第8号 令和7年4月10日(木曜日)
令和七年四月十日(木曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 御法川信英君
理事 鈴木 貴子君 理事 西田 昭二君
理事 葉梨 康弘君 理事 神谷 裕君
理事 野間 健君 理事 渡辺 創君
理事 池畑浩太朗君 理事 長友 慎治君
東 国幹君 石橋林太郎君
大空 幸星君 栗原 渉君
小池 正昭君 島田 智明君
武村 展英君 田野瀬太道君
根本 拓君 根本 幸典君
長谷川淳二君 平沼正二郎君
宮下 一郎君 森下 千里君
簗 和生君 山本 大地君
石川 香織君 岡田 華子君
金子 恵美君 小山 展弘君
近藤 和也君 西川 将人君
福田 淳太君 緑川 貴士君
柳沢 剛君 山田 勝彦君
空本 誠喜君 林 佑美君
許斐亮太郎君 村岡 敏英君
森ようすけ君 庄子 賢一君
角田 秀穂君 八幡 愛君
北神 圭朗君
…………………………………
農林水産大臣 江藤 拓君
農林水産副大臣 笹川 博義君
農林水産大臣政務官 庄子 賢一君
政府参考人
(消防庁国民保護・防災部長) 小谷 敦君
政府参考人
(法務省大臣官房審議官) 内野 宗揮君
政府参考人
(農林水産省農村振興局長) 前島 明成君
政府参考人
(林野庁長官) 青山 豊久君
政府参考人
(林野庁次長) 小坂善太郎君
政府参考人
(水産庁長官) 森 健君
農林水産委員会専門員 千葉 諭君
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委員の異動
四月十日
辞任 補欠選任
田野瀬太道君 石橋林太郎君
森下 千里君 東 国幹君
村岡 敏英君 森ようすけ君
同日
辞任 補欠選任
東 国幹君 島田 智明君
石橋林太郎君 田野瀬太道君
森ようすけ君 村岡 敏英君
同日
辞任 補欠選任
島田 智明君 森下 千里君
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
森林経営管理法及び森林法の一部を改正する法律案(内閣提出第三一号)
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○御法川委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、森林経営管理法及び森林法の一部を改正する法律案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として農林水産省農村振興局長前島明成君、林野庁長官青山豊久君、林野庁次長小坂善太郎君、水産庁長官森健君、消防庁国民保護・防災部長小谷敦君、法務省大臣官房審議官内野宗揮君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○御法川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○御法川委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。田野瀬太道君。
○田野瀬委員 おはようございます。自民党の田野瀬でございます。
本日、トップバッターとして質問の機会をいただきました。感謝、御礼申し上げたいと思います。
本日は、森林経営管理法及び森林法の一部を改正する法律案の法案審議ということになっておりますが、是非前段で、我が国の森林・林業政策の現状について、おさらいから入らせていただけたらと思っております。
我が国の国土面積三千七百八十万ヘクタール、そのうち森林面積は二千五百万ヘクタールでありますので、国土面積の約三分の二は森林です。国土の約七割が森林ということです。これはよく使われる数字となっております。これをちょっとほかの数字と比較したいと思います。
食料・農業・農村基本法改正の際に議論となりました農振法における農用地区域内の農地面積目標、御存じの方もおられると思いますが、これは、我が国の目標として三百九十万ヘクタールということになっております。つまり、森林面積は、農業上の利用を図るべきと国が指定する、そして目標として定めております農用地区域内農地面積目標の六・四倍の広さをもう既に森林は有しておる、そういうことになります。
二千五百万ヘクタールの森林のうち、約一千三百五十五万ヘクタールは天然林、一千万ヘクタールが人工林ということになっております。そこに、今や伐期を迎えた森林資源、宝ですけれども、山ほど眠っているということになるわけでございます。
人材不足であったり、物価の高騰であったり、気候変動の影響であったり、輸入や輸出の関税の問題などなど、我が国の農業が抱える課題というのは、すなわち我が国の林木材業が抱える課題と全て一緒だと私は言うことができると思います。加えて、先ほども申しましたように、森林面積は農地の六・四倍でございますから、農業政策にささげる情熱やエネルギーや予算の六倍程度は森林・林業政策に傾けても罰は当たらないんじゃないのかなと考えている者の私は一人でございます。
今、我が国は農業政策が大きく大転換期、転換を迎えようとしておりますけれども、林政も同じなんです。大きく転換しなければならない、そんな時期にあるんだということをちょっと共有させていただいて、質問に入らせていただきたいと思います。
今回の森林経営管理法の制度開始から五年が経過をいたしたところでございます。切って、使って、植えて、育てる。森林資源、山に生えている木を循環をするという循環利用をどんどん進める必要がますます高まっておるということですね。森林の効果的な集約、集積、これも拍車をかけていかねばならない。そんな時期にありましてこの法改正ということで、一問目は、今回の法改正の目的、狙いを是非お聞かせいただきたいと思います。
○笹川副大臣 御質問ありがとうございました。
今、田野瀬委員から御指摘がございました。特に今、森林伐期、利用期ということに入ってきたわけでありますので、そういった中での法改正ということでありますので、もちろん、その循環活用、利用、それから集積、集約の大事さについても、委員の御指摘のとおりでございます。
特に、やはり貴重な先人からお預かりした森林資源を持続的に活用していくということも大切な観点でありますので、今般の森林経営管理法を改正し、一つには林業経営体への森林の権利設定を迅速に進める新たな仕組みを設けるとともに、権利設定に必要な同意要件の緩和など、制度を担う市町村の事務負担の軽減も図ってまいりたいというふうに思っています。
特に、私の地元もそうでありますけれども、やはり中山間地におけるそれぞれの自治体のマンパワーも大変厳しいということでありますので、そういった事務負担の軽減というのは大切な観点というふうに思います。
もう一つは、やはり太陽光の不適切な、不適正な事案が指摘をされておりますので、林地開発に係る新たな罰則を設けるなど、林地開発許可制度の実効性を強化するための森林法にしていきたいということでございます。
いずれにいたしましても、いよいよ伐期、利用期、この時期にこの法改正をするということの意義は大変大きいというふうに思っております。
○田野瀬委員 ありがとうございました。非常に重要な法案であるんだということを認識させていただきました。
制度に基づく森林の集積、集約化のこれまでの進捗をちょっと数字で見てみたいと思いますが、市町村に森林管理であったり森林の整備作業を委託したいと希望された森林所有者の方々の合計の森林面積は約二十二・六万ヘクタールとなっております。そのうち、林業経営体に集積、集約化できたのが約〇・三万ヘクタール、市町村が、権利、いわゆる市町村に任せますというふうになって取得した森林面積が約二万ヘクタールです。決して高い数字ではないというのが現状であるかと思います。
今回の法改正によりまして、森林の集積、集約化が、どの程度進むと林野庁として考えておるのか、KPIをお聞かせ願いたいと思います。
○青山政府参考人 お答えいたします。
今回の改正法案では、市町村の下で林業経営体や森林所有者など地域の関係者に話し合っていただいて、集積、集約化の方針、対象森林、受け手を定める集約化構想を策定することとしております。
これによりまして、出し手を含めた地域の関係者の関心と理解が高まるとともに、受け手による働きかけなどの主体的な取組が可能となりまして、あわせて、市町村の事務負担軽減を図ることで森林の集積、集約化は一層進むと考えております。
新制度スタート後五年間で集積、集約化される私有林人工林の割合を、現在四割、これは今回の森林経営管理制度プラス森林経営計画など、ほかの森林関係の制度において集積、集約化されているものを含めましての割合でございますけれども、約四割から約五割の三百二十万ヘクタールまで引き上げていくことを見込んでいるところでございます。
○田野瀬委員 ありがとうございました。
どんどん進めていってもらいたいと思っておりますし、先ほども言いましたけれども、森林経営の意思がなくて委託したいと思っていらっしゃる方々の合計面積が二十二・六万と言っていましたけれども、これも分母ももっと増やす必要があるだろうと思いますし、さらには、所有者不明山林、これの解消に向けても林野庁としては是非同時にKPIを設けて進めていっていただきたいということをお願いしておきたいと思います。
次に、今回の法改正では、森林の集積、集約化を進めるための新たな仕組みを創設するということになっておるわけでございます。所有権を含む森林の経営管理のための権利を、森林資源の出し手である所有者から受け手となる林業経営体に迅速に設定したり移転できる仕組みを創設するということは高く評価したいと思います。要は、この新たな制度を、新たな仕組みをしっかりとワークさせるということが何より大事になってくるんだろうと思っております。
また、今回の新たな森林経営管理制度の運用に当たっては、市町村の負担が今まで以上に今後更に大きくなると予想されます。制度の運用に是非国とか都道府県がもっと関与していくべきだろうと考えておりますが、この点につきましての林野庁のお考えをお伺いします。
○青山政府参考人 お答えいたします。
現行の制度におきましても、県は市長村への指導助言をする役割を担っておりまして、その関与は重要と認識をしております。
これまでに、全ての県において森林環境譲与税を使った市町村支援に取り組んでいただいているところでございます。
また、今回の改正法案では、県の役割を更に強化しまして、集約化構想の策定等について、市町村と共同で実施することを可能としたほか、今回の改正案で規定しました経営管理支援法人として、都道府県が設置したサポートセンターなどが市町村支援に一層取り組むことを期待しております。
また、国におきましては、現行制度の導入以降、市町村向け説明会を全国で開催しているほか、全国の先進事例の横展開、普及に努めておりまして、今般の改正後におきましても、制度の丁寧な周知や、県、市町村への助言等に取り組んでいく考えでございます。
またさらに、今回、集約化構想の策定に際しまして、地域の関係者による協議の場がございますけれども、そういったところに森林管理署も積極的に関与いたしまして、地域における効率、効果的な経営管理により一層貢献していきたいと考えております。
○田野瀬委員 ありがとうございました。
今回の法改正によりまして、山から材が出てきやすくなる、単純に言いますとそういう感じです。木材供給量が増加します。法律を改正して、それで終わりだと全く駄目なんですね。山から材が出てきて、木材市場に売れない丸太が山積みになっている、そんな状態が一番最悪で、材価も下げてしまうだけになりますから。
今回の法改正とセットで必ず取り組まねばならないのは、木材供給量が増えますから、需要を増やすという努力もセットでやっていくことが絶対必要だと私は考えております。
木材需要の拡大と木材利用の促進の考えにつきまして、林野庁から見解を伺います。
○青山政府参考人 お答えいたします。
新たな仕組みによりまして、林業経営体への森林の集積、集約化が進むことで、素材生産を含みます森林施業の効率化、ひいては国産材の供給量の増加につながるものと考えております。
このように、国産材の供給量の増加が見込まれる中で、森林資源の循環利用のサイクルを確立していくためには、国産材の需要拡大は不可欠でございます。
今般の改正案におきましては、集約化構想を定めるための協議の場に、森林所有者、林業経営体だけでなく、川中、川下の事業者が参加することも想定しておりまして、木材の出口対策を効果的に話し合っていただくことを期待しているところでございます。
また、今回の制度に限らず、林業政策全体としまして木材需要の拡大が重要でございまして、木材の最も大きな需要先である住宅分野において、国産材比率が低い横架材の加工施設の整備や技術開発を推進するとともに、これまで木材が余り使われてこなかったオフィス、商業施設などの非住宅分野におきまして、CLTや木質耐火部材の開発普及、公共建築物の木造化等を推進しまして、国産材の需要拡大を図っていく考えでございます。
○田野瀬委員 ありがとうございます。
先ほども申しましたように、森林・林業、木材産業の振興にいろいろな切り口でカンフルを打っていかねばなりませんが、私は、その中でも特に、やはり木材需要の拡大と木材利用の促進、これが何より不可欠だと考えておりますので、引き続き、林野庁はこの点を肝に銘じて、強力に取り組んでいただきたいと願っております。
私は今現在、自民党の林政対策委員会の委員長を拝命させていただいております。初当選以来、ライフワークとしてこの林政対策に取り組んできた一人として、是非ちょっと申し上げたいことがございます。
一千万ヘクタールの人工林があると言いましたけれども、資源の少ない我が国にとって、これはかけがえのない財産であると言うことができます。森林・林業、木材産業を振興することには、五つのプラスの効果が私はあると考えております。
一つ目は、国土の強靱化です。
林業が衰退して山から人がいなくなりました。手入れがされなくなった森林は荒れ放題となって、本来の保水力であったり、森林の多面的機能が失われてしまったんですね。そうすることで、ちょっと雨が降っただけで山崩れ、土砂崩れであったりとか、河川の増水が発生しています。この問題は、森林を手入れすることで解消されるんですね。山が荒れていますから、木の実であったりとか、食べるものがなくなった動物、これがどんどん里山に下りていっています。里山の鳥獣被害も減少させることが、山を手入れすることでできます。
二つ目は、国土の均衡ある発展につながります。
国土の七割は森林、中山間地と先ほど言いましたけれども、ほとんどその地域は過疎です。人はどこに行ったかといいますと、国土の約三割、狭い地域に、三割未満の狭い平地部分に人口が集中して、密集状態となっております。とても均衡の取れた状態であるとは言い難い。都市部から人口を地方に戻すことで地方創生を促すこともできますし、大都市一極集中の是正にも大きく寄与するのが、この森林の整備だと思っています。
三つ目は、少子化対策。
都市部よりも地方の出生率が高いことは、これはエビデンスが出ています。どんどん少子化対策にも貢献したい。
四つ目は、地球温暖化対策ですね。
山に人が戻って森林資源の循環が始まるということは、再造林が始まるということです。再造林された若い森林はどんどんCO2を吸収します。二〇五〇年カーボンニュートラルにも大きく貢献します。
最後、五つ目は、木を使うことで人間の暮らしに良好な環境も提供します。
木造、木質の建物は、健康な暮らしや能率の向上など、人間生活に有形無形の恩恵を与えることができると考えております。
最後に、今の五つの点を踏まえて、大臣にお伺いしたいと思っております。今までにないような林政政策新時代をスタートさせる必要があると考えますが、大臣の見解、よろしくお願いします。
○江藤国務大臣 田野瀬委員におかれましては、いよいよ委員長というお立場で御活躍いただけることを大変心強く思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
五つの効果について、もうおっしゃっていただいたので多くは申しませんが、やはり、山が荒れていくということは、国民にとって非常にまずいということを国民共通の意識として持つことだと思います。山から全てが始まっています。山に水が流れて川下に行き、そして、海においては養殖業が、その栄養を受け取って魚も育つ。いわば、山が荒れることは、川中、川下、全ての方々に裨益もするけれども、時に悪さをすることもある。先生がおっしゃったように、保水力がなくなれば大変な災害を起こすこともある。
そして、今、三百六十一万円しか平均収入はありませんので、四万四千人ぐらいの従事者の方々がちゃんと家族を養うだけの収入をいかに確保するかということも大事ですし、私の地元でも、学校が、分校がまた廃校になったりいたしております。
教育、それからインフラの整備、病院や、それから買物弱者、様々なことをやはり総合的に政府を挙げて対策をしないと、林業政策も大事なんですが、今度の法改正は極めて有効だと思いますけれども、それではなくて、やはり、総理が国土強靱化そして地方創生だとおっしゃるのであれば、林業を中心とした地方の再生であったり、そこに人が定着するための様々な総合的な施策を実行していく必要がありますので。それをやることによって、革命的とは言いませんけれども、これまでにない林政を実現できればなと、一緒に頑張ってまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○田野瀬委員 終わります。ありがとうございました。
○御法川委員長 次に、根本拓君。
○根本(拓)委員 自由民主党の根本拓でございます。
今日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
今日は、少し、森林経営管理法の改正について、テクニカルなところ、ただ一方で、私がちょっと重要だと思っている点についてお伺いしたいと思います。
今回の森林経営管理法の改正は、市町村の事務負担の軽減のうち、共有林の経営管理権設定に係る同意要件を緩和しています。今までは全員の同意によってでないと市町村に対して共有林の経営権を設定できなかったのが、今回は持分過半数で設定できるようになった。これによって、小規模だけれども多数の共有者がいるというような山林について、同意を取るのに時間がかかっているという問題が軽減されたことになります。
一方で、過半数持分の同意で市町村に対して設定できる共有林の経営管理権の範囲というのは、間伐、間伐材の販売及び保育に限定されていて、主伐だとか皆伐といったものは含まれておりません。これはなぜでしょうか。
○青山政府参考人 お答えいたします。
我が国の民有林は、慣習的に共有状態にあるものや、相続等を経て共有状態になるものがございまして、一定の割合を占めております。
現行の制度では、共有林について、共有者が多数に上るものや、不在村化した共有者が存在するものなど、その探索や同意取得に多くの負担が発生しておりました。
このような状態を踏まえ、市町村の事務負担を軽減し、森林の集積、集約化を一層進められるよう、民法等を参考に、権利設定に必要な共有者の同意要件を緩和することとしたものでございます。
本同意要件の緩和につきましては、民法において、共有物の管理や軽微な変更に係る行為について、持分の二分の一超で実施可能としていることを参考にいたしまして、森林経営管理法において同意要件を緩和することとしたところでございます。
具体的には、経営管理のうち、森林の形状等を大きく変更しない軽微なものについて緩和することとし、森林の育成を目的とする間伐、保育に加え、一般的には処分行為に該当する木材の販売のうち、間伐に伴うものを本同意要件の緩和対象としたところでございます。
一方で、樹木の集団の全部を伐採する主伐や新たに森林を造成する植栽は、森林の形状、効用を著しく変更しますので、また、主伐に伴い搬出した木材の販売は処分行為に該当するため、経営管理上も重要な判断を伴うということで、引き続き、森林所有者全員の同意を必要とするという整理をしたところでございます。
○根本(拓)委員 ありがとうございます。
