衆議院

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第3号 平成29年3月10日(金曜日)

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平成二十九年三月十日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 山口  壯君

   理事 江渡 聡徳君 理事 小野寺五典君

   理事 寺田  稔君 理事 中谷 真一君

   理事 中村 裕之君 理事 後藤 祐一君

   理事 升田世喜男君 理事 浜地 雅一君

      今枝宗一郎君    大西 宏幸君

      門山 宏哲君    金子万寿夫君

      神田 憲次君    北村 誠吾君

      熊田 裕通君    小林 鷹之君

      左藤  章君    武田 良太君

      藤丸  敏君    宮澤 博行君

      宮路 拓馬君    和田 義明君

      青柳陽一郎君    神山 洋介君

      横路 孝弘君    佐藤 茂樹君

      赤嶺 政賢君    下地 幹郎君

      吉田 豊史君    照屋 寛徳君

      武藤 貴也君

    …………………………………

   防衛大臣         稲田 朋美君

   防衛副大臣        若宮 健嗣君

   外務大臣政務官      武井 俊輔君

   防衛大臣政務官      小林 鷹之君

   防衛大臣政務官      宮澤 博行君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  槌道 明宏君

   政府参考人

   (内閣府国際平和協力本部事務局長)        宮島 昭夫君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 飯島 俊郎君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 岡田 誠司君

   政府参考人

   (水産庁資源管理部長)  浅川 京子君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           七尾 英弘君

   政府参考人

   (海上保安庁総務部長)  一見 勝之君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局次長) 岡  真臣君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  鈴木 良之君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  深山 延暁君

   政府参考人

   (防衛省統合幕僚監部総括官)           辰己 昌良君

   安全保障委員会専門員   林山 泰彦君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十日

 辞任         補欠選任

  今枝宗一郎君     宮路 拓馬君

同日

 辞任         補欠選任

  宮路 拓馬君     神田 憲次君

同日

 辞任         補欠選任

  神田 憲次君     今枝宗一郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 駐留軍等の再編の円滑な実施に関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第一八号)


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     ――――◇―――――

山口委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、駐留軍等の再編の円滑な実施に関する特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官槌道明宏君、内閣府国際平和協力本部事務局長宮島昭夫君、外務省大臣官房参事官飯島俊郎君、外務省大臣官房参事官岡田誠司君、水産庁資源管理部長浅川京子君、国土交通省大臣官房審議官七尾英弘君、海上保安庁総務部長一見勝之君、防衛省防衛政策局次長岡真臣君、防衛省人事教育局長鈴木良之君、防衛省地方協力局長深山延暁君、防衛省統合幕僚監部総括官辰己昌良君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山口委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。北村誠吾君。

北村(誠)委員 おはようございます。自由民主党の北村誠吾でございます。

 本日は、質問の機会をお与えいただき、委員長初め理事、委員各位に心から感謝を申し上げます。

 それでは、早速質問に入りますが、細かいところに入ることになりますので、参考人を中心に質問させていただきますから、よろしくお願いいたします。

 御承知のとおり、私の住まいする佐世保、佐世保基地は、海上自衛隊とともにアメリカ海軍が重要なプレゼンスを占めており、横須賀同様、日本とアメリカにとって死活的に重要な施設であります。

 昨年二月には、御承知のとおり、米海軍のミサイル追跡艦ハワード・ローレンツェンが佐世保港に入港し、北朝鮮の弾道ミサイルに備えた動きとの指摘がございます。また、十二月には、アメリカ海軍の原子力潜水艦アレキサンドリアが佐世保港に入港し、市の発表によれば、原潜の寄港は昨年だけで二十四回目、年間過去最多となっております。

 さらに、米海軍は、昨年十月二十五日までに、佐世保基地を母港とする強襲揚陸艦ボノム・リシャールにかわり、レーダー及びミサイル等の装備を刷新したワスプをことしの秋に配備すると発表しました。

 御承知のとおり、ワスプは、岩国飛行場のステルス戦闘機F35を運用するものであり、米海軍によると、今回の配備は、オバマ前政権が進めるアジア・リバランス政策の一環ということと言われております。

 米軍再編との関係では、我が佐世保に所在する米軍の水陸両用艦部隊は、在沖縄海兵部隊の紛争地への輸送を主な任務としているため、再編が進み、海兵隊がグアムへ移転するというようなことが実施された場合には、我が佐世保への影響も少なからずあると認識をしています。

 御承知のとおり、北朝鮮の核・ミサイル開発、中国の軍事情勢など、我が国周辺の安全保障環境を考えたとき、日本海への日米双方のイージス艦展開の拠点であり、米軍リバランスの一翼を担う佐世保の役割は、これからますます大きくなります。これからどのような関係でアメリカとの調整を進めていくのか、大いに我々市民としては関心を持っているところであります。

 そういう中で、平成二十三年一月、佐世保の米海軍佐世保弾薬補給所、いわゆる前畑弾薬庫を佐世保市内の針尾島弾薬集積所へ移転するという計画が、針尾島の受け入れ施設整備が完了した後に移転するなど、幾つかの条件をつけられて合意に達しています。

 前畑弾薬庫の移転、返還につきましては、平成二十三年、先ほど申し上げた日米合同委員会で合意されて以降、国の事業として取り組まれていますけれども、合意から既に六年が経過しています。具体的な動きというものが市民にとっては感じられない。

 既に防衛省も、九州防衛局あるいは佐世保の事務所を通じて、市民の意見、感じていること等々については認識をしておられるものと思いますけれども、平成二十八年度から二カ年の予定で、針尾島弾薬集積所における施設全体の配備検討について、およそ二千一百万円をかけて実施し、その後、基本設計、環境影響評価、実施設計、それから米軍の内部での調整の手続等を経て、工事に着手するというところまでは市民もうかがえております。

 これらの事柄についても、具体的な事業見通し、それから、緩衝地帯や安全地帯を含めての敷地の面積等々について、地元の住民は、かねてから、日本海軍時代、あるいは朝鮮動乱のときのアメリカ軍の弾薬庫としての急な接収、それからまた今の状態になったというふうなことで、大変、農地やそれぞれの個人の所有地の移動が頻繁に行われて、土地のことについては大変困り果てた事情があり、特に、国有地となっている耕作放棄地等のイノシシ等の被害によって、農業においても大変な困難をきわめているところがあります。

 そういうことがありますから、できるだけ早く、見通し、取り組みの状況等々について、できれば年に一、二回の地元に対する説明というものをしてほしいという意見も強くあります。

 なお、細かい話ですけれども、平成二十一年、米軍針尾住宅地区における家族住宅等の建設用地として、ハウステンボスの駐車場敷地及び市、県道の用地等々が追加して提供されています。このことに伴いまして市道のつけかえも行われましたけれども、現在、その用地は更地のままとなっており、市民も、どうしたものかということで、大変疑問、また不審に思っているところです。

 御承知のとおり、米軍家族住宅については、その不足を解消しそのための措置を講じることとして用地を求めたわけでありますけれども、この移転、返還の合意のときに、条件の一つとして、米軍の住宅不足を解消するということが大事な事柄になっていますから、こういうことを一つ一つ着実に片づけていかないと、合意に達したときの日本側の約束事が果たされていないということになりますから、勢い、アメリカ側の不信を買うというふうなことになりはしないか。極論すれば、日本政府には実行力、実現力がないというふうな疑いを持たれやしないかと思いますけれども、その点について、政府参考人のとりあえずの認識とできるだけの詳しい説明を伺いたいと思います。

深山政府参考人 お答え申し上げます。

 今、北村先生から御指摘のありました佐世保地区の米軍基地そして海上自衛隊基地施設の重要性につきましては、御指摘のとおりで、その重要性については論をまたないところであると考えております。

 この佐世保地区は、狭隘な中に、今御指摘のあった米海軍、海上自衛隊、さらには民間企業の施設が混在しているという状況にございます。岸壁の競合等の問題が生じているため、佐世保市等からは、防衛施設と民間施設のすみ分けについて御要望を受けております。

 これらを受けまして、米海軍前畑弾薬庫については、その機能を針尾島弾薬集積所に移設すること等を条件として、平成二十三年一月、日米合同委員会で、返還することに合意いたしたところでございます。

 防衛省としては、この合意以降、必要な測量調査等の業務を行ってきておりまして、御指摘のとおり、現在は、二十八年度から二カ年で、移設先の弾薬庫施設等の配置を検討する予定としております。これまでの調査結果も踏まえまして、基本配置に係ります日米の間の協議を加速させていきたいと考えているところでございます。

 今後、基本設計、実施設計、環境影響評価及び米軍内部での諸手続等を経て、本工事に着手する計画でありますので、現時点において、具体的な着工時期、完了時期等を明確にお答えできる段階にありませんが、今の御指摘も踏まえまして、この前畑弾薬庫の移設、返還を早期に実現できるよう、最大限努力してまいりたいと思っております。

 もう一点、住宅地区についての御指摘もいただいたところでございます。

 前畑弾薬庫を返還するに当たりましては、佐世保地区において不足している米海軍の家族住宅約四百戸を整備することを、平成二十三年一月の日米合同委員会において合意しているところでございます。

 この点につきましては、これまで約百戸の家族住宅を整備いたしておりまして、残り三百戸でございますが、この整備につきましては、現在、米側に配置計画を確認中でございます。その回答を踏まえ、今後対応していきたいと考えております。

 このため、こちらにつきましても、この回答を踏まえる必要があるため確たることはなかなか申し上げられませんけれども、今御指摘のありました皆様方の御不安といったものを解消するべく、取り組んでまいりたいと思っております。

 なお、住民の皆様への説明会、住民説明という点の御指摘もありましたが、昨年八月に住民説明会を開催いたしまして、現在の状況を御説明したところであります。今先生からも御指摘がありましたように、今後とも、適時適切な御地元への情報提供に努めてまいりたいと考えておるところでございます。

北村(誠)委員 それぞれ細かいことをお答えいただきましたけれども、重ねて申し上げます。

 今局長の答弁の中にもありましたが、関係の地域住民、こういう方々は、市長に対して、国策であり、かつ、安保条約に基づいて、かねがね佐世保市民は、日本の平和、安全はもちろんのこと、アジアの平和と安全のために貢献することができる、そういう認識のもとに、米海軍、海上自衛隊に対して大いに協力を申し上げ、必要に応じて、いろいろな施設や人員の誘致等々にも積極的に取り組んできたところであります。

 そういう際に、地域の住民の意見を集約し、一定の合意を形成するために、地域の責任者、あるいは、例えば、具体的に言うと公民館長であるとか区長であるとか、そういう方々は、一定の期間のうちに合意を取りつけるために大変な努力をします。それが六年前の合意形成ということで今あるわけですが、人がかわり、そして組織が変わり、役員の顔ぶれがかわりということになると、六年前の合意形成を市長に対して申告し、そして市長は、政府当局に、関係者に対して、このようなことで受け入れますというお話をしましたが、人がかわり地域が変わるということになると、いろいろな事柄について心配のことが生じてまいります。

 これは、単に住民だけのことではありません。例えば、先ほど局長も触れられましたが、制限水域等々で、米軍が、A、B、Cというふうなことで、海面の利用について、港湾関係者、なかんずく漁業関係者には大変な制限がございます。これに対する手だては別途講じられておりますから、きょうは論じません。

 しかし、そういう中で、やはり、漁業権であるとか居住権であるとか、あるいは耕作権であるとか、そういう事柄について、たびたび、防衛、安全保障の名において、市民はそれぞれ自覚を持って国策に協力し、それをまた、ある意味では誇りに感じて佐世保に住む、私もその一員であります。

 ですから、そういう方々の支持を得て、この場に、質問に立たせていただいておりますから、自分自身の責任の重さというものを私自身も感じます。

 そういう中で、局長、お尋ねしているわけですから、ぜひ誠実に、本当に、市民が協力をし、幾多国策の変遷の中で右往左往せざるを得ず、今や耕作放棄地ばかりになってしまい、高齢者の地域になって、イノシシの害に悩まされ、日夜そのための対策を財務局の皆さん方にお願いする、国有地ですから管理の責任のある財務局にお願いをする、そういうときにも、ぜひ、防衛省も財務省と協力をして問題解決に当たっていただきたい。

 そのため、地元の私たちは働く仕事があるわけだから頑張りますけれども、いかんせん、政府全体が協力をしていただいて、日本とアメリカの協力関係によって、不穏な中国、北朝鮮情勢等を見るときに、とてもとてもゆったりしてはおられませんから、そういう説明あるいは前進について、当局の努力をさらに重ねていただきますことを要請申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

山口委員長 次に、浜地雅一君。

浜地委員 おはようございます。公明党の浜地雅一でございます。

 私も、きょう十五分質問をさせていただきます。

 稲田防衛大臣にまず御質問をさせていただきたいと思います。

 今回議題となっております駐留軍の再編特措法でございますが、これは、言うまでもなく、以前示されましたロードマップというものがまだまだ進展をしておりませんし、また、実際に再編の交付金をいただく自治体の方も、これから受け入れということでございますし、この交付金の使い道についても非常に使い勝手がよくて、ぜひ継続してほしいという御要望が昨年来から、私も党内で安保部会長としての立場でお受けをしておりました。ですので、この法案がしっかりとこの日切れの中で審議をされ、また三月末までに成立をすることは、我々公明党としましても、当然早く急ぐべきだというふうに思っております。

 しっかりと、そのかわりと言ってはなんですが、再編のロードマップが進むように、また我々もしっかりと地元の声を聞いて頑張ってまいりたいというふうに思っております。

 先日、北朝鮮が弾道ミサイルを発射いたしまして、非常に緊張が走ったわけでございます。そのときに、初めてかどうかはちょっと定かではございませんが、在日の米軍をターゲットとしているという声明を出したということでございます。そうなりますと、やはり、日本に駐留する米軍との、日本との親密な同盟関係、しっかり駐留している米軍を日本自体が守っていくということの重要性は高まろうかと思っております。

 しかし、よく考えますと、トランプ政権が発足をした当時は、そもそも日本の駐留自体がさまざまなことの懸念がされました。また、駐留経費につきましても少し日本に増額をさらに求めるようなお話もありまして、そもそもこの駐留米軍の存在自体がどうなのかという不安が国民の中にあったわけでございますが、やはり、マティス国防長官が来日をされたときに稲田防衛大臣がしっかりとそのあたりを御説明をされ、今や、駐留経費の多くを求めるであるとか、まして在日米軍が日本からまた少しいわゆる戦力を弱めるとか、そういったことは全く聞かれないわけでございまして、そういう意味では、稲田防衛大臣の最初のファーストコンタクトというものが非常にすばらしかったのではないかというふうに私自身は思っております。

 そして、今回、三月六日に初めて、世界的に、在日の米軍をターゲットにしている、そういった明言を受け、三月六日にマティス米国国防長官と電話会談を行われております。

 ホームページの方には、今後の日米両国の親密な連携が重要である旨、そして、拡大抑止を含め、日本を防衛する揺るぎないコミットメントが示されたということでございますけれども、もう少し、お話しできる範囲で、今回の三月六日の北朝鮮のミサイル発射を受けて、マティス国防長官とどのような、特に今回、新たな脅威と言われていますので、そのことについて共有できたのかをお答えいただきたいと思います。

稲田国務大臣 弾道ミサイルを技術的そして能力的に向上させている北朝鮮に対処するために、やはり日米同盟が緊密に連携をして、一致して取り組むということが非常に重要だと思います。

 こうした考えのもと、マティス長官との間では、先月、二月四日の防衛大臣会談において、北朝鮮によるたび重なる弾道ミサイルの発射や核実験について意見交換をし、北朝鮮による核、ミサイルの開発の進展は、日米両国と地域の安定に対する安全保障上の重大な脅威であるとの認識を共有いたしております。その際、マティス長官とはさまざま、地域の情勢、北朝鮮に限らず、世界じゅうの情勢について忌憚なく意見交換をいたしました。

 また、今般の北朝鮮によるミサイル発射の際には、翌日に電話で会談をいたしまして、同盟調整メカニズム、ACMも活用して日米間で情報共有を進めるとともに、今後の対応について緊密に連携していくこと、また、日米同盟の抑止力と対処力を一層強化していくこと、さらには日米韓三カ国で緊密な協力を進めていくことなどを確認したところでございます。

 そして、マティス長官との電話会談の直後には、韓国の韓民求防衛相会談も行いました。

 北朝鮮が事前の予告もなく弾道ミサイルを発射した後、早いタイミングで日米、日韓の電話会談を相次いで実施したことで、日米、日米韓三カ国の連携が強化されていることをしっかりと内外に示すこともできたというふうに考えております。

浜地委員 ありがとうございます。

 なかなか、やはり中身というのは国防のことにかかわりますので、インターネットで発表された内容より少し踏み込んでいただいて今お話をされてと思っております。そうはいいましても、この発射直後にしっかりとマティスさんと意思疎通をとって、しっかりと米と連携をとったことがまずやはり国民の安心につながるんだろうというふうに私自身は思っております。

 先ほど、韓国の韓民求国防部長官との話も言及をされました。私もそのことをその後に聞こうと思っておったんですけれども、やはり日米韓の連携が大事でございますし、当然これは韓国からの情報提供というものが大事でございます。

 昨年の秋にGSOMIAが発効いたしておりますので、これから本格的な運用について、さまざま協議があったんだろうと思っておりますけれども、この韓国の韓民求国防部長官との間で、実際のGSOMIAの運用について、そういったことも、中身は別としましても、GSOMIAの運用をしっかりやっていこうという、そういった電話会談の中で意思疎通はとれたんでしょうか。

稲田国務大臣 韓民求国防長官とは、九月の核実験を北朝鮮が強行した際にも電話会談をしておりまして、今回は二回目の電話会談でありますが、今回も、地域及び国際社会の平和と安全を損なう重大な挑発行為であるとの認識を共有し、日韓、日米韓で緊密に協力していくことで一致をしたところであります。

 GSOMIAについても、前回、九月にお電話したときにはまだ締結はできていなかったんですが、昨年の十二月に、懸案のGSOMIAも締結をすることができて、昨年から韓国との連携を着実に進めており、日韓GSOMIAの締結を踏まえた情報共有も含めて、今後も緊密な連携を図っていく所存でございます。

 そして、今お尋ねの、電話会談で日韓GSOMIAに基づいてどういう情報の交換があったかということでございますけれども、韓国国防部との間では平素から緊密に情報共有を行っているところですけれども、今回の事案に関してどのような情報共有を行ったかについては、インテリジェンスにかかわることですのでお答えを差し控えます。

 しかし、いずれにせよ、北朝鮮の核・ミサイル問題については韓国と一致をして取り組むことが重要であり、引き続き日韓両国で緊密に連携してまいります。

浜地委員 おっしゃるとおりです。

 きょう十日、朴槿恵さんの、大統領の弾劾判断が出ますので、まさに、さらに韓国は揺れると思います。ですので、しっかりとこの国防の問題につきましては、稲田防衛大臣とやはり向こうの韓民求さんがいわゆる意思疎通がいつでもできる状態であることがまた日本国民の安心につながろうかと思っておりますので、しっかり韓国との連携もよろしくお願いできればというふうに思っております。

