衆議院

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第12号 令和6年4月23日(火曜日)

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令和六年四月二十三日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 野中  厚君

   理事 伊東 良孝君 理事 小島 敏文君

   理事 古川  康君 理事 山口  壯君

   理事 近藤 和也君 理事 野間  健君

   理事 池畑浩太朗君 理事 角田 秀穂君

      東  国幹君    五十嵐 清君

      石原 正敬君    上田 英俊君

      江藤  拓君    加藤 竜祥君

      神田 憲次君    小寺 裕雄君

      高鳥 修一君    橘 慶一郎君

      中川 郁子君    西野 太亮君

      細田 健一君    堀井  学君

      宮下 一郎君    簗  和生君

      山口  晋君    梅谷  守君

      金子 恵美君    神谷  裕君

      緑川 貴士君    渡辺  創君

      一谷勇一郎君    掘井 健智君

      稲津  久君    山崎 正恭君

      田村 貴昭君    長友 慎治君

      北神 圭朗君

    …………………………………

   農林水産大臣       坂本 哲志君

   農林水産副大臣      武村 展英君

   財務大臣政務官      瀬戸 隆一君

   農林水産大臣政務官    舞立 昇治君

   国土交通大臣政務官    こやり隆史君

   政府参考人

   (内閣府食品安全委員会事務局長)         中  裕伸君

   政府参考人

   (消費者庁食品衛生・技術審議官)         中山 智紀君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 鈴木  清君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 山崎  翼君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           鳥井 陽一君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         杉中  淳君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         宮浦 浩司君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房危機管理・政策立案総括審議官)            松尾 浩則君

   政府参考人

   (農林水産省輸出・国際局長)           水野 政義君

   政府参考人

   (農林水産省農産局長)  平形 雄策君

   政府参考人

   (農林水産省畜産局長)  渡邉 洋一君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  村井 正親君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)            長井 俊彦君

   政府参考人

   (農林水産技術会議事務局研究総務官)       東野 昭浩君

   政府参考人

   (林野庁長官)      青山 豊久君

   政府参考人

   (水産庁長官)      森   健君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房福島復興推進政策統括調整官) 川合  現君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術参事官)         西村  拓君

   政府参考人

   (海上保安庁総務部参事官)            杉山 忠継君

   農林水産委員会専門員   飯野 伸夫君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十三日

 辞任         補欠選任

  保岡 宏武君     石原 正敬君

同日

 辞任         補欠選任

  石原 正敬君     保岡 宏武君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 農林水産関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

野中委員長 これより会議を開きます。

 農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房総括審議官杉中淳君、大臣官房総括審議官宮浦浩司君、大臣官房危機管理・政策立案総括審議官松尾浩則君、輸出・国際局長水野政義君、農産局長平形雄策君、畜産局長渡邉洋一君、経営局長村井正親君、農村振興局長長井俊彦君、農林水産技術会議事務局研究総務官東野昭浩君、林野庁長官青山豊久君、水産庁長官森健君、内閣府食品安全委員会事務局長中裕伸君、消費者庁食品衛生・技術審議官中山智紀君、総務省大臣官房審議官鈴木清君、財務省大臣官房審議官山崎翼君、厚生労働省大臣官房審議官鳥井陽一君、経済産業省大臣官房福島復興推進政策統括調整官川合現君、国土交通省大臣官房技術参事官西村拓君、海上保安庁総務部参事官杉山忠継君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

野中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

野中委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。西野太亮君。

西野委員 皆さん、おはようございます。熊本二区選出、自由民主党の西野太亮でございます。

 私、農林水産委員会に籍を置かせていただいて約一年が経過いたしましたけれども、これまで法案の質疑はさせていただいたことがありますが、一般質疑は初めてということでございます。

 皆様方御案内のとおり、私の地元熊本県は、年にもよりますけれども、農業生産額そしてまた農業所得、全国四位、五位、六位の農業水産大国でございます。熊本県全体としてももちろんそうでございますけれども、私の選挙区の有明海沿岸沿い、これも、トマト、ミニトマト、ミカン、イチゴ、ナス、梨そしてノリ、こうした産品の一大産地となっております。

 正直申し上げて、私、役所を辞めて地元に戻るまでは、余り農林水産業に対して強い関心はなかったわけでございますけれども、五年間の浪人期間中に本当に多くの農業生産者の皆様方と出会うことができました。そして、人間と人間のおつき合いをさせていただきました。ミカンでいえばマルチシート張り、ノリの種つけや網、さらにはさおの片づけ、そしてまたトマトやイチゴの定植、こうした経験をさせていただきました。

 そういった顔の見える生産者がたくさんいるわけでございますので、だからこそ、上辺だけではなく、長い目に立って、そして、おべっかを使うようなそういった支援ではなくて、本当の意味での支援、長い目で意味のある支援をしていかなくちゃいけないというふうに思っています。

 例えば、これは極端な例かもしれませんけれども、私の地元の、前に政務官を務めていらっしゃいました藤木眞也参議院議員は、現役の農家でいらっしゃいまして、そしてまた農業団体の代表でもある。その方は、よく農家の方に向かって本当にストレートに物をおっしゃいます。

 あんたたち米の生産者はね、これだけパンとかうどんとかスパゲッティとかそういった食文化が豊かな時代にあって、米を食え米を食えというふうに言うけれども、例えてみれば、これだけエアコン、冷房、暖房が普及している中にあって、自分たちがうちわを作っているからうちわを使えとか、あるいは扇風機を作っているから扇風機を使えと言っているのと一緒だぞと。やはり消費者のニーズ、動向に合わせて自分たちもしっかり対応していかなくちゃいけないというようなことをはっきりおっしゃるわけでございます。

 私は、もちろんそこまでは申し上げることはできませんけれども、それでも、先ほど申し上げたように、表面的ではない、盲目的ではない、しっかりとした持続可能な農業をつくるための支援策、これを模索していく必要があるというふうに考えています。

 私の関心事項は多岐にわたりますけれども、今回初めて基本的質疑をさせていただくということで、農林水産政策の大原則あるいは持論を展開させていただければというふうに思います。ここにいらっしゃる皆さん方は農林水産政策のプロフェッショナルでいらっしゃいますので、もしかしたら拍子抜けすることもあるかもしれませんけれども、最後までおつき合いいただければと思います。

 まず最初に、農林水産業の意義、さらには役割、位置づけについて確認をさせていただきたいと思います。

 これは私の持論かもしれませんけれども、農林水産政策の難しさあるいは面白さというのは、農林水産業の二面性にあるというふうに思っています。すなわち、一つは、食料安全保障、さらには農業の多面的機能、こうした公共財としての機能を有している。その一方で、私の事業者として自助努力が求められる産業としての側面も持っているということだというふうに思います。

 農林水産政策の大原則として、国民の皆様方の負担を最小化するために、農業が持つ潜在能力を最大限に引き出していかなくちゃいけない、産業としての側面もしっかり引き出していかなくちゃいけない。一方で、先ほど申し上げたように、公共的な側面もあるわけでございますから、持続可能な農林水産業を実現するために政府としても支援する必要がある。ある意味で相矛盾する二つのものを両立させていくというのが農林水産政策の基本だというふうに私は考えておりますけれども、この点、農林水産省としていかがお考えなのか、まず聞かせていただければと思います。

杉中政府参考人 お答えいたします。

 農業政策につきましては、これまでも、産業としての農業の競争力強化のための産業政策と、農業を通じた多面的機能の発揮など公益的な側面に着目した農村政策を同時に進めてきたところであり、引き続き、産業政策と地域政策のバランスの取れた政策を推進することが重要だと考えております。

西野委員 ありがとうございます。

 次に、私は今、産業としての潜在能力を最大限に引き出していく必要があるというふうに申し上げましたけれども、一方で、例えば北海道みたいに広大な土地があって、やり方によってはオーストラリアあるいはアメリカ、こうしたところと生産性、コスト面で変わらないようなやり方ができる地域もあれば、私の選挙区にもありますけれども、中山間地域みたいに、本当に棚田とか段々畑とか、なかなか集約化とかそういったものが難しいような地域もあるというふうに思いますので、生産性を向上させるためにも地域によって差異があるのかなというふうに思います。

 ですので、政府としても、一律な支援ということではなくて、地域の実情あるいは環境に応じて必要な措置を講じていくということが基本だというふうに考えますけれども、政府としても同じような考えなのか、お伺いしたいと思います。

長井政府参考人 お答えいたします。

 中山間地域は、人口が少なく、農地が狭小で規模拡大が難しいことから、生産コスト低減や収益の確保に平地と異なる課題がある一方で、食料・農業・農村基本法制定当時から農業産出額全体では五%増加しておりまして、作物のブランド化、高付加価値化など、中山間ならではの特色を生かした取組が期待されているところでございます。

 農林水産省といたしましては、中山間地域等直接支払交付金等によりまして農業生産活動の継続を下支えするとともに、スマート農業技術や農業支援サービス事業体を活用した生産方式の導入や、地域内外の関係人口を巻き込み、豊富な地域資源を活用した農山漁村発イノベーション等、それぞれの地域の特色を生かした収益力のある農業を実現できるよう、様々な施策を総動員して後押ししてまいります。

西野委員 ありがとうございます。

 中山間地域など、なかなか集約化が難しいところに関しては、コストの削減ではなくて、どれだけ売上げを増やしていくかという観点から支援をするというふうにお答えをいただいたというふうに思います。その方向性で私もやっていくべきだというふうに考えます。

 一方で、最初の質問で申し上げたように、農業には二面性があるということ、だからこそ政府としてしっかり支援しなくちゃいけないんだということ、これが私は国民の皆様方になかなか伝わっていないのではないかなというふうに思います。

 といいますのも、例えば、地元を歩いていろいろな話を伺う中で、農業ではない、普通の一般の商工中小事業者の皆さん方からたまに投げかけられる問いが、何で農業ばかり補助金がもらえるのか、俺たちもしっかり税金を納めているのに、農業ばかり優遇されて不公平じゃないかというようなことをたまに言われることがあります。

 そのときに、私は、いや、こうこうこういう理由で農林水産業には公共的な側面があるから、これが仮になくなったならば、政府としても国家全体としても大変な損失であるから、国としてしっかり支援させていただいているんですよ、もちろん産業としての側面もあるから、自助努力が必要な面もありますというふうに御説明申し上げると、一〇〇%ではないかもしれませんけれども、八割、九割程度の理解を得られるのではないかと思います。

 一方で、政府としてなかなか、公共的な側面もあります、産業的な側面もありますということをしっかり伝え切れていないから、国民の皆様方の間に、何で農業ばかりというもやもやがあるんじゃないかなというふうに思うんですけれども、そうした点について、政府としてどのようにお考えなのか、聞かせていただければと思います。

杉中政府参考人 お答えいたします。

 農林水産業は、産業ではございますけれども、議員御指摘のように、国民の生活の維持に不可欠な食料の供給を行うとともに、生産活動を通じて国土の保全を始めとした多面的機能を発揮しており、公的な側面があります。

 農林水産業がこのような役割を将来にわたって果たすためには、産業としての持続性を考えれば、収益を上げることが大事でありますので、生産性向上や付加価値向上に取り組む生産者を支援するとともに、公共的な側面を考えれば、環境負荷を抑えつつ多面的機能が発揮されるよう、環境負荷低減の取組を支援することが必要であり、この旨を今回の基本法改正案についても明記をしたところでございます。

 さらに、このような取組が持続的に行われるためには、消費者が農林水産業の果たす役割を理解し、その購買活動につなげることが重要でありますので、基本法改正案において消費者の役割について、食料の持続的な供給に資するものの選択に努めることにより食料の持続的な供給に寄与していく旨を明記しております。

 今後とも、消費者を始めとした国民の皆様の理解が図られるよう、農林水産業の役割について十分に説明するとともに、必要な取組を行ってまいります。

西野委員 ありがとうございました。

 では、次の質問に移りたいと思います。

 先ほど申し上げた、農林水産業が持つ側面の一つ、公共財としての側面について伺いたいと思います。

 今審議官からもお話しいただきましたように、今回の法改正で、農林水産業の役割として、食料安全保障というのがしっかりと位置づけられました。このことは大変すばらしいことだというふうに評価いたしますけれども、一方で、食料安全保障という言葉だけではやや抽象的で漫然としているかなと。もちろん基本的な意味は理解できますけれども、これをもうちょっと具体的に、定量的に数値化することはできないのかというふうに思います。

 といいますのも、やはり、先ほどから申し上げておりますとおり、公共的な側面に着目して我々は国民負担をお願いしている、税金を使わせていただいて支援をさせていただいているわけでございますので、こうこうこういう理由で、あるいは、こうこうこういう数字があるから国民の皆様方に負担をお願いするということを定量的に私は示すべきではないかというふうに思うわけです。

 例えば、食料自給率が三七%、三八%というふうに言いますけれども、じゃ、仮に、この数字の中から、食品ロス、大変問題になっておりますけれども、これを除いたならば、分母がちっちゃくなるわけですから、そうした場合に数字がどうなるのか。

 さらには、輸入していると一口に言っても、ロシアから輸入している分、中国から輸入している分と、同志国であるカナダとかアメリカとかオーストラリアから輸入している分を一緒たくりに評価するのはいかがなものか。

 いろいろな考え方があるというふうに思いますけれども、やはり、国民の皆様方に国民負担をお願いしているからには、真摯に、丁寧に、できるだけ定量的に、簡単じゃないかもしれませんけれども、示すことが重要ではないかというふうに思いますけれども、この点、政府としていかがお考えかと思います。

杉中政府参考人 お答えいたします。

 世界の食料需給の不安定化や国内の生産基盤の弱体化など、食料安全保障の課題はより複雑化しており、基本法改正に向けた議論の中でも、食料自給率という一つの指標だけで評価するのは難しいという議論があったところでございます。

 このため、基本法改正法案につきまして国会で御審議をいただき、改正案が成立すれば、それに基づいて基本計画の策定を行うことになります。基本計画の策定の際には、食料自給率のほか、その他の食料安全保障の確保に係る事項について、適切な目標の設定を行うことになります。

 基本計画の作成の過程におきましては、適切な目標も含めまして、広く関係者の意見を聞くとともに、国民の皆さんに対して、目標の意味などについても丁寧に説明を尽くしてまいりたいと考えております。

西野委員 ありがとうございます。

 議論のための議論になってはいけませんし、これにやみくもに時間やコストを費やすというのもなかなか難しいのかなという気もいたしますけれども、今後の中長期的な課題として考えていければなというふうに思います。

 そしてもう一つが、農業の多面的機能についてでございます。

 農林水産省のホームページを見ますと、保つとか、守るとか、水とか、そういう六つの漢字を指し示しながら多面的機能を説明されているわけでございますけれども、これについても定量的な説明ができないものか。多面的機能がなければ国民負担がこれぐらい増えるんだということを指し示すことができれば、より国民の皆様方は納得して国民負担をするのではないかというふうに思います。

 この点、いかがお考えか、聞かせていただければと思います。

長井政府参考人 お答えいたします。

 国土の保全や水源の涵養等の農業の有する多面的機能につきましては、地域住民はもとより国民全体が享受しているものでありまして、平成十三年の日本学術会議の答申におきまして、定量化が可能な物理的な機能を中心に貨幣評価額の算定が盛り込まれたところであります。

 例えば洪水防止機能につきましては、一年当たり三兆四千九百八十八億円、河川流況安定機能につきましては、一年当たり一兆四千六百三十三億円等とされております。

 農林水産省といたしましては、多面的機能の意義や効果につきまして、国民の皆様に広く周知することは重要であると認識しておりまして、引き続き、ホームページへの掲載、パンフレットの配布でありますとか、各種イベントでのパネル展示等を通じまして、国民への普及啓発等に努めてまいります。

西野委員 ありがとうございます。

 私も、当選後、農林水産政策の基礎を勉強するときに、一番最初に見せていただいたのがその資料でございますので、できるだけ多くの国民の皆様方にそういった数字についても知っていただくようにしなければいけないというふうに思います。

 次に、産業としての農林水産業についても少し見ていきたいというふうに思います。

 当たり前のことでございますけれども、潜在能力を高める、生産性を向上させるためには、コストを削減するか、売上げを上げていく、付加価値を向上するか、このどちらかしかないわけでございますけれども、まずコスト削減についてでございます。

