衆議院

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第5号 平成29年4月18日(火曜日)

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平成二十九年四月十八日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 山口  壯君

   理事 江渡 聡徳君 理事 小野寺五典君

   理事 寺田  稔君 理事 中谷 真一君

   理事 中村 裕之君 理事 後藤 祐一君

   理事 升田世喜男君 理事 浜地 雅一君

      秋本 真利君    今枝宗一郎君

      大西 宏幸君    勝沼 栄明君

      門山 宏哲君    金子万寿夫君

      黄川田仁志君    北村 誠吾君

      熊田 裕通君    小林 鷹之君

      左藤  章君    武田 良太君

      藤丸  敏君    宮澤 博行君

      宮路 拓馬君    八木 哲也君

      和田 義明君    青柳陽一郎君

      神山 洋介君    本村賢太郎君

      横路 孝弘君    佐藤 茂樹君

      赤嶺 政賢君    下地 幹郎君

      吉田 豊史君    照屋 寛徳君

      武藤 貴也君

    …………………………………

   外務大臣         岸田 文雄君

   防衛大臣         稲田 朋美君

   内閣官房副長官      萩生田光一君

   外務副大臣        岸  信夫君

   防衛副大臣        若宮 健嗣君

   防衛大臣政務官      小林 鷹之君

   防衛大臣政務官      宮澤 博行君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  横田 真二君

   政府参考人

   (警察庁警備局外事情報部長)           加藤 達也君

   政府参考人

   (消防庁国民保護・防災部長)           杉本 達治君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 志水 史雄君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 小野 啓一君

   政府参考人

   (外務省中東アフリカ局長)            上村  司君

   政府参考人

   (外務省中東アフリカ局アフリカ部長)       大菅 岳史君

   政府参考人

   (外務省領事局長)    能化 正樹君

   政府参考人

   (水産庁長官)      佐藤 一雄君

   政府参考人

   (水産庁資源管理部長)  浅川 京子君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           七尾 英弘君

   政府参考人

   (海上保安庁総務部長)  一見 勝之君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房長)   豊田  硬君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  前田  哲君

   政府参考人

   (防衛省整備計画局長)  高橋 憲一君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  深山 延暁君

   政府参考人

   (防衛省統合幕僚監部総括官)           辰己 昌良君

   安全保障委員会専門員   林山 泰彦君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十八日

 辞任         補欠選任

  金子万寿夫君     宮路 拓馬君

  熊田 裕通君     秋本 真利君

  小林 鷹之君     黄川田仁志君

  宮澤 博行君     八木 哲也君

  神山 洋介君     本村賢太郎君

  吉田 豊史君     椎木  保君

同日

 辞任         補欠選任

  秋本 真利君     熊田 裕通君

  黄川田仁志君     勝沼 栄明君

  宮路 拓馬君     金子万寿夫君

  八木 哲也君     宮澤 博行君

  本村賢太郎君     神山 洋介君

  椎木  保君     吉田 豊史君

同日

 辞任         補欠選任

  勝沼 栄明君     小林 鷹之君

    ―――――――――――――

三月三十一日

 防衛省設置法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二六号)

同月二十三日

 憲法違反の戦争法(安保法制)の即時廃止に関する請願(塩川鉄也君紹介)(第四九五号)

 戦争法の廃止を求めることに関する請願(池内さおり君紹介)(第四九六号)

 同(梅村さえこ君紹介)(第四九七号)

 同(池内さおり君紹介)(第五八四号)

 同(畠山和也君紹介)(第六二一号)

 沖縄・高江でのヘリパッド工事中止を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第四九八号)

 緊急出動のある自衛官の官舎の改善に関する請願(西村明宏君紹介)(第五三三号)

 同(山田賢司君紹介)(第五三四号)

 同(宮川典子君紹介)(第五四三号)

 同(大西宏幸君紹介)(第五五七号)

 同(勝沼栄明君紹介)(第五五八号)

 同(中谷真一君紹介)(第五八五号)

 自衛隊への駆けつけ警護など新任務の付与を撤回し、南スーダンからの撤退を求めることに関する請願(梅村さえこ君紹介)(第五八三号)

 安保法制(戦争法)の廃止、南スーダンPKOの派遣を中止し帰還させることに関する請願(畠山和也君紹介)(第六二〇号)

同月三十日

 日本を海外で戦争する国にする戦争法(安保法制)の廃止に関する請願(畠山和也君紹介)(第六三三号)

 戦争法を廃止することに関する請願(志位和夫君紹介)(第六四九号)

 戦争法の廃止を求めることに関する請願(志位和夫君紹介)(第六五〇号)

 同(田村貴昭君紹介)(第七三六号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第七三七号)

 同(畑野君枝君紹介)(第七三八号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 防衛省設置法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二六号)

 国の安全保障に関する件


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     ――――◇―――――

山口委員長 これより会議を開きます。

 国の安全保障に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官横田真二君、警察庁警備局外事情報部長加藤達也君、消防庁国民保護・防災部長杉本達治君、外務省大臣官房参事官志水史雄君、外務省大臣官房参事官小野啓一君、外務省中東アフリカ局長上村司君、外務省中東アフリカ局アフリカ部長大菅岳史君、外務省領事局長能化正樹君、水産庁長官佐藤一雄君、水産庁資源管理部長浅川京子君、国土交通省大臣官房審議官七尾英弘君、海上保安庁総務部長一見勝之君、防衛省大臣官房長豊田硬君、防衛省防衛政策局長前田哲君、防衛省整備計画局長高橋憲一君、防衛省地方協力局長深山延暁君、防衛省統合幕僚監部総括官辰己昌良君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山口委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。升田世喜男君。

升田委員 おはようございます。民進党・無所属クラブの升田世喜男であります。

 きょうは十八日でございます。韓国への訪問を終えたペンス・アメリカ副大統領が来日されまして安倍総理と会談をする、このようにお伺いしておりますが、その会談でどんなお話が交わされるのか、極めて重要な日であるなと認識をさせていただいています。

 二日前の十六日は、そのペンス・アメリカ副大統領が韓国に訪問をされた日であります。その訪問の直前に北朝鮮は弾道ミサイルを発射したわけでありまして、このことは、空母派遣など、あるいは軍事力行使をちらつかせて新たな挑発の抑え込みを狙ったトランプ・アメリカ政権への対決姿勢を鮮明にしたのではないかな、僕はこう受けとめております。

 そこで、まず北朝鮮の情勢についてお伺いをいたしたいと思うわけであります。

 この十六日に、北朝鮮が弾道ミサイルを発射されました。世界の大方は、十五日、北朝鮮にとって極めて貴重な日でありましたので、その日に核の実験あるいはミサイルの発射があるのではないかと緊張あるいは注視したわけであります。

 そこで、外務大臣にお伺いしたいのは、次の日の十六日ではありましたが、発射されて、四秒から五秒後で爆発し、大方失敗した、こう言われているわけでありますけれども、発射されたという事実に対してどのような認識をお持ちでございますか。

岸田国務大臣 発射されたという事実に対してどう考えるかという御質問ですが、こうした北朝鮮による弾道ミサイルの発射は、累次の安保理決議にも違反しますし、六者会合共同声明の趣旨にも反するものであると認識をしております。

 まことに遺憾なものであり、厳重に抗議をいたした次第であります。

升田委員 政府は、第一報は国民に対してどのような形でお知らせしたのか、これをどう受けとめておりますか。

岸田国務大臣 北朝鮮の動向については、平素から情報収集、分析に努めている次第ですが、具体的な事案につきましては、事案ごとにしっかり情報を確認し、国民に対し正確な情報を適切に伝えるという方針で対応していると承知をしております。それぞれの事案に応じて、具体的に対応を行っていると認識をしております。

升田委員 質問の仕方がちょっと悪かったなと思いますが、北朝鮮から弾道ミサイルが発射された、この事実を国民に対して政府はどのような形でお知らせしたのかということをもう一度お伺いしたいと思います。

前田政府参考人 お答えいたします。

 十六日の事案でございますが、十六日の午後でございましたけれども、政府全体では、内閣官房及び防衛省の方から張り出しをさせていただいております。

 米太平洋軍が、十六日の午前六時二十一分に北朝鮮が東岸の新浦付近から弾道ミサイル一発を発射したが、直後に爆発した、この旨を発表しておりまして、防衛省の方におきましては、防衛省においてもこれまで収集した種々の情報を総合的に勘案した結果、米国と同様の認識を有している、この旨を公表させていただいているところでございます。

升田委員 その事実は、十六日の何時に発表されましたか。

前田政府参考人 お答えいたします。

 十六日の午後、正確な時間はちょっと調べる必要がございますけれども、午後三時前ぐらいであったと考えてございます。

升田委員 十六日の午前八時前ぐらいでしょうか、NHKのテレビでこれは第一報があったわけでありますね。これは御承知していますか。

前田政府参考人 お答えいたします。

 午前中の段階から各種の報道がなされていたということについては承知をいたしてございます。

升田委員 十六日の六時二十一分に発射されて、四秒ないし五秒でこれが爆発になった。これから、いわゆる正式に発表されたのが午後三時。余りにも時間に差があるのではないか、こう思うのが普通の感覚だと思うんですね。

 その中で、先ほど申し上げた、NHKが午前の八時前後にテレビ放映されました。このNHKがどの情報で発表されたかというのは御存じですか。

前田政府参考人 NHKが報じたと思います第一報については、韓国発の情報であったというふうに記憶をしてございます。

升田委員 そうなんですね。これは韓国の情報を受けてNHKが八時に発表したということなんですよ。

 岸田外務大臣、この形って、そう納得いく形じゃないと思うんですね。日本にとって極めて重要な北朝鮮の発射のこの事案が、政府は午後三時です、内閣は午後三時ですが、午前八時に韓国のメディアの情報をもとにNHKが発表し、これでもって国民が、ああ、こういうことがあったんだということがわかった。そうではなくて、みずからの調査で、みずからいち早くこういうことを発表してしかるべきじゃないか、こう思うんですが、大臣はどうお考えですか。

岸田国務大臣 今回の対応については今答弁があったとおりでありますが、我が国政府としましては、我が国の国民に直接、安全保障上の影響がないということを確認しつつ、情報の収集、分析に努めた上、さまざまな情報を総合的に勘案した上で、先ほど答弁させていただいた時刻に国民に正確な情報を伝えたということであると承知をしております。

 国民の命や暮らしをしっかり守る上で、必要な情報を適切に提供していかなければなりません。そういった観点から具体的に対応した結果が今回の対応であったと認識をしております。

升田委員 Jアラートですか、全国瞬時警報システム、これは警報は出されたんでしょうか。

横田政府参考人 お答え申し上げます。

 国民の生命財産を守り抜くためには、国民に対して迅速かつ適切に情報伝達を行うことが極めて重要でございまして、政府としては、先ほどのように、ミサイルが我が国に飛来する可能性がある場合、この場合にはJアラートを活用して直ちに国民に情報を伝達することといたしております。

 今般の事案では、発射されたミサイルが我が国に飛来する可能性がなかったことから、Jアラートなどを使用しなかったものでございます。

升田委員 外務大臣と防衛大臣にお伺いいたしますが、北朝鮮が十六日六時二十一分、弾道ミサイルを発射された。この御一報は、両大臣には何時に御一報が入ったわけでしょうか。

岸田国務大臣 従来から、御指摘のような事案において私が直接連絡を受けた時刻については、詳細を申し上げることは控えております。

 今回も控えたいと思いますが、当日早朝に連絡を受けた、それだけは申し上げたいと思います。

稲田国務大臣 お尋ねの、私が報告を受けた時間を含め、これ以上の詳細を明らかにした場合、こうした事案の性質上、我が国の情報収集能力が明らかになりかねないことから、お答えを差し控えさせていただいているところでございます。

升田委員 ただいまの両大臣の答弁、あるいは先ほどのJアラートの対応をお伺いしますと、十六日午後三時に国民に発表した、それからはるか以前に、もうわかったということなんですね。

 その瞬間、やはり国民に知らしめてもいいと思うんですね。午前六時二十一分に北朝鮮が弾道ミサイルを発射されました、しかし、間もなく爆発し、どうやら失敗された模様でありますが、詳細においてはまた後ほど御報告なり云々と。

 こういう段階的な報告のシステムの中で、いち早く国民に情報の伝達とそれに伴っての安全というか安心というか、それを伝えるということが私は国の責務だと思うんですが、これは両大臣、いかがですか。

岸田国務大臣 平素から、政府としては、北朝鮮に関しましても情報収集、分析に努めているわけですが、その中にあって、国民の命や暮らしを守るために、あるいは国民の安心のために、適切に情報提供は行わなければならないと存じます。

 そして、そういった観点から具体的な対応を考えなければならないと思いますが、今回の案件につきましては、我が国への飛来あるいは我が国の国民の命や暮らしに対する影響等がないかどうかを確認しながら正確な情報収集に努めた、総合的な情報を勘案した上、実際、その当日の午後、情報を提供するということになりました。

 今申し上げた諸点を総合的に勘案した結果であると認識をしております。

稲田国務大臣 従来から、北朝鮮の弾道ミサイルが我が国の方向に発射され、一定程度飛翔していることを確認した場合には、その事実を明らかにしたとしても我が国の今後の情報収集活動等に支障を来すことはないことから、私、防衛大臣への第一報の時間も含め、我が国の基本的な対応を明らかにしております。

 他方、今回の事案は、北朝鮮が発射した弾道ミサイルが発射直後に爆発をしているものであり、こうした事案の性質上、私が報告を受けた時間を含め、これ以上の詳細を明らかにした場合、我が国の情報収集能力が明らかになりかねないことから、お答えを差し控えることといたしたものでございます。

 一般論として、ミサイルが発射されたことを公表するかどうか、また公表の仕方については、まず、いろいろな要素を検討いたします。我が国の安全保障への影響ですとか、国民の生命財産への影響、そして一方で、我が国の情報収集能力を相手に見せることがあってはいけないといった、先ほど外務大臣からも申し上げましたいろいろな要素を総合的に判断して、個別の発射事案ごとに検討をして判断をしているということでございます。

升田委員 どの時間で知り得たかを明らかにすることが国の危機管理に影響を及ぼすというこの理論というのは、僕の中では納得がいかない理論ですね。早い段階で知り得るということは、これ自体で他国との関係がおかしくなるという、手のうちがわかるというようなことにどうやって結びつくのか、ちょっと理解ができないんですが。

 もう一度言いますけれども、NHK、これは国民テレビです。韓国メディアからの流れでもってNHKが日本国民に発表し、それで日本国民が知ったということは、これは日本国の中では、普通に言って納得がいかない。これが当たり前というのはおかしいと思うんですね。みずからの国が情報収集し、みずからの発意でもって知らせるというのが普通の形だと思うんです。今回も、聞くところによると、ずっとこれがなされていない。これは疑問でならないという旨は伝えておきたいと思います。

 ただ、一方で、この時間の差というのは、ここは外務大臣にお伺いするんですが、日米同盟との何か関係も、影響がこれはあるんですか。

岸田国務大臣 要するに、情報提供の時間と日米同盟が何か関係しているのかという御質問かと思いますが、直接には影響はないと思います。まず、直接には、あくまでも我が国の情報管理のありよう、適切な情報提供のありようはどうあるべきなのか、そういった観点が影響しているものであると認識をいたします。

升田委員 今このことをお伺いさせていただいたのは、すぐさま発表しないことで、アメリカに、同盟国でありますから、アメリカがいろいろな考えをする時間というのを日本は与えて、それでもってあえて遅い時間を選んでいるのかななんて勝手に思ったりしたわけでありますけれども、今の大臣の答弁でありますと、これはもう全く関係ないということでありまして、ならば、やはり素直な形で、知り得た時点でお知らせするという当たり前を実践してもらいたいな、こう思います。

 関係者に、私の調べの関係では、もう相当早い段階で知り得ているはずなんですよ。六時二十一分に発射し、そのこと自体も、日本は衛星も飛ばしておりますから、いろいろ関係機関の中では、これは直後にわかり得たはずなんですね。にもかかわらず、この時間の差があるというのは、やはりこれはいけないことだな、こう思います。

 次に、我が国のミサイルの防衛についてお伺いしたいと思います。

 端的に言って、北朝鮮というのはどこを攻撃しようとしているのかな、これが心配でならないんですね。アメリカなのか、韓国なのか、あるいは我が国なのか。この辺はどう捉えておりますか。

前田政府参考人 お答えいたします。

 今回、北朝鮮が弾道ミサイルを発射したわけでありますが、その北朝鮮の発射の意図、目的につきまして、我が方として断定的に申し上げることがなかなか難しゅうございますし、お答えすることは差し控えさせていただきたいと思うわけでございます。

 ただ、その上で申し上げれば、北朝鮮は、例えば、米国が挑発すれば即時にせん滅的な打撃を加えるであろうし、全面戦争には全面戦争によって、核戦争には核打撃戦によって対応するといったことを述べるなど、挑発的な言動を繰り返しているわけでございます。

 また、北朝鮮は、新型ICBMを含めた各種の弾道ミサイル発射を含め、核・ミサイル開発のための活動を継続していく姿勢を崩しておりません。そういう意味では、今後さらに挑発行動に出る可能性も考えられる、このように認識をいたしているところでございます。

升田委員 四月の十三日、安倍総理は参議院の外交委員会において、「言わば北朝鮮がミサイルを発射し、日本に残念ながらミサイル防衛能力をくぐり抜けて着弾するという事態が起こる中において、それを反撃をする能力を持つべきではないかというのが自民党の議論あるいは提言の問題意識の中心でございます。」こういう答弁をされているわけであります。

 これは自民党の議論ということでありますが、安倍総理の口からくぐり抜けてしまう事態を想定する旨のお話がされておるわけでありますが、ここは防衛大臣も同じ認識でございますか。

稲田国務大臣 総理の参議院外防委員会における御発言は、自民党の提言について説明をされた、今読み上げられた一節であろうというふうに思います。

 我が国は、弾道ミサイルの脅威に関しては、我が国自身の弾道ミサイル防衛システムを整備するとともに、日米安保体制による抑止力、対処力の向上に努めることにより適切に対応することといたしております。

升田委員 自民党の中の議論ということでありますが、安倍総理があえてこれに言及されたということは、総理自身も同じ認識に立っているから言及されたのではないかな、僕はそういうふうに受けとめをさせていただいています。

 この議事録を拝見させていただいて、先般の安全保障委員会の中でも僕は稲田大臣に御質問をさせていただいておりましたが、青森県は、三沢に米軍があって、六ケ所には核燃料サイクルがあって、大間には今建設中でありますけれども原発、東通原発。北朝鮮が四発同時に先般発射されました。この四カ所にいわゆる弾道ミサイルが発射された場合に本当に防げるのかどうかということが、またこれは頭をよぎるわけですね。大臣、ここは大丈夫ですか。

稲田国務大臣 我が国の現在の弾道ミサイル防衛は、海上自衛隊のSM3搭載のイージス艦による上層での迎撃、また航空自衛隊のPAC3ミサイルによる下層での迎撃を組み合わせて、多層防衛により我が国全域を防衛することといたしております。

 お尋ねの、御地元の青森県に所在する原子力関連施設に係る弾道ミサイル防衛に関しては、我が国全域を防衛するため、イージス艦を展開させるとともに、拠点防護に使用するため、全国各地に分散して配備されているPAC3、これを状況に応じてこれらの周辺にも機動的に移動、展開させることにより対応することも一般的に考えられると思います。

 現在、青森県には、航空自衛隊車力分屯基地にPAC3部隊が配備されております。こうした部隊も活用しつつ、弾道ミサイルからの防衛に万全を期しているということでございます。

升田委員 万全を期してもらわないと、これは大変なことになります。エネルギー政策の中で、核燃の是非というのは青森県内でもあるわけでありますが、もう一方の県民の懸念というのは、いわゆるこの施設にテロがあったらどうなるんだ、ミサイルが飛んできたら本当に守ってくれるのか、日本はと。これが、今北朝鮮がこういう行動をとっているからではなくて、以前からずっと青森県内には懸案事項として存在しているわけであります。

 こういう中で、安倍総理がくぐり抜け云々という言及をされますと、何だ、そういう事態もあり得るのか、ではどうなるんだという不安が広がっていくことに僕は懸念をしているわけでありまして、日々日々、北朝鮮のいわゆるミサイル開発能力というのはどんどん進んでいるのが今現在でありますから、まさに今大臣がお答えされたように万全を期していただかないと、青森県のみならず、日本のみならず、アジア太平洋に及ぶ事案になっていきますから、そこはしっかりと対応をお願いしたい、こう思います。

 邦人の確保に関連した質問をさせていただきたい、こう思います。

 非常事態の場合の韓国国内の邦人の保護について、安倍総理は、これまた昨日の決算委員会で、海外で邦人が危機にさらされたとき、保護、救出に対応することは国としての責務だ、朝鮮半島において在留邦人の保護や退避が必要になった場合など平素からさまざまな状況を想定し、必要な準備、検討を行っている、こう述べられておりますが、安倍内閣の閣僚として、ここのところをもっと具体的な説明を願いたいと思うんですが、お願いしたいと思います。

岸田国務大臣 総理が答弁させていただいておりますように、海外で邦人が危機にさらされたときに安全確保あるいは救出を考えるということ、これは国の責務であると考えますし、政府として、在留邦人の保護、退避が必要になった場合に、平素からさまざまな状況を想定し、準備、検討を行っているわけですが、韓国におけるより具体的な対応ということで申し上げるならば、例えば、在韓国日本国大使館においては、ソウル日本人会と共催でソウル日本人会安全対策委員会、年四回にわたりまして実施をしております。

 日ごろから情報収集、意見交換を行っているわけですが、この在韓国日本国大使館とソウル日本人会は、共同で、緊急事態の備えや退避について安全マニュアルというものを作成しています。そして、この内容についてはホームページに掲載するなど、周知を図っている次第です。こうした意見交換あるいは安全マニュアルの作成等を通じまして、平素から、具体的に何か有事が発生したときにどう対応するのか、意思疎通を図っているところであります。

 これは、在留邦人のみならず、旅行者においても大変重要なことでありますので、たびレジ登録など、情報の連絡体制についても周知を図り、いざというときに適切に、そして迅速に情報が共有できる体制をつくっている、こういった対応にも努めているところであります。

 このように、韓国におきましても、平素からさまざまな対応を行い、国としての責務を果たすべく取り組みを続けているということであります。

升田委員 次に、北朝鮮の邦人の保護についてお伺いしたいと思うんですが、拉致被害者を初め、邦人が何人いるかというのは把握ができていますでしょうか。

志水政府参考人 お答え申し上げます。

 北朝鮮に在留している可能性のあるいわゆる日本人配偶者や残留日本人については、これまで北朝鮮側に対しさまざまな機会を捉えて安否確認を求める等、その消息等の把握に努めてきているところでございます。

 しかしながら、北朝鮮に在留する邦人の現状については、それを直接確認する手段がないことから、確定的な情報を有するに至っておりません。

升田委員 一連の北朝鮮の行動を見ますと、いわゆる北朝鮮に今住んでいるというか、残念ながら拉致されて生きている人、もう心配でならないと思うんですね。何か有事があったときには殺されるのではないかという不安の中で、拉致された方は今生きられていると思うんですね。

 あるいは、邦人が何人いるか私は知る由もありませんが、北朝鮮に住んでいる日本人は、その心配というのはもう二十四時間頭から離れない、そういう状態であろうと思うわけでありますので、ここをしっかりと、救うという観点から外交展開もしていかなきゃいけない、こう思うわけです。

 北朝鮮と我が国は国交がありません。なので、なかなか大変だということはすごく理解できる話です。しかし、国交のある国を活用しながら内部の情報を得るということは、これは可能なのではないんですか。そういうアプローチの仕方というのは考えていませんでしょうか。

志水政府参考人 お答え申し上げます。

 政府といたしましては、まず、北朝鮮におります在留邦人に関しましては、これまで米国に対して拉致被害者に関する情報を提供してきており、拉致被害者の安全が脅かされる事態に至った場合に、拉致被害者の安全確保のための協力を米国政府に依頼しているところでございます。

 そのほか、今委員が御指摘になったような点に関しまして、そういう点も含めて、今後さらに、在留邦人の安全確保のためにどういうことができるか検討させていただければと思っております。

升田委員 日米韓の連携も、いわゆる我が国の安定のためにも極めて必要な時期が来たな、こう思います。

 そこで、韓国と日本の関係なんですが、慰安婦像の問題で、これに抗議して、長嶺駐韓大使ですか、四月四日に三カ月ぶりに帰任させたわけでありますが、いまだ要人とは会えないような状態だ、こうお伺いをしております。

 これは、外務大臣はどのように打開していくつもりでしょうか。

岸田国務大臣 長嶺大使につきましては、韓国において五月九日、大統領選挙が行われること、あるいは北朝鮮情勢についてさまざまな動きがあるということ、さらには慰安婦問題について我が国の考え方を直接伝えるということ、こういった諸点を勘案して帰任を決定したわけですが、帰任後、外交部の第一次官ですとか青瓦台の外交安保主席ですとか、さらには、北朝鮮問題について、ブルックス在韓米軍司令官といった米国の関係者とも会い、情報交換、意見交換を行っていますが、今のところ、黄教安大統領権限代行との面会については引き続き日程調整中という状況であります。

 先ほど申し上げました諸点を勘案して大使の帰任を決定したということでありますので、そういった点を勘案して、必要な韓国のハイレベルの人間との面会等をこれからもしっかりと模索していかなければならない、このように思っています。引き続き、大使にしっかりと任務を果たしてもらいたいと考えています。

升田委員 ミサイル弾頭にサリンを装着しての攻撃について、ちょっとお伺いしたいと思います。

 これも、四月の十三日、参議院の外交委員会で安倍総理が、関する言及をされているんですね。サリンといったら、二十二年前のあの事件でしょうか、国民は、まだまだ鮮明に、大事件であるという記憶が残っている中で、このサリンという言葉を聞くと、やはり恐怖に駆られると思います。

 このサリンをつけた弾道ミサイルが飛んできたとき、どうやって迎撃するんでしょうか。あるいは、迎撃した場合、そのサリンの二次的被害というのはこうむらないものですか。この辺を教えていただきたいと思います。

