約あるいは資金調達、それに基づくところの販売計画、こういうものがそれぞれきちっと整っているかというようなことが都道府県での承認を得る条件となってまいります。

掘井委員 条文ですので、細かい文言について今質疑しておるんですけれども、この地域農業の発展とか原料農産物の調達ということが国内産業を守っていることになっているのかな、これはそのことを表しているのかなということなので、もしそれなら、この条文が非常に肝というか大事な部分であると思うので、そういう理解でよろしいんですね。

宮浦政府参考人 お答え申し上げます。

 今、条文でというお話がございました。今回の原材料の調達の安定化の措置の計画の承認をする基準というものが第五条の三項二号に規定をされてございますが、この中では、原材料たる農産物の国内の生産地との連携の強化その他の生産地からの当該農産物の調達の方法が適切なものであるかどうか、こういったことを見るという形になってございます。

掘井委員 そうしたら、国内のものを利用するんだ、これは業界のお手盛りじゃないんだということをやはり言っていただきたいと思うんですね。

 現行法三条五項二号の「地域の農業の健全な発展に資するものであること。」この条文です。これは経営改善措置として事業提携の計画に対する知事の承認要件についての条文だと思うんですけれども、国産の農産物の利用の促進の担保について、この計画書、計画の中でこれは織り込まれているのかなと思いまして、これを見てみたんですね。そうしたら、申請書の様式を見ると、国内利用を進めてくれというような、そんな箇所はないわけであります。

 これまで国内利用推進はこの法の下でどのように進められてきたのか、お答えいただけますでしょうか。

宮浦政府参考人 お答え申し上げます。

 現行の経営改善計画における国内農産物の利用ということでございます。委員御指摘のとおり、経営改善計画の申請書の様式例というものを都道府県に対して示してございます。業務の参考として示してございます。この中に経営改善措置の目標という項目がございますが、この中では、申請する計画が地域の農産物の利用の促進又は地域の農産物の特色を生かした農産加工品の生産の促進に資するものであることということを記載いただくように奨励をしているところでございます。

掘井委員 分かりました。非常に弱いかなと思うんですね。それで本当に進んでいくのかな、そんなふうに思いますけれども。

 今回、今回というか、現行法の中で追加された文言がありますね。これは承認要件でありますけれども、現行の施行規則六条一項二号、「地域の農産物の利用の促進又は地域の農産物の特色を生かした農産加工品の生産の促進に資するものである」についてちょっと伺いたいと思うんですけれども、この施行規則の規定は、現行法三条五項一号で委任を受けた農林水産省令で定める基準を示したものであります。施行規則のこの条文は、先ほど取り上げた現行法の三条五項二号、「地域の農業の健全な発展に資するものである」ということと比べて、やはりより具体的な表現になっておりますから、この辺を意識したのかなと思うんですけれども。

 十年前になりますか、前々回の法改正に改めてこれが追加されたという意味、実際そのことによってこれまでどんな効果があったのか、お伺いしたいと思います。

宮浦政府参考人 お答え申し上げます。

 従来から国内の農産物の利用の促進という趣旨はございましたが、それを文言で明確化するために前回の改正の際に、地域の農産物の利用の促進というものを導入したところでございます。

 その効果でございますが、平成三十年にこの資金を借りました三十八の事業者の方々のその後のフォローアップの調査におきますと、国産農産物の利用がこの五年間で一二六%に増えているという状況でございます。

掘井委員 通告の二の五にありましたけれども、ちょっとここで質問させていただきたいと思います。

 第百九十八回の国会、第六次改正附帯決議の二の中で、制度の評価、検証を実施するとあります。現行制度導入時から国内でどれほど国産利用が拡大してきたのか。また、加工業の原材料であります国産農産物の生産、農産加工業における国産農産物のシェアというものは、法が制定されてもう三十年たちますけれども、これは随分伸びてきたんでしょうか。

宮浦政府参考人 お答え申し上げます。

 今議員から御指摘がございましたとおり、令和元年の衆議院の農林水産委員会におきまして、「特定農産加工業において国産農産物の使用が一層促進されるよう、必要な措置を行うこと。」という附帯決議がなされているというふうに承知をいたしてございます。

 その上で、私どもも、令和元年の法改正の際に、この法律の金融支援措置を活用して経営改善を実施した事業者の国産農産物の取扱量を二割増加させるということをKPIとして公表しているところでございます。そうした結果といたしまして、平成三十年度に計画承認を受けた三十八の事業者の方々のフォローアップを行ったところ、先ほども御答弁申し上げましたとおり、取扱量が一二六・九%と増加をしているということでございまして、国産農産物の利用拡大あるいは地域農業の発展にも寄与していると考えているところでございます。

 なお、法制定時以降のちょっと累計のデータというものの集計が難しいところでございましたので、今の、今回の改正の際のことで御説明を差し上げているところでございます。

掘井委員 分かりました。また詳しく実際の数字がどうなっておるのか見ていきたいと思うんですけれども、分かりました、ありがとうございます。

 次に、改正法案について質問をいたします。

 改正法案の目的、改正法案第一条です。現行法の趣旨は、国境措置の変更を受ける業種が対象でありました。すなわち、需給の逼迫による価格の高騰の影響というものは指定の対象にならなかったということであります。しかし、改正法案では、大豆や小麦など、需給の逼迫も対象となるということでありますが、これは大豆や小麦などの対象が単に追加されるという考え方をしておられますけれども、目的が追加されたことで法のたてつけがやはり違うように思えるんですね。

 先ほど稲津委員の方からも御指摘されておりましたけれども、御答弁では、それぞれに事情は違いますが、高値止まりに対応するために速やかに対応したいとの理由であると大臣はおっしゃられました。

 改めて伺いますが、法のたてつけが変わったという認識でよろしいでしょうか。

坂本国務大臣 そもそも現行法は、国境措置の変更という農産加工品等の輸入事情の著しい変化に対処して、特定農産加工業者に経営改善に取り組むことを促して、最終目的として、農業、農産加工業の健全な発展を目指しているというのが元々の現行法であります。

