第2号 令和7年11月25日(火曜日)
令和七年十一月二十五日(火曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 藤井比早之君
理事 笹川 博義君 理事 野中 厚君
理事 平沼正二郎君 理事 岡田 華子君
理事 金子 恵美君 理事 小山 展弘君
理事 池畑浩太朗君 理事 許斐亮太郎君
伊東 良孝君 上田 英俊君
江藤 拓君 大空 幸星君
小池 正昭君 坂本 哲志君
鈴木 貴子君 中曽根康隆君
西田 昭二君 長谷川淳二君
葉梨 康弘君 広瀬 建君
宮下 一郎君 森山 裕君
簗 和生君 山本 大地君
梅谷 守君 おおたけりえ君
神谷 裕君 近藤 和也君
西川 将人君 平岡 秀夫君
緑川 貴士君 柳沢 剛君
山田 勝彦君 渡辺 創君
空本 誠喜君 臼木 秀剛君
長友 慎治君 大森江里子君
角田 秀穂君 八幡 愛君
北神 圭朗君 林 佑美君
…………………………………
農林水産大臣 鈴木 憲和君
農林水産副大臣 根本 幸典君
法務大臣政務官 福山 守君
財務大臣政務官 三反園 訓君
農林水産大臣政務官 広瀬 建君
政府参考人
(金融庁総合政策局参事官) 田部 真史君
政府参考人
(総務省大臣官房地域力創造審議官) 恩田 馨君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 蒔苗 浩司君
政府参考人
(農林水産省大臣官房長) 宮浦 浩司君
政府参考人
(農林水産省大臣官房総括審議官) 押切 光弘君
政府参考人
(農林水産省大臣官房総括審議官) 河南 健君
政府参考人
(農林水産省大臣官房技術総括審議官) 堺田 輝也君
政府参考人
(農林水産省大臣官房危機管理・政策立案総括審議官) 中澤 克典君
政府参考人
(農林水産省大臣官房統計部長) 深水 秀介君
政府参考人
(農林水産省消費・安全局長) 坂 勝浩君
政府参考人
(農林水産省輸出・国際局長) 杉中 淳君
政府参考人
(農林水産省農産局長) 山口 靖君
政府参考人
(農林水産省畜産局長) 長井 俊彦君
政府参考人
(農林水産省経営局長) 小林 大樹君
政府参考人
(農林水産省農村振興局長) 松本 平君
政府参考人
(林野庁長官) 小坂善太郎君
政府参考人
(水産庁長官) 藤田 仁司君
政府参考人
(中小企業庁事業環境部長) 坂本 里和君
政府参考人
(環境省大臣官房審議官) 高城 亮君
農林水産委員会専門員 千葉 諭君
―――――――――――――
委員の異動
十一月二十五日
辞任 補欠選任
小池 正昭君 中曽根康隆君
鈴木 貴子君 大空 幸星君
長谷川淳二君 上田 英俊君
同日
辞任 補欠選任
上田 英俊君 長谷川淳二君
大空 幸星君 鈴木 貴子君
中曽根康隆君 小池 正昭君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
農林水産関係の基本施策に関する件
――――◇―――――
○藤井委員長 これより会議を開きます。
農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房長宮浦浩司君、大臣官房総括審議官押切光弘君、大臣官房総括審議官河南健君、大臣官房技術総括審議官堺田輝也君、大臣官房危機管理・政策立案総括審議官中澤克典君、大臣官房統計部長深水秀介君、消費・安全局長坂勝浩君、輸出・国際局長杉中淳君、農産局長山口靖君、畜産局長長井俊彦君、経営局長小林大樹君、農村振興局長松本平君、林野庁長官小坂善太郎君、水産庁長官藤田仁司君、金融庁総合政策局参事官田部真史君、総務省大臣官房地域力創造審議官恩田馨君、厚生労働省大臣官房審議官蒔苗浩司君、中小企業庁事業環境部長坂本里和君及び環境省大臣官房審議官高城亮君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○藤井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○藤井委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。山本大地君。
○山本委員 おはようございます。自由民主党の山本大地でございます。
まずは、鈴木憲和大臣、就任、誠におめでとうございます。
記者会見、そして予算委員会に自民党青年局のバッジをつけてずっと出席をいただいていること、全国の仲間から非常に心強いというお声をいただきます。自民党青年局のモチーフとなっておりますファーストペンギン、この気持ちを持って是非農政改革に挑んでいただきたいというふうに思います。そして、政務三役の皆様も、是非ともお支えいただいて、日本の農政を前に進めていただきたいというふうに思います。
それでは、質問に入りたいというふうに思います。
まずは、瀬戸内海におけるカキの大量へい死についてお伺いをいたします。
鈴木大臣は、先週十九日に広島県東広島市を現地視察されました。被害に遭っている養殖業者さんや高垣東広島市長などの関係者からお聞き取りもされたと承知をしております。
今回の大量へい死は過去に例のない大規模なものであり、その影響は今年の水揚げのみならず、来年、下手をしたら再来年まで影響を及ぼしかねないとの指摘もございます。事業者への緊急的な支援が必要であると私は考えます。
そこで、鈴木大臣に、現地の視察の所感、並びに事業継続の危機に直面をしている事業者の皆様に対してどのような支援を講じていかれるのかをお伺いしたいというふうに思います。お願いいたします。
○鈴木国務大臣 御質問ありがとうございます。
まずは、山本委員には、青年局のバッジというよりは、青年局が作ったブルーリボンバッジを一緒にこうやってつけていること、大変ありがたく思っております。
まず、御質問いただきましたカキのことについてです。
先週の十九日に現地に訪れさせていただき、実際に水揚げをしたカキのほとんどがへい死をしていることを、私も直接手に取らせていただいて、中がどのぐらい入っていないか、若しくは、様々なもの、ほぼほぼ全部口が開いているという状態であったということを確認をさせていただきまして、本当に厳しい状況であることを改めて認識をさせていただきました。
これから水揚げが始まる地域もありますので、そうした地域も含めて、瀬戸内海全体の被害状況の全容をしっかりと調査をして、広島県からは、高水温以外にも高塩分など様々な要因が挙げられておりまして、へい死の原因究明についても、国の研究機関も連携しつつ、しっかりと調査をしていきたいというふうに思います。
そして、視察では、現場の漁業者の方々とも意見交換をさせていただき、様々な御意見をいただいたところであります。
まずは、資材費の支払いや来年以降の出荷の再開に向けて、共済や融資などを用いてどのような支援ができるかを整理させていただいた上で、国と県と地元自治体が連携を取りまして、カキ養殖業者の皆様の経営を支えていけるよう、早急に対応を行ってまいりたいと考えております。
○山本委員 ありがとうございました。
是非事業者の皆様が安心して年を越せるような迅速な支援をお願いしたいというふうに思います。また、中長期的に、原因究明とその対策の構築も必要であります。こちらについても国の支援をどうかよろしくお願いをしたいというふうに思います。
それでは、次に、先日行われました大臣の所信の一文について、是非私もちょっと詳しく聞きたいという思いがございまして、非常にこの一文が大臣のお考えを示しているなというふうに感じましたので、その点についてお伺いをしたいというふうに思います。
大臣は、所信の中で、幾ら理想的な政策も、現場の皆様の心が動かずには効果を発揮できない、このことを心に留め、農は国の基なりという言葉のとおり、農林水産省の最も重要な使命である国民への食料の安定供給を実現しますというお言葉を使って所信表明をされておりました。
是非この点におきまして、もう一度、鈴木大臣の思い、そして詳しいお考えをお示しいただけたらというふうに思います。
○鈴木国務大臣 御質問ありがとうございます。
私は、農林水産省で役人もやっておりましたので、そのときに現場の生産者の皆さんから、農林水産省の政策について様々な御意見もいただいてきたところであります。
私自身も、体験としてこれは申し上げると、大体、霞が関でつくる政策というのはそんなに間違っていない、時には間違っちゃうこともあるかもしれませんが、そんなに間違っていないなと思う一方で、やはり生産現場の皆さんからしてみると、いや、これってうちの現場には全く当てはまらないよなと思うことも多々あるわけです。
そして、細かいことになりますけれども、様々な要件とかそうしたものについても、時々毎年のように通知が変わっていくというようなこともあるわけです。やはりそれは現場の生産者の皆さん、そして政策の実際に仲立ちをしている自治体の皆さんからすると、こうやって毎年変えられては困るといった声や、ちょっとうちの現場には合わないといった声があるということもよく認識をしております。
ですので、全体として理想的な政策であったとしても、やはり現場の皆さんがこっちの方向に向かって一緒に取り組んでみようというふうに思っていただけるように、政策そのものもそうですが、我々の行動も変えていきたいという思いで、所信ではあのように話をさせていただいたところであります。
農林水産業は国の基でありまして、国民への食料の安定供給を実現することが農林水産省の最も使命であることは変わりがありません。そして、同時に、北海道から沖縄まで南北に長い私たちの国、日本の地域を形作っているのは農林水産業そのものであるというふうに認識をしております。
先人から受け継ぎ、農林漁業者が守ってきた我が国の肥沃な農地と豊かな森や海はかけがえのない国民の資産であることから、これをしっかりと次世代に残していくべく、大臣としての職責を果たしていく覚悟であります。
○山本委員 よく分かりました。ありがとうございました。
次に、所信の中で触れられておりましたお米政策についてもお伺いをしたいというふうに思います。
お米は、唯一自給可能な穀物でございまして、この安定供給は、生産者、そして消費者共に不可欠でございます。しかし、そういったお米については、昨年来、価格が高止まりし、国民生活に大きな影響を与えている状況でございます。
昨年と比べて二倍にも上る小売価格は、消費者の買い控えを招くのみならず、生産者の側からも、輸入米によって国産米のシェアが奪われるのではないかという懸念もされております。また、これはお米に限らない話ではございますが、生産現場では、生産者の高齢化が進んでいることや生産資材の価格が高騰するなど、多くの課題を抱えておりまして、食料安全保障の確保が揺らいでおります。
その食料安全保障の確保に当たり最も大事なことは、主食であるお米をしっかり国民にお届けすることであり、安定して再生産に取り組める環境を整えることが重要です。
一方で、水田は、生物多様性の保全や水源涵養、また災害防止などの機能を有しており、国土の形成や農村の地域社会の維持にとっても欠かすことのできない役割を果たしており、全ての水田をフル活用すること、これが重要だと考えます。
自民党では、岐路を迎える農業の構造転換を確実に進めるため、農業、農村整備や共同利用設備の再編、集約化を柱とする農業構造転換集中対策の実施に向けて、今年五月に不退転の決意を持って緊急決議を取りまとめました。また、九月には農業構造転換推進委員会を立ち上げて、農業の団体の皆様からのヒアリングを行ったり、農林水産省からの説明を受け、毎週のようにけんけんがくがくの議論を進めているところでございます。
委員会では、生産者の皆様の来年産の作付に向けて早急に議論を進めるためのものから速やかに議論を開始し、他方、令和九年度の水田政策の見直しに向けて深い議論が必要なものについては、随時議論が始まっていくものと聞いております。
米の安定供給と、これを実現する川上から川下までの食料システムは、我が国の根幹を成すものであり、支障を生じさせてはならないものです。需要を見誤ったことにより、需要量が予想外に多く、供給とのギャップが拡大したことに伴い、在庫量が減少した、このことが集荷競争を生じさせ、米価高騰を招いたことが政府の検証でも触れられておりますが、二度とこのようなことを起こさないため、与野党を含め我々に対応が求められているところだと思います。
そうした中、現場の生産者の皆様は、来期、果たして安心して生産ができるんだろうか、そういった不安を抱えていらっしゃる方は多いかと思います。農業構造転換推進委員会では、来期の作付に向けて早急に議論を進めるため、短期的に対応するものとして、生産量に関する統計調査の精度向上や流通構造の実態把握の強化、精度の高い需要の見通しの作成を基本としつつ、備蓄政策についても議論が進められているものと思います。
これまでの議論を踏まえ、短期的な対応について、また中長期的な見通しも含めた対応策について、政府としてどのように進めていくつもりなのかをお伺いしたいというふうに思います。
○鈴木国務大臣 御質問ありがとうございます。
まず、米政策については、米の安定供給を目的として設置をされた関係閣僚会議において、総理から、今般の米価高騰の要因や対応の検証と短期的な対応策の検討を指示されたところであります。
これを踏まえまして、既に、ふるい目幅の見直しや生産者等の収穫量データの活用など、生産量に関する統計調査の精度向上、そして、需給見通しを見誤ったことを踏まえまして、需要見通しの算出、設定方法の見直しなど、需給の変動に柔軟に対応できる需給見通しの作成に取り組んだところであります。
また、流通実態の把握に当たっては、把握手法の実効性に欠けることや、多様化する流通ルートを定期的に把握できていないなどの課題が、そして、備蓄政策については、機動性に欠けるということや、品質検査等により流通までに時間を要するなどの課題が明らかになったことに対して、どのように対応していくか、現在、流通関係者や有識者などを始め様々な方の御意見を踏まえて検討をしているところであります。
こうした対応策を講じることにより、消費者に対する持続的な米の提供や持続的な農業生産による米の安定供給を実現してまいりたいというふうに考えております。
○山本委員 ありがとうございます。
次に、果樹政策について伺います。
大臣所信の中で果樹政策という言葉が出てこなかったのは少し残念でございまして、我が国においては、北海道から沖縄まで、それぞれの地域の栽培条件に応じて多種多様な果樹が栽培をされておりますが、私の地元和歌山県も、ミカンを始めとした多くの果樹を生産する全国有数のフルーツの産地でございます。傾斜地が多いという地形にもかかわらず、先人たちが果樹生産の基盤をつくり、今日の果樹王国和歌山を形成してきたところでございます。
このように我が国の果樹は、生産者を始めとする関係者の方々のたゆまぬ努力により、消費者に高く評価をされ、近年は市場価格も上昇傾向にあり、高い収益性が期待される品目、また、ほかの作物の栽培が困難な中山間地域でも多くの果樹が栽培をされており、中山間地域の農業を支える重要な品目であります。
一方で、生産者の高齢化、減少が進む中、果樹の生産量は減少傾向にあり、せっかく需要があるにもかかわらず、この需要に生産側が対応できていないという事由が和歌山でも多発をしております。これは非常にもったいないことでございまして、また、和歌山のミカンも今年は非常に品質がよく、出荷も順調に進んでいると聞きますが、昨年は少し、猛暑の影響で生産量が大きく減少し、日本全体で初めて六十万トンを下回ったということでございます。
高い消費者ニーズに応えるためにも、果樹の生産量の減少を食い止め、反転、増大させていくことが重要であると考えますが、生産拡大に向けて今後どのような取組をするか、お考えを問いたいと思います。
○鈴木国務大臣 御質問ありがとうございます。
私の所信の中に、済みません、果樹という言葉が少なかったというか、なかったということについておわびを申し上げたいと思います。私の地元もサクランボの第一位の県でありますので、うちの地元の生産者からも多分怒られるなと思って今聞いていたところであります。
委員御地元の和歌山県が生産量第一位を誇る温州ミカン、柿を始め、我が国の果樹について、その高い品質が評価をされ、国内外の需要が堅調に推移をしております。
一方で、果樹生産は、整枝や剪定等の高度な技術が必要な作業や、収穫等の手作業に頼らざるを得ない作業が多く、機械化が進んでいるところもありますけれども、まだまだやはり遅れており、生産者の減少や高齢化と相まって、生産量が減少し、需要に生産が応え切れていないという状況であります。
加えて、近年は、夏場の極端な高温による高温障害が発生しており、例えば温州ミカンにおいても日焼けや浮き皮等が発生し、集荷量が減少するなどの影響が発生をしております。
これから生産量の維持拡大を図っていくためには、まず、産地の生産基盤の強化と高温等の気候変動への適応策が急務であるというふうに考えております。
一点目は、管理作業を効率化できる省力樹形への転換やスマート農業技術の導入等を通じた労働生産性の向上を推進する。これは、生産性は恐らく果樹の場合はまだまだ上がっていくんだろうというふうに思っておりまして、それを難しい技術に頼らないで、なるべく多くの皆さんがやりやすい技術でいかに単位面積当たりの生産性を上げていくかという観点で私は重要かというふうに思っております。
そして、もう一点は、高温への適応のため、遮光ネットの設置やかん水施設の整備など、高温障害の発生抑制に資する技術的な対策の実施、高温下でも浮き皮しにくく高品質なかんきつなどの高温適応性品種の開発などの取組を推進することにより、需要に応える果樹生産の実現に向けて取り組んでまいりたいと思っております。
○山本委員 ありがとうございます。是非果樹政策も取り組んでいただきたいというふうに思います。
次に、農業の構造転換についてお伺いをいたします。
所信の中でも触れられておりました我が国の食料、農業、農村は国内外の大きな情勢の変化に直面をいたしまして、特に、我が国の農業者の減少は深刻でありまして、過去二十年間の間に半減をいたしまして、今後十五年間で現在の四分の一に減少するという試算もございます。
このような情勢を踏まえて、自民党においては、今動かなければ手遅れになるという危機感の下、昨年五月に行った農業構造転換集中対策の実施に向けた緊急決議において、食料・農業・農村基本法改正後の初動五年間で集中的に実施すべき事業を整理し、万全に事業を実施すべく、従来の農業関係予算とは別枠で必要な予算を確保すべきとしています。
農林水産省におかれましても、この決議の内容を踏まえて、別枠予算をしっかりと確保し、農業の構造転換を推進していただきたいと思いますが、その決意を伺いたいと思います。お願いします。
○広瀬大臣政務官 ありがとうございます。
お答えいたします。
委員まさに触れられたとおり、農業者の急減、これは本当に大きな問題だと思っております。国際情勢の不安定化や気候変動の影響、我が国農業が様々な課題に直面する中、食料安全保障をいかに確保するか、農業の構造転換が待ったなしの状況であることは、今まさに言われたとおりだと思っております。
このため、改正基本法に基づく新たな食料・農業・農村基本計画に基づいて、農地の大区画化、共同利用施設の再編、集約、合理化、それからスマート農業技術、新品種の開発、輸出産地の育成等、これらを集中的に推進していくことにしております。
これに向けて、まさに今おっしゃられたとおり、五年間の農業構造転換集中対策期間において、別枠の予算をしっかりと確保し、農業の構造転換への集中投資をしっかりとしてまいりたいと思っております。
○山本委員 御答弁ありがとうございます。
是非とも広瀬政務官、民間でも培った広い知識をこの農政にも生かしていただきたいというふうに思います。
これに関連をいたしまして、本日、閣議後の記者会見で鈴木大臣より、新基本計画実装・農業構造転換支援事業について補助率引上げを行うとの御発言がございました。共同利用施設の再編、集約、また合理化については、経済対策にも、農家、農地の負担の引下げ、手厚い地方財政措置を講じるとの記載もあり、また、産地からの資材費高騰を受けての補助率の引上げや地方財政措置の充実などについて要望もあったというところでございまして、大変心強い発言だったと思いますが、その辺の詳細についてもう一度お伺いをしたいというふうに思います。
○鈴木国務大臣 御質問ありがとうございます。
老朽化をした共同利用施設の再編、集約等は、農業、畜産業の生産基盤の強化にとって不可欠であるというふうに認識をしております。
現状の新基本計画実装・農業構造転換支援事業では、通常、国の五〇%の支援に加えて、都道府県が更に五%出していただける場合は国もプラス五%を乗っけて、全体として百分の六十まで出すということになっておりますが、それでも、現場に伺いますと、想像以上にこの資材費、当然、人件費も含めて、単価というのが、建設費がコストがすごく上昇していて、なかなかこの状態では更に施設整備を進めるということは厳しいというお声もいただいているところでありますし、また、都道府県の皆さんからも、施設というのは各県一か所というわけではなくて多数あるものですから、その辺の自治体の負担も厳しいという話をいただいております。
ですので、今現状で、要するに、補助率のかさ上げをもう一歩進むように努力をさせていただいているところでありますし、さらに、地方財政措置の拡充についても、現場の都道府県の皆さんからのお声に応え切れるように今努力をさせていただいているところでありますので、しっかりと現場で更新というか、施設の整備が更に前向きに取り組める五か年になるように精いっぱいやらせていただきたいと思います。
○山本委員 御答弁ありがとうございます。
ちょうど私も、この週末、地元へ帰ったときにもこのお話をされました。ただ、一つ、集約化をし切ったところの老朽化もあって、その辺に使えるメニューもまた充実をしていただきたいというふうに思います。
次に、農産物の輸出について伺います。
国内の人口減少が進む中で、将来を見据えたときに、成長する海外のマーケットに活路を求める輸出は、我が国の農林水産業また食品産業の維持発展には不可欠だと考えます。一方、我が国は、長く内需中心の産業構造を有しており、輸出マインドを持った生産者や食品事業者の育成、また新たな販路の開拓は容易なことではありません。
私の地元和歌山県でも、全国生産量トップのミカン、その加工品を始め、魅力的な産物が様々ございます。これらの生産者の皆様は、国民の皆様においしく食べていただくのはもちろんのこと、世界の方々に食べてもらうために生産をしていただくといったマインドセットが極めて重要になってくると考えます。
政府では、農林水産業の成長戦略の柱として、農林水産物・食品の輸出額を二〇三〇年に五兆円に拡大させる目標を掲げております。目標の達成に向けては、これまで以上に政府の支援、取組を強化し、輸出マインドを持った事業者の裾野を広げる、輸出向けの産地を育成する、有望な海外への市場の販路を拡大するということを行うことによって輸出拡大の加速化を図る必要があると考えますが、是非、御見識の深い副大臣、お伺いしたいというふうに思います。
○根本副大臣 御質問をいただきまして、ありがとうございます。
農林水産物・食品の輸出額は十二年連続で増加しておりまして、昨年は一兆五千七十一億円と初めて一・五兆円を超えまして、本年も、九月までの輸出額が一兆二千四十二億円となり、過去最高のペースで今進んでおります。
二〇三〇年の五兆円目標に向け、この勢いを更に加速すべく、低コストで生産、供給できる輸出産地の育成やGFPによる輸出事業者の掘り起こし、認定品目団体や輸出支援プラットフォームによる、日系のみならず現地系スーパーやレストラン等の未開拓のマーケットの開拓、委員のお地元で盛んな、先ほどありました温州ミカンのベトナム向けの輸出解禁、これは二〇二一年に行われましたが、このような海外の輸入規制の撤廃、緩和に向けた働きかけ、こういったことを総合的に進めてまいりたいというふうに考えております。
以上です。
○山本委員 済みません、時間が参りましたので、終わります。
ありがとうございました。
○藤井委員長 次に、神谷裕君。
○神谷委員 立憲民主党の神谷裕でございます。
今日は、このように質疑の時間をいただいたことを感謝を申し上げたいと思います。
また、鈴木農林水産大臣、御就任、誠におめでとうございます。かつて一緒に様々なことを議論した鈴木大臣がそこに座っておられることを心から、私自身、頼もしく思うのと同時に、歓迎をしたいと思います。
今日、鈴木大臣の就任に当たっての所信について様々お聞かせをいただきたいと思いますし、また、そのことを通じて、農業者の皆さん、漁業者の皆さん、林家の皆さんに少しでも安心を届けられたらと思いますので、どうぞ忌憚のない答弁をお願いをしたい、このように思います。
まず、率直に伺いたいと思います。
直前の小泉農林水産大臣、そして現在の鈴木大臣、私の目には、農政は大きく転換をしたように映ります。更に言えば、石破総理から高市総理に替わったこともあったかもしれませんが、小泉農政と鈴木農政の違い、これをやはりしっかりと検証しなきゃいけないと思います。
そこにおいて、先般、十一月十九日なんですけれども、朝日新聞に、石破前総理が、米の増産撤回、米価への介入撤回について、妥当性を理解できない、そんなコメントが掲載をされておりました。ネガティブな発言だと思いますが、この石破前総理のコメントについて、鈴木大臣の所感はいかがでしょうか。
○鈴木国務大臣 御質問ありがとうございます。
神谷先生には、本当に、昔、結構附帯決議とかいろいろ調整を一緒にした思い出を思い出しました。ありがとうございました。
石破前首相のインタビュー記事は私も大変拝見をさせていただいておりますが、私の立場から石破総理の発言に対してこの場で何か発言をするということはございません。
○神谷委員 そうなんですけれども、石破前総理の米に対する考えは、御存じだと思いますけれども、大きく増産した上で米価を下げ、農家経営は、別途、直接支払い等によって支えていく考えであったんじゃないかというふうに承知をしております。私自身も、予算委員会等で石破総理に直接質疑をさせていただいて、そのところを実感をしたところでございます。
必ずしも現在は米価は低いという形ではございませんけれども、大臣は、この石破総理の言うような、大きく増産とか、あるいは直接支払い、所得補償といった農家の所得確保策、これについてはどのように考えているのか、お考えを伺いたいと思います。
○鈴木国務大臣 御質問ありがとうございます。
まず、米の安定供給、このためには、生産者の再生産が可能であり、さらに、消費者も安心して購入できる価格であるということが必要であるというふうには認識をしております。
このため、六月に成立をした食料システム法を受けまして、米の合理的な費用を考慮した価格形成に向けて、米のコスト指標作成のための準備会合を現在設置をしたところであります。
そこでコスト指標については、生産から販売に至る各段階でどれだけのコストがかかっているのかを明確にし、関係者の理解の下で、コスト割れでの供給を抑止しようとするものであります。まずは、米のコスト指標の作成に向けた検討が着実に進むよう、引き続き後押しをしてまいりたいと思います。
また、大幅な農産物価格の下落等に伴い農業収入が減少した場合には、収入保険やナラシ対策などのセーフティーネット対策を現状でも措置をしているところであります。
