第12号 令和7年5月8日(木曜日)
令和七年五月八日(木曜日)午前八時五十分開議
出席委員
委員長 御法川信英君
理事 鈴木 貴子君 理事 西田 昭二君
理事 葉梨 康弘君 理事 神谷 裕君
理事 野間 健君 理事 渡辺 創君
理事 池畑浩太朗君 理事 長友 慎治君
上田 英俊君 大空 幸星君
勝目 康君 栗原 渉君
小池 正昭君 武村 展英君
田野瀬太道君 根本 拓君
根本 幸典君 長谷川淳二君
平沼正二郎君 宮下 一郎君
森下 千里君 簗 和生君
山本 大地君 石川 香織君
岡田 華子君 金子 恵美君
小山 展弘君 近藤 和也君
西川 将人君 福田 淳太君
緑川 貴士君 柳沢 剛君
山田 勝彦君 空本 誠喜君
林 佑美君 許斐亮太郎君
村岡 敏英君 庄子 賢一君
角田 秀穂君 八幡 愛君
北神 圭朗君
…………………………………
農林水産大臣政務官 庄子 賢一君
参考人
(一般社団法人全国農業協同組合中央会常務理事) 藤間 則和君
参考人
(日本食品関連産業労働組合総連合会会長) 伊藤 敏行君
参考人
(明治ホールディングス株式会社代表取締役社長CEO)
(一般財団法人食品産業センター副会長) 川村 和夫君
参考人
(株式会社農業総合研究所代表取締役会長CEO) 及川 智正君
農林水産委員会専門員 千葉 諭君
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委員の異動
五月八日
辞任 補欠選任
長谷川淳二君 上田 英俊君
同日
辞任 補欠選任
上田 英俊君 勝目 康君
同日
辞任 補欠選任
勝目 康君 長谷川淳二君
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本日の会議に付した案件
食品等の流通の合理化及び取引の適正化に関する法律及び卸売市場法の一部を改正する法律案(内閣提出第四五号)
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○御法川委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、食品等の流通の合理化及び取引の適正化に関する法律及び卸売市場法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本日は、本案審査のため、参考人として、一般社団法人全国農業協同組合中央会常務理事藤間則和君、日本食品関連産業労働組合総連合会会長伊藤敏行君、明治ホールディングス株式会社代表取締役社長CEO、一般財団法人食品産業センター副会長川村和夫君、株式会社農業総合研究所代表取締役会長CEO及川智正君、以上四名の方々に御出席をいただいております。
この際、参考人各位に一言御挨拶を申し上げます。
本日は、御多用のところ本委員会に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいというふうに存じますので、よろしくお願いいたします。
次に、議事の順序について申し上げます。
まず、藤間参考人、伊藤参考人、川村参考人、及川参考人の順に、お一人十五分程度御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。
なお、念のため申し上げますが、御発言の際はその都度委員長の許可を得て発言していただくようお願い申し上げます。また、参考人は委員に対して質疑をすることができないことになっておりますので、あらかじめ御了承願います。
それでは、初めに、藤間参考人、お願いいたします。
○藤間参考人 皆様、おはようございます。JA全中常務理事の藤間と申します。
本日は、大変貴重な機会をいただき、誠にありがとうございます。
時間も限られておりますので、早速ではありますが、本日お配りしております「農畜産物の適正な価格形成の実現と国民理解の醸成・行動変容について」と題した資料に基づき、私から意見を述べさせていただきます。
まずは、資料の一ページ目を御覧ください。JAグループとしての課題認識の一つ目であります。
このグラフは、主な生産資材価格、農畜産物価格の推移を示したものであります。
点線でお示ししておりますのが、主な生産資材価格の推移であります。御案内のように、新型コロナウイルス、ロシア・ウクライナ情勢等により、令和三年頃より生産資材価格が高騰いたしました。令和二年を一〇〇といたしまして、複合肥料は最大一七〇、配合飼料、重油は一五〇弱まで高騰し、現在も高止まりしている状況です。
他方、実線で示しておりますのが農畜産物価格、赤い線が全ての農畜産物の価格、青い線が米の価格の指数でございます。農畜産物全体では、直近を除けば一一〇までの上昇にとどまり、特に米につきましては、令和六年の夏までは、令和二年を下回る価格で推移しております。
直近に限れば、米の価格高騰により、農畜産物価格も上昇傾向にありますが、令和三年以降、生産資材価格が高騰しているにもかかわらず、農畜産物価格には反映されなかった期間が長らく続いていたと言えます。
農畜産物の取引におきましては、川下側ほど価格交渉力が強い中で、これまで、生産コストが増加しても、それを農畜産物の価格に転嫁するような仕組みがなく、農業者がコストの増大分を負担していたと認識しております。このような状況が続けば、農畜産物の再生産が確保できず、食料の持続的な供給に影響があるものと考えております。
続いて、二ページ目を御覧ください。JAグループの課題認識の二つ目でございます。
農畜産物の再生産可能な価格形成に向けては、消費者の理解と行動変容が不可欠であると認識しております。
他方、日本政策金融公庫が実施した調査によりますと、割高でも国産品を選ぶ消費者の割合は、直近ではやや上昇しておりますが、五六%程度にとどまっております。
自国で食料を生産していくことの意義、農業の価値を消費者に正しく御理解いただき、多少割高であっても国産品を選んでいただけるよう、そうした環境をつくっていくことが、食料安全保障の確保の観点でも重要だと考えております。
三ページ目を御覧ください。今申し上げましたような課題認識の下、JAグループとして、再生産に配慮された適正な価格形成の実現に向けた仕組みの構築、具体化をこれまで提案してまいりました。
そして、先生方の御尽力によりまして、昨年、二十五年ぶりに改正されました食料・農業・農村基本法におきましては、食料安全保障の確保に向け、価格形成に対しては、「持続的な供給に要する合理的な費用が考慮されるようにしなければならない。」等の文言を入れていただきました。この場をおかりしまして、厚く御礼申し上げます。
また、改正基本法を踏まえ、合理的なコストを考慮する仕組みを新たに法制化することが目指され、現在、その法案を御審議いただいているところであります。この法案への生産現場の期待は大変大きいものでありまして、先生方の引き続きの熱心な御議論を何とぞよろしくお願い申し上げます。
続きまして、四ページ目を御覧ください。来週の我々の理事会におきまして、令和七年度のJAグループの政策提案を決定する予定であります。価格形成等につきましては、三点、盛り込む予定です。
一点目は、現在御議論いただいている法案に関しまして、実効性の確保と不適正な商習慣の把握や是正に向け、国が関与する仕組みを早期に構築いただきたいということであります。
二点目は、法制化の対象品目等についてであります。今回の法案は、事業者の努力義務や努力義務に対応した判断基準を明確にし、これに照らし合わせて取組が不十分な場合は規制的措置を導入するとのことで、合理的な費用を考慮した価格形成の実現を目指していくものと認識しております。
まずは全ての農畜産物につきまして、こうした措置の効果が及ぶよう対応いただきたいと思いますし、指定品目につきましては、コスト指標の幅広い検討などを進めていただきたいと考えております。
三点目は、国民理解の関係であります。国民、消費者が国産農畜産物を選択する行動変容などにつながるよう、関連する施策の拡充をお願いしたいと考えております。
また、食農教育につきましては、小学生から大学生まで様々な階層で継続して学べるようにするとともに、大人の食育も含め、全世代型の食農教育の取組を充実させていく必要があると考えております。
国民理解の関係につきましては、JA自らも取り組んでおりまして、後段で簡単に述べさせていただきます。
五ページ目を御覧ください。こちらは、農林水産省が作成した規制的措置の全体像の図を載せてございます。
特に判断基準につきましては、省令で明確化することが予定されておりまして、合理的な費用を考慮した価格形成が実現されるよう、実効性のある判断基準を策定いただきたいと考えております。
続いて、六ページ目を御覧ください。こちらは、先日の米ワーキンググループで示された、米のコスト指標のイメージ図であります。
生産段階のコスト指標につきましては、生産費統計をベースに、農業物価統計などの公的データを用いて、コストの変動を反映して指標を作成していく方向性が示されました。この方向性は、JAグループの考え方ともおおむね一致するものであります。売手、買手双方にとって分かりやすいコスト指標の作成に向け、JAグループとしても、どのような協力、関与ができるかをしっかり検討してまいりたいと考えております。
七ページ目を御覧ください。こちらも、先日の米ワーキンググループで示されたコスト指標の活用のイメージ図です。作成したコスト指標を、売手と買手の価格交渉のトリガーなどとして活用していくイメージが示されております。
生産コストそのものは、地帯別、規模別、あるいは品目銘柄別に厳密には異なりますが、代表的なコストに肥料等のコスト変動率を鑑みながら、まずは活用していくことが重要だと考えております。
続いては、八ページ目以降で、国民理解の醸成と行動変容に向けた私たちJAグループの取組を紹介しております。
国消国産とは、私たちの国で消費する食べ物はできるだけこの国で生産するというJAグループ独自のキーメッセージでございます。
子育て層や若年層をターゲットにして、学習資材の作成、配布を行っております。毎年の出来秋を国消国産月間とし、十月十六日を国消国産の全国一斉行動日に設定して、JA直売所でのキャンペーンなどを通じて、消費者への農業、国産農畜産物の理解醸成に向けた取組を展開しております。また、農林水産省が展開するニッポンフードシフトと連携した情報発信も行っております。
最後に、九ページ目を御覧ください。全世代型食農教育について触れております。
これまでの食農教育につきましては、小学生までの子供を対象とした取組が中心でありましたが、中学生から大学生、あるいは社会人も含め、食と農に関する理解を深めていただくことが重要であると認識しております。
このため、JAグループでは、昨年開催したJA全国大会の決議におきまして、全世代型食農教育の取組を提起いたしました。子供、学生には農業体験や職業体験を通じた食の大切さを、定年後の方には料理教室等を通じた健康の大切さを幅広く切れ目なく体系的に学べるよう、各ライフステージに応じた取組を展開していきたいと考えております。
以上、簡単となりますが、私からの意見陳述とさせていただきます。
ありがとうございました。(拍手)
○御法川委員長 ありがとうございました。
次に、伊藤参考人、お願いいたします。
○伊藤参考人 皆さん、おはようございます。
私は、日本食品関連産業労働組合総連合会、通称フード連合で会長を仰せつかっております伊藤と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
本日は、このような発言の機会をいただいたことに対しまして、関係者の皆様方に改めて感謝を申し上げたいと思います。本当にありがとうございます。
まず、私たちのフード連合について若干御説明をさせていただきたいというふうに思います。
私どもフード連合は、連合の構成組織で、二〇〇二年十一月に結成しました食品関連産業の産別組織でございます。組合員は約十一万人、約三百の食品関連企業の労働組合が加盟しており、国内大手食品企業の労組の多くが加盟しておりますが、そのうち約八割は三百人未満の中小の労働組合で構成されております。様々な食品の業種や各地域において、製造や流通の最前線となる現場で、日々の食を支えております。
今回の食料システム法の改正に際しまして、食品関連産業の現場を預かる立場から、小売業との取引に焦点を当てて、取引の実態や課題について意見を述べさせていただきたいと思います。
なお、この意見陳述の中で、フード連合に加盟している食品製造業、物流、卸売業を食品関連産業と呼ぶことを御了承いただきたいというふうに思います。
私たちフード連合は、食料システムにおける生産者から消費者に届くまでの各段階で、それぞれが生み出した価値が公正、適正に評価される社会を目指しております。
食品関連産業で働く私たちは、安全で安心な食品を製造し、安定して提供するといった仕事を通じて、国民の命や豊かで健康な生活を支えていると自負し、日々の業務に当たっております。
一方、食品は生活必需品であるために、特に価格に消費者の意向が反映されやすい傾向にあり、小売での熾烈な価格競争が、そこに製品を納入する食品物流業や食品製造業にもしわ寄せされ、価値に見合わない価格やサービスが常態化しております。
次に、今日、資料を御用意させていただきましたが、こちらを基に、以後進めさせていただきたいというふうに思います。
フード連合の結成以来、約二十年間、UAゼンセンの食品製造業の労働組合と協力し、実際の食品の営業現場で働く組合員を対象に取引慣行に関する実態調査を実施し、問題となり得る取引事例の発生状況を確認しております。こちらの、お手元の資料を御覧いただければというふうに思います。
この調査結果は、農林水産省を始めとする関係する省庁、業界団体、政党等にお伝えをし、取引の健全化に資する政策推進策を要請しております。
現在の調査は、独占禁止法、下請法、農林水産省の策定いたしました食品製造業、小売業間における取引推進ガイドラインを基に、十四の取引の種類、形態において問題となり得る事例の発生の有無や具体的な状況を確認しております。詳細は、配付資料の五ページ、六ページを御覧いただきたいと思います。
この調査の最大の特徴は、企業単位で回答するものではなく、実際の取引の最前線にいる営業を担当する組合員一人一人が回答するところにございます。直近の調査は二〇二四年九月から十月に行っており、食品企業約百社に所属する四千人を超える組合員から回答をいただいております。
この調査で明らかになっている、問題となり得る取引の事例をお伝えさせていただきたいというふうに思います。今回の法改正で進める食品等の取引の適正化について、特に食品関連産業が現場で直面している見直すべき商習慣の実態として参考にしていただければというふうに思います。
まず、価格転嫁を含めた納品価格に関する取引についてでございます。
政府による価格転嫁促進の政策によりまして、省庁が実施をいたしました調査で示されているように、食品製造業でも、全体で見れば価格転嫁をようやく進めることができております。
しかし、個別の交渉の実態を見ると、十ページの原材料価格等の上昇時の取引価格改定で示しているように、取引先の一方的な理由で、納品価格への転嫁は受け入れられたものの必要な価格までは改定することができなかった、納品価格を据え置かれたといった事例が発生しております。加えて、価格改定は受け入れられたものの販促費等の著しく不当な条件をつけられた、交渉の場に着くことさえ拒否された、取引を停止、商品をカットされたといった事例も発生しております。
十七ページに記載のあります労務費の価格転嫁についてでございますが、我々の調査では、回答者の半数以上は、そもそも労務費の転嫁に関する価格交渉を行っていないという回答をしております。
所属企業の方針、あるいは担当商材が労務費も転嫁する対象かどうかなど定かではございませんが、従来から、食品の取引では労務費の転嫁を個別の交渉の場に出すことは通常は行ってこなかった。その慣行がまだ残っているということが示唆されます。食品関連産業においても、発注者、受注者双方が指針に沿った労務費の転嫁の交渉が定着するか、労務費転嫁が受け入れられる風土が醸成されるかが注目されております。
また、納品価格については、個別の状況によっては、合理的な根拠のない取引の都合による価格を一方的に決められるケースや、新店オープン時などの客寄せのため、行き過ぎた納品価格の引下げや安価な売価の補填要求が常態化しております。
続きまして、不当な対応要求の実態をお伝えさせていただきます。
今回の調査では、協賛金の負担について問題を指摘する声が最も多くありました。資料の十一ページを御確認ください。
実際に協賛金としての支払いが常態化しているかは定かでございませんが、負担額及びその算出根拠、使途、提供の条件等について明確になっていない、取引先の経済上の利益と思われる支払い要求や、食品メーカーの直接の利益とならないと考えられる支払い要求が多数発生しております。
不当な労務提供の要求にも大変苦労しております。資料の十四ページを確認ください。
取引先にて店舗の改装の手伝いなど、自社の直接的な利益にならない労働がいまだに多く発生しております。中には、週三回や年間百二十店舗など、異常な回数を取引先で働かされている事例も報告されており、色濃く疲弊の声が聞こえてまいります。
そのほかには、取り決めたリードタイムを無視した短い納期での発注や、破損した商品の処理、取引先の都合や合理的な理由のない返品対応、必要のない取引先の商品の強制購入などの要求も多々発生しております。
こうした対応にも、当然、食品メーカーではコストが発生をしております。価格転嫁が進んだといたしましても、こういったコストの負担が上がってしまっては、真に利益体質の改善には至らないというふうに思います。
仮に、こうした不公正な取引や商慣習が残ったままの状態で、それに要するコストが考慮されて価格形成が進んでしまったとすると、消費者に不適切な負担を強いることにもなりかねません。改正法が実効性のあるものになるよう、現場の取引実態をしっかり確認いただき、見直すべき商習慣を適切に設定いただきたいというふうに思います。
調査では、取引慣行の改善の受け止めも聞いております。資料の十八ページを御覧ください。
取引の現場で問題が発生している状況に変化がないという回答が多くを占めている状況が、例年変わっておりません。回答している組合員は、回答することで自分に不利益がないか、報復行為を受けてしまわないか、一定のリスクや心理的障壁を感じながらも、こういった調査に記入をしてまで取引の実態を改善したいと願っており、その声が届けられております。
