衆議院

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第10号 平成29年8月30日(水曜日)

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平成二十九年八月三十日(水曜日)

    午後零時十分開議

 出席委員

   委員長 山口  壯君

   理事 江渡 聡徳君 理事 熊田 裕通君

   理事 寺田  稔君 理事 中谷 真一君

   理事 中村 裕之君 理事 後藤 祐一君

   理事 升田世喜男君 理事 浜地 雅一君

      大西 宏幸君    大野敬太郎君

      門山 宏哲君    金子万寿夫君

      北村 誠吾君    小林 鷹之君

      左藤  章君    武田 良太君

      福田 達夫君    堀内 詔子君

      宮澤 博行君    宮路 拓馬君

      八木 哲也君    青柳陽一郎君

      神山 洋介君    山井 和則君

      佐藤 茂樹君    赤嶺 政賢君

      足立 康史君    吉田 豊史君

      照屋 寛徳君

    …………………………………

   外務大臣         河野 太郎君

   防衛大臣         小野寺五典君

   内閣官房副長官      西村 康稔君

   外務副大臣        佐藤 正久君

   防衛大臣政務官      大野敬太郎君

   防衛大臣政務官      福田 達夫君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  横田 真二君

   政府参考人

   (消防庁国民保護・防災部長)           杉本 達治君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 飯島 俊郎君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 志水 史雄君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    森  健良君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  前田  哲君

   政府参考人

   (防衛省整備計画局長)  西田 安範君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  深山 延暁君

   政府参考人

   (防衛省統合幕僚監部総括官)           鈴木 敦夫君

   安全保障委員会専門員   林山 泰彦君

    ―――――――――――――

委員の異動

八月三十日

 辞任         補欠選任

  藤丸  敏君     堀内 詔子君

  和田 義明君     宮路 拓馬君

  横路 孝弘君     山井 和則君

  下地 幹郎君     足立 康史君

同日

 辞任         補欠選任

  堀内 詔子君     八木 哲也君

  宮路 拓馬君     和田 義明君

  山井 和則君     横路 孝弘君

  足立 康史君     下地 幹郎君

同日

 辞任         補欠選任

  八木 哲也君     藤丸  敏君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国の安全保障に関する件(北朝鮮による弾道ミサイル発射について)

 北朝鮮による弾道ミサイル発射に抗議する決議の件


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     ――――◇―――――

山口委員長 これより会議を開きます。

 国の安全保障に関する件、特に北朝鮮による弾道ミサイル発射について調査を進めます。

 この際、防衛大臣から報告を聴取いたします。小野寺防衛大臣。

小野寺国務大臣 北朝鮮による弾道ミサイル発射について御報告申し上げます。

 昨日の北朝鮮による弾道ミサイル発射について、現時点までに得られた諸情報を総合的に勘案すると、北朝鮮は、昨日午前五時五十八分ごろ、北朝鮮西岸の順安付近から一発の弾道ミサイルを北東の方向に発射、午前六時五分ごろから七分ごろに北海道渡島半島、襟裳岬付近の上空を太平洋に向けて通過、その後、午前六時十二分ごろ、襟裳岬の東約千百八十キロの太平洋に落下、飛翔時間は約十四分、落下地点は我が国の排他的経済水域外、飛翔距離は約二千七百キロ、最高高度は約五百五十キロと推定されます。

 北朝鮮は、昨年以降、二回の核実験のみならず、三十発以上という過去に例を見ない頻度で弾道ミサイルの発射を繰り返し、本年に入ってからは、ICBM級の新型弾道ミサイルを含めた弾道ミサイルの発射を繰り返しております。さらには、先般、グアム島周辺に向けた弾道ミサイルの発射計画を発表するなど、挑発的な言動も繰り返しております。

 このような中、今回発射された弾道ミサイルは、我が国の上空を通過したと見られ、我が国の安全保障にとってこれまでにない深刻かつ重大な脅威であるとともに、地域及び国際社会の平和と安全をさらに脅かすものです。また、航空機や船舶の安全確保の観点からも極めて問題のある危険な行為であるとともに、安保理決議等への明白な違反です。

 我が国としては、このように繰り返される北朝鮮による度を越した挑発行動を断じて容認できません。

 今回の事案の対応として、防衛省・自衛隊としては、ミサイルの動きを切れ目なく探知、追尾しており、国民の生命を守るために万全の体制をとってまいりました。

 防衛大臣としては、発射後直ちに報告を受けた上で、我が国領域及び周辺海域における被害の有無の確認を徹底すること、米国等と緊密に連携しつつ、必要な情報の収集、分析に全力を挙げること、不測の事態の発生に備え、引き続き警戒監視に万全を期すことの三点を指示しました。

 当該指示のもと、防衛省・自衛隊としては、艦艇及び航空機による警戒監視活動を継続して実施しました。

 今回の弾道ミサイル発射に際しては、防衛省・自衛隊としては、自衛隊の各種レーダーにより発射を確認しておりましたが、我が国に飛来するおそれがないと判断したことから、自衛隊法第八十二条の三第三項に基づく弾道ミサイル等破壊措置は実施しておりません。

 また、今回の弾道ミサイルが飛翔したと推定される地域の周辺においては、自衛隊のP3C哨戒機、P1哨戒機、U125A救難捜索機、UH1ヘリコプター、AH1ヘリコプターにより安全状況の確認をしております。なお、現時点で被害は報告されておりません。

 防衛大臣としても、国家安全保障会議に出席し、情報の集約及び対応について協議したほか、防衛省内において関係幹部会議を開催するなど、対応に万全を期しております。

 北朝鮮は、核・ミサイル開発のための活動を継続していく姿勢を崩しておらず、今後、さらなる挑発行動に出る可能性も考えられます。

 防衛省・自衛隊としては、今後の北朝鮮の動向も含め、引き続き、米国や韓国と緊密に連携しながら、必要な情報の収集、分析及び警戒監視に全力を挙げ、我が国の平和と安全の確保に万全を期してまいります。

山口委員長 以上で報告は終わりました。

    ―――――――――――――

山口委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官横田真二君、消防庁国民保護・防災部長杉本達治君、外務省大臣官房参事官飯島俊郎君、外務省大臣官房参事官志水史雄君、外務省北米局長森健良君、防衛省防衛政策局長前田哲君、防衛省整備計画局長西田安範君、防衛省地方協力局長深山延暁君、防衛省統合幕僚監部総括官鈴木敦夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山口委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。青柳陽一郎君。

青柳委員 おはようございます。民進党の青柳陽一郎でございます。

 本日は三十分の時間をいただきました。ありがとうございます。

 また、河野外務大臣には、衆議院での初の国会、委員会だと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、北朝鮮のミサイル発射事案の前に、一点、確認をさせていただきたいと思います。

 昨日の午後六時半過ぎ、沖縄の基地に向かっていたオスプレイが大分空港に緊急着陸した件について。幸い、けが人や火災は発生していないということでございますが、このオスプレイについては、つい先日もオーストラリア沖で墜落事故があり隊員三名が死亡するなど、事故やトラブル、これが相次いでいるわけでございます。一歩間違えば、我が国でも重大な惨事、大事故につながる、こういう可能性があります。

 今回の件というのは、エンジントラブルではないかという情報もありますけれども、事実、本件の状況確認、どこまで進んでいるのか、そして、防衛省、防衛大臣として米側に対して何か申し入れはしているのかについて、まず確認させていただきたいと思います。

深山政府参考人 お答え申し上げます。

 昨日、八月二十九日でございますが、十八時四十五分ごろ、米海兵隊のMV22オスプレイ一機が大分県国東市に所在いたします大分空港に着陸をいたしました。本件について、米側からは、第一海兵航空団所属のオスプレイが、コックピット内の計器の表示を受け、安全を確保するために、通常の手順に従って予防着陸を行った、この着陸によるけが人や物的損害は生じていないとの説明を受けているところでございます。

 また、現在、米側に対し、着陸の原因を含む情報提供を求めているところでございます。米側からは、着陸した機体については、離陸前に徹底的な点検を行うという説明を受けているところです。

 いずれにいたしましても、防衛省としては、米軍機の飛行に際しては、安全面の確保は大前提との認識のもと、周辺住民の方々に不安を与えることがないよう、引き続き、米側に対し航空機の安全管理に万全を期すよう求めてまいります。

 また、申し入れをしたのかというお尋ねがございました。これにつきましては、昨晩のうちに、米側に対し、安全管理の徹底と追加的な情報の継続的な提供を申し入れをさせていただいたところでございます。

青柳委員 引き続ききちんとした対応を防衛大臣にもお願いしたいと思います。

 それでは、北朝鮮のミサイル発射事案について伺ってまいりたいと思います。

 まず、北朝鮮の一連の挑発行動に対する外務大臣の認識から伺ってまいります。

 今回のミサイル発射の狙い、影響、そして、今後、グアムへのミサイル発射の可能性、そして、韓国の国家情報院、これは北朝鮮豊渓里で核実験の準備が完了したことを国会に報告していますけれども、本件についての受けとめ、さらに、今回の事案、グアム周辺に向けた発射でなかったことについて、外務大臣は記者の皆さんに、北朝鮮はひるんだ、だから日本側に向けて発射したんだ、この旨発言されていますが、この発言の意図するところをあわせてお答えいただきたいと思います。

河野国務大臣 北朝鮮は、昨年以降、二回の核実験を強行し、三十発以上の弾道ミサイルを発射しております。ことしに入ってからは、新型の可能性があるものを含め、弾道ミサイルの発射を繰り返し、七月にはICBM級弾道ミサイルを二回発射するとともに、八月には我が国上空を通過する形でグアム周辺に弾道ミサイルを発射する旨公言をいたしております。

 八月二十九日の北朝鮮による我が国上空を通過する形での弾道ミサイルの発射は、我が国を含む地域及び国際社会全体に対するこれまでにない深刻かつ重大な脅威であって、断じて容認することができません。

 昨日からきょうにかけまして、日米、日韓で、首脳、外相レベルの電話会合を行ってまいりましたし、また、日米韓の要請に基づいて安保理の緊急会合を開催し、議長声明が採択をされました。北朝鮮が、向こうからしっかりと非核化の意思を明確にし、具体的な行動をとり対話を求めてくるまで、国際社会全体として圧力をかけ続けていく必要があるというふうに思っております。

 また、私の昨日のコメントでございますが、北朝鮮がグアム周辺に弾道ミサイルを発射するということを公言したことに対して、アメリカがこれを強行させないという強い姿勢を示したことが、北朝鮮がグアムに向けて発射しなかった一因であるということを見ることを指摘したものでございます。個々の挑発活動に関する北朝鮮の意図について確定的なことを申し上げることは差し控えたいというふうに思っております。

 以上です。

青柳委員 今のお答えで、二点、加えて聞きますが、核実験の準備が完了していることについてどう受けとめられているか。そしてもう一点、今の説明で一定程度わかりますけれども、大臣の発言の言葉の選び方によっては、事態をより間違った方向、エスカレーションさせてしまうのではないか、ひるんだという表現が適切だったかどうかについて、あわせて、重ねて伺いたいと思います。

河野国務大臣 核実験につきましては、韓国の国家情報院が、韓国の国会に対して、北朝鮮は核実験準備を完了したとの報告を行ったということを承知しております。北朝鮮の核、ミサイルに関する動向につきましては、政府として重大な関心を持って平素から情報収集、分析に努めておりますが、個々の分析については、事柄の性質上、コメントを控えたいと思います。核実験が行われるかどうかというのは、これはまだわかりませんが、引き続き、アメリカ、韓国と緊密に連携をしながら、挑発的な行動の自制というものを求める必要があるというふうに思っております。

 また、私の昨日のコメントでございますが、正確に申し上げますと、北朝鮮が何を考えているのかを申し上げるのは差し控えたいと思いますがということで申し上げておりますので、特に問題にはならないと思います。

青柳委員 それでは、そもそも河野外務大臣の金正恩政権についての評価を伺いたいと思います。

 一連の北朝鮮の挑発行動、これはとどまるところを知りませんけれども、とても、表現は難しいんですけれども、嫌らしいぐらいに戦略的にやっているようにも感じます。実際に、今回の件も、今るる説明あったとおり、グアムではなく日本の上空を通過させている。そして、本日報道された北朝鮮の発表も、米国への牽制だ、米国の言動を注視し、そしてそれに応じて行動を決める、このように発表して、米国初めこちら側の出方を見ている。本当に嫌らしい対応をしている。

 そして、こうした、ある意味戦略的なことを実現し実施しているこの金正恩政権の指導力、そして指導部の構成、また経済力、こうしたことについて、河野外務大臣はどのように分析しているか。北朝鮮のGDPというのはそもそもどのぐらいで、核やミサイルの開発に関する経費、そして、実験を何度も行っている、これは膨大な経費がかかっているわけです、そうしたコストをどのように見積もり、どのように賄っているか。そしてもう一点、そういう人材をどうやって確保して、そういうことができる人材をどのように育成しているのか。河野外務大臣の分析を少し伺いたいと思います。