 続きまして、きょう外務省の武井外務大臣政務官にお越しいただきまして、申しわけございません。

 先日、在日の米軍の若手士官の方とのオリエンテーションの一環で、私も武井政務官にお誘いいただきまして、特に、若手の米軍の士官の方と懇親会をこのプログラムの一環で持たせていただきました。非常に有意義な懇親会であったというふうに私は思っています。このプログラム自体がすばらしいなというふうに私は思っております。

 なぜかといいますと、在日米軍の方は、自分たちが日本国民にどう思われているかをよく勉強されておりまして、それを素直に、今の国会議員に対して、我々国会議員に対して、なぜそうなのかという原因から、自分たちはこう考えているんだということを非常に意思表示をされました。逆に、私の方も、いわゆる日本にとっての米軍の重要性というのはあるんだけれども、米軍にとって極東の日本に駐留し続けるその価値というのは米国自体にどこにあるんだみたいな質問をして、かなり意識の共有ができたわけでございます。

 このときに私が申し上げましたのは、今回、軍属の範囲が非常に明確になることになりましたね、あなた方は軍属じゃなくて軍そのものなんだけれども、まず、絶対事故を起こさないでくださいねという話は行いました。そうなると、向こうからこういう話がありました。何か、例えば車の当て逃げみたいなのがあると、すぐ米軍なんじゃないかということも言われてしまうんです、なるほどと。

 だから、そういったやはり日本国民の中にある、米軍の方々が非常にそういったふだんの行い等で事故が起きてしまうんじゃないかというそういった不安感と、あの方々でも、自分たちが、すぐに自分たちのせいにされてしまうんじゃないか、そういう不安感の中でやっておりますので、そういう意思疎通をとっていくことは非常に私は重要だったというふうに思っています。

 今いらっしゃいます在日米軍の若手士官の方は、いずれ本国に帰られるでしょうし、世界的にローテーションで展開をされるでしょうが、やはり長になったときに、しっかりと、日本の世論とはこういうものだよ、日本の文化とはこういうものだよ、日本との防衛とはこういうものだということで、やはり今後、若い方にさらに、上官になったときに指示を飛ばせるんだというふうに思っております。

 ですので、これは日米の地位協定の理解の促進にもつながろうかと思っておりますので、今後も、このプログラムをぜひ、継続するだけではなくて、武井政務官のお力で拡大をしていただきたい。それがやはり、物だけが移転するんじゃなくて、人と人との日米同盟の心のつながりになるというふうに思っておりますが、ぜひ外務省の所感をお聞かせいただきたいと思います。

武井大臣政務官 お答えいたします。

 過日は、大変お忙しい中に浜地先生にも御参加をいただきまして、ありがとうございました。

 この在日米軍オリエンテーションプログラムでございますけれども、これは、今先生お話がございましたとおり、在日米軍の陸海空また海兵隊の現場のレベルの大体二十代から四十代前半ぐらいということで、そのレベルで指揮に当たる、日本に来て間もない方ということを主な対象にしておりまして、チョイスは米軍にお願いをしているんですが、非常にバランスよく男女も含めて来ていただいたというところでございまして、ことしは三月一日に開催をしたものでございますが、外務省といたしましては、これは平成七年から実施をしているものでございます。

 このプログラムにおきましては、日本政治、有識者との意見交換、また、外務省また防衛省の職員の皆さんにもお運びをいただいて、日米安保のブリーフなどもしているところでございます。その中でも、委員に御出席をいただきました意見交換、五名の国会議員の先生方にお運びをいただいたんですが、やはり直接話を聞くということで、アンケートも私も見させていただいたんですが、大変評判がよかったものでございました。

 特に、今まさにお話がありましたけれども、我が国に対する関心、また良好な日米関係をつくっていく、そういうお互いに理解を深めていくということがいかに大事か、そしてまた、彼らもいかにそれを望んでいるかということが大変わかりましたし、また、先生もお感じになったのではないかと思いますが、それぞれテーブルに分かれてあったんですが、それぞれの議員のことを大変よく勉強してこられていました。そういう意味でも大変意義があったというふうに思っております。

 外務省といたしましては、先生の御示唆も踏まえまして、今後、このプログラムを着実に実施をし、また充実をさせていきたい。それによりまして在日米軍の対日理解促進を進めることで、日米同盟の一層の深化にも資するよう努力をしてまいりたいというふうに思っております。

 ありがとうございました。

浜地委員 ありがとうございます。

 以上で終わります。

山口委員長 次に、升田世喜男君。

升田委員 おはようございます。民進党の升田世喜男です。

 まず、三月の六日、北朝鮮が四発の弾道ミサイルを発射したわけでありますので、法案に入る前に、このことに関してまた若干お時間をいただきたいなと思っていました。

 映像を見ますと、ほぼ同時にこれは四発発射されておりまして、千キロ飛行した、そのうち三発がEEZ内に落下したということでございますが、狙いというのが、在日米軍基地を攻撃する訓練だ、こう主張しているわけでありまして、つまりは、日本の領土を攻撃する、あるいは標的にすると公言したにも等しい。これはもう看過できないことであります。明らかに国連の安保理決議にこれは違反をしておりますので、日本国の国会議員の一人として、抗議の意を表したい、こう思っておりました。

 いわゆる厳重な抗議を表すると同時に、これに関しては後ほどまたちょっと質問させていただきたいんですが、もう一つ、抗議をさせていただきたいことがございます。

 きょうは三月の十日です。明日は三月の十一日です。東日本大震災から六年目を迎えてしまう日でありますが、大臣の御党の務台内閣府政務官、テレビ報道で、長靴の業界がもうかったんじゃないかという不適切な発言の責任をとって辞任された、こうお伺いをしております。

 私はこのニュースを聞いたときに、復興はまだ半ばなんですね。まだ福島の方では五万人に近い方が避難生活をされている。そして、東北の経済そのものも、中小企業なんかは三割か四割ぐらいにしか戻っていないという報道もある。観光で、安倍総理は、インバウンド、二三五%ぐらいでしょうか、大分成長しましたが、東北は一〇〇・四ぐらいなんですね。いわゆる六年前にようやく戻って、ほんのちょっとだけ上向いた、その程度で終わっている。まだまだ厳しい状態がある中で、あのような発言というのは、全く東北、被災地に寄り添っていない、こう言わざるを得ないと思います。

 稲田大臣に、この一連の辞任劇に対して今どんなお気持ちでいるのか、ひとつ大臣の一人として感想をお伺いさせていただきたい、こう思います。

稲田国務大臣 あす、東日本大震災から六年目を迎えるに当たって、まだ復興道半ば、そういう状況のもとで今回こういう事態が起きたこと、大変遺憾であり、また、いやしくも政治家は一言一言の重みをかみしめなければならないというふうに感じているところでございます。

升田委員 福島のお話を、現場の人のお話を聞きますと、修学旅行なんかは全く戻ってきていないというんですね、教育関係は。そして、青森県の行政関係者、これは観光関係者なんですけれども、いわゆるアジアの方で、シンガポールもそうなんですが、お金のある方々、富裕層に限って東北には来ていないんですよ。これが現実でありますから、気をつけていただきたい、東北の一人の国会議員として。

 まだまだ復興半ばだし、風化させることはできないし、先般の予算委員会でも述べさせていただきましたけれども、地震、津波、原発事故というのは、どの国も経験したことのない、人類史上初の震災なんです。それが東北で起きて、今、六年目をあすで迎えようとしている。みんな必死で頑張っているわけでありますから、そういう声がこの委員会でも出たということを伝えていただければありがたいなと思います。

 きのう、我が党の後藤委員が、北朝鮮のミサイル、能登半島沖に落下し、距離感の質問がされました。これまでの中で一番近かったんじゃないかどうかということで、このお伺いに対して大臣側の方は、今調べていますというきのうの答弁であったと思いますが、きのうのきょうですけれども、これは調べれば簡単なことだと思いますので、どうなんですか、能登半島沖に落下したのはこれまで一番国土に近かったのかどうか、あるいは、近くないとするならば、どのミサイルが一番近かったのか、お知らせいただければと思います。

稲田国務大臣 今回発射された四発の弾道ミサイルのうち、落下地点が我が国に最も近い一発は、能登半島から北に約二百キロの日本海上に落下したと推定をしております。

 昨年九月五日に発射された三発の弾道ミサイルのうち、落下地点が我が国に最も近い一発についても、北海道奥尻島から西に約二百キロの日本海上、いずれも我が国の排他的経済水域内ですけれども、に落下したと推定しているところから、いずれが近いかについては引き続き分析中でございます。

 いずれにせよ、申し上げたいずれの弾道ミサイルの発射も、落下地点が我が国から極めて近く、我が国の安全保障に対する重大な脅威であり、深刻な懸念を表します。

升田委員 この北朝鮮の四発の弾道ミサイルの発射事案を受けて、安倍総理はトランプ大統領と電話会談されたということでございますが、その際に、脅威は新たな段階になっている、こういう表現をされまして、この報道を受けたとき、多くの国民は、新たなる段階というのは一体どういうことなんだ、こう感じたと思うんですね。もしかしたら、日本に攻撃する意思を北朝鮮が持っているということを、安倍総理とトランプの間の中で何かしらそういうことをつかんだのか、こんなふうにも感じる人も僕は多かろうと思うんですね。

 そこでお伺いしたいのは、新たな段階になっている、これは国民としてどう理解したらいいのか。いま一つは、北朝鮮は日本に対する攻撃というのをかなり具体的に想定されているというふうに認識していいのかどうか。この点、お願いします。

稲田国務大臣 新たな段階の脅威という言葉は、昨年の九月の核実験の後に総理が使われた言葉でございます。

 昨年、二回の核実験を強行いたしました。今までは、一回核実験すると三、四年あけていたんですけれども、昨年はわずか八カ月の間に二回の核実験を強行して、二十発以上の弾道ミサイルを発射し、そして核兵器は小型化、弾頭化の実現に至っている可能性も考えられ、弾道ミサイルも、技術的信頼性の向上、新たなミサイルの開発を追求していると見られます。

 政府としては、このような北朝鮮による核、弾道ミサイルの開発や運用能力の向上が、昨年来、我が国を含む地域及び国際社会に対する新たな段階の脅威となっていると認識をしております。

 今般、北朝鮮は四発の弾道ミサイルをほぼ同時に発射し、いずれも約一千キロメートル飛翔し、そのうち三発は我が国の排他的経済水域内に、残りの一発は排他的経済水域付近に落下したものでありますが、四発同時というのは今回が初めてでもあります。これは、北朝鮮が新たな段階の脅威であることを改めて明確に示すというふうに考えております。

 防衛省・自衛隊としては、引き続き、米国や韓国等とも緊密に連携しつつ、重大な関心を持って情報の収集、分析に努めて、我が国の平和と安全の確保に万全を期す所存でございます。

升田委員 この四発同時、聞くところによりますと、迎撃ができるのは二発までじゃないかというものもありまして、僕自身大変不安に思いました。

 青森県は、三沢に米軍基地がございまして、六ケ所に核燃料サイクルがございます。東通に原発があります。大間というところに、今建設がとまっていますけれども、原発ということがあります。仮の話で恐縮ですけれども、三沢米軍と六ケ所核燃料施設と東通原発と大間の原発に北朝鮮が四発同時にこれを発射した場合、大臣、防げるんでしょうか。

稲田国務大臣 BMDアセットの防護範囲や迎撃確率、迎撃高度等といった個別具体的な能力については、我が国の手のうちを明かすことになることから、お答えは差し控えます。

 その上で、我が国のBMDシステムは、多目標対処を念頭に置いたシステムであり、SM3搭載イージス艦とPAC3による多層防衛により、複数の弾道ミサイルが我が国に向け発射された場合であっても対処できるように整備を進めております。

 我が国全体を多層的かつ持続的に防護する体制の強化に向けて、平成二十八年度第三次補正予算では、PAC3MSEの導入、イージスシステム搭載護衛艦の能力向上等に必要な経費を計上し、平成二十九年度予算では、SM3ブロック2Aの取得といった所要の経費を計上いたしております。これら新たな迎撃ミサイルの導入によって、同時対処能力はより一層向上するものと考えております。

 御指摘の、青森県に所在する原子力関連施設に係る弾道ミサイル防衛については、我が国全域を防護するためイージス艦を展開するとともに、拠点防護に使用するため全国各地に分散して配備されているPAC3を状況に応じてこれらの周辺にも機動的に移動、展開させることにより対応することも考えられます。

 現在、青森県には航空自衛隊車力分屯基地にPAC3部隊が配備されており、こうした部隊も活用しつつ、弾道ミサイルからの防衛に万全を期したいと考えています。

升田委員 お答えができないとは思うんですが、イージス艦は何発までこれを迎撃できるものなんでしょうか。

岡政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど大臣からも御答弁差し上げたところでございますけれども、BMDアセットにつきまして、個別具体的な能力にかかわるところになりますので、我が国の手のうちを明かすことになることから、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。

升田委員 これは、青森県内、実は今回の北朝鮮のミサイル発射以前から、いわゆる核燃料サイクルがある県なものですから、ここにミサイルが飛んできて本当に守れるかというのは、ちまたでこれはずっと言われていることなんですね。北朝鮮が、いよいよこんな暴挙が、いわゆる暴走中の暴走が、こうなってきますと、本当に不安を日々日々増していきますので、体制を早急にというか、明かせないことはわかっていますが、本当にしっかりしてほしい、こう思います。命は守ってもらいたい、本当に。

 ですから、あそこが狙われて何もできなかったといったら、もうこれは東北だけの問題ではございませんので。あそこというのは核燃料サイクル施設です。これは東北だけの問題ではございません。日本だけの問題でもございません。世界的に波及する重大問題に広がると私は思いますので、ここは我が国の防衛能力、平和を守る意思というのを具体策でもって備えをしてほしいな、こう思います。

 それでは、法案に関連して何点か入りたいと思います。

 平成十九年八月に駐留軍等の再編の円滑な実施に関する特別措置法が施行された後も、日米政府は、米軍再編の進捗に応じた再編計画の調整及び見直しを重ねてまいりましたが、普天間飛行場代替施設の建設等、実現に至っていない米軍再編事業も多く存在しているわけでありまして、この十年間における米軍再編における総額は幾らになったのか、お知らせいただきたいと思います。

深山政府参考人 お答え申し上げます。

 米軍再編経費、平成十八年度から平成二十七年度までの支出済みの歳出額について申し上げますと、一部集計作業中の経費を除きまして、例えば、再編交付金のほかに、在沖海兵隊グアムへの移転事業や空母艦載機の移駐等のための事業といった地元負担軽減に資する措置、これに加えまして、横田飛行場への航空自衛隊航空総隊司令部の移転といった抑止力の維持等に関する措置、この両者を合わせまして、約六千九百九十五億円となっております。

升田委員 この十年間の進捗状況を見ると、本土内ではいろいろ再編が進んでいるようなことであろうと思うんですが、沖縄の方は思ったほど進んでいないのが現状ではなかろうかな、こう思うわけでありまして、そこで、この現行法が沖縄の負担軽減等を含めてどのような役割を果たしてきたのか、政府としてはどんな評価をしているのか、これをお聞かせ願いたいと思います。

深山政府参考人 お答え申し上げます。

 米軍再編につきましては、平成十八年に再編の実施のための日米ロードマップが策定されて以降、抑止力の維持と沖縄を初めとする地元の負担軽減のため、部隊等の移駐や訓練移転、土地の返還等に係る事業を実施してまいりました。

 御指摘の沖縄に関するものを申し上げますと、普天間飛行場の空中給油機KC130の岩国飛行場への移駐、嘉手納飛行場などから本土自衛隊基地及びグアム等への航空機の訓練移転、牧港補給地区の北側進入路約一ヘクタールやキャンプ瑞慶覧の西普天間住宅地区約五十ヘクタールの返還などを着実に実施しまして、沖縄からの部隊の移駐や訓練の移転、土地の返還等を実現してまいったところでございます。

 この再編特措法は、米軍再編事業に伴う負担を受け入れる市町村に対する再編交付金の交付等を定めたものでありまして、政府としては、この法律によりまして、米軍再編事業に対する地元の理解と協力が促進され、その着実な進捗を図ることができてきたと考えておりまして、極めて重要な役割を果たしてきたものと認識しておるところでございます。

升田委員 次に、稲田大臣にお伺いをいたしますが、大臣は、一月の十二日から二日間、グアムを訪問されておりますけれども、在沖縄米海兵隊の移転事業について、これはじかに現場をごらんになったと伺っておりますが、二〇二〇年代前半の移転開始となっておりますけれども、今後、計画の完成までどのぐらいの年月を要すると思われているのか、その予定をお知らせいただければと思います。

稲田国務大臣 本年一月十二日から十三日のグアム訪問では、日米それぞれの資金により事業が進められているアプラ地区、アンダーセン空軍基地などを視察いたしました。また、グアム移転事業の現状につき、米側から説明を受けました。

 現在、米国防授権法による資金凍結が解除されたことや補足的環境影響評価が完了したことを受けて、米側において、沖縄から移転する海兵隊員の大多数の生活等の基盤となるフィネガヤン地区の基盤整備事業の入札手続を昨年から開始するなど、本格的な移転工事に向けた準備が行われております。

 また、在沖海兵隊のグアム移転は、二〇一三年の2プラス2共同発表において、二〇二〇年代前半に開始することが日米間で確認されており、このことに変わりはありません。

 日本政府としては、今回の視察を踏まえ、米国の抑止力を維持しつつ沖縄の負担軽減を早期に実現するため、引き続き日米間で緊密に協力しながらグアム移転事業に取り組んでまいります。

升田委員 日米間で変わりはありませんという答弁でございましたけれども、これは予定どおり進むんですか、大臣。大丈夫ですか。

深山政府参考人 補足してお答え申し上げます。

 今大臣から御答弁申し上げましたように、二〇二〇年代前半に移設を開始するという目標に向けて、現在工事を進めているところでございます。

 これにつきましては、日本側、米側、しばしば打ち合わせを行いまして、進捗状況を確認するとともに、工事の進捗のために努めているところで、今大臣がお答えしたように、こうした目標を実現すべく工事を進めまして、予定どおりグアム移転事業を開始したいというふうに考えておるところでございます。

升田委員 次に行きましょう。

 大臣は、そのグアムの視察でTHAADも見てこられたと思うんですね。これは、大臣、何のために視察に行かれたんでしょうか。

稲田国務大臣 今回の、一月十二日から十三日までの、在沖縄米海兵隊のグアム移転の進捗状況を確認するためグアムを訪問した際に、THAADなどの在グアム米軍部隊の視察を行ったところです。

 現在、防衛省において、防衛計画の大綱に基づいて、将来の弾道ミサイル迎撃体制についての調査研究を実施するなど、種々の取り組みを行っております。

 現段階で、御指摘のTHAADを導入する具体的な計画はありませんけれども、こうした新たなアセットの導入は、具体的な能力強化策の一つとなり得ると考えております。

 北朝鮮については、先ほども申し上げましたように、昨年の二回の核実験、二十発以上の弾道ミサイルなど、新たな段階の脅威となっている中で、我が国の弾道ミサイル防衛体制の能力強化策の参考としてTHAADをこの目で見ることができたことは、大変有意義であったと考えております。

