衆議院

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第4号 平成31年3月12日(火曜日)

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平成三十一年三月十二日(火曜日)

    午前八時三十分開議

 出席委員

   委員長 岸  信夫君

   理事 大岡 敏孝君 理事 武田 良太君

   理事 中谷 真一君 理事 宮澤 博行君

   理事 山本ともひろ君 理事 本多 平直君

   理事 渡辺  周君 理事 浜地 雅一君

      青山 周平君    江渡 聡徳君

      小田原 潔君    尾身 朝子君

      大西 宏幸君    大野敬太郎君

      黄川田仁志君    北村 誠吾君

      熊田 裕通君    高村 正大君

      鈴木 貴子君    中谷  元君

      浜田 靖一君    和田 義明君

      青柳陽一郎君    篠原  豪君

      前原 誠司君    佐藤 茂樹君

      宮本  徹君    串田 誠一君

      重徳 和彦君    照屋 寛徳君

      長島 昭久君

    …………………………………

   外務大臣         河野 太郎君

   防衛大臣         岩屋  毅君

   内閣府副大臣       浮島 智子君

   防衛大臣政務官      鈴木 貴子君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 船越 健裕君

   政府参考人

   (外務省総合外交政策局長)            鈴木  哲君

   政府参考人

   (外務省総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長)   吉田 朋之君

   政府参考人

   (外務省アジア大洋州局長)            金杉 憲治君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    鈴木 量博君

   政府参考人

   (外務省欧州局長)    正木  靖君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  槌道 明宏君

   政府参考人

   (防衛省整備計画局長)  鈴木 敦夫君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  中村 吉利君

   政府参考人

   (防衛装備庁装備政策部長)            土本 英樹君

   政府参考人

   (防衛装備庁プロジェクト管理部長)        斉藤 和重君

   政府参考人

   (防衛装備庁調達管理部長)            水野谷賢司君

   安全保障委員会専門員   奥  克彦君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十二日

 辞任         補欠選任

  小田原 潔君     青山 周平君

  小野寺五典君     黄川田仁志君

  和田 義明君     尾身 朝子君

  赤嶺 政賢君     宮本  徹君

  下地 幹郎君     串田 誠一君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     小田原 潔君

  尾身 朝子君     和田 義明君

  黄川田仁志君     小野寺五典君

  宮本  徹君     赤嶺 政賢君

  串田 誠一君     下地 幹郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国の安全保障に関する件


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     ――――◇―――――

岸委員長 これより会議を開きます。

 国の安全保障に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房参事官船越健裕君、外務省総合外交政策局長鈴木哲君、外務省総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長吉田朋之君、外務省アジア大洋州局長金杉憲治君、外務省北米局長鈴木量博君、外務省欧州局長正木靖君、防衛省防衛政策局長槌道明宏君、防衛省整備計画局長鈴木敦夫君、防衛省地方協力局長中村吉利君、防衛装備庁装備政策部長土本英樹君、防衛装備庁プロジェクト管理部長斉藤和重君、防衛装備庁調達管理部長水野谷賢司君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

岸委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

岸委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。篠原豪君。

篠原(豪)委員 おはようございます。

 きょうはお忙しいところ、外務大臣、防衛大臣、ありがとうございます。早速ですけれども、御質問させていただければと思います。

 米朝の首脳会談が行われました。その後のこの委員会、こういった質疑ができる最初の機会ですので、少し現状認識あたりから伺っていきたいというふうに思っていますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 二月二十八日にハノイで行われた米朝首脳会談ですけれども、共同宣言の署名式が突如中止になりました。トランプ大統領は直後の記者会見で、寧辺核施設の廃棄の見返りに経済制裁の全面解除を求めたことは受け入れられないと述べました。結果としては、何の成果もなく、物別れに終わったということになるんだと思います。

 当初、内政で苦境に立つトランプ大統領が外交で成果を上げようと前のめりになるんじゃないかということが、この姿勢がいろいろと心配されたところもありましたので、経済制裁の一部の解除に応じるのではないかというこの危惧に対してそうした心配がなくなったということも、またこれは考え方なんだと思います。

 北朝鮮の非核化という目標はしかし依然として手つかずのまま残ってしまっている。しかし、会談は不調に終わったとはいえ、トランプさんはこの正恩氏への対話姿勢は堅持をしているというふうになっています。

 直ちにミサイルの発射や核実験が再発する状況にはないというふうに、これは皆さん考えているのかもしれませんけれども、こうした情勢がこのまま当分続くのかどうか、このことのこの交渉が果たして北朝鮮とアメリカにとってどちらに有利に働いたのか、また、その考えられる理由というのがあるのであれば、外務大臣、お伺いしたいと思います。

河野国務大臣 今回の米朝の首脳会談に向けてアメリカは、北朝鮮が核とミサイルのCVIDを実行しない限り経済制裁を緩和することはないという、かなり一貫した方針で当たってきたと思います。そういう意味で、この会談の結論というのは、ある面、北朝鮮がそれを受け入れなければ経済制裁はないということで、特に驚きはなかったと言ってよろしいかと思います。

 今後については、国際社会がしっかりと一致して国連の安保理決議を履行していくということにひとえにかかってくるのではないかというふうに思っております。

篠原(豪)委員 きょうはせっかくですので、同じようにこの現状認識について防衛大臣から、どう考えていらっしゃるかというところもお伺いします。米朝首脳会談の非核化をめぐる情勢認識、今のことも踏まえて、防衛大臣としてはどういうふうに捉えているかということを教えていただきたいと思います。

岩屋国務大臣 今、外務大臣からもありましたように、いわゆるCVID、不可逆的な、検証可能な、完全な非核化に向けて具体的な進展がなかったということについては残念に思っておりますけれども、一方、安易な妥協がされることがなかったという意味では、トランプ大統領の決断を支持したいというふうに思います。

 最後に建設的な議論は続けていこうということで別れているというふうに承知をしておりますので、今後のことについてはちょっと予断を持ってお答えするのは難しいかなと思っておりますが、防衛当局としては、このCVID、あるいは我が方にとって脅威になっているミサイル等の問題が、やはり前進していくということに強く期待をしたいというふうに思っております。

篠原(豪)委員 ありがとうございます。

 結局、物別れになって何が続くかというと、経済制裁が続きます。そうすると、どちらにとって有利、不利かということを考えたときには、やはり北朝鮮にとって打撃となるのが経済制裁ですから、これが維持される限りは、アメリカに優位な構造というのが恐らくあるんだろうというふうに思います。時間は米国に有利に働くと考えている方々が大勢じゃないかなと私は思っているんですけれども。

 しかし、北朝鮮側には、核開発によってこれまで自国の存在感を高めたからこそ、念願だった米国との首脳会談を実現できたという思いも強いんだと思います。正恩氏が、これは言われていることですけれども、リビアのカダフィ政権が核開発を放棄した後に、欧米の支援を受けた反体制派に打倒された経験を反面教師としているということの可能性も高いというふうに、もちろん、いろいろなケースを想定してやっているんだと思うんですけれども。

 そういった中で、今経済制裁がある中で、では、この先どうやって進めていくのかというのが大事だと思うんです。中国がやはり協力をすることが不可欠なんじゃないか。

 中国は北朝鮮の体制が不安定化することは望んでいませんから、そういった意味では、今のこの経済制裁をずっと続けていても、この状態が、予断を持ってこの先どういうふうに進むかということは今なかなかわからないというふうに、それは、公式的な立場ではそういうふうに今この場では発言をせざるを得ないんだと思うんです。

 結局は、今のままだと、チェスでいうとステイルメイトみたいな、お互い向き合っていろいろ手番は打ったんだけれども、最後はここで向き合っちゃって、次の手を打つところがもうない、硬直状態に入っていくということになるとすると、それはそれでこの交渉が、このままではもっと悪くなっていくのが心配なので、後に指摘しますけれども、そういったことを、やはり我々の国としてもどういうふうにこれを捉えて、先に少しでも打開をするために、アジアの中のプレーヤーの一人として、域内のプレーヤーの中の一人として何らかのその打開策について協力をしていかなければいけないんじゃないかというふうに思っています。

 もちろん難しいことですから、いろいろな各国の利害もあるし、それは我々の国益というのが一番大事でもあります、これはもう日本の主権ですから。

 そういったことも考えながらやらなければいけないと思っているんですけれども、この辺について少しちょっと認識をいただければと思います。

河野国務大臣 国連の安保理による制裁というのはかなりきいているんだろうというふうに思っております。中国も、国連安保理決議は遵守するということを繰り返し述べているわけであります。

 ただ、瀬取りのような制裁逃れの行為が行われているのも事実でありますから、国際社会として、こうした制裁逃れの行為をきちんと摘発する、防ぐ、そして、安保理などで報告をして情報を共有するということが大切になってくるだろうと思っております。

 今、日本、アメリカ、カナダ、オーストラリア、あるいはイギリス、フランスといった国々が、航空機や船舶といったアセットを提供してこの瀬取り対策を行っているところでございますし、中国とも情報の共有をしながら、中国にもきちんと瀬取り対策をやってもらうように働きかけをしているところでございますので、こうした抜け道をいかにきちんと塞いでいけるかということが極めて大事なのではないかなというふうに思っております。

 そうした問題意識を共有しながら、この瀬取り対策にアセットを提供してくれるところには、積極的に提供を呼びかけていきたいというふうに思っております。

篠原(豪)委員 防衛大臣にもちょっとその辺の認識をお伺いしてもよろしいでしょうか。

 経済制裁、今は瀬取りの話まで出ちゃったんですけれども、お配りしている新聞、この一枚目なんですけれども、「サイバー攻撃 五億ドル奪う」「北朝鮮、制裁逃れ外貨獲得」とありまして、これは、今の瀬取りの問題と、あと、瀬取りだけじゃなくて、経済制裁逃れは、ここに書いているように、これは、サイバー攻撃で五億ドル奪ったというふうに書いてあるわけです。制裁で失った四割前後の外貨収入はこのサイバー攻撃による仮想通貨で獲得していたということになると。

 さっきの防衛大臣がおっしゃった瀬取りの問題は、瀬取りというのは、石炭や石油などの積み荷を洋上で船から別の船に移す瀬取りが一八年に規模、量ともに大幅に増加したとも指摘をした。一八年一月から八月にはこの密輸は百四十八件に上ったということになります。

 核と弾道ミサイルの開発計画は今現状のままにしているというふうになっているので、日本政府としての瀬取りの取締りをどうするかということ、今、カナダ、オーストラリア、フランス、イギリスまで入れてアセットを組んでそういったところに対してやっていくという外務大臣からのコメントもあったんですが、防衛大臣として、このことについてどういうふうに捉えて、どのような考え方を持ってやっていこうと思っているかということを教えていただきたいと思います。

岩屋国務大臣 やはり国連安保理決議の完全な履行を実効性あるものにしていくためにも、やはり、瀬取り対策というのは非常に重要だというふうに思っております。

 私どもも、決議違反が強く疑われる行為を確認した場合には、国連安保理の制裁委員会への通報、関係国への関心表明を行ってきております。

 防衛省・自衛隊としては、瀬取り防止のために、昨年一月以降、瀬取りが強く疑われる事例十一回、この事案を公表してきたところでございます。

 北朝鮮籍船舶のみならず、その北朝鮮籍船舶と瀬取りを実施した疑いのある他国の船籍の船舶につきましても、安保理の制裁委員会や関係国により適切な措置がとられてきていると思いますが、非常にますます手口が巧妙になってきておりますので、さっき河野大臣から紹介いただいた関係各国と連携して、更に瀬取りへの対策を強化していきたいというふうに考えております。

篠原(豪)委員 経済制裁の問題は、この瀬取りとかサイバー攻撃で外貨を稼ぐというのを北朝鮮がやっているというふうに報道されている中で、あるいは、瀬取りに関しては実際に行為が行われていることを確認している中で、経済制裁をきちっとやっていく。

 しかし、経済制裁をやっていっても、結局最初の振出しに戻るということになるだけで、向こうとしては、こっちも向こうも、こっちというか、経済制裁をする側と北朝鮮との結局堂々めぐりで、時間だけが過ぎていくということになるんじゃないかというふうに思います。

 そこのところをしっかり打開していかなければいけないというのが先に進まないので、やっていかないといけないと思いますし、今回のトランプさんと金正恩さんの会談が実現したのは、やはり、中国が鍵を握り、中国の協力には、トランプ政権は軍事圧力に重心を移して、危機感を抱いた韓国の仲介があって、そしてトランプ会談がセットされてここまで来た。

 しかしまた同じところに戻っていくというふうになってくると、これはなかなか振出しに戻るだけで解決にならないというのはちょっと心配をしているところでありまして、我が国は、拉致の問題とかもいろいろあります。

 本当にこれを何とか前に進めていかなければいけないという、多くの国民の皆さんは考えているし、我が国の安全保障環境に対してもこれは脅威ですから、こういうところもしっかりやっていかなければいけないと思っている中で、では、北朝鮮がそういった中で今後どういうふうに出てき方をしてくるのかというところも考えた方がいいんじゃないかと思うわけです。

 首脳会談後の一日未明に北朝鮮外相がわざわざ会見をしました。アメリカへの不満を言いながらも、反発を抑えて、同様に、労働新聞も決裂という表現はせず、継続協議というところに力点を置いていました。

 その労働新聞が、米朝会談が不調に終わった事実を伝えたのは一週間後の八日です。この一週間、何があったのかは私たちにはわからないんですけれども、電子版で論評があって、ただ、トランプ大統領の批判は、依然トーンは抑えられている状態です。

 他方で、今お手元にお配りしたこの資料の二枚目ですけれども、これは、CSIS、米戦略国際問題研究所の分析ですけれども、昨年八月に解体が始まっていた北朝鮮北西部の東倉里のミサイルのエンジン試験場の再建作業が行われているということも判明しています。

 金正恩朝鮮労働党委員長の新年の辞には、アメリカが約束を守らず、制裁と圧力を続けるならば、我々も新しい道を模索せざるを得なくなると述べているわけです。

 北朝鮮が近い将来、今ここまでの行動に出てきたときに、これはどういうふうに打って出てくる可能性があるのか。再度、軍事的挑発に打って出る可能性がどの程度あると考えているのか。こういったことを今外務大臣としてどのように、我が国の外務省はどのように評価しているのか。

 そして、防衛大臣もあわせて、直接セキュリティーにかかわりますので、お話しをいただければと思います。

河野国務大臣 アメリカの報道は承知をしておりますが、個別の分析については、公の場で申し上げるのは差し控えたいと思います。

 いずれにしましても、国際社会がこれまで同様に安保理決議をしっかりと履行するということが大切であって、また、先ほど御指摘をいただいたさまざまな安保理決議の履行の抜け穴をきちっと防いでいくということが大切だというふうに思っております。

 経済制裁は間違いなくきいているという確証を国際社会が持っているわけでございますので、引き続き、米朝会談はあのような終わり方をしましたが、国際社会としては一致団結して安保理決議を守っていきたいというふうに思っておりますし、それがまた次につながっていくものだというふうに思っております。

岩屋国務大臣 委員御指摘の、東倉里におけるミサイル発射台及びエンジン試験場の再建作業という報道は私ども承知しておりますし、その点も含めて北朝鮮の軍事動向については、防衛省としてもしっかりとウオッチしておりますし、情報収集、分析を行っております。

 内容については控えさせていただきたいと思いますけれども、その上で申し上げれば、仮に、人工衛星と称する弾道ミサイル発射を行ったとしても、それは国連安保理決議で禁止されておることであって、そういった行為も容認できるものではないと考えておりまして、米国等ともしっかり連携して、引き続き北朝鮮の軍事動向については、警戒監視に全力を挙げていきたいというふうに思っております。

篠原(豪)委員 ありがとうございます。

 人工衛星と称するものを打ち上げて仮にやるということがあればというお話でもありましたけれども、今、多くの評価の中では、多分、北朝鮮の核開発というのは技術がほぼ完成したんじゃないかと言われている状態にあるので、これまでみたいな、本当に瀬戸際外交を、実験しながら、つくりながらやってきているフェーズと、もう私たちは、大分完成したんじゃないかというふうな、大分変わっていったころに入っているからこそ、北朝鮮の核実験場の廃棄も含めて行われたのかどうかというようなところもあわせて考えて評価をしながらやっていかなきゃいけないですし、その先にどういう出方をしてくるかというところは、なかなか予断を持って許さないところがありますけれども、そういったことも念頭に、もちろん考えていらっしゃると思うので、しっかり見ていっていただければありがたいと思っています。

 今度はちょっと中国について。中国の立ち位置で少し教えていただければと思うんですけれども、中国の王毅外相は八日の記者会見で、ハノイで開かれた米朝首脳会談について、朝鮮半島の核問題における重要な一歩であり、積極的な進展が見られたと評価した上で、米朝が対話を維持し方向性を変えなければ、朝鮮半島の非核化の目標は実現するというところまで述べられています。

 対話路線を引き続き双方でしっかりやってくださいということだと思うんですけれども、この中国の発言の意図について、我が国としてはどのように捉えて評価しているんでしょうか。

河野国務大臣 中国の外務大臣の発言の意図を申し上げる立場にはないわけでございますが、中国は少なくとも、安保理決議は完全に履行するということを累次繰り返しております。

 これは、私が昨年、王毅外務大臣と会談をしたときにも、安保理決議は中国は遵守する、そうおっしゃっておりますし、瀬取りを始めとする抜け穴についても、特に、瀬取りが中国近海で行われるようになったという情報もございますので、そういう問題提起をした際には、中国側としては、情報の共有をしてもらえれば瀬取り対策は中国がしっかりと講ずる用意があるという話をされておりましたので、少なくとも中国は、北朝鮮の非核化ということでは、安保理決議に賛成をしているわけでございますから、足並みをそろえているというふうに考えております。

 さまざま国境でいろいろな動きがあって、物の動きがあるのではないかという指摘があるということも報道などでされているのは承知をしておりますが、中国全体として、国際社会の一員として責任ある立場で安保理決議を遵守する、そういうことだろうというふうに考えております。

篠原(豪)委員 河野外務大臣が王毅外相と直接会われてお話をされるというのは、我が国にとっても非常にいい機会だと私も思っています。もちろん王毅さんは日本にいらっしゃいましたし、大変知日家の方でありますし、恐らくそれ以前から御関係等々あられると思うので、日中で建設的な議論をやっていくというときに本当にこれは頑張ってやっていただきたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いします。

