第2号 令和6年12月18日(水曜日)
令和六年十二月十八日(水曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 御法川信英君
理事 鈴木 貴子君 理事 西田 昭二君
理事 葉梨 康弘君 理事 神谷 裕君
理事 野間 健君 理事 渡辺 創君
理事 池畑浩太朗君 理事 長友 慎治君
大空 幸星君 栗原 渉君
小池 正昭君 島田 智明君
武村 展英君 根本 拓君
根本 幸典君 長谷川淳二君
平沼正二郎君 福田かおる君
宮下 一郎君 向山 淳君
森下 千里君 簗 和生君
山本 大地君 石川 香織君
岡田 華子君 金子 恵美君
小山 展弘君 近藤 和也君
西川 将人君 福田 淳太君
緑川 貴士君 柳沢 剛君
山田 勝彦君 奥下 剛光君
林 佑美君 許斐亮太郎君
玉木雄一郎君 村岡 敏英君
庄子 賢一君 角田 秀穂君
八幡 愛君 北神 圭朗君
…………………………………
農林水産大臣 江藤 拓君
農林水産副大臣 笹川 博義君
農林水産大臣政務官 庄子 賢一君
政府参考人
(内閣官房新しい地方経済・生活環境創生本部事務局審議官) 岩間 浩君
政府参考人
(公正取引委員会事務総局官房総括審議官) 藤井 宣明君
政府参考人
(総務省総合通信基盤局電波部長) 荻原 直彦君
政府参考人
(文部科学省大臣官房文部科学戦略官) 今井 裕一君
政府参考人
(農林水産省大臣官房長) 長井 俊彦君
政府参考人
(農林水産省大臣官房総括審議官) 山口 靖君
政府参考人
(農林水産省大臣官房総括審議官) 宮浦 浩司君
政府参考人
(農林水産省大臣官房技術総括審議官) 堺田 輝也君
政府参考人
(農林水産省大臣官房危機管理・政策立案総括審議官) 谷村 栄二君
政府参考人
(農林水産省消費・安全局長) 安岡 澄人君
政府参考人
(農林水産省輸出・国際局長) 森 重樹君
政府参考人
(農林水産省農産局長) 松尾 浩則君
政府参考人
(農林水産省畜産局長) 松本 平君
政府参考人
(農林水産省経営局長) 杉中 淳君
政府参考人
(農林水産省農村振興局長) 前島 明成君
政府参考人
(水産庁長官) 森 健君
政府参考人
(国土交通省大臣官房審議官) 松原 英憲君
政府参考人
(国土交通省大臣官房技術審議官) 岸谷 克己君
農林水産委員会専門員 飯野 伸夫君
―――――――――――――
委員の異動
十二月十八日
辞任 補欠選任
田野瀬太道君 島田 智明君
長谷川淳二君 福田かおる君
山本 大地君 向山 淳君
許斐亮太郎君 玉木雄一郎君
同日
辞任 補欠選任
島田 智明君 田野瀬太道君
福田かおる君 長谷川淳二君
向山 淳君 山本 大地君
玉木雄一郎君 許斐亮太郎君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
農林水産関係の基本施策に関する件
令和七年度畜産物価格等に関する件
――――◇―――――
○御法川委員長 これより会議を開きます。
農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房長長井俊彦君、大臣官房総括審議官山口靖君、大臣官房総括審議官宮浦浩司君、大臣官房技術総括審議官堺田輝也君、大臣官房危機管理・政策立案総括審議官谷村栄二君、消費・安全局長安岡澄人君、輸出・国際局長森重樹君、農産局長松尾浩則君、畜産局長松本平君、経営局長杉中淳君、農村振興局長前島明成君、水産庁長官森健君、内閣官房新しい地方経済・生活環境創生本部事務局審議官岩間浩君、公正取引委員会事務総局官房総括審議官藤井宣明君、総務省総合通信基盤局電波部長荻原直彦君、文部科学省大臣官房文部科学戦略官今井裕一君、国土交通省大臣官房審議官松原英憲君、大臣官房技術審議官岸谷克己君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○御法川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○御法川委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。鈴木貴子君。
○鈴木(貴)委員 皆さん、改めましておはようございます。
今日、大臣への所信の質疑ということで、七時間の長丁場であります。十九名のバッターがいる中でのトップバッターを務めさせていただきます。よろしくお願いをいたします。
今、私、自民党の水産部会で部会長を仰せつかっております。私の地元、北海道七区、釧路管内、根室管内、そしてまた北方四島が選挙区なわけでありますが、今まさに日本とロシア双方の二百海里内での操業における協定、日ロの地先の交渉というものが進められておりますが、先月二十五日に交渉に入ったわけでありますが、いまだに交渉妥結となっておりません。この交渉の結果によって、年明け早々の操業を期待をしているというのが現場の切なる声でありますが、是非とも一日も早い速やかな交渉の妥結。
そして何よりも、今、日本とロシア、外交関係というのは極めて厳しい状況になっております。なぜ、何ゆえ厳しいかというのはもうはっきりしておりまして、ロシアによるウクライナ侵攻ということではありますが、一方で、日本とロシアの漁業協定、そしてまた枠組み、日本の国益のためにこの問題というものはしっかりと守っていかなくてはいけないものだと我々は思っております。
そういった意味で、是非ともここは大臣に伺わせていただきたいんですけれども、日ロ地先の現状、そしてまた日ロ間の漁業の交渉、枠組みそのものに対しての政府の方針というものは、いかがでしょうか。
○江藤国務大臣 皆様、おはようございます。今日は、一日、どうぞよろしくお願いいたします。
まず、この地先、二百海里の話でありますが、今委員からお話がありましたように、鋭意交渉を進めておりますが、合意に至っておりません。
しかし、合意に至っていないことについては、逐次もちろん報告を受けておりますが、私はそれでいいと思っています。これはお互いの海域に乗り合いをして、向こうの海域に行くけれども、こっちも認めなきゃいけない、日本の海域に入ってくることも認めなきゃいけないというものがありますから、これはやはり日本の、今委員がおっしゃったように国益、日本の国益がしっかり担保される、そしてこれまでの合意内容と大きく踏み出さないということが基本だと思うんですよ。
ですから、今、どういう内容、話になっているかということで説明はできません、それは交渉内容ですから。しかし、今聞いている内容であれば、踏ん張れ、譲っちゃ駄目だというふうに私は言っております。
しかし、今、年明け早々の操業をやりたい、そのお気持ちはよく分かりますので、交渉事は最後の最後、TPPでも何でもそうでしたけれども、最後、粘って頑張ったものが勝ちますから、我々の国益をしっかり守る観点で、できるだけ早いタイミングでの合意を目指して頑張っていきたいと思っております。
○鈴木(貴)委員 ありがとうございます。
いかんせん、この日ロの外交、若しくはロシアに対しての国際場裏における評価等々で、中には、日ロ間のこういった漁業交渉なんてとおっしゃられる方がいらっしゃるんです。ただ、是非とも分かっていただきたいのは、海の資源というものは公共の財産でありますし、そしてまた、こういう日ロ間の外交が厳しいときだからこそ、漁業外交というのは、なお一層の意義を発揮するんだと思っております。
大臣からも、年明け早々の操業を期待しているという声にしっかりと応えていく、そのためにしっかりとした交渉をしていくということでお答えをいただきましたので、水産庁挙げて、全力を尽くしていただきたいと重ねてお願いを申し上げさせていただきます。
次に、今、食料安全保障もそうでありますけれども、持続可能な農業であるとか、持続可能な水産という言葉がよく使われると思います。私は、これからは一歩進む必要があるんじゃないか。持続性というのは、ある種、今の状況というものをいかに維持をしていくか。
そうではなくて、今、例えば漁業者の皆さん、農業者の皆さんが、自分の力ではどうにもならない、いわゆるグローバルイシューと言いますが、気候変動を含め、海水温の上昇を含め、こういった変化、やむを得ない変化であるとか、こういったものにいかに対応しながらも生産活動をしっかりと続けていく、こういったことが求められているという意味では、私は、持続可能性よりも、変化に対応することを前提とした再生可能性、再生可能な水産、再生可能な農業というものが必要と考えております。
そこで、水産庁に、ここを是非ともお考えを教えていただきたいんですけれども、科学的な根拠に基づいた資源管理というのが私は絶対だと思っております。それが、今のこの豊かな海というものを後世にもしっかりと引き継いでいく。
一方で、今の漁業のルールというものは、かつての、魚がまだたくさん捕れたときに、魚を捕り過ぎないようにしようという、ある種の規制の概念から始まったルールに基づいた枠組みであると思っています。ただ一方では、今は、もう皆さん御案内のとおり、水揚げというものが減っていて、なかなか私の地元でもサンマが捕れない、サケが捕れない、イカも不漁になってきた、こういった状況であります。
例えば、サンマが捕れない状況の中で、サンマ漁船を使って、イカであるとかイワシを捕るというようなことをすれば、ある種、既存の漁船の有効活用にもなる。漁業であるとか対象魚種ごとに、これまで規制の概念の下で細分化してきたわけでありますが、協業化であるとか漁船の効率化などを進めるということが、ひいては漁業者にとっての所得を向上していく、稼げる、そしてまた、再生産可能な漁業の在り方につながっていくと思いますが、水産庁の見解はいかがでしょうか。
○森(健)政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、海水温の上昇、海流の変化等、海洋の環境が変化をしております。こうした中で、例えば漁法や漁獲対象魚種の複合化ですとか、あるいは、養殖業への転換などを含めた操業形態の転換といったような取組が求められているというふうに承知しております。
こうした中で、こうした操業形態の転換に向けて、例えば、サンマ棒受け網の設備を用いたイワシの試験的な漁獲ですとか、スルメイカに加えて、アカイカも漁獲対象としたイカ釣り漁業といったような、具体的な実証、取組も行われつつあるというところでございます。
御指摘の漁業に関する規制につきましては、これまでも、例えば労働環境の改善や生産コスト削減等の観点から、平成三十年の漁業法改正において、漁獲割当て、IQによる管理が導入された場合は、船舶のトン数規制等の規模の制限を定めないというようなことも対応してきているところでございます。
今後とも、現在取り組んでいる試験的な取組の状況も踏まえながら、また、関係漁業者の御意見も丁寧に伺いながら、操業形態の見直しを段階的に推進して、委員御指摘の再生可能な漁業、この構築に向けて取り組んでまいりたいというふうに思っております。
○鈴木(貴)委員 ありがとうございます。
今、森長官からも、再生可能な水産に取り組んでいくと。見解を共有をさせていただけたのかなと心強く思っております。
あわせて、今、サンマ棒受けを他の魚種にということで実証を進めていただいているということでありましたが、実証を実証で終わらせずに、これがしっかりと定着をしている、若しくは、これがいけるというのであれば、しっかりとそっちの方に方針というものを明快に打ち出していくということも、現場の皆さんの水産改革マインドというものを醸成していく上でも、必要な政府としてのメッセージなのではないのかなと思っております。
引き続き、現場の声を聞いていただきながら、そういった挑戦にも後押しをしていただきたいなと思っております。
その上で、今度は、水産の担い手対策について質問をさせていただきます。
水産業を専門に学ぶいわゆる水産高校、私の地元北海道では、例えば三つありますし、全国では四十六の水産高校があると思っております。この水産高校は、水産業や海洋関連産業を通じ、地域や社会の健全で持続的な発展を担う職業人として必要な資質、能力を育成することを目指して教育を行っているとされております。
ただ一方で、水産高校立ち上げのときには、もちろんICTであるとかスマート漁業というような概念というものは存在をしなかったわけであり、そしてまた、近年も着実に、技術革新であるとか、こういったものはどんどんどんどん進んでいるわけであります。
正直申し上げて、今の水産高校が、今のこの令和の時代の、若しくは、時代の要請に応えながら、次代、次の将来というか先を見据えた教育を、地域を支える担い手を育成できる場になっているかというと、私はまだまだ課題があるのではないのかなと思っております。
というのも、所管は、やはりこれは学校教育なので文科省になってしまう。ただ、じゃ、水産高校、水産に関しては、マーケットの状況若しくは資源の状況、国際場裏における様々なルールメイキング、こういったことを文科省がどれだけグリップというか、把握がタイムリーにできているかというと、そうではない。となると、やはり水産高校のカリキュラムというのは、これからは、文科省だけではなくて、水産庁と、若しくは経産省であるとか、スマート漁業の時代だというのであれば、これは農業もそうですけれども、もしかしたらこういった専門高校、水産、農業高校では、なお一層英語に力を入れていく。こういったことも時代に合わせた必要な善処策ではないのかなと思っております。
こういった、まさに時代に応じた人材育成の現状、課題感であるとか、それに伴って取り組んでいる事柄等がありましたら、是非とも見解を伺いたいと思います。
○森(健)政府参考人 お答え申し上げます。
水産高校は、現在、全国で四十六校あるわけでございますが、その卒業生の卒業後の進路につきますと、就職が五六%、進学が四二%ということでございます。就職者のうち約三分の二が、漁業ですとか水産加工、あるいは海洋土木、漁協といったような水産、海洋関連の産業に従事をしております。
残りの三分の一が水産、海洋非関連の産業ということでございまして、私どもとしては、こうした人材にも漁業に就業してもらえるように取り組むことが大変重要だというふうに考えているところでございます。
そうした観点から、例えば、漁業者などが全国の水産高校に出向いて、生徒に対して漁業の魅力などを説明するガイダンスを行っておりまして、これまで七年間で約四千百五十人の生徒が参加をしているという状況でございます。
また、御指摘の、時代に応じた人づくりという観点から、水産高校のカリキュラムの充実も図るということがやはり必要だと思っております。こうした観点から、スマート水産業に精通した有識者を派遣しての出前授業の取組、これも、令和二年度から六年度まで、延べ二十八回、八百三十人の生徒が参加をしてきている状況でございます。
今後とも、水産高校生に将来の職業として漁業を選んでもらえるように、水産高校の先生方や教育の関係の各機関に対しまして、より積極的に取組を働きかけていきたいと考えております。
○鈴木(貴)委員 ありがとうございます。
森長官、今御答弁いただいた内容も、もちろん重要だと思っております。
先ほど申し上げたように、例えば、今の漁業におけるルールの多くが、かつて捕れていた、まさに水産立国、水産大国日本だった時代のデータに基づいてできているというようなお話も先ほどしましたが、例えば、水産高校も同じだと思うんですね。これが立ち上がった当初は、遠洋漁業の技術者の育成がまさに中心だった。でも、今、先ほど私が申し上げましたように、スマート漁業が、皆さん、当たり前じゃないですか。技術を駆使していたりといった中で、今はもっと幅広い教育、若しくは、その幅広い教育があるからこそ、四十六の全国の水産高校、それぞれにエッジを立てて、国内で、例えば増養殖をやりたいんだったら厚岸翔洋高校であるとか、何か、様々な取組をするということが水産全体の活性化にもつながりますし、人材育成にもつながっていくという思いを持っております。
ちょっと、長官の話だと、かくかくしかじか、いろいろな取組をしているということなんですけれども、私の課題感は、農林水産省だけで終わることなく、文科省、経産省、若しくは、地元の漁協さん、最近だったらEコマース、こういう民間のアイデアなんかも駆使しながら、もっと幅広く、本当に真に地域に求められている、水産立国日本が求める育てたい人材育成のためにもっと連携をしていくんだという、長官、決意のほどをお願いいたします。
○森(健)政府参考人 お答えいたします。
御指摘ありがとうございます。当然のことながら、やはり、漁業の未来、さらには、時代に応じた漁業の発展に応じた教育が行われていくことが大変重要だろうと考えております。
文部科学省、あるいは経産省も含めた関係省庁ともしっかり連携して取り組んでまいりたいと思います。
○鈴木(貴)委員 森長官、期待をしております。よろしくお願いいたします。
そして、水産の質問をしてまいりましたが、私の地元は酪農も盛んでありますので、一点、どうしても聞かせていただきたいなと思っております。
今日、大臣の所信なわけでありますけれども、改めて、大臣がお述べになっていただいた言葉を、この質疑をするに当たって読ませていただいて、やはり、私は、最後のところ、我が国の農林水産業を生産者の皆様がやりがいと希望、夢を持って働ける産業としていくとともに、その生産基盤を次の世代に確実に継承していくことは、国家の最重要課題でありますと述べていただいたこと、ありがたく思っております。
何よりも、やりがいと希望と夢を持つ、やはりこの将来展望というものがなければ、今は、酪農も畜産も、もちろん水産もそうですけれども、初期投資、昔よりもやはりコストがかかっている。様々な外部の要因がある中でも、ある種のリスクテイキングをしながら、ただ目の前にあるものをつくるとか、目の前にあるものを捕るというのではなくて、経営感覚ももちろん持ち合わせながら、この食料安全保障というものに従事をしていただいている中で、やはり、このやりがい、希望、夢は重要だと思っております。
いわゆる加工も、北海道でありますし、この加工原料乳の生産者の補助金の問題、算定方式というものがあるというのは、もちろん重々承知をしております。また、言うまでもなくというか、共通の認識として、ありとあらゆるものが、資材費、飼肥料、ガソリンを含め高騰をしている。そして、今年は何かというと、二〇二四問題のまさに元年である。こういった中において、集送乳調整金の問題、物流の問題、そしてまたその物流のための人材確保というものがまさに際立った、そんな年であると思っております。
現場は、できるだけのコストカット、自分たちの自助努力というものは既に取り組んでいただいております。直近のこの上昇実態というものをやはり反映をさせた上で、価格の算定、そしてまた最終的な決定というものが私はやはり必要だと思っております。それがなくして、大臣がお述べになった、やりがいと希望と夢、そしてまた生産基盤を次の世代に確実に継承していくこと、これは、逆に、できないのではないのかなと思っております。
この点について、是非とも見解をお聞かせいただきたいと思います。
○江藤国務大臣 いよいよ畜産物価格が議論になりますので、やはり生産者の方々が納得いただける数字を出したいと私は思っております。
直近の変化のスピードは余りにも速過ぎるので、そして、今委員が言われたように、現場でできることはもうやり尽くしたという声を私もたくさん聞いてきました。私の地元でも、あと一握り、あと一握りトウモロコシを入れるかどうか、それを迷うというぐらいの経営状態なんだよという話を聞いて、胸が詰まるような思いをしましたよ。餌をたくさん与えなければいい牛はできません。乳量だって増えません。だけれども、この餌をやることによって経営が厳しくなる。ある意味、悪い意味でのスパイラルに陥っている現場がある。
ですから、夢を持てて、希望を持てて、次の世代に引き継ぐためには、やはり国ができることはしっかりやらなきゃいけない。自助努力は十分に現場はやっていただいていると思っています。自助で足りない部分を公助で支えていく。それは、畜産農家のためということではなくて、この日本のためという意識でやってまいりたいと考えております。
○鈴木(貴)委員 大臣、ありがとうございます。
まさに今、離農が増えてしまっているわけであります。十月の段階でも、農家戸数が一万戸を切って九千台に突入したという大変に衝撃的な数字も入ってきたわけでありますが、特に、今、離農が高齢者ではなくて、五十代、六十代のところで増えてしまっている。我々若手にしても、目の前でロールモデルがいるからこそ頑張れる、技術を継承していけるという点があると思います。
是非とも、持続可能な、そしてまた再生産可能な食料安全保障のためにも、この点、まさに自助だけではどうにもならない部分、政治の判断で、大臣のお力を賜りますようにお願いを申し上げまして、質疑を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○御法川委員長 次に、西田昭二君。
○西田(昭)委員 おはようございます。自由民主党、能登半島出身、西田昭二でございます。
本日は、農林水産委員会での質疑の機会をいただきました。心から感謝を申し上げるところでございます。また、久しぶりの質疑ということで、本当にありがたく思っているところでもございます。
今臨時国会において、能登半島の復旧復興について、会派を超えて、様々な皆様方から、本当に温かい、そしてまた、復旧に向けての大変大切な質問をたくさんいただいたわけでございます。ここに近藤議員もおいでますし、本当に皆様方の温かい御支援に被災者の一人として心から感謝を申し上げるところでございます。
元旦に発生をいたしました未曽有の能登半島地震、あれからもう一年を迎えようとしているところでございます。これまで、政府を挙げて、復旧復興に向けて全面的な御支援を賜ったわけでございます。そしてまた、全国の皆様方からの温かい御支援、御協力をいただき、少しずつ復旧に向けての歩みを進めていたところでございます。
しかしながら、九月の豪雨災害で更なる甚大な被害を能登半島は被ったわけでございます。特に被害が大きかった地域は、奥能登の中山間地域でございました。時間雨量百二十ミリ近くの雨が降り注ぎ、そしてまた、一日の降雨が最大で四百七十ミリだったかと思っております。能登半島地震で被災をした方々にとっては、二重三重の本当に複合災害であったかと思います。地震の復旧支援で支援をいただいた農機具であったり、農業施設も本当に大きな被害を受けました。
そして、農地でありますけれども、約四百ヘクタールが土砂で覆われてしまいました。そのうちの約三分の一が復旧に五、六年かかるのではないのかとの見通しが出ているわけでございます。これまで希望を持って、一生懸命、復旧復興に向けて頑張ってこられた農家の皆さん方も、心が折れて、もう将来の見通しが見えなくなった、そんな大変なお気持ちを何度もお聞きする機会があったわけでございます。
先月、江藤農林水産大臣、本当に就任直後、滝波副大臣、そしてまた山本政務官とともに早速現地に入っていただいて、その実情を視察していただきました。そしてまた、農業関係者の皆さん方からも、直接、厳しいこの実情のお声を聞いていただきました。時には叱責するような、本当に厳しい内容の話もあったかと思います。丁寧に、お一人お一人、大臣の方が寄り添うように接していただいた、その対応について、本当に感謝を申し上げたいなと思っているところでございます。
そこで、大臣所信でも冒頭にお話もいただいたわけでございます能登半島の復興について、大臣の決意、思いについてお聞かせをいただきたいと思います。
○江藤国務大臣 西田先生におかれましては、発災直後は、御自身も大変な目に遭われている、近藤先生も大変な目に遭われている。予算委員会でお二人の質疑、しっかり聞かせていただきました。どれほど現場を回り、どれほど現場の方々のお話を聞き、現場の状況を把握されているかということを痛感いたしました。お二人のほかにも骨を折られた方はたくさんおられますけれども、特に、予算委員会では、このお二人の質疑について、非常に私自身についても胸に響くものがありました。
私のところも災害は多いんですが、発災したら、必ず次の日に私も行くようにしています。しかし、先生方ほど、じゃ、詳細にわたってお一人お一人声を聞いているかと思うと、そこまでは自分はやっていないな、ちょっと見習わなきゃいけないなという思いがしました。
そして、本当にひどいですよね。特に輪島市の南志見地区、一緒に行きましたけれども、担い手もしっかり見つかり、土地改良もしっかりし、三割ができ上がり、もうちょっとででき上がるというところが、本当にここらが土地改良する予定の土地だったのかというところまで、先生から、五年も六年もかかるかもしれない、そんなにかかっちゃいけないと思いますけれども、しかし、そうなるかもしれないような状況。やはり、国がこれにもっと深くコミットすることによって、五年、六年と思われていたものが二年、三年にできればいいなとすごく思います。
そして、昨日、防災担当大臣が私のところに来て、三人の担い手から相談を受けたと。そのうちの一人は地域に残る覚悟を決めたけれども、一人はもう諦める、農業をやめると。もう一人は、奥さんが宮崎で、だから宮崎に行って農業をやる、もう能登を離れるという決断をしたという話も聞きました。
ですから、やる気はあるけれども、物理的に客観的な状況を見ると、もうできないという状況があるのであれば、本当に真剣にこのことについては取り組んでいかないと、もう能登半島の未来が暗いなということを痛切に感じております。
先生方の御意見をしっかり聞きながら、農林水産におきましても、一日も早い復興に向けてできることは何でもやりたい。しかし、物理的な問題はあります。建設業者が足りないとか、私もそこで随分厳しいことも言われました。意見交換も予定の時間を超えてやりました。そして、業者さんも、今、新たに二十三者見つけました。そういった方々の努力も引き続きずっとやっていきたいと思いますので、また様々な御意見をお伺いできればと思っております。
○西田(昭)委員 大臣、ありがとうございました。
本当に、もう一口で言い切ることができないような本当に大きな被害でございます。国の全面的な支援、応援なくして地域農業の復活はあり得ないと思っております。引き続き、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
九月の豪雨災害については、ちょうど水稲の収穫時期でございました。ちょうど刈り入れをできたところもあったりとか、復旧支援ということで、能登米を求める方々がかなり多かったところでございます。農家の方々も、今年は何とか苦労しながらやってきて、期待をしていたところでございましたけれども、収穫直前に本当に大きな雨に襲われて、水稲の被害を受け、水田には、土砂であったりとか流木が埋まっている状況が見受けられる、そういったところがまだ数多く残っているところでございます。また、収穫後も、保管していた大切なお米、これは倉庫に荷積みしてあったんですけれども、それも被害を受けて、もう販売できない状況になっているところでございます。
農家の方々からも、先ほどお話もありました、やっていられない、そういう厳しい胸中を伺う機会もたくさんありました。
今回の豪雨災害が能登半島地震からの復旧復興の本当に途上の二重災害ということでもあったことを踏まえて、作物残渣の処理や被災した倉庫などの清掃の支援も是非とも検討していただきたいなと思っております。政府の所見を伺わせていただきたいと思います。
○江藤国務大臣 本当に、一月一日に地震で大変な目に遭い、そして、とてつもない雨にやられ、心が折れてしまうと。もう何とも言えない空気でしたよ、私が行ったときの皆さん方の顔も。食ってかかりたいんだけれども何とか自分を抑えているというような雰囲気もありました。
ですから、能登米も刈り入れどきにやられて、出した人もいますけれども、出せなかった人もたくさんいる。残念なことですが、今、畑には作物残渣、そういう言い方も嫌いですけれども、畑にそういうものが残ってしまっている。これは撤去しなければ仕方がありませんから、十アール当たり一万二千円、用意してございます。それで、機械の修理も、なかなか、いろいろなものをかみ込んだりして、泥も入っていますから、大変ですけれども、修理できるものはやはり修理していただきたい。これも三分の二の内数で修理をしていただくということになっております。倉庫の清掃、これもやらなきゃいけませんが、これも平米当たり千六百円は用意してございますので。
是非、これで十分だ、足りないという御指摘もあるかと思いますが、このようなものも周知していただいて、御利用いただければというふうに考えております。
○西田(昭)委員 ありがとうございます。
この支援で何とか復旧に向けての一歩を踏み出していただきたいな、そんな思いで、農家の方々も前が向けるように、国の方からも御支援をお願いしたいと思います。
現在、国、県、市、町の関係機関が連携をして復旧に向けて取り組んでおりますが、土木工事など能登全体の復旧を進める中で、どうしても農地の復旧をするための工事業者が不足している状況でございます。来春の作付に向けて復旧の見通しを立てることがなかなか困難な状況でございます。そのため、被災した農地復旧に向けて工事業者の確保が本当に急務でございます。
今ほど大臣のお話もありました。何とか工事業者を国のお力で確保していただき、しっかりと復旧復興に向けた取組を進めていただきたい。是非ともよろしくお願いをします。政府の所見をお願いをいたしたいと思います。
○笹川副大臣 私自身も被災地の方は衆議院の災害特で訪問させていただきまして、西田先生、そしてまた近藤先生、お地元の皆様の日々の御尽力に敬意とまた改めてお見舞いを申し上げたいというふうに思います。
先ほど、農地の復旧については大臣からも御答弁がございました。短期、中期、長期ということでありますので、短期につきましては約三分の一、来期の作付が可能になるように速やかな復旧工事を進めていかなきゃならないし、また、中期、長期についても一日も早くというふうな前倒しをしていかなければならないと思います。
先ほど、二十三業者と、うち、県外の業者が十四業者でございますので、地元の土地改良の建設協会、それから県とも引き続き緊密に連絡を取り合いながら、いずれにしてもそれぞれの確保に努めてまいりたいというふうに思っております。
○西田(昭)委員 是非ともまた来春の作付に向けて、御支援、御協力をよろしくお願いを申し上げます。
次に、農地のほかに、被災した畜舎の復旧については、現状と異なる原形復旧のための計画に時間がかかるところでございます。畜舎内の家畜を移動させながら順次復旧工事をする必要があり、工事業者が限定されるために、これも確保が本当に困難でございます。今年度中に工事が完了しないことが懸念をされているところでございます。
このため、引き続き、畜舎復旧に必要な農地利用効率化等支援交付金が令和七年度も使えるようにしてほしいという要望もございます。政府の御所見を伺いたいと思います。
○笹川副大臣 いずれにいたしましても、令和六年度末までの事業実施というのは原則ではありますが、やはり被災地の皆様方の深刻な現況を報告も受けておりますので、そのことを真摯に受け止めて、令和七年への繰越しなどの対応についても検討をさせていただきたいというふうに思っております。
いずれにしても、営農再開に向けて、我々自身も丁寧に対応してまいりたいというふうに思っております。
○西田(昭)委員 是非ともよろしくお願いしたいと思います。
次に、能登半島地震で被災した輪島港、そのほかに県内の漁港で、いよいよ先月、カニ漁が解禁されたわけでございます。十か月ぶりに本格稼働したわけでございます。新鮮なズワイガニ、石川県では加能ガニと呼ばれておりますが、次々に水揚げをされました。地元としては大変喜ばしく、大変にぎわっているところでございますが、被災した多くの漁港で復旧が進み、活気が戻ることを願っているところでございます。
現在、漁業生産に必須な燃油、氷、また荷さばき所などの漁業共同利用施設においては、浜の活力交付金により施設復旧に係る十分の七の助成をいただいておりますが、震災によるマイナス状況を原状復帰するために多額の費用が発生しております。そこに加えて、震災の復旧事業で道路のインフラが開通したとはいえ、路面の完全復旧がされていない中、悪路によって、今まで積めていた荷物、トラックに荷積みしていた荷物が、約六割から七割程度しか積めず、途中で荷崩れしてしまうものですから、輸送費用も余分にかかっている現状でございます。
様々な支援を政府からいただいているところでございますが、漁業者が一日も早く操業できるよう、そしてまた、関係省庁の懸命な努力により漁港、港湾施設の復旧がなされているわけでございますが、多くの漁業者をなりわいである漁業に復帰させるためにも、漁業施設や漁港施設、共同利用施設の早急な復旧について、政府の見通しをお伺いさせていただきたいと思います。
○森(健)政府参考人 お答えいたします。
漁港の復旧につきましては、地盤隆起のない地域では、応急工事により全ての漁港で陸揚げが可能となっておりまして、今後、順次本格復旧に着手をします。着工後おおむね三年間で復旧工事の完了を目指しているところでございます。
また、地盤隆起が顕著な輪島市、珠洲市の十六漁港につきましては、漁業の再開を優先する十漁港中七漁港について応急工事を完了しているところでございます。引き続き、本復旧工事を進めることとしているところでございます。
共同利用施設につきましても、漁業活動の再開に必要な施設から順次復旧に努めております。御指摘のありました輪島港においても、ズワイガニ漁に間に合うように、荷さばき施設、給油施設の復旧を行ったところでございます。
引き続き、必要な施設の復旧に係る支援の方は行っていくこととしておりますが、農林水産省といたしましては、県、市町とも連携をして、現地に寄り添いながら、スピード感を持って取り組んでまいりたいと考えております。
○西田(昭)委員 一日でも早い復旧をよろしくお願いを申し上げます。
震災で多くの漁船等が被災をいたしました。被災した漁船を造船する場合に十分の九の補助が出る条件になっているわけでございますけれども、支払い期限、令和七年三月末がネックになっている状況でございます。造船所で船を造る場合、注文が同時期に重なるため、完成までに三年以上かかるそうであります。国の制度である以上、年度を越えることはできず、三年後もこの制度を使えるかどうか、漁業者も造船業者も新造船に踏み切れない状況と伺っているところでございます。
改めて、政府の所見をお伺いをさせていただきます。
○笹川副大臣 済みません、先ほど県外の業者は十四者と申し上げましたけれども、十三者ということで訂正をさせていただきます。失礼いたしました。
○森(健)政府参考人 お答えいたします。
御指摘につきましては、共同利用漁船等復旧支援対策事業についてということだと承知をしております。この事業につきましては、令和六年度の予備費及び補正予算において措置されているものでございますけれども、御指摘のとおり、造船所の問題によって新船建造を早急に行うことが困難な状況にあるという現場の声は承知をしております。
県とも十分連携をしながら、今後の状況も踏まえて、予算の繰越しなど必要な対応について検討していきたいと考えております。
○西田(昭)委員 是非とも寛大な対応をよろしくお願いしたいと思います。
最後に、被災した漁業者の操業再開がかなり遅れている地域や、操業に制限のかかった状態などの様々な理由から、漁船のリース事業、新リース事業において、操業再開が厳しい漁業者にとってリース料の支払いが負担になっているところもございます。猶予を希望する声も聞かれますが、政府の所見を伺いたいと思います。
○森(健)政府参考人 お答えいたします。
石川県では、このリース事業、延べ七十三件活用していただいているところでございます。
水産庁といたしましては、一月十九日に、この事業実施主体であります水産業・漁村活性化推進機構を通じて、リース事業者であります石川県漁業協同組合に対して、被災した漁船リース事業等の利用者のリース等の支払い猶予などについて配慮を依頼する通知を発出しております。実際に、被災によりまして操業に支障を来している漁業者の方々の支払いは猶予をされているという状況でございます。
引き続き、事業実施主体に対しましては、操業再開の状況を踏まえて適切に対応するよう求めてまいりたいと考えております。
○西田(昭)委員 能登の主力産業は第一次産業でございます。この第一次産業のなりわい再生こそが能登の復旧復興の第一義になると思っておりますので、是非ともこれからの御支援、御協力、よろしくお願い申し上げ、質問を終わりといたします。
ありがとうございました。
○御法川委員長 次に、平沼正二郎君。
○平沼委員 おはようございます。自由民主党の平沼正二郎でございます。
冒頭、ちょっと質問はいたしませんけれども、先ほど西田先生が能登の復興のお話をされておりました。私も、内閣府の大臣政務官として、防災担当として現地にも入らせていただいて、復興復旧に当たってまいりました。
その中で、やはり能登は本当に食材が豊かな地域であると思っております。白米千枚田に象徴されるような米であったり、あと、能登半島の奥能登で捕れる豊富な魚介、これは非常に日本の誇る文化であると思いますので、是非とも政府を挙げて、この復旧復興に全力でまた当たっていただきたいなと思っておりますし、今現地では、復興タスクフォースということで、現地の関係者が集まって話合い等々もしておりますので、是非、関係各省の皆さん方も連携して全力で当たっていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
それでは、本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
早速質問に入らせていただきます。
さきの通常国会において、農政の憲法と言われる食料・農業・農村基本法が四半世紀ぶりに改正をされました。まさに農林水産業は大転換期を迎えているのだと思っております。国際情勢がかつてないほど複雑で混迷を極める中において、食料安全保障という今まで余りなかった安全保障の概念が生まれたわけでございます。
さきの国会では、食料供給困難事態対策法も成立をいたしました。この飽食の時代に、食料の確保が難しくなるかもしれないというのは、なかなか一般の方が普通に生活していると想像し難い現実かもしれません。
しかしながら、現実には、日本の食料自給率はカロリーベースで三八%、生産額ベースで六一%と、先進国の中においても極めて低水準でありまして、輸入に多く頼っている状況なわけであります。ロシアによるウクライナ侵略において小麦の輸入に混乱が生じたのは記憶に新しいところでもありますし、現実的には、国内の消費を食の多様化が進む中において全て国産で賄っていくというのは現実的ではありませんし、輸入に頼らざるを得ないのかなと思っております。
しかしながら、緊急時に備えて主要な消費作物や原材料を確保するというのは極めて重要であります。そのためには、国内の生産基盤をやはり強固なものとしておかなければなりません。
やはり、考えてみると、日本の主食は米であります。米の自給率は現状ほぼ一〇〇%の状況ではありますけれども、例えば、輸入に頼っている先ほど申し上げた小麦などがウクライナ危機のような何らかの外的な理由によって手に入らなくなって、小麦粉を使用した食品が不足に陥って、需要が米に頼らざるを得ないような状況になった場合は、突然に米不足に陥る可能性というのが私は十二分にあると思っております。
記憶に新しいことですけれども、先般起こった、猛暑による影響やインバウンド需要の増加により一部店頭から米が消えてしまうというような現象が実際に起きたわけでございます。僅かな生産や消費の変動が米の価格や需給に大きな影響を与えるというのも事実であります。先日の農業新聞を読むと、今年、コシヒカリの不足が強まっているような情報も出ておりました。
食料の安定供給には、生産基盤の確保をし、十分な量の生産量を維持できるようにしなければなりません。とはいえ、これは先ほど申し上げましたけれども、国内の消費はある程度一定でありますので、生産量を増やして流通し販売するには、やはり私は輸出の拡大が必要不可欠なことであると考えております。平時の輸出は、有事の際には国内に回すことが可能なわけでありますし、現在は一兆一千億ほどまで輸出額が伸びたとありますけれども、これはまだまだ伸ばしていかないとと思っております。
輸出の拡大のためには、やはり輸入国の、相手先のニーズに応えて農作物を作るということも必要であると思いますし、今後、米の輸出拡大というのを考えていると思いますけれども、今現在、こういったところに関してどのように考えているのか、お教えいただけますでしょうか。
○笹川副大臣 今、様々平沼先生からの御指摘は、まさに私自身も共通した認識だというふうに思っております。
生産それから供給力を保持していく、維持していく上において、やはり国内での消費喚起、さらにはインバウンドにおける消費というものも大事な観点でありますが、いわゆる輸出と言われるものについて、お米も大きな役割を果たしていただけるものというふうに思っております。農産物の輸出については、やはり安定的に、量と、それから質と、まず価格の安定も含めて様々な要素があるというふうに思いますが、やはり、それぞれ相手国も食文化ありということもありますし、それぞれの市場調査も大事でありますので、マーケットインの発想というのは物すごく大切なことだというふうに思っております。
引き続き、いずれにいたしましても、オール・ジャパンの体制で輸出について取り組んでまいりたいというふうに思っております。
同時にまた、様々な取組を今現在積み重ねておりますので、直近の四年間で倍増し、昨年は九十四億円、三・七万トンというお米の輸出ということになっておりますので、引き続き、やはり相手国の市場調査をしっかりしながら努めてまいりたいというふうに思っています。
○平沼委員 ありがとうございます。
まさしく、答弁をいただいたとおり、私もそう思っておりまして、やはり、消費をしてもらう国のターゲットだったり、その分析だったり整理というのも非常に必要だと思っております。
例えば、今、おすしとかおにぎりがブームになっているようでございますけれども、これが果たして永続的なものなのか一過性のものなのかというのは十分捉えないといけないと思っておりますし、海外においてやはり安定的な消費がつくれるような状況をつくっていく、そのための分析というのが非常に重要だと思っております。
例えば、お米を考えると、日本はジャポニカ米でございますけれども、海外を見ると、お米の生産量の八割はインディカ米であったりするわけであります。では、ジャポニカ米であるこの日本のお米をどのように売れるのか、売れる状況をつくっていくのかというのが非常に重要なんだと思っております。
現在は、パック御飯であったり、こういったものがフォーカスされておりますけれども、例えばグルテンフリーの米粉をもっと売り込んでいった方がいいんじゃないかとか、例えばヘルシーな米油みたいなものを考えていくとか、その辺りも踏まえて、いろいろな観点からしっかりとターゲット把握をしていただいて、今後の輸出拡大に引き続き取り組んでいただきたいなと思っております。
次に、お米の消費に関してお伺いをいたします。
お米の一人当たりの消費量は、一九六二年度をピークに減少傾向でありまして、ピーク時は年間約百十八キロのお米を一人当たり消費をしていたということでございますけれども、二〇二二年度は約五十キロまで減少しました。
百十八キロという当時のピークは、これは年間一人当たり約二俵、米を食べていたという計算になると思うんですけれども、今、半分になっているので、一人一俵も食べているかなとは思うんですけれども、食の多様性で様々なものを食べるようになってきておりますので、劇的に米の消費を増やしていくというのも難しいとは思っております。我が家も、大体、朝食がパンだったりするわけでございますし、だから、これは私個人的にも努めていかないといけないかなと思っております。
一方で、米の消費が増えてきたというアンケート結果のような記事も一部目にしておりますけれども、これは、お弁当を持っていく機会が増えたとか、コロナの影響とかそういうのもあるのかもしれないですけれども、やはり腹もちがいいとか、こういった、どちらかというと経済的な停滞が要因のような実績データも出ておりまして、これはやはり経済が復調基調になると、またお米離れが進む可能性もあるということですね。
そこでお伺いをいたしますけれども、生産基盤の確保には輸出の拡大や担い手の確保も重要でありますけれども、先ほど述べたとおり、足下を支えているのはやはり国内の消費であると思っております。特に、お米の国内消費の拡大に関しての取組が今どうなっているのか、教えていただけますでしょうか。
○松尾政府参考人 お答えいたします。
我が国の食料安全保障を確保する上で、主食であり自給可能な米の消費拡大は、非常に重要な課題と私どもも認識しております。
このため、消費拡大に向けまして、米飯学校給食の推進に加えまして、日本型食生活の実践促進でございますとか、米と食料安全保障に着目した情報発信など、消費者の理解の促進に努めているところでございます。
