衆議院

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第7号 令和7年4月8日(火曜日)

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令和七年四月八日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 御法川信英君

   理事 鈴木 貴子君 理事 西田 昭二君

   理事 葉梨 康弘君 理事 神谷  裕君

   理事 野間  健君 理事 渡辺  創君

   理事 池畑浩太朗君 理事 長友 慎治君

      大空 幸星君    勝目  康君

      栗原  渉君    小池 正昭君

      坂本竜太郎君    柴山 昌彦君

      武村 展英君    田野瀬太道君

      根本  拓君    長谷川淳二君

      平沼正二郎君    宮下 一郎君

      向山  淳君    森下 千里君

      簗  和生君    山本 大地君

      石川 香織君    岡田 華子君

      金子 恵美君    小山 展弘君

      近藤 和也君    西川 将人君

      福田 淳太君    藤原 規眞君

      緑川 貴士君    柳沢  剛君

      山田 勝彦君    空本 誠喜君

      林  佑美君    許斐亮太郎君

      村岡 敏英君    庄子 賢一君

      角田 秀穂君    八幡  愛君

      北神 圭朗君

    …………………………………

   農林水産大臣       江藤  拓君

   農林水産副大臣      笹川 博義君

   農林水産大臣政務官    庄子 賢一君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           神ノ田昌博君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         山口  靖君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房技術総括審議官)       堺田 輝也君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           安岡 澄人君

   政府参考人

   (農林水産省輸出・国際局長)           森  重樹君

   政府参考人

   (農林水産省農産局長)  松尾 浩則君

   政府参考人

   (農林水産省畜産局長)  松本  平君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  杉中  淳君

   政府参考人

   (林野庁長官)      青山 豊久君

   政府参考人

   (水産庁長官)      森   健君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房福島復興推進政策統括調整官) 川合  現君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局次長)       井崎 信也君

   農林水産委員会専門員   千葉  諭君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月八日

 辞任         補欠選任

  根本  拓君     向山  淳君

  根本 幸典君     柴山 昌彦君

  森下 千里君     坂本竜太郎君

  小山 展弘君     藤原 規眞君

同日

 辞任         補欠選任

  坂本竜太郎君     森下 千里君

  柴山 昌彦君     勝目  康君

  向山  淳君     根本  拓君

  藤原 規眞君     小山 展弘君

同日

 辞任         補欠選任

  勝目  康君     根本 幸典君

    ―――――――――――――

四月七日

 森林経営管理法及び森林法の一部を改正する法律案(内閣提出第三一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 森林経営管理法及び森林法の一部を改正する法律案(内閣提出第三一号)

 農林水産関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

御法川委員長 これより会議を開きます。

 農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房総括審議官山口靖君、大臣官房技術総括審議官堺田輝也君、消費・安全局長安岡澄人君、輸出・国際局長森重樹君、農産局長松尾浩則君、畜産局長松本平君、経営局長杉中淳君、林野庁長官青山豊久君、水産庁長官森健君、厚生労働省大臣官房審議官神ノ田昌博君、経済産業省大臣官房福島復興推進政策統括調整官川合現君、国土交通省水管理・国土保全局次長井崎信也君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

御法川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

御法川委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。山本大地君。

山本委員 おはようございます。自由民主党・無所属クラブ、和歌山一区選出の山本大地でございます。

 本日は、質問の機会をいただき、誠にありがとうございます。農林水産委員会での質問は初めてになりますが、次に予定されております大空幸星委員とともに、私たちは平成生まれの議員として、フレッシュな、元気よく質問してまいりたいと思いますので、よろしくお願いをしたいというふうに思います。

 それでは、水産分野、主に漁業従事者と遊漁船の関係についてお伺いをしたいというふうに思います。

 先日、私の地元、和歌山市の加太におきまして漁業組合の方々とお話をする機会がございました。その中で、いわゆる遊漁船業、釣り船などの遊漁船業とのトラブルが頻発しているというふうにお伺いをいたしました。水産庁に確認をしたところ、細かい内容は違いますが、全国的に同じような問題が頻発しているということでした。

 和歌山の加太の場合は、百三十年続く一本釣りの漁法で漁を行っておりまして、漁獲量も管理をし、資源管理も行っておりますが、漁獲量の報告義務のない遊漁船が大量に押し寄せて漁業をし、資源管理、資源の枯渇の危険性が非常にあるということのまず問題がございました。また、夜釣りの禁止も組合ではやっておりますが、遊漁船は関係ないので、夜も明かりをつけてたくさん釣りをしており、ワカメなどの海藻類に非常に影響が出るなど、もう細かく挙げるとたくさんトラブルがあるというお話を伺いました。

 このような漁業者と遊漁船のトラブルに関して、もちろん、管轄の都道府県の農林水産部が現地に入って、しっかり問題の解決に当たるのが本来の筋ではありますが、農林水産省としてどのような対応策があるのかを教えていただきたいと思います。

森(健)政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、漁業と遊漁の間で資源や漁場の利用に関します様々な問題が各地で発生をしているということを認識しております。

 水産資源の管理、漁場利用の適正化のためには、遊漁の関係者も含めまして、地域の関係者間で協議を行い、解決策を策定する、さらに、合意されたルールの周知、遵守を図るということが大変重要でございます。

 このような問題解決の場として、都道府県知事は、遊漁船業の適正化に関する法律に基づく遊漁船業者や漁業者、関係自治体等を構成員としました協議会を設置ができるという仕組みがございます。さらに、海洋レクリエーション関係者も構成員としました海面利用協議会の設置ということも可能となっております。

 また、都道府県に設置されております漁業調整委員会による指示あるいは都道府県の漁業調整規則によって、遊漁者も対象としたルールというものを設けることも可能ということでございます。

 このように、都道府県が主体となって、それぞれの地域の実情に応じ、遊漁者を含めた問題の解決を図っていくことが重要でございますが、農林水産省といたしましても、全国各地の取組等を都道府県の方にしっかり周知をして助言等を行っていきたいと考えております。

山本委員 ありがとうございました。

 この問題、突き詰めてお話を伺っていくと、トラブルが起こったときに交渉する相手が最終、いるかどうか、もうそこに尽きるということに私は行き着きました。

 実は、この加太においても、乗合船、釣り船のような遊漁船業に従事している方のほとんどが漁業組合に所属をしている方々ということでございます。組合に所属をしていることが義務ではないということですけれども、全国的にも七割程度は遊漁船業、どこかしらの地域の漁業組合に所属をしているということでございます。漁業組合に所属をしていると、トラブルが起こったときに組合同士で交渉も行うことができますし、必要であれば新たな取決めを結ぶこともできます。

 ただ、残りの、都道府県から遊漁船業の許可は得てはいるんですけれども、組合に所属をしていない三割がなかなかここは難しくて、個別に船まで行ってお話をする、個別に注意をしていくというのが、大きい海の上ですから、そして都道府県をまたいで来られる方も多いので、なかなか難しいのが現状だというところでございます。

 ですから、全ての遊漁船の方々に組合に所属していただくというのもなかなか難しいんですけれども、何かしらのグループ、団体に所属をしていただき、その中で禁止事項、取決めを行っていき、また違反があればその団体同士でお話ができる、そういった取決め、ルールを作っていくしか方法がないのではないかというふうに私は思いました。

 漁業をなりわいとしてやられている方々もそういう意見を持っている方が非常に多くて、そういった点に関して、先ほども説明がありましたけれども、農林水産省の方で何か解決策というものがありましたら、もう一度御教示願いたいというふうに思います。

森(健)政府参考人 お答えいたします。

 先ほどの答弁で御紹介をいたしました遊漁船業の適正化に関する法律に基づきます協議会、これにつきましては、都道府県知事は、必要に応じて、他県、県をまたぐ遊漁船業者なども構成員とすることができるという仕組みとなっております。

 この遊漁船に関係する問題、地域によって関係者は様々と思われますので、それぞれの地域の実情に応じた課題解決のために、是非この協議会制度を積極的に活用していただきたいというふうに考えているところでございます。

山本委員 ありがとうございました。

 この法律、昨年の六月よりできたということでございまして、再三御答弁にありましたとおり、都道府県がやはり主体となることでございますので、私もしっかり働きかけをしていきたいというふうに思いますし、また、農林水産省の皆様もサポートのほどよろしくお願いを申し上げたいというふうに思います。

 では、次に、アメリカによる相互関税、いわゆるトランプ関税の件についてお伺いをしたいというふうに思います。

 日本時間四月の三日にトランプ大統領が相互関税を導入することを発表されまして、自動車産業などに対して非常に大きな影響があることを懸念されておりますし、昨日の株価も非常に大きく変動いたしました。

 昨晩、石破総理も電話会談を行ったというふうにもお聞きしておりますが、農林水産省といたしましては、このトランプ関税による日本の農産物に対する影響をどのように把握をされているか、お聞かせ願いたいと思います。

森(重)政府参考人 お答え申し上げます。

 米国の相互関税の内容とその影響でございますけれども、まず内容でございますが、四月五日より、全ての国の各品目に一〇%の追加関税を課し、さらに、四月九日より、貿易赤字国を対象に、これを国別のより高い関税率に引き上げると。我が国の場合には、二四%に引き上げるというものであると承知してございます。

 今般の米国による措置は、幅広い国、地域を対象としてございまして、国ごとに税率も様々ということになってございますので、我が国から米国に多様な品目が輸出されてございます。品目ごとに、その単価や競争環境も異なります。国内農業への影響について、情報を収集、分析してまいります。

山本委員 ありがとうございました。

 先ほど、幅広いというお話もございましたけれども、私、これからちょっと米に焦点を当てて質問していきたいというふうに思います。

 日本国内でも価格の高騰を受けて、この委員会においても米については非常に活発な議論が行われてきたと思いますけれども、以前からトランプ大統領より、日本は七〇〇%もの関税をかけている旨の発言もございました。後日、レビット報道官ももう一度、七〇〇%、こういう数字を挙げていわゆる日本の批判を行いましたけれども、非常にインパクトのあるこの七〇〇という数字、本当にそうなのかなと首をかしげるところではございますけれども、事実確認として改めて、日本の米国に対する関税はどうなっているのかというのをお伺いしたいというふうに思います。

森(重)政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のトランプ大統領の発言については承知しているところでございます。

 事実関係でございますが、まず、国家貿易で輸入するミニマムアクセスの米、これにつきましては輸入差益のみで輸入してございまして、関税は無税となってございます。それ以外の輸入の場合には、一キログラム当たり三百四十一円の関税がかかるということになってございます。

山本委員 ありがとうございます。

 非関税障壁も入れても、七〇〇という数字はちょっとやり過ぎかなという気がいたします。江藤大臣も理解不能だという言葉を使われて反論されておりましたが、こういうアメリカの見せ方に対して、農林水産省はしっかり、毅然として事実を伝えていっていただきたいというふうに思います。

 そして、この先行きが見通せないアメリカによる相互関税でございますけれども、これから、私個人の考えといたしまして、今後の交渉の中で、いわゆる自動車関連製品や工業製品の関税を下げる代わりに農作物を引換えに犠牲にするような、例えば、現在、日本の国民の皆様は米の価格高騰で苦しんでおられます。でも、市場価格の安定のために、アメリカに対して関税をなくしたり、米を大量に安く輸入するということは絶対に避けていただきたいというふうに思います。日本の農家を守る、その思いを持って対応に当たっていただきたいというふうに思います。これは私の個人の意見でございます。

 このように先行きは非常に見通せない中ではございますけれども、今後、アメリカに対してどのように対応をしていくのか、江藤大臣に是非とも決意をお伺いをしたいというふうに思います。

江藤国務大臣 まだ日にちがたっておりませんので、テレビなんかでは、私も見ましたが、この際、米を譲ったらいいじゃないかみたいな報道も見ました。何を言っているんだというのが私の率直な感想であります。

 今の日米間の経済連携協定につきましては、私が前回大臣になったときに、安倍総理の下で結びました。そのときに、安倍総理がどれほどの心血を注いでこの合意に至ったかという姿をそばで見てきました。TPPの交渉のときは、私は、林官房長官の下で農水の副大臣でした。

 ですから、そういう一連の流れを見て、しかも、五年前の経済連携協定を結んだときの大統領は、ほかならぬトランプさんですから、あなたでしょうというふうに私は率直に思っています。

 ですから、これまでも、七〇〇%なんという話は全くの誤解ですよ、根拠は分かりませんということはあらゆるチャンネルを使って言ってきたんですが、御参考までにちょっと言いますと、多分、二〇〇五年のときに、WTO農業交渉のときに、一九九九年から二〇〇一年までの国際価格の数字を使って、一度数字を出したことがあるんですが、そのときの数字は七七八%でした。しかし、これは参考の数字として出しただけであって、公式の発表ですらないわけであります。しかも、これはクリントン政権のときですからね。私もまだ国会議員になっていない。

 ですから、もう何を言っているのかよく分かりませんが、しかし、とても手ごわいと思います。私は、TPP交渉のときに国益会の会長をずっと務めてまいりました。アメリカという国は、一歩譲ったらそこに更に踏み込んでくる国です。右手に何かを載せたら左手もすぐに出てくるような国ですが、それは甘利当時の担当大臣がよく私におっしゃっていました。

 ですから、毅然とした態度で交渉してほしいというふうに御発言いただきましたが、大事なことだと思います。大事な友好国ではありますが、やはり日本には日本の国益がしっかりありますので、主張すべきことは堂々と主張する、それはやはり基本的な私は日本の取るべき姿勢だろうというふうに思っております。

山本委員 ありがとうございました。

 大臣から、非常に強い決意のほどをお聞かせ願いました。是非とも、手ごわい相手ではございますけれども、やはり日本の農業を守る、その思いでこれから対応に当たっていただきたいというふうに思います。

 質問を終わります。ありがとうございました。

御法川委員長 次に、大空幸星君。

大空委員 おはようございます。自由民主党の大空幸星でございます。

 本日は、質問の機会を賜りましたことに、御法川委員長にお見舞いを申し上げた上で、心から感謝を申し上げます。

 私は、この四十名いらっしゃいます農水委員会の委員の皆様の中で、唯一東京の国会議員でございます。私の地元の江東区には、田んぼが一枚もないんですね。何で田んぼが一枚もない国会議員が農水委員会にいるのかとよく言われるんですけれども、やはり、消費空間から考える今後の農政の在り方は重要だと思っております。

 同時に、私の地元江東区には世界最大の魚市場である豊洲市場もございますし、この農水の中で、様々な分野で、やはり合理的な価格形成も含めて、東京だからこそ言えることというのもあるんじゃないのかなということも思っておりますが、本日は木についてお伺いをしたいと思っております。

 実は、江東区には木場とか新木場といった地名がございまして、まさに江戸時代から続く木材の町でもあるんですね。今も材木業者の方が多くいらっしゃいます。

 この木について、皆様御案内のとおり、国土の三分の二が森林です。そして、その約四割が人工林、多くがやっと利用期を迎えているという中にあって、この国産材の供給力の強化、それから活用、やっとできる状況になった。本当に、ウッドショック以降、国産材を使っていこうということで、外国の材木を多く扱っておられる業者さんにおいてもそういった考え方が広まってきているところであります。同時に、国でも、経済安全保障の観点からこの国産材の促進というのを今図っていただいている。

 非常に重要なのは、木材の需要をどのように喚起をしていくか、私はそこに尽きるんじゃないのかなと思っております。この木材需要の喚起というときにいろいろなことを言われますけれども、私は、非常にシンプルで、なぜ木を使うといいのか、もうこのシンプルな問いをまず多くの皆さんに御理解をいただくことから始まるのではないかと思っております。

 木材の利用促進、一番先に言われるのは、やはり環境性能のよさ。CO2を吸収して、森林のサイクルを整えていくんだと。ただ、じゃ、個人が住宅を建てるときに、カーボンニュートラルの社会に貢献したいから木を使おうとは恐らく、そういう方もいらっしゃると思いますけれども、余りならないんじゃないか。高尚な目的よりも、どちらかというと人と木の相互作用、例えば、リラックスするとか香りがいいとか、若しくは、湿度を調整する暮らしの効用であるとか、こういったところ、まだまだ打ち出しが正直足りないところがあると思います。

 カーボンニュートラルの実現のために木材を使うということも当然必要ですけれども、人間にとって木というものがどういった作用があるのかということ、これは例えば、千葉大学の宮崎先生なんかが、木材セラピーを科学的に、根拠を持って研究を進めているんですね。木が科学的に人にいいんだというような研究も今進んでいる中で、木の持つ力、すなわちこれは木力といいますけれども、この木力のようなものをより広げていくことが、木材のそもそもの需要喚起には私は非常にいいんじゃないかというふうに思っております。

 大臣、この木材、木の持つ力をどのように捉えた上で木材需要喚起を行っていくべきとお考えなのか、是非お聞かせください。

江藤国務大臣 大変若い発想で木について語っていただいて、とてもうれしいです。

 物を売るときにとても大事なことは、私はストーリーだと思っています。安いからとか、機能がいいからということだけではなくて、その物が持つ商品の背景のようなものがしっかり伝われば、たとえ割高であっても、消費者は買ってくれる。

 木材については、様々な効能があることはもう言うまでもない、宮崎先生のお話も御紹介いただきましたが、まず、匂いが違いますよね、ぬくもりが違いますよね。私のおやじが宮崎に家を建てたときに、物すごい自分の部屋だけは内装の板にこだわりました。私の部屋はコンパネの上に壁紙なんですけれども、高いので。ただ、おやじは俺の部屋だけはと、コウヤマキというとてつもなく高い木を使ってとてもお金がかかりましたが、しかし、時間がたつと、経年、たてばたつほど、すばらしい色合いが出て、やはり違いますよ。

 そして、御地元の、私は、東京木材問屋協同組合に行ったことがあります。あの会館にも行ったことがあります。すごいですよね。すばらしい建物で、やはりそういうものが、国も随分、公共施設について木を使うことを法律も作りまして推進してまいりましたが、やはり、まず隗より始めよですから、我々がまずそれに取り組んで、そして、それを見た人たちが、例えば子供たちが、児童館が木で造られていたら、お父さんは今度家を造るんでしょう、なるべく国産材を使った、こういう、いい匂いがする家にしてほしいなと言ってくれれば、そういうところから木材の需要も増えていく。