 そして、今般、新型ウイルスあるいはウクライナ等の情勢によりまして、輸入事情の著しい変化への対処という現行制度と共通する枠組みの下に、新たに農産加工品の原材料となる農産物の調達安定化措置を導入することとしているためでございますので、その中で原材料たる農産物を明記しました。そして、原材料の調達の安定化を追記したところでございますので、今言いましたように、現行制度と共通する枠組みの下に、新たな農産加工品の原材料となる農産物を追記したという、追加したということでございます。

掘井委員 確かにそういう共通項目はあるんですけれども、法のそもそもの目的のたてつけが違うように思うんですけれども、政府参考人の方、どんな認識ですか。

宮浦政府参考人 お答え申し上げます。

 現行法におきましても、目的におきましては、最近における農産加工品等の輸入に係る事情の著しい変化に対処して、その新たな経済的環境への適応の円滑化を図るということにしてございます。先ほど大臣からも御答弁を差し上げましたとおり、輸入に係る事情の著しい変化に対処して、新たな経済的環境への適応の円滑化を図るというところにおいては、従来からのたてつけと同じ中で対処しているというところでございます。

掘井委員 目的は変わっていないような認識をされておりますけれども、やはり目的を達成する背景は変わっておりますよね。

 前は、仕方ないとは言いませんけれども、国際協調の中でやむなしということで、国内の方を保護せなあかん、こういうたてつけがあったと思うんですね。それで今回、苦しかったら何でもこれから追加するというようなことにもなりかねぬと思うんですよね。

 だから、本当であれば別の法案がいいのかなとも思いましたけれども、例えば、新たに今回こういう需給の逼迫の影響は入りましたけれども、今後、この法の適用とか解釈とか、これから先のいろいろなことが起こってくるというのは、これで苦しい、あれで苦しい、いろいろなことで苦しい、こういう予測可能性を損なったり、又は不公平を生じることに、法のたてつけからですよ、ならないのかということなんですね。

 法の一貫性を確保することに対して慎重にやるべきだと思いますけれども、こういった影響とかいうのはどう捉えておられますでしょうか。

宮浦政府参考人 お答え申し上げます。

 公平感というのは非常に重要であるというふうに私どもも考えてございます。

 その上で、今回も輸入事情の著しい変化という共通の考え方がある中で、それを具体化して、はっきりさせるために、改正法の二条の二項の一号におきましては、我が国が締結した条約その他の国際約束の履行によるというものを明記をいたしてございますし、それから、二号の方では、小麦、大豆を例示をいたしました上で、世界的規模の需給の逼迫による価格の高騰によるということを明記をいたしているところでございまして、そういった、不公平感、何でもかんでも次から次へ入れるということではなくて、法律の上で明らかになるように十分注意をしながら、こういった改正案を作っているところでございます。

    〔委員長退席、伊東(良)委員長代理着席〕

掘井委員 ちょっと分かるようで分からない感じもするんですけれども、次の質問に移ります。

 特定農産加工業、ちょっとこれは飛ばさせていただきまして、次の質問、指定農産物、改正法の第二条二項二号なんです。

 この条文にあります小麦、大豆はあくまで例示でありますけれども、省令で決めるということでありました。小麦、大豆を含めて、全てこれからどうやって決めていくのかということで、先ほど、これも稲津委員の質問で理解をいたしました。

 その際、追加の考え方を伺いましたところ、第一に価格の高止まり、第二に輸入依存度がどれだけあるか、第三に事業者にどれだけ影響が出るか、こういうことを考慮しますということがありましたけれども、トウモロコシを支援対象とする原材料に加えてもいいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

宮浦政府参考人 お答え申し上げます。

 この品目の指定につきましては、先ほども御答弁を差し上げましたとおり、輸入の価格水準が上がっているのかどうか、それから海外からの輸入に依存しているのかどうか、それから相当数の事業者の事業活動に支障が生じているのかどうかといったことを考慮するということで考えてございます。

 その上で、今御指摘のございました、飼料用のトウモロコシかと存じますが、近年、輸入価格自体は確かに上昇をいたしてございますし、輸入依存度も高いといったような状況にございます。その上で、別途、配合飼料価格安定制度というものがございまして、価格安定に努めるような措置が講じられているということとか、それから、牛・豚マルキン制度、あるいは肉用子牛生産者補給金といった、畜種ごとの経営安定対策ですとか金融支援措置、こういったものが各種総合的に講じられてございまして、相当数の事業者の事業活動に支障が生じているかどうかというところに関しては、そういった状態にはないのではないかというふうに考えてございまして、今回は対象としないということを想定しているところでございます。

掘井委員 分かりました。

 次の質問に移ります。

 調達安定化措置に関する計画の承認等ということで、改正法案五条でありますけれども、これは非常に大事かなと思っております。国産の農産物の生産をきちんとやる、これはもうずっとさっきから言っておりますけれども、国産農産物の生産、これをきちんとやる改正案になっているのかが本当に重要になると思うんですね。

 改正法案五条三項二号、調達安定化措置の大臣の承認要件の条文です。現行法三条五項二号の経営改善措置、事業提携の計画に対する、知事の承認要件に対応するものでありますけれども、この現行法三条五項一号及び二号が、国内産業の保護、国産農産物の生産増加を担保する規定であることから、この改正法案では規定でこういったことが担保できたらいいなと思っておるんですけれども、この「原材料たる農産物の国内の生産地との連携の強化」の意味合い、これはどのようなものが含まれておりますでしょうか。原材料の切替えを促進する意図をちゃんと含んでおるのかどうか、お聞きしたいと思います。

宮浦政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員から御指摘ございましたとおり、現行の経営改善計画につきましては、現行の三条五項一号、二号というところで、特に二号ですけれども、地域の農業の健全な発展に資するものであるということを承認基準といたしているところでございます。

 また、今回の原材料の調達安定化措置につきましては、新しい改正の五条三項二号のところで、「原材料たる農産物の国内の生産地との連携の強化その他の生産地からの当該農産物の調達の方法が適切なものであること。」ということをきちっと確認をした上で承認をするということにしているところでございます。

