衆議院

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第7号 平成30年5月10日(木曜日)

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平成三十年五月十日(木曜日)

    午後二時四十四分開議

 出席委員

   委員長 寺田  稔君

   理事 大岡 敏孝君 理事 門山 宏哲君

   理事 武田 良太君 理事 宮澤 博行君

   理事 若宮 健嗣君 理事 本多 平直君

   理事 渡辺  周君 理事 浜地 雅一君

      江渡 聡徳君    小田原 潔君

      大西 宏幸君    大野敬太郎君

      木村 弥生君    北村 誠吾君

      熊田 裕通君    高村 正大君

      中谷 真一君    浜田 靖一君

      福田 達夫君    古田 圭一君

      宮川  伸君    村上 史好君

      古本伸一郎君    佐藤 茂樹君

      広田  一君    赤嶺 政賢君

      下地 幹郎君    照屋 寛徳君

      長島 昭久君

    …………………………………

   防衛大臣         小野寺五典君

   外務副大臣        中根 一幸君

   防衛大臣政務官      大野敬太郎君

   防衛大臣政務官      福田 達夫君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 志水 史雄君

   政府参考人

   (外務省中東アフリカ局長)            岡   浩君

   政府参考人

   (国土交通省航空局航空ネットワーク部長)     久保田雅晴君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房長)   高橋 憲一君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  前田  哲君

   政府参考人

   (防衛省整備計画局長)  西田 安範君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  武田 博史君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  深山 延暁君

   政府参考人

   (防衛省統合幕僚監部総括官)           鈴木 敦夫君

   安全保障委員会専門員   林山 泰彦君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月七日

 辞任         補欠選任

  井上 一徳君     長島 昭久君

同月十日

 辞任         補欠選任

  和田 義明君     古田 圭一君

同日

 辞任         補欠選任

  古田 圭一君     木村 弥生君

同日

 辞任         補欠選任

  木村 弥生君     和田 義明君

    ―――――――――――――

四月十九日

 戦争法の廃止を求めることに関する請願(志位和夫君紹介)(第一〇〇九号)

 戦争法を廃止することに関する請願(志位和夫君紹介)(第一〇六〇号)

 同(藤野保史君紹介)(第一〇八〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国の安全保障に関する件(イラク派遣の日報等)


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     ――――◇―――――

寺田委員長 これより会議を開きます。

 国の安全保障に関する件、特にイラク派遣の日報等について調査を進めます。

 この際、お諮りをいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房参事官志水史雄君、外務省中東アフリカ局長岡浩君、国土交通省航空局航空ネットワーク部長久保田雅晴君、防衛省大臣官房長高橋憲一君、防衛省防衛政策局長前田哲君、防衛省整備計画局長西田安範君、防衛省人事教育局長武田博史君、防衛省地方協力局長深山延暁君、防衛省統合幕僚監部総括官鈴木敦夫君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

寺田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

寺田委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。本多平直君。

本多委員 立憲民主党の本多平直です。

 日報問題等、質問をさせていただきたいと思います。

 まず、ちょっと最初に前提で一つ大臣に確認をしていただきたいんですが、ことしの三月三十一日にこのイラクの日報のことが大臣に初めて報告をされたときに事務方が使ったペーパーを出してくれということを私は申し上げました。今の、現時点での回答は、それは出せないということなんですが、実は、それ以前に一度、間違った紙を私に提出をしまして、そしてそれが、数週間にわたり、これを本当にこんなもので説明したのかというやりとりをしたのにもかかわらず、返答がないまま委員会を迎え、委員会の現場で私や広田議員などがこのペーパーをめぐって確認をするという事態に陥りました。

 単純なミスだったと思いたいんですが、国会議員に資料を提出するかどうかということが大事なテーマになっている本件において、大臣説明に使った紙というのを間違って数週間にわたって提示したことについて、一応、事実関係を、議事録にも残ってしまっていることなので、事実関係、間違った紙を渡したんだ、申しわけないという一言をいただければと思います。

小野寺国務大臣 今、本多委員から御指摘がございましたように、本多委員に事務方から提出させていただいた資料は、防衛省より、四月二日に陸自におけるイラクの日報の確認について公表する際に使用した資料であり、委員からの御指摘を受けた私への報告というのは三月三十一日ですから、日付を見てもおかしい話であります。

 このような資料を本多委員に御提示するときに、説明が不十分で、あたかも三月三十一日の私への部内検討資料の文書であるような内容についてお示しをしたということに関しては、これはあってはならないことでありますし、事務方に厳しく指示をいたしました。

 いずれにしても、事務方の説明不足により本多委員に大変不快な思いをさせてしまったことをおわび申し上げたいと思います。

本多委員 不快な思いというか、この質問の貴重な時間を、この紙が本当なのかというような議論で私の時間と広田委員の時間が使われたというのが事実ですので、ぜひ事務方に厳しく注意をしていただければと思います。

 それで、もう一点、実は前回、委員会のときに大臣の発言というのがございました。私はその場で、大臣発言の中に、国際教育活動隊の日報が見つかった件、これはイラクではないんですが、イラク以外の、ゴランでありますとか、そういう日報が大量に発見をされた件について載っていないのはなぜか、それから、野党へのいろいろなヒアリングのペーパーにもなぜかこの件だけ載せていないのはなぜかということについてお聞きをしまして、大臣はそのとき状況を把握されていなかったようなので、今把握している、なぜこの国際教育活動隊で発見された日報についての記載が大臣発言や野党へのペーパーに載っていなかったのかを、単なるミスなのか、どういうことなのか、御報告をいただければと思います。

小野寺国務大臣 陸上自衛隊の国際活動教育隊において南スーダンPKOやハイチ国際緊急援助活動等の日報が発見されていたことについては、四月四日に公表させていただきました。

 四月五日及び六日の野党合同ヒアリングでの防衛省の説明資料については、イラク日報について御説明するものと考え、イラク日報が発見されていなかった国際活動教育隊に係る言及はありませんでした。

 また、四月十日の本委員会での私からの報告にも国際活動教育隊に係る言及はなく、これらは事務方のミスであり、大臣として申しわけなく思っております。この点については、私から事務方に厳しく注意をしております。

 いずれにしましても、四月十日の本委員会で申し上げましたとおり、御指摘の国際活動教育隊に係る言及については、本委員会で特段の決定があれば、それに従い、適切に対応させていただきたいと思っております。

本多委員 というように、一つ一つのことを余り責め立てる気はないんですが、非常に私たちも調査をしっかりしたいと思っている中で、事務方の段取りが悪いことが散見をされますので、しっかりとそこは対応していただきたいと思います。

 そして、私ちょっと先ほど名前を間違えて言いましたが、国際活動教育隊ですね。国際活動教育隊の資料なんですが、これ、実は、一番、発見されたのはいつ、三月に発見されたという情報を事務方から得ているんですが、なぜ四月二日の小野寺大臣の会見ではこれは報告をする対象にならなかったのかということについて、まずお聞きをしたいと思います。

小野寺国務大臣 国際活動教育隊が南スーダンにおけるPKOを含む日報を保有しているという報告を私が受けたのは、この公表当日の四月四日でありましたので、私のところに来た報告が四月四日で、私は、速やかに公表せよということで指示をいたしました。

本多委員 三月に入手をしていた国際活動教育隊の日報を把握していたことが、なぜ、三月三十一日の小野寺大臣への説明、それから四月二日に記者会見をした小野寺大臣に伝えなかった事務方の事情をお知らせください。

小野寺国務大臣 統幕参事官が、二月二十七日以降、陸自全体の日報の保有状況について報告を受け、確認された日報の提供を受けてきたところですが、部隊別の保有状況が明らかではなかったため、三月十三日に陸自の国際活動教育隊の日報の保有状況を確認させた結果、三月二十八日になって、南スーダンPKO等の日報を保有していることが明らかになったという報告を後に受けております。

 その後、事務方において、まずはイラクの日報が確認されたことを速やかに公表する作業を進めていたため、国際活動教育隊が日報を保有している旨を私に報告する準備を終えたのが四月四日になったという報告を受けております。

 いずれにしても、事務方から、本来であれば、三月二十八日に確認ができているのであれば、私に対しても速やかに報告するということが適切だと思いますので、事務方に注意をしております。

本多委員 今、この短い時間だけでも、小野寺大臣が事務方に注意をしてもらわなきゃいけない事項が三点もこの短い期間に発生をしているんですね。こういう状況を重く受けとめていただきたいんです。

 それを国会議員への報告、私が小野寺大臣の立場だったら、厳しく怒ると思うんです。三月の中旬に入手をしていて、どうせだったら一回で発表したいようなものを、わざわざ二日おくらせて発表させるという今のこの事務方の体制に対して、私は、厳しく注意をすべきだと思うんですけれども、どうですか、大臣。

小野寺国務大臣 私としては、厳しく注意をしております。また、ここで、言葉を強めて言う場ではないというふうに承知をしておりますが、当然、省内においては、なぜこのようなことをしているのか、あるいは国会の求めに対して適時適切に応えてきていなかった今までの経緯も含めて、それは厳しく指導をさせていただいております。

本多委員 それで、実は、この国際活動教育隊の日報というのは、去年、我が党の辻元議員が場所を指定して、事務方との会話ではイラクとか南スーダンとか絞って言ったのかもしれないんですが、結局、調べていなくて、その翌日か翌々日の稲田大臣の答弁は、国際活動教育隊においては、日報は、そのような事象の有無を確認した後、不要となるため、文書としては保管していないところでございますと。

 これだけ大量の、このときの稲田大臣の答弁は、南スーダンであるとかイラクとか特定をしていませんから、これは明らかな虚偽答弁だと思うんですけれども、稲田大臣のこの日の答弁は間違っていたということを再度確認をしていただけますか。

小野寺国務大臣 昨年二月十六日に、辻元議員から、陸上自衛隊の国際活動教育隊が収集した日報についての資料要求があった際、保有していない旨回答し、翌日の国会においても同様にお答えした一方で、国際活動教育隊が日報を当時から保有していることが確認をされました。当時の正確性を欠く答弁、資料要求への対応というのは不適切だったと私も思います。

 お尋ねの経緯を御説明すると、昨年二月十六日、辻元議員からの資料要求を受け、国際活動教育隊では、日報は用済み後破棄されているとの認識のもと、副隊長から各科長等に対して捜索の指示が行われました。その際、一部の文書管理簿や個人用の端末について捜索を行ったものの、後日日報が保管されていることが確認された共用端末及び外づけハードディスクについては探索を行わなかったことが判明しております。

 その後、本年三月二十八日、統合幕僚監部における一元的な管理を進める作業の過程で、国際活動教育隊評価支援科の共用端末及び研究科の外づけハードディスクに南スーダンPKO等の日報が保管されていることが明らかになったということであります。

本多委員 去年の辻元議員の捜索依頼に対する間違った情報を稲田大臣に上げ、稲田大臣に間違った答弁をさせた責任者は特定はできているんですか。

小野寺国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、当時の探索は、副隊長の指示のもと、国際活動教育隊の各科等においてそれぞれ行われたということであります。

 当時の正確性を欠く資料要求への対応は不適切であり、これは、現在、事実関係について調査しているところであり、調査結果に基づき、適切に対処してまいりたいと思っております。

本多委員 調査中というのは、大野チームでの調査ですか、それとも、大野チームとは別なところで調査をしているんですか。

小野寺国務大臣 大野チームではありません。大野チームは限った形での調査をしておりますので、大野チームではありません。

本多委員 このときに、その国際活動教育隊の担当者、今回、ことしの三月に出てきたパソコンを持っていた部署の当時の責任者は、私はきちんとした処分を、それがミスだったのか隠蔽だったのかは内心の問題なので、私たちまでなかなか、警察権もありませんので調査できませんけれども、百歩譲って、私たちは、隠蔽だった疑惑もありますから、こんな短い時間では捜せないと答弁を稲田さんにさせるべきだったと思いますし、しかし、ミスだったとしても捜し方が足りなかったにしても、大臣に間違った答弁を国会でさせ、そして、辻元議員に間違った情報をもとに国政を論じることになるわけですよ。こうしたことをしてしまった、この国際活動教育隊の今回出てきたパソコンを管理をしていた部署の責任者は、きちんとした処分をすべきだと思います。

 これは調査をしているということですから、いつごろまでにこの調査を、もうこの事案が発生してから一月以上たっているんですが、いつごろまでにこの調査は終わる見込みですか。

小野寺国務大臣 まず、辻元議員からの資料要求という要求を受けて、これは速やかに要求に応えて対応すべきということで、この国際活動教育隊については、まずその資料がある可能性が高いところを捜査したんだと思います。ただ、その段階では見つからなかったということなんだと思いますが、いずれにしても、これは、その後も探索をする中で見つかっているのであれば、速やかにその時点で報告をするのが適切な対応なんだと思います。