升田委員 この件については、いずれまた深掘り議論をさせていただきたいな、こう思っています。

 まだお時間がございますので。

 青森部隊が南スーダンに三百五十名以上、今、活動で行かれているわけでありますが、予算委員会でも、私は家族の不安という立場から何点か質問をさせていただきました。

 その中で、冒頭、日報がある、ないから始まって、防衛省が一カ月間大臣に報告をしていなかったということで、僕は、それは大臣と防衛省の実は距離感じゃないですか、そういう御指摘をさせていただきましたが、決してそうじゃないという大臣の答弁であったわけでありますけれども。

 改めて、大臣、大臣と防衛省はうまくいっているんですよね。

稲田国務大臣 いろいろ御心配の発言を予算委員会でもいただいたところですけれども、今回の日報の事件につきましても、最初、破棄、不開示、すなわちこれは、この日報は、何度も申しますけれども、一年未満、用済み後廃棄の取り決めの、しかもその取り決めは一次隊が行った野田政権のときに決められて、そのルールでずっと破棄してきたものを、やはり経験則に照らして、あるんじゃないのかと。あるんだったら、徹底的に捜して公表しましょうと私が言って、後藤さんにも聞いてもらいたいから言っているんですけれども、言って公表したんですよ。

 なので、私はやはり、私が出しましょうと言って公表した、しかも今、百日にわたる日報、全部で七千ページの日報を、本来なら一年近くかかって公表するものを、昼夜分かたず、省内で、一生懸命早く出そうということで、この三月の中旬にも出せるよう準備をしているところでありますので、しっかりシビリアンコントロールまた意思疎通はできていると確信を持っているところでございます。

升田委員 大臣の答弁を信じたい、こう思います。

 国の安全、国民の命でありますから、当然に大臣と防衛省は一体でないと困ります。経済はやり直しができる、命にはやり直しはありません。これは当たり前のことであります。

 そこで、人間の不安というのは、難しいことができなかったから、あるいは難しいことで不手際があったときには、余り人間は不安にならないんですね、これは寛容の心が出てきますから。わかりやすいこと、単純なことでそれがうまくいっていない場合、本当に大丈夫かということになるんですね。ですから、日報はある、ない、すぐさま報告というのは、普通にとってこれはわかりやすいことですから、なので国民に不安がぐっと広がっているということなんですよ。

 そこで、僕は、青森から三百五十名以上の隊員が活動しておりますので、ここで家族に対して大臣から、今こういう現状ですよ、こうですよということを報告する方がいいと思うんですね。ぜひまたしてほしいと思います。

 予算委員会のとき、隊員と家族というのはどんなコミュニケーションがあるんですか、手段があるんですかというお伺いをさせていただきましたら、それはテレビ電話等もあるし、あるいはメール等でもやっている、ですから大丈夫だというような、あるいは意思疎通ができていますよ、コミュニケーションはとれていますよというお話がありました。それは事実であろうと思いますけれども、普通、日本男児は、苦しくても苦しいと言いません。家族に不安を与えることはできないので、やはり大丈夫だ、大丈夫だというのは、大抵男はそう言いますよ。なので、大臣から客観的にこうこうこうこうですからという状況を言わないと、家族は安心できないと思うんです。

 二月の十日、これは地元紙でありますが、青森県で一番部数が出ている、いわゆる県民が一番読む新聞なんですよ、東奥日報なんですけれども、大きく「「国民ばかにしている」 本県隊員家族ら 言い換えに不信」、こうなっているんですよ。

 この記事をちょっと読みますと、これは反論はあると思うんですが、防衛相が、いわゆる稲田大臣が、戦闘を武力衝突と言葉を言いかえて、現地が安全かのように表現するなんて、国民をばかにしていると憤るのは、息子四十三歳が現地のPKO施設内で道路整備などを担当している何がしだ、こうなっているんですね。そして、その方は、新聞に関連した記事が出ると、目を皿のようにして読んでいる、とにかく無事で帰ってくるのを待つしかないと。また、これは別な人、五十七歳、青森市の人なんですが、戦闘があったと認識しているなら、家族に報告するのが筋だ、不安を抱えながら送り出した家族を何だと思っているのかと。こういう記事が出ているんです。

 なので、家族に対する報告はやはり極めて重要だな、こう僕は思っていますので、大臣のお考えをお聞かせ願いたい、こう思います。

稲田国務大臣 まず、その新聞記事ですけれども、その新聞記事にあるような、戦闘を武力衝突と言いかえたことは私はないんです。

 そして、私が一貫して言っていたのは、戦闘行為というのは、PKO五原則上、国または国準の間の武力紛争が生起することであって、それは、PKO法上、憲法に違反するということで即時撤退をしなければならないような大変重要な言葉なので、この国会の場で議論するときに、私は、戦闘という言葉を使えばその戦闘行為と混同されるので、ここでは戦闘という言葉じゃなくて武力衝突という言葉を使います、しかしながら、一般の隊員が現地において日報で、起きていることを戦闘と書くということは全く問題のないことですと、それを分けて説明をるるしてきたところでございます。

 そして、先ほど委員が、日本男児ならというお言葉がありましたけれども、今回、PKOの第十一次施設隊は、過去最高の女性、十五名の女性が行っております。その中には、小さいお子さんを置いて出かけている女性もおられるわけであります。

 私も壮行会に行かせていただいて、そこに来られていた隊員、家族、全員と握手をしてお話をしまして、中には、お母さんから、絶対無事に帰してくれ、息子を絶対無事に帰してくれと言われるお母さんがいらっしゃいました。

 私は、その責任を感じつつ、日々の南スーダンの状況はしっかりと、日報のみならず、いろいろな情報を合わせて、毎日地図つきで報告を受けています。そして、きょう、今、施設隊がどういう状況で道路整備をしているかということも報告を受けています。

 その報告において、現在、もちろん南スーダンは非常に治安は厳しいですけれども、ジュバの近郊においてはPKO五原則は守られていて、あと、自衛隊も、厳しいながらの任務ではありますけれども、みずからの安全を確保しつつ、有意義な活動ができ、そして現地の皆さんからも、施設隊が道路を整備していると、みんなが声をかけてくれるそうです、現地の南スーダンの人たちが。そして、空手を教えに行ったり学校に行ったり、現地の人たちとも寄り添う、日本らしい活動をしています。

 また、ことしに入ってからは、防衛副大臣がジュバを訪問して、その様子が報道されることによって、派遣の隊員の家族に現地の状況が伝わって、家族が安心するということも隊員からも聞いております。

 しかしながら、今委員がおっしゃった点、非常に大切な点でありますので、私も家族の皆さん方に誠意ある説明、対応を行い、安心していただく体制をしっかりと構築していきたいと考えています。

升田委員 時間が来てしまいましたので、続きは今度の機会にしたいと思いますが、僕自身、今、大変反省しています。不明を恥じています。十五名の女性隊員に敬意を表したいと思います。

 いま一つの反省は、その御指摘があったとき、僕自身、ふっと笑ってしまったことです。このやりとりで、大臣はおろか全ての方が、これは笑いが出るということはいけないことだなと、僕は今反省しています。

 続きは次回のときに。委員長、終わります。

山口委員長 次に、神山洋介君。

神山(洋)委員 おはようございます。神山でございます。よろしくお願いいたします。

 きょうは、米軍再編にかかわる特別措置法についてということで、まずは米軍再編そのものについて幾つか大臣にお尋ねをさせていただきたいというふうに思っております。

 もう二十年ぐらいになるかと思うわけですが、冷戦そのものは二十年よりももっと前、三十年ぐらい前に終わっているわけですが、ポスト冷戦という言葉があったり、あと、当時、私の手元であったり本屋さんにも普通に並んでいたなと思いますし、よく見かけた言葉が、RMAという言葉、軍事革命と訳されたりしていました。トランスフォーメーションなんという言葉もあった。

 いずれにしても、冷戦が終わり、中国の台頭ということも想定をしながら、新しい世界の秩序がどうあるのだということが議論をされていた、そんな時期でもあって、その中で、では、米軍はどういう形でこれから世界に対しての国家戦略含めた軍事戦略をやるのかなんという議論が米国にもあり、その中から、米軍の前方展開の体制の見直しという話が出てきて、その一環として在日米軍についても見直しが行われてきた、そういうストーリーがあったかなというふうにも思います。

 ロードマップが合意をされたのが二〇〇六年ですから、もうかれこれ十一年、十二年前ということになります。その後の見直しもありました。その後、中国が台頭してきて、それがより顕在化をしていく中で、これはアメリカが中国を評してということではありますが、A2ADという戦略を中国がとっているということを前提にして、アメリカは、二〇〇九年、二〇一〇年だったかもしれません、二〇〇九年ですか、QDRでエアシーバトルという新しい戦略構想を用いて、今それが少しまた言葉が変わってきて、ジャムジーシーというんですか、少し変わってきたなんという話も実はありました。

 ここ十五年、二十年ぐらいを振り返ると、大体そういうストーリーで展開をしてきた中にこの米軍再編という話があったかというふうに私は承知をしているところです。

 このたび、トランプ新大統領が誕生し、アメリカに新政権が成立をした。具体的に何をどうしていくのかというところは、見えていることもあるかもしれませんが、まだまだこれからというのが実情じゃないかというふうにも思います。

 ただ、報道ベースでいっても、例えば空母、今アメリカは十隻をオンステージにしているわけですが、これに二隻足して十二にするというようなことも出ていますし、その真偽はともかくとして、いずれにしても、この戦略環境が変化をしていく中で、アメリカそのものも、今のこの米軍再編の根っこになっている前方展開戦力の見直しをどういう方向に持っていくのかというのは見直しが図られる可能性も多々あるんじゃないか、私はこういうふうに実は考えているところです。

 もちろん、そういうことを共有していくために、大臣も、各所カウンターパートも含めて、これから議論をし、認識を共有していくというプロセスにあるんだと思っておりますが、大前提として、大臣、米軍再編がどういう方向になっていくのかということについて、どういう御関心をお持ちで、どういう御見解を今お持ちですか。

稲田国務大臣 アメリカでトランプ新政権が誕生しました。新政権においては、発足当日に示された軍事政策において、米国を防衛するためにあらゆる装備を配置する必要性、他国が米国の軍事能力を上回ることは許されないとの認識のもと、最高レベルの軍事的即応性を追求するとの方針が明らかにされています。

 そのような方針のもとで、トランプ大統領は、米軍再建のための新たな国防戦略の策定に着手するようマティス国防長官に指示するとともに、二月二十八日の議会演説においては、米国史上最大級の国防費増額を求める予算案を議会に提出する旨を表明したと承知をいたしております。

 マティス国防長官は、大統領の指示を受けた国防省の取り組みにおいて、より大規模で、能力が高く、攻撃力のある統合戦力の整備を目指すとの目標を示しており、そのような目標に沿った形で新たな戦略策定が進められているというふうに認識をいたしております。

 新たな米軍再編を行うかどうかなども含めて、具体的な決定は、今後の戦略策定、それに続く計画策定の中で行われていくものと認識しており、引き続きトランプ新政権における軍事政策の具体化の動向に注視してまいりたいと考えております。

神山(洋)委員 今大臣のお話を伺っていて再度確認なんですが、そうすると、今のお話を伺っていても、トランプ政権によるアメリカの戦略概念であり軍事政策であり、場合によっては前方展開兵力のあり方、それがひいては在日米軍のありようというところにも、今までの延長線とはまた違うストーリーがあり得るということも、大臣、今含んでいらっしゃるという理解でよろしいでしょうか。

稲田国務大臣 予断を持ってお話はできませんけれども、しかしながら、アジアに対する、またアジア太平洋地域に対する重要性、そして今、アジア太平洋地域の我が国を取り巻く環境等を含めた事実認識については共有をしております。

 したがって、そういった点において、大きな路線変更ということではなくて、アジア重視の姿勢というものは変わらないというふうに考えております。

神山(洋)委員 私は、十分そういう可能性があるというふうに思っています。もちろん、それをどういう形で見直していくかということは予断を持つべきでない、それはそのとおりでしょう。ただ、それがどういう形になりこそすれ、ここまでのさまざまな発言であり、今既に公式に表明をされていることも含めて考えれば、それは手先の、目先のディテールを調整するというレベルでないということは非常によくわかるのではないかなというふうに思うわけです。

 その意味でいえば、では、我が国はそこに対してどう対応するのかという、ここが肝になるというふうに思うわけです。

 この後、北朝鮮のミサイルも、きのうからの議論もありますし、北朝鮮のみならず、ロシアもあれば中国もある。さまざまな戦略環境が日本の周辺でも厳しくなっているという状況もあり、世界各国で見ても変動期にある。だとすれば、やはり我が国としても、これは、場合によってはアメリカを待つのではなくて、主導的にこうあるべきだということは、時にやはりコンセプトを提示していかなきゃいけない、こういうことも十分あり得るだろうというふうに私は思うわけです。ぜひ大臣には、そのことを念頭に、これからさまざまな会談であり先方とのコミュニケーションも含めてかかわっていただきたいというふうにも思うわけです。

 その観点からすればですが、これはきょう一日で終わる議論ではありませんが、我が国にも国家安全保障戦略があって、大綱、中期防があってという体系の中で、最終的には自衛隊の装備であり運用ということが行われているわけでありますが、果たしてそれも、今後のことを考えたときに、本当に今のままでよいのだろうかということは、私は、全面的にレビューしてもいいんじゃないかというふうに思うわけです。しかもそれは、アメリカが戦略概念を向こうのコンセプトとして提示してくるのを待って、それを受けてやるのではなくて、場合によってはそれを先取りするようなことも必要かもしれないし、そこに対してのアプローチをするようなことも必要かもしれませんし、そういったところまで柔軟に考えるべきじゃないかなというふうに私は思っていますが、大臣、そこはいかがですか。

稲田国務大臣 もちろん、日米同盟は我が国の防衛政策の基軸ではありますけれども、委員おっしゃるように、やはり我が国自身の戦略、我が国自身がどうやって我が国を守るのかという大きな意味での戦略というのは、しっかりと現状を見据えて、さらには、我が国を取り巻く環境のスピードに合わせて、常に検証すべきものだというふうに考えております。

 国家安全保障戦略は国家安全保障に関する基本方針を示すものとして、この戦略に基づいて策定される防衛計画の大綱は我が国の防衛力のあり方についての指針を示すものとして、平成二十五年十二月、すなわち安倍政権が政権を取り戻して、十二月に策定をしたものであって、おおむね十年程度の期間を念頭に置いております。

 そして、この戦略と大綱に記載されているとおり、これらは、各種政策、計画の実施過程を通じて、定期的に体系的な評価を行い、適時適切にこれを発展させていくこととし、情勢に重要な変化が見込まれる場合には、その時点における安全保障環境を勘案して検討を行い、必要な修正を行うことといたしているわけでありますが、現時点で見直しのための具体的な検討を行っているというわけではありません。

 しかしながら、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中で、防衛力のあり方について不断に検討を行っていくことが必要だと考えております。

神山(洋)委員 大臣、時間も限られていますので、できるだけコンパクトにしていただければ助かります。

 ぜひそこはレビューをするべきだと私は思うんです。しかもそれは、先ほど来の繰り返しになりますけれども、もちろん、アメリカがどういう方向性を向くのかということは、我が国の防衛、安全保障に対しても極めて大事ですので、それはきちんとケアしなければいけないし、場合によってはシンクロしなきゃいけない部分は多いと思います。

 ただ、それを受けて、必ずしも受動的に全てやらなければならないかというと、私はそうであってはならないと思いますし、そうでないものもきっちりとあるというふうに思いますから、能動的にそこはきちっと考えるべきだということを申し上げたかったということで御理解をいただきたいと思います。

 その上で、今回の法案そのものは、まさに米軍再編のありようというところが前提となって、それが、日本における地域への関与、地域への影響という観点からこの制度がつくられ、この十年間運用されてきたわけです。我々は、この制度そのものは必要だというふうに思っています。

 しかし、あえてきょうこの議論を前段でさせていただいたのは、そもそもの米軍再編のありよう、プログラムというものが、スケジュールであり、具体的な内容であり、もっと言えば、その前提となるコンセプトであり、変わったときには、ここで想定をされている日本の各地域における駐留軍の再編に関しての対応というあり方すら変わってくる可能性があり得るんだということは、今から踏まえておくべきだと思うんです、現時点で判断はつきませんが。

 だとしたら、この法案は我々は必要だと思っていますが、今後も、では十年間このままでいきますというような硬直的な話ではなくて、きちっと適時適切に見直すという柔軟性を持ちながらこの制度を我々は今後も運用していくんだ、そういう意思を持つべきだと思っています。

 大臣、その点はいかがですか。

稲田国務大臣 委員が御指摘になる、そういった大きな観点から柔軟性を持って検討していくべきというのは、そのとおりだというふうに思います。

神山(洋)委員 今の大きな話に続いて、少し小さなとは言いませんが、ちょっと具体的な話を一点だけ確認させていただきます。

 この制度の中に、JBICを使った出融資保証業務というものが当初想定をされていました。いろいろ前段で事務方に聞きましたが、結論としては、これはこの十年間、その出融資保証業務という形での実績はなかったというお話を伺っております。

 しかし、これはJBICを通じて、例えばそれは、グアム移転に関する先方の住宅地の建設であるとか、そういったことを想定して当初はつくられた枠組みであるというふうに聞いていますが、結局それは実行には至らなかった。しかし、そこには相応の、毎年毎年、これは出資金という形になるのかちょっと名目はよくわかりませんけれども、税からの予算の範囲で投入がされているわけです。そこに対しての支出も行われているわけです。

 素朴な疑問として、まずここで確認をさせていただきたいんですが、JBICで想定をしたその保証という業務そのものは行われなかったのだけれども、支出がある、これは一体何でなんでしょうか。

深山政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、この法律ができた当時は、グアム移転事業に関しまして、日本側経費負担のうち、インフラ整備及び家族住宅にかかわる経費について、国際協力銀行を活用して出融資を行うことを想定しておりました。

 このために、平成二十二年度から二十四年度にかけまして、国際協力銀行において、そうした事業を実施していく枠組みを構築するための検討、準備のため必要となる資金につきまして、国からJBICに対して支出を行ったところでございます。

 その後、二十四年四月の2プラス2共同発表におきまして、日本側の経費負担につきましては、こうした出融資はとらないということが決められたことから、それ以後においては支出をいたしておらないところでございます。

神山(洋)委員 今の御答弁の中にも、検討するためとか準備をするために必要だったというお話がありました。

 昨日確認をさせていただいたお答えの中にも、貸し付けに関連をして必要な調査であるとか、当該貸し付け等に附帯する業務に要する費用として支出されたという言葉はいただいていますが、具体的によくわかりませんので、もう少し具体的に御答弁いただきたい。

深山政府参考人 お答え申し上げます。

 具体的な内容といたしましては、米軍に対する出融資事業を実施するため、その業務を専従で行う部署を立ち上げたことから、そのための人件費、事業を実施していくために必要な法制、金融、税制等に関する調査を外部に委託することを想定しておったと承知しておりますが、そうした外部に委託するための経費などがこのJBICから支出されたお金の中には含まれているところでございます。