ただ、今みたいな解釈をしてしまうと、森林経営の管理に非効率が生じるのではないかと思っています。すなわち、経営事業体が森林のある一定のエリアの経営を市町村から委ねられる、ただ、その中には、共有林で全員の同意が取得できていないために間伐しかできないところと、主伐までやっていいですよというところが出てきてしまって、大きなエリアの中、幾つも土地があるところ、ぽこぽこぽこぽこと、主伐ができないところ、主伐ができるところというように入れ子になってしまって、管理する方としては非常に大変なのではないかというような問題があると思っています。
じゃ、これをどうしていけばいいかというところで、先ほど民法のお話をしていただきましたけれども、お手元に民法の条文を配らせていただきました。
民法には、共有物の管理行為に関する規律というのがあって、ここで、条文は下に書いてあるんですけれども、これをまとめると、一から三ということになります。
まず一、共有物の管理に該当する行為は、共有者の持分過半数で行うことができる。二、今御答弁いただいたとおり、ただし、共有物の形状又は効用の著しい、これは先ほど落ちていたと思うんですけれども、著しい変更を伴うような行為は共有者全員の同意がないとできない。さらに、その下で、特別な規定があって、樹木の栽植又は伐採を目的とする山林の賃借権等については、十年を超えない期間の範囲で、共有者の持分過半数で設定できる。これが民法の規律であります。
私の問題意識としては、この三、これは民法の二百五十二条の四項という規定なんですけれども、これを活用できないかということで、この条文を素直に読めば、賃借人が樹木を伐採することを目的として山林に対して賃借権を設定することは、山林の共有者の持分過半数でできると読めまして、この伐採というのは、条文上、間伐か主伐かというのを区別していないため、条文上は一切の主伐が当然に排除されているわけではないというように理解できる。
そうであるとすると、共有者が山林の主伐も含めて林業経営体に行ってほしい場合には、森林経営法上、今回の改正法上は根拠がなくても、民法上の賃借権を市町村又は林業経営体に対して過半数で設定することによって行うことができるのではないでしょうか。
ただし、これは原則二との関係で、先ほど御答弁いただいたとおり、伐採というのは、あくまでも管理行為に該当する限りで行うことができますので、主伐、皆伐を例えばわっと行って、そのまま放置するといった行為については、共有物の形状又は効用の著しい変更を伴うものになるというように思われます。
一方で、今回の森林経営管理法が予定しているような、植栽して、下刈りして、除伐して、間伐して、主伐して再造林するといったような、サステーナブルなサイクルでの経営管理については、長いスパンで見れば、森林を維持し、その価値を高めるというようなものである。すなわち、山林としての形状を維持し、その効用を維持したり、高めたりするものであるため、形状又は効用の著しい変更に当たらないというように評価し得て、したがって、管理行為と。
私も弁護士をずっとしていた者ですけれども、弁護士的には、これ、結構、管理行為として認定し得るんじゃないか、評価し得るんじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○内野政府参考人 お答え申し上げます。
民法第二百五十二条第四項第一号は、樹木の栽植又は伐採を目的とする山林の賃借権等であって、十年の期間を超えないものの設定については、各共有者の持分価格の過半数で決することができるとしております。
この規定は、賃借権等は共有物の利用に制約を生じさせるものであり、長期間の存続期間の賃借権等の設定は、実際上、処分行為に近い性質を持つことから、短期間の賃借権等に限定して、その設定が管理行為としての性質を有することを明確にしたものであると考えられます。
このように、民法第二百五十二条第四項第一号は、土地の共有者が行う伐採を目的とする山林の短期間の賃借権の設定について、これを管理行為として整理し、共有者の持分価格の過半数で決することができるとしたものと考えられるところであります。そうだとすれば、この規定に基づいて設定された賃借権の内容は、通常、その山林の管理行為と認められる範囲内において、その山林上の樹木の伐採をすることができる権限が含まれているものと考えられるところであります。
その上で、賃借人による樹木の伐採のうちどのようなものが山林の管理行為に該当するかは、個別具体的な事情を総合して判断することになるため、一概に申し上げることは困難でございますけれども、一般論として申し上げれば、山林全体から見て立木の当該伐採の範囲が小規模にとどまるなど、伐採の規模、態様などから見て山林の形状又は効用の著しい変更を伴わないものと認められる限り、山林の管理行為に該当し得るものと考えられるところでございます。
したがいまして、委員のお尋ねの行為についてやはり一概に申し上げることは困難ではございますが、事案によっては、お尋ねのような行為が、土地の形状又は効用の著しい変更に当たらないものとして、山林の管理行為に該当することもあり得るのではないかと考えているところでございます。
○根本(拓)委員 ありがとうございます。
今、非常に前向きな御答弁をいただいたというように思っております。
森林の効率的な管理という観点からは、だっと主伐を一つのエリアでできることが望ましいわけなので、是非、法務省の皆様におかれては、この民法二百五十二条四項一号を使って、どのような態様の森林管理が民法上認められるのかということ、どういう場合であれば主伐が認められるのかということについては是非整理いただいて周知いただけると、より効率的な経営管理につながってくる。要は、今回の改正法を補完するような民法上の規律の活用について御検討いただければ大変ありがたく思いました。
最後に、共有林のカーボンクレジットとの関係についてお伺いします。
日本でも排出量取引制度というのが二〇二六年度から導入されることが予定されていまして、森林というのにもクレジットを設定して、この経営管理法によってクレジットの活用というのが促進されるということが期待されるかと思います。
一方で、共有林については、林業経営体がどこまでできるかという問題があり得るように思えます。すなわち、先ほど述べたとおり、条文上、この経営管理法は、過半数同意でできるのは、間伐、間伐材の販売、保育に限られていると。そうすると、市町村に対して共有林の経営管理権を設定する際に、共有林について、クレジットの認定を取得して、当該クレジットを販売する権限まで過半数同意でできるのかどうなのか、これは一つ疑問に思うところです。この点について林野庁の方にお伺いしたいと思います。
一方で、もし今回の改正法上これができないのだとすると、林業経営体が、受託されたエリア全体についてカーボンクレジットの認定を取得して、それを販売するということができなくなってしまう、これもまた非効率を生んでしまうということになります。そこで、また先ほどと同様に民法の規定が活用できないかということで、民法二百五十二条の第一項は、共有物の管理者による管理行為というのは、共有者の持分の過半数同意でできるというように規定しています。
そこで、森林の管理者がカーボンクレジットの認定を取得したり、クレジットを販売したりする行為は、共有物たる山林の形状又は効用の著しい変更を伴わないため、問題なく管理行為と認められるのではないかというように思われますが、いかがでしょうか。
○青山政府参考人 お答えいたします。
排出量取引制度は、令和八年度からの本格導入に向けまして制度の具体的な検討がされており、森林分野を含むJクレジットも活用可能となる見込みでございます。
今回の法改正は、所有者が管理できていない森林の集積、集約化を図り、市町村や林業経営体に権利を迅速に設定し、適切な経営管理の促進に貢献するものでございまして、今般の法改正案は、集積、集約化が促進されて森林経営計画が作成されることが期待されますので、Jクレジットの創出拡大にも役立つものと考えております。
今般の森林経営管理法の経営管理権は、森林所有者から森林経営の委託を受けまして、立木の伐採、造林、保育、木材の販売等を行うための権利でありまして、Jクレジットを販売する権利がその内容に当然に含まれるかというと、そうではないと考えております。
一方で、森林由来のJクレジットは、森林法に基づく森林経営計画を策定した者がクレジットの発行を受けることができるため、改正法案で権利設定を受けた市町村や林業経営体もクレジットの発行が可能でございます。
このため、今回の改正法案により、二分の一超の同意で権利設定をした共有林について、森林法に基づく森林経営計画を作成した者は、共有者全員の同意を得ることなくクレジットを販売することは可能というふうに考えております。
○根本(拓)委員 どうもありがとうございました。
今日の議論を通じて、今までに十分整理されなかったところが整理できたのではないかと思います。
林野庁におかれては、どういう法的根拠で何ができるかということを是非いま一度整理していただいた上で、あと、今回の法改正の下でいろいろ運用していく中で課題が出てきたら、それを次の法改正において条文上明確にしていく、こういうことを是非やっていただき、ポテンシャルのある山林をいかにして最大限活用していくか、そういう観点から法の制定というのを進めていただければと思っております。
今日は、どうもありがとうございました。
○御法川委員長 次に、渡辺創君。
○渡辺(創)委員 立憲民主党の渡辺創でございます。
本題に入る前に、備蓄米について大臣にお伺いをしたいと思います。
昨日、三度目の放出について発表されたというところでありますけれども、大臣、これまでも、必要があればちゅうちょなくという趣旨のお話を委員会等でもされてきたと思いますので、こういう御判断もあるのかと思っておりましたが、一点確認をしたいんですが、今回、官邸で総理から指示があったという形で昨日ぶら下がりでもお話しされていたかと思いますが、確認をしておきたいのは、これは総理の発案でしょうか。それとも、農水省として何らかの提案であったりとか意見具申をして、それを受けて総理が御判断なさったということなのか。つまり、農水省の主体性といいますか、御判断が関わっているものなのかということを確認させていただきたいと思います。
○江藤国務大臣 なかなかちょっとあれなんですけれども。官邸に朝行きまして、最終的に結論を得るまで一時間かかりました。もちろん、総理指示で行ったということについてはしっかり整理をさせていただきたいと思います。しかし、量的なもの、それから七月まで、端境期まで四回にわたって出すということは私の方で検討した内容でありまして、しかし、最終的には総理指示ということであります。
申し上げておきたいことは、ずっと国会でも議論させていただいてきましたが、やはり生産者のことを考えなければならない。そして、適正な価格とは何ぞやということも、生産者も消費者の方々も気にしていらっしゃる。
ですから、これには迷いもありますよ、正直なところ。しかし、総理からは、ほぼほぼ、一回目、二回目の効果が消費者の方々には実感していただけていない、やはりそういう声には、農林水産省は食料を安定的に供給する責務を負っているんだから、それには応えるべきではないかということに基づいて御指示をいただいたので、昨日申し上げたとおり、月曜日には、いわゆる卸の方々、それから大手の小売の方々にも来ていただいて、そういった方々が、調査結果によると、昨年よりも卸では三万トン余計に在庫を持っていらっしゃるわけですから、集荷業者から備蓄米を受け取って、それだけ販売して、高いものを残して、消化したらまた高いものを出すということでは全体を引き下げることになりませんので、やはりそういった業者の方々の御理解もいただく努力も必要ではないか。
様々議論した上で、昨日、総理指示をいただいたということでございます。
○渡辺(創)委員 大変、決断をしなければならない立場としての正直な心情も含めて、ある程度聞き取ることができたかなと思っております。
二月に予算委員会で大臣とも少し議論させていただきましたが、やはり、今の備蓄米に対する原則というのは、今回三回目の放出という中で、大分揺らいできているというふうに思います。
これは揺らいでいることが悪いというふうに言っているのではなくて、今までの原則はやはり揺らいでしまっているという状態だと思いますし、放出の是非とは別次元で、やはり事実上の価格調整機能を意図して若しくは期待をして放出を繰り返すという段階に入ってきていますから、目の前の対応は目の前の対応としてよく考えていただいてやっていただくのと同時に、備蓄米の制度自体が、今後の米の状況等も見据えたときにどういう制度であるべきかというのは、腰を据えた議論というか、きちんとやはり行う段階に入ってきているのかなという気がしますので、目の前の対応は目の前の対応として、その必要性を指摘して、今日は別のテーマもありますので、今後また議論させていただければと思いますので、指摘にとどめたいというふうに思います。
あと、また別のテーマになりますが、今日の法案の審議に入る前に、今日は林野庁を中心とした質疑でありますので、全国で相次ぐ山林火災、山火事についても各種の確認を含めて扱わせていただきたいと思います。
二月の二十六日発生の岩手県大船渡市での林野火災を端緒に、岡山、愛媛、宮崎、三重、そして今週も広島などでも起きているというニュースが続いております。全国の方々が不安を抱えているというふうに思います。
私も県会議員の時代に十年間消防団員でして、今も休団中でありまして、関係者の皆さんの心情みたいなところは多少なり理解できるつもりでおりますが、今回の一連の林野火災の中でもやはり一番深刻なのは、規模も大きい岩手県の大船渡の火災だと思います。
大臣も、先週の金曜日でしたでしょうか、四日だったと思いますが、現地に行かれているというふうに承知しておりますが、私どもも、立憲民主党としても、金子農林水産部門長や、この後質疑に立つ近藤災害・緊急事態局長を筆頭に、視察団を組んで七日に大船渡に行ってまいりまして、関係者の方とも議論をさせていただきました。私も参ったところでありますが。
まず、その大船渡の山林火山について確認をしておきたいのですが、七日、我々が行った日がまさに鎮火宣言が出た日でありましたので、まだ詳細については細かくは認定できないことは分かっておりますけれども、現時点での被害把握、さらには、広域の取組も含めて、消防力の投入はどういう規模で行われたのかということを、今回の被害拡大の要因も含めて、消防庁に見解を伺いたいと思います。
○小谷政府参考人 お答え申し上げます。
岩手県大船渡市で二月二十六日に発生した林野火災は、三月九日に鎮圧、そして四月七日に鎮火いたしました。本火災では、一名の方がお亡くなりになったほか、現時点で判明しているところで、住家被害八十六棟を含む二百二十一棟の建物被害、約二千九百ヘクタールの山林が焼損するなど、大きな被害が生じたところでございます。
また、延焼拡大の要因につきましては、現在調査中ではありますが、連日の乾燥した天候、折からの強風、それからリアス式海岸等の急傾斜等複雑な地形など、複合的な要因が考えられます。
消防の対応につきましては、発災後直ちに緊急消防援助隊を出動させ、林野火災としては最大規模の十五都道県からの緊急消防援助隊、岩手県内の応援部隊、地元の消防本部、消防団が一日当たり最大約二千百名体制で、自衛隊と連携したヘリによる空中消火や、市街地延焼を阻止するための地上からの消火活動等に昼夜を分かたず従事したところでございます。
○渡辺(創)委員 実は、鎮圧宣言が出た三月の十日は、私、別の党の用務で宮城県の仙台から南三陸に向かう三陸道を走っていまして、鎮圧宣言が出た後でしたので、大船渡から消防車が次々に反対車線を戻ってくる姿を見ました。近隣県だけではなくて、関東地区の自治体名が書いてあるような消防車が本当に次から次に走ってくるという状況で、まさに広域の協力体制ができていたというのを目の当たりにしたというところでありましたけれども。
そこで、確認をしておきたいんですが、今シーズン全国で相次ぐ林野火災について、その特徴を消防当局はどのように認識をしているかということと、特に広域の協力体制は有効に機能しているか、その視点で消防庁の見解を確認したいと思います。
○小谷政府参考人 今シーズンの林野火災について、その多くは現在、原因等の調査中でありますが、御指摘のとおり、今年二月以降、大船渡市や岡山市、今治市を始めとして、例年に比べ大規模な林野火災が発生しているものと認識しております。
消防の広域応援については、林野火災という災害の態様を踏まえ、工夫しながら災害対応に当たったところでございます。
大船渡市及び今治市への緊急消防援助隊の出動に当たっては、消防ポンプ車中心の編成とすること、水利確保のための大型水槽車や海水を利用できる特殊車両を出動させることなどを消防庁から要請しております。
また、現場の消火活動においては、緊急消防援助隊の指揮支援部隊を中心に活動を統率し、市街地延焼を防ぐという共通認識の下、二十四時間体制で活動できるようローテーションを組んで活動したこと、ドローンを用いて延焼状況を把握したり、必要に応じて海水を利用できる特殊車両を活用したりするなど、保有する車両、資機材を有効に活用したこと、空中からの消火については自衛隊と担当エリアを分けて活動したことなど、効果的な消火活動に全力を挙げたところです。
このように、災害態様を踏まえた対応を行ったところですが、今後、消防庁としては、林野庁と共同で、大船渡市林野火災を踏まえた消防防災対策のあり方に関する検討会を開催することとしており、この場において、今般の消防活動等を検証し、今後取り組むべき火災予防、消防活動、装備、技術等の充実強化の在り方について検討を行ってまいります。
○渡辺(創)委員 ありがとうございました。
今シーズンの状況を見ていると、やはり広域連携による消防力の投入というのは、これから重要性をどんどん増すと思います。早い段階で手をつけられる。環境が非常に厳しいのが山林火災だと思いますので、早く広域の手をつけることが大事だと思いますので、今後にも是非生かしていただきたいと思います。
消防庁はここまでで結構ですので、ありがとうございました。
続けて、農水省、林野庁にも聞きたいと思いますが、まず大臣にお伺いしますが、先ほども触れましたけれども、大臣も大船渡に行かれていらっしゃるかと思いますが、現地の状況をどのように受け止められましたでしょうか。
○江藤国務大臣 朝行って、夜帰ってきたわけでありますが、日帰りでありますので、全部を見られたとは到底思っておりません。しかし、車窓から見る、降りて見る、そして、現場の方々と、知事、市長、それから組合のトップの方、そして浜では組合長の方々、漁業者の方々、なるべく多くの方々と言葉を交わさせていただきました。
やはり、とても、浜は特に意気消沈していらっしゃいました。しかし、今回、二分の一から四分の三に引き上げたことについては大変評価もいただきました。これで何とかやれるということでありますから、そのことはよかったと思いますけれども、二回目の被災ということでありますので、これは普通に考えてしんどいですよね。一回どかんとやられて、ううん、もう無理だと思ったところからもう一回立ち上がって、頑張ろうと思って、そこでまたやられる。
特に浜の方は、地震や台風、津波とかで網を持っていかれるんだったら俺も漁師だから分からぬじゃないけれども、浜に揚げていた網が焼かれてしまうなんてことは考えもつかぬと。これでようやく、定置があの地区では一番の収入源、ワカメももちろん大事ですけれども、になっているという現状の中で、何としても一日も早くこれを回復させたいという意気込みも感じました。
ですから、地域の方々が頑張るとおっしゃっている以上は、これはまさに、先生方も御視察いただいて大変よかったと思います、これについては、まさに与野党の壁を超えて、様々な情報を共有しながら、地域の方々の気持ちに応えられるような支援をしてまいりたいと思っております。
○渡辺(創)委員 大臣からもありましたように、まさに我々も話を聞かせていただいて、本当にしんどいという思いがよく皆さんの話から伝わってきたところでした。
ちょっと配付資料を御覧いただきたいと思うんですが、写真が載っている資料であります。
いずれも、林野火災の現場となった主に杉林の様子でありますが、一番と二番の写真はまさに火勢が集落の近くまで来ていたということが分かると思いますし、四番の写真は伐採した後の切り株ですが、これだけ火に長い時間さらされていたというのが分かるというふうに思います。