前田政府参考人 お答えいたします。

 サリンといった化学兵器が搭載をされた弾道ミサイルにつきましては、これは、その他の弾道ミサイル攻撃と同様に迎撃を行うということになります。具体的には、先ほども御説明を申しましたが、SM3搭載イージス艦、それからPAC3による多層防衛、こういうシステムを我が国は持っておりますので、これによって迎撃をするということになります。

 他方で、化学兵器が搭載をされました弾道ミサイルをPAC3等によって破壊した場合、これの地上における被害につきましては、弾頭の種類、性能、それから迎撃高度、速度、あるいは気象条件、こういったこと、さまざまな条件により異なるということになりますので、確たることを申し上げるのは困難でございますけれども、その上で、あえて一般論で申し上げますと、化学兵器につきましては、弾道ミサイルの破壊時の熱などによって化学剤が無力化される可能性が高いと考えております。また、仮にその効力が残ったといたしましても、落下過程で拡散をするということがありますので、所定の効果を発揮することは困難であろう、このように考えております。

 いずれにいたしましても、防衛省・自衛隊としては、いかなる事態においても、弾道ミサイルの脅威から国民の生命財産を守るべく万全を期してまいりたい、このように考えてございます。

升田委員 再度お伺いしたいと思うんですが、端的に、サリンの心配はないということの受けとめ方でいいんですか。

前田政府参考人 お答えいたします。

 ただいま御説明申しましたのは、サリンを搭載した弾道ミサイルを空中で迎撃したときの被害について、それについては所定の効果を発揮することは困難であろう、こういうことを御答弁させていただきました。

 一方で、北朝鮮、詳細については不明でございますが、化学剤を生産できる複数の施設は維持をいたしておりますし、既に相当量の化学剤などを保有している、このように見られます。

 総理が御答弁をされたわけでありますけれども、北朝鮮は弾頭に化学剤を搭載し得る弾道ミサイルを撃つという可能性、これは否定できないということはあろうと思います。

 いずれにしても、必要な情報収集に努め、国民の安心、安全に万全を期してまいりたい、このように考えます。

升田委員 次に、あと六分ぐらいしかなくなったんですが、シリア情勢をほんの少しだけ、まずお伺いしたいと思います。

 安倍総理は七日、アメリカ海軍のトマホークミサイル発射によるシリアのアサド政権に対する攻撃について、化学兵器の拡散と使用は絶対に許さない、アメリカ政府の決意を日本政府は支持します、こう述べられておりますが、この決意というのは、これはどう受けとめたらいいんでしょうか、外務大臣。

岸田国務大臣 シリアにおいて、再び化学兵器によって罪のない多くの一般人が犠牲になったわけですが、幼い子供までもが犠牲になった惨状を目の当たりにして、国際社会全体が大きなショックを受けています。

 こういった行為は、極めて非人道的でありますし、安保理決議にも反するものですが、こうした化学兵器の拡散と使用は絶対に許さないという米国の決意、この決意を我が国として支持する、このことを申し上げております。

 決意については、今申し上げた米国の決意を支持しているということであります。

升田委員 トランプ・アメリカ大統領になられて、核爆弾以外では最強の爆弾と言われるMOABを使用したりとか、明らかにオバマ前大統領とは違う大統領だなということがこれで証左されたと思うんですね。

 こういう状況になってきますと、日本の対応というのがある意味極めて重要ではないかな、こう思います。

 トランプ大統領の行うことをただ単に支持するということは、これはあり得ないと思いますが、また、そうであってはいけないと思うんですね。おかしいところはおかしい、あるいは、もうちょっと落ちついてねという部分も、日本には期待される部分ではなかろうかなと思うんです。

 あの方を、テレビでしか拝見しておりませんが、危なっかしいというか、大丈夫かなと思っているのは僕一人じゃなくて、たくさんおられるだろうと思うんですね。なので、外務大臣、日本の価値ある外交を展開していただきたいな、こう思います。

 残された時間、ちょっと急いで、一点だけ拉致問題について触れたいと思います。

 もう何十年もたって、解決のめどが立っておりません。あの横田御夫妻は、生きている間にやはり娘さんを見たいと思っているんですよ。この辺、今政府はどんな対応をしているのか、端的でいいので、その辺をお答えください。

岸田国務大臣 拉致問題は、国の主権にかかわる問題ですし、国民の命やあるいは安全にかかわる重大な問題であり、国の責任として解決すべき課題であると認識をしております。

 御指摘のように、拉致発生から長い年月がたっている、一刻の猶予も許されない、強く認識をしております。

 具体的にどう対応しているかという御質問ですが、まず、北朝鮮に対しましては、対話と圧力、行動対行動のもとに、ストックホルム合意の履行を求めながら、全ての拉致被害者の帰国を実現するべくさまざまな努力を行っています。

 そして、北朝鮮に対する直接の働きかけとあわせて重要なのは、この問題の国際化であると思っています。

 あらゆる機会を通じて各国に対して拉致問題を提起する、あるいは、先日のG7の外相会談を初め、さまざまな国際会議においてしっかりと拉致問題について説明を続けている、あるいは、国連の場においても、この拉致問題、北朝鮮問題はもちろん重要な議論ですが、その中にあって、特に拉致問題についてしっかりとした情報を提供し、考え方をインプットする、こういった取り組み、こうした拉致問題の国際化の取り組みもあわせて重要であると考えます。

 この両方をしっかり追求していきたいと考えます。

升田委員 幸福の希求を根底から覆しているのは拉致ですね。これはほぼ戦争と同じ意味合いですよ。

 安倍総理は拉致の全国大会で、私も何回も参加させていただきましたが、その都度その都度力強い挨拶をしている。しかし、現実は一歩も進んでいない。しっかり対応してもらいたいと思います。

 残された時間、一分三十秒ぐらいあると思うんですが、稲田大臣に。

 今、南スーダンからいわゆる撤収が進んでおりますが、これは青森部隊でありますので、しっかりと安全に、ちゃんと最後まで任務を遂行してもらいたい、こう思うんです。大臣の決意を聞くと、お答えすれば時間かなと思うんですが、これをしっかり頼みたい、こういうことです。大臣、お答えください。

稲田国務大臣 南スーダン派遣施設隊、五年余りの活動で大変成果を上げ、国際社会からも高い評価を受けております。そして、五月末に全員が安全に帰国し、家族のもとに帰るまで、私も緊張感を持って毎日情報を得ておりますけれども、しっかりと安全に撤収させたいというふうに考えております。

升田委員 三月の十四日は、本会議場では稲田大臣に大変きついお言葉を発言させていただきましたが、命の前には与野党なしでありますから、しっかりお願いをし、時間が来たようでありますので、終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

山口委員長 次に、藤丸敏君。

藤丸委員 よろしくお願いいたします。

 本日は、北朝鮮をめぐる問題について質問をさせていただきます。

 現状分析、把握、認識は、極限の緊張状態にあると思っております。先日も、トランプ・習近平電話会談があり、北朝鮮の暴走を、アメリカ、中国でどう対応するか、どういうふうに軟着陸をさせるのかとの話があったようであります。

 トランプ大統領としては、核ミサイルをアメリカへ撃たせまいと、核開発を阻止しようとしていると思います。中国は、戦争になれば難民が来るなど、中国には撃ってこないと思っているのかどうかわかりませんが、中国は経済的に、統計を見ると依存度が大きい、逆らえないと思っているんだと中国は思っていると思います。

 今、中国は平和的解決に向かって努力していると思われるのでありますが、そう簡単にはいきません。その制裁で、石炭の輸入を停止したり、石油を輸出しなかったりしているところでありますけれども、しかし、北朝鮮は、衝突を避けつつ、挑発を続けて、核ミサイルの開発を成功させようとしていると思います。この神経戦が繰り返されているというのが現状であろうと思います。まさに一触即発というふうに考えております。

 済みません、余談になりますけれども、いつも青臭いことを言うんですが、本来、戦争というのは起きます。古代の賢人の言葉を引くと、プラトン、政治家になりたかった人なんですけれども、「国家」という書物の中に、ソクラテス問答で、国家の欲によって戦争は起こると言っております。

 ちょっと間は飛びますけれども、近世のカントは、この人は英語ができなかった、かた物の人でありますけれども、人間の本性の邪悪により戦争は起こるとしております。当然、人間同士、けんかをするわけですから、戦争は起こると思います。そして、どうして平和を実現していくのかという叙述もあります。

 近世ですけれども、カントの話ですが、その当時は重商主義、絶対主義の中で戦争が、争いが起こっておりました。一七九五年、バーゼル条約、まあ、西洋史に詳しい人はわかるんでしょうが、その一七九五年にカントは「永遠平和のために」という書物を書いております。八十歳ぐらいだったと思いますけれども。これは、社会契約説で共和制を実現していくように国家間契約説で平和連合をつくって永遠平和を実現していくと説いているのであります。

 第一次世界大戦後、プリンストン大学のウィルソン大統領が国際連盟を提唱したわけであります。そして国際連合へと至っているわけでありますが、国際連合の権能強化はまだ途上であります。

 しかしながら、経済統計を見れば、経済的には各国間のつながりが強い。例えば、世界GDPは八千兆ぐらいあります。その中で、アメリカは二千兆円ぐらいあります、中国が千二百兆円ですね、わかりやすく言えば。そして、貿易に至っては、世界貿易、総輸出を見ると大体千八百兆円ぐらいです。このうちで、アメリカが百六十兆円、中国が二百五十兆円ぐらいあります。アメリカと中国は、平たく言えば四十兆と十兆の貿易です、輸出輸入が。正確には四十五兆と十二兆円ということになります。中国に何かあればアメリカも相当困るわけであります。中国はアメリカに対して百兆円ぐらいの借金があります、それが飛びますから。

 そして、社会的にも、人々の動き、情報においてグローバル化が進んでおります。また、法の支配においても、後進国が民主化してくれば国際法の力がおのずと増してきます。いずれにしても、国際連合の権能は強化されていくと思います。

 本題に戻りますが、上策は、平和的解決により北朝鮮を軟着陸させること、核を放棄させることであります。アメリカも体制変更までは要求しない、北朝鮮もハードルを下げてくると思われます。総合的に比較考量すれば、核の脅威とか日本の大惨事とかを考えれば、日本にとってではありますけれども、平和的解決しかないのであります。しかし、最悪の事態が目の前にある、可能性がある以上、それに対処していかなければなりません。

 そこで、質問ですけれども、幸いにも安全保障法制ができ上がっておりまして、この新たな段階の脅威をどう考えていくか、考えているのかということを防衛省にお答え願います。

前田政府参考人 お答えいたします。

 新たな段階の脅威に入ったという点についての御質問であります。

 委員御承知のとおり、北朝鮮は、昨年二回の核実験を強行するとともに、年間では過去最多となる二十発以上の弾道ミサイルの発射をいたしております。本年に入ってからも、一昨日の発射も含めて、引き続き弾道ミサイルの発射を繰り返してございます。

 こうした動き全体を通して新たな段階の脅威というふうに申し上げているわけですが、少し具体的に申し上げますと、北朝鮮の弾道ミサイル開発あるいは運用能力の向上につきましては、昨年二月でありますが、人工衛星と称する長距離弾道ミサイルを発射いたしておりますし、グアムが射程に入ると言われております中距離の弾道ミサイル、ムスダン、こういったものも開発しています。こういう意味では、弾道ミサイルの長射程化をまず図っているということがございます。

 また、三月六日、ことしでありますが、四発の弾道ミサイルを一度に発射しました。同じことは昨年の九月にもございまして、三発の弾道ミサイルを同時に発射、そして三発とも我が国のEEZのほぼ同じ地点に撃ち込む、こういった事象が生じてきています。これらは、実戦配備済みの弾道ミサイルの技術的信頼性を向上させているというふうに考えております。

 また、任意の地点から発射が可能な発射台つきの車両、TELと申しますけれども、こういったものからの発射、あるいは潜水艦からの発射、こういった発射も繰り返しておりまして、これは打撃能力の多様化、そして秘匿性が非常に上がってきますので、残存性が高まってくる、こういった特徴もございます。

 さらに申し上げると、弾道ミサイルの固体燃料化を進めている可能性もあります。固体燃料のミサイルは、液体燃料に比べまして即時の発射が可能でありまして、発射の兆候も事前に察知されにくいということで、これは奇襲能力が上がっているということであります。

 また、核兵器について申し上げますと、小型化、弾頭化の実現に至っている可能性が考えられます。北朝鮮が核兵器計画を継続する姿勢を崩していないことを踏まえますと、これは、時間の経過とともに、我が国が射程内に入る核弾頭を搭載した弾道ミサイルが配備されるリスクが増大しているというふうに考えているわけでございます。

 政府としては、こうした北朝鮮による核、弾道ミサイルの開発、あるいは運用能力の向上が、昨年来、我が国を含む地域、そして国際社会に対する新たな段階の脅威になっている、このように認識をしている次第でございます。

藤丸委員 わかりました。

 考えられることは全てやって準備しておいていただきたいと思います。

 先般、自民党においても提言をさせていただいております。そして、この事態においては国民の生命、身体、財産を守り抜くという、守っていってもらわなければなりません。その決意を大臣にお聞かせ願えればと思います。

稲田国務大臣 先ほどの答弁にもございますように、北朝鮮の核・ミサイル開発及び運用能力の向上は新たな段階の脅威となっております。

 先般、政府は、自民党安全保障調査会弾道ミサイル防衛に関する検討チームから、我が国独自の敵基地反撃能力の保有の検討開始についての提言を含む、弾道ミサイル防衛の迅速かつ抜本的な強化に関する提言の提出を受けたところです。党から大変貴重な提言をいただいたことに感謝しております。

 いかなる事態にあっても、国民の生命と平和な暮らしを守り抜くことは政府の最も重要な責務であります。防衛省としても、自民党からの提言をしっかりと受けとめ、そして、国民の生命、身体、財産を守り抜く体制について万全を期してまいりたいと考えております。

藤丸委員 よろしくお願いいたします。

 平和的解決しかないのでありますが、しかし、最悪の事態が起こった場合には、大臣に、防衛省に、そして政府全体で守り抜かなければなりません。宇宙船地球号としては、CO2でも存亡が危ういと言われているのに、核が使われれば、言葉は悪いんですが、一巻の終わりといいますか、大変なことになってしまいます。小さな核弾頭でも、広島、長崎以上はあると思われますので。しかし、日本も平和的解決に向けて努力しなければならないと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 ちょっと早いですが、終わります。

山口委員長 次に、佐藤茂樹君。

佐藤(茂)委員 公明党の佐藤茂樹でございます。

 きょうは、十五分という限られた時間でございますが、質問の機会をいただきまして、大変にありがとうございます。

 御存じのとおり、アメリカと北朝鮮の間で軍事的緊張が高まっております。ぜひ政府としては、不測の事態に備えて万全の体制で取り組んでいただきたいと思うわけでございますが、きょうは何点か私の問題意識を申し上げたいと思います。

 一つは、国民保護の問題でございます。

 先般、三月八日の内閣委員会で、二〇〇四年に成立した国民保護法に基づく住民避難訓練のことを菅官房長官にお尋ねいたしました。当時、三月六日に北朝鮮が弾道ミサイル四発を同時発射いたしまして日本海に撃ち込んだ直後のことでございました。

 当時、既に政府の方で決められたのが、秋田県の男鹿市で、秋田県沖の領海内にミサイルが落下したとの想定で全国初の住民避難訓練を三月十七日に行う予定であるということでしたので、私は、この初の住民避難訓練を踏まえて、他の自治体でも計画的に避難訓練を行っていくべきであるということを菅官房長官に申し上げたわけでございますが、菅官房長官も次のように答弁されました。

 「政府としては、発射情報が伝達された場合の対処の仕方に国民の皆さんの理解を進める必要があるということの中で、今回の訓練というのは極めて重要だというふうに思っています。そして、今委員から御指摘がありましたように、こうしたことは他の自治体においても働きかけを行っていきたいというふうに思います。」そういう極めて前向きな答弁をいただいたわけでございます。

 三月六日の北朝鮮の発射の際に、北朝鮮は、在日米軍基地への攻撃に言及しているわけでございます。

 ですから、在日米軍基地周辺自治体や、あるいは政治、行政、経済が集中する東京を初め都市の住民も含め、弾道ミサイル落下を念頭に置いた住民避難訓練を計画的に行っていただきたいと私は思うわけでございますが、一部報道によりますと、長崎県も夏にも実施する方向で検討されているという報道もございますが、三月十七日の秋田県男鹿市での初の住民避難訓練の状況及び検証の結果と、それから他の自治体の訓練の計画予定について、内閣官房副長官にお尋ねをしたいと思います。

萩生田内閣官房副長官 お答えします。

 本年三月十七日に、秋田県男鹿市におきまして、初めて弾道ミサイルを想定した住民避難訓練を実施しました。具体的には、国からのJアラートを使った男鹿市への情報伝達、あるいは男鹿市の防災行政無線や登録制メールを利用した住民への情報伝達、加えて住民による公民館や小学校での屋内避難訓練を行ったところでございます。

 訓練を実施した結果、訓練について新聞やテレビなど幅広いメディアが報道したこともあり、弾道ミサイルが我が国に落下する可能性がある場合にJアラート等により伝達される情報の内容や屋内避難が必要なことについて、訓練に参加した国民や報道に接した国民に対して一定程度周知ができたものであるというふうに考えております。

 しかしながら、今般の我が国を取り巻く状況に鑑みれば、弾道ミサイルが我が国に落下する可能性がある場合における対処について、より一層国民の理解を推進することが必要であり、政府としては、引き続き、このミサイルを想定した住民避難訓練の実施を他の自治体にも働きかけてまいりたいと思っております。

 一方、なぜ男鹿市になったのかといいますと、秋田県で訓練をしたいということを申し上げましたところ、秋田県の方で調整して、男鹿市が手を挙げていただいたんですね。今、先生の問題意識は極めて重要なんですけれども、政府側からおたくの自治体とおたくの自治体とおたくの自治体で訓練してくれと申し上げると、そういうことがあるのかということ、間違ったメッセージになる可能性もありますので、ぜひ、自治体の方で積極的に手を挙げていただければ、政府としてはこの訓練を続けていきたい思いは十分ございます。

佐藤(茂)委員 それと、今官房副長官は述べられなかったんですが、ぜひ検証をしっかりとやっていただきたいと思うんですね。

 例えば、これは既に内閣官房のホームページにも出ておりますが、そのときに参加された方あるいは視察された方のアンケート調査というのが出ているんですね。

 例えば、こういうのが次の課題だと思うのは、「防災行政無線から流れた放送内容はよく聞こえましたか?」と。「よく聞こえた」が六三%、「聞こえにくかった」が三七%、これは参加した方ですね。視察された方、視察者という方のアンケート調査によると、逆に、「よく聞こえた」が四三%、「聞こえにくかった」が五七%というような、これは一つの事例ですけれども、こういうことも踏まえて、次にやるときにはこういうところも改善していこうというような形でぜひ訓練を続けていただきたいと思うわけでございます。

 今ありましたように、自治体から希望されるかどうかということも含めて、やはり国民の意識をしっかりと高めていくということが私は極めて大事だと思うんですね。特に、いざそういう不測の事態になったときにどう身を守っていくのかということについて、日ごろからさまざまなレベルでしっかりと周知徹底をしておくということは極めて大事だと思うんですね。

 特に、弾道ミサイルの新たな段階の脅威ということを総理初め政府が一貫して言われてきているわけであります。この弾道ミサイルの新たな段階の脅威ということはどういうことなのかということについて、またテロや武力攻撃の状況について、さらにはそれに対する政府の取り組みについて、丁寧に説明し、そして住民は、何をすればいいのか、どういうことをすれば身を守るための基礎知識を得ることができるのかということについて、やはりしっかりと徹底しておくことが必要だと思うわけでございます。

 例えば内閣官房のホームページに、こういう「武力攻撃やテロなどから身を守るために」という、三十二ページにわたって掲示されているんですが、このことは、我々興味を持っている人間からすると見るわけでございますが、ほとんど国民には知られていないというのが残念ながら実情だと思うんです。こういう国としての取り組みとともに、国とやはり自治体が連携して国民に周知する方法もあるんじゃないかと思うんですね。

 きょうは資料として配付させていただきましたけれども、東京都が作成いたしました防災ブック、実物はこういう三百ページ以上にわたるものでございますが、この百六十四ページから百六十七ページに、資料で配付させていただきましたけれども、テロや武力攻撃の際の対策や避難方法、身を守るために何をするべきかを紹介しているわけであります。

 これはもう本当にポイントだけですけれども、しかし、このように、自治体と連携して、内容についても政府が関与しチェックした上で、自治体の発行する防災パンフレットや冊子などに弾道ミサイルの着弾を含む武力行使やテロなどから身を守る方法、避難方法を掲載していただくなどして、早急に国民や住民に周知徹底していくことが私は重要ではないかと。さらには、こういうものを活用して学校における防災教育の一環で周知するとか、あるいは地域や職場での啓発も必要ではないかと思うわけであります。

 ぜひ、政府として、今言われている弾道ミサイルの新たな段階の脅威や武力攻撃やテロの状況、政府の取り組みについて、そして、その上で住民あるいは国民がどうしたら身を守れるのかということについて、国民への周知徹底をさらに図っていただきたいと思うわけですが、政府の見解を伺いたいと思います。

萩生田内閣官房副長官 まず、北朝鮮による弾道ミサイル開発など、運用能力の向上について、脅威が高まっているんじゃないかという御指摘でございますが、確かに、弾道ミサイルの長射程化あるいはミサイルの技術的信頼性の向上、また、発射台つき車両、TELといいますけれども、TELから直接打ち上げたり、あるいは潜水艦からの弾道ミサイルの発射を繰り返すなどによる打撃能力の多様化と残存性の向上、また、弾道ミサイルの固体燃料化による奇襲的な攻撃能力の向上も図っているものと思われまして、御指摘のとおり、脅威が高まっているという点は否めないというふうに思っております。

 政府としては、このような北朝鮮による核、弾道ミサイルの開発や運用能力の向上が、昨年来、我が国を含む地域及び国際社会に対する新たな段階の脅威になっていると認識をしており、政府としましては、今、佐藤先生も御紹介いただきました、内閣官房のホームページ内の国民保護ポータルサイトにおいて武力攻撃やテロなどに際してどのように行動すべきか等について周知を図っておりますし、また、このような同様の中身の冊子もつくっているんですけれども、大変恐縮です、私もきょう初めて見たぐらいでございますので、国民の皆さんへの啓蒙はしっかりやっていかなきゃいけない、新たに決意をしたところでございます。

 Jアラートによる情報伝達の注意点あるいはこのポータルサイトに掲載をしている内容について、今議員が御指摘になったとおり、新たな段階に入った北朝鮮の脅威を踏まえ、より一層国民の皆様の理解が進むよう当該ホームページの内容の充実や一層の広報の実施に取り組むとともに、東京都の例をお示しいただきました、地方公共団体から住民の皆さんへの広報のさまざまなツールがございますので、こういったものも活用させていただきながら、周知について引き続き取り組んでいきたいと思っております。

佐藤(茂)委員 官房副長官はお忙しいので、一言だけ申し上げますと、実は、九三年、九四年の朝鮮半島の核危機、クリントン政権が空爆をするんじゃないかということで大変緊迫したんですけれども、それがおさまった直後に私も朝鮮半島へ行きまして、きのう副大統領が行かれた板門店に行きました。大変緊迫しておりました。

 その後、ソウルに戻ってきたときに、ソウルというのは、今はそうしているかどうかは知りませんが、当時、もう二十年以上前ですけれども、ある一定の時間になるとサイレンが鳴るんですね。我々、要人と会談をするのにも、そのサイレンの間はホテルから外に出てくれるなと、現実にソウルに行ったときに私が体験した、そういうものがあります。

 サイレンを日本で鳴らすかどうかというのは別にしても、そういう警報が鳴ったときに住民の皆さんがどういうように身を守るために対処していくのかということ等について、事前にやはり訓練やあるいはこういうパンフレットや冊子などをもとにして意識づけをしておかないと、とんでもないことになるんじゃないかという意識をそのとき以来持っておりまして、ぜひ取り組んでいただきたいと思います。

 官房副長官、ここで結構でございます。

 それで、きょうは外務副大臣に来ていただいておりますので、一点だけ確認していただきたいのは、こういう緊迫した事態に適切に備えるためには、日米両政府、あるいは自衛隊、米軍間で、緊密に情報を共有し、協議を重ねることが重要でございます。

 特に、シリアへのミサイル攻撃と北朝鮮への軍事攻撃では、相手が、相手国の反応が全く違うということが予想されるわけですね。北朝鮮は直ちに周辺国に深刻な打撃を与える反撃力がある、これがシリアと全く違うところでありまして、アメリカ軍が北朝鮮への軍事行動に踏み切るならば、韓国だけでなく日本や日本の在日米軍基地も反撃の対象となる可能性が高くて、日本の安全保障への影響ははかり知れないものがあるわけであります。

 北朝鮮への軍事行動にアメリカ軍が踏み切る場合に、日本の基地を使わない場合でも事前協議するよう日本政府がアメリカに求めており、アメリカも応じる意向を示しているとの報道がありますけれども、こういういわゆる事前協議的なものが、日本から求め、アメリカが応じるというようなことになっているのかどうか、政府の見解を伺いたいと思います。

岸副大臣 今委員御指摘のような報道があったことは承知をしておりますが、そのような事実はございません。

 ただ、北朝鮮の核・ミサイル問題につきましては、これを平和的に解決すべく、我が国はこれまでも米国との間で緊密に連携をとってきているところでございます。

佐藤(茂)委員 済みません、時間がやってまいりました。

 防衛大臣には生物化学兵器等のことをお聞きしたかったんですが、北朝鮮のサリンの問題を先週安倍総理が取り上げられたんですが、これは、今に始まったことではなくて、もう九〇年代から、我々専門的にやってきた人間からすると、いわゆる生物化学兵器というのは貧者の核というように言われておりまして、極めて安価で非常に容易につくることができるということで、当時から北朝鮮というのは持っている可能性が非常に高いというように言われておりましたので、総理の認識というのは当然だ、そのように思っておりますが、ただ、このタイミングで総理がみずから警告を言われたということ自体に大きな意義があるんじゃないかなというふうに思っております。

 ぜひこれからも日本政府として、情報収集と高度な警戒監視体制を維持して不測の事態に備えていただきたいことをお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