 次に、日朝関係への影響について、拉致問題についても考えなければいけないんだというふうに思います。

 トランプ大統領ですけれども、日本側の意向を受けて、これまで私も委員会で、拉致問題をどうされるんですか外務大臣というふうにお伺いを何度かさせていただいておりますけれども、交渉のテーブルに拉致問題を提起していただけるようにしっかりとそれを外務省としては伝えて、協力要請して実際にそういう発言をしていただくというような努力をされていくということだったので、今回は実際にそういうふうにテーブルでは発言があったと聞いていますので、私は、それはそれで、おっしゃられた仕事をしっかりしていただいたんではないかと思っています。

 ただ、北朝鮮が、日本人の拉致問題を進展させるインセンティブが、拉致問題が解決すれば、日韓協定の締結時に韓国に支払われていた金額に見合った多額の賠償金を受け取れるかどうか、考えているかどうかみたいなことも報道等にはあったりもしまして、これと同時に、北朝鮮は米国の制裁が解除されない限り受け取れないことはわかっているので、米朝非核化交渉が妥結しない限り、日朝関係の進展も難しいというふうに考えています。これでは実際に本当にいつになるのかということも、これが見通せない。

 ですので、これからは、今度は同時並行的に交渉を進めていくという選択肢も模索するべきだというふうに考えていますけれども、こういった余地が残されているというふうに考えていらっしゃるのか。

 アメリカだけじゃなくて、日本としてもどうされていくのかというところについて、というのは、拉致家族者の皆さんはすごく高齢化しているので、この現状はもう待ったなしなので、やはりここは、非核化交渉をずっと待って、今これがとまっちゃったときで、これは難しい問題があるのはわかります。わかるんですけれども、これは手おくれになってしまったら、もう一刻の猶予もないとずっとおっしゃっていますけれども、この質問は難しい質問なんですけれども、やはりこれは待たれている方々もいらっしゃいますので、お伺いさせていただければと思います。

河野国務大臣 日本政府の立場は、日朝平壌宣言にうたいました、核、ミサイル、拉致問題を包括的に解決をし、過去を清算して国交を正常化するというこの立場には変わりは全くございません。

 今回も、トランプ大統領が最初の短いテタテの会談の中でも拉致問題を提起をし、また、その晩の少人数の夕食会でも拉致問題を提起をしてくださいました。これはトランプ大統領から安倍総理にお話がございましたし、夕食会に同席をしたポンペオ国務長官からも、その場面の話について情報をいただいております。

 また、最近は、北朝鮮の外務大臣と会談をした各国の外務大臣が、かなりこの拉致問題についてさまざま問題提起をしていただけるようになりました。その際についての反応等についても、累次、そうした外務大臣から情報をいただいているところでございます。

 今、日本は、北京の俗に大使館ルートと言われているルートなどを用いて北朝鮮とさまざまやりとりをしているところでございます。

 中身については、対外的に申し上げるのはこれはちょっと差し控えなければなりませんが、おっしゃるように、極めて時間的な切迫感があるということは認識をしておりますので、しっかりとこの問題が動かせるように努力をしてまいりたいと思っております。

篠原(豪)委員 本当によろしくお願いします。

 こういう問題には与野党もないですし、とにかく解決を何としてもしていただきたいと思っています。報道では、総理は、今度は私の番だみたいなことをおっしゃっているときもあられるようなので、ぜひ期待をさせていただきたいと思っています。

 それで、今度、別の論点なんですけれども、今後の非核化交渉をめぐる論点というのを、またこれからこの場で整理をさせていただきたいと思っています。

 北朝鮮による非核化の理解、これは累次話されたこともあるかもしれませんが、今回の首脳会談が決裂した原因は、恐らく、北朝鮮の非核化はどのような状況を指すのか、双方の理解にかなり開きがあったのではないかと思います。じゃなかったら、こんな決裂の仕方はなかなかしなかったんじゃないかなというような感覚、感想を持っています。

 北朝鮮のことし二月十三日付の労働新聞が論評で、これ以上核兵器を製造しないとした正恩氏の非核化の決断を改めて宣伝をしていまして、北朝鮮は将来にわたって核兵器の製造を防ぐことは非核化として認めているようなんですが、北朝鮮が既に保有している核兵器の廃棄は、首脳会談で合意した朝鮮半島の非核化として認めてはいないのではないかというふうに考えている方々もいます。

 仮に、北朝鮮が既に手にした核を手放さないとしたら、今後の交渉は、これは成り立たないという考えでよろしいんでしょうか。

 北朝鮮が既に手にした核については、核兵器の廃棄という、首脳会談で合意した北朝鮮の非核化というものの範囲にこれを入れてこない。今後の製造はしないけれども、持っているものについてはこれは非核化の対象になりませんよというようなこういうことで、北朝鮮の労働新聞には、これ以上の非核化を、製造しないということを論評で書いているんです。

 それは何かのメッセージがありまして、これがことしの二月十三日付なんです。ですので、会談の直前なんです。それをあえてこのメッセージを発しているということは何らかの意図があったんじゃないかと思っていて、今回は決裂したのは、もともとの非核化の範囲、これはどのような状況を指すのかというのに相互に大きな隔たりがあったんじゃないかといった疑いがありますので、ここのところをちょっと整理をしていただければと思います。

河野国務大臣 非核化といったときのアメリカの定義は極めてクリアで、アメリカは非核化とかFFVDとかいろいろな言葉を使いますけれども、核、化学兵器、生物兵器、全ての大量破壊兵器のCVID及びあらゆる射程のミサイルのCVID、それにはあらゆる核関連施設を含むというのが、アメリカの言う、非核化とかいろいろな簡単な言葉で言いますけれども、非核化といったときには、核を指すのではなく、大量破壊兵器、ミサイル、それのCVIDを指すんだということを繰り返しアメリカは申しておりますし、アメリカはそれについてかなりはっきり北朝鮮に伝えておりますので、アメリカ側の意図を北朝鮮が誤解をしていることはないというふうに考えておりますし、また、アメリカは、それが達成されなければ経済制裁の解除はないということもさまざまなレベルで北朝鮮に伝えておりますので、そこについてアメリカ側の意図を北朝鮮が見誤るということはないというふうに思っております。

 もちろん、非核化といったときに北朝鮮はこう思っているんだということはあるのかもしれませんが、少なくともそれでは経済制裁は解除されないということは、アメリカ側から北朝鮮にかなりクリアに伝わっております。

篠原(豪)委員 ありがとうございます。よくわかりました。

 そうしますと、これはイラクでも実証済みだと思うんですけれども、生物化学兵器であるとか、核兵器もそうなんですけれども、製造している場所が、これを見つけることが非常に難しい場合がございます。

 実際に核兵器は、その製造設備と違って、隠蔽することもこれは容易です。北朝鮮側の誠実な申告がなければ、幾ら交渉をしたところで、では本当にそうなんですか、誰が見るんですかというところに今度は次のステップで行きますよね。

 そうすると、見つけることが困難なので、北朝鮮が今後の交渉の中で、それは我々もその一員ですけれども、地域の中でもそうですし、そういったことに対して全体でどういうふうにやっていくのかというような課題もあると思うので、その点についてはまた今度、次回のときにでもまた議論させていただければと思いますので、よろしくお願いします。

 このお配りした北の非核化について、一つ、新聞報道に接しました。読売新聞なんですけれども、「北非核化 日本から技術者」「廃炉など人的貢献」、こういうのがありまして、この報道は、北朝鮮の非核化に向けた技術支援を検討しているというものです、これは日本政府がです。

 仮に北朝鮮の非核化が進展した場合には技術支援を行うとすると、IAEAの今申し上げたような査察も含めて、協力する形で行っていくんじゃないかというふうには想像されるわけです。

 そのIAEAの任務というのは、平和目的の核物質の軍事転用を防ぐことであり、これまで核兵器の廃棄の検証を行ったというのは、実は経験がありません。また、NPTの趣旨からしても、核兵器の解体に非核兵器国である日本が人的貢献をするという事態が果たして考えられるのかということも含めて、今この計画というか、これはどういうふうになっているんでしょうか。教えていただければと思います。

河野国務大臣 核兵器の廃棄、解体に関しては、NPTが言う五つの核保有国が当たるということになります。これは、廃棄、解体を通じて核兵器の知見が流出するということがあってはならないということでございますので、これに日本が参加するということは毛頭ございません。

 核兵器以外の再処理施設ですとか濃縮施設、原子炉といった関連施設に関しては、これはIAEAがきちんと査察をするということになります。日本としては今IAEAとさまざまな情報交換をしておりますが、IAEAは、ゴーサインが出ればすぐにでも査察チームを北朝鮮に送り出すことができるという準備をいろいろとしております。かつてIAEAは北朝鮮で査察をしていた経験がありますので、さまざまな情報を持っている部分もございますし、新たにつけ加わった施設については、当然一からということになります。

 その際の費用について日本はある程度の支援をする用意があるということはこれまで累次申し上げてまいりましたし、必要な技術的支援で日本が知見を持っているものについては、IAEAに協力をしていきたいというふうに思っております。

 また、今、日米の間でこうした核関連施設についてやりとりはさせていただいているところでございますが、その際、核兵器については、日本側として全くさわるつもりもありませんし、余地もないということでございます。

篠原(豪)委員 ありがとうございます。安心いたしました。

 まさに原子力施設での事故対応や廃炉に経験を積んだ技術者さんを、ここには派遣していくと書かれていますけれども、おっしゃるように、平和利用と軍事利用は全く別の目的でありますので、そこを変な議論にならないように私たちもしたいと思っていますし、それがちゃんと伝わっていくことも大事だと思っていますので、どうぞよろしくお願いします。ありがとうございます。

 次に、非核化への段階的な、北朝鮮から見る、見返りと言うのかわかりませんけれども、米朝首脳会談が決裂したもう一つの大きな原因が、北朝鮮が段階的に非核化を進めれば、その都度見返りを与えるか否かということであったというふうに言われています。

 トランプ政権は、当初、北朝鮮が完全に非核化するまではいかなる経済制裁も解除しないというふうにしていたんですけれども、北朝鮮との実務協議を担うビーガン北朝鮮政策特別代表という方が一月末に、北朝鮮が全てをなし遂げるまで私たちは何もしないと言ってきたわけではない、シンガポールで行われた首脳会談の共同声明で交わされた全ての約束を米国は同時並行で進める用意があると述べました。

 これは、米側が、再会談に向けて、完全な非核化まで認めないとしてきた見返りを、非核化が段階的に進めばその都度与える方針に転換したということであり、つまり、全ての核、ミサイルの関連施設の完全な申告を要求しつつも、非核化交渉の前提条件にはしない方針へと後退させたものと評価をされている、私たちがしているんじゃなくて、と論評されていまして、そして、それにもかかわらず合意ができなかったということで、第一次ブッシュ政権のときにも見返りを北朝鮮が拒否をして、結局六者協議を始めて、行動対行動の原則で話合いが行われた経緯がある。もともと、完全な非核化まで何もしないということで北朝鮮が折れたためしがないんです、まだ。

 ですので、このことについて合意できなかった要因、この辺のことも踏まえてどういうふうにちょっとお考えなのかというところをお伺いしてもよろしいでしょうか。

河野国務大臣 これは日米で緊密にすり合わせてまいりましたが、アメリカの方針は極めてクリアで、全ての大量破壊兵器、全ての射程のミサイルのCVIDが経済制裁緩和の前提条件という、ここは全く揺らいでおりません。

 他方、アメリカは、いろいろなメッセージ、情報を北朝鮮向けに出しているというのもございますが、いろいろなメッセージを出しながらも、方針は全くぶれたことはございません。

 ビーガン特別代表の話がどういう意図でそういうメッセージが出されたかは、これは私が申し上げる立場にはございませんが、アメリカとしては少なくとも、部分部分で何か経済制裁を解除するというつもりはこの会談に向けては全くありませんでしたし、我々もその方針を支持してきたところでございます。

篠原(豪)委員 見返りとしての非核化の経済制裁の解除の要求というのは、これを北朝鮮が答えるようになったのは去年の十月。十月のときに朝鮮中央通信が、終戦宣言は六月の米朝共同声明に基づく当然の措置で、非核化措置と交換する取引の対象ではないと主張し、その直後に訪朝したポンペオ国務長官に対し金正恩氏は、豊渓里の核実験場や東倉里のミサイルエンジン試験場の査察を受け入れる条件として終戦宣言や制裁の解除が必要だと主張して、初めて正式に経済制裁の解除要求を突きつけています。

 この北朝鮮の方針転換が、結果的にその後の米側の段階的な見返り論を引き出すことにつながったんじゃないのかと。

 これはどうしてアメリカがこれに応じざるようにならなくなったかというのは、これはわからないんですよ。アメリカは、今言ったビーガンさんとかそのコメント、これはお答えにならないというふうにおっしゃっていましたけれども、北朝鮮が経済制裁の解除要求を行うようになったのは、制裁がきいて追い詰められているからというふうに当時から解説が行われたけれども、その後、米側がその要求を入れたという事実が重要で、その理由を知ることが、なぜ十月に北朝鮮が方針転換をしたのか、なぜ北朝鮮が最初から言っていたことを十月に方針転換させたのかというその辺の評価というのはコメントいただけますか。

河野国務大臣 北朝鮮の方針転換がどういう理由かというのは、これは正直わかりませんが、アメリカは全く、段階論あるいは見返り論ということはこの交渉の中で一度たりともございません。アメリカは、大量破壊兵器と全ての射程のミサイルのCVIDが経済制裁解除の条件ということで、北朝鮮がさまざまなことを言ってきたのに対しても、部分対部分というディールは行わないという、これはもうはっきりとしておりました。

 ですから、何かアメリカが方針に変更があったということではございませんが、アメリカはさまざまなメッセージを北朝鮮向けに出していたというのも事実でございますが、その意図は私は存じません。

 ただ、いろいろなメッセージを出す中でも方針は一切変更がないという、これは日米で確認をしてきているところでございます。

篠原(豪)委員 この北朝鮮問題と非核化についてはまた今後も議論させていただければと思いますので、よろしくお願いします。

 最後に、このお配りしたチラシ、チラシというか資料の最後の四枚目なんですけれども、一つ気になる記事がありまして、米軍駐留経費負担を五割増要求検討というのが報道をされました。すごいディールの仕方だなと率直に思います。

 これは別に米軍が日本に駐留しているのは、平時のときの対応によるものであり、有事を含めれば、日本じゃなくて地域全体で考えるためのものであるわけで、では、それでなぜ日本にこういった次から次にお金を出してくださいという話になるのかというのが非常に気になる。

 この米軍の駐留経費をアメリカの損失とみなしているわけです、トランプ大統領は。この考え方がある中で、この報道に接して、今ここに書いてあるのは、トランプ政権が日本やドイツなどに対し駐留経費を五割増し以上にするというふうに検討している。本来、日米地位協定には、米側に負担義務がある経費の一部を支援する現在の特別協定の趣旨にはなじみません。日本の負担割合は、既に米軍が駐留する国の中で際立っているという現状もあります。

 このことに対して、インド太平洋全域を見ている在日米軍の駐留に対してどのように考えているかという根本問題があるので、政府としてこの問題に対してどのように対処するつもりかというのを、時間ですので最後に質問させていただいて、終わらせていただきます。

岸委員長 河野外務大臣、簡潔にお願いします。

河野国務大臣 報道は承知しておりますが、米側からは何もございませんし、米側は、現在の駐留経費の負担割合について極めて高く評価しているというのが現実でございます。

岩屋国務大臣 外務大臣と同様でございます。

篠原(豪)委員 時間ですので終わります。ありがとうございました。

岸委員長 次に、本多平直君。

本多委員 立憲民主党の本多平直です。

 私も、篠原議員が最後に質問された件をちょっとだけお聞きをしたいと思います。

 今の時点でこうした要求は来ていないということは今理解をいたしました。しかし、トランプ政権の一連の、選挙前からの発言でありますとか、そういうことを考えますと、それから、韓国も既に大幅に負担を増加をさせたというのはもう把握をされていると思います。こうした流れの中で、この報道は決してあり得ないことではないと私は思っています。

 そのときの判断として、これはもちろん我々の防衛にも資しているわけですが、我々も基地を提供するという非常に大きな負担をした上で、かつ、他国と比べても高い負担率、これは我々も政府と議論させていただいていますが、それをしているという現状があります。

 ここで更にこうした負担増を、かなり大幅な負担増を言ってくるということに私は、毅然と対処していただく、まだ言ってきていないということは今外務大臣の御発言でわかりましたが、こうした動きがあるのは事実ですから、韓国などを見ていても。こうした動きに毅然と対処していただきたいと思うんですが、いかがですか。

河野国務大臣 韓国は駐留経費の協定が切れたから交渉になったわけでございまして、報道は承知をしておりますけれども、全くアメリカ側からはそのような話もございませんし、今の日本の駐留経費負担についてアメリカ側は高く評価をしてきてくれているという事実がございます。

本多委員 防衛大臣もお願いします。

岩屋国務大臣 外務大臣からお話がありましたように、今の特別協定は二〇二一年三月まで有効でございますので、今、日米間でこの交渉は全然開始されていないと承知をしておりますし、二年前ですか、マティス前国防長官が来日されたときには、日本は同盟諸国の中でも非常に高い貢献をしてくれていて、駐留経費負担についても模範的だという話もしていただいたことがあったと思いますけれども、私どもとしては、米側は我が国のこの負担を高く評価していただいているのではないかなというふうに考えております。

本多委員 二一年四月からは新しい負担のこと、それは来年ぐらいから話合いが始まると私も思っていますので、その交渉は日本の立場をしっかりと主張して、高く評価している高官もいるのは事実ですが、一方でこうした動きもありますから、毅然と日本の立場を主張をしていただきたいということをお願いをしておきたいと思います。

 もう一点、最近の報道で、日本側の負担増にかかわる報道がございました。三月九日の読売新聞に、「複数の日米関係筋が明らかにした」ということで、イージス・アショアの費用負担、新しいミサイルを、中に入れるミサイルの発射試験場を米国につくる、これを日本側の費用負担でつくるということを求められていることがわかったという報道がございます。