なお、主食用米に対する所得補償や直接支払い等の所得の確保策につきましては、生産性向上に向けた取組に与える影響や、生産コストは規模によっても異なる中で、これは規模によって異なるだけではなくて、恐らく作り方やこだわりによっても、かなりこだわってくると思います、有機農業であれば、また更に草取りのコストがかかるなどといったこともありますので。そういう中で、適正な手取りの水準を誰がどのように設定するかなどの観点から、私としては、慎重な検討を要するものというふうに考えております。
○神谷委員 今答弁がございました直接支払いというか所得確保策、これはやはり非常に重要だと私自身は思っています。農家、農業者は、大臣も御案内のとおり、いかに努力しようとも、おてんとうさま相手の商売でもございます。全く関係ないところで、今、気候の変動なんかもある。たまたま今、米価は比較的再生産可能な価格になっているかもしれませんけれども、どこで何が起こるか分からないというのが農業の実態です。
ですから、所得確保ということが非常に重要だと私も考えているところでございますし、今の状況の中で、今大臣はそういった答弁でございましたけれども、本当に今のいわゆる収入保険であるとか経営所得安定対策であるとか、これで果たして十分なのか。私は、必ずしも十分ではないのかなというふうに思っています。
収入保険であっても、九掛ける九の八一%。普通の所得に対して八一%ではかなり厳しいというのも現状ではないんでしょうか。経営所得安定対策にしても、必ずしも、例えばこの先どうなるか分からない状況の中で、下がっていくようなこともえてしてあり得る、今の現制度下ではあるわけですから、果たしてそういう中でこれで足りるのだと大臣はお考えですか。
○鈴木国務大臣 もちろん、これは民主党政権時代から、戸別所得補償を含めて所得補償の在り方というのは様々な議論があることだというふうには私自身もよく認識をしております。
私が生産者の皆さんとお話をする限りにおいては、やはり皆さんは何を一番望まれているかといえば、自分の作った農産物がしっかりとした価格で報われるということ、それによって、結果として経営の先が見通していけるということ、翌年に向けた投資や、若しくは規模拡大の際にしっかりとした給与で人を雇いたいということ、このことが生産現場の皆さんの一番の気持ちではないかというふうに私は考えております。
ですから、値段が大変暴落をして、そのときのセーフティーネットを張ればいいではないかという議論については、私としては、かなり慎重にすべきなのではないかなという立場であります。
○神谷委員 大臣、そこについては私は見解を異にしております。
というのも、今ほどおっしゃっていただいたとおり、確かに生産者としては、農作物をきちんとした販売価格あるいはきちんとした評価で買っていただきたい、それは間違いない事実だと思います。ただ、現実にどうかと言われれば、この間の米価はどうでしたでしょうか。実際に、手塩にかけたお米、でも、必ずしも生産費に届くか届かないか、あるいは、中には本当に厳しかったというのが現状ではないんでしょうか。市場というところを通して自分たちで価格がどれだけ決められるのか、これが農作物、あるいは一次産品の一種の特徴だと私は思います。ですので、所得確保策というのがこの間やはり大事なのではないかということが議論をされてきたと私は思います。
そしてまた、現状、見ていただくとおり、先ほども御発言がありましたけれども、農家はどんどんどんどん減っています。農家が欲しいのは、やはり将来の安定も必要だと思いますし、きちんとした所得の確保だと私どもは思っています。
この後、農地も、ひょっとすると農業者も減っていくんじゃないかと言われている中で、これまで同様でいいのだとは到底思えない。だとするならば、ここで、直接支払いなのか所得確保策なのか、やはり必要なのではないかと私は思います。
そういった意味において、立憲民主党では、農地維持支払いというか、農地に着目した支払いということを提唱させていただいています。と申しますのも、この後、農業者はどんどん減っていく可能性があるだろう、農地も減っていく可能性があるだろう、そういう中でこの国の農業基盤を大切にしなきゃいけない、守っていかなきゃいけない、じゃなければ、食料安全保障、これも実行できないじゃないかというところにございます。
大臣も御存じのとおり、この国の農業基盤とは何ぞやと言われれば、農地と農業者。だからこそ、農地に着目して、農地に支払うことによって、よってもって農業者の経営を支えていく。更に言えば、荒廃農地を減らす意味も含めて、こういったことが今まさに必要なのではないかということで提唱させていただいているところでございます。
まして、米価がこういう状況でございますから、米価の対応については、何かあったときのための、いわばセーフティーネットが必要だとは思います。ですので、米トリガーという形にさせていただきましたが、やはり大事なのは、この国の農業基盤を守っていくための施策、そのためには農業者、農地、ここだと思うんです。
そういう意味においては、増産というところを除けば、前の石破総理あるいは小泉農水大臣は、この辺の直接支払い、直接所得補償ということについては比較的前向きだったと思いますし、この点についてはむしろ鈴木大臣も検討すべきだと思うんですけれども、これについていかがでしょうか。
○鈴木国務大臣 先ほどから私自身の考え方は申し上げているところでありますが、私としては、やはりこれは、要するに、食料システム法も作りまして、合理的な価格形成というのは何なのかという議論も、これからコスト指標を作ってお示しをしていくということになろうかと思います。
そういう中で、これから農業政策全体がどのようにあるべきかということは議論されるべきだと思いますので、神谷先生のおっしゃることは、全く理解をしないわけでは私自身もないですが、なかなか、神谷先生の考え方とは大分違うのかなというふうには思っております。
○神谷委員 私もその違いということは気づいておりましたが、ただ、そうはいいながらも、今これが必要だと私どもは考えているわけでございますので、この後もしっかりとお互いに議論しようではありませんか。そのことをまず申し上げたいと思います。
そして、その上で、小泉農政から鈴木農政、私の地元の皆さんは、むしろ、鈴木さんになられたことで安心をしているというのが本音でございますが。ただ、そうはいいながらも、この間の小泉農政の方針とやはり鈴木農政の方針というのは極端に変わったんじゃないか、私にはそういうふうに見えてなりません。
とするならば、農政というのは、安定というか一貫性というか、やはり先が見通せる、一年一作なんということもあるので、やはりこれは猫の目農政という批判は甘んじて受けなければいけないのではないかと思います。
農家の目には、変わったことがよかったということもあるかもしれませんが、ただ、そうはいいながらも、やはり猫の目農政という評価については、これはしっかりコメントを出すべきだと思いますが、鈴木大臣、いかがでしょうか。
○鈴木国務大臣 まず、今の神谷委員からの御質問ですと、私に替わって、いい意味で今回は猫の目農政だったというふうに私としては受け止めればいいのかなというふうには思いましたが。
やはり一番大事なのは、米は一年一作でありますから、何といっても、一年ごとに何かが変わるということであっては、現場の生産者の皆さん、そして政策に実際に携わっていただいている自治体の皆さん、これはやっていられませんので、もう二度とこういうことの起こらないように、私としては、先の見通せる農政を実現するということ。
そして、その基本は何かといえば、国内マーケットが人口減で需要が少しずつ減るという、高齢化も含めてですけれども、そういう中において、やはり先の需要というのをしっかり拡大をしていって、農林水産業の未来というのはマーケットの面から見ても明るいんだという希望を示していくことが先の見通せる農政だというふうに思いますので、一朝一夕にすぐできることでもないことも多々ありますが、しっかり努力をさせていただきたいと思います。
○神谷委員 間違いを正すにはばかることなかれというようなことでございますから、農家にとって安心な方向に是非かじを切っていただきたいというのは、ありがたいことだと思いますが。
その上で、米、水田政策について若干伺いたいと思います。
国民への安定供給と農家経営の安定を図るため、需要に応じた生産の推進というのは極めて必要だと私自身は考えているところでございますが、今後、生産現場において、大臣も言われているところだと思いますが、どのように推進していくのか、これについて伺いたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○鈴木国務大臣 御質問ありがとうございます。
まず、米政策につきましては、前政権の下で閣議決定をされた食料・農業・農村基本計画において、輸出を含めた需要拡大を見込んで、二〇三〇年の生産数量目標を二〇二三年比で七百九十一万トンから八百十八万トンに増大することとしております。こうした需要に応じた形で生産をすることにより米の需給の安定を図っていくという方針は、今も変わるものではありません。
こうした考え方については、生産者がマーケットにおける米の需給動向等を踏まえて自らの経営判断で生産ができるよう、需給動向に関する一層精緻な情報の提供に努めるとともに、国内外の需要開拓を政府が前面に立って行いつつ、生産性の向上に向けた取組も進めてまいりたいと思います。
これまで都道府県や地域の農業再生協議会向けに、需要に応じた生産に向けた全国会議や産地ごとの意見交換会を実施をしてきたところでありますが、これらの取組も引き続きやらせていただいて、現場の課題なども同時に把握をするとともに、政策について丁寧に説明をしてまいりたいと思います。
○神谷委員 基本的には、これまでと同様に、いわば生産の目安みたいな形で、各都道府県あるいは再生協を通じてもっと細かいところまでしっかりと、こういった数を作るといいですよみたいな形で提供させていただいて、実質的にこれまでと同様に供給をお願いするような形という理解でよろしかったですか、念のための確認ですが。
○鈴木国務大臣 これまでと引き続きその点についてはやらせていただきますし、私として大事だと思うのは、我々として需給見通しはこうですというのをお示しをして、それを一方的に生産現場の皆さんに、はい、こうですよという説明をするだけではなくて、やはり現場としてはどのような需要があると捉えているのか、これも、正直、産地によってかなり見方が違うんだろうというふうに考えておりまして、そうしたことも含めて、丁寧に、コミュニケーションを取りながらやらせていただきたいと思います。
○神谷委員 大臣お分かりのとおり、本当にコミュニケーションは大事ですし、いかにして生産者の理解を得るか、これは極めて重要なことだと思います。その上で、様々な施策を展開していただいた上で、最終的に皆さんが、合理的に、かつ収入というか所得も確保できるようにしていくこと、これが重要だと思いますので、様々な施策についても是非充実をしていただけるようにお願いをしたいと思います。
その上で、七十年続いた作況指数が廃止をされました。実感との乖離など様々言われているところでございますが、この間、現場で実査に当たる職員の減少が統計に影響が出たのではないか、出るのではないか、この委員会でも度々そういった質疑もあったと思います、指摘がなされたと思います。今回、一足飛びに、作況については廃止というような流れだったと思いますが、本来であれば、なぜ実態と乖離したのか、そういったことを正しく把握していただいた上でこれを改善していく、作況を残しつつもですね、そっちの方が大事だったんじゃないかと思います。
本来、農水省というのはやはり地方に根差した役所でございますし、残念ながら、地方の手足をこの間どんどんどんどん減らしてきたという実感がございます。地域にいる我々にもそういった声は聞こえてくるわけですし、そういった皆さん方が減ったことによって、結果として、作況指数を始め様々な統計の精度がぶれたんじゃないかというふうに私どもは思っています。
だとするならば、この際、もう一回、地方の手足というか、地方に根差した農水省でありますから、こういった職員のことも含めて、あるいは、農水省は、どんどんどんどん実は定員の合理化、一番各省庁の中ではやらされている、強いられているという省庁だと私には認識があります。これはやはりそろそろいけないのではないか。というか、もう大分前からいけないと思っているんですが、これについて、大臣、いかがですか。
○鈴木国務大臣 御質問ありがとうございます。
まず、農林水産省の定員につきましては、長期にわたり減少しております。近年の定員合理化計画においても、政府内で最も高い水準の合理化に努めてきたところであります。令和七年度から令和十一年度までの定員合理化率が、政府全体で五・〇一%に対して、農林水産省の職員は七・四八%という数字になっております。
私といたしましては、地方も含めて必要な定員はしっかりと確保して、そして新規採用や経験者採用をしっかりと行うことによって、食料安全保障の確立に向けて、構造転換に取り組む生産現場、そして加工、流通、小売、消費までの現場起点の体制を再構築していく、この考えであります。
また、作況の話が神谷先生からありましたが、水稲の収穫量調査については、統計職員が減少する中でも、非常勤の国家公務員である専門調査員を活用することにより、これまでも実施をしてきております。さらに、生産現場の方々から、自らの実感とは合わないなどの声が多く寄せられたということなども踏まえまして、令和七年産米から、生産者や生産者団体の収穫量データの活用に向けた試行等も始めているところであります。
こうした取組も通じて、人員に合った形で、持続的な統計調査の実施と正確な統計データの提供に努めてまいりたいと思います。
○神谷委員 やはり農水省は人員を減らし過ぎたと私は思います。
併せて言うと、やはり予算が十分ではないということもあるんだと思いますけれども、例えば、大臣も農研機構を御覧になったことがあると思うんですよ、つくばの。あそこの状況なんかを見ていても、やはり相当厳しい、これが実感だと思います。ですので、本省もそうですし、地方の支分部局もそうだと思いますが、併せて農水省関係の独立行政法人についても、やはり効率化係数は相当厳しい、これは御存じのとおりだと思います。
こういったところを見直していかないと、本当の意味で、地方の実態、農水省の本来やらなきゃいけないところがやはりなかなかできないんじゃないか。確かに言われるとおり、必要な定員を確保していく、それはそのとおりだと思いますけれども、本来必要な業務まで削っていないか、私にはそう見えてならないんです。いかがですか。
○鈴木国務大臣 御質問、本当にありがとうございます。
問題意識は、私は全く神谷先生と共通をするところです。
特に、私自身も何を感じるかといいますと、これだけ豪雨災害も含めて、能登の地震もそうでしたけれども、大変災害が多いわけです。災害が大規模に起こった際に、この復旧のやはり積算とか、例えば設計とか、様々な業務を自治体ではとても手に負えないというのが現状かと思いますので、そうした観点もちょっと十分に持ちながら、我々として、この人員の確保、今後の未来を全く予測するというのは不可能でありますが、それでも、今の現状にしっかりと対応できるだけの人員確保というのは精いっぱい努力させていただきたいと思います。
○神谷委員 ありがとうございます。
是非、効率化係数の廃止とか見直しについても御検討いただけますように心からお願いをしたいと思います。
さて、ちょっと水活についても触れたいと思うんですが、米の需要に応じた生産の推進に現行の水田活用は大いに貢献したと私は考えておりますが、令和九年度以降、新たな検討中の施策においても、こういった需要に基づく生産を実施するに当たって極めて水活が重要だったことに鑑みれば、こういったことをしっかり考えた上で構築していかなきゃいけないと思うんですけれども、それについていかがでしょうか。
○鈴木国務大臣 御質問ありがとうございます。
新たな食料・農業・農村基本計画において、まず、令和九年度以降の水田政策については、輸出を含めた国内外の需要開拓を行い、需要に応じた生産を進めることで、二〇三〇年の生産目標を八百十八万トンに増大させることとしており、その目標の達成に向けて、水活を作物ごとの生産性向上等への支援へと転換することとしております。
令和九年度以降の新たな水田政策における、水活というか、非主食用米の生産に対する支援の具体的な内容につきましては、現場の方々、そして関係団体も含めた幅広い御意見を丁寧に伺い、もちろん、先生方の御意見もよく伺った上で、生産性向上に向けて意欲を持って取り組んでいる農業者の皆様への支援の在り方について、引き続き検討を進めてまいりたいと考えております。
○神谷委員 水活と変わってしまう、作物ごとになったときに一番怖いのが、これまで、従来、主食用米並みの単価設定ということで、いわば、ほかのものを作っていただいても主食用米並みに所得は確保できますよというところで、安心して転換してくださいというメッセージだったと私は思っています。
とするならば、今回の作物ごとについても、せめて主食用米と同様に、転換していくんだぐらいの単価設定でなければ、恐らく厳しくなるのではないか。それでいいますと、非主食用米で見ますと、酒米であるとか加工用米についても、御案内のとおり、主食用米への回帰が起こっているということもございます。
そういったことも含めた上で、この単価設定は十分こういうことを念頭に置きながら考えていく必要があると思いますが、いかがですか。
○鈴木国務大臣 先ほども少しお話しさせていただきましたが、この非主食用米に対する単価設定の在り方も含め、生産者に対する具体的な支援内容については、生産性向上等への支援とつながるよう、現場の皆さん、そして関係団体も含めた幅広い御意見を丁寧に伺い、農業者の皆様への、要するに、何しろ再生産がまず可能であるというのが最低限だというふうに思いますので、そうした観点もよく持ちながら、しっかり取り組ませて、検討させていただきたいと思います。
○神谷委員 ここは非常に大事な部分、かつ農家にとって一番関心の深い部分だと思います。
この後、様々議論をされて、来年の六月ですかにはある程度示されるというふうに思うんですけれども、ただ、やはりそういう日程感の中で考えていただきたいのは、農家のペースに合わせることだと思っておりまして、来年の八月、概算要求に合わせて来年六月なんだとかそういう議論ではなく、やはりいつ農家が種を準備するんだ、その種はいつ生産するんだということまで考えると、実は、来年六月では私は遅いと思うんです。
そういう意味において、今検討中だからということを言われるのは、確かに検討中でしょう、でも、少しずつでもいいから、なるべくメッセージを早めに発していただきたいと思いますし、農家のペースに合わせることは非常に重要だと思うんですが、これはいかがですか。
○鈴木国務大臣 先生の御意見はごもっともだというふうに考えております。
我々としては、与野党の先生方や現場の方々、関係団体も含めた幅広い御意見をいただいた上で、生産者の皆さんの営農活動の時期にも配慮をして、まずは令和八年六月までに取りまとめて、令和九年度の予算の概算要求につなげていきますが、ただ、その過程で、これは当然様々な御議論もあろうかと思いますので、逆に誤ったメッセージになってもよくないと思いますから、そうした点もよく踏まえて、慎重に、かつ迅速に、そして生産現場の皆さんに寄り添った形で対応させていただきたいと思います。
○神谷委員 なるべく早くというのが本音だと思います。現状でも農家はメッセージを欲していると思いますので、ここについては、先ほど慎重に、あるいは、さっき猫の目農政の話をしておいてなんですけれども、やはりちゃんとメッセージというのは出していただかぬといかぬので、そこについては改めてお願いをしたいと思います。
その上で、ポスト水田活用と言ったらいいのかどうか分かりませんが、この予算についても実はすごく心配をしています。先ほど別枠予算の話もされましたけれども、これとはまた、別枠予算は関係ない、別の話なのかなと私自身は思っています。もちろん、別枠予算を確保していただくのはありがたいんですけれども、この水田活用直接支払いの予算をこれに充てていくみたいな、当初、一月にメッセージがあったと思いますが、これではやはり足りないのではないかというのが本音だと思います。
とするならば、ここの部分、是非予算をしっかり確保していただきたいと思いますが、これについていかがでしょうか。
○鈴木国務大臣 御質問ありがとうございます。
まさに必要な予算というよりは、現場の皆さんにとって、水田政策も含めて安心感のある形で先が見通せなければならないというふうに思っております。そのためには必要な予算というのがあろうかと思いますので、そうした観点も持って、現場の農業者の皆様の御理解が十分に得られるように、予算の確保も努力をさせていただきます。
○神谷委員 現場の農家の皆さんよりは、財務省にもしっかりと納得していただいて、政府全体で予算をしっかりとこの部分について確保していただく、結果として、そのことがこの国の全国津々浦々に至るまで、一次産業が盛んな地域は地方ですから、そういった地域にしっかりとした予算が回る、結果として、主食用米を含めていろいろな農作物が充実していく、このことだと思いますので、重ねてここはお願いをしたいと思いますし、あえて声を大きくして申し上げたいと思います。よろしくお願いします。
その上で、次に、備蓄について聞きたいと思います。
江藤大臣、小泉大臣の下で備蓄米の放出を行いましたけれども、大臣の御評価はいかがでしょうか。
○鈴木国務大臣 なかなか江藤大臣がいる前で御評価も難しいのでありますけれども、まず、御評価というか、令和六年産につきましては、需要量に見合う供給量を確保するため、流通段階での民間在庫の取崩しが通常以上に行われ、市場に不足感が生じていたという状況でありました。これは、完全に我々農林水産省の需要の見通しが誤ったことによって生じさせてしまったことでありますので、そこは大変反省をしております。
そうした中で、江藤大臣の下で、入札により三十一万トンの備蓄米の売渡しを行い、需給の改善を図ってきたところ、小売、中食、外食事業者までの流通が約一割にとどまっていた状況を受けて、小泉大臣の下で、随意契約により二十八万トン、合計で約五十九万トンの備蓄米を主食用として売渡しを行ったところであります。
その結果として、銘柄米、ブレンド米、随契備蓄米というそれぞれのニーズに合った異なる価格帯の米が店頭に並び、その平均価格は、五月中旬には五キロ当たり四千三百円程度であったところ、七月上旬には三千五百円程度まで低下をして、一定の効果があったものと考えております。
ただ、他方で、備蓄米の運営は、基本的には、量が足りなければ売り渡す、量が足りていれば、全体としてですね、売り渡さないという考え方で私としては運営をしていくべきと考えております。
○神谷委員 ありがとうございます。
もう時間も来てしまいましたけれども、備蓄の本来の在り方というのは、三条の定義にあるように、量のところだけであって、価格の中で出していくというのはやはり邪道だと思います。あるいは、邪道であったとしてもそれが必要なのだとするならば、法改正が必要だと思います。今の状況はやはりおかしいと私どもは思います。
ですので、備蓄の在り方そのものについても、法律を立てていくなり、あるいは、どうしていくのかしっかり検討する必要があると思いますし、更に言えば、食糧法は改正していく必要があるのではないかということを申し述べさせていただいて、私の質疑とさせていただきます。
本日は、どうもありがとうございました。
○藤井委員長 次に、小山展弘君。
○小山(展)委員 静岡県中東遠地域出身の小山展弘です。
まずは、鈴木憲和大臣、大臣御就任おめでとうございます。
最初に、ちょっと質問というか、感想のようなことをお尋ねしたいと思っているんですが、その前に、今、神谷裕議員からの質疑のやり取りの中で、ちょっと私は違和感を感じたことがあるんですね。それは、大臣が所得補償制度のところで、農家の方々が作ったものを高く評価されて、それで売れて、自分たちの所得が得られる、これが理想だ、所得補償というのはそれと違うんじゃないかというお話だったんですけれども、私も、そこ自体は決して発言が間違っているとは思わないんですね。
でも、だとすれば、江藤大臣の備蓄米放出はともかく、小泉大臣のときの備蓄米放出の際には、あたかも価格が高いかのような、あるいはそれを下げようとするかのような政府のメッセージ、少なくとも多くの農家の方々がそう受け取るようなメッセージがあったと思うんです。価格を市場に任せたというのであれば、私は、そこに価格を安くさせようみたいな意図が少なくとも感じられるような政策を行うべきじゃなかったんじゃないかと思うんですね。だけれども、一方で、消費者の方々は非常にこの価格高騰に困っておられた。
ここで、私は例えでお話ししたいんですけれども、例えば、人気の車種の車があります、注文すると一年待ちだそうです、だけれども、だからといって、政府が、経産省が、もっと増産をせよ、需要に見合っていないなんということはやりませんよね。スーパーの棚に米が一年間ないのと僕は一緒だと思うんです、ある意味。あるいは、かつて軽自動車は四十万円でした。今、二百万円ぐらいします。五倍ぐらいに上がったけれども、とても多くの国民の手に届かない、だから、政府が保有している軽自動車を例えば中古車市場に放出して、中古車の値段を下げろということもしないですよね。だけれども、お米や食料品の場合にはそれがあったわけですね。
なぜかといえば、やはり製造業の製品と食料というのは違うんだ。だから、消費者にとっても、余りに手が届かない高い値段では困る。だけれども、生産者にとっては、再生産可能な価格でなければいけない。そして、できればそれが評価されて、価格は市場に任せたんだったら、やはりそこは市場に任せ切ってほしい。だから、せっかく値が高くなったのに、高いときにはたたくのか、安いときには何もしてくれなかったじゃないか、こういうような農家の方々の大変な失望感というものを与えてしまったんじゃないかと思うんです。
でも、私は、消費者の方々が求める価格と再生産可能な価格がどうしてもギャップが生じる、だからこそ、そのギャップを埋めるのが所得補償制度じゃないかと思います。白井聡さんという社会学者、政治学者、私の大学の後輩なんですけれども、彼も、所得補償制度というのは農政だけのことではなくて、国民全体にとっての、ある意味、格差是正策、そういうような視点も持ってやっていくべきではないか、こういうようなコメントもあって、ちょっと私も先ほどの大臣のお話に、決して間違ったことをおっしゃったというふうには思っていないんですけれども、一言申し上げさせていただきました。
その上で、私の地元に、遠江国一宮に小國神社という神社様があります。先々週、この小國神社の宮司である打田文博さんが、祈りと実りの食文化と題した御講演をされて、私も拝聴いたしました。打田さんは、神道政治連盟の会長もなさっておられて、多分、私たちよりも自民党の皆様方に、なじみが深い先生も多いんじゃないかなと思います。
