衆議院

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第3号 平成29年12月5日(火曜日)

会議録本文へ
平成二十九年十二月五日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 寺田  稔君

   理事 大岡 敏孝君 理事 門山 宏哲君

   理事 武田 良太君 理事 宮澤 博行君

   理事 若宮 健嗣君 理事 本多 平直君

   理事 渡辺  周君 理事 浜地 雅一君

      江渡 聡徳君    小田原 潔君

      大西 宏幸君    大野敬太郎君

      北村 誠吾君    熊田 裕通君

      高村 正大君    中谷  元君

      中谷 真一君    浜田 靖一君

      福田 達夫君    星野 剛士君

      和田 義明君    宮川  伸君

      村上 史好君    井上 一徳君

      古本伸一郎君  もとむら賢太郎君

      佐藤 茂樹君    広田  一君

      赤嶺 政賢君    下地 幹郎君

      照屋 寛徳君

    …………………………………

   防衛大臣         小野寺五典君

   内閣官房副長官      西村 康稔君

   防衛副大臣       山本ともひろ君

   防衛大臣政務官      大野敬太郎君

   防衛大臣政務官      福田 達夫君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  横田 真二君

   政府参考人

   (人事院事務総局給与局次長)           嶋田 博子君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 小田部耕治君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 長谷川 豊君

   政府参考人

   (海上保安庁警備救難部長)            奥島 高弘君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房衛生監) 田原 克志君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  前田  哲君

   政府参考人

   (防衛省整備計画局長)  西田 安範君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  武田 博史君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  深山 延暁君

   政府参考人

   (防衛省統合幕僚監部総括官)           鈴木 敦夫君

   安全保障委員会専門員   林山 泰彦君

    ―――――――――――――

委員の異動

十二月五日

 辞任         補欠選任

  熊田 裕通君     星野 剛士君

  古本伸一郎君     もとむら賢太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  星野 剛士君     熊田 裕通君

  もとむら賢太郎君   古本伸一郎君

    ―――――――――――――

十二月四日

 沖縄・高江でのヘリパッド工事中止を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第三七三号)

 戦争法の廃止を求めることに関する請願(塩川鉄也君紹介)(第四〇二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 防衛省の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第九号)


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     ――――◇―――――

寺田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、防衛省の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りをいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官横田真二君、人事院事務総局給与局次長嶋田博子君、警察庁長官官房審議官小田部耕治君、警察庁長官官房審議官長谷川豊君、防衛省大臣官房衛生監田原克志君、防衛省防衛政策局長前田哲君、防衛省整備計画局長西田安範君、防衛省人事教育局長武田博史君、防衛省地方協力局長深山延暁君、防衛省統合幕僚監部総括官鈴木敦夫君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

寺田委員長 異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

寺田委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大西宏幸君。

大西(宏)委員 どうも皆さんおはようございます。自由民主党・無所属の会、大西宏幸でございます。

 質疑の機会を賜りまして、本当にありがとうございます。

 まず冒頭に、一つだけ苦言を言わせていただきたいと思っております。

 またミリ飯で自衛官が捕まるということになりました。ミリタリー飯を横流しで、それで利を得ようとしている隊員がいるということ、また、綱紀粛正、大臣、どうぞよろしくお願い申し上げます。きのうの夜のニュースで上がっておりましたので、そのことを一言申し上げたいと思います。

 まず冒頭、質問に入らせていただきますけれども、別の委員会なんですけれども、私は警察官についてお聞きしたことがございます。自衛隊の任務中に、訓練中、事故等により殉職された隊員の人数を、警察官、質問したんですけれども、そのときにも自衛隊のくだんについてもお聞きしたんですけれども、改めて、隊員の人数をお教えいただきますようにお願いします。

武田政府参考人 お答えいたします。

 不幸にして公務に起因して亡くなられた自衛隊員のうち、平成二十九年三月末までの認定者は、平成二十六年度が十六名、平成二十七年度が三名、平成二十八年度が十七名でございます。

大西(宏)委員 二十六―二十八年と三年間お答えをいただきましたけれども、命を賭して国を守る高い意思を持って自衛隊員になられ、惜しくも殉職された隊員とその家族の皆様に、心から哀悼の意をささげる次第でございます。

 同時に、そうした厳しい状況で任務に当たる自衛隊員を含む防衛省職員の給与問題、そして処遇の問題でございますけれども、私自身も地元で、自衛隊員の、大阪地方協力本部で長年、大体十五年ほどなんですけれども、募集相談員を務めさせていただいています。こういうくだんについては、身近な問題といたしまして改めて質問をさせていただく次第です。

 さて、今回の改正は、民間給与との較差を埋めるための改正ということでございますけれども、皆様御存じと思うんですけれども、自衛隊員というのは、普通の仕事の枠組みにはとらわれない中になっております。若年定年制もありますし、勤務の特殊性というのは以前から私も指摘しているところでございますけれども、それに見合った防衛省独自の給与体系が絶対必要だと私自身は思っております。

 現状では、その特殊性を手当などで補っているということでございますけれども、昨今では、平和安全法制の整備などによって自衛隊員の任務が多くふえてきております。

 これらを踏まえて、防衛省では、現在、適切な給与、手当となっているかどうかというのを、これは小野寺大臣、どう考えていらっしゃいますでしょうか、お願いします。

小野寺国務大臣 大西委員には、日ごろ防衛省・自衛隊の活動について深く御理解また御支援いただきまして、感謝を申し上げます。

 また、冒頭ありました隊員の綱紀の粛正については、これからもしっかり取り組んでまいりたいと思います。

 自衛官は我が国の防衛という崇高な任務に従事しており、自衛官としてふさわしい処遇を確保していくことが重要であると私も認識をしております。

 自衛官の俸給については、昭和二十五年の警察予備隊発足当時から、職務の類似する一般職の警察官の俸給を基礎に、勤務体系の特殊性を考慮した俸給としております。

 手当については、一般職の職員と同様に支給される扶養手当などのほか、特殊な任務に従事する自衛官については、その特殊性を考慮した手当、航空手当、乗組手当等のいわゆる配置手当や、災害派遣等手当、海上警備等手当等の特殊勤務手当等を支給することとしております。

 このように、防衛省の給与体系、給与制度は、基本的には一般職公務員の給与制度に準じつつ、職務の特殊性があるものについては防衛省独自の手当制度を設けることで、信頼性、公平性を確保してきたところです。

 また、平和安全法制の施行により自衛隊の任務が拡充されたことを踏まえ、毎年度の予算において、自衛隊の職務の危険性や困難性などを考慮した手当の改善を図り、所要の制度改正を行っております。

 平成二十八年度においては、重要影響事態、または国際平和共同対処事態に基づいて自衛隊が行う船舶検査活動のうち、船舶に乗船しての検査、確認の業務に従事した職員に対して海上警備等手当を支給するように整備を行ったところです。

 平成二十九年度においては、外国における緊急事態に対して、在外邦人等の警護、その他保護のための措置の業務に従事した職員に対して国際緊急援助等手当を支給するよう整備を行ったところです。

 防衛省・自衛隊としましては、引き続き、自衛隊の活動や部隊等の実情を十分に踏まえながら、自衛官の処遇に関する施策について不断の検討を行い、適切な措置を講じてまいりたいと考えております。

大西(宏)委員 大臣、ありがとうございます。

 災害時に派遣など広く国民から信頼され、国を守る重要な任務に当たっている自衛官の給料が適切になりますよう、引き続き私も注視してまいりたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 さて、今、少子化、高学歴化が進む日本でございますけれども、質の高い職員、隊員を安定的に確保することが大変困難になってきております。先ほどお話ししたとおり、私も募集員になっておりまして長年現場というのを見てきておりますけれども、そこで、やはり女性にさらに活躍していただきたいと思っております。女性が活躍できる社会の仕組みづくりは、安倍内閣の重要な施策でございます。女性自衛官の比率を上げる取り組みについて、改めて小野寺大臣にお聞かせいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

小野寺国務大臣 平成二十六年の十月に決定された政府全体としての取り組み指針を受け、平成二十七年一月に防衛省として、防衛省における女性職員活躍とワークライフバランス推進のための取組計画を策定しております。

 その中では、自衛官採用者に占める女性の割合を一〇%以上とすることとし、現状としては、平成二十七年度には採用者の一〇・九%、平成二十八年度には採用者の一一・五%を女性自衛官が占めており、引き続きこの割合について継続して達成を目指してまいります。

 また、防衛省においては、育児や介護等の時間的制約のある職員を含む全ての職員が十分能力を発揮できるよう、フレックスタイム制や早出遅出出勤制度の整備、テレワークの推進、庁内託児施設の整備、災害派遣の緊急登庁時における子供の一時預かり、庁舎や隊舎における女性用区画の整備などに取り組むとともに、機会均等と適材適所の原則のもと、能力本意の人材登用を行う観点から、女性自衛官の配置制限を全自衛隊において実質的に撤廃したところです。

 防衛省としては、今後とも、以上のような取り組みを実施することにより、女性自衛官を含めたあらゆる隊員が持てる能力を十分発揮できる環境整備を推進してまいります。

大西(宏)委員 大臣、どうもありがとうございます。

 今小野寺大臣がおっしゃっておられます、妊娠、出産、休職から復帰の際の支援ということで、保育施設の整備等々をしていただいているということでございますけれども、これは政府参考人、武田人事教育局長から、詳細についてお聞かせいただけますでしょうか。大臣と同じ答弁になるかどうか、ちょっとわからないんですけれども、お願いいたします。

武田政府参考人 お答えいたします。

 現在、全自衛官に占める割合は約六%でございます。この比率につきまして増加させていくという方針を持っておりまして、ただいま大臣からも申し上げましたけれども、このため、自衛官採用者に占める女性の割合を一〇%以上とするということを、私ども防衛省の取り組み計画において明記をしておるところでございます。

 女性の活躍においては、先ほど大臣からも申し上げたとおり、フレックスタイム制、早出遅出勤務制度、テレワーク、庁内託児施設、この庁内託児施設については、現在、全国で八カ所整備をしておるところでございます。また、災害派遣や緊急登庁時における子供の一時預かりや、庁舎や隊舎における女性用区画の整備、これも施設整備の一環として推進をさせていただいているところでございます。

 いずれにいたしましても、女性自衛官を含めたあらゆる隊員が持てる能力を十分に発揮できる環境整備を引き続き推進してまいりたい、このように考えております。

大西(宏)委員 どうもありがとうございます。

 男性女性問わず、やはり、産休、育休を取得しやすいような状況と、自衛隊員として復帰して活躍できる整備環境を私も応援してまいりたいと思います。

 続きまして、予備自衛官制度につきましてお聞かせいただきたいと思います。

 自衛官の募集が年々やはり難しくなってきているんですよね。予備自衛官の重要性がますます増してきておる状況の中で、防衛省では、予備自衛官、予備自衛官の中では、即応自衛官と予備自衛官、予備自衛官補というこの三つがあるわけでございますけれども、必要数を設定されておられると思うんですけれども、設定数はどれぐらいか、それと充足率ですね、どう考えていらっしゃるでしょうか。

武田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、我が国の予備自衛官制度につきましては、即応予備自衛官、予備自衛官及び予備自衛官補の三つの制度から成り立っているところでございます。

 有事の際に第一線部隊の要員として現職自衛官とともに任務につくことを想定している陸上自衛隊の即応予備自衛官の員数につきましては、八千七十五名としております。また、有事の際における継戦能力の確保の観点から、後方任務等につくことを想定している予備自衛官の員数につきましては、四万七千九百人としております。さらに、予備自衛官の勢力の安定的な確保などの観点から、教育訓練を受け、教育終了後に予備自衛官に任用される予備自衛官補につきましては、四千六百二十一人としております。

 平成二十八年度末の充足状況について申し上げますと、即応予備自衛官は、先ほど申し上げた員数八千七十五人に対し現員が四千四百二人、充足率は五四・五%、予備自衛官は、員数四万七千九百人に対し現員が三万三千百四十二人、充足率は六九・二%、予備自衛官補につきましては、員数四千六百二十一人に対し現員が三千百五十一人、充足率が六八・二%となっているところでございます。

大西(宏)委員 かつては三つとも九割近い充足率であったという話を聞いているんですけれども、即応自衛官で五四・五%、そして予備自衛官で六九・二%、そして補の方で六八・二七%ということで、充足率は大変下がってきております。

 次に、そのことを観点にちょっとお聞かせいただきたいと思うんですけれども、自衛隊では、訓練や任務のためにいろいろな資格を現在取っていただいているわけでございますけれども、大型車の運転免許、あと危険物取り扱い、わかりやすいところでは、医師ですね、医官の医師免許、パイロットのこともありますけれども、例えば、医師やパイロットの資格を取りながら退職する隊員の勤続年数や年齢の平均というのが出ていると思うんですけれども、お聞かせいただけますでしょうか。

武田政府参考人 お答えいたします。

 平成二十六年度から平成二十八年度までの過去三年間に中途退職したパイロットにつきましては、勤続年数の平均が約十九年、退職時の年齢の平均が約三十八歳でございます。

 また、同様に、平成二十六年度から平成二十八年度までの過去三年間に中途退職した医者につきましては、勤続年数の平均が約十五年、退職時の年齢の平均が約四十歳となっております。