 まず、この事実関係を教えてください。

岩屋国務大臣 先生御案内のとおり、これから我が国が導入する予定のイージス・アショアは、既にルーマニア等に配備されているイージス・アショア、ハワイの実験施設とは、搭載するレーダーの種類が異なります。

 我が国がイージス・アショアのレーダーとして選定したLMSSR、このレーダーとイージスシステムの連接、そしてその性能確認をこれからどのように行っていくかということについては、日米間で議論を行っているところでございます。

 しかし、現時点において、我が国の費用負担によって実験施設を建設するといったようなことは決まっておりません。

 引き続き、性能確認の方法について日米間で協議をしてまいりたいというふうに思っております。

本多委員 済みません。私、言い間違えました。ミサイルが変わったんじゃなくて、今大臣がおっしゃったとおり、レーダーが新しくなったので、それの試験をする施設が必要。

 こういう施設が必要だという理解はいいんですか。レーダーの仕組みが変わるので、その試験をする施設が、負担はどこにするかは別として、どこかに必要になるんですか。

岩屋国務大臣 性能確認の方法をどうすることが適切かということで今日米間で協議をしておりまして、必ず実験施設が必要だということではない。それが必要なのか必要でないのか、実験施設がなくても十分に確認することができるのかということなども含めて今協議をしているところでございます。

本多委員 私は二基で二千四百億円というこの高額な導入費自体にも非常に疑問があって、議論を続けています。他の野党も指摘していますけれども、八隻にふやしたイージス艦で対応可能なのではないか、そういう議論も予算委員会でもさせていただきました。

 当然この二千四百億円には、さらなる維持費でありますとか、それから、ライセンスでいろいろ補修をしてもらう費用とかというのはまだ入っていないわけですよ。しかし、これは、完成品を買って、レーダーも載ったものが二千四百億円だと私は思っていたんですが、更にその性能を見る施設をつくるかもしれない。一基一千二百億円ですから、試験施設というものの金額も相当な額になると想定されると私は思うんです。

 本当にこういうものが後から話が出てくるということで、これから検討中とおっしゃっていますが、そういうものを導入していいのかという疑念にも発展してくるんです。だから、本当にそういう高額な試験費用の検討がこれから行われるという理解でよろしいんですか。

岩屋国務大臣 まだ何といいますか、そこまでの具体的な協議をしているということではなくて、果たして、その性能確認のためにそういう実験施設がなければいけないのか、ない形でもやれるのかどうかなどということについて、今、情報交換、意見交換をさせていただいているところでございます。

 このイージス・アショアに搭載予定のLMSSRはロッキード・マーチン社によって製造されるわけですけれども、ロッキード・マーチン社は、御案内のとおり、長年、イージス艦やイージス・アショアに搭載されているレーダーの製造メーカーでもありますし、また、このLMSSRという新しいレーダーは、来年米国に配備される予定の大型レーダー、LRDRと聞いておりますが、と同様の技術によって製造されることになっていて、この開発は順調に進んでいるというふうに承知をしておりますので、これらのことから、LMSSRの開発に向けた技術的な信頼度は高いものというふうに考えております。

 その上で、性能の確認方法については、米国としっかりこれから協議をしていきたいというふうに思っております。

本多委員 性能確認がまだできていないということ自体が私は問題だとまず思います、導入の決定を既にしているわけですから。

 その方法をこれから協議するということも問題だと思いますが、費用負担をする可能性はあるんですか。これは全額というような報道になっていますが、日本側が負担をする可能性というのはあり得るんですか。

岩屋国務大臣 まだ、先ほど申し上げたようにこれからの協議ですから、確たることは申し上げられませんけれども、もしその性能確認のために一定の費用が生じるという可能性がある場合は、我々の方でも、適切な形で、そのイージス・アショア導入の全体コストをできるだけ縮減するような形で交渉を行っていきたいというふうに思っております。

本多委員 全体コストを縮減できるんでしたら、私は導入に否定的ですが、当然していただきたいと思いますけれども、これは更にやはり乗るという話で、後から後から、二基で二千四百億円という予算自体が大き過ぎてみんな批判が出ているわけですけれども、そこに更に維持費、管理費も要るという話も出ていて、更に今度はその性能試験の実験場を米国につくる、これの費用も負担をしろ、こんな話が出てきていて、防衛大臣、否定されないという状況、これはまた新たな論点として今後も議論をさせていただきたいと思っています。

 それでは、私、次に、この東アジアの最近の安全保障環境に大きな影響を及ぼす変化について一つ議論させていただきたいんですが、INF全廃条約、事実上米国が破棄をし、ロシアもその状況を認めるという、私は大変残念な状態に陥っていると思います。

 これについて予算委員会でも、多分、自民党の岸田先生の質問に外務大臣が答えられたりしています。残念だということは一応おっしゃっているんです、政府の関係者の皆さん。残念だとおっしゃっているんだけれども、ロシアもいろいろ違反か違反でない行為をしていて問題あるし、もっと言えば中国、この条約の枠外にあって、米国の気持ちもわかるよねみたいな発言をされているような気がします。

 今後、中国の入るマルチな枠組みをつくっていくというようなことを発言をされていますが、そんなものが簡単にできるんだったら私もそれはそれで更にいいでしょうと思いますが、実は、中国がそれに乗ってくるという気は私は事実上いたしません。

 そうした中で、今回の枠組みについて、これが壊れていくことについては、もうちょっと厳しく日本への影響を、また、東アジアについての影響を見た方がいいと私は思っているんですが、この辺の認識は、外務大臣いかがでしょうか。

河野国務大臣 このINF全廃条約というのは、軍縮の中で非常に大きな役割を果たしてきたという歴史的な評価はあるというふうに思っております。

 しかし、今委員がおっしゃったように、これは、アメリカとソ連、今のロシアの二カ国を対象としている条約でありまして、それ以外に、中国が既にこの条約に当てはまるようなものの開発をしている、また、そのほかの国の中にもそういう動きが顕著であるということを考えると、そろそろ更に国際的な枠組みをつくっていかざるを得ないんだろうと思いますし、日本の安全保障ということを考えたときに、米ロのINFを規制をする条約があるからいいんだと言える状況ではなくなってきているというのが現実だろうと思います。

 日本として、このINFに当たるミサイルを開発するつもりは毛頭ございません。しかし、さまざまな国々に働きかけをし、国際的に声を上げ、国際的な新たな枠組みをつくっていく、そういう努力は、日本の安全保障を考えれば当然日本はやらなければいけないことだと思っておりますし、委員おっしゃるように、一朝一夕にできる話ではございません。

 中国やロシアといった国にも、さまざまな透明性を高める努力をしてもらうような働きかけは、その間しっかりとやっていきたいというふうに思っております。

本多委員 防衛大臣にもお聞きをしてよろしいでしょうか、認識を。

岩屋国務大臣 中距離ミサイルをめぐる国際状況については、今、河野外務大臣からお話しいただいたものと同じ認識を持っております。

 今回のINF条約の全廃が中距離ミサイルの開発競争みたいなことにつながらないように願っておるところでございまして、なかなかこれも外務大臣からお話しがあったように、一気に新しいその枠組みができるということではないかもしれませんけれども、ぜひ国際社会全体としてそういう方向を目指していってもらいたいというふうに思っているところでございます。

本多委員 外務大臣からは非常に積極的な御答弁をいただきましたので、私はそう簡単じゃないと思うんですけれども、外務大臣そこまでおっしゃるんですから、我々はそういうものを持たない。しかし、我々の周辺国、そして親しいアメリカは、今は持っていませんけれども、今回の条約破棄によって持つ可能性がある。こうした国々を巻き込んだ枠組みをつくることに対して、非常に積極的に、日本の国益にもなると思いますので、中距離の核戦力というのは非常に日本にとっては脅威ですから、そこをしっかりと取り組んでいただきたいということはお願いをしておきます。

 しかし、実はそこにはタイムラグが生じて、短期的には、この条約が失効することで一つ大きな危惧があるのは、ロシアが中距離核戦力を極東などに配備をするということは、ただでさえ中国は潜在的に脅威で、北朝鮮の問題はずっとここ議論になっているわけです。その日本にとって、更にロシアが加わるということに対する対応はどうお考えでしょうか。

岩屋国務大臣 今御指摘があったように、プーチン大統領は、二月二日、ラブロフ外相及びショイグ国防相との間でINF全廃条約をめぐる対応を協議し、ロシアとしては、条約の義務を停止する旨表明するとともに、今御指摘のあった極超音速の地上発射型中距離ミサイルといった新型ミサイル開発に着手していく考えを明らかにしたというふうに承知をしております。

 ロシア側が具体的にいかなる措置をとるのかといった今後の動向については、予断を持ってお答えすることは控えたいと思いますけれども、このINFの条約が対象としてきたミサイルをめぐる問題は、我が国はもとより、東アジア全体の安全保障にも直結することでございますので、高い関心を持って、防衛省としても、米国とも緊密に連携をしながら、今後の動向をしっかり見てまいりたいというふうに思っております。

本多委員 あと、そのロシアの危惧はしっかりとウオッチをして対応していただきたいと思うんですが、専門家の論評などを見ますと、もう一点の危惧としてはちょっと別方向で、アメリカは今持てなかったわけです。しかし、飛行機や船から発射するものは持っているわけですけれども、地上配備型の中距離核戦力は持てなかったわけですが、これから開発ができるようになり、いずれ持つようになった場合、想定をされる配備国というのが実は余りなくて、韓国だと近過ぎる、グアムだと遠過ぎると言う方がいまして、日本に配備をしてくるんじゃないかという予測があるんです。しかし、当然日本には非核三原則がありますから、非常に政治的な抵抗が大きくて現実的ではないだろうと。

 しかし、地理的に考えると、アメリカが中距離の地上配備型の核戦力を置くとしたら日本が想定される。しかし、日本は非核三原則があって政治的には難しい。

 そうしたときに、まず、核は載せないけれども、ミサイルの配備から始めるんじゃないか、こんなことを論評している専門家がいるんですが、こうしたことは私はあってはいけないと思うんですけれども、いかがでしょうか。

岩屋国務大臣 先ほども申し上げたように、今般のことが国際的な中距離ミサイル開発競争みたいなことにつながらないということが大事だというふうに思っておりまして、したがって、そのことを今前提にした先生のお尋ねでございますので、そういう事態にならないように努力をしていくことが大事ではないかなというふうに考えております。

本多委員 このテーマは最後にしますが、そうならない、中距離核戦力などの軍拡競争にならない方向を望みたいのですが、残念ながらそれが始まる一歩にもなりかねない大きな問題なのに、河野外務大臣の言うようなマルチな仕組みができるなら私はそれはいいんですが、残念ながら、この大きな米ロの間の合意がなくなったことに対して少し楽観的なんじゃないかなと。意外とこの状況下で被害をこうむる国は日本であったり、日本に関係する大事なテーマなんじゃないかな、ですから、私はもうちょっと深刻に受けとめるべきじゃないかなという思いで質問したので、ぜひ一部でもお受けとめをいただければと思います。

 それでは次に、最近ちょっとまた南スーダンからは部隊は撤退をしました、一部残っている方もいらっしゃいますけれども。自衛官の海外派遣について幾つか質問させていただきたいと思います。

 シナイ半島でもうこれは何年ですかね、三十七年ぐらい続いている多国籍部隊・監視団、エジプトとイスラエルの間の監視をもう三十七年ぐらい続けているMFOという組織があるそうでございます、私も余り知らなかったんですが。この組織に今度日本の自衛官を、二名ですか、派遣することにほぼなりそうだということです。

 私、去年、報道が出たときから事務方と議論をしてきたんですが、まだ検討していないとか、いつものごとく軽くあしらわれてきて、その若干怒りもあって質問させていただきたいんですが、まず、今の最終的なこの検討の状況はどうなっているか、お答えいただけますか。

岩屋国務大臣 このMFOにつきましては、一月二十二日に、国際平和協力法に基づき、MFOへの司令部要員への派遣の可能性について検討を行う旨を公表した上で、検討を開始いたしました。

 先般、薗浦国家安全保障担当総理大臣補佐官が、本件検討に資するべく、現地視察を行っていただきました。それを受けて、内閣官房長官からその検討を開始する旨の発言があり、私からはその準備を始めるようにという大臣指示を出させていただいて、六日から十日まで防衛省の調査団が現地に行って、帰ってきたばかりでございます。

 これから報告をしっかり聞きたいというふうに思っておりますが、必要とあらばさらなる調査団も派遣して、よくよくあの現地の状況を確かめた上で、最終的な判断をさせていただきたいと思っております。

本多委員 この派遣の問題点、私、二つあると考えていまして、まず、これが安保法制で初めて可能になった、国連の配下にない組織への派遣であるということです。

 私は、国連の下にあるPKOでも、今回の南スーダンの例を見ても非常に危険な例がふえている、住民を守るために武力行使を辞さずという態勢でやっていますから、これまでの日本の原則でいうと非常に出しにくい条件がふえてきているので現に出しているPKOが減っているという現状もあると思っているんですが、しかし、その国連の組織の下にあるPKOでさえそういう状況であるときに、安保法制で、残念ながら、国連の下にない組織にも自衛官を派遣できるという枠組みがつくられました。

 このMFO自体が取り立ててたちが悪いとか危険であるとか質が悪いという議論をするつもりは私はありません。ただ、これで実績をつくろうとしているんだと私は認識をしています。もう三十七年継続的にやっているものに突然二名を今さら派遣をして何か役に立つかというより、その自衛官の方にとってはいい経験になるでしょう、国際部隊での連絡調整業務をやるということは。しかし、私にとっては実績づくり。

 そして、この国連の配下にない組織というのは、何でもこれは入ってくるわけですよね。今回のMFOの例も前回予算委員会で議論しましたけれども、かつては相当、安保法制の審議のときには何か限定風なことをおっしゃっているんですよ。三類型おっしゃっていまして、国連の下にあるものとかいろいろ分けていて、今回のこれはそれのどこにも入らない。

 ところが、どこにも入らないときも安保法制の審議のときは皆さんはどういう言い方をされたかというと、国連難民高等弁務官事務所の下とか欧州連合の下とか、非常に確立された組織の下での活動という類型で説明をされているんです。

 しかし、このMFOというのは、別にそういう国連とも全く無関係ですし、何か当時事情があったんでしょう、イスラエルの側に。そういう事情で国連の下にない組織なんですけれども、こういうものに派遣をする実績を残すと、例えば、アフガニスタンでやっていた多国籍軍であるとかいろいろな多国籍軍、これは本当に戦闘をやる危ないものから、災害派遣で小さな国に出している、でもなぜか国連の承認をとっていないという、こういうものまで幅広いんです。そういう類型に初めて派遣をするという一歩になるという点で私は問題意識を持っています。

 このもの自体が何か悪質なものであるとかとりわけ危険であるとか、そういう認識で言っているわけではありません。

 どうも安保法制のときの説明と違うんじゃないか。国連難民高等弁務官事務所、欧州連合等の国際機関の要請に基づくと言っているんですけれども、こういうMFOという、このためにつくった組織ですよね、これ。このためにつくったMFOの要請でということは、この国際機関は、もうありとあらゆる多国籍軍から要請があれば派遣できるというそういう解釈になりますけれども、よろしいんですか。

 安保法制の議論のときの国連難民高等弁務官事務所とか欧州連合とか、我々を説得するためにつくった非常に限定のようなものは全くなくなるという理解でよろしいんですか。

岩屋国務大臣 まずその前に、先生から実績づくりのためではないかという御指摘がありましたが、御案内のとおり、我が国は、一九八八年度からMFOに対する財政支援をずっと行ってきておりまして、MFOからは高い評価が寄せられてまいりました。

 こうした中、平成二十七年、二〇一五年秋以降、累次、司令部要員を派遣してほしいという要請がございまして、それに応えて検討を開始したという経緯でございます。

 それから、今、MFOの性格についてのお尋ねだと思いますけれども、MFOは、国際平和協力法の国際連携平和安全活動の契機として次の三つを規定しておりますけれども、一つは、国連総会や国連安保理等の決議に基づくもの、二番目は、国際連合難民高等弁務官事務所や欧州連合等の国際機関の要請に基づくもの、三つ目が、当該活動が行われる地域の属する国の要請に基づくもので、国連の主要機関の支持がある場合という三つを規定していますけれども、私どもは、このMFOは、二番目の国際機関の要請に基づくものに該当するのではないかと考えておりまして、今精査を行っているところでございます。

 MFOは、ローマに本部事務所がありまして、イスラエルとエジプトに支所があるという組織でございますので、該当するのではないかというふうに考えておるところでございまして、国際平和協力法は、国際連携平和安全活動の契機となる要請を行う機関として、具体的にさっき申し上げた難民高等弁務官事務所や欧州連合を挙げていますが、その他の活動に対しても柔軟に対応できるように、同法は、当該要請を行う機関として、国際連携平和安全活動に係る実績や専門的能力を有する国際連合憲章第五十二条に規定する地域的機関又は多国間の条約により設立された機関で、政令で定めるものも規定しておりますので、私はMFOについても国際的な正当性を有するものではないかというふうに考えておりますが、なお精査を続けてまいりたいと思っております。

本多委員 派遣間際なんですけれども、精査されていることでよろしいんですか。国際機関に当たるかどうか、両方の解釈がありますよ。エジプトとイスラエルと米国でつくっている組織ですから国際機関と言えば国際機関なんですが、こういうものまで入れたら何でも入るんじゃないかということを僕は指摘しているわけです。

 皆さんは説得力ある例示を、国会審議の中で国連難民高等弁務官事務所とか欧州連合という例示をして、しかし、このMFOにその国際機関も当たると言うと、何でも行けることになる。精査しているという状態でいいんですか。まだ精査中なんですか。

岩屋国務大臣 ほぼ間違いないとは思っておりますが、いや、閣議決定して実際に自衛官を派遣するまでにはもちろんしっかりとした説明ができなければなりませんので、精査をしているというのはそういう意味でございます。

 また、MFOの設立議定書の前文において、エジプトとイスラエルが国連憲章の目的と原則を十分に尊重した上でMFOの設立に合意した旨を明記をされておりますので、こういったことなども踏まえてしっかりと判断をしていきたいと思っております。