現場で働く一人一人が取引の適正化が進んでいる実感が得られ、食品関連産業の営業として働く尊厳が守られるよう、本法案の実効性を確固たるものにし、公正な取引慣行の実現に向けた取組を強化、徹底する必要があるというふうに思っております。
このような食品関連産業と小売業の取引実態が示すとおり、食品関連産業は取引において弱い立場にあるのが現状でございます。たとえ売手の方が企業規模が大きかったとしても、取引において、買手の力が圧倒的に強いのが実態でございます。そのような力関係の中で長年事業を行ってきましたので、売手から費用等の協議や商慣習の見直しを提案することは容易ではないというふうに認識していただいた上で、改正法の実効性を高める策を推進いただきたいというふうに思っております。
もちろん、私たち食品関連産業も、原材料などの事業者とは、取引上、買手となることもございます。そういった取引先にしわ寄せをしてしまうことはあってはならないことであり、今後も注意していきたいというふうに思っております。
食品の品目によっては、改正法にのっとって合理的に価格形成すると、現状より値上がりする可能性も考えられます。消費者が安易に安価な海外食品に流れてしまいますと、国内の食品関連産業の持続性や国内の自給率の向上に負の影響を与えることも懸念されます。消費者の理解を得る方策や消費者の日々の購買力を底上げする政策についても併せて推進する必要があるというふうに思っております。
我々食品関連産業は、小売業とも協力しながら、安全、安心で魅力的な製品を開発、製造し、その製品の価値を適切に消費者に伝える活動を行い、価値に見合った価格であると納得いただいた上で購入していただきたいというふうに思っております。低価格競争や不公正なサービス合戦から抜け出さなくては、いずれ食品企業が倒れ、小売などスーパーで売るものがなくなり、消費者も好きな食品を食べられなくなるということも考えられます。豊かな日本の食生活を守るためにも、本法案の適切な議論をお願いし、私からの発言とさせていただきます。
本日は、どうもありがとうございました。(拍手)
○御法川委員長 ありがとうございました。
次に、川村参考人、お願いいたします。
○川村参考人 皆様、おはようございます。明治ホールディングスの代表取締役社長CEOを行っております川村と申します。食品メーカーの経営者として、また、一般財団法人食品産業センターの副会長として、長年、食品産業に携わってきているところでございます。
食品産業センターは、我が国唯一の食品産業の業種横断的な全国団体であり、行政と業界の橋渡し役として、業界の発展に努めております。会員は、企業会員と団体会員等から構成されておりますが、地方の中小企業の方なども会員となっている都道府県の食品産業協議会等を束ねた団体も会員となっております。
さて、本日は、貴重な機会をいただき、誠にありがとうございます。現在審議が行われております食料システム法案について、食品産業に身を置く当事者の観点から意見を述べさせていただきます。
まず、我が国の食品産業の食料システムにおける位置づけについて説明をさせていただきます。
我が国の農業、食料関連産業の国内生産額は百二十五兆円であり、全経済活動の国内生産額一千百六十兆円の約一一%を占めております。農業、食料関連産業は我が国の主要産業であります。このうち食品産業は百六兆円であり、また、国内農水産物の約六割が食品産業による製造、加工を経て消費者に流通いたします。農林水産業と食品産業は車の両輪としてウィン・ウィンの関係であり、この両者が発展していくことで食料システムが安定し、食品産業が発展するものと考えております。
昨年、食料・農業・農村基本法が四半世紀ぶりに改正されました。この改正において、食品産業が、農業者や消費者と並び、食料システムの主たる構成員として明確に位置づけられました。また、国民に対する食料の安定的な供給に当たっては、食品産業の事業基盤を強化していく必要があることが明記をされました。食品産業の関係者にとって大変心強く、国会で審議に当たられた先生方や関係の皆様に改めて感謝を申し上げたいと思います。
今回の食料システム法案は、この改正食料・農業・農村基本法で示された方針を具体化するための法律と認識をしております。基本法が改正された背景と同様、食品産業についても、この四半世紀の間に大きな変化に直面してきたと考えております。
食料システム法案については、大別して、食品産業の持続的な発展に係る措置と、合理的な費用を考慮した価格形成に関する措置から成ると承知しております。
初めに、食品産業をめぐる四半世紀の変化と食品産業の持続的な発展に係る措置について意見を述べさせていただきます。
食品産業がこの四半世紀に直面した変化としては、大きく三つあると考えております。
まず第一に、輸入原材料の価格高騰と調達の不安定化です。
御承知のとおり、新型コロナウイルスの世界的な拡大やロシアのウクライナ侵攻の影響により、世界の食料価格や海上運賃が高騰いたしました。我が国の輸入農産物価格は、二〇二〇年以降高騰し、現在でも以前と比較して高い水準が続いております。
こうした中、一九九八年当時、日本は世界第一位の農林水産物の純輸入国であり、プライスメーカー的な地位でありましたが、近年はその地位が低下するなど、今後も我が国が安定的に輸入原材料を調達できるのか、非常に懸念するところでございます。
原材料の安定的な調達は、食品産業にとって死活問題です。その意味で、輸入原材料の調達先の多角化も必要ですが、今後の世界の食料需給や為替の動向を考えた場合、国産原材料への更なる回帰も考えていく必要があると認識しております。食品産業においてもそのような動きが出てきたところでございます。
しかしながら、国産原材料は、消費者ニーズが高い一方、品質や数量、価格の面で課題があります。農林水産業と食品産業が協力して、こうした課題を乗り越え、国産原材料の利用の拡大を図っていくことが必要ではないかと考えるところであります。
第二に、環境や人権などへの国際的な関心の高まりであります。
近年、SDGs、持続可能な開発目標など、環境や人権といった持続可能性に配慮した農林水産業、食品産業に関する議論が進展しております。我が国の食品産業におきましても、こうした持続可能性に配慮した取組への対応が求められております。
例えば、環境については、気候変動や生物多様性、自然資本に係る情報開示が各国の会計基準に順次適用されることが求められております。また、人権については、二〇一一年、国連人権理事会においてビジネスと人権に関する指導原則が我が国も含む全会一致で支持されて以降、国際的に企業への人権尊重を求める声が強まっております。
このため、食品産業においても環境や人権といった持続可能性に配慮した取組を積極的に行っていく必要があると考えております。これらの取組はサプライチェーン全体で評価されることから、川上から川下までの関係者が一体となって取り組む必要がありますが、中小企業にとっては、投資余力が限られ、また、人材不足が深刻であります。環境や人権などの取組を行う余力がないため、特に中小企業への支援が必要であると考えております。
第三に、消費者の情報リテラシーの向上です。
近年のSNSの爆発的な普及により、消費者の情報収集能力が向上しています。消費者においても、店頭で販売されている食品の背景にある情報への関心が高まっています。
環境や人権などへの関心が高まる中で、食品についても、例えば、どのような農業者が生産した有機農産物なのか、環境負荷の少ない農産物を購入することでどの程度温室効果ガスの削減に貢献できるのかなど、消費者は様々な情報を求め、商品を選択しようとしています。
SNSが爆発的に普及し、消費者も様々な情報に触れる中で、食品産業においても、正確な情報を消費者にお伝えすることが重要な課題になっています。食品産業を通じて農業生産現場の実情などを消費者に直接伝えることが必要になっていると考えております。
このように、この四半世紀で食品産業の事業環境が大きく変化しました。食品産業が将来にわたりその持続的な発展を図るためには、このような環境変化に対して果敢に対応していくことが重要であります。
今回の食料システム法案のうち、食品産業の持続的な発展に関する措置においては、食品産業が四つの取組に係る計画を策定し、農林水産大臣の認定を受けた場合、長期低利融資、税制特例など、各種支援措置を受けることが可能となっています。食品産業の持続的な発展を図る取組を後押しする制度であり、中小企業が大半を占める食品産業としても大変心強い制度になっていると評価をしています。
次に、食料システム法案のもう一つの柱である、合理的な費用を考慮した価格形成に関する措置について、四点意見を述べさせていただきます。
合理的な費用を考慮した価格形成につきましては、農林水産省において、適正な価格形成に関する協議会が開催されました。生産から消費まで、食料システムの関係者が一堂に会し、それぞれの立場で、コストがしっかりと転嫁できる仕組みを検討してきたところであります。食品産業センターも、食品産業を代表して参加してまいりました。
まず一点目は、価格転嫁の基本的な考え方です。
生産から消費までの食料システムのどこかにしわ寄せがなされる形は、適正な価格転嫁ではありません。生産者、食品製造業者、食品流通業者、食品小売業者の関係者が、それぞれのコスト増加をどのような形で適正に転嫁していくのか、それをどのような形で消費者の皆さんに御理解をいただくのかという、食料システム全体として解決していくことが重要だと考えております。
このような観点を踏まえますと、今回の合理的な費用を考慮した価格形成については、特定の事業者を狙い撃ちするものではなく、生産者から食品小売業者までの関係者が食品の取引全体に努力義務を担っています。こうした点は評価できると考えております。
二点目は、食料・農業・農村基本法の改正の際には、フランスのエガリム法の話が持ち上がり、同法のような、価格が自動的に改定されるような強制的な価格決定方式の議論がございました。このような措置は需給が考慮されなくなるため、食品産業においても非常に心配をしていたところです。
今回の法案を見ますと、コストが反映されづらい品目を指定するとともに、指定品目団体がコスト指標を作成し、それに基づき、努力義務に沿った取引を促すというスキームとなっております。価格などの取引条件は当事者同士で決定するという原則を維持しており、市場経済の下で活動している関係者にとっては望ましい制度になったと考えております。
三点目は、合理的な費用を考慮した価格形成を実現していくためには、何よりも消費者の皆様の理解を得ることが重要であります。
今回の食料システム法案においては、指定品目について、生産から小売までの各段階のコスト構造を明らかにし、消費者の手元に届くまでにどれだけのコストがかかるのか、コスト指標として分かりやすく情報発信するとしています。こうした措置により、消費者の皆様の理解促進が図られると期待をしておるところであります。
また、法案においては、国は広報活動などを通じ、国民理解を深めていくということとされております。現在国が行っておるフェアプライスプロジェクトなど、消費者向けの広報活動を今以上に積極的に行っていただきたいと考えております。
四点目は、消費者の購買力を確保するためには、継続的な賃上げの実現が重要だということであります。
令和五年十一月に労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針が策定されたことにより、労務費のための価格転嫁が進めやすい環境を整備していただいたことは、食品産業としても非常にありがたいと考えております。
一方、現場の感覚からすると、サプライチェーン全体で労務費を転嫁していくことは容易ではありません。我々民間側も労務費を含む価格転嫁に真摯に取り組んでいく必要があると考えていますが、適切に価格転嫁と賃上げの両立を図るには、賃金と物価の好循環により我が国の経済成長を実現していくためにも重要だと考えております。
官民連携を深めるとともに、農林水産省においては、これまでと同様に、公正取引委員会など他省庁と連携しながら、食品の取引の適正化に取り組んでいただきたいと考えております。
以上のとおり、食品産業に関わる当事者としては、合理的な費用を考慮した価格形成についても、これまでの協議会の議論を踏まえ、生産、小売までの各段階の関係者の理解が得られるものになっていると考えております。
最後になりますが、我が国の農業、食品関連産業を取り巻く状況が厳しさを増す中、今回の食料システム法案が食料の持続的な供給を確保する上で大きな役割を果たすことを期待して、私の意見陳述とさせていただきます。
ありがとうございました。(拍手)
○御法川委員長 ありがとうございました。
次に、及川参考人、お願いいたします。
○及川参考人 皆さん、おはようございます。初めまして。株式会社農業総合研究所代表取締役会長のCEO、及川智正と申します。
今日は、このような貴重な場をいただきまして、誠にありがとうございます。今回、この場をかりまして、政策提案というよりも、我々が本法案にのっとってどんなことを、どんな事業をやっているかということを是非皆様にインプットしていただければなと思っております。また、農業の課題について、この部分も共有できたらいいなと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
では、こちらの資料に沿って御説明の方をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
まず、目次、二ページ目なんですけれども、今回、四つの項目に沿ってお話をさせていただきたいと思います。
一項目め、会社概要、自己紹介、そして事業概要、ビジネスモデル、そして市場環境と優位性、そして最後に、農業の課題が本当はどこにあるのかということと、目指す方向性はここじゃないのかというお話を十五分間を使ってお話しさせていただきたいなと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、二ページ目を開いてください。会社の概要になります。
会社名を、株式会社農業総合研究所と申します。弊社を知らない方は、何を研究している会社だと思われるかもしれないんですけれども、実は一切研究はしておりません。社名からうそでございます。じゃ、何でこういう会社名にしたかといいますと、農業というのは、僕は、作るだけが仕事じゃないと思っているんですね。何が言いたいかというのは、農業というのは、口に入るまでが農業の仕事、使命じゃないのかなと思っています。なので、作るところから口に入るまでを総合的に研究できるような、そんな農業のベンチャーをやりたいということで私が十八年前につけた、そんな会社名でございます。
設立は二〇〇七年になりまして、今、二人代表で会社の方を運営させていただいております。
本社が非常に地味な和歌山県にあるんですけれども、ありがとうございます、今日、知っているだけでも私を含めて三名、和歌山の方がいるので非常に心強く感じております。ありがとうございます。
資本金は六億円弱ございまして、今、売上げが年間七十二億円でございます。その下に少し聞き慣れない、流通総額という数字があるんですけれども、こちらが百五十七億円でございます。これは何かというと、うちの会社を介して売れた野菜と果物の金額が百五十七億円でございます。我々、手数料だけを売上げに計上しているので、この手数料が七十二億円、この手数料七十二億円が粗利益になるというような、何が言いたいかというと、野菜の総量が売上げになるのではなくて、手数料だけ売上げに計上しているプラットフォーム業の会社だということを理解していただきたいなと思っております。
従業員が二百八十名おりまして、うち百二十名が正社員でございます。
主なビジネスは、農家の直売所事業というものと産直卸事業をやっております。
和歌山が本社なんですけれども、東京、大阪、名古屋に営業所を構えております。ちょっと事業所の下に聞き慣れない言葉が出てくるんですけれども、集荷場、これは何かといいますと、我々、野菜や果物を集める基地、拠点のことを集荷場という名前で呼んでおります。こちらが全国に七十九拠点ございまして、北は北海道、南は九州まで、七十九拠点に拠点をつくって、そこで毎日野菜と果物を集めるというような、そんな仕事をさせていただいております。
この七十九拠点に登録をいただいている農家さん、生産者の数が現在一万四百三十七名おります。
現在、この約八十拠点と生産者一万人と協力いたしまして、国内外のスーパーマーケット約二千店舗に我々の専用コーナーを、全国のスーパーマーケットさんの中に我々の専用コーナーをつくっていただいて、この二千店舗の専用コーナーを全国の生産者にどんどんどんどん開放するという仕事をやっている会社が我々農業総合研究所でございます。
三ページ目を開いてください。三ページ目には、関連会社及び関連役職というものが載っております。
我々、基本的には市場外流通をやっているんですけれども、二〇二三年十一月まで三年間、富山中央青果の株主として、社外取締役として市場の経営もさせていただきました。また、世界市場という、クールジャパン機構と一緒になって組成した会社があるんですけれども、今も年間十億円ぐらいの野菜と果物を海外に輸出する、そんな事業もやらせていただいております。プラス、こちら、弊社とは関係ないんですけれども、個人的に、カネマサ流通ホールディングスという、外食向けのカット野菜、外食向けの加工した野菜等々を納入、若しくはコンビニエンスストア向けのカット野菜を供給する会社の仲卸機能の会社の役員をやらせていただいたり、また、母校は東京農業大学なんですが、こちらの客員教授等々もやらせてもらっています。
何が言いたいかというと、市場外流通のメインの会社なんですけれども、市場流通も、市場も仲卸も経験しているというような、非常にまれな会社なんじゃないのかなと思っております。
簡単に自己紹介をさせていただきたいんですけれども、四ページ目をお願いいたします。
元々、私、出身は東京でございます。でも、どうしても農業をやりたいということで、和歌山県で三年間、自分で農業をやらせてもらいました。そのとき、もうけることができなかったんですね。何を考えたかといったら、なかなかもうかることができないので、じゃ、次は八百屋だということで、大阪で八百屋をやりました。八百屋ももうからなかったんです。そこで思ったのは何かといいますと、作るのも大変だし売るのも大変だ、やはり重要なのはこの交わるところ、水と油が交わるところ、多分、農業は流通を変えていかないと絶対よくならないという気持ちで十八年前につくった会社がこの農業総合研究所です。