大西(宏)委員 そういうことでございますので、さらに、この状況の中で、やはり予備自衛官補の応募状況等々も考慮していかなきゃいけないということも、これは指摘をさせていただきます。

 私が申し上げたいのは、自衛隊の訓練また任務のために少なからず国の費用を出しているわけでございますので、資格を取得して、そして退職後もその資格をやはり国のために貢献してほしいという気持ちがあるんですよね。予備自衛官、即応予備自衛官にやはり多く採用していただきたいと考えておる次第です。

 私も含め、大阪には大阪防衛協会というのがあるわけでございますけれども、これは全国にございます。自衛隊員の退職後の再就職の支援などを積極的に行っておるわけでございますけれども、自衛隊員は、若年退職制度などがありまして、一般の公務員や会社員と違って、やはり退職後のことを心配しなければなりません。任務に全力で当たっていただけるように必要な措置を講ずることを考えていかなければならないということでございます。

 そこで、即応予備自衛官の場合、勤続年数に応じた勤続報奨金や雇用企業給付金を初め、雇用企業を優遇する制度というのがあるということなんですけれども、これを予備自衛官にまで拡充すべきではないかなと私自身は思っておりますけれども、小野寺大臣、どう思っておられますでしょうか。

小野寺国務大臣 即応予備自衛官は、第一線の部隊の一員として現職自衛官とともに任務につくことから、年間三十日の訓練が義務づけられており、即応予備自衛官が安んじて出頭できる環境を整えるため、雇用企業給付金や勤続報奨金を支給しております。

 他方、東日本大震災及び平成二十八年熊本地震においては、予備自衛官及び即応予備自衛官が招集され、災害救援活動に従事したところです。災害救援活動中には予備自衛官等が本業を離れざるを得ず、その間の雇用企業に対する支援の必要性が明らかになったところです。

 このため、平成三十年度概算要求において、予備自衛官等が本業を離れ災害救援活動等に従事する場合などにおいて、予備自衛官等の職務に対する理解と協力の確保を図るための給付金の創設を要求しています。雇用主の理解と協力を得るとの必要性は即応予備自衛官も予備自衛官も変わりないことから、この給付金は即応予備自衛官のみならず予備自衛官にも支給すべく、現在検討作業を進めています。

 防衛省としては、こうした給付金の創設に取り組みつつ、予備自衛官等の制度の強化を図ってまいりたいと思っています。

大西(宏)委員 ありがとうございます。

 小野寺大臣もおっしゃいましたとおり、熊本震災のときも予備自衛官、多くの方が職場を離れて従事をされました。大変この被災地の皆さんも助かったというお声も聞いておりまして、やはり、即応自衛官であれ予備自衛官であれ、働いておられる会社に理解を示していただかなきゃならないということで、国の方も、そして民間側も協力しながら、国を守る組織としての拡大、そして中身の濃さを考えていかなきゃならないと思っております。

 日本は自然災害の多い国でございます。また、安全保障環境も日々激変をしておりまして、自衛隊の果たす役割の大きさを再確認し、それに見合った給与等処遇環境の改善のために、引き続き小野寺防衛大臣の御尽力をお願いする次第でございます。

 それでは、私の質問を終わらせていただきます。以上でございます。ありがとうございます。

寺田委員長 次に、佐藤茂樹君。

佐藤(茂)委員 きょうは、このように法案審議に対しまして質問の機会をいただきまして、大変にありがとうございます。

 防衛省の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案、この法律案は、一般職の国家公務員の例に準じて防衛省職員の俸給月額等を改定するものでありまして、我が党としては、本法律案には賛成でございます。

 その上で、防衛省・自衛隊がその防衛力を最大限に機能させるためには、それを下支えする人的基盤をより充実強化させることが何よりも大事だ、そういう観点から、防衛省の人事教育に関する施策について何点か、きょうは資料を用意させていただきました、七枚ぐらいまとめさせていただいたんですけれども、その資料も使いながら質問をさせていただきたいと思うわけでございます。

 我が国では、毎年の内閣府調査でも防衛省・自衛隊に対する国民の期待が高まる一方で、社会の少子化や高学歴化が進みまして、また、近年の好調な景気、雇用状況などによりまして、自衛官の募集環境というのは年々厳しくなっているわけでございます。

 まず、その自衛官の募集、さらに採用状況を示した資料一をごらんいただきたいと思うんですけれども、防衛省からいただいた、この十年間の募集人数、応募者人数、採用人数をもとに、表とグラフにしたものでございます。

 特に応募者数は、平成二十年に八万二千八百四十五人と厳しかった人数が、平成二十一年度には十万台に上がりまして、十万三千八百二十九人と回復しまして、平成二十六年までは十万人台の応募者数だったんですけれども、この平成二十七年、二十八年度と十万人台を割り込みまして、平成二十八年度は九万二千百二十九人と減少傾向にあるわけでございます。

 言うまでもなく、自衛官は、個人の自由意思に基づく志願制度のもと採用されます。募集対象者などに対しまして、自衛隊の任務や役割、職務の内容、勤務条件を丁寧に説明して、確固とした入隊意思を持つ優秀な人材を募る必要があるわけでございます。

 中長期的な視点に立ったときに、どの分野も少子化の影響を受けまして人材不足になることは、もう間違いないんですね。こういう募集対象人口が減少していく中で、優秀な人材を安定的に確保していくためにはさらなる対策が必要ではないか、私はそういうふうに考えるんですね。

 夏の時点での来年度の概算要求の内容を見ましたときに、この募集職務の充実強化の具体策として、新たに、隊員自主募集用アプリの開発を初め、募集広報用動画の作成、さらには、求める人材の属性にターゲットを当てた合同企業説明会への参加を挙げて要求されているんですけれども、それは承知しているんですが、このあたりで、これからの時代の趨勢というものもしっかりと見据えて、自衛隊に優秀な人材を確保するための対策を検討する、そういう会議なり体制をしっかりと立ち上げて、そこには、ぜひ採用されて間もない若手の自衛官にも参加していただいて、応募する側の立場に立った、自衛官の募集状況の改善につながるような、そういう人材確保策をしっかりと検討されてはどうかと考えるんですが、優秀な人材を確保するさらなる対策について、防衛大臣の見解を伺いたいと思います。

小野寺国務大臣 自衛隊の精強性を保つためにさまざまな御助言を日ごろよりありがとうございます。

 少子化、高学歴化に加え、近年、有効求人倍率が大幅に改善し、労働市場が人手不足となっている影響を受け、応募者数が減少するなど、自衛官等の募集環境は厳しさを増しております。

 防衛省としては、平成二十五年、防衛大臣政務官を委員長として、国防を担う優秀な人材を確保するための検討委員会を設置しておりまして、昨日も、大野政務官を中心にこの会が開かれました。人事施策を取り巻く厳しい状況及び今後の検討課題等について議論をしております。

 自衛官等の募集に当たっては、これまでも入隊者に対して自衛隊の志望動機などに関するアンケートなどを実施しており、委員御指摘のような、応募者の視点に立った施策に反映するよう努めておりますが、募集対象者である若者からの率直な意見は大変重要であります。これからの会議におきましては、その意見にも耳を傾ける姿勢を持つ重要な視点を私どもとしてとっていきたい、そのように思っております。

 委員の御指摘も踏まえ、優秀な人材の安定的な確保に努めてまいりたいと思っております。

佐藤(茂)委員 ぜひ、大野大臣政務官を中心とした会議、できるだけ外に見せていくということも大事なので、中間報告等も随時発信していただきたいなと思うんです。

 大野大臣政務官のお父さんとは一緒に長年仕事をさせていただいたこともございまして、その優秀な御子息が大臣政務官として頑張っておられるので、中長期的にやはり力を入れておかないと、全く分野は違うといえども、警察や消防に行く、そういう若手の有為な人材と、そして防衛省・自衛隊に来る人材と、地方ではやはり重なってくるところがあるんですね。そんな中で、やはりいかに防衛省に有為な人材に自衛官として入っていただくか、こういうことについては、ぜひしっかりと対策を打っていただきたいなというふうに思います。

 資料二枚目をごらんいただきたいと思うんですけれども、これは、防衛省からいただいた数字をもとに、直近十年の自衛官の充足率を、実員、現員それぞれの比率をグラフにしたものでございます。全体として九〇%台前半。現員というのは、これは防衛省が出している防衛白書、あるいはまた別の資料の防衛ハンドブックなんかを土台にして出した数字ですが、現員で見ますと、平成二十八年度というのは、がたっと落ちておる部分があるんですね。充足率を見ていただきたい、折れ線グラフの方が。実員です。防衛省はこっちを採用されているんですけれども、現員というのはその下の実線の方なんですが、平成二十八年度では九〇・八〇%。

 さらに資料三、三枚目を見ていただきたいんですけれども、これも同じように防衛省からいただいた各階級ごとの定員、現員、充足率の直近十年の資料をもとにグラフにしたものです。

 自衛官の最前線、第一線で頑張っておられる曹と士の充足率を見ていただきますと、特に、若年層に当たる士の区分の充足率が八〇%をずっと切っておりまして、さらに、平成二十八年度では六九・五%と七〇%を切っている状況でございます。

 第一線の部隊の現場の体制を考えましたときに、若年層に当たる士の充足率が七割を切っている現状の改善を図っていく必要が私はあると考えております。

 自衛隊の充足率の向上については、防衛省としても、防衛大綱及び中期防に基づいて継続的に取り組んでおられることは承知しているんですけれども、我が国を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す中で、自衛隊の体制強化の観点から自衛官の充足率の向上は大変重要でありまして、特に、この七〇%を切っている若年層に当たる士の区分の充足率の向上を図っていくことを、ぜひ、次の中期防の策定の検討ももう始めておられるというように聞いておりますので、しっかりと議論して、改善策を具体的に進めていただきたいと思うんですが、自衛官等の充足率の向上、及び士の区分の充足率の向上についての、防衛省としての施策の見解を伺いたいと思います。

武田政府参考人 お答えいたします。

 平成二十八年度末における自衛官の定員に対する現員の充足率につきましては九〇・八%でございます。その内訳につきましては、ただいま委員がお示しいただきました、幹部が九三・二%、准尉が九三・八%、曹が九八・五%、士が六九・五%でございます。

 防衛省におきましては、装備品が高度化、複雑化し、任務が多様化、国際化する中で、部隊の精強性を確保するため、高度な専門性を有し人員の養成に時間を要する幹部、准曹の高充足を優先的に追求してきているところでございまして、その結果、幹部、准曹に比べ士の充足率が低くなっているという事情にございます。

 防衛省といたしましては、各部隊の特性を踏まえた階級構成や、幹部、准曹、士を適切な形で確保、育成することが重要であると考えておりまして、本件につきましては、自衛隊の精強性等にかかわる重要な課題であると認識しております。

 今後、精強性を確保できるよう、採用を含め検討を進めさせていただき充足の向上に努めてまいりたい、このように考えております。

佐藤(茂)委員 それで、先ほどの大西委員の質問にも関係してくるんですけれども、これからの時代を考えたときに、女性自衛官活躍ということが一つポイントになってこようかと思います。

 先日久々に、もう何年ぶりかで、委員長が選挙区にされております江田島の海上自衛隊の第一術科学校と幹部候補生学校に二時間半ほど視察に行かせていただきました。朝の朝礼、国旗掲揚から始まって、拝見させていただいたんですけれども、帰りには、売店の店員の方にここにしか売っていないと言われて、兵学校のカレーと同期の桜のマグカップ、これを買って帰ったんですが。

 そのときに、訓練の状況を特に見ておりまして、私、最初に行かせてもらったのはもう二十年ぐらい前で、この肖像画になっておられる方の中にも一緒に行った議員がいらっしゃいますが、そのときに比べて、やはり、第一術科学校また幹部候補生学校ともに、女性の隊員の方が非常にふえたなという印象を受けました。また、女性というのは声が通るので、人数以上に大きく感じさせる部分はあるのかもわかりませんが。

 それで、例えば、各校長の前を通って、最後、朝礼の後は行進して各科別にそれぞれもとに戻っていかれるんですが、大体男性の後に女性が一番最後について行進されるんですね。何でかとお聞きしたときに、やはり歩幅が全然違うと。男性の隊員というのは平均七十五センチぐらいの歩幅で行ける、女性は体格的に七十センチなんだと。女性が入っている科については、全員が配慮して、少し男性も歩幅を考慮しながら、女性だけ大きくおくれないように行進されるとか、いろいろ工夫されているなと。またさらに、海軍兵学校時代からの伝統である、男子は、朝、上半身裸で体操されるんですが、これも女性には強いるわけにいきませんので、さまざまにやはり配慮されているなという感じがしたんですが。

 先ほどありましたように、自衛隊も配置制限が実質なくなってまいりまして、あとは、例えば海上自衛隊であれば潜水艦以外は、陸のあと二部門も含めて三部門ですね、三部門以外は実質開放された。