 国民は、今、この北朝鮮、情報が少ない中で、どういう国なんだ、日本はどういうふうに分析しているんだ、これは大変関心があると思いますので、説明できる範囲でなるべく丁寧にお答えいただきたいと思います。

河野国務大臣 北朝鮮におきましては、昨年の五月に三十六年ぶりに朝鮮労働党大会が開催をされ、金正恩委員長を中心とする体制が確立されたんだろうと見ておりますが、その後、北朝鮮要人の粛清を通じ、体制基盤が強化されたと見る見方、あるいは逆にこの粛清が体制の不安定要因にもなり得るという見方に分かれております。

 我々としては、アメリカ、韓国と緊密に連携をしながら、北朝鮮に公館を設置している国を含む各国との情報交換を通じて、情報の収集、分析を行っております。

 北朝鮮の経済状況を含め、内部の情勢につきまして確定的なことを申し上げるのは、これはなかなか難しいのが現実でございますが、例えば、韓国銀行の二〇一六年の北朝鮮の経済成長率の推定結果という報告書によれば、二〇一六年の北朝鮮の名目国内総生産は約三兆六千億円ということでございます。

 北朝鮮が核・ミサイル開発にどれだけ費用をかけているかということも、これもなかなか確定的に申し上げるのは難しいわけでございますが、韓国の外交部などとの意見交換では、昨年の二度の核実験と二十数発のミサイル発射で、少なくとも二百億円は下回らない金額であろうというふうに思っております。

 そのために、前回の安保理決議を完全に履行することができれば、少なくとも十億ドル以上の外資を断つことができる、これがこれまでの北朝鮮のミサイル、核の開発の原資になっていることは間違いないことでございますので、これをしっかり断つというのが大事だと思います。

 さらに、大型のエンジンにつきましては、さまざまな見方がありますが、ウクライナ製のエンジンを導入したという見方と、似ているけれどもそれとは全く違うんだという見方、これはヨーロッパとアメリカで見方が分かれているようでございますが、そういう情報もございますので、今、各国に対して、安保理決議をしっかりと履行していただくということと、北朝鮮の労働者、これは安保理決議で今まで以上に受け入れをふやさないということになっておりますが、労働者をしっかり管理する、北朝鮮の外交団の動きをしっかり監視する、こういう要請をしているところでございます。

 安保理決議をしっかりと履行することによって資金の流入を防ぎたいと思っております。

青柳委員 まさに次に伺おうとした点について今お答えいただきまして、ありがとうございます。

 北朝鮮の経済の状況、開発にかかるコスト、一定程度丁寧な説明をいただいたと思いますし、まさに今外務大臣おっしゃられたとおり、安保理の声明あるいは決議、これまで累次にわたってやってきておりますけれども、一向にこの北朝鮮の暴走がとまらない。これはまさに今外務大臣おっしゃられたとおり、決議されたものを履行していくことをきちんと求めていく、これが今非常に求められているんだと思いますので、一層そうした決議を履行していくという働きかけを強めていただきたいと思います。ありがとうございます。

 次に、今回のミサイル発射事案に対する国民への情報提供について確認してまいりたいと思います。

 今回のミサイル発射事案に対する政府の対応、あらゆる面で非常にスムーズで手際がよかったんだろう、私はこの点は評価したいと思います。Jアラートやエムネットの情報発信が行われた、これも大変素早かったと思います。こうしたことは、これまでの国会質疑で再三にわたって取り上げられてきたことが生かされているんだろうというふうにも思います。

 しかし一方で、幾つかの課題や改善点も浮かび上がった、これも事実だろうと思います。官房長官も今回コメントを出していますけれども、国民に対して適時的確な情報提供を行っていくんだ、こういうコメントを官房長官が出されておりますけれども、そういう観点でいけば、まだまだ不断の見直しが必要なんだろうというふうに思います。

 今回の対応を確認すると、朝の五時五十八分にミサイル発射を確認した、六時一分、総理の指示があった、そして、六時二分にJアラート、エムネットが送信された。

 Jアラートの内容、「ミサイル発射。ミサイル発射。北朝鮮からミサイルが発射された模様です。頑丈な建物や地下に避難して下さい。」こういう情報が素早く送信されたわけですけれども、この情報は、私は、意味はあると思いますけれども、これだけだと、どの地域にどのぐらいの危機があと何分後に迫っているのか、これが全くわからない。

 そして、今回のように、きょうは、我が党の升田議員も青森でございますけれども、聞きましたら、歩いて数分以内に丈夫な建物があるのかどうか、あるいは、地下に避難してくれと言われても、青森に地下なんか余りないよ、こういう話がありました。これは改善の余地があるんだろうと思います。

 もう一点。さらに、エムネットの情報発信では、最後の部分では、今回は、「破壊措置の実施は無し。」という文言が発信されています。一般国民には、この破壊措置なしというのを聞いてわかる人は少ないんじゃないかと思います。

 こうした点について、私はまだまだ改善の余地があると思いますけれども、政府の受けとめ、御見解、対応、これを伺いたいと思います。

横田政府参考人 お答えいたします。

 北朝鮮から発射された弾道ミサイルが我が国に飛来する場合、弾道ミサイルは極めて短時間で我が国に飛来することが予想されますために、Jアラートによる情報の伝達は可能な限り迅速に行う必要があると考えております。

 したがいまして、国民の避難にかかる時間を確保するために、防衛省から発射方向それから我が国に飛来する可能性があるという旨が伝達された段階で、まず迅速性を重視いたしまして、ミサイルの軌道に重なる可能性のある地域に対し、幅広く情報を伝達することとしておるところでございます。今回の伝達につきましては、総じて迅速な情報伝達を行うことができたというふうに考えておるところでございます。

 今御指摘ございましたエムネットの文言の点でございますが、これにつきましては、エムネットは、地方公共団体とか指定公共機関などに伝達するためのものでございます。破壊措置という文言、「破壊措置の実施は無し。」ということで今回伝達しましたが、破壊措置という文言は、防衛大臣が発出する破壊措置命令というものを踏まえてその文言を使っておるものでございまして、地方公共団体とか指定公共機関などの方々には理解をいただいているものというふうに考えているところでございます。

青柳委員 今の、情報提供の迅速な対応という点については評価したいと思いますが、一次情報を担っているのは防衛省ですから、小野寺大臣、どうでしょうか、国民への情報提供のあり方、一次情報の出し方について、今後、改善していくおつもりはありますか。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 国民の皆様に対して適時適切に情報提供を行うことは極めて重要でございまして、政府といたしましては、今、内閣官房からございましたように、Jアラートですとかエムネットを通じて直ちに国民に情報提供することといたしております。

 今回のミサイル発射につきましては、防衛省から内閣官房に対しまして、発射直後から逐次必要な情報を提供したところでありまして、Jアラート等による伝達も速やかに行われたのではないかというふうに考えております。

 ただ、いずれにいたしましても、国民に対してより適時適切に情報提供ができるように、引き続き、防衛省といたしましても、内閣官房を初めとする関係省庁と検討を進めてまいりたいと思っているところでございます。

青柳委員 不断の見直しを行っていただきたいと思います。

 そして、今回、十二道県に情報を送信しましたが、そのうち十六市町村で支障が生じたと報告されているわけですね。どういう支障があったのかについて、今発表できるものがあればお願いしたいと思います。そして、十二道県で十六市町村に支障があったということですから、これは早期に全国でも調査する必要があるのではないでしょうか。十二道県で十六市町村、支障があったわけです。これは全国でも調査すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

杉本政府参考人 お答えいたします。

 昨日の北朝鮮による弾道ミサイル発射事案におきましては、Jアラートによる情報伝達に支障があったのは御指摘のとおり十六市町村でございます。

 ふぐあいの原因につきましては現在調査中でございますけれども、主なふぐあいの内容につきましては、Jアラートの機器に接続をいたしまして受信機から自動起動機を経由して自動的に立ち上がるべき防災行政無線による屋外スピーカーですとか戸別受信機、それからIPの告知端末ですとか登録制メールなどが動かなかったといったふぐあいが発生したという報告を受けております。

 今回確認されましたふぐあいにつきましては、まずは当該団体において原因の特定と再発防止を徹底するように、既に指示をしているところでございます。

 消防庁といたしましても、こういった問題がほかで生じることがないように、訓練等も毎年実施しておりますけれども、その有効な方法についても今後とも考えてまいりたいというふうに思っております。

青柳委員 今はっきり答弁されませんでしたけれども、こういう事態があるんですから、全国でしっかり調査、確認すべきだと思いますので、指摘をしておきたいと思います。

 次に、小野寺大臣に伺いますけれども、エムネットの情報のところ、そして小野寺防衛大臣のコメントで、今回の発射事案について、ミサイルは三つに分離し、着弾したとされています。これはエムネットの情報でも、そして、それを受けて小野寺大臣のコメントでも、三つに分かれて着弾したというコメント、これを確認した上で発表されていますけれども、このミサイルが三つに分かれて着弾したということについて、これは北朝鮮側のミサイルが、意図的に、技術的に、最終的に三つに分けて着弾したのか、それとも、これはふぐあいで部品が剥がれ落ちてしまったのか、あるいは、三つだったのか二つだったのか、それ以上だったのか、それとも、そもそも分離していないということなのかについて、改めて伺いたいと思います。

 今回、ミサイルが仮に分離していたとして、分離したものも含めて領域外に落下している。我が国の領域の中に何らかのものが落下したということは今回はなかったわけですけれども、仮に、ミサイル本体が領域外に落下したとしても、何らかの分離したものが領域内に落下するのであれば、これは撃ち落とすものであるわけですね。ですから、最終的にミサイルが分離したのか分離していないのかということの確認、情報の把握、これはとても重要なんだろうと思います。

 ミサイル本体じゃなくても、ミサイルは領域外に行っても、分離したものが領域内に来たら、撃ち落とさなきゃいけない。ということは、しっかりその情報を把握していないといけないわけです。今回の件について、最終的に三つに分離されたのか、それは意図的なのか、あるいはふぐあいなのか、こうしたことについて、大臣、きょう改めて御見解を問いたいと思います。

小野寺国務大臣 今回発射されました弾道ミサイルについて、自衛隊の各種レーダー等において、発射直後から落下するまでの間、その動きを切れ目なく完全に探知、追尾しておりました。これにより、直ちにJアラート等を発信して、我が国領域に落下するか否かを確認するなど、国民の生命を守るために万全の体制をとってまいりました。

 他方、レーダーは、その時々の条件によって本来存在しないものを捉えてしまうこともあり得ます。

 今回発射された弾道ミサイルが実際に三つに分離したか否かということは、飛翔状況の詳細について、引き続きさまざまな情報を勘案して、総合的な分析を踏まえて結論を得る必要があるとは考えておりますが、今回レーダーで捉えた飛翔物に関しては、全て太平洋の沖、千百八十キロだったと思いますが、そちらの方まで飛翔しておりますので、その途中で我が国の領海に落ちるというものは確認されませんでしたので、今回、対応としてはこのような対応になったということであります。

青柳委員 済みません、ちょっとわかりづらかったので、もう一回確認させてください。

 最終的に我が国の領域に何も落ちてこなかった、領域外に落ちた、これはそれで結構ですけれども、分離したかどうか、それを把握しているのかどうかについて、もう一度、ここは重要な点だと思いますので、お伺いしたいと思います。

小野寺国務大臣 これは昨日の記者会見等でもお答えをさせていただいておりますが、レーダーで把握をした場合に、幾つかの物体に今回は分けて飛翔したということは確認をしております。その確認で、それが正確に三つだったのか幾つだったのかということに関しては今分析中ということでありますが、いずれにしても、それぞれの飛翔体というのは我が国に落ちるような状況ではなかったということであります。

青柳委員 それでは、また分析結果が出たら御報告をいただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 今回の事案では、今御説明ありましたとおり、破壊措置の実施というのはなかったわけですね。破壊措置はとられなかったというのは、今回の事案が武力攻撃事態と認められていない、そして弾道ミサイル等が我が国に飛来するおそれがないから撃ち落とさなかった、さらに、事態が急変し緊急の場合になるおそれがないから撃ち落とさなかった、だから破壊措置は実施されなかったということだと思いますけれども。

 これは、先日の、八月十日の本委員会での我が党の後藤委員の質疑で、グアムに向けたミサイルでも撃ち落とすことができる場合があるというのが小野寺大臣の答弁でした。どういう場合に撃ち落とせて、どういう場合に撃ち落とせないのか。グアムに向けて撃ったものでも撃ち落とせる場合がある。今回は明らかに我が国の上空を通過している、でも撃ち落としていない。これについて、わかりやすく改めて御答弁いただきたいと思います。

小野寺国務大臣 北朝鮮から我が国に弾道ミサイルが飛来した場合、発射から迎撃までにわずかな時間しかなく、弾道ミサイルの発射が武力攻撃に当たるかどうか、または事故や誤射なのか、極めて短時間のうちに判断することは困難です。