 今委員がおっしゃるように、ストーリーを作っていくことはとても大事だと私も思っております。

大空委員 ありがとうございます。

 江東区の木材会館にもお越しをいただいたことがあると、大変力強いお言葉をいただきました。

 まさに隗より始めよで、林野庁の霞が関の本庁庁舎は物すごく木をふんだんに使っていただいている。江東区に林野庁の官舎がございますけれども、この官舎は実は余り木が使われていないんですね。是非、隗より始めよということで、職員のストレス軽減のためにも木材を使っていただきたいと思っておりますが、まさに、町の中に木が増えるというのは、おっしゃったとおり、非常に重要なんですね。

 そういった意味においては、非住宅分野、それから中高層の木造建築物、残念ながら、全く木材の利用というのが進んでいないという状況もあります。

 私個人の考えでは、やはり昨年、住宅の新設の着工数が八十万戸を切って、やはり住宅分野、木造が進んでいるといいましても、五七%、半分でありますし、同時に、はりなんかの横架材では国産材は実は余り使われていませんので、まだまだ活用の余地があると思いますが、やはり町の中に増やしていくという意味においては、中高層の木造建築物をしっかりと増やしていく、まだたしか百棟前後だと思いますので、増やしていくということは重要だろうと思っております。

 構造物として木材を使うということも、内装、外装はもちろんですけれども、構造物として使うということも最近は技術開発なんかで可能になってきて、三時間の耐火部材ももう開発をされていますから、やはり技術が進展していくに当たって、もう既に、こうした中高層で木造建築物を建てるということは可能なわけでありまして、これは是非、政府として、どのようにこの中高層木造建築物を増やしていくのか、お考えをお聞かせください。

青山政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のように、国産材の需要拡大に向けましては、これまで木材が余り使われてこなかった中高層建築物への木材利用の拡大が重要でございます。

 このため、農林水産省では、耐火性や強度に優れた製品、技術の開発や建築物の実証、低コスト化に向けたCLT等の寸法の標準化や中規模ビルを木造で造る標準的なモデルの作成、普及、オフィス、商業施設等の建築物を木造でできる設計者、施工者の育成などを推進しております。

 今後とも、こうした取組を通じまして、中高層建築物への木材利用の拡大に努めてまいりたいと考えております。

大空委員 ありがとうございます。

 やはり企業の皆さんに木を使うんだということをより強く思っていただく必要があると思っております。

 今、建築物の木材利用促進協定、国は二十五件、地方公共団体が百五十五件。例えばコンビニエンスストアとかファストフードのチェーン店なんかと農林水産省で協定を結んでいただいて、なるべく、特に店舗においてはその地域の木材を使っていただくなんという取組も行っていただいていると思っておりますけれども、これは個人の住宅でも一緒だと思いますが、木を使うことのインセンティブがやはり必要なんだろうと思うんです。木がどれだけいいと言ったとしても、やはり企業は営利活動でありますから、その営利活動においてもプラスになるような、そういった制度設計を行っていく必要がある。

 例えば、木を使うことによって企業評価そのものが上がっていくんだというような間接的なインセンティブもあると思いますし、この木材の利用の促進協定においては既に財政的な支援なんかが、一部事業の加算等も行われている。直接的なインセンティブと間接的なインセンティブ、これは両方重要だと思っておりますけれども、企業が木材利用を促進していくことに対してのインセンティブ、活用はどのようにお考えか、お聞かせください。

青山政府参考人 お答えいたします。

 木材需要を喚起していくためには、個人による木造住宅の建築に加えまして、企業による建築物の木造化や内装木質化の取組を進めていくことが重要でございます。

 このため、農林水産省では、直接的なインセンティブとしまして、建設事業者等がオフィス、商業施設など非住宅分野の建築物でJAS構造材の利用をする実証の取組に対しまして、木材利用に応じた支援を行っております。

 また、間接的なインセンティブとしましては、事業者が金融機関や投資家等に対しまして建築物への木材利用の効果を訴求できるようにするための情報を整理した、建築物への木材利用に係る評価ガイダンスを作成しまして、普及に努めているところでございます。

 引き続き、こうした取組を通じまして、企業における木材利用を後押ししてまいりたいと考えております。

大空委員 ありがとうございます。

 木材価格というのはまさに需給の相場によって上下をしていますから、コストアップしてもなかなかそれを価格に転嫁できないという状況が続いている。需要そのものをしっかり喚起していくということが何よりも重要だと思っておりますので、この企業の分野もそうですし、先ほど冒頭申し上げた、やはり個人の住宅についても木を使っていく、内装、外装、構造物問わず木を使っていくことに対するインセンティブの設計というのも是非とも御検討を引き続きいただければと思っております。

 もう一問お聞かせをいただきたいのが、政府備蓄米の子供食堂、子供宅食、フードバンク等への無償交付についてでございます。

 これは、私、非常に驚きました。申請手続がよく煩雑だとかいろいろ言われるんですが、申請手続を見てみても、使用報告書を見てみても、私、こんなに簡単な制度はないと思いますね。こんなにシンプルな制度はないと思います。私も議員になる前はNPOで子供支援をずっとやっていました。もうありとあらゆる制度が複雑なんです。農水省、すばらしいと思いますね。これだけシンプルで、簡素化して、かつ、迅速な食育活動を行っていただいているということについては私は心から感謝を申し上げたいと思っております。

 その上で、そろそろ次のフェーズを見据えることも重要なんじゃないのかなということを考えておりまして、政府備蓄米というのは、言わずもがな国民の財産なわけであります。この国民の財産たる政府備蓄米を無償交付していく、しかも、子供食堂、子供宅食については、法人格のない任意団体も交付対象なんですね。申請が上がってきたら、例えば複雑な申請であるとか定款、財務諸表の提示、評価委員によるヒアリング、こういうのは余りないわけです。そして交付をしていく、これは重要だと思います。

 これだけ暮らしが厳しくて米も高くてという状況の中では非常に重要な制度だと思いますけれども、ただ、今、要件を満たせば無償交付しますから、例えば、同じ町会で二つも三つもこの無償交付を受けているところもあるわけですね。目の前の子供食堂も無償交付を受けていて、こちらももらっている。でも一方で、地方に目を転じてみれば、全く子供食堂なんかの取組がなくて、そういった無償交付を受ける団体すらないというような地域差もあるわけです。

 本来は、やはり地域差なんかも考慮して満遍なく交付されていくような形というのを、将来的に、今やれと言っているわけではなくて、将来的には見据えていくということも私は重要なんじゃないかと思っております。

 使用報告書は、人数、提供回数、使用量、これを月別で出すのと、写真一枚と開催案内、これが使用報告なんですね。これも非常に簡素化していただいていますけれども、じゃ、どういった子供たちが利用していて、そしてこの無償交付をしたことの効果がどれだけ最大化されているのかといったことを考えたときには、やはりこのデータを活用していくというのは非常に重要だと思っております。

 昨年は千二百トンでありますから、これだけの多くの米をお配りをしたわけであって、そこに係るデータ、どういう子供が使って、そして結果どうなったのかというようなことは、非常に貴重な生のデータなんです。これからの子供の貧困対策であるとか食育活動に生かせる重要な資料、データだと思っておりますので、こういったデータの活用について、最後、お聞かせください。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 子供食堂、子供宅食への政府備蓄米の無償交付につきましては、令和二年度から開始してきております。これまで交付先の子供食堂の運営を行っている方々から、ボランティアスタッフ中心の運営体制なので、大きな事務負担は難しいという声をしばしばいただき、どちらかというと、申請、報告の手続書類につきまして、簡素化ということで進んできたわけでございます。

 一方で、委員御指摘のとおり、必要なデータを収集し、これに基づく改善を行っていくことは重要であると考えております。

 このため、今後、子供食堂、子供宅食の方々の御意見もよく聞きながら、必要なデータの収集に努めてまいりたいと考えております。

大空委員 是非よろしくお願いいたします。

 終わります。

御法川委員長 次に、小山展弘君。

小山(展)委員 静岡県中東遠エリア出身の衆議院議員の小山展弘です。

 御法川委員長には、以前、災対特のときにもお世話になって、江藤大臣も災対特のときに大変お世話になりまして、今日もよろしくお願いいたします。

 まず、先ほど山本先生の御質問にもあったということで伺っておりますが、米国の関税の引上げについてお尋ねしたいと思います。

 お茶とか水産物とか、これまで国でも輸出を奨励してきて、とりわけ米国向けの輸出が伸びている品目がございます。今回、トランプ大統領による関税引上げによって、我が国農林水産物、とりわけこういった米国向けの輸出を奨励してきた品目を中心に、どのような影響が出ると農水省として認識をされ、また、これに対してどのような対策を立てていらっしゃるか、お尋ねしたいと思います。

江藤国務大臣 先ほどの答弁、若干修正を先にさせてください。壁、コウヤマキと言いましたが、アカマツでした。コウヤマキは風呂でした。コウヤマキの風呂はすごいんですよ。余計なことですが、済みません。一応、間違いは間違いなので。

 まず、我が国の食品の輸出額のうちの米国向けは二千四百二十九億円であります。これは第一位の輸出国であることは委員もよく御存じのとおりです。お茶は金額ベースで三百六十四億、抹茶なんかはすごい勢いで今伸びている。文化としても、日本の文化をセットで売れている、すばらしいものでありますが、お茶については全ての輸出の部分の四四%が米国向けですから、影響は甚大であるというふうに思っております。

 それから、このことを受けまして、省内で対策チームを立ち上げることにいたしました。輸出品目団体別、生産者、食品事業者などからしっかり聞き取りをして、そして、お茶を含めて、どのような影響があるのか、まずその分析をするということが大事だと思っております。

 この分析を踏まえた上で次の段階に入りますが、政府としても、どのような対策をするか、まだはっきり決まっておりませんけれども、食品産業についても大打撃でありますし、そして、輸出だけじゃなくて、日本国内の生産基盤にとっても大打撃ですし、米国向けの米もあるわけでありますから、余りにも範囲がでか過ぎるので、これは緊張感を持って、これからしっかり分析をした上で、必要な国内対策、輸出業者に対する資金繰りも含めた対策をやらなければならないというふうに思っております。

小山(展)委員 今まさに、これから対策を検討して、対策を立ててやっていくというところかと思いますけれども、国家というのは時としてこういうことをやるんだなと。

 今回は、まさに関税を引き上げられた国にとってはこれは経済制裁みたいな効果になっているかと思うんですけれども、アメリカはかつて、ソ連がアフガニスタンに侵攻したときに、対ソ穀物制裁といって同盟国に呼びかけて、穀物制裁をやったんですね。一番最初に破ったのはアメリカなんですね。アメリカの農家の方々が、せっかくソ連に輸出できると思ったら、何やっているんだということで、やった。結構こういうことがあるんだと思っております、特に経済制裁という観点からすると。

 それと、自由貿易体制というのは、私は、自由貿易体制そのものが正義だとか、これが一番合理的だということよりも、それは確かにそういう側面もあると思うんですが、アメリカの国民が、これがアメリカの国益にかなうと認識していた、あるいはそういう認識を持っていた人たちの大統領や政権が自由貿易を進めてきたということであって、これがアメリカ国内で様々な矛盾を生み出して、そうではないんだというようなことに変わってきたというようなこともあるのではないかと。自由貿易が善だ、国際正義をやってきたということではないということは、まさに我が国の中でも、その自由貿易の中で苦しい思いをしてきた産業や人たち、品目もあったということだと思っております。

 それともう一つ。あえて口幅ったいことを申し上げるわけじゃないですが、これを機に、やはり精神的なアメリカへの依存、対米依存、対米従属というようなものを、やはり少し脱却していくというようなことが必要なんじゃないかなと思っております。

 ちょうど石破総理も石橋湛山議連に入られて、石橋湛山さんは、アメリカに対して精神的な独立、自立というものをもっと持たなければ駄目だということを何度も言っておりまして、私は、そういう解釈から、政策の考え方は違うんですけれども、多分、アジア版NATOというようなことも石破総理は当初お考えになられていたんじゃないかと思うんですけれども、そう推測しておりますが、是非そういった、国の在り方とか国との関係の在り方そのものも、これを機にちょっと、頭の体操レベルからでも考え直す、そういう必要があるんじゃないか。これは、アメリカが悪いというよりも、国家というものはそういうものなんだということを私は認識すべきではないかとも思っております。

 それと、また質問させていただきたいと思いますが、ちょうど今、お茶の輸出のことでお話をさせていただきました。私の地元も大変お茶の産地でございまして、毎回私がこの質問をするので、またおまえかと言われそうですけれども、四月になって一番茶の季節になって、こういうアメリカ向けの輸出のことでも影響が懸念をされておりますけれども、今年のお茶の生育状況、価格の見通し、茶況などについて、現時点で政府が把握している範囲の中での見通しをお尋ねいたします。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 静岡県での新茶の摘採はこれからでございますけれども、二月から三月中旬にかけて気温が低い日があった一方で、三月下旬の気温は高く推移し、凍霜害や病気等の大きな被害もない、こういったことから、現時点において生育は順調であると聞いております。

 静岡県を含めまして、これから全国で新茶の取引が本格化する中で、市況については、今後の気象などによっても品質が左右されるため、予断を持って申し上げることはできませんけれども、私どもとしましては、引き続き注意深く見守ってまいりたいと考えております。

小山(展)委員 是非、去年も大変茶価の低迷とか、あるいは、時期が、静岡の茶市場は早く開いた、それも一つの判断だったと思うんですが、それがちょっと静岡のお茶農家に対しては非常にマイナスに出たところもあります。これは農水省さんの政策ではないんですけれども、是非今年も動向を注視していただいて、また特に輸出ですね、繰り返しになりますけれども、本当に輸出ということでみんなで取り組んできたら、今回の関税でかなり、一生懸命やってきた業者さんほど、何か地元のテレビにも出ておられましたけれども、大変な大きな打撃を受けるかと思いますので、そういったことの対策も含めて、これからも是非よろしくお願いしたいと思います。

 それと、実はちょっと今日は、農水委員会のテーマには少し特殊なことですけれども、農家さんからちょっといただいたお話がございまして、質問させていただきたいと思います。

 昨年の十一月に、その農家さんで、障害を持たれた、結構重度な障害を持たれて、常にカニューレを挿していないといけない、そういうお子さん、息子さんがいらっしゃっておられたんですけれども、施設入所中にこのカニューレが外れてしまって、御家族の方がいない、御家族か医師でないとカニューレを、また取り外しとかそういうことが、もしも何かあってはいけないということで、できないというようなことになっておりまして、家族の方がいない状態の中で、御子息の方が、外れてしまった、お子さんが亡くなってしまうという大変痛ましい事故が発生をしました。七歳だったそうです。

 近くに看護師資格を持つ方が、その農家さんのお話によるといらっしゃったそうなんですけれども、緊急時には、今回のように亡くなってしまうということはあってはならないので、看護師の方でもカニューレの挿入ができるということに法律的になっているんですけれども、それがよく御存じなかったみたいで行われずに、そのまま、亡くなるのを、そのまま見ていたというか、対応できなかったということで伺っております。

 二〇一八年三月二十三日に厚労省さんも通知を出しているんですけれども、今後、カニューレの取付けについて、看護師でも緊急の場合はこういった挿入が可能であるという周知をもっと強くしていく必要があるんじゃないだろうかということを強くその農家さんは訴えていらっしゃって、こういった事故が発生すると、まさにそういう医療的なケアが必要なお子さんが学校や放課後デイサービスで安心して過ごせないという悲痛な声もいただいておりますが、これについての政府の認識と、今後の再発防止についての取組姿勢、意気込みについてお尋ねしたいと思います。

神ノ田政府参考人 お答えいたします。

 看護師は、御指摘ありましたとおり、法律上、臨時応急の手当てにつきましては主治医の指示なく行うことが可能となっております。

 御指摘の気管カニューレにつきましても同様でありまして、厚生労働省の通知によりまして、施設や在宅に従事する看護師等に対して、緊急時における気管カニューレの再挿入が実施可能である旨を広く周知するとともに、この通知を踏まえ、関係団体や学会において、医療的ケアを行う際のマニュアルの作成、周知を進めていただいているところであります。

 さらに、看護師の養成におきましても、気管カニューレの挿入を安全に実施できるよう、必要な知識や技術を習得することとされております。

 引き続き、関係団体等と連携しながら、適切なケアが提供できる体制の整備に努めてまいります。

小山(展)委員 ありがとうございます。

 この方は、日本小児学会とか、診察を受けた、ずっと治療していた総合病院にもお手紙を書いて、そういったところでも情報共有をして、もう一度徹底をしていきたいというようなこともあったようですけれども、是非、こういった事故がまた再び起きないように、周知をお願いしたいと思います。

 次に、国有林のことをお尋ねしたいと思います。

 国有林での年間のCO2吸収量はどのくらいあると林野庁では把握、算出をしていらっしゃいますでしょうか。また、仮に、このCO2吸収量、年間のですね、一年の、把握しているとすれば、国有林野、山林のCO2排出権をJクレジットにおいて売却して一定の収入を得ることもできるのではないかと考えますけれども、政府の認識はいかがでしょうか。

笹川副大臣 御質問ありがとうございました。

 御質問のありました森林の吸収量、一九九〇年以降適切に経営管理が行われた森林を対象に算定をしており、二〇二〇年度の実績で四千二百十万CO2トン、我が国の森林全体に占める国有林の割合面積が三割であることから、単純に計算すると、約一千三百万CO2トンと試算をされます。

 今、もう一つの御質問のありましたJクレジットということになりますと、クレジットの収入で管理をしていくということになりますから、現行、国有林は国自ら予算を獲得をして管理をしているということでありますので、現行では制度の対象としては想定はされていないということでございます。

 特にまた、規模がやはり民有林は小さいのでありますので、ある程度やはりその影響というものは慎重に検証しなければならないということだというふうに思います。

小山(展)委員 かつては、木材を販売をして、それによって国有林、当時は特別会計でしたけれども、やっておりましたので、本当に、この森林整備の予算、あるいは、これを一般会計の予算として、収入として、そこから民有林への森林整備といったことにも使えるのではないかとも思いますし、少しでもこういった森林整備を進めていくための必要な予算の確保に資すれば、是非御検討をしていただければと思います。