神山(洋)委員 このことをもってこの法案に対しての態度云々ということはあえて申し上げたくありませんけれども、今もお話あったような、専従のセクションが必要だったというのはわからなくはありませんが、しかし、今おっしゃる話であれば、人件費であるとか調査費であるという話です。

 それが年間で、例えば何百万円の単位であるとか、一千万、二千万円という単位はもちろんあるでしょう。しかし、実際支出された金額を確認していくと、一億円、二億円、四千万円、そういうロットなわけですね。果たしてこれでよかったのかということは、これは今回こういう形で、このルートそのものは、枠組みそのものはこれで廃止をするわけですが、きちっと今後も再検証していくべきではないかというふうに私は思っていますので、これはもう少し確認をした上で、追って、後日も含めて、こういった場も含めて議論をさせていただきたいということだけ、あえてこの場では申し上げさせていただきます。

 残りの時間を使いまして、この後も、前段もそしてきのうも、特に今、この時節柄、北朝鮮によるミサイルの発射事案、これについての議論が行われてきましたので、私も私なりの観点で数点確認等々もさせていただきたいと思っております。防衛大臣、よろしくお願いをいたします。

 まず、今回の件を受けて、たしか大臣も発言をされていたかなと思いますし、安倍総理もだと思っていますが、予算委員会だか本会議で、本会議の場もそうでしたね、盛んに新たな段階という言葉が使われています。今回のミサイル発射を受けて、我が国が受ける脅威であり、北朝鮮のさまざまな分析も踏まえた形でのレベルだと思いますが、北朝鮮が新たな脅威であることを明確に示すとかいろいろな表現で、新たな段階という言葉が出てきます。

 大臣、ここは、新たな段階に入ったということは大臣も同じ認識を共有していらっしゃるということでまずよろしいでしょうか。

稲田国務大臣 昨年、核実験二回、これは、通常だったら三、四年あけていたのを、八カ月内に二回も核実験を行った。さらには、ミサイル発射二十発以上。そして、三月六日にも四発同時に発射をさせて、三発を排他的経済水域内に、残りの一発は排他的経済水域付近に着弾をさせた。これは、北朝鮮が新たな段階の脅威であることを改めて明確に示すものであるというふうに認識をいたしております。

神山(洋)委員 共有しているということを前提としてという理解でいいですよね。多分いいんだと、答弁は結構です、共有されているという前提で、今おっしゃったようなことを踏まえて、新たな段階だと言っているんだと思います。

 今おっしゃっていただいたのは、例えば回数というか間隔の話、あとは、同時着弾射撃、TOTと言ったり飽和攻撃と言ったり、いろいろな表現があると思いますけれども、そういうことを指して、新たな段階に入った、そうおっしゃっているという理解でよろしいですか。

稲田国務大臣 今申し上げましたように、核実験の回数、それから、同時に三発、四発発射をしてほぼ同地点に着水することができる、さらには、潜水艦からの発射、または、新たなミサイルも開発をしている可能性がある、そして、核兵器が小型化、弾頭化の実現に至っている可能性もある。

 そういったことを総合的に勘案しますと、北朝鮮による核、弾道ミサイルの開発や運用能力の向上が、昨年来、我が国を含む地域及び国際社会に対する新たな段階の脅威となっていると認識をしているところです。

神山(洋)委員 では、ということを前提として、今回の事実関係を少し確認させていただきたいんですが、きのうも少し議論がありました。今回の発射、七時三十四分に発射であるというふうに言われております。

 まず、大臣、ここは事実関係の確認ですけれども、三十四分の発射を確認したのは、これは米軍のSEW経由での情報が入った時間ということでよろしいですか。

岡政府参考人 お答え申し上げます。

 これは、さまざまな情報手段を用いて発射の探知をしたということで御理解をいただければというふうに思います。

神山(洋)委員 別にここを隠さなくてもいいと思うんですよ。去年もそうですし、今までもずっとそうですが、その最初の発射のタイミングそのものは、それがどういう態様であるかとかどこまで飛ぶかなんというのはわかりませんが、SEWによる熱源探知でやっているというのは、これは別にもう、ほぼ公開情報だと思いますから、別にあえてそこを隠さなくてもいいんじゃないですか。

 そこは事実関係として確認をしたいんですけれども、何か余り言いたくないようなので、これ以上そこはあえて詰めませんけれども。

 もう一点確認したいのは、では、そうすると、大体これは、まず最初にSEWで確認をした後に、通常であれば、日本海にオンステージであるイージス艦のスパイレーダーでそこは確認をしていくということが大体次あたりのタイミングに入るわけです。現実問題としては、在韓米軍であるとか、ほかのさまざまなインフォメーションもあると思いますけれども。その上で、イージスで探知した時間というのは、これは、三十四分に発射が確認された後、何時になるんでしょうか。

岡政府参考人 お答え申し上げます。

 ここはもう先生よく御存じのとおりだと思いますけれども、防衛省といたしましては、こうした弾道ミサイルの発射といった事態に備えて、情報収集、警戒態勢に万全を期しているところでございまして、さまざまなセンサーをもって捉えることとしておりますけれども、その具体的な時間等につきましては控えさせていただきたいというふうに思っております。

神山(洋)委員 そこで余り突っかかるような話じゃないと思うんですよ。今回、事実関係として確認をしたいから伺ってきているわけですけれども、何か妙にそこを出してくれないですよね。

 例えばですけれども、昨年の二月にも、人工衛星と称して北朝鮮が弾道ミサイルを発射したという件がありましたね。あのときのクロノロジー、もう一回確認をしてみると、それは、我が国の国益を害するような、そして我が国の情報収集能力をさらけ出すような情報を、何もこんな公開の場であけっ広げに言ってくださいなんて言うつもりは私はさらさらないんですよ。ただ、事実として既に公開しても大丈夫だというふうにも言われているもの、これまでもやってきているものは確認していいと思うんですね。

 去年の二月の七日の時点でいっても、これは打ち上げそのものがあったのは二月の七日ですね、この際は、SEW情報が何時に入手されて、その後レーダーによる情報、もちろんこのレーダーというのは、必ずしもイージス艦だけではなくて、ガメラのレーダーだったりとかほかのさまざまなレーダー、あり得るでしょう、ある程度情報を開示していますよね。

 なぜ今回、そこをあえて通常に、通例に従わずにクローズにしているのか、理由がよくわからないんですが、何か理由があるんですか。

岡政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどの繰り返しになりますけれども、私ども、レーダー等を通じた情報の収集に当たっておりまして、その収集能力等を、手のうちを明らかにしない範囲で、可能な情報については明らかにさせていただいてきているところというふうに承知しております。

神山(洋)委員 大臣、ここを余りごちゃごちゃ本来はやりたくないんです。

 この件にかかわらず、安全保障にかかわる話とか防衛にかかわる話、場合によっては外交もそうかもしれません、全てを、もちろん、手のうちも含めて全部洗いざらいオープンにできるなんて私も思っていませんし、我々はそんなことを思ってはいません。だから、公開の場で議論できることにはおのずと限度があるということは重々承知です。

 しかし、基本的なことであるとか、公開しても問題ないこととか、これまでもきちんと公開をしていることということは、これはやはりきちんと情報を公開するということが私は大事だと思うんです。

 それは何のためかといえば、国会審議はもちろんそうでありますけれども、最終的に、安全保障とか防衛とか外交とかという話は国民の理解が前提になるからだと思うんです。広く国民が、ああ、そういうことだったんだ、こういう事実があってこうなっているんだということを理解して初めて、今であれ今後にこういう政策をとるんだということに対して賛意がもたらされるものだと思うんですね。

 逆を言えば、何をやっているのかわからない、どうしてそうやっているのかわからない、事実関係がよくわからない、でもあれをやります、これで理解してくれる人はいないと思うわけです。

 そして、この話は、別に今にかかわらず、ある意味、戦後ずっと続いてきたわけですよ。安全保障とか防衛とかということにかかわる情報というのが余り出てこなくて、ある意味、学術の世界でもきちんと議論されていなかった中で、なかなか理解が進んでいかない。これは現場の、例えば、それこそ自衛隊の職員の方々もいろいろな場面で痛感されていると思いますよ。きちっと公開できることはきちっと公開するべきだと思うんです。

 今回のSEWの探知があって、それはイージスなのか地上からのレーダーなのか、そこは別に、あえてぼかしていただいても構いませんが、少なくとも今までのレベルで公開できている情報というのは、きちんと、我々も含めて、こうでしたというファクトを伝えるという義務が私はあると思います。

 大臣、これはもう一回検証した上で、出せるものはきちっと出すというふうにしたらどうですか。

稲田国務大臣 一般論として、委員がおっしゃることは大変理解ができます。ただ、探知の時間等については、我が方の能力を明らかにし、手のうちをさらすことから、従来からお答えを差し控えているということでございます。

神山(洋)委員 いや、少なくとも今私の手元にある、昨年、ちょうど一年前のときには、九時三十一分に防衛省からSEWの情報を入手、これは官邸がですよね。九時三十三分に防衛省からレーダーによる情報を入手。これがイージスなのか地上からかわかりませんが、別のレーダーですよ。

 最初の熱源探知の後に、もう一回の次のレーダーで、では一体どこまで飛ぶのか、着弾地点はどこなのか、着弾予定時刻はいつなのか、そこを踏まえて、この後恐らく後藤さんが議論されると思いますけれども、Jアラートで警報を出さなきゃいけないのか、エムネットで自治体経由の情報を出すのか出さないのかというハンドリングをするんじゃないですか。

槌道政府参考人 内閣官房から公表された資料をもとにお尋ねだと思いますので、私からお答えさせていただきます。

 昨年二月七日でございますが、これは、あらかじめ人工衛星を我が国の領空を通過するという形で発射する予告がございました。その上で、我々が、破壊措置命令を出すということも公表した上で対処していたものでございますので、むしろこのケースが例外ということだと思います。

神山(洋)委員 正直、出すの出さないのとここで余り時間を食うつもりではなかったので、この議論はこのぐらいにしますけれども。

 前提として、余りクローズにするということは、私は、あらぬ疑いであるとかあらぬ猜疑心を生むという意味でやはりよくないと思うんですね。出せないものは出せないで、それは間違いなくいいんですけれども、場合によっては、そこはもう少し柔軟に考えてもいいんじゃないかということだけはこの場で申し上げておきます。

 もう一点、確認です。今回は、いわゆるミサイル防衛で、北朝鮮から飛んできたミサイルを破壊するということは行われませんでした。それはなぜかという話です。

 四発中のうちの三発ですか、EEZ内に着弾したと見られる。一発はEEZ外だったのかもしれません。今回、それぞれに対して、ミサイル防衛、それを破壊するということはしなかった。これはなぜでしょうか、大臣。

稲田国務大臣 自衛隊法第八十二条の三の規定による弾道ミサイル等に対する破壊措置は、我が国領域における人命または財産に対する被害を防止することを目的とし、我が国に向けて現に飛来する弾道ミサイル等を破壊するためのものです。

 このため、議員指摘のような排他的経済水域に落下する弾道ミサイルについては、これらの要件を満たすとは考えられないことから、同条の規定、すなわち自衛隊法八十二条の三の破壊措置をとることはできないというふうに考えております。

神山(洋)委員 我が国領域、領土、領空、領海ということが前提になっているということだと私も理解をしております。

 きのう青柳議員からもここで少し議論がありましたが、領土、領空、領海ではないけれども、EEZ内においては経済活動が我が国国民においてされているという場は間々あるわけです。そのときに、いろいろなパターンがあり得るでしょうから全てを一概に言うことはできないかもしれませんが、必ずしもEEZ、領土、領空、領海のうちではないが、しかしEEZ内ではあるというときに、全てそのミサイルを撃ち落とすというオプションを必ず排除していいものだろうかということは、少し議論の余地、検討の余地が私はあるんじゃないかというふうにも思うわけです。

 きのうは、青柳議員からはイカ釣り漁船の例なんということもありました。確かに、イカ釣り漁船がわあっと集まっているところにミサイルが飛んでくるというところまで、どこまで防げるのかという技術的な課題はもちろんあるでしょう。しかし、本当にそれでいいのかということは、これは少し今後の課題としては考えてもいいと思いますが、大臣、そこはいかがですか。

稲田国務大臣 先ほどお話をいたしましたのは、現行の法のもとではという趣旨でございます。

 また、北朝鮮による弾道ミサイル等の脅威から広大な我が国のEEZを航行している多数の船舶の安全をどうやって守っていくのか、これは大きな課題であるというふうに思っております。

 その上で、我が国のEEZに所在する我が国船舶等に向けて落下する弾道ミサイル等を破壊するため、いかなる措置を講ずるかについては、現時点での技術動向や、国内法及び国際法上の観点等々、さまざまな観点を踏まえつつ判断をしていく必要が、検討していく必要があるというふうに考えております。

神山(洋)委員 今後の課題でということで私も実は今申し上げたところです。今すぐそれがぱっとできるようになるとは私も思っていませんし、ほかのさまざまな対応をしなければならない案件を含めた優先順位の中からも、そこがプライオリティーが高いかというと、必ずしもそうとは言えないかもしれません。ただ、今後に向かってのさまざま検討しなければならない課題としては、やはりそこはきちんとテークノートしておいていただきたいというふうに思うわけです。

 今すぐ、EEZ内におけるミサイル破壊ということができなかった、それはなかなか難しいかもしれませんが、さはさりながら、今回の対応で本当にいいのだろうかというところはあるわけです。端的に結論から申し上げれば、せめてアラートぐらいは着弾前に出すべきだったんじゃないかな、逆に言えば、出せたんじゃないかなというふうに思うわけです。

 きのうの質疑でも明らかになりましたが、今回は、事実上、着弾後ですよね。ミサイルそのものに生物化学兵器が入っていたりとか、そういうことまで考えれば、着弾後であっても、そのアラートが伝わるということに意味はあると思いますが、しかし、でき得ればそれは着弾前であるべきであることは、誰もが否定しないということだと私は思います。

 ましてや、今さまざまなツールの中でリアルタイムで着弾前にそれを知らせるということは、技術的にはそんなに難しくないんだというふうに私は思っています。あとは、そのためのどういう仕組みをつくるのかということではないかと思います。

 ここは前向きに対応することができると思いますけれども、どうですか、やるつもりはありませんか。

槌道政府参考人 三月六日の弾道ミサイル発射に際しまして、船舶、航空機等への警報等でございますけれども、これは発射から最も早いものでも十三分後であったということでございました。それ以降、逐次警報を流したということでございます。

 一般に、一千キロを飛翔する弾道ミサイルの場合、約十分で飛翔するということでございますから、私どもとしても、これは十分な早さではなかったというふうに考えております。

 まさに先生の御指摘は、そういった場合に備えて、国民の生命財産を守り抜くためにより迅速かつ適切に情報伝達を行うために、システム的な改善も含めて検討すべきであるという御指摘と考えており、それは全く私ども同じ考え方でございますので、鋭意努力をしてまいりたいというふうに思います。

神山(洋)委員 時間をかけなければできない、検討しなければならない課題もたくさんあると思います。そして一方で、すぐできることもあると思います。ここはきちんと峻別をつけて、できることはすぐやっていただきますように改めてこの場で要請をさせていただいて、終わりにします。

 以上です。

山口委員長 次に、後藤祐一君。

後藤(祐)委員 民進党の後藤祐一でございます。

 本日は、まず、法案審議でございますので、駐留軍再編特別措置法に関連して幾つか聞きたいと思います。

 私は神奈川県の厚木市を含む選挙区の選出でございますが、厚木基地は厚木市にはございません。この厚木基地の空母艦載機岩国移駐というものがことし順次開始されますけれども、この移駐に伴う雇用確保についてまずお聞きしたいと思います。

 ことしの二月三日の防衛省と全駐留軍労働組合の間の団体交渉の場において、防衛省は以下のように回答しています。事前に通告しているので、これは大臣に聞きますのでよく聞いていただきたいんですが、厚木飛行場等の基地従業員の解雇や従業員本人が望まない岩国への配置がえは想定していないことを米側との間で確認しておりますと防衛省が全駐労、全駐留軍労働組合に回答しています。

 これは交渉の場でございますので、この場で同じ姿勢だということを大臣の口から、全く同じ回答で結構ですので、お答えいただきたいと思います。

稲田国務大臣 空母艦載機の厚木飛行場から岩国飛行場への移駐に伴う駐留軍等労働者の配置計画については、防衛省と米側との間において、厚木飛行場の基地従業員の解雇や従業員本人が望まない岩国への配置がえは想定していないことを確認しており、この旨、労働組合の方々にもお伝えをしております。

 防衛省としては、米側に対してさまざまな機会を通じ具体的な雇用への影響に関する情報提供等を求めておりますが、今後とも、米側と緊密に連携し、雇用の安定確保が図られるよう努めてまいります。

後藤(祐)委員 ありがとうございます。大切な姿勢だと思います。

 この岩国への移駐は全部で三千八百人、軍人千七百、家族千五百、軍属六百と言われておりますが、これはどこから移るのかということは必ずしも明示されておりませんでして、常識的に考えれば厚木基地に勤める方々と考えますが、場合によっては、日本じゅうからローテーションでとか、いろいろなことがあり得るわけで、これは厚木基地で働いている方々が三千八百人岩国に移るということなのかどうか。そして、交代でヘリコプターの一部隊が来るというようなお話もございます。これによってある程度の雇用が発生するということもあるのかもしれません。

 結果として、この移駐に伴って厚木基地に勤める方々は何人ぐらい減ることになるのか、これについても、千人単位なのか、あるいは二、三百人という単位なのか。ことしからもう始まる話でございますので、岩国に引っ越すのか、あるいは仕事をかえなきゃいけないのか、大変これは労働者の皆様は心配しておられますので、何人ぐらい厚木で働く方が減るのかということについて、正確にわからない部分はあると思います、おおむねの数字になる部分もあると思いますが、現時点でわかる数字をお答えいただきたいと思います。

稲田国務大臣 米側からは、空母艦載機の厚木飛行場から岩国飛行場への移駐に伴い、軍人が約千七百人、軍属が約六百人、及びその家族が約千五百人、合計で約三千八百人が岩国飛行場へ移動する予定である旨、説明を受けておりますが、このうち何名が厚木飛行場から移動するかについては、米軍の運用に係る事項であるため、承知をいたしておりません。

 このため、岩国飛行場へ移動する軍人等の人数をもとに、空母艦載機移駐後の厚木飛行場における駐留軍等労働者の人数を推測することは困難でございます。

後藤(祐)委員 大変残念ですね。これは米側から数字をいただいていないということだと思います。

 まさにきょうかかっている法律の二十五条、これはこのまま残る条文でございますけれども、「その雇用の継続に資するよう、独立行政法人駐留軍等労働者労務管理機構を通じた技能教育訓練その他の適切な措置を講ずるものとする。」というふうにもされておりまして、雇用の確保について非常に重要な条文がかかっている法律なんですね。今までこれは一回も適用されたことがないんですが、今回初めて適用になる事例だと思うんです。

 ぜひアメリカ側に、どのぐらいの人数的なインパクトがあるのか。それがわからないと、まさにこの法律上の義務である技能教育訓練その他の適切な措置というのが、どういう規模でどのぐらいの準備をしなきゃいけないのかわからないと思うんですね。これは法律の義務でございますので、米側に早く情報の提供を求めるようお願いしたいと思います。