 こうしたことから、武力攻撃に当たると認められていないものの、弾道ミサイルが日本に飛来するおそれがあり、その落下による我が国領域における人命または財産に対する被害を防止するための必要があると認められたときには、自衛隊法八十二条三に基づき、防衛大臣は、内閣総理大臣の承認を得て、自衛隊の部隊に対して、上空で弾道ミサイルの破壊を命ずることができるという規定がされております。

 このような規定のほか、攻撃の意図が明示され、ミサイルが切迫するなど、武力攻撃に当たると認められる場合には、武力攻撃事態認定をして、防衛出動の枠組みで対処するということになります。

 昨日北朝鮮が発射したミサイルは武力攻撃に当たると認められず、また、その落下による我が国領域における被害を防止する必要もなかったことから、自衛隊の部隊における迎撃には至らなかったということであります。

青柳委員 ちょっと、時間が来ましたので、今の点は、恐らく、午後、後藤委員がもう少し深く掘り下げるんだろうと思いますので、お願いしたいと思います。

 最後に一点、伺います。

 先日の2プラス2の会合で、イージス・アショアについての協力を米側に要請して、そして協力を取りつけたということで、小野寺大臣は会見で発言しています。しかも、そのイージス・アショアを中心とした新たなアセットが必要だという発言をしているんです。イージス・アショアを中心とした新たなアセットが必要だということを発言していますが、この新たなアセットが必要だというのは、新たな防衛構想があるから、既にでき上がっているから必要だということでそういう発言をされたんでしょうか。この点について最後に確認して終えたいと思います。

小野寺国務大臣 防衛省・自衛隊はこれまでも、防衛計画の大綱に基づき、弾道ミサイル対処能力の向上を図るということを規定しております。この一環の中で、今回もさまざまな検討をさせていただいているということであります。

青柳委員 時間が来ましたので、終わります。

 どうもありがとうございました。

山口委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 北朝鮮は、昨日、国際社会が強く自制を求めているもとで弾道ミサイルの発射を強行しました。累次の国連安保理決議や日朝平壌宣言、六者会議の共同声明に反する暴挙であり、断じて容認できません。とりわけ、米国を含めて国際社会に生まれている対話による解決を模索する動きに逆行するものであり、発射を強行した北朝鮮に対して厳しく抗議するものです。

 問題は、日本政府がこれにどう対応するかであります。

 この間、国連安保理が新たな制裁決議を採択したことを契機に、北朝鮮は、グアム島周辺への包囲射撃を検討していると表明し、米国を強く軍事的に威嚇しました。一方、米国のトランプ大統領は、北朝鮮がこれ以上アメリカをおどすのであれば、炎と激しい怒りに直面することになるだろうなどと発言をいたしました。米朝両国が直接相手の意図を確かめるすべのないまま軍事的恫喝の応酬をエスカレートさせることは、危険きわまりないことであります。両国の意図にも反して、偶発的な事態や誤算による軍事衝突につながりかねません。

 外務大臣に伺いますが、軍事的恫喝の応酬が軍事衝突に発展し、おびただしい犠牲者を生む事態は絶対に回避しなければならないと思いますが、外務大臣はどういう認識ですか。

河野国務大臣 おっしゃるとおり、軍事的な解決ではなく、北朝鮮が非核化の方針を明確にし、具体的な行動をとることによって、対話の道を開いていきたいと思っております。

 しかし、そのためには、前回の安保理決議を完全に履行することによって北朝鮮への資金の流入を防ぎ、これまで北朝鮮が、国内での人権、あるいは北朝鮮の中の人々の福祉を無視し、核、ミサイルの開発に莫大なる金額を費やしていた、その資金の流入をとめるというのが一番大事だと思いますので、日米しっかり連携をし、あるいは日韓しっかり連携をし、中国、ロシアにも役割を果たすことを求め、北朝鮮が、そうした、対話に向けて明白な意思を示し、具体的な行動をとるようにしてまいりたいと思います。

赤嶺委員 トランプ政権は、全ての選択肢がテーブルの上にあるとしながらも、今月の十四日には、マティス国防長官とティラーソン国務長官がウォールストリート・ジャーナルに共同寄稿し、これ以上の核実験やミサイル発射などの挑発行為を停止することを条件に、米国は北朝鮮と交渉する意思があることを表明いたしました。

 韓国の文在寅大統領も、十五日の光復節の演説の中で、対話による解決を呼びかけ、北朝鮮が追加的な核とミサイル挑発を中断してこそ対話の条件が整えられる、このように強調いたしました。

 米韓両国を含めて国際社会が対話の動きを模索している中で、日本政府が対話に向けたメッセージを発したことはありますか。

河野国務大臣 国際社会は対話のための対話を求めているのではありません。北朝鮮が非核化に向かう明白な意思を表示し、具体的な行動をとった上で対話に出てくるということを求める、今、国際社会はそういう行動をしております。それは、日本のけさ行われた安保理、続いて出された議長声明、採択された議長声明においても、そういう意思が明確になっていると思います。

 我が国は、日米でしっかりと連携をし、あるいは日韓で連携をし、中国、ロシアにも役割を果たすことを求めた上で、北朝鮮が非核化への意思を明確にし、行動をしっかりとるということを求めてまいりました。それを北朝鮮が果たすことによって、国際社会との対話が生まれると思っております。

赤嶺委員 安倍首相は、昨日の日米首脳電話会談で、北朝鮮に対話の用意がないことは明らかであり、今は圧力をさらに高めるときだ、全ての選択肢がテーブルの上にあるとの米国の立場を支持している、こう述べているわけですね。北朝鮮に対して軍事的圧力を強めることを日本政府の側から求めているものであります。

 来年度予算の概算要求には、先ほども出ましたが、新たな弾道ミサイルの対処のためのイージス・アショアの導入を盛り込むことが報じられております。

 軍事対軍事の悪循環に陥ってはなりません。おびただしい犠牲をもたらす軍事衝突は絶対に避けなければなりません。日本政府は、国際社会と一致協力して、経済制裁の厳格な実施強化と一体に、対話による解決の道を粘り強く追求することを求めたいと思います。

 外務大臣に対する質疑は以上であります。

山口委員長 それでは、河野外務大臣、どうぞ。

赤嶺委員 次に、オーストラリア沖で起こった米軍普天間基地所属のオスプレイ墜落事故について質問をいたします。

 昨日も、岩国基地から普天間基地に向かって飛行していたオスプレイ一機が大分空港に緊急着陸したことが報じられました。機体から白煙と炎が上がっている様子が映像で確認できます。ことしに入って、伊江島補助飛行場、奄美空港にも緊急着陸を繰り返しています。

 防衛大臣に伺いますが、今回の緊急着陸の原因は何だったのか、事実関係を明らかにしていただけますか。

深山政府参考人 お答え申し上げます。

 昨日十八時四十五分ごろに、大分県国東市の大分空港にオスプレイが着陸したということは御指摘のとおりでございます。

 米側から現在説明を受けている内容でございますが、第一海兵航空団所属のオスプレイが、コックピット内の計器の表示を受けて、安全を確保するために、通常の手順に従って予防着陸を行った、この着陸によるけが人や物的被害は生じていないという話を聞いておるところでございます。

 防衛省といたしましては、本土及び沖縄の関係自治体に対し、本件に関する情報提供を行うとともに、米側に対し、安全管理の徹底と追加的な情報の継続的な提供を申し入れておるところでございます。

 具体的な原因等につきましては、いまだ米側からは我々は聞いていないところでございますけれども、今後、今申し上げましたように、情報の継続的な提供を求めていく、そうした所存でございます。

赤嶺委員 小野寺防衛大臣に伺いますが、今月五日のオーストラリア沖でのオスプレイ墜落を受けて、翌六日、国内でのオスプレイの飛行自粛、これを米側に申し入れました。昨年十二月に名護市安部の浅瀬に墜落したときには、当時の稲田防衛大臣は、安全が確認されるまでの飛行停止を求めております。

 今回、オスプレイの飛行停止ではなく、飛行自粛にとどめたのはなぜですか。

小野寺国務大臣 今月五日に発生しましたオーストラリアでのオスプレイの事故におきましては、これは、発生当時、日本ではなくオーストラリアでの事案ということで、情報がさまざま、まだ入ってきていない状況にありました。その段階でもありますが、直後に、直ちに、私の方から在日米海兵隊の方に、オスプレイの飛行自粛ということを申し入れ、そして、一日も早い、一刻も早い原因の追求、報告について求めたということであります。

赤嶺委員 日本で起こった事故ではないからというぐあいに聞こえたんですが、オーストラリアで墜落したオスプレイも普天間基地所属ですよね。所属機は普天間基地の中にもいるわけですよね。何で飛行停止にしないで飛行自粛にしたのかというのは、今の答弁では納得できません。

 同じ普天間基地所属のオスプレイが起こした墜落事故、これで飛行自粛にとどめたこと、納得いかないものがあるわけですが、その一方で、防衛大臣は自粛に米軍の運用上必要なものを除くといった条件はつけていないことを明らかにいたしました。自粛の期間についても、しっかりとした説明があるまでは求めていく、このように述べておりました。ところが、その後、わずか五日で自粛要請を撤回し、飛行を容認いたしました。

 米側から事故原因についてしっかりとした説明はあったのですか。

前田政府参考人 お答えいたします。

 今先生御指摘の、オーストラリアで発生をしたMV22オスプレイの事故でございますが、大臣の方から自粛の要請をいたしました後、その現場での事実関係、それから米軍のとった対応等々について、情報を米側の方から逐次得ていったわけであります。

 事故原因そのものはいまだ調査中でございますけれども、海上移動中の艦船への着艦という複雑な作業の最中に発生したものであること、それから、米軍が初期調査を行って、オスプレイの飛行は安全であるということを結論づけていること、さらに、オスプレイの安全な飛行を妨げるような機械的、構造的及びシステム上の欠陥はないというふうに米軍が認識をしていること、そして、当該部隊の全隊員に対して安全及び運用の手順を再度徹底させたこと、こういうことを聞き取りを行っているわけであります。

 これらを踏まえまして、防衛省としては、米軍がオスプレイの安全な飛行は可能であるとしていることは理解をできるという旨を判断いたしたところであります。

 ただ、防衛省としては、引き続き、本件事故について米側に情報提供を求めているところでございます。

 いずれにいたしましても、オスプレイを含む米軍機の飛行に際して、安全面の確保が大前提であるという認識のもとで、米側に対しては、安全面に最大限配慮するとともに、地域住民に与える影響を最小限にとどめるよう引き続き求めてまいりたい、このように考えてございます。

赤嶺委員 防衛省は、十一日の未明に、飛行を容認するプレスリリースを出しました。今説明があっているように、それによりますと、「事故原因については、調査中」、このようになっています。事故原因について何の説明もないわけですね。それで安全に最大限配慮するよう努めてほしいといって、きのうの大分空港への緊急着陸ですよ。

 なぜ事故原因について報告もないのに飛行を容認するんですか、大臣。

前田政府参考人 お答えいたします。

 やや繰り返しになるかもしれませんが、防衛省としては、事故直後から、米側から情報提供を受け、継続的にさまざまな照会を行ってきたわけでございます。そして、米側が行った初期調査につきまして、具体的にその項目あるいは内容について説明を受け、所要の確認を行ったところです。

 防衛省の専門的知見に照らしてこれら聞き取った内容を総合的に勘案いたしますと、合理的な措置がとられているというふうに見られ、米軍がオスプレイの安全な飛行は可能としていることは理解をできるという旨を判断いたしたわけでございます。その旨につきましては、先生御指摘のとおり、十一日の日にプレスリリース等において御説明も申し上げた、このようなことでございます。

赤嶺委員 事故原因の報告もないのに、何で防衛省の知見が働くんですか、そこに。そういう、防衛省の知見で安全だと確認して、次々と不祥事が起こっているじゃないですか。

 去年の飛行再開のときには、それが事実かどうかというのは別として、夜間の空中給油訓練中に乱気流などにより起こった事故だという説明がありました。ところが、今回は、そうした初期調査の内容についてさえ一切説明がないままでの飛行容認であります。

 これでは米軍の説明の丸のみだと思いますよ。政府の対応は後退していると思いますが、小野寺大臣、いかがですか。

前田政府参考人 お答えいたします。

 先ほど御説明しましたように、初期調査の内容につきましては、具体的にその項目、内容について説明を聴取いたしてございます。その点につきましては、八月十一日、プレスリリースをさせていただきましたが、その二番「米軍の対応」のところで詳細に記述をしてございます。読み上げますと時間がかかりますのでここでは省略いたしますが。この米軍の対応を聞き取った上で、先ほど申し上げたように、私どもなりの知見をもって評価、判断をした上でこの十一日の発表に至った、このようなことでございます。

小野寺国務大臣 今回の判断に至った経緯は今局長からお話しさせていただいたとおりでありますが、やはり航空機の安全の面、このことが大前提だと思っております。

 先日、十七日でありますが、日米2プラス2におきまして、私からマティス国防長官、ティラソン国務長官に対して安全性の確保を改めて要請いたしましたし、また、一昨日、二十八日でありますが、マルティネス在日米軍司令官と面談した際も同様の申し入れをしております。