 次の質問に、今日ちょっと欲張っていろいろ質問数を多くしてしまったので、済みません。

 今年は国際協同組合年でございます。農水省さんは、日本の協同組合の中でとりわけ規模の大きい農協さん、漁協さん、あるいは森林組合さんなどを所管されておられます。農水省として、国際協同組合年に対してどのような対応や支援を行っていくのか、また、内閣府とはどのような連携をして取り組んでいくのか、お尋ねしたいと思います。

杉中政府参考人 お答えいたします。

 二〇二五年は国連が定めた国際協同組合年でございまして、各国政府において、協同組合に対する認知度の向上、協同組合の発展への支援等に取り組むこととしております。

 我が省といたしましても、共助社会づくりの推進を担当する内閣府や、生協を所管する厚生労働省などの関係省庁と連携しながら、協同組合の重要な役割の認知を高めるように対応しております。具体的には、我が省のホームページに国際協同組合年に関する特設ページを開設をいたしたり、あと、今後、農林水産省の広報誌への特集記事の掲載をするなど、役割の認知などについて努めてまいりたいと考えております。

小山(展)委員 国際何々年といっても、なかなか、そんな年がよく認識されないまま終わってしまうこともあって、それはそれでとても残念にも思いますので、今年は是非、農水省さんの方でも、今お取組のお話がありましたが、御留意いただいて、この認知度の向上というところ、また必要な法制度の整備といったことも、できる限りお願いできればと思っております。

 それで、大臣にお尋ねしたいと思いますが、特に、この国際協同組合年に当たりまして、農水省所管の農協さん、漁協さん、森林組合さんの果たす役割についての江藤大臣の認識をお尋ねしたいと思います。

江藤国務大臣 一言で言いますと、私の宮崎においては欠かせません。これがないと、この方々がおられないと、本当に困ってしまうという組織であります。

 日本のJAの組織というのは、ヨーロッパと違って、ヨーロッパは特定農協じゃないですか、それぞれの品目に、生産物に特定して、それについての組合をつくる。しかし、日本のこの組合というのは、時に、Aコープがあったり、スタンドがあったり、それから、営農指導をしたり、貸付けをしたり、様々な、地域にとって欠かせないサービスを総合的に提供できるというすばらしい組織だと私は思うんですよ。

 これだけやはり田舎にとっては特に特に大事な組織でありまして、ですから、これからも更に応援して一緒にやっていきたいと思っておりますが、余計なことですが、これは大変世界でも評価をされておりまして、韓国とか中国、それからタイ、そういった国では、こういった日本のような総合的にいろいろな業務を行う協同組合の組織は見習われていて、日本型のJA組織が世界にも少しずつ広がっているということは、この日本の組織、森林組合、漁協、JAの組織の優秀さが証明されている一つのあかしだと思っております。

小山(展)委員 大変力強いお言葉をいただきまして、多分、全国の今お話に出ていた農協さん、漁協さん、森林組合さんの役員の皆さん、あるいは組合員さん、職員さんの皆様も、是非、今の江藤大臣の御答弁を伺って、誇りと使命感を持ってこれからも職務に取り組んでいただきたいと思います。

 よく、JAさんとか、漁協さんは今、信用事業を分離しちゃいましたけれども、信用事業ばかりやっているという批判がありますけれども、元々、ライファイゼン協同組合を日本も参考にして産業組合法ができたわけですが、ライファイゼン協同組合は元々金融事業から始まっていますので、これは、全体の総合事業体として必ずしも黒字を生まない指導事業とか、こういった部門の賦課金を少なくするための収益を稼ぐ事業という部分と、相互金融としてのところはちょっと意味合いが違うところはありますけれども、しかし、金融から始まっていますし、ライファイゼン協同組合も経済事業と金融事業を一緒にやっていますので、やはり総合事業体としてやっていくということが大事なことじゃないかなと思っておりますし、私も大臣の今の御認識と全く同じような思いを持っております。また是非今後ともよろしくお願いいたします。

 次に、野菜の価格安定制度についてお尋ねしたいと思います。

 価格下落時の交付金の支給について、緊急需給調整における廃棄の実行と連動していますけれども、例えばレタス、この廃棄をするときに、産地によって結構ハードルが違うというか、事情が違うのではないかという声がございます。

 私の地元の静岡県の森町というところでも、大変レタスの産地で、それこそ長野県とかそういった大きなところに比べれば規模は小さいですけれども、ここでは三毛作をやっています。レタスの後、トウモロコシ、甘々娘とかという名前で結構おいしいという評判ですが、それとお米、三毛作をやるんですね。

 そうすると、レタスを廃棄してそのまま圃場に捨てるというか、そうしておく場合と、三毛作をやっている場合というのは、その後、水田にして水を張ると、これは栄養が高過ぎちゃって稲が倒れちゃうんだそうです。ですから、レタスを廃棄するといっても、その後の回収とかそういった作業がちょっと異なってきて、非常にコストもかかると。

 あるいは、この地区は実は廃棄処分に参加したい、安定金が下げられるのは嫌だ、参加したいと思っていても、産地単位なものですから、静岡県の場合は静岡県の単位が産地になるんですけれども、ほかの地区が参加を見送るといった場合、参加したくても参加できない、それでこの安定金が下がってしまう、こういうようなジレンマがありまして、価格下落時の交付金の支給については緊急需給調整への参加を条件とすべきじゃないんじゃないか、こういう意見もあるんですけれども、こういった制度の、まあ完璧な制度というのはないんですけれども、是非改善をしていただきたいと思うんですが、農水省の認識はいかがでしょうか。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 野菜価格安定制度のうち、需給調整事業につきましては、野菜価格安定制度の中で、著しい価格低落局面におきまして、出荷量を抑制する対応を緊急的に行うものでございます。生産者に補給金を交付する価格安定事業に参加する際に併せて参加していただく、こういうふうな仕組みでございます。

 委員御指摘の中の、需給調整事業の出荷抑制ということにつきましては、圃場へのすき込み以外にも、例えば、貯蔵などによる一時保管、あるいは加工用途向けの販売、あるいはフードバンクへの提供などの有効利用、こういったことも対象としておりまして、どの手法で行うかは出荷団体の方で選択可能というふうになっております。

 また、こういった野菜価格安定制度につきましては、産地が一体となって生産、出荷に取り組む、こういった事業の趣旨から、事業に参加する集出荷団体で一体的な取組ということを行っていただくということにしております。

 私ども、こういった価格安定対策事業と緊急需給調整事業を一体的に運用する、こういった中で価格の安定に高い効果を発揮する、こういうふうに考えております。生産者の経営の安定という野菜価格安定制度にも合致することから、現行の運用は必要と考えておりますけれども、こうした考えをよく産地の中でも丁寧に御説明をしていきながら、御理解をいただけるように努力してまいりたいと考えております。

小山(展)委員 今、なかなか完璧な制度はないんですけれども、それでもなかなか産地によってジレンマもあって、今のように、参加したいのに、産地単位なものですから、ほかの地区が参加しないといって一緒に参加できないとか、そういうのもありますし、冷蔵施設なんかでも、淡路島では、非常に性能のいい、高性能な冷蔵施設があって、かなり出荷時期も調整ができるということもあって、こういったものも本当は必要ではないかと思いますけれども、是非、様々な救済策やそういったこともまた御検討いただければと思います。

 次に、農研機構さんのことについてお尋ねしたいと思います。

 設備が古く更新ができなくて研究に支障が出たり、あるいは空調代も非常に節約をして、苦しい研究環境にあると聞いております。ある日、行って研究室のドアを開けたら、研究室が水浸しになっていた、何かまるでドリフのコントみたいな、でもそんなうそみたいな本当の話になっているということで、こういった状況にあると。

 しかも、賃金改定ということで、今はどこも賃金を上げていこうというのがあるんですけれども、人件費の予算が運営費の交付金に反映されていないものですから、賃金の上昇分を、研究費として交付される予定であった予算から捻出して、更に研究費が少なくなる、こういう事態になっていると聞いております。

 独立行政法人になった際の効率化係数というのが設定されて、毎年予算が減らされてきているんですけれども、これも二十数年たっているので、もう限界まで来ているんじゃないか。まして物価高の今日ですので、人件費だけじゃなくて、様々なものを買っても全部それぞれ高くなるわけですから、私は、この効率化係数というのを見直す、あるいは廃止をして、農研機構等の研究機関に大幅に予算を、一度補正でもいいので増額をして、こういった設備、必要なものを更新したり、せめて空調代をけちってやらなきゃいけないというぐらい苦しい環境というのは何とか改善できないかなと思うんですけれども、農水省の認識をお尋ねしたいと思います。

笹川副大臣 答弁の前に、先ほどの二酸化炭素の吸収量についてでございますが、二〇二〇年実績と私は発言いたしましたが、これは二〇二二年度の実績ということで、おわびして訂正をさせていただきます。恐縮でございます。

 それから、今、農研機構の様々な御指摘、ありがとうございました。

 いずれにいたしましても、その機能を十分に発揮するためには、人件費を含む運営費交付金を確保することは大切なことであります。同時にまた、その施設につきましても、老朽化対策また機能性の向上を含めて効率的に、かつ効果的に行うことが重要であります。

 念のためでありますが、農研機構については、令和七年度の当初予算と令和六年度補正予算を合わせて、運営費交付金は対前年七億円増の五百七十九億円、施設整備費補助金は対前年十八億円増の三十四億円を措置をさせていただきました。

 いずれにいたしましても、農研機構の役割が大きいということはこの委員会での質疑の中でも認識をされているところでありますので、必要な予算をしっかりと確保できるように努めてまいりたいというふうに思っております。

小山(展)委員 まさに、これは農研機構だけではなくて、いろいろな省庁の研究機関というのが独法になってから予算が減ってきて、ほかのところでも空調代を節約したりということがあるようですけれども、やはり技術は国家なりだと思いますので、是非、日本の農業生産を支えている大切な研究機関ですので、予算も含めて対応をよろしくお願いしたいと思います。

 それと、また別の質問をさせていただきたいと思いますが、一九九四年に特定農業法人第一号に滋賀県野洲町のグリーンちゅうずさんが認定をされ、農地所有者さんから農作業の受委託、農作業代行を行って、今では、四十四集落、五百三十人より、二百五十五ヘクタールの農地を耕作をして、稲作、大豆、小麦の生産を行っています。

 今後、地域の農業生産基盤の維持には、農地の賃貸とかリースだけじゃなくて、農地は農地所有者が持って、農作業の受委託、農作業の代行を行って、価格リスクは農地所有者の方にちょっと持ってもらう、こういうような耕作や農業の生産の在り方というものも必要になってくるんじゃないかと思いますけれども、農水省の当該業務に対する認識はどのようなものでありますでしょうか。あるいは、今後、こういった稲作、大豆、小麦だけじゃなくて、例えばお茶とか対象品目を増やしていくこと、グリーンちゅうずのような農作業受委託法人を全国的に横展開するなどの指導方針というのは持っていらっしゃいますでしょうか。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 農業者の減少への対応でございますとか、農業機械コストの削減、さらには高度なスマート農業技術の経営への活用、こういった観点からは、個々の農業者の農作業を請け負う、こういった、私ども今、農業支援サービス事業者というふうに呼んでおりますけれども、こういった方々の役割が非常に重要というふうに考えております。

 委員御指摘のとおり、こういった農業支援サービスにつきまして、稲、麦、大豆だけでなく、例えば野菜、果樹、様々な作物に展開していく、あるいは、サービスを利用したい農業者が実際にサービスを利用できるように、サービスの提供体制を全国的に拡大していく、こういったことが重要かと考えております。

 このため、例えば、令和六年度補正予算におきまして、農業用ドローンにつきまして、水稲防除だけでなく、様々な品目、作業、こういったことに利用していく、こういったモデルの育成でございますとか、あるいは、新しく農業支援サービス事業体を立ち上げる事業者や事業規模の拡大を目指す事業者に対する支援、こういったところも進めてきておりまして、今後とも積極的に推進してまいりたいと考えております。

小山(展)委員 今の質問に関連して、最後に、お茶の生産においてもコスト高とか茶価低迷の状況の下、現在の借地経営だけでは、お茶生産、販売のリスクを全面的に借り受ける農家が負うため、農家の経営が行き詰まっているような事例が発生しております。離農する農家の農地を借り受けて共同茶工場も買って大規模化したら、茶価低迷によってキャッシュフローが減少して借金を返せなかったり、あるいは大規模にしたけれどもお茶の販売先がないということで、不安があるというケースがあります。

 そこで、地域の中で廃業を余儀なくされる農家の受皿として、今申し上げた、農作業代行業務を主に営んで、こういった茶工場の運営も兼営するような法人を新設しようというような構想がございます。農地の賃貸としないのは、先ほども申し上げました、生産物の価格リスクを農地所有者の方に負ってもらうというようなところ、リスク分散を図るという狙いがあります。また、半農半Xなどの新たな農業従事者の受入れなど、労働力確保対策には有効な対策となる可能性があると考えております。

 新設する法人の請け負う受託範囲については、作業の一部にとどまらず、経営の一括受託といったことも可能なんでしょうか。また、法人の形態は、株式会社であるとかあるいは労働者協同組合等も選択肢の中に思い浮かびますけれども、農地法上の制約等の問題についてお尋ねしたいと思います。

杉中政府参考人 お答えいたします。

 農業従事者の減少、高齢化が進展する中で、農地を有効活用し、生産性を向上するためには、農業サービス事業体の育成、確保、これは大変重要だと思っております。

 農地法の関係でございますけれども、農地法は農地の使用収益権の設定等を規制しておりますので、単純な農作業受託については農地法第三条の許可は不要でございます。ただ一方、農業経営の受託をするという場合には、使用収益権の設定を伴うものであるため、当該農地に係る同法第三条の許可が必要となってきております。

 また、そういった経営受託の場合については、法人が受託する場合には、その法人は農地所有適格化法人の要件を満たす必要がございますので、その形態は、株式会社、農事組合法人、持分会社に限定をされております。

小山(展)委員 質問を終わります。ありがとうございました。

御法川委員長 次に、村岡敏英君。

村岡委員 おはようございます。秋田県出身、国民民主党の村岡敏英です。

 大臣、大分風邪もよくなったようなことで、よかったです。委員長、御自愛ください。

 それでは、質問させていただきます。

 今日の質問は、アメリカの相互関税と農産物の輸出入に関する影響について質問するんですが、その前に、今、米が十三週連続値上がりしている。備蓄米も放出している、その中でなかなか値段が下がらない。この件は是非対策を進めてほしいと思っていますが、もう一つあるのが、消費者にとって非常に心配なのが、高温の夏と言われています。もし凶作とかになったときに米がまた足りなくなったら、また高騰してしまいます。これは、消費者にとって米離れが進むと、生産者にとってもよくない。

 凶作なんかが出たときには大臣はどのような対策を取るつもりか、そこをまずお聞きしたい、こう思っております。

江藤国務大臣 これは予想が立ちませんが、ただ、この間ニュースを見ていたら、北海道が記録的な高温になるのではないかという報道がありました。北海道は、昔は違いましたけれども、今はもう米の大生産拠点になっておりますので。そういうことであれば、東北も当然そのような影響が出るということであります。

 ですから、備蓄米の放出を決める段階においても、やはり、九十一万トンから二十一万トン出しましたので、七十万トンしかない。更に出すべきだという御意見はたくさん聞きました。しかし、これを例えば十万、二十万と出したら、百万トンでも国民全体の一・八か月分しかないわけですから、それを考えると、果たして五十万トンという水準でいいのかという話になります。

 ですから、ちょっと前の質疑の中でお答えをしましたが、MAに米はないことはないんですが、これについては、現在策定中の食料供給困難事態対策の方針の中で、供給量が二〇%減った場合についてはMAは利用できるというようなことはあります。基本計画の中にもこれは書き込むということでありますけれども。

 しかし、これはぴったりと当てはまらないですよね。供給量が減っているというのと価格が高騰しているというのは全然違うので。しかも、今の現状においては店頭にあります。そして、今年の、御質問の凶作についてはやはり国が責任を持たなければなりません。

 ですから、もう何が起こるか分からぬ世の中ですから、備蓄米をばんばん出したりすれば全てがよくなるということではなくて、その先にある、委員がおっしゃるように、もしかしたら今年の夏は何が起こるか分からないということも頭に入れておく必要は十分にあるというふうに私は思っております。

村岡委員 是非そこは、気候ですからどうなるか分からないということで、十分な対策を取っていただきたい。そして、やはり米の高騰は抑えて、そしてその上で生産者の増産も進めていただきたい、こう思っています。

 それでは、アメリカの相互関税と農産物の輸出入に関する影響についてお話しさせていただきたいと思います。

 今日は資料をたくさんつけたんですけれども、もちろんここにいる農水委員会の先生方はみんな分かっている話ですが、実は私、一般の消費者とか、農家じゃない人たちから、MA米とかそういうのは何なんだ、よく分からない、こういうことがあります。それは逆に言うと、アメリカと交渉するときに、日本の中で七〇〇%本当に日本が関税をかけているんじゃないかと勘違いする人がいます。

 そこで、今日は資料を出したわけですけれども、一般輸入七十七万トン、これはSBS米を引きますから六十七万トン、そしてSBSで十万トン。一般輸入の方は飼料米等で使うということで主食用米には流れないということで、これは国家貿易でしっかりやっています。また、SBSは、主食用米になってもいいということですけれども、今は十万トンになっているようですけれども、国家貿易である。

 これは、国際の貿易協定の中で日本は世界としっかり結んでいるんだと。決してアメリカが言うような、何か七〇〇%というと、日本は世界のルールを破っているような印象をアメリカがアメリカ国民にも伝えていますし、日本国民の中でも勘違いする人がいる。様々な貿易の品目の中で、農産物も日本もしっかり国際ルールを守っているんだ、その前提をやはり説明しなきゃいけない、こう思っています。

 その上で、トランプ大統領始めアメリカが言っている七〇〇%というのが、これはいつの時代の話だということでありますけれども、例えば、マークアップの点、それから枠外の民間輸入の点、これはどの国でもあることであります。そのことをしっかり国内にも説明し、そしてアメリカ国民にも伝えなきゃいけない、日本は公平なこういったルールをしっかり守っているんだと。その伝え方がやはり足りなかったんじゃないか、こう思っています。