 そういうことから、やはりこれからは女性がどんどん活躍していただくような、そういう意識改革も自衛隊また防衛省全体としてしていただかなければいけないんじゃないか、そういう問題意識を前から持っておりましたが、本年の四月の十七日に、稲田前防衛大臣時代に、防衛省は、女性自衛官の活躍を推進するための女性自衛官活躍推進イニシアティブというものをまとめて公表されました。

 イニシアチブの中で、時代と環境に適応した魅力ある自衛隊を目指して、例えばこう書いています。「自衛隊は、女性自衛官をこれまで以上に必要としている。」あるいは、「自衛隊において、現時点で必ずしも十分に活用できていない最大の人材源は、募集対象人口の半分を占める女性である。」あるいは、「自衛隊は、女性自衛官が一層活躍できる組織へと変化していく。」と。局所局所でこういうように述べられているわけでございます。

 稲田前防衛大臣から引き継がれた小野寺防衛大臣は、この女性自衛官活躍推進イニシアティブについてきちっと引き継がれていかれるのかどうか、どう評価されているのか、そして、女性自衛官の活躍推進に取り組む意義について防衛大臣としてどのような見解を持っておられるのか、伺いたいと思います。

小野寺国務大臣 平成二十六年十月に決定されました政府全体としての取り組み指針を受けまして、今委員が御指摘のように、二十七年一月に防衛省として、防衛省における女性職員活躍とワークライフバランス推進のための取組計画を策定するなど、計画的に女性職員の拡大に取り組んでまいりました。防衛省としては、女性自衛官の質、量両面でのさらなる拡大を力強く推進していくことが喫緊の課題であると認識をしております。

 稲田前大臣が本年四月に策定した女性自衛官活躍推進イニシアティブは、女性自衛官の活躍推進に向けた人事管理の方針及び具体的な取り組みを取りまとめたものであり、私としても、同イニシアチブは、自衛隊員に対しても一層の意識変革を求め、女性自衛官の活躍推進への歩みを一段と加速することにつなげる意義があるものと考えております。

佐藤(茂)委員 それで、この女性自衛官推進イニシアチブというのは、全体の概要は資料四につけさせていただいております。

 その資料四の中で、ポイントは、具体的に大きくそれまでの取り組み計画よりも踏み込まれたのが、真ん中あたりの四角で囲んでいます、女性自衛官の比率を倍増させるという。その倍増に取り組むとここの概要版の資料には書いていますが、そういうことを宣言して公表されていることであります。しかし、これはなかなか難しいだろうと。難しいというのは、今までの趨勢だけに頼っていたのでは難しい。

 資料五を見ていただきたいと思うんですけれども、女性自衛官の在職者数推移というものをグラフにさせていただきました。

 この十年間を、直近を見ましたときにも、十年前には四・九%だったんですね、在職者に占める比率が。それが、平成二十八年度では六・一%。これは後でちょっとあわせて御答弁いただいたらありがたいと思うんですけれども、もし例えばこの六・一%から倍増されるとしたら、六%ふやさないといけない。これは何で難しいかといったら、十年間で一・二%しか上がってきていないんですよ。六%上げようと思ったらこれから五十年かかるんです、この傾向をそのままの流れでふやしていこうと思ったら。

 ですから、きょう一番お聞きをしたいのは、例えば第四次男女共同参画基本計画なんかも、これは国家公務員とか一般の民間も含めて、大体平成三十二年というものをゴールにされている。さらに、防衛省の、先ほど来答弁にありました防衛省における女性職員活躍とワークライフバランス推進のための取組計画、これは大体平成三十二年を一つの視点にされていたんですが、ただ、女性自衛官だけについては、このときに言われていたのは、二〇三〇年度までに女性割合を九%以上とすることを目標とされるということをこの取り組み計画で言われたんです。この四月のイニシアチブは、さらにそれを、上の数字を示されているんですね、倍増というのは、今言いましたように。

 ですから、もう一度ここの部分については、言われたからには、明確に、どのスタート台に比べて倍増させるのか、それをいつまでにしっかりと達成するのかという具体論にしなければ、単なるスローガンであり宣言で終わってしまうと思うんですね。

 ですから、お聞きしたいのは、女性自衛官の比率を倍増させるというのは、この平成二十九年三月現在の比率である六・一%に比較して倍増させるということなのか、そしていつまでに達成される目標を掲げておられるのか。倍増というのは、今言いましたように、並の努力では達成できません。そのためにどのような取り組みを精力的にされようとしているのか、防衛大臣の見解を伺いたいと思います。

小野寺国務大臣 まず、目標としまして、二〇三〇年に九%の目標を設定しておりますが、今委員がおっしゃった倍増というのは、平成二十八年、ですから六%の倍増ですから、おっしゃるように一二%をこれは目指す、そのような取り組みであります。

 そしてまず、今、採用の比率からいいますと、既に女性自衛官が一一%になっています。この採用をこれからさらにふやしていくということと、それから女性自衛官がやはり途中で退職するということがありますので、それが、どういう形で処遇すれば途中退職がない形でしっかり女性の比率が上がるか。採用のときの比率を高めるということと、それから採用された後に女性職員がしっかり働けるような環境を整備していくこと、その両方相まって、私どもとしては倍増に向けて努力をしていきたいと思っております。

佐藤(茂)委員 ぜひ、今あえて避けられたんですけれども、二〇三〇年なら二〇三〇年でいいと思うんですが、そこまでに達成するとか、そういう明確にしてぜひ臨んでいただきたいなというように思います。

 十年前に三宿に託児所が全国で初めてできましたときに、私も部会長として、当時の女性の浜四津敏子代表代行、さらには今代表をしておられる山口那津男当時政調会長をお連れして託児所に行きまして、具体的に、女性の自衛官、防衛省の職員に集まっていただいて懇談させていただいたんですよ。利用される側、また、その託児所だけじゃなくて、女性の隊員から見て今の自衛隊や防衛省に要望されるようなことも直接聞かせていただいたんですけれども、ぜひ小野寺大臣も、今お忙しい激務のさなかですが、女性の自衛官やあるいは女性の職員の皆さんとも懇談をしていただいて、女性が活躍できるような、そういう防衛省・自衛隊に改善していただくことを心からお祈りいたしまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

寺田委員長 次に、村上史好君。

村上(史)委員 おはようございます。立憲民主党の村上史好でございます。

 きょうは、ただいま上程をされております給与法の改正案について、賛成の立場から質問をさせていただきたいと思います。ただ、自衛隊にはさまざまな組織的な課題等がございますので、その点についてきょうは中心に質問をさせていただき、そして最後に、北朝鮮情勢を含んで、情報の提供のあり方について質問をさせていただきたいと思います。

 それでは、繰り返し質疑や質問が出ておりますけれども、自衛隊員の充足の問題について質問をさせていただきたいと思います。

 今までの質疑でも、繰り返しになりますけれども、慢性的な自衛隊の隊員の不足というものが続いております。また、予備自衛官また即応予備自衛官の充足率についても、なかなか率が上がっていかない、成果が上がっていかないという状況でございますけれども、トータルでどのような対策を打ってこられたのか、また、これからどのような対策を打って充足率を上げようとされているのか、お尋ねをしたいと思います。

西田政府参考人 お答えを申し上げます。

 自衛官の充足率についてのお尋ねでございます。

 自衛官の定数は、自衛官の任務の遂行に必要な部隊等のあるべき自衛官の人数を積み上げたものでございまして、これに対して実員を向上させるということで、自衛官の充足率を一〇〇%に近づけていくということが自衛隊の体制強化の観点から望ましいというふうに考えてございます。

 このため、現在、自衛官の実員につきましては、艦艇及び潜水艦の増勢といった優先度の高い部隊を中心に充足率の向上に取り組んでいくという考え方でおります。

 昨今の自衛官の年度末の充足率は、平成二十五年度が九二・六〇%、二十六年度が九二・六三%、二十七年度が九二・七〇%、二十八年度が九二・七八%となっておりまして、継続的に充足率が向上してきているところでございます。

 平成二十九年度におきましては、北朝鮮の弾道ミサイル発射を初めとする厳しさを増します安全保障環境を踏まえまして、現在の中期防におきましては最大となる三百十名の実員の増加を図りまして、年度末の充足率につきまして九二・九〇%に向上させることとしております。

 安全保障環境が一層厳しさを増します中、防衛大綱及び中期防を踏まえまして、防衛省といたしましては、必要な人員及び装備を確保してまいりたいというふうに考えてございます。こうした認識のもと、充足率を極力一〇〇%に近づけるべく最大限努力するとともに、次期中期防の策定の議論の中においてしっかりと検討し、引き続き充足率の向上等によります体制強化に取り組んでいく考えでございます。

村上(史)委員 私、実は、三年前までこの委員会に所属しておりまして、その後浪人をしたわけですけれども、正直なところ、三年前と同じような質問をさせていただいたんですけれども、少しはもちろん全体としては改善をしているという御答弁ではありましたけれども、一向に充足率が上がらないという部分については、引き続きその上がらない理由をもっと根本的なところに求めていく必要があるのではないか。

 一つの例として、即応予備自衛官ですけれども、平成十八年には七一・五%の充足率だったんですけれども、平成二十七年には五五・九%まで落ち込んでいる。先ほどの答弁によりますと、採用企業への給付金等を出してそれなりの手当てをしているけれども、現実的にはこういう形で充足率が落ちているという現実もありますので、この点についていま一度検討をする必要があるのではないか、そのように思いますが、どうぞ。

武田政府参考人 予備自衛官の約三割、即応予備自衛官の約四割が未充足でございます。予備自衛官等の充足向上のため、制度の周知を図るとともに、予備自衛官等本人や予備自衛官等の雇用企業等のインセンティブを高める施策を実施しております。

 これまでの主な取り組みについて御紹介させていただきますと、平成二十七年度に予備自衛官等協力事業所表示制度を導入いたしまして、予備自衛官等を雇用する雇用企業等に対し、国の防衛に協力していただいていることを防衛省として認定し、表示証を交付させていただいております。

 また、平成二十九年度には、予備自衛官等の職務に対する理解と協力の確保に資する情報について、雇用主の求めに応じて防衛省・自衛隊から提供する枠組みを整備させていただきました。

 さらに、平成三十年度概算要求におきましては、予備自衛官等の職務に対する理解と協力の確保を図るための給付金の新設を要求しているところでございます。

 これらの施策を着実に推進することにより、予備自衛官等の充足向上に取り組んでまいりたいと考えております。

村上(史)委員 引き続き頑張っていただきますようによろしくお願いしたいと思いますが、この自衛隊の充足率の問題だけではなくて、防衛大学校の学生さん、任官拒否、あるいは中途退役者というものもちょっと問題があるのではないかなというふうに思っております。

 防衛大学校の定員数は四百八十名とお聞きしておりますけれども、例えば、二十八年度には、実際に卒業されたのが三百八十名ということで、百名の中途退学者がおられます。また、任官辞退者というのが三十二名。二十七年度は、中途退学者は六十一名でございますけれども、任官拒否された方が四十七名。二十六年には二十五名という状況で、高い水準になっております。

 国民の側からすれば、税金で教育を受けていただいて、将来のいわゆる幹部候補生として自衛隊を担ってもらう、そういう人材を、税金で勉強していただいているわけですから、こういう形で任官拒否が出る、あるいは中途退学者が出るということは、組織に問題があるのではないのかというふうにも思いますし、また、安保法制の改正によって、例えばPKOの駆けつけ警護の任務が付与された、より危険性が増した、そういう状況の中で、任官拒否あるいは退学者がふえているということもあるかもしれません。その点についての御見解を伺いたいと思います。

武田政府参考人 幹部自衛官となるべき者の養成を行う防衛大学校におきまして、任官辞退者がいることは極めて残念でございます。

 また、防衛大学校では、任官辞退の理由を把握し事後の対策に反映させるため、任官辞退者から、毎年度、任官辞退の理由について聞き取りを行っておりますが、辞退の理由としては、他業種の希望や身体的理由が多く、平和安全法制が成立した平成二十七年度以降においても、平和安全法制の成立等に言及した者はいないものと承知をいたしております。

 いずれにいたしましても、防衛省としては、防大生が誇りと使命感を持って全員がそろって任官するよう、任官辞退の可能性の高い学生の早期からの説得、指導教官及び卒業研究担当教官等による面談、陸海空の要員区分の希望がかなわなかった学生に対し、任官予定先の自衛隊の魅力、特性や職務を丁寧に説明すること、また、女子学生と女性自衛官との懇談といった取り組みを通じまして、幹部自衛官の職務に対する理解の増進や不安の払拭に努めてまいりたいと考えております。

村上(史)委員 いろいろな事例があると思います。退学するにしても、任官拒否をするにしても、理由はあると思いますけれども、少なくとも将来の幹部候補生となられる方を教育する場でございますので、少しでも任官拒否あるいは退学者が減る状況をつくっていく、これも防衛省の大変重要な責任、役割だと思っておりますので、引き続き頑張っていただきたいなというふうに思います。

