衆議院

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第4号 平成29年3月16日(木曜日)

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平成二十九年三月十六日(木曜日)

    午前九時十分開議

 出席委員

   委員長 山口  壯君

   理事 江渡 聡徳君 理事 小野寺五典君

   理事 寺田  稔君 理事 中谷 真一君

   理事 中村 裕之君 理事 後藤 祐一君

   理事 升田世喜男君 理事 浜地 雅一君

      赤枝 恒雄君    今枝宗一郎君

      大西 宏幸君    加藤 寛治君

      門山 宏哲君    金子万寿夫君

      北村 誠吾君    熊田 裕通君

      小林 鷹之君    左藤  章君

      高橋ひなこ君    武田 良太君

      藤丸  敏君    古川  康君

      宮澤 博行君    和田 義明君

      青柳陽一郎君    今井 雅人君

      神山 洋介君    横路 孝弘君

      佐藤 茂樹君    赤嶺 政賢君

      下地 幹郎君    吉田 豊史君

      照屋 寛徳君    武藤 貴也君

    …………………………………

   防衛大臣         稲田 朋美君

   防衛副大臣        若宮 健嗣君

   防衛大臣政務官      小林 鷹之君

   防衛大臣政務官      宮澤 博行君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  増田 和夫君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  槌道 明宏君

   政府参考人

   (内閣府国際平和協力本部事務局長)        宮島 昭夫君

   政府参考人

   (内閣府国際平和協力本部事務局次長)       石川  武君

   政府参考人

   (警察庁長官官房総括審議官)           斉藤  実君

   政府参考人

   (消防庁審議官)     猿渡 知之君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 水嶋 光一君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 滝崎 成樹君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 宮川  学君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 増島  稔君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 岡田 誠司君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           藤江 陽子君

   政府参考人

   (文部科学省生涯学習政策局生涯学習総括官)    佐藤 安紀君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           土田 浩史君

   政府参考人

   (国土交通省自動車局次長)            島  雅之君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房長)   豊田  硬君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房衛生監) 塚原 太郎君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局次長) 岡  真臣君

   政府参考人

   (防衛省整備計画局長)  高橋 憲一君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  深山 延暁君

   政府参考人

   (防衛省統合幕僚監部総括官)           辰己 昌良君

   政府参考人

   (防衛装備庁装備政策部長)            中村 吉利君

   安全保障委員会専門員   林山 泰彦君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十六日

 辞任         補欠選任

  金子万寿夫君     加藤 寛治君

  熊田 裕通君     高橋ひなこ君

  神山 洋介君     今井 雅人君

同日

 辞任         補欠選任

  加藤 寛治君     古川  康君

  高橋ひなこ君     熊田 裕通君

  今井 雅人君     神山 洋介君

同日

 辞任         補欠選任

  古川  康君     赤枝 恒雄君

同日

 辞任         補欠選任

  赤枝 恒雄君     金子万寿夫君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国の安全保障に関する件


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     ――――◇―――――

山口委員長 これより会議を開きます。

 国の安全保障に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官増田和夫君、内閣官房内閣審議官槌道明宏君、内閣府国際平和協力本部事務局長宮島昭夫君、内閣府国際平和協力本部事務局次長石川武君、警察庁長官官房総括審議官斉藤実君、消防庁審議官猿渡知之君、外務省大臣官房審議官水嶋光一君、外務省大臣官房審議官滝崎成樹君、外務省大臣官房審議官宮川学君、外務省大臣官房審議官増島稔君、外務省大臣官房参事官岡田誠司君、文部科学省大臣官房審議官藤江陽子君、文部科学省生涯学習政策局生涯学習総括官佐藤安紀君、経済産業省大臣官房審議官土田浩史君、国土交通省自動車局次長島雅之君、防衛省大臣官房長豊田硬君、防衛省大臣官房衛生監塚原太郎君、防衛省防衛政策局次長岡真臣君、防衛省整備計画局長高橋憲一君、防衛省地方協力局長深山延暁君、防衛省統合幕僚監部総括官辰己昌良君、防衛装備庁装備政策部長中村吉利君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山口委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中谷真一君。

中谷(真)委員 皆様、おはようございます。自民党の中谷真一でございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、委員長また委員各位には心から感謝を申し上げます。

 時間が十五分と短いものですから、早速質問に移りたいと思います。

 昨日のNHKの報道がございました。私は、ちょっとある種、驚きを持ってこのニュースを見たというところであります。事実とするならば、これは、今、国、国民のために、遠くは南スーダンの地で、家族と離れ、そして厳しい任務に従事している隊員の努力が水泡に帰す、そういったことだろうというふうに思います。

 昨日の報道によれば、南スーダンのPKOの日報について、陸自中央即応集団司令部が一貫してデータを保存していた、これは一切公表せずに、二月になってこの日報データを消去するという指示が出されたというような、そういう事実があったという報道でありました。

 この件について、稲田大臣の御見解を伺いたいと思います。

稲田国務大臣 開示請求されておりました昨年七月分の日報については、陸上自衛隊の派遣施設隊及び中央即応集団司令部において探索を行った上で、陸上幕僚長から私に対し、廃棄済みのため不存在との上申を受けていたところです。

 その後、私の指示のもと、防衛省がみずから再探索し、当初の探索範囲でなかった統合幕僚監部にて発見し、みずから公開したところであり、これまで、情報公開への対応としては適切であったと繰り返し申し上げてまいりました。

 他方、今般の報道を受けまして、まずは陸上幕僚長に事実関係の確認を指示いたしましたが、本件につきましては、私の責任のもと、陸上自衛隊から離れた独立性の高い立場から徹底した調査を行わせることが重要と考え、元検事長を長とし、現役の検事も勤務する、大臣直轄の防衛監察本部に特別防衛監察の実施を昨日指示したところでございます。また、陸上自衛隊には、本件特別防衛監察の実施に全面的に協力させることとしております。今後、できるだけ早く監察結果の報告を求めたいと考えています。

 大臣直轄の防衛監察本部により徹底的に調査の上、防衛省・自衛隊に改めるべき隠蔽体質があれば、私の責任で改善していきたいと考えております。

 最後に、日報のデータを消去するよう指示が出されたとの報道がなされている点でございますが、私は、昨年十二月に統幕からの報告を受けた際、日報を改めて探索し、公開するよう指示をしており、破棄を指示するようなことは断じてありません。

 本件に関しては、防衛監察本部の特別防衛監察の中で徹底的に事実関係を調査させた上で、しっかりと、文書管理のあり方、また、防衛省・自衛隊に改めるべき隠蔽体質があれば、私の責任でしっかりと改善していきたいと考えております。

中谷(真)委員 今大臣がおっしゃいましたけれども、これは組織の問題としては非常に大きな問題です。徹底した究明をお願いしたい、事実かどうかも含めて。これは国民に対しての、やはり信頼にかかわる問題でありますから、しっかりとした調査を改めてお願いをしたいというところであります。

 それでは、次の質問に移ります。

 今、NHKの報道について質問いたしましたけれども、これは組織の問題としてしっかりやっていただくということは大前提でありますけれども、この日報の議論についてちょっと質問をしていきたいというふうに思っております。

 ここに、日報と言われている、毎日これを報告しているんですね、物すごく分厚いんですよね、これも問題だと思いますけれども、この中の抜粋をきょう資料として準備をさせていただきました。

 一枚目は、日本の宿営地がこの左の隅にあって、そしてあとのこの黒塗りのところは、これは外国の部隊の配置であります。その次のページは、これは弾薬の数とかこういったことが書かれているわけであります。これも数については黒塗りになっています。その次は、これは部隊長と副部隊長の一日の行動について、細部が書いてあるんですね。もう分刻みに書いてあるはずです。それも黒塗りになっています。その次のページ、これは一週間の部隊の予定ですよね。これも細部について書いてあるんですが、これも黒塗りになっています。

 何で黒塗りにしているんですか、これは。黒塗りにしているんですけれども、黒塗りだとここで議論する意味はないんですよね、実際は。日報について、日報についてという議論をここでよくやっていますけれども、黒塗りのまま出したって意味はないんですよね。では、何でこれは黒塗りにしているんですか。

辰己政府参考人 お答えします。

 南スーダン派遣施設隊の日報には、南スーダン全土やジュバの情勢、今おっしゃられた派遣施設隊の活動の状況あるいは成果、自後の活動予定、部隊の状況等について詳細に記述されています。

 こういうものを開示すれば、派遣施設隊の情報収集能力や警備を含めた運用体制等が推察され、自衛隊の任務の効果的な遂行に支障を生じるおそれがある部分、それから、一枚目でお示しされたようなものであれば、他国との関係もしくは国連との信頼関係が損なわれるおそれがあるというものが含まれておりますので、情報公開法五条三号に基づいて、不開示というふうなやり方をさせていただいているところでございます。

中谷(真)委員 これは非常に現地部隊に影響を与えるものなんですよね。これがもし流出したらどうなるんでしょうね。これはもう、部隊は任務遂行に大きな影響があるわけであります。ですから、こういった場でこういった現地の部隊に影響を与えることについて議論するというのは慎重じゃなきゃいけないんですよね、実際は。

 これは、どんどん出せと言いますけれども、これが民間に出ていって、もし宿営地を狙うような勢力の手に渡ったらどうなるんでしょうね。そういうことをやはり考えながら、我々はここで議論しなきゃいけないと思うんです。

 私は、もともと自衛官でありました。ですから、これがどういう意味を持っているかということをわかっているつもりであります。現地で、この国のためにやっているんですからね、国民の皆さんのために。本当に、家族と離れて、遠くは異国の地で苛烈な任務をやっているんですよ、この人たちは。この隊員の皆さんの任務遂行に影響を与えるんだ、そのことを前提としてこの議論をするべきなんです。これを残す、残さないという議論は、そこを中心にやはり考えなきゃいけないというふうに思います。

 もともと、これは破棄されていなければいけない、保存期間を過ぎているわけですからね。それが残っているということの方が私は非常に問題だと思います。これは、何ですぐ破棄しないのかというものであります。危険にさらしますからね、これが出たら。なのに破棄をされていなかったというところで、ある。このことについて見解を伺いたいと思います。

稲田国務大臣 南スーダン派遣施設隊の日報については、私の指示のもと、省内で探索を行った結果、統合幕僚監部において、第一次要員からの日報が全て存在することを確認いたしました。これらの日報の管理は、第一次派遣以来、保存期間一年未満、用済み後廃棄との整理のはずが、保存期間が文書上に明示されていなかったために、実際には廃棄されておりませんでした。

 公文書管理法第八条第一項及び防衛省行政文書管理規則第二十三条第一項に基づき、保存期間が満了した保存期間一年未満の行政文書については廃棄しなければならないとされており、過去の日報を廃棄せず保存していたことは、現行の規則には沿わないものであります。

 他方、私としては、日報は、派遣施設隊自身が作成した一次資料であるため、可能な範囲で保管する方が望ましいと考えており、保存期間を含め検証し、将来に対してその教訓を生かしていくよう指示をしているところでございます。

 先ほど委員が御指摘になったように、仮に宿営地の警備体制に関する情報が部外に明らかにされた場合、部隊や宿営地の警備要領や能力が明らかになり、警備要領の変更を強いられるなど、部隊の運用に大きな影響を与えるおそれも考えられます。したがって、日報については、部外に流出しないよう、保全に万全の注意を払ってまいります。

中谷(真)委員 今大臣おっしゃいましたけれども、日報はどこにあったかというところを捜せといって、ここにありましたみたいな状況ですよ。本当にしっかり保全できているのかというところも含めて、これはやらなきゃいけない。

 しかも、情報収集というのは、相手にとられたということがわからないようにとるんですよ。とられたということがわかれば対応できますよ。とられたとわからなかったらどうなるんですか。これは物すごく部隊を危険にさらすわけですよ。それをやはり念頭に置きながら、保存期間というのは考えなきゃいけない。

 こんなものは歴史的な資料でも何でもありませんよ。これは部隊が上級部隊に送っているものですが、残すということよりも、これを速やかに破棄するということの方が私は大事だと思う。今は、地球の裏側まで一瞬でデータというのはとられるんでしょう、インターネットで。そういう状況にあるんですよ。

 ですから、部隊の能力とか一日の行動とか弾の数とか、こんなことが書いてあるんですよ。これを残すことによって、これはもしとられたら、とられたことがわかって対応できればいいけれども、対応できなかったら、部隊は物すごく危険ですからね。そのことをよく考えながら、私は、この保存期間については検討すべきだということを申し上げたいわけであります。

 これに対しての大臣の見解をいただきたい。

稲田国務大臣 まさしく委員がおっしゃったこと、そういった、現地で派遣されている部隊が安全に任務が遂行できるよう、危険にさらされないようという点をしっかりと踏まえた上で、保存期間のあり方についても検討してまいります。

中谷(真)委員 何を中心に議論をしなければいけないかということをよく我々は考えなきゃいけないというふうに思います。

 これは、今、南スーダンで、現地で任務遂行している部隊の目的や目標とここで我々がやっている目的や目標というのは少々異なることがあるんですよ、どうしても。ここは政治の場ですから、これはやはり違うわけであります。

 ですから、この場で現地のことを議論するということは、現地に大きな影響を与える可能性があるんだということを念頭に置きながら我々は議論するべきだということを、もと現場にいた人間として、ぜひこの点、委員の皆さんにもお願いを申し上げたい。また、防衛省もそういう観点に立って今後対応をお願いしたいというものであります。

 この問題は非常に大きな問題でありますから、この資料がどういう意味をなすのか、このことをもう一度念頭に置きながら、この議論、ぜひ委員各位の皆さんには進めていただきたいということを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

山口委員長 次に、和田義明君。

和田委員 北海道選出の自由民主党、和田義明でございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。委員長初め理事、委員の各位、そして稲田防衛大臣を初め政府関係各位に心から感謝申し上げます。まことにありがとうございます。

 それでは、時間も限られておりますので、早速質疑に入らせていただきます。

 まず、国連のPKO関連でございます。

 昨年の後半に、私の地元である千歳からも第十次派遣隊が南スーダンに行き、三百名以上の方々が、遠く離れた灼熱の地で、厳しい生活環境のもと、半年間任務を果たされました。現地で頑張られた隊員の皆様、そしてこれまでPKO活動に従事されました皆様、そして家族を心配していながらも送り出した御家族の皆様に、心から感謝と敬意を表したいと思います。

 また、昨年の十二月には、稲田大臣にも地元にお越しいただきまして、精鋭諸官に大変温かいお言葉をかけていただきました。改めまして、心から感謝を申し上げます。

 そして、ことしの五月に第十一次派遣隊が任期満了をもって任務を終え、日本の南スーダンへのPKO派遣が終了することになりました。第十一次隊の皆様方の任務完遂、そして無事の御帰国を心からお祈り申し上げます。

 さて、最初の質問でございますけれども、現在、国連職員やPKO参加部隊の中では、日本に対して、より高官ポストであるところに任務についていただきたい、司令や兵たん、運用、教育といった、より専門性の高い、付加価値の高いポストで活躍することでほかの国がチャンスを欲しい、そういった声も出ております。

 既に、日本からは、司令部への派遣、そしてコンサルタントや講師の派遣など実績もございますが、さらなる期待が諸外国からあることも事実でございます。例えば、今回の南スーダンの活動におきましても、日本がインフラ建設の実務を担当いたしましたが、できることであれば、指導に専念してもらい、途上国に建設のノウハウを提供して作業の機会を与えてほしい、こういった声もございました。

 より高いポストでの貢献は、日本から派遣する人数を限定でき、かつ、派遣隊員の安全確保の観点からも、日本の国際社会におけるプレゼンスの向上からも非常に好ましいと考えますけれども、防衛省の現状認識と今後の対応方針についてお伺いいたします。

辰己政府参考人 お答えします。

 我が国はこれまで、PKOミッションにおいて、自衛隊員を今先生おっしゃったような業務の企画立案、調整を行う司令部要員として派遣してきております。しかしながら、軍事司令官などといった高位の、高官ポストに派遣した実績はまだございません。

 そういう中で、防衛計画の大綱の中にも、そういう現地ミッション司令部の責任ある職域への自衛隊員の派遣を拡大いたしますとか、そういう人材の育成に取り組むとか、そういうことが中期防にも明記をされています。

 また、今般の国際平和協力法においても、法制面においても、業務の統括を行う司令官等への派遣が可能になったところでございます。

 そういうことを踏まえまして、UNMISSでは現在四名の司令部要員の派遣を今後継続するということを決めておりますが、こういう司令部要員の経験を踏んだ上で、さらに高官ポストへの派遣を拡大していく、こういうことができればと考えております。

 以上でございます。

和田委員 御答弁どうもありがとうございました。

 人材教育の観点からも含めまして、ぜひとも、今後さらなる高官ポストへの派遣をよろしくお願いいたします。

 次の質問でございますけれども、現在、自衛隊がその実力を発揮して、より安全かつ効率的に国際平和に貢献できるように、国連のDPKOへのさらなる要員派遣、これも大事であると思います。DPKOへのさらなる派遣によって、UNMISS等々PKOミッションにおけるさらなる高官ポストの獲得が可能になるというふうに信じております。

 この国連DPKOへの派遣におきましても、日本としてはしっかりと取り組んでいく必要があると思いますけれども、この点につきまして、外務省からの見解をお願いいたします。

水嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 国連のPKO局は、国連の平和維持活動を計画、準備、実施するための指針の策定等を行っていることから、我が国のPKOに関します政策の立案それから実施と密接に関連する部署でございます。したがって、我が国の政策を理解し、橋渡し役としての役割を担う邦人職員をふやすことは重要であり、また、そのような人的貢献は国際社会の平和と安定に積極的に貢献していくことにもつながるというふうに考えております。

 こうした観点から、国際機関の幹部をふやしていくべく、幹部に近いレベルの現職邦人職員の昇進などを政府としてできる限り支援すべく、在外公館等を通じた働きかけ、また要人往来の機会におけますハイレベルの働きかけを実施しております。

 さらに、中長期的な視点に立ちますと、PKOに知見を有する日本人をふやすということが国連PKO局におけます幹部職員の増加につながり得るという点も重要だと考えます。

 そのため、平和構築分野におけます人材育成事業の実施、それからジュニア・プロフェッショナル・オフィサー、いわゆるJPOの派遣制度を通じた若手邦人の送り込み、それから潜在的候補者を発掘するための広報活動などを行っております。

 こうした取り組みを強化しまして、引き続き、国連PKO局におけます邦人幹部職員の増強に努めてまいりたいと考えております。

和田委員 御答弁どうもありがとうございました。

 日本の情報収集能力を高めるという意味におきましても、また、国際的なプレゼンスを高めるという意味におきましても、そしてまた、少しでも現場から離れたところで、少人数で、しかも今までと同様ないしはそれ以上の活躍をするためにも、高官ポストの獲得というのは大変重要だと思っております。DPKOにも既に課長級の方が一人行かれているというふうに思っておりますけれども、さらなる人数の増強、これを目指して頑張っていただきたいと思います。

 この点につきまして、稲田防衛大臣の今後の意気込みをお話しいただければと思います。よろしくお願いします。

稲田国務大臣 我が国としては、厳しさを増す安全保障環境のもと、国際協調主義に基づく積極的平和主義の立場から、国際社会の平和と安全にこれまで以上に積極的に寄与していく必要があると考えています。そのためにも、現地ミッション司令部等への高官ポストの獲得に向けて努力したいと考えております。

 このためには、国連PKOにおいては、これまでのような部隊派遣だけでなく、国際協力を主導する立場として、優秀な自衛官を司令官等の高官ポストへ派遣することが必要です。また、日本人がかかる重責を担うことは、我が国による国際貢献に係る能力を発揮する場を広げていく上で重要な意義を持つと認識をいたしております。

 今後とも、防衛省として日本の国際貢献への取り組みに主体的に関与してまいります。

和田委員 稲田大臣、どうもありがとうございました。

 それでは、次の質問に移ります。

 自衛隊の人材確保に関する質問でございます。

 自衛隊の任務が多岐にわたる一方で、自衛隊の充足率は、近年、九二%前後で推移しております。この状況下、隊員の負担はふえる一方でございます。

 隊員の獲得が困難な理由の一つでございますけれども、任期制の隊員の方の再就職の問題があるというふうな意見がございます。任期制の自衛隊員を退任した後、再就職が実は大変困難だ、思ったような仕事につけない、そういった声が現場でも聞こえてまいります。

 一部のOBの方々からは、任期隊員とはいえ自衛隊の隊員であることには変わりがありません、国と国民をお守りするという崇高な任務につかれて、そしてしっかりとした基本動作を身につけておりますので、同じように国民の生命を守ります、例えば消防ですとか警察ですとか、そういった分野でぜひとも活躍してもらいたい、警察、消防と自衛隊の人材交流、そういったものをもっと積極的に図ってほしい、そういった要望がございます。

 この点につきまして、現在の取り組みと今後の意気込みにつきまして、消防庁と警察庁からお話を伺いたいと思います。

斉藤政府参考人 お答えいたします。

 地方警察官の採用につきましては、地方公務員法等に基づきまして、採用試験に関する事務を所掌する各都道府県人事委員会と任命権者である警察本部長が連携を図りつつ、学力等の能力実証のための採用試験を経て、適切に実施される必要があるものと承知をいたしております。

 なお、これまでも、一部の県警察におきましては、任期制自衛官の再就職に向けた合同説明会へ参加するなどしておりまして、今後とも、こうした取り組み等を通じまして、すぐれた人材の確保に努めてまいりたいと考えてございます。

猿渡政府参考人 お答え申し上げます。

 消防職員はいわゆる一般職の地方公務員となりますので、その採用に当たりましては、地方公務員法に基づき、地方公共団体が原則として競争試験の方法によって行っているということを御理解いただければと思います。

 一方、自衛官としてのキャリアについては消防職員としての職務に生かされることも期待し得るところから、防衛省の方で主催されます任期満了退職予定自衛官を対象とした合同説明会に参加している消防本部もあるところでありまして、今後とも、すぐれた人材の確保に努めてまいりたいと思います。

和田委員 御説明どうもありがとうございました。

 採用の際の公平性というのは確かに重要だと思いますが、一方で、それまでに積まれたキャリアというのは、これは新卒とは違うものだと確信をしておりますので、この点、ぜひとも格別の御配慮をお願いしたいと思います。

 次の質問に移りたいと思います。

 国内防衛産業維持強化とそれから防衛装備品、技術の海外移転についての質問でございます。

 防衛装備品生産企業における防需依存度は平均三%でございますが、比較的小規模な企業では、防需依存度五〇%を超えるものが多数ございます。その中では、代替困難な技術を有するキーサプライヤーもありまして、こういった中小企業、鍵となる技術を持つキーサプライヤーの保護は、国としても大変重要な課題だと認識をしております。

 一例を挙げますと、広島にあるヒロボーという、ドローンをつくっている会社でございますけれども、純国産のドローンをつくっておりまして、今までは複数社あったものが、現在では、国産ドローンをつくれる会社は一社に減ってしまいました。

 こういった状況を鑑みまして、国としても、何としてもこういった防需産業を守る必要があるというふうに考えておりますけれども、そこで、質問に移らせていただきます。

 日本の防衛需要だけでは限界があります。製造業というのは、規模の経済でもってコストを下げ、そして競争力を高めていかなければ生き残っていけないというふうに考えております。研究開発費の装備品への転嫁、これは、数量が少なければどうしても高くなってしまいまして、大事な防衛予算の使い方というふうな観点からも、考慮を要するところでございます。

 防衛装備移転三原則に厳格にのっとり、移転協定を締結した諸国への移転を強力に進める必要があると考えます。

 現在では、フィリピン向けのTC90練習機やインド向けのUS2救難飛行艇など、目に見える形でこういった技術移転、装備移転は進捗がございます。そして、残念な結果ではありましたけれども、豪州向けの潜水艦の交渉も、これは大変重要な学びの機会であったというふうに考えております。

 今後、防衛省・自衛隊、経産省、そして国際セールスのプロが力を合わせて日本の防衛装備品を海外移転していく必要があるというふうに考えますが、意気込みをお聞かせください。

稲田国務大臣 委員御指摘のとおり、防衛装備の適切な海外移転は、我が国の防衛生産、技術基盤の維持強化、ひいては我が国の防衛力の向上に資するものです。また、東南アジア諸国などには、我が国からの防衛装備の海外移転について高い関心を有する国もあります。

 防衛装備の海外移転に当たっては、防衛装備移転三原則のもと、国家安全保障局、外務省、経済産業省及び防衛省が緊密に連携して対応することとなります。防衛省としては、各国防衛省等との協議等を通じた協力の具体化や、展示会の機会を捉えた、我が国の中小企業が有する高い技術力の発信などに取り組んでいるところです。

 今後とも、御指摘の防衛生産、防衛基盤の維持強化の観点も踏まえ、相手国ニーズ等の情報収集、装備品等の維持整備への支援も含めた協力、官民一体となった情報発信の強化などに取り組む必要があると考えており、これらの施策を実施し、効果的な協力の実現に取り組んでまいります。

和田委員 どうもありがとうございました。

 これで終了いたします。

山口委員長 この際、休憩いたします。

    午前九時四十一分休憩

     ――――◇―――――

    午前十時九分開議

山口委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。今井雅人君。

今井委員 民進党の今井雅人でございます。

 きょうは、委員外でございますけれども、質問の機会をいただきましたことを皆様に感謝申し上げたいと思います。ありがとうございます。

 きのう質問の準備をしているときに驚くべき報道を目にしたんですけれども、先ほどもちょっとあった、話題が上がったそうですが、御存じない方もいらっしゃると思いますので、NHKの報道、文字に起こしてきましたので、改めてここで読ませていただきます。

 南スーダンで大規模な武力衝突が起きた際のPKO部隊の日報について、防衛省は、陸上自衛隊が破棄し、その後、別の部署で見つかったと説明していますが、実際には陸上自衛隊が日報のデータを一貫して保管していたことが複数の防衛省幹部への取材でわかりました。さらに、これまでの説明と矛盾するとして一切公表されなかった上、先月になってデータを消去するよう指示が出されたと幹部は証言しています。

 南スーダンでPKO活動に当たる自衛隊の派遣部隊が日々の状況を記した日報について、防衛省は、現地で大規模な武力衝突が起きた去年七月の記録を情報公開請求されたのに対し、部隊の指揮に当たる陸上自衛隊の司令部が既に破棄していたとして、昨年十二月、日報は存在しないと回答しました。

 その後、再調査が行われ、防衛省は、陸海空の各自衛隊でつくる統合幕僚監部に保管されていたことがわかったと先月七日に発表しましたが、その一方で、陸上自衛隊には存在しないと説明しています。

 ところが、実際には、陸上自衛隊が日報の電子データを一貫して保管していたことが複数の防衛省幹部への取材でわかりました。それによりますと、陸上自衛隊に電子データがあることがわかったのはことし一月中旬で、部隊を指揮する司令部の複数のコンピューターに保管されていました。このことは、陸上自衛隊の上層部に報告され、一旦は公表に向けた準備が進められたということです。このときの方針は、陸上自衛隊で日報のデータが見つかったことを認めた上で、隠す意図はなく、今後公表するという内容だったということです。

 しかし、その後、これまでの説明と矛盾するため外部には公表しないという判断になり、さらに、先月になってデータを消去するよう指示が出されたと幹部は証言しています。

 防衛省幹部の一人は取材に対し、日報の電子データは陸上自衛隊の司令部もダウンロードし、保存していました、しかし、今さら出せないということになり、発表しないことになった経緯があります、今現在、司令部のデータは消去されたと聞いていますと証言しています。