また、先ほど御指摘のありました食の簡便化に対応しましたパック御飯、こういった工場の整備でございますとか、米粉の製品の開発、あるいは製造施設の整備への支援、こういったことに取り組んでおりまして、ここ十年間で、生産量につきまして、パック御飯は五八%、米粉は四六%増加しているところでございます。
今後とも、こうした取組を更に進めることによりまして、米の消費拡大を図ってまいりたいと考えております。
○平沼委員 ありがとうございます。
様々な施策を取られているということでありますけれども、やはり国民一人一人の意識を醸成していくというのも私は非常に重要だと思っております。
私の地元だと、学校給食で地元のお米を使ってもらって、どういうふうにお米が作られているのか、そして、自分でちょっと作ってみて、それが実際に給食に出てくる、こういった活動もしておりますけれども、やはり、地道な広報活動もあるのかなと思っておりますけれども、今、お米農家の平均年齢は六十七・八歳であります。このまま担い手不足が続くと、当たり前に今のように国産のお米が手に入らなくなるかもしれないということを国民の皆様一人一人が知っていただく、これを食料安全保障の観点からも知っていただくというのが今後ますます重要になると思いますので、引き続きの啓発の活動もお願いをしたいと思います。
次に、生産基盤の確保の観点からお伺いをいたします。
私の地元でもそうなんですけれども、やはり耕作放棄地がかなりのペースで増えております。私の地域は、中山間の地域で、過疎化も進んでいるような地域でございますので、一度生産しなくなった農地を元に戻すというのはかなりの労力がかかるわけでございます。
先ほどから述べておりますとおり、食料安全保障の観点からも、安定した生産を確保するためには農地の保全が大変重要であります。また、放棄地が増えると、治水が滞って、災害の発生のリスクも高まってくるということになります。
よって、今後の農地の保全はまさに喫緊の課題であるわけでございますけれども、その対応に対して、農地に関わる関係者、市町村、農業委員会、土地改良区などが地域計画を策定して、農地バンクを活用して、遊休農地を含め所有者等から借り受けて、農地の集約化等を進めていると承知をしておりますけれども、貸し先等に経営力の高い企業経営体を積極的に活用するのがいいのではないかなと私は思っているんですけれども、その辺りの見解をお伺いできますでしょうか。
○庄子大臣政務官 お答えを申し上げます。
今委員御指摘のとおり、全国各地域で地域計画作りを進めていただいております。平野部であればいざ知らず、御地元のような中山間地域、大変御苦労されているというふうに承知をしています。
私も直接伺うケースもございますけれども、担い手がいない、このままでは自分たちの農地を守っていくことができない、そういう非常にシビアな御意見を伺っておりまして、恐らく来年の三月末までにこの計画が出そろってきた段階で、いわゆる受け手のいない白地農地、これが大分増えているんだろうなというふうに想像しているところであります。そういう意味で申し上げれば、今委員御指摘のとおり、いわゆる一定規模の農地を引き受けてくれるような法人経営体、ここの期待が非常に大きくなってくるだろうというふうに理解をしております。
農地バンク、農業委員会など、関係機関が一体となりまして、より広域的に、近場にそうした法人がいない場合もありますから、情報収集やマッチングを通じまして、法人経営体の活用を含めて、他産業や地域外からの参入を促進してまいりたい、そう思っております。
○平沼委員 ありがとうございます。
例えば、私の地元に企業があるんですけれども、そこが、本来は工業向けの製品を作っていて、自動加工ラインなんかを作っている、一見、全然農業と関係のないような会社があるんですけれども、ここは、実は、定年退職後の社員をそのままもう一回雇って、農業アグリのビジネスを今展開しております。これは一石二鳥というか、自分のところの再雇用した方に働いていただいて、自分のところで遊休農地を買い取って、工業用製品を作りますので、農業DXなんかも実は自分のところでつくって、複合的にこうやって地元貢献をしたいというところもあって。実際のその企業の経営自体は、元のやはりそっちの方がありますので、経営体力的にもあって、こっちの農業の方で少し赤が出ても、それを吸収しながらもできるような仕組みになっておりまして。
是非、今後やはり、こういった会社も実際あるわけでございますので、いわゆる農業の本当に関係したところ以外のところにも裾野を広げていって、先ほど情報収集も図られているということもありましたけれども、やはり、そういうところも含めて、地域全体でしっかりと農業を守っていくんだというような、こういった取組というのも是非期待をしたいところであります。
次の質問に移ります。
さて、現在、政府全体では、物価高を上回る賃上げに全力で取り組んできておりますけれども、デフレからの完全脱却を図るためにもこれは不可欠であると思っております。そのような中、当然、第一次産業に携わる皆さんも、安定的な適正な収入が入るようにする必要があります。担い手不足の大きな原因の一つとしては、やはり労働対価に見合った収入を得られていないという側面があります。肥料価格の高騰や耕作機械のコスト増なども問題になっておりますけれども、最近は、幸いに米の価格が上がってきたというのも一時的にありましたけれども、やはり、こういうのを継続的なものにしないと農家はもってこないと感じておりまして、その他、米以外の農作物も適正な価格が維持されることが農家を永続させるためには重要な局面に来ております。
所信の中でも大臣は述べられておりましたけれども、合理的な価格形成における新たな仕組みづくりには、現状、どのような課題があると思っているのか、認識をお伺いしたいと思います。
○江藤国務大臣 これは、大変、地域を回られると現場の期待が大きいなということを感じていらっしゃると思いますが、農家の方々は、作ることは一流だけれども、価格形成に一切自分たちは関与できない。このことは、やはり農家のフラストレーションとしてずっとたまってきました。
最初は牛乳とそれから納豆と豆腐、この三つだけということで始めました。最初は、正直、大変がっかりされました。やはり実現可能なものからまずやらなければならないだろうということでやったんですが、その後、党内でいろいろ議論をして、それに加えて米も入れろ、そして野菜を入れようということにしました。野菜も、十四品目、指定野菜があったりして、いろいろありますが、野菜も入れようと。
フランスのエガリム法は、基本的には畜産物を中心にやっているものでありますが、他国の制度について評価することは避けなければなりませんけれども、農家の評価は余り高くないというのは現実としてあると思います。ですから、難しい調整にはなると思います。しかし、かなり精力的に生産、流通、販売、そういう方々を集めて、意見交換を重ねてきました。かなり煮詰まってきた感じがします。
ですから、何とかして来年の通常国会で出さなきゃなりませんが、まずコストを把握しなきゃなりません。今、青申をしている農家は四〇%しかいません。農家がどれだけの生産コストがかかっているかということをやはりはっきり最終的に示さないと、なかなか価格転嫁は難しくなるだろう。それと、取引が優越的な地位の濫用であったり、そういったことにならないようにするためには、公正取引委員会あたりの協力も必要になるかもしれません。
最終的には、今委員がおっしゃったように、今、エンゲル係数は上がっているとか、実質賃金が物価上昇を上回っていない、この状況を早く脱出しないと、購買力が最終的な消費者の方々にないと、価格になかなか納得していただけないだろうと。ですから、しっかりとした経済対策もセットでやらないと、この法律を出しても実効が上がらないおそれがありますので、景気回復が最終的には大変大事になるんだろうというふうに考えております。
○平沼委員 大臣、ありがとうございます。
これは非常に、なかなか難しい調整があると思いますけれども、私も、しっかりと党内の議論に入って、引き続き皆さん方と一緒に頑張ってまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたしまして、質問を終わります。
ありがとうございました。
○御法川委員長 次に、金子恵美君。
○金子(恵)委員 立憲民主党の金子恵美でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
江藤大臣におかれましては、五年ぶり二度目の農林水産大臣就任ということ、改めて、おめでとうございます。お祝い申し上げます。
そして、大臣の所信では、時にはこれまでの殻を破る大胆な政策転換にも挑み、これらの課題に取り組んでまいりますとおっしゃっておられました。大臣の意気込みを感じつつ、でも、万が一、間違った方向に行ってしまってはいけないわけで、そういう大転換でないこと、政策転換でないことを願いながら質問させていただきたいというふうに思います。よろしくお願いします。
最初に、能登半島地震そして豪雨被害からの農林水産業の再開に向けての支援についてお伺いするところではありますけれども、先ほど、ほかの委員の方も質問をされました。私からは、改めて確認をさせていただきたいというふうに思います。
切り口を変えますけれども、今回の補正予算は修正されて可決いたしましたが、これは憲政史上初ということで、我々の立憲民主党の提出いたしました修正案の一部を反映させた形でありました。その部分としては、能登半島を支援する一千億円というものが実質増額ということになっております。
中身については、丁寧に、使い道をしっかりと、本当に現場のためになる、被災地のためになるような形でつくり上げていくということ、活用していくということになっていくと思いますけれども、このことも含めまして、大臣は、今国会から熟議の国会でなくてはいけないというような、そういう御趣旨の発言もされておりますから、このような経緯を見ても、やはり私たちが提案したものについては丁寧な対応をしていかなくてはいけませんし、また、今回の能登半島地震そして豪雨災害からの第一次産業の再生というのはとても重要な課題でもあり、先ほどもお話がありましたけれども、心が折れている方々もいるでしょうと。でも、心が折れる前に対応しなくてはいけないと思います。
大臣の意気込み、あるいは決意をお示しいただきたいと思います。お願いいたします。
○江藤国務大臣 まず、最初におっしゃった、大胆にやりたいと思っております。この職に再び就かせていただいて、役所の諸君には、これまでの農業政策を全てテーブルの上にのせて検証しようということを申し上げました。それは、これまでは自公で安定過半数を持っておりましたから、自公でしっかり議論すれば済んでいたことでありますけれども、今回は違いますので、先生方の御意見はしっかり聞きながらやらせていただいて、転換して、それで間違ったということであれば切腹物ですから、それは責任を持ってやらせていただきたいと思います。
そして、一千億については、よかったというふうに思います。やはりメッセージ性として、立憲さんにとってよかったということではなくて、被災地の方々が、やはりこれだけの大きなお金が別枠でしっかり措置されたということは励ましにもなりますので。ただ、おっしゃるように、使い道だと思います。
ですから、先ほどから申し上げておりますように、地震でやられ、大雨でやられ、心が折れたと先ほど申し上げましたけれども、まだ折れていない方もたくさんいらっしゃる。しかし、これが手当てが遅れれば、更に諦めてしまう人が増えてしまうわけですから、今回の補正予算も生かして、これはどのような使い方をしたらいいのか、それはもう西田先生や近藤先生が一番よく知っていることでありますから、やはり、被災地の選出の国会議員の先生方、自治体の長、それから地方議会の先生方、そういった方の御意見をしっかり聞きながら、まさに熟議をしながら決めていくことが適切だろうと考えております。
○金子(恵)委員 ありがとうございます。
我が党の近藤和也議員が、本当に現場を走り回って、必死になっていろいろな情報をかき集めて、そしていろいろな方々に寄り添ってきた、そういう結果としてこの一千億円を獲得することができたというふうに私は思っていますが、それを有効に是非活用ができるように、大臣からも応援をしていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
もちろん生活再建がまず第一でありますけれども、命と同じぐらい、なりわいを大切にされている方々が多くいるということを忘れないでいただきたいと思います。
そして、私は福島県の人間でございますので、やはり福島県、東日本大震災原発事故から十三年と九か月たっているということでありますけれども、大臣は、二回目の大臣就任後初めてということで、十一月の二十日に福島入りをしてくださいました。
そのときには、いわき市では県漁連の野崎会長とも面談された、そして富岡町では農業者との圃場視察をされ、そして浪江町ではふくしま森林再生事業実施地区を視察されたということの情報はいただいているところでありますけれども、大臣、五年前に視察をされたときもありますが、そのときと比較すれば、もちろん前進しているところはあるというふうに思います。しかし一方で、例えば帰還困難区域もありまして、まだまだスタートラインに立つことができない、そういう地域もありますし、多くの課題を残しております。
大臣の所見をお聞かせいただきたいというふうに思います。
○江藤国務大臣 五年前に見せていただきました。そのときに比べれば、確かに様々なものが見事に造り上げられて、地元の方々の御努力に敬意を表するところであります。
しかし、道を走れば、帰還困難区域も通りました。放棄されてしまった家が草むしてしまって、まさに建てたばかりだったろうなという家が廃墟になっている姿、あれはケーズデンキだったですかね、家電屋さんが一か月後に開店する予定だったのに放棄になってしまった現場とか、そういうのを見ると、やはり全くまだまだだなという感想であります。
そして、様々な意見交換をさせていただきました。漁連に行ったり様々させていただきましたが、そのときに一番私の印象に残ったのは、茨城県から富岡町に参入したつくば良農という方々、若い青年で非常に意欲があって、気候がいいので非常に農作物もよくできて、いい値段で売れていて、いいよという話でしたが、しかし、彼が言った言葉で私の胸に残ったのは、買うときに購買者の方が何となく何となく福島のものを避ける、二つあったら、何となく福島じゃなくてこっちを買おうかな、そういう傾向を感じますというふうに言っていました。
科学的エビデンスもなく、全く、もうこれだけの時間がたっているにもかかわらず、まだそれほど深刻な風評被害に苦しんでいらっしゃるのかということはちょっとショックでした。もういいかげんにしてほしいなと思いますが、しかし、これは我々の努力不足もあるんだろうと思います。
ですから、もう早く、線量が多いところは科学的エビデンスに基づいて少しずつ解除していかなきゃ仕方がありませんが、ただ、残土の話もあります。表皮を剥がして、東京ドーム十一個分ぐらいのものを処理しなきゃいけない、これを日本全体として処理しなきゃいけない。
様々な問題がありますが、しかし、内閣としても、福島の復興なくして日本の復興なしということを申しておりますので、農林水産省としてもしっかり取り組んでいきたいと考えております。
○金子(恵)委員 ありがとうございます。
決意をお伺いしましたが、ただし、今回、大変恐縮ではありますけれども、この後ちょっと申し上げさせていただきますと、原子力災害被災十二市町村における復興再生の加速化を支援する、福島再生加速化交付金というものがあります、御存じだと思いますが。行政改革推進会議が実施した秋の行政事業レビューの対象となってしまっているんですね。それで、農業分野についても指摘をされているということでありまして、もし大臣が今のような御認識を持って、まだまだ復興は道半ばである、そして、第一次産業、特に農業はまだまだ本当に、例えば戻ってきている方々も多くはない地域もありますし、そういったところではやはり環境整備をしっかりやっていかなくてはいけませんので、このような福島再生加速化交付金、必要なわけです。
しかし、これを見直しせよというようなこの行政事業レビューがあったことについては、福島県知事も伊藤復興大臣と面談をされまして、強い懸念を直接訴えた、伝えたということでありますし、また、そのときには伊藤復興大臣は、県とよく相談し検討する、心配しないでほしいとおっしゃってはいたそうです。
でも、どうなっていくのかというのは見通しがまだ立っていないわけでありますし、実際に、この加速化交付金は、帰還、移住等環境整備というものが八割以上を占めていて、その半分弱は農業施設等の整備関係となっているわけなんです。一回目から四十七回目までの配分額の四六%は農林水産業の再開のための環境整備ということで、圃場、用水路、施設、ため池等、こういうものに対応できるという中身になっています。
こういうものがやはり行政事業レビュー等でチェックされてしまう、指摘されてしまうということについては、被災地としては本当に残念でならないというふうに思っておりまして、このことについても、伊藤復興大臣同様、もちろん江藤農水大臣におかれましては応援をしていただきたいと思うんですが、所見をお伺いしたいと思います。
○江藤国務大臣 財政審もありますし、様々な方が様々なことを言われますよ。言われますが、我々は政治家ですので、現場を歩いておりますので、現場の方々の声を直接聞いておりますので。そして、もうこれだけの時間がたっても先ほど申し上げましたような状況でありますから、私は伊藤復興大臣を全面的に支えていこうと思っています。
○金子(恵)委員 ありがとうございます。期待したいと思います。
そして、今大臣触れていただきました、財政審のこともあるしということでありましたが、そのとおりでありまして、財政審のメンバーの方、余りにも農業の現場を知らな過ぎるんじゃないかなと。そうでなければ、このような建議というものは出てくるはずはない、取りまとめるはずはないというふうに思うんですが、財政審の建議の中でこういう部分があるんです。「本質的に重要なのは、「農業の行く末は財政支援の多寡にかかっている」という発想から脱却し、法人経営や大規模化、輸出の推進等、可能な努力を積み重ね、多額の国民負担に支えられている日本の農業を自立した産業へと、まさに「構造転換」を果たしていくこと」だとあるんですね。
国民の負担に支えられているといっても、国民のための食の安全保障を構築するための農業だと思いますが、こういう文言が入っているということ自体、本当に大問題だというふうに思っています。
これまでも予算委員会などで、江藤大臣と委員の方々とのやり取りというものの中では、やはり、例えば水活の問題もありましたし、財政審が飼料用米を水活の対象から外すということについては、大臣も、そんなことは絶対させないというような、心配無用ということでしょうか、そこは確認をさせていただきたいと思いますけれども、そういう御意見もありましたし、一方で、例えば中山間地域等直接支払制度の集落機能加算廃止とか、こういうことを農水省も言ってくるわけなので、本当に大丈夫なのかなと、ちょっと心配はしています。
大臣、御意見どうでしょう。
○江藤国務大臣 御意見は御意見として承る責任があります。御意見は御意見として、御意見でありますから、意見を言うのは自由ですから、好きなように言うていただいたらいい。
いろいろ言われましたね。今言われたように、国民の負担によって支えられている。言われるとおりですよ、最終的な受益者は農家のような言いぶりですが、そうではなくて、我々は、今回の、食料安全保障を確立するために基本法の改正を行いました。受益者は国民であって農家ではない、そこはもう全く認識の差だと、先生と全く同意見であります。
飼料米についてもいろいろ言われました。それは、飼料でありますから、我々も、いわゆる一般品種を飼料米に出すか主食用米に出すかについて、いわゆる両股をかけるような部分が残っています。その部分については、御存じのように、五千円ずつ下げる政策をやっています。これはやらなきゃいけないと思っておりますが、ただ、熊本あたりでは、TMRセンターでしっかり契約をして、飼料用米が地域の重要な飼料としてもう定着しているんですよ。そういうようなところがいきなりやめたら大混乱ですよ。
そして、飼料用米への支援が極端に減るということになれば、当然作付は主食用米に向かうわけでありまして、そうなったときの米価が果たしてどうなるか、その米価を支えるために、じゃ、どれほど財務の方々もまた心を砕かなきゃいけないかを考えると、私は議論がかなり乱暴だなと思っております。
私は、最初に言いましたように、意見は意見として承るという立場ですから、聞きおきますという立場でございます。
○金子(恵)委員 聞きおきます、承ります。受け止めるけれども、心配無用と言っていただいていいんでしょうか。
○江藤国務大臣 言いなりになるわけがなくて、彼らの言っている方向性と私の考えている方向性は合いません。
○金子(恵)委員 明確に、財務省の言いなりにはならない、あるいは財政審の言いなりにはならないということをおっしゃっていただいた。期待したいと思います。
これまでも決して農林水産予算は潤沢にあるわけじゃないです。そして、いつも補正予算で何とかカバーしている、そういう形、こういう文化ができてしまっている。いつも弱い立場、そんなことはあってはいけないんです。大臣、強いリーダーシップを発揮していただける江藤大臣に期待したいというふうに思います。
切り口も、さっきおっしゃっていただいた主食米とそして飼料米とのバランスの問題というのはあると思いますけれども、実際に、水田農業政策を語る上で、やはり飼料用米とかホールクロップサイレージ用の稲とか、そして飼料作物など、全体の栽培面積を増加させること、これはやはり耕畜連携の基盤を拡大することに通じていくだろう、実際に国内畜産をも支援するということにもつながっていくんだろうなというふうに思いまして、最終的に食料安全保障の確保に資するといった方向性、こういうものがあるわけなんですが、そういうことすら多分財政審の中では語ることはない。ただ大規模化すればいい、効率化すればいい、国民の負担を減らせばいい、こういうことだと思うんですね。
でも、国民の皆様には、ここまでの負担はしていいんだ、自分たちのところにしっかりとそれが戻ってきているんだということをやはり明確にするような、そういう議論というのはしていかなくてはいけないと思いますし、それは実際、私、食料・農業・農村基本法の改正のときにしてもらいたかったと。つまりは、消費者の皆さんをやはり巻き込んで、もっとしっかりと議論をすべきだったと私は思います。それが、当時、あのときは、政治と金の問題もあったかと思いますけれども、なかなか十分な議論をしないまま、そして、我々野党の修正案もほとんど認めてもらえず、修正をかけることもできなかったので、今となっては、基本法の再改正もしたいという思いが実際にはあります。
そういった中で、確認をさせていただきたいんですけれども、今大臣は、財政審の建議、意見は違うということをおっしゃっていただいたので、そうすると、この建議の中にあります構造転換と大臣の所信的発言の中にあります構造転換、これは同じ方向を向いているわけではないということで確認をさせていただきたいと思います。それでよろしいですか。
○江藤国務大臣 念のために申し上げておきますが、全く財政審の言っていることは的外れだと言っているわけではないんですよ。例えば、備蓄についてもいろいろ言っていますが、平成十三年に備蓄を百万トンに決めました。そのときの国内消費は九百万トンだった。今、七百万トンまで下がってきました。そういう、客観的に数字だけを見れば、蓋然性が変わったんじゃないかという指摘は一理はありますよ。
ただ、今、基本法はちょっと、再改正というお話はちょっとぴりぴりしますが、基本計画に向かいたいので、何とかのみ込んでいただきたいと思っているんですけれども。
そんな中で、食料安全保障を確立する、国民のためにこれはしっかり備蓄をしているんだ、これを減らしたときに国民がどう受け止めるか。あれ、大丈夫か、これだけ世界の人口は爆発的に増加をする、様々な国で紛争が起こっている、日本に輸入されるものの九九%は海路で運ばれている、もし台湾有事が起こったときに日本は大丈夫なのか、様々なやはり意見は出ると思うんですよ。
ですから、我々が目指している方向は、この基本法の改正に基づいて、先生言われるように、これから先は、消費者の方々の理解が必要ですから、合理的な価格形成のための法律を国会に出すんです。合理的な価格形成ですから、これは画期的だと思うんですよ。生産、流通、加工、そして販売、購買者の方々が、消費者の方々までテーブルに着いていただいて議論しているわけでありますから、そのことによって国民理解の醸成も図られていくのではないかというふうに考えております。
○金子(恵)委員 適正な価格形成というのはどういうものなんだろうということもしっかりと議論をしなくてはいけないというふうに思いますし、物価高騰で大変苦しんでいる国民の皆さんの思いというものも受け止めつつ、どんな制度をつくっていくかというところはしっかりと注視していきたいというふうに思います。
できれば、やはりこれは生産者の所得の問題というのを考えていかなくてはいけないわけですから、単に、高く売れて、そして所得をたくさん得られればいいという仕組みにはそう簡単にはならないはずで、それを考えたときに、もちろん、これまでも議論をしてきました、生産者に対する直接支払い、新たな直接支払いの仕組みもちゃんとしっかりと今後議論をしていかなくてはいけないというふうに思っています。
それも含めてということになると思いますが、今、食料・農業・農村基本計画、これが策定作業が進められているということでございますが、ちょうど、大臣、五年前も、大臣が農水大臣でいらっしゃったときに今の食料・農業・農村基本計画が策定された。そして、今度は新しい基本法、改正基本法に基づきまして計画が作られるということです。そうすると、新旧の基本計画、両方に携わっていただいているということになりますので、是非、これはもう大臣にしか聞けないと思うんですが、やはり現行の基本計画の検証、評価、そして反省を徹底的に行っていただいた上で、よりよい計画を作っていただきたいというふうに思いますが、その意気込みをお伺いしたいと思います。
○江藤国務大臣 私、大臣に就任したときに、これまでの農業政策を続けていては未来がないということを申し上げました。ですから、当然この五年前の基本計画についても、まず反省に立つ、そして検証をしっかりやるということは当然だと思いますが、反省も検証もなくして新しいものを作るということはあり得ません。全く御指摘のとおりだと思っています。
その上で、私が今考えていることは、まず現状をしっかり把握しなきゃいけない。そして、それについて課題を解決するために具体的な施策をつくらなきゃいけない。それには、KPIをしっかり設定しようというふうに考えております。そして、適切なタイミングでPDCAサイクルをしっかりと回して、そして施策の見直し、そしてKPIの検証をしっかりやることによって、新しいものをつくっていきたいと思っておりますので、やはり、計画を作って、しまいということではなくて、作った後も検証できるような仕組み、こういった面も含めて基本計画を作っていきたいというふうに考えております。
○金子(恵)委員 今おっしゃっていただきましたが、反省も含め、しっかりとこれまでの検証をしていただいて、そして新しい計画を作っていただけるということです。我々もしっかりとこの策定の流れの中で様々な発言はさせていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いします。
そして次に、地域計画について質問させていただきたいと思います。
江藤大臣の御発言の中では、食料の生産基盤である農地が地域で適切に利用されるよう、地域計画の策定を進める、その上で、地域計画に基づき、農地の集約化や計画的な保全などを進めていくと述べられていますが、来年の三月末までにこの策定をするということになっておりまして、実際には予定されているのが千六百三十二市町村の二万二千百三十五地区ということで確認をさせていただいていますが、実際にこのスタートラインとなる協議の場を設置した地区は約八割の一万八千二十二地区ということで、残りの二割はまだスタートラインにも立っていないということです。
あと数か月でどこまでできるんでしょうかということと、実際に地域計画の策定、公示まで行った地区は僅か六百三十五地区にとどまっているということで、この状況は今年の七月末の数字ではあるということですけれども、まとまった数字はないということを農水省の方からレクのときに聞きました。でも、それにしても、余りにもちょっと進捗率が悪いんじゃないかなと、そこをまず懸念をしているということなんですが、その辺のところで、しっかりと現場に対する支援等を行っているのかどうか、確認をさせていただきたいと思います。
○江藤国務大臣 私も、報告を受けたときに、もう大分前ですけれども、大臣になる前ですけれども、おい、大丈夫か、こんなペースで、来年の三月はもうすぐ来るぞと。多分二、三か月前に聞いたので、もう半年もないぞという話をしたのを覚えております。今朝方も話を担当課とはいたしましたが、八割はテーブルに着いてくれていると、八割はですね。かなりかなり熱っぽくやっていただいておりますと。本当か、本当に大丈夫なのかというふうには確認はいたしましたが、私の目を見て、頑張っていますと言うので、まずは職員を信頼したいと思います。
しかし、三月三十一日という期限まででは間に合わないところも出てくる可能性は私はあると思うんですよ。それぞれの事情があると思います。先生のおっしゃるように、国からのサポート、農政局からになるのか本局からになるのか、いろいろ形がありますが、サポートが必要だというところにはしっかりサポートしたいと思います、いよいよ大詰めですから。
それでもできなかったところは、当然ペナルティーがあるわけじゃないので、できなかったところについても、そうならないことを目指してもちろんやりますが、そうなっても、この地域計画は将来の設計図を描く上で極めて重要ですので、できる限り全ての地区でしっかりしたもの、いいかげんなものは困るので、取りあえず出しておけというのではいけないので、しっかりとしたものを作っていただけるようにサポートしていきたいと考えています。
○金子(恵)委員 是非サポートをお願いいたしたいと思います。
それで、地域計画の中には目標地図が含まれるということでありますけれども、その目標地図については素案を農業委員会が作成するということになっておりまして、心配なのが、例えば農業委員と農地利用最適化推進委員の併存配置という問題がずっとあるんですけれども、このことによって、併存ということで、一体的な運営に支障がもし出ているのではないかというようなことを懸念しているところもありまして、全国農業会議所創立七十周年記念式典を兼ねた全国農業委員会会長代表者集会というのも十一月二十八日に開かれまして、その前後で私も農業会議の皆様方とやり取りはさせていただいているんですが、やはり、その中に入っている農業委員と推進委員の併存配置の見直し、すべきじゃないかと。一体となっていて、なかなか様々な事業を進めることができない、運営が難しいので、これを見直してほしいという声もあるわけです。
そういうことが、もし、例えば地域計画を策定する上でも何かしわ寄せというか、そういう課題になっているのであれば問題だというふうに思いますので、その点について、この見直しというのは、地域計画がある程度策定できて、落ち着いたらばやっていくような、そういう趣旨のことを実は前の坂本大臣は、私がこの委員会で五月に質疑をしたときにおっしゃっていました。
ですので、江藤大臣のお考えをここでお聞かせいただきたいと思うんですが、この見直しについての御所見はありますでしょうか。
○江藤国務大臣 今おっしゃっていただいたように、地域計画を作る上では、農業委員の方々も最適化推進委員の方々も今現場で頑張ってくれています。三月三十一日は近いので、この段階で最適化委員の方々に、あなた方はこうですよという話をすると、ちょっと、アクセルを踏みながらブレーキを踏むような話になってしまわないかなと思いますので、坂本大臣、友達なので、聞いていなかったのでちょっと困っているんですが。
私も同じ意見はたくさん聞いていますよ。任命制になったということから始まって、それで、二つになって、ガバナンスも難しいし、どっちが上なのか、対等の立場なのか、どんな役割分担なのか、よく分からぬという話は聞いているので、それはやはり、もし見直すということであれば、もう一回しっかり、しっかりある程度時間をかけてお話合いをさせていただいた上でこれは方向性を決めていきたいというふうに私は思います。
○金子(恵)委員 分かりました。
丁寧に、現場の声を聞きながら、見直しをするのかどうかも含めての検討なのかもしれませんけれども、よろしくお願いしたいと思います。
それとともに、ちょっともう時間が限られているんですが、最後の質問になりますが、土地改良法の改正です。
これは、これを目指していくということは明確にされています。そして、そろそろいろいろな中身について、報道ベースではありますが、私もいろいろな情報を少しずつ得ることができるようになってきているわけですが、やはりここでも、計画を作れという話になっているんですね。水土里ビジョン、仮称ですが、それを策定をするという上で、今の地域計画とまた同じような内容になるのか、どの辺で重なり合うのかも含めて、そして、余り負担というものがあってはいけないというふうに思いますので、是非この部分も含めて土地改良法の改正、土地改良法の見直しというのをしっかりと進めるべきだというふうに思います。
現場に何かプラスに本当になっていくのかどうかだけ、お聞かせください。
○江藤国務大臣 先生が御懸念を持っていることは分かります。
例えば、水土里ビジョンがあって、そして地域計画を作っている人がいて、人は重なっていたりして、別々のだったらちょっと相反したりした、そしてまた土地改良区があって、ばらばらになると困るよねという話ですけれども、土地改良法も含めてこれから改正してまいりますが、この水土里ビジョンについては、土地改良区の中で、例えば水門とか水路とかを誰が守るかという個別のパーツについて話をするものでありますので、決して矛盾するものにはならないというふうに思っています。
これから土地改良は大変だと思います。水害が起こったときには命を張って水門まで行く、そして一生懸命やったのに文句を言われる、中には流される人も出てきたりしてしまうこともある。ですから、今後は、予算的にも、例えば水門の開け閉めについてスマート化をすることも考えていかなきゃなりませんし、様々なことも含めて、この土地改良法の改正は地域にとっていいものにするように努力をしていきたいと考えております。
○金子(恵)委員 時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。
○御法川委員長 次に、野間健君。
○野間委員 立憲民主党の野間健です。
本日は、江藤大臣が御就任されて初めての質疑ということで、改めて、大臣の御就任おめでとうございます。
ここ数年の農林水産大臣、鹿児島、長野が入りましたけれども、熊本、鹿児島、そして宮崎と、南九州に集中して農林水産大臣が出ております。これは、私は、偶然ということではなくて、やはり、今日の質疑のテーマですけれども、我が国の一大畜産地帯を抱える南九州が今非常な危機的な状況に陥っている。これを、やはり現場を知る、現地を知る議員の先生方が責任を持ってこれにきちっと取り組む、対処する、そういう一つの使命がある。そういう中で南九州からずっと出ているのではないかということを私は思っているところであります。
十月の初め頃、大臣もしょっちゅう地元の子牛の競り市に行かれているということですけれども、私も地元の競り市に参りまして、こんなことを繁殖農家の方から聞きました。
この人は、ちょっと離れた地域の、かなり大規模にやっている、繁殖、肥育もやっている友人が、生産者がいると。その人に何度か電話をしているんだけれども、何回電話しても出ない。どうしたのかなと思って、そこはちょっと離れたところですけれども、行ってみたそうなんですね、その農場に。普通であれば、畜舎に行けば、牛の鳴き声があり、いろいろな人が餌をやっている、そういう騒々しいところになるわけですけれども、行ってみたら、しいんとして、牛の鳴き声も聞こえない、人もいない。どうしたんだろうと思って畜舎の中に入っていったら、本当に痛ましいことなんですけれども、牛の骨がそこに散乱していたというんですね。
その人はすぐ分かって、ああ、そうだったんだと。この生産者の人は億単位の借金を、畜舎を造ったり、機械を導入してやっていた。そしてまた、何よりも毎月の餌代が一千万とかそれぐらいかかっているところだったので、これに耐え切れずにこの人は出ていってしまったんだなと。
ただ、この生産者の人の気持ちを考えれば、自分が本当に手塩にかけて育てた牛を置いていって出ていってしまうというのは、もう本当に身をちぎられる、胸の張り裂ける思いでこういう行動を取ったと思うんですね。これは、その一か所のみならず、何か所かで私はそういう話を聞きました。
なぜここまで、これはもう限界を超えていますね。そんな状況に今なっていることはもう大臣も恐らく御存じのことと思いますけれども、なぜこうなってしまったのか、どういうふうに大臣はお考えになっておられますか。
○江藤国務大臣 原因については様々あると思います。
まず、一番の価格暴落のきっかけになったのはやはりコロナだったですね。コロナになって、もう屠畜もできない。屠畜もできなくて、流通どころじゃない、売るどころじゃない。屠畜さえもできない状況まで追い込まれました。そして、コロナ禍で非常に宅食が増えてしまった。外食をしなくなった。それで、家で食べるとなると、やはり家計を考えますから、高い肉を買うよりも、ちょっと、和牛よりも、外食で食べるよりも、国産のやつよりも輸入牛肉を買おうか、それがやはり定着してしまった。
そして、コロナ明け、インバウンドで大いに期待をしておったんですが、インバウンドは、来る割には余り食べてくれていないという現状があります。
そして、これはもう自戒的に申し上げますが、非常に、六十万、七十万、下手すれば八十万のときに増頭奨励をいたしました。これは、現場の方々から、こんなに値段がいいんだから増頭したいんだ、増頭させてくれと、現場からの熱い希望もありました。そして、増頭すれば当然入れ物が要るわけですから、畜産クラスター事業によって畜舎の増設もされました。借入れの形によって違いますけれども、大体の人は五年目ぐらいから借金払いが始まります。それがちょうど重なった人もいるわけですよ、今の安値のこのタイミングにですね。いろいろなものが複合的に、一気に重なった結果、今の苦しい状況になっている。
私のところも、選挙後に、畜産共進会というのがありまして、共進会の予選の現場に行きました、高千穂というところですが。大体これぐらいの頭数が来るなというのが分かっているんですが、本当に少ないんですよ。共進会に出そうという意欲さえも減退しているんだなと。
そして、高齢者の方々を中心に、やはりやめてしまう人が増えています。
そして、餌代も高い。配合飼料価格安定制度でいえば、これまでは一年の平均に対して補給金を払うという仕組みでした。それを二年六か月に延長することによって制度改正はしましたが、今それも、四半期ごとにだんだんずれてきますから、これも、配合飼料価格安定制度の補給金も今出ない状態に実はなっております、これは私の一番の今悩みの種なんですけれども。様々な状況が重なって、今こういう状況になっています。
ただ、幸い、この間、宮崎で行われた児湯郡での家畜の競りは、大体五十九万円ぐらいまで平均で戻りました。去勢は六十万まで戻りました。でも、これはまだ、年末の特別な需要期に向けてのことでありますので、決して楽観できる状態ではないと思っています。
ですから、輸出も含めて国内需要を喚起するために百七十億補正で取りましたけれども、それに加えて、やはり海外にもマーケットを設けていって、やはり農業政策の肝は出口ですから、出口政策についてしっかり検討してまいりたいと考えております。
○野間委員 今大臣から、コロナの問題、それから、相当、確かに一時百万を超えるようなのがどんどんどんどん出る、そういう時期もありました。生産者からの熱い思いで増頭奨励というお話でしたけれども、そういう部分もあったでしょう。
しかし、この増頭の奨励あるいはクラスター事業、これは、はっきり当時からも言われていますけれども、やはり、中国に輸出をするんだ、富裕層がいっぱい買ってくれるんだ、輸出用の牛をつくっていこう、優良な牛をつくっていこう、これが当時からもずっとうたわれていたことなんですよね。クラスター事業も平成二十六年からですけれども、五千七百億以上投じられていますよね。肉用牛がこのうち三千五百億ぐらい使われている。
ですから、今の御説明ももちろんなんですが、やはり私は、政府が、輸出をどんどんやるんだ、中国に売っていくんだ、それで、増頭しなさい、輸出用の牛をつくりなさい、こういう責任も私は当然政府としてはあると思うんですけれども、いかがでしょうか。
○江藤国務大臣 中国向けの輸出につきましては、宮崎まで、日本におられる中国大使も来ていただいて、中国大使の口からも、おいしい日本の牛を中国の消費者の方々は待っていますと。そして、年明けには習近平国家主席が日本に来日する予定でした。これはコロナで中止になりました。正直なところ、相当なところまで詰まっていました、相当なところまで。私は当時、総理補佐官で輸出を担当しておりましたので、もう正直、いけると思っていました。
ただ、先生、輸出が必ずできるというアナウンスメントまではしていないですよ。それに向けて懸命に努力した張本人ですから。それは、私の身近な人に、いけそうだというぐらいの話はしたかもしれません。ただ、おっしゃるように、中国のマーケットは開きますから、だから増頭しなきゃいけませんよというようなことは言っておりません。
ただ、これも今、石破総理もこの間、国家主席に会っていただいたときに直接言っていただきました。私も今、あらゆるチャンネルを通じてその可能性を探っています。何とかしたいと思っています。ですから、全く責任がないのかあるのかと言われると、今起こっているこの状況、これに対応する責任は我々農林水産省には十二分にあるというふうに思っておりますので、それゆえに、いわゆる生産者補給金単価を引き上げたり、今年上げました、今年度引き上げました。それから六十万事業もつくりました。それはやはり、現場の御苦労に応えるために、今の現象に対して一定の責任を負うために重ねてきた政策だということは御理解いただければというふうに思います。
○野間委員 別に、責任があるからどうのということを言うつもりはありませんけれども、やはり、農家の皆さん、そういう風潮といいますか、こういうので売れるんだということで一生懸命増頭したというのも、これは事実だと思います。
それで、ちょっと戻るかと思いますけれども、そういう、今日、あした、年を越せるかどうか、こういう状況、御存じのとおりだと思います。まず、その事業、先ほどの六十万の話でもありました。これはもう本当に、農家もありがたい、生産者もありがたいとは言っていますけれども、これは六十万でも、大臣の会見でも、九万五千円までもらえるようになったんだと。それを足せば六十万になります。ただ、六十万がほとんど、今、コストなんですよね。六十万を超えないと、七十万ぐらいにならないと、本当に農家をやっていくというのは難しい。六十万はコストです。
そういったことも含め、それと、やはり餌代の問題と金融の問題ですよね。いろいろな借金をしていること、それから餌代を毎月毎月一千万単位で払わなきゃいけない。この二つの、牛に対するそういった補助、そして当面の金融をどうしていくんだ、これをちょっと同時に質問させていただきますけれども、具体的に教えていただきたいと思います。
○江藤国務大臣 六十万円についてお答えすればよろしいんですか。
御指摘のとおり、今の仕切りとしては、来年の三月三十一日までということに一応なっておりますと言っておきます。今まさに、畜産物価格、その対策について議論の最中でありますので、この段階で、どうなりますということを私から断定的には言えませんが、私は宮崎ですよ。先生は鹿児島じゃないですか。宮崎ですから。この政策の有効性については大変感謝もしていただいています、これがあるおかげで何とかなっている。
ただ、一つつけ加えさせていただきたいのは、生産コスト六十万ということは事実ですが、やはり、いい牛をつくる努力は続けていただきたい。例えば、七十万で売れても九万五千百円出るんですから、百万円で売れても九万五千百円出るんですから。ですから、やはり、いい牛をつくる努力はしっかりやっていただくことが所得を確保することにつながる。
