衆議院

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第17号 令和6年5月21日(火曜日)

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令和六年五月二十一日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 野中  厚君

   理事 伊東 良孝君 理事 小島 敏文君

   理事 古川  康君 理事 山口  壯君

   理事 近藤 和也君 理事 野間  健君

   理事 池畑浩太朗君 理事 角田 秀穂君

      東  国幹君    五十嵐 清君

      上田 英俊君    江藤  拓君

      加藤 竜祥君    神田 憲次君

      小寺 裕雄君    鈴木 英敬君

      高鳥 修一君    橘 慶一郎君

      中川 郁子君    西野 太亮君

      細田 健一君    堀井  学君

      宮下 一郎君    保岡 宏武君

      簗  和生君    山口  晋君

      梅谷  守君    金子 恵美君

      神谷  裕君    川内 博史君

      小山 展弘君    藤岡 隆雄君

      緑川 貴士君    山田 勝彦君

      渡辺  創君    一谷勇一郎君

      掘井 健智君    稲津  久君

      山崎 正恭君    田村 貴昭君

      長友 慎治君    北神 圭朗君

    …………………………………

   農林水産大臣       坂本 哲志君

   農林水産副大臣      武村 展英君

   農林水産大臣政務官    舞立 昇治君

   経済産業大臣政務官    吉田 宣弘君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        岩間  浩君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 濱本 幸也君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 中村 英正君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           鳥井 陽一君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           日原 知己君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         杉中  淳君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         宮浦 浩司君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房技術総括審議官)       川合 豊彦君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           安岡 澄人君

   政府参考人

   (農林水産省輸出・国際局長)           水野 政義君

   政府参考人

   (農林水産省農産局長)  平形 雄策君

   政府参考人

   (農林水産省畜産局長)  渡邉 洋一君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  村井 正親君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)            長井 俊彦君

   政府参考人

   (水産庁長官)      森   健君

   政府参考人

   (中小企業庁経営支援部長)            松浦 哲哉君

   農林水産委員会専門員   飯野 伸夫君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十一日

 辞任         補欠選任

  西野 太亮君     鈴木 英敬君

  梅谷  守君     藤岡 隆雄君

  緑川 貴士君     小山 展弘君

同日

 辞任         補欠選任

  鈴木 英敬君     西野 太亮君

  小山 展弘君     緑川 貴士君

  藤岡 隆雄君     梅谷  守君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 食料供給困難事態対策法案(内閣提出第二七号)

 食料の安定供給のための農地の確保及びその有効な利用を図るための農業振興地域の整備に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第二八号)

 農業の生産性の向上のためのスマート農業技術の活用の促進に関する法律案(内閣提出第四八号)


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     ――――◇―――――

野中委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、食料供給困難事態対策法案、食料の安定供給のための農地の確保及びその有効な利用を図るための農業振興地域の整備に関する法律等の一部を改正する法律案及び農業の生産性の向上のためのスマート農業技術の活用の促進に関する法律案の各案を議題といたします。

 この際、三法律案の審査に資するため、昨二十日、埼玉県において視察を行いましたので、参加委員を代表いたしまして、私からその概要を御報告申し上げます。

 参加委員は、小島敏文君、池畑浩太朗君、五十嵐清君、神田憲次君、中川郁子君、山口晋君、梅谷守君、神谷裕君、緑川貴士君、山田勝彦君、山崎正恭君、田村貴昭君、長友慎治君、そして私、野中厚の十四名でございました。

 まず、鴻巣市において、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構農業機械研究部門の附属農場を視察いたしました。現場では、スマート農業技術について、スマート農業機械の実演を伴う説明を聴取いたしました。

 次に、埼玉県知事公館で意見交換会を開催いたしました。

 意見交換会では、法改正による事務手続の変化に関するガイドライン等を早期に示すことが必要という趣旨の御意見、農地の総量確保に加え多様な農業人材を育成、確保することが必要という趣旨の御意見、農産物の適正な価格形成による収益性の改善など安心して経営できる環境の整備が必要という趣旨の御意見、農地の権利移動の制限を強化することにより農地の適正利用を確保することが必要との御意見などをいただきました。

 以上が、視察の概要であります。

 最後に、今回の視察に御協力をいただきました皆様に心から御礼を申し上げ、視察の報告といたします。

    ―――――――――――――

野中委員長 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房総括審議官杉中淳君、大臣官房総括審議官宮浦浩司君、大臣官房技術総括審議官川合豊彦君、消費・安全局長安岡澄人君、輸出・国際局長水野政義君、農産局長平形雄策君、畜産局長渡邉洋一君、経営局長村井正親君、農村振興局長長井俊彦君、水産庁長官森健君、内閣府地方創生推進事務局審議官岩間浩君、外務省大臣官房参事官濱本幸也君、財務省大臣官房審議官中村英正君、厚生労働省大臣官房審議官鳥井陽一君、大臣官房審議官日原知己君、中小企業庁経営支援部長松浦哲哉君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

野中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

野中委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。神田憲次君。

神田(憲)委員 自由民主党、神田憲次でございます。

 委員の皆様、昨日は、現場での学習ということで視察を行ったわけですけれども、本当にお疲れさまでした。

 スマート農業、それから埼玉県の県庁においては、現状の課題というようなものもお聞かせ願ったわけですが、そういう意味で、早速質疑に入らせていただきます。

 まず、現状の課題といたしまして、やはり世界情勢を踏まえ、さらには円安の状況ということがございます。農業に係るあらゆる生産資材等が全体的に高騰しております。農家には大変厳しい状況がありますし、酪農家を始め、今後、こういった農業に従事する人たちが離農しなければならないというような報道も散見されます。

 原材料、農業資材の急激な価格高騰に対しては、まずは、農家が安心できるような、現状、緊急対策も必要であるとともに、中長期的には農業自体の体質強化を図る、これについては今や危機的側面もございます。そうした意味で、農業に係る資源の活用、強化、フル活用ですね、こうした両面での対策を行うことが必要であるというふうに考えるわけですが、これまで行ってきた対策と今後の中長期的な対策についてお聞かせ願いたいと思います。

武村副大臣 お答え申し上げます。

 原料を輸入に依存している飼料や肥料といった生産資材につきましては、御指摘のとおり、価格急騰への影響緩和対策と併せまして、国内資源の利用拡大を進めていくことが重要だと考えております。

 農林水産省といたしましては、近年の高騰に対しまして、飼料については、配合飼料価格安定制度による激変緩和対策を行うとともに、耕畜連携や飼料生産組織の運営強化といった、国産飼料の生産、利用の拡大等に対する支援を措置してきたところであります。また、肥料につきましては、肥料価格高騰対策事業によりまして、肥料の価格上昇分の七割を支援するとともに、国内資源の利用拡大に向けた堆肥化施設やペレット化施設の整備等に対する支援を措置してきたところです。

 現在、為替レートは円安傾向で落ち着いている一方で、飼料、肥料共に原料の国際価格は落ち着きつつあると承知をしておりますが、農業経営の安定を図る上で、国際情勢の影響を受けづらい構造への転換を進めることが重要であると考えておりまして、国内資源の利用拡大を一層強力に推進してまいる所存です。

神田(憲)委員 ありがとうございます。

 やはり、原材料の上昇というのが、もう日々の我々国民の生活に如実に跳ね返っているわけで、そういった意味では、やはりアンケートを取ると、物価高が暮らしにもたらしている影響、これらが国民に大変重荷になっているということですから、やはりその辺を鑑みますと、今後の継続した安定的な対策というのが必要になるのかと思っておりますので、引き続きよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 続きまして、一点、農地法について伺わせていただきます。

 令和五年に農地法の下限面積が撤廃されました。これによりまして、小さな面積でも農業を始めやすくなるというようなことになって、新規就農者のハードルは下がったわけです。

 これまでの新規就農者の推移を伺うとともに、やはり、人口減少下で叫ばれる今後の就農者人口の大幅な減少、しかしながら、この農地法の改正、国としては、農業に向き合う新規就農者へ機会を与えた、チャンスが増えたということでしょうが、今後、更に新規就農者を増やすための対策をどのように推進していくのかを教えていただきたいと存じます。

武村副大臣 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、昨年四月に施行した改正農地法におきましては、農業者の高齢化等が加速をしていく中で、農業への新規参入者の増加等によりまして農地が適切に利用されるよう、農地の下限面積要件を廃止したところです。

 お尋ねの新規参入者につきましては、二〇一五年の三千六百人から微増傾向で推移をしておりまして、二〇二二年は約三千九百人となっております。

 農林水産省では、新規就農者の経営発展には、都道府県や農業団体等の地域の関係機関が新規就農者を総合的にサポートをすることが重要だと考えておりまして、農地の確保や生活面等の相談窓口となる就農相談員の設置や、技術習得に必要となる研修農場の整備、また、就農後の経営安定に向けた先輩農業者による技術指導を支援しております。

 加えまして、就農に向けた様々な資金メニューでの支援、また、新規就農者の経営発展のための機械、施設等の導入支援等の施策を講じておりまして、農地面積の大小にかかわらず、市町村が定める経営目標等、一定の要件を満たす者を支援しているところです。

 以上です。

神田(憲)委員 ありがとうございます。

 農業に限らず、経済活動を行う上で、様々な業種で人口の問題が課題となっております。しかしながら、現状の人口推移においてはこの人口の減少を受け入れざるを得ず、やはり、これまで各委員の質疑の中にありましたように、我が国の国民の胃袋を満たすという観点に立ちますと、これから予想される農業従事者の減少というのは、本当に大丈夫かなというふうに思わざるを得ないところがあります。

 国も様々な手は打っているわけですが、農業資源と先ほど申しましたけれども、本当にあらゆる手だてを駆使して、やはり、日本の食料自給率というのを現状よりも更に上げていくという方向性を国は持っていらっしゃるわけですから、その目標に向かって施策の実現を図っていただきたいと思います。

 その上で、今後、農業においてもDX化というのは避けられないでしょうし、DX化を実現する上で、やはり生産性の向上ということが叫ばれるわけでございます。そのDXをまず進める上で、我が国の国土の特異性、それから農地の特異性、これらを考えますと、やはり、昨日も視察に行ってまいりましたけれども、ここでスマート農業ということになるのかと思います。

 スマート農業技術を導入するには、昨日も無人の田植機というのを見学させていただきました。さらに、草刈り機、それから追走型の運搬機、こういったようなものを見てきたわけですが、この導入、ドローンであるとか、そういったセンサーであるとか、AIシステムであるとか、それから自動運転のトラクターであるとか、農業の所得という観点から見ると、昨日、八条植えのトラクターでしたか、これについても、初期投入、機械自体で六百万、アタッチメントを入れると八百万近くいくんじゃないかというような話を伺ったところでありますが、農家にとりましては、この初期投資というところが大きな負担になります。

 そこで、政府、自治体共に、補助金や助成金の活用とかリースモデルの導入、それから、農業をやられている地域において共同利用の推進などについて行われているわけですが、更にこういった点を強力に進めていかなければならないと思いますが、その点、どのようにお考えか、お聞かせください。

武村副大臣 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、スマート農機につきましては、導入コストが高い、また、稼働率が低く、費用対効果が発揮されにくいといった課題がありまして、その解決策として、機械の共同利用やサービス事業者の活用など、スマート農機等を所有することなく利用するニーズもあると認識をしております。

 このため、本法案におきましては、国が認定する生産方式革新実施計画におきまして、農業者が自らスマート農機を導入する取組、また、複数の農業者がスマート農機を共同利用をする取組、さらには、農業者がスマート農業技術活用サービス事業者を活用してスマート農機のレンタルや農作業の委託等を行う取組のいずれにおいても、農業者やスマート農業技術活用サービス事業者に対して、税制、金融等による支援措置を講ずることとしております。

 また、これまでもスマート農機の導入やサービス事業者の育成等に必要な予算を措置してきているところでありまして、今後とも、農業者がスマート農業技術を活用しやすくなる環境の整備に取り組んでまいります。

 以上です。

神田(憲)委員 ありがとうございます。

 農機の導入とともに、やはり農業地域のインフラの部分においてまだ十分でないところがあると考えております。農村地域や、特に中山間地域においては、通信のネットワークが不十分な場合がありまして、スマート農業技術の導入においても直面する課題が大きいのかと思っております。

 高速通信のインフラを農業地域に整備するための課題についてはどのようにお考えか、お聞かせ願いたいと存じます。

武村副大臣 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、スマート農業技術の活用の促進のためには、農業現場における情報通信環境を整えることも重要です。

 このため、農林水産省では、総務省と連携をし、過疎地や中山間地域等において情報通信環境の整備を推進するほか、農業、農村整備の中で自動走行農機に必要となる補正基地局の設置等を支援するなど、スマート農業技術の活用に適した情報通信環境の整備を図っているところです。

 また、本法案の生産方式革新実施計画におきましても、農業者が導入をするスマート農機と併せまして、その効果の発揮に必要不可欠な情報通信環境を改善するための簡易な機器の導入も支援することが可能となっております。

 さらに、本法案の第二十条第三項におきまして、国は、スマート農業技術を活用するための高度情報通信ネットワークの整備につきまして必要な措置を講ずるよう努める旨を規定をしておりまして、この規定も踏まえ、引き続き、関係省庁とも連携をしながら、スマート農業技術を活用するための情報通信環境の整備に努めてまいります。

 以上です。

神田(憲)委員 ありがとうございます。

 その二十条の三ですけれども、努力義務なわけですが、もし本腰を入れてスマート農業を推進していくなら、ある程度、もう少し強い文言の必要性があると感じているところでございます。

 さらに、農業現場というのは高齢化の進捗というところが止まらないわけで、新しい技術の理解や受入れに対する抵抗であるとか、それから、スマート技術の操作が難しいと感じる方も多いことかと思います。これまでの勘に頼るような、経験値ですね、なかなかこういうことがなじまないということの問題があります。

 一方で、スマート技術の導入で目に見える形の作業及び生産性の向上ということも図られるわけですが、こういったところで、世代間ギャップみたいなものもございますから、様々な問題が出てくることが考えられます。

 そこで、簡便なユーザーインターフェースの開発、それから農業従事者への教育、それからトレーニングプログラムの提供等、現地でサポートできる体制の強化ということがスマート農業を進めていく上での課題だと考えておりますが、その点についてはいかがでしょうか。

武村副大臣 お答え申し上げます。

 スマート農業技術につきましては、危険、重労働からの解放、現場の張りつきからの解放、また、技術やノウハウの継承等のメリットがありますので、高齢の農業者の方々にも、まずはこうしたメリットを御理解をいただいて、スマート農業技術の活用に積極的に取り組んでいただくことが重要であるというふうに考えています。

 このため、本法案におきましては、国がスマート農業技術の活用も含めた生産方式革新事業活動の必要性や有効性に関する知識の普及啓発を図ることとしておりまして、スマート農業技術のメリットを高齢の農業者の方々にもしっかりと御理解をいただけるよう、優良事例の横展開など必要な施策を講じてまいります。

 現場での導入ということですが、高齢の農業者がスマート農業技術を使いこなせるようにするために、これまでも、スマート農業技術の農業者向けの研修や、実証プロジェクトの実施者によって組織されたサポートチーム等による伴走支援を行ってきたところであります。

 本法案におきましても、国は人材の育成、確保のために必要な措置を講ずるよう努める旨規定をしておりまして、引き続きこうした取組を推進してまいります。

神田(憲)委員 私の地元愛知県では、環境と調和のとれた食料システムの確立のための環境負荷低減事業活動の促進等に関する法律の規定に基づきまして、県内全市町村と共同で愛知県環境負荷低減事業活動の促進に関する基本的な計画を策定したところであります。

 これら都道府県の計画を推進するためにも、環境負荷低減やスマート農業等の技術開発と、何をおいても社会実装の加速化ということの支援、国には是非十分な予算を確保していただきたいと考えておりますが、最後に副大臣の意気込みをお聞かせください。

武村副大臣 お答え申し上げます。

 みどりの食料システム戦略の実現に向けまして、全都道府県でみどりの食料システム法に基づく基本計画が策定をされております。愛知県では、あいち農業イノベーションプロジェクトによる新技術、新品種の開発等を推進することとされています。

 農水省では、各地の取組を推進するため、みどりの食料システム戦略推進総合対策により、堆肥による土づくりや化学肥料、化学農薬の低減等に取り組む産地の創出、また、環境負荷低減の取組の見える化やJクレジットの普及拡大等の支援を行ってきているところです。

 さらに、イノベーションを絶え間なく創出することができるよう、例えば、みどりの食料システム戦略実現技術開発・実証事業におきまして、有機農業関連技術など、現場のニーズを踏まえた開発に取り組むとともに、公設試験場等を含む産学官連携による研究を支援するオープンイノベーション研究・実用化推進事業を措置する等、戦略の実現に必要な技術の開発、普及を推進しているところです。

 引き続き、みどりの食料システム戦略の実現に向けまして、必要な予算の確保に努めてまいります。

 以上です。

神田(憲)委員 今、副大臣もそのお気持ちを申述していただいたわけですが、スマート農業の技術開発と社会実装、何とぞよろしくお願いを申し上げて、私の質疑を終わります。

 ありがとうございました。

野中委員長 次に、山崎正恭君。

山崎(正)委員 公明党の山崎正恭です。

 本日も質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 貴重なお時間ですので、早速質問に入らせていただきます。

 私も昨日の視察の方に参加させていただきまして、大変にありがとうございました。

 まず初めに、スマート農業技術の活用の促進に関する法律案についてお聞きします。

 本法案では、スマート農業技術の導入と開発の二つの計画制度を想定していますが、これは、技術開発と現場での導入をそれぞれの計画に基づいて進めていくということだと理解しています。

 技術開発と現場での導入、それぞれが今後スマート農業を進めていく上での指針となる大事な計画だと考えますが、それぞれがばらばらでは意味がなく、幾らすばらしい技術でも、現場で使えなければ無駄になってしまいます。言い換えれば、いかに現場のニーズに即した開発ができるか、また、技術を向上させていくために現場の使い勝手などをフィードバックしていくといった、それぞれを連携させて取り組むことが非常に重要なことだと考えます。

 私の地元高知県では、施設園芸農業において、産学官が積極的に連携し、農業者に有益な情報を提供するデータ連携基盤、インターネット・オブ・プランツ、IoPクラウドを構築して、最先端の研究開発や先進的な人材育成、他分野との協業による技術革新やビジネス創出を促進する取組を行っています。

 そのIoPクラウドを効果的に運用するために、IoP農業研究会を発足させ、農業者にその情報を見える化、使える化、共有化するために、研究員、生産者、JA職員、県行政職員、大学研究員等が、コミュニケーションツールを使い、日常的にやり取りをしたり、定期的な会議を開催したりといった迅速なコミュニケーションで、技術の構築と現場からのフィードバックができる仕組みをつくっています。

 そこで、農水省としては、スマート農業技術の導入と開発、それぞれの計画がうまく連携するためにはどのような対応をされていくのか、お伺いします。

川合政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、スマート農業技術の現場への導入や開発、供給を効果的かつ迅速に進める必要があります。

 このため、この法案では、第三条におきまして、生産方式革新事業活動の実施を通じて得られた知見が開発供給事業に、開発供給事業の実施を通じて得られた成果が生産方式革新事業活動に有効に活用されるよう、それぞれの事業を行う相互間の連携協力の促進を図ることが規定されております。

 委員に御紹介いただきました高知県の取組では、まさに、生産サイドと開発サイドの産学官の関係者が緊密に連携した取組と考えております。

 第二十条におきましても、国は必要な情報の収集、整理及び提供を行うこととしておりまして、国としましては、生産サイドと開発サイドの連携を促進するため、こうした優良事例の横展開など必要な施策を講じてまいります。

 また、この法案の第六条に基づき定める基本方針では、生産方式革新事業活動と開発供給事業との連携に関する基本的な事項を定めることとしております。具体的な内容は今後検討することとしておりますが、関係者が参画する協議会の立ち上げも含めまして、新たな連携方策や体制についてしっかりと検討してまいります。

山崎(正)委員 先ほど少し出てきましたけれども、本法案の第六条関係で、本法案の運用の基本的な事項を定める基本方針の策定についても、開発や導入の現場の意見をいかに聞いて、農業者を始め様々な関係者のニーズを反映していくのかということが重要だと考えますが、この点について、基本方針策定に向けてどのように対応していくのか、お伺いします。

川合政府参考人 お答えいたします。

 基本方針では、制度運用の考え方や、先ほど御説明しました生産と開発の連携に関する事項などを示すものであります。技術的、専門的な事項も含まれることから、第六条第四項に基づきまして、食料・農業・農村政策審議会の意見も聞いた上で基本方針を定めることとしております。

 また、委員御指摘のとおり、基本方針は多様な関係者の声を踏まえまして策定することが重要であると考えております。本法案が成立した暁には、本省、地方農政局一丸となりまして、現場の農業者や関係団体、事業者、地方公共団体など、幅広い関係者の意見を丁寧かつスピード感を持って伺い、その内容の検討を深めてまいります。

山崎(正)委員 ありがとうございます。連携が非常に重要だと思いますので、よろしくお願いいたします。

 次に、先日、人口戦略会議が、全国の市区町村の四割超えに当たる七百四十四自治体が消滅する可能性があるとの報告書を発表しました。子供を産む中心世代である二十歳から三十九歳の若年女性人口が二〇二〇年から二〇五〇年までの三十年間で半減する市区町村を消滅可能性自治体と定義したものですが、現在、私の地元高知県でも、知事の政策の最重要課題として若年女性人口の拡大に取り組んでいます。

 そういった状況の中、私は、農業従事者は土地にひもづいていることが多いと思いますし、また、本法案の重要事項である農地の確保は、町の景色や環境面にも多大な影響を与えます。そして、何よりも、生命維持産業とも言える、人間にとって重要な食をつくる人が各自治体にどれだけいるのかが持続可能な自治体づくりにとって非常に重要な指標であると考えますが、大臣の認識をお伺いします。

坂本国務大臣 委員御指摘のとおり、農業は農村地域の経済を支える重要な産業であるとともに、景観、そして自然環境の維持保全など、良好な農村環境を形成する重要な役割を担っております。そこで、将来にわたって農業が農村地域の発展に貢献するよう、農地とともに農業を担う人材を確保し、農村に定着していただくことが重要であります。

 このため、農林水産省では、次世代の農業者の確保に向けまして、就農に向けた様々な資金メニューでの支援、さらには、経営発展のための機械、施設等の導入の支援等の取組を行っております。仕事、暮らし、活力、土地利用の観点から農村振興施策を総合的に推進することとしておりまして、これらの取組を通じまして、農業従事者が農村地域に定着できるよう後押しをしてまいります。

山崎(正)委員 ありがとうございました。

 先日の参考人質疑で、株式会社雨風太陽代表取締役の高橋博之氏が、平時から日本の食を担っている一次産業の方への社会からのリスペクトが重要だと言われ、それがあって初めて、有事になったときに、よし、それなら皆さんの期待に応えてやるぞとなると強くおっしゃられていましたが、まさにそのとおりで、私は個人的には、各自治体に農業従事者数の目標を立ててもらい、取り組んでもらってもいいぐらいの重要な事項だと思っています。国民の命を維持する食をつくり、国土環境を守ってくださる農業従事者をリスペクトする社会の構築に向けて、農水省が中心となって今後また取り組んでいただきたいというふうに思います。

 次に、安定的な食料供給を行っていく上で、改めて言うまでもなく、食料自給率は重要な指標でありますが、二〇二二年の日本のカロリーベースの食料自給率は三八%であります。それに対して、昭和四十年、一九六五年には、日本の食料自給率はカロリーベースで七三%でありましたが、このときと比較して現在の食料自給率をどう分析し、これから具体的にどのように上げようとしているのか、お伺いいたします。

坂本国務大臣 食料自給率につきましては、戦後の食生活の洋風化及び人口の増加によりまして、食料需給の拡大をカバーするため輸入が急増いたし、昭和四十年度に七三%だった自給率はその後急減いたしました。

 基本法制定以降の食料自給率は三八%前後で推移をしておりまして、その変動要因を見ますと、国内で自給可能な米、野菜、魚介類の消費量の減少、そして、輸入依存度の高い飼料を多く使用いたします畜産物の消費量の増加など、消費面での変化が食料自給率の低下要因というふうになっております。

 こうした食料消費の傾向がしばらくは継続することが想定される中、食料自給率が確実に上がると言い切ることは困難でありますけれども、いずれにせよ、食料安全保障の確保の観点からは、麦、大豆、加工原料用野菜等の輸入依存度の高い品目の国産転換といった食料自給率の向上にも資する取組を更に推進することが重要であると考えております。

 今後、食料・農業・農村基本法の改正法案につきまして国会で御審議いただき、その改正法案が成立を見ましたならば、それに基づいて基本計画の策定を行うこととなりますが、その基本計画の策定の際に、食料自給率のほか、その他の食料安全保障の確保に関する事項について、適切な目標設定に向けた検討を行ってまいりたいと思っております。

山崎(正)委員 次に、本年一月一日十六時十分に、マグニチュード七・六、最大震度七の令和六年能登半島地震が発生し、二〇二四年四月二十六日現在で二百四十五人の方がお亡くなりになり、四か月以上たった現在でも多くの方が避難生活を送られています。お亡くなりになられた方の御冥福をお祈りするとともに、被災者の皆様にお見舞い申し上げます。

 今回の能登半島地震の被害総額は一・一兆円から二・五兆円と推定され、農林水産関係の被害額は、発表されているもので、まだ全容が把握できていない二月二十九日段階で石川県で推計二千億、直近の五月九日に発表された新潟県で二十億七千万円と、甚大な被害を受けています。

 実は、私の地元高知県や選挙区であります四国においては、南海トラフ地震が今後三十年以内で発生する確率が七〇%から八〇%と予想されており、昭和二十一年に発生した昭和南海地震から八十年近くたっていることから、切迫性の高い状態であります。

 そういった状況の中で、今回の法案、食料の安定供給や食料供給困難時等の問題を考えた場合に、地元の農業者の方との意見交換の中で出てきたのが、今回の能登半島地震の発生が一月一日で、季節は冬でありましたが、このときに南海トラフ地震が発生し、例えば、高知県の野菜の集出荷場がこの地震で壊滅状態になったと仮定した場合に、この時期、冬春のピーマンは、高知県の出荷量が一万二千トン、全国の一六%。それに、南海トラフ地震ですので、同じように宮崎県の野菜の集出荷場がやられた場合には、二万三千五百トン、全国の三二%。さらに、鹿児島は一万二千トン、全国の一六%と、三県で全国の六四%となり、この時期の日本の半分以上、六割の食卓にピーマンが届かない、ピーマンが消えることになります。

 こういった状況はナスでも考えられ、高知県の出荷量は全国の三五%、徳島と、南海トラフ地震で最大千五百から三千二百棟が全壊するとの仮定がされている熊本県が全国の二二・一%で、三県で全国の五八・二%になります。さらに、中央防災会議では、東海地震、東南海地震、南海地震の三地震が連動して発生した場合のことも想定した広域的防災対策の検討が開始されていますが、そういった三連動を想定して、愛知県、静岡県、和歌山県を加えると全国の六五%となり、日本の六五%の食卓から冬春のナスが消えることになります。

 そこで、何が言いたいかといいますと、南海トラフ、東海、東南海地震によりどの地域が甚大な被害を受けるかは分かりませんが、最悪の三連動地震も想定した場合に、もちろん発災直後は野菜を出荷するというような状況ではありませんが、例えば高知県なんかにおいては、道路網が非常に限定されており、それらが寸断された場合も含め、今回の能登地域のように、避難生活が長期化し、復興までに長い時間を要することが想定されます。その場合は、農業従事者の皆さんが出荷できる状況になっても、出荷場が壊滅状態のため、出荷したくてもできない状況となります。

 そういったことにならないように、来るべく南海トラフ地震等を想定して、食料供給の確保の観点からも、野菜の集出荷場の耐震化、既存施設を含む耐震化が重要であると考えますが、大臣の認識をお伺いします。

坂本国務大臣 南海トラフ地震などの大規模地震の発生も近い将来予測される中で、大規模自然災害の発生時に、農業経営のリスクに備えまして、食料のサプライチェーンを維持強化していくことは大変重要なことであります。

 農林水産省といたしましては、御指摘の野菜の集出荷施設を始め、産地の基幹施設の機能向上を支援いたします強い農業づくり総合支援交付金等におきまして、機能向上と一体的に行う耐震化工事等についても助成対象というふうにしているところです。

 また、園芸産地における非常時の対応能力向上に向けました事業継続計画の策定への支援等の取組も行っているところでありまして、事前防災を徹底し、災害に備える農業経営の取組の全国展開を図ってまいります。

山崎(正)委員 もう一問準備しておりましたが、時間になりましたので、以上で終わりたいと思います。申し訳ありません。

 ありがとうございました。

野中委員長 次に、金子恵美君。

金子(恵)委員 立憲民主党の金子恵美でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 今回は、三法案が一括審議でございましたけれども、私は、スマート農業促進法案についてはまだ質問ができておりませんので、今日はそこからスタートさせていただきたいと思います。

 しかしながら、通告はしていないんですけれども、冒頭確認をさせていただきたいと思います。この確認がなければ、私はちょっと質疑ができません。

 私のところに要請文が届きました。生産基盤は弱体化していないと発言した坂本哲志農水大臣は罷免に値する、重大発言である、そういう内容のものが私のところに届きました。

 何かと思いまして、改めて確認をさせていただき、そして、私の仲間である徳永参議院議員からも確認をさせていただき、お言葉をいただいたんですけれども、徳永エリ参議院議員が農水委員会で質疑をした際に、なぜ生産基盤がこの四半世紀で弱体化してしまったのか、その理由についてどうお考えかということを聞かれた。それに対して大臣のお答えというのは、生産基盤というのが弱体化したとは思っておりませんと答えられたということです。