何が言いたいかといいますと、現場を、しっかり自分で農家をやって自分で八百屋をやった経験が生きている、そんな会社なんじゃないのかなと思っております。
五ページ目をお願いいたします。
私のやりたいことと会社のやりたいことは全く同じでございます。何がやりたいかというと、持続可能な農産業を実現し、生活者を豊かにする。SDGsが言われる十八年前からこちらをビジョンにしているんですけれども、日本から、世界から農業が衰退しない仕組みをつくりたいと思ってつくった会社が農業総合研究所でございます。
六ページ目をお願いいたします。事業概要なんですけれども、大きく分けて二つの事業をさせていただいております。
まずは、向かって左側、農家の直売所事業。先ほど御説明いたしました、スーパーマーケットの中に産地直送コーナー、農家直送コーナーをつくりまして、ここの農家直送コーナーを全国の生産者に開放していく、そんな仕事がこちらの農家の直売所事業でございます。
こちらの農家の直売所事業の特徴は、末端売価を生産者が決められます。もう一つ特徴的なのは、売りたい場所を生産者が決められます。なので、都会のスーパーマーケットの売りたい店舗を生産者が決められて、もう一つ、そこで売りたい金額も生産者が決められる、生産者主体の流通になっているというところが面白い部分じゃないのかなと。七十九か所の我々の集荷拠点に生産者が野菜と果物を持ち込むと、全国二千店舗のスーパーマーケットで、自由に好きな値段で、好きな場所で売れるという、そんなプラットフォームになっているというところが一つの特徴なんじゃないのかなと思っております。
向かって右側、産直事業とは何かというと、これは、生産者から直接仕入れて、我々がブランディングして、スーパーマーケットのPB商品として卸す、そんな事業ですね。こちらの二本柱で仕事の方をさせていただいております。
一つ飛んでいただいて、八ページをお願いいたします。では我々のポジショニングはどこだというのを表にしたものが、こちら八ページでございます。
簡単に言うと、既存の流通と農産物直売所のちょうど中間の流通を形成しているのが我々農業総合研究所なのではないのかなと思っています。既存の流通よりはたくさん売れないけれども、既存の流通よりは手取りがいいですよ、農産物直売所よりは手取りが悪いけれども、農産物直売所よりは手間が少なくて、たくさん売れますよと。
要は、どの流通がいい悪いということではなくて、農業流通には、いろいろな生産物を作っている生産者、若しくは規模も違います。なので、自分で自分の生産規模に合った流通を選ぶという、この選択肢をつくっていくということがとても大切なんじゃないのかなと思っております。
十ページ目をお願いいたします。本法案にも少し掲載されていた内容なので少し重複する部分があるんですけれども、簡単に市場環境を共有させていただきたいなと思っております。
御存じのとおり、十ページ目の向かって左側のグラフでございます。市場全体は少しずつ伸びているんですけれども、市場流通は少しずつ減っていまして、市場外流通は少しずつ伸びているというような、そんな現状でございます。向かって右側、市場経由の農産物も少しずつ減少しているという、そんな現状がございます。
その中、十一ページ目を御覧ください。
こちらも、御存じのとおり、農業者数の減少と、あとは高齢化をグラフにしたものなんですけれども、平均と弊社を比べるとどうなっているかといいますと、うちの会社では登録生産者さんが非常に若い、若い生産者が多い、そんなデータが出ております。これはなぜかというと、主体性を持って流通ができる仕組みだからこそ、若い生産者さんがたくさん登録してくれているのではないのかなと思っております。
では、十二ページ目をお願いいたします。
これは、よく投資家さんからも同じような御質問をいただくんですけれども、なぜスーパーマーケット向けのプラットフォームなんですかというお話をいただきます。
我々農業総合研究所は、一番この農産物流通でポイントは何かというと、物流だと思っています。かさばって、鮮度が要求されて、グラム単価が安いものをどうやって消費者の口元まで届けるか、ここが一番のポイントなんですね。
物流コストを安くしようと思ったら、当たり前なんですけれども、大量流通、大量販売しないとなかなか安くならない。では、今、農産物流通で一番大量に、出口が大きいところはどこかというと、スーパーマーケットが一番大きい。だからこそ、我々は、スーパーマーケット側に出口をつくって、物流コストを安くして、その安くした分を生産者に返すというような、そんなやり方で今会社の方を経営させていただいております。
十三ページ目をお願いいたします。十三ページ目は、我々の強み、優位性でございます。
先ほども申し上げましたとおり、私自身が元々農家だったというところが一つの強みかなと。もう一つは、全国一万人の生産者と八十か所の物流拠点を持っている、ここも私どもの強みなんじゃないのか。そして、今まで十八年間のデータを蓄積している、ここも我々の強みなんじゃないのかなと思っております。
では、十四ページ目をお願いします。
ここからは農業における課題を少し共有させていただきたいと思うんですけれども、今日は農業の専門家ばかりだと思いますのでもう御存じだとは思うんですけれども、農業にはたくさんいろいろな問題がございます。耕作放棄地、食料自給率、そして高齢化、人手不足、肥料高騰、温暖化等々あるんですけれども、いろいろな問題があるんですけれども、農業総合研究所では、問題を一つに集約できるのではないのか、一つの問題が原因になってこの問題を引き起こしているのではないのかなと考えております。
これは何かといったら、真ん中に書いてある、もうからないからです。もうかれば、今言った問題というものは我々は解消できるのではないのかなと思っています。なので、農業総合研究所は、この農業はもうからないという部分をしっかりもうかる仕組みにしていくというところを命題に、中長期計画を組んでいるところでございます。もう一つの要因は天候不順だと思うんですけれども、天候不順は我々の会社ではどうにもならないので、我々としては、もうからないという部分を、流通でもうかる仕組みをつくっていくというところに命題を置いて、会社の経営の方をさせていただいております。
では、十五ページ目をお願いいたします。
では、なぜもうからないのか。要因は、先ほど申し上げましたとおり、天候もあるんですけれども、天候だけではなくて、我々が農業がもうからない理由の本質的な課題と置いているのは、青果の需要と供給のバランスがアンバランスだ、ここが一番の問題なんじゃないのかなと考えております。
こちらのグラフを見て分かるとおり、相場が乱高下して、高くなっても低くなってもなかなか生産者はもうからない、そんな仕組みになっています。なので、この需給のアンバランスをなるべく小さくしていく、このボラティリティーをなるべく小さくしていくことが多分、生産者の手取りを増やす、ここに直結するのではないのかなと我々は考えております。
では、次のページ、十六ページ目をお願いします。
需給アンバランスが発生する要因なんですけれども、我々がなぜ需給アンバランスが発生するかというところを考えたところ、食べる量と生産量が把握できていない、若しくはこの情報が遮断されている、この二つが問題なのではないのかなと思っております。
十七ページ目をお願いいたします。
なので、農業総合研究所、今我々がやっていることは何かといいますと、先ほどから申し上げている農産物のボラティリティーをなるべく小さくするために、需給の見える化と需給をつなげるプラットフォームの構築。今までやってきたプラットフォームでも、ある程度需給のバランスは取れていたんですけれども、まだまだ限定的ですので、今また新たにプラットフォームをつくることによって、この需給バランスをしっかり整えられるようなものをつくっていきたいなと我々は考えております。
十九ページ目をお願いいたします。
では、このボラティリティーをどうやってなくしていくか。「農業を儲かる仕組みに」と書いてあるんですけれども、我々では、今実践しているのは、この二つを実践させていただいています。一つは何かというと、新しい農産物の流通の仕組み、我々、産直委託システムと呼んでいるんですけれども、こちらをしっかりつくっていこうと。もう一つは、AIを活用して、需要と供給のバランスをしっかり図れるような、こちらはNTTさんと組んで、調整をする。この二つをやらせていただいております。
もう少し具体的なお話をさせていただきます。二十ページ目をお願いいたします。
では、どういう新しいビジネスモデルかといいますと、先ほど御説明いたしました産直コーナーと卸売、これを二つ、我々が、我々がやっている事業をミックスして、もう少し生産者に対していい流通がつくれるんじゃないのかなというものを今模索して、ちょっと実践しているところでございます。
産直委託モデルの特徴は何かというと、レベニューシェアになっていて、大量流通、安定販売が可能で、そして事務処理が簡便だと。なので、今までデメリットだった部分を少しずつ解消して、生産者にも、流通会社にも、そして小売さんにも手間のない流通にしていく、そんな仕組みでやらせていただいております。
少し具体的な説明をさせていただきます。二十一ページ目をお願いいたします。今までの流通がどうだったかという説明なんですけれども、今までの流通は二十一ページのような流通なんですね。
生産者さんがいて、生産者はうちの会社に一円でも高く売りたい。うちは、スーパーさんに対して、小売さんに対して一円でも高く売りたい。みんな一円でも高く売りたいですし、逆に、仕入れる側は、我々は生産者から一円でも安く仕入れたいですし、小売さんは我々から一円でも安く仕入れたい。何が言いたいかというと、生産者と生活者の間が遮断されて、各社が自社の利益を優先してしまう、そんな仕組みになっていたんじゃないのかなと思っております。
なので、これだとなかなか持続可能ではないので、今我々が挑戦している流通は、次のページの流通でございます。
では、どういう流通にしているかといいますと、レベニューシェアでちゃんと利益を分けていこう、簡単に言うとそういうことでございます。
どういうものかというと、みんなで価格を決めましょうと。生産者と我々とスーパーさん、三位一体になって、幾らで売ろうというのをしっかり考えて売る、この在庫リスクを生産者に取っていただく。値段はみんなで決めるんですけれども、最終的な在庫リスクは生産者にも取ってもらうことによって生産者の手取りを大きくする、そして、売る場所を、我々の産直コーナーではなくて、今までの既存の青果コーナー、スーパーさんの普通の野菜売場で売るということを現在やらせていただいています。
これをすると何がよくなるかといいますと、受発注がないんですね。受発注がないということは何かというと、DX化がしやすいということでございます。今、青果流通は非常にDX化がしにくいです。これはなぜかといいますと、既存の流通をDX化しようとするから難しいわけであって、新しい流通をつくって、最終的にそれをDX化することによって、かなり簡便な流通をつくることができるんじゃないのかなと我々は考えております。
二十三ページ目をお願いいたします。
もう一つやっていかないといけないのは、AIを使った需給調整プラットフォーム、こちらをつくっていきたいなと思っております。現状、我々も需要、供給のバランスが取れていないですし、既存の流通も取れていないのではないのかなと考えております。
それを、二十四ページを見ていただきたいんですけれども、何をやりたいかといいますと、小売店さんの需要をAIを使ってしっかり予測をいたしまして、これを六か月前に生産者にちゃんと渡していく、この仕組みをつくって、この仕組みがうまくいくのであれば、最終的に既存の流通さんにそのシステムを開放させていただいて、ちゃんと需給のマッチングができるような、そんな仕組みをつくっていきたいなと思っています。
農業総合研究所では、やりたいことは一つです。豊作貧乏をなくしたいと思っております。この仕組みができるまで農業総合研究所は頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
私からは以上です。どうもありがとうございました。(拍手)
○御法川委員長 ありがとうございました。
以上で参考人からの意見の開陳は終わりました。
―――――――――――――
○御法川委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。長谷川淳二君。
○長谷川(淳)委員 おはようございます。自由民主党の長谷川淳二でございます。
四名の参考人の皆様におかれましては、食料システム法案につきまして貴重な御所見を賜りまして、誠にありがとうございます。
まず、食料システム法案の必要性についてお伺いをさせていただきたいと思います。
改正食料・農業・農村基本法において、食料が国民生活に欠かせないものであることを踏まえまして、従来、ともすれば利害が反する関係と捉えられてきた生産者、食品製造、卸、小売、消費者を一連の食料システムと定義づけた上で、そうした食料システムの当事者に、食料の持続的な供給の確保のために、供給に要する合理的な費用が考慮されるようにしなければならない等の規定が整備されたところでございます。
やはり我々、自由主義経済であります。その下では、最終的な取引条件は当事者間で決定されます。しかし、及川参考人から話がありましたように、やはり、青果、野菜は短期間で品質が低下しやすいため、需給に急激なアンバランスが生じて、農家はなかなかもうからないという状況であります。
あと、これは伊藤参考人から話がございましたように、やはり、農畜産物の品目によっては、消費者の値頃感で価格が決定されてしまって、費用が考慮されることがない、コスト割れの供給も生じているというような状況でございます。
令和三年以降、肥料や飼料などの生産資材の価格が高騰し、農家経営は極めて厳しい状況でございますし、また、人手不足の中、人件費や物流コストも上昇しています。食料システム全体に幅広く影響が及んでいる状況の中、今般、市場メカニズムと食料供給の持続可能性を両立させる仕組みとして、食料生産の持続可能性の鍵となるコストなどを示して誠実に協議をするなどの仕組みを導入する本法案が提出されたものと理解をしております。
こうした仕組みは、農水省の協議会や検討会の場で、二年以上にわたり、生産、食品製造、流通、小売、消費の各関係者の間で議論が重ねられ、多様な意見を踏まえて作成されたものでございます。
先ほどJA全中の藤間参考人から御説明があったとおり、この法案の実効性を確保するためには、コスト指標の策定やいかに活用していくかなど、やはり制度設計の詳細について詰めるべき点はありますが、私は、まずはこの法案を具体的に動かしていくことが必要ではないかと考えています。
そこで、JA全中さんは、生産サイドの関係者としてこれまで政府の協議会、検討会に参画されてこられましたが、藤間参考人に、実際に検討に参画されてきた中で、今回の食料システム法案の意義、必要性、あるいは期待するところをお伺いしたいと思います。
○藤間参考人 先ほども御説明させていただきましたが、生産現場におきましては、生産資材コストの上昇を農畜産物価格に反映できておらず、営農が継続できるかできないかというような危機的な状況にございます。
そのため、私たちJAグループとしては、これまで再生産に配慮した適正な価格形成の実現に向けて法制化を要請し、いよいよ国会審議が始まったことは大変ありがたいことだと思っております。
また、今回からは、農水省の適正な価格形成に関する協議会に、委員として議論に参画してまいりました。これまで長きにわたりまして関係者の間で率直な議論を積み重ねてきた中で、本法案の趣旨について一定のコンセンサスが得られているものと受け止めております。
今後は、コスト指標をいかにして作成していくか、また、消費者の理解醸成をいかにして図っていくかなど、更に積極的に議論を行っていきたいと思っております。
○長谷川(淳)委員 ありがとうございます。
食料システムにおける適切な価格転嫁は、まず生産コストへの配慮、これが第一だと思います。更に加えて、食品製造業の合理的なコストへの考慮も重要であると思います。特に、我が国の食品製造業は、中小零細企業が多くを占めております。生産者から原材料を安定的に購入して、そして流通事業者との間でいかに適正取引を確保していくかが大きな課題であると思います。
先ほど川村参考人から話がありましたように、やはり、米国の一方的な関税措置に直面している中で、自由貿易体制がこれまで同様に当たり前でなくなっている中で、安価な原材料がいつでも輸入できる状況ではないということも事実であると思います。そうした中で、いかに国内から安定的に原材料を購入して、そして流通事業者との間で適正取引を確保していくか、これがますます大きな課題になると思います。
最近では、流通や小売への納入価格の引上げを、川村参考人は経営者としてお願いをせざるを得ないという立場でございますけれども、今回の法案は、そうした取引の適正化により、食品等の合理的な価格形成を促すと。規制的な措置と同時に、ここが私は重要だと思いますけれども、事業活動計画制度によって、食品産業による付加価値を高める取組を促進する仕組みでございます。合理的なコストを反映すると同時に、食品産業の持続的な発展を図るためには、やはり事業活動計画を策定し、それを政府としても支援する、こうした仕組みが本法案の大変大きな意義ではないかと思います。
そこで、一般財団法人食品産業センターの川村参考人、副会長としてお伺いしますが、食品産業センターも、食品製造サイドの関係者として政府の協議会、検討会に参画してこられましたけれども、食品製造業において、やはり付加価値を高める商品を作っていくためにも合理的なコストの反映が必要であるというふうに考えますが、食品製造業の立場から、本食料システム法案の必要性、意義、期待するところについて御所見をお伺いしたいと思います。
○川村参考人 ただいまの御質問にお答えしたいと思います。
今回の法案は、食料の持続的な供給を実現することを目的として、大きく二点の目的があるというふうに承知をしております。一つ目は、生産から消費に至る食料システム全体で費用を考慮した価格形成を進めていくこと、そして二つ目には、生産と消費者をつなぐ食品産業を対象として、その持続的な発展を図るための計画認定制度を創設するという、この二点ではなかろうかなというふうに考えております。