 また、その時点で、しっかりとした探索をしない中で、当時の稲田大臣に対して、答弁する資料を上げてしまったということは、これは問題だと思います。

 私どもとしては、この一連の流れについてしっかり把握をした上で適切な対処をしたいと思いますし、なるべく早く対応できるようにしていきたいと思っております。

本多委員 それは我々にも、その処分が、いつ調査が終わって、報告をいただけるということでよろしいですか、きょうの時点ではわからないということなので。

小野寺国務大臣 国会の議論の中で、この問題について委員からも御指摘をいただいている内容でありますので、速やかな調査が終わった段階で御報告させていただくということになると思います。

本多委員 ほかの部署の隠蔽は、広い範囲から、巨大な自衛隊全部から、あるのかないのかという話ですから、皆さんの方に寄り添って、見つからなかったということに寄り添って立場に立つことも可能なんですが、この国際活動教育隊は、辻元さんが極めて限られた部署を特定して、ここにありそうだという指摘で言って、そしてまた、出てきたのが、ハイチ七百五十日分、ゴランが四百三十日分。一つ、二つ残っていたという話じゃないんですよ。一年、二年の分の巨大なものが残っていた。これを見つからなかったなんと言って、だから、幾つかもう問題がたくさんあり過ぎるんですけれども、これ一つでもやはり重大な問題だと思いますので、きちんと事実関係を明らかにして、申しわけないですけれども、担当した方をきちんと処分をしていただきたいと私は思います。それが再発防止につながると思います、口だけで言うのではなくて。

 それと、もう一つ私が強く思っているところについても、大野チームでは調査をしていただけない、ことしのおくれの問題であります。

 情報が二月二十七日に統幕に上がってから三月三十一日までの一カ月間、私はこのおくれが致命的だと今回の問題で思っています。何か大臣も、これも、さっきのちょっとしたミスの、三回連続で謝っていただきましたけれども、私はここは大問題だと思っています。

 なぜかというと、去年の南スーダンのあの大問題を経験していない自衛隊だったら、いや、ちょっと、資料をきちんと整理してから大臣に上げようという発想は、役所というところではあるのかもしれません。それと、内心で、相談はしないけれども、予算委員会の最中にこんなものを出すのもというのもあるかもしれません。私はそんなことは許しませんが、あるかもしれません。

 しかし、私、今回やはり異常だと思うのは、南スーダンのあの隠蔽騒動で特別防衛監察が入り、大臣が事実上この問題で辞任をし、そして二人の幹部が辞職をするというところになった自衛隊において、こんな面倒くさいものを見つけて大臣に上げない、そして国民への公表を一カ月もおくらせるというのは、重大な、今回の事案の大きな柱の一つの自衛隊の不祥事だと私は思うんですけれども、大臣、ここの認識はありますか。ぜひお答えください。

小野寺国務大臣 統幕監部から私まで上がってくる経緯であります。

 その間の経緯について、まず、三月二日に日報の一部が陸幕から統幕参事官に送付されました。その後、三月二十日にかけて、改めて、陸上幕僚監部を中心に、日報の探索漏れがないか、行政文書の再確認を行いました。また、これら再確認と並行して、統幕参事官において確認された一万四千ページの文書が日報に該当するものなのか、また文書に欠損がないかといった観点から確認を重ね、さらに、今回確認された日報に関し得る過去の国会議員からの資料要求や国会での答弁並びに情報公開請求への対応状況を可能な限り確認をし、加えて、国際活動教育隊における日報の保有状況を調べるなど、イラクの日報以外の日報についても確認作業を進めるなど、大臣への報告に対して事務方として必要な作業を行ったという報告は受けております。

 そうした過程で、統幕総括官には三月五日に、官房長には三月二十九日に、事務次官には三月三十日に、統幕長及び陸幕長にはそれぞれ三月三十日に、イラクの日報の存在について報告が上がったということであります。

 私が聞いたのは、その翌日、三月三十一日ということで、いずれにしても、大臣に報告されるまで約一カ月を要したことについては、事務方として必要な作業を行っていたという事情、これはあるというふうに報告は受けておりますが、このような事案を認知したのであれば、私へ直ちに第一報をするべきだというふうに思っております。このことについては、私から事務方へ厳しく指導をしております。

本多委員 この御答弁は何度もお聞きしているんですが、事務方の精査は、漏れがないかというのはやっていたんですけれども、三月三十一日の報告までに漏れはなかったんですか。事務方は漏れがないか確認していたとおっしゃっているんですが、漏れはあったんですよね。四月、三月三十一日の後もぼろぼろぼろぼろ出てきているわけで、漏れがないかのために大臣への報告がおくれた、一カ月おくれたと言っていますが、漏れはその後もあるんですよね。

小野寺国務大臣 いずれにしても、このような資料を集めるにおいては、さまざま、逐次、いろんなものが見つかったということで、その精査をしていたということだと思いますが、事務作業は恐らくかなり大変なものだと思います。

 特に、恐らく、事務方からしたら、私が報告を受けたら、これはどうなっているんだ、あれはどうなんだ、過去の国会答弁ではどうだったんだ、恐らくそういうことを私は必ずそこで聞くと思います。当然、それに備えてさまざまな作業をやっていたんだと思いますが、いずれにしても、まず、こういうのがありましたということが確定されたら、第一報をまず私にして、そしてその後、必要な作業を進めていくということをすればよかったと思いますので、この件については、まず、確認した時点で第一報をすべきだということを、改めて強く事務方には指摘をしております。

本多委員 報告をしなかった事務方の、私はきちんと処分をすべきだと思うんですけれども、いかがですか。

小野寺国務大臣 御指摘の件については、事実関係について調べているところであり、判明した事実に基づき適切に対処してまいりたいと思っています。

本多委員 これ以上どういう事実を調査するんですか。

小野寺国務大臣 先ほど来、事務方から説明は受けておりますが、それだけの作業を要するのにこれだけの期間がかかったのかということもありますし、そして、なぜ私の方に第一報をしなかったのか、そのことについても適切に私どもとして調査をする必要があります。

 そして、委員にぜひ知っていただきたいのは、処分、処分とお話をしますが、これは職員、隊員の一生のことにかかわる問題であります。とすれば、当然、その職員、隊員等に対して、どのようなことで行ったかということを正式に聞き取りをし、そして省内のさまざまな判断基準に応じて処分というものを下すのが適切なやり方であることは、もう委員も御承知のことであると思います。

 そういう意味で、やはり、しっかりとした事実関係の確認というのは、当然その処分の前提としては必要だと思いますので、それをしっかりとやっていく中で、またこの結果については御報告をさせていただきたいと思っております。

本多委員 何かちょっと、処分、処分と安易に言っているかのような指摘をされて心外なんですけれども、私はそんなつもりはありません。

 しかし、こうした問題というのは、やはりその時点で担当していた方をしっかり処分していかない限り、再発防止につながっていかないと私は思うんです。

 だから、その役人の方を個人的に小野寺大臣も知っているし、一生懸命ふだんはほかのことはやっているとか、そういうことはあるかもしれないけれども、大臣におくれただけじゃないんですよ。国会議員に、ないと言っていたものが見つかって、この一カ月間に、たまたまイラクをめぐる何か法案が出ていたらどうするんですか。南スーダンをめぐる法案が出ていたら、私たちはその情報を知って審議をするのと知らないで審議をするのと、大きな違いが出る。この一カ月おくれたから、大臣の心理的な怒りだけではなくて、国民や国会議員の知る権利を害してしまったんですよ、結果として。

 だからこそ、私は、しっかりと、処分も含めて、事実関係を明らかにして、トータルとして済みませんでしたという話じゃなくて、個人もある程度特定をして、特に責任者はしっかりと責任をとっていかないとこうした問題の再発防止につながらないし、それをきちんとやってもらわないとこの問題の解決につながらないと思うんですけれども、いかがですか。

小野寺国務大臣 いずれにしましても、適切にこの事態について私どもとして調査をし、それに対して適切に対処してまいりたいと思っております。

本多委員 少し安心をしたんですが、大野チームとは別に、この三月のことも今調査をしているという答弁をいただきました。調査をしている以上、その結果が出ると思いますので、しっかりとそれをまた国会に報告をしていただきたいと思いますし、それから国際活動教育隊の件も調査をしているということを言っていただきましたので、大野チームとは別に、ことしの三月の問題、それから昨年の辻元委員への、国際活動教育隊の、間違った答弁をしてしまった、責任者の調査、これはしっかりとしていただきたいと思います。

 そして、今処分というお話が出ましたので、暴言事件について少し質問をさせていただきたいと思います。

 小西参議院議員への暴言を吐いた幹部自衛官、訓戒という、懲戒に当たらない処分をされたと聞いていますけれども、私はこれは軽過ぎると考えるんですけれども、いかがでしょうか。

 懲戒処分というものについて説明を伺いました。懲戒処分のうち、一番低い処分でさえ、重い、悪質なスピード違反などをした自衛官は懲戒処分をされているわけです。私は、これと比しても、今回の、国会議員に路上で暴言を吐いた自衛官の処分が、悪質なスピード違反を犯した自衛官の処分にも匹敵をしないというのは非常に不均衡だと考えるんですけれども、いかがでしょうか。

小野寺国務大臣 自衛隊員の規律違反に対する処分については、その規律違反の事案について総合的に評価した上で判断していくことが必要なんだと思っております。

 今回の小西参議院議員に対して幹部自衛官が暴言を含む不適切な発言をしたことについては、これは申しわけなく思っております。

 この事案について改めて申し上げれば、統合幕僚監部指揮通信システム部所属の一担当である自衛官が、勤務時間外の時間帯にジョギングをしていた際、偶然に小西議員を見かけ、議員に対する自分の勝手なイメージで思わず暴言を含む不適切な発言を行ってしまったものであり、計画的に行われたわけではなく、自衛隊法等で規定された政治的な目的も持っていないことを確認しております。

 また、本人は、事案後に所属を外し、統合幕僚監部総務課付となり、五月中旬に定期異動ではない形で異動させることとしております。

 なお、本人は、事情聴取を五十時間以上にわたり受け、最後には、小西議員から本人に渡された小西議員の国会質疑の議事録を読んで、「小西議員の具体的な想いや活動内容を知らないまま、大変失礼な発言を行ってしまい、大変恥ずかしく、誠に申し訳ないことをした」と深く反省をしております。このことは、本人の供述として公表もさせていただいております。

 このようなことを総合的に踏まえれば、私どもとしては、この訓戒の処分ということは決して軽いものとは言えず、適正に行われたものと考えております。

本多委員 余り言うと小西議員に怒られるかもしれないんですけれども、小西議員の気持ちは、懲戒免職にしろとか言っているわけですよ。しかし、私は、そんな均衡性を……(発言する者あり)均衡性をそこまで、しかし、悪質なスピード違反程度はしっかりとやるべきでないかというのが私の意見なんですよ。ですから、それはしっかりと申し上げておきたいと思います。

 それからもう一点、辺野古の工事での海上警備での七億円の過大請求をした企業に契約を続けていたという問題が明らかになっています。

 これは、内部通報がなければ七億円だまし取られた可能性もあったという、大変金額の大きな、森友問題の値引きとちょうど同じ金額なんですけれども、こういう巨大な過大請求をした会社を、契約を続けていた事情について、お聞かせをいただきたいと思います。

小野寺国務大臣 この事案が発生したのは二年半ほど前のことですので、私どもは、あくまでも当時の沖縄防衛局の担当者に確認をするという形で答弁をさせていただきます。

 平成二十八年一月四日及び五日に、工事の受注者である大成建設から委託を受けて海上警備業務を実施した業者の従業員とされる方から連絡を受け、まずは、当該海上警備業務に係る減額措置などについて検討をし、警備業務の実施業者に対する監督責任を有する大成建設に対し注意をし、減額措置を行ったところであります。

 次に、こうした検討を踏まえた方針のもと、海上警備業務実施業者と沖縄防衛局が直接契約をしていた海上警備についても減額措置を行ったということ、このような事情を勘案し、契約中止や海上警備業務実施業者の指名停止等の措置は講じなかったということを当時の担当者から確認をしております。

本多委員 その措置は、大臣、正しかったと思われますか。今になってからの判断でもよろしいんですが。

小野寺国務大臣 私はやはり不適切ではなかったかと思っております。

本多委員 ぜひこれも、しっかりと過去にさかのぼって担当者を問いただして、なぜこういう不適切なことが起こったか調査をしていただきたいと思います。

 以上で質問を終わります。

寺田委員長 次に、渡辺周君。

渡辺(周)委員 国民民主党の渡辺でございます。

 きょうの委員会は日報等でございますので、まず日報のことについて、冒頭お尋ねをします。

 ただいまの本多委員の質問にも関係すると思いますが、大野政務官をトップとする調査チーム、現在、作業はどこまで進んでいますでしょうか。

小野寺国務大臣 これは、今回の案件につきましては、私より、正確な事実関係をより着実に把握し、より早急に発表できるように、全力を尽くして調査を行う旨を指示し、これまで、事実関係を示す裏づけとなる証拠の収集や、現在のところ本件に関係すると考えられる者に対しての対面又は電話による聞き取りを実施し、大野政務官のリーダーシップのもと調査を進めていると承知をしております。