 もちろん、分かっていて言っているんだとは思いますよ。ところが、国民たちは分からない、両国民は。そこは、大臣、是非、これは農林大臣の責任において、アメリカの国民やそして日本の国民にも、日本は国際ルールでしっかりと協定を守り、決してアメリカだけに不利なことをしているわけでもなく、しっかり協定を結んでいるんだということをまず分かってもらうのが大切だと思っていますが、どうお考えでしょうか。

江藤国務大臣 全く同感であります。

 先ほどちょっと言いましたけれども、テレビを見ていたら、もちろん名前は言いませんが、すばらしい肩書を持っていらっしゃる方が、関税を下げるべきだなという話をしています。三百四十一円、キログラム当たり。別にそんな、七〇〇%かけていないのにですね。こういうエスタブリッシュメントと言われるような人でもそのような認識を持っている人がいるのかということはちょっと驚きです。

 今おっしゃっていただいたように、ガット・ウルグアイ・ラウンドの交渉の中で、世界に向けて、これは全ての加盟国の合意の下で合意されたものであって、対米に対して特別な措置をしているわけでは全くありません。委員がおっしゃるように、知っていて言っているんだと思います。

 何度も何度も、あらゆるチャンネルを使って、トランプ大統領が発表される前の段階で、農林水産省としても、誤解ですよと言う努力、誤解というか、説明は一生懸命米国に対してはしたんですが、結局ああいう発表になりました。

 そして、国内的に、まだまだ分かっていらっしゃらない方がたくさんいらっしゃいますので、どうしましょうかね、なかなか日本のメディアの方々も私の伝えたいことをそのまま伝えてはくれませんので、まあ、お願いはしてみようと思いますが。

 農林水産省にホームページもありますし、そういうものを活用して、できる限り、日本は国際社会の中で公正なルールを守ってこれまでもやってきたんだということはしっかり主張してまいりたいと思います。

村岡委員 アメリカも民主主義の国であり、国民の民意というのは非常に大統領にも影響を与えます。是非そういう活動も、農林省、そして政府も含めてやっていただきたい、こういうふうに思っております。

 その上で、ちょっと米の輸出に関して、これは、今アメリカに日本が米を輸出すれば六%の関税でありますけれども、だんだんと米が伸びていっています。そして、アメリカ人にも非常に需要が、日本の短粒種、中粒種、長粒種が非常に伸びてきて、もう既に五百万トンぐらいの消費量があると言われています。炊飯器もどんどん買い始めています。そういう中で、少しずつ、石破総理の方針も江藤農林大臣の方針も、輸出の米を増やしていこうという矢先でありました。

 しかし、こうなると、なかなか、戦略の見直しをしなければならない、まだどうなるか分からないので大変方針も示しにくい、こう思っています。その部分はこの貿易交渉の対応に任せるといたしまして、実は、私の読んでいた本といいますかレポートの中で、田牧一郎さんという方がいるんですが、国民民主党の玉木雄一郎ではありません、田牧一郎さん。この方は福島県出身で、そしてカリフォルニアに移住して米を作って売っている方なんですけれども、日本が米の売り方が下手過ぎるというような内容を書いています。

 例えば、アメリカの消費者の人たちも、今、米の需要が増え、そして日本食がはやり、しかし、それは現実には、中国米であったり香港米が、宣伝では全部日本語で書いてある、あきたこまちであったりコシヒカリであったり、もう日本の製品だと思うような形で並んでいると。その中で、それが、日系のスーパー以外に行くと、まずほぼ日本の米は並んでいない。それは当然です。今、たかが四トンですから、それでは並ばないのも当然ですが、例えば、並んであるところでも、日本産の米かどうか分からないというんですね。これではまず日本産が売れていくことができません。

 その上、やるとすれば、試食をさせなきゃいけない。よく日本でもスーパーで、新しい製品が出ると、スーパーの店員の方が作って、それを試食してもらうという形をしていますが、そういうこともやっていかなきゃいけない。そのときに、やはり試食となると、言葉の問題や、それからどのような味かという表現をするときのやつで、これはしっかりと日本が、農林省を含めて、日本全体で日本の米を本当にアメリカで売り込むんだという気概があったらできるはずだというようなことを述べられている。

 私もそう思います。前にも話しましたが、イタリアが、スペインがワインを売るときには、試食で、スペイン人やイタリア人が来て、全世界に売ろうというときにはたくさんの人たちが来て、試飲をしてもらうということでありました。

 やはりそういうことを考えていかなければ、この貿易交渉の結果がまだ見えていない段階ですが、いろいろなところに売り込むときにそういうことを考えていかなきゃいけないと思っておりますが、大臣はどのようにお考えですか。

江藤国務大臣 今まさに委員がおっしゃったことは、マーケットメイクだと思います。マーケットを自分たちからつくって、そしてそこに自分たちのものを売り込んでいくという、マーケットインではなくて、つくった上で売り込むんだという視点がやはり必要なんだろうと思います。

 様々な御発言をされたので、全部答えるのはなかなか難しいんですが、まず輸出戦略につきましてですが、今、米の輸出につきましては大体四万五千トンです。十二月末現在、去年一年の実績ですね、大体四万五千トン、世界中に輸出をしております。そのうち米国向けが八千七百八十四トンぐらいの数字になります。金額でいうと二十五億円ぐらい。少なくはありませんが、大宗を占めているわけではないということであります。

 ですから、三十五万トンの目標を立てたことについての確かにアゲンストではありますが、マーケットはアメリカだけではありませんので、アメリカ以外のところに対してもマーケットメイクをして、そしてインをしていくということをしていきたいと思います。

 米を、日本の米だという表示は、ちょっと今手元にないんですが、一応マークはあるんですけれども、多分、分からないマークなんでしょうね。

 私もいろいろ見させていただきました。本当に、中国のマーケットにも行きましたが、タイの米に漢字でがっつり書かれていますから、多分、中国の人もあれを見たら日本の米だろうと思うだろうなというような売り方をしていまして、ですから、そういうものについては非常に遺憾ではありますが、何とか表示の仕方もやはりしなきゃならないと思います。

 そして、委員が言われたように、マーケットをメイクするということであれば、まずお試しというのはとても大事だと思います。最初から買ってくださいと言うんじゃなくて、最初のうちは、例えば、レストランなんかにもある程度無償で提供して、使ってみていただいて、その上で、よかったら契約してくれませんかというような、JFOODOなんかも一生懸命やっておりますが、そういった売り方も考える必要があるし、日本の米を売るのであればどのような切り口があるのか、更に勉強してまいりたいと思います。

村岡委員 民間人の名前を出しちゃいけないですけれども、マークに大谷選手をつけるようなぐらいじゃないと日本の米だと分からないぐらいの気持ちで、その方が一番いいんですけれども、なかなか受けていただけないでしょうから。

 そういうものだと思うんです。やはりそういう、世界の、食品を売るときには、その国で、ほかの国で一番有名な人を使っているという例が非常に多いんです。そういうことも少し考えていただきながら、是非戦略を練っていただきたい、こういうふうに思っています。

 そこで、最初の関税の話に戻りますけれども、日本はもっと主張していいのは、アメリカは世界最大の農産物輸出国です。日本は世界最大の農産物輸入国です。アメリカのお得意先のはずです。そのお得意先のはずが、何か向こうから責められているような形で、例えば、小麦にしても大豆にしても、いろいろな飼料用のトウモロコシや何かにしても、アメリカを含む四か国で日本の九〇%の穀物を輸入しているんです。アメリカの農家の方々にとっても、日本のマーケットは最高の市場ですよ。これも訴えかけなきゃいけないと思います。

 日本の市場というものはアメリカの農産物をしっかり買っていますよというこの宣伝も、アメリカ人に聞くと、恐らく余り分からないんですね。だから、ここも是非主張していただきたいと思っていますが、大臣はどのように考えていますでしょうか。

江藤国務大臣 分かってほしいですね。本当にそのとおりですよ。

 日本はたくさんのものを海外から買っていますが、特に農林水産物についてはアメリカがナンバーワンであることは言うまでもありませんし、更に申し上げれば、日米の経済連携協定を結んで様々な合意をいたしました。農林水産分野においては、我々は真面目に、例えば豚肉でいうと従価税や従量税、これは約束の年次に合わせてしっかり下げています。そして、三八・五%ありました牛肉の関税も、今、二一・六%まで下げています。約束を守っているんですよ、我が国は。

 我が国は約束を守っている、そしてたくさんのものを買っている、米国に対しても誠実に対応してきたということは、是非アメリカの国民の皆様方には分かっていただきたい。誠実に対応していないのであれば、けしからぬと言われても、それは、ああ、そうかなと思う部分はあるかもしれませんが、これだけ農林水産分野において誠実に対応しているにもかかわらずこのような対応をされるのは、極めて遺憾である、不本意であるということは重ねて申し上げます。

村岡委員 江藤大臣、大変紳士でいらっしゃいますけれども、例えば日本はこれだけ買っているんだというところをアメリカ国民に分かってもらうためには、例えばアメリカ小麦協会とかアメリカの農産物のそれぞれの協会があると思います、先ほどちょっと出た、違う件での農協みたいな形が。そういうところと組んでテレビコマーシャルも流すぐらいの、これは国家にとって、この二四%というところで農業を差し出すわけにはいきません。

 日本の食料自給率を守る、日本の食を守る、そこまで意識が高かったら、是非、日本は買っているわけですから、アメリカの農民が喜んでいる日本の部分は、そのところと一緒に組んでくれませんか。組んで、アメリカのコマーシャルに江藤大臣が出るぐらいの勢いで、出ろとは言いません、記者会見でもいいです。日本はちゃんと輸入して、アメリカの農産物をしっかり輸入していますよということ、これを主張することが必要だと思います。日本の今までの戦後の世界的に自由主義の貿易の中で培ってきたものが崩れるかもしれない大変な危機だとなれば、やはりそこまでやっていただきたい、この思いです。

 最後に、大臣にお聞きします。

江藤国務大臣 余り上手ではありませんが、先日、桜を見る会というのを主催しまして、各国の大使の方々をお呼びして歓談をする機会を得ました。大体五十か国ぐらい来ていただきました。

 ちょっと検討はいたしますが、例えば英語で、日本がどれだけ誠実に対応し、米国その他の国からどれだけのものを輸入しているのかということを、農林水産省のホームページは基本的に日本語ですけれども、そういうことであれば、英文で流す、英語で流すということも、余り上手な英語ではありませんけれども、ちょっと考えてみようと思います。

 やはり、ありとあらゆる手を尽くすということがこの際必要だと思います。とても常識では考えられないようなことが起こっているので、我々も、まあ紳士かどうかは分かりませんが、私が閣内で言われているのは、余り、江藤君はちょっと、すぐけんかをするので、熱くなるな、最初からけんか腰になってもらっては困るよ、ちょっとそういうようなことを言われることもあるので、最初のうちはしっかり分析から始めて、それでその先には、やはり強く主張すべきことは強く主張しなきゃなりませんし、安倍総理は言うべきことはがつんと言っていましたよ、本当に。甘利大臣も、時には机をばんばんたたいて交渉していました。私はその場面を見ていますから。USTRを相手に、まさにもう鬼のような形相で交渉している姿を見ていましたので、そういうような姿を見た私としては、日本としてもタフな交渉をやはり展開すべきだという気持ちはありますから、ソフト、ハードの面を含めてしっかり考えていきたいと思います。

村岡委員 終わりますけれども、是非大臣、ここは、心の中が武闘派で是非交渉事を進めていただきたいと思います。アメリカ大統領選も中間選挙というのがあります。そこには農産物を出している農業の州があります。そこに乗り込んでいく覚悟で是非この農業交渉をやっていただきたいと思っております。

 終わります。

御法川委員長 次に、山田勝彦君。

山田(勝)委員 立憲民主党の山田勝彦です。どうぞよろしくお願いいたします。

 トランプ関税についてです。

 大臣は、輸出に力を入れる方針を示されています。先ほどから議論があっているとおり、農林水産物の一番の輸出先はアメリカです。今後、国内の生産者、日本の食品会社など、どのような影響があるのでしょうか。お答えください。

森(重)政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほども大臣が御答弁申し上げましたけれども、我が国の農林水産物・食品の輸出額のうち、アメリカ向けは二千四百二十九億円で第一位の輸出先となっているところでございまして、この関税措置による輸出への影響があるというふうに認識してございます。

 今般の米国の措置でございますけれども、国ごとに税率が様々でございます。それから、我が国が輸出している品目ごとにも現地における単価でございますとか競争環境、こういったところが異なるということもございますので、この措置による輸出への影響について、よく分析をしてまいる必要があると考えてございます。

 そういったことで、先ほど大臣からもお話がございましたけれども、省内に対策チームを立ち上げまして検討していくということでございまして、今後、輸出品目団体、また生産者、食品事業者などから聞き取りを行いながら、品目ごとの輸出や、また国内生産基盤への影響を早急に分析いたしまして、必要な対策に万全を期してまいる考えでございます。

山田(勝)委員 ありがとうございます。

 まさに今、情報収集の段階ということで、これから想定される被害がどれくらいなのか、どの分野に及ぶのか、そういったことを具体的に議論していく、そういった場が必要であると思っております。

 その上で、トランプ大統領が強調する、日本はアメリカに対して米の関税を七〇〇%かけている、この発言には大変違和感を覚えます。江藤大臣も会見でおっしゃっているとおり、まさに理解に苦しみます。

 まず、我が国は、ミニマムアクセス米をそもそも無税で引き受けている。その上で、ミニマムアクセス米以外の米は一キロ当たり三百四十一円の関税がかかっており、そもそもパーセンテージで関税をかけていません。そのときそのときの価格によって変わるので、パーセンテージに換算して七〇〇%という関税率は明らかに不正確ではないでしょうか。

 しかし、国内でも報道が先行してしまい、この七〇〇%もの関税が米にかかっているという情報が出回ることで、いかにも日本の米農家さんが特別に守られているような誤った印象を与えてしまっています。本当はむしろ逆で、ミニマムアクセス米を無税で、関税なしで受け入れているわけです。この件について、大臣から引き続き正確な情報を国内メディアへ強く発信していただきたいと思っております。

 そしてまた、アメリカ側は米の関税七〇〇%の根拠を示すことはできないと思われます。その場合は、是非、トランプ大統領の発言は誤りであり、大臣には、日本の国益を守るため、アメリカ側にも米の関税七〇〇%の発言の撤回を強く求めていただきたいと思っております。おかしいことはおかしいと、同盟国であっても言うべきことは言うべきではないでしょうか。大臣、お答えください。

江藤国務大臣 全く賛同するものであります。理解不能と申し上げました。理解不能と言ったら、結構ざわざわっとなりまして、理解できないから理解不能と言ったわけでありまして、あの大統領の発表に至る前の段階で、あらゆるチャンネルを使って米国政府には情報提供したはずです。すばらしいインテリジェンスがそろっている国ですから、絶対情報は彼らにはあるはずです。だから、この七〇〇という数字を言い続けるというのはどういう意図があるのか。いかに日本がひどい国であるかということを強調したいがゆえにわざと言っていらっしゃるのか。全く意味が分からないので、理解不能ということを申し上げたわけであります。

 先ほども若干御説明しましたけれども、これは、一九九九年から二〇〇一年までの国際価格を基準にして、WTO交渉のときに参考の数字として七七八%という数字は出したことがあります。でも、これは国からの正式な発表ではなくて、関税に換算すると七七八ですよと。しかも、これはクリントンのときですから、私もまだ国会議員になっていないので、いつの話やねんという話ですよ。

 ですから、これは、これからも引き続き、間違っているものは間違っていると堂々と言っていきます。当然のことだと思います。そうでないと、やはり物事を議論する上では正しい相互理解、正しい情報を基に話をしないと、話のベースが最初から間違っていると、いい結論に到達できるわけがないじゃないですか、最初から間違っていたら。ですから、それは委員のおっしゃるとおり、しっかり主張すべきことは主張していきたいというふうに思っております。

山田(勝)委員 力強い御回答をありがとうございます。

 まさに、七〇〇%という言葉を強調するような、不当なコミュニケーションの取り方に対しては、大臣には毅然とした対応を取っていただきたいと思います。今回のトランプ関税の経済的影響は計り知れず、こういった国難に立ち向かうときには、与野党が力を合わせるべきだと思っております。大臣にはこれからも日本の立場や主張をしっかり守り、貫いていただきますよう心からお願い申し上げます。

 その上で、次の質問に入ります。クロマグロの資源管理についてです。

 二〇一五年から始まったクロマグロの小型魚の漁獲規制開始時の配分について、マグロの資源管理に詳しい経済ジャーナリストの樫原弘志さんは、アメリカは、一九九〇年代に日本周辺の海でまき網が小型魚を大量漁獲したことが資源悪化の元凶だと国際会議の場で強く主張し、アメリカへの大幅な漁獲の増枠を求め続けており、これは日本の国益にも影響を与える可能性があると指摘されています。

 そして、数々の専門家からもクロマグロの資源が枯渇した責任はまき網の方が大きいと指摘されているにもかかわらず、沿岸の小規模漁業者を守るという国際的な取決めも無視され、まき網二千トン、それ以外の漁業二千七トンと、まき網に有利な配分が行われました。

 資料一を御覧ください。水産政策審議会の議事録です。三浦委員から、ノルウェーの水産資源の管理について、十一メートル未満の船は過去の実績の一〇〇%分の漁獲枠が配分され、資源への影響が大きい二十七・五メートル以上の船は過去の実績の約五〇%分の漁獲枠しか配分されていないと、会議の中で発言がありました。

 日本も、小規模漁師へ最初から特別な配慮が必要であったと思います。そもそも、水産庁はなぜ、直近三年間の漁業実績ではなく、十年以上前の二〇〇二年から二〇〇四年の実績を配分根拠としたのでしょうか。

 そしてまた、過去に漁獲割当てをこのように決める際、直近ではなく古いデータを参考にした例はあるのでしょうか。お答えください。

森(健)政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の二〇一五年の小型魚管理開始当初の漁獲上限の設定につきましては、WCPFCにおいて、二〇〇二年から二〇〇四年の平均漁獲実績からの半減というものが決定されたことを受けて行ったものでございます。