そして、経営の資金の問題ですが、畜特資金があります。これについては、北海道では極めて利用率が高いです。ただ、なぜか南九州では低いんですよ。その理由については私は知っていますが、ここでは言いません。内容について、もうちょっとしっかり、やはり私の宮崎でも説明しなきゃいけません。これは償還が最長二十五年ですから、借換えができればですね。そして、経営指導もくっついてくるんですよ。経営コンサルティングをした上で、長期にわたって返済してくださいが畜特資金ですから。
今のこの現下の厳しい状況の下にあっては、こういうものについてもやはり利用していただく。そして、我々の説明が足りないということであれば、このような借換えもできますよ、そういうことを宮崎なんかでも、畜産団体なんかも、この畜特資金の借換えについていろいろ経営相談、サポートしています。地域全体で経営を支えていきたいと考えております。
○野間委員 今、畜特資金のお話が出ましたけれども、確かに説明が足りないところがあると思います。というのは、これを借りてしまうと、何か最後宣告をされたようなふうに、風評、捉えられてしまう風潮があるので、だから、その辺はやはり丁寧な説明と、それと、これはもう既に出してはいただいていますけれども、金融機関に対して、猶予、それから繰延べとか、いろいろなそういうのを金融機関にきちっとやってくれというのが出ていることは分かっているんですけれども、なお、この年末にかけて、丁寧に金融機関としたらきちっと相談に乗って、そういった資金の返済についての繰延べ等、なるべく応じてあげるようにということは言っていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
○江藤国務大臣 畜特資金を借りると信用の低下につながる、私、あえて言わなかったんですが、という大変な誤解があるようですね。これは大変な誤解なので、北海道ではしっかり利用されて、それが信用の低下につながっているということはありませんので、これはこの場で先生に言っていただいて助かりました。これを私の口から言うとまずいと思って、あえて言わなかったんですが。
それから、それ以外の、金融機関に対するいわゆる返済猶予であるとかそういう通達はいたしました。これまでの農林水産省は、紙一枚ぺらっと出して、通達しましたよということで終わりということが多かったんですが、今そうしていません。紙を出したけれどもちゃんとやっているのか、紙を出したけれどもちゃんと相談に応じているのかと、逐一、今聞き取りをしています。
いよいよ年末も近づいてきていますから、更にもう一度、担当部署に督促をして、それぞれの金融機関がどのような実績を上げているのか、ちゃんとフォローアップをしていきたいと考えております。
○野間委員 ありがとうございます。早速、今の大臣の頼もしい発言を地元の生産農家の皆さんに伝えたいと思います。
それと、やはり何といっても、先ほど話が出ましたけれども、配合飼料のいろいろな補填がありますが、御存じのとおり、過去一年間の平均がもう高止まりになっているものですから、補填金がほとんど出ないような状態になっています。これも物すごい困っている要因ですよね、もう御存じのとおりですけれども。これはもう少し何とかならないんでしょうかね。
○江藤国務大臣 大変しんを食った質問をしていただいたと思っております。
一年の平均を一四半期と比較したら出ないので、二年半に期間を延ばしました。安かったときの数字を算定基準の中に入れるという工夫をしました。先ほどもちょこっと言いましたけれども、だんだん年次がずれていって、今、出ない状態になっております。
それに加えて、非常に餌業界も、もう思い切って言いますが、非常に足並みが乱れています。通常補填については順調に積み上がっておりますが、今、異常補填は空です。空なんですよ。もう率直に言うと、飼料メーカー、特に商系の方々が、借金をしてまでもうこれにはつき合えぬ、そういうことを言い出しております。ずっと余り表に出ないようにしておりましたが、もうメーカーの方々も表で言っているようでありますから言っちゃいますけれども。しかし、やはり生産者あってこその売り先ですよ。生産者がいなくなってしまったら売り先がなくなってしまうわけですから。ですから、辛抱強く農林水産省としては折衝を重ねてまいりました。
ですから、この配合飼料価格安定制度、その異常補填と通常補填、この資金のたまり具合、そして、例えば、なかなか難しいんです、先生、少ししゃべっていいですか。(野間委員「どうぞ」と呼ぶ)少ししゃべりますけれども、例えば、養豚農家の方々は、比較的ですよ、比較的今値段がいいわけですよ。そして、そういう方々に対して余り出ると、雑所得で取られちゃって税金で取られるばかりなので、そんなことをしたくないし、自分たちも、ほかの畜種のために、例えば牛とか鶏のために、配合飼料価格安定制度は全部丸めてありますから、鶏や牛のために、何で我々そんなに困っていないのに養豚業界は負担しなきゃいけないのだという足並みの乱れなんかも、養豚業界の方、ごめんなさい、本当に。実際私に直接訴えていることですが、なかなか難しいです。
でも、これは、この飼料価格高騰の場面では極めて有効にワークした仕組みでもありますので、これをどうするかについては、非常に悩んでいます、悩んでいますが、今日お答えできないことは申し訳ないんですけれども、少しお時間をいただきたいと思います。
○野間委員 金融の面、そしてそういった餌の面、もう御存じのとおりですけれども、是非強力に推進していただきたいと思います。
次に、先ほどからもお話が出ていますけれども、生産をしている和牛の出口戦略ですよね。
大臣は、先ほどもお話がありましたけれども、中国との交渉にも携わってこられた。そして、この九月の自民党総裁選で林芳正官房長官を推されたその理由も、林さんが中国にいろいろなネットワークを持っているので、牛を始め、そういった貿易についてプラスになるところがあるんじゃないかと思って推されたということも記者会見で述べておられます。
先ほど、非常にいいところまで来たけれどもコロナでというお話もありました。なかなか中国というのは難しい国ですよね。オーストラリアが一時非常に中国と険悪な時期があって、それが二〇二二年に政権が替わってから今まで、牛肉とかそれから今ロブスターとか、そういったものの輸出がどんどんどんどん再開されるようになっているというのを見ますと、これはいろいろな検疫の問題とか安全性ということはもちろん言うでしょうけれども、やはり、非常に政治的なことでそういった解禁が決められるというのは、中国については非常に言えるんだと思うんですね。
今、そういう実務的ないろいろな、検疫のこととかそういったことをずっと協議されているようですけれども、これはやはり、でも、政治的な何かの決断がないと恐らく解禁されないというふうに思いますけれども、その辺の見通しは、言いにくいかと思いますけれども、どうなんでしょうか。あるんでしょうか。
○江藤国務大臣 これは、相手様のことでありますので、見通しについて申し上げることはできませんが、この職に再び就かせていただいて、もう次の日に、何とかしなきゃいかぬと。とにかくもう出口ですから。そして、国内の肉の生産、三十四万トンぐらいですよ。和牛が十七万トンですから。十七万トンしかないんですよ。中国、十四億の人口の国が本気で買うということになったら、とんでもない胃袋ですから、そこのマーケットを取りに行かない手は絶対にないですね。
ですから、自分も、もちろん外務大臣とも連携しながら、総理にもお助けをいただきながら、私としても積極的に向こうの政府に働きかける努力を今しておりますし、いつまでこの職にいられるか分かりませんけれども、何とか結果を出したいという気持ちで今頑張っております。
○野間委員 いつまでいられるか分からないと弱気なことをおっしゃらないで、ずっと続けて、何とか成し遂げていただきたいと思います。(江藤国務大臣「そこは皆様方次第です」と呼ぶ)いえいえ。
次に、鹿児島県、宮崎県もそうなんですが、畜産業の構造といいますか、資料の四、五というのをちょっと見ていただきたいんですが、鹿児島県でいいますと、これはちょっとお恥ずかしい話かもしれませんが、農業の産出額では北海道に次いで二位なんですが、生産農業所得の率というのがありまして、単純に言えば、一千万売ったら幾ら手元に残るか。これは一位は佐賀県なんですね、全国で。それは、四八%、一千万あれば四百八十万手元に残るんだということであります。鹿児島県の場合が、残念ながら、これは資料の四というところ、二九%しかないんですね。二百九十万しか一千万売っても残らない。ここに人件費は入っていないんですね。宮崎県ですと三四%、これもなかなか人件費が入らない、厳しいと思います。
やはり畜産が多いところ、多い県ほど率が下がっていっているのは、もうこれは事実ですね。鹿児島県も非常にいい子牛は育てていますけれども、よその県に行って○○牛というブランドになって値が上がっているという現状もあります。じゃ、自分のところでそういうのをつくればいいじゃないか、これも一つの手段でしょうけれども、それはまたそこで利益を取っている人たちの利益が逸失してしまうということで、本当にこの畜産業は、残念ながら、もうからない体質になっているというのはこの十年間ぐらい見ても同様の傾向です。
ですから、これは先ほど金子委員からもありましたけれども、ある程度生産者に、全部市場でということではなくて、もちろん今いろいろな補助をやってもらっていますけれども、所得補償がないと、これはほかの、水田についてもそうですけれども、何らかやはり所得政策を考えていただかないと、日本の農業の構造全体、そしてまた、畜産業は特にもうからない、そういう体質になっているのは事実だと思いますので、すぐに答えられることではないと思いますけれども、直接支払いについても、いろいろと国民民主党さんからも話も出ていて、我々も今そういったことを考えています。
大臣も、非常に大胆な転換をやっていくんだ、今までの殻を破ってやっていくとおっしゃっていますので、是非、全体のこの構造を変えるためにも、こういったことを、所得をきちっと上げていくということをやっていただきたいと思いますけれども、お考えはいかがでしょうか。
○江藤国務大臣 鈴木委員からの御質問でもあったように、農業をやっている方々が希望と夢を持てるということであれば、それはやはり所得とまさにリンクするところでありますので、所得に着目した政策をやらなきゃいけないということについては賛同するところであります。
ただ、例えば牛でいうと、大体二百七十万頭ぐらい日本にいるんですけれども、それに一万円ずつつけたとして、二百七十億ぐらいかかるわけですよ。今、マルキンで使っているのが二百八十億ぐらいですから、マルキンで使っている金と同じ金額が一頭一万円出したとしてもかかる。
やはり、財源の話をしっかりしないと、どこかを削ってこっちにつけるというわけにもなかなかいかないので、農林水産省という枠の中で考えざるを得ませんので、そういった御議論については、是非御提案をいただいて、しっかり我々としても検討させていただきたいと思います。
○野間委員 農水予算の中からこれをあっちにとやっていることでは、もうこれは無理だと思います。やはり予算は増やしていくんだということは、当然、大臣もおっしゃっていたと思いますし、石破総理も、やはり農水の予算を充実させなきゃいかぬということは答弁の中でもおっしゃっていますので、これは本当に大転換期でありますので、予算を増やすということをやって、反対する人はいないと思うんですね、与野党問わず。まあ、財政審の人たちぐらいだと思いますので、そんなことを反対するのは。財政審についてはもう先ほど、非常に温かい、我々と同じ認識を大臣はおっしゃったので、これについてはもう質問いたしませんけれども。
それともう一つ、御覧になっていると思いますが、資料の六というので、これは二二年度、まだ新しい資料が出ていませんけれども、とにかくこの農業所得は、時給が、今回はもちろん、お米はよくなったのでこの十円ということは今ないでしょうけれども、時給十円なんですよね、二二年度。そして、牛はもうマイナスですよね。繁殖でもマイナス六十六円、肥育でマイナス百五十一円。本当に所得は、やっていられない状況というのは御存じのとおりであります。何とか皆さんの、ある意味での崇高なボランティア精神みたいなもので米作りしている方も多いと思います。そこはもうよくお分かりのことと思います。
そして最後に、私どものところでも、鳥インフルエンザ、十一月に発生して、十三万羽の殺処分をしております、各地でそうですけれども。ちょっとこれは地域によって違うんですが、これを殺処分したときに、地中に埋設するというやり方と焼却とありますけれども、私どもの場合はほとんど埋設になっております。そして、昨年、埋設がちょっと不十分で、そこから廃液が流れたりして、農業用水にそれが入って、非常に地元で問題になったことがあります。
ですから、地元の皆さんとすると、何年にわたって同じ養鶏農家から鳥インフルエンザの殺処分が出ると、もう埋設地がなくなってしまうんですよね。そして、埋設、一回すると、三年間いじってはいけないということになりますけれども、それ以上に、なかなか風評があって、そこで何かをしようかということにはならない、ちょっと捨て地のような形になってしまいます。
ですから、やはり焼却処分が一番地元の皆さんが望んでいるんですが、焼却場を造るといっても相当なお金もかかります。自治体だけでできる問題ではないので。今後、鳥は比較的そういう処分は、かつてのBSEの宮崎の牛などと違って、比較的焼却の処分もやりやすいということになっていますけれども、是非そういったことについての政府の、畜産のある意味一つのどうしても伴ってしまう業務といいますか、宿命であると思いますので、これについての政府の農水としての支援、補助といいますか、そういったものについて考えられないか、お聞きしたいと思います。
○安岡政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、家畜の疾病の発生時に迅速に防疫措置するということで、まずは埋却地の確保に御協力いただいているところでございます。
一方で、委員御指摘のように、埋却地の確保だけでなく、焼却であるとかレンダリングであるとか、そういった活用も進めているところでございます。
実際、数字で見ても、鳥インフルエンザの発生に関しては焼却の活用が結構進んできております。発生事例ベースで、令和四年の発生、一番多かったときでも焼却が三割ぐらい使われている、さらには令和五年は約五割といったような実態もございます。焼却は結構進んでいる状況にございます。ただ、おっしゃるとおりで、地域間は結構差があります。
焼却に当たっては、焼却施設、実際対応できるかというのを確認するということ、そして事前にやはり取決めをしておくこと、非常に重要でございます。こういった事前調整を進めていただくことで取組が進めていけるということでございますので、国としても、先行的に進んでいる県、結構ございますので、そういう事例なども共有しながら、既存の様々な施設の活用の可能性を各地域で協議をしていただいて、焼却の活用を更に進めたいというふうに考えております。
○野間委員 是非そういった事例を、やり方を自治体の方にも周知していただきたいと思います。
時間となりましたので、終わらせていただきます。ありがとうございました。
○御法川委員長 次に、小山展弘君。
○小山(展)委員 静岡県の中東遠エリアの出身の小山展弘です。
農林水産委員会にやっと戻ってくることができまして、今日は選挙後初の質問をさせていただきます。
まずお尋ねしたいと思いますが、その前に、江藤拓大臣、農林水産大臣御就任おめでとうございます。またこの国会でも是非よろしくお願いいたします。
まず最初に質問させていただきたいと思いますが、今、よくSDGsと言われておりますけれども、これは二〇三〇年で終了いたします。じゃ、その後どうするのかというところについて、もう今検討が始まっているようでして、プラネタリーヘルスという考えに基づいた世界的な目標が立てられる方向で議論がなされていると伺っております。
プラネタリーヘルスとは、人間の健康と社会の健康といったものと地球環境とか地球の健康には関連性があるんじゃないかということを科学的に実証していこう、実証し切れたかどうかはともかく、科学的に実証できてきたと。そのことに着目をして、地球環境あるいは地球の健康に資する経済活動、社会活動を人間が営むことを目指すということと、私は、まだまだ始めたばかりの勉強ですけれども、理解をいたしております。
人と地球は一体である、こういう考えであろうかと思いますけれども、これに基づいて、主に環境省がリードを取って、ネイチャーポジティブ経済、ネイチャーポジティブ経営といったような観点で、ネイチャーポジティブという言葉を使いながら、本年三月には、農水省、国交省、経産省、環境省により、ネイチャーポジティブ経済移行戦略というものを発表しております。これは、宇沢弘文教授の社会的共通資本、この考えが発端になっているとも伺っております。
また、十月八日には、東京大学が、プラネタリーヘルスの考えに基づいてグローバルコモンズのセミナーも開催したと伺っております。企業などでは、今後、財務指標にこういったものを取り入れていくというようなことの検討も始まっているようであります。
こういった、SDGsのその先のプラネタリーヘルスやあるいはネイチャーポジティブ経済について、農水省はどのような認識や姿勢を持ち、また、今後どのような準備を行っていく予定でありますでしょうか。
○堺田政府参考人 お答えをいたします。
二〇三〇年以降の持続可能な開発の進め方については、国連におきまして二〇二七年九月から議論されることとされており、委員御指摘のプラネタリーヘルスやネイチャーポジティブ経済に基づく目標が立てられるかについては、現時点では明らかとなっていないというふうに承知をしております。
ただ、農林水産省におきましては、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現、さらに、生物多様性の保全、再生なども見据えまして、食料、農林水産業の生産力向上と持続性の両立をイノベーションで実現させるための政策方針として、みどりの食料システム戦略を策定し、推進しているところでございます。
SDGs後も見据えまして、引き続き同戦略に基づく取組を着実に推進していくことが重要と考えているところでございます。
○小山(展)委員 みどりの食料システム戦略のお話や、また、今、SDGs後の取組も着実に進めていくというお話もございまして、是非これからも検討を進めていただきたいと思います。
先日、超党派の議員連盟で、石破総理やあるいは岩屋大臣、村上大臣も御入会いただいております石橋湛山研究会、私、実は事務局長をやっておりますが、寺島実郎先生の御講演をいただきました。国際的にも、今、特にアメリカにおいて、一九二〇年代と現代が類似点があるんじゃないかと。これはあくまで全て一緒ということではないと思っているんですけれども、この類似点の一つに、当時としては先進的な価値観への反発、一九二〇年代のリベラル的な価値観への反発、特にウィルソンの国際協調的な価値観への反発というものが見られたというお話がございました。
今後、米国が、地球環境あるいはこういった国際的な協議から距離を置いたりとか、協議が進まなくなる可能性といったことも懸念されるかと思います。そのような状況だからこそ、SDGsの次の目標、SDGs自体に対しても目標達成に向けて、是非、日本の身土不二にも通じる考え方でもある、こういったプラネタリーヘルスやあるいはネイチャーポジティブ経済、こういったものを是非日本が、また農水省も、非常にこれは環境省とともに関連のある省庁であると思いますので、是非日本が国際的にもリードしていくように頑張っていただきたいと思います。
それでは、次の質問に移りたいと思いますが、大臣が所信表明において、合理的な価格形成が必要と述べました。また、農水省は、適正価格への取引監視のために、これは報道によれば、農政局にGメン配置を検討するという報道がございます。また、経産省には下請Gメン、国交省にはトラックGメンが配置され、それぞれ、価格転嫁の推進や、あるいは下請業者、トラック事業者の方に不利な慣習の是正に向けて取り組んでおります。
今日の日本農業新聞の一面にもこの下請法の改正の記事が出ておりました。農家の皆様も、皆様御承知のとおり、価格転嫁をなかなか行うことができなくて大変な苦境の中にあるわけですけれども、農水省のこういった取組というものに対しては非常に期待も大きいと思いますが、新聞紙上で言われた農政局Gメンと、あるいはこの価格転嫁、取引慣行の調査あるいは是正に向けて、どのようなことを今検討し、どのような業務を行うことを想定しておりますでしょうか。
○宮浦政府参考人 お答え申し上げます。
今御指摘のございました報道で農政局Gメンといったものでございますが、令和七年度の組織・定員要求におきまして、農林水産省の本省とそれから七つの地方農政局、さらには北海道農政事務所に、費用を考慮した価格形成の実効性を担保するための業務を行う職員の配置を要求をいたしておりまして、現在最終調整中という状況でございます。
その業務につきましては、まず令和七年度は、食料システムの各段階で価格交渉の拒否が起きていないかなどの取引実態の調査、把握、これがまず第一であろうと考えてございます。また、その後は、現在検討中の食料の持続的な供給に要する費用を考慮した価格形成を促すような法制化、この内容に応じて更に充実をしていきたいというふうに考えているところでございます。
○小山(展)委員 是非、価格交渉の拒否が起きていないかどうかとか、こういったこと、取引実態を把握して是正の措置を取っていく、また価格形成を促す法律の制定、これは非常に期待があるところかと思っております。
そこで、もう一つお尋ねしたいんですけれども、農水省の検討しているこういった価格形成あるいは価格転嫁後押しの取組には、とりわけ生産者が主体の系統流通が弱く、茶商や飲料メーカーに対する生産者の交渉力が極めて弱いと言われております。お茶、とりわけ静岡県のお茶などは特にこの傾向が強いと思っておりますが、このお茶についても対象として検討していただいておりますでしょうか。
○宮浦政府参考人 お答え申し上げます。
現在、食料の持続的な供給に要する費用を考慮した価格形成の法制化を検討いたしております。その中で、米、野菜などの品目を先行して取り上げて、こうすればできるというモデルをつくり上げていこうというふうに考えているところでございます。
今議員から御指摘のございましたお茶を始めといたしますその他の食料につきましても、まずは品目ごとのコスト構造や取引価格の実態を把握するということが必要だと考えてございまして、五年度の補正予算を活用して調査を行ってきたところでございます。
令和六年度の補正予算も同様に活用いたしまして、正確な実態把握に努めて、この調査結果なども活用しながら適正な取引を推進していきたいと考えているところでございます。
○小山(展)委員 お米とか主要な作物についての取引実態の価格と、そういうところから取り組んでいくということも大事なことだと思いますし、自然なことだと思います。
また一方で、こういった取引の中で、まさに価格転嫁の動きが最もない、あるいは生産者の側の流通が非常に弱い、そういう一番困っているところからもまた取り組んでいくというのも一つの考えかと思います。
繰り返し申し上げますが、非常に生産者側に立った流通、系統流通といったものもお茶については弱いです。これは、一時期よかった時期にそういった取組が、生産者側の意識というものがなかなか向かなかったというようなこともあるんですけれども、牛乳などの指定生乳生産者団体制度とか生産者団体の流通があったり、あるいはお米などもそうだと思うんですが、そういったものが逆に大手の商系の流通業者によって負けてしまう、そのぐらい茶商やあるいは大手飲料メーカーの価格交渉力は強いですので、また粉引きと言われるような取引慣習もまだまだ残っていると言われておりますので、是非、お茶についても、品目、早期に取引実態の価格対象に加えていただきたいとお願い申し上げたいと思います。
それでは、次の質問をお尋ねしたいと思いますが、リニア新幹線による南アルプスへのトンネル掘削による大井川の水資源への影響についてお尋ねしますが、まさに水量、水質共に確保されるべきであると考えております。その確実性を担保するために国は最大限の関与を行うべきとの意見が住民からも聞かれておりますけれども、将来、水量、水質についての想定外の事態が起こり、流域自治体で水の確保に困る事態が発生すれば、まさにそこに住めなくなってしまう、産業も営めなくなってしまう、農業もできなくなってしまう、こういうようなことからも懸念をされております。
国がトンネル工事について許可した以上は責任を持ち、もしも何かあったときには補償することは当然であると思っておりますが、こういった国の最大限の関与について、文書として取り交わすことを要求する方もいらっしゃいますけれども、これについての政府の認識をお尋ねしたいと思います。
○岸谷政府参考人 お答えいたします。
国土交通省では、リニア中央新幹線の建設におけるトンネル掘削による大井川中下流域の水資源への影響につきまして、有識者会議を開催し、科学的、工学的な観点から議論を行い、令和三年十二月に報告書を取りまとめております。
この報告書において、導水路トンネル等によりトンネル湧水量の全量を大井川に戻すことで中下流域の河川流量は維持されるとの専門的な判断がなされております。
また、報告書の取りまとめを受けまして、国土交通大臣からJR東海に対しまして、報告書に基づく対策を講じるように求めております。
今後は、静岡工区の水資源の確保について、JR東海が報告書で整理された対策を着実に実行していくことが重要であることや、委員御指摘の地域の方々から国の関与の継続について要請いただいたことから、本年二月より、リニア中央新幹線静岡工区モニタリング会議を開催しております。
引き続き、このモニタリング会議を通じて、JR東海の対策状況を継続的に確認するとともに、静岡県とJR東海の協議に国土交通省も入りまして、一層の対話を促すなど、積極的に関与し、地域の理解と協力を得て事業が進められるよう、関係自治体やJR東海と連携して対応してまいります。
御指摘の大井川中下流域の水資源の利用に影響が出た場合の補償につきましては、令和二年三月に、事業主体でありますJR東海が、補償を請求する期限や補償期間等に関して、公共事業の要領によらずに対応したい旨表明しております。
また、国の関与に関する文書につきましては、国土交通省としては、まずは当事者であるJR東海と静岡県や大井川流域市町との間でしっかりと協議していただくことが重要であると考えております。
その上で、国土交通省としましては、JR東海や関係自治体の協議を推進するとともに、協議の内容を踏まえて、JR東海をしっかりと指導してまいります。
○小山(展)委員 国交省さんが大変この問題にも真摯に取り組んでいただいている、私もそのように感じておりますけれども、しかし、担当者も替わっていったりとか、指導をするというような今日の御答弁もありましたけれども、それでも流域自治体の首長さんたちから文書での確約といったことを求める声がございます。ですので、それだけ不安の声が大きいということも是非受け止めていただいて、文書を取り交わすことを是非御検討をいただきたいと思っております。
また、今のお話の中でも、モニタリング会議の話もございました。まさにこれは、川勝平太前県知事が水資源の確保、環境の保全、あるいは生物多様性といったことを訴えた成果であると私は感じております。こういった流域住民の声がなかったら、モニタリング会議もできなかったかもしれない。
それともう一つ、先ほどプラネタリーヘルスやネイチャーポジティブ経営についてもお話ししましたが、これもまさに、二〇二三年三月、生物多様性国家戦略を策定して、その基本戦略を実現するためにネイチャーポジティブ経済移行戦略といったものが策定されたということでございます。その観点からも、このリニア新幹線というものをもう一度評価し直す必要もあるんじゃないだろうかということも私は感じております。
また、最低でも、二〇一四年国交大臣意見や環境大臣意見では、文字どおり、影響を回避すると。回避というのは影響を与えないということですね。ここをやはり目指すべきだと思いますし、この国交大臣意見、環境大臣意見の大前提というのは崩してはいけない。農家の方々から非常にこのことは懸念の声が上がっておりますので、是非。
また、もう一言だけ申し上げますと、なぜ文書ということを彼らが言うかというと、地下水なんかは一年や二年で影響は出てこない、数十年後に影響が顕在化してくるといったことも懸念されるわけですね。だからこそ、担当者が替わってしまったりとか時代が変わってしまっても、やはり文書というものを、そういったところからも求めておりますので、重ねて、是非、文書での手交、文書の作成ということを求めたいと思っております。
次の質問に移りたいと思いますが、これは大臣にお尋ねしたいと思います。
物価上昇によってあらゆる資材が高騰し、また公共事業の入札においても、余り安過ぎると企業も利益を確保できないからということで、落札できないというような事態も発生しております。農水予算も物価上昇を加味しつつ増額していかなければ、なかなかそれぞれの事業ができなくなってしまうという可能性もあろうかと思います。
お配りした図表を御覧いただきたいと思います。
これは、令和五年度、令和六年度の当初予算、補正予算の合計金額。これを令和五年と令和六年で比較して、一・六%増、補正予算も含めて。先ほど金子恵美議員からもお話があったとおり、補正で増額対応というようなことになっていますけれども、増加率は一・六%ということになっております。特に、林野庁の林野関係予算というもので見てみますと、実はマイナス〇・九%で減額になってしまっているんですね。
このどちらも、消費者物価指数、これは乱暴に比較できるものでもないかもしれませんが、物価上昇率二・三%ですから、予算の増加率は物価上昇率に追いついていない、農水全体でも。林野についてはむしろ減額になってしまっている。特に林野の中でも、国有林の森林整備の事業費が賄えなかったり、先ほども申し上げましたが、入札が落札されないという事態が起きているとも伺っております。
農水省の予算、とりわけ林野庁の予算について、物価上昇分の予算増加がなければなかなか現場はやっていけないというようなことも考えられますけれども、農水省さんは財務省に対して、どのような物価高に係る予算確保の交渉を行われましたのでしょうか。
○江藤国務大臣 ある意味、大変ありがたい御質問をいただいたと思っております。
補正予算はかなり頑張りました。御存じのように四百九十六億増ですから。林野の予算も昨年よりも七十二億多い八百十七億をつけておりますので、林野についてはある程度納得いただける。
CO2を吸収する、二・七%は森林が引き受ける約束、これは京都議定書に基づくものですが。それから、木をしっかり植え替えて、花粉をなるべく出さないようにするためにも、やはり森林整備が必要ですから、こういった予算は確保しなきゃいけないと思っております。
それで、今ちょうど当初予算についてやっております。何といいましょうか、予算を要求することの難しさ、厳しさに直面しておりまして、実は、今日の答弁の準備もしなければなりませんし、予算委員会も昨日まで続いていましたので、なかなか私も、ある意味多忙ではあったんですが、この数日間は、頭の約半分ぐらいはこのことでぐるぐる回っています。何とか、何とかしたいと思っておりますが、固いですね、固い。
是非、熟議の国会でもありますので、先生方の応援もいただいて、何とか、クリスマスぐらいに数字が出てくると思いますが、そこで先生方から怒られないように、これから、今日も明日もあさっても努力をしたいと思っております。
○小山(展)委員 鈴木宣弘教授は、農水予算はプラス一兆円の増額が必要だということをおっしゃっていまして、これを食料安全保障推進法ということでやっていく、先ほど野間議員からのお話にもあったのも、こういった、元々の食料安全保障ということを根拠にした、やはり農水予算の増額が必要だろうと。
実は、御党の城内実先生と私とで、協同組合振興議連で、食料安全保障推進に関する議員立法というもの、プログラム法ですけれども、案の骨子まで作りまして、それを実は、森山裕先生のところに今年三月に提出してあります。いろいろなことが国会はありましたので、そのまま九か月たってしまっているんですけれども。
内容は、一つは、農業を営んでいる、あるいは多面的機能を果たしているということで、土地に対して基礎支払いをする。二つ目が、戸別所得補償制度。三つ目は、コロナみたいなことがあったときに、乳製品とかあるいはお米とか、こういった特定の品目については国が買い取る。特に酪農なんかで、バター不足で、増頭せよ、牛乳を作れ。ところが、コロナで供給がだぶついたら、牛を殺せ、牛乳捨てろ。こういうことがないように、供給がだぶついたときには買い取っていく、こういうこと三点を柱にしております。
是非、超党派で、どこどこの党の手柄とかメンツとかでなくて、超党派で議連発ということも是非一つのアイデアで考えていただいて、最終的には、鈴木宣弘教授の言っているとおり、農水予算一兆円増額というものの確保に向けて、与野党協調して、超党派で取り組むことができたらいいなと思っております。私も一議員として役割を果たしていきたいと思います。
最後に、親元就農を含めた新規就農の促進のために、大臣所信にもございましたが、具体的に農水省はどのような政策を検討しているか、答弁願いたいと思います。
○杉中政府参考人 お答えいたします。
農業者の減少が進行する中、将来にわたって食料を安定的に供給するためには、未来を担う若い就農者の確保が大変重要だというふうに考えております。
このため、農林水産省としては、経営開始資金など様々な資金メニューによる支援のほか、就農希望者や地方公共団体などが一堂に会した就農相談会の開催、実践的な研修農場の整備などのサポート体制の整備、農業大学校、農業高校等における農業教育の高度化などの取組を実施しております。
また、最近では、若い方が農業法人に雇用就農するケースも増えておりますので、雇用環境を改善し、魅力ある労働環境づくりを推進する取組を支援しております。
また、御指摘のあった親元就農ですけれども、令和六年度補正予算におきまして、親元就農を含めた新規就農対策を拡充いたしまして、まず、初期投資への支援について、親が所有する機械、施設の修繕、あと、老朽設備の撤去なども支援対象に追加するほか、国の補助上限を五百万から六百万円に引き上げました。
また、経営開始時の資金支援につきまして、新規作物の導入を行う必要があるということがネックとなっていたため、親と同じ品目であっても、前向きな取組を行って経営のバージョンアップを行うということを行えば、支援を受けられるということを明確に打ち出すこととしたところでございます。
このような総合的な支援によって、次代を担う新規就農者の育成、確保に取り組んでいきたいと考えております。
○小山(展)委員 是非これから、親元就農についても、もうどこの業界も人手不足ですので、農業をやりたいと言っている方に農業をやってもらえるように取り組んでいただきたいと思います。
ほかにレタスのこととか海洋環境のこととか、質問できなくなってしまって済みません。またの機会に是非させていただければと思います。
以上で質問を終わります。
○御法川委員長 次に、石川香織君。
○石川委員 石川香織です。よろしくお願いいたします。
江藤大臣、御就任おめでとうございます。よろしくお願い申し上げます。皆さんおっしゃっておりますので、私からも述べさせていただきました。
これまでの委員会の議論も、非常に御自分の言葉で、一次産業に寄り添った思いあふれる答弁、非常に聞き応えがあるなと感じておりました。
先ほどの野間委員とのやり取りの中でも、九州出身の大臣が多いということ、九州が非常に畜産においても重要な役割を果たしているということはもちろんそうなんですけれども、和牛の話もありました。十勝に和牛市場がありまして、ここの市場が全国で一番取引頭数が多い市場になっておりまして、そこで買われた子牛が全国で肥育をされてそれぞれのブランド牛になるということでありまして、実は十勝出身の、生まれ故郷が十勝だというブランド牛も多いということであります。二〇二七年にも、初めての北海道の開催になりますけれども、和牛オリンピックが十勝で開催されるということでありますので、十勝和牛も頑張っております、どうぞ応援よろしくお願いいたします。
まず冒頭に、牛マルキンの算定についてお伺いをしたいと思います。
このマルキンというのは、肉用牛の肥育経営の安定を図るという目的で、肥育牛一頭当たり販売価格が生産費を下回ったときに、その差額の九割を交付金として交付するというものです。和牛、交雑、それから乳用とそれぞれあるんですけれども、乳用種について伺わせていただきたいと思います。
素畜の算定には、全国の家畜市場の肉牛の子牛価格が活用されております。この肉用種の素畜費の取引というのは、市場のほか、相対取引が多いのが実態であります。つまり、市場を介さず行われていることが多いということなんですが、この割合は、酪農家から育成農家の初生の販売が市場経由六割ですけれども、育成農家から肥育農家に素牛販売、行く場合が、市場経由がおよそ一割となっておりまして、つまり、多くが相対取引だということです。そのため、現状、価格について、実態とそれから市場の相場に乖離が生まれているということが、今、現場の皆さんから懸念されているというところであります。
あくまで市場連動型が基本だとは思うんですけれども、こうした相対取引の割合が多いということも鑑みて、素牛価格に関して実態に近づける必要があるのではないかと思うんですけれども、この点について、まず大臣にお伺いします。
○江藤国務大臣 北海道は、九州にとってももう脅威になりました。値段もいいですし、飼養頭数の規模も多いし、非常に優秀な種雄牛も生まれているので、うかうかしていられないなという感じがいたしております。
今の素畜費につきましては、考えたいと思っております。相対であって市場を通さないということでありますから、客観的なエビデンスがないと、なかなか算定に入れるのは難しいんですが、しかし、そのデータをしっかり集めようと思っています。この取引の実態把握をまず進めます。これはやはりALICにちょっと一かみしてもらわないと、農林水産省だけでは難しいので、ALICの協力も得るということになっておりますから、そこでまずはしっかりと丁寧にデータを集めて検討しますので、いずれ結論を出したいと思っております。
○石川委員 ありがとうございます。データを集める、それから実態の調査をするということで、前向きな答弁をいただいたと思います。
本当に、これまで皆さんの質問の中にもありました、非常に今いろいろな経費がかかって経営が厳しい中で、やはり、再生産可能な経営のために、実態を反映したいろいろな制度がなきゃいけないという点で、改めてお願いを申し上げたいと思います。
次に伺いますけれども、国産牛と言われるものは、いわゆる大衆肉として食卓で多く食べられております。
その国産牛の生産に欠かすことができない重要な位置づけにあるのが、乳用種、ホルスタインであります。国内で食べられているお肉の割合は、和牛が半分ぐらい、飲食店なども含めますけれども、また、一般的に、国産牛と言われる和牛の雄とホルスタインの雌をかけ合わせた、いわゆるF1と言われるもの、それから、ホルスタインの雄、搾乳を終えた雌もお肉として食べられるということで広く流通をしております。
生乳を出すだけではなくて、ホルスタインはお肉としても非常に大事な存在なんですけれども、ホルスタインを生産して育てている酪農家が窮地に陥っているということであります。
中央酪農会議のプレスリリースで発表されました酪農家の戸数、二〇一九年四月は一万三千三百八十四戸でしたけれども、今年十月に一万を初めて割り切ってしまったということで、酪農戸数の減少が加速をしている。これは大変深刻な状況だと思います。
まず、このことについての大臣の受け止めをお伺いしたいのと、あと、次の質問も併せて御答弁をいただければと思うんですけれども、なかなか再生産ができないという状況の中で、今まさしく議論されている畜産価格、補給金の算定も現場が求めるようなものにはなかなかなっていないのではないかなという思いがあると思います。副産物収入もなかなか見込めない。それから、光熱費、それから肥料も、餌代、全てが高い中で、数量、単価共に十分に実態を反映する必要があるのじゃないかということで、改めて大臣から、しっかりやりますよというお言葉をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○江藤国務大臣 様々、肉があるというお話をいただきました。経産牛で飼い直しをした肉、銀座にお店がありますよね。私も行って食べてみました。なかなかおいしかったです。
まずは、一万戸を割ったというのは、一つの、やはりマイルストーンだと思いますよ。衝撃的な数字ですね。五・七%減少ということでありますから、これはやはり、今のうちにやめるという人もおられれば、担い手がいないからやめるという方もおられれば、中には、本当に経営が厳しいから離農に追い込まれたという方、事情は様々だと思いますけれども、このようなトレンドは止めたいなというふうに私自身も思っております。非常に厳しい状況だというのが私の受け止めであります。
そして、今御指摘のありました補給金単価とか、そういうものがありますが、やはり、農家の方々が、もちろん計算式はあります、ルールはありますから、しかし、計算式に入れれば済むんだということであれば、それこそ電卓があれば済む話になってしまいますので、やはり、現場の方々がなるほどと思っていただけるようなものにしなきゃいけないなと思っております。
ですから、これからいよいよ決まっていくものでありますけれども、審議会もありますけれども、審議会の意見もしっかり聞かなきゃなりません。でも、審議会の意見が全てだとは思っておりません。それも参考にしながら、適切な価格決定に向けてできるだけの努力をしたいと思っております。
○石川委員 是非よろしくお願い申し上げたいと思います。
補給金の計算方法というのはあるわけですけれども、一円未満の何銭とかというものも、やはり、今なかなか使わないわけでありますし、非常にこの算定方法が難しい。銭は大きいんですよ、大きいんですけれども、非常に分かりづらいということは確かだと思います。やはり、実態を反映したものにより近づけるという意味で、精密な銭というのが大事になってくるわけですけれども、改めて、現場の方が納得できるところというものを探りながら、努力をいただきたいなということをまず申し上げたいと思います。
それから、次に、もちろん、そういう補給金単価のようなものもあるわけですけれども、加えて、経営を直接支援できるような対策がなければいけないということで、長命連産緊急対策事業というものがありますけれども、これについてお伺いをしたいと思います。
ホルスタインは近年、生乳をより出すように改良が重ねられて、乳量が増えてきたということで、これは酪農家とか関係者の皆さんの努力のたまものだと思います。
ただ、たくさんお産をすると、その分消耗してしまうということもありますので、牛の寿命にも影響が及ぶということがあるのではないかということがあって、長命連産、長い命、連産ですので、続けてお産をする。つまり、長く牛を使って、持続性を重視するということに重きを置いて経営改善をしていこうという趣旨の事業が出ました。
令和五年度補正予算で既に五十億、六年度の補正予算でも五十億円が計上されているんですけれども、これは、NTPという遺伝子の指標に基づいて、長命連産性の能力が高い精液ですとか受精卵を使う取組に対して、六千円から九千円の奨励金が支払われるというものであります。
この金額は非常に大きいものだと思うんですけれども、一方で、私も、酪農家、獣医さんなど、いろいろな方から話を聞きましたが、今のタイミングで適切なのかなという声がありました。今、市場では、ホルスタインの雄の価格が暴落をしております。初妊牛の価格も安定していない。
これは、長く続いた生産調整の影響でありましたり、牛を導入する側も経営が厳しいということもありますし、肉の消費も思うように伸びないといったこと、こういったことがある中で、それに反して、コロナ前に、増頭増産の方向性にのっとった政策で子牛がたくさん生まれた、市場に子牛があふれてしまっているというようなことで、価格がなかなか厳しい状態になっているということであります。
このような状態の中で、今、生産調整を終えて、子牛価格も下落しているという中で、今行うタイミングとして適切なのかどうなのかということを御答弁いただきたいと思います。
○松本政府参考人 お答えいたします。
需要に応じました生産を行う中で、将来にわたりまして足腰の強い酪農生産の基盤を維持していくことにつきましては、輸入依存度の高い配合飼料を多く給餌する乳量偏重から、長命連産性に重きを置いた牛群構成への転換、こちらは、酪農経営の改善を図ることが急務となっております。