よく御覧いただきたいのは三番と五番でありますが、これは火災で火炎を受けた影響なのか、消火活動で大量の海水を浴びた影響なのか分かりませんけれども、明らかに立ち枯れに向かいつつあるというような林がたくさん見えるという状況であります。やはり、これは現地の皆さんとお話ししましたが、こういう形で木材としての利用価値を失うものが多数発生するのではないか、火からは残ったけれども木材として使えないんじゃないかという懸念を持っている声が本当にたくさんありました。
それで、お伺いをしておきたいんですが、火災そのものに加えて、こういう火の、炎の影響を受けたりとか、又は消火活動で投入された海水の影響が今後現地の木材生産にどのような影響を与える可能性があるのか、林野庁の見解をお聞きしたいと思います。
○青山政府参考人 お答えいたします。
平成二十九年に岩手県釜石市の林野火災の消火活動におきまして海水が使用された事例がございますが、鎮火直後は、土壌に塩分が残存しまして、一時的に樹木の生育に不良が見られましたが、火災発生から四か月後には、降雨等によりまして塩分が流出し、生育不良は解消されたという報告がございます。また、この釜石市の事例では、被害を受けた杉は木材製品やバイオマス燃料に有効に活用されたと承知をしております。
こうした事例から、海水による影響は一時的であると考えておりますけれども、影響の有無を含めまして注視していく考えでございます。
いずれにしましても、今回、復旧等も含めまして、地域の関係者の御意見を伺いながら、大船渡市の森林・林業の再生に向けて取り組んでいきたいと考えております。
○渡辺(創)委員 今の御答弁のような状況であって、科学的な知見も含めてそう言えるのであれば、大船渡の皆さんにちゃんと林野庁は伝えてやるべきだと思いますよ。大船渡市の林政担当の人たちがこういう心配をしているわけだから、少なくともコミュニケーションが十分じゃないということは明らかだと思いますので、今のお話がそのとおりであるのであれば、ちゃんとそのコミュニケーションを取っていただくことが大事じゃないかと思いますので、そこは指摘をさせていただきたいと思います。
もう一点、地元の方々の懸念事項からお伺いをしたいと思いますが、政府は、大船渡の林野火災に対して迅速に、三月二十五日に激甚災害の指定を行っています。約二千九百ヘクタールが焼損した林業については森林災害復旧事業などが対象になると思いますが、それぞれ対象が、伐採支援が四か年度、跡地の再造林支援が五か年度となっているようです。今回の激甚災害の指定は三月二十五日ですので、四か年度、五か年度と言っていますが、最初の年度が五日間で終わってしまう、事実上、一年少ないという状況になるわけであります。
もちろん、そこで十分に収まるような復旧だったらいいと思いますけれども、いろいろな事情で、これだけの面積ですから、なかなか時間が厳しいというようなことが出てくる場合には、原則は原則として分かりますが、初年度がたった五日間で何とかしろというのはとても無理な話ですし、今月ですからね、鎮火宣言が出たのは。それは弾力的な判断も、今の時点ではなかったとしても、将来的には、必要性が出てくれば、不利にならないように、その判断は必要だというふうに私は思います。そこも見据えて、弾力的な対応の可能性を大臣に確認しておきたいと思います。
○江藤国務大臣 私も現場でこのような御指摘をいただきました。一年のずれが出てしまう。その時点ではまだ四月の四日だったですけれども、このことについて、しかも二千九百ですから、これはちょっと私は無理だと客観的に思います。
もちろん、もたもたしちゃいけないので、できることを迅速にやる、この期間内に収まればベスト、委員がおっしゃったようにベストですが、しかし、それができないということであれば、私は、委員の御指摘のとおり、これは弾力的に運用して、これは前向きに検討しますということをこの場で申し上げておきたいと思います。
○渡辺(創)委員 大臣、ありがとうございました。現地の皆さんも大変心強いというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
山火事、最後にしますが、私の選挙区であります宮崎市の鏡洲というところでも今年山火事がありました、もう大臣よくお分かりのとおりだと思いますが。宮崎市と都城の境に天神ダムという農水省が造ったダムがありますが、土地改良区と宮崎市の協定で、そこの水を使うことが非常に円滑に早期にできたという話を聞いておりまして、海水をかけずに済んだというところもありますので、本当に農水省の皆さんに感謝申し上げたい、披露して感謝申し上げたいというふうに思います。
続いて、森林経営管理法の改正案について伺いたいと思いますが、この法案、できて六年が経過しようとしているわけですが、市町村が主体となって民有林の森林経営管理を行うという新しい手法が導入をされたわけで、これは時代の変化とか実情を反映した林業施策の見直しであったというふうに思います。
総括的に伺いますが、制度導入当初に想定した、又は期待をした効果を現時点で十分に上げていると言えるのか、林野庁の見解を確認します。
○青山政府参考人 お答えいたします。
森林経営管理法につきましては、全国の市町村の大変な御努力の下で、制度開始からの五年間で、制度の活用を必要とする市町村のほぼ全てにおいて取組を開始していただいております。また、森林所有者から委託希望があった森林の約五割につきまして森林整備につながる動きがあり、未整備森林の解消に貢献していると考えております。
一方で、林業経営体への森林の集積、集約化は低位に推移しておりまして、また、現場の市町村からはその負担軽減を求める声があるなど、実績、制度共に課題があると認識をしております。とりわけ、制度推進の中心を担う市町村の体制に課題があることは法制定時から認識をしておりまして、地域林政アドバイザーの活用促進や人材育成の研修の実施、情報提供に取り組んできたところでございます。
その上で、今般、現場からの声、権利設定に当たっての課題等を踏まえまして、林業経営体への権利設定を迅速に進める新たな仕組みを設けるとともに、制度を担う市町村の事務負担の軽減を図ることで、森林の集積、集約化を一層進めてまいりたいと考えているところでございます。
○渡辺(創)委員 今御答弁にもありましたけれども、今回の法改正というのは、市町村の林務の担当職員が十分な体制にはない、それが事業推進のネックになっているというところに問題意識があるというふうに思うんですね。ここを円滑化させようというのをいろいろな形で取り組もうとしているわけだと思いますが。
ただ、林業に携わる市町村の職員の皆さんの不足というのは、法律を作った段階と今とに大きな変更があるわけではなくて、今御説明あったように、いろいろな形で支援はしてきたけれども、根本的にここに課題があるというのは法律を作った段階でも想像がついたことのような気もするんですが、そこについての認識はいかがですか。
○青山政府参考人 法律を作った段階では、しっかりと森林の集積、集約化を進めるということで進めたわけでございますけれども、五年間実行してまいりまして、今回、アンケート等によりまして実態を具体的に把握しましたので、今回の改正法案を提出させていただいたところでございます。
○渡辺(創)委員 問題意識は多分共通していると思いますので、それで結構です。
今回の質疑に合わせて、私も江藤大臣も長友議員もそうですが、宮崎県でありますので、ちょっと実情を調べてみたんですが、県内二十六市町村ありますけれども、令和六年四月のデータで、県内の市町村で林務担当の職員さんというのは百九十名いますが、ここから農政との兼務職員を外すと、いわゆる専任者というのは二十市町村で八十七名ということになるようです。
今御答弁にもあったように、補強するような意味で林政アドバイザー等を十四市町村に二十四名配置しているという具合なんですが、杉素材生産日本一の宮崎県でこのぐらいの状況ですから、全国の自治体の様子というのは押しなべてここから想像つくというところだというふうに思いますので、やはり現場に一番近い市町村の皆さんのマンパワー不足というのは極めて大きな問題だということを改めて認識しなきゃならないというふうに思っています。
続けて伺いたいんですが、今回KPIの設定が行われていますけれども、今回の改正案の中では、私有人工林のうち林業経営を実施する森林の集積、集約化された面積を、現状の四割から、令和十二年に約五割に引き上げるとされています。
これはちょっと例えばの一例ですが、宮崎県の長期計画を見ると、森林経営計画が定められている森林というのを、現在四五・四%ですから、いみじくもというか偶然にも令和十二年までに五三%にするという計画に宮崎ではなっています。この数字とかなりリンクするKPIなので、そう見当違いの数字ではないだろうと想像はしますけれども、ちょっとこのKPIの設定根拠というか、なぜこういう設定になっているのかが分からないと、妥当かどうかという判断もなかなかつかないと思いますが、そこを御説明いただけませんでしょうか。
○青山政府参考人 お答えいたします。
森林・林業基本計画におきまして、将来の目標として、人工林の約三分の二は林業経営に適していることから、伐採や植栽、保育などの林業生産活動によって資源の充実と循環利用を図るということにしております。残りの三分の一の人工林は、急傾斜であるなど林業経営に適さないことから、針葉樹と広葉樹が交じり合った森林に誘導するということにしております。
この将来目標の実現に向けまして、我が国の森林の所有が小規模で分散している中、林業経営に適した森林を中心に森林の集積、集約化を図ることが重要と考えております。
これまでの取組によりまして、委員からも御指摘ございましたように、令和五年末時点で私有人工林の約四割に相当する二百七十万ヘクタールが集積、集約化されたところでございます。
こうした中で、今回、改正法案によりまして集積、集約化を一層促進することにしていまして、新制度施行後五年間で、私有林人工林の約五割に相当する三百二十万ヘクタールについて集積、集約化を目指すことにしたところでございます。
集積、集約化を進めるためには、受け手となる林業経営体の確保、育成、境界の明確化の促進や、経営管理に必要な路網整備の支援などに取り組んでいくことが重要でございまして、今回の法改正に限らず、予算事業等も併せて、将来の目標に向けて総合的に取り組んでいきたいと考えているところでございます。
○渡辺(創)委員 森林の経営というのは、本来であれば、森林の所有者と、最終的な施業者というか受け手の方々の間がストレートにいくのが最善だろうと思います。しかし、林業の現状とか今後の持続可能性を踏まえたときに、ほっておいたらそうならなくなってネックがあるから、今こうやって、行政が積極的に介入というか関与するという仕組みをつくってきたわけだというふうに思っています。そこの円滑化を図るということが、これ以上状況を悪くもしないということにつながっていくと思いますので。
更に言えば、背景には今、日本の杉を中心として様々な森林が伐期を迎えているということと、再造林も一生懸命やらないと山が崩壊していくわけですから、そういう背景も抱えている中で、森林経営管理の鍵は、最終的な施業者にいかに円滑に森林をつないでいくかということだというふうに私は思います。
今回の法改正の趣旨にも反対するものではありませんし、それぞれ重要だと思いますが、市町村よりも、例えば林務行政について、場合によっては、蓄積もある都道府県の関与を強化することも大事だというふうに思っていますし、例えば、宮崎県であると、ひなたのチカラ林業経営者という制度があって、意欲的な事業者を公表、後押しをする制度があるんです、もうこれは大臣は多分よくお分かりのことだというふうに思いますが。こういうふうに、ある種、行政がマッチングを果たして効果を出すんだという姿勢を明瞭にすることが大事だというふうに思っていますので、そのことについて大臣の見解をお伺いして、質問を終わりたいと思います。
○江藤国務大臣 まさに今回の法改正は、余り宮崎のことを言うとひんしゅくを買うかもしれませんが、これがお手本になったという部分が多分にあります。委員がおっしゃったように、今まで市町村中心で協議会をつくって構想を作るという話の中に、やはり、多くの知見、人材がいる県が最初からコミットする、中に入るということによって機能強化するということが大変今回の肝の一つでありますので、今回、いわゆる、ひなたのチカラ林業担い手確保育成推進事業、長いですけれども、県議をされていたのでよく御存じだと思いますが、これが今回の法改正のお手本になったことは間違いないと思います。
委員がおっしゃるように、山をやはり手放したい人もいる。そういうものを市町村が集めて、今まで市町村が一生懸命探したわけですが、それがなかなか難しかった。
しかし、そういうものを集める段階は市町村にやってもらうにしても、この協議会で、やはり担い手も含めて、受け手も含めて協議会に最初から入ってもらって、出し手、県、当該市町村、そして受け手、それがみんなで将来像を考えることによって、農政でいうと地域計画のような感覚を持って地域の林政を展開していくということは、私は機能的になっていくのではないかと思いますので、今回の法改正は、前回はちょっとぬるかったんじゃないかという御指摘もいただきましたけれども、その部分を十分に補完できる内容になっているのではないかというふうに評価をいたしております。
○渡辺(創)委員 どうもありがとうございました。
○御法川委員長 次に、福田淳太君。
○福田(淳)委員 立憲民主党、長野五区の福田淳太でございます。
本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
森林経営管理法改正について伺います。
現行の森林経営管理制度では、市町村が森林所有者に意向調査し、市町村に委託希望を出した場合、市町村が経営管理権集積計画を作り、林業経営体に再委託するか、市町村が森林整備をするという流れになります。
私の地元長野県は、県土の約八割を森林が占める県です。地元の飯伊森林組合にこの制度の実態を聞いてまいりました。
まずは、意向調査のアンケートを取るわけですが、所有者不明の土地を調べるのがとても大変とのことでした。山は地籍調査が入っておらず、県が作っている森林簿や山の図面を見ながら調べるそうです。しかし、所有者の登記情報は必ずしも載っていないそうです。所有者を特定して意向調査のアンケートを送っても、所有者自体が森林の状態を把握していないことも多々あり、どういった施業が必要か現地調査を行って、ようやく集積計画案を作ります。
しかし、実際に集積計画まで作り、林業事業体に再委託する割合は低くなっております。農林水産省に確認すると、意向調査を回答した人のうち、市町村に委託希望を出すのが約四割、このうち、集積計画を作るのが約一割で、林業経営体へのあっせんなど集積計画以外の手法による森林整備が約四割、集積計画を作り、林業経営体への再委託をするのが約一%にとどまっているそうです。
森林経営管理制度ができて五年、林業経営体への再委託が進まない状況をどのように捉えていらっしゃるか、伺います。
〔委員長退席、鈴木(貴)委員長代理着席〕
○青山政府参考人 お答えいたします。
制度開始からの五年間で、制度の活用を必要とする市町村のほぼ全てにおいて取組を開始いただき、市町村には大変な御努力をいただいているところでございます。
その中で、私有人工林の二割弱に当たります約百三万ヘクタールの森林で意向調査が実施され、市町村への委託希望があった森林の約五割に当たる約十一万ヘクタールで森林整備につながる動きがあったところであり、未整備森林の解消に貢献していると考えております。
一方で、委員からも御指摘ございましたように、この制度に基づく権利設定が低位に推移しておりますのは、市町村において林務担当職員が十分に配置されていない中で、所有者不明森林や共有者が多数に上る森林など条件が悪いものも多く、関係権利者全員の同意の取付けなど権利設定のために実施すべき事務が多いことが要因と考えられております。
また、森林の所有が分散している中で、まとまった形での森林の集積がうまく進められていないという課題もございます。
今般の改正法案では、このような課題に対し、市町村の下で林業経営体や森林所有者など地域の関係者が話合いを行い、あらかじめ集積、集約化の方針や対象森林、受け手を定める集約化構想を策定する新たな仕組みを設けることとしているところでございます。
〔鈴木(貴)委員長代理退席、委員長着席〕
○福田(淳)委員 今御答弁の中にもございましたが、この森林経営管理制度で問題となっているのが、やはり市町村の職員の皆さんの負担でございます。
先ほど申し上げたとおり、約四割が、林業経営体と所有者が直接森林整備を委託、あっせんなどをする状況でございますが、この場合でも、市町村職員が、森林事業体に委託をしてもいいか、直接所有者に面会して説明して同意を取る作業が必要になることもあります。飯伊森林組合では、ある自治体に十数人分のこうした作業を頼んでいるものの、数か月たってもまだ完了しない状況とのことでした。村によっては、林業関係の担当職員が一人という場合もございます。先ほど渡辺議員の御指摘のとおり、圧倒的にマンパワーが足りず、発注の段階で滞ってしまっているわけです。
そして、人材不足を補うため、地域林政アドバイザー制度がございます。しかし、例えば県の林務部ですとか森林組合のOBなど、林業に詳しい人材がなかなか集まらないといいます。長野県の喬木村では、この制度について県に相談したものの、数年間たってもいまだに望ましい人材が集まらないという状況でございました。
こうした自治体職員の負担や人材不足の状況を受け、今後どのように対応していくのか、大臣に伺います。
○江藤国務大臣 大変、地元の方々の御意見も聞かれて、林政アドバイザーが集まらないという話は私も聞いておりますが、やはり山の仕事はマンパワーがどうしても要る、そして知見がないとアドバイスもできないということでありますから、大変大事な御指摘をいただいたというふうに思っております。
これまで、協議会をつくって、県のサポートセンターとか、それから民間にアウトソーシングしたりしてやってまいりましたが、先ほど渡辺議員にも御答弁させていただきましたように、今回の法改正をやっていただければ、県が最初から入っていくこともできます。そして、これまでアウトソーシングしていた法人をいわゆる指定をして、この法律上もしっかりと規定をして、法律の中に、取り組むこともできるようになりますので。
それに加えて、間伐だけじゃないかという御指摘が先ほどもありましたけれども、しかし、これまで、全部の同意を取るということが物すごい負担になっていたので、三回も四回も五回も相続をやると全く、はっきりと分からない人もいるわけで、遠くにいる、海外にいるとか、そういうものがとんでもない負担になっておりました。
そして、市町村合併によって、広域をやはり管理しなければならないような状況にも地域の自治体はなっていますので、今回、二分の一の要件でいいということになれば、これは半分でいいわけでありますから、かなり実現度が高くなってまいりますので、今回の法改正によってやはり市町村の負担を減らす方向にきっと働くのではないかというふうに評価いたしております。
○福田(淳)委員 ありがとうございます。引き続き、職員の皆さんの負担軽減策へ取り組んでいただきたいと思います。
次に、主伐と再造林を進めるという方針について伺います。
日本の人工林の六割が五十年生を超えて利用期を迎えていることを考えると、確かに主伐と再造林を進めるべきであると考えます。しかし、林野庁の統計で、令和三年度の全国の主伐の面積が九・二万ヘクタールだったのに対し、人工造林面積、こちらは令和四年度のデータですが、三・三万ヘクタールです。農水省としても主伐と再造林を同時に行うことを基本としているはずが、実に五・九万ヘクタールの開きがあるわけです。
こうした背景に、主伐した収入で再造林の経費が賄えないことが課題の一つにあると伺っております。林業従事者も、四十年前に比べ十・二万人減の四・四万人まで落ち込んでおります。主伐して再造林を進めようにも、苗木を植える人も育林をする人も不足しているわけです。
なぜ主伐と再造林の面積にこれだけ開きがあるのか、再造林を進めるための対策をどのように考えているのか、伺います。
○青山政府参考人 お答えいたします。