 驚くべき証言ですね。完全な隠蔽です、事実だとすれば。

 稲田大臣はこれまでずっと、自分が指揮して、日報がないか調査しろ、調査しろというふうに私が言ってきたというふうに豪語されておられましたけれども、一体何を調査してこられたんですか、これまで。こういう話はこれまで出てこなかったんですか。

稲田国務大臣 開示請求されていた七月分の日報については、陸上自衛隊の派遣施設隊及び中央即応集団司令部において探索を行った上で、陸幕長から私に対し、廃棄済みのため不存在と上申を受けておりました。その後、私の指示のもとで防衛省がみずから再探索し、当初の探索範囲でなかった統合幕僚監部で発見をして、みずから公開したところであって、これまで、情報公開への対応としては適切であったと申し上げてきたところでございます。

 他方、今委員が読み上げられた報道を受けて、まずは陸上幕僚長に事実関係の確認を指示しましたが、報道されている内容が仮に事実であるとするならば、防衛省・自衛隊に対する国民の信頼を大きく損ねかねないものであることから、本件については、私の責任のもと、陸上自衛隊から離れた独立性の高い立場から徹底した調査を行わせることが重要と考え、元検事長を長とし、現役の検事も勤務する、大臣直轄の防衛監察本部に特別防衛監察の実施を指示したところであります。陸上自衛隊には、本件特別防衛監察の実施に全面的に協力させることといたしております。

 大臣直轄の防衛監察本部により徹底的に調査の上、防衛省・自衛隊に改めるべき隠蔽体質があれば、私の責任で改善していきたいと考えております。

今井委員 私がお伺いしたのは、大臣がこれまで調査してこられた中で、こういう事実は報告されなかったんですかということを聞いているんです。どちらですか。

稲田国務大臣 報告されなかったところでございます。

今井委員 この報道を受けて、現時点では、このNHKの報道が事実であるかということは、大臣はどういう御認識ですか。

稲田国務大臣 今答弁申し上げましたように、大変重要な報道でございますので、陸上自衛隊から離れた独立性の高い立場から徹底した調査を行わせることが重要であると考えております。

今井委員 これが事実だとすると、これまでの稲田大臣の国会での答弁は虚偽だということになりますね。それでよろしいですか。(発言する者あり)いやいや、今までと違うことになるんじゃないですか。今まで……(発言する者あり)ちょっと外野がうるさいですけれども、今まで、陸上自衛隊には存在していなかったとずっと答弁しておられるじゃないですか。それと違うんだったら、それは間違っているということじゃないんですか。(発言する者あり)いや、ですから、間違っていたことになりますよねということ。

稲田国務大臣 私は今まで、答弁において、陸幕長からそういう報告を受けて、まず施設部隊、さらにはその報告先において、この書面自体は、日報自体は、ルール上破棄すべき日報であったことから、その報告を疑うことはしなかったということでございます。

 ただし、今、そういう報道を受けまして、仮にその内容が事実であるとするならば、防衛省・自衛隊に対する国民の信頼を大きく損ねかねないものであることから、本件については、私直轄の防衛監察本部に特別防衛監察の実施を指示し、徹底的な事実解明に努め、さらには、改善すべき隠蔽体質があれば、しっかりと私のもとで改善をしていくということでございます。

今井委員 防衛大臣は、今ここで、防衛省を代表して答弁をしておられるわけです。そうでしょう。防衛省を代表して、大臣として答弁しておられるわけです。それで、防衛省がこの事実を隠していたんだ、それに基づいて大臣が答弁したとすれば、これは省として虚偽の答弁をしていたということじゃないんですか。(発言する者あり)いや、省としてはそうでしょう、だって、隠していたんだとすれば。それを全部調べて、省全体を調べて、大臣はここで答弁をしておられるわけですよ、省を代表してですよね。ですから、そこで隠蔽があったとすれば、それに基づいて答弁をしたということは、それは虚偽の答弁だということじゃないんですか。

稲田国務大臣 廃棄済み、不存在という報告を受けて、私の指示のもとで、防衛省みずから、一年未満、用済み後廃棄のルールが決められていたこの南スーダンの日報を再探索し、発見をし、みずから公表したところであって、これまで、情報公開への対応としては適切であったと申し上げてきたわけでありますけれども、昨日報道された内容が仮に事実であるとするならば、これは、防衛省・自衛隊に対する国民の信頼を大きく損ないかねないものでありますことから、徹底した事実関係の調査を、特別防衛監察を実施することとし、その結果、改善すべき隠蔽体質があるとすれば、しっかりと私のもとで改善をしてまいるということでございます。

今井委員 もしこういうことが事実だとすれば、これは大臣の責任だということでよろしいですか。

稲田国務大臣 徹底的な事実調査をした上で、そして、改善すべき点をしっかりと改善していくのが私の責任であると考えております。

今井委員 事実だとすれば、これは大臣の監督責任ですよねということ。違いますか。

稲田国務大臣 まずは、徹底した事実関係、この解明を徹底的に行った上で、改善すべき点をしっかりと改善をしていくということに尽きるということでございます。

今井委員 質問に答えてください。もし事実だとしたら大臣の監督責任ですよね、これに答えてください。

稲田国務大臣 私直轄の防衛監察本部で徹底的に調査をした上で、防衛省・自衛隊に改めるべき隠蔽体質があれば、私の責任で改善をしてまいりたいと考えております。(今井委員「答えていないですよ」と呼ぶ)

山口委員長 それでは、速記をとめてください。

    〔速記中止〕

山口委員長 速記を起こしてください。

 今井君。

今井委員 今大臣は、これから調べて、自分の責任で指導するということをおっしゃっていましたが、私が伺っているのは、そういう隠蔽をもししているのであれば、それは大臣に監督責任がありますね、こういう事実が起きたということに対して大臣には監督責任がありますね、そのことをお伺いしています。

稲田国務大臣 まず、私の責任におきまして、防衛監察本部で徹底的に事実関係を明らかにしてまいりたいと思います。まずは、徹底した調査で事実関係を明らかにすることが重要だと考えております。(発言する者あり)

山口委員長 では、速記をとめてください。

    〔速記中止〕

山口委員長 速記を起こしてください。

 今井君。

今井委員 では、もう一度お伺いします。

 では、大臣、もしこれが事実だとすれば、大変重大な問題であるという認識はありますか。

稲田国務大臣 まさしく、仮に、報道されている内容が事実であることが明らかになれば、重要な問題であり、厳正に対処し、再発防止策を講ずることになると認識をいたしております。

今井委員 防衛省のトップは誰でしょうか。

稲田国務大臣 防衛省のトップは誰かというお尋ねですけれども、防衛大臣であるところの私です。

今井委員 そうですね、防衛省のトップは稲田防衛大臣です。その省の中で起きた不祥事がもしあったとすれば、隠蔽があったとすれば、あなたに監督責任があるのは当然じゃないですか。(発言する者あり)

 当然じゃないという、今、声がありましたが、すごいことをおっしゃいますね。びっくりしました。そんな国会議員がいるんですか。省のトップを担っている人が省で起きたことに対して責任がないなんという不規則発言をする方がいらっしゃる。どこの政党の方ですかね。(発言する者あり)

 いや、ですから、監督責任はあるんじゃないですか、トップとしての監督責任はあるんじゃないですかとお伺いしています。

稲田国務大臣 防衛省の最終的な責任者であり、トップであるわけでありますから、先ほど述べましたように、調査の結果、仮に報道されている内容が事実であるとすれば、厳正に対処して、再発防止策を、私の責任でもって改善をしていきたいと考えているところです。

今井委員 先ほども申しましたけれども、先ほど虚偽と言ったら、レッテル張りだと言いましたが、省全体では虚偽なんですよ、もし本当だとすれば。大臣はそれは御存じなかったかもしれませんけれども、省全体では隠蔽をしていたことになるじゃないですか。それはそうですよね。それに基づいて答弁しておられるんですから、大臣が御存じなかったか、そんなことは関係ないんです、結果的に答弁が虚偽になってしまっているということなんですよ。

 ですから、監督責任がやはりありますから、それは指導するというだけで本当に足りるんですか。(発言する者あり)いや、調査して事実だとしたら、それは責任が問われるんじゃないですか。指導すれば済むというものじゃないと思いますよ。その辺の御認識はいかがですか。

稲田国務大臣 私の責任のもとで徹底的に調査をして、防衛省・自衛隊に改めるべき隠蔽体質があれば、私の責任で、しっかりと改善していくことが私の責任だと考えております。

今井委員 私は、もう一つ心配していることがあるんです。

 報道の取材に応じて、複数の幹部がいろいろしゃべっておられるわけでしょう。内部告発とも言えるような動きですよね。防衛省のガバナンスはどうなっているんですか。大臣にも報告しないで、大臣は御存じなかったんですよね。大臣にも報告しないで、報道機関にこういう発言をしている。これは、シビリアンコントロールというか、大臣のコントロールが全く働いていないということになりますよ。

 ですから、これが事実だとすれば、そういう問題でも大変大きな問題だという認識はありますか。

稲田国務大臣 今般の報道を受けて、その内容、またその経緯等も含めて、しっかりと事実関係を調査してまいるということでございます。

今井委員 いや、調査をすることが重要なのはわかっています。

 しかし、もう既にこういう報道が出ているわけですから、これがもし本当に事実だとすれば、今、北朝鮮からミサイルが飛んだり、いろいろ大変なときです。防衛省全体をコントロールできない大臣にこの国の安全保障を任すわけにいかないですよ。だって、こうやって外にいろいろ情報が出ているかもしれないじゃないですか。

 それでこの国の安全保障を担えるというふうに自信がありますか、御自身。

稲田国務大臣 私の直轄の防衛監察本部で徹底的に調査した上で、防衛省・自衛隊に改めるべき隠蔽体質、今委員が御指摘になった、しっかりと秘密が保全できるかという点も含めて、私のもとで解明をした上で、私の責任で改善してまいりたいと考えております。

 その上で、この我が国を取り巻く厳しい安全保障環境のもとで、我が国の領土、領海、領空、そして国民の生命、身体、財産、平和な暮らし、しっかりと守るために万全を期してまいりたいと考えております。

今井委員 では、調査はいつまでに終了されますか。この報告を待たなきゃいけないんですけれども、いつまでにやられますか。

稲田国務大臣 可能な限り早く、早期に調査したいと考えております。

今井委員 これは既に報道機関に複数の幹部の方が話をされている話でして、事実関係を確認するというのはそんなに複雑なことじゃありませんよ。とても単純な話です。(発言する者あり)いやいや、だから、陸上自衛隊に残っていたかどうかということを聞き取りすればいいじゃないですか。そんなのはすぐ報告できると思いますけれども、すぐ報告していただけませんか。

稲田国務大臣 まず、一連の経緯について、事実関係について徹底的な事実調査を行い、その過程で、法令違反があったかどうか、また、事実があって、法令違反があった場合には、その背景、原因等について報告を求めた上で、文書管理のあり方、情報公開のあり方、保全のあり方等、再発防止に資する事項について検討したいと考えております。

 また、調査に当たる防衛監察監等は、関係者に対し、文書または口頭による説明、報告、書類その他の物件の提出を求め、また、必要な場合に立ち入って業務等の状況及び書類等を検査することといたしておりまして、しっかりと事実解明をしていく、その中で、可能な限り早期に調査をしたいと考えております。

今井委員 全てを全部調べて、まあ、この間の天下りの件でも、一度中間報告をして、そして最終報告していますから、まずヒアリングをしていただいて、この事実関係についてだけでも、最初に中間報告という形で、早期にこちらに報告してもらいたいんですけれども、いかがですか。

稲田国務大臣 できるだけ早く監察結果の報告を求めたいと考えておりますし、委員が御指摘になった、必要があれば、中間報告等、そういった形での報告も含め、どういった形で報告をするかも含めて検討しつつ、できるだけ早く結果の報告を求めたいと考えております。

今井委員 では、もう一度確認します。

 今、中間報告をするのも含めてというので、ちょっとはっきりしなかったんですけれども、必要であればという言葉もありましたけれども、まず、これは事の真偽を確認することが一番大事なんですね。ですから、その正しいか、正しくないかだけでも中間報告としてまずこちらに報告していただきたいんですが、いかがですか。

稲田国務大臣 今の委員の御要望も受けとめまして、できるだけ早く監察結果の報告を求めてまいりたいと考えております。

今井委員 では、中間報告をいただけるという認識で、そういう御答弁だというふうに理解しておきます。

 なかなか答弁していただけないですけれども、私は非常に当たり前のことを言っておりまして、稲田大臣も先ほど、防衛省のトップは私だとおっしゃっておられるわけです。

 そこで、今までの説明と矛盾するから隠しておいた方がいいというようなことが本当に行われていたんだとすれば、それは大変な体質ですよ。隠蔽体質ですよ。先ほど、何か、それは役人の方が悪いんだとおっしゃっていましたが、それはとんでもない話で、大臣というのは、責任を持って所管をしておられるから大臣なんじゃないですか。そこで起きていることは大臣に当然責任があるわけですから、御自分もやはりきちっとそこは責任をとられるということが私は必要だと思います。それぐらいの話だと思いますよ。

 それはお答えにならないでしょうけれども、もう一度お伺いします。そういう御認識はありませんか。

稲田国務大臣 非常に重要な事態であるということも認識しておりますし、だからこそ、私直轄の防衛監察本部で徹底的に調査をした上で、今委員が御指摘になったような防衛省・自衛隊に改めるべき隠蔽体質があれば、私の責任でもってしっかりと改善をしていきたいと考えております。

今井委員 我が党としては既に稲田大臣に辞任要求をしておりますけれども、この問題、もし事実だとしたら、さらに辞任をしなきゃいけない理由が重なったと言わざるを得ないということをここで申し上げておきたいと思います。

 それで、一連の森友学園の件でちょっとお伺いしたいんですが、私は稲田大臣には質問をほとんどしていないんですけれども、ずっと伺っていて、一つとても不思議なことがございまして、森友学園との関係を聞かれたときに、顧問弁護士もやっていない、法律相談にも乗ったこともないと。そこまで質問もされていないのに、御自分で断言するかのごとく何度も何度もおっしゃっているんですね。

 なぜそこまでむきになってそういうことをおっしゃるのかなとずっと思っていたんですけれども、そこまで断定して言われたということは、それは私は答弁としては重いと思いますよ。記憶にないとか、そうおっしゃったわけじゃなくて、ありませんと断言されたんですから。その重みはどう感じておられますか。

稲田国務大臣 私自身、自分の記憶に従って自信を持って答弁をしたわけであります。

 しかしながら、今委員が御指摘になったように、前回、予算委員会で小川委員から突然示された十三年前の裁判記録、そして翌日の、口頭弁論期日の出廷記録を見まして、正直私も驚きましたけれども、まさに訂正をしておわびを申し上げたところです。

 私自身も、さまざま予算委員会で指摘をされまして、今後はしっかりと誠実な答弁に心がけて職務に邁進してまいりたい、そのように考えているところです。

今井委員 稲田大臣は、御主人が顧問弁護士であったということは、その時点では御存じなかったんですか。

稲田国務大臣 その時点で、夫が顧問弁護士を平成二十一年まで、十七年から二十一年まで夫が個人で顧問契約をしていたということは、私、この事件になった後に初めて知りましたけれども、私もそのことも申し上げたかったですが、守秘義務がありますので、弁護士には。そこで、その点については、夫につきましては、私人であり、大阪で弁護士活動をやっておりますので、守秘義務の関係でお答えは差し控えさせていただきますと一貫して答弁をしたところでございます。

今井委員 この事態になるまで、御主人が顧問弁護士だったことを御存じなかったというふうに言われました。私もちょっと、そんなことあるのかなと不思議なんですが、そういう答弁でありますから、そこはそれで受けとめたいと思います。

 それで、稲田大臣は、十年ほど前に籠池理事長からちょっと嫌なことがあって、それから縁を切ったと最初おっしゃっていましたけれども、最近は疎遠になったという言い方をされていますけれども、内容は問いません、ただ、すごく嫌なことで物すごく印象が強かったということでよろしいんですか。

稲田国務大臣 籠池御夫妻とはここ十年来、十年ほど疎遠にしております。

 疎遠になった経緯については、私的な問題でありますので、国会の場でつまびらかにすることは差し控えたいと思います。

今井委員 いや、僕は内容は聞いていませんので、それは聞かないと言いましたので、それだけ印象に残ることだったんですよねということです。

稲田国務大臣 大変私的な問題でありますので、これ以上つまびらかにすることは差し控えたいと思います。

今井委員 いやいや、内容を聞いておりません。印象が、とても嫌なことがあったと、とても嫌なことがあったというのは事実ですよね。

稲田国務大臣 大変私的な問題でもありますので、これ以上つまびらかにすることは、この国会の場でつまびらかにすることは差し控えたいと思います。

今井委員 嫌なことがあったと国会の場で答弁しておられますよ。答弁されていますよ。なぜ今回は答えないんですか。

稲田国務大臣 昨日、質問の中に、御質問された中にそういう表現がございましたが、私は、国会の場ではそういった私的な問題について答弁することは差し控えたいと思います。

今井委員 きのうも質問されていましたけれども、もう一度確認したいんです、衆議院の方ですから。

 籠池理事長は、一、二年前に、当時稲田大臣は政調会長だと、自民会館の方でお会いをして、それで稲田大臣とも握手をして話をしたというふうにおっしゃっているんですけれども、もし本当だとすれば、それだけ嫌なことがあった方なんでしょうから、当然、ああ、あの人だといって記憶に残ると思うんですけれども、そういう事実はないんでしょうか。

稲田国務大臣 私は、政調会長時代に、数多くの、多数の方がお集まりになる会合、また、自民党本部ですね、自民党本部でいろいろな講演会などに参加をしております。したがいまして、そのような会合に籠池氏がお見えになったのかもわかりませんけれども、私の記憶に基づきますと、お会いしたという認識はございません。

今井委員 最初のころは、会っていませんとお話しされましたが、最近は、記憶の中ではお会いしていないということですけれども、どっちが正しいんですか。

稲田国務大臣 政治家ですので、多数の方が来られて、また、政調会長ですので、いろいろな会合に行って御挨拶することもございます。私がずっとお会いしていませんと言い切っていたのも、個人的に親しくお会いするというようなことはないということで申し上げてきたわけであります。

 その意味において、私の政調会長という立場からしますと、いろいろな会合に行って、そして来られていることもあるわけですから、正確を期す意味においても、私の記憶に基づきますと、お会いしたという認識はございません。また、個人的に親しくお会いしたという、そういう記憶はないということでございます。

今井委員 もう五分を切りましたので、質問も半分もいっていないんですが、せっかくパネルをつくってきましたので、ちょっと御紹介したいと思います。

 稲田大臣が、野党のときに数々の辞任要求をしておられます。これは全部、本会議、法務委員会、法務委員会、外務委員会、予算委員会、いろいろなところで計七人の方に辞任要求をされています。

 例えばどういう理由で辞任要求をされたかといいますと、岡崎トミ子さん、国家公安委員長ですが、これは、大臣になられる前の議員のときに韓国のデモ活動に行って、そこに日の丸をペケ打っているような写真に一緒に写っているというふうに言われて、そこに写っていただろうと。岡崎さんは、それがあったかどうかは覚えていない、記憶にないというふうにおっしゃったんですけれども、それは辞任に値する、辞任しなさいと。

 江田法務大臣。これは、稲田大臣が韓国の鬱陵島視察のために韓国に入ろうとした、そのときに韓国の入管から入国を拒否された、江田法務大臣は入管の所管の大臣なので、韓国に対して何もアクションをとらないのはおかしい、辞任しろ、こういうふうにおっしゃっています。

 それから、一川大臣。これは、当時、沖縄防衛局長が非常に不適切な発言をして、辞任をされました。このこと自体はあるまじき行為、許してはいけない発言だというふうに私も思っています。

 その際に、国会の方でクイズのような質問がありまして、一川大臣にこのもともとになっている沖縄の少女暴行事件の詳細はどうなんだというようなことを言ったら、詳細について答えられなかった。それで、次のときの質疑のところで、こういうことを私は申し上げたかった、事件というのはこういうことですときちっと説明をされておられます。それに対して稲田大臣は、今の大臣の言いわけを信じる人は誰一人いません、辞任してください、こうやっておっしゃっています。

 どのケースも別に法律に違反しているわけではありません。江田大臣に至っては、特に何か過失を犯したわけではないんですけれども、稲田大臣は、それでも辞任を要求されておられるんですよ。

 他人にこういう辞任を強要するのであれば、御自分がやはり答弁を間違っていたとか、あるいは、もし今回の事案が本当だったら、この隠蔽の問題が本当だったりしたら、これは、稲田大臣の今までの基準でいったら辞任ですよ。そう思われませんか。

稲田国務大臣 国会においては、これからも、さまざまな御指摘も受けて、誠実な答弁に心がけ、そして職務に邁進してまいりたいと考えております。

今井委員 これは、今までの件は言い過ぎたということですか。今までの発言は言い過ぎだということなんですか。それとも、今もこういう気持ちでやっておられて、自分自身に対しても、そういう、みずからを律する気持ちがあるということですか。どちらですか。

稲田国務大臣 国会においては誠実な答弁に心がけ、職務に邁進し、さらには、昨日の報道に関しては、私のもとで徹底的に事実を解明して、そして、仮に自衛隊・防衛省に隠蔽体質があるというのであれば、そこは責任を持って改善をしていくことが私の責任であると考えております。

今井委員 もう時間が来ましたので、私は終わりたいと思いますけれども、政治家ですから、自分が言ってきたことは重いですよ。ですから、この今までの自分の基準、政治家としての矜持、それをしっかり自分に照らして考えれば、もし今回のことが事実であったら、それは大臣を辞任しなきゃおかしいですよ。それぐらいの気持ちでやってもらわないと。

 今回の答弁にしたって、あそこまで断定的に言ってしまったんですから、言葉は消せません。大臣の言葉は重いんです、国会での答弁は。そのことをよく考えて、自分で判断をしていただきたいということをお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

山口委員長 次に、青柳陽一郎君。

青柳委員 民進党の青柳陽一郎でございます。

 本日は、二十分の質問の時間をいただきました。ありがとうございます。

 きょう、大臣の答弁もありましたけれども、我が国を取り巻く安全保障環境というのは、非常に厳しい状況、日々状況が動いている、こういう状況です。

 暴走する北朝鮮の問題、日韓関係、韓国の情勢、大統領が罷免されるという情勢、そして、南スーダンのPKO撤収を表明した、また、この日報が出てきている、あるいはティラーソン米国務長官が来日するという状況、そして、この国会の重要広範である日米、日英、日豪のACSA、こうした問題が山積している中で、本来、こうしたことを国会で議論しなきゃいけないという状況ですけれども、今、大変残念なことに、稲田防衛大臣の大臣の資質というものに疑念が生じていると言わざるを得ない状況。

 一連の森友学園の問題、昨晩明らかになりました、報道がありました南スーダンPKO日報の隠蔽問題、こうした状況。特に大臣の発言は、国会軽視としか言いようがない答弁をされてきている。大臣の発言の信頼性が担保されない状況では、こうした重要課題について議論する前に、この国会を、大臣の発言の信頼性を正常な状況に戻さないと議論にならないんじゃないかということ、この状況が本当に我々残念でならないということを最初に申し上げなければなりません。

 大臣にまず伺います。

 この大臣の森友発言をめぐる問題で国会は正直混乱している、大臣の記憶に基づく発言で国会が混乱している、国会軽視と言われている、大臣の資質に疑義が生じている、これは与党からも厳しい声が出ている、こういう状況。大臣はどのように事態を収拾するおつもりですか。

稲田国務大臣 まず、森友学園の十三年前の訴訟に関して、私が全く記憶になかったものですから、記憶にないと、今委員がおっしゃった、断定的にお答えをいたしました。そのことに関しては、私も訂正をし、おわびを申し上げました。

 さらには、委員も御指摘のとおり、国会における答弁において、しっかりと事実確認もし、たとえ十三年前のことだとしても、記憶になかったとしても、そこは誠実に答弁をしていく必要がある。これからは、その点については、誠実な答弁に心がけて、しっかりと職務に邁進していきたいと考えておりますし、今般のこの日報の問題につきましても、事実関係を徹底的に解明した上で、その上で、仮に自衛隊・防衛省に隠蔽体質があれば、私の責任のもとで改善してまいりたいと考えております。

 しっかりと職務に邁進し、我が国の防衛に万全を期していきたいと考えております。

青柳委員 それはこれまで何度も答弁していることだと思いますけれども、私が特に問題だと思うことは、今まさに断定したと言っておりますけれども、先般の国会答弁において、大臣は、籠池氏の事件を受任し、顧問弁護士だったことはないと。そして、さらに問題だと思うのは、籠池氏夫妻が法律相談をしていただいたと言うのは全くの虚偽だ、全くの虚偽だという答弁を大臣がみずからしているんです。しかし、実際は、大臣が原告訴訟代理人で出廷までしていたという事実がすぐに明らかになったわけです。

 この籠池理事長の発言を、国会答弁において全くの虚偽だと。全くの虚偽だと言ったその根拠は何でしょうか。

稲田国務大臣 全く私は、籠池夫妻のこの抵当権抹消事案、もちろん担当者でもありませんでしたし、全く認識の中になかったので、出廷していたということを次の日の報道で、まさしく驚いたわけであります。

 ただ、しかしながら、今先生おっしゃったように、非常に断定的に、自分の記憶が全く正しい、自分は全くこの事件に関係していないしという、その自分の思いでもって発言をしましたが、第一回口頭弁論期日に出廷したことが確認をされ、多分、夫のかわりに、その日は何か都合が悪くて、行ったんだろうと推測をいたしておりますけれども、そのことすら今思い出せませんが、ただ、今委員が御指摘になったように、籠池夫妻の発言に対して全くの虚偽と述べたのは余りにも言い過ぎであったと考えておりまして、訂正しておわびを申し上げたいと思っております。

青柳委員 大変済みません、全くの虚偽だというふうに断定されたのは、つまり記憶に基づいて断定したということですか。他人の発言を虚偽だということを断定したのは、何の証拠もなく、記憶だけで判断して相手の発言が虚偽だということを国会答弁で断定されたんでしょうか。

稲田国務大臣 自分の認識では、全くそのとおりでございます。

青柳委員 つまり、稲田大臣は、自分の記憶と違うことを相手が言えば、それは相手を虚偽答弁だと断定する大臣だということになりますよ。それでよろしいんですか。

稲田国務大臣 本件に関しては、十三年前の抵当権抹消事案であったこともあり、全く記憶になかったわけでございます。

 ただ、言い過ぎであったと考えており、訂正をしておわびを申し上げたいと思います。

青柳委員 いや、それはわかるんですけれども、記憶がなかったということはわかる、記憶がなくて、知らないと言って、それを訂正しておわびするのはわかるんですけれども、自分の記憶と違う発言を相手がしました、その相手の発言は虚偽だということを堂々と国会で答弁するということについてはどう思われますか。

稲田国務大臣 本件訴訟の担当弁護士は夫であり、私は夫のかわりとして出廷していたことや、第一回口頭弁論期日で、実質的な議論が行われない期日でもあり、また十年以上前の裁判であったこともありますから、そういった事情でもって、私の記憶は全く正しいというふうに思っていたわけであります。