これまで政府において法案を検討する中で、価格形成に関する協議会など、食品産業センターも積極的にその協議会に参画をしてまいりました。このような食品産業を対象とする初めての本格的な法案でございまして、これが国会に提出されたことは大変画期的なことだというふうに考えております。
本法案が成立することで、食品産業における付加価値や生産性の向上が図られるとともに、食料システムにおける事業者間の連携や協調、また合理的な価格形成が進み、我が国の食料安全保障の確保にも貢献していくというものになることを大いに期待をするものでございます。
以上、御回答申し上げました。
○長谷川(淳)委員 川村参考人、ありがとうございました。
私も、食品産業における生産コストアップ分の転嫁も重要であると思いますけれども、やはり新商品開発などによる付加価値の向上を後押しをするということが食品供給の持続可能性の確保のためには大変重要であるというふうに思います。そうした点でも、本法案は大きな一歩だというふうに思っております。
続きまして、今度は、消費者の理解を得る努力についてお伺いをさせていただきたいと思います。
市場メカニズムの中で、価格が高くなれば、当然のことながら、その商品の需要が減り、代替可能な他の商品に需要が移ってしまいます。生産コストを適切に転嫁することは重要でありますけれども、消費者の手が届かない価格あるいは消費者が選択できない価格では、国産の農畜産物、食料品の消費減退や消費者離れを招きかねないことも事実でございます。
昨日、農水省が発表しました米価でございますが、五キロで四千二百三十三円ですね。御飯茶わん一杯にすれば僅か六十円。これは平成の初めの頃の水準に戻っているだけで、肥料代や資材代が高騰している中で、農家の皆さんが意欲を持って再生産可能な価格形成の仕組みをつくってほしいという強い要請も、私の地元の皆さんからはたくさんいただいております。
一方で、令和六年、昨年のエンゲル係数が二八・三%と四十三年ぶりの高い水準となっている。家計をやりくりする消費者の立場からすれば、主食であるお米の値段が高いのは、やはり切実な問題であると思います。
したがいまして、消費者の皆さんにやはり生産コストを反映した合理的な価格について十分に理解をしていただいた上で、お米を始め、国内の農畜産物を買っていただく、あるいは国内の農畜産物を使った食料品を購入していただく、すなわち、消費者の理解が不可欠であるというふうに思います。
消費者の理解を得るためには、安全、安心、信頼といった国産の農畜産物のメリットや、あるいは、稲作に代表されるように、農業の果たしている多面的な機能、そして食料供給の持続可能性の確保の必要性、やはり、いつまでも安価な輸入食料品が入ってくる時代ではない、こういったことも含めて、消費者にしっかり理解をしていただいて、国産農畜産物や食料品の価格を理解していただくことが必要ではないかと思います。
端的に言えば、先ほど藤間参考人の説明資料にもありましたように、割高であっても国産品を選ぶという消費者の割合を、現状五六%とございましたけれども、これを七割、八割へと上げていくことが肝要ではないかと思います。
そこで、藤間参考人に、生産サイドを代表する立場から、国産農畜産物を選んでいただくため、消費者理解の醸成のために行っている取組、先ほど、国産国消の話、全世代型食農教育の話を伺いましたけれども、本法案を踏まえまして、更にどのようにして国産農畜産物を選んでいくように取り組んでいかれるのか、お伺いしたいと思います。
○藤間参考人 先ほど御紹介いたしましたとおり、国消国産の取組をJAグループとして展開しております。昨年度の実績を申し上げれば、延べ人数でありますけれども、一億四千万の方に情報を発信をさせていただきました。ただ、これを行いましても、なかなか国民への理解醸成がまだまだ広がっていかないというような認識でございます。
そのため、先ほどの全世代型食農教育ということで、今までは小学生以下また子育て層をターゲットにやっておりましたが、幅広い世代に食と農の大切さ、これを訴えかけていくような活動が今後必要だと考えております。
以上です。
○長谷川(淳)委員 ありがとうございます。
消費者と生産者の間をつなぐJAグループの取組、更に御期待を申し上げたいと思います。
そして、消費者の理解を得る努力については、食品製造サイドについても当然求められるというふうに思います。
今回、食料システム法案において、食品等の合理的な価格形成について消費者理解を促進するために事業活動計画制度において食品等の事業者が消費者への情報提供を行う取組を支援する仕組みも盛り込まれているところでございます。
そこで、川村参考人にまたお伺いさせていただきたいと思います。
食品製造業は、生産者と消費者の間に立つ立場として、コストの考慮について生産者への説明、生産現場の実態についての消費者への理解醸成、それぞれ、生産者や消費者、双方への説明責任が求められていると思いますけれども、食品製造業の立場から、消費者理解の必要性、そしてこれからの取組についてどのように考えておられるかをお伺いしたいと思います。
○川村参考人 まさにその点が大変重要な課題であるというふうに認識しております。
この法案によって費用の考慮がきちんと行われていくということになりますと、結果的には消費者の皆さんの負担が大きくなることが懸念されます。しかしながら、消費者に国産食品を引き続き購入いただくためには、御指摘のとおり、消費者の理解を醸成していくことが何よりも重要であり不可欠であるというふうに考えております。
その上では、事業者側の努力としては、値上げをしても消費者に購入してもらうための様々な企業側の努力が必要であるというふうに認識しております。新しい商品の開発であったり、商品そのものについても新たな付加価値を加えていく、そして商品の満足度を高めていくということが重要だろうというふうに思っております。本法案の計画認定制度は、まさにこうした付加価値向上の促進を図るといった意味で非常に有効な制度であるというふうに評価をしているところでございます。
そして、消費者の理解を得ていくためには、何よりも消費者の購買力を高めていっていただくということが極めて重要な前提条件ではないのかなというふうに思っております。継続的な賃上げが可能となるような経済環境が実現できるように、官民が協力して取り組んでいくことが基本的な経済条件として極めて重要だというふうに認識をしております。
○長谷川(淳)委員 ありがとうございます。
まさに川村参考人御指摘のとおり、生産者や食品事業者、そして流通事業者、これらが相互に理解、協力の下に、やはりコスト増に対する配慮とともに新商品開発などの付加価値向上の取組を進めて、食料システム全体において合理的な価格形成を目指す仕組みをつくっていく必要があると思います。
最後に、商慣行の見直しについてフード連合の会長の伊藤参考人にお伺いしたいと思います。
本法案では、食品等の取引の適正化の措置として、取引の相手方から商慣行の見直しについて提案があった場合には検討を協力するような努力義務が規定されています。
これについては、実効性について議論があるところではございますけれども、やはり人手不足が深刻化する中で、例えば先ほど御説明ありました不当な労務の提供の是正、これはもちろんのことでありますけれども、例えば発注から納品までの期間であるリードタイムが短縮されるということの効果があれば、当然、食品産業の従業員の皆さんの労働環境の改善にも寄与するんではないかと考えます。
こうした食品産業に従事される労働者の勤務環境の改善も含めて、本法案に期待する点について御所見をお伺いしたいと思います。
○伊藤参考人 御質問ありがとうございます。
先ほども商慣行の幾つかの例についてお話をさせていただきました。これとは別に、我々も日頃から各労働組合からいろいろなヒアリングをさせていただいたわけですけれども、先ほどお話がありましたリードタイムの話を少しお話しさせていただきますと、例えば日配品の製造現場なんかでいいますと、取決めよりもリードタイムが短いということで悩まされているところがございます。特に、例を出しますとパンなどは、やはり日配品ということでございますので、納品の前日に発注が来ることも一部の小売店はまだまだあるということでございます。
また、そういったことで、品切れするといけないということで見込みで製造するという場合がありまして、そういう場合に、例えば天候不順で物が売れなくなるということになると、それは商品が残ってしまうというようなこともあります。
そういったこともあって、食品業界としてはこれまで当たり前だと思っていたことを、やはり、今回のこの法律を一つのきっかけにして、是非それぞれの、これはメーカー、小売店だけじゃなくて、それぞれの流通段階、食に関わるシステムに関わるところが認識していただくということが非常に重要なことではないかなというふうに思っております。
簡単でございますが、以上でございます。
○長谷川(淳)委員 伊藤参考人、ありがとうございました。
食料の安定供給に欠かせない合理的な価格形成が、生産者、食品事業者、流通事業者双方が協力して可能となり、生産者から消費者までが理解と納得を得られる食料システムが構築される第一歩となる法案ではないかと私は思っています。
参考人の皆さんの御所見に感謝を申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○御法川委員長 次に、神谷裕君。
○神谷委員 立憲民主党の神谷裕でございます。
本日は、参考人の皆様方には、本当にためになる公述をいただきましたこと、まずもって感謝と御礼を申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。
また、これから様々お聞かせをいただきたいと思いますが、必ずしも皆様に平等に聞けるというわけではございませんので、この点だけあらかじめ御容赦をいただきたい、このように思う次第でございます。
まず、私は、この法律なんですが、御案内のとおり、合理的な価格の形成という側面、それから、先ほどお話にあったように、不公正な商慣行の是正と、非常に大きな二つの目的があるなというふうに理解をしております。
その中で、合理的な価格の形成についてはチャレンジングな試みであってもやっていかなきゃいけないんだろうと思いますし、もう一方の、逆に言うと、商慣行の是正という話は、むしろかなり前向きに、きちっと対応すれば大きな前進が見られるんじゃないかということを大変に期待をしているところでございます。
そこで、一番最初に伊藤参考人にお伺いをしたいのでございますが、先ほども様々商慣行についてのお話がございました。これについて更に詳しい御所見等があったらお伺いをしたいと思います。伊藤参考人、お願いをいたします。
○伊藤参考人 御質問ありがとうございます。
例えば、以前は、お節だとか恵方巻きなどの取引先の商品を強制的に買わされる、いわゆる押しつけ販売というのに苦しんでいた組合が多かったわけでございます。中には、数万円の単位でいわゆる自腹を切ることによって、組合としては非常に苦しんでいたというようなことがございました。
ただ、最近は、食品ロスの削減やコンプライアンスの遵守の流れもございまして、押しつけ販売というのは減ってまいりました。あと、不当な労務提供も改善している傾向にはございますが、食品メーカーに勤めて、営業の仕事を通じて本来は自社製品の魅力を伝えるというのが仕事にもかかわらず、やはり、スーパーやドラッグストアに就職したみたいだというような声も聞いたりいたします。
そういう意味でも、先ほど申したことに加えまして、押しつけ、不当な労務提供というのは全くなくなったわけではないということでございますので、先ほどからお話がございますように、やはり、価格転嫁とかだけじゃなくて、こういった商慣習をなくすことによって食品の価値というのが高まるのではないかなというふうに私どもは考えておるところでございます。
以上でございます。
○神谷委員 ありがとうございます。
今お話にありましたとおり、減ってはきているようでございますが、必ずしも是正はされていないのかなというような形でお伺いをしたところでございます。
その上で、重ねてで恐縮でございますが、伊藤参考人に是非、もしこれをまさに根絶していく、なくしていくため、どのようなことを国に求めていくのか、この法律で何を求めたいのか、この辺についてお聞かせをいただきたいと思います。
○伊藤参考人 御質問ありがとうございます。
法案の中で、農林水産省としても食品取引実態を行うということを承知しておるわけでございますが、恐らく、調査ということになりますと、企業単位で回答を収集するということが想定されると思うんですけれども、各事業者が実際に取引する担当者の人の声を確認して回答するなど、やはりそういう現場の声が確実に反映されるような形を我々としては期待するところでございます。恐らく、農林水産省や地方農政局による実態調査もされるということで、それについては期待をしております。
ですから、やはり食品メーカーや流通、卸に、それは全てというわけにはいかないでしょうけれども、やはり足を運んでいただいて、そういった生の声を聞いていただけるような体制というのをやっていただくことによって、この法律が実効性あるものになるのではないかなというふうに思っておるところでございます。
それと、先ほども申し上げましたように、実は我々、この調査というのはもう二十年になるわけですけれども、最初のときは、やはり調査することによって、例えば会社名がばれるんじゃないかとかいうようなことで、なかなか協力してもらえなかったということもあるんですよね。ところが、やはり二十年続けておりますし、また最近は公取とか各省庁の方も、こういった匿名で相談できるような窓口なんかも設定いただいておりますので、是非こういうおかしなとか行き過ぎた商習慣が、そういった窓口に対して報告できるような、そういった仕組みというのを是非お願いできればなというように思います。
あとは、実効性あるものといいますと、先ほど消費者の理解というようなこともございましたが、ここの委員会の範囲ではないかも分かりませんけれども、やはり昨今マスコミ等で食料品の値上げの報道というのが毎日のようにされているというようなこともございますので、そういったことも少し見直していただくということをお願いできればなというふうに思っております。
以上でございます。
○神谷委員 ありがとうございます。
様々あると思いますが、現場の声を伝えていただいたことを感謝申し上げたいと思いますし、それを反映してまた国の方でもしっかりと対処していけるように、この法律の中も含めてしっかり点検をしていきたい、このように思うところでございます。
続きまして、藤間常務にお伺いをしたいと思います。
先ほど、合理的な価格の形成の話の中で、価格転嫁、これは本当に大変なんだなということを実感をしたところでございますし、価格転嫁が不十分な農産物価格とあるように、非常にこれは難しい問題だと思っています。農産物価格に資材代などを反映させることは、実現できないなかなか難しい話だなというふうに承知しておりますけれども、もちろんJAの皆さんも、それを実現するために様々御努力をいただいていると思います。こういった皆さんの御努力について、改めて御紹介をいただけるとありがたいと思います。いかがでございましょうか。
○藤間参考人 生産資材価格のコストがなかなか農畜産物の販売価格に転嫁できない、このような状況におきまして、JAグループでは主に二つの取組を進めてまいりました。生産資材価格のコスト低減の取組、そして生産支援ということであります。
生産資材価格のコスト低減につきましては、例えば肥料であれば、成分の似たような多くの銘柄を取り扱っておりましたが、これを集約し、一括で発注することでコスト低減に努めてまいりましたし、農業機械につきましては、生産者が本当に必要とする機能に絞ったトラクター、コンバインをメーカーに開発要請をいたしまして、こちらも、一括発注、計画的に導入していくことでコスト低減を図ってまいりました。
さらに、生産支援につきましては、多収性品種、また、今般の気候変動に対応した高温耐性品種、また、スマート農業等の技術導入、これらの取組を進めてまいりました。
今後も、生産者の所得確保により、消費者の皆様に国産農畜産物を安定的に供給するための取組に尽力してまいりたいと考えております。
○神谷委員 ありがとうございます。大変な御努力をいただいていると思います。引き続きまたお願いをしたいと思うところでございます。
引き続きまして、川村CEOにお話を伺いたいと思います。
先ほど、この法律の中で、合理的な価格の形成というお話もいただいたところでございます。また、需要と供給に基づいた市場経済の下での合理的な価格の形成というお言葉も頂戴したところでございますが、この法案の背景としてありますのは、やはり生産者の再生産可能な価格というものをいかにして実現していくかというような背景があったというふうに思います。これは、必ずしも消費者が求めている価格と理解が相反するというか、そういうような関係にないこともないかなと。
ただ、もう一方でいうと、ここは、このチャレンジングな法律によって、お互いにいわば落としどころを探っていく、そういうことになればいいなと思いますし、結果として、それが誰にとってもウィン・ウィンな価格になることを求めているところでございますが、経済人であります川村CEOに是非お伺いをしたいのは、適正な価格をいかにして実現していくのか、何が一番合理的な価格なのか、この辺のところについて御教示をいただけたらと思います。いかがでしょうか。
○川村参考人 ただいまの御質問については、大変難しい課題であるというふうに私自身も承知をしております。
消費者の皆様の理解をどう醸成していくのかということにつきましては、日々、食品産業、あるいは製造業だけではなくて、流通業においてもそういった努力を共にさせていただいているというふうに感じております。
国産農産品についての消費者の要望といいますか、求めているということにつきましては、明らかに輸入原材料に比べて国産の方をお買い求めになるという行動については、変わらずに続いているというふうに理解をしております。
しかしながら、様々な表示制度が整備されていく中にあっても、やはり、今まで買い慣れた価格といいましょうか、買い慣れた価格に対する考え方というのは、なかなかここを破っていくというのは大変難しいところであります。それから、私どもが扱っている牛乳の価格等につきましても、一時期、なかなか二百円という壁を越えられない時期も長くございました。様々な酪農生産の現場の状況も踏まえて価格改定を進めてきておるわけでありますけれども、常に、消費者の皆さんからは、そういった意味では、買い控えであったり、そういう行動を誘発するということが起こっております。