森林の公益的機能を持続的に発展させていくためには、伐採後の再造林を確実に行うことが重要でございますが、委員からも御指摘いただきましたが、主伐収入で再造林経費が賄えないといった経済的な理由や、育林従事者の減少などが課題になっているところでございます。
このため、農林水産省としましては、造林経費を縮減し、作業が大変な再造林を省力化する、伐採、造林の一貫作業による地ごしらえコストの低減、植栽本数の低減や下刈りの省略が期待できるエリートツリー等の活用推進のほか、緑の雇用事業による育林従事者の確保、育成等に積極的に取り組み、再造林を推進していきたいと考えているところでございます。
○福田(淳)委員 ありがとうございます。是非、再造林、進めていっていただければと思います。
次に、間伐についても伺います。
主伐と再造林だけでなく、間伐を進めることは、林業の皆さんの所得向上につながるのはもちろん、災害を未然に防ぐ、国土保全の面でも有効なことかと思います。ここ毎年のように巨大台風や集中豪雨がこの日本列島を襲っております。樹齢が古く管理されていない森林を放置すれば、土砂崩れや、倒れた木が電線にかかり停電被害などを招くわけです。
災害防止のため、そして地球温暖化対策のためにも、七十年生や八十年生など、林齢が古い木も手入れをする必要があります。林齢が増すにつれ木は太くなり、搬出が難しくなるだけでなく、取り扱える製材所も限られてしまいます。なかなか、補助がないと、進んでこういった古い木を切る、間伐をするということへ手を挙げづらいわけです。
そこで、主伐、再造林だけでなく、林齢が古い木も含めて間伐を進めていく必要があると思いますが、その御見解を伺います。
○笹川副大臣 御質問ありがとうございます。
委員の御指摘のとおり、森林の多面的な機能を持続的につなげていくということでの間伐等の事業は、まさに適切な森林整備の中でも重要な点というふうに思います。
そういった中で、森林整備事業等によって御支援をしているわけでありますが、今般の御審議いただいている森林経営管理法の改正によりまして、改めて森林の集積そしてまた集約化を迅速化し、間伐等の森林整備を加速化していくということにつなげていくということでございますので、より一層、間伐等も含めての適切な森林整備に努力をしてまいりたいというふうに思います。
○福田(淳)委員 ありがとうございます。
次に、林業に関連して、松枯れの被害について伺います。
松枯れは、マツノザイセンチュウがマツノマダラカミキリを媒介して松に入り込み、線虫が松を急激に弱らせることによって起こります。以前は、被害が西日本ですとか標高が低い地域が中心でした。しかし、地球温暖化により、徐々に東日本や標高の高いところでも被害が確認されるようになりました。全国的には、被害量は昭和五十四年のピーク時から約八分の一まで下がっている状況です。
一方で、私の地元長野県では、ピーク時の平成二十五年度に比べれば約二万立方メートルほど被害量が減少したものの、近年は、温暖化や夏の高温少雨により、やや増加傾向にあります。以前は標高八百メートル以上では余りこういった被害がなかったと言われていたんですが、現在では標高八百五十や九百メートルほどの地域でも被害が確認されております。松本市など中信地域では高止まりの状況です。
自治体に話を聞くと、国からの補助で被害木ですとか薬剤の散布などを進めているものの、やはり予算に限りがあって、なかなか山の中まで手が入らない状況にあるということでございました。長野県はアカマツが多く、急峻な地形ではアカマツ以外は植えられない箇所もあります。松枯れが起きれば、特産のマツタケに影響があるだけではなく、山崩れなどの被害にもつながってしまうわけです。
この松枯れの状況をどのように捉えているか。また、国土保全のためにも、松枯れ対策のために引き続き予算の確保と拡充が必要と考えますが、大臣の見解を伺います。
○江藤国務大臣 本当に気候の変化がすさまじいと思います。私の地元は、もう本当に防風林、防潮林がやられて大変なことになったことがあります。一度入ると止まらないんですよ。一生懸命地元の方が、木を切ったりして、これ以上広がらないように努力をしても、止めることができなかったという苦い経験を今思い出しておりました。
今おっしゃったように、標高の高いところには行かない、いわゆる緯度が高いところには行かないということでありましたけれども、十二年ぶりに増加傾向に今転じております。
ですから、予算のことを申し上げますけれども、まず被害木を取らなければなりません、そこへ置いておくと広がりますので。そして、薬剤散布しか方法がありませんから、これをやるということですが、令和六年度の補正予算では三億三千万の予算でありましたけれども、七年度の当初、約六億一千万積みましたので、是非御地元も、様々な地域で広がっているお話がありましたので、これらの事業を利用していただいて、是非、連絡を密にして、被害を拡大しないようにしていただければというふうに思います。
○福田(淳)委員 ありがとうございます。
次に、急傾斜地での林業の作業について伺います。
平らな場所であれば、林道を造って、十トントラックやトレーラー、林業機械を入れることで効率よく作業することができます。一方で、傾斜地は、災害の危険もあるため、なかなかこういった道を造れない場所もあります。入ることができても、四トントラックであったり二トントラックで小出しにするしかないわけです。
こういった傾斜地の場合、架線を引く、別名空の道とも言いますが、こういった空の道を造ることで、道を造らずに、切った木材を搬出することができます。
こういった傾斜地で間伐などを進めず放置してしまえば、やはり災害のリスクが増してしまいます。傾斜地での作業は効率が悪く、支援がなければ、やはり林業経営体からも敬遠されてしまいがちな場所です。
そこで、そもそもこの空の道の有効性をどのように捉えているか。また、架線集材の補助を引き続き行い、林道や作業道が設けられないような森林での間伐などを更に進める必要があると考えますが、御見解を伺います。
○小坂政府参考人 お答えいたします。
間伐等の森林整備を進めるに当たっては、議員御指摘のとおり、傾斜が緩やかな森林においては、例えばフォワーダーという機械を使った車両系の作業システムで進めています。傾斜の急な森林におきましては、タワーヤーダーという架線を使った機械を使って架線系の作業システム、そういう考え方で路網整備を進めているところでございます。
森林整備事業における間伐に対する補助におきましても、この考え方に基づき、架線集材による間伐も架線集材に応じた単価で支援対象としているところでございます。
引き続き、こうした支援により、適切な森林整備を推進していく考えでございます。
○福田(淳)委員 ありがとうございます。
続きまして、国産材の利用促進策について伺います。
林業従事者の年間平均給与は、令和四年の林野庁の統計で三百六十一万円、全産業の平均より百万円程度低い状況になってしまっております。林業をやられている方にお話を伺いますと、やはり木材の価格がピーク時の三分の一まで落ち込んでしまっていることが一番大きな要因だと口をそろえて話してくれました。少しでも高く売れる国産材の利用促進に努める必要があると考えております。
私の祖父は長年建具屋を営んでいたんですが、国産材をふんだんに使った祖父が造った家に私は住んでおります。先日、大空議員も御指摘されていましたように、リラックス効果を十分感じられるものです。さらに、国産材は、湿度など日本の気候に合っているため、長もちをするというメリットもあります。
しかし、いざ住宅を建てるとき、必ずしも質のいい国産材が使用されやすい環境になっていないのではないでしょうか。例えば、無垢のフローリングより合成材の方が一般的に多く使われている状況です。もっと国産材を利用しやすいような流れをつくる必要があると考えます。
そこで、価格や質が高い国産の内装材などの利用促進が有効と考えますが、御見解を伺います。
○笹川副大臣 委員の御指摘、ごもっともというふうに思います。
私の群馬県も、森林県から林業県へという中で施策を展開して、私も県議会にいましたので。ただ、県産材を活用するということになったときに、残念ながら、私の方の地元はやはり平地なところが多いので、プレハブメーカーですとか、そういったところの中で、なかなか県産材は使ってもらえなかったということもございます。
そういった中で、大空議員からも先日の一般質疑の中でも御指摘がありましたが、やはり消費者の御理解ということも大切だというふうにも思います。そういった消費者の皆さんが何をニーズで持っているかということに対しての商品を開発をしていくということは大切な観点。
同時にまた、地元の建築の皆様方が家を建てる。建てたいという人たちが、プレハブメーカーの家もいいんですけれども、地元の建築の皆さんにも建ててもらう、そのことを通じて県産材の活用にもつながるというふうに思いますので、様々な観点からの消費拡大に向けて努力をしてまいりたいというふうに思います。
○福田(淳)委員 ありがとうございます。
そして、引き続き、林業従事者の所得向上策について伺います。
今回の質問に合わせて、若い、三十九歳と四十三歳の林業従事者の方にお話を伺ったんですが、この二人が困っていることの一つが、閑散期にどうしても仕事が減ってしまうということでした。例年三月中旬頃からゴールデンウィーク明けぐらいまで、林業の仕事が激減してしまうそうです。そのため、民家の支障木や閉鎖する果樹園の木を切ったり、まきを販売するなどして何とか仕事をつくり、しのいでいるそうです。こういった閑散期ができてしまうことも、年収が全産業に比べて低くなってしまう背景の一つと思います。
こういった林業の閑散期対策を進める必要もあると考えますが、御見解を伺います。
○青山政府参考人 お答えいたします。
例えば、豪雪地帯等では、冬季の作業が不可能であるため、その期間は積雪がなく作業可能な地域へ林業従事者が応援に行く事例があると承知をしております。
林業従事者の所得確保や生産性向上を図る上でも、通年での作業の維持、確保や、労働需要の大きい地域へ労働力の提供など、林業従事者と施業の需給バランスを調整することは重要でございます。
農林水産省では、国民的な課題でございます花粉症対策の解決に向けて、造林や伐採などの労働力需要の多い時期が異なる地域間の連携によりまして、労働の需給バランスや労働力の確保を支援しているところでございます。
○福田(淳)委員 ありがとうございます。
時間が参りましたので、質問を終わります。ありがとうございました。
○御法川委員長 次に、近藤和也君。
○近藤(和)委員 石川県能登半島の近藤和也でございます。
能登半島地震から一年と四か月、そして豪雨から七か月がたとうとしています。農林水産省関係の皆様には様々な御支援をいただきまして、本当にありがとうございます。復旧復興はこれからもまだまだ、特に山に関しては何年かかるんだろうということを考えると本当にぞっとしますけれども、それでも諦めるわけにはいかないということで、本当に感謝をいたしますし、これからもよろしくお願いいたします。
今日は、この国会が始まって初めて農林水産委員会で質問させていただくということで、エアリーフローラ、フリージアの一種で、石川県が開発をした花でございます。十種類ぐらい色があるんですけれども、もうそろそろシーズンが終わるんですが、どうか皆様、お知りおきをいただければと思います。花言葉は希望ということでございますので、希望をつくろうということで今能登も頑張っておりますので、どうかまたよろしくお願いをいたしたいと思います。
災害は忘れた頃にやってくるというよりも、災害は忘れる前にやってくる、そして災害は次から次へとやってくるということで、今回、大船渡を始めとした国内数か所でも山林の火災がございました。今日はそのことも取り上げていきたいというふうに思います。
経営管理法のことから質問に入りたいと思いますが、やはり皆様も、山地の方は、それぞれ皆様、議員の方もいらっしゃるのではないかなと思います。私自身も家のすぐ横が山でございまして、横といいますか、山の横に家を造ってあるような家です。そして、小さい頃は、煙突が屋根に積もった雪で壊れる前までは、お風呂はずっと木でたいていました。子供の仕事でした。そして、杉の木、すんばと言うんですけれども、それを窯の中に入れて、新聞紙も一緒に丸めて、そして木の割ったものも入れると、ばちばちばちと勢いよく燃えるということで、すんばを取ってくる、そして風呂をたくのも子供の仕事でございました。
そういうような環境にある者であったとしても、山はどんどんどんどん縁遠いものになってきています。今回の法律についても、恐らくはほとんどの方も認識はしていない。恐らく役場の方、森林組合の方は認識をしていたとしても、林業関係者も減っています。私の地元でも、すぐ家の近くにも製材所もありました。私のおじも森林組合で働いていたんですけれども、山が縁遠くなったけれども、いかにこの山を近いものに、近づけていくか、そして携わる方を増やしていくか、これが本当に重要だというふうに思っています。
その中で、一つ、この「WOOD JOB!」という映画を少し御紹介をしたいと思いますが、実は、笹川副大臣が農林委の委員長のときに、近藤君、「WOOD JOB!」という映画は知っているかということを言われまして、それで私も買って見ました。
本当に、山が近づくといいますか、こんなに大変なんだなということと、こんなに尊いんだなということが分かる映画。十年前、二〇一四年の映画で、林野庁、農林水産省も協力をしている映画でございます。主演が染谷将太さんで、長沢まさみさんであったり伊藤英明さんも出ている映画なので、かなりヒットした映画でございますので、是非とも、皆様、今ネットで四、五百円で見ることもできますし、あと、大きい声では言えないですが、御興味があれば、すぐ見たいという方は無料でお貸しいたしますので、距離を縮めていただけたらと思います。
その中で、やはり今、今回の法律の中で、この林業に携わる市町の職員の数が圧倒的に少ないということが、先ほどからもございました。そして、林業経営者、経営体も少ないということがずっと課題になってきていますが、私も、林野庁さんからお話を伺うと、この地域林政アドバイザー制度、こちらは非常にいい制度だなというふうに思っています。
ただし、今、この六年たった中で、令和五年の段階で、二百十八自治体、三百三十四人。先ほど渡辺創議員からもございました、山どころの宮崎でさえも、十四自治体、二十四名しかいないんですね。ちなみに、石川県でいきますと、二団体で四名しかございません。自治体は十九あるんですけれども、自治体ではなくて、二つの団体で三名、一名ということで、五百万円までであれば、市町であれば七割出してもらえるんですよね。
すごくありがたい制度、自治体にとってみてもありがたい制度だと思いますし、公務員の方のバランスがあると思いますけれども、もし一千万の給料を払って来てくださいということであれば、五百万までは面倒見てもらえるわけですから、山に関わる方々を増やしていくということ、特に行政に近い立場からサポートしていただくことは非常に重要だと思いますが、なぜ伸びていないのか。
市町から、もうちょっと改善点、もうちょっとここを変えてもらえればいいんじゃないかという声があるのかどうか、その点について伺いたいと思います。
○笹川副大臣 御質問ありがとうございました。
今御指摘のとおり、地域林政アドバイザーの配置についての御指摘は、全体として千七百四十一自治体のうち、六百八十六市町村でゼロ人と。ただ、これも、今言ったように林業とは関係ない自治体もありますので、そういったところをもう少し細々見ていけば、かといって分母が少なくなったからいいというものではございませんが、でも、少なくとも絶対的に人数が足りないというところは委員の御指摘のとおりだというふうに思います。
そもそも、そのアドバイザーになり得る林業技術者の不足、それからまた市町村と林業技術者とのマッチング不足が課題であり指摘もされているところでもございますので、本省としても、研修の実施や林業技術者団体への、雇用を希望する市町村の情報を提供したりしてマッチングに努めていき、それぞれこのアドバイザーの確保につなげてまいりたいというふうに思っております。
また、今般の法改正の中で、市町村の業務をサポートする法人を経営管理支援法人として指定し、市町村の体制整備をより進めていくという目的もございますので、そういったこともつなげてまいりたいというふうに思います。
○近藤(和)委員 実際には単年度なんですよね。幾ら報酬が高くても、一年でさようならされたら、八百万でも一千万でもやはり不安だということもあると思いますし、雇う側もやはり中長期というところを望んでいると思いますので、まだまだ直して、本当にいい制度だというふうにも思いますので、そもそもの土台の部分を増やしていくということ等を含めて、やはりアドバイスをしっかりしていただく方を増やしていくことも非常に重要だと思いますので、今後数年間かけて、国としての目標はないとは聞いていますけれども、何らかのインセンティブといいますか、目標的なものはあってもいいのかなというふうに思います。
そして、先ほど、委員の中で質疑がございました。根本委員との質疑の中でございましたが、今いらっしゃらないですね。この集積計画の中で、管理をするということの、間伐や保育ですか、この部分については、まあ半分でいいでしょうと。ここは改善点で、私もよかったというふうに思いますが、そもそものところが、本当にこのままでいいのかというところは問題として認識をしておかなくてはいけないんだろうなと思います。先に、ちょっと私も、根本さんの質問を聞いていて、ああ、いい質問だな、いい観点だな、大事だな、もっともっと踏み込んでやり取りしてもらえればいいなと。役所からの答弁であればちょっと否定的なのかなと思いながら、委員の方は肯定的に捉えられましたが、要は曖昧なんですよね。現場の職員の方であったり事業を託された経営体の方にとってみれば、黄色信号だよということは、恐らくは管理の範疇の中で主伐までできないんだろうな、現実的にはというふうに思いました。
この点について、ただ、せっかくの別の議員の質問にマイナスのイメージを与えてはよくないので聞きませんけれども、聞いていいですか。むしろプラスの答弁をいただけるんだったら言いたいんですが。ケース・バイ・ケース的なところで、山の管理だということであれば、主伐も含めて、今後、山の管理というのは本当に大事ですから、考えていくということであれば、前向きな答弁がもらえるのであれば答弁いただきたいんですが、こういう質問の仕方でいいですか、お願いいたします。
○青山政府参考人 今回の改正法案では、経営管理権の設定に当たりまして、育成を目的とする間伐、保育に加えて、処分行為に該当する木材の販売のうち間伐に伴うものについては、森林の形状等を大きく変更しない軽微なものとして同意要件の緩和の対象としたところでございます。
一方で、主伐や植栽は、森林の形状及び効用を著しく変更するものでありまして、また、主伐に伴い搬出した木材の販売は処分行為に該当するものとして、森林所有者全員の同意を必要とするというふうにしたところでございますが、先ほどの質疑の中で法務省からもございましたように、個別の事情により判断していくという話がございましたので、今後とも法務省等とも連携しながら、この先よく研究していきたいと考えております。
○近藤(和)委員 個別の事情により判断というのが一番現場が困るし、何でもやろうという個人の判断が働きやすいところであれば行け行けでできると思うんですが、行政に近いところはなかなか、むしろやらない方に傾いてしまうのではないかなというふうに思いますので、何とか今後、この半数だけでも結構ハードルが高い、今後高くなっていきますので、今の段階だけでも是非ともいい方向に進んでいただけたらと思います。
そして、実は、そもそもの問題として、半数でもいいのかというところも真剣に考えていかなくてはいけないと思います。半数でもいいんですよ。
例えば私の家でいきますと、私の家は元々、母の家が岡野定といいまして、そこの土地に家を建てたんですけれども、祖父から見て、私の母の兄弟は七人兄弟がいます。現在生きているのは三人で、たまたまみんな石川県なのでいいんですけれども、そこから私の代になりますと、いとこですね、いとこは三十人います。石川県内にいるのは五人しかいません。あと二十五人、親戚関係がいい家なので大体連絡は取れるんですけれども、大変ですよね。