 調査チームの立ち上げ当初から説明をしているとおり、新たに御説明できる事案が、事項が判明した次第、速やかに報告をさせていただきたいと思います。

 なお、ちなみに、大野チームの会合、会議の開催実績でありますが、五月九日現在、二十二回にわたって開催し、調査をしております。

渡辺(周)委員 五月九日まで二十二回ということでございますが、どれぐらいの人数にお会いして、あるいは電話でという話もありましたけれども、当たったんでしょうか。その人数等わかりますか。

高橋政府参考人 大野チームの調査の状況でございますが、アンケートによるもの、あるいは対面によるもの、それぞれいろいろな形でやらせていただいてございまして、人数で申しますと、数百名、二、三百名の調査をしている、そういうところでございます。

渡辺(周)委員 もう二、三百名というと、相当な数になると思うんですよ。

 といいますのも、いよいよこの国会も会期末までほぼ一カ月。たしか、先般、大臣はこの委員会での質疑の中で、いつごろまでに公表できるんですか、まさか国会が終わった後にしれっと出てくることはないでしょうねと言ったら、ぜひこの委員会の審議に資するように、この報告、公表、発表できるだろう、発表したいということをおっしゃっていました。

 そういう意味では、もう既にアンケートや対面で二、三百の方というのであれば、該当するところの方々にはほぼ聞き取りは終わっているんじゃないか。そういう意味では、会期末を念頭に置いて、そろそろ、発表する時間のめど、期限というものが見えてきていますけれども、その点について、いつごろ発表されるというめどをお持ちですか。

小野寺国務大臣 今回の事案については、私より、正確な事実関係をより着実に把握し、より早急に発表できるよう、全力を尽くして調査を行う旨指示をさせていただいております。

 今、アンケート、聞き取り等で資料を集めております。当然、それぞれの調査対象者の意見が食い違う場合もありますし、さまざまな再調査も必要なところもあるのではないかと思っております。

 ただ、与野党の国対の御議論において、調査報告は今月中に提出させるという報告が出されていることは私ども受けとめておりますので、今月中に国会に出せるよう努力をしてまいります。

渡辺(周)委員 今月中となりますと、ある程度会期末が見えてくる、国会が延長されるかどうかはわかりませんけれども。そういう意味では、この委員会で、この報告が出た時点でまた改めてこれは審議をすることになると思いますし、また、これは政府というよりも、委員長を始めとして与野党間で、この問題についてはやはり今国会中ではっきりさせたいということで、速やかな提出を期待するところでございます。ですので、中身につきましては、改めて報告が出た時点でまた質疑をしたいと思います。

 次の質問に移ります。

 昨日の日中会談についてでございまして、日中の首脳会談で、海空の連絡メカニズムの運用開始で合意をしたと。そして、両国の防衛当局幹部が覚書に署名をしたということでございます。

 この問題につきましては、我々の政権のとき、民主党政権のときからも、それ以前からもずっと議論はあり、いろいろ協議をしたんですが、さまざまな政治情勢によって今日までここへ来てしまった。

 これは、言うまでもなく、艦艇や航空機の偶発的な衝突を避けるために、今回、この三つの柱。一つには、局長若しくは局次長級の年次会合、課長級の専門会合を交互に開催するということが一つの柱。続いて、ホットラインを開設する。防衛当局の幹部が連絡をとり合う。そして、三つ目については、これらの現場で話をできるような、艦艇や航空機同士の連絡方法を確認するんだということでございます。

 まずは、このホットライン。ホットラインの開設ということについて、例えば防衛当局の幹部が連絡をとり合うということでございますけれども、これは実際、どのレベルの方がどのような形でホットラインを開設するということになっているんでしょうか。

 そして、来月八日からこの運用を開始するというんですけれども、まず、どこから一体スタートするのかということについて、具体的な、昨日覚書で署名を交わされたということを受けて、お尋ねをしたいと思います。

前田政府参考人 お答えいたします。

 日中の海空連絡メカニズム、概要については今委員がお話をされたとおりでございます。

 ホットラインでございますが、その二番目の項目として合意をいたしております。これの通話の主体については、日中防衛当局間の幹部の間というものを想定しております。具体的な通話者については、通話の都度、事前に日中防衛当局間で調整した上で確定することといたしているところでございます。

渡辺(周)委員 いや、ですから、その幹部ということはわかっているので、どのクラスの方のことなんですかというふうに今聞いたんです。幹部というのはどのあたりを指すんですか。

 それから、もっと言えば、ホットラインでやりとりをする前にその段取りをするというようなことになったら、これは、艦艇や戦闘機の偶発的な危機を避けるためにやるわけですから、ちっともホットじゃなくなるんですね。ホットラインで話をするために事前に段取りを決めていたら、かえって遠回りになりやしないだろうか。結局、意思をお互い確認し合うまでに相当な時間がかかるんじゃないかということでございます。

 そういう懸念もあるわけなんですけれども、果たして、この防衛当局が連絡をとり合うホットライン、これは実際、通話の対象者は誰になるんですか。

前田政府参考人 お答えいたします。

 繰り返しになって恐縮でございますが、今のところ、覚書で合意をしたのは、日中防衛当局間の幹部間ということで合意をしてございます。具体的な通話者は、通話のすぐ事前に調整した上で確定をする。

 ただ、このメカニズムが実効性を持つように運用することは当然必要でございます。先ほど委員が御指摘になりましたように、年次会合等々がございますので、この運用の改善も含めて、実効的なものになるように、今後、防衛当局間で調整をしてまいりたい、このように思ってございます。

渡辺(周)委員 では、その年次会合も含めて、覚書を交わした後の第一回はいつごろ開かれる予定ですか。

前田政府参考人 お答えいたします。

 年次会合、まだ具体的な時期について確たることは申し上げられませんけれども、年次会合でございますので、今覚書を結びました、そして三十日以内に運用を開始するわけでございます。そう遠くない時期に、年次会合についてもしかるべく調整をしてまいりたい、このように考えてございます。

渡辺(周)委員 問題は、これまでも、もう言うまでもありませんけれども、例えば二〇一三年、中国の海軍が護衛艦に対して射撃管制レーダーを照射した事件を始めとして、中国の戦闘機が異常接近をしてきた、あるいは、そのレーダー照射によって、急遽その照射の対象から外れるように急旋回をした、護衛艦がですね。一つ間違えたら、準軍事的な行動をとられたこともあるという中で、これは現場対現場の状況です。ですから、お互いぎりぎりのところで、相手の意思がどうかも確認できぬまま、これは対応しなきゃならない。

 そのときに、そのホットラインのどういう担当者がやりとりをするのか、それもこれから決める。そして、例えばホットラインで話をする前に、どなたかが最初に打合せをしてというような悠長な時間はどう考えてもないんですよ。そうすると、これはやはり、偶発的な接触を避けるためといいながら、本当にそれが実効的なのだろうかと極めて今の答弁を聞いていると不安になるわけなんですね。

 もっと言えば、ホットラインというのは、かけたって、つながっても知らぬ顔されたら、それは出なかったら終わりなんですね。かけたけれども話し中、ずっと向こうは呼出し音が鳴るだけで出てこない。実際、そういうのが米中間でもあったという事実もあるわけでございますから、このメカニズムが機能する、運用を開始するというんですけれども、実際、具体的にスタートをするには、やはりこのメカニズムの機能を向上させるにはどうすべきか。これは大臣、どうお考えですか。

小野寺国務大臣 まず、委員がおっしゃったような、例えば現場での偶発的な衝突事案を防止するためには、これは今回の合意の内容にありますが、艦船、航空機間の連絡ということもありますし、そしてまた、防衛当局間のホットラインということもあります。

 実際、昨日、署名を局長レベルでさせていただきましたが、今後これをしっかりとした形で運用するためには、これは、年次会合、専門会合ということを積み重ねていくことが大事だと思っています。速やかにこの会合を開く中で、このホットラインが、連絡メカニズムがより有効に機能するように日中で協力してやっていきたいと思っております。

渡辺(周)委員 もうこれは中国が防空識別圏を設定をした。以前、防衛省の事務方の方に申し上げたんですけれども、北朝鮮の制裁に、経済制裁をするという上で、いわゆる監視をする。これは例えば両国が監視をするという名目で、これは非常に、この北朝鮮を、いやいや、相手国を監視しているのではなくて、北朝鮮から出ていった船を警戒、追跡をしていたら、例えば、相手の識別圏に入るなり、あるいは相手の領海を侵犯するなりなどということもあり得るわけです。

 ですから、正直、今後、当然中国の、さまざまな海洋進出に入ると、当然我々は、この尖閣の問題もあって、尖閣のエリア、地理的な要件というのは、今回、棚上げされて、先送りされて、その場所は指定せずに起きたということでございます。ということは、相変わらず、この尖閣周辺においては、我が国の領土、領海でありながら、中国はここに我が国のものだといって変わらず進出をしてくる、そして、さまざまな理由をつけて我が国の艦艇なり航空機なりを排除しよう、当然そういうことに出ることでありましょう。

 それだけに、ぜひ、この点についての、現場でのまた意思疎通、この連絡方法の確認、ホットラインのもっと前、最も現場に近いところでもこの連絡方法の確認や現場の意思疎通というのは、さっきも申し上げましたけれども、急がれるわけであります。

 この点の手段については、相手国のどのような艦艇なのか、相手国のどのような戦闘機なのかということがある程度わかった上でも、現場同士でも当然何らかの共通の周波数なりでこれはやりとりをしなければいけないわけなんですね。

 もう一つのこの最も肝心な柱であります連絡方法、現場の艦艇や航空機同士の連絡方法の確認や現場での意思疎通、この点についてはどう今後進めていかれますか。大臣、お答えください。

前田政府参考人 お答えいたします。

 連絡方法、三つ目のアイテムとして定めたわけでございます。このメカニズムのもとで、自衛隊と人民解放軍の艦船若しくは航空機の間で、その間の連絡について行うわけでありまして、具体的には、従来どおりの連絡方法という定め方をしているのですが、従前どおりということになりますと、艦船の間ではCUESというのがございます。このCUESの関連規定でありますとか、あるいは、これは空も含めてでありますけれども、英語を含む通信言語等を使ってやるというところまで合意をいたしております。

 いずれにしても、連絡方法については、今回の覚書に際しまして、日中当局間で相当の、きちんとした意思疎通が図れたと思っております。この覚書をもとにして、不測の事態を避けるためにきちんと運用してまいりたい、このように思っております。

渡辺(周)委員 ぜひ、この点については、また改めてちょっと質問したいと思います。時間が今回短いので、次の質問に移ります。

 平昌オリンピック以降の北朝鮮が、突然豹変をして、急に手のひらを返したようなほほ笑み外交を展開し始めた。これについての評価はいろいろあると思いますが、やはり経済制裁がきいている、あるいは世界の中で孤立するということを極めて恐れた中で、突然の金正恩、積極外交が見えるわけでございます。

 その中で、やはり四月の二十七日、南北会談が決まった。そして、板門店宣言で、板門店での、南北のさまざまなこれまでの歴史的ないきさつについてはもう言うまでもありませんけれども、この中で、板門店宣言で触れられている部分で、朝鮮半島は正常ではない、現在の休戦状態を終息させ、確固たる平和体制を樹立することは、これ以上先送りすることのできない歴史的課題である。あるいは、休戦協定締結六十五周年となることし、終戦を宣言し、休戦協定を平和協定に転換し、恒久的で強固な平和体制を構築するため、南北米の三者又は南北米中の四者会談の開催を積極的に推進していくこととしたとありますけれども、実は、句点の打ち方によって、ことし終戦を宣言するのか、あるいは、終戦を宣言して、休戦協定を平和協定に転換するこの開催を積極的にことし推進するのか、ちょっとこれは非常に微妙な文章ではあるんですけれども、この点について、今後、我が国はもちろん当時は主権がありませんでしたが、朝鮮戦争当時。現状において、当事国ではもちろんないわけでございます。

 これを受けて、外務大臣の談話の中で、今次首脳会談の結果を受け、北朝鮮が関連安保理決議の規定にのっとり、いわゆる核や大量破壊兵器の、弾道ミサイル、完全な、検証可能かつ不可逆的な方法による廃棄に向けて、具体的な行動を期待する、引き続き、我が国としても、北朝鮮の動向について、重大な関心を持って情報収集、分析を行い、注視していきますということなんですね。何か余り、当事者ではないけれども、ここまでさらりと言うのかなという思いです。

 これは、ここにあるような方向で今後動いていくとなりますと、やはり我が国は、当事国ではないにせよ、朝鮮戦争の終結に向けて動いた場合、傍観していくわけには、日本の、我が国の安全保障の考え方というのが、やはり朝鮮半島の不安定な上に当然大きく関係して防衛体制を組んできたということは間違いないわけでございますが、こういう板門店宣言を受けて、我が国も傍観をするわけにいかない。今後こういう朝鮮半島のプロセスの中にどう我が国としてコミットしていくのか、この点については大臣はどのようにお考えですか。

小野寺国務大臣 今、南北間での対話が進んでいくということ、これは、北朝鮮をめぐる諸懸案の包括的な解決に向けた前向きな動きとは考えてはおりますが、今後の動向については、我が国として、重大な関心を持って情報収集、分析を行い、注視していくことが必要だと思っております。