掘井委員 確認しないとよく分からないんですけれども、分かりました。そういう考え方を常に持っておってほしいと思うんですけれども。これは非常に回りくどい、条文でありますので回りくどい表現をしておりますけれども、貿易の歪曲性、つまり、WTOの内外無差別原則に反しないようにするものかな、だから、こういうまどろっこしい書き方をしているのかな、そう理解しておるんですけれども、であるから、いろいろ聞くわけであります。

 次の質問です。

 今回、小麦と大豆が高止まりしているということで、そして、法の大きな目的に国内利用があるんだとしますと、それでは尋ねたいんですけれども、そもそも、生産現場で供給できるだけの小麦、大豆の生産というのは本当にできるんでしょうかということです。つまり、国内利用が期待できるのか。この辺の考え方についてお答えください。

平形政府参考人 お答えいたします。

 現在の食料・農業・農村基本計画では、令和十二年度の生産努力目標として、小麦百八万トン、大豆三十四万トンを掲げております。小麦につきましては、直近の令和五年産では、この百八万トンの目標を上回る百十万トンに達しております。大豆につきましては、令和四年産が直近になりますけれども、二十四万トンまで伸びてきて、順調に増加をしております。

 ただし、今後、国内産の小麦、大豆を更に増産するには、需要に応え得る品質の供給と収量の安定がどうしても不可欠になります。

 このため、農林水産省としては、生産面では、基盤整備による汎用化ですとか畑地化を推進する、これに合わせまして、作付の団地化、ブロックローテーション、それからスマート技術の営農技術、新たな品種の開発、導入。また、流通面では、ストックセンターの整備など、民間による調整保管機能の拡充、これも必要だと思っております。また、消費面では、国産小麦、大豆を使った新商品の開発ですとかマッチング、原材料切替えに伴う機械、設備の導入等、生産から流通、加工に至るまで一貫した支援、これが必要だというふうに考えています。

 さらに、今国会に提出しております食料・農業・農村基本法の改正案が成立した暁には、それを踏まえて策定される次期の基本計画で、これまでの生産状況を踏まえて、小麦、大豆の作付面積拡大に係る意欲的な目標を設定して、海外依存の高い小麦、大豆の国内農業生産の増大に向けてあらゆる施策を着実に実施していく考えでございます。

    〔伊東(良)委員長代理退席、委員長着席〕

掘井委員 時間が来ましたので終わりますが、一言、やはりこの法律の本来の趣旨は、国際協調がありますけれども、その中で、できるだけ国内の産業を守るんだという趣旨があると思うんですね。今回、基本法は変わります。その中で、食料の安全保障が強くうたわれておるんですけれども、やはりこの辺のことをよく考えて進めていただきたい、このように願っております。

 質問を終わります。ありがとうございました。

野中委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 特定農産加工業経営改善特措法の一部改正案について質問します。

 法案では、小麦、大豆の価格が高騰しているため、これらの農産物又はその一次加工品を主要な原材料として使用している農産加工業者を支援対象に追加するとしています。そして、説明では、食パンや大豆の製造、販売に係るコストの変動率が高いから、加工業者の経営環境は厳しさを増しているとしています。

 それでは伺います。

 パンやみそ、しょうゆ、麺、煎餅の加工業者における厳しい経営状況について具体的に説明をしてください。

宮浦政府参考人 お答え申し上げます。

 各種製造業者の経営状況についてでございます。

 まず、食パンの製造業では、原材料費、小麦粉、油で約二割上昇、それから製造経費、これはエネルギーなどですが約二割、販売管理費、人件費などですが一割上昇いたしてございます。また、豆腐製造業では、原材料費で大豆が約三割、製造経費で約一割弱ということで、軒並み上昇をしているところでございます。

 また、パン、麺、しょうゆ、みそ、納豆などの製造事業者の業界の団体の方々が、主な会員の企業の方々に対しましてアンケート調査をいたしてございますが、こういった中では、小麦の仕入れ原価というのは六割の方々が大体二割から四割は上昇しているというふうに回答をされておりますし、大豆であれば三割の方々が二割から四割上昇しているということで、総じてやはりコスト上昇が経営状況を圧迫しているというような状況かと存じております。

田村(貴)委員 かなり厳しい経営状況にあるということですね。そうするならば、融資のみならず、資材の高騰分を補填していく、そういう支援も必要になってくるのではないでしょうか。是非検討していただきたいと思います。

 小麦、大豆の国際価格の高騰で経営に打撃を受けている業者への措置ということであります。大事なことは、国産への転換を図ることではないでしょうか。この法案を通じて、国産への転換が図られるのでしょうか。国産転換促進を意図しての法改正なのでしょうか。

宮浦政府参考人 お答え申し上げます。

 今回新たに導入いたします原材料の調達安定化措置でございますが、これは、国産利用の促進を始めといたします原材料の調達の安定化というのが目的でございます。

 具体的には、外国産の小麦、大豆を国産の小麦、大豆に切り替えるような調達先の生産地の変更、それから、外国産小麦から国産の米粉への切替えなどを進めます代替原材料の使用、それから、こういった取組を進めるための新商品の開発、こういったような取組を支援することによって、国産原材料への転換を進めたいというふうに考えているところでございます。

 また、その計画の承認に当たりましては、国内の生産地との連携の強化など、調達方法が適切かどうかということを十分考慮するということとしてございまして、加工業者側から見ますと、品質ですとか量、あるいは一次加工がされているのかどうかといったようなことなど、国内の生産地から国産原材料がしっかりと確保できるような体制を構築しているのかどうか、こういうところをきちっと審査していきます。また、産地の方からいたしますと、加工業者に国産利用していただくことによって、生産地側にも安定取引というメリット、こういったものが出てくるような関係が構築されるのかどうかということをしっかりと確認していきたいと考えているところでございます。

田村(貴)委員 本気で自給率を上げるんだったら、やはり国産への転換が必要であります。では、その国産への転換について、国としての取組はどう考えているのか、どのような取組を行っているのか、説明をしてください。

坂本国務大臣 自給率を向上させるためには、海外への依存度の高い麦、大豆、そして飼料作物の生産拡大が重要であると考えております。

 小麦につきましては、現在の食料・農業・農村基本法を踏まえまして、令和十二年度までに生産量を百八万トンとするという目標を立てました。既に令和三年産、五年産では、これを上回る生産量、百十万トンを実現をいたしております。消費量は大体六百万トン強でございますので、小麦に対する自給率は確実に上がっているということでございます。