 引き続き、米側に対しては、安全面に最大限配慮するようにこれからもしっかり対応を求めてまいりたいと思っております。

赤嶺委員 2プラス2の後に起こったきのうの事態でもあります。安全面に留意するようにと言われていたことが一向に守られていない。やはり、政府の米側に対する甘さ、より一層甘くなっていると言わざるを得ません。

 今月の十二日に、防衛大臣はその直前に沖縄に来られたわけですが、四万五千人の県民が結集して、翁長知事を支え、新基地をつくらせない県民大会が開かれました。そこでは、辺野古新基地建設の断念、オスプレイの配備撤回、普天間基地の閉鎖、撤去を求める大会宣言と、今回の墜落事故に抗議し、普天間基地の即時閉鎖、撤去を要求する特別決議を採択いたしました。

 二十八日には沖縄県議会が、オスプレイの配備撤回、普天間基地の五年以内の運用停止、在沖米海兵隊の撤退を求める決議、意見書を可決しております。

 日米共同訓練が行われた北海道、自衛隊オスプレイの配備が計画される佐賀、その暫定配備が取り沙汰される木更津、米空軍オスプレイの配備が予定される横田など、全国各地で住民の反対の声が上がっています。政府は、こうした声を正面から受けとめるべきです。

 最後に、野党四党は、六月、憲法五十三条に基づき臨時国会の召集を求めましたが、二カ月を経た今も開かれていません。南スーダンPKO派遣部隊の日報問題をめぐって閉会中審査が行われましたが、稲田前防衛大臣以下、関係者の出席に応じず、真相の解明は全く進んでいません。憲法規定に従って、臨時国会を速やかに開くべきであります。

 このことを強く申し上げて、質問を終わります。

山口委員長 次に、熊田裕通君。

熊田委員 自由民主党の熊田裕通でございます。

 北朝鮮は、またしても弾道ミサイルを発射するという暴挙を行いました。昨年来、三十発以上の弾道ミサイル発射を強行もしております。本年に入ってから、ICBM級の新型弾道ミサイルを含む弾道ミサイル発射も行い、さらには、グアム周辺に向けて四発同時発射する計画を検討していると発表するなど、挑発的言動も繰り返しております。

 このような中、今回発射されました弾道ミサイルは、我が国の領域の上空を通過したと見られ、これは、我が国の安全保障にとってこれまでにない深刻かつ重大な脅威でもあります。国民生活にも影響が出ており、国民は大きな不安も感じておられると思います。

 このような北朝鮮による挑発行動は断じて許すわけにはならない。このような脅威から国民の命と平和な暮らしを守るには、政府、そしてその重責を担うのは、防衛省・自衛隊にほかなりません。

 本日は、北朝鮮によるミサイル発射の問題について、国民の命と平和な暮らしを守るためにどうしていくのか、その観点から幾つか御質問をさせていただきたいと思います。

 先ほど、昨日の朝のミサイルの状況につきましては防衛大臣から詳しく御説明をいただきました。また、破壊措置命令も出されず、そして船舶や航空機を初め被害がなかったという御説明をいただき、一安心しておるところでございます。

 それで、そのとき自衛隊がどういうふうな対処をされたのか、発射の瞬間ですね、どういう対処をされたのか、事実関係をまずお示しいただきたいと思います。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛省・自衛隊といたしましては、北朝鮮が昨日発射いたしました弾道ミサイルにつきまして、発射直後からミサイルの動きを把握しておりまして、国民の生命を守るために万全の体制をとっておりました。

 具体的には、我が国に飛来する弾道ミサイルなどに備え、二十四時間体制で全国各地のレーダーなどが警戒監視を実施しております。その上で、自衛隊の各種レーダーによりまして、弾道ミサイルが我が国に飛来するおそれがないというふうに判断したところでございます。

 小野寺防衛大臣からは、まず、我が国領域ですとかまたはその周辺海域における被害の有無の確認を徹底すること、それから、米国等と緊密に連絡しつつ、必要な情報の収集、分析に全力を挙げること、不測の事態の発生などに備え、引き続き警戒監視に万全を期すことなどが指示をされたところでございます。

 さらに、午前七時八分ごろから国家安全保障会議が開かれ、防衛省においても、関係幹部会議、これが二度ほど開催されまして、防衛省として対応の徹底をいたしたところでございます。

 我々といたしましては、今後とも、関係各国とも緊密に連携しつつ、引き続き緊張感を持って警戒監視、情報収集を行い、国民の安心、安全、これを確保するために万全の体制をとってまいりたいと考えているところでございます。

熊田委員 今回のミサイルの発射を含めて、北朝鮮の弾道ミサイルの脅威、これについて防衛省としてどういうふうに認識をされておるのか、お聞かせください。

前田政府参考人 お答えいたします。

 昨年、北朝鮮は二回の核実験を強行しております。さらに、二十発以上の弾道ミサイルの発射をいたしたわけでございます。

 北朝鮮による核、弾道ミサイルの開発それから運用能力の向上というものは、我が国を含めた地域及び国際社会に対する新たな段階の脅威になっている、これは基本認識であります。

 もう少し詳しく、弾道ミサイルに係る動向について具体的に申し上げますと、北朝鮮は、まず弾道ミサイルの長射程化を図っております。それから、飽和攻撃と申しますが、一度にたくさんのミサイルを同時に撃つ、こういう飽和攻撃のために必要な正確性でありますとか運用能力、これも向上させていると思います。それから、奇襲的な攻撃能力の向上も図っていると考えられます。これは、事前兆候の察知が非常に難しくなるTELあるいはSLBM等を用いた発射というのを敢行していることから言えることだと思います。さらに、発射形態の多様化、これはロフテッド軌道による発射等々、こういったことを図っているというふうに思っております。

 こういったことを踏まえてでありますけれども、今回発射された弾道ミサイルも我が国の上空を通過したと見られるわけでありまして、これらは、我が国の安全保障にとってこれまでにない深刻かつ重大な脅威であるとともに、地域、国際社会の平和と安全をさらに脅かすものであるというふうに考えております。

 もう一つ申し上げれば、航空機あるいは船舶の安全確保の観点からも極めて問題のある危険な行為であるということでありまして、安保理決議等への明白な違反でもあります。

 このように繰り返される北朝鮮の度を越した挑発行動、こういったものを断じて容認できない、このように考えているところでございます。

熊田委員 ありがとうございました。

 これほど、この北朝鮮の弾道ミサイルの問題、ゆゆしきことでありますけれども、これから、今後、やはりミサイルに対する防衛の能力を強化していくということは大変私は大事なことだと思っておりますし、やるなら早くやるべきだと思いますが、その辺についてのお考えをお聞かせください。

小野寺国務大臣 北朝鮮のミサイル能力の向上、そして、けさも、北朝鮮はまた、グアムを含めた、さまざまな具体的な意図を持って今後ともさまざまな行動をとる、そういう発言もあったかと承知をしております。

 いずれにしても、我が国としては、ミサイル防衛体制をしっかりすることが大切だと思っております。

 現在、防衛省としましては、次の、来年度、三十年度の予算に対しまして概算要求の時期でもございますので、新しいアセットを含めたミサイル防衛についての予算について、国会等にまたお願いする機会があると思います。

 私どもとしては、一刻も早く、しっかりとした防衛体制をとってまいりたい、そのように思っております。

熊田委員 少し早いですが、終わります。

 ありがとうございました。

山口委員長 次に、佐藤茂樹君。

佐藤(茂)委員 公明党の佐藤茂樹でございます。

 きょうは、質問の機会をいただきまして、大変にありがとうございます。

 昨日早朝、日本列島に緊張が走りました。国際社会が北朝鮮のたび重なる核実験や弾道ミサイルの発射等の挑発行為を非難し、抗議、警告をしてきた中、昨日、北朝鮮が再び弾道ミサイルの発射を強行したことは断じて容認できません。

 さらに、今回発射されたミサイルは、我が国上空を通過し、北海道襟裳岬東方の太平洋上に落下したと見られ、これは、我が国の安全保障にとって深刻かつ重大な脅威であり、アジア太平洋の平和及び安全を脅かすものであり、この北朝鮮の暴挙に対しまして厳重に抗議するとともに、最も強い表現で非難をいたします。

 その上で、きょうはもう時間も限られておりますので、まず防衛大臣に、端的に、今回のミサイル発射に対する受けとめ、日本政府としてどう捉えておられるのか、お伺いしたいんです。

 安倍総理は、昨日の北朝鮮弾道ミサイル発射を受けまして、我が国を飛び越えるミサイル発射という暴挙は、これまでにない深刻かつ重大な脅威だと非難されました。また、トランプ大統領との電話会談では、これまでとレベルの異なる脅威だ、そのように述べられているわけでございます。これまでにない深刻かつ重大な脅威だという、この総理の発言の意味するところについて、後ほど小野寺防衛大臣の認識を伺いたいんです。

 北朝鮮の弾道ミサイルが我が国上空を通過するということについて考えたら、今まで、今回の発射を含めて五回あったわけですね。私は、国会議員として、国会議員の立場で、この五回とも遭遇しているわけでございますが、そのうち三回は、過去に、二〇〇九年四月、さらに二〇一二年十二月、二〇一六年二月に、事前に予告落下区域を国際機関に通報、人工衛星打ち上げ、そう称して実施したと承知をしております。しかし他方、一回目の一九九八年八月の発射については、事前通報もなく、発射後、事後に、人工衛星の打ち上げであった、そういう発表をしているというように認識をしております。

 今回の発射は、そういうことと比較して、事前の通報もなく、事後も、人工衛星の打ち上げとは言っておりません。そういう状況の我が国の上空を通過するミサイル発射というのは初めてのケースであるわけですから、そういう意味から、総理及び日本政府として、これまでにない深刻かつ重大な脅威という認識を示されたのか。それとも、過去四回と性能面も含めて大分違いもあるので、今回、これまでにない深刻かつ重大な脅威だ、あるいはこれまでとレベルの異なる脅威だ、そういうように言われているのかという、どういうあたりを指して、総理の発言も含めて、これまでにない深刻かつ重大な脅威だと言われているのか。今回の北朝鮮のミサイル発射に対する認識を防衛大臣にお伺いしたいと思います。

小野寺国務大臣 総理の、御指摘の発言については承知をしております。

 北朝鮮による核・ミサイル開発の継続や累次にわたる弾道ミサイル発射は、我が国を含む地域及び国際社会の平和と安全を損なう安全保障上重大な挑発行為であり、断じて容認できないというのが基本だと思っております。

 その中で、今委員がおっしゃいましたが、過去の発射事案、日本の上を飛び越えた場合には、人工衛星の発射実験というようなお話があったと思いますが、今回は、けさの報道によれば、中距離弾道ミサイルだということであります。

 ということで、今回、日本を飛び越えたこの飛翔体は弾道ミサイルというふうに北朝鮮は明確に言っているということ、そしてまた、日本を飛び越えてはおりませんが、昨年一年間だけでもこれまで最多となる二十発以上の弾道ミサイルを発射し、ことしになってもまたその発射を繰り返しております。核、ミサイルの開発を継続していく姿、この姿勢を崩していない。また、本日、北朝鮮は、今後、太平洋を目標として弾道ミサイル発射訓練を多く実施し、戦略武力の戦力化、実戦化、近代化を積極的に進める旨発表しております。

 このようなことを総合してみれば、これまでにない深刻かつ重大な脅威であるということ、これは、私ども日本だけではなく、国際社会が共通して持つ認識だと思っております。

佐藤(茂)委員 そこで、先ほど民進党の青柳先生の方からもあったことでございますが、日本政府の分析として、昨日早々に、きのうの午前の緊急記者会見で、菅官房長官は、発射された弾道ミサイルは日本海上空で三つに分離した可能性がある、そのように述べられております。

 火星12ということをきょうも北朝鮮側が労働新聞等で発表しておりますけれども、火星12だとすると、これは液体燃料を使った一段式ミサイルなんですね。ただ、TELという移動式発射台を使うというのが特徴で、最大射程が五千キロ以内、そういうことが言われているんですけれども、一段式ミサイルである火星12が三つに分離した可能性があるということはどういうことなのか。一つは、多弾頭式、こういう機能を今回のミサイル発射に備えたのか、それとも失敗したのか、こういうことについて、今後極めて大事になってくると思うんです。

 きのう官房長官が発表されてから、まだそう時間もたっていないんですけれども、その後の情報収集及び分析の結果について、防衛大臣に伺いたいと思います。

小野寺国務大臣 御指摘がありましたように、今回発射されました弾道ミサイルは、各自衛隊の各種レーダーにより、発射直後から落下するまでの間、切れ目なく完全に探知、追尾しておりました。その中で、レーダーはその時々の条件によって、さまざま、本来存在しないものも捉えてしまうこともあり得ます。そういうことをさまざま想定をして、分析をするということであります。

 いずれにしても、今回発射されました弾道ミサイルが実際に三つに分離したかどうかということについては、引き続き現在も分析をしていることでありますが、最終的にはこの飛翔体は全て太平洋の洋上に落下をしたということであります。