 そして、私どもが大切に考えるべきことというのは、我が国は、北朝鮮による完全な、検証可能な、かつ不可逆的な方法での全ての大量破壊兵器及びあらゆる弾道ミサイルの廃棄を実現するため、そのための先行きということをしっかり対応する必要があると思っております。

 その中で、例えば、日米韓あるいは日中韓、さまざまな国との協力、これが大切なんだと思っております。

渡辺(周)委員 当然、そんな手放しで喜ぶような、北朝鮮という国は、今までも何度も雪解けを演出しながらまた態度を変える。あの国は、親子三代、金日成の時代から今日まで、周辺の大国を上手に操りながら、経済発展であるとか国民の生活向上であるとかそういうことは犠牲にしながら、とにかく瀬戸際外交を繰り返すことによって今日まで生き延びてきた国です。

 ですから、こんな突然の豹変にやはりだまされるわけにはいかない。ですから、この次の次にはまたひょっとしたら手のひらを返すかもしれない。そう思うと警戒は解いてはいけないわけでありますが、しかし、ここへ来てまた韓国あたりの政権の側近の方がアメリカの外交専門誌に、在韓米軍の撤退の話を言い出したり、あるいは、これは誤報だというふうに打ち消されましたけれども、アメリカでは、トランプ大統領が、複数の関係者の話として、在韓米軍の縮小ということを指示したということです。

 これは、もしかして、予測不能な朝鮮半島であり、予測不能なトランプ政権ですから、在韓米軍のあり方についても今後いろいろ議論が出てくるだろう。

 そうしますと、やはり私たちとしては、これはまた戦後の防衛政策というものを大きく考え直すことになるのか、あるいは、我々としても、いろいろなことの可能性を考えておかなければいけないときが来ているのか、それは私も答えがないわけなんですけれども。

 その点について、これは日本の防衛省として、今後この展開が、結果、いろいろなプロセス次第では、だからこそコミットすべきだというふうに私は申し上げているんですけれども、今後の在韓米軍のあり方というものが議論になったときに、我が国としては防衛政策って変わることがあるんでしょうか。あるいは、当面このプロセスが板門店宣言に乗って融和ムードの中で進んでいった場合、例えば、我が国が韓国と結んでいるGSOMIAのような、こういう包括的秘密協定のようなものが何らかの形で見直し若しくは今までと変質をしてしまうかどうか。

 その点についてはどうお考えでしょう。今のこの流れの中で、日本の防衛の責任者としてどうお考えですか。その点についてお尋ねをしたいと思います。

小野寺国務大臣 御指摘の在韓米軍、これを含みますアジア太平洋地域の米軍の抑止力は、地域の平和と安定に不可欠なものと考えております。

 私は、この考えのもと、四月二十日の日米防衛大臣会談において、在韓米軍を始め、この地域への米軍の抑止力をしっかり維持していくことの重要性について、マティス長官と認識を一致しております。

 また、五月九日、米上院における公聴会の場でマティス米国防長官は、在韓米軍の存在はアジア太平洋地域の安定に貢献していると指摘し、直ちに撤収や規模を縮小する可能性を否定、また、これは北朝鮮と交渉する問題ではないといった旨の発言をしているということで承知をしております。

 在韓米軍が撤収した場合の我が国への防衛政策の影響といった仮定の話については、あるいはGSOMIAについての話はお答えさせていただくことは差し控えますが、いずれにしても、我が国は、北朝鮮による完全な、検証可能な、かつ不可逆的な方法での全ての大量破壊兵器及びあらゆる弾道ミサイルの廃棄を実現するため、引き続き、日米韓三カ国で緊密に協力していくということが大切だと思っております。

渡辺(周)委員 大体予想どおりの答えなんですけれども、ただ、やはりこれはいろいろな状況というものを考えておかなければならないと思うんです。

 もともと、トランプ大統領という人は、在日米軍についても在韓米軍についても、その費用負担をめぐって、そのときと認識は、今、大統領になって、就任して一年以上たつわけですから、大分変わったかもしれませんが、そもそも、何か懐疑的なことを大統領就任のころは言っていたこと、我々もよく覚えております。それだけに、どういう状況になるかということについては、これは本当に、戦後の我が国の安全保障政策というものが、ひょっとしたら、今回の大きな金正恩の何らかの、私はまやかしの行動だと思います。それによって韓国の政権も、あるいは韓国にまだ大使もいないアメリカとして、ひょっとしたら近視眼的な結論で満足をして何か物事が進んでしまうかもしれぬという意味では、我が国としても、これはアメリカに対して例えば情報をインプットすることも含めまして、歴史的なことも反省も含めて、やはりぜひそこはコミット、何とかする中で主導できる立場を何か検討すべきだと思います。

 もう時間がなくなりました。

 ここでイランのちょっと核合意のことについて伺いたいんですが、イランの核合意からアメリカが離脱した。これも当然北朝鮮の、今までのこの交渉、下話をしているでしょう。そこで不十分な合意をした場合は、俺たちはイランとだってこういうことをするぞと、一つのやはりこれは北朝鮮への牽制という見方もあるんですけれども、小野寺大臣がどう受けとめているか。そして、あわせて、制裁措置の中には、きょうの報道あたりで、ボーイングの例えば、差止めなんかをすると我が国の航空部品なんかにも影響を与えるんじゃないかというような観測記事も出ておりますが、この点について伺いたいと思います。

小野寺国務大臣 イラン核合意は外務省が所掌している事案ではありますが、今委員の方から私に対して質問がございましたので、お答えさせていただきます。

 五月八日、米国は、イランの核合意から離脱し、米国の対イラン制裁の再適用に向けた作業を開始すると発表したということは承知をしております。

 御指摘のような今回の発表を受けた今後の中東情勢の動向について、予断を持ってお答えすることは差し控えます。

 その上で申し上げれば、今回の発表により核合意の維持を困難とする大きな影響が出るとすれば残念でありますが、我が国は、国際不拡散体制の強化と中東の安定に資する核合意を支持しており、引き続き、関係国による建設的な対応を期待しております。

 いずれにしても、防衛省としましても、今回の発表が及ぼす影響について注意深く分析しつつ、情勢を注視していきたいと思っております。

渡辺(周)委員 例えば、我が国の影響ということについてはいかがですか。我が国の例えば産業界に対する影響ということについては、誰か。

岡政府参考人 お答え申し上げます。

 今回のトランプ大統領の発表を受けまして、今後、米国政府が独自制裁の再適用に向けた手続を開始することになっております。

 その際、アメリカの財務省によりますと、制裁の適用が開始されるまでの九十日また百八十日の猶予期間が設けられており、直ちにイラン制裁が適用されることはないというふうに承知してございます。

 今委員御指摘の航空産業に関しましては、これも米国の財務省によりますと、九十日の猶予期間を経て再適用されます制裁項目の中に、イランに対する航空機及び部品の輸出に関するライセンス供与の取消しが含まれてございます。

 私どもといたしましては、日本企業に悪影響が及ぼされることのないよう、引き続き、情勢を注視いたしますとともに、アメリカとも意思疎通を図りつつ、関連情報の収集に努めてまいりたいと思ってございます。

渡辺(周)委員 まだ、終わりという紙が来ないので、最後に、じゃ、一問。

 エストニアに行かれて、エストニアで、サイバー攻撃を受けたというこの国、エストニアという国で、タリン・マニュアルという、これはサイバー攻撃を受けた場合の自衛権のさまざまな研究レポートなども出ていますけれども、このサイバーについて、大臣が行かれたことによって、今後、サイバー攻撃を受けた場合の自衛権の検討でありますとか、あるいはどのような形で今後連携をしていくのかということについて最後に伺って、質問を終わりたいと思います。

小野寺国務大臣 サイバーの攻撃の部分というのは、これは安全保障上も大変重要な案件であります。

 今回、NATOのサイバー防衛協力センター、これは委員御指摘のようにエストニアにあります、そのタリンにあるセンターを訪問し、また、エストニアの国防大臣との協議をしておりました。

 私どもとしては、我が国のサイバー防衛能力を高めるために、今後、NATOのサイバー防衛協力センターへ職員を派遣する、あるいは、このサイバー分野の協力についてこのセンターとタイアップする、さまざまなことを踏まえて、我が国の能力を向上する、その一助にしていきたいと思っております。

渡辺(周)委員 終わります。

寺田委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 イラクの日報隠蔽問題について質問します。

 まず防衛省に伺いますが、四月二十三日に、自衛隊の海外派遣における日報の集積状況が公表されました。これを見ますと、二〇〇一年の九・一一テロ以降、海上自衛隊をインド洋に派遣し、米軍を始めとする多国籍軍に給油支援などを行ったテロ特措法、それから、補給支援特措法に基づく活動の日報が含まれていません。これはなぜですか。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 四月七日に防衛大臣から、防衛省・自衛隊におきます全ての部隊、機関において、海外に派遣された自衛隊の活動に関しまして、全ての日報を含む定時報告の探索作業、これを徹底して行って、統幕への集約作業を原則四月二十日までに終えるように通達が出されておりました。

 その結果として、御指摘のように、四月二十三日に集約作業の結果を公表したところでございますが、その中にお示ししたとおり、委員のお尋ねのテロ対策特措法及び補給支援活動特措法に基づく活動に関する定時報告は、現時点では確認されておりません。

 いずれにせよ、今持っているもの、これ全てを確認いたしましたところ、現時点では確認されていないというのが現状でございます。

赤嶺委員 テロ特措法、インド洋の給油支援、本当に当時国会でも大問題になった出来事ですよ。

 インド洋への自衛隊派遣は、アフガニスタンへの軍事攻撃を行う米軍に対し兵たん支援を行うという、いわば戦後初めての戦時派遣であったわけです。その日報が確認できないという説明は到底納得できないですよね、事態の重大性に照らしても。

 イラク派遣の日報については、陸上自衛隊については新たに三十四日分が提出されましたが、それでも、半分以上、とりわけ、宿営地への攻撃があった十三日間のうち十一日分はいまだに提出されていません。航空自衛隊はわずか三日分であります。海上自衛隊は全く提出されていないままです。

 五月三日、憲法記念日の報道ステーションで、二〇〇四年五月から八月までイラク・サマワで復興支援群長を務めた今浦勇紀さんがインタビューに答えていました。日報一つとっても教訓の宝庫であって、法律論だけではなくて、現地が実際どうなのか、現地の我々の活動を見ることによって確認できると思う、こう述べていました。

 自衛隊という軍事組織にとって教訓の宝庫であるはずの日報が、本当にまとまった形で保管されていないのか。都合の悪い日報を廃棄したとすれば、一体誰が誰の指示で廃棄したのか。歴代の各幕僚長以下、部隊運用や教訓業務にかかわる部署の関係者などへの聞き取り、これは行ったんですか。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 先月公表いたしました約一万五千ページに及びますイラクの日報につきましては、先ほど申し上げました四月七日に、防衛大臣からの指示によって、全ての部隊、機関において、海外に派遣された自衛隊の活動に関する日報の探索作業を行った結果、その存在が確認されたものでありまして、確認された全ての日付の日報、これを公表させていただいたというところでございます。

 現時点でイラクの日報が確認されましたのは、陸上幕僚監部防衛部、衛生部及び警務管理官、陸上自衛隊北部方面後方支援隊北部方面輸送隊、教育訓練研究本部並びに情報本部分析部におきまして、その一部の存在が確認されております。

 先月には、これら日報約一万五千ページを先ほど申し上げましたとおり公表したところですが、現時点では、これら以外のイラクの日報の存在というものは確認されていないというのが現状でございます。

赤嶺委員 行政文書を作成、取得した場合には、その名称や保存期間、保存場所などを帳簿に記載することが義務づけられております。国立公文書館に移管又は廃棄した場合には、そのことも記載しなければなりません。帳簿そのものの保存期間は、二〇〇一年に施行された情報公開法の施行令では三十年、二〇一一年に施行された公文書管理法の施行令では無期限、このように定められています。

 自衛隊がイラクに派遣されたのは二〇〇三年十二月以降ですから、その後、日報がどのように保管され、あるいは廃棄されたのか、これは帳簿をさかのぼれば確認できるはずであります。そういう調査はやったんですか。

鈴木政府参考人 陸自のイラクの日報につきましては、現時点で、先ほど申し上げました箇所から、その一部の存在が確認されております。

 こうしたものを公表させていただいたところでございますが、御指摘のような行政ファイル管理簿に登録されているファイルというものは、さまざまな行政文書をまとめたものとして登録されているということが一般的でございまして、過去に管理簿に登録されているものですとか、もう既に現に破棄されたこれらの行政文書ファイルの中にこうした日報が含まれていたかどうか、こうしたことを網羅的に遡及して確認することは非常に困難だと考えております。

 ただ、いずれにいたしましても、今防衛省では、昨年の南スーダンの日報に関する再発防止策として、行動命令に基づき活動する部隊が作成した上級部隊への定時報告、いわゆる日報を含むものでございますが、これは、統幕参事官において一元的に管理して十年間保存し、そしてその後には国立公文書館に移管することというふうになりました。