 その上で、この二十五条に基づく技能教育訓練その他の適切な措置、これを必ず講ずるということをお約束いただきたいと思います。

稲田国務大臣 空母艦載機の移駐に伴い、駐留軍等労働者に対する技能教育訓練等の必要性が生じる場合には、関係機関と調整の上、適切に対応していきたいと考えています。

後藤(祐)委員 これは法律上の義務でございますので、必ずやっていただきたいと思いますが、残念ながら、先ほどの独立行政法人、通称エルモといいますが、この二十九年度予算には全く予算計上されていないんですね。でも、二十九年度に移駐が開始されるわけです。これは一体、財源はどこから持ってくるんでしょうか。

 防衛費全体からすれば大した額じゃないのかもしれませんが、技能教育訓練、お金はかかるわけですね。予算が現時点でエルモに確保されていないにしても、どこからか財源を持ってきて、そのお金を使って技能教育訓練その他の適切な措置を講ずる。先ほど、やっていただくことはお約束いただきましたので、お金もちゃんと確保するということをお約束いただけないでしょうか。

稲田国務大臣 空母艦載機の厚木飛行場から岩国飛行場への移駐に伴う駐留軍等労働者の人員の配置については、現在米軍において検討中であって、平成二十九年度における技能教育訓練等を具体的に計画することが困難であったため、防衛省としては、平成二十九年度予算への計上は行わなかったところでございます。

 しかしながら、先ほども申し上げましたように、技能教育訓練等の必要性が生じる場合には、関係機関と調整の上、適切に対応してまいります。

後藤(祐)委員 適切に対応するということは、お金がかかったらそのお金もちゃんと工面するというふうに理解をいたしますが、これは法律上の義務ですから、しかも、今回の法改正でその部分は条文改正されていないわけですから、見込みが立たなかったから予算計上されていなかったということだけだと思いますので、ぜひ、お金がかかる場合には、きちっとどこからかお金を持ってきて対応いただきたいと思います。

 それでは、次の話に行きたいと思います。

 今、各委員会で籠池氏の話が出ておりますが、昨日、籠池氏が、ビデオを撮影されたものを流して、三十分ぐらい、長いビデオをいろいろなテレビが取り上げておられます。

 きのう、報道ステーションでは、国会議員の先生が私を全然知らないと言っていましたけれども、よく存じ上げている方もいらっしゃいますね、そして、十年前にしか会っていませんとおっしゃったけれども、そんなことはないですよね、二年ほど前にお会いしたことが僕はあるんじゃないかと思います、ある特定の会合の中で、そういうことも言わないというのはおかしいんじゃないかなと思いますねという発言をされておられます。

 これは稲田大臣のことではないかというふうに思うわけですが、まず、このビデオ、あるいはきのうの報道ステーションでこの部分が流れたんですが、大臣はごらんになったでしょうか。

稲田国務大臣 見ておりません。

後藤(祐)委員 これは稲田大臣のことだと思うんですが、籠池氏と二年前にお会いされているんでしょうか。

稲田国務大臣 この点、何回も国会で答弁いたしておりますが、ここ十年ほど、お会いはいたしておりません。二年ほど前、会ったことはありません。

後藤(祐)委員 そうしますと、籠池氏の言っていることと違うわけですが、ある特定の会合の中でというのはちょっと言葉の意味がわかりにくいところはありますけれども、一対一かどうかは別として、何人かいる場だったのかもしれませんが、何人かいるような場でもお会いしていないということですか。

稲田国務大臣 私の記憶では、お会いしたことはありません。

後藤(祐)委員 そうすると、お話もしていないということですね。

稲田国務大臣 ここ十年ほど、お話しした記憶はありません。

後藤(祐)委員 十年くらいということですから、十年より前はお会いしたことがあるということだと思うんですが、そのときはお話しされたことがあるんでしょうか。どんなお話をされたんでしょうか。

稲田国務大臣 国会で申し上げておりますように、面識はありましたけれども、ここ十年ほど、お会いをしておりません。そして、関係は、私は、ない、絶っているということでございます。

後藤(祐)委員 気を取り直して安全保障の話に戻りたいと思いますが、まあ、各委員会でやっておりますから、安全保障の話に行きたいと思います。

 ミサイル発射に関連してですが、まず、最も近かったのかどうかということについて、きのうも議論がありました。先ほども同僚議員が何人か話をしましたが、過去、二百キロ近いところに落ちたものとどっちが近いかということについては引き続き分析中という御答弁が先ほどありました。

 これは、どっちが近いかと実はわかっているけれども、能力がわかってしまうので言えないということなのか、あるいは、どっちが近いか微妙なのでわからないということなのか、あるいは、まさに分析をしていて、分析が終わったら、今回が一番近かったのか、二番目だったのか、あるいはそうでないのか、やがては言うということなのか、どれなんでしょうか。

稲田国務大臣 落下地点については、レーダー情報等をもとに推定しておりますけれども、所要の分析を行うには一定の時間を要するものと認識をしております。

 現在分析を行っているところであり、予断を持ってお答えすることは差し控えますが、その上で申し上げれば、レーダー性能等を含む我が国の情報収集能力が明らかとならない範囲において、対外的な説明を行ってまいります。

後藤(祐)委員 きのうも話をして、きょうですよ。これは明確にきのうの通告もしています。月曜日できょう金曜日で、もう四日たっているんですよ。そんなに時間のかかる分析でしょうか。もうどこに落ちたかは恐らくわかっていらっしゃるわけですから、これから何を分析するというのでしょうか。

 いや、言えないという答えなのであれば、早く言えないと言うべきなんですよ。わからないんだったら、わからないと言う、あるいは別の言い方をすればいいんです。ですが、もう四日もたっていて分析中というのはおかしくありませんか。何を分析しているんですか。

稲田国務大臣 落下地点の正確な地点、座標等については、正確性を期するため、レーダーで得られたデータ等を詳細に分析する必要があり、それほど容易なことではありません。

 いずれにいたしましても、重要なことは、ミサイルの落下地点は、我が国から、今回も、そして昨年の九月のものも約二百キロメートルと極めて近いということでございます。

後藤(祐)委員 では、分析が終わったら、一番近かったのかどうかを御発表いただけるということでよろしいですか。

稲田国務大臣 レーダー性能等を含む我が国の情報収集能力が明らかとならない範囲において、対外的な説明を行ってまいります。

後藤(祐)委員 こういうのは、時間をかけちゃうと、よりそういう話が微妙になっちゃうんですよ。さらっとやらないから、そういう面倒くさいことになるんですよ。だから、言えないんだったら、早い段階で言えないと言えばいいんですよ。何でこんなに時間を引っ張って、さらに分析しているなんて、どんな分析能力の遅さなんですか。

 きょうは、配付資料を配付しております。

 先ほど神山議員からもありましたし、きのう青柳議員からもありましたが、ミサイル発射情報がどのように、きょうは船、本当は飛行機もあるんですが、船に絞って、状況を聞いてみました。

 これは、きのう説明いただいた、事態室と水産庁と海上保安庁、国土交通省海事局、それぞれから聞いたことをそのまま流れにしたものでございます。

 七時三十四分ごろ発射があって、それは書いていませんが、防衛省から事態室に対して七時三十七分に情報の提供があって、それもちょっと書いていません、その後、事態室は水産庁、海上保安庁、海事局に、これは時刻を教えていただけませんが、情報提供をされています。

 そして、水産庁は漁業安全情報を八時五分、文字情報の形で、日本全国三十四局あるそうなんですが、そのうち十一局にお伝えしたんですかね、漁業無線局に伝えて、その漁業無線局では、人が文字情報を読み上げるような形で、今回、十局が放送しています。

 二ページ目にその情報がございます。

 その情報は、「内閣官房から下記の情報が入りましたので、関係漁船に対する情報提供、注意喚起及び安否確認をお願いします。 引き続き、新たな情報が入り次第お知らせしますので、ご注意願います。」というのが水産庁から漁業無線局への連絡で、「記」というところに「北朝鮮から、何らかの飛翔体が発射され日本海に着水する可能性があります。」というだけの文章でございます。つまり、どことかいつごろとかいうことは書いていないわけですね。その無線が漁船に向けてなされる。場所によって届いた時間は違います。これが一つ目の流れ。

 二つ目が、海上保安庁からの航行警報というものが八時十分、文字情報の形で、ナベックスと読むんでしょうかね、送信局というところ、ここは人を介するわけではなくて、自動的にそのまま船舶に、ほぼ同時刻なんでしょう、文字情報の形で漁船を含む船舶に対して流れるものがあります。

 三つ目の流れは、国土交通省海事局に対して事態室から来て、これは海事局が、業界団体に対してメールや電話を使って連絡するものに近いんですが、七時四十七分にメールを発信して、事業者団体、海運だとかそういったものなんでしょう、事業者団体と大きい事業者に対しては直接、まずメールで発信し、その後、電話等を使って注意喚起というものをしている。そして、事業者団体は、その後、その団体に属する小さい事業者、直接海事局から行かない事業者に連絡をし、その小さい事業者あるいは大きい事業者からそこに所属する船に対して連絡が行く、こういう仕組みになっているわけでございます。

 それぞれ、水産庁、海上保安庁、海事局、来ていただいておりますので、お聞きしたいと思います。

 まず、水産庁、お越しいただいていますね。今の流れで、水産庁の範囲だけで結構なんですが、間違いないでしょうか。ちょっと疑問なのは、水産庁から漁業無線局に八時五分に文字情報が行っているんですが、二ページ目を見ますと、なぜか七時五十六分に余市漁業無線局は放送しているんですね。時間が逆転しているようにも見えるんですが、これはどういうことなのかということも含めて、間違いないか、確認したいと思います。

浅川政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、事実関係でございます。

 水産庁は、内閣官房からの連絡を受けまして、午前八時五分に全国三十四の漁業無線局に対してメールにおいて情報提供を行っております。この情報提供を受けまして、各漁業無線局から無線を通じて情報伝達を行ったと承知しておりますが、なお、日本海側、今回関係する十一の無線局においてはそのうち十局から情報提供を行ったというのが事実関係でございます。(後藤(祐)委員「時間が逆転」と呼ぶ)はい。

 時間の逆転ですけれども、最終的に全無線局にメールが到着したことを確認した時刻が八時五分ということでございまして、それ以前に到着したところからは早い時間で情報が提供されているということでございます。

後藤(祐)委員 メール発出時間は何時なんですか。

浅川政府参考人 メールを発出したのは七時五十六分でございます。

後藤(祐)委員 それは七時五十六分に文字情報を流したと言った方がいいんじゃないですか。確認が終わったところというのは……。もっと誇っていいと思いますよ、最初のメール発出時間は。

 というのは、逆転しているのは、少なくとも世の中から見ると変なので、そこは工夫をいただきたいと思います。

 海上保安庁、同じことを聞きたいと思いますが、これで間違いないでしょうか。

一見政府参考人 お答え申し上げます。

 海上保安庁では、内閣官房からの情報提供に基づきまして、八時十分、船舶等への注意喚起を実施しております。

後藤(祐)委員 これは八時十分に船に届いているから、これはかなり確実に届くラインなんですね。

 続きまして、海事局でございますが、海事局は、末端という言い方はちょっとよくないのかもしれませんが、一つ一つの船まで届くのに、人を介しての連絡なので、きのうの私への説明では、これは時間がかなりかかる、特に海上保安庁の先ほどのルートというのは直接行くので、こっちが大体の場合は早く届いて、あくまで二次的、三次的なものだ、セーフティーネット的なものだというふうに御説明がありました。つまり、今の二つ目の航行情報より早く届くのは極めてまれなケースだという説明がありましたが、そのこともあわせてお答えいただきたいと思います。

七尾政府参考人 お答え申し上げます。

 船舶につきましては、内閣官房から情報を受けて、国土交通省海事局において内容を確認させていただいて、外航海運事業者及び海運事業者団体に対して七時四十七分に注意喚起の情報提供をいたしました。

後藤(祐)委員 ですから、後段の方の、二次的、三次的だとか、航行情報より早く届くのは極めてまれだとかということも含めてお答えいただけますか。これはきのう、そういうふうに説明をいただいています。

七尾政府参考人 お答えいたします。

 国交省としては、船舶等に対して可能な限り迅速な情報伝達ということが重要であると考えておりまして、今回の事案についても、内閣官房から情報を得て、速やかに情報提供をいたしております。(後藤(祐)委員「いや、ちょっと委員長、答弁していないですよ」と呼ぶ)

山口委員長 七尾審議官、もう一度お願いしますね。

七尾政府参考人 情報伝達をどういうふうに行っているのかということでございますが、事案に関するテキスト文書を送信し、電話で受信確認を行っております。

 以上でございます。(後藤(祐)委員「いや、答弁していないですね」と呼ぶ)

山口委員長 後藤君、もう一回質問してください。

後藤(祐)委員 個別の船に届くのは、事業者団体か少なくとも大きい事業者を通じて人づてでやっているので、これは自動的に航行警報のようにすっと行くわけじゃないので、人づてでやっているので、相当間接的なので時間がかかるという意味で、航行警報より先に届くのは極めてまれなケースであって、二次的、三次的なものだという説明がありました。

 この事実関係が正しいか間違っているか。違うというなら、違う説明をしてください。三度目です。

七尾政府参考人 ケース・バイ・ケースでございまして、一概には申し上げられないところでございますが、テキストの文書でやっておりますので、早く着くこともございます。

 以上でございます。

後藤(祐)委員 早く着くケースの方が多いということですか。ごく一部ではありませんか。

 これは、だって、ルートを見れば明らかじゃないですか。事業者団体か大きい事業者を必ず経由しているんでしょう。海事局から直接個別の船に届けることはあるんですか。

七尾政府参考人 繰り返しになりますけれども、内閣官房から情報を受けて、可能な限り迅速な情報伝達に努めております。

 以上でございます。(後藤(祐)委員「委員長、ちょっとこれは答えていない。だめです」と呼ぶ)

山口委員長 審議官、もう少し、個別の話までちょっと答弁が行っていないように私にも思えるから、どうですか、そこは。

七尾政府参考人 入手のタイミング、情報伝達の具体的な手法について、詳細についてはコメントすることは差し控えさせていただきます。(後藤(祐)委員「委員長、これはおかしい。きのう私に説明があったことですから」と呼ぶ)

山口委員長 七尾審議官、多分詳細は今手元に持っておられないかもしれないから、どうですか、詳細をさらに把握していただいて、後で後藤さんの方に。(後藤(祐)委員「いや、これはそんな細かい話じゃないですよ。このシステムの基本ですもの」と呼ぶ)今は持っていないかもしれない。

 どうですか、七尾審議官。

七尾政府参考人 お示しいただいたこの資料でございますが、事業者団体とか大きい事業者と記載がございますけれども、あくまでケース・バイ・ケースでございますので、ある程度、ひな形というかそういうのを用意して送信すると、非常に早く着く場合もございます。

後藤(祐)委員 正確に、どういう形で、事業者団体あるいは大きい事業者、小さい事業者、どういうツールを使って届けているのか、資料にしてこの委員会に提出していただくよう、そして、航行警報より早く着くことはまれである、二次的、三次的なものであるという説明はきのうありました、これの真偽も含めて、資料提出いただくよう、委員長にお取り計らいいただきたいと思います。

山口委員長 理事会で協議させてください。

後藤(祐)委員 こんなところは頑張るところじゃないんですよ。

 つまり、きのうの委員会で、青柳議員に対して、これは事態室、そこで事態室がアドバイスしちゃだめですよ。これは事態室の問題になるから抵抗しているんです。国交省が抵抗する話じゃないんですよ。

 きのう、事態室に関して、青柳議員はこういう質問をしています。事態室は、この周辺の航空あるいは漁船、船舶関係者にいつ、どのように警報を発したのかを御説明いただきたいと思いますと。これに対して、槌道内閣審議官は、防衛省からの情報を得て、関係省庁を通じて、七時四十七分以降、逐次警報等を発出したところでございますと答弁しています。

 私は、青柳議員に直接聞いてみました。これは、七時四十七分に船に届いたと勘違いされませんでしたかと言ったら、勘違いしました、そうだと思いましたと御本人が言っています。青柳議員がそう思うぐらいですから、国民みんなは、七時三十四分ごろミサイルが発射されて、七時四十七分という言葉しか大体説明されないんです。民進党の部門会議でも、七時四十七分以降という説明が口頭でありました。この八時五分だとか八時十分という時刻は示されませんでした。七時四十七分に船に情報が届いたかのように誤解される答弁じゃありませんか、事態室。

槌道政府参考人 お答えいたします。

 事実関係については先生から御指摘のあったとおりでございます。

 その上で、昨日の議論でもそうでありますけれども、私ども、最も早いものであっても発射後十三分かかっていると。これは、一般的に、一千キロ飛翔する弾道ミサイルが到達する時間が十分間と言われる中で、到底間に合っていないのではないかという御指摘と踏まえております。

 そうした観点から、これは私は十分迅速なものではなかったということも含めて考えておりまして、したがって、一番早いものであっても七時四十七分、それ以降にしか伝達できなかったということでございます。そのことを申し上げたつもりでございますが、他方におきまして、その警報を発出したということが同時に船に到達したという誤解を与えたとすれば、それは私の言葉が足りなかったところだと思いますので、そこはおわび申し上げたいと思います。

後藤(祐)委員 これはやはり、この海事局経由の注意喚起を代表的なものとして紹介すべきじゃないと思うんです。というのは、七時四十七分に船には届きませんから、絶対に。一番確実なのは、海上保安庁の航行警報は八時十分に恐らく船に届くんです。

 ですから、どれを使うかということは政府の判断だと思いますが、少なくとも、先ほどの提出資料にもかかわりますが、かなり間接的にしか届かないこの海事局を通じた注意喚起が最初になされた時刻をもって代表的な警報のなされた時刻として今後は伝えないということをお約束いただけますか。

槌道政府参考人 今回、それは代表的な例というよりは、最も早くてもという意味で申し上げたところでございますが、まさに情報を提供するあり方について、わかりやすい形でより丁寧に説明できるように、そこは工夫してまいりたいというふうに思います。

 ありがとうございます。

後藤(祐)委員 大臣、今聞いていましたか。要は、すごく早くやったふりをしているんです。大臣の嫌いな隠蔽になりかねないんです、下手すると。だから、素直にやった方がいいんです。

 大臣、これはもっと早い方法があって、資料の五ページ目、先ほど神山議員からもありましたが、Jアラートを鳴らせば早いんですよ。地震のときに、皆さん、ビービービーと鳴るもの、あれのちょっと音楽が違うんですが、官邸から消防庁へ行って、携帯会社から直接皆さんのメールにどんと入る。

 ただ、海の上で遠いところには届かないのはもちろんですよ。ですが、陸にかなり近いところというのはこれが届くところがあるし、実は、ミサイルが飛んで、何がでは船にできるかというと、できることというのは実は結構限られている中で、これから出港しようかと思って港を出ようとする、しないとか。