このため、令和五年度、六年度の補正予算におきまして、長命連産能力の高いホルスタイン精液の利用を支援します事業を措置しまして、長命連産力の高い雌牛の生産を促進しているところでございます。
なお、この事業は乳用牛の増頭を奨励するものではないことから、乳用後継牛の頭数が大幅に増加しないよう、雌牛の頭数の動向を注視し、適切な事業執行に努めているところでございます。
以上です。
○石川委員 問題はそこなんですね。やはり、増える目的ではないといっても、全体像がなかなか分からないというのが、一次産業の難しいところであると思います。
今回、授精した牛が母牛になるのに三年、酪農は百日産業と言われていますので、先々の影響というものをかなり気をつけていかないと、将来的に、かえって酪農家の皆さんが困るようなことになってはいけないということだと思います。
ただ、この長命連産というのは非常に大事な観点だと私も感じております。どちらかというと、これまでのクラスター事業などに象徴されるような増頭とか増産、スケールメリットという考え方よりも、こうした持続性ですとか、牛を長く使うといった方向性に転換したのではないかなと思うんです。
大臣にお伺いをいたします。
規模を大きくすることだけが価値ではなくて、やはり、その規模に限らず営農を継続することを価値とする、それから、農家戸数の減少を抑えようという観点がますます重要になってくるんだと私は思っているんですけれども、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
○江藤国務大臣 先生のお考えに賛同するものであります。
それぞれにやはり経営規模というものは適正化があります、米農家でもそうですが。一定、面積が増えると、規模拡大をしたメリットがなくなってしまうという統計も出ています。それは酪農でも同じだと思います。ですから、規模の大小にかかわらず、やはり、離農を防ぐ、経営体を守っていくという観点は、とても大事な観点だというふうに思っております。
ですから、今、先ほど話題になりました、長命の精液ですね、この供給をするということも、私は、経営には寄与するのではないか。長く使える、使えると言うと生き物ですから失礼ですけれども、長く頑張ってもらえるわけですから。
それから、クラスター事業についてはいろいろ御批判もありますけれども、畜産ICT事業もありますよね。これは、搾乳パーラーであるとか、発情発見器であるとか、そういったものに広く使えますので、そういった事業も使っていただいて、経営規模に合った補助事業をしっかり使っていただくことが大事だろう。
家族経営のところもありますから、そして人手も足りないし、それから、応援に来てくれる人の数も足りているか足りていないかなかなか難しいところがありますので、その規模にかかわらず守っていくことが大事だと考えております。
○石川委員 今、機械も非常に高くなっておりますので、非常にこれも大きな負担になっているということもそうなんですけれども、規模にかかわらず、やはり経営を継続していくということが大切であるということをおっしゃっていただきました。支援メニューも、是非バリエーションというものも考えていくということも要請をしたいと思います。
それから、続いても大臣にお伺いをいたしますが、働き方改革について伺います。
今年四月から始まりました新ルールで、残業時間を年間九百六十時間に収めようということになりまして、もちろん一次産業に対してもこれが適用になる部分があります。もちろん過労死するような働き方は是正しなくてはなりませんが、具体的に例を申し上げます。
例えば、牧草の収穫のときに、今日中にやってしまいたい、あした雨マークがついているということで、やってしまいたいと思っても、コントラですとかトラックのドライバーさんが、もう今日はここまでですということになって、何日か先になってしまうといったことがある。やはり栄養価の高い牧草をしっかり刈り取るというのは、天気との勝負でもあるんですけれども、乳量にも影響しますので、これは酪農家にとっても死活問題になると思います。それから、市場で売れた牛を、例えば北海道から本州に運ぶときに、ただでさえ人手不足で大変な中、働く時間が減ってしまって、トラックのドライバーがなかなか見つからず送ることができないとか、こういうことが起こっております。
過労死を是正するとか、多様な働き方の活用、こういったことが主目的であった働き方改革ですけれども、地域とか業種によっては、収入が減ってしまったとか、それから作業効率がかえって悪くなってしまったというふうに感じられてしまっては、これは本末転倒だと思っております。そもそも一次産業の現場においては、私はちょっと無理があるんじゃないかなと思うんですけれども、大臣は、働き方改革において、一次産業の現場は働き方が改善されたというふうにお感じでしょうか。評価をお伺いします。
○江藤国務大臣 全産業にわたって人材の取り合いになっている現下の状況にあって、大変重要な課題だなというふうに思っています。
働き方改革はやらなきゃいけない。ただ、農業は、九百六十時間の枠には一応入ってはおりませんので、この規制の枠の外ではありますが、非常に季節性がある。
まさに私のところでも、今天気がいいから今のうちに稲刈りじゃというような話は当然ありますし、その後、わらを乾かせば、今のうちに、乾いているうちに、早く集めて巻いてしまわねばいかぬという話もありますし。例えば北海道なんかだと、もう雪の深いところは一年のうちの四か月ぐらいはほぼほぼ雪に埋まってしまっていて仕事をしていないけれども、あとの八か月は死ぬほど働く。実は、私の息子も北海道に研修に行っていたことがあって、北海道の人はよう働くわとびっくりしていました。夜になると無人のトラクターが蛍のように農地を走り回っていると。
ですから、これは他産業との競争というわけではありませんが、やはり、魅力ある産業にするためにはある程度の水準を設けなきゃ仕方がないと思います。しかし、これはしっかり議論を進めてまいりますが、厚労省が最終的な報告先になりますけれども、我々の産業の、農林水産業のその特異性というものをしっかり説明した上で、報告をさせていただきたいなというふうに考えております。
○石川委員 これは、全国一律でかかるというところが、おっしゃるとおり非常に難しいところなんですが、農業に限らず、例えば北海道みたいに雪が降る地域ですと、建設の現場ですとか運送の現場からも同じような声が上がっておりまして、これは、まず一次産業でこういう声が上がっていますよということを、現場の声として引き続き私は主張していきたいなと思っております。
それから、最後に一問、水産についてお伺いをさせていただきます。
浜も気候変動の影響を大きく受けておりまして、捕れていた魚が捕れない、ピークがずれているんじゃないかという声が上がっています。例えば、広尾町のマイワシの漁期、六月十六日から十月三十一日というルールになっておりますが、本来捕れる九月、十月に捕れないということになっております。もしかしたらピークがずれているのではないかということで、漁期を例えば一週間ずらしてみようということになったとしても、海は、沿岸ですとか、それから籠を使うタコ漁とか、底引きとかいろいろある中で、漁期については、基本的にそれぞれの相対で取引をしてほしいということになっておりますが、それぞれの考えや漁法も違う中で相対では難しいという声が上がっております。協議するにしても、その話の根拠になるような、前提となるような客観的なデータが必要になるのではないかと思いますけれども、水産庁はどんなサポートをしていただけるのかということについて、最後、お伺いします。
○森(健)政府参考人 お答えいたします。
大中型まき網漁業のマイワシの漁期の変更を行う場合には、国による漁業許可の条件変更手続というのが必要になりますが、その際、同じ漁場を利用しますほかの漁業者との調整がどうしても必要となるということでございます。
委員御指摘の北海道沖の件につきましては、大中型まき網業界としてもまだ対応方向が定まっていないというふうに承知はしておりますけれども、具体的な御相談があれば、こうした当事者間における話合いが円滑に行われるよう、北海道庁とも連携して対応していきたいというふうに考えておりますし、その際には可能なデータ提供や助言、これも実施してまいりたいと考えております。
○石川委員 ありがとうございました。質問を終わります。
○御法川委員長 次に、緑川貴士君。
○緑川委員 立憲民主党・無所属の緑川貴士です。
私からも、江藤大臣、改めて、大臣御就任おめでとうございます。四年半ぶりの農林水産委員会でのやり取りがまたできますことをうれしく思っております。
私からは、畜産政策についてを中心に伺いたいと思いますので、今日最後の午前の部ですけれども、よろしくお願いいたします。
まず、配合飼料価格の安定制度の課題、今日のお話もございます。補填額を計算する際の基準価格そのものがやはり高くなってしまって、通常補填による補填が減っていく、あるいは補填がなくなってしまっている。民間の補填財源の枯渇の問題もございます。
これらに対応するために、昨年度から国の緊急補填ということで仕組みをつくって、二・五年の平均価格を基準としています。だとしても、令和三年度から原料価格というものは急騰しているわけであります。高止まりを今も続けている中で、二・五年間というのは、高止まりしている期間が入っているわけであります。
確かに、昨年度当初の緊急補填としては、お配りしている資料の二を御覧いただきたいんですけれども、一番右側で文字がちょっと見えづらくて申し訳ないんですが、緊急補填と書いてあって、そこに、昨年度当初の緊急補填は確かに行われました。しかしながら、昨年度、これまでの水準と比べて、通常補填、異常補填が出てきた水準と比べていけば僅かな額にとどまっていますし、前期の四分の三までしか補填が行われないという条件がありますので、その後、次第に額が縮小していきました。
そして、連続三四半期までしか補填をしないという制限から、今、昨年度の第四・四半期以降は補填がもうゼロになっています、なくなってしまいました。以前と比べて生産者の負担が重くなっているという状況に対する大臣の御認識をまずはお伺いしたいと思います。
○江藤国務大臣 非常に苦労をした話であります。まさに、委員がおっしゃるように、負担は重くなっています。率直に認めるしかありません。
これまで五千七百億ぐらい配合飼料価格安定制度で農家の方々にはお配りをしました。そのことによる緊急対策もやりました。それによって、非常によかったという評価もいただいておりますが、現下の状態においては全く出ていないわけですから、通常補填についても、一対一で今も積立てが続いております。
しかし、先ほども先生の御質問でお答えしましたけれども、異常補填については、今、空になっています。そして、商系の方々が、もうこれ以上つき合えない、異常補填に借金してまで金を出したくない、我々は、例えば大規模のところに出しているので、ちょっと全体としてつき合えないと。今までは、いわゆる三つの団体、商系と全農と専門農協、この三つが足並みをそろえてくれていたからよかったんですが、今、これが乱れています。大体もう一年近く話合いを続けてきました。なかなかまだ合意に至っておりません。
ですから、先生おっしゃるように、今、出ていない状況は、決していい状況であるはずがない、まずいと思っています。二年半に見直しをして、安いときの数字も算定の中に入れて、何とか無理やり出せるようにしましたけれども、それも四半期がずれていくにつれて、今、出なくなってしまっている。では、どうするんだということは、申し訳ないんですが、今お答えできません。
ただ、これはまずい、このままではまずいという問題意識は物すごく持っています。若干、子牛の値段は少し戻りつつありますが、しかし、経営が厳しいことに何ら変わりはないし、私は数字を持っておりますが、駄目だそうですから言いませんが、決していい状況にはなっておりませんので、エビデンスだけ言うと、アメリカも豊作ではありますが、トウモロコシの値段自体は上がっています。
そういうような状況の下で、配合飼料価格安定制度については、これから先の、高止まりの状況でどう運営していくのか。それから、三つの団体について、どのような合意形成をしていくのか。課題がありますが、しっかり取り組んでいきたいと思っています。
○緑川委員 トウモロコシの相場が下がってきているというふうな傾向には今あるんですけれども、残念ながら、それが配合飼料価格の原料価格には反映されていません。令和二年の原料価格は二万円だったんですけれども、同じトウモロコシの相場で、令和二年で二万円だったんですが、同じ今の下がっている相場の中では、原料価格は四万円で高止まりをしているんですね。
ですから、国際相場というものは、正直、比例をしていない、全然相関関係が、ちょっと乖離してきている状況だというふうに思います。ですので、民間の基金による補填がやはり今できない、通常補填はもちろんできませんし、異常補填も、財源が今ゼロということです。
返済金の財源も、今後の補填があった場合の財源も、積立金の負担というものが生産者の方でやはり増えているんです。全農の基金の中で、これまで一対二で、生産者と県連、全農で負担していた一対二の負担が、今大臣申し上げたように、今は一対一になって、より重くなってしまっています。ですので、負担金というこれまでのコストがまた、補填がされないことに加えて、積立金の負担も重くなっています。
生産者が補填がゼロ、飼料高騰で離農して、基金を支える人が減ってしまえば、制度の持続性も元も子もないというふうに思いますので、まずは今助けるということを優先をしていただきたいというふうに思っています。
その意味では、今、補填がゼロのところも、これは後追いでも構いませんから、追加的に補填をしていくということもお考えをいただきたいというふうに思います。令和五年度の第四・四半期から今後も、原料の高止まりが、緊急補填の仕組みでも、これはゼロになっちゃうんですね、出ないんですよ。今年度の少なくとも第四・四半期まで、想定される期間までは国による追加的な補填を求めたいというふうに思いますが、大臣、いかがですか。
○江藤国務大臣 おっしゃることは、現場の苦境をしっかり見られた上の御意見であって、出ていないということであって、将来的にも出ないと。
先ほどの通常補填、一対一と言いましたが、これは二対一と、ちょっと間違いでしたので、言い直しておきます。
これはなかなか難しい話ですよ。例えば、これからこれを出やすくするというやり方もあるかもしれません。そして、分母を守らなきゃいけません。積立てをする人の数が減ってしまったら、制度自体の維持ができない。そして、メーカーにしてみれば、売り先がなくなってしまう。そういうこともあるわけでありますから、この制度の持続性ということについてはしっかり検証しなきゃいけないと思います。
今、遡及性も求めた上で、過去に遡ってということでありますが、正直、ちょっと天を見上げるような気持ちですね。では、過去に遡ってそれができるのかというのは、多分前例がありませんし、今の制度の運用の中でそれが許されるかというと、かなり難しい。では、その基準をどこに設けるかというのも、今、二年半という水準の下で計算しなきゃなりませんので、全く考えないとは言いませんが、申し訳ないですが、それについてはちょっと後ろ向きのお返事をしなきゃなりません。
そして、負担の話もされましたけれども、多額の借入れをしている飼料メーカーの方々もおられるわけですよ。そういう方々にしてみると、これ以上は負担したくないと、大いに反発があります。先ほど、先生の質問に対してもお話をしましたが、配合飼料価格安定制度は、全体を丸めていますので、畜種によってばらつきがあるんですね、受け止めが。
今、比較的、養豚農家の方々は収益の形はいい、利益が出ている。それを言うと養豚農家の方は怒るかもしれませんが、比較的ですね。しかし、彼らの意見としてよく出てくるのは、何で我々が鶏とか牛のためにそんな多額の負担金を払わなきゃいけないんだ、我々は今、補填金をもらったとしても、雑収入として計上して税金で取られるだけじゃないかというお話は先生も現場で聞かれていると思います。
畜種ごとのばらつきもある、生産者の受け止めも違う、そして商系とそれから系統と専門農協、それぞれの受け止め方も違う。非常に苦労する話ではありますが、しかし、一番大事なのは現場ですので、一番大事なのは生産者ですので、どこに落としどころを見つけられるか、懸命に検討していきたいというふうに思っております。
○緑川委員 検討している間に、酪農、畜産の経営では、やはり、これからを担おうとしている四十歳未満とか、あるいは四十代、五十代の今、経営不振、悪化を理由にした離農というのが相次いでいるわけですよね。石川委員もお話ししたように、酪農は全国もう一万戸を割っているわけです。十五年間で半数以下に減っているというこの状況の中で、今を支えなければ今後の制度の持続性も担保されないということは強く申し上げておきたいというふうに思っております。
やはり、濃厚飼料を始めとして余りに輸入に依拠してきたこの飼料供給の帰結として、配合飼料価格安定制度の持続性にも揺らぎが出てしまっている。直近の三年間で五千七百億円の財源による補填をしてきたわけですけれども、この緩和にもやはり、輸入の原料がこれだけ上がってしまうことが続きますと、制度の疲労がもはや起き続けているという状況です。
輸入飼料に全く頼るなというのは無理がありますけれども、これだけの巨額の補填を行わなければならない輸入のデメリットというものをこれまで考えれば、国産飼料のコストがたとえそのいっとき割高であったとしても、定着するまでには時間がかかったとしても、中長期で見て、国産飼料を安定的に作っていく、利用していくという供給基盤を整えるべきであるというふうに思います。
水はけのいい土地ができる、整えられるところは畑でトウモロコシを効率よく作っていくということが大事ですし、一方で、日本はやはり元来瑞穂の国と言われてきました。モンスーン気候で、高い気温と豊富な水、こういう気候の中で、稲作が日本の農業の軸であって、飼料生産の活路というのはやはり、水田作として利用することができる、作ることができる飼料用米にあるというふうに思います。
課題としては、供給先が離れている、流通コスト、マッチングの問題もありますけれども、大臣の御地元の宮崎県、これをちょっと調べましたら、稲わらと堆肥の資源循環が鹿児島県などでは行われていた、地域内の循環がこれまで行われていました。さらに、そこで東北、宮城県との広域の流通、この資源循環が今進められようとしています。
そこに、稲わらだけでなくて、周辺産地の、東北の周辺の飼料用米などもまとめて大消費地、広域の流通ルートに乗せて九州に送る。流通の効率化を図りながら、コストの低減を図りながら大きな供給先である九州の畜産県に運んでいく、こういう耕畜連携を進めていくということがまず供給から大事だというふうに思います。
需要面の課題としては、資料の三、お配りしているんですが、配合飼料の原料として飼料用米の利用を増やしていく必要があります。配合飼料メーカーの飼料用米の利用量が昨年度では百三十九万トンで、近年これは少しずつ増えているんですが、もっと増やせるというのが次の資料の四です。上の緑のところで、家畜の生理や畜産物に影響なく与えられるという、農水省が安全な基準だと示している利用量が全体で四百五十万トンあります。与え方を工夫すれば下のように更に増やすことができるわけですけれども、今、配合飼料メーカーが、需要のほとんどを占めるメーカーでは四百五十万トンのうちの三分の一ほどしか使われていません。
流通コストの削減、耕畜連携は進めるんですけれども、国産飼料としての飼料用米の配合割合を配合飼料メーカーにしっかり高めてもらう。飼料の輸入原料の依存度を下げながら配合飼料価格安定制度の持続性を高めていくということにつなげるべきであるというふうに思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○江藤国務大臣 大変重要な御意見をいただいて、ありがとうございます。
まさに九九%輸入トウモロコシに頼っている。中には、和牛かもしれないけれども、外国の餌で育っているじゃないかという悪口を言う人までいます。ですから、我々としては、子実トウモロコシ、これについても取り組んできたつもりです。それから、いわゆる青刈りトウモロコシ、こういったものについても、まさにおっしゃったように、水活からそれを利用して青刈りトウモロコシをやっていただく。それをTMRセンターでちゃんとまいていただくようなことも必要だと思います。
やはり、日本の畜産の大きな課題として、輸入飼料からの脱却、食料安全保障と同時に飼料の安全保障の確立。これをやらないと、我々、宮崎県なんか畜産王国と言っておりますけれども、畜産王国の維持も難しいのが現状だと思っております。
まさに取り組むべき課題はたくさんありますが、先生も更におっしゃった、要は飼料米については、それぞれの畜種によって給餌していいリミットがあります。牛なんかも数量は出ておりますけれども、牛は三%ですが、三%上げるにしても、極めて微粒な粉末にまで砕かないと駄目なんですよ。米粉用米の消費拡大で今頑張っておりますが、米粉にするのが非常に機械が高い、粉末状にする上で。これがネックになっています。ですから、牛にもっと給餌するということであれば、これをもっと細かく砕ける機械まで補填しなきゃ多分駄目なんだろうと思います。
配合飼料メーカーがどれぐらい配合するかについては、それぞれ生産者のこだわりもあります。米を入れることによってブランド化している人もいます。うちの豚肉は米豚ですと。それによって高く売れている方々もおられるわけでありますから、餌に対しては生産者によってすごくこだわりがあります。
ですから、配合飼料メーカーの方から一方的に、これだけの配分ですよということはなかなか難しいかもしれませんが、ただ、受入れの余力があるということは先生の御指摘のとおりでありますので、是非、それぞれメーカーの方々とも意見交換をしながら、飼料用米の消費の拡大についてどのような取組ができるのか、現場の要望がどれほどあるのか、しっかり対応していきたいと思っております。
○緑川委員 時間が来てしまいまして、ほかの問いもしっかり立ててお伺いをしたかったんですけれども、様々な、また別の機会にしたいというふうに思います。
飼料用米については秋田県でも進めておりまして、養豚場とJAとが連携をしながら、また、機械についてもロットで生産することによって、やはり低コストに生産できるという体制が取れていますし、四〇%にまで飼料用米の混入を高めているところなんですね。
口溶けが滑らかでジューシーであるという食味の評価もありますので、こういうよさをしっかり取引レベルにまで、やはり価格に反映されるように、そこにまで落とし込んでいくということがこれから重要になっていくというふうに思っていますので、また議論をさせていただきたいというふうに思います。
ありがとうございました。
○御法川委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時八分休憩
――――◇―――――
午後一時開議
○御法川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。西川将人君。
○西川(将)委員 立憲民主党の西川将人でございます。
午後一の質問をさせていただきたいと思いますが、まず冒頭、私からも、江藤大臣、御就任、本当におめでとうございます。お祝い申し上げます。
私は、北海道のちょうど中央部、旭川市を中心とする上川地方の選挙区でありまして、今回初当選させていただきましたので、委員会の質疑も今回が初となります。今回こういう機会を頂戴したこと、本当に感謝を申し上げますとともに、また、地域の声、また農家の皆さんの声、そして日本の発展と国民の皆さんの安寧を思いまして質疑をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
まず冒頭に、今日予定をしておりました、財政審議会からの建議についての大臣の受け止めという質問を用意していたんですけれども、午前中の金子委員からの質問で消化をいたしましたので、これは割愛させていただきますが、是非、私も期待しておりますので、大臣、よろしくお願いいたします。
それでは、質問に入らせていただきたいと思いますが、米の生産量と政府の備蓄米を増やして、農業者の戸別所得補償制度を構築する必要性について、私の観点から御質問させていただきたいと思います。
今、物価高が本当に生活を直撃をしておりまして、主食であります米についても非常に価格が高騰している状況であります。エンゲル係数の方も上昇が続いていて、特にこの物価高は、給与所得者ではない、年金などに生計を預けている、そういった高齢者の皆さんには特に厳しい生活を強いられているという状況になっております。
今年は、令和の米不足ということで、夏から秋にかけて米の市場に出回る量が非常に不足をして、私がいつも地元で購入しているスーパーにおいても、十キロ、これまで、去年までは四千八百円ぐらいでありましたゆめぴりか、これが今年は七千八百円ということで、価格にすると約一・六倍、本当に上がったなという感じがしておりまして、しかも、スーパーの棚にはまばらにしか並んでいなくて、しかも購入が一個までですよという制限まで今年はかかっているという状況が本当に目に焼き付いております。
農家の皆さんの生産コストが上がっておりますので、それに伴って米の価格が上がっていくというのは、生産者を守るという視点からも、これは非常に必要なことだと当然思っておりますけれども、しかし、生産者の立場と、あるいは米を買う消費者の立場という視点から見ると、できれば、やはり両者とも納得のいく、そういった価格に落ち着いていくというのが、やはりこの物価高の中を考えると非常に重要ではないのかなと考えております。
今年は、米に関しては需給バランスが少し崩れて、決して米が不足しているわけではないんですけれども、これだけの市場に影響が出たというのは、これは、一方で考えると、逆振れということもいつ起きるか分からないわけなんですね。そういう視点から見たときに、私はやはり、今本当に米の生産量もどんどんどんどん削減されてきていて、一方でまた備蓄量も今百万程度ということで、これも過去に比べると下がってきているわけなんですけれども、このぎりぎりのラインのところで米の需給調整をやっているということの脆弱さが今回出たんじゃないかなというふうに考えております。
そういった視点から、私は、米の生産をもう少し増やすべきではないかなという視点、それと備蓄量、これももうちょっと増やしていくべきではないかというように思っております。
それと、農家の皆さんからは、今回、お米の値段が上がったのは非常にうれしいことなんですけれども、一方では、米離れ、これに拍車がかかってしまうのではないかと危惧している声もやはり地元ではよく聞いております。
今のこの市場原理に任せて、私たち日本人の主食である米が毎年大きく変動していくという状況をやはり解消していくのは農業政策しかないのではないかなというふうに思っておりまして、そういった視点から、是非、私は、米の備蓄量を増やして、万が一の際には市場に品薄感が漂わないような、やはりそういう米政策を続けていかなければいけないということと、それと、所得補償、直接支払い制度ですね。これをしっかりと米についても構築をしていって、市場価格に翻弄されることなく、毎年、米の値段が上がろうが下がろうが、農家の皆さんの収入は安心していいんですよ、変わらないんですよというような制度に一日も早く改めていくべきではないかというふうに考えておりますけれども、この件について大臣の認識をお聞かせいただきたいと思います。
○江藤国務大臣 初めての御質問ということで、これからよろしくお願いいたします。
両面に対して責任を負っております。農林水産省としては、消費者の方々に安心で安全で適正な価格で農林水産物をお届けするという責任を負っております。これは我々の義務です。しかし、生産基盤を守らなきゃいけないという義務も負っております。ですから、そのバランスを取ることは極めて難しいと思います。
先生言われるように、確かに、今回新米の価格が急に上がって、集荷競争が起こって、生産者の方々はほっとしている。しかし、農家もばらばらでありまして、一万二千円でもコストぎりぎりだという人もいれば、八千円あれば十分利益が出るという農家も今生まれています。ですから、生産規模それから経営体の形態によって農家も様々だということでありまして、米は難しいなと思います。
先人も死ぬほど苦労してきました、米政策では。やっと日本人が米を自分たちの国で作ったもので食えるようになったのが昭和四十六年。それまではずうっと輸入に頼らなければ駄目だった。しかし、四十六年に自給が達成できたと思った途端に、もうその年から米余り。二年余りで七百三十万トンほど余ってしまって、そして、この後、米の処分を二回するわけですけれども、当時のお金で一兆円、二兆円、今でいうと六兆円か七兆円のお金がかかっている。餌米処理、あとは援助米に出したのかな、そういう処理の仕方をして、そんな金がかかってしまったわけですよ。そして、これではどうしようもないということで、減反政策という、非常にペナルティーの厳しい減反政策に突入していく、四十六年ですかね、突入していくわけですが。
しかし、この米の歴史は、たどってみると、例えば、これは決して批判じゃないですよ、批判だと思わないで聞いてほしいんですが、御党も旧民主党時代に戸別所得補償法をやられました。あのときも、生産数量割当てを守った者に対しては支援をいたしますということでありました。ですから、米の総量についてはやはりコントロールがある程度必要だということは共通認識だと思うんですよ。もちろん一万五千円だけが基本ではなくて、ゲタもありましたし、水活もその中に入っておりましたが、三本柱での戸別所得補償案でありましたので、全てを否定するつもりはもちろんありません。
一年で東日本が起こってしまったということもあって、一年しか余り検証する期間もなかったので、その政策効果の有効性を検証するにはちょっと期間が余りにも短かった。一年目には変動部分もあったんですよね。それもありましたけれども、これについての評価は今後聞かれても私は答えませんので。しないというつもりでおります。
そして、米を増やすということについては、やはり難しいですよ。増やしなさいと言えば、今年の夏のことを考えれば消費者の方々は拍手をするでしょうけれども、しかし、今は生産数量の割当てもやめて、食糧法の規定にのっとって、農林水産省からできるだけ農家の方々が求める情報を出すことによって、農家の方々、地域の方々が地域で話し合って、これぐらいの量を作ったら大体バランスするだろうと、自主的な判断に基づいて、まさに経営判断で今米を作っていただいて、ようやく、ようやくバランスするところまでたどり着いたなと思ったら、この米不足、令和の米不足ということでありますので、これについては極めて慎重な取扱いが必要なんだろうと思います。
それから、備蓄についてもコメントをいただきました。備蓄を出した方がいいんじゃないかとか御意見もありました。それについても大分国民からも批判を受けたところでありますが、備蓄について若干申し上げれば、これは食糧法の中で、法律でしっかり規制をされております。三条の第二項におきまして、米穀の生産量の減少によりその供給が不足する事態に備えて備蓄をするんだ。これは最初から百万トンで、今も変わっていないわけでありますけれども、ですから、価格が上がったから出すというふうに法のたてつけ上なっておりませんので、もし出すということであれば食糧法の改正が必要になりますし。
そして、備蓄を増やすということも一定の説得力は私もあると思います。食料安全保障上の観点からも、それから国際情勢のこの激烈な変化を考えると必要かもしれませんが、ただ、財政審の言うことは聞かないと言いましたけれども、十三年に決めた百万トンの、今は棚上げ備蓄になっておりますけれども、回転から棚上げに変えましたけれども、この備蓄の量についても、消費の量が当時と比べて二百万トン下がっているということであると、これを増やすことについての論理的な裏づけというのがなかなか難しいだろうというふうに思いますので、それらの、これまでの歴史も振り返って、様々な、自民党も、民主党の先生方もこれは御苦労してきたことでありますから、一緒に考えていきたいなと考えております。
○西川(将)委員 大臣、ありがとうございます。
米の需給については非常に難しい課題かとは思いますけれども、是非とも、私ども日本人の主食でありますので、大事に政策を進めていかなければいけないと思っておりますので、よろしくお願いします。
次に、水活の令和九年以降の水張りの必要性について、私からちょっと質問を大臣にさせていただきたいと思います。
これについては、令和八年までで五年がたちますので、それまでに一回水張りを行わなければいけないという状況でありまして、いまだ、畑地化にするか、あるいは水張りをしていくかとか、また田んぼに戻そうかとか、悩んでいる農家さん、結構たくさんいらっしゃいます。その中で、もう何十年も米を作っていませんから、あぜも、当然畦畔もなくなっていますので、自らブルドーザーを運転してあぜを造っているという光景が至るところで今北海道では起きている状況でもあります。
しかし、このことについて現場はいまだに本当に混乱しておりますし、農業政策に対しての不信感にもやはりつながっているんですね。また、水張りをしてお米を作るのであればいいんですけれども、作らなければ一か月間その圃場が遊ぶことになってしまうというのが、これもまた農家にとっては大きな損失になってしまうわけであります。
参議院の予算委員会で横沢委員に対しての大臣の御答弁で、今後、水張り要件の見直しを考えているというようなお話もありました。このことがどういうことを想定されているのかはまだちょっと分かりませんけれども、私の思いとしては、今回、令和八年までに一回水張りをした農地については、一度この基準を満たしているわけですから、令和九年以降は水張りを五年に一回しなくてもいいんじゃないかなというような思いを持っています。
例えば、いろいろな国家資格があります。車の免許もそうかもしれませんけれども、最初、車の免許を取得するときは実地テストもありますし、ペーパーテストも、両方ありますけれども、これを更新するときというのは講習だけで、あるいは違反があれば違反講習ですか、そういうのだけで、実地テストというのはないわけなんですよね。
そういったことを考えたときに、何でお米だけが毎回こういう同じようなテストをしなければいけないのかなという疑問を持っておりまして、是非、令和九年以降は、一度この基準がちゃんと守られているのであれば、もう水張りをしなくてもいい、そういう制度変更をしてもらえないだろうかという地域の農家の皆さんからの声もたくさんいただいておりまして、その件について大臣の見解を聞かせてください。
○江藤国務大臣 まず、先ほどの発言の訂正を若干させてください。
自給達成、四十六年と申しましたが、四十六年はいわゆる減反政策のスタートの年で、四十二年でございました。数字が間違っておりまして、失礼いたしました。
御意見はしっかり受け止めさせていただきます。
しかし、予算委員会でも答弁させていただきましたが、水活と言う以上は、水田であるということがまず最初の条件なんですよ。まず、水田の機能を持っているということが最初の条件でありますので、五年に一回、水張りをしました、その後はずっと水張りは要りませんということになると、元に戻ってしまうということであって、再び会計検査院がまた乗り込んでくるのかなというふうに思います。
しかし、この見直しに当たっては、水田政策の見直しの一環として水活も見直さなければならないという問題意識でありますので、水田政策を見直すのは、先ほど申し上げたように大変な作業でありますけれども、この水活の事業に乗っている方々が、やはりそういうことなのかと、百点はなかなか難しいかもしれません、正直なところ。政策で百点というのはほぼほぼありませんから。しかし、大宗の方が、そういうことであれば、そういう方針、その見直しに従って今後も営農を続けていこうと思っていただけるようなものにしようということで、今省内で鋭意検討中でありますので、また骨格が示すことができたらお示しをしたいと思います。
そして、実際は九年からの話ですから、検討する時間は大分あるわけですよ。例えば年度内に決めなきゃいけないということでもありませんし、このことについては、それぞれの各党においてしっかりと議論をなされた上で、この委員会でも是非議論を重ねていきたいと考えております。
○西川(将)委員 どうもありがとうございます。今の部分については、五年を例えば少し年数を長くするですとか、そういった工夫も含めて是非いろいろと御検討いただければなと思います。
幾つか質問を用意していたんですが、時間の関係がありますので、最後に一問だけ質問させていただきたいと思いますが、国内の肥料の自給率を上げるための下水汚泥の活用に向けた課題についてであります。
化学肥料の原料であります尿素ですとかリン酸アンモニウム、塩化カリウム、こういったものについては、今、ほぼ海外からの輸入によって賄われている状況であって、ウクライナ戦争が勃発した二〇二二年、この年は本当に肥料価格が高騰して、また、肥料の業者も肥料を確保することが非常に困難だという状況がそのときにありました。
今、かなり落ち着いてはきていますけれども、そのときに、日本の肥料の供給体制の脆弱性というのが非常に露呈してしまったのではないかなというように考えておりまして、万が一、今、食料自給率が三七、八%という状況でありますが、これが、肥料が海外から入ってこなくなる、原料が入ってこなくなる、あるいは、先ほどもありました飼料の話もありますけれども、こういったもの、もし供給が滞るとなると、食料自給率は場合によっては一〇%を下回ってしまうかもしれないというような推計もあるわけであります。
そんな中で、国内の肥料の自給率を上げる上で、この下水の汚泥、この中にはかなりのやはりリンなどの要素が含まれておりまして、実際、全国の自治体の中で、下水道処理の中でこのリンを肥料として使っている部分も一部既にありますけれども、今現在、国内では年間で約二百三十万トンの下水汚泥が出ておりまして、その中には約五万トンのリンが含まれていると言われておりますが、今、実際活用されているのは本当にそのごく一部なんですね。
この下水汚泥を活用していくことによって肥料の自給率を上げていく取組を既にされていますけれども、是非この取組を進めていただきたい、更に力を入れていただきたいという思いで御質問をさせていただきたいと思いますが、まず、下水汚泥、これを肥料として活用していく上での課題。下水という一つのイメージ、マイナスのイメージですとか、あるいは重金属の含有ですとか、いろいろなことがありますけれども、この課題についてお聞きをしたいことと、それと、国交省さんにお聞きしたいんですけれども、下水処理場での汚泥の肥料化に必要な設備構築に対して、今、それぞれの自治体に対してどういう支援をしているかということについて伺わせていただきたいと思います。
それと、最後に、こちらは副大臣か政務官にお答えいただければと思うんですけれども、現在、日本国内の肥料の備蓄量は、年間需要量の三か月分を備蓄をしていこうという目標を今定めてやっておりますけれども、是非これも、先ほどの米とも、また飼料とも関連しますけれども、この三か月という備蓄量では本当に少ないんじゃないだろうか、この備蓄量というのをもっと、これも増やすべきではないかというふうに考えていまして、この件については副大臣か政務官に御答弁いただければと思います。よろしくお願いします。
○松尾政府参考人 お答えいたします。
化学肥料から、下水汚泥資源等の国内資源を活用した肥料への転換を図ることは、とても重要なことだと認識しております。
その際の課題といたしまして、安全性への懸念を感じている農業者の方々がおられるほか、ロットごとに肥料成分がばらつきやすい、あるいは、発酵や燃焼しただけでは成形されないため、農地への散布に手間がかかる、それから、原料供給者、肥料製造者、肥料利用者間の連携体制というのがまだ整備が足りないというところが挙げられていると思っております。
このため、農林水産省におきましては、肥料法に基づき安全性に係る基準を定め、それに適合したもののみ登録、流通が認められていることを周知する、あるいは、肥料の成分であるリン酸を保証できる公定規格である菌体リン酸肥料の創設、ペレットなどの散布しやすい形状に成形するための施設の整備、散布機の導入、あるいはマッチングイベント、こういったことに取り組んでおりまして、今後とも、関係府省と連携して、国内資源の利用拡大に向けた取組を推進してまいりたいと考えております。
○松原政府参考人 下水汚泥資源を肥料として活用することは、肥料原料の国内自給率を高め、食料安全保障の強化に資することから、大変有意義な取組であると考えております。
国土交通省では、肥料化の推進のために、リン回収の効率性や品質の向上に向けた実証事業を横浜市など五か所で実施するとともに、コンポスト化やリン回収に係る施設整備や肥料利用の計画策定等の取組に財政支援を行ってきておりまして、今年度は青森県、鶴岡市などに対して支援しているところでございます。
また、肥料利用の拡大には、流通経路の確保、これが重要でございますので、下水道事業者における汚泥肥料の出口戦略の検討ですとか、農業関係者の理解促進を図るための案件形成支援、これも、今年度、旭川市などの十九事業体に対して実施しているところでございます。
国土交通省といたしましては、委員の御指摘も踏まえまして、引き続き、農林水産省とも連携しまして、下水道汚泥資源の肥料利用拡大に向けてしっかり取組を進めてまいりたいと考えております。
○庄子大臣政務官 お答えを申し上げます。
肥料の備蓄についてでございます。
現状、中国からの輸出の停滞、あるいはロシアのウクライナ侵略など、原料調達が不安定な状況が今も続いてございます。こうしたことから、経済安全保障推進法に基づきまして、令和四年、肥料を特定重要物資に加えまして備蓄制度を始めたところであります。この制度の下で、主要な肥料原料でございますリン安そして塩化カリにつきましては、国内需要量の三か月分に当たります原料備蓄を進めているところでございます。
委員お尋ねでございました肥料原料の備蓄量の水準につきましてでありますが、一つは、肥料原料の途絶をしたとき、代替国から緊急輸入を行う際に要する期間、もう一つは、備蓄をいたしました肥料原料の品質を維持し得る期間、特にリン安は少し足が速いので、余り長期間保存が利きませんので、こうした両方を考慮いたしまして、必要十分な量として三か月分相当としているところでございますので、御理解のほど、よろしくお願いいたします。
○西川(将)委員 どうもありがとうございました。
以上で質問を終わらせていただきます。
○御法川委員長 次に、岡田華子君。
○岡田(華)委員 立憲民主党の岡田華子と申します。
私、青森県の弘前市というところの出身でして、今回、青森三区にて初当選させていただきました。前職が会社員でして、このような場で発言するのも初めてでございます。一年生議員ですけれども、本日は、このような貴重な質問の時間をいただきまして、本当に心から感謝を申し上げます。
そして、私、立憲のトリの質問者でもありますので、僭越ではございますが、江藤大臣、御就任、誠におめでとうございます。
でも、午前中と先ほどまでの質疑を拝聴させていただきまして、江藤大臣の御回答が物すごく丁寧で、もちろんほかの方も丁寧なんですけれども、紋切り型の答弁でないというところに非常に私、感銘を受けておりまして、建設的な議論がされている農水の委員会に、これから改めて頑張っていこうというような気持ちになったところでございます。
早速ですけれども、質問をさせていただこうと思います。
私からは、担い手の不足の問題、大臣の所信の中にも、農業者の減少が避けられないという認識が示されておりました。今回、親元の就農にスポットを当てていただいて、本当に大きな前進であったかと思います。この点については大変感謝しております。
引き続き、担い手の不足というのは重要な課題として対策が必要だと思っておりますけれども、今、本当に、建設業界、医療、介護の業界、運輸の業界、あとは半導体のような産業界も人手不足で、ありとあらゆる業界があの手この手で人を囲い込もうというか、呼び込もうということをやっております。けれども、これまで、正直、農業の第一次産業というのは、若い人たちの取組が結果を出してこれなかった、その結果、今、担い手の高齢化といったところの減少につながっていると思います。
今現在、これからの農林水産業の分野での人材獲得が非常に重要だと思うんですけれども、農林水産省としてこれからどのように対応されていくのか、大臣のお考えを是非お聞かせいただけますでしょうか。
○江藤国務大臣 特効薬はありません、正直なところ。やはり、今の若い方は、いわば、昇級するよりも、家庭を大事にしたい、週休二日はしっかり取りたい、そして有休も取りたい、そんなに給与水準もむちゃくちゃ高くなくてもいい、会社員であれば管理職にはなりたくないというような若者層も増えております。