 しかしながら、私も、反省し、今後は国会の場で誠実な答弁に心がけてまいりたいと考えております。

青柳委員 それでは、御自身の発言、これは実際に事実と違ったわけです。それが明らかになりました。御自身の発言は虚偽ですか。

稲田国務大臣 私としては、みずからの記憶に基づいて、しかもその記憶に全く自信を持って答弁をしたものであって、虚偽の答弁をしたとの認識はありません。

 いずれにせよ、私としては、今後とも、誠実な答弁に努め、誠心誠意職務に当たっていきたいと考えております。

青柳委員 残念ながら、今、やじはありますけれども、与党からも疑義が生じているということは指摘しておきたいと思います。報道では、国対委員長も大臣の発言に問題があるということを報道でされていましたよ。

 次の質問に移ります。

 実際に大臣が所属していた弁護士事務所と森友学園の顧問契約というのは、いつからいつまで結んでいたんでしょうか。これは答えられますか、それとも、これも守秘義務になりますか。

山口委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

山口委員長 速記を起こしてください。

 稲田防衛大臣。

稲田国務大臣 籠池氏との顧問契約については、平成十六年十月に夫である稲田龍示が締結をし、その顧問契約は平成二十一年八月ごろに終了していると聞いております。

青柳委員 稲田大臣が代理人弁護士として出廷していた森友学園の民事訴訟の判決は、最終的にどのように決着したんでしょうか。

稲田国務大臣 担当弁護士でもなく、それが決着したのは、多分、小川委員の出された書面を見ても、政治家になった後でございますので、確認をしておりません。

青柳委員 ただ、大臣は、十年ほど前に、先ほども質疑がありましたけれども、大変失礼なことがあって関係を絶っているというふうに発言されております。この大変失礼なことについては、報道によると、籠池理事長や御家族がインタビューで、失礼なこととは先ほどの裁判のことではないかというふうに籠池理事長側、家族サイドは発言されておりますけれども、これは事実でしょうか。それとも、これは虚偽の発言でしょうか。

稲田国務大臣 籠池御夫妻と疎遠になった契機は、夫の弁護士活動に関するものではありませんが、私的な問題でありますので、これ以上つまびらかにすることは差し控えたいと思います。

青柳委員 時間がないので次に行きますけれども、稲田大臣は、二〇〇七年に、森友学園側から政治献金とパーティー券の支援を受けておられます。二〇〇七年以外にもこうした献金やパーティー券の購入の事実はありますでしょうか。

稲田国務大臣 三月十四日の参議院の審議において、風間議員から、籠池さんから政治資金を受け取ったことはありますかと質問を受けたのに対して、私は、記録のある五年間、確認しました、その間にはございませんでしたとお答えをいたしました。

 その質疑を踏まえまして、私が代表を務める政治団体ともみ組及び福井第一選挙区支部において、私が衆議院に初当選をいたしました平成十七年以降の政治資金収支報告書を確認いたしましたところ、平成十九年に籠池夫妻からともみ組がそれぞれ六千円、合計一万二千円の寄附を受けていることを確認いたしたところでございます。

青柳委員 それ以外はありますかという質問でしたので、それ以外はないということでよろしいでしょうか。

稲田国務大臣 現時点において、それ以外は確認しておりません。

青柳委員 ないということで確認しました、現時点ではということはつきましたけれども。

 次に行きます。

 昨日、籠池理事長が上京されて、ジャーナリストと面談したようでございます。その内容の一部が明らかになりましたが、小学校の建設をめぐって金銭の授受を含む国会議員とのやりとりがあります、国会でも答弁している現役の閣僚だということで、現役の閣僚と金銭の授受があるということが一部報道で明らかになり、籠池氏側はそういう発言をしておりますが、この金銭の授受を含む現役閣僚というのは、稲田大臣のことではありませんよね。

稲田国務大臣 違います。

青柳委員 この一連の森友問題、こんなことは私もやりたくないです、本音を言えば。ただ、だったら、参考人を呼んで決着すればいいじゃないですか。関係者をみんな呼んで、参考人を呼んで、オープンに、明らかに、早期に決着すればそれで済む話なんですよ。そういうふうに解決すべきだと、大臣、思いませんか。

稲田国務大臣 私と籠池氏の関係につきましては、国会でさまざま御質問いただいて、答弁したとおりでございます。

青柳委員 ここまで疑惑が膨らんでいる、国民も正直、選挙区に戻れば関心が高いですよ。これだけ不透明で不自然なことが重なって、財政法の趣旨が守られているのかどうかもわからない。随契、非公開での取引。通常の取引では考えられない値引きがなされている。埋蔵物の問題もありました。そしてさらに、面会記録は全てとっていない、ない。そして、現役の総理や総理夫人の名前を使って寄附金まで集めている。こういう実態があったわけですよ。

 こんな不透明な、不可解なことのオンパレードの事実を、しっかり参考人を呼んで解決するというのは当たり前のことじゃないですか。こういうことをやれば、早く通常の国会質疑に戻すべきだということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

山口委員長 次に、後藤祐一君。

後藤(祐)委員 民進党の後藤祐一でございます。

 陸自に日報が残っていたという大変な問題が発覚をいたしました。

 ちょっと振り返ってみたいと思います。まず、時系列ですが、昨年の十月三日に、情報公開請求が昨年七月の南スーダンPKOの日報に関してなされました。これに対して十二月二日、この開示請求に対して、日報が存在しないということを理由に不開示の決定がなされました。ただ、これに対して十二月十六日、稲田大臣に対して説明があって、大臣から探索するよう指示がありました。ちなみに、配付資料の四ページ目にクロノロジーが書いてあります。十二月二十六日には資料が発見されています。ところが、この資料発見から稲田大臣に対しての説明がおくれ、ことしの一月二十七日に、大臣に対して、日報の存在そして議員への提出について報告がありました。そして、世の中に明らかになったのは二月七日であります。そして、この十二月二日の不開示決定が、本当はあったのに不開示にしたというところが問題なわけであります。

 さて、どういうことが起きたかといいますと、こちらですね、これは、もう大臣とも二月の予算委員会で何度もやらせていただいておりますが、この日報、日報というのはまさにこれでございます。これは、さんざんいろいろな、この場でも議論になったと思いますが、この日報を、現地の南スーダンのPKOの部隊が、大変な状況の中でも毎日つくっているものでございます。

 この日報は、南スーダンの派遣施設部隊がつくります。これを陸自、陸上自衛隊ですね、指揮システムというところにアップロードします。これを中央即応集団、これも陸上自衛隊ですが、中央即応集団がダウンロードをして、この中央即応集団の中で、モーニングレポートという、司令官に対して報告するレポートをつくります。そして、この司令官に対する報告が終わったら日報は破棄されるという説明が、これまで大臣の方からも事務方からもされています。

 なので、本来は、南スーダンの派遣施設部隊も、陸自指揮システムも、中央即応集団も、CRFとも言います、この三カ所で、紙媒体も電子媒体も削除をされる、配付資料の中にも五ページ目にございます、というのが本来の姿であります。

 十二月二日に、情報公開請求に対して、ないと言ったのは、これを前提にしていたわけですが、ところが、日報が発見されたのは、これまでの説明によれば、陸自指揮システムの場所から統合幕僚監部がダウンロードをしていて残っていたという説明が大臣からありました。この統合幕僚監部に残っていたこと自体、情報公開請求に対し、実はあったのに、防衛省全体で見ればあったのに、ないと言ったことで大変問題だということで、これについては、二月の予算委員会を通じて、かなりの時間をかけて私も議論させていただいたわけであります。

 ただ、その前提は、南スーダン派遣施設部隊にも、陸自指揮システムにも、中央即応集団にも、日報はないという前提で議論をしてきたわけでありますが、きのうの夜、NHKの報道、そしてきょうは幾つかの新聞に出ておりますが、陸上自衛隊に日報があったとなりますと、二月の予算委員会でしていた議論というのは、その前提が全て崩れてしまうのではないか、つまり、大臣の答弁は虚偽だったのではないかというところが問題なのでございます。

 具体的に申し上げたいと思います。

 これは配付資料にもありますが、配付資料の九ページ目、これは、二月十四日の衆議院予算委員会、私の稲田大臣に対する質問でございますが、これに対する答弁で、一番上の段、真ん中辺ですね、日報は、中央即応集団司令部への報告後に用済みとなり、破棄していたことを確認いたしているところであります、このように明確に答弁をしておられます。

 そして、十ページ目、これは二月の十七日、同じく衆議院予算委員会、私の質問に対する稲田大臣の答弁でございますが、真ん中の段、左の方ですが、派遣施設隊の日報それからCRFの日報は、CRFというのは中央即応集団ですね、CRFの日報は短期間で用済みになって、破棄される文書については、規則上、破棄した期日を記録することとはされておりません、その上で申し上げれば、文書管理者である中央即応集団司令部防衛部長ないしは派遣施設隊長のもとで適切に廃棄された、破棄されたとの報告を受けております。

 これらの答弁を前提に、予算委員会でたくさんの時間をかけて議論してきたわけでありますが、この答弁は今でも正しいのでしょうか。今でもという意味は、二月十四日現在あるいは二月十七日現在において、この答弁は正しかったと今の時点で言えるでしょうか。

稲田国務大臣 今委員が御指摘になった時系列のとおり、本件日報について、陸上自衛隊の派遣施設隊及び中央即応集団司令部において探索を行った上で、陸幕長から私に対して、廃棄済みのため不存在であるとの上申を受けていたところであります。

 したがいまして、委員に答弁いたしましたのは、この日報自体は、そもそも、一年未満、用済み後廃棄するべき日報でありますので、そのルールに従って破棄済みのため不存在という報告を受けて、そのことを申し上げたということでございます。

後藤(祐)委員 全く質問にお答えになられておりません。

 二月十四日の、日報は、中央即応集団司令部への報告後に用済みとなり、破棄していたことを確認いたしているところであります、この答弁は今でも維持できますか。今でもというのは、二月十四日時点で破棄していたという答弁は、今の時点で維持できますか。今、答弁を修正するのであれば、この答弁は虚偽答弁だったということになります。これはきのう通告をしております。

稲田国務大臣 ルールに従って破棄をしたという報告を受けておりますので、私は、ルールであれば、破棄しちゃいけないものを破棄したというのではなくて、ルールにのっとって破棄したという報告を受けておりますので、それについて疑わなかったということでございます。

 しかしながら、とはいうものの、どこかにあるのではないかということをみずから指示をして、そして、一年未満、用済み後廃棄の文書ではありましたけれども、統合幕僚監部で発見して、みずから公開をしたところであるということを委員との質疑の中でもるる申し上げてきたところでございます。

 ただし、昨日の報道を受けまして、今委員がおっしゃったように、仮にその内容が事実とすれば、防衛省・自衛隊に対する国民の信頼を大きく損ないかねないものであるから、本件については、特別防衛監察を実施し、事実関係を徹底的に究明した上で、仮に防衛省・自衛隊に隠蔽体質があるのであれば、しっかりと私の責任で改善をしていくということを申し上げているわけでございます。

後藤(祐)委員 質問にお答えになられておりません。

 答弁をこのまま今の時点で維持できるのか、維持できないのか。例えば、これから調べるということを私は認めたくありませんが、今の時点で、ある程度の蓋然性をもって否定されておられないんですから、このNHK報道を。だから、この答弁は維持できなくなる可能性があるとか、いろいろな言い方はあるはずなんですよ。この答弁は今の時点で維持できるということでよろしいですか。維持できないんだったら、答弁は維持できない可能性があると言うべきではありませんか。どっちなんですか。

稲田国務大臣 まず、委員との間の議論の中で、この日報は一年未満、用済み後廃棄でありますので、派遣施設隊及び中央即応集団司令部において探索を行った上で、陸幕長から、廃棄済みのため不存在と上申を受けておりましたので、私は、そのとおりそこで答弁をしているわけでございます。

 しかしながら、私の指示を受けて、今度は統幕から出てきたので、全て公表しているところでもございます。

 そして、昨日の報道を受けて、事実関係について徹底的に解明するために、私直轄の防衛監察本部に特別防衛監察の実施を指示したところでございます。(後藤(祐)委員「質問に答えていないです。もう三回言っています。答弁を維持しているかどうか。ちょっと、時計をとめていただけますか、委員長」と呼ぶ)

山口委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

山口委員長 速記を起こしてください。

 稲田大臣、それでは、もう一度答弁を。今、二月十四日のそういう答弁が維持できるかどうかということを後藤委員は聞いておられるわけだけれども、一つの答え方、いろいろ大臣もされているわけですけれども、もう一度はっきり答弁していただけますか。

 稲田防衛大臣。

稲田国務大臣 後藤委員とは何回もこの問題で議論しています。後藤議員と議論をしている時点で、私は何度も、そういった報告を受けて、その答弁をしているということもその中で申し上げているところです。

 その点については今も変わりませんが、今問題になっているのは、その報告の内容が真実であったのか、また……(後藤(祐)委員「報告と書いてないです、二月十四日は」と呼ぶ)確認をしたのは、報告を受けて確認をしたんだということは述べていますよ、どこかで。それで、確認をしたのはどうやって確認したんですかといったら、報告を受けて確認をしているわけですね。

 そして、ただ、その報告の内容、探索をして、破棄による不開示、これはルールにのっとったものですけれども、ルールにのっとって破棄をしたというその内容が、今、昨日の報道を受けて事実関係はどうなのか、そこも含めて、きのうの報道内容を含めてしっかりと調査をし、解明をするということでございます。

後藤(祐)委員 答弁を変えるのか、変えないのか、はっきりしません。

 委員長、これについては、予算委員会で膨大な時間をかけたんです。この答弁が揺らげば、予算委員会の時間を返してくださいという話なんです。それだけで大臣辞任に当たると思いますよ。これを前提に議論していたんですから、これを前提に統合幕僚監部の中の話を私は徹底して時間をかけてやったんですから、時間を返してくださいよという話ですよ。

 きのうNHKで報道が出て、私は、きのうのうちに、このNHKの報道は事実かどうか、質問通告しています。きのうから今までの間に、当然、陸上自衛隊に対して、その幹部に対して、どなたが何をしたかはわかりませんよ、ですが、陸上自衛隊の幹部といえばそんなに膨大な人数ではないでしょう、このNHKの報道は事実ですかと聞いたんでしょうね、大臣。

稲田国務大臣 まずは、陸上幕僚長に事実関係の確認をいたしましたけれども、報道される内容が仮に事実であるとすれば、防衛省・自衛隊に対する国民の信頼を大きく損ないかねないものでありますことから、私の責任のもとで、陸上自衛隊から離れた独立性の高い立場から徹底した調査を行わせることが重要だと考えて、元検事長を長とし、現役の検事も勤務する、大臣直轄の防衛監察本部に特別防衛監察の実施を指示したところでございます。

後藤(祐)委員 一度答えたことで時間稼ぎするのはもうやめてください。

 きのうからきょうにかけて、陸上自衛隊のどなたかに、あのNHKの報道が事実かどうか、事実関係について、これからやることではなくて、まず、これが事実なのかどうか、大臣は聞いたんですか、聞かなかったんですか。これからどうするではなくて、これが事実なのかどうか確認したんですか。そんな難しいことじゃないと思いますよ、大臣。

稲田国務大臣 まずは陸幕長に事実関係の確認を指示いたしておりますが、このNHKの報道全体、一連ですよね。私は、徹底的に事実解明をする必要があるというふうに思い、防衛監察本部に特別防衛監察の実施を指示したところでございます。

後藤(祐)委員 陸自に、陸上自衛隊に去年七月の日報があったのか、なかったのか、この一点に関して事実確認をしたんですか、陸上自衛隊に対して。

稲田国務大臣 ですから、事実関係の確認はまずは陸幕長にしましたけれども、しかしながら、この問題は、非常に重要な、防衛省・自衛隊全体の国民の信頼を大きく損ないかねないものでありますから、私は、陸自からも離れた防衛監察本部に特別防衛監察の実施を指示したところでございます。

後藤(祐)委員 確認すべき事実は非常にシンプルなんです。昨年七月の日報が陸上自衛隊にあったのか、なかったのか。現時点では、まあ、NHKの報道によると削除されちゃっていますから、どこの段階まであったのか、この一点なんですよ。それについて事実確認ができていないんです。

 そもそも、事実がどうなのかというのを聞いたんですか。この昨年の七月の日報が陸上自衛隊に結局あるのか、ないのか、あるいは、ある段階まであったのか、なかったのか、大臣は聞いたんですか、そのことを。あるいは、陸上自衛隊の方から説明があったんですか。それを大臣が聞いた、あるいは陸上自衛隊から説明があったか、なかったか、そこを隠蔽して、これからどうするかの議論にして時間稼ぎをしようとしているだけじゃないですか。そんな単純な事実を、日報の、まあ日報は何日か分ありますけれども、この日報がいつまであったか、この一点だけですよ、まずは確認すべきことは。

 そういう体質をどうするかということは非常に複雑な問題です。ですが、昨年の七月の南スーダンの日報が一体いつまで陸上自衛隊にあったのか、これは非常にシンプルな事実関係じゃないですか。きのうの夜、NHKで報道されて、今までの間に、そんなのは調べればわかるじゃないですか。調べたんですか、これまでの間に。

稲田国務大臣 今、繰り返し答弁いたしておりますように、まずは陸幕長に事実確認をしておりますけれども、これは、防衛省・自衛隊の隠蔽体質と先ほど来委員は累次にわたっておっしゃっておりますけれども、そういったことも含めて、しっかりと徹底した一連の事実関係の究明、さらには、そもそも文書管理のあり方、保全のあり方、そういったことも含めて、私は、しっかりと防衛監察本部において調査させることを指示したということでございます。(後藤(祐)委員「委員長、確認したのかどうか答えていないです。時計をとめていただけますか」と呼ぶ)

山口委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

山口委員長 速記を起こしてください。

 後藤君。

後藤(祐)委員 大臣、陸幕長に、昨年七月の南スーダンの日報について、陸上自衛隊にある段階まで残っていたかどうかの事実関係を確認されたということであれば、では、あったんですか、なかったんですか、いつまであったんですか。その事実関係を答弁してください。

稲田国務大臣 委員が今御指摘になった点のみならず、やはり私は、一連の……(後藤(祐)委員「のみでいいです。ごまかさないでください」と呼ぶ)いや、ごまかしていません。

 この本質は、防衛省・自衛隊の隠蔽体質があるかどうか、それを問題にされているわけですよね、委員も。ですから、委員のおっしゃったその一点のみならず、この問題の本質を明らかにして、改善するためには、一連の事実関係をしっかりと調査して解明する必要があるということから、陸幕とは離れた独立した私直轄の防衛監察本部に特別防衛監察の実施を指示したということでございます。(後藤(祐)委員「答えていないです」と呼ぶ)

山口委員長 ちょっと、では、速記をとめてくださいね。

    〔速記中止〕

山口委員長 速記を起こしてください。

 後藤君。

後藤(祐)委員 昨年七月の南スーダンの日報が陸上自衛隊に残っていたか、残っていなかったか、いつまで残っていたか、このシンプルな事実関係を陸上自衛隊の幹部に確認したのか、確認していなかったのか。

 きのう私、通告していますから。NHKが報道したことは事実かどうかについて、よく調べた上で答弁するようにと通告しています。ですから、まず、これを確認したのか、確認していないのかがわかりません。この事実関係は大臣に報告があったのか、ないのか、それをまずお答えいただけますか、もう一度。

 今後どうするかという話は答えないでください。それは別な話として大事なことはわかります。でも、それは時間がかかるんです。

 この七月の日報があったのか、なかったのか、この一点に関してのみ、陸上自衛隊に対してきのう私は通告していますから、あったのか、なかったのかということについて陸上自衛隊から大臣に対して報告があったのか、なかったのかをお答えください。

 ちょっと、とめていただけますか、時間がかかるなら。

山口委員長 正確に答弁されようとしているから。

 では、一応速記をとめてください。

    〔速記中止〕

山口委員長 速記を起こしてください。

 稲田防衛大臣。

稲田国務大臣 今、事務方に確認をいたしましたところ、委員からの質問通告はNHKの報道についての事実関係ということでありましたので、NHKの報道内容は、一月中旬に陸上自衛隊中央即応集団司令部に電子データがあることがわかったが、公表せず、二月に消去の指示がなされたことといった、その一連の事実関係、これについて、陸幕長に確認の指示をした上で、陸自から離れた独立性の高い特別防衛監察の実施を指示したということでございます。(後藤(祐)委員「質問に答えていないです」と呼ぶ)

山口委員長 今、一つの答え方ではあるように思うけれどもなあ。

 後藤君。

後藤(祐)委員 質問に答えておりませんが、配付資料の一ページ目にきのうのNHKの報道を文字にしたものがありますが、この中に、一ページ目の真ん中ぐらいに、「ところが、実際には、陸上自衛隊が日報の電子データを一貫して保管していたことが複数の防衛省幹部への取材でわかりました。それによりますと、陸上自衛隊に電子データがあることがわかったのはことし一月中旬で、」もうこれだけで、昨年の日報に関して、あったということをNHKが報道しているわけですから、これについての事実関係は、私の通告の範囲に入るわけですから。

 そこから後のこと、データを消去したかというような話はより難しい話ですから、まず、陸上自衛隊に日報があったかどうかという事実関係からこれは始まるわけですよ。そこが一番最初の原点ですから、そこについての説明は陸上自衛隊からあったんですか、なかったんですか。ほかの話はちょっとまぜないで言っていただきたいんです。

稲田国務大臣 昨日の委員の通告は、NHKの報道内容が事実かどうか、事実関係についてというものでありましたので、一月中旬に陸自中央即応集団司令部に電子データがあることがわかったが、公表せず、二月に消去の指示がなされたことという、そのNHKの報道内容について、まずは一旦、陸幕長に事実の確認を指示いたしましたけれども、しかしながら、これは、仮に事実であるとすれば、防衛省・自衛隊に対する国民の信頼を大きく損ねかねないものでありますから、陸上自衛隊とは離れた独立性の高い立場での徹底した事実解明が必要だと思い、防衛監察本部に特別防衛監察の実施を指示し、陸上自衛隊にはその実施に全面的に協力させることとしたということでございます。(後藤(祐)委員「これで時間を稼ぐのはやめていただきたいんですよ。答えていないですよ」と呼ぶ)

山口委員長 答えていると私も思うよ。今、指示をしてということでしょう。(後藤(祐)委員「では、次に行きましょう。時間がもったいない」と呼ぶ)

 後藤君。

後藤(祐)委員 昨年の七月の日報が実は陸上自衛隊にあったのか、なかったのかというこのシンプルな事実と、これを生み出してしまった隠蔽体質がどうして起きてしまったのか、そしてその改善方策はどうかという大変難しい問題は、大臣、別の問題だと理解してよろしいですか。昨年七月の日報が残っていたか、残っていないかという事実関係と。

稲田国務大臣 委員がそれを分けて考えておられることは今の質疑で理解ができたということでございます。

後藤(祐)委員 これは、予算委員会で、昨年の七月の日報は陸上自衛隊にはない、破棄されていたという答弁があったから、それを前提に、統幕の方にあって、統幕でどうだったのかという議論に物すごい時間をかけたから言っているんですよ。改善策云々ということ以前に、まず、陸上自衛隊に日報が残っていたら、予算委員会の膨大な時間が、前提が崩れるんですから、陸上自衛隊に昨年七月の日報が残っていたという事実関係は大変重いんですよ、もし残っていたとするならば。

 その事実関係と、それを生んでしまった体質の問題は別の問題であって、因果関係はあるかもしれませんよ、まずは、陸上自衛隊に昨年の七月の日報があったのか、なかったのかという事実関係だけを、なぜきのうからきょうの間に調べないんですか、大臣。

稲田国務大臣 私は、後藤委員がそうやってこだわられていることを今わかりましたけれども、昨日の段階での委員の質問通告、そしてやはり、この一連のNHKの報道の中の、日報の不開示決定から私の指示で公表したその後、きのうの報道によれば、電子データがあることがわかったのに、公表しないで、二月に消去の指示がなされたといった、そういった一連の経緯に関してしっかりと事実究明をして確認をして、自衛隊・防衛省の仮に隠蔽体質がそこにあるのであれば、それをしっかりと改善していくということが重要だと私は認識しております。

後藤(祐)委員 昨年七月の日報が陸上自衛隊に残っていたかどうかの事実関係と、これを生んでしまった隠蔽体質あるいはその改善策をまぜて時間をかけることそのものが隠蔽体質じゃないですか。

 まず、昨年の七月の日報が残っていたかどうかという事実関係は、予算委員会で膨大な時間をかけたので、大変重要な事実関係なんですよ。(発言する者あり)そうですね。今、与党からも重要だという御指摘がありました、うなずいている方も多いです。まず、そこだけ切り離して、すぐ御回答いただけないですか。きのうからきょうの間で十分答えられたと思いますよ。

 では、あしたまでに答えられますか。

稲田国務大臣 今回、陸幕長ではなく、まずは陸幕長に事実確認しましたが、やはり独立性のある防衛監察部に指示をしているわけです。そして、その調査に当たる防衛監察等は、関係者に対して文書または口頭による説明、報告、書類その他の物件の提出を求め、また、必要な場所に立ち入って業務等の状況及び書類等を検査することにしておりまして、関係者の聞き取りや聴取内容の相互確認など、やはり私は、国会における答弁にはしっかりと慎重を期して、正しいことを答弁したいというふうに考えております。

後藤(祐)委員 これをまぜて時間をかけること自体が隠蔽ですよ。あしたまでに答えられないんですか。本当はきょうまでに答えていただかなきゃいけないんですよ。(発言する者あり)陸幕長は何か違うことを言っているみたいですよ、今、与党からお話がありましたけれども。

 結局、陸幕長は大臣に対して、昨年の七月の日報があったか、なかったかは、現時点では報告がないということですか、大臣。

稲田国務大臣 何度も申しておりますように、私は、きのうの報道に関して、一連の、一月中旬に陸自中央即応集団司令部に電子データがあることがわかったが、公表しないで、二月に消去の指示がなされたこと、まさしく、委員の言葉をかりれば、隠蔽したのかどうなのかということですよ。そこの点について、私は事実関係の指示をしているわけであります。そして、陸幕長だけでなくて、独立性の高い防衛監察等にかけることを指示したわけでありますので、その一連の全容解明を指示しているわけです。なので、全容解明には、なるだけ早く報告をいたしますけれども、まだ指示をしたところだということでございます。

後藤(祐)委員 先ほど今井委員の質問に対して大臣は、中間報告はすると答弁されました。

 まず、昨年の七月の日報があったのか、なかったのか、いつまであったのか、ここだけ切り離して、まずこの委員会に報告をいただけませんか、大臣。

稲田国務大臣 まずは全容の解明を徹底的にやることが私は重要だというふうに思っております。

 その上で、体質の改善、仮に自衛隊・防衛省に隠蔽の体質があるのであれば、責任を持って改善をしていく。再発防止、さらには文書の保管のあり方、そして保全ですよね、そういったことを一連のこととして私は指示をしているわけでございます。

 先ほど今井委員からは、まずはその事実関係、全体の事実関係が明らかになった時点でその中間報告をすべきではないか、そういう御質問がありましたので、私は、委員のその御要請は御要請としてあったことを受けとめた上で、そしてどのように早く事実関係を解明して、再発防止、さらには改善、それをやるかということを、しっかりとやっていきますということを述べたということでございます。

後藤(祐)委員 つまり、昨年七月の日報があったのかどうか、いつまであったのかどうかという、予算委員会で膨大な時間をこれによって費やしてしまった、その答弁が変われば予算委員会の時間を返してほしいという話になるものについて、切り離して、早くここに報告することはしないという意味の答弁だと受けとめました。

