第15号 令和8年6月16日(火曜日)
令和八年六月十六日(火曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 藤井比早之君
理事 東 国幹君 理事 笹川 博義君
理事 野中 厚君 理事 平沼正二郎君
理事 和田 義明君 理事 野間 健君
理事 原山 大亮君 理事 村岡 敏英君
石坂 太君 伊東 良孝君
江藤 拓君 門 寛子君
加藤 大博君 今 洋佑君
西條 昌良君 鈴木 拓海君
田宮 寿人君 俵田 祐児君
中川こういち君 西田 昭二君
西山 尚利君 葉梨 康弘君
広瀬 建君 藤田ひかる君
藤田 洋司君 宮下 一郎君
簗 和生君 山本 深君
庄子 賢一君 吉田 宣弘君
渡辺 創君 柏倉 祐司君
関 健一郎君 長友 慎治君
木下 敏之君 林 拓海君
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農林水産大臣 鈴木 憲和君
農林水産副大臣 根本 幸典君
農林水産大臣政務官 広瀬 建君
政府参考人
(農林水産省大臣官房技術総括審議官) 堺田 輝也君
政府参考人
(農林水産省輸出・国際局長) 杉中 淳君
政府参考人
(農林水産省農産局長) 山口 靖君
政府参考人
(農林水産省畜産局長) 長井 俊彦君
政府参考人
(農林水産省経営局長) 小林 大樹君
参考人
(国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構理事長) 千葉 一裕君
農林水産委員会専門員 千葉 諭君
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委員の異動
六月十六日
辞任 補欠選任
加藤 大博君 藤田 洋司君
中川こういち君 田宮 寿人君
角田 秀穂君 吉田 宣弘君
同日
辞任 補欠選任
田宮 寿人君 中川こういち君
藤田 洋司君 加藤 大博君
吉田 宣弘君 角田 秀穂君
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
重要品種の育成及びその種苗の生産の振興に関する法律案(内閣提出第四六号)
種苗法の一部を改正する法律案(内閣提出第四七号)
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○藤井委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、重要品種の育成及びその種苗の生産の振興に関する法律案及び種苗法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
両案審査のため、本日、参考人として国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構理事長千葉一裕君の出席を求め、意見を聴取し、また、お手元に配付のとおり、政府参考人の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○藤井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○藤井委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。俵田祐児君。
○俵田委員 おはようございます。自由民主党の俵田祐児です。よろしくお願いいたします。
私は、衆議院の比例中国ブロック選出で、山口県出身でございます。本日、このように質問の機会をいただきました皆様に感謝いたしまして、質問に移らせていただきます。
私の地元山口県は、三方を海に囲まれ、県土の七割は中山間地域が占めるなど、非常に豊かな自然に恵まれております。
農業では、県オリジナル野菜のはなっこりーを始め、特色あるユリの花、結婚式場などで着物を汚さない、花粉がない、大き過ぎないという特色あるプチシリーズ、ユリの花ですが、これを開発するなど、ほかに、県が育成したかんきつ、せとみを、高品質ブランド、ゆめほっぺとして、品種改良だけでなく、ブランド化にも力を入れております。
このように優れた品種を開発し、価値を高めて販売していく取組は、地域の農業を発展させるために大変重要です。また、近年の温暖化による栽培環境の変化への対応や輸出競争力を高めるためにも、新たな優良品種の開発を継続していくことは絶対に欠かせません。
農業の現場を歩いてみると、例えば、山口県では、暑い時期を避け、国内一早く咲くリンドウの開発や、農研機構が育成した高温耐性の稲、恋の予感の導入など、新しい品種の力で温暖化の課題に対応しております。こうした品種の開発は、より一層スピード感を持って進めていく必要があります。
一方で、日本が開発した優良品種が海外に流出し、現地で勝手に栽培される事例が問題になっています。せっかくブランド化して輸出を頑張っても、海外の流出品と競合してしまっては、現場の農家さんにきちんとした利益が残らず、次の新品種開発への投資にも悪影響が出てしまっています。
そこで、本日は、我が国の植物新品種の海外流出対策と新品種育成の推進について質問をさせていただきます。
近年の高温化などの気候変動によって、農業の生産現場では悪影響が顕在化しています。そうした状況下において我が国の食料の安定供給を確保するためには、現在、生産現場が抱えている課題に対応した品種を育成し、普及していくことが重要と認識しております。
そこで、お尋ねをいたします。
今回提出された品種の育成と種苗の生産に重点を置いた本法案の狙いについて、政府のお考えをお伺いをいたします。
○根本副大臣 お答え申し上げます。
気候変動や農業者の減少などに対応するためには、高温耐性や多収性などの形質を持ち、広域での課題解決に資する新品種の育成と普及が急務であります。
新品種の育成には、米で約十年、果樹では三十年以上と長い期間がかかり、多大な開発コストが必要となる中、公的機関における人的リソースの減少や、実需者や農業者との連携不十分による普及の遅れが課題となっているところであります。
また、新品種の迅速な普及に向けては、育成された品種の種苗が円滑に生産され、農業者まで供給されることが重要となりますが、種苗生産者の減少が進む中で、その効率化が課題となっております。
このため、本法案では、農研機構の研究設備の供用などによる産学官が連携した育成体制の構築を後押しする計画認定制度、そして、種苗生産圃場の集団化などによる効率的な種苗生産体制の構築を後押しする計画認定制度を講じることとしております。
このように品種育成から種苗生産までを体系的に支援する仕組みを講じることで、気候変動などに対応した新品種の育成、普及の迅速化を図ってまいりたいというふうに考えております。
○俵田委員 御答弁ありがとうございました。
本法案で、現場課題の解決に向けた品種の育成と普及の迅速化を進めるという狙いがよく分かりました。ありがとうございます。
次に、品種の育成を進めていくことは、食料の安定供給の確保に向けて非常に重要な取組と認識しておりますが、品種育成に必要な先端的な設備の整備が難しいことや研究者が減少している状況からも、都道府県等の単独の取組だけでは難しいと考えております。
先日行われた参考人質疑においては、品種育成の中心的な機関として、農研機構には様々な役割が期待をされております。
そこで、農研機構にお伺いをいたします。
今後、農研機構は、他の育成機関とどのように連携していくお考えがあるのでしょうか、お尋ねをいたします。
○千葉参考人 農研機構理事長の千葉でございます。
農研機構は、従前から、優れた形質を持ち、広域で普及できる先導的な品種の育成を進めるとともに、公設試験場等との共同研究により、各地域のニーズに応じた品種の育成にも取り組んでまいりました。
食料・農業・農村基本計画においては、農研機構は、産官学連携のハブとなり、地域課題の解決に向けた研究開発を推進することとされており、気候変動等の農業をめぐる情勢に対応した品種を迅速に育成、普及していくためには、これまで以上に各育成機関と連携を進めていくことが重要であると認識しております。
本法案では、農研機構の先端的な研究施設設備の供用や農研機構の職員の派遣を可能とする特例措置が設けられており、こうした期待される役割に応えられるよう、産官学連携の中心的役割を担うべく、取組を進めてまいりたいと考えております。
○俵田委員 御答弁ありがとうございました。
農研機構に求められている役割が遺憾なく発揮されることを期待しております。
続いて、本法案のもう一つのポイントである種苗の生産に関連して伺います。
種苗の生産に関しては、先日、参考人質疑において、両参考人から、種苗生産に係る労働環境や種苗生産者の高齢化等、種苗生産の現場は厳しい状況にあるとお話がありました。
どんなによい品種ができたとしても、その種苗が広く速やかに農業者の下へ届かなければ、その効果を実感することはできません。
そうした課題を抱える種苗生産について、本法案を通じてどのように種苗の供給体制を確保していくのか、お伺いをいたします。
○堺田政府参考人 お答えいたします。
手作業の多い作業体系など、種苗生産特有の課題を克服し、将来にわたって安定的な種苗の供給体制を確保するためには、種苗生産の効率化が重要であると認識しております。
このため、本法案におきましては、重要品種の種苗生産に係る計画認定制度を設け、重要品種について、種苗生産農地の集団化を推進することで、生産性の向上や、地域内での調整に係る負担軽減を図ることとしております。
これらの措置を通じまして、効率的な種苗生産環境を整備し、将来にわたって安定的な種苗供給体制を確保してまいりたいと考えております。
○俵田委員 御答弁ありがとうございます。
本法案が種苗生産現場の環境整備につながることを期待いたしております。
次に、今回、法律案における支援や特例措置もありましたが、法律における特例に加えて、重要品種の育成やその品種の生産の振興に当たって、予算における支援も必要と考えております。
お伺いいたします。
品種育成、種苗生産の振興のための予算も充実させていくべきと考えますが、いかがでしょうか。お伺いいたします。
○広瀬大臣政務官 気候変動が進行する中、高温耐性、病害虫抵抗性等を持つ品種の開発が急務であり、農業構造転換集中対策においても新品種の開発を位置づけて、令和七年度補正予算、令和八年度当初予算において必要額を措置し、取組を推進しているところです。
このほか、種苗生産への支援として、種子の乾燥調製のための共同利用施設の整備や、稲、麦、大豆の種子生産の新規参入等への支援を措置しているところであります。
また、本法案では、国に対して、重要品種の育成及びその種苗の生産の振興に当たっては、重要品種育成事業及び重要品種種苗生産事業活動を行う者に対して集中的かつ効果的に支援を行うよう努めるものとする旨の責務規定を置いており、当該規定の趣旨を踏まえ、今後、品種育成と種苗生産の両面から、必要な支援を検討してまいりたいと思っております。
○俵田委員 御答弁ありがとうございました。
政府としても、海外出願支援を推進していく考えと認識いたしました。
次に、全国で優良品種のブランド化が進む一方、地域でせっかく育てた品種が海外に流出し、無断栽培、販売される事例が指摘されています。育成者が丹精込めて開発した品種が無断利用され、正当な利益が損なわれることは防がなければなりません。
法改正の措置を講じても海外へ流出した場合、無断栽培の防止には、現地での育成者権の行使が最も効果的と考えます。しかし、農林水産省の侵害調査や海外出願への支援予算は、前年の約四億二千万円から、令和八年度執行分は約三億一千万円へと減少していると認識しております。
そこで、お伺いいたします。
今回の法改正で海外流出を効果的に防止できるのか、また、流出時の効果的な支援である侵害調査や海外への品種登録出願の予算が減少する中、これらの取組をより積極的に推進すべきと考えますが、政府の見解をお伺いいたします。
○根本副大臣 お答え申し上げます。
昨年、農林水産省が、中国、韓国の種苗会社などのインターネット販売サイトにおける日本の登録品種の販売状況を調査した結果、日本の登録品種と同じ名称、又はその品種であることを想起させる種苗が、シャインマスカットを始め五十種程度確認されました。
このように、日本の品種は海外での評価が高く、今後とも流出のリスクがなくならないことが想定されるほか、品種登録前の流出という新たな課題も明らかになっており、優良品種の海外流出は重要な課題と認識をしております。
今回、種苗法改正では、流出防止対策を強化するため、品種登録前で出願中の種苗の輸出差止め請求権の創設であったり、登録品種の輸出目的保管の育成者権の対象への追加などを盛り込んでおり、法改正が成立した際には、その円滑な施行を図るとともに、関係機関と連携して、実効性のある流出防止対策に取り組む所存であります。
あわせて、海外に品種が流出した場合の対策として、海外での育成者権を取得をし、海外での育成者権侵害に対する不断の調査を行い、無断栽培や販売が発覚した場合には、当該国の法律に基づいて法的措置を講じることが重要であると考えております。
このような海外での品種登録や侵害調査についてはこれまでも支援を行ってまいりましたが、御指摘のとおり、近年の予算額は減少しており、農林水産省といたしましては、海外流出を防止するため、必要な対策のための予算を確保してまいりたいと考えております。
以上です。
○俵田委員 御答弁ありがとうございました。
今回の種苗法改正案で海外流出対策が強化されることが分かりました。また、政府としても、海外出願支援を推進していく考えと認識いたしました。ありがとうございました。
続いて、海外での栽培の差止めを行うためには、海外で育成者権を取得しておく必要がありますが、その権利を行使して具体的な対策を講じていくためには、海外の法制度を始めとして専門的な知見が必要であり、参考人質疑においても、都道府県が得意とすることではないという意見もあったところです。
そこで、海外における育成者権の保護、活用に向けて専門性のある組織が必要と考えますが、農林水産省では、育成者権管理機関の早期立ち上げ、事業化を進めてきているとお聞きしております。
そこで、今後立ち上げられる育成者権管理機関が目指す役割や現在の準備状況についてお伺いをいたします。
○杉中政府参考人 お答えいたします。
議員御指摘のとおり、品種の育成に携わる農研機構や都道府県などにとっては、育成者権等の海外出願や海外における契約の締結、侵害に係る訴訟を行うことは、語学や法令の専門知識などが大きな負担となっているというふうに承知をしております。
このため、第二のシャインマスカットを生まないよう、優良品種の育成者権者から委託などを受けて、国内におきましては優良品種の普及と流出防止に向けた管理を行い、海外においても流出や無断栽培等の監視、侵害対応等に取り組んでいく、専門性のある育成者権管理機関を遅くとも八月までに立ち上げ、事業を開始できるよう関係者が準備していると承知しております。
管理機関が立ち上げられれば、国としてもその活動を支援していく考えでございます。
○俵田委員 御答弁ありがとうございました。
最後に、現在、鈴木大臣が立ち上げられた日本の農林水産行政の戦略本部の下に、種子・種苗確保ワーキンググループを設置されていると聞いておりますが、種子、種苗の安定供給はまさに農業の根幹であり、極めて重要な分野であります。
そこで、大臣にお伺いいたします。
今回の両法案も最大限に活用しながら、日本の種子、種苗の確保に向けて、今後どのような戦略を持って取り組んでいかれるのか、大臣の決意を聞かせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
○鈴木国務大臣 俵田先生御発言のとおり、種子、種苗は農業の基盤であるというふうに考えております。特に、昨今の気候変動にいかに対応して安定生産していくか、また生産性をいかに上げていくか、このためにも、品種の育成とその種子、種苗生産の体制をより強固なものにしていくことが重要です。その結果として、食料安全保障が確立するということにつながるんだというふうに考えております。
このため、両法案の検討と並行いたしまして、私の下で、種子・種苗確保ワーキンググループを設置をし、法的枠組みの下で取り組むべき新品種の育成、普及の加速化、保護の強化に必要な支援策の具体化に向けた議論を行ってきているところであります。
この法律が成立した暁には、ワーキンググループで検討している対応策とともに、両法案の措置を一体的に講ずることにより、優良な品種の育成から保護、活用まで一気通貫で支援をし、農業の持続的発展及び食料安定供給の確保に向けて取り組んでまいります。
○俵田委員 大臣の力強い御答弁を伺い、大変心強く思います。
種子、種苗は、日本の農業の根幹中の根幹であります。是非その取組を強力に推進していただきたいと思います。
政府におかれましては、この二つの法案に加えて、所要の予算措置も含めて検討していただき、農業現場のためになる成果を上げていただきたいことをお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○藤井委員長 次に、庄子賢一君。
○庄子委員 おはようございます。中道改革連合の庄子でございます。
法案の質疑の前に、大臣に、メルコスールの件、お言葉をいただきたいと思っておりました。
週末、地元に戻って、畜産の関係の皆さんがやはり非常に注目し、心配をしておられました。ちょうど総理もG7サミットに行かれていて、現地でブラジルの大統領との会見も、もう既に会われているかもしれません、まだ速報はいただいておりませんが。非常にみんな関心があって、南米南部共同市場は、GDPから考えても人口から考えても、日本にとっても非常に魅力的な市場であることは間違いありません。特に、自動車、機械といったところについては、できるだけ有利な関税の中で売りたいという意向があるのは分かっています。ただ、一方で、日本にとってセンシティブな牛肉の問題について、これは本当に悩ましい問題になると思われます。
そこで、農水大臣がメルコスールに対してどのような考えの下で向き合っていかれるお考えなのか、一点、大臣の所見を確認をさせていただきたいと思います。
○鈴木国務大臣 まず、政府として、メルコスールとのEPA交渉の話については、決定したという事実は現在のところありませんので、仮定の質問にはお答えは差し控えさせていただきます。
ただ、一般論として申し上げますと、いずれのEPA交渉だったとしましても、重要五品目を始めとした農林水産物のセンシティビティーには十分に配慮をした上で、攻めるべきは攻め、守るべきは守るという方針については変わりがないものでありますので、様々な生産現場の皆さんの御不安などもあろうかと思いますが、皆さんから不安に思っていただかなくていいように、どんな交渉であったとしても、しっかり対応させていただきます。
○庄子委員 今お言葉をいただきましたが、是非よろしくお願いをしたいというふうに思います。
それでは、種苗関連二法についてお尋ねをしてまいります。
今回のいわゆる重要品種の育成そして生産に関わる新法と種苗法の改正は非常に重要な法案だというふうに思っておりまして、やはり昨今の気候変動に負けない高温耐性品種の市場への投入とか、抜本的に収量を上げていくために、この二つの法案はとても大事だというふうに思っております。