山口委員長 次に、本村賢太郎君。

本村(賢)委員 民進党の本村賢太郎です。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、私、自分の地元相模原市内には、百七十二ヘクタールのキャンプ座間、そして百九十七ヘクタールの相模総合補給廠、さらには米軍住宅五十九ヘクタールと、四百二十八ヘクタールもの基地負担をしておりまして、先般の予算分科会でもこの問題を取り上げてまいりましたが、改めて、地元市から、きょうお配りの資料一と二にございますヘリコプターの問題についてお伺いしたいと思っております。

 御承知のとおり、厚木基地から、ことしの七月から、空母艦載機の移駐が岩国基地へと始まりまして、来年五月まで三千八百人の米軍、さらに関係者が移動されるという話もございますが、この話の中に加えて、キャンプ座間及び相模総合補給廠周辺でヘリコプターの騒音による市民の相談が非常に多くございます。

 相模原のような都市部上空をヘリが飛び交い、騒音被害を起こしていることについて、国はどのように認識しているのか、防衛大臣にお伺いいたします。

稲田国務大臣 キャンプ座間及び相模総合補給廠周辺における米軍ヘリコプターの騒音については、これまでも周辺住民の方々から相模原市に対して苦情が寄せられていることは十分承知をしているところでございます。

 これまでも、防衛省から米側に対し、飛行に当たっては周辺住民への配慮をするよう申し入れを行っているところであり、米側においては、こうした申し入れを踏まえ、例えば住居の上ではヘリコプターの飛行高度をできる限り上げて飛行するなど、一定の配慮を行ってきていると承知はしております。

 防衛省としては、今後とも、周辺住民の方々への影響が軽減されるよう米側に申し入れてまいります。

本村(賢)委員 相模総合補給廠には横田基地からの空軍ヘリが、そしてキャンプ座間には厚木基地の海軍ヘリが飛んでくるわけでありまして、タッチ・アンド・ゴーや低空飛行、旋回飛行、編隊飛行など、訓練をされているということでありまして、非常に市民の皆さんからも不安を感じるという声が多くございます。

 資料一のように、掃除機の稼働音に相当する六十五デシベルの騒音が測定された回数は、昨年度だけで四千二百二十五回ございます。そして、市議会でも私どもの加山俊夫市長が、騒音被害は看過できない状態にあるという答弁もありますので、その辺を大臣もよく御認識されておりますので御理解の上、今後また御支援をお願いしてまいりたいと思います。

 その中で、相模原市は独自にキャンプ座間において計測器を設置しておりまして、資料一のようなデータがあるわけでございますが、ぜひ、市独自と言わずに、こういう問題を大臣が御認識されているわけでありますので、キャンプ座間、さらには相模総合補給廠にも、まず現状を把握するための計測器の設置を講ずるべきと考えますが、大臣、いかがでしょうか。

深山政府参考人 お答え申し上げます。

 キャンプ座間及び相模補給廠の周辺の騒音測定についての御質問でございますが、キャンプ座間周辺の騒音状況につきましては、過去に当時の横浜防衛施設局、現在の南関東防衛局が騒音測定を実施したこともございますが、その際には防音対策を行うべきとされる第一種区域の指定基準値を超えるような騒音状況は確認されませんでした。

 また、今御指摘のとおり、地元自治体においても騒音測定を継続して実施されているものと承知しておりますので、防衛省としては、引き続き、その結果を注視するなど、騒音状況の把握に努めてまいりたいと考えております。

 また、相模総合補給廠においては、現時点で基準値を超えるような状況にはないものと認識しておりますが、今後の運用状況を踏まえまして、どのような対策が講じられるか検討してまいりたいと考えておるところでございます。

 また、大臣からもお答えがありましたが、防衛省としては、航空機騒音は大変重要な問題と認識しておりますので、周辺自治体に与える影響が最小限になるよう、地元の皆様の御意見を伺いながら、適切に対応してまいりたいと考えておるところでございます。

本村(賢)委員 今、参考人の方から御答弁がありましたが、過去の話でありまして、既に日米の再編等々ございますので、大臣、いかがでしょうか。

稲田国務大臣 先ほども答弁をいたしましたが、キャンプ座間及び相模総合補給廠においては、米側も、例えば住居の上ではヘリコプターの飛行高度をできる限り上げて飛行するなど、一定の配慮は行ってきているというふうに承知をいたしております。

 防衛省としては、キャンプ座間及び相模総合補給廠周辺におけるヘリコプターの運用に当たっては、周辺住民の方々への影響が最小限になるように、米側に対して今後とも働きかけを続けるなど、適切に対応していきたい、このように考えているところでございます。

本村(賢)委員 大臣、ぜひ計測器の設置をして、まず現状を把握していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

深山政府参考人 お答え申し上げます。

 キャンプ座間におきましては、地元自治体による騒音測定が継続して行われていると先生からも御指摘があったところでございます。この結果の中で近年騒音が増大しているということについては、我々も承知しております。

 防衛省としては、地元で行われている測定結果の内容を確認しつつ、地元の皆様の御意見もよく伺いながら、また大臣の御指導も得ながら、防衛省による測定の実施についても検討してまいりたいと考えております。

本村(賢)委員 大臣、ヘリコプターの騒音問題、御認識、御理解されていると思いますので、ぜひ相模原市の市民の皆さんのまた声を十分聞いた上で対応をお願いしてまいりたいと思います。

 次に、厚木基地へのオスプレイの配備の可能性についてお伺いしてまいりたいと思います。

 ことし七月以降、空母艦載機の一部が岩国に移駐されるという話は先ほどしましたが、移駐後、米軍の厚木基地の位置づけは明らかになっていないわけでありますが、ヘリ部隊が陸軍から一部隊、海兵隊からオスプレイ部隊が二飛行部隊配備される可能性があるといううわさを伺っておりますが、オスプレイが配備される可能性はあるのか、お伺いいたします。

稲田国務大臣 現時点で、厚木海軍飛行場に米軍のオスプレイが配備される計画があるとは承知しておりません。

本村(賢)委員 厚木基地には米国外最大の航空整備センターがありまして、米国外では唯一オスプレイが整備可能な基地であるということを伺っております。海兵隊のオスプレイ訓練拠点であるキャンプ富士ともほど近い立地という条件から、厚木基地周辺の自治体の皆さんからもそういった心配の声が高まっているわけでありますし、昨日の新聞でも、オスプレイの十万飛行当たりのクラスA事故率が増加しているという報道もございました。

 このオスプレイに関しては、昨年十二月に、大臣の言葉では不時着水をしたという事故もあったわけでありまして、オスプレイが完全大破をして、いまだに原因究明等々、まだ時間がかかるかと思いますが、このオスプレイの運用に関しては、各自治体の首長さん初め議会やそして市民の皆さんも、非常に関心を高くお持ちでありますし、また不安に感じている点の一点でもありますので、ぜひとも、もしこういう決定があるならば、速やかに地元市にも相談をお願いしてまいりたいと思っております。

 次に、このオスプレイが配備されることがもしあれば、基地従業員の雇用に対する影響が懸念をされるわけでありますが、岩国移駐は厚木基地の業務量や雇用には影響がないという防衛大臣の答弁が三月十日の後藤委員の質問からもございましたが、もしオスプレイが配備された場合、いかがでしょうか。

深山政府参考人 お答え申し上げます。

 今大臣からお答え申し上げましたように、少なくとも現時点においては、厚木海軍飛行場に米軍のオスプレイが配備される計画があるとは承知しておりませんので、厚木海軍飛行場における駐留軍等労働者の雇用に関するオスプレイの影響ということについても、お答えするのは困難でございます。

 いずれにいたしましても、防衛省としては、今後とも米側と緊密に連携しまして、駐留軍等労働者の皆様の安定的な雇用の確保、これには万全を期してまいりたいと考えております。

本村(賢)委員 ぜひ、この安定的な雇用の確保をお願いしてまいりたいと思っております。

 次に、資料三にお配りしております基地従業員の労働災害の対応についてお伺いいたします。

 今回、このケースでは労災認定がされたというケースでありますが、かなりこの基地内でも、日米地位協定上、仮に労働災害が起こっても、労働基準監督署や雇用主である防衛省も、米軍の許可なく立ち入ることができません。また、日米地位協定とは異なる問題でありますが、米軍基地には安全衛生委員会が設置できていない。

 雇用主である防衛省は、このような現状に対してどのように考えていらっしゃるのか、お伺いいたします。

深山政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、立ち入りについてでございますが、米軍施設・区域で勤務する駐留軍等労働者の作業場については、日米間で締結する労務提供契約に基づきまして、労働者の労働環境等を確認するため、労働基準監督署及び防衛省は、米側と調整の上で立ち入ることができることとなっておるところでございます。

 そうした手続によって立ち入った例というのが、平成二十五年度から二十八年度までで七件あるところでございます。

 一方、安全衛生委員会についてでございますけれども、労働者の危険や健康障害の防止等について協議を行う安全衛生委員会については、現時点では駐留軍等労働者に関するものを設置できていないことは、委員御指摘のとおりでございます。

 しかしながら、駐留軍等労働者の適切な労働環境が保たれるよう、日米双方がさまざまな取り組みを行ってきております。

 例えば、米軍においては、有害物質等の取り扱いや災害時の対応に関する訓練等の安全対策がとられており、また、日本側においては、健康診断結果に基づく産業医や保健師による面接指導等の健康対策に取り組んでいるところです。

 いずれにいたしましても、今後とも、日米間において、駐留軍等労働者の方々の安全面や衛生面の労働環境が適切に保たれるよう、引き続き努めてまいりたいと考えております。

本村(賢)委員 全国には約二万五千人の基地従業員がいらっしゃいまして、この記事のキャンプ座間には千五百人の基地従業員がいらっしゃいます。基地従業員の労働災害において、問題は大きく二つありまして、労基署や防衛省が立ち入りができず、本当の原因を隠蔽されかねないことや、安全衛生委員会がなく、原因究明や再発防止策が行われないという問題もありますが、今、参考人の方から事例などもありましたが、大臣、いかがでしょうか。

稲田国務大臣 今、事務方からも答弁をいたしましたとおり、日米間で締結する労務提供契約に基づいて、労働者の労働環境等を確認するため、労働基準監督署及び防衛省は、米側と調整の上で立ち入ることができるものというふうに承知をいたしております。

 今後とも、日米間において、駐留軍等労働者の安全面、衛生面の労働環境が適切に保たれるよう努めてまいりたいと考えております。

本村(賢)委員 立ち入ることができると参考人の方も大臣も答弁されておりますが、現状は、なかなか立ち入ることができないというケースがあるんじゃないかと思っておりますので、今はいい方向の例を挙げられましたが、なかなかそれが困難なケースもたくさんあるということを御認識いただきたいと思いますが、大臣、いかがですか。

稲田国務大臣 本事案に関して、立ち入りは行われていないということでございますけれども、防衛省から米側に照会して得た当該従業員の労働時間や業務内容等の情報も踏まえ、労働基準監督署において労災が認定されたというふうに承知をいたしているところでございます。

 防衛省としては、今後、立ち入りの必要性が生じる場合には、速やかに米側と調整を行ってまいりたいと考えております。

本村(賢)委員 ぜひ米側との調整も、基地従業員の皆さんのお立場等々を考えた上で、防衛省としてできる限りの御支援をお願いしてまいりたいと思います。

 次の質問に入ります。

 最近、大変スクランブル発進についての報道も多くございまして、平成二十八年度は千百六十八回、前年度に比べて二百九十五回増加して、一九五八年以来過去最多、中国が八百五十一回で七三%、前年度より二百八十回増加で、ロシアは三百一回で二六%、前年度より十三回増加、そのほか一%と推定をされているわけでありまして、河野統合幕僚長は、十三日の記者会見で、中国軍の活動の回数、範囲、時間がふえており、この傾向は続くとの厳しい見通しを示しておりますが、このスクランブル発進の回数がふえている現状を捉まえて、防衛大臣として、政府はどのように分析し、対応していくのか、お伺いいたします。

辰己政府参考人 お答えします。

 今先生おっしゃったように、平成二十八年度における緊急発進回数は、統計をとり始めた昭和三十三年以降最多の千百六十八回というふうになっております。このうち、中国機に対する緊急発進回数が八百五十一回ということで、約七割以上が中国機に対するものが占めております。

 中国機の活動につきましては、まず、我が国周辺空域における活動機数が増加をしております。また、東シナ海におきましては、その範囲が東あるいは南、そういった方向に徐々に拡大しており、こういった活動機数の増加と活動範囲の漸進的拡大が中国機に対する緊急発進の増加につながっているというふうに分析をしております。

 このような要因としては、一般論として申し上げれば、中国軍の航空戦力の近代化、東シナ海上空における情報収集、警戒監視が目的と見られる活動の拡大、活発化、さらには、より遠方での空域での訓練、例えば沖縄と宮古島の間を通って太平洋における訓練を行ったりというもの、こういったことに関連があると考えております。

 こういうことに対応して、防衛省では、航空優勢の確実な維持、これに向けた防衛力の強化を行っており、昨年の一月には、那覇基地における戦闘機部隊の部隊数を一個から二個にまずふやすとともに、F15の機数を約二十機から約四十機にふやし、第九航空団を新編したところでございます。また、二十九年度、本年度の予算におきましても、南西地域の防空体制を一層強化するため、南西航空方面隊に改編する法案についても提出をさせていただいているところでございます。

 このような取り組みを続けていきたいと考えております。

本村(賢)委員 今、大臣、シビリアンコントロールの問題の課題もございますが、こうした日本を取り巻く環境もかなり緊迫している状況であります。

 このスクランブル発進の回数がふえていることについて、大臣、いかがでしょうか。

稲田国務大臣 今御答弁申し上げましたように、スクランブル発進の回数は、昭和三十三年以降、過去最多というふうになっております。

 そして、中国機への緊急発進回数も、非常に活発化しており、昨年と比較して、活動機数は大幅に増加をいたしております。東シナ海、そして、その活動範囲が東、南方向に徐々に拡大をして、我が国南西諸島により近接した空域における活動が増加をしております。このような活動機数の増加、活動範囲の拡大、これが中国機に対する緊急発進の増加につながっているというふうに考えているところでございます。

 自衛隊といたしましては、今後とも、活動を拡大、活発化させている中国軍の動向について強い関心を持って注視しつつ、我が国の領土、領海、領空、国民の平和な暮らしを断固として守り抜くという観点から、国際法及び自衛隊法に従い、厳正な対領空侵犯措置を実施してまいる所存でございます。

本村(賢)委員 次に、朝鮮半島の緊迫、緊張について何点かお伺いしてまいりたいと思います。

 先ほど升田委員からも、十六日の北朝鮮が発射したミサイルについて政府がどのような分析を行っているのか御質問させていただいたということでありますが、大臣に、今後のミサイル発射リスクをどう考えているのか、改めてお伺いします。

稲田国務大臣 先ほど升田委員からの質問にもお答えをいたしましたように、日本時間の十六日午前六時二十一分……(本村(賢)委員「リスクをどう考えているかだけお願いします」と呼ぶ)北朝鮮が東岸の新浦付近から弾道ミサイル一発を発射したが、直後に爆発した旨発表しているということでございます。

 そのリスクについてでございますけれども、今般の事案に関しては、我が国に向けて飛来する飛翔体は確認はされておらず、今回に関して言えば、我が国の安全保障に直ちに影響を与える事態は発生はしていないというふうに考えております。

 当然のことながら、我が国の領域や排他的経済水域に落下するような飛翔体も確認はされていないところでございますが、しかしながら、北朝鮮による核、ミサイルの開発、また累次にわたる弾道ミサイルの発射は、我が国及び地域の安全保障に対する明らかな挑発行為であり、断じて容認できませんし、関連の安保理決議にも明白に違反しているところでございます。

 他方、北朝鮮は、新型のICBMを含めた各種の弾道ミサイル発射を含め、核、ミサイルの開発のための活動を継続していく姿勢を崩しておらず、今後、さらなる挑発行動に出る可能性も考えられます。

 防衛省・自衛隊としては、米国や韓国とも緊密に連携しつつ、引き続き、緊張感を持って、北朝鮮の動向について必要な情報の収集、分析に努めてまいります。

本村(賢)委員 次に、韓国との連携についてお伺いしてまいりたいと思います。

 先ほど升田委員からも、長嶺在韓大使が帰任をされ、いわゆる黄教安大統領権限代行と会えたのかという御質問があったわけでありますが、長嶺在韓大使を一時帰国させた効果はあったのか、外務大臣にお伺いいたします。

岸田国務大臣 一昨年十二月の日韓合意は、慰安婦問題につきまして最終的かつ不可逆的に解決される、こうしたことを両国で確認したものであります。それにもかかわらず、我が国の公館前に慰安婦像が新たに設置された、こういった事態、これは極めて遺憾であると考えます。

 我が国として、韓国側に抗議の意思を示すとともに、本国との打ち合わせを行う、こういった趣旨で長嶺大使、さらには森本在釜山総領事を一時帰国させた次第であります。長嶺大使らの一時帰国については、これによって、本件に関する我が国の強い意思、これを韓国政府、そして韓国国民にしっかり伝えることができたと考えております。

 引き続き、この慰安婦問題につきましても、韓国政府に対し、そしてさらには、五月九日に大統領選挙が予定されています。その後に発足するであろう新しい政権に対しましても、日韓合意の重要性を指摘し履行を求めていかなければならないと考えています。長嶺大使には、そういった役割も引き続き担ってもらいたいと考えています。

本村(賢)委員 昨年十二月九日に、朴槿恵前大統領に対する弾劾訴追案が国会で可決されるなど、既に、本年一月九日の時点でも、もう韓国は厳しい状況に置かれていたわけであります。そういった中で長嶺在韓大使と森本総領事を一時帰国させたということで、今外務大臣から、強い意思を示したという話でありますが、それはなかなか、結果的に戻すタイミング等々も含めて非常に意味があったのかどうか、ちょっと理解に苦しむ部分もございます。

 今後、韓国との連携というものも、いろいろな国益の問題もあるかもしれませんが、日米韓での連携は非常に大事な部分でありますので、しっかりと外務大臣としてのリーダーシップをお願いしてまいりたいと思います。

 次に、十年で三度程度しか発せられていない韓国渡航に対するスポット情報が久しぶりに外務省から発せられておりますが、その意図は何でしょうか。

岸田国務大臣 まず、韓国について、今現在、直ちに邦人の安全に影響がある状況ではないと認識をしておりますが、しかしながら、北朝鮮が核実験や弾道ミサイルの発射を繰り返している中、韓国に渡航、滞在する邦人から、朝鮮半島の情勢に対する照会等が多数寄せられている状況にあります。

 こうしたことを踏まえて、現時点で韓国への渡航や滞在を控える必要はありませんが、朝鮮半島情勢の最新の情報には注意が必要であること、また、従来からお願いしているたびレジあるいは在留届による連絡先の登録について、改めて呼びかけた次第であります。

本村(賢)委員 今言われた在留届またはたびレジが、なかなか渡航する皆さんにまだ御理解いただけていない部分がありますので、その点は十分また発信をお願いしてまいりたいと思っております。

 次に、有事の際の在韓邦人の救出について、先ほど升田委員の方からも外務大臣に対して、日本人会とのやりとりやたびレジなどのお話も答弁でいただいたようでありますが、約五万七千人いると言われる在韓邦人をいかに救出するのか、防衛大臣にお伺いいたします。

稲田国務大臣 政府におきましては、朝鮮半島において在留邦人の保護や退避が必要になった場合を想定して、平素から関係省庁間で連携して必要な準備、検討を行っております。

 仮に、朝鮮半島において邦人等の退避を必要とする事態に至り、民間定期便での出国等が困難となった場合など、諸般の事情を勘案し、邦人の安全確保のための手段として必要と判断される場合には、政府として、自衛隊法第八十四条の三に基づく在外邦人の保護措置、または同法第八十四条の四に基づく輸送の実施を検討することとなります。

 防衛省としては、平和安全法制によって新たに設けられた在外邦人等保護措置を含め、必要な体制を整えるとともに、各種訓練についても順次実施しているところであり、引き続き、関係省庁間で緊密な連携を保持しながら、在外邦人の安全確保に万全を期していく所存でございます。

本村(賢)委員 有事になれば民間船舶や航空機の出番ではないわけでありますが、有事になるまでの間に在外邦人が脱出するための協力を、今後、国交省や海上保安庁とも連携をしながら御検討いただきたいと思います。

 次に、先ほど、これも升田委員の方から、北朝鮮による拉致被害者の救出について外務省の参考人の方から御答弁があったようでありますが、この拉致被害者の救出の可能性について、外務大臣と防衛大臣にお伺いいたします。

岸田国務大臣 政府としましては、あらゆる事態において拉致被害者の方々の安全を確保するということ、これは極めて重要なことであると認識をしております。そして、その際、特に朝鮮半島の有事の際には、米国との協力、これが特に重要であると認識をしています。

 そういったことから、政府としましては、これまで米国に対して、拉致被害者に関する情報等を提供しております。拉致被害者の安全が脅かされる事態に至った場合には、拉致被害者の安全確保のための協力を米国政府に依頼している、こうした対応をとっております。

 米国とのやりとり、詳細については、こうした公の場で明らかにするのは適切ではないと思いますが、こうした米国、さらには国際社会とも連携して全ての拉致被害者の安全確保を図っていかなければならない、こうした認識に基づいて、政府としても取り組んでいる次第であります。

稲田国務大臣 拉致問題は安倍内閣の最重要課題であって、拉致被害者の方々の安全確保は極めて重要です。同時に、海外で日本人が危機にさらされたとき、その救出について対応できるようにすることは、国として当然の責務であるというふうに考えます。

 先般の平和安全法制の整備により、新たに自衛隊による在外邦人等の救出や警護などの保護措置が実施できるようになったことは一歩前進だと思います。他方、自衛隊による救出活動には国際法と我が国憲法上の制約があるため、これ以上の自衛隊の活用には限界があることは事実ですけれども、今後とも、政府全体として、拉致被害者の救出のために何ができるか、不断の検討を継続してまいります。

 また、先ほど外務大臣からもございましたけれども、同盟国たる米国との協力が極めて重要であり、これまで米国に対して、拉致被害者に関する情報を提供してきております。

 政府としては、一層強固となった日米同盟のもとで、拉致被害者の安全確保を図るべく、引き続き米国、国際社会と連携して全力を尽くしてまいるということでございます。

本村(賢)委員 次に、難民の受け入れについてお伺いしますが、外務大臣にお伺いいたします。

 朝鮮半島からの難民に対してどのように対応していくのか、また、難民の中に武装している者がいた場合、どのように対応していくのか、お伺いいたします。二点、お願いします。

岸田国務大臣 まず、難民が流入してくるような事態に対しての対応ですが、まずはこうした避難民の身柄を保護する、そして、上陸手続、収容施設の設置及び運営、そして、我が国が庇護すべき者に当たるかどうか、これを判断するスクリーニングを行う、こうした一連の対応を行っていくことを想定しております。

 こうした対応を適切に、迅速に行うことができるよう、引き続き、平素から関連機関とも緊密な連携を図っていかなければならない、このように思います。

 もう一点の御質問が、武装している者が含まれている、そうしたことに対してどう対応するかということですが、避難民に紛れて武装した者が我が国に入国することがないように、関係機関が緊密に連携していかなければなりません。

 身体、所持品の検査の実施など、必要な措置を実施していくことになると承知をしていますが、そうした事態も想定して、具体的に関係省庁との連携を図っていかなければならないと思っています。

 いかなる事態にあっても、我が国の平和と安全の確保、国民の安全、安心の確保、これは万全を期していかなければならない、このように認識をしております。

本村(賢)委員 難民に対しての対応は、きのうの決算行政監視委員会でも総理が御答弁された内容と同じであったわけでありますが、難民の中に武装している者がいる対応に関して、もう少し具体にまた取り組みを進めていただきたいと思います。

 次に、在日米軍が標的となる場合の想定についてお伺いいたします。

 北朝鮮は在日米軍を標的として名指しをしているわけでありまして、ミサイルが発射された場合、撃ち落としが可能なのかどうか、これについて、先ほど升田委員からも関連の質問がありましたが、撃ち落とすことは本当に可能なのかどうか、防衛大臣にお伺いいたします。

稲田国務大臣 我が国の現在の弾道ミサイル防衛に関しては、海上自衛隊のSM3搭載のイージス艦による上層での迎撃、航空自衛隊のPAC3ミサイルによる下層での迎撃を組み合わせて、多層防衛により我が国全域を防衛することといたしております。

 また、日米両国は弾道ミサイル防衛に関して緊密な連携を図ってきており、米国は、米国固有のミサイル防衛アセットを我が国に段階的に配備をいたしております。

 例えば、嘉手納基地にはPAC3を既に配備しておりますし、弾道ミサイルに対処可能なイージス艦については、現在七隻を横須賀に配備しているところ、本年夏には八隻に増強する予定でございます。

 御指摘の在日米軍基地に係る弾道ミサイル防衛については、一般に、我が国全域を防護するためのイージス艦を展開させるとともに、拠点防護に使用するため全国各地に分散して配備されているPAC3を、状況に応じてこれらの基地周辺にも機動的に移動、展開させることにより対応することも考えられます。

 我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しくなる中、防衛省・自衛隊としては、米軍とも協力しつつ、我が国の平和と安全の確保、国民の安全、安心の確保のため、いかなる事態にも対応できるよう万全を期してまいります。

本村(賢)委員 米原子力空母カール・ビンソンの朝鮮半島近海への問題などにおいて、挑発策動と強く北朝鮮も非難しておりまして、超強硬対応で粉砕すると警告をしております。

 私どもの地元も、北朝鮮からのミサイルが飛んでこないかという心配の声を市民の皆さんからもよくよくいただいておりまして、今、イージス艦からの迎撃やPAC3、これは移動ができるという話でありますけれども、大臣、それでは、撃ち落とすことが可能だということでよろしいですね、これは。

稲田国務大臣 万全を期しているということでございます。

本村(賢)委員 もちろん、万全を期しているのは誰もが承知の話でありますが、今の体制で、北朝鮮からミサイルが飛んできた場合、本当に撃ち落としが可能なのかどうか、イエスかノーで答えてください。