 こうしたことによりまして、今後はより適切な文書管理が行われるとともに、情報公開等にも適切に対応できるようになるものと考えてございます。

赤嶺委員 今までも、公文書は、帳簿に適正に、あるいは廃棄した場合でもきちんと記録しておかなきゃいけないわけですよ。内閣府のホームページを見れば全部出てくる。ホームページで全部帳簿は出てくるものですからね。それを、困難だから捜せませんという、これはもう言いわけにもならないと思います。何のために公文書の帳簿をつくってきたのか。

 大臣に伺いますけれども、イラクの現地での活動がどういうものだったか、あるいは宿営地への攻撃があった日を含めて、まとまった形で提出していただかないと、日報もさまざまな問題を含んでおりますよ、中身のある議論はできません。

 きょう提起させていただいたイラク派遣開始以降の歴代の各幕僚長、部隊運用、教訓業務にかかわる部署の関係者への聞き取り、とりわけ、帳簿への記載内容がどうであったか、これらを調査し、結果を当委員会に報告していただきたいと思いますが、いかがですか。

小野寺国務大臣 十数年前でしょうか、イラクの日報については、当時は用済み後廃棄という、そういう文書の扱いになったと私どもは承知をしております。

 そして今回、このイラクの日報を含め、海外における日報というのは、私どもはやはり、現場の隊員が非常に緊張感を持って対応していた貴重な資料と思い、これをしっかり保管することが大切と思い、公文書管理の中で、日報は十年保管をし、そして公文書館に移管をするということ。そして、現在ある、海外で活動した自衛隊のいわゆる日報と呼ばれるものについては、まず一元的に集めて、そして、こういうものがありますということを公表して、国民や国会の求めに対応できるということにさせていただいておりますし、その過程の中で、イラクの日報について、確認されたものは、これは速やかに開示、不開示の作業をして公表させていただいているということであります。

赤嶺委員 用済み後廃棄というのは、現地の部隊が日報を送った後の廃棄のことを言うんであって、その日報を公文書として入手したところは、どこであれ帳簿に記録しておかなきゃいけないわけですよ。それが、三十年という期間でやっていた。だから、イラクのものというのは、まだその期間に満ちていないわけですから、その帳簿さえ捜すことが困難だと言っている、これで、捜した、調査したと言えないと思いますよ。

 これでは、日報の中身が持っている重大な問題の審議に入れません。きちんと審議する上でも、徹底して、帳簿もどうだったのか、歴代の責任者に一人一人聞いていく、そういうこともきちんとやることを求めたいと思います。

 次に、辺野古新基地建設にかかわる高さ制限の問題について伺います。

 先月来の沖縄の地元紙の報道などで、辺野古新基地建設の現場周辺にある国立沖縄高専の校舎や学生寮、それから久辺小中学校などが、アメリカの国防総省の統一施設基準に基づく高さ制限に抵触しているにもかかわらず、日米間の協議でこれを適用除外にして建設工事を進めていることがわかりました。

 この問題に関連して、国土交通省に伺いますが、民間空港の場合にも、航空法の施行規則に基づいて、一定の高さを超える建物や樹木を規制する制限表面に関する基準が設けられていると思います。具体的に、どういう目的で、どのような基準が設けられているんですか。

久保田政府参考人 お答え申し上げます。

 空港周辺におけます航空機の離着陸の安全を確保するために、航空法におきましては、進入表面、水平表面、転移表面等の制限表面を規定しております。これら制限表面を突出する建築物等の設置を制限しているというところでございます。

 進入表面はどういう目的かといいますと、進入の最終段階、そして離陸時における航空機の安全を確保するために設けてございます。それから、水平表面は、空港周辺の旋回飛行等、低空飛行の安全を確保するために設けてございます。そして、転移表面は、進入をやり直す場合の側面方向への飛行の安全を確保するために必要なものとして規定をされておるところでございます。

 その設定の基準につきましては、航空法の二条等において規定されておりまして、少々細かいんですが、例えば進入表面につきましては、着陸帯の短辺に接続し、かつ、水平面に対して上方へ五十分の一以上の国土交通省令で定める勾配を有する平面であって、その投影面が進入区域と一致するものと規定をされておるところでございます。

赤嶺委員 離着陸、一番危ないと言われているときに、その安全を確保するために高さ制限が置かれている。

 これまでに、制限表面に関する基準を満たさないまま設置された空港はありますか。

久保田政府参考人 お答え申し上げます。

 空港等の設置に際しましては、航空法三十八条の規定に基づき、国土交通大臣の許可を受ける必要がございます。その許可に際しましては、航空法三十九条に基準がございますが、その基準を満たす必要があることから、空港周辺の建造物等が航空機の離着陸に支障を及ぼす状況にある中で、空港等の設置許可がなされた事例はございません。

 もう少々説明をさせていただきますと、水平表面に突出する物件であって、航空機の離着陸に支障を及ぼさない状況にあることを確認して、空港の設置や供用した事例はございますというのが事実でございます。

 以上でございます。

赤嶺委員 羽田とかそういうところを言っているんでしょうけれども、高さ制限、これは、その制限を超えて設置した、許可した事例はないというものですね。

 それで、空港を設置する場合には、空港の位置や制限表面について告示を行い、また、地方自治体や住民など利害関係者から意見を聴取するための公聴会を開くことが義務づけられていると思います。航空法の解説書を読んでみました。こうした手続を欠いた設置許可は無効である、このように明記されております。

 空港の設置に当たり、告示や公聴会の開催が義務づけられているのは、どういう趣旨、理由からですか。

久保田政府参考人 お答え申し上げます。

 空港等が設置された場合には、周辺地域の土地や物件の所有者への制約など、関係者の権利や利益に重大な影響を及ぼすこととなります。このため、航空法では、先生御指摘のとおり、空港等の設置の許可申請があった場合には、国土交通大臣による制限表面等の告示や現地における掲示、そして、利害関係人の意見を聞くための公聴会の開催に関する規定を航空法上設けておるところでございます。

赤嶺委員 空港を設置した後に、制限表面の基準に抵触する建物や樹木が確認された場合には、これらを除去する措置をとっていると聞いておりますが、どのくらいの実績がありますか。

久保田政府参考人 先生御指摘のとおり、航空法四十九条では、制限表面を突出する物件の設置等を制限しておりまして、これに違反した物件等については、空港の設置者はその除去を求めることができるとされておるところでございます。

 国管理空港につきまして、直近、平成二十九年度の実績としましては、樹木などを合計七百三十九件除去しておるところでございます。

 以上でございます。

赤嶺委員 高さ制限を超えるものがあった場合には、これらを除去する措置、先ほどの件数がありましたが、高さ制限を超える建物や樹木、これらを放置した場合には、どういうことが起きると想定されておりますか。

久保田政府参考人 空港の設置者は、制限表面を上回り、物件の除去を求めることができるとなってございます。そういうような事態に除去ができないということになりましたら、航空機の離陸や着陸に支障がないような範囲で、空港の運用を一部制限等々をすることによって対応することが考えられるということがまず当面のものでありますが、除去を求めていくという形になろうと考えております。

赤嶺委員 除去を求めていくわけですよね。

 それで、自衛隊の飛行場についても防衛省に確認しますが、制限表面に関する基準を満たさないまま自衛隊の飛行場を設置した事例はあるか、また、設置後に高さ制限を超える樹木などを確認した場合にはどのような対応をしているのか、これを説明していただけますか。

西田政府参考人 お答えを申し上げます。

 自衛隊の飛行場につきましては、まず、飛行場及び航空保安施設の設置に係る航空法の規定については適用されないということになっております。

 一方で、自衛隊法の規定に基づき、防衛大臣は、飛行場等の設置管理に関する基準を定めるということになっておりまして、訓令に基づいて基準を規定しており、その中で、進入表面等の基準等があるとともに、飛行場周辺の物件で、航空機の離陸、着陸に支障があると認められない、そういったことが基準になっておるということでございます。

 その上で、自衛隊の飛行場の設置に際しまして、周辺物件等が航空機の離着陸に支障を及ぼす状況にある中で飛行場が設置されたような事例はございません。

 一方、自衛隊の設置する飛行場におきまして、設置当時に進入表面等の高さ規制を超える物件が存在していたかどうかにつきましては、これは一般に、飛行場設置当時から相当の時間が経過をしているものが多うございまして、そうした状況のもとで網羅的に確認することは困難でございますが、例えば、硫黄島の飛行場においては、設置当時、水平表面を超える物件として、アンテナが設置されていた、そういうような事例があるというふうに承知をしております。

 また、航空法の四十九条の二項におきまして、空港の設置者は、告示があった後において、進入表面等の上に出る高さの物件を設置等した物件の所有者に対しまして、当該物件を除去すべきことを求めることができると規定をされておりますが、この四十九条二項の規定につきましては、自衛隊が設置する飛行場についても準用をされておるということでございまして、こうした該当する物件が確認をされた場合には、物件の所有者と交渉を進める等によって極力除去に努めているということでございます。

赤嶺委員 防衛大臣、今のやりとりで明らかなように、民間空港においても、それから自衛隊の飛行場でも、高さ制限を超える建物があるにもかかわらず飛行場の設置を許可することは、およそあり得ないことであります。

 ところが、辺野古の新基地は、米軍の高さ制限を超える校舎や学生寮があるにもかかわらず、日米の話合いで基準を適用しないことにして建設しようとしています。

 辺野古の新基地は、本来、設置が許可されてはならない欠陥飛行場だったということではありませんか。

西田政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、繰り返しになりますが、自衛隊の飛行場につきましては、飛行場の設置基準につきまして、防衛大臣が訓令で規定をしております。その中で、進入表面等の基準があるとともに、飛行場周辺の物件で、航空機の離陸、着陸に支障があると認められないということ、それから、防衛大臣は、航空機の安全及び公共の安全を阻害しないと認められる限度で基準を緩和できる、そういった格好になっておるということでございます。

 一方、米軍の飛行場につきましてでございますが、これは、米軍の統一施設基準によります設置に係る基準というものがあるわけでございます。一方で、適用除外ということもこの基準の中であるということでございまして、米軍との個別の調整のもとで、こうした航空機の運用に問題がないと考えられるようなものについては、その適用除外という規定をその基準の中で設けておるということでございます。

赤嶺委員 何であんな高い建物が今ごろになって適用除外だと言い出すか。それは、最初はそういう陸地にはなかったんですよね。

 日米両政府は、二〇〇五年の2プラス2で、沖縄県や名護市の頭越しに、それまでは沖合の軍民共用空港という計画を、沿岸のL字案に変更いたしました。その後のロードマップ合意で今のV字案になりました。

 建設場所の変更に伴って高さ制限に関する問題が出てくることを、当時、沖縄県や名護市、学校関係者などの利害関係者にはこれは説明したんですか。

西田政府参考人 お答えを申し上げます。

 現在の普天間飛行場代替施設の建設地点につきましては、代替施設の周辺地域の上空における飛行ルートに関する名護市長あるいは宜野座村長からの要請も考慮して、米側と調整をした結果としまして、平成十八年五月の日米安全保障協議委員会の際に発表された、再編の実施のための日米ロードマップにおきまして、普天間飛行場代替施設を、辺野古崎とこれに近接する大浦湾と辺野古湾の水域を結ぶ形で設置し、V字形に配置されるとされたところでございます。

 また、普天間飛行場代替施設の完成後における飛行経路については、離陸、着陸のいずれも周辺の集落の上空を通過するのではなく、基本的に海上とすることで日米間で合意をしているところでございます。

 このように、防衛省といたしましては、周辺地域への安全性の確保といった方針のもと、米側と調整を行ってきたというところであります。

 防衛省といたしましては、アメリカの国防省の統一施設基準については承知をしていたところでございます。そして、当該基準に定める高さ制限の対象となるか否かは、飛行場の運用形態等を踏まえ、米軍との個別の調整を経て判断をされるものでございます。

 防衛省としましては、引き続き、米側に対しまして、安全面に最大限配慮するように求めていくとともに、代替施設の運用に当たっては、こうした米側との調整状況を踏まえまして、地元関係者への説明等も通じまして、普天間飛行場の移設に向けた御理解を得ていくよう努めてまいりたいと考えております。

赤嶺委員 ちょっと答弁が長いものですから。

 ただ、民間空港や自衛隊空港に必要な手続は、辺野古の場合、全くとっていない。最初、沖合だったから、そういう必要はなかったわけですよね。それがL字形、V字案になって、やろうとしたら、高さ制限にひっかかる建物がたくさん出てきた。本当に私は間抜けなやり方だと思いますよ。

 手続の面からいっても、辺野古の飛行場建設は無効にされるべき計画だということを強く指摘して、質問を終わります。

寺田委員長 次に、広田一君。

広田委員 無所属の会の広田一でございます。どうかよろしくお願いを申し上げます。

 まず、五月八日に出されました、自衛官の小西参議院議員に対する暴言を含む不適切発言事案についてお伺いをいたします。

 この最終報告書の初めには、次のように述べております。

 四月十六日午後八時四十分ごろ、統合幕僚監部指揮通信システム部所属の幹部自衛官、これは三等空佐でありますけれども、が、小西参議院議員、参議院外交防衛委員会に現在所属をされております、に対しまして暴言を含む不適切な発言を行った。