兄弟、第一世代のところまでは半数は現実的だとは思いますが、第二世代になるともっと大変ですよね。ちなみに、第四世代でいきますと、私の兄弟だけでも三人兄弟なんですが、私の子供も含めて九人いるんですね、九人、それだけでも。いとこは三十人いますから、これを考えると、この半数というところも、この民法のところは分かりますけれども、山の管理ということでいけば、ちょっとここは、半数でよしとは思いますけれども、半数ではとどまらないということですね。
私の祖父が亡くなったのは小学校六年生のときなので、三十九年前なんですね。たった三十九年で三十数人に対象が増えて、あと二十年たてば私も生きているか分からないですから、それこそ百人ぐらいの人数になってしまうということも含めて、このままでよしとしないようなことで更に踏み込むような対応も何とか考えていただきたいと思いますが、御見解をお願いいたします。
○江藤国務大臣 元々この法律を作った段階で、市町村が前に出るということだけでも、あのときは画期的だったんですよ。
今回は、二分の一では緩いではないかというお話ですけれども、確かに、これから時代がたつにつれて、権利を持っている方々、何筆あるか分からない、山が、相続が増えると。中には全く自分が相続をしていることさえ知らない、権利を有していることさえ知らない人たちも出てきてしまっている。その中で、二分の一もハードルが高いということは分かります。
そして、主伐の話もされましたが、主伐までいくと、多分、財産権の問題になるんだろうと思います。今は安いから、しかし、売れば金になるので、二分の一以外の方々が、主伐まで踏み込むと、俺の山を売ったらしいな、金になっただろうと、二分の一に入っていない方々がいろいろ言ってくる。様々な問題が民法上あるんだと思います。
やはり、法律に照らしてどうするのかということは問題でありますので、個人の私有財産を侵害するようなことが極力ないために、形状を変えないというところで踏みとどまったということであって、間伐であれば、逆に山の価値が上がるということになるんだろうと思います、将来的に。ですから、財産権の侵害にはほぼほぼならないんだろう、客観的な評価として。私の主観ですけれども、そういうふうに思うので。
今回、やはりこれが限界かなと思いますが、委員がおっしゃるように、これからの時代の流れを考えると、果たして二分の一でいいのか、しかし、私有財産である以上は、そこにどれほど法律上踏み込めるのか。私は法律家では全然ないものですから、しっかりと答弁ができませんけれども。
慎重な議論、個別に判断するというのはなかなか。個別というのは、言われるように、個別になると、何であいつはよくて俺は駄目なんだみたいな話にもなりかねませんし、どちらかというと、個別判断になるとネガティブな方に流れる傾向が強いというのもそのとおりですので、少し時間をかけた課題として受け止めさせていただきます。
○近藤(和)委員 今回、例えばですけれども、経営を任される主体が、木の価値を例えば十年だとか二十年だとかプールして、もし訴えられたら、例えば返却、それに応じるかのような形も含めて、財産権もどこまで請求できるかといったところもあると思いますけれども、やはり、山を管理していく、切るべきときに切らないと、せっかくの価値あるものがなくなってしまいますので、そこも考えていただきたいなと。むしろ、曖昧な答弁で、何とかしなきゃいけないなと共有していただいたということで、ありがとうございます。
では、大船渡のことにちょっと触れたいと思いますが、網のところは特例ということで四分の三まで引き上げる、そしてまた海の小屋のところ、漁具などを収めているところもしっかりと支援をしていく。これは漁業関係者の方も喜ばれていました。
ただ、そこでまだ足りないものがある。ワカメのボイルの機械などが焼失してしまったということに対しては、今のところは支援はないですよね。あっ、それでは答えてください。
○庄子大臣政務官 お答えをさせていただきます。
私も大臣と一緒に四月四日の日に現地に訪問してまいりまして、漁業関係者の皆さんからもお話を伺ってまいりました。
今御指摘の、大船渡綾里につきまして、ワカメの養殖業者五十六人全員の方が今、操業は継続をできておりますが、中には、ボイルをせずに生で安価で出荷をするということで御苦労されている方もおられます。こうした皆様の水揚げが減少した場合につきましては、漁業共済、そして積ぷらによります減収が補填をされますし、また、農林漁業セーフティネット資金の活用も可能となっております。
現在、県が被害状況を取りまとめをしているところでございますが、この操業に向けた対応につきましては、個々の事業者が機材を新たに、今の釜を調達するか、あるいは共同で取り組んでいくことにするかなど、関係者の今後の考え方もよく伺いながら、地元の自治体とよく相談をして進めてまいりたいというふうに思っております。
○近藤(和)委員 個人には支援はしにくいというところで、共同であれば考え得るということであれば、しっかりと言われればいいと思います。伺うと、ワカメは全部綾里の漁協に出しているそうなので、漁協が買った上でそれを貸し出すということであればこれは簡単に問題クリアできると思いますので、何らかの形で、できないことじゃなくて、できる方向だよということは言ってあげれば、やはり被災者の方もみんな不安ですから、その方向性を言われるだけでも安心できるのではないかなというふうに思います。
最後に、能登の山のことについて伺います。
能登の山は、国直轄事業も相当していただいています。ありがとうございます。そして、林道も含めていけば、ただ、相当な数がございます。国直轄事業は十年というふうに聞いていますけれども、また、この災害の復旧事業については原則三年だと。災害復旧、石川県が主体のもので、九割程度国からお金が出されるものは原則三年だと聞いていますが、三年で終わるはずがないんですよね。恐らく、国の事業も、到底じゃないですが、十年で終わるはずがありません。
木を植えるというよりも、山そのものが崩れてしまっていますので、現地の皆様にとってみれば、本当に直してもらえるのかということ、そして、自治体の方々にとってみれば、今の激甚災害としてのちゃんと支援をしてもらえるかということなんですが、この原則からはみ出るような形での支援をしていくんだというふうにお願いをしたいんですが、見解をお願いいたします。
○江藤国務大臣 端的に申し上げますと、柔軟に対応いたします。
この規模でありますから、箇所的に、治山、林道だけで八百七か所、今のところ、指定されているだけのところですけれども。ということでありますから、予算的にも、六年度で治山で百四十三億はつけております、林道で十五億つけておりますけれども。
これが三年の復旧それから十年という期間で終わる、終わらせたい、ですから、それは諦めてはいけないんでしょうけれども、しかし、現実的にはやはり一番現場を御存じの先生から見て無理だということであれば、十年たったらぶつんと切れるということはないということは、しっかり先生の口からも地元の方々にもお伝えいただきたいし、我々農林水産省、林野庁としても、それについては柔軟に対応する。
実績として、東日本大震災とか球磨川の水害の実例が前例としてありますので、こういった大規模災害の例を参考にしてやれば柔軟な対応が可能だというふうに考えております。
○近藤(和)委員 柔軟に対応ということで、ありがとうございます。
それでは、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○御法川委員長 次に、池畑浩太朗君。
○池畑委員 日本維新の会、池畑浩太朗でございます。兵庫県の西播磨、中播磨から参りました。
今回も質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
本日は、森林経営管理法及び森林法の一部を改正する法律案に関して質問させていただきたいと思います。
まずは、先日、この法案の一部改正についていろいろ地元の方々と議論したいということで、国政報告会を今回の件で開かせていただきまして、二百五十人以上集まっていただきまして、いろいろと御意見をいただきました。それを織り交ぜながら質問させていただきたいと思います。
今回、まず、森林環境税の有効活用について質問させていただきたいと思います。
これは六年前ですか、森林環境譲与税は、令和元年開始以来、着実に増加をしてきているということでありました。間伐材の森林整備関係などに活用されてきたということであります。しかし、令和元年度頃から令和五年度までの譲与額の合計が二千億円であったのでありますが、活用額の合計は千四百三十九億円となっておりまして、約七一%の活用にとどまっております。
いろいろと、こういう状況というのはよくあることでありますが、令和六年度から新たに森林環境税が徴収されておりますから、国として、活用する側の地方自治体に有効な活用を促すべきではないかというふうに思います。地方からの、有効に使うという広報をしっかりし直していくべきじゃないかということもありました。
このままでは、近隣の切捨ての間伐材がただ増えるだけじゃないかという御意見もたくさんいただきましたが、まずは、大臣もたくさんこれは思い入れがあるということをお聞かせいただきました。是非、そういったことも含めて活用例、そういうことがありましたら御紹介いただき、また、そして答弁をいただきたいというふうに思います。
○江藤国務大臣 この森林環境譲与税につきましては、自民党の中でも激烈な闘いがありまして、大変思い入れが強い、委員がおっしゃるとおりなんですけれども。
やはり、森林環境譲与税ですから、国民の皆様方にいよいよ御負担をいただく段階になって、この名前のとおりに私は使うことが正しいんだろう、名は体を表すというふうに申しますので。決して都会に住んでいる方々の御理解をいただくということが不適切だと言っているのではありません。そういった地域にいる方々が多くの税負担をしていただいているということもこれまた一方で事実でありますから、都会に住まわれる方々が地域材を利用していただく、そして環境に対する理解をしていただく上で、こういったお金を使われるのも有効ではあります。
ただ、ちょっと一例だけ示させていただきますと、私の宮崎の西米良村という小さな村があるんですけれども、人口は約千人しかいません。歳入が三十五億円、税収は一億三千万しかないんですよ。そこが、林業費を九千万、再造林の上乗せに一千万払っております。もう本当にとてつもない負担に耐えてきた。こういうところにお金を渡すことがやはり有効だろうと思います。まさに林業の村ですよ。
今回の見直しを五%だけできましたけれども、一千五百万増やすことができました。総額五千五百万になりました。ですから、自分としては、本当は今回の見直しも一〇%ということで努力をしたんですが、自民党税調の中で、いろいろな議論の中で半分の五%になりましたけれども。
委員が御指摘のとおり、かつて、この森林譲与税を上げても、積み立てているだけで有効な利用をしていなかったじゃないかという御指摘がありました。しかし、それも、林野庁がしっかり様々な御指導をして、使い方の見直しもしました。その結果、現在では、令和五年度の数字ですけれども、九〇%を超える利用率となっています。
ただ、一年に渡る金が例えば数十万円とか十五万円とか、そういうところもあるんですよ。そういうところに単年度で使ってくれと言っても、余りに金額が少ないので、そういうところは仕方がありませんが、しかし、ある程度の金額があるところはしっかりと、国民に御負担をいただいている以上は、これに使ったという実績を示すこともやはり山の責任だと思いますので、そういった指導も重ねて林野庁としてはやってまいりたいと考えております。
○池畑委員 大臣、丁寧に例を挙げていただきまして、ありがとうございました。分かりやすかったというふうに思います。
森林環境税が徴収される年になってきました。今、名は体を表すということをいただきましたので、是非、農林水産省と一体になって、広報も含めた形で、こういうふうに使っていただきたい、そして、市町村や県に対して、こういうふうにあるべきだということは是非言い続けていただきたいというふうに思います。ありがとうございます。
次に移らせていただきます。
次は、経営管理集積計画の要件緩和の効果について。これはもう午前中、後半になってきましたので、いろいろな委員からも出ておりますが、このまま推し進めていきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
本法律案については、所有者の不明森林及び共有者の不明森林について、なかなか所有者を特定することができない、探し当てることができないという場合の市町村への経営管理決定権に係る公告期間を、これまでの六か月から二か月に短縮することとしておられます。
公告期間の短縮は、市町村の事務負担の軽減のための措置としてやられているというふうにお聞かせいただきました。市町村の負担軽減というのはかなりありがたいことだというふうに思いますが、私の地元のたつの市も、住宅街も多いんですが、かなりの森林組合の方がおられて、こういった御意見もよく出ておりました、事務負担の軽減ですね。
その中で、これから所有者の不明森林等に係る特例措置の活用がどの程度増加するのか、政府の見込みについてお伺いさせていただきたいと思います。
○青山政府参考人 お答えいたします。
森林経営管理制度の運用上、特に市町村の負担が重いのは、森林所有者の探索と同意の取得でございます。共有林につきましては、不在村化や相続などを契機に共有者の一部の所在が分からなくなっている場合がございまして、大きな負担が発生しております。
今般の改正案では、共有林における間伐やそれに伴う木材の販売及び保育を行うための権利取得に係る同意要件を、共有者の全員から二分の一超に緩和する。それから、委員から御指摘のございました所有者不明森林等に係る特例の公告期間も六か月から二か月に短縮する。
これらによりまして、権利取得に要する市町村事務の負担が軽減され、集積、集約化の一層の促進が図られるものと考えております。
今回は、全体で、五年間で集積、集約化される私有林人工林の面積の割合を四割から五割まで引き上げるというKPIを立てているのでございますけれども、そういった、具体的に所有者不明森林の特例を利用するということについて、私ども、大きくなるだろうというふうに思っておりますけれども、全体として、市町村の負担を軽減して取組を進めていきたいというふうに考えているところでございます。
○池畑委員 これは、所有者の負担、また市町村の負担を軽減するということが主なことでありますから、これからどうなるかということに対しては、これからだというふうに思っております。
続きまして、協議の場の設置を促進する必要性について、本法律案では、集約化構想を作成する場合は、行政、林業経営体、森林の所有者、川中、川下の事業者の関係者の協議の場を設置することとしておられます。
協議の場については、周辺の小規模分散森林も加えた集約化や、効率的な路網配置を計画するなど、面的なまとまりをもって林業経営体の方々に権利設定を行っている取組が既にありますが、その中で、このような森林の受け手となる林業経営体や路網整備等の方針といった地域の将来像を定める場を設けるということは、大変重要であるというふうに私たちも考えております。
協議の場の設置について、集約化の構想の作成と、確定ではなくても、一体経営管理森林が存在する市町村において積極的に行われるように促すことについて、農林水産省の見解をまず伺いたいと思います。
○青山政府参考人 お答えいたします。
現行制度における林業経営体への権利設定につきましては、森林の所有が分散している中、まとまった形での森林の集積がうまく進められていないという課題がございました。
アンケート等によりますと、協議会を立ち上げて集約化につなげた優良な事例がありましたので、今回の改正法案では、市町村の下で林業経営体や森林所有者など地域の関係者が話し合っていただき、あらかじめ集積、集約化の方針や対象森林、受け手を定める集約化構想を策定したところでございます。
これにより、出し手を含めた地域の関係者の関心と理解が高まるとともに、受け手による働きかけなど主体的な取組が可能となると考えております。
これらを通じて、集積、集約化の一層の推進を図ってまいりたいと考えておりまして、私どもも制度の周知に努めていきたいというふうに考えております。
○池畑委員 農林水産省と打合せをしているときも、資料を見させていただきながら、かなり県によっては差が出てきている、また人によって結構促し方が違うんだろうなというふうに思いました。是非、連帯をしながら、林業経営者の方々とも現場を見ながら進めていただきたいというふうに思っております。
次に、経営管理支援法人への支援対策について質問させていただきたいと思います。
これも、近藤委員からもありましたけれども、人員不足により林野行政の体制が十分ではない、そういった市町村が多いというふうに思っております。本法律案によって措置されています経営管理支援法人への業務委託は、市町村の森林経営管理制度への取組制度の強化や業務負担の軽減に資するものというふうに考えられるというふうに書かれておりました。
本法律案の支援法人に対する国等の支援は、情報提供や指導助言というふうになっていましたが、支援法人の活動を促進するための予算措置や税制措置など、具体的にちょっとお聞かせいただきたいと思います。
○青山政府参考人 お答えいたします。
経営管理支援法人のメリットとしましては、市町村に対し、業務の遂行に必要な森林所有者関連情報の提供を求めることができるということ、さらに、市町村に対して、集積計画や集約化構想の策定を提案することが可能となるところでございます。
また、この法人は、本法案に基づき市町村から指定を受けることで、一定の信用力が担保され、活動に当たって、住民等の関係者の理解が得られやすくなるというふうなことが考えられます。
こうした法人に対しまして、市町村等は、森林環境譲与税を活用して業務を委託することができるようになります。
農林水産省としましても、幅広い方々が参入して、市町村に経営管理支援法人として指定され、制度全体が円滑に運用されるよう、支援法人制度の周知や取組事例の普及に取り組んでいきたいと考えております。
○池畑委員 これは参入をどんどん促進していくということでありますので、次の質問につなげていきたいというふうに思っておりますが、森林所有者の利益確保について、改めて質問させていただきたいんです。
我が国の人工林は、本格的な利用期を迎えているというふうに思います。これはよく、利用者、経営者の方からもお聞きするんですが、大径木材の利用の仕方、これからの活用の仕方ということについても、具体的にどうやっていくかということは、現場ではやっているんですが、国としてもどういう方針かということも聞かせていただきたいという話もある中での質問なんです。
長期にわたり、木材価格が低迷しております。森林所有者の手元に残る立木価格は、昨年の三月末あたりで、一立米当たり、ヒノキが八千九百四十円、杉は四千百二十七円となっておりまして、最高価格であった一九八〇年と比べて約八割も下落をしております。その中で、林野庁の白書等でも認めておられますが、これでは森林所有者の林業経営の関心が薄れてしまうというふうに我々は思っております。
森林の適切な利用がされないおそれがある。森林所有者の関心を高めるためには、森林所有者の利益をきちんと確保していく必要があるというふうに思いますが、農林水産省が今の段階で考える、いつも考えていただいているというふうに思いますが、今の段階での施策、どういうふうに行っていくかをお聞かせいただきたいと思います。
○笹川副大臣 御質問ありがとうございました。
度々群馬県の話をして恐縮なんですけれども、群馬県も、私のところは関東平野のとば口であります。中山間地があります。群馬県としても、やはり森林整備が大事だということで、実は、県民税を上乗せした形で入れよう、基金をつくってやろうといったときに、私のところは、やはりなかなか難色を示したんですよ、うちは山がないんだから関係ないと。群馬県でもそういう話がありましたが、いや、そういうことじゃありませんよと。やはり森林整備することで、例えば災害の対応だとか強化できますよね、災害が起きにくくなりますよね、木はこういう役割があるじゃないですかとか、いろいろな話をして、まあ、それならみんなでやっていこうという話になって、県内全市町村、賛成をして、導入をしたという経緯がございます。