打田さんは、こういうことをおっしゃっていたんです。お米並びに稲作は、日本人の主食であるばかりでなく、神事、芸能の基であり、また、農作業はコミュニティーの場であり、日本文化と切っても切れない関係にある、中山間地域の日本の食料生産を維持していくためにも、大規模農家だけではなく、中小規模の農家の存在が必要であり、そのためにも所得補償制度を検討すべきだ、お米を食べることは文化を食することとの視点が必要であると大変示唆に富んだお話をなさっておられました。
私は、この文化を食するという観点が先ほどの大臣のお話にも、ある意味符合するところで、お米の価値というものに付加されて、価格への消費者の理解が深まることも私は一つのきっかけになってもらいたいと思います。
そういう打田宮司さんから、大臣並びに今日この場にいらっしゃる、あるいは全ての国会議員の皆様方にお話をしてほしいということがございました。それは、お米を食べるということは文化を食するという観点から、また多くの感謝の意を込める観点から、国会審議の場では米と言わずにお米と発言してほしい、そういうお話でございました。
私も、時々お米と言わないときもあったかなとも思って、振り返っておりますけれども、大臣、お米と言うことで議論をしていくこと、審議をしていくことについて、一言、御感想や思いがあれば、いただきたいと思います。
○鈴木国務大臣 御質問ありがとうございます。また、大変大切な御指摘だというふうに思っております。
私も、二十三日、二十四日の朝方まで皇居で新嘗祭がありました。小山先生からこの御質問をいただいたので、新嘗祭に参列しながらこのことについて、お米の日本における大切な位置づけについてずっと思いをはせたところであります。
天皇陛下が新嘗祭というものを大事な行事として古来からなさっていることも考えますと、やはりお米というのは我が国の文化そのものだというふうに思っておりますので、単に主食である、食べ物であるというだけ以上の価値というのがあるんだと思っております。
ですから、私もお米を大切にする気持ちというのは、小山委員を始め、御地元の宮司さんとも全く一緒でありますので、この言葉遣いも含め、皆さんともよく認識を深めながら、なるべく適切な言葉遣いをしてまいりたいと考えております。
○小山(展)委員 是非、私もお米と発言していきたいと思います。
また、こういった文化を食するという観点から、本当に、繰り返しになりますが、消費者の皆様方にも是非お米の価格についての、今は確かに、神谷議員のお話にもありましたとおり、ちょっと価格が高止まっているとは思いますけれども、それでも、平成の初めの頃に比べても、物価上昇分も加えれば、その当時もそのぐらいの高い値段のときもありまして、やはり再生産可能な価格ぐらいの価格を御理解いただける一助になっていってほしいとも思っております。
ところで、報道によれば、中華人民共和国は日本産水産物の輸入手続を停止し、また、日本産牛肉の輸出再開の政府間協議も中国側の意向で中止になっているとのことでございます。一部には、高市総理の台湾有事をめぐる発言に端を発しているとも推測がなされてもいます。
もし答えられれば答弁もしていただきたいんですが、政府は、今回の中国の対応の変化、これは高市総理の発言と関連があるという、あるいはないという認識なのか、もし答弁できればお願いしたいと思います。
日本産水産物の中国向けの輸出は、十一月に出荷が再開したばかりであります。報道のとおりであれば、中国の輸入停止により、中国向け水産物輸出の当初の見込みからの下振れが予想されますが、元々、今の時点では三か所の施設からの出荷でしかないということも伺っておりますけれども、どのくらいの下振れの影響が出ると現時点で観測していますか。また、中国との間で水産物輸出協議が現状どのようになっているか、答弁をお願いいたします。
○鈴木国務大臣 お答えを申し上げます。
まず、ちょっと本件について事実関係だけ申し上げさせていただきます。
中国による輸入再開の発表後、第一便となる輸出が実施をされたということを受けまして、中国側とは技術的なやり取りを継続しているという状況です。その逐一を明らかにすることは差し控えますが、まず、日本産水産物の輸入を停止するという内容を中国政府から連絡を受けたという事実はございません。
一方で、二〇二三年の中国による水産物輸入の一時停止措置以降、本年六月に中国政府が水産物の輸入再開を正式に発表するまで、中国に対しては水産物を輸出できない状況が続いておりました。
こうした期間の間にも、政府といたしましては、生産者の声も聞きながら、ホタテの輸出先の転換、多角化などの支援策を進めてきたこともありまして、全世界向けの輸出額は中国による輸入制限前を上回る水準になっており、現状では大きな影響はあるとは考えておりません。
しかしながら、やはり様々なことを事業者の皆さんは考えていらっしゃると思いますので、今後とも、生産者の皆さん、そして事業者の皆さんにはしっかりお話を伺って、寄り添っていきたいというふうに思います。
ちなみに、政府といたしましては、中国による日本産水産物の輸入規制については、昨年九月に日中両政府で発表した日中間の共有された認識をしっかり実施していくことが何よりも重要であると考えております。引き続き中国側に対して、現在申請中の輸出関連施設の速やかな再登録を含む輸出の円滑化を働きかけていくとともに、残された十都県の水産物の輸入規制の撤廃等を粘り強く求めていきたいと思います。
○小山(展)委員 是非信頼醸成を図って、信頼が醸成されることによって、お互いの経済的なメリットというものが高まっていくというような、こういった輸出入、貿易というものが振興されていくように是非御尽力をお願いしたいと思います。
ちなみに、余談ですけれども、まだ中華人民共和国政府、北京政府を承認する前、日本は、中華民国政府、台北政府を承認しておりました。一九五七年に、まだ当時、蒋介石総統がいらした頃に、実は、大陸、中国との民間貿易をやろうということで、第四次日中民間貿易協定というものが岸信介政権のときに結ばれようとしました、実は結ばれました。ところが、そこに大変に当時の台北政府、中華民国政府が反発をして、日本に対して経済制裁をかけるんですね。断交要求もする。彼らは何と言っていたか。一つの中国を守れと言っていたわけです。長崎国旗事件で、これは民間貿易協定が破棄をされて、結局、今でいう台湾との関係が継続されるわけですけれども。
ですから、それぞれの国に、どこまでの論理でどういうようなということは、多分、それぞれの国の正義や価値観があるんだと思うんですね。価値観の違いを認め合いつつ信頼醸成を図り、いい意味での、お互いの価値観を認め合いつつという意味での妥協をしていくというのが僕は外交の基本じゃないかなと。どうもその辺りに認識ギャップがあることが様々な問題の根源にあるのではないかなと思っております。
ちょっと今日は時間がないので、次に進めたいと思います。
小泉前大臣が、臨時国会閉会後に、JAグループに対して、買取り販売への転換を強く促すかのような発言がございました。現時点においても、買取り販売のみを行う農協や、買取り販売と受委託販売を並行して行っている農協も存在しております。そもそも、農協も全農も民間出資一〇〇%の組織であり、政府から経営判断に介入されるいわれはなく、メリット、デメリットを勘案して現場が判断すればよいと考えます。
小泉前大臣の発言は、営業活動の自由を保障する憲法第二十二条に反するおそれがあると思います。また、国際協同組合同盟、ICAによる協同組合原則の第四原則には、組合の自治、自立とあり、組合員による民主的な管理の確保と組合の自治をうたっております。
小泉大臣の発言は、ICAの協同組合原則を尊重するとした本年五月二十七日と二十八日に衆参両院で可決された協同組合振興の国会決議にも反するおそれがあるのではないかと考えられますが、これらの小泉大臣のいわゆる買取り販売についての発言について、鈴木大臣はどのような見解を持っていらっしゃいますでしょうか。また、鈴木大臣は、農協や全農の行っている買取り販売や受委託販売のそれぞれの販売形態について、どのような評価や認識を持っておられますでしょうか。
○鈴木国務大臣 御質問ありがとうございます。
まず、小泉前農林水産大臣の買取りを基本との発言の趣旨は、小泉前農林水産大臣も記者会見などで御発言をしていたんですけれども、農協が農業者のニーズをよく酌み取って、買取り販売という選択肢を農業者に提供し、農業者から選ばれる農協になることが重要であるという趣旨であったというふうに私としては承知をしております。
したがって、農協や農業者の意向に反して買取り販売を強要するものではなく、営業活動の自由や、協同組合原則の組合の自治、自立に反するものではないと考えております。
実際の現場では、委託販売において、時期ごとに上下する価格や経費をプールする共同計算を行い、収益を農業者間で公平に分配している事例、そして、農協が事前に実需者と複数年契約を結んだ上で買取り販売を行い、農業者の安定的な収入確保につながっている事例というのがあるところであります。
いずれにしても、農業者の所得向上のために必要な選択肢を農協が自ら提示していくことが重要と考えており、農林水産省としても、そのような全国の取組状況などを情報提供しながら、農業者から選ばれる農協となるように後押しをさせていただきたいと思います。
○小山(展)委員 強要するのではなく、選択肢として選ばれる農協にというようなことの趣旨だったということですが、実際、今でも半分近くの農協さんで買取り販売もやっておりますし、あるいは全農さんなんかも含めれば、買取り販売という選択肢はかなりあろうかと思いますし、農家さんが、もし買取り販売のない農協さんじゃなくて、買取り販売をしてもらいたいと思うような、商系も、かなりそういうルートもありますので。あるいは、今のお話だとすると、小泉前大臣の発言は、買取り販売を行っていない農協さんのみに向けられたものだったのかと。でも、そうではない取り方をされても致し方がなかったんじゃないか。
特に、私が伺ったのでは、JAの青年部の代表の方々が、参議院選挙期間中か期間前、直前だったと思いますけれども、小泉前大臣を訪問した際に、今度は俺は自民党の農水部会長じゃないんだ、農水大臣だ、必ずやってやるということをおっしゃったということを、複数の県の複数の関係者から異口同音に伺いました。選挙を意識してちょっと熱くなられた、どっちの選挙か分かりませんけれども、熱くなられたのかもしれませんけれども、受け取る側は、これは強要と受け取ったと思います。
是非、鈴木大臣は、このような疑いを招くような姿勢はお取りになられずに、規制改革会議のメンバーとも一線も二線も画して、現場の声を聞く大臣で頑張っていただきたいと思います。
それから、先ほどの所得補償の話で、ちょっと質問の順番を変えさせていただいて、収入保険制度など、現行の制度は、収益減少、売上減少には対応できますが、二〇二二年以来のプッシュ型のコスト増加で所得が下がっているといったことの状況には対応した制度になっておらず、農家の手取り、農家の利益は減少する一方です。
現下のようなコスト増加にも対応する制度、是非、所得補償制度のような新たな制度が必要だと考えますけれども、重ねて大臣の認識をお尋ねしたいと思います。
○鈴木国務大臣 御質問ありがとうございます。
まず、新たな食料・農業・農村基本計画において、水田を対象として支援をする水田活用の直接支払交付金を抜本的に見直しし、作物ごとの生産性向上への支援へと転換するなど、令和九年度からの新たな水田政策の方向性について示したところでありまして、その中で、農業者の支援の在り方についてはしっかりと検討を進めさせていただきたいと思っております。
なお、生産資材価格の上昇など、確かにコスト増への対応というのは大変重要な局面になってきております。というのも、日本は長らくデフレでしたから、余りそこは気にしなくてよかったものを、今、全ての物の値段が上がってきておりますし、当然、農業者自らの手取りについても、物価上昇ぐらいには上がっていかなければそれは生活が苦しくなるということになりますし、雇う方も、賃金上昇をしないといけないという状況にあります。そうしたことの対応については、食料システム法の下で、生産コストを考慮した合理的な価格形成を図り、コスト割れでの供給を抑止をしていきたいというふうに基本的には考えております。
また、所得補償に対しては、様々な御意見があるところでありますが、税金が原資であることも踏まえて、国民の理解を得るために検討しなければならないことも多いと考えますし、先ほど私もいろいろな考え方を申し上げたところでありますが、まだまだ議論が必要であろうというふうに私としては認識をしているところであります。
○小山(展)委員 先ほど打田宮司さんの所得補償についてのお話も御紹介しましたし、また、鈴木宣弘教授も、こういった所得補償、ほかにも、供給がだぶついたときの買取り制度なんかも提案をされておられます。
また、二〇二二年の予算委員会で、今日お見えの坂本農水大臣に、是非それぞれの党の政策を持ち寄って、どこの党の手柄とかメンツとかそういったことを一切捨てて、農家のために、超党派で、どんな形でも、議連なのか、あるいは政党同士なのかはともかく、所得補償制度の設立を御提案申し上げたこともございました。私は、その気持ちに今も変わりはございません。
是非、場合によっては、様々な超党派というような形で、与党の先生方にも、本当にメンツとか手柄とかは一切捨てて、前向きに御検討いただければと思います。
次に、有機農業の推進に関連して、有機肥料製造メーカーの立地についてお尋ねしたいと思います。
こちらの写真の図を御覧いただければと思うんですけれども、有機農業製造施設は、時としてその製造に際して大変な悪臭を伴う場合がございます。静岡県袋井市西同笠に有機肥料の製造施設建設の動きがありますが、施設建設予定地は、この黄色く、図の一番真ん中ぐらいにあるところですけれども、こちらに囲ってあるところで、元々これは小学校の跡地なんですけれども、半径五百メーター以内に現在の小学校、幼稚園、保育園もあり、住民も多く居住しております。
現在、ここに建てたいよと言っている企業さんは、菊川市というところで肥料施設を既に稼働しているんですが、そこは山の中で、周りもお茶畑があるぐらいで、民家というのはほとんどない。だけれども、それでも苦情が出ている。行った方によると、物すごい臭いだと。
私もこの委員会の前に実は一回行ってこようと思ったんですけれども、ちょっと行けなかったんですが、同様の悪臭が発生すれば、小学校では体育などの野外授業ができない、洗濯物を干せない、外に出られない、事実上の公害ともいうべき事態が発生すると懸念されております。地元では反対の署名活動も行われて、地元袋井市も、地域住民の生活環境に影響を及ぼすことは望むところではない、そういう認識でございます。
仮に、令和八年度において国内肥料資源利用拡大対策事業が継続実施され、地元自治体行政や住民の合意なき状態で、当該肥料設備を建設する意向を持つ業者から制度利用の申請がなされた場合に、農水省はどのように対応される方針ですか。
○山口政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘の国内肥料資源利用拡大対策事業は、原料の多くを海外に頼る肥料の国産化を進めるため、国内肥料原料である堆肥等の高品質化、ペレット化に要する施設整備を支援するものでございます。
当該事業につきましては、実施要領におきまして、環境汚染などの公害に留意すること、地域住民からの理解を得られる処理能力を備えるものであることなどの要件を課しているところでございます。
御指摘の事案につきましては、現在まだ申請などはない状況でございますが、今後、仮に本事業への申請があった場合には、悪臭への発生やその対応につきまして、本要件に基づいて判断することになります。現時点では申請が行われておりませんので、コメントは差し控えたいと思います。
○小山(展)委員 施設が稼働して悪臭が発生した場合には、今日、環境省の大臣官房審議官にもお見えいただいていますけれども、悪臭防止法によって対応する、近隣住民に被害が出ないように、地方自治体が指導し、場合によっては改善命令や改善勧告を出して、それに反すれば懲役、懲役もあるんですね、罰金が科される場合があるということで、これで対応しますということなんです。
だけれども、撤去命令とか操業停止命令というのは出せないんですね、そういう法体系なんです。だから、地元の地方自治体なんかも、操業停止命令が出せない、撤去命令が出せない、そういう中で、なし崩し的に操業が既成事実化してしまうのではないかと非常に心配をしております。
また、住民の皆様もそこは心配されておられて、本来であれば、やはり撤去命令とか操業停止命令なんかも、強い権限を指導、所管の自治体や担当部署に与えるべきではないかとも私は考えます。
海岸端で、非常に人口減少も懸念される地域が悪臭施設によって更に衰退したり、あるいは子供たちの教育に支障が出ることがないように、是非、環境省や農水省には地元自治体を全面的にバックアップしていただきたいと思います。
最後の最後になりますが、もう一つ資料を御覧ください。農林水産関係予算の状況ということで、上昇率というところを見ていただきたいと思います。
林野関係予算が令和五年度から六年度にかけては四・四%上昇をしておりますけれども、ほかを御覧ください。みんな、一番最大で一・八%とかはありますけれども、二〇・六%というのも、補正予算だけ比べれば、令和五年から令和六年度にありますけれども、物価上昇率よりも、例えば当初予算、あるいは当初と前年度補正の合計額というのは少ないんですね。せめて、先ほどの大臣のお話にもありましたけれども、物価上昇率分ぐらいの予算の増額というのは私は必要だと思うんです。
よく物価上昇でたくさん税収を取り過ぎたから減税で返せ返せというようなお話があります。それは決して否定しません。だけれども、物価上昇をすれば、その分、政府だって支出も増えるわけですね。しかも、この物価上昇は、私から言わせれば、一番の原因は円安インフレで、これはアベノミクスに原因の発端はあると思うんですね。
これはやはり政府の支出も、例えば、介護の方々への、施設の従業員の方々への支援であるとかも含めて、森林整備予算なんかも、これがなければますます森林整備が遅れてしまうというような、そうしたら、災害に関係することも懸念されるわけです。
是非、私は、このことは党派を超えて、少なくとも物価上昇率分ぐらいの予算確保は絶対に行うべきだと思いますけれども、大臣の意気込みをお尋ねしたいと思います。
○鈴木国務大臣 全く委員と問題意識は共有しておりますので、しっかり取組をさせていただきます。
○小山(展)委員 是非よろしくお願いします。
以上で質問を終わります。
○藤井委員長 次に、岡田華子さん。
○岡田(華)委員 立憲民主党の岡田華子でございます。
まずは、鈴木大臣、根本副大臣、それから広瀬政務官のお三方、この度は御就任、誠におめでとうございます。これからの農林水産業の発展に向けて御活躍されますことを心より御期待申し上げます。
また、ちょっと余談なんですけれども、私、長男の産休、育休の期間中に山形県米沢市の金池に住んでおりまして、大臣の事務所があるところでして、非常に親近感を勝手に感じておりまして、若い大臣の御活躍を本当に心から応援したいと思っているところでございます。
早速、鈴木大臣に御質問申し上げます。神谷先生の質問と若干重複するところはあるんですけれども、お米の生産方針のところでございます。
前政権、前大臣の方針は、お米を増産しましょう。大きくお米の生産方針が変わったということで報道もされたんですけれども、農家の皆さん、意欲的に作ってください、消費者の皆さん、安定供給できるようにするので安心してくださいという、非常にクリアカットで分かりやすいメッセージを国民に発したものなんだろうというふうに私は感じておりました。
今回、鈴木大臣が就任されまして、需要に応じた生産という従来の政府方針に戻ったと私は理解しているんですけれども、基本計画の目標自体が変わったわけでもない、需要を拡大させて生産量を増やしますという方針が変わったわけではないという中において、報道でなされているように、前大臣と今回の鈴木大臣との間で方針ががらっと変わったぞという意見に対して、前大臣との方針の違いについて、ポイントは何なのかというところについて端的にお教えいただければと思います。
○鈴木国務大臣 まず、岡田委員におかれましては、多分あれはAGCにいらっしゃったときでしょうか、私の本当に地元にいらっしゃっていただいて、ありがとうございます。私も大変親近感が今湧きました。
米政策については、今委員からも触れていただいたとおり、基本計画が変わったわけでもありませんで、二〇三〇年には八百十八万トンまで、まず米の生産目標は増大をしていくということであります。
小泉大臣も何とおっしゃっていたかといえば、需要に応じた増産というふうにおっしゃっていただいていたというふうに思っております。ただ、メディアの報道のされ方は、これは当然、増産増産というところだけがクローズアップされますのであれなんですけれども、その前に、需要に応じたという言葉がありますから、要は、需要が今どの程度なのか、今年と比べて来年がどうなのか、こうしたことも踏まえてこれから生産現場では判断をされていくということ、その意味で私は、需要に応じた生産という言い方をしているところであります。
生産者の皆様に対してはこれから産地ごとの意見交換会をしっかりやってまいりますし、また同時に、消費者の皆さんにも、去年のやはりお米が棚からなくなったというあの状況のインパクトというのが相当あったというふうに思っておりますから、ああした事態はもう二度と私たちとしては招かないという強い決意の下で、消費者の皆さんにも御安心いただけるように丁寧に私としては説明をさせていただきたいと思っております。
○岡田(華)委員 ありがとうございます。
大きな方針の違いはない、需要に応じた増産ということで、その点がポイントだというふうに今お伺いいたしましたけれども、恐らく、小泉前大臣のときには、需要を確実に増やします、だから生産基盤の方も、一生懸命作ってください、生産者の皆さん作ってください、需要がまだ見えない段階であっても生産をしてくださいといったところに私は小泉前大臣の意図というか、これまでとちょっと違うところがあるのかなというふうに感じております。従来は、需要が喚起されてからそれに合わせて増産をしましょうというところだったと思うんですけれども、需要が先か供給が先かというところが違うのかなというふうに感じております。
これまでの農水省の、政府の下で海外輸出を含め需要の喚起策というのを長年やってきたんだけれども、やはりそれほど大きく伸びていない、国内の人口減少に伴って減反が進んできた、減産が進んできたというところは一方で事実としてあるわけで、この先、五年で三割の米の農業者さんが高齢化を原因でやめていかれるというような見立てもある中で、今、日本の農業というのは、農業者の平均年齢と同じで、本当に高齢化している状況だと思うんです。高齢者の体力というのは一度落ちてしまうと回復というのが物すごく難しい、なので、先手先手で健康増進、健康維持をしていかなければいけないという現在にあって、農業も、需要が今々はなかなか伸びないのでということで何も増産せずにおいた場合、回復していくのが物すごく難しくなってしまうのではないかということを私は懸念しております。
ですので、ある意味、私は、小泉前大臣の方針で、需要がまだ見えない状況ではあったのかもしれないんですけれども、まずは生産基盤を拡大していきましょう、増産をしましょうの方に重点を置くという考え方、それはそれでありなのかなというふうに感じているんですけれども、大臣のお考えはいかがでしょうか。
○鈴木国務大臣 私の前任者の発言についてとか方針について私がどうこう言うのはあれなんですけれども、私としては、やはり、まず生産現場の皆さんは何を感じているかといえば、それは、米価が暴落をして、要は、もうこれで、ある種、農業をやめなきゃいけないという状況に追い込まれるということを最も避けるべき事態だというふうに認識をされている方がほとんどだというふうに思っております。
そういう中で、今需給見通しもお示ししましたが、来年の六月末の民間在庫はこの十年では最高の水準に間違いなくなるという方向になっておりまして、そうすると、供給量自体はもはや十分に確保されているというのが今の現状になっておりますから、そういう中で、私としては、需要に応じた生産というメッセージになります。
なので、時間軸が、やはり少し、要するに、来年のこと、再来年のことを考えて言うことと、五年先、十年先のことを言うことというのは多少違うのかなと思っておりまして、私としては、今、昨年から今年にかけて様々なこの米の政策については備蓄米の放出も含めて現場の皆さんも大変混乱があったというふうに思いますから、まずはそれを来年に向けてしっかりと収束をさせていく、その先はちゃんと明るい見通しを私たちとしては示していくということが責任かと思っておりますので、しっかりそれはやらせていただきたいです。
ただ、需要の拡大というのは簡単ではないということも委員ももちろん御存じだと思いますが、海外マーケットも含めて、政府があしたやりますと言ってあしたできるものではありませんので、戦略的に、これはむしろ腰を据えて数年スパンでしっかりと取り組まなければならないと思っておりますから、是非一緒に取り組ませていただければと思います。
○岡田(華)委員 御答弁ありがとうございます。
大臣、海外のスーパーマーケットに行って営業もされたと伺っておりますので、これからの大臣のリーダーシップに期待をさせていただきたいと思います。応援させていただきます。
今、大臣の御回答の中からもありましたとおり、農家の皆さんは米価の暴落に物すごく懸念を持っている、今すごく心配な状況というところにあると思います。一般論としても心配ですし、今年のまさに今このタイミングでも本当に心配という状況かと思います。
新米が出始めてスーパーのお米の棚を見てみると、やはり五キロ五千円といったものも普通に並び始めていて、一部報道では、本当に、小売の売行きが悪くて、卸の倉庫での荷動きが悪いということも言われております。
この点につきまして、例年と比較して本年の米市場の動き、農水省としてはどのように分析されているのか。そして、米価はマーケットで決まるというのが方針でございますけれども、現在のマーケットの状況について、需給の観点からどのように説明できるのかについてお教えいただければと思います。
○山口政府参考人 お答え申し上げます。
足下の令和七年産の需給状況といたしましては、十月に公表いたしました主食用米の需給見通しでは、令和七年産の米の生産量が七百四十八万トン、令和八年六月末の民間在庫量が二百十五から二百二十九万トンと、直近十年程度で最も高い在庫水準になるということが見込まれておりまして、需要を上回る十分な供給が確保されているというところが昨年までと違うところかというふうに認識しております。
一方で、七年産の米の価格は、かねてからの不足感から集荷競争が激化しておりました関係で、十月末の相対取引価格は、これを反映して、全銘柄平均で玄米六十キロ当たり三万七千五十八円と、調査開始以降最高値を更新しているという現状でございます。
こうした現状でございますが、いろいろな指標を見てみますと、例えば、大手集荷業者の七年産米の九月末までの集荷、販売状況でいけば、例年に比べて、集荷数量は増加、契約数量全体としては減少というような状況でございますが、価格と数量双方を決めている契約の数量、いわゆる相対取引数量が増加しているというような傾向でございます。