 そして、今国会で食料・農業・農村基本法が成立した暁には、それを踏まえまして策定される次期基本計画で、これまでの生産状況を踏まえて、小麦の作付面積拡大に係る意欲的な目標を設定する考えでございます。

田村(貴)委員 成果が上がっていることについては今、分かりました。

 しかし、小麦でいえば、依然として八割以上を外国に頼る状況であります。小麦の輸入を減らして、小麦の国産生産をどのように増やしていくのか。鍵となるのは、需要となるパンや麺に使われる品質の小麦生産をいかにして広げていくかに懸かっていると思います。

 坂本大臣、熊本県では、学校給食用のパンに県産の小麦をブレンドして供給していると伺いました。滋賀県では、県産小麦一〇〇%というふうに聞きました。このほかの自治体でも、例えば和歌山とか岡山などでも、こうした努力が行われています。学校給食に県産の小麦を使用することについては、自給率の向上の観点、あるいは食育の観点から大変意義があると思いますけれども、坂本大臣はいかが受け止めておられますか。

坂本国務大臣 学校給食に国産小麦を使うというのは、本当に大事なことであるというふうに思います。今御発言いただきました私の地元の熊本でも、学校給食会、それからパン業界、さらには製粉業界、これが共同いたしまして、それぞれ話合いをいたしまして、昨年度途中から県内の公立小中学校の学校給食で提供されているパンが全て国産小麦一〇〇%に切り替えられたところです。ほかの県、ほかの市町村でも、こういった取組をしていただいているところが多数ありますし、徐々に増えております。

 このように、学校給食に国産小麦が利用されることは、国産小麦の需要拡大だけではなくて、地域の自然、食文化、農業等に関する理解を深め、生産者の努力や食に関する感謝の念を育む食育、それから地産地消の観点でも大変意義があるものであるというふうに考えております。

田村(貴)委員 輸入小麦を原料にした学校給食用のパンからグリホサートが検出されたという事件がありました。私は、これは数年前に本委員会でも指摘をしたところでありますけれども、やはり安全でおいしい小麦を国内生産で賄っていく、これが基本になっていくかと思います。

 全く作付のなかった和歌山県ですけれども、県産小麦をゼロから作るために、農家の協力を広げて、県給食会や製粉業者、パン屋さんの協力を得て作付面積を広げています。三月三日にも収穫祭が行われて、多くの子供たちが、給食で食べる地元の小麦がどうやって作られるか大いに学んだということであります。しかし、栽培している小麦の価格というのは、給食に使用している輸入小麦の約十倍ということで、寄附によって埋め合わせをしているというふうにも伺いました。

 一方、熊本県では、外国産と比べても価格は高くないとのことでありました。ロットが小さいことなどによるかかり増し経費は、学校給食会、熊本製粉、熊本県パン協同組合の三者が共同して負担していると伺ったところです。滋賀や岡山でも同様の努力がなされていると伺っています。

 そこで、坂本大臣、提案なんですけれども、かかり増し経費を本格的に支援する制度というのがありません。学校給食で、地元農産物、特に小麦を供給することは、自給率の向上、そして農家の所得向上、地産地消、食育の観点から非常に大きな意義があると大臣も今お答えされました。是非農水省は、文科省とも連携して、この横展開のために、自治体への支援、農家の初期のかかり増し経費を支援する制度を位置づけてもらってはいかがか。これがあると、相当やはり生産農家、そして学校給食に納品する様々な方々の背中を押すことになるというふうに私は思いますけれども、坂本大臣いかがでしょうか、支援について。

坂本国務大臣 国産小麦の消費増大のために様々な支援が必要であるということは、考えております。まず、国産原材料の調達や導入のためには、製造ラインの増設等への支援、これが必要でございますが、これまでも実施してきたところでありまして、この中で、国産小麦を活用した学校給食パンの開発や原材料への支援実績というものをやってまいりました。

 令和五年度補正予算におきましては、国産小麦を使用した新商品開発やマッチング等の取組や、そして原材料切替えに伴う機械、設備の導入等の取組への支援を措置しているところであります。

 令和五年産の国産小麦の生産量は、食料・農業・農村基本法における令和十二年の生産努力目標を上回る、先ほど言いましたけれども、百十万トンというふうに順調に増加しております。引き続き、学校給食を含め、需要拡大を図りつつ、増産に取り組んでいかなければいけないというふうに考えております。

田村(貴)委員 農水省にもお伺いします。

 今のかかり増し経費を、給食会とか製粉業界、そしてパン協同組合の三者が熊本では負担している。ほかの県でも同様の努力がされているということですね。

 文科省との連携はいかがでしょうか。こうした経費について、やはり初期投資ですから、初期にかかる費用ですからこれは大変ですよね、十倍かかる。だったら、これはやはり行政側の支援というのがあってしかるべきと思いますけれども、農水省、いかがですか。

安岡政府参考人 お答えいたします。

 農林水産省では、地場産物の学校給食への活用ということで、文科省などとも連携をして推進をしているところでございます。

 実際の支援としては、小麦を始めとした地場産物の学校給食への活用のためには、やはり、地域の中で実際に活用してもらうように、給食側のニーズに合った形で、地場産でいろいろな形で供給してもらうということが重要でございますので、私どもの支援といたしましては、地域において、生産者でありますとか食品の流通加工業者、さらには給食関係者の間の連携体制をつくるといったことであるとか、実際に地場産を使ったメニュー、こういったものの開発などを支援しているところでございます。

 文科省とも連携しながら、生産現場と給食現場の連携を深めることで、学校給食の地場産活用を進めてまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 是非促進をしていただきたいというふうに思います。

 それから、今日は学校給食のことを出しましたけれども、学校給食のみならず、公共調達というのは非常に大きな需要を喚起する、そして市場を広げていくことにもなると思いますね。高齢者の福祉施設もそうでありますし、ほかの公共施設でも、病院とかでも、こうした公共調達で国産の小麦、トウモロコシ、大豆等々をやはり活用していくということは、これまでになく必要、そして促進していかなければいけないと思います。