 この御趣旨、どういうことですか。

坂本国務大臣 五月十六日の本委員会におきまして、私から生産基盤が弱体化したとは思っておりませんと申し上げたことにつきましては、事実でございます。

 それについて一言申し上げます。今国会で御審議いただいております食料・農業・農村基本法の改正法案は、農業の生産基盤が弱体化していることなどを背景に提出させていただいております。また、過去の政府文書や国会答弁等では生産基盤の弱体化等の課題に直面している等とされていることから、私の認識に誤りがありました。私の答弁につきましては、生産基盤が弱体化していると修正をさせていただきたいと思います。

 前回の、前回といいますか、参議院での答弁につきましては、撤回し、そして、おわびすることというふうにしております。

金子(恵)委員 それでは、弱体化していないという御発言は、今撤回されたということであります。改めて、こちらの御答弁というのは参議院の農林水産委員会での発言でありましたから、そちらでももちろん撤回されるということだというふうに思いますけれども。

 そうでなければ、基本法改正、衆議院は通ってしまって、今参議院での審議が行われていますし、関連した三法案の審議をしているわけですが、何のために今これをやっているかという話になるわけですよね。誤解が生じるようなこういう御発言というのは、気をつけていただきたいなと改めて思っているところでございます。

 その上で、何回も申し上げていますけれども、生産基盤が弱体化している、それを数字で示すものとしては、やはり、基幹的農業従事者が今後二十年間で現在の約四分の一に減少することが見込まれる、こういう中で、生産性の向上に資する新たな技術が開発されることが重要であるということから、スマート農業の技術を何とか進めていきたい、開発していきたいということであったり、スマート農業を導入するということであります。

 先ほど来お話があって、昨日も視察をされたということでありますから、ちょっと重複する部分もあるかもしれません。若干切り口を変えさせていただきますと、スマート農業で成果を上げた事例はこれまでも見られるわけです。でも、それは意識変化とか、そして、基本的な農業技術の励行があったということが指摘されているわけです。

 農業者が自らの経営に合うスマート農業を取捨選択することも大切ではないかというふうに思っておりまして、スマート農業機械は高価であるということで、誤解を恐れずにこの言葉を使わせていただきますと、選択を誤れば機械化貧乏になるリスクもあるということだというふうに思います。

 そこで、スマート農業促進のためには技術と人材が車の両輪であって、本法律案では、人材育成については、雑則の、第二十条第三項、必要な措置を講ずるよう努めるということにとどまっています。そして、国の責務、第四条では、生産方式革新事業活動や開発供給事業を行う者に対して集中的かつ効果的に支援を行うよう努める旨規定されています。

 全部、努めるということで、努力をするということにとどまってしまっているわけなんですけれども、実際に、人材育成については、農業者を始めとする幅広い関係者に対して支援していくことが重要であるということを申し上げさせていただきたいと思いますし、また、今後、この法律が成立後というのは基本方針が策定されることになりますけれども、そこについては、生産方式革新事業活動と開発供給事業の促進に関する重要事項等について定めるとはしていますけれども、人材育成については明示されていないわけです。

 ですので、基本方針に人材育成を明示することが実は必要だったのではないかというふうに思いますが、御所見はいかがでしょうか。

坂本国務大臣 スマート農業技術の活用を促進するためには、それを使いこなす人材の育成を図ることが重要であります。農業者、そして農業高校、農業大学校の学生、スマート農業技術活用サービス事業者など、幅広い方々がスマート農業技術を活用する担い手になっていただくことが重要と考えております。

 このため、農林水産省では、農業者向けの研修、そして、実証プロジェクトの実施者によるサポートチーム等による優良事例の横展開、さらには、農業高校や農業大学校等でのスマート農機の導入や現地実習等の取組への支援を行っているほか、本法案では、サービス事業者への金融、税制等の支援措置を講ずるなど、ハード、ソフト両面から人材育成の取組を進めてまいります。

 また、本法案では、スマート農業技術を使いこなす人材の育成確保のために国は必要な措置を講ずるよう努める旨規定しておりまして、この規定も念頭に、委員の御質問の趣旨も踏まえまして、本法案が成立いたしました際には、基本方針にも人材育成について盛り込みたいと考えております。

金子(恵)委員 ありがとうございました。

 明確に、基本方針にも人材育成を明示していくということのお答えをいただきました。期待したいと思います。よろしくお願いいたします。

 次に参ります。スマート農業に係る規格の統一ということで質問させていただきたいんですけれども、スマート農業機械の利用効果を十分に発揮させるために、生産者がスマート農業機械に合わせて栽培方法を転換することもあるというふうに思います。例えば、特定の収穫ロボットに合わせて畝幅や樹形を変更した圃場において規格が異なる収穫ロボットを導入した場合には、作業効果が落ちる可能性というのがないのかどうかという心配もあります。つまり、規格の異なる機械を導入していくことによって、反対に、逆効果ということにはならないかという懸念もあるわけです。

 栽培方法を転換すること、そしてまた規格をきちんと統一していくこと、これによって効率化が本当に進んでいくのではないかというふうには思うのですけれども、どのような見解をお持ちか。例えば、スマート農業の機械自体の規格と、そしてまた栽培方法標準化ということについてどのように進めていくのか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

川合政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、スマート農業技術の現場への導入のためには、開発サイドと生産サイド、それぞれが歩み寄るという必要がございます。委員御指摘の標準化につきましては、機械の開発コストの低減や機械の普及に資するものと考えております。

 生産サイドでは、スマート農業技術に適した栽培方法につきまして、各地域の気候や地形、品目の特性などによって多様であるということであります。その標準化につきましては、各地域の状況に応じました優良事例の横展開を図るなど、農業者が栽培方法の見直しに取り組みやすくなるよう、必要な施策、例えば標準作業手順書など、しっかり作っていきたいと考えています。

 開発サイドにつきましては、開発するだけでは駄目で、やはり、なるべく標準的になるように、基本、プラットフォームは同じようにしてアタッチメントだけ替えるといったことをやっていきたいんですけれども、まだ開発されておりませんので、まずは開発供給計画で、しっかりオールジャパンベースで開発していく。そのためには農業現場の意見をよく聞いて、現場にマッチした機械をしっかり開発していきたい、こう考えております。

金子(恵)委員 ありがとうございました。

 できるだけ標準化の方向で開発も進めていき、これからの今後の課題について触れていただいたわけですけれども、是非よろしくお願いしたいと思います。

 次ですけれども、私、福島県の人間で、例えば桃の生産も随分頑張ってやっております、果樹を中心として農業者の方々が頑張っておられますけれども。果樹とお茶の生産方式の転換に伴う確実な支援というのはしていかなくてはいけないと思うのですけれども、果樹やお茶は、一般的に植樹から収穫まで数年を要するため、改植をした場合、その後の数年間は未収益期間となります。このため農水省は予算措置で未収益期間に対する支援を行っているわけなんですけれども、スマート農業機械の利用を前提に、生産方式をスマート農業機械に合わせる形で改植を行った場合、これらの支援を担保する措置を講ずる必要性があるというふうに思いますが、いかがでしょうか。

川合政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、スマート農業技術の効果を最大限に発揮するためには、技術の導入と併せまして、品種を転換するでありますとか、圃場の畝間を広げる、あるいは樹形を変えるなど、農業者の方も生産方式を見直すということも大切でございます。

 このため、この法案の生産方式革新実施計画におきましては、こうした取組を行う農業者に対しまして日本公庫の長期低利融資等で支援することとしております。委員御指摘の果樹の改植等につきましても対象としております。

 また、果樹の改植等につきましては、他の作物と異なり、未収益期間が生ずるため、計画の実施期間を通常よりも長くすることを現在検討しておるところでございます。

 さらに、果樹の改植等につきましては、令和五年度補正予算の産地生産基盤パワーアップ事業、令和六年度予算の果樹農業生産力増強総合対策、これによりまして、省力樹形への改植、新植に係る経費や、それに伴う未収益期間における幼木管理経費を支援しており、こうした事業も活用しながら、果樹作におけるスマート農業の推進を図ってまいります。

金子(恵)委員 ありがとうございます。

 本当にこれからのことというのが多いと思いますけれども、現場の状況をしっかり把握していただきまして、それに合った形でできるだけ進めていただくということが私は前提になっていくと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 次に参ります。福島を始め東北の復興を実現するための夢や希望となるということで、F―REI、福島県浪江町に、昨年の四月一日に福島国際研究教育機構というものが設置されております。

 ここでは、やはり、農林水産業の分野において、労働力不足や高度な資源循環の実現といった我が国や世界に共通する課題の解決に向け、スマート農業やカーボンニュートラル等を含めた地域循環型経済農業を核とした農業復興を目指しますということでございます。そのような方向で今進めようとしているところです。

 昨年の四月の設立前に、山崎理事長が、研究を進める中でどんな困難な状況や問題に直面するかまだ分からないが、スマート農業の分野などでは比較的早く成果を上げることができるかもしれないというふうにインタビューで答えられておりまして、私も、スマート農業と、私の地元にありますこの福島国際研究教育機構、これは一体となって考えることもいろいろあります。

 一方で、もちろん、国としては、農研機構がスマート農業を進める上でも様々な観点から中心となっていく可能性はあるわけですけれども、この農研機構との連携も含めまして、どのような形でF―REIにおけるスマート農業の取組がなされていくかということについて、展望についてお伺いしたいと思います。

坂本国務大臣 スマート農業技術は、人口減少下におきましても生産水準が維持できる生産性の高い食料供給体制を確立するために重要でありまして、スマート農業技術活用促進法案を御審議いただいているところであります。

 このような状況の中で、今委員お尋ねの福島国際研究教育機構、いわゆるF―REIにおきましては、令和五年度から、水田稲作の全工程無人化に向けた遠隔監視による無人自動走行システムの構築等の研究開発につきまして、農研機構を中心としたコンソーシアム、官民共同、あるいは連携による委託研究を開始したところであります。

 農林水産省といたしましても、被災地域におけるニーズを踏まえ、F―REIが、農研機構を始めとする研究機関、民間企業とも連携をいたしまして、福島を始め東北の創造的復興に資する研究開発に取り組むことが重要と考えております。引き続き、F―REIの取組を全力で支援してまいります。

金子(恵)委員 ありがとうございます。是非全力で支援をしていただきたいと思います。

 次に参ります。農振法等改正案にも触れさせていただきたいと思います。

 前回積み残しました、質疑ができなかった部分でありますけれども、国と地方、特に市町村の位置づけを踏まえた利害等の調整の在り方について質問をさせていただきたいんですけれども、本法律案では、農用地区域からの除外に係る市町村からの協議を受けた都道府県知事の同意の基準として、都道府県面積目標の達成に支障を及ぼすおそれがないと認められること等を追加しているということです。また、その判断材料として、市町村に対し、面積目標への影響緩和措置等を記載した書面を求めるとしております。

 これらに関連して、全国知事会の本年一月の緊急要請では、特に、農用地区域の設定や除外については、農地の実態や地域の状況に応じた柔軟な対応が可能となるようにすることを求めていたり、また、全国市長会が本年二月に公表した意見では、一定の面積により一律に面積目標達成への支障いかんを考慮するのではなく、農地の確保と主体的なまちづくりの両立に向けた地域の実情に応じた判断ができるようにすること等を求めています。

 このような要請等に応えるためには、国としての農用地の総量確保の観点や、地域の実情に応じた対応の確保等について、バランスを考慮した調整が求められます。

 しかしながら、本来、農用地の総量確保を求めるためには、現場に最も近い市町村で、どれだけの農用地をどのように確保するのかというのが重要だというふうに思います。その最重要な部分でありますけれども、残念ながら、農業振興地域制度では、市町村の面積目標という概念がありません。さらに、都道府県が面積目標等の基本方針を定める際に、国との協議はありますが、市町村との協議等については規定されていません。

 この構造は本法律案では変わることなく、むしろ国の関与が強まることで、極端な言い方をすれば、国と都道府県が協議して定めた面積目標や転用制限に対し市町村はただ従わざるを得ない、そういう極めて不合理な状況になりかねないということもあります。

 地方から求められていることは、市町村を蚊帳の外に置いて国が都道府県に関与するということではなくて、都道府県と市町村が面積目標を含めた認識を共有し、地域の実情に合わせて一体的に取り組めるような、そういう環境を整備することではないかというふうに考えます。国にはそのフォローや調整をしてほしいというようなことではないかというふうに思いますが、このような国と地方、都道府県と市町村、その中でも特に市町村の位置づけを踏まえて、これらの複雑な関係、利害をどのように調整することで本法律案による農用地の総量確保のための措置を実効性あるものにしていこうとしているのか、お伺いしたいと思います。

坂本国務大臣 現行の制度下におきましても、国の基本方針に定めます面積目標や都道府県の面積目標の設定基準、都道府県の基本方針につきましては、関係市町村の意見を聞くことというふうにされております。そして、市町村の意見が反映されるように配慮されております。

 その上で、今回の農振法の改正では、都道府県知事、市長及び町村長の全国的連合組織等を構成員といたします国と地方の協議の場を法定化いたします。そして、面積目標の設定基準の協議に加えまして、農用地等の確保に関する基本的な事項等を含めました国の基本指針全体について協議を行うこととしております。国及び都道府県の面積目標がより実効性のあるものとして設定されるようになるものと考えております。

 こうした措置を通じた調整によりまして、国及び地方公共団体が、それぞれの役割分担の下、農用地等の確保に努めていくことを想定しているところでございます。

 私のところにも市町村から様々な御意見が寄せられておりますけれども、しっかりとそこは市町村の御意向も取り入れながら、最終的には国と県との、地方との協議の場で、様々なバランスを取っていく、農用地を確保していくということであります。

金子(恵)委員 ありがとうございます。

 最後の法案です。食料供給困難事態対策法案でございます。

 もう既に、罰則がある、そういう法案だからということで、いろいろな御意見等は私のところには届いておりますが、まず、そこに触れる前に確認をさせていただきたい点があります。

 今回、農業者が国からの要請に応じてふだん行っているのと異なる農作業をする場合、事故が発生する危険性も増大すると考えられるのではないかと思いますが、そうなった場合の補償の在り方ということについては、どのようなお考えをお持ちですか。

坂本国務大臣 既存の法令では、例えば、一般の国民の皆さんが警察官、海上保安官の職務に協力した場合や、火災、洪水の現場にある者が消防活動等に協力した場合であって、負傷したとき、損害を補償する制度はあります。しかし、これらは一般国民の皆さんが公益のためにリスクの高い行為を行った場合に措置をしているものであります。

 これに対しまして、本法案の要請は、平時からの業として農業を行っている事業者の皆さん方に対しまして行うもので、あくまで事業者の経営判断に基づいて行われるものであります。そして、平時の農業生産活動と比べましてもリスクが特に高いものではないことも踏まえまして、災害補償の規定は設けておりません。

金子(恵)委員 農業者の方々の高齢化も進み、そしてまた基幹的農業従事者の方々の数も減っている、そういう状況の中で国からの要請をするわけです。それをしっかりと受けて、真面目に国の言うような計画の中でやるということになったときに、リスクが生じないとは言えないというふうに思うんですね。ですから、リスクが生じてしまう可能性がある、事故が発生する危険性が増える可能性があるから、そうなったときはどうするんだという質問に対しては、全くそれはリスクがないから大丈夫というような御意見だというふうに私は受け止めましたので、そういう考え方ということが分かりました。

 次に、農業者が国からの要請に応じて特定食料の生産に協力する場合にも、やはりこれも収入の減少がもたらされる可能性があるわけです。農業者だけではありません。いずれにしても、農業者等の収入減少の補填についての考え方、つまりは、この法律案の中で損失補填の規定というものがないわけでありますけれども、そのお考えについてはいかがでしょうか。

坂本国務大臣 本法案では、食料供給困難事態等におきまして、事業者に対して食料供給確保のための要請や計画作成の指示などを行う旨を規定しております。

 この要請に応じるか否かは各事業者の経営判断に基づくものであるため、事業者が要請に応じていただけるよう、円滑に食料の供給に係る事業を行うために必要な財政措置を講ずることとしております。

 一方で、供給確保の計画に関する変更の指示につきましては、当初の事業計画を変更することとなるため、結果的に変更前の事業計画と比較し損失を被る可能性があります。

 このため、十九条第二項の規定におきまして、こうした計画変更による損失を考慮して、経営に及ぼす影響を回避する観点から、計画の変更指示に従い生産等を行う事業者に対しまして財政上の措置を講ずるものとしているところです。

 なお、本法案におきまして損失補償の規定を設けなかったのは、損失補償につきまして、生産等に起因する具体的な損失額を個々の事業者ごとに特定する必要があります。支払いまでの手続に相当の時間を要することとなるため、かえって事業者にとって負担となるという意見があったためでもあります。

金子(恵)委員 今大臣がおっしゃっていただいたように、取りまとめの中ではそのような御意見があったということも伺っています。

 十九条にありますように、財政上の措置等をしっかりやるということであれば、農業者等の収入減少等があった場合、補助金等で全部きちんと補填できる、その約束をしていただけるということでよろしいですか。

坂本国務大臣 第十九条第二項におきまして、計画変更の指示に従う事業者に対しましては、経営に及ぼす影響を回避するために必要な財政上の措置を講ずることとしております。食料供給困難事態の具体的な状況を踏まえまして、生産者等に影響が出ないよう、必要な措置を検討し、実施してまいりたいと考えております。

金子(恵)委員 影響が出ないようというところの定義というのも、ちょっと分かりません。

 最後の質問になってしまうんですけれども、私の事務所にちょうど来られたJA福島県青年連盟の役員の方から伺いましたけれども、今回の食料供給困難事態対策法、これについての説明会などについては知らなかったということで、計画届出違反についての罰則が二十万円以下の罰金ということを報道で知ったというふうにおっしゃっていました。大変不安であるとおっしゃっている。このような刑事罰まで伴う法律を作る必要があるのか、これでは農業をやる人がいなくなる、食料安全保障など確立できるわけがないと強くおっしゃって帰られました。

 大臣は、五月十五日の委員会審議で、川内委員、山田委員の質問に対する答弁で、本法律案の検討に当たっては、審議会それから検討会において、かなりの数、議論をした、そして、地方意見交換会や各種意見交換の機会を捉えて現場の生産者の意見も伺った、各地方農政局の十一ブロックにおいて農業団体や地方団体に対する説明会を百七十件行った、千二百名が参加した、そのようなお話をされておられました。そして、そこにつけ加えると、こういう丁寧な聞き取り、こういったものを行った上で今回の法案というものを作成したわけでありますというふうにもおっしゃっているんですけれども、私、ここはちょっと時系列的におかしいんじゃないかというふうに思っております。

 百七十回説明会を行ったということで、私は、実は農水省からいただいたリストを照らし合わせてみました。五月の九日までの百六十九回、ナンバーが振ってありましたので、そこまでしか私は見ることはできませんでしたけれども。法案を提出する前の説明会、あるいは説明の場ということでありますが、それは五十七回。そして、二月の二十七日以降、約百十回は行われているということでありますので、大臣がおっしゃったように、いろいろな方々の意見を聞いて、それで法案というものを作成したということには当たらないわけです。

 法案が提出されたそれ以降の方が百十回やっているということで、それも中身によると思います。これは、説明会でもない、意見交換会という、そんなタイトルでもない。日頃やっている様々な意見交換の場で、たまたま食料供給困難事態対策法についてお話をさせていただいたレベルのようなんです。

 それを大臣は知っていてこのような発言をされているか。大臣、いかがでしょうか。

坂本国務大臣 繰り返しになるかもしれませんけれども、令和五年の四月の二十八日に開催されました食料・農業・農村政策審議会第十四回基本法検証部会におきまして具体的な議論が行われ、そして、同年七月から八月にかけまして、その結果を踏まえた中間取りまとめにつきまして、全国十一ブロックで生産者も交えた意見交換会を実施してまいりました。

 その後、中間取りまとめを踏まえまして、具体的な制度の在り方を検討いたします、不測時における食料安全保障の検討会を同年八月から十二月にかけて実施をし、そこで、ここでは農業者団体の有識者に委員として参画していただきまして、現場目線も踏まえた検討を行ってきたところであります。

 さらに、機会を捉えながら、不測時における食料安全保障の検討会の取りまとめや法案の内容につきましては、先ほどから言われておりますように、百七十件、千二百人、あるいは、農政局職員等から現場の農業者からの質問等に延べ五十件、百八十名等の対応等をさせていただいたところです。

 現時点では法案は成立していませんので、農林水産省として参加を広く募った説明会は実施しておりませんが、この法案が成立した暁には、広く説明会を実施するなど、生産者を始め関係する事業者の理解を得られるよう、正確かつ分かりやすい情報提供、意見交換を幅広く行うなど、丁寧に説明をしてまいりたいというふうに思っております。

 二月二十七日に閣議決定をしております。そして、法案説明会というのをその都度やっていくならば、これは国会軽視とも受け取られかねないところもございますので、これはしっかりと団体も始め皆さん方に御説明を申し上げながら、そして、現在の国会審議に至っているところでございます。

金子(恵)委員 我々国会に対してももちろん説明はされるでしょうが、大臣が委員会の中で、丁寧な聞き取りをして、こういったものを行った上で、今回の法案というものを作成したとおっしゃっているんですよね。ということであれば、法案を提出する前の段階のことをおっしゃっているじゃないですか。でも、それは百七十回やって、そういうわけじゃないんですということで、私は時系列的におかしいよねということを言っていて、時間が来てしまいましたのでここまでで、後は私たちの仲間がしっかりとまた質問してくださると思いますけれども、私は、大臣の御発言が、若干ずれてしまっているのではないかなというふうに思っていまして、乱暴な発言だったんだというふうにも思います。それが誤解を生んでいる。でも、単なる誤解なのか、大変不安でなりません。

 冒頭申し上げさせていただきました生産基盤の話もそうでありますけれども、是非丁寧に、心からの答弁をしていただきたいというふうに願って、私からの質問とさせていただきます。よろしくお願いします。

野中委員長 次に、川内博史君。

川内委員 おはようございます。

 大臣、よろしくお願い申し上げます。農水省の皆様方、よろしくお願い申し上げます。

 私は、食料供給困難事態対策法案について聞かせていただきたいというふうに思いますが、私どもから修正提案をさせていただいて、今のところ、自民党や公明党の先生方にはなかなか受け入れていただけないような状況というふうに聞いておりますけれども、まだ時間がありますので、山口筆頭以下、よくよくお考えをいただきたいなというふうに思うんです。

 というのは、農水省が持っている法律の中で、農家に罰金をかけるという法律はそう多くはないというふうに思うんですよね。特に、今回のこの法律というのは、国民の皆さんが食べるものに大変苦労をするという状況の中で、農家の皆さんに、頑張ってくださいねということをお願いした上で、政府から特定作物について増産を指示し、届出をしてもらう。しかし、その届出をしなかったら犯罪である、犯罪にするぞという法律を提案をしていらっしゃる。農家の皆さんを犯罪者にするぞといって届出を出させるというのは、そこは幾ら何でもやり過ぎじゃないの、行き過ぎなんじゃないのか。

 農家の皆さんというのは、大変厳しい経営状況の中で、どれだけ頑張ってもコストがどんどんどんどん上がっていく、特に最近はそうだという状況の中で、働けど働けど楽にならざりき、じっと手を見るという、昔、歌を詠んだ有名な先生もいらっしゃったわけですけれども、そういう状況の中で、国民全体が困っているときに、農家に、生産者にお願いする、届出を出しなさい、出さなかったら犯罪にするぞと。それはちょっと、全然納得されないと思うんですよね。

 特に、今こういう時期に、さっき坂本大臣は、法案が成立したらちゃんと説明するからとおっしゃっていらっしゃるが、農家に説明するときに、自民党の先生方、怒らないで聞いてほしいんですけれども、自民党は裏金か、農家には罰金かと、簡単に批判されちゃうんですよ。めちゃめちゃ簡単な批判を受けますよ。だから考えてほしいんですよ。何だかんだ言いながら、そういうめちゃめちゃ分かりやすい批判を受けるようなことを、この法律を成立させるということは、そういうことを意味するんだということをよくよく考えないといけない。

 この前、審議官は、過料でも一定の担保措置になるとここで御発言されたんですよ、御答弁されたんですよ。過料で担保措置になるんですよ。罰金までかける必要はないんです。

 もちろん、私たちは、そんな過料とか罰金とかじゃなくて、農家に協力金を払いなさい、それでやってもらった方がずっといいよということを主張しているわけですけれども、政府の提案はそこまでいっていないので。だったら、せめて罰金を過料にしてよ、担保措置になるんだから。

 その修正は絶対しないと、自民党の先生方は物すごい批判を受けますよ。だって、これから説明会をしていくんでしょう、いろいろなところで。さっき大臣がおっしゃいましたけれども。これだけ裏金問題で批判を受けているときに、自分たちは裏金を集めて、農家には罰金をかけるのかと、簡単な、分かりやすい批判を受けますよ。

 それは、昔の、賢明なる坂本大臣、僕は、答弁席で一生懸命答弁書をチェックしていらっしゃる、物すごく勉強熱心な、立派な大臣だと。まあ、失言はあったようだけれども、立派な大臣だと思いますよ。だけれども、さっき大臣は、法案はまだ成立しておらないといみじくもおっしゃった。もしかしたら修正されるかもしれないじゃないかということを含んでいるのかもしれないけれども。

 そういう意味で、山口筆頭以下、自民党の先生方、ここはよく考えた方がいいです。過料でも担保措置になるんですから。農家をわざわざ犯罪者にするような法律をこの場面で成立させることは、僕は自民党の先生方のことを思って言っているんですよ。なぜなら、自民党がしっかりしなきゃいけないからですよ。何だかんだ言いながら、日本の政治の中心なんですから。だから言っているんですよ。よくよく、まだ採決まで時間がありますから、お考えをいただきたいということを冒頭に申し上げておきたいというふうに思うんですね。

 というのは、農家とか農業者の皆さんは、本当に何か、言えば言うことを聞くんだ的な思われ方をされているんじゃないか。みんな人間で、その土地に生まれて、一生懸命人生を生きているわけですよね。

 例えば、インボイス制度というのが導入された、農家に与える影響というのはどんなものだろうなというふうに思って、この前、財務省に聞いてみたんです。今日は財務省に来てもらっていますから、インボイス制度による増収額の試算で二千四百八十億という数字が出ていますけれども、この中の農家に与える影響額、そして、足下のインボイス制度による増収額、その中の農業関係の増収額について、財務省からちょっと教えていただきたいというふうに思います。

中村政府参考人 お答えいたします。

 インボイス制度導入に伴う増収の見込額についてのお尋ねでございましたが、制度開始前の段階では、インボイス制度への移行に当たりまして、BツーB取引を主に行う免税業者全てが課税事業者になるという前提で機械的に試算した結果が、国、地方合わせて全体で約二千五百億円ということをお示ししておりますが、農家の方々につきましては、農協や卸売市場を通じて一定の委託販売を行う場合にはインボイスの交付は求められないということを踏まえまして、この二千五百億円の試算上は加味しておりません。

 また、足下についてのお尋ねがございました。

 令和六年度予算におきまして、実際に課税転換した事業者数の数に基づきまして、インボイス制度導入による増収額、これは国、地方合わせて千七百三十億円と見込んでおりますが、この試算に当たりましては、業種ごとの具体的な数は把握できておらないため、農家に限った増収額は計算をしておらないところでございます。

 以上でございます。

川内委員 財務省から御答弁があったんですけれども、要するに、農家がインボイス制度でどの程度影響を受けているか全く分かりません、知りませんということなわけですね。

 試算においても、全量を農協特例、農協に出荷するでしょうから試算の対象にはしませんでしたということなんですけれども、農協特例になるのは委託販売で共同計算の場合のみであって、委託販売で個別計算とか、あるいは契約生産とか事前値決めの場合には農協特例の対象にはならないわけですね。そもそも、農協に出荷している割合というのは半分にもいっていない、五〇%もいっていないんじゃないですかね、最近は。

 だから、そういう意味では、インボイス制度が農家に与える、元々、さっきも言ったように、零細な農家が多いわけですよね。本当に頑張っているわけですよ。そこから更に消費税を取ります、それはどのくらいになるのかということを、私は、農水省としてはしっかり調査をして、ある一定の試算をする必要があるのではないかというふうに思うんですよ。

 消費税に対応する、対策する課も農水省にあるみたいですから、是非、インボイス制度が農家に与えている影響について農水省として調査をし、その額などについても公表していただきたいと思うんですけれども、いかがですか。

村井政府参考人 お答え申し上げます。

 農業者は消費税の免税事業者が多いと想定されることから、農業者ごとに、その取引形態に応じて、インボイス制度への対応を検討する必要があると認識をしております。

 その際、農協や卸売市場に委託して農産物の販売を行う場合や、直売所等で消費者に直接販売する場合には、インボイスの発行を求められることはありませんので、免税事業者のままであっても特段の影響はないと考えられる一方で、農協や卸売市場、直売所以外に出荷あるいは販売している場合には、出荷先の事業者が仕入れ税額控除をできなくなるため、出荷先の事業者から、課税事業者への転換や取引価格を含む条件の見直しなどを求められるといったことが想定されることは、委員御指摘のとおりであると我々も認識をしております。