稲田国務大臣 可能ということでございます。

本村(賢)委員 今、力強く大臣から可能だという御答弁をいただきましたので、その言葉を信じてまいりたいと思いますが。

 次に、避難経路の確保など、どの程度を想定されているのか、安全に在日米軍周辺の住民は避難できるのか、防衛大臣にお伺いいたします。

辰己政府参考人 在日米軍周辺の施設が標的になる、そういう場合の住民避難につきましては、都道府県で国民保護計画というのを定めております。神奈川県にも国民保護計画がございます。これに基づきまして、自治体、そして防衛省・自衛隊も協力しながら、住民の方々の避難を行うことになると思います。

 この訓練につきましては、平成十七年以降、内閣官房あるいは自治体が主催して訓練を重ねておりまして、こういった訓練を通じて連携の向上に努めてまいるということだと考えております。

 また、当然のことながら、道路網や輸送力のリスト、そして、今おっしゃったように避難住民の避難経路、こういったものの確保のために、いろいろな関係機関と連携を図りながら、その実効性の向上に努めてまいりたいというふうに考えております。

本村(賢)委員 私どもの地元の、さっき言ったキャンプ座間というのは、ここには第一軍団前方司令部や在日米陸軍司令部などがありまして、標的になるのではないかという心配の声も、地元相模原市や座間市の市民からも伺っておりますので、ぜひとも、避難経路の確保などの、例えば米軍と自衛隊の役割分担、さらには地元の消防や警察、それから自衛隊等々の役割分担をしっかりと構築していただきたいと思います。

 次に、自民党による敵基地攻撃の意見について、防衛大臣はどのように受けとめていらっしゃるのか、お伺いいたします。

稲田国務大臣 本日の委員会でも質疑が続けられて、その中でも明らかなように、北朝鮮の核、ミサイルの開発及び運用能力の向上は、新たな段階の脅威となっております。

 このような中、政府は、自民党の安全保障調査会弾道ミサイル防衛に関する検討チームから、我が国独自の敵基地反撃能力の保有の検討開始についての提言を含む、弾道ミサイル防衛の迅速かつ抜本的な強化に関する提言の提出を受けたところでございます。いかなる事態にあっても国民の命と平和な暮らしを守り抜くことは政府の最も重要な責務であり、防衛省としても、自民党からの提言をしっかりと受けとめたいと考えているところでございます。

 国民の生命と財産を守るためには我が国として何をすべきかという観点から、常にさまざまな検討を行っていくべきだというふうに考えているところでございます。

本村(賢)委員 我が日本は、防衛政策の基本として、これは防衛省のホームページにも掲載されておりますが、専守防衛という言葉がございます。あくまでも抑制的で、戦後の道を踏み外さないようにこれまでやってきたわけでありまして、そのことを十分認識した中で受けとめていただきたいと思います。

 また、大臣は、今の御答弁と同じように、四月四日の記者会見でも、党からの提言を受けとめていき、さまざまな検討を行いたいということでありますが、具体的にどのような検討を行っていくんでしょうか。

稲田国務大臣 いわゆる敵基地攻撃能力については、米国に依存しており、現在、自衛隊は敵基地攻撃を目的とした装備体制を保有しておらず、保有する計画もないということでございます、現時点において。

 弾道ミサイル脅威に関しては、我が国自身の弾道ミサイル防衛システムを整備するとともに、日米安保体制による抑止力、対処力の向上に努めることにより適切に対処することといたしているところでございます。

 いずれにしましても、現在、我が国を取り巻く安全保障環境は一層厳しくなっているわけでありますので、日米間の適切な役割分担に基づいて日米同盟全体の抑止力を強化する、そして、国民の生命と財産を守るために何をすべきかという観点からさまざまな検討を常に行っていくべきということでございます。

本村(賢)委員 検討をしてはいけないと言っているんじゃなくて、よく今の答弁がわからなかったので、大臣、もう一度お願いします。具体的に何をしていくか。

稲田国務大臣 今申し上げましたように、現在、敵基地攻撃を目的とした整備体系は持っておらず、保有する計画もないわけではございますけれども、しかしながら、日米同盟全体の抑止力を強化して、国民の生命と財産を守るために何をすべきかという観点から、さまざまな検討を常に行っていくべきであるということを申し上げているところでございます。

本村(賢)委員 よく意味がわかりませんけれども、さまざまな検討を行うということでありますので、具体に、抑止、抑止というお話もありましたけれども、これは自民党さんから出ているいわゆる敵基地攻撃の話でありますので、ぜひともこの話も、具体的な検討をどのようにとっていくのか、今後、また引き続き追いかけてまいりたいと思います。

 次に、これは警察庁に二点お伺いしますが、ちょっと時間がないので簡潔にお願いしたいんですが、日本国内の工作員について、政府は位置情報や動きを把握しているのか、また、朝鮮半島有事の際は工作員が国内で活動を活発化させる可能性もありますが、何らかの対応を想定しているのか、お伺いいたします。

加藤政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の北朝鮮工作員による対日有害活動については、我が国の国益を侵害するとともに、国民の生命や身体に危険を及ぼすおそれのある重大な問題であると認識しております。

 警察としては、引き続き、公共の安全と秩序を維持するという責務を果たす観点から、さまざまな情報収集活動を行うとともに、違法行為に対しては、法と証拠に基づき厳正に対処してまいる所存でございます。

 また、御指摘のような可能性も含めたあらゆる可能性を想定して、引き続き、関係省庁と連携しつつ、情報収集や警戒警備等を徹底してまいる所存でございます。

本村(賢)委員 次に、サイバー攻撃の対応についてお伺いしますが、北朝鮮等によるサイバー攻撃が行われた場合の対応は想定しているのか、防衛大臣にお伺いいたします。

稲田国務大臣 防衛省・自衛隊では、みずからの情報システムネットワークにサイバー攻撃があった場合に対処することといたしております。

 御指摘の重要インフラに対するサイバー攻撃に対しては、一義的には重要インフラ事業者みずからが対処し、他の重要インフラ事業者や防衛省を含む政府機関も連携してこれを支援することとされております。

 防衛省・自衛隊としては、情報セキュリティー及び事案対処の観点から、内閣サイバーセキュリティセンターを初めとする関係省庁と協力しつつ、情報提供や要員派遣等を行い、政府全体としての総合的な取り組みに積極的に貢献していく所存でございます。

本村(賢)委員 北朝鮮のサイバー攻撃がかなり高いレベルにあるという一部の報道もありますけれども、社会インフラとしての原発や電気、水道、ガス、鉄道、飛行機などが攻撃対象となり得るという可能性もありますので、このサイバー攻撃対応について、防衛省としても、各省庁と連携しまして、積極的な取り組みをお願いしてまいりたいと思います。

 次に、外務大臣にお伺いしますが、米国との連携についてお伺いしたいと思いますが、米国が北朝鮮を攻撃する場合には、事前通告があるのかどうかお伺いいたします。

岸田国務大臣 米国との間においては、さまざまなレベルにおいてしっかり意思疎通を行っております。私も、二カ月の間に、ティラソン国務長官とは四度直接会って会談を行い、二度電話会談を行っております等々、米国との間においては、しっかり意思疎通を行い、そして政策のすり合わせを行っているところであります。

 ただ、それ以上詳細につきましては控えたいと存じます。

本村(賢)委員 シリア空爆の際に、事後の連絡だったというふうに報道がございましたし、中国よりも後であって、第三グループの連絡だったというふうに伺っておりますので、そういった点において、米国との緊密な関係を築けるように、また引き続きの御努力をお願いしてまいりたいと思います。

 次の質問に入りますが、トランプ大統領が四月十三日のツイッターで、中国の北朝鮮に対する交渉がうまくいかない場合に、同盟国とともに対処すると発信をしておりますけれども、具体的に協力の打診はあったのか、協力要請があった場合にはどのような対応をしていくのか、外務大臣にお伺いいたします。

岸田国務大臣 まず、北朝鮮への対処に当たって中国の役割が重要であるということ、そして、中国に対してしっかり働きかけを行っていくべきであるというこの米国の立場ですが、これについては我が国としまして支持をしております。

 基本的には、北朝鮮問題において、外交を通じて平和を守っていく、こうした姿勢が重要であると認識をしておりますが、マクマスター米国国家安全保障担当大臣補佐官も、平和的に問題を解決するために、軍事的手段に至らない全ての行動をとるべきであると発言をしております。こうした北朝鮮への米国の対応は、我が国の対話と圧力という方針とも整合的であると考えております。

 こうした基本的な方針のもとに、先ほど申し上げましたように、米国と緊密に連携をしております。先ほどの日米外相間のやりとりだけではなくして、四月六日あるいは四月九日、日米首脳電話会談も行っております。政策のすり合わせについて行っているところであります。

本村(賢)委員 日米同盟の揺るぎない関係は今後も築いていかなきゃいけないわけでありますが、事前に調整がもしなければ、トランプ大統領から一方的に同盟国とともにということで対外的に発信されることは問題ではないかなと思っておりますので、そういった点において、ぜひとも、トランプ大統領が同盟国という言葉を使うならば、緊密な連携をこれからも築いていただきたい、そう思います。

 次に、教育勅語等の排除について防衛大臣にお伺いいたしますが、大臣は教育勅語等がなぜ排除されたと考えているのか、お伺いいたします。

稲田国務大臣 教育勅語に関しての解釈は私の所管ではないので、お答えは差し控えたいと思いますが、一貫して、教育勅語を戦前のように教育の唯一の根本理念として復活させるべきとは考えておりません。

 また、教育勅語については、日本国憲法、教育基本法の制定等をもって法制上の効力が喪失しているというふうに承知をしているところでございます。

本村(賢)委員 稲田大臣は、教育勅語について、核の部分は取り戻すべきだというインタビュー記事もございますが、親孝行や家族の大切さ、世界じゅうから尊敬される高い倫理観と道徳観で世界に尊敬される、頼りにされるような国を目指しましょうということを今まで申し上げてきたと会見でも言っておりますが、教育勅語でなくてもこれは教えられるんじゃないかなと思いますが、いかがでしょうか。

稲田国務大臣 私自身、教育勅語に関して今まで国会で答弁をしてきたところであり、また、その解釈はお答えは差し控えたいというふうに思います。

 その上で、私は、自分の考え方というもの、自分が目指している考え方というものを申し上げたということでございます。

本村(賢)委員 それでは、自分の考え方というのはどういう考え方ですか。

稲田国務大臣 これは、防衛大臣ということではなくて、自分自身の、個人の政治家としての考え方として、日本は、単に経済大国というだけではなくて、世界じゅうから尊敬される、そういった国を目指すべきであるということを申し上げたということでございます。

本村(賢)委員 それでは、軍人勅諭や戦陣訓に対してどのようにお考えなのか、お伺いいたします。これは通告していますよ。

山口委員長 少し速記をとめますか。

    〔速記中止〕

山口委員長 では、速記を起こしてください。

 稲田防衛大臣。

稲田国務大臣 何ら個人的な見解は持っておりません。

本村(賢)委員 衆議院及び参議院の決議で「教育勅語等」とされている「等」には軍人勅諭が含まれておりますので、そのことについてお伺いさせていただきました。

 次に、シビリアンコントロールについてお伺いします。

 南スーダンの日報が実は残っていたということがマスコミに漏れたり、秋田の自衛隊募集のチラシの件を見ても、大臣は残念ながら省内で信用されていないんじゃないかという不安の声をお聞きしますが、大臣、いかがでしょうか。

稲田国務大臣 私、昨年八月に大臣就任以来、国内外で日々訓練や任務に当たっている各部隊を訪問し、現場の声に耳を傾けてきたところです。また、市谷の防衛省本省でも、内局、各幕僚監部、各機関の皆さんと、防衛政策の重要な意思決定を行うに当たって緊密にコミュニケーションをとってきたつもりでございます。

 その上で、今御指摘の南スーダンのPKO日報についても、私の指示のもとで防衛省みずからが再探索した結果、発見をして、全て、請求があるものは公表をいたしております。

 また、先般の報道、NHKの一連の報道に関しても、私の責任のもとで、元検事長を長として、現役の検事も勤務する大臣直轄の防衛監察本部に特別防衛監察を行わせているところであり、シビリアンコントロールがきいていないという御指摘は当たらないというふうに思います。

 いずれにしましても、私も、今後とも、二十五万人の自衛隊員とさらなる緊密な関係を築き、我が国の防衛に万全を期してまいりたい、このように考えているところでございます。

本村(賢)委員 私も地元相模原の自衛官募集相談員をもう十八年ほどやっておりますが、その仲間たちからも、非常に稲田大臣の言動等々不安を感じる方がいらっしゃるということでありますので、シビリアンコントロールはきいているという話でありますので、そのことを国民の皆さんが御理解いただけるように、ぜひともまた強いリーダーシップを大臣、お願いいたします。

 最後に、政策参与について、これはいまだに空席であると思いますが、これも二月の分科会で御質問させていただきましたが、私なりの問題意識で選ぶと答弁をされておりました。

 私なりの問題意識とは何なのか、また、いつごろまでにこの参与を選ばれるのか、今のやはり朝鮮半島有事が大変緊迫した状態でありますので、シビリアンコントロールの問題も含めて、私はこの政策参与を早く置かれた方がいいんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

稲田国務大臣 委員から二月にもそういうお話を伺ったところでございます。そして、防衛大臣政策参与は、大臣のブレーンとして高度に専門的な観点から補佐を行う者であって、その活用は大臣のニーズに応じて判断され、また、設置法七条によれば、防衛大臣参与の任命は、「置くことができる。」ということで、必須であるということではありません。

 他方、現在、さまざまな観点を考慮しております。具体的な問題意識や今後の進め方についてはお答えを差し控えたいと思いますが、問題意識を踏まえて、補佐体制全般も勘案しながら、必要に応じて参与について任命をする考えでございます。

本村(賢)委員 ぜひ参与をつくっていただいて、やはり、強い形の防衛省・自衛隊、信頼に足る形をつくっていただきたいということをお願いして、質問を終わりにします。

 ありがとうございました。

山口委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 きょうは、名護市辺野古の米軍基地建設について質問をいたします。

 政府は、先週十四日までに汚濁防止膜の設置を終え、今週にも護岸工事に着手する方針と報じられています。

 橋本・モンデール会談から二十一年が経過をいたしました。この間、県民は新基地建設に一貫して反対の意思を表明してきました。その意思を踏みにじって本格的な海上工事を強行するなど、断じて認められません。

 今回、沖縄防衛局は、名護漁協が昨年十一月に臨時制限区域の漁業権を放棄したとして、三月末に期限を迎える岩礁破砕等の許可申請を沖縄県に行いませんでした。その根拠に挙げたのが三月十四日付の水産庁の見解であります。

 漁業権の設定されている漁場内の一部の区域について、法定の手続を経て漁業権が放棄された場合、都道府県知事から漁業権の変更の免許を受けなくてもその区域の漁業権は消滅し、岩礁破砕等の許可を受ける必要はない、こういうものであります。

 そこで、水産庁長官、お越しですか。もし間に合っていませんでしたら、水産庁の方にお伺いいたしますが。

 岩礁破砕等の許可手続は水産資源保護法に基づくものです。そもそも、水産資源保護法はどういう目的で制定をされた法律ですか。

浅川政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の水産資源保護法でございますが、昭和二十六年に制定された法律でございます。

 この法律の第一条で目的が規定されてございます。「この法律は、水産資源の保護培養を図り、且つ、その効果を将来にわたつて維持することにより、漁業の発展に寄与することを目的とする。」ということでございます。

赤嶺委員 今の水産資源保護法の目的、水産資源の保護培養を図り、その効果を将来にわたって維持することにより漁業の発展に寄与する、そういうことであるわけですよね。

 それで、岩礁破砕の手続は、その水産資源法四条二項五号に基づくものです。ここでは、「農林水産大臣又は都道府県知事は、水産資源の保護培養のために必要があると認めるときは、」「農林水産省令又は規則を定めることができる。」として、その事項の一つとして、「水産動植物の保護培養に必要な物の採取又は除去に関する制限又は禁止」を挙げております。

 この措置が置かれたのはなぜですか。

浅川政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、都道府県漁業調整規則に基づく規制でありますところの岩礁破砕等の許可は、水産資源保護法第四条第二項第五号の「水産動植物の保護培養に必要な物の採取又は除去に関する制限又は禁止」という規定を根拠にしております。

 その理由でございますが、岩礁破砕等の行為は、水産動植物の産卵、生育等に影響を与え、漁業権の侵害行為となることが多いことから、各都道府県の漁業調整規則においては、漁業権の設定されている漁場において岩礁破砕等の行為を一般的に禁止し、知事の許可、具体的には岩礁破砕等許可になりますが、この許可を得た場合にのみ禁止を解除するとしているところでございます。

赤嶺委員 今、水産庁長官もお越しのようでありますので、答弁を水産庁長官にお願いしていきたいと思います。

 水産庁のホームページを見ますと、水産資源を育む水圏環境として、次のように指摘しております。

 「沿岸の水産資源の生育環境は、海域のみならず、陸域、河川域、沿岸域における開発や利用状況により大きな影響を受けています。我が国沿岸の水産資源を保全し、将来にわたって持続的に利用するためには、水産資源を育む水圏環境の維持・改善のための取組が重要です。」ホームページにこのように書かれております。

 水産資源を育む藻場や干潟の面積が減少していることにも言及しております。

 水産資源の生育にとって藻場や干潟はどのような役割を果たしているのか、また、それらが戦後の開発や埋め立てなどによってどれだけ失われてきているのか、説明していただけますか。

佐藤政府参考人 お答えいたします。

 藻場及び干潟でございますが、多くの水生生物の生活を支え、産卵や幼稚仔魚に生育の場を提供するといったことのほかに、水中の有機物を分解して栄養塩類や炭酸ガスを吸収し酸素を供給するといった、海水の浄化に大きな役割を果たしているところでございます。

 なお、直近のデータでございますが、平成十年から平成十九年までの九年間でございますが、全国で、藻場については約二・一万ヘクタール、干潟については約一千ヘクタールがそれぞれ減少したと推計されているところでございます。

赤嶺委員 全国の藻場の面積、同じ資料だと思いますが、昭和五十三年当時二十・八万ヘクタールから、平成十九年十二・五万ヘクタール、干潟は八・三万から四・八万ヘクタールに減少と。もう本当に、水産資源にとって貴重な藻場や干潟が開発等によって減少しているというのは大変な問題だと思うんですが、沖縄県の岩礁破砕等の許可に関する取扱方針は次のように指摘しています。

  沖縄県は百六十の島嶼から成り立っており、これら島々の周辺には沖縄の海を特徴づけるサンゴ礁が発達している。サンゴ礁は地形的にも生態的にも砂浜、干潟、藻場などの浅海域と一体となり、本県における海洋生産の基盤を成している。

  本県水産業は、これらサンゴ礁などが持つ大きな生産力を拠り所としており、これらの海域は本県水産業の重要な基幹作目であるモズク養殖の場であるとともに、多くの有用な魚介類が生育する重要な場所である。

  これらの海域は、本来、永続的に保全されるべきものであるが、数十年来の地域振興、産業振興等に伴う埋立や各種の工事により、大きな面積が消失し、本県水産業が低迷する一因となっている。

こう指摘しているわけです。

 サンゴ礁が砂浜や干潟や藻場と一体となって沖縄県の水産業の基盤をなしているということ、それが埋め立てなどによって消失し、水産業の低迷を招いているということ、これらの指摘についてはどのように認識しておられますか。

佐藤政府参考人 お答えいたします。

 我が国の沿岸域には、藻場、干潟、サンゴ礁などが分布いたしまして、海洋生物の繁殖、生育の場として多様な生息、生育環境を提供しているというふうに認識しております。

 このため、私ども水産庁といたしましては、持続的な漁業生産を実現するためにも、藻場、干潟を含む漁場環境の保全、再生が大事だということで、例えば、水産多面的機能発揮対策事業といったような予算措置を講じまして、漁場環境の保全、再生に取り組んでいるところでございます。

赤嶺委員 今、漁場環境の保全の問題が出ました。

 そこで、漁業法の制定以来、水産庁が示してきた漁業制度に関する通知等を収録した漁業制度例規集、かなり厚い本を見てみました。そこには、「(一七二)漁場計画の樹立に関する問答集について」と題して、一九七二年九月二十二日付で水産庁が示した見解が掲載されています。

 どのような見解が示されているか、説明していただけますか。

佐藤政府参考人 お答えいたします。

 今先生から御指摘ございました昭和四十七年九月二十二日付の水産庁漁政部長名による文書でございますが、漁場計画の樹立に関する問答集という表題でございますが、これにつきましては、昭和四十八年に実施が予定されていました漁業権の一斉切りかえといったものに関しまして、水産庁が漁場計画の樹立に当たっての疑問点等を想定して作成しまして、各都道府県水産主務部長宛てに送付したものでございます。

 水産庁が想定した照会内容の背景については明らかではございませんが、漁業権者と埋立事業者との契約によって埋立予定水面を漁場区域から除外すべく漁業権変更の申請があったが、埋立工事の実施が数年後になるものと予定され、当該水面における従来の漁業は継続し得る見通しがある場合に、漁業権変更の免許は、漁業権を行使し得なくなる時点においてなすことが適当であると考えるがいかんというものでございます。

 これに対する回答といたしまして、従来の漁業を継続し得る場合には、変更免許の申請をすることは適当でないが、申請があった場合には、漁業法の趣旨にのっとり貴見のとおり措置することが妥当と解するというものでございます。

赤嶺委員 つまり、答えのところ、今、水産庁長官、設問のように従来の漁業を継続し得る場合にはと、ちょっと読み上げたのかどうか、私、定かではないんですが、答えのところでは、設問のように従来の漁業を継続し得る場合には、変更免許の申請をすることは適当でないが、申請があった場合には、漁業法の趣旨にのっとり貴見のとおり措置することが妥当と解すると。できるだけ漁業が継続し得るような考え方をとっておられたわけですよね。

 極めて水産庁らしい考え方だと思いますけれども、従来の漁業を継続し得る場合には、変更免許の申請をすることは適当でないとしていますが、なぜそれは適当ではないんですか。

佐藤政府参考人 今先生の方からお話ございましたように、やはり水面として利用ができるような状態においては、変更免許については差し控えていただきたいといったような考え方で対応してきているところでございます。

赤嶺委員 漁業権の変更の免許は、直ちに行うのではなく、漁業権を行使し得なくなる時点においてなすことが妥当というこの見解、漁業権を行使し得なくなる時点とは、具体的にどういう場合を指すんですか。

佐藤政府参考人 お答えいたします。

 例えば、特定の水面におきまして水産動植物の採捕ができなくなるなど、漁業権が行使し得なくなる時点というふうに考えているところでございます。

赤嶺委員 それはどういう場合ですか。

佐藤政府参考人 この場合については、やはりそれぞれ個々具体的なケースにより判断しなきゃいけない問題というふうに思っております。ただ、言えることは、先ほど申し上げましたように、特定の水面において水産動植物の採捕ができなくなるなど、漁業権を行使し得なくなる時点というふうに考えているところでございます。

赤嶺委員 確認いたしますけれども、水産庁は、今のこの見解に示されているとおり、埋め立てが予定されている区域であっても、従来の漁業を継続し得る場合には、直ちに漁業権変更の免許を行うのではなく、漁業権を行使し得なくなる時点まで漁業活動が継続される方向で対応してきた、そういうことですね。

佐藤政府参考人 従来の考え方に沿って対応しておりますが、少なくとも、その際言えるのは、やはり個々具体的なケースといったものを想定して判断しなければいけない、このように考えているところでございます。

赤嶺委員 ですから、漁業が継続できる場合というのを具体的に想定して考えて、それで辺野古にかかわって防衛省に聞きますが、辺野古の新基地建設にかかわって、沖縄防衛局が二〇一三年二月二十六日付で、公有水面埋め立てと漁業権等の一部消滅について名護漁協に依頼文書を発出しております。これは、いつの時点で漁業権等の一部を消滅させることを依頼したものですか。法定手続を終えた時点で直ちに消滅させることを依頼したものか、それとも埋め立てが完了した時点で消滅させることを依頼したものか、大臣、どちらですか。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 平成二十五年でございますが、名護漁協が埋立区域の漁業権を放棄した際の経緯について申し上げますと、沖縄防衛局は、先ほど委員御指摘がありましたように、平成二十五年二月二十六日、名護漁協に対しまして、普天間飛行場代替施設建設事業に係る公有水面埋め立て及び漁業権等の一部を消滅していただきたい旨を依頼いたしました。これを受けまして、名護漁協は、同年三月十一日、臨時総会を開催いたしまして、漁業権の一部消滅、公有水面埋め立て同意の決議を行ったものと承知しております。

 その上で、平成二十六年七月に、沖縄防衛局は、名護漁協が埋立工事施行区域全域の漁業権を放棄していないなどの理由から、沖縄県に対しまして岩礁破砕等の許可申請を行ったものでございます。

 以上でございます。

赤嶺委員 二〇一三年の漁業権の一部消滅について皆さんが出した依頼文書、ここで皆さんが求めたのは、いつの時点で漁業権等の一部を消滅させることを依頼したのか。法定手続を終えた時点で直ちに消滅させることを依頼したものか、それとも埋め立てが完了した時点で消滅させることを依頼したものか、このことを聞いているんです。どちらですか。

高橋政府参考人 沖縄防衛局からは、名護漁協に対しましては、正式な文書をもちまして、平成二十五年二月二十六日に一部消滅についての依頼をさせていただきました。

 また、これによりまして、名護漁協が法定手続に基づきまして漁業権の放棄の手続をしていただきましたので、この特別総会決議をもって放棄の手続をなされた段階で漁業権は消滅したというふうに考えてございます。

赤嶺委員 つまり、法定手続をもってということは、直ちに漁業権等の一部消滅を依頼しているということになるわけですね。

 これは水産庁の見解と違うのではありませんか。

佐藤政府参考人 お答えいたします。

 まず、今の先生の御指摘でございますが、漁業権の変更と漁業権の放棄といったものについては、これは明確に漁業法上書き分けられておるところでございます。

 そうした中で、先ほど防衛省の高橋局長の方から答弁ございましたように、放棄と言ったことで、意思表示によりこの権利を消滅させるといったような行為に出たところでございますので、やはり、一般論としては、そういった意思表示がされた時点で、あるいは明らかになった時点で消滅するのではないか、こんなふうに考えているところでございます。

赤嶺委員 これまでの水産庁の見解に照らせば、たとえ埋め立てが予定されている区域であったにしても、実際に漁業活動が行えなくなるまでは、できる限り漁業活動を継続できるように配慮するというのが防衛省のやるべきことではないですか。法定手続を終えたら直ちに漁業もできなくなるような、これは従来の水産庁の見解とも全然違うわけですよ。