 それと、もう一つは、自衛隊員の退職者の推移でございます。

 一番多い時期で、平成十九年度で三千三百六人、その後も、ほぼ、二千八百あるいは二千九百、少ないときで二千四百という推移で、中途退職者がずっと多い数字で推移をいたしております。

 こういう状況の中で、背景に一体何があるのか、その辺についての防衛省の御見解をお伺いしたいと思います。

武田政府参考人 お答えいたします。

 自衛官の退職には、定年退職のほか、任期満了退職と中途退職がございます。

 このうち、非任期制自衛官の中途退職者数は、平成二十八年度で二千四百二十一名となっております。

 この中途退職者の退職理由についてでございますが、転職、進学、家庭の事情、本人の健康問題など、さまざまでございます。

 防衛省といたしましては、部隊等において個々の隊員の身上把握に努め、異動調整において所要の配慮を行うほか、防衛省における働き方改革や育児、介護等の両立支援などを通じまして、防衛省職員にとって働きやすい職場環境の整備に引き続き取り組んでまいりたいと考えております。

村上(史)委員 今おっしゃったように、退職をされる理由はさまざまあるとは思いますけれども、任務が任務、大変崇高であると同時に、厳しい任務でもあると思います。それだけに、隊員のメンタルな部分についてももっとケアをしていかないといけないのじゃないかな。災害出動によって、さまざまな場面に出くわします。いろいろな、死体の処理とか、本当に厳しい環境の中で任務を遂行されている隊員が多いと思います。そういう面で、メンタルな部分でどうしても続けられないという方もたくさんいらっしゃると思いますので、そういう部分のケアも今後進めていただきたい。退職者を少しでも減らすことによって充足率を上げていくということも大きな課題ではないかなというふうに思っております。

 あわせて、少子高齢社会の中で優秀な人材を確保するのはなかなか難しいということも、先ほど来、質疑の中で出ております。また、高齢化が進む中で、人生百年という時代になってまいりました。それだけに、今自衛隊がとっておられる若年の定年制あるいは任期制を採用しているわけでありますけれども、さまざまな社会環境の変化を考えたときに、この定年制の見直しということも、今後の隊員の充足率を上げていくという観点からも、また現役で現場で働いていただく自衛隊のまだまだ意欲のある方もたくさんいらっしゃると思いますので、そういう面でそういう定年制の見直しをする時期ではないか、そのように思いますけれども、御見解をお伺いしたいと思います。

武田政府参考人 お答えいたします。

 自衛官は、自衛隊の任務の性格上、組織を常に精強な状態に維持する必要があるため若年定年制をとっており、階級ごとに職務に必要とされる知識、経験、体力等を考慮し、一佐以下については五十代半ばの定年が定められております。

 本年六月に閣議決定されました経済財政運営と改革の基本方針において、「公務員の定年の引上げについて、具体的な検討を進める。」とされておりまして、防衛省といたしましては、国家公務員全体の定年制度に関する検討、これを踏まえながら自衛官の定年の引き上げについて検討していく必要がある、このように考えております。

村上(史)委員 ありがとうございました。

 よく言われるのが、一般職に準じてということをよく使われるんですけれども、自衛隊はまた違った性質を持った組織でございますので、そういうことにとらわれずに、自衛隊独自の定年制というものもあっていいのではないかというふうに思います。

 そして、これも先ほど来繰り返し出ておりますけれども、女性自衛官の働きやすい職場環境を整備していく、託児所をふやしていく、あるいは一時預かりの施設といいますか、そういう状況がもっと充実をする、いわゆる女性自衛官の子育て支援をしやすいような環境をつくっていく、まずこれが第一歩だと思います。

 いろいろと資料としてお聞きしておりますけれども、託児所一つとっても全国で八カ所しかない。民間の保育所を利用している場合もあるんだよと、もちろんそうなんですけれども、やはり自衛隊、基地の中でそれがきっちりと整備をされているということも、女性自衛官にとって働きやすい、子育てをしやすい場、職場になると思いますので、そういうことも含めて、新たに女性が自衛隊に入って頑張ってみたいなと思えるような、夢のある、また明るい自衛隊をつくっていくということも大変重要な問題だと思います。

 そういうさまざまな問題、今、自衛隊の組織の中でも幾つか今私取り上げましたけれども、そういう問題を解決していかなければ、いつまでたってもその充足率が一〇〇%にならないという状況と同時に、今後、少子高齢化社会の中で優秀な人材を集めることもできないという問題も自衛隊の中で大きな課題になってくると思います。

 そういうさまざまな問題を捉えて、これから、充足率を上げるだけではなくて、自衛隊のあり方そのものについて、組織のあり方そのものについて防衛大臣としてどのように今後改善をしていかれるのか、その決意を伺いたいと思います。

小野寺国務大臣 村上委員の御指摘のとおり、自衛官の充足率向上や予備自衛官等の確保、自衛官の離職者等を減らすための対策、自衛官の定年延長や女性自衛官の一層の活躍など、各種の課題がありますが、防衛省として、自衛隊の精強性を確保し、防衛力の根幹をなす人的資源を効果的に活用するための施策を推進してまいりたいと考えております。

村上(史)委員 ありがとうございました。

 引き続き、積極的なお取り組みをお願い申し上げたいと思います。

 それでは、北朝鮮の情勢に鑑み、情報の提供のあり方について質問をさせていただきたいと思います。

 今、御承知のとおり、北朝鮮は、ミサイルのたび重なる打ち上げ実験、そして核実験等で緊張を高めている。北朝鮮側が高めているということは承知をしています。

 それに対して、我々は、圧力をかけて北朝鮮の政策変更を迫っていく、そういう政府の方針を確認はしておりますけれども、ただ、今急に、急といいますか、アメリカにおいては、軍事オプションを行使するかもしれないという論調、有力議員の発言、また、アメリカ国内での、トランプ政権を取り巻くロシアンゲートのような形で、いわゆる国内の支持率が低下する中で、トランプ大統領が軍事オプションを行使することになるのではないか、そういう危険性が高まってきたのではないかというふうにも考えております。

 そういう中で、平時において、国民は政府からどのような情報提供が必要なのかという観点から質問をしたいと思います。

 もちろん、軍事情勢あるいは本当に機密性のある情報については、なかなか提供するということが難しいことは十分理解をいたしておりますけれども、しかし、政府として、どういう危機があって、その危機に対しては、政府としてはこういう対処をしますよとか、そういうことは、ふだんの中で政府から国民に情報として提供する必要があるのではないか。

 国民にも共通の認識を持ってもらうと同時に、国民の側もいろいろと政治に対して思いがあります、そういう情報がなければ国民の側もなかなか現状に対する判断もしにくい。そして、世論というものも、情報の提供のあり方によって変わっていくと思います。

 私が特に懸念をしますのは、情報が一方的になる、あるいは、情報がないことによって国民世論が右往左往するということもあります。いざ有事のときに国民がパニックを起こさないためにも、平時での情報提供というのは大変重要な問題だと思っております。

 政府として、情報提供のあり方についてどのようにお考えになっているのか、どの部署がその情報を提供するのか、そして、今現在、情報のあり方としてそれで十分だとお考えなのか、お尋ねをしたいと思います。

西村内閣官房副長官 お答えを申し上げます。

 我々政府として、国民の命と平和な暮らしを守るために、厳しい現実に真っ正面から向き合って、さまざまな準備を行っていく必要がございます。そのためにも、御指摘のように、国民への情報提供は極めて重要であるというふうに認識をしております。

 政府としては、常々、関係省庁一体となって、国民に対して、情勢認識や対応策を含めて、必要な情報を適時適切に提供を行ってきているところでございます。

 御指摘の北朝鮮の挑発行動に関しても、このような観点から、政府として、平素より、必要な情報の収集、分析に努めるとともに、アメリカや韓国を初めとする関係国との連携によって、北朝鮮の動向の把握に努めているところでございます。国民への情報提供についても、内閣官房長官の記者会見などにより、できる限り早期に、正確な情報提供に努めているところでございます。

 ただ、政府が収集、分析した情報の対外的な説明の態様については、個々の、それぞれのケースによって異なるため、一概にお答えすることは困難でございます。

 その上で、一般論を申し上げれば、御指摘のように、まさに事象の安全保障上の重大性、それから国民に対する説明責任、こういったものは大変大事な視点でございます。一方で、情報収集能力の保全の必要性であります、手のうちを明かしてしまうことにもなりますので。それから、情報協力国との信頼関係。こういったさまざまな要素を総合的に考慮して、開示すべき情報の範囲について判断をしてきているところでございますので、ぜひ御理解をいただければと思いますし、万が一のときのとるべき行動については、国民保護ポータルサイトにもその要点を詳しく掲載しておりますし、各自治体において訓練も行われているところというふうに認識をいたしているところでございます。

村上(史)委員 ありがとうございました。

 きょうはもう時間がございませんので、やりとりはこれで終わりたいと思いますけれども、この問題、大変重要な課題だと思っておりますので、今後も引き続き、また機会があれば質問をさせていただきたいと思います。

 それでは最後に、北朝鮮有事の際の、北朝鮮に無理やりとどまらされている拉致被害者の安全について、政府としてどのように取り組みをしようとしているのか、その点について最後にお伺いしたいと思います。

寺田委員長 横田内閣審議官、申し合わせの時間が来ておりますので、簡潔にお願いします。

横田政府参考人 お答えいたします。

 政府といたしましては、平素から、在外邦人の保護や救出が必要となるさまざまな状況を想定いたしまして、必要な準備、検討を行っております。平和安全法制によって可能となった保護措置等の訓練についても、順次実施しておるところでございます。

 また、あらゆる事態において拉致被害者の安全を確保することは極めて重要でありまして、半島有事の際は、同盟国たる米国との協力が特に重要でございます。

 政府としては、これまでも米国に対し拉致被害者に関する情報提供をしてきておりまして、拉致被害者の安全が脅かされるような事態に至った場合に、拉致被害者の安全確保のための協力を米国政府に対して依頼しているところでございます。

 どのような事態におきましても拉致被害者の安全を守れるよう、状況に応じてさまざまな手段を駆使しながら、政府全体として拉致被害者の安全確保に全力を尽くしてまいります。

村上(史)委員 終わります。ありがとうございました。

    ―――――――――――――

寺田委員長 この際、お諮りをいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として海上保安庁警備救難部長奥島高弘君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

寺田委員長 異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

寺田委員長 次に、井上一徳君。

井上(一)委員 今回、初めて質問をさせていただきます。

 防衛省・自衛隊で勤務している際には、小野寺大臣初め職員の皆様に大変お世話になりました。改めて感謝を申し上げます。

 日本の安全保障のために建設的な議論をしていきたいと思っております。よろしくお願いします。

 本日は、沖縄の基地問題、それと人事施策を中心に質問をさせていただこうと思いますけれども、まず最初に、最近、国民の皆様の間でも心配される方が大変ふえている、北朝鮮籍と見られる木造船や遺体の漂着、この事案が急増しておりますので、これについてまず質問をさせていただきたいと思います。海上保安庁によろしくお願いいたします。

 昨日、第一管区海上保安本部それから北海道警察ともに現地調査を行ったという報道がございますけれども、この調査で判明した事実関係、まずこれについて教えていただきたいと思います。

奥島政府参考人 お答えいたします。

 昨日、四日でございますけれども、海上保安庁の職員五名が北海道警察の職員とともに松前小島に上陸をいたしまして調査を実施しております。

 海上保安庁におきましては、当庁が管理してございます松前小島灯台の被害状況を調査いたしましたが、灯台に電力を供給いたします太陽電池パネル、これの一部が取り外されるといったような状況が確認されております。

 詳細につきましては引き続き調査中でございますが、これまでのところ、灯台の機能に支障は生じておらず、付近航行船舶への影響はございません。

井上(一)委員 ありがとうございました。

 この急増している背景として、今現在、海上保安庁としてどのように考えておられるか、教えていただきたいと思います。

奥島政府参考人 お答えをいたします。

 海上保安庁が確認しております平成二十五年以降におけます朝鮮半島からのものと思われます漂着あるいは漂流木造船等の件数でございますけれども、これが年間四十五件から八十件の間で推移をしてございます。

 昨今、委員御指摘のとおり、日本海沿岸への木造船の漂着といったものが相次いでございますけれども、ことしの十一月にはこうした漂着あるいは漂流船が二十八件、十二月に入ってからも五件確認されており、例年冬場が多いという傾向でございます。

 この漂着等の原因でございますけれども、一般論ということで申し上げますならば、これらの木造船が、特にこの時期荒天になることが多い日本海の気象、海象、こういった影響を受けまして、日本海の沿岸に漂流あるいは漂着しているものと考えられるところでございます。

井上(一)委員 先ほど申し上げましたように、国民の間でも大変心配される方々がふえておりますので、ぜひ、国民の安全、安心のために、海上保安庁のみならず政府全体で情報収集、分析、それから警戒監視に万全を期していただくようよろしくお願いしたいと思います。