 大規模化、あるいは集約化、土地基盤整備、さらには、AIやICTを使ったスマート農業、こうしたものを導入することによってコストを削減する。しかし、これには一定の投資が必要になります。こうした取組を政府が後押ししていくことが必要だというふうに思いますが、私は何かちょっと中途半端じゃないかなという気もしています。

 といいますのも、私の地元、例えば南関町というところがありますが、七十代半ばの農業生産者の方から、ここの田んぼになかなかトラクターとかが入らないから土地改良をしてほしいというふうに要望を受けておるんですけれども、これを、ちゃんと土地改良をしてくれれば農業をあと五年でも十年でも続けるという方々がたくさんいらっしゃるにもかかわらず、なかなかその地域の土地改良が進まない。

 さらには、熊本市なんかでも、南区川尻とか御幸という地域がありますが、そこで農家を営んでいる青年生産者、私より二つ下の若者ですけれども、彼が言うには、自分が農業をやっていて、そして、周りがどんどん年を取って高齢化してきて農業をやめる、その人たちの土地を買ったり、あるいは預かったりして生産しているんだけれども、てんでばらばらになっていて、非常に作業がしにくい。これを集約化すれば、私は今やっているのを二倍でも三倍でもしますよ、そういうふうにおっしゃる生産者の方もいらっしゃるわけですけれども、なかなか土地改良、土地基盤整備が進まない。

 私は、思い切って予算を投入して、これだけ人手不足、人手不足というふうに言われているわけですから、こういった支援をすべきだというふうに思いますけれども、農水省としていかがお考えか、聞かせていただければと思います。

杉中政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、農業の生産性の向上を図っていくためには、農地の集積、集約化やスマート技術の導入による生産コストの削減が重要だと考えております。

 農林水産省といたしましては、こうした取組を後押ししていくため、農地中間管理機構を活用した農地の集積、集約化、農業農村整備事業による農地の大区画化、省力化に対応した農業水利施設の整備、スマート農業技術の開発、実用化や、専門的に技術などをサポートするサービス事業体の育成などの取組を進めてきたところであり、必要な予算を措置してきたところでございます。

 さらに、今回の基本法改正におきまして、生産性の向上に資するため、スマート農業技術や先端的な技術を活用した生産方式の導入や、農業基盤整備における先端的な技術を活用した生産方式との適合への配慮などを位置づけたところでございまして、引き続き、こうした農林水産行政の課題に対応するため、当初予算はもとより、補正予算も含めて、必要な予算の確保に努めてまいります。

西野委員 ありがとうございます。

 もう一つが、付加価値を向上させて売上げを上げるということでございますけれども、このためには、ブランディングを強化する、需要を創出していく、そしてまた、農業輸出を拡大していく、さらには、オーガニック、みどりの農業への取組、こういったことが必要だというふうに思いますけれども、やはり農業生産者個人だけでいくと限界があるというふうに思いますので、国、県、市あるいは農協、あるいは民間コンサルティング、こういったところが一体となって取組を進めていく必要があるというふうに思います。

 そしてまた、農業生産者個人で見ても、生産者としての腕前は一流かもしれませんけれども、なかなか経営者としての自覚であったり認識というものが足りない部分がありますので、こういったところをどうやって推し進めていくのかということも、一つ重要になろうかと思います。

 最後になりますけれども、今までの質疑、やり取りを踏まえて、農林水産大臣、どのようにお考えか。私の地元の大先輩でもございまして、常に御指導いただいておりますけれども、坂本大臣からも感想そしてまた今後の農業に向けた意気込みを聞かせていただいて、終わりにしたいと思います。

野中委員長 初めに村井局長、そしてその後、坂本大臣から答弁願います。

村井政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、地域全体での取組ということでございますけれども、御指摘があったとおり、収益性の高い農業経営を実現するためには、需要をきちんと踏まえて生産から販売までを戦略的に行うことが重要でございます。

 こうした農業経営につきましては、農業者が主体性と創意工夫を発揮して、自らの経営判断を基に展開していただくことが基本ではありますが、例えば規模の小さい経営体などは、各々の農業者では的確な経営判断を行ったり販路を開拓するといったレベルには経営能力が達しない場合もあると認識をしております。

 このため、都道府県の農業経営・就農支援センターによる農業関係団体や民間コンサルタントと連携した販路拡大等の支援、JAと普及指導センター等が連携した農業経営支援や、JAの生産部会による販売力の強化、地理的表示保護制度を活用した農産物のブランド化の促進などの取組が行われており、これらの取組を組み合わせながら、産地の関係者が一体となって農業者を支援することが重要であると考えております。

 また、農業者の経営能力の関係でございますけれども、これも御指摘がありましたとおり、農業者が経営者としての意識を持って、農業の生産性向上と付加価値向上により、収益性の高い経営を実現していただくことが重要でございます。

 農林水産省といたしましては、生産性向上と付加価値向上につながる農業者の経営管理能力の向上、経営方法の習得の促進をしていくため、農業経営者を対象とした研修プログラムの策定、自らの経営状況を財務分析するソフトの開発、各都道府県で整備されている農業経営・就農支援センターの支援能力の向上などの取組を行っており、引き続き、経営感覚を持った農業者の育成を進めてまいりたいと考えております。

坂本国務大臣 大所高所からの将来の農政に向けた御意見、本当に心強い気持ちがいたしました。今、地球規模で見れば、様々なリスクがあります。気候変動のリスク、地政学上のリスク、そして食料争奪のリスク。我が国におきましては、やはり人と農地、これからどう確保して育成していくかというようなことがあります。

 こういったものを考えながら、そして、委員の地元において、広大なる農地があります。それから有明海があって豊富な漁業資源があります。そして山間地の方には森林・林業が活力を持っているところでございますので、こういう農林水産業に関わる方々が、将来、夢とやりがい、そして確かな所得も得られる、そういう農林水産業になるように、しっかりと、今回の基本法の改正をスタートとして、改めて日本の農業、農林水産業というのをつくり上げてまいりたいというふうに思っております。

西野委員 ありがとうございました。終わります。

野中委員長 次に、角田秀穂君。

角田委員 おはようございます。公明党の角田秀穂でございます。

 本日は、質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 今日は国交省にもお越しいただいておりますので、まず、その関連の質問からさせていただきたいと思います。

 私の地元千葉県の船橋市漁業協同組合が、おととしからカキの養殖の試験に取り組んでおります。船橋の漁協では、例えば高級魚のスズキ、千葉県は全国第一位の水揚げですけれども、その千葉県の中でも特に多くの漁獲量を誇っているほか、様々な魚が捕れます。そのほかにも、ノリであるとかアサリ、ホンビノスガイなども地域の特産品として親しまれてきました。

 しかしながら、二〇〇〇年代に入って以降、これら魚介類の水揚げが大幅に減ってしまっております。例えばホンビノスガイは、二〇一八年には一千三百二十八トン捕れていたものが、二〇二二年度には八十一トンと一割未満に激減をしております。アサリに至っては、ほとんど捕れなくなってしまっております。

 こうした漁獲量の減少に対して、少しでも収入減を補う道として、完全に収入減を補えるわけではありませんけれども、せめてお小遣い程度になるならということで、同じ東京湾に面する木更津市等でも実績のあるカキの養殖に目をつけて試験的に取組を始めたものですけれども、これまでのところ順調な生育が確認できております。

 カキには一年物、二年物、三年物などありますけれども、船橋の場合は一年物しか作ることができません。理由は青潮であります。毎年夏場になると恒例のように発生する青潮が来る前に水から揚げなければならないということです。

 青潮は、富栄養化の結果として貧酸素水塊と呼ばれる酸素濃度が極めて低い水の塊が発生をして海が白濁する現象で、硫化水素が含まれる関係で海面付近では青く見えることから、青潮と呼ばれております。

 東京湾は、沿岸や流域に位置する大都市からの大量の汚濁負荷の流入、沿岸部の埋立てによる干潟等の喪失などで富栄養化が進行しており、特に夏場の南風で貧酸素の水塊が押し寄せる湾の最も奥に位置する船橋市などでは、毎年のように青潮が発生をして、魚介類の大量死やアサリの死滅など漁業にも深刻な被害が発生をしております。

 この青潮については、発生のメカニズムもよく分かっておらず、したがって、発生を予測することも難しく、地元の漁業者にとって大きな脅威となっております。

 東京湾の青潮対策については、平成十五年から、関係省庁や沿岸自治体等で構成される東京湾再生推進会議で策定をした東京湾再生のための行動理念、東京湾再生のための行動計画に基づく各種の取組が進められ、現在は、昨年三月に策定をされた第三期計画に基づく対策が進められているとのことですが、まず、現行の第三期計画では具体的にどのような対策を進めようとしているのか、目標等も含めてお伺いをいたします。

杉山政府参考人 お答えいたします。

 東京湾再生推進会議は、東京湾の水質改善に向けて、平成十四年二月に関係省庁及び関係地方公共団体を構成員として設置され、令和五年三月に第三期の東京湾再生のための行動計画を策定しております。

 委員御指摘のとおり、青潮対策は重要な課題であり、第三期行動計画に基づき、下水道等汚水処理施設の整備、高度処理の推進等による海水の富栄養化対策に加え、酸素濃度の低い貧酸素水塊の低減が不可欠であることから、深掘り跡の埋め戻しなど、底質及び水質改善に関する取組を推進しております。

 これらを推進することによりまして、第三期行動計画の目標としております多様な生物が生息する江戸前の恵み豊かな海、ひいては、豊かな水環境の実現などを図ることとしております。

 引き続き、青潮対策を含め、流域三千万人の心を豊かにする東京湾の創出に向けまして、関係省庁及び関係地方公共団体が連携し、様々な取組を進めてまいります。

角田委員 青潮対策について埋め戻しも進められているということですけれども、この東京湾には大規模なくぼ地というか大きな穴が点在をしており、ここが貧酸素水塊の発生場所となっております。

 国土交通省関東地方整備局が平成二十五年度から建設工事で発生した土砂を使って富津沖のくぼ地の埋め戻しを行った結果、埋め戻しを行った箇所の近傍では、平成三十年度では、平成二十五年度に比べて底層溶存酸素量が上昇傾向を示し、平成二十八年度以降には、貧酸素耐性の高い水生生物が再生産できる場を保全、再生する水域又は無生物域を解消する水域に相当すると認められる基準値である底層溶存酸素量二・〇ミリグラム・パー・リットル以上が確保されるといった効果が確認をされております。

 発生源となっている大規模くぼ地が湾内に一体どれだけ存在するのかも現状よく分からないようですけれども、東京湾再生のためにこうした取組も今後継続をして、推進を図っていただきたいと思います。

 東京湾の湾奥部において発生する青潮対策として、今、千葉県と東京都が連携をして、東京湾で発生するしゅんせつ土砂を活用して、湾奥部にあるくぼ地を埋め戻す作業を実施しているとのことですけれども、こうした取組に対して、国としても連携して対策の推進を図ってもらいたいと思いますが、この点について見解を伺いたいと思います。

西村政府参考人 お答えいたします。

 東京湾の湾奥部においては、かつて臨海部の埋立てに使用する土砂を海底を掘削して調達したことからくぼ地が点在しており、これらが青潮の要因となっていると考えられているため、千葉県が関係行政機関と連携し、これらくぼ地の埋め戻しを行っていると承知してございます。

 国土交通省は、千葉県と連携しつつ、港湾工事で発生するしゅんせつ土砂を有効活用し、例えば、平成二十七年度から二十九年度に、千葉県船橋沖や幕張沖のくぼ地に合計で十二万立米のしゅんせつ土砂を投入するなど、東京湾内におけるくぼ地の埋め戻しに対する支援をこれまでも行ってきたところでございます。

 東京湾内のくぼ地が早期に解消されるよう、今後も有効活用が可能な良質の土砂が発生した場合には、関係行政機関と連携してくぼ地の埋め戻しに対する支援を行ってまいります。

角田委員 ありがとうございます。

 東京湾の環境を取り戻すためにも、こうした取組、国もしっかりと関係機関と連携をしながら進めていただきたいと要望させていただきます。

 次の質問に移らせていただきます。

 営農型太陽光発電について質問をいたします。

 二〇五〇年カーボンニュートラルを目指し、全国の自治体で計画的な脱炭素化への取組が進められておりますけれども、昨年、脱炭素先行地域に選定をされた千葉県の匝瑳市では、営農型ソーラーシェアリングを中心に、脱炭素化の推進を目指しております。従来から行っていた畑作営農型ソーラーシェアリングに、水田についても営農型ソーラーシェアリングの導入を進めて、脱炭素化の推進とともに売電収入やカーボンクレジット収益などの新たな収入源を確保して、高収益化、新規就農者の確保を目指すとしております。

 営農型太陽光発電は、地球環境問題への貢献、地域課題の解決とともに、農業者の所得向上など農業の魅力向上にも資するものとして、近年、全国的にも導入が進みつつありますが、その一方で、発電が目的になって農作物の栽培をおろそかにしてしまっているような営農に支障を来す事例も増加をしております。

 農地への太陽光発電導入はあくまでも営農の継続が基本であるべきであり、この点、農業委員会の一時転用許可申請に対する審査、その後の調査、指導を適正に行うことが重要と考えます。具体的な許可の基準、許可後の調査、指導の現状について、まずお伺いをしたいと思います。

長井政府参考人 お答えいたします。

 営農型太陽光発電は、再生可能エネルギーの発電と下部農地での営農を両立させる取組であり、支柱部分を一時転用許可の対象としております。

 一時転用許可に際しましては、地域の単収の八割以上を確保する基準を満たす必要があり、また、許可後においては、毎年、営農状況の報告を求め、営農に支障を生じている場合には、農地転用許可権者等によります適切な営農の実施に向けた指導を行うこととしております。

 他方で、委員今御指摘がありましたように、発電に重きを置き、営農がおろそかにされ、下部農地の営農に支障が生じている事例が散見されることから、運用の厳格化を図るため、従来通知で定めておりました許可基準や提出資料を農地法施行規則に明記するとともに、制度の趣旨や具体的な運用を示したガイドラインを作成し、これらを本年四月に施行したところであります。

角田委員 匝瑳市で営農型太陽光発電の普及に取り組んでいる事業者は、営農を継続する上で肝腎なことは、日照、雨垂れ、台風の三点だと語っております。近年は太陽光パネルの性能も向上しており、作物の生育に必要な日照を確保できるよう面積の小さいパネルとパネルの間の間隔をしっかりと取るようにしても、十分にペイをする。このことは、雨垂れによる洗掘を減らす上でも、台風による倒壊を防ぐ上でも重要で、こうした要件を満たす具体的な基準に基づいて転用の許可を判断をする必要があるのではないかと語っておりましたが、作物の生産とともに真に地域課題の解決に貢献できる営農型太陽光発電の普及へ、今後も対策の推進を要望をさせていただきたいと思います。

 農業生産をしっかり維持した上で営農型太陽光発電の普及を進める上で、現地で伺った課題の一つとして、一時転用許可の期間、これが担い手の場合でも十年となっており、FITの買取り期間に合わせる形で延長できないかとの要望があります。また、設備投資のための借入れを行いやすくするためにも、こうしたことも検討すべきであると考えますが、この点について見解を伺いたいと思います。

長井政府参考人 お答えいたします。

 営農型太陽光発電は、農業生産と再生可能エネルギーの導入を両立する仕組みであることから、下部農地における適切な営農の継続を条件に、通常では太陽光発電設備への転用が認められない優良農地におきましても、支柱部分の一時転用許可によりまして実施を認めているところであります。

 また、一時転用期間につきましては、平成三十年に、通常は三年以下であるところを、担い手が行う場合等につきましては十年以下に緩和したところであります。

 仮に、一時転用期間を二十年など著しく長期間とすることになりますと、設備の設置が固定化いたしまして、周辺農地との一体的な土地改良事業の実施の妨げとなるおそれがあること、また、事業完了後におきます農地への復元の確実性が乏しくなること等から、困難であると考えております。

 なお、営農型太陽光発電につきましては、下部農地における営農が適切に継続されている限りは再許可を認める仕組みとしておりまして、下部の農地に支障が生じた場合であっても、それが自然災害や営農者の病気等やむを得ない事情の場合につきましては再許可を可能としていることから、再許可時に必要なチェックを受けつつ継続的に取り組むことは可能であると考えております。