また、スーパーなどで販売数量を示すPOSデータのデータを見ますと、新米が出回ってきています九月以降において、令和七年は令和五年及び令和六年よりも増加しているという傾向がございます。
一方で、卸売業者が精米のために必要とした玄米の数量、搗精数量と言われるものですが、これは、過去三年間、同期比で見ると減少傾向ですが、令和四年よりも多い状況ということでございますので、こうした状況を組み合わせて考えますと、一概に、例年と比べて取引が停滞しているということまでは言えない状況かなというふうに理解しております。
いずれにしても、マーケットで価格が決まっていくものでございますので、今後の価格の見通しについて予断を持って申し上げることはできませんが、我々としては、需給と価格の動向をしっかり注視してまいりたいと考えております。
○岡田(華)委員 ありがとうございます。
例年と比べて停滞しているわけではないということで若干安心はしたんですけれども、やはり肌感覚として卸の倉庫の荷動きが悪いというところはありまして、この先、価格が下がって逆ざやで出さざるを得ないといったことを心配している業者さんたちがいることも事実でございますので、その場その場での対応を是非御検討いただければと思います。
ちょっと質問を飛ばさせていただきまして、新規就農の促進について御質問をさせていただきたいと思います。
農業者人口が大きく減ります中で、新規就農の促進をすることは非常に重要なものと考えております。政府におかれましても、新規就農を促進する事業は、就農準備資金ですとか経営準備資金について様々な事業をやっていただいておるところですが、それらの予算の執行率は今どのような状況にあるのか、教えていただけますでしょうか。
○小林政府参考人 お答え申し上げます。
新規就農対策のうち就農時四十九歳以下の者を対象としております農業研修生や新たに経営を開始する者に資金を交付します就農準備資金・経営開始資金、就農希望者を新たに正規雇用する農業法人等に資金を交付します雇用就農資金、それから、新規就農者の機械等の導入を支援いたします経営発展支援事業、これらにつきまして、平成六年度当初予算の執行率は九二%となっております。
○岡田(華)委員 ありがとうございます。
かなり高い執行率で、人気の政策というふうに理解をいたしました。
この事業なんですけれども、全て四十九歳以下というような要件がございます。私の地元の話で恐縮なんですけれども、地元の弘前市に弘果総研という会社がありまして、園地継承型のトレーニングファーム、すなわち、将来自分の園地になる場所で研修を受けて、研修修了と同時に自立した農家さんになっていくというような事業をやっているところなんですけれども、現在四名の研修生の方を受け入れていて、その四名がいずれも農業と縁のなかった方々、建設業ですとか公務員といった前職の持ち主です。
運営に当たりましてこの弘果総研は国の支援事業を活用しておりまして、卒業時、研修修了時には経営開始資金ということで国の事業を活用してやっていきたいというふうに考えているんですけれども、ここでネックになっているのが、四十九歳という要件でございます。
研修生の中に仙台出身で五十八歳、元公務員で、是非リンゴをやりたいという方がいらっしゃって、この人は五十八歳なのでこの事業が使えない。農業の世界において、今平均年齢が六十九歳という中において、五十八歳というのはまだまだこれからという、若手とまでは言いませんけれども、まだまだ働き手として期待できる存在だというふうに思っております。
またもう一件、これも弘前市の事例でちょっと恐縮なんですけれども、自衛隊向けの、弘前市には陸上自衛隊の駐屯地がありまして、先日、退職自衛官向けの農業説明会というものが実施されました。私、それに出てきたんですけれども、これから退職を迎えようとする自衛官の方が弘前市の農林部の方の説明を受けて、農業どうですかというような、農業の道に進んではどうですかというような説明会であったんですけれども、退職自衛官の方、退職年齢は、階級にもよるんですけれども、やはり五十代なんですね。四十九歳以下の支援事業というのが使えない。
二十代から四十代が農業に参入することを支援することは本当に重要だとは思うんですけれども、平均年齢七十歳という農業の業界においては、リリーフ的な存在として、やはり五十代、六十代といった方々への支援も必要なのではないかというふうに感じます。同じ額までを払ってくれとは言わないです。段階的に減らすでもいいので、是非前向きに五十代、六十代の新規就農者への支援を御検討いただきたいんですけれども、農水省の御見解をお願いいたします。
○小林政府参考人 お答えいたします。
済みません、先ほどの答弁の中で平成六年度と発言いたしましたが、正しくは令和六年度でございます。おわびして訂正いたします。
その上で、先ほどの御質問にお答えいたしますと、我が国の農業構造を持続可能なものにするためには、六十歳以上が現在八割を占めております農業従事者の年齢構成のアンバランス、これを是正することが必要であると考えております。そのため、より長期にわたって地域農業の担い手として活躍いただける新規就農者を育成、確保する観点から、就農準備資金・経営開始資金及び経営発展支援事業につきましては四十九歳以下の方を対象としているところでございます。
一方で、五十歳以上の方につきましても、六十五歳未満の方を対象とする長期無利子資金である青年等就農資金の貸付け、それから、先ほども御質問の中にもありましたが、実践的な研修農場の整備などの農業技術の習得に向けた支援、こういったものを通じまして就農を後押ししているところでございまして、今後とも、現場の実態や支援の効果を把握、検証しながら、効果的な施策の実施に努めてまいりたいと考えております。
○岡田(華)委員 是非前向きに御検討をお願いしたく、強く強くお願いして、次の質問に移らせていただきたいと思います。
これも新規就農と同じなんですが、親元就農の経営開始資金事業の要件についてです。
親元就農の支援、江藤大臣のときに強力に推し進めていただいたということで、私、この事業、すごくいいと思っております。
その要件の中に、親元就農の場合は新規参入者と同等の経営リスクを取るようにというような要件がございます。令和六年度の補正予算のタイミングでは削除されたんですけれども、新規作物の導入という要件がこれまでありました。
令和六年度補正予算のタイミングで、この新規作物の導入というのは余りにやはりリスクとして大き過ぎるんじゃないかということで、新たに、新技術の導入等という文言に換えられているようなのですが、地元のリンゴの若手の農家さんたちにお話を聞くと、リンゴの場合、新技術の導入となるとどうしても高密植という話になってきて、何なら園地の横で桃を作ったりトマトを作ったりするよりもよっぽど大変だ、お金もかかるし、収量というところでもすごくハードルが高い、何とかもうちょっと要件を緩和していただけないかというようなお声をいただくことがあります。
本当に、私、この親元就農、すごくいいと思っていて、農業者の定着、歩留りの意味でも本当の新規就農者よりもむしろ支援を強化する存在だというふうに私は思っているので、是非、要件緩和について前向きに御検討をいただきたいと思うんですけれども、政府の御見解はいかがでしょうか。
○小林政府参考人 御指摘いただきました経営開始資金につきましては、御指摘のとおり、親元就農者につきましては新規参入者と同等の経営リスクを負うということを要件としてございます。
ただ、この要件につきましては、御指摘のとおりでございますが、新規作物の導入を行う必要があることがネックとなっておりましたので、令和六年度補正予算から要件を見直しまして、親と同じ品目であっても新技術の導入など経営のバージョンアップをすれば支援を受けられるというふうに明確化したところでございます。
今後は、こうした見直しの内容につきまして引き続き現場への丁寧な説明に努めるとともに、支援の効果等を把握、検証しながら、効果的な施策の実施に努めてまいる所存でございます。
○岡田(華)委員 ありがとうございます。
時間が参りましたので、終わります。
○藤井委員長 次に、近藤和也君。
○近藤(和)委員 石川県能登半島の近藤和也でございます。
能登半島地震から一年十一か月がたちました。農林水産省の皆様、北陸農政局の方も含めて、今まで大変な御尽力をいただきまして、心から感謝を申し上げます。
一歩ずつ前へ間違いなく進んできていると思いますが、一歩も進めない方もいらっしゃる、一歩、二歩進んだと思ったら立ち止まるとか、〇・五歩戻らなきゃいけないという方もいらっしゃるということも含めて、ちょっと質問をしたいと思います。
先日は能登半島に皆様おそろいでお越しいただきまして、本当にありがとうございます。その中で、先日は、大臣の所信の中でも、現場の声に基づき、農林水産業の再建を切れ目なく支援ということもおっしゃっていただきました。ありがとうございます。
その中で、農業、漁業が再開できない方々への支援をどうしていくかが今も課題になっています。来年も再来年も課題になっていくと思います。
例えば収入保険、元々作れない方には、入れないという課題、これはまだ全然解決策が見えていません。また、さらには、漁が再開された海女さん、先日も海女さんからもお話を伺ったと思います。東京にも来ていただきましたけれども、捕れたと思ったら、季節が変わったらまた泥がかぶって捕れなくなったということですとか、そもそも捕れないといったこと、要望をいただいたと思います。そして、さらには、やはり海だけきれいにしても、山や川、五年、十年がかりでこれから工事、今もずっと行っていますが、きれいになったと思ったら、治水のところで結果的にまた漁ができなくなる、一体化した復旧工事を進めてほしい、そういった声もいただいたと思います。
これらの課題へ向けた方針、そしてまた解決策を伺いたいと思います。
○鈴木国務大臣 御質問ありがとうございます。
まず、十一月一日になりますけれども、農林水産大臣として能登地域の復旧復興の現場に足を運ばせていただきました。国、県、市町村、そして地元の農林漁業者の皆さんが一体となった取組によって、復興に向けて一歩一歩進んでいることを目の当たりにするとともに、現場の農林漁業者との忌憚のないやり取りを通じて、まだまだ取り組まなければならない課題、これが多数あるということも強く認識をさせていただいたところであります。
議員御指摘の被災した農業者に対しましては、生活を下支えする支援が必要であります。まずは、被災された農業者が農業法人等に研修、雇用される場合の経費等への支援、そして、災害復旧事業において市町村と委託契約をした農業者自らが農地の土砂撤去などを行う直営施工に対する受託費の支払い、そして、地域共同で農地等の土砂撤去等を行った場合には多面的機能支払いによる日当の支払いなどを行っているところであります。
また、被災した海女さんに対しては、生活を下支えしながら漁業環境を回復するために、漁場の状況を把握するための調査等を支援をしてきているところであります。
引き続き、様々な施策を講じることにより、被災された農林漁業者の営農や操業への意欲が途切れることのないように努めさせていただきます。
私自身も副大臣をやらせていただいたときにも二回ぐらいお邪魔をさせていただきましたが、そのときからの今への、県も含めて現場の皆さんの一歩一歩の御努力、そういう思いを持ってやってくださっているということについては本当に心に感じ入ったところであります。
さらには、現地で海女の皆さんから教えていただきましたけれども、漁場に入ると、漁場の、土、土砂というんですか、砂をわざわざ持ってきてくださって、これがかなりな量、堆積をしているんですというお話を、見せていただいて教えていただいたところであります。
本件については、要は、私たちとしては、漁場の回復をすればいいという概念ではなくて、恐らく、漁場に流れ込む川に土砂崩れでかなりな量の砂がたまっていて、そこから更に漁場にどんどん、雨の降り方も変わってきているということで入ってきてしまうということだというふうによく認識をさせていただきましたので、大規模な現場については、林野の方も治山工事でこれをやろうということは決まっておりますけれども、細かいところまで実はまだまだ手がついていないところが多々あるということもよく分かっております。
海女さんの漁場になっているような流域については、ちょっと別のやり方も含めてもう少し皆さんの漁場の回復に向けた動きが加速できるように、山の方の手当てをちょっと加速化するように私としては林野庁に対して指示をしたところでありまして、それについて今ちょっと中で、どういうやり方が人手も含めて可能かを検討しているところであります。
○近藤(和)委員 海女さんのお話については指示もしていただいたということで、本当に感謝を申し上げます。何とか早く具体化していけるようにお願いしたいと思います。
そして、やはり皆様心配されているのは、幾つも施策をしていただいていることはありがたいと思っています。もちろんできていないこともありますけれども、八十点、九十点ぐらい頑張っていただいている部分はあると思います。ただ、心配なのが、来年度以降なんですよね。形は変わってくると思います。今約束はしづらいと思いますけれども、来年度も再来年度も同じようにしていきますとは言いづらいですが、意気込みをちょっと聞きたいんです。お願いいたします。
○鈴木国務大臣 本当に、現場の被害が広範囲かつ山の中も含めて大変な中で、人手も足りない中で復旧作業、若しくは復興の作業に当たっていただいているというのはよく認識をしておりますので、そういう中で、地元の生産者の皆さん、時間がかかるということもよく分かっていただいた上でいろいろなお話も伺いましたので、そういった皆さんのお気持ちにしっかりと立ってやらせていただきたいと思います。
○近藤(和)委員 ありがとうございます。
例えば、農地であれば、再来年以降にまだできるかできないか分からないところが三百ヘクタール、能登の二千八百ヘクタール、奥能登でですね、農地がそもそもあったというところから比べれば、あと三百という見方もできるかもしれません。来年二百なんですけれども。ただ、二十ヘクタールの農家の方々がいらっしゃって、十五軒の方々が再来年もその次もできないということに思いをはせていただけたらと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。
それでは、お米券のことについて伺いたいと思います。
先週閣議決定された経済対策の中で、このお米券が内容に入っておりました。対象ですとか規模、そしていつ頃配付されるのか、その手法、そして事務手数料などについて伺いたいと思います。
○鈴木国務大臣 御質問ありがとうございます。
まず、先日閣議決定をされた新たな総合経済対策において、重点支援地方交付金の更なる十分な追加を行う旨が盛り込まれたところであります。いわゆるお米券や電子クーポンを始めとする食料品の物価高騰に対する支援などが追加で措置をされたところであり、重点支援地方交付金については、総額で二兆円を措置し、そのうち、食品価格高騰を踏まえて、一人三千円相当を別枠で特別加算することとしております。
支援の規模や実施時期、これに伴う事務手数料等は、今後、総合経済対策の裏づけとなる補正予算が編成をされ、国会で審議をお願いすることとなります。さらには、地方自治体が地域の実情に応じてきめ細やかに必要な事業を実施するものであることから、現時点では断定的に申し上げることができませんが、我々としても、自治体の皆さんにちょっと考え方の趣旨とかそういったことについて説明会もなるべく早くやらせていただきたいというふうに考えております。
○近藤(和)委員 一人三千円ということは、約一・二億人全てということですよね。そうすると、金額に直すと、今、大体三千六百億ぐらいの計算かなとは思います。そして、あと、五キロということであれば、五キロぐらいですよね、三千円、今はもうちょっと高いですけれども、三千円であれば五キロという単純計算をしますと、約六十万トンぐらいなのかな、結構なボリューム感ではないかな、ここはまたマーケットにも影響を与える可能性もあるなと思いますが、何とかこちらも見える形で、そして、やはり事務コストも今まで様々な商品券のときにも課題になっていますので、いかに事務コストを低くしていくか、そして自治体の負担を少なくしていくかということも意識をしていただけたらと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、政策の継続性ということで伺いたいと思います。
先ほどから、鈴木大臣のお名前よりも前小泉大臣の方が名前がたくさん出てきて申し訳ないなという思いがいたしますが、方向性について今まで仲間の議員から質問がありましたが、私は、後始末という観点からちょっと聞きたいと思います。
米価高騰に関してですけれども、前大臣が、米の卸業者に対して、米の流通は複雑怪奇、ブラックボックスという指摘ということも当委員会でおっしゃられました。そして、さらには、その後で、「今、社名は言いませんけれども、卸の大手の売上高、営業利益、これを見ますと、ある会社は、売上高は前年比一二〇%を超え、営業利益は何と対前年比五〇〇%ぐらいです。」「やはり、こういったことも含めてよくお考えいただきたい、」ということを発言されました。それを受けて、約一週間後に、その企業さんはわざわざ、「ステークホルダーの皆さまへ」ということで、「こうしたご不安やご不審を真摯に受け止め、引き続き透明性をもって説明し、信頼の維持に努めてまいります。」ということも発表されています。私の地元の卸業者の方も大変怒っています。
当初は、お米の値段が高い、生産もちゃんとできている、そして、需要見通しが間違っているという見方はありませんでしたので、どこかで目詰まりしているんじゃないかということで、備蓄米の放出につながったわけですよね。
そして、結果として、最終的には農林水産省として誤ったわけですよね、需要の見通しが。ということで謝られましたが、需要の見通しが誤ったということは、これはある意味一つの結果だと思いますが、卸の方々をこのように悪者視したことに対しては私は謝っていないと思うんです。その点についていかがでしょうか。
○鈴木国務大臣 お答え申し上げます。
まず、小泉前大臣の答弁に関しては、その当時の米の流通状況等への認識なので、私の方からコメントをすることは差し控えたいというふうに思います。
ただ、私個人のスタンスといたしましては、個々の事業者の皆さんのビジネスが合法的に適正に行われている範囲で、私から何かそのことについてコメントをするということは、私のスタンスとしてはまずないということは御理解をいただけたらと思います。
その上で、集荷業者以外の事業者への出荷が大きく増加するなど流通の状況に大きな変化が見られる中で、米の流通について、より多くの事業者や業態の流通状況について把握することが必要などの御指摘もいただいているということでありますので、農林水産省として、米の流通形態の変化を正確に把握し、マーケットへの情報発信や対話を充実し、そして、流通構造の透明性確保のための実態把握に向けた具体策について、関係者の御意見を伺いながら検討を進めているところであります。
○近藤(和)委員 大臣、それは私は違うと思いますよ。農林水産省として、前の農林水産大臣として特定の業界の方、特定の事業者のことをこの委員会の場で、ある意味ほとんど名指ししたに近い形で否定されたわけですよ。それで、前任者のことはそれは差し控えますと言うことは、私は無責任だというふうに思います。いかがでしょうか。
○鈴木国務大臣 これは小泉大臣の御発言ということになりますが、それについて今私のスタンスは申し上げたとおりなんですが、それについて大変不愉快な思いをされたということであれば、私の方からもおわびを申し上げたいと思います。
○近藤(和)委員 ありがとうございます。
それでは、もう一つのところを伺いますが、作況指数、先ほども少しお話がありました。これも、そもそもが、需要のところではなくて供給のところ、流通のところじゃないか、そして供給のところもおかしいのではないか。私たちの方でも、そもそも生産量が、農林水産省が言っている分を取れていないんじゃないか、作況指数で言っているような量ではないんじゃないかといったことは私たちも議論をしていました。
そして、作況指数、そもそものではなくて、水稲収穫量調査ですか、こちらを調査する人が減ってきているのではないか。調査する人は減っていないという言い方、正確には外の方にお願いをするようになってきたということで、絶対数はちょっと把握はできていませんけれども、八千筆ですよね。三年前までは一万筆でしたよね。調べましたら、一九七〇年のときには一万七千筆ということで、倍以上調査していたわけですよね。田んぼ、水田は半分以下にもなっていないですから、さすがにそのときと比べて。
やはり、何となく分かりやすい作況指数を悪者視して、そして、今、作況単収指数ということで、何だこれはということになっていますけれども、そもそもの調査するところの精度を高めていくことの方が私は本筋だったと思います。
そして、総務省の統計委員会も、いかんせん、部会の意見を踏まえて急ぎ作成された案であり、これが将来に向けて最善であるかどうかについては、改めて確認する必要があると考えておりますということで、先ほど神谷委員の質問に対して、幾つかこういった改善点がありましたよと言いましたが、相当突貫工事じゃないですか。
六月のときに前の大臣が言われて、そして八月、九月、十月ぐらいの議論の話ですから、改めて、農政の信頼性という点からしても、作況指数全体を悪者視して、なくすと言って何か形を変えたということではなくて、本格的な統計の在り方を地に足を着けた形で見直すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○鈴木国務大臣 御質問ありがとうございます。
まず、作況指数については、過去三十年のトレンドによる十アール当たり収量とその年の十アール当たり収量を比較したものということになります。ただ、昨今の気候の状況とちょっと合わなくて、生産者の実感とのずれがあるという御指摘が数多くありました。また、作況指数は収穫量全体が多いか少ないかを示したものとの、本来の趣旨とはちょっと異なる認識をされている場合があったということで、見直しをするということになったわけなんですが。
いずれにしても、ちょっと、生産現場の皆さんから見て実感と合わないということのないように、どういう手法でやればいいのかということも含めて、令和七年産米からは、生産者や生産者団体の収穫量データ、要するに、コンバインで幾ら収穫があったかというのが分かる機械もありますので、そうしたものの活用に向けた試行なども始めており、統計データというのは正確でなければ意味がございませんので、比べる指標になりませんので、しっかりその点も留意してやらせていただきたいと思います。
○近藤(和)委員 農林水産省としては、実感ということではなくて、これも大事ですけれども、本当のデータのところですよね、こちらを基に、生産、そして流通があって需要ということだと思いますので、何とか、プライドで政治をするんじゃなくて、いろいろ大変だと思いますけれども、いい意味で改善していけたらと思いますので、よろしくお願いいたします。
ありがとうございました。
○藤井委員長 次に、平岡秀夫君。
○平岡委員 立憲民主党の平岡秀夫でございます。
今日は、せんだっての大臣の挨拶、所信表明について質問させていただきたいと思います。
その前に、ちょっと一言だけ、私の関心事項を申し上げます。
実は私、農水委員会で質問するのは二十数年ぶりなんですよ。
なぜこんなことになったかというと、私、去年の総選挙で十二年ぶりに国政に復帰してきたんです。それに当たって選挙区の中をずっと歩いて回りますと、農業が非常に将来危ういなというそんな印象を受けました。農家の方々は、結構、農地をしっかりと管理をされておられるんですけれども、お宅に伺うと、空き家が非常に多い、おられる方も高齢者が多い。こんなことで日本の農業大丈夫なのかなと思って、今度国政に復帰したら是非、農水委員会に入って、日本の農林水産業の将来をみんなで一緒に議論してみたい、そういう思いでこの農水委員会にも所属させていただきました。
これまで一生懸命やってこられたんだろうと思いますけれども、結果が今私が申し上げたような状況でございますので、これからしっかりと大臣を始めとして農水省の方々にも頑張っていただきたい、このように思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
それで、所信表明の挨拶を見ますと、幾つか私にとってみて違和感を感じるというか、疑問に感じるところがありました。あるいは、所信表明の中に触れられていないこと、話題になっていることで触れられていないことがあるのではないかというような印象もありましたので、今日は、そういう点を中心に質問していきたい、このように思います。
まず第一は、トランプ関税の問題についてであります。
大臣挨拶では、日米の協議に関してこんなふうに言っているんですね。我が国に適用される相互関税を一五%にとどめた一方、農産物を含む我が国の関税を引き下げずに合意することができましたというふうに言っておられるんですよね。
これはどういう観点から相互関税という言葉を使われたんでしょうか。農水省としては、これは相互関税の問題だというふうに認識しておられたんでしょうか。まずお聞きしたいと思います。
○杉中政府参考人 技術的な内容についてお答えいたします。
お尋ねの相互関税という言葉ですけれども、四月二日に米国から発表されました国、地域別関税におきまして、米国が公式の用語として、相互関税、英語ではレシプロカルタリフというふうに称したことを受けまして、当該呼称につきまして我が国政府として国会答弁で使用してきたものでございます。
○平岡委員 今、トランプというか、アメリカ政府が相互関税という言葉を使っていたからそのまま使ったんですという話だったんですけれども、農水大臣、そういう理解でいいんですか。本当に、相互関税という位置づけの中で我が国は考えていっていいんですか。どのような認識ですか。
○鈴木国務大臣 今、杉中局長からお話があったとおりなんですけれども、アメリカ側、米国側がやはり相互関税という言い方をしておりますので、私たちも相互関税という言い方を、ある種、一般的に皆さん相互関税という言い方をされているんだと思います。
ただ、米国側の意図が何なのかというのは政府として断定的にお答えする立場にないんですが、ただ、あえてその上でちょっと申し上げさせていただくと、米国政府が例えば相互関税を発表した際には、経済再建のための相互性の追求、国家、経済安全保障の強化、経済主権の回復、米国製造業の復興、貿易不均衡への対処等に言及があったということは承知をしております。
○平岡委員 そういう認識があるのなら、単純に、相互関税という言葉で何かごまかさないで、ちゃんと、日本の立場というのはどういう立場なのかということを踏まえた私は大臣挨拶であってしかるべきだったと思うんですよね。その点、まず抗議をしておきたいというふうに思うんですけれども。
その上で、大臣、先ほど私が紹介した挨拶の中で、農産物を含む我が国の関税を引き下げずに合意することができましたというふうに言って、何か、助かったというような印象で表現しているんですけれども、大臣としては、何を心配していたからこんなふうな表現になったんですか。