佐藤(茂)委員 そこで、きょう、河野外務大臣のかわりに佐藤外務副大臣に来ていただいておるんですが、国際社会がこれから、特に安保理としてどういう強いメッセージや決議を出すのかということが大きな問題だということをきのう通告を出したんですけれども、早速、日本政府として、日米韓三カ国で議長国であるエジプトに要請されて、緊急会合がけさ方開かれて、約四時間にわたって議論されて、北朝鮮に対しての強く非難する議長声明を全会一致で採択されたことは、まず第一歩、私はよかったのではないかと思います。

 ただ、これにとどまらず、今までの決議を見ますと、大体、累次の安保理決議によって現在行われている措置をどう厳格に履行するのかということを確認するような内容の決議というのが結構あるんですけれども、それに加えて、さらなる追加制裁ということをとることについても、上空を通過された当事国である日本として、やはり強く推進すべきであると考えるんですね。

 私も、六月に別の委員会で申し上げたんですけれども、二〇〇九年四月にテポドン2あるいは派生型を日本上空を越えて飛ばしました。その直後に北朝鮮は核実験を行いまして、与党の代表として、私と、当時、山崎拓先生と中谷元先生の三人で、国連あるいはアメリカ・ワシントンまで行きまして、各国の国連大使とも大変協議いたしました。それが全部きいたからということではないんですが、北朝鮮の弾道ミサイルや核に資するそういう物資を貨物検査するという厳しい経済制裁の決議を国連として決めていただくことになりました。

 今回、別所国連大使、非常に頑張っておられるんですけれども、場合によっては政務三役あるいはほかの政治家もいいんですけれども、やはり、上空を通過されたことに対する怒りや不安というのは、当事国である日本にしかわからない部分があるわけですね。

 ですから、今後、しっかりとその辺を国連あるいは国際社会に、そういう当事国日本として強く働きかけて、厳しい追加の制裁決議を決めていただきたいと思うんですけれども、現在の国連安保理の状況及び日本の政府の姿勢について、副大臣にお尋ねしたいと思います。

佐藤副大臣 このたび外務副大臣を拝命しました佐藤正久です。どうぞよろしくお願いします。

 今、佐藤委員からの御指摘、思いは共有するところが多々あると思います。特に、上空を通過したということに際しまして、列車等がとまったり、国民生活にも実際に影響が出ているということをやはり真剣に受けとめる必要があると思います。

 御指摘の安保理での動きでございますが、本三十日の朝、日米韓の要請に基づきまして、国連安保理の緊急会合が開催されました。我が国からは、今般の発射により、我が国国民が直接に受けた脅威を強調しつつ、北朝鮮が行動を変えるまでは圧力をかけ続ける必要があり、そのために、さらなる、より厳しい安保理決議を追求する必要がある旨を明確に述べさせていただきました。

 会合後、日本上空を通過した今般の北朝鮮による弾道ミサイルの発射等を強く非難する旨の安保理議長声明が採択されました。安保理が北朝鮮に対しまして明確なメッセージを送ることができたと評価しております。

 今御指摘ありましたように、政務三役の活動も含め、今後どういう形で、安倍総理が言われたような強い圧力をかける、対話のための対話ではなく、朝鮮半島の非核化のためのそういう対話ができるための圧力をかけるべく、新たな安保理決議を追求することも含めまして、諸懸案の包括的な解決に向けてどのような圧力を強化していくことが最も効果的かという観点から、アメリカそして韓国とも緊密に調整しつつ、今後の対応を真剣に検討してまいりたいと思います。どうぞ御指導よろしくお願いします。

佐藤(茂)委員 最後に、ちょっと簡潔に、これも青柳委員と重なる部分がありますので、国民への情報提供の検証について、きょう消防庁が来ておられますので。

 昨日、十二道県に、Jアラート、エムネットで計六回情報が送信されました。ここまではいいんですけれども、そこから先の、各自治体の、Jアラートと連動して住民に情報を伝える防災行政無線やメールサービスにトラブルが相次いだと言われております。逐一、きょう時間もありますので挙げませんけれども、国民への情報提供におけるトラブルについてしっかり把握して、原因を究明して、そして再発防止策について早急に検討して、緊急事態への備えに万全を期していただきたいと思うんですけれども、政府としてどのように今回のトラブルについて把握しておられるのか、また、今後の対策について最後にお伺いをしておきたいと思います。

杉本政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の十六市町村でのトラブルの内容につきましては、Jアラート機器に接続いたします防災行政無線ですとか登録制メールの不作動などと把握をしているところでございます。

 この原因については現在調査中でございますけれども、原因を特定することで、当該団体のみならず、他の地方公共団体に対しても注意喚起ができるというふうに考えております。

 そういうことで、今回確認されましたふぐあいにつきましては、既にそれぞれの団体に対しまして原因の究明と再発防止を徹底するようにという要請を行っておりますし、さらに、その結果が出てまいりましたら、同じようなことがほかの団体で起きないようにということで、全国の地方公共団体に対して情報提供を行いたいと思っております。

 また、地方公共団体におきますJアラート機器の取り扱いの習熟というのも大切だと認識をしておりまして、今後は、今回の事案の検証結果も踏まえまして、一つには情報伝達のルートをふやしていくということも大事だと思いますので、情報伝達手段の多重化の推進ですとか、また、機器の取り扱いに対して具体的な研修を行うとか、さらには、こういうことを確認すべきだという確認事項の徹底、受信機の、テストモードというのもついておりますので、こういったものの活用とか、さまざまな観点から、次にはしっかりと機能を果たすようにということで努めてまいりたいと思っております。

佐藤(茂)委員 最後になりましたけれども、北朝鮮は、今後、九月九日の建国記念日を控えまして、さらなる挑発行動に出る可能性も指摘されております。政府は、国民の生命と財産を守るために高度な警戒監視体制を維持して、緊張感を持って我が国の平和及び安全の確保に万全を期していただきたいことをお願いして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

山口委員長 次に、後藤祐一君。

後藤(祐)委員 民進党の後藤祐一でございます。

 まずは、昨日の北朝鮮の日本をまたいだ弾道ミサイルの発射に、強く抗議を申し上げたいと思います。

 今、佐藤議員も指摘をされておりましたけれども、安全保障理事会での緊急会合がございました。その中で、言語道断という議長声明が全会一致でまとまったことについては評価申し上げたいと思います。

 きょうは、河野外務大臣、お忙しいということで、佐藤副大臣にお越しいただいておりますけれども、今、佐藤議員もちょっと触れておりましたけれども、さらなるより厳しい措置といったものを安保理決議で求めていくべきではないかということについて、さらなる厳しい措置というのは具体的にどういったものを求めていくことになるんでしょうか、佐藤副大臣。

佐藤副大臣 これはまだ、細部については、今、関係国と調整していくという段階にありますので、ここでお答えすることは差し控えたいと思いますけれども、大事なことは、我々は、北朝鮮が国連のメッセージというものを素直に受け取って、それに応えて、非核化のための対話を求めるというステージに持ってくることが非常に大事だと思っておりますので、今までの安保理決議に加えて、どういうものがいいのかというものを関係国とまた調整をしてまいりたいというふうに思っております。

後藤(祐)委員 それには、北朝鮮に対する石油の禁輸、これも安保理の中で制裁措置として加えるべきではないでしょうか。

佐藤副大臣 現在の八月五日の安保理決議、制裁決議は、御指摘の石油関係品は、航空燃料等を除けば、入っておりません。

 御指摘のように、石油の部分も含めて、そのほかの対象もいろいろございますので、幅広くどういうものが一番効果的か、我が国が抱える懸案事項を包括的に解決する観点から、何がいいのかということを御指摘の石油関係を含めて関係国と調整していきたいというふうに思っております。

後藤(祐)委員 石油はきくに決まっていますよ。やりましょうよ。

 ロシアと中国が恐らく慎重なんじゃないかと思いますが、どうやって説得していくんですか。

佐藤副大臣 御指摘のように、安保理の常任理事国のアメリカ、フランス、イギリス、加えて中国、ロシア、極めて常任理事国ということで大きな権限を持っているのは御案内のとおりです。いかにそういう石油関係を含めた新たなこういう制裁決議に持っていくかということにつきましては、中国、ロシアとのいろいろなチャンネルをさまざまなレベルで調整しながら、いろいろな形でいい決議というものをつくれるように努力していきたいというふうに思っております。

後藤(祐)委員 この後、この委員会でも北朝鮮の行動に対する抗議の決議をする予定でありますけれども、この中でも、安保理でより厳しい対応を求めていく、国際社会が一体となって行動していくということを求める内容も含まれておりますので、ぜひ石油の禁輸も含めて、ロシア、中国を説得していただくようお願いしたいと思います。

 それと、これも佐藤議員が先ほど触れた点で、重要な御指摘があったと思うんですが、これは防衛大臣になります。

 三つに分かれた論がございます。これは今、分析中ということでございますが、多弾頭ミサイルだった可能性があるのではないか。あるいは一発のミサイルで複数箇所を狙える複数目標弾頭、MIRVという言い方もしたりしますけれども、これの初期的なものだった可能性はないのでしょうか。あるいは、全部が全部狙えるものでないにしても、いわゆるデコイと言われる、まともなものは一個だけで、残りは見せかけのものというようなものであっても、これを追尾するレーダーにとっては大変やりにくくなるわけで、このデコイの場合も含めて、こういったものの実験だった可能性はないのでしょうか、防衛大臣。

小野寺国務大臣 今回の弾道ミサイル事案に関しては、北朝鮮がさまざまミサイル能力の向上をしているということは私ども十分認識をしております。

 その中で、今回発射された、北朝鮮の報道によれば火星十二号という弾道ミサイルということでありますが、この飛翔につきましては、私ども、その発射当時から最終的な着水までレーダーで捕捉をしていたということでありますが、いずれにしても、現在、その内容について、幾つかに分かれたとか、どのような状況だったかということについては、分析中であります。

後藤(祐)委員 多弾頭ミサイルだった可能性はありませんか。可能性として。

小野寺国務大臣 分析中であります。

後藤(祐)委員 ちょっと残念ですが、仮に多弾頭ミサイルだったとした場合、あるいは、今回のが多弾頭であるかないかは別として、仮に北朝鮮が、多弾頭型ミサイル、あるいは、デコイ型で一つだけがまともなものも含めて、こういったものが撃たれた場合、日本はこれを撃ち落とす技術があるんでしょうか。

前田政府参考人 お答えいたします。

 今の御質問の点は、我が国の弾道ミサイル防衛システムに関する個別具体的な能力になりますので、手のうちを明かすことになります。従来からお答えは差し控えさせていただいているという点については、御理解をいただきたいと思うんです。

 その上で、我が国のBMDシステムは、これは多目標対処を念頭に置いたシステムでございます。したがって、SM3を搭載したイージス艦、それからPAC3、これで多層防衛をやるわけですが、北朝鮮が複数の弾頭を我が国に向けて発射する場合であっても、これは対処する能力を有しているというふうに御認識をいただいて結構であります。

 ただ、もちろん、今委員御指摘になった多弾頭等々、デコイ等々になってきますと、より対処が困難に、難しくなってくるというのも一つの事実だろうと思います。

 現在、防衛計画の大綱に基づきまして、我が国全体を多層的かつ持続的に防護する体制、これを強化しようということで取り組んでいます。PAC3MSEの導入、それからイージス艦の増勢、あるいは、御承知のとおり、SM3のブロック2Aという能力向上型のミサイル、こういったさまざまな取り組みを進めているところでありますが、これらによって複数の弾頭への対処能力はより一層向上するものというふうに考えているところでございます。

後藤(祐)委員 複数の弾頭への能力が向上しても、一つの弾頭に多数の、多弾頭型のものについては能力向上で追いつく予定になっているんでしょうか。

前田政府参考人 今の御質問の点は、まさに手のうちになってくるので、基本的に差し控えさせていただきたいと思いますけれども、私どもとしては、例えばデコイ等々の相手方の能力向上というものを念頭に置きながら、こうした事業に取り組んでいるということでございます。

後藤(祐)委員 ぜひ、その可能性も含めて今後の体制を考えていっていただきたいと思います。

 それでは、今回の北朝鮮のミサイル発射についての初動について、きょうは官房副長官にお越しいただいておりますので、お伺いしたいと思います。

 今回、非常に早くJアラートを鳴らした、あるいは総理指示が三分後だった、非常に早く対応されたことは評価したいと思いますが、何でこんなに早くできたんですか。つまり、これは実は撃つ前からわかっていたのではないかというような見方をされる方もいます。さまざまな諸情報からあらかじめわかること自体はすばらしいことです。

 あらかじめこれはわかっていたんでしょうか、副長官。

西村内閣官房副長官 私ども、常日ごろより、こうしたさまざまな不測の事態も含めて、万全の対応を期せるように日ごろから緊張感を持って、もちろん、さまざまな情報収集、分析等も行っております。その上で緊張感を持って対応している、その一つの結果だというふうに思っております。

後藤(祐)委員 安倍総理は、この八月の中で総理公邸に宿泊したのは、ミサイルの発射のあった日の前日だけなんです。つまり、公邸に泊まった二日は、いずれもその次の朝、ミサイルが発射されているんです。