ですので、今回の法改正によって、やはり木材の供給力を上げていく、効率化をして上げていく。しかし、その先の川下の中で、やはり消費と呼ばれるものをどう拡大していくのか。そしてまた、山が身近にない住民の皆さん方に山を身近に感じてもらって、木というものを身近に感じてもらう、これも大切なことですから、やはりそういった多面的な取組というのは我々農林水産省としてもしっかりと取り組んで、強化していかなきゃいけない。
同時にまた、一つの事例とすると、住宅はアルミサッシが主力じゃないですか。しかし、実は、木材を使った枠組みというのはあるんですよね。これは、性能は、耐火性についても劣るものではございません。見た目でも物すごく感じの違ったものになってきますから、そういった魅力というものを伝えていく。
そして、商品が、こういうのがありますよということと、もちろん、中層ビルにも活用できるぐらいにまた強度も上がってきましたから、そういったところをやはり多面的に政策を広げていく、このことだというふうに思います。そのことが山の利益につながるというふうに、やはり川下対策も大切というふうに思います。
○池畑委員 笹川農林副大臣、ありがとうございました。その点も分かりやすかったですし、実体験を基にお話をいただきました。答弁書も見ずにお話をしていただきまして、ありがとうございます。
我々は、今笹川副大臣がお話をされた内容そのままだというふうに思います。大空議員も農地がないという質問をされておられましたけれども、是非、地域でどういったことを取り組んでいるかというのを見ていただきたいですし、この委員会の場でも知っていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
その中で、森林経営体の育成の必要性について改めて質問させていただきたいと思います。
森林経営管理制度に係る都道府県、市町村のアンケート、これは今長官からもありましたけれども、制度の手続以外の課題としては、森林整備を担う林業経営体がいないに当てはまる、やや当てはまると回答した地方自治体が約五七%に及んでいます。
二〇二〇年の農林業センサスにおいても、令和二年度の林業経営体数は三万四千経営体、平成二十七年の八万七千経営体から大幅に減少しております。さらに、個人経営体が八二%の二万八千経営体と、その大半を占めている状況であります。
森林経営管理制度を運用するためには、制度の受け手となる林業経営体の育成が急務であるというふうに考えますが、政府の現状認識と林業経営体育成のための取組について伺わせていただきたいと思います。
○青山政府参考人 お答えいたします。
森林資源の循環利用を図っていく上で、林業経営体を育成していくということは重要でございます。
新たな仕組みによりまして森林の集積、集約化が一層進むことで、林業経営体は、面的なまとまりを持って森林を経営管理することが可能となり、施業の効率性が向上するほか、中長期にわたって森林施業を行う権利を取得するため、林業経営の安定化にもつながると考えており、こうした点の周知にも今後取り組んでいきたいと考えております。
さらに、森林所有者への施業提案による合意形成に取り組む森林施業プランナー等の人材育成や、高性能林業機械の導入、路網の整備による林業経営体の収益力向上などによりまして、林業経営体への支援を引き続き実施してまいりたいというふうに考えております。
○池畑委員 ありがとうございます。
ただ経営体が少なくなりましたよねという質問だけではちょっと能がありませんので、次の質問を続けていきたいと思いますが、随分やはり経営体というのは下がり過ぎだというふうに思っております。
ここでは、農林水産委員会でありますから、農業、林業、水産業の担い手の話というのは常にさせていただいておりますけれども、その中で、林業の担い手育成について質問させていただきたいと思います。
林業の経営体の育成と同時に林業の担い手を育成するには、どんどん進めていかなければいけないというふうに思います。国政報告会を行いました宍粟市では、兵庫県立森林大学校があります。これは、「目指せ!森を育てるエキスパート」というスローガンの下、高校卒業生から四十歳以下の方が二年間にわたって勉強する施設があります。
近藤委員からも紹介がありました「WOOD JOB!」というやつがありますが、あれはいいですね。ですから、是非ツーを作っていただけるぐらい、農林水産省も是非これを見て、やはり林業をやってみたいなというふうに思われる方が多分多くおられるというふうに思います。そろそろツーを作っていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたしますということ、これは質問ではありませんが。
その中で、森林業の新規就労に当たってネックの一つとなっていますのが、高い労働災害の発生率であるというふうに考えております。林業は、ほかの産業の約十倍の労災、労働災害発生率でありまして、労働安全対策が急務であるというふうに考えますが、まず、政府の労働安全対策についての取組について伺わせていただきたいと思います。
○青山政府参考人 お答えいたします。
我が国の林業従事者は、長期的に減少傾向にございまして、二〇一五年から二〇二〇年にかけては横ばいに転じ、直近では四万四千人となっているところでございます。
他方で、林業における林業従事者の年間給与は全産業平均よりも低く、また、労働災害の発生率は他産業と比べて高い状況となっておりまして、将来にわたって林業の担い手を確保、育成するためには、こうした状況を改善していく必要がございます。
このため、高性能林業機械の導入、路網の整備による林業経営体の収益力の向上と、緑の雇用事業等による新規就業者の確保、育成、林業労働安全研修や労働安全衛生装備、装置の導入などへの支援を行ってまいりまして、こうした労災の問題も踏まえて、担い手の育成に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
○池畑委員 大学校で勉強される方や新たに参入されようとされる方に、やはりそういったことも含めて整備されている、今、長官からも答弁ありましたとおり、いろいろと取り組んでいただいていることを踏まえて、やはり告知も必要だというふうに思いますので、是非よろしくお願いいたします。
また、新しい人材の確保は大変重要であるということはずっと言い続けておりますが、先ほど紹介させていただきました、宍粟市にあります兵庫県立森林大学校でありますけれども、林業の担い手を育成するのは、林業経営を教える高校もあります。林業大学校への支援及びこれから学校へ進学する方々への広報を含め、どういった形で取り組んでおられるのかを農林水産省として聞かせていただきたいと思います。
○青山政府参考人 お答えいたします。
林業大学校につきましては、研修用の林業機械のシミュレーターや傾斜地の伐倒に慣れるための伐倒練習機の導入、スマート林業を学習するためのコンテンツの作成や教職員を対象とする研修などへ支援するとともに、林業大学校で学ぶ青年に対する給付金を給付しているところでございます。
林業高校というのは、農業高校の中で林業科を設けているところでございますけれども、そういったところへも、いろいろな面で表彰制度を設ける、そういったことで林業に興味を持っていただくでありますとか、先生方の研修ですとか、そういったことをお手伝いしているところでございます。
今後とも、こういった施策を着実に進めてまいりまして、林業の担い手の育成に努めてまいりたいというふうに考えております。
○池畑委員 そういった上で、やはり映画の広報だったり、さっき言った「WOOD JOB!」ツーであったり、やはりかなり有効だというふうに思いますので、是非農林水産省も、いろいろなツールがあるというふうに思いますので、どんどん広報していただきたいと思います。
それでは、最後の質問に移らさせていただきたいと思います。
外国資本による森林の取得についてお伺いさせていただきたいと思います。
外国資本による森林取得は、林野庁の調査結果によれば、令和五年に、居住地が海外にある外国法人又は外国人の方だろうと思われるものは、三十三件、百三十四ヘクタールが取得されました。
そのうちの多くは、利用目的を資産保有や別荘地の購入としておりますが、利用目的が不明であるものがあります。不明というふうに記載されているものもあるんですが、その不明とされているものについて、このまま不明のままにしておくのではなくて、利用目的を更に調査する必要があるというふうに考えます。
一ヘクタール未満は記入しなくてもいいという備考欄があるそうなんですけれども、そこも含めて是非進めていただきたいというふうに思いますし、この調査結果では、平成十八年から令和五年までの累計で三百五十八件、二千八百六十八ヘクタールもの森林が取得をされております。
これまでの取得状況について、政府はどのように分析をしているか。国土計画法だとか、国交省にまたがったり、内閣府にまたがったり、幅広い形でこの法律が関わっているわけでありますけれども、今回は、外国資本や外国人による森林の土地取得の制限は、我々は一定行うべきであるというふうに考えておりますが、農林水産大臣の見解をお伺いさせていただきたいと思います。
○江藤国務大臣 大事な御指摘だと思っています。
安全保障上のこともありますし、日本では水は当たり前にあると国民は思っておりますが、国によってはもう水が出なくなっているような国も今、出てきておりますし、世界的には水はワインよりも高い国は幾らでもあるわけでありますから。やはり、水源を含めて国土保全そして安全保障上もどう森林に向き合うか、そして外国資本の所有についてどう考えるか、大事な視点だと思っています。
重要土地等調査法がありました。このときも全く議論にならなかったわけじゃないんですよ。しかし、そのときには、現行の制度の運用状況、それから効果を見極める必要があるというような縛りというか仕切りになって、対象となりませんでした。ですから、不明のところが三百二十三ヘクタールもあるわけですから、こういったものについてはやはり慎重な検討が私は必要だろうと思っています。
しかし、外国人だから駄目ということはなかなか今の法制度上は難しいんですけれども、しかし、農地については、この間御議論させていただきましたように、居住実績がないとか、様々な方については制限をするということまで踏み込みましたので、林野の部門の方は、今日御指摘いただきましたことも十分踏まえて、検討に値する課題だというふうに私は理解いたしております。
○池畑委員 大臣、ありがとうございました。検討に値するというふうに答弁をいただきました。
一ヘクタール未満の備考欄なんて、ちょっと小さい話なんではありますが、やはり一事が万事でありまして、是非、そういったことも踏まえて、安全保障の観点からも、農林水産省としてもこういった取組は必要だというふうに思っています。是非進めていただきたいというふうに思います。
それでは、私の質問を終わらせていただきます。
○御法川委員長 次に、許斐亮太郎君。
○許斐委員 国民民主党・無所属クラブの許斐亮太郎です。
本日は、質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
まずは、この時期にちなんだ質問から始めたいと思います。
私は花粉症です。春のにおいを嗅ぐとくしゃみが出る。春の空気を吸うと喉が痛い。そして、目は少しかゆい。これが私の症状です。小学校四年のときに発症して以来、四十年余り花粉症とつき合っています。今では国民の四割が罹患していると言われている、もはや国民病です。林業分野での杉花粉症対策は、花粉の発生源を減少させることです。
そこで、大臣にお伺いします。
大臣は、今国会の所信表明で、「花粉症対策を着実に実行してまいります。」と述べています。また、政府では、令和五年の花粉症対策初期集中対応パッケージにおいて、意欲ある林業経営体への森林の集約化が示されています。そこで、今回の法案の集約化構想においても、その花粉症対策の視点は入っているのでしょうか、大臣の考えをお伺いいたします。
○江藤国務大臣 条文には書き込んではおりませんが、しかし、集積を進めて、しっかりとした担い手の方々に集めてスピードを上げるということであれば、伐期を迎えている山において、いわゆる高齢の木が非常に花粉を大量に発生させますので、こういったものは切られるということになりますから、非常に効果があるというふうに思っております。
そして、花粉の少ない苗木もしっかり植えていただく。それについては、この計画に基づいてやっていただいた方々については、まだ、実は十分じゃないんですよ、再植林に当たるに十分な苗木の生産がまだできておりませんので、日本国内では。宮崎でも取り組んでいる人がいるんですが、思ったよりも難しいみたいです、思ったよりもですね。
ですから、そういった技術指導も含めて、花粉が少ない苗木をしっかり供給できる体制を築いて、そして計画に基づいて、間伐も含めて、森林の管理をしていただいている方々に対してはこういった苗木を提供すれば、花粉の量は総体的に減っていくという政策効果は得られるものだというふうに考えております。
○許斐委員 ありがとうございます。
そのパッケージでは、令和十五年度までに杉人工林の二割の減少の目標を目指しています。そして、その中で、杉の伐採に加えて、花粉の少ない苗木への植え替えによって飛散を減らす取組も当然あります。
私は、その中でも花粉の少ない杉、特に無花粉杉に期待しています。品種の開発です。
一九九二年、最初に富山県富山市の神社内で無花粉杉が見つかりました。偶然に見つかりました。それをベースに開発した、その名も、はるよこい。そして森林総合研究所で選抜、品種登録された爽春。そして静岡大学が今年開発した春凪。これまた、何か春が好きになりそうなネーミングのものが次々と開発されています。
このように様々な品種が出てきて、私は、うれしい反面、どこが主体となって開発しているのか、そして、これは一体どの品種を今後中心として据えていくのか、疑問に思いました。
そこで、これらの無花粉杉の導入についての質問です。
無花粉杉は、基本的に劣性遺伝なので、種から苗木を作ることが困難です。挿し木によるクローン苗木が主流です。そのために、値段も高くて数が少ないというのが現状だと思います。導入する品種も含めて、今後、どのようにして無花粉杉を全国の人工林に広めていくつもりなのか、教えていただきたいと思います。お願いします。
○小坂政府参考人 お答えいたします。
花粉症対策苗木には、委員御指摘のとおり、全く花粉を出さない無花粉杉、それ以外にも、少花粉杉、低花粉杉というのがあるんですけれども、この無花粉杉は、林野庁が策定したスギ花粉発生源対策推進方針、これに基づきまして、国立研究開発法人の林木育種センターや複数の都県の試験研究機関によって開発されております。現在、全国で二十八品種あります。この無花粉杉の開発や苗木の供給に当たっては、これらの機関が連携して取組を進めております。
こうした無花粉杉の苗木を供給するに当たっては、当然、地域の特性に応じた品種を選んでいくということになりますし、さらには、林木育種センター等における原木苗木の生産、それを使った採種園、採穂園の造成、さらには民間事業体による苗木生産、こういったものに対して増産体制が図れるような支援を林野庁としても進めているところでございます。
さらに、令和五年度から、細胞増殖により苗木を大量増産する新たな技術の開発、こういったものに取り組ませていただいています。この技術が確立すれば、花粉が出ないことから、議員御指摘のとおり、生産効率の低い無花粉杉の苗木生産の課題が解消されるというふうに期待しているところでございます。
いずれにしても、こういった取組を通じて、無花粉杉を始め花粉症対策苗木が安定的に供給できるよう、頑張っていく所存でございます。
○許斐委員 ありがとうございます。
細胞培養、非常に期待しています。
また、花粉症対策には、杉から杉への植え替えではなくて、広葉樹にしていく視点もあります。私は、地域に合った森をつくっていくべきだと考えています。地域の気候、地域の地形、地域の生態系、地域の動物、これらと経済性をマッチングさせた、多様性あふれる森づくりが必要だと思っています。
森には、材木の供給だけでなく、災害の防止、CO2の削減、水源、そして心の癒やしなど、様々な役割があります。そこで、大臣が考える日本の森の将来像を教えてください。
○江藤国務大臣 なかなか難しい質問だと思います。
やはり、まず荒れていない山であってもらいたいと思います。私も、地元に帰って車で走ると、間伐が全くされていなくて、鉛筆のような木がいっぱい生えていて、中には倒れている木もあって、真っ暗な森、光が差し込まない森、そこには、委員が言われた心の癒やしとか水源機能の発揮であるとかいわゆる保水力であるとか、そういったものは発揮はされません。
やはり、一九五〇年、戦中戦後から、日本は復興期に当たって無理な造林をしたという背景があります。標高が高過ぎるところや大変急傾斜なところ、川沿いぎりぎりまで植えたり、そういったものはありますので、今回の法律もちゃんと生かして、やはり計画をしっかり協議会で作って、それに基づいて、しかし花粉も出ないような木も植えて、そして、できれば、山で暮らしている獣というか動物は山から下りてこなくても生きていけるような、そういう山になってくれれば一番いい。やはり、そういう生き物と人間との共生というのが最終的な目標として私はあるべきだと思うんですよ、難しい話ですけれども。
ですから、針広混交樹の山をつくるということも含めて、様々な、山の形はそれぞれの特性によってありますが、是非委員のお考えも聞かせていただければと思います。
○許斐委員 ありがとうございます。
やはり、この時期には新緑、そして秋には紅葉がある、これを見ることも、日本人にとって非常にうれしいことといいますか、心の癒やしにつながりますので、まさにそういう山がどんどんどんどんこれからも続いていく、そのような日本であってほしいと私は願っております。
続きまして、先ほどの花粉症初期集中対応パッケージでも、伐採や植え替えに必要な林道や路網の整備の推進も実は掲げられています。林道や路網は、災害時に集落の孤立を防ぐ代替路になります。また、森林火災における消火活動や防火帯としての役割を担うなど、重要なインフラです。さらに、路網は林業従事者の命を守ります。先ほど労災の話がありましたが、山で事故が起きたとき、いち早く治療を行う、病院に向かうための道、すなわち命の道です。
そこで、今回の集約化構想をお伺いします。路網整備の推進のために本法律案をどのように活用していくのでしょうか。集約化構想においては、作業路網の整備方針は定める事項として例示されていますが、この路網整備を最優先事項として協議するべきではないでしょうか。政府の考えをお伺いいたします。
○青山政府参考人 お答えいたします。
効率的な施業の実施を実現していくためには、効率的に路網を整備することが重要でございます。
このため、今般の改正法案で導入する集約化構想では、関係者で協議し、受け手となる林業経営体を誰にするかを定めるとともに、効率的な路網の整備について、その方針を定めることとしております。
また、集約化構想に基づく権利設定を進めるに当たりまして、所有者が不明な森林や同意が得られない森林が存在した場合、一定の手続によりまして、市町村に経営管理権の設定を可能とする特例を措置しているところでございます。
集約化構想の仕組みと併せまして、こうした特例を活用することで効率的な路網整備を進めるということを考えていきたいというふうに考えております。
○許斐委員 特例の利用、承知いたしました。ありがとうございます。
路網は林業の生命線です。花粉症対策もありますけれども、この集約化構想、まずは道路ファーストだと私の意見を申し上げて、次の質問に移ります。
次は、集約化地域における受け手となる林業経営体についてお伺いいたします。
どのような林業経営体を想定して、その基準はどのようなものなのでしょうか。また、個人事業主、いわゆる一人親方や三、四人のチームで行う自伐型林家という小規模経営体がこのスキームに乗ることはできるのでしょうか、教えてください。
○青山政府参考人 お答えいたします。