 いずれにしましても、きちんとチェックをいたしまして、制度については適切に運用してまいりたいと考えております。

角田委員 時間が参りましたので以上で終わりたいと思いますけれども、これからの地域課題の解決、地域の活性化が進むよう、こうしたことも含めて積極的な検討をお願いをしたいと思います。

 ありがとうございました。

野中委員長 次に、近藤和也君。

近藤(和)委員 石川県能登半島の近藤和也です。今日もよろしくお願いいたします。

 先週までは、胸にエアリーフローラ、石川県の開発をした花を着けていたんですが、もうそろそろ季節が終わりということで、今日は着けることができません。ただ、花言葉は希望ということで、ここには希望があるんだという思いで質疑に臨みたいと思いますし、皆様には、希望のある答弁、被災地の方々、そして一次産業に携わる方々が希望を持ってこれから頑張っていけるような答弁をお願いをしたいと思います。よろしくお願いいたします。

 質問に入らせていただく前に、まず、基本法のことを少し触れたいと思います。

 食料・農業・農村基本法が先週で参議院に送られました。この農林水産委員会、衆議院としては一山越えたという感覚がございます。私は、しっかりとした質疑、野党の野間筆頭、そして与党の山口筆頭、しっかりと連絡を取り合っていただいて、視察も二か所行っていただき、参考人質疑もしていただき、そして地方公聴会も二か所でしたということで、幅広の議論はできたのかなというふうには思います。もちろん、まだまだ時間が足りないといった御意見があったことは間違いないですけれども、ある程度円満な形で質疑を進めることができた、これはよかったなというふうに思います。

 ただ、出口のところに至っては、もうちょっと我々の意見にも配慮をしてほしかったというのが正直なところでございますし、これから関連の三法の質疑にも入ります。そして、後々には、大臣も質疑の中で、私はいかがかなと思ってはいたんですけれども、何かあればこれから基本計画の中で決めていくということを言われました、答弁をされていました。

 基本計画、もちろん我々も協力しながら参加をしていきたい、数多くの農家の方々の意見を組み込んでいきたいという思いはありながら、基本法を反対したわけですから、大変苦しい。そういう苦しいながらも、農家の方々にやはり希望を持っていただかなくてはいけないということで、議論から逃げるつもりはございませんし、私たちのこの苦しい心境も酌み取っていただいて、よりよい充実した質疑を進めていただければなというふうに思います。

 この基本法が今参議院に送られるに当たっての今までの衆議院の質疑における感想、そして今後の参議院における議論にどのような形で臨んでいきたいか、その思いを、坂本大臣、お願いをいたします。

坂本国務大臣 この農林水産委員会では、いろいろ大所高所に立って、幅広い、そして深い御議論をしていただきました。そして、三月二十六日に審議が開始されて以来、地方での様々な意見聴取も含めて、それを経て、そして、農林水産委員会で可決いただいた、本会議で可決いただいたことを大変ありがたいというふうに思っております。

 こういった衆議院の農林水産委員会での論議もしっかり受け止めながら、これから参議院の方に回るわけでございますので、参議院の委員の皆さん方の御意見をしっかり拝聴しながら、よりよい農業基本法、こういったものの成立に向けて尽力してまいりたいというふうに思っております。

近藤(和)委員 今回の衆議院での採決に当たっては、ほとんどの会派が附帯決議を出した、ある意味、百花繚乱のような形になりました。これは、ばらばらということではなくて、多様な意見があるんだというふうにも考えることができるのかなというふうにも思います。

 そして、大臣が大所高所というようなことも言われました。これも大変重要なことです。ただ、大所高所だけではなくて、逆に、狭い分野も、そして低い、それこそ地べたをはいずり回るような、そういった意見も大変重要でございますので、どちらも酌み取っていただけるような議論をしていただきたいと思います。

 そして、一つよかったなと思いますことが、当初、この食料・農業・農村基本法の概要のような形が出てきたときには、新しい資本主義が一番上に、それこそ大所高所に飾られていた、これは皆様も御記憶にあると思います。そして、この委員会の中で何度も、新しい資本主義とは何ぞや、その関係とは何ぞやといったことを議論をしていく中で、今回の基本法の中ではほとんどその姿形が消えてしまった。これは、むしろ建設的な議論を積み重ねていく中で大変よかったなというふうに思っています。

 農家の方々は、猫の目行政に振り回されてきた、そういった農政に振り回されてきた。農林水産に関わる方々はそういった思いはないかとは思いますけれども、現場の方々は振り回されてきたという思いがございます。その中で、今の総理大臣が取ってつけたかのような概念が、まだ右往左往しているかのようなものをこの基本法の上に、若しくは土台に乗っけてきたということは、これは大変残念ではありましたし、それがなくなっていったということは、この国会での議論の意味も大変あったなというふうに思っています。

 それでは、質疑に入らせていただきたいと思いますが、まずは能登半島地震のことから伺わせていただきます。

 今、能登の状況ですけれども、珠洲市というところ、一番能登半島の先ですが、一番最近の情報でいきますと、約五千軒の中で水が通るようになったのは二千軒、まだ六割の御家庭に水が届いていないという状況でございます。

 そして、主要な道路だけでも、応急復旧をした道路も、しばらくすればまたがたがたになってしまっているという形です。特に、穴水から輪島、穴水から珠洲方面に行くとき、能登空港を使って能登に入ることもできるんですけれども、穴水から特に珠洲方面、能登空港から珠洲方面に行く場合には、コーヒーやジュースはペットボトルや蓋がないと車に積むことはできない、こぼれてしまうような、そういったまだ、がたがたに戻ってしまうという状況でございます。

 こういう状況の中で、皆様が、住まいを確保する、そしてなりわいを復活させようということで頑張っていらっしゃいます。

 坂本大臣には、発災以降、一月二十一日、そして二月四日、さらには、最近で四月十三日に被災地に視察に来ていただいています。この被災地の視察を受けての感想、そして決意、覚悟、そのようなことを今どのように思われておられるか、お願いをいたします。

坂本国務大臣 今委員おっしゃいましたように、三回視察をさせていただきました。視察をすればするほど、やはり厳しい、そして被害の甚大さ、そういったものを改めて感じました。

 熊本地震と同様のところは、やはり町並みも含めて家屋がもう全て倒壊している、そして、熊本地震と違うところは、やはり半島の地形の特殊性、狭隘な地形、こういったところで今後の復旧というのは非常にやはり難しいところもあるなというふうに思っておりました。

 そして、珠洲市の方に、奥の方に、先端の方に行けば行くほど、やはり厳しいというふうに感じました。珠洲市の道の駅に寄りましたけれども、市長が、つい一週間前に水が来たばかりです、トイレが使えるようになったばかりですというふうに言われておりました。町並みはもう全壊しておりましたし、港は、使えるものは使用されておりましたけれども、やはり、岸壁その他には大きな亀裂が入ったり倒壊をしたりしておりました。

 しかし、そういう中でも、水田につきましては、約六割ほどが作付できるという見通しがついたというふうに聞いております。そして、定置網あるいはベニズワイ漁、そして素潜り漁、こういったものも徐々に再開をされているというふうに聞いております。地元の皆さんたちの御尽力に敬意を表したいというふうに思います。

 そして、我々としても、穴水町に最前線基地として復旧・復興本部を設けました。そこの職員にも、先般、私の方から激励をしてきたところでございます。

 今後とも、県や市町等と緊密に連携を取りながら、そして被災地の声に寄り添いながら、一つ一つできるだけ速やかに、早急に復旧を果たし、それが創造的な復興につながるようにしてまいりたいというふうに思っております。

近藤(和)委員 ありがとうございます。

 昨日、違う案件で違う省庁の方とお話をしたんですけれども、その方は、たまたま珠洲市に一か月半応援に行っていただいていたそうです。寝泊まりはどこでしていたんですかと伺うと、車ということで大変心が痛みました。車とはいっても少し広めのキャンプカーだよということは言われていたんですけれども、ちゃんとした居住空間というか、出張していただく方の環境は本当に整えていただきたいなと思いますし、それらの方々の御努力に本当に感謝を申し上げたいと思います。

 そして、大臣が先ほど言われましたように、被害の違いというのは本当に、外浦であったり内浦であったり全く違います。視察されたところを大体拝見をいたしますと、やはりまだまだ行っていただきたいなと思うところがたくさんございます。

 例えば、同じ輪島であっても、さらに旧の門前地区ですね、そこも同じように隆起をした、もっともっと隆起が激しかったところでございますが、輪島港に集約するのかどうかといったことも含めて苦渋の決断にならざるを得ない可能性もあります。もちろん、その地域で漁業を再開してほしいという思いはございますけれども、二年後、三年後になってどうこうというよりも、早いうちから歩みを合わせていくことは大変重要ではないかなと思います。

 そしてまた、七尾でいきますと、去年、農林水産委員会で志賀町の西海というところと七尾の鹿渡島、この二つの漁港に伺ったんですけれども、ある程度漁業が再開をできているという中で、やはり、足りないものなどいろいろおっしゃっていただくことがあります。そして、市場が完全に修復し切っていないということ、私たち能登の人間にとってみれば、能登の方が捕ったのに違うところで水揚げをするということで能登ブランドが薄れてしまう、ただ、漁師さんにとってみれば収入が一円でも多い方がありがたいですから、地震を契機に更に能登ブランドが薄れてしまうということを大変心配をしています。

 そして、同じ被災地で金沢の隣の内灘町は液状化が大変激しかったんですけれども、こちらでいけば河北潟の酪農の方々ですね、水の補給が大変だった。そして、酪農だけではなくて、コマツナであったりスイカであったり、あとレンコンですね。ちょっと私も詳しくは、報道の限りしか知らないんですけれども、粘度が高くなって取り出すのが大変だ、きれいな形でレンコンを取り出すことができないといったお話も伺っています。そしてまた、ラッキョウであったりサツマイモであったりピーナツであったり、地割れの影響がどこまで出てくるか分からないといった地域もございますので、三回視察をしていただいています、大変ありがたいことです、更にまだ五月、六月、七月とございますので、それらの地域も行っていただいて、そしてさらには、一度行っていただいたところでも復旧の具合が恐らくそれぞれ違うのかなというふうにも思いますので、足しげく地域に通って、寄り添っていただけたらと思います。よろしくお願いいたします。

 おいしい食べ物、いっぱいあります。恐らく、一月と三月と四月では余り、能登産のものを食べる機会が少なかったのかなと思います。それは、まだ捕れないからということが大きいんですけれども、今の時期だけでいけば、カキがおいしいです。カキといえば冬のイメージがあるんですよね、寒い時期の。なんですけれども、カキ漁師の方々に伺うと、むしろ春の方がおいしいということを伺います。それは、気温と海水温のずれがあって、一月、二月が一番寒いんですけれども、海水が一番冷えているのは三月、四月だということで、そこに一番栄養価が集まって春のカキがおいしいということを聞いておりますので、七尾湾のカキのところはまだフルの生産はできてはいないですけれども、ある程度生産ができるようになっていますので、是非とも皆様に食べていただければなというふうに思います。

 それでは、次の質問に参ります。

 これは、農業関係者の方、また自治体からもいただいている要望でございますけれども、何年かかるか分からない、これは私が一番最初に大臣に質問させていただいたときに、港は何年後ぐらいに再開できるんですかということを申し上げて、そして分からない、まあ、今でも分からないという答えになってしまうと思います。

 その中で、農林水産に関わる機械ですとか共同利用施設などの復旧事業について、複数年度にわたって申請できるようにしてほしいと思うのですが、いかがでしょうか。

武村副大臣 お答え申し上げます。

 被災した農業用機械の再取得や修繕等を支援する農地利用効率化等支援交付金の被災農業者支援タイプ、また強い農業づくり総合支援交付金の被災施設整備等対策はいずれも単年度事業でありまして、事業実施年度内に事業を完了することが原則となっておりますが、繰越制度を活用して、令和六年度においても申請期間を設け、事業の実施期間を六年度まで延長したところです。

 農地利用効率化等支援交付金の被災農業者支援タイプにつきましては、引き続き、奥能登地域等の被害状況の把握等を踏まえまして、石川県庁とも連携をしながら、支援の受付を継続をしています。

 また、強い農業づくり総合支援交付金の被災施設整備等対策につきましては、本日、令和六年度予備費の使用が閣議決定をされたことから、要望調査を開始することとしております。

 早期営農再開に向けまして、できる限り今年度中に被害を受けた共同利用施設の再整備を進めることができるように、被災地に寄り添って対応をしてまいりたいと考えております。

近藤(和)委員 今年度はもう分かっている話というか、ありがたいことはありがたいんですけれども、気持ちとすれば、先ほど大臣が言われましたように、田んぼでも六割なんですよ。四割は作れないんです。ぎりぎりまで植える努力を皆さんもされる、そして行政の方もバックアップするということは伺っていますが、田んぼでも四割。奥能登に限定すれば、珠洲や輪島に限定すれば、もっともっと作れないと思います。そして、漁業であれば、海そのものを直すということですから、まずもって今年は厳しいと思います。

 単年度ではなくて、来年、再来年、更にその先も含めて、しっかりと支援をしていきますと、これは仕組み上、つくりましたというものはできないとは思いますけれども、今、政務を預かっている皆様であれば、せめてその覚悟というか、宣言は私は必要だと思うので、そちらはいかがでしょうか。

武村副大臣 七年度以降の取組につきましては、引き続き、寄り添いながら対応させていただきたいというふうに考えております。

近藤(和)委員 是非寄り添っていただけたらと思います。本当はもうちょっと答えは欲しかったんですけれども、何とかよろしくお願いいたします。

 それでは、次に参ります。

 種苗の調達等を支援する持続的生産強化対策事業、こちらについては、補助対象者であったり対象経費ですね、お米を移すということや個人の施設も含めてほしい、また、水路が、こちらが駄目になって別の水路から水を確保するときのポンプの費用など、こういった形で対象者や対象経費を拡大をしてほしいということなんですが、いかがでしょうか。

舞立大臣政務官 先生御指摘の持続的生産強化対策事業の件でございますけれども、この件は、早期の営農再開に向けまして必要となる生産資材等の調達や農作物の出荷の円滑化、産地再生に必要な農業機械等のリース導入等に必要な経費を支援しているところでございまして、個々の実情に応じていろいろな対応が考えられるというところもございまして、先生御指摘の産地からの御要望を、農水省といたしましても、現地に幹部職員や担当職員を継続的に派遣しておりまして、その実情をお伺いしながら、個々に丁寧に対応してまいりたいと考えております。

 今後とも被災地の実態をよく把握して、被災者の声もお伺いしながら、産地再生に全力で取り組んでまいりたいと考えております。

近藤(和)委員 個々に丁寧にしっかりと状況を伺っていきたいという御答弁を信じたいと思います。

 実際には、農林水産省に関わることではない別の省庁のことでも、やはりまだまだ現場では、冷たいなということは結構言われることがあるんです。国会の答弁で前向きな答弁をいただいても、現地ではそうじゃない、あれということで、私もその方と連絡することもありますので、今できないことでも寄り添ってみたら必要だよなということがあると思いますので、是非とも柔軟な対応をお願いをしたいと思います。

 次ですけれども、今年はもう収入がほとんどないという農家、そして漁業者、森林に関わる方もそうだと思いますが、そのような方々に対して、収入保険であったり、また、漁業共済など様々な策があるわけでございますが、今年は収入が少なくてもこういったもので賄えるにしても、じゃ、来年。来年は辛うじてまだこの仕組みでは維持できるかもしれない。ただ、じゃ、二年後、三年後、四年後ということになると、がらりと風景が変わると思います。

 こちらに対しても、しっかりと支援をしていただきたいんですが、いかがでしょうか。

武村副大臣 お答え申し上げます。

 今の先生の御質問ですが、震災の影響で作付ができず、令和六年の収入が大幅に減少した場合に、翌令和七年の基準収入が大幅に下がってしまうのではないかという趣旨でお答えをしてもよろしいですか。(近藤(和)委員「はい」と呼ぶ)

 収入保険の基準収入の設定に当たりましては、令和六年加入者から気象災害特例を導入しておりまして、被災した年の収入実績を基準収入の八割まで引き上げて補正をすることが可能となっております。