その上で、品種開発とか育成においては、農研機構さん、あるいは都道府県の試験場、こういったところが大きな役割を担うのではないかなというふうに認識をしております。ただ、その一方で、施設設備については老朽化も目立っておりまして、最新の知見を得られる機器あるいは装置、こういった導入は十分とは言えないというふうに理解をしております。
特に、農研機構につきましては、国際的なアグリビジネスの競争激化の中で、まさに日本のナショナルフラッグとして国際市場で戦える品種の開発、これを担っていただく重要な役割があるというふうに思っておりますので、本法を制定するに当たって相応の支援が機構に対して必要ではないかなというふうに考えておりまして、大臣の所見をお伺いします。
○鈴木国務大臣 気候変動に適応した新品種開発をスピード感を持って進めるためには、先端的な施設設備を持ち、ハブ機能の役割を担う農研機構において、研究開発が円滑に行われる環境を整備する必要があると考えております。
このため、農林水産省においては、従来の運営費交付金とは別に、農業構造転換集中対策の中で、農研機構の地方拠点である地域農業研究センターの施設の再編、集約、そして、センサーなどを用い、環境制御する次世代型加速温室の整備などを支援をしていくこととしております。引き続き、農研機構の研究者の皆さんともよく話合いをしながら、現場に必要な予算の確保に努めてまいります。
○庄子委員 機構さんが独自でやっていただいている共同研究とか外部資金の活用など、積極的にやっていただいている一方で、やはり今大臣がおっしゃっていただいたとおり、運営費交付金のみならず、財投も含めて、しっかり財政的な御支援をお願いを申し上げたいというふうに思っております。
今日は機構の理事長に来ていただいておりますので、機構さんにお尋ねをさせていただきます。
本年二月、農研機構では、二〇二六年からの七年間にわたります第六期中長期計画、これを決めたばかりと理解をしております。食料自給率向上と食料の安全保障、農業、食品産業の競争力強化と輸出の拡大、そして生産性の向上と環境保全の両立、これが三つのビジョンだというふうに伺っておりますけれども、基礎から応用、そして実用化まで切れ目のないハイインパクトな成果を出していきたい、そして産学官の連携のハブになる、さっき理事長もおっしゃったとおりでございますが、そうしたことが示されております。
今回、今審議をしております種苗の二法が、農業振興、あるいは食料安全保障の強度を上げていくためにも、農研機構さんの役割は非常に大きいと思います。
そこで、農研機構のこの第六期目標におけます二つの法案の位置づけ、これはどのように整理をしていらっしゃるか、お尋ねをさせていただきます。
○千葉参考人 お答えいたします。
農研機構は、令和八年度から令和十四年度までの第六期中長期計画に入ったところであり、食料・農業・農村基本計画の達成に貢献するため、研究開発から技術の社会実装にスピード感を持って取り組んでいるところでございます。
今回の法案に関しては、農研機構は、産官学のハブとなって、気候変動等の農業をめぐる課題に対応した品種の開発と普及の取組、品種開発に要する期間を短縮するための先端的かつ基礎となる技術開発を推進するとともに、研究設備等の供用を通じて公設試等を支援し、産官学が連携した品種育成を促す役割を担っているものと認識しております。また、農研機構自らが開発した品種について、流出防止のための厳格な管理を図る必要があると認識しております。
重要な法律の推進の一翼を担うものとして、私のマネジメントの下、しっかり取組を進めてまいる所存でございます。
○庄子委員 ありがとうございます。
今もお話がありました設備の供用の部分なんですけれども、この法案で、重要品種の育成計画、これを農水大臣が認定をした際には、認定のメリット措置といたしまして、農研機構の研究施設あるいは設備の供用を認めていくということでございます。
こうした農研機構法の特例措置を想定しているわけですが、伺いたいのは、直近の農研機構の施設の供用実績、これについてお知らせをいただきたいというふうに思います。
○堺田政府参考人 お答えいたします。
農研機構におけます施設の供用の状況でございますけれども、現在、令和六年十月に施行いたしましたスマート農業技術活用促進法での供用を行っているところでございます。
今回の法律に基づきます品種の開発に必要となる栽培施設などと、申し上げましたスマート農業機械の開発、実証に必要なデータ取得などを行うスマート農業法の下の施設の供用については、必ずしも対象となる施設が一致するものではございませんけれども、スマート農業法におきましては、農薬散布用ドローンの開発に際する研究用圃場など、三件の施設供用を行っているところでございます。
申し上げましたように、令和六年十月以降、五十四件のスマート農業技術を開発供給する計画を認定してございます。その取組の裾野が広がりつつあるところでございますし、その中で、施設供用に関して事業者から関心や具体的な問合せも寄せられていると聞いておりますので、今後の一層の活用が見込まれると考えているところでございます。
○庄子委員 せっかく今回法律を、まだこれから議論は残っておりますが、もし成立をして、農研機構法の特例で供用をしっかり認めていくとなった場合に、今三件というお話がありましたけれども、何か全然申請がないとか供用が伸びないというふうにならないように、是非フル活用していただいて、まさに産官学のハブになっていただくような取組を、是非国の御支援の下、お願いを申し上げておきたいというふうに思っております。
今後、品種開発が進んでいく品種だけではありませんで、既存の登録品種についても重要品種の対象となり得るというふうに理解をしておりますが、どのような品種を今想定をしているか、具体例を少しお伺いをさせていただきたいと思います。また、都道府県計画策定に当たりましては、この品種登録の周知についてはどのようになされるのか、お尋ねをさせていただきます。
○広瀬大臣政務官 重要品種の定義として、第二条第一項において、高温耐性や多収化等に資する形質を有すること、それから、広域に普及することが可能であること、品種登録を受けたものであることを規定しており、定義に合致するものは、御理解のとおり、既存の品種も重要品種の対象になります。
例えばで申し上げると、多収で製粉性、製麺適性に優れる小麦品種、さとのそらであったり、病害虫に強い種子繁殖型イチゴ、よつぼしなどが対象になると想定されているところであります。
本法案では、国は、都道府県の基本計画の作成に資するよう、重要品種に関する情報提供を行うこととしており、具体的な方法についてはこれから検討することとなりますが、都道府県による円滑な基本計画の作成が進むよう、丁寧な情報提供を行っていきたいと思っております。
○庄子委員 ありがとうございます。
今後、詳細は決めていくということです。丁寧な説明はもちろん大事なんですが、一方でスピード感も大事だというふうに思っておりまして、いわゆる周知を受けた都道府県は、そこから先は、重要品種の生産、普及方針を決めたり、あるいは種苗生産の実施計画策定といった基本計画作りに入っていきますし、またその先は、種苗生産者等が作成する生産事業活動計画がございまして、区域内の集団化、団地化といった作業が残っていきますので、どうか丁寧かつスピーディーな周知をお願いを申し上げたいというふうに思います。
これまで品種の育成には約十年程度、果樹は三十年、さっきも御答弁がありましたが、時間を要しておりました。AIの技術というものがそこで期待をされるわけでありますけれども、急速な気候変動に対応していくために、高温耐性や多収性のある新品種の開発、育成は、これまでは大量な交配の組合せ、そして増殖をさせた数千個以上の母集団から選抜、絞り込みなど、長い時間を要しておりました。
今後、AIの活用でこうした時間がかなり短縮できるのではないかというふうに期待をしておりますけれども、育成加速化の見込み、そしてAI技術活用のめどについてお尋ねをいたします。
○堺田政府参考人 失礼しました。
お答えいたします。
近年の気候変動等に対応するためには、優良な品種を迅速に開発することが急務であり、例えば、稲では一般的に十年以上を要する育種期間を短縮することが重要でございます。
このため、農研機構では、作物のゲノム情報やAI等を活用し、品種育成の迅速化、効率化を図るスマート育種支援システムを開発しているところでございます。
本システムの活用によりまして、最適な交配組合せを予測することで不要な交配を削減することなどが可能となり、育種期間の半減、労力の大幅削減が期待されるところでございます。
本システムにつきましては、現在、農研機構や公設試験場等が参画する研究プロジェクトにおいて稲、麦、大豆について試験運用を行っており、令和九年度からの本格稼働に向けた準備を進めているところでございます。
あわせて、対象品目の拡大も進めており、育種の効率化に向けて取組を推進してまいる考えでございます。
○庄子委員 大臣、横からパスをありがとうございます。
要するに、現場の生産者にとって、こうしたAIの導入によってスピーディーになっていくということと、加えて、やはり可視化できる、今後の営農計画を立てるに当たっても、どのくらいの時間で、どういうふうにその品種が購入可能になっていくのかというところが可視化できるというところはとても大事だと思っておりますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
先般、参考人質疑をさせていただいた際の意見陳述の中で、種苗の生産段階で、やはり高齢化に伴って、異型株とか罹病株、この抜取り作業が大変重労働だという話がございました。そこで支援を求めたいというお話をいただいたわけです。
基幹的農業従事者が減少していく中で、種苗生産農家も一層高齢化等、減少局面に入っていっています。今後の種苗生産の重要性に鑑みて、参考人から具体的な話がありました、例えばドローンによるセンシングなど、種苗生産現場へのITやDX導入支援、こうしたところを丁寧にやっていただいて、伴走していただきたい、そのように求めたいと思いますが、参考人、御意見をお願いします。
○根本副大臣 種苗生産は、担い手の減少や高齢化に加え、手作業が多く、作業負担も大きいことから、省力化、効率化の推進は極めて重要であるというふうに認識しております。
このため、農林水産省では、令和七年度補正予算において、省力的な種苗生産技術を開発する予算を措置し、ドローンやAIを活用した水稲における異型株の検出技術の開発に取り組んでいるほか、AIを活用したバレイショの異常株検出支援システムについては実用機の開発まで進めているところであります。
また、令和八年度当初予算におきましては、種子産地における省力化技術の実証支援を開始するとともに、省力化に資するスマート農業機械の導入などへの支援も行っております。引き続き、現場の技術普及に努めてまいりたいというふうに考えております。
以上です。
○庄子委員 既にセンシングの技術などは確立をしておりますが、自分の種苗生産の現場で何が合うのか、何を使えるのかという、多分、そういう情報とか、そうした共有が現場からは求められるのではないかなというふうに思っておりまして、是非丁寧に対応いただければというふうに思います。
種苗法というのは、やはりどちらかというと、供給サイドに立った考えだと思うんですけれども、一方で、いわゆる消費サイドから見たときにどうなのかというところをちょっとお尋ねをしたいんです。
生産者にとっては、高温でも育つし、病害虫にも強いし、しかも多収性があるというのは、作る側にとっては非常にありがたい品種になるわけですが、消費者の側から考えてみると、その品種、その食料品が高温耐性があろうがなかろうが、病害虫に強かろうが弱かろうが、多収性品種なんだろうがそうでなかろうが、手に取りやすくておいしいという食料品であってくれればいいわけですね。そう考えたときに、重要品種というのは、生産段階だけ重要だというのではなくて、販売や消費でも強みを発揮するという視点も私は重要ではないかというふうに思っております。
消費者に選ばれる重要品種、これをどう育成していくかということについて、取組を伺いたいと思います。
○広瀬大臣政務官 庄子委員御指摘のとおり、品種に求められる形質については、食味や食べやすさなど、消費者、実需者ニーズの視点を大前提とした上で、農業者が求める高温耐性や多収性といった栽培面での形質を有する品種育成を進めていくことが重要と考えております。
こうしたことから、本法案では、重要品種の迅速な育成、普及に向けて、育成段階から、例えば、食品企業などの実需者に評価に加わっていただくなど、川下の関係者との連携を重視しているところであり、運用に当たっては、普及の加速化に向けて、実需者による評価方法などを計画に記載していただくことを検討しております。
○庄子委員 よろしくお願いいたします。
二〇一八年、種子法が廃止されました。当時の詳細な議論、どういう議論があったか、詳しくは把握をしておりませんけれども、民間活力を最大限に引き出すということを主眼に置いて、その民間活力、民間の開発意欲、これを種子法が阻害しているという判断があって廃止の流れにつながったというふうに理解をしています。
その際、委員会で附帯決議が付されておりますけれども、この決議では、優良品種の海外流出防止ということを求めているわけでございますが、しかし、残念ながら、この決議どおりには結果はならなかったということでありまして、あの決議から六年、品種の海外流出についてどうだったのかということについての認識をお尋ねをいたします。
○根本副大臣 お答え申し上げます。
昨年、農林水産省が、中国、韓国の種苗会社などのインターネット販売サイトにおける日本の登録品種の販売状況を調査した結果、日本の登録品種と同じ名称、又はその品種であることを想起させる種苗が、シャインマスカットを始め五十種程度確認をされました。
また、同調査におきまして、イチゴ三品種及びかんきつ四品種が、品種登録前に海外に流出したことが疑われることが確認をされました。
このように、日本の品種は海外での評価が高く、今後とも流出のリスクがなくならないことが想定されるほか、品種登録前の流出というような新たな課題も明らかになっており、優良品種の海外流出は重要な課題であるというふうに認識しております。
今回の種苗法改正では、流出防止対策を強化するため、品種登録前で出願中の種苗の輸出差止め請求権の創設であったり、登録品種の輸出目的保管の育成者権の対象への追加などを盛り込んでおり、法改正が成立した際には、その円滑な施行を図るとともに、関係機関と連携して、実効性のある流出防止対策に取り組んでいきたいと考えております。
以上です。
○庄子委員 非常に実効性というところを今副大臣は強調していただきましたが、ここがとても大事だというふうに思っておりまして、それをしっかり担保していきたいというふうに考えます。
最後の質問になるんですが、大臣にお尋ねをさせていただきます。
今回、育成者権、この期間を現行の二十五年から十年間延長する措置でございます。二〇〇五年の種苗法改正の際には、育成者権の存続期間、これを二十年から二十五年に延長いたしましたが、この時点の存続期間の全ての平均が五・二年でございました。
そこで、お尋ねをいたしますが、今、現時点の平均存続期間の傾向についてはどうなっているのか、そして、それを考えた上で、今回の法改正はなぜ十年間の延長とするのか、さらには、育成者権における品種の保護と農業者の種苗の利活用という、独占と利用に関してはどのようにバランスをしていくお考えなのか、お尋ねをいたします。
○鈴木国務大臣 まず、現時点で平均登録年数を算出いたしますと、木本性、要は、果樹とか木のものですけれども、これが七・三年、そのほかのものが六・二年となっておりまして、先生御指摘の二〇〇五年当時と比べ、長期化の傾向にあります。
育成者権の期間は、育成者の利益の保護と品種の自由な利用の両面を考慮しつつ、バランスを取りながら設定しているものであります。
育成者権は、権利者が品種の利用価値を踏まえて、既に後継の品種が普及するなど、登録を維持する価値がないと判断する場合には、育成者権者は登録を取り下げるのが通常であります。このため、存続期間の上限まで登録を維持するものは、実は全体の約一七%にすぎない状況であります。
期間上限まで登録が維持される代表的な品種には、都道府県が開発し、その利用もその地域の農業者に限定をされていることが多いと考えておりまして、このような品種は、育成者権を維持することにより地域ブランドが維持されることから、育種を行う県からも期間延長の要望を受けてきたところであります。
これらのことを総合的に勘案をして、期間延長による地域農業の振興の利益が、品種の自由な利用による利益を上回ると判断をし、今回、育成者権を十年延長することとしたものであります。
都道府県もいい品種を開発するのに、私も、この前、山形の試験場へ行ってきたら、やはりサクランボの紅王というものだけでも二十年以上費やしていますと。要は、ここからブランドとしてしっかりと確立をして、販売先を確保して、しっかりと利益を上げていくということになると、やはり品種登録をされてからそれ相応の年限が必要になりますので、そうしたことも考えて、今回の措置というふうに考えております。
○庄子委員 ありがとうございました。
今回のこの二つの大事な、重要な法律が、我が国の農業振興、そして、何といっても食料安全保障、こうしたものの強度を上げていくということにつながることを御期待を申し上げて、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○藤井委員長 次に、渡辺創君。
○渡辺(創)委員 中道改革連合の渡辺創です。
本日は、種苗法改正案と気候変動等対応品種法案の審議ですが、組立て上、両法案に関わる内容を行ったり来たりという形での質疑になるかと思いますので、どうか御容赦をいただきたいと思います。また、法案の根本のところをきちんと理解できるように質疑したいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
さて、両法案の趣旨を踏まえると、日本の新品種の研究開発、育成をめぐる環境というのは、高温耐性や耐病性、多収性など、環境変化や農業の実情に合わせた特徴を持つ新しい品種の開発強化が求められているにもかかわらず、様々な要因により新品種の登録が減少するなど、課題を抱えているという状況にあり、何とかしなければならないということだと思います。さらには、既に開発した優秀な種苗についても、ルールに反した海外流出が散見され、育成者権を持つ者の権利が侵害された状態が恒常化している、結果として広い意味での国益が毀損されているという状況だと思います。
そういう問題認識を政府は持っているということだと思っておりますが、その問題認識には同調いたしますし、対策の必要性や大きな方向性についても、これまでの法改正を踏まえた自然な流れなんだというふうに感じています。
ただ、一方で、例えば優良品種の海外流出による育成者権に対する権利侵害、つまり経済的損失と言ってもいいと思いますが、そういうものが全体でどのくらいの規模に及ぶのかというのは、技術的に限界があるのは分かりますが、なかなか判然としないので、法改正の趣旨や対策の必要性を考える上でどうしても曖昧さが残るなという印象を持っています。