 実際には、埋立予定区域の漁業権を直ちに消滅させることを依頼しております。しかも、その上、二〇一四年七月からは広大な臨時制限区域を一方的に設定して、漁業活動を排除することをやっている。これも水産庁の方針に反するものではありませんか。

佐藤政府参考人 先ほど申し上げましたように、今先生の方から、できるだけ水面を使うといったことにつきましては、我々としましては、漁業法の趣旨に鑑みまして、行政指導でお願いしてきたところでございます。

 しかしながら、こういった海面の利用につきましては、水産以外にいろいろな使い方が出てくるわけでございまして、そうした場合について、全てが水産業を優先させるといったようなことには法的にもならないというふうに考えておるところでございまして、こういった点について御理解いただければと思っております。

赤嶺委員 水産資源の確保を優先することを辺野古ではやらなかったということですよね。

 私は、水産庁の根本的な姿勢が問われていると思うんですよ。これまでの行政指導と明らかに違うことを防衛省がやった。何で漁場を、埋め立てが完了すれば自然消滅でしょうけれども、埋め立てまであと何年もかかる、いつまでも漁業ができる、そういうところで、水産庁が従来の行政指導の考え方に基づかないで、防衛省が強引に漁協に、法定手続をすれば直ちに放棄ということを求めた。

 ここは、貴重な水産資源の基盤である沖縄のサンゴや干潟や、そういうものについて政府全体の基本姿勢が問われていると思います。私は強くこの点でも、防衛省はもちろんです、水産庁にも厳しい反省を求めたいと思います。

 先ほどの例規集ですが、その例規集を見ますと、今の見解に続いて、一九八五年五月二十五日付で久保亘参議院議員が提出した質問主意書とそれに対する答弁書が掲載をされています。それを見ますと、こういうやりとりがあります。「埋立計画に対して、「共同漁業権の一部放棄」が、漁協総会で議決された場合、共同漁業権は、その決議によつて一部消滅するのか。」という質問に対して、「漁業権を変更しようとするときは、漁業法上、都道府県知事の免許を受けなければならないこととされており、漁業協同組合の総会で「共同漁業権の一部放棄」が議決されたとしても、そのことにより漁業権が当然に変更されるものではない。」このように答弁をしております。

 水産庁長官に聞きますが、漁協が共同漁業権の一部放棄を議決したとしても、知事の変更免許がない限り、漁業権が当然に変更されるものではない、つまり、知事が変更免許を与えるか、あるいは実際に埋め立てられてしまうまでは漁業権は消滅されない、消滅されるべきではないという見解をこれまでとっていたのではありませんか。

佐藤政府参考人 お答えいたします。

 埋め立てに当たりましての事務処理の仕方でございますけれども、漁業協同組合が知事に対しまして、埋立予定水面を漁業権の対象区域から除外する漁業権の変更をする意思で一般放棄の総会議決を行いまして、その後、知事に対して変更免許を申請するといったような、一部放棄と変更が混同されていた実態があったところでございます。

 法制的にそれではどういうことになるかと申しますと、この二十二条で、漁業権を設定するときは知事の免許が必要ですが、これを変更するときも当然免許が必要になるわけでございますが、条文には、「漁業権を分割し、又は変更しようとするときは、都道府県知事に申請してその免許を受けなければならない。」というふうになっております。

 他方、漁業法の第三十条におきましては、「漁業権は、第五十条の規定により登録した権利者の同意を得なければ、分割し、変更し、又は放棄することができない。」ということになっておりまして、この変更の中には、分割といったものは明らかに書き分けられておりまして、一部放棄というものは変更には該当しないというふうに法律上解釈できるわけでございます。

 こうしたことから、今申し上げました、全く別個の手続でやれるものでございますが、これが非常に混乱しておったということで、御指摘の答弁書は、今言ったような法解釈を前提としまして、一部放棄の議決を行えば知事から漁業権の変更免許が得られるとの誤解が生じないよう説明したものでございます。

 また、漁協が漁業権を一部放棄することができることは、過去に水産庁といたしましても国会で明らかにしているところでございまして、漁業権者が漁業権を一部放棄すれば、その部分の漁業権は当然に消滅するものと考えているところでございます。

赤嶺委員 変更と一部放棄は書き分けていると。

 皆さんが送った県への通知の中には、技術的指導助言の中には、変更(一部放棄)、そうなっているわけですよね。これを、違うという主張を強引に先ほどからされておりますが、この久保さんの質問主意書と答弁書のやりとりはそうはなっていません。漁業権の一部放棄の議決によって漁業権が消滅するのかという質問に対し、知事の変更免許がない限り直ちに変更されないという答弁になっています。

 今回、水産庁は、防衛省の照会に対して、漁協が漁業権の一部放棄を議決すれば漁業権は消滅するとの見解を示しております。これは答弁書で示した見解と明らかに違うのではありませんか。

佐藤政府参考人 お答えいたします。

 まず、今先生御指摘ありました質問主意書に対する答弁でございますが、その答弁で申し上げているのは、「漁業権を変更しようとするときは、漁業法上、都道府県知事の免許を受けなければならないこととされており、漁業協同組合の総会で「共同漁業権の一部放棄」が議決されたとしても、そのことにより漁業権が当然に変更されるものではない。」と答弁しているところでございまして、あくまでも、漁業権を変更しようとするといった大前提のもとでの答弁だというふうにぜひとも御理解いただきたいと思っております。

 なお、先ほど私、法文の説明の中で、変更と分割と申しましたが、変更と放棄はということで、分割ではなくて放棄ということで訂正させていただきたいと思います。

赤嶺委員 大事なところですので、一つ一つ聞いていきたいと思います。

 きょうの委員会、午後にもわたりますので、午後もまた引き続きやりますけれども、ただ、午前中の中で、具体的な事例で伺います。

 一九七〇年代に、当時の北海道の伊達町で、北海道電力による火力発電所の建設計画が持ち上がり、大きな問題になりました。北海道電力は、発電所の取水口の外郭施設用地として公有水面を埋め立てることを計画し、漁業権を有する伊達漁業協同組合に対して、その区域を漁業権に係る漁場から除外することを求めました。

 水産庁に聞きますが、この要請を受けて、伊達漁協が総会で漁業権の変更を議決したのはいつか、その後、漁業権の変更免許の申請と処分、公有水面埋め立ての出願と免許がいつ行われたか、明らかにしていただけますか。

佐藤政府参考人 お答えいたします。

 今先生からございました本事案につきまして、詳細は私どもも承知しておりませんが、火力発電所の建設について、埋立予定水面に漁業権を有する漁協の組合員の一部が、北海道知事がなした公有水面埋立免許等に関して、漁業権に基づく漁業を営む権利の存在を理由に裁判所に取り消しを求めた事案というふうに理解しております。

 その最高裁判決によりますと、昭和四十七年五月三十一日に、漁業権者である伊達漁業協同組合による同漁協の漁業権変更の決議、昭和四十八年六月二十五日に、当該変更に係る知事の漁業権の変更免許、同日でございますが、事業者である北海道電力株式会社に対する公有水面埋立法に基づく埋立免許等が行われたものと承知しておるところでございます。

赤嶺委員 時間が来ましたので、北海道電力の続きは午後に持ち越しまして、午前中は質問を終わりたいと思います。

山口委員長 次に、照屋寛徳君。

照屋委員 社民党の照屋寛徳です。

 ことし二月、外務省沖縄事務所が開設二十年を祝う行事を挙行しました。全国四十七都道府県の中で、外務省沖縄事務所が置かれ大使が配置されているのは沖縄県だけだと承知をしております。

 岸田大臣は、外務省沖縄事務所の設置と沖縄担当大使の配置の意義や目的をどのようにお考えでしょうか。

岸田国務大臣 外務省沖縄事務所は、沖縄県が米軍の施設・区域が集中している現状及び沖縄県からの要望を踏まえて、平成九年に沖縄担当大使を長とする外務省の出先機関として設置したものです。

 沖縄県に米軍専用施設・区域の約七割が集中している現状等を踏まえて、外務省沖縄事務所においては、米軍に係る問題につき地方自治体等の御意見を聴取し、在沖縄米軍との連絡調整を行うといった業務を実施しており、米軍の駐留に伴う諸問題の解決のため、重要な役割を果たしていると考えております。

 それ以外にも、沖縄の魅力を世界に発信すべく、自治体の国際交流事業に対する支援等も行っていると認識をしております。

照屋委員 去る三月三十日、沖縄県議会が全会一致で採択した米軍普天間飛行場の運用停止の実現を求める意見書を手交すべく外務省沖縄事務所を訪れた県議団に対し、川田沖縄担当大使は、政府が普天間飛行場の五年以内運用停止について対米交渉をしたかを問われ、私も知らない、私の役目ではないなどと述べ、辺野古新基地建設は県民のためになると思っているなどの暴言を吐いております。さらに、川田大使は、沖縄経済の四兆円のうち、二兆円は本土からの移転経費だなどと根拠のない誤った発言をしており、沖縄大使としての資質に欠けると多くの県民から批判され、外務省沖縄事務所の存在意義を疑問視する声すら上がっております。

 私は、再三当委員会で、岸田大臣を信頼し尊敬していると発言してまいりました。今も変わりません。ただ、川田沖縄大使は許せません。

 外務大臣は、これら川田大使の暴言の数々を把握しておられるでしょうか。任命権者としてどのような対応をとられたか、伺います。

岸田国務大臣 まず、御指摘の面談における川田沖縄担当大使の発言について報道がなされているということは承知をしております。そして、それについてさまざまな批判や評価があるということでありますが、まず、基本的に、さまざまなお立場から、さまざまな考え方からいろいろな御意見をいただくということ、これは謙虚に受けとめなければならないと思います。

 ただ、御指摘の発言、内容は多岐にわたっておりますが、最も重要な基本的な部分は、普天間飛行場の五年以内の運用停止についての部分であると承知をしております。

 政府として、普天間飛行場の辺野古への移設に必要な埋立承認を得て工事を進める中で、特に移設されるまでの間の同飛行場の危険性の除去を中心とした負担軽減は極めて重要な課題であると認識をしており、米国を初め相手のあることではありますが、できることは全て行うという姿勢で取り組んでおります。

 ただ、平成二十七年十月に翁長知事が埋立承認を取り消すなど、普天間飛行場をめぐる状況は当時と変化しています。

 政府としては、引き続き、地元の協力を得ることを前提に、相手のあることではありますが、できることは全て行うとの方針で取り組んでいるわけですが、御指摘の川田沖縄担当大使の発言の普天間飛行場の五年以内の運用停止にかかわる部分については、政府のこうした立場に基づいて行われたものであると認識をしております。

 いずれにしましても、地元の皆様のさまざまな声はしっかり受けとめながら、丁寧に政府の立場を説明する努力は続けていくべきであると認識をいたします。

照屋委員 岸田大臣、私は、やはり、外務省沖縄事務所が設置をされ、沖縄大使が配置をされているという意義を十分理解した上で、少なくとも担当大使は、県議会で全会一致ですよ、そういう中で、余りにも高圧的で、しかも事実誤認の発言も平気でやっていらっしゃるんだ。

 例えば、国からの財政移転の総額は、専門家によると、一兆五千三百八億円。財政依存度は三七・一%にすぎないんだ。それをあたかも、大使が、沖縄の人たちは国の財政移転のおかげで生きているんだみたいなことを言うのは、私はよくないと思う。それは率直に、大臣から、注意をしていただかないと。

 もちろん、県内にいろいろな意見はありますよ。しかし、繰り返しますけれども、自民党を含めて全会一致の意見書を手交しに来た議員団ですから、そこは、川田大使、私はきちんと反省してもらわないといけないと思いますよ。どうでしょう。

岸田国務大臣 数字的な面については、私、ちょっとその確認はしておりませんが、いずれにせよ、沖縄大使として、沖縄の地元の皆様の声は、謙虚に、そして丁寧に耳を傾けなければならないと思います。

 さまざまな御指摘はしっかり受けとめながら、今後に向けて、こうした丁寧な対応あるいは丁寧な説明に心がけていくことは当然のことであると認識をいたします。

照屋委員 賢者は聞き、愚者は語るという言葉がありますけれども、大臣から、川田大使によく教えてください。

 さて、安倍総理は、ことし二月十四日の衆議院予算委員会で共産党の赤嶺政賢議員の質問に答え、二〇一九年二月までの普天間飛行場の運用停止について、残念ながら、翁長現知事に協力していただけていない、厳しい状況だと述べ、普天間飛行場の五年以内運用停止が実現しない理由を翁長沖縄県知事に責任転嫁しております。

 外務大臣も、安倍総理と同じ御認識でしょうか。

岸田国務大臣 普天間飛行場の五年以内の運用停止については、仲井真前知事に対し、辺野古移設に必要な埋立承認申請を行っている中で、平成二十五年十二月十七日、知事から要望が出され、同年十二月二十七日、知事から埋立承認をいただいた、こういった経緯がありました。

 政府としては、埋立承認をいただいている工事を進める中で、特に、移設までの間における普天間飛行場の危険性除去を中心とした負担軽減が極めて重要課題であるという認識のもと、平成二十六年二月、仲井真前知事及び佐喜真宜野湾市長の要望に基づいて、普天間飛行場負担軽減推進会議を設置し、相手のあることではありますが、できることは全て行うという姿勢で、沖縄側と協議を行ってきました。

 このような経緯を踏まえますと、政府としては、普天間飛行場の五年以内の運用停止の実現については、普天間飛行場の辺野古移設について地元の協力を得られることが前提であるということを認識しております。

 しかしながら、この普天間飛行場の移設をめぐる状況は、知事が交代し、翁長知事が埋立承認を取り消したことによって政府と沖縄県との間で訴訟が起きるなど、当時と変化しています。こういった状況の中で、五年以内の運用停止を実現することは容易ではないという認識を持っております。

 御指摘の安倍総理の答弁ですが、このような状況を踏まえてのものであると承知をしております。私、外務大臣と総理の間でも認識の違いはないと考えております。

照屋委員 最後に両大臣に尋ねますけれども、報道によりますと、嘉手納基地の第一八航空団司令官と米太平洋軍との間で、同基地におけるジェット戦闘機の深夜、早朝の離陸を避けるため、他の米軍基地に夜間着陸できる特例の導入で合意が成立し、ことし一月十日に発効したようです。

 両大臣は、この合意と発効について承知をしておりますか。また、かかる特例は期間限定のものか、それとも恒久的なものか、教えてください。

深山政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、お尋ねの措置についてでございますが、米側からは、米軍内の規定により、外来機が嘉手納飛行場から離陸する場合は、目的地には日中に到着する必要があったことから、結果として、嘉手納飛行場における深夜、早朝の離陸が連続して発生し、地元に多大な影響を与えていた、在沖米空軍はこれを重く受けとめ、同様の事態が発生しないよう米太平洋空軍と調整した結果、この米軍内の規定を適用しないことが可能となった、発効日は一月十日であり、これにより、運用上の支障がある場合を除いて、嘉手納飛行場からの深夜、早朝の離陸を回避することができるという説明を受けております。

 我々といたしましては、嘉手納飛行場の騒音軽減というのは、沖縄の負担軽減の観点から大変重要な課題だと認識しておりまして、今後とも、米側に対し、騒音の軽減が図られるよう一層の協力を求めるとともに、訓練移転を積み重ねるなどいたしまして、地元の負担の軽減に努めてまいります。

 なお、期限につきましては、特に期限限定であるという説明は受けておりません。

照屋委員 では、期間限定なしで今後恒久的にそういう措置がとられる、こういう理解でよろしいでしょうか。

深山政府参考人 米軍からの説明によりますれば、これは特に期限というものが付された措置とは聞いておりませんので、今後このような取り扱いがなされるものと承知しております。

照屋委員 では、次はまた午後します。

山口委員長 この際、休憩いたします。

    午後零時一分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時四十五分開議

山口委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。神山洋介君。

神山(洋)委員 神山洋介でございます。

 本会議散会後ということですが、午後の審議もよろしくお願いを申し上げます。

 午前中も半島情勢についての議論が繰り広げられてきたわけですが、私もその半島情勢に関連をしてのテーマを数点議論させていただきたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。

 その前に一点だけ、これは確認も含めて取り上げさせていただきたいのが、例の日報問題に関連をしての現状なり今後の対応というところでございます。

 今、一連の問題を受けて、省内で特別防衛監察中ということは理解をしているわけですが、この一カ月ぐらいの間でしょうか、それについてどうするのかというところ、少し議論が遠のいた点もあります。

 稲田大臣は、三月の二十一日の記者会見だったかと思いますが、国会で中間報告を求める要請もあったので、何らかの報告をすることも検討したいということを記者会見でおっしゃっています。

 それを受けて、これは十日後ぐらい、三月の三十一日だったかと思いますが、我が党の青柳議員の本会議の質問への答弁ということで、「今後、報告のあり方について検討してまいります。」という答弁もいただいております。

 ただ、その日の、今の「今後、報告のあり方について検討してまいります。」という答弁についての翌日のこれは報道でもあるんですが、報道なので違うのであれば違うとおっしゃっていただければいいんですが、中間報告の実施に慎重な姿勢を示したということが報道で書かれているということがありまして、一体これは、どっちなのか、どうするのかというところがよく見えません。

 それから日付も二週間ほど経過をしているわけでありますし、そもそも、この中間報告に言及をされたところからいえば、もう一カ月近く経過をしようとしているという状況ですが、これについてどう対応されようとしているのか、まず大臣にお伺いをさせていただきます。

稲田国務大臣 まず、本件特別防衛監察の現在の進捗状況ですけれども、本件につきましては、三月十七日に私が特別防衛監察計画を承認し、既に特別防衛監察が開始されていることから、防衛監察本部による監察の実施に支障を来さないよう、その内容の詳細についてお答えは差し控えますが、関係職員からの聞き取り、また、必要な場所への立ち入り、さらには、書類の確認等が厳格に行われているというふうに認識をしております。

 その上で、国民に対して責任を持って説明を行うということは、国民からの防衛省また自衛隊への信頼という観点からも、当然であって、極めて重要であるというふうに認識をいたしております。

 また他方で、調査の過程でその断片的な内容等を対外的に明らかにすることは、監察そのものに支障を来すおそれがあるとも考えているところです。

 国会での議論を踏まえ、できるだけ早く監察結果の報告を求めたいと考えており、正確かつ公平な調査の実施の観点も重要であることから、それらの点も踏まえ、今後、報告のあり方についても検討していくという方針に何ら変わりはないところでございます。

 また、防衛監察本部は、独立した立場から厳正かつ公正な調査を行うことが重要であって、報告のあり方については監察の進捗状況等を踏まえて検討することが必要であることから、現時点でその検討状況についてお答えすることは差し控えますが、なお、三月二十一日の会見では、国会の中で中間報告を求める要請もあることを踏まえつつ、報告のあり方を検討する旨述べたものであります。

神山(洋)委員 なので、その検討の結果をお伺いしているわけです。

 今大臣から、報告のあり方を検討していくというふうに御答弁がありましたけれども、報告のあり方を検討している間に、報告するタイミングが来ちゃうわけですよ。だから、その中間報告なり中間報告的なものを、しないのであればしないということを決めたということをおっしゃっていただければ、いいとは言いませんけれども、まずはそれが結論でしょうし、するということなのであれば、どういう形でするのかというその具体的な内容を伺っているわけです。

 報告のあり方を検討していく、いつまで検討しているのか、さっぱりわかりません。何らかの報告をすることを検討するというのであれば、検討した結果どうなのかということをお伺いしているわけです。もう一度御答弁いただければと思います。

稲田国務大臣 今御答弁いたしましたように、調査には、関係者の聞き取り、必要な場所への立ち入り、書類の確認等が含まれ、一定の時間がかかり、その間の調査は独立した立場の専門家に委ねているところでございます。

 本件について、国会において責任ある答弁を行うためにも、個々の断片的な聞き取り等を御説明するよりも、全体の整合性を防衛監察本部による特別防衛監察によって調査、検証した上で、正確かつ誠実にその内容を御説明することが重要と考えているということでございます。

 そして、今までの累次の会見でも、国会の中で中間報告を求める要請もあることも踏まえながら、報告のあり方を検討する旨述べてきたところでございます。

 国会での議論を踏まえ、できるだけ早く監察結果の報告を求めたいと考えております。そして、正確かつ公正な調査の実施の観点も重要であることから、それらの点も踏まえ、今後、報告のあり方について検討していく方針に変わりはないということでございます。

神山(洋)委員 何か禅問答みたいになってきちゃって、嫌になってしまうわけですが。

 ちょっと時間がたってしまいましたけれども、三月の二十四日、これは共同通信の世論調査ですけれども、日報が廃棄されたとしながら陸上自衛隊が保管をしていたという問題について、あなたは稲田朋美防衛相に責任があると思いますか。責任があると思うが五八・五%です。大体時期は同じですが、産経新聞、FNNであると、少し表現、聞き方は違いますが、さらに説明責任を果たすべきが五五%。同時期の読売新聞であると、これもちょっと聞き方は違いますが、責任は大きいという表現で、六〇%という表現がなされているわけです。国民の六割の方がこの問題に対して何らかの問題意識を持っているということは明らかなんだと思うわけです。

 それに対応するということで、今御説明があった特別防衛監察、これはこれでもちろん大事だとは思いますが、それをもって全てでいいのかという問題を私は提起したいわけです。

 これは実は、この問題ではなくて、別の例えば天下りをめぐる問題でも別の大臣の方に同じことを私は申し上げたことがあるんですが、例えば会社で何か問題が起こりましたと。情報漏えいであったり、場合によっては食品に異物が混入していましたなんということは、いろいろこれは民間でも時々起こっています。そういう例えば企業のそういった危機管理はどうやっているか。できるだけ早くマーケットの方に、消費者の方に今の現状を説明して、理解をしてもらえるような話をし、謝罪もし、対応し、再発防止策を講じるという、できるだけ早くということがこれはある種の基本であると思うんです。

 その意味からすれば、先ほど大臣からお話があった、正確性というのはもちろん大事でしょう。それは否定はしません。しかし、ここに決定的に欠如しているのはスピード感なんですよ。余りにもそのスピードというものに対して鈍感過ぎやしないか。私はそこに大きな問題意識を抱くわけです。

 今回の一連の問題が、果たしてどこに原因があったのか。シビリアンコントロールに至るような、本当にいけない問題があったのか、場合によってはそうでなかったのか。これはいろいろ幅があるでしょう。仮に、本当にそこはシビアな問題があったのだとすれば、スピード感がないがゆえに、その状況を一カ月、二カ月、三カ月、場合によっては半年かかるのかもわかりません、放置をしてしまうという、ここを考えたときに、スピード感というのも大事じゃないですかということを私は申し上げているわけです。

 折しも、十四日金曜日、先週の金曜日の理事会で、これに関しては山口委員長からも、特別防衛監察の監察結果を本委員会に速やかに提出する努力をお願いしたいというお話があり、その場には宮澤大臣政務官がいらっしゃって、防衛大臣に報告の上、防衛監察本部に伝達をさせていただきますという表現、お話があったというふうに伺っていますが、大臣、この話はまず聞いているかということと、その上で、では、その報告を受けて、一体これに関してどう対応されようとしているのか、もう一度お尋ねをさせていただきます。

稲田国務大臣 今委員が御指摘になった理事会での議論、これは政務官から聞かせていただいているところでございます。

 そして、私も、先ほども申し上げましたように、先ほど世論調査などもございました。本件に関して、国民に対して責任を持って私が説明をすることは、国民からの防衛省・自衛隊の信頼という観点からも、当然であって、極めて重要であるということを認識しているわけでございます。

 そして、できるだけ国会での議論も踏まえて、できるだけ早く監察結果の報告を求めたいと私自身も考えております。と同時に、正確かつ公正な調査の実施の観点も重要であるということでございます。

 そういった点も踏まえ、今後、報告のあり方についても検討していくということでございます。

神山(洋)委員 繰り返しになりますが、決定的に欠如しているのはスピード感ですよ。報告のあり方について検討していく、それもいつになるかわかりませんという話だとすれば、そのスピード感のなさというものが、今まさに大臣から言及がありましたけれども、防衛省なり自衛隊に対しての信頼感を回復するまでの時間をもそこで消費をしてしまっているということにならざるを得ないじゃないですか。そのスピード感をもっと強く認識していただきたい、このことだけは強く申し上げさせていただきます。

 きょう午前中来議論のありました半島情勢の議論をさせていただきたいわけですが、個別の具体論に入る前に、少しちょっと大枠的な話も含めてさせていただきたいと思います。

 もうちょうど一カ月ぐらい前になります、三月の十日だったと思いますが、大臣とこの場で議論をさせていただいた際に、新たな段階と。午前中もこの議論は少しありましたけれども、新たな段階というその表現についての議論をさせていただきました。

 新たな段階というのは一体どういうことを指して言っているんですかと私が大臣にお話をさせていただいた際に、御答弁としては、同地点に着水、潜水艦からの発射、あと、これは小型化であるとか弾頭化の可能性なんという表現が出てきました。

 その点も含めて再度これは確認をさせていただきたいわけですが、新たな段階というからには、これは一般論でまず伺いますけれども、新たなという限りは、旧があるから新があって新たな段階になるわけです。何か古いものがあり、それが改まって新たな段階になるというのが日本語の正しい理解だと私は思っています。

 その意味でいえば、例示は前回のときに少しいただいているわけですけれども、旧は何で、何が改まったから今回新たな段階になったのか、フェーズが変わったのか。その変わった点、それを大臣はどう認識をされているのか、どこが変わったということを具体的に示しているのか、ここをまずは確認をさせていただきたいと思います。

稲田国務大臣 前回にもお話をした点も含めておりますが、昨年、二回の核実験を強行しております。それは、それまでは一回核実験すれば三年ぐらいあけているというのが通常であったわけですが、二回の核実験を強行し、年間では最多となる二十発以上の弾道ミサイルを発射したわけであります。本年に入ってからも、一昨日の発射も含め、引き続き、弾道ミサイルの発射を繰り返しているわけです。

 北朝鮮による弾道ミサイル開発、また運用能力の向上については、昨年二月に人工衛星と称する長距離弾道ミサイルを発射したほか、グアムが射程に入ると言われる中距離弾道ミサイル、ムスダンを発射するなど、弾道ミサイルの長射程化を図っているものと見られます。