 今回の能登半島地震によりまして、令和六年の収入実績が大幅に減少した場合も、令和七年の基準収入の設定に当たりましては、本特例により、震災で大きな被害を受けた令和六年の収入を基準収入の八割まで引き上げて算定することが可能となっております。

近藤(和)委員 来年は、今年がゼロだったとしても八割ということですよね。八割あったとしてカウントして、計算するということだと思います。

 では、令和八年はどうなるのか、令和九年がどうなるのかということも含めて、答弁としては、明確に全部やりますということは言いづらいかもしれないですけれども、こちらについてもしっかりと考えていきますということをおっしゃっていただきたいんですが、いかがでしょうか。

村井政府参考人 お答え申し上げます。

 共済にしても、収入保険にしても、保険なり共済という制度の性質上、明らかに作付ができないというケースの場合はなかなか対応が難しくなるケースがあるんですけれども、ただ、今、副大臣の方から答弁のありました災害の場合の特例につきましては、加入できる条件を満たした方については、八年度以降もその特例は適用が可能であるというふうに御理解をいただければよろしいかと思います。

 したがいまして、七年が加入をしたけれども結局ゼロだったというようなケースについて、八年、加入された方、六年、七年度分については、災害の場合の特例を使って八割まで戻すというような形で算定することになろうかというふうに認識をしております。

近藤(和)委員 局長、令和八年も八割というカウントでできるんでしょうか。ちょっと今の答弁だと微妙だったんですけれども。今年の部分が八割ということは、これは副大臣からも答弁いただきましたけれども、七年であったり八年も、例えば、営農であったり漁業をやろうという準備をしていたけれども結果的に収穫がなかったといったときに、同じように、七年も八年も八割、八割というカウントがしていただけるのかということをお願いいたします。

村井政府参考人 お答え申し上げます。

 収入保険は、過去五年間の収入実績によって基準収入を算定するということが基本にはなりますけれども、今先生の方からお話があったような、八年に作付けた場合、七年はなかなか作付ができなかったという仮定の下でお答えさせていただきますと、経営面積が拡大する場合には、要件を満たせば規模拡大特例というものが適用できるということになっております。拡大した面積を基に基準収入を算定するということになります。

 自然災害に被災した場合に、複数年作付ができない場合には、これらの年は経営面積が大幅に減少しているということになります。復旧後、経営を再開する時点で経営面積が拡大をするということになりますので、多くの場合、この規模拡大特例が適用できるものというふうに我々は考えております。

 本特例によれば、今回の震災により、例えば令和六年、七年の二年間作付ができずに令和八年から営農を再開する場合には、令和八年の基準収入は営農再開時の面積を基に設定をするということになろうかと考えております。

近藤(和)委員 ある程度は考慮していくというふうに受け止めました。ありがとうございます。

 ただ、ちょっとひっかかりますのが、これは答弁は求めませんが、規模拡大ということですね、頑張っている人は自然と今、規模拡大してくるんですよね。なぜかといいますと、離農が進んでいるから、皆さんに頼まれて。でも、今の能登の状況でいきますと、田んぼが崩れたり、また、崖崩れで田んぼが埋もれてしまったり、極力田んぼを再開しようと思っても、去年の田んぼの面積と同じようにはいかない、スタート地点が縮小してしまっているということでございますので。手を挙げていらっしゃいますね、どうぞ。

村井政府参考人 お答え申し上げます。

 被災によって作付ができなかった場合には、できなかった時点での面積というのを基に、再開したときに、じゃ、どれだけ作付しているか、その面積を要するに拡大したというふうにみなして適用するということになりますので、元々の経営面積より拡大していなければ適用できない、そういう趣旨ではないということで御理解をいただければと思います。

近藤(和)委員 ありがとうございます。

 漁業も同様に考えてよろしいんでしょうか。

森政府参考人 お答えいたします。

 漁業につきましても、漁業共済、積立ぷらすという仕組みがございます。積立ぷらすの基準につきましては、いわゆる五中三、五年のうち三年というような形になっておりますので、例えば、災害を受けた年というのはそもそも基準年から外れるということがございますが、他方、具体的に、操業再開の状況に応じて共済組合と漁業者が契約をするということになりますので、来年どういう操業計画が立てられそうかといったことを踏まえて、組合の方でも柔軟に対応はしていただいていこうとしているというふうに認識をしております。

 また、漁業については、先ほどから御指摘のとおり、港がなかなか使えないとか、そういったときに、例えば、船が残っていれば、別の港を基点に操業ができないかどうか、あるいは、船が再開できるまでの間、例えば共同での操業ができないかどうか、こういったことも現場でいろいろ検討をされているというふうに伺っておりますので、なるべく操業を通じての収入機会が得られるよう、農林水産省としても様々な形で後押しをしていきたいと考えております。

近藤(和)委員 明確に、じゃ、令和八年、九年といったところはお答えいただかなかったんですけれども、恐らく、漁業の方がもっともっと長い期間で考えていかなくてはいけないのかなというふうに思います。

 よく一般的に、農業は、御高齢の方が趣味で行うことそのものが健康につながり、そして幸せにつながり、別の意味の農福連携という捉え方ができると思います。

 実は漁業もそうなんですね。もちろん、農業よりは、海に落ちるとか、天候によっては危険な目に遭うということもありながらも、漁業を、稼ぐということだけではなくて、楽しみとして行うことによって地域に活力をもたらしていただくということも十分意味がありますので、今年や来年が無理でも、再来年やその次にも、できれば稼ぎたい、できれば体を動かしたい、みんなに魚を配って喜んでもらいたい、そういう方もいらっしゃるので、漁業の方が時間がかかると思いますので、長い目で御支援をお願いをしたいと思います。

 それでは、次の質問に参ります。

 輸送コストがかかるという点で、今日もこやり国交政務官にお越しいただきました。ありがとうございます。先日は、珠洲の漁師さんが魚を水揚げをして、そして金沢の港まで運ぶときに、道ががたがたでトラックにいっぱい魚を積むことができないから輸送コストが上がってしまう、自分たちも負担が上がるのは困るし、運送業者の方に負担を強いるというのもこれもつらい、支援をお願いします、そういったお話をいただいた上で、一月近く前に質問をさせていただきました。

 こやり政務官からは、個別に、被災地の運送事業者においてもきめ細かく今お声を頂戴しているところでございまして、必要に応じてしっかりと対応してまいりたいというふうに思いますと。私は、この答弁は大変ありがたかったと思います。

 そして、先日は、酪農をされておられる方、この方も奥能登の方なんですけれども、牛乳をタンクローリーに運ぶことに対して、やはり今、運送業の方も大変厳しいですし、酪農家の方も減ってきているので、今までタンクローリーが三台あったらしいです、それが今二台になってきているということで、自分たちも運送費が高くなってしまう、そして、運送事業者の方も、牛乳は満ぱんに入れることができるらしいんですけれども、魚と違って、なんですけれども、その事業者の方も苦しんでいる、この事業者の方への支援ということが大変重要だということで、お求めがありました。

 先日の答えと含めて、現状どこまで進んでいるのかということを伺いたいと思います。

こやり大臣政務官 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、輸送事業者の皆さんは、先生御指摘の農畜産物を始め様々な物資を輸送することによって被災地の復興を支えていただいております。

 そうした輸送事業者、運送事業者の皆さんが、やはり、基本的に持続的な事業展開、これを見渡せる、あるいはしていただく、そうした環境整備が何よりも国交省としては大事であるというふうに考えており、今、取引環境の適正化に向けた取組を強力に進めているところでございます。

 本年三月にも標準的運賃を見直して、運賃水準を見直したり、あるいは荷役作業等々、運賃項目を追加をするなど、取組を進めているところでございます。

 また、今国会で審議をいただいておりますけれども、物流の効率化であったり、あるいは多重下請構造、これを見直していくといった環境整備、これも進めているところでございます。

 何よりもまず現場の皆さん、先生も今御指摘ありましたけれども、声を聞きながら、こうした取引環境の改善、これを進めていくと同時に、被災地の復興を担う輸送事業者が適正に事業を営むことができるよう、コストをしっかりと収受できるように引き続き取り組んでまいりたいというふうに思っておりますし、被災地の皆様にも耳を傾けながら取り組んでいきたいというふうに考えております。

近藤(和)委員 ありがとうございます。

 それでは、農水省に伺います。

 この輸送コストということについては、私も、先日の委員会の中で二〇二四問題、特に、食料の自給率を支えてくれているのは地方である、そういった観点から質問をさせていただきました。そして、坂本大臣からは、基本法の質疑でございましたので、今回の基本法改正案におきましては、食料の円滑な入手の確保について、新たに改正案第十九条を、これは食品アクセスのことでありますけれども、規定し、そして中継拠点の、物流拠点の整備やモーダルシフトの推進、そして食料の輸送手段の確保の推進を図る旨を規定したところでありますという御答弁がございました。

 これは、基本計画でどうこうということを私は答弁を求めたいのではなくて、先ほどのお話を聞いていただいた上で、輸送手段の確保の促進ということを被災地の目線で大臣に何とかしてほしいと今訴えるんですが、いかがでしょうか。

舞立大臣政務官 被災した酪農家の方の生乳の輸送コストへの支援の件だと思いますけれども、生乳の輸送コストにつきましては、加工原料乳生産者補給金制度によりまして、地域からあまねく集乳する義務を負う指定生乳生産者団体が集荷する際に、そのコストをプール計算して平準化することで、個々の酪農家ごとの輸送条件の違いにより有利、不利が生じないように交付しているところでございます。

 このため、生乳の出荷に係る輸送コスト自体への直接的な支援は行っておりませんが、被災した個々の酪農家の皆様の経営継続を支援するために、断水時の水の確保に要した揚水ポンプですとか停電時の電力確保に要した発電機の借り上げ、また、生乳の出荷が可能となるまでの乳房炎等の予防管理等に対する様々な支援を講じさせていただいておるところでございまして、引き続きできる限りの対応をしてまいりたいと思っております。

近藤(和)委員 様々な支援策については、特にこの輸送コストというところについては、全体的なコストのところでは、去年の景気対策の分だということだと思いますが、直接的には、輸送ということに対しては農林水産省としてはタッチをしていないのかなというふうに受け止めました。

 そこで、国交省にもう一度伺いますけれども、先ほどの答弁の中で、取引関係の適正化という言葉、その後段の部分は何とか頑張ってほしいというふうに思うんですけれども、この取引関係の適正化というのは、一般的に見れば、強者と弱い立場の、これを適正化していこうということなんですね。奥能登を想像していただければと思いますが、酪農家の方も、漁業関係者の方も、運送業の方々も、強者じゃないんですよ、今弱っているんです。

 ですから、この適正化というところは少し、少しというか、違和感がありますし、違う形での適正化ということは意識していく必要があると思うんですが、いかがでしょうか。

こやり大臣政務官 お答えいたします。

 先生御指摘の、被災地の皆様が弱っておられるというような御指摘がございました。強者と弱者ではないというような御指摘もございましたけれども、トラック事業者を始め運送事業者、これは被災地に限りませんけれども、やはりしっかりとしたコストに見合った運賃をいただけていないという構造的な問題がそもそも根強く残っている。

 こうした問題をまず国交省としてしっかり取り組まなければならないという観点で先ほども答弁をさせていただきましたけれども、トラック事業者の皆さんに寄り添いながら、しっかりとコストを収受できるような、そうした環境を、これは被災地も含めてですけれども、形成をしていく、これがやはり何よりも大事であるというふうに考えております。

 地域によってもいろいろ事情が異なるということは事実でございますので、そういう意味で、現場のお声も大事にしながら、これからも、ちょっと取引環境という言葉が硬いというイメージがあるのかもしれませんけれども、その環境を改善するためにしっかりとした取組をしていきたいというふうに考えております。

近藤(和)委員 ありがとうございます。

 しっかりと地域の実情に合わせた形で国交省にはお力添えをいただきたいと思いますし、実際には、農業、漁業などをされておられる方々への、この輸送コストといったところは、これはやはり、農林水産省も共同体だということで、しっかりと支援をお願いをしたいと思います。よろしくお願いいたします。

 こやり政務官、こちらで大丈夫です。どうもありがとうございました。

 それでは、次の質問に入らせていただきます。

 先週から更にまた円安が進んできています。実際には、この為替の動きというのは、これはもう予想しても致し方がないぐらい、いつも逆、逆に行くことが多いんですけれども、残念ながら、今、三十四年ぶりの円安更新ということでございます。

 それで、資料の一を御覧いただきたいと思います。これは私がいつも使わせていただいている資料なんですけれども、令和三年度と比べてなんですけれども、左側の国産五八%、輸入四二%と書いてございますが、これは消費額での構成で、括弧は去年の数字です。実際には、令和三年度、六三%から国産の割合が五八%に減ってきているということで、よくカロリーベースと、あとは生産額ですね、消費額とは少し違いますけれども、生産額での自給率の違いは、生産額はそこそこあるよねという見方だったんですが、やはり、大半が輸入に頼るという日本の現状で考えてみれば、為替の問題というのは、先日、大臣には質問をさせていただきました。

 これは特に畜産関係の方々ですね、飼料や、農家の方の肥料への対策が今後必要ですということで質問して、大臣からも、支援すべきところは支援をしていかなくてはいけないというふうに思っておりますという答弁はいただきましたが、日本の食そのものが、円安での危機的な意識をしっかりと持っていかないといけないというふうに思います。

 次のページは、これは、先ほどの日本の食料の輸入の、上から順番に、米国からロシアまで為替チャートを引っ張ってきたものですが、御覧いただいているように、この五年間でいきますと、ほとんどが円安になってきている。おかしな行動をし続けているロシアも、瞬間的にルーブルは下がりましたけれども、今となっては、対円としてはほぼ同じ水準まで戻ってきています。

 肥料、飼料のみならず、円安への対策、準備を、農林水産省としてはもはや準備をしていく必要があると思うんですが、いかがでしょうか。

坂本国務大臣 今言われました生産額ベースの食料自給率について見ますと、資料でも見させていただきました、前年度より五ポイント低い五八%となりましたけれども、これは、インフレによる海外の食品価格の上昇や、円安による輸入額の増加等が原因と考えられます。国際価格の上昇等によります輸入リスクの増大に対応するためには、輸入品から国産品への切替えを一層進める必要がありますので、国内生産基盤の強化を図っているところでございます。

 その中で、やはり、一般的に言いますと、円安方向になりますと、畜産の場合を含めまして、原料が海外依存する場合には価格が高騰いたしますので、先般の御質問に対しまして、私も不安を感じているというようなことをお答え申し上げました。

 しかし、為替のみならず、国内外の資材の供給や価格の変動等にも大きく左右をされますので、現在の円安傾向が一次産業に与える影響につきまして予断を持って言及することは今控えさせていただきたいというふうに思いますが、今の時点におきましては、配合飼料につきましては、アメリカのトウモロコシの豊作によりまして国際相場が落ち着いております。令和六年度第一・四半期の配合飼料価格は下げ改定が行われたところであります。また、肥料につきましても、国際的な肥料原料の相場が安定してきたことを受けて、国内の小売価格も落ち着いてきているところでございます。

 引き続き資材価格の動向を注視しつつ、過度に輸入に依存している状況からの転換を進めることが経営上の安定を図る上で重要であると考えておりますので、引き続き国内資源の利用拡大を強力に推進してまいりたいというふうに思っております。

近藤(和)委員 為替のことは本当に予測はつきませんけれども、この状況があと半年続けば、相当厳しい局面に入るのかなというふうに思っています。事前の対策をしっかりとしていただきたいと思いますし、為替の先行きは読めません。そして、トウモロコシ、海外での生産物が豊作になるか凶作になるかというところは、これは我々ではどうしようもできないですから、やはり、国内での供給、こちらはある程度読めるわけですから、こちらに対しての支援を更に意識を強めていく必要がある。

 今後の参議院での基本法の質疑であったり、また基本計画は、為替といったところの、大変厳しいんだと。例えば、一ドル二百円になったら、恐らく、輸入と国産の割合も完全に、生産額ベースでも入れ替わってしまうのかなというところは危惧をしておりますので、こういったところも是非とも意識をしていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 それでは、次の質問に参ります。