シャインマスカットは年間で百億円の損害であるとか、イチゴは五年間で二百二十億円に及ぶんだとか、そういうのは断片的には聞こえてくるわけですが、なかなか全体像がつかめないなというふうに感じています。
そこで、大臣に確認をしたいのですが、育成者権侵害に関わる経済的損失の全体像についての認識を伺いたいと思っているのですが、先ほども申しましたように、もちろん正確かつ明確な数字を出せるというものではないというのは理解をしておりますし、それを求めているというわけでもありませんが、全体像についてどういう認識を持っているかというのをできるだけお示しをいただきたいと思います。また、政府として何らかの試算なりを持っているのか否か、仮にあるのであれば、その試算の結果も含めて御答弁をいただければと思います。
○鈴木国務大臣 お答え申し上げます。
日本の優良品種が海外に流出をし、海外での栽培が広がることによりまして、主に、損失ですけれども、まずは日本からの輸出と海外市場で競合することにより生じる損失があるというふうに考えております。そして、それと同時に、海外ライセンス収入の逸失による損失があり、この二つに早急に対応すべきだというふうに認識をしております。
例えばなんですけれども、一番大きな損失の例といたしましては、農研機構が育成をいたしましたシャインマスカットの流出です。中国、韓国での栽培面積が大幅に拡大をしておりまして、最も大きな損失となっております。
具体的に申し上げますと、これは他国のことなのでどこまで正確かというのはちょっとあれですけれども、ある程度具体的に申し上げると、例えばシャインマスカット、中国での栽培面積が七万ヘクタール以上に拡大をしております。日本の三十倍近い水準となっています。韓国の栽培面積も日本の倍以上となっております。この栽培面積を基にして、例えばですけれども、収穫物の市場価格の三%程度が許諾料であるという仮定の下で、二〇二二年のデータに基づく推計によると、中国、韓国からの許諾料の換算での逸失利益を試算しただけでも、年間約二百億円弱になるというふうに考えております。
また、今、許諾料が約二百億円弱と申し上げましたが、例えば、台湾にブドウを我々も輸出をしております、これは米ドル換算になりますけれども、二千三百万米ドルを二〇二四年時点で超えていますが、その一方で、韓国が台湾にどのぐらいのブドウを輸出しているかというと、一千八百万米ドルを超えている。要は、すごい勢いで伸びています。もちろん全部が全部シャインマスカットかどうかはあれですけれども、やはり、本来であれば、これもしっかり我々から輸出ができた可能性がありますし、同時に、許諾料も取れたということになります。
こうしたことを考えますと、先生から御指摘の育成者権者や国内産地に対して経済的な損失になっていると考えられる例がシャインマスカット以外にもたくさんあるというふうに考えておりまして、海外での栽培面積などのデータの制約があり、数値的な試算を行っておりませんが、まず、今現状、言える範囲でちょっと申し上げさせていただきました。
○渡辺(創)委員 ありがとうございました。
大臣がおっしゃった、二つの方向性での損害というか、失われているものがあるというのは問題意識としてよく分かりますし、限界が数字にはあるのは分かりますし、しかし、大きな失われているものがあるという認識を明確に政府が持っているというのはちょっと確認できましたので、ありがとうございました。
続いて質問を進めたいと思いますが、今日は、先ほど来御答弁に立っていただいているように農研機構もお越しなので、お伺いをしたいと思います。
ちょっと、関係ないですが、以前に、つくば市の農研機構を訪問させていただいて、研究開発の取組や研究現場の視察や、研究環境についてのお話も伺ったことがありました。いろいろと御苦労もある中で、必死でそれぞれ現場の方も取り組んでいらっしゃるのを見せていただいて、大変敬意を抱いたところでありますので、この機会にその思いをお伝えしておきたいというふうに思います。
農研機構は、その研究開発実績を考えれば、国内有数の育成者権を保有している機関となるはずだというふうに思います。そこで、育成者権の実情を確認するために、数点教えていただきたいと思います。
まずは、農研機構が保有する育成者権の数と、その育成者権から得られているロイヤリティー、つまり利益ですね、それを教えていただきたい、それを確認した上で、許諾料を設定する上での基本的な考え方というのを教えていただきたいと思います。
○千葉参考人 お答えいたします。
農研機構は、令和八年六月現在、計七百六十八件の育成者権を保有しております。
育成者権による収入額は、年次変動があるものの、近年は年間一億円から一・二億円程度で推移しております。
許諾料の設定に当たっては、都道府県の許諾料の水準等を踏まえつつ、農業者の過度な負担とならないよう配慮し、営農の支障にならない水準に設定しております。
○渡辺(創)委員 ありがとうございました。
数字もよく分かったところでありますが、利益は一億円から一・二億円というお話でしたけれども、先ほど大臣の答弁にあったように、シャインマスカットのことを考えれば、相当大きな本来得られるものが得られていないという実情もよく分かったと思いますし、いわゆる許諾料の設定については、やはり想像していたように、農研機構の公益性を十分に考えて、国内の生産現場等を配慮した設定をしているんだというのもよく確認ができたところであります。
次に、農水省に確認をしたいというふうに思いますが、許諾料は国内向けと国外向けで異なる設定をしていくことも可能なわけでありますけれども、今回の法改正も含めて、農水省が描く方向性、その先というのには、つまり、海外からはロイヤリティーをしっかりと得ていこうということ、そしてその上で、国内生産の海外での競争性を高めれば、政府の輸出戦略で描く将来像にも奏功するということだと思います。
そこで、確認をしておきたいんですが、国内向けと国外向けの対応を明確に区別して設定をしていくというトレンドはどの程度確立しているのか、ある意味徹底されているのか、それともまだやんわりという状態なのか、その辺を政府としてはどういう認識を持っているかを確認したいと思いますので、お願いいたします。
○杉中政府参考人 お答えいたします。
育成者権に基づく許諾料の設定の仕方でございますけれども、議員御指摘のように、今、国内では、種苗の譲渡額に対して一定で許諾料を徴収する方法が多く、海外では、収穫物の販売額に対して一定の割合で徴収する方法が一般的というふうに承知をしております。すなわち、ブドウの苗木をベースに許諾料を設定するのが国内、ブドウそのものをベースに設定するのが海外で、一般的には海外の方がロイヤリティーが高額となっております。
委員御指摘のように、優良品種を活用して、海外から稼ぐ力を強化するとともに、知財収入を将来の品種開発につなげていく必要があるというふうに考えております。
今後更に方向性については議論していきたいと思いますけれども、基本的には、海外からは、収穫物の販売額に対して一定の割合で許諾料を徴収をして、これを育成者に還元していく、また、国内では、農業者の利益と品種開発コストの回収のバランスを考慮しながら、戦略的に許諾料の設定を推進するという方向で運営していきたいというふうに考えております。
○渡辺(創)委員 続けて確認をしたいと思いますが、政府は、育成者権を保護し、ちょっと世俗的な言い方で恐縮ですが、取りっぱぐれなく、きちんと海外からのロイヤリティーも得られるようにしたいということで、先ほど自民党さんの質問にもありましたが、育成者権管理機関の創設に向けた取組を進めていらっしゃいます。数年間にわたってそのための予算も計上してきたというふうに承知をしております。
様々な、農研機構さんも含めて、機関が連携して、協力してつくっていくような仕組みになるというふうに理解をしていますけれども、進捗状況を伺おうと思いましたが、先ほど自民党さんの質疑で八月には立ち上げというところもありましたので、そこの進捗状況に加えて、育成者権管理機関が確立された場合にはどのような効果を上げ、どの程度のロイヤリティーが確保されるイメージを持っているのか、冒頭に大臣に伺った現在の損失に対する政府の認識を前提にした上で、イメージがつかめるように御答弁をいただきたいというふうに思います。
○根本副大臣 お答え申し上げます。
育成者権管理機関、先ほども御答弁申し上げましたが、遅くとも八月までには立ち上げて、事業を開始できるようにしたいというふうに考えています。
管理機関は、優良品種の育成者権者から委託を受けて、国内において、先ほどありましたように、優良品種の普及のための契約管理や、海外においても、無断栽培などの監視、侵害対応や海外ライセンスの契約とその管理に取り組んでいくため、関係者が準備しているというふうに承知をしております。
管理機関が立ち上げられれば、海外ライセンスを通じて、海外からの知財収入として育成者に還元し、新たな品種開発が促進されることを期待をしております。
管理機関のロイヤリティーの収入なんですが、販売物の販売価格に対して一定の割合で徴収する方法、それから、種苗の譲渡額に対して一定の割合で徴収する手法、許諾契約により固定額を徴収する手法がありますが、いずれも、品種の価値に応じてロイヤリティーの水準が変動することから、管理機関が取り扱う品種も含めて調整中の現時点において具体的な収入額を見込むというのは困難だというふうに考えております。
以上です。
○渡辺(創)委員 ありがとうございました。
今まで御説明いただいたような状況であったりとか問題意識とか、これから創設しようとしているもののことを考えれば、それなりの機能を果たすことにならないと今この取組の意味もないと思いますので、現時点で具体的なことをお話しできないというのは十分理解できますので、八月に創設した後、一定の時間がたった後には、こういう効果が上がっているんだということを具体的に、機関からだけではなくて、国からも、政府からも御説明いただけるような状況が必要だというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
ここまでの質問で共通している問題意識は、取組の必要性は十分に理解できるんですけれども、だからこそ、このことを真に推進していくためには、実態をできるだけ明確にして、その先の姿も可能な限り明示していくということが政策推進の土台になるというふうに私は思います。もちろんその取組に限界があることもよく分かりますが、きちんとそのことを考えているという姿勢が酌み取れるか否かというところは、国民の理解としても重要だというふうに思います。ちょうど一週間前に地域計画の議論をさせていただきましたが、そのときに言いたかった問題意識も同じようなところでありますので、ちょっとそのことだけ申し添えて、次のテーマに移りたいというふうに思います。
次に、育成者権の存続期間の延長についてお伺いをしていきたいと思います。
今回の種苗法改正案では、育成者権の存続期間を一律で十年延長するとされています。先ほど庄子委員からも御質問があったところですが、以前に五年の延長が図られたというところですので、当初からすれば十五年の延長ということになり、植物の新品種を保護して育成者の権利を確立することで、植物新品種の開発を促進するための国際条約であるUPOV条約というんでしょうか、の加盟国の枠組みの中では最長ということになると理解をしています。
先ほど庄子委員のところで大臣からも答弁ありましたが、高温耐性や多収性など、今必要とされる新品種のトレンドを考えると、その研究開発や実用化にはよりエネルギーと時間がかかるようになっているわけですので、そのことを踏まえて利益を回収する期間を確保しなければならないというのはざっくりとした感じで理解できるのですが、立法事実と言うのは多少大げさかもしれませんけれども、こういう判断に至る具体的な実例というかケースがあってのことだというふうに思いますので、その辺の具体的な事情や事実を明確にしながら、なぜ十年なのかというところを御説明をいただきたいと思います。重なっているところは省いていただいても結構でございます。
○杉中政府参考人 お答えいたします。
議員御指摘のように、育成者権の期間というのは、元々種苗法には、新品種をできるだけ早く多くの人に使ってもらう方がいいという考えと、研究開発に資金がかかりますので、それを回収するためには育成者に利用を独占させる必要がある、このバランスを取るというふうに考えて決定をしております。
育成者権については、価値がなくなれば取下げをしますので、先ほど答弁をしましたとおり、存続期間の上限まで登録を維持するものは全体の一七%でございます。
そのような中で、特に延長があったものは、例えば愛媛県の紅まどんなといったように、都道府県が開発をして、その利用を基本その地域の農業者に限定されているというものが多いと考えています。こういう品種は、育成者権を維持することによって地域ブランドを維持する、これによって地域の農業の発展を図るということから、期間延長の要望を受けてきたところでございます。
こういった点を総合的にバランスを考えまして、期間延長によって地域農業の振興を図るという方の利益が、品種の自由な利用による利益を上回るということを判断をいたしまして、今回、育成者権を十年延長するということとしたところでございます。
○渡辺(創)委員 ありがとうございます。
今、答弁の中に、実態上、そういう長い期間を求めるというか、要するものになっているのは、幅広く国際的な展開のものだけじゃなくて、地域の農業者のある意味優先性を守るというものもあるというお話がありましたが、それはちょっと後からも触れますが、私も重要な観点だと思っていますので、そこは是非これからも意識していただきたいというふうに思います。
このテーマについて、もう一点。
十年延長という部分は、予定されている十二月一日の施行を待たずに、公布の日から施行というふうになっていると思います。各資料を見ると、例えば梨のあきづきという品種や、かんきつ類のせとか、これは実は宮崎でも生産しておりまして、かんきつ類のとろとか言われて、大変おいしいミカンであるというふうに思いますけれども、こういうものの期限が十月十九日に迫っているということも背景にあるのかなと想像をしますけれども、これは、かなりの急展開でこの延長が決まると、保護されるかもしれないものが広がっていくということになると思うんです。
ここからは少し頭の体操ですが、中には、育成者権の期限切れを予定して今後の作付等を計画している農業者もいるのではないかなということは想像できなくはないという気がするんですが、そういう農業者への影響はないのか、また、これに伴う実態把握などはされているのかも含めて、想定されている場合には品種名など具体的なケースを挙げて御説明をいただきたいんですが、いかがでしょうか。
○杉中政府参考人 お答えいたします。
先ほど答弁しましたとおり、育成者権期間の延長が影響するのは、存続期間の満了まで登録を維持している品種でございます。
その内訳を見ますと、登録期間の満了まで登録を維持しているものというのは、農研機構の品種と都道府県の登録品種というものが多いわけでございますけれども、農研機構が育成した品種、議員からも御紹介ありましたけれども、これについては現在でも農業者に過度に負担になることがないよう配慮しながら種苗の供給を行っており、期間が延長されたとしても、引き続き、その点に考慮をしながら、しっかり種苗を供給していきたいと考えております。また、県が育成をして、その生産を自県内に限定している品種、先ほど言った紅まどんな等のような品種につきましては、現在でもその地域外での増殖等の利用を想定をしていないと考えておりますので、限定地域の外で既に種苗の準備をしているという情報には接していないので、大きな影響はないと考えております。
いずれにいたしましても、育成者権の存続期間の延長を含めて、今回の法改正の内容について現場に丁寧に説明をしていきたいと考えております。
○渡辺(創)委員 ありがとうございました。
次に、自治体の取組にテーマを移したいと思います。
法案審議に当たって受けてきた説明によると、今、新品種育成の取組は減少していて、品種登録件数も減少傾向にあるとのことですが、その原因について政府の認識を確認します。
○広瀬大臣政務官 我が国で育成された新品種の品種登録出願件数は、平成十九年の九百五十五件をピークに減少傾向にあり、近年は三百から四百件程度になっております。
出願件数の減少の要因として、近年ニーズが高い高温耐性などの気候変動に対応した新品種の開発には、多数の遺伝子が関与するため、多くの組合せから目的の形質を選ぶ必要があり、新品種の開発コストが上がっていること、その一方で、専門性の高い育種などの研究を行う都道府県などの公的機関の研究職員が減少しており、産官学が連携して育種を進めていくことが大きな課題と認識しております。
○渡辺(創)委員 今の答弁にもニュアンスとしてあったと思いますが、登録件数の減少の主たる要因の一つは、地方自治体、つまり都道府県の農業試験場などの取組が減っている、その手の機関の出願登録件数が減少しているということが言えるというふうに思います。
財政的な厳しさが背景にあるという話もよく耳にするわけですが、この出願登録件数の減少という現実を踏まえた上で、地方の研究機関が新品種の研究開発を進める上で抱えている課題について、政府はどのような認識を持っているか、この機会に確認をしたいというふうに思います。
○広瀬大臣政務官 先ほどの回答と重複するところがありますが、一つの品種を育成するには、先ほど来出ているように、十年以上の長い期間がかかること、また、それに伴う開発コストが必要となる中、都道府県などの公的機関の人的リソースの減少など、これらが課題となっていると認識しております。
当省としても、公設試験場からのヒアリングを行ったところ、都道府県が重きを置いている品目以外では単独で育種を行うことが難しくなってきており、他機関との連携が必要という声を伺っております。
○渡辺(創)委員 この委員会には、江藤委員、長友委員と、宮崎選出の議員がたくさんいらっしゃいますが、私も宮崎一区の選出でありまして、宮崎県議も十一年務めてきたんです。
宮崎県では、農業試験場を開発研究の軸にして、現在出願中の四品種も含めて、四十七品種の育成者権を有しています。いろいろ各県の状況を見ましたが、突出して多いわけでも、突出して少ないわけでもないというぐらいの数だというふうに受け止めています。
中心は、意外かもしれませんが、花卉、花でありまして、全国一の出荷数を誇るスイートピーが十四種、さらにラナンキュラスが三種、水稲は、和牛生産の盛んなところというのもありますが、WCSを含めて八種、そしてさらにピーマンやピーマンの台木、そしてキンカン、イチゴ、ソバ、ニガウリなどが続きます。
品目を見れば分かるように、やはり宮崎の気候とか地域性とか農業の実態に合わせた内容というふうに言えるというふうに思います。
そのような環境の中で、宮崎県が開発した高温耐性や多収性を備えた新品種、南海百八十九号というのが今年の一月に品種登録出願が受理をされました。宮崎県が研究開発した品種登録の中では、主食用米としては十数年ぶりの登録出願となります。名称も、ひなた舞という名前を、公募して決めたところで、来年度から展開の想定をしていまして、当面は県内の普通期水稲の二割を目標に広げていくということで、県も力が入っているところであります。