 ただし、国内の配分におきましては、まき網漁業には半減以上の削減を求め、二〇〇二年から二〇〇四年の平均漁獲実績から約五六%削減する一方で、沿岸漁業を含むその他の漁業は約四二%の削減にとどめ、沿岸漁業へ配慮をしたということでございます。

 また、TAC資源の配分におきましては、そのベースとして漁獲実績を活用するわけでございますが、直近三年の実績を用いるものが多いのは事実でございますけれども、漁業者の合意の下、それよりも長い期間、例えば十年を用いている資源もあるところでございます。

 なお、直近のということで申し上げますと、この二〇一五年の小型魚管理当初、小型魚管理について配分を検討しました二〇一四年の後半時点におきましては、二〇一三年、二〇一四年の漁獲データは確定しておりませんので、その場合、直近とは二〇一二年までのデータということでございます。

山田(勝)委員 長官、正確にお答えいただきたいんですが、十年間のトレンドで実績を取った過去があったとしても、十年前の三年間を限定して漁獲割当ての根拠とした、そういった実績はあるんでしょうか。

森(健)政府参考人 お答えいたします。

 漁獲配分をどう決めていくかという点について、漁業者との議論も踏まえて決定をしているところでございますが、先ほど申し上げましたとおり、この小型魚管理の開始当時につきましては、WCPFCの基準年が二〇〇二年から二〇〇四年の実績であったということを踏まえて行ったものでございまして、他にそのような形での配分を決定した事例については承知しておりません。

山田(勝)委員 そうなんですよ。すごく違和感を感じるのは、こういった決め方は過去に水産庁、一度もないんですね。これからもきっとないでしょう。まさに前代未聞のことが行われました。

 資料二を御覧いただきたいんですけれども、これは長官が今御説明になったとおり、二〇〇二年―二〇〇四年の漁獲量基準を根拠とした場合、見た目では確かに、まき網とその他、沿岸などに配慮したシェアの割合になっているように見えますが、結果論として、二〇一五年の開始ですから、その直近三年間、いわゆる二〇一二年から一四年で算定した場合、実は、まき網と沿岸漁師の漁獲量の実績は逆転します。沿岸漁師の方が、漁獲規制が始まる直前までの間、まき網よりもはるかに漁獲高があったにもかかわらず、十年以上前のデータで、まき網の方が漁獲高があったというデータで、この資源管理の配分が始まっているのです。

 これは大変違和感があって、なぜこういうことになっているのか、何か裏があるのか、そういった観点から調べてみますと、水産庁からまき網業協会へ、歴代、天下りが続いていることが分かりました。特に、この二〇一五年一月から、まき網業界に小型魚二千トンが配分され、その年の半ばには、水産庁のマグロ漁業の配分を担当する課長のお一人が、九州のまき網漁業団体の組合長に就任されています。

 配分を受ける側に配分する側の管理職が天下りするのは好ましくないと思われます。これは、国家公務員の再就職に関するルールに照らしても妥当だったのか、大変強い疑念が残ります。

 その上で、水産庁は、二〇一八年の大型魚の漁獲割当ての配分でも、またもや、まき網を優遇し、現場から批判の声が殺到しました。憤りを感じた多くの小規模漁業者が、大型船優遇の漁獲配分を見直せというプラカードを持って、水産庁にデモ活動を行っています。

 更にこの問題は続きます。資料三を御覧ください。これは最近の話なんですが、宮崎県のとべしま丸水産が、マグロの配分が不服とし、国に審査請求を行っています。はえ縄にとって、二〇一五年と二〇一六年は極端に量が少ない時期でした。その時期の漁獲量を根拠に配分量が決まっており、未来永劫この漁獲枠が固定されてしまっているのです。

 本来、このような急激な変化がある二年間のデータではなく、先ほど長官自らおっしゃいましたが、水産庁は元々、五年、十年のスパンでデータを取るときがあるとおっしゃっていました。なぜこのとき取らなかったんでしょうか。適切な配分量を定めるべきでした。

 この事件は、宮崎県日向市、まさに大臣の御地元ですから、大臣自身も当然御承知かと思います。多くの漁師の怒りの声は、現場主義の大臣に届いていらっしゃるのでしょうか。

 こういった水産庁によるまき網優遇の漁獲割当てに対し、水産庁、反省はあるのでしょうか。今後、国際会議でマグロの漁獲枠が増枠された分は、ほぼ全量、沿岸漁師に割り当てるべきではないでしょうか。

 水産政策の責任者である江藤大臣、お答えください。

江藤国務大臣 私の地元のことなので、児玉君のこともよく知っていますし、児玉君と一緒に一生懸命頑張っている黒木君のこともよく知っています。大変応援もしてもらっているので、腹を割って話をしました。若い彼らでありますから、これらの将来のマグロ漁を担う若手に対して、私としても、できるだけ彼らの能力がフルに発揮できるような枠の設定はしたいと、私は個人的にはそのとき強く思っておりますし、今もその気持ちは変わっておりません。

 しかし、近カツなんですよ、宮崎は、近海カツオ、マグロなので。しかも、私の連合後援会長は近海マグロの船主の方なんです。ですから、非常に厳しい御指摘をたくさん承っておりますので、この数字の取り方についてはいろいろ勉強したいと思います。

 勉強したいと思いますが、しかし一応申し上げれば、水産政策審議会の下に学識経験者、それから沿岸漁業者の団体の方々の代表も入っていただいて、くろまぐろ部会を設定した上で、ここで議論をしていただいて、配分の仕方は一応決定したと。ですから、沿岸の方々も入っていただいた部会で決まった内容だということは、委員にもお分かりいただきたいと思います。

 ですから、非常に漁業資源もWCPFCのおかげで回復をして、私の地元でも、本当に、港から泳いで行けるような範囲でマグロの稚魚が捕れるような時代になりました。ですけれども、海の状況も大きく変わってきますので、年次の取り方とか様々御意見がありますが、この部会の方々ともしっかり話をしながら、これから考えてまいりたいと思います。

山田(勝)委員 大臣がおっしゃっていただいたように、マグロはもう明らかに資源回復している状況ですので、更なる増枠をしっかりと確保した上で、特に厳しかった沿岸漁師さんにしっかりと配分していただきたいと思っております。

 資源管理が必要な魚はマグロだけではありません。国境の島で知られる長崎県対馬市は、豊富な水産資源に恵まれた島です。しかし、対馬の海に大きな変化が起こっています。長崎県外から大型船団が対馬の海にやってきて、対馬の特産品であるアナゴやアカムツを大量に漁獲するようになり、沿岸漁師が釣っていたアナゴやアカムツが激減してしまいました。

 資料四を御覧ください。アナゴの漁獲高が二〇一四年四千十一トンあったのに対し、二〇二三年には二千百二十一トンまで、約半分も激減しています。クロマグロの二の舞にならないように、資源が枯渇する前に、アナゴの資源管理を徹底する必要があります。

 アナゴやアカムツを資源管理の対象とし、沿岸漁師に対し適切な漁獲割当てをすべきではないでしょうか。

江藤国務大臣 難しい話です。大変難しい話です。

 委員も御存じのとおり、アナゴはTACの対象になっておりません。じゃ、TACを設定する。漁の仕方も、アナゴは籠漁業と沖合の底引きがあるみたいですから、多分、ほかのところが入ってくるのは沖合の底引きなんでしょう。このTACをやると、それぞれの地域に、まずアナゴを日本全体でどれだけの量を捕るかを決めて、各県に配分しなきゃなりませんので、そうなると、対馬の皆様方の配分がどれぐらいになるかというのも、プラスになるのか、実績ベースを見てですよ、マイナスになるのか、まだ計算したことはないので分かりませんが、非常に難しい話です。

 ですから、これも対馬の方々に話を聞いてみないと分かりませんが、対馬の方々がTACを国としてアナゴを対象とすべきだというお考えがあるということであれば、対馬を発生源として、ほかの地域、例えば東京湾でもアナゴはたくさん捕っていますから、そういった方々とも話をしながら決めていきます。

 ただ、一般論で申し上げると、TACを設定すると大体怒られるんですよ、上限で切りますからね。非常に難しい話になりかねないので、このことはちょっと、私の方から対馬にも話を聞いてみますので、少し預からせていただきたいと思います。

山田(勝)委員 現場の声を聞いていただけるということで、ありがとうございます。

 うまく沿岸漁師さんたちの収入を確保できているのであれば対策は必要ないんですが、今の状況であれば、沿岸漁師さんたちは自分たちができる漁のエリアを限られているんですよね。その中で、やはり外から来た大型船がどんどんたくさん捕っていって、明らかに、見る見る今まで捕れていたアナゴやアカムツがいなくなっていく現状は、やはり適正に漁獲割当てをして、もちろん大型船が捕るなというわけじゃなくて、適切に捕っていただいて、そして適切にお互いが共存共栄できる道はこのTAC規制しかないと思っておりますので、これはもちろん私も現場でお話を聞いた上で大臣に提案させてもらっております。是非大臣からも現場の御意見を聞いていただきたいと思います。

 その上で、資料四を御覧いただきたいんですが、デンマークでは漁獲規制はかなり進んでいて、過去に大規模な漁業者に漁獲枠が集まり過ぎて漁村が消滅してしまったという、そういった悲しい過去から、沿岸漁師への保護政策を行っています。沿岸漁師に漁獲量の追加枠があり、若い新規の漁業者に対しては、政府の保有枠から八年間の漁獲枠が与えられ、沿岸漁師や若い新規漁業者を保護する仕組みが充実しています。

 日本にも沿岸漁師を守る具体的な政策が必要かと思っております。特に、先ほどから話題になっている対馬、対馬だけではなく、長崎県には壱岐、五島列島、そして全国に国境の島がありますが、国境の島の漁師の皆さんが漁業を続けていただいているからこそ、我が国の領海が守られています。つまり、島を守ることは国を守ることでもあります。ただ、今、島の人口減少が激しく進んでおり、漁師は高齢化し、若い後継者がいない、多くの漁村が消滅の危機です。

 そこで、大臣に提案をさせていただきたいと思っております。

 こういった国防を担う島の漁師の生活が成り立つ漁獲量を確保するために、国境の島の漁師の漁獲割当てを優遇するべきではないかと考えておりますが、いかがでしょうか。

江藤国務大臣 御質問を見て、一理はあるなというふうに私も思います。

 やはり、沿岸でしっかり頑張っている方々、特に日本の漁村の約一八%は離島にあるわけでありまして、私も与那国、南北大東島、硫黄島を含めてほとんどの離島には行かせていただきました。そこで、厳しい自然環境の中で、漁業も厳しい、農業も厳しい、今は南北大東島は改善しましたけれども、その頃はまだ漁船をクレーンで引き揚げて漁をしなきゃいけない、港がないわけですから。そういうようなところで頑張っている方々がいました。

 今は、離島漁業再生支援等の交付金がありますから、これによりまして、国境監視だったり漁場の改善だったり、そういうことについては、一万五千円程度ですが、お金を出させていただいて御協力をいただいております。そういうことを含めて、例えば鮮度、今は眠らせる技術とか様々ありますので、遠いところにある分のハンディキャップがありますから、それをカバーするようなことだったり、それから新規の漁業者の就業、就労に対する支援を行うとか、様々なことをやって支援してまいりたいと考えております。

 デンマークのことは少し勉強してみますけれども、どのようなことができるのか、まだ今のところでは十分なお答えができなくて済みません。

山田(勝)委員 御検討いただくということで、本当にありがとうございます。

 様々、島の漁業者に対する支援策があることも私も十分承知しております。しかし、なかなか漁師の方々の後継者不足というのは解消していないわけです。このままいけば、間違いなく島の漁師がいなくなってしまう。そうなれば、国境の警備を全て海上保安庁に任せる、そうなってくると、かなりの国費を投入しなくてはならなくなってくるんです。是非、そういった観点からも、国境の島を、漁師の皆さんがしっかりと漁業が続けられる環境、そのための漁獲割当ての優遇、前向きな御検討をお願いいたします。

 次に、アニマルウェルフェア、動物福祉についてです。

 私自身、八年前、スイスに農業や福祉を学びに行った際、畜産の方法が日本と全く違うことに驚きました。牛も豚も鳥も放し飼いでなければ法律違反になることを知りました。私は、帰国してすぐ、地元長崎県の大自然の中で放し飼いで養鶏を始めました。恐らく、七百人以上いる国会議員の中で動物福祉を実践している人は少ないと思います。そういった意味で、現場の思いを込めて質問させていただきます。

 アニマルウェルフェアとは、動物が意識や感覚がある存在であることを理解し、たとえ短い一生であっても、動物の生態、欲求を妨げることのない環境で適切に扱うことと定められています。この考え方は、一九六五年イギリスで提唱され、世界中で採用されています。そして、日本は世界に比べ、このアニマルウェルフェアがかなり遅れています。世界中で動物保護活動を行う世界動物保護協会が発表した二〇二〇年の動物愛護指数ランキングで、日本は最低ランクのGです。

 資料五を御覧ください。国際水準のレベルを取り入れなければ評価されません。狭く窮屈な環境から動物たちを解放していく。卵はケージフリーへ、肉用の鳥はベターチキンへ、豚は妊娠ストールフリーへ、牛はつなぎ飼いフリーへ、このような動物福祉に配慮した環境を整えるための設備投資に対し、国からどのような支援があるのでしょうか。

松本政府参考人 お答えいたします。

 アニマルウェルフェアに対応してできる生産方式としましては、例えば、牛の放牧に必要な牧柵、給水施設等の整備に対する支援、また、乳用牛の自発的な行動を促す飼養管理システムであります搾乳ロボットや採卵鶏の平飼い方式の導入に対しまして、畜産クラスター事業やICT化等機械装置等導入事業などによりまして支援を行っているところでございます。

山田(勝)委員 ありがとうございます。

 畜産クラスター事業の中でアニマルウェルフェアの取組を支援できるようになったということです。

 ただ、畜産農家のほとんどはこの情報を知りません。壱岐の島で新たに放牧牛を始めた若手農家さんから話を伺いました。みんなよい牛を育てるために環境が大切だと理解していて、限られた環境、牛舎の中で牛のストレスを減らす努力をしていると私に教えてくれました。

 畜産動物の放牧を積極的に進めていくのであれば、例えば、アニマルウェルフェア環境整備支援事業として、畜産クラスターから独立させ、現場に分かりやすく発信していくべきだと考えております。こういった考えに対して、大臣、御賛同いただけるでしょうか。

江藤国務大臣 このアニマルウェルフェア、難しいですね。平飼いをされているということでありますが、ケージの中に入れて、前しか向けない状態で卵を産み続けることについて、いかがなものかという指摘は国際的にもあります。

 しかし、日本の限られたこの土地の状況の中で国民の需要を満たすために卵を生産することについては、なかなか現状では難しい部分もありますが、ただ、今、環境省の法律に従ってやっているということだけは御理解をいただきたいと思います。

 アニマルウェルフェアの部分を畜産クラスターから分離するということでありますが、内数であることの方がやりやすいと思いますよ。これを別途にすると、果たしてどれだけの予算規模を獲得できるのかということもあるかもしれませんし、基本的にはアニマルウェルフェアを推進すべきだと思っておりますが、しかし、日本の現実とも見合いながら、日本には日本の事情があるということも同時に国際社会には説明する必要もあるんだろうというふうに思っております。

山田(勝)委員 ありがとうございます。

 まだまだ質問したかったんですけれども、時間が参りました。今国会で動物愛護法の改正が予定されております。アニマルウェルフェアの向上をしっかりと訴えてまいります。

 ありがとうございました。

御法川委員長 次に、林佑美君。

林(佑)委員 日本維新の会、林佑美です。

 本日は、質問の機会を与えてくださいまして、ありがとうございます。

 前回、子供食堂に関する質問が丸々積み残しとなっておりましたので、今日はそこから質問させていただきます。

 子供食堂やフードバンク等の支援強化について質問します。

 まず、私たちがこの課題を議論するに当たり、現在日本が直面する子供の貧困問題と食の安全保障の重要性について改めて認識しなければなりません。近年、日本では相対的貧困の問題が深刻化しており、厚生労働省の調査によれば、子供の九人に一人が貧困状態にあるとされています。

 私の地元和歌山県においても、地域ごとに課題は異なるものの、経済的に困難な状況にある家庭の子供たちに対し、温かい食事を提供し、安心できる居場所をつくることは極めて重要な課題となっております。こうした中、全国各地で展開されている子供食堂やフードバンク、子供宅食の取組は、単なる食の提供にとどまらず、地域コミュニティーの再生、子供たちの心のケア、孤立防止といった多面的な役割を果たしております。

 私も、地元にいる際は様々な子供食堂を訪れ、現場の皆様から貴重な御意見を伺っております。実際にお話を聞くと、子供食堂を運営する方々は、地域のボランティアや企業の支援を受けながらも慢性的な人手不足や資金不足に悩んでいるという声が多く寄せられております。また、食材の調達においては農家や食品企業からの寄附に依存している部分が大きく、安定的な供給体制を確立することが大きな課題となっております。

 このような状況を踏まえ、政府は、食料・農業・農村基本計画の中で、子供食堂やフードバンク、子供宅食等の食料受入れ、提供機能の強化を掲げており、この方針は極めて重要な施策であると考えます。

 しかしながら、子供食堂やフードバンクの現場の皆様からは、政府の支援策はあるものの、現場にはまだ十分に届いていない、先ほどの大空議員とはまたちょっと違う意見ですけれども、補助金や制度があっても手続が煩雑で活用しにくいといった声が聞かれております。

 そこで、農林水産省として、これらの団体に対し、財政的、制度的にどのような具体的な支援策を講じていくお考えでしょうか。

安岡政府参考人 お答えいたします。

 農水省としては、フードバンク、子供食堂などの食料の受入れ、提供機能などの強化に向けて、立ち上げの支援のほか、輸送車両や冷凍冷蔵庫の導入など様々な支援を行っているほか、企業とフードバンクなどとの情報交換会を各地で行うことで、食料の出し手と受け手のマッチングなどに取り組んでいるところでございます。

 一方で、食品アクセスの確保に向けては、関係省庁様々な支援策を講じられていますけれども、委員御指摘のとおり、十分その情報が伝わっていないケースであるとか、さらには、支援策が十分活用されていない、そういう場合もあるというふうに聞いているところでございます。