○鈴木国務大臣 大臣所信における御指摘の箇所については、米国の関税措置に関する日米協議において米国側から農産品の関税引下げや規制の撤廃を迫られる可能性もあったところ、そのような状況にならず合意できたことを示したものであります。
その上で、相互関税という言葉が適切でないんじゃないかと言われて、今、別の言葉がすぐ見当たりませんので、相互関税と言うことをお許しをいただければと思いますが、その上で、相互関税については、赤澤大臣が集中して米国側と協議を行い、一時期二五%まで引き上げられるとされていた日本に対する関税率を、対米貿易黒字国として低い水準である一五%にとどめることができました。
また、多くの国が自国の関税引下げを迫られた中で、我が国は農産品を含め関税を引き下げずに合意をすることができたところであります。
このように、今回の日米合意においては、守るべきは守った上で、日米両国の国益に資する形の合意を実現できたものであると評価をしております。
○平岡委員 今の大臣の答弁を言うと、日本が輸入する場合に米国農産物にかける関税を下げないで済んだ、助かったという認識だったということですね。
ただ、トランプ大統領は、今年七月二十三日のXではこんなふうに言っているんですよね。日米の合意内容として、日本は米、特定の農産物の市場開放をするということをXの中で明らかにしているんですよ。
そうしますと、トランプ大統領がこういうふうに言っていることに関して言えば、米や特定の農産物についてどのような、市場開放はあったのかなかったのか、この点を明らかにしてもらえますか。
○杉中政府参考人 お答えいたします。
まず、御指摘のソーシャルメディアへの投稿内容について我々も承知しておりますけれども、日米間の合意の内容を確認した共同声明におきましては、市場開放に当たる言葉はございません。
その上で、先方の言及している開放の意味というのは明らかでございませんけれども、今回の日米合意においては、農林水産分野に対して、日本側は、ミニマムアクセス米制度の枠内における米国産米の調達の七五%増加、あと、バイオエタノール、大豆、トウモロコシを含む米国産農産物及びその他の米国製品の追加購入を年間約八十億ドルで実施することというふうになっております。
このように、ミニマムアクセス米制度の枠の増加を伴うものではないこと、また、農産品を含む我が国の関税を引き下げるものではないということでございますので、委員御指摘の開放には当たらないというふうに認識しております。
○平岡委員 今局長さんがいろいろ説明されましたけれども、バイオエタノール、八十億ドル輸入をするというようなことを約束したのかさせられたのか知りませんけれども、これは、関税引下げではないけれども日本が買うことを迫られたという意味においては一種の市場開放みたいな話なんじゃないかなという気もするんですけれども、農水省としてはそういう受け止めはしていないんですか。
○杉中政府参考人 先ほど御答弁したとおりでございますけれども、市場開放には当たらない、日本側にとっても、こういった輸入依存度の高いものについての安定供給という形でメリットがあるものと考えております。
○平岡委員 商売をしている人が今度これだけ増やそうというならまだ私も分かるんだけれども、国がこれだけ増やしますということを約束するということが自由な経済判断の中で行われているとはとても思えないので、やはりアメリカから押しつけられたんじゃないかなというふうには私は受け止めるんですけれども、それ以上議論するつもりはありません。
ただ、農水省がトランプ関税あるいはトランプとの貿易交渉の中でどういうスタンスで臨むべきかということについては、やはりしっかりとした考え方を持っていなきゃいけないんだろうと思うんですね。
これまでは、どっちかというと、マルチで貿易交渉というのは基本的にはやるということが国際的には行われてきたのが、今回トランプ大統領が登場することによって、バイでの取引というのが、交渉というのが非常に中心的になってきた。そのとき、日本としては、あるいは農水省としてはどういう基本的スタンスを持つのかということはしっかりと腰を据えてやらないと、ただ単に力の関係で押し切られてしまうということを私としても懸念しているということでございますので、是非、その点はしっかりと農水省としても詰めておいていただきたいというふうに思います。
それで、次の大臣挨拶の中に移ります。
大臣挨拶の中では、森林・林業政策の中で、国産材の需要の拡大を図るということを十五ページのところで言っているんですけれども、国産材の需要の動向については、現在どのように評価しているんでしょうか。
○広瀬大臣政務官 お答えします。
国産材需要の主要な部分を占める建築用材の需要は、国内の住宅着工の動向に、御案内のとおり、大きく左右されます。
そのような中でも、従来、輸入材製品が中心であった合板や集成材などの部材については、杉等の国産材を活用できる技術の開発それから普及を進めてきた結果、合板の国産材率は五二%、それから集成材の国産材率は三三%に上昇してきました。
これらの結果、国産材の需要量は、平成十四年では約一千七百万立米であったのが、令和六年にはこれが倍の三千五百万立米になってきております。
○平岡委員 今の答弁を聞いていると、需要そのものは、何か住宅建設需要みたいなものの拡大によって広がっているけれども、需要の増大そのものは別に国産材に限ったことじゃなくて、外材にとってみても同じような話なんだけれども、むしろ供給力としての国産材、国産でこういうものが造れるようになったから国産でも対応できるようになったという、需要の問題じゃなくて供給の問題のような、そういう印象を受けるんですけれども。
私、実は中国地方出身で、中国地方の農業というのは零細農家が非常に多いんですけれども、森林について言えば必ずしもそうじゃなくて、結構、昔のお殿様なんかも林業なんかやっていますからね、大きなところもあるわけでございますけれども、国産材の需要が増えて、比較的荒れ放題になっている森林というものがきっちりと日本の経済のために役に立つということになってもらうことは非常にありがたいことだと思っているので、是非国産材の需要が増えるように政策的に取り組んでほしいというふうには思うんです。
先ほどの説明は、どっちかというと供給力を高めるような話だったように思うんですけれども、国産材が国産材として需要が高まるというような方策というのは何かあるんですか。
○鈴木国務大臣 お答えを申し上げます。
まず、国産材の更なる需要拡大に向けて大事なことは、まず、木材の最も大きな需要先である住宅分野について、実は、いまだ国産材率の低い横架材の技術開発や木材加工施設の整備等を推進するということが必要になってきます。さらには、これまで木材が余り使われてこなかった非住宅分野や中高層建築物について、都市の木造化推進法というのがありますから、それに基づきまして、建築物木材利用促進協定制度の活用や、JAS構造材やCLTなどの国産材製品の開発、そして地域材利用のモデルとなるような公共建築物の木造化支援などを推進をしているところであります。
これらの取組により、国産材の需要拡大につなげてまいりたいと思います。
是非、委員の御地元でも様々な公共建築物も含めて建て替えなんかの時期に来ているものもあるかと思いますので、国産材が使われて、どちらかというと、まず木造で造っていただいて、その中に地元材を使っていただくというような取組が推進できるように、我々もしっかりと支援をしてまいりたいと思います。
○平岡委員 時間がないので、この問いもこれぐらいにしておきますけれども。
水産政策について質問します。
時間がないので、二つの問いを一つにしますけれども、大臣挨拶では、未来の漁業を担う経営体、人を確保するというふうに言っておられるんですけれども、確かに非常に大事なことだと私も思います。是非、その基本的な取組をしっかりと具体化していっていただきたいというふうに思うんです。
質問したいことは、若者が漁業者として頑張っている地域としてはどのような地域があるというふうに農林水産省としては認識しているのか。そして、その地域においてはどういう特徴があってそういうことが起こっているのかということをもし分析できているのなら紹介していただきたいというふうに思います。
○根本副大臣 質問ありがとうございます。
新規就業者が活躍している事例としましては、まず、宮崎県になるんですけれども、Uターンで地元に戻り、小型定置網に就業し、前職のIT企業等の経験を生かしながら、ドローン技術を活用して効率的な操業をしている、こういった事例があります。それから、あとは、これは三重県ですが、女性漁業者が定置網に就業し、前職の広報業務の知識を生かしてブランド化に取り組みながら活躍する事例もございます。そして三つ目、これは先生の御地元ですが、山口県の事例ですが、地域のサポートを魅力的に感じ、家族で移住して、就業を決めた事例などを把握しております。
そして、議員の御地元の山口県においては、国の支援の活用に加えて、地方自治体などが地域の実情に合わせて、漁業就業推進コーディネーターによる個別サポート、研修後には漁船リース、住宅改修などの支援を行っていると承知をしております。
これらの事例は、全国においても参考になるものでありますから、広く周知を図っていきたい、こういうふうに考えております。
以上です。
○平岡委員 私の地元の話も触れていただきまして、ありがとうございます。
今紹介していただいた事例については、是非また資料でいただければというふうに思いますので、よろしくお願いします。
もう時間的に最後の質問になりますけれども、外国人による農地、森林の取得の問題でございますけれども、この点については全く所信の中では触れられていませんで、余り大きな問題ではないという認識の結果だろうというふうには思います。
私も、ネットなんかで調べて、どのぐらいの取得があるのかというのはもう分かっているので聞きませんけれども、何か農地とか森林について外国人が取得していることについて問題意識はあるんでしょうか、どうでしょうか。
○鈴木国務大臣 お答え申し上げます。
農地については、その取得に当たって農業委員会の許可が必要で、取得後においても、農業委員会による定期的な農地パトロールなどを通じて、継続的に状況確認を行っているところです。
外国人などにより取得された農地について、平成二十九年から令和五年までに取得されたものを調査したところ、違反転用された事例が三件判明し、これらについては指導等の必要な措置を講じているところであります。
また、森林についても、これまでの外国人等による森林取得の事例について、取得後も市町村を通じて継続的に状況確認を行っているところであります。
外国人等により取得された森林について、平成十八年から令和六年までに取得されたものを調査したところ、林地開発許可制度に違反して開発された事例が一件判明し、これについては既に指導等の必要な措置を講じているところであります。
こうした中で、先般、外国人の受入れ・秩序ある共生社会実現に関する関係閣僚会議が設置されたところでありまして、土地取得等のルールの在り方を検討することとされており、私も閣僚の一員として適切に対応してまいりたいと考えております。
○平岡委員 ありがとうございました。
紹介していただいた事例は、そういう事例があるということは分かったんですけれども、そんなに大きな問題になっているというふうには受け止めませんでした。こういう動きが排外主義につながらないように、是非、農水省としても配慮していただきたいと思います。
以上で終わります。
○藤井委員長 次に、池畑浩太朗君。
○池畑委員 日本維新の会、池畑浩太朗でございます。
大臣所信に対する質疑をさせていただきたいというふうに思います。
鈴木大臣で、質問させていただきました農林水産大臣は七人目となりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
我が国の基幹的農業従事者の平均年齢は六十九歳であります。六十五歳以上が占める割合は七〇%を超えて、欧米の国々と比べても突出した高い状況にあります。将来の担い手として期待されます四十九歳以下の新規就農者を確保するために、就農準備資金や経営開始資金など、支援策を講じていると承知をしております。
そして、岡田華子委員がずっとこの質問をされていましたので、どこまで質問されるのかなと思って心配しておりましたけれども、小林経営局長から、やり取りをたくさんされておられましたが、また、執行率も九二%ということでありましたが、まずは、直近の四十九歳以下の新規就農者数はどうなっているのか、小林経営局長から端的にお答えいただきたいというふうに思います。
○小林政府参考人 お答え申し上げます。
四十九歳以下の新規就農者について、直近、令和五年の人数は約一万六千人となってございます。
○池畑委員 ありがとうございます。
一万六千人です。そのうちの執行率が九二%ということでありますので、今回、先ほどありました自衛官の再就職先、こちらも岡田委員がどんどんお話をされますので、どこまで聞いていこうかなというふうに思いましたが、前江藤大臣そして中谷防衛大臣、予算委員会では前石破総理にも自衛官の再就職先の話をさせていただきました。
今回は、岡田委員が行かれました説明会、いろいろあったというふうに思いますが、農業とのシンクロ性であったり、農業の担い手をこれからどんどん確保していくためには、自衛隊の退役自衛官、こういった就農先というのはすごく大事だということを質問させていただきました。
その中で、平成二十九年には二万人を超えたのを最後に毎年減少していって、今、一万六千人。今後、我が国の人口減少に伴い、他産業との労働力の奪い合いがあるというふうに思っております。
現場から、これも岡田委員からありましたけれども、四十九歳以下の要件の緩和をしてほしいということがありました。親元就農も対象として認めてほしいといった声を私もよくお聞きしておりました。就農準備資金等は補助金であるがゆえに、これらの要件緩和が難しいというふうに思っております。
そこで、私から提案があります。
現在、自治医科大学に修学資金貸与制度があります。入学者全員に学生納付金相当額と入学時の準備資金を貸与するものでありまして、これは、大学を卒業後、直ちに僻地への公立病院に医者として従事される場合に、その勤務期間が修学資金の貸与を受けた期間の一・五倍、これは約九年間というふうに言われておりますが、達成した場合には返還が免除されるということであります。
この制度を新規就農者の対策として導入できないかと。初めは貸与という形を取りますので、いいかげんな気持ちであったり、農業を始める方にとって選抜もできていくということでありますし、先ほどから申し上げております、五十歳を超えても、親元就農であっても、やる気を持って農業に取り組む人が対象になっていくのではないかなというふうに思っております。
高齢者雇用安定法の改正に伴って、昨年四月より、企業は六十五歳までの雇用確保が義務化をされております。その中で、農業についても、こうした社会全体の流れを踏まえた対策を講ずることが肝要ではないかというふうに思います。
外国人に頼る前に、働ける人は働いていただくということを含めて、まず、我々の地元の兵庫県でもあります中山間地域で営農した場合に返済を免除するなど、無利子貸付制度を創設するという提案については、鈴木農林水産大臣の力強い見解をお伺いしたいというふうに思います。
○鈴木国務大臣 御質問ありがとうございます。
今後、農業者が急速に減少していく中で、社会全体でも少子化が進展をします。そういう中で、人材の獲得競争が激化している状況に鑑みますと、今先生から御指摘のあったように、年齢にこだわらず新規参入を進めるべきという意見も、私としても大変理解ができるところであります。
今委員から御提案のあった自治医科大学の貸付制度なども参考にさせていただきながら、恐らく、国が制度をつくる前に、どういう現場があり得て、どういう人たちがそこに就農しようとしているのかということがまず先にあってしかるべきだろうというふうに私としても思いますので、よくちょっとその辺についても現場のことを教えていただきながら、その上でどのように進めていくか、全体としてしっかり検討してまいりたいと思います。
○池畑委員 具体的に進むことを期待しております。
この後、相生市、赤穂市、たつの市なんかでカキのへい死の事案があります、そこは同僚の空本議員に託して、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
以上です。
○藤井委員長 次に、空本誠喜君。
○空本委員 カキ養殖のメッカの広島県倉橋島、呉市音戸町出身の空本誠喜でございます。カキのいかだを見ながら生まれ育ってまいりました。
今日は、カキ養殖の大量へい死についての、原因究明ではなくて、ほぼ原因が分かりました、それと併せてその対策、ここに、配付資料のカラーの方を見ていただきたいと思います。
こちらに書いておりますのは、広島大学の山本民次名誉教授、私もいつも海の再生、浜辺の再生で御指導いただいております山本先生からデータをいただきまして、これは結論を言います。約二週間、九月下旬から十月中旬の北風連吹による貧酸素水塊の底層からの表層への上昇移動、それによる養殖カキの酸欠、本質的には、瀬戸内海においては底層の貧酸素水塊が広域的に発生、頻発しております。こういったことが原因であります。簡単です、酸欠でございます。
資料の右側の折れ線グラフ、これは坂町の漁協から提供されたグラフでありまして、縦軸は水深、横軸は溶存酸素濃度です。大体三ミリグラム・パー・リットルを切れば酸欠です。水深二メーター、三メーターに行きますとほぼ三ミリグラム・パー・リットルを切っておりますので、これが九月二十六日―十月十六日、この辺までずっと続いています。カキというものは、低酸素、二、三日では生きています。無酸素でも一日ぐらいだったら生きていますが、この長期にわたって、二週間にわたって低酸素若しくは無酸素、こういった状況であればカキは絶対死にます。間違いございません。
そして、下のドットのグラフ、これは大臣も視察に行かれました安芸津町の安芸津漁協の横の浜辺のところで、浜辺というのは波が立つので、酸素を取り入れています。そして、九月二十七日から北風が吹いてきた。この時期から酸素濃度が、ブルーのドットですね、これが一気に落ち込んでいます。ここから二週間、酸素濃度はありません。
ということで、模式図を描いておりますが、これは山本先生が描いてくださった模式図、北風がずっと二週間吹き続けました、その中で、確実に表層の水が押しやられて、そして底層の無酸素、貧酸素の水が上がってきた、これによって、カキが二週間、酸素がない状況でさらされてしまった。
温度とか海水温をおっしゃる方もいらっしゃるんですが、それもカキを弱らせるには間違いございませんが、本質的な原因、そして対策としては、溶存酸素濃度のモニタリング、エア、こういったスマート養殖的なものをもっと進めてすること、恒久的には、底にあるヘドロ、硫化水素の発生源、これを、カキを焼結したもの、スラグ、石炭の灰などを混ぜて耕うんする、あわせて、排出規制や改善策、また栄養塩をしっかり海へ与えていく、こういうことであろうということを考えております。
そして、次の、裏面を見ていただきたいと思います。裏面において、お願いしたいことでございます。
こちらは、お願いしたいことは簡単でありまして、下の方ですね、一番、各種税金の減免、支払い猶予、借入金の支払い猶予、減免。そして、被災とも言えるカキ業者の皆さんの資金繰り、持続化給付金といった制度をもう一度ここに創設する。
括弧三番、一番重要なところだと思います。外国人技能実習生をたくさん使っています。賃金が支払えない状況であります。解雇する必要性もあるし、また異業種にこれを移籍してもらわなきゃいけない状況にもあります。こういった対策をしっかり打っていただきたい。
養殖業者の皆さんが今実は心配しているのは、調査、分析、評価は本当にできているのかということです。優れた水産庁、農水省の皆さんの人材を広島県に派遣して、漁場の全てのマッピング、どのような状況であったか、硫化水素はすぐ消えてしまいますので測れませんけれども、こういったことをやることが大変重要であろうと考えています。
それ以外にも、括弧五番、括弧六番、括弧七番、種ガキの調達とか、またセーフティーネット、こういったものが必要でございます。
財務省、金融庁、中小企業庁、水産庁、そして出入国在留管理庁、厚生労働省、最後に大臣から広島県への人材補強、こういったものについて御回答をお願いいたします。
○三反園大臣政務官 お答え申し上げます。
国税では、災害が生じた際の措置といたしましては、損失の繰越控除、そして繰戻し還付制度、納税の猶予制度等が設けられております。
税務署に相談があった場合には、被害に遭われた納税者の状況等に十分配慮しながら、被害に遭われた皆様に寄り添い、しっかりと対応してまいります。
○田部政府参考人 お答えいたします。
今般のカキの大量へい死という事象により影響を受けた事業者への資金繰りの支援は重要な課題であると考えております。
金融庁では、これまで関係省庁と密接に連携しながら、金融機関に対し、事業者の業況を積極的に把握し、条件変更や借換えなども含め、資金繰りの相談に丁寧に対応するよう、繰り返し要請してきているところでございます。
今後とも、関係省庁と連携しながら、今般の事象の影響を受けた事業者も含め、こうした対応が金融機関によって着実に講じられているか、しっかりモニタリングしてまいりたいと考えております。
○藤田政府参考人 お答えいたします。
まず、漁業経営の維持、安定に必要な資金につきましては、日本政策金融公庫による長期利用の農林漁業セーフティネット資金を利用することが可能となってございます。
また、水産庁から関係機関に対しましては、資金の円滑な融通や既往債務の条件変更等につきまして、漁業者の実情に応じた十分な対応に努めるよう要請する通知を発出し、日本政策金融公庫では、迅速かつきめ細やかな対応を行うため、特別相談窓口を設置して対応しているところでございます。
引き続き、県や市、関係金融機関と連携いたしまして、カキ養殖業者の皆様の経営を支えていけるよう、必要な対応を検討してまいります。
○坂本政府参考人 今般、瀬戸内海におけるカキの大量へい死によりまして多数の事業者に深刻な被害が出ていることは大変遺憾に存じております。
経済産業省が所管する補助金につきましては、例えば、小規模事業者持続化補助金におきましては、養殖業者自体は対象外となっておりますけれども、関連の食品加工業ですとか卸売、小売業に係る販路開拓に資する事業については補助対象となり得るというものでございます。
また、資金繰り、金融支援につきましては、日本政策金融公庫において、農林水産事業及び国民生活事業において養殖業が対象になっておりますが、他方で、同公庫の中小企業事業ですとか保証協会による信用保証制度におきましては、先ほどの補助金と同様に、養殖業者そのものは制度の対象外でございますが、食品加工業や卸、小売業については対象となっておりますので、一定の要件を満たす場合には、政策金融公庫のセーフティーネット貸付けやセーフティーネット保証五号等の御活用をいただきたいということでございます。
農水省を始め関係省庁とも連携をしつつ、関連の中小・小規模事業者の支援にしっかり取り組んでまいりたいと存じます。
○福山大臣政務官 技能実習生の責めに帰すべき事由なく、技能実習の継続が困難となった場合には、監理団体において転籍などの支援を行うこととなっており、必要に応じて外国人技能実習機構においても支援を行うことになります。
水産業を所管する農林水産省、また技能実習制度を共管する厚生労働省とも連携しながら、現場のニーズを踏まえつつ、技能実習生や関係者を支援する観点からしっかりと対応してまいります。
○蒔苗政府参考人 お答え申し上げます。
外国人技能実習制度において、技能実習生の転籍が必要な場合にはその支援を行うほか、技能実習生が離職した場合には、雇用保険の対象となる方に対して、失業時に必要な給付を行うこととしております。
厚生労働省としても、技能実習制度を共管する出入国在留管理庁や水産業を所管する農林水産省を始め関係省庁とも連携しながら、必要な対応を行ってまいります。
○藤井委員長 鈴木大臣、申合せの時間が経過しております。
○鈴木国務大臣 山本先生の見立ても今いただきましたので、しっかり我々としては現地に職員を出張させまして、県の調査も支援をしてまいりたいと思います。
○空本委員 三年以上のスパンでよろしくお願いいたします。
ありがとうございました。
○藤井委員長 次に、許斐亮太郎君。
○許斐委員 国民民主党・無所属クラブの許斐亮太郎でございます。
本日は、御質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
そして、鈴木大臣、根本副大臣、そして広瀬政務官、御就任おめでとうございます。鈴木大臣におかれましては、農林水産省出身、まさに生え抜き大臣ということで、農政に明るい、そのように感じております。私も大学、大学院時代、農学、畜産学を学びましたので、今後、前向きな議論ができたらいいなと思っております。本日は、まずは現場に寄り添った質問を中心に行いたいと思っております。よろしくお願いいたします。
それでは、質問に入ります。
まず、大臣が考える現場を動かすための農業政策についてお伺いいたします。
私は、農業政策の歴史は日本の歴史そのものだと思っています。その点において、私が考える日本において最もインパクトがあった法律を大臣にお伝えしたいと思います。それは墾田永年私財法です。いつできたかは質問いたしません。西暦七四三年、およそ千三百年前の法律です。受験生も悩ませる漢字七文字の法律ですが、この法律によって、自分で耕した土地が自分のものになりました。一気に開田が進んで、当時の食糧難も解決した、そのようにお伺いしています。
当時の農業従事者に思いをはせると、頑張ったら頑張っただけ報われた、物すごくモチベーションが上がったと思います。一方、現代の農業従事者はどうでしょうか。頑張ったら報われる、そのような農政になっているのでしょうか。農政を一層前に進めるためには、今こそ、生産者が明るい未来を見通すことができる農政の実現が必要なのではないでしょうか。
私は、現場のモチベーションが上がっていく政策が一番大切だと思っています。山本委員の質問でもありましたけれども、大臣の所信の最初に、幾ら理想的な政策も、現場の心が動かずには効果を発揮できませんとはっきり述べられています。もし、私の、現場のモチベーションの向上が一番大切、このことに共感していただけるならば、生産者に対するメッセージをお聞かせください。よろしくお願いします。
○鈴木国務大臣 御質問ありがとうございます。
まず、墾田永年私財法が七四三年、久しぶりに中学受験を思い出しまして、何年ですかと聞かれなくてよかったなと思いました。
そして、私の所信の、理想的な政策ものところに込めた思いであります。
我が国の農林水産業は、国民への食料の安定供給の役割のみならず、地域経済を支えております。先ほども申し上げましたが、日本は北海道から沖縄まで南北に長く、地域性があって、多様性に富んだ国であり、その多様性そのものを、地域そのものを形作ってくださっているのが農林水産業であり、それに携わる一人一人の皆さんであるというふうに考えております。