県からもいろいろお話を聞いていると、決して楽ではない環境ですが、いろいろな苦労を抱えながらも、やはり各自治体の農業事情や気象に合わせた新品種開発には引き続き旺盛な意欲を持っているというふうに感じています。
このような自治体の取組及び傾向を政府としてはどのように評価をしているか、大臣の見解を伺いたいと思います。
○鈴木国務大臣 各都道府県では、地域の農業事情や気象状況に合わせた新品種開発に取り組まれていると承知をしております。
委員御地元の宮崎県では、水稲の主力品種であるヒノヒカリに代わって、高温の下でも品質低下が少なく、食味が優れている、いもち病抵抗性を有するひなた舞を開発されておりますが、こうしたブランド品種の開発は、地域農業の持続的発展に貢献するというふうに考えております。
一方で、気候変動が進行する中で、高温耐性や多収性、そして病害虫抵抗性等を有し、広域に普及可能な重要品種の開発も急務となっております。
このため、国、都道府県の連携の下で行う気候変動等に対応した重要な品種の開発や、これに必要な分析機器の整備などについて支援するとともに、今般の気候変動等対応品種法案では、都道府県が重要品種を開発するに当たっての、農研機構の研究設備の供用等の特例を措置することとしております。
○渡辺(創)委員 ありがとうございました。
宮崎県と話をしていると、宮崎県が確認している限りでは、宮崎県が育成者権を持っている品種で海外流出を確認したものはないということであります。加えて、その大半は県内で展開するために開発をしたもので、そもそも県外展開が可能なものは四十七品種のうち十六品種のみ、それも、実態からいえば、積極的に県外での展開を目指しているというわけではなくて、研究開発の段階で国からの資金が入っていたり、農研機構と共同で取り組んだために県境を越えた展開が前提になっているという事情で、積極的な広い展開を想定しているという印象はありません。
しかし、私は、それはある種、先ほど来答弁でもありましたが、当然だという気がしていまして、限られた資金と体制の中で研究開発に取り組むわけですから、まずは自らの自治体の特性に応じて、県内の農業者にとって有益なものをという姿勢は何の違和感もないわけでありますし、むしろ自然な流れだというふうに思います。
このことを踏まえて、今回の種苗法改正の狙いとは少し観点がずれるかもしれませんが、そういう自治体らしい研究も重要だと感じますし、今日お越しの農研機構には、農研機構独自の先進性や汎用性の高い研究開発のみならず、既に取組はあるわけですけれども、自治体の取組をどのように支援していくかという姿勢も、それを強化していただくことが、厳しい環境にある自治体の取組を支えるという公益性の高い取組につながるというふうに思いますので、せっかくの機会ですので、農研機構にこの点についての見解をお伺いしたいというふうに思います。
○千葉参考人 お答えいたします。
農研機構は、従前から、自らの取組として、優れた形質を持ち、広域で普及できる先導的な品種の育成を進めるほか、自治体との共同研究として、例えば、富山県の高温耐性水稲品種、富富富の育成に当たり、いもち病抵抗性遺伝子の育種素材を提供する等、各地域のニーズに応じた品種の育成にも取り組んでまいりました。
昨年策定された食料・農業・農村基本計画においても、農研機構は、産官学連携のハブとなり、地域課題の解決に向けた研究開発を推進することとされており、これまで以上に都道府県を含めた各育成機関と連携を進めていくことが重要であると認識しております。
また、本法案においても、農研機構の先端的な研究施設設備の供用や農研機構の専門家の派遣を可能とする特例措置が設けられており、期待される役割に応えつつ、我が国の農業、食品分野の研究開発をリードすべく、取組を進めてまいりたいと考えております。
○渡辺(創)委員 ありがとうございました。
是非この観点での取組の強化もお願いしたいというふうに思います。
最後のテーマにしますが、気候変動等対応品種法案についてです。
高温耐性や耐病性、多収性を意識した新品種を進める意義というのは、これまでの質疑も含めて十分に理解をしているつもりです。その上で、今法改正が可決されれば実現することになる、国の基本方針から各計画につながっていくという一連の流れによってどのような具体的な効果が想定されていくのかというのは、理屈としては何となくつかめるのですが、もう一つぴんとこないというのが、恐縮ですが、そんな印象を持っています。ひとえに私の見識が足りないからなんでしょうけれども、少しイメージをつかみやすいように、例えば、品種、研究、種苗生産等の特徴も踏まえた上で、想定できる具体的なイメージを御説明いただけないでしょうか。
農水省は、こういう品種であれば、具体的に、こういう種苗の栽培実態に合わせて、こういう展開があり得るんだということを当然、絵を描いてこういう話を進めていっていると思うので、是非それを少し具現化して見せていただきたいという趣旨での質問です。
一部では、この計画の流れの中で海外企業の自治体への関与が強まってしまうのではないかという懸念の声を上げられている方々もいらっしゃるので、きちんと、どういうことを想定しているのかというのが分かりやすい形で説明するのは大事だと思いますので、是非御説明をいただきたいと思います。
○根本副大臣 お答え申し上げます。
本法案の計画制度を活用するメリットといたしまして、例えば、品種育成に取り組む県の農業試験場などが計画の認定を受けることで、先ほど農研機構からも御答弁がありましたように、農研機構が有する先端的な研究設備の利用により、品種育成の効率化、加速化が図られる、それから、農研機構の専門家の派遣による技術指導を通じ、先端技術を習得した人材の育成も可能になるといった効果が想定されます。
また、種苗生産につきましては、種苗生産者が計画の認定を受けて、地域計画の協議の場への参加であったり、地域内での栽培管理協定の締結などの取組を通じ、将来にわたって安定した種苗生産体制の構築を図ることが可能となるというふうに考えております。
法案が成立した暁には、こうした制度の意義やメリットについてより多くの研究機関や種苗生産者に御理解いただき、本制度を活用していただけるよう、丁寧な周知を図っていきたいというふうに考えております。
○渡辺(創)委員 ありがとうございました。
最後にしますが、今回の質疑に先立って、議員会館の事務所には大量のファクスが届きました。いろいろな御意見が書かれていましたけれども、そのいろいろなものの中には、種子法の廃止から続く問題意識に関係するものというのも多数あったというふうに思っています。
内容については、一定理解できるものも、考え方を異にするものもいろいろありましたけれども、間違いないのは、この法案のみならず、日本の種苗の状況や保護の在り方、海外との関係に様々な危惧を抱いている方々が一定数いる、そしてそれは一定の批判を伴ったものでもあるということだと思いますので、この取組を政府が強化していく上ではきちんと幅広い理解を得られるための取組が不可欠だというふうに思いますので、その必要性について御提起を申し上げて、質疑を終わりたいと思います。
どうもありがとうございました。
○藤井委員長 次に、原山大亮君。
○原山委員 日本維新の会、原山大亮です。
質問の機会をいただき、ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
種苗法の一部を改正する法律案について質問いたします。
本法案の趣旨、すなわち育成者権の保護強化と、我が国の優良品種の海外流出防止という方向性は大事であると考えております。その上で、制度設計の論理的整合性と実効性について、政府に確認をさせていただきます。
令和二年に種苗法が改正されました。あのときの国会審議での政府の説明は、育成者権の保護を適切に図ることができれば、都道府県にとっても海外流出防止が図られることに加え、栽培地域の制限により産地ブランド品種の管理が容易になることから、品種開発の意欲を高めることにもつながると説明をされていました。要するに、育成者権を強化すれば品種登録の出願が回復するという論理です。
では、実際どうなったかと申しますと、令和三年度には確かに品種登録の出願件数が一時増加いたしました。しかし、令和四年度以降は再び減少に転じ、令和六年度は、令和二年度をも下回り、ピーク時の平成十九年度比では半分以下、二十年前と比べると約三分の一の水準にまで落ちています。特に都道府県による出願件数の減少幅は大きく、深刻な状況が続いています。
農業をめぐる環境は複雑であり、出願件数の増減に影響する要因は一つではないとも承知をしています。しかし、令和二年改正のときに政府が説明した、育成者権強化は出願増加という論理は、データで見る限り、成立しているようには思えません。
出願が回復しない理由として考えられるものは幾つかあると思います。種苗市場そのものが縮小しており品種開発の採算が取れないのか、育種にかかる期間とコストに見合う収益が見通せないのか、あるいは、育成者権を取得しても侵害への対処が困難であり、権利を持っていても守れないという現場の実感が開発意欲をそいでいるのか、この原因を丁寧に分析した上で、今回の改正の措置が課題解決に直結するという説明がなされて初めて立法事実として成り立つと考えます。
そこで、政府にお伺いいたします。
令和二年改正以降、出願件数が期待どおりに回復しなかった原因について、政府としてどのような検証を行ったのでしょうか。そして、今回の措置、具体的には、存続期間の十年延長、損害賠償規定の強化が出願件数の回復や品種開発意欲の向上に資するとする具体的な根拠をお答えください。
○杉中政府参考人 お答えいたします。
議員御指摘のように、我が国で育成された新品種の品種登録出願件数は、平成十九年の九百五十五件をピークに減少傾向にありまして、近年は三百から四百件程度となっております。
出願件数の原因でございますけれども、令和二年以降の顕著な差として、参考人質疑で油木日本種苗協会会長から説明がありましたように、気候変動への対応といった新しい育種需要が生まれてきまして、これに対応するために、新品種の開発コスト、これが非常に上がっているということと、また、議員から指摘がありましたように、専門性の高い育種などの研究を行う特に都道府県などの公的機関の研究職員が減少しているというような課題もあるというふうに考えております。
こうした課題に対応しまして、今回、産官学が連携をして気候変動などに対応する重要品種の開発を後押しするという気候変動等対応品種法案と、育成者が適切に開発コストを回収できるように、育成者権の保護を強化する種苗法改正法案に加えまして、海外ライセンスを行って、この稼ぎを品種開発の投資に還元する体制の構築をするということによりまして、必要な育種の体制整備、そのために必要な予算の確保等を図ることにより、品種の育成の振興を図っていきたいと考えております。
○原山委員 ありがとうございます。
本法案の附則第八条には、施行後五年をめどに施行状況を勘案し、必要があると認めるときは、検討を加え、必要な措置を講ずるという検討規定が置かれています。令和二年改正にも附帯決議という形で同様の趣旨の確認がなされていたと承知していますが、その検討結果が今回の改正の立法事実として明示的に示されているかというと、必ずしもそうはなっていないようにも思います。
五年後、検討規定が形骸化しないよう、今回の改正の施行後においてどのような指標で効果検証を行うのか、政府の考えをお聞かせください。
○根本副大臣 お答え申し上げます。
今回の種苗法改正法案につきましては、農水省において、優良品種の管理・活用のあり方等に関する検討会を開催し、令和二年種苗法改正の効果を含めて有識者に議論をいただき、その結果を踏まえたものであります。
今回の種苗法改正法案についても、委員御指摘のとおり、五年後をめどに、法施行後の状況を農水省で把握し、その結果を踏まえて見直しの検討を行うことが必要と考えております。
その際には、例えば、我が国の優良品種の海外流出の状況について調査し、抑止の効果について把握するとともに、食料・農業・農村基本計画において海外ライセンスの推進などの新たな施策が打ち出されていることから、ライセンスによる知的財産収入の状況など、優良品種の保護、活用の効果について把握することが想定され、その結果を踏まえて、必要な見直しを検討していきたいというふうに考えております。
○原山委員 ありがとうございます。
続いて、損害賠償額の算定規定の見直しについて伺います。
今回、育成者権者の利用能力を超える数量についても許諾料相当額を損害として加算できることとし、また、侵害があったことを前提として許諾交渉した場合に、育成者権者が得られた対価を裁判所が考慮できることとしています。特許法の同様の規定を参考にしたものと理解しておりますが、育成者権者が訴訟を提起した際に実際に即した損害賠償を得られるようにするには、権利行使のインセンティブを高めるという点で重要です。
しかし、そこに至るまでの過程はどうでしょうか。農研機構の種苗管理センターへの侵害相談件数は、令和六年度に国内外合わせて、四十三件と、増加傾向にあります。一方で、農林水産省が令和七年度に育成者権者に行ったアンケートでは、侵害を受けた、あるいは侵害が疑われる事例があったにもかかわらず、約七割が法的措置を取れていません。その理由として最も多いのが、侵害が確かかどうか判断できない、あるいは訴訟を提起するのに必要な証拠が集まらないというものです。つまり、問題の本質は、損害額の算定方法ではなく、そもそも侵害を立証できないという、訴訟の手前の段階にあるのではないでしょうか。
種苗は、一度流出すると容易に増殖できます。どこかの農場で無断増殖されているとしても、それを権利者が現場に乗り込んで確認することは現実的に困難だと思います。オンライン販売の拡大により、誰が登録品種の名称を使って種苗を販売しているかを追跡することも難しくなっていると思います。損害額の算定規定を精緻化しても、侵害の立証ができなければ、裁判の土俵にすら上がれないのではないでしょうか。制度の骨格をつくっても支える体制が整わなければ、絵に描いた餅になりかねません。
今回の法案は、登録品種の名称を使用して譲渡、貸し渡しされた種苗については、当該登録品種の種苗であると推定する規定が創設されています。立証の一部を容易にする措置として評価はできますが、無断増殖の現場確認という最も困難な部分への手当てとしては十分とは言えないように思います。
そこで、二点お伺いしたいと思います。
一点目、政府は、侵害立証の困難という根本課題に対して今回の法改正の中でどのように手当てをしているのでしょうか。第三十五条の三の規定以外に、立証を容易にする仕組みとして何を用意し、それにより、約七割が法的措置を取れていないという現状を変えられるとお考えなのか。
二点目に、侵害相談件数が増加傾向にある中で、農研機構の種苗管理センターの対応体制は現状どのような規模なのでしょうか。今回の法改正により権利行使が活発化した場合、相談件数が更に増加することが想定されますが、その体制強化のための具体的な予算、人員の手当てをしっかりと講じていくべきではないかと考えますが、政府のお考えをお聞かせください。
○杉中政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のように、育成者権者にとっては、侵害の立証、特に、侵害の疑義のある品種と登録品種の同一品種の証明というのが非常に、そのための証拠集めが難しいという課題がございます。このため、今回の種苗法改正法案では、品種登録名称により品種の同一性を推定する規定を創設をしたところでございます。
品種の同一性の立証でございますけれども、栽培試験などの設備を持たない私人が、栽培により特性が同じであることを立証しなければならない、また、DNAの活用等も考えられるわけですけれども、DNAにつきましては、ごく一部の品種しかゲノム解析が行われていないなど非常にハードルが高いわけでございますけれども、この推定により育成者権者の訴訟提起のハードルを下げることができるというふうに考えております。
また、育成者権者が訴訟を提起する際には、法律的な知識がない、そもそも裁判手続を行うこと自体が困難という課題がある、これも議員御指摘のとおりでございますけれども、今後立ち上げる育成者権管理機関を活用していただくことによって、育成者権者が裁判、訴訟手続等のサポートを受けるという選択肢もできると考えておりますので、その活動については政府としても支援をしていきたいと考えております。
また、種苗管理センターでございますけれども、登録品種の育成者権侵害のために、品種保護活用相談窓口による侵害相談への助言、侵害事実の確認のための比較栽培やDNA分析といった試験等の業務を行っているところでございます。
こういった侵害防止に関する業務は、種苗管理センターの二百二十二名のうち、二十八名の専門職員で対応をしております。
今回の法改正を踏まえまして、種苗管理センターの業務、特に侵害のための品種の同一性の立証、これを種苗管理センターが支援をできるように、農研機構の人件費も含めて、運営費交付金の確保に努めていきたいと考えております。
○原山委員 ありがとうございます。
ここまで、制度の論理的整合性と実効性について確認をしてまいりました。
最後に、この制度が実際の農業現場にどう響くかという観点から伺いたいと思います。
今国会には、本法案と同時に、高温耐性、耐病性等を有する重要品種の育成、普及を図る、重要品種の育成及びその種苗の生産の振興に関する法律案も提出されています。また、令和七年十二月に設置された農林水産行政の戦略本部では、種苗や種子の生産が守りの分野として位置づけられたと承知しています。
これらの議論は、ともすれば、輸出促進や知的財産のグローバル展開という文脈で語られがちです。しかし、私が強調したいのはもう一方の側面です。
私の地元奈良県には、吉野の杉、ヒノキ、大和茶、大和野菜など、長い歴史の中で地域とともに育まれてきた農林産品があります。それらを支えるのは、大規模な輸出産業ではなく、中山間地で営みを続ける農家の方々です。こうした地域において品種保護の意義とは、海外への輸出促進だけではありません。地域固有の品種を守り、産地ブランドを維持し、農業経営を安定させることそのものです。
農林水産省知的財産戦略二〇三〇が示す品種のグローバル展開の取組においても、その恩恵が輸出に有利な大規模産地のみに集中し、中山間地の小規模農家には届かないということになれば、制度本来の目的が果たせなくなります。
大規模生産者のみならず、中小規模生産者や中山間地域で営農する生産者、あるいは都道府県の公的育種機関などの関係者に至るまで、幅広い者が育成者権制度の恩恵を実感できるようになって初めて、今回の新法が有意義なものだったと言えると思います。
新品種開発、当該新品種の種苗生産、知的財産保護という今回の新法の枠組みが実際に農業振興にどう寄与するのか、法案の意義並びに効果について、鈴木大臣に御答弁をお願いします。
○鈴木国務大臣 お答え申し上げます。
今回の両法案によりまして、産学官が連携することによりそれぞれの強みを発揮し、優良な品種を迅速に開発普及するとともに、育成者権の存続期間の延長や、登録品種の輸出目的保管の育成者権の対象への追加などにより、育成者権の保護を強化することで、育成者が持つ知的財産を適切に保護します。その上で、経営規模の大小を問わず、多くの農業者が優れた形質を持つ品種の効果を広く享受することが可能になりまして、品種の開発者から利用者まで幅広く制度の恩恵を受けることが可能になると考えております。