 大臣、これは予算委員会を何だと思っていらっしゃるんですか。予算委員会の時間をあれだけかけたことについて、大臣の責任、どう考えるんですか。大臣、もしこの二月十四日及び二月十七日の答弁が変わるという結果になった場合には、大臣を辞職されるということでよろしいですか。

稲田国務大臣 私の責任において、徹底的に事実を解明した上で、再発防止、さらには文書の保存のあり方、そして、委員が何度も御指摘になっているところの、仮に自衛隊・防衛省の隠蔽体質なるものがあるとすれば、そこは徹底的に事実を解明した上で改善をしていくということでございます。

後藤(祐)委員 責任をとらないという趣旨だと受けとめました。予算委員会であれだけ時間をかけた、その前提となっている答弁が崩れたとしても、大臣は責任をとらないという趣旨の答弁だと受けとめました。予算委員会って何なんですか。国会答弁って何なんですか。

 舟山さん、参議院でおととい議論がありましたよ。国会の場で確認もせずうそをつく、そして人のせいにする、都合の悪いことは忘れる、記憶にないと言う、これが通じれば何でもありじゃないですか、こういう議論がありました。

 都合の悪いことが後で発覚して、これから調べますと言ったら、何でもありなんですか、大臣。同じじゃないですか、これも。国会における答弁を何だと思っているんですか。この国会における答弁が、ちょっと事実関係が間違った、それはあると思いますよ。ですが、これは予算委員会であれだけ議論した話なんです。

 ですから、この答弁修正があった場合には、あの予算委員会の前提が崩れるわけですから、大臣、責任をとってもらいますよ。これについてはぜひ国民的議論をしていただきたいなと思いますし、この大臣答弁が修正された場合には、予算委員会をやはり徹底的にもう一回やってもらう必要、今、参議院で予算をやっていますけれども、予算の審議はやり直しになるんじゃないですか、そもそも。

 では、大臣、もう一つ聞きます。

 これで、仮に調査をやりますよ。それで、やはり陸上自衛隊にありました、いろいろな隠蔽体質がありました、大変問題でした、陸上自衛隊が信頼を失わせるものでありましたといったときに、大臣はその責任をとられるんですか。それとも、それは陸上自衛隊が悪いのであって、私の責任が全くないとは言わないけれども、私の責任でない部分、全責任をとられるんですか、大臣。つまり、部下のせいにするのか、自分が責任をとるのか、どっちですか。

稲田国務大臣 私は、委員と、これまでも本当にいろいろな論点について議論してきました。私は、それが無駄だと思ったことはないんです。

 そして、その上で申し上げますと、調査の結果、仮に報道されている内容が事実であることが明らかになれば、厳正に対処し、再発防止策を講ずることになると認識をしておりますし、仮に、徹底調査をした上で、防衛省・自衛隊に改めるべき隠蔽体質があれば、私の責任で改善してまいりたいと考えております。

後藤(祐)委員 改善のところについてしか責任を認めないということは、あの予算委員会での答弁が変わった場合でも、その責任は私にはないということですか、今の答弁は。

山口委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

山口委員長 では、速記を起こしてください。

 後藤君。

後藤(祐)委員 予算委員会でもありましたけれども、質問をちゃんと聞いていてくださいよ、時間を使っちゃうんですから。

 結果として、予算委員会の答弁が変わるという結果になった場合には、大臣はその責任をとるんですか。

稲田国務大臣 予算委員会で私は繰り返し申し上げておりましたように、陸上自衛隊の派遣施設隊及び中央即応集団司令部において探索を行った上で、幕僚長から、廃棄済みのため不存在と上申を受けていた、そして、私の指示のもとで再探索をして、みずから公開したところだということを繰り返し述べていました。

 今、この報道の中で問題になっているのが、当初の、破棄済み、不開示というその報告が、それが、内容がどうであったのかどうか、この点について徹底的に事実を解明するということでございます。

後藤(祐)委員 責任をとらないという趣旨だと理解しました。予算委員会に対してどんな責任を負っているのか、これはぜひ世の中の皆さんに御判断いただきたいと思いますが、大臣、調査する機会が今までいっぱいあったんですよ。

 皆さん、クロノロジーに戻っていただきたいと思いますが、四ページ目ですね。

 まずは、十月三日に情報公開の請求があって、十二月二日に不開示決定する前に、これは大臣に上がらないでしょうけれども、役所の中で、これはやはり出さなきゃいけないんじゃないのかなという、まずそこで役所がちゃんと対応するというのが本来の姿です。でも、不開示決定をしてしまった。まず一回目、そこがチャンスだった。ここは大臣はチャンスはなかったと思います。

 十二月十六日、大臣説明して、探索するよう指示とありますが、このときのチェックが甘いということじゃないですか、まずは。少なくとも探索は甘かったわけでしょう、陸自にあったんだとすればですよ。この段階でもっと徹底的に調査すればよかった。

 そして、一月二十七日に、大臣に日報の存在云々と報告があった。そのときに、本当にこれで合っているのか、もっと徹底的に調べなくていいんですか、陸上自衛隊には本当にないんですか、徹底的に調べてください、このときにもチャンスがあったんじゃないんですか。これが大臣にとってのチャンスの二回目。

 そしてもう一回、二月十四日ごろ、調査委員会を設けて徹底的に調べるという議論がありました。これは、予算委員会の与党の理事懇に、そういったものを設ける、設けないという議論があって、防衛省の中では、一度、そういった調査委員会を設けるというような一枚紙をつくって、与党の方に説明をされたやに聞いています。でも、結局これは、うやむやになってしまって、やらなくなってしまった。それについて長妻筆頭理事とも議論をしています。このときに、外部の方を入れてきちっと調査委員会みたいなものを立ち上げるべきではないですかということを私は指摘しています。そして、そのことは、予算委員会の理事会で議論するということにもなっています。

 つまり、大臣は今まで三回既にチャンスがあったんですよ。十二月十六日の探索を指示した段階、一月二十七日に大臣に報告があった段階、そして二月の十四日からその後数日ぐらいの、省内に調査委員会、できれば外部の方を入れてという調査委員会を設けるという段階、それら全てを、結局、徹底的な調査なく今に至っているという責任をどう考えますか、大臣。

稲田国務大臣 まず、この日報は、一年未満、用済み後廃棄というルールの日報でした。なので、そのルールどおり廃棄していたことは、これは全く問題にはなりません。

 その上で、今委員がおっしゃっている、私のチャンスだったと言われる十二月十六日、このとき、私は、とにもかくにも、データだったらどこかにあるかもわからないからとにかく捜して、そしてあるものは全部公表しましょうということを指示したんです。どこにあるとかあそこにあるとか、そういうことではなくて、どこかにはあると思うから、徹底的に調査をして公表しましょうと言って、実際発見をして、統幕ですけれども、発見をして、そして公表するということになったわけです。

 一月二十七日、予算委員会でも、そこから、発見されてから大臣に報告するまでが余りにも遅かったのはなぜか、そこは私も非常に問題だと。なので、これからは大臣に報告を上げるときは完全でなくてもすぐに上げるようにということも指示し、そういったことも再発防止のために指導をしたところです。

 そしてその上で、例えば今回の日報、委員が御指摘になって、最初からあることもわかりました。それから、全部捜して、そしてそれをいろいろなところからかき集めましたけれども、あったので、例えば百日分の分も、普通かかるよりも早く出しましょうということで出したところでございます。

 そういった一連の経過は、すなわち、とにもかくにも、一旦は廃棄、不開示としたものをとにかくあるんだったら公表しようというその一貫した方針で徹底的にやってきたわけであります。そして、請求のあった文書は全部、徹夜の作業で出したところでございます。

 その上で、今回こういう報道がありましたので、その点については、事実関係を徹底的に調査した上で、その中で防衛省・自衛隊に隠蔽体質があるということであれば、ここはしっかりと改善していきたいということでございます。

後藤(祐)委員 今後の体質改善のところについての責任しか大臣はとらない、昨年の七月の日報が実はあったとした場合でもそこは責任をとらない、そういう答弁だと受けとめました。

 大臣、今まで何でこうやっていろいろなことが問題になっているかわかりますか。昨年の七月の日報が発覚したらこれはおかしいんじゃないんですか。これはちゃんと謝って、おかしなことがありましたということを謝って、二度とこういうことはしませんと最初の段階で言えばこんなことになっていないんですよ。それを、びほう策でいろいろな言いわけをし続けるからどんどんどんどん大きくなっていって、森友の方もそうじゃないですか。

 大臣、まず、昨年の七月の日報が陸上自衛隊にいつまで残っていたのかという事実、これだけ切り取って、それについて、できればあしたこの委員会に提出していただくよう、先ほどあしたまでにやらない、期日も言いませんでしたので、委員長にお取り計らいをいただきたいと思います。

山口委員長 理事会にて協議させてください。

後藤(祐)委員 そして、これは大変な問題です。たとえ外部の方が入って議論する、それは大事なことかもしれませんが、この安保委員会としても大変大事な問題であります。集中審議を求めます、委員長。

山口委員長 理事会にて協議します。

後藤(祐)委員 その上で、いろいろなことがだんだん明らかになるでしょう。大臣、これからの改善策とかではなくて、昨年の七月の日報が実はどこかの段階まであったということで、二月十四日及び十七日の答弁を変えなければならなくなった場合に、大臣が責任をとってやめるのか、やめないのかについて、もう一度お話ししてください。

稲田国務大臣 本件、一連の事実関係について徹底的に調査をした上で、そして、防衛省・自衛隊の仮に隠蔽体質があるとすれば、それをしっかりと改善をしていくのが私の責任だと考えております。

後藤(祐)委員 つまり、将来の責任は負うけれども、過去の責任、すなわち、七月の日報が実はあったという結果になった場合であっても、そこについては大臣は責任をとらないという答弁でありました。

 予算委員会って何なんですか。七月の日報は陸上自衛隊にはない、廃棄されているという断定した答弁をしているんですよ。それがひっくり返っても大臣が責任をとらないと言ったら、一体予算委員会では何を信じて議論をすればいいんですか。国会では大臣の言葉がひっくり返っても大臣は責任をとらないとなったら、一体国会で何を信じて議論すればいいんですか。

 大臣、ごまかし続けるからこういうことになるんです。小さいうちに謝るということをしないから、森友でもあんなことになり、この一番大事な日報の話でもこんなことになり、そして最後は部下のせいにするんですか。部下のせいにするんじゃありませんか。

 最後、これら全ての責任を大臣がとるというのが文民統制じゃないですか、シビリアンコントロールじゃないですか。それを陸上自衛隊のせいにしてしまったら、大臣は何のためにいるんですか。陸上自衛隊が変なことを起こさないように大臣がしっかり見張る、それがシビリアンコントロールじゃないですか。それが今まで果たされてきたのかどうかについて、結局、これまでについて大臣が責任を回避するということであれば、今までのところ、大臣はシビリアンコントロールを果たす意思がなかったと私は判断しますが、最後に答弁を求めます。

稲田国務大臣 何度も申しますけれども、この日報は、一年未満、用済み後廃棄、そういうルールが決められていた日報であります。そして、陸上自衛隊で捜索をして、用済み後廃棄なので不開示決定をしたということで私のところに報告が上がってきた。私は、どこかにあるんじゃないのか、たとえ一年未満、用済み後廃棄で陸上自衛隊で廃棄していたとしても、どこかにあるんじゃないのと言って、そして指示をして、徹底的に調査をして、そして公表したんです。

 そして、全ての日報をいろいろなところから集めて、あるということも認めて、今開示請求があるものは、本当に日夜、徹夜の作業で作業して、全て、百日分を超える、七千ページを超える日報を開示しているところでございます。決してシビリアンコントロールがきいていないということはありません。

 だからこそ、今回も、全ての事実関係を徹底的に調査をした上で、委員がおっしゃる、自衛隊・防衛省に隠蔽体質があるのであれば、それを……(後藤(祐)委員「陸上自衛隊」と呼ぶ)陸上自衛隊、自衛隊ですね、もう防衛省全体ですね、徹底的に解明をした上で改善をしていくということが私の責任だと考えております。

後藤(祐)委員 時間が来たので、午前中は終わります。午後、ちょっとやります。

山口委員長 この際、休憩いたします。

    午後零時九分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時二十一分開議

山口委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。後藤祐一君。

後藤(祐)委員 民進党の後藤祐一でございます。

 十分だけ残っております。一つ、森友学園に関して聞きたいと思います。

 稲田大臣は、森友学園の訴訟代理人、一度だけお務めになられたという答弁をされておられますが、この訴訟代理人をされていた十六年十二月、この時点で何件の訴訟を担当していたのでしょうか。また、所属していた弁護士法人光明会は、何人の弁護士がおられて、何件の訴訟を抱えておられたんでしょうか。

稲田国務大臣 まず、当時私が抱えておりました訴訟案件の数については、しっかりと確認をしてお答えをしなければなりませんので今確認中でございますが、十年以上前の記録ということもあり、現時点では確認はできておりません。今般の国会答弁訂正の経緯も踏まえれば、十分に確認をできていない段階でお答えをすることは差し控えたいと思います。

 また、私が出廷した平成十六年十二月九日当時、弁護士法人光明会の前身である西梅田法律事務所には、私と稲田龍示を含む四名の弁護士が所属しておりました。

 当時、事務所全体としての訴訟案件の数については、質問通告を受けて確認中でございますけれども、十年以上も前の記録ということであり、現時点では確認ができておりません。十分に確認をできていない段階でお答えをすることは差し控えたいと思います。

後藤(祐)委員 あしたも外務委員会に防衛大臣は出るそうですから、あしたお答えいただけますか。

稲田国務大臣 平成十六年十二月当時でございますので、今から十三年近く前のことでございます。したがいまして、当時どれだけの数の訴訟案件を抱えていたかどうかということでございますけれども、それについて十分に確認をできない段階でお答えすることは差し控えたいし、時間はかかるというふうに思います。

後藤(祐)委員 確認ができたところで、この安保委員会の理事会に提出していただけますでしょうか。

稲田国務大臣 確認ができた段階で、当時の我が事務所の事件数、それは、訴訟も和解もありますし、交渉中の事案もありますし、相談案件もありますし、さまざまな事件を抱えております、それを全て正確に出すということはなかなか困難だというふうに思います。

後藤(祐)委員 稲田大臣の分だけで結構です。稲田大臣が十六年十二月に何件の訴訟を担当しておられたかだけで結構です。この委員会に提出していただけますでしょうか。

稲田国務大臣 私が何件の訴訟を十三年前に抱えていたかということと、今、森友の事件と、一体どういう関係があるのか、私は大変疑問に思います。また、事件といいましても、非常に複雑なものもあれば、今回の抵当権抹消事件のように事件としては複雑なものではないものから、調停、そして相談案件、さまざまありますので、それを正確にお答えすることは困難でございます。

後藤(祐)委員 大体何件でも結構ですから、この委員会に提出していただけますよう委員長にお取り計らいいただきたいと思います。

山口委員長 これはまず大臣がいろいろと確認して、それを受けての話のように思います。ちょっと私から上から目線で命令する内容ではないような気がしますから、そこはちょっと大臣の作業を私は待たせていただきたいと思うんですけれども。

後藤(祐)委員 これは、マスコミの方がこれから聞いていただければいいかと思いますので、ぜひ私としてはこの委員会に提出していただくよう委員長にお願いをしたいと思います。

 二つ目に行きたいと思いますが、特別防衛監察、私はそれで隠蔽を図るということは大変問題が大きいと思いますが、大臣、この特別防衛監察という制度、きのうきょう知ったんですか、それより前に御存じでしたか。

稲田国務大臣 知っておりました。

後藤(祐)委員 先ほどの二月十四日と二月十七日の答弁、これが今後の議論の仕方、調査の結果によって変わってくる可能性があります。

 変わった場合、大臣が、私は知らなかったという言いわけをしてほしくないんです。全ては大臣の責任なんです。結果として、陸自が日報を持っていたという結果になって、二月の答弁を修正しなければいけなくなった場合、私は知らなかったという言いわけはしないと約束していただけますか。

稲田国務大臣 まずは、今回の一連の事案に関してしっかりと徹底的に事実の調査をした上で、そして、委員が御指摘になっているような防衛省・自衛隊の隠蔽体質ということがあるのであれば、私の責任において徹底的に改善するということに尽きるということでございます。

後藤(祐)委員 大臣の責任をやはりとりたくないんですね。

 その場合、私は知らなかったといって誰のせいにするんですか。現場の自衛隊員のせいにするんですか。大臣には何回かチャンスがあったんですよ、先ほど言ったように。そのチャンスを逃して、予算委員会から、外部の方を入れて調べたらどうかと私は提案しました。その三回目のチャンスも逃して、大臣はやらなかった。大臣の責任ですよ、これは。

 いつ何が出てくるかわかりませんが、そのときに部下のせいにする、そんな防衛大臣は文民統制を果たしているとは思えません。そのことをよく考えた上で大臣の責任を考えていただきたいと思います。

 ところで、きのうのNHKの報道というのは、制服組からのリークだと言われています。このことについてどう思いますか、大臣。

稲田国務大臣 まず、文民統制がきいているからこそ、私の指示に従って徹底的に捜して公表したんです。そして、この日記は、日誌は……(後藤(祐)委員「日報です」と呼ぶ)日報は、一年未満、用済み後廃棄のルールにのっとって廃棄して不開示したというものを、指示に従って公表したんです。そういう意味において、私は、文民統制はきいていると思います。

 その上で、昨日のあの報道の一連の事実関係については、徹底的に調査をするということでございます。

後藤(祐)委員 先ほど、七月の日報について、陸自にあったのか、いつまではあったのかということについては、その後の隠蔽体質ですとかそれをどう改善するかという話とは切り離して、まずこの委員会に提出するようにということについては、与党の筆頭理事から防衛省に対して指示が行っていると聞いております。

 いつここに出せるのかということについて、この委員会がいつやるかはともかく、理事懇に、理事会にいつ出せるのかということについて、提出することをお約束いただけますか。

稲田国務大臣 今回の一連の事案に対して、特別防衛監察において徹底的に事実解明をし、できるだけ早く報告を出したいというふうに考えております。

後藤(祐)委員 七月の日報があったのか、なかったのかというこの一点を切り出して、その一点について、いつまでにこの安保委員会に、理事会に出していただけるのかということすら隠蔽をする。大臣、いつまで隠蔽するんですか。傷口を広げるばかりですよ。ぜひ政治家としての責任を、防衛大臣としての責任を果たすようお願い申し上げて、終わります。

 ありがとうございました。

山口委員長 次に、横路孝弘君。

横路委員 きょうは、稲田大臣に、あなたの歴史観とかあるいは教育観とか、そういうことを主に御質問しますので、自分の言葉でお答えを、考えを率直に言っていただければというように思います。

 一つは、籠池前理事長がテレビで発言されるのを見たんですが、稲田大臣とは志を同じくする同志であるという発言をされておられました。今ではなくて多分昔のことなんだろうと思いますが、同じくした志というのはどういうことだったんでしょうか。

稲田国務大臣 籠池氏がどういう趣旨でそのような発言をされたのかわかりませんので、お答えする立場にはありません。

横路委員 前に、籠池さんが経営している幼稚園のことを、教育勅語を子供がみんな暗唱しているんだというので、行ってみたらと勧めたことがありますでしょう。しかも、御主人は籠池さんのところの顧問弁護士もやっていた、同じ大阪だと。だから、例えば日本会議なら日本会議という場での同志としての連帯感みたいなものをあるいは向こうは持っていたんじゃないんですか。

稲田国務大臣 私の今、記憶に基づいて御答弁いたしますが、その幼稚園に行ってみたらと勧めたという記憶がなく、また、私自身は行ったことはありません。

 そして、日本会議、私も日本会議で講演をしたり、また、そういった活動の場に行ったことがございますので、それを見てとか、また、私が弁護士時代に行っていた訴訟などをごらんになって、そのように感じられたのかもわからないというふうに思います。

横路委員 それでは、教育勅語についてお尋ねしますが、その前に、お渡しした、出兵及び言論統制やテロなどに関する歴史という年表がありますよね。これをちょっと見てください。

 この年表は、最初の出兵が台湾出兵です。一八七四年から太平洋戦争が終わるまで、大体この間、七十一年間なんですね。この七十一年間に、十五回の出兵、それから、日清、日露、日中、太平洋戦争と、四回の戦争が行われています。

 教育勅語が一八九〇年ですよね。そこからずっと、日本の歴史というのは、これは、出兵した記録と、それから表現の自由をいかに取り締まってきたかというようなこと、あるいは起きたテロとかクーデターとかいうようなことをまとめて私がつくった年表でございます。これを見ると、大体、明治、大正、昭和前期の七十一年間の歴史がはっきりします。

 それで、大臣は、教育勅語を、道義国家を目指す精神は日本として取り戻すべきだという発言、評価をされておりますが、問題は、教育勅語が、戦前の日本軍による戦争や侵略行為の中でどんな役割を果たしてきたかというのが大事なんですね。

 大臣は、昭和の日本が軍事化を進め、軍事国家となっていった中で、教育勅語がどんな役割を果たしたかというようにお考えでしょうか。

稲田国務大臣 本件は、防衛大臣の所管ではなく、お答えする立場にはありません。

 ただ、私が今まで、森友学園に関して、国会の中で教育勅語について累次質問され、お答えしてきたのは、「父母ニ孝ニ、兄弟ニ友ニ、夫婦相和シ、朋友相信シ、」など、今日でも通用する普遍的な内容を含んでいるということを答弁してきたところでございます。

 教育勅語を戦前のように教育の唯一の根本理念として復活させるべきとは考えておりません。

横路委員 自分の管轄じゃないから答弁できないというのはおかしいので、今の自衛隊というのは、戦前の日本軍のさまざまやった過ちや失敗を教訓として今日あるわけでしょう。今日あるわけですよね。ですから、もちろん、戦前の歴史がどうなのかということは、自衛隊のやはり責任者としては、その認識は非常に大事だと思いますよ。

 教育勅語というのは、治安維持法のもとで、国民教育の思想的な基礎として神聖化されていったんです。教育勅語の写しは御真影とともに奉安殿に保管されて、生徒には全文を暗唱することが強く求められたんですね。特に、一九三八年に国家総動員法が制定されますと、その体制を正当化するために利用される形で、軍国主義の教典として利用されてきたんです。

 だから、今お話のあった十二の徳目の初めの話は、これは当たり前の話であって、いつの時代でも、どこでも、こうであるべきだという話だと思いますよ。だから、そこに特徴があるわけじゃなくて、この十二番、「一旦緩急アレハ、義勇公ニ奉シ、以テ天壌無窮ノ皇運ヲ扶翼スヘシ。」ここがやはり一番のポイントで、そこで、わざわざ御真影とともに奉安殿に保管して、生徒が暗唱する、こういうことになったわけですよ。そう思いませんか。

 このことをどう受けとめられますか、そういう扱いをされたということについて。

稲田国務大臣 教育勅語に関してどのように解釈するかは、防衛大臣の所管ではなく、お答えは差し控えたいと思いますけれども、教育勅語を戦前のように教育の唯一の根本理念として復活させるべきとは考えてはおりません。

横路委員 教育勅語について、戦後、衆議院と参議院での国会の決議もありました。それは後で御質問しますが、戦後の教育基本法に至る経過のところをちょっと御紹介したいと思うんです。

 昭和二十年、終戦の年ですね、幣原喜重郎さんが総理大臣をやったときに、安倍能成さんが文部大臣になりました。日本の教育制度の改革のためにといって、アメリカから使節団がやってきたんですね、そのときにどういう挨拶をしたか。

  始むべからざる戦争を始め、継続すべからざる戦争を継続して、今日の悲惨を招くにいたったのは、歪んだ日本の教育にその一因がある。日本の教育改革が絶対に必要であることは天下の世論である。その改革の方向は、たんに軍国主義、過激国家主義を払拭するのみでなく、なぜ軍国主義、過激国家主義に軽々しく染まったか、その基礎を深く反省しなければならない。その反省には、日本的なものとか、アメリカ的なものかという区別はあり得ないわけで、真の人類的な、高邁の理想に基づいて進まなければならぬ。

そして、来たその使節団に対して、

  日本は、過去における占領政策において極めて多くの失敗をした。朝鮮において、満州において、中国において、南方においてもしかりである。それは、その国の伝統と実情を無視し、自分勝手な政策を力をもって強いたからだ。私は米国に対して、衷心より、日本の犯した失敗を、米国が日本に対して繰り返さないことを祈る。

こういう挨拶をして、使節団の団長が立ち上がって握手を求めたというような光景がございました。

 そこで、戦後の教育基本法の制定に当たっては、どういう人が中心になったか。田中耕太郎、天野貞祐、芦田均、南原繁、安倍能成、こういう人たちが担当したんですね。こういう人たちは、戦争中、命をかけてリベラリズムの思想を守った人たちです。思想の幅は非常にあるけれども、その一点で、戦争に対しては非常に厳しい意見を持っていた人たちです。リベラリズムの思想というのは、人間の尊厳を守り、魂の自立を支え、市民的自由が最大限に確保できるように、社会的、経済的制度を模索して、社会的、政治的運動なり、学問研究を展開することを意味しているんです。

 田中耕太郎さんは何と言ったか。ファシズム国家も、共産主義国家も、そして日本の軍国主義のもとにおける教育も、教育が国家に奉仕する目的とされた、しかし、教育はやっぱり国家の奴隷ではなかったんだと述べられています。したがって、戦後の日本にできた教育基本法は、一人一人の人格の形成を目指して、平和的な国家と社会の形成者として育成するということになったんですね。

 この田中耕太郎さんの意見についてはどう思われますか。

稲田国務大臣 先ほど御答弁いたしましたように、教育勅語を戦前のように教育の唯一の根本理念として復活させるべきとは私も考えておりません。国会の中で答弁してきましたのは、その中にも、夫婦仲よくとか、兄弟仲よく、友達仲よく、それから、世界から尊敬される国を目指しましょう、そういう部分において、今も普遍的なものはあるということであります。

 また、先ほど委員が御指摘になりましたように、教育勅語については、日本国憲法及び教育基本法の制定等をもって法制上の効力が喪失しているということを承知いたしております。

横路委員 今、この田中耕太郎さんの話を紹介しましたが、教育というのは、やはり国家の奴隷ではないんだ、一人一人の人間の人格を形成することなんだ、こういう点についてはどう思いますか。

稲田国務大臣 教育はまさしく一人一人の人格を形成するものである、その点については全く同意をいたします。

横路委員 そこで、お渡しした資料の四ページのところに、衆議院の決議と参議院の決議がございますので、それを見てお答えいただければと思います。

 衆議院の決議は、「民主平和国家として世界史的建設途上にあるわが国の現実は、その精神内容において未だ決定的な民主化を確認するを得ないのは遺憾である。これが徹底に最も緊要なことは教育基本法に則り、教育の革新と振興とをはかることにある。」しかし、なお、今日も、その教育勅語が指導原理としての性格を持っているかのように誤解されるのは残念だというようなことが書かれています。戦後のことでございますよね。

 したがって、これらの根本的理念が、教育勅語ですよ、主権在君並びに神話的国体観に基づいているという事実は、明らかに基本的人権を損ない、かつ、国際信義に対しても疑点を残すものとなるということで、教育勅語というのはどうだったかということで、ここで明確に衆議院の決議としてあります。

 この点はどうですか。教育勅語の根本理念というのは、あなたが言ったように、親を大事にしようとか友達を大事にしようという話ということより以上に、根本的理念がここにあるんだということを決議しておりますが、この点どう思いますか。