こうした農林水産業が次の世代によりよい形で確実に継承され、そして、現場の農林漁業者の皆さんが将来に夢と希望を持って取り組めるよう、先を見通せる農政を実現し、農林水産業を、頑張れば稼げる、やりがいがある産業にしていきたいというふうに思っております。
そのために、政務三役も先頭に立ちまして、職員一同、なるべく多く厳しい現場に出向くということ、このことはもちろんでありますが、生産、流通、消費といったあらゆる現場の人の、ただ行くだけではなくて、やはり気持ちに立って、心の通う農林水産行政を実現させたいと考えております。
○許斐委員 頑張れば稼げる、力強いお言葉、そして現場に足を運ぶ、ありがとうございます。
引き続き、次は、お米政策についてお尋ねいたします。
石破前内閣は、お米の方針について、これまでの需要に応じた生産から増産にかじを切りました。しかし、内閣が替わったら、大臣が替わったら、元の方針に戻ってしまいました。度重なるこの方針転換を受けて、現場の生産者からは戸惑いの声を聞きます。増産と言ったから、土地を集約して大規模でやろうと思っていた、その際には乾田直播にも挑戦しようと思っていたけれども、やはりやめてしまった、そのような声をいただきました。
方針転換は、農家の作付の計画に影響を与えるだけではなくて、今回、新たな農業への挑戦、スマート農業への挑戦、そして農業構造の転換への挑戦というやる気をそいでしまったのではないでしょうか。
その観点から、今回の方針転換は、大臣の所信で述べている先の見通せる農政とは相入れないと思いますが、改めてお答えいただけますでしょうか。よろしくお願いいたします。
○鈴木国務大臣 まず、委員には御理解をいただきたいのは、政府が増産などという言葉を言う前から、生産現場の皆さんは増産に向けて、ある種、今の需給がどういう状況かというのを見極めて昨年準備をしていただいた結果が、今年の生産量が大幅に伸びるという結果になったんだというふうに私としては理解をしております。
その上で、私の先の見通せる農政ということについて少し説明をさせていただきますと、今まで国は、需要というのが右肩下がりで、下がる前提で、そこに合わせた、ある種、昔でいえば減反政策ですし、生産調整ですし、そういったことをずっとやってきた歴史があります。
しかしながら、私が申し上げている先の見通せる農政というのは、海外も含めて、米粉も含めて、新たな需要を開拓することによって、先は需要は増えていくんだという未来を見せて、そして、それを一緒になってそこに向かって、生産現場の皆さんと、そして流通に携わる皆さんと一緒にそこにチャレンジをしていこうという農政でありますので、その中での需要に応じた生産というのは基本だというふうに思いますので、決して相入れないということではないというふうに考えております。
○許斐委員 ありがとうございます。
そして、続きまして、お米と安全保障についてお伺いいたします。
食料の安全を保障すること、確保すること、これが農政の最も重要な役割であると思います。そのためには、私たち日本人の主食でありますお米、この安定的な供給を図ることが重要です。
食料安全保障については、食料・農業・農村基本法の第二条において、良質な食料が合理的な価格で安定的に供給され、かつ、国民一人一人がこれを入手できる状態をいうと書いてあります。これは、国民が良質な食料を納得できる価格で十分に供給されることに加えて、経済的な困難を抱える方も含めて全ての国民が手に入れることができることだと私は理解しています。
現状はどうでしょうか。お米を食べたいのに、高くて買うのをためらう。まさに主食である米の食料安全保障が既に崩壊に向かっている、私はそのように思います。
その中で、現在の米の価格の高止まり、これは、さきの通常国会で成立した食料システム法に照らし合わせると、生産者の川上、そして消費者である川下が納得できる合理的な価格形成になっているのでしょうか。現在の米の高止まりを踏まえた今後のお米の合理的な価格形成の在り方について、政府の所見をお伺いしたいと思います。
○根本副大臣 御質問ありがとうございます。
食料システム法に基づく合理的な費用を考慮した価格形成の取組は、コスト指標の作成などを通じて、生産から販売に至る各段階でかかっているコストを明確にし、消費者の理解も得ながら、コスト割れでの供給を抑止しようとするものであります。
現在の米価は、以前より高い水準で推移しており、コスト割れの懸念は小さくなっている一方、スーパーマーケットで五キロで四千円を切るお米はなかなか並んでいない中で、消費者の皆さん、特に、食べ盛りのお子さんが多い御家庭や年金世帯の方から、今の価格では購入が厳しいというお声も伺っているところであります。
米の価格はマーケットの中で決まっていくものでありますが、生産者の再生産や再投資が可能であって、消費者も安心して購入できる価格に落ち着いていくことが重要であるというふうに考えております。先般成立した食料システム法に基づき、米の合理的な費用を考慮した価格形成を推進してまいりたいというふうに考えております。
十月には、生産、卸売、小売の関係者で米のコスト指標作成のための準備会合を設置し、検討を進めているところであります。今後、関係者の議論がスムーズに取りまとめられるように、引き続き後押しをしてまいりたいというふうに考えております。
以上です。
○許斐委員 ありがとうございます。
続けます。
そして、食料の安定的な供給に関して言うと、さきの基本法において、国内の農業生産の増大を図ることを基本とも書いてあります。基本は生産の増大だと私は思っています。お米の増産に踏み切れば、お米の値段は下がります。お米の値段が下がったら、消費者は米を安心して買えるようになります。そして、価格が下がることは、輸出をするための国際競争力を大いに高めることにもつながる、私はそのように考えます。
一方、お米の下落に伴う生産者の収入の減少に関しては、いわゆる直接支払いの戸別補償、我が党では食料安全保障基礎支払いと言っていますが、これを導入することによって、生産者の手取りとモチベーションをしっかりと保っていく、そして、それが必要な水田の維持につながっていく、そのような未来への方針を示すことが私は必要だと考えています。
いわゆる水活について、二〇二七年度から新たな水田政策の検討の中で見直しの方向が示されています。水活を含めた今後の直接支払い制度の検討については、与野党で協議の場を設けることが必要だと思いますが、大臣の認識をお伺いいたします。
○鈴木国務大臣 お答え申し上げます。
御指摘の直接支払い制度を始めとする農業者の支援の在り方については、水田政策の見直しの中で、与野党の先生方や現場の方々、関係団体も含めた幅広い御意見をいただきながら検討を進めていきたいと考えており、議論についてはオープンに対応してまいりたいと思います。
○許斐委員 ありがとうございます。
時間が近づいてまいりましたので、次の質問を続けていきたいと思います。
農家の所得を守る観点から、セーフティーネットについてお伺いいたします。これも農家の安心感、営農の意欲に関わることです。
作物の価格ということが何かとクローズアップされていますが、現在は、農作物の価格の変動以外にも、気候の変動の問題、これが深刻だと思います。それによる災害の多発化と被害の深刻化など、生産者の経営を取り巻く様々な状況は厳しさを増しています。私の地元の福岡県宗像市、福津市でも、今年の夏は線状降水帯が発生して、豪雨により、農業に大きな被害を受けました。
このような災害が全国的に発生する中で、被害を受けた生産者が安心して経営を継続できるよう、農家の収入を守るためのセーフティーネット対策の一層の充実が待ったなしの課題です。また、災害からの迅速な復旧も大切な課題だと考えています。
所信では、大臣は、セーフティーネット対策の検討を進めるという考えを示されましたが、具体的には、どのようなスケジュールで、どのような内容の対策を考えているのでしょうか。大臣の見解をお伺いいたします。
○鈴木国務大臣 まず、このセーフティーネット対策は重要な役割があるということは、今委員が御発言いただいたとおりであります。
気象災害の被害に対しては、収入保険や農業共済による対応が基本であり、特に、収入保険は全ての農産物が対象でありますので、大幅な収入減にも対応可能なものとなっております。
収入保険は、気象災害により収入が大幅に減少した場合、その年の収入実績を補正し、翌年以降の基準収入の減少を抑制する気象災害特例を措置するなど、現場のニーズ等を踏まえて、補償の充実に努めてきたところであります。
引き続き、大きな自然災害や価格下落等に伴い農業収入が減少した場合に対しては、収入保険、ナラシ対策などのセーフティーネット対策により、農業者の収入を守る施策を講じていきますが、令和九年度以降の水田政策の見直しの中でも、農業者の経営安定のためのセーフティーネット対策、この在り方についても検討させていただきたいと思います。
○許斐委員 ありがとうございます。
生産者の再生産を助けるというメッセージ、国からのメッセージがやはり営農者、現場のモチベーションを高める、そのことにつながっていくと思いますので、引き続きよろしくお願い申し上げます。
時間になりました。時間の関係上、通告していました害虫対策に対しての御質問ができずに申し訳ございませんでした。以降の一般質問その他でやってまいりますので、今後ともよろしくお願いします。
質問を終わります。
○藤井委員長 次に、臼木秀剛君。
○臼木委員 ありがとうございます。国民民主党・無所属クラブの臼木秀剛と申します。
通常国会では二度、農水委員会に立たせていただきましたけれども、今国会から農水委員会に正式に所属をさせていただくことになりました。まだまだ不勉強な点はありますけれども、委員長始め委員の皆様に御指導を賜りながら、研さんを重ねていきたいと思っております。また、大臣もどうぞよろしくお願いいたします。
それでは、早速質問の方に移ります。
まず、食料自給率の関係で質問させていただきます。
大臣は、所信の中で、生産性や付加価値の向上により、農林漁業者の収益力を高め、食料自給率、食料自給力の向上と食料安全保障の確立に全力を尽くしますと述べられました。ただ、改正基本法、基本計画では、食料安全保障を大方針に据え、食料自給率の向上を中方針、そして食料自給率は、あくまでという言葉が正しいかは分かりませんけれども、数値目標というふうに位置づけられていると思っております。
改正基本法、基本計画と大臣の御発言のところで若干ちょっと意味合いが異なるのかなというのが少し気になりましたので、並列的におっしゃったことと関係、何か意図があれば御説明をいただければと思って、冒頭質問させていただきます。
○鈴木国務大臣 特に深い意図はないんですけれども、まず、食料・農業・農村基本法に掲げる五つの基本理念の一つとして、今委員からも御指摘ありました食料安全保障の確保を位置づけております。
同法に基づく基本計画では、その基本理念の実現に向けて講ずべき各種の施策を体系的に整理をしておりまして、食料安全保障の確保は、基本計画においてもいわば実現すべき柱の一つとして位置づけられております。その中で、食料自給率、食料自給力の向上に係る施策等を講じることとしており、これによって食料安全保障の確立を図るといった関係性になっております。
○臼木委員 ありがとうございます。分かりました。
私も基本計画の策定の際に、質問に立たせていただいた際に、今日も座っておられますけれども、江藤大臣がPDCAサイクルをぶん回すということを強くおっしゃっておられましたので、私は、これは基本計画の大基軸、根幹に関わる部分であると思ったので、この点、ちょっと確認はさせていただきました。
その上で、高市内閣では、供給カロリーベースの食料自給率一〇〇%を目指していきたい、また、農地をフル活用していくという方針が打ち出されました。今回の基本計画から、食品ロスを考慮しない摂取カロリー自給率が数値目標、KPIの中にも位置づけられておりますし、また、飼料輸入額を考慮しない生産額ベースの食料国産率、これも引き続き数値目標とされています。
食品ロスや輸入飼料を減らしていくということについては、私も大きく賛成はいたします。当然、原料を大量輸入して大量廃棄していくという構造的な問題であったり、当然廃棄をするにもコストがかかるわけですから、こういう経済コストをなくしていくということも必要だと思いますし、あとは、国産飼料についてもいろいろやはりハードルは、どういう耕種を育てていくのか、作っていくのか、それから流通の部分でも課題があるということは私もお聞きをしています。
そういう中で、二〇三〇年の目標数値というのがこの基本計画の中で立てられています。いずれの自給率も七から八ポイントの向上を図る、さらには、細かく見れば、供給ベースと摂取ベースでのところで若干やはりギャップがあるんじゃないかと思います。
二〇三〇年というと、もうあと四年、五年ということですので、この一、二年が本当に大きな勝負の年になると思っております。どのように自給率向上に取り組んでいくおつもりか、さらに、食品ロスや飼料の自給率向上に向けてどのような施策を講じていこうとお考えか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
○鈴木国務大臣 お答え申し上げます。
食料自給率、これは近年三八%前後で推移をしており、農林水産省としては、基本計画において、二〇三〇年度に食料自給率四五%とする目標の実現に取り組みます。このために、まず、農地の大区画化、共同利用施設の再編、集約化、スマート技術の開発と生産方式の転換、実装、輸出産地の育成などにより、国内農業生産の増大を図ってまいる所存です。
そして、御指摘の食品ロスの削減は、消費者庁そして環境省と連携をして取り組んできております。農林水産省が主導する事業系食品ロスの削減については、食品関連事業者に対して、需要予測の精緻化といったDXの推進など新たな技術、仕組みの導入、そして、納品期限、いわゆる三分の一ルールの緩和などの商慣習の見直し、あと、未利用食品の寄附などの取組を支援しているほか、消費者の理解促進にも取り組んでおります。
また、餌の飼料自給率については、二〇三〇年度を目標年度として、二七パーから二八パーに引き上げることとしております。このため、畜産農家と耕種農家の連携、飼料生産組織の運営強化、草地基盤の整備、国産飼料の流通体制の整備などの取組を支援することにより、粗飼料を中心とした国産飼料の生産、利用の拡大を推進してまいります。
○臼木委員 ありがとうございます。
細かい点はいろいろ聞きたいとは思うんですけれども、時間の関係もありますし、今日は大臣所信ということなので、今後行われる一般質問で細かく聞いていきたいと思います。
飼料の話もさせていただいたので、少し酪農の関係についてお聞きをしたいと思います。畜産クラスターということについて少しお尋ねをしたいと思います。
農水省の方では畜産クラスター事業というものをやられているわけですけれども、酪農の分野においては、従来の畜産クラスター事業というのはどうしても個々の生産者に対しての機械設備の投資にということに力点が置かれてしまったのではないかという意見があります。私も、まだまだ経験は浅いですけれども、道内を回っていて酪農家の皆さんとお話をしてもそのようなお声も伺っています。
その中で、大臣は所信で、畜産、酪農は地域経済を支える重要な産業とおっしゃっていただきました。私も同感です。そういう意味でいえば、畜産農家と地域の関係事業者が連携、結集し、地域ぐるみで畜産の収益性と生産性を向上させる、これは畜産クラスターの説明、農水省さんがされていますけれども、まさに、地域ぐるみで地域の関係事業者みんながハッピーになる、みんながウィン・ウィンの関係になるという意味で畜産クラスターを形成していくということをやはり改めて推し進めていく必要が私はあると思っております。
畜産クラスター、過去の事業の評価も踏まえて、大臣、政務でも結構です、お考えを聞かせていただければと思います。よろしくお願いいたします。
○根本副大臣 御質問ありがとうございます。
畜産クラスターは、畜産業の収益性向上を図るため、畜産関係者の連携により、関連産業を含めた地域全体が裨益するような個々の取組を地域の計画に基づいて支援するものであります。
例えば、先生の御地元の北海道でも、本事業により、酪農の離農跡地を整備し、新規就農者に継承した例であったり、分業化のための哺育施設を造り、複数の農家で利用している例など、個の取組を支援することにより地域産業の維持発展に貢献しているものがございます。
また、大臣所信では畜産クラスターという事業名は入っていませんけれども、畜産、酪農は地域を支える重要な産業、畜舎の整備などによる生産基盤の強化など、畜産クラスターの趣旨や事業内容にも言及しております。
今後とも、畜産クラスターの仕組みを活用しながら、畜産、酪農の持続的な発展を推進していきたいというふうに考えております。
以上です。
○臼木委員 ありがとうございます。
飼料の話もそうですし、あとは酪農ヘルパーの問題、TMRセンターの話、いろいろと本当に解決しなければいけない課題はたくさんあるとは思いますので、本当に、国土を守るという意味でも、地域を守るという意味でも畜産業というのは大変重要な産業だと思いますので、ここは皆様とともに更に支援を行っていければと考えております。
続いて、ちょっと済みません、たくさん質問を用意しているので早口になりますけれども、大臣も冒頭お話をいただきました高病原性鳥インフルエンザについて質問をさせていただきます。
資料をおつけしていますが、私もこの資料を鶏鳴新聞社さんというところにお借りをして、これは多分、農水省さんが出されている畜産統計調査表を基に整理をされておられるものですけれども、見て分かるとおり、明らかに飼養戸数が大幅に減っている一方で飼養羽数が大幅に増えているということは、一戸当たりの飼養羽数、本当に大きな大規模経営化が進んでいるということが分かると思います。
ただ、高病原性鳥インフルエンザが発生した場合、現在取られている防疫策につきましては、家禽は速やかに全羽処分、そして関連する物品についても焼却、埋却そして消毒ということで、かなりやはり大規模化に伴って防疫コストが大きくなってきているということも言われていますし、また、市場に与える、消費者に与える影響も非常に大きくなってきていると思います。
続けて、資料の三ページ、地元の苫小牧民報の記事をつけさせていただいておりますが、今回、北海道でも二例、恵庭市と白老町で鳥インフルエンザが発生しました。二件と聞くと、どれだけの影響があるかということなんですけれども、ここの記事のところでいうと一番上の三行目にありますけれども、道内採卵鶏の一割以上に相当する約六十八万羽が殺処分されたということになります。
ちょうど苫小牧というのは恵庭と白老の間にある大きい都市でありますので、こういうふうに、件数としては少ないかもしれませんけれども、発生をしたことによって本当に市場に与える影響が大きいということがやはり問題になってきていると思います。
当然きちんと防疫をするということも必要ではありながらも、市場や消費者に与える影響も抑えるという観点も決して見過ごしてはならないと思います。発生した場合に生じる様々なコストに鑑みれば、当然現場の人的や費用的な負担は考慮はしつつも、今は行われている手当金や特別手当金について大分事例も重なってきましたので、もう少しめり張りの利いた運用を行っていくということであったり、この間、区画管理ということも大分進められてきたとは聞いておりますけれども、ちょっと難しいのは、現場にかなり負担が、人的な負担、経済的な負担もあるとは思いますけれども、こういう鶏舎の設備についてはもう少し後押しをしていくとか、こういうことも含めた現実的で適切な防疫措置が講じられる必要があるのではないかと思いますけれども、この点について是非御答弁をお願いいたします。
○坂政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、大規模な農場で鳥インフルエンザが発生いたしました場合は、殺処分等の防疫措置に多大な時間や労力を要することとなります。また、経営の再開にも長期間を要することとなりますし、資料で御説明いただきましたとおり、鶏卵の生産へも影響が及びます。
このような影響をなるべく緩和するために、大規模な農場の分割管理を進めることが重要と考えております。農林水産省といたしましても、飼養衛生管理基準への位置づけ、また予算措置による支援などによりまして、分割管理を推進しているところでございます。
このような中で、各地で養鶏農場の分割管理に向けた取組が進展しているところでございまして、現在、全国で二十二の養鶏農場が分割管理を導入済みでございます。
また、昨シーズン発生いたしました高病原性鳥インフルエンザの事例から御紹介申し上げますと、約百二十万羽を飼養する採卵鶏農場をあらかじめ分割して管理しておりましたところによりまして、全羽ではなくて、殺処分の対象を約三十六万羽まで低減できた、こういった実績もございます。
引き続き、このような事例の横展開を行うなどによりまして、分割管理の更なる推進に努めてまいりたいと考えております。
○臼木委員 ありがとうございます。
続いて、食料のサプライチェーンの物流効率化ということにも言及いただきましたので、その点、質問させていただきます。
食料システム法が成立しまして、基本計画の中にも流通の合理化がうたわれておりますし、モーダルシフトの推進も明確に記されています。
私も、国交委員会でもずっと質問しているんですけれども、北海道では黄色線区の廃止も検討されているんですけれども、食料基地と言われる北海道で鉄路、鉄道ですね、路線、線路自体がなくなってしまいますので、これは、人材不足への対応や環境負荷軽減、そしてモーダルシフトを進めていこうということがうたわれている時代に逆行すると私は考えています。
これは、レクに来ていただいた際に役所の方に、今新規箇所が、着手はなくなりましたけれども、農業用道路があるんだから農業用鉄道があったっていいんじゃないかと言って、私の妄想だと笑われましたけれども、これだけモーダルシフトを進めていくと言ってなかなか進まない現状の中で、本当に大規模な転換も必要なんじゃないかと思っています。
鉄道政策については、基本的には国交省なんですけれども、今回、基本計画にも入っています。農業分野、食品流通から見た鉄道の有用性やモーダルシフト推進の必要性、そして大胆なスキーム転換の必要性について、もし可能であれば、大臣、是非御答弁お願いいたします。
○鈴木国務大臣 御質問ありがとうございます。大切な御指摘だというふうに思っています。
農産品は地方の産地から大都市等の消費地への輸送距離が長く、長距離輸送ですね、その大宗を、九六・五%をトラック輸送に依存をしております。
今後、トラックドライバーの不足が見込まれる中で、鉄道や海運を含め多様な輸送手段を確保することが農産品の安定的な供給を確保する上で非常に重要であります。
このため、農林水産省といたしましては、モーダルシフトに積極的に取り組むための実証的な取組や、鉄道、船舶で輸送する荷物を集約、予冷するための施設の整備等を支援をしております。例えば北海道においても、ホクレン、JA士幌町によるでん粉の鉄道輸送の実証等について支援をしたところであります。こうした取組の促進によって、食料の安定供給とともに、貨物鉄道の安定した利用にも貢献をしてまいりたいと思います。
あわせて、モーダルシフトの方向性も含めて、今後の物流政策については、国土交通省を中心に二〇三〇年までを計画期間とする総合物流施策大綱の検討を進めているところでありまして、農林水産省としても積極的に参画をしてまいりたいと思います。
○臼木委員 ありがとうございます。より積極的な関与をよろしくお願いいたします。
そして、新規就農について、先ほど立憲民主党の岡田議員もお話をされていた就農準備資金や経営開始資金の件で、私からは一点だけ。
資料の四ページにもつけていますけれども、この支援金額は平成二十四年の制度当初から上がっていないということで、もう少し、百五十万よりも支援をしていく。これはやはり、新規就農支援をするということであれば、ここの金額を引き上げるということも必要ではないかと思います。端的に、上げませんか。よろしくお願いします。
○広瀬大臣政務官 お答えします。
御指摘の経営開始資金に加えて、機械や施設等の初期投資の支援、これもしておりますし、それから長期無利子の青年等就農資金への貸付け、これらを総合的に今支援しているところであります。それから、令和六年度補正予算から、初期投資支援の補助上限を引き上げる、これは五百万から六百に上げておりますけれども、こういうことをしながら支援を拡充しているところであります。
これは、まだ足らないというお声も私も地元で当然聞きますけれども、今後とも、現場の実態を踏まえながら、効果的な支援の実施に省としても政府としても努めていきたいと思っています。
以上です。
○臼木委員 物価上昇局面でありますので、ここについては、本当に、生活を支援するというところでありますので、是非ここは引上げを行っていただきたいと思います。
最後に、酒造好適米、今までずっと主食用米のお話が出てきていましたけれども、お米の話ですね、お米。
日本酒と名のれるのは、地理的表示上、国産米を原材料として日本国内で製造した清酒だけになります。日本酒の輸出額については、基本計画の中でも、二〇三〇年目標として、二〇二四年実績比で約一・七四倍という目標としています。
付加価値が高くて、輸出の主戦力でもある特定名称酒の原料となる酒造好適米についても、きちんと生産量の維持、確保、拡大も必要となってきます。ただ、やはりこれだけ食用の主食用米の価格が上がってくることにより転作をされるというようなお声も聞いていますし、基本的には今まで県外に融通していたものも、県内の業者さんだけに限るというような取扱いもされているということも聞いています。
こういう状況の中で、主食用米とは品種、銘柄も異なる酒造好適米の需給の議論については、やはり主食用米と別に扱っていくということがこれから必要ではないでしょうか。また、引き続き、今まで契約農家さんと契約をずっと続けていたこの関係が継続される、さらには、引き続き生産をしていただけるような施策の在り方、強いメッセージが農林水産省からも必要だと思いますけれども、是非御答弁をよろしくお願いいたします。
○鈴木国務大臣 酒造好適米については、主食用米等として整理してきたことから、また、主食用米と比べてこれまでは高値で取引をされてきており、作付面積に応じた支援策のような生産振興策を講じてこなかったため、主食用米の内訳としての酒造好適米を区分して作付面積の把握は行ってきておらず、検査数量による生産量のみを把握をしてきたところであります。
生産の現場では、実需である酒蔵の購入希望数に基づき、産地が生産計画を策定する取組により、需要に応じた生産が行われてきたものと承知をしております。
農林水産省としても、こうした産地と実需の連携がやはり重要だというふうに考えておりますので、酒造組合と情報共有を図るための情報交換会、これは毎年開催をしてきておりまして、こうしたことも通じて、よりきめ細かく作付面積の把握など生産動向をよく把握して検討してまいりたいと思います。
また、令和八年度予算でも、産地と実需の連携強化の下、生産性向上等に取り組む酒造好適米生産者への支援を要求しており、この予算も活用して取り組んでまいります。