 今御指摘いただきました、農家が課税事業者に転換した場合の影響の把握でございますけれども、課税ということに着目をして調査をする、直接調査をするといった法的権限はなかなか今農林水産省としてはないということ、あるいは、営農類型や出荷先が多様である農業の実態があるといったような制約があるということは御理解はいただきたいんですが、ただ、御指摘のあった点は非常に重要な課題であるというふうに思っておりますので、我々といたしましても、どういった工夫の下にぎりぎりどういったことができるかということについては、責任を持って検討してまいりたいと考えております。

川内委員 ぎりぎり検討をしていきたいということなので、また改めていろいろ議論を進めていきたいというふうに思うんです。

 私の知っている、本当に物すごくいろいろな農業関係の統計とか農家の状況とかに詳しい人は、日本全国でインボイスが導入されたことによって、農家は五百億円ぐらい消費税を払わされることになるのではないかという試算をしている人もいるんです。

 それで、大臣、本当に、所得が百万円に満たないような農家が、そこから消費税を取られたら大変なことになるわけですよね、十万でも二十万でも取られたら。だから、農協特例というのがあるぐらいだったら、このインボイスについて、農家特例があっていいわけですから、農水省として、税制改正要望などで、農家特例を設けるべきであるというような税制改正要望を出せるんですよ。財務省は嫌がるかもしれないけれども。

 だから、そういうことにつなげていくためにも、私は、食料供給困難時に農家にいろいろな義務を課すのであれば、平時に、平時が大事だとみんな言っているじゃないですか。その平時に農家をどうやって守るのか、農家にどういう施策ができるのかということを、ありとあらゆる方策を考えていく、その前段として事実をつかむことがまず必要ですねということで、御提案を申し上げました。

 それからもう一つ、農家を守るという観点で。

 厚生労働省が今ポスターを一生懸命配っているんです、病院に。健康保険証が廃止になります、マイナカードで医療を受けてくださいというポスターを病院に貼らせているんですね。マイナカードで医療を受けてくださいねとそのポスターに書いてあるんだけれども、マイナカードでなければ医療は受けられませんとは書いていないわけですね。

 これはどういうことかというと、マイナ保険証にせずとも資格確認書が自動的に送られてくるので、医療を病院で受ける場合に何の心配もないということなんですけれども、厚生労働省、私の理解でよろしいでしょうか。

日原政府参考人 お答え申し上げます。

 本年の十二月二日以降、健康保険証の発行を終了してマイナ保険証を基本とする仕組みに移行するに際しましては、マイナ保険証を保有しない方には、申請によらず、各保険者において資格確認書を発行するなど、全ての方に安心して確実に保険診療を受けていただけるよう、必要な措置を講じることとしてございます。

川内委員 だから、農水省さん、マイナ保険証にせずとも資格確認書が自動的に送られてくるので心配ないですよということをきちんと周知すべきだと思うんですよ。農家のおじいさんやおばあさんは、おお、どうすればいいんだという方が結構いますからね。資格確認書が自動的に送られてくるから大丈夫だよということを、農水省は農家に対して責任を持っているわけですから、周知すべきであるというふうに思いますが、いかがですか。

杉中政府参考人 お答えいたします。

 ただいま答弁があったとおり、資格確認書が交付されますので、これによって引き続き医療機関で保険診療を受けることが可能となります。

 農林水産省といたしましては、引き続き、マイナンバーカードの利用促進のための周知活動を行うとともに、こうした資格確認書の活用などについても、関係省庁と連携をして、しっかり情報提供に努めていきたいというふうに考えております。

川内委員 そもそも資格確認書が自動的に送られてくるわけですから、健康保険証という名称を廃止する必要なんかないんですよね。だから、河野大臣はちょっとおかしいんですよ、坂本大臣。やはり政府の中で、どっちでも選べるよ、マイナカードにしたい、マイナ保険証を使いたい人はそうできるよ、健康保険証でやりたい人はそれをまた継続できるよ、そういうふうにすることが国民の安心につながるのに、余りにもごり押しし過ぎなんですよね。ちょっと内閣の中で御検討いただきたいというふうに思います。

 そこで、この食料供給困難事態対策法なんですけれども、先ほどの金子議員の質疑の最後で出てきましたね、坂本大臣が、説明会や意見交換会を二百回以上やったんだ、こう前回の質疑でおっしゃっていた件。

 答弁を正確に申し上げますと、様々な意見を、それぞれ十一の地方農政局のブロックで説明会を行っております。意見交換会も、会をつけているんですね、意見交換会も行っております。そこに生産者の皆様方も、あるいは流通業者の皆さん方も全部来ていただいて、トータルで二百回以上になっているというふうに私も聞いておりますので、私は、十分な意向聴取、意見聴取、そういったものをやった上で今回の事態法の案ができ上がっているというふうに確信をいたしております。確信をしていらっしゃるわけですね。

 ただ、僕らがずっとこの間問題にしてきた罰金のところ、刑事処分になるという部分についてはどうなのかということなんですけれども、そもそも、この説明会あるいは意見交換会というもの、各農政局のホームページに公表されている説明会、意見交換会というのはありますか。

杉中政府参考人 議員御指摘のように、不測時における食料安全保障の検討会の取りまとめ、また法案の内容等について、農業者団体や消費者団体について百七十件、千二百名、あと、現場におる地方農政局の職員等に対しても説明会を行い、現場の農業者からの質問に答えるという形で、延べ五十件、約百八十名に対して対応してきたところでございます。

 御質問の地方農政局のホームページへの掲載につきましては、このような団体への説明会、意見交換会というものについては、基本的に団体側の求めに応じて説明を行ったものでございますので、農林水産省が主催ではない。また、個別の農業者、農業者団体からの問合せについても、個人情報の保護の観点から、また、自由な意見交換を行うためにも、その具体的な内容について地方農政局のホームページには掲載をしておりません。

 法案が成立した暁には、積極的に事業者や事業者団体と意見交換を行っていきたいと考えています。

川内委員 今長々と御説明いただいたわけですけれども、結局、説明会も意見交換会も農政局が主体ではないと言っちゃったじゃないですか。結局、自分たちで開いているわけじゃないわけですよね。

 では、その説明、意見交換、いろいろな仕事の中でやったんでしょう、それをやったとして、こちらは罰金とかを問題にしているわけですから、罰金と過料の違いについて説明している説明会なり意見交換会なりというものがあったんですか。ちゃんと説明したんですか。

杉中政府参考人 お答えいたします。

 検討会、意見交換会における説明ですけれども、まず、法制化に向けた議論の中で、不測時における供給確保対策を着実に実施してもらうための担保措置、この必要性については説明をいたしました。その中では、供給確保対策を実行するためには支援策を必要とする、それだけではなくて、事業者が在庫などを過少に申告したりとか売惜しみをしたりする事態を防ぐためには罰則も必要という議論があったことについては、説明をしております。

 また、具体的な量刑につきましては、これも説明をいたしましたとおり、類似制度を参考に決定するという説明を行いまして、類似の制度がいずれも二十万円以下の罰金であったということについて、罰金、過料については説明をしておりますけれども、罰金と過料の違いについての議論は行っておりません。また、御指摘の意見交換会については、罰金や過料の違いということについての質問もなかったところでございます。

川内委員 罰金と過料の違いについては説明していないわけですね。罰金というものはもう全然違うんだよ、刑事訴訟法の手続なんですよ、犯罪になるんですよ、前科がつくんですよということも説明していないでしょう、当然。

 短く、もう短くお願いします。

杉中政府参考人 法案の内容の説明の中で、計画届出指示違反について二十万円以下の罰金とするという旨の説明はいたしましたけれども、罰金に関して、刑事訴訟法上の手続となるということについての説明はしておりません。また、現場においてもそのような問合せというのはございませんでした。

川内委員 だから、大臣、結局、大臣は、いやいや、ちゃんと意向聴取をしてやったんだ、確信しているぞとこの前は御発言されたんですけれども、やはり、きちんとした説明がなされた上での意見聴取というものは行われておらなかったという意味で、私は、この法案の成立の過程の中で、不十分な点があったんだと。

 だから、冒頭申し上げたとおり、自民党の山口筆頭以下、自民党、公明党の先生方に、今この時期に、農家に罰金をかけるぞ、犯罪にするぞというような法律を、科すことが果たして農家の皆さんに十分な理解を得られるのかということについては、まだ採決まで時間があるので、大臣も、まだ法案は成立しておらないと自らさっきおっしゃったわけですから、本当によくよくお考えいただきたいというふうに思うんですよ。

 といいながらも、そんな野党の提案する修正になんか乗れるかと多分思っていらっしゃるでしょう、今。だけれども、そこで、私はしつこい性格なので、この前、審議官が、国民生活安定緊急措置法では事業者を切り分けて、罰金がかからないようにする手法もあるじゃないかと私が聞いたら、いやいや、主務大臣にその裁量がありますというふうにお答えになられたのでお聞きするわけですが、食料供給困難事態に立ち至ったときに、実施方針を主務大臣が作成するということは法案には書いていないわけですが、実質的には、主務大臣、農水大臣が実施方針を起案することになるであろうというふうに思われます。

 主務大臣、農水大臣がその実施方針を起案するに当たっては、生産業者、生産農家、零細農家に十分配慮した実施方針にする。すなわち、そういう人たちに罰金がかかるような実施方針にはならないようにするということもできるわけですから、大臣にここで、そこは十分に配慮して実施方針は起案するよということを御答弁いただければ大変ありがたいんですけれども。

坂本国務大臣 本法案におきまして、計画届出指示につきまして、主務大臣に届け出ることを指示することができると規定しております。生産計画の届出指示の具体的な対象者につきましては、政府対策本部の下で定めました実施方針に沿って、主務大臣が指定することを想定しているところであります。

 実施方針におきまして、計画届出の指示の対象者を指定する際は、例えば、当面の供給不足を解消するため一定の供給量を確保する必要があるときなどの比較的限定的なときは、一定規模以上の事業者、いわゆる農業者を対象とするなどと示すことによりまして、農業者に過度な負担が生じないよう配慮していきたいと考えております。

 また、計画作成の指示を出した際にも、農林水産省といたしまして、確実に計画が届出されるよう技術的な支援なども行いまして、できるだけ罰金が科されることがないように努めてまいりたいというふうに思っております。

川内委員 今、坂本農水大臣、さすが、私が尊敬し、敬愛する大臣として、なるべく罰金が科されないようにするから安心しろと、いみじくもおっしゃったわけです。

 だったら、もう罰金じゃなくていいわけですよ。今の大臣の御答弁からいっても、大臣も御心配されているんですよ。罰金じゃなくていいんですよ。過料で一定の担保措置にはなると、この前、審議官もおっしゃったんですから。

 だから、山口筆頭以下、何回も山口先生の名前を出して申し訳ないけれども、だって、現場の責任者でいらっしゃるのでね。これは、この農水委員会のメンバー全員として、この法案に責任を持つ者たちとして、本当に、農家に罰金をかける法律というのは、農水省が持っている法律の中で、そうたくさんはないと思いますよ。例えば種苗法とかね。人の物を盗んだとか、そういうのは仕方がないですよね。

 だけれども、国民的に食料が足りないよ、足りなくなりそうだよというときに農家にお願いして何事かをやっていただくときに、届出を出さなきゃ罰金にしますよ、犯罪にしますよ、刑事処分にしますよというのは、これは、大臣がいみじくもおっしゃったように、なるべく罰金にならないようにする。だったら、過料で一定の担保措置にはなるわけですから、そこは僕は、本当に、まだ時間があるので、よくよく議論をすべきである。本当によくよく議論をしていただいて。

 冒頭申し上げたとおり、自民党は裏金か、俺たちには罰金かと農家の人たちに言われますよ、それは。簡単な批判を受ける。自民党が責任政党なんだから、与党なんだから。

 私は、ここでしっかりお考えをいただきたいということを再度再度、委員長にも申し上げさせていただいて、終わらせていただきたいというふうに思います。

 どうもありがとうございました。

野中委員長 次に、神谷裕君。

神谷委員 立憲民主党の神谷裕でございます。

 本日も質問の時間をいただき、ありがとうございました。

 また、昨日はこの委員会での視察に際しまして、本当に関係者の皆様、また委員長にも大変感謝を申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。大変有意義な視察でございました。

 その上で、それを踏まえた上で、また私からも質問させていただきたいと思います。

 今ほど川内委員からもございました。やはり、私も罰則、罰金というのはやり過ぎじゃないかなというふうに正直思っております。率直に申し上げますが、やはり逮捕される、あるいは勾留をされる、あるいは家宅捜索がされる、これを計画の届出だけでやっていいのか、現実の問題として是非お考えをいただきたいと思いますし、改めて、この点についても皆様に申し上げたいと思います。今だったらまだ引き返せるというような状況だと思います。どうか再度お考えをいただきたいと思います。

 その上で、この法律が一体何ができるのか、できないのか、究極的にやはりしっかり考えていかなきゃいけないんだろうと思います。そういった意味で、先ほど川内先生がおっしゃったようなこと、あるいは、私も今、逮捕あるいは勾留みたいな話もさせていただきました。実際にそういうことがこの法律ででき得るということを是非お考えをいただかなければいけないと思います。

 その上で、この法律、目的規定がありますけれども、あるいは不測時、あるいは不作時、そういったことをターゲットとしているようなわけでございますが、不作時や海外からの供給途絶の際ばかりでなく、究極的に見れば、万が一のことでございますが、この国が例えば紛争に巻き込まれるであるとか大変な状況になる、そういったこともやはりターゲットに入ってくるんじゃないかと思います。

 この間の議論においては、やはり、供給途絶であるとか不作、そういうような話ばかりでございましたが、念のための確認でございます。こういった、紛争に巻き込まれたであるとか、あるいはこの国が本当に大変な状況になった、そういうことも含めてこの不測時法で対応されるのか、そのことについて確認をさせてください。

坂本国務大臣 食料供給が大幅に減少するリスク要因といたしましては、気候変動に伴う干ばつの発生や、災害の激甚化、頻発化による不作などがあります。そして、家畜伝染病や植物病害虫の発生、蔓延というのがあります。そして、新型コロナウイルスのような感染症の蔓延によりますサプライチェーンの混乱というのが考えられます。さらには、地政学的リスクによるサプライチェーンへの影響等を想定もしているところであります。

 このうち、地政学的リスクにつきましては、近年の世界情勢の変化に伴いまして、ロシアによるウクライナ侵略など、国、地域間の競争の激化を地政学的リスクとして認識しておりまして、我が国に直接関係する事象も含め、あらゆる事象が含まれ得るものと考えています。

 このように、食料の供給が減少する要因には様々なものが想定されますが、本法案におきましては、供給減少の要因を問わずに、各種の措置を講ずることというふうにしています。

神谷委員 今おっしゃっていただいたとおり、あらゆる事態に対応しなければいけないのがこの法律なんだということなんでしょう。

 その上で、これはちょっと通告はしていないんですが、そうすると、短期的なものも含め、あるいは長期的、複数年間も含めてこの法律で対応できるというふうにお考えなんでしょうか。念のため確認させてください。

杉中政府参考人 議員おっしゃるように、短期的なもの、また長期的なものも含めて対象となるというふうに考えております。

 このうち短期的なものについては、当面の供給確保ということでございますので、在庫に関する市場への供出、また輸入の確保等が中心に、また、長期的になるときは、できるだけ早期に国内で農業生産をしっかり行っていくという対策を含めて、それぞれの事態ごとに適切な対策というのを行っていきたいというふうに考えています。

神谷委員 ありがとうございます。

 だとするならば、やはり農業者のしっかりとした協力を得なきゃいけない。そういう意味で、罰則はやはりちょっとやり過ぎなんじゃないかなと私自身は思います。

 その上で、計画届出を出してもらうだけだというような説明をこの委員会でも何回もされました。でも、当然、計画を出してもらうということであれば、その計画を実行してもらわなければいけないと私は思います。ということは、計画を出してもらうだけということではないと思うんですけれども、念のため、その辺、確認させてください。

坂本国務大臣 特定食料の供給計画につきましては、本法案に基づきまして提出していただいた計画に沿って供給を行っていただく必要があります。

 その上で、不測時においては、労働力や資材の不足や価格高騰などによりまして計画どおりに事業を行えない場合、あるいは自然災害や事業者の健康上の理由で事業を実施できないなど、計画どおりの供給を行えない事情が生じることも考えられます。このような場合に、計画に基づく供給が行えなくても罰則の対象とはなりません。

 一方、計画に基づく供給の実効性を担保する必要もあることから、さきに述べたような正当な理由がなく届け出た計画に沿って供給を行わなかった場合は、公表の措置を取り得ることとしているところであります。

神谷委員 そうすると、大臣、やはりこれは、計画を出してもらうだけですよ、届け出てもらうだけですよということではなくて、生産者も含めて、計画を出していただいたら、その計画に沿って作ってくださいというお願いになるという、これはお願いなのか、それとも半強制的にそうしてくださいということなのか。もちろん、天候とか、あるいは様々な、不作もございますから、それに沿って必ずしも供給できるわけではないとしても、少なくとも作付であるとかそういったことはやってください、やらなければ駄目ですよということになるのか。そこについて、念のため確認させてください。

杉中政府参考人 まず、本法案に基づいて、供給を行うという要請を行いますので、これは事業者に対してお願いをするということになります。

 また、供給計画につきましては、計画の届出について指示を行う、この指示については、やっていただかなければならないという義務になりますけれども、この指示に従って、できるだけ供給を確保するように、事業者さんに対しては努力をお願いをするということになるというふうに考えています。

神谷委員 事業者についてはそれでいいと思うんです。だから生産者についてなんですが、生産者についてはいかがですか。

杉中政府参考人 供給の事業者の中には、輸入事業者、また流通業者などを含め、出荷販売業者と併せて生産者も事業者の中に入っておりますので、供給に関わる者全てが同じような取扱いをして、我々としてお願いをしていく。また、計画の届出に対しては、その計画を出してもらうということで、同様の対応をしていただくということになると考えています。

神谷委員 今、生産者に対して、生産者も事業者だからという整理だというふうにおっしゃっていましたけれども、いわば農家に対して、生産者に対して、お願いというよりは、これは罰則を伴う、いわば強制性を伴う、作れということではないんですか、違うんですか。

杉中政府参考人 これまでも説明をしてきましたけれども、指示については、計画の作成及びその届出について指示を行うということでございます。

 この計画の作成及び届出につきましては、これを関連事業者がやってもらうということによって、我が国において不測の事態においてどれぐらいの食料供給を確保することができるのか、対策の前提となるということで、そこについて指示を出すということになりますので、指示を出すということにつきましては、事業者は全てやっていただく、また、できるというふうに考えておりますし、出してもらった、指示に従って、できる限りそれに沿った供給を行っていただくということになるということでございます。

神谷委員 要するに、やはり計画を出してもらうということが、いわば罰則を伴うわけですけれども、計画に従って作ってもらう、供給してもらわなきゃいけないということですから、これもやはり一種強制なんだと思います。もちろん、最終的に公表という罰則がかかるという意味でも、これはやはり強制性を伴うものだというふうに思うわけです。

 だとするならば、やはり、義務をしっかりかけるということであるならば、その裏側にもう一つ考えていかなきゃいけないんだと思います。それが我々にすれば奨励という、奨励金なのかどういう形なのかだと思っていますし、そこはしっかりやってもらわなきゃいけないのと同時に、届け出るだけなんですよという説明は、やはりちょっと言葉が足りないように私には思えます。もっと強制性を伴う、実際に計画を届け出てもらって、それに従ってやっていただかなきゃいけないというところまで伴うわけです。しかも、罰則がかかるわけです。これはいわば義務ですから、そこはやはり、ちゃんと言葉を、軟らかい言葉ではなく、何ができるかできないかという確認の下では、ここは厳密に言っていただかなきゃいけないだろうと思います。そういう意味では、これは強制を伴うものだと思います。

 ある意味、不測時で本当に厳しい状況だったらそういうようなお願いをしなければならないかもしれません。そこは百歩譲ってあるかもしれませんが、だとするならば、やはり、抽象的な言い方ではなく、しっかりとした言い方、あるいはより厳しい説明が私は必要だと思いますので、そういった意味からも確認をさせていただきました。

 また、特定食料の選定について今度は伺いたいと思いますが、この考え方及びどのような農産物を想定しているのか。農産物だけじゃないかもしれません、食料品ということかもしれませんが、そういった作物以外の作物も想定しているのか。また、そういった作物以外の作物であって、供給が極端に減る場合、この法律によって何らかの措置が取られ得るのか。この辺をお聞かせいただきたいと思います。いかがでしょうか。

杉中政府参考人 特定食料についてのお尋ねでございますけれども、特定食料につきましては、国民の食生活上非常に重要である、又は食品製造などにおいて原材料として重要で国民経済上重要、こういったものを、農林水産物等を政令で定めることとしております。

 このため、まず法律制定時点、現在の時点において、人の生命維持、身体機能に重要なカロリーと主たる栄養素の観点、また、原材料として多くの加工食品の製造に用いられ、関連事業者の裾野が広い農林水産物等の観点を踏まえて、今後指定をする予定でございます。

 これまでの議論におきましては、米、小麦、大豆、その他の油糧原料、あと畜産物、砂糖などを想定しておりますけれども、国民の食生活に重要な品目というのは不測の事態において変わりますので、その他の品目についても必要に応じて特定食料として指定するということを考えております。

神谷委員 非常に大事な話だと思います。

 ただ、米については多分充足できるかなと思いますし、増産をかけたら何とかなるかなと思うんですけれども、逆に言うと、麦や大豆など、この国の供給量から考えると、実は生産量と需要の乖離が非常に大きいと思っております。そういう意味では、輸入途絶した場合、この国で仮に増産をかけたとしても焼け石に水のような状況になるんじゃないかなと実は大変危惧をしております。

 そういった意味でも、やはり万々が一のことを、先ほどお話をしたように、長期のことも含めて考えなきゃいけない、かつ、輸入途絶の場合も考えなきゃいけない。その上で増産をしたとして、残念ながら、供給量はそれほど多いわけではありませんから、この辺について、やはり最低限のニーズを満たすための様々な考え方が必要だと思いますが、これについてはどういうふうに方策を考えておられるでしょうか。

杉中政府参考人 お答えいたします。

 まず、小麦、大豆など、輸入依存度の高い品目についての言及がございましたので、こういった品目については、主要生産国における干ばつなども頻発しておりますので、これによって輸入が大幅に減少するリスクというのがあるのは事実でございます。

 こういう事態につきましては、世界的な供給量というのは減少してきますので、何よりも重要なことは、早期に輸入をするということが重要でございますので、食料供給困難事態対策法案につきましては輸入の促進の要請等という規定を設けましたので、不測時において、できるだけ早期に、官民で協力をして、輸入の確保を図っていきたいというふうに考えています。

 また、こういったことができるためには、不測時においても生産国から輸入を確保できるように、平時から、輸入相手国への投資の促進などを通じて、相手国、また相手国の事業者との関係の強化を図っておくということが重要だというふうに考えています。

 また、御指摘のように、輸入が途絶をする場合ということについては、食料の供給が大幅に減少することから、国内生産をできるだけ早期に拡大をするということが必要になるというふうに考えておりますので、本法案では、主要な供給確保対策として生産の促進を位置づけておるところでございます。

 また、輸入の減少や途絶などのリスクを減らすというためには、やはり平時から国内生産を拡大していくということが重要でございますので、基本法の改正でも、食料安全保障の確保ということを提案をさせていただいておりますけれども、国内で生産できるものは可能な限り国内で生産するという考えの下、小麦や大豆など輸入依存度の高い品目の国産転換を推進することによって、できる限り輸入リスクを減らしていくという取組をすることが大事だというふうに考えています。

神谷委員 審議官、ありがとうございます。

 そういった意味で、先ほど申しました短期、中期、長期といろいろなシチュエーションがあると思います。また、どんな作物がどんな形で、不作なのか、輸入途絶なのか、そういったことは様々なバリエーション、シチュエーションがあると思います。その場合において、例えば世界的な気候の変動、あるいは、その作物がどうなるみたいなこともある中で、やはりいろいろなことを考えていかなきゃいけないし、その上で最終的に対策、対応というのは全部変わってくると思うんです。

 そういう意味において、先般、この委員会でも北神先生がおっしゃっていたと思いますが、やはりシミュレーションというのはかなり重要なんじゃないかなと思います。こういうことを是非やっておくべきだと私も思うんですけれども、いかがですか。

杉中政府参考人 お答えいたします。

 議員御指摘のように、様々なシチュエーションによって必要な対策が変わってくるというのは御指摘のとおりだと思いますので、この法案においても、政府本部において実施方針という形で具体的な対策を決めていくということは、まさにそういった情勢に応じて、その情勢に沿った措置を実施できるというためだと。それを実施するためには、議員御指摘のように、平時からのシミュレーションということが非常に大切だというふうに我々は考えておりますので、これまでもシミュレーションというのは実は実施をしておりましたけれども、新しい法律に立って、平時からあらゆる可能性を想定をした形でのシミュレーションを行っていきたいというふうに考えています。

神谷委員 ありがとうございます。

 是非やっていただきたいんですが、その際に、当然、農業者、生産者についても、どういうふうな範囲で、どういうふうな書き方をするか、そんなことまで含めてシミュレーションしていただく、そんな感じになるんでしょうか。いかがでしょう。

杉中政府参考人 御指摘のとおりでございます。

 前回、質問でもございましたけれども、こういったシミュレーションを行うためには、例えば、スイスなんかでは、スイスフードシステムというシステムをつくって、不測の事態において、どれぐらい、どういう作物の生産を増やそうか、また、そのために農地などをどう活用していくかということを、意思決定を支援する、サポートするシステムというのがございますので、我々もこういったシステムを参考に、こういった不測の事態におけるシミュレーションというのを実効的に行えるような備えというのを行っていきたいというふうに考えています。

神谷委員 これはちょっと意地悪な質問になるかもしれませんが、そのシミュレーションの中で、変な話、生産者の方々が届出を出していただく前提になりますが、届出を出さない者がどれくらいいるかみたいな想定は置くんですか。

杉中政府参考人 お答えいたします。

 供給計画の届出につきましては、基本、増産できるかできないかということにかかわらず、各事業者ができることについて届出をしていただくということになりますので、これは、事業者については届出はできるものというふうに考えておりますので、計画を届け出られるという前提で対策を考えていくことになるというふうに考えています。

神谷委員 質問を変えさせていただきます。

 食料安全保障をならしめるために、この間、この委員会でも、平時の国内の生産を増大していくこと、これは非常に重要だと思います。また、それと併せて、輸入をしっかりやっていく、それから最後に備蓄、この三本柱だというふうに承知をしております。

 基本法の質疑の中でも、様々、備蓄のことについて当委員会でも私は質問させていただきました。大変備蓄は重要だと思っています。また、いろいろなことを決めていかなければいけませんし、だとするならば、備蓄について、実はこの法律で備蓄と出てきません。

 そういった意味において、やはり備蓄をしっかり法律の中で位置づける、あるいは別に法律を立てる必要があるのではないかと思うんですけれども、この点についてはいかがでございましょうか。

坂本国務大臣 本法案におきましては、食料供給確保の取組を行う事業者に対して、その取組を後押しする仕組みとなっております。

 備蓄につきましては、それ自体を収益事業として行っている事業者はいません。卸売事業者や小売事業者などが円滑に食料を出荷、販売する観点から一定量の在庫をプールしていますが、一定のリスクに備えて在庫を確保しておくことが備蓄というふうになります。

 そのため、本法案におきましては、備蓄を行う事業者として、出荷、販売事業を行う事業者という形で規定をしているところです。そして、それら事業者に対しまして在庫の放出の要請を行う等、不測時において備蓄を活用し、食料を適切に市場に供給していくこととしておりまして、備蓄について法律で位置づけられているものとなっています。

 こうした出荷、販売の調整を適切に行うためには、平時から卸売業者や小売事業者が一定量の在庫を確保していくことが重要です。備蓄は、特に食料供給が大幅に不足する事態における初期の対応策として大変重要であることから、特定食料等の備蓄の在り方につきましては、本法案に基づく基本方針において定めることとしております。

 いろいろ持って回った言い方をしましたけれども、出荷、販売の事業者、これは日頃の、やはりそれは商売ですので、プールをしておく、しかし、いざとなったときはそれがそのまま備蓄になるというような考え方でございます。

神谷委員 図らずも今大臣おっしゃっていただいたとおり、備蓄は重要じゃないですか。これはもう異論がないと思います。

 その上で、先般もこの委員会でお話をしましたが、何をどれだけ備蓄するのか、どれだけの量必要なのか、あるいは、官と民のすみ分けはどうするのか。米は官でやっていますよね。民でやっている部分も今お話があったとおりです。もし民に在庫を備蓄と称して出していただくとなれば、これはこれで、経済行為に対して、私権の侵害とまで言わないですけれども、私権の制限というか、そういったことがかかってくるわけです、ある意味強制性を伴うとすればですね。

 だとするならば、やはり、どんな食品をどれだけの期間やるのか、あるいは、そういったことでの予算措置なのか、あるいはお金も必要になってくるでしょう、予算も必要になってくるでしょう。だとするのであれば、備蓄について、考え方、あるいは、いざというときに出してくださいみたいなことの私権の制限も含めて、法律でやはり立てておくということが非常に重要なことなんだと私は思うんです。

 重ねて申し上げますが、そういった個人の経営、私権に関わる部分も含めて、やはり法律で裏づけをしておくこと、これは非常に重要だと思います。もう一度聞かせてください。いかがでしょう。