稲田国務大臣 先ほど申し上げましたように、教育勅語を戦前のように唯一の根本理念として復活させるべきなどということは全く考えていないということでございます。

横路委員 つまり、教育勅語が当時衆議院の決議にあるような側面を非常に持っていた、それが戦争をずっと遂行してきたことになっているという思いから、新しい教育基本法をつくろうというふうに変えたわけでしょう。その点は御理解できますか。

稲田国務大臣 教育勅語について、日本国憲法及び教育基本法の制定等をもって法制上の効力が喪失していると承知しております。

 御指摘の昭和二十三年の衆議院本会議における教育勅語等排除に関する決議では、憲法九十八条の本旨に従い、教育勅語等の詔勅を排除し、その指導原理的性格を認めないことを宣言したものと承知をいたしております。

横路委員 そして、今度は参議院の決議です。参議院の決議は、「教育基本法を制定して、わが国家及びわが民族を中心とする教育の誤りを徹底的に払拭し、真理と平和とを希求する人間を育成する民主主義的教育理念をおごそかに宣明した。」「しかし教育勅語等が、あるいは従来の如き効力を今日なお保有するかの疑いを抱く者あるをおもんぱかり、われらはとくに、それらが既に効力を失つている事実を明確にする」というぐあいに、その当時の話ですよ。しかし、これが残念ながら、大臣のように、今になっても教育勅語にこだわっておられる方がおられるわけですから。

 この意味はわかりますか。最初の方は、要するに、戦前のこの日本社会、そのありようの間違い、根本になった教育の誤りを徹底的に払拭して、真理と平和を希求する人間を育成するんだ。しかし、今なお教育勅語にとらわれている人がいるというのがこの一九四八年六月の参議院の決議なわけですよ。

 とらわれているのは、あなた、今でもとらわれているんじゃないんですか。

稲田国務大臣 とらわれているということではなくて、教育勅語の中に書かれているものの中には、今にも普遍的な価値、すなわち、親孝行、兄弟仲よく、夫婦仲よく、友達を大切にする、高い倫理観で世界から尊敬されるなど、そういうものはある。そういういいものは残す。まさしく不易と流行ということだという趣旨で述べたところでございます。

 いずれにいたしましても、教育勅語の解釈は防衛大臣の所管ではなく、お答えは差し控えたいですけれども、教育勅語を戦前のように唯一の根本理念として復活させるべきとは考えておりません。

横路委員 別にあなたに教育勅語の解釈を求めているわけじゃないんです。教育勅語というものが戦前の日本の社会の中でどういう役割を果たしたのかということなんですよ。

 そして、その親に孝行というのは、何も教育勅語を引かなくたっていいじゃないですか。そのことを言えばいいわけで、わざわざ教育勅語を引用して、そして御説明されるから、あなたの目指しているのはやはり教育勅語下の社会なんだということになるわけでしょう。

 安倍内閣は、この間の施政方針演説のとき、この七十年間、それで、次の七十年を見据えて憲法を改正して新しい未来をつくろうというお話をされたでしょう。

 先ほどの出兵と言論統制の歴史を見てもらいたいんですが、戦前の七十年間は、先ほども言ったように、十五回出兵しているんですよ。四回戦争をやっているんですよ。そして、表現の自由は、ここに書いてあるように、いろいろ規制になりました。これは大日本帝国憲法下の七十一年です。

 戦後の七十年というのは、日本国憲法のもとにあって、一発の弾丸も撃たず、一人の戦死者も出さなかった七十年でしょう。どっちの七十年がいいんですか。つまり、これからの七十年は、どっちの七十年を選択されますか。

 教育勅語というのは、その戦前の七十年間の象徴なんですよ。それをあなたにわかってもらいたくて私はこういう質問をしているんです。

稲田国務大臣 総理が所信の中で触れられていること、そして、委員が御指摘になったように、戦後の日本の歩みは、まさしく、一つの国も侵略することなく、一つの戦争をすることもなく、平和で安定した国家を築いてきた、世界で最も平和な国を築いてきたという誇りを持って、気概を持って、そして、今、現行憲法のもとで、憲法が許す範囲において、日本が積極的に世界の平和にも貢献をしていく。そして、力による変更ではなく、法と秩序、そして普遍的な人権や自由やそういったものを、価値観を共有する国々と協力をして平和な世界を築いていこう、そういう方針でございます。

横路委員 つまり、我々は、今お話あったように、この七十年間というのは、日本として世界に誇るべき時代だったんですよ。その前の七十年間は、戦争があったりして非常に大変だった、人々の基本的人権もいろいろな制限を受けたというのは、今の年表に書いてあるとおりですよ。

 そうすると、これからの七十年間も、昔に戻るんじゃなくて、やはり今までのこの七十年間の平和をベースとしてやっていかないといけないということをあなたに伝えたかったわけであります。

 もう一度この歴史年表を見ればわかるように、こういう戦争をするにはどんな体制が必要なのかというと、これを見るとおわかりのとおりです。まず教育ですよね。教育勅語は一八九〇年です。教育勅語のもとで、子供たちに、天皇に尽くし、美しく散ることが唯一の価値だと教え込んだわけですよ。国家に報じて、国家のために、国のために死ぬということのできる人間をつくるというのが、客観的に言うと、やはり教育勅語の果たした役割なんですよ。

 それから同時に、これを見ると、情報管理体制のための秘密保護法を制定して、そして国民に情報を提供しない、秘密を保護する、知ろうとする者は厳しく刑罰を科す体制ができていますよね。治安維持の体制であります。治安維持法もだんだん強化されて、戦争に反対する発言や行動はどんどん取り締まりをされていくんです。

 私のところの北海道で、つづり方教室の事件と図画事件というのがあります。釧路で行われた図画事件というのは、炭鉱夫の日常生活を描いた絵が今の社会を暗く描いているというので、治安維持法違反で教員が逮捕されているんですよ。作文だって、別に大したことを書いたわけじゃないけれども、お父さんがいなくなって大変だというようなのを書いた作文が、これは戦争に反対しているというので、逮捕されているわけですよ、現実の問題として。そして、最後には国家総動員法の体制。その間、テロやクーデターもあって、軍事国家になっていったわけですね。

 この年表を見てどのように考えられますか、受けとめられますか、さっと見ていただいて、この七十年間。ぜひ感想を聞かせていただきたい。

稲田国務大臣 戦後七十年の節目に総理が談話を出されました。そのときも、まさしく今委員が御指摘になったように、日本の軍部の暴走を、民主主義が、すなわち政治がとめることができなかった歴史についてはしっかりと反省もし、さらに、戦後の平和な歩み、これについて誇りを持ち、そして、我が国を取り巻く厳しい環境の中で、しっかりと、力ではなくて、法の支配による平和の構築を目指さなければならない、このように感じているところです。

横路委員 大臣は、従来、日本はこれまで、戦後レジームの中核をなす東京裁判史観に毒されてきているせいで、歴史認識について言うべきことを言わず、なすべきことをしてこなかった、むしろ、言うべきでないことを言い、すべきでないことをしてきたといって、その典型が河野談話と村山談話だというふうに言われています。今もそのお考えですか。

稲田国務大臣 さきの大戦についての認識は、平成二十七年八月十四日に閣議決定された内閣総理大臣談話で述べられたとおりでございます。

 防衛大臣として、そうした歴史的な事象についての独自の評価を述べる立場にはありません。その内閣総理大臣の談話のとおりだというふうに認識をいたしております。

横路委員 その認識はずっと持ち続ける認識になりますか。個人の意見は別だけれども、今は内閣の一員だからそれに従っていますという御答弁ですか、今の答弁は。

稲田国務大臣 私は、基本的に、七十年談話で、総理がさまざまな有識者の意見を聞かれてまとめられたあの談話の認識に、共通の認識を持っているということでございます。

横路委員 過去の御発言では、南京事件と従軍慰安婦の問題を扱った発言がございます。大分世の中にも間違って河野談話などを受けとめている方がいるようなのでちょっと御説明しますと、従軍慰安婦の問題というのは、かなり日本軍もあちこち広がりましたから、それに伴ってふえているんですね。

 陸軍省の課長会議の資料という昭和十七年、一九四二年の九月三日の資料を見ますと、中国の北支に百カ所、中支に百四十カ所、南支に四十カ所、南方に百カ所、南海に十カ所、樺太に十カ所、合計四百カ所あると言われているんです。

 問題は、強制したのかどうかということなんですが、オランダ女性慰安婦強制事件に関するバタビア臨時軍法会議の判決とオランダ政府の報告書というのが出ています。これは正式な報告書です。

 オランダは、第二次大戦後、オランダやジャワのバタビアを初め十二カ所の臨時軍法会議を開設して、日本人及び日本人に使用された外国人の戦争犯罪を裁いたんですね。件数で四百四十八件、人員で千三十八人、そのうち二百三十六名が死刑判決を受けています。うち十人は減刑になっています。このうち、強姦の起訴人員が十人、売春の強制が三十人いるんですよ。オランダ政府の報告書は、約六十五人のオランダ女性が強制的に売春を強いられたと結論づけています。

 判決文を見ますと、軍隊の責任者は、オランダ人の入っている収容所に行って女性を引っ張り出して、そして軍の慰安婦のところに連れていって、強制的にさせているわけですよ。それの責任者も死刑になっていますよ、これは。

 だから、従軍慰安婦の問題について、強制されたことはないとか、河野談話が間違っているということはないんです。河野談話は、何も韓国のことだけを言っているわけじゃなくて、全体のことを言っている談話ですからね。それもぜひこれからよく調べて、軽率な発言をしないでください。

 それから、南京事件。

 南京事件は、参考になるのは、石射猪太郎という当時の外務省の、今で言えばアジア局長のような立場に立った人の「外交官の一生」という中央公論文庫がございます。それから、彼の日記が国会図書館にございます。それをちょっと紹介しますよ。

  南京は暮れの一三日に陥落した。わが軍のあとを追って南京に帰復した福井領事からの電信報告、続いて上海総領事からの書面報告が我々を慨嘆させた。南京入城の日本軍の中国人に対する掠奪、強姦、放火、虐殺の情報である。憲兵はいても少数で、取り締りの用をなさない。制止を試みたがために、福井領事の身辺が危いとさえ報ぜられた。

ということの話があって、一九三八年の一月六日の日記に、

  上海から来信、南京に於ける我軍の暴状を詳報し来る。掠奪、強姦、目もあてられぬ惨状とある。嗚呼これが皇軍か。日本国民民心の頽廃であろう。大きな社会問題だ。

と。

  南京、上海からの報告の中で、最も目立った暴虐の首魁の一人は、元弁護士の某応召中尉であった。部下を使って宿営所に女を拉し来っては暴行を加え、悪鬼の如くふるまった。何かいえばすぐ銃剣をがちゃつかせるので、危険で近よれないらしかった。

  私は三省事務局長会議で度々陸軍側に警告し、広田大臣からも陸軍大臣に軍紀の粛正を要望した。軍中央部は無論現地軍を戒めたに相違なかったが、あまりに大量な暴行なので、手のつけようもなかったのであろう、暴行者が、処分されたという話を耳にしなかった。当時南京在留の外国人達の組織した、国際安全委員なるものから、日本側に提出された報告書には、昭和一三年一月末、数日間のでき事として、七十余件の暴虐行為が詳細に記録されていた。最も多いのは強姦、六十余歳の老婆が犯され、臨月の女も容赦されなかったという記述は、殆んど読むに耐えないものであった。その頃、参謀本部第二部長本間少将が、軍紀粛正のため現地に派遣されたと伝えられ、それが功を奏したのか、暴虐事件はやがて下火になっていった。

  これが聖戦と呼ばれ、皇軍と呼ばれるものの姿であった。私はその当時からこの事件を南京アトロシティーズと呼びならわしていた。暴虐という漢字よりも適切な語感が出るからであった。

  日本新聞は、記事差し止めのために、この同胞の鬼畜の行為に沈黙を守ったが、悪事は直ちに千里を走って海外に大センセーションを引き起こし、あらゆる非難が日本軍に向けられた。わが民族史上、千古の汚点、知らぬは日本国民ばかり、大衆はいわゆる赫々たる戦果を礼讃するのみであった。

というのが、担当した当時の外務省のアジア局長の日記なんですよ。

 だから、大臣も何か南京事件にかかわる一場面について裁判にかかわられたというようなことがあったようでございますが、全体として、まあ、人数が何人かというようなことはいろいろ議論はあるにしても、やはり大虐殺が行われたというのは事実なんですよ。だから、そこを否定してしまったら、やはりそれは一人の国会議員としても大事なことなので、南京事件と従軍慰安婦、きょうまでも随分発言されていますから、こういう資料に基づいて提起をして、そのことはまた改めて、もし疑問でしたらこの本を読んでみていただきたいというように思いますが、感想はどうですか。

稲田国務大臣 さきの大戦についての認識は、平成二十七年八月十四日に閣議決定された内閣総理大臣談話で述べられているとおりでございます。防衛大臣として、今先生がお述べになった個別の事象についての独自の評価を述べる立場にはありません。

 なお、私も、弁護士時代から、客観的事実が何かということをもとに訴訟もしてきたということでございます。

横路委員 訴訟もやっておられるというのを聞いたから、南京事件のことをお尋ねしたんです。

 それで、防衛大臣として、戦後の自衛隊というのは、やはり戦前の軍隊の反省に基づいて、それを教訓として今日までやってきているわけですよ。

 戦前の日本軍の一番の間違いというのはどこにあったと思いますか、あるいは日本社会の。

稲田国務大臣 先ほど述べました総理談話を出すに当たっての有識者会議などでも述べられておりましたけれども、旧憲法下においては、統帥権独立として、軍の作戦などに関する事項について内閣や議会の統制の及び得ない範囲が広く認められておりました。

 また、同じく旧憲法下において、一時期を除き、軍部大臣現役武官制として、陸海軍大臣は現役軍人でなければならなかったため、事実上軍の意向に沿わなければ軍がその大臣を引き揚げたりなどして内閣が成立せず、軍の賛成がなければ、国策を立てたり、これを遂行することができなかったことなどから、軍が不当に国政に影響を与えていた。すなわち、政治が統制がきかなかったというところに非常に問題があるというふうに思います。

横路委員 それは今大臣のお答えのとおりなんです。要するに、政治が軍部をコントロールできなかったわけですよね。この統帥権は、本当にもう、軍のいろいろな行使、例えば作戦やそのほかについて議会に対して責任を負わない、議会に対して説明しなくてもいいんだ、こういうことがやはり一番大きな問題だったわけです。それから、今言った軍部大臣現役武官制というのもありますよ。これも大きい問題なんですよ。

 それに関連して、ちょっと話は飛ぶんですが、自民党の憲法改正案の中に、六十六条の二かな、今の憲法は「内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない。」と書いてありますよね。それで、自民党の改正案は「内閣総理大臣及び全ての国務大臣は、現役の軍人であってはならない。」ということで、退役した人間ならいいように変わっていますよね。

 つまり、この六十六条の二項というのは、やはり、戦前の日本社会、政治が軍部をコントロールできなくて、軍部によって支配されたという反省のもとにできた規定なんですよ、この六十六条の二項は。それを変えてしまった。つまり、今、総理大臣の談話を引用されたけれども、さっぱり反省していないんじゃないかと思いますが、この自民党の改憲案についてどう思いますか。

稲田国務大臣 今、自民党の憲法草案の解釈をする立場にはありません。

 現在、憲法に関する議論については、国会に憲法審査会が設置されており、新しい時代にふさわしい憲法のあり方について各党の参加のもとで幅広い合意を求めて真摯な議論が行われ、広範かつ十分な国民的議論が盛り上がることを期待しております。

 その上で、やはり戦前の反省に立てば、しっかりとシビリアンコントロールがきくという体制でなければならないと考えております。

横路委員 では、そのシビリアンコントロールが本当にきいているかどうかということで、先ほど来議論がありました、南スーダン派遣施設部隊日報に関する経緯という資料がありますよね、お渡ししました。これを見て私が率直にちょっと疑問に思った点を二、三お尋ねいたします。

 一つは、まず、情報開示請求は九月三十日に防衛省に開示請求が出たわけですよね。そして、それが十月二日までには日報破棄となっていますけれども、この日報の破棄というのは、情報開示請求があってからやったんですか、開示請求がある前にやったんですか。これがちょっと必ずしも明確でないので、お答えいただければと思います。わかりますよね、質問の意味。

稲田国務大臣 この日報が、一年未満、用済み後廃棄、そういう取り扱いになっていたため、日報を作成した施設部隊において、その日報を作成し、そしてそれを中央即応集団に報告して破棄していたというふうに認識していたところでございます。

横路委員 この資料を見ると、十月二日までに日報破棄になっているんですよ。だから、これは、今大臣がおっしゃったようなことじゃなくて、開示請求が出たから破棄したんじゃないんですか。そして、情報開示請求の正式受理は十月三日となっています。しかし、出したのは九月三十日に出しているわけですから、防衛省はわかったでしょう、開示請求が来たよと。それで、十月二日までに全部破棄して、三日に情報公開請求を受理したように形を整えたんじゃありませんか。

稲田国務大臣 本件日報のように、保存期間が一年未満とされて、短期間で用済みとなって廃棄される文書については、文書管理規則上、廃棄した期日を記録することとはされておりません。

 その上で申し上げれば、昨年七月七日から十二日までの日報は、文書管理者である中央即応集団司令部防衛部長のもと、昨年十月三日の開示請求日より前に適切に廃棄されたとの報告を受けております。

 その上で、昨日のNHKの報道があり、一連の情報開示請求に係るこの日報の取り扱い等について、事実関係を徹底的に調査をするということでございます。

横路委員 いや、それはいいんだけれども、九月三十日の開示請求が出たから慌てて消したんじゃないんですかと言っているんです、この日にちを見たら。そして、十月三日に請求受理になっていますよ、正式受理には。答弁は、十月二日までに、わざわざその前の日の二日までに破棄をしましたという答弁なんですよ。

 わからなければ後で調べて報告してくれれば結構ですが、それでよろしいですか。

稲田国務大臣 今の日付の点も含めまして、その点については確認をします。答弁の確認をいたします。

 その上で、昨日の報道を受けて、この間の事実関係についてはしっかりと事実調査をするということでございます。

横路委員 十月三日に開示請求を受理してから、開示をしませんよという決定が十二月の二日ですよね。なぜこんなに二カ月もかかるんですか。

 まあ、七千ページあったとか言っていましたが、七千ページあったって、何人かでやればこんなにかかることはないんじゃないんですか。大体二カ月ぐらいかかっていますよ。どうしてこんなに時間がかかったんですか。時間がかかった理由を説明してください。

稲田国務大臣 情報公開法上、三十日以内、そして業務の都合で一回延期ができるというふうになっているかというふうに思います。

 年間で四千五百件ぐらいの情報開示請求が防衛省に参ります。そして、今回公表したものでもそうですけれども、一件で百日分の日報、一件で七千ページの日報ということもあるわけであります。

 今回、業務の都合上、一回延期をして、十二月二日に回答したということでございます。

横路委員 それは、たくさんあっても、何が重要かというのは判断するわけでしょう。国会だってやがて始まるわけで、いろいろと議論もされるだろうと。二カ月かかったというのは私はよくわかりませんね、それは。人数が足りないとか、そういう話ですか。だって、七千ページあるといったって、それは何人かでやれば、そんな二カ月もかかる話じゃないと思いますよ。

 それからもう一つ、今度は、大臣の方から再調査を指示したのが十二月十六日で、その結論が出たのが十二月二十六日ですよね。報告があったのが一月二十七日で、年末年始を挟んでいますが一カ月かかっている。これもどうしてなんですか。

稲田国務大臣 十二月十六日に、規則に従って日報は破棄して、破棄のため不開示にしたという報告を受けましたので、私は、どこかにあるのではないか、そして、あればそれを公表するようにと指示をしたところでございます。

 今委員御指摘のように、見つけたのが十二月の二十六日で、私に報告したのが一月の二十七日で、その間一カ月もかかったというのは大変私も時間がかかり過ぎだと思います。その点については厳しく指導し、そして、完全なものでなくてもすぐに事実を報告するようにということを指示しているところでございます。

横路委員 大臣、どうしてどこかにあるんじゃないかと思ったんですか。

稲田国務大臣 まず最初に思いましたのは、日々苦労してつくっている日報を本当に破棄したのかなという素朴な疑問です。さらには、電子データということなので、どこかにあるのではないかというふうに、弁護士としても、さらには一国民としても、経験則に照らしてそう思い、そして、捜索して、あれば公表するようにと指示をしたということでございます。

横路委員 大臣がそんなに関心があるならば、これは、一カ月も待たないで、どうなったんだという催促をするのが普通じゃないか、関心が本当にあったんだろうかということを言う方がいますけれども、どうですか、それは。

稲田国務大臣 その間、年末年始、さらには、海外視察、出張が三回入っていたところでございます。私も、あの日報はどうなったのかなと思いながら、そして一カ月がたって報告を受けたということでございます。それだけ捜索に時間がかかったのかなと当時は思ったところでございます。

横路委員 戦前からの教訓として、文民統制、つまり政治が軍事をコントロールすることが一番大事だということになりましたよね。だから、今、防衛省の中は文官と軍人の連中がいるわけで、コントロールするのは、あなたの本当に責任を持ってやらなければいけない仕事なわけなんですよ。非常に重要な仕事なわけです。

 今質問した点、特に情報公開の受理から不開示決定まで二カ月かかったことも、どうしてそれだけかかったのか、ほかを優先させて後回しになったせいなのか、人が足りないせいなのか、それも一緒に分析してください。この一カ月間、受け取ってからあなたの報告に一カ月かかって来るのだって、これを大臣に上げていいかどうかということを余りそんたくしてやると、結局それは間違えるんですよ。これを持っていったら総理大臣がいい顔しないんじゃないかなんといって情報を上げなかったら大変でしょう、これは。同じことが防衛大臣にも、この情報を持っていっても、防衛大臣はどうかな、わからないかもしれないからやめちゃおうかなんということでも困るわけですよ、これは。

 だから、そこはしっかり、特に防衛省の中は、二〇一五年ですか、法改正があって、文民よりもむしろ軍人がいろいろな物事の決定について力を持つように変わったというような、運用計画の作成義務が統幕へ移って文官の発言力が少し低くなったなんということも言われているわけなので、今回のこの日報の問題については、いろいろな諸問題、指摘されている諸問題についてしっかり整理をして、そして結論を出して、その上で、あなた自身は自分の責任をどうするかをお考えください。どうですか。

稲田国務大臣 今委員から御指摘になった、まさしくシビリアンコントロールの問題、さらには、昨日のNHKの報道を受けて、防衛省・自衛隊に仮に隠蔽体質があるとすれば、そこはしっかりと改善してまいりたい。そのためにも、まずは、事実関係の調査を徹底的に行いたいと思っております。

横路委員 ちょっともう時間がありませんので、最後に、今回の北朝鮮の事態について、同盟調整メカニズムを活用して日米間で緊密に連携してやっていくんだという御答弁がありました。

 同盟調整メカニズムのベースは、共同運用調整所、これは日本側も米軍も軍人同士ですよね、それから各自衛隊の部隊の調整所というようにあります。こういう機能が作動している、作動させたということなんですか。

稲田国務大臣 新ガイドラインのもとの同盟調整メカニズムは、平時から緊急事態までのあらゆる段階における自衛隊及び米軍の活動に係る政策面、運用面の調整を強化し、適時の情報共有、共通の情報認識の構築、維持等を図るものであり、平時から利用可能なものとして、調整の必要が生じた場合に適切に即応できるようにいたしております。

 今般の北朝鮮の弾道ミサイル発射に関しても、日米間では、同盟調整メカニズムを活用しながら緊密に連携をしているところでございます。

横路委員 もう既にこれは設置されたわけですね。一番の基本となるものだ。

 それから、時間がないからもう一つ。

 共同計画の策定という課題ももう一つあるんですが、それもやはり具体的作業に入っているんでしょうか。

稲田国務大臣 同盟調整メカニズムは、既に設置をされ、緊密に連携をしているところでございます。

 また、共同計画についてですけれども、新ガイドラインのもとで、日米両政府は、我が国の平和と安全に関連する緊急事態に際し、自衛隊と米軍がより緊密に連携して適切に対応できるよう、それぞれの政府の関係機関を包含する共同計画策定メカニズムを活用し、平時から、共同計画の策定、更新を行い、その成果を最大限活用することといたしております。

 なお、この計画の内容等の詳細については、事柄の性質上、お答えを差し控えます。

横路委員 やがて国務長官も来ますし、2プラス2も行われるわけでしょう。アメリカの方は、対北政策の見直しをやっていましたよね。それが大体結論が出ているころです。それを持ってこられるんじゃないかと思うんですね。そのテーブルには、武力行使から対話まで幅広くあるということなわけです。

 何とか平和的に解決できる努力をやはり防衛大臣としてもしっかりやってもらいたい。武力行使をして、それに自衛隊が協力するなんということに絶対にならないように、その点を申し上げて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

山口委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 まず最初に、南スーダンの日報問題、伺っていきます。

 南スーダンのPKO派遣部隊が日々作成していた日報が、統合幕僚監部だけでなく、陸上自衛隊に残っていたことが報じられました。

 これまで防衛大臣は、陸上自衛隊には再調査によって日報はなかったという説明を繰り返してきたわけですが、防衛大臣は、これまでの答弁が虚偽だった可能性が出てきたことについて、その責任をどのように認識しておられますか。

稲田国務大臣 開示請求されていた昨年の七月分の日報については、陸上自衛隊の派遣施設隊及び中央即応集団司令部において探索を行った上で、幕僚長から私に対し、廃棄済みのため不存在と上申を受けておりました。

 そこで、私は、私の指示のもとで再探索を行い、統合幕僚監部において発見し、みずから公開し、それによって情報公開への対応としては適切であったと繰り返し申し述べてきたところでございます。

 今申し述べてきたところについて、私が虚偽答弁を行ったということではないというふうに思います。

赤嶺委員 結果として、大変自信ありげに、陸上自衛隊にはなかったと断定的に答弁、振る舞ってきたわけですから。しかし、きのうの報道の結果、陸自にあると。私たちは、その可能性についても予算委員会でも指摘をしてまいりました。笠井委員の質疑もありました。

 結果として、やはり虚偽答弁だった、防衛大臣が知ってか知らずか、そういうことではなくて、虚偽答弁だったということは、そうなっているんじゃないですか。

稲田国務大臣 まず、この日報が、一年未満、用済み後廃棄ということで、ルールに従って廃棄することは何ら違法なものでもありません。

 したがいまして、陸幕から私に対し、廃棄済みのため不存在という報告を受けて、私は、ルールどおりに廃棄したものというふうに思い、しかしながら、どこかにあるのではないか、本当に廃棄済みなのかという再捜索をかけて、そして統合幕僚監部で発見をし、公表をしたということでございます。

赤嶺委員 今回、日報のデータが残っていたとされる研究本部は、陸上自衛隊のさまざまな活動、作戦から今後の教訓を引き出すための研究を行う機関です。当然、データが残っている可能性が高い部署であるわけですが、そういう認識のもとに再調査をやったんですか。

稲田国務大臣 どこにあるかというような、そういう認識ではなくて、大切な日報だし、電子データだったらどこかにあるんじゃないのという、そういう経験則に基づいて指示をしたということでございます。

赤嶺委員 残っている可能性が高いところはどこかという認識も持っていなかったのかというぐあいに言わざるを得ません。

 さらに重大なことは、陸上自衛隊にデータが残っていたことがわかった一月中旬に、これまでの説明と矛盾するため、外部に公表しないことを決め、二月になって、データを消去するような指示が出されたと伝えられていることです。