 あるいは、これは船の世界というよりは実は陸の場合に大事で、陸の上に着弾する可能性がある場合、Jアラートを鳴らすことはすごく大事で、大臣、核を積んだミサイルが陸上に着弾する、そのときにJアラートを鳴らして、Jアラートを聞いたから、家を出るのを、出ようと思ったけれどもやめようと思って家にとどまったら被爆のレベルは落ちますよね。すごく大事なんですよ、Jアラートを鳴らすかどうかは、特に陸の上において。

 船の人にとっても大事です。船に乗ろうと思ったけれども、ちょっと五分待とうとか、大事なんです。

 これはJアラートを本来鳴らすべき事案だと思うんです。というよりは、飛んだときはJアラートを必ず鳴らすべきだと思いますが、大臣、いかがですか。

槌道政府参考人 これはもう委員御案内の上での御質問だと思いますけれども、Jアラート、エムネット、我が国に飛来する可能性がある場合に使用する、こういう前提でつくられたシステムでございまして、そのように運用してきております。

 御指摘の領海外、領域外に飛来する場合、特にEEZ内に飛来する場合にどうやって警報を伝達するか、そのために、既存のJアラート、エムネットを含めてより早く使える手段はないのかという御指摘はごもっともだと思いますので、そういう点も含めて、我々としては、より最善の方法というのを、これも一つの方法だと思いますが、考えてまいりたいというふうに思います。

後藤(祐)委員 EEZ内か領海内か判断するのに時間がかかるはずなんです。その時間において、間に合わなくなる可能性があるんです。

 地震警報というのは、かなり遠い地震のときでもビービー鳴るじゃないですか。何でこんなに鳴るんだ、けしからぬという声も、若干そういう意見の方もいらっしゃるかもしれませんが、EEZに落ちたときにこれが鳴ってけしからぬと言われますかね。念のため鳴らしたっていいんじゃないですか、それによって鳴らし始める時間が早くなるんですから。これは大臣の政治的な判断だと思います。

 これは、どこに落ちるかを検証している間に時間がどんどん過ぎちゃうんです。

 Jアラートは、六ページ目を見るとわかるように、二月は、このときは先に撃つという予告があったからですけれども、九時三十分ごろ発射で、九時三十四分にJアラートは鳴っているんですよ。早いんです、結構。これは一番届く仕組みだし、本当にどこに落ちるかわからない状態でも発射が確認できたらすぐ鳴らしたらいいと思うんですが、これは大臣、どう思いますか。

 大臣のこれは御判断、もちろん官房なんですが、あなたに聞いていません、あなたに聞いても同じことしか答えないから。これは政治判断だと思うんです。要は、迷惑だ、鳴らすんじゃないという国民も若干いらっしゃるかもしれませんが、今、地震のときは結構広目に鳴っているんですよ。これは大臣、政治家としてどう思いますか。

稲田国務大臣 きょうの後藤議員の御提案はなるほどと思いましたが、いずれにしましても、しっかり、今の御提案も含めて、防衛省としても引き続き、内閣官房を初めとする関係省庁と連携をして、検討してまいりたいと考えております。

後藤(祐)委員 六基準目のときもこういうやりとりがあったんですから。安全が確保され、有意義な活動のときもそうなんですから、一回目じゃないんですから、ちょっと失礼だと思いますよ。

 フォール・イーグルが始まっていますが、キー・リゾルブが三月半ばから始まるんですよ。そうしたら、また撃つ可能性があるんです。次に撃たれたときにちゃんと鳴らしてください。これが鳴ったから被爆しないで済んだという人が相当な数で発生する可能性が、少しだけれどもある。つまり、逆に言うと、ちゅうちょして鳴らすのがおくれたために被爆してしまったということが発生したときに、どんな責任がとれるんですか。そこまで考えた上でこの決断をしていただきたいというふうに思います。

 それ以外にも改善の方法があります。

 先ほどの、船で遠くへ行っているところはJアラートは届きませんから、一ページ目のこのルートでやるしかないんですけれども、これは文字をいろいろ書いたりしているわけですよ。

 二ページ目の水産庁のところは、この「記」とかいうところに何か入れたりとかいろいろな、入力したりとかいう作業をきのうの説明ではどうやらやっているそうなんですね。でも、「何らかの飛翔体が発射され」って、これはどんな場合でも使えるような文章じゃないですか。

 ちなみに、三ページ目は航行警報ですが、これも、「日本海に向け何らかの飛翔体発射、」って、まあ南に行くか東に行くかのあれはありますけれども、もうかなり汎用性のあるものをあらかじめ用意しておいて、こんなものを途中の段階で人を介してやるんじゃなくて、事態室なり防衛省で最初から文章をつくって、この文字で末端の船まで全部送ってくれということで、漁業無線局で読み上げるだとか、あるいは水産庁で文字を書くとか、人を介すところをなくして、できるだけ電子的にぱんと行く、Jアラートに並ぶぐらいのスピードにするよう改めるべきだと思います。

 今後、補正予算をつけてもっと新しい仕組みをつくるということも含めて、改善すべきところはいっぱいあると思いますが、もう目の前に次のミサイル発射が迫っている可能性があります。この改善についてお約束いただけないでしょうか、大臣。

稲田国務大臣 国民の生命財産を守るために国民に対して迅速かつ適切に情報伝達をすることは極めて重要であり、政府全体で適切に対応すべきものだというふうに考えております。

 防衛省としても、引き続き、内閣官房を初めとする関係省庁と連携し、国民に対する迅速な情報伝達のあり方、しっかりと検討してまいります。

後藤(祐)委員 役所側は、要は、着水した後にJアラートが鳴ると格好悪いから嫌だとか、多分そういうことがあるんですよ。いいんです、格好悪くても、少しでも救える可能性があれば。

 これは、やはり政治決断なんです。無謬性だとか恥ずかしいとか、そういうことで役所はやめておこうとなっちゃうんです。そうじゃないでしょうと。この責任は大きな政治責任なんです。ですから、これは政治家が判断すべきですから、これは内閣官房、あるいは官房長官ですか、副長官の話かもしれません、ぜひ御決断いただくようお願い申し上げて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

山口委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 まず初めに、一昨日の米軍司令官の発言について質問します。

 三月八日、沖縄で米軍のニコルソン四軍調整官が記者会見を行いました。そこで司令官は、昨年のオスプレイの墜落事故をめぐって、このような発言を行いました。

 オスプレイの事故の後、多くのメディアが、私がオスプレイ事故に対して申しわけなく思っているかの質問があった。レイプ、殺人などの犯罪が起きたときは私は恥じていました。しかしながら、訓練中に起きた事故は、私は恥じることはない、うれしくはないが、同盟を保護するために必要な訓練を行うということに関して恥じることはない、このように述べています。

 防衛大臣は、訓練中に起きた事故を恥じることはないというニコルソン氏の発言についてどういう認識をお持ちですか。

稲田国務大臣 先日、ニコルソン四軍調整官が沖縄における報道関係者との意見交換の場で行ったとされる発言についてコメントすることは差し控えますが、その上で、オスプレイを含め米軍機の飛行安全の確保は、米軍が我が国に駐留する上で大前提だと思います。

 米軍機による事故は、地元の皆様に大きな不安を与えるものであって、あってはならないものと考えており、防衛省としては、米軍に対し、安全対策に最大限取り組むよう、今後とも強く働きかけてまいりたいと考えています。

赤嶺委員 ニコルソン氏は、墜落事故の直後にも、住宅や県民に被害を与えなかったことは感謝されるべきだ、知事はパイロットに対して勲章を上げるべきだ、こう発言しています。県民に恐怖と不安を与えていることについて全く反省がありません。

 防衛大臣は、こういう発言が繰り返されていることに対して抗議すべきではありませんか。

稲田国務大臣 これは予算委員会でも申し上げましたが、十二月に沖縄に私が訪問した際にお会いした際に、沖縄県民の心情に配慮した発言をしていただきたい旨は申し上げているところでございます。

 いずれにしても、米軍機による事故は、地元の皆様方に大きな不安を与え、あってはならないものであって、米側に対しては、安全対策に最大限取り組むよう、強く働きかけてまいりたいと考えております。

赤嶺委員 事故を起こしても恥じるべきではないという司令官がいて、日本政府が安全に対して配慮せよと言っても、実際に配慮しないんじゃないですか。

 きのうもつり下げ訓練のことを照屋議員が質問しておられましたが、それだって、きょうも続いているんですよ。住宅地上空にはみ出すような訓練も何度も目撃されている。こういうものに対して抗議もしないで、そんな、訓練中に起きた事故は恥じるものではないという、そういう言い方はおかしいということを言うべきじゃないですか。

稲田国務大臣 昨年、ニコルソン四軍調整官とお会いしたときに、沖縄県民の心情に配慮した発言をしていただきたい旨は申し上げております。

 そして、米側に対して、安全対策に最大限取り組むよう、今後とも強く働きかけていきたいと考えています。

赤嶺委員 大臣が心情に配慮して発言してくれと言って、ニコルソン氏が墜落事故は恥じるものではないと応え合う、そういう関係、これで何か大臣が言ったことになりますか。県民の命と安全に配慮せよとただ言っただけじゃないですか。ニコルソン、何の反省もしていないじゃないですか。

 そんな、これで私は言いましたと言うだけでは済まされないような問題がありますが、また次の機会にもこの問題を追及していきますので。

 さらに、ニコルソン氏は、自衛隊による米軍基地の共同使用についても重大な発言を行っています。ニコルソン氏は、将来的に日本のオスプレイがキャンプ・シュワブを使用することがよいのではないか、このように発言をいたしました。

 防衛大臣は、この発言についてはどのように思われますか。

稲田国務大臣 今月八日、ニコルソン四軍調整官が、沖縄の米軍施設・区域における将来的な自衛隊との共同使用について言及したことは承知をいたしております。

 施設・区域の共同使用について、一般論として申し上げれば、二〇一三年十月の2プラス2共同発表や新ガイドラインにもあるとおり、より緊密な運用調整、相互運用性の拡大、柔軟性や抗堪性の向上、地元とのより堅固な関係の構築といった観点から、今後充実させるべき日米協力分野の一つであると考えております。

 他方、沖縄での共同使用については、キャンプ・ハンセンなど既に実施しているものを除けば、現時点で何ら具体的に決まったものがあるというわけではありません。

赤嶺委員 根っこはニコルソン氏と同じような考え方を防衛大臣が持っているというぐあいに私は受けとめました。

 それで、ニコルソン氏は、日米両政府のリーダーたちに私の意見としてこの点を幾度か話している、こうも述べております。日本政府にもニコルソン氏からこういう話があったのではありませんか、それにどう答えたんですか。

深山政府参考人 ニコルソン四軍調整官が共同使用に関しまして積極的な姿勢を示したということについては承知しております。

 ただ、今大臣から申し上げましたとおり、具体的に決まっているものはございません。

 また、会見の中でニコルソン氏は、自分は軍人としてやっている、軍人としてそういうことはいいと思っているということもあったところでございますので、これはニコルソン氏の見解である、これは記者との懇談の中でも明らかにしているところであろうかと思っております。

赤嶺委員 まさに軍人がそういうことを言うのが大変恐ろしいわけですよ。もう軍人の世界ですから、軍人に支配されている世界ですから、沖縄は。

 それで、自衛隊によるキャンプ・シュワブの共同使用は、安保法制の審議の際にも大きな問題になりました。統合幕僚監部の河野統合幕僚長が二〇一四年十二月に訪米したときの会談記録を私たち日本共産党の仁比聡平参議院議員が入手し、取り上げました。そこで河野氏は、辺野古への移転やキャンプ・ハンセン、キャンプ・シュワブでの共同使用が実現すれば、米海兵隊と陸上自衛隊との協力が一層深化すると認識している、これにより沖縄の住民感情も好転するのではないか、このように発言をしています。米軍と自衛隊の認識は一致しているわけです。

 キャンプ・シュワブを自衛隊が恒常的に共同使用し、辺野古の新基地を、米軍のオスプレイだけでなく、自衛隊のオスプレイが使用する可能性があるということではありませんか。

深山政府参考人 ニコルソン四軍調整官がキャンプ・シュワブの共同使用に言及したという報道は承知しておりますけれども、大臣から先ほどお答え申し上げたとおり、沖縄での共同使用につきましては、キャンプ・ハンセンなど既に実施しているものを除けば、現時点で、このキャンプ・シュワブを含めまして、何ら具体的に決まったものがあるわけではございません。

赤嶺委員 河野統合幕僚長も同じような発言をしているので、オスプレイが使用する可能性があるということではないか、このように大臣、伺っているんです。大臣、いかがですか。

稲田国務大臣 そういった話は承知しておりません。

赤嶺委員 先ほど大臣も触れておりましたが、二〇一三年十月の日米共同発表、「日本の南西諸島を含む地域における自衛隊の態勢を強化するため、閣僚は、共同使用に関する作業部会の取組を歓迎した。」これは二〇一三年十月の日米共同発表ですが、作業部会をつくっている。この作業部会で一体何を話し合っているのか。オスプレイを含む自衛隊のキャンプ・シュワブの共同使用について話し合ったことはあるんですか。

岡政府参考人 お答え申し上げます。

 日米両政府は、沖縄を含む日本及び太平洋地域にある米国の施政下にある領域において、日米の施設への二国間のアクセスの拡大を促進するために、二〇一〇年十二月に施設の共同使用に関する作業部会を設置いたしました。

 施設の共同使用につきましては、当該作業部会等において検討を続けておりますけれども、米国との関係もあることから、検討状況の詳細について現時点でお答えすることは適切でないと考えております。

 今後、日米間における検討が完了した時点で対外的に説明していく考えでございます。

赤嶺委員 ニコルソン調整官もあそこまで言い、河野統幕長も発言し、非常に焦点になっているわけですから、この際、政府は、共同使用に関する作業部会の協議内容を含めて、自衛隊による米軍基地の共同使用に関して、日米間で何を話し合っているのか、その全容を明らかにすべきときであると思いますが、大臣、いかがですか。

稲田国務大臣 今後、日米間における検討が完了した時点で対外的に説明をしていく考えでございます。

赤嶺委員 それじゃ全くわからないまま、とにかく共同使用について作業が行われているけれども、そして軍人同士で、キャンプ・シュワブを使ったらいいねということを言っているけれども、政府はそれをひた隠しにする。まあ隠蔽とは言いませんが、情報を公開していない。これでは県民の不安は高まるばかりであります。

 先ほども出ましたが、既にキャンプ・ハンセンでは、二〇〇六年の米軍再編のロードマップ合意に基づいて、陸上自衛隊による共同使用が行われています。

 防衛省に伺いますが、訓練が始まった二〇〇八年三月以降の実績を明らかにしていただけますか。主な訓練部隊と内容、年度ごとの訓練回数と訓練日数を明らかにしてください。

岡政府参考人 お答え申し上げます。

 キャンプ・ハンセンにおきまして主に訓練を実施しております部隊につきましては、沖縄に所在しております陸上自衛隊第一五旅団隷下の部隊でありまして、射撃訓練、徒歩行進訓練、市街地戦闘訓練、爆破訓練、兵たん訓練などを実施しているところでございます。

 年度ごとの訓練回数でございますけれども、平成十九年度は一回、平成二十年度は六回、平成二十一年度は八回、平成二十二年度は八回、平成二十三年度は十四回、平成二十四年度は二十四回、平成二十五年度は三十六回、平成二十六年度は四十七回、平成二十七年度は九十五回、平成二十八年度につきましては平成二十九年二月二十四日までの数字になりますけれども、八十五回となっているところでございます。

 また、訓練ごとの日数は、おおむね一日から数日というところでありまして、最長では十日間の訓練を行った実績があるところでございます。

赤嶺委員 キャンプ・ハンセンの訓練内容も非常に実戦的で、しかも、訓練回数も年々増加してきている。

 この訓練実績の資料を事前に出していただきました。これを見ていましたら、非常に件数が多いのが射撃訓練なんですね。射撃訓練というのは、具体的に、どこのレンジでどういう訓練を行っているんですか。

岡政府参考人 お答え申し上げます。

 キャンプ・ハンセンにおきましては、主に沖縄に所在する第一五旅団が各種射撃訓練を実施しているところでございますけれども、具体的には、レンジ1及びレンジ18、ここは戦闘射場ということでございますけれども、ここでは戦闘状況を模擬した戦闘射撃訓練を行っております。また、レンジ22、161及び162、ここは至近距離射場ということでございまして、ここでは射距離を二十五メートル程度とした至近距離の射撃訓練を実施しているところでございます。

赤嶺委員 たくさんのレンジを使っているという印象を持ちますが。

 さらに、二〇一六年十月二十二日から二十六日には日米共同の戦闘訓練としてヘリを使った訓練も行っています。これはどういう訓練だったんですか。

岡政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御質問のありました平成二十八年十月二十二日から同月二十六日までの間、キャンプ・ハンセンにおきまして、陸上自衛隊西部方面航空隊が、AH64Dを一機、それからUH60を一機、CH47を一機使用いたしまして、米軍との連携を伴うヘリコプターによる機動展開や着陸後の活動拠点の構築といった一連の作戦行動を演練しております。

赤嶺委員 改めて、本当に訓練の内容、米軍並みの実戦的なものになってきていると実感します。

 改めてロードマップの該当部分を見てみますと、「キャンプ・ハンセンは、陸上自衛隊の訓練に使用される。施設整備を必要としない共同使用は、二〇〇六年から可能となる。」このように書かれております。

 この書きぶりは、将来的には施設整備を必要とする共同使用も想定しているということですか。施設整備というのは具体的に何を想定しているんですか。

岡政府参考人 お答え申し上げます。

 御質問のありました再編実施のための日米のロードマップ、これを発表した当時、キャンプ・ハンセンの共同使用に関しまして具体的な施設整備の計画を有していたとは承知しておりません。

赤嶺委員 ですから、施設整備というのはそれでは何を想定しているんですか。

岡政府参考人 御質問のありましたとおり、二〇〇六年の再編実施のための日米のロードマップにおいて、「施設整備を必要としない共同使用は、二〇〇六年から可能となる。」旨の記述があるところでございますけれども、その当時に、共同使用に関して具体的な施設整備の計画を有していたとは承知しておりませんので、繰り返しになりますけれども、そのことをもって今のお答えとさせていただきたいと思います。

赤嶺委員 施設整備という言葉がわざわざ出てくるから、どんなことを想定して今はやらないと言っているのかという質問であります。引き続き、聞いていきます。

 自衛隊は、キャンプ・ハンセンだけでなく、沖大東島射爆撃場でも共同使用を開始しています。

 いただいた訓練実績の資料によると、二〇一三年十一月十二日に、陸海空自衛隊の部隊が参加して、射撃訓練、つまり、艦砲射撃の訓練を行っています。沖大東島射爆撃場での訓練実績も明らかにしていただけますか。

岡政府参考人 沖大東島射爆場での自衛隊の訓練実績でございますけれども、自衛隊におきましては、二〇一三年以降、沖大東島射爆撃場におきまして、二〇一三年十一月の陸海空の統合部隊、二〇一五年十一月、これは護衛艦「てるづき」等でございます。それから、二〇一六年六月につきましては、護衛艦「はるさめ」等。そして、同年同月、護衛艦「むらさめ」等により、対地射撃などの訓練を実施しているところでございます。