そんな中で、先ほどの質問の中にもありました、季節的には労働集約的な産業構造である農業でいかに人材を確保するか、そして、雇い型ではなくても、まさに事業主として農業をやってくれる方をどうやって獲得するかは本当に難しいと思います。
基本的には、やはり夢のある世界じゃなきゃいけないと思います。
私、この間、高鍋農業高校の生徒たちが大臣室に来られたんですよ、彼らとちょっと話をする機会がありました。これから基幹的農業従事者は減る、だけれども、日本人は国産を食いたい、世界中では食べ物を欲する人たちが、人口が爆発する、もしかしたら食べ物は取り合いになるかもしれない、そのときに農業者には必ずスポットが当たる、君たちがいてくれて本当に助かったと。そして、農業者の方々が本当に稼げるようになる可能性は十二分にあると。
今百十六万人でやっていたものが三十万人に減ってしまったら、もちろん土地の集約化や様々なことはしますけれども、スマート農業とか。しかし、それにしても一人頭の所得は当然増えなきゃいけないわけですよ。当たり前じゃないですか。ですから、そういう夢も語れる農政にすることは大事だろうと思っております。
それから、新規就農については、四十九歳以下のハードルは残っておりますけれども、しかし、これもどれぐらいの人が手を挙げてくるか、まだ分かりません。私は、かなり挙がってくるんじゃないかなと期待もしておりますし、期待をしながらも、どれぐらい来て、応え切れるのかなという、補正でも取りましたけれども、不安もあります。
それから、農地所有適格化法人に対する出資の要件も、今までは五〇%以上は駄目だということでありましたけれども、食品産業とかそういうことをやる方々がですね。やはり、農業者の中には、出資をしていただいて資本力を強化すれば、新しく挑戦もできるし規模も拡大もできるという方々もおられるわけですよ。そういった方々が規模を拡大して意欲的な農業をやることによって、そこで研修することもできるでしょうし、雇用型で頑張る方も出てくるでしょうし。
いずれにしても、国民さんのために言うわけではありませんが、やはり手取りを増やしていくということが大変重要な課題になってくるだろうというふうに思っております。
○岡田(華)委員 ありがとうございます。本当に価値観が様々、多様になる中で、所得の確保をしながら若い人たちに魅力的な農業にしていけるように、協力してやっていけたらと思います。
続いて、中山間地域に対する支援についてお伺いをいたしたいと思います。
今、農業は、就農人数も減っているということで、大規模化、効率化の流れが大きく来ていると思うんですけれども、一方で、中小の農家さんに対する支援も同時に進めていく必要があると思っております。
といいますのも、私、青森、リンゴが盛んな地域なんですけれども、中山間地域のリンゴというのはかなりおいしいんですね。朝晩の気温差といったものもあって、とても魅力的な地域、リンゴにとってはとてもいい地域でもあるというふうに言われておりまして、ただ、中山間地域においては大規模化というのが難しい。また、リンゴの特性として、手間暇かけて何ぼというか、いろいろな人たちが、中小の農家さんたちが切磋琢磨して技術を磨き合いながら、そして、高品質で、いい形で、大きなものというのが作られて、海外でも人気になってきているというような、そういった側面もあります。戦略的に、リンゴについては、中小規模の優良な農家さんというのを支援していく必要があると思っているところなんです。
なんですけれども、現状は、地元に帰って農家さんたちのお声を聞くと、やはり自分たちというのは大規模化、効率化というところの大きな波の中に組み込まれていない、支援が不足しているように感じるというふうに聞きます。実際に、中小規模で経営が厳しい状態が続いている、それに伴って中山間地域の過疎も進んでいってしまっているというような現状もございます。
ですので、今後、中山間地域の中小規模の農家さんへの支援というのを是非強化していっていただきたいと思っているんですけれども、今後の農林水産省さんの方針について是非お尋ねできればと思っております。
○庄子大臣政務官 お答えを申し上げます。
中山間地域は、我が国の耕地面積、それから農家戸数、あるいは農業産出額、いずれも約四割を占めるという、非常に重要な役割を担っていただいているわけであります。ただし、今委員御指摘のように、大規模化するということが非常に、地形的にも急峻ですし、矮小化していますから、大変難しいという特性を持っておりますので、中山間地域の特性に応じた個別の支援策、これが必要だというふうに思っております。
このため、農水省といたしましては、中山間地域等直接支払交付金、これは来年度概算要求三百一億円要求しておりますが、ですとか、あるいは中山間地農業ルネッサンス事業によります基盤整備、あるいは中山間地域農業農村総合整備事業、そして最適土地利用総合対策、あるいは、人口減少、高齢化によりまして集落の維持が非常に難しいという状況になっておりますので、農村RMOの形成でありますとか、地域資源あるいはデジタル技術を活用いたしました社会課題の解決、さらには農村関係人口の創出拡大等によります地域活性化の取組など、支援を強化をしているところでございます。
今後とも、こうした事業の推進に努めてまいりますとともに、中山間地域の活性化を図ってまいりたいと思っております。
○岡田(華)委員 ありがとうございます。
本当に、集落の農村地域の保護、支援という観点で、中山間地域の農家さんは非常に重要な存在ですし、一方、加えて、戦略的にも、強い農家さんになり得る、特にリンゴの競争力を維持する観点で、中山間地域の農家さんはとても重要なものですので、引き続き支援強化に努めていただけると幸いでございます。
リンゴ絡みでもう一点なんですけれども、農業人口の減少というところに加えて、やはり、リンゴだけではないですけれども、農繁期と農閑期の需要の波が物すごい。昔は、家族、親族総出で、近隣総出でというふうにやっていたこともあるんでしょうけれども、最近は、季節雇用の人工を確保しなければならない、その確保が年々厳しくなっている、本当にここがすごく頭の痛い問題だというようなことをよく地元の農家さんから聞きます。
この先もますますこの問題は深刻化していくと思うんですけれども、対応について、どのように取り組んでいくのか、お考えを是非お伺いできればと思います。
○庄子大臣政務官 委員御地元の特産のリンゴ、私も同じ東北ですので、度々伺いますし、大好きでございますが、価格は堅調に推移はしておりますけれども、担い手の減少等がありまして、需要に応え切れていないという側面があると承知をしております。
また、今御指摘がありましたとおり、リンゴを始めとする果樹というのは、労働ピークが存在をいたしますので、年間を通じた雇用というのがなかなかに難しいということです。例えばリンゴで申し上げれば、五月から六月にかけての選果時期、そして十月、十一月の収穫時期、このときは、いわゆる労働担い手、もう幾らでも欲しいんですが、ほかの時期はそこまででもないという、非常にグラデーションが激しいものがございますので、こうした特性をしっかり捉まえなければいけないと思っています。
生産量の維持拡大を図っていくためには、担い手の育成、確保に加えまして、今申し上げたような季節的な労働力の確保が重要だというふうに思っておりますので、したがいまして、実地研修と園地継承を組み合わせたような担い手の育成、確保に加えまして、民間の人材派遣サービスを利用した労働力の確保なども上手に生かしながら、取組を推進してまいりたいと思っております。
○岡田(華)委員 ありがとうございます。
そうですね、是非その取組を進めていただいて、ただでさえ忙しい時期、あとは、高齢化も進む現場で、デジタル化も少し苦手な方が多いというところもありますので、現場に寄り添った施策といいますか、そういった手続負担のところも併せて検討していっていただければと思います。
最後もう一点、少し話題を変えて、気候変動の問題についてお伺いをしたいと思います。
毎年、猛暑、豪雨ですとか、あと鳥獣害被害などが顕著になる中で、農水省さんの方でも品種改良など様々な対応を取っていただいていると承知しております。
リンゴも、特に高温障害については深刻で、毎年やはり日焼けですとか着色不良といった被害が発生している状況でございます。一方で、やはり果樹の特性として、なかなか改植が進まない、改植がしにくいといった特性もありますので、今の畑を大事にしながら、今の木を大事に守りながらといった現状を踏まえて、どのような対策の支援をお考えかといったところについてお話をお伺いできればと思います。
○松尾政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、近年、夏場の極端な高温によりまして、リンゴの一部で日焼け、着色不良等の高温障害が発生し、出荷量が減少する、こういった影響が生じているわけでございます。
気候変動に伴う高温に対応するためには、まずは、これも御指摘ございましたけれども、高温状況下でも着色に優れました、例えば今、紅みのり、こういった新品種の育成、こういったものが大事だということで取り組んできたところでございます。
また、こういった高温適応品種への転換以外ということでございました。その中では、例えば、遮光ネットの設置でございますとか、小まめなかん水、散水の実施でございますとか、こういった高温障害の発生抑制に資する技術的な対策の導入を推進してきております。また、現在、気象予報からリンゴ等の日焼けや着色不良の発生リスクを予測する、こういったシステムの開発などの研究も進めているところでございます。
引き続き、こういった取組を推進してまいりたいと考えております。
○庄子大臣政務官 一点訂正をさせていただきます。済みません。
先ほど私、答弁の中で、五月、六月、選果と申し上げましたが、摘果の間違いでございます。訂正をさせていただきます。
○岡田(華)委員 ありがとうございました。
気候変動、着実に進んでおって、短期、中期、長期で対策が必要になってくると思います。複合的に農家さんの支援を進めてまいりたいと思いますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
これで私の質問を終わります。ありがとうございました。
○御法川委員長 次に、池畑浩太朗君。
○池畑委員 兵庫県の西播磨、中播磨から参りました日本維新の会の池畑浩太朗でございます。
本日は、大臣所信に対する質問であります。二期目も農林水産委員会に所属できたことを光栄に思っております。今まで、六名の農林水産大臣に質問させていただきました。今回も質問の機会をいただき、感謝をしております。また、多くの質問の後ですから、ちょっと重なる部分もありますけれども、見られています方がちょっと違うというふうに思いますので、そのまま質問させていただきたいと思います。
今回は、食料・農業・農村基本法の計画についての質問をさせていただきたいと思います。
本年五月、農政の憲法と言われております食料・農業・農村基本法が制定から四半世紀ぶりに改正をされました。江藤大臣が中心となり、まずは理念法、やり遂げられたと認識をしております。その中で、国家の食料の安全保障と位置づけておられるわけですから、国内の農業生産の増大と食料の自給率の向上が必要だと私たちは考えております。
八月には、内閣総理大臣を本部長とします食料安定供給・農林水産業基盤強化の本部会におきまして、基本法の改正を受けて、食料・農業・農村基本法の計画を改定する方針が示されました。大臣も予算委員会等で基本計画についてはかなり答弁をされておられますし、とても分かりやすい答弁をされておられます。食料・農村政策審議会の下で課題について検討されるとお聞きしておりますので、今後も農政の思い、現場の思いをしっかり反映されるように期待を申し上げるとともに、本日、幾つか、具体的に掘り下げるような質問をさせていただきたいというふうに思っております。
いろいろありますが、私は米を作るのが大事だというふうに思っております。本年の米の価格が上昇したことは、農家の所得確保という観点では喜ばしいことかもしれませんが、大臣も今回、いろいろな質問に対して御答弁もされておりますので、いろいろな思いがあるというふうに思います。一方、家庭では、家計が苦しい中、米の買い控えを誘発しかねない、せっかく伸びている輸出も後退することになってしまうのではないか、そういうことになってしまえば元のもくあみになってしまうんじゃないかという声もありました。
持続的な稲作を目指すのであれば、個々の農家がコスト意識を持ちながら、今言う価格転嫁など、また省力化、そして多収化の取組にもっと思いを持って進めていくことが大事なんじゃないかなというふうに考えております。
この中で、再三お話をさせていただいております食料・農業・農村基本法改正の審議の際に維新の会としても御意見を申し上げまして、改正法第三十条に多収化を規定させていただきました。米の多収化に向けてどのような取組をしておられるのか、そしてまた、これからどういうふうに推進していこうと思われているのか、農林水産省の考え方をまずお聞かせいただきたいと思います。
○堺田政府参考人 お答えいたします。
米の多収品種の開発は、今後の我が国農業の生産性向上を支える極めて重要なものと認識しております。特に、外食、中食向けや輸出向けなど、低コスト生産が求められる需要に応える上で大切なものと考えております。
このような中で、農研機構が開発した例えばにじのきらめきのように、多収性に優れて、かつ食味や高温耐性も兼ね備えた品種の開発、これを産学官連携によりまして推進しているところでございます。
また、こういった品種の普及につきましても、農研機構におきまして、プレスリリースあるいは栽培マニュアルの公表など、様々な広報活動を行うとともに、生産者と一緒に実証栽培を行うなど、積極的に実施をしているところでございます。
今後とも、各地域の現場のニーズを踏まえた多収性あるいは高温耐性などに優れた品種の開発、普及を進め、我が国農業の生産性向上に取り組んでまいりたいと考えております。
○池畑委員 ありがとうございました。
前期からやはり技術会議の皆さん方と連帯をさせていただいたことが今かなり重要だというふうに考えております。
にじのきらめきという今の品種、皆さんよく御存じでしょうか。余り聞き慣れない名前かもしれませんが、反当たり畝俵から十二俵、多くて十二俵取っていくというものであります。
これからいろいろな体制が取られるというふうに思いますけれども、やはり技術会議の皆さん、そして農研機構の皆さんの技術をどんどんどんどん発表していただいて、公表していただくということも大事だというふうに思いますので、是非よろしくお願いいたします。引き続きよろしくお願いいたします。
時間が短いので、次々行かせていただきます。
酪農家の現状について質問させていただきたいと思います。
緑川議員からもありましたけれども、今現在、農家数は一万戸を下回っておりまして、十月時点で九千九百六十戸になりました。また、酪農家の半数が離農を検討しているという調査報告もあります。
資材の価格高騰、いろいろありますけれども、日本の酪農を守るためには、政府はこれまでも飼料代の補填等、支援事業をずっと行ってまいりました。酪農家を十分に守り切れたとは言い切れませんが、かなりの施策を努力して頑張っておられるというふうに思います。
また、この三年間、委員からもたくさん質問がありましたけれども、飼料価格の高騰がそのまま高止まりをしております。飼料価格の高騰といえば、私も予算委員会だとか分科会とか、その都度、農林水産大臣の皆さん、そして国土交通大臣にも予算委員会で聞かせていただきました。
農林水産省は、できる努力、先ほどもお話しさせていただきましたけれども、されてきたと思いますが、海外でのコンテナ事業であったり、ウクライナのロシアの問題であったり、外的要因もかなりあるというふうに思いますが、今回、ちょっと視点を変えて、誤解のなきようちょっと聞いていただきたいんですけれども、質問させていただきたいと思います。
十五年前も穀物の価格が高騰して、農林水産省でも様々な努力をされ、また、そのときの政治家の皆さんも今と同様いろいろな議論をして努力をされたというふうに推察をしております。また、具体的な対策事業もいろいろ調べさせていただきましたけれども、反当たり一万三千円を助成する緊急対策事業など、これはいろいろ紆余曲折ありながらやったんです。そのときはかなり、すぐに穀物の価格の高止まりも収まってよかったなということであったというふうにお聞きしております。
その高止まりも、高騰も終わった後、喉元を過ぎた後というふうに言うのはちょっと失礼かもしれませんが、補助金を出した後も、大臣も所信で言われております耕畜連携の取組を拡大しましょうというふうな自給飼料の増産はどんどんどんどん機運がしぼんできたように見受けました。補助金は支援されましたけれども、その後、約束したはずの自給飼料の増産にはなかなかつながらなかったのではないかというふうに私は見ております。
今回も、今現在は自給飼料に焦点が当たっております。しかしながら、海外の輸入粗飼料なんかがどんどん安くなってきた場合、果たしてしっかり、この大臣所信にもあります耕畜連携、自給の粗飼料増産に取り組もうとしてくれると今でも農林水産省は思っておられるのでしょうか。十五年前の二の舞を踏まないように、どういった酪農家や団体への指導をこれから行っていこうと考えておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。
○庄子大臣政務官 お答えを申し上げます。
十五年前の今の事業について私も承知をしております。国産飼料の生産、そして利用の拡大ということは、国際情勢の影響を受けにくいということでございますし、また、畜産経営の安定に寄与するものだというふうに理解をしております。さらには、資源循環や農地の活性化等を通じまして、地域社会の維持にも資する重要な取組だというふうに思っております。今委員御指摘のように、直近の価格あるいは利便性といったものだけにとらわれない判断を促すということも重要だと思っております。
そこで、世界的な物価高あるいは円安の影響等によりまして国産飼料への期待がより高まっている今を好機と捉えまして、令和六年度補正予算におきましても、今ほど申し上げました国産飼料の生産、利用の意義を周知しながら、畜産農家と耕種農家の顔の見える関係づくり、あるいは餌供給の人手不足に対応するための外部支援組織の運営強化、こうした取組を支援をいたしまして、国産飼料の継続的な生産、利用を図ってまいりたいと思っております。
○池畑委員 ありがとうございます。
今はまだ高騰が収まっている状況ではありませんが、やはり継続してやっていかなければ、同じことを何回も何回も繰り返してしまう。かなり長い年月だというふうに思いますので、是非、今、庄子政務官が言われたように、継続してやはり進めていくということも大事だというふうに思いますので、冒頭私が誤解なきようというふうに言ったのは、何か補助金だけ取ってその後どうにでもなれという話ではなくて、やはり何か物事が起こって、今緊急なので頼みますみたいな話を繰り返していくことがよくないというふうに思っております。是非推移を見守っていただきたいというふうに思います。
次の質問に移らせていただきます。
和牛肉の需要が今なかなか振るわない中、例えばA5番の一頭当たり十五万円という直接支援であります和牛肉需要拡大緊急対策事業は、即効性があるものだというふうに考えております。
一方で、肉の卸事業者の方々から心配の声を聞かせていただきます。奨励金が入ることによって、実需者、特に大手GMS、これはスーパーとかなんですが、奨励金の分を買いたたかれるということが懸念されるということでありました。
実際に戸別所得補償と違うのは、今回の奨励金は実需者との取引を前提とした奨励金になりますので、ここで買いたたきが起こりますと、その肉事業者はいいかもしれませんが、更に上流の食肉事業者や畜産農家の補助金が入らないので、買いたたかれて安くなるだけということが起こり得ます。農林水産省と少しやり取りしたときには、そういうことがあるかなというような雰囲気でありましたけれども、肉の流通は多段階に及びますので、影響はかなり大きいものというふうに私は考えております。
そこで、まず農林水産省にお伺いをしたいというふうに思います。
このような買いたたきに対して対策を考えておられるか、また、悪質な場合には、公取と連帯などを考えているかどうか、お聞かせいただきたいと思います。
○松本政府参考人 お答えいたします。
委員からお話がありました本事業につきましては、和牛肉の需要を拡大するために、卸売事業者が小売、外食事業者などと連携をしまして、例えば、小売店や飲食店で特別販売で提供したり、また、ECサイト等を通じまして販売をする、このような多様な販売の取組に奨励金を活用するものでございます。
これの取組に当たりましては、食肉卸と小売、外食事業者、こちらが双方同意をした上で事業計画を立てていただきます。これを申請していただいたものを我々としまして審査をして認定していく、こういう仕組みにしております。また、取り組んだ後にもフォローアップという形で、どのような形で行われたか、これも追跡するような形を取りたいと思っております。
このようなことから、委員が御懸念になりますようないわゆる買いたたきは生じない、このような仕組みになっていると理解しております。
○池畑委員 買いたたきは生じないというふうに農林水産省は言われました。
本日は、信用していないわけじゃないんですが、公正取引委員会にもお越しをいただいております。
まず、こうしたことが起こり得るのかという認識をいただけたか。そしてまた、今農林水産省の答弁がありました。現場の声があれば、しっかりと対応していただけるか、また、取締りの対象となるかをお聞きしたいと思います。
○藤井政府参考人 お答えいたします。
一般論として申し上げることになりますけれども、取引上の地位が相手方に優越している事業者が、その取引の相手方に対して一方的に著しく低い取引価格を設定して、正常な商慣習に照らして不当に不利益を与えるということになる場合には、独占禁止法上の優越的地位の濫用として問題となるおそれがございます。
この判断に当たりましては、対価の決定に当たり取引の相手方と十分な協議が行われたかどうかなどの要素を総合的に勘案いたします。いずれにしましても、食肉事業者さんとその取引先の間で十分な協議が行われることが重要であると考えております。一般論としてのお答えになります。
○池畑委員 農林水産省でも十分管理ができるということでありますが、二重に公正取引委員会の方にも認識をしていただいたというふうに思っているので、これからも管理をよろしくお願いしたいというふうに思います。
次に移らせていただきます。
農業教育の予算確保について質問させていただきたいと思います。
私も三年前から同じようなせりふを訴えさせていただくんですが、農業高校出身、農業大学校出身、作業員で農業高校に採用されて実習助手を務めながら高校免許を取得いたしまして、九年八か月ほど農業実習を教えておりました立場からお聞かせをさせていただきたいと思います。
石破総理が会長であります農業高校を応援する議連がありまして、何回か農業高校の先生にお誘いをいただきまして参加をさせていただきましたけれども、三回目ぐらいに自民党の議連ということに気づきまして、御指導いただきまして参加がその後できておらないんですけれども、地元の兵庫の農業高校の先生方からの御意見、やはり文科省、そして農林水産省の方々が来られて、農業高校の実習の先生が聞くと。私もこの後参加させていただきたいんですが、自民党の議連だということで参加ができておりません。大変失礼いたしました。
まず、鈴木理事も水産高校の質問をされていたというふうに思います。今回は底上げをしていこうと、そして、長官に質問されて、最後詰められるところまで頑張っておられましたが。私は、水産高校と言われた部分をそのまま農業高校に置き換えていただいて聞いていただきたいというふうに思いますので、是非、水産高校、そして農業高校、また林業を教えている学校もありますので、置き換えて質問させていただきたいというふうに思います。
農業高校に関する施設の老築化ということはよくその議連なんかでも出ておりますし、どうにか施設を変えてほしい、鈴木理事からもありましたけれども、今の時代になかなか合っていないんじゃないかということもありまして、スマート農業の技術活用促進法に対応した学習が困難である。農業高校の実習の先生からは、やはり昔ながらの農業しか指導することができない、農業を志す生徒がやりたいと思える農業はなかなか、今大臣もずっと答弁をしていただいておりますけれども、希望を見出せる農業にはなかなかなっていないんじゃないかと。
農研で見たAI搭載の最新トラクターとか、植物工場の仕組みとか、やはり拠点になる農業高校に導入する必要もあるんじゃないかなというふうに思いますが、先ほど鈴木理事は、農林水産省、長官からお聞かせいただいておられました。私は文科省からお聞かせいただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○今井政府参考人 お答え申し上げます。
農業高校を含めた高等学校の施設及び設備につきましては、原則として、学校の設置者である都道府県等の判断により整備を行っていただくこととなっております。これに対し、文部科学省におきましては、産業教育の振興の観点から、整備に要する経費の一部について補助を行っているところでございます。
なお、このうち公立高校の設備に関しましては、現在、地方交付税交付金において措置をされているところでございまして、地方自治体において必要な経費を予算計上していただく必要がございます。
こうした支援に加えまして、地元産業の中核たる人材育成を行っている農業高校の役割は重要であるとの認識の下、昨年度の補正予算で措置されましたDXハイスクール事業において、農業高校におけるスマート農業を推進するための先進機器の購入費などに対しまして補助を行っており、昨日成立いたしました令和六年度補正予算におきましても引き続き予算を計上し、支援をしてまいりたいと考えているところでございます。
文科省といたしましては、本年十月に施行されましたスマート農業技術活用促進法の趣旨を踏まえ、今後とも、農業高校における老朽化した施設設備の計画的な更新や、先進機器の導入を支えていく取組を進めてまいりたいと考えております。
○池畑委員 この質問を私、何回か前にさせていただいたことがあるんですけれども、やはり昭和四十二年とか昭和四十七年の施設が残ったまま。現場の先生方が言うには、やはり声をかけづらい、県にもなかなか声をかけづらいと。そして、文科省とレクをさせていただくときにも必ず、県の判断だと。県が判断をして、その農業高校にどういうふうに分配をしていくのかということを中心にお話をされるわけであります。
鈴木理事に倣って再答弁をいただきたいところなんですが、是非、進む方向、今言われましたけれども、農業高校は拠点として大事だというふうなお話はあるんですが、科を集約するのではなくて、やはり、予算も限られたものがあるというふうに思いますが、最新の施設を導入していくような、農業高校に限定していくような考え方というのは文科省としてはあるかないか、また、今後検討するかどうか、また、考えようという立場におられるわけですから、その辺も含めて答弁をいただきたいと思います。
○今井政府参考人 お答え申し上げます。
どのような方法で学校の施設設備を整備するかといった方針につきましては、設置者である都道府県等が判断することとなりますが、例えば、議員御指摘のように、拠点校を設け、施設及び設備を重点的に整備するということも一つの方法ではないかと考えられるところではございます。
いずれにいたしましても、文部科学省といたしましては、農業高校におけます老朽化した施設設備、この計画的更新等に向けまして、設置者である都道府県等に対しての支援、またその促しを進めさせていただきたいと考えております。
○池畑委員 拠点となる農業高校、各農業高校から県の方へ連絡するときに、今の答弁は心強かったというふうに思います。是非よろしくお願い申し上げます。
それでは、最後の質問に移らせていただきます。同僚議員にもちょっとお願いいたしまして、少し時間をいただいておりますので、大臣、答弁はゆっくりしていただいても構いませんので、是非よろしくお願いいたします。
最後は、農業が継続的に発展するためには、やはり担い手の確保は大事だということであります。
十二月十三日の参議院の予算委員会での大臣の答弁を見させていただきました。質問でも、そのときには自衛官の話が出ておりました。私も今、安保委員会の理事をさせていただいております関係で、退役、退職された自衛官についてお話をさせていただく機会、また意見交換をさせていただく機会が増えました。その中で、参議院の先生が、退役自衛官に農業をやっていただくというのも一つの方策ではないかというような質問をされていました。
喫緊の関係閣僚会議でも、退職自衛官の方々が農林水産分野で活躍していただけるような、更なる研修の機会の提供や現場とのマッチングに向けて、関係する組織や団体に情報発信を強化するものといたしますということで、山本農林水産政務官とか、前の小里農林水産大臣も各閣僚会議でお話をされているということを聞かせていただきました。
一昨日、兵庫県の齋藤知事と、退職自衛官がどのようになっているかということを企画部長と共々お話をさせていただく機会がありました。それといいますのも、兵庫県として国の予算編成に対する対案を持ってこられたときに、資料の中に、兵庫県の農業大学校にて、有機農業アカデミー、これは仮称というふうに書いてありましたけれども、概要で施設と設備が入っているのでちょっとボリュームがあって、三億二千万ほどの予算を計上していたんですね。
そのときに閣僚会議などの内容を知事にお伝えをしたところ、私からは、これは私の提案だったんですが、農業大学校は各都道府県にあります、そういった有機農業のアカデミー、これは十名ぐらいを予定していて、設備も施設もそうなんですが、三億二千ということなのであれば、各都道府県に、防衛省にもある程度所得を保障してもらいまして、防衛省にですよ、予算決めをしてもらって、農業大学校で二年間勉強してもらう。四十九歳の壁というふうに言われていましたけれども、四十九歳の壁は壁でちょっとまた議論して、別途考慮していただいてですね。
まずはその農業研修が、体力もあってやる気もあって、大分機械を扱うということでシンクロ性もあるというふうな総理も答弁をされていらっしゃいましたけれども、退役自衛官に農業大学校で学ぶ枠を設けて、その後、農業をしっかりとやっていただくようなことについて推進をしていければいいんじゃないかなというふうに思っております。
大臣も具体的にどういうふうにお考えか、ちょっとまだ今の段階では分かりませんけれども、大臣も具体的にどういうふうに推進していこうと思われているかを含めて、質問させていただきたいと思います。
○江藤国務大臣 余り今まで考えたことがなかったのでこれからはしっかり考えようと思いますが、自衛官の方々は気力がまず充実していらっしゃる、そして、体力的にも一般人に比べたらはるかに能力も高い、非常に忍耐強いという特性を多分持っていらっしゃるんだろうと思います。そういった方が農業の世界に入っていただくことは、極めてありがたいですね。
そして、自衛官として働いていただいている間に様々な資格も、例えば、大型の機械であったり、トラックであったり、十トン車とか、よく知りませんが、そういう大型車両を扱えるような資格も取っていらっしゃったりするということであれば、例えばコントラクターで働くとか、いきなり独立しなくても、様々な就職口はあると思うんですよ。
ですから、これは一つの、これだけ基幹的農業従事者が減るという現下の状況にあっては、極めてありがたいです。総理も極めてこの思いが強くて、昨日の予算委員会でも、毎日退官されている、年度末に退官するんじゃなくて、毎日、誕生日の日に定年が来たら離職していくんですよという話をされておられました。そして、離職した先で、その間に身につけたスキルが全く生かされない。極端な話、最新鋭の戦闘機に乗っていた方でさえその能力が生かされないというのは、本人にとっても残念だし、才能が埋もれることにもなると思います。
ですから、農業は、これから更に、今、農業大学校の話とか農業高校の話もしていただきましたが、やはり、新しい農業の形をつくっていかなきゃなりません。本当に三十万になっていいとは思っていません。三十万人にならないようにしなきゃいけないと思っておりますが、ただ、減少トレンドは止められないと思うんですよ。そのトレンドの中で、残って立ち止まった人たち、新たに入ってくれた人たちが、いかに所得を獲得し、営農を続けていくかということであれば、こういった気力、体力、能力、それから知識、資格を持っていらっしゃる自衛官は極めて有効だと思います。
ですから、これはまた防衛大臣とも話もしてみたいと思いますし、農業経営大学校もありますし、農業大学は各県にあります。そういったところで、新たに学び直しというものは、今、リスキリングは政治の一つのトピックスにもなっておりますので、そういった観点も含めて、是非前向きに検討させていただきたいと思います。
○池畑委員 ありがとうございました。前向きに考えていただけるということでありました。
何の因果か、あした安保委員会で中谷大臣に同じことを聞かせていただきますので、参考にしていただきたいというふうに思います。是非よろしくお願い申し上げます。
最後に、申し遅れましたが、御就任、誠におめでとうございます。
以上です。
○御法川委員長 次に、林佑美君。
○林(佑)委員 日本維新の会、林佑美です。
本日は、質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
私の地元和歌山県でも、農林水産業はなくてはならない産業です。果樹の一大産地であり、県の面積の多くが森林です。漁港も多くあります。私は、今国会から初めての農林水産委員ではありますが、全国各地の先生方の皆様の各地域の実情を踏まえた質問をお聞きできること、そして、農政に長く携わり経験豊富な江藤大臣を始め、関係者の皆様とやり取りできることを楽しみにしております。よろしくお願いいたします。
さて、先日の農林水産委員会におきまして、江藤大臣の所信を拝聴いたしました。その中で、我が国の農林水産業は、農地を守り、山を守り、漁業を通じて国境を守るといった役割を担っており、まさに国の基であり、国民の皆様にとってかけがえのないものというお話がございました。その一方で、かけがえのないものだからこそ、将来にわたって農林水産業が続いていくためには、様々な課題を克服しなければいけないと考えております。
江藤大臣の所信に関しましても、国内では、人口が減少し、農業の担い手がいなくなり、農村が維持できなくなってしまうという危機感、世界に目を転じてみれば、世界情勢の不安定化により、食料安全保障の強化をしていかなければならないといった大変重要なテーマが多くあると感じました。
今回は、そういった意味で、国の基となる生産者における担い手の確保の拡大、充実や、これから大変重要となるみどりの食料システム戦略、お時間が許されましたら、鳥獣被害、農作業安全対策における課題につきましても質問させていただきたいと思います。最後までどうぞよろしくお願いいたします。
初めに、担い手の確保について伺います。
農業は、品目にもよりますが、機械化によって生産性が大きく向上したものもあります。一方で、どれだけ生産性が向上できたとしても、やはり重要なのは人だと思っております。人がいなければ、農村も成り立ちません。農村が成り立たなければ、地方が衰退してしまいます。
江藤大臣の御発言にもございましたように、人口減少に伴い、農業者の減少が避けられない中で、持続的な食料供給を図るためには、親元就農を含めた新規就農を促進し、農業者の数が減少する場合にも対応可能な強い生産基盤が必要であると述べられております。
国内需要が減少する中、日本の農業は先細りの一途をたどっていく可能性も高いのではないか、そして、そのような状況では、農業の門をたたいてくれる人が減ってしまうのではないかと危惧しております。
特に、担い手の確保が急務な中で、基幹的農業従事者数は、二〇〇〇年から現在までで、二百四十万人から百十六万人に半減しています。また、大臣所信にもございましたように、現在の基幹的農業従事者の約八割は六十歳以上の方、平均年齢は六十八歳で、今後二十年間で、更に現在の四分の一、約三十万人にまで減少することが懸念されています。
私の地元和歌山県においては、令和五年度新規就農者数調査結果によりますと、県内で五年度に新規で農業に就いた方は百五十八人で、部門別で申し上げますと、果樹農家が九十九人で過半数を占めております。和歌山県では、地域によっては、移住促進やUターンの促進の一環として、一定期間の農業研修を用意している地域もございます。そういった取組を行い、新規の参入もどんどん進め、人材を呼び込んでいくことも重要です。
また、農家の方がお子さんに継がせたいと思うような環境をつくっていくことも重要だと思っております。参議院予算委員会の議論を聞きますと、親元就農は要件が厳しいようです。和歌山県では果樹が有名ですが、果樹は、新規参入しようにも、木が大きくなるまでは収益がないので、親御さんから継承した方が結果的に農地と農村を守れるのではないかとも思います。
大臣の御地元宮崎県でも、畜産農家の方が多いと思います。立派な施設をしっかり次の世代に引き継いでいく方が当然よいと思います。しかしながら、特に地方では、急激に人口減少をしていく中、農業を継いでもらえないという方も多い中で、親元就農は恵まれているというのもちょっと違うのではないかと私は思っております。
今後、国内の人口は減少が続き、特に地方における人口減少は更に深刻さを増していきます。このため、農業において大変深刻な担い手不足をもたらすと懸念されております。
今後、農林水産省において、担い手確保の取組をどのように強化していこうとお考えでしょうか。大臣のお考えをお聞かせ願います。
○江藤国務大臣 非常に広範にお話をいただきまして、ありがとうございます。
やはり人だというお話をいただきました。農業は、決してハードルは低くありませんが、難しいですよ。職能を持っている人たち、私は職人の集まりが農業だと思っています。それは畜産の世界も同じだし、林業の世界もそうです。林業なんかはまさに命を懸けた仕事の場面がたくさんあります。漁業でいえば、板子一枚下はもう海ですから。私の友人も、遠洋のマグロ漁ですけれども、弟が落ちて、助けに行って、兄弟で亡くなった友人もいます。そういうようなところでありますから、決してハードルは低くはありませんけれども、しかし、いかに魅力あるかということを発信していく必要はあるんだろうと思います。
担い手の要件についてもお話をいただきました。
これまでは、とにかく、四十九歳の要件もありましたし、それから親元就農については、先生がおっしゃるように、条件がほかの人より恵まれている。確かにそうですよ、何もない人に比べれば、機械もある、農地もある、施設もある。確かに有利だという意見はありますけれども、ただ、親元の人たちというのは、例えば役場で働いていたとしても、子供の頃から農作業を手伝っている可能性があるんですよ。やはり、親の背を見て育つというふうによく言いますけれども、子供の頃から農作業に触れてきた人、そういう経験を積んできた人は、ある意味研修済みという見方もできるんですよね。ですから、有能な、極めて有力な担い手であり得べしということで、今回見直しを指示いたしました。
そして、これまでは、新たな品種に挑戦しなきゃ駄目よというまたハードルを設けておりましたけれども、例えば、トマトを作っている、トマトのハウスがある、そのトマトのハウスに例えばCO2発生装置を新たにつけて生産性の向上を図る、大体二〇%ぐらい上がりますよ、それだけの要件でも一応認めようということで、上限も五百万から六百万に上げました。
ですから、これにどれぐらい手が挙がるかをまず見させていただいた上で、四十九歳以上についてはどうするか。ただ、私、今六十四なんですね。今から農業に就いても、多分そんなに役に立たないです。お手伝いぐらいなら役に立つかもしれませんが、事業主にはちょっとなれないですね。やはり、六十四になると体力が落ちますよ、正直言って。落ちますよ、落ちるんですよ、残念ながら。ですから、じゃ、七十歳でも新規就農と認めるのか、七十五でも新規就農で認めるのかというと、なかなかこれも議論のあるところなので、これをまた先生方と議論しながらまとめていきたいなと思っております。
とにかく、先ほども申し上げましたが、三十万人になっていいとは全く思っていません。三十万人にならないように農の魅力を高めていく。若い人たちが自分の人生を農林水産業という業界にかけてみよう、ここで生きていこうというふうに思っていただけるようなやはり魅力ある第一次産業にするための努力をすることが農林水産省としての役割ではないかなというふうに考えております。
○林(佑)委員 ありがとうございます。担い手確保の取組について、引き続き安心して営農できる環境づくりをよろしくお願いいたします。
その中でも、高齢化が進む中で若者の就農人口が少ないことも現状の大きな課題だと考えております。多くの若者が農業の門をたたいてもらうようにするためには、農業自体を魅力ある産業にしていかなければいけないというのはもちろんですが、近年では、農業と余り関わりがなかったけれども農業をやりたい、地方出身者で東京に出ているものの、Uターンして農業をやりたいが一歩踏み出せないでいる若者もいらっしゃると思います。そういった方が移住してきたなら、その地域にとってこんなよいことはありません。
若者の就農を増やすために必要なこと、また、そのためにどのような施策を進めていかれますでしょうか。お答えください。
○庄子大臣政務官 お答えをいたします。
今の委員の御指摘、今ほど大臣が御答弁されたとおり、第一次産業を魅力あるものにするということに尽きるわけでございます。
私も少し前に東北の若い人とお会いをしたときに、農家になろうとは思わないけれども農業はやってみたいという、そうした若者がいらっしゃいました。魅力を高めることでそうした方々を就農に招き入れることは可能だというふうに思っております。
こうした観点から、農水省といたしましては、就農希望者や地方公共団体、農業法人などが一堂に会しました就農相談会、これは新・農業人フェアということで開催をさせていただいておりますし、また、実践的な研修農場の整備、これはトレーニングファームと呼んでおりますが、こうした整備等のサポート体制の充実を図っております。
また、最近では若い方が農業法人に雇用就農するケースも増えておりますので、雇用環境を改善し、魅力ある労働環境をつくるということも大事です。また、女性が働きやすい、そうした環境を向上させていくために、男女別のトイレあるいは更衣室等の確保を支援ということなどにも取り組んでおります。
加えて、様々な資金メニューの支援、あるいは都道府県や市町村によります就農や経営継承に関するサポート、こうしたことを引き続き次の世代の農業者の確保に向けまして施策として講じてまいりたいと思っております。
○林(佑)委員 ありがとうございます。
是非とも、若い方が夢と希望を持って農業をやろうと思えるような施策、そして、就農された方が願わくはずっと農業を続けることのできるような前向きな政策の検討をよろしくお願いいたします。
次に、新規就農者支援の年齢要件についてお伺いいたします。
農水省におきましては、現在、認定新規就農者制度があります。新たに農業を始める人が作成する青年等就農計画を市町村が認定し、その計画に沿って農業を営む認定新規就農者に対して重点的に支援措置を講じる制度です。この制度は、原則として十八歳以上四十五歳未満が対象とされており、四十五歳以上六十五歳未満の方が対象になるには、特定の知識、技能を有するという条件が、先ほど答弁にもございましたように、設けられております。また、新規就農者育成総合対策では、経営発展支援事業、経営開始資金、就農準備資金、雇用就農資金というメニューがありますが、そのいずれにおいても対象年齢が四十九歳以下とされています。
日本の平均寿命は延び、人生百年時代とも言える中で、六十五歳以上の高齢者の就業率も過去最高を記録しております。その中で、四十歳以下の新規就農者への支援策の枠組みを五十代以上にも広げていくことで、セカンドキャリアとして就農する人口が増え、即戦力として担い手が確保され、農作物の収量も増えてくるものと思います。
和歌山県の話ですが、三世代家族が多く、祖母と祖父が農業をされ、夫婦は会社勤め、そして、会社勤めを終えたら六十歳手前で農業を引き継ぎ、十五年、二十年農業をするというケースも多くあります。農業者人口が四分の一になってしまうかもしれないということでしたが、そのような状況では、このような五十代で就農される方も立派な戦力ではないでしょうか。先ほど答弁で体力がないと大臣はおっしゃっていましたけれども、和歌山県では六十代、七十代で元気に御活躍されている方が多くいらっしゃいます。
こう考えますと、認定新規就農者制度、新規就農者育成総合対策について、対象年齢を五十代、六十代までに広げる必要性があると考えております。