本多委員 今度もし決定をされたら、我々国会は関与できないので、自衛官の方にはしっかりと任務を果たしていただきたいと思いますけれども、国際機関の下にある組織と言ってこのMFOみたいなものを認めたらどんな組織も行けることになってしまうので、非常に私は危険な一歩だと思うことを指摘をしっかりとしておきたいと思います。これは国際機関の下にあるという言い方はMFOはできないと私は思います。そのことをぜひ認識をしていただきたいと思います。

 もう一点、要請というところなんですけれども、済みません、本当に私の個人的な、申しわけないですが、疑いでしかないんですけれども、ずっと三十七年間やっている、費用負担、費用負担とおっしゃいますが、三一%アメリカ、三一%イスラエル、三一%エジプト、他の諸国がおつき合い程度に出している、そこに日本も乗っかってきたということであります。

 三十七年間やってきた組織に突然なぜ二〇一五年以降に要請があるんですか。不自然ですよね。日本で、安保法制で法的に行けるようになってから、そんな情勢をMFOの事務局長とか把握しているというのは、私は全く思えないです。

 行けるようになった瞬間に要請が来た。僕は、これは正直に言うべきだと思うんですよ、安保法制で。私、この解釈から見ると国際機関というのは怪しいですが、皆さんから見ると行けるようになった、どうだと打診をしたというふうに正直におっしゃればいいのに、ずっと要請、要請ということを強調されるので、本当に要請があったのか、打診はなかったのかと議論をしているんですが、本当に打診は皆さんからしていないんですか。

岩屋国務大臣 はい。我々の方から何か働きかけをしたということではなくて、先ほど申し上げたように、平成二十七年秋以降、MFOの事務局長から我が国の人的貢献に関する要請を受けてきております。

 それに応える形で検討を行って、今般、二名の自衛官を、あくまでも司令部要員でございますけれども、派遣することについて具体的な検討を今行っているところでございます。

本多委員 具体的な要請があった日時とか文書などの特定はできないんですか。

岩屋国務大臣 詳細なやりとりについては、申し上げるのは控えさせていただきたいと思います。

本多委員 それ、特に控える理由がないと思うんですよ。つまり、日本に人的貢献をしてくれという要請ですよね。私は、皆さんの打診があったかどうかは別として、一応そっちからの要請ということにしてください、文書か何かで出してください、また若しくは、向こうの事務局長が来たときに政務官なり副大臣に要請をするというのが、要請をするなら礼儀だと思うんです。それは別に何も、要請に基づいて行くと言っているんだから、隠す話じゃないと思うので。

 曖昧なことは皆さん言っているんですよ。事務局から聞いている、二〇一五年以降に口頭で要請があった。誰から誰には答えてくれないんですよ。何なんですか、これ。こんな日本の自衛官を出せという要請が、誰から誰にいつかわからない、口頭。

 今回は二人の司令部要員だから、まあいいとは言いませんけれども、部隊を出すときもこんなふうにやるんですか。

岩屋国務大臣 繰り返しで申しわけありませんけれども、個々の要請に関する経緯の詳細について申し上げるのは控えさせていただきたいと思います。

本多委員 二〇一六年、二〇一七年、二〇一八年とこのMFOの事務局長が訪日をされています。

 二〇一六年のときは、政府の高官、PKO事務局長、NSC、外務、防衛の高官。そして二〇一七年のときは、事務局長、薗浦外務副大臣、小林防衛政務官。まあいいです。

 一八年はさすがにもうこれは要請があったんだと思うんですけれども、一六年、一七年のMFO事務局長の訪日の際には要請を受けているんですか。

岩屋国務大臣 今先生からMFO幹部の来日について詳しく御紹介がありましたが、累次の機会に御要請があったということで、いつ、誰に対して、どうあったということについては控えさせていただきたいと思います。

本多委員 控えるんですかね。要請があったから行くという大事なことなんですよ、自衛官を出すということは。こちらから積極的に行く場合はあってもいいと思うんですよ、これは必要だと判断をして行くという場合も。それの違いも私たちは議論したいわけですよ、外国に自衛官を出すときには。

 要請があったと言うなら、いつ、どこで、誰にぐらいはきちんと私は言うべきだと思って、非常にここは不透明で、だから私は、安保法制ができて実績づくりに、何かここは安全そうだなと打診して、こういう曖昧な形で進めたら、今回は二名の司令部要員だから、まあいいとは言いませんけれども、しかし、こういう形でもうちょっときちんとやらないといけないんじゃないかということを強く申し上げておきたいと思います。

 私はこれ納得していません。本当に要請だったのかというのを、こんな経緯では、説明では納得できないということを申し上げておきたいと思います。

 あともう一点、ちょっとなし崩しに長期間に及んでいるジブチへの海賊対処の、ジブチというかソマリア沖への海賊対処の派遣についてお伺いをしたいと思います。

 私、あの十年前の海賊対処法の議論をきのう読んでみました。案の定、野党の議員はしっかりと心配をしています。だらだらといつまでも行くんじゃないかと。

 それに対していろいろな大臣が、そもそもこれは海上保安庁でいいんじゃないかという話があって、これは国土交通大臣も絡んでいるんですけれども、民主党系の議員が質問しているのに対して、長くなると、「大変そういう意味では我々とすれば」、これは防衛大臣です、「負担がかなり大きくなるのは、これは当然のことであります。」それからさらに、「じゃもう大分落ち着いてきたねというところの判断というのは我々政策的な判断になるわけですから、今全体で何年と言われると大変これは答えづらい」しかしいろいろ言っているんですが、「決してずるずるということには私はならないと思います。」こういう答弁をされているんです。

 それから国土交通大臣の方は、「総合的に判断せざるを得ません。一隻襲われたから、二隻だから、あるいはゼロ、」まあ、ゼロだとやめるんでしょうけれども、「でも、一隻、二隻、まあ年間の、あるいは起こってきている状況、これが改善しているか解消しているかという、」これを内閣として総合判断するとおっしゃっているんです。

 最近、海賊対処は非常に少なくなっている。一つの年はゼロになった。また何件かあるという状況です。しかし、世界じゅうに海賊というのはいまして、ソマリア沖で我々が派遣をしたときの状況と大きく変わっているんです。

 十年たっています。日本の護衛艦というのは、日本の防衛のために、国民が税金を払って買った貴重な資産であります。それを、これだけ期間が過ぎて、制定時にはこれだけ、安心してください、ずるずるいきませんと大臣が答弁をしていて、そして海賊の件数がこれだけ減っている。

 こういう中で、これはそろそろ判断をしていただくべきだと考えるんですが、いかがですか。

岩屋国務大臣 先生御指摘のように、ソマリア沖・アデン湾の海賊というのは、我が国始め各国の取組によって、昨年の発生件数は三件にまで減少しています。そういう意味でいうと、効果はしっかり出ているということだと思います。

 問題は、これはソマリア国内の現状については、あれでしたら外務省に聞いていただきたいと思いますけれども、海賊を生み出す根本的な原因とされているソマリア国内の状況が改善されていない。したがって、海賊対処活動をやめればまたその海賊が発生してくるおそれがあるということで、現状、これを継続する必要があるというふうに考えております。

 自衛隊が行っている活動には各国から感謝の意が表されておりますし、我が国の船主協会からも引き続き海賊対処に万全を期してほしいといった要請も受けておりますので継続をさせていただいているところですけれども、先生がおっしゃるように、やはり活動にはいつか出口がなければいけないというふうに私も考えておりまして、やはり、本当に灼熱のアデン湾での活動というのは自衛隊員にとってもなかなか大変でございますので、もし出口が見出せるような状況が生み出されてくれば、前向きにやはり検討したいというふうに考えております。

本多委員 何か野党の十年前の心配を軽くいなしているんですが、当時の大臣は。しかし、実際にそのとおりになっているんです。私、もうずっといろいろな派遣を見ていても、何か日本は引きどきがないなという印象を持っています。

 イラクでも、そもそも反対もあるんですけれども、復興支援部分、いい部分もあったかもしれません。しかし、なぜここで引かないのかなという時期を逸していた気が私はしました。これも前の大臣とも議論させていただきました。

 今回、明らかにNATOも引いています。アメリカも引いています。中国とか韓国が何でいるのかよくわかりませんが。

 あったらいいに決まっているんです。船主協会はそういう要請をすると思います。ソマリアもいてほしいと思うかもしれません。しかし、あの中国や北朝鮮が大変だ大変だとおっしゃっている。それで、防衛資源が限られている中でこれだけ長期にわたって限られた護衛艦を、そしてP3Cを二機張りつけていくというのは、非常に日本の防衛にとっても問題だし、自衛官の皆さんにとっても負担だし、それから、多少事件はあるかもしれませんが、出口っていうのは、ゼロになるまで、ゼロになったら今度は、我々がいるからゼロなんだ、こんな理屈だったら永久にいなきゃいけませんから。こんな海賊対処をイレギュラーにやったわけです。

 当時だって、読んでみたら、海上保安庁が本来行くべきだということを政府は認めていたんですよ。それを、行く船がない、そういうことで行っているわけですから、こういうイレギュラーなものを、十年、そして出口も見えない、こういうのはよくないというのを私は指摘をしてしっかりと検討していただきたいと思うんですが、実は、皆さんの中にはこれを検討できない理由があるんですね。

 ジブチの拠点、この海賊対処のためにつくった拠点を恒久の基地にしようという、何か全然我々が聞いていなかった話が、これは拠点を設置したのは民主党政権ですよ。海賊対処のための拠点ということでこれは理解していましたけれども、これを今度、海賊対処がなくなった、しかし、更に今度の新防衛大綱では、安定的に運用する。一体これはどういう関係になっているんですか。

 海賊対処の方はもう出口戦略を見なきゃいけない、しかしジブチは拠点化する。これ、どういう法的な枠組みでジブチというのは海外基地として今後存続させていくんですか。

岩屋国務大臣 まず、海賊対処行動を今継続しておりますので、ジブチの拠点はその活動拠点として運用しているということがございます。

 しかし、それだけではございませんで、南スーダンPKOの際、派遣部隊への物資輸送などもここを拠点に行いました。また、西アフリカにおけるエボラ出血熱の流行に対する国際緊急援助活動に際しての中継基地として使いました。また、ジブチ軍に対する災害対処能力強化支援事業、能力構築支援ですけれども、にも活用しておりまして、人道的な側面も含めて、この地域の安定に寄与してきたというふうに考えております。

 こういうことも踏まえまして、新たな大綱で、今御指摘あったように、ジブチ共和国において海賊対処のために運営している自衛隊の活動拠点について、地域における安全保障協力等のための安定的な活用に向けて取り組むとしたところでございます。

 防衛省としては、この方針のもとに、これまでの活動実績も踏まえて、遠く離れたこの地域での自衛隊の活動の効果的な実施に加え、この拠点を今後どのような形で運用していくことがあの地域や国際社会の平和と安定に資するかという観点も含めて、効果的な活用のあり方について取り組んでいきたいというふうに考えているところでございます。

本多委員 最後に一言、お願いをしておきます。

 今るる、海賊対処の拠点として設けたところをいろいろほかのことにも使いましたよと。なし崩し的にやっているわけですよ。

 まずはしっかりと海賊対処について清算をしてくださいよ。そして、もしそういうものが要るなら、やはり新たな提案をしないといけないと思うんです。海賊対処のために置いたものを少しずつ別なことをして、それがいいことかどうかわかりませんけれども、いいことだとしても、少しずつ広げて、新たな法的な枠組みも国会への承認もないまま既成事実化していく、こういうやり方はおかしいと思いますので、まずは、第一歩の海賊対処の方の時期を見て出口をしっかりと見るというところから始めて、ジブチの拠点のあり方は、その後、さらに私は今後も議論させていただきたいと思います。

 とりあえず終わります。ありがとうございました。

岸委員長 次に、前原誠司君。

前原委員 おはようございます。国民民主党の前原です。

 まず、対外有償軍事援助、以下FMSと言わせていただきますけれども、このことにつきまして質問させていただきたいと思います。

 まず、お配りをしている表、資料の一枚目をごらんをいただきたいというふうに思います。

 これは、FMSによる装備の取得についてそれぞれの推移が書かれているわけでありますけれども、これはかなり昔から始まっているんです。一九五六年から、日米相互防衛援助協定、MDA協定に基づいてFMS調達を実施しているということで、アメリカがFMSを取決めをしたのは百六十カ国ぐらいある、こういうことであります。

 そして、日本でありますけれども、二〇一一年は四百三十一億だったものが、ここの表一に書かせていただいているように急激にふえてきまして、平成三十一年度予算案では七千十三億円に及んでいる、こういうことであります。

 後で議論いたしますけれども、メリット、デメリットあるわけでありますが、今後更にふえるのか、あるいは、これが天なのか横ばいなのか減るのか、その見通しを、まず防衛大臣、お答えください。

岩屋国務大臣 FMSは、もう前原先生に申し上げるまでもなく、経済的な利益を目的とした装備品販売ではなくて、米国が安全保障政策の一環として同盟国に装備品を有償で提供するという仕組みでございますが、ふえてきていることは御指摘のとおりでございます。

 特に、F35Aの調達を開始した平成二十四年度以降、FMS調達額が増加傾向にございます。これは、イージスシステムやF35A戦闘機といった我が国防衛に不可欠な装備品はFMSでしか調達することができないということが理由でございまして、これも今指摘がありましたように、平成三十一年度予算での調達額、計上額は、契約ベースで七千十三億円、前年度対比二千九百十一億円増で、過去最大となっております。

 今後の見通しについて現時点で確定的にお答えすることは困難ですけれども、昨年決定した中期防においても、F35Aなどをこれから買い足していく、調達を引き続き実施していくということにしておりますので、今後も相当の水準で推移していくものというふうに考えておりますが、そういう主要装備の調達が一段落する段階も私はやってくるのではないかというふうに考えているところです。

前原委員 今、防衛大臣が言及されました新大綱、そして中期防に別表がございますよね。私、きょう質問するに当たって、防衛省の方に、これから五年間の見通しを出してほしいということを申し上げました。でも、答えは出せません、こういうことでありました。

 もちろん、確固としたものを出せということではありません。そんな、一億違ったら言っていることと違うじゃないかなんということを言うことではなくて、きょう質問をする趣旨というのは、今後、いかに日本の防衛産業基盤を強化するかということとこのFMSというのは、トレードオフになるわけですよ。つまり、一定の防衛費というものは決まっているわけですから、ある程度ふやしたとしても、ほとんど変わらないわけです。

 この間、あるおもしろいグラフを見たんです。平成二年の税収が大体六十兆円ぐらい、これはバブルの一番最後のときなんです。このときの税収が六十兆円ぐらい。今も大体六十兆円ぐらいじゃないですか。基幹三税は変わりましたよ、法人税、所得税、消費税と内訳は変わっていますけれども、それでも大体一緒なんです。

 それで、歳出について、ほとんどのものが変わっていなくて、二つだけ変わっているんですよ。全然歳出が違うわけです、平成二年と今は全然違うわけです。でも税収はほぼ一緒。何が変わっているか。社会保障費と国債費が膨大にふえているんですよ。

 つまりは何が言いたいかというと、科学技術費とか防衛費もほとんど変わっていない。つまりは、この借金漬けの中で、科技費とか、それから防衛費も含めて、あるいは公共事業、これは浮き沈みはありますけれども、そういったところのいわゆる一般支出についてはほとんど変わっていなくて、高齢化に基づく社会保障費と、それから、借金が多くなったので金利を抑えたとしても国債費が膨大にふえている、こういう状況なんです。

 つまりは、なかなか防衛費は今のを前提としてふえないだろうということになれば、FMSと国内産業基盤の強化というものはトレードオフの関係になるわけです。

 したがって、もう一度私申し上げますけれども、防衛大綱も別表が出されている、そして中期防も別表が出されている。特に中期防などには、かなり具体的な、今後五年間で整備する陸海空における装備品、書かれていますよね。ということは、ある程度わかるんじゃないんですか。

 つまり、今、先ほど大臣がおっしゃったように、大型の装備が一段落すればということはありますけれども、この中期防の別表には、どういう装備をこれから整備するかということが書かれているわけですから、どのぐらいでこのFMSというものが推移をするかということについて、余り時間を無駄にしたくないので、委員長、これを委員会に提出してもらうように理事会で取り計らっていただけませんか。

 まず、その前提として、大臣、これは別表があるわけですから、推定値は出るわけでしょう。出していただけませんか、そういう建設的な議論をする前提として。

岩屋国務大臣 なかなか、当然、FMSで調達せざるを得ないというものも、もちろんこれから調達するものの中にございますけれども、年度で、年度ごとの予算の策定の際にどういう方針で臨むかということを今確定的に申し上げることは難しいので、ちょっと勉強させてください。

前原委員 勉強してください。そして、勉強していただいた上で、委員長、この安保委員会に提出をするようにお取り計らいをいただきたいと思います。

岸委員長 後日、理事会で協議いたします。

前原委員 FMSは、先ほど申し上げたように、メリット、デメリットがあるわけです。

 このメリットには、一般では調達できない軍事機密性の高い装備などをアメリカから調達できる、そして、アメリカしか製造できない最新鋭の装備というのが調達できる、スケールメリットにより価格低減が期待できる、こういうことですよね。

 これは、先ほど大臣もおっしゃったように、経済的な利益を目的とした装備品の販売ではなくとしているんですけれども、フォーリン・ミリタリー・セールスなんですよ。つまりはセールスなわけですよ。つまりは、割高なものを買わされるのではないかという、そういった懸念というのはずっとあるわけです。

 しかも、このFMSについては、価格は見積りですよね。ですから、後に上昇することがあり得るわけです。納期は予定ですよね。おくれることもあるわけです。それから、原則前払い。前払いだけれども、納入後に精算しますよということですけれども、未精算金がたくさんありますよね。

 私、ある意味で、言葉を選ばないで申し上げると、不平等条約のようなものだと思うんですよ、このFMSというのは。これはそう思われませんか。これだけ、言ってみれば相手の言いなりになった買物を、いいものを売ってやるぞ、だから今申し上げたようなことはのめよ、こういう形になっているわけです。

 今回、新大綱、中期防には、調達の合理化を推進する、装備品の取得や履行状況の適時適切な管理に努めるという文言で、FMS取引の改善が盛り込まれているんですよ。このやはり問題意識は大臣も共有されていると思うんです。これをどのように具体的にアメリカと交渉して、どういう問題意識を持っておられて、どういうところを、大綱にも中期防にも改善すると書いてあるわけですよ。では、どう改善されるんですか。具体的に御答弁ください。