 これは、先日も大臣に少し伺わせていただきましたが、三月二十六日に公表をされました農林中金の調査、資料の三でございます。

 先日質問をさせていただいたときには、消費者の八割の方が課題があると思いながらも、食料供給に不安だと思っている人は二割しかいなかったということに対して、大臣は、そういう消費者の方々との意識のずれが少しあるのかな、そういった御答弁をいただきました。

 今日はもう一つ別の話題です。こちらの方が私は深刻ではないかなと思うんですけれども、問いの十、あなたは次世代を担う子供たちに農業を職業として勧めたいと思いますかというところで、消費者と生産者、実際には、勧めたいという人よりも勧めたくないという人の方が多い、これが悲しい現実なんですけれども、もっと悲しいのは、生産者の方が勧めたくないと思っているんですね。ここをやはり真剣に受け止めていく必要があると思います。

 そして、右下の方でいきますと、職業として勧めたくないと思う理由で、所得水準が低いというところが七五・三%、そして、経済的な成長性が低いと思っている方が三七%。もう、なりわいとしている方が、息子や娘に継がせるわけにいかぬというふうに、一般の、農業をされている方以外よりも、むしろ継がせたくないと思っているわけですね。

 この点について、大臣、どう受け止められますでしょうか。

坂本国務大臣 農林中金が実施いたしました日本の農業の持続可能性に関する意識調査、その中で、子供世代に農業を職業として勧めたいと思うかということで、生産者が二割という結果になったこと、これは承知をいたしております。

 職業として魅力を高めるためには、まず、賃金を上げること、それから、農業への関心を喚起すること、そして、省力化をして作業負担を減らすこと等が挙げられます。

 そういうことを考えた場合に、やはり、農業の所得を向上させるためには、経営判断をしっかりして、付加価値の向上により収益性の高い経営を実現すること、そして、スマート農業等の推進によりまして農業の生産性の向上、こういったものを図ること、これをやはり強力に進めていかなければいけないというふうに思っております。

 政策的には、令和四年度から実施しております新規就農者育成総合対策に加えまして、若手農業者が農業の魅力を語ります情報発信の取組等を実施することにより、新規就農者の確保を一層推進してまいりたいというふうに思っております。

 私が先頭に立ちまして、若い方々に、農業のすばらしさ、農業のやりがい、そして工夫をすればしっかりと所得を上げることができる、そういったことをアピールしながら、後継者育成というものを図ってまいりたいというふうに思っております。

近藤(和)委員 この賃金を上げることということについては、これは今、賃上げの機運が世の中では高まっていて、来月か再来月かぐらいには、ようやく二十数か月ぶりに実質賃金はプラスになる可能性が出てきています。これは私も期待をしているところでございますが、一次産業に携わる方々が置き去りになる可能性がありますので、そこは是非ともしっかりと見ていただきたいと思います。

 あとは、実際には、コストという点で、一年ぐらい前に質疑させていただきましたが、田んぼをされている方が、どれくらいの広さであれば、コストが幾らで、今のお米の値段で黒字か赤字かといったことについては、これは農林水産省と私の聞いている限りの方々とではかなり乖離があります。農林水産省は黒字だと言いますし、私の知っている方は赤字だというふうに言っています。二十ヘクタール以上されている方なんですけれども。これは、大規模化の限界なのか、若しくは、更なるコストダウンできるところが政策的にも応援していくことができるのか、こういったことも含めて、今後議論をしていきたいなと思います。

 そして、先ほど大臣は情報発信が大事だということは言われました。私も、この資料の中で救いもあると思いました。左下のところですね。自分のペースで仕事ができる、七割、そして、生き物を相手にした仕事であるといったところが、これはそこそこあるなと。実際に農業をされておられる方々が感じていることでもございますし、あとは、農業をしていない方が、経済的に成長性があるということで、農業をしている方よりも少し、現実が分かっていないからかもしれないんですけれども、前向きに考えてくれていらっしゃる方がおられるということだと思いますので、何とか、マイナス面だけではなくて、プラス面での情報発信もしっかりとしていただきたいと思います。

 それでは、最後の質問になります。済みません、半分もできていないんですけれども、年金についての質問をさせていただきます。

 農業者年金について、二〇〇二年から二十年以上たちます。大変重要だと思います。議員の皆様も国民年金で、基礎部分の部分だけではなくて、更なる二階建ての部分も入られていらっしゃる方もおられると思います。この農業者年金につきましては、一万円までの国庫補助があるんですよね。これも大変大事なことだと思いますけれども、基幹的農業従事者二十三万人に対して、現役で支払われている方はたったの四・四万人ということで、かなり少なく感じます。

 加入状況についてどう受け止めているか、少ないのであれば、何が必要なのかということを伺います。

舞立大臣政務官 先生御指摘のとおり、今の加入率は約二割でございまして、十年前の加入率約一割からは増加しているものの、加入推進、促進を図っていくことが重要と考えております。

 このため、この農業者年金制度を運営する独立行政法人農業者年金基金に対しまして、令和五年度から五年間の中期目標において、今後の農業を支える若い農業者や女性農業者に重点的に加入推進を図る旨、指示したところでございまして、現在、その方針に沿って、加入推進の取組が図られているものと承知しております。

 今後とも、この農業者年金基金ですとか、その業務受託機関でございます農業委員会の系統組織、農協系統組織と一体となって、加入推進が図られるよう努力してまいります。

近藤(和)委員 特に農業に関しては、御高齢の方が、年金のおかげで農業をやっている、年金を取り崩して農業をやっているという方、たくさんいらっしゃいます。

 今本当に心配をしているのは、農業をずっとされている方々が、じゃ、本当に七十、八十になって農業を続けようとしたときに、少ない年金で更に農業をしていただくことの厳しさですよね、これを大変心配をしておりますので、たくさんの方に入っていただけるように推進していただきたいと思いますし、更なる付加部分、これは国民的な合意が必要だとは思いますけれども、農業、漁業ができなくなれば日本は滅ぶんだというくらいで、しっかりとこの仕組みも更に強化をしていけたらと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。

 準備した質問ができなくて失礼いたしました。ありがとうございました。

野中委員長 次に、一谷勇一郎君。

一谷委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の一谷勇一郎です。どうぞ本日もよろしくお願いをいたします。

 農業基本法が衆議院では可決をされました、修正可決ということなんですが。私は、北海道の地方公聴会の方に派遣をしていただきました。大変勉強になりまして、そこでお会いした方が何人かいらっしゃったんですが、特に私は、セコマグループの代表取締役の方にお会いできて、大変いろいろ勉強になりました。

 このセコマさんは、二〇一八年九月に起こった北海道の胆振東部地震の際に、ブラックアウトと言われる広範囲な停電が起こった。ただ、その停電が起こったときにでも、ホットシェフという作りたてのお弁当を皆さんに配ることができて、非常に、今後の災害対策に対して、こうあるべきだという姿勢を示されたと思うんですね。今は、災害対策には、やはりスマートフォンの活用と、こういったコンビニエンスストアの活用、これが非常に重要じゃないかというふうに言われていると思います。

 そこで、様々なお話をお聞きしたんですが、このセコママートの代表取締役の方が、非常に興味深いお話をしていただきました。それは、月における売上げなんですけれども、これが、二〇〇六年から、以前と現在とでは変わっていると。

 最も売上げが上がるのは、年金支給日に高齢者の方がお弁当を買われるということなんですね。やはり、高齢化も進んできていますし、独居の方も多いということで、お弁当を買われる方が非常に多いということで、手頃な総菜を販売をしているということなんですが、かなり細かく分析をされていまして、高齢者の方が買われるお総菜の量では、多分、高齢者の方の取らなければならないカロリーを摂取できていないのではないかということでした。エンゲル係数がかなり上がってしまって、三食食べないといけないところを二食にしてしまうであるとか、三食食べているけれども量が減っているというところを、売上げを見て判断ができるというお話だったんですね。

 私はこの分野が専門でずっとやってきているんですけれども、高齢者の方の老化を防ぐためには、どれだけ食事をするか、カロリーを取るかということは非常に重要ですし、血中のたんぱく量が減ると認知症が進むという、これはかなりしっかりとしたエビデンスも出ています。ですから、高齢者の方がやはり買い求めやすい食料価格というのが重要なんだというふうに思います。

 先日の予算委員会で、総理が他党の先生の質問の回答に、消費者の方々にも生産の現場の事情をしっかり理解していただくことは重要であると思います、生産する側も消費者のニーズというものをしっかりと思うことが重要であり、そういった意思疎通をベースとしながら、合理的な価格形成の仕組み、これを法制化も視野に入れながら考えていきたいというふうに答弁をされました。

 この合理的な価格というものはこれから法制化されていくということですが、私の認識では、多分、食料品の価格が上がっていくんだろうなというふうに感じています。そうすると、年金で生活しておられる方々の食料を購入するというエンゲル係数が更に上がってしまうので、非常に難しい問題だなというふうに感じました。

 ただ、しかし、先ほど近藤先生からもありましたように、次世代の子供たちに農業を継がせたいかということに対しては、やはり収入が安定しないということで継がせたくない、不安だという声があれば、ますます就農者の方が減っていくというところで、板挟みの状態だと思うんですね。

 そこで、私は少し考えたんですが、農業の土地を利用して更なる副収入を得ることができるのではないかというふうに調べましたら、ソーラーシェアリングという、営農型太陽発電というのがあるというのを知りました。これは、農林水産のホームページにも非常にうまくできた動画が載っていまして、四アールの広さで大体二千万円の投資をして、十二年間で返済する、当初五キロワットだったのが、やってみると、六キロワット、約二〇%アップで推移しているということで、非常にうまくいっているというふうに動画が出ていました。

 また、大学のベンチャー企業では、ここはしっかり売上げのことも書いてあったんですが、一ヘクタールの農地でソーラーシェアリングを行うと、農産物の売上げとしては最大でも年間三百万程度、手元に残るのが百五十万程度ですというふうに書いてあります。対して、売電売上げは何と二千四百万程度であり、一千二百万程度が手元に残るということなんですね。通常、一ヘクタールの畑は〇・五人程度で管理するので、これを一人でやれば、電力収入と農産物収入を合わせて年間一千四百万の収入が得られるというふうに書いてありました。

 これは非常に有効ではないかなというふうに思いますので、是非これを進めるのを後押ししていただきたいと思うんです。ただ、ちょっと気になったのは、近隣の農地の収量、売上げの八〇%を確保しなければならない。ソーラーパネルの下に農産物を植えて、それが近隣の収量、売上げの八〇%を確保しなければ駄目だ、この基準をクリアしなければ途中で撤去しなければならないという厳しいルールがあるというのもお聞きして、これはルール的にかなり厳し過ぎるのではないかなというふうに感じています。

 大臣に質問をさせていただきたいんですが、本当に高齢者の方の食べ物を、どういうふうに年金の中で食べていただくかという問題もあると思うんですが、就農をされる方の利益を増やすというところで、ソーラーシェアリングについてどういうお考えを持っているか、お聞かせいただけたらと思います。

坂本国務大臣 今言われました、いわゆる営農型太陽光発電は、農業生産と再生可能エネルギーの導入を両立する取組であり、今後とも優良農地は確保しながら地域活性化に資する形でその導入を進めていく必要はあるというふうに考えております。

 本取組は、今委員言われましたように、農業収入に加え売電収入を得ることによる農家所得の向上のほかに、非常時の電力供給、それから電動草刈り機での利用といった役割も期待できるというふうに考えております。

 ただ一方で、近年、発電に重きを置き、営農がおろそかになっている営農型太陽光発電が散見をされます。一番問題なのは、やはり、農業者が太陽光の下で農業をやるということではなくて、発電事業者が太陽光パネルの下で、形だけ、高麗ニンジンとかあるいはサカキとか、こういったものを植えるだけというような、形だけの営農型発電というのがかなり大規模に見られることは事実でございます。

 農林水産省といたしましては、農業生産と発電の両立が重要であるというふうに考えております。発電設備の下における地域ごとの最適な栽培体系の検討を行っていただく取組の支援、それから取組支援ガイドブックを作成をする、さらには事業化を目指す農業者に対する相談対応を行うこと、こういったものを通じまして営農型太陽光発電の適切な導入というものを後押ししたいというふうに思っております。

一谷委員 制度を利用してというところは大臣がおっしゃるとおりだというふうに思います。ここはうまく制度をつくっていただいて、是非、就農者の方の所得が上がるようにしていただきたいというふうに思いますし、八〇%というのはなかなか厳しい数字だなと思いますので、そこは何かいい知恵が出たらなというふうに考えます。

 続きまして、カーボンファーミングの話をさせていただきたいと思います。

 これも、私に農業のことを教えていただいておられる方も、今度、炭をまこうと思っているんだという話からちょっと調べてみたんですが、Jクレジットの観点から、バイオ炭をまいて農家の収益改善や環境を変えていくというところで、日本でも二〇五〇年までに一・五兆円ぐらいの経済効果が出るのではないか、市場が広がりそうではないかというふうに書かれていました。

 少し問取りでこの一・五兆円というのをお聞きすると、そこまではいかないんじゃないかというお話だったんですが、ただ、物すごくこれも農家さんの副収入になるのではないかというふうに考えますので、このカーボンファーミングの進み具合、現在、五件ほどしかまだ取り扱っていないというふうにお聞きするんですが、取り扱いにくい問題点等も含めて、政府参考人の方にお伺いをいたします。

東野政府参考人 お答え申し上げます。

 バイオ炭の農地施用につきましては、温室効果ガスの削減のみならず、土壌改良効果などのメリットがございますことから、農林水産省では、みどりの食料システム戦略やみどりの食料システム法、当省の地球温暖化対策計画にこれを位置づけまして、推進しているところでございます。

 また、二〇二〇年からは、Jクレジット制度の対象取組にバイオ炭の農地施用を加えまして、取組を後押ししているところでございます。

 こうした中で、農業分野のJクレジット制度におきましては、削減活動一つ一つが小さいことから、農林水産省では、複数の農業者の削減活動を取りまとめまして一つのプロジェクトといたしますプログラム型プロジェクトの仕組みの活用を推進しているところでございます。

一谷委員 カーボンファーミングについては、土壌炭素蓄積量の正確な把握が困難だという問題点もあるというふうに指摘をされておりました。

 北海道の公聴会で、ファームノートグループさんも来られていまして、大変人材の確保がうまくいっているということだったんですが、その意味は、実は、今の若い方々は、お金を得るということも大事だけれども、SDGsの観点で、私たちは環境にいい仕事をしているということも物すごく働く意欲につながるそうなんですね。ですから、是非、このカーボンファーミング、Jクレジット、脱炭素化に向けて、生物多様性にもつながっていくと思いますが、そういった視点でも広報していただければ、非常に若い方の農業への目線というのが変わってくるのではないかなというふうに思います。

 もう一つ、ファームノートグループさんも畜産でJクレジットに取り組んでおられるそうなんですが、非常に、収益が上がるまでに十年、十五年とかかるということですので、やはり、できるだけ収益化がスムーズにできるような制度、体制も、もう考えておられると思うんですが、していただくことが重要ではないかなというふうに考えました。

 それでは、時間が余りありませんので、次の質問は一括でさせていただきたいと思います。

 圃場管理のIT化、あと、定型業務の効率化と言われるRPA、そしてGAPと言われるような農業生産過程の管理、こういったものについて政府はどのように取り組んでいかれているのか。特に、令和二年度、農林水産省の資料によりますと、ロボティック・プロセス・オートメーション、RPA等導入及び運用に関する調査というのがされていましたが、こういった単純作業をいかにロボットにやっていただくかみたいなところ。

 高齢化が進んでいますので、非常に農業の分野にこういったものを定着させるのは難しいと思いますが、御意見を、もう時間がないので、端的で結構ですので、お伺いできたらと思います。

東野政府参考人 お答え申し上げます。

 今後の農業者の急速な減少に対応して、農業の生産性の向上を図っていくためには、スマート農業技術の活用が不可欠でございます。

 これまでに、全国で二百十七地区でスマート農業実証プロジェクトを推進してまいりました。その結果、省力化や労働の負担軽減など一定の効果がある一方で、様々な課題も分かってきたところでございます。

 このため、今国会に提出させていただいておりますスマート農業技術活用促進法案では、これらの課題に対処するため、計画の認定制度を設けまして、農業者や事業者に対しまして支援措置を講ずることとしております。