坂本国務大臣 繰り返しになりますけれども、本法案においては、備蓄を行う事業者として、出荷、販売事業を行う事業者という形で規定をしています。そして、これら事業者に対しまして在庫の放出の要請を行うなど、不測時において備蓄を活用し、食料を適切に市場に供給していくこととしておりまして、備蓄について法律で位置づけられているものというふうになっているところであります。

神谷委員 先ほど冒頭に申しましたが、やはり三本柱の一つとしての備蓄が挙げられているわけです。やはりこれは重要なものです。その上で、考え方であるとか、やはり整理をする必要があると思うし、私は、この点については法律を一つ立てておくべきだと思います。このことは重ねて申し上げさせていただきたいと思います。

 次に、遊休農地の活用についても先般お話がありました。ただ、遊休農地についても、所有者不明農地が実は二割、あるいはそれ以外でも遊休になる理由があって、例えば相続の関係であるとかいろいろあると思いますけれども、そういった農地を、計画を届け出てもらうであるとか増産対策、これをやっていただかなきゃいけないのかなと思うんですけれども、これについて対策はどのように考えておられるでしょうか。

坂本国務大臣 本法案における生産計画の届出、そして変更指示は、生産者が生産可能な範囲で提出していただく形としておりまして、生産者が現に利用権を有していない所有者不明農地を借りて増産することを国として指示するものではありません。

 また、所有者不明農地のうち遊休農地は約六%でありまして、実際には、所有者不明農地の大半が耕作をされております。

 現在耕作が行われている所有者不明農地につきましては、食料供給困難事態等におきましても、当該農地を活用して増産を図っていただくことを想定をしているところであります。

神谷委員 ここのところは、根本的にしっかり遊休農地解消に向けて頑張っていただかなきゃいけないかなと思っておりますが、もう既に使われている農地をどう使うかの話ですから、これはしっかり頑張っていただかなきゃいけないなと思っています。

 最後になると思いますが、食料を今回増産ということになりますが、食料は米、麦だけじゃなくて、漁業というか水産物も当然ながら食料であります。ですので、この辺、今回、水産物あるいは漁業の事業者というふうに読めなくはないのでしょうけれども、何となく縦割りみたいなものを感じておりまして、大臣はあくまで農林水産大臣でございますから、この辺のところについてもやはりやっていかなきゃいけないだろうと思うんです。

 済みません、余り時間がないのですが、大臣、簡単に、今回余り漁業あるいは水産物について触れていない、これについてどう考えていくのか、答弁ください。

坂本国務大臣 水産物につきまして、我が国の供給熱量に占める割合が三%程度であります。そして、天然の資源に多くを依存しておりまして、資源状態等の変化によりまして、供給量が短期間で大きく変化しやすいことなどの特徴があります。

 このことから、現時点において、水産物を特定食料に含めることは想定していないということであります。

神谷委員 時間でありますので終わりにしますが、水産物といっても、全て採捕するだけじゃなくて、養殖やその他も、栽培漁業なんというのもあるわけですから、当てにできるところは当てにするべきだと思いますし、あるいは、畜産、酪農の方で厳しくなってくるとするならば、むしろ漁業でのたんぱく質、これを考えていくべきだと思うので、ここについても再度考えていただくようにお話を申し上げさせていただいて、私からの質問とさせていただきます。

 本日もありがとうございました。

野中委員長 次に、小山展弘君。

小山委員 静岡県中東遠出身の小山展弘です。

 久々にまた農林水産委員会で質問の機会もいただきまして、理事の皆様、委員の皆様には心から感謝申し上げます。

 最初に、お茶の茶況、一番茶が今大体終わってきているんですけれども、このことについてお尋ねしたいと思います。

 配付資料も配らせていただきました。これは、おととい、五月十九日日曜日の静岡新聞の一面記事でございますが、「県産一茶 記録的安値」ということで出ておりまして、「生産者悲痛「続けられぬ」」と。

 日本全国で見てみますと、宇治の方なんかは割と、京都の方なんかはよかったという話も聞いておりますが、鹿児島もややよくなかったというようなことも聞いておりますけれども、静岡県は壊滅的なというか、非常に業況がよくなかったということでございます。

 早々に一キログラム千円を下回りまして、一番茶取引の価格の終盤には二番茶の取引価格程度まで低下をしてしまっているということで、二番茶は何とか盛り返すんじゃないかというような見通しもあったんですけれども、これでは二番茶は刈取りすらできない、一番茶の方で既に十分に量が回ってしまった、このぐらいの、非常に業況が悪い。全然、物価高というものと真逆な状況になっているわけでございます。

 この静岡新聞の記事などにも書いてあるんですけれども、平均単価が約二〇%低下の見通しということで、既に、私もゴールデンウィーク、いろいろなところ、お茶関係のところを訪問しますと、幾つかの茶工場が今年で廃業ということで、まさに、続けられぬ、もうやっていけないという悲痛な声も多数聞かれております。

 このような価格低迷に至った原因について、現状のところで、農水省はどのように分析し、どのような対策、政策を考えておりますでしょうか。

坂本国務大臣 静岡県での新茶、一番茶の取引は四月十二日に開始をされました。取引の序盤では昨年を上回る単価で取引をされておりました。しかし、その後、四月から五月上旬にかけての高温や降雨による摘み遅れなどで品質の低下が生じたことから、前年を下回る価格で推移をしているということは承知をいたしております。

 一方で、茶業関係者の皆さん方からは、市場外で契約が行われている有機栽培の茶などは比較的高い価格で取引されており、また、輸出等向けに需要が伸びております抹茶の原料である碾茶などは引き合いが強いというふうにも聞いております。

 農林水産省といたしましては、海外からの要望の強い有機栽培への転換や、抹茶などの新たな需要に対応した優良品種への改植等による生産体制の強化、そして、国内外の需要創出に向けた商品開発への支援や、業界と連携した魅力発信など消費拡大への注力等の産地を含む茶業関係者の取組を今後も支援してまいりたいというふうに思っております。

小山委員 確かに、有機とか、まさにみどりの食料システム戦略とも相まってくるかと思いますけれども、輸出する際にも、やはり有機というのが非常に魅力がある、商品としても輸出しやすいということで、そういったことや、あるいは、碾茶、抹茶などへの支援もお願いしたいとも思っておりますが、なかなか、一般のお茶といったものの生産についても、ここまで急激に下がると、転換するにも、その間をつなぐというようなことも大事ですから、苦しい。

 価格低迷の原因について、こちらの記事にもちょっと出ておりますけれども、四月十二日というのは、今回は、割と三月が冷えた時期もありましたので、お茶の葉っぱの伸びがよくなかったということで、全体的に静岡については生産が遅れていたんですね。そういう中で、一番、開設以来最も早い四月十二日に静岡の茶市場が開いた。

 今、大臣が、当初、十二日からしばらくのうちは高値でということだったんですけれども、実は、ほかの産地は、ほかの地域はここまで早くは開いていないわけですね。ちょっと私も今、大臣の答弁を伺っていて、記憶をたどっているんですけれども、たしか四月の十七日が菊川市の遠州夢咲のサエリアの初取引で、袋井、遠州中央農協などについては、初取引は四月の二十二日月曜日であったと記憶しております。ですので、明らかにこの静岡茶市場の四月十二日というのは早い。

 お茶の価格についても、茶業関係者の方や農水省の茶業課の方もよく、もう常識になっておりますけれども、最初の初取引のときが一番高くて、だんだんだんだん単価が低下していくんですね。川勝平太前知事なんかは八十八夜のときに一番高く持っていこうなんていうことをいろいろ頑張ってみたんですけれども、どうしても初取引のときからだんだんだんだん下がっていってしまう、こういう傾向がございます。

 そうしますと、早くに市場を開くと、生産がまだできていないんですね、その時期では、多くの静岡の産地では。ところが、市場だけ早く開いちゃった、静岡の茶葉は出ない。どんどんどんどん取引価格が下がった頃に本当の静岡県産の茶葉が入ってくる。

 静岡の茶市場が開いているものですから、ほかの茶市場なんかでもやはり価格が、県内の中ではやはり先に静岡が出ていますから、低いところからスタートするというような流れができてしまった。結果、鹿児島産のお茶が静岡市場で大量に取引されて、静岡産の茶が流通する頃には価格が低下して、静岡の茶生産者にとっては非常に苦しい状況になっているのではないか、こういう意見が多いわけなんですけれども、鹿児島も静岡も共存共栄していけばいいんですね。ただ、時期として、静岡の茶市場であれば、本来は、どこを向いて仕事をしているんだ、こういう意見がいろいろ聞かれました。

 もちろん、民間の企業さんでございますので行政が介入できるものではないんですけれども、なぜここまで早く茶市場が開かれたのか、どのように分析しているか、もし、答えられる範囲の中でお答えいただければと思います。

    〔委員長退席、古川(康)委員長代理着席〕

平形政府参考人 お答えいたします。

 静岡茶市場が公表している取引結果によりますと、本年はこれまでで最も早い四月十二日ということなんですが、委員お配りの資料の中にもありますとおり、一日でも早く初取引を開始して新茶ムードを演出したい、早めに取引をすると、近年、温暖化が進んでいるので、いい値段がつくんじゃないか、多分そういう発想の下にされたんだというふうに思っております。

 この新茶の取引なんですけれども、当初は静岡県産の生育が思ったよりも遅れていたということがありまして、鹿児島県産など県外産の割合が高かったんですけれども、ただ、現在までのトータルで見ますと、県外産の割合は大体三割で、七割はやはり静岡県産というふうになっておりますので、ほぼ例年並みというふうに考えております。

 静岡茶市場は株式会社でございまして、県内の茶の実需者のお声、需要を踏まえながら運営をされているところでございまして、いつぐらいに開いて、どういうものを取引するかという市場の運営方針について、農林水産省としてコメントするのはなかなかちょっと難しいというふうに考えております。

小山委員 恐らく量の部分では、最初の部分では県内産がやはり少なかった、生産できていない段階で開いているので。ということは、価格の低いところで静岡県産のお茶の取引量が多分多かっただろうということが今のお話からも見込めるかと思いまして、確かに、株式会社さんの判断として悪意があったものとは信じたくないと思っているんですけれども、それぞれ、よかれと思ってやったことが結果として、他策なかりしを信ぜんと欲すところだったけれども、そうではなかったと信じたいと思っていますが。

 今後も、今まだ終わった段階ですので、価格低迷で打撃を受けた茶農家、茶の生産者の苦境の痛みに寄り添って、できる限りの中の対策を是非お願いしたいと思います。

 それでは、農地制度についてお尋ねしたいと思います。

 今般、農地法、出ている法律の改正ですけれども、これでも、地方公共団体が公共事業によって、道路なんか代表例だと思うんですけれども建設する場合には、農振法や農地法、あるいは農家といえどもこれは拒否できないということになってございます。

 全国農業会議所も実は今から申し上げることを懸念しているんですけれども、では、公共事業ですということで道路を造ります。この道路ができるまで一定期間時間がかかりますけれども、できた後、大体毎回五年ごとに農振地区の見直しというのを、洗い替えというものを行っておりますけれども、このときに、ここは道路ができたから農振から除外しましょうというようなインセンティブになってしまって農振地域から除外されていくんじゃないだろうか、結果として優良農地、農振地域が減っていくんじゃないか。これが最後に残された懸念であるということで、農業会議所の中でも心配している声があるんですけれども。

 もちろん、全国で一例や二例だったらまだやむを得ない場合もあろうかと思いますけれども、各地で、至る所でこんなことが発生していくと農地の減少というものは避けられないということも考えられると思いますけれども、これについて国としてはどのような認識を持っておりますでしょうか。

武村副大臣 お答え申し上げます。

 道路等の公共施設につきましては、国や地方公共団体による適切な土地利用調整を経て、許可権者である地方自治体が、自らの適切な判断の下、施設整備を行うことから、農用地区域からの除外が認められているものであります。

 また、おおむね五年ごとの農振整備計画の定期見直しにおきまして農用地区域から除外ができる農地は、農用地区域の設定基準を満たさなくなったケースであります。このため、道路ができたからといって、全ての農地が直ちに除外できることにはなっておりません。

 このため、委員御指摘のケースが全国で多数あるとは考えておりませんが、農振制度が適切に運用されるよう、都道府県、市町村の担当者への研修など農振制度の周知に取り組んでまいります。

 なお、今回の農振法改正法案におきましては、仮に公共転用による転用の積み重ねで都道府県面積目標の達成に支障が生じるおそれがあることとなった場合には、その後の一般転用における都道府県知事の同意におきまして、面積確保のための措置を確認することとなります。

 以上です。

小山委員 もちろん、至る所で起きるというところまではいかないと思いますけれども、首長や地方自治体の議員さんが逆に先頭に立って開発したいというようなケースの場合なんかは、基準ぎりぎりで満たすような道路建設が行われる可能性もありますし、基準ぎりぎりに満たないように、是非、脱法的な判断がなされることがないように、今後も気を配っていただきたいと思っております。

 今、ちょうどトータルの農地面積の維持を義務づける今回の法改正になっておりますけれども、面積を確保したとしても、例えば、優良農地で集積された農地の面積と、虫食い的に継ぎはぎだらけで、面積として、量として農地が集積された場合というのは、同じ農地の面積であったとしても、やはり質の面でかなり変わってくるんじゃないだろうか。あるいは、今の、道路を造る、あるいはそこを仮に開発するといった場合、代替地を用意しますよと。だけれども、代替地は本当に土壌の面とか、あるいは農家の方々の経営効率の面も含めて、同等と言えるんだろうか。

 そう考えると、質の面で同等な農地、とりわけ優良農地維持のためにも、やはりなしていかなければいけない努力があろうかと思うんですが、その点についての国の対策をお尋ねしたいと思います。

武村副大臣 お答え申し上げます。

 今回の農振法の改正におきましては、農業生産の基盤である農地の確保を図るため、市町村が行う農振除外が都道府県面積目標に影響を及ぼすおそれがあると認められる場合には、御指摘のとおり、農用地区域への編入、荒廃農地の解消等の影響を緩和するための代替措置によりまして農地面積を維持していくこととしています。

 この場合、都道府県面積目標の対象となる農地は農用地区域内の農地であることから、代替措置で確保される農地は、一定程度生産性の高い優良農地となります。

 先生御指摘のとおり、農地面積の確保に当たりましては、農地の生産性の向上等も重要な課題であると認識しております。農水省では、農地耕作条件改善事業等による基盤整備や、遊休農地解消緊急対策事業によりまして、農地バンクが行う簡易な基盤整備及び荒廃農地の再生等の支援を行っているところでありまして、引き続きこれらの対策に努めてまいります。

 以上です。

小山委員 それこそ優良な農地で大規模にやっている農家さんが、そこに今申し上げたような農振除外あるいは農地転用ということがあって、代替地を用意するからと。だけれども、代替地がやはり効率が悪かったり、土壌が悪かったり、生産量が落ちたりというようなことになりますと、それがもっとさらに、その道路の後、開発だということになると、若い、大規模な農家の方ほど本当にやっていけるんだろうかという大変将来に対する不安も出てまいりますので、是非、本来はやはり、優良農地で農業をやっていきたいというところは工業用地、住宅用地としても垂涎の的になっているということはあろうかと思いますけれども、食料安全保障の確保の観点から、農振地域の優良農地はしっかり守っていくというような大方針の下で、これからも国も是非御指導をいただければと思っております。

 こういった大規模化、これは政策的にも進められたところもあろうかと思いますし、社会の変化に伴って、農家の方の大規模化、そしてまた農業従事者の方の減少ということがずっとトレンドで来ております。また、前回、私も農水委員会で質問させていただいたときに、農業人口の減少に対しては大規模化やあるいはスマート化、効率化で対応するというような御答弁もいただきました。

 今後、非常に、今のような、なかなか理解が得られない農地についてもというような背景になろうかと思いますけれども、農地所有者の方はいっぱいいるんですね。耕作者の方は、大規模になるので、少ないわけですね。そうすると、農地を開発したいというような甘い話があったときに、農地所有者は、しかも代替わりなんかすると、うちは農地を手放したいみたいになってしまう。そうすると、農家の方はずっと農業をやっていたい、特に、若い、大規模で意欲のある方ほどそうしたいわけですね。そうしますと、農家に対して、農地所有者の方が、あなた方が反対するから開発できないじゃないか、こういうような、前回のときにもちょっと触れさせていただいたんですが、大規模で意欲のある頑張っている農家さんが村八分になるような、彼らの表現を使うとですね、そういう状況というものも全国各地であるということで伺っております。

 こういったような、結果、農地が転用されて、農振地域じゃない場合は特に優良農地が減少するケースなんかも発生しているんですが、農地所有者の方々の御理解がだんだん得られなくなっていく、そして大規模な方がやや孤立してしまう、こういう現状について、そういう中で農地転用が進んでしまうということについて、国としてはどのような対策を考えておりますでしょうか。

    〔古川(康)委員長代理退席、委員長着席〕

長井政府参考人 お答えいたします。

 農用地区域からの除外を行う場合、これは農振法でございますが、まずは、農用地の集団化、農作業の効率化などの土地の農業上の効率的かつ総合的利用、効率的かつ安定的な農業経営を営む者に対する農用地の利用の集積に支障を及ぼすおそれがないこと等を確認することになっておりまして、この運用に基づきまして判断をしているところでございます。

 また、地域の農地につきましては、まずは地域の関係者の話合いを踏まえまして、地域の将来像を定めることが重要であります。

 このため、市町村におきまして、農地の所有者や利用者、農業委員会等が一体となって話合いを行い、将来の農業の在り方や農地利用の姿を明確化した地域計画を定めることにしておりまして、当該地域計画に定められました農作物の生産振興や産地形成に支障が生じる場合、また、農地の集積及び農地の集団化に関する目標の達成に支障を及ぼす場合には、農用地区域からの除外を認めないことにしております。

 農林水産省といたしましては、農業振興地域制度の適切な運用によりまして、農地の総量確保に努めてまいりたいと考えております。

小山委員 地域の中で話し合ってもらう、あと、制度的な後押しというものもあるんですけれども、結局、その地域の中で話合いのときに大規模農家の方が孤立するというようなことになってしまう。

 これはやはり、大規模化を進めたりスマート化を進めれば進めるほど、その分、国民的な理解の醸成、農地所有者の方々への食料安全保障や農業に対する理解の醸成といったことが必要になろうかと思うんですけれども、この点について、特に頑張って大規模にやっている、だけれども、ちょっと地域で理解を得られないというような、そういう農家さんに向けて、坂本大臣の御感想あるいはお話を是非お尋ねしたいと思います。

坂本国務大臣 今事務方から答弁があったとおり、農用地区域からの除外は、総合的な農業の活用あるいは農地の集積等に支障が出るというような場合には除外ができないことになっております。

 ただ、今それぞれの地域で地域計画が進められております、作業が進められております。この地域計画を定めるに当たりまして設置されております農業者等による協議の場におきまして、地域の農業者による農地の適正かつ効率的な利用に向けた話合いが進められているところでもございます。このような取組を通して、関係者の相互の理解が進んでいくということが一番重要であるというふうに思っております。

 その上で、農林水産省としては、農業振興地域制度の適切な運用をしっかりと図ってまいりたいというふうに思っております。

小山委員 似たような形でもう一つお尋ねしたいと思いますが、まさに、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、農業や食料安全保障に理解が国民的になくなってくると、今度、そういう地方自治体の議員さんを送り出すこととか、あるいは首長さんを選ぶ際にも、大規模になって農家の方の人口が減れば減るほど、票数としても少なくなるわけですから、影響力が減ってくるわけですね。こういうような中で、先ほど申し上げたような、地方自治体の首長さんや議員さんが率先して農地を転用していこうとか、もちろんいろいろな制度的な縛りがあるにしてもですね。

 ですから、今後、自治体の議員さんとか首長さんも含めて、地方自治体に対して理解醸成を図っていくということも必要になってくると思うんですけれども、それについてはどのようにお考えになっていますでしょうか。

武村副大臣 お答え申し上げます。

 今回の農振法等の改正に当たりましては、全国知事会、全国市長会など地方六団体とも検討内容について断続的に意見交換を行ってまいりました。

 また、全国知事会からは、本年一月十日の農地法制の見直しに係る緊急要請の中で、地方公共団体の自主性、自立性に配慮した対応を行うことなどについて要請をいただき、意見交換を行ってまいりました。

 その上で、今回法定化される国と地方の協議の場につきましては、都道府県知事、市長及び町村長の全国連合組織のほか、地方議会の議長の連合組織である都道府県議会議長会、市議会議長会及び町村議会議長会の全国連合組織を加えることも可能としております。

 農水省といたしましては、引き続き、地方六団体等を通じた丁寧な意見交換を行うとともに、今回法定化される国と地方の協議の場におきまして、優良農地の確保に関する考え方などを全国の首長の皆様方等に説明していくことで、農地確保の重要性について理解醸成を図ってまいります。

小山委員 最後に、内閣府にお尋ねしたいと思います。

 人口減少、人口見通しに基づいた自治体運営について、地方人口ビジョンとか地方版総合戦略の策定というものを内閣府から求めております。

 人口減少の減少幅が大きい自治体には、人口減少の歯止めをかけるように対策を求めているんですけれども、これが東京の一極集中からの是正という形で歯止めになればいいんですけれども、市町村の中には、市町村間の競争だということで、近隣窮乏化策みたいにやると。そういうときにどうやってやるかというと、魅力ある地域にしたいからということで、農業地を転用して、そこに商業地を持ってこようとか、あるいは住宅地をつくって、そこにたくさん来れますよ、お隣の町よりもうちの方が高速道路とか鉄道も通っているからより便利ですよというようなことで、結局、近隣窮乏化策みたいになってしまう。

 そのときの、魅力を出すというようなことの中で、農地の転用ということを進めがちな傾向も町によってはあると思うんですけれども、こういうような、近隣窮乏化策だったり農地転用を安易に拍車をかけるようなことをすべきじゃないと考えますけれども、内閣府の見解を伺いたいと思います。

岩間政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘ございました地方創生の推進に当たりまして地方自治体が策定いたします地方人口ビジョン、それから地方版総合戦略につきましては、各自治体が効果的な施策を企画立案する上での基礎ということで、策定に努めるという性格のものでございます。

 内閣府としましては、こうした戦略が国の地方創生、今、デジ田戦略でありますけれども、それと勘案したものとなりますよう御支援するということと、あと、関係法令を遵守するというところを指導しているというところでございます。

 先ほど近隣窮乏化策というお話がございましたが、例えば、道の駅ですとか、その他デジ田交付金で支援します地域の公共的な施設、こうした整備を御支援しておりますが、そうした申請を行われる自治体におきまして関連制度の適切な運用がなされているか確認するということで、まさに優良農地の確保も含めて、農水省と連携してまいりたいということでございます。

 それからあと、全体の地方創生としては、東京圏への一極集中は大きな課題でありまして、御指摘のとおり、近隣の自治体間で人口を取り合うんじゃなくて、やはり、若年層を中心とした東京圏への過度な一極集中の流れを食い止め、地方に対してしっかり人口を戻していく、そういう政策を推進しているというところでございます。

小山委員 是非、その趣旨を踏まえていただけるように、理解醸成に努めていただければと思います。

 時間が来ましたので終わります。ありがとうございました。

野中委員長 次に、近藤和也君。

近藤(和)委員 近藤和也でございます。よろしくお願いいたします。

 能登半島地震から今五か月目に入っておりますけれども、農林水産省の関係の皆様には多大なる御支援をいただきまして、ありがとうございます。

 通常であれば、五月の中旬を過ぎれば、車で走っていますと、ほとんどの田んぼには水が張ってあって、太陽がきらきらと天気がよければ輝いているんですけれども、そういう風景が見えづらいところもかなりございます。奥能登では三割から四割、お米が作れないという状況です。

 そして、今、農家の方々とお話をしていても、うちは一枚作るのをやめたとか、田植したけれどもちょっと水が抜けていっているとか、水を張ってみたら傾きが分かったから、これがどんどんまた傾いたら、水を入れ過ぎたらこちらが埋まってしまいますし、水を薄くしたら片方の方が干上がってしまう、こういう状況も必ず出てくるだろうというふうに言われています。

 そしてまた、土砂崩れも含めて、今、水路が大丈夫でも、この大雨の中で地盤も緩んでおりますので、土砂崩れが、今後、大雨の季節がやってきたときに水が来ないというような状況も、七月、八月、九月、想定し得ます。なので、こういった状況に俊敏にまた対応していただければと思います。

 そしてまた、土砂が崩れて川に流れて、そして海、今、海をしゅんせつ工事もしていただいておりますけれども、せっかくしゅんせつしたところにまた土砂が流れ込むということも考えることができますので、これで終わったということがないように、是非とも動いていただければと思います。

 先日、七尾の公設市場に行きました。滅菌冷海水の施設ですとか、この市場のところを直してほしいという要望を伺いまして、農林水産省に問合せをしたところ、またすぐ現地にも行っていただきまして、感謝を申し上げます。食の市場が回復をしつつあるということは、大変いいことでございます。

 一方で、まだ漁ができないというところがございます。皆様御存じのとおり、三メーター、四メーター隆起してしまっているところ、これは今のところはなかなか難しいんですけれども、一方で、内浦の方はそれほど隆起がしていません。津波でまだ被害がましだったという悲しい状況なんですけれども、それでもやはり今、漁ができないといったところがございます。

 先日、ある漁協に伺いましたら、漁師さんが、お昼ぐらいですか、今仕事がないんだよねということで、今回の地震に際して、海岸清掃も含めて日当一万円までのお仕事を出していただいている、それも私も説明を伺いました。ただ、その仕事の量が減ってきているということを伺ったんですね。

 そして、漁協関係者の方にも伺いましたら、実はそうなんだよと。二月、三月、四月はいっぱいそういった仕事をしてもらったんだけれども、上の方、上の方というのが県なのか漁協なのか、ちょっとそこは曖昧なんですけれども、ちょっと予算を絞ってくれということで、仕事を自分たちも漁師さんたちにお願いしたいんだけれども、その海岸清掃の仕事を依頼できないんだといったことを伺いました。

 予算がないから事業を減らすということはあってはならないことですし、今後、海岸の隆起のところは数年単位でかかると思います。私がお話を伺ったところは、隆起しているところではなくて、津波の被害を受けた七尾湾のところでございます。こういったところも、市場が回復したとしても、漁師さんは全く漁ができていないということですから、何となくの雰囲気で、ここは大丈夫だろう、市場も回復したから、もう予算を削ってしまって大丈夫、予算がないから今後追加をしないということはあってはならないと思うんです。

 この辺り、しっかりと対応していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

坂本国務大臣 今委員が言われました事業といいますのは、被災者の生活となりわい支援のためのパッケージに基づくものであります。

 漁業者の生活を支えながら、漁場環境を回復するために、漁場の状況を把握するための調査、それから漂流、堆積物の除去、漁場環境の改善など、漁業者が取り組む活動等へ支援をする事業であります。おっしゃるとおりであります。

 本事業につきましては、既に、令和五年度予備費及び令和六年度予備費におきまして、約二十九億円を確保しているところであります。石川県漁協が各地域の漂流、堆積物や被災状況に応じて計画的に現在実施をしているもので、現時点において、全体として予算が足りなくなるような状態は想定をいたしておりません。

 農林水産省では、漁業の一日も早い再開に向けまして、必要な支援をしっかりと行っていきますが、他方で、漁に出られない漁業者の方々に対しては、引き続き、確保された予算を活用いたしまして、本事業による支援などを着実に行っていきたいと考えております。

近藤(和)委員 今回の災害についての根本的な、私は余り批判はしたくないんですけれども、補正予算を組まなかったことによって、その都度その都度予備費で追加をしていくということが、結果として、今回も、一月は九億、三月は二億、そして四月二十二日の閣議決定で十八億で、合わせて二十九億ということだと思うんですけれども。

 今更、一月、二月のことを振り返っても致し方ないですから、その都度その都度の予備費でどうこうということではなくて、農林水産省として、徹底的にしっかりと漁師さんを支えていくんだ、そういったメッセージを発していただきたいと思いますし、時間がたつ経過において、やはり最前線の現場の方々、漁協の方であったり漁師さんの方々に、いや、予算がもうなくなったから、そして、全体として復活してきた雰囲気が出てきているから、そういった仕事が回らないんだということがないようにしていただきたいと思うんです。

 改めて、大臣から、漁業者の方々、漁ができない方々に、こういった事業をしっかりと今後も続けていきますということを明言していただきたいんですが、いかがでしょうか。

坂本国務大臣 様々な調査等に二十九億円を確保している、これは相当な額であるというふうに私は思っております。そういうことで、現時点で予算が足りなくなるという事態は想定しておりませんし、もしそういうことが仮にあったにいたしましても、しっかり漁業者の皆さん方に寄り添って支援をしてまいりたいと思っております。

近藤(和)委員 ありがとうございます。

 仮にそういった場合があったとしても寄り添っていくということは、しっかりと事業をしていただくということで理解をいたしました。ありがとうございます。

 そして、漁場復旧対策支援事業についてなんですけれども、次の、二枚目の紙を見ていただけたらと思います。

 これは、能登のある海岸線です。隆起をしてしまったところなんですけれども、左側がまだ清掃されていない海岸です。そして、右側が重機を使って清掃した海岸です。砂浜のところもかなり広がっていますし、手で拾えるだけのごみだけではありません、重機を使わなければいけない部分もございます。

 そして、重機をちょうど動かしていらっしゃったので、私、この方からお話を聞いたら、漁師さんもいらっしゃるんですが、月三十万円のリース料がかかるということでございました。