 また、本年三月六日には四発の弾道ミサイルを同時に発射しましたが、昨年九月も三発の弾道ミサイルを同時に発射し、三発ともEEZ内のほぼ同じ地点に撃ち込むなど、実戦配備済みの弾道ミサイルの技術的信頼性を向上させているものと見られます。

 また、任意の地点から発射が可能な発射台つき車両、TELからの発射や、潜水艦からの弾道ミサイル、SLBMの発射を繰り返すなど、打撃能力の多様性と残存性の向上を追求していると見られます。

 さらに、弾道ミサイルの固体燃料化を進めている可能性があります。一般的に、固体燃料のミサイルは、液体燃料に比べ即時の発射が可能であり、発射の兆候が事前に察知しにくいなど、奇襲的な攻撃能力の向上も図っているものと見られます。

 核兵器については、小型化、弾頭化の実現に至っている可能性が考えられ、北朝鮮が核兵器計画を継続する姿勢を崩していないことを踏まえれば、時間の経過とともに、我が国が射程内に入る核弾頭搭載弾道ミサイルが配備されるリスクが増大していくものと考えられます。

 政府としては、このような北朝鮮による核、弾道ミサイルの開発や運用能力の向上が、昨年来、我が国を含む地域及び国際社会に対する新たな段階の脅威になっていると認識をしているということでございます。

神山(洋)委員 今、例示で幾つも挙げていただきましたけれども、恐らくその中に、今回もしくは最近の状況の中で変わった、もしくは認識を改めたというものもあると思いますけれども、昔から変わっていないものもあるんじゃないですか。

 例えば、小型化、弾頭化の可能性というお話がありましたけれども、これは、今に始まった話、この状況の中で何か認識を改めたということじゃないんじゃないかなというふうに私は思うんですよ。そこをまずちょっと、事実関係ですけれども、例えば今の小型化、弾頭化の可能性というところは、今までも防衛白書に書いてあるような話であって、この局面で何か認識を改めたということじゃないんじゃないかなと思いますが、大臣、いかがですか。

稲田国務大臣 今申し上げたように、昨年来、さまざまな観点から、新たな段階に入ったというふうに評価をしているということでございます。

神山(洋)委員 また禅問答になってきちゃったんですけれども、新たになるということは、旧があって、何かが改まったから新たな段階になるわけです。もともと小型化、弾頭化の可能性があるということを言っていて、今においても同じことを言っているのであれば、何ら新たな段階には入らないわけですよ。

 SLBMの話なのか、それはTOTの話なのか、それは抗堪性であるとか、またはいろいろな局面で、戦略的要素の中で総合的な価値判断をしたという説明をいただければ、すっと入ってくるわけですけれども、変わったものもあれば変わっていないものもごちゃまぜで言って新たな段階に入りましたというのは、私は説明として不適切なんじゃないかなと思うわけです。

 きょう、この後もこれに関連をしての幾つかの話をしたいわけですけれども、その意図は、こういう緊張した局面であるがゆえに、過度に表現をしてもならないし、不足があってもならないと私は思うわけです。現実に対して、きちっとそれは事実を事実として、もちろん公表できること、できないことはあると思いますけれども、そこはやはり過不足ない表現をこういう段階では特にキープをしていくということが大事だと思うんですね。

 その意味で、新たな段階というからには、それは、我が国なりの認識を対外的に示すという意味では極めて大事な言葉だと思いますので、そういう意味でのここの具体的な定義なり、何が変わってこういう認識変更に至ったのかということを聞いているわけです。もう一回、補足も含めて、大臣、どうですか。

稲田国務大臣 繰り返しになるところもありますけれども、まず核実験、これも、昨年は二回、同じ一年の中に二回、繰り返したわけです。また、二十発以上の弾道ミサイルを発射した、これも年間では過去最多でございます。旧と新という意味では、そういう状況もございます。

 また、今、核兵器についての白書の表現についてございました。昨年までは、可能性は排除されない、そういう表現であったわけですけれども、核兵器については、小型化、弾頭化の実現に至っている可能性が考えられる、このように表現も変えているところでございます。

 先ほど来申し上げておりますように、弾道ミサイルの長射程化、さらには実戦配備済みの弾道ミサイルの技術的信頼性の向上、攻撃能力の多様性と残存性の向上、そして奇襲的な攻撃能力の向上、これは固体燃料化のことを指しておりますけれども、そういったことなどを総合して、新たな段階に入っているということを説明しているわけでございます。

神山(洋)委員 通常でも、これは、防衛大臣、もちろん外務大臣も含めて、総理も含めて同じではありますけれども、その発する単語一つの意味というものは、特に対外関係における以上、極めて重たい意味があると思うんです。しかし、さらに、こういう緊張が高まった局面においては、その言葉遣い、表現一つをとって、相手に対してのメッセージを意図的に伝える場合もあれば、間違って伝わる場合もある。ここは慎重に表現を使っていただきたいんです、私は。それだけ大事な重みのあるお立場であり、言葉であるということはぜひぜひ肝に銘じていただければなと思います。

 少しちょっと周辺の話も含めてですが、ちょうどきょうはペンス副大統領が来日をされて、もう安倍総理との会談も終わっているのか、既に行われているかと思います。内容はまだ承知していません。恐らく、半島情勢についてのいろいろな議論、意見交換、認識のすり合わせもあるでしょう。

 ちょうど一カ月前でありましたけれども、三月の十五日から十七日はアメリカのティラソン国務長官がアジアの歴訪の中でも日本に寄ったという状況の中で、戦略目標の共有が重要という認識で一致をしたという話がありました。

 事務方で結構なんですが、外務省にきょうお越しをいただいていると思います。ちょっとこれは観点が違いますが、その際に、ティラソン国務長官は韓国でも強調していたわけですが、戦略的忍耐というオバマ政権の政策は終わったのだということをかなり強く強調しています。

 まず、前提として確認をさせていただきたいのが、この戦略的忍耐は我が国も共有をしていた政策なのか否か、この点を事実関係として御答弁ください。

志水政府参考人 お答え申し上げます。

 戦略的忍耐とは、一般に、北朝鮮側が先に非核化に向けた具体的な行動を示すのを待ち、それまではアメリカ側から積極的には動かないというオバマ政権時代の対北朝鮮政策をあらわす用語として用いられてきたものと承知しております。

 他方、戦略的忍耐というのは、戦略目標そのものではなく、戦略目標を実現するための政策ないしアプローチをあらわすものだろうと思われます。その上で申し上げますと、日米両国は、オバマ政権時代を含め、北朝鮮の非核化という目標を共有しており、この点は変わっておりません。

神山(洋)委員 今ちょっと、あらかじめ前に出る形で非核化という話が出てきましたが、次に実はそこを伺おうと思っていたんですが。

 さっきも申し上げました、ちょうど一カ月前のティラソン国務長官との議論の中で、戦略目標の共有が重要という表現がありました。ここで言う戦略目標というのは、今おっしゃった朝鮮半島の非核化ということであるという認識でよろしいでしょうか。

志水政府参考人 非核化ないしはミサイルの問題も含めた解決ということと存じます。

神山(洋)委員 稲田大臣にお伺いをしたいわけですが、外務省マター、外交ラインでの話ではあるものの、事が朝鮮半島を含めた安全保障の問題であるがゆえに、そこの認識は恐らく調整もされ、これはこの後御答弁いただければいいんですが、ずれはないというか、基本的に共有はされているんだろうなというふうには思うわけです。

 戦略目標の共有は、これはもちろん大事でしょう。事ミサイルに関して考えてみたときに、日本のミサイルということを念頭に置いた際の戦略目標とアメリカの戦略目標というのは、一〇〇%本当に一致するのかなというところ。むしろ、一致させるためにいろいろこれは議論も含めて補強しなきゃいけないんじゃないかなというふうに実は私は思っています。

 トランプ政権になって、なぜこれだけアメリカが朝鮮半島の問題に対して強く出てきているのか。先ほど大臣がおっしゃった新たな段階というものが、ある意味ではアメリカのトランプ政権にも共有されているものであるとすれば、やはりそれは、アメリカにとってはICBMなんだと思うわけです。アメリカ本土に対して、ICBMで、大陸間弾道弾で直接本土まで撃ち込まれるリスクが高まったというふうに見るがゆえにこういう態度に出てくるのかなということはもちろん思うわけです。

 一方で、では、日本の立場からすれば、もちろんICBMも我が国にとっての脅威ではありますが、しかし、北朝鮮から我が国に対しての脅威は、何も今始まった話でもなく、もっと言えば、ICBMがあるからどうのこうのではなく、そもそも、十年も前からノドンが二百発、三百発日本に向かっているという状況が続いてきたわけです。その意味でいえば、おのずとアメリカと日本とは一〇〇%この戦略目標を、包含することはできるかもしれませんが、全て一致をするということではないんじゃないかなとも思うわけです。

 どういう展開をこれから半島情勢の中でなされるか、まだ予断を許しませんけれども、事を起こすというときの判断の前提となる現状認識なり、脅威の分析ということを考えたときに、その前提となる脅威認識、アメリカにとってのICBMの意味と我が国にとってのICBMの意味、アメリカにとってのノドンの意味と我が国にとってのノドンの意味、ここにおのずと違いがあるということも含めたすり合わせをきちんと行っていく必要が私はあるんじゃないかなと思っていますが、大臣、この戦略目標を共有化していくということに関して、どんな御見解をお持ちですか。

稲田国務大臣 まず、私も二月に、マティス長官とも、この地域を含む情勢について忌憚のない意見交換をいたしました。

 そして、北朝鮮は新たな段階の脅威に入った。その内容については先ほどるる申し上げたとおりでございますが、こういった北朝鮮の核、そして弾道ミサイルの開発、運用能力の向上が、我が国を含む地域、さらには国際社会全体に対する新たな段階の脅威になっている、そういう意味において認識は共通しているというふうに考えております。

神山(洋)委員 ちょっと御答弁にずれがあると思うんですけれども、そこの現状認識はわかっているんですよ。それぞれの国の地勢的な意味であるとか、場合によっては政治環境も含めて、一つの国の動きがどういう意味を持つかということはおのずと変わり得るわけです。そういうセンシティブな部分も含めてきちっと、この後もちょっと議論しますけれども、ミリミリも含めてコミュニケーションを円滑にやっていただきたいんですよ。

 北朝鮮という国の脅威の認識を少しお尋ねしたいわけですが、先ほども少し議論をさせていただいた核兵器の、核弾頭の小型化であるとか弾頭化ということの認識も、少し表現を改めてというお話がありました。

 先週の参議院の外務委員会だったと思いますが、総理がサリンの弾頭化の可能性もたしか言及をされていたというのは、少し報道にもなりましたし、私も、おやっと実は思いました。

 北朝鮮が生物化学兵器を多数保有しているだろうという話であるとか、それをWMD、いろいろな形で、弾頭化も含めて兵器開発をしているだろうということはかなり昔から言われてきたことだと私は思っています。しかし、この局面の中で、サリンの弾頭化ということをぽんと言われたということは少し目を引いたわけです。

 先ほどの、何か脅威認識を改めたのか、新旧対比の中で、何かここに来て認識を改めたという点があるのであれば、それはきちっと、国民に対しても、また対外的にも伝えるべきだと私は思っていますが、私の理解では、別にここは今までも同じだったんじゃないかなと思う中で、これが特出しで出てきたことに何の意味があるんだろうということを実は考えています。

 例えば、マレーシアでVXガスが使用されたというニュースは、全然別の次元ですけれども、大分強く出てきましたよね。何でここでサリンだけを特出しで出したのかなという素朴な疑問があるんですが、大臣、この点は、具体的な何か認識の変更、脅威認識の変更がありますか。

稲田国務大臣 北朝鮮は、詳細については不明ですけれども、化学剤を生産できる複数の施設を維持し、既に相当量の化学剤などを保有していると見られます。

 今御指摘になった総理の答弁は、シリアにおける現状に言及しつつ、北朝鮮は弾頭に化学剤を搭載し得る可能性も否定できないという一つの見方を示されたものであるというふうに私は承知をいたしております。

神山(洋)委員 先ほど来申し上げているとおり、こういう局面だからこそ、例示も含めてですが、できるだけ慎重にやっていただきたいという私は要請をしたいんです。化学兵器の話ではありませんが、当然核の話もあるわけです。

 実は、金曜日の日に、先週の金曜日ですが、夜中に私、自宅に帰ったら、玄関先に見なれないリュックサックが置いてあって、何だろうなと思ってあけてみました。中に、着がえとか、新聞紙とか、サランラップとか、いろいろ入っているんですね。余り見なれないけれども、昔子供が使っていた印象があったので、翌朝聞いてみたら、避難袋だという話をするわけです。我が家的な話でいえば、それは褒めてあげるべき話かもしれませんが、別に私が準備しろと言ったわけじゃないわけですよ。多分ネットのニュースか何かを見て、現状を踏まえ、子供なりに多分そういう判断をして玄関先に置いておいたんだろうなと思うんですね。

 このことを踏まえて申し上げたいのは、でも、実はそれだけ国民一般が敏感になっているという、そこをわかっていただきたいんですよ。敏感になっているからこそ、このサリンという例示が一つ出ると、やはりメディアもばあっとそれを報道するし、何かサリンだけが特出しでリスクが高いんじゃないかというふうに見えやすくなるという危険性があるという中で、今必要なことは、先ほど来申し上げているとおり、過度にリスクを強調することがあってもならないし、そこに不足があってもならない。過不足なく、きちんとしたあるべき姿を表現するという技術が問われているというふうに私は思います。

 そういう意味での、例えばこれは報道とのコミュニケーションも大事だと思うんです。記者会見一発でその意図が全て伝わるのかといえば、伝わらない場合もあるでしょう。それは、きちんとしたブリーフィングも含めて、その意図をきちんと適切に伝えるという意味で、表現には気をつけていただきたい、そのことだけはぜひお願いをしておきます。

 一つ、少しちょっと話題がかわりますが、カール・ビンソンが西太平洋を航行中であるとか北上中であるとか、いろいろな報道があります。一説によれば、もう朝鮮半島に近づいているんじゃないかという話もあれば、まだまだインドネシア周辺にいるらしいという話もあります。

 今カール・ビンソンがどこにいるか知っていますかと言ったって答えられないのはわかっていますのでそれは聞きませんが、それと海上自衛隊を含めた自衛隊が訓練をするんじゃないかという、そういう話があります。これは防衛省として公式に確認をした話でしょうか、いかがでしょうか。

稲田国務大臣 今のお尋ねに関して、日米両国の間では、平素から日米共同訓練についてのさまざまな検討を行っております。相手国との関係等もあることから、訓練の実施の有無を含め、日米間における検討の内容についてのコメントは差し控えさせていただきたいと思います。

神山(洋)委員 別にここで洗いざらいしゃべってくれという意図ではありませんので、それは多とします。

 ここで申し上げたいのは、どこにいるか、何をするのか、どういう訓練が想定をされているのか、それはもちろんわかりません。わかりませんが、恐らく、半島を含めた近海には、原潜でありディーゼル潜であり、それは日米韓、中国、ロシア、場合によっては台湾かもしれませんし、もっとほかの国もあるかもしれません。うようよしているという状況があるでしょう。

 緊張感が高まっている状況だからこそ、これはもちろん外務当局であり、きょうはペンス副大統領が来て総理との会談をされているということでありますが、現場レベルでのこのミリミリのコミュニケーションというのも極めて大事だと思うんですね。不測の事態が起きないようにするという意味では、その意図も含めたミリミリのコミュニケーションラインというのはすごく大事だと思います。

 その内容をここで別に公開してくれとも言いませんし、どんなことをやっているのかという詳細を聞こうとは思いませんが、一点、大臣に、そこはきちっとやっているということをぜひここで言明いただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

稲田国務大臣 防衛省・自衛隊は、日米安保体制のもと、平素から米国とさまざまなやりとりを行っており、今御質問のあった空母カール・ビンソンを中心とする空母打撃群の動向を含め、今般の米国の北朝鮮への対応について緊密に連携をしているところでございます。

 政府としては、日米同盟の抑止力、対処力を一層強化し、国民の生命と平和な暮らしをしっかり守っていくためにも、引き続き、米国との間でしっかりと政策のすり合わせを行い、緊密に連携してまいります。

神山(洋)委員 少しちょっと意図が伝わらなかったかもしれません。アメリカとのコミュニケーションはこれはマストだし、当然ですよ。それはもうわかり切っているわけです。もちろん、これは在日米軍を含めた米軍ともやっているでしょう。

 それだけじゃないんですよ。韓国軍であり、中国であり、台湾であり、ロシアでありといったところの、これは公式なラインのみならず、きちっとした、意図も含めたコミュニケーションが大事ですよねということを私は申し上げているわけです。その内容であるとか、どうやってやっているかなんということをこんな平場で聞こうとは思いません。しかし、それは常識としてやらなきゃいけないことだということで、だから、それはちゃんとやっているというふうに言明いただきたかったんですよ。ちょっと時間がないので、それはもう答弁は求めません。

 ミリミリはもちろんそういう形でやるわけですが、さはさりながら、国と国でいえば、やはり日米安全保障条約というアメリカとの同盟関係の中で、そこを基本軸にこの状況に対して対応していくことが原則になるわけです。

 日米安保第六条にはいわゆる事前協議が明文化をされていて、それはいわゆる岸・ハーター交換公文等で担保をされているという状況です。その具体的な内容はここで読みませんが、在日米軍等が実際に作戦行動に及ぶ際は事前協議しましょうね、そういう話です。

 私の知る限り、この事前協議、これまで公式に行われたことはないという理解をしています。では、今回どうするのか。いろいろな議論があるのかもしれません。

 一つ、まず前提として確認をさせていただきたいんですが、この日米安保における事前協議を行う我が国側の主体はどこなのかという、ここを確認させてください。

小野政府参考人 お答え申し上げます。

 日米安保条約に基づく事前協議の主体、これにつきましては、日米間で特定されていないわけでございますが、通常の外交ルートで行われるものと考えてございます。

神山(洋)委員 大臣、今、特定されていないという事務方からの答弁がありました。それで問題ないですか。いかがですか。

山口委員長 外務省小野参事官。(神山(洋)委員「政治的に、政治家としての答弁を聞いているんです」と呼ぶ)一度外務省から。

小野政府参考人 一度お答え申し上げます。

 日米安保条約に基づく事前協議、これにつきましては、通常の外交ルート、特定されてございませんが、通常の外交ルート、すなわち外務省とアメリカの国務省との間で行われる、こういう認識で一貫してございます。

稲田国務大臣 今答弁したとおり、通常の外交ルート、すなわち外務省と国務省との間で行われる、日米安保条約に基づく事前協議の主体についてはそのように考えているということでございます。

神山(洋)委員 大臣、それで本当にいいでしょうか。もちろん、外務当局は、日米安保のある種の運用を行っていくという意味で、当事者たる資格はもちろんあることは誰も否定をしないと私も思います。しかし、事は安全保障、軍事に至る領域の話。ここは、外務省のみならず、稲田大臣を含めた防衛省としてもしっかりコミットすべきじゃないですか。

 私は、であるがゆえに、今NSCが、きのうもたしかあったかと思いますが、NSCとして、この事前協議、主体として対応するというスキームも十分あるんじゃないかなというふうに思っているわけです。

 ましてや、何月何日にこういう作戦行動を起こそうとしていますよというのがあらかじめわかっている場合は、それは外務省、防衛省間でコミュニケーションをとることもできるでしょう。しかし、今まさに朝鮮半島で想定をされていることは、どこかのタイミングで偶発的な面も含めて即時的に対応しなきゃいけないという部分が可能性としては非常に高いわけです。その即時性を担保するということを考えても、私はこれは少し見直すべきじゃないかなと思います。

 NSCで対応するとかいうことも含めて、防衛省としてもっと関知すべきじゃないですか。いかがですか。

稲田国務大臣 今御指摘になったような我が国の安全保障に関する重要な事項についてはNSCで検討するということでございます。

神山(洋)委員 重要な事項はそれはNSCで検討するんですけれども、私が申し上げているのは、事前協議の主体の話なんですよ。事前協議の主体として、今は、先ほど来御答弁があるとおり、通常の外務ルートでやります、外務省が窓口になりますということでしょう。それは今までもそうだったのはわかります。

 しかし、それは、私は、NSCという仕組みは大事だと思ってこれまでも国会の中で何度も議論してきましたし、ましてやこういう局面で、外交的な観点と軍事的な観点とをあわせた形での対応を日米両国ですり合った上で作戦行動に行くというのは、これは当たり前にやるべきことだと思うんです。

 だとすれば、NSCがない時代であればそれはそれでいいですが、今となっては、防衛省としてきちっとコミットをするという担保を得るためにも、別にNSCじゃなくてもいいですよ、ほかの仕組みがあってもいい、少なくとも、防衛大臣として、二十五万人の自衛官を抱えて我が国の安全保障を守るのだという観点からしたときに、そこは外務省さんお願いしますじゃまずいんじゃないですかということを申し上げているんですが、いかがですか。

稲田国務大臣 先ほど御答弁いたしましたように、防衛省・自衛隊、まさしく米国防省、米軍とさまざまな連携、調整をしておりますし、また、引き続き米国との間で、そういった枠組みでしっかりと政策のすり合わせを行い、緊密に連携していくことはもちろんでございます。

神山(洋)委員 余り中身のない答弁をいただきましたが、時間もありませんので、これもまた改めて、再度議論をさせていただきたいと思います。

 これだけ事態が切迫しているのだというからには、切迫した事態が本当に生起をしたときにどういうオペレーションで対応するのかというシミュレーションは、もちろんやられていると思いますよ。しかし、その中で、いま一つここで伺った、防衛省としていかに事前協議にコミットするかという問題意識はもっと強く持つべきだと私は思いますよ。それが防衛大臣としての責任あるお立場の仕事じゃないですか。

 そこは改めて議論させていただきますが、ぜひそのときまでに整理しておいていただきたいというふうに思います。

 きょう、ここではもう伺いませんが、そもそもこの事前協議は、在日米軍の基地であるとか、そこから飛び立っていく航空機を含めたところの運用に際して事前協議が行われるということになっていますが、事実関係は確認をしませんが、報道ベースも含めて、今回に関しては在日米軍のみならず、これからカール・ビンソンが来るのか、それに関連をしての幾つの艦船が来るのかわかりませんけれども、そういったところからの北朝鮮に対してのいわゆる作戦行動に対しても、事前協議の対象とすべき、もしくはしようとしている、するかもしれないという可能性は語られているという状況ですから、これは、そういう具体的なオペレーションも含めて、改めて今この段階で詰めて対応していただきたいということを強くこの場で要請をさせていただきます。

 もう時間も限られておりますので、あと一つぐらいしかできないかと思いますが、最後に、少しだけ、ちょっと大き目な話になります。

 先般のシリア情勢を受けて、安倍総理のそのコメントの中に、化学兵器の拡散と使用を抑止するために、責任を果たそうとするトランプ大統領の決意を支持するというコメントがありました。午前中、これの解釈を含めた議論がありました。そこについて直接伺おうとしているものではありません。ここで大臣に少し御答弁いただきたいのは、この抑止という言葉についてです。

 大前提として、大臣、この抑止論、どういう認識をお持ちですかということを伺いたいわけです。

 冷戦期には、いわゆる核抑止を中心に、ぶったらぶたれちゃうからやめておきましょうというこの核抑止論がずっと議論をされてきたわけです。しかし、冷戦が終わり、主体が多様化をして、それこそ、ならず者国家の話であるとか非国家主体であるとか、そういう話が出てくる中で、いわゆるこの核抑止も含めた伝統的なクラシックな抑止論というのは通用しなくなってきているんじゃないかという議論がずっとあったわけです。

 アメリカでは、QDRの二〇〇六年、もう十年ほど前でありますけれども、この抑止論、少し拡大をしなきゃいけないよねということで、テーラード・ディターランスですか、というような形で、少し拡大をして考えてきた、そういう経緯もあります。

 今、北朝鮮問題、ここで議論をしてきたわけですが、あれほどこの十年来、北朝鮮の核開発、ミサイル開発を日本としても抑止しようとしたけれども、大臣がおっしゃるように、新たな段階というところまで開発が進んできたとすれば、この抑止論はそもそも有効であったのかということを、短期的なものはともかくとして、中長期的に私は考え直す必要があるんじゃないかなと思っています。

 その点も含めて、大臣、この抑止論、どういう基本的な認識をお持ちですか。

稲田国務大臣 紛争、さらには不法行為を行おうとするということを未然に防ぐ。つまり、抑止するということは、相手国に多様な手段で働きかけること等によって、そのような行動を思いとどまらせるということであります。多様な手段の一つとして、平和安全法制もありましょうし、日米が協力して行う日米同盟の抑止力強化のための同盟もあると思います。

 一方で、北朝鮮による核実験、たび重なる弾道ミサイルの発射、中国の公船の領海侵入など、我が国の平和と安全に影響を与える事象が発生していることもまた事実でございます。このような北朝鮮や中国による我が国の平和と安全に影響を与えるような行動を思いとどまらせるためにも、政府としては、抑止力を強化するためのさまざまな取り組みを一層強化する必要があると考えています。

 そのためには、外交努力、防衛力の整備を着実に進めていくことが不可欠であり、平和安全法制に基づく新たな任務等に関する訓練も着実に実施し、あらゆる事態に対して適切に対応できるよう万全を期してまいりたいと考えております。

神山(洋)委員 私が大学生のときに読んだ教科書に書いてあったような答えで少し不満ではありますが、少しそこは認識を深めていただきたいと思います。恐らく山口委員長が外務省でまさに仕事をしていたころにもこういう議論はあったかと思いますし、抑止という概念であるとか、そこを我が国としてどういう判断をするかというのは、これからの我が国の防衛政策の中ではかなり根幹をなす部分だと思いますので、認識を深めていただきたいということを最後にお願い申し上げまして、質問を終わりにさせていただきます。

 以上です。

山口委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 午前中の質疑に続きまして、伊達火力発電所の事例について水産庁に聞きます。

 午前中の答弁にもありましたように、伊達漁協は、一九七二年五月三十一日の総会で埋立区域を漁場から除外する漁業権の変更議決をしております。その約一カ月後、七月の四日に北海道知事に対して漁業権の変更免許を申請し、翌年六月に漁業権の変更が行われております。