 このため、関係省庁で様々な支援策をパッケージとして取りまとめて公表するとともに、関係省庁合同で全国キャラバンを実施をして、フードバンクなどの関係者がワンストップで様々な支援が知れる、分かるようにしているところでございます。

 また、現場の声を伺いながら支援内容の見直しなども進めてきたところでございます。使いやすい支援策が提供できるように、手続を含めて運用改善などにも努めてまいります。

林(佑)委員 ありがとうございます。

 全国キャラバンなどで頑張ってくださっているということですけれども、例えば、子供食堂の運営に必要な食材を安定的に供給するための仕組みや支援団体の事務負担を軽減するための制度の簡素化など、実効性のある対策が求められております。是非ともよろしくお願いいたします。

 次に、子供食堂の拡充と、誰でも気軽に行ける場としての役割、子供食堂の在り方についても伺います。

 子供食堂の本来の目的は、食に困っている子供たちを支援することにあります。しかし、実際の現場では、困窮世帯だけでなく、全ての子供が気兼ねなく利用できる環境を整えるべきではないかという意見が多く聞かれております。支援が必要な子供だけが利用するという形ではなく、誰でも自由に立ち寄れる場とすることで、子供食堂が子供の憩いの場として機能し、地域全体で子供を支える環境が生まれるのではないかと考えております。

 このような取組を充実することについて、農林水産省としてはどのようにお考えでしょうか。

安岡政府参考人 子供食堂の役割に関する御質問でございます。

 子供食堂は、御指摘のとおり、経済的に困窮している家庭の子供に食事を提供するというだけではなくて、子供たちが安心して過ごせる居場所であったり、さらには地域住民等の多世代の交流やつながりの場となるなど、様々な役割を果たし得るものであるというふうに認識をしております。

 このため、農水省では、先ほど申し上げましたけれども、子供食堂の立ち上げなどを食品アクセスの観点から支援するとともに、食育の推進という観点からも、子供食堂での共食、一緒に食べる場としての、地域の様々な世代の交流などへの支援なども行っているところでございます。

 さらに、このほか、子供の見守り支援であるとか孤独・孤立対策など、様々な観点から、こども家庭庁などでも、関係省庁が支援策を行っているところでございます。

林(佑)委員 ありがとうございます。

 共食という言葉がございました。是非とも、みんなが立ち寄れる、そしてみんなで支え合う子供食堂の充実、充足の支援の整備をよろしくお願いいたします。

 次に、子供食堂と地産地消の推進についてお伺いいたします。

 食の安全保障の観点からも、子供食堂の取組は地産地消の推進と結びつけるべきであると考えております。地元の農産物を活用し、子供食堂を通じて新鮮な食材を提供することで、子供たちに食の大切さを伝えながら、地域の農業支援にもつなげることが可能です。

 農水省として、子供食堂と地産地消の連携強化についてどのような支援策を検討されているのか、伺いたいと思います。

庄子大臣政務官 御質問ありがとうございます。

 私も、県会議員時代に仲間と一緒にNPO法人をつくって、子供食堂を運営をしたことがありますので、その重要性は、全く委員と同じ思いでございます。

 御指摘をいただきましたが、子供食堂を通じまして地元の農作物を活用した食事を提供するということ、これは、地域の食文化を理解する、地域の農業それ自体を理解する、そして生産者の皆様の努力等に感謝の念を育んでいくという意味でいろいろな効果があると思っておりますし、長い目で見て、これを継続していくことが、今おっしゃったように、地域の農業の振興にもつながっていくということだろうというふうに思います。

 実際に、いろいろな地域の農協さんの直売所、あるいは女性部の皆様がこうした子供食堂に農作物を提供したりという事例もございます。

 農水省といたしましては、地域の生産者、あるいは食品企業などが子供食堂に対しまして円滑に食品を届けるための地域の体制づくりを支援をしておりますほか、子供食堂等の共食の場におきまして、生産者等から地元の農作物について学んだり、一緒に調理するなどの食育活動への支援を行っているところであります。

 今後も、こうした支援を通じまして、子供食堂等におけます地元の農作物の活用の取組を後押しをしてまいりたいと思っています。

林(佑)委員 ありがとうございました。

 子供食堂やフードバンクの活動は、単なる食事支援にとどまらず、地域のきずなや、子供たちの未来を支える極めて重要な役割を果たしております。その持続的な運営のためには、安定的な資金、食材の確保、地域社会の連携強化、そして誰でも気軽に行ける場としての環境整備が求められます。

 政府の基本計画において、子供食堂やフードバンクの支援強化がうたわれていることは大変評価いたしますが、実際の現場の皆様が使いやすい、負担が少ないと感じられる支援制度にすることが必要だと思います。農林水産省として、現場のニーズをしっかりと把握して、実効性のある対策を講じていただきたいと考えております。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

 次に、米について聞きたいと思います。

 私の実家はおすし屋さんでして、小さい頃からお米とお魚については慣れ親しんできました。私の父は、米を仕入れたときに、今回のお米は石が多いなとか、今はそういうことはほとんどないと思いますけれども、当時はよくそんなことを言っていたなと思い出します。あと、今は子供を育てる親目線ですけれども、子供がいると米をたくさん食べるので、少しでも安い米を買いたいということで、米で有名な県のブランド米ではなく、品種が書いていない米を買ったりすることもあります。

 調べてみると、こうした米にまつわることは、長い歴史のある農産物検査という仕組みに関わってくることが分かりました。米騒動もあって、米の流通についてこれほどまでに関心が高まることも過去余りなかったと思うので、今回はこの米の流通について質問させていただきます。

 この前、石川委員の質問の中でも触れられていましたけれども、米には農産物検査という仕組みがあって、米でいえば、七割ぐらいが検査場を通ると。ほかは未検査と言われていますが、違法でも何でもなく、銘柄表示ができないとかそういったことだけで、道の駅で○○さんちのお米というふうに売られているものですとか、普通に流通できます。

 この農産物検査は、収穫した後、つまり、最初の検査で品質とか品種を証明しておけば、後の段階で一々袋を開けて確認しなくても、その検査結果を見れば済むというもので、国が米を全部買い入れていたときからある、長い歴史のある制度です。それこそ、国が米を買い上げていた頃は品質も悪く、きちんとした米を買い入れるためにあった制度だと理解しておりますが、長く続いてきたからこそ、今の時代と合わないものになってしまっているところもあるのではないかと思います。

 このため、農水省の方でも、ここ数年でいろいろと見直しを行っておられたようです。例えば、私の実家のすし屋の敵だった、虫に食われた米や砕けている米など、被害粒の程度は、これまで目視で確認することになっていましたが、機械での検査を取り入れていくとのことです。つい最近まで目視が前提だったということに非常に驚きますけれども、こうした見直しによって、生産者も、また検査する側も、効率的にできることで負担が減ることはよいことかと思いますし、機械によって精度が上がっていくのは、生産者、消費者にとってもよいことです。

 そこで、機械での検査はどこまで進んでいるのか、御答弁をお願いいたします。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 農産物検査につきましては、これまで長い間、委員御指摘のように、目視による検査の仕組み、こういうふうにしてきたわけでございますけれども、検査員の高齢化でございますとか人手不足が進む一方、米の検査を行う機械の精度が上がってきた、こういったことで、令和四年産米から、機械による鑑定を前提とした新しい検査規格というものを設定したところでございます。

 規格の設定からまだ時間がそれほどたっていないことから、機械鑑定による検査実績につきましては、令和六年産米で二百三十一トンにとどまっておりますけれども、他方で、検査に用いる穀粒判別器の普及ということでいいますと、令和五年四月に八百十台というところが、七年二月には千八百七十四台と増加しております。

 こういった機械を使った機械鑑定が普及するように、私ども努めてまいりたいと考えています。

林(佑)委員 ありがとうございました。

 被害粒の検査を目視から機械による測定へと移行していくことや等級評価をより客観的な数値で示す方向性は、生産現場の負担軽減にもつながり、また消費者や実需者にとっても分かりやすく、信頼性の高い流通の実現に資するものと受け止めております。

 今後、更なる技術開発や現場への導入支援が進むことで、検査制度そのものが、今の時代に合った、より開かれた、そして透明性の高いものになっていくと期待しております。引き続き、生産者、流通関係者、消費者、それぞれの立場に寄り添いながら、制度の改善に取り組んでいただきますよう、よろしくお願いいたします。

 次の質問についてですが、そもそも機械が、精度よく検査できるものがないといけません。機械の開発も重要だと思いますが、どの程度進んでいるのか、御答弁をお願いいたします。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 農産物検査の機械鑑定を行います穀粒判別器、こういったものが現在複数開発されてきております。また、こういった開発された機械ごとの精度のぶれをなくしていくといったことが我々は重要だと考えております。

 このため、国が民間の機器メーカーと連携いたしまして、各機械それぞれの精度の確認を行って、できるだけそのぶれをなくすというようなことをやってきております。今、そういった精度が確認された三メーカー六機種につきまして、私ども、ホームページでも公表しているところでございます。

 現在、既に精度が確認された機械を用いて機械鑑定ということで普及しているところでございますけれども、今後、次世代の穀粒判別器、こういったものの開発などを通じて、消費者ニーズに応じた取引が行えるよう取り組んでまいりたいというふうに考えております。

林(佑)委員 ありがとうございます。

 農産物検査の機械化が進むことにより、これまで得られなかったようなデータが得られるようになったり、その情報を活用することで、消費者や実需者にとって選びやすく、そして納得のいくお米の選択ができるというのは、まさにこれからの米産業にとって大きな前進だと感じております。これからの時代に合った形で検査制度が進化し、米の魅力が更に引き出され、米産業全体の発展につながるよう、引き続き御尽力をお願いいたします。

 機械化を進めると、これまで取れなかったデータや情報が取れるようになって、消費者がそれを知るようにできると、お米産業にとって有益ではないかと思います。これまでは、一等か二等か、そして品種名と産地くらいしか伝達されていませんでした。米が足りなくてとにかくお米が欲しいという時代は、消費者も、お米を買えることと、品種さえ分かれば満足だったかもしれません。しかし、今はそうではありません。

 お米も、家で炊いて食べるというのも少なくなり、中食、外食産業の方がおいしい料理にして提供してくださいます。おすし屋ですと、品種よりは、あっさりした方がよかったりします。おすしはシャリは白い方がよいのですけれども、白いお米も、冷凍チャーハンなどにしてしまえば、色がくすんだ米粒が多くても気になりません。

 農林水産省の見直しの資料の中でも、判別器により、等級とは別に測定データによる情報提供が可能とあります。消費ニーズが様々になる中で、機械の導入によってどのように消費者や流通業者にメリットが生じると考えられていますか。実例があれば挙げていただければありがたいです。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 従来の目視の検査では、委員御指摘のように、一等、二等、三等、こういった区分での検査となっておりました。そういった意味では、例えば精米の歩留りと関連の強い着色粒の割合など、個々の項目では数値化されたデータを伝達することは難しい、こういった仕組みとなっておりました。

 このため、例えば同じ等級であっても、実際に精米をして色彩選別にかけた後の歩留りにはぶれがあるようなケースも生じていたところでございます。

 他方、穀粒判別器を活用した場合には、着色粒等それぞれの項目が値としてデータ化されて伝達できるため、例えば、買受けする事業者は、精米歩留りなどをある程度予測して対応することが可能、こういった声を聞いているところでございます。

林(佑)委員 ありがとうございました。

 等級にとどまらない多様な測定データの活用によって消費者や流通関係者に対する情報提供の幅が広がっているという点は、今後のお米の流通や消費の在り方に大きな可能性を感じました。

 これまでは一等、二等、三等など限られた指標しかなかったところに、機械の導入によって粒の大きさや色調、水分量など、より詳細な情報が提供できるようになれば、例えばすし用に適したもの、チャーハン向きのものなど用途に応じた選択がしやすくなり、実需者にとっても大きなメリットになると感じております。

 また、こうした情報がしっかりと活用されていくことで、消費者にも選ぶ楽しさが広がり、生産者にも売れる米作りのヒントが届く、まさに官産消がつながる好循環が生まれるのではないかと大いに期待しております。

 農林水産省におかれましては、こうした情報の見える化と利活用の促進に引き続き御尽力いただき、これからのお米の価値の伝え方、売り方を更に進化させていただきたいと思っております。

 また、現在話題になっている備蓄米と絡めて質問させていただきます。

 去年から米不足一色でしたが、その少し前は、米の話題は何だったかというと、猛暑によって一等米比率が下がったと。猛暑によって、特に未成熟の白く濁った米が増えてしまい、一等から二等になってしまう米が多くなったということだったと思います。

 多くの未成熟の白い米は、途中ではじかれてしまって、家庭用のお米には残っていないかと思います。一方で、農水省でも発信されていますとおり、白色になった粒が多い米でも水を気持ち少なめにするとよいなど、ユーチューブで発信されております。白く濁った米でもおいしく食べられます。

 このことについて、私はとてもよいことだと思っております。正直、子供が三人もいますと、お米も白く濁っていても、炊いてしまえば全部白いですし、それよりも、ちょっと安い方がいいのかなという気がしております。もっと言えば、外食やお弁当のお米であれば、そもそも炊く前に白かったかどうかは分かりません。

 ちょっとざっくりとした質問になりますけれども、お米が足りているときには、それはきれいな見た目のお米がよいにこしたことはないですけれども、今みたいなときは、そう言ってはいられなくて、生産者が作られた米を一粒一粒、特に炊いたら普通の米と変わらない白く濁った米でも無駄なく消費者に届けるべきではないでしょうか。仮に取り除かれた米が一%だとしても、国産全体が七百万トン弱ですから、七万トン弱くらいの量になります。消えた米が二十万トンなどと言われていますから、無視できない量になります。

 農水省では米不足で対応に奔走されているのはよく分かりますが、一方で、一等米、二等米の等級があり、普通に食べられるお米もはじかれるのが普通になってしまっている、お米の外見重視の仕組みが残ってしまっている、更に言うと、ユーチューブでは未成熟米でもおいしく炊けると、八方美人のような対応に見えるのが気になります。どうお考えでしょうか。大臣の見解を伺います。

江藤国務大臣 お米を一粒も無駄にしないということは、子供の頃から、我々は、茶わんにちょっとでも残っているとたたかれたりした世代でありますので。

 そして、確かに、白くなった米でも全然実は炊いてしまえば関係ない、ちょっと水を多く入れなきゃいけないというのはあるみたいですけれども、それはおっしゃるとおりだと思います。

 ただ、いわゆるふるい下米ですよね、粒が小さいやつ、割れたやつ、乳白色のやつ。ふるい下米として年間に出てくるのは大体十五万トンから二十万トンぐらいあるんですね。これは全体の生産量の大体二%から三%に当たります。結構な量です。

 ですから、委員が言われるように、今みたいな緊急事態、イレギュラーな状態の下ではこういうものも使ったらいいんじゃないか、大変有効な御提言だと思います。ただ、これらを当てにしていらっしゃる方々もいらっしゃるんですよ。米菓子を作っている方々、米焼酎を作っている方々、それからいわゆるみそを作っている方々なんかは、これを毎年買い取ってこういう製品にしていらっしゃる方々がいらっしゃいますので、こういう方に、ふるい下を全く、今年は突然、上げませんよということになると、それはそれでまた困るということでありますので、ちょっとよく考えなきゃいけないなと思います。

 ただ、できるだけ、委員が言われるように、こういった方々のところに流通するよりも主食米として流通した方が農家の方々の手取りは間違いなく増えますから、そういうことも含めると、やはり、こういうお米もおいしく食べられます。実は、この十五万トン、二十万トンは全部こういう業務用に流れているんじゃなくて、主食用にも流れているんですよ、一部は、今も。食べられていますので、そういうことの切り口について、今後どうするかは少し考えてみたいと思います。

林(佑)委員 ありがとうございました。

 昨今のように需給が逼迫する中では、等級にこだわり過ぎず、食べられるものはきちんと食べるという柔軟な考え方も必要かなと思いました。消費者の側にも丁寧に発信を続けていただくことを期待申し上げます。

 また、現在、備蓄米が徐々に店頭に並んできていて、結構売れているということも聞きます。直接見たわけではありませんけれども、複数銘柄米と表示され、売られているものもあるようです。

 家庭用のお米といえば、生産した県、銘柄が袋に書かれているのが一般的ですが、最近は、ドラッグストアなどには、銘柄は書いておらず、スーパーよりも安い米が売られていたりします。これまでは余り意識していませんでしたが、こうした複数銘柄のお米も消費者の一つの選択肢として有効なのではないでしょうか。

 外食はもちろん、家庭でも食は多様化してきています。和食とともに米どころのブランド米を食べたいとき、家でカレーにするのでブランド米ではない安い米にしたいときなど、用途は様々になっております。

 私の子供はオムライスが大好きで、ケチャップライスに卵を混ぜて出すんですけれども、追いケチャップというか、結局上に変な絵を描いたり変な字を書いたりしてケチャップまみれにしているので、これだったら普通の、いいお米じゃなくても、どんなお米でなくても、ケチャップがあればおいしく食べてくれるのかなというふうに考えたりもすることもあります。

 これは米の流通業者の商売の話であって、米の農産物検査と直接関係ありませんけれども、このような米の消費が多様化する中で、売り方の多様化をしていってもよいのではないかということについて農水省の見解を伺います。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 小売店における精米の販売では、産地品種銘柄を記載した米以外にも、複数の異なる産地や品種銘柄を原料とした複数原料米、いわゆるブレンド米という形で販売されているものがあると承知しております。

 これは、単一の銘柄では、年によって食味や品質にばらつきが生じる、こういったことがあるため、できるだけ安定したものを販売したい、そういった販売戦略の一つであると承知しております。また、消費者の求める多様な価格帯のお米を提供するという目的もあると聞いております。

 このように、消費者の生活スタイルも多様化する中で、米についても、いろいろな売り方をされることで、消費者の方々の選択肢が広がり、それぞれのニーズに沿った供給が行われる、こういったことで、米の需要の拡大という点からも重要なことと我々考えております。

林(佑)委員 ありがとうございました。

 これまで米の流通について気になった点について聞かせていただきました。

 いろいろと聞かせていただきましたけれども、共通して言えるのは、技術も向上し、生産者の方が作られるものの品質も向上し、だからこそ、今更やらなくてもいいものなどは効率化し、あったらよい情報はもっと取ったら、生産者、消費者に両方に有益だと思います。