 最後に、小麦の農家の経営収支についてお伺いしたいと思います。

 二〇二二年度の畑作全体での経営収支の平均は、農業粗利益が一千三百九十八万円、経費が一千百七十五万円ですので、差引き僅か二百二十三万円しかないという本当に厳しい収支状況が報告されています。

 麦類の収支について説明していただけますか。

平形政府参考人 お答えいたします。

 我が国の麦は、畑作は主に北海道の輪作、水田作は北海道、都府県での輪作により生産されております。

 御指摘ございました経営状況でございますが、営農類型別経営統計において、麦以外の作物収入を含めた麦類作経営という形になりますけれども、最新の令和三年では、畑作経営では、北海道、平均で、農業粗収入五千八百七十九万円、農業所得千二百五十一万円、水田作経営では、全国、平均で、農業粗収入が二千二十一万円、農業所得は二百五十七万円ですが、水田経営について、全国の麦作の作付面積が二十ヘクタール以上の層は、農業粗収益が八千六百八十万円、農業所得は一千十六万円となりまして、経営規模の拡大に伴いまして収益が増加する傾向にございます。

田村(貴)委員 ちょっと、数字がいっぱいあって分かりにくかったんですけれども、差引き三百四十三万円、そして、全国、北海道を入れて計算していくと、北海道を外して計算していっても、大変低い麦農家の収入になっていることは間違いありません。

 そうするためにも、農家の所得を引き上げていく所得補償政策が必要になっていくと思います。これはまた農業基本法の論議で深めたいと思います。

 時間が来ました。以上で終わります。

野中委員長 次に、長友慎治君。

長友委員 国民民主党の長友慎治です。

 今回の特定農産加工業経営改善臨時措置法ですけれども、一九八九年に制定されて以降、五年ごとに延長し、トータルで三十五年間継続してきた事業なわけですが、農産加工業者が行う経営改善計画に対して金融、税制上の支援をずっと行ってきたわけです。

 事前のレクで農水省から説明を受けたわけですけれども、農産加工業の皆様が、令和五年度からいうと、五十四件、令和二年度は三十四件、令和三年度は四十九件、令和四年度は三十六件というような件数が計画を承認されまして、長期低利融資などを実行してきました。

 この承認を受けた業種というのが、お煎餅などのお米のお菓子を製造する米加工業の製造業、パンや麺などを製造する麦の加工品製造業、そして牛乳や乳製品を製造する乳製品製造業が多いというふうに伺いました。

 これらの計画を承認し、融資を行ったことで地域の雇用がどれぐらい守られたのか、また守られているのか、その増加率をまずは伺いたいと思います。

 さらに、特定農産加工業経営改善臨時措置法にKPIがあるということであれば、お示しをいただきたいと思います。

武村副大臣 お答えいたします。

 平成三十年度に経営改善計画又は事業提携計画の承認を受けた三十九の事業者について、五年後の実績を踏まえると、その従業員の総数は、計画承認前には五千六百二十一人、計画の五年目の令和四年度には五千九百十四人となっておりまして、約五・二%増加をしております。

 これは、雇用動向調査において、食品製造労働者数全体が平成三十年から令和三年にかけて約三・一%の増加であることを踏まえると、単純試算では令和四年で約三・九%でありまして、農産加工業者の雇用は順調な伸び率であると考えています。

 また、お尋ねのKPIにつきましては、令和元年の法改正時におきまして、本法の金融支援措置を活用して経営改善を実施した事業者の国産農産物取扱量を二割増加としておりまして、平成三十年度に承認を受け、令和四年度に五年目の計画におきましては、計画実施前と比べ、国産農産物取扱量は一二六・九%に増加をしているところです。

 以上です。

長友委員 御答弁ありがとうございます。

 内容としては、雇用が順調に守られているということと、さらに、KPIが、国内の食材の利用状況、二六・九%上がっているということで、二割以上を達成しているということで、この事業の意味、そして継続することに関しては、引き続き取組を続けていただきたいというふうに思うんです。

 その法のスキームについてちょっと確認をしたいんですけれども、経営改善措置に関する計画等というものを、特定農産加工業者が計画を作るわけですよね。それが上がってきて、都道府県知事が承認する、そして、それが承認されると日本政策金融公庫が融資するという流れになっていると思います。

 また、小麦、大豆等を主要な原材料として使用する特定農産加工業者から原材料の調達安定化措置に関する計画が上がってきて、今度、農林水産大臣が承認し、日本政策金融公庫が融資するスキームというふうに理解をしているところですが、都道府県知事それから農林水産大臣が承認する前の計画の審査を誰がどのように行っているのかについて教えてください。

宮浦政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、現行の経営改善計画の承認の手続でございますが、都道府県知事が承認するということになってございまして、都道府県、多くの場合は農政部ですとか農林水産部といった農政部局の担当の経営支援の課とか室、こういったところの担当職員が、承認基準あるいは私どもからお示ししておりますマニュアル、こういったものに照らして審査を行っているというところでございます。

 また、この計画作成というものは、融資を受けるということが大きな支援措置でございますので、株式会社日本政策金融公庫の各支店、こういった方々も計画作成の支援を行っていただいているというふうに承知しております。

 また、新しい、原材料の調達安定化措置に関する計画につきましては、大臣が承認するということとなってございます。この具体的な手順につきましては、今後検討を進めたいというふうに考えているところでございます。

長友委員 現行の部分に関しては、県庁の農政部局の経営支援を担当される方というふうに伺いました。

 それでは、もう一つ教えていただきたいんですけれども、現行法においては、国及び都道府県は、承認を受けた事業者に対して、経営改善計画及び事業提携の円滑な実施に必要な指導及び助言を行うものとされていますが、この指導助言もやはり同じように県の農政部の経営支援の担当者が行っているのか。若しくは、違う方が行っているのか。誰が行っているのかについて教えてください。

宮浦政府参考人 お答え申し上げます。

 指導助言についてでございます。

 これは国と都道府県と両方規定がございますが、国の方は、私どもの部署の担当課が、特定農産加工業者との意見交換ですとか、それから、各計画の実施状況の調査を通じて、こういった指導助言を行っているところでございます。