赤嶺委員 次に、嘉手納弾薬庫、これについても聞きます。

 以前出してもらいました在沖米軍基地の二4(a)使用の一覧を見ますと、嘉手納弾薬庫地区については、「自衛隊が隊舎施設等、不発弾処理場、火薬類の貯蔵施設として、陸上自衛隊が汚水管の埋設用地、弾薬庫の用地として及び給水のため共同使用する。」このように述べております。

 この「隊舎施設」、これはどういうことを指していますか。

深山政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、赤嶺先生に以前提出した資料におきまして、そのとき、過去に合同委員会で合意した共同使用ということで、お出しした資料の中に、「自衛隊が隊舎施設等」ということをお出ししたところでもございますが、今般改めて確認いたしましたところ、現時点において、地位協定二4(a)に基づいて共同使用しておりますところは、火薬類の弾薬貯蔵施設、汚水管埋設用地、水道等の共同施設のみでございまして、現時点では、隊舎施設等については、共同使用はいたしておりません。

赤嶺委員 書いてあるわけですから、将来あるわけですね。

深山政府参考人 過去に共同使用を行っていたことはございますが、これは隊舎施設等でございますけれども、現在では共同使用は行っておらないと申し上げたところでございます。

赤嶺委員 ニコルソン四軍調整官は、沖縄における全ての基地が統合可能だ、このように述べて、北部訓練場でも既に陸上自衛隊が訓練を開始していることを明らかにしています。また、その中で、中谷前防衛大臣が、沖縄でニコルソン氏を表敬訪問したときに、かつてレンジャー部隊の陸上自衛官として北部訓練場で訓練したと話していたということを紹介しています。

 防衛省に確認をいたしますが、自衛隊は北部訓練場で訓練を開始しているんですか。

深山政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇〇八年、これは平成二十年の年度以降、北部訓練場において、日米地位協定第二条四項(a)に基づいて自衛隊が共同使用した実績はございませんが、同協定第三条に基づく米軍の管理権によって、米軍施設・区域を自衛隊が使用する場合があります。

 これまでも、例えば、陸上自衛隊が米海兵隊の概要を理解するため、北部訓練場において米海兵隊が実施する訓練を研修しているほか、陸上自衛隊のレンジャー教育訓練の資とするため、北部訓練場における米海兵隊のジャングル戦課程を研修するなどのことがございました。

 これらの研修のため、現時点で確認できた使用実績につきましては、平成二十四年度に一件、平成二十五年度に三件、平成二十六年度に一件、平成二十七年度に一件、平成二十八年度に六件の使用の実績がございました。

 なお、海上自衛隊及び航空自衛隊に関しましては、使用実績は確認されておりません。

 以上でございます。

赤嶺委員 出してもらった資料によりますと、去年の九月二十三日から十月八日、十月二十一日から十一月四日、十二月二日から十二月十六日、研修ということになっておりますが、間違いないですか。

鈴木政府参考人 先生御指摘の三つの研修につきましては、陸上自衛隊のレンジャー教育訓練の資とするため、米海兵隊のジャングル戦課程を研修したものとして、三回研修を行っております。

赤嶺委員 この時期というのは、まさにオスプレイの着陸帯の建設をめぐって現地が非常に緊張状態にあったときであります。私も、N1の表のゲート前の抗議行動に何度も参加をいたしましたが、そういう新しい着陸帯に反対する抗議行動が起こっているときに、訓練場の中では米軍と自衛隊が一体で研修を行っていたということの事実を知り、愕然といたしました。

 ジャングル戦闘に関する研修というのは、具体的にどういうことをやるんですか。

鈴木政府参考人 これは、陸上自衛隊におけるレンジャー教育訓練の実習実施、検討の資とするため、米海兵隊が実施するジャングル戦課程を研修するものでございますが、そういった米海兵隊が行っている研修を見学したり、あるいは場合によっては実習に参加したりしております。

赤嶺委員 実習に参加する。

 では、研修と訓練は何が違うんですか。

岡政府参考人 お答え申し上げます。

 訓練と研修の違いということでの御質問であったかと思いますけれども、防衛省におきましては、一般的に、訓練といいますと、基本的なものから応用的なものまで段階的に進めていって、組織としての行動に習熟をさせ、与えられた任務を十分遂行できるように、個人単位から大部隊に至るまでそれぞれの練度を向上させることを目的として実施しているものでございます。

 一方、研修につきましては、見学及び実習によりまして隊員個人の知識及び技能の向上を図るものであります。

 訓練につきましては、組織としての任務の遂行という点を目的としているのに対しまして、研修につきましては、隊員個人に着目して、その知識や技能の向上を目的とするものでございます。

赤嶺委員 研修というのは訓練の第一歩になり、部隊の大々的な共同訓練になっていく、そういうことにつながっていくだろうと思います。

 これまでに在沖米軍基地で自衛隊が行った研修の実績を陸海空別に、年度ごとに、件数の推移、主な内容を簡単に説明してくれますか。

鈴木政府参考人 御指摘の沖縄の米軍施設における陸海空各自衛隊の研修の実績としましては、まず、陸上自衛隊につきましては、平成二十年度に八件を実施し、その後徐々に増加しており、平成二十七年度は二十一件を実施しております。

 次に、海上自衛隊につきましては、平成二十年度から二十七年度まで、各年度一件を実施しています。

 また、航空自衛隊につきましては、平成二十年度は十七件実施し、その後、年度により増減はあるものの、おおむね増加の傾向にあり、平成二十七年度は二十六件を実施しております。

 これらの研修は、研修先の米軍部隊の運用、訓練、装備、施設の見学やブリーフィングを受けることを主な内容としており、一部の研修では隊員が実習を行っておりますが、隊員の知識及び技能を向上させるとともに、日米間の隊員の関係強化を図ることを目的として実施しております。

赤嶺委員 大臣、米軍再編は沖縄の負担の軽減といいながら、沖縄に米軍基地があることをいいことにして、米軍並みに強くなりたいという自衛隊が米軍基地を使って訓練をしている。負担はどんどんどんどん重くなっていくだけですよ。負担の軽減なんて、そういう言葉は使わないでいただきたい。

 二〇〇六年のロードマップ合意から十年以上経過して、今回の法案で、米軍再編特措法の期限を十年間延長する、このようにしています。

 ロードマップ合意は、そもそも、普天間基地は二〇一四年までに完成させる、こういうことでした。それが、沖縄の米軍基地の統合計画で、二〇二二年度またはその後とされました。もともと普天間基地は、一九九六年のSACO合意のときに、五年ないし七年以内に返還されるはずのものでありました。

 防衛大臣、今回、法律を延長しなければならなくなった根本的な原因はどこにあるとお考えですか。

稲田国務大臣 今回の法案提出の理由ですけれども、駐留軍等の再編の円滑な実施に関する特別措置法が本年三月三十一日をもって期限を迎えますが、普天間飛行場代替施設の整備や那覇港湾施設代替施設の整備など、米軍再編事業についてはいまだ実施に至っておらず、今後とも、その実施に取り組んでいく必要があります。

 このため、これらの米軍再編事業を円滑に実施できるよう、同法の有効期限を平成三十九年三月三十一日まで十年間延長する等の一部改正法案について本国会に提出したものです。

 今後とも、米軍再編事業を着実に進め、我が国の抑止力を維持しつつ、米軍の基地が集中する沖縄の基地負担の軽減を図るべく努力していきたいと考えております。

赤嶺委員 根本的な原因は、米軍再編計画が、地元住民の民意を無視して、基地の強化、固定化を押しつけるものだからであります。それを再編交付金という金の力でねじ伏せられた地域があったとしても、それが政府の基地政策に対する住民の不信感をどれだけ広げたか、政府自身が重く受けとめるべきだと思います。

 辺野古を抱える名護市は、市民の誇りにかけて、基地絡みの交付金に頼らない町づくりを進めています。

 政府は、名護市民の意思を正面から受けとめて、新基地建設を断念すべきだということを改めて強く申し上げて、質問を終わります。

山口委員長 次に、吉田豊史君。

吉田(豊)委員 きのうに引き続き、質問に立たせていただきます。

 私のところに入ったニュースなんですけれども、今ほど、韓国の大統領の罷免が決定したということで、きょうは、情報の伝達のスピード、特にミサイルのことについて、我が国民も非常に繊細に、神経質になっているところだと思います。

 韓国の大統領が罷免されることが決まるというのは、日本でいえば安倍総理がおやめになるという、本当に大きなニュースなわけですね。こういう非常に大きな……(発言する者あり)済みません、それはいつかおやめになるという意味で、そういうことですけれども、韓国がより不安定な状況になる。

 私は、情報の収集という意味では、我が国の総理大臣と同じレベルで防衛大臣は、さまざまな国際的な動きについては時間差もないくらいにきちっと把握していなくちゃいけない、こう思うわけです。

 改めて、当然、韓国がこの状況になったときにはどうするのかということは想定なさっていると思いますが、ここで防衛大臣に、今この罷免が決定したということについてのお考えをお聞きしたいと思います。

稲田国務大臣 他国の内政にかかわることであって、コメントは差し控えますけれども、いずれにいたしましても、今、我が国を取り巻く安全保障環境が大変厳しい中で、日本と米国と韓国、日米韓の協力は欠かせない、重要性は変わらない、そして、ようやく昨年、非常に懸案であったGSOMIAが締結をされたということもありますので、しっかりとこの関係は続けていきたい、と同時に、韓国国内の動向についても注視していきたいと考えております。

吉田(豊)委員 おっしゃるとおりでして、きょうは特に、やはり情報をきちっと早く伝えるというところが一つのテーマだったと思います。その意味でも、韓国が、間違いなくこれは一定期間不安定になるわけで、その次の大統領が誰になるかということによっても、より不安定になる可能性もあるわけです。

 ですから、私の日本維新の会としましては、自主防衛をきちっと掲げて、そして自分たちの国のことは自分たちでやろう、このテーマのもとに活動しておりますけれども、日本はさまざまな、特に今、中国、韓国も含めてですけれども、非常に不安定な状況が、先が読めないということだろうと思いますので、より自分たちで自分たちのことをきちっとやっていく、そういう意味での準備を急いでやっていただきたい、こう思うところです。よろしくお願いいたします。

 それでは、きょうのテーマの駐留軍の再編法案について、まずお聞きしたいと思います。

 本法が設定されて、そして当然、この法案には中身があって、これが、目的が達成されてきているのかというところ、この法案の計画、それから現時点までどのように再編に関する進捗が進んでいるのか、このことをどのように認識なさっているか、大臣にお聞きしたいと思います。

 済みません、では政府参考人、どうぞ。

深山政府参考人 お答え申し上げます。

 米軍再編につきましては、平成十八年に再編の実施のための日米ロードマップが作成されて以降、日本国内及びグアム島への航空機の訓練移転、車力通信所及び経ケ岬通信所へのXバンドレーダーの配備、普天間飛行場の空中給油機KC130の岩国飛行場への移駐、横田飛行場への航空自衛隊航空総隊司令部の移転、キャンプ座間における米陸軍司令部の改編等、多くの再編事業について、地元の理解と御協力を得て進捗を図り、既に実施に至っているところでございます。

 他方、米側や地元との調整状況等により、一部の米軍再編事業については進捗状況に大きな変化が生じております。

 例えば、沖縄における米軍再編については、平成二十五年の沖縄における在日米軍施設・区域に関する統合計画において、普天間飛行場代替施設の整備の完了等の予定時期の見直しが行われたところでございます。現在、そうした事業の完了に向けて取り組んでいるところでございます。

吉田(豊)委員 そういう状況にあって、これで今回は期間を十年間延長しようということを今なさろうとしているわけですね。期間としての十年間というものが妥当なのかというところ、そして、何の根拠を求めて十年間の延長、こういうことになるのか、改めて確認させていただきたいと思います。

深山政府参考人 お答え申し上げます。

 再編特措法は、本年度末、この三月末をもって期限を迎えるところでございますが、同法に基づく再編交付金は、米軍再編事業の実施に長期間を要する場合があることを考慮しまして、現行法上、最長で平成三十三年度末まで交付することが可能となっております。

 他方、現在計画されている米軍再編事業のうち、最も実施予定時期が遅い那覇港湾施設代替施設の整備につきましては、平成四十年度以降の実施が予定されているところでございます。このため、那覇港湾施設代替施設の整備を含め、全ての米軍再編事業が実施に至るまでの間、再編交付金を交付可能とするため、法律の期限を十年間延長したいと考えているところでございます。

吉田(豊)委員 今ほどの御説明ですと、改めて確認させていただきますが、再編というものが当初から進んでいるもの、それから今まだ滞っているものがあるという中にあって、もう十年延ばしたいと。そして、一番遅く時間がかかると今想定されているものを考えたときに十年が妥当だということなんですけれども、そうなりますと、大方のものについては、十年かからず、どれぐらいの期間でやろうという、その考え方について改めて確認したいと思います。

深山政府参考人 現在、まだ事業実施中あるいはこれから事業を実施します事業の完了時期につきましては、これは何年度以降という、ちょっと幅のあるものもございますけれども、現在見込んでおりますのは、普天間飛行場代替施設の整備につきましては平成三十四年度以降、嘉手納以南の土地の返還のための機能の移設につきましても平成三十四年度以降、そして、那覇港湾代替施設の整備の実施等につきましては平成四十年度以降の実施となる見込みでございます。

 そうしたことを踏まえまして、先ほど申しましたように、今回、法律の期限を延長させていただきたいと考えております。

 いずれの事業も、今後さらに我々としましては力を尽くしまして、こうした現在の見込みの予定どおりに、かつ、これ以上の遅滞がないように進めていきたいと考えているところでございます。

吉田(豊)委員 それでは、改めて私は大臣にお聞きしたいんですけれども、我が国、特に南シナ海の不安定な状況ですとか、それから、きょう冒頭申し上げましたが、韓国、そして北朝鮮、さまざま、情勢が非常に急激に変化する可能性も否定できないということはあると思うわけです。

 そういう周辺環境の変化がある中で、今ほどの局長の御説明によれば、沖縄のところを中心に、さまざまな大きなプロジェクトがあってということだと思いますけれども、やはりこれを私は一日でも早く、地元の皆様が納得する形での新たな再編の状況あるいは国防の状況、環境をつくっていかなくちゃいけないと思うんです。

 改めて、十年という期間、この法案については延長を設定しているわけですけれども、この十年について、どのような形でそれを、私は一日も早く進めるべきだと思いますけれども、お考えを確認させていただきたいと思います。

稲田国務大臣 我が国周辺においては、冷戦後も国家間の対立の構造が残るなど、依然として不透明、不確実な要素が残されており、昨今は、領土や主権、経済権益などをめぐる、純然たる平時でも有事でもない、いわゆるグレーゾーンの事態が増加、長期化する傾向が見られるほか、周辺国による軍事力の近代化、強化、軍事活動の活発化の傾向がより顕著に見られるなど、委員御指摘のように、安全保障上の課題、不安定要因はより深刻化していると思います。

 平成十八年の再編実施のための日米ロードマップに示された米軍再編は、我が国の抑止力を維持しつつ、沖縄を初めとする地元負担の軽減を図るための極めて重要な取り組みであり、これまでも一つ一つ進めてきているところですが、今後とも着実に実施すべきものと考えております。

吉田(豊)委員 改めて、この日本という国は、小さいようで非常に南北に長い国なんですね。そうすると、きょうテーマになっていました北朝鮮のミサイルのことでいうと、私は富山県出身、大臣は福井、そして、きょうは東北の方々も御質問されていましたが、日本海側の人たちからすると、非常にそのことが心配であり、さまざまな対策をとるべきだ、こう考えている。

 また一方では、沖縄の方々を初め南の方の地域の方は、やはり南シナ海の問題ですとか、こういうことが非常に大きな問題であるというふうに感じていらっしゃるわけですね。特に沖縄の方々は、日々そのことについて考えざるを得ない状況になっている。

 私は、改めて大臣にお願いしたいのは、危機感というものを国家として、国民として同じように共有する、そういうことについて、ぜひ防衛省、防衛大臣としても、どのような方法でそれを達成することが、一歩でも近づくことができるのかということを考えていただきたいわけです。なかなかこのことについては共有できていないというのが、今、我が国の現状だろう、こう思うわけです。

 その一つの方法として、先ほど、例えばJアラートの御紹介もありました。何かあるということについて、国民で同じように同じ情報を共有する、そしてそのことが、やはり日本は一体として、このさまざまな問題について同じ国民として危機感を持って対応していかなくてはいけないんだ、こういうふうなことをきちっとベースにつくり上げるということも、それはぜひ、防衛省のみならずですけれども、現場のことをやはり一番知っていらっしゃるのは防衛省ということになりますから、そういうお取り組みを進めていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

稲田国務大臣 情報をどこからどこまでお出しすることができるか、これは、我が方の能力、さらには関係各国との信頼関係等もありますので、なかなか難しい点はありますけれども、今委員がおっしゃったように、しっかりと、国民の皆さん方に今日本が置かれている状況というものをできるだけお知らせすることによって危機感を共有して初めて、正しい政策の選択や、またそれを理解していただけることが可能になるというふうに考えております。

吉田(豊)委員 改めて、この情報の共有ということでは、私は、一国民の一人としても、何かこの国会にいますと全てのことを知らなくちゃいけないというような気持ちになってしまうんですが、実はそうではなくて、日々暮らしている我が国民にとっては、本当に必要な情報というのは実は限られているし、はっきりしているんだと思います。

 きょうのやりとりを見ていましても、出すべきもの、出さないものということをはっきりとまず明言していくという姿勢、それから、出せるものについては一日も早く、一秒でも早く出していく、そういうことの、私は、情報をお伝えすることに対する誠実さ、その姿勢そのものが実は見られているのであって、こういうことがうまいこといっていないから、今、ではあれもこれも見なくちゃいけない、そういうふうな話になっていくんじゃないかなと思うんです。

 ぜひそこをきちっと御判断された上で、出せるものについてはどんどんやはり出していこうというところが大事じゃないかなと私は思っています。

 きのうに引き続き、南スーダンでの自衛隊の活動についての諸問題を取り上げたいと思うんです。

 結局、私は、今回のこの南スーダンの問題に対する国民の不安とか不信感というものも、実は、情報というものに対してどういうふうな姿勢だったのかということだと思うわけですね。そこを改めて、本当に何度も何度も大臣初め皆様が、できていなかったことについての反省、そしてそれを今度は生かしていくというふうにおっしゃっているわけですから、情報開示のことについても、時間がかかるというのはわかりますけれども、どれだけ丁寧にやるかということによってもそれはかかる時間も全然変わってくるでしょうし、とにかく誠実に出していく、そういう姿勢をお示しいただきたい、こう思うところでございます。

 改めて、続きですけれども、私としては、今、特に我が国の周辺がより不安定になってくるなということを感じていますので、南スーダンという地理的には遠く離れた場所での活動、この活動について、五年たつということ、それから、さまざまな状況が当初から大きく周辺地域については変化してきているということだと思いますので、判断をする時期に来ていると思います。

 確認しますけれども、私は、PKO五原則、きのう大臣からおっしゃったように、法的な側面と、そして実態面と、この両方の面について、それは南スーダン・ジュバの自衛隊の活動については整っている、こう理解しています。その上で、その上での一つの区切りをつけるべきときが来ているのではないか、こういうような考え方で今お聞きしていますので、御了解いただきたいと思います。