 では、海上保安庁の部長、これで結構です。ありがとうございました。

 それでは、続きまして、沖縄の基地問題について質問をさせていただこうと思います。

 私は、平成二十六年七月からの二年間、沖縄防衛局長として沖縄で勤務しておりました。沖縄に実際に住んでみて、改めて、沖縄戦の悲惨さ、それから県民の受けられた犠牲の大きさ、そして米軍占領時代の苦しみ、そして今なお当時の痛みを忘れることができずに生きておられる方が多数いらっしゃる、そういうことを実感いたしました。

 一方で、米軍も、地域住民の方々との信頼関係を構築するために相当努力しており、私も参加させていただきましたけれども、沖縄県中部の嘉手納空軍基地では、毎年、スペシャルオリンピック、これは、沖縄県内の多くの知的障害者が嘉手納基地に集って、そして徒歩競走やボール投げの競技を行うものでありますけれども、そのスペシャルオリンピックには、嘉手納基地の米軍人のほとんどがボランティアで手伝っておられました。競技に参加している本人はもちろんのこと、御両親、それからおじいちゃん、おばあちゃん、一緒になって大変喜んでおられました。ほかの米軍基地でも、清掃活動とか英語教室、本当に多くのボランティア活動が行われておりました。報道等にはあらわれない沖縄の実像の一端を直接感じることができたと思っております。

 さて、最近の厳しい国際情勢を踏まえると、我が国の安全保障において、沖縄の戦略的重要性は増すことはあっても減ることはないと思います。米軍が沖縄に安定的に駐留することは日米安保体制を維持するためにも必要不可欠ですけれども、まず地域住民の理解、それから安全、安心の確保が重要だというふうに思います。

 最近、米海兵隊のCH53Eヘリが火災により東村へ緊急着陸した事故や、那覇市での飲酒運転死亡事故など、立て続けに重大事件、事故が発生し、しかも、米軍ヘリの事故に関しては、日本側への十分な説明がないまま飛行が再開されたというふうに承知しております。

 米軍のたび重なる事件、事故、そして事故後の不信を招きかねない米側の対応により、日本政府や沖縄県との信頼関係が崩れ、米軍が安定的に駐留できる環境が損なわれているのではと危惧しておりますけれども、大臣の御所見はいかがでしょうか。

小野寺国務大臣 井上委員におかれましては、特に沖縄防衛局長として沖縄の負担軽減に取り組んでいただいたこと、今でも私、記憶に残っております。また、今回、日本の安全保障、そしてまた沖縄の負担軽減のためにも政治の道へと進まれたということを承知しております。委員のこれからの政治の場での御活躍を御期待申し上げます。

 今御指摘がございました米軍による事件、事故、本来はあってはならないものと考えております。これまでも累次にわたり、事件、事故再発防止と綱紀粛正の徹底について申し入れております。

 そのような中、委員御指摘のCH53Eヘリの事故や交通死亡事故が発生したことは極めて遺憾であり、米側に対して強い遺憾の意を示し、綱紀粛正、再発防止、さらには御遺族に対する誠意ある対応について強く申し入れたところであります。先日も、私からマティス長官に対して、また、安倍総理からトランプ大統領に対して、米海兵隊のCH53Eヘリコプターの事故を含め、米軍の事件、事故等に関する地元の懸念に真摯に対応することが重要である旨述べたところであります。

 防衛省・自衛隊としては、沖縄県民、ひいては日本国民の米軍に対する信頼が米軍による事件、事故によって損なわれることがないよう、これからも米側に対して、安全面に最大限配慮するとともに、事件、事故の再発防止のための実効的な措置をとるよう、引き続き働きかけてまいりたいと思っております。

井上(一)委員 ありがとうございました。

 報道で、二〇〇八年から二〇一五年の八年間に、在日米軍人軍属とその家族による犯罪件数が沖縄一県で全国の総数の四七・四%を占めるという、全国知事会内に設置されている米軍基地負担に関する研究会が報告をまとめたという記事がありました。

 沖縄に私がいたころ、沖縄は本土に比べて事件、事故が多いのではないかと言われたことがあるんですけれども、その点について政府としてはどのように認識されているでしょうか。

深山政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員御指摘の全国知事会の研究会による活動報告書において、沖縄県における米軍人軍属、家族の犯罪検挙件数の割合が、全国のそうした数の四七・四%であるという数字が示されておることは我々も承知しておるところでございます。

 一方、防衛省が把握しております平成二十五年三月三十一日現在の米軍人軍属、家族の人数につきましては、在沖の米軍人軍属、家族の割合が、日本全土に住んでおります軍人軍属、家族の割合の四九%ということになっておるところでございますから、割合から申しますと、沖縄における米軍人等による事件、事故の比率について一概に申し上げることはできないのではないかと考えております。

 今大臣からも御答弁しましたように、米軍における事件、事故は本来あってはならない、沖縄であっても本土であっても本来あってはならないものでございます。

 防衛省といたしましては、その防止のためにはまず米側の努力が重要であると認識しておりまして、事件、事故の再発防止策が着実に実施されるよう、米軍に対して、例えば米軍人軍属による事件、事故防止のための協力ワーキングチームなど、さまざまな機会を通じて働きかけてまいりたいと考えておるところでございます。

井上(一)委員 いずれにいたしましても、沖縄において米軍が安定して駐留するためには、事件、事故をなくさなければならず、そのための抜本的な取り組みが必要だと感じております。

 本土における米軍基地と沖縄における米軍基地の違い、それは、本土では、旧軍の基地を引き継いだこともあり、米軍基地と自衛隊基地が共同使用され、基地が同一区域内にある、あるいは隣接している場合が多いということであります。三沢とか横須賀、岩国、佐世保などがその例です。他方で、沖縄では、米軍の専用地区がほとんどを占め、自衛隊基地と距離的にも離れているという場合が多いということであります。

 米軍基地と自衛隊基地が隣接していれば、米軍人と自衛官が触れ合い、米軍人が自衛官を通じて日本を理解する、日本での振る舞い方を学ぶ、そういう機会が自然と醸成されるのではないかというふうに私自身は思っています。

 本年十月三十一日の朝日新聞に、日本版海兵隊、二〇二〇年代前半に沖縄へという見出しで、六百名程度の水陸機動連隊をキャンプ・ハンセンに配置するという記事が載っておりました。

 私は、これをさらに進めて、那覇市に所在する第一五旅団、そして那覇空港に隣接する陸上自衛隊訓練場もあわせてキャンプ・ハンセンに移転させればいいのではないかというふうに個人的には思っております。これによって、先ほど申し上げた、米軍人と自衛官が触れ合う機会がふえますし、沖縄全体における基地負担の軽減、そして那覇市を中心とする沖縄県の経済発展にもつながり得るのではないかというふうに考えております。

 在沖米軍トップのニコルソン中将も、沖縄の全ての基地を対象に自衛隊との共同使用を図るべき旨発言しており、大臣のリーダーシップのもと、前向きに検討していただければありがたいと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

小野寺国務大臣 委員御指摘のように、共同使用ということは大変重要な考えだと思います。日米の施設・区域の共同使用については、今後充実させるべき日米協力分野の一つであると考えており、本年八月の日米2プラス2の共同発表においても、「閣僚は、相互運用性及び抑止力を強化し、地元とのより強い関係を構築するとともに、日本の南西諸島におけるものも含め自衛隊の態勢を強化するために、日米両政府が共同使用を促進すること」を再確認しておりますし、マティス長官との間で、このことについては共通の認識だと私は感じております。

 また、今御指摘の、水陸機動団の三個連隊目については、その設置について、次の中期防の策定等の議論を通じて検討していくものであり、現在、何らその三個目の編成については決まっておりません。したがって、キャンプ・ハンセンへの配備などの具体的な計画はありません。

 いずれにしても、共同使用については、現時点では個別具体的な計画は決まっておりませんが、部隊の任務との適合性、地積の確保、地元との関係等を踏まえて、今後幅広く検討を行っていく考えであります。

井上(一)委員 ありがとうございました。

 沖縄の基地問題については、大胆な発想のもとで、大胆な取り組みが必要だと思いますので、引き続き、大臣、よろしくお願いしたいと思います。

 続いて、人事施策について質問をさせていただきます。

 日本は少子化、人口減少の時代を迎え、自衛官の募集対象年齢人口は平成六年をピークに減少し、今後十年ごとに約百万人ずつ減少する見込みというふうに聞いております。

 特に、二士などの若年層の採用が今後ますます厳しくなると思いますので、二士などの若年層の処遇には特段の配慮をする必要があると思いますが、今般の給与改定に当たって具体的にどのような配慮がなされているのか、お聞かせください。よろしくお願いします。

武田政府参考人 お答えいたします。

 本年の人事院勧告に基づく給与改定については、民間の初任給との間に差があることなどを踏まえ、一般職の国家公務員において、初任給、若年層に重点を置いた俸給の引き上げが行われることから、自衛官の俸給についても、一般職の国家公務員の給与改定に準じて、初任給、若年層に重点を置いた俸給の引き上げを行うこととしております。

 具体的に申し上げれば、本年の給与改定における自衛官全体の俸給の改定率が〇・二三%、七百四円増であるところ、自衛官候補生に対する自衛官候補生手当を千円引き上げるほか、二士は〇・七%、千二百円増、一士は〇・六四%、千百九十九円増、士長は〇・五六%、千百十五円増となっており、いずれも自衛官全体の俸給の改定率と比べて高い水準であり、二士などの若年層に重点を置いた給与改定となっているところでございます。

井上(一)委員 自衛官の給与は一般職の国家公務員に準じた改定が行われておりますが、人事院としては、民間に同じような業務が存在しない刑務官それから海上保安官などの待遇については、どのような考え方で民間との比較をされているのでしょうか。自衛官の二士と同様、体力を必要とするような特殊な職務については、人口減少という採用がますます厳しくなる状況を踏まえて、若年層に今後とも特段の配慮をしていく必要があると思いますけれども、いかがでしょうか。

嶋田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のありました刑務官、海上保安官といった職種を含め、公務に有為な人材を確保するとともに、高い士気を持って職務への精励がなされるよう適正な給与を確保することは、国民の安心、安全な生活を実現する観点からも重要なものと考えております。

 一般職の職員の給与に関する法律におきましては、多様な職種に対応するため複数の俸給表を定めておりまして、刑務官、海上保安官等に適用される公安職俸給表につきましては、それぞれの職務の特殊性を評価して、一般の行政事務を行っている職員に適用されます行政職俸給表(一)よりも高い俸給月額を設定しております。

 なお、本年の俸給表改定では、全俸給表におきまして初任給を含め若年層に重点的に引き上げ改定を行ったところでございます。公安職俸給表につきましても、行政職俸給表(一)との均衡を基本としつつ改定を行っておりまして、有利性が引き続き確保されております。

井上(一)委員 二士などの若年層を今後とも安定的に確保していくためにも、民間準拠を基本としている一般職の国家公務員の給与に準じて改定を行うという現在の方法が妥当なのか、検討する時期に来ているのではないかというふうに思っております。

 平成十八年九月に防衛庁長官を委員長として設置された防衛力の人的側面についての抜本的改革に関する検討会、これにおきましては、自衛官の階級を反映した独自の俸給表の構築、これを提言しておりますけれども、これを踏まえた検討を進めていく考えはないでしょうか。

武田政府参考人 自衛官の俸給につきましては、昭和二十五年の警察予備隊発足時から、類似する警察官の俸給を基礎に、常時勤務態勢などの自衛官の勤務の特殊性を考慮した俸給としており、自衛官の俸給の改定は、人事院勧告に基づき、民間準拠を基本とする一般職の国家公務員の給与改定に準じて行うことで、その信頼性、公正性を確保してきたところでございます。

 今委員御指摘の、防衛力の人的側面についての抜本的改革に関する検討会報告書につきましては、平成十九年六月に防衛省において取りまとめられたものでございますが、この報告書の内容については、私ども、各種検討を行ってきたところでございます。

 その中で、幹部の年齢構成の見直しや、早期退職制度の創設、新たな階級の創設、幹部と曹士自衛官の別建て俸給表の検討については、それぞれ密接に関係するということでパッケージで検討を行ってまいりました。

 現時点においては、その前提となる、高年齢である曹からの三尉任用、C幹部と称しておりますが、その廃止でございますとか、上級曹長に対する高い給与評価に見合った幹部からの権限の委譲などの幾つかの課題が整理されるに至っておりません。

 したがって、その実現には現在至ってはおりませんけれども、防衛省といたしましては、自衛官は我が国の防衛という崇高な任務に従事しており、自衛官としてふさわしい処遇を確保していくことが重要であると考えておりまして、引き続き自衛官の処遇に関する施策について不断の検討を行って、適切な措置を講じてまいりたい、このように考えております。

井上(一)委員 次に、上級曹長制度についてお伺いいたします。

 上級曹長等は指揮官の統率に対する補佐、部隊の規律維持などを目的に、陸海空の各自衛隊に設けられているポストであり、私自身は、その上級曹長等になられる方は、識見、人格とも立派な方が多く、組織にとってのかなめのポストになってきていると認識しております。

 上級曹長等が組織のかなめになっているというふうに思っておりますので、職務にふさわしい処遇を行うべきだと考えておりますが、上級曹長に対してこれまでどのように処遇してきたか伺いたいと思いますし、それから、処遇については、今後、手当、叙勲等についても配慮が必要だと思いますので、御検討をよろしくお願いいたします。