 また、都道府県の方は、先ほど御説明を申し上げました担当の職員の方々、こういった方々が事業者の状況の聞き取りですとか、それから、経営改善に資するような施策の情報提供、こういったものを行ってございますので、そういったやり取りの中で指導助言を行っているところでございます。

 このほか、政策金融公庫におきましても、融資先の経営状況を継続的に把握するということで相談対応をいただいてございます。この中で経営者へのアドバイスなどを行っていただいているというふうに承知をしてございます。

長友委員 二つお聞きしたんですけれども、まず、計画を承認するのが誰なのか、それから、指導及び助言をするのが誰なのかといったときに、現行法に関しては県庁の農政部の経営支援をされる方というふうに御答弁いただきましたけれども、その方々のアドバイス若しくは助言がどれぐらい具体的で、どれぐらいビジネスセンスとかがあるのかというところに対して、もうちょっと知りたいなというふうに思うんですね。

 というのが、役所の職員の皆様は三年ぐらいで大体担当を替わられます。常に、現場にいらっしゃる方というか、違う部署からも来られる方もいらっしゃるわけですよね。そのような方々が担当した計画だったり助言が本当に現場の特定農産加工業の皆様にとって的を射ているのか、若しくは、アドバイスとして有効なのかというところを誰が担保するのかなというのが非常に、純粋に感じます。

 要は、融資をするための審査という位置づけだとは思いますけれども、融資の後に関してもやはり責任を持つべきだというふうに思うんですね。その際に、例えば、その担当される方は、中小企業診断士の資格を持っていろとまでは言いませんけれども、経営指導などの経験がある方なのか、若しくは、経営指導に対してたけた方が本当に担当をしていただいているのか、その点というものは、是非、しっかり受け止めていただきたいなというふうに思うんですね。

 というのが、私も地元で、今この立場になる前は中小企業支援をしてきた立場なんですけれども、的外れのアドバイスをされる方をたくさん見てきました。実際に自分で事業をされたことがないのに、雇用をされたことがないのに、そういうことをよく言うなという方を見たものですから、そこは是非自戒していただきたいなと。

 そこで、お伺いしたいのですけれども、特定農産加工業の皆様に対して、融資した後、加工業者の製品の販路拡大や売上げアップのために、融資した後のフォロー、プロモーション、ビジネスマッチング等をどのように行っているのかについて教えてください。

宮浦政府参考人 お答え申し上げます。

 融資後のフォローなどでございますが、今委員から御指摘ございましたとおり、外部の専門家の方々のお力をきちっとおかりしながら取り組むということが重要だというふうに思ってございます。

 計画が承認されまして融資を受けた事業者のフォローといたしましては、日本政策金融公庫でも、業況把握、あるいは経営改善策、将来見通し、こういったもののフォローをいただいてございます。

 また、販路開拓ですとか様々な課題を含めたニーズの把握、それから、中小企業診断士などの外部の専門家の方々とも連携をいたしまして、事業者の方々の経営改善支援を行っているところでございます。

 また、プロモーションですとかビジネスマッチング、こういったものに関しましても、公庫が単独で行う場合もございますし、それから、民間金融機関や行政機関、商工会、こういった関係する機関と連携して行う場合もございますが、公庫の全国網を活用いたしまして販売ですとか購入者のニーズの収集、それからビジネスマッチング会の実施、こういったものを行っているようなところでございまして、融資後も、販路拡大あるいは売上げ向上の支援に努めているという状況でございます。

長友委員 ありがとうございます。

 では、引き続き質問させていただきますけれども、よく地方である話なんですけれども、農産物や水産物、地元にいいものはあるんですが、加工業者が地元におらず、県外に加工をお願いして、それをまた地元に戻して販売するというような商品というのが多々あると思います。でも、こういうことになると、原材料の産地とそれを加工する業者と販売者がまた別々になるような状況は、自分の地元にお金が落ちないわけなんですね。

 域外にお金が落ちることによって地域内で経済が循環しない、この漏れバケツ理論というものが指摘されているところなんですけれども、地域に合った加工業を営む方を農村や地方に増やせるということが、地方出身の私たちとしては課題になっているんですけれども、このような的確にアドバイスができる人材を国は育成しているのかどうか、伺いたいと思います。

舞立大臣政務官 先生御指摘のとおり、地域経済の発展を図っていく上で、地域の農産物をその地域で加工して、地域内外で販売していくことにより地域経済を回していくことというのは重要だと考えております。

 農水省におきましては、六次産業化等に取り組む場合に必要となる農産物の加工販売施設等の整備などのハード支援に加えまして、加工、直売や新商品の開発、販路開拓等の六次産業化等に取り組んでいる事業者の経営改善等の課題を解決するために、この事業を実施する地域に対しまして、プランナー等の専門家を派遣することとしたりしております。

 農産加工を通じまして、地域農業そして経済の発展に今後とも努力してまいりたいと思っております。

長友委員 ありがとうございます。

 今回のこの特定農産加工業の経営改善措置について、是非大臣にも最後にお伝えしておきたい、答弁は求めませんのでお伝えしておきたいんですけれども、各特定加工業の皆様が、売上げが上がっていたりとか雇用を守っているというのは非常にいいことで、それは大事な話なんですけれども、この制度ができたのはもう三十五年前の話で、農業を取り巻く環境は変わってきていますよね。今この日本で大事なのは、国内の生産者の皆様の所得までちゃんと上がっているのかどうかということに是非つなげていただきたいと思います。この加工業の皆様の支援の先に、必ず国内の生産者の皆様の所得も上げていくんだということを、しっかりと引き続き取り組んでいただくことをお願いしまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

野中委員長 次に、北神圭朗君。

北神委員 有志の会の北神圭朗です。

 今日は、法案の話をして、特に日本の主食の一つである小麦に特化して質問をしたいというふうに思います。

 今回の法案は、先ほどあったように、三十五年前の法律の古い革衣に、格好よく言えば新しい酒を入れて、今まで自由化の被害を受けていた農産加工業者を救済する法律が、ウクライナ戦争をきっかけに、今異常な円安の中で、大豆とか小麦、これらを加工している業者に対して金融支援をするというものだというふうに理解をしています。