 これは、わかっていたということじゃありませんか。

西村内閣官房副長官 さまざまな判断のもとで公邸に泊まるという判断をされていると思いますので、そのようなことだというふうに思います。

後藤(祐)委員 さまざまな判断というのは非常に含蓄のある答弁でございますが、わかっていたというふうに見えますよね。

 いいことなんです。ただ、ばればれになっちゃいますから、ふだんからちゃんと公邸に泊まった方がいいと思いますよ。八月のうちで二日しか公邸に泊まっていなくて、その二日が両方ミサイルの日って、ばればれじゃないですか。もうちょっと公邸に泊まられることを御推薦します。

 その次に行きます。

 今回、Jアラートが鳴ったわけですが、今、配付資料でごらんいただければと思いますが、どういう場合にJアラートが鳴って、Jアラートが鳴った後どうなるのかというのは、非常にわかりにくいんですね、国民にとって。

 整理しますと、我が国の領域、すなわち領土または領海に落ちるか、あるいは我が国の上空を通過するか、このいずれかの場合には、まずJアラートで、その配付資料の一、ミサイル発射情報を流します。その上で、領域、すなわち日本の領土または領海、その資料でいうと(一)の場合ですね、その場合には、直ちに避難というJアラートの二発目が鳴ります。

 ただ、この日本の上空通過の場合、一発目のミサイル発射情報は流れますが、その後の、要は、日本におっこってくるということではないという情報は流れないんですね。つまり、上空通過であるという情報は、終わってから、ミサイル通過情報にならないとわからないんです。

 これは不親切じゃありませんか。実際、学校を休校にしちゃうとか、電車がとまっちゃうとか、場合によってはスマホを見ていてトラックをぶつけちゃうとか、いろいろなことが起きているわけです。

 実際に日本の陸地あるいは領海に落ちてくるというときは、そのぐらい物すごい真剣度合いで、直ちに建物の中に入るとか、あるいは窓から遠ざかるとかやらなきゃいけないわけですけれども、上空であるという場合にはその行動度合いが違ってくるわけです。

 ぜひ、このミサイル発射情報を流した後、領土、領海には落ちないけれども上空通過だというときには、その旨の情報、例えば、領土、領海には落ちませんが上空を通過する見込みですという二発目のJアラートを鳴らすべきじゃありませんか。実際、頑丈な建物である必要はないじゃないですか、その場合は。建物の中に入った方がいいと思いますけれども、頭を抱える必要はないじゃないですか。

 というふうに対応が変わってくるわけですよ。ぜひ、上空であることが判明したときには、それ相応の二発目のJアラートを、情報提供すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

西村内閣官房副長官 御指摘のように、Jアラートによる情報伝達におきましては、弾道ミサイルが我が国に飛来する可能性がある場合に、Jアラートでミサイルが発射された旨の情報の伝達及び避難の呼びかけをまず行うということにしているところであります。その後、我が国に落下する可能性がある場合には、これは御指摘のように、一番左のラインですけれども、直ちに住民に注意を喚起し、重ねて避難を呼びかけるということであります。

 一方、今回のように、落下の可能性がなく通過が見込まれる場合であっても、落下の可能性がある場合に比べて危険性は低いというふうに考えられますけれども、しかし、一部分離して落下物がある可能性などありますので、そういったことも、安全を確認した上で、通過情報を伝達するということにしているわけでございます。

 いずれにしても、御指摘のように、できるだけ迅速に正確な情報を伝えることは大事だと思いますので、迅速かつ的確な情報提供、国民の安全、安心のためにもぜひ努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

後藤(祐)委員 上空にすぎない場合、二次的な情報は流さないということですか。少し御検討されるということですか。

西村内閣官房副長官 申し上げましたとおり、通過した後に落下物がないという安全確認を行っておりますので、それが安全確認をできた後に通過したという情報を流すことにしておりますので、そういうことです。安全確認をしっかりやるという上で、情報を伝えるということでございます。

後藤(祐)委員 核爆発が起きるというリスクの中で求めることと、何かごみみたいなものがおっこってくるかもしれないというのは、相当国民に対して求めることというのは違ってしかるべきだと思いますよ。今の体制ではそこがわからないんですよ、不作為だから。

 つまり、領土、領海に落ちることがわかった場合には直ちに避難という二発目が来るからわかるけれども、(二)のライン、上空通過の場合にはわからないんですよ、国民は。要は、過剰な対応を求めている状態になっているということは重く受けとめるべきだと思いますよ。

 今回、相当な、過剰行動という言い方がいいかどうかはともかく、そこまでやるのかなということが起きてしまっています。そこを防ぐには、多分それぞれの学校ですとか電車ですとか、考えるでしょう、これから。でもそのときに、だとしたら、これはミサイルが直接落ちるというのではないということがわかっているんだったら、教えてほしいという声が出てきてしかるべきだと私は思いますよ。ぜひこれはお考えいただきたいと思います。

 その上で、わかりにくいんですね、この紙を見るだけで嫌になっちゃうと思うんですが、二枚目をぜひ見ていただきたいんです。

 最近、災害、地震ですとか天気ですとかというものは、物すごい危ないものからそこまで危なくないものまで、レベル一、二、三、四というような形で、警戒情報とか危険情報とかと分けて、わかりやすく伝えるようになっています。震度七から震度四とかと言われると、ああ、そのぐらいだなと国民みんなわかります。今回、こういうふうにわかりやすくしませんか。

 領土、領海に落ちる見通しのミサイルはレベル一、上空通過のものはレベル二、上空通過でもなく、EEZの中に落ちるものはレベル三、EEZの外側、この場合はレベル四、まあ言い方はどういう言い方でもいいですけれども、危険度合いというのはこの順だと思うんですね。そうしますと、レベル一の場合はこういう対応をとるとか、レベル二の場合はこういう対応をとるとか、恐らく、市町村ですとか学校ですとか、皆さん考えると思うんです。

 さっきみたいな分かれ道のこんなの、わからないですよ、一般国民は。震度七だったらどうするとか、震度四だったらどうするとか、結構皆さん皮膚感覚でわかります。ぜひ、こういったレベル分けをした上で、今回のJアラートはレベル一か二でありますと最初に言って、すぐ、今回のはレベル二でありますと言うと、国民はわかるようになるんではないでしょうか。

 そして、その場合に求められる行動、レベル二の場合に求める行動というのは、今宣伝しているあの三つのこととは違うと思うんですね。ぜひこのミサイル警戒情報のレベルを分けるということについて御検討いただけないでしょうか、官房副長官。

西村内閣官房副長官 Jアラートの情報伝達については、我が国に飛来する可能性のある場合には、直ちに、ミサイルが発射された旨の情報伝達、避難の呼びかけなど、可能な限り迅速な情報伝達を行うことにしているところでございます。

 その時点での我が国に落下するかどうか、否かの判断は非常に難しいわけでありまして、御指摘のように、領土、領海に落ちてくる可能性がある場合と、それから上空を通過する場合とあるわけでしょうけれども、上空を通過する場合であっても、先ほども申し上げたとおり、何か一部が落ちてくる可能性もありますし、場合によっては空中で爆発する可能性も、上空で爆発する可能性もあるわけでありますので、そういう意味で、その時点で我が国に落下するかどうかの判断は非常に難しいわけであります。

 そのため、その後、我が国に何か落下する可能性がある場合には、住民に注意を喚起し、重ねて避難を呼びかけるということにしているわけでありまして、その落下する可能性が判明した場合には、直ちに避難を呼びかける、繰り返すということになりますので、ある意味では、危険度に応じて、危険性に応じて情報伝達を行うことにしているわけでございます。

 ただ、より正確に、かつ、より迅速に情報提供できるように不断の努力は行ってまいりたいというふうに思います。

後藤(祐)委員 残念ですね、きのう説明に来た方は、これはおもしろいですねと言っていただいたんですけれどもね。わかりやすくありませんか、皆さん、このレベル一、二、三、四。ぜひ御検討いただきたいと思います。

 今回やはり過剰対応になったということを踏まえて、本当に大事なときにきちんとした対応をとっていただくには、オオカミ少年みたいなのが続くと余りよろしくないんです。今回非常に広い範囲でウーが鳴ったわけですよ。ぜひ、地域的なものはなかなか難しいのかもしれませんが、せめて上空と領土、領海は相当意味が違います、御検討いただきたいと思います。

 その上で、では、この上空のリスクってどんなものかといったときに、予定どおり飛ぶ予定が、尺が足りなかったとかいうこともあるのかもしれませんが、実際に何かが落下してくるかもしれないといった場合にどういうリスクがあるんでしょうか。

 今、配付資料の三枚目に、これは消防庁が各都道府県の担当局長宛てに配った資料ですが、これは、おっこってきた場合、実はミサイルの中の燃料にジメチルヒドラジンですとか劇物が入っているんですね。酸化剤も劇物だというふうに言われておりますが。

 その次のページ、四ページを見ますと、確かにこれは、人に対して、吸入により、吐き気を催すというところから、呼吸不全、肺水腫を生じることもあると。人によっては大変な被害になる可能性もあり得る毒物ではありますが、大気圏外から日本に落ちてくるときに、ほとんどこれは燃え尽きてしまうのではありませんか。

 これは本当に、こういった燃料ですとか毒物が黒い雨のように広い範囲で降るとかあるいはブースターの中に残ったまま塊でおっこってきて、おっこったところの近くにいる人が大変な目に遭うとかという可能性というのはそんなにあるんですか。

 これは防衛大臣ですね。防衛大臣、よろしくお願いします。

山口委員長 前田防衛政策局長。(後藤(祐)委員「これは通告しておりますから、防衛大臣にお願いします。これは通告しております」と呼ぶ)

 まず答えて。後でお願いします。(後藤(祐)委員「いや、いいです。時間がないから、局長でいいです」と呼ぶ)

前田政府参考人 御指名ですので、お答えいたします。

 今先生おっしゃったとおり、北朝鮮が保有するスカッド、ノドン、ムスダン、テポドン2といった弾道ミサイルは液体燃料方式、推進方式でございます。この推進方式でございますと、液体燃料と酸化剤というものを用いて推進をさせるわけですが、この液体燃料としては、先生今お触れになりましたが、非対称ジメチルヒドラジンというもの、それから酸化剤といたしましては、IRFNAというこれは抑制赤煙硝酸、NTO、四酸化二窒素、こういったものが使われます。こういった液体燃料、酸化剤、これは人体に有毒でありまして、やけどあるいは呼吸器系統に影響が及ぶおそれもあるというふうに承知をいたしてございます。

 それで、御指摘の、ブースター等が落下をしてくる危険性がどのぐらいあるかということであります。これは、弾道ミサイルの種類、性能にもよります。それから飛翔の高度、速度、あるいはブースターの切り離しのタイミング、その際の衝撃等々、さまざまな条件によって異なってまいりますので、なかなか一概に申し上げることは難しいのではないか、このように考えております。

後藤(祐)委員 そうすると、大気圏外から落ちてきて、燃え尽きないでおっこってくることもあり得るということですか、局長。

前田政府参考人 お答えいたします。

 先ほどお答えしたとおりなのでありますが、例えば高度の問題で申しますと、SM3で迎撃いたします高度は相当高うございます。ですから、こういうところでタンクも破壊をされたということになりますと、その効果が地上に及ぶことというのはかなり可能性としては低いのではないかと思います。ただ、他方で、低い高度で迎撃をした場合になりますと、その確率というのはやや上がってくるという面がございます。

 このように、さっき申しましたが、さまざまな条件によって異なってくることでございますので、一概に申し上げるのはなかなか難しいのではないか、このように考えてございます。

後藤(祐)委員 次に行きます。

 今度は、防衛大臣、これは通告していますからお願いしたいと思いますが、八月十日の閉会中審査で、グアムに向かうミサイル、SM3ブロック2Aが配備された後、これを撃ち落とせるのかということについては、新三要件を満たせば可能だという答弁がございました。

 今回は東に撃ちました。その先には、ハワイあるいは米国の本土があります。このSM3ブロック2Aで届くかどうかという技術論はもちろんありますが、仮に届くミサイルが配備された場合、このハワイないし米国本土に向かっているミサイルを日本は法的に撃ち落とすことができるんでしょうか、防衛大臣。

小野寺国務大臣 繰り返しになりますが、どのような事態認定をするかということによって違ってくるんだと思います。

後藤(祐)委員 そうすると、新三要件を満たして、撃ち落とすことが可能な場合もあり得るということでよろしいでしょうか。

小野寺国務大臣 八月十日のことの発言ということもございましたので、御指摘の点については、私から、後藤委員の質問に対して、個別具体の話は差し控えさせていただきますと述べて、一般的に言えば、平和安全法制のもとで、新たな三要件及び存立危機事態の考え方について説明をさせていただいたということだと思います。