武田政府参考人 陸海空自衛隊においては、優秀なベテランの准尉や曹長である自衛官を、陸上自衛隊では最先任上級曹長または先任上級曹長として、海上自衛隊では先任伍長として、航空自衛隊では准曹士先任として、幕僚監部や部隊等に配属しておるところでございます。

 各自衛隊では、准曹士自衛官または曹士自衛官にかかわる事項について指揮官の補佐などを行わせることにより、部隊等の規律維持や士気の高揚を図っておりまして、委員御指摘のように非常に重要な役割を担っているものと認識しておるところでございます。

 先任上級曹長等につきましては、指揮官が主宰する重要な会議への参加や個室での勤務など、その職責に応じた待遇を講じております。また、これまで先任上級曹長等の処遇を確保するために、先任上級曹長等であることの自覚と誇りを持たせ、さらなる勤務意欲の向上を図る観点から、平成二十九年四月、本年四月ですが、先任上級曹長等に対する防衛記念章を新設したところでございます。なお、退職後の処遇として、一般に先任上級曹長等は危険業務従事者叙勲の対象ともなっております。

 防衛省といたしましては、先任上級曹長等の処遇については、その職責を適切に評価したものとなるよう不断の検討を行って、適切な措置を講じてまいりたいと考えております。

井上(一)委員 最後になりますけれども、小野寺大臣には、最先任の上級曹長等と懇親を深めていただける機会を設けていただければ隊員の士気高揚にもつながるというふうに思いますので、あわせて御検討をよろしくお願いいたします。

小野寺国務大臣 私も、部隊視察をするたびに上級曹長等の重要さを認識しております。

 これからも、部隊視察をする際に直接声を聞くような機会を積極的に設けてまいりたいと思いますし、また、各自衛隊においては定期的に主要な部隊等の上級曹長等が一堂に会しており、こうした場に出席して意見交換する機会も持っていきたいと思っております。

寺田委員長 井上一徳君、申し合わせの時間です。

井上(一)委員 どうもありがとうございました。

寺田委員長 次に、広田一君。

広田委員 無所属の会の広田一でございます。どうかよろしくお願いを申し上げます。

 私たち無所属の会は、いわゆる給与法案については賛成であります。その上で、まず特殊勤務手当についてお伺いをいたします。

 自衛官の手当につきましては、一般の職員と同様に支給されます手当のほかに、その職務の特殊性を考慮しまして特別な手当が支給をされることになっております。我が身の危険を顧みず、職務に精励される自衛官にふさわしい手当のあり方については、不断の検証と改善が必要だというふうに考えます。

 そこで、具体的にお聞きしますが、現在、特殊勤務手当の一つである御遺体を収容する死体処理手当、私はこれは名称的にどうかなというふうに思うんですけれども、それと、原発事故などに伴う災害派遣手当のうちの原子力災害の危険加算対象作業の手当は、それぞれ幾らと規定されているのかお伺いをいたします。

武田政府参考人 お答えいたします。

 原子力災害対策本部の設置に係る災害が発生した場合において、自衛隊法第八十三条の三の規定により派遣された職員であって、遭難者等の捜索救助等の作業に引き続き二日以上従事する者または人命の救助の作業で特に生命に著しい危険を伴うものに従事する者に対しまして、災害派遣等手当を支給することとされています。

 支給額につきましては、作業一日につき千六百二十円でございます。なお、緊急事態応急対策実施区域等の危険な区域における作業並びに人命の救助の作業で特に生命に著しい危険を伴うものにありましては、三千二百四十円を支給することとしております。

 さらに、亡くなられた方の御遺体の収容作業に従事した場合には、死体処理手当を支給することとしております。

 支給額は、作業一日につき千円でございます。なお、損傷の激しい御遺体の場合には二千円を支給することとしているところでございます。

広田委員 御答弁がございました。

 東日本大震災のときに、ある隊員から、自分の妻と同じ年ごろの女性が我が子を守るように覆いかぶさって亡くなっている御遺体を発見し、収容したときには、涙がとまらなかったという話や、また、二〇一一年の三月十四日ですけれども、福島第一原発の三号機が爆発し、中央特殊武器防護隊の六人の隊員が被曝し、重傷をしました。一歩間違えれば死者が出ていたわけであります。

 このような過酷な現場の実態や職務の危険性を鑑み、何よりも、当時、現場からの切実な声に応えまして、いわゆる御遺体の収容手当や原子力災害派遣手当について財務省と精力的に協議をしまして、御遺体の収容については最高四千円に、原子力災害派遣手当は具体的な作業区域に応じまして六千円台から四万円台に、遡及をした上で、それぞれ大幅に増額をしたというふうに記憶をしておりますが、それはどのような理由、根拠でそういった金額になったのか、お伺いをいたします。

武田政府参考人 お答えいたします。

 東日本大震災においては、甚大な被害が広範にわたっており、隊員が行う捜索救助等の活動は従来の災害派遣等における活動を大きく超えるものになっているということから、防衛省の職員の給与等に関する法律施行令の一部改正、これは平成二十三年六月二十九日でございますが、行われまして、平成二十三年三月十一日、震災の日でございますが、この日に遡及をして災害派遣等手当及び死体処理手当について特例措置が認められたところでございます。

 内容につきましては、今委員も御指摘になりましたけれども、原子力災害に係る災害派遣等手当として、原子力発電所における作業一日につき四万二千円とするほか、原子力発電所を中心に地域を区分し、作業一日につき二万一千円から三千二百四十円を支給すること等としたものでございます。

 死体処理手当としては、作業一日につき二千円を支給することとし、また、御遺体の埋葬のための搬送等の作業につきましても、作業一日につき千円を支給することとしたものでございます。

 当該東日本大震災に係る特例措置でございますけれども、災害派遣が終了いたしましたので、防衛省の職員の給与等に関する法律施行令の一部改正、これは平成二十六年三月三十一日でございますが、この改正が行われまして、平成二十六年四月一日に終了しております。

広田委員 先ほど御答弁がございました。

 手当の額の水準につきましては、やはり、明朗な理由、積算根拠が必要であります。そしてまた、一般職の国家公務員や地方公務員との均衡を考慮する必要がありますし、さらには、現行制度、過去の事例との均衡、整合性を考慮する必要があります。

 東日本大震災のときも、活動が過去最大、広範囲ということは事実といたしましても、全ての業務が二倍以上と評価することができるかなど、さまざまな観点から慎重に協議をした上で出た結論と承知をいたしております。

 それが平成二十六年三月三十一日にもとに戻ってしまったということ、これは安倍内閣になってからでありますけれども、これはどういう理由で現行の金額、千六百二十円や千円に戻ってしまったのか、これについてお伺いしたいと思います。

小野寺国務大臣 著しく危険、不快、不健康または困難な勤務その他の著しく特殊な勤務で、給与上特別な考慮を必要とし、かつ、その特殊性を俸給で考慮することが適当でないと認められるものに従事する職員には、その勤務の特殊性に応じて特殊勤務手当を支給するとされております。

 災害派遣等の事態の態様はさまざまな強度のものがあると考えられるところから、派遣された職員の勤務の特殊性に応じて適切に評価することが必要であり、手当の額等については慎重に検討することが適当であると考えております。

 東日本大震災の特例措置については、当時の広田政務官がおられたときに決められたものであり、感謝を申し上げたいと思っております。

 特例の手当につきましては、東日本大震災の派遣が終了したということで今回従来の手当に戻ったということになりますが、今後甚大な被害を伴う災害が起きた場合には、私としては、東日本大震災の特例に倣い、同様の措置をその時点で講じてまいりたいと考えております。

 防衛省としては、引き続き、自衛隊の活動や部隊等の実情を十分に踏まえながら、自衛官の特殊勤務手当に関する施策について不断の検討を行い、適切な措置を講じてまいりたいと考えております。

広田委員 大臣の方から前向きな御答弁をいただいたところでございますが、まさしく、答弁の最後のところでおっしゃったように、不断の検討というものが非常に必要でございまして、例えば原子力発電所の敷地内及びその周辺における原子力災害派遣、これについても区分をして当時決めたわけでありますけれども、これも御承知のとおり、極めて放射線量が高い中で放水やモニタリングなど危険な任務が伴っておりました。当時は、生命に著しい危険などを評価して、先ほど御答弁があったように、約四万二千円としたところでございます。

 特に、六名の隊員が被曝し、負傷した福島第一原発三号機の爆発事故、これを教訓としたならば、先ほど大臣の方は、もし同じような事故が発生をすれば速やかに同様に適用するということでありましたけれども、そうではなくて、今回の原子力災害派遣というのは初めての経験であり、そしてこれによって教訓、知見を得たわけでありますので、このことを踏まえて金額というものを大臣の指導のもとで見直す、定めるということでなければ、基本千六百二十円で本当にあの過酷なところにまずは行けと言うのか。

 これは、私は、まさしく政治のリーダーシップとして変えていかなければならない大事なところじゃないかなというふうに思いますので、この点についてのまた大臣の御所見をいただければというふうに思います。

小野寺国務大臣 緊急時対応ということで、原子力発電所の対応についてそのとき自衛隊員がどのような任務に当たるかということを慎重に検討しながら、実態に合う形で私どもとしては不断の見直しを考えていきたいと思っています。

広田委員 不断の見直しをしていただく上で、東日本大震災の教訓を受けて、文字どおり不断の見直しをしてどうするかということが今問われているのではないかなというふうに思います。

 無論、ほかの特殊勤務手当との関係もあると思いますし、しかしながら、南海トラフ地震であるとかあと首都直下型地震、これが切迫しているというふうに言われる中で、安易とは言いませんけれども、現行に戻してしまうということ。

 当時、恐らく、小野寺防衛大臣、こういうふうに戻ってしまったということを御承知でなかったんだろうというふうに思うわけでございますけれども、私は、先ほどの答弁にありますように、仮に、震災が発生してから、その対処をしている最中に手当の金額を再び見直すということになれば、私自身も経験しましたけれども、かなりのエネルギーを費やすことになります。それぞれの政務三役等々が、ほかの震災対策、対応、対処をしなければならないわけでございます。

 そういったことを思いますと、本当に、同じことをまた南海トラフ地震や首都直下型地震が発生したときに繰り返していれば、私は、この東日本大震災の教訓というものが十分生かされないことになってしまうんじゃないか、こういったことを懸念するところでございます。

 特に、小野寺大臣におかれましては、まさしく宮城の御選出、被災地の選出の議員でございますので、御遺体の収容がどれほど過酷なものであったのかということは誰よりも御存じだというふうに思います。私、最初、千円と聞いたときに、これは一体かと思ったんです。それは、実は一日やって千円だった。

 だから、こういうことを思ったときに、やはり、当時は四千円という形で見直したというふうに思いますけれども、不断の検証をした上で、私は、適切な見直しというものを大臣のリーダーシップのもと行って、この規定については見直しをしていただきたいというふうに思いますけれども、再度の御答弁をいただきたいと思います。

小野寺国務大臣 東日本大震災の発生当時、この手当等の見直しについて、広田政務官を初め、当時の防衛省の政務三役が大変な御苦労をされ、そしてこのような実績をつくっていただきました。同じような発生がもしあった場合には、私どもは、この東日本大震災のことを例に倣い、速やかに対応していきたいと思います。

 また、今御指摘がありましたので、今後、今ある支給額について、これが適当かどうかということは不断の見直しを検討していきたいと思っております。

広田委員 これは要請になりますけれども、きょうの議論等も踏まえていただいて、不断の見直しを行い、できますれば、速やかに、見直した結果というものを具体化、反映をしていただければなというふうに思うところでございます。

 それでは、次は、東日本大震災、隊員のケアから得た教訓を今後どう生かすのかという視点から質問をさせていただきたいと思います。

 当時も、さまざまな、隊員の身体的な影響とかPTSDが発生するとか、さらには中期的な課題としては、被曝障害であるとかアスベストの被害、こういったことを懸念し、それぞれに対応してきたわけでございますけれども、この東日本大震災に派遣した隊員への総合的なケアとして、具体的に、衛生、メンタルヘルス、人事施策、さらには広報の面で取り組んだというふうに承知をしておりますけれども、そのときの成果とそして今後の課題、教訓について、どういったものがあるのかお聞きをしたいと思います。

寺田委員長 田原衛生監、申し合わせの時間が経過しておりますので、簡潔にお願いいたします。

田原政府参考人 お答えいたします。

 東日本大震災におきましては、最大時で約十万七千人の隊員が従事をいたしまして、厳しい環境の中で活動を行っておりました。

 そのため、平成二十三年五月に、省内に防衛大臣政務官をチーム長といたします東日本大震災派遣隊員ケア推進チームを設置いたしまして、メンタルヘルスのチェックの実施や隊員の健康管理等、隊員のケアのための施策を実施いたしました。

 その後、東日本大震災への対応につきまして、教訓を整理いたしました。

 メンタルヘルスに関しましては、中央から部隊まで一貫したメンタルヘルス態勢の強化、あるいは任務終了後も視野に入れたメンタルヘルスケアの充実が必要というような教訓が得られたところでございます。このような教訓を……