集約化構想の受け手につきましては、経営管理を効率的かつ安定的に行う能力を有すること、経営管理を確実に行うに足りる経理的な基礎を有すること、この二つの要件に適合して、都道府県によって公表される林業経営体としておりまして、規模については要件とはしておりません。
このため、これらの要件に適合する者であれば、自伐型林家なども集約化構想における受け手となり得ます。
また、この要件は、現行制度の要件と同一のものとしておりまして、現行制度で公表されている林業経営体の中には、実際に規模が比較的小さい方も入っているところでございます。
○許斐委員 ありがとうございます。
二つの要件、承知いたしました。小規模であってもこのスキームからはじかれないという確認ができました。ありがとうございます。
一人親方、自伐型林家は、林業の大切な担い手です。林業経営体の数ベースでは、八割が小規模経営体です。林業の活性化、林業に人手を定着させるためには、その小規模事業者の手取りを増やすことが不可欠であると思います。そのためには、今回の集約化構想において、大きな資本の経営体がまず受け手となって、小規模事業者がその下請、孫請で作業をするという形ではなくて、小規模事業体が市町村とダイレクトで契約した方が、手取りは当然増えます。さらに、市町村であれば、林業で多い口約束の契約ではなくて、林野庁がひな形を作ってまで取り進めている契約書も確実に交わすことができます。
そこで、今法案で、公共事業のように難易度によって業者をランクづけするなどして対応すれば、小さな事業者でも、その役割が明確になって集約化構想に参加しやすくなると思います。意欲ある経営体ならばなおさらです。
質問です。こういった仕組みを検討することを踏まえて、小規模な集約化計画ならば、一人親方や自伐型林家が委託を受けやすい環境を整備した方がよりよいのではないでしょうか。また、事業者支援を行うべきではないでしょうか。政府のお考えを求めます。
○笹川副大臣 御質問ありがとうございました。
委員の御指摘の自伐林家、小規模林業経営体、これについては、やはり、地域の林業を支えていく大きな、担い手の大切な役割を果たしているということでありますので、令和三年の森林・林業基本計画にも位置づけをさせていただいております。現行、本省でも、農林水産省においても、様々な支援を行っているところであります。
また、令和七年度から、小規模な林業経営体が伐採等により、本格的に森林資源を活用する活動を新たに支援をするということになっておりますので、この法改正においても、小規模な林業経営体を含めて、集約化構想の受け手となることを希望しております意欲のある林業経営体については、幅広く集約化構想の協議の場に参加できるように運用をしてまいりたいというふうに思います。
改めて、市町村がしっかりと今回の件についても周知をしていただく、そういったことについてのアドバイスについても我々も努めてまいりたいというふうに思っております。
○許斐委員 ありがとうございます。
手取りを増やすためには、国産材の需要を増やすことや木材に付加価値をつけること、また、川上と川上をスムーズにつなぐこと、そして、山元立木価格を上げることが重要です。それに加えて、この瞬間にも、山に一人で入って、一人で木を切って育てている、そういう人たちの賃金、そして現場の環境にしっかりと思いを寄せることも必要だと思います。江藤大臣、飫肥杉を始めとして、杉の名産地出身の大臣として、何とぞよろしくお願い申し上げます。
変わりまして、林地開発許可制度についてお伺いいたします。
早速ですが、今回の法律案では、許可条件に違反すると、中止命令や監督処分を経ずに罰金を科すことができるようになっています。その金額について質問です。
罰金の金額について、個人、法人共に三百万円以下の罰金となっていますが、この金額の根拠は何でしょうか。例えば環境省の廃棄物処理法では法人に対する罰金は三億円以下となっているので、今回の法律案についても、法人に対してはもう少し重罰化すべきではないでしょうか。お答えください。
○青山政府参考人 お答えいたします。
この法律の前に、平成二十八年の森林法改正によりまして、違法な林地開発について罰則を強化しました。そのときは、罰金を百五十万円から三百万円に引き上げるとともに、三年以下の懲役刑を新設したところでございます。
この罰則につきましては、土地の開発行為に係る他法令の行政罰とのバランスと実効性の観点を踏まえて設定したものでございまして、森林法における行政罰として最も重いものでございました。
今回新たに措置する許可条件違反への罰則につきましても、これらの違法な林地開発と同様に、森林法における行政罰として最も重い三年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金としたところでございます。
○許斐委員 ありがとうございます。
もし違反によって災害が発生した場合は、やはりその損害は甚大なものになると思います。是非、抑止力の観点からも、場合によっては金額を引き上げる検討を行っていただきたいと思います。
そして、もう一点、抑止力の観点から重ねて質問いたします。
開発行為の中止、復旧命令に対して従わない場合は都道府県知事が公表することになっていますが、森林開発には複数の業者が絡んでいたり、それこそ下請や孫請の業者が行っていたりする場合があります。そして、遡ると海外資本の開発も想定されますが、今回の法律案ではその公表方法はどのようなものを考えているのでしょうか。政府の考えを教えてください。
○青山政府参考人 お答えいたします。
改正法案で措置する公表規定につきましては、命令に従わなかった者の氏名、名称、違反した森林の土地の地番、違反内容等を公表することを想定しております。
公表に当たりましては、林野庁及び都道府県のウェブサイトへの掲載に加えまして、現場で認識できるようにするなど、関係者が容易に違反の事実を把握できるよう適切な運用に努めてまいりたいと考えております。
加えまして、現に命令に従っていない者に対する新たな申請について許可されることがないよう、都道府県に対して運用方針を示していく予定にしているところでございます。
○許斐委員 ありがとうございます。
多くの人が目にすることができることが重要だと思います。オンライン検索などでしっかりとあらゆる人が確認できる運用をお願いいたします。
時間ですので、まとめます。
当たり前ですが、木が育つには時間がかかります。森をつくるには時間がかかります。そして、森は一旦壊すと元にはなかなか戻せません。日本国民が後悔しない森をみんなでつくってまいりましょう。
これで質問を終わります。どうもありがとうございました。
○御法川委員長 次に、角田秀穂君。
○角田委員 公明党の角田秀穂でございます。
本日も質問の機会をいただき、ありがとうございます。
森林経営管理法について順次質問をさせていただきたいと思います。
初めに、今回の法改正の背景についてですけれども、所有者や境界が分からない森林の増加など、こうした課題を解決するために、現行の森林経営管理法では、森林所有者が経営管理できない森林について、市町村が仲介役となって森林所有者と林業経営者をつなぐ仕組み、これを新たに設けたわけですけれども、ただ、林業経営体への経営管理の集約がなかなか進まない上に、市町村の負担も極めて大きいということから、改正案では新たな仕組みの導入を図ろうとしているものですけれども、これまで現行の仕組みの下で森林経営管理の集積が進まなかった主な要因についてどのように把握をしているのか。また、新たに設ける仕組みについて、これによって期待される効果について確認をさせていただきたいと思います。
○庄子大臣政務官 現行制度でなかなか集積が進まない課題等につきまして、既にこの場でも議論が出ておりましたけれども、現場の市町村に林務担当職員が十分に配置されていないという点や、所有者不明森林、あるいは共有者の多い森林が、条件の悪いものが多かったこと、また、関係者全員の同意が必要とされていたこと、こうしたことが要因だと思われています。
また、分散的な森林の所有構造の中で、林業経営体が経営管理を行いやすい、まとまった形での森林の集積がうまく進んでこなかったという課題がございます。
今般の改正につきまして、このような課題に対して、あらかじめ受け手となる林業経営体を定める集約化構想の仕組みを設けまして、受け手による主体的な取組を促し、また、効率的に集積、集約化が進められるようにするものでございます。
さらに、市町村が既存の法人を経営管理支援法人に指定をいたしまして、市町村の制度全般に係る事務のサポートを受けられることとするとともに、権利設定に必要な同意要件、これを、全員だったものを二分の一にするということでございますが、所有者不明森林等の権利設定に係る特例の手続を緩和をするということを通じて、現場の事務負担の軽減を図りたいと思っております。
こうしたことを通じまして、この制度に基づく森林の集積、集約化が加速をいたしまして、適切な森林整備の実施、あるいは、林業従事者の所得向上、森林所有者への一層の利益還元、木材供給量の増加などにつながっていくことを期待をしているものであります。
○角田委員 ただいま御答弁にありましたけれども、やはり現場の負担が極めて大きいということが、なかなか進まなかった大きな一因であろうかと思います。
森林を抱えている市町村の多くは体制が十分ではない市町村が多く、事務負担軽減のために、改正案においては、市町村と林業経営体など、地域の関係者による協議によって構想をまとめる、権利の集積と配分を一括の計画とすることで、受け手に対して迅速な権利の設定また移転ができる仕組みに改めようとしておりますけれども、市町村のこういった負担の軽減のためには、都道府県、これが積極的にサポートしていくことが不可欠だと考えます。
この点について、法案では、都道府県の役割について、集約化構想の策定について都道府県と共同で策定することができるようにするとしておりますが、共同で策定できるケースについて、具体的にどのようなケースを想定しているのか、また、共同策定以外に、今回の法改正で都道府県の市町村支援はどのように強化をされていくのか、お伺いをしたいと思います。
○青山政府参考人 お答えをいたします。
集約化構想では、地域の関係者が協議し、受け手となる林業経営体を誰にするか、森林整備や路網整備の方針等の森林の将来像を定めることとしております。
このような森林の将来像を定めるに当たっては、専門的な知見や広域的な視点を有する都道府県が林道の整備や原木の流通に係る調整などを複数の市町村と共同で取り組むことがより効果を発揮する場合や、体制が不十分な市町村を都道府県が積極的にサポートすることで効果的な制度推進が可能となる場合などにおいて、都道府県が集約化構想を共同策定することを想定しております。
これらに加えまして、今般の改正法案で新設します経営管理支援法人の仕組みを活用して、都道府県が設置しているサポートセンターが森林所有者の探索や森林調査、路網計画の検討などの技術的な事務の実施や市町村に対するサポート等を担うことによりまして、市町村の負担軽減を図ることとしているところでございます。
○角田委員 温室効果ガス排出削減目標の達成であるとか災害防止等を図るための森林整備等に必要な地方財源、これを安定的に確保する目的で森林環境譲与税が創設をされましたが、その配分をめぐっては、森林整備を必要とする自治体への適正な配分を求める声が強く上がり、令和六年度の税制改正で、私有人工林が多い自治体への配分を手厚くする見直しが行われたところです。それだけ、森林を多く抱えている地方部の自治体は、森林の整備や担い手の確保など、様々な課題に取り組むための財源を必要としております。
千葉県では、令和元年の台風十五号で、房総半島の森林、山武杉の林であるとか、広範囲でこれが倒木をするなど、甚大な被害に見舞われました。このために、電力の復旧作業も、現場にたどり着けないために、県内広域で長期にわたる停電となり、県民生活にも深刻な影響が出ましたが、地元の自治体では、この際の倒木の撤去など、被害の処理に人も予算も取られ、間伐作業もままならないという事態に陥りました。
この対応策として、県が都市部、山村部それぞれの自治体のマッチングに乗り出して、都市部の自治体が森林環境譲与税から間伐の補助を行う、その見返りに山村部の自治体が森林整備によるCO2吸収量を還元する協定作り、これをリードしました。こうした取組が注目をされて、現在複数の協定が結ばれるまでに至っておりますが、財政力の弱い自治体の森林整備、これを支援するために、都道府県がこうしたマッチングにも積極的に取り組むようにすべきと考えますけれども、この点について見解をお伺いします。
○青山政府参考人 お答えいたします。
森林環境税、森林環境譲与税は、都市部自治体と山村部自治体の相互理解の下で成り立っている税であり、自治体が譲与された税の一部を活用し、市町村の枠を超えて連携して森林整備や木材利用に取り組むことは、税の趣旨にのっとった有意義な取組であると考えております。
令和五年度には、森林環境譲与税を利用して、百六十八の市町村が、河川の上下流やカーボンオフセットといったつながりから連携して森林整備等に取り組んでいただいております。この中には、委員御指摘の千葉県におけますマッチングの事例に加えまして、都道府県の枠を超えた市町村間の連携の取組事例も数多く見られるところでございます。
農林水産省としては、引き続き、こうした連携事例の収集と情報提供を進め、自治体の取組を促してまいりたいと考えております。
○角田委員 森林の適正な経営管理を進めていくためには、何といっても、森林資源の循環利用、この促進が不可欠であって、利用の流れ、これを太くすることで、結果的にそこに関わる人材も集まってくると考えます。
人材確保のためには、これまでにも、未経験者を対象に、研修を受けながら現場で活躍してもらうというような緑の雇用事業を始めとして、様々な事業が行われてきたと思いますけれども、まず、これまでの取組の成果と、また今後に向けての取組、これについてお伺いをしたいと思います。
○小坂政府参考人 お答えいたします。
議員御指摘のとおり、森林資源の循環利用を図っていく上で、林業労働力を確保していくことが極めて重要であると認識しております。
このため、林野庁におきましては、緑の雇用事業における新規就業者の確保、育成、緑の青年就業準備給付金事業による林業大学校等で林業就業を目指す青年への給付金の給付等の支援事業を行うとともに、高性能林業機械の導入等による生産性の向上、併せて安全性の向上、そういったことによる所得の向上、さらには労働安全の向上に向けた研修、そういった取組を進めているところでございます。
これまでの成果といたしまして、従来、新規就業者は年間二千人強であったものが、こういった施策を通じて、三千人程度まで増加しているところであります。引き続き、これらの施策を進めるとともに、これからは、特定技能制度等もございます、外国人材の受入れも含め、林業労働力の確保に努めてまいりたいと考えております。
○角田委員 森林資源の循環利用促進策として、国内での木材の建築利用がありますが、現在、三階以下の低層住宅は木造化率が八割程度となっている一方で、四階以上の住宅、非住宅はほぼゼロ%という状態であり、中高層建築物への木材利用の拡大をこれから図っていく必要があると考えます。
林野庁が国土交通省と連携して取りまとめたロードマップでは、木材活用大型建築の国内における市場規模を、二〇一八年時点で五千億円であるものを二〇三〇年に倍の一兆円を目指すとしておりますが、そのためには、RC造りよりも一割から二割ほど高いと言われる建築コストの削減であるとか、耐火、耐震性の向上、大型の構造躯体の供給力確保など、克服すべき課題が幾つかありますが、こうした課題解決に向けて現状どのような取組を進めているのか、お伺いをしたいと思います。
○庄子大臣政務官 国産材の需要拡大に向けましては、これまで木材が余り使われてきておりませんでした中高層建築物への木材利用の拡大が必要であるというふうに認識をしています。
このため、農林水産省といたしましては、耐火性や強度に優れた製品、技術の開発や建築物の実証、そして低コスト化に向けましたCLT等の寸法標準化、あるいは中規模ビルの標準的な木造化モデルの作成、普及、そして木造によります非住宅建築物等の設計者、施工者の育成などを推進をしております。あわせて、中高層建築物に使われます大断面集成材等の部材の供給力の確保に向けて、木材加工施設の整備を支援をしております。
今後とも、中高層建築物への木材利用の拡大にしっかりと努めてまいります。
○角田委員 木材の安定供給を確保するためには、サプライチェーン全体での情報連携の強化が必要です。特に、木材の業界では、川上から川下の協働意識、これが薄いために、川上に行くほど在庫の過不足のぶれというものが大きくなって、過剰設備であるとか過剰人員など、コスト増、経営圧迫の要因になっていると言われております。川上の生産現場では、いまだに、市場で現在どのような素材が求められているのかを見ずに丸太の生産、製材を行っているところがあり、コスト削減には、プロダクトアウトからマーケットインへの転換を進める必要があります。
そのために、サプライチェーン全体での情報連携を進めることが重要ですが、このことに関して、素材生産から加工、流通、建設など、川上から川下までの木材関連事業者をつなぐ木材調達マネジメントシステム、「もりんく」が運用をされておりますが、事業者の登録数や活用の状況、効果について伺うとともに、サプライチェーン全体の情報連携強化へどのように取り組んでいくのか、お伺いをしたいと思います。
○小坂政府参考人 お答えいたします。
木材の安定供給のためには、川上から川下までの事業者が木材の需給情報等を共有し、実需者ニーズに応じたマーケットインによる供給体制を構築していくことが重要でございます。
委員からお話ありました「もりんく」でございますが、令和三年から開始された、川上、川下までの関係者による需給情報やマッチングを支援するシステムでございまして、令和七年三月末現在、約千百の事業者が登録し、実際に、地元産材を求める工務店とそれを供給する製材工場とのマッチング等に活用されているところでございます。
農林水産省では、サプライチェーン全体の連携を図っていくことに向けて、今お話がありました、お話ししました「もりんく」の運営、この支援を進めるとともに、川上から川下までの事業者が参加する需給情報連絡協議会、こういったものを開催しておりますけれども、ここにおける幅広い関係者間での需給情報の共有とか、さらには、国産材サプライチェーンの構築のモデル的な取組への支援等を実施しているところでございます。
こういった取組を通じて、サプライチェーンの一層の連携強化を図ってまいりたいと考えております。
○角田委員 時間となりました。以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。
○御法川委員長 次に、八幡愛君。
○八幡委員 れいわ新選組の八幡愛です。
昨今、森林火災などの報道がなされていることは御承知のとおりであり、火災の原因は様々であるといえども、日本の林業においてこれは大変な問題であります。そして同時に、森林整備の重要さが一般的にも広まったと思います。
そして、今回の法律案、森林経営管理法等の法律案でございますけれども、所有者が手入れできない森林を市町村が引き受けて事業者への再委託などを行う森林経営管理制度を見直して、集約化を更に進める方向で検討しているということなんですが、これの改正、重要なテーマと言えるんですが、れいわ新選組としては、はて、本当にこの法改正で日本の林業が守られるのかというと、疑問が多いところでありますので、今日はその視点に沿って質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
私たちれいわ新選組は、誰一人も取り残さない政治、これを目指しております。林業において、大規模、集約化を進めるのもいいんですが、忘れてはいけないのが、ずっと地元の林業を支えてきた自伐型の林業従事者です。
自伐型林業従事者というのは、例えば自己保有の山林において素材生産を行う家族経営体などなんですが、林野庁によれば、全国で現在、二千九百五十四経営体あるそうです。一方、現在、素材生産を行う経営体は五千八百三十九経営体であり、半数以上が自伐型の林業事業者で支えられている。