 今回、今までの実績の質問はあったんですけれども、これによって輸入の小麦から国産の小麦にどのぐらい替わるのか、そして、それによって国産の小麦の生産量がどこまで増えるのか、そういう見通しをされているのか、されているのであれば、具体的な数字を教えていただきたいと思います。

宮浦政府参考人 お答え申し上げます。

 国産小麦への変更に伴うこれからの量についてでございますが、今回、調達安定化措置を入れてまいりますが、現状、切替え量のところまでは、明確な見通しを持つというところまでには至ってございません。

 今後、先ほど来出ておりましたように、生産現場向けの取組がきちっと進んで、なおかつ、需要者側の加工現場向けの取組もきちっと進んで、国産小麦が業者に対して安定供給、品質向上、こういったものが進んでくれば、クッキー、ビスケットなどの菓子用ですとか中華麺用、こういったところの需要の期待というのは相当期待されるところでございますので、そういったところをしっかりと押し上げていきたいというふうに考えているところでございます。

北神委員 具体的な数字がないということなんですけれども、これは法律で、一つの重要な目的が国産化を進めるということなので、やはりある程度の方針というものはなければいけない。増えることを期待しているということでは非常に頼りないなというふうに思いますけれども、そこは今後、国内の生産と加工業者の需要と、いろいろ分析をしないといけないとおっしゃいましたので、そこを進めていただくよう要請をしたいというふうに思います。

 国産の小麦については、当然これは、今回の法案だけではなく、基本法にも出てきますけれども、我が国の食料自給率、もっと言えば食料安全保障についても、非常に重要な取組だというふうに思います。

 ただ、今見ますと、たしか大体六百万トン小麦の需要があって、そのうち国産でやっているのが百万トンぐらいで、五百万トンを輸入に頼っているというような状況であります。この辺の、どのぐらい輸入物に頼るのか、どのぐらい国産化を進めるのか、法案を離れて、どういう方針を持っているのか教えていただきたいと思います。

平形政府参考人 お答えします。

 小麦につきましては、委員御指摘のとおり、近年、国内の需要総数が大体六百万トン弱ぐらいでありまして、ここ三十年ぐらい、ほとんど実は変わっておりません。そのうち外国からの輸入のものが、当時五百万トン強でありましたけれども、最近は四百五十万トンから四百八十万トンぐらいの状態になっております。一方で、国内の小麦なんですけれども、七十万トンから八十万トンぐらいをずっと推移をしてきましたが、近年、百万トンを超える年も出てまいりまして、令和三年、令和五年は百十万トンまで小麦の生産が伸びてきているところでございます。

 今後につきましては、先ほどから問われていることも多いんですけれども、今の、平成十二年までの生産数量の目標が百八万トンというふうになっておりまして、現在これを超えるような年も出てきているということも踏まえまして、今提出をさせていただいております食料・農業・農村基本法の改正案が成立した暁には次期基本計画を検討することになるんですが、その中では、これまでの生産状況を踏まえて、小麦の作付面積拡大に係る意欲的な目標を設定したいというふうに考えております。

北神委員 これもこれからということなんでしょうけれども、ここで大臣、一つ、御存じだと思いますけれども、難しいのは、私も当然小麦の国産化というのをどんどん進めるべきだというふうに思います。ただ、今、国産の小麦と輸入の小麦のコストの差というのは大体三倍近くあるわけですよね。ところが、何で国産の小麦化が徐々にではありますけれども近年増えてきたのかといいますと、これは農林水産省が一生懸命支援をしているからだ。この支援の仕方が、要は国産化を進める支援のために輸入の小麦に頼っているという奇妙な依存関係にあるわけですよね。

 要は、輸入のほとんど、五百万トンですかね、五百万トンの小麦を輸入して、政府がほとんど全量を自分たちで買い付ける。これを、マークアップということで、差益を二万円ぐらい、一トン当たり二万円付加して、これを業者に売る。この差益が原資になって、いわゆるゲタ政策という、国産の小麦の人たちに支援金として出されているという状況です。

 資料にありますけれども、これは近年、若干減ってきています。多分、減っているのは、これは私の推測ですけれども、ちょっと自分では持っていないんですけれども、恐らく輸入価格が上がっているから、マークアップの差益というものが少なくなってきているのではないかというふうに推測しているんですけれども。

 ということは、どういうことかというと、国産小麦の立場からすると、輸入小麦と競争していながら、自分たちが競争力をつけるためには、輸入小麦に依存をしている。独立したいけれども頼らざるを得ない。嫌いだけれども好き。いいのかな。まあ、いいや。余りこんなことに時間を費やしていても駄目なんですけれども。

 そういう奇妙な相互依存関係にありますので、このままの制度でいくと、余り輸入を減らすと、大体九百九十三億円ぐらいの原資に毎年なっているんです、このマークアップというのは。九百九十三億円。あとを賄っているのが、一般財源です。これがもう少しあるのかな、九百九十何億円か何かあって、大体同じぐらいの金額なんですよ。

 だから、輸入からのマークアップの原資がなくなると一般財源を増やさざるを得ないというような状況でありますので、ここら辺の加減というものをどうお考えか教えていただきたいと思います。

坂本国務大臣 委員御指摘のとおり、小麦は国家貿易でありますので、計画的に輸入をしております。その際に、マークアップ、輸入差益を徴収しております。それを財源として、畑作物の直接支払交付金、いわゆるゲタの財源に回しているということでございます。

 委員言われました、近年、令和三年、四年、マークアップは減っておりますけれども、これは御指摘のとおり、小麦の価格が上昇しましたので、その分だけマークアップが徴収できなくなったということであります。ただ、マークアップの収入が減少したにいたしましても、担い手経営安定対策法という法律で小麦の生産は守られておりますので、これは一般財源にはなりますけれども、予算確保は確実にその法律でできるというような仕組みになっております。

 あわせて、小麦の生産振興につきましては、産地生産基盤パワーアップ事業で、機械あるいは施設等の支援をしてまいります。それから、作付の団地化、あるいは生産性の向上のために営農技術の導入、新たな品種の開発、導入、こういったものも行いながら、生産性のコスト低減というものを更に進めてまいりたいというふうに思っております。