岩屋国務大臣 FMSについてさまざまな課題があるというふうに我々も考えておりまして、例えば、価格の透明性であるとか、今御指摘があった精算遅延などの問題がありまして、これまでも、事務レベルのみならず、大臣レベルの働きかけなども含めて、FMS調達の適正化ということに積極的に取り組んでおりますし、更にこの取組を強化していきたいというふうに思っております。

 成果も少しずつ出てきておりまして、精算遅延については、平成二十九年度末の未精算額が前年に比べて百三億円減少いたしました。これは、米国政府に対しまして、優先的に精算処理すべき案件を共有する、それから、早期かつ効率的な精算の促進を我々が強く要請したことで、米国政府が速やかな精算処理に向けて取組を行っていただいた結果、こういう成果が生まれたというふうに考えております。

 さらに、平成三十一年度概算要求から予算案の編成過程におきまして、米国政府との間でしっかり交渉、調整して価格の精査などを行った結果、E2Dを除く他の装備品については、概算要求時点から全体として約一千億円、費用を縮減することができました。

 また、私も、一月、ワシントンに参りましたときに、シャナハン国防長官代行との間で、このFMSにかかわる諸課題の改善に関して、しっかり協力をしていきたいということを申し上げました。シャナハン代行は民間会社の出身でもいらっしゃって、非常に問題意識を共有していただいたというふうに思っております。

 現在、防衛装備庁長官と、カウンターパートに当たる米国防安全保障協力庁長官との間で協議を行わせているところでございまして、こういった取組を通じて、このFMS調達の改善をしっかり果たしてまいりたいというふうに考えております。

前原委員 一千億円縮減ができたというふうにおっしゃっていますけれども、当たり前のことなんですよ。つまりは、逆に言うと、今までは高いものを買わされていたということになるわけです。つまり、縮減されて当たり前。しかも、この未精算額については、今の取決めでは、未精算額と計上するのは、納入完了から二年を超えても精算が終了しないと。二年待たされて、それから先、未精算額でということになると、多分、一年とか一年前後になるともっと金額が多くなるということになりますよ。

 今、話合いをされるということは大事だと思います。日米間で、防衛当局、あるいは装備関係の、装備庁を含めて話をされるというのは大事だと思いますけれども、もう少し具体的なFMSに対する改善策というものについて目に見える形でやはり国会に示していただかないと、国会というのは、予算を審議して、防衛予算、そして少しでも、今は防衛費の中でも、これは一番大臣がおわかりだと思いますけれども、なかなか訓練しようにも油とか弾が十二分にない、こういう状況ですよね。

 こういうことを考えると、このFMSの中で、相当程度、防衛費の予算というものを効率化できる。効率化という言い方は適切ではないかもしれません。つまりは、適正化できると思うんです。それを、今おっしゃったようなことも含めて、しっかりと、どういう合意を取り付けて、ですから、ポイントはここにあるんですよ、先ほど申し上げたポイントは。

 いわゆる、価格は見積り、これを見直してもらう。一点。それから、納期もちゃんと明確に示してもらう。そして、精算については、もちろん機種によって違うかもしれませんが、しっかり明記をする。この三点についてちゃんと、今のような曖昧なものではなく、納期は明確にする、そして価格もしっかりと出してもらう、話をして見積りではなくて。そして、今申し上げたように、精算については期日を明確にする。この点をしっかりと交渉するということをおっしゃっていただけませんか。

岩屋国務大臣 問題意識は共有させていただいております。

 ただ、フォーリン・ミリタリー・セールスとはいえ、通常の商取引とは違うというFMSの特性ということもありますけれども、見積価格の問題、納期の問題、精算の問題等について、改善の余地があるし、改善しなければならないという問題意識を防衛省としても強く持っておりますし、そのことを米国側にも伝えて、今協議を行わせておりますので、前原先生おっしゃるとおり、やはり、その結果、こういうことができるようになったということが説明できるような成果をぜひ生み出していきたいと思っております。

 今般、三十一年度予算案におけるE2Dなどの一括調達については、一括調達ですから、契約の本数を減少させて、事務作業の軽減につながることが期待されますから、精算なんかも早くなるんじゃないかなと思いますが、調達の仕方も工夫をする、米側の対応についても改善をしっかり求めていくということをしっかりやっていきたいと思っております。

前原委員 またそれについては成果を報告していただきたいと思います。

 次、F35についてでありますけれども、この新大綱、新中期防に合わせて、決定に合わせて、取得数を四十二機から百四十七機に変更するという閣議了解を行っております。そして、この閣議了解においては、二〇一九年以降に取得するF35については完成機輸入をするということになりましたね。

 このF35の導入が決定されたのは二〇一一年の十二月なんです。これは我々民主党政権のときで、私、政調会長だったのでよく覚えているんです。そのときに、あわせていわゆる武器輸出三原則の見直しも行ったわけです。つまりは、共同開発、共同生産、きょうお話をしている問題意識そのままなんです。

 つまりは、共同開発、共同生産は武器輸出三原則の原則から外す、そのことによって国内しかつくれなかったら、ロットが少なくて、開発費が要は完成品に乗ってしまいますので、高くて競争力がないから、それで海外から買ってしまうということになるので、少なくとも共同開発、共同生産はやろうと。そして、このF35においても、国内企業育成のために、一部の完成機を除いて、国内企業が製造に参画する仕組みをつくったんですよ。

 にもかかわらず、今回の閣議決定で、要は、言ってみれば完成品を輸入するということになったわけです。

 つまりは、先ほど大臣は問題意識を共有するとおっしゃっていただいたにもかかわらず、国内産業の基盤を強化するために、国内企業が製造に参画する仕組みをつくったにもかかわらず、輸入機で全て補うということになった場合において、それは安くなったと思いますよ。幾ら安くなったか、また事務方に聞きますけれども。安くなったと思いますけれども、でも、国内産業基盤というものがそれだけまた薄くなるということになりますよ。

 まず、事務方で結構ですので、このいわゆる閣議了解、変更することによって幾ら安くなるんですか。

鈴木(敦)政府参考人 申しわけございません、ちょっと今手元に資料を持ってございませんが、FACOからより安価な完成機の輸入ということに変えることによって、数十億の単価……(前原委員「一機当たり」と呼ぶ)一機当たりでございます、安くなっていると。

前原委員 また正確な数字は教えてください。

 つまり、一機当たり数十億。大きい金額であることは間違いありません。

 しかし、国内企業が参画する道が閉ざされるんです、これで。私が今申し上げた問題意識、変更してしまったことによって、金額は少なくなった、しかしながら、国内企業の基盤強化というもの、企業が参画して防衛基盤というものが強化されるということについては、このF35については失われてしまった。どう思われますか。

岩屋国務大臣 正直申し上げて、FACOという仕組みをやめるということは苦渋の決断でありました。ただ、F35というものを百機を超えて追加調達するというふうになったときに、やはり全体のコストということも考えざるを得ないというふうに考えました。

 平成三十四年まではこのFACOを通じた製造機というものも取得する予定でございますので、この間のFACOを通じた調達によって、一定程度、将来戦闘機関連の研究開発事業等の実施によって技術基盤の維持、育成、高度化というものに資する、そういう知見は一定程度習得できたのではないかというふうに思っておりまして、やはりこういったものを、今後のF35の整備であるとかF2後継機の検討段階では、できるだけ国内産業というものがそこに参画できるような道を探っていくという方向性を今回示したわけですけれども、そういうところに活用していく方途をしっかり考えていかなきゃいけないというふうに思っております。

    〔委員長退席、山本(と)委員長代理着席〕

前原委員 苦渋の決断だったということなんですが、やはりこの国内産業基盤、防衛基盤を整えようと思ったら年月がかかりますし、後で申し上げるとおり、今申し上げましょうか、時間も割愛するために。

 お配りをしている資料の二つ目をごらんください。これは、主要防衛関連企業の売上高に占める防衛省の契約金額の割合ということで、防衛省につくっていただきました。一番大きな防衛関連企業というのは三菱重工ですが、六・〇%なんです。これは、私がこの世界に入らせていただいたときは一〇%を超えていましたよ。それが今はもう六%台になってきている。一番大きな比率の川崎重工でも一一%、ほかのところなんて、もう四・一とか二・二とか五・一とか一・二とか、こんなものですよ。

 つまりは、言葉は悪いですけれども、おつき合いとかボランティアの世界に入ってきて、どうやって、言ってみれば国内防衛産業基盤という、言葉はいいけれども、本気で長期的にその姿を見せてあげて、そして意欲を、ビジネスですから、今、本当、ボランティアというのは、コマツなんかは撤退しますよね、陸上自衛隊の装甲車から。だから、そういうような状況になるわけです。

 そして、このF35は、二〇一一年の導入以来、国内産業にかかわってもらうということで、千八百七十億円の設備投資を促すということを支援してきたんじゃないですか、防衛省は。そうでしょう。それを支援してきて、今度はやりませんということになる。

 これはまさに大きな矛盾で、トランプさんに言われて、そして、要はアメリカから買えと言われて、はいはい、アメリカから大量に買いますよということの中で、結局、安倍総理は、国内防衛産業基盤の強化というものに逆行するような、まさに国益に反するような決定をされていると私は思いますよ。そう思われませんか。

 そしてこの千八百七十億、設備投資を三社に対してやってきたということに矛盾することになりませんか。

岩屋国務大臣 それがゆえに、先ほど苦渋の決断だというふうに申し上げたところでございます。

 アメリカから言われてということではなくて、先生御案内のとおり、近代化改修に向かないF15九十九機は新しい機種に代替しなければいけない、やはりここは最新鋭のF35にかえることが適当だという判断は、我が国が主体的に行ったところでございます。

 しかし、一機当たり数十億の追加のコストがかかる、完成機に比べると一・五倍近い値段になっていく、それをFACOという形で百五機追加購入するということが、調達するということが適切であるかどうかというところを真剣に考えた結果、苦渋の決断としてFACOというやり方をやめるという判断に至ったわけでありますけれども、ここで培った知見というものは今後の国内産業の発展のために活用していかなきゃいけない、それはそれでしっかりと方策を練っていかなければいけないというふうに思っております。

前原委員 百五機プラスということのその根拠もわかりませんし、そして、先ほど数十億とおっしゃったことも精査してもらって、数十億も、九十九億から十億までありますから全然違うわけですよ、それによって。ですから、そういう意味においては、そこは精査して、私がこの間聞いたのは、これは間違っているかもしれませんが、二十億程度だったんです、一機当たり。もうちょっと高いですか。それは、では精査していただくとして、それは後で結構ですので出していただいて、やはり国内基盤をどういうふうに強化するかということが大事だと思うんです。

 その問題意識は、一番初めにこのお二人に、河野外務大臣と岩屋防衛大臣に私が初めてこの安保委員会で質問、お二人が大臣になられて、そろわれたときに質問させていただいたのは、日米同盟は重要だと。中国の強大化。北朝鮮は核、ミサイルを開発して、後で質問しますように、さまざまな悪さをしている。INF全廃条約、これにロシアは違反をしている。あらゆる周辺環境は非常に悪化していると言っても過言ではない。

 その中で、日米同盟、もちろん自衛隊の力と日米同盟維持強化というのは大事であるけれども、これはトランプのみならず、アメリカ・ファーストの考え方の中で、しかも、先ほどから申し上げているように、FMSも含めて弱いところを突いてくるわけですよ。つまりは、アメリカの装備を買えというようなこと。つまりは、日米同盟というものは大事だけれども、アメリカに完全に組み込まれてしまって、日本の脆弱性というものがアメリカから見ると明らかなんですよ。

 この間、議論させていただきましたけれども、どこがアメリカに首根っこをつかまれているのかということで申し上げると、一つは、核を含めた抑止力です。二つ目は、やられたらやり返す能力がない、敵地攻撃能力がない。三つ目は装備。これはアメリカから買っているものでやっている、今までも含めて主要装備は。それから、情報ですよ。

 だから、この大きな四つがアメリカに首根っこをつかまれていたら、それは、アメリカから言われることについて、周辺環境がより悪くなったら、わかりましたと言わざるを得ないという面があるというのは一定認めますよ。だからこそ、時間をかけてでも、日本の自律性、独自性というものをどう高めるかということをあわせてやっていかなければ、いつまでたってもアメリカがアジアの中で本当に日本の庇護者となってくれるかどうかもわからない。

 となると、みずからの足場、防衛基盤というものを強化するという前提に立って、だからこそ、武器輸出三原則の見直し、共同開発、共同生産、F35の導入のときに国内産業の関与ということをやろうとしたわけで、それをまた変えちゃったわけですよ、ちゃぶ台返しをしちゃったわけです。これは大変な問題だということは、私は改めて申し上げておきたいと思います。

 では、先ほど少しお話をされた、F2の後継機。

 これについては、「国際協力を視野に、我が国主導の開発に早期に着手」と新中期防に書かれていますよね。これは、要は、この国際協力を視野にということは、いわゆる共同開発、共同生産というものをベースに考えるということでいいんですか。まさか、いわゆる既存機の改修とかではなくて、こういう形で新たなものを日本が主体となってつくるということでよろしいんですか。

    〔山本(と)委員長代理退席、委員長着席〕

岩屋国務大臣 今般、F2の後継機については、今御指摘があったように、「国際協力を視野に、我が国主導の開発に早期に着手する。」という方向性を示したところですけれども、この考え方は、将来戦闘機については、まず、将来の航空優勢に必要な能力、次世代技術も適用できる拡張性、改修の自由度、国内企業の関与、これが大事だと思っておりますけれども、そして開発、取得のコストという五つの視点でこれから検討を深めていかなければいけないと思っておりまして、開発に当たって我が国が主導的な役割を果たすことが必要だというふうに考えております。

 とはいえ、我が国だけでというのは、なかなかこの時代、やはり困難なのかなと。F35とて九カ国の共同開発でございましたが、我が国があくまでも主導する形で、国際共同開発、研究開発ということを視野に、これからしっかり検討していきたいと考えています。

前原委員 もうおととしになりますかね、アメリカに行って、いわゆるアメリカの防衛産業というところも回らせていただきました。そのときに、このF35というのは第五世代ですよね、超音速、ステルス、こういった機能を持つということで。そして、ほかのアメリカの防衛産業は、次をもう研究をしている。これはもう大臣おわかりだと思いますけれども、AIを駆使したアンマンドですよ、無人。これがもう基本です。こういうものをやろうとしている。

 これを、時代の趨勢に合わせて防衛産業基盤を強化するということになれば、日本がそして中心とおっしゃいましたよね。そういうことも含めて、人材、技術、そういうものを本当に今から準備をして、そしてかかわっていかない限り、それこそ先ほど申し上げたように、日本の防衛基盤、防衛産業をしっかりと支えながらですよ、だから本当に、F35のことについては、私は残念でならないですよ。

 こういうことも含めて、人材育成もしっかり、技術の開発もしっかりやりながら、そしてF2の後継機についてはまさに日本が主体となるという意思を持たないと、またこれはFMSになっちゃいますよ。そうはさせないという意思をここではっきり防衛大臣として示されるべきじゃないですか。

岩屋国務大臣 方向性については、先ほど申し上げたとおりでございます。FACOをやめるに至ったのは本当に苦渋の決断でしたけれども、そのF35も、我が国が開発に参画した戦闘機ではないわけです。したがって、私は、このF2の後継機については、さまざま各界からの御提言もいただいておりますけれども、やはり我が国が主導の開発というものを、国際協力も視野に入れながらスタートさせていかなきゃいけないというふうに考えております。

 先ほど前原先生から、国内の主要防衛関連企業、非常に防衛需要が少ないではないかという御指摘がありました。それについても問題意識を持っておりますが、そもそも、装備移転が全くできないという状態が長く長く続いてきたわけで、民主党政権のときにまず取りかかっていただいて、そして自民党政権で三原則の見直しもしっかりとさせていただいたわけでありますけれども、やはり、今後、あくまでも我が国の安全保障に資するということが前提ですけれども、国際共同開発・生産というものが視野に入ってこないと、自衛隊だけが顧客であるという状況の中で国内防衛産業を発展させるというのはなかなかに、もちろん最大限の努力はしますが、そう容易なことではないというふうに思っておりまして、今後、もちろん国会、国民の皆さんの御理解もいただきながら、国際共同開発、また、それによるしっかりとした原則のもとの装備移転などもできるようになっていくという状況をつくった中で、国内産業の基盤を更にしっかりさせていくことができるのではないかなと考えております。

前原委員 これは大臣、生意気な言い方をしますけれども、末は博士か大臣かと。大臣というのはすごく大事なポストですよね、また尊敬もされてきた。大臣になられたら、やはり何かに対して、政治生命をかけて、あるいは本当に命もかけてまで何かやり切るという私は気構えが必要だと思います。

 その中において、日米同盟は大事、しかし、アメリカもどうなるかわからない、ポスト・トランプ、どうなるかわからないということの中で、どうやって自分で自分の国を守れるような状況をつくるかということの戦略の大変重要な岐路にあるんだと。逆に言うと、セットバックしちゃったわけですよ、このF35では。だから、そういうやはり問題意識をしっかり持っていただいて、自分が責任を持って、F2後継機については日本が主体的にかかわるような状況で、そして防衛産業もちゃんと育てるんだという意識を持ってやっていただきたい。それは要望しておきます。

 さて、今度は北朝鮮の話に移りたいと思います。

 今度、外務大臣にお答えをいただきたいと思いますが、先ほど同僚議員が国連の北朝鮮制裁委員会の報告書についても質問されておりましたけれども、改めてお答えをいただきたいんですけれども、これについては、国連の対北政策の履行状況をまとめたもので、安保理メンバー国は既に了承しているという報道があります。非常任理事国として、この中身については了承されているということでよろしいですか。

河野国務大臣 今、日本は安保理メンバーでございません。

前原委員 失礼しました。非常任理事国じゃなかったでしたっけ。失礼しました。

 この中身は御存じ……。

河野国務大臣 この報告書はまだ公表されておりませんので、これについてコメントすることは、申しわけありません、差し控えたいと思います。

前原委員 これを読むと、中身については差し控えるということでありますが、瀬取り、つまりは、北朝鮮の石炭についての瀬取りが数多く行われているということと、それからサイバー攻撃ですね、日本のビットコインなどについてもこの北朝鮮がかかわっていて、そして五回の攻撃を成功させて、推計で五億七千百万ドルの被害が出たということが書かれているわけであります。