先日の参議院予算委員会では、大臣が、対象を広げたかった、予算の問題でできなかったとおっしゃっておられました。それを受けて、石破総理も、農水省として更なる議論がされるものと認識しておられました。
そこで、大臣、先ほどもありましたけれども、改めて、対象年齢を広げるという議論を始めていただけるのか、大臣はどう考えておられるのか、お伺いいたします。
○江藤国務大臣 実は、私の次男坊が今農業として独立しようとしているんですよ。私も、早めに政治家を辞めて息子と一緒に農業をやりたいなという夢を持っています。ですから、全く役に立たないわけじゃないですよ。私、週に三回は大体七、八キロ走っていますので、普通の人よりかは体力はあると思います。
ただ、まず、先ほど申し上げましたように、四十九歳以下という制限を加えた上で、親元就農のハードルを下げました。がんと下げました。これはかなり手が挙がると思うんですよ。予算の枠の中でいかに処理するかということはやはり大事です。この四十九歳の制限を設けた上で、どれぐらい手が挙がるかをまず見たい。
だけれども、この間、予算委員会でも申し上げましたけれども、例えば、早期退職勧告を受けて、五十五歳とか五十歳とか、それぐらいで退職される方もいます。一流企業だと何千万円も退職金をいただくわけですよね。そういう方がそのお金を持って帰ってきて新しい農業に更に投資をする、親がやっている農業を更に規模拡大するなり、近代化するなり、スマートを入れるなり、そういった自己資金で更に担い手として営農ができるということであれば、これはすばらしい担い手なので。
ですから、できれば四十九歳の要件を若干緩和したいという希望は持っておりました。持っておりましたが、今回は、予算の総枠を眺め、今回の補正予算の獲得した予算の総額も眺めると、一気にやると、風呂敷は広げたけれども入り切れないということになってもまずいねということでこういうことにしました。しかし、先生のおっしゃるように、もうこういう時代になったら検討すべき課題であるということは重々了解しておりますし、考えてみたいと思っております。
○林(佑)委員 ありがとうございました。
是非とも、この課題に対しても御検討いただき、幅広い世代の皆様とともに生産基盤強化を実施していただければと考えております。よろしくお願いいたします。
次に、みどりの食料システム戦略についての質問です。
こちらにつきましても江藤大臣の所信の御発言にもありましたように、環境と調和の取れた食料システムの確立が基本法の理念として新たに位置づけられたとされています。
私は、初当選以降、環境委員会に所属し、環境について議論してきました。何となく農林水産業は環境に優しい産業だというイメージを私は持っておりましたが、よく調べると、実は環境に負荷をかけている面があります。例えば化学肥料であったりですとか化学農薬であったりですとか、そういったものを少しでも減らしていくということは、将来世代に食を引き継いでいくために、我々の世代から取り組まなければいけないことです。
このようなことは生産者だけの努力では実現できないと思いますし、流通の段階、消費の段階におきましても環境への影響という面を理解していただき、食料システム全体で環境に優しいものを実現する、そういった趣旨の戦略であると理解しております。
この戦略の実現に向けて、化学肥料、化学農薬の使用低減や有機農業の拡大、環境負荷低減の取組の見える化などの実施をしていかれるとあります。みどりの食料システム戦略において、化学農薬は可能な限り減らして、持続可能な農業を目指していくとありますが、農林水産省として、当面の間、よりリスクの低い農薬への切替え、化学農薬のみに頼らない総合防除の推進、有機農業の面的拡大などに取り組んでいると聞いております。
このことを推進するために実証に取り組んでいるということですが、どのくらいの産地で取り組んでいるのか。また、和歌山県では果樹が有名なので、果樹産地での具体的な取組について伺いたいと思います。
○安岡政府参考人 お答えさせていただきます。
委員から御説明いただいたとおり、みどりの食料システム戦略においては、化学農薬の低減、これを目標の一つとしております。このため、令和三年度の補正予算から、化学農薬を低減しながら効果的な病害虫防除ができるような技術体系の確立ということで、実際の産地での実証などを進めているところでございます。
お尋ねのこれまでの実績でございます。例えば、化学農薬だけに依存しない、例えば天敵なども導入した総合防除の実証については百八十四件、そして、よりリスクの低い農薬への切替えについては二十件、化学農薬を全く使用しない有機農業の実証については六十一件といったことで行われているところでございます。
お尋ねの果樹の産地の例でございますけれども、一つ、徳島の例を御紹介させていただきますと、かんきつの防除で、天敵やフェロモン剤なんかを入れて、総合防除の実証に取り組んだということで、実際、化学農薬の使用量が三割ぐらい低減したという例がございます。
また、御地元和歌山県の例でございますけれども、温州ミカンは、雨が降ると、改めてやはり農薬をまき直さなきゃいけないというふうなことがあって、農薬のまく回数が多くなってしまうということなので、雨が降っても防除効果が落ちにくいような農薬の技術体系の実証をやって、ミカンにおいては非常に重要な、黒点病に対する農薬の散布回数を減らすというふうなことの成果が得られているところでございます。
こうした実証成果を基に、各産地の防除暦であるとか栽培暦、実際にこういうものを切り替えていく、さらには、他産地にも横展開するということで、化学農薬の低減の取組の更なる拡大を図っていきたいというふうに考えております。
○林(佑)委員 ありがとうございました。
果樹は、人手もかかりますし、大変な仕事です。担い手も減少する中、少ない人数で農作業を回さないといけません。化学肥料、化学農薬の減少は、将来のために取り組まなければいけないものであると理解しますが、農業現場の実情からいうと、なかなか難しいかもしれません。是非、一度、踏み出せるような施策をよろしくお願いいたします。
時間になりましたので、質問を終了いたします。
大臣、御就任おめでとうございました。
○御法川委員長 次に、奥下剛光君。
○奥下委員 日本維新の会の奥下剛光です。
本日は、このような貴重な機会をいただき、ありがとうございました。
国交と委員会がかぶっていて、理事をやらせていただいている関係で、ほとんど、ちょっと皆さんの質問を聞けていなかったので、かぶる質問もあるかと思いますが、御容赦いただけたらというふうに思います。
では、早速質疑に入りたいと思います。
大臣の所信にもありました、農村を支える人材を確保し、活力ある農村を次世代に継承していくとのことですが、実際に農業従事者の高齢化が年々進んでいる中、具体的に、どのように人材を確保していかれるのか、大臣の御見解をお聞かせください。
○江藤国務大臣 全く、先ほども申し上げておりましたのですが、特効薬はありませんが、何としても農業の魅力をまず増していきたいと思っています。そして、やはり若者の思考も変わって、私の息子なんかでも、着るものはほとんどユニクロですよ。私の時代は、バイトしてでも、ちょっとでもいいブランドの服を着たいだとか思ったものですけれども、思考も変わってきているので、子供たちの考えに合ったような働き方も必要だと思います。
先ほど、九百六十時間の話とか労働集約性の話もいたしました。しかし、そうでありながらも、農林水産業も、例えば雇用型であれば、週休二日も可能なんだよ、有休も取れるんだよ、給料も三十万ぐらいはギャランティーであるんだよというようなこともやっていかなきゃなりませんので、その中で、やはり生産、流通の確保、そして、最終的には消費者の方々の御理解もいただいて、合理的な価格の形成をしないとやはり難しい。
そのためには、やはり所得を上げていかなきゃいけない。可処分所得が上がっていないのに、高いものを買ってくださいとはなかなか言えませんので、経済全体を底上げすることによって、農家の方々の負担も減らし、それから最終消費者の方々の購買力を上げて買っていただける。様々な、一つのことをやれば何とかなるということはありません。
先ほどから新規就農の話とか様々させていただきましたけれども、それだけじゃありません。例えば、漁業でいえば、私の地元でいうと、まき網船があります。非常にいい船を造った、もうかる漁業を使ってですね。そういう船の乗組員は、所得が高いですよ。ところが、それに踏み切れていない、古い船を使っている船主さんは、なかなか漁獲量が上がらない。ですから、なかなかいい給料も払えない。
ですから、今までは、農林水産業の補助事業というと、全て五〇%が上限ですということで、かせをはめてきました。これを六割まで上げていくという今努力をしています。これだけ物財費も上がり、資材調達費も上がっていったら、農家の方々が挑戦しようという意欲が高まるように、国の補助率も上げていかなきゃいけない。そういったいろいろなことをパッケージで考えて、何とかこの一次産業が若者が人生を懸けるに値する産業となるように、努力をしていきたいと思っております。
○奥下委員 ありがとうございます。
大臣おっしゃられるように、農家の魅力、どんどん若い方がそういった発信をされているのを、最近、僕、今回の選挙からティックトックを始めたんですけれども、ティックトックとかで最近よく流れてきて、よくフォローして見るように子供となっているんですけれども、本当にそういった、一人一人も努力されているので、是非、政府としても、補助というか、そういった助けをどんどんしていっていただくようお願いいたします。
次に、耕作放棄地についてお尋ねします。
耕作放棄地を集約して、農業に再参入する企業も出てきておりますが、もっとも、農業従事者の高齢化により、耕作放棄地は今後も増加の一途をたどるのは間違いないと思います。企業がこぞって農業分野に参入したとしても、集約化に難点がある農地もかなりあるはずですから、放棄地になる方が圧倒的に増えていくと考えるんですけれども、解決策を含めて、大臣のお考えをお聞かせください。
○江藤国務大臣 必ず、耕作放棄地、今二十五万ヘクタールございますけれども、まず増やさない努力。もうこれは増えるんだ、増えていくこのトレンドは止められないんだというところには立たない方が私はいいんだろうと思います。
たしか副大臣のときだったと思いますけれども、千葉だったと思いますが、イオンさんがやっている農場に行きました。そこはもうまさに耕作放棄地、ひどい耕作放棄地で、こんなでっかい木が生えちゃって、元農地だということさえ分からないほど荒れていた土地を、イオンさんが資本を入れて、そして農地にして、そこを直営農場にして自分のところで売るというようなことを、今、全国で二十一か所ぐらいやっています。それとか、例えば私の大好きなモスバーガーなんかでは、自分のところでトマトを作って、なかなか経営的には厳しいみたいですけれども、そういった取組もあります。
ですから、そういった資本を持っている方々、これまでは、農業は、農地法の理念からいって、農地は農業者が耕作するものだというところから、やはり一歩も出られなかったというのは反省としてあるんですよ。しかし、これから先は、ある意味、食品産業や様々な関係のそういう資本を持っている方々が農業経営に参入することを促していけば、もう耕作放棄地になっているところも、耕作放棄地予備軍も、何とか止めることができるんじゃないか。私は二十五万ヘクタールを減らしたいというふうに思っておりますので、そういった知恵を何とか出していきたいというふうに思っております。
○奥下委員 ありがとうございます。
大臣おっしゃるように、そういった立場に立たずに、まずなくしていく、そういったことでやっていくのは当然だと思うんですけれども、そうした中で、スマート農業の技術が開発、実用化が進めば進むほど、人手は当然要らなくなるわけですけれども、移民を農業従事者にしてはどうかという意見を言われることが最近よくあります。実際、今の林業、漁業、そういった労働者の方もよく見受けられますけれども、これをしたところで、地方の過疎化はおろか、国全体の人口の回復にはつながらないと思うんです。しかし、先ほど申し上げた企業が集約化に難点があると判断した耕作放棄地において、移民に農業用地として開放するとしたら、ちょっと話は変わってくるんじゃないかなというふうに思っております。
ちょっと、売国奴と言われるかもしれませんけれども、恐れずに申し上げると、特に中国人ですね。彼らにとって、不動産の個人所有は大きな魅力だと思いますし、中国の都市部と農村部では、生活環境、所得レベル共に大きな格差はあります。中国には都市戸籍と農村戸籍があるので、この制度はまさにガチャの典型だと思うんですけれども、農村部の方が都市部への永住を困難にしている原因であると思います。条件次第では、日本の移住も考える人が少なくないのかもしれないんですけれども、こういった企業が難点であるという耕作放棄地、これを外国人の方に開放してはどうかなと思うんですが、大臣のお考えをお聞かせください。
○杉中政府参考人 お答えいたします。
まず、外国人の農業分野の活用という観点で答えさせていただきますけれども、農業者が減少する中で、まず今、法人経営体の役割が非常に重要になっておりまして、この中で労働力の確保というのが重要な課題になっております。こういう観点から、外国人材を雇用労働力として中長期的に活用して活躍していただくということは非常に我々も重要だと思っておりまして、特定技能制度などを活用して外国人材の円滑な受入れと働きやすい環境整備に取り組んでいるところでございます。
また、議員御指摘の点についてですけれども、外国人が自ら農業経営を行うこと、特に外国人が農地を取得すること等については、かなり強い懸念があるということも事実でございます。平成二十九年から外国人等による農地取得の実態調査を公表しているところでございますので、こういった調査も見ながら慎重に対応する必要があるというふうに考えております。
ただ、農地法におきましては、農地の取得要件として、取得する農地の全てを効率的に利用することと、必要な農作業に常時従事することというのを求められておりますので、在留外国人については、この要件を満たしますので、農地を取得して経営をすることはできるというところでございます。
○奥下委員 ありがとうございます。
懸念があるのは十分承知しております。こういったことを言うと、すぐ国が乗っ取られるとかそういった意見がよく出ますけれども、これは我が国としても、バブル時代に海外に土地を買いに行っておりました。そういった方々のお話を聞くと、その国は、やはり自国を守るために、外国人に対しては税収を二倍、四倍、どんどん倍々に上げていった、最後は、外国人は土地を取得できないというような法律に変えたんですね。
日本人の感覚からいくと、そんなことをしていいのかとか思うかもしれませんけれども、やはり海外からしたら、こういったことはスタンダードな考え方で、自国を守るために当たり前だという観点がありますので。我々も、どこでもかしこでも売れと言っているわけじゃなくて、貸せと言っているわけじゃなくて、一般の土地とか、そういったところはどんどん外国人に開放して、税収を納めていただいて、それでも問題があるならば、海外であるように、法律を変えて最後、外国人が取得できないというような法律に変えていけばいいだけだと思いますので。
総務省が発表している人口動態統計においては、早ければ二〇四〇年には一億人を切ると言われております。日本のGDPの七割が内需に依存しているわけですから、ただ、この内需を保とうと思えば一億人という最低の人口が要るというふうにも言われている中でも、十五年後にはそういった内需が回らなくなる可能性も出てきているので、これは農業だけにかかわらず、きちんと我が国として向き合って議論していかないといけない問題だと思っております。
次に移ります。
スマート農業を推進していくに当たり、更なる通信のインフラ整備が必要だと考えますが、携帯大手四社は営利企業ですから、やはり、山間部や離島など人の少ないところには、インフラの充実はなかなか望めないんじゃないかなというふうに思っております。そうなると、公主導の通信網を拡充するしかないというふうに思いますが、そういった方針は打てないんでしょうか。総務省と農水省にお尋ねします。
○荻原政府参考人 お答え申し上げます。
総務省におきましては、山間部ですとか離島などの条件不利地域におきまして、自治体等が基地局を整備する場合ですとか、あるいは4G基地局を5Gに高度化する場合に国の補助金により支援してございます。特に、離島につきましては、補助率をかさ上げいたしまして、インフラ整備を推進しているところでございます。
さらに、無人飛行機ですとか衛星との直接通信、そういったものの実現に向けた取組も進んでおりまして、総務省といたしましても、技術開発ですとかあるいは制度整備によりまして、その取組を支援しているところでございます。
総務省といたしましては、これらの取組を通じまして、山間部や離島などの条件不利地域における携帯電話のエリア整備を後押ししてまいります。
○前島政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、スマート農業技術の活用の促進のためには、農業現場における情報通信環境を整えることが重要だと考えております。
このため、農林水産省では、農山漁村振興交付金のうち、情報通信環境整備対策によりまして、自治体や土地改良区、JA等が行う光ファイバーや無線基地局等の情報通信施設等の整備を支援しているところでございます。
また、令和七年度予算要求におきまして、RTK―GNSS基準局の単独整備を可能とするなど、必要な支援を新たに盛り込んでいるところでございます。
総務省とも連携いたしまして、これらの取組により、山間部や離島などにおける、農村地域における情報通信環境の整備を推進してまいる考えでございます。
○奥下委員 ありがとうございます。
大きな基地局と考えると大変大きな金額になると思うんですけれども、今、高性能なWiFiとかも出てきておりますので、こういったのをうまいこと使えばもっと安く広げていけるんじゃないかなと。衛星都市とか石垣市とか、大阪では泉佐野市とか、独自のモバイルとかつくってそういった拡充も図っていっていますので、これは農業だけじゃなくて医療にも関係してくることなので、是非充実していっていただけたらなというふうに思います。
次に移ります。
地球温暖化の最大の原因がメタンガスと言われておりますが、そのメタンガスを多く排出するのが牛や羊のげっぷと言われております。海外に目をやれば、げっぷ税という、ニュージーランドですけれども、取り組んでいる国もあります。
この牛や羊のげっぷを排出し難くすることに取り組んでいる会社がありまして、こういった会社が、環境省とか農水にも言っているみたいなんですけれども、肝腎なことが、メタンガスを測る基準値がないので先に進めないというようなことをおっしゃっておられます。
所信にもあるように、Jクレジットとかで今後目指していくことを考えたら、こういった策定基準、これをしていったら、どんどん海外に売っていけるんじゃないかなと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○堺田政府参考人 お答えいたします。
Jクレジット制度の基準、方法論についてのお尋ねがありました。
委員御指摘の牛のげっぷ由来のメタン削減につきましては、温室効果ガス削減を目的とした物質が、本年十一月に飼料安全法による飼料添加物としての指定を初めて受けたところでございます。
今後、このような飼料添加物等を活用した新たな方法論がJクレジット制度の対象に追加されるように検討してまいる考えでございます。
○奥下委員 ありがとうございます。
本当に、海藻のカギケノリとかダチョウの抗体、これを餌に混ぜるだけで九八%ぐらい減るというようなエビデンスも出てきておりますので、せっかく日本の会社が頑張ってやっておりますので、是非早く、来年、COP30がブラジルであります。ブラジルはやはり牛とか多いので、是非こういったことも、間に合わないかもしれないですけれども、日本として売り出していっていただけたらなというふうに思います。
今日、質問等させていただいて、思うところをちょっと述べさせていただきたいと思うんですけれども、農地解放で自営農が一気に増え、営農意欲も上がってきて、戦後の食料不足は解消されてきたわけですけれども、やはりそれぞれの農家の所有する土地は狭く、生産性が高くなっていかないのが現状で、農地を集約して大規模な経営になってコストを下げ、国内農業の自力をつけていかないといけないはずが進んでこなかった。そういった原因の一つは、ちょっと言いにくいのかもしれないですけれども、僕はやはり農協の存在があると思います。
農協ができた経緯は皆様御存じのとおりだと思いますけれども、本来なら農家や農業の将来を考えるはずの農協が、いろいろな意味で政治力を発揮するようになってしまったため、結果として、農業の改革を阻害する状態になっている部分が出てきております。
また、大規模な農業改革を打ち出せないまま、それでも現在の構造を維持していくために、食料自給率が低いので積極的農業改革が必要だと国民に訴えて、予算の確保に努めているのが現状だと思いますので、是非、こういった改革を進めていくためにも、大臣に大きな旗振りをしていただいて、改革をどんどん前に進めていっていただけたらというふうに思います。
時間ですので、私の質疑を終わります。
最後に、大臣、御就任おめでとうございます。
○御法川委員長 次に、玉木雄一郎君。
○玉木委員 国民民主党の玉木雄一郎です。
三年半ぶりの農水委員会での質問になります。御無沙汰いたしております。
まず、江藤大臣に、心から、農水大臣再任おめでとうございます。まずそのことを、慣例で申し上げているのではなくて、心からそう思っていますので、是非頑張っていただければなというふうに思っております。
今日、まず冒頭、農業者の所得、手取りの話をしたいと思います。
基本法ができまして、いろいろなことが書いてあります。スマート農業をやろうとか、輸出を増やしていこうとか。いいことだと思いますが、私は、肝腎な農業者の所得を他産業に比べてどう上げていくのかという基本が抜けているんじゃないかということを一番心配しております。
昭和三十六年に農業基本法ができた際に、第一条にどう書いてあるかというと、このように書いてあります。政策の目標、「農業の自然的経済的社会的制約による不利を補正し、他産業との生産性の格差が是正されるように農業の生産性が向上すること及び農業従事者が所得を増大して他産業従事者と均衡する生活を営むことを期することができることを目途として、」これが、昭和三十六年に農業基本法を作ったときの第一条に書かれている文言であります。
あれから随分時間がたって、振り返ったときに、じゃ、今、農業従事者の所得は増大したのか、他産業の従事者と均衡する生活を営めるようになっているのかどうか。一番最初に農業基本法が問うたこの目的は、政策目的は果たして達成されているのかということを改めて考えなければいけないと思っています。
新しい基本法に、今度また法律も出るんでしょうが、適正な価格転嫁で、ある意味、消費者に御負担いただきましょうと。そのことによって農業者の所得がある程度増えていく、これも私は必要だと思います。また、スマート農業を始めとして、あるいは大規模化も含めて、生産性の向上とか農業者自身の工夫をしていく、それももちろん大事だと思います。
ただ、この間ずっと欠けているのは、じゃ、政府は、国は何をしているんだと。農業者の所得の向上に対して、じゃ、国や政府は何をしているんですかというところが私は欠けてきたのではないかなと思っています。
そこで、江藤大臣が副大臣だったときのこと、覚えていらっしゃいますかね、二〇一三年だと思います。そのときに、自民党の農林部会、これは小里先生が部会長だったと記憶しております。江藤大臣は当時副大臣で政府におられて、大臣は林大臣だったと思いますけれども、そのときに、いわゆる十年間で農業者の所得を倍にしようと。二〇一三年ですから、十年たつと、もう今なんですよ。倍になっていますかね。
伺います。
新しくできた基本法と、そして年度末までにまとめるとされている基本計画、そのことによって農業者の所得は増えると断言できますか。あるいは、十年前に言った、農業者の所得は倍になりますか。大臣の答弁を求めます。
○江藤国務大臣 大変重大な意識だと思いますよ。
私、三十五年生まれですから、私が生まれた次の年にできた基本法でありますよね。当時は極めて貧しくて、農家といえば貧乏というのが基本的にあったのかもしれません。そういう時代において、他産業並みに所得を確保するという目標を立てたことは、極めて時代の要請に即したものであったというふうに思います。
そして、六十三年という時間がたって、今この現段階においてその政策目標が達成されたのか、他産業と比較して遜色のない所得が確保されているのかということを真っすぐに聞かれれば、必ずそうとは言えない。ばらつきがありますよ。
極めて優秀な農家も宮崎にはいます。すごい車に乗っている人がいます。林業家でもいます。漁師でもいます。ただ、その反面で、非常に苦しい経営状況の中で苦しんでいる人もいます。非常にまだら模様になったなと思います。規模拡大に成功した人もいますし、もう全く雇用型になって、俺は農家だけれども土なんか触ったことはねえという人もいますよ、宮崎でも。そういう人は大変な高額納税者でいらっしゃいます。ですから、全体として平均を取れば、玉木委員のおっしゃるように、目標が達成できていない。
私は、副大臣のとき、林大臣のときに、その前に遡れば、所得倍増計画を立てたのはたしか石破農水大臣ですよ。あのとき私は政務官でした。石破さんがそれを言い出したときに、それはむちゃですよと言ったのを私は覚えています。インフレ率とか、ほかの、農外収入も合わせて所得というような概念だったというふうに理解をしていますが。
ただ、玉木委員の真っすぐな質問に対して、農業専業、いわゆる基幹的農業従事者として働く上で、所得の倍増化、ほかの産業と遜色のない所得が確保できているかということについては、まだそこには到達できていないということでございます。
○玉木委員 是非、夢と希望の持てる農業にしていくことが政治の責任だと私は思います。もちろん、成功する人、失敗する人、それはどんな産業にもありますけれども、農業という業に従事して夢や希望を感じることができるような、そういうことをつくり上げるのがやはり農政、政治の責任ではないかなと。是非、江藤大臣にも先頭に立って頑張っていただきたい。
今、石破総理、自民党では、私がちょっと調べたあれでいうと、間違っていたら教えてもらいたいんですが、農水大臣経験者が総理になったのは、一九八〇年の鈴木善幸さん以来だと思うんですよ。羽田さんがたしか自民党政権以外では農水大臣経験者でなった経験がありますけれども、自民党では四十四年ぶりですよ。官房長官も農水大臣経験者だし、そのうち江藤大臣も総理大臣になるんでしょうけれども、農政にある程度携わった人が政権の中枢にいるし、江藤大臣もこうして再び農水大臣をやっておられますから、農政の改革をするなら今なんですよ。ここを逃すと、私、また五年、十年そういう機会は出てこないと思う。だから、あえて期待も込めて申し上げている。
所得をどう上げていくのかというときに、やはり直接支払い制度というのが私はその一つの鍵になるというふうに思っています。
今、お手元に資料を配りました。これは農水省にちょっとまとめてもらったんですが、いわゆる直払い、ダイレクトペイメントといっても、いろいろなものがあるわけですね。今回、畜産は外していますけれども、マルキンみたいなのは外していますが、中山間の直払いがあって、多面的機能支払いがあって、環境保全型農業直接支払いがあって、水活があったり産地交付金があったり畑作物のゲタがあったりとか、まあまああるわけですわ。
私は、これはそれぞれの経緯で、それぞれの政策目的で出てきたのはそうだと思いますけれども、これは一回再整理したらどうかなと思うんですね。農家や使う側から見て使い勝手のいい、そしてその政策目的がすっと頭に入るようにしていくような、直払い制度の整理統合、見直し、そういう時期に来ているんじゃないかなというふうに思います。
この下にある水活、水田活用の直接支払交付金ですけれども、いわゆる五年の水張り要件をどうするんだと、私も地元からよく言われていますよ。そんなことをやったら、離農するし、耕作放棄地だらけになるからね。今更、水張りかという話もある。私は、これはもうやめるか、あるいはもっと要件を柔軟にしたらいいと思っていますが、そもそも、水田活用の直接支払交付金と言うから、水田なのかどうか、水を張るのか張らないかでやんややんや言うわけですね。
今、食料安保ということを明確な政策目的に掲げたのであれば、それを水田で作ろうが、畑地で作ろうが、どこで作ろうが、自給率を上げなければいけないいわゆる戦略作物を作るのであれば、何を作っているかという品目に着目して一定の交付金を出すとか、そういう制度に整理した方が、水田とつけている限りにおいては、いつまでたっても水田かどうかにとらわれて、予算が削られるだけになりますよ。だから、その意味で私は見直すべきだというふうに思うんですね。
私たち国民民主党は、食料安保基礎支払いということを提案をしておりますし、選挙でも訴えました。それは、いろいろ直接支払い制度があるんですけれども、まず、農地の持つ多面的機能に着目をして、農地を農地として維持すること、それができるところについては、一定額、面積払いでお支払いをして、農地を農地としてしっかり維持する。
その上で、何を作るのかという品目に着目して、まさに自給率を上げなきゃいけない戦略作物、例えば麦とか、そういったものを作るのであれば、そこの品目に着目して、ある種、上乗せや加算をしていく。それを更に、環境保全型でやるのであれば環境加算で乗せるし、そして、今、中山間の直払いにあるような、それが条件不利なところでやるのであれば、不利補正として乗せていく。それは、緩傾斜や急傾斜じゃなくても、平地であっても非常に条件の有利な平地と条件の悪いところがあるので、その条件不利性に着目して、シームレスにそういった不利性に着目して乗せていくというような、そういった形で、今いろいろ複数存在している直払い制度を一旦、農家から見ても分かりやすい、使いやすい、新たな直接支払い制度に再編していくことが必要ではないかなと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○江藤国務大臣 まず、玉木委員から今しかないというふうに言っていただいたのは大変ありがたいと思っております。私もそう思っています。ですから、批判を恐れずに、これまでの殻を破って農政の改革をしようと思ってこの職に就きました。
そして、農林水産省に着任した次の日に、全ての政策をテーブルの上にのせろ、全てが再検討、チェックの対象である、今までの農政を漫然と続けるつもりは私はないということを申しましたので、この直払いも、水活、ゲタ、中山間、農地維持、資源向上、環境支払い、様々あって、それぞれ政策目的があって大変有効な役割を果たしてきたことはもう皆様方御存じのとおりでありますけれども、これについても私は玉木委員とほぼ同じ意見を持っておりまして、これについては一度考え直した方がいいのではないか。
そして、今、シームレスというお話もいただきました。中山間地域直払いは急傾斜にやはり着目した支払いでありますけれども、例えば私の選挙区なんかでも、周りは急傾斜だけれども、ここは非常に平らだ、更に言うと、区画整理もやって、耕作条件も極めていい。だけれども、中山間地域の中にある農地なんですよね。ですから、地理的要件についても、もう急傾斜だけで考えることはいかがなものかという考えも持っています。
私のところは非常に人口も減っていって、例えば、この間、松尾地区というところに行ってきました。小学校が百五十周年記念、来年も新しい入学生はいない。その次の年も新しい入学生はいない。だけれども、全く暗くないんですよ。みんなで頑張ってこの地域を守っていこうという強い意思を感じました。とても明るいんですよ。悲壮感なんか全然ない。こういう人たちを守っていかないと里山も守っていけないなという意識を持っています。
ですから、直払いについては、多分これから議論をすると三十分ぐらい時間が要るので、内容は見せていただきました、いろいろ私からも言いたいことはありますが、是非、農林水産委員会にまた来ていただいて、これについてはまた別途議論させていただく方が適当だと。ほかにもお聞きになりたいことがあるようでありますから。
ですから、私は、この五年間を自民党としても集中的な構造改革の年とするということに決めましたし、今こそ転換のときだと思っておりますので、しっかり御意見を伺いながら農政を進めてまいります。
○玉木委員 敬愛する江藤大臣ですから、本当にこれは今、今でしょう、今しかないと思いますね。
うちの長友議員もお世話になっていますし、委員長のところでは村岡もお世話になっていまして、選挙ではそれぞれ争うんですよ。ただ、農政に関しては、私、一番与野党が協力をして、むしろ一致協力してやらないと、農政に関心のある議員が少なくなり過ぎですよ、今。与野党を超えてね。だから、やはり、もちろんその選挙区事情もあるけれども、少なくとも農業、農政に対して、大事なんだ、本当に国の基だと心から信じている議員たちがやはり次の新しい農政を力を合わせて築き上げていかないと駄目だと思っているし、我々が最後のとりでだと。
私も、末席ながら、農林水産関係議員だと自負しておりますので、また与野党の先生方の御指導もいただきながら、本当にいい制度をつくっていきたいし、こういう政治状況でもあるので、まさにいろいろな協議をしながら、丁寧な合意や制度設計を一緒につくっていければなというふうに思っております。
その上で、これは政府、大臣に聞く話ではないんですが、是非そういった、この直払いについては、農家所得に直結するし、政府や政治しかできない話なので、是非、与野党の協議の場をつくって、これは一緒に考えていこうということが私は必要だと思うんです。
これは政府に聞く話じゃないんだけれども、あえて聞きますが、政府からも、そういうのをきちんと与野党でやったらどうだと後押しいただけませんかね、大臣。
○江藤国務大臣 なかなか今の政治情勢を非常に反映した御提案だなというふうに思いますが、でも、政策というのは、ある意味ぶつけ合うものだと私は思っているんですよ。我々が考える直払いの形もあってもいい、そして御党が考える直払いの考え方があってもいい、立憲さんは立憲さん、維新さんは維新さん、れいわさんはれいわさん、諸派の方々もお考えになる。それぞれが、やはり党内で活発な議論をまずして、党内で話をまとめた上で、その上で協議の場ができるということはあり得るかもしれません。
物によっては、例えば私、棚田についてずっとやってきましたが、棚田の議連なんかは超党派議連ですよ。超党派で考えて、議員立法をして、そして、法案の提出者も、自民党と立憲民主党の方々と協力して法案の提出をしました。
ですから、そういう形が全くないというふうに否定するつもりはありませんが、私の立場で、分かりました、そういう場をつくります、任せておいてくださいと言うのはちょっと乱暴かなというふうに思います。
○玉木委員 なかなか政府としては言えませんけれども、今、森山幹事長も農水大臣経験者ですし、私、TPPの頃から、農協法の改革のときだったんですけれども、農水委員会の与党と野党の筆頭理事同士で随分いろいろやり合わせていただきましたので、その意味では、党側にもそういう農水大臣経験者がいるという、これは何かもう惑星直列みたいな状況ですよ、今。もうめったにない、もうここでやるしかないと。委員長、そう思いますよね。いや、委員長もそうなんですよ。貴重な委員長を今、頂いているわけですからね。
だから、本当に進めるべきときだと思いますし、結構、やはり生産基盤がだんだんだんだん弱体化しているのはそのとおりですし、例えば集落営農組織をつくって、さあどうだといっても、一世代、六十代のときにつくった人たちが今八十代になって、次はなかなか入ってこなくて、法人化した集落営農組織をつくったって、次が続かないという集落、いっぱい出てきているんですよね。だから、その意味でも、少し転換点かなと思います。
最後に、これは鈴木貴子委員も聞いていましたが、酪農について聞きます。
マルキン制度は非常に優れた制度なんですけれども、酪農家の戸数が一万戸を割れたり、その六割が赤字だという話なので、これは従来からずっと言っているんですけれども、畜種によって、あるいは制度によって全然この充実度合いが違うので、酪農家の所得を補償するような新たな直接支払い制度、所得補償制度はつくれないかなと思うんですけれども、いかがですか、大臣。
○江藤国務大臣 全く無理だと申し上げるつもりはありません。
ただ、これをつくるということになると、農家の方にも一定の割合で負担をしていただかなきゃならない、農家の方々の御理解も必要だということであります。
特に生乳に関しては、これは相対で、民間の取引でありますから、我々のこれまでやってきた政策は、いわゆる脱粉処理をしっかりやって、そして乳業メーカーが価格を上げられる環境を整えるということをやってきました。これは成果は出てきたと思いますよ、大体一千二百億ぐらいの収入増になっていますから。所得ではないですが、収入ですけれども、収入増になっていますから。
しかし、ですから、そういう提案もいただいている方面もありますので、その可能性については検討しますが、ただ、今の段階で、例えば、加工原料乳の補給金については三百八十三億使っているんですよ、今。しっかり使っているんですよ。それで、牛マルキンは、全品種ですね、短角とかそういうのも入れても二百八十八億ですから。そして、更に言うと、この牛マルキンのうちの、二百八十八億円のうちの六十七億円は、今、いわゆる黒をつけていますからね、ホルスに。酪農家の所得になっているんですよ、二百八十八億円のうちの六十七億円は。
ですから、そういったものを丸めて考えて、いかにして、今回の畜産物価格でも無理ですよ、鈴木先生、とても無理ですが、将来の課題として受け止めさせていただきたいと思います。
○玉木委員 ありがとうございます。
価格政策も大事なんですけれども、所得政策をこれからは拡充していく必要があるのではないのか、そのための政治の役割が非常に大事だということを最後に申し上げ、また来ますので、よろしくお願いします。
ありがとうございました。
○御法川委員長 次に、村岡敏英君。
○村岡委員 七年ぶりに農林水産委員会に戻ってきました、秋田県出身、国民民主党の村岡敏英です。
まずもって、江藤農林大臣、おめでとうございます。そして、御法川農水委員長、おめでとうございます。
先ほど玉木議員も言いましたけれども、やはり基本法に所得を上げるということが、これから計画の中で出てくるのかもしれない、書かれていないんです。
そして、今、水活の交付金というのが非常に農家に不安を与えています。それはなぜ与えているのか。先ほど大臣の中で、水田だから水張りするのは、これは財政審が言うように仕方がないような話をいたしましたが、その当時、水田活用の交付金のときに、水張りしろとは言っていないんです。農家はその認識はなかったんです。そして、各地でメガ団地という、野菜を作ったりいろいろ転作を作ったときに、整地までして、ハウスを建てて、それでも交付金は行っていたわけです。当然、農地の隣に麦やソバや大豆を植えていて、そんなことを言われると思っていなかったんですよ。そこが大きな問題なんです。それが猫の目農政と言われてしまう。
先ほど歴史を言った減反、最初は何も植えていませんでした。そして、減反で転作するようになりました。戸別所得補償になりました。今度、TPPが来ました。そして、さらには水活が来ました。それぞれどんどん変わっていって、それがよい方向に行けばいいんですが、そのたびごとに生産者が大変戸惑うようなことになっている。
そして、大臣が先ほど言われた、水活はまだ二年あります、九年からです、そこまで熟議ができます、こう言われていましたが、米は一年に一遍なんですよ。二回しかないんです。そして、果樹も一年に一遍ですよ。そして、野菜は何回かできるといっても、営農準備するとなれば、一年二年すぐたつんですよ。
だから、先ほど玉木議員が言ったように、政府には求めないですけれども、先ほど話を聞いていますと、四十人の議員がほぼ全員、農業予算は増やすべきだと。食料の安全保障、食を守って、農家の所得を上げるということになれば、農水委員会で、あのTPPのとき、まあ守られませんでしたけれども、国会の決議がありました。そのようなことを、是非、委員長、これから考えていただければと思っておりますが、委員長、答えなくても、答えてくれれば答えていただいて。
○御法川委員長 質問に答えるのはちょっとあれですけれども、各党で御議論いただければと思います。
○村岡委員 分かりました。
そこで、大臣、お聞きします。
水活を見直す、何を見直すと全部言っていますが、見直すというメッセージだけでは農家が安心できないんです。どのような方向性に見直すのか、やはり、決まっていなくても、方向性だけを、是非、農家の方々にメッセージを送ってほしいんです。
○江藤国務大臣 大変申し訳ないんですが、今日は申し上げません。ですが、そんなに時間をかけるつもりもありません。やはり基本方針を示さないと、議論の俎上に物がのりません。基本的にこういう方向に進むんだということは、そう時間を置かずに示すのが私の責任だと思っています。
そして、やはり三千五百億をかけてきました。水活は、先ほど申し上げましたけれども、決して批判じゃないですよ、民主党政権時代の戸別所得補償のときも、三つの柱のうちの一本として、水活はその時代からずっとあるわけですから、長い歴史があります。ただ、水活がどうしてこうなったかはもう何度も言いましたから言いませんが、どうしてあの農家に水活の金が払われているんだという投書もたくさん実は来ていたということも事実で、農業者間の不公平感もそこにはあったということも実は事実なんですよね。ですから、見直すと、かなり激烈な議論になるかもしれません。しっかり方針を出します。
その上で、先ほども言いましたが、百点満点という評価はいただけないかもしれない。でも、まあ、そういうことであればのみ込もう、そういって農業者の方にも言っていただける、そして納税者の方々には、食料安全保障を確立するためにはこれぐらいの予算をかけることは妥当だなと思っていただけるような方向性を早めに出していきたいというふうに考えております。
○村岡委員 是非早めに、まず議論する土台をつくっていただくということが大切だと思っています。二年は決して長くはありません。非常に、営農を考えると、早めに出して、議論して、結論を出して、そして農家の人たちに意欲を持ってもらう。このままでは、水活をやめるというメッセージが強過ぎて、どんどん離農する人が増えるという状況になっています。それは、もう来年になれば田植をします、転作作物も植えます、そういう人たちに対して、メッセージを早めに議論する俎上にのせて、そしてその上で議論を早めにしていくことが大切だ、こう思っております。
そして、先ほど言った、玉木議員も言った、様々な議論を超党派でやろうというときに、実は、先ほど、誰の議員だったですかね、農業高校のお話をしていました。実は私、二〇一六年三月頃に、農業高校は今歴史を教えているのか、農業はこんなふうにやっていましたよと。そうじゃなく、スマート農業も含めて新しい農業機械を取り入れて、農業経営の感覚もと三か月ぐらい前に提案したら、その三か月後、自民党だけで議連ができたんです。
やはり、そういう状況では今ないと思いますので、是非これは超党派で、日本の食料を守る、そして農家の所得を上げる、これもまた政府では言えないでしょうけれども、大臣はどう思われますか。
○江藤国務大臣 それは先生が是非御提案をされて、一緒にやろうじゃないかという議連を結成することについては何の縛りもありませんので、私としては、先ほど申し上げましたように棚田法の経験がありますので、やはり最終的に、いろいろな方々の各角度からの意見を集約した上で物ができ上がって、国会で承認されて法律になるという形は極めていい流れだと思いますので、是非自民党の方にもそういうような働きかけをしていただけたら結構ではないかというふうに思います。
○村岡委員 是非そのように進めていきますので、よろしくお願いいたします。
そして、財政審の話題が出ていますけれども、財政審が言っていることで、これはちょっと幾ら何でも言い過ぎだなというのが、様々な施策、農林省が取ってきた施策を一刀両断にして、諸悪の根源みたいに言っていると、これは元農水省官房長の荒川さんが今日の農業新聞に出ていましたけれども、やはり、江藤大臣、頑張ってもらわなきゃいけないです。この農水省の、農林水産委員会の四十人が江藤大臣と一緒になって財政審に乗り込むぐらいの、行きませんけれども、その気持ちで、是非、この方々に農業の歴史やそして食の大切さをしっかり分かってもらわなきゃいけないな、こう思っています。このメッセージが農家にも、非常に政府がそのように考えていると思われていることが残念なので、是非その点は大臣も心してかかっていただければと思います。