一谷委員 我々維新も農業タスクフォースというのをつくってしっかり勉強をしておりますので、私は、こういったITやICTの分野から農業改革というのを考えていきたいと思います。

 委員長、質問を終わります。ありがとうございました。

野中委員長 次に、掘井健智君。

掘井委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会、共同会派の掘井健智でございます。

 それでは、質問します。

 食料の安全保障を平素から守る上で、農地を守ることは、ふだんからの取組で非常に大事なことであります。これから、改正基本法が成立すれば、兼業農家さんの農地も戦力と考えつつ、大規模化でありますとか、また効率化に努めていくことになります。優良農地の確保と効率的な農業経営は、本当にこれからの課題であると思っております。

 食料安全保障に対応するためには、生産基盤の安定に努める必要があります。

 食料安全保障上の農地の生産目標についてお伺いしたいと思いますが、これまで、食料自給率が四五%の根拠として、それぞれの作物の生産目標を立てておられます。改正基本法の下で、国内の米、小麦、大豆、この必要な穀物、これをどれぐらい生産していくのか。細かい数字はこれからかもしれませんけれども、改正法が、変わったということも含めて、心構えというか、そういうことも含めてお伺いできたらなと思います。よろしいでしょうか。

    〔委員長退席、古川(康)委員長代理着席〕

坂本国務大臣 我が国の安全保障強化のためには、我が国で自給可能な作物でございます米につきましては、需要に応じた生産を行い、必要量を安定的に供給すること、これがまず大前提でございます。そして、輸入依存度の高い小麦、大豆につきましては、生産拡大を進め、国内の農業生産の増大を図っていくということが不可欠であるというふうに考えております。

 直近、令和五年におきましては、主食用米は、現在の需給見通しを踏まえまして、六百六十一万トンが生産をされております。小麦は、百九万トンと、現在の基本計画で策定した令和十二年度の生産努力目標百八万トンをもう既に上回っております。大豆は、令和十二年度の生産努力目標三十四万トンに対しまして、既に二十六万トンと順調に増加をいたしております。

 今国会で食料・農業・農村基本法改正案が成立しました暁には、それらを踏まえまして策定されます次期基本計画で、これまでの国内外の需要トレンドや生産状況を踏まえまして、需要に応じた米の生産努力目標を設定します。そして、同時に、小麦、大豆につきましては、自給率を引き上げていくために、作付面積の拡大に係る意欲的な目標を設定していく考えでございます。

掘井委員 米のことはこの後聞きますけれども、ちょっと再質問、よろしいでしょうかね。

 政府参考人の方で結構なんですけれども、これまで、自給率が四五%というこの数字が残念ながら達成されておりません。危機管理のためにこれから一層シビアにこれに取り組む必要があると思うんですけれども、先に食料自給率を出して生産計画を立てていくのか、それとも、ある程度、各農作物の現実的な生産可能目標を積み上げて考えていくのか、その考え方についてちょっと教えてほしいと思うんですけれども。

平形政府参考人 新しい基本法案、今回、基本法の改正案を提出させていただいて、今審議をしていただいているところでございます。その中で、次の基本計画をどのような形にするのかということ自身も、やはりこういったところで議論をしていただくということになります。

 委員おっしゃるとおり、積み上げていく方法というのもございますし、また、ある程度、その結果として、自給率、カロリーベースでどのぐらいなんだ、あるいは何かほかの指標でどうなんだという切り口もありますので、今この場で、こういうふうな形でというふうに決まっているものではございませんし、まさにこういった場での議論を踏まえながら政府の中でも検討していく、そういうふうに考えております。

掘井委員 分かりました。

 続いての質問であります。食料安全保障上の主食となる米の生産基盤の安定についてでございます。大臣、ちょっと、先ほどコメントされておりましたけれども、米のこと。

 食料の安全保障上、土地利用型農業、米とか麦ですね、その農地をどうやって守っていくかというのは、日本の農業の本当に大きな課題であると思っております。特に、米については、先ほど大臣がコメントされておりましたけれども、人口が減って、食の多様化によって、米のニーズが今後低下していく、この中で、供給量を減らすという政策は今後も取られるんだろうなと思っておりますが、農家の所得となる米の収益性がやはり課題となるということですね。

 これまでの、価格を調整する、また転作による、今行われておりますけれども、生産調整、直接支払いでさせるという、こういう議論も起こってきて、非常に難しくなると思うんですけれども、改正基本法の下では、兼業農家の農地も活用するということになりますから、更に所得の安定とか農地の安定がこれから顕著な問題になってくると思うんです。

 しかし、米は需要に合わせて縮小します、これから主食はパンですよと、こうなることがいいとは思わないです。これから、どのくらい水田の面積を、具体的にやはり守っていかなあかんと思うんです。どうやって守っていくのか。また、そのための、先ほど言いましたけれども、いろいろな問題があります。

 米農家の収益性、これをどう考えていくのか、お願いします。

武村副大臣 お答え申し上げます。

 将来にわたって必要な米を生産していくためには、産地銘柄米などの需給状況や市場評価も踏まえた、需要に応じた生産を推進するとともに、米を生産する農業者の生産コストを削減していく、そしてまた収益性を向上していくことが重要だというふうに考えます。

 米については、経営体の作付規模の拡大に伴いまして生産コストが着実に減少する傾向にあり、まずは、生産性向上に向けて、作付を集約、集積をすることが重要と考えられます。

 また、米の生産コスト低減の実証事業では、水位センサーや直まき栽培等の導入による労働費の削減、画像診断による適所施肥での単収向上も確認をされています。

 このため、集落営農への参加や農地集約化等による経営規模の拡大、スマート農業技術や省力栽培技術等の導入、多収品種の育成、導入の促進等による生産コスト低減により収益性の向上を図るとともに、生産基盤を維持していく考えであります。

掘井委員 コストの削減は大事で、農協さんにも是非頑張っていただきたいなと思っております。

 次の質問です。

 農地中間管理機構の制度の強化についてであります。

 農用地利用集積等促進計画におきまして、農地中間管理機構が地域全体の事情等を判断しながら農地の貸借や農地の売買を行って、集約、集積化が今進んでいる最中であります。地域計画の中で、将来の農業の在り方、また、地域の農地の効率化や総合的な利用を図っていくために、農地バンク、農地中間管理機構を更に、問題点、課題があれば強化していくべきだと考えておりますが、今の制度の問題点と課題があれば、お伺いしたいと思います。

村井政府参考人 お答え申し上げます。

 農業者の高齢化、減少が進行する中で、農業を成長産業化していくためには、担い手への農地の集積、集約化を進めていくことは引き続き重要であると考えております。

 農地バンクが創設された平成二十六年度以降、農地バンクによる農地の取扱量は増加をしております。これに伴って、農地バンクが借り受ける農地の確認、あるいは、賃料等の受取、支払いの業務、それから、農地バンクから転貸されていない農地の管理等の業務が増加してきているというふうに我々認識をしております。

 このため、これまでも、農地バンクの業務を円滑に行うため、市町村あるいはJA等への業務委託の活用ですとか、現場活動を行う農地バンクの農地相談員、現地コーディネーターとも呼んでおりますけれども、農地相談員の確保等に必要な予算を措置してきているところでございます。

 引き続き、必要な予算を確保するとともに、添付書類の簡素化といった農地バンクの業務の効率化を進めて、農地バンクの活用による農地の集積、集約化を一層推進してまいりたいと考えております。

掘井委員 ありがとうございます。

 農地バンクが都道府県に一つでいいのかなという課題も持っておりますけれども、時間がありませんので、次の質問をいたします。

 eMAFFの地図の現状と課題についてであります。

 どれだけ生産基盤を安定させていくのか、また、農地がどのくらい必要なのかという生産計画を立てるためには、今ある農地の利用状況を正しく把握する必要があると思っております。農地の管理については、農地基本台帳を始め、共済台帳、また水田台帳がそれぞれあって、情報をひもづけるということで、情報が分かりやすく一元化、管理されるeMAFF地図の運用が進んでおります。

 しかし、正確な情報管理の観点から、問題点も指摘されております。これは、eMAFFというか、そもそもの台帳についてでありますけれども、農地の運用に使われているこの農地基本台帳でありますけれども、農地の所有者又は利用者など、農地の現状が記載されておるんですけれども、実際は、非農地化して農地として記録されておらなかったり、また、所有者、耕作者が実態と違っていたり、正確な情報が反映されていないという場合があると聞きます。

 まず、この基本台帳をやはり整理するということが大事であると思うんですけれども、eMAFF地図を運用する上で情報が違うというような問題があるのか、また、そういったことを含めて、eMAFFの今後の課題についてあればお伺いしたいと思います。

    〔古川(康)委員長代理退席、委員長着席〕

村井政府参考人 お答え申し上げます。

 農地の所有者あるいは所在地等の農地に係る情報を記録した農地台帳でございますけれども、この農地台帳につきましては、農地法に基づいて、電子化と公表をすることとなっております。

 農地台帳の情報のうち、地目や面積、権利等の情報につきましては、農林水産省が整備をするeMAFF農地ナビにより全国一元的に公開をし、農地の集積、集約化を検討する農地の受け手ですとか行政機関など、誰でも閲覧することを可能としているところでございます。

 一方で、今委員からの御指摘ございましたように、農地台帳の情報について、最新のものに更新をされること、これが極めて重要な課題になっているというふうに我々認識をしております。

 そういったことから、農林水産省といたしましては、全国農業会議所による農業委員会へのシステムエンジニアの派遣、あるいは、都道府県農業会議によります農業委員会に対する研修、巡回指導についての支援をすることによって、各農業委員会による農地台帳の最新化の取組を進めていただいているところでございます。

掘井委員 ありがとうございます。

 次の質問です。

 農地を守る適切な利用促進計画についてでありますけれども、地域の政策と、また農政、中間管理機構の目標がずれて、地域計画がなかなかうまくいかないということがあると思いますけれども、簡単にちょっとお願いできますか。

舞立大臣政務官 農地の確保に関する地域計画の関係で、この地域計画の関係につきましては、しっかりと、そこに作成された区域の農地につきましては、転用につきまして一定の制限をかけさせていただいておりまして、農作物の生産振興や産地形成に支障を生じたり、農地の集積や集団化に関する目標の達成に支障を及ぼす場合等は、農地転用は認めないこととして、しっかりと農地を確保しておることにしておりまして、しっかりと必要な農地が今後も確保できるように努めてまいりたいと考えております。

掘井委員 ありがとうございます。

 時間がないので、終わります。ありがとうございました。

野中委員長 次に、長友慎治君。

長友委員 国民民主党の長友慎治です。

 まずは、子牛の価格の先行きにつきまして質問をさせていただきます。

 私の地元宮崎は、子牛の出荷で鹿児島そして北海道に並ぶ生産地になります。宮崎生まれの子牛は、宮崎牛だけではなく近江牛、松阪牛などの多くのブランド牛の素牛になっているわけなんです。

 ですが、昨年十月に、宮崎県内の市場で一頭当たりの平均価格が六年ぶりに五十万円を割り込んで以来、繁殖農家は牧草の自給率を上げ、農機の更新を先延ばしするなどして今日までしのいできておりますが、現場の声を伺っていますと、限界が来ております。多くが家族経営で、平均年齢も六十代後半と高齢化も進み、離農の動きも出ているところでございます。

 子牛の取引価格が低調なのは、牛肉の値下がりが続いているためになります。肥育農家に話を聞くと、枝肉の相場が上がらないから子牛の価格を上げるボタンを押せないというふうにおっしゃっていました。肥育農家としても、餌は減らせないので子牛の仕入れ値を抑えるしかないということなんですけれども。

 そんな中、二月、三月の和牛の子牛価格が二か月連続で上がりました。前年比としてはまだまだ安いんですけれども、少し持ち直してきた兆しというものが見えつつあります。

 そこで、更に底堅い相場とするために、農水省として、枝肉の相場を上げるためにできることはないのか、見解を伺います。

渡邉政府参考人 お答えをいたします。

 子牛の相場を上げるために、枝肉価格を引き上げるために何かできないかというお尋ねでございます。

 牛肉の枝肉価格につきましては、物価上昇に伴う消費者の生活防衛意識の高まりなどによりまして、特に価格帯の高い和牛肉を中心に、その需要が期待ほどには伸びておらず、和牛の全規格平均で、昨年十二月から本年二月にかけて前年を上回りましたけれども、三月以降は前年を下回っているという状況でございます。

 このような状況の中、子牛も含めた和牛生産の持続的な発展には、国内外の需要の開拓が不可欠でございまして、農林水産省といたしましては、国内における牛肉の消費喚起ですとか、輸出の促進に取り組んでいるところでございます。

 具体的には、国内消費対策といたしまして、令和五年度補正予算におきまして、和牛肉の販売の拡大や販売方法の多様化による需要の開拓の取組、あるいは、和牛肉関連イベントなどにおける消費の拡大、消費者理解の醸成、さらには、インバウンド消費の喚起といったような取組を支援することとしてございます。

 加えまして、輸出関係では、オール・ジャパンのプロモーションですとか、産地の主導で取り組む新たな商流の構築、輸出認定食肉処理施設の増加に向けた施設の整備や認定の迅速化といったことを強力に推進しているところでございまして、二〇二三年の牛肉の輸出実績は、前年比一一一%の五百七十八億円と、過去最高となりました。

 引き続きまして、官民一体となって、和牛肉の国内外の需要の喚起、開拓を図りまして、肥育経営、ひいては繁殖経営を支えていきたいというふうに考えてございます。

長友委員 需要の拡大とか消費拡大にはもちろん取り組んでいただいているというふうには伺ってはいるんですけれども、肥育農家さん、繁殖農家さんに話を聞いていると、特に宮崎の場合なんですけれども、国や県の支援はあるものの、二〇一〇年に口蹄疫を経験しているんです、宮崎の和牛の関係者は。皆さんからの声を代弁すると、口蹄疫のときは、この時期を我慢すれば先に希望があると思えたということをおっしゃっていました。しかし、今回は、先行きが分からないだけに、大変厳しく感じているというふうにおっしゃっておりました。

 今もう四月の後半で、ゴールデンウィークの大型連休を控えております。大型連休があれば、また家族で牛肉を食べようというような機運も生まれたり、また、その後の夏休みなどで、牛肉、和牛の消費を喚起するという機会、チャンスが年間を通じて巡ってきます。そういうタイミングを逃さずに、是非、消費を喚起する努力とか、世の中のムードを喚起していく、牛肉の消費拡大に国全体で努めて、盛り上げていっていただきたいと思いますので、是非取組の加速をよろしくお願いいたします。

 次の質問に参ります。米の消費拡大についてでございます。

 米の消費拡大や米文化の継承を目的に、自治体が独自の条例を制定する動きが広がりつつあるようです。例えば、この四月でお米を食べよう条例を制定して一年となった茨城県のつくばみらい市は、地産地消の成果を上げています。つくばみらい市産の米を取り扱う飲食店が三倍に増えたり、つくば市内の公立幼稚園や保育所や小中学校の学校給食で使う米は、ほぼ一〇〇%が市内産の米になったというようです。

 このように、独自の条例を作って地元の米の消費拡大に成果を上げている事例を、農水省はどのくらい把握されているのでしょうか。現時点で、米に特化した条例を定めた自治体等について、どのくらい把握しているのかということを伺いたいと思います。

平形政府参考人 お答えいたします。

 農林水産省として、米に関する条例について網羅的に把握しているわけではございませんが、各地方農政局等からの情報提供ですとか、インターネットを通じて把握したところでは、各自治体で生産されている米の消費拡大ということとともに、日本型食生活の推進を通じた正しい食生活の普及ですとか健康増進といったことを目的に、例えば、委員御紹介のつくばみらい市のほか、福島県の郡山市、千葉県木更津市など十市町村で制定されている事例を承知しております。

 こうした取組の成果については、聞き取りによりますと、例えば岡山県の総社市では、平成二十七年に総社市そうじゃ産米食べ条例の制定以降、条例の制定を機に地産地消に取り組み、同市の学校給食に用いられる米が市産のものになるなどの事例もあるというふうに承知しております。