したがいまして、我々自身についても、先ほどもちょっと申し上げましたが、本計画に基づいた計画認定制度は大変ありがたい制度であるというふうに考えておりますけれども、加えて、企業自身が、新しい商品の開発であったり、付加価値を加えていく、必ずしも中身だけではなくて、パッケージであったり、そういったものに対しての工夫も凝らしながら、消費者の皆さんの御理解を深めていただくということが今後も極めて重要なことになっていくんではないかなと。
あわせて、先ほどのちょっと繰り返しになるかもしれませんが、消費者の皆様の御理解を得ていく上では、やはり何よりも消費者の購買力そのものを高めていっていただくということが極めて重要な課題だろうというふうに思います。やはり継続的な賃上げが可能となるような経済環境、デフレからの脱却ということを官民一体となって実現していくということが極めて重要ではなかろうかなというふうに考える次第であります。
以上、御回答申し上げました。
○神谷委員 誠にありがとうございました。大変に示唆に富んだお話であったと思います。
続きまして、及川CEOに伺いたいと思います。
先ほど、いわば消費者と、川上と川下の間で情報のいわば格差というのか、そういうものがあるんだということもお話をいただきました。それがいわば強弱につながっていると思いますし、そんな中で、今まで再生産可能な価格というのか適正な価格が実現してきたのか、そういうことに対してチャレンジングな様々な取組をされているということも御紹介いただいて、大変に感銘を受けたところでございます。
このいわば情報格差を是正する手段というのか、お互いに対等な立場でテーブルに着くことの重要性については、もうそのとおりだと思うんですけれども、これを具体的にならしめるために更なる御示唆をいただけるとありがたいのでございますが、いかがでしょうか。
○及川参考人 御質問ありがとうございます。
様々なつなぎ方があると思うんですけれども、まず、例えば生産者と消費者をつなげるということの情報伝達ということで、我々がやっている事例を少しお話をさせていただきたいなと思っています。
大きく分けて二つあるんですけれども、一つは、アナログでちゃんと情報を伝えるということで、我々が入って、パッケージングであったりPOPであったりということで生産者側の情報をしっかり伝えるということ。もう一つは、デジタルで今伝えることをさせていただいております。これは何かというと、商品に二次元バーコードを貼り、そのバーコードを撮っていただくと、商品情報ではなくて、生産者の思いが伝わる。商品価格を上げていこうと思ったら、消費量を上げていかないと商品価格は上がっていきませんので、よりたくさん野菜と果物を食べてもらうような表現をデジタルでできるような、そんなことを具体的にさせていただいております。
以上です。
○神谷委員 ありがとうございます。
この農業の世界にデジタルというのは、なかなか考え方によっては大変だなというふうに思いますが、先ほどおっしゃっていただいたように、新たな商慣行をつくっていく、あるいは、そういったルートをつくっていく、このことが大事なんだなというふうに思いました。ありがとうございました。
続きまして、もう一度、藤間常務にお話を伺いたいと思います。
先ほど常務の公述をいただきましたけれども、適正な価格の実現については、消費者の理解と行動変容が不可欠というようなことでございました。また一方で、これもなかなか理解が進んでいかないということも、現実の課題なのではないかというふうに思います。
そこで、JAとして、今後消費者の理解と行動の変容を促していく上で、どんな取組をすることが必要だと認識しておられるのか、この点についてお伺いができればと思います。いかがでしょうか。
○藤間参考人 国消国産の取組につきましては、引き続きこれは取り組んでいくと考えております。
また、昨年の全国大会で決議いたしました全世代型食農教育につきましては、今までは小学生まで、いわゆる農業体験を通じて、農業が大事だ、お米がおいしい、このような体験を教育しておりましたけれども、その後の中学生、高校生、大学生、いわゆる職業としての農業体験、これを進めていく。例えば、今、農業生産は、スマート農業が導入されております。非常に高度な農業生産が、そういう状況であるということを知っていただく、このようなことも必要だと考えております。さらには、年配の方、健康というキーワードでこの食農体験、食農学習を進めていく必要があると考えております。
全体的に、先ほど申しましたように、切れ目なく全世代に食農教育、これをJAグループとしても積極的に進めてまいりたいですし、関係機関の皆様また政府の皆様と一緒になって進めていければと考えております。
○神谷委員 ありがとうございます。
最後に、短時間で恐縮なんですが、伊藤会長に再度お伺いをしたいと思います。
商慣習の見直しのところで、基本的には努力義務というふうになっています。検討、協力とか努力義務ということで、実効性という意味ではいささか疑念が残るかな、懸念が残るかなというところでございますが、これについての思い、何かありましたらお願いしたいと思います。
○伊藤参考人 御質問ありがとうございます。
私たちといたしましては、今日は食品関連産業と小売業の取引のお話をさせていただきましたが、やはり、食品関連産業の事業者、小売業者、それと消費者、食料システム関係の全員が共存共栄することが重要であるというふうに考えております。法的な拘束力を高めて、誰かが罰せられるということは本質でないというふうに思っておりまして、取引の当事者同士が本法案の目的を十分理解した上で、やはり自発的に改善を進めることがあるべき姿だというふうに考えております。
また、生きるために必要不可欠な食でございますから、やはりこの法案が国民全員で考え直すきっかけとなって、食を支える産業やそこで働く人にも目を向けていただくということをお願いできればなというふうに思っています。
以上でございます。
○神谷委員 ありがとうございました。
それぞれ参考人の皆様方には、大変高い立場からの御高見を賜りましたことを心から感謝と御礼を申し上げて、私の質問とさせていただきます。
本日はありがとうございました。
○御法川委員長 次に、林佑美君。
○林(佑)委員 日本維新の会、林佑美です。
本日は、お忙しい中、本委員会に出席いただきました参考人の皆様に心より感謝申し上げます。
それぞれの立場で長年現場の最前線で御尽力されてこられた皆様からこうして直接お話を伺えることをとても心強く、ありがたく思っております。中でも、及川参考人におかれましては、私の地元、きらきらしたすてきな和歌山、華やかな和歌山に本社を置かれておりまして、地域の農業とそして消費者をつなぐ努力を長年されてきたということで、地元の一人としても、とても深い感謝とそして敬意を持っております。どうぞ今日はよろしくお願いいたします。
本日は、改正法案の趣旨を踏まえながら、消費者、生産者、そして流通の現場にとってより実効性のある仕組みとなるように、幾つか話を伺わせていただきたいと思います。
まず初めに、及川参考人に伺います。
農業総合研究所では、農家の方々と都市部の消費者をつなぐ新たな流通モデルを構築され、農家の直売所を全国に展開されるなど、まさにこれまでの卸売市場中心の流通構造とは異なる形で、流通の多様化と効率化に挑戦されてきたと承知しております。また、JA全農との対談では、流通の新しい形が生産者と消費者の距離感を縮め、農産物への信頼や付加価値向上につながる可能性についてもお話しされており、非常に印象的でした。
そのような現場を熟知されるお立場から、今回の法改正にある食品等の流通の合理化という方向性についてどのように受け止めておられるか、特に、新しい流通の形が今後、制度の中でどう生かされ、制度設計がどう柔軟であるべきかについてお考えを伺えればと思います。
加えて、今後、より多くの中小農業者が自らの販売力や情報発信力を高めていく上で、官と民の役割分担、あるいは官民連携の可能性について、是非実務の視点から御意見いただければと思います。
○及川参考人 どうも御質問ありがとうございました。
まず端的に言わせていただきますと、本法案は、我々流通業者から言わせていただきますと非常にありがたい法案でございます。今までどちらかというと部分部分で法案が多かったんじゃないのかなと思うんですけれども、我々流通会社まで入った形でこういう法案を通していただけるということは非常にありがたい、そして有効であると考えておりますので、非常に感謝を申し上げております。どうもありがとうございます。
官民どう組んだらいいかということなんですけれども、やはり官と民はできることが違うと思うんですね。なので、一緒につくり上げるというのは私は大切だと思うんですけれども、やはり、こういう場を活用させていただいて、インプット、アウトプットをしながら官民でつくり上げていくというものが、私は一番いいものができるんじゃないのかなと思っております。
初めから官民が一緒になるのもいいかもしれないんですけれども、やはり、民間でいいアイデアを出して、それを一緒になって大きくしていくという形の方が伸びるスキームになるんじゃないのかなと今のところは考えております。
以上でございます。
○林(佑)委員 ありがとうございます。
農業総合研究所様がこれまで築かれてきた、生産者と消費者をダイレクトにつなぐ流通の仕組みは、まさにこれからの時代に必要となる新しい流通の形であり、制度の議論の中でも非常に重要な視点をいただいたと感じております。今いただいた御意見を今後の制度運用や関連施策の議論にしっかりと生かしてまいりたいと思います。ありがとうございました。
次に、中小規模事業者の制度活用の実効性と支援について質問したいと考えております。
今回の法改正では、安定取引関係の確立や環境負荷低減など、複数の類型にわたって事業活動計画が認定される仕組みが導入されております。制度の理念は明確であり、農林水産省としても中小規模事業者の配慮を含めた設計をされていると承知しておりますが、現場の皆様にとっては書類作成や手続の煩雑さが障壁となる可能性もあるかと思います。
各団体、企業として、こうした制度を現場に浸透させ、実際に中小規模事業者も制度の恩恵が届くためにはどのような支援や工夫が必要だとお考えでしょうか。現場での課題や今後の工夫について、川村参考人、及川参考人の御意見を伺えればと思います。
○川村参考人 御指摘のように、食品産業の多くは中小企業でございます。慢性的な人手不足がある中で、行政関係の書類作成に不慣れなことも多いというふうに承知をしております。申請者が書類を作成する中で様々な相談事項が発生するものだというふうに考えております。このため、申請書類を簡素化していただくとともに、本省及び地方農政局等において相談体制をしっかりと整備をしていただきたいというふうに考えております。
また、食品産業センターとしても、全国各地の中小企業が加盟している食品産業協議会連合会の事務局を担っておりますので、制度の普及や相談窓口の紹介など、可能な範囲で食品事業者の取組を後押しをしてまいりたいというふうに考えております。
以上です。
○及川参考人 ありがとうございます。
我々も中小企業者ですし、あと、生産者の方になると、もう少し零細の方もたくさんいらっしゃるんじゃないのかなと思っております。おっしゃるとおり、非常に申請書類は手間がかかっていて、我々のようなところにも生産者が相談に来るということが多々ございます。
なので、できれば、そういうものがもう少し減るというか、公的に相談できるところがあるであったり、もっと言うと、本法案も私も少ししか知らない部分があったんですね。今回こういう場に呼ばれるからこそ資料を熟読させていただいたんですけれども、やはり、こういうものがあるということを、我々ももう少し情報を取りに行かないといけないと思いますし、もっともっと情報発信して、我々だけじゃなくて生産者にもちゃんと伝わるような仕組みをつくっていくことがとても大切なんじゃないのかと考えております。
以上です。
○林(佑)委員 ありがとうございました。
制度設計という視点から、中小企業の皆様に、どう寄り添い、どう支えていくかについて、大変実践的かつ示唆に富む御意見をいただき、心より感謝申し上げます。
お二人の参考人からは、相談体制の整備や法案の周知がとても大切だというお答えがございました。それぞれの立場からいただいたお話を通じて強く感じたのは、制度がいかに優れたものであっても、それが使いやすく、実際に届くものでなければ意味を持たないということです。そして、その届き方を支えるのは、まさに皆様のような現場と制度をつなぐ立場の方々の工夫と御尽力なのだと改めて実感いたしました。御意見ありがとうございました。
次に、費用指標の公表と消費者の理解促進について伺います。
今回の法改正では、費用の構造や価格形成の背景を見える化することで透明化を高めることが一つの柱とされております。ただ一方で、費用指標の内容が余りにも専門的、技術的であると、消費者にとっては意味がよく分からない、価格の妥当性を理解できないといった課題が生じかねないとも感じております。
消費者の価格への納得感や、国産食品、農産物への信頼を高めるためにも、分かりやすい情報発信の重要性が増していると思いますが、参考人の皆様の団体や企業の立場から、こうした費用指標の発信をどのように行うべきか、また、消費者の理解を得るための工夫について、それぞれの皆様の御意見をお聞かせいただければと思います。
○藤間参考人 御質問ありがとうございます。
コスト指標の情報発信ということでありますが、現在は、関係者、私どもを含めてですが、このコスト、先ほど私が一ページ目で説明したような状況をそれぞればらばらに行っていた、こういうふうに認識してございます。今後は、これをそれぞれ生産から小売までその関係者が一体となってコスト指標を作成し、消費者に分かりやすく情報発信に取り組んでいく、これが重要だと思っております。ばらばらではなく、全体として消費者の方に発信をしていく、これが重要だと考えています。
○伊藤参考人 御質問ありがとうございます。
コストについてでございますが、我々は、労働組合の立場ということでいきますと、やはりしっかりとした、先ほども賃上げの話がございましたけれども、そこで働く労働者が、正直申しまして、食品業界というのはまだまだほかの産業に比べますと賃金が低位にあるわけでございますから、当然、安くすることによって、まあ、いろいろな努力によって安く提供するということであれば消費者のプラスになると思うんですけれども、それが人件費を削減して価格を据え置くとかいうようなことがないようにはしていただきたいなというふうに思いますし、実際この調査の中でも、かつては、例えば、価格の交渉に行ったときに、おたくのところが賃上げできるような状況であればコストを下げてくれというような商習慣というのが以前あったんですね。
ところが、この何年間、やはり賃上げをできるだけやっていこうというような世の中の機運になっておりますので、本当にそういう意味では今回非常にいいチャンスだなと思いますので、品目はこれがどうだということはちょっと私の立場からは言いにくいんですけれども、少なくとも、人件費もしっかりと払っても大丈夫なような価格形成というのをやっていただくことを期待したいなというふうに思います。
以上でございます。
○川村参考人 消費者の皆様に対しては、生産、製造、加工、流通、販売の各段階でコスト指標を示すとともに、その背後にある生産、製造現場の実情などを併せて説明していくことが重要だというふうに考えております。また、今回の法案の計画認定制度では、食品事業者による消費者への効果的な情報発信の取組が対象になっております。消費者の理解醸成に向けた総合的な支援をお願いしたいというふうに考えております。
なお、食品産業センターにおきましても、優良ふるさと食品中央コンクール等を毎年度実施しておりまして、地域の特性を生かした生産された優れたふるさと食品等を表彰し、その商品の背景にある生産者のこだわりの原材料や製造方法の工夫等について情報も広く発信をしているところでございます。
トータルとして、各段階でのコスト指標をしっかりと示していくということが重要であるというふうに理解をしております。
○及川参考人 御質問ありがとうございます。
コスト配信ということなんですけれども、青果でいうと、コスト配信する前に、今までが野菜は安かったんじゃないのかなと思っております。なので、コスト配信するよりも、やはり価値をちゃんとしっかり配信していくことじゃないのかなと。先ほど申し上げましたとおり、デジタル、アナログでちゃんと生産者の思いを伝えていくということが大切なんじゃないのかなと。
プラス、藤間様からもお話があったとおり、最終的には買う方の、消費者の気持ちではないのかなと。なので、消費者の教育、若しくは育成というのが大切かなと。日本のものを食べるとどういうことがいいのか、若しくは、地元のものを食べるとどういういいことが起こるのか、このメリットをちゃんと伝えていかないと、なかなか、消費者は安いものを選んでしまうんじゃないのかなと思うので、このメリットというところをしっかり伝えることかなと。
では、地元のもの、日本のもののメリットは何かといったら、それは、国産、おいしいもあると思うんですけれども、それだけじゃなくて、やはり、地元のものを食べると地元の風景を守れるであったり、地元の環境を守れるであったり、今はなかなかお米も安定供給できない世の中なので、地元のものを食べることによってちゃんと地元に安定供給ができる、この辺が多分消費者にとってのメリットになってくるんじゃないのかなと思いますので、このメリットということをしっかり伝えていくことが大切なんじゃないのかなと考えております。
以上です。
○林(佑)委員 ありがとうございました。様々な立場からの御意見をいただきました。
消費者と接点を持つ中で、ばらばらではなく、生産者から消費者と、一体になることの大切さ、そして、消費者の日々の生活の中で価格に対してどのような実感を持ち、どのように受け止めていくかという生活者の目線から、そして、人件費を支える価格ということを改めて考えること、そして、消費者の教育が大切というお言葉ですが、私も子供が三人いますので、質よりも量というふうに考えてしまって、とにかく安いものを選ぶ癖がついているので、すごく心に響きました。