そして、もうそこは答弁しなくていいんですが、私、質問項目ではないんですが、先ほど、能登の部分でもいろいろな災害復旧がありますと。それも是非お願いしたいですし、実は、秋田、山形も七月の豪雨で大変な農業被害が出ています。農地に土砂やそして流木が流れ込み、もう営農ができないという状況、そこの部分は激甚災害指定になっていますので、是非早期に進めていただきたい。
それとともに、今、共同施設のカントリーエレベーターが水没して、今農林省にお願いしているところです。ただし、激甚災害になっても、告示地域という、これは計算方法、当然全国であるわけですから、告示地域になれば十分の九ですけれども、ならなければ十分の五になってしまいます、激甚災害指定になっていても。やはりここはしっかりと、被害をしっかり認識して、十分の九というところを是非要望したい、こう思っております。
質問項目じゃないので、承っていただけるかどうか。
○江藤国務大臣 後ろから慌てて紙が来ましたけれども、見ないでお答えします。
告示地域かどうかということでありますけれども、今回の補正予算でも、いわゆるカントリーエレベーターのような施設について、整理統合、改修、そういうことについて予算がしっかりつけてあります。カントリーエレベーターがないとどうにもなりませんので、特にUR対策で造った施設が多い、多分そういう施設だったと思いますから、まさに建て替えの対象にもなり得るようなものであったと思います。
個別案件でありますから、十分の九にするとこの場で言うことは不適切だから申し上げませんが、先生の今のお話を聞いて、この委員会終了次第、しっかり検討させていただきます。激甚ですから。よろしくお願いします。
○村岡委員 最後の、我々の政策、先ほど玉木議員も言いましたが、やはり農家に安心して農業をやっていただくということの中で我々が考えているのは、水田フル活用の水田はなくして、全農地、水田、畑地、草地を対象に、農地の維持、営農継続のため、食料安保基礎支払いを新設して、まずはそこで安心してもらうということを、是非大臣にもその点も考えていただければ、こう思います。
どのように思われますでしょうか。最後の質問です。
○江藤国務大臣 先ほど玉木委員からもちょこっとだけお触れをいただきました。この基礎支払いのやり方については、平たく言うと、べたで払うということでありますよね。ドイツがやっています。大体日本円にすると二千八百円か九百円ぐらい、十アール当たり払っていますが、それを四百三十万ヘクタールにべたで払ったときに、もう数字は言いませんが、かなりのお金がかかります。これをもうちょっと金額を上げて例えば三万円にしたときには、今度は千の単位じゃなくて兆の単位で金がかかるので、直払い自体に対して否定的なことは今日申し上げませんが、しかし、財源をしっかり確保した上でないとやれないことがあるということは御理解をいただきたいと思います。
私は農業県の政治家ですから、農業者の方々を手厚く支援したいという気持ちは委員と全く同じですよ。それはもうまさに党派の垣根を超えたものだと思っています。しかし、実現可能なものと難しいものはやはり峻別しなければなりません。ですから、今後の、来年度予算について今苦闘しているわけであります。四十人の先生方が財政審に乗り込むんじゃなくて財務省に乗り込んでいただいた方がいいんじゃないかなと思ったりもするわけなんですが、そういう話の中で今後議論させていただければと思います。
○村岡委員 是非、農林水産委員長を筆頭に財務省に乗り込みましょう。
最後になりますが、私、思い出があるのが、江藤大臣のお父様、江藤隆美大臣、実は運輸大臣が、次の運輸大臣が私の父でありました。そのとき、引継ぎのとき、横で聞いていた言葉があります。これは成田問題のときでしたけれども、とにかく現場に行って話し合うことだ、話し合えば必ずいいアイデアが出てきて解決する、なあ、村岡さんと、うちの父に言っていました。成田空港も進みました。
それと同じように、熟議の国会、話し合えば必ずいいアイデアが出てくると思いますので、是非お父様の言葉を実践していただければと思います。
ありがとうございました。
○御法川委員長 次に、長友慎治君。
○長友(慎)委員 国民民主党の長友慎治でございます。
まずは、江藤大臣、お地元なので是非言わせていただきたいと思います。二度目の農林水産大臣の御就任、本当におめでとうございます。
私が言うまでもなく、地元の農林水産業の皆様が大変大きな期待をされていらっしゃいますし、私も、同じ選挙区の代議士、江藤代議士が大臣になられたということで、非常に心強く思っているところでございます。地元の課題を解決し、そして日本の一次産業を担う皆様のために、しっかり連携して、党派を超えて大臣のチャレンジを後押ししていきたい、そのような思いで私も二期目、務めさせていただきたいと思いますので、どうぞ御指導のほど、よろしくお願いいたします。
まず、今日、令和七年度の畜産物価格等に関する決議もありますので、私からは畜産に絞って質問をさせていただきたいと思います。
午前中、野間委員から、南九州の畜産が危機的な状況である、もう限界を超えているという悲痛な訴えがございました。江藤大臣も私も、地元宮崎の繁殖農家、肥育農家、現場を回って話を聞いておりますので、現場の苦しみは当然把握をしております。だからこそ、解決に向けて急いで手を打つ必要がある、そういう認識に立っているところでございます。
今年の農林水産委員会の視察で、四月十五日、鹿児島県の株式会社カミチク鹿児島市食肉センターを視察させていただきました。肉用牛の繁殖から肥育、加工、販売までを一貫して自社で手がける企業で、レストランも自社経営、自社運営されている企業でございます。
カミチク、御案内いただいた方に、なぜ外食、直販事業まで手がけるのかを聞きましたところ、カミチクにとって、自社運営するレストランや直売所はお客様とじかに触れ合うことができる商売の最前線なんだと。そこで得るニーズや改善点などはすぐに商品開発にフィードバックして、また新たなサービスとして提供することができる。そして、何より、子牛から大事に育てた牛肉をお客様に直接お届けすることで、生産農家さんとお客様をつないで、双方にメリットをもたらす仕組みを構築、持続させるためなんです、そういうふうなお話をお聞きしました。それを聞きまして、さすがだなと思ったわけなんです。
皆さんのお手元に配付している資料があるかと思います。これは二〇一四年六月二十六日付の産経新聞の記事になります。ほぼ十年前の記事でございますけれども、ここの見出しに、「牛肉「脱霜降り」…畜産王国九州でも赤身肉の消費者ニーズに舵」、そういう記事があるかと思います。カミチクが消費者のニーズに合わせて、霜降りから、赤身肉の生産、販売に力を入れているという内容がそこに書かれているわけですけれども、大臣も御承知のとおり、高齢化とヘルシー志向によりまして、サシ、脂肪の交雑が目立つ、とろけるような霜降り肉ではなくて、赤身肉を好む消費者が今増えているというのが現状だと思います。実際、私も地元のお肉屋さんとかに話を聞くと、赤身肉から売れていって、霜降り肉が売れ残る、そういうことをお聞きしました。
鹿児島のカミチクさんは、赤身肉で有名なブラックアンガス種の雌牛に黒毛和種の雄牛を交配した肉用牛の飼育を二〇〇一年から始めていらっしゃって、そして、赤身肉ブランド、薩摩健気黒牛の販売をスタートさせています。カミチクの上村社長は、消費者の嗜好の変化に気づき、赤身肉シフトを進めたと述べていらっしゃいますが、こうした畜産農家は一部なんですね。多くの畜産農家の皆さんは、今も美しくサシの入った霜降り肉の追求に余念がないというのが実情だと思います。
その背景には、サシが入れば入るほど高級だという、霜降り信仰という言葉があるのかどうか分かりませんけれども、A4やA5ランクのお肉しかブランド牛として名のれない、まさに宮崎牛が肉質等級が四等級以上しか名のれないという定義になっておりますけれども、そういうような背景があると思うわけです。
当然、霜降りの供給量が膨らめば、価格は下落するわけですね。枝肉の卸売単価が下がれば、肥育農家は子牛の仕入れを絞らざるを得ません。肥育の農家さんの話を聞きますと、繁殖農家が苦しいのは分かっていて、できるだけ高く買ってあげたいんだ、そういう気持ちがあるんだけれども、事実、消費が伸びず、枝肉の価格が上がらなければ、子牛の競りで応札ボタンを押せないんだ、そういう気持ちでやっているんだ、そういう話を地元で伺いました。
そこで大臣に質問なんですが、子牛の価格低迷の原因は何だと思うか、また、この産経新聞の記事にもありますけれども、霜降り信仰が子牛の価格低迷に影響していると思うか、見解を伺います。
○江藤国務大臣 いろいろお話を伺いました。
カミチクさんですか。私もよく知っています。非常に、こういったやはりマーケットインという考え方は今の農業には大変必要なので、こういったことを取り入れているという経営感覚には脱帽するところであります。
和牛の霜降り信仰があるかというお話ですが、まあ、それはあるんでしょう。だけれども、私、この間ブラックフライデーがありました。ブラックフライデーのときに、いろいろな量販店が今だけ和牛の霜降り肉を格安で売るというセールをやったら、飛ぶように売れていましたね。
ですから、確かに高齢化も進んでいる。私も正直言って、地元の山崎さんという肉屋さんに行くんですけれども、一番サシの入っているやつは買いません。ちょっとサシの抑えたやつの方が量を食べられるので。
しかし、やはり、もうちょっと可処分所得が多くて、所得が多ければ、霜降りを買いたいというニーズは私は間違いなくあるんだと思いますよ。だから、霜降りはもうつくらない方がいいということは若干乱暴だなと思います。ただ、消費の多様性は確実に起こっている、確実にですね。
私が覚えているのは、私が前回大臣になったとき、坂本哲志代議士から電話があって、赤牛がもうどうにもならぬ、全然売れぬ、助けてくれと。もう内容は言いませんが、少し赤牛のお助けになるような施策をやりました。ところが、今、赤牛は飛ぶように売れていますから、ほんの四年前の話ですよ。たった四年でこんなに嗜好が変わるのか、消費者の方々の嗜好の変化は激しいなと思います。
平成の三年に輸入自由化をいたしました。そのときに、輸入牛肉が入ってきて、やはり差別化をしなきゃいけなかったんですよ、生産者は、どうしても。和牛と輸入牛肉は違うよということをはっきり示すためには、やはり改良をして、サシを入れて、手間をかけて、我々だけにしかつくれない牛肉をつくろうということででき上がった、サシの入った、宮崎はAの4等級以上、今おっしゃったとおりですよ。そうやって努力をしたわけですから、このA4等級以上の牛も売れる努力をしなきゃいけない。
しかし、その一方で、この間の全共でも、うまみ成分を基準にして賞を上げましたよね。一緒に行ったじゃないですか。ですから、うまみ成分、オレイン酸ですね、これに着目した飼育も大事だし、じゃ、そういうことであれば、これは経営の感覚の問題ですけれども、二十か月飼育する必要が本当にあるのか。例えば、私、オーストラリアへ行ったことがありますけれども、十五か月ぐらいで出していました。ですから、どこまで餌をやったら、損益分岐点がどこにあるのか。餌をかけた分の飼育日数と人件費と掛けて、どこで出して幾らの値段で売れたらどういう損益が出るのかということも、経営でやはり考える必要があるんだろうと思います。
様々、環境の変化に応えて和牛の生産も考えていく必要があるんだろうというふうに思っています。
○長友(慎)委員 大臣の日頃の正直な、赤身の方を食べるという話とか、私も理解をします。
実は、私、調理師の免許を持っております。あとフードアナリストという民間資格も持っていて、よくレストランとか飲食店さんを取材するというかヒアリングをさせてもらうんですね。宮崎県内のフレンチレストランとかイタリアレストランとか和食の料理人に聞くわけです。今、どういう和牛を使っているのか、自分のレストランではどういう肉を出しているかということを聞くんですけれども、お客さんは、大体、今共通するのが、お客様の嗜好として、先ほど大臣も、消費者の嗜好は変化が激しいとありましたけれども、サシが多い肉は食べたがらない、A3ぐらいの赤身がちょうどいい、そういうふうに言いますということなんですね。
地元の県北のあるフレンチレストランのシェフは、しっかりとした赤身としつこくない脂が特徴の月形黒毛和牛がベストだ、そう公言して、実はホームページやSNSでも発信されているんですね。地元には地元の和牛があるわけですけれども、地元のシェフからすると、消費者の嗜好に合った和牛を求めるとそういうことになると。地元の人間も、A5のお肉は一枚食べたら胸焼けする、そういう声もあったりします、脂肪が多いからですね。事実、そのような消費者の嗜好についていけないA5、A4ランクの和牛は、在庫が積み上がっている、冷凍庫にこれ以上プールできない、そういうような現状があるわけなんですね。
つまり、出口がないから肥育農家も繁殖農家から高く子牛を買えないという構造が実は、先ほどの新聞の記事はもう十年以上前の記事ですけれども、何十年も続いていて、ここ最近はそれが顕著になっているのが私は現実ではないかと思います。
それで、日本政策投資銀行の南九州支店がやはり十年前に、消費者ニーズから乖離し、コスト高の霜降り一辺倒では畜産王国はやがて行き詰まるというふうなレポートを出しております。「畜産王国」南九州の成長戦略と題した調査報告書を発表しておりまして、この報告の中では、消費者が求める赤身肉に目を向けることで高コスト構造を見直すことや、海外展開を視野に生産から販売までの一貫体制をつくることを畜産農家に呼びかける、そういうふうにまとめられているんですね。
その中で、国内の肉用牛産出額の二五%ほどを占める鹿児島、宮崎の南九州が率先して和牛の国内市場戦略の転換や価値観を転換すれば、日本の畜産の業界が変わるきっかけとなる、そういう御指摘をしていただいておりますが、大臣の見解を伺いたいと思います。
○江藤国務大臣 いろいろな御意見を言う人はいますよ。それはそれで受け止めますが、財政審じゃありませんけれども。
昨日、ウクライナの副首相が大臣室に来られました。様々な御要望をいただいたわけですが、日本の駐日大使が、私が宮崎牛のポスターを貼っているんです、これを指さして、とろけるようにうまい、もうあしたにでも食べに行きたいと。ですから、この肉に対して高い評価をいただいている方もたくさんいるということは御理解ください。
そして、午前中の質疑でもありましたけれども、特に中国なんかの超富裕層の方々がとても欲しがっています。農林水産省の役人が中国出張すると、もし輸入が再開されたら全面的にうちで扱わせてくれとか、そんなことできるわけないんですが、そのようなことを言う人がたくさんいるそうですよ。
ですから、国内市場だけ見るとなかなかネガティブなインフォメーションが多いですけれども、我々は世界の市場を相手にしたいと思います。宮崎牛も、この五年間で輸出は二倍になっていますから。そして、いわゆるハラル対応の食肉処理場もできましたから、数は少ないですけれども。
ですから、いい肉をつくる努力、これを否定するということではありませんが、ただ、委員がおっしゃるように、消費者が求めている、マーケットインの感覚を持つことは、やはり将来的に考えるとバランスの問題だなと思います。そういったものも生産する、サシの入っているものも生産する、そういったことを考えていく必要があるのかなというふうに、今日のやり取りを通じて感じました。
○長友(慎)委員 残りの時間で、もう一問だけお聞きしたいと思います。
大臣の所信の中で、和牛の生産、供給基盤の強化や、輸出型対応の食肉処理施設の整備、和牛肉の消費拡大を推進していくというふうに述べられました。
和牛の輸出拡大に向けて、これまでの農水省の取組に対する大臣の評価と、大臣はこれからどのように和牛の輸出拡大に取り組むのか、最後に伺いたいと思います。
○江藤国務大臣 これまでも懸命に頑張ってきましたが、今申し上げたように、政府だけの努力ではなくて、宮崎県でいえば、経済連が懸命に努力をしてきました。その成果は確実に出てきていると思いますが、ただ、全体に占める割合としては少な過ぎる。和牛の生産が十七万トンしかないわけですから、国産牛だけでも三十四万トンしかないわけですから、十四億の市場にもし出せれば、下手すれば一のみでのみ込んでしまうような量かもしれない。
ですから、これまでの評価をすることも大事ですけれども、せっかく石破総理も、習近平国家主席に直接、牛肉と、それからいわゆる福島の問題、魚の問題と、それから米の拡大をお願いしてくれたわけでありますから、私も、内容は言えませんが、かなり積極的に今動いています、対中国輸出を達成するために。世界のマーケットを見据えて、和牛の未来を開いていきたいというふうに考えています。
○長友(慎)委員 大臣、ありがとうございます。
大臣の前向きな取組を是非私も支援してまいります。どうぞよろしくお願いいたします。
以上で質問を終わります。
○御法川委員長 次に、角田秀穂君。
○角田委員 今までは、午前中から、おはようございますと挨拶から入っていたんですけれども、皆さんの議論、やり取りを聞いた上で質問に立つのも、これはこれでいいなと思いながら、これから今日は質問に入らせていただきたいと思います。時間の関係もありますので、大臣への御祝辞は割愛した上で質問をさせていただきたいと思います。申し訳ございません。あと、質問していた通告も、少し順序が変わるかもしれませんけれども、よろしくお願いをいたします。
まず最初に、被災地の復興について。
元日の能登半島地震から間もなく一年がたとうとしております。現地では、災害の傷が癒える間もなく、豪雨による災害にも見舞われてしまいました。改めて、お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りするとともに、被災された皆様に心よりのお見舞いを申し上げたいと思います。
震災を乗り越えて頑張ろうと作付をした米の収穫が目前というときに、田んぼが水没をしてしまった、土砂崩れで農道が通れずクリの収穫もできない、もう心が完全に折れたなど、切実な声を私たちも受け止めております。
複合災害を乗り越えていただくためには、来年はもっとよくなると希望が持てる、そのように、いまだかつてない災害ですから、いまだかつてない支援をこれからも迅速に講じていく必要があると考えております。被災地の真の復興へ最後の一人まで寄り添った支援を望むものですが、農林水産業の再開へ向けた今後の取組について、まずお伺いをしたいと思います。
○庄子大臣政務官 お答えをいたします。
一月の地震、そして九月の豪雨被害、大きな被害が広がった被災地の皆様に改めてお見舞いを申し上げたいというふうに思っております。奥能登地域におきまして、再びなりわいを再開したい、そうした意欲を持っていただけますように、農水省としても支援を行っていきたいと思っております。
このため、まず、農地の復旧につきましては、石川県や関係する市町、地元JAとも協議をしながら、まずは速やかな応急復旧を行っていただくことによって、来期の作付が可能となる、被害が小規模な農地につきまして、復旧工事を行うことといたしておりまして、課題であった建設業者につきましても、午前中も答弁がありましたが、業界団体にも要請をし、県内外の二十三の業者を確保をしたところでございますので、順次、復旧工事に着手をしてまいります。
また、豪雨被害に対しましても、地震と同様の支援を行うほか、今回新たに浸水のあった圃場の作物残渣の処理等につきましても支援を実施してまいります。
林業関係では、国直轄で復旧を行っております大規模な山腹崩壊について、豪雨によって被害が拡大した箇所を含め、令和七年六月までに応急対策を完了し、順次、本復旧工事に着手をしてまいります。
また、漁業関係では、被害の大きかった輪島地区でも、十一月に、ズワイガニ漁が操業を開始をいたしました。順次、漁業を再開し、漁獲も回復していると伺っております。今季の秋冬シーズンの前に、震災前と同水準の操業体制となりますように、漁業施設の復旧などを推進をしてまいります。
最後に、農水省といたしましては、引き続き、県や市町と緊密に連携をし、地震と豪雨からの復旧復興を一体的に推進をするため、切れ目なく支援し、最後のお一人までしっかりと寄り添った対応をしてまいりたいと思っております。
○角田委員 公明党としましても、しっかりとネットワークを生かしながら、真の復興、一日も早い復興のために全力で取り組んでまいりたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
続きまして、水田政策について幾つかお伺いをしたいと思います。
大臣所信において、食料安全保障の強化を図る観点から、水田政策を根本的に見直すとの考えが示されました。方向性については新たな基本計画策定の過程で議論を深めていくとのことですが、具体的に、これまでの水田政策のどのようなところが今の時代の状況やあるいは環境にそぐわなくなっていると考えているのか、また、将来を見据えてどのような改善を図っていく必要があるとお考えなのか、ここは大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
○江藤国務大臣 今日は全部で六十数問の質問をいただいておるんですが、一番どう答えたらいいか困ったのが、実は先生の御質問であります。
水田政策は、農政のまさに中心のど真ん中にある、先ほどの繰り返しになりますからもう申し上げませんが、本当に、戦後から先人がずっと苦しみ、悩み、そして知恵を絞って、なかなかうまくいかない。しかし、日本の唯一自給できる主食である米、これはしっかり守っていかなきゃいけない。そして、その所得もしっかり確保していく必要もある。ですから、どの部分が時代にそぐわなくなったのかと言われると、ちょっと答えに正直なところ窮するんですよ。
ただ、そのときそのときで、そのときの政治が懸命に知恵を出した。先ほど申し上げましたように、いわゆる厳しい減反政策をやったこともあります、生産数量の割当てをしたこともあります、戸別所得補償をやったこともあります。しかし、今現状を見ると、安定しているとはなかなか言い難い。
そして、村岡議員の方から極めて厳しい御指摘がありました、水活についてですね。ですから、どの部分がそぐわなくなったということはなかなか言いづらいと思いますが、食料安全保障のまさに中心の要であることは間違いないです。主食を守らなきゃいけませんから。水田政策の中に、水活、本当、入っていることが正しいか正しくないかもまた今後の議論になりますが、水田政策をしっかりやることによって、全体のフレームワークを考えていく必要がある。まさに、大きな問題提起をしていただいたというふうに考えております。
○角田委員 ありがとうございます。
次に、主食用米が、今、価格が高止まりをしてしまっているということに関して幾つか質問したいと思います。
特に、今年の八月以降、米がなかなか手に入らない状況が続き、米の販売価格が急騰をいたしました。端境期にお盆前の南海トラフ地震情報が発表されて消費者が買い急ぎに走ったこと、あるいはお盆で物流が停滞したことなどなど、複数の要因が重なり合って米不足というものが生じたわけですが、この状況について、農水省は、需給自体は逼迫しているわけではなく、六年産米の生育も順調であって、新米が出回るようになれば価格も落ち着いてくるだろうとしておりましたけれども、今現在見ましても、取引価格の高止まりが続いております。
農水省として、現状をどのように見ているのか、今後の価格について、このまま推移をするのか、見通しについて伺いたいと思います。
あわせて、来年の民間在庫については、今年に引き続いて適正とされる水準を下回るのではないかということが懸念をされておりますが、来年の端境期に再び今年のような混乱が起こらないよう万全を期してもらいたいと思っていますが、この点についても併せて見解を伺いたいと思います。
○松尾政府参考人 お答えいたします。
令和六年産米の十月の相対取引価格は、昨年より五七%高の六十キロ二万三千八百二十円ということになっております。
これまで、令和二年から燃料でございますとか肥料でございますとかこういったものが高くなっていった中で、今回そういった生産費が反映されるとともに、今年の新米が出たときの集荷競争、そういったものも反映されているんじゃないかと思っております。
米の取引価格というものは、市場環境の中で、需給バランスなどを見ながら決まっていくものであり、今後の見通しということにつきましてコメントは差し控えたいと思いますけれども、引き続き、需給動向でございますとか価格の動向を見守ってまいりたいと思っております。
また、今年から来年に向けての需給についてでございます。
令和六年産のお米につきましては、作況一〇一ということで、生産量六百七十九万トンと、昨年の五年産よりも十八万トン多い水準にございます。今年の六月末の民間在庫百五十三万トンと合わせて、供給量は十分であると認識しております。
また、今年も端境期にこういった品薄ということを生じたわけでございますけれども、来年の端境期に向けましては、卸売業者などの米の流通関係者とも情報交換、こういった会議なども既に行ってきているところでございます。引き続き、よく意思疎通を図りながら、対応を検討していきたいと思っております。
その上で、今年、南海トラフ地震ということで、急激な需要増みたいなものが生じたわけでございます。そういったものに対応する対応といたしまして、情報把握、情報発信の強化といたしまして、米の関連事業者に対する販売量、在庫量の調査などにつきましては、端境期前から頻度を上げて実施していくとともに、あるいは、米の流通の現状のポイントをまとめて発信する際に消費者に分かりやすい情報、あるいは、月例での記者のブリーフィングも毎回、毎月開催していく、こういったタイムリーな情報発信をきちっとやっていきたい、そういうふうに考えております。
○角田委員 米の主食用米の価格が高止まりしていることに関連して質問をさせていただきたいと思います。
百ヘクタール超の大規模水稲経営体の育成を促進しようと支援チームを立ち上げて担い手への集積、集約を進めている地域で、意欲的に経営の拡大を目指している担い手の方にお話を伺いました。そこでは、主食用が三割、そして飼料用七割の割合でお米を作っておりますが、最近の主食用米価格の高騰で、地権者からは地代値上げの要求が非常に強くなってきている。地元自治体からは国の交付金を上回る補助金も入れてもらっているのだけれども、今以上の負担ではもう経営が立ち行かないと語っておられました。
先月、国産飼料にこだわって国産飼料米を中心に豚の生産を行っている千葉県の企業に伺った際にも、主食用米の高騰に引きずられて飼料用米の確保が困難にこれからなるのではないかとの不安の声も伺っております。
国産飼料作物の安定供給基盤を強化していくためにも、現行の支援制度の改善を含め、対策を講じる必要があるのではないかとも考えますが、この点について見解を伺いたいと思います。
○松尾政府参考人 お答えいたします。
飼料用米についてのお尋ねがございました。
飼料用米につきましては、現在、主食用の需給にかかわらず飼料が安定的に供給できるよう、そういったことで、普通の、主食用に代わりやすい一般の品種ではなく、限られた面積で多くの収量を上げられる多収品種を基本ということで進めているところでございます。
また、来年の作付に当たりましては、各産地が需要に応じた生産量をしっかり確保できるよう、加工用、新規需要の取組計画書、あるいは、水活の直接支払金の申請に係る営農計画書というものを出すわけなんですけれども、そういったものの変更期限を六月末から八月二十日まで延長する。そういったことで、時間をかけてじっくり相談していただくということにしております。
さらに、今、各産地、各県の協議会とかでございますけれども、こういったところでは、来年の作付につきまして、水田活用の直接支払交付金における産地交付金というものがございまして、こういったものを効果的に活用して組み替えながら、例えば、あるものに上乗せ助成する、こういったことも活用して、需要に応じた生産をやっていこうということで進められていると承知しております。農林水産省としても、必要な予算の確保に努め、産地の取組を後押ししていく考えでございます。
○角田委員 米政策に関して、政府備蓄米について質問させていただきたいと思います。
政府備蓄用精米を活用して、子供食堂や子供宅食への提供に加えて、新たに食育活動を支援するフードバンクも対象に加えて、申請団体当たり年五十トンを上限に提供をするということになりました。
公明党としても、これまで、こうした子供食堂等への備蓄米の活用ということを訴えてきたわけですけれども、子供食堂、子供宅食への交付実績も、交付を開始した令和二年度の十七・二トンから、今年度は申請の通年化や窓口を大幅に増やしたことなどもあって、十一月二十日現在で、約二百トンと十倍以上に増えております。平時からの食料安全保障、良質な食料が全ての人に行き渡る環境づくりのためにも、積極的に活用されるよう、これからも取組をお願いしたいと思っております。
政府備蓄米の提供は、これらのほかに、平成十年度から学校給食への無償交付も行われております。この目的として、将来の米消費の主役である児童生徒、幼児等に、食の教育の一環として、政府備蓄米制度の理解促進に加え、御飯食を通じた食育の推進ということを掲げているわけですが、学校給食用の交付実績を見ますと、平成二十一年度は二千二十九校、三百九十四トンでしたが、昨年、令和五年度は七十九校、九トンとなっております。
これは、利用の用途として、米飯給食の実施回数を前年度より増加させる場合に、その増加分について交付することとされており、多くの学校が米飯を増加していることから、交付実績も少なくなっているとのことですが、今、米の価格高騰の中、給食費の負担を増やさず、備蓄米交付の目的である、将来の米消費の主役である児童生徒、幼児等に御飯食を通じた食育の推進を図るためにも、積極的な活用を検討していただきたいと思いますが、この点について見解を伺いたいと思います。
○松尾政府参考人 お答えいたします。
児童等に対する御飯食を通じた食育の推進、こういったことにつきまして、これまで学校給食等に対する備蓄米の無償交付を行ってきたところでございますけれども、現在、子供食堂でございますとか子供宅食、こういったものに対しても積極的に行っているところでございます。
また、本年九月からは、子供食堂等への無償交付について、申請窓口の大幅な拡大など、運用改善も行ってきたところでございます。
委員御指摘の学校給食用の無償交付の仕組みということでございます。
米飯給食が相当程度拡大してきた中で、この仕組みの変更というのはなかなか難しいところがございますけれども、他方で、給食費ということにつきましては、学校給食における米などの食料品等の価格高騰対策、物価高騰対策といたしましては、本年の経済対策にも、重点支援交付金というものが措置されているところでございます。
これらを活用しまして、地方公共団体が地域の実情に応じて学校給食費等への支援を含め必要な措置が講じられるよう、私どもとしましても、支援例をお示ししながらしっかり取り組んでまいる考えでございます。
○角田委員 次に、農業人材の育成、確保についてお伺いをしたいと思います。
今月の八日に東京ビッグサイトで開催された新・農業人フェアに伺ってきました。北海道から九州まで全国各地の自治体や農業法人など二百を超える団体が出展し、多数の来場者でにぎわっておりましたが、中でも、女性の方の姿が目についたのが印象的でありました。出展している就農支援機関の方々からもお話を伺いましたが、どこも、地域を挙げてサポート体制を組んで、就農、定着してもらうための努力をされていることがよく分かりました。
この中で、農業人材の確保、育成に対する国の支援の充実を求める声もお聞きをいたしました。その一つとして、一から農業を学んで就農しようとする人への支援として、就農準備資金、経営開始資金、経営発展支援などの制度がありますが、今日の委員会でもいろいろとこの年齢の問題が出ましたけれども、就農予定時の年齢が五十歳未満、これが要件となっていることから、諦めざるを得ない人も出ております。
まず、この年齢要件を設けている理由について、改めて確認をさせていただきたいと思います。
○杉中政府参考人 お答えいたします。
農業従事者につきましては、現在、六十歳以上が約八割を占めるなど、年齢構成のアンバランスが大きな課題となっておりまして、その是正を図るということが重要な課題になっています。できるだけ若い世代が就農し、より長期にわたって農業生産を担っていくことが重要でございます。
このため、就農前後の資金支援等につきましては、就農時四十九歳以下の方を対象としているところでございます。
なお、新規就農対策につきましては、事業が創設された平成二十四年は四十四歳以下を対象としておりました。これを、平成三十一年度からは年齢の上限を四十九歳以下に引き下げるとともに、令和四年度からは、資金の提供に加えて、機械設備の導入も補助の対象に加えるなど、徐々に対象を拡大しているところでございます。
今回の補正予算におきまして、親元就農を対象にいたしまして、初期投資の支援について、親が所有する機械などの修理、あと老朽施設の撤去なども支援対象に追加するとともに、国の補助上限を引き上げる、また、経営開始の資金につきましては、親と同じ品目であっても、前向きな取組を行い、経営のバージョンアップをすれば支援を受けられることとするような拡充を更に追加で行うこととしています。まずは、その執行をしっかりと行いたいというふうに考えております。
○角田委員 今、バブルの崩壊から二〇〇〇年代のいわゆる就職氷河期に、能力はありながらも、希望する職に就けずに、不本意ながら非正規等の働き方を余儀なくされている世代に対しては、これまでの集中的な支援施策、国の支援施策等の結果、正社員として働くようになった方も一定数、現れておりますが、今もなお不本意な就労状況に置かれている方々も多く、また、中途から正社員になった方も、当初から正社員と比べて、年収、ひいては年金にも格差があり、老後に対する不安を抱えております。
ちなみに、従業員採用時の年齢制限禁止の例外として認められている就職氷河期世代限定求人の年齢は今、三十五歳以上六十五歳以下となっております。また、氷河期世代に対する職業訓練コースの年齢制限についても、五十五歳までを対象に、こうした世代に対する集中的な取組が行われているわけであります。
農業においても、一律に年齢で切るのではなく、こうした方々を対象とした枠があってもよいと私は考えております。就職氷河期世代、これらの方々のこれからの人生の選択肢の一つとして農業も選択できるようにするためにも、是非とも新たな支援の枠組みを用意していただきたいと考えておりますけれども、この点について見解を伺いたいと思います。
○庄子大臣政務官 お答えをいたします。
今の就職氷河期世代を含めた新規就農者の確保、育成の必要性ということについては、委員と問題意識を共有していると思っております。
その上で、農水省といたしましては、五十歳以上の新規就農者につきまして、令和四年度から開始をしておりますけれども、都道府県の農業経営・就農支援センター、あるいは、市町村等によります就農サポート、新規就農に向けて研修をしていただくためのトレーニングファームの設置、こうしたことを支援をしております。
また、六十五歳未満の方が施設、機械を整備する際に、青年等就農資金、これは無利子でございますが、貸付けをさせていただいております。
雇用労働につきましては、就業規則の策定、作業工程の見直し等によります地域の農業経営体への就業をしやすくするための取組、こうした支援などを実施しておりまして、こうした取組によりまして、引き続き農業を担う人材の育成、確保に努めてまいりたいと思っております。
○角田委員 次に、平時からの円滑な食品アクセスの確保に関してお伺いをしたいと思います。
買物困難者や生活困窮者等への食品アクセスの確保については、移動販売等の拠点整備、ラストワンマイル配送の効率化支援、地方自治体を始めとする地域関係者が連携しての食料供給体制の構築支援など、取組の強化が打ち出されておりますが、関係省庁としっかり連携して、必要な人が確実に食料を確保できるよう取り組んでもらいたいと思います。
令和六年度補正予算には、新たに地方経済・生活環境創生交付金一千億円が計上をされております。来年度予算では地方の交付金を当初予算ベースで倍増との総理の方針を示されておりますが、特に農山漁村を抱える地方の自治体にこそ、この交付金を積極的に活用してもらい、地域の活性化を図ってもらいたいと思っております。ただ、どのような事業に使えるのか分からないという声もあります。国としてしっかりサポートをしていただきたいと思いますが、この点について見解を伺うとともに、具体的に、買物困難者の食品アクセス確保のためにどのような事業が活用できるのか、お示しいただきたいと思います。
○岩間政府参考人 お答え申し上げます。
地方創生の交付金でございますが、各自治体におきまして、地域の実情に応じた地方創生の取組を進めていただけますように、令和六年度の補正予算におきまして、新しい地方経済・生活環境創生交付金を創設したいと考えてございます。
内閣府といたしましては、各自治体で行っていただきます地方創生の交付金の計画の検討段階から実施までの伴走支援、それから、ほかの地域の好事例の御紹介、個別相談など、そうした伴走支援を充実させてまいりたいと考えております。
それから、買物困難者への対応ということでございますが、そういう意味では、人口減少が進む中山間地域等においては、農村整備と併せまして、住民の皆様の日常の買物、これをどう確保するかということが、まさに地方創生の重要な課題の一つというふうに認識してございます。
内閣府といたしましては、これまでも、地方創生交付金、人材支援を使いながら、地域の実情に応じた買物支援というのを行ってきております。例えば、市町村とスーパー、コンビニが連携した移動販売、それから中山間地域でのドローン配送ですとか、あと、道の駅などの地域の交流拠点を活用した買物施設の整備、それからあと、ネットスーパーですね、市街から中山間地域までの配送に郵便局の物流を活用して、利用者が定額の利用料、サブスクで買物を行えるといった取組の好事例が生まれております。
こうした取組は、市町村レベルに落としますと、実は農林部局だけではなく、産業ですとか福祉、様々な部局が関わっております。
内閣府といたしましても、農林水産省が中心となって進められております食品アクセスの確保に関する支援策パッケージに沿って、各省と連携しながら、地域の意欲的な取組をしっかりと後押ししてまいります。
○角田委員 最後に、スマート農業技術について一点伺います。
農業者の減少が見込まれる中で、人の減少を補って生産を維持していくためのスマート農業技術の開発普及が、これから重要な課題です。
そのために、新たな技術に対応できる人材の育成、確保が不可欠なわけですが、国の方針としては、サービス事業体の育成を後押しする中で、この人材についても確保していく方針のようですが、これから急速に担い手が減少すると見込まれる中で、新しい時代に対応できる人材を十分に確保できるのかとの思いを抱いています。
規模拡大に取り組む農業者からは、スマート農業機械を導入して更に規模拡大したいが、オペレーターの確保ができない、採用してから教育する余裕もないとの声を聞きます。
スマート農業技術の活用によって食料の安定供給を確保するためには、いつまでに、どれだけのこうした人材が必要になるのかという目標を明確にした上で、人材育成を強力に進めていく必要があると考えますが、この点について見解を伺います。
○松尾政府参考人 お答えいたします。
今後の農業者の急速な減少等に対応し、農業生産性向上を図っていくためには、スマート農業技術の活用が不可欠であるというふうに考えております。
その際、委員御指摘のようなスマート農業技術を使いこなす人材の育成、確保というのが急務になっておりますので、農業大学校におけるカリキュラムの充実、農業機械等の導入促進、それから、スマート農業を専門的に扱うサービス事業体の育成を積極的に推進しているところでございます。
今後も、食料・農業・農村基本計画の改定に向けた検討の中で、スマート農業技術の活用目標の実現に向けた取組としまして、農業支援サービス事業体に係る指標を含め、総合的に検討してまいりたいと考えております。
○角田委員 ありがとうございました。
以上で質問を終わります。
○御法川委員長 次に、北神圭朗君。
○北神委員 有志の会の北神圭朗でございます。
皆さんが言っているので、私も心にとどめようと思っていましたけれども、人格を疑われますので。大臣、おめでとうございます。
今日は地元の話で、毎年、夏が大変暑くなっている、今年も京都では、去年よりも更に暑く、酷暑というのが続いている。全国的にいうと、キャベツとか、先ほどもリンゴの話とかキュウリとか、収穫量が大分減っているということなんですが、私の地元でいうと、大枝の柿というのがあります。富有柿で、大ぶりで甘い、おいしい柿なんですが、毎年後援会で柿狩りに行っているんですが、今年はもう全滅だということであります。高温障害と、カメムシが氾濫をしたということです。
それから、亀岡の方では、これは、京の台所と昔から、平安時代から言われている、いわゆる京野菜の産地なんですが、丹波大納言といって、小豆、余り知られていないかもしれませんけれども、京都の亀岡の小豆というのは、全国でいっても生産量が三位。北海道、兵庫県、そして京都ということになっているんですが、ここも、亀岡の河原林というところとか、それから千歳、さらには馬路というところもあるんですが、特に河原林でもう本当に全滅状態で、水が不足をしていたということであります。これは、気候変動という構造的な変化が背景にあるというふうに思っております。
大臣、それは自己責任だという話もあると思いますけれども、かなり全国的にも広がっておりますし、気候変動の中の話でありますけれども、何とかならないかと。残念ながら、一部は収入保険に入っているんですけれども、特にこの河原林というところ、全滅になったところなんかは全く入っていない。彼らが言うには、使い勝手が悪いので、今まで入っていなかったということなんですが、何とか救済することはできますでしょうか。
○江藤国務大臣 委員も分かった上で御質問いただいているんだと思います。御地元の声なので、しっかり受け止めさせてはいただきますが、共済にも入っていない。(北神委員「入っていないです」と呼ぶ)果樹共済にも入っていない。(北神委員「そうです」と呼ぶ)収入保険にも入っていない。(北神委員「入っていないです」と呼ぶ)それはやはり、我々のセールスというか説明が足りないのかもしれませんが、じゃ、果樹共済についてはもう今日触れませんけれども、収入保険についてちょっとお話をさせていただいてよろしいでしょうか。
この収入保険については加入率が低いということはずっと言われてきました。青申をすることが基本でありますので、青申をしている人の中の二八%しか今入っておりません。それは先生がおっしゃったように、要件が厳しい、保険料が高い、様々御指摘があって様々なメニューの変更をこれまでやってまいりました。
大体八割が標準の保険でありますけれども、それだと、一千万収入の方であると大体十三万円ぐらいが初年度の積立金になります。二年目は要らないですよ、二年目は要らないんですけれども、初年度だけ十三万円積み立てていただく。しかし、これは八割補填のメニューを選んだ場合ということでありまして、五割補填というメニューもありますが、五割補填になると大体一万円ちょっとなので、積立金の金額がですね。多分知らないと思うんですよ。私の地元でも、ええっ、そんなだったのという話を随分聞きます。ですから、積立金が一万円と聞けば、掛け捨ての部分も別にありますけれども、積立てが十三万じゃなくて一万円だということであれば、万一のことに備えて入っておいた方がいいなというふうに思っていただけると思います。
ですから、我が省としても、随分、加入促進は努力をしてきたつもりでありますし、それから、共済組合も一生懸命、啓蒙活動もやってくれています。だけれども、青申の中の二八という数字は厳粛に受け止めなければなりませんので、是非御地元でも、それだけ有名な柿であれば、絶対入った方がいいですよ。絶対入った方がいいです。私の地元でも、入っている農家と入っていない農家が併設してあって、入っている人は、もう本当に、まあ、痛いけれども何とかなったと。一千万で全滅しても八百十万ですから。八百十万円も出る保険なんてないですよ。
ですから、その有効性を、やはり、先生、入っていない人を助けてくれという声はよく分かりますが、ちょっと正直、正直な人間なので、なかなか無理なので、是非今後に備えて収入保険なり共済制度に入っていただくように、我々も努力をしますけれども、先生からも是非働きかけをよろしくお願いいたします。
○北神委員 よく皆さんの、政府の立場は私は理解しているつもりです。保険に入っているところがあって、入っていないところを救済すると、何のために保険に入っているということになりますので、非常に心苦しいところでありますけれども、この保険の、特に収入保険の方を私の方からも話はしてあるんですけれども、引き続き説得をしていきたいというふうに思っております。