後藤(祐)委員 八月十日の答え方と同じということでよろしいんでしょうか。つまり、新三要件を満たせば、対象となり得る場合もあるということでよろしいんでしょうか。

 先ほどは失礼しました。これは通告がなかったかもしれません。

小野寺国務大臣 平和安全法制のもとでは、弾道ミサイルが米国に向けて発射されたというだけで、武力の行使、新たな三要件を満たすということになるというわけではありませんが、その時点における状況の全体を評価した結果、これが新たな三要件を満たす場合には、あくまでも、我が国の存立を全うし、国民を守るための自衛の措置として、当該弾道ミサイルを迎撃することも可能になったということであります。

後藤(祐)委員 グアムの場合は、アンダーセン基地に北朝鮮に向かって爆撃する飛行機があるわけで、これは日本の抑止力の一部をなしているという説明は非常にわかりやすいと思いますが、ハワイや米国本土でこの説明をするのは大変難しいと思うんですね。

 つまり、これはフルスペックの集団的自衛権の話なのか、あるいは、まさに今回の法律で通っている存立事態という非常に限定された新三要件の場合なのかの差がどこにあるのかという本質的な議論なんです。

 ぜひここは、ハワイ、米本土、ここに向かうミサイルが新三要件を満たすことがあり得るのか、あり得ないのか、今度はじっくり考えていただいた上でも結構ですので、お答えをいただきたいと思います。

 ちょっと時間がないので次に行きますが、きょう佐藤副大臣にお越しいただいていますけれども、今のように、新三要件を満たして、日本がアメリカを守るという事態が、可能性が出てきているわけです、今後。その場合には、地位協定の見直しを求めるべきではありませんか。

 八月十日の閉会中審査で、江崎大臣の発言、これはむしろ正しいんじゃないかということは御指摘をさせていただきました。

 つまり、日本は戦後、安保条約と地位協定によって、日本はアメリカを守れない、アメリカは日本を守ることになっている。ですから、日本はアメリカに、どこに基地を置いてもいいですよというのが基本的な日米関係だったと思いますが、今後、日本がアメリカを守るということが現実化していく中で、日本のどこに基地を置いてもいいですよというのは、これは今こそ見直すタイミングじゃありませんか。

 特に、北方領土を考えてください。去年十二月にプーチン大統領が日本に来ましたけれども、その前の十一月に谷内局長がロシアに行ったとき、日本に北方領土を返したら、そこに米軍基地を置かれるでしょう、イエスとは言えませんよということで断られたと聞いています。実際どうだったかはわかりません。

 少なくとも、北方領土が返ってきたときに、そこに米軍基地は置かないという約束ぐらいアメリカからいただけないかというような交渉をアメリカにしていくぐらい、少し前進をさせるべきじゃありませんか。今度ロシアに行くんですよね、九月には。この確約があれば、北方領土が前に進む可能性があるじゃないですか。

 これは間違いなく通告しています。副大臣、御見解をいただきたいと思います。

佐藤副大臣 日米地位協定につきましては、さまざまな御意見があるということは承知をしております。

 これまでも、手当てすべき事項の性格に応じて効果的かつ機敏に対応できる最も適切な取り組みを通じて、一つ一つ具体的に問題に対応してきているというふうに思います。そういう文脈の中で今後とも対応していきたいというふうに思います。

 ロシアとの北方領土返還に当たっての問題の御指摘でございますけれども、御案内のとおり、平和条約締結の問題につきましても、安倍総理とプーチン大統領との間も含めて、日ロ間で率直に対話を重ねてきており、七月、日ロ首脳会談においても、昨年十二月の首脳会談の合意事項の具体的な進展を今確認しているというところで、今、粘り強い交渉を今後とも続けていくというラインには変わりはありません。

 その上で、我が国における米軍基地について申し上げれば、我が国は、日米安保条約第六条におきまして、米国に、我が国の安全及び極東の平和と安全の維持に寄与するために、我が国の施設・区域を使用することを認めており、我が国は同条約を誠実に履行する義務を負っているというのも御案内のとおりでございます。

 そういうことで、いろいろな観点を踏まえながら、今後ともロシアとの交渉というものは真摯に対応していきたいというふうに思っております。

後藤(祐)委員 最後の表現に少しの可能性があるのかどうか微妙なところですが、この安保条約六条の問題をクリアしないと北方領土は返ってこないと思いますよ。

 このアメリカを守る、集団的自衛権の行使をしてアメリカを守るという歴史的に次の段階に至るところで、アメリカに少し物を言っていただかなければ、永久に返ってこないじゃないですか、北方領土。それが理由なんだとすれば。

 これは歴史的な転換点にあるんだと思うんです。ぜひこれは、なかなか表に言いにくい話だと思いますし、アメリカとの関係はそう簡単でないのはよく理解しておりますが、長い歴史の中でこのタイミングしかないと私は思いますので、御検討いただきたいというふうに思いますが。

 最後に、そう考えますと、この前初めて2プラス2で、新大臣が行われたわけですけれども、この中で、地位協定については、補足協定を歓迎し、これらの着実な実施の重要性を強調と、何か歓迎しちゃっているんですね。これはちょっと折れ過ぎじゃないですか。もう少し、やはり、地位協定は見直すべきだ、だけれども、なかなか難しい問題があるというようなスタンスに変えるべきだと思いますが、いかがですか。

佐藤副大臣 さきの2プラス2の共同声明において、地位協定についても言及しているというところがございますけれども、今後とも、先ほど申しましたとおり、一つ一つの問題について、具体的な対応、機敏に対応していきたいという流れは維持をしていきたいと思います。

 そういう中で、環境補足協定とか、あるいは、それ以外の軍属に関する補足協定等もいろいろございます。いろいろな面で真剣に対応していくという方向で頑張っていきたいと思います。

後藤(祐)委員 終わります。ありがとうございました。

山口委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 きょうは、下地議員にかわりまして委員会に入らせていただいています。よろしくお願いします。

 防衛省初め関係府省の皆様には、本当に大変な対応の中で国会対応をいただいていますこと、まず冒頭、感謝を申し上げたいと思います。

 本当に不眠不休で対応いただいた部分があるかと思いますが、国会は、国民の知る権利、国民の皆様にしっかりと事態を御理解いただくために絶対必要ですが、その前提は、小野寺大臣初め政府がしっかり国民の生命と財産を守っていただく、これが大前提でありますので、北朝鮮への対応を優先するのも変ですが、両方しっかりやっていただきたいと思います。

 さて、先ほど後藤委員が八月十日の小野寺大臣の発言をされました。これは質問しません。質問しませんが、存立危機事態云々という話があります。私は、本当に平和安全法制をつくっておいてよかったな、こう思います。もちろん、日本維新の会はこれに反対したんですが、対案を出して、我が党の対案であっても、これは、今回の事態、しっかり対応できたと私は思いますよ。いずれにせよ、廃案が対案だとおっしゃった民進党には、改めて苦言を呈しておきたいと思います。

 さて、きょう、時間がないので、これはもう見なれた図だと思いますが、多層防衛、二重、すなわちイージス艦からのSM3、あるいはPAC3、こういう二重の防衛、この図でいうと、こことここですね。二重防衛をしているということなわけですが、今、国民の皆様の最大の関心は、迎撃できるのかということです。迎撃できるのか。これを、通常国会のときにも相当そういう議論がありましたが、うやむや、少なくとも民進党、共産党の質問に対してはうやむやしてきています。

 これは、迎撃できるかというのは二つあるわけですから、二つに分けてきょうは簡単に、簡潔に討論をさせていただきたいと思うわけですが、まず、大臣、この一層目のイージス艦から撃つSM3、これは撃ち漏らすことがあると私は理解をしていますが、そういう理解でよろしいですか。

前田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、二層防衛をとっておりまして、SM3、イージス艦から発射するミサイルで第一層の防衛をいたします。このミサイルの迎撃の確率というものは、運用者としてはある程度承知をしておるわけでありますけれども、これは非常に手のうちの中身になりますので、基本的にはお答えを差し控えたい、このように思います。

足立委員 いや、手のうちのうちと言うんだけれども、大臣、例えば、同じ八月の十日ですが、衆議院の安全保障委員会で小野寺大臣はこうおっしゃっています。日本における弾道ミサイル防衛システムは、一義的にはイージス艦によるSM3での防衛ということになりますが、万が一それで撃ち落とせない場合は、二段構えとして云々と。これは当たり前ですね、二段構えなんだから。

 万が一それで撃ち落とせない場合はあるということでいいですね。

小野寺国務大臣 私ども、しっかりとした体制で、SM3でまず一義的には弾道ミサイル防衛をするということでありますが、仮に、そこでしっかりとした形で排除したいわけですが、万が一、例えばそこでその破片等が落下した場合には、SM3で対応するということもあります。

 いずれにしても、多層で守るということは、よりその防衛能力が高まるということでありますので、日本としては多層で防衛をするということが基本となっておりますが、ただ、いずれにしても、第一義的にはイージス艦のSM3の対応ということになると思います。

足立委員 私は小野寺大臣に何か問い詰めるほどの、問い詰めるような立場でも何でもありませんし、少なくとも民進党さんのように偉そうに質問するつもりはありませんが、国民は、迎撃できるのかと。国民主権で国民がつくった政府に対して、政府は迎撃できるのかということに関心を持っているわけです。

 繰り返しになりますが、言葉を濁されるのは仕方ありませんが、大臣は少なくとも大臣として、イージス艦によるSM3で万が一撃ち落とせない場合を想定されているわけです。これは答弁ではっきりしています。

 では次に、二層目です。これはPAC3ですね。

 これは佐藤副大臣に伺いたいんですが、佐藤副大臣は、まだ副大臣でいらっしゃらないときに、ことしの五月二十三日、参議院の外交防衛委員会、二層防衛、二層防衛と言うんだけれども現場はそうなっていないんだよ、現場はそういう体制になっていないんだとおっしゃっていますね。PAC3のシステム、今、PAC3には、都市部を中心に三十四基配置をされています、空白地域、空白域があるということはお認めになりますね。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国の弾道ミサイル防衛システムにつきましては、先ほどお話がございましたように、BMD能力を有するイージス艦による上層での迎撃とPAC3での下層での迎撃、これを組み合わせた多層防衛ということになってございます。

 このうち、御指摘のPAC3につきましては、北海道、東北、関東、東海、近畿、九州及び沖縄にPAC3の高射隊が配備されておりまして、これらの部隊を機動的に移動、展開して拠点防護に使用するということとしております。

 このような例えば考え方のもと、防衛省では、今月十二日に、現在の状況を踏まえて一部のPAC3部隊を中国、四国地方に展開させるなど、安全保障環境に即した防衛体制を構築しているということでございます。

 このように、また繰り返しでございますが、イージス艦とPAC3の組み合わせ、これが我が国全域を防護するということとしておりますので、PAC3が配備されていない地域のミサイル防衛に直ちに支障が生じるというふうには考えておらないというところでございます。

足立委員 当時の佐藤正久委員は、国会ではイージス艦とPAC3の二層防衛で守ると言いながらも現場はその体制になっていない、生身の人間なんだからできるわけないんだ、そういう建前を言うな、現場のことをわかったれよとおっしゃっていますね。佐藤副大臣、やはりそれは、お立場を超えてでいいですよ、一人の政治家として御認識を開陳ください。

小野寺国務大臣 委員の御認識は、まず、ミサイル防衛の中で、イージス艦のSM3、そしてまた、展開しました空自のPAC3、その二層防衛になっているけれども、PAC3ではなかなか空白地域があるのではないかという御指摘なんだと思います。

 PAC3は、私ども、機動的に展開し、そして必要なところに展開するということでありますが、さらにこの能力を向上するために、例えば、MSE弾を導入いたしますと、その守備範囲がかなり広がります。また、順次、私ども、PAC2からさまざま能力向上もしてまいりたいと思いますので、できる限り私どもとしてこの能力を拡充して、より一層安全な防衛体制にしていきたい、そのように思っております。

佐藤副大臣 御質問の件でございますけれども、事前に通告がございませんでしたので、今、実際の議事録というものが手元にございません。よって、正確な答弁というのは、するのは非常に難しいという状況にございます。

 ただ、今小野寺大臣が言われましたように、機動的にPAC3というのは運用するという前提のもと、今、その能力向上、MSE弾というものを図りながら、ミサイル防衛の能力向上というのを図っているというふうにも承知しております。

足立委員 いや、だから、委員としての御発言と政府に入られての御発言、やはり丁寧にやっていただかないと、舌をかむと思います。

 私も、日本が迎撃できないということを別に強調したいわけじゃなくて、やはり私は準備不足だと思いますよ。それは誰が悪いかといったら、国会も悪いわけですから、私たちも悪い、それはそう思います。

 しかし、国民から見て、これは普通に考えれば、先ほど申し上げた、八月十日の小野寺大臣の答弁と、それから五月二十三日の佐藤副大臣の質問、この二つを見れば、二層防衛には穴があるということは論理的に、これは論理として、ロジックとして出てきちゃうので、そういうことにならないように万全の備えを改めてお願いをいたしておきたいと思います。