 一部の野党の方は、危ないから撤退だ、満たされていないから撤退だというふうにおっしゃっていますが、私はそういう立場ではなくて、やっていることについてはきちっとできている、だけれども、それが本当にそのまま続けていいかどうかということを判断するべきだということを考えています。

 幾つも、我が国はPKO五原則にのっとってさまざまな国際貢献をしてきているんですけれども、これが具体的に、主なもので、任期が、期間がどれぐらいやってきたのか、動員人数、それから最終的にはどのタイミングで任務を完了というふうにしたのか、このことについて確認させていただきたいんです。よろしいでしょうか。

宮島政府参考人 お答えいたします。

 実は、派遣した人数につきましては、ちょっと今すぐ、手元に今ありませんので、調べて御説明したいと思いますが、施設部隊について、カンボジアのPKOにつきましては平成四年九月から平成五年の九月まで、それから東ティモールにつきましては十四年の三月から十六年の六月まで、それからハイチにつきましては平成二十二年の二月から二十五年の一月までの派遣時期でございます。

吉田(豊)委員 続けて参考人にお聞きしていいのかわかりませんが、これはひとつ、今御紹介いただいた一つ一つのものについては、どういう状態になったから完了したかということの確認をさせてください。

宮島政府参考人 カンボジアのPKOにつきましては、先ほど申しましたように、平成四年の九月以降、施設部隊を派遣いたしましたが、道路、橋等の修理等の業務を実施しておりました。そして、平成五年の五月に、国連のミッションによる管理のもと、憲法制定議会選挙が無事実施されまして、九月、憲法が制定され、公布、新政府発足ということで、国連ミッションの活動が終了いたしました。それに伴いまして、派遣を平成五年の九月に終了いたした次第でございます。

 東ティモールのPKOにつきましては、平成十四年の三月以降、施設部隊を派遣し、道路、橋等の維持補修等の業務を実施しておりました。その後、施設部隊として国連の活動に必要な施設の整備等の当初の目的を達成したというふうに判断されるところから、平成十六年六月、派遣を終了いたしました。

 また、ハイチにつきましては、平成二十二年二月以降、施設部隊を派遣し、ハイチ地震後の瓦れきの除去、道路の補修等の業務を実施していたわけでございますが、復旧の進展に伴いまして、施設部隊が担ってきた応急的な復旧活動の必要性も低下しつつあるというふうな判断から、平成二十五年一月、派遣を終了いたした次第でございます。

吉田(豊)委員 そうしまして、次に南スーダンのことなんですけれども、派遣の法的要素は満たしているという理解のもとに、それでも実は、我が国の国民は、それが安全なのかどうかということについて疑問を持っているのが現実なんですね。これは明らかに、政府としてこの地域に自衛隊を我が国の国民の代表として派遣している以上、国民に対する説明責任という言葉がいいかわかりませんけれども、安心していただくということは一番最初の義務だろうと思うわけです。

 きょうも、自衛隊員の御家族の方々の思いですとか、聞いていますと、当然、親族としてその思いを持つけれども、自衛隊というところで活動することの本質的な意味は、やはり危険も顧みずという部分があってやっていらっしゃるわけだから、それはわかっているんだよということだと思うんです。でも、やはりその状況についてきちっと、どうなっているかということを共有して安心したいし、少しでもさまざまな意味で危険が増しているんだったら、そのことの、危険が増しているということも共有しておかなくちゃいけない、こういうことじゃないかなと思うわけです。

 改めて、大臣に、国民に対する、状況をきちっと説明するということをどのように果たしていかれる御覚悟なのか、確認したいと思います。

稲田国務大臣 まず、国会の場でも南スーダンの現在の情勢についてしっかりと説明していくことが重要だというふうに思います。

 南スーダン全体としては大変厳しい治安状況であって、特に北部、マシャールさんの出身である北部や南部においては、武力衝突、また一般市民の殺傷行為等もたびたび生じておりますけれども、自衛隊が展開している首都ジュバの近辺においては比較的安定しているものの、やはり状況は楽観できず、引き続き注視する必要があるというふうに思います。

 その上で、私自身も、日報からの情報のみならず、国連や現地の報道、さらには他部隊、ほかの部隊などから得た情報を毎日報告を受け、さらには、きょうの施設隊の活動状況の報告も受け、PKO五原則は維持されておりますけれども、自衛隊員がみずからの安全を確保しつつ有意義な活動ができているかどうかという点についてもしっかりと報告を受けた上で判断をし、また、そのことなども国民の皆さん方にもあらゆる機会にお伝えをしていきたいというふうに思っております。

 また、それは記者会見や国会の場もそうですけれども、例えば私や若宮防衛副大臣が現地を視察した際にも迅速にその様子なども公表をしているところであります。

 今おっしゃいましたように、現地で活動されている自衛隊の皆さんの御家族、さらには国民の皆様の御理解を深めていただけるよう、しっかりと説明をしてまいります。

吉田(豊)委員 そして、今、情報として一番大事なのは、ジュバは安定している、それは間違いないです。ですから、その周辺がどうなっているか、そのことについての情報把握と共有だろうと思うわけです。

 これは、私なりに簡単な例でいいますと、自衛隊は、さまざまな道路をつくったり、工事を手伝っていらっしゃるわけですね。そうすると、国内でいえば、例えば、工事の中で非常に難しいとすれば、河川敷の中州で工事しているというふうにしましょう。そうすると、その中州のところは日々日々状況を確認しているから大丈夫なんだよ、こういうふうに言うんですけれども、もしかしたら、情報として、台風が近づいている、そして川の水が増水してくるかもしれない、こういうことが平生でもあり得るわけです。

 ですから、ジュバでの活動ということは日々きちっとコントロールされている、けれども、その周辺がどうなってきているかということについて、それこそが一番大事な情報だろうと私は思うわけです。

 きのうの後、幾つか情報を収集しましたら、ジュバ周辺で起こっていることとして、ジュバの南西ですか、少し下のところにイエイという都市があります、そこでのBBCのニュースなんですけれども、ここでは、自分の妹がレイプされて、それから子供たちが理由もなく殺されている、それは実は政府軍によって行われている、周辺の地域の話ですよ、こういうことが報道もされているわけです。

 あるいはまた、アルジャジーラのところの情報では、例えば、南スーダンの一部においては、結局、コレラがもう始まってきている、それからもう一つは、南スーダン自身が国連のさまざまな応援をとめてしまっているとか、こういう情報もやはり出てくるわけですね。

 そうすると、今、情報社会だから、全ての人がこんなことを同じようにして、政府と同じように共有できるという時代なんです。

 そのことから考えると、改めて、この周辺がどのような状況になってきているのかということ、それをきちっと把握なさっている上で、その上でどういうことを今考えていらっしゃるのかということについてお聞きしたいと思うんです。

辰己政府参考人 今先生がおっしゃった情報などについては、大臣も先ほど御説明しましたけれども、常に部隊等から入ってきております。それは、ジュバだけでなくて、おっしゃった、ジュバの南の方のイエイ地区とかそういうところもございます。

 自衛隊が活動するに当たっては、その活動するところじゃなくて、活動するに当たっての周辺を含めて毎日毎日情報を収集した上で、隊長が、きょうはここで活動するのは大丈夫だということも含め判断をしておりますし、その結果、情勢分析については東京の方にも来ます。大臣にも御報告して、日々日々、そういうことを確実に確認しながら、今対応しているところでございます。

吉田(豊)委員 今の御説明は、やはりその周辺部についての危機感は共有しているよというところなんですけれども、では、それが一体どうなってくると新たな判断をしなくちゃいけないのか、明確にしていただかなくちゃいけないと思います。

 ジュバでの活動は安定しています。そして、もちろんニーズはエンドレスですから、ずっと求められているわけですね。それは、国連として活動している以上、国連はいつにその区切りをつけるかということはわからない。でも、我が国とすれば、我が国独自にきちっと自分たちが明確な基準を設けて、ジュバが安定していることだけではなくて、周辺がどうなっているかということ、ここをぜひ明確な基準を設けていただきたい。早急に設ける必要があると思います。

 そのことについて、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。

稲田国務大臣 まず、PKO五原則が満たされていても、それだけでは十分ではありません。

 そして、今回初めて、安倍政権において、閣議決定の中に、自衛隊がみずからの安全を確保しつつ有意義な活動ができるということを要件として中に入れ、そして、その要件が崩れるようなことがあれば撤収はちゅうちょしないということも書き込んでいるところであります。

 そして、平成二十四年一月に始まった施設部隊の活動、五年が過ぎたわけでありますけれども、今もしっかりと、道路、それから施設、そして難民がたくさん、南スーダンの中でも、今おっしゃったような不安定な地域からジュバに難民として来られる方々もいらっしゃいます、そういう人たちの施設整備等々、有意義な活動ができているわけであります。

 先生も御指摘のように、ジュバとジュバの近郊に自衛隊の活動は限られておりますけれども、それ以外の状況というのが非常に重要ですので、南スーダン全体を見ながら、自衛隊の活動が安全に、有意義にできる状況かどうかということをしっかりと注視してまいりたいと考えております。

吉田(豊)委員 よろしくお願いします。

 終わります。

山口委員長 次に、照屋寛徳君。

照屋委員 私や社民党は、米軍再編は、米軍と自衛隊の一体化、融合化による日米軍事同盟の強化であって、断固反対であり、その立場から質問を行います。

 さて、安倍内閣や歴代政権は、米軍再編の必要性を論じる際、抑止力の維持と沖縄の基地負担軽減を理由としてきました。その上で、抑止力を維持するためには、地政学的な優位性を持つ沖縄に海兵隊を初めとする米軍基地を置いておかなければいけない、このように説明してきました。

 一方で、初の民間出身の防衛大臣であった森本敏氏は、平成二十四年末の大臣退任会見の席上、沖縄への海兵隊駐留について、沖縄でなければならないというのは地政学的、軍事的には当てはまらない、軍事的には沖縄でなくてもよいが、政治的に考えると沖縄が最適の地だと述べて、政治的な理由として許容できるところが沖縄にしかないと説明しております。

 同様の見解を示す軍事専門家も多く、現に私が九州各地や硫黄島の自衛隊基地を視察した際、各基地の司令も、シビリアンコントロールの観点から、政治が決めたことに従うと口をそろえて述べておりました。

 稲田防衛大臣は、沖縄に米軍基地を集中的に置く根拠としての地政学的な理由の中身について、どのような所見をお持ちでしょう。

稲田国務大臣 沖縄は、米国本土、ハワイ等と比較して、東アジアの各地域に近い位置にあると同時に、我が国の周辺諸国との間に一定の距離を置いているという利点を有しています。また、南西諸島のほぼ中央にあり、我が国のシーレーンにも近いなど、安全保障上極めて重要な位置にあります。

 こうした地理上の特徴を有する沖縄に、司令部、陸上部隊、航空部隊及び後方支援部隊を統合した組織構造を有し、すぐれた機動性及び即応力によって幅広い任務に対応可能な米海兵隊が駐留することにより、種々の事態への柔軟かつ迅速な対応が可能になると考えております。

 このような在沖海兵隊の抑止力は、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、その重要性が減じるということはないと考えております。

 また、森本元大臣が軍事的には沖縄でなくてもよいと言われた趣旨は、仮に沖縄以外の場所にMAGTFを置いた場合においても機能し得ることを述べられただけであって、軍事的な観点からの沖縄の地理的な優位性を否定されているものではないのではないかと認識をしております。

 元大臣の発言について一つ一つコメントすることは差し控えますけれども、森本元大臣は、防衛大臣就任中より、軍事的な観点からの沖縄の地理的な優位性は認めておられ、退任後のテレビ出演においても、おおむね沖縄にあればベスト、沖縄が最も効率がよいと発言をされているとも承知をしているところです。

照屋委員 大臣、森本元大臣がおっしゃっていることは、明白に地政学的、軍事的には当てはまらないとおっしゃっているんです。いろいろ大臣おっしゃいましたが、結局大臣も、森本元大臣同様に、政治的な理由として、許容できるところ、引き受けるところが沖縄にしかない、こう思っていらっしゃるんでしょう。

稲田国務大臣 そういうことではなくて、地政学的に、沖縄は、我が国の周辺諸国との間に一定の距離を置いている、そして、東アジアの各地域に近い位置にあると同時に一定の距離を置いているという利点もありますし、また、南西諸島のほぼ中央、我が国のシーレーンにも近い、安全保障上極めて重要な位置にあると考えております。

照屋委員 時間が限られておりますので端的にお聞きしますが、大臣、本法案を提出するに当たって、防衛省は交付対象を都道府県や自治会まで拡大することを検討したようですが、事実でしょうか。なぜ現行法の単純延長としたのでしょうか。理由をお聞かせください。

深山政府参考人 お答え申し上げます。

 再編交付金は、米軍再編の円滑かつ確実な実施に資するため、米軍再編に伴う負担を受け入れる防衛施設周辺の住民の生活の利便性の向上等に寄与する事業に充てるために交付しているものでございます。

 したがって、その交付対象については、工事の許認可等や住民説明、広報等を通じて米軍再編を円滑かつ確実に実施するために必要な協力を得られることや、住民のニーズをよく把握し、住民の生活の利便性の向上等に寄与する事業の実施に適していることから、米軍再編による負担を受け入れる市町村を対象にしているところでございます。

 一方、御指摘の都道府県や地縁団体、自治会に対する施策につきましては、米軍再編による住民の生活の安定に及ぼす影響に特に配慮する必要があると認める場合などにおきまして、地元の理解と御協力を確保しつつ、米軍再編の円滑な実施を図るために、予算措置により個別に必要な措置を講じております。

 今回の一部改正法案におきましても、こうした従前の考え方を引き続き維持し、市町村を対象に再編交付金を交付させていただくことが適当であると考えまして、期限を延長することを主たる内容として改正案を提出させていただいたところでございます。

照屋委員 選挙で選ばれた政治家たる首長が最終的な責任を負う市町村を通さず、単なる地縁団体にすぎない自治会に直接補助金を支出する再編関連特別地域支援事業補助金制度は公金支出の観点から問題があると、財政法学者や行政法学者らから批判が相次いでおります。

 再編関連特別地域支援事業補助金制度の根拠法と根拠条文をお示しください。

深山政府参考人 今先生の御指摘のありました、再編関連特別地域支援事業は、普天間飛行場代替施設建設事業を進めていく上で直接最も大きな影響を受ける名護市久辺三区の生活環境の保全や生活の向上を図るため、平成二十七年十一月二十七日、再編関連特別地域支援事業補助金交付要綱を策定し、予算措置による補助事業として実施いたしているものでございます。

 したがいまして、これは直接法律によらない予算措置による補助金でございますが、こうした法律によらない予算措置の補助金の交付や、地方公共団体以外のものを対象にした補助金の交付については、一般的には認められているところであると認識いたしております。

 いずれにしても、防衛省としては、辺野古移設の影響を緩和して、住民の方々の生活の安定を図るために、できる限りの配慮をしてまいりたいと考えておるところでございます。

照屋委員 きのう通告して時間切れになりましたが、嘉手納基地の海軍駐機場移転について伺います。

 日米合意上、旧海軍駐機場はいつまでに取り壊す予定になっているのでしょうか。また、その予算は幾らで、日米どちらが負担をするのか、取り壊した土地はいかなる用途で転用されるのかなどについて尋ねます。

深山政府参考人 お答え申し上げます。

 嘉手納基地における旧海軍駐機場につきましては、SACOの最終報告を踏まえまして、米軍は本年一月に全ての海軍機を移駐して既に新駐機場での運用を開始しているものと承知しております。

 お尋ねの旧駐機場の施設につきましては、駐機場移転以降も建物等、建物において引き続き使用するものもありますことから、その一部を取り壊すことといたしております。

 これに係る経費につきましては、平成二十九年の予算案において、契約ベースで約八千万円を計上しておるところでございます。平成三十年度までに日本側で取り壊す予定としているところでございます。

照屋委員 最後に、大臣、私は、この間、建白書問題を提起してまいりました。平成二十五年一月二十八日、オスプレイ配備に反対する沖縄県民大会共同代表らによって連署をもって内閣総理大臣宛て建白書を提出しました。

 私は、この間、質問主意書や当委員会において、建白書は沖縄の近現代史の中でも極めて重大かつ歴史的な文書であると指摘してきました。その上で、防衛省における建白書の保存期間終了後には、廃棄することなく、国立公文書館へ移管するよう求めてきました。

 昨年度に続き一年間延長されていた建白書の保存期間が今月末日をもって終了しますが、取り扱いは決定しましたでしょうか。稲田大臣は建白書の重みをどのように受けとめているのか、あわせて伺います。

稲田国務大臣 御指摘の建白書は、翁長知事が那覇市長時代に主導して取りまとめられたものと承知をしており、翁長県政における今後の政策立案、実施について理解していく上で重要な参照資料の一つになるものと判断するに至ったため、昨年の三月、その保存期間を一年延長したところです。

 防衛省が業務を実施していく上で、翁長県政における今後の政策立案、実施について理解する必要性は現在も変わっていないことから、引き続き、重要な参照資料の一つとして建白書を活用していくため、防衛省において保存期間のさらなる延長を検討しているところでございます。

照屋委員 大臣、建白書は翁長県政だけの問題じゃない。これは沖縄全体の、全市町村の総意なんだ。

 かつて、小野寺、江渡両元大臣は、個人的な御意見と断った上で、沖縄の近現代史への深い理解を示していただいた。公文書館に移管すべきだとおっしゃった。どうも稲田大臣の御答弁を聞いていると、沖縄への優しさ、思いやり、沖縄の近現代史への理解が足りないんじゃないか。

 一刻も早く国立公文書館への移管を求めて、質問を終わります。

山口委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

山口委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。赤嶺政賢君。

赤嶺委員 私は、日本共産党を代表して、米軍再編特措法一部改正案に反対の討論を行います。

 本法案は、米軍再編特措法の期限を十年間延長するものです。

 同法は、二〇〇六年五月に日米両政府が合意した米軍と自衛隊の再編計画の円滑な実施のためとして、二〇〇七年に成立した法律です。

 再編計画を受け入れた市町村のみを対象とし、計画の進捗状況に応じて交付額をふやす再編交付金制度を盛り込んでいます。

 基地を抱える自治体と住民を愚弄し、憲法が保障する民主主義と地方自治を真っ向から踏みにじるものにほかなりません。

 再編計画は、アメリカの世界的な米軍再編の一環として、米軍と自衛隊の司令部機能を陸海空全てで一体化し、全国の基地の強化、固定化を進めるものです。アメリカの世界戦略に日本を一層深く組み込むものであり、断じて容認できません。

 今回、同法の延長が必要になったのは、住民の民意を無視した再編計画の推進に政府が固執してきたからにほかなりません。

 政府がやるべきことは、再編計画の中止、撤回であります。

 住宅地に囲まれた危険な普天間基地は直ちに閉鎖、撤去し、名護市辺野古への米軍新基地建設を断念することを強く求め、討論を終わります。

山口委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

山口委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、駐留軍等の再編の円滑な実施に関する特別措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

山口委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

山口委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三十九分散会


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