本日皆様から頂戴した御意見を通じて、費用指標は、作ることそのものよりも、どう伝えるかがより問われる時代に入っているのだと強く感じました。価格への納得感、私が一番ここは勉強しないといけないなと思うんですけれども、国産食品、農産物の信頼を築くには、消費者にとって身近で意味のある形で情報が届けられることが大切だと思いました。今後、制度運用においても、本日いただいた実践的な工夫や現場の視点がしっかりと反映されるよう、私自身も努力してまいりたいと思います。ありがとうございました。
今回の改正法案におきましては、取引条件に関する協議の申出があった場合に事業者が誠実に協議に応じることを努力義務として明文化された点が大きな特徴の一つであると受け止めております。
この点について、私が先日の農林水産委員会において質問した際には、農林水産省より、この努力義務を、もう少し解釈いたしまして、各事業者の各々が取るべき行動規範、これを判断基準とする形で法律上は規定してございますが、これをまた関係者と協議しながら省令で定めるということを予定してございますとの答弁がありました。また、こうした努力義務、判断基準に照らして、必要な場合には指導助言、それから勧告、公表といった措置も用意されているとのことでした。
制度としての方向性は一定の評価をしておりますが、実際の取引現場では、力関係や情報格差によって協議自体が成立しにくいケースや、形式的対応にとどまってしまう懸念も依然としてあるかと存じます。
そこで、お伺いいたします。
これまでの取引経験や交渉現場の実情を踏まえ、この努力義務が現場で実効的に機能していくためには、判断基準の整備だけでなく、制度面、慣行面の両面からどのような工夫、そして支援が必要とお考えか、御意見を伺えればと思います。また、省令での明文化に当たり、現場の声をどう反映すべきとお考えか、併せてそれぞれの参考人の皆様の御意見をお聞かせください。
○藤間参考人 農畜産物の取引におきましては、これまで、需給によって価格が決定されている、これが現状だったと認識されております。今回の法案では、それに加えて、価格交渉において生産コストを考慮することが求められております。
現在の生産現場の状況は先ほども申しましたとおりでありますけれども、これらの状況を私どもも買手側に説明しておりますが、それには限界があります。本法案を契機に、生産資材価格のコスト、これが国産農畜産物に反映されることを期待するとともに、国の方におきましては、コスト指標の作成支援、また事業者からの相談窓口、このような支援を講じていただく必要があると考えております。
以上です。
○伊藤参考人 御質問ありがとうございます。
法の執行においては、できれば勧告や公表に至る事例はない方が望ましいというふうに思うわけでございますけれども、それでも問題が生じた場合には、やはり指導助言によって改善が進むことを、助言によって改善が進むことを望んでおるところでございます。
そういった判断基準を何にするかということでございますけれども、例えば、今日提示させていただきました資料ですけれども、六ページでは、この十四の問題となる事例のうちの十四を除いて、これは農水省から出しているガイドラインでございますので、そういったものを一つ参考にしていただければよろしいかというふうに思います。
以上でございます。
○川村参考人 努力義務が実効的に機能していくためには、取引実態の正確な把握と、それに基づく適切な措置が必要であるというふうに考えております。本法案に規定された取引実態調査と地方農政局等のGメン活動がしっかりと機能することが重要であるというふうに考えております。
また、食品事業者の行動規範である判断基準の策定に当たっては、生産から小売までの各段階の事業者への周知を図るとともに、関係団体からヒアリングやパブリックコメントをしっかり行っていただき、広く食品事業者の意見を反映していただきたいというふうに考えているところであります。
以上でございます。
○及川参考人 ありがとうございます。
まず、本法案に、食品等の取引の適正化というこの文言を入れていただいたことに対して非常に感謝を申し上げております。ありがとうございます。
具体的には、なかなかこれが記載されていても難しい部分はあるんじゃないのかなというところは、まあ本心でございます。ただ、載ったことに意義がありまして、まずは、これを載せることによって、どんなことが現場で起きているかというのを情報としてためていくことがとても大切なんじゃないのかなと考えております。
一つ、農産物の流通だけで言えることなんですけれども、事例を出すとしたら、例えば、よくテレビで、キャベツが十円で売っているというのを皆さん見たことないですかね。じゃ、幾らで仕入れているんだという話になるじゃないですか。あれは多分、安い金額で仕入れて、スーパーも赤字で売っているということだとは思うんですけれども、そういう事例をたくさん集めて、じゃ、それが起こらないようにするためにはこういう対策を打とうという、前段階の法案なので、まずは情報をしっかり集めるというところが大切なんじゃないのかなと考えております。
以上です。
○林(佑)委員 ありがとうございました。
皆様の貴重な声、現場の声をしっかりと反映していきたいと思っております。
どうもありがとうございました。
○御法川委員長 次に、許斐亮太郎君。
○許斐委員 国民民主党の許斐亮太郎と申します。
本日は、それぞれの専門家の皆様の貴重な御意見を賜りまして、誠にありがとうございます。
今回の法案は、食料の持続可能な供給の実現のため、適正な価格転嫁による賃金、手取りの上昇を図るという意味で非常に重要な法案であると思う一方で、価格の上昇への不安、そして、本当に実現可能なのかという疑問があります。働く人たちの目線、消費者の目線で質問を行いたいと思います。よろしくお願いします。
まず、伊藤参考人にお伺いしたいと思います。
国民民主党では、給料が上がり、手取りが増える経済の実現を目指しています。本法案が食品事業者にとって、利益体質を改善し、事業の持続性を高めることに資するかという観点でお尋ねいたします。
春闘について、四月十七日に公表された連合の回答集計では、一万七千十五円、率にして五・三七%といった、昨年同時期を上回る賃上げ結果が報告されていますが、伊藤参考人のフード連合の賃上げの状況はいかがでしょうか。よろしくお願いします。
○伊藤参考人 御質問ありがとうございます。
私どもフード連合では、四月の十五日の時点でその集計の結果を百三十八組合で収集に至っておりまして、全体の賃上げは総額で一万六千六百五十円、率にしまして五・二五%となっております。これは昨年を上回る水準でございまして、社会的な要請や人材の確保を背景に賃金改善を進めた結果であるというふうに認識しております。
一方、同時期の連合の集計と比較しますと、全体では額、率とも下回っており、産業間の格差是正はまだまだ道半ばだと言わざるを得ません。
また、この内訳を見ますと、先ほど申し上げましたように、私ども三百人未満の中小が多いということで申し上げさせていただきましたが、三百未満の中小労組に限って見ますと、一万三千五百九十三円、五・〇八%と、大手よりも低い水準にとどまっておりまして、これはまた企業規模間の格差も大きな課題というふうに認識しております。
以上でございます。
○許斐委員 ありがとうございます。
重ねてお伺いします。
産業間や企業規模間の格差是正には課題がある、そういうことが分かりました。フード連合加盟組合の全体で見れば前年を上回る賃上げ結果が得られているとも理解いたしました。
今年のこういった積極的な賃上げを行っている会社では、価格転嫁や商慣習の見直しによって利益体質が改善した結果として考えてよろしいのでしょうか。重ねて伊藤参考人にお尋ねいたします。
○伊藤参考人 御質問ありがとうございます。
中にはやはり、価格転嫁がうまく進んで利益を確保できるようになった、その結果によりまして賃上げにつながったという企業もあると思いますけれども、一方で、大幅な賃上げを行った組合であっても、いろいろと内情を聞いてみますと、やはり人材流出を防ぐための防衛的な賃上げのため、企業の方もやむを得ず回答したというようなところも多く聞きます。また、そういった企業では、価格転嫁や商習慣の見直しが進んで利益構造の改善が進んだわけではないと推察されますし、根本的な原資確保にはまだまだ至っておらず、やはり来年以降の持続的な賃上げに向けては現状なかなか厳しいという声も聞いております。
さらに、食品製造業に限って見れば、全国に二万社以上、また従業員数は百万人を超えるということでありますが、やはり九五%が中小・小規模企業ということでございます。こうした企業群の多くはやはり、労働組合が存在せず、我々のように労使交渉をせずに、賃金改善もままならないといった、より厳しい環境に置かれているのではないかなというふうに思います。
中小・小規模事業者の食品関連産業は、やはり、地域に根差した事業を営み、地域経済、雇用、生活インフラを支える重要な存在であると思いますし、もし価格転嫁の遅れにより事業が困難に陥れば、地域の食の豊かさや雇用の基盤が失われるおそれがあるというふうに思っております。
このような状況を打破するために、何より、事業者が生み出した価値が正当に評価され、それが適正価格で取引される仕組みの構築が急務であるというふうに思っております。利益を確保しまして賃上げ原資を生み出す経済構造の再設計がなければ、やはり地域経済の持続可能性も危ぶまれるというふうに思っております。
以上でございます。
○許斐委員 大変参考になる御回答、ありがとうございました。
数字に表れない食品事業者の厳しい賃上げの実態があることを認識させていただきました。食品事業者においても、継続的に給料が上がる状況を実現して、食や地域の雇用を守る必要性に非常に共感いたします。
今後とも持続的な賃上げを実現するために、本法案のどのような点に期待して注目しているでしょうか。改めまして、伊藤参考人に引き続きお尋ねしたいと思います。
○伊藤参考人 御質問ありがとうございます。
やはり、本法案によりまして価格転嫁、商習慣の見直しが着実に進むことを期待しております。価格転嫁、商慣習の見直し、これらが進めば、利益構造が改善し、生み出された利益で賃上げや生産性の向上のための投資、また、不公正な商慣習に割いていた時間をより付加価値の高い仕事に充てることができるのではないかというふうに思っております。そういった健全なサイクルに入れば、やはり持続的な賃上げも可能になるというふうに思っております。見直すべき商慣習につきましては意見陳述や質疑の中でもお伝えしていましたが、こういった商慣習が改善するような適切な法にしていただければなというふうに思っております。
価格転嫁の実態について先ほどもお伝えさせていただきましたけれども、食品関連産業全体で見れば価格転嫁が進んでいることはこれは間違いはないんですけれども、個別の状況に目を向けると厳しさもございます。
一例で申し上げますと、強いブランドで高いシェアを占める業種では、やはり下位のシェアのブランドでは低価格競争に陥ってしまいがちでありまして、原材料が上がってもあえて値上げをしないという戦略を取る企業もございます。また、牛乳や乳製品では乳価とか、小麦粉製品やパンでいえば小麦の政府への売渡価格といったように、透明性の高い価格指標がある業種では、その価格指標が下がったときに、たとえほかの原料やエネルギー、労務費が上がったとしても、製品の値下げ圧力が強く、転嫁交渉がしづらいというような実態もございますし、また、具体的になりますけれども、食肉製品や、特に生肉の取引では、公設市場の競りで決まった枝肉価格が指標価格となりまして、畜産メーカーや生産者の工賃を価格転嫁しづらいということも聞きます。
いろいろとほかにもございますけれども、ひとまず以上とさせていただきたいと思います。
○許斐委員 ありがとうございます。
商慣習や価格転嫁の実態について、様々な状態を注意深く確認していく必要性が分かりました。
この法案によって適正な価格転嫁が行われて、それが賃金上昇の原資となって、働く仲間、生活者の賃金が上がって購買力の向上につながっていく好循環が起こっていく、そのような社会を実現していかなければならないと思います。そして、その成功の鍵は、市場が受け入れるか、つまり、消費者が受け入れるかどうかが鍵になると思います。
先ほどより、長谷川委員や林委員からも質問がありました。そして、意見陳述では、藤間参考人が、やはり国産国消をアピール、伊藤参考人も、価格を納得してもらう、川村参考人も、情報提供や広報が必要である、そして及川参考人も、生活者目線でニーズを把握する、消費者と対話をしていく、そのようなお話がありました。
そこで、私、消費者の立場から、四人の参考人の皆様全員に次の言葉についてお伺いしたいと思います。それは、片仮名三文字で、コスパという言葉です。
現在、物価が上がっている中で、市場ではこのコストパフォーマンスという言葉が席巻しています。マスメディアはもちろんのこと、SNSでも人気を博しているのがこのコスパ企画です。今消費者が一番好きな言葉かもしれません。安ければいいというわけではなくて、値頃感ということも含んでいます。そして、今回の法案は、そのコスパ消費に真っ向から立ち向かっていくものだと私は思っています。
適正に価格転嫁された商品を売っていくためには、消費者の理解を深めることが重要です。その消費者の理解を深めるためにどのようなアプローチを行っていく必要があるのか、参考人の皆様のそれぞれの立場でのお考えを改めてお伺いしたいと思います。
○藤間参考人 コスパ、物価高騰に見合う給与所得の上昇が十分でない中、消費者の購買力に限界がある、そして、国産農畜産物の高止まりによる消費者離れを懸念する声、このようなことを懸念されているんだと思っております。
我々といたしましては、国産農畜産物を適正な価格によって消費者に安定的に供給していく、これが何より重要だと考えております。JAグループでも、国消国産の取組、先ほど来御説明をさせていただいておりますけれども、今後は、今回の法案によりまして、消費者を含めた関係者の皆様が国産農畜産物の適正な価格について考えていただくきっかけになればと思っております。
以上です。
○伊藤参考人 我々食品事業者にとりまして、やはり安全、安心にかかるコストというのは削ることはできないというふうに思っております。そんな中で、やはり、価格転嫁を進めることができない状態では、乾いた布を絞るように、何とか安全、安心に影響のない部分でコストダウンをこれまでしてきてまいりました。
中には、最近、ステルス値上げというふうなことでやゆされておりますけれども、これも、先ほど消費者の価格帯の話がございましたけれども、内容で調節せざるを得ないというような状況にもなっているということでございます。
やはり、日本の食品は、安全で安心でおいしいのはもちろんのこと、バラエティーも幅広いので選ぶ楽しさもありますし、かつ、冷凍食品や調味料なども便利なものも様々開発されております。やはり、生産者、製造者はもちろん、デリケートな食品を運ぶ物流業や、店頭で品質を保ちながらも商品の魅力を伝えている小売業など、食料システムで働く人たちが日々努力しておりますので、その価値を高めていくということが必要でございますし、先ほどもちらっと申し上げましたけれども、やはり最近のマスコミの関係ですよね、もう連日のように何%上がるということが出ているということで、その辺も、報道の在り方というのも少し考えていただくということを我々としては期待したいなというふうに思います。
以上でございます。
○川村参考人 おっしゃるとおりだろうと思います。
コスパについては、我々事業者としても、常に消費者の受け止め方ということを考慮しながら価格決定をしているという状況だろうというふうに思います。決して、コストをそのまま転嫁し、それで満足しているという環境ではない。我々の事業そのものも、基本的には消費者の皆様からの御支援がなければ成り立たない事業でありますので、その点についてはどの事業者についても一番留意をしている項目ではないかなというふうに思います。
ただ、食品につきましても、そうはいいながらも、やはり常に新しい価値を求めるという流れも当然ございます。ですから、ここにやはり、我々国内の食品産業についても、この日本の中でどういう新しい需要をつくり出していくのかというのが、今は、私は、世界の食品需要を引っ張れるようなものもつくり出せるのではないかなというふうに思っております。
日本は少子高齢化の課題先進国だ、こういうふうに言われておりますけれども、例えば、高齢者層の皆さんに受け入れていただけるような栄養的な商品をしっかりと供給していくということが新しいマーケットをつくっていく、これは実は世界のマーケットにつながっていく取組にもなっていくんだろうというふうに思っております。
コスパも大事にしながら、かつ、我々はやはり新しい需要、新しい価値を生み出していくという努力も併せ行っていくということが極めて重要ではないかというふうに感じている次第です。
以上です。
○及川参考人 ありがとうございます。
私もコスパ大好きです。大好きですが、コスパを高らかに皆さんが言ったせいでデフレになったんじゃないのかなとも思っているんですよね。デフレになって人件費が安くなって、悪循環になったのではないのかなと。なので、いいところもあれば悪いこともあったんじゃないのかなと思っております。今、コスパはちょっと古い言葉になっていて、今はタイパじゃないのかなと思うんですけれども、食品、農産物流通でいうと、このタイパというのは非常に今ホットなキーワードでございます。
何かというと、皆さん御存じのとおり、スーパーマーケットに行くと、今、カット野菜、簡便な野菜、非常に増えていると思うんですね。これは別に、我々が家に帰って野菜を切るのが嫌だということではなくて、もう調理する時間がなくなってきた、世の中が変わってきた結果、カット野菜等々が増えてきたんじゃないのかなと。逆に言うと、我々流通会社若しくは農産物生産者は、そこにこれからの商機があるんじゃないのかなと思っておりますので、このタイパを我々はビジネスチャンスに変えていこうかなと考えております。
以上です。
○許斐委員 皆様の御知見、ありがとうございます。
最後の質問です。付加価値のある商品を消費者に届けるという観点で、川村参考人にお伺いしたいと思います。
私は、大学四年生のときは農学部でヨーグルトの研究をしていました。ラクトバチルス・ブルガリカスのプロテアーゼ活性という論文を書いたことを思い出しています。もう三十年ほど前のことなのでちょっとなかなかうろ覚えですけれども、細菌を分離して、培養して、スクリーニングして、様々な検査を行っていました。食味検査でおなかを壊したこともあります。そういった研究をこつこつこつこつ重ねてきて、今ようやく機能性食品として市場に出て花開いている、そう私は思っています。その場合は、特許や特保など、大規模なコスト回収や価格転嫁ができると思います。