 それで、一枚目の紙に戻っていただきますと、漁場復旧対策支援事業については、漁船によっての堆積物の回収、処理作業については、その船と人の部分はお金が出ます。陸上については、人の部分についてはお金が出ますということなんですけれども、陸上においての機械、重機を使っての海岸清掃については、私はこれは支援をしていくべきだと思うんですが、いかがでしょうか。

坂本国務大臣 委員おっしゃいましたように、漁場復旧対策支援事業は、漁場環境の改善のために漁業者自らが行う漂流物あるいは堆積物の除去などの活動に対しまして支援することを趣旨としております。

 当該事業におきまして、より効果的な活動とするために、例えば、漁港の海底が隆起して動かせなくなった漁船の移動、それから、漁場で回収した漂流、堆積物の積込み、そして運搬などの重機を活用した活動についても支援の対象としているところでございます。

 農林水産省といたしましては、漁業の一日も早い再開に向けまして、引き続き、地元に寄り添って丁寧に対応して、必要な支援をしっかりとしてまいりたいというふうに思っております。

 ですから、重機を活用した活動、リースも含めて、オーケーということであります。

近藤(和)委員 ありがとうございます。

 大変前向きなお答えをいただきまして、ありがとうございます。

 気になっていましたのが、漁港だけが漁場にあらず、海岸線、みんな漁場なんですよね。こういったことも含めて、例えば、昨年であれば、大雨が降って、これは能登半島の外浦の方ですが、大量の木が流れてきました。もう人の手ではどうしようもなかったですから、こういったところも含めて、今は大量の木は流れていないんですが、七月、八月、九月はこういったこともあり得ると思いますので、こちらについても前向きな対応をお願いしたいと思います。

 次の質問に参ります。

 底引き網の漁師さんから、まだ漁ができる状況ではないけれども、できる段階になってから、漁具が心配だと。というのは、今、漁具が壊れてしまっています。壊れてしまっている漁具については、共同利用漁船等復旧支援対策事業、これではカバーできるというふうに伺っていますが、心配なのが、例えば、漁ができるようになった、そして、今の事業で漁具も調達できた。でも、いざ漁に出てみたら、底引きですから、海の中がぐちゃぐちゃで、また台風などで、せっかくきれいにしても、またひっかかって漁具が壊れてしまうかもしれない。こちらについては支援が出るのか、出ないのか。

 レクの段階では出ないかのような答えをいただいたんですが、私はこれはいかがかと思います。少なくとも、震災以来いろいろなものが流れてきやすくなったということも含めて、対象に入れていただきたいんですが、いかがでしょうか。

森政府参考人 お答えいたします。

 底引き網の操業の今後の再開に当たりましては、堆積物の存在、海底の状況が変化している可能性に鑑みまして、海底の清掃や漁場の状況に関する関係者間での情報共有などを行っていくことが必要と考えております。

 このため、農水省としても、先ほど来御指摘いただいております漁場復旧対策支援事業を活用しまして、漁業者が取り組む海底の清掃や調査を支援しているところでございます。こうした取組を行っていくことを通じて操業環境の整備を図っていくということが重要だというふうに考えております。

 そうした取組を行った上でもなお、海底の状況が大きく変化している中、底引き網などが破損する可能性はあるということも考えております。

 農水省といたしましても、個別具体の被害の原因、態様に応じて、共同利用漁船等復旧支援対策事業の活用ですとか、漁具の購入に当たっての漁業近代化資金等の活用など、現場に寄り添いながら、適切な対応を図っていきたいというふうに考えております。

近藤(和)委員 現場に寄り添いながらということであれば、できるという答弁でよろしいんですね。短くお願いいたします。

森政府参考人 先ほど申し上げた事業につきましては、地震や津波による海底の変化等によって漁具が破損した場合は、事業で支援が可能ということでございます。

 ただ、例えば、もう堆積物等があることが調査で分かっているのにそこで引いてしまったとか、そういったような場合にはなかなか難しいかと思いますが、基本的には、こうした地震、津波による海底変化による被害であれば対象ということでございます。

近藤(和)委員 できるということで、ありがとうございます。土砂が流れ込んで海底が隆起をするということもありますので、ありとあらゆることで柔軟に対応してほしいと思います。

 そして、別の底引き網の漁をされている方は、もう今のままではやはりしんどい、船も壊れたということで、同じ海域で、底引きではなくて、具体的には、カキの養殖ができないかということを伺いました。

 漁法の転換について、漁場の拡大も含めて、免許か許可かなどといったことも含めて大変難しい問題がありますが、これが可能なのか、柔軟な対応を求めたいと思いますが、いかがでしょうか。

森政府参考人 お答えいたします。

 漁場環境の変化によって、従来どおりの操業が継続できるのかといった懸念の声もあるということは認識をしております。

 こうした状況に対しまして、例えば、養殖への転換ということを図ることにつきましては、既に漁協への区画漁業権の免許がなされている海域では、組合内で相談をしていただくことで、養殖を営むことが可能となる場合がございます。

 他方、現在、区画漁業権が免許されていない海域で養殖業を営むためには、この海域を利用されているほかの漁業者との調整等を経た上で、県による海区漁場計画の変更や漁業権の申請、免許等のプロセスに進むということが必要になります。

 このため、いずれにいたしましても、まずは地域の漁業協同組合や県庁と御相談をいただくということが必要かと考えております。

近藤(和)委員 できると。

 しっかりと、全く新規の方は難しいけれども、既存の方と共同してやるということであれば可能だということですね。そして、その上で県等と相談をしてほしいということだというふうに思います。

 これでよろしいですよね。うなずいてだけいただければ、ちょっと時間がないので。ありがとうございます。

 そして、底引き網から例えば養殖に転換する場合には、今回は半分の支援だというふうに伺いました。養殖そのものの被害が今回少なかったからということの説明を聞いたんですけれども、やはり漁師さんも、家も傷ついていますので、極力負担が少ないことを望まれておられます。

 そこで、経済産業省にお越しいただきました。

 なりわい補助金であれば、四分の三ということでございます。同じ漁であれば、四分の三のところは原状回復ということでやりやすいと思うんですが、漁の種類が全く変わってしまうことに対して、このなりわい補助金が使えるのかという不安があります。

 なりわい補助金、今回の地震からは、既存の範囲内であれば、新規事業もできる。例えば、ラーメン屋さんからパン屋さんに移ろうと思ったらできるんですよね。たしか、一定の金額の範囲内であればということだと思いますが、例えば、底引き網漁からカキの養殖に移るときには、このなりわい補助金は使えるんでしょうか。

吉田大臣政務官 お答え申し上げます。

 まず、なりわい補助金でございますけれども、被災地域の復旧復興の促進に向けて、被災中小・小規模事業者の事業に不可欠な施設設備の復旧を支援するものでございまして、漁業者も対象に含まれます。

 その上で、従前の施設設備の復旧では事業再開や継続などが困難な場合には、原状回復に必要な費用を上限に、従前の施設それから設備の復旧に代えて、新分野需要開拓等を見据えた新たな取組であります新分野事業に係る施設設備の整備を支援することも可能でございます。

 なお、個別具体的な事案につきましては、一概に判断をお示しすることが難しいことでございますので、事業者の方から各県によって設置をされておられます相談窓口にお問合せをいただくことになると承知をしております。

 いずれにいたしましても、補助金の実施主体である県や関係者と連携をして状況を丁寧に把握しますとともに、引き続き、被災事業者の皆様に寄り添った支援を進めてまいりたく存じます。

近藤(和)委員 ありがとうございます。できるということで。

 漁師の皆さんも、このような地震は初めてでございますし、別の漁の方法に移るということも大変高いハードルでございます。そして、その上で、漁協とのつき合いはあったとしても、経済産業省に関係するところは電話をするだけでも怖いというふうに思いますので、是非とも丁寧に対応していただきたいと思います。ありがとうございます。

 それでは、スマート農業技術活用推進法案について質問したかったんですが、時間がなくなりましたので、一言だけちょっと申し上げたいと思います。

 食料供給困難事態対策法について、先ほど川内委員から、実施方針について、大臣がこの実施方針の中である程度選ぶことができるんだということもございましたけれども、実際には、今回の地震の被災地に、例えばここは免除していいよ、対象外だよ、違うところは対象内だよということがあるやもしれませんけれども、災害の色づけというのは、白か黒かといったところでは線引きが大変難しいということがございます。

 線引きをすることによって更に混乱を来してしまうということも含めて、農家の方々に対して罰金を科すということは、やはり相当国民的な反発を受けるのではないか。これは是非とも御一考願いたいということを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

野中委員長 次に、一谷勇一郎君。

一谷委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の一谷勇一郎です。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、前回、参考人の方の御意見をお伺いして、質問させていただいたんですが、少し質問が残っておりましたので、今日もその続きからさせていただきたいというふうに思います。

 二地域居住推進というのがありまして、これは国土交通省の方で、五月十五日に関係人口を増やすという法案が可決をされました。この二地域居住推進なんですけれども、定義としましては、移住、定住未満、観光以上ということになっております。

 関係人口の現状を申しますと、国土交通省の二〇二一年の資料によりますと、十八歳以上の全国の居住者約一億六百十五万人のうち、関係人口は千八百二十七万人という数字です。私は、これは約二割ありますので、結構な数字だなというふうに思いました。

 そこで、前回、参考人質疑のときに高橋参考人が、これからできるだけ農業を手伝ってくださる方を増やすために、二地域居住推進の視点から政府の考えをということをお聞きしたいというふうに思います。

 これは、農業を営んでおられる、元々住んでおられる方とどうやってうまくやっていくかという視点も必要だと思いますので、そのことについて参考人の方からお伺いをいたします。

長井政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のように、農村地域におきましては、人口減少、高齢化が急激に進行しておりまして、農業者を含めました地域住民が連携して、持続的な農業生産活動や地域コミュニティーの維持が図られるよう、多様な人材を呼び込みながら農村の活性化を推進していくことが重要でありまして、二地域居住もその有効な手段の一つであると考えております。

 二地域居住の普及、定着につきましては、二地域居住者向けの住宅やコワーキングスペースの整備等の取組を支援するための仕組みを創設する広域的地域活性化基盤法の改正案が、五月十五日に可決、成立したところでありまして、今後、本法に基づきまして、二地域居住の進展が期待されているところでございます。

 このため、農林水産省におきましても、農業体験活動や農泊等の取組、農山漁村発イノベーションの推進、農村RMOの形成等の取組を行うほか、国交省を始めとする関係府省と連携しながら、ワーケーションの受入れに向けた環境整備や定住、交流を促進するための施設整備などを支援し、二地域居住を推進してまいりたいと考えております。

一谷委員 今、ワーキングスペースとか居住というところのお話があって、こういったことを整備されていくんだと思うんですけれども、できるだけの方が、やはり、農業をやってみたいな、触れてみたいな、週末、いい環境で生活をしてみたいなというふうに思ってもらうことが必要だというふうに思うんですね。

 幾ら法律を整備しても、行動に移してもらわないといけないというふうに思って、私もいろいろ調べてみたら、次、七番目の問題にちょっと飛ばしていただきたいと思うんですが、世界農業遺産、日本農業遺産というのがあるということを知りました。

 これは非常に……(発言する者あり)そうですね、輪島市は白米千枚田があって、これはちょっと今地面に亀裂が入って、用水路も大変だということもお聞きしているんですけれども。この世界農業遺産、日本農業遺産、これは農村の持つ、漁村もそうですけれども、国内外に発信して、できるだけ観光の目玉にしていこう、国民の認知度を上げていこうというふうに書かれています。

 これは、私はすばらしい取組だなというふうに思いますし、今声をいただきました輪島市のこともありますし、新潟県の佐渡市も、トキが暮らす環境を認定されているというふうに初めて知りました。

 農業の在り方をブランド化していくことは、関係人口が非常に増えていくというふうに思うんですが、一体どんなものなのかなというのを、私は初めて知ったので調べてみましたら、農業遺産に関する世論調査というのが令和三年の十月に内閣府政府広報室でされておりました。これは、十八歳以上の日本国籍を有する者三千名にアンケートを郵送とインターネットで行って、有効回答率が五四・九%なので、すごくいい回答率じゃないかなというふうに思うんですね。

 ただ、その回答をいろいろ見てみますと、農業遺産を知っていますかというふうなことを聞いてみますと、やはりちょっと少ないんですね。農業遺産を知っていますかのデータを見ますと、三七・一%なんですね。これはいろいろなあれがあると思うんですが、そんなに多くないなと思うんですよ。

 ただ、行ってみたいなという数字は非常に高くて、七五・一%なんですね。行ってみたくないというような意見の方が非常に少ない。機会があれば行ってみたいも非常に多いんですね。そして、行ってみたらその特産物を買いたいなという方は七七・五%ということで、ここも非常に高いなと思うんです。

 このデータ、いろいろ調べてみたら、そこで農業に従事してみたいな、ちょっと触れてみたいなというデータはなかったので非常に残念だったなと思うんですけれども、私は、関係人口を増やしていくために、是非この世界農業遺産や日本農業遺産をもっともっと認知度を上げていく必要があると思うんですね。

 これは、令和三年度の世論調査でも、皆さん、一〇%ほどしかこの取組をやっているということを知らないということなんですが、政府として、生物多様性であったりSDGsであったりという取組も非常に有効なので、是非力を入れていっていただきたいんですが、今の考えをお聞かせいただけたらと思います。よろしくお願いします。

舞立大臣政務官 農業遺産の関係でございますけれども、伝統的かつ特徴的な農林水産業や、それに深く関連した文化、景観、農業生物多様性等を有する地域を認定する制度ということです。

 非常に、この農業遺産の認定を通じまして、地域の持つ価値が明確になり、当該地域の農林水産業の担い手や地域住民の自信や誇りにつながるといったことが見込めますし、認定を活用した農林水産物のブランド化、景観や生態系の保全、観光客の誘致等の取組が地元ではなされておりまして、農林水産業や文化の継承、そして地域の活性化につながる効果があると考えております。

 農林水産省といたしましても、引き続き、農業遺産の認定の推進、そして、専門家による認定地域へのモニタリングと認定後の活動に対する助言、そして、国民の認知度の向上、理解醸成に向けた情報発信等に取り組むことによりまして、活動を支援してまいりたいと考えております。

一谷委員 舞立政務官、ありがとうございます。

 先ほど、国土交通省のお話で、移住の整備であったり、ワーケーション、こうなってくると、やはりWiFiの整備とかネット環境とかも関係あると思いますので、是非、この農業遺産とか世界遺産の景観が潰れない程度に、うまく連携をしていっていただいて、週末、そこで仕事もしながら農業に従事できるというようなことがもし可能であれば、関係人口、すごく農業にいいふうになっていくのではないかなというふうに思いますので、是非取り組んでいただきたいというふうに思います。

 私がこの農業遺産を知った元は、実はこれは、農林水産省の知的財産戦略二〇二五を見て知ることになりました。これは、参考人の田澤さんが、国内の自給力の低下と国内生産力の衰退の原因の一つが知財戦略の低下ではないかというような発言をされていたので、少しこれを調べてみましたら、農林水産省が知的財産戦略二〇二五というのをやっているというのを初めて知ったんです。

 やはり、二〇二五の知的財産というのは非常に大切だと思うんですけれども、この戦略について、大臣にお話をお伺いしたいと思います。

坂本国務大臣 我が国の強みの源泉でございます、優れた品種や遺伝資源、そして地域資源等の知的財産を戦略的に保護、活用することは、我が国農業の国際競争力を強化するために大変重要であるというふうに思っております。

 一方、農業現場では、これらの知的財産を保護、活用する取組に対する意識は十分ではなく、例えば、植物品種の海外流出の背景には、こうした事情もあると認識をいたしております。

 このため、農林水産省では、令和三年に農林水産省知的財産戦略二〇二五を策定をし、例えば、優良品種の海外流出リスクへの対応といたしまして、海外での育成者権の取得とその支援、それから、農業現場の知的財産意識の低さに対して、農業者等への戦略的な知的財産マネジメントの普及啓発の推進等の取組方向を提示してきたところであります。

 この戦略の方向に即しまして、農林水産省では、育成者権者に代わって海外への品種登録等を行います育成者権管理機関の取組を昨年度から開始をいたしました。そして、生産現場における意識向上を図るための研修を本年度から実施をしております。

 引き続き、知的財産の保護、活用に向けた取組を進めていきたいというふうに思っております。

一谷委員 今大臣からスマート農業のお話もあったんですけれども、まさに今回の法案の中身の中に、農業の生産性の向上のためのスマート農業技術の活用の推進に関する法律の、これは二十条の三に書いてあるんですね。国はから始まりまして、スマート農業技術等に関する知的財産、知的財産基本法、保護及び活用、必要な措置を講ずるように努めるというふうに書いてあります。

 知的財産基本法を読んでみますと、内外の社会経済情勢の変化に伴い、我が国産業の国際競争力の強化を図ることの重要性が増大している現状に鑑み、新たな知的財産の創造及びその効果的な活用に関する付加価値の創造を基軸とする活力のある経済社会を実現するというふうに書いてあります。

 まさに大臣がおっしゃったとおり、国際社会に出ていくために知的財産を守らないといけないということなんですが、スマート農業を広げれば広げるほど、暗黙知のノウハウというのも蓄積されていきます。特許の中には、農業水産分野には、ノウハウ、事業秘密も含まれるというふうに書いてあるんですね。

 今ちょっとお答えをいただいたんですけれども、このノウハウが海外に流出しないかという中で、問取りをさせていただくと、ガイドラインでしっかり示しているので大丈夫だというふうに言われたんですけれども、ガイドラインというのは、分野によって大きく異なるというふうに思うんです、効果があるかどうか。各分野の国際的な基準や条約が存在する場合は、それらに基づいて調整されることが多いというふうに思いますけれども、法的な強制力が少ないガイドラインで本当にそのノウハウの海外流出というのが守られるかどうかということについて、参考人の方の御意見をお伺いします。

川合政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、スマート農業技術につきましては、暗黙知となっている農業者のノウハウの見える化を促進するものであります。こうしたノウハウの流出への懸念がその利活用をちゅうちょする要因となっておりますことから、農業者等の知的財産の適切な保護、活用を図ることがこれまで以上に重要となっています。

 農林水産省では、委員御指摘の農林水産省知的財産戦略二〇二五におきまして、農業分野のノウハウ保護と調和の取れたデータ利活用を促進してきております。こういったガイドラインに沿った取組を推進しております。

 今回のこのスマート農業法案でありますが、第二十条第三項におきまして、スマート農業技術等に関する知的財産の保護及び活用につきまして必要な措置を講ずるよう努める旨を規定しております。これまでの取組を踏まえつつ、スマート農業技術等に即した知的財産の保護、活用が適切に図られるよう、基本方針において必要な事項を定めてまいります。

一谷委員 是非、しっかりこのノウハウというのが海外流出しないということを守っていっていただきたいというふうに思います。

 もう一つ、私がこの知的財産のことを勉強している中で非常に気になったのは、やはり食品へのコストに跳ねていくんではないかということなんですね。

 これは何か禅問答みたいになってしまうかも分からないんですけれども、やはり知的財産を持っておられる方というのは、特許と一緒ですので、高い収益を確保していかないといけないと思いますし、それがやる気の元になると思うんですけれども、知的財産がこれからどんどんどんどん守られていって、新しいものが出てきて、食品の生産コストに上乗せしていって、何度もここで言いますけれども、食品の価格がすごく上がっていくというようなことはないのかということを政府参考人の方にお伺いをしたいと思います。

水野政府参考人 お答えいたします。

 農業競争力の源泉である新品種につきましては、一般的に、育成者の多大な投資により開発されており、その品種開発コストは種苗の価格に適切に反映されるべきものでございます。

 通常の種苗の開発コストは許諾料として種苗価格に反映されますが、農業生産上重要な食用作物や果樹品種の多くが公的機関により普及を目的に開発される現状も背景に、許諾料は種苗価格の数%程度と低廉な水準となっております。

 また、農産物の生産コストに占める種苗費の割合についても、米の場合ですと四%、果樹の場合で一%程度であることから、実際の消費者の農産物購入価格への影響は限定的であると考えております。

 他方で、品種登録出願数が減少するなど我が国の品種開発力の低下が懸念される中で、より優良な品種を開発し、農業競争力を向上させていくためには、優良品種の種苗価格を価格に見合った適切な水準にすることで、品種の育成者が開発コストを回収し、新品種の開発に投資していくという好循環をつくっていくことが課題となっております。

 このため、農林水産省では、昨年度、育成者権管理機関の取組を開始し、また、海外ライセンス指針も策定するなど、海外からのライセンス収入による品種開発コストの回収、新品種開発投資を促進するための施策を推進しているところでございます。

一谷委員 今答弁があった内容の中に、次の質問になるんですけれども、やはり品種の開発が物すごく落ちてきているということをおっしゃっていただいたんですが、まさに植物新品種については、日本の強みである品種の知的財産を守って、しっかりと産地形成を後押ししていくことが重要というふうにいろいろ先ほどの知的財産の二〇二五にも書いてあるんですけれども、国における品種登録出願については、平成十九年の千五百三十三件がピークで、令和元年には七百八十四件と大幅に落ち込んだというふうに書かれていました。

 これは次の問六なんですけれども、予算を見ても、令和四年度は十億だったんですが、令和五年度は五億ということで、下がってきているのに予算の額も下がっているということで、何か整合性が取れていないんじゃないかなというふうに思うんですが、そのことについて政府参考人の方にお伺いいたします。

川合政府参考人 お答えいたします。

 品種開発につきましては、交配から品種登録に至るまで、長期間を要する技術開発であります。例えば、実が収穫できるまで数年を要する果樹では、開発期間が十年以上を要することもあります。

 委員御指摘の品種登録出願数が減少した理由につきましては、公的機関を中心に職員数が減少したということも背景の一つではないかと考えております。

 このため、これまでよりも早く、低コストで品種を開発するため、品種の特性情報を活用して、交配組合せの選定や、有望個体の選抜を支援する育種効率化基盤の開発に取り組んでおります。

 加えまして、品種開発のための交配は、特性情報が判明した数多くの母本を持つ農研機構と現場のニーズなどを把握している自治体が役割を分担することが重要であります。これまでも、育成段階から生産者や自治体関係者と情報交換しながら、現場のニーズに対応した品種の育成を進めております。

 引き続きまして、育種効率化基盤の精度の向上や品目の拡大に向けた研究開発を進めまして、品種開発のスピードアップを図るとともに、農研機構と自治体が持つ素材、技術、施設の共同利用を推進し、多収性や病害虫抵抗性など競争力を持った品種の開発を進めてまいります。

一谷委員 やはり新しい開発というのは大事ですし、先ほどおっしゃっていただいた競争力というのはすごく大事だと思いますので、そこをしっかりやっていっていただきたいと思います。

 質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

野中委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時十九分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時五十七分開議

野中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。池畑浩太朗君。

池畑委員 日本維新の会、池畑浩太朗でございます。教育無償化を実現する会との共同会派であります。

 今回、質問をさせていただくに当たり、前回のスマート農業技術活用促進法について引き続き質問させていただきたいと思います。

 前回は、農林水産省からのレク、そして法案の読み込みをした結果、スマート農業技術活用促進法の名称からは想像できないほど作り込んでおられるなという印象でしたと申し上げさせていただきました。

 川合審議官から、最後に、さらに、税制優遇についても盛り込まれておりますという話がありましたが、そこには触れずに終わってしまいまして、また、技術会議のメンバーには、このような法案を作り上げた、また、そしてこれからどういうふうに施行されていくかというのはまだまだ大事なところではありますが、これから農家の方々に直接よい方向の結果が出るように、日々研さんをお互いに積んでいきたいというふうに思っております。

 今後二十年間で基幹的農業従事者は現在の約四分の一、百十六万人から三十万人と減少することが見込まれております。従来の生産方式を前提とした進め方では難しいということでありますので、本法案では、スマート農業技術の導入そして開発の両面から計画の認定制度を設け、認定を受けた事業者を支援するという。

 特に技術の開発については、山崎委員、神田委員からもありましたけれども、昨日、農研機構の埼玉圃場に視察も行かせていただきました。視察して、改めて、我が国最大の農業研究機関である農研機構の役割がますます重要になるというふうに考えておりますが、常勤数三千六百二十七人、研究職が千七百四十五人、予算が八百六十五億円、日本全国に五つの地域のセンターを有しておられます。スマート農業技術の実用化を急速に進めるためにも、農研機構が期待される役割を発揮できるよう、そして予算の確保を含めて、設備や人員の体制等、機関の運営基盤を強化するということが大事だというふうに思っております。

 民間企業との連帯、そして、後の方にも質問させていただくんですけれども、この民間企業との技術の連帯ということがすごく大事だというふうに私は感じますが、現段階での大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

坂本国務大臣 農研機構は、創立百三十年を迎えます我が国最大の農業技術の研究機関であります。北海道から沖縄まで全国各地に拠点を有し、我が国の多種多様な農業を対象に研究に取り組んでおります。

 例えば、これまでに、民間企業と共同で開発いたしました自動運転田植機や、シャインマスカット等の新品種の開発を担ってきました。

 委員御指摘のとおりに、農業技術と情報通信技術の高度な融合により生まれるスマート農業技術の開発につきましては、農研機構が、地方公設試験場、そして大学、スタートアップ等の関係者とも連携しながら、開発を進めていくことが重要であります。

 このため、本法案では、基本理念において、農研機構を含みます多様な主体が相互に密接な連携を図りながら開発供給事業を進めることが重要であること、そして、国が、農研機構を含む関係独法と連携協力を図りつつ、スマート農業技術の活用の促進に必要な措置を講ずるように努めることを規定いたしました。さらに、具体的な支援措置として、国の認定を受けたスタートアップ等の事業者に対しまして農研機構が保有する研究開発設備等を利用させることを可能としております。

 農林水産省といたしましては、これらの規定も踏まえまして、農研機構を中心とします農業分野における産学官連携を進めるべく、必要な予算の確保、そして人員の配置等に努めてまいります。

池畑委員 昨日視察をさせていただきましたのは、今大臣からもありました自動運転田植機、圃場の水管理ですね。これも、大分、水管理の時間が七割から九割削減ということであります。大臣も、農業県でありますし、元々県議会議員もされておられまして地域をずっと回っておられますから、圃場の水管理というのはかなり大変だというふうに理解をされていらっしゃると思います。

 稼働時間ですね、昨日、自動追従ロボットというのを見せていただきましたが、作業する時間帯、六時間から十八時間ということでありますが、作業時間帯中は稼働時間というふうに言われるんですが、なかなかそういった稼働時間がどれぐらいできるのかという、これからも研究課題ではありますけれども、作業時の体感が、疲労度が三分の一に低減していくということは、かなり大事なことだというふうに思います。

 大臣も今お話しでしたが、これからの力強い応援が資金的にも大事だというふうに思いますので、今後ともしていただきたいというふうに思います。

 今の大臣の答弁を受けまして、それぞれ分野によって質問させていただきたいと思います。

 日本の農業は多様性、地域性が強みであります。各地方の農業試験場や地場の機械メーカー等の役割も大変重要だというふうに思います。これらの地域で頑張る方々と農研機構、今大臣からもありましたが、連帯をしていくことが大事だということでありました。

 農研機構はコンセプトを挙げておられて、商品化するまでに三年から四年というふうなことでありますが、もっと民間との連帯を強化するべきではないかというふうに思っています。当然、今やられているという話もありましたけれども、実例を挙げて答弁をいただければと思います。

川合政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、我が国では多種多様な農業が営まれておりまして、スマート農業技術の実用化を進める上で、地方公設試とか地場の機械メーカーなど、各地域の状況や農業の課題を熟知する方々との連携が非常に重要と考えております。

 農研機構は、茨城県つくば市に所在する本部のほか、昨日委員に御視察いただきました附属農場を持っています農業機械研究部門、これを始めとしまして十六の研究部門・センター、北海道、東北、中日本、西日本、九州沖縄という五つの地域農研センターを擁しております。それぞれの地域が抱える農業の課題の解決に向けまして試験研究をやっております。

 令和元年度から実施しました実証プロジェクトにおきましては、例えば、宮城県の農業・園芸総合研究所、農研機構東北農業研究センターが連携しまして、営農支援システムによる栽培管理でありますとか出荷調整を通じたタマネギ生産、出荷体制の構築に取り組んでおります。また、鹿児島県、地場の機械メーカー、農研機構果樹茶業研究部門が連携しまして、茶の摘採機の自動化による作業時間の削減に取り組むなど、それぞれの知見やノウハウを生かした技術の開発、実証を進めております。

 この法案におきましても、開発供給実施計画におきまして、様々な主体が共同しながら事業を行うことを可能としております。農研機構とも連携しながら、スマート農業技術の実用化が図られるよう努めてまいります。

池畑委員 ありがとうございました。

 今審議官からもお話がありましたけれども、やはり地域との連帯、また、地域の技術をどのように農研機構に、集約をするだけではなくて、技術提供をしていきながら、圃場も使っていただきながら、どんどんその地域に合った機械を開発をしながら、地域で使っていただかないと意味がないというふうに思います。

 私の祖父も農業試験場で場長をやっておりまして、ハッカの研究をずっとやっていたようでありますが。これからやはり、いろいろな技術が、試験場の中だけではなくて、どんどん外に出ていくような仕組みというのも大事だというふうに思いますので、今審議官が言われたような連帯をもっともっと深めていく方法を考えていくべきだというふうに思いますので、今後ともよろしくお願いしたいと思います。