 言うまでもなく、国会議員は、国民の代表として国会による内閣に対する監督、自衛隊に対する文民統制を含む、の機能を担う立場にあるが、幹部自衛官はもとより自衛隊員がこのような暴言を含む不適切な発言を行うことは断じてあってはならない。

 隊員は、常に品位を重んじ、いやしくも隊員としての信用を傷つけ、又は自衛隊の威信を損するような行為をしてはならないことは当然であるというふうに明記をされているわけでございまして、私も同様の認識を持っているところでございます。

 その上で、まずお伺いをしたいと思うんですけれども、今回、断じてあってはならない、また、自衛隊の威信を損するような行為になぜ及んでしまったのか、このような暴言に至った原因を防衛省としてどのように認識をされているのか、お伺いをいたします。

武田政府参考人 お答えをいたします。

 この事案につきましては、統合幕僚監部指揮通信システム部所属の一担当である自衛官でございますが、勤務時間外の時間帯にジョギングをしていた際に偶然に小西議員を見かけ、議員に対する自分の勝手なイメージで思わず暴言を含む不適切な発言を行ってしまったものであるということで、私ども、本人に対する五十時間以上にわたり事情聴取を行いましたが、そのような理由であったというふうに認識をいたしております。

広田委員 今、武田局長の方からは、小西議員に対して勝手なイメージを持っていたというふうなことでございます。

 確かに、小西議員、非常に率直な物言いをされる方でございまして、それに関してさまざまなイメージができていたのかもしれませんが、彼は、民主党のときに、民主党の安全保障法制に関する考え方、私が事務局長をしておりましたが、事務局次長でございます。当時の私たちの考え方というのは、この委員会室にも来られている皆さん、いらっしゃいますけれども、二二大綱というものの考え方を踏まえて、専守防衛に徹して、現実的で責任のある安全保障法制をつくっていこう、そういう思いでつくらせていただきました。

 そこで、日米同盟を深化させて、遠くは抑制的に、近くは現実的に、人道支援は積極的に、そういうふうな形の中で策定をした、その作成者の一人でございますので、本当に、国益に反するとか、決してそういうわけではないわけであります。勝手なイメージというふうな御答弁があったわけでございますけれども、しかしながら、これを一自衛官の暴言というふうなことに矮小化をしては私はならないんだろうというふうに思っております。

 そのようなことに至ったやはり背景等についてもしっかりと分析を今後していかなければいけないというふうに思いますけれども、それを踏まえた原因等について、防衛省としての御認識についてお伺いをしたいと思います。

武田政府参考人 お答えを申し上げます。

 先ほど、この自衛官が小西議員に対して自分勝手なイメージを持っていたということで申し上げましたけれども、本人の供述によれば、小西議員に対しては、総合的に政府・自衛隊が進めようとしている方向とは違う方向での対応が多いという全体的なイメージで小西議員を捉えていましたと言っております。

 同時に、この自衛官は、小西議員が安全保障政策について具体的にどのような御意見を持たれ、どのような御主張をされているか、どのような活動をされているかについては存じておりませんでした。ただし、平和安全法制について反対されていることは、たまたま目に入ったテレビ、新聞、雑誌のニュースなどで知っていたため、小西議員に対しては先ほど申し上げたようなイメージで捉えていたということでございます。

 私ども、この件につきましては、最終報告書の中でも記載をいたしておりますが、自衛隊法第五十八条、品位を保つ義務に違反するということで処分をいたしたわけですが、最終報告書を公表したその日に事務次官通達を既に発出いたしておりまして、再発防止策に取り組んでまいりたいと考えております。

広田委員 再発防止策についてはまた後ほどお伺いをしたいと思いますけれども、いわゆる政府が進める安保関連法に対して反対をしているということが一つの理由であるとすれば、それは私たちにも関することになってしまいます。

 ですから、そういうふうなことを含めて、本当に、今のこの現状というものに対して、やはり防衛省といたしましてもしっかりとした原因の解明というものをしていかなければならないというふうに思っておりますので、この件については、引き続き、私自身も強い問題意識を持っていきたいというふうに思います。

 それでは次に、調査結果についてお伺いをいたします。

 調査の結果、本人が小西議員に対して暴言を含む不適切な発言を行ったことは確認できたわけであります。

 他方、国民の敵という言葉につきましては、小西議員は本人から何度も発言されののしられたとしており、現場から又は事案後ほどなく、電話にて、防衛事務次官及び今御答弁をしております武田人事教育局長に対しましてそのことを伝え、防衛事務次官はおまえは敵だと記憶し、人事教育局長は国民の敵とメモに記録をしているわけですが、御本人は一貫してその言葉は発言していないとしているところでございます。

 このように、言った言わないの事態に陥っているわけでございますが、これは防衛省として、この発言の有無につきましては認定できないという理解でよろしいんでしょうか。

武田政府参考人 お答えいたします。

 今回の事案についての最終報告書にも記載しておりますとおり、国民の敵という言葉については、小西議員はこの自衛官から何度も発言をされののしられたとしております。また、小西議員は、現場から又は事案後ほどなく、電話にて、防衛事務次官及び私、人事教育局長に対してそのことを伝え、防衛事務次官はおまえは敵だと記憶し、私は国民の敵とメモに残しております。

 ただし、これはあくまでも、次官と私は小西議員のお話として受けたものでございます。自衛官が、国民の敵と発言したことを裏づける、これをもって裏づけるということにはならないものと考えております。

 他方、自衛官に対する事情聴取は五十時間以上にわたり行われましたが、本人は事情聴取の当初から一貫してその言葉を発言していないといたしております。

 このように、調査の結果、小西議員のお話とこの自衛官の供述とが一致しなかったことから、この自衛官が、国民の敵という言葉を発言したか否かについては確認することができなかったものでございます。

広田委員 済みません。確認することができなかったというのを、現時点で最終報告という形で認定をした理由についてお伺いしたいと思います。

武田政府参考人 お答えいたします。

 先ほども申し上げましたが、本人に対しましては、事案後五十時間以上にわたり事情聴取を行いました。私も直接本人から話を聞いております。本人は、先ほども申し上げたように、当初から一貫して国民の敵という言葉は発言していないとしておりまして、このことは変わらなかったところでございます。

 したがいまして、私どもといたしましては、これをもちまして最終報告に取りまとめ、公表させていただいたところでございます。

広田委員 仮に、国民の敵という発言が事実だとすれば、これは今回の処分に何らかの影響はあったんでしょうか。

武田政府参考人 お答えいたします。

 今の御質問につきましては、仮定のケースでございましてお答えを差し控えますけれども、いずれにしても、規律違反の事案につきましては、この事案について総合的に評価した上で適切な処分を行うこととなります。

 なお、国民の敵という発言は、御案内のように、五・一五事件において反乱軍がまいた紙に記載されていたものでございます。このことについて、この自衛官本人は、国民の敵の歴史的な経緯や背景、その意味を恥ずかしながら知りませんでしたという供述をいたしているところでございます。

 いずれにいたしましても、仮にということにつきましては、そのことが今回の事案の総合評価においてどのように評価されるのかについては、現時点においては申し上げられないというところでございます。

広田委員 現時点では申し上げられないというふうなことでございますけれども、まさしくこれは、本当に国民の敵の発言が事実かそうでないかということは、恐らく、今回の処分に影響があったんだろうなというふうに推察をするところでございます。

 ただ、若干論点がずれるわけでございますけれども、幹部自衛官の方が、先ほど武田局長がお話あったように、五・一五事件について十分な認識がなかったということでございます。

 本人は、国民の敵という発言については、一貫してその言葉を発言していないということでありますが、私は、その理由として、幹部自衛官としてこの五・一五事件などを踏まえて政治家に対して国民の敵という発言をすることがどういう意味を持つのか十分認識しているので言うはずはないというふうに言うならよくわかるわけでありますが、非常に今回そういった認識がなかったということであります。

 ですので、今回、この国民の敵発言の有無は別といたしまして、本人は自覚もなく文民統制を脅かす、揺るがす発言をしたこと自体が私は深刻な問題だというふうに思いますけれども、この点についての御所見をお伺いします。

武田政府参考人 お答えいたします。

 私どもといたしまして、今回、この幹部自衛官が小西議員に対して暴言を含む不適切な発言を行ったということについては、あってはならないものであると考えております。

 私どもとしては、品位を保つ義務を含めた服務義務につきまして、隊員に対して周知徹底を図ってまいりたい、このように考えております。

広田委員 期待した答弁ではなかったんですけれども。

 それでは次に、今、品位を保つ義務等で処分したというふうなことでございますが、この本人に対する処分等についてであります。本人の発言は自衛隊法第五十八条の品位を保つ義務に明らかに違反するため、従来の事例を考慮し、訓戒の処分を行うというふうにしております。

 私は、本日、この処分が重い軽いの議論ではなくて、それをどう判断するかのためのちょっと議論をさせていただきたいというふうに思いますが、今回、その処分の根拠の一つとなりました従来の事例というものは具体的にどういうことなんでしょうか。

武田政府参考人 お答えいたします。

 私どもは、自衛隊員の規律違反に対する処分につきましては、その規律違反の事案について総合的に評価した上で、従来の事例も考慮しつつ、適正に行ってきておるところでございます。

 今回、自衛隊法第五十八条、品位を保つ義務違反ということで処分をいたしましたが、これまで、品位を保つ義務違反につきましては多数ございますけれども、こうした発言にかかわる違反につきましては数少のうございます。こうした事例に基づきまして、私ども、今回処分を行ったものでございます。

広田委員 ですので、どういった具体的な事例を考慮したんでしょうか。

武田政府参考人 お答えいたします。

 私ども、今回の処分を行うに際しまして参考とした事例につきましては、平成二十二年二月に、自衛隊と米陸軍との日米共同訓練の開始式において、日本側を代表して訓示した普通科連隊長の発言の事案がございます。

広田委員 いや、武田局長、その事案が今回の暴言と何が共通して、何が違って、これがどうして考慮の対象になるのかということをお聞きしたいんです。でないと、この従来の事例を考慮し、訓戒の処分を行ったということの根拠がなくなるわけでありますから、これは何が共通していて、どうしてこれが考慮の対象になったのかということについてお答えをいただければと思います。

武田政府参考人 お答えいたします。

 繰り返し申し上げますけれども、自衛隊員の規律違反に対する処分につきましては、その規律違反の事案について総合的に評価をした上で行っております。

 先ほど来申し上げている過去の事例についても、それも参考としつつ行ってきておるということでございまして、いずれにいたしましても、今回の処分については、過去の事例、そしてこの事案を総合的に評価した上で行ったということで御理解願いたいと思います。

広田委員 繰り返しの答弁になっているところでございますが、過去の事例等を考慮して訓戒の処分を行ったというふうなことでございますが、それについて民主党政権時代の事例を引かれているわけでございますが、このときのケースと私は今回のこの暴言とは全く質が違うというふうに思っております。

 当時の第四四普通科連隊長は、これはやゆしたということで処分がされたわけでございますけれども、連隊長自身は、これについては、総理の発言を引用したり、批判したわけじゃないというふうに明確に言っているわけでございますし、今回の場合は本当に国会議員に対して直接暴言を吐いているわけでございます。

 そういった事例等を引いて、そしてそれを考慮して訓戒の処分としたということは、私はどういう合理性があるのかということが理解できないんです。

 これが直接的な関係がないのであれば、私はこの部分については削除すべきだというふうに思っておりまして、このような事案というものは、やはり、その都度その都度の、ケース・バイ・ケースがあるわけでございますので、そこからさまざまな教訓というものを導き出して、今後の事後の対応策に私は取り組んでいかなければならないというふうに思いますので、先ほど引いた事例は私は不適切だというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

小野寺国務大臣 平成二十二年二月十日の事例でございます。

 普通科連隊長が、同盟というものは、外交や政治的な美辞麗句で維持されるものではなく、ましてや信頼してくれなどという言葉で維持されるものではないと発言する事案が起きました。

 この事案について、防衛省としては、国家の意思に基づき行われる政治や外交を否定していると受け取られかねず、また、自衛隊の最高指揮官である鳩山内閣総理大臣の発言をやゆしている、からかう、ばかにする等の趣旨をいう、誤解を招くようなものであったというふうに評価をいたしました。

 この評価に基づき、自衛隊法第五十六条、職務遂行の義務及び第五十八条、品位を保つ義務に違反するとして、二日後の同月十二日に、上司である師団長が当該連隊長に対し、注意の処分を実施いたしました。

 また、二十二年二月十八日には、特科連隊の中隊長が部隊の朝礼のときに、今申し上げた事案について、普通科連隊長が言ったことは武人としては何も間違っていない、今の総理はいいかげんだと思うと発言し、上司の師団長は、この中隊長に対し、処分にも至らない職務上の指導を実施したという事案であります。