 生産者も、消費者の動向など、いろいろな情報が増えることで売れる米作りをする、消費者や食品事業者にとっても有益な情報が増える、こういった好循環を生み出せるのではないかと思っております。

 農水省も、スマートフードチェーンとして流通の高度化を図るとしています。農産物検査という仕組みは、過去、廃止すべきといった議論もあったようですけれども、普通の人は米の見た目では品種は分からないですし、流通の方がそれぞれ米袋を全部のぞいて確認することもできないので、仕組み自体は必要なものだと思っております。

 その上で、この制度をもっと今の時代に合ったものにすると米産業の発展につながるのではないかと期待するのですが、その点についてはどう思われますでしょうか。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 農林水産省では、生産から加工、流通、販売、消費、こういった情報を連携させたスマートフードチェーンの社会実装に向けた取組を進めているところでございます。

 スマートフードチェーンの活用によりまして、生産履歴、検査データなどを流通段階で共有できる、あるいは、消費者に対して米の品質、付加価値、こういったものを伝達しやすくなる、こういったことは期待されているところでございます。

 農産物検査につきましても、穀粒判別器による機械鑑定の普及、あるいは新技術の導入、こういったことを通じて得られたデータが流通や消費者の方々と共有され、今の時代に合った米のよりよい流通につながっていくよう取り組んでまいりたいと考えております。

林(佑)委員 ありがとうございました。

 時間になりましたので、終了いたします。

御法川委員長 次に、角田秀穂君。

角田委員 公明党の角田秀穂でございます。

 質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 初めに、酷暑対策というテーマで質問をさせていただきたいと思いますが、昨日は、高知県のシシトウを栽培しているハウスの中でお話を伺ってきたんですけれども、十分、十五分もしないうちに暑さで頭がぼうっとしてまいりまして、決して楽な作業環境ではないなということを改めて感じたわけですけれども。今、省力化のために収穫ロボットなどの開発も進んでおりますけれども、シシトウについてはかなりハードルが高いと思いますので、やはり人手で頼らなければいけない。その中で、今は人手不足、その一方で、やはり収穫のタイミングを逃すわけにもいきませんので、無理をしないでくださいと言っても、やはり無理をせざるを得ないという事情は、この農家さんに限らず、どこでも増えているのではないかというふうに思います。

 そうした中で、気象庁が発表した今年六月から八月の天候の見通しでは、この夏は、太平洋高気圧の北への張り出しが強まって、全国的に気温は平年より高いと予想しており、近年続いているような猛暑と今年もなる見込みです。

 農業分野では、仕事として主に自営農業をしている基幹的農業従事者は、二四年の速報値で百十一万人、このうちの七割が六十五歳以上で、高齢化が進んでおります。高齢化が進んでいる上に、農業者は広い農地の中で一人で作業をするという場合が多く、危険度が高いと言えます。一人で畑に出かけて帰らない、心配して見に行った家族が倒れているのを発見するというようなケースも報告をされております。

 まず初めに、近年、農作業中に熱中症にかかる事例はどれだけあるのか、また、屋外での作業が多い農業者の健康を守るためにも、熱中症対策、これには万全を期すことが求められますが、熱中症予防対策に現状どのように取り組んでいるのか、またこれから取り組んでいくのか、お伺いをしたいと思います。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 まず、消防庁が実施しております夏期における熱中症による救急搬送人員の調査、こういった調査によれば、田畑で農作業を行っている際に発症した方の搬送人数、これは令和四年千六百九十人、令和五年二千十三人、令和六年二千三百三十二人と増加しているということでございます。

 また、農林水産省でも農作業死亡事故調査ということでやっておりますけれども、熱中症による死亡者ということでは、令和三年二十三人、令和四年二十九人、令和五年三十七人というふうに増加しております。

 このため、農林水産省におきましては、農業者が実践できる対策、救急対応、こういったものにつきまして、全国の農業者の皆様方に研修の受講ということを呼びかけてきております。その結果、都道府県、農業団体、農業機械販売店、こういった方々の協力も得て、全国で二千八百五回、延べ十万人に対して研修を昨年度から行っております。

 農作業の中の熱中症対策の強化というのは非常に重要な課題だと我々も認識しておりまして、先ほど申し上げました関係機関の方々の協力もいただきながら、研修を始めとした取組を更に強化してまいりたいというふうに考えております。

角田委員 今、施設園芸などで、生産性や付加価値向上のために、植物のバイタルサインのモニタリングを行って、生育状態を環境制御にフィードバックする技術開発などが行われておりますが、こうした作物の健康管理ということも大事ですけれども、人間の健康管理はもっと大事なことであろうと思います。作業者のバイタルサインをモニタリングしていち早く兆候を察知、健康被害を防止する技術の導入も、特に農業分野では積極的に行っていくべきと考えます。また、今後進めていくとしている農福連携においても、外見からでは分かりづらく、体調を崩しても、そのことを自分からもなかなか正確に伝えられない障害者の健康被害防止には特に配慮していかなければなりません。積極的な取組を求めたいと思いますが、この点について見解を伺います。

庄子大臣政務官 今御指摘をいただきましたように、この夏の高温というのは非常に厳しいものがございますので、熱中症に気をつけましょうという意識を持ちましょうという程度では対応としては全く不十分だろうというふうに思います。したがいまして、様々な熱中症対策のアイテムを営農にしっかり取り入れていただくということが重要だというふうに思っております。

 こうした点を踏まえまして、令和五年度以降、例えばホームセンターとか、あるいは医療製品企業とも連携をいたしておりまして、農作業時の体調管理に活用できます様々な商品の利用を促す取組を進めているところであります。

 例えば、熱を逃がしやすい素材で作った衣料、衣服を着ていただく、あるいは、ファンが内蔵している衣服を着ていただくとか、体の表面ではなくて深部の体温が上昇することを抑える飲物を飲んでいただくとか、あるいは、御自身の心拍数とか体温、これを検知してアラートを発信するスマートウォッチのようなもの、こうしたものにつきましても、有効な対策として農業者の皆様に紹介をし、利用を働きかけているところであります。

 また、今御指摘をいただきましたとおり、こうした技術は、農福連携を進めていく上に当たりましても、御自身の体調変化をほかの方に伝えにくい障害をお持ちの方々にとってはこうした健康を管理する上で大変有効だというふうに承知をしておりますので、これから方策を更に検討し、熱中症対策を一層強化をしてまいりたいと思っております。

角田委員 農業者の健康を守る、酷暑から守ることも重要な課題です。ともすれば、本人は、自分は大丈夫と過信しがちですから、客観的に体調をモニターできるようにする取組は、特に農業分野では積極的に進める必要があると考えます。そのために、まずは、モデル事業としてでも、そうした健康を守るためのメニューというものを作って進めていくこと、これを要望させていただきたいと思います。

 次に、水産物の輸出関係について質問をさせていただきます。

 水産物の輸出額は順調に増加をしてきたものが、一昨年八月のALPS処理水の海洋放出以降、中国など一部の国、地域で輸入規制が強化されたことから、ホタテを始め、水産物の輸出にブレーキがかかりました。輸入規制は科学的根拠に基づかないものであり、政府もあらゆる場を捉えて規制見直しを訴えていることは承知をしておりますが、漁業者を守るため、新たな販路開拓などの取組を更に進める必要があるとも考えます。

 ALPS処理水放出の影響を受けた水産関係者に対して、輸出先の多角化であるとか販路の新たな開拓など、相談であるとか支援、この取組について、現状についてお伺いをしたいと思います。

森(重)政府参考人 お答えを申し上げます。

 ALPS処理水の海洋放出に伴う中国等の輸入規制の影響を受ける水産物につきましては、「水産業を守る」政策パッケージ等に基づきまして、輸出先の転換を図ってまいりました。具体的には、ジェトロが国内外に設置しております農林水産物・食品輸出相談窓口内の特別窓口を通じた相談の対応でございますとか、品目団体、ジェトロ、JFOODOの連携の下で、ホタテなど日本産水産物のプロモーションでございますとか、商談会の開催や海外見本市への出展等を通じたビジネスマッチングの支援などに取り組んでまいったところでございます。

 この結果、例えば生鮮のホタテガイについて見ますと、昨年の輸出実績で、中国以外の国、地域に対する輸出額が対前年同期比で約六二%増加をいたしてございまして、輸出額全体で前年比プラスに転じたところでございます。

 また、規制撤廃につきましても、昨年十一月の日中首脳会談におきまして、同年九月に日中で発表した共有された認識に基づいて、両国、きちんと実施していく等の確認をいたしたほか、本年一月には、江藤大臣にも訪中いただいて、中国側にも働きかけをしていただいたところでございます。

 引き続き、政府一丸となって、規制撤廃に粘り強く取り組むとともに、新市場の開拓などにより、輸出先の多角化を推進してまいります。

角田委員 二〇二二年十二月に東電が出した、処理水の放出に伴い風評被害が発生した場合の賠償基準と題する文書では、「風評被害が発生した場合には、その損害を迅速かつ適切に賠償してまいります。」と、こうはっきりと書かれております。

 風評被害、広辞苑には、風評とは「世間の評判。」、風評被害とは「風評によって、売上げ減などの被害を受けること。」とあります。世間の評判によってですから、国家が科学的根拠に基づかず輸入を禁止することだけにとどまらず、より広い被害を含むことは明らかです。

 主にカキを輸出している水産業者、十年ほど前から独自に販売ルートを開拓をして、シンガポールに冷凍カキの輸出を始めた。当初は少量の取引からスタートをいたしましたが、品質の高さが評判となって、二〇二三年に大口の商談がまとまり、コンテナ三本まで契約どおり順調に現地に納めていたものが、同年八月のALPS処理水放出により、日本産水産物の需要が二〇%ダウンをした。その後も更に二五%から三五%ダウンしたとして、輸出先の事業者から取引の停止を同年九月に告げられました。その時点で、四本目、五本目、六本目の仕入れを既に行っていたため、廃棄処分せざるを得なくなりました。

 十月に関係書類をそろえて東電に賠償請求を行ったが、当初、東電は、輸出規制に対する賠償で、風評被害に対する賠償ではないとの回答だったといいます。粘り強く交渉を続けますが、この一年半近くの間に担当者が五人替わり、そのたびに新たな資料の提出を求められ、最近では問合せの電話にも出なくなるなど、不誠実な対応に終始をしております。

 中小企業ですから、追加で提出を求められた書類も含め、資料の作成は社長一人で行っており、取引停止の理由がALPS処理水放出が理由だという証拠を出せと言われて、先方の経営者に頼み込んで一筆書いてもらい提出をしたら、こんな書類は誰でも作れると。はなから賠償に応じる気がないとしか、これは思えません。

 風評被害の賠償に応じる気がないならないと初めからはっきり言ってくれた方が、よほど親切です。風評被害に対する賠償をする気がないならないと初めからはっきりそう言うように、国からも東電に指導していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

川合政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、御指摘の個別の案件につきましては、風評被害の事実認定のための追加の証憑等を確認する必要があったということもあり、必要な手続に一定の時間を要したと聞いております。

 実際、年度末に、この事業者には賠償金を東電の方からお支払いしまして、在庫がまだあるというお話もあって、引き続き調整が今続いているというふうに承知しております。

 全般的に申し上げますと、ALPS処理水の海洋放出に伴う損害賠償の請求に関しましては、東京電力が事業者からの請求を受け付けた後、必要な証憑などを確認した上で支払い手続を進めております。四月二日時点で、約六百二十件、約六百三十億円の損害賠償を既に支払っているというふうに聞いております。

 経済産業省といたしましては、被害の実態に見合った賠償が迅速かつ適切に実施されるよう、引き続き東京電力をしっかり指導してまいりたいと考えております。

角田委員 時間が参りましたけれども、しっかりと誠実な対応、これについては、国からもこれからも指導していただきたいと要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

御法川委員長 次に、八幡愛君。

八幡委員 れいわ新選組の八幡愛です。

 今日は、様々な委員が同じような視点で質問されておりますが、やはりトランプ関税とお米ですね、何度も何度も諦めずに言っていくということがこの国会では大切だという視点で、重複してしまうかもしれないんですが、よろしくお願いいたします。

 トランプ米大統領、今月二日、貿易相手国の関税率や非関税障壁を踏まえて相互関税を導入すると発表して、日本には二四%の関税を課すことを決定したんですが、と思っていたんですけれども、今朝の日経新聞で、米政権が関税計算の代入ミスをしていて、実際は四分の一とも言われていたり、もう何が本当で何がうそなのか分からないような状態になっております。しかも、何か二四パーからの四分の一と言われたらちょっと得したみたいな気分になってしまって、いやいやそれは違うと私は思い直したんですけれども。

 先月の大臣所信の際にも、関税を引き上げられたら農水省としてどうするんですかと私が質問したところ、米国は最大の輸入相手国であるとともに、最大の輸出相手国である、パートナーだから意思疎通を図りますと御答弁いただきまして、是非、何%の関税が正解なのかというところもしっかりと意思疎通を図っていただきたいなと思っております。

 実際、現在、国内事業者にはすごい動揺が広がっていると思うんです。私たちれいわ新選組は、トランプ政権の、まあどこまでが狙っていて、どこまでが計算されているのか分からないんですけれども、そういった脅しのようなものには屈してはならないと思っています。とはいえ、いたずらに報復を叫ぶのではなくて、平常心を保ち、国内産業を保護する。今こそ、政府による財政出動で、内需活性化のために、消費税は廃止若しくは減税、現金給付、中小零細企業への支援、そして、農業を始め国内産業を適切に保護すべきだと訴えております。

 まずは、このトランプ関税について、農林水産大臣としてのお受け止めをお伺いさせてください。お願いします。

江藤国務大臣 極めて不本意であります。どうしてこういうことになるんですかとお尋ねをしたい気持ちでいっぱいであります。全く私の理解の範囲を超えております。理解不能であります。

 四六についても全く、まあこうじゃないかというのはありますよね、総額を分母として貿易赤字を分子にして、百を掛けると四六になる。これもよく分からないですね。こんな計算をした例は、これまでの貿易交渉の歴史の中で世界中見渡してもどこにもありませんので、そうじゃないのかなと思ったりですね。

 とにかく、言われるように、不安を持っている業者はたくさんいます。特に、お茶であったり、清酒であったり、それとか、水産物だったらイエローフィンですね、ブリとかカンパチ。そういったものは、極めてアメリカのマーケットに対する輸出力が強い、そして成長余力も大きいということで応援してきましたから、そういった方々のところにはもう既に今の段階で、どうしよう、いわゆる一回契約を結んだけれども、これはちょっと見直したいというような連絡がたくさん入っているというような報告も受けております。

 ですから、すぐに、私としては、省内に各分野ごとに対策本部をつくるということを命じました。そして、輸出については、食品産業もありますし、生産現場もありますので、それぞれの方々から、まずはしっかり状況を確認をする。

 そして、国内の生産現場も、海外市場を当てにして作っている、そういう産地もありますので、そういった方々の気持ち、そういった状況、どういう影響が出るか、しっかり見極めた上で、総理からは、いわゆる融資を含めた経営に対する支援も含めてしっかり検討すべきだということを言われましたので、できるだけ早く情報を整理して、そして官邸にも上げて、今日も対策本部をやりましたけれども、しっかり、混乱している方々、不安に思っている方々の気持ちに少しでも寄り添えるように、頑張っていきたいと思っております。

八幡委員 それはもう是非是非、総理にしっかりと農林水産大臣として厳しく言っていただきたいんですが、そんな予測不能な、理解に苦しむような事態が起きている中で、やはりでも今のこの政府は、これはお米の話になりますけれども、二〇三〇年の米輸出量、昨年実績の約八倍の三十五万トンに増やす目標も新たに打ち出しております。トランプ関税とかを踏まえても、この目標というのはやはり変わらないのでしょうか。

 近く閣議決定される基本計画でも、これからは輸出をすることで稼ぐんだというような方針がやはり色濃く出ていたと思うんですけれども、この戦略の変更の有無も含めて、これからどうしていくのか、農水省の考えをお聞かせください。

森(重)政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年の農林水産物・食品の輸出実績のうち、米国向けは二千四百二十九億円ということで、品目別に見ると、ブリですとか緑茶など、こういったものの米国向けのシェアが高い状況になってございます。

 こういった状況でございますので、品目団体、生産者、食品事業者等から聞き取りを行いまして、今般の措置の影響をしっかり把握してまいりたいと思いますし、また、その際、国ごとにまた税率が違うこと、それから品目ごとに現地の単価や競争環境も異なることを踏まえ、よく分析をしてまいりたいというふうに考えてございます。

 そういった分析の上でなんでございますけれども、基本計画につきましては、今最終段階でございますけれども、二〇三〇年の輸出額目標と、それから重点品目ごとの二〇三〇年の輸出額をKPIとしてお示しをして、これを決定していくということにしてございますけれども、今後の具体的な取組、戦略につきましては、基本計画策定後、輸出拡大実行戦略というものをまた改定してまいる考えでございますので、この中で、品目別、国別、地域別にまたいろいろな考え方を整理していきたいと考えてございます。

八幡委員 ただでさえトランプ政権というのは、ミニマムアクセス米をすっ飛ばして、日本には、米の七〇〇%の関税を課しているという間違った批判もしてくるぐらいですから、何か、そこで私たちが改めて、関税が高くなったとしても輸出で我々が振興するというような姿勢は、トランプ政権なんかはげきりんに触れるんじゃないかなと、一般論としてすごく不安に思っております。これは、やはり輸出戦略の見直しも含めて、引き続き農水省には御検討していただくことを望みます。

 続いて、行きます。

 そもそも、我々、食料安全保障上、輸入に依存しているというような姿勢が絶対あり得ないと思っております。再三私は訴えているんですが、今回を機に、米に限らず、食品の輸出拡大そのものを見直すべきだと考えます。だって、関係ない生産者の人たちがやはり右往左往してしまうわけじゃないですか、外交問題に巻き込まれるというような形で。こんな状態ではこの国を守っていけないと思います。

 これは何度でも聞かせていただきますが、輸出を拡大するよりも、国内需要があるものをしっかりと生産して、国民の食料は国内で賄う、国消国産を進めていく、食料自給率を高めていくべきではないでしょうか。お願いします。