 こういう、いわゆる核、ミサイルだけではなくて、サイバー、そして国連制裁違反のいわゆる瀬取り、こういうものが行われているということが公表される、これはもう今月内に公表されますから、今は知らないということで答弁はされないのかもしれませんが、今月公表されることですから、これについては、しっかりと認識をされた上でまた話をさせていただきたいというふうに思います。

 その上で、まず、きょうは内閣府の浮島副大臣に来ていただいていますが、オリンピックの、北朝鮮に東京五輪のIDを付与せず、こういう報道がございます。

 これは事前に我が事務所でヒアリングをさせていただきまして、これについては実際問題、今申し上げたように、北朝鮮というのは、核、ミサイルのみならず、サイバー攻撃、こういったこともやって、そして、過去には拉致の問題も起こしている、そして制裁逃れもやっている。極めて日本にとってはけしからぬ国である、世界にとってもけしからぬ国であるということは間違いがないというふうに思います。

 他方で、このオリンピックというものについては、オリンピック憲章がございます、五輪憲章。こういうことが書いてあります。

 「このオリンピック憲章の定める権利および自由は人種、肌の色、性別、性的指向、言語、宗教、政治的またはその他の意見、国あるいは社会的な出身、財産、出自やその他の身分などの理由による、いかなる種類の差別も受けることなく、確実に享受されなければならない。」と書かれている。

 北朝鮮の現実の問題と、そして、このオリンピック憲章というものを考えたときに、IDを付与しなかったことということについての判断というものは妥当だと考えられるかどうか、その点についてお答えください。

浮島副大臣 今お尋ねありましたIDの付与の件に関してでございますけれども、組織委員会が各国そして地域のオリンピック委員会、NOCでございますけれども、これに対して、東京に関する基礎的な情報を提供するために、専用のウエブサイトで行わせていただいているものでございます。

 基礎的な情報というのは、ホテルなり、あと会場へのアクセス等の情報でございますけれども、この北朝鮮のNOCへのIDの付与につきましても、既に組織委員会において対応されております。

 それと、今委員の方から御指摘ありましたオリンピックの憲章においてでございますけれども、このオリンピズムの根本原則の一つといたしまして、国等による差別の禁止、これを定めておりまして、組織委員会においては、同憲章を踏まえまして適切な対応をしっかりと検討していくということに認識を持っております。

前原委員 オリンピック、来年です。そして、次に少し時間があれば外務大臣にお尋ねしたいと思いますけれども、この日朝の話というものもこれから行っていかなくてはいけないという、極めて政治的にも、そしてオリンピック憲章というものに照らし合わせて、そして、当然ながら北朝鮮は逆にそういったものを利用してくるでしょう。また、この間の平昌の冬季五輪を見ても、南北共同チームなどということも考えられる。

 それで、今、日韓関係というのは極めて厳冬期に入っております。これは、オリンピックではあります、政治には関係ないということでありますが、かなりハンドリングの難しい話に私はなってくるのではないかというふうに思っております。そして、IOCに、言ってみれば、批判をされないような状況もつくらなくてはいけないということだと思います。

 その点を、つまり、北朝鮮のさまざまな過去のあしき行状、そして日韓関係が今厳冬期に入っている、そして南北というものが協力をしてくるということ、そういったさまざまな政治的な背景も含めてこの点については考えなくてはいけないというふうに思っておりますけれども、今後、このマネジメントをしていく上で、今回の付与せずでありますけれども、今度オリンピックになったら、たくさんの人が、選手のみならず、いろいろな人たちが来る。入管を我々信じたいと思いますけれども、さまざまな意図を持った人たちが来るかもしれないという状況の中で、批判を浴びないためにどのような準備をされているのか、その点についてお答えください。

浮島副大臣 東京大会の、北朝鮮を含めた各国そして参加国につきましては、IOCが決定し、各競技の国際団体、IFでございますけれども、合意に基づく出場資格ということを得ることになっております。

 一方で、我が国は、今御指摘ありましたけれども、独自の対北朝鮮措置といたしまして、北朝鮮の籍者の我が国への入国は原則として認めないこととしていることの関係でございまして、我が国への入国が意向が示された場合には、政府として、例外的に入国を認めるべき特別な事情があるか否か、これをしっかり個別に検討することになるものと承知をいたしているところでございます。

前原委員 しっかりとそこは、先ほど申し上げたように、いろいろなところで、言ってみれば、批判の口実を与えないように取り組むということと同時に、オリンピックの成功ということも大事なことでありますので、しっかりと対応していただきたいというふうに思います。

 先般、米朝首脳会談がありまして、私もトランプ大統領についてはいろいろ意見はあります。ありますが、下手な合意はしなくてよかったという思いでありまして、合意文書に署名しなかったことは大変私はよかったことだというふうに思いますが、ただ、他方で、ミサイル発射基地というものを稼働させようとしているとか、あるいは恐らく、アメリカが指摘したように、寧辺以外のところでさまざまな核関連施設を稼働しているという可能性もあるということです。

 そして、この米朝会談に対して、拉致問題を取り上げたことに対して、日本に対して厳しい、言ってみれば対外的なコメントを出している、発表しているということであります。

 北朝鮮という国は、対外的に口汚くののしるということはいっぱいありますので、まだ抑えているトーンかなぐらいに私は思っておりますけれども、ただ、拉致問題というのは、安倍政権が始まったときから、あるいは第一次安倍政権が始まったときからずっと言われ続けていて、何ら進展をしていないということであります。

 これについては、やはり私は直接話をするということが最も大事だというふうに思いますけれども、日朝の直接協議、交渉について、外務大臣としての展望、考え方を聞かせてもらいたいと思います。

河野国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、このたびの米朝の会談の中でトランプ大統領から、最初の短いテタテの中で、そして少人数の夕食会の中で、拉致問題に関する提起がございました。

 また、最近、北朝鮮の外務大臣がさまざまな国との外相会談を行うと、多くの国の外務大臣がこの拉致問題を北朝鮮に対して提起をしてくださる、また、その結果をさまざまな形で情報をインプットしてくれる、そういう状況にある中で、今、日本としては、北京の大使館ルートを始め、幾つかのルートで北朝鮮とやりとりをしているところでございます。

 総理も、自分が次は向き合ってという発言をされておりますので、いずれかのタイミングでそうしたことができれば、当然に拉致問題も議題になるわけでございます。

 さまざまやりとりを今しているところというふうに申し上げたいと思います。

前原委員 これで終わりますけれども、六カ国協議がまだ生きているときに、さまざま私もその立場でいさせていただいたこともありますけれども、つまりは、そういう多国間協議の場で拉致の問題を取り上げるなということを、北朝鮮以外の当事者、六カ国協議の参加国から言われたこともありますし、そういう意見を聞いたこともあります。

 私は、もちろんさまざまな国を通じて働きかけるということも大事ですけれども、最終的には、やはりみずからが直接話をして、そしてみずからが向き合ってこの問題については解決するしかないと思いますよ。

 その点についてしっかりとやっていただきたいということを申し上げ、また、INFについてはまた次回質問させていただくということを申し上げて、質問を終わります。

岸委員長 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 この週末、アメリカ側から日本に対して費用負担を求めるニュースが相次ぎました。先ほど本多委員も質問されましたが、私もまずイージス・アショアについてお伺いしたいと思います。

 アメリカが日本政府に対して、日本の費用負担で試験施設を建設するように求めているという報道があった。先ほどの大臣の御答弁では、性能確認の方法について協議をしているということでしたが、アメリカ側からの要求の内容というのは、その協議の中で言われていることというのは、この報道のとおりということでいいんですか。

岩屋国務大臣 いえいえ。先ほども申し上げましたけれども、性能確認というのは、どういう方法が適当か、果たして実験施設が要るのか要らないのかということも含めて、今、協議というか、意見交換をしているところでございます。

宮本(徹)委員 ですから、アメリカ側はその協議の中で、試験施設も必要じゃないかという主張をしている。日本側の負担もしてほしいというのは、アメリカ側がそう言っているのかという話を聞いています。

岩屋国務大臣 そのやりとりの詳細については控えさせていただきたいと思いますが、そういう報道にあるような内容ではございません。

宮本(徹)委員 報道にあるようなところではないけれども、アメリカ側からは、性能確認の方法についていろいろいろいろ協議をしているということであります。

 それで、昨年、イージス・アショアのレーダーの選定を行いましたね。レイセオン社のSPY6とロッキード・マーチン社のSSRの提案があって、ロッキード・マーチンのSSRに決めた。このときのロッキード・マーチンの提案の中にはどういう中身が含まれていたんですか。新たな試験施設をつくっていくというような中身まで、この中では含まれていたんですか。

鈴木(敦)政府参考人 昨年の七月のレーダーの選定時点では、性能確認のための試験施設の建設の要否といったことについては評価を行ってございません。これはあくまでも、先ほど大臣から答弁ございましたように、このレーダーを選定した後、まさにこのレーダーとシステムとの連接、これを確認するというために、どういうような方策があるかということを議論しているという段階でございます。

宮本(徹)委員 つまり、昨年の段階では、レーダーを選定する際はそんな話はなかったと。レーダーをレイセオンのじゃなくてロッキード・マーチンにしようという話になったら、新しい話として、どうやって性能を確認するのか、その際の費用負担はどうするのかという話が新たに出てきたという話ですよね。

 初めは安く見せかけて、選ばれたら、これも必要だ、あれも必要だということで価格をつり上げていくという、これはちょっとアメリカ側のやり方はひどいんじゃないかと思いますが、大臣、そう思われませんか。

岩屋国務大臣 そのように決まったということではなくて、新しいレーダーの性能確認の方法について米国政府と協議を行っているまだ最中でございますので、必ず追加の費用が発生するというようなことが今決まっているわけではございません。

宮本(徹)委員 必ず追加の費用が発生するわけじゃないと言いますけれども、発生する可能性があるということに今なっているわけですよ。しかも、その追加の可能性があるんだという話は、レーダーの選定をするときにはなかったという話なんですよ。こんなおかしな話、私、ないと思いますよ。

 だって、このSPY6と、それとSSRを比べたときに、SSRにしたときの選定理由、幾つかありますけれども、費用負担というのが入っているわけですよ。これは、この間もらったイージス・アショア導入に要する費用のを見ても、SSRはより安価だ、だから選定したんだというふうにちゃんと見出しに書いてありますよ。安いから選んだというふうに言っておきながら、そっちに決めたら、それから新たな費用負担が出てくるというのは、これはどう考えても私はおかしな話だというふうに思います。

 ちょっとお伺いしますけれども、仮に新たな試験施設というのをつくるとしたら、これは幾らぐらいコストがかかるんですか。

鈴木(敦)政府参考人 施設等につきましては、先ほど大臣から答弁ございましたように、その要否も含めて、どういった形で性能確認が行えるかということを今検討している段階でございます。

 それから、先ほど私申し上げました、まさに昨年のレーダー選定時点では、性能確認のための試験施設の建設の要否ということについては評価を行っておりません。

 ただ、これは、先ほど御指摘ございましたSPY6、それから今回のLMSSR、これのいずれを選定する場合であっても、性能の確認の必要性という点では差異はないためでございますので、そういう意味では、この性能確認は、どちらを選んだとしても必要な作業だというふうに認識してございます。

 ただ、どういうような形でやっていくのかということは、今議論をしているというところでございます。

宮本(徹)委員 SPY6は、性能を確認するための試験施設が既にあるんじゃないですか。

鈴木(敦)政府参考人 SPY6につきましては、米海軍がイージス艦に搭載するレーダーとして採用されておりまして、イージス・アショアに搭載する予定はないというふうに承知しております。

 したがいまして、SPY6を我が国が採用した場合であっても、SPY6とイージス・アショアとの連接、その性能確認を行うことは必要だというふうに認識してございます。

宮本(徹)委員 SPY6もイージス・アショアもイージス艦もイージスシステムで運用するんですから、何を変な話をされているんですか。

 SPY6については、これは既にアメリカ側は施設を持っているわけですよ。小野寺前大臣もこれは視察に行かれているわけですよ。

 私が聞いたのは、新たな試験施設というのを仮につくるとしたら幾らぐらいかかるのかということをお伺いしたんですが、幾らかかりますか。

鈴木(敦)政府参考人 繰り返し申し上げますけれども、本件につきまして、施設をまさに要するかどうか、それはまだ決まってございませんので、そうした意味におきまして、費用ということを申し上げることは困難だというふうに考えてございます。

宮本(徹)委員 じゃ、聞き方を変えます。

 ハワイにはSPY1というレーダーを積んだイージス・アショアの試験施設がありますが、アメリカは幾らかけてこの試験施設をつくりましたか。

鈴木(敦)政府参考人 ハワイ州のカウアイ島には、従来型のレーダー、SPY1Dを搭載した米国のイージス・アショアの試験施設がございます。

 米国がこの施設の建設に要した総経費については、現時点で防衛省としては承知してございません。

宮本(徹)委員 何でそんなことも、私、通告をしたのに調べていないんですか。

 私は、そういう返事がもしかしたら返ってくるんじゃないかと思って、国会図書館にきのう調べてもらいましたよ。二〇〇八年から二〇一一年米会計年度、兵器システムで二億七千八百万ドル、それから二〇一一年米会計年度、システム関係施設で六千八百五十万ドル、合わせて三億四千六百五十万ドル。これを一ドル百十円で換算すれば三百八十一億一千五百万。四百億近いお金が、新しい試験施設をつくるというと少なくともかかるんじゃないか。これはSPY1でこうですからね、今度のSSRだともっとかかるかもわからないわけですよ。

 今、イージス・アショアの価格は一基当たり一千二百二億円で予算計上されておりますが、こういうものをつくって費用負担をしていくということになったら、これはもっともっと高い話になっていくということになるんじゃないですか。違いますか、大臣。

岩屋国務大臣 ですから、まだそういうものをつくるということが決まったわけではありませんで、LMSSRというのは、先ほども本多先生にお答えしたのかな、ロッキード・マーチン社が米国に配備予定の大型レーダー、LRDRと同様の技術によって製造されることになっており、このレーダーの開発は順調に進んでいると承知をしておりますが、果たして実射試験あるいは性能の確認方法がどうあるべきかということについては、何か確たる方針が今決まっているわけではありませんで、米国政府とこれからしっかり議論をしていきたいと思っております。

宮本(徹)委員 私、本当に、このアメリカのやり方にどこまでもつき合うというのはやめた方がいいと思っているんですよ。

 イージス・アショアのSSRを選定したときに、提案価格が一基当たり一千三百四十億円でしたよね、セットで。それが今度の予算、一千二百二億円ということで、いろんなところを省いて節約をして一千二百二億円にしたという説明を受けましたけれども、そうすると、逆に今度はアメリカ側は、これもつくってくれ、あれもつくってくれという話をしてくるということになっているんですよ。

 こういうのを見ていると、何か初めから、ロッキード・マーチン社に対してはこれだけの買物をしてもらわなきゃいけないというアメリカの枠があって、日本側が財務省から言われて、これは削れ、あれは削れと削ったら、そのかわりのものを要求してきている、こういうふうにも私は見えてくるんですよ。

 こういうのは本当におかしな話だと思いますし、大体、費用負担がどこまで膨らむかもわからない。さらに性能も、アメリカ側はこれから確認しなきゃわからないと。こういうものを導入していくというのはあり得ないという話を改めて申し上げておきたいと思います。

 それからもう一点、けさからもう議論になっておりますが、アメリカのブルームバーグ通信が、トランプ政権が駐留米軍を抱える日本やドイツなどに対して、コストプラス五〇と言って、駐留経費の全額負担に加え、経費総額の五割に当たる金額を上乗せして支払うよう要求することを検討している、こういう報道がありました。計画の一環として、米軍兵士の給料、空母や潜水艦の入港コストなどの支払いの要求も検討していると報じられております。(発言する者あり)与党席からもむちゃくちゃだという話がありますが。

 河野大臣にちょっと確認しますけれども、日米地位協定二十四条では、米軍の駐留経費の負担というのはどういう原則になっておりますか。

河野国務大臣 経費の分担に関して、日米地位協定第二十四条は、同条1において、日本に米軍を維持することに伴う全ての経費は、同条2により日本国が負担すべきものを除くほか、米国が負担をする旨を、同条2において、日本は、日米地位協定第二条及び第三条に定める全ての地域、区域並びに路線権を米国に負担をかけないで提供する旨をそれぞれ規定しております。

宮本(徹)委員 つまり、基地の提供の費用以外は、基本的に、合衆国軍隊を維持することに伴う全ての経費は米側が負担するというのが地位協定の分担のルールなわけですよ。

 これからしたら、報道にあるようなアメリカ兵の給与を日本側が負担するというのは、全くこの地位協定の分担原則からいっても論外だというふうに思いますが、大臣の御見解はどうでしょうか。

河野国務大臣 報道は承知をしておりますが、そのような話は聞いておりませんし、現在の協定は二〇二一年三月まで有効でございます。

宮本(徹)委員 何で論外だと答えないのかが私はよくわからないです。そういう答え方だと、二〇二一年以降は、それは協議に乗ってもいいよというメッセージになりかねないんじゃないですか。

 大体、もう本当に私たち、この思いやり予算の問題も含めてこの間批判してきましたけれども、もともとは、地位協定のルールは、基地の提供以外はアメリカ側の負担だとあったわけです。ところが、このルールを破って、日本の分担を拡大してきた歴史が現にあるわけです。

 思いやり予算を始めたとき、一九八七年ですが、このときは、国会での政府の説明というのは、円高という極めて異常な現実を踏まえての暫定的、一時的、限定的な、特例的な措置と言っていたわけですよ。これは六十二億円で始まりましたけれども、今は約二千億円。一時的、限定的どころか、もう三十年以上続くということになっているわけですよ。駐留軍労働者の基本給や水光熱費の負担、さらには訓練移転費の負担と、どんどんどんどん負担対象も拡大されてきたというのが思いやり予算の歴史なわけですよ。

 こういう歴史を踏まえると、今の河野大臣のような答弁では、これは二〇二一年以降、更に負担を、拡大を求められたら、そういう話に乗っていくというメッセージに受け取られかねないんじゃないんですか。