 私どもとしては、今回のこの空自の幹部の発言というのは大変重いものだと思い、今回の処分に至ったということでございます。

広田委員 ですから、大臣、これは何の関係があるのかということでございます。全く、今の答弁を聞いて、今回の暴言との関連性を見出すことができないんです。

 つまり、何を言いたいかと申し上げれば、今回、幹部自衛官に対する処分が軽いんじゃないかというふうな指摘に対して、実は、民主党政権時代について、同様というふうに皆さんは位置づけているんですけれども、しかしながら、そのときは注意で終わっているんだ、それ以上の今回自分たちは処分をとっているんだというふうな、まさしく、これらの事案というものを、ある意味、私は不適切に使っているんじゃないかなというふうに思うわけであります。

 そうではなくて、今議論しなければいけないことは、今回のこの暴言といったものを単に一自衛官の問題として片づけるのではなくて、文字どおり、文民統制を揺るがす、脅かす、そういった発言につながっているんじゃないかということを私たちはしっかりと肝に銘じて、そして、今後の対策を講じていかなければいけないのではないか、そういうことを強く問題提起をさせていただき、そして、引き続きこの事案についての真相究明をしていかなければならないというふうに思いますので、引き続きこの問題について取り上げることをお訴え申し上げまして、時間が参りましたので、質問を終了させていただきます。

 どうもありがとうございました。

寺田委員長 次に、下地幹郎君。

下地委員 小野寺大臣に、質問通告はしていませんが、今の北朝鮮情勢についてちょっと御認識をいただきたいんです。

 今、劇的にいろいろな動きがあります。南北首脳会談も行われました。そして、アメリカの国務長官が北朝鮮に行き、拉致の方が三人お帰りになるというようなことも起こりました。また、北朝鮮の電撃的な中国訪問というのが二回にわたって行われているというような状況が今続いているわけなんですけれども、こういうふうに、対話の話が相当に動きを見せていて、初めて一つの結果として、拉致の家族が三人、我が国ではありませんが、帰ってきたという成果も出てきているわけであります。

 こういうふうな状況、今までの中で初めてのケースが今起こってきていると思うんですけれども、こういう状況について小野寺防衛大臣はどういう御認識を持っているのか、ちょっとお伺いをさせていただきたいと思います。

小野寺国務大臣 外交分野の強化というのは外務大臣が行うべきものだと思いますが、今、御質問がありましたので、私の考えということでお話をさせていただければ、南北の対話が進み、そして、今後、私どもが求める大量破壊兵器、核兵器、弾道ミサイル、そして、日本にとっては拉致問題、この解決が進むということは大変重要だと思っております。

 その中で、今、北朝鮮とアメリカの中で、さまざまなレベルで対話が進んでいるということ、これが最終的に、拉致、核、ミサイル、この解決につながること、これは私どもとしてもしっかり注視をしてまいりますし、また、本日も、安倍総理からトランプ大統領との電話会談がありましたが、日本としても、アメリカの考え方をしっかり支えていく、そういう役割をしていくことではないかと思っております。

下地委員 圧力と対話とありますけれども、アメリカを見ていても、中国を見ていても、韓国を見ていても、圧力という言葉は使っていますが、しっかりと、ある一定のパイプを持って対話を構築して、実績を上げているというようなことになっていることだけは間違いないんですね。

 私が申し上げたいのは、小野寺防衛大臣が、北朝鮮への圧力という言葉を五月の四日のフィンランドでも、国防大臣との会談でも使われたりしていますけれども、河野外務大臣もよく圧力という言葉をお使いになりますが、この時点まで来たら、私は、この言葉は今は余り使わずに、しっかりと見守るというようなステップに来ているんではないかなというふうに思うんです。

 そういう意味でも、今、もうこれだけ対話が進んできて、最終局面になってきて、これもチャンスを逃がしたら、ある意味、私からすると、拉致家族の本当に全員の帰還というようなことがなかなか難しくなるんじゃないか、このチャンスは逃がしちゃいけないというように思うんですよ。

 そういう意味では、今、もうアメリカがこういうふうな対話路線で、対話をしている人が圧力と言っても、相手を刺激はしないと思う。しかし、対話もできていない、パイプもない人たちが圧力と言ったら、何の圧力なんだとかと言って、感情的な会話になりはせぬのかなというふうに私は思っていて、しばらくは圧力という言葉を余り使わずに、北朝鮮の、米朝首脳会談を見守るというのが私はいいんではないかなというふうに思います。これは私の考えでありますから。

 これから、この六月の米朝首脳会談の結果というのは、間違いなく、核問題がこの朝鮮半島からなくなる。そして、ミサイルの問題が解決する。拉致の問題が解決。それと同時に、朝鮮半島の不安定な状況がなくなると、私の地元の沖縄の基地問題も大きく変わってくると思うんですね。

 嘉手納飛行場、朝鮮問題が緊迫すると、必ず多くの、米国本国から偵察機が来たり、さまざまな飛行機が来て、それに対応するような状況が生まれます。海兵隊も、そういう状況の中で有事が起こった場合に、日本人やアメリカの人たちの国民を一回、日本本国に移動させるというようなことについても沖縄の海兵隊が役割を担うというようなことにもなっています。

 そういう意味では、これが解決することは、今、拉致の問題、ミサイルの問題、核の問題とありますけれども、私からすると、地元の、沖縄の基地の負担も、ある意味、大きな見直しができる絶好のチャンスだというように思っていまして、そういう意味では、この問題については、私は、沖縄出身として、物すごく注視をしているということであります。

 それだけに、今は対話、それが一番大事なんだというふうに思っておりますから、防衛大臣の一言一言というのは、相手にとって物すごく大きなインパクトを与えるものでありますから、そのことについては、私としては余り、今、この圧力という言葉を使う必要はないんじゃないかということを申し上げておきたいというふうに思います。

 それで、イラクの日報の問題について入りますけれども、鈴木さんにちょっと聞きたいんですけれども、南スーダンの日報が、南スーダンから日報が来たら、この前の勉強会でも話があったように、本当にこの日報をそのまま防衛省の掲示板に載せて、日報全体を防衛省の職員が四万人ぐらいアクセスできるという状況はずっと行われてきたんでしょうか。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 南スーダンの日報につきましては、これは、現地派遣部隊から中央即応集団、上級部隊である中央即応集団に報告すべきものという位置づけでございました。ただ、この際、報告する際の手段といたしまして、陸上自衛隊の指揮システムというものがございます。この中の掲示板に掲載することによってその報告をなしているということでございました。

 この陸自指揮システムについて、この掲示板におきまして、いわゆる、四万人がというかそれだけの人数が常に見ていたというわけではございませんで、要するに、そこにアクセスできる人間が、それだけの人数が非常に多くおったということでございます。

 ただ、そのことにつきましては、その当時、そこまでの、それ自身について改善がなされて、現状ではもっと人数が絞られたというものだと承知しております。

下地委員 四万人の人がアクセスできるものに防衛省の掲示板があって、そこに日報が来たらこれを載せる、そしてこれを見れる人は見れるというような状況になっていたわけですよね。

 この日報を掲示板に載せたり、次の日報が来たら、削除して、それに次の日報を載せる、そういう部署はどこがやっていたんですか。

鈴木政府参考人 突然のお尋ねでございますので、私のちょっと記憶で申し上げますと、中央即応集団で、この掲示板というか南スーダンの日報を管理してございますので、こちらの方で掲示があり、それについての削除等のいわゆる文書管理というものについては中央即応集団の方でなされていたものと今の認識、私はそう認識しております。

下地委員 この南スーダンの日報を掲示板に載せますよね。で、こういう国会が請求しますよね。この請求されたときは、掲示板に載せたそのままのものを国会には提出していたんですか。

 私が聞きたいのは、掲示板に載せている、四万人の人がアクセス可能な、載せている情報と、国会が請求したときの情報は、同じように皆さんは提供してきたんでしょうか。

鈴木政府参考人 南スーダンの日報につきましても、いわゆる開示、不開示の作業をいたしまして、つまり、個人情報でありますとか、それから他国から得られた情報、それから自衛隊の安全な活動に支障が出るような情報、これらにつきましての不開示部分の処置をいたしまして開示させていただいたというものでございます。

 ただ、自衛隊内におきましては、当然のことながら、これは、自衛官のアクセスできる人間については、当然それについてのさまざまなアクセス義務というか、そうした義務を負った上でのアクセスということになりますので、そうした個人情報、それから他国からの情報、それから自衛隊の安全に係る情報、こうしたものにアクセスできるという人間について、それらについて、日報についてアクセスできたという状況になっていたというふうに承知しております。

下地委員 鈴木さん、同じか同じじゃないか。

鈴木政府参考人 掲示板に載っていたものはそのままでございますし、いわゆる部外に提出させていただく……(下地委員「国会」と呼ぶ)国会に提出させていただくという場合につきましては、先ほど申し上げましたような、個人情報等を黒塗りというか、いわゆる黒塗りでございますけれども、不開示にいたしまして提出させていただいているというところでございます。

下地委員 四万人の人がアクセスできるようなものがあって、その四万人の人がアクセスして、ほかに情報を流さない、そういう守秘義務があるわけでもないし、そういう条件が課せられているわけでもない。

 そういう意味では、国会と違うものをこうやって出す。これは、四万人は、自衛隊の方が見るから外には漏れない、これは絶対ないわけですよ。だから、そういうふうな意味においても、このような日報の管理の仕方というのはやはり相当に問題があると思うんですね。

 私は、そういう意味でも、四万人の方がアクセスできるような日報のあり方、日報も二種類か三種類、まあ、日報という表現にならなくても、報告する文書が、日報のような毎日報告するものと、重要な戦略に関する報告をするものと、みんな分かれるわけですよね。

 これが、イラクにおいてはどうなったんですか、イラクにおいては。イラクのときは、もうやらなかったか、やっていなかったか。

鈴木政府参考人 ただいまの御質問にちょっとお答えする前に、南スーダンの日報でございますけれども、これについて、掲示板にアクセスできる自衛官につきまして、これは当然、いわゆる守秘義務等も含めました、文書管理とかさまざまな部内の規則、この義務を負ってございます。この義務に違反すればそれなりのペナルティーも科される、こういう状況の中でのアクセスが可能というものでございました。

 それから、イラクの日報につきましては、私どもちょっと承知している限りでは、少なくとも、こうした陸自指揮システムというようなものの掲示板という形ではない形で、当時報告がなされていたものだというふうに承知してございます。

下地委員 この問題は長くしませんけれども、イラクのときは掲示板以外のところで同じように情報を流していたんですね。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 イラクにつきましては、別の手段で、いわゆる上級部隊というか、当時であれば、陸幕ですとか統合幕僚会議、後の統合幕僚監部を含みました、そうしたところに情報が来、その後、いわゆる文書管理できちっと、そこから、先ほどからも議論に出ておりますけれども、当時で申し上げますれば、一年未満の保存期間という形になってございますから、いわゆる用済み後破棄というような形で、それが情報共有がなされていたということが現状だったというふうに理解してございます。

下地委員 大臣、僕が聞きたいのはこうなんですよ。

 イラクのときも別の手段で、はっきり言いませんけれども、掲示板と同じように情報が共有できるような体制だった。南スーダンのときは、もう完全に四万人の人がアクセスできるようになっていた。これ、僕らも調べてみて、びっくりしますよ。まさかと思うようなことでありますよね。

 四万人の人がアクセスして、さっき守秘義務があると言っても、そうはいかない。それが、いろんな情報が流れる可能性があるというようなところまでやっている日報が、何で、見つからないとか、ないとか、そういうふうになるのかなと単純に思いますよね。

 しかも、この問題点は、私たちに、国会に見せる日報の内容と、それとこの掲示板に載せる内容が違う。やはり、ここは国会に見せる内容は、あの四万人に見せられるものだったら、私たちにもちゃんと、黒塗りじゃなくて、見せてもいいんではないかというふうに国会を重視したら思いますよね。

 こういうところ、どうなんでしょうかね。

小野寺国務大臣 私も、南スーダンの日報事案で一番驚いたのは、特別防衛監察の過程の中で、私もこの委員会の委員の一人として聞いておりましたが、陸自指揮システムという四万人がアクセス権を持っているところにそのままその日報が載るということ、そして、その日報には、いろんな情報がありますが、例えば、弾薬とか、あるいは隊がどう活動しているとかということをつぶさに書いている内容があるということ、これが、これだけのアクセス権がある方が見ていたということ、一体、組織としての保全の問題やそういうことをしっかり考えているのかということで、今、その指揮システムを含めた情報共有については厳しく指摘をしていることなんだと思います。

 それで、これは実は、与野党問わず、私ども反省しなければいけないと思いますが、南スーダンの派遣を決めたのは菅政権、そして派遣したのは野田政権であります。恐らく日報自体は、それからずっと同じような形で扱われていたのではないか。当然、その間、私も二年弱、大臣をしておりますが、そのときも、私も実は、このような状況になっていることに気づきませんでした。

 本当に、もって、これは反省すべきというよりも、むしろ、陸幕として、本来、これが重要な情報であれば、当然、そのアクセスできる範囲というのをしっかり絞ってやるということが大切だと思いますし、今、下地議員がおっしゃいましたが、それだけの隊員が見えているアクセス権がある中で、国会への求めに関しては開示、不開示という形で黒塗りをして出すということ、本来であれば、それほど開示、不開示を重く見る内容であれば、アクセス権をもっと絞って、本来はこの日報を扱うものが適当ではないかということ、それは、私が大臣のときのことを含めて、自戒を込めて今でも反省をしております。