 その上で、今国会に提出しております食料・農業・農村基本法が成立した暁には、それを踏まえまして基本計画というものを作りますので、その基本計画の中で小麦の作付面積拡大に係る意欲的な目標をしっかりと設定をしてまいりたい、そして国内産の小麦の拡大を図ってまいりたいというふうに思っております。

平形政府参考人 技術的な点なのでちょっと申し上げたいんですけれども、委員御配付の資料の中で、マークアップがずっと下がってきておりますが、平成三十年以降下がってきているのは、実は、これは小麦価格ではなくて、TPP、CPTPP及び日米貿易協定の中で、マークアップを九年間で四五%下げるという国際約束がございまして、それによる影響で、近年のところの三年、四年のところは小麦の売渡価格について一時据置きをしたことがございまして、その影響が出ておりますが、そういった技術的な点でございます。

 それから、先ほど私、現行の目標が平成十二年と申し上げましたけれども、令和十二年の目標の間違いでございました。

北神委員 ありがとうございます。国際交渉の関係もあったということですね。

 さっきちょっと間違った数字を言いましたので、正確に言うと、農業経営安定勘定の中に入ってくる、小麦支援がその中にありますけれども、全体としてはマークアップが九百十三億円ある。一般財源が九百九十二億円なので、要はかなり重要な財源であるということだと思います。ですから、今後、基本法の後に計画を作られる、そこでどこまで国産の小麦を作るかということで、例えば自給率で一〇〇%に近づけるのか、そうしたら、この原資がもうゼロになるわけですよ。

 だから、要は何を言いたいかというと、今後の国産小麦化の支援の財源の仕組みというものをやはりある程度検討し始めないといけないんじゃないかということを一つ。もう一つは、いずれにせよ、三倍のコストがあるわけですよ、国産と輸入の間に。このコスト削減というものも極めて重要だというふうに思いますけれども、これについてのお考えを教えていただきたいと思います。

平形政府参考人 まず、マークアップなんですが、今九百十三億なんですが、これはマークアップ全体ではなくて、一般会計からの繰入れとマークアップを足して九百十三億でございまして、マークアップのところは、まだ今年の分は取れていないので分かりませんけれども、令和五年、六年あたりは多分五百億強ぐらいの数字になってくると思います。

 委員御指摘のところの、これから本当にゲタ対策をしっかりやる中での生産性の向上ですとかコスト低減、これは大変重要でございまして、現在、産地パワーアップ事業等で、小麦の生産については機械、設備の最新のものを行って、麦のコスト低減についても、農林水産省としては機械、設備の導入だけでなく、作付の団地化ですとか営農技術の導入、新たな品種の開発等、あるいはスマート農業等を含めて支援を実施しているところでございまして、実は、それによりまして、小麦についてのコストについては確実に今下がってきているところでございます。

 そういったことも踏まえながら、持続性のある政策にしていくことが必要だというふうに考えておりまして、そのための施策はしっかりやっていきたいと考えております。

北神委員 共に頑張ってまいりたいと思います。

 時間はまだあるみたいですけれども、地震で時間が延びた分、責任を取って私はここでやめたいと思います。ありがとうございます。

野中委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

野中委員長 これより討論に入るのでありますが、その申出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、特定農産加工業経営改善臨時措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

野中委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

野中委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、古川康君外六名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会・教育無償化を実現する会、公明党、日本共産党、国民民主党・無所属クラブ及び有志の会の七派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。緑川貴士君。

緑川委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文を朗読して趣旨の説明に代えさせていただきます。

    特定農産加工業経営改善臨時措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  特定農産加工業経営改善臨時措置法は、昭和六十三年の牛肉・かんきつに係る日米合意等により影響を受ける特定農産加工業に対する措置として制定されたものである。以降、本制度は、特定農産加工業に対する重要な支援措置として活用されてきたものの、経済連携協定の締結等により農産加工品等の輸入に係る事情の著しい変化による影響が継続していることや輸入原材料の価格水準の高騰によりその調達が困難となっていることなどにより、農産加工業は厳しい経営環境に置かれている。

  よって、政府は、本法の施行に当たり、左記事項の実現に万全を期すべきである。

      記

 一 農産加工業の厳しい経営環境に対処し、その経営体質の強化を図るため、農産加工業の振興に努めること。その際、価格水準の高騰している輸入原材料に代替する国産原材料が安定的に供給されることにより、農産加工業者の原材料の調達の安定化及び食料安全保障の強化に資するよう、必要な措置を講ずること。

 二 農業及び農産加工業の健全な発展に資するという本制度の目的が十分発揮されるよう、本制度と農産物に係る支援制度等の関連施策との有機的連携に配意しながら、不断に制度の評価・検証を実施し、その結果を踏まえ、適時適切に制度の拡充その他の必要な措置を講ずること。

 三 今後の経済連携協定の締結等が我が国の農産加工業に与える影響に即応して対象業種及び関連業種を定めるなど本制度の適切かつ弾力的な運用に努めるとともに、世界的規模の需給のひっ迫により価格が高騰している農産物又はこれを使用して生産された農産加工品を原材料として使用している農産加工業については、輸入価格水準の上昇・高止まりの影響の程度を踏まえ、的確に対象業種を定めること。

 四 小麦、大豆等の世界的規模の需給のひっ迫による価格高騰などの輸入に係る事情の著しい変化により事業活動に支障を生じ、又はそのおそれがある事業者に対し、本法施行までの間に、本法に基づく原材料の調達の安定化を図るための新たな支援措置の内容を周知すること。

 五 東日本大震災や令和六年能登半島地震を始めとする大規模災害の被災地において農産加工業の振興を図ることにより、地域農業の復興や雇用の維持・拡大に努めること。

  右決議する。

以上です。

 何とぞ委員各位の御賛同を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

野中委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

野中委員長 起立総員。よって、本法律案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、ただいま議決いたしました附帯決議につきまして、政府から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産大臣坂本哲志君。

坂本国務大臣 ただいまは法案を御可決いただきましてありがとうございました。附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

野中委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

野中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

野中委員長 次回は、来る二十六日火曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十四分散会


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