しかし、食品製造業においては、そのような品目はむしろ特殊だと思います。中小企業では、そもそも長期間の商品開発に費やす体力もありません。
そこで、食品業界全体が活性するために、二点お伺いいたします。
一つは、今後、価格転嫁を行うためにどのような商品作りが必要か。もう一つは、日本の食品製造能力を維持していくために業界が取り組むべき課題は何か、お知恵をお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
○川村参考人 大変難しい御質問でございまして、なかなかお答えしにくいわけでありますけれども、まず一つ目の、新しい需要の流れ、あるいはこれからの日本にとって必要な食品という意味では、やはり私は、ニュートリション、いわゆる栄養的な価値をしっかり商品に込めていくということが極めて大事なことになるのではないかなと思います。
もちろん、おいしさであるとかフレッシュさであるとか、そういう食品の持っている機能もあります。ただ、高齢化が進んでいく社会であるということについてはもう間違いのない事実でありますので、そういった意味で、例えばフレイルであるとか様々な新しい病態が高齢化によって生まれているという実態に対して貢献できるような、食で貢献できる、もちろん薬や器具や様々な貢献の方法はあるんだろうと思いますが、私は、日本人はやはり、食べることで健康になるという考え方を小さいときから植え付けられてきたのではないかなというふうに思います。
そういった意味で、栄養的な価値をしっかりそれぞれの商品に込めていくということは、基本的な機能として極めて重要ではないかなというふうに思います。
それから、二つ目の御質問は、食品産業については、もちろん大手と中小と様々な役割分担があるわけでありますけれども、私は常に、じゃ、大手はずっと大手であり続けるのかといったらそんなことはないわけですね。中堅、中小の皆さんもやはり新しい市場をつくることによって大きなメーカーになっていったり、新陳代謝というのは日本の中でもしっかり起こっております。
そういう意味で、そうした新しい食品あるいは新しい健康価値を持った商品というのはこれからも恐らく日本のマーケットの中には生まれてくる、また、それを生み出せるような努力を我々食品事業者は行っていかなければならないというふうに考えております。
以上です。
○許斐委員 ありがとうございます。
食料を自給するためには、農業も当然ですが、製造業も作る能力を維持することが重要だと思います。
質問を終わらせていただきます。参考人の皆様、ありがとうございました。
○御法川委員長 次に、角田秀穂君。
○角田委員 公明党の角田秀穂でございます。
参考人の皆様には、朝早くから御出席をいただきまして貴重な御意見をいただきまして、改めて感謝を申し上げたいと思います。その上で、幾つかお考えを伺わせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いをいたします。
生産から加工、流通、消費までの関係者が同じテーブルを囲んで議論をするという、今まではなかった試みの中からまとめ上げられたのが、今回の食料システムの法案であろうと思います。それだけ、国内の農業生産の基盤を確保して、将来にわたって供給の安定を確保することが難しくなっている、生産者が厳しい状況に置かれているとの認識が、それぞれ関係者の間にあったということが背景にあるのではないかというふうに思います。
そこで、まず、この議論に参加をされました藤間参考人、それから川村参考人にお伺いをしたいと思います。
この食料システム法は、費用を考慮した価格の転嫁を促して再生産可能な合理的な価格形成を進めることで食品等の持続的な供給を実現をする、そのための仕組みをつくるということを目指しているものですけれども、とりわけ生産の現場は、肥料や飼料等の価格が高騰しているという中にあっても、コスト上昇分が十分に転嫁できないために、コスト割れといった状況も発生をしております。
食品産業においても同様で、一万社と言われる食品メーカーの大多数、これは中小企業で、相対的に立場が弱いといったこともあって、価格転嫁もなかなか難しい状況に置かれております。一方で、多くの食品メーカーは、地場の食材を使って、その地方、その地域の経済や雇用を支えており、農業生産者とともに、持続可能な基盤の強化を進められていることが特に求められていると思います。
こうした面から、生産者、食品製造、それぞれのお立場から、この法案の評価について伺うとともに、この目的達成のために、今後、特に国や業界として取り組んでいかなければならないこと、課題等についてお考えを伺いたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
○藤間参考人 まずは期待であります。
本法案につきましては、先ほど申したとおり、国会審議が始まり、現在審議いただいているということで、生産現場では大変な期待をしております。大変ありがたいことだと思っております。
JAグループとしても、自らの取組として、先ほどの生産現場の大変厳しい状況、これを個々に説明しておりますが、それにも限界がありました。本法案の法制化によりまして、国民の皆様が、消費者を含めて、適正な価格ということを考えるきっかけになればと思っておりますし、今後でありますけれども、コスト指標を今後また作っていくということでありますが、これについては、国の支援、また事業者からの相談窓口等、これらの支援も必要だと考えてございます。
以上です。
○川村参考人 回答が重なるかもしれませんが、今回の法案は、食料の持続的な供給を実現するということを大きな目的にしておりますので、その目的としては二点あるというふうに了解をしております。
生産から消費に至る食料システム全体で費用を考慮した価格形成を進めていくこと、そして、二つ目には、生産と消費をつなぐ食品産業を対象として、その持続的な発展を図るための計画認定制度を創設する、この二つが本法案の肝になる部分ではなかろうかなというふうに理解をしております。
これまで政府において法案を検討する過程の中でも、価格形成に関する協議会などには、食品産業センターも積極的に参画をしてまいりました。
このような食品産業を対象とする初めての本格的な法案でございまして、そうしたことが国会でこのように審議をされるということは極めて画期的なことであるというふうに考えております。
本法案が成立することで、食品産業における付加価値や生産性の向上が図られるとともに、食料システムにおける事業者間の連携や協調、また合理的な価格形成が進むことを大いに期待をしております。
とりわけ、コスト指標ということにつきましては、先ほど来様々な参考人から御指摘がありますように、既に、コスト指標の作成に当たっては、生産、製造、加工、流通、販売、各段階の関係者が農林水産省の協議会における品目別作業部会で議論を重ねてきているところでございます。
したがって、コストの把握や分析を含め、もちろん課題は多いというふうには承知をしておりますけれども、国民への持続的な供給を行っていくという関係者の共通の目的の下で、合意形成は十分可能だというふうに考えております。
食品産業センターとしても、積極的に現在の議論に引き続き参画をしてまいりたいと考えております。
以上です。
○角田委員 ありがとうございます。
それでは、藤間参考人にお伺いをしたいと思います。
この法案では、価格転嫁を進める、そのための価格の交渉に資する資料として、主要な品目についてコスト指標を作成をするということを掲げております。牛乳、豆腐、納豆のほか、現在想定されているのは米や野菜の一部などですけれども、生産にかかるコストは、規模であるとか気候、地理的条件によっても様々異なります。特に、大区画化であるとか機械化を進めづらい不利な条件に置かれている中山間、この地域については特段の配慮が求められると思っております。
耕地面積の約四割、総農家数の四割、農業産出額の四割を占めるなど、我が国の農業において重要な役割を担っている中山間地域をこれからいかに守っていくかは、食料安全保障の面からも極めて重要な課題だと考えますが、この点について、必要と思われる対策等につきましてお考えをお伺いしたいと思います。
○藤間参考人 現在、適正な価格形成に関する協議会の下、品目別ワーキンググループにおいて、我々JAグループからも参加して、実務的な検討を進めております。
その中で、コスト指標につきましては、地帯別、規模別、銘柄別には、厳格に言えば異なりますけれども、肥料等のコスト変動率、これについては共通するものと考えられまして、全国統一的なコスト指標においても十分機能すると思っております。これにつきましては、コストの構成要素、これは変わりますが、中山間地におきましても、コストの変動率を考慮した価格交渉、これが可能だと思ってございます。
また、政府におかれましては、令和九年度以降の水田、畑作政策の見直しの中で、中山間地域等直接支払制度の拡充が検討されているものと承知しております。この点につきましても、JAグループとして引き続き検討を進め、政策提案を行ってまいりたいと考えております。
以上です。
○角田委員 次に、川村参考人にお伺いをしたいと思いますけれども、合理的な価格形成をこれから進めていくためには、当然のことながら、消費者が納得して選択できるだけの購買力が必要で、そのためには賃上げなどの取組も必要ということはお話を伺っておりますけれども、その一方で、買いたくても買えないという人の食料アクセスの確保、これも大きな課題だと思っております。
子育て世帯の一二・一%が食料を買えない経験をしているとの調査結果もあり、貧困等の状況にある子供に対する食料アクセスの確保も、行政や食料システム全体で考えて取り組んでいかなければいけない課題だと感じております。
このことに関して、主に食品ロスの削減を目的に昨年十二月に食品寄附ガイドラインが作成をされ、寄附の拡大がこれから図られようとしております。
現在、全国のフードバンクが寄附で受け入れている食品は僅か年間一万トン余りと言われる中で、その一方で、まだ食べられるのに廃棄をされている食品は二十万トンに上ると言われております。ガイドラインに沿った取組で、廃棄されていた食品が有効に活用されていくということが期待をされますけれども、この際、フードバンク等で食品の品質、衛生管理がしっかりなされているかどうかが問われるということになります。そのための冷凍冷蔵設備などの整備が不十分な主体というものがまだ多数存在をしております。
ガイドラインでは、食品事業者などが寄附をちゅうちょする主な要因となっている転売であるとか、品質、衛生管理体制など、信頼性を確保するために一定の管理責任を果たすことができるフードバンクを認証する仕組みを設けることで食品寄附への社会的信頼を高め、寄附の拡大につなげていこうというところが目指されていますが、こうした食品寄附の促進に向けて、その課題について、またこうした取組を進めていくべきではないかというような御提言等、お考えがありましたら、お伺いをさせていただきたいと思います。
○川村参考人 フードバンクを含めて、こうした寄附の拡大ということは極めて重要な課題であるというふうに理解をしております。
現状におきましても、様々なフードバンクの皆さんと連携をしながら適切な寄附活動を食品企業も行っているというふうに承知をしております。
しかしながら、今御指摘にありましたように、フードバンク自体も、まだ、規模の面であったり様々な機能の面で十分でないフードバンクもあることは事実でございます。そういった意味で、そうしたフードバンク等々に対する認証制度が確立されていくということにつきましては、安心して寄附ができる体制という意味で大変意味があるんではないかなというふうに考えております。
今後も食品寄附につきましては、食品企業の団体としても、拡大に向けて、これは国内だけではなくて、海外の、例えば自然災害に遭ったところに対しては海外のそういう支援組織を通じて行ったりといったことにも食品企業の中では取組を進めているところでありますので、今後はそういった意味で、国内のフードバンク事業者だけではなくて、海外のそういった困っている方々に対する取組というのを広げていけるように制度を整備していただくことは大変意義のあることだというふうに承知をしております。
以上です。
○角田委員 ありがとうございました。
次の質問は、参考人の皆さんにお伺いをしたいと思います。
消費者理解の醸成ということに関してお伺いをしたいと思いますけれども、この法案自体がこれまでのデフレ下の状況の中ではとてもまとめ上げられなかったのではないかというふうに思っております。もう値上げそのものが悪だというようなイメージを持たれていたときから今少し状況が変わってきて、消費者の受け止めも変わってきたということがこの法案の提出の一つの背景にもなっているのではないかというふうに思います。
この法案の目指すところである食料の持続的な供給、食料安全保障の確保を実現をするには、やはり何といっても消費者の理解、納得が重要だと考えます。これまでの価格で選ぶということから、いかに行動の変容を促していくか。
例えば、外観は同じピーマンであっても、その栄養価が三倍、五倍違う、あるいは温暖化ガスの排出をこれだけ抑制して作られているとか、そうした現場の取組の見える化などの推進であるとか、あるいは農業体験など、都市の住民と農村の交流の促進であるとか、教育現場や職場などでの食育の推進、こうしたことも進められなければならないと思います。
また、及川参考人のように、生産と消費の現場をつなぐための様々な工夫、こうしたことを凝らしていく、そうした取組に対する支援、こうしたことも大切なことではないかと思います。
消費者の理解を深めるためには、フードサプライチェーンの関係者や農水省のみならず、省庁の枠を超えた幅広い取組、これが求められると思います。今後の消費者の理解醸成をいかに図っていくかについて、特に必要だと思われていること、具体的な取組の提案等があれば、それを含めてお考えをお伺いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○藤間参考人 先ほど来、全世代型食農教育について述べさせていただいておりますが、改めまして、現在は、小学生までの小さい方又は子育て期、こういう方をターゲットにしておりましたが、今後は、やはり全世代での食と農に対する教育、これの推進を、国又は関係者、我々も一体となって取組を進めていく必要があると考えてございます。
○伊藤参考人 御質問ありがとうございます。
我々労働者の立場ということでいきますと、やはり、食品の価値というのを、日本の消費者の皆さん方が、国内の働く人たちを応援するというような気持ちを持っていただければなというふうに思っております。
先ほどの説明の中では、製造メーカーと小売業の話でありましたけれども、冒頭申し上げたように、我々は食料システム全体として価値を認めていこうということでございますし、小売店の皆さん方も、やはり経費が上がっていれば価格転嫁したいという気持ちは多分あるんだと思うんです。ただ、やはり、ここのお店ではまだ安く売っているとかというふうなことになってしまいますと、よその店がまだ値を上げていなければ、その辺がなかなか上がらないというようなこともございますので、そういったところも、やはり国民の皆さん方にどう理解してもらうかということです。
食品の場合、すぐ何か付加価値をと言うんですけれども、私はずっと申し上げているんですけれども、やはり当たり前でないということを是非分かってもらいたいなというんです。やはり、通常の食品も、作るということは非常に大変なことだということを、もう少し国民の皆さん方に分かってもらえるようなことを希望したいなというふうに思っております。
以上でございます。
○川村参考人 冒頭の意見陳述でも述べさせていただきましたが、消費者の皆様の情報リテラシーは極めて向上しているというふうに我々は理解しております。
確かに、こういった取組を進める中で、価格については、そういった意味では消費者の皆さんの負担が大きくなるのではないかという御懸念が出てくるかもしれませんけれども、一方では、やはり計画認定制度等々もそうですけれども、きちんとした製造業者がきちんとした原料でどう作っているのかということについても、情報をしっかり出していくことができるというふうに考えております。
もちろん価格に対する問題については丁寧に御説明をし、かつ、先ほど来申し上げていますように、商品の改良であったり新しい商品の取組というのは継続的に取り組んでいかなきゃいけない、これは食品事業者にとっては極めて重要だというふうに認識しておりますけれども、今まで食品の価値だと言われていたものについては、非常に幅広いものが新しいやはり価値になっている。皆さんもよく御承知のように、フェアトレードであるとかそういった考え方についても、今の消費者の皆さんの意識の中には大変強く残っているというふうに私は思っております。
そういった意味で、消費者の情報リテラシーの向上に合った情報提供をいかにしていくのかということも、これは官民一体となった課題として取り組んでいかなければならないというふうに理解をしております。
我々事業者としても、引き続き、消費者負担のことだけが取り上げられるようなことにならないように、適切な取組をしてまいりたいというふうに考えております。
以上です。
○及川参考人 ありがとうございます。
一言で言うと、ありがとうだと思っています。これは消費者の理解ということなんですけれども、逆に言うと、生産者の理解も必要じゃないのかなと。消費者と生産者の理解をどうつなぐか、僕は、ここはありがとうだと思っていまして。どういうことかというと、簡単に言うと、いつも作ってくれてありがとう、いつも食べてくれてありがとう、このありがとうまたよろしくねという言葉をどうリアルにつないでいくか。
一つ事例を申し上げますと、当社ではアプリを作っておりまして、そのアプリを使うと、おいしいいねというボタンを押せるんですね。これは何かといったら、野菜を食べておいしかったら、そのおいしいいねを押すと、その生産者においしいいねを送ることができて、どんどんどんどん自分においしいいねがたまっていく。
やはりなかなか、生産をやっていると、末端のお客さんの声は入ってこないので、ここで消費者とつながって、また頑張ろうと。逆に、生活者の方は、生産者とつながることによって、より高く買ってあげようという気持ちが生まれるんじゃないのかなと僕らは思っています。
なので、ありがとうをしっかりリアルに素早く伝えてあげることがとても大切なんじゃないのかなと考えております。
以上です。