寺田委員長 簡潔にお願いいたします。

田原政府参考人 失礼いたしました。

 また、身体的な影響につきましては、放射線の影響がございますので、隊員の被曝線量を長期にわたり保管する手段が不明確であったこと、あるいは、隊員が常用している医薬品の補給など、任務に当たる隊員の慢性疾患の管理の要領を改めて検討する必要がある、このような教訓が得られたところでございます。

広田委員 どうもありがとうございました。

寺田委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 法案については、人事院勧告に沿った国家公務員全体の給与引き上げの一環でありますので、賛成であります。

 きょうは、辺野古新基地建設での石材の海上運搬について質問をいたします。

 防衛省は、十一月六日から新たにK1、N5という護岸の工事に着手し、十三日には国頭村にある奥港から石材の運搬を行いました。

 これについて沖縄県は、埋立承認願書の環境保全図書で予測されておらず、埋立承認の際の留意事項に基づく変更承認が必要となる可能性があるとし、県との協議が調うまで実施しないよう行政指導を行っていました。私も環境保全図書を確認いたしましたが、確かに、傾斜堤護岸に用いる石材を海上運搬するという記載はありませんでした。

 資料一をごらんください。

 星印をつけていますが、今回搬入された石材が用いられたK1、N5護岸は傾斜堤護岸であります。この傾斜堤護岸の石材の運搬方法としては、ダンプトラックとはっきり明記されています。

 防衛大臣に伺いますが、県の行政指導にもかかわらず、なぜ石材の海上運搬を強行したんですか。

西田政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘の埋立用資材の海上搬入につきましてでございますが、そもそも沖縄県に提出した埋立承認願書に添付されたいわゆる環境保全図書には、海上搬入を実施することが記載されておりまして、それを踏まえて埋立承認がなされていること、陸上搬入により生ずる環境負荷の軽減や施工の円滑化等ができること、あるいは、施工途中の護岸を活用して埋立用資材の搬入を行うものであるといったことから、実施設計協議で示された設計内容と異なっているといった御指摘は当たらず、実施設計及び環境保全対策等に係る協議をやり直す必要はないものというふうに考えてございます。

 委員が御配付になりました資料一でございます。稼働計画というものでございますが、これにつきましては、環境保全図書における予測の前提にある船舶・建設機械稼働計画でございますけれども、本表は、工事施工区域内における作業の稼働計画を示したものでございまして、資材の搬入について示したものではございません。

 資材の搬入につきましては、先ほど申し上げましたように、主な資材の搬入計画として、環境保全図書に「資材は、海上運搬及び陸上運搬により施工区域に搬入します。」という記載がありまして、海上運搬につきましては当初から想定をされているものでございます。

赤嶺委員 今防衛省から説明にあったところは、資材の一般的な運搬方法を述べたところです。ここには海上、陸上ともに書いております。しかし、環境保全図書では、護岸の種類によって輸送方法を書き分けており、傾斜堤護岸については、先ほど示しましたように、ダンプトラックによる運搬とはっきり書いてあるわけですね。その一方で、ケーソン式護岸に用いる石材の運搬については、ランプウエー台船を用いると書いています。

 つまり、先ほど防衛省が述べられた海上運搬を想定していた資材とは、ケーソン式護岸に用いる資材などのことであって、今回の傾斜堤護岸に用いる石材については、トラックによる陸上運搬を想定していた、そういうことではありませんか。

西田政府参考人 お答えを申し上げます。

 繰り返しになりますが、この稼働計画といいますのは、工事施工区域内におけるさまざまな稼働計画を示したものでございまして、委員御指摘の点は、例えば作業ヤードから工事場所への運搬等について想定をしておるものでございまして、あくまで、資材のこうした作業ヤード等への外からの搬入といったものについて示したものではございません。

 資材の搬入につきましては、先ほど申し上げましたように、搬入計画として別途記載をしており、「海上運搬及び陸上運搬により施工区域に搬入します。」と記載を申し上げているところでございます。

赤嶺委員 傾斜堤護岸の石材は陸上運搬と明記されているにもかかわらず、ここに来て、自分たちが都合のいいようにねじ曲げて説明しておりますが、これは到底納得できるものではありません。

 一方で、皆さんの説明がどれだけ不自然かといいますと、環境保全図書では、資材の海上運搬について、仮にそれをあなた方が言うとおりであったにしても、「県内からの資材の運搬は主として南側航路を利用する」、このように述べられているわけですよ。しかし、今回の奥港からの海上運搬では、北側航路を利用せざるを得ないわけですよ。

 そういう、運搬方法についていろいろ言いわけをしておりますが、幾重にも、今回の石材の海上運搬は、想定していなかったことをあなた方がやり始めた、そういうあかしであります。自分たちのつくったルールさえ無視して運搬を強行するということは許されません。

 海上運搬による環境などへの影響もおっしゃいましたが、防衛省は、九月二十七日の環境監視等委員会に、資材を海上から運搬することによって、陸上運搬の影響が最も大きい辺野古集落付近において、一隻当たり約百九十台分のダンプトラックの通行を削減できるなどと説明しています。その一方で、海上運搬が新たにどのような影響を与えることになるかについては一切触れられていません。

 資料二を見ていただきたいんですが、資料二の青く塗ったところ、それから右側の赤いところ。右側の赤いところが辺野古で、ジュゴンが、一番北の奥を通って、ぐるりと回って泳ぎ回っているところであります。

 つまり、今回の奥港からの海上運搬ルートは、まさにジュゴンの行動軌跡と重なるものであります。

 環境保全図書では、作業船の航行に当たっては、ジュゴンが頻繁に確認されている区域内をできる限り回避し、沖縄島沿岸を航行する場合は、岸から十キロメートル以上離れて航行しますとあります。今回の運搬では、ジュゴンが確認された区域を直接横断することになるのであります。

 奥港からの海上運搬が、ジュゴンの生態に新たな影響を及ぼすことになるのではありませんか。

西田政府参考人 お答えを申し上げます。

 ジュゴンの環境保全措置に関しましては、環境保全図書におきまして、ウミガメ類やジュゴンが頻繁に確認をされている区域内をできる限り回避し、沖縄島沿岸を航行する場合は岸から十キロメートル以上離れて航行、及びジュゴンとの衝突を回避できるような速度で航行するよう周知することとしておりまして、これによって、ジュゴンの移動ルートと海上搬入の経路との重複が回避できると考えてございます。

 また、奥港の出入域時にジュゴンの移動ルートを横断する場合につきましても、見張りをしつつ、衝突を回避できるような速度で航行することとしており、可能な限りジュゴンの行動に影響を与えないように努めております。

赤嶺委員 奥港からの石材の運搬、これは、今まで、当初の計画になかったことをやっているわけですが、どれくらいの期間、頻度で行い、どれほどの量を運搬すると想定しており、ジュゴンに与える影響などについて、沖縄県にはきちんと説明したんですか。

西田政府参考人 お答えを申し上げます。

 奥港の使用に当たりましては、沖縄県に対しまして、工事受注者より使用許可の申請を本年六月の二十六日及び七月の十一日に行ったところでございまして、その後、関係法令に基づき審査がなされ、本年九月四日に使用許可を受けて、使用をしているところでございます。

 お尋ねの石材運搬の期間、頻度、運搬量等につきましては、使用許可の申請書において記載をするとともに、申請から許可を受けますおよそ二カ月間の間にも、工事受注者と沖縄県においてさまざまなやりとりを行い、説明をした上で、これらを踏まえ、使用許可が下されたというふうに承知しております。

赤嶺委員 ジュゴンに与える影響について、例えば、県内の石材を運ぶ場合は南回りというものを、約束を破って北回りにした。ジュゴンが泳ぎ回っていくところを行く、それ自体が防衛省が直接県と話し合いすべきことでありますが、全く行われておりません。

 もう一つ重大なのは、奥集落の住民の生活への影響です。

 奥集落は、人口百七十四人の静かで穏やかな、そして自然豊かな集落です。奥港は住民の憩いの場でもありました。そこに、五十台もの大型ダンプトラックが押し寄せてきたのであります。奥は、県内でも有数の茶葉の産地であり、奥といえばお茶であります。しかし、今回のダンプトラックの港への搬入によって、茶畑へ向かう道が規制され、たどり着くことができなかったという話も聞いています。まさに、住民の平穏な生活を破壊したと言っても過言ではありません。

 防衛省は、奥港へのダンプトラックの石材搬入による奥区民の生活への影響をどのように認識していますか。

西田政府参考人 お答えを申し上げます。

 先ほども申し上げましたように、奥港の使用につきましては、沖縄県に対しまして工事受注者より使用許可の申請を行いまして、本年の九月の四日に使用許可を受けたというふうに承知をしております。奥港へのダンプトラックによります石材の搬入につきましても、沖縄県に対して、申請から許可を受けるまでの間に工事受注者より石材の搬入量等について説明を行った上で使用許可が下されたというふうに承知をしております。

 また、地元に対しましては、奥区長に対しまして、累次にわたり説明あるいは聞き取りを事業者等から行っていたところでございます。

 その結果、小学校付近でのダンプトラックの徐行の徹底、あるいは小学校の通学時の通行を禁止する、あるいは小学校周辺に誘導員を配置する、あるいは道路への注意看板の設置、石材仮置き場への立ち入り防止対策等々を行うこととし、また、これらの内容を周知するために、地元公民館へお知らせを掲示するなど、説明を行った上で対応しているところでございます。

赤嶺委員 奥集落は区長を先頭に総会を開いて、奥港を使うことに反対の総会決議を上げました。あなた方が奥港の使用を強行するのであれば、奥区民も相手にして強行するというような対立的な関係を生み出さざるを得ません。

 奥港の使用、違法な海上輸送、これはやめるべきであるということを強く申し上げて、質問を終わります。

寺田委員長 次に、下地幹郎君。

下地委員 我が党だけこの法案には反対をしております。

 この反対をしている理由を四つ挙げさせていただきたいと思うんですけれども、一つ目の理由が、今回の法案の提出の背景及び経緯が人事院の勧告に基づいていることについては納得できない。やはり、自衛隊員の給料というのは経済の問題で考えるべきではなくて、自衛隊の役割をもって私たちは自衛隊の給与を決めるべきであるので、経済が悪くなってもそれに合わせて給与を考えるとなると、自衛隊の役割というのは経済に関するものだけじゃないので、それは問題だというのが一点あります。

 二つ目には、この給与体系は、警察予備隊創設時に、警察に準じた給与制度を導入して現在までこの制度を維持しているということ、踏襲しているということ、これもおかしくありませんかと。そろそろ自衛隊独自の考え方で給与体制をつくるべきではないかというのが二点目。

 それと自衛隊の俸給が、行政職俸給表、公安職の俸給表、指定職の俸給表に準じて、給与改定も基本的には一般職に準じて行っている。これでは、全く自衛隊の給料が、今の〇・一五とかいうのでは納得できない。自衛隊はもっと給与を上げるべきだというようなことが私たちの三点目の思いであります。

 最後でありますが、防衛出動の手当が導入されて十三年間経過した今も手当額にかかわる政令が未制定という現状は一刻も早く変えるべきだと。

 この四点からして、ただ人事院の勧告が来たから上げたらいいというような、もう自衛隊は、そういうようなものじゃなくて、別枠の自衛隊の給与体制をつくってやらないと、これからも国を守るという役割の若者たちが入ってくるというのが、なかなか給与体系の中では理解されないのではないかというのが私たちの反対の理由である。

 大臣、私のこの質問に対する思いを少しお願いします。

小野寺国務大臣 下地委員の自衛隊員の給料を上げてあげたいという、そういう温かい思いやりについては感謝を申し上げます。

 ただ、私どもはやはり、政府全体として公務員の給与については検討する必要もあるということであります。その全体の中からどのような対応ができるかということをこれからも考えていくべきだと思いますが、今回の給与法の改定についてはぜひ御理解をいただきたい、私どもはそう思っております。

下地委員 このことについては去年も申し上げさせていただきましたので、やはり早目に、小野寺大臣の時代にこの給与の改定の新しい仕組みをつくって、自衛隊の方々がもっとやる気が出るようなぜひ給与体系をつくっていただきたいというふうに思います。

 それと、二つ目ですけれども、ちょっと質問なんですけれども、教育の訓練費というのが六百四十七億円ありますけれども、その中で、賃金というのが六億七千万ぐらいですね、一%ぐらいしかありませんが、この教育の訓練費、演習とか、そこに行った場合の臨時手当みたいなものはどうなっているんでしょうか。

 私の地元の若い自衛官に聞くと、演習が何回もあるけれども、この演習において、演習手当がないんですね。沖縄の海兵隊とか空軍というのは、やはり、演習に行った場合の、練度を高めていく中で、評価されて、手当が相当ついて、演習にやる気が出るんですよね。しかし、陸上自衛隊は、演習に行っても手当が全くつかない。こういうふうなところが、今、陸上自衛隊の若い人たちがちょっとやる気を失っている原因にもなっているんじゃないかというようなことを言われておりますが、その点について、いかがでしょうか。