 例えば、今のお話にもありました果樹作、収穫や摘果などは熟練のノウハウが必要だという話も先ほどもありました。非常に、非常にというか、難易度は高いというふうに思います。ほかの品目と比較しても高齢化が深刻であります。自動化そして省力化を図ることが特に急務ではないかというふうに果樹の分野では思っております。スタートアップや、これからチャレンジしようとしている、異業種から参加をしていただく皆様にとっても、そういったところがひっかかってしまうということでありました。

 多様な方々に農業分野の技術開発に参入をしてもらいながら、現場に役立つ技術の開発に切磋琢磨していただきたいというふうに思いますが、今審議官からお話をいただきましたけれども、政府としてこうしたチャレンジを応援するべきだというふうに思いますが、改めて政務の方から答弁をいただきたいと思います。

舞立大臣政務官 スマート農業技術の開発につきましては、スタートアップや異分野の企業など多様なプレーヤーの参入を促すことは重要と考えております。

 他方、こうした企業の立場で考えますと、一年単位のサイクルを基本とする農業分野の技術開発には長期間を要すること、また、特にスマート農機の量産化には大規模な設備投資を要し、販路の確保にも相当の時間がかかること、そして、開発に必要な圃場や高度な研究設備を有していないことなど、事業を展開する上で様々な課題があると認識しております。

 このため、今回のスマート農業法案におきまして、国の認定を受けた者に対しましては、会社の設立等に係る登録免許税を軽減、そして、日本政策金融公庫によります大規模な設備投資や長期の運転資金にも対応可能な長期、低利の資金の貸付け、そして、農研機構が保有する圃場や研究設備の供用を可能とするなどの支援措置を講じて、スマート農業技術の実用化を着実に進めてまいりたいと考えております。

池畑委員 政務官、ありがとうございます。

 今政務官からお話がありましたように、一番最初にお話をさせていただきましたが、農業機械促進法、これは二十何年前にありました。また、そういった法案とは違った形で、かなりの税制優遇も含めて、これから新規の方々にとって大事な視点が盛り込まれているということであります。

 私の地元でもいろいろお話をさせていただくんですが、機械を新しく作るだけやろうというふうな話というのがよく出てきますが、そうじゃないということで、前回と今回に分けて、地元の農業、そして新規で就農していただく方が、昨日、埼玉県庁でお話を伺ったときに、一番が静岡県ということでありまして、二番手が兵庫県ということでありました。新たに法人が就農するに当たって、こういった法律をどんどん使って、また理解をしていただくというのが大事だというふうに思いますので、今後ともよろしくお願いしたいと思います。

 その中で、スマート農業においては、比較的導入コストが抑えられる、導入コストが抑えられるということは大事なことだというふうに思うんですが、ドローンの活用も考えられます。よく、スマート農業の話イコールドローンみたいな形で、新しい技術イコールドローンみたいな形になっている部分もありますが、いろいろそういった問題点についてお話をさせていただき、また質問させていただきたいと思います。

 用途でいろいろ、農薬をまいたり、そういったときに活用は考えられるんですけれども、その飛行に当たって農業現場からは手続が難しいといった意見をよく聞きます。省庁をまたいでやることもあるということでございますけれども、この法案では、こうした視点からも、事業に取り組む際の利便性の向上にどういうふうに取り組んでいかれようとしているか、お聞かせいただきたいと思います。

川合政府参考人 お答えいたします。

 農業用ドローンにつきましては、農薬、肥料、種子等の散布や、圃場や農作物の状態に関するセンシングなど、品目問わず様々な作業で活用できまして、比較的安価でありますことから、経営規模が小さい農業者でも導入しやすいものであります。その活用を一層進めていく必要があります。

 一方で、農業用ドローンにつきましては、人口集中地区の上空など特定の空域や、農薬の運搬、散布など特定の方法で飛行させる場合には、航空法の規定に基づく許可又は承認が必要となります。こうした行政手続の煩雑さが農業者や事業者の負担になっているとの現場の声もあるところであります。

 このため、本法案では、航空法の特例を設けまして、生産や開発に関する計画の認定によりまして、農業用ドローンを利用する場合の航空法の許可や承認があったとみなすことで、農業者や事業者の行政手続を簡素化することとしております。

 こうした措置や税制、金融等の支援措置を組み合わせながら、農業用ドローンの活用を通じた農業の生産性の向上を図ってまいります。

池畑委員 そのように、横断しているものを簡素化していくことで大分使いやすくしていくことは大事なことだというふうに思います。

 少し観点が変わって、この法案とはちょっと直接は関係ないんですけれども、今のドローンに関して、田んぼ、区画が整理されているところで農薬をまいたりすると、有機農業をやっておられるとか、また、違う農薬をまかれると困るとか、高さによって違うとか、いろいろ御意見をお伺いさせていただいたことがあるんですけれども。これももう一つ現場の声として、ドローンに使える農薬の種類が少ないということでありました。特に先ほどから申し上げております果樹の栽培について、ドローンに適した農薬の登録状況に関する現状の認識と、登録の拡大に向けたどういうふうな努力をされようとしていらっしゃるかということを、参考人の方からお聞かせいただきたいと思います。

安岡政府参考人 お答えいたします。

 農林水産省では、ドローンで散布できる農薬の拡大に向けて、ドローンに適した高濃度かつ少量で散布できるよう、農薬登録を拡大する場合について、成分ベースで従来と同じ散布量であれば作物残留試験などの実施を不要にするとともに、薬害試験のみの登録制度とするように登録制度の見直しを行ったほか、さらには、産地における登録に必要な試験の実施を支援してきたところでございます。

 こうした取組もあって、平成三十一年三月に策定した農業用ドローン普及計画における目標として、令和四年度末までの四年間でドローンに適した農薬を新たに二百剤追加させる目標としておりました。この結果、目標を超える五百六十六剤が新たに追加されているところでございます。

 一方で、委員御指摘のとおり、果樹に使用される農薬の追加は三十二剤という形でとどまっているところでございます。これは、果樹では、害虫は葉の裏につくことが多く、さらには、病気については果実の表面につくような場合が多いということで、ドローンで単純に上から散布するということの場合では十分な防除効果が得られなかった例もあったということだというふうに承知をしております。

 これに対して、農林水産省では、果樹でのドローンの活用を進めるため、効果的な散布の方法やドローンでも効果のある薬剤の選抜などについて実証を進めてきたところであり、引き続き、各産地の要望を集約して、農薬メーカーの登録申請を促すとともに、産地におけるドローンでの散布の実証や登録試験を支援することによって、果樹などについても適用拡大を進めてまいります。

池畑委員 少し細かい観点での質問に対して誠実に答えていただきまして、ありがとうございました。

 やはり現場の声というのはこういったところで拾っていただく、そしてこういった法律にも反映をしていただいているということが、私が一番最初に申し上げましたとおり、いろいろ作り込んでいるなという部分だったというふうに思います。

 是非知っていただくということで、大事なことだというふうに思いますので、質問させていただきました。

 続きまして、スマート農業の推進に当たっては、農業教育を伴う農業高校や高専、これは文部科学省ですね、農業大学校は農林水産省でありますけれども、そういった省庁をまたいでいる状態であります。スマート農業技術の活用の促進に当たっては農林水産省だけではなくて関係省庁一体となって取り組むべきだというふうに思いますが、法案上どのように仕組みを設けておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。

舞立大臣政務官 スマート農業技術の活用、特にその開発に当たりましては、機械工学や情報通信技術そしてデータサイエンス等の知見、技術を生かすことが不可欠でありまして、先ほど先生御指摘いただいた文部科学省を始めといたしまして、経済産業省や総務省など、関係省庁と連携して施策を進めることが重要と考えております。

 このため、今回のスマート農業法案におきまして、十三条五項におきまして、農林水産大臣が開発供給実施計画を認定するに当たって関係大臣に意見を聞く仕組みを設けているところでございます。

 また、二十条三項におきましては、スマート農業技術の活用に向けた環境整備のために、高度情報通信ネットワークの整備、これは総務省でございます、そして人材の育成、確保、これは文部科学省、そして知的財産の保護、活用におきまして、内閣府、経済産業省など、関係省庁と連携協力し、必要な措置を講ずるよう努めることとしているところでございます。

 これらの具体的な措置を含めまして、制度の運用に必要な事項につきましては今後基本方針で定めてまいりますが、基本方針につきましては、第六条第四項の規定に基づき、あらかじめ関係省庁に協議することになっているなど、引き続き関係省庁と連携してまいりたいと考えております。

池畑委員 第六条については、またこの次に質問させていただくつもりでありましたけれども。先ほどありましたドローンの関係で、航空法、これは簡素化していく方向。また、ほかの省庁と連携していく方向というのも今政務官からお話をいただきました。

 この簡素化していく方向性も、現場の声を聞いていれば、こういったことに関しては省庁をまたぐ必要ないなということも出てくるでしょうし、今政務官からもありました連携をしていく部分に関しては、とことん連携をしながら、技術の革新をまた普及していく、そういったことも大事だというふうに思います。

 今政務官からありました第六条については、また質問させていただきたいと思いますけれども。先日の委員会で答弁もいただきました、技術開発の必要性が高いスマート農業技術など、法律案に基づく計画の認定制度の運用、そしてスマート農業技術の活用を効果的に進めるための環境づくりの具体的な内容については、先ほどありました第六条で定めるものと理解しております。

 基本方針の策定に当たっては、農業現場はもちろん、地方公共団体やスマート農業技術の開発に取り組む事業者、これは二番目に質問させていただきましたが、幅広い事業者の意見をよく聞くことが大事だというふうに考えますが、改めて、基本方針、第六条、政務の方からお聞かせいただきたいと思います。

舞立大臣政務官 ありがとうございます。

 スマート農業法案におけます基本方針は、生産方式革新事業活動、開発供給事業それぞれの促進の意義、目標や基本的な事項等を規定してまいるところでございます。この中で、開発の必要性が特に高いと認められる技術を明示することとしております。

 これらの事項につきましては、技術的、専門的な事項も含まれますことから、先ほど、あらかじめ関係行政機関の長に協議するという話もしましたが、同時に、その四項では、「食料・農業・農村政策審議会の意見を聴かなければならない。」というふうに書いておりまして、その上で基本方針を定めることとしておるところでございます。

 先生御指摘の、基本方針は多様な関係者の声を踏まえて策定することが農林水産省といたしましても重要と考えておりまして、本法案成立の暁には、現場の農業者や関係団体、事業者、地方公共団体など幅広い関係者の意見を丁寧に伺いながら、鋭意検討を深めてまいりたいと考えております。

池畑委員 政務官、丁寧にありがとうございました。

 今、大臣の答弁から始まって、政務そして参考人の方から答弁をいただきました。大事なのはやはり現場の声だというふうに思います。

 大臣に最後、お聞かせいただきたいというふうに思いますが、スマート農業も、みどりの食料システム戦略も、その推進に当たっては、技術的なベースを保ちながら政策立案、実行することが不可欠、今政務官からもいただきました。農業政策と農林水産省の組織において技術政策を中核に位置づけて推進するべきだというふうに改めて考えますが、大臣、一番最初に答弁いただきました内容も含めて、是非もう一度答弁をいただきたいと思います。

坂本国務大臣 我が国では、狭く急峻で南北に長い国土におきまして、多種多様な農業が営まれております。そして、アジア・モンスーン地域という温暖湿潤な気候の下で、雑草や病害虫が発生しやすいといった環境にあります。このため、食料の安定供給の確保や農業、農村の振興を図る上で、様々な課題に対処していくという必要があります。

 こうした中、技術の革新は、委員御指摘のとおり、スマート農業技術や多収化に資する品種、そして、温室効果ガスの排出抑制等の環境負荷低減など、食料・農業・農村政策の様々な場面において考慮に入れて対応すべきものというふうに考えております。

 このため、農林水産省では、所掌事務に係る技術に関し、農林水産技術会議及び農林水産技術会議事務局を始め様々な部局において、農研機構等とも連携をして政策を推進しているところであります。

 本法案に基づくスマート農業の推進も、そして、委員が御指摘のみどりの食料システム戦略の実現も、いずれも技術の力を起点として、我が国農業の課題解決にチャレンジするものであります。

 委員の御指導、御支援もいただきながら、一歩ずつ着実に政策を前に進めてまいりたいというふうに考えております。

池畑委員 今、技術会議のメンバーの話もありました。是非、こういった技術、そして品種の改良、こういったことを含めて、これからの農業従事者の減に向かって対抗し、そして、これからも更にいいものを作っていきたいというふうに思いますので、我々も是非努力をさせていただきたいと思います。

 次に掘井議員からの質問が控えておりますので、これで私は質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。

野中委員長 次に、掘井健智君。

掘井委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会、共同会派の掘井健智でございます。

 それでは、質問いたします。

 中国の税関当局が日本の水産施設の登録効力を今月一斉に停止するとの報道についてであります。

 先週の金曜日、五月十七日に、中国の税関当局が日本の水産施設の登録効力を今月一斉に停止するとの報道が事前に出されました。中国は、昨年八月から、福島原発処理水の海洋放出を受けて、日本産の水産物の輸入を停止しております。ただ、今年四月までは施設の登録を有効のまま維持していたと理解をしておりました。

 まず、この報道の事実関係はどうであったのか、また、本日午前中に中国側から日本政府にあった回答はどのようなものであったのか、お願いします。

濱本政府参考人 お答え申し上げます。

 中国政府において食品輸入を管轄する海関総署のウェブサイトから、我が国の水産物輸出が可能なものとして表示されていた登録魚種四百四十九種類と登録水産製造施設千六十二か所の情報が全て削除されていることが、五月上旬に確認されたところであります。

 本件の事実関係や、登録情報が削除された理由等について、中国側に説明を求めてきたところでございます。

 本日午前になって回答がありまして、今回の変更は、昨年八月以降、日本産水産物の輸入を全面的に一時停止している状態を反映させたものである旨の説明があったところでございます。

 昨年八月のALPS処理水の海洋放出に伴い、同月以降、中国が日本産の食用水産物の輸入を全面的に一時停止したこと、そして今般、海関総署のウェブサイトをこれに合わせて変更したことは、全く科学的根拠に基づかない措置であると考えております。

 引き続き、政府一丸となりまして、日本産食品の輸入規制の即時撤廃を強く求めていく考えでございます。

掘井委員 外務省に御答弁いただきましたけれども、中国政府に対して何か抗議されましたでしょうか。

濱本政府参考人 お答え申し上げます。

 本日午前、中国側から回答があったところでございまして、これからしかるべく対応を検討していく考えでございますが、いずれにいたしましても、これらは全く科学的根拠に基づかない措置であるという具合に考えております。

掘井委員 分かりました。

 水産施設の登録というのは、今回、ホームページで消えておったから登録がなくなったんだな、こういうことだと聞いておるんですけれども、水産施設の登録など、中国は平時、登録に対してどんな対応になっておるのか、厚労省の方からお願いしたいと思います。

鳥井政府参考人 お答えいたします。

 厚生労働省におきまして、中国向けに輸出される水産食品の加工及び保管を行う施設の認定を行っているところでございます。

 通常の流れでございますと、認定を希望する者から申請があった場合には、審査をしまして、その内容について問題がないと判断した場合には認定をし、中国政府に登録を要請いたします。中国政府による登録内容の審査の結果、問題がないと判断された施設については、中国政府のウェブサイトに掲載されるものと承知をしております。

掘井委員 書類を交付しておって、その書類に基づいて、登録しているとか、又は登録を外れるとか、契約ですから、そのように思っておりましたけれども、そんな状況であるということが確認できました。

 坂本大臣に通告をしておらないんですけれども、今日、閣議後の記者会見がございました。先ほど進展があったということでありますので、よかったら大臣に答えていただきたいと思うんですけれども、坂本大臣は、本日の閣議後の記者会見で、中国から説明なしと不快感を示されたと報道されております。

 今、この中国からの回答をお聞きになっての所感と、よかったら今後の影響についてお伺いしたいと思うんですけれども、よろしいでしょうか。

坂本国務大臣 中国からの返信というのは、ここの委員会に入る前に私は聞きました。

 先ほど外務省の方からも御答弁ありましたように、外務省、そして水産庁等とも相談をしながら対応を決めていきたいというふうに思っております。

掘井委員 やはり、なかなかこういう状態であれば中国と商売するのは難しいと思いますから、きっちりと態度を示していただきたい、このように思っております。

 次の質問です。不測時の食料に対する国民意識の醸成について質問をいたします。

 一日一人二千キロカロリー未満という、レベル二の極めて深刻な場合などによりますと、畑の表作、表作を行うことになります。

 食料自給率指数によれば、米、麦を中心に作付した場合は平時から千七百五十五キロカロリーで、これは最初から足らないということでありますから、芋類を増産させて、危機になれば芋を食べる、そういう仕組みになるかもしれないということです。

 芋を食べるなんて、今の国民の想定になかなかないと思うんですけれども、消費者の意識として、危機意識も非常に大事であると思います。不測時の食料に対する国民の意識の醸成が必要であると考えますが、いかがでしょうか。

杉中政府参考人 お答えいたします。

 我が国の食料安全保障上のリスクが高まる中、不測の事態に備えるため、食料供給困難事態対策法案を今国会に提出したところでございます。

 このような緊急事態におきましては、農業者、輸入業者、出荷販売業者、消費者など、国民各層の理解と協力が不可欠だというふうに考えております。

 そのため、議員御指摘のように、食料供給困難事態において各消費者が取るべき行動など、法案の内容も含めて情報発信をしっかり行う。また、食料・農業・農村基本法の見直しを踏まえて、平時からの食料安全保障の重要性などを含めて、国民理解の一層の醸成に取り組んでいきたいと考えております。

 また、平時から、国内農業の重要性を始めとして、我が国の食料をめぐる現状や課題など、様々な情報発信を行いまして、消費者を含め国民にやはり食や農業への関心を一層深めていただくことが重要だというふうに考えておりますので、そのような理解増進にも努めてまいりたいというふうに考えています。

掘井委員 よろしくお願いします。

 次の質問であります。畑地化された水田の再水田化について質問をいたします。

 改正基本法案では水田の畑地化が推進されておりますが、一旦畑にしたものをまた田んぼにして米を作るのは非常に難しい、非常に困難なんです。心配であります。

 畑地化を進めると米の作付が非常に困難になりますけれども、不測時に備えて平時からどのような対応をしていくのか、お聞かせ願いたいと思います。

武村副大臣 お答え申し上げます。

 我が国の食料安全保障の強化のためには、平時から、我が国で自給可能な作物である米につきましては、需要に応じた生産を行って必要量を安定的に供給するとともに、輸入依存度の高い小麦や大豆につきましては、国内生産を拡大していくことが重要だと考えております。

 こうした中で、現在、各産地の主体的な判断に応じて、水田機能を維持しながらブロックローテーションにより稲、麦、大豆の輪作を図る取組や、畑作物が連続して作付をされている水田につきましては畑地として産地化をする取組の、いずれの取組につきましても後押しをしているところであります。

 今国会で食料・農業・農村基本法改正案が成立した暁には、それを踏まえて策定される次期基本計画におきまして、これまでの国内外の需要トレンドや生産状況を踏まえまして、需要に応じた米の生産努力目標を設定するとともに、小麦や大豆につきましては、作付面積拡大に係る意欲的な目標を設定した上で、基盤整備の推進、担い手を始めとする農業就業者の確保、農地の集約、スマート農業技術の開発、普及などを進め、食料安全保障の強化を図ってまいる所存です。

掘井委員 ありがとうございます。

 米は、消費に合わせたらどんどんどんどん減る傾向にある、人口が減りますから減る傾向にあるんですけれども、それはそうとしても、やはり食料の安全保障から、一定数は絶対確保するんだ、このように平時から思っていただきたいんだ、このように思っております。

 次の質問です。農地政策の強化についてであります。

 全耕地面積のうち二割が相続未登記、また、所有者不明農地となっております。このような農地の受皿の確保が非常に問題、課題であると思います。

 新しく参入する多様な農家が地域の中に入って既存の農家さんと共存していくためには、品目でありますとか、やり方、例えば有機農業など生産の方式の違いなど、こんなところの課題もあろうかと思うんです。そういった課題を解消するために、農地エリアの設定を行って、新しい経営体を地域に根づかせるような、そういった支援が必要だと考えておりますが、大臣の御見解を伺いたいと思います。

坂本国務大臣 現在、全国の各市町村で地域計画というのを作っていただいております。この地域計画は、地域の農業関係者の方々がしっかりと話し合われまして、そして、地域の農業の将来設計図として策定いたします大変重要な計画であります。担い手となり得る新規就農者を含め、担い手への農地の集積、集約化を進めていくためのものでもあります。

 こうした中、農業者の高齢化によりまして、担い手だけではカバーし切れない農地が生じてくることが見込まれますため、担い手とそれ以外の多様な農業者が、双方連携の下に、一体となって農地の確保を図ることが重要となってまいります。

 こうした観点から、地域計画の策定に当たりましては、地域の農業関係者が十分な話合いの下、合意形成を図っていただく、そして、担い手と多様な農業者の双方が営農しやすい環境づくりを進めていくことが必要だというふうに考えています。

 農林水産省といたしましても、委員御指摘のとおり、有機農業や新規就農を促進するエリア等を設定するよう、地域計画策定の手引や農林省からの通知に明記をし、周知し、そして市町村、農業委員会等に働きかけているところであります。

掘井委員 ありがとうございます。

 地域経済の本当に活性にもなります。地域社会とうまくやっていく仕組みが大事でありますので、よろしくお願いいたしたいと思います。

 次の質問でありますけれども、国の積極的な関与についてなんです。

 今、地域計画の話がありましたけれども、国内生産を増やさなければならないのに、国内の農地が今縮小しております。政府は、市町村が地域計画に基づいて、農業者の、地域住民との話合いで営農を続けて守るべき農地と定めた、荒廃農地の再生の取組、こういったことも支援しておりますとこれまで答弁されておりますけれども、何か自治体任せのようにも思えるんです。

 農業の食料供給機能は、国の食料安全保障の本当に重要な構成要素であるために、国がもう少し、もう少しというか、積極的に関与すべきだと考えておりますが、今回のこの法案ではどのように改善されていくのか。よろしくお願いします。

坂本国務大臣 今回の農振法の改正におきましては、国民への食料の安定供給のための農地の確保を目的といたしまして、一つは、農振除外の協議のうち一定規模以上のものについて、国に資料の写しを提出していただいて、必要に応じて国が説明を求めることができるというふうにしております。そして、必要に応じて国が都道府県に対しまして勧告を行うことなど、国の関与を一定程度強化をいたしております。

 ただ、これらの措置は、農用地の確保が国、地方共通の課題であることを踏まえまして、まずは各地域の土地利用に関する実情を把握しておられます地方公共団体、市町村が自ら農用地の確保に取り組んでもらい、そして、国は、国家的な課題でございます食料の安定供給に責任を持つという立場から、適時適切に関与を行えるようにし、国と地方がそれぞれの立場から農用地を確保していくことを目的として措置するものであります。

 農林水産省といたしましては、今回の法改正案を踏まえまして、農地の総量確保に向けて積極的に取り組んでまいりたいと思っております。

掘井委員 分かりました。ありがとうございます。

 食料生産を安定しなければいけないということと、危機に対する予測もできますので、国にはやはり積極的に関与することを望みたいと思っております。

 次の質問であります。不測時の備蓄対応についてであります。

 米の備蓄でありますけれども、不測時の備蓄とは、官民合わせた備蓄であると思います。備蓄計画は常に不測時のことを考え直すべきでありますけれども、国家備蓄は常時百万トンと聞いておりますけれども、民間の備蓄量はどのぐらいあるのか、把握されていますでしょうか。

平形政府参考人 お答えいたします。

 政府の備蓄米につきましては、十年に一度の不作に耐えられるようにということで、約百万トンを運営しているところでございますけれども、民間につきましては、備蓄というよりは民間の在庫でありまして、収穫したときに一番高くなって、一番低くなるのは多分八月末ぐらいで、これも最低でも大体百万トン程度は民間在庫として存在しているというふうに承知しております。

掘井委員 ちょっと言い方を間違えましたけれども、在庫やと思うんですけれども、在庫というのはなかなか、企業のことなので分かりにくいところもありますけれども、安全保障の観点からは、やはり把握するという姿勢が大事かなと思っております。

 次の質問です。不測時の対応についてであります。

 本案の成果としては、不測時にどう対応するのかの根拠が明文化されたということであります。それでは、実際の運用はどのようになされるのか、教えていただけますでしょうか。

杉中政府参考人 議員御指摘のように、実際の運用、要請や指示の対象者、内容については、その時々の状況によって必要な対応は異なるため、具体的には、法案では実施方針で定めるということになっております。

 一方、こういった実施方針に基づく実際の運用を効率的かつ効果的に進めていくためには、平時からの備え、また、平時からの関係者の理解が重要であると考えておりますので、平時において備蓄の方針を作る、また、要請や指示の基本的考え方や、その対象や伝達方法などについて、具体的な運用方法を検討してまいりたいと考えております。

 また、その検討に当たっては、農業者を含む事業者やその団体、地方自治体と十分なコミュニケーションを取った上で考えていきたいというふうに思っております。

掘井委員 この度の法案によって、刑事罰があったりもしますけれども、どちらかというと、やはりモチベーションを上げてこういった危機管理に対応していただきたいな、このように思っております。

 次の質問でございます。農業者等への支援策についてお伺いします。

 生産の促進や転換に必要なものは、補償などのインセンティブが大事であると思います。国に協力して生産等を行ったことに伴って、通常得られるべき利益が得られなかったことによる農業者の損失について、国が補償すべきではないのかなと思いますけれども、いかがでしょうか。

坂本国務大臣 要請等に基づきまして生産者が生産を拡大する場合には、例えば、追加の生産資材、あるいは収穫等に必要な機械の確保、そして不作付地の除草や整地、こういったものが必要になってくることが想定されます。

 財政上の措置につきましては、これらのことを考慮に入れまして、対象品目、そして需給の状況など、個々の事態に応じた具体的な支援内容を検討していくことになります。

 その際、第十九条の規定に基づきまして、要請に当たっては、事業者が要請に応じようと考えていただける環境をしっかり国の方で整えること、そして、計画の変更指示に当たりましては、経営への悪影響などを回避することといった観点から検討をしてまいります。

 なお、本法案におきまして損失補償の規定を設けなかったのは、損失補償について、生産等に起因する具体的な損失額を個々の事業者ごとに特定する必要がありまして、支払いまでの手続に相当の時間を要することとなるために、かえって事業者にとって負担となるという意見があったためでもあります。

掘井委員 認定するには恐らく時間がかかると思うんです。安心のために、十九条、これは財政措置と明記されておりますけれども、そういったことの中身が分かったら、いろいろなところで伝えていくことも大事であるのかなと思っております。

 次の質問です。食料自給率と農業所得補償について質問します。

 不測時の最大のポイントは、平時から食料自給率を維持することであって、そのために、農業所得をどう補償していくのかが最大の課題であります。

 特に、米の生産には生産調整や価格調整に課題がありましたが、基本法案では、小規模農業者や、また兼業農家も日本の農業生産を担うと位置づけられているために、これから安定して持続していくためには、こういった農家さんを支援していく必要があると思います。直接支払いの制度、こういった拡充も考えられますが、大臣の御所見をお伺いします。

坂本国務大臣 我が国の稲作経営体の多くは、中小規模の経営体が占めております。その経営の安定を図っていくためには、まずは、産地銘柄米などの需給状況や市場評価を踏まえた、需要に応じた生産を推進することが大事です。そして、米を生産する農業者の生産コストを削減し、収益性を向上していくこと、これが重要になってまいります。

 米につきましては、経営体の作付規模の拡大に伴いまして、生産コストが着実に減少する傾向にあります。生産性向上に向けては、作付を集約、集積することが重要であります。集落営農への参加や農地の集約化による経営規模の拡大を推進してまいりたいというふうに思います。

 その上で、食料の安定供給におきまして中心的な役割を果たす農業の担い手につきましては、スマート農業技術や省力栽培技術の導入、そして多収品種の育成、導入の促進等によります生産コストの低減による収益性の向上を図る取組を、経営規模にかかわらず後押しをしてまいりたいというふうに考えております。

掘井委員 しっかりしていただきたいと思います。

 最後の質問です。食料安全保障と価格形成についてであります。

 価格転嫁を通じた賃上げを行って、所得増と成長の好循環を通じて消費者の購買力の向上を図る、これは、簡単に言うんですけれども、人件費、高騰した原料を価格に反映するということは非常に難しいということなんですね。消費者が国産は買えない、こういうことになれば、農家の生産意欲はもちろん失われます。すなわち、持続的な国内生産のシステムが維持できないということになります。

 食料安全保障の確保のために、価格形成対策にどう取り組んでいくのか、いま一度お聞かせ願います。

坂本国務大臣 農産物の価格につきましては、需給事情や品質評価を適切に反映して形成されることがまず基本でございます。しかし、資材価格等が高騰する中で、食料の持続的な供給を行っていくためには、生産から消費に至る食料システム全体で合理的な費用が考慮されるようにする必要があります。

 他方、消費者にとりましては、生産、加工、流通、小売といった各段階の費用を単純に価格に転嫁した場合に、消費者にとって負担できないような価格になってしまう、そういう懸念があります。

 このため、昨年八月より行っております協議会では、生産者にしろ消費者にしろ、一部の関係者にしわ寄せが偏るということがないように、関係者が協調し、議論し、そして丁寧に合意形成を図っていかなければいけないというふうに今しているところです。

 直近の四月に開催されました協議会では、こうした仕組みを設ける必要性や、法制化も視野に検討することについて、共通の認識が得られたところでございます。しかし、法制化の内容につきましては、引き続き、関係者を含めて、丁寧に合意形成を図ってまいりたいというふうに思っております。