また、種子や種苗の生産は、食用の生産と比べて単位面積当たりの収入が比較的高いということと同時に、交雑を防ぐための農地の隔離がしやすい中山間地域での農業経営に適しているのではないかというふうに考えております。
本法案の計画制度を活用して、地域の合意形成を図り、安定的な種苗生産環境の構築に取り組むなど、地域の農業振興にも資するように、現場の皆様にも丁寧に説明をしてまいります。
○原山委員 御丁寧な答弁、大臣、ありがとうございました。
大臣におきましては、本法案の施行後も現場の声に耳を傾け、制度の実効性を不断に検証し続けていただくことを強く御期待申し上げ、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
○藤井委員長 次に、長友慎治君。
○長友委員 国民民主党の長友慎治でございます。
今回新たに、農業をめぐる情勢の変化に適応する形質を有する品種が重要品種と新しく定義づけをされることになったわけでございますけれども、農水省は、新品種の開発普及に向けて、二〇三〇年度までに三十五品種を開発する目標を掲げています。
この三十五品種にはどのような品種を想定しているのかをまず具体的にお聞きしたいということと、この三十五という数字がどのような背景、根拠を持って想定されたのかということをお伺いしたいと思います。
○堺田政府参考人 お答えいたします。
三十五品種という目標でございますけれども、食料・農業・農村基本計画における開発目標として設定している品種数でございまして、この中身は、稲、麦、大豆、また、これに加えまして果樹、野菜、あと芋類、こういった幅広い品目について、気候変動に対応する高温耐性、あるいは生産性向上のための多収性、こういったものを有する品種として設定しているところでございます。
この目標数でございますけれども、品目ごとに、必要とされる高温耐性あるいは多収性等の形質があったり、また、気象条件に応じて開発しなければいけない品目もございます、そういう地域性、そして現在の開発状況、こういったものを勘案しまして設定したところでございます。
○長友委員 今、二〇二六年ですから、四年後には三十五を達成するために、開発状況を踏まえての設定だということでございますが、もちろん、多収性や高温耐性等の重要な形質を有する新品種の育成、普及を加速させる必要があるということは、私も論をまたないというふうに理解をしているところでございます。
例えば、今が収穫シーズンのマンゴーなんかが今大変作りにくくなっているということを地元で聞いております。マンゴーの木が花芽を出して花を咲かせるためには、気温が二十四度から二十八度ぐらいまで下がる必要があるんですけれども、気温がそこまで下がらず、マンゴーの花がなかなか咲かない、当然のことながら、花が咲かなければ実がなりませんので、マンゴー農家にとっては死活問題だということを地元で聞いてきたばかりでございます。
実は、こういうことが日本のみならず世界中で起きているわけでありまして、例えば、更に南のベトナムなんかでは、もうマンゴーの花が咲かなくなったということが報告をされていたり、また、沖縄でも、このまま温暖化が続けば、沖縄県の戦略品目であるマンゴーやサヤインゲン、菊類の生育に影響を及ぼす可能性が指摘をされているということです。
私の地元宮崎では、高級な完熟マンゴー、太陽のタマゴというブランドがあるんですけれども、地元の生産者に話を聞いたところ、温暖化によって確実にマンゴーが作りにくくなったという話を伺いました。
日本のマンゴーは、冬場に一定温度下がらなければ花芽の分化が正常に行われず、着花不良を引き起こす。つまり、花が咲かない。これまで六月頃に収穫できていたマンゴーが、昨年から七月以降にずれ込んできているということが起きております。原因は、十一月まで気温が下がらないから花芽が出ないということで、収穫が遅れるんですけれども、収穫が遅れると、今度は収穫後の剪定時期も遅れるため、場合によっては、翌年の収穫にも影響が出る場合もあるということで、現場では、まさに自分たちではどうしようもない温暖化によって、これが価格転嫁までできていなくて、農業を引き続き、この方はマンゴーの生産者ですけれども、マンゴー作りが持続可能でなくなってくるというような危機感も覚えているという話が出ているところでございます。
作りにくくなる作物というものは農業をやめていくというのが、現場の皆様にとってはやめざるを得ないという感覚があるということでございますので、温暖化等の気候変動に対応した品種の育成、また種苗の生産には力を入れていくことは実は急がれるというふうに、課題だと考えております。
それで、三十五というものを戦略的に基本計画に沿って設定させていただいているわけなんですけれども、既に育成されている品種についても、重要品種の定義に合致すれば重要品種に該当するというふうに聞きました。現状、そのような既存の品種が幾つぐらい入れられそうなのかということも教えていただけますでしょうか。
○堺田政府参考人 お答えいたします。
重要品種の定義につきましては、法案の第二条一項におきまして、高温耐性や多収化等に資する形質を有すること、広域に普及することが可能であること、品種登録を受けたものであること、この三つの要件に該当するものと規定しております。委員御認識のとおり、この定義に合致するものは、既存の品種も含めて重要品種の対象となると考えております。
具体的な例でございますけれども、例えば、高温耐性を有する稲品種、にじのきらめきであるだとか、あるいは多収性を有する大豆、そらシリーズ、こういったものが対象になると想定しておりますが、その品種数につきましては、高温耐性など、どういった形質のものを重要品種の形質の対象とするか、今後、食料・農業・農村政策審議会での御議論を経まして、基本方針で明らかにしていく予定としております。そういったことから、現時点で具体的な数を申し上げるのは難しいことを御理解いただければと思います。
なお、こうした重要品種の対象となる既存品種につきましては、都道府県が基本計画の作成の際に参考とできるよう、丁寧な情報提供に努めてまいりたいと考えております。
○長友委員 新しく品種をゼロから開発しようとすると二十年ぐらいかかってくるというのが常識な世界でありますので、それを二〇三〇年までに三十五品種開発するということであれば、既に既存の育成されている品種で、より多収化や高温耐性等を持ったものが普及できるのであれば、その品目も積極的に加えていくべきではないかということでお聞きをさせていただきました。
そして、これまでのお話の中で、品種の開発また普及体制における課題という点で、次のようなことが分かってきております。
例えば、農研機構と都道府県、実需者の連携が不十分な場合は、農研機構が持つ先端的、基盤的な育種素材や育種技術と自治体、実需者のニーズを組み合わせた品種開発が進まないであるとか、また、育苗生産者の高齢化、減少や、需要に応じた数量の種苗が計画的に生産されていないケースがあることなどにより、産地が求める新品種が開発されても迅速に普及しない、こういう課題が明らかになっているわけです。
品種の開発におきまして、オリジナルの品種を開発する都道府県、それから開発された品種を利用する実需者、先導的品種開発を行う農研機構との連携が不十分な事案が見受けられた場合、そのときには誰がその連携を改善、促していくのかを教えていただけますでしょうか。
○広瀬大臣政務官 長友委員御認識のとおり、品種開発に当たっては、農研機構や公的機関、民間企業などが有する品種や知見等の有効活用により、品種育成が効率化される連携の在り方であったり、実需や農業者等と連携し、品種育成段階から評価を受けることで、育成後の普及の加速化に資する連携の在り方などの、産官学が連携した開発体制を構築することが極めて重要であります。
そうした背景も踏まえて、本法案では、国が旗振り役として、産官学連携の後押しをし、品種育成に関する先進的な施設設備を有する農研機構の研究施設の供用に関する特例措置を講じ、効率的な品種育成体制の構築を図ることとしております。
また、認定重要品種育成事業の実施状況については、国から認定者に対して、一年に一度、フォローアップとして報告の徴収を行う方向で検討しており、この際に、事業が適切に実施されていない場合には、指導及び助言を行うこととしております。
これらの進捗管理の徹底によって事業が適切に実施されるよう、国としても責任を持って運用していきたいと思っております。
○長友委員 御答弁ありがとうございました。
国が責任を持ってということで、リーダーシップを発揮していただけるということは安心できると思います。
先日、参考人で来ていただきました富山県の雄川洋子センター長も、都道府県等では、自治体ではマンパワーが不足して、人手がなかなか足りないということを切実に訴えられておりましたので、その点に関しては国がしっかりとフォローをお願いをさせていただきたいと思います。
次の質問でございますが、農林水産省が公表している改正種苗法に関するQアンドAでは、育種目的の利用について、海外持ち出し制限がある登録品種であっても育種目的であれば、持ち出しが制限されている国に持ち出すことが可能というふうにされております。育種、試験研究目的による利用に育成者権が及ばない理由について伺いたいと思います。
○杉中政府参考人 お答えいたします。
育成者権につきましては、植物新品種の保護に関する国際条約、いわゆるUPOV条約に基づく国際的なルールとして、新品種の育成その他の試験又は研究のためにする品種の利用には及ばないこととされております。
これは、新品種の育成につきましては登録品種の利用というのが不可欠でございますので、登録品種の試験研究目的の利用を可能とすることが、品種の育成の振興という同条約及びそれに基づく種苗法の目的に合致すること、また、試験研究目的の登録品種の利用にとどまる限り、育成者権者の被る不利益というのは限定的なものにとどまると考えられるということが理由であるというふうに考えております。
一方、議員が御心配しているように、仮に目的を偽って品種を海外に持ち出したり、海外に持ち出した品種を試験研究目的以外で利用したりした場合には、これは育成者権侵害に当たりますので、試験研究目的で利用するに当たっても、外国人が試験研究目的と称して種苗を購入しようとする場合には、その具体的な用途を確認をして、試験研究目的であることが確認できない場合には販売しないこと、また、万が一海外で違法に栽培されたときに備えて、海外でも育成者権を取得をして、試験研究目的以外で利用された場合には、海外において差止め請求等の法的措置を講じることが必要であるというふうに考えております。
農水省としては、こういった点も踏まえまして、海外流出への防止対策の関係者間の意識向上及び海外での育成者権取得の支援というのを進めていきたいと考えております。
○長友委員 ありがとうございます。
国際条約や国際的なルールの下、保護もされるということであったり、また、研究目的以外での不正利用はされないものだという認識だということで理解はするんですけれども、現実、これは種子、種苗ではなくて、品種という意味では、和牛の世界のことをちょっとお話をさせていただきたいと思います。
今、アメリカ人にとって、アメリカン和牛というものが日常生活に定着をしております。いわゆるローマ字WAGYUでございます。
日本から最初の和牛がアメリカに持ち込まれたときというのは試験研究目的であったと私は理解をしております。これが一九七六年頃だということで、コロラド州の州立大学で生産研究を行うために、テキサス州のコウベビーフプロデュース社の社長であったモリス・ホイットニー氏が、兵庫県産と鳥取県産の雄の黒毛和種二頭と熊本県産の雄の赤毛和種二頭を合法的な方法で米国に輸入をしました。
しかし、この研究目的で連れていかれた和牛たちが悪用されて、一九九〇年代まで相当量の和牛の精子と胚が他の国々に流出をしたということが現状起きていると認識をしております。そのため、オーストラリアは、和牛とかけ合わせた品種が、日本を超える輸出国になっています。日本の畜産産業振興機構によりますと、データが少し古いですけれども、二〇一五年基準で、他の種との混血和牛も含めた数値で、オーストラリアは約二十五万頭、アメリカは約五万頭が飼育されているということでございます。
日本の正統性のある和牛は国内消費が大多数で、残る輸出が主に香港や台湾、カンボジアなどのアジアに集中しているのとは違いまして、オーストラリアとアメリカ産の和牛は欧州と南米まで、世界中に輸出をされているという状況です。日本の和牛が日本国内で消費されるのに対して、オーストラリアの混合牛は約八五%から九〇%海外に輸出をされているため、オーストラリアの一年当たりの混合和牛の輸出量は日本の十倍近くになっているというふうに認識をしています。
オーストラリアやアメリカで他品種とかけ合わせた混合牛が和牛として日本の和牛よりも多く出回っている状況というのが実際に、これは日本の法整備をする前に起きたこととはいえ、こういう状況になっていることに対して農水省はどのような評価をされているのか、大臣の御所見を伺いたいと思います。
○鈴木国務大臣 お答え申し上げます。
まず、我が国の和牛遺伝資源は、研究用又は商業用として、昭和五十一年から平成三十年までの間に、生体で二百四十七頭、そして精液が一万三千本、これが米国に輸出をされました。米国や豪州などで、これら和牛遺伝資源とほかの品種をかけ合わせた、今先生御指摘の交雑種なんですけれども、それがWAGYUである、そういうふうに販売をされていると承知をしております。
一方で、我が国における和牛は、和牛同士をかけ合わせた牛のみで構成されており、ローマ字のWAGYUとは、肉質を始め能力が全く違うわけであります。私も、海外に行くと、ローマ字のWAGYUがたくさん並んでいるのをよく目にして、じくじたる思いをするわけであります。
今、我が国の輸出額、牛肉は、令和七年で七百三十一億円ですけれども、令和十二年の輸出目標額は千百三十二億円と設定をしているところであります。
こうしたことに向けても、和牛遺伝資源関連二法というのがありますから、まず、和牛の遺伝資源を国内使用に限定することにより、海外への流出防止は徹底をします。そして同時に、食味や軟らかさなど、和牛肉の魅力を生かすために、統一ロゴマークも活用しながら、日系に加えて現地系小売店などへの商流の構築や、アメリカで設立された現地団体と協力した現地商流への販売拡大などに取り組んでまいります。
○長友委員 ありがとうございます。
大臣も問題認識を持っていただいているということでございますけれども、実際、オーストラリアで最も大きな和牛農家を経営する、オーストラリアのミスター和牛と言われるデビッド・ブラックモアさんという方、大臣も御存じだと思いますけれども、この方が朝日新聞の取材に、インタビューに答えていまして、日本の和牛よりもローマ字WAGYUの方がステーキには向いているんだ、日本の和牛は脂身が多いので、ステーキにはオーストラリア和牛の方が向いているんだということを堂々と答えて、それは宣伝しているんですよね。
おっしゃるとおり、肉質という意味では日本の和牛とアメリカン和牛は違うんですけれども、アメリカやオーストラリアの皆様はこれが和牛だと思って食べているというところで、やはりもっと積極的な差別化と、質もそうですけれども、アピールが必要だというふうに考えております。
そこで、最後に大臣に御提案なんですけれども、和食が二〇一三年にユネスコの無形文化遺産に登録をされておりますけれども、次は和牛を、ユネスコの無形文化遺産登録を目指して、和牛の元祖は日本なんだということを私はアピールするべきじゃないかと思っております。オリジナルは、ローマ字WAGYUではなくて漢字の和牛であり、そこには、日本の農業と密接に関係した食文化であることを世界に示すべきだというふうに考えるところでございます。
大臣に、もし更なる、日本の和牛とローマ字WAGYUは違うんだということを、強烈なメッセージを世界に対して発信する何かしらの考えやアイデア、また大臣の見解がございましたら、お伺いをさせていただきたいと思います。
○鈴木国務大臣 今ちょっと御提案を初めて受けましたので、私も何ができるか、しっかり考えなければならないというふうに思います。
特に、海外でローマ字のWAGYUが本当にどこでもある、そして私たちの国の本物の和牛はまだまだないという状況でありますから、食べ方なんかも含めてしっかり浸透ができるように努力させていただきます。
そして、済みません、先ほどあった答弁の中で、我が国の和牛遺伝資源が米国に輸出されたのを、私は昭和五十一年から平成三十年と申し上げてしまったんですが、正しくは昭和五十一年から平成十年までということで、済みません、訂正をさせていただきます。
○長友委員 ありがとうございました。
以上で質問を終わります。
○藤井委員長 次に、村岡敏英君。
○村岡委員 本日は、重要品種の育成及びその種苗の生産の振興に関する法律案と種苗法の一部を改正する法律案の二法案ですけれども、実は、与党の自民党の方々には多分ファクスは余り行っていないと思うんですが、野党の農林水産委員会の議員には物すごくファクスが来ています。
今日質疑をした中で大分解決されたと思っておりますが、例えば、海外のグローバル企業に種子が奪われるんじゃないかとか、また、地方の小さな種苗会社が潰れるんじゃないかとか、様々なことで多くの方々が心配を持っていますので、やはり農業にとって種子というのは非常に大事なことなので、是非、今日の質疑の中で大臣を始め農林省の方々が答えたことを実践していただきたい、こう思っています。
私からは、大分出尽くしたと思うんですが、採種地の確保に向けた支援についてお聞きしたいと思います。
参考人質疑において、日本種苗協会の会長である油木参考人から、野菜種子の新たな採種地の開拓が気候変動の影響などによって非常に厳しくなっている、気候条件の変化によって、これまで安定的に採種できていた地域でも品質のよい種子が取れにくくなっている、採種地を探しているが、簡単には進んでいないとのお話がありました。また、農林省による種子の安定供給に関する補助事業についても触れた上で、これをもう少し充実させ、より広い地域で採種地を発見していただきたい、生産者の話合いを密に進められる環境づくり、自分たちもしていきますけれども、是非農林省にそこの支援をお願いしたいという話がありました。
その上でお聞きしますが、気候変動によって従来の採種地での安定生産が難しくなってきている、国内外の新たな採種地の確保に向けた調査や、実需者、生産者とのマッチング、産地形成の支援をするのはどのように農林省で進めていくのか、大臣にお聞きいたします。
○鈴木国務大臣 お答え申し上げます。
野菜の種子につきましては、日本の種苗会社が種子生産に適した世界各地で生産をしておりまして、現状としては安定供給が図られております。
ただ、今、気候変動等により採種の適地が変化する中で、国内外において新たな採種地の開拓を、令和五年度の補正予算から野菜種子安定供給対策事業ということで支援をしてきているところであります。
本事業では、新たな採種地の確保に向けて、種子生産に必要となる栽培環境等の現地調査、そして現地での栽培試験を支援をし、より安定的な野菜種子の供給体制の構築を図っており、今後とも必要な対策を講じてまいります。