 防衛大臣は、午前中の審議で、私が破棄を指示したことはないと答弁したそうですが、改めて聞きます。

 本当に一切指示をしたことはないのか、あるいは大臣以外の誰かが指示したことはないのか、その点はいかがですか。

稲田国務大臣 私が強いて指示したということは全くありません。

 その上で、昨日の報道を受けて、まずは陸上幕僚長に事実関係の確認を指示しましたが、報道されている内容が仮に事実であるとすれば、防衛省・自衛隊に対する国民の信頼を大きく損ないかねないものであることから、本件については、私の責任のもと、陸上自衛隊から離れた独立性の高い立場から徹底した調査を行わせることが重要だと考え、元検事長を長とし、現役の検事も勤務する、大臣直轄の防衛監察本部に特別防衛監察の実施を指示したところです。陸上自衛隊には、その特別防衛監察の実施に全面的に協力させることといたしております。

 徹底的に調査をして、防衛省・自衛隊に改めるべき隠蔽体質があれば、私の責任で改善をしたい、このように考えております。

赤嶺委員 防衛省・自衛隊の幹部に指示をした者がいたかどうか、これは特別防衛監察を待たないでも確認できるんじゃないか、私はそう思いますよ。その点は確認したんですか。

稲田国務大臣 昨日、まずは陸上幕僚長に事実関係の確認をいたしましたが、しかし、独立性の高い立場から徹底した事実確認、徹底した調査をすることが私は重要だと考え、大臣直轄の防衛監察本部に特別防衛監察の実施を指示したということでございます。

赤嶺委員 陸幕長に確認をして、陸幕長はどういう答えだったんですか。

稲田国務大臣 いずれも昨日の夜のことでございますので、最終的に、特別防衛監察の実施を指示し、陸上自衛隊には、それに全面的に協力せよという指示をしたところでございます。

赤嶺委員 陸幕長には、報道が事実であるかどうか確認しなかったんですか。いかがですか。

辰己政府参考人 きのうの夜のことでございます。大臣の方から陸幕長に、事実関係の確認、事実関係をよく確認するように指示をしております。

 一方で、この問題が非常に国民の信頼を大きく損ねかねない、こういうこともございますので、陸上自衛隊から離れた独立性の高い立場から調査を行うことが重要と考え、大臣の責任のもと、直轄の防衛監察本部、ここのトップは元検事長でございますし、検事もおりますので、ここに特別防衛監察の実施を大臣から指示いたした、そういうところでございます。

赤嶺委員 私、大臣に聞いているんですよ。

 陸幕長にその報道は事実であるかどうか、まず、ここを聞きますでしょう。すぐ監察本部をつくりましょうという話にならぬでしょう。

 だから、そういうことを聞かなかったんですか。聞いて、陸幕長はどう答えたんですか。

稲田国務大臣 陸上自衛隊による確認内容も含めて、報道された一連の内容について、公正性、正確性を期するため、防衛監察本部による特別監察を行うことを考えており、一定の時間を要することは御理解をいただきたいと思います。

赤嶺委員 やはり、聞いていて不思議ですよね。

 最初、この報道に接したときに、陸幕長に、この報道は本当かどうか、陸幕長は知っているか、知っていないか、まず、その質問を発するんじゃないですか。陸幕長、監察本部をつくりましょうという話にはならないですよ、話の順序として。

 陸幕長に聞いて、陸幕長はどんな返事をしたんですか。

稲田国務大臣 陸幕長自身は、報道でも答えているように、日報の電子データが残っていたという話は聞いていない、司令部を捜した上で、なかったという部下の報告を信じるしかないと話しているということでございます。

 しかしながら、今、陸幕長に対して事実確認、そして、陸上自衛隊における確認内容も含めて、報道された一連の内容について、公正性、正確性を期するため、防衛監察本部による特別監察を行うことを考えておりまして、一定の時間を要することは御理解をいただきたいと思います。

赤嶺委員 大臣も知らない、陸幕長も知らない。防衛省以外に、官邸からそうした指示があったことはありませんか。

稲田国務大臣 委員、そうした指示とはどういう指示でしょうか、申しわけありませんが。そうした指示の内容。

赤嶺委員 陸上自衛隊にデータが残っていることを隠して、そして公表をしないという一連のNHKの報道ですよ。そういう指示を防衛省が知らないというなら、官邸からそういう指示があったという可能性がないかどうか。当然それも調べるわけですよね。いかがですか。

稲田国務大臣 今のような話を聞いたことはありません。

赤嶺委員 防衛監察本部が特別防衛監察を行うと言いますけれども、これも防衛大臣直轄の組織であります。防衛省設置法二十九条は、本部長である防衛監察監は、防衛大臣の命を受け、監察を行うと規定しております。

 今問われているのは、防衛大臣以下、防衛省・自衛隊の組織ぐるみの隠蔽があったのではないかという点です。

 午前中にも要求があったようですが、私も、沖縄防衛局から内部告発があったときに、そういう事の是非を調べるのではなくて、犯人捜しの方向に向かっていった経験を持っています。やはり、監察本部がつくられているから、そこで事実の解明を行うということではなくて、事は防衛省・自衛隊で起こったことですから、この安保委員会が特別に重視をして臨まなければいけない問題だと思います。安保委員会において真実は明らかにされるべきだと思います。

 午前中、後藤筆頭からも集中審議が求められておりますが、委員長、この点についての集中審議を強く求めていきたいと思います。いかがですか。

山口委員長 後刻、理事会にて協議をさせてください。

赤嶺委員 それでは次に、三月の八日、沖縄の金武町、宜野座村周辺で、米軍ヘリが物資つり下げ訓練中に、つり下げていたタイヤを落下させる事故を引き起こしました。地元の住民と行政区、自治体が危険なつり下げ訓練の中止を繰り返し求めていたにもかかわらず、訓練を再開し、しかもこのような事故を引き起こしたことは極めて重大であります。

 防衛大臣は、先週の当委員会で、照屋議員も質問しておられましたが、事故原因については調査中と述べました。あれから一週間です。一週間経過して、事故原因はわかったんですか。

深山政府参考人 お答え申し上げます。

 三月八日に発生いたしました、ヘリからの、これはタイヤが落下した件でございますけれども、このタイヤが落下した原因については、先週当省からお答え申し上げましたとおり、現在まだ調査中でございまして、その原因については、我々はまだ回答を得ておりません。

赤嶺委員 落下させたタイヤ、これはどういうタイヤだったのか。大きさや重量はわかりますか。

深山政府参考人 お答え申し上げます。

 米側から得た情報によりますと、このときつり下げており、落下したタイヤでございます、これは一個であったと最終的に聞いておりますが、これは七トンのトラックタイヤであったと聞いております。

赤嶺委員 七トンのトラックタイヤ、タイヤ自身が七トンということですか。(発言する者あり)だから正確なことを聞いているんだよ。

深山政府参考人 七トントラック用のタイヤであると認識をいたしております。

赤嶺委員 わからないことは聞かないと。

 米軍は、タイヤを落下させた具体的な場所、これは特定できましたか。

深山政府参考人 お答え申し上げます。

 米軍からは、このタイヤを訓練場内、提供施設内で発見したという連絡を受けておるところでございますが、具体的に個別の発見場所につきましては、我々は入手しておりません。

赤嶺委員 事故から一週間が経過して、基本的な事実関係さえいまだに説明されない。納得できるものではありません。

 私は、先日、事故現場の近くに行ってきました。米軍がつり下げ訓練に使うのは、人の背丈ほどもあるタイヤだそうです。そんなものが人の上に落ちれば、命にかかわる重大事故になることは明らかです。

 米軍は、タイヤを落下させた場所は施設・区域内だ、このように説明しているようですが、配付資料をごらんになっていただきたいと思います。

 これは、金武町議会の事務局が作成した資料です。米軍がタイヤを捜索していた場所が赤丸で示されています。その北側、上の方がキャンプ・ハンセンです。事故現場のすぐ近くには、その資料に書いてありますが、金武町のごみ処理場や清掃センターがあります。当然、そこで働く人たちがいますし、粗大ごみを届けに来る住民もたくさんいらっしゃいます。宜野座村側には、泉さんという方が、着陸帯から三百八十メートルのところに住んでおります。

 防衛大臣に伺いますが、施設や区域内といっても、事故が起きたのはフェンスの外であります。すぐ近くには、入り組んだ形で公共施設や民家があります。そうした住民の生活の場で危険な物資つり下げ訓練が繰り返され、今回の事故が起きたということは認識されておりますか。

深山政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたとおり、我々は、個別にはまだ落下地点の情報を得ておりませんが、先生が配付されました資料の近辺には、御指摘のとおり、金武町ごみ処理場、こちらは既に返還されて施設ができているところでございます、あるいは金武地区清掃センターがあるというのは事実でございます。

 米軍による訓練に当たりましては、当然のことながら、公共の安全に妥当な配慮を払うのは当然のことでありまして、防衛省としては、引き続き、米軍と密接に連携を図りながら、安全面には最大の配慮を求め、地元の皆様に与える影響が最小限にとどまるように適切に対応してまいりたいと考えております。

赤嶺委員 いや、あなたはさっき、施設内、区域内、このようにおっしゃっておりました。

 これは、何でそこに赤丸がついているかというと、落下直後に米兵がたくさん捜索に入っている場所なんですよ。それは民間も出入りできる場所ですから、目撃者はたくさんいるわけですよ。タイヤが落ちていないところに、あれだけの米兵が落下直後に集まるはずないじゃないですか。みんなが、米兵が捜索で集まっていた場所です。ここは施設の中だった、区域の中だったという説明で済まされるはずはないと思いますよ。

 大臣、いかがですか。

深山政府参考人 今申し上げましたが、確かにこの地域に、先生の御指摘のとおりで、ごみ処理場あるいは清掃センターというものにつきましては、当省もかつて補助金を出して設置した施設であります、その詳細を承知しておりますし、御指摘のように、ごみ関係施設等に搬入する車両または人がそこにいるというのも我々も承知しておるところでございます。

 したがいまして、落ちて発見された場所は提供施設・区域内であると聞いておりますけれども、いずれにしても、そうした地理的関係もありますので、引き続き、安全に最大限の配慮をするように米側に働きかけていくということをいたしたいと考えております。

赤嶺委員 安全に配慮するように米軍に働きかけていくということなんですが、今回の事故現場周辺というのは、こういう落下事故が起きたのは初めてではありません。

 一九九三年九月には、つり下げ訓練中のヘリが七・五トンのクレーン車を地上六十メートルから落下させる事故を引き起こしました。

 防衛省、この事実関係についても把握しておりますか。

深山政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘の、一九九三年、平成五年の九月に、キャンプ・ハンセン内の着陸帯周辺においてクレーン車が落下するという事故があったものと承知しています。これは、米軍ヘリが墜落の危険を避けるため、高度約二百フィート、約六十メートルでございますが、つり下げていたクレーン車を切り離した、そしてこのクレーン車が落下したものと承知しております。

 当時の報道等を見ますと、クレーン車は施設・区域内にやはり落下して、直接の人的被害、物的被害はなかったものと聞いております。

 しかしながら、先ほど申しましたように、こうしたことが起きないように、米軍にも安全に最大限の配慮をするように当時も求めてまいったところでありますが、今後もさらに求めてまいりたいと考えております。

赤嶺委員 当時も求めたけれども、今回繰り返されているということですよね。先ほどの資料をごらんいただければわかりますように、問題になっているのは、ファルコンという着陸帯を使って訓練を行うことになります。ここは施設・区域内だけを飛行するということはできません。必ず公共施設や民家の上空を飛行することになります。そこでの物資つり下げ訓練は危険きわまりないものです。

 先日十三日、金武町長と宜野座村長がそろって沖縄防衛局長に抗議の要請を行いました。つり下げ訓練を直ちに中止し、民間地域近くにあるヘリパッド、ここではファルコンですが、を閉鎖することを求めました。

 防衛大臣、こうした切実な声に応えるべきだと思いますが、いかがですか。今までの答弁のように、安全に配慮するように米軍に何度言っても聞かないから、村長も町長も、これはもう着陸帯を撤去してくれ、つり下げ訓練をやめさせてくれ、こういう強い要求であります。防衛大臣、いかがですか。

稲田国務大臣 米軍の航空機の運用に当たっては、公共の安全に配慮を払うのは当然のことです。

 今般の一連の飛行については、周辺住民に大きな不安を与えたことを否定できず、米軍に対し申し入れを行ったところでございます。

 地元の皆様に与える影響が最小限にとどまるよう、適切に対応してまいります。

赤嶺委員 さっきの深山局長の答弁と何も変わらないですね。安全に配慮するのは当然のことですとここで何度言っても、配慮していないんですから。アメリカは、米軍は約束を守らない、これが米軍のやり方なんです。着陸帯の撤去、それ以外にないということを強く申し上げておきたいと思います。

 次に、南西諸島への自衛隊配備にかかわって聞いていきます。

 まず、前回、十日の委員会で、米軍のニコルソン四軍調整官の発言にかかわって、キャンプ・ハンセンや沖大東島射爆撃場などの自衛隊による米軍基地の共同使用の実態について質問をいたしました。

 引き続き聞いていきますが、ホワイトビーチでも自衛隊による共同使用がふえています。海上自衛隊、陸上自衛隊の双方について、どのような目的でホワイトビーチを共同使用し、使用回数はどのように推移しているのか、明らかにしていただけますか。

深山政府参考人 お答え申し上げます。

 自衛隊は、昭和四十七年の沖縄本土復帰と同時に、日米地位協定第二条四項(a)に基づきまして、米軍専用施設であるホワイトビーチ地区の共同使用を開始いたしました。

 これまでの経緯を申し上げますと、昭和四十七年から、海上自衛隊が船舶の係留のため桟橋を含む港湾施設用地を使用し、昭和五十五年から、ホワイトビーチ地区に隣接する海上自衛隊沖縄基地隊の運用のため海上自衛隊が警衛所等用地として使用し、昭和五十八年から、沖縄沿岸部での海洋環境把握のため海上自衛隊が海洋観測施設用地として使用し、さらに、平成四年から、ホワイトビーチ地区に隣接する陸上自衛隊勝連分屯地の給水施設等の老朽化により、新たな給水施設等の設置を行うため陸上自衛隊が給水施設用地として使用しております。

 また、平成二十五年に海上自衛隊による桟橋の使用を行っているところですが、これは、昭和四十七年から海上自衛隊が共同使用していた米軍の桟橋の幅員が狭く、物資の積みおろし作業の安全性の確保に問題が出たことなどから、平成十七年に拡幅整備されたことを受けまして、この部分を新たに共同使用するといった措置もとっております。

 また、陸上自衛隊の訓練についてもお尋ねがあったところですが、ホワイトビーチ地区における陸上自衛隊の訓練については、これまで、日米地位協定三条に基づいて、米側の施設及び区域を使用して行っております。漕艇訓練、上陸訓練などを実施しております。

 実績につきましては、平成二十三年、十二日、平成二十四年、四十七日、平成二十五年、四十四日、平成二十六年、二十五日、平成二十七年、十七日、平成二十八年度は二月末までで十一日の使用を行っているところでございます。

赤嶺委員 南西諸島への自衛隊配備について議論する上で、改めて、沖縄の自衛隊の成り立ちからこの問題を考えてみる必要があるのではないかと思います。

 沖縄は、一九五二年のサンフランシスコ講和条約第三条によって小笠原、奄美とともに本土から切り離され、戦後二十七年間にわたって米軍の施政権下に置かれました。

 沖縄に自衛隊が初めて配備されたのは、一九七二年の本土復帰のときでした。復帰に当たって、いつ、どのように、どのような自衛隊の部隊を配備するかについて日米間で取り決めたのが、一九七一年のいわゆる久保・カーチス協定です。

 防衛省、この協定が締結された経緯、その内容について説明していただけますか。

岡政府参考人 お答え申し上げます。

 御質問がありました取り決め、これは、昭和四十六年六月二十九日に取りまとめられました「日本国による沖縄局地防衛責務の引受けに関する取極」と呼ばれておりますけれども、この取り決めは、昭和四十七年の沖縄返還に先立ち、米軍から自衛隊への沖縄局地防衛の任務の引き受けが円滑に行われるよう、我が国が引き受ける局地防衛の責務の内容、引き受けの時期、自衛隊部隊の展開等の段取りについて事務的に確認したものというふうに承知をしております。

 経緯等でございますけれども、まず、昭和四十四年十一月十九日から二十一日にかけまして行われた当時の佐藤総理とニクソン大統領との間の会談におきまして、佐藤総理から、復帰後は沖縄の局地防衛の責務は日本自体の防衛のための努力の一環として徐々にこれを負うとの政府の意図を明らかにされました。

 これを受けて、翌年、昭和四十五年になりますけれども、五月十九日、日米安全保障協議委員会におきまして、日本側から、沖縄返還後に備えた自衛隊の配備等についての交渉を開始すべきことを提案し、米側がこれに同意をいたしました。

 この交渉につきましては、日本側は久保卓也当時の防衛庁防衛局長でございますけれども、米側はカーチス海軍中将が担当をいたしまして、沖縄復帰後における自衛隊の展開の日本側計画に関し、両防衛当局間で必要となる調整事項について討議をいたしたところでございます。

 この討議の結果につきましては、昭和四十六年六月二十九日の日米安全保障協議委員会で了承され、これを受けて、同日、本取り決めが締結されたところでございます。

赤嶺委員 久保・カーチス協定、これに沿って、それまで沖縄で米軍が行っていたレーダーサイト、対領空侵犯措置、地対空ミサイル、そして海上哨戒などの任務や装備が自衛隊に引き継がれました。

 具体的に、いつ、どのように米軍から自衛隊に引き継がれたんですか。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 先ほどの委員の御質問でございますが、昭和四十七年五月の沖縄返還以降でございますが、沖縄におけるスクランブル、いわゆる対領空侵犯措置につきましては、昭和四十八年一月から、臨時第八十三航空隊、戦闘機F104をもちまして航空自衛隊が開始をいたしました。

 レーダーサイトの運用につきましても、昭和四十八年七月一日までに、逐次米軍から航空自衛隊に移管されました。

 また、ナイキ及びホークの地対空誘導弾部隊につきましても、昭和四十八年七月一日に、自衛隊が沖縄県における防空任務を開始いたしました。

 海上哨戒でございますが、昭和四十八年一月から、海上自衛隊が対潜哨戒機P2Jをもちまして沖縄周辺海域におきます海上哨戒任務を開始したところでございます。

赤嶺委員 もともと米軍が運用していたレーダーサイトを自衛隊がそのまま引き継いだということは、そのレーダーサイトで捉えた航空機などの情報は米軍にも共有されていたということですか。

 委員長、盛りだくさんなので、ちょっと時計をとめていただいて。

山口委員長 では、時計をとめましょう。

    〔速記中止〕

山口委員長 速記を起こしてください。

 防衛省辰己総括官。

辰己政府参考人 質問通告がなかったので、今、手持ちに資料はございません。後ほど確認をいたします。

赤嶺委員 質問通告はメモで出しているはずですが、レーダーサイトを自衛隊が引き継いで、そのレーダーサイトで捉えた情報は米軍にも共有されているということなのか、そして今はどうなのか、この点について後でちゃんと報告をしてください。

 沖縄の自衛隊の任務は、今も、那覇基地の戦闘機部隊による対領空侵犯措置や、与座岳、宮古島、久米島、沖永良部島を含めてのレーダーサイトの運用など、当時と同じ任務を担っているんですね、アメリカが持っていたときの任務と。もともと米軍が担っていた任務の中の一部を今も自衛隊が担っている、そういうことになりますね。いかがですか。

高橋政府参考人 委員おっしゃいましたように、いわゆる対領空侵犯措置、海上哨戒、防空任務ということで、基本的には米軍の任務を自衛隊が引き継いだ、そういう認識でございます。

赤嶺委員 私、この質問を準備する上で、沖縄に自衛隊が配備されて米軍の任務を引き継いでいく過程について研究した論文を幾つか見てみました。

 それらによりますと、米軍は、一九五〇年代から、ソ連の爆撃機による奇襲攻撃を恐れて、早期警戒レーダーや要撃戦闘機、地対空ミサイルなどで構成される防空システムを幾重にも設けておりました。大陸防空システムと言われ、占領下の沖縄にも関連部隊が置かれていました。当時のアメリカ太平洋軍の中心的な任務は、太平洋地域を経由する脅威からアメリカ本国を防衛することで、フィリピン、台湾、沖縄、日本を防衛ラインに位置づけておりました。沖縄はキーストーンと言われていたことを我々も覚えております。

 ところが、一九五七年に旧ソ連がスプートニクの打ち上げに成功したことで、爆撃機よりもICBMの脅威が優先課題となり、そのもとで大陸防空の予算は削減をされていきました。さらに、ベトナム戦争の泥沼化、国防予算削減のもとで、日本に沖縄の防衛任務を肩がわりさせることが沖縄返還交渉に当たってのアメリカ側の中心的な方針の一つでした。

 この点について、防衛省はどのように認識しておられますか。

岡政府参考人 お答え申し上げます。

 御質問は、沖縄返還に至った米側の事情、背景といったようなところについての御質問かと思いますけれども、沖縄の返還に当たりましては、昭和四十四年十一月の佐藤総理大臣とニクソン大統領との間の共同声明が発表されておりまして、これによりまして、沖縄の返還が決定をされたということが表明されているわけでございます。

 この共同声明の中におきましては、日米両首脳から、沖縄の施政権の日本への返還は、第二次大戦から生じた日米間の主要な懸案の最後のものであり、その双方にとり満足な解決は、友好と相互信頼に基づく日米関係を一層固めるゆえんであり、極東の平和と安全のために貢献されることも大なるべきことを確信する旨が披瀝されているというふうに承知をしております。

赤嶺委員 佐藤総理から始まったことだとおっしゃっていますが、最近、アメリカ政府の対日政策という文書が解禁されました。その文書の中では、日本に対し、沖縄に関連するコミットメントを要求すると明記しています。アメリカの側から要求しているんですね。

 一九六九年の第一ラウンドの会談では、アメリカ側は日本に沖縄防衛を引き受けることを要請し、日本はそれに同意しています。その流れの中で、さっきの佐藤総理の話が出てくるわけです。

 沖縄に自衛隊が配備された背景には、日本に沖縄の防空や海上哨戒の任務を肩がわりさせるという米側の方針があったということではないですか。

岡政府参考人 お答え申し上げます。

 昭和四十四年の佐藤総理とニクソン大統領の共同声明の中には、ちょっと一節を読み上げさせていただきますけれども、「総理大臣は、復帰後は沖縄の局地防衛の責務は日本自体の防衛のための努力の一環として徐々にこれを負うとの日本政府の意図を明らかにした。」ということが書いてありまして、まさにそういう認識のもとに日米間で協議が行われたものというふうに理解をしております。

赤嶺委員 沖縄における米軍の役割というのは、まさにアメリカ本国を守るための軍事施設であったわけですよね。ところが、ベトナム戦争やあるいはさっきの大陸防衛という役割が終わった中で予算が削減されていく、そういう中で、アメリカが自分たちの役割を肩がわりさせるという経過があったと思います。

 沖縄の自衛隊をめぐる状況は、二〇〇〇年代後半から大きく変化をします。日米両政府は、アメリカの世界的な米軍再編の一環として、二〇〇五年十月に、米軍と自衛隊の役割、任務、能力について合意をいたしました。そこでは、いわゆる島嶼防衛についてこのように述べています。「日本は、弾道ミサイル攻撃やゲリラ、特殊部隊による攻撃、島嶼部への侵略といった、新たな脅威や多様な事態への対処を含めて、自らを防衛し、周辺事態に対応する。これらの目的のために、日本の防衛態勢は、二〇〇四年の防衛計画の大綱に従って強化される。」このように述べております。

 確認しますが、この合意の前に、島嶼防衛は日米どちらの任務になっていましたか。

岡政府参考人 お答え申し上げます。

 日本の領土、領海、領空、この防衛というのは、当然のことながら、我が国の任務ということであろうというふうに理解します。

赤嶺委員 政府は、沖縄で事件、事故が起きるたびに、米軍は日本の防衛のために駐留している、こう強調するわけですよ。

 なぜ島嶼防衛は、米軍ではなく、自衛隊の任務とされたんですか。

岡政府参考人 お答えいたします。

 島嶼防衛がなぜ我が国の任務とされたのかというお話でございますけれども、我が国の領土、領海、領空を守ることは、これは当然のことながら、我が国として取り組むべきことであるというふうに思っております。

赤嶺委員 当然が当然であれば、こんな質問にはならないと思いますけれどもね。

 二〇一五年の日米新ガイドラインにおいても、島嶼防衛は自衛隊の任務に位置づけられています。「自衛隊は、島嶼に対するものを含む陸上攻撃を阻止し、排除するための作戦を主体的に実施する。必要が生じた場合、自衛隊は島嶼を奪回するための作戦を実施する。このため、自衛隊は、着上陸侵攻を阻止し排除するための作戦、水陸両用作戦及び迅速な部隊展開を含むが、これに限られない必要な行動をとる。」こう述べております。一方、米軍の任務については、「米軍は、自衛隊の作戦を支援し及び補完するための作戦を実施する。」このように書いてあるだけです。

 島嶼防衛というのは海兵隊が一番得意とする分野ではないですか。なぜ米軍は、あれだけの海兵隊を沖縄に置いていて、一番得意な島嶼防衛、これを、自衛隊の作戦を支援するだけなんですか。

岡政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国の防衛、これは当然のことながら我々の任務ということになるわけでございますけれども、一方で、日米安保条約に基づきまして日米が共同対処をするというような中で、先ほど委員から御質問がありましたようなさまざまな協議を通じて、日米間の役割、任務について協議を行ってきている。その結果として、先ほどございましたような2プラス2の共同文書のような形で、国民にも明らかにする形で発表しているということでございます。

赤嶺委員 ガイドラインでは、空域防衛、弾道ミサイル攻撃対処、海域防衛、陸上攻撃いずれについても米軍は自衛隊を支援するだけ、こうなっています。九七年のガイドラインでは、それぞれの箇所で打撃力の使用という言葉が出てきますが、新ガイドラインでは、領域横断的な作戦で初めて出てくるのみであります。それも、「打撃力の使用を伴う作戦を実施することができる。」できるとなっているだけですね。九七年のガイドラインでは、それぞれの該当部分で、「打撃力の使用を伴うような作戦を含め、自衛隊の能力を補完するための作戦を実施する。」このようになっていたわけですよ。

 実施するから、何で実施できるに変わったんですか。

岡政府参考人 お答え申し上げます。

 日米防衛協力のための指針、いわゆるガイドラインにつきましては、もう委員よく御存じのとおり、改定を重ねてきているわけでございますけれども、これは、その時々の国際情勢、我が国を取り巻く周辺環境情勢というものを踏まえて、さまざまな協議を行った上で改定を行ってきております。

 その個々の書きぶりについて今御説明できる準備は必ずしもございませんけれども、そうした中で、この日米の同盟関係の中で抑止力、対処力を向上させていこうということで、そうした政策的な文書を取りまとめているということでございます。

赤嶺委員 一番大事なポイントになる、核心になる言葉だと思いますよ。それを説明できないと言って済ます問題ではないと思います。

 アメリカは、今、イラクでも、結局、自国は後ろに下がって、そしてイラクの軍隊を前面に出していく、このような戦略に変わってきています。まさにアメリカの、今、あのイラク戦争、アフガニスタン戦争を経て戦争で疲弊したアメリカが、なるべく戦争の前面には出ない、その国の、同盟国の軍隊を前に出していくというような流れ。これについてこれからもちょっと質問していきますが、ただ、きょうは時間がありませんので。