掘井委員 もう少し議論したかったんですけれども、時間が来ました。

 ありがとうございます。これで終わります。

野中委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 食料供給困難事態対策法について、引き続き質問をします。

 前々回の質疑で、私は、農家に対してまず敬意と感謝の念が先にあって、農業政策である、そして、強制しなければ動かない、罰則つきでは駄目だということを申しました。坂本大臣からは、常に農業者の方に敬意と感謝の念を持っていると御答弁がありましたけれども、法案は、農業者へのリスペクトに欠けています。計画を出さなかったら刑事罰です。刑事罰というのは、犯罪者の反社会的行為に対する社会からの倫理的、道義的な非難です。社会から非難されるようなことを農家がやるということなんですか。

 何が社会的な非難に値すると考えているのか、説明してください。

坂本国務大臣 食料供給困難事態における計画届出指示に違反した者に対します罰則につきましては、二十万円以下の罰金を規定しているところでございますが、これは、当該違反行為が反社会的行為であるという理由で規定しているものではありません。

 計画の届出は、食料供給に関わる事業者と国が協力をして食料供給を確保する必要があるために、生産者だけではなくて、輸入事業者や出荷販売事業者等、全ての事業者を対象にしております。

 そして、供給確保対策を講ずる際の現状を把握する上で不可欠なものであることを踏まえまして、罰則を定めた本規定は、類似の法令を参考に、法目的を達成するための必要最小限度の措置として規定しているものであります。

田村(貴)委員 大臣、反社会的行為ではないと言われているけれども、これは刑事罰を科すわけでしょう。刑事罰を科すということは、犯罪者の反社会的に対する社会からの非難を受けるということになるんですよ。法案がそうなっているんじゃないですか。計画を出さなかった農家の何が非難されるべき社会悪なのか、これに対して答えることができていない。思ったとおりに動いてくれないから、まるで非国民と言わんばかりにレッテルを貼ろうとしている。これが、敬意と感謝を持っていると言えるんでしょうか。

 刑事罰というのは、刑事訴訟上、警察の捜査対象となるわけでありますけれども、計画を出さなかった場合、警察の捜査対象となるんでしょうか。

杉中政府参考人 まず、一般論として申し上げますと、罰金刑の対象となっている行為は捜査の対象となるというふうに認識をしております。

 ただ、実態ですけれども、計画作成、届出義務のある者が期限までに当該行為を行わなかった場合、まず、我々として、届出を行っていない理由の確認、届出を行う催促、また、必要な技術的支援を行った上で、できるだけ届出義務違反にならないような形で支援を行っていきたいというふうに考えています。

 その上で、捜査対象となるかどうかは、捜査機関において、違法性の程度、責任の重さ、結果の重要性等を考慮して判断されることになるものというふうに認識しております。

田村(貴)委員 法律上は刑事罰なのだから、犯罪者として刑を科すのであり、警察の捜査対象となるのは明らかなことなんですよね。

 参考人質疑でも、本当に全国の農家がびっくりしたというような意見もありましたけれども、全国の農家は、まさか警察の捜査対象になるとは思っていないでしょう。こういう法律、これはやはりよくありません。

 困難事態となったとき、農家が生産計画を提出します。しかし、その出された計画で必要量が満たされないとした場合、これ以上の増産はできないと言っている農家に対して、再度計画を出させるように指示するんでしょうか。

杉中政府参考人 お答えいたします。

 生産計画の変更につきましては、届出された計画の内容などを考慮した上で、変更が可能と認められる生産者に対して変更指示を行うことができる旨、条文において規定しております。

 このため、計画の変更指示に際して、提出された計画やその後のやり取りにより増産が困難であると認められる者については、生産計画の変更指示を更に行うということについては想定をしておりません。

田村(貴)委員 それでは、局長、法文に、再度指示してはならないというふうに条項はなっていますか。

杉中政府参考人 法文上は、再度の計画変更指示を行うということを規定をされているわけではございませんけれども、それは、実態を踏まえて、増産が難しいと思う者について計画変更指示を行うということは想定していないところでございます。

田村(貴)委員 想定していないというだけですよね。

 増産計画を出している人に再度変更指示を出して、更に増産計画をしろと言っても、これは無理があります。むしろ、増産を拒否した農家とか、あるいは、引退して耕作をやめた農家などに指示を出していくことにつながりませんか。

 例えば、減反はどうだったのか。都道府県への生産数量の配分を廃止したにもかかわらず、国が各県に、データ提供の名の下に、県に圧力をかけて自主的な生産目標数量を出させて、自治体やJA、その他通じて各農家に守らせている、これが現状ですね。

 法案においても、結局、十一条の二において、自治体やJAに協力を求めることができるとあり、減反と同様に、増産計画に応じるよう強要するに決まっていると思います。

 更に伺います。

 二十一条では、食料供給困難事態の際に、業務や経理の状況を報告させ、又は職員による立入り、帳簿、書類その他の物件を検査することができるとあります。第五章では、計画どおりに生産されていない場合、正当な理由があれば公表されないという規定があります。

 では、土地や労働力がないなどと農家が理由を挙げた際に、それが正当であるか否かを調べるときも二十一条の必要な限度に含まれるんでしょうか。

杉中政府参考人 委員御指摘のように、第二十一条は、食料供給困難事態対策の実施に必要な限度において、措置対象特定食料等の生産などを行う事業者に対して、報告徴収、立入検査を行うことができる旨を規定しております。

 第二十一条の立入検査などの規定は、食料供給困難事態対策の実施に必要な限度で行うこととしており、法案上は、計画変更指示に従わなかった事業者や計画に沿った取組を行わなかった事業者に対して、正当な理由があるかどうかの確認も含め、第二十一条に基づいて、計画徴収、立入検査を実施するということはあり得るというふうに考えております。

 しかしながら、計画変更に従わなかった事業者や計画に沿った取組を行わなかった事業者につきましては、まずは報告徴収、立入検査ではなくて、法律に基づかない形での理由の確認や届出の催促を行うということに努めてまいりたいというふうに考えています。

田村(貴)委員 これも先ほどと一緒なんですよね。法文上はそういうふうに書いてあるんですよ。困難事態となり、増産が絶対必要と判断すれば、農家に正当な理由があるのか否か、立入検査、これをすることになってまいります。

 前回の質疑でも指摘しましたが、坂本大臣が、食料供給困難事態であるときの例として、一九九三年の米の大不作の事例を挙げました。でも、これは、私が言いましたように、米の備蓄量を増やせば対処できるんですよね。それから、食料不足の兆候があったとしても、緊急事態食料安全保障指針で対処できます。生産、輸入、在庫の必要把握のためにこの法案が必要だと言われますけれども、これは、現状、ほぼ把握されているのではありませんか。

 赤字の水田作とかあるいは畑作、そして離農が相次いでいる酪農、畜産、こうしたところが営農が継続できるように、平時から農家をしっかり守って、強いインセンティブを用意して、それでも緊急事態だから協力してほしいと国が真摯にお願いすれば、私は、農家は一肌脱いでくれると思いますよ。報告書だって応じてくれると思います。作付だってしていただけると思います。

 しかし、そういう立場に立たずして、刑罰とか立入検査とか公表がなぜ必要なんですか。要請してもやらない、そういうふうに考える理由は一体何なんですか。しかとお答えいただきたいと思います。

杉中政府参考人 まず、議員御指摘の一九九三年の米不足のときのことについて言及をいたしますと、その当時、備蓄の水準というのがかなり低かったというのは事実でございますけれども、一方、価格高騰時においては、売惜しみ若しくは買占めなどを行って、多くの事業者が在庫を持っていたにもかかわらず、それが適切に市場に供給されなかった、政府が供給確保対策をやった後にこれが市場に出てきたというような問題の、我々の過去の経緯もございます。

 また、在庫につきましては、こういった不測時におきましては、国全体として、重要な食料についてどのぐらい国内に存在するのかということを適切に把握するということが重要でございますけれども、特に流通在庫の多くにつきまして、我々はそれを調べるという法的な根拠も、また実際にも、多くの品目について、国内にどれぐらい流通在庫が存在するのかということは把握をしていないというところでございます。

 そういうことから考えまして、本法案につきまして、まず、計画作成につきましては、計画を届出していただくということでどれぐらい供給を確保できるのかという大前提になりますので、このような措置というのが必要と考えておりますし、また、立入検査につきましても、こういった価格が高騰するというときにつきましては、どうしても、より価格が高くなるということを見越して、売惜しみをする、また、正確な自分の持っている量というのを報告しないという誘因が働くということになりますので、対象となる事業者の在庫の保有状況などの業務状況を的確に把握することが必要だというふうに考えております。

 また、公表の措置につきましても、計画の届出を行っても、その時々の情勢で計画どおりの供給を行えないということはありますので、罰則による担保は行わないというふうに判断したところでございますけれども、届け出た計画に沿った取組を全く行わない事業者に対しては、計画を実現するための取組を促すための必要な措置というのが必要だというふうに考えておりまして、規定をしているところでございます。

田村(貴)委員 大臣、それから農水省も、何度も何度も担保と言われるでしょう。大臣、担保、担保と言われるけれども、それは裏返しに言ったら、やはり農家はこうやって縛らないと効き目がないと前の前の農水大臣がいみじくも言ったように、農家を信用していないということにつながりかねないと私は思うんですけれども、いかがなんですか。

坂本国務大臣 私たちは、米、その他農産物を生産していただく農業者の方々をリスペクトしています。

 その上で、やはり不測の事態、非常の事態ということでありますので、供給、その計画を出していただくというふうにしているところであります。

田村(貴)委員 先ほど九三年の米の不作のことをまた長々と言われましたけれども、では、これまでの間、何でこういう議論がなかったのかということで私は疑問を抱いています。

 政府が想定する不測の事態には、地政学的リスクの高まりとして、中国による東シナ海や南シナ海での力による一方的な現状変更の試み、台湾など米中の戦略的競争の激化とあります。

 質問します。ここでは日本における戦争有事も含まれるんでしょうか。台湾有事など、日本が他国から武力攻撃を受けて、あるいは他国への武力行使を行うことで農地や輸送システムが毀損する、あるいは途絶えて食料確保ができなくなる、こうした事態をも想定して今度の立法に至っているのか。説明してください。

杉中政府参考人 お答えいたします。

 ただいまの質問につきましては、一般論としての御質問と理解をした上で回答をさせていただきますけれども、食料供給が大幅に減少するリスクの要因の一つとして地政学的リスクを想定をしております。

 地政学的リスクとは、国、地域間の競争の激化によるサプライチェーンへの影響を想定をしており、本法案は、我が国が直接関与するような事態を含むあらゆる地政学的事象に対応し得るものと考えております。

 ただ、より現実的なリスクにつきましては、気候変動による不作、家畜伝染病や病害虫の発生、蔓延、新型コロナウイルスの感染症の蔓延等によるサプライチェーンの混乱等のリスクを想定しております。

 ただ、食料の供給が減少する要因というのは様々なものが想定をされますので、本法案については、供給減少の要因を問わずに、全ての可能性を想定して各種の措置を講ずるということとしております。

田村(貴)委員 なぜ今、この立法なのか。

 昨年二月六日、当時の浜田防衛大臣は国会の答弁で、我が国が限定的な集団的自衛権を行使した後、事態の推移によっては、他国から我が国に対する武力攻撃が発生し、我が国に被害を及ぼす場合もあり得ると考えている、こういう答弁がありました。

 日本の武力行使が他国からの武力攻撃を呼び、被害が起きる、明確に政府として答弁されています。それはイコール、食料や農業の危機を意味します。だから本法案の提出に至ったんですか。坂本大臣、政府、閣僚の一人として答えていただきたいと思います。

坂本国務大臣 先ほど事務方からも答弁いたしましたように、あらゆる事態を想定をいたしております。

 気候変動あるいは家畜伝染病、そしてコロナウイルス、さらには地政学的リスク、そういったあらゆる事態にどう対処するかというようなことで今回の法案の提出というふうになったところであります。

田村(貴)委員 この国が国是として守ってきた専守防衛を投げ捨てて、敵基地攻撃能力の保有を安保三文書に明記して、その下で食料確保事態法を出してきたのは事実であります。非常に重大だと思います。

 歴史を振り返ります。一九四一年二月、日本が泥沼の侵略戦争に突き進む中で作られた国家総動員法に基づく臨時農地等管理令にはこう書かれています。

 第十条、必要ありと認むるときは、農林大臣の定めるところにより、特定の農地の権利者に対し、農作物の種類その他事項を指定して作付を命じることを得。

 さらに、立入検査に関しては、第十四条、必要ありと認むるときは、国家総動員法第三十一条の規定に基づき、農地若しくは耕作の目的に供する土地に関し報告を徴取し、また、当該官吏を農地若しくは耕作の目的に供する土地その他必要な場所に臨検し、その状況若しくは帳簿書類その他物件を検査せしめることを得。必要があれば、作付の命令や農地への立入検査を行うとしています。

 そして、国家総動員法三十三条で、これらを拒み、妨げ、忌避した者には懲役三年以下、五千円以下の罰金とあります。

 大変直接的な強制ではありますけれども、本法案も、自分が立てた計画だから増産を強制する趣旨ではないと言いながら、生産者に罰金や社会的制裁をもって作付転換を強いるようになっています。よく似ていますね。根っこは同じなんですか。

 そもそも日本は島国です。シーレーンが封鎖されるような戦争が起きたとしたら、食料もエネルギーも供給は成り立ちません。絶対に戦争は起こしてはなりません。政府の行為によって再びあの地獄の戦争の惨禍が起きるようにしない、これが一番大事ではないでしょうか。

 坂本大臣、食料不足を引き起こすのはやはり戦争が起因となります。飢餓と貧困をつくらないことは必要だと思いますが、歴史の教訓を今改めて踏まえるべきだと思います。いかがでしょうか。

坂本国務大臣 繰り返しの答弁になりますけれども、やはり私たちはあらゆる事態を想定しておかなければならない。想定以上に今進んでいるのはやはり気候変動です。それ以外にも、家畜伝染病の蔓延、そして新型コロナウイルスのような感染症は、改めて様々な課題を私たちに投げかけました。

 そういういろいろな事態に対して、不測の事態が生じたときの供給困難に対する対処法、これは現在やはり必要であるというふうなことで提出をさせていただいているところです。

田村(貴)委員 もう一つの法案、農業地域の整備に関する法改正について質問します。

 坂本大臣、熊本の話をしますね。

 台湾の半導体製造企業TSMCや、子会社JASMの進出によって、熊本県菊陽町で約千三百ヘクタール、大津町で二千六百ヘクタールと、広大な農地が工業用地や住宅地に転用されています。TSMCに限らず、経済合理性の名の下に、全国で長期にわたって農地の転用が進行してきました。好条件の農地であってもそうです。

 仮に、TSMCの熊本進出の際に法案があったとしたら、この転用は、五条の二、勧告、五条の三、是正要求の対象となったのでしょうか。これについて説明してください。

長井政府参考人 お答えいたします。

 まず、熊本県に進出したTSMCに関する農地転用につきましては、農村地域への産業の導入の促進等に関する法律に基づき転用されているものでございますので、これは農振法とは別物でありますから、その転用そのものにつきましては、勧告や是正の要求の対象となるものではありません。

 また、今回の農振法の改正によりまして新たに措置することとなった勧告の発動要件は、都道府県の面積目標の達成状況等を勘案して農林水産大臣が必要と認めるときと規定するとともに、是正の要求の発動要件は、面積目標の達成状況が著しく不十分であること、都道府県知事の同意等の事務処理が農用地等の確保に支障を生じさせていることが明らかであるの二点を規定しているところであります。

田村(貴)委員 現行法上にも是正要求という規定はありますけれども、一度も実施されたことはありませんよね。熊本県では第三工場進出の話ももう持ち上がっています。農地の総量確保、大丈夫なんでしょうか。

 知事の同意判断のための代替措置について聞きます。

 農用地区域からの除外に対する知事の同意について、法案は、第十三条により、面積目標の達成に支障を及ぼすおそれがない場合として代替措置を求めることとしています。地域の実情に応じた代替地の選定は重要でありますけれども、地域に任せっ切りで大丈夫でしょうか。

 昨日は、本委員会の現地調査で、埼玉県の県庁から転用の話も伺ってきました。道路網が充実していて、そして、埼玉県では転用が進み、今後も開発の需要は相当あるというお話でした。一方で、荒廃地の再生が追いついていないという状況についても数字を挙げて教えていただきました。

 農地の総量確保は当然であります。好条件の農地が山間の狭小地、分散地あるいは傾斜地に置き換わっていくことを、これはどうやって防いでいきますか。

長井政府参考人 お答えいたします。

 今回の農振法の改正におきましては、農業生産の基盤である農地の確保を図るため、市町村が行う農振除外が都道府県面積目標に影響を及ぼすおそれがあると認められる場合には、農用地区域への編入、荒廃農地の解消等の、影響を緩和するための代替措置により農地面積を維持していくこととしております。

 この場合、都道府県面積目標の対象となる農地は農用地区域内の農地であることから、代替措置で確保される農地は、一定程度生産性の高い優良農地となります。

 農地面積の確保に当たりましては、農地の生産性の向上等も重要な課題であると認識しておりますので、農地耕作条件改善事業等による基盤整備や、遊休農地解消緊急対策によりまして、農地バンクが行う簡易な基盤整備及び荒廃農地の再生等の支援を行っているところでありますので、引き続き、これらの対策に努めてまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 TSMCの場合、県と市町村が一丸となって、農地転用を支援する半導体拠点推進調整会議なるものまでつくって転用を強力に推し進めています。農業より開発を優先するやり方を止めていく、そういう運用も必要でしょう。そして、農地、農業生産が毀損されることがないよう、基準を定める必要があると考えます。

 農業経営基盤強化法について質問します。

 九日の参考人質疑で、農業会議所の稲垣参考人は、昭和三十七年以来の家族農業を中心とした農業生産法人制度に踏み込むと指摘されました。

 そのように、農業生産法人は、家族経営を中心にした農業経営の発展を目的に創設された制度であったはずであります。これは今でもそうなんですか。

村井政府参考人 お答え申し上げます。

 法人による農地の権利取得につきましては、今委員の方からも言及がございましたけれども、昭和三十七年の農地法改正によりまして、農業生産法人制度として創設をされたところでございます。

 この改正は、農地法の基本趣旨を損なうことのないよう、配慮の下に、家族農業経営の補完と発展に資するため、法人組織により農業経営を行おうとする場合に農地の権利取得を認めることを趣旨の一つとして創設されたものと認識をしております。

 その後、当該制度は、その時々の農業現場の要請等を踏まえ、要件の見直しが行われてきたところでございますけれども、主たる農業が、農業及びその関連事業であること、法人経営の決定権を農業関係者が有すること、役員が農業に常時従事することといった要件を基本としているところでございます。

 このように、現在の農地所有適格法人制度が、農業者が主体となった法人形態による農業経営を可能とする仕組みであることにも鑑みれば、現行制度においても昭和三十七年創設当時の趣旨が生かされているものと考えております。

田村(貴)委員 そうはいっても、企業、そして法人の参入が進んでいるわけですよね。度重なる要件緩和が行われてきたことによって、農業法人への出資を通じた企業の農業参入が広げられてきました。

 農地所有適格法人は、農業者が過半の議決権を有することが要件となっていました。今回、一体なぜ農業に直接携わらない農外企業が経営権を握ることを可能とするのですか。理由について教えてください。

村井政府参考人 お答え申し上げます。

 人口減少や高齢化が進行する中で、四十代以下の新規就農者の約半数は、法人への雇用就農という形で農業の世界に入ってこられているという実態がございます。このため、農地を所有できる農地所有適格法人は、人と農地の受皿として重要な存在になってきていると我々は認識をしております。

 しかしながら、農業法人は、借入金比率が高いなど、その経営基盤は弱い状況でございます。自己資本の充実を図るため増資を行おうとすると、農業者の出資割合が過半を占める必要があるため、農業者の負担が大きいことが課題となっており、実際に、農地所有適格法人の中には、農業関係者による更なる出資は難しい、取引先等との事業連携を進めたいという声があったところでございます。

 このことから、農地法の基本原則は維持をしつつ、農地所有適格法人の経営基盤強化を図るため、農業現場の懸念に対応した措置を講じた上で、農業関係者以外の者の議決権割合を二分の一未満から三分の二未満まで緩和する特例措置を講ずることとしたところでございます。

田村(貴)委員 農業に直接携わらない農外企業が特例によって経営の実権を握っていく、これはやっていいんでしょうか。農水省自身が様々な懸念を挙げているではありませんか。農地を農地としてちゃんと利用するのか、地域との調和が図られるのか、耕作者の決定権が確保されるのかと言っていますよね。

 懸念点はこれだけではありません。当然、農業参入企業は、自社に有利な農地で農業経営を行おうとします。その結果、担い手の有無などの地域の実情ではなくて、経営上の有利、不利から農地参入を選択していくことになります。これは、人材の確保においても同様のことが発生する可能性があります。

 例えば、資本力で勝る食品関連企業がパートさんを優先的に囲い込んだとしましょう。人材確保に困っているその他地域の家族経営体は一層厳しい状況に追い込まれるのではないでしょうか。地域農業に裨益することを要件化としていますけれども、こうしたことに対する地域の細かい慣習、相互の譲り合い、取決めなどにちゃんと法律は対応することになっているんでしょうか、保障するものになっているんでしょうか。どうでしょう。

村井政府参考人 お答え申し上げます。

 今回、経営基盤強化促進法の中で措置をしようとしておりますこの計画制度、この特例を利用できる農地所有適格法人につきましては、地域計画に位置づけられていることを要件としております。

 現在、地域計画において将来の農地利用の姿を目標地図として明確化し、地図に位置づけられた受け手に対して、農地バンクの活用により農地の集約化等を進めていくこととしておりますけれども、その際、幅広い関係者による話合いによって農地の受け手が決定される仕組みとしております。

 そういった意味で、今回、この特例を活用できる農地所有適格法人については、あくまで、地域計画を策定する過程で、きちんと地域の他の農業者、農業関係者とも話合いをした上で位置づけられているということが前提となっているというふうに考えております。

 そういった中で、これを受け、農業法人が人材確保等の面でどういった形で経営展開をしていくかについては、それぞれの経営戦略の中で御判断いただくものと考えております。

田村(貴)委員 法的な担保が聞かれませんでしたね。力関係、そして資本がやはり物を言っていくということに懸念を持つものです。

 また、大きく懸念されるのは、食品関連企業が農業生産経営に参入する場合に、当然、自社調達によるコストダウンを図ろうとします。自社農産物を優先することで、地域の取引関係に影響を及ぼす可能性があると思いますが、こうした懸念はありませんか。もう一つ、さらに、利益が出ないといって撤退することを防ぐことはできるんでしょうか。二つ、併せてお答えください。

村井政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、撤退の関係、今お話がございました。

 我が国農業は、経営体数の約九六%を占めている、小規模で付加価値を高めたり、一定規模で生産性向上を果たすなど多様な経営が展開されている家族経営と、法人経営の組合せで成り立っている、これはもう基本法の審議等においても繰り返し御答弁させていただいておりますけれども、そういった構造で成り立っているというふうに考えております。

 法人経営につきましては、農業従事者が増加をし、農地面積の約四分の一、販売金額の約四割を担うまでになっている、また、先ほど申しましたように、四十代以下の新規就農者のうち、雇用就農者が約四割を占める、そういったところで重要な役割を果たしていると認識をしております。

 このため、今般の基本法改正案におきましても、新たに農業法人の経営基盤の強化を規定したところでございます。あわせて、農業現場の懸念に対応した措置を講じた上で、農地所有適格法人の経営基盤強化を図るための農地関連法制の改正案を提出をさせていただいたということでございます。

 こういったことも踏まえながら、農業法人に対し、補助金、金融措置、税制措置など幅広い支援策を講ずるとともに、都道府県の農業経営・就農支援センターによる経営課題の解決に向けた専門家を活用した助言ですとか、経営管理能力の向上に資する研修プログラムの策定や財務分析ソフトの開発などの取組を進め、経営基盤の強化を図ってまいりたいと考えております。

 なお、価格の関係につきましては、直接今回の改正法の中で触れているという形にはなっておりませんけれども、今回の計画制度については、地域農業の発展に資することということをきちんと、農林水産大臣が認定に当たってはその点をしっかり審査をしてまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 かつて農業に参入した企業はいっぱいありますね。オムロン、ユニクロ、モスバーガー、吉野家。うまくいかなくなったら簡単に撤退していきます。利潤追求と資本の自由移動を本旨とする株式会社は、原理的に、農村の共同体を粘り強く支える組織とみなすことはできないんです。

 そのことを申し上げて、時間が来ました。スマート農業を質問する予定でしたけれども、また別の機会に訴えさせていただきたいと思います。

 終わります。

野中委員長 次に、北神圭朗君。

北神委員 有志の会の北神圭朗です。

 大臣、これは一か月前ぐらいから質問しているんですけれども、依然として、地元のお米屋さんの話を聞くと、お米が足りぬ、それから価格も上がっていると。この前、大臣のお答えは、コロナ前に比べるとまだ水準としては価格は低い、ただ、今後の価格とか需給の動向を見極めながら、注視されるという御答弁だったと思うんです。

 資料を御覧いただきますと、確かに、めちゃめちゃ上がっているというふうに、数字には出ていません。これは主食用の米の需給動向、それから今後の、三か月後の需給動向の平均ということなんですが、ただ、少しずつ上がってきているということが認められると思います。

 次、下の方に行くと、価格を御覧いただきますと、やはり卸の方が結構上がっているということがお分かりになるというふうに思います。在庫もまあまあ少なくなっていっているんです、これは資料にございませんが。

 大臣、一か月前からこれは質問してきているんですけれども、何か認識に変化があるかどうか、教えていただきたいと思います。

    〔委員長退席、伊東(良)委員長代理着席〕

坂本国務大臣 五月八日に米穀機構が公表いたしました米穀取引関係者の判断に関する調査を見ますと、四月は前月と比べて、現状及び先行き、三か月後とも、需要は締まっている、締まる。それから、価格水準は高い、将来高くなるという見方が強まっていることは、事実、承知しております。

 他方で、農林水産省が毎月把握をし、そして公表しています相対取引価格を見ますと、令和六年四月は、前月比でプラス九十八円の一万五千五百二十六円、出回りから令和六年四月までの年産平均で、前年比プラス千四百四十九円高の一万五千二百九十三円となっております。これは前に御答弁したとおりでございますけれども、そういうことで、コロナ禍前の平成二十九年産、令和元年産までの価格よりもやや低い水準になっております。

 また、集荷業者及び卸売業者の三月末の在庫量は、対前年比で三十六万トン減の二百十五万トンであります。年間の需要量六百八十一万トンに対する在庫率で見ますと、三二%と、これもコロナ禍前の時期とほぼ同水準というふうに捉えます。

 現時点におきましては、主食用米全体の需給が逼迫している状況にあるというふうには考えておりませんが、今後とも需給や価格の動向については注視をしてまいりたいというふうに思っております。

北神委員 前回答弁されたときは、コロナ水準に比べてやや低いと。今日も同じ言葉だったんですが、勘違いかもしれませんが、今日はちょっと、ややに力が入っていたように思いますけれども、少しずつ厳しくなっているという認識を持たれているのかなというふうに思います。

 ただ、相対価格の話をされますけれども、この資料の裏側を御覧いただきますと、スポット価格で、このスポット価格は、なかなか、時期的な比較が非常に難しい、銘柄を抽出したりしておりますので。

 ちょっと私が見て、これは決して自分に有利なような数字を拾っているつもりはございませんが、今、あきたこまち、上の方を見ていただくと、平成三十年の頃、コロナ前の頃なんですが、一万四千八百九十六円が取引価格でありました。これが、一番最新の数字でいくと、二万一千七百八十九円。かなり、これは七千円ぐらい上がっているのかな、大体七千円弱上がっている。

 職員の皆さんとお話ししていても、相対価格はそんなに上がっていないけれども、もしかしたら、急にこの銘柄が、具体的にこれが欲しいといったときに、その米が少ないから大騒ぎになっているんじゃないかという話があるかもしれません。

 大臣にお聞きしたいのは、しかし、これでも結構みんな困っているということを私は聞くんですよ。簡単に言うと、皆さんは統計を見ながら分析をされている。ただ、現場はかなり危機感を持って、例えば民間の在庫量でいくと、これは資料にございませんが、たしか農林水産省は、百八十万トンを切るとちょっと危なくなってきているというふうに伺っているんですが、今、百七十七万トンということで、百八十万トンを切っている。六月末の在庫を考えるとかなり厳しい状況になってくるという声が、お米屋さん、流通関係者から上がっております。

 お聞きしたいのは、大臣、皆さんは、統計を見ながら、さっきの認識だということはよく分かりましたが、では、この現場の声は何なのか。大臣からしてみたら、いや、何かちょっと認識違いをされているのか、ちょっと空騒ぎをしているのか。やはり、そこはもっと調査をしていかなければいけないのではないか、困っているのであれば対策を打たなければいけないのではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

平形政府参考人 技術的な問題も含みますので、ちょっと答弁させていただきます。

 委員御指摘のスポット価格でございますが、相対取引価格は、産地と卸売業者で数百トンから数千トンぐらいで契約をされて流通するものなんですけれども、スポット価格は、基本的に卸間の中で、数トンから数十トン単位というもの。銘柄につきましても、まっしぐらですとか、あきたこまちですとか、業務用等で使われるものですとか、そういったどうしても欲しい銘柄について、人気が集中するとこういう数字になってくる。二万円を超えるようなものが存在しているのは、我々もよく承知をしております。