それぞれ、やはり野菜の種子を作っていらっしゃるメーカーの皆さんのお話もよく伺って、ある種、どこで、どのように国内で体制強化をしていきたいか、これに寄り添ってしっかり対応させていただきます。
○村岡委員 是非種子の会社の方々ともいろいろ話しながら進めていただきたい、こう思っています。
それと、先ほど大臣が答弁の中で触れられていた中山間地、非常に交雑はしにくく、そして隔離できるということの中で、この中山間地というのは、大臣は採種する適地として考えられて進めていくのかどうか、お聞きしたいと思います。
○鈴木国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、交雑をしてはいい種になりませんので、その意味でいうと、決して大規模農業をやるには条件がよくなかったとしても、種子の圃場としては向いているという地域が多々あるというふうに思っております。
どこの地域で何ができるのかというのは、これは本当に種苗を作って、種子を作っているメーカーの皆さんとよく相談をしなければなりませんので、そういう観点でも、中山間地域、そこで種子の生産が増えていくようにしっかりやらせていただきたいと思います。
○村岡委員 中山間地の農業の中に採種の適地があると思いますので、その部分では、農林省も是非それを進めていただきたいと思います。
そして、採種農家についても油木参考人から話がありました。
種子を作るという作業は、一般的に、農産物の生産とは異なり、栽培期間も、そして交雑防止や品質管理など高い技術が求められる、その一方で、採算性や所得の見通しが立たなければ、当然、採種農家がやれないということがあります。
参考人は、種子生産は長期の作物であり、生産者にとって参入しにくい面がある、技術的なハードルも高いことがある、さらに、現場で話を進めるためには、政府がやはり金銭的支援を含めた多くの支援をしっかりと採種農家にするべきだ、このように話されておりました。
今後、農林省として、採種農家に対する支援、そして、これは日本全体の農産物に大きく関わることなので、是非採種農家に対する支援をお願いしていきたいと思いますが、大臣の御見解をお願いいたします。
○鈴木国務大臣 種子や種苗生産につきましては、担い手の減少と高齢化が進んでいる現状のほか、手作業の多い作業体系など、特有の課題を抱えているというふうに認識をしております。
このため、農林水産省では、異なる品種混入防止のための抜取りや交配など、手間のかかる作業を省力化するための技術の実証への支援、稲、麦、大豆の種子生産について、新たに取り組む農業者に対しての支援や、新品種導入に向けた技術習得などの産地の取組への支援、そして、野菜の種子生産については、新たな採種地確保に取り組む種苗会社に対しての支援などを行ってきているところであります。
また、気候変動等対応品種法案では、国に対して、重要品種種苗生産事業活動を行う者に対して集中的かつ効果的に支援を行うよう努めるものとする旨の責務規定を置いております。当該規定の趣旨も踏まえて、引き続き、種苗生産の課題の解決に向けた支援の充実に努めてまいりたいと考えております。
特に、野菜の種は大変な手作業が生じるわけですので、もう少しそこを技術的に、新しいテクノロジーでどこまで何が乗り越えられるのかという観点は持って、いろいろな技術開発も含めてやっていきたいというふうに思います。
○村岡委員 油木参考人も言っていましたが、国内外とも、種子というのは、気候変動もあり、そしてそれぞれの国の法律もあり、いろいろ難しい面ですけれども、日本の農家がしっかりと国民に安心できる農作物を提供するためにお願いしたい、こう思っております。
この二法案からちょっと離れますけれども、私は、予算委員会で、片山財務大臣や高市総理大臣にお聞きしたことがあります。それは、食料品消費税、例えば一%になると、農家の方々は、売手が受け取った税金から仕入れのときに支払った税金を差し引き、差額分を納めるのが原則なんですが、飲食料品の税率が下がると、税金分が減って収入が落ちる一方、肥料や農機を買う際に支払う税金は変わらないため、生産者の手取りは当然下がります。また、外食産業も、もちろん影響があります。そして、私の地元の秋田魁新聞が第一面で書いてあったんですが、三菱総合研究所の試算の結果、中小農家は、平均四十万円、年間で減収になると。平均ですね、もっと減収になる方もいるんですが。
予算委員会では、総理が、減収になった方々に、しっかりと政府でもこれを取り組んでいくということをおっしゃっていただきました。それを踏まえて、農林大臣として、やはり食料品が一%になっていく、まだゼロか決まっていませんが、農林省としても是非財務大臣や総理に働きかけて、農業者が大きな減収にならないようにお願いしたいと思いますが、大臣の見解をお願いします。
○鈴木国務大臣 農林漁業者の多くは、免税事業者や簡易課税事業者となり得る、売上高五千万円以下の経営体であります。食料品の消費税減税については、資材購入時などに負担した消費税について、円滑に還付を受けることができるのかといった御不安の声があるということはよく承知をしております。
今、現状で、社会保障国民会議において議論を行い、今後どうするかというのは結論を得ることとされておりますが、我々といたしましては、国民会議の議論を見守りつつ、農林漁業者の皆様の懸念や課題には、しっかりと受け止めた上で、適切に対応させていただきます。
○村岡委員 是非、農林大臣に、政府の中でその働きかけをお願いしたいと思います。このことによって離農が進むということがないようにお願いしたいと思います。
次のお話に移らせていただきます。
今、備蓄米の買入れが、第四回目までで二十万トン、政府が予定した数量に達したと承知しています。しかし、その中で、今、現場の生産者から、備蓄がこのぐらい程度で終わるとなれば、相当米が暴落するんじゃないかという心配をしています。その上で、令和の米騒動のときに備蓄米は七十万トン近く出たわけですけれども、その中で、今、買い上げて五十何万トン。今後、この農家の不安に対してはどのような対策を取っていくのか。
値段は市場でということは分かりますが、しかしながら、農家の方々は相当不安になっていることが現実です。どのように今後の米価に対して農林省として取り組んでいく、そして備蓄米の買上げに対してどう取り組んでいくのか、教えていただければと思います。
○山口政府参考人 お答えを申し上げます。
委員から買戻しについての御質問がございました。
昨年三月以来、主食用として売り渡した五十九万トンの備蓄米の買戻しにつきましては、米をめぐる様々な状況を総合的に見定めていくことが必要であるというふうに考えております。
具体的には、令和八年産の政府備蓄米の買入れ、これは委員御指摘のとおり、先週の第四回の入札をもって全量落札となったところでございますので、その上で、これまでも申し上げておりますとおり、主食用米の販売動向、あるいは民間在庫の状況、米菓、米粉、日本酒メーカーなどの非主食用米を取り扱う事業者の原料米ニーズの状況、米取引関係者の需要動向に対する判断の調査の状況、あるいは、このような状況とかニーズを踏まえた産地の作付意向などのデータを見ながら、米の基本指針に沿って、今後の需給状況や販売動向も見定めた上で、例えば、七年産なのか八年産なのか、そういうことも含めて考えていかなきゃいけない課題だというふうに思っております。
いずれにしても、政府備蓄米は、食料安全保障の観点からも不可欠なものでございますので、災害、大凶作などの事態が発生し、米の供給量が減少するような場合にも備えまして、備蓄水準の回復に努めていくのが必要だというふうに考えております。
○村岡委員 本当は大規模な災害やそういうのはない方がもちろんいいわけですけれども、あったときの百万トンというのが基準なんでしょうから、そこはしっかりと取り組んでいただきたい、こう思っております。
そして、もう一つあるんですが、例えば備蓄米が不足する場合、どのような対応をするのか、農林省にお聞きしたいと思います。
○広瀬大臣政務官 政府備蓄米については、現在の備蓄数量は三十二万トンと適正備蓄水準の百万トンを下回っている中、食料安全保障の観点から、災害や大凶作等の事態が発生し、米の供給量が減少した場合に備えて、備蓄水準を早期に回復させていくことは重要であります。
このため、令和八年産米の政府備蓄米の買入れ入札を実施し、先ほどもありましたけれども、予定数量の二十一万トン全量が落札されたところであります。この二十一万トンは、本年九月一日から来年の三月十一日までの間に引渡しされる予定となっており、全量引渡しされると、備蓄の数量が五十三万トンに回復されます。
また、令和八年四月末の民間在庫量は、対前年同月プラス八十一万トンの二百四十九万トンと、近年では最も高い在庫水準となっており、十分な供給が可能と考えております。
加えて、食料供給困難事態対策の実施に関する基本的な方針においても、大凶作などの事態が発生し、米の供給量が減少した場合には、まずは政府備蓄米で対応しますが、これによってもなお国民が最低限度必要とする食料の供給が確保されない場合には、国が保有するミニマムアクセス米も活用可能と規定しており、こうした措置と併せつつ、災害や不作の事態に対応してまいりたいと考えております。
○村岡委員 十年以上前でしょうかね、大凶作で、タイやいろいろなところから米を緊急輸入しなきゃいけないことがありました。ミニマムアクセス米、それはどうしてもない場合には致し方ないことですけれども、やはり日本に今在庫が余っているわけですから、しっかり備蓄米を政府の保有にしていただきたい、こういうふうに思っております。
次に、新たな水田政策の環境直接支払い交付金、支援五年間というのが今出ておりますけれども、この五年間というのは、なぜ五年間になったのかがよく理解できないという声が実際の現場から聞こえてきております。
この五年間はなぜ五年間としたのか、お答えいただければと思います。
○鈴木国務大臣 新たな環境直接支払い交付金は、みどり認定者を対象に、かかり増しコストに加え、減収リスクにも対応した支援とするとともに、市場評価の向上や生産安定化のための取組を実施していただくことで、五年間で取組の定着と拡大につなげる支援とする方向で検討しているところであります。
同一圃場での同一取組への支援を五年間で区切るということについては、まず、みどり認定では、五年間で取組を定着させる計画を立てていただくということ、そして、現行制度においても、五年程度で収量が大体安定をして、価格も含めて一定の利益が得られるというデータがあることから、取組の定着に必要な期間として検討をさせていただいております。
○村岡委員 現場で、五年間という年月だけで本当に足りるのかという不安の声があるので、その辺は現場の声もしっかりと聞いていただきたい、こういうふうに思っております。
もう時間がないので最後の質問をさせていただきますけれども、今、国家公務員、男女共同参画の中で、女性の官僚の方々は増えております。一九九七年、私が官房長官秘書官をやっていたとき、男女共同参画ということが出てまいりました。そのとき、主任以上の女性の割合というのは一%だった。それに比べたら、四半世紀たって本当に増えてまいりました。
農林省は、女性の割合が、今年度、昨年度ですか、四六・二%、非常に省庁の中でも高いです。これは非常に農林省の進め方も時代にマッチしていますし、これからの農業者、例えば基幹的な農業者のうち、女性も四〇%ぐらいになっています。そういう意味では、女性の官僚が増えていくということは、現場に行ったときも一緒になって、いろいろな、農作物の生産だけじゃなく、女性の活躍ということでも非常に大きな意味があると思います。
大臣になって更に加速していると思いますが、この四六・二%は非常に大きな前進をしていると思いますが、大臣から最後にお答え願えれば、こう思っています。
○根本副大臣 お答え申し上げます。
農林水産省は、女性職員を含むあらゆる職員が能力を最大限に発揮できる組織づくりに省を挙げて取り組んでいるところであります。
その中で、女性職員の採用数は着実に伸びており、管理職への登用も進み、多くの女性職員が活躍をしているところであります。
今後とも、食と環境を未来に継承するとの使命を職員一丸となって果たせるよう、全ての職員が意欲を持って働ける組織づくりに努めてまいりたいというふうに考えております。
○鈴木国務大臣 今、根本副大臣から答弁があったとおりでありますけれども、我々の職場でも、女性というか、これは男女にかかわらず、皆さんに御活躍いただくということが大事かと思いますので、いい人材が日本の食のために一緒に働けるように、しっかり私も努力させていただきます。
○村岡委員 時間が参りましたので、これで終わります。ありがとうございました。
○藤井委員長 次に、木下敏之君。
○木下委員 参政党の木下敏之でございます。
本日も質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
本日は、日本の新品種育成能力についての政府の評価、そして、世界の主流となりつつありますAIを使った品種開発への対応、体制の整備について質問をさせていただきます。
今、委員の皆さんのお手元に資料を配付させていただいておりますが、表の資料一、これが、平成十九年、二〇〇七年から昨年までの我が国における開発主体別の新品種の出願数、その推移のデータでございます。
これまで何人もの委員の皆さんから御質問があり、農林水産省側の御答弁もあるわけですが、全体としては半減している、そして、特に都道府県出願と民間からの出願が全体の三分の一になる、大きく減っているわけでございます。本日の質疑におきましても、この品種登録の減少要因として、品種開発には多大な時間とコストがかかる、ですが、その対価の回収が困難になってきている、それが大きい要因であると説明をされているわけでございます。
しかし、このデータは、米や野菜や花卉、全部ひっくるめてのデータでございまして、野菜や花卉で考えるとF1の流通が大部分でございますので、そうすると、親系統が何かなどというような企業の秘密の流出を恐れるのであれば、あえて品種登録をしないという選択があるわけでして、いわば、出願件数が減っているからといって、我が国の品種開発能力が低下しているとは言えないのではないかと思います。
農林水産省は、この登録件数の減少をどのように評価しているのでしょうか。特に、品種開発能力というのは、件数だけ見ても、全く駄目とは言いませんが、結局、農家の増収やコストダウンにつながるものでないと意味がありませんし、また、海外で大きく輸出できるものがどれだけ出たかというような点も非常に重要になってくると思うんですね。
改めてお伺いいたしますが、日本全体として品種開発能力が低下していると考えるのかどうか、この点についてお答えいただきたいんですが、米については政府と都道府県の試験研究機関、そして果樹と野菜の二分野については民間と都道府県に分けて御回答をお願いいたします。
○杉中政府参考人 お答えいたします。
議員御指摘のように、我が国の新品種の品種登録出願件数は、平成十九年の九百五十五件をピークに減少傾向にあり、近年は三百から四百件程度となっております。
また、委員からの事前の御指摘で、米、野菜、果樹に分けて分析をするようにという御指摘がございました。
稲につきましては、以前は都道府県からの出願が最も多かったわけですけれども、近年は都道府県からの出願が平成十九年から七六%減少するなど、減少傾向が非常に大きい傾向がございます。
また、野菜については、種苗会社からの出願が最も多いわけで、その出願数は減少傾向にはないが、一方で、都道府県からの出願は平成十九年から六五%減少するなど、減少傾向が非常に大きい傾向にございます。
また、果樹につきましては、いわゆる民間の苗木生産業者、これは個人の苗木生産者も含みますけれども、や都道府県からの出願が多かったわけでございますけれども、平成十九年からそれぞれ三二%、三一%減少するなど、減少傾向にございます。
このように、主な種苗会社は、公的機関とは異なり、国内だけでなく、海外でも種苗の生産、販売を行っておりまして、品種開発力を維持する一方で、都道府県や国内向けの苗木生産業者などの出願件数の減少が大きな問題であるということが伺えると思います。
出願件数の減少の要因といたしましては、先ほど来お答えしておりますけれども、気候変動への対応など新しい育種需要に対応するための新品種の開発コストが上がっていることに加えまして、専門性の高い育種などの研究を行う公的機関の研究職員が減少している、また、一部の品目につきましては、国内市場の減少を海外販売で賄うことができないといった課題がございます。一概にこれが品種開発能力の減少というふうに判断することはできないわけですけれども、コストの増加、特に公的機関における研究体制が非常に厳しい状況になっているという意味では、品種開発能力を更に拡大するための対策が必要と考えております。
このため、気候変動等対応品種法案に基づいて、産官学が連携をして重要品種を開発する支援をつくる、また、海外ライセンスによる知財収入の確保により品種開発に係る予算面を含む体制を確保していくということが重要だというふうに考えております。
なお、野菜についての御指摘がございましたけれども、昨今、F1品種であっても葉っぱ一枚からクローン、いわゆるメリクロン苗というのを作られる可能性がございますので、原原種とともに品種登録をするという、必要性が認識されるようになってきておりますので、F1品種が増えたために出願する件数が減るとか、その必要がないといった御指摘は当たらないというふうに考えています。
○木下委員 御回答ありがとうございました。
そうすると、この間、参考人質疑のときにも油木さんがおっしゃっていた、ゲノムによる登録を認めるようにしてくださいという話がありましたが、そういったものをこれから積極的に認めていく方向に法律改正なり、運用を変えていくというお考えでしょうか。
○杉中政府参考人 お答えいたします。
ゲノム編集自体は、現在でも多くの民間の種苗会社、あと農研機構などの研究機関が開発している技術でございますし、これ自体の現象は自然界で起きるような遺伝子の欠落と同様のものを意図的に起こさせるというものでございますので、こういったものをしっかりと活用しつつ、また、消費者、あと事業者の不安を取り除きつつ、活用できるような体制を整備していきたいと考えています。
○木下委員 お答えありがとうございます。
ちょっと、これ以上ここに時間を割くわけにいかないんですが、お願いしたいのは、来年からこういった資料を出すときにも、全体の件数が減っているからいかにも問題だというような、ちょっと一種錯覚を起こさせるような資料だけじゃなくて、内訳をしっかり出して、それから、新品種でどんなメリットが農家側に生じたのかということも入れた資料を作るように是非お願いをいたします。
では、次の質問に入ります。
お配りした資料の裏側が資料の二でございまして、これは、二〇〇四年から二〇二三年までの、上の方が、国と都道府県を含めた農林水産関係の試験研究機関の総収入額、予算的なものですね、それから、下の方が、地方の公設の試験場、都道府県の試験場の職種別の人員の推移でございまして、この二十年間で、大変残念なことに減少しておりまして、人員が二二%の減少、それから予算が一七%の減少となっているわけであります。