 今、政府は、与那国島、奄美大島に続いて、宮古島、石垣島に自衛隊を配備しようとしています。そうしたもとで、来年度予算には、沖縄県における医療拠点のあり方について検討を行うための経費を計上しています。

 これは何のための検討なのか、具体的に何を検討するのか、説明していただけますか。

塚原政府参考人 お答えいたします。

 防衛大綱、今次中期防におきまして南西地域の防衛体制を強化する方向が示されておりまして、当該地域における衛生体制の強化につきましても検討を行っていく必要がございます。

 このため、防衛省におきましては、南西地域における緊急時の医療体制や、自衛隊病院、医務室等の保持、整備に係る諸課題を検討しているところです。

 その一環といたしまして、緊急時の医療体制や医療拠点の具体的なあり方の分析、検討を進める必要があるため、平成二十九年度予算案におきまして、必要な調査経費約二千万円を計上しているところでございます。

赤嶺委員 緊急時の医療体制というのは何ですか。

塚原政府参考人 緊急時と申しますのは、自衛隊が任務を与えられて遂行するというような事態を想定しております。

赤嶺委員 つまり、先島諸島が戦場になることを想定して、負傷兵の医療体制を前線に近いところでどう構築するか、そういう検討であります。

 実際、昨年十一月には、キャンプ・コートニーで、宮古島を戦場に見立てて、水陸両用作戦に焦点を当てた日米共同の指揮所演習が行われています。

 先島諸島が戦場になることを想定してさまざまな検討を行っていますが、そのとき住民はどうなるんですか。

辰己政府参考人 当然、我が国に対する武力攻撃でありますとか緊急事態の場合において、自衛隊がその排除といいますか、自衛隊の戦力を使って排除することがあると思いますが、当然ながら、我々にはその際に、国民保護派遣という任務もございます。したがって、国民保護派遣命令が出されれば、それによって住民の避難に、我々も遂行しますし、当然、その場合には、市町村あるいは警察機関、そういうものと一緒にそういう住民避難に対応してまいりたいと考えています。

赤嶺委員 それは可能ですか。

辰己政府参考人 基本的には、各県あるいは市町村が、今、国民保護計画をつくることになっております。したがって、そういう計画に基づきまして、我々との間で共同でどういう対応をするかということを、よく市町村ともあるいは県とも自衛隊それから関係機関が協力してやっていくのが必要だと考えています。

赤嶺委員 二〇〇八年に宮古島市が国民保護計画を作成しております。それによりますと、可能な限り全住民の避難を視野に入れた体制を整備する、このように言っています。可能な限りでしかないわけです。

 大体、五万五千人の全住民をどのように避難させるか。現実にはできる話ではありません。弾道ミサイル攻撃についても国民保護計画の中に出ていますが、発射された段階で攻撃目標を特定することは極めて困難である、全ての市に着弾する可能性があり得る、こう言って、住民は屋内に避難することが基本、このように言っています。

 結局、国民保護などというのは不可能で、住民への被害は避けられない、そういうことではありませんか、緊急事態の場合には。

辰己政府参考人 緊急事態の状況というのはいろいろなケースがあると思います。今先生がおっしゃったミサイル防衛もございますし、当然そのほかの事態というのもあると思います。それぞれのいろいろなパターンに対して、やはり、政府としても市町村としても、いろいろな事態を想定して計画をつくり、訓練を行うなど、迅速に避難できるよう努力していくことが必要だと考えています。

赤嶺委員 できない話をできるかのように言い立てて、それで一度戦端が開かれてしまったら住民に甚大な犠牲が出ることは絶対避けられないんですよ。そのことを肝に銘じるべきであります。

 南西諸島の問題は、軍事対応を強めて緊張を高める方向ではなく、冷静な話し合いと交流でお互いの信頼を高めていく努力を強めるべきです。

 戦争中、向こうにいた日本軍はみんな餓死ですよ。戦わずして餓死ですよ。離島に人が住むということは、戦争になるということはそういうことなんです。食料も届かない、餓死した兵隊が多いようなところで、国民保護計画をつくったら安全に避難できますなんて、そんなことは二度と口にしてほしくはないと思います。

 そこで、防衛省は、配備予定地の一つである千代田カントリークラブの用地取得を今年度内に完了させる方針であることが報じられています。しかし、昨年問題になった大福牧場だけでなく、千代田カントリークラブへの配備をめぐっても、周辺の地下水脈に影響を与える可能性があることから、市の地下水審議会の委員三人が審議会の開催を求めています。審議会の開催は委員の三分の一の請求が必要ですが、現在委員は八人で、開催要件を満たしているとのことです。

 防衛省は、拙速に用地買収を進めるのではなく、また、大福牧場の二の舞を踏むようなことではなく、まずは審議会の結論を待つべきだと思いますが、いかがですか。

高橋政府参考人 御質問の宮古島千代田カントリークラブへの陸上自衛隊警備部隊の配置でございますが、周辺の地下水脈に影響を与える可能性があるということで、宮古島市地下水審議会の委員の方三名が、審議会会長宛てに地下水審議会の開催を求めているという報道があることは承知してございます。

 宮古島市地下水審議会でございますが、同市の地下水保全条例に基づきまして、水道水源保全地域におきまして多量の水を排水する事業などの対象事業を行う場合に開かれると承知しておりますが、現在我々が計画している計画は、水道水源保全地域外に計画しているところでございます。

 いずれにせよ、宮古島市地下水審議会は宮古島市が開催されるものであるため、防衛省としては、その開催の当否につきましてコメントする立場にございませんが、宮古島市への警備部隊等の配置につきましては、今後とも宮古島市とよく調整して、理解を得ていきたいというふうに考えてございます。

赤嶺委員 千代田カントリーの場所について防衛省がどういう認識を持とうと、地下水審議会が開かれて、地下水に影響を与えるとなったら、向こうは地下水しかない島ですから、そういう命の水に影響を与えるような建築が許されるはずはないんですよ。誰も認めません。だから、地下水審議会を待つべきだと思います。

 この間、宮古と石垣の住民と一緒に防衛局に要請してきたものの一つに、千代田カントリークラブの地元集落の一つである野原部落が、沖縄防衛局長に次のような要請を出しました。

 航空自衛隊宮古島分屯基地が国防に貢献する基地であることを理解し、基地と野原部落は良好な関係を維持していましたが、大型輸送ヘリによる騒音、風圧振動等の深刻な基地被害の拡大に我慢できず、民家に隣接するヘリポート施設について市長並びに防衛局へ改善策を要求し、八年が過ぎておりますが、その後、何ら解決策も示されないどころか、貴局は新たな基地建設を押しつけ、これまでの協力関係を裏切られたと憤慨しております。

 これに対して、どう答えられますか。

山口委員長 高橋整備計画局長、短くいきますか。

高橋政府参考人 委員の御指摘の問題でございますが、いずれにしても、航空機騒音と住民の方々の安全、安心に配慮し、騒音対策について、必要なものについてきちんと行っていくという方向で考えてまいりたいと思ってございます。

赤嶺委員 終わります。

山口委員長 次に、吉田豊史君。

吉田(豊)委員 日本維新の会、吉田です。どうぞよろしくお願いいたします。

 きょうの委員会の中で、与党の中谷委員、そして野党の後藤委員、両方が日報の現物をきょうここにお持ちになってお示しになりました。その表紙のところに、左上、大きなマークがあるんですけれども、日本とそれから相手国と、その真ん中に漢字が一つ書いてあります。その漢字は何かと申しますと、信という字です。信頼の信ですけれども、今この委員会が本当に問うていること、心配していることは、防衛省、そして我が国の国防を担う防衛大臣、ここに対する信が失われつつあるのじゃないか、国民の信ですよ、そうではないかと私は思うんですけれども、改めて稲田大臣に、今何が本当に心配されているかという御認識があるか、確認させていただきたいと思います。

稲田国務大臣 委員も御指摘のとおり、防衛政策を実行する上で、国民の支持、さらには、国民の防衛政策に対する、また防衛省・自衛隊に対する信頼というのは最も重要なことだと思っております。

 平成二十七年一月の世論調査では、過去最高の九二・二%の国民の皆様が自衛隊に対してよい印象を持っている。中でも、自衛隊の災害派遣活動については、実に九八%の国民の皆様から評価をしていただくなど、我が国を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す中で、自衛隊に対して強い信頼が寄せられていると日々実感をしているところです。

 他方で、南スーダンPKOの日報への開示請求の対応や、また、森友学園をめぐる私の国会答弁など、国民の皆様からの信頼を損ないかねないという御指摘について、真摯に受けとめたいと思います。

 私といたしましては、我が国の防衛という重要な任務に改めて思いをいたし、誠実な答弁に努めることも含め、誠心誠意職務に邁進してまいりたいと考えております。

吉田(豊)委員 信頼は誰でも、積み上げるのは本当に大変ですし、そして、それを維持するのも大変なことで、失うのは本当に一瞬だと思います。今ほどの大臣の言葉の中には、現場の方々が、日々、それは現場という意味では大臣も含めての現場だろうと思います、皆さん現場で頑張っていらっしゃるわけで、一歩一歩積み重ねているこの信頼というものを、今、本当に失いかねないという言葉がありましたけれども、もう半分失っています。

 きのうのニュースでは、どうしてこんなことになるんだと。この間の委員会でお会いしたときには、真摯に、そして全力をかけて一生懸命やります、そういう大臣の言葉を私も真剣に受けとめて、そして、それでやっていただく、応援しなくてはいけないな、こう思っていました。

 我が党は、きょう、大臣に対して、もうやめるべきだ、こういうことを言うつもりはまだないんです。何でかというと、やはり、今、大臣初め防衛省が担っている我が国の国防というのは、それでは、あなたがきょうやめると言ったら誰がこの後責任を持つのか。そのことに、我が党とすれば、責任政党を目指す我が党ですから、そんな簡単に、やめる、やめれば済む話じゃないんです。

 きょう、いろいろなところから、委員会でもさまざまな御意見が出ます。本当の意味で何をやらなくてはいけないのかというところに、もう背水の陣だと思うわけです。もう次がありませんし、そして、今の今、この信頼を失いつつある状況の中で、最後、大臣初め防衛省がどういうことをやって、そして信頼回復につなげていくのか、このことが本当に問われているわけです。そんなのわかっているよと思われるかもしれませんけれども、私がきょうのこの委員会の答弁を見ていても、全然私には、ああ、そうだな、本当に必死なんだな、それを感じることができないわけです。

 卑近なことを申し上げますけれども、私の家族のことですが、この間の予算委員会で、子供が三人おりまして、六年生、四年生、一年の子供がおる。六年の子があした卒業式なんです。それで、きのうの晩、私の妻から電話がかかってきまして、どうすればいいかわからない、こう言うわけです。何のことかと聞くと、我が家では、スマートフォンについては親の目の前で使いなさい、こういうことをルールとして徹底しているんです。けれども、一週間前に、うちの子はそれを破って、布団の中で見ていました。もう目いっぱい怒りつけて、今度は絶対にそれをやらないと約束させて、そしてきょう、また見つかりました。その見つかった場所が、子供は子供なりに、一人一人、あけてはいけないという箱を持っています、その箱の中で見つかったんです。

 二つの意味で、私たちは、親が裏切られたな、こう思っています。あした、本当は、六年間、一生懸命頑張って、よくここまで卒業を迎えたなと心から褒めてやりたい。

 自衛隊だって一緒じゃないですか。南スーダンでみんなが頑張っておられて、そして、この五月の撤退を決めて、きちっと本当の任務を果たしてよく頑張ってきてくれた、こういう思いで受けとめなくてはいけない、その責任者のあなた方がこういう状態で、本当にいいんですか。

 信頼を失う最大の、一番の方法は、うそをつくことです。私は、自分の子供に対して今本当にこれにどうやって対応すればいいのか。もううちの子供は要らない、あるいは私が親をやめることができるのなら、そういうことだと思うんです。

 でも、今大臣が目の前に持っていらっしゃる状況というのは、やめれば済むものではないし、でも、そしたら何をするのか。そこを私は改めて、本当の意味での覚悟をお聞きしたいわけです。

 この委員会の中で、きょう、特別防衛監察という言葉を私は初めて聞きました。この特別防衛監察が最後のチャンスだろうと私は思うわけです。改めて、ここの特別防衛監察は何の目的があって、何をするのか、その覚悟を私は大臣からお聞きしたいと思います。

稲田国務大臣 今の委員の御指摘、大変重く受けとめます。

 まず、私に関しては、森友学園、十三年前の訴訟のことでもあり、私の中で、本当に記憶に基づいて間違いがないと答弁してきていたことが、実は、一回、夫にかわって出廷していたことを指摘されて、そして訂正をし、謝罪をいたしました。

 国会の重い場所において記憶に基づいて発言をするときには、断定をせず、しっかりと確認をする、いきなり書類を出されたこともありましたけれども、そのときも謙虚に確認をする、そういう態度が必要であったと深く反省もし、また、これからは誠実な答弁に心がけ、職務に邁進したいと考えております。

 また、昨日の日報の、実は、陸上自衛隊で、破棄済み、不存在としていた日報が存在する、そしてまた、それを破棄を指示した者がいた、そういう報道でありました。

 その点について、私は、大臣直轄で、しかも、陸上自衛隊から離れた独立性の高い立場から徹底した調査を行わせることが重要だと考えて、特別防衛監察の実施を指示したところであります。

 この一連の日報問題に関する事実関係を徹底的に解明した上で、仮にそこに隠蔽体質というものがあれば、それをしっかりと徹底的に改善していくことによって、そしてそれを国民の皆様方に示すことによって信頼を回復したい、それを遂行することが私の責任であると痛感をいたしております。

吉田(豊)委員 そうしてなさる行動、選択が特別防衛監査なわけですね。

 政府参考人の方に先にお聞きしたいと思いますけれども、この特別防衛監査というものの、設置した本来の目的、そして、今回、この組織が最終的な、防衛省が信頼を取り戻す唯一の手がかりとして登場する、そのことについてしっかりと役割を果たせる、そういう立ち位置なのか、そういう組織なのか、そのことについて確認させていただきたいと思います。

豊田政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛監察本部につきましては、今から十年ほど前でございますけれども、入札談合事案等を受けまして、当初は、予算の適正かつ効率的な執行や法令遵守の確保という観点から、防衛省・自衛隊の活動全般について監査、監察を行う独立性の高い組織を新設したわけでございます。

 職員は約七十名ほどおりますけれども、その中には、トップとして検事長を経験した方をお迎えし、さらには現職の検事の方、さらには、ほかのさまざまな専門家の方をスタッフに抱えておるわけでございます。

 この防衛監察本部につきましては、防衛省の他の機関から独立した立場におきまして、毎年、計画的に実施する定期防衛監察のほか、特に大臣が命じる事項について特別防衛監察を行うことができるということになっております。

 この特別防衛監察につきましては、実地の監察としまして、さまざまな面談、アンケート、資料収集、現場確認などを組織として行うことができ、これらの分析、評価及び結果を取りまとめ、大臣に直接報告することとなっている次第でございます。

吉田(豊)委員 戻りますけれども、今回、防衛省、防衛大臣ともに信頼を失いつつあると私は考えているんですけれども、大臣官房長として、大臣の方からは、御本人の安全保障にかかわる部分のみならずのさまざまな答弁においても、御自身は足りない部分があった、そういうふうなこともおっしゃりながらということの姿勢を示していらっしゃいますけれども、きのうの報道は特にそうですけれども、防衛省が我が国の国防を担う存在として本当にふさわしいのかどうかという国民の疑問は、ひとえに、稲田大臣が資質がないから、稲田大臣が問題だ、こういうふうに考えていらっしゃるのか、それともそうでないのか。まずお聞きしたいと思います。

豊田政府参考人 先生の御指摘のとおりではないというふうに理解しております。

 大臣からも御答弁がございましたけれども、防衛政策を実行する上で、国民の皆様の理解、信頼、支持、極めて重要だというふうに考えております。これを的確に維持してこそ、我々の存在意義があるというふうに考えております。

 防衛省内におきましては、大臣が文民統制を担っておるわけでございまして、私どもはその補佐をさせていただいておるわけでございます。特に防衛省の中では、私のような文官だけではなくて、大勢の制服組の専門家がおります。こうした政策的見地からの大臣の補佐をやるグループと、それから、軍事専門的見地からの大臣の補佐を行うグループ、これらのグループが両々相まって協調してこそ大臣をお支えできるんだろうというふうに理解しております。

 こうした観点から、事務方といたしましては、反省すべきところは深く反省しながら、万全の体制で大臣をお支えし、我が国の防衛を全うしたいというふうに考えている次第でございます。

吉田(豊)委員 いや、反省はもちろんそれぞれやっていただかなくちゃいけないと思いますけれども、この特別防衛監察制度というところを最後のよりどころにして、今、信頼を取り戻すためのさまざまな調査を行う、こういうふうに言っているわけですね。

 今ほど、官房長の方からも文民統制という言葉が出ました。シビリアンコントロールなわけですけれども、このシビリアンコントロールという意味では、私は、最初に大臣が御紹介なさった自衛隊、そして、我が国の国防に対する、防衛省に対する信頼というのは、別に片方だけが努力してきたから積み上がったものではないだろう、こう思うわけです。みんなで支え合って、そして信頼をかち得てきた、そういう信頼だろうと思うわけですね。

 ですから、今必要なことは、この特別監察、まずお聞きしたいのは、これは文民だけで組織されているんですか。それとも、文民以外の方々も中に入ってこれをやるんですか。

豊田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたように、防衛監察本部は、トップの方は検事出身の方でいらっしゃいますけれども、さまざまなバックグラウンドを持った混成部隊になっております。先生から御指摘のありました自衛官、制服組の方の幹部についても組織の中に入っておりまして、専門的知見を生かして、防衛監察監であるトップをお支えするという体制をとっている次第でございます。

吉田(豊)委員 本当に、全省を挙げて、信頼をどう回復していくかということだと思います。

 ホームページを見ました。防衛省の防衛監察本部、平成二十七年四月に防衛監察監北村道夫さんと書いてありますが、これは今もかわっていらっしゃらないんでしょうけれども、この方の挨拶の中に、国の防衛は国民の皆様の信頼と支持なくしては成り立ちません、監察を通じて不正やさまざまな行為についてこれを抑制する、国民の皆様からの信頼を何よりも大事にして活動していくのが私たちの任務ですと。まさに今、仕事をしなくちゃいけないときが来ているわけです。それも、大事なことは、これは内部に対してなんですね、やらなくちゃいけないのは。

 改めてお聞きしますけれども、この特別防衛監察、過去幾つか設置以来行われていると思いますが、どのようなことをやってきたのか、ちょっと確認させていただいてよろしいですか。

豊田政府参考人 お答え申し上げます。

 特別防衛監察の過去の実績ということでございますけれども、幾つか例を御紹介させていただきます。

 一つは、自衛隊員倫理規程等が施行されました平成十二年四月以降の倫理規程等の遵守状況はどうだということにつきまして、創設当初、集中的に監察を行いました。そのほか、平成二十年代に入りましてからは、次期戦闘機の機種選定手続に関する公正性の確保の状況でございますとか、多用途ヘリコプター、艦載型の機種選定手続に係る公正性の確保の状況等々について監察を行ってきたところでございます。

吉田(豊)委員 先ほど私、申し上げましたが、今回は身内に対する特別な監察だということの難しさだろうと思うわけです。

 先ほど私は自分の子供のことで申し上げましたが、本当に私が困ったのは、あけちゃいけないという箱の中に入っていたという事実なんですね。当然、それは組織とすれば、あけちゃいけないものというのはたくさんあるわけです。だけれども、今回失われた信用は、本当に崖っ縁だから、そこも含めて全部中身を見せて、そして、そこでどうだったかということを示さなくちゃいけない。

 あけちゃいけない箱というのは、もしかしたら、それが事実かどうかはわかりませんが、今回のその情報を開示することをとめさせた、そういう力が防衛省以外のところから、政府で働いた可能性がないとも言えない、こういうことまで言われているわけです。自分たちの組織の中はもとより、自分たちの組織のもしかしたら上司に当たるような、そういうところに対してまでこの特別監査というものをしっかりと実施しなくちゃいけない。

 このことは本当に大変だと思うんですけれども、改めて私は防衛大臣に、この特別監査、とにかく全てのことについて出し得ることは調べ尽くす、そういう覚悟かどうか、お聞きしたいと思います。

稲田国務大臣 防衛政策を遂行するに当たって、まさしく国民の防衛省・自衛隊に対する信頼というものが不可欠でありますので、事実関係の徹底的な調査、この特別防衛監査について、しっかりと事実解明をしてまいりたいと考えております。

吉田(豊)委員 そこで、防衛大臣がおっしゃられるしっかりとというのは、確かに日本語ではそのとおりだし、それしか言いようがないんですけれども、しっかりとというのは、具体的に、これがラストチャンスだということを考えると、私は、もっと中身は何なのかということをみずからやはり示していかなくちゃいけないと思うわけです。

 その中の一つが、やはり期限をどのように考えているのか、そして、どのような体制で行うのか。この特別防衛監察というものについては、メンバーがどういう方々がいて、そしてどれぐらいのことかということはわかるんですけれども、通常のこの体制でまずいいのかということも含めて、防衛省の文民側、文官側、さまざまな人たちを含めて、これを積極的に、この監察については何をおいてもやらなくてはいけない、そういう指示を出すべきだと思うんですけれども、それは出してあるんですか、もう既に。

稲田国務大臣 昨日、特別防衛監察については指示をしたところでありますが、できるだけ早く、まだその期間について具体的な指示をしているわけではありませんけれども、できるだけ早く、そういう指示のもとで取り組んでまいりたいと考えております。

吉田(豊)委員 今、防衛省、防衛大臣にとって何よりも大事なことは、この問題についての早急な信頼回復のための努力の一歩を踏み出すこと、それで、それを信頼につなげていかなくてはいけない。もう一つは、南スーダンからの無事の撤退だろう。この二つのことだろうと私は勝手に思っておりますけれども、それで間違いないだろう、こう思うわけです。

 きょうのこの委員会の中でも、さまざまなやりとりがある中に、やじということですから責任のない言葉かもしれませんけれども、北朝鮮のミサイルのこととか、そんな状況がある中で、こんなことを長々やっている場合じゃないんだよと、与党からもそういう声が出ています。全くそのとおりなんです。

 ですから、この問題について一日も早く結論を上げなくてはいけない。そのことについては、それはもし防衛省あるいは防衛大臣だけではできないよ、そうだとすれば、私たち自身も応援して、どういう環境が整うと一日も早くこれが実行できることになるのかということを確認することも、この委員会として必要だろうと私は思うわけです。

 野党の方からこのことについての集中審議を求められておりますけれども、我が党も、その点において、とにかく、今、この特別防衛監察がどのように進むのか、そしてその状況がどうあるのか、これは私は与野党を問わない問題だろうと思うわけです。

 もうはっきりと、国防のことです。そして、防衛省が信頼を失って困るのは、別に与党だけではなしに、野党も、みんな困るわけです。ですから、このことについてきちっと時間をとっていただいて、そして、その審議は、私は、与党も野党もこのことについて危機感を持っているんだから半分ずつぐらい質問の時間をとってやる、そういうような緊急の会議というか、求めたいと思うんですけれども、委員長、いかがでしょうか。

山口委員長 理事会において協議させてください。

吉田(豊)委員 ありがとうごさいます。

 本当に時間との闘いじゃないかなと思います。これが、先般のように、一カ月もかかりました、そのこと自身が本当にお話にならない、そういうことになってはいけないという危機感を一番持っていらっしゃるのは大臣だろう、私はこう思うわけです。

 まだ日は指定していらっしゃらないと今ほど答弁いただいたけれども、私は、少なくとも週明けにはきちっと、後藤委員のように、あした持ってこいというのは、それは気持ちとすれば正しいけれども、でも、それはなかなか難しい部分もあるかもしれない。でも、それが来週になっても、まだこれは計画がよくわからないんですとか、その一言一言が、私は、国民の信頼を失っていく、本当にやる気があるのか、信頼回復のチャンスを求めているのか、こういうことになると思いますので、この期限を切ることについて、大臣のお考えを改めてお聞きしたいと思います。

稲田国務大臣 この防衛監察監、関係者に対して文書または口頭による説明、報告書類、その他物件の提出を求め、必要な場所に立ち入って業務等の状況及び書類等を検査することといたしております。

 いずれにいたしましても、この事実関係、これを徹底的に解明した上で、再発防止、そして、仮に、防衛省・自衛隊、隠蔽体質ということがあれば、これを改善していくことに責任を持って邁進したいと考えております。

吉田(豊)委員 今ほどの防衛大臣のこの答弁に対して、支えられる政府参考人初め皆様とすれば、どういう覚悟でこの日程、スケジュールを組もうとしているか、お聞きしたいと思います。

豊田政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛監察本部の特別監察につきましては、あくまで、防衛省の他の機関から独立した立場で行うということでございまして、防衛監察をどういった形で計画してつくるのかというのは、防衛監察監が自分で作成して大臣の承認を受けるという形をとっております。

 したがいまして、私どもの方でこのような形でというふうに先方に対して押しつけるようなことはしない形で、防衛監察監が、あくまでプロフェッショナルとして、専門家としてベストな体制を組むのを我々は御支援申し上げるという形で臨みたいというふうに考えているところでございます。

吉田(豊)委員 そうすると、もう一回確認しますけれども、今回、防衛監察監に、何を監察してくれと言ったんですか、教えてください。

稲田国務大臣 まず、昨日のNHKの報道に関して、一連の経緯についての事実関係について、徹底的な事実調査、その過程で法令違反がなかったのか、また、仮に事実があり、法令違反があった場合には、その背景、原因等について報告を求め、その上で、文書管理のあり方、情報公開のあり方、保全のあり方等、再発防止に資する事項について検討したいと考えております。

吉田(豊)委員 そういう意味では、依頼元なわけですね、防衛大臣は。

 そうすると、何かしてくれというときに、当然、御自身が依頼する状況があって、それは、慌てなくてもいいよという問題から、もうとにかくあしたにでも欲しいんだ、緊急の問題もある。これは明らかに、依頼している中身は、皆さんの信頼にかかわる問題ですから、何をおいてもやってほしいというくらいの、緊急特別防衛監察というふうに位置づけられると思うわけです。

 そのことについて、お願いする中身はそれでいいとしても、いつまでにこの結論をもらわないと私たちの会社は潰れるんだ、そういう話じゃないですか。それはどうなっているんですか。

稲田国務大臣 調査の細部については、これから、防衛監察本部において特別防衛監察計画を策定して、防衛大臣である私の承認を受けるということになっておりますので、その際に、今の緊急的な信頼の回復という点はしっかりと御説明申し上げて、できるだけ早期に、報告書、そして再発防止策、また文書管理のあり方等についてしっかりと報告をしていただくよう御依頼というか指示をしたいと思っております。

吉田(豊)委員 済みません、ちょっとよくわからないのは、これは、依頼なんですか指示なんですか、どっちですか。

稲田国務大臣 指示でございますが、そういった、なるべく早くということも含めて指示をしたいということでございます。

吉田(豊)委員 今ほどの大臣の説明だと、とにかくこういう中身で見積もりを出してくれ、そこで今とどまっている、そういう理解でいいわけですか。まだ実際に監察が動き始めているとかそういうことではない、こういう中身で大臣が承認をして進む、そういう仕組みだという理解でよろしいですか。