武田政府参考人 お答えいたします。

 自衛官につきましては、特殊勤務手当という手当が支給されるわけでございますけれども、これは防衛省独自の手当でございまして、航空機に搭乗した場合の航空手当、艦艇に乗り組んだ場合の乗組手当、また、陸上自衛隊においては、落下傘隊員手当、また特別警備隊員手当、特殊作戦隊員手当などがございます。

 私どもとしては、こうした独自の手当について、現場で活動する自衛官の業務の困難性、そして危険度などを勘案いたしまして、毎年度各種手当の充実を図っておるところでございます。

 これは、演習においてどのような活動をするかにもよりますけれども、今申し上げたような特殊勤務手当に該当するような業務であれば、しっかりと手当が支払われるということになっております。

下地委員 航空自衛隊の手当はわかります。この前、一回論議しましたからわかりますが、大分とかあの辺で、沖縄の自衛隊員が行って訓練するときには、特殊なパラシュート部隊や、それ以外の部隊も全部行くわけですよ、全て行く。しかし、その方々には出ないんですよね。特殊な方々には出るけれども、一般的な自衛隊員が演習に行ってもそれが出ないというのは事実ですよね。

 だから、演習というものは、特殊な人たちを支えるための一般の自衛隊員の役割もあるので、私が申し上げたいのは、演習手当というものをしっかりとつけないと、練度が高まらないんじゃないですかと。彼らの話を聞いて、十名ぐらい一緒になって話をしましたけれども、演習に何回行っても、家族を置いて行っても、手当はつけないし、給料はふえないんですよというようなことを言っているので、今局長がおっしゃっているような、パラシュートであったり、航空自衛隊であったり、そして、船で乗っていったり、潜水艦の中で行ったりという方々だけじゃなくて、陸上自衛隊の一般の方々が演習に行っても、これは手当が出るというような仕組みをつくった方が、自衛隊員として士気が上がるんじゃないですかということを申し上げているんですよね。大臣、どうぞ。

武田政府参考人 お答えいたします。

 私、先ほど各種手当について申し上げましたけれども、特殊勤務手当以外にも、配置手当というものがございます。先ほどの申し上げた中に、航空手当、乗組手当は配置手当に該当するものでございます。

 演習に参加する自衛隊員、そして自衛官の業務がどういう内容なのかということを見る必要があるわけでございますけれども、いずれにしても、自衛隊の活動、部隊等の実情を十分に踏まえながら、私ども、自衛官の処遇に関する施策について不断の検討を行い、適切な措置を講じてまいりたい、このように考えておるところでございます。

下地委員 では、もう一個だけ、局長。

 教育訓練費の六百四十七億円というのはどんなものに使われているの。

武田政府参考人 ちょっと手元に資料はございませんので、確たることは申し上げられませんけれども、教育訓練の際に必要となる機材等の購入などの経費ではないかと思いますが、正確にはまた後ほど御説明させていただきたいと思います。(下地委員「あなた方のものに賃金と書いてある」と呼ぶ)確認をいたしまして、後ほど御説明させていただきたいと思います。

下地委員 演習費用の六百四十七億円のうちの賃金で払っているのが六億三千万。皆さんの一年間の演習の回数と、それに関係する、陸上自衛隊だけでもですよ、こういうふうな方々の数を見ると、この六億三千万というのも、賃金といってももう本当に微々たるものですよ。やはりそこはもう一回考え直した方がいいというようなことを改めてもう一回申し上げて、やはりこれから自衛隊の役割は多いですよ。だから、その役割がもっと充実して、彼らがモチベーションが上がるようなことをやるためには、私は、こういうふうな練度の高い練習に頑張る自衛隊員の手当を上げるということをぜひやってもらいたいというふうに思っています。

 何度も申し上げますが、人事院勧告の勧告によって自衛隊員の給料が、これが基本になるということ自体はもう早目にやめるべきだというようなことを我が党はずっと言っているので、そういうことをやっていれば、自衛隊員が本当に自信を持って、危険な場所においてあれだけの訓練をしていますから、そういう意味でも、もう一回、見直すことが大事だというふうに思っていることを皆さんに私たちの反対の理由として申し上げさせていただきたいというふうに思います。

 それと、もう一つなんですけれども、自衛隊員、平成二十七年度に六十五名、自殺者が出ていますね。平成二十八年度は五十七名出ていますが、大臣、この数は多くないですか。しかも、南スーダンから帰ってきた隊員が比率的には多いと言われているんですよ。

 だから、やはりここは、給与の問題もあるけれども、自衛隊のされているメンタルケアみたいなものももう一回今年度の予算の中にしっかり組み込んで、一年間の数字が六十五人とか五十七人とかって、あれだけ国の役割を担っている人たちがこうやってみずからの命を絶つというのは、これは異常な光景ですよ。やはりこれは、給与と同じように、働き方改革と安倍内閣は言っているわけですから、自衛隊員の方々のこの数字を減らす、これをゼロにまでしたいというのは、これは当たり前ですけれども、この数字をどうやって減らそうと思っているのかというようなことを、大臣、どうお考えですか。

小野寺国務大臣 隊員の中に自殺者が出るということは、私どもも大変重いものだと思っております。さまざまな原因があるということだと思います。

 自殺の要因については、さまざま、その原因について、その都度、私どもとしては、内部で対応していると思いますが、例えば、部隊を視察しますと、部隊には必ず至るところにカウンセリングの相談の窓口、それは上司を通じなくても個別に連絡ができる、そのような体制、あるいはカウンセラー等を私ども配置をしておりますが、その効果がこれからもさらに上がるように努力をしていきたいと思っています。

下地委員 最後になりますけれども、人は大体、やる気を持つには、やはり給与が大事なんですね。自分が頑張った分だけちゃんと評価されているというのは、給与でしかあらわせませんから。そういう意味でも、自衛隊員の給与をもう一回、今の人事院勧告だけじゃなくて、つくり直すということを早目にやることがこの国にとって大事だろうというふうに思います。

 二つ目は、自殺者の数も、今大臣が答弁したこと、前の大臣も同じような答弁をしていますよ。しかし、自殺者の数は本当に減らないんですから。これはだめです。だから、もう一回、どうやったら本当にゼロに近づけるかということを真剣に考えて、国を守るとか、国際社会の中で役割を担うとか、そういう思いで十八歳や二十二歳の子供たちが入ってきて、こういう自殺にならないような働き方の改革のこともやってもらいたい。

 二つを申し上げて、私の質問を終わります。ありがとうございました。

寺田委員長 次に、照屋寛徳君。

照屋委員 社会民主党の照屋寛徳です。

 法案については、賛成でございます。

 去る十一月九日の日米合同委員会において、キャンプ・シュワブの北側に接する辺野古弾薬庫四棟の建てかえが合意されたようですが、いつから着工するものでしょうか。また、その建てかえ工事において日本政府が負担する金額は幾らでしょうか。既に予算措置されているものであれば、費目についても明らかにしてください。

西田政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘の、辺野古弾薬庫における既存の弾薬庫の建てかえ工事でございますが、普天間飛行場代替施設建設事業とは直接関係のない建物を機能的かつ効率的に再配置するためのものとして、現在、工事を実施するための所要の準備作業を行っているところでございます。

 着工時期につきましては、今後の作業の進捗等を見きわめ判断をすることになるため、現時点で具体的な時期を申し上げられる段階にはございません。

 また、当該工事の費用につきましては日本側が負担することとなっておりまして、現時点における契約金額は約二十二億円となります。

 また、当該工事費用の予算科目でございますが、平成二十七年度の項、在日米軍等駐留関連諸費、目、提供施設移設整備費でございます。

照屋委員 小野寺大臣に尋ねます。

 防衛省は、今回の辺野古弾薬庫建てかえ工事が二〇〇六年の米軍再編ロードマップに盛り込まれたキャンプ・シュワブ内の施設再編成の一環だと説明しておるようですが、ロードマップのどの部分に明記してあるものでしょうか。該当箇所をお教えください。

小野寺国務大臣 キャンプ・シュワブ等の陸上部においては、普天間飛行場代替施設建設事業とは直接関係のない建物を機能的かつ効率的に再配置するため、平成十九年度から隊舎等の整備に係る工事を実施しております。

 これらの工事は、平成十八年五月の2プラス2で合意された再編の実施のための日米ロードマップの「普天間飛行場代替施設をキャンプ・シュワブ区域に設置するため、キャンプ・シュワブの施設及び隣接する水域の再編成などの必要な調整が行われる。」という内容に基づき実施しており、今回の辺野古弾薬庫における既存の弾薬庫の建てかえについても、これらの工事の一環として実施するものであります。

照屋委員 大臣、私も、何回も何回もロードマップを読みました。このロードマップに「キャンプ・シュワブの施設及び隣接する水域の再編成」と書いてあっても、キャンプ・シュワブと辺野古弾薬庫は米軍の施設番号上も別施設であり、事実上、隣接する陸域の再編成であり、ロードマップの文言を超えたものではありませんか。

西田政府参考人 お答えを申し上げます。

 先ほど大臣が申し上げましたロードマップの文言でございます。「キャンプ・シュワブの施設及び隣接する水域の再編成などの必要な調整が行われる。」というふうに書いてございまして、この中に含まれるというふうに考えてございます。

照屋委員 これは、防衛省、シュワブ陸上部の再編成にあわせて辺野古弾薬庫再開発も組み込んでおって、むしろ機能強化であり、許せません。県民の反発を受けることは間違いないということを言っておきたいと思います。

 さて、もう一点、防衛省に、同じく十一月九日の日米合同委員会において、「嘉手納飛行場における海軍航空機の運用の移転に係る海軍駐機場の建設について」との件名で、嘉手納弾薬庫地区内への保管庫の建設が合意されております。

 かかる保管庫とは、どのような施設でしょうか。従来、嘉手納飛行場前にあった施設の嘉手納弾薬庫地区への移転と捉えてよろしいのでしょうか。保管の対象を具体的にお答えください。また、保管庫建設のために日本政府が負担する金額は幾らでしょうか。既に予算措置されているのであれば、費目についても明らかにしてください。

深山政府参考人 お答え申し上げます。

 嘉手納飛行場の海軍駐機場につきましては、平成八年のSACO最終報告の騒音軽減イニシアチブの一環といたしまして、主要滑走路の反対側に移転したところでございます。

 他方、海軍駐機場の移転先に所在しておりました保管庫について、平成二十一年二月の日米合同委員会において、嘉手納弾薬庫地区内に移設することで合意しておりまして、本年十一月九日の日米合同委員会において、その移設工事を実施することで合意しておるところでございます。

 この保管庫の用途でございますが、米側からは、航空機に搭載する弾薬を保管するものとの説明を受けているところでございます。

 この保管庫の移設工事の予算といたしましては、提供施設等の整備工事に必要な経費でございます提供施設等整備費として、約八億五千万円となっております。なお、この予算につきましては、二十八年度と二十九年度、この二カ年にわたって計上しておりまして、二十八年度に約五億四千万、二十九年度に約三億一千万の予算を計上しておるところでございます。

照屋委員 最後に、小野寺大臣に尋ねますけれども、どうしても僕は納得できない。このロードマップをもう縦から読んでも横から読んでも、今のような答弁は出てこないと思う。

 大臣に伺いますけれども、嘉手納飛行場と嘉手納弾薬庫は、これは提供施設は同じですか。違うんじゃありませんか。その上で、今回の保管庫建設は海軍駐機場移転に伴うものであるにもかかわらず、なぜ嘉手納飛行場内につくらないのでしょうか。嘉手納弾薬庫につくる理由、必要性について大臣に尋ねます。

小野寺国務大臣 嘉手納飛行場の海軍駐機場については、平成八年のSACO最終報告の騒音軽減イニシアチブの一環として、主要滑走路の反対側に移転をしたところであります。

 他方、海軍駐機場の移転先に保管庫が所在していたことから、米側と保管庫の移設先について運用上の観点等を勘案して協議した結果、市街地から可能な限り離れた嘉手納弾薬庫地区内に移設することで日米間において合意をいたしました。

 私どもとしては、市街地から可能な限り離れた場所ということで、今回の計画を進めさせていただいております。

照屋委員 たしか前にも大臣にお伺いしたと思うんですけれども、旧海軍駐機場の使用問題、これはいまだに解決しておりませんで、これは明白なSACO合意違反なので、日米間で約束した騒音軽減という趣旨に照らしても、実際的には、騒音軽減どころか、あるいは負担軽減どころか、基地機能の強化が進んでいる。

 そして、この前の当委員会で言いましたように、極東最大の空軍基地嘉手納の機能が日米両政府間の合意に反するような形で運用されて、基地周辺に住んでいる、私自身住んでおりますよ、物すごい負担になっているということをぜひ小野寺大臣にはわかっていただいて、その解決のために真剣に取り組んでいただきたいということを申し上げて、質問を終わります。

寺田委員長 これにて本案に対する質疑は終局をいたしました。

    ―――――――――――――

寺田委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、防衛省の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

寺田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りをいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

寺田委員長 異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

寺田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会をいたします。

    午前十一時三十三分散会


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