 大臣、お願いします。

小野寺国務大臣 ただいま御指摘がありましたように、基本的にはイージスのSM3で対応しておりますが、多層防衛でより能力を向上するためには、私ども、このPAC3のMSE化というのも大事だと思いますし、また、今、防衛省の中でこのミサイル防衛についての新たなアセットの議論もしております。また、国会の方に予算として提案させていただき、さまざまな議論をいただく中でぜひ御支援を賜れればと思っております。

足立委員 全力で政府の取り組みを御支援申し上げたいと思います。よろしくお願いします。

 さて、最後、もう三、四分しかありませんが、防衛大臣は、先ほど申し上げたときに、万が一撃ち落とせない場合、こうおっしゃいました。

 私の頭は、少なくとも私たち日本維新の会の頭は、万が一第一層を抜けたらじゃないんですよ。まず、万が一弾道ミサイルを撃たれたらのはずでしょう、本当は。大臣、そうですよね。こんなことが、きのうの朝起こったようなことがこれから日常茶飯事に起こるんですか、これは。まずいですよね。

 だから、私たちの認識は、きのうの朝のようなことは万が一にも起こってはならないことだと思っているわけです。その後に実際の迎撃のシステムがあると思うんですね。

 では、その万が一の備えというのは抑止力ですよ、抑止力。きょう、きょうというかきのうか、河野大臣、今、電話会談とかでいらっしゃらないということなので結構ですけれども、河野大臣が、グアムではなくて日本近海というか太平洋に、北海道の上を通っていったことについて、ひるんだという議論があります。別にその言葉尻はどうでもいいですよ。でも、なぜ北朝鮮は、グアムに撃つことはひるんで腰が引けたのに、日本の近海に撃つことはひるまないんですか。わかりますか、言っていること、大臣。わかるよね。

 要は、河野大臣が言っていることはむちゃくちゃだと思いますよ。アメリカが、これをせっかく用意してきたから見せると、これを見てください。これは別に安倍総理が悪いんじゃないですよ。安倍総理が悪いんじゃないんだけれども、トランプ大統領も、韓国の何とかという、名前を忘れましたけれども、大統領も、名前を忘れていませんよ、文さんね、も、こわもてでやっているわけですよ、こわもて。けんかしているわけですよ。だから、ひるんだんですよ。それはそうかもしれない。ひるんだのかもしれない。それは河野大臣の御認識のとおりですよ。

 では、何で日本政府は北朝鮮がひるむようなことを言わないんですか。もちろん、小野寺大臣は、大臣でないときに、敵基地攻撃能力について提言をされました。もうこれは手をかけた方がいいんじゃないですか、早く。

 私は、もと私の党の前代表である橋下徹さんのように、一足飛びに核シェアリングをということは、少なくとも党人として言いませんが、敵基地攻撃能力ぐらい早く手をかけないと、何か建前で、いや、よくわからないけれども検討しています、検討していませんが検討しています、それで大丈夫ですか。

 要は、北朝鮮がひるむようなことをこの委員会で、これを北朝鮮は見ていますよ、佐藤副大臣でも小野寺防衛大臣でもいいですよ、北朝鮮がひるむようなことを一言ぐらい言ってくださいよ。お願いします。

小野寺国務大臣 大切なのは、総合的な能力の向上ということと、そしてまた、外交努力で問題を解決していくこと、この両方が大切だと思っています。

足立委員 質問を終わります。ありがとうございました。

 佐藤副大臣、いいですか。(佐藤副大臣「いいです」と呼ぶ)

 では、以上で終わります。ありがとうございました。

山口委員長 次に、照屋寛徳君。

照屋委員 昨日、北朝鮮が事前通告もなく新型中距離弾道ミサイル一発を発射し、北海道襟裳岬の上空を通過させ、岬の東約千百八十キロメートルの太平洋上へ落下しました。

 北朝鮮が国際社会の強い抗議や警告を無視して挑発的な弾道ミサイル発射を繰り返すことは、断じて容認できません。

 小野寺防衛大臣は、昨日の記者会見で、今回のミサイルは北朝鮮が去る五月十四日に発射した新型中距離弾道ミサイル火星12だった可能性があると指摘していますが、そのように指摘する根拠をお示しください。

小野寺国務大臣 昨日北朝鮮が発射したミサイルにつきまして、その弾種につきましては、私の方から、今回の発射における飛翔距離及び高度、北朝鮮が今回発射した弾道ミサイルを火星十二型と発表していること、北朝鮮が公表した画像によれば、今回発射された弾道ミサイルの形状が五月十四日に発射された弾道ミサイルに類似していることなどを踏まえまして、本年五月十四日に発射された中距離弾道弾ミサイル、北朝鮮によれば火星十二型であったと考えております。

照屋委員 防衛省に尋ねますが、昨日のミサイル発射に関し、小野寺大臣は、日本のレーダーなどにより、ミサイルが飛行中に三つに分離し、三つとも同じ海域に落下したと明らかにしております。防衛省は、ミサイルが三つに分かれた原因について、現時点でどのように分析しているんでしょうか。

前田政府参考人 お答えいたします。

 今回発射されました弾道ミサイルにつきまして、自衛隊の各種レーダー等によって、発射直後から落下するまでの間、その動きを切れ目なく探知、追尾をいたしております。

 その上で、今回発射された弾道ミサイルが三つに分離したということを申し上げましたのは、防衛省のレーダー航跡上はミサイルが三つに分離したと見られる、そういう航跡が確認されたということ、これを事実関係として大臣は申し上げたということでございます。

 一方で、先ほど大臣からも御答弁ありましたけれども、レーダーはその時々の条件によって、本来存在しないものを捉えてしまう可能性もございます。今回発射された弾道ミサイルが実際に三つに分離したか否か、こういった飛翔状況の詳細につきましては、これは引き続きさまざまな情報を勘案して総合的に分析をし結論を得る必要がある、このように考えてございます。

照屋委員 防衛大臣にお伺いいたします。

 一分一秒の判断が求められる今回の北朝鮮によるミサイル発射に対し、防衛省・自衛隊が自衛隊法に基づく破壊措置を実施せず、ミサイル防衛システムを発動しないことを決めたのは、ミサイルが飛翔していた約十四分間のうちのどの時点でしょうか。また、迎撃しないとの判断をじかに下したのは誰でしょうか。大臣に尋ねます。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 北朝鮮から我が国に弾道ミサイルが飛来した場合、発射から迎撃までわずかな時間しかございませんので、弾道ミサイルの発射が武力攻撃に当たるか、または事故、または誤射なのか、極めて短時間のうちに判断をすることは困難です。

 こうしたことから、武力攻撃に当たると認められないものの、弾道ミサイルが日本に飛来するおそれがあり、その落下による我が国領域における人命または財産に対する被害を防止するため必要があると認められるときは、自衛隊法八十二条の三に基づきまして、防衛大臣は、内閣総理大臣の承認を得て、自衛隊の部隊に対して上空で弾道ミサイルの破壊を命ずることができると規定しております。

 現状におきましてこうした命令が発出されているのか否かということにおきましては、るる御説明申し上げているとおり、我が方の手のうちを明かすということになるということから差し控えさせていただきますが、一般論として申し上げれば、こうした破壊措置命令が下令されまして、飛翔中の弾道ミサイルが我が国に飛翔することが確認された場合には、防衛大臣の命令を受けた自衛隊の部隊の長が弾道ミサイル破壊措置の実施を判断することになります。

 以上でございます。

照屋委員 外務大臣にお尋ねいたします。

 社民党は、去る七月二十九日と八月二十九日に、北朝鮮による弾道ミサイル発射に抗議する幹事長談話を発出いたしました。その中で、北朝鮮に対し、国連安保理決議を遵守し挑発行動の自制を求めるとともに、制裁強化や危機をあおるだけでなく、平和的な方法による検証可能な朝鮮半島の非核化実現のために、二〇〇五年の六カ国共同声明に立ち戻ること及び二〇〇二年の日朝平壌宣言の精神に立ち返ることを強くアピールしております。

 外務大臣は、六カ国共同声明の合意を前進させるために六カ国協議の再開に全力を挙げるべきだと考えますが、河野大臣の決意を伺います。

河野国務大臣 おっしゃりますように、検証かつ不可逆的な朝鮮半島の非核化の実現というのが究極の目的であるということは、そのとおりでございます。

 関係各国が集まる六者会合、六カ国協議が有効な枠組みであるというふうに思っておりますが、二〇〇五年あるいは二〇〇七年の六者会合の合意というのは北朝鮮によってほごにされたわけでございます。結果として、核あるいはミサイルを開発する時間を北朝鮮に与えたということになりました。

 我々といたしましては、北朝鮮が非核化に向けて明白な意思を示し、そのために具体的な行動をとるということが六カ国協議を初めとする対話再開の条件だというふうに考えております。

 そのためには、安保理決議を完全に履行する、あるいは、必要ならば、さらに、北朝鮮が海外に送り出した労働者の数を削減するなりさまざまな必要な経済的な圧力を加えることによって、北朝鮮の核及びミサイルの開発資金源を断ち、北朝鮮が非核化に向けて意思を示すということを望んでいるわけでございまして、諸外国としっかりと連携をしてそれを目指してまいりたいというふうに思っております。

照屋委員 終わります。

     ――――◇―――――

山口委員長 この際、寺田稔君外六名から、自由民主党・無所属の会、民進党・無所属クラブ、公明党、日本共産党、日本維新の会及び社会民主党・市民連合の六派共同提案による北朝鮮による弾道ミサイル発射に抗議する決議を行うべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。寺田稔君。

寺田(稔)委員 ただいま議題となりました決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読でもって趣旨の説明にかえさせていただきます。

    北朝鮮による弾道ミサイル発射に抗議する決議(案)

  八月二十九日、北朝鮮は弾道ミサイル一発を発射し、同ミサイルは北海道の上空を通過し、襟裳岬の東約千百八十キロメートルの太平洋上に落下した。今回のミサイルの発射は、これまでにない深刻かつ重大な脅威であり、本年八月に国連安全保障理事会において全会一致で採択された安保理決議第二三七一号を始めとする累次の安保理決議や日朝平壌宣言に違反するとともに、六者会合共同声明の趣旨にも反するものである。我が国の平和と安全を脅かすものであり、断じて容認できない。北朝鮮は、昨年一月以降、核実験を二度にわたり実施し、また、三十発以上の弾道ミサイルを発射するなど、国際社会の強い抗議、警告を無視して、挑発行動を続けている。こうした北朝鮮による挑発行動は、地域及び国際社会全体の平和と安全を脅かすものであり、断固として非難する。国際社会は、結束した外交努力を展開し、平和的な解決を模索すべきである。

  政府は、地域の安全保障環境が厳しくなる中、日米、日米韓の協力を更に進め、同時に国民の生命と財産を守るべく、万全な警戒体制を維持し、緊張感を持って我が国の平和と安全の確保に遺漏なきを期すべきである。また、北朝鮮に挑発行動を自制させるとともに、安保理決議等を遵守するよう促していくため、安保理決議の厳格かつ全面的な履行を国際社会に強く働きかけるべきである。併せて、北朝鮮から非核化に向けた真剣な意思と具体的行動を引き出すため、国際社会が一致団結して北朝鮮に対する一層厳格な措置を求めるとともに我が国独自の対北朝鮮措置の徹底及び強化を図るべきである。

  その上で、米国や韓国を始め国際社会と緊密に連携し、中国やロシアにも更なる役割を求めながら、北朝鮮に対する圧力を強化し、北朝鮮に対して我が国の最重要課題である拉致問題の早期解決をはじめ諸懸案の包括的な解決に向けた具体的な行動を強く求めることに政府の総力を挙げ、もって国民の負託に応えるべきである。

  右決議する。

以上でございます。

 何とぞ委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。

山口委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

山口委員長 起立総員。よって、本件は本委員会の決議とするに決しました。

 この際、ただいまの決議につきまして防衛大臣から発言を求められておりますので、これを許します。小野寺防衛大臣。

小野寺国務大臣 ただいまの御決議に対しまして、所信を申し上げます。

 北朝鮮が国際社会によるたび重なる警告を無視して挑発行動を繰り返す中、今回発射された弾道ミサイルは、我が国の上空を通過したと見られ、我が国の安全保障にとってこれまでにない深刻かつ重大な脅威であるとともに、地域及び国際社会の平和と安全をさらに脅かすものです。また、航空機や船舶の安全確保の観点からも極めて問題のある危険な行為であるとともに、安保理決議等への明白な違反であります。

 我が国としては、このような繰り返される北朝鮮による度を越した挑発行動を断じて容認できません。

 防衛省・自衛隊は、今回の事案に際し、ミサイルの動きを切れ目なく探知、追尾し、国民の生命を守るために万全の体制で対応したところですが、今後、北朝鮮がさらなる挑発行動に出る可能性も考えられることから、引き続き、米国や韓国と緊密に連携しながら、必要な情報の収集、分析及び警戒監視に全力を挙げてまいります。

 本委員会の御決議の趣旨を踏まえ、我が国の平和と安全の確保、国民の安全、安心の確保に万全を期してまいります。

山口委員長 お諮りいたします。

 ただいまの決議の議長に対する報告及び関係当局への参考送付の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 本日は、これにて散会いたします。

    午後二時三十二分散会


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