 この場で、負担増なんてあり得ない、コストプラス五〇なんてあり得ないとはっきり明言すべきだと私は思いますが、いかがですか。

河野国務大臣 その前に、そのような話は日本として承知していないと申し上げているのでございます。

宮本(徹)委員 そのような話は承知していないといいましても、既にこれだけ報道はされているわけですよ。

 もっと言えば、韓国は先月、在韓米軍の二〇一九年の駐留経費に関する協定をアメリカと更新しました、前回比八%増と。ブルームバーグの報道の中では、この過程でトランプ大統領がコストプラス五〇を主張したと報道されているわけです。

 これも河野大臣にお伺いしますけれども、米国が韓国との米軍駐留経費の負担についての協議の中で、新たに駐留米軍の運用にかかわるコストまで要求した事実というのは把握しているんでしょうか。

河野国務大臣 第三国同士の協議につきまして日本国政府がコメントする立場にはないと思いますが、韓国外交部が協議の中でさまざまな米側からの要求があったものについて報道、発表しているということは承知をしております。

宮本(徹)委員 つまり、報道、プレスリリースを出しているのを私も読ませてもらいましたけれども、このプレスリリースを見ますと、韓国政府はアメリカ政府に対して、新たな運用コストにかかわる分担の要求については取り下げるよう求めたと記されておりますが、間違いないですね。

金杉政府参考人 委員御指摘のプレスリリースはことしの二月十二日のものであろうと思いますけれども、その中では、韓国政府として、アメリカからあった作戦支援項目の新設の要求について、この要求を撤回させたという発表がなされております。

 以上でございます。

宮本(徹)委員 ですから、作戦支援にかかわる運用コスト、これもアメリカ側は韓国に対して新たに負担を求めるということをやってきているわけですよ。それをする際にトランプ大統領はコストプラス五〇というのをちらつかせて交渉したということが、今回のブルームバーグの報道で明らかになったわけですよ。ですから、既に、新たな負担の踏み込んだ要求というのは、米側は韓国に対してやっている。

 そうすると、当然日本に対してもやってくるというのははっきりしているじゃないですか。今は承知していないと言うかもわからないですけれども、現にお隣の国でやられているわけですよ。

 だったら、この場で、これはだめだということをはっきりと明言する、そのメッセージを発すべきだと思いますが、いかがですか。

河野国務大臣 どうしてそれが当然になるのか、理解できません。何で韓国に言っているものが日本に当然来なきゃいけないのかという、論理が全く破綻しているではありませんか。

宮本(徹)委員 そんなことはないですよ。コストプラス五〇ということで韓国に対して駐留米軍の経費の負担増を求めてきているのに対して、日本に対して求めてくる、これはもうトランプ政権が一貫してメッセージを発している問題じゃないですか。ですから、とんでもない話ですよ。(発言する者あり)臆測じゃないですよ。

岸委員長 御静粛にお願いします。

宮本(徹)委員 これは臆測じゃないでしょう。これを臆測だと思っているのは河野大臣だけじゃないですか。

 既にやられている、そして実際に米政府内で検討されていることもこれだけ大々的に報じられている。そして、トランプ政権は、トランプ大統領自身は繰り返し繰り返し、米軍の駐留経費の負担増を同盟国に求めるということを表明してきているわけですから、臆測どころか、現に世界で今進行している事実ですよ。それを臆測だなんて言って現実から目を背けていくというのは、とんでもない話だと私は思いますよ。

 これはちょっとお伺いしますけれども、今、米軍の駐留を受け入れている各国の駐留経費の負担割合はどうなっているか、河野大臣、お答えください。

河野国務大臣 米国が駐留経費の負担割合を最後に発表しているのは二〇〇四年で、それ以降は発表していないと承知しております。

宮本(徹)委員 では、二〇〇四年の数を教えてください。

河野国務大臣 二〇〇四年の発表では、日本の負担割合は七四・五%です。

宮本(徹)委員 日本は七四・五%、韓国は約四〇%、ドイツは約三三%と出ておりますが、仮に駐留経費がコストプラス五〇になるということは、コストが一〇〇として、五〇ですから、一五〇%、日本が七四・五%を今仮に負担しているという前提で考えれば、二倍という話になるわけですよ。米軍の駐留経費の負担は日本は二倍になるという話なんです。これはとんでもない数字になりますよ。

 ちなみに、〇四年度のアメリカの発表は〇二年度の額についての発表ですけれども、〇二年度に日本が負担した米軍駐留経費の負担額は四十四億一千百三十四万ドル、当時の一ドル百二十二円で計算すれば五千三百八十二億円、これを機械的に倍にすれば一兆八百億円と、べらぼうな数字になっていくわけですよ。

 我が国の財政は本当に大変な状況であります。政府の側の思いやり予算の始まったときの一つの理由というのは、円高と同時にアメリカの方は財政が大変だ、だから思いやろうという話だったわけですよ。ところが、今は日本の方が財政が大変なわけですよ。

 そういう中で、アメリカがとんでもない要求をしようとしているときに、私は、日本政府は今ここではっきりとこのような米軍の駐留経費増など断じて認められないということを表明するべきだということを繰り返し求めまして、時間になりましたので、質問を終わります。

岸委員長 次に、串田誠一君。

串田委員 日本維新の会の串田誠一でございます。

 きょうは、宇宙に関して質問させていただきたいと思います。

 予算なども、ついにいろいろ宇宙のことが書かれていまして、八百九十六億円ですか、今回の予算案として計上されていて、サイバー関係が二百二十三億円と比べると、宇宙の予算というのもそろそろ大きくなってきたのかなと。

 昔は、宇宙のそういうことになると、映画の世界、「007」とか「スター・ウォーズ」とか漫画の世界だったんですが、いよいよ現実になってきたということでありまして、これから要するに宇宙に関する防衛というのはますます大きな比重になっていくのではないか。そういうようなことで、ある程度、国民の皆さんにも宇宙の防衛関係というのを知っていただかなきゃいけないし、私たちも、予算とかというものを考えるに当たっては、いろいろな知識を備えていかなければいけないなというふうに思っています。

 今回の予算は、SSAですか、今、サイバーデブリという、いろいろな、宇宙空間に二万以上のごみみたいなものも散らばっていて、そういったようなことも調べなきゃいけないし、Xバンドとか、あとはワールドビュー4ですか、あとC4ISRの強化とか、かなりそういう意味で予算計上がされているんですけれども、こういったような宇宙の防衛関係に関して、具体的に防衛関係として力を入れなければいけないというのは、いつごろから始まったことなんでしょうか。

岩屋国務大臣 これも先生御案内だと思いますが、平成二十年に成立をいたしました宇宙基本法におきまして、宇宙の開発及び利用を我が国の安全保障に資するよう行うものと位置づけられたわけでございます。それ以降、我が国の防衛のために宇宙を開発利用することが可能となりました。

 ちなみに、それ以前は、昭和四十四年に、衆議院による宇宙の平和利用決議におきまして、平和の目的に限り行うものとするとされてきており、これが宇宙の軍事利用を禁じているものと解釈をされてきたわけでございますが、今申し上げた宇宙基本法において、安全保障にも資するように行うというふうになったことから、防衛省としても、平成二十年に、防衛副大臣を長とする宇宙開発利用推進委員会を設置し、宇宙政策を推進する体制を整えるとともに、今先生がおっしゃった宇宙状況監視体制の整備など、各種施策を進めてきているところでございます。

串田委員 そういうことで、宇宙というのがますます注目されるんですけれども、自衛隊ということで調べますと、三つ、陸上、海上、航空自衛隊というのが出てくるわけです。宇宙というのは、この中でどこが受け持つのかというのがちょっとわかりづらいと思うんですけれども、こういったようなことに関して、防衛省としてはどういうふうな配置づけをしているんでしょうか。

槌道政府参考人 防衛省全体の体制といたしましては、今、防衛大臣からもお話がありましたように、防衛副大臣をヘッドとする宇宙開発利用推進委員会などのもとで、省を挙げて、緊密に連携して対応することとしております。

 他方で、平成三十四年度、二〇二二年度までに、航空自衛隊におきまして宇宙領域専門部隊を新編するとしておりまして、当面、宇宙監視等につきましては航空自衛隊が担任するということになろうかと思います。

串田委員 当面ということで、一番、空を飛んでいるということで、宇宙に近いという感じもあるんですけれども、宇宙の定義というのがあると思うんです。防衛省の宇宙の定義と、いわゆる宇宙の定義というのが一緒なのかというようなこと、要するに、どこからが航空自衛隊で、そのあとは宇宙になるのでというような、そういう境目というのがあるものなんでしょうか。

槌道政府参考人 宇宙空間につきまして、国際法上、明確に定義はされておりません。その範囲につきましても、国際的にさまざまな議論があると承知をしております。

 その上で申し上げますと、各国、各種衛星が周回している軌道を主に念頭に置きまして、宇宙空間の安定的利用について議論をしていると承知をしておりまして、防衛省としても、そのような考え方で宇宙政策について説明してきたところでございます。

串田委員 当面、航空自衛隊ということになるんでしょうけれども、大気圏と大気圏外というのはかなり違いがあるのではないかなと思うので、そういう意味では、防衛省を挙げて宇宙というものに対応しなければいけないという意味からも、そういう意味で、航空、陸上、海上以外の、宇宙というような自衛隊というものも考えなければいけないのかもしれないなというふうな気もいたしております。

 そこで、宇宙に対して、防衛ということで、先ほどの予算、八百九十六億円ですか、あるんですが、宇宙を防衛するということの観点の中で、現時点で考えられる攻撃の方法というのは、どんなことが想定できるんでしょうか。

槌道政府参考人 宇宙空間におきます攻撃につきましては、一般的には、人工衛星に接近して妨害、攻撃、捕獲する、いわゆるキラー衛星などの、衛星から衛星に対する攻撃というものと、衛星攻撃ミサイルなど、地上から衛星に対する攻撃というものがございます。一部の国は、自国の軍事的優位を確保するために対衛星兵器の開発実験を進めている、そのように承知しております。

串田委員 特に米朝会談が終わった後に、今、北朝鮮がミサイルの発射の準備をしているというようなことの報道もあるところなんですが、こういったようなことは宇宙の衛星から恐らくわかったことなんだと思うので、考えられるのは、自分たちの行動が見られないように衛星を攻撃をするというのと、もう一つはGPS、今はいろいろな装備品というのがGPSを中心にして起動しているという部分があると思うんですが、GPSに対する攻撃というのは、私としては真っ先にちょっと考えつくことなんですけれども、これに対する防衛というものは、どういうようなことを今考えているんでしょうか。

槌道政府参考人 御指摘のとおり、防衛省・自衛隊におきましては、多数の装備品にGPS受信端末を搭載して衛星測位機能を確保して、精度の高い位置の測定、誘導弾の精度向上などを図るなど、高度な部隊行動を支援する重要な手段として活用してきてございます。

 このようなGPSを活用できなくなる事態に備えることは極めて重要でございます。現状におきましても、自衛隊の装備品には、GPS受信端末のほかに、慣性航法装置などの複数の測位機能を搭載しているところでございます。

 新たな防衛計画の大綱及び中期防衛力整備計画におきましても、宇宙領域における測位等の各種能力を一層向上させることを明記してございます。

 今後、複数の受信手段の確保のために、準天頂衛星を含む複数の測位衛星信号の利用についても検討してまいりたい、そういう考えでございます。

串田委員 今回答にありました準天頂衛星システム、日本では「みちびき」というのがあると思うんですが、これがアメリカのGPSを補うというようなことなんですね。

 これはちょっと難しい質問になっちゃうんですが、このアメリカのGPSを他国が攻撃をしてきた場合、この場合に存立危機の状況になるのかどうか。要するに、集団的自衛権の発動の要件として、存立を脅かすような状況、国民の生命身体あるいは幸福追求権を根底から覆すような事態というのは、私としてはあり得るのかなと。

 特に、自衛隊の装備品というのは、GPSを利用しているのもそうですが、今、私たちの生活自体が、もうGPSを抜きにしては成り立たない。特に今、自動運転システムというのは、レベルでいうとスリーというのを考えられているんですけれども、これもやはりGPSを中心にしているわけで、GPSを破壊すれば、恐らく、今地上で自動運転をしている車はどんどんどんどん衝突をするということもあるでしょうし、あらゆるものが、今、スマホもそうですけれども、GPSを中心にしているというようなことからすると、この生命身体あるいは幸福を追求する根底を覆すと言えなくもないという意味では、アメリカのGPSが攻撃をされたときに、これに関して、存立事態という状況として防衛省は既に考えているのか考えていないのか、この点について質問させていただきたいと思います。

槌道政府参考人 武力の行使の三要件を満たす場合には、憲法上、自衛の措置としての武力の行使が許されるというのがその法理でございますけれども、特定の事例が自衛権行使の対象である武力に当たるかどうかにつきましては、これまでも御説明させていただいているとおり、そのときの国際情勢、相手国の明示された意図、攻撃の手段、態様などをもちまして、個別具体的な状況を踏まえて判断する必要がございます。

 したがいまして、今先生から御指摘の要件のみによって、自衛権行使の可否について一概に論ずることは困難であろうというふうに考えます。

串田委員 大体回答はそうだろうなとは思いましたので、難しい質問というふうに最初から申し上げたんですけれども。

 これはやはり、一番考えられるのは、GPSを攻撃してくるんだろうなと思っています。アメリカの話も、やはり何かがあったときにはスクランブルをかけるというようなGPSということも言われているので、そういう意味では、中国は自国のGPSというものをいち早くつくり上げる。米軍のGPSに頼るような防衛システムであれば、スクランブルをかけられれば全然対応できませんので、自国のGPSというようなことを考えているんですけれども。

 今、この世界の中で、アメリカのGPS、そして日本が準天頂衛星システムというもので精度を高めているということはあるんですが、基本的には米軍の、国防省のGPSですが、世界的には、自国でGPSを上げている国というのは何カ国があるんでしょうか。

槌道政府参考人 アメリカ以外の諸外国におきまして独自の衛星測位システムを構築している例といたしまして、具体的には、ロシアにおけるGLONASS、中国における北斗、EUにおけるガリレオなどがあると認識をしてございます。

 もちろん、我が国におきましても、準天頂衛星システムのサービスが昨年十一月に開始されたところでございます。

串田委員 この「みちびき」自身も、今やアメリカのGPSというものを基準にして、それを補っているという状況ですよね、まだ四基ということでもありますので。そういう意味では、先ほどちょっとお話をしましたように、アメリカのGPSを攻撃されるということが、一つは、日本の「みちびき」自身が機能しなくなるという意味では非常に、そういう意味では余り議論されていないところだと思うんですが、何かに頼っている状況のときに、頼っている側を攻撃した場合には、自国への攻撃になるのかどうかという議論というのは余りされていないような気もするんですけれども、まさに、日本の準天頂「みちびき」に対しては、アメリカのGPSを補正しているという状況にあるので、日本自身のGPS自身が活用できなくなってしまうわけです。

 今、自動運転システムというのは、「みちびき」などが精度を高められることによって運転できるということでもありますし、ドローンの物流というのが今非常に注目を浴びているんですけれども、これもまた、やはり「みちびき」などが利用できることによって非常に精度が、できるということから物流というものができているわけで、今、アメリカのGPS、更に日本の準天頂システムというものが相互に補いながら日本の経済システムというのが成り立っているというのは事実だと思うので、ここの部分は、かなり国の防衛に関して大きな影響があると思うので、もちろんそのお話はできないということなんでしょうけれども、いろいろ検討はされていると思うんですが、そこの部分について、十分なこれから検討というものをやっていく必要があるのかなというふうに思いました。

 そこで、今、ロシア、中国、そしてEU、アメリカと四つあるようなんですけれども、今、宇宙における防衛関係、あるいは攻撃の能力に関しての勢力関係というのは、どんなように防衛省としては見通しているんでしょうか。

槌道政府参考人 今先生から、攻撃防御ということでございましたけれども、宇宙全般で申し上げさせていただきますと、まず、宇宙空間での活動は、冷戦期間中はソ連によって牽引されてまいりました。

 アメリカについては、現在におきましても世界最大の宇宙大国として宇宙開発を行ってきているほか、民生、科学、軍事などの目的で、さまざまな種類の衛星を保有、運用しているものと承知をしております。

 一方、ロシアにつきましては、一九九一年の旧ソ連解体以降、宇宙活動は低調な状態にございましたが、近年、再び活動を拡大している、そういう状況でございます。

 また、中国は、近年、多数の人工衛星を打ち上げ、情報収集、通信、測位等、軍事目的での宇宙利用を積極的に行い、将来的には米国の宇宙における情報優位を脅かすおそれがあるとの指摘もございます。

 さらに、ロシア及び中国は、紛争時に他国の優位性を相殺することを目的としまして、米国及び同盟国の衛星を攻撃するための対衛星兵器を開発するなど、自国の軍事的優位性を確保するための能力を急速に開発していると指摘されているところでございます。

串田委員 対衛星兵器という、宇宙の中で攻撃をし合っていくというような、本当に昔の「スター・ウォーズ」みたいな状況になりつつあるのかなとは思うんですけれども。

 そこで、この宇宙というものの領域、例えば海であれば海域だとか、空域だとか、そういったような領域というものが決定されているわけです。天頂衛星システムなどは、その国の真上を衛星が同じような形でずっと動き続けるわけですから、要するに、探索しやすくなってしまうわけです。そういう意味で、宇宙に関して、この領域という概念があるのかないのかということをお聞きしたいと思います。

槌道政府参考人 済みません。その前に、先ほど私、冷戦期間中、ソ連と申し上げましたが、米ソでございます。訂正させていただきます。

 今の、領域についてでございます。

 宇宙活動についての基本原則を定めた宇宙条約におきまして規定されているとおり、月その他の天体を含む宇宙空間は国家による取得の対象とはならないとされておりまして、領域主権は及ばないものと考えられております。

串田委員 そういうことだとすると、同じような軌道、地球の軌道と同じような形で衛星を打ち上げておけば、常時その国をずっと偵察することができるという理解でよろしいんでしょうか。

槌道政府参考人 今のお話は領域の話とは直接関係ないかと思います。恐らく、静止衛星として地上を監視することができるかどうかという技術的な問題だろうというふうに思います。