○臼木委員 ありがとうございました。
引き続き、実態に即した政策が打っていけるよう、私も皆様とともに行っていきたいと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。
質疑を終わります。ありがとうございました。
○藤井委員長 この際、暫時休憩いたします。
午後零時十七分休憩
――――◇―――――
午後一時二十五分開議
○藤井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。角田秀穂君。
○角田委員 公明党の角田秀穂でございます。
本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
質問席から見る景色もがらりと変わりまして、あちらにいた頃は、答弁者にお尻を向けながら、委員席に向かって質問しているような感じでしたけれども、何かこちらの方が据わりがいいなと思いながら、新鮮な気持ちで質問させていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
鈴木大臣、御就任おめでとうございます。初めに、今後の農政の展開について大臣にお伺いをしたいと思います。
大臣所信において、幾ら理想的な政策も、現場の皆様の心が動かずには効果を発揮できないと述べられました。しかしながら、今、現場の皆様の心は、少なからず揺れ動いているようにも見えます。
主食である米について、需要に応じた生産を基本として、生産者と消費者の双方から見て、先の見通せる農政を展開するとしておりますけれども、需要に応じた生産は、これは従来から農政の基本としてきた方針でもあります。その方針の下で、令和の米騒動と言われる混乱が生じました。そのために方針を転換をして増産にかじを切るのかと思えば、再び従来の需要に応じた生産と言われることで、生産者の方々の間には、今後に対する不安の声が聞かれます。
端的に質問をいたしますが、大臣の言われる需要に応じた生産とは従来の政策と変わらないのか、違うとすれば具体的にどのような姿を描いているのか、お伺いをいたします。
○鈴木国務大臣 御質問ありがとうございます。
まず、米政策については、前政権の下で閣議決定をされました食料・農業・農村基本計画において、輸出を含めた需要拡大を見込んで、二〇三〇年の生産目標を、二〇三〇年比で七百九十一万トンから八百十八万トンに増大をすることとしております。
こうした需要に応じた形で生産をすることにより米の需給を安定を図っていくという方針は現在も変わるものではなく、この方針の下に、中長期的には米の増産に前向きに取り組めるよう、環境整備を進めてまいりたいというふうに考えております。
○角田委員 それで、昨年からの国民の主食である米の価格の異常な高騰と、その対策としての備蓄米の買戻し条件付の入札、さらには随意契約による小売など消費の現場への売渡しなど、一連の対応を含めて、今後の米の需給と価格の安定をどう図っていくのかを考えねばならないと思います。
初めに、今回の対応で問題として浮上してきたことに関して一つお伺いをいたします。
短期間で大量の備蓄米が放出されたことによって、備蓄米の保管を担ってきた倉庫業界は大幅な減収が経営を圧迫して、業務の継続が困難となる事業者も生まれております。いかなる状況にあっても備蓄米の保管機能を維持することは食料安全保障確保の上からも重要との考えから、公明党は、九月末に当時の小泉大臣に対して、逸失保管料に対する支援措置の実施や、緊急出庫で生じた荷繰り経費など追加的経費に対する実費精算などを要望をいたしました。
備蓄米は、当然放出も想定をされており、そのことを前提とした契約であるにしても、国が従来の運用方針を変更したことによって予測できない事態となったことでもありますし、備蓄米の搬出に当たっては倉庫業者に多大な苦労もおかけしたことも踏まえて、改めて財政的な支援を求めるものですが、この点について見解をお伺いしたいと思います。
○根本副大臣 お答えいたします。
政府備蓄米の管理運営は民間の事業者に委託しており、これらの事業者と倉庫業者との間の契約では、あらかじめ保管期間や数量を定めることはなく、保管料単価のみを定め、実際に保管した期間と数量に応じて保管料を支払う仕組みとなっております。
緊急的な放出に御協力いただいた倉庫業者の方々から、倉庫業務等に伴う様々なお声をいただいていることは承知しているところであります。政府備蓄米の管理運営において倉庫業者の方々の果たす役割は重要であり、皆様から実態を聞き取りつつ、政府としてどういった対応が可能であるのか、早急に検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
○角田委員 是非とも早急な検討を行って、必要な支援をお願いをしたいと要望させていただきたいと思います。
米の需給安定のための仕組みづくりについてお伺いをしたいと思います。
今回のような状況に対して今後どのように対応していくかについてですけれども、今年の三月には九十六万トンあった備蓄米が、半年程度で適正水準の三割程度まで減ってしまい、補充のめども今全く立っていないことについて、備蓄米は、あくまでも凶作等で米の供給が確保できないときのための備えとして確保しておかなければならないものだと考えております。
今般の米価格高騰の原因とされる流通の目詰まりを解消するため、従来、凶作や二年連続しての不作で米の供給量自体が確保できないときのための備えとしてきた備蓄米の運用を見直して、さらには、会計法上、国が売買契約を結ぶ場合には原則として競争入札を行うこととなっており、随意契約が認められるのはあくまでも例外的に可能とされているものを、備蓄米の売渡しについては随契でできるのだと整理した対応などは、食糧法、会計法の規定から見て明確な判断基準もなく、政府の裁量で可能とするのはやはり無理があるのではないでしょうか。
また、流通の目詰まりを解消するとして今回売り渡した備蓄米でありましたけれども、それがなかなか消費者の手元に届かない、地域的にも差が生じたという問題も明らかとなりました。今回の経験を踏まえて、需給バランスが崩れた際に迅速に、確実に必要な食料が行き渡るようにするための体制をあらかじめ構築しておく必要があると考えております。
備蓄米は、本来の目的である不作、凶作への備えとして常に一定の水準を確保しておく、放出はあくまでも最後の手段であって、今回のような流通の目詰まり等で急激な価格の高騰などには、迅速にこの原因を解消するための仕組みを別に設けるべきと考えます。需要予測の精度を高める取組も必要ですけれども、正確に予測することはやはり困難で、予測が外れることもあり得るとの前提で、変化に対応できる仕組みを考えるべきと考えます。
そのためには、国だけではなく、地方や民間とも連携、連動した仕組みを早急に検討すべきと考えますが、この点について、六月の委員会質疑での答弁では、備蓄の対応も含めて必要な検証、検討を行うとのことでしたが、政府として、主食である米の安定供給確保のために現在どのような検討を行っているのか、お伺いをいたします。
○山口政府参考人 お答え申し上げます。
今般の米価高騰の要因や対応の検証につきましては、本年八月の米の関係閣僚会議でお示ししたところでございます。この中で、政府備蓄米については、不作時に備蓄米を放出するというルールの下、放出時期が遅延し、更なる価格高騰を招いたほか、備蓄米の売渡しに当たって、入札契約の手続などに時間を要し、機動性に課題があることが判明したところであります。
このような点を踏まえると、供給が不足する際に、より迅速に小売業者などに供給できるよう、民間の既存の流通を活用することも有効ではないかと考えているところでございます。
今後の備蓄政策につきましては、四月に閣議決定されました食料・農業・農村基本計画におきましても、令和九年度以降の総合的な備蓄の構築に向け検討を進めるとされているほか、食料供給困難事態に関する基本方針におきましても、官民合わせた備蓄をトータルとして捉える、総合的な備蓄を推進することが適当であるとされているところでございます。
このような点を踏まえまして、総合的な備蓄につきましては、国としての役割が果たされることを前提に、国民の安心につながるよう、官と民が取り組む内容につきまして、民間事業者の御意見や本委員会の御意見も踏まえながら、検討を進めてまいりたいと考えております。
○角田委員 ありがとうございます。
次の質問に移らせていただきたいと思いますけれども、カキ養殖についてお伺いをいたします。
今年、特に広島県などでカキの養殖で甚大な被害が生じておりますけれども、それ以外の地域でも、近年の海水温度の上昇などによると見られる生産量の減少に見舞われております。
先週、広島県に次ぐ全国二位の生産量を誇る宮城県のカキ養殖の現場に伺ってまいりましたけれども、こちらでは、昨年は約五割のカキが死滅をし、令和三年には約一千八百トンあった販売数量が半分以下に落ち込んで、今シーズンに入っても、多くが死んでしまったり、また粒が小さいものばかりで、震災を乗り越えて再開した養殖業の将来に対して関係者からは不安の声が聞かれます。
伺った処理施設では、水槽にたくさんのカキが入っているようには見えましたけれども、よく見れば、中身がないカキ殻がたくさん含まれております。
カキ養殖を行っているのは、ほとんどが家族経営の小規模事業者です。売上げは減っても、共同施設の費用負担など、コストは減りません。先が見通せない不安に駆られている生産者に対して、原因の究明を早急に行い、対応策、例えば海水温の低いところへの深づりに必要な資材への支援、また、今は検査費用も大きな負担となっているとも伺いましたが、こうした支援を、現場の声をしっかりと聞いて、必要な支援を充実をしていただきたいと思いますけれども、この点について見解をお伺いしたいと思います。
○広瀬大臣政務官 お答えいたします。
カキのへい死の問題は、午前中も、山本委員の最初の質問にもありましたし、それから空本さんの質問にもありました。
へい死の状況は、全国各地域、漁場で異なっており、既に水揚げが開始された広島県中東部においては、九割のへい死があるという報告を受けておるところであります。
まずは、これから水揚げが始まる地域も含めて、国の研究機関も連携しつつ、しっかりと調査をしていきたいと考えております。
それから、生産者への支援についてでありますが、午前中、大臣も触れられておりましたけれども、今ある共済や融資などを用いて、これを一旦整理をして、どんな支援があるのか、この辺りをしっかりと考えていきたいと思っております。
いずれにせよ、国、県、市がしっかりと連携を取って、カキ養殖業者の皆様の経営、これをしっかり支えていけるように対応を行っていきたいと思っております。
以上です。
○角田委員 これについては、しっかり現場の声を聞いた上で、必要な支援につなげていただきたい。私たちとしても、その現場の声をしっかりとまた届けていきたいと思っておりますので、よろしくお願いをいたします。
続きまして、農業人材の確保について伺いたいと思います。
まず最初に、酪農ヘルパーについて。
昨年の本委員会における畜産物価格等に関する決議においても、中小・家族経営の酪農家の労働負担軽減のために不可欠な存在である酪農ヘルパーについては、人材の育成や確保のための支援のほか、酪農家が利用しやすくするための負担軽減策を講ずることが求められております。
勤続年数七年未満の専任酪農ヘルパーの離職の理由の第一は牧場への就職という調査結果もあり、ヘルパー制度は、家族経営の休日確保だけではなく、技術や経営のノウハウを身につけ、新規就農に結びつける役割も果たしているわけですけれども、要員数の推移を見ますと、これは年々減少をしており、専任ヘルパーは、平成二十六年の一千百三十九人から令和五年には八百九十七人、臨時ヘルパーも、平成二十六年の九百六十一人から令和五年には五百九十五人へとそれぞれ二割、四割減少をしております。
以前は、酪農家の後継者が実家の経営に携わる前の研修の場としてヘルパーになる人も多かったと伺いますが、そうした方たちは将来の見通しを持って取り組んでいるため、ヘルパーとしての処遇についてもある程度は納得できていたという面もあるかと思いますけれども、現在は、外部から人材を受け入れるかが課題となっています。
勤続年数の浅い人の離職理由には、仕事の内容や給与、待遇を挙げている人も一定数おり、処遇の改善や育成プログラムについても国が積極的に改善に取り組む必要があると考えますが、この点について見解を伺います。
○長井政府参考人 お答えいたします。
酪農ヘルパーは、家族経営での休日取得のためにも重要な存在でございまして、その安定確保のためには、新規採用や人材の育成を積極的に行いつつ、給与などの処遇改善に取り組むことが重要であると認識しております。
このため、農林水産省では、学生インターンシップの実施や就活イベントへの出展による人材募集、利用組合内の新人ヘルパーへのOJT研修や全国団体による集合研修の開催、また、酪農ヘルパーの給与引上げに対する奨励金の交付等の支援を行っているところであります。
各地域における十分な酪農ヘルパーの確保に向けまして、引き続き取組をしっかり推進してまいりたいと考えております。
○角田委員 農業人材の確保についてもう一つお伺いしたいと思うんですけれども、私は、今年、ある県の中山間の集落に伺いました。ここは高齢化が進んで、離農する人が増えていて、農作業に従事する人も年々減ってきているということで、うちの集落には選挙のときですら誰一人来ない、選挙カーも来ないというような集落にお伺いして伺った話でございますけれども、ここではイノシシ、鹿、猿などの獣害に悩まされているとの話を伺っている中で、かつては地域おこし協力隊の青年がわなを仕掛けてくれていて、これが非常に大変助かったというお話でありました。
地域おこし協力隊は、制度スタート時の取組自治体は三十一自治体から始まり、隊員数も八十九人というところからスタートいたしましたけれども、昨年、令和六年度には千百七十六自治体で七千九百十人の隊員が活動するまでになっております。隊員の六割は二十代から三十代、隊員の四割は女性が占めております。
今年四月の公表資料を見ますと、直近五年に最長三年の任期を終えた隊員約八千人の六九%が同じ地域に定住し、このうち四六%が起業、三四%が就業しておりますが、農業法人や農林組合など農林漁業が百三十六人で、就職先の第三位、また、農林水産業への就農、就林も五百二十五人と一一・七%を占めており、農林水産分野の人材確保の貴重なルートともなっております。協力隊の任期中に、住民生活支援の傍ら農業研修を受けてもらって、農業者として定住してもらおう、こうした目的で隊員を募っている町も出てきております。
令和八年度には隊員数一万人を目標にしているとのことですが、協力隊員に活躍してもらうために、処遇についても充実する必要があると感じております。
自治体における隊員の身分は、移住・交流促進機構の調査によりますと、約六割が会計年度任用職員としての採用ですが、自治体からの委託、いわゆるフリーランスとして活動している隊員も三割程度おり、社会保険料の負担や、病気やけがなど、いざというときの補償にも差がある状況です。
財政力が乏しい自治体ほど、地域に根を張って活躍してくれる人材を欲していると思いますが、国からの財政措置に上乗せして処遇する余力もなかなかないのではないかと思います。
地方創生の貴重な担い手である協力隊員の活動に対する国の支援を更に充実してもらいたいと思いますけれども、この点について見解をお伺いをいたします。
○恩田政府参考人 お答えいたします。
総務省におきましては、地域おこし協力隊の推進に向けまして、報償費など隊員の活動に要する経費について、隊員一人当たり年間五百五十万円を上限に特別交付税措置を講じているところでございます。この特別交付税措置は上限額を定めるものでございまして、実際の隊員の雇用条件、任用形態は、各自治体が地域の課題やその活動内容に応じて適切に決定しているものと承知してございます。
総務省といたしましては、任用形態にかかわらず隊員が円滑に活動を行えるよう、隊員を会計年度任用職員として任用する場合、隊員を地方自治体が任用せず、隊員個人と委託契約を締結する場合の勤務条件や労働安全面に関する留意点などをまとめて、自治体にお示しをしているところでございます。
引き続き、自治体や隊員の皆様の声をお伺いしながら、必要に応じて財政措置の在り方などを検討し、隊員に対するサポート体制の充実を図ってまいりたいと考えております。
○角田委員 この点については、是非サポート体制、支援の充実を積極的に進めていただきたいというふうに要望をさせていただきます。
次の質問に移らせていただきたいと思いますけれども、国際研究協力について質問をいたします。
大臣所信において、多収性や高温耐性、病害虫抵抗性などを持った革新的な新品種の開発、導入促進の必要性に触れられていますが、そのためにも、国際研究協力に更に力を入れていかなければいけないと考えております。
新たな食料・農業・農村基本計画では、国際研究協力について、食料安全保障や気候変動等の地球規模的な課題に対応する農業技術の開発や普及を進めるためには、各国政府や海外の研究機関との連携が重要であるとして、これまでの国際研究協力の成果として、生物的硝化抑制強化作物、間断かんがい技術など、一定程度前進したとする一方で、これらの実装や他の技術の実証については十分に進んでいないとしております。
実証された技術の実装が進んでいない理由は何か。また、国際貢献と連携強化に向け、国際農林水産業研究センター、JIRCASが国際研究拠点としての役割を果たすことが求められているとされていますけれども、今後の具体的な取組について伺いたいと思います。
○堺田政府参考人 お答えいたします。
国際農林水産業研究センターは、開発途上地域の農林水産研究を包括的に行う我が国唯一の研究機関であり、御指摘の生物的硝化抑制や間断かんがい技術につきましては、各国の技術ニーズなどを踏まえ、令和四年度より、ターゲット国における実証研究を段階的に進めているところでございます。
この結果、先行的に実証研究を進めた国におきまして、その国の気候や農業条件に即した形での研究が進み、現地での実装が視野に入る段階まで来ているところでございます。
これらの取組は、日ASEANみどり協力プランやミドリ・インフィニティにも位置づけております。今後とも、国際農研が研究の中核となり、その有する技術や国際ネットワークを活用しつつ、現地政府、普及機関や民間との連携強化を進め、技術の実装に取り組んでまいりたいと考えております。
○角田委員 農業分野での国際研究への貢献の一つに、世界各地の十五の研究センターを傘下に持つ国際農業研究協議グループ、CGIARへの貢献が挙げられます。
日本は、一九七一年の設立の翌年から加盟をし、一九九〇年代は同グループへの拠出金額では第三位のドナーでしたけれども、現在では二十二位に後退し、昨年は、拠出金総額により選定される理事のポスト、CGIAR設立以来ずっと保ってきた理事のポストも失いました。
システム理事会は、同グループの戦略的方向性や優先事項、予算等の配分を決定する機関であり、農業の国際研究協力の場での日本の発言力を確保するためにも、しっかりと予算を確保して、資金協力を積極的に行っていくことが求められると考えますけれども、見解をお伺いしたいと思います。
○堺田政府参考人 お答えいたします。
食料安全保障や気候変動など、地球規模の課題への対応に向けては、各国政府や関係機関とのネットワークを有するCGIARとの連携が重要と考えております。
農林水産省では、ASEAN地域の温室効果ガス削減やアフリカの栄養改善に資する品種開発など、その時々の課題を踏まえ、CGIARの個別の研究プロジェクトへの拠出を行っており、令和七年は、新たに国際稲研究所、IRRIでの温室効果ガス測定の研究基盤整備や測定機能のトレーニング体制の整備のプロジェクトを実施しているところでございます。
引き続き、CGIARと連携し、地球規模の課題への対応ができるよう、適切な貢献を行ってまいりたいと考えております。
○鈴木国務大臣 ちょっと今の局長の答弁に補足をさせていただきますと、委員の今の御指摘は大変大事だというふうに思っておりまして、特に、このCGIARは、実は、先日の予算委員会でも鈴木貴子議員から外務大臣の方に御質問いただいたんですけれども、外務省が拠出する使途を指定しない任意拠出金と言われるものが幾らかということによって理事の席が取れるか取れないかが決まってまいりますので、是非そういった観点でも、我々農林水産省として、外務省とも連携を取ってやらせていただきたいと思っております。
○角田委員 まさにおっしゃるとおりで、私たちも、そういう観点からしっかりと働きかけを進めていきたいというふうに思っております。
このCGIARへの資金的貢献、これも大事、やってもらわないといけないんですけれども、人的貢献も減少をしております。二〇〇一年から一〇年にかけて日本人職員は七十七人いたものが、次の十年では四十九人へと減り、資金、職員の減少で、日本の影響力の低下が懸念をされている状況です。
現在、CGIAR傘下の、フィリピンに本部を置く国際稲研究所、IRRIでは、これまでも日本は同研究所との協力で実績を上げてきており、高温に強いにじのきらめきも、このIRRI時代の研究が生かされたものと承知をしております。
同研究所では、東南アジアやアフリカのニーズに応えるため、高温のほか、乾燥や塩分など複数のストレスに耐える品種の開発が進められておりますが、気候変動に対応した育種を進めるためにも、研究に日本の意思を反映できるよう、資金での貢献とともに、人的貢献にも積極的に取り組んでいくべきと考えます。
そのためにも、若い研究者が海外で活動しやすい環境整備が重要です。研究者が日本からなかなか出ていかない理由の一つが、将来の安定性に対する不安だといいます。研究を終えて日本に帰ってきたときの居場所がないということです。かつてはJIRCASに在籍して海外に出るというようなパターンもありましたけれども、独立研究法人に移行した後は、そのようなルートもなくなっております。
国際研究協力を推し進めるためには、若い研究者が将来に不安を抱かないで研究に打ち込めるような仕組みの構築、その環境づくりに積極的に取り組んでいかなければいけないと考えますけれども、この点について見解を伺いたいと思います。
○堺田政府参考人 お答えいたします。
気候変動に対応した米の育種を進めるためには、豊富な遺伝資源や蓄積された品種開発技術を持ち、各国政府とのネットワークも有する国際稲研究所との連携が重要と考えております。
委員御指摘のとおり、我が国の研究機関は古くから国際稲研究所と連携をして高温耐性稲研究を行い、その成果を活用して国内向けの新品種の開発も進めているところでございます。
御質問のありました若手研究者が積極的に海外に出られる環境づくりにつきましては、日本人研究者がIRRIで研究を行うことで、我が国の優れた技術を生かし、また我が国にも裨益する研究を進められることから、農林水産省が拠出するプロジェクトにおきまして日本人の研究者の派遣を組み入れるなど、若手研究者が国際舞台で活躍できる環境づくりを検討してまいりたいと考えております。
○角田委員 時間となりましたので、以上で終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○藤井委員長 次に、八幡愛さん。
○八幡委員 れいわ新選組の八幡愛です。
議員となって二年目、引き続き農林水産委員会で国民の代弁者の一人としてストレートに質問をぶつけていきたいと思っております。
鈴木大臣は、これまでの大臣の中で一番私と年齢が近いので、活発なやり取りに期待をしております。どうぞよろしくお願いいたします。
大臣就任の際、御自身のキャリアと御地元である山形県の銘柄米にちなんで、生え抜き大臣と自称されていることが話題となりましたけれども、私もれいわ新選組の生え抜きでございまして、高市政権誕生の前からこの農林水産委員会で誰よりも積極財政という言葉を言ってきたんですよ。まさに高市政権といえば、繰り返し総理がおっしゃっております責任ある積極財政、所信説明演説では、戦略的に財政出動を行いますと言及されております。
まず、鈴木大臣が考える責任ある積極財政とはどのようなものでしょうか。大臣の思いを聞かせてください。お願いします。
○鈴木国務大臣 御質問ありがとうございます。今度、山形県のはえぬきも愛していただければありがたいなと思います。
まず、高市内閣では、強い経済を構築するため、責任ある積極財政の考え方の下で、戦略的に財政出動を行うことにより、所得を増やし、消費マインドを改善をし、事業収益が上がり、税収を増加させる好循環、これを実現することを目指しております。
ですので、この考え方の下で、農林水産省としても、あらゆる政策ツールを総動員して、稼げる農林水産業を創出するための戦略的な投資を促進していく必要があると考えております。
特に、我が国の農政においては、改正食料・農業・農村基本法の成立を契機に、令和七年度からの五年間で、農地の大区画化や共同利用施設の再編、集約、合理化、スマート農業技術の開発、普及、輸出産地の育成といった施策を集中的に講ずることとしておりまして、農業構造の転換をしてまいりたいというふうに思っております。
このために必要な別枠予算については、補正予算、当初予算を併せて確保していくほか、こうした集中対策も含めて、本年四月に策定した新たな食料・農業・農村基本計画に基づき、我が国の食料安全保障を強化し、稼げる農林水産業を実現してまいりたいと思います。
今まではこうだったという発想ではなくて、本当の意味で、真に現場の皆さんが頑張ろうというふうに思えるように取り組んでまいりたいと思います。
○八幡委員 農林水産委員会で農水関係の予算を、大臣も含めて、皆さんもそうですけれども、引き下げる、むしろ引き上げていくんだと、引き上げることに反対する会派はいないと思いますので、是非、鈴木大臣には積極的に予算確保に動いていただきたいんですが、しかし、令和八年度の農林水産予算の概算要求、二兆六千五百八十八億円なんですが、今年度より少しは増えているとはいえ、全然足りないと私は思っています。れいわ新選組は、国民の命と暮らしを守るためにも、予算倍増、五兆円台を目指すべきだと訴えているんです。そこで大臣にも期待をしているんですが。
でも、高市総理、私は心配事があって、農政に関して余り興味がないのかなと思ってしまうんですよ。高市総理の所信表明や全大臣の指示書の中での農林水産分野に関する言及を見ますと、ほかの分野に比べて少し少ないんじゃないかなと、農水委員としては不安を覚えたんです。
鈴木大臣に対しての指示書は、五項目で、A4プリントの半分ぐらいでした。分量としては、沖縄基地負担軽減とか拉致問題担当大臣に向けた指示と同じくらいだったんですけれども、財務、外務、厚労、経産の各大臣指示書は二ページにもわたっておりますし、項目も多いですし、これらと比べますとどうしても何か農水だけ温度差を感じるんです。
就任前に総理から、稼がなきゃ駄目よ、稼ぐんよと電話がかかってきたエピソードなんかを話されていましたけれども、私としては、当時というか今もですけれども、新米が出ても高くて買えない、お米の価格が高止まりしているということが国民の関心事だったのにもかかわらず、少し何かちょっと、指示書なんかを見てもずれた印象を受けました。