稲田国務大臣 防衛監察本部において特別防衛監察計画を策定して、私が承認をすることとなっております。

吉田(豊)委員 手続がそうだとすれば、もちろん、それにのっとってやっていただかなくてはいけないことですから、その依頼が、しっかりとこういう形で進めようと思うという話を、一日も早く、それをまず手元に持つということが何よりも今回の信頼回復のプロセスのスタートになるわけです。私は本当に、こういう話ということ自身、どれだけの危機感でやっているの、そういうふうに思うんです。

 政府参考人の方にお聞きしますけれども、こういうプロセスについては、例えば、何日かかって、過去では何日があって、そして、縮められる、縮められない、こういうことについてのお考えを少し確認したいと思います。

豊田政府参考人 今先生御指摘の点につきまして、今、手元に資料がございませんけれども、先生御指摘の点を踏まえて、迅速に対応していただきたいという要請をいたしまして、それについて必要な要請が先方からあれば、私どもも適切に対応したいというふうに考えております。

吉田(豊)委員 何でも物事はそうですけれども、こちら側の思い、熱意をきちっと伝えるということ、それも指示だという話の上で、ちょっとよくわからないなと私は思いますけれども、でも、先ほどお聞きした防衛大臣を支えるということ、今そこに皆さんが集中なさって、組織として、チームとして仕事をしないと、明らかにこれは崩れていくわけですよ。

 そうすると、今、防衛大臣は、そのように一つの指示を出した。では、どうなっていますかということを毎日電話することはできるかもしれません。でも、それが多分、目いっぱいのことなんです。

 そうなると、皆さんの方が、一日も早くこれについては見積もりを持ってきてくれ、そしてそれに、精度の高い見積もりをもってすぐゴーを出したいんだ、その判こを押す準備して待っているんだから、そういうことをきちっとやはり準備して、今手元に資料がないからとか、それは本当に話にならないと私は思う。

 そのことについては、指示を出しております、結論を今待っているんです、大臣の方も今構えています、きょうの夜もこれが終わったらまたどうなったか確認しようと思っています、そういう姿勢が僕はスタートだと思う。これはどうですか。

稲田国務大臣 昨日の夜に指示、命じたところでございますので、今委員が御指摘になったように、この委員会が終わりまして役所に戻りましたら、その進捗状況については確認をする、そういう覚悟でございます。

吉田(豊)委員 本当に時間との勝負だなと私は思いますし、今、覚悟でございますとおっしゃって、覚悟どおりにそれはやっていただくということをまずお願いしたいと思います。その上で、特別防衛監察をやって、そのことの結果が何が出てくるのか、そこからが本当のスタートじゃないかな、こう思うわけです。

 実際に、今失っている信頼というのを取り戻すということについては、一方で、私が先ほど申し上げました、並行して、南スーダンからの、ジュバからの安全な撤退ということも同じようにしてやっていかなくちゃいけないわけですね。ですから、私は改めて防衛大臣にお願いしたいのは、とにかくこの二つに集中していただきたいわけです。

 きょうの委員会の中でも、それはいろいろなお考えがあってかもしれませんが、質問の中に、例えば、十年前どうだったんですか、何とかとか、そういうのは、わからないのは、人間わからないんですよ。それは、その場でわからないですから、後でお答えさせていただきます、私、今集中しなくちゃいけないことが、何よりも大事なことがあるんですと。実際、あるんです。そのことに集中していただいて、そして、その一つのこの特別防衛監察、ここにかけているわけですから、それを遂行していただきたいな、こう思うわけです。

 続いて、私は、残された時間で、南スーダンのPKOの派遣、これについての政府の決定、そしてそのことについて幾つか確認させていただきたいと思います。

 先般の委員会の中では、私自身も、ウガンダの方に、現地に行くことができて、そしてさまざまな私としての情報をとることができた。それで、ジュバの状況においては、冷たい、冷めた、あるいは抑圧された状況だというふうに私は認識しましたが、比較的安静な状況を保っている、安全な状況にあるという政府の説明は確かにそのとおりだという確認をしているわけです。そういう意味でいうと、PKOの五原則は、現地において、ジュバにおいて崩れていない。そういう中にあっても、この五年になる活動に一つの区切りをつけるべきではないか、これが我が党の主張だったわけです。

 これを主張して、その日の夜に速報が出て、撤退ということになりましたので、我が党とすれば、建設的な意見を言って、そしてそのことが一つの成果を得たという、非常によい、私たちの党らしい例だったんじゃないかなと自負しておったところなんですけれども、改めて、今回、政府が、この撤収、一つのミッションを終えたということで帰ってくる、その理由を確認したところ、余りにも、安全という言葉については全く触れられていないような形での撤収の説明なわけですね。

 もう一度確認させてください。今回の撤収を決定したその理由はどこにあるのか、お聞きしたいと思います。

稲田国務大臣 前回の委員会の中で委員も述べられたように、南スーダンにおいてPKO五原則は守られている、そして、今、自衛隊が活動しているところのジュバ及びその近郊においては、自衛隊員が安全を確保しつつ有意義な活動をして、そして世界からも、また地元の方々や国連からも評価されているとしても、やはりどこかで区切りをつけるべきだ、そういう御指摘がありました。

 まさしくそういった観点に基づいて、南スーダンにおいては、ことし一年で、派遣開始から五年を迎え、そして施設部隊の派遣としては過去最長となるため、かねてより今後のあり方について検討を行ってきたところであります。

 また、南スーダンにおいても、地域保護部隊約四千名の増強が、そのジュバの治安の一層の安定に向けた取り組みが現実のものとして進みつつあります。また、南スーダン政府も、国民対話を行うなど、国内の安定に向けた取り組みも進展していて、新たな段階に入ろうとしているところでございます。

 そういったところから、今回の我が国のPKOの活動の中で過去最大規模の実績を積み重ねてきたことから、自衛隊が担当するジュバでの施設活動については一定の区切りをつけることができると考えたものであります。

 以上のような諸点を総合的に勘案した結果、我が国としては、これまでの自衛隊による施設活動を中心とした支援から、南スーダン政府による自立の動きをサポートする方向に支援の重点を移すことが適当と判断をいたしました。

 そして、委員からは、このジュバの状況について、確かにジュバやその近郊については安定しているかもしれないけれども、北や南の方では武力の衝突や部族間の紛争も多発をしているという指摘や、また、難民が国外に流出をしたり、また、国内でも難民が増加しているという状況もまた事実でございます。

 五月のめどに向けて、四月中旬には今計画しているところの道路等を完成させて、しっかりと安全に日本に帰国できるよう、情報の収集、そして撤収に向けての作業を進めてまいりたいと考えております。

吉田(豊)委員 そうしますと、PKO活動を今後も当然続けていくわけでしょうし、きょうの午前中の与党の質疑の中にも、やはり自衛隊という非常に訓練された本当に力になる組織だと認められていて、さまざまな要望があるということから考えたときに、我が国として、当然、国連下のPKOの中での、もとでの活動でしょうけれども、より困難なことについても仕事をしていかなくちゃいけない、期待されているのも事実だろうと思うわけです。

 これで、改めて私は確認したいのは、きょうの、今の防衛大臣の答弁を聞いていましても、実際そのとおりなのかもしれませんし、そのとおりなんでしょうけれども、昨年の十月末には、南スーダンでのPKOについて、意義とか根拠をまとめた基本的な考え方というのも発表しているわけですね、政府とすれば。この派遣の妥当性について、派遣継続が適当であるという見解をイレギュラーな形で、通常はしないんですけれども、それも含めて出している、そういう形で今進んできていたわけです。

 ここに来て、確かにタイミングとすれば、私たちはこれが適当な区切りだ、こう考えていますけれども、実際のところ、周辺が不安定化しているという、これは明らかに、全体像から見ればリスクが増している話だったというふうには言えると思うんですね。

 でも、今回の撤退の、撤退じゃなくて撤収です、仕事を終えて撤収ということですが、撤収の理由のところに、さまざまなそういう周辺部分でのリスクというものが出てきているということはやはり正しく認めた上で、それも一つの区切りの要素になっていると、これが私は誠実な姿勢じゃないかな、こう思うわけです。二〇一二年にゴラン高原のPKOからの撤収については、その要員の安全確保、シリア情勢悪化で継続困難になったと、これははっきりそのまま書いているわけですね。

 それはそれでいいと思うので、今回のこの撤収について、余りにも、安全は安全で全く問題ないんだ、そのことは判断の一考にも値していないのであれば、それは考慮していないというふうに私は感じたわけです。実際そうなんですか。私は、周辺の部分のこと、総合的にというところに、リスクを回避したいという、それが何かおかしいことなのかと思うわけです。リスクを回避するのは当たり前ではないですか。それを私はきちっと説明の中に入れるべきだと思うんですが、どのようにお考えか、大臣にお聞きします。

稲田国務大臣 私も、南スーダン、昨年の十月に視察に行きました。その後、昨年、柴山補佐官も行かれました。また、年が明けて副大臣も行かれました。そしてまた今回、撤収を決めるに当たって柴山補佐官も行かれたわけです。そして、私は、今問題になっている日報のみならず、そのエッセンスのみならず、国連からの情報や現地の報道、他部隊からの情報等、毎日、南スーダンの状況を見ております。

 その中で、南スーダンの中で、やはりジュバ及びその近郊については、むしろ、私が視察したときよりも安定は増しております。

 そういう意味において、自衛隊の安全を確保しつつ、そして有意義な活動ができているという状況は、私は変わりはないというふうに思います。

 その上で、委員が指摘になられたように、南スーダン全体として、北部や南部の状況、さらには難民の状況等々は、引き続き厳しい状況があるというふうに認識をいたしております。

吉田(豊)委員 私が何をお伝えしたいかというと、結局、派遣、そして一つの区切りをつけることについては、明確な基準を、やはりこれだけPKOの経験を積んでいるわけですから、設定するということが非常に重要だと思うわけです。常に国内では政局の動きもありますし、それと関係なく、現地では、現地で一つのミッションを持ってやっているわけです。

 ですから、先般の委員会で私は南スーダン・ジュバのことを、川の中州の現場のようなものだ、こんなふうに説明しました。川の中州、今雨がないから、当然仕事がきちっとできています。その安全は毎日毎日確認してやっています。そのとおりなんです。そういう現地の、現場の確認はもちろん必要。だけれども、もう少ししたら台風が来て雨が降ってくるかもしれない、そうすると、中州は取り残されて、安全だったものが一挙にもうそれは安全でなくなる、こういう例を出させていただきました。

 そうすると、雨が降ってくることが予測されるというのも、今の時代、当然のことなわけです。何が周辺で起こっているのか。大臣がおっしゃったように、不安定化している要素というもの、それも含めて情報はきちっと把握している。その中州の中だけでの、南スーダンのジュバだけが安定だからそれで実際派遣を続けるかというと、決してそうではないわけです。

 だから、さまざまな判断要素、そして、実際どれだけの雨が降ってきたら、つまり、どれだけ周辺が不安定になってきたらここは自動的に撤収するんですというそういう基準を設けるということが、今後PKO活動を続けていく上で私は必要だと思うんです。

 なぜかというと、世の中が、いろいろな意味でリスクはテロに今移っています。そうすると、テロというのは実はとめようがない。リスクを読みようがないからテロなんですよ。私たちが今やっているところだって、当然同じようにリスクがあるわけです。だから、その一つのリスクが爆発したから、では全体が撤収しなくちゃいけないのか。そういうことも含めてきちっと一つ一つについて判断基準を設けていく、もうその段階に来ていると思います。

 判断基準を設けてPKO活動を行う、そして、撤収のことも含めてコントロールしていく、この考えについて大臣はどのようにお考えか、所見をお聞きしたいと思います。

稲田国務大臣 PKO法施行後二十五年間、二十七のミッションに要員を派遣してきました。

 PKOのミッションの設立目的や活動地域、PKOミッションを構成する派遣国、自衛隊が国連から要請されている役割などはさまざまで、政策的な判断で自衛隊の活動を終了する場合において、すなわち、PKO五原則は守られている、そして、自衛隊の要員の安全を確保しつつ有意義な活動ができる、前回の閣議決定でも、要員の安全を確保しつつ有意義な活動ができないと判断をしたら、もうそれは即座に撤収をためらわないということも書いていたわけでありますが、そういうことが満たされた上で、さらにどういった場合かということになると、一律に具体的な基準を設けることはなかなか難しく、個々のPKOごとに総合的な判断が必要だというふうに思われます。

吉田(豊)委員 その総合的な判断、それは、組織としてきちっとした信頼がある、その上で私たちは任せているんだから、こういう話になりますけれども、今の防衛省のこの状況において、さまざまに総合的に判断しています、こう言われても、そのこと自身がきちっとできるんだろうか。

 我が国の世論は、間違いなく、万が一のことが起これば、それはやはりきちっとリスク管理できていなかったからじゃないか、そういう話になってしまうわけです。でも、そうでは今後の活動というのは継続できない。だからこそ、ケース・バイ・ケースだからこそ、きちっとそこの中に共通する判断基準ということを求めていく。その重要性をこの後また私は委員会でやらせていただきたいと思います。

 次回の委員会のときには、きょうの特別監察が一歩でも、あるいは私たちの想像以上に進んで信頼回復につながるということを期待して、質問を終わらせていただきます。

 よろしくお願いいたします。

山口委員長 次に、照屋寛徳君。

照屋委員 冒頭、稲田大臣、南スーダンにおける日報問題あるいは森友学園の籠池理事長との関係をめぐる答弁で衆参両院で集中砲火を浴びて、さぞかし、心がぽっきり折れるんじゃないかというぐらい御心痛のことだと察しますが、あえて私は、大臣に苦言を呈し、そして四野党で一致をする防衛大臣辞任要求について言及したいと思います。

 私は当委員会において、駆けつけ警護や宿営地の共同防護などの新任務を担う陸上自衛隊の南スーダンへの派遣に反対をいたしました。その際、南スーダンの現下の治安情勢に鑑み、自衛隊は即刻撤退すべきだとも主張しました。

 稲田大臣は、南スーダンの治安について、PKO五原則に反する情勢にあることを殊さらに隠蔽し、その上、首都ジュバを中心に激しい内戦状態にあるにもかかわらず、戦闘行為ではなく武力衝突にすぎないと言い張り、自衛隊員の命の安全を脅かし、憲法上の平和国家日本が歩むべき方向に反する大臣としての言動に終始しました。予算委員会で激しく追及をされたように、稲田大臣は防衛大臣としての資質に欠けることは明白であります。

 加えて、森友学園理事長退任を表明した籠池氏との関係をただすここ数日間の参議院予算委員会等における質問への答弁は、大臣にあるまじき虚偽答弁であり、強く指弾されるのは当然であります。記憶が定かではない事実をもって強く否定答弁をしながら、証拠を突きつけられると前言撤回し謝罪するぶざまなやり方は、弁護士としても、防衛大臣としても失格であります。

 改めて私からも、潔く防衛大臣を即刻辞任することを強く求めます。大臣の所信をお聞かせください。

稲田国務大臣 まず、森友学園をめぐる私の答弁について御指摘がありました。

 小川議員の質疑において、籠池氏の事件を受注したこともなければ裁判を行ったこともない旨の答弁を行いました。これは余りにも私の記憶に自分自身、自信を持っていたがためにそのような答弁をし、まさしく十三年前のその事件の担当者は夫でありましたけれども、第一回口頭弁論期日に出廷していたという掲載の報道を見て私も驚いたわけですけれども、私の記憶に基づいて、余りにも自信を持って答弁をしていたこと、そして、しっかりと確認をすべきだったことから、訂正をし、おわびを申し上げたところです。

 国会答弁に当たっては、誠実な答弁に努めたい、努めるべきだというふうに思っております。

 また、南スーダンPKOの日報に関しては、当初、事務方から、この日報は、一年未満、用済み後廃棄、そういうルールに基づいて、そして廃棄をして不開示という報告を受け、私が改めて捜索するよう指示した結果、捜索対象になっていない統幕から電子データの形で発見されて、みずから公開をいたしました。

 他方、昨日の報道で、事実関係について徹底した調査を行わせることが重要だと考え、防衛監察本部に特別防衛監察の指示をし、陸上自衛隊には本件特別防衛監察の実施に全面的に協力をさせ、徹底的に事実関係を解明した上で、防衛省・自衛隊、仮に隠蔽体質があるということであれば、徹底的にその事実に基づいて改革をしてまいりたいと考えております。

 私としては、誠実な答弁に努めることも含め、誠心誠意職務に当たってまいりたいと考えております。

照屋委員 大臣、当委員会で先ほどから繰り返している大臣にとっての誠実な答弁とはどういう意味なのか。否定をされている虚偽答弁というのはどういうことなのか。そして、森友学園からの訴訟委任の問題、あるいは御主人との弁護士法人の共同経営の問題、そのことの選挙公報への記載の問題、これは、大臣の弁解というか答弁を聞いても、弁護士である僕でもわかりませんよ。ましてや一般国民はよく理解できないと思います。

 それで、委員長、ぜひ当委員会で、南スーダン情勢問題、日報問題等々について集中審議を行うように求めたいと思います。

山口委員長 理事会にて協議させてください。

照屋委員 防衛省の政府参考人に伺います。

 防衛省は、辺野古新基地建設に際し、三月末に期限を迎える岩礁破砕許可の再申請をしない理由として、名護漁業協同組合が全ての漁業権を放棄する手続をとったことから、沖縄県漁業調整規則に基づき、漁業権が設定されていない漁場では許可は不要との判断をしているようです。

 一方、沖縄県は、埋立工事海域には現在も漁業権が設定されており、漁業権の縮小には、漁業法に基づき、県知事の変更免許を受ける必要があると指摘しております。

 私も沖縄県の考え方が正しいと思います。これは、これまでの累次の政府見解、そして質問主意書に対する答弁、水産庁の各都道府県に対する技術的助言に反している、こういうふうに言わざるを得ません。

 防衛省は再申請を行わないという通知をしたようですが、改めて、その根拠を含めてお伺いします。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 先ほどの岩礁破砕許可でございますけれども、沖縄県漁業調整規則第三十九条におきましては、漁業権の設定されている漁場内において岩礁破砕等を行おうとする者は、知事の許可を受けなければならないと規定されているところでございます。

 他方、辺野古周辺の海域につきましては、漁業法等に定める法定手続を経まして、既に漁業権が消滅している状態でございます。漁業権の設定されている漁場内には当たらず、このため、普天間移設事業の今後の工事に関し、岩礁破砕許可等を受ける必要はないというふうに解釈されておりまして、この点につきましては、防衛省から関係法令を所管する水産庁に確認をした上で、沖縄防衛局から沖縄県に対しまして、許可申請しない旨を伝達したというところでございます。

 なお、付言いたしますと、消滅につきましては、特段、漁場計画に基づく知事の変更免許は必要ないという見解を水産庁は示しているところでございます。

 以上でございます。

照屋委員 辺野古新基地建設に関して、沖縄県の仲井真前知事に岩礁破砕許可申請を行ったのはいつでしょうか。それは、名護漁協が漁業権放棄同意書を提出した後ではありませんか。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 現在有効になってございます岩礁破砕許可でございますが、平成二十六年七月十一日、沖縄防衛局は、沖縄県に対しまして岩礁破砕許可の申請を行いました。これを受けまして、平成二十六年八月七日でございますが、沖縄県より申請書の補正の求めを受け、沖縄防衛局は、平成二十六年八月十一日、補正した文書を沖縄県に提出いたしまして、同八月二十八日、岩礁破砕等許可をいただいたところでございます。

 それから、沖縄防衛局が名護漁協に対しまして漁業権の一部消滅につきまして依頼を行い、名護漁協からは、同年三月二十二日、漁業権の消滅につきまして異議なく同意する旨の回答を得たところでございまして、名護漁協は、平成二十五年三月十一日に総会を開催しまして、漁業権の一部消滅、公有水面埋め立て同意について決議を行ったところでございまして、名護漁協の消滅が先、その後、沖縄県が岩礁破砕許可を行ったというところでございます。

照屋委員 防衛大臣、辺野古新基地建設と同じように地元漁協が漁業権の消滅に同意し漁業補償も受けている那覇空港第二滑走路建設工事では、沖縄総合事務局が岩礁破砕許可の更新申請を行いました。辺野古新基地建設に限って再申請を不要とするのは、国のダブルスタンダードではありませんか。大臣の見解を求めます。

高橋政府参考人 那覇空港の滑走路の増設事業でございますが、現在も漁業権が設定されているということから、岩礁破砕許可の申請を行ったものと承知してございます。

 他方、普天間移設事業につきましては、先ほど申し上げましたように、漁業権が法定手続を経て消滅していることから、許可を受ける必要はなく、当該申請を行わないというふうにしたものでございます。

 以上でございます。

照屋委員 これは、たとえ漁協が漁業権を放棄しても、漁業権が生きており、岩礁破砕許可が必要であることを国が認識をして、那覇空港の場合には再申請したのではありませんか。

高橋政府参考人 防衛省としましては、那覇空港第二滑走路の事業につきまして所管していない状況から、詳細にお答えすることは差し控えさせていただきたいと思いますが、先ほど申し上げましたように、那覇空港増設事業におきましては、漁業権が現時点でも存在しているということから、岩礁破砕等の許可の申請を行ったものというふうに承知してございます。

 それから、当方でございますが、漁業権につきましては、いわゆる漁業権者の三分の二以上の書面による同意、漁協の総会における漁業権放棄の特別決議という法定手続を経まして漁業権の消滅を行いました。したがいまして、我々としては、このような手続のもとに行ったということで、岩礁破砕許可は必要ないというふうに考えてございます。

照屋委員 防衛大臣、辺野古新基地建設が予定されているキャンプ・シュワブでは、昨年七月に新たな遺跡として、海域と陸域の両方にまたがる長崎兼久遺物散布地が認定されました。

 名護市は、文化財保護法に基づき、同遺跡が改変される前の海域における文化財調査の実施を求めております。貴重な歴史的文化財を破壊してはいけません。国は名護市の調査を受け入れるべきだと考えますが、大臣の見解をお聞かせください。

稲田国務大臣 長崎兼久遺物散布地については、沖縄防衛局と名護市教育委員会が調整の上、名護市教育委員会が実施した調査の結果、キャンプ・シュワブ海域の一部において、碇石等の遺物が発見されたため、昨年七月、その周辺が周知の埋蔵文化財包蔵地として決定されたものと承知をいたしております。

 このように、キャンプ・シュワブ内の文化財調査については、海域における調査も含め、以前より、沖縄防衛局が、名護市教育委員会及び沖縄県教育委員会との間で必要な調整を行っているところであり、今後とも、関係法令に従い、適切に対応してまいります。

照屋委員 国交省にお尋ねいたします。

 最近、沖縄県内で、米軍人軍属の私有車両、いわゆるYナンバー車が住民の生活道路で暴走行為を繰り返し、大きな社会問題となっております。一方、Yナンバー車両が車庫証明書をとらずに運行の用に供し、違法駐車を繰り返す実態も明らかになっています。

 そこで、尋ねます。

 平成二十三年度から平成二十八年度までにおいて、全国、沖縄、それぞれにおけるYナンバー車の登録件数、そのうち車庫証明書のあるものの件数について、年度ごとにお示しください。

島政府参考人 お答えいたします。

 全国におきまして、登録申請時に保管場所証明書が添付されているYナンバー車両の台数につきましては、平成二十三年度が登録件数二万四千五百四十件中二千六百十四件、平成二十四年度が登録件数二万五千六百二件中二千六百十二件、平成二十五年度が登録件数二万四千四十一件中二千二件、平成二十六年度が登録件数二万五千六百九十三件中二千六百十五件、平成二十七年度が登録件数二万四千二百五十八件中二千二百三十四件、それから、平成二十八年でございますが、四月から十二月までの九カ月分の数字ではございますが、登録件数一万八千七百二十四件中千八百三十四件というふうになってございます。

 一方で、先生御指摘の、沖縄総合事務局陸運事務所の管轄区域におきまして、登録申請時に保管場所証明書が添付されているYナンバー車両の台数につきましては、平成二十三年度が登録件数一万三千三百四十八件中二十九件、平成二十四年度が登録件数一万三千九百二件中三十一件、平成二十五年度が登録件数一万三千七百二十三件中四十件、平成二十六年度が登録件数一万四千三百十九件中五十八件、平成二十七年度でございますが、登録件数一万三千七百四十件中五十五件、平成二十八年度、これも同様に四月から十二月までの九カ月分でございますが、登録件数一万二百六十六件中二十五件というふうになってございます。

 以上でございます。

照屋委員 国交省、最近、沖縄県内で、車庫法に基づくいわゆる保管場所標章の交付を受けることなく運行の用に供されているYナンバーが多数目撃されております。いわゆる保管場所標章の交付を受けないYナンバー車は、国内法に違反する違法な手続で登録され、運行の用に供されているのではありませんか。

島政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘の、米軍の構成員もしくは軍属またはそれらの家族の私有車両、いわゆるYナンバー車両でございますが、平成十六年七月二十日の日米合同委員会の合意に基づきまして、車庫が米軍施設・区域の外にある場合につきましては、道路運送車両法に基づく登録を行うに際しまして、車庫証明書を取得するというふうにされたところでございます。

 これを受けまして、国土交通省におきましては、車両の登録事務を行う支分部局に対しまして、同年九月一日以降につきましては、車庫証明書の提出がない限り、これらの車両の登録を行わないよう指示したところでございます。

 国土交通省としましては、車庫が米軍施設・区域の外にあるYナンバー車両につきましては、引き続き、車庫証明書の確認を徹底してまいりたいと思っております。

照屋委員 防衛省の政府参考人に伺いますが、最近、私の住むうるま市天願のキャンプ・コートニーに近接する軍道路で、Yナンバー車両による事故が頻発をしております。市民は、大惨事を恐れて道路封鎖などの事故対策を求めておりますが、防衛省の見解と対応をお聞かせください。

深山政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま先生から御指摘のありましたキャンプ・コートニーの道路というのは、昭和四十七年五月、沖縄の本土復帰時に提供施設・区域として米側に提供されまして、つまり米軍の軍用道路となっておりまして、同時に、米軍の活動を妨げない限り地元住民が使用することができるという、共同使用になっておる道路であると認識しております。

 当該道路については、地域住民から、ここを通行する米軍の大型車両について苦情が寄せられていること、また、実は報道がございまして、それは我々も承知していまして、そうした報道につきましては、米軍に事実関係を確認しているところでございます。

 防衛省としては、引き続き、米軍と密接に連携を図りながら、また御地元とも協議しながら、地元の皆様に与える影響が最小限にとどまるように対応してまいりたいと思っております。

照屋委員 時間が来たので終わりますが、防衛省、このYナンバー、これは、沖縄市では生活道路、子供たちの通学道路、そこで暴走行為をして、非常に大問題になっているんです。だから、万一の事故があったら大惨事を招きますよ。

 防衛省、Yナンバー車両について、米軍に対してもっと指導を強化してもらいたいと思いますが、どうですか。

深山政府参考人 お答えを申し上げます。

 既に、この道路の件につきましては、ことしの二月にも沖縄局から沖縄地域調整官事務所あるいは嘉手納基地渉外部に申し入れを行っているところでございますが、本日の御指摘も踏まえまして、こうした地元の方の懸念が少しでも減じるように申し入れてまいりたいと思っています。

 いずれにいたしましても、周辺住民の方々に不安感、不信感を与えるということがないように、我々も努力してまいりたいと思っております。

照屋委員 終わります。

山口委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時三十七分散会


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