 こうした実例に照らしても、漁協が漁業権の放棄を議決すれば漁業権は消滅するという見解、手続はとられてこなかったのではありませんか。

佐藤政府参考人 お答えいたします。

 先ほども答弁申し上げましたように、それぞれの事案について詳細は承知しておりませんので、ここで具体的にコメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。

赤嶺委員 答えられないということですか。さまざまな事案について、個別のと言いますが、変更申請を北海道知事にやっているわけですよ、伊達漁協は。そういうことをやってきたんじゃないかと。

 なぜ伊達漁協は漁業権の放棄ではなく漁業権の変更を決議したのか。これは、漁業権を一部放棄するには知事の変更免許が必要だという認識があったからそういう手続をやったということではありませんか。

佐藤政府参考人 この案件につきましては、先ほど答弁申し上げたとおりでございまして、その詳細については私どもではちょっとうかがい知れぬところでございますので、御理解賜りたいと思います。

赤嶺委員 北海道だけではありません。大分県臼杵市でも、一九七〇年代に大阪セメント株式会社によるセメント工場の建設計画にかかわって、漁業権の放棄が問題になっています。

 ここでは、漁協が漁業権の一部放棄を議決し、その後、大分県知事に変更免許を申請し、知事が免許を行っている、そういう経緯ではありませんか。

佐藤政府参考人 今の先生御指摘いただいた事案については、私ども詳細は承知しておりませんが、今先生のお話があったように、昭和四十五年三月二十一日に漁業権者である漁業協同組合による同漁協の漁業権放棄の決議がなされておりまして、同年五月二十日に知事の漁業権の変更免許、同年の十二月二十五日に事業者に対する公有水面埋立法に基づく埋立免許が行われたものと承知しておるところでございます。

赤嶺委員 臼杵ではそういう知事の変更免許申請をとっているわけですね。

 漁業権の一部放棄と変更を混同させる実態があったと水産庁長官は先ほど述べておりますが、その混同する実態というのは、いつまでそういう実態があったということですか。

佐藤政府参考人 この案件について、放棄、あるいは変更でやっているのかどうかということについて、私ども、つまびらかに把握しているわけではございませんので、これについて具体的にお答え申し上げることについては差し控えたいと思っております。

赤嶺委員 いや、あなたの答弁ですよ。変更と一部放棄、それを混同させる実態があったというのは、あなたの午前中の答弁ですよ。

 つまり、これまで水産庁はそうした混同を正す措置をとったことはないんじゃないですか。ありますか。

佐藤政府参考人 そうした点については、例えば、平成二十四年に、漁業計画の見直しに当たりまして、単に民間と漁業者との間で意思表示しただけでは変更免許はおりないといったようなことについては指導した経緯はございます。

赤嶺委員 まさに今長官がおっしゃった点、先ほど私も紹介をしましたが、二〇一二年六月八日付の水産庁の技術的助言、これはこのように指摘しています。「漁業補償の際に、組合の総会の議決を経た上で、事業者との間で「漁業権の変更(一部放棄)」等を約する旨の契約が交わされる事例が見受けられますが、」今度の防衛省と名護漁協がそうですよ、「事例が見受けられますが、かかる契約行為はあくまでも当事者間の民事上の問題であり、法第二十二条の規定上、このことにより漁業権が当然に変更されるものではありません。」

 このように、あなた方はそういう文書を出しているわけですね。水産庁自身が二〇一二年の段階で、漁協が漁業権の一部放棄を議決し、事業者と契約を交わしても、そのことによって漁業権が当然に変更されるものではないとの見解を示してきているわけです。

 混同している事例があったとかそういう話をレクでも聞きましたけれども、混同させる実態というのが自然発生的にあったということではなくて、まさに水産庁自身の方針がそうなっていた、知事の免許を受けなきゃいけないというようなことになっていたということではありませんか。

佐藤政府参考人 お答えいたします。

 今先生の方からお話ございましたように、実務の面で混同があったということは事実かと思っております。

 何回も申し上げますが、その中で、我々が考えておりますのは、やはり法律にのっとって対応していく必要があるかというふうに思っておりまして、漁業法の二十二条で、先ほど申し上げましたように、漁業権を分割し、または変更しようとするときには知事の免許を受けなければならないということになっておりまして、放棄については、漁業権の免許を受けなきゃならないというふうには書いてございません。

 それともう一つは、先ほども申し上げましたが、たしか昭和四十六年の国会でございますが、当時の水産庁長官から、「漁業協同組合の特別議決をもって漁業権の一部の消滅は可能であるということの解釈をわれわれはとってきたのでございます。」といったような答弁もさせていただいているところでございます。

赤嶺委員 今の国会答弁についても後で触れますが、今回、水産庁は防衛省からの照会に答えて、漁協が法定の手続を経て漁業権の一部を放棄すれば、漁業権は消滅し、岩礁破砕等の許可を受ける必要はないとの見解を示しました。

 これまで、岩礁破砕等許可の取り扱いをめぐって、このような見解を示したことはありますか。

佐藤政府参考人 具体的にいろいろな問い合わせ等あるわけでございますが、今、先生のお話につきましては、現時点におきまして、このようなことがあったと断定的にちょっと申し上げることができませんので、事実を確認させていただきたいと思っております。

赤嶺委員 断定的に言えないと。

 ところが、水産庁は、防衛省に回答した日と同じ三月十四日付で、防衛省の照会文書と水産庁の回答文書を全国の都道府県に通知しています。

 なぜこのようなことを行ったんですか。

佐藤政府参考人 先ほど先生の方からお話ございましたように、これについては、各都道府県でこの事務の執行をしていただいていますので、念のために各都道府県にこうした事案があるといったことを周知したところでございます。

赤嶺委員 今までとってきた水産庁の見解は実務上混乱があった、今からやることだというお話にしたいんでしょうけれども。

 皆さんが出した文書、全国の都道府県に出した文書については、各都道府県におかれましても、漁業権の一部放棄及びその場合の岩礁破砕等許可の取り扱いについて、誤解のないよう念のため通知いたしますとなって、要するに、今回水産庁が示した見解と異なる実態が広く存在しているから、つまり、漁業権の放棄を議決しても漁業権が直ちに消滅するという見解、手続がとられておらず、岩礁破砕の手続がとられていた実態があるから、全国の都道府県に対して新たな見解、まさに新たな見解ですよ、これを周知徹底したということではありませんか。

佐藤政府参考人 お答えいたします。

 先ほどから申し上げましたように、漁業権の放棄につきましては、漁業法第二十二条によりまして、都道府県知事の免許を受けなければならないというふうにはされておりません。

 こうしたことにつきまして、先ほどもありましたように、一部混乱があるということも考えられましたので、先ほど、見解を各都道府県に周知したところでございます。

赤嶺委員 先ほど水産庁長官は、一九七一年、昭和四十六年の国会答弁を持ち出されました。私たちも水産庁に対して、今回と同様の見解を過去に示したことがあるかということを確認したら、この昭和四十六年、七一年の八月九日の衆議院農林水産委員会で水産庁長官が答弁しているとのことでした。議事録を読ませていただきました。水産庁長官は、漁業協同組合の特別決議をもって漁業権の一部消滅は可能であるという解釈を我々はとってきた、このように答弁しています。

 しかし、この質疑のやりとりは、先ほどの大分県臼杵市の漁業権放棄をめぐって組合内部で行われたことについてやりとりがされたというものではありませんか。だって、臼杵市は、変更申請を大分知事にやっていますでしょう。これがやらなくてもいいという証拠にはならないんですよ。いかがですか。

佐藤政府参考人 何回も同じことを申し上げますが、漁業法では、先ほど申し上げましたように、放棄につきましては、都道府県知事の免許を受けなければならないとはされておりません。

 それと、もう一つ申し上げたいのは、漁業権というのは、漁業法の中でいわゆる物権というふうにみなされておりまして、民法上の物権というものにつきましては、これは意思表示によりまして放棄する、消滅するというような取り扱いになっているところでございます。

赤嶺委員 何回も同じ答弁を繰り返しますが、過去の事例を持ってきたら答えられないという、まさに新しい見解を先ほどから繰り返しているようなふうにしか聞こえません。

 この臼杵の漁業権放棄をめぐっての国会でのやりとりは、質疑の一カ月前に、一九七一年七月に大分地方裁判所が漁民側の全面勝訴の判決を下したことを受けて行われたものです。大分地裁判決では、漁業権を放棄するに当たって、漁協の決議だけでなく、組合員の三分の二以上の書面による同意を総会前に得ることが必要であること、これが示されました。それに対して、漁協の議決があれば漁業権の一部放棄は可能との見解を水産庁がとってきたことを当時説明したのが先ほどの答弁であります。趣旨は全く違うんですよ。その後、この大分地裁の判決は確定をしております。

 私、今までいろいろ聞いてきましたが、過去の事例を聞いたら曖昧にする。

 沖縄県の翁長知事は、国の辺野古埋め立てに係る対応のうち、岩礁破砕関係一つをとってみても、法治国家の一員がとるべき手段とは到底考えられない、そういう対応が続いている、今回のような国にとって都合のよい解釈で法を運用することが許されるものなら、法の安定性が危ぶまれる事態に陥る、このように述べています。

 米軍基地の建設のためなら、従来の水産庁の見解を百八十度覆す。安倍内閣、官邸からの押しつけもあったんでしょうけれども、水産庁、絶対そういうやり方は許されないと思いますよ。防衛大臣、防衛省がやったことですからね。あなたがやったことですからね。これは絶対許されない。このことを厳しく指摘するものであります。

 次の質問に移ります。

 防衛大臣に聞きますが、防衛省は、これまで辺野古の沿岸部でボーリング調査を行っていますが、既に報告書の形で調査結果が出ているものがあります。どのような調査結果だったんですか。

高橋政府参考人 御質問のボーリングの件でございますが、これまで二十二ある護岸のうち十二の護岸については設計を終了しておりまして、その設計に当たりましての過去のボーリングの結果でございますが、いわゆる軟弱の地盤が確認されたという報告は受けてございません。

赤嶺委員 質問したいことを先取りして答弁していただいても、そういう答弁だけをやるためにここに座っておられるということじゃないと思うんですよね。もっときちんと説明しなきゃいけないんですよ。

 報道では、あるんですよね。滑走路の液状化や地盤沈下などを防ぐため地盤改良が必要と見ているという報道、これは否定されるわけですね。

高橋政府参考人 去年の十二月二十六日からの工事再開がございまして、その間、ボーリングを、現在調査をやってございます。そのボーリング調査は現在まだ進行中でございまして、その結果がまだ出ておりません。したがいまして、現在のところ、ボーリングの結果、あるいはその場合の地盤の軟弱かどうかということについて、予断を持ってお答えすることは差し控えたいというふうに考えております。

赤嶺委員 さっき軟弱地盤はないと断定されたんじゃないですか。さっきの答弁と今と何がどう違うんですか。

高橋政府参考人 先ほど答弁させていただきましたが、二十二護岸がございまして、現在、設計が終了し、協議を尽くしたものが十二護岸ございます。それ以外にも五つの護岸がございまして、それについては軟弱の地盤はなかったというふうに考えてございます。

 また、現在ボーリングをやっておりまして、その調査結果をもちまして残りの五つの護岸につきまして現在調査を取りまとめている最中でございまして、この結果については、現在まだボーリングをやっている最中でございますので、その内容についてはお答えを差し控えさせていただきます。

 二十二のうちの前の十七護岸については、軟弱地盤ではなかったということでございます。

赤嶺委員 現在の公有水面埋立承認には、地盤改良についての項目がないわけですね。地盤改良が必要なところを今断定できない、これからどうなるかわからぬということですが、そういう地盤改良の必要性が出てきたら、政府は設計変更申請を行うということでいいですよね。

高橋政府参考人 現在のところ、護岸について、軟弱であり地盤改良が必要かどうかということについては結論を得ておりませんので、この点については、仮定の御質問に答えるわけではございませんが、現在のところ、一般論として申し上げれば、軟弱地盤の改良工事ということであれば、変更申請が必要かというふうに一般的には考えてございます。

赤嶺委員 今、ポセイドンと呼ばれる大型の特殊船舶でボーリング調査を行っていますが、これは何のためですか。

高橋政府参考人 現在実施中のボーリングの工事でございますが、護岸工事を安全かつ適切に履行するための必要な施工計画を検討するものでございまして、軟弱地盤を確認するために行っているものではございません。

赤嶺委員 去年の三月にまとめられたボーリング調査の二つの報告書の提出を防衛省に求めています。二カ月以上も前から求めておりますが、今も、防衛大臣、提出されておりません。マスキングの必要のない部分からでも速やかに提出するよう求めていますが、それも提出いたしません。だから、質問のやりとりも、資料が手元にないままのやりとりになってしまいます。

 直ちに提出するよう求めたいと思いますが、大臣、いかがですか。大臣です。今、大臣に聞いたんですよ。

高橋政府参考人 現在、この点については開示できるかどうか検討中でございますので、いましばらく御猶予いただきたいというふうに考えてございます。

赤嶺委員 大臣、二カ月たっているんですよ。いましばらく待ってくださいと言われて二カ月ですよ。

 大臣、急がすべきだと思いますが、いかがですか。マスキングの必要のないところからでも先に出させてください。

稲田国務大臣 今局長から答弁したとおりでございまして、御指摘の資料について現在準備中であり、それが整えば速やかに提出をするということでございます。

赤嶺委員 大臣、日報の黒塗り問題もありますから、資料の公開についてはもっと積極的に取り組む姿勢を見せないと、事務方の言いなりの答弁の繰り返しではだめです。

 防衛省は今週にも本格的な海上工事に着手するという方針が報道されています。具体的には、どの工区からどのような工事に着手するということか。そして、稲田大臣が沖縄県を訪問し、沖縄知事に着工を伝えることを検討するという報道もありますが、この二点、お答えください。

高橋政府参考人 名護市辺野古沖での工事の状況でございますが、水の濁りの拡散を防止するための汚濁防止膜の設置を終了いたしまして、現在、護岸工事に必要な資機材の準備を進めているところでございます。

 現在計画されている海上工事といたしましては、大浦湾側の一部護岸の工事を予定しておりまして、その工事の着手は、陸上から大型クレーンを使用して基礎となる石材を海底に投入することから開始していくという計画でございます。

 また一方、辺野古側の護岸の工事も同時に順次開始をしていくということでございまして、護岸工事を進めていくことにより、外海と遮断した場所が形成されてくれば、埋立土砂を投入していく計画でございます。

 また、今後の具体的な作業の時期でございますが、作業の進捗や気象、海象状況を見ながら進めていくことになりますので、現在のところ、具体的な、本格的な護岸工事と先生から御指摘がございましたが、その時期については、予断を持って申し上げることは困難な状況でございます。

 また、大臣がそういうことを計画されて……(赤嶺委員「大臣自身が。あなたが大臣にかわるわけないでしょう。大臣、答弁」と呼ぶ)はい。

稲田国務大臣 今御指摘の沖縄訪問の件ですけれども、現時点で訪問する決まった予定があるということではございません。

 その上で申し上げれば、防衛省としては、昨年末の確定判決、昨年三月の和解の趣旨に従って、沖縄県と協力をして普天間飛行場の移設事業を進める考えでございます。

 今後とも、政府全体で連携して、あらゆるレベルで沖縄県との対話を深めていくことが重要だ、このように考えております。

赤嶺委員 終わります。

山口委員長 次に、下地幹郎君。

下地委員 私は、二〇〇三年の五月にイラクのクルド人自治区を訪問したことがあるんです。今の厚生大臣をしている塩崎大臣と一緒になって行かせていただきましたけれども、私たちがあのとき見たのは、フセイン大統領が化学兵器、サリンを空中から三十分間散布をして、その後、二年たったときに私たちは行きました。

 それで、病院に行って、化学兵器による後遺症というか、子供たちの後遺症を見て本当にびっくりしたわけでありまして、そのとき、帰ってきて当時の小泉総理大臣に、大量破壊兵器を持っているか持っていないかというのではないですよ、化学兵器を使ったというだけで、もうここはデッドラインを越えているんじゃないか、だからフセイン政権は倒さなきゃいけない、こういうことを総理に報告したことが今思い出されます。

 それで、今、平成十八年十月の九日に北朝鮮は初めての核実験をやったわけでありまして、もうこれまでも何度もミサイル実験もやっていますけれども、やはり北朝鮮も、これはもうデッドラインを越えているというような判断をすべきではないかというふうに思います。それに伴って、私どもの国のあり方というのも、もう一度、今までとは違う視点で物事を見ていく、考えていくというようなことが私は必要だというふうに思っております。

 それで、まず一点、大臣にお聞きをしたいんですけれども、この前、二〇〇一年の九月の十一日に、同時多発テロの後に、デルタと呼ばれる最高レベルの警戒令を出したんです。この二日前に、嘉手納基地でこのデルタが行われたわけです。警戒レベルというのは、レベルワンはゼロ、それで、レベルツーはアルファ、警戒レベルスリーはブラボー、警戒レベルフォーはチャーリー、警戒レベルファイブはデルタと言われるものなんですけれども、この最高レベルの警戒が発せられて、三時間近くやったわけですけれども、これに対して、日本側に、防衛省に対して事前連絡はありましたでしょうか。

前田政府参考人 お答えいたします。

 今先生のお尋ねでございますが、米軍の運用にかかわることでございます、お答えは差し控えたいと存じますけれども、特にそういう情報に接しているということはございません。

下地委員 この警戒レベルの告知はなかったということになりますけれども。

 それで、大臣にお聞きしますけれども、このデルタを発信するときに、この警戒令を発信するときに、私は三つの要素があると思うんですね。

 一つは、北朝鮮、名前を挙げますけれども、北朝鮮が核を伴うようなミサイルを発射するというような状況が事前に知れて、それを先制攻撃しなければいけないので、嘉手納基地から緊急的な発進をして北朝鮮を攻撃するときの警戒令としてデルタを使う場合。

 それと、北朝鮮がミサイルを発射するということがわかって、あそこにいるF15とか警戒機とか、さまざまな飛行機、軍用機を一時避難させるために嘉手納基地から立たせる、避難をさせて、ミサイル攻撃を受けても飛行機の損害を減らす、そして次の反撃にやる場合が二番目。

 三番目には、攻撃をされて、その後、九・一一のテロのようにデルタを出して反撃をするというようなデルタの出し方があるというふうに思うんです。

 今回のデルタは、どれを想定してのデルタになっているんでしょうか。

前田政府参考人 お答えいたします。

 先ほど御答弁申し上げましたように、私どもとして、その事実を承知していないわけでございます。

 北朝鮮はさまざまな形で挑発行為というのをいたしておるわけでございますけれども、これに対しましては、我が国はもとより、米軍も、必要な情報収集等々を行いながら、必要な体制をとっている、このように理解をいただければと思います。

下地委員 何を理解いただければかわからぬけれども、大体、大臣、この三つのうちの一つなんですよね、私の見方では。それ以外に、いろいろ考えてみたけれども、ないんですよ。

 私が一点申し上げたいのは、このデルタを出すというときには、やはり事前連絡が日米同盟の姿としてはあった方がいいねということが一点。

 それで、私が申し上げた二点目の、相手の攻撃が来るというようなことになってくると、嘉手納基地だけの、デルタで避難の訓練をやるとか警戒令の訓練をやるとかではなくて、ここは民間も伴って、嘉手納町も沖縄市も北谷町も、この周辺の地域も一緒になってこの訓練をやるというのが私は一般的ではないかと思うんですよね。ただ嘉手納基地だけがこの訓練をするというようなあり方じゃなくて、やはり基地を抱えているその地域も一体となって、こういう訓練も絶えず行っておくという姿をつくるべきではないかというふうに思っております。

 これはアメリカの警戒令に合わせてやるわけではないですけれども、この嘉手納基地において、嘉手納周辺の人たちにも防衛省が主導権をとってこの警戒訓練というものをこれから進めていこう、しかも、デルタを嘉手納の基地がやっているわけですから、それに伴って地域自治体にもこれから訓練をやっていこうというようなお考えはお持ちになっていますでしょうか。

稲田国務大臣 今委員が御指摘になったように、嘉手納基地にミサイルが着弾した場合の周辺住民の避難については、沖縄県が定める国民保護計画に基づいて、沖縄県が国と協力しつつ住民の避難を実施いたしますが、防衛省・自衛隊も、被害状況に応じて、武力攻撃事態等または緊急対処事態が認定されていない場合、自衛隊法第八十三条に基づく災害派遣、武力攻撃事態等または緊急対処事態が認定された場合、自衛隊法第七十七条の四に基づく国民保護等派遣等により、警察及び消防等と協力しつつ、迅速かつ適切に、被害状況の確認、人命救助、住民避難の支援等を実施することとなります。

 また、国民保護訓練については、平成十七年以降、内閣官房及び自治体が主催して訓練を重ねており、沖縄県では、平成二十一年度、平成二十四年度及び平成二十五年度に国と沖縄県で実施した共同訓練に防衛省・自衛隊も参加をし、関係省庁及び自治体等との連携並びに沖縄県国民保護計画に基づく道路網や避難施設のリストを確認するなど、関係機関との連携向上に努めているところでございます。

 いずれにいたしましても、委員御指摘のように、弾道ミサイルを想定した住民避難を含む国民保護に関する訓練について、地方自治体と共同して実施することは有意義であり、内閣官房を初めとする関係省庁と連携して検討を行い、これまでの訓練の成果も生かしつつ、国民の安全、安心の確保に万全の対応をとってまいります。

下地委員 大臣がお読みになった文章はよく理解できます。しかし、大臣、私たちの国でつくった国民保護法であったり災害時の防災訓練とは、これは意味が違うんですよね。

 アメリカという国家がデルタを発信するというのは、そう何度も発信するようなものではないんですよ。だから、私としては、こういう状況が生まれてきている以上は、今最後に申し上げたように、やはり弾道ミサイルとかさまざまな脅威に対して対処するためには、米軍との共同訓練だけじゃなくて、基地周辺の住民の意識も変えていかなければいけないと思うんです。

 だから、それについて正式に、これは津波の防災訓練と違って、こういうふうなものを内閣府と一緒になって、これから、この例をもって、国が主導してこの訓練を着実にやっていこうというお考えがあるのかということを聞きたいんです。

辰己政府参考人 今大臣からも御答弁申し上げたように、まさにこういう弾道ミサイルを想定した住民避難を含む国民保護に関する訓練、これについては、やはり地方自治体と一緒になってやっていくことは極めて有意義だと思っていますので、これは内閣官房を中心にこれまでもやってきた実績もございますので、そういう関係省庁と連携して万全の対応をとっていきたい、このように考えています。

下地委員 四月の十六日に、北海道から山形県沖の日本海の空域で訓練しましたよね。四月の十六日、日米で共同訓練したりしていますね。

 それで、私が申し上げたいのは、何で嘉手納を言っているかというと、北朝鮮側から見ると、私は、狙うんだったら四カ所だと思うんですよね。一つは嘉手納、一つは岩国、一つは三沢、そして横須賀、この四つをやはりターゲットにする。

 四つをターゲットにするというのは何でかといったら、嘉手納基地のF15は対地の能力を持った、そういうような戦闘機があるということ。岩国においては、F35の整備を進めている、ステルスの爆撃機を進めているということ。三沢においても、F35戦闘航空隊がありまして、F16の戦闘機に対地、対艦、こういう能力を持っている。横須賀においては、巡洋艦が十一隻あって、これはトマホークを持っていますから、全部トマホークを装備していますので、北朝鮮本国を標的にして攻撃できる。

 打撃能力がある基地というのはこの四カ所なんですよ。あと、日本のどこの自衛隊の基地に行っても、F15があろうが何があろうが、空中と空中しかできないし、日本のイージス艦はトマホークを搭載していない。こういうふうな形の中で、即時に打撃能力がある基地というのは四カ所あるので、この四カ所がターゲットになるわけなんですよね。

 そういうふうになってくると、やはりこの四カ所を中心にしながら、まずはこの訓練を始める、地域と一緒になった訓練を始める。ミサイルが的確に基地だけに当たって、基地だけで終わるというようなことにはならないというのは誰しもわかることで、地域、住民、全部の災害になる、こういうことをそろそろ真剣に考える時期に来ているのかなと。だから、国民に対して、明確に、隠さず、もう本当に危ないんですということを示して、こういう訓練をやっていくというようなことをぜひやるべきだというふうに私は思っております。

 今回、アメリカがデルタを自分たちだけやって、それで、航空参謀長のトップがすばらしい能力だとツイッターで報告している姿を見て、これが日米同盟の姿なのかな、自分たちだけ警戒令を出して、自分たちだけ生き残ればいいのかな、そうではないでしょうと。基地のある周辺まで自分たちは守るんだという意識を示さなければいけないのに、全くそれができていないというのはいかがなものか、こういうことを私は思っているので、大臣からもぜひ米軍に対して、この考え方を持つ、それと、国も訓練を徹底的にやっていくということをぜひ進めていただきたいというふうに思っております。

 ちょっと話はまたかわりますけれども、敵地攻撃の話をさせていただきました。今、四カ所の地域に、F15Eとか敵地攻撃のできるアーレイ・バーク級のイージス艦とかあるわけですけれども、こういう敵地攻撃をやるということになってきた場合に、日本の自衛隊の中で、F15も全部改良して、見直しをしていかなければいけませんが、こういうことについて、予算的にどれだけかかるんだろうか、そういう試算をやり始めていますか、防衛省の中で。

高橋政府参考人 先生御指摘の、現在航空自衛隊が保有してございますF15Jでございますが、空対空戦闘能力をメーンに考えてございまして、残念ながら、限定された対地攻撃能力しか有してございません。

 これにつきまして、現在のところ、敵基地攻撃能力につきまして、我々は米国に依存する状況でございまして、また、敵基地攻撃を目的とした装備体系を保有する計画が現在ないという状況でございまして、航空自衛隊が保有するF15Jにさらなる対地攻撃能力を保有することを付与するための改修について、現在検討してございません。そのため、費用については、現在お答えすることは困難な状況でございます。

 以上でございます。

下地委員 自民党の方で、敵地攻撃能力というのを自国でやるというようなお考えがあろうかと思うんですけれども、この敵地攻撃能力というものについては、我が党も賛成なんですよ。敵地攻撃能力を持つべきだというふうに思います。