江藤国務大臣 基本的に考え方は間違っていないと思いますよ。遠くまで運べばフードマイレージがかかりますから、そこには、通関手続であったり、様々な手数料であったり、様々なコストがかかるわけですから。海外まで出して、そして国内で売るよりも利益が出ないということであれば、全く意味がないということですね。例えば、日本の普通の清酒でも、大体五、六百円ぐらいのものが千五百円ぐらいですから、アメリカまで出せば。それぐらいやはりコストがかかるわけですよ。

 ですから、それが一番理想なんですが、言われるように、国内で全て、食料自給率一〇〇%を目指すということになると、まず生産基盤が必要です。生産地がなければどうにもならないわけですが、今四百二十七万ヘクタールありますけれども、大体この三倍ぐらいの面積はないと、まず食料自給率一〇〇%は目指せない。そういうやはり現実と向き合うことも政治の大事な要諦でありますから。じゃ、これから耕作面積を三倍に増やせるのか、この現四百二十七万をいかに減らさない、百十一万の基幹的農業従事者が減る中で、いかにこれを担い手に集約するかということで、今我々は非常に知恵を絞っている中でありますから。

 輸出につきましても、なぜやるかというと、やはり農家の方々の手取りを少しでも増やしたいという視点であって、確かに、こういう事態になると非常に混乱する方々もおられますけれども、決して、輸出国、相手は米国だけではないということであります。ホタテがああいうことになったときに、大混乱になりましたが、新たな輸出先を見つけることも日本はできました。ですから、リスクをヘッジする上でも、広く多角的な輸出先を見つけて、やはり、世界でも稼ぐ、国内でも稼ぐ、そして食料自給率も上げていく、これを、難しいことではありますが、両立させていきたいというふうに思っております。

八幡委員 現実を見よみたいなことでしたけれども、私があほみたいに一〇〇%の自給率を目指すと言っているわけではなくて、当然、面積のことも分かっているわけですよ。現実を見たときに、この国の食料自給率が三八%、これをまず向上していきましょうよという当たり前の話をさせていただいております。

 もう一つ、ちょっと当たり前のことを聞かせてください。

 私が農水委員会であるということがおかげさまで浸透してまいりまして、事務所にめっちゃ電話がかかってくるんですね。何かといったら、備蓄米どこへ行ったんや、何でお米の値段下がらんねんといってお叱りも受けるんですよ。その気持ち、痛いほど私は分かります。

 政府が放出した備蓄米の店頭での販売、先月下旬から始まって、米の価格の動向が注目されていたんですが、昨日の報道によりますと、現在、十三週連続の値上がりとなっています。五キロ当たりの前年同期の値段からは二倍も超えているという報告もあるんですが、これはシンプルな質問です、なぜ価格がこんなにも下がらないのでしょうか。備蓄米の効果があるはずだったのではないでしょうか。お願いします。

江藤国務大臣 局長が手を挙げましたが、私が答えますね。

 一番大事なことは、私が二十一万トンを決断したときは、一月末の時点で二十一万トン集荷業者に集まっていないというエビデンスが明らかになったから、思い切って、その量を全部出すということにいたしました。しかし、三月末の時点では三十一万トン足りないという新たな結果も出ました。

 そして、備蓄米を出しましたが、これが本格的に店頭に並ぶのは四月の十日ぐらいなんですよ。まだ十日になっていないですよね、ですから、POSシステムにはまず影響していないということです。

 そして、もう一つ大事なのは、今回、様々な調査をいたしました結果、やはり生産者の方々のところにも米がスタックしていますし、そして、卸のところにも前年度よりもはるかに多い米があるんですよ。でも、出さないということでありますから、備蓄米を受け取って、備蓄米だけ出すということになると、流通の健全化にはならないんですね。備蓄米が出されたことによって、スタックしていたはずの米も一定の流通ルートに乗るということも、やはりそれぞれの流通段階の方から御理解いただいて、協力していただかないと駄目だと思っています。

 ですから、三月末時点で三十一万トンという数字がまた新たに出ましたので、更に出すべきだという質問は昨日も決算行政委員会でいただきました。これはどうするかまだ決めてはおりませんが、今、隔週ごとに、米を受け取った人の、幾らで売ったのか、どういうルートで出したのか、全部報告するということを義務づけていますから、まずその報告をしっかり見て、ちゃんと流れているかどうか見た上で対策を打てば、いずれ流通は改善し、そしてその結果、価格も安定してくるという結果は私は期待できるというふうに思っております。

八幡委員 今大臣がおっしゃったことを私が電話で伝えたとしても、絶対納得いただかないと思うんですよ。というのも、やはり、スーパーに行って、値段が下がっているという、みんな期待をして駆け込んだみたいなんですけれども、それは時差があるよとか、いろいろ分かります。流通がと言って、何か人のせいにしているのかなと私は思うんですけれども。

 やはり、我々、いろいろなことが今起き過ぎていて忘れているかもしれないんですけれども、農政の最大の目的というのは食料の安定供給なんですよね。やはり、今欲しい、今安いものを食べたいというところを真摯に向き合っていかないといけない。私は、農林水産委員としてその姿勢を貫くためにも、もう時間がないので最後言いますけれども、やはり、れいわ新選組がかねてより訴えております、財政出動による価格保障そして所得補償こそが消費者と生産者の対策を同時に実行できる施策だと考えております。

 そして、最後一問、これだけ聞かせてください。

 大臣、最近、スーパーに行かれたか分からないですけれども、米の価格高騰が続く中、輸入米を取り扱う動きが広がっているんですよ。

 流通大手のイオンさんが発表したんですけれども、ブレンド米の製品で、何か通常の国産米よりは一割ほど安い価格なんですけれども、パッケージを見たんですが、毛筆でめちゃくちゃ「匠」と書いているんです、商品名。でも、中身を見てみたら、カリフォルニア米が八割で国産米が二割という、そっちのたくみの技かいといって、ちょっとずっこけてしまったんですけれども。

 備蓄米の放出が始まっても国産の米の価格が高騰する中、外食産業などを中心に、関税のコストを考慮しても輸入米を活用しようという動きが広がっています。でも、やはりみんな、国内の安心、安全なお米が食べたいと私は思うんですね。何で日本に住んでいるのに海外のお米を食べなあかんのかなと疑問に思っている国民はたくさんいらっしゃると思うんです。

 ですので、これは、生活が苦しい人は海外米を食べよという、何か犬笛なのかなと思ってしまうときもあるんですけれども、大臣に聞きます。消費者にとって、輸入米が選択肢の一つとしてこのまま定着する可能性はありますでしょうか。御所見をお伺いします。

江藤国務大臣 可能性について私が予断を持って、そうなるでしょうとか、そうならないでしょうと言うことは不適切だと思いますから言いませんが、やはり日本人は日本の米を食べてほしいとすごく思っています。

 このブレンド米も、たしか四キロだったですね、あれは五キロじゃないんですよね。なかなか巧みだなと思いましたけれどもね。

 そして、私がスーパーに行くのかというお話がありました。私、週に二回は行っています、東京で一人なので。必ずいろいろなスーパーを回るようにしています。そして、米売場には必ず足を運んでいます。ドン・キホーテの米売場も見ています。ですから、この約数か月間は、そんなに米売場に行くことはないんですけれども、ちゃんと見ています。ですから、ブレンド米が出ているのも見ています。

 ですから、これから先、やはり日本の中で、昨日も総理が、国内の米を増産するんだということを決断をされた発言をされました。やはり国民が求めているものを作る、そして、委員がおっしゃるように、食料の安定供給が農林水産省の一番大切な責務だということであれば、それを果たす責任を果たしたいと思いますが、しかし、その片方で、生産過剰になったときにどうするんだということもやはり考えなければなりません。ですから、平成三十年から生産数量の割当てはやめて、食糧法の規定に基づいて情報の提供を行ってきたわけでありますが、これについても、一つ、これからどうすべきかということも検討の課題かもしれません。

 様々なことを通じて、安定供給について農水省として責任を果たしていきたいと思っています。

八幡委員 ありがとうございます。

 まさに本当の意味でたくみの技を使って、この今の苦境を一緒に乗り越えていきたいと思います。

 時間がないので質問を終わるんですが、胃袋の属国化はやめましょう。大臣に期待しております。

 ありがとうございました。

御法川委員長 次に、北神圭朗君。

北神委員 有志の会の北神圭朗です。

 大臣、やはりこの価格の高騰、私は、仮説ですけれども、米の量が足りないんじゃないかというふうにいまだに思っています。

 これまでも、統計の問題についても、いわゆる歩留りの話もさせていただきましたが、今日は、資料の一にありますように、民間在庫の話で、日本農業新聞の試算によりますと、政府は、備蓄米の放出を含めて大体百七十九万トン、六月末には民間在庫があるという予測をされております。ところが、この新聞の試算によりますと、百九万から百三十万トン。これに備蓄米を入れますと大体百五十七万トンぐらいですかね、ということになって、政府の、農林水産省の予測と大分違いがある。

 こうなると、また去年の繰り返しみたいな話になりかねませんので、この試算というのはどういう試算かというと、昨年十二月末に二百五十三万トン、民間在庫があった。これが、右の方の二番目の資料にありますように、機械的な試算ですけれども、四十四万トン毎月減っていくということになると、それにプラス、小規模事業者と産地に残っているお米が大体三十八万トンぐらいあるという推定で、大体百九万トン。百九万トンに、昨年末、十二月にあった、いわゆる消えた二十一万トンの米を足せば大体百三十万トンということで、大体百九万トンから百三十万トンということになっていますが、政府として、大丈夫ですか、皆さんの予測は。百七十九万トンというふうにおっしゃっていますが、その皆さんの自信についてお伺いしたいと思います。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の試算につきまして、まず一つ、大きい事業者だけの在庫、集荷業者、卸の在庫をベースとしたもので、六年産の生産量、あるいは需要量の近年の減少、こういった傾向、要はフローのところは考慮されていない。それから、昨年十二月の時点の民間在庫量がずっと続く、あるいは、生産者、中小の卸売業者も昨年と一緒と、ある程度前提を置いてなされたものだと私ども思っております。

 他方で、今、私ども、試算の前提となった数字につきまして、例えば民間の在庫量は、昨年十二月が四十四万トン減から、今、圧縮してきております。それから、今般、私ども、生産者等々、調査を行ったところでございますけれども、生産者の在庫につきましても昨年より九万トン増加、あるいは出荷数量でございますけれども、生産者から集荷業者への出荷というのは確かに三十一万トン減少ということでございますけれども、それ以外の出荷というのは四十四万トン増加している、こういった要因もございます。

 こういったことで、私ども、先ほど委員御指摘の百五十八万トンということを、今年の六月末、在庫の見通しということにしておりまして、政府備蓄米の二十一万トンを合わせると百七十九万トンとしております。

 引き続き、需給の動向についてよく精査していきたいと思っています。

北神委員 分かりました。それはまた、六月末、見ていきたいというふうに思います。

 二つ目の質問は、備蓄米の放出について、今回、大規模事業者が中心になっているということで、一定理解はできるんですけれども、地元の、町のお米屋さんとか、小規模のところがかなり、自分たちのところに備蓄米が回ってこないと。

 それで、今非常に米が品薄になっている、スポット価格で拾うしかないけれども、この三番目の資料にありますように、これは相対価格ですけれども、二万三千七百十五円というふうになっていますが、小規模、あるいはお米屋さんにすると、スポット価格で拾うしかない。例えば、新潟のお米でいうと、コシヒカリでいうと、五万円近くになっている。あきたこまちだと四万八千円ぐらい、六十キロで。

 だから、小さなお米屋さんというのが非常に厳しい状況にあります。去年の数字でいうと、八十八件倒産をしていて、コロナ以降でいうと一番高い水準だということで、今年も更に増えるんじゃないかという予測を帝国データバンクがやっていますけれども。

 なぜ大規模事業者に限っているのか。そして、それが理由があるんだったら、やはり町のお米屋さんとか、あるいは小規模の卸売、こういったところに対してどういう配慮をされていくのか。お聞きしたいと思います。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 今回のお米の目詰まりということで、昨年、お米の生産量が前年よりも多いにもかかわらず、集荷の大宗を担っていた五千トン以上の集荷業者の集荷量が大きく減少、こういったことで生じているわけでございます。

 このため、今回の政府備蓄米の売渡しにつきましては、売り渡した米を確実に流通に乗せて、流通の目詰まり、こういったものを解消していくということで、集荷量の減少が確認された五千トン以上の集荷業者を対象としております。

 他方では、委員御指摘のように、地域の需給の状況でございますとか、小売業者等の調達の状況、こういったものも重要だと考えております。先月十四日には、流通する米あるいは備蓄米につきまして、こういった小売業者などの調達状況にも配慮した供給が行われるよう、集荷、販売、小売事業者の各者に要請しておりまして、私ども、各地域で円滑な流通が行われるよう取り組んでまいりたいと思っております。

北神委員 是非お願いしたいと思います。

 それから、三番目の質問は、政府備蓄米の放出基準で、今回は、大臣の恐らく創意工夫と決断によって、本来は政府備蓄米というのは、大凶作、あるいは普通の凶作が連続して続くときにのみ放出できたということだったんですが、これを相当工夫されて、今年三月の基本方針で、買戻しということを条件にして価格高騰に対応するということになっています。

 この買戻しというのは、私が懸念しているのは、せっかく大臣がこういう決断をされたのに、一年以内にはまた買い戻される。その後でも、場合によっては延ばすということもおっしゃっていますが、しかし一応一年を目安にするということなので、投機筋とかこういうところがそれを見越してなかなか出さない、そして相対価格もスポット価格も上がらない、こういう懸念があるので、やはりこの機会に、この放出基準というものを見直して、価格高騰にも対応できるように工夫をすべきではないかというふうに思います。

 これは資料の最後にありますけれども、以前、平成二十三年五月にも、農林水産省の資料ですけれども、この真ん中の点線に囲まれているところにありますが、二番目のところに、相対取引価格が前年同期比、例えば三割以上上昇云々、そういったときにも放出する、こういう検討もされていますので、是非そういうこともこれを機に考えるのはいかがかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

江藤国務大臣 ありがとうございます。

 これは、私、正直に言いますけれども、知りませんでした、この三割の話は。こういう検討が平成二十三年にされたんですか、なるほど。

 今回、まず、出せるかどうか、食糧法自体を改正しないと無理なんじゃないかから話が始まったので、様々、法制局とも相談した上で、今回出しました。しかし、条件としては買い戻すということでありますから、これをつけないとできないので仕方がないんですが、しかし、一定数量を備蓄米として確保しなければならないという使命があることもお分かりいただきたいと思います。

 今年につきましては、特に、備蓄米を今年の分買い入れなきゃいけないんですが、入札を本当はもうしなきゃいけないんですけれども、これも当分見送るという判断もしているような状況なので、そんな中で、売り渡す、そして買戻しはしない、そして価格高騰のときには備蓄米を出せるということまで踏み込むと、果たして運用改善なのか法改正なのか、私の知識では今ちょっとちゃんと答えられませんが、私は、ただ、申し上げておきたいことは、こういうことは今年でしまいにしてもらいたいんですよ。

 ただ、先生が言われるように、投機筋の連中は、マーケット自体が小さいので、為替のような、世界を、グローバルなマーケットではなくて、日本の米というこんなちっちゃいマーケットの中での投機ですから、ちょっとしたことでも大きく動く可能性もあるし、マーケットコントロールは逆に言うと簡単だという言い方もできるわけですよね。農林水産省が市場と対峙した初めての例なんだろうと思います、価格とかそういうものとは対峙しない姿勢を取ってきましたので。

 ですから、新しい難題にぶつかったので、これから先は、今日はこういういい資料も出していただいたので、様々なことを、過去にも振り返って少し勉強してみたいと思います。

北神委員 ありがとうございます。

 終わります。

     ――――◇―――――

御法川委員長 次に、内閣提出、森林経営管理法及び森林法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。農林水産大臣江藤拓君。

    ―――――――――――――

 森林経営管理法及び森林法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

江藤国務大臣 森林経営管理法及び森林法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主な内容を御説明申し上げます。

 我が国の人工林の多くが利用期を迎えている中、切って、使って、植えて、育てるという森林資源の循環利用を進め、林業の持続的発展及び森林資源の適切な管理を促進することが、森林・林業政策の主要課題であります。

 このため、平成三十一年四月から、森林経営管理制度に基づき、市町村が森林について経営管理を行うための権利を取得した上で、自ら経営管理を行い、又は林業経営体への森林の集積、集約化を図る取組を進めてきたところであります。

 制度開始後五年間で、制度活用を希望する市町村の九割超で取組が開始されているところでありますが、林業経営体への森林の集積、集約化の進捗は低位に推移しております。

 このような状況を踏まえ、市町村と都道府県、林業経営体を始めとした地域の関係者の連携を強化し、林業経営体への森林の集積、集約化を迅速に進める新たな仕組みを創設するとともに、市町村の負担軽減を図るための措置等を講ずるため、本法律案を提出した次第であります。

 次に、この法律案の主な内容につきまして、御説明申し上げます。

 第一に、森林経営管理法の一部改正であります。

 まず、森林経営体への森林の集積、集約化を迅速に進めるため、市町村は、単独又は都道府県等と共同して、地域の関係者と協議し、受け手となるべき林業経営体を定めた森林の将来像を、集約化構想として策定することができることとしております。

 集約化構想を策定した場合には、市町村が作成する権利集約配分一括計画により、林業経営体に、所有権を含む経営管理を行うための権利を迅速に設定又は移転することができることとしております。

 また、市町村の事務負担を軽減するため、共有林への権利設定に必要な同意要件や、所有者不明の森林等に係る権利設定の特例手続を緩和するほか、森林所有者の検索などの事務を受託して行う法人を市町村が指定する経営管理支援法人制度を導入することとしております。

 第二に、森林法の一部改正であります。

 太陽光発電に係る不適正事案を背景として、林地開発許可制度の実効性を強化すべく、林地開発の許可に付した条件に違反して開発行為をした者に対する罰則を新設するとともに、開発行為に係る命令違反者の公表をできることとしております。

 以上が、この法律案の提案の理由及び主な内容であります。

 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。

御法川委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る十日木曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十二分散会


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