下地委員 それで、大臣、今回、統幕の参事官室に集約しますよね、日報を。これからどういう事案で海外派遣が行われるかどうかわかりませんが、この統幕の参事官室というところの人間というのは五十人ですか、それぐらいの人数しかいないんですよね。この人数で、災害対策もやれば陸海空の自衛隊のオペレーションの管理もやるわということで、日報管理というのは果たしてちゃんとできるんだろうかな、ちょっとこの負担が重過ぎて、またどこかで今のような問題が発生する可能性があるんじゃないかなと。

 ここのところをもう一回、統幕の参事官室に全て集めるということをお決めになっていますけれども、この五十人の体制でできるのかなというように思うんです。

 私は、何でかというと、この前、クローズアップ現代というのがありましたよ、クローズアップ現代。予算委員会でも大臣にもお話ししましたけれども、このクローズアップ現代で、この番組の中で、五年間で一万人の方がイラクに派遣されて、直接の犠牲者はなかったけれども、派遣された隊員は精神面で大きな影響を受けていた、NHKの調べによると、任務を終えて帰国した隊員のうち、二十八人がみずから命を絶っている、そして、心理調査をしたら、睡眠障害や精神不安など不調を訴えている隊員が、部隊が一割を超えていた、急性ストレスの障害を発症していると診断されていた、こういう記事が載っているんですね。

 私が何でそう言うかというと、やはり、日報が来た、日報を管理するだけじゃなくて、日報を分析して、戦略的な分析も大事だけれども、隊員の精神状態を分析をして、何が必要なのかというのを大臣に早急に上げて判断をいただくというような仕組みをつくらぬといかぬわけですよね、そういうふうな仕組みを。このような、このクローズアップ現代の話を聞いていると、これは相当に過酷な条件の中でお仕事をなされていたんだろうなというように思いますよ。

 そういう意味でも、日本を代表して頑張っている皆さんが、こうやってみずから、帰ってきて命を絶ったのが二十八人もいらっしゃるというのは、これは大変なことだと思うんです。これが、このようなことにならないためには、日報の分析というのが非常に大事なことになってくると思うんです。

 だから、私が申し上げたいのは、この日報をちゃんと分析する仕組みをつくるには、今の統幕の参事官室だけではなかなか難しいのではないか、そういうふうなことを、ぜひ大臣がこれをもう一度しっかりと検討なされるということが必要ではないかなというふうに思われますが、いかがでしょうか。

小野寺国務大臣 今回の日報の集約作業、それから、イラクの見つかった日報について、それを開示、不開示の作業、これを全て、今おっしゃったように統幕の参事官室でしょうか、そこでやっていたこと、私も実はその作業の現場を、土日を返上している場所を実際見て、彼らが相当苦労しているところを感じております。必要な人員については、これから部内で検討していきながら対応することだと思っています。

 ただ、今回、今一番大切な作業は、全国の部隊にある、いわゆる海外で活動した日報と言われるものをまず集めて、そして、今はこの部分がありますよというところで、集約の大きな作業が終わりました。今後は、情報開示がありましたらこれを速やかに開示していくということと、それから、今後新たにまた派遣される、あるいは現時点でも海賊対処行動等で対応しておりますから、そういうときに行われているものをどうこれから管理していくか、そういうことをやっていく必要があると思いますので、いずれにしても、その役割に応じた形で、隊員の負担にならないように考えていきたいと思っています。

下地委員 大臣の内閣は、働き方改革をやる内閣なんですよ。これが安倍内閣にとって非常に大事だと言われています。

 全国から日報、これからいろいろなところに派遣される日報が全部来て、それを、公開できるもの、公開できないもの、そしてそれをちゃんと管理するというようなことをやられるというのは、僕は相当に、また、先ほど私が申し上げたように、分析をして、問題があったら対応するというようなことになってくると、この参事官室ではなかなか難しいですよ。

 もう一回しっかり考えて、この日報があったなかっただけではなくて、それで終わるんじゃなくて、もう一回、もう一歩進んで、この日報を分析して、正しい方向に、隊員がしっかり仕事ができるように頑張ることをぜひ期待していますから、やってください。お願いします。

寺田委員長 次に、照屋寛徳君。

照屋委員 社民党の照屋寛徳です。

 冒頭、稲田防衛大臣によって存在が否定された陸上自衛隊イラク派遣部隊の日報は、その後、公表されるに及び、防衛省による組織的隠蔽であるとの強い国民的批判を受けております。

 同時に、自衛隊の日報隠蔽は、シビリアンコントロールの機能不全という重大な問題を招来しております。

 公表されたイラク日報は、一部にしかすぎません。特に、サマワの陸上自衛隊宿営地とその周辺に迫撃砲攻撃が多発していた二〇〇四年四月から二〇〇五年一月の日報は、わずかに二日分であります。これは明らかに、サマワが戦闘地域だったという決定的な証拠を隠蔽せんとするものであります。

 大臣は、この期間の日報の公表がわずかに二日分であるという事実とその原因について、どのようにお考えでしょうか。

小野寺国務大臣 先月公表しました一万五千ページのイラクの日報は、四月七日の私の指示により、全ての部隊、機関において、海外に派遣された自衛隊の活動に関する日報の探索作業を行った結果確認されたものであり、現時点で確認された日付全ての日報を公表しているところでありまして、これは一部期間の日報を公表せずに隠蔽しているということではございません。

 私どもとしても、この公開された日報を見る限り、やはり現場の隊員は大変緊張感を持って対応していたということ、これがよくわかる資料であります。

 今できる限り調べておりますが、また、今委員が指摘されたような時期においてもどのようなことがあったかということ、これは、私ども、しっかり今後の教訓としてとどめておくべきものだと思っております。

照屋委員 きょうも当委員会で各委員からさまざまな質問がありましたが、そもそも、主要国はイラク戦争について真摯な検証と反省を行っておりますが、小野寺大臣は、我が国の政府はかかるイラク戦争に関する検証や反省をやったとお思いでしょうか。

小野寺国務大臣 イラクにおける戦争につきましての評価というのは、防衛省というよりはむしろ政府全体での考え方なんだと思いますが、私ども防衛省の担当しているところに関しては、イラク特措法に基づいて、イラクの人道復興支援ということでありますので、イラクの戦争というよりは、その後の復興支援に私どもがどのような役割を果たすかということ、これが私どもの与えられた任務ということであります。

 いずれにしても、復興支援といえども、現場の隊員に関しては緊張感を持って対応していたということ、これは重要な教訓として今後に残すべきものだと思っております。

照屋委員 防衛省統合幕僚監部の三等空佐が、小西参議院議員に、おまえは国民の敵だなどと暴言を浴びせた問題は、極めて重大である。この事件に対して、防衛省は去る五月八日、懲戒処分ではなく訓戒に処しております。

 私は、三等空佐の発言は、単なる暴言にとどまらず、脅迫行為に相当すると考えます。同時に、防衛省の五月八日付最終報告書に添付されている豊田事務次官、武田人事教育局長の答申書や小西議員の言い分に照らし、三等空佐がおまえは国民の敵だと発言した事実は十分認定できるものと考えますが、小野寺大臣の認識はいかがでしょうか。また、大臣は、今回の訓戒処分は余りにも不公平で甘い処分だとは思いませんか。

武田政府参考人 お答えいたします。

 今回の事案につきましては、小西議員に対しまして、統幕所属の幹部自衛官、三等空佐でございますけれども、暴言を含む不適切な発言を行ったということでございます。

 隊員は、常に品位を重んじ、いやしくも隊員としての信用を傷つけ、又は自衛隊の威信を損するような行為をしてはならない、このことは当然でございます。

 私ども、このたび、この自衛官に対しまして、自衛隊法第五十八条、品位を保つ義務に明らかに違反するものとして、処分を行いました。

 国民の敵という言葉につきましては、小西議員はこの自衛官から何度も発言されののしられたとしております。また、議員は、現場から又は事案後ほどなく、電話にて、防衛事務次官及び私に対しましてそのことを伝え、次官はおまえは敵だと記憶し、私は国民の敵とメモに残しております。これはあくまでも、次官と私は小西議員のお話として受けたものでございまして、自衛官が、国民の敵と発言したことを裏づけるものとはならないものと考えております。

 いずれにいたしましても、自衛官に対する事情聴取は五十時間以上にわたり行われましたが、本人は事情聴取の当初から一貫してその言葉は発言していないとしております。

 このように、調査の結果、小西議員のお話とこの自衛官の供述とが一致しなかったことから、この自衛官が、国民の敵という言葉を発言したか否かについては確認することができなかったものでございます。

 また、今回の処分につきましては、この自衛官が小西議員に対して暴言を含む不適切な発言を行ったということで、冒頭申し上げたとおり、自衛隊法第五十八条、品位を保つ義務に違反するということで、従来の事例を考慮し、適正に処分が行われたと考えております。

照屋委員 私は、大臣、小西議員への三等空佐の暴言問題の本質というのは、国民の敵だと言った言わないではありません。そう思います。民主主義の基本である文民統制への信頼を大きく揺るがしたことだと私は思いますが、大臣の御認識はいかがでしょう。

小野寺国務大臣 私も、報告を受ける形で、当航空自衛隊員は、これら暴言や不適切な発言はしたけれども、国民の敵ということは一切言っていないということを一貫して話しているということ、これは報告は受けております。

 ただ、私どもとしては、国民の代表である国会議員に対して自衛官が品位に欠ける発言をするということ、これは決してあってはならないということでありますので、今回、適正に処分をしたということであります。

照屋委員 次に、米海兵隊のネラー総司令官は、五月二日の国防総省での記者会見で、米軍普天間飛行場について、非常に古い施設で第二次世界大戦にさかのぼる、建設当初の写真を見ると数キロ以内に住む人はいなかった、今は飛行場周辺の市街地がフェンスのすぐ近くに広がると述べたようであります。

 この発言は、国際法であるハーグ陸戦条約に違反し、当時、多くの住民が暮らし、村役場や国民学校、郵便局などがあった民間地を奪って建設された普天間飛行場の基地形成過程と沖縄の戦後史を無視する許しがたいものです。

 防衛大臣はネラー総司令官の発言をどのように受けとめましたか。

小野寺国務大臣 委員御指摘の報道については承知をしております。

 報道の一つ一つにコメントすることは差し控えさせていただきますが、その上で申し上げれば、宜野湾市の資料によると、普天間飛行場の場所には、戦前、役場や国民学校、郵便局、病院などが所在し、集落が点在するとともに、田畑が広がっていたとされておりますし、私も土地所有者の方とお話をしたときに、従前このような神社があったとかこういう並木道があったとか、そういうことを直接お話を伺っております。

 この場所に、昭和二十年四月、米軍が上陸した後、土地を接収して普天間飛行場が建設されたものと承知をしておりますので、ここには人々の営みがあった場所だということ、これは、私ども、深く認識をしております。一日も早く普天間飛行場の全面返還を実現し、皆さんにふるさとを返してあげたい、そのように思っております。

照屋委員 大臣、ネラー総司令官は、安倍総理と仲井真前知事との間で合意した来年二月に迫った普天間飛行場の五年以内の運用停止を否定をして、継続使用の方針を述べておりますが、大臣の所感はいかがですか。

小野寺国務大臣 昨年も、普天間飛行場周辺で、小学生の子供たちが今でも不安に思うような事故も発生をしております。一日も早く普天間飛行場の全面返還が必要だと思っております。私どもとしては、できることを全て行うという中で、米側にも協力をしていただき、少しでも早くこの移転を進めていきたい、そのように思っております。

照屋委員 最後に、航空自衛隊のブルーインパルスによる展示飛行が航空法に違反する曲技飛行に該当するとして、小牧基地周辺住民や奈良基地周辺住民らが基地司令官らに対する告発状を一月下旬に名古屋地検、三月上旬に奈良地検にそれぞれ提出したようです。これらの事実関係と防衛省の見解を伺います。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 まず、告発状の取扱いでございますが、これは各地方検察庁の判断にかかわることでございますので、防衛省としてはコメントを差し控えさせていただきたいというふうに思います。

 その上で申し上げれば、昨年三月五日に航空自衛隊が小牧基地において実施しました小牧基地オープンベース及び平成二十八年十一月六日に奈良基地において実施しました奈良基地開設六十周年記念行事におきましては、ブルーインパルスが展示飛行を実施した際、航空法施行規則第百九十七条の三により定義された曲技飛行に当たる宙返り、横転、反転、背面、きりもみ、あるいはヒップストールその他航空法九十一条に規定する国土交通大臣の許可を受ける必要のない、そのような行動は行っておりませんで、いわゆる航空法九十一条に規定する国土交通大臣の許可を受ける必要のないということでございますので、報道にあるような航空法違反というような御指摘は当たらないものというふうに考えております。

 いずれにせよ、ブルーインパルスの展示飛行に当たっては、法令を遵守し、航空機の安全な運航に十分に配慮しながら、安全確保に万全を期してまいりたいというふうに考えてございます。

 以上でございます。

照屋委員 終わります。

寺田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時十六分散会


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