 この前も、勉強会でも話をしましたけれども、敵地攻撃能力を持つとなると相当な予算がかかりますね、これは。今のGDPの枠の五兆円規模、一%枠で敵地攻撃能力の整備を行うというのは、なかなか私たちは難しいというふうに思っているんです。

 そういう意味では、さっき言った四カ所の米軍と連携をとりながら、どこまで敵地攻撃能力を発揮するかというようなことを考えなければいけない。私が考えている考え方というのは、やはりこれは、日本だけで持つとか、日本がこの装備にお金をかけるというのは私は不可能に近いと思うんですね。

 これだけ医療や福祉が一兆円ずつ毎年上がってくる中で、どこぐらいまで防衛予算をふやすかということが大きなポイントになってくるので、そういう意味でも、私は、GDP一%枠を破棄して、それでも二%近くまで防衛予算をふやしていくという方向性をやはり国民に明確にお話をして、論議を進める必要があるんじゃないかというふうに思っていますけれども、このGDP一%枠は、実質上はなくなっていると言っても、ずっと守られていますよね。

 これについて、やはり、GDP二%と私はよく言っているんですけれども、この程度までふやして、敵地能力をアメリカと共同しながらつくり上げていく。これは、二%までやっても、敵地能力を日本だけでやろうというのは不可能だと思うんですけれども、こういうことをやり始める。国民にこの予算について話しかけて、二%という数字を言って、論議を深めていこうというお考えはないのかということを大臣にお聞きしたいんですけれども。

稲田国務大臣 まず、敵基地攻撃能力は米国に依存していて、現在、自衛隊が敵基地攻撃を目的とした装備体系を保有しておらず、現時点で保有する計画はありませんが、しかしながら、国民の生命と財産を守るために何をすべきかという観点から、常にさまざまな検討を行っていくべきものだというふうに考えております。

 その上で、先ほど委員も御指摘になりましたように、防衛関係費がGDPの一%程度で推移はしてきていますが、現在、GDP一%枠というものがあるわけではなく、また、安倍政権になるまでは、十年間連続、防衛費は削減されてきましたけれども、現在の中期防では、五年間、実質〇・八%伸ばす計画になっていて、実際、防衛関係費については五年連続で増額に取り組んでいるところでございます。

 国民の生命、身体、財産、領土、領海、領空を守るために、大綱、中期防に従って我が国自身の防衛力を強化する、また、みずからが果たし得る役割の拡大を図っていく、そういう考えでございます。

下地委員 どんなに今の予算をふやしても、今のやり方でやっても、やはり人件費も上げなきゃいけない、待遇も改善しなきゃいけない、そう簡単じゃないんですよ。

 だから、大臣、ここは一番今が、防衛省としても、内閣としても、国民にある程度の論議を話しかける重要な時期だと思うんですよ。今のような、北朝鮮という国があったり、シリアといったような国があったり、デッドラインを越える化学兵器を使ったり、核を弾道弾に載せる可能性があるという中において、私ども、国の独自ではできないけれども、米軍と協力するにも、自分たちの姿を見せないと米軍も協力しませんよね、おのずと。

 そういうふうなものをやるためには、今の枠では、ないと言っても、ずっと守られている今の現状では難しいと思うんです。だから、大臣がやはりこれをふやしていかなきゃいけない。しかも、今までの概念を超えてふやしていく。大臣のお立場で二%とは言えないにしても、やはり垣根を越えた予算を要求していって体制を整えていかなきゃいけない。これは、F15にしても何にしても、全部改良が必要ですよ。今のままでは使えません。

 そういうふうなことをしっかりと話しかけるというのを、やはり突っ込んだ論議をやっていかないとなかなか前に進まないというふうに思っているので、もう一回だけ大臣の政治家としてのお話を聞かせていただきますけれども、大臣がそれをやるという思いがあるのかどうなのか。

 これは、私が大臣じゃなくても、次の大臣からにしても、予算を大幅にふやしながら新たな防衛能力を備えていかなければいけない、大臣が今、そういう意気込みがあるのかどうかをまずお聞きをさせてください。

稲田国務大臣 今委員が御指摘になったとおり、我が国を取り巻く安全保障環境、北朝鮮一つとっても新たな段階の脅威になっている。そして、国民の皆さん方に対してしっかりと正確な情報もお伝えし、そして我が国を防衛するためのあるべき姿についても議論していく必要があると私は思っております。

 その上で、我が国自身の防衛力の強化、委員も御指摘になったように、日本にみずからの国をみずからで守るという意思がなくては、米国に頼り切りということではいけないということもそのとおりだと思いますし、我が国自身の防衛力の強化、さらには日米同盟の強化、深化、そして関係諸国、価値観を共有する国々との連携、この三本柱でしっかりと我が国の防衛に万全を期してまいりたいと考えております。

下地委員 この論議、最後になりますけれども、やはり私の見方。二年前にフィリピンに行きました。フィリピンに行ったら、こう言っていましたね。あれだけの船を持ってきて南沙諸島で埋め立てをしている最中にアメリカは明確なコメントを全く出さなかった、できて終わってから、今ごろになってから実効支配が行われていることについてメッセージを出すというのは遅いんですと。

 ウクライナにロシアが侵攻したのを見ても、南シナ海であれだけ中国の海軍が増強しているのを見ても、私の見方では、オバマ政権の八年間がやはり強いアメリカを示すことができなかった。やはりそこが私は大きな歯車の違いを生んでいるんだというふうに思っています。

 そういう意味では、ここで大事なことは、今、強いアメリカを示し、明確なるメッセージを出そうとしているトランプ大統領に対して、日本の防衛大臣もそれに続いて明確なメッセージを出していくことが、私は、きょう副大統領が来ていますけれども、これが経済政策においてもあらゆるものに影響していきますよ、防衛の姿勢を示すことが経済政策においても大事なことだということを申し上げて、この課題については終わりたいと思います。

 それで、二つ目ですけれども、先ほど赤嶺政賢先生からいろいろな御質問がありましたけれども、辺野古の問題をちょっと聞かせていただきたいんです。

 大臣、仲井真知事と安倍総理がお約束をした五年以内の閉鎖状態、三千億円の予算を十年間とか。仲井真知事は、二回目の当選は辺野古反対で当選したんですよ。その辺野古反対で当選した知事が認可の印鑑を押したんです。そのときに、彼は要求をして、この五年以内の閉鎖状態を申し上げて、総理もそれをやるというようなことを申し上げたんです。

 中谷防衛大臣は、照屋寛徳先生がいますけれども、の質問に対して、五年以内の閉鎖状態というのはどんなことですかと言ったら、目指しているところは普天間飛行場の五年以内の運航停止です、つまり、飛行機が飛ばないということを答弁したものですと。これを、四月の二十四日に言っているんです。私は、この質問を聞いて、本当にそんなことができるんですか、本当に飛行機が飛ばないということができるんですか、これはなかなか難しいですよと言って、翌日にはこの答弁を撤回して、厳密には決まっていませんというようなことをやったんです。

 私が申し上げたいのは、厳密に飛行機が飛ばないことを五年間でやる、辺野古が完成しないのに、五年間でやるというのは不可能だと私は思います。しかし、それに関して努力をする、約束をした以上は努力をする。初めのモンデール・橋本会談が決まった二十年前には、普天間飛行場は八万回飛んでいましたよ、八万回、離発着が。今、二万回そこそこですよ。これはもっと減らせます。僕は、これが五千回とか一万回に来たら、これは安倍総理は約束を守ったという数字になると思うんです。空中給油機も岩国に持っていきましたね。ハリアー戦闘機も持っていきましたね。政府は努力していると評価していますよ、私は。

 しかし、なぜこの時点でこのことをできないとおっしゃるのか、それがわからないんです。沖縄の人の中にも、あの普天間が全部とまるということを想定した五年以内の停止状態と思っている人はいませんよ。だって、辺野古ができていないんだもの。あり得るわけがない。しかし、この努力をするという姿勢に説得力があるわけです。また、やってきた。

 それをまた、安倍総理、菅官房長官が、沖縄県の協力がいただけないからこれができなくなりましたとおっしゃいますけれども、訓練をすることとか飛行機を飛ばすことに、翁長知事の協力なんて一つも必要ありませんよ。あの人が何を言おうが、世の中変わりません、普天間の訓練には。自分ができるんですよ、これは。なぜそういうことを言うのか、それを、本意を聞かせてもらいたい。

 それと、これ以上これでうそをついたらよくないね、よくない。

 さっき話をしていたように、裁判で勝ったとか、和解の文書を僕も読ませていただいてわかりますけれども、それは法治国家だからそのとおりおやりになったらいいと思いますけれども、百四十万人の人がいて、行政手続上は、それは法治国家ですから、大臣なんかが裁判で勝たれたことで、進めることはそれは簡単にとめられないかもしれませんが、しかし、やらないと言った知事にやらすために、印鑑を押させるために、約束したことをやらないで、最高裁の判決だから私たちはやりますよでは、私は、長い意味では、沖縄の基地の中で物すごい後遺症を生むと思いますよ。私は、この考え方は撤回した方がいい。

 もし強引に、強引にというのは沖縄側の言い分、皆さんからすると法にのっとってやるということになるかもしれませんが、政治的なぶつかり合いは今でもある。

 宮古の市長選挙を勝った、宜野湾の市長選挙を勝った、浦添の市長選挙を勝ったから民意がどんどん変わったとおっしゃるかもしれませんが、この三つの地域で辺野古賛成と言った市長候補は誰もいませんよ。辺野古賛成と言って選挙を戦った人はいませんよ。全部違う視点で選挙をやって勝っているだけだから、これが民意が変わったなんて言うのは本末転倒ですよ。

 大臣、何でこの考え方を変えたのかということと、何で翁長知事の協力を得ないとこれができないと言ったのか、この二つ、ちょっと答えてください。

稲田国務大臣 今委員からも御指摘がありました普天間飛行場の五年以内の運用停止について、仲井真前知事との間で厳格な定義が合意されたものではありませんが、政府としては、既に普天間飛行場が有する三つの機能のうち、空中給油機の運用機能については、平成二十六年八月、KC130十五機全機の岩国飛行場への移駐、これを実現しています。また、緊急時における航空機の受け入れ機能も、福岡県の築城基地、宮崎県の新田原基地へ移すことにしています。さらに、辺野古移転までの間、普天間飛行場に残るオスプレイの運用機能についても、沖縄県外における訓練等を着実に進めるほか、千葉県の木更津駐屯地においてオスプレイの定期機体整備を開始いたしております。

 今委員からおっしゃっていただいたように、努力を続けているところでございます。

 普天間飛行場の移設をめぐる状況は、知事が交代されて、沖縄県知事が埋立承認を取り消されたことによって訴訟が起きるなど、当時と変化していることを踏まえて、五年以内の運用停止を実現することは容易ではないというふうに認識をしておりますが、しかし、安倍政権としては、普天間飛行場の固定化は絶対に避けなければならないという方針のもと、二十一年越しの懸案である普天間飛行場の全面返還を実現するため、引き続き全力で取り組む、そういうことでございます。

下地委員 大臣、だから、今言ったように、オスプレイの県外での訓練もやっていて、努力なされているじゃないですか。何で今やめると言うんですかと言っているわけ。

 僕が言っているのは、ああ、言っていないの。五年以内の停止状態は翁長知事の協力が得られないから今のところできないと言っていないの。言っていないなら言っていないと言ってくださいよ。それでいいんですよ、僕は。言っていないんですね。いや、秘書官が言っていないと言うから。

山口委員長 前田防衛政策局長。(下地委員「待って、待って。いいの、今、大臣答えて」と呼ぶ)どうぞ、稲田防衛大臣。

稲田国務大臣 状況は当時と変化しており、このような状況の中で五年以内の運用停止を実現することは容易ではないと認識をしているということでございます。

 しかしながら、負担軽減、そして、普天間飛行場の固定化は絶対に避けなければならないという方針のもとで、引き続き全力で取り組むということでございます。

下地委員 大臣、状況が変化しているというのは、状況はあなたにいいように変化しているんですよ。わかる。

 オスプレイはどんどん出ていく、岩国に飛行機を移していく、ハリアー戦闘機も移る、空中給油機も移る、沖縄県民からすると理解が深まっているんですよ。いいですか。それで、辺野古の基地の問題もとまっている。翁長さんは反対かもしれませんけれども、赤嶺さんが質問しているように、いつ埋め立てするんですか、いつ埋め立てするんですかと、前に進んでいるから、状況的にはあなたの利になるように、状況はよくなっているんですよ。こういう状況がよくなっているときに、何で根本の約束の五年以内の運用停止という約束を破るんですかと聞いているんですよ。

 状況が変わったから、沖縄県の協力が得られなかったからと言うかもしれないけれども、これには全く沖縄県知事は介入できないの、五年以内の閉鎖状態には。何にもあの人には権限もないし、ここは、米軍と防衛省が協議をして、どうやって停止状態をつくるかという今までどおりのやり方をしていけばいいのに、何でこうやって急に、翁長知事の協力を得られないからできませんという話になるんですかと聞いているんです。

 状況は、あなたにいいようによくなってきているんですよ。そう思いませんか。僕だったら、黙って、言わないでやっときゃいいのになと思いますよ。

 ここにいる官僚のアドバイスが悪いんじゃないの。だけれども、あなた方もそう思っているよね、今ごろこんなことを言わなくてもいいのにねと。思いませんか。

 今、本当に五月、六月にやるんだったら、まずこの話は撤回した方がいい。今努力しているのに、もったいないよ。言う必要はない。逆に、これは本当に火を噴きますよ。

 安倍政権になって努力してきたこと、今度もオスプレイも県外で訓練するじゃないですか。あれは一日いないだけでも沖縄県民にとっては騒音問題が解決しますよ。何で安倍総理も菅官房長官も大臣もそういう判断をするのか、僕には全くわからないんですけれどもね。

 ちょっと、もう一回答弁してみて、自分もそう思いますと。

稲田国務大臣 まず、普天間飛行場、五年以内の運用停止については、政府としても、移設されるまでの間の普天間の危険性除去が極めて重要な課題であるという認識を仲井真知事と共有して、仲井真知事との間で厳密な定義が合意されているものではなく、その危険性、負担軽減の努力、今までも続けてきたところでございますし、委員からは先ほど、それについて評価をいただく言葉もいただいたわけですけれども、その努力はこれからも続けていくということに変わりはないということでございます。

下地委員 だから、努力するんだったら言う必要ないでしょうと言っているわけ、今までどおり努力するんだったら。

 それと、仲井真知事の記者会見をもう一回拾って見てごらん、大臣。仲井真知事は、合意の定義を決めていない、そういうことを記者に突っ込まれて、それで、合意文書がありませんねというようなことを突っ込まれたときに、知事公舎でやった記者会見、生中継していましたけれども、あのときに彼が何と言ったか。一国の総理大臣と約束したことが破られたらこの国はもうおしまいですよと彼は言っていますよ。それと同時に、この定義は、これから負担を軽減していくという形の中で政府が努力していくんですと言っているんですよ。そのとおりやってきているんじゃないかと私は言っているんですよ。

 どうしてここに、地元の協力が得られないということを述べるのか。もう一個だけこの部分、もう時間がないからあれですけれども、この普天間の五年間の閉鎖状態の中に、地元の協力って、何を得たことがあるんですか、翁長さんからこの二年半で。あるの、何か。あの人の協力を得て負担軽減が成功したというものが何かあるんですか。

前田政府参考人 御指摘のとおり、この普天間飛行場の五年以内の運用停止の実現につきましては、この移設につきまして地元の御協力が得られることが前提であるということで……(下地委員「何の御協力、こんなことを言うんだったらもっとあなたに聞くよ、大臣じゃなくて」と呼ぶ)考えておるところでございます。

 ただ、先ほど大臣から申しましたように、普天間飛行場の移設をめぐる状況、知事が交代をされて、翁長知事が埋立承認を取り消したことによりまして、また、訴訟が起きたということによりまして、当時と変化をしている、こういう状況であるというふうに認識をしております。

下地委員 辺野古の工事を進めることで翁長知事が反対することと普天間の五年以内の閉鎖状態、あなたの、総理大臣が言ったことと何が関係あるの。辺野古の工事を進めるのは反対しているんでしょう。この反対があったからといって、普天間の閉鎖状態が何か影響あるの。影響あるんですか、今答弁したんだったら。ないんですよ、当たり前のことだけれども。

 大臣、時間ですから終わりますけれども、もう一回考えてみてください、もう一回。どんなに強引にやるにしても、やはり約束だけは守った方がいいよ、約束だけは。約束を守らないで、裁判に勝ったにしても、約束を守れなかったら、長い意味で、沖縄で、基地の七〇%を置いている沖縄でこういうやり方をしていたら、どこかでどつぼにはまりますよ。

 辺野古賛成の人もいる、反対の人もいるかもしれないけれども、あの普天間の閉鎖状態というのは非常に、あの問題を反対する人はいませんよ。特に宜野湾の市長、自民党が推している市長でさえも、みんな喜んでいた。

 だから、そういうことの中で物事が進められているわけだから、この時期にこの発言をすると、今は政府が力強いから強引にできるかもしれませんが、後で、さまざまな沖縄県民の理解が得られなければいけないときになってくると、このうそが最後は命取りになるケースが必ず出てきますよ、沖縄から基地はそう簡単になくならないから。

 僕は、うそはつかない方がいい。うそつきにならない方がいい。今のとおり、政府がやってきたみたいに努力をしておけば、もう二万回しか飛んでいません、何回も言うけれども。あのとき、二十年前は八万回でした。あの八万回のときに、世界一危険だと言ったときに、米軍も政府も八万回は危険じゃないと言っていて、今、二万回だけれども世界一危険だと言っているんですよ。

 僕は、どんどんどんどん今みたいな努力をしておけば、定義がなくても評価されるというふうに思っていますから、もう一回だけ言って終わります。うそはつかない方がいいというふうに思っておりますから、そのことをぜひもう一回安倍総理と、親しいんでしょう、しっかり話をなされた方がいいと思いますよ、これは。

 終わります。

山口委員長 次に、照屋寛徳君。

照屋委員 午前に引き続いて質問をいたします。

 嘉手納基地と普天間飛行場においては、日米両政府間でいわゆる騒音防止協定が締結されております。今回のジェット戦闘機の他の米軍基地への夜間着陸の特例は、騒音防止協定を米軍に厳守させるべく日本側から働きかけて実現した日米合意か、あるいは米軍による自発的な措置なのか、お答えください。

稲田国務大臣 日米両政府は、嘉手納飛行場及び普天間飛行場については日米合同委員会で航空機騒音規制措置を合意しており、これまでも累次の機会に、米側に対し騒音規制措置の遵守等の申し入れを行っているところです。今般の措置のきっかけとなった嘉手納飛行場における深夜、早朝の離陸が発生した際にも、米側に対し申し入れを行っております。

 今般の措置については、米側から、米軍内の規定により結果として嘉手納飛行場における深夜、早朝の離陸が発生し、地元に多大な影響を与えていたことから、在沖米空軍はこれを強く受けとめ、同様の事態が発生しないよう米太平洋空軍と調整した結果、この米軍内の規定を適用しないことが可能となったと説明を受けています。

 いずれにせよ、防衛省としては、今後とも、さまざまな措置を総合的に実施することにより嘉手納飛行場及び普天間飛行場の騒音を軽減し、地元の負担軽減に努めてまいります。

照屋委員 大臣、特例は嘉手納基地に限定されるものか、普天間飛行場にも同様または類似の特例措置が設けられているのか、お尋ねします。

深山政府参考人 お答え申し上げます。

 今大臣から御答弁いたしました今回の委員御指摘の措置でございますけれども、これは嘉手納飛行場のみを対象としている旨の説明を受けておるところでございます。

照屋委員 大臣、嘉手納基地所属のジェット戦闘機については今回米軍で特例が合意され、嘉手納基地に飛来する外来機、これは夜間、早朝もどんどん飛んでくるんです。これが激しい爆音をまき散らして、基地周辺住民が苦しんでいるんです。この事態を大臣はどう考えておりますか。

深山政府参考人 今回の措置につきましては、必ずしも嘉手納基地所属、嘉手納基地に通常配備されているジェット戦闘機のみではなく、これが適用されますのは、昨年秋の騒音もそうでしたが、例えば、他基地から飛来し、また他基地へさらに飛んでいくという場合に、到着地の日中に到着するようにするために深夜、早朝に嘉手納基地を離陸するケースがある。それにつきまして、深夜、早朝の嘉手納基地の離陸をしないようにする。結果としては、目的地に着くのは、例えば逆に夜になったりすることもあると考えられますが、そうした到着地の日程に合わせることをやめて、嘉手納基地の深夜、早朝の離陸を避けるという措置だと承知しておりますので、委員が御指摘の、これは外から飛来するものがさらに飛んでいくときに最も適用されることになろうと考えているところでございます。

照屋委員 大臣に尋ねますが、普天間飛行場では、少なくとも去る四月一日から六日までの六日間連続で午後十時以降の米軍機の飛行が確認されるなど、騒音防止協定違反が常態化しております。

 海兵隊は、地元市からの問い合わせに対し、春から夏にかけては日中の明るい時間が長くなる、暗闇の中で実施する必要がある訓練の時間が遅くなるとして、午後十時以降の訓練を正当化するような回答をしているようですが、かかる海兵隊の認識は日米合意上認められたものでしょうか。大臣の見解を伺います。

稲田国務大臣 委員御指摘の報道は承知をしております。

 防衛省の目視調査においても、四月三日から六日までの間、午後十時以降の米軍機の飛行が確認をされております。

 普天間飛行場における米軍機の飛行について、日米両政府は、日米合同委員会において、航空機の騒音を規制する航空機騒音規制措置について合意し、この中で、二十二時から六時の間の飛行及び地上での活動については、米軍の運用上の所要のために必要と考えられるものに制限される等の定めがあります。

 今回の飛行について、米側は、夜間飛行は航空要員の練度を維持するために必要なもの、日米同盟に基づいた日本防衛への責務を果たすための必要最小限度のものに限定されており、二国間協定に違反していないなどと説明をしております。

 米軍飛行場における飛行活動等は米軍の運用上必要不可欠なものではありますが、一方、在日米軍は全く自由に飛行等を行ってよいわけではなく、我が国の公共の安全に妥当な考慮を払って活動すべきものであることは、言うまでもありません。

 防衛省としては、外務省とも連携しつつ、今後とも、米軍に対し、航空機の運用に当たり周辺住民の方々に与える影響を最小限度にとどめるよう申し入れてまいりたいと考えております。

照屋委員 大臣、嘉手納、普天間に日米間で騒音防止協定が合意され、締結された。これは、主権国家同士の約束なんですよ。それを、夜間訓練で兵士の練度を高める必要があるとか、そんなことを言って、夜間、爆音で、しかも九十デシベルを超えているんですよ。想像を絶するような爆音下にさらして、これは厳しく主権国家である我が国が言わないと、アメリカが、兵士の練度を高めるとか、基地の運用上必要だと言っても、それでは何のために騒音防止協定があるのか、そういうふうに言わざるを得ない。

 大臣、どうですか。本当に、宜野湾市当局にもう苦情が殺到しているんですよ。眠れないんですよ。心疾患を持っている市民は大変困っているんです。大臣はさっきから基地の負担軽減なんと言っていますけれども、騒音防止協定があるのに、それが守られないで、爆音下で市民を苦しめて、何が負担軽減かと率直に言わざるを得ない。

 一体、大臣は、今、宜野湾市民が騒音防止協定違反による米軍の爆音によって苦しめられ、しかも、それが司法の場で違法だと断罪される、こういう実態に本当に思いをはせて、理解していらっしゃるんですか。もう一度お尋ねします。

稲田国務大臣 防衛省としては、今後とも米軍に対し、航空機の運用に当たり、同規制措置を遵守し、周辺の住民の方々に与える影響を最小限にとどめるよう申し入れてまいります。

照屋委員 終わります。

     ――――◇―――――

山口委員長 次に、内閣提出、防衛省設置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。稲田防衛大臣。

    ―――――――――――――

 防衛省設置法等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

稲田国務大臣 ただいま議題となりました防衛省設置法等の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明いたします。

 自衛隊の任務の円滑な遂行を図るため、自衛官定数の変更、陸上自衛隊及び航空自衛隊の組織の改編並びに日本国の自衛隊とオーストラリア国防軍との間における物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とオーストラリア政府との間の協定及び日本国の自衛隊とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国の軍隊との間における物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国政府との間の協定に係る物品または役務の提供に関する規定の整備等の措置を講ずる必要があります。

 以上が、この法律案の提案理由であります。

 次に、この法律案の内容について、その概要を御説明いたします。

 まず、防衛省設置法の一部改正について御説明いたします。

 これは、防衛省の所掌事務をより効果的に遂行し得る体制を整備するため、陸上自衛隊の自衛官の定数を七人削減し、海上自衛隊の自衛官の定数を一人削減し、航空自衛隊の自衛官の定数を二人増加し、共同の部隊に所属する陸上自衛官、海上自衛官及び航空自衛官の定数を六人増加するものであります。なお、自衛官の定数の総数は二十四万七千百五十四人に変更はありません。

 次に、自衛隊法の一部改正について御説明いたします。

 第一に、統合運用のもと、陸上自衛隊の作戦基本部隊や各種部隊等の迅速、柔軟な全国的運用を可能とするための陸上総隊の新編、陸上自衛隊における教育訓練研究機能を充実強化するための教育訓練研究本部の新設及び航空自衛隊の南西航空混成団の南西航空方面隊への改編に伴う規定の整備を行うこととしております。

 第二に、予備自衛官または即応予備自衛官の職務に対する理解と協力を確保するため、使用者の求めに応じた自衛隊からの当該使用者に対する情報の提供に関する規定の整備を行うこととしております。

 第三に、オーストラリア及び英国との各物品役務相互提供協定に係る物品または役務の提供に関する規定の整備を行うこととしております。

 第四に、陸上自衛隊の使用する船舶に係る船舶安全法等の適用除外に関する規定の整備を行うこととしております。

 第五に、自衛隊において不用となった装備品等の開発途上地域の政府に対する譲渡に係る財政法の特例に関する規定の整備を行うこととしております。

 最後に、国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律の一部改正について御説明いたします。

 これは、大規模な災害に対処する外国軍隊に対する物品または役務の提供の対象として、英国の軍隊を追加することに伴う規定の整備を行うこととしております。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要でございます。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。

 以上です。

山口委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る二十一日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時五十二分散会


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