お米や果樹のように育成に長期間かかるものはやはり公的な試験研究機関の役割が非常に大きいと思うのですが、このような、予算が減少し、人も減っているという状態では、とても今後の世界的な育種競争を勝ち抜くことはできないと思うんですね。この点についての農林水産省のお考えを伺います。
○堺田政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘がありましたように、新品種の育成には、米で約十年、果樹で約三十年と非常に長い期間がかかり、多大な開発コストを要します。
こうした中で、これも委員御指摘のとおり、現在、農研機構、都道府県の公設試験場などが米や果樹の品種育成の中心となっておりますが、一方で、公的研究機関の人的リソース等の制約がある中で成果を上げていくには、国全体として効率的な品種育成体制を構築していくことが何よりも重要だというふうに考えております。
このため、今回の気候変動等対応品種法案では、国の基本方針で育成、普及すべき重要品種の考え方を明らかにして、共通する育種目標を持った研究機関同士が連携し、役割分担の下で効率的に品種の育成が行われるように、産官学の連携を促すとともに、ゲノム情報、あるいは栽培形質等の育種ビッグデータを用いまして、AIによる交配親の組合せ予測を可能とするスマート育種支援システム、こういったものを始めとした、農研機構が有する先端的な研究設備の供用を可能とする措置を講じることとしているところでございます。
この法案の措置を通じまして、効率的な品種育成体制を構築してまいりたいと考えております。
○木下委員 お答えありがとうございます。
今、AIの話が出ましたけれども、後半からAIの育種について御質問するわけですが、AIが短縮するのは、有望なかけ合わせの選抜の期間を短縮するわけですね。その先はやはり圃場で栽培試験というのが必要になりまして、AI育種の時代には実はこれまで以上に圃場での栽培の体制を充実する必要があるというふうに言われておる、まあ御承知のことと思いますが。
そこで、今回皆さんのお手元には資料として配っておりませんけれども、農林水産省が公表しておられます関係試験研究機関の基礎調査を基にして私の方で計算をしてみたところ、何を計算したかというと、研究職を支える現場の作業員の皆さんの人数、これが二〇〇四年から二〇〇五年にどう変化したかというのを調べてみました。大変残念なことに、県の試験研究機関は、研究職は二四%の減少なんですが、作業職員が三六%の減少、そして、政府の研究機関は、研究職員が一七%の減少ですが、作業職員は三三%減少しているんですね。
これがAIの時代に何がまずいかというと、AIは、組合せの候補として、今まで人間が、ちょっと信じられないようなかけ合わせを提案してくる可能性があるんですが、現場の圃場での栽培試験の体制が不十分だと、こんなことはあり得ないよねといって、やらない可能性も十分に出てくるわけなんですね。
だから、これからみんなで供用してという話に金がないときはなるんでしょうけれども、現場の作業員の減少が実はAI育種の効果を抑えてしまうという点があると思うんですね。それについて農林水産省はどのようにお考えでしょうか。
○堺田政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、品種のかけ合わせの後には最終的に圃場での確認作業が必要となることから、先端技術の活用によりまして圃場での作業についても効率化を図ることが大変重要だというふうに考えてございます。
先ほど来お話がありました、AIを用いた予測によりまして最適な交配の組合せを厳選できるということで、今までは非常に多くのかけ合わせをして、それを圃場で試さなければいけなかったところがかなり労力として削減される、こういったことがまず期待できるというふうに考えておりますし、AIの部分以外にも、例えば、幼苗から有望株を選抜する際のDNAマーカー選抜、あるいは、品種の特性を定着させるためには複数世代増殖しなければいけませんけれども、その世代促進を高速で可能とする人工気象室、それから、画像解析だとか、ここでもAIを使いますけれども、作物形質を自動的に計測、評価する高速フェノタイピング技術、こういったことを用いることで短期間で効率的な作業が可能となるというふうに考えております。
このような品種育成、さらに、その周辺を含む技術の効率化、迅速化についても取組を進めてまいりたいというふうに考えております。
○木下委員 御回答ありがとうございました。
どの施設を入れるにしてもお金が必要なわけですね。ですから、私は、高市首相が進められておられます責任ある積極財政、是非推進していただいて、この育種の分野にもお金がたくさん投入されることを期待して、次の質問に参ります。
次は、気候変動等対応品種法案についての質問なんですが、私が非常に危ないなと思っているのは、外国資本が日本の重要な育種のデータについて触れる可能性が出てきていることだと思っています。
事前レクの際に、この法案の第六条、重要品種育成事業を行おうとする者に外国人や外国資本が四〇%以上の企業が含まれるのかどうか、特定の国の影響下にある企業かどうかの審査を行うのかと質問したところ、農林水産省からは次のような回答があったわけであります。育成事業計画では、申請を行う者の国籍、資本の構成比率について確認するとともに、我が国の食料安定供給の確保に資する品種育成が行われるように確認をいたしますというような御回答をいただいたんですが、では、更に伺いたいと思います。
結局、確認作業の結果、外国人や外国資本の影響を受けている企業についても、事業計画を行う人として認定されることはあるということなんでしょうか。農林水産省の見解を求めます。
○堺田政府参考人 お答えいたします。
本法案の重要品種育成事業活動計画でございますけれども、我が国で現在普及している品種を気候変動等に対応した新品種へ切り替えることを目指し、重要品種の育成を行う取組を認定するものでございます。そうしたことから、取り組む主体としては、農研機構や都道府県、国内の民間企業を想定しております。
委員がおっしゃられるような、外国の関与する企業によって行われることは、基本的には想定してございません。
○木下委員 基本的には想定しないということは、認定することもあるという理解でよろしいんですかね。
というのは、何でこういうことを聞いているかというと、昨日ですかね、愛媛県が開発した高級かんきつが中国に流出しているといったような報道がなされておりましたが、これは家畜伝染病予防法のときの質疑にありましたよね、違法な畜産物が国際郵便によって日本に持ち込まれる、その持ち込んでくる国は大部分が中国や特定の国に限られているということでしたので、特にそういった種苗を流出しているような国の影響にある者に対しては厳重に審査するべきだと思うのですが、御見解をお願いいたします。
○堺田政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、流出防止対策は極めて重要であると考えております。このため、当該計画の運用に当たりましては、申請を行う者の国籍、資本の構成比率、日本の国内拠点の有無の確認に加えまして、財務状況の把握による事業の実効性の確認のほか、技術的な妥当性について、計画に参加する全ての研究者の経歴と実績に照らして確認を行うなど、様々な角度から丁寧に確認を行い、厳格な審査に努めてまいりたいと考えております。
○木下委員 お答えありがとうございます。
後で質問いたしますけれども、農研機構が開発しているスマートAIシステムに触ることができるということは物すごい魅力的なことだと思います。それで、表に外国資本が前面に出なくても影響力を行使するという体制の会社を申請させるということはあり得ることなんですが、そういった、裏側に外国資本が回っている場合に農林水産省が審査するといっても、十分な審査能力は正直ないのではないかと思うんですね。
それで、外為法における対内直接投資審査制度の審査のように、関係省庁から情報提供の仕組みを求めるべきではないかと思いますが、農林水産省の御見解を伺います。
○堺田政府参考人 お答えいたします。
外国投資家が農林水産関係の国内企業への出資を行う場合、委員お話がありましたとおり、外為法上の対内直接投資審査に基づき、財務省などの関係省庁と連携し、国の安全性の観点から、当省において事前届出の審査を行ってございます。
気候変動等対応品種法案の運用に当たりましても、関係省庁や省内関係部局と連携し、外国投資家の情報について速やかに収集するなどして、厳格な審査を行うことを検討したいと考えております。
○木下委員 お答えありがとうございました。
では、次の質問に移ります。
今、医薬品の分野ではAIで過去の論文や試験データを学習させて新薬候補を絞り込んでいくということがどんどん進んでいるわけでありまして、育種の世界でも先端企業、バイエルなんかはAIを育種に活用していると伺っております。
農林水産省が開発したスマート育種支援システムですが、最も価値が高いのは、今は学習中だと思うんですが、AIに学習させる育種データベースだと思うんですね。
先週の参考人質疑で富山県庁の雄川さんにお話を伺いましたが、これまでの育種のデータを、紙ベースのものをデジタル化する作業はまだ余り進んでいないような印象を受けております。しかし、過去の試験研究データのデジタル化がされていないとAIは賢くなりませんし、単に、デジタル化しているといっても、AIが読み込めるような形、それから気象のデータと連携させるとか、そういったデータのクレンジング、整理が必要だと思います。
農研機構はそのような作業は既に完了していると思いますが、都道府県の試験研究データについて、どのような支援策をもって、何年までにデジタル化を進めようとお考えなのか、農林水産省のお考えを伺います。
○堺田政府参考人 お答えいたします。
スマート育種支援システムの基本となるデータについてのお問合せでございますけれども、現在、国のプロジェクトにおきまして、まず、稲、麦、大豆、これを対象に、農研機構と国のプロジェクトに参画する五県の公設試のデータについてデジタル化に取り組んでいるところでございます。
このうち、農研機構のデータにつきましては、これは遡れる範囲の品種、系統についておおむねデジタル化を了しているところでございます。
他方で、県のデータにつきましては、これはプロジェクトの参画県の御判断もありますので、本システムにおいて利用を希望する品種、系統について、現在、デジタル化に鋭意取り組んでいるところでございます。
このプロジェクトの中で、その基盤を、入口のところを確立していきたいというふうに考えております。
以上です。
○木下委員 お答えありがとうございました。
では、ここから大臣にお伺いしたいと思います。
これから育種の中心はAIを使った育種になっていくんじゃないかと思うんですけれども、今回もし海外の影響を受けるような会社が計画の認定を受けて、そしてこの農研機構の育種AIを触れるとなると、我が国が何十年にもわたって蓄えてきた貴重な財産が海外に流出する可能性が非常に高まっていると思うんですね。
これから、農林水産省は、この法律が通った後に、農研機構の育種AIについてどこまで外部の方に利用させるおつもりなのか、特に、AIを利用させるとしても、学習済みモデルの利用だけなのか、それともその基になった育種データベースまで触らせるのかどうかという違いは非常に大きいんですね。ここをいいかげんにしておくと、都道府県も含めてデジタル化されたデータを丸ごと海外に持っていかれるというリスクが非常に高まるなと思っておりまして、今回の法律は、内容はすばらしいと思うんですが、情報を流出するという点では非常に危ういところもあると思っております。
この問題、要するにデジタルデータを抜かれないようにするためにどういう対応を取っていくかということについて、大臣の御見解を伺います。
○鈴木国務大臣 木下先生からの御指摘と問題意識は、もう全くそのとおりだと思います。セキュリティーをいかに確保するかということが今回も大変大事です。
本システムの外部からの利用に際しては、利用者がアクセスできるのは交配予測の結果のみとなっておりまして、ゲノム情報などの基データやAIモデルそのものにはまずアクセスができない仕組みとなります。
我が国が長年にわたり蓄積してきた育種に関する知的財産、これがしっかりと守られていくように、有効な流出防止策は取らせていただきたいと思います。
○木下委員 時間が迫ってまいりましたので、ここからは要望でございますが。
今、AIの世界では、基データにアクセスできなくても、似たような質問を大量に繰り返すことによって基データの情報とほぼ同じようなものを抜いてしまうという技術も進みつつありまして、やはりAIのモデルにできるだけ触らせない、触る人に対してはセキュリティーチェックをしっかり行って、抜かれないようにするということに、是非専門家を入れて流出防止策を御検討いただきたいと思います。
要望をさせていただきまして、時間となりましたので、質問を終わります。ありがとうございました。
○藤井委員長 次に、林拓海君。
○林(拓)委員 チームみらいの林拓海でございます。
冒頭、私の緊張をほぐしていただいたというふうに思ってもおりまして、誠にありがとうございます。感謝申し上げます。
さて、今回、いわゆる種二法について質問をさせていただきます。
冒頭、これまでの質問でも取り上げられておりましたが、報道で、他国において、通販サイトで、愛媛四十八号、紅プリンセスとの名称の果物が売られており、この果物が、愛媛県が二十年間かけて開発して、昨年春に本格販売が始まったばかりの高級かんきつ、紅プリンセスと同じ品種である可能性があるというふうに報道された件についてお伺いしたいというふうに思います。
これは直近報道されている内容にはなるんですが、今回の種苗法の改正案というところにおいてもこれまで御答弁でもあったかと思うんですけれども、海外に流出したと見込まれるといいますか、みなされる品種が一定数あったというふうに振り返りをされていたというふうに考えておりまして、そういった形で、事実としてこういうことがあったのではないかというふうに把握をすることが極めて重要だというふうに思っておりますので、そういった整理がなされていることに私は敬意を申し上げたいというふうに思うのですが、今回新たに報道がなされたことが事実であればゆゆしきことであるということは間違いないというふうに思いますので、これに関して、事実をどのように把握されているのか、まず農水省にお伺いいたします。
○根本副大臣 お答え申し上げます。
昨年、農林水産省が、中国、韓国の種苗会社などのインターネット販売サイトを調査した結果、日本の登録品種と同じ名称、又はその品種であることを想起させる種苗が五十種程度確認されました。
その調査において、愛媛果試第四十八号、商標名、紅プリンセスと類似の名称の苗木が中国で販売されている事実を把握し、その旨は愛媛県と共有をしているところであります。
○林(拓)委員 ありがとうございます。
愛媛県と共有をしているということだったかと思います。
これは、この流出が事実であればといいますか、報道がなされているベースではかなり確度が高いのかなというふうに素朴な感覚としては思うわけなんですが、現状起きている事態に対してどのような措置、対応が可能で、実際にどのように対応していくのか、これをお伺いしたいと思います。
○根本副大臣 海外に品種が流出した場合の対策といたしまして、海外での育成者権を取得をし、海外での育成者権侵害に対する監視や調査を行い、無断栽培や販売が発覚した場合には、当該国の法律に基づいて法的措置を講ずることが重要であるというふうに考えております。
農林水産省では、愛媛果試第四十八号の海外への品種登録出願を支援してきており、米国では登録済みで、中国や韓国なども出願中であります。
また、農林水産省では、海外での育成者侵害等に対し、海外での侵害状況の調査や対応を支援しており、例えば、外国において侵害状況調査の実施や、種苗の無断販売先に対して警告書を送付するなどして販売を停止させた実績もございます。
愛媛県は実態把握に努める意向と聞いており、農林水産省といたしましても、愛媛県と緊密に連携し、愛媛県による対応を支援してまいりたいというふうに考えております。
○林(拓)委員 ありがとうございます。
愛媛県との緊密な連携、これは極めて重要だと思います。今御答弁にあった、監視だったり、あるいは裁判も含めた対応をしていく必要があるといった旨の御答弁だったかと思うんですが、今回の主体は愛媛県なんですね。育成権の主体、今回の権利の主体は愛媛県である、つまり、何か対応していく主体は愛媛県にあるというふうな、連携といった意味ではそういった趣旨での御答弁だったかと思うんですが、愛媛県と農林水産省で連携をしていくということは具体的にどういったことが行われるのかということをお伺いいたします。
○根本副大臣 農林水産省といたしましては、これまでも都道府県の知的財産担当と連携しているほか、海外での侵害状況の調査や、育成者権者の法的対応への支援を行っているところであります。
今回、紅プリンセスの流出の情報を提供したのも、このような協力に基づくものと考えており、引き続き、愛媛県が積極的に対応を進められるよう、連携してまいりたいというふうに思います。
また、育成者権管理機関との連携により海外ライセンスや侵害対応などの対応も進めていくことを期待しており、国としても支援していく考えであります。
○林(拓)委員 ありがとうございます。
現時点で既に連携しているということで、対応が進んでいくということを期待したいというふうに思います。
既に連携が進んでいるということですので、愛媛県が主体となって、御相談なんかも含めてやり取りされているんだろうというふうに拝察するわけなんですけれども、現時点で既に連携を進めていっていただいているという中で、レクでも今回の案件についてお伺いしていると、海外に流出してしまったということに愛媛県が主体となって対応していくということに対して、農林水産省として連携をしていくというような御趣旨でお話をいただきました。
先日の報道なんかも見ていると、県知事も、非常に、率直に言って悔しいというふうにおっしゃっている旨も拝見しておりまして、研究開発に関わった方々も、約二十年かかったということなんですね。
ここまでも様々な事例について各先生方が取り上げられたかと思うんですが、育種から普及まで十年、二十年かかるという実態もある。当然、我が国の利益を守らなければならないという側面もありながら、二十年という月日をかけて育成していったものがあっという間に海外に流出してしまったということを、非常に懸命に現場で育ててきたというか開発してきた方々の思いというものを考えると、なかなか言葉にできないなという感覚がございます。
今回、愛媛県が主体ということではあるんですけれども、最後、こちらの案件を大臣にお伺いしたいんですが、主体が県であっても、こういった重大な案件、この紅プリンセス、すばらしい品種だと思うんですが、こういったものを例えば海外にどうやって我々の権利を行使していくのかということについて、先日の参考人質疑でも、専門的なやり取りについて県に知見が、そんなに頻繁に発生する案件でもないと思いますので、なかなかないので、そこは是非相談、連携してほしいということがありました。
農林水産省として、いわゆるプッシュ型という形で、こういった案件にはこういうふうに対応していくんですよということを、もちろん県が主体で県のニーズに応じるということは当然のことだと思うんですが、農林水産省さんからプッシュ型で提案していくことも含めて対応していくことが必要だと思うのですが、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