自伐型林業の事業者というのはもうどんどんどんどん減少していっているんですが、とはいえ、きめ細やかな森林管理を今現在も続けておられる方がたくさんいらっしゃいます。今回の改正法案の案文を拝見する限り、その人たちへの視点がなく、機械や車で効率よく林業を回していくという大規模事業者をますます利するためのものなのかなと私は思いました。
そこで、農水省にお伺いいたします。
このような自伐型林業事業者や家族経営体についてのフォローは今後どのように考えておられますでしょうか。
○小坂政府参考人 お答えいたします。
自伐林家、自伐型林業事業体、こういった小規模な林業経営体は、例えば、森林をまとめて森林経営計画を作り、森林整備事業の補助を受ける、これはなかなか、規模をまとめることがあって、難しい面がございます。
こうしたことから、現在も、森林・山村地域活性化振興対策により、こうした小規模な林業経営体などが行う里山林などの保全整備、森林資源の循環利用を図る取組に対して支援をしております。さらには、美しい森林づくり基盤整備交付金等という事業がありまして、これによって、市町村が定める特定間伐等促進計画に基づく、非常に規模の小さい、小面積の森林整備に対する支援もしております。
こういったきめ細かな支援を引き続き進め、こういった小規模な林業経営体の支援も図ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
○八幡委員 本当に、小規模な人たちというのも守っていかないと、やはり、何かでっかいブルドーザーが来てぶうんと集約化していくというのも効率よく思えるんですけれども、本当に、おっしゃるとおり、きめ細やかにやっていく。それを諦めてしまう事業者が本当に多いと聞いていますので、是非守っていただいて、そうしたら、冒頭、森林火災のことも言いましたけれども、そういったところ、手入れが行き届かない、大規模な人たちが、事業者が集約していないからではなくて、そうやってきめ細やかに自分の近所の森林を守るんだという意識の人たちが事業を諦めてしまったというところも要因かもしれないので、是非そこは林野庁においても応援をしていただきたいと思っております。
じゃ、どうすればいいのかといったら、やはりお金だと思うんですね。れいわ新選組は、積極的な財政出動で国民の生活を守るということを訴えているんですが、これは林業においても一緒だと思っております。
今回、この森林経営管理法を進めていくための財源を問い合わせたら、これはほかの委員の方もおっしゃっておられましたけれども、約六百億円の森林環境譲与税も使えるという話を聞きました。これは、六百億円と聞くとすごく大きい金額だと思うんですが、令和五年度の金額規模の状況、これでいくと、市町村全体の平均値というのが二千五百二十七万円なんですね。これでは全然足らないと私は思います。
実際、同年、令和五年に実施された森林経営管理制度に係る都道府県、市町村のアンケートにおいて、この森林環境譲与税の割当てが少ないため、予算も限られているし森林整備が実行できないんだという回答も多くあったと聞いております。
そもそも、この森林環境譲与税というのは、国民一人につき、どこに住んでいても一定額を課す人頭税ですよね。昨年から千円ずつみんな徴収されているんですけれども、政府による財政出動を訴えている私たちからすると、このような逆進性の強い目的税というのは納得ができないというところですね。
この森林環境譲与税を財源とする点、れいわ新選組としては大反対ではあるんですが、とはいえ、現在、そこを財源とした上で運用されている。でも、本気で森林管理を進めていくというんだったら、金額、やはり足りないと思いますし、別途財政出動をすべきだと思うんですが、いかがでしょうか。お願いします。
○笹川副大臣 御質問ありがとうございます。
今、六百億円ということでございますが、令和六年度から六百二十九億円を計上され、森林環境譲与税の活用ということでございます。
農林水産省としては、令和七年度予算において、林業経営者に対する高性能林業機械の導入への補助など現場で必要な支援を行うこととする、いわゆる森林・林業、木材産業グリーン成長対策で百四十四億円、さらに、再造林、間伐、路網整備を支援する森林整備事業、公共として千二百五十六億円の予算を確保させていただきました。
今回新たな仕組みがスタートする令和八年度に向けても、必要な予算の確保に努め、特に今委員の御指摘のあった様々な声についてもしっかりと耳を傾けて、必要な予算の確保に努力をしてまいりたいというふうに思います。
○八幡委員 森林というのは、木材の供給とともに、国土の環境、そして水質、水資源の保全であったり、あと生物の多様性、国民生活に不可欠な役割を果たしていると思うんです。なので、もう胸を張って、これから予算も、これからどんどんついていくという、私もレクチャーを受けたんですけれども、もっと林野庁として予算の増額を訴えていただきたいと思っております。
そして、今回の改正法案について農水省の方々に様々レクを受けさせていただいたんですが、一番言われたのが、やはり役所における制度手続の簡略化だったんですよ。この法改正をすれば職員さんたちの負担が減らせるということで、私、最初聞いたときに、すごくいいやんと思って、もう賛成しようと思ったんですけれども、令和五年に実施されたアンケートでは、制度の手続ももちろん大変なんだけれども、一番の課題は、職員の不足、その声が、八割を超える市町村から聞こえているんですね。圧倒的なマンパワー不足。
実際、市町村の森林・林業担当の職員というのは全国で三千人程度なんです。その中で、森林を担当する職員の在籍、専門に、専門家みたいな職員さんがどれぐらいいるのかなといったら、ゼロ人という自治体が四割を占めるということで、そもそも体制が不十分なんですね。それなのに、改正法案では、森林・林業担当の市町村職員を増やすという方策が入っていないんです。
話を戻すんですけれども、例えば、この森林管理法が始まった二〇一九年からの三年間、全国の市町村に配分された環境税、八百四十億だというんですけれども、その四七%に当たる三百九十五億円がすぐに活用できなかったというんですよ。その理由は、全国の市町村に森林環境税が配分されても、専門の担当職員がいないから、国などから具体的な活用方法が示されてこなかったので、どうやって使ったらいいか分からなかったという事例も聞いています。
だから、予算をつけても、回す職員がいないんですね。先ほど訂正いただきましたね、六百二十九億円なんだとおっしゃったんだけれども、それを回す職員さんがいらっしゃらないというところです。
だからといって、公務員を育てずに、じゃ、民間にますます依存させて、その職員を増やすんだ、民間の人に来てもらうんだということに果たして私たちれいわ新選組は賛成できるかといえば、ちょっとそこは反対をしてしまうんですが、公務員である市町村職員、そして、その方たちに、きちんと森林についての知識を有する人材の確保に努めることこそが国益につながると考えます。
人手不足についての認識も含めて、農水省の見解をお伺いいたします。お願いします。
○青山政府参考人 お答えいたします。
委員の方から、若干、今回の改正法案に反対というか、賛同いただけない御指摘をいただいたんですけれども、今回の改正法案は、市町村が既存の法人を経営管理支援法人に指定して、市町村の制度全般に係る事務のサポートを受けられるようにするということと、権利設定に係る同意要件の緩和など、制度全般について市町村の負担軽減を図っているところでございます。
また、従来からの森林経営管理制度導入以降、農林省としましては、林野庁の森林技術総合研修所におきまして市町村職員の研修を行ってきたほか、特別交付税措置の対象となります地域林政アドバイザーの活用などを推進してきたところでございまして、引き続き、市町村の森林・林業担当職員の育成、確保についても取り組んでいきたいというふうに考えております。
○八幡委員 本当に積極財政のことをここの農水委員会で林野庁の方にぶつけてもというところが点々々だとは思うんですけれども、まあでも、それにしても、やはり公務員として、公職で、民間に任せればいいんだというような考え方は、ちょっと私の中では相入れないなと思っていますので、引き続き、先ほども申しましたけれども、この経営管理支援法への財政的支援についても、何か森林環境税の活用が可能だというんだけれども、それ以外の財源も含めて、また今後検討いただきたいなと思っております。
本当に林業は大事ですから、しっかりと予算を入れていただきたいということと、そして、最後に大臣にはお伺いしたいんですが、この後、法案ではれいわ新選組だけ反対なんですけれども、きっと大臣は私のその意図を酌んでくださっていると思うんですけれども、改めてお伺いをします。
これまで個人で森林を一生懸命守ってきた自伐型事業者がどんどんどんどん経営を諦めてやめていっている実情もあります。集約化もある程度は必要だと私も思うんですけれども、今も諦めずに森林に生きる人たちみんなを守っていく必要があると思うんですが、大臣のお考えをお聞かせください。お願いします。
○江藤国務大臣 自伐林家の方々が半数を占めるという御指摘もいただきましたが、これまで歴史的にも山を守ってきた、そして環境にも優しい、作業道を造るにしても林道を造るにしても、非常に地域に合った、そういう水の逃げ場所も考えた施業をされているということで、自分の山を自分で守るということは非常に尊いことだし、この人たちを排除しようという趣旨の法律ではないということは御理解いただきたいと思います。
そして、法律を読んでいただくと、例えばバックホーとかチェーンソーとか、本当に規模が小さい人たちについては補助対象外だったんですよ。そういった人たちにも機械の導入等についても支援ができるように法律の内容を改正しておりますので、ですから、自伐林家、自伐型林家、様々、二つありますけれども、この方々に対しても支援の手が及ぶような内容になっております。
それは、財政出動もしなきゃいけない、このぐらいの金額じゃ足りないという御指摘は、財政出動についてはちょっとコメントしませんが、ただ、林政全体についてやはり予算の増額が必要だということについては私も賛同するところであります。
これだけ山の多い、国土の大部分のところを山が占めているこの日本国において、林野庁の予算がこの金額でいいのかということは、私も政治家をずっとやってきて、ずっと足りないということを主張した人間の一人でもありますので、その流れの中で、森林環境譲与税、元々は水源税だったんですけれども、この議論を二十年近くやってきたわけでありますので、ですから、是非、まだ間に合いますので、私の話が胸に響けば、賛成に変わっていただければ、これからますます話がしやすいかなと思います。よろしくお願いいたします。
○八幡委員 予算の増大については賛同いただけるという言葉をいただいて、私も農林水産委員会に拝命をされておりますから、すごく心強いお言葉でした。ありがとうございます。
本当に、何か、農林水産委員会に来て一番思ったのは、もっとみんな欲張りになったらいいのにと思うんですよ。もっともっと予算も確保してほしいし、もちろん開発も進めるんだけれども、集約も進めるんだけれども、今の、一人で頑張っている人、本当に細々とやられている方、それも守るんだよというもうちょっと大きい打ち出しができたら私も賛成できたかなと思うんですけれども、その辺りは、私も林業、まだまだ勉強不足ですので、皆さんと一緒に引き続き勉強してまいりたいと思います。
ということで、私の質問を終わらせていただきます。この後、反対討論がございます。
ありがとうございます。
○御法川委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
―――――――――――――
○御法川委員長 これより討論に入ります。
討論の申出がありますので、これを許します。八幡愛君。
○八幡委員 改めまして、私は、れいわ新選組を代表し、森林経営管理法及び森林法の一部を改正する法律案に反対の討論をいたします。
第一に、本改正法案は、林業経営体数の一割にすぎない大規模林業経営体への森林の集約化、集積化を意図しており、これは、素材生産を行う経営体の半数以上を占める自伐型林業、家族経営体を軽視する内容であり、れいわ新選組の、誰一人取り残さず、農林水産業と従事する人々を支えるという基本政策とは相入れません。
第二に、本改正案は、各地から報告されております市町村の職員不足を真正面から応えず、経営管理支援法人を指定できる仕組みを創設し、外部の民間人への依存を深める内容となっています。森林について見識を有する人材を市町村職員として確保することが国を守ることにつながると考えます。現場のニーズに応えず、民間にますます依存させようとする本改正法案には賛成できません。
第三に、財政的支援について、森林環境譲与税の市町村へ譲与は少額であり実効性が疑わしいばかりか、そも、森林環境譲与税は逆進性が強く、税制度として欠陥がある人頭税を原資としております。れいわ新選組は、積極的な財政金融政策で経済を活性化させることを訴えておりまして、林業へ森林環境譲与税ではなく、政府による財政出動により、林業の担い手である自伐型林業、家族経営体を支え、市町村の森林・林業担当職員を増員すべきだと考えます。
以上の理由から、本改正案に反対いたします。
ありがとうございます。
○御法川委員長 これにて討論は終局いたしました。
―――――――――――――
○御法川委員長 これより採決に入ります。
内閣提出、森林経営管理法及び森林法の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○御法川委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
―――――――――――――
○御法川委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、鈴木貴子君外五名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会、国民民主党・無所属クラブ、公明党及び有志の会の六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を聴取いたします。石川香織君。
○石川委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
案文を朗読して趣旨の説明に代えさせていただきます。
森林経営管理法及び森林法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
我が国の森林・林業は、木材価格の低迷、森林所有者の世代交代等により、森林所有者の経営意欲の低下や所有者不明森林が増加するなど、依然として厳しい状況にある。
こうした中、人工林の六割超が利用可能な段階を迎えるとともに、二〇五〇年ネット・ゼロの実現等に向け、森林資源の循環利用を進める必要性が高まっており、再造林等に責任を持って取り組む林業経営体の確保と森林の集積・集約化を進めることが重要である。また、林地開発許可制度においても森林の公益的機能の確保が不可欠であることから、太陽光発電設備の設置等に係る不適正な林地開発に対しては厳正に対処する必要がある。
よって政府は、本法の施行に当たり、左記事項の実現に万全を期すべきである。
記
一 集約化構想及び権利集積配分一括計画を内容とする新たな仕組みが現場に浸透し、林業経営の効率化及び森林管理の適正化の一体的促進が円滑に進むよう、市町村及び都道府県と協力して、森林所有者、森林組合、民間事業者など、地域の森林・林業関係者に新たな仕組みの周知を徹底すること。
二 集約化構想の前提となる協議の場の設置に当たっては、川上から川下までの事業者などの幅広い地域の関係者の参加を求めるとともに、デジタル技術を活用した森林資源情報の共有等を通じ、集約化構想の策定に向け、市町村や都道府県とこれらの地域の関係者が効果的に連携できるよう支援すること。
三 新たな仕組みを含む森林経営管理制度により経営管理実施権又は所有権を取得した林業経営体による適切な森林の経営管理を確保するため、これらの林業経営体の経営管理の実施状況について、市町村と都道府県が的確に把握し必要な対応を行うことができるよう、適切な助言等を行うこと。
四 市町村が、集約化構想や権利集積配分一括計画の作成等の新たな業務を円滑に実施することができるよう、市町村の林業部門担当職員の確保・育成を図る仕組みの確立、林業技術者等の活用に必要な支援の実施及び体制の整備を図ること。
五 再造林等に責任を持って取り組む林業経営体を確保するためには、林業労働力の育成を図ることが不可欠である。中小事業者を含む地域の林業経営体の事業量の拡大等による林業就業者の所得の向上、労働安全対策をはじめとする就業条件改善に向けた対策の強化を図ること。林業分野における外国人材の受け入れについては、労働災害発生率が国内他産業に比して非常に高い現状に鑑み、労働安全確保に向け、万全を期すよう、対策の強化を図ること。
六 集約化構想を通じた集積・集約化に必要な条件整備が効果的に進むよう、デジタル技術を活用した境界明確化等の取組に対する支援を一層強化すること。
七 路網は、主伐等による木材の安定供給や、森林の有する多面的機能の持続的な発揮に必要な造林、保育、間伐等の施業を効率的に行うために不可欠な生産基盤であり、災害時の代替路など地域のインフラとしても活用できることから、路網整備に対する支援を一層強化すること。
八 我が国の住宅市場が縮小する中、森林資源の循環利用を図るため、住宅分野において輸入材の割合が高い横架材等の国産材への転換や、中高層建築分野における木材需要の創出など、国産材需要の拡大を図るとともに、これらの需要に対応した川上から川下までの安定的・効率的な供給体制を構築すること。
九 新たな仕組みを含む森林経営管理制度において中心的な役割を果たす市町村の負担軽減を図るべく、都道府県に対し市町村と積極的に連携し、集約化構想等の策定等に取り組むよう促すとともに、新設する経営管理支援法人制度による市町村事務のアウトソーシング、地域林政アドバイザー制度の活用などに対する支援を一層強化すること。
十 地域の実情に即した林業経営の低コスト化等に向けた先駆的な技術の開発・普及と民有林との連携の更なる推進のため、森林管理局等の地方組織の職員の人材育成、適正配置など、国有林野事業の実施体制を強化すること。
十一 林地開発に係る命令違反者の公表制度の運用に当たっては、命令違反に係る情報を容易に把握できるよう、各都道府県において情報を収集・共有する仕組みを設けるなど、必要な措置を講ずること。
十二 森林環境税及び森林環境譲与税について、集約化構想等の新たな仕組みへの活用を含め、市町村及び都道府県における一層の有効活用を促すとともに、地方公共団体の取組状況や制度創設の趣旨等を踏まえ、必要がある場合には、森林環境譲与税の使途や譲与基準を始め、適時適切に所要の対応を検討すること。
右決議する。
以上です。
何とぞ委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
○御法川委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○御法川委員長 起立多数。よって、本法律案に対し附帯決議を付することに決しました。
この際、ただいま議決いたしました附帯決議につきまして、政府から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産大臣江藤拓君。
○江藤国務大臣 ただいまは法案を可決いただき、ありがとうございました。附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。
―――――――――――――
○御法川委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○御法川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
〔報告書は附録に掲載〕
―――――――――――――
○御法川委員長 次回は、来る十六日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時十三分散会