 町のお米屋さんの中にも、二割ぐらいの方はなかなか手に入らないというお話も伺いますが、それは、例年と同じような価格でなかなか手に入らないというようなことでありまして、絶対量として、本当に今、日本の国内でないのかというと、そういう状態ではないという状態だと思っています。

 もう一つは、今年についても作付が始まっております。六月末まで、農家あるいはJA段階で、どういった方向、主食用に出すのか、加工用に出すのか、いろいろ今、結びつきをそれぞれのところが進めようとしております。そういった需要があるところについては、生産地の方にしっかりそれを伝えていただいて、やはり結びつきを持って生産をしていただく、これがとても大事なんじゃないかなというふうに我々は思っておりまして、これはしっかり調べておりますし、情報提供もしっかりやっていきたいというふうに考えております。

    〔伊東(良)委員長代理退席、委員長着席〕

北神委員 よろしくお願いしたいと思います。

 やはり、今局長がおっしゃったのは、現場の人たちは、これは業務用だからちょっと特別で、この銘柄しか駄目なんだ、それが今までの価格よりは上がっているということなんですけれども、私が現場から聞いているのは、もう少し幅広く、簡単に言うと、流通の段階でお米がかなりもう細ってきているという声を聞くんです。皆さんの数字では、先ほどの話ではそうでもないということなので、是非、引き続きそこは調査をしていただくことを強く求めてまいりたいというふうに思います。

 次の質問に入ります。

 法案の方に関連していきますけれども、営農型太陽光、皆さんも経産省におつき合いをして大変御苦労だと思いますけれども、これは調べると、最新の数字でいくと、営農型太陽光の下でちゃんと農業をやって、価格が下がった分それで収入を得なさい、そういうことなんでしょうけれども、約二割ぐらいが営農に支障を来しているということであります。

 こういうところをやはり厳しく取締りをしていってほしいと思いますし、その際に、再認可を申請するときに、例えば認められないというときに、発電施設というものをそう簡単に撤去できるのかなというのが私の現実の感覚であります。こういうものがどんどん増えていって、どこでごみを処理するのかとか、そういったことがあります。下手すると、このままいくと、そういうところは遊休農地化とかをしていくおそれがあるというふうに思っていますけれども、これについて、もう少しやはり皆さんも厳しく運用していく必要があるのではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

長井政府参考人 お答えいたします。

 本年四月に、営農型太陽光発電の許可基準等を農地法の省令に位置づける等の改正を施行したところでありまして、これによりまして、下部農地において営農が適切に行われない場合の指導や是正命令等が厳格に行われることとなるとともに、事業者においても法令遵守の意識の醸成が図られていくものと考えております。

 また、営農型太陽光発電設備の設置に係る当初の一時転用の許可及び更新時の再許可の審査におきましては、事業終了後における設備の撤去に必要な資力及び信用を有しているかの確認も行っているところであります。

 さらに、営農型太陽光発電事業は、再エネ特措法に基づく買取り制度、FITでありますとか、補助金、FIPでございますが、これを活用しているものが多いことから、FIT、FIP制度におきまして、関係法令に違反した事業者に対するFITの認定取消しやFIP交付金の一時停止が措置されていることを踏まえ、今回制定いたしましたガイドラインにおいて、農地転用許可権者は違反転用事業者に対する勧告等を行った場合はその旨を地方経済産業局に報告することを明記いたしまして、FIT、FIP制度との密な連携によりまして、違反事業者による是正の取組を促進することとしております。

 農林水産省といたしましては、今回の省令改正やガイドラインの制定を踏まえまして、農業委員会や農地転用許可権者とともに、まずは違反転用に対する取消し等の厳格な運用に努めるとともに、経済産業省等の関係省庁と連携いたしまして、違反事業者の是正に向けた取組が進みますように努めてまいりたいと考えております。

北神委員 一つお聞きしたいのは、一時転用許可要件というものを、今までたしか農村振興局長通達でしたか、そういう通達でやっておられたものを、今度は省令に持っていく。しかし、それで何か変わるのかな。局長通達だったらみんなほったらかしにするけれども、省令になった途端、みんな厳格に業者さんが運用するのかということを一つ問いたいということで、まず、それについてどうお考えでしょうか。

長井政府参考人 お答えいたします。

 これまでの局長通知におきましては、通知ということであるものですから、農地転用許可権者におきましては、自治事務として法令の運用の範囲で行う必要があることから、訴訟リスクを意識して、なかなか厳格な対応にちゅうちょしていたということがございました。また、事業者におきましても、法的な根拠がないことを理由に農地転用許可権者等の指導に従わないような事例もあったことでありますので、今回、省令に位置づけることによりまして、こうしたことが解消できるものと考えております。

北神委員 太陽光も、場合によってはちょっと撤去しなさいというときに、現場では地方公共団体とか農業委員会が対応することになっていて、その人たちが、今までだったら通達程度だ、これからはもう、今はちゃんと省令になって、根拠が明確というか、やや重たくなったということが一つ。もう一つは、訴訟ですね。取消処分訴訟を、やはり彼らも、彼らというのは、特に農業委員会は一般の農家の人たちがほとんどですので、そんなことに巻き込まれるのは嫌だというのが率直なお気持ちだというふうに思います。だから、それを多少対応しやすいようにしたという趣旨だということで理解させていただきました。

 次に、農業委員会について、体制について、前回、村井局長にちょっと質問をしました。参考人の稲垣さんがおっしゃっていたことでありますが、これはちょっと一問飛ばしますね、四問目です。

 要は、最終的に農業委員会が、例えば今の太陽光の撤去、あるいは不認可の話も対応しなければいけない。ただ、彼らにとっては、訴訟にも発展するおそれもある。最終的には、農地法上は都道府県の知事が原状回復の命令ができるということで、この制度というものが完結しているというふうに理解しています。

 ただ、実際は、資料にありますね、違反転用の是正状況についてというのがございますが、この箱の中を見ていただくと、是正したものは、これは令和二年だけですが、件数で五五%、面積で三〇%、是正できた。未是正、是正できなかった、あるいはまだしていないというのが、件数で四五%、面積で七〇%ということになっています。

 その是正の方法については、二つ目の丸ですが、件数では追認許可が九三%で、原状回復は四%程度。面積ベースでいうと追認許可が八五%、原状回復が一一%で、原状回復されるものは面積が大きい傾向であったということなんですが、やはり、私も現場の農業委員会の人たちとお話をすると、最終的に自分たちで何かこういうことをやるというのは、非常に、どうしても消極的にならざるを得ないと。

 稲垣さんがおっしゃっていたのは、都道府県の命令を、農業委員会が申請をしなければいけないわけですよね。ちょっと悪質な違反転用で全然言うことを聞かない、知事、何とか頼みますわということをお願いするんですが、やはりそれも非常に、彼らにしてみたら心理的な負担、理解できると思いますけれども。

 だから、その際には、ガイドラインとかマニュアルで、やはりある程度、こういう場合はこんな形で申請をした方がいいんじゃないかとか、こういう分かりやすいガイドラインみたいなものがあった方がいいんじゃないかという御提案がございましたが、これについていかが考えますか。

長井政府参考人 お答えいたします。

 まず、この資料にあります追認の話でございますが、これは、前回も委員会でお答えいたしましたけれども、この十年程度では毎年四千件程度違反転用がありまして、その九割が発見年のうちに違反状態が解消しておりますが、これは、結局、本来であれば事前に申請していれば許可されているものをしていないということが多くの原因でございまして、そういう意味では、件数は多いんですけれども、面積がちっちゃいというのは一つ当たりの面積が小さいということでありますので、そういう意味でも、その辺の制度の周知というものをしっかりとやっていく必要があると考えております。

 また、お話のありました、マニュアル等の判断基準につきましては、農業委員会が都道府県知事等に原状回復命令等を出すことを要請する際の判断基準とか、原状回復命令等が出された場合における農業委員会が行う違反転用者への指導の具体的な内容、これは、全国農業会議所などともよく相談しながら、そういったものがちゃんと明確になるように検討してまいりたいと考えております。

北神委員 是非よろしくお願いしたいと思います。

 三つ目の、一つ前に戻りますけれども、今度は農業委員会の体制の問題で、人手不足ということをお話ししましたが、村井局長から、前回は、たしか農地利用適正化交付金ですか、それがもっと活用できるようにすると。私も調べたら、会計検査院によると、執行状況が五八%しかない。これはやはり予算的にも問題ですし、これをどうやってちゃんと使ってもらうようにするのか。

 これはまさに、臨時職員とか、そういう事務費にも使えるという意味では、前の農業委員会交付金とはちょっと違うということなんですが、こういうところに使ったら、より農業委員会の人手を補填することができるんじゃないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

村井政府参考人 お答え申し上げます。

 農業委員会でございますけれども、御指摘のありましたように、農地利用の最適化活動という重要な役割を担っております。それを支える事務局の事務が少しでも円滑に進められるように、農業委員会交付金による事務局職員の人件費等の支援のほか、様々な取組、工夫を講じていくことが必要であると考えております。

 その中で、今委員から言及のございました農地利用最適化交付金でございますけれども、これは、農業委員会系統の要望も踏まえて、令和四年度からその使途について運用改善を図っておるという状況でございますが、一方で、御指摘のありましたように、活用はまだまだ十分とは言えないと我々も認識をしております。

 ただ、二年目となります令和五年度には、活用する農業委員会の数が約二倍に増えているというような状況にございます。こういったことから、まずは引き続き、全国農業会議所とも連携をして、その活用を一層促してまいりたいと考えております。

北神委員 是非お願いしたいというふうに思います。

 最後に、食料安全保障で、シミュレーションというものも、今まで農林水産省が一生懸命やってこられた。私もいろいろ問題点を指摘させていただきました。

 これから、法律がもし通るならば、これを本格的にやっていくということなんですが、杉中さんは大変スイスがお好きだというか、詳しいということですね。好きというよりも詳しいということだと思いますけれども、この辺の研究もされているというふうに思いますので、伺いたいと思います。

 たしかスイスは、アグロスコープですか、そういう機関があって、私もちょっと勉強させてもらいましたけれども、かなり本格的に、食料の需給状態のみならず、国民に対してどの食料の品からどのぐらいの熱量を供給する必要があるのか、あるいはできるのかとか、こういったことをかなり総合的に分析ができる大変優れたシミュレーションの制度があるというふうに思いますが、審議の中で、このスイスの在り方も踏まえながら我が国でもやっていきたいと表明されたというふうに思います。

 私も、これは非常に重要で、ある程度予測ができなければ、戦争で言うところの何も情報がない中で戦うということですので、やはり情報というものを事前に把握する意味でも非常に重要だというふうに思いますので、是非頑張っていただきたいというふうに思っています。

 ただ、体制が非常に、アグロスコープというのは、たしか一番最新の、去年の年報で見ると千百人ぐらいいる。予算も、支出ベースで三百三十億円ぐらいもらっている。我が国農林水産省の政策研究機関である農林水産政策研究所というのは、令和六年度の定数で七十一人。スイスのアグロスコープが千百十五人ですね、我が国が七十一人。予算は、支出ベースでいうと、スイスが三百三十億円程度、我が国は十億円程度、これは人件費も含んでいる。だから、これはかなり頑張っていかないと、余り中途半端なことをしても全く意味がないというふうに思います。

 これは多分、理数系の非常に高度な人材も必要だというふうに思いますし、それを実際に予測、シミュレーションをするための、それなりのコンピューターでの、ソフトとかこういったものも必要だというふうに思いますけれども、体制についてはどのようにお考えか、教えていただきたいと思います。

杉中政府参考人 委員御指摘のように、スイスでは、輸入の途絶などの不測の事態に備えまして、食料供給に関する政府の意思決定を支援するシステム、スイスフードシステムにおきまして、個々の事態に応じた生産構成等の最適化、また、そのために必要な農地面積に関するシミュレーションを実施しているというふうに承知をしております。

 スイスフードシステムは、連邦経済教育研究省傘下の研究機関、先ほど御指摘のようなアグロスコープ、その中の一つのモデル構築及び政策分析を専門とする研究チームによって改修、運用をされております。

 このチームとも我々も既に直接意見交換を行っているところでございます。かなり専門性の高いチームだというのは御指摘のとおりだと思いますので、我が国としても、体制の在り方も含めまして、こうした諸外国の取組も参考にしながら、シミュレーションやシステムの在り方、また、これをサポートする運営の在り方についても検討してまいりたいというふうに考えております。

北神委員 ありがとうございます。

 財務省からいろいろ言論統制があるというふうに思います。だから、その程度しか言えないというふうに思いますけれども、我々も応援をしてまいりたいと思いますので、よろしくお願い申し上げて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

野中委員長 これにて各案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

野中委員長 この際、内閣提出、食料供給困難事態対策法案に対し、金子恵美君外一名から、立憲民主党・無所属及び有志の会の二派共同提案による修正案が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。金子恵美君。

    ―――――――――――――

 食料供給困難事態対策法案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

金子(恵)委員 ただいま議題となりました食料供給困難事態対策法案に対する修正案につきまして、提出者を代表して、その内容を御説明申し上げます。

 まず、食料供給困難事態において、主務大臣の指示に違反して出荷販売業者、輸入業者、農林水産物生産業者等又は加工品等製造業者が計画を届け出なかったとき等の罰則を、二十万円以下の罰金から二十万円以下の過料に改めることとしております。

 次に、政府は、この法律の施行後三年を目途として、特定食料等の備蓄に関する制度について検討を加え、その結果に基づいて法制の整備その他の必要な措置を講ずるものとしております。

 以上が、この修正案の内容であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

野中委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

野中委員長 これより各案及び修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申出がありますので、順次これを許します。渡辺創君。

渡辺(創)委員 立憲民主党の渡辺創です。

 私は、会派を代表して、内閣提出第二七号、食料供給困難事態対策法案に反対、立憲民主党など提出の同法修正案に賛成の立場で討論いたします。

 同法案は、現行の食料・農業・農村基本法に基づく体制の下では、食料確保に関するリスクについて政府全体で対処する仕組みに不備があるとの認識に立ち、体制構築を図るとともに、不測の事態への対応根拠を法的に定めようとするものであります。

 食料安全保障の観点を強く打ち出した食料・農業・農村基本法改正案と併せて検討が進められ、今国会に提出されました。ほか二つの関連法案とともに四月二十五日に審議入りし、本日を含め、十五時間余りの審議が重ねられました。

 私たちは、この法案が想定する、食料確保に向けた政府の体制整備や食料安全保障上の諸課題と向き合う必要性について、政府と認識を異にする立場ではありません。

 政府は、同法案において、危機を把握した際には、総理を本部長とする食料供給困難事態対策本部を設置し、事態の深刻度に合わせ、国民の食生活や国民経済上の重要な品目の供給目標数量の設定や、輸入、生産、販売業者等に出荷や販売調整、輸入拡大、生産拡大を要請することができます。さらに、食料供給困難事態においては、計画の届出や計画変更を指示し、生産転換や割当て、配給を必要に応じて実施できるなど、権限強化を目指しています。

 私たちが問題視するのは、その実効性を担保する手法についてです。委員会審議でも度々論点となってきた、届出指示に応じなかったケース等における事業者への罰則は、やはり行き過ぎと言わざるを得ません。

 当然ながら、事業者には生産者も含まれます。この国の農政は、食料生産を管理から農業者の主体的判断で自由に行う方向でかじ取りをしてきました。にもかかわらず、困難時には国の方針に従うように強権的な対応を取ることは理にかないません。また、全国の農業者、関係者からも政府の姿勢を大いに疑問視する声が上がっています。

 審議の中でも繰り返し疑問が投げかけられましたが、刑事罰の設定が不可欠と納得できる答弁を確認することはできませんでした。むしろ、前科となる刑事罰にこだわる政府の姿勢は、実効性の担保に必要というより、むしろ、食料供給困難事態という非常時に政府が対応しているイメージを演出するための方策なのではないかと、うがった見方すら想起しました。

 私たち立憲民主党は、刑事罰である罰金を行政罰である過料に改めることなどを柱にした修正案を提出しました。不測の事態に備え、国の対処方針を充実させていくことは不可欠ですが、必要以上に強権的な仕組みを農業者に強いることは、農業者を萎縮させ、今求められている流れに逆行するものと言わざるを得ません。

 委員各位の賢明な御判断を求め、討論といたします。(拍手)

野中委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党を代表して、三法案に対する討論を行います。

 食料供給困難事態対策法案については、食料不足となった際に、生産者に増産等の計画を出すように指示し、計画を出さなければ罰金、計画どおり生産していない場合は公表という懲罰的圧力により、事実上、農家に増産や生産転換を強制するものであり、反対します。

 これまで政府は、食料の輸入自由化を進める一方で、生産者に減反や生乳の廃棄などを強い、資材高騰により赤字経営に陥った農家の離農を放置し、生産基盤を弱体化させてきました。平常時の農家の経営安定を放棄しておきながら、緊急時に統制的な手段により増産を強制しても、有効的な手段となり得ず、農家に犠牲と混乱を押しつけ、離農を加速させるだけです。

 本法案は、本来自由である作付について、生産転換や増産を事実上強制し、憲法二十二条の営業の自由を制限するものです。にもかかわらず、要請、指示を受ける対象の明確な定めはなく、運用によっては対象が制限なく拡大する可能性があります。

 食料供給困難事態となれば、事業所への立入検査を拒否すれば罰金が科せられますが、法文上、要件の具体的な定めはありません。生産計画どおりに生産がされていない場合の公表についても、正当な理由があれば免れるとしていますが、何が正当な理由に当たるか、時々の行政の恣意に委ねられることになります。こうした国民生活に関わる重大な事柄について、国会にも諮らず、政府の裁量に委ねるやり方は認められません。

 本法案は、安保関連三文書による戦争国家づくりと軌を一にして、食料・農業・農村基本法と同時に出されたものです。侵略戦争に突き進む中、一九四一年に公布された臨時農地等管理令は、国家総動員法に基づき、罰則と立入検査によって、生産転換を命じ、作付を統制するものでした。本法案も、強制でないとはいいながら、緊急事態だとして社会的圧力や罰則により増産を迫る仕組みであり、根っこは同じです。

 なお、立憲民主党提案の修正案については、罰則を過料に改めることで問題の本質の解決にはならず、反対です。

 次に、農振法改正案と農地法改正案は、農地を確保するために国の関与を強化するものであり、農地の維持の観点から、賛成します。

 しかし、農業経営基盤強化促進法改正案は、企業の農業参入の規制を緩和するものであり、反対です。

 農地法では農業関係者が議決権の過半を占めなければならないとする規定があるのに、本法案では、農業関係者三分の一超、農業関係者と食品事業者の合計で過半でも認めるという特例を設けています。これにより、農外企業が農地所有適格法人に参入することで、農業を行わずに優良農地を確保し、食品企業の系列下に置くことが可能となります。農業、農地の農外資本による支配を強め、農業生産法人制度の理念を掘り崩すものであり、賛成できません。

 最後に、スマート農業法案について述べます。

 生産基盤の弱体化の根本的な原因に手を打たず、スマート技術を使うしかないとする考えは間違いです。農家の経営を財政支援によって支えるとともに、有用で安価な機械の導入、農家の負担軽減こそが必要です。

 しかし、法案の内容は、長期低利融資や行政手続の簡素化などであり、その限りにおいて賛成とします。

 以上で討論とします。

野中委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

野中委員長 これより採決に入ります。

 初めに、内閣提出、食料供給困難事態対策法案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、金子恵美君外一名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

野中委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。

 次に、原案について採決いたします。

 原案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

野中委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

野中委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、古川康君外五名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会・教育無償化を実現する会、公明党、国民民主党・無所属クラブ及び有志の会の六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。野間健君。

野間委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文を朗読して趣旨の説明に代えさせていただきます。

    食料供給困難事態対策法案に対する附帯決議(案)

  世界人口の増加に伴い食料需要が増大する一方で、気候変動に伴う世界的な食料生産の不安定化等、世界の食料供給が不安定化することに伴い、我が国においても大幅な食料の供給不足が発生するリスクが増大していることから、政府が一体となり総合的に対策を実施することにより、国民生活の安定及び国民経済の円滑な運営に支障が生ずる事態の発生をできるだけ回避し、又はこれらの事態が国民生活及び国民経済に及ぼす支障が最小となるようにすることが重要である。

  よって、政府は、本法の施行に当たり、左記事項の実現に万全を期すべきである。

      記

 一 食料供給困難事態の未然防止を図るため、我が国農林水産業の生産基盤の強化に向けた平素の取組の充実に努めること。

 二 食料の輸入については、不測時に備えた平時からの取組が重要であることを踏まえ、輸入相手国との連携強化のための政府間対話等の実施に一層努めること。

 三 備蓄による対応は、国内生産量や輸入量が不足する場合の、初動的かつ即効性・確実性のある供給確保対策であることを踏まえ、特定食料等の備蓄に関して検討を行い、基本方針に適切に反映させるとともに、その他所要の措置を講ずるよう努めること。

 四 不測時において国民に必要な食料を供給するため、スイスにおける食料安全保障の状況のシミュレーションや評価のための意思決定支援システムを参考にして、生産する品目や作付農地などのシミュレーションを行う仕組みを構築すること。

 五 食料供給困難事態の発生等の公示に当たっては、国会に速やかに報告するとともに、国民生活及び国民経済に混乱が生ずることのないよう、国民に対し丁寧に説明すること。

 六 関係省庁が適切に役割分担するとともに相互に連携協力し、政府一丸となって食料供給困難事態対策を講ずること。

 七 計画届出の指示については、真に必要な者及び場合に限るなど、適切かつ慎重な運用に努めること。

 八 計画変更の指示に従わなかった場合等の公表については、公表された者が誹謗や中傷を受けるおそれがあることを踏まえ、適切かつ慎重な運用に努めること。また、公表措置の対象とならない「正当な理由」が認められる場合について、具体的な事例を挙げながら関係者にわかりやすく示すこと。

 九 食料供給困難事態が発生した際の対策その他の本法に基づく措置について、生産者を始めとする全ての関係者に対して、その目的及び内容について十分周知すること。

  右決議する。

以上です。

 何とぞ委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。

野中委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

野中委員長 起立多数。よって、本法律案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、ただいま議決いたしました附帯決議につきまして、政府から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産大臣坂本哲志君。

坂本国務大臣 ただいまは法案を可決いただき、ありがとうございました。附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

野中委員長 次に、内閣提出、食料の安定供給のための農地の確保及びその有効な利用を図るための農業振興地域の整備に関する法律等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

野中委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

野中委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、古川康君外五名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会・教育無償化を実現する会、公明党、国民民主党・無所属クラブ及び有志の会の六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。野間健君。

野間委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文を朗読して趣旨の説明に代えさせていただきます。

    食料の安定供給のための農地の確保及びその有効な利用を図るための農業振興地域の整備に関する法律等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  国際情勢の変化等による世界の食料需給の変動や、国内の農地面積の減少、農業従事者の減少・高齢化が進む中、将来にわたって国民への食料の安定供給を確保するため、農業生産の基盤である農地の総量確保と有効利用に係る措置を強化するとともに、地域において人と農地の受け皿となる法人経営体の経営基盤強化に係る措置を講ずることで、食料安全保障の根幹である人と農地の確保に取り組むことが重要である。

  よって政府は、本法の施行に当たり、左記事項の実現に万全を期すべきである。

      記

 一 人と農地の確保に向けた本法の措置については、農業従事者が安心して営農を継続できる環境整備を前提に、今後の人・農地政策の根幹となる地域計画と一体的に進めることが重要であることに鑑み、地域の実情に応じた地域計画の策定、農業従事者の所得向上等を通じた農業人材の確保、農地の集積・集約化、遊休農地や荒廃農地の解消等の関連施策の充実・強化を図ること。

 二 確保すべき農用地等の面積の目標等に関する国と地方の協議の場については、これまでの地方分権推進の経緯等を十分に踏まえ、地方の意見を尊重し、協議が調うよう努めること。

 三 農用地等の確保に関する基本指針の変更については、次期食料・農業・農村基本計画との一体的な検討を図るとともに、地域計画に位置付けられる農地の面積との関係も踏まえ、農地の確保とその有効利用が確実に担保されるよう、国と地方の協議の場も活用し、国と地方が基本的認識を共有しながら行うこと。また、基本指針の変更を受けて都道府県が基本方針を変更する際、特に都道府県面積目標については、市町村の実情を踏まえ、市町村との共通認識の下に定められるよう都道府県に周知すること。

 四 国と地方公共団体との適切な役割分担の下、我が国全体及び各都道府県において必要な農用地等が確保されるよう、国の面積目標と都道府県面積目標の合計との相異、農林水産大臣が毎年公表する都道府県面積目標の達成状況等を踏まえ、必要があると認められる場合には、総合的な調整や対応のため、国と地方の協議の場の柔軟な活用を図ること。

 五 市町村による農用地区域からの除外に係る協議を受けた都道府県知事の同意に係る事務が適正に行われるよう、同意の基準や除外に係る影響を緩和するために講じようとする代替措置の具体例を示すなど、必要な措置を講ずること。その際、一定の面積により一律に面積目標達成への支障如何を考慮するような基準等ではなく、地域の実情を考慮しつつ、当該協議に係る地方公共団体の負担等に配慮すること。

 六 農地の権利取得の許可については、農業関係法令の遵守状況の確認等が円滑に実施され、農地を適正かつ効率的に利用する者による権利取得が促進されるよう、具体的な判断基準の周知を行うこと。

 七 農地転用許可に係る定期報告、違反転用に係る公表も含め、違反転用を防止するための措置が効果的に実施されるよう、必要な措置を講ずること。

 八 農業経営発展計画制度については、地域において人と農地の受け皿となる農業法人の経営基盤強化により、地域農業の発展に裨益するよう、地方公共団体と密に連携して運用するとともに、当該制度が適切に活用されるよう、制度の趣旨及び内容について、農業現場に丁寧に周知すること。

 九 農業経営発展計画の認定に当たっては、十分な審査体制を構築した上で、投機目的の出資を排除するなど厳格に審査するとともに、計画認定後も、議決権要件の緩和に係る農村現場の懸念を払しょくできるよう、農業現場に寄り添った監督措置等を適切に講ずること。

 十 議決権要件の特例により出資できる者の要件を、制度の開始のため省令で定めるに当たっては、農業に密接に関連する業種に限定することを要件の一つとした上で、出資を受ける農地所有適格法人と農業上の取引等の実績が十分にある等の基準を満たす食品事業者及び地銀ファンドとすること。

 十一 地域の実情に応じた人と農地の確保を図る観点から、市町村の農政関係部署及び農業委員会事務局の人員を始めとした現場の体制整備のために必要な支援措置を十分に講ずること。

 十二 この法律の施行に当たっては、特に不適切な営農型太陽光発電への対応、農業経営発展計画制度に係る農村現場の懸念払しょく状況等について、常時、きめ細かく把握・分析し、必要に応じて臨機に制度の見直し等の検討を行うこと。

  右決議する。

以上です。

 何とぞ委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。

野中委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

野中委員長 起立総員。よって、本法律案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、ただいま議決いたしました附帯決議につきまして、政府から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産大臣坂本哲志君。

坂本国務大臣 ただいまは法案を可決いただき、ありがとうございました。附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

野中委員長 次に、内閣提出、農業の生産性の向上のためのスマート農業技術の活用の促進に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

野中委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

野中委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、古川康君外五名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会・教育無償化を実現する会、公明党、国民民主党・無所属クラブ及び有志の会の六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。野間健君。

野間委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文を朗読して趣旨の説明に代えさせていただきます。

    農業の生産性の向上のためのスマート農業技術の活用の促進に関する法律案に対する附帯決議(案)

  基幹的農業従事者数が今後二十年間で四分の一にまで急減することが見込まれる中、農業の持続的な発展及び国民に対する食料の安定供給を確保することが重要な課題となっている。このため、スマート農業技術を開発し、生産現場に効果的に導入するための措置を講ずる等、スマート農業技術の活用を促進することで、生産性の向上を図ることが求められる。

  よって、政府は、本法の施行に当たり、左記事項の実現に万全を期すべきである。

      記

 一 スマート農業技術の活用の促進に係る基本方針の策定に当たっては、中小家族経営や中山間地域等の条件不利地を含めた農業者の生産性の向上に寄与するものとなるよう考慮すること。

 二 食品等事業者が関与する生産方式革新事業活動については、農業者等の主体性が損なわれることがないようにするとともに、国産農産物の利用の拡大に資するものとなるよう配慮すること。

 三 スマート農業技術の活用が適切に促進されるよう、高齢者を含む農業者に対してスマート農業技術の有用性とともに、導入による経営への影響についても丁寧に説明すること。

 四 スマート農業技術をより効果的に活用できるよう、農業者を始めとする幅広い関係者の人材育成を支援すること。

 五 スマート農業技術の活用の促進に向けて、生産及び開発供給現場の取組を支援するための十分な予算を確保すること。特に、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構による施設の供用や専門家の派遣等は、開発供給事業の推進に大きく寄与することから、同機構の施設や人員を充実させること。

  右決議する。

以上です。

 何とぞ委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。

野中委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

野中委員長 起立総員。よって、本法律案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、ただいま議決いたしました附帯決議につきまして、政府から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産大臣坂本哲志君。

坂本国務大臣 ただいまは法案を可決いただき、ありがとうございました。附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

野中委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました各法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

野中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

野中委員長 次回は、来る二十九日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時十六分散会


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