○鈴木国務大臣 まず、今回の案件は、この紅プリンセス、この苗木の販売は県が許可した事業者に限っていて、県外に持ち出さないよう同意も求めているということ、これは報道で流れております。そうした中で今回の事案に至っているということ、もしこれが本当に同じ品種のものであるとすれば私としては大変遺憾でありますので、愛媛県と協力をして、なぜこういうことになったのか、しっかりと考えなければならないと思います。
その上で、農林水産省は、海外への品種登録の出願や、海外での調査、侵害対応の支援を行ってきております。
ただ、一方で、農研機構や都道府県などの育成者権者にとっては、海外における契約の締結、訴訟を行うのは、語学や法令の専門知識などが大きな負担というふうにお伺いをしております。
このため、育成者権者から委託などを受けて、流出や無断栽培などの監視、侵害対応に取り組んでいく、専門性のある育成者権管理機関を遅くとも八月までに立ち上げをさせていただきます。事業ができるだけ早く開始できるように今関係者が準備をしているところだと伺っております。
立ち上げの際には、農林水産省としても、この育成者権管理機関の活動に係る予算を支援をし、また、都道府県などの育成品種についても専門家の法的支援を受けられるようにしてまいります。
○林(拓)委員 ありがとうございます。
もし事実であればということをつけ加えた上で大変遺憾であるということで、これは仮に流出したということであれば大変なことではあるわけなんですけれども、こういった、流出をさせない、そもそもさせない、そして、万が一してしまった場合はそこにしっかりと対応していくという旨での御答弁をいただいたかと思います。是非、これはほかの委員の先生方もおっしゃっていましたが、実効性のある対応を進めていくようにお願いを申し上げたいと思います。
また、育成者権管理機関が新設されるということで、ここがいかに実効的な機能を持つのかということも重要かと思いますので、その点についてもお願いを申し上げて、次の質問に移らせていただきたいと思います。
次に、新品種の開発についてお伺いをいたします。
今回、数が減っていっているという中で、新品種の育成期間の短縮が必要であるということで、参考人の方々もおっしゃっていたかと思いますが、ここに新しい様々な取組があるんだ、既に農研機構さんの方でも様々な取組をされているというふうに把握しておりますが、育種から普及まで十年から十五年程度かかると言われる構造の中で、公的機関としても開発に取り組んでおられるということでありますが、先日の参考人質疑でも、期間の短縮について、有望な育種素材の提供、DNAマーカー選抜、また環境制御可能な人工気象室の利用など、先端的技術の活用が図られることが非常に重要なことだというふうに雄川参考人がおっしゃっていたかと思うんですが、農水省として、様々な先端的技術の活用は重要だという御答弁はこれまでもあった中で、どの段階が問題になって新品種の育成というものが期間がかかるという状況になっているのか、御認識をお伺いいたします。
○堺田政府参考人 お答えいたします。
品種育成に期間がかかる理由でございますけれども、まず、近年ニーズが高い高温耐性や多収性等の形質を有する品種につきましては、多数の遺伝子が関与するということで、親の組合せが非常に膨大になるという点がまず最初にございます。
また、目的の形質を均一化させるためには数世代の増殖を重ねる必要があるということ、さらに、品種候補について普及を想定している地域で実際に栽培をして目的とする形質が確実に表れるかを確認するためにまた複数年が必要である、こういったことから、品種開発、育成においては、今申し上げましたプロセスを経るということで、長期間を要しているということでございます。
○林(拓)委員 ありがとうございます。
様々、取組の中で時間がかかるというふうに御答弁いただいたかと思うんですが、今回、先日の参考人質疑でも、DNAマーカーなどの技術を公設試験研究機関に実装することで現実的に期間短縮が可能になり得るのではないかという印象も受けました。その点についても進めていただいているかと思いますが、こういった新技術を各都道府県なども含めて様々なところで使えるようになるということが重要だというふうに考えております。当然、現場のニーズに応じながら、新しい技術をどこでも使える、ニーズに応じて使えるように環境として整備していくということが重要だと思うんです。
ここで、先日の参考人質疑でも、期間を短縮する具体策として、DNAマーカー選抜、農研機構の方から、いもち耐性の遺伝子の形質を持ったものを育種素材としてもらった、こういうことがあると期間の短縮が進んでいくのではないかというような趣旨での発言があったと受け止めているんですが、これも踏まえて、農研機構さんと自治体の連携、ここがより密になる取組を進めていきながら、この農研機構の技術を、貸し出すと言うとちょっと表現が適切ではないかもしれないんですけれども、やり取りをしながら、より様々な技術なり、あるいは資源の提供ができれば、連携が密になれば期間の短縮につながっていくのではないかというふうに考えていますが、具体的な取組も含めて、連携を深めていくということについての御見解をお伺いしたいと思います。
○鈴木国務大臣 気候変動が進行する中で、高温耐性や多収性などを有する新品種の育成期間を短縮していくことが何しろ重要です。ですので、先端技術の活用により育種に係る作業の効率化を図ってまいります。
このため、今回の気候変動等対応品種法案では、スマート育種支援システムによる最適な交配組合せの予測、そして、DNAマーカー選抜による有望株の早期の選抜、また、人工気象室ですね、これはモジュール型の植物工場ということになりますけれども、そこによる高速世代促進など、農研機構が有する先端的な研究設備の供用による新品種の育成期間の短縮を可能としているところであります。
ですので、このような研究設備の供用の措置とともに、農研機構からは専門家を各都道府県にも必要に応じて派遣をさせていただいて、技術指導を通じて先端技術を習得した人材の育成を支援することで、都道府県が行う品種育成の取組を後押しし、気候変動などに対応した新品種の育成、普及の迅速化を実現してまいります。
○林(拓)委員 ありがとうございます。
是非連携を深化させるということも進めていただくようにお願いをしたいと思います。
育成の期間に加えて、今回、品種の登録件数が減少傾向にあるということを背景にした改正案でもあるというふうに考えていますが、品種登録の件数が減少傾向にある、いわば伸びない状況にある最大のボトルネックはどこにあるというふうに考えているのか、農林水産省の御見解をお伺いいたします。
○杉中政府参考人 お答えいたします。
繰り返しになりますけれども、まず、気候変動への対応など新しい育種需要への対応、これが求められておるわけですけれども、この開発コストが非常に上がっているということと、専門性の高い育種などの研究を行う特に都道府県等の公的機関の研究職員が減少しているといった体制の整備の問題、両面があるというふうに考えております。
○林(拓)委員 ありがとうございます。
人材の育成も含めて喫緊の課題だと思いますので、是非進めていっていただきたいと思いますし、この種苗の領域に新しい人材が流れ込んで、流れ込んでと言うと表現があれですね、しっかり種苗の領域を学びたいと思ってくれる若者が増えるような取組も進めていっていただきたいというふうに思います。
自分が作った種苗が日本中に広がっていったり、新しく誕生したブランドを消費者の方々が喜んでくれるというのはかなりやりがいのある仕事なんじゃないかなというふうに思っていまして、私も高校の学校職員をやっていた経験でも、そういう魅力を高校生たちが知っていたらもしかしたら志望した子供もいたかもしれないなという率直な感想も持ちますので、そういった取組も、これもレクで何回かこういったお話もするんですが、なかなか、そういった提案を聞いたことがないみたいな反応をされることも間々あるんですけれども、是非進めていただきたい、人材育成、私も重要だと考えております。
ちょっと、時間の関係で最後の質問をさせていただくんですが、今回、育成者権管理機関の新設によってしっかりと海外も含めて育成者権が守られる環境を整えていくということは重要なことだと私も思っております。一方で、海外に種苗が流出してしまった際に、今日の質問でも取り上げさせていただきました、かなり難易度の高いやり取りや取組が必要になるというのも事実であると思います。
これは都道府県や一定規模の事業者の方であれば対応することが可能なのかなという何となくの感覚もありつつではあるんですが、中小の育種家の方などいらっしゃるかと思いますので、こういった方々の権利も守られるような取組も必要かと思うのですが、最後に御見解をお伺いしたいと思います。
○鈴木国務大臣 今度、夏に立ち上げます育成者権管理機関ですけれども、中小の種苗会社や個人育種家も含めて、優良品種の育成者権者からの委託を受けて、海外ライセンス契約や侵害対応を行うことを目的としております。
農林水産省としては、これは、皆さん、個人であろうが育成者権を持っていらっしゃる方がしっかりとこの権利を行使できるように、そしてまたそれが守られていくように、結果としてそれがまた次の品種開発への意欲につながるという循環ができるように、管理機関の活動に必要な予算を確保し、取組を後押ししてまいります。
○林(拓)委員 ありがとうございます。
時間になりましたので、質疑を終わります。
○藤井委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。
―――――――――――――
○藤井委員長 これより両案に対する討論に入るのでありますが、その申出がありませんので、直ちに採決に入ります。
まず、内閣提出、重要品種の育成及びその種苗の生産の振興に関する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○藤井委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
―――――――――――――
○藤井委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、野中厚君外五名から、自由民主党・無所属の会、中道改革連合・無所属、日本維新の会、国民民主党・無所属クラブ、参政党及びチームみらいの六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を聴取いたします。野間健君。
○野間委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
案文を朗読して趣旨の説明に代えさせていただきます。
重要品種の育成及びその種苗の生産の振興に関する法律案に対する附帯決議(案)
近年、温暖化等の気候変動、農業者の減少など我が国の農業をめぐる情勢が大きく変化し、農業生産活動への悪影響が顕在化する中、農業の持続的な発展と国民に対する食料の安定供給を確保するため、高温や病害虫に強く、単収が多い等の特徴を有する重要品種を育成し、広く普及を図ることが喫緊の課題となっている。このため、産官学連携の下、知的財産の保護にも留意しつつ、重要品種の育成・普及に継続的かつ安定的に取り組むことが求められる。
よって、政府は、本法の施行に当たり、左記事項の実現に万全を期すべきである。
記
一 重要品種の育成及びその種苗の生産の振興に係る国の基本方針の策定に当たっては、関係者間の連携・協力を前提に、重要品種の育成者、その種苗の生産者、その種苗を利用する農業者等の関係者の意見を丁寧に聴取し反映させること。
二 基本方針においては、重要品種として育成を進めるべき多収化や高温耐性等の形質を明らかにすることはもとより、産官学連携の在り方、地域の実情を踏まえた対応、多様な品種の確保の方向性等についても示すよう努めること。また、重要品種の名称等の国が有する重要品種に係る情報については、都道府県の関係者をはじめ、幅広く周知すること。
三 育成した重要品種の知的財産の保護が図られるよう、我が国における品種登録出願の義務化、出願料等の減免とともに、海外での品種登録の取組について、必要な支援を行うこと。
四 重要品種育成事業計画の認定に当たっては、我が国の食料安全保障及び経済安全保障の確保の観点から、申請者及び事業の実施内容について様々な角度から丁寧に確認を行う等、厳格な審査に努めること。
五 都道府県基本計画の作成等に当たっては、地域の合意形成に配慮して行われるよう国としても必要な助言等を行うとともに、これらの事務を担う都道府県の過度な負担とならないよう、地域の実情に応じた適切な配慮を行うこと。
六 農業経営基盤強化促進法の特例により認定重要品種種苗生産事業活動実施者が地域計画の協議の場へ参加するに当たっては、当該種苗生産者も地域農業を担う主体であることを十分に踏まえ、協議の場を通じた地域農業者等との交流・連携が確実に進展するよう、環境整備を図ること。また、本特例による取組も含め、地域計画の見直し等の取組が全国的に着実に進められるよう、必要な支援を集中的に行うこと。
七 重要品種の育成及びその種苗の生産がより効果的に行われるよう、人材の育成・確保等の幅広い支援を図ること。
八 産官学による重要品種の育成・普及の取組を支援するための十分な予算を確保すること。特に、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構による施設の供用や専門家の派遣等は、重要品種育成事業の推進への多大なる寄与が期待されることから、同機構の施設や人員を充実させること。また、同機構が保有するDNAデータ、栽培試験データその他の育種基盤情報等は、我が国の貴重な知的財産であることに鑑み、その提供・利用に当たっては、知的財産や技術の国外への流出を防ぐ措置を講ずること。
九 植物新品種の開発は、利用者である農業者の所得向上、地域農業の振興につながるべきものであることに鑑み、公的試験研究機関等における多様な優良品種の育成が持続的に行われるよう必要な支援を講ずること。
右決議する。
以上です。
何とぞ委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
○藤井委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○藤井委員長 起立総員。よって、本法律案に対し附帯決議を付することに決しました。
この際、ただいま議決いたしました附帯決議につきまして、政府から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産大臣鈴木憲和君。
○鈴木国務大臣 ただいまは法案を御可決いただき、ありがとうございました。附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいります。
―――――――――――――
○藤井委員長 次に、内閣提出、種苗法の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○藤井委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
―――――――――――――
○藤井委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、野中厚君外五名から、自由民主党・無所属の会、中道改革連合・無所属、日本維新の会、国民民主党・無所属クラブ、参政党及びチームみらいの六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を聴取いたします。野間健君。
○野間委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
案文を朗読して趣旨の説明に代えさせていただきます。
種苗法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
我が国において農業の持続的発展を図るためには、優良な品種を用いた国産農産物の産地形成や輸出促進が重要であるが、近年、登録品種の育成者権侵害の多様化や品種登録出願中の新品種の海外流出などの課題が顕在化している。こうした状況に対処するため、育成者権保護の更なる強化を図ることが求められる。
よって、政府は、本法の施行に当たり、左記事項の実現に万全を期すべきである。
記
一 育成者権の存続期間の延長を既存の登録品種に適用するに当たっては、当該品種を利用する農業者への影響がないよう、制度の周知徹底を図ること。
二 品種登録前の出願品種の種苗の輸出に係る差止請求制度を創設するに当たっては、従来の制度と合わせて丁寧な説明を行うとともに、利害関係者からの相談等に対応する体制を整備すること。
三 種苗の輸出目的での保管にも育成者権の効力が及ぶことについて、保管行為等に関わる第三者が意図せずに育成者権侵害事案に関与することを防止するため、幅広い関係者に対して、制度見直しの内容の周知徹底を図るとともに、適切な運用を行うこと。
四 種苗の貸渡しを保護の対象とするに当たっては、従来の譲渡による慣行との相違や、虚偽表示禁止違反の刑事罰化等について、育成者権者、苗木業者、農業者等の関係者に対し、丁寧な制度の説明を行うこと。
五 品種登録出願の優先審査の導入に当たっては、対象要件を明確にするとともに、選定及び審査の透明性を確保すること。
六 幅広い育成者権者の権利の保護・活用を図るため、登録品種の海外における保護・活用を担う育成者権管理機関の早期立上げ・事業化に向けた支援を行うこと。また、海外ライセンス指針を踏まえた戦略的な海外ライセンスの実現に向けては、国内市場への影響や国際市場における輸出との競合等に対する国内産地や生産者の懸念に十分配慮すること。
右決議する。
以上です。
何とぞ委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
○藤井委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○藤井委員長 起立総員。よって、本法律案に対し附帯決議を付することに決しました。
この際、ただいま議決いたしました附帯決議につきまして、政府から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産大臣鈴木憲和君。
○鈴木国務大臣 ただいまは法案を可決いただき、ありがとうございました。附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいります。
―――――――――――――
○藤井委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○藤井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
〔報告書は附録に掲載〕
―――――――――――――
○藤井委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時十四分散会