○角田委員 以上で質問を終わらせていただきます。
参考人の皆様には、貴重な御意見、大変にありがとうございました。
○御法川委員長 次に、八幡愛君。
○八幡委員 れいわ新選組の八幡愛です。
参考人の皆様には、朝から本当に貴重な御意見を賜りましたこと、深くお礼を申し上げたいと思います。本当にありがとうございます。
私ごとなんですが、私、議員になって七か月目なので、人生で初めての参考人質疑なので、四名の皆さんの顔は絶対忘れない、生涯忘れないと思うので、よろしくお願いいたします。
私が最後の質問者なので、どうしてもこれまでの答えと重複することがあると思いますが、僭越ながら、今日のまとめみたいな感じでおつき合いいただければ幸いでございます。
食品流通システム法の改正法案についてなんですが、現在の価格決定の構造、商習慣を見直して、生産者のコスト割れを是正しようとするこの改正法案の目的というのは正当であると我々れいわ新選組も受け止めております。
ただ、本法案をシンプルに捉えますと、結局は消費者にコスト転嫁をするということになってしまうと思うんです。改正法案が示された当初から、報道などでも、消費者の理解醸成をどうしていくのかということが問われてきました。
消費者の理解醸成には二つの意味があると思います。
一つは、消費者の値頃感というところの是正という意味で、こちらには当然賛成です。この値頃感というのは、小売業で、消費者にとっての買い頃価格とも言われるんですけれども、ほかの委員の質問でも、川村参考人からも、牛乳の販売価格、これは二百円の壁があったんだとさっきもおっしゃられておりました。この値頃感ということはすごく主観的なものなので、個々の消費者の経済力や価値観にも左右されます。ここを是正していくということは賛成できるんですが。
もう一つ、やはり消費者の負担が増えてしまうという意味もあると思うんです。これは私たちとしては賛成ができない。消費者の所得を上回る物価高が生じているという現状では、消費者がコスト転嫁、負担増を受け入れること、これははっきり言って今はもうしんどいと思うんです。今日は賃上げの話も出てまいりましたけれども、物価が上がるのに給料は上がらない、そんな中で、消費者は店頭価格が高いと買わないし、買えない。これでは悪循環だと思います。
その上で、四名の方、皆様にそれぞれお伺いしたいんですけれども、率直に質問させていただきます。今回の改正法案の目的、これはきちんと達成されるとお考えでしょうか。その理由とともに御所見をお願いいたします。
○藤間参考人 本法案の関係でありますけれども、まず、農畜産物の販売価格、これは需給によって決まっているというのがこれまでの常識でありましたが、先ほど私からも説明をさせていただきましたが、生産コストが農畜産物の販売価格に転嫁できない、いわゆる再生産ができないというような状況では、消費者にはいずれは国産の農畜産物が御提供できない、このような状況になるとも考えられております。
したがいまして、今回の法案は、生産資材価格、これをサプライチェーン全体で協議をしながら適正に反映していくということでありますので、大変意義深い法案であると思ってございます。
以上です。
○伊藤参考人 御質問ありがとうございます。
やはり、法律というのはできて終わりじゃないですから、その実効性がどうかということだというふうに思います。それがうまくいくかどうかという話でございますけれども、例えば私ども労働者の立場ということでいきますと、今、やはり、物価高、物価高というようなことを、食料品が幾ら上がったからというのが、これはもう我々労働者の立場から非常につらいんですよね。
先ほどの資料にもありますように、食品業界自体、まあ我々は組合ですから、組合になるともっと多いわけですけれども、やはりほかの産業と比べても賃金が低位にあるわけでございます。この間、賃上げを積極的にやって、この数年間、それなりの結果は出ているんですけれども、でも、ちょっと前までは、なかなか賃上げどころではないと。それは何かといったら、やはりお客さんに迷惑をかけるというような、そういったことが多かったわけなんですね。でも、それじゃなかなか日本の景気がよくならないということですから、やはり積極的に賃上げをしていこうということで、この数年、それなりの結果が出てきているということでございます。
ですから、先ほどのお話にありましたように、この法律がうまくいくかどうかというのは、消費者に理解してもらうというのは、一方でやはり、経済状況がよくなってもらうということが私はキーになるんじゃないかなというふうに思っています。
以上でございます。
○川村参考人 今回の食料システム法案につきましては、やはり、改正食料・農業・農村基本法で示された方針をいかに具現化していくかということのために準備された法案であるというふうに考えております。最終的には、食料の持続的な供給を実現するということを大きな目的にしているというふうに思っております。
それを支える大きな柱として、一つは、食料システム全体としての費用を考慮した価格形成、この大きな柱、そしてもう一つは、生産と消費をつなぐ食品産業を対象として、持続的な発展を図るための計画認定制度を創設するという、この二本の柱でこの法案ができ上がっているというふうに承知をしております。
したがって、こうした食品産業を対象とする初めての本格的な法律案であるというふうに理解をしておりまして、是非この法案が所期の目的とする食料安全保障に、しかも、決して国全体としてではなく、一人一人の国民にとって重要な食料安全保障として機能していくように実現されることを大いに期待をしているところでございます。
以上です。
○及川参考人 ありがとうございます。
本法案の目的が達成されるかどうかは分からないです。分からないですけれども、第一歩が大切じゃないのかなと。分からないからこそ、僕は本法案の第一歩のスタートがとても大切なのではないのかなと考えています。
御存知のとおり、本法案は短期的なものではないと思っているんですね。一時的な、値段を上げるということではなくて、持続可能な農畜産業を構築するための第一歩なので、最終的に生活者、消費者にとってどちらがプラスかというところに主眼を置いて考えないと、少しゴールがぶれてしまうんじゃないのかなと思っています。
あともう一つ、繰り返しになってしまうんですけれども、今までが野菜が安かったんです。安かったんですね。だから、高くなるのではなくて、普通の金額になるという意識を持ってもらうことがとても大切かなと。農家の方も生活者なので、安いと生活ができなくなってしまいますので、そのバランスを取っていくのがとても大切であり、本法案の意味じゃないのかなと考えております。
○八幡委員 ありがとうございます。
今まさにこの質問がユーチューブで生中継されていて、国民が見ていると思うんですが、きっと、おっしゃったことを皆さん、多分国民は理解していると思うんですよ。理解しているんだけれども、それについていくお金がないということで、まさに伊藤参考人がおっしゃったみたいに、まず経済をそもそも立て直さなあかんというところは本当に私としても同感ですので、もっとそれはいろいろな形で頑張っていかなあかんなと思ったんですが、このことが、まさに今です、国産の米価格の高騰で、従来消費者から敬遠されてきた輸入米が店頭に並ぶようになって、安い輸入米を消費者が購入している状況というのがもう示していると思うんですね。
江藤農水大臣は、会見のときに、主食の米を海外に頼って国内生産が大幅に減少することが果たして国益なのか、国民全体として考えていきたいとおっしゃっていたんですが、物価高に苦しむ国民は、輸入米に手を出さざるを得ないという状況だと思うんです。食べられるなら当然、農家さんを応援したいし、国内産の米も食べたいというところが本音だと思うんですけれども、そして、生産者が求めているものも、生産可能な所得であって、店頭価格に転嫁することが目的ではない、これは当然そうだと思うんです。
そうであれば、れいわ新選組としては、生産者のコスト割れを見直すことによる負担の増を消費者に押しつけるのではなくて、食料安全保障の観点から、国が価格保障、所得補償を行うべきだと訴えております。
四名の皆様全員に聞きたいんですけれども、農産物について、生産者を支えるためにも、国が価格保障、所得補償を行うべきという見解について、御所見をお伺いします。
○藤間参考人 先ほど申しましたとおり、適正な価格形成の法制化には、需給によって価格が決定している状況について、法制化によってコストの考慮を求めるというものであると考えてございます。
一方で、我々としても、適正な価格形成の法制化だけで全ての問題が解決できるとは考えてございません。そのため、JAグループとしては、適正な価格形成の法制化と経営安定制度の強化を併せて求めており、政府において、令和九年度以降の水田、畑作政策の見直しの中で、水田活用の直接支払交付金や中山間地等直接支払制度の拡充が検討されているものと承知しております。この点につきましても、JAグループとして、引き続き検討を進め、政策提案を行ってまいりたいと考えております。
以上です。
○伊藤参考人 御質問に答えさせていただきたいと思います。
所得補償をするかどうかというのは、私の立場では申し上げることはできません。それはいろいろ政党の皆さん方が考えていらっしゃることだと思います。
ただ、言えることは、農家さんもそうですし、我々食品メーカーも、物流もそうですけれども、食品関連産業でも、やはり、しっかりとした所得というんでしょうかね、なければ、この産業から逃げていくわけですね。先ほど、まあ農家のことはまた後ほど聞いていただいたらと思いますけれども、農家の人手不足というのは、農家はやってももうからないということじゃないですか。それと同様に、食品産業というのも、今、本当に人手不足で困っているんです。これは大手でも最近人手不足というのを聞きますので、これが、確かに消費者に負担をかけるのはどうかというふうな話ですけれども、だからといって価格を転嫁しないということになれば、多分この業界から人がいなくなってしまうという可能性もありますので、その辺はひとつ御理解いただきたいなというふうに思います。
それと、食品価格に対して、価格改定のとき、多分、それこそいろいろな会社の値上げに対する案内を見てもらったら分かるんですけれども、そういう、安易に上げているということはないと思うんですね。いろいろ努力した結果、やはりこれだけ何とか上げてもらいたいというようなことで、皆さんが、消費者、理解しているということでございますので、皆さん方に是非その辺は御理解いただきたいということと、そこで働いている人間がいるということを是非御理解いただければというふうに思います。
以上でございます。
○川村参考人 冒頭の意見陳述でも申し上げましたが、今回の食料システム法案自体につきましては、日本の国内の農林水産業と向き合う食品産業として、どのようなコスト指標の在り方であったり、また、食品産業として努力しなければならない計画等々についてどう行っていくのかということだろうと思いますので、委員の御質問にございました、農業政策としてどのような政策を取っていくのかというのは、また私は別次元の話ではないのかなというふうに理解をいたしました。
まず、取引実態として、やはり大きな流れとして、国内の農業生産者とそして我々食品産業とがどう向き合って、どうそのコストについて、あるいはありようについて議論を進めていくのかという方向性を示しているのが今回の食料システム法案ではないかというふうに理解をしておるところでございます。
以上でございます。
○及川参考人 ありがとうございます。
価格保障をすべきかというお話なんですけれども、端的にどちらがいいとは言えないんですけれども、一つ申し上げられるのは、農業というのは幅が広いですよね。野菜、果物、花、お米、畜産まで入れると、売り方も違えば流通も違う。なので、一概に、これにしてこれにしないということは言えないのじゃないのか。ただ、一つ言えるのは、やはり、生活者目線で価格保障を入れるよりも、私は、生産者目線で入れた方が最終的には生活者目線になるんじゃないのかなと思っております。
これはどういうことかというと、価格が高いということは供給量が少ないということなので、天候不順で多分よくできていないんですね。ここを、生産者を助けるという意味で価格保障を入れていくということは、とても大切なことなんじゃないのかなと考えております。
以上です。
○八幡委員 ありがとうございます。
私、及川委員の資料をいろいろ読んでいたら、農家を助けるのではなく、農家がなくならないための仕組みを農家と一緒につくりたい、ありがとうとちゃんと言える人が欲しいと発言されているというのを見たんですけれども、まさにこのありがとうというのは、国が生産者にもっともっと私はやるべきだと思っていて、それを示すのはやはりお金だと思うんですよ。
なので、皆さんのお話を伺って、やはり日本の農政の予算が少な過ぎるなと思っています。これはやはり倍増していかないといけないし、もっともっとお金を流していく、生産者にもそうです、流通にもそうです、そういったことを引き続き訴えていきたいなと思いました。ありがとうございます。
ちょっと一つ、これは、私、どうしても聞きたいことがあったんですけれども、今、お米が、値上がりが、昨日も十七週連続で上がったと言っていて、備蓄米も放出したんですけれども、流通がちゃんとうまくいっていない。ここで心配されるのが、やはり災害時の対応だと思うんです。
私は、政治家を志したきっかけの一つが、我が国の災害対策という理由がありますので、いつ何が起きるか分からないというこの災害大国において、このままでは災害時の食料確保が対処できないんじゃないかなと心配しているんです。
東日本大震災のときに、食料の製造、流通、販売経路等のサプライチェーンの一部が寸断されたということで、その機能が維持できなくなったことがすごく問題になりました。
食品産業事業者は、大規模災害発生時にも事業を継続して、国民生活に欠くことのできない食料を届けるために、事業継続計画、BCP、これを策定することが必要とされていると思うんですが、ちょっと法案から外れてしまうんですけれども、是非、皆さん今日お集まりいただきましたので、それぞれの業界の災害時の取組について、もしよろしければお聞かせください。お願いします。
○藤間参考人 災害、先ほど、東日本大震災、私も体験いたしましたけれども、大変な苦労をしながら、JAグループでは燃料の供給ですとか、そのようなものをやってまいりました。
ただ、災害につきましても、地震ですとか津波、それぞれ様々でございますので、やはり、その地域またその災害の状況に応じた対応、これが必要だと考えてございます。
以上です。
○伊藤参考人 お答えさせていただきます。
災害時の対応ということですが、我々、労働組合でございますので、我々、労働組合として、フード連合として災害の対応というのは特にやっているというわけではございません。もちろん、職員のためのヘルメットを用意するとかいうことはやっておりますけれども。
加盟組合、加盟組合というのは加盟企業になると思うんですけれども、そこではそれぞれの災害対策はやっていらっしゃるというふうに思いますし、特に食品の場合は、何か大きな災害が起これば、まずはやはり飲料水であったりとか、そういった食品を運ぶということについては、それはそれぞれ、企業もそうですし、そこで働く労働者も使命感を持ってやっているということでございますので、私の方からは以上とさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
○川村参考人 災害時の対応につきましては、政府からの様々な要請がございますので、それに対して食品産業の側でできることについては、その政府の要請にできるだけ応えていくという形の取組を行っております。
とりわけ、分かりやすいところでいきますと、例えば、余りふだんは備蓄することが難しいような商品について、例えば赤ちゃん用の粉ミルクであるとか、こういったものについては、今は液状の粉ミルク等々も開発されておりますので、被災地でも、例えば、水がないということで粉ミルクでは供与できないという問題が発生して液状粉ミルクが開発をされたという経緯がございます。こうしたものについても、今は、それぞれの粉ミルクを作っているメーカーが一定の備蓄を持っておりますので、これを政府の要請に応じて被災地に届ける。まあ、届けること自身が実は大変難しくて、我々は、物流といいますか、そこはなかなか担えないんですが、そういったところはむしろ自衛隊であるとかそういったところに御支援をいただいて、我々は必要な場所に必要なものを届けるという取組を今でも行っております。
やはり、災害時、相対的に弱い方々といいますか、災害弱者といいましょうか、そういう皆さんのところに必要なものを届けるということが食品産業としても極めて重要なことではないかなというふうに理解をしております。
○及川参考人 ありがとうございます。
我々、農産物流通会社でございまして、我々だけでやれることは少ないのかなと。ただ、例えば能登の震災があったときに、小売店さんと連携させていただきまして、無償で我々の物流を使ってどんどんどんどん小売店さんに野菜と果物を運ぶということをさせていただきました。また、災害と言えるか分からないんですけれども、新型コロナウイルス発生時には、農業総合研究所では一日も欠かさずに野菜と果物を全国のスーパーさんにお届けさせていただきました。
何が言いたいかというと、やはり、我々は命を守るインフラ業だという意識を強く持っておくことがとても大切なことなんじゃないのかなと考えております。
以上でございます。
○八幡委員 貴重な御意見、皆様、本当にありがとうございます。まさに食を守るということは命を守るということ、本当にそうだと思います。我々国会議員もしっかりと、今日いただいた皆様の意見を参考にして、日本の農政を少しでも前に進められるように活動してまいりますので、引き続き御注目ください。
今日はありがとうございました。
○御法川委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。
この際、参考人各位に一言御挨拶を申し上げます。
本日は、貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして深く御礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。(拍手)
次回は、来る十三日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午前十一時五十八分散会