長友委員 今お名前を挙げていただいた各地の自治体の取組含め、全国に十七、八ですか、あるということを農水省として把握していると聞きましたけれども、国は国産国消を進めているわけでございます。それは地方自治体にとってみれば地産地消になってくるというふうに思います。ですので、こういう自治体が独自の条例を制定する動きというものは国としても後押しをしてもいいんじゃないかなと私は思いますので、是非、こういう成功事例というか取組事例、広く各自治体に御案内いただいて、米の消費拡大ということに関しては後押しをお願いしたいと思います。

 その関連につきまして、米粉の利用拡大について伺います。

 米を原料とする米粉の利用を拡大しようと農水省さんもいろいろと知恵を絞っていただいていますけれども、農林水産省の有志がプロジェクトチーム、米粉営業第二課、通称コメニを結成し、活動を四月から始めていると伺いました。食品や外食の事業者に米粉を使った商品の開発を提案するほか、米粉利用の実態や課題を探る調査を行うと聞いていますが、私の地元の農家から、今後、米をどういう方向で利用拡大に持っていくのか非常に興味があるというふうに問合せがありました。是非期待していきたいということなんですが、このコメニの活動について詳細を教えてください。

平形政府参考人 先ほど、私、ちょっと滑舌が悪かったのかもしれませんけれども、米に関する条例は十市町村、十七、八ではなく、十です。済みません。

 コメニでございますけれども、委員御指摘のとおり、省内の部局横断的な有志の職員によりますプロジェクトチームで、四月から本格的に活動ということをしております。

 この中では、例えば、企業訪問によりまして米粉の使用に当たっての課題の把握をしたり、米粉を利用した商品開発をお願いしたりしております。また、開発された米粉商品の販売拡大に向けた活動、例えば、今月なんですけれども、農林水産省内の食堂や売店で米粉フェアを開催するというようなことをしております。また、各種メディアを通じた米粉に関する情報発信、このことも行っておりまして、いわば営業部隊として活動を行うというふうにしております。

 自給可能な米を原料とする米粉の利用拡大、やる気と多岐にわたる知見を持ち、自発的な活動を行うコメニのメンバーの新たな発想の力を期待しつつ、農林水産省としても米粉の利用拡大をしっかり後押ししていきたいと考えております。

長友委員 自主的な取組ということで、始まったばかりだというふうに聞いておりますが、私としては大変いい試みだと思います。

 例えば、農水省と国交省の若手職員を中山間地域に派遣する地方応援隊という取組がございますが、これなんかも元々はサークル活動から始まったと、当時、始められた方から伺いました。今、地方応援隊も少しずつ実績を残しつつありますので、やはりこれは継続していくことが大事であって大切だと思うんですね。

 何か新聞の記事によれば、一年間の限定のようなことも書いてあったような気がしますけれども、是非、農水省の自主的な取組として頑張っていただきたいなと、農家さんも注目をしているということですので、是非お願いをしておきたいと思います。私も応援したいと思います。

 私自身がこれまで取り組んできたことを御紹介して、最後に大臣に質問させていただきたいと思いますが、私は、五年ほど前から、食の作り手を特集した情報誌、その生産者が収穫した食べ物がセットで届く「食べる通信」というものを発行しております。これは全国にあるんですが、私は地元の「宮崎ひなた食べる通信」というものを二〇一九年の二月に創刊して、今日まで五年間発行を続けているところです。

 これは、全国の消費者に農業や漁業など一次産業の真の価値を伝えて、都市部の生活者と農村部の生産者を結んで、農村の価値、生産者の思いを発信するというものになります。それらの取材を通しまして、過去三十年間、農業の生産性は上がってきたという話は伺うんですが、一方で、農家は減りまして、農村が寂れてしまっているということも各地を回っていると実感するわけなんです。

 農村は食料を生産する場だけではありません。幾ら一人の農家がもうかっても、学校が廃校になり、子供が消えて、店もなくなり、鉄道や公共交通機関もなくなれば、地域もJAもその農家さんも大変厳しくなるということになります。だからこそ、農村は一流の田舎であれというのが、これは「食べる通信」を全国で初めて創刊した高橋博之さんの言葉なんです。一流の田舎には都市部から若者を始め人が集まります。農村での営みにこそ価値や魅力を感じる人は確かにいるんですね。

 この高橋博之さんがよく使われる言葉がもう一つあります。都市と地方をかき混ぜるという言葉です。今の私たちは、都会で生活する消費者と地方で暮らす生産者の距離が開き過ぎてしまいまして、消費者は生産者の苦労や農の豊かさ、農村の暮らしの豊かさが分からず、地方の消費者も都市部で生活する消費者の好みやライフスタイルの変化についていけない、ある種の分断が大きくなってしまっているという指摘をしているわけです。ですから、都市と地方をかき混ぜる必要があり、この「食べる通信」などにより全国の消費者に農の価値を伝えて、発信をしなければならない、そういう思いを持った編集長が各地におりまして、地元の、すばらしい取組をしている農村の生産者の情報を届けているわけなんです。

 この活動を続けていて本当に感じることが、農業と、そして農村において、担い手の問題であったり適正な価格を実現することだったりということの農業者また一次産業の皆さんを取り巻く支援というものは、これはもう国民全体で考えて取り組んでいかなければならないということを痛感をするわけなんです。

 この点につきまして、坂本大臣の見解を伺いたいと思います。

坂本国務大臣 「食べる通信」を発行し続けておられること、心から敬意を表したいというふうに思っております。農村、農業地にとっては大変力強い、都市にとっても力強いものであるというふうに思っております。

 それで、農業人口及び農村人口が急速に減少する中で、我々としては、やはり、担い手を育成すること、そして農村の生活環境を整備すること、一方の方で農業をしっかりと支えていく、水路管理など、こういった基盤整備をやっていくこと、こういうことが一番大事であるというふうに思っております。食料安全保障上もこのことが一番重要であるというふうに思っております。

 このために、政策的には、担い手の確保及び経営発展に向けた取組をしております。農業者による話合いを踏まえた地域計画を今策定をしていただいているところでございます。さらには、農地バンクを活用した農地の集積、集約化に取り組んでいるところであります。そして、農地や農業用のインフラの保全管理に向けました地域の共同活動、こういったものを通しまして農業、農村に関する様々な活動を支援しているところでございますけれども、これは、委員言われますように、国民の皆様全体の理解を得て、これから後押しをしていかなければならないというようなことでありますので、しっかりと国民の皆様方への説明をやってまいりたいというふうに思っております。

 また、一方の方で、持続的な供給の実現に向けまして、合理的な価格の形成、それから環境と調和の取れた食料システムの構築、こういったものを図るために、消費者の購買活動についても協力をしていただくことが大事だというふうに考えております。そういうことで、生産者そして消費者を通しまして国民皆様の理解増進が得られるよう、私たち農林水産省としても全力で取り組んでまいりたいというふうに思っているところであります。

長友委員 大臣から、農水省としても全力で取り組んでいただけるということをいただきました。

 本当に、地方に住んでいて、農村部が周辺にたくさんあると、私たちは分かるんです、農村の豊かさや農業を営む皆様の日頃の里山の暮らしがすばらしいものであって、その皆様が作るものに大変価値があるものだということが分かるんですけれども、都会の消費者の皆様というものはそういうものを目の当たりにしないので、どうしても距離ができて、感謝する気持ちであったり、食料供給困難事態ということがこの後も議論されますけれども、そういうことに思いがはせられないんじゃないかと思っているところでございます。

 この「食べる通信」の編集長である高橋博之さんという方は、岩手県議時代に東北の大震災を経験されまして、東日本大震災の復旧復興での深い見識、知識を持つことから、今、能登半島に実は入っております。一月四日に入りまして、自治体のサポートや炊き出しの支援、生産者との対話等も続けていらっしゃる方で、現在、能登半島地震復旧・復興アドバイザリーボードの委員にも就任しまして、被災地での復興にも取り組んでいらっしゃる方です。

 この高橋さんの生の声を皆さんにも是非聞いていただきたいと思っておりますので、参考人にも来ていただきたいと考えているところでございます。編集長、高橋さんの思いを是非大臣にもまた届けさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 以上で今日の私の質疑は終わります。ありがとうございました。

野中委員長 次に、北神圭朗君。

北神委員 有志の会の北神圭朗です。

 農林水産省の方で農福連携というものを推進していただいております。私の地元は京都なんですけれども、うちのところも事業所で、これに非常に力を入れている事業所もあります。これは御案内のとおり、障害者の方が農業分野で活動して、それを通じて社会との交流を深めるという大変すばらしい、意義のある取組だというふうに思います。

 ただ一方で、いろいろな悩みもあるということで、今日はちょっと現場の声をお届けしたいというふうに思います。

 事業所にしてみたら、農福連携ということで農業というのもありますけれども、通常は、公園で清掃活動をするとか、あるいは内職、こういう作業があります。ところが、これは厚生労働省の話で今日は問いませんけれども、実態としては、どこのどの分野でも、内職であろうと清掃活動であろうと農業であろうと、一律の報酬になっているということなんですね。

 ところが、現場の声から言わすと、内職だったら、例えば、八人の事業所の利用者、障害をお持ちの方に対して、三人ぐらいの事業所の職員で十分管理ができる、これは事業所によってまちまちですが、そういうことだと。ところが、農業になると、やはりどうしても複雑な作業になってくる、もっと職員を増やしていかないといけない。例えば、草抜きをするのでも、実際に今生育中の作物を間違って引いてしまったり、あるいは農機具でけがをするおそれもある、ビニールハウスで熱中症のおそれもある。そういった意味で、職員の数を増やさないといけない。

 一般の農業と同じで、なかなか天候によって収穫がままならない、不作ということもある、凶作もある、それから、収穫までに時間がかかる。そういう意味では非常に収入が不安定なところもございます。だから、それを補うために、更にまた今度は自分たちで収穫したものを調理をして食堂とかで販売をするということになっていますが、これもまた、更に職員の数が必要になってくるということなんですね。

 ですから、何を言いたいかというと、内職とか清掃活動に比べると、農業というのはかなり職員数が必要だ、しかし、報酬は一緒やということで、職員に払う給料が増える中で、報酬が増える中で、実際に作業されている障害者の方に対する工賃というものがだんだん減っていっちゃう、こういう悩みがございます。

 これは、報酬の部分は厚生労働省の所管ですけれども、農林水産省として、農福連携の農業の支援の部分で是非力を入れていただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。

舞立大臣政務官 御質問ありがとうございます。

 農福連携における農業での経営の支援といったような側面かと思いますけれども、農福連携が持続的に実施され、地域に定着していくためには、六次産業化なども含めた取組により農業経営が経済活動として発展していくことが重要と考えております。

 このため、農林水産省では、農福連携に取り組む障害者就労施設や農業法人等に対しまして、農産物等の生産や加工の技術、販売や経営の手法の習得を行うための専門家の指導による研修や視察、また、障害者が作業に携わる農業生産・加工・販売施設や休憩所、トイレの整備等を支援しているところでございます。

 昨年の三月に行いました、農福連携に取り組む福祉サービス事業所に対します全国アンケート調査によりますと、五八・四%、約六割弱の事業所が過去五年間の平均賃金、工賃が増加したと回答しておりまして、一定の効果は出ているものと認識しております。

 引き続き、厚生労働省等の関係省庁と連携しながら、農福連携の取組を進めてまいりたいと考えております。

北神委員 ありがとうございます。

 農林水産省としてはそういう技術的な支援とかをしていただいている。それで、今初めて知りましたけれども、アンケート調査では工賃も六割上がっているというふうに答えているところがあるということで、是非これからも引き続き頑張っていただきたいと思います。

 私も、報酬の部分については、厚生労働省にまた機会があったら、向こうの委員会で質問したいというふうに思いますので、是非、皆様、厚生労働省とも連携を深めて頑張っていただきたいというふうに思います。

 あともう一つは、彼らがやはり言うのは、悪意はないと思うんですけれども、一般の方から、事業所とか障害者にとっては心ないことを言われると。どういうことかというと、虐待をしているんじゃないかと。当然、農業ですから、それなりに肉体労働であるということで、余り理解していない方からすると、何か安い賃金で肉体労働をさせているというようなことを言われる、こういう実態があります。

 ですから、これはやはり、事業所の方とか、障害の実際に作業されている方から話を聞くと、非常に生き生きとして、自然の中で心身共に癒やされ、それから、農家の方々や、あるいは販売を通じて消費者の方々と交流を深めて、社会とのつながりを実感をしているという意味で非常にすばらしい取組だというふうに現場からは思われているんですが、なかなかまだ一般社会では理解が広がっていないということなので、ここのいわゆる理解増進も是非農林水産省にお願いしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

長井政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のように、理解の増進が非常に重要なことであると考えております。

 農福連携を全国的に広く展開させて、各地域において定着するようにしていくためには、国、地方公共団体、関係団体はもとより、経済界や消費者等を巻き込んだ国民的運動として推進していくことが重要であります。

 このため、農林水産省、厚生労働省などの関係省庁や地方自治体、経済団体などの関係団体、企業などが参画する農福連携等応援コンソーシアムが設立されております。その中で、障害者の社会参画や農業の発展に取り組む優れた取組を、ノウフク・アワードということで、これまで四年間で延べ八十八件を表彰し、横展開するなど、農福連携の国民全体への理解促進に取り組んでいるところであります。

 また、昨年の秋には、農福連携の取組を集中的に普及するノウフクウィークを実施いたしまして、農水省など関係省庁の食堂におきまして農福連携の食材を活用したメニューが提供されたほか、全国三十か所で農福連携の商品を販売するイベント等が開催されたところであります。

 さらに、農福連携の全国的な定着と発展に向けた都道府県の連携を目指しまして、農福連携全国都道府県ネットワークが平成二十九年に設立されまして、昨年十月には岐阜県におきまして、全国の農福連携の事業者が集まる全国農福連携マルシェなど農業イベントを開催いたしまして、二十万人を超える来場者を数えたところでございます。

 引き続き、厚生労働省等の関係省庁や地方自治体とも連携いたしまして、より一層、農福連携の取組の輪が広がっていくよう、全力で取り組んでまいりたいと考えております。

北神委員 どうもありがとうございます。

 是非、コンソーシアムを通じて、経済界とか金融界とか、あるいはおっしゃった自治体、この辺と連携を深めて、強力に推進していただくことを求めたいというふうに思います。

 最後に質問したいのは、森林管理の話なんですけれども、Jクレジットの話ですね。

 これは、森林管理を通じて、炭素ガスですか、これを吸収する、これを国が認定をして、排出権として、場合によっては企業とかがこれを購入してくれるという制度です。

 私の地元は京都で、一応、北山杉とか、京都というイメージとはちょっと違うかもしれませんけれども、林業がかつては非常に盛んであった。日吉の森林組合とか、こういったところも非常に先進的な取組で知られているところであります。

 こういう非常に頑張っているところもありますけれども、これは全国の例に漏れず、だんだん疲弊をしているのは皆さん御存じのとおりだというふうに思います。特に中小の山林所有者にとっては非常に厳しい状況で、みんなやはり、むしろこれは負の遺産になってしまっているというのが正直な彼らの声です。

 こういう中で、Jクレジットというのは一つの、いわゆる林業管理による、林業活動によって報酬をもらえる重要な手段だというふうに思いますけれども、なかなか、Jクレジットという名前が難しいのか知らぬけれども、排出権とか、林家の皆さんにとっては何のこっちゃ分からぬ。中小の人にとっても、そんなことを何か自分が申請してするというのはどだい無理だろうというふうに思ってしまっているところがあります。

 ですから、これは林野庁さんとして、広報宣伝、もうされていると思いますけれども、まだまだ届いていないところがありますので、是非頑張っていただきたいということが一つ。

 質問としては、うちの地元でそれに非常に問題意識を持った方が、中小の林家がJクレジットに申請するというのはなかなか難しいということであるならば、京都市、それから京都府、自治体を巻き込む、それから林業組合を巻き込む、そして、当然、中小でやる気のある山林の所有者の方も巻き込んで、そして一種協議体みたいなものをつくって、そこで、協議体でJクレジットに申請をするということをちょっと今、企画をされています。

 ただ、私もちょっと勉強させてもらいましたけれども、質問としては、まず、こういう協議体が、これは任意の団体ですね、任意の団体がJクレジットの対象になり得るのかということ。