それから、事務方の方も、大臣おっしゃったように、加入率が収入保険は二六・四%ぐらいですかね、全体の。ですから、まだまだ低いと。これは令和元年ぐらいから始まっていますので、まだ期間はたっていませんけれども、これをより普及させるための、大臣、今、幾つかおっしゃりましたけれども、これからの改善策というものをどういうふうに考えているか、お聞かせ願いたいと思います。
○江藤国務大臣 先ほど八割の場合十三万円と言ったら、後ろから違うと指摘をされました。十万八千円だそうです。修正させていただきます。
○杉中政府参考人 お答えいたします。
まず、収入保険につきましては、制度導入以降、使い勝手をよくするという観点から、随時見直しを行ってまいりました。例えば気象災害による大幅な収入減少があった年の収入実績を補正をして、基準収入の減少することを抑制するための特例を導入するとか、あと、先ほどは、補償範囲を調整して補償限度を下げることによって保険料を引き下げる。また、より大きい補償を設けるためには、保険方式だけで九割まで補償できるメニューを創設するというような見直しを行ってきたところでございまして、最近でも、収入保険の加入には少なくとも加入前年の青色申告が必要だったんですけれども、災害で営農できない場合には青色申告はできないんですけれども、その場合も被災前までに青色申告をしていれば、営農再開後すぐ加入できるというような見直しを行ったところでございます。
今後も、こういった使い勝手をよくする見直しというのを随時行っていきたいというふうに思いますし、あと、加入促進の取組もかなり熱心にやっておりまして、農業者向けの説明だと、令和五年は四千三百件、あと個別訪問も十八万六千件と、かなり熱心にやっているんですけれども、さらに、そういった説明会を繰り返すとともに、農業者のニーズを、余裕に合ったカスタマイズもできるというようなことも含めてしっかり説明をして加入促進をしていきたいというふうに考えております。
○北神委員 よろしくお願いしたいというふうに思います。
もう一つ、大臣に。
大臣もたしか農林水産委員会の委員だったと思いますけれども、私も、お米の高騰についてなんですが、五月の初旬ぐらいから取り上げてまいりました。私は別に、農家の方々、いわゆる生産者が、特にお米について、価格がずっと下がってきている、それによって苦しめられているという皆さんの思いというのは、よくよく理解しているつもりであります。
しかしながら、今年の五月から、現場のお米屋さんとかがかなり品薄になって、高騰している。ところが、農林水産省さんは、いやいや、十分お米があるんだ、スポット価格でいうと一部上がっている、しかし、相対価格でいうとそんなに別に、たしか、当時の言いぶりでいうと、コロナ前に比べてもまだ安いというような話だったんです。その後に、前大臣、坂本大臣もそういうふうにおっしゃっていたんですが、退任のときに、新米が出てきたら価格も落ち着くだろうということがそういかなかったというようなことを認められて、退任をされている。
私は、だから、価格が政策によって、あるいは、需要が本当に増えて、需要が構造的に増えて米の価格が上がることは大変よいことだというふうに思います。しかしながら、その原因がいまいちよく分からぬ、何でこんなに上がっているのかよく分からぬというようなことは、やはり真剣に分析をして、果たして本当によいのかということを検証すべきだ、こういう立場であります。
坂本大臣を継承して、大臣の十一月十二日の就任会見で、価格が上がっているのは、多分、坂本大臣や農林水産省の方々は、新米が出てくるから価格が落ち着いてきて、その外因としては、前提としては、下がっていくからいいんだというような立場だったんですが、大臣の会見を聞くと、これで農家の皆さんが張り合いが出てくる、よいことだ、消費者の皆さんは大変だと思うけれども、やはり生産者が低価格で苦しんでいることに理解をすべきだということをおっしゃいました。
お気持ちはよく分かります。よく分かりますけれども、資料に私、皆さんに提示していますように、表の方なんですが、長期的な主食用米の価格の動向を見ますと、一番今、二万三千百九十円、六十キロ当たりですね、かなり上がっている、しかも急激に上がっている。
ですから、私は何を言いたいかというと、一般論として米の価格が上がることは大変よいことだけれども、本当にこの価格を、いわゆる適正な価格、あるいは合理的な価格として捉えるべきなのかということをちょっとお聞きしたいと思います。
○江藤国務大臣 これは、経営体の損益分岐点によって全く違うと思います。八千円でも十分利益が出るというような農家も出てきました。先生の御地元でもいらっしゃるんじゃないかと思います。しかし、中山間地域では、一万三千円ぐらいはないと駄目だとか、もっと、一万五千円は欲しいというところもあります。ですから、それぞれ地域によって状況は違います。そして、この価格が高いか安いかについて、私の立場でコメントすることはやはり不適切だと思います。
農林水産品に限らず、全ての物の価格は市場の需給のバランスによって決まる、これはやはり資本主義経済における価格決定のプロセスとしては正しいんだろうと思います。ですから、引きが多ければ高くなります。私は、やはり高過ぎるなと思いますよ、正直なところ。何でここまでいくのかなとは思います。ただ、農家に目を向ければ、これはいいことだというふうに思います。
ただ、午前中も申し上げましたように、農林水産省としては、消費者の方々に安定的に食料を供給するという義務も負っておりますので、消費者目線で考えれば、やはりオーバーシュートするというのは決していいことではない。
ただ、今年の、決してマスコミが悪いと人のせいにするつもりはありませんが、ただ、私もどこかで申し上げましたけれども、スーパーで一生懸命買う。南海トラフの臨時緊急情報ですか、あれが出たときに、八月八日だったと思いますが、消費者の方々が家庭を守ろうということで米を買いに走られた。それは決して悪いことじゃないですよ。
ただ、お米を三か月分も四か月分も買っても、傷んでしまいますからね。おいしく食べられる米は、精米したら一か月なので、そういうことをもうちょっとちゃんと言うべきだったんじゃないかと思います。気持ちは分かりますが、買ってもおいしくないですよ。下手をすると、いろいろ黒い、ゴマみたいな虫が湧くんですよ、名前は忘れましたが。そういうこともあるんだよということもアナウンスすべきだったなと思います。
ただ、備蓄米を出すべきだったなという議論も一部であったようですが、もし出したとして、米価がぐっと下がったとします。そうすると、生産者の目から見ると、国が介入したせいで来年の概算金の水準が下がったじゃないかというふうに多分思われると思います。
そして、卸の米を扱う業者の方々も、我々が利益として得られるであろう利益が逸失利益として出てしまった。国が介入しなければこれぐらいもうかったはずなのに、国が放出したせいでこれだけ損しちゃったというふうに受け取られかねないという部分もあります。
ですから、米は主食ですから、安定することがベストです、安定することが。合理的な価格形成がいかに難しいかは私も痛切に感じています。どっちの立場に立つかということが難しいですが、そのバランスを取りながら、市場というものは上にも下にもオーバーシュートしながら収れんされていくというのが市場の価格形成の仕組みですから、そういうふうになっていくのかなというふうに考察いたしております。
○北神委員 大臣、非常に重要な指摘をされまして、私もこの議論をしていても、別に今の価格高騰について、これももちろん対応は大事ですけれども、それよりも、今日もいろいろな議論が出ましたけれども、米農家を支えるためには、大きく分けて、今回の基本法改正に出てきた、今おっしゃった合理的価格形成、これは一つの方法。もう一つはいわゆる直接支払いだ。恐らくこの二つが大別されてある。
その合理的価格形成というのは、魅力的なのはよく分かるんです。ある程度市場原理に従って、政府からすれば、消費者負担によってお米の農家を支えることができる。直接支払いは税金でやるから、これはいろいろあつれきもある。そういった意味で、価格形成というのが非常に魅力的なのはよく分かるんですけれども、今回の件で本当に思うのは、なかなかこれは難しい。
というのは、消費者がこれで、例えば実際に、米穀のアクセス米というものが去年はたしか百万トンだったのが、今度、一万トンだったかな、それが七万五千トン。(江藤国務大臣「十万トン」と呼ぶ)十万トンが全体ね。それで、去年は一万トン買われたんですね、入札で。それで今度は七万五千トン。恐らくこれは十万トンいくんですよ。
つまり、消費者は、生産者にとって価格が上がるのはいいけれども、これによって外国米に消費が移っている。もっと言うと、この資料にもありますように、パンの価格とか、これは東京の消費者物価指数ですけれども、麺類、パンに比べてもお米が上がっているから、お米離れにもつながっていくおそれがある。まあ、統計がないみたいなんですけれども。
こういうところを見ますと、なかなか価格で政策を行うというのは非常に難しいということをちょっと指摘をしたかったということです。
ちょっと事務局に聞きたいんですけれども、なかなか納得した説明がないんです、今回のこの二万三千百九十一円まで上がる。皆さんの分析はどう見ているのか、是非教えていただければと思います。
○松尾政府参考人 お答えいたします。
まず、この夏の状況、先ほどから何回かございましたけれども、ちょうど古いお米から新米に切り替わるのが八月ぐらいなんですけれども、八月の端境期におきまして、八月の八日に南海トラフ地震臨時情報が発表されました。また、台風の話とか地震の話がございました。
こういったことで、スーパーでの購入量が前年の一・五倍まで跳ね上がりました。これは数週間にわたって、そういった、ある意味買い込み需要が発生したわけなんですけれども、その中で、店頭での品薄というものが発生したわけでございます。
それで、その後、これは九月から新米が基本的にどんどん入ってきますので、新米が供給されていくわけなんですけれども、その新米の集荷ということで、各産地でできるだけ早く集荷をしたいということで集荷競争が発生いたしまして、それで、その集荷競争が価格に反映されて、店頭での新米の価格というものが前年の一・五倍の上昇ということになったわけでございます。
それで、付言いたしますと、六年産米につきましては、こういった新米の価格が上昇ということでございますので、通常、米を農家の方々が出荷されるときは、概算金というものを出荷業者からいただくわけなのでございます。そういった概算金も前年に比べて四割、五割上昇しております。そういった意味では、今回の価格上昇分は農家にもしっかり還元されているというふうに、私ども認識しております。
○北神委員 ちょっと質問に答えていないんですけれども。
もう終わりになりましたけれども、やはり価格がなぜ高騰したかというこの分析、需要が増えたというのもあるんですけれども、これだけでは説明し切れないし、燃料代とか肥料代の高騰も、これは令和四年度ぐらいから上がっていますから、今年だけ何で上がったのかというのは説明できないので、これについて、また次の機会に質問したいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
ありがとうございました。
○御法川委員長 次に、八幡愛君。
○八幡委員 れいわ新選組の八幡愛です。
農水委員会での初めての質問です。右も左も分かりませんが、江藤大臣、おめでとうございます。よろしくお願いいたします。学ぶタイプです。
れいわ新選組は、さきの選挙では議席を三から九と増やすことができたのですが、その要因を分析したところ、これまでは都市型政党として認識されてきましたが、今回は地方部でも支持をいただき、特に、農林水産業、畜産、酪農業に従事する皆様からの御期待、れいわ農業政策への支持をいただいたと感じております。
そんな中、私が農林水産委員会に所属することになりましたので、しっかりと日本の農政の発展に貢献できるよう努めてまいります。
大臣所信で、中国に対して、日本産水産物の輸入解禁の早期実現、日本産牛肉の輸入再開、精米の輸入拡大を求めてまいりますとおっしゃられておりましたが、これは、中国がトランプ新大統領の強硬政策を受けるため、農作物の輸入など、日本に融和的になり、これまで閉ざされていた交渉が前進する見通しがあるという大臣の期待の表れでしょうか。
○江藤国務大臣 米国とは関係がありません、もう正直に申しますが。
私が安倍総理の総理補佐官をしていたときに、輸出担当の補佐官をしていました。そして、本当にぎりぎりのところまで、もうまさに事務的な手続はほぼほぼ終了というところまで積み上がったんですよ。正直、私は、これでもういけたと思いました。ところが、コロナが起こって、習近平国家主席が日本に来れなくなって、来たタイミングで再開になったかどうかは分かりませんが、当てが外れた。そして、そのまま、様々な国際情勢が混迷する中で、日中関係もいろいろありました、そういう中で、話がどうしても前に転ばなかったというところであります。
別に、トランプさんが出たから親中になるとか、そういうことでは決してなくて、そういうつながりはずっと実は保ってきたんですよ、私も政治家として、農林水産省としても。そして、たまたまもう一回農林水産大臣にしていただきましたので、何としてもやりたいと。
午前中の質疑を聞いていただいていれば、いかに畜産農家、繁殖も肥育農家も苦しんでいるか。そして、国等が五千七百億もの餌代を出して、大変なお金ですよ。それでもなかなか経営が安定しないこの状況の下では、やはり出口なんですね。農林水産物は、最終的には売らなきゃ金になりませんので、優良な買手を見つけることが一番税金も使わないし、一番有効な政策である。
そういう中で、十四億人の人口を持っている、そして極めて高い関心を持っています、中国の方々、超富裕層がおられますから。中国人の旅行者の方々は、日本に来て、安いと偽物だと思うらしいですよ。高くないと信じない。何で一流の和牛が三万円で食えるんだ、おかしいじゃないかと。十万円しないやつは信じないというような話も聞いたことがあります。そういう方々がおられるマーケットに何としてもアクセスしたいということで、所信でも申し上げたように、頑張ってみたいと思っております。
○八幡委員 よく伝わりました。
中国に限らず、出口が大事とおっしゃられましたけれども、確かに、輸出が進んでいけば生産関係者の方の所得も拡大されるという見込みもあります。でも、そのことももちろん重要なんですけれども、もっと私は大切なことがあると思うんですね。今日はそれが私の訴えたいことなんですけれども。
話を戻しますと、中国に限らず、輸出が解禁されたとしても、再び輸出を禁止される場合もありまして、生産者が外交問題に巻き込まれて、そのたびに政府が補償するというのもおかしな話だと思います。輸出を拡大することよりも、国内需要があるものをしっかりと生産して、日本国民の食料は国内で賄う国消国産を進め、食料自給率を高めていくべきではないでしょうか。
続いて、農林水産関係予算についてなんですけれども、れいわ新選組、さきの選挙で、二兆円の農林水産予算を四兆円に増額すべきだと掲げておりました。今回の補正予算八千六百七十八億円で、当初予算二兆二千六百八十六億円と合わせて総額三兆一千三百六十四億円となりましたが、大臣、率直に、これは足りていると思われておりますか。ちなみに、一九九三年は五兆一千九百二十九億円だったんですよね。お願いします。
○江藤国務大臣 まず、最初におっしゃった、一回輸出を再開できたとしても、国際情勢によってまた禁止される可能性がある。トランプさんは極めて、カナダに対して二五%の関税をかけるだとか、対中では四〇%かけるとか、日本に対してはまだアナウンスがありませんけれども、確かに国際情勢によって日本の農林水産業は非常に揺さぶられてきた歴史があることは認めます。しかし、そこにマーケットがある以上、アクセスしなきゃなりません。
四百三十三万ヘクタールの農地が今あります。残念ながら、農地をフル活用して、食料自給率は低いですけれども、しかし、国民の皆さん方は輸入したものもやはり食べたいんですよ。国産のものだけを食べていれば満足されるわけではありません。ということであると、今のこの三八%という食料自給率を基本に考えると、下手をすると生産過剰になる可能性もあるんです、これから急激に人口が減少し高齢化が進んでいくと。口の数も減る、胃袋のサイズも小さくなるということであれば、今の生産の規模を守っていて同じだけのものをつくり続けていたら、もしかしたら国内だけでは出口がなくなる可能性がある。だったら、外に打って出るしかない。
そして、食料安全保障を考えたときには、農地である生産基盤を守っていくことが一番大事です。そして、担い手を守っていくことが大事です。農地を守っていく上で、その農地が輸出向けであろうが国内向けであろうが、農地として再生産されていることが安全保障の基本としてつながっていくんですよ。
ですから、国際情勢を御心配いただくことは大変ありがたいです。やはり、多面的な外交をして、そのようなことに振り回されないようにしなきゃいけないというふうに思っております。
そして、輸出についてお話をしましたが、予算が今の三兆一千億規模で足りているかと言われれば、頭の中にはやりたいことがいっぱいあるので、正直なところ。前回大臣をやったときにも、もっと予算が欲しいというふうに言ったら、マスコミからたたかれました、お金が全てかと。ということではなくて、決して農家や水産業者や林業家のことだけを考えているんじゃなくて、この国のまさに基である農林水産業が国民に対してしかるべき責任を果たせるために、そのために農林水産業を支えていきたいという気持ちの下では、私は、今の予算規模が十分だとは考えておりませんし、御党がそういうような御提案をいただくことは、是非、正しい考え方だと思いますから、応援していただきたいと思います。
○八幡委員 私も足りていないと思うんです。もっとやりたいことはたくさんありますし、そこは同じ思いだなと思ったんですが、お金が全てとたたかれたとおっしゃいましたけれども、農林水産業は、やはり命と暮らしを守る基盤であり、国の安全保障の柱だと思っているんですね。やはりその上で、もっともっと予算をつけて国民の命と暮らしを守っていくべきだと思うんですけれども、この予算のつけ方に私は問題があると思っているんです。
今国会提出された補正予算を見ますと、石破総理が食料安全保障と毎回毎回発言している割には、TPPの影響か、輸出のための予算が多く計上されていて、何か言っていることとやっていることが違うんじゃないかなと思いました。
具体的に、例えば、日本の国民の利益と経済主権をアメリカや多国籍企業に売り渡すと私は思っているんですけれども、TPP関連予算二千四百四十九億円。対して、国内向けの物価高騰影響対策としては九百五億円。物価高に苦しむ全国の農林水産業の方たちの声というのは大臣にもきっと届いてはると思うんですけれども、何か余りにも国内向けの予算が少な過ぎると私は思いました。日本で暮らす人々の命と暮らしを守ることが食の安全保障だと私は思っているので、何かむしろそこを軽視しているんじゃないかなとさえ疑ってしまうような予算のつけ方です。
国内の食料自給率を上げることを目指しているのにもかかわらず、実際は、一部の業界しかもうからない輸出拡大に何か重きを置いているような現状です。食料・農業・農村基本法の改正がなされて、食料安全保障の定義、国民一人一人が食料を入手できる状態としたのにもかかわらず、日本で暮らしているのに国産のものが気軽に食べられず、安い輸入品に頼らないといけない現状。先ほど大臣が言ったことと真逆なんですけれども、私なんかは国産の方がもっと食べたいと思うんです、国産の方が物が高くなっているなという認識なので。今、国民みんなが違和感を感じていると思うんです。
膨大な予算をつけて輸出に力を入れるよりも、もっともっと国内に目を向けていくべきだと私は思っています。まずは、国内の自給率を高める政策と今実際にやっていることが矛盾していないか。これは早急に食料自給率を高める予算のつけ方を検討すべきではないでしょうか。大臣の考えを是非伺いたいです。お願いします。
○江藤国務大臣 一生懸命やっているつもりなんですけれどもね、正直なところを申しますと。
食料自給率は高めたいと思っています。それには戦略作物を作らなければなりません。水活が今国会でも、この委員会でも随分話題になりました。水田を活用して麦、大豆を作る、これはまさに食料自給率の向上に真っすぐつながるものであります。国内で作れるのに海外に依存をしている、こういったことは、委員のおっしゃるように、一刻も早く解消すべきだと思いますよ。
ホワイトパウダー、いわゆるオーストラリアの小麦は、日本の小麦よりもはるかに品質的に勝っているということが通説でしたけれども、今、もう北海道でも、それから佐賀県でも、極めて質の高い小麦ができるようになりました。品種改良の努力もあるし、生産現場の努力もあります。ですから、決して輸出に重きを置いたということではなくて、内政にもしっかりお金は使っているつもりです。
今回、補正予算について御指摘をいただきましたが、先ほども申し上げましたように、輸出向けの予算をつけるということは、輸出によって、例を挙げさせていただこうと思いますが、例えば、台湾とか香港に贈答用にリンゴとかを出しています。国内でリンゴを売ると、例えば農家手取りはキロ当たり百九十五円なんですよ。ところが、輸出だと三百二円になるんです。輸出することによって百円以上農家の手取りが、まさに所得が増えるということであれば、農家がこれによって経営が安定して、それによって営農が継続されて食料安全保障が確立されるということであります。
ですから、輸出向けの予算をつけるということは、日本の農政の基盤を守るということにも実は直接つながっている。やはり所得に着目することが大事だということが今国会でも、今委員会でも最近議論されていますから、決してあべこべの予算をつけているということではないと思います。
ただ、委員がおっしゃるように、日本人は日本のものを食べてほしいです。
この間、予算委員会で披露したんですけれども、今日持ってきておりませんが、スイスが世論調査をしました。そうしたら、スイスの国民は、たとえ値段が高くても国産のものを買うんだ、国産の農産物を買うんだという国民が八九%という世論調査でした。
ただ、今の実質賃金が物価上昇を上回っていない状況の下にあっては、輸入の、例えば長ネギがありますよね、日本の国産の長ネギがあります。中国の長ネギは太いです。家族が多ければ、やはり、安くて量が取れる長ネギをどうしても手に取ってしまうという傾向はあると思うんですよ。ですから、やはり、景気回復をさせることによって、国民所得を上げていくことによって、購買力を上げていただいて、国産のものについて、国民の皆様方が選択していただける、そういう経済状況をつくっていくことが根本的には大事かなというふうに思っております。
○八幡委員 まさに私は輸出全体を否定しているわけではないんですが、ちょっと町の声を聞くと、乖離しているときがあるなと思っていて、例えばお肉の話なんですけれども、私、地元の東大阪でもよく聞くんですけれども、スーパーで並んでいる和牛は高級のサシばかりで高過ぎて手が出ない、結局購入するのは安い外国産の赤肉だといいます。でも、一方で、新聞記事などを見ていると、和牛が売れずにだぶついており、これはまさに経済全体が弱っているということもあるんですけれども、結果として、枝肉の価格が下がって、子牛の価格もどんどんどんどん下がってきて、何かこれは悪循環でしかないなと感じているんですね。
牛肉が余っているのであれば、もっとみんなが手軽に買えるような、国産の赤肉を気軽に食べられるように、食料安全保障を確保していくためにも、海外向けのサシ重視の高級品路線を改めて、日本国民向けの手頃な牛肉生産にシフトしていくべきではないでしょうか。いかがでしょう。
○江藤国務大臣 平成三年だっけ、自由化したのは、十三年か。牛肉の自由化という、まだ生まれていらっしゃらない昔の話ですけれども、そういうことがあって、輸入牛肉との差別化を図るために、サシを入れる努力をしてきたんですよ。その先人の努力についてはやはり敬意を私は払うべきだと思いますし、大切な日本の宝だと思っています、サシの入っている牛肉はですね。
そして、これを求めている人もたくさんいます。先ほども申し上げたんですが、昨日、ウクライナの副首相が大臣室をお訪ねになって、そのときに和牛のポスターを指して、これは日本の肉だね、もうほっぺたが落ちるほどおいしいよね、とろけるよね、あしたにでも食べに行きたいというふうにおっしゃっていました。ですから、国内でも求めている人はたくさんいますし、世界の市場に目を向ければ、求めている人はたくさんいます。
ただ、先ほど長友委員の質問でもありましたけれども、大分嗜好が変わってきました。例えば、オーガニックであるとか、それからベジタリアンであるとか、肉でいえばサシが入っていないものの方がいいとか、これはもう消費者の嗜好の問題で。ただ、嗜好の問題だけではなくて、懐の問題ということもありますので、サシの入っている肉偏重のいわゆる生産基盤をこれまでも、かたくなに守っていくことが正しいとは申しませんよ。
ただ、これを急に転換しろと言われても無理です、それは。じゃ、サシの入れないような餌のやり方はできます、今の和牛でも。配合飼料の比率を下げるとか、飼養の期間を短くするとか、できますが、それをやったときに、農家にどれだけの手取りが残るのか。それで所得が確保できなければ、構造の転換はできないんですよ。
ですから、先ほど、長友委員の質問に対しても答えましたが、要はバランスの問題で、赤肉をつくることも、熊本の赤牛が今人気であるように、有効な生産の方法だと思いますが、ただ、日本の宝とも言えるこの和牛の、しっかりサシの入ったAの5等級、こういったものも守っていって、海外のマーケットにも打って出て、そして畜産現場の所得を確保して、そして農業の基盤を強くしていきたいというふうに考えております。
○八幡委員 私もそれはサシを食べたいなと思うときもあるんですけれども、町の声として、町の人たちも、サシも食べれば、あとは気軽に赤肉も食べたい、そんな普遍的な思いというものを大臣にちょっと心の片隅に置いておいてほしいなと、町の声紹介の時間でございました。
そして、大臣、本当に御自身の言葉と言ったら当然なんですけれども、たくさん答えていただけるので、ちょっと予定していた質問を飛ばしてもよろしいでしょうか、済みません。たっぷりと答えていただいたので、もう十分満足しておりますが。
続いて、ちょっと物流問題に行きます。
物流二〇二四年問題への対応予算、令和六年度補正予算では、持続可能な食品等流通緊急対策事業として二十九億七千三百万円が計上されております。この事業は、農林水産物・食品の物流において、長距離の運送の削減だったりとか、積載率の向上化を図ったり、トラック運送への依存度の軽減を推進するものなんですが、私、そこにたくさん予算がついているとは思うんですけれども、はっきり言って、この事業というのは根本的な物事の解決にならないのではないかなと考えています。
当然、物流というのはすごい大事だと思うんですよ。物流が止まってしまったら食べ物が届かないとかという困った事態になるんですけれども、でも、そもそも、例えば農家というのは、地元に密着して地産地消で回していくというのが本来の姿だったはずなんですね。でも、今では、小さい農家が経営難とかで潰されていって、スマート農業とかができる大きな強い農家しか生き残れないように私には見えるんです。そして、そこで作られたものを何か各地に運んでいるという、すごく効率の悪いことをしているんじゃないかなと思っています。
小さな農家を守って地産地消を推進していくことは、そもそも、物流の減少にもつながりますし、運転手の負担軽減にもなりますし、輸送に伴う温暖化ガス排出も抑えられますし、何か環境にも優しいんじゃないかなと思っております。物流二〇二四年問題を、従来の発想で解決するのではなくて、根本に立ち戻って、地域の農家や生産者を守る、地産地消で解決していくと私は思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
○江藤国務大臣 そうできればベストです。
例えば、私の宮崎なんかはピーマンが極めて有名です。すばらしいです。私が、東急ストアにいつも行くんですけれども、東急ストアに行くと、必ず宮崎のピーマンが並んでいます。遠いですよね、宮崎は。宮崎のピーマンがどこまで行っているか調べたら、東北まで行っています。岩手とか福島あたりまで行っています。これは、当然、フードマイレージもかかっていますし、そこに運ぶに至ってはCO2を排出しています。
ですから、地産地消で、それでいけるということはベストなんですが、残念ながら、宮崎のマーケットが小さい。一生懸命作っても、それを地域で全部消化し切れない。そして、ほかにもっと高く買ってくれるところがあれば、輸出も同じですよ。先ほど言いましたけれども、リンゴを国内で売ったら二百円ぐらいだけれども、海外に持っていったら三百円になるということであれば、手間をかけても海外に出した方が得ですから。そういう理屈で、いろいろなところで広域化しています。北海道のアスパラガスも宮崎まで来ていますからね。びっくり。カボチャが来ていましたよ、この間、北海道カボチャ。北海道でカボチャができるんだなと思いましたけれども。
そういうことは、根本的な、若い議員の先生として疑問に持たれることについては、私は正しいと思います。JAなんかでは、地産地消じゃなくて地消地産ということをずっと言い続けてきました。やはり、地域で作って地域で消化する。流通コストも下げて、そのことによって農家の手取りを増やすという方向性は正しいのですが、そこにマーケットがあるかないかということをやはり考えなきゃなりませんので、大きな課題として受け止めさせていただきます。
○八幡委員 ありがとうございます。本当に、私自身は地消地産の方が鮮度もよくておいしいんじゃないかなという思いでしたが、大臣の話もすごく参考になりました。是非、共に考えていきたいです。
そして、続いて、担い手不足の話もしたいんですが、説明をしようと思ったんですけれども、ちょっとざっくり割愛させていただきますと、まず、農家、農業というものにすごくリスクを感じていらっしゃる方がたくさんいらっしゃるんですね。お配りさせていただきました資料を見ていただいたら分かるんですが、御自身のことよりも、六百人に農業未経験者の方が心配に感じることというのをアンケート調査をしましたら、不可抗力による減収への心配というのがランキングに入ってきております。
日本は自然災害大国です。いつ何が起きるか分からない。能登地域の復旧復興に向けてインフラ整備など、農林水産分野においても今回予算がつきましたけれども、南海トラフ地震など、これから想定されている地震にはこれからどう対応していくのか、見解を伺いたいです。お願いします。
○谷村政府参考人 お答えいたします。
農林水産省では、これまでも、地震や豪雨などの自然災害による農業被害に対しましては、人的な支援であったり予算措置によって、早期の復旧に取り組んできておるところでございます。
具体的には、災害が発生したら、直ちに被災地に国の職員が入って、被災状況の把握であったり、復旧に向けた技術的な支援などを行っております。
また、被災した農地や水路、農道などの農業用施設についても、国の補助事業により復旧をしております。
また、さらに、被災された農業者の経営継続のために、農林漁業セーフティネット資金などの長期、低利の災害関連資金を御利用いただくようにしていただくほか、農業共済における共済金の早期支払いであったり、収入保険の加入者に対するつなぎ融資などを実施しております。
今後、災害による農業被害が発生した場合においても、被災された農業者の方々が一日も早く営農再開できるよう、国としてしっかり支援を行っていくとしております。
○八幡委員 私も、農林水産省の方からいろいろなレクチャーを受けまして、こういった対応をしているんだよとかといろいろ教えていただいて、ああ、すごくきめ細やかに、インフラとか整えて、サポートがあるんだなと思ったんですが、それは、やはり私たち一般の感覚からすると、余り入ってこないんですよね。知らないことが多いんです。なので、何があっても大丈夫だよというメッセージを出すということ、これだけサポートがあるんだよ、国が守るよというメッセージがすごく大事だと思うんですが、ただし、やはり収入面の不安というのが大事かと思います、気になってくると思うんですが。
例えば、先ほどお話にも出ましたけれども、収入保険や農業共済などのセーフティーネット、これは、国による公費の負担率五〇%のところをもっと引き上げるとか、きちんと国が支援をしていく、収入面とかお金の面も大丈夫だよという、これが第一次産業を守る姿勢を見せるということになるのではないかなと思うんですが、大臣、災害大国の日本で第一次産業に従事されている皆さんに、何があっても大丈夫というメッセージをいただけないでしょうか。
○江藤国務大臣 いや、農業に限らず、何があっても大丈夫というのは、生きている上ではないんですよ。それは、サラリーマンの方々も様々なリスクを背負って日々生活をされている。
ただ、委員がおっしゃるように、農業は特別です。本当に、今回の能登でも、ようやく稲刈りができるという直前になって、それでまた大雨にやられて、地震プラス大雨でやられてしまう、これはもう誰を恨むこともできないですよね。まさに天災ですから、天ですから。
そういうリスクを背負いながらやるということでありますから、午前中でも申し上げましたように、農業に就農するということは、決してハードルは低くはないです。低くはないけれども、私は宮崎なんですが、例えば川南というところで、横浜から来た夫婦がいるんですよ。これもピーマンをやっていますが、独立して二年目で夫婦の所得は、所得ですよ、一千万を超えました。非常にすばらしいですよ。サラリーマンのときの収入をはるかに超えたと喜んでいました、夫婦で。そして、しかも、個人事業主ですから、うるさい上司はいない、ぎゃあぎゃあ言われることもない、働き方もある程度自分でコントロールができるということでありますから、全てのリスクは自分で背負う、しかし、全ての成果も自分のものだというのが農業の魅力だと思うんですよね。
リスクについては、何があっても大丈夫だ、全てギャランティーだということはやはり無理ですよ。それは無理です。無理ですが、しかし、委員がおっしゃるように、収入保険の負担率を下げていく、今五〇パーでありますけれども、これの負担の比率を、いわゆる公費の負担の比率を上げられないかは、検討の余地はあると思いますよ。ただ、保険というものの設計の性質上、これ以上上げられるかどうかは精緻な議論が必要だと思います。
ですから、これまでの質疑の中でも御説明したように、収入保険については様々なメニューを用意をして、八割補填が基本だと申し上げましたが、九割補填というメニューもあります、負担金は増えますけれども。その一方で、五割しか見ませんよというのはあります。そうなると、十万ちょっとの積立金が一万円ちょっとで済む。
ですから、様々なメニューをしっかり、分からない、知らないというふうに委員がおっしゃいました、知らないことによってハードルが高いということであれば、そういう農業に興味を持っていただける方が、どんな支援が国からあるかということについて情報にアクセスできる体制、これをしっかり築く必要があるのかなというふうに思っております。
○八幡委員 ありがとうございます。
れいわ新選組としても、引き続き、手厚い所得補償制度そして価格保障によって農林水産業と従事する人々を支えて、持続可能な農林水産業を目指すことを訴えてまいりたいと思います。
最後に、貧困世帯への食料支援強化についてです。私、本当にありがたいことに、農水委員会のほかに厚労委員会にも兼務させていただいております。このテーマ、どちらの委員会でもそれぞれの目線から取り組んでいきたいと思っております。
食料安全保障とは国民一人一人が食料を入手できる状態と先ほど言いましたけれども、年末がやってきます。もう本当に食べるものに困っていらっしゃる方はたくさんたくさん増えておりまして、二〇二四年、毎週土曜日に都庁の下で食料を配っていらっしゃる団体、もやいさん、自立生活サポートセンター・もやいによりますと、二〇二四年現在も毎週七百人前後いらっしゃるそうなんですよ。
ここで、れいわ新選組としては、余剰農作物については責任も持って国が買い上げる、そして、支援を必要とする人々への食料支援に活用するということを目指しているんですが、質問です。
いわゆる米国のフードスタンプのような、食料に焦点を当てた低所得者層への支援制度について、日本でも同様の施策ができないか、大臣の御意見、お伺いさせてください。
○庄子大臣政務官 お答えをさせていただきます。
委員から今お話がありました、アメリカのいわゆるフードスタンプといった生活困窮者の食料に対する支援につきましては、日本では、例えば生活保護制度を始めとしました社会福祉施策の一環として行われているというところであります。
農水省といたしましては、こうした施策とも連携を図りながら、フードバンクや子供食堂等への多様な食料の提供につきまして、地域の関係者が連携する体制づくり、その担い手となりますフードバンク等への取組拡大などを支援をしているところであります。
また、子供食堂等への政府備蓄米の無償交付を行っているところでもありまして、各地域の未利用食品と併せて活用いただくことで、経済的に困窮している方々に十分な食品が届くように取り組んでまいりたいと思っております。
○八幡委員 是非、私も一緒にやりたいです。今後とも一緒に考えていきたいと思っております。
最後に、江藤大臣、所信でも、時にはこれまでの殻を破る大胆な政策展開にも挑むと、農政にかける意気込みを表明されておりましたが、来年の通常国会では、私、大臣の発言を揺らして、政策転換していただけるような委員会質問をしっかりとしてまいりたいと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。
質問を終わります。ありがとうございました。
――――◇―――――
○御法川委員長 この際、鈴木貴子君外六名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会、国民民主党・無所属クラブ、公明党、れいわ新選組及び有志の会の七派共同提案による令和七年度畜産物価格等に関する件について決議すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を聴取いたします。渡辺創君。
○渡辺(創)委員 ただいま議題となりました議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。
案文の朗読により趣旨の説明に代えさせていただきます。
令和七年度畜産物価格等に関する件(案)
我が国の畜産・酪農経営は、依然として担い手の高齢化、後継者不足が進行しており、畜産物の生産基盤は弱体化している。また、物価上昇による和牛肉等の需給の悪化や、飼料等の資材価格の高騰による生産コストの高止まりがみられる一方で、畜産物への価格転嫁は十分とは言えず、さらには家畜伝染病の発生・まん延の脅威に常にさらされているなど、畜産・酪農経営を取り巻く環境は厳しいものとなっている。これらに対応し、畜産・酪農経営の安定と営農意欲の維持・向上を実現するとともに、畜産物の安定供給を確立することが重要である。
よって政府は、こうした情勢を踏まえ、令和七年度の畜産物価格及び関連対策の決定に当たり、左記事項の実現に万全を期すべきである。
記
一 肉用子牛生産者補給金制度における保証基準価格等については、中小・家族経営を中心とする繁殖農家の努力が報われ、営農意欲が喚起されるよう、生産コストの上昇を踏まえ、再生産を可能とすることを旨として適切に決定すること。また、子牛価格が低迷する中、厳しい経営環境が続いている肉用子牛生産者の経営改善の支援を拡充するとともに、肉用牛の生産基盤の維持・強化を図るため、優良な繁殖雌牛への更新等を支援すること。さらに、和牛肉の需給の改善を図るため、和牛肉の需要拡大の取組を支援すること。
二 加工原料乳生産者補給金及び集送乳調整金の単価・総交付対象数量については、飼料等の資材価格や輸送費の高騰等により酪農経営が依然として厳しい状況にあることを踏まえ、中小・家族経営を含む酪農経営が再生産可能なものとなるよう決定すること。また、生乳需給及び酪農経営の安定を図るため、国産の牛乳・乳製品の需要拡大及び脱脂粉乳の在庫低減対策等の取組を支援するとともに、バター等の輸入数量は慎重に検証した上で決定すること。
三 高病原性鳥インフルエンザ、豚熱の発生予防及びまん延防止については、農場における飼養衛生管理基準の遵守の徹底を図るとともに、発生時の被害を軽減する農場の分割管理の導入等の取組を支援すること。また、アフリカ豚熱等の家畜伝染病の侵入防止のため、水際での防疫措置を徹底すること。さらに、これらを着実に進めるため、地域の家畜衛生を支える家畜防疫員及び産業動物獣医師並びに輸入検査を担う家畜防疫官の確保・育成及び処遇の改善を図ること。あわせて、農場の経営再建及び鶏卵の安定供給を図るための支援策を拡充すること。
四 配合飼料価格の高騰による畜産・酪農経営への影響を緩和するため、配合飼料価格安定制度を安定的に運営するとともに、畜産・酪農経営の安定が一層図られる制度となるよう引き続き検討を進めること。また、生産現場における負担の実態を踏まえ、離農・廃業を回避できるよう、必要に応じて生産者の負担を軽減するための対策を柔軟に措置すること。さらに、青刈りとうもろこしや飼料用米等の活用及び耕畜連携等による国産飼料の生産・利用拡大を強力に推進し、飼料自給率の向上を図ること。あわせて、飼料穀物の備蓄や飼料流通の合理化による飼料の安定供給のための取組を支援すること。
五 畜産・酪農経営を再生産可能なものとするため、生産から消費に至る食料システム全体において畜産物の適正な価格形成が推進される仕組みの構築を図るとともに、消費者の理解醸成に努めること。
六 畜産・酪農経営の省力化を図るため、スマート農業技術の導入やデータの活用を支援するとともに、飼養管理方式の改善等の取組を支援すること。また、中小・家族経営の酪農家の労働負担軽減のために不可欠な存在である酪農ヘルパーについては、人材の育成や確保のための支援のほか、酪農家が利用しやすくするための負担軽減策を講ずること。
七 中小・家族経営の畜産農家・酪農家を始めとした地域の関係者が連携し、地域一体となって収益性の向上を図る畜産クラスターについて、引き続き、現場の声を踏まえつつ、生産基盤強化に資する施設整備等を支援すること。また、経営規模と収支との関係の分析を踏まえ、飼養規模の在り方について現場と情報の共有を図るとともに、畜産農家・酪農家の既往債務については、返済負担の軽減に向けた金融支援措置等の周知徹底を図ること。
八 畜産物の輸出拡大に向けて、相手国における輸入規制の緩和に向けた協議を進めるとともに、畜産農家・酪農家・食肉処理施設・食肉流通事業者等と品目団体との連携による販売力の強化、輸出対応型の畜産物処理加工施設の整備等を支援すること。
九 SDGsにおいて気候変動を軽減するための対策が求められ、我が国においても二〇五〇年カーボンニュートラルの実現を目指していることを踏まえ、家畜ふん堆肥の利用推進や高品質化、家畜排せつ物処理施設の機能強化等の温室効果ガス排出量の削減に資する取組を支援すること。
十 畜産GAPや農場HACCPの普及・推進体制を強化するとともに、家畜伝染病予防法の定める飼養衛生管理基準や国際基準を踏まえた飼養管理指針に基づき、アニマルウェルフェアに対応した家畜の飼養管理の普及・推進を図ること。
十一 東日本大震災からの復興支援のため、原発事故に伴う放射性物質の吸収抑制対策及び放射性物質に汚染された牧草、堆肥等の処理を強力に推進すること。また、原発事故に係る風評被害対策に徹底して取り組むこと。
右決議する。
以上となります。
御審議のほどよろしくお願いいたします。
○御法川委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○御法川委員長 起立総員。よって、本件は本委員会の決議とするに決しました。
この際、ただいまの決議につきまして農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産大臣江藤拓君。
○江藤国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。
○御法川委員長 お諮りいたします。
ただいまの決議の議長に対する報告及び関係当局への参考送付の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○御法川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後五時六分散会