鈴木大臣から見て、高市政権の農林水産分野に対する関心、気持ちの入れようはどう映っておられるでしょうか。お願いいたします。
○鈴木国務大臣 御質問ありがとうございます。
私は、指示書をいただいたときに、こんなにいっぱい書いてあるのかと正直思ったんですけれども。
高市総理は、全ての田畑の有効活用に加えて、植物工場などの先端技術も活用して、稼げる農林水産業をつくり出したいという強い思いを持っておられます。私に対してもそういった趣旨のお話を何度も何度も、私自身も総理ともしております。
また、大臣就任時に総理からは、食料安全保障の確保のほか、完全閉鎖型植物工場等を展開し、また、米についても安定供給を推進をすることというのが指示書に入っております。そして、この五年間の構造転換期間に集中投資を行うこと、二〇三〇年に五兆円の輸出目標を実現することなど、農林水産行政について五つの御指示がありました。
総理のお考えや御指示もしっかりと受け止めて、食料安全保障を確立し、国民の皆様に食料を安定的に供給するとともに、生産現場の皆さんが先を見通すことのできる農政を展開してまいりたいと思います。
○八幡委員 鈴木大臣、先ほど五項目で多いとおっしゃったんですけれども、もっと欲張らないと駄目ですよ。前の小泉大臣みたいに、遠慮なくどんどんどんどん自分の考えを表明していただきたい。私はそれを引き出せるようにちょっと努めて頑張っていきたいなと、今話を聞いて思いました。
そんな大臣にちょっと一言だけ高市総理に言うておいてほしいことがあるんですけれども、高市総理が、カロリーベースで自給率一〇〇%を目指すとおっしゃったんです。さすがのれいわ新選組も、そこは一〇〇%と言ったことはないんですよ。普通に考えて国土面積を考えても難しいですし、飼料の自給率を上げるというのも分かるんですよ、多分総理も分かっていらっしゃるとは思うんですが、総理の口から出てくる数字が現実と乖離していて心配になりました。
れいわ新選組としては、地に足を着けた農政として、まずは食料自給率五〇%超えを目指すことを掲げておりますから、その辺り、また高市さんにちょっと言うておいていただけるとありがたいです。やる気があるのはいいんですけれども。
ということで、次行きますね。
先ほども申し上げました、高市総理、とにかく農政で稼ぐんだと。鈴木大臣も、農林水産業、食品産業の海外から稼ぐ力を強化していくために、二〇三〇年には年間五兆円の輸出額目標に向けて取組を進めると表明されております。
昨年の農林水産物と食品の輸出額というのは約一兆五千億円ですから、三倍以上になりますので、もしこれを本当に実現できれば日本にとって大きな意味を持つと思います。しかし、輸出を増やすためには、当然ですが、国内の生産を増やす必要がありますよね。大臣自身も、生産する現場の皆様の心が動かずには効果は発揮できない、このことを心に留めて、農は国の基なりという言葉のとおり、農林水産省の最も重要な使命である国民への食料の安定供給を実現していきますと強調されておりました。
そうであれば、海外輸出前提の前に、まずは国内の農林水産業の維持、安定供給、拡大に目を向けるべきではないでしょうか。輸出を拡大できるということにはこしたことはないと思うんですが、国民が国産のものが食べられないとか、お肉などそうですけれども、値段が高くて国産に手が出せない、日本に住んでいながら結局輸入品ばかり食べる状態になっては意味がないと思うんです。
そして、最大の貿易相手国の一つ、中国ですよ。輸出額の振れ幅も大きいですし、これからどうなっていくか分かりませんけれども、今回分かったことは、時の政権の政局とか総理の余計な一言で他国との関係が揺れ動いて、農政にも影響が出てしまうかもしれないということが露呈されたと思うんです。
稼ぐマーケットとして海外を重視するのはもちろんある一定理解はできるんですけれども、国際情勢に振り回されていてはそれでは意味がない。その前に、国内生産の安定、食料の安心確保に最優先で取り組んでいただきたいのですが、大臣のお考えをお聞かせください。お願いします。
○鈴木国務大臣 御質問ありがとうございます。
まず、人口減少に伴いまして、国内需要の減少、これは、人口減少プラス高齢化ということで、人間、年を取れば取るほど食べる量がちょっと減ってしまいますので、そうしたことに伴いまして国内需要の減少が見込まれる中で、生産基盤を維持するためには、国内へのしっかりとした安定供給、これがまず第一です。これに加えて、輸出を通じて稼げる農林水産業を実現することが不可欠であるというふうに考えております。
委員は今、輸出依存のというお話をされましたが、輸出に依存するというわけではなくて、第一は国内への安定供給、そしてその上で、稼ぐところは輸出でも稼いでいくという姿勢であります。
生産額に占める輸出額の割合は、ほかの先進国が一〇%以上であるのに対して、我が国は伸びてきたとはいってもまだ二%程度でありますので、輸出拡大についてはまだまだ道半ばということになります。
輸出額は、様々な海外情勢の中であったとしても、昨年一兆五千七十一億円となりまして、十二年連続で増加をしています。本年九月までの輸出額も前年同期比で一五%増となっており、過去最高のペースで輸出が拡大をしております。
引き続き、世界の食のマーケット、これは、世界の人口が増えるのと同時に経済成長もしますから、食のマーケットが拡大をしていくということも考えながら、しかしながら、国際的な通商環境の様々な変化にも対応して、輸出先国、地域の規制やニーズに対応して、低コストで生産、供給できる輸出産地の育成や未開拓のマーケットの開拓、そして輸入規制の撤廃、緩和への働きかけなど、輸出先の多角化も図りながら、更なる輸出拡大、結果として稼げる農林水産業ということにつなげてまいりたいと思います。
○八幡委員 まずは国内、その次に輸出なんだということを言質が取れたのでちょっと安心はしたんですが。
では、国内でこれから高市政権、そして農水省は何に力を入れていくのかなという話に移るんですけれども、高市総理も鈴木大臣も、所信表明の中で、私が個人的に一番気になったのが植物工場だったんですよ。高市総理の所信表明で、輸出促進のために、世界トップレベルの植物工場を活用すると強調しているんですけれども、まず、農水省としての植物工場というのはどのようなものなのか、想定しているのか、教えてください。お願いします。
○堺田政府参考人 お答えいたします。
植物工場につきましては、気候変動、異常気象の頻発化など、食料安全保障上のリスクが高まる中で、食料の安定供給に貢献する技術だと考えております。
例えば、人工光型の植物工場、閉鎖型の植物工場でございますけれども、その中で、光、温度、湿度、養液などの精密制御、あるいは生産工程の自動化により高効率の生産を行う、そういったことで、自社、関連会社とも連携し、加工、業務用を中心に、安定的な販路を確保して、リーフレタスの安定供給を実現している事例があるということで、こうした技術をしっかりと進めていきたいというふうに考えているところでございます。
○八幡委員 農水省が先ほどおっしゃったみたいに、気候変動はありますよ、自然災害もこれからあるかもしれない、その影響を抑えるためにも植物工場の在り方というものを最先端でやっていくんだ、この考えは理解するし、否定するものではないんですが、本当にそれは実現できるのかということが一つ。
そして、いずれにしても、なぜ今植物工場なのかというのが気になって仕方がないわけです。というのも、これまでに様々な取組がなされてきていますよね。国内外の事例を見てもそれほど大きな成功例というのが私の中では見つからなかったんです。十年ほど前から事業の数が増えているんですが、その後は減少傾向になっているというのが現状なんですよ。それだけではなく、一時的に大規模化した後、経営破綻をするというケースも散見されております。それで、私自身の生産者の知り合いにも植物工場について聞いてみたんですが、やはり、何か余り成功するとは思えないという見解だったんです。
大臣に聞きたいんですけれども、ちょっと正直に申し上げますが、初期費用と維持費がかなり高額なイメージがあるんです、植物工場というのは。何だか、補助金とか利権とか、お金のにおいがするんですけれども、まさかそんなことないと思うんですが、そうでないなら、ないと言ってほしいし、本当に大臣が本気で植物工場に期待をしているのかどうか、その辺り、私の懸念を払拭していただきたい。お願いいたします。
○鈴木国務大臣 植物工場に何か利権とかそういうにおいがするというのは、それは全く筋違いのお話だというふうにまずは申し上げておきます。
その上で申し上げると、今、気候変動も含めて災害のリスクが、これは日本だけではなくて、世界的に上がってきているんですね。そのリスクについては、地べたに張りついている農林水産業は、やはり、どこでやるかというのは、要はその土地でやるしかないですから、そこが災害が多いか少ないかについてはなかなか選べないといった事情もあるわけです。そういう中で、植物工場であれば、ある種、災害リスクの少ない場所に立地をするということが可能になりますから、そういう意味で、今後可能性があるんだろうというふうには思っています。
ただ、委員も今御指摘のとおりで、世界中に植物工場というのは実はブームが来まして、一通り、何となく今、大体、アメリカもかなり植物工場は大きいのが建ったんですけれども、資金は集まったものの、結果、その後倒産をしているという事例もたくさんあります。
ただ、これから私たちが実はチャレンジをしていきたいと思っているのは、植物工場の分野は実は日本の技術が最も進んでいます。ですから、私たちの国の強みというのを生かしてチャレンジをしていく、ブレークスルーが我々これからできるのではないかというふうに思っております。
そういう観点も含めて、災害時への対応、そのリスクへの対応と日本の技術が詰まっているという観点から、是非しっかり投資を促進できる環境を整えていきたいと思います。
○八幡委員 ありがとうございます。よく分かりました。
私も災害対応というのはこれから、生産者の皆様のことも考えても絶対大事なことだと思いますので、この国が目指していく植物工場、技術がしっかりとうまいこといくのかどうか、私も機会があれば視察も行ってみたいなと思いますし、引き続きちょっと経営状況なんかもチェックして、また大臣と議論をしていきたいと思っております。
続いて、鈴木大臣、前政権のお米の増産ではなくて、需要に応じた生産というのを強調されております。これは結局これまでの生産調整になるのではないかという懸念を国民の皆さんは抱いたと思うんですけれども、高い米価格に対してお米券で対応するというのを当初から言われていたイメージが皆さん強いと思いますが、その予算は既存の物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金、この交付金を使ったお米券の配付、報道によれば六十近くの自治体が既に実施をされております。
政府は従来の交付金の枠組みとは別に食料品の高騰対策を推奨メニューに追加することを計画されていて、その交付金をお米券に使うことを進めるという狙いがあると報道されておりますけれども、最終的な使い道はその自治体が決定しますよね。結局は地方自治体の判断に任せることになりますし、何より自治体の事務負担が大きいんじゃないかなと私は心配しております。
あと、プレミアム商品券とか、地域で活用できるマイナポイントの発行なども推奨されておりますけれども、何だか危機感がないというか、令和の米騒動を経てそれなのかと思いますし、何か昭和の時代に戻ったなというような感覚もありますし、積極財政というんだったら、まどろっこしいことをせずに、さっさと現金給付すればよかったのにと私は思いました。
れいわ新選組のお米に関しての基本政策は、政府支出によって生産者への直接支払いを行う上で所得補償していく、国民生活に寄り添った価格の保障や現金給付、そして、余剰分は政府が買い上げて備蓄に回す、備蓄を強化していくという、生産者も消費者も守る政策、まさにこれこそが積極財政だと掲げているんですが、鈴木大臣の考えを聞かせてください。お願いします。
○鈴木国務大臣 今れいわ新選組の米政策についてお話がありましたけれども、私が今の印象をちょっとお話をさせていただくと、食糧管理法の時代のかなり昔の政策にちょっと考え方が近いのかなという印象を受けました。
我々としては、米の価格も含めて、生産者の再生産や再投資が可能な価格、そして消費者も安心できる、購入できる価格に需給のバランスを保つことによってそこに落ち着いていくということが何よりも重要であると考えておりますので、食料システム法に基づいて、米の合理的な費用を考慮した価格形成などもやらせていただきたいと思います。
万が一の大幅な農産物価格の下落等に伴い農業収入が減少した場合は、収入保険やナラシ対策などのセーフティーネットを措置している、こういうところでありますので、また今後とも御議論させていただければと思います。
○八幡委員 れいわ新選組の政策にちょっとでも寄り添っていただいて安心しました。話だけでも、前の小泉大臣のときは、れいわが訴えることは自民党の公約の中にはございませんと笑顔でぶった切るだけだったので、ちょっとは想像していただけたかなと。食管法を目指しているわけではないですけれども、ちょっとは想像していただけただけでもこれから議論が活発になっていくかなと思っていますが。小泉大臣は、さっき言いましたけれども、それでもセーフティーネットは必要だという認識は示されていたわけですよ。
鈴木大臣は、消費者にも理解をしてもらう必要があるというのを繰り返しおっしゃっていると思うんですけれども、もう消費者というのは十分理解していると思うんですね。それでも物価高騰で家計が逼迫していて、こんなときこそ政府に頼りたい、政府はお米を何とかしてくれないか、何とか現金給付してくれないかというのがみんなの本音だと思うんです。
なので、是非、国民が今何を求めているのか、今日冒頭からいろいろな質問をしてきましたけれども、やはり若干ちょっとつぼがずれているときがあるので、そこを、こうやってみんなで質問することによって一緒に考えていきたいななんて思っております。
この後、私、農水省の職員をもっと増やした方がいいという話を用意をしていたんですが、またの機会にちょっと回させていただきます。通告レクに来てくださった官僚の方に人は足りていますかと言ったら、足りていないとは言えないわけですよ。でも、大臣が一番よく分かっていらっしゃると思うんだけれども、農水省の職員というのはずっと減らされ続けているわけですよ。それでも、所信表明の中では、現地に職員さんを派遣するでというのが入っていたわけじゃないですか。だから、ここの人員の確保ということも私は引き続き訴えていきたいと思います。
ということで、また次回、大臣にいろいろな質問をぶつけられることを楽しみにしておりますので、今後ともよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
○藤井委員長 次に、北神圭朗君。
○北神委員 有志の会の北神圭朗です。
ちょっとペースをゆっくりめに戻していきたいと思いますが。
鈴木大臣、おめでとうございます。今まで若干小道、脇道に農政がそれていたのを、皆さんからすればですよ、また元の道に戻るということだと思いますけれども、令和の米騒動については、やはりただ単に昔に戻るだけでは駄目だというふうに思います。
それはやはり、生産者から見ても、余り価格が高騰しちゃうと米離れ、あるいは輸入米の方にいってしまう、これは中長期的に見たらよくないということだというふうに思いますので、若干ちょっと過去を振り返ってみたいと思います。
資料を御覧いただきますと、一ページ目の一番上ですが、今回、令和四年、五年産で六十五万トンの供給不足が生じていたと。そこがやはり原因で、そこで需要の先食いというのがあって、それでさらにまた令和六年産で三十二万トンの供給不足が生じて、去年の春ぐらいから、まずは量が足りない、価格が高騰していったというのが私の見方で、皆さんおっしゃるように、去年の南海トラフとかそういう緊急的な需要増もあったと思いますが、基本はここにあるというふうに考えています。
それで、三つの要因に分解できる。一つは、やはり農水省の大方針、需給の計画をするときに、過去五年間を見ていると、大体、自分たちの需要見通しよりも数万トンあるいは十数万トン低い生産の目安というものを置いているということが一つ。もう一つは供給の純減、そして三つ目が需要が増えた、この三つの要因に分解していきたいと思います。
最初の、あえて生産目安を予測需要よりも低めにずっと置いているという理由は、推測するに、価格の下支えかなというふうに思いますけれども、これがかなり大きいんです。六十五万トン供給不足、令和四年、五年の。これを見ると、もう最初から、皆さんの計画からして、令和四年、五年産で二十七万トン、もう計画から供給が足りないということになっていますが、果たしてこれでよいのか、今後。こういうことを伺いたいと思います。
今後、需要に応じた生産をすると大臣はおっしゃっていますが、やり方はこういう方式でやるのかということです。
○鈴木国務大臣 御質問ありがとうございます。
まさに北神委員が御指摘のことは、本当に我々しっかりとそれを踏まえてこれからやっていかなければならないというふうに思っています。
やはり、反省といたしましては、まず、米の基本指針において、生産量と在庫量から需要量の実績を算出して、そのマイナストレンドを基にして需要の見通しを算出をしてきたということです。令和四年産までは、このグラフにもあるとおり、需要の見通しとまず実績の差というのが比較的小さかったわけですが、ただ一方で、最近は逆の方に幅があって供給不足を招いてしまったということになってしまっております。
ですので、これから、七年産の需要見通しの算定方法を改めまして、人口減少や直近の一人当たり精米ベースの消費量の実績、そしてインバウンド需要の動向や、また、高温でありますから精米した際の歩留りなども考慮するという方法に見直しをしております。
こうしたことを踏まえて、八年産は、需要量を最大七百十一万トンと見通すのに対して、生産量の見通しは余裕を持って設定するとの考え方の下で、その上位の値に、七百十一というふうに設定をさせていただいているところであります。
これからこういうことのないように取組をさせていただきます。
○北神委員 大変真摯なお答え、ありがとうございます。余裕を持って設定するというのは私もずっと提案をこの委員会でしていましたので、大変心強いというふうに思っています。
次、需要の増の方の話をしたいと思います。
裏側を御覧いただきますと、需要実績と需要見通しの乖離、農林水産省の八月の検証ですけれども、特に令和六年から七年にかけた六年産米について、需要実績が皆さんの見通しをかなり大幅に、三十七万トン上回っているという分析です。
令和六年産、右の方を見ていただきますと、精米の歩留り、これは需要に入れるかどうかというのはちょっと私も疑問が一定ありますけれども、あえて入れたとして六万トン、インバウンド需要が六・三万トン、家計購入量の増加が十一万トンということになるんですけれども、それでも足せば二十三・三万トンぐらいで、いまだに十四万トン、需要実績から需要見通しの幅に満たないわけですね。
要するに、十四万トンの需要はどこに行ったのかというミステリーが生じているわけです。そこを皆さんどうお考えか、教えていただきたいと思います。
○山口政府参考人 お答え申し上げます。
委員の御指摘のとおり、令和六年産につきまして、需要実績と需要見通しの乖離が三十七万トン生じていることでございますが、本当に、委員が御指摘のとおり、精米歩留りの悪化で約六万トン、インバウンドの需要で約六・三万トン、家計購入量の増加で約十一万トンという形で要因を挙げておりますが、要因の全てを我々として特定するのは難しいというふうに考えております。
一方で、これまでの需給見通しは玄米ベースでのみ考えられていたため、精米量が把握されておらず、また精米歩留りの悪化の状況も見通しには反映されていなかったということで、八月の検証におきましては、玄米ベースではなくて精米ベースでの供給量、需要量の把握が求められたところであり、算定方式を精米ベースへ改めたというところでございます。
○北神委員 この十四万トンが、簡単に言うと分からぬということですね、局長おっしゃったのは。
だから、質問ではないんですけれども、大臣も是非聞いていただきたいのは、まず、私の常識感覚でいうと、こんな三十七万トンとか二十三万トン、急にお米の需要が増えるというのがまずちょっと現実的に考えられない。さらに、その三十七万トンの中で、皆さんの分析でいってもまだ十四万トン行方知れずだということなので、ここは私の仮説ですけれども、やはり供給が皆さんが思っているほど増えていないような気もするし、ちょっとここは何とも、私も裏づけはございませんけれども、普通に考えてこんなに需要が増えるのかということですので、これは皆さんの総括として受け止めますけれども、やはり今後、本当に、素直に、皆さんにしてみたら供給が少ないということは多分言いづらいというふうに思いますけれども、やはり現実を直視した上でちゃんとした政策はできますので、そこをお願いしたいというふうに思います。
三つ目の要因である供給純減についてなんですが、今の十四万トンの行方にも関わってくるかもしれませんけれども、皆さんの今までの供給の算定の仕方というのはいわゆる作付面積というのを使ってこられた。作付面積というのは割と手作りの調査方法で、農業再生協議会、ここに農家の皆さんが報告をして、うちの田んぼのこの部分、この割合は作付にするとか、そういったサンプル数で全体の数字をたたき出すということになっています。
ところが、いわゆる手作りであるし、私、現場に聞いたら、紙媒体でやっている。これは誰とは言いませんけれども、役所の人が来て、今年の作付意向を教えてくださいというふうに言っても、もう適当に、年を取って、やめるかやめないかというような農家の人は、ああ、去年と一緒やということも言っている実態も直接聞いております。
ですから、統計ぐらい、そんな誤差は生じて当たり前やろうと皆さん思われるかもしれませんけれども、しかし、皆さんのやっているお米農政というのはかなりこういうことが重要になってくるわけですよ。極めていわゆる一般の市場経済とは違うことをやっておられますので、一%作付面積に誤差が生じたら、大体七万トン違ってくるわけですね、数字が。
ですから、一枚目に戻っていただきますと、今までも生産目安と実際の生産量というのが令和四年、五年産についてはちょっと減っていた。逆に、令和六年産になると増えている。これは多分、農家の皆さんが、結構売れ始めているぞ、値段が上がっているぞということで増やしたんだというふうに推測していますが。
そして、もう一回裏に戻っていただいて、日本経済新聞、これは令和六年産について記事を書いていますが、いわゆる衛星観測のデータに基づいても、三十五都道府県で国の公表値を上回っていたということが、これはこういう分析をしていますし、国交省の土地利用データを用いた東北大学の米沢教授も同じような結果が出ていますので、やはりここの統計をちゃんと見直して整備をすることが極めて重要だというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○深水政府参考人 お答えいたします。
まず、日本経済新聞の作付面積についての分析については、JAXAの衛星観測に基づく分析手法の妥当性についての検証等も必要ですので、これをこのままというわけにはいかないわけですけれども、我々も農林水産省として行っております作付面積の調査につきましては、令和六年まで全国の土地から無作為に抽出した区画において作付状況の実測の調査を行って、それに基づいて作付面積を推計しているところでございます。その段階で再生協の数字を足し上げてやっていたわけではございません。
この調査結果に基づく我々が実測調査をした結果と、地域再生協議会の報告の集計値を比較しますと、その整合性は非常に高くなっております。したがって、協議会の面積は実測の調査とほぼ一致しているということが確認できております。一部に協議会で作付面積が把握されていない箇所もあるということはもちろん承知してございますけれども、その差が生じているところにつきましても、協議会が把握できていないところ、生産者等を特定をして、差が生じている要因を把握しているというところでございます。
こうした検証を踏まえながら、令和七年産から、そうした協議会のデータも活用しながら、これまでの検証で明らかになっている協議会で把握されていない箇所などについての情報収集による確認等を行いまして、補完して水稲作付面積を推計しております。作付面積については正確に把握できているものと考えているところでございます。
○北神委員 検証をしっかりして、できるだけ精度の高いものをお願いしたいというふうに思います。
最後に、今後の話ですけれども、今過去の分析をしましたが、逆のことを言っているようですけれども、皆さん多分御案内のとおり、来年はちょっとお米の暴落の方が怖い、これはまさに生産者に大打撃になります。
皆さんは、今度の生産見通しを見ますと、今までの反省を踏まえたのか知らぬけれども、一枚目の、六百八十三万トンを七百三十五万トンに生産見通しを上げているということなんですが、二ページ目、裏をまた振り返って見ていただきますと、お米の消費動向については、これは公益社団法人米穀安定供給確保支援機構の数字ですが、ここずっとマイナスなんですよ。これは多分、今後もずっと続いて、もう足りているという状態で、スポット市場とかを見てもかなり契約率が、いわゆる成約率が八%しかないとか、それも概算金よりも価格を下げたものを提供してももう余っている、じゃぶじゃぶやということなので、これについて皆さんのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○山口政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、今年十月に公表した主食用米の需給見通しでは、令和七年産の米の生産量は七百四十八万トン、令和八年六月末の民間在庫量は二百十五万から二百二十九万トンと、直近十年程度では最も高い在庫水準になるという形になってございます。
この際の需要量は六百九十七から七百十一万トンと見通しておりますが、委員御指摘のとおり、見通しよりも需要量が少なくなった場合のほか、例えば枠外の輸入が増加したというような場合には国産米の需要が減少することになりますので、六月末の在庫量は増加するような形になって、いわゆる余るというような状況になってくるという可能性はあるわけでございます。
一方では、先ほど岡田委員のときにも申し上げましたけれども、足下の例えばPOSデータの情報ですとか精米の状況とか、そういうデータを見ますと、一概に今この段階で必ずしも減少という方向に向かっているわけではありませんので、一概に今の状況がどうだというふうに断定的には言えませんが、ただ、我々としてもきちんとウォッチしながら市場の動向を注視しなければいけないという必要性は強く感じているところでございます。
○北神委員 前兆を捉えることが大事だと思いますので、よろしくお願い申し上げて、質問を終わります。
ありがとうございました。
○藤井委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後二時三十三分散会