 それからもう一つは、今、森林環境譲与税というのがありますけれども、いわゆる協議体で考えているのは、京都市さん、京都府さんも入りますが、京都市さんもなかなか森林環境譲与税の使い道というものを悩んでいるところがございますので、例えばJクレジットの活動の中で、森林環境税を使えるのかということが二点目。

 それから三点目は、質問というか、是非こういう取組を、私はかなりよい取組だというふうに思いますので、是非応援をしてやっていただきたいと思います。

 この三点について、よろしくお願いしたいと思います。

坂本国務大臣 Jクレジット制度では、法人格の有無にかかわらず、代表者が森林を所有又は管理する者であれば登録が可能であります。この場合、基本的に森林経営計画を単位として、プロジェクトを登録していただくことになります。

 御指摘のように、森林を所有又は管理する方が単独でJクレジット制度に取り組むことが困難な場合は、自治体や事業体等が参画をして任意団体を組織し、プロジェクトを実施することが可能になります。

 具体的な例としては、秋田県の白神森林組合が地元自治体、企業体と共同して森林由来のJクレジットの創出に向けて取組を進めていますし、宮崎県の延岡市も、旭化成と共同してその取組を進めております。

 農林水産省といたしましても、森林組合や森林所有者が、地域の状況に応じて、関係者と連携をしてJクレジットを創出できるよう取り組んでまいりたいと思います。

 さらに、森林環境譲与税の活用も可能でございます。優良な取組について、今後、情報の共有を図ってまいりたいというふうに思っております。

北神委員 大臣、ありがとうございます。

 任意団体でも代表者だけちゃんと森林所有者であれば大丈夫だということと、応援していただいているということと、あと、森林環境譲与税も活用できるということで、大変力強い答弁だったというふうに思います。早速、関係者にそれを伝えて取り組んでいきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

野中委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 人工甘味料について質問します。

 お手元の資料を御覧いただきたいと思いますが、アスパルテーム、スクラロース、アセスルファムカリウムなどの人工甘味料は、砂糖より甘さが数百倍であり、お菓子や清涼飲料水など多くの食品に今使用されています。しかし、人工甘味料の長期的摂取によって様々な病気を引き起こす、そのことが欧米の疫学研究で報告されています。

 摂取と未摂取のグループを比較したコホート研究でありますけれども、一例を紹介します。

 人工甘味料の高摂取者が非摂取に比べて二型糖尿病の発症リスクが高いとのフランスのコホート研究、人工甘味料が心房細動による不整脈の発症リスクを高めるとのイギリスの疫学調査、人工甘味料が脳卒中や認知症、アルツハイマーの発症リスクを高めるとのアメリカの疫学調査、人工甘味料の多量摂取が脳血管及び心疾患の疾患リスクを高めるとのフランスのコホート研究、人工甘味料の習慣的摂取が慢性腎臓病リスクを高めるとのイギリスの疫学調査等々、多くの疾患リスクがあるとされています。

 政府は、これらの疫学研究をちゃんと把握されているでしょうか。

鳥井政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、世界保健機関が二〇二三年……(田村(貴)委員「WHOはまだ言っていません。ちゃんと質問を聞いてください」と呼ぶ)失礼いたしました。WHOが、二〇二三年五月に、非糖類甘味料についてガイドラインを公表したことは承知をいたしております。一般的に……(田村(貴)委員「そんなこともまだ言っていません」と呼ぶ)

野中委員長 もう一回、質問をしていただいてよろしいでしょうか。

田村(貴)委員 欧米の疫学研究について政府はちゃんと把握されていますかと、例を示して言っているじゃないですか。

鳥井政府参考人 失礼をいたしました。お答えをいたします。

 WHOのガイドラインに複数の研究が取り上げられておりまして、そのことについては把握をいたしております。

田村(貴)委員 疾病リスクがあるとの報告がこれだけ各国から上がっているんですね。

 そして、聞いてくださいね、昨年五月、WHO、世界保健機関が人工甘味料を推奨しないとのガイドラインを発表しました。これはどういう内容ですか、説明してください。

鳥井政府参考人 お答えいたします。

 世界保健機関が二〇二三年五月に、非糖類甘味料について体重管理等を目的には使用しないよう勧告するガイドラインを公表したことは承知しております。

 このガイドラインでは、非糖類甘味料の摂取に関する成人、子供等を対象とした研究の結果を科学的に統合した結果として、非糖類甘味料を使用しても成人や子供の体重管理に長期的な効果は期待できないこと、成人の二型糖尿病、心血管疾患等のリスクが増加することなどといった可能性を示唆しているところでございます。

 ただし、これらの根拠については、研究の方法が多様であったり、研究の実施期間が比較的短かったりすることから、このガイドラインは条件付のものとして示されていると承知をいたしております。

田村(貴)委員 砂糖は消化管でブドウ糖と果糖に分解されてから体内に吸収されて、血糖値が上昇し、脂肪に変換され、貯蔵されるために肥満になる。一方、人工甘味料にはブドウ糖が含まれていないために、摂取しても血糖値は上昇しないので肥満にはならないとされてきました。

 しかし、WHOは、今答弁があったように、非糖質甘味料は成人及び小児の体重を減らす上で長期的な利益をもたらさないとして、体重管理に非糖質甘味料を使用しないように勧告したのであります。

 欧米から疾患リスクの報告がこれだけ次々に上がって、WHOが人工甘味料の使用は推奨しないとしているのに、日本政府はこれを正面から受け止めようとしていますか。それとも無視しますか。人工甘味料を体内に取り込むリスクを正面から私は受け止めるべきだと思いますが、いかがですか。

鳥井政府参考人 お答えいたします。

 一般的に、食品の摂取と疾病の発症リスクとの関連については、このWHOのガイドラインのように、個々の研究を評価するよりも複数の研究を科学的に統合して評価するというのが適切であり、非糖類甘味料の摂取と糖尿病等の発生リスクとの関連については、先ほどのガイドラインは参考になるものと考えております。

 ただし、このガイドラインでは、非糖類甘味料の摂取と糖尿病、高血圧、脳卒中、慢性腎臓病等の発症リスクの関連については、科学的根拠レベルは低いとされているということにも留意する必要があると考えております。

田村(貴)委員 まだありますよ。

 農研機構のホームページでは、人工甘味料が腸内フローラ、腸内細菌叢の異常を引き起こして肥満を誘発するとの研究も紹介されています。ダイエットが売り込みの人工甘味料の商品はいっぱいありますよね。出回っています。しかし、逆に肥満を誘発する、こういう報告もあっているわけですよね。

 専門家は、砂糖の過剰摂取を防ぐために人工甘味料に置き換えるのではなくて、甘い食べ物や飲物全般を減らす食生活が重要だ、こういう指摘もあっているわけであります。

 多くの国民が、人工甘味料の摂取は大丈夫なのかと心配しています。そして、政府は何らかの対策を行うのか、心配しています。近年のコホート研究の発表を踏まえて、人工甘味料のADI、一日摂取許容量を再評価していくときに来ているのではないでしょうか。いかがですか。

中政府参考人 お答え申し上げます。

 食品添加物については、これまで、リスク管理機関である厚生労働省からの評価依頼を受けて、食品健康影響評価を行ってきたところでございます。

 一方、食品添加物のうち、甘味料については、これまで厚生労働省において情報収集や分析を行っており、今後は消費者庁においてその業務が引き継がれることと認識しております。

 食品安全委員会といたしましては、今後、消費者庁が収集した情報や分析結果も踏まえ、リスク評価の依頼があった場合には、この評価作業を行っていくこととしております。

田村(貴)委員 是非、リスク評価を行っていただきたいと思います。

 厚労省の先ほどの答弁からしますと、世界の知見はあることは知っているけれども、WHOから勧告が出ているのも知っているんだけれども、それは不十分だからというところで終わっているわけなんですよね。それでいいんですかね。積極的に国民の健康、食の安全を守ろうとする姿勢に欠けているのではないでしょうか。

 検証すべきことはたくさんあります。

 例えば、日本人と欧米人は、腸内細菌叢が異なります。人工甘味料の影響が異なります。だから、日本人を対象にした疫学研究をやはり独自で進めていく必要があります。

 そして、日本では、欧米では行われているような、十年で十万人というような規模の研究が行われていません。安全、安心の食生活を普及するためには大規模な疫学研究を進めていく必要があると思いますが、そうしたときに今差しかかっている。

 疫学研究、やるべきじゃないですか。いかがですか。

鳥井政府参考人 食品安全行政につきましては、食品安全委員会において、疫学研究の評価も含めた耐容一日摂取量の設定等の食品健康影響評価を実施しているものと承知いたしております。

 また、食品安全委員会における食品健康影響評価の評価結果につきましては、消費者庁において食品衛生に関する規格基準の策定等に活用しているものと認識をいたしております。

 厚生労働省といたしましては、食品中に含まれる有害物質の摂取量低減の施策等のリスク管理を検討するため、厚生労働科学研究等を活用し、汚染実態の調査等を行っているところでございます。

 厚生労働省といたしましては、引き続き、食品安全委員会による科学的知見に基づくリスク評価を踏まえて、消費者庁により策定された規格基準が適切に運用されるよう、監視指導に努めてまいるとともに、必要な調査研究を行ってまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 日本独自の、そして大規模な疫学研究をしっかり進めていただきたいと思います。

 日本では人工甘味料がどのぐらい使われているのか。財務省から瀬戸大臣政務官にお越しいただいております。

 資料を御覧ください。ここに、財務省の貿易統計で、アスパルテームが九十一トン、砂糖換算で一・八万トン、スクラロースが七十六トン、砂糖換算で四・六万トン、アセスルファムカリウムが六百二十一トン、砂糖換算で十二・四万トンが輸入されているとしています。

 政務官、この数字は正しいのでしょうか。人工甘味料というのはほとんどを輸入で賄っているのでしょうか。説明をお願いします。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 財務省関税局、貿易統計を所管してございます。貿易統計におきます、スクラロースの輸入額として計上しております数量、二〇二三年、約六十六・八万トンとなってございます。(発言する者あり)

野中委員長 数字は正確な数を言うように。

山崎政府参考人 大変失礼しました。

 約六十六・八トンとなってございます。

田村(貴)委員 済みません、これは農水省の資料で、財務省からの貿易統計を出しているんですけれども、この数字についてはどうなんですか。

野中委員長 この資料は配付されていないの。(田村(貴)委員「財務省の統計、貿易統計」と呼ぶ)

 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

野中委員長 速記を起こしてください。

 財務省山崎審議官。

山崎政府参考人 済みません。お配りいただいた資料を拝見いたしました。

 その差異についてはちょっと直ちには分かりませんけれども、今、私が申し上げた数字は、貿易統計におきまして、品目番号二九三二・一四―〇〇〇、スクラロースとされているものについての数字を申し上げたところでございます。

田村(貴)委員 質問通告しているんですよね。人工甘味料の貿易、そして輸入量はどのぐらいになっているのかと。この資料も、昨日の段階でもう届けているんですよ。なぜ見ていないんですか。貿易統計からの出典で、農水省が出している資料ですよ。これは間違いじゃないですよね。

 この資料に基づいて質問しますけれども、びっくりしましたよ。この三つだけでも、合成甘味料が砂糖換算にして十八万八千トン入っています。国内の砂糖の生産量、これは農水省の資料で、二〇二二年見込みでは七十五万トンになっています。ですから、国内の砂糖の四分の一が海外から輸入されている人工甘味料だ。すごい量だと思います。

 貿易統計における秘匿処理というのがあるそうですけれども、これについて説明してもらえますか。

瀬戸大臣政務官 お答えさせていただきます。

 貿易統計におきましては、貿易取引の実態を極力正確に示す必要がある一方、例えば取引の単価など、輸出入者の営業上の秘密が明らかになることで不測の損害を与えないよう十分に配慮する必要があります。

 このことから、経済統計に関する国際条約におきましても、個々の事業所に関する情報を漏らす結果となるような事項を収録し、又は発表するいかなる義務も課すものではないとされているところであります。また、こういった点を踏まえまして、関税法施行令におきましても、私人の秘密にわたると認められる事項につきましては、証明書類の交付をせず、及び統計の閲覧をさせないとし、営業上の秘密に配慮して非公表を実施することとしているところであります。

 このような措置は、米国、EU等の諸外国の貿易統計においても一般的に行われているものと承知しております。

田村(貴)委員 ということは、貿易統計上、出てこない数字があるということなんですね。

 それは、大体、おおよそどのぐらいなんでしょうか。

山崎政府参考人 先ほど政務官から御説明ございました、秘匿処理を行っているところでございます。これは、営業上の秘密を明らかにすることのないような処理でございます。したがいまして、それがどの程度あったかについて明らかにすることにつきましては、差し控えさせていただきたいと存じます。

田村(貴)委員 健康へのリスクがこれだけあるというふうに、世界中から、WHOから指摘をされているにもかかわらず、その総量がこの国においては分からない。

 食品添加物のメーカーがありますよね。清涼飲料水のメーカーがありますよね。大手のこういうメーカーが秘匿で輸入していることがあるんだったら、それは、価格とか輸入金額を私は聞いているんじゃないんですよね。総量としてやはりここで加えて、真の統計を明らかにすべきだと思いますが、それはできないんですか。

山崎政府参考人 先ほどから申し上げておりますように、貿易統計の公表の在り方につきましては、関係法令にのっとりまして、私人の秘密を公表することのないように配慮する必要がございます。

 量だけでも公表できないかという御指摘がございました。御指摘の方法につきましても、取引があったこと自体公表したくないという御要望をいただくことがございます。そうしたこともございますので、私人の秘密を確保する観点から困難であると考えてございます。

田村(貴)委員 真実が分からない、疾病リスクがこれだけあるのにもかかわらず。そして、毎日毎日手にする品物には、たくさんの人工甘味料が入っている。

 坂本大臣、私、この間、お総菜屋さんで卵焼きを買ったんですよ。家庭的な卵焼きだと思って買ったら、後ろを見たら、スクラロースが入っておるんです。砂糖も入っているんだけれども、スクラロースまで入っていると。もう、手に取る品々が人工甘味料であふれ返っている。このような中で、砂糖の生産そして消費が軽んじられては絶対いけないと思います。

 先に大臣にお伺いします。人工甘味料は、歴史は浅いんです。しかし、今や数多くの食品、飲料品に使われています。長期摂取が病気を引き起こすとの疫学調査結果が多数報告されています。一方で、お砂糖は、人が生きていくのに欠かせない調味料で、何世紀も何世紀も前の昔から取り続けてきました。サトウキビやてん菜は地域の基幹産業でもあります。その砂糖が人工甘味料に置き換わるようなこと、そんな事態は断じてあってはならないと私は考えますが、大臣、いかがでしょうか、今日議論を聞かれて。そして、砂糖を大事にしていただきたい。今日論議した人工甘味料への政府としての必要な対応を図っていただきたい。砂糖を大事にしていただきたい。いかがでしょうか。

坂本国務大臣 委員おっしゃるように、砂糖の原料作物でございますサトウキビ、これは、台風常襲地帯でございます鹿児島県の南西諸島あるいは沖縄における、ほかに代替できない基幹作物です。そして、てん菜も、北海道畑作の輪作体系を構成する重要な作物であります。

 加えて、甘味資源の生産が地域の製糖工場等の関連工場のやはり雇用、地域活性化、経済、こういったものにも大きな役割を果たしているところでございますので、地域を支える上からも、糖価調整制度に基づきまして、交付金を今交付しているところでございますけれども、砂糖の生産体制というのをしっかり図ってまいりたいというふうに思っております。

 そして、農林水産省といたしましても、この砂糖の需要拡大のために、SNSあたりを使いまして、正しい知識、例えば、砂糖が肥満の原因であるというようなこと、これは正しくない知識になっておりますので、こういった知識や、それから砂糖の歴史、食文化、そして生産に関する今言いましたような情報、こういったものを発信しまして、「ありが糖運動」というものを展開をいたしております。

 今後も、砂糖の需要拡大のために、関係団体とも連絡を取りながらしっかりと取り組んでまいりたいというふうに思っております。

田村(貴)委員 答弁がなかったですけれども、人工甘味料に対する政府としての対処、これは政府としてちゃんと知見を集めて、そして日本独自の疫学研究をしていかなければならない、そのことを強く申し上げて、今日は質問を終わります。

野中委員長 次回は、来る二十五日木曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時七分散会


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