串田委員 そういう意味では、領域という概念がないということは、静止衛星というものも、どこに静止衛星を置くということができるのかというのは国際間で取決めがない、自由に行われるということでよろしいでしょうか。

槌道政府参考人 条約等で定められたものはないというふうに理解をしております。

串田委員 そうなりますと、日本においても、ずっと静止衛星が打ち上げられるということがあるわけですが、これはちょっとすぐ答えられないのかなと思うんですが、日本の領域の上に、静止衛星としては、他国の静止衛星が今何基あるのかというのは把握されているんでしょうか。

槌道政府参考人 申しわけございません、今手元に資料がございませんので、にわかにお答えしがたいところでございます。

串田委員 それは失礼いたしました。通告をしていなかったんですけれども、領域という概念の中でちょっとそういったようなことを考えついたものですから、そういう意味で、取決めがないということは、静止衛星を幾らでも他国は打ち上げて、日本の頭上に置き続けるということができるということなんだと思うんです。

 こういったようなことに関して、やはり防衛というものが十分できるのかどうかというのはちょっと心配なんですが、今回の長期契約の中で、E2Dという早期警戒機というのがあるんですけれども、これに関して、十年契約で何機というような形で非常に多くのものを買うんですが、今、宇宙から、そういう静止衛星でいろいろなことを観察することができる。この前の米朝会談の後のミサイルの発射状況というのも観察できるという話だったんですが、このE2Dというのは他国の航空機を偵察するものであるというふうに私は聞いているんです。

 そうだとすると、他国の航空機がどこにいるのかということは、静止衛星があれば、別にこの早期警戒機ではなくてもわかるんじゃないか、わざわざこの航空機を非常に長期にわたって買うという必要がないんじゃないかという疑問も感じるんですが、この点はどうなんでしょうか。

槌道政府参考人 早期警戒機と申しますのは、大型のレーダーを装備して、我が国周辺の海空域に存在する航空機、艦艇等を探知、警戒する航空機でございます。この航空機は、状況に応じまして臨機応変に飛行ルート等を変更しつつ対応し、リアルタイムで我が国周辺の状況を把握する、そういう任務を持っております。

 宇宙空間から、もちろん、各種衛星を通じて情報収集してございます。早期警戒衛星によって弾道ミサイル発射の早期探知を行う、あるいは気象衛星による気象状況の把握、予測を行う、測位衛星による正確な場所の把握を行う、さらに、画像収集衛星による情報収集、警戒監視などを実施してございます。ただ、それぞれその軌道、高さとも異なってございます。それによって、例えば測位衛星からどの程度の情報がとれるかというのは、また異なってこようかと思います。

 いずれにいたしましても、こうした全ての情報というのは、ともに自衛隊の効果的な運用にとって必要不可欠なものでございます。早期警戒機、また、宇宙空間の利用とも必要なものだというふうに考えてございます。

串田委員 今のお話を聞くと、早期警戒機と衛星からの探索というのは、目的というか、その高度も違うし、代替ができない、だからE2Dは必要であるというのはわかりました。

 そういう中で、先ほど、衛星対衛星、対衛星のミサイルという兵器が開発されているということなんですが、一つ考えられるのは、宇宙にいる衛星同士で攻撃をし合うということと、もう一つは、衛星から地上に対して、静止衛星というのは自由に置けるわけですから、偵察をすることもできれば、何かを落下させることもできるのではないかなと思うんです。

 今回の予算を見ると、どちらかといえば、SSAに代表されるように、いろいろなことを、状況を調べるというところにあるわけで、そういうような宇宙からの攻撃というようなものに対する防衛というものの予算というのは計上されていないというふうに思っているんですが、これに関しては、防衛省として今後考えていないのか、あるいは、今後はそういったようなことについても考えていくのか、その点についてはいかがでしょうか。

槌道政府参考人 宇宙空間を利用した攻撃につきましては、一般的には、先ほど申し上げましたとおり、衛星から衛星に対する攻撃、それから、地上から衛星に対する攻撃があると申し上げました。

 御指摘の、衛星から地上への攻撃手段については、現時点で各国において具体的な構想があるとは承知してございません。我が国としては、まず、宇宙の監視体制をきちんと整える、そこから行っていこうということでございます。

 いずれにしても、この宇宙分野についての技術進歩というのは速うございますので、その点は我々もきちんと把握をして対応を練っていきたいということでございます。

串田委員 今、非常に対応が速いという話がありましたが、今回の長期契約でグラマン社からE2Dを購入するということで、それに対して、日本の技術開発というか、開発意欲を失うということはないんだと。これはある意味、逆な面でいうと、すごく残念な話で、日本の国内産業がこういうようなものに対して追随できていないので開発意欲を失わせるということもないという、ある意味では独占的な部分だと思うんです。

 それに対して、宇宙というのはこれからの分野であるし、そういう意味では、これから宇宙に対する防衛というものがどんどんどんどん比重を増していく中で、先ほども、攻撃対象とかということが行われていないということは、防衛もまだ準備がなされていないということなんだと思うんです。

 そういう意味では、まだ手つかずの分野であるという意味からすると、いつでも外国から購入するのではなくて、新しい分野に関して国内産業を、この宇宙に関連する手つかずの分野に関して国内産業というものの育成というものも私はちょっと検討していただきたいということを申し上げておきたいと思うんです。

 日米同盟というのがあるんですけれども、宇宙との関係、宇宙の防衛関係で日米同盟が機能、私はもちろんすると思うんですが、これに対する演習、要するに、何かあったときにはこういうふうにするんだというようなことの準備というものは考えているんでしょうか。

岩屋国務大臣 我々、この宇宙、サイバーといった新しい領域を含む多次元統合防衛力をつくっていこうとしているわけですけれども、我が国の安全保障上、宇宙空間の活用は今死活的に、先生がるるおっしゃっていただいたように重要になってきていると考えておりまして、当然、同盟国である米国との連携を強化していきたいというふうに考えております。

 米国とは、平成二十七年に改定された日米ガイドラインにおきまして、宇宙に関する協力について、両政府が連携を強化することについて一致をしております。

 その後の各種協議におきまして、宇宙状況監視あるいは人材育成といった具体的連携のあり方について今検討を進めているほかに、昨年十月には、米空軍が主催する多国間の机上演習、シュリーバー演習というものに初めて参加をいたしました。これは、宇宙分野における日米の連携を強化するためにこういう演習も大いに活用していきたいというふうに考えておりまして、二〇二二年度までに、私ども、宇宙領域専門部隊を新編する予定でございますが、部隊間でも米国との連携を一層強化していきたいというふうに考えております。

串田委員 二〇二二年に新しい部隊ができるというお話を聞きまして、非常に安心をいたしました。

 それとともに、先ほども申し上げましたように新しい分野ですので、「下町ロケット」というような小説もありましたが、日本の技術というのは非常にすぐれている。そういう意味では、手をつけていない分野に関して国内産業育成というものも検討していただきたいと思います。

 時間になりました。ありがとうございました。

岸委員長 次に、照屋寛徳君。

照屋委員 社民党の照屋寛徳です。

 嘉手納町議会の徳里議長と基地対策特別委員会のメンバーは、去る二月二十七日に上京し、菅官房長官や外務、防衛両大臣らと面会し、極東最大の米空軍基地嘉手納が存する町としてさまざまなる要請を行っております。

 SACO最終合意では、嘉手納基地におけるパラシュート降下訓練は伊江島補助飛行場で実施すると日米間で合意しているにもかかわらず、例外規定が設けられているとの理由で再三再四パラシュート降下訓練が強行され、多くの町民が不安を抱いております。

 外務大臣は、SACO合意に反する嘉手納基地でのパラシュート降下訓練についてどのようにお考えでしょうか。私や社民党は、例外規定は即刻撤廃すべきであるとの立場です。町議会や町民も同様の立場で、少なくとも、何が例外に当たるのか、基準を厳格に定めるべきだと思いますが、米側に求めていくお考えはありますか。

 河野大臣の御所見をお伺いします。

河野国務大臣 日米安保条約の目的を達成するために、米軍は、訓練を通じて即応態勢を維持する必要がございます。

 その上で、パラシュート降下訓練につきましては、SACO最終報告に沿って、基本的に伊江島補助飛行場が使用される、嘉手納飛行場はあくまでも例外的な場合に限って使用されるというふうに考えております。

 この例外的な場合とは、定期的に行われるものではなく、小規模であって、なおかつ悪天候などの制約により伊江島補助飛行場で訓練を行えないもの、訓練を行う喫緊の必要がある場合、こうしたものを指すものと考えております。

 この例外的な場合を拡大解釈することは許されるべきではないというふうに考えておりまして、基本的に、伊江島補助飛行場で訓練を行っていただく。悪天候の場合に制約があるということは承知をしておりますが、機材を整備することによって悪天候であっても伊江島で訓練が行えるように、できるならば機材の整備をお願いをしたいと思っておりますし、また、伊江島で悪天候等で訓練が行えない場合であっても、嘉手納飛行場でない場所でそうしたものができないかということをやはり追求する必要があろうかと思っております。

 本当に極めて例外的な場合に嘉手納の飛行場でやらせていただくということは、これは一〇〇%ないとは申し上げませんが、例外的な部分というのを極めて小さくすべく、日米で連携をしながら努力をしてまいりたいと思っております。

照屋委員 河野大臣の非常に明確で力強い御答弁をいただいて、恐らく町民の皆さんも喜ぶと思います。

 私は、嘉手納基地におけるパラシュート降下訓練の例外が常態化し、例外が原則になる事態は避けるべきだと考えますので、先ほどの大臣答弁のように、強く米側に求めていただきたいと思います。

 防衛大臣に尋ねます。

 来る九月十一日、第三次嘉手納爆音等差しとめ訴訟の控訴審判決が予定されております。私も家族も原告です。

 私は嘉手納基地のフェンスから約三キロのうるま市に住んでおります。嘉手納基地から派生する騒音は殺人的爆音と称され、司法の場でも、累次にわたって違法だと断罪されてきました。

 二〇一七年二月の一審判決では、米軍機騒音による睡眠障害及び精神的被害に加え、高血圧症発症リスクの上昇などの健康被害も認定され、被告、国に対して総額三百二億円の損害賠償の支払いを命じております。

 ところが、沖縄防衛局の田中局長は、去る二月十九日、北谷町議会の要請に対し、航空機による瞬間的な騒音が人体に影響を与えるという医学的な見解はないと思うとの暴言を吐いております。

 岩屋大臣は、かかる田中沖縄防衛局長の発言をどうお思いでしょうか。

岩屋国務大臣 田中沖縄防衛局長は、二月十九日、北谷町議会の代表団の皆様と沖縄防衛局長との面談の場におきまして、瞬発的に発生する騒音の人体への影響については医学的に確立した見解や確定的な定説はないと発言したというのは承知をしておりますが、一方で同局長は、当該発言に続けて、航空機の運用に伴う騒音については、地域住民の方々の間でも非常に負担感があるというのは間違いないと考えているという発言もしたと承知をしております。

 私どもとしては、周辺住民の方々にとって深刻な問題である航空機騒音への対策は重要な課題であるというふうに認識しておりまして、今後とも、防衛施設周辺の住民に対する騒音の影響をできる限り軽減できるよう、引き続き努力してまいりたいというふうに考えております。

照屋委員 岩屋大臣、嘉手納基地における航空機騒音は瞬間的な騒音ではありません。大臣は、よもやそうお考えではないでしょうね。

 また、大臣は、世界保健機関、WHOが一九九九年に発表した環境騒音ガイドラインに、航空機騒音によって心疾患が生ずることが記載されていることを知っておりますか。

岩屋国務大臣 WHOが公表しているガイドラインは、環境省において、健康影響に関する内容も含めて、ガイドラインで示された値や知見を精査する段階であるというふうに承知をしております。

 いずれにしても、防衛省といたしましては、周辺住民の方々にとって深刻な問題であるこの航空機騒音への対策、本当に重要だというふうに考えておりますので、できる限りこれを軽減するように努力してまいります。

照屋委員 安倍総理と沖縄県の仲井真元知事との間で交わされた普天間基地の五年以内運用停止の約束から既に五年が経過し、期限切れとなりました。

 安倍内閣は、翁長前知事や玉城知事が辺野古新基地建設に反対するから約束が不履行に終わったと言いわけしていますが、外務、防衛両省は、一度でも普天間基地の五年以内の運用停止について米側に申入れ、交渉したことはあるんでしょうか。

 両大臣に伺います。

岩屋国務大臣 私自身、日米防衛相会談の際には、沖縄の基地負担軽減に関する日本政府の立場、取組についてしっかりと説明をしてきております。

 これは、マティス前国防長官、現在のシャナハン代行との面談においてもそういう説明をさせていただいているところでございます。

河野国務大臣 普天間飛行場の五年以内の運用停止につきましては、例えば日米2プラス2などの機会を捉まえて、外務大臣及び防衛大臣から米側に対して説明をするなど、政府として適切な機会を捉えて、米側にしかるべく説明をしてまいりました。

 しかしながら、普天間飛行場の移設をめぐる状況は、沖縄県が埋立承認を取り消し、さらには埋立承認を撤回するなど、根本的な部分において仲井真元知事と認識を共有した当時と大きく変化しております。

 このような中で五年以内の運用停止を実現することは難しいということを申し上げてきているわけでございまして、政府としては、今後とも、沖縄の負担軽減そして普天間飛行場の一日も早い全面返還に向け、全力で取り組んでまいりたいと思っております。

照屋委員 岩屋大臣、辺野古新基地が完成しなければ普天間基地が固定化されるというのが安倍内閣の一貫した見解ですが、普天間基地の固定化とはどういう状態を言うのでしょうか。SACO合意から既に二十三年がたとうとしている現在の普天間基地は、既に固定化しているのではありませんか。

 安倍内閣における普天間基地の固定化の定義について岩屋大臣に尋ねます。

岩屋国務大臣 普天間飛行場の固定化と申しますのは、普天間飛行場が移設されずに、同飛行場を継続して使用せざるを得ない状態を指すと考えております。

 私どもは、この普天間飛行場の固定化、これが危険なまま置き去りにされることは絶対に避けなければならないというふうに考えております。

 そして、それは沖縄の皆さんとの共通の認識ではないかというふうに思っておりまして、この普天間飛行場の危険性の除去そして最終的な全面返還を実現するためにも、辺野古移設の事業も、これからも丁寧に説明し、御理解、御協力を得られるように粘り強く取り組んでまいりたいというふうに思っております。

照屋委員 岩屋大臣、平成二十五年一月二十八日、オスプレイ配備に反対する沖縄県民大会共同代表らが連署をもって内閣総理大臣宛ての建白書を提出してから六年が経過いたしました。

 この間、防衛省が翁長県政における今後の政策立案、実施について理解する上で重要な参考資料の一つになるとの理由で一年ごとに延長を繰り返した建白書の保存期間が、三月末日をもって終了します。昨年の県知事選挙で翁長前知事の遺志を受け継ぐ玉城デニー県政にかわりましたが、取扱いはどうなりますでしょうか。

 私は、建白書は、沖縄の近現代史の中で極めて重大かつ歴史的な文書であり、防衛省における保存期間終了後には、廃棄することなく、国立公文書館へ移管をするよう求めてまいりました。

 小野寺前防衛大臣も昨年の当委員会で、「私個人としては、」「公文書館に送る必要があるのではないかと、その必要性は十分認識しております」と答弁されていますが、岩屋大臣の御所見を伺います。

岩屋国務大臣 照屋先生御指摘の建白書は、翁長前知事が那覇市長時代に主導して取りまとめられたものと承知をしております。これは、沖縄県における今後の政策立案、実施について理解していく上で重要な参照資料の一つになるものと判断するに至ったために、昨年三月、その保存期間を一年延長したところでございます。

 防衛省としては、本年三月三十一日、今月末の保存期限を迎えるに当たりまして、現在、職務遂行上の必要性など、今後の建白書の扱いについて検討を行っているところでございますが、保存期間終了後の建白書の扱いについては、建白書が取りまとめられた経緯等を十分に踏まえて、適切に判断してまいりたいというふうに考えております。

 基本的に、私、前大臣と同様の認識を持っております。

照屋委員 大臣、先ほど申し上げたように、本当にこの建白書は、保革を超えて、沖縄の全ての市町村長あるいは議会議長らが建白書を出した。私は、沖縄の近現代史の中で非常に画期的だし、また、それに至る歴史を国民で共有するためには、防衛省が保存期間が切れたから密かに廃棄するのではなくて、公文書館にぜひ移管をしていただきたいとお願いを申し上げます。

 最後に防衛省の政府参考人に伺います。

 返還予定のキャンプ瑞慶覧内にある文化財、北谷城の立入調査が、米軍からの期限延長が認められずに、中断しております。本年二月以降、北谷町教育委員会の立入りが認められておりませんが、その理由は何でしょう。また、調査再開はいつごろになりそうか。立入り許可の見通しとあわせて、防衛省に尋ねます。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の北谷城、こちらはキャンプ瑞慶覧の施設技術部地区にございますけれども、昨年の三月から本年の一月にかけまして、北谷町が随時立入りを行いまして、埋蔵文化財の現況調査を実施をしてきておりました。

 一方、昨年十二月に北谷町から、本年二月以降につきましても調査を行いたいという御要望がございましたが、この御要望につきましては、調査区域を追加をしたいというものでございました。

 このため、アメリカ側と調整を行った結果、改めて立入り申請を行っていただくこととなりまして、北谷町から本年一月に立入り申請が行われているところでございます。

 この立入り申請につきましては、現在、日米間で所要の手続に従って必要な調整を行っているところでございますが、北谷町は本年夏からの立入りを要望しているというように承知をしておりまして、この御要望が実現できるよう取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

照屋委員 北谷城の文化財調査というのは、非常に大事な事業だと私は思っております。北谷町教育委員会では対象範囲や項目を追加した上での調査を計画しており、六カ月は必要であるとのことであります。

 よもや環境補足協定の定める立入り時期よりもおくれることがないよう、防衛省は米軍としっかり調整をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども、北谷城の返還というのは非常に重要な事業であるというように考えてございます。先ほども申し上げましたとおり、北谷町の御要望に沿うように、米側と誠意を持って調整をしてまいりたいと考えているところでございます。

照屋委員 質問を終わりますけれども、岩屋大臣にいま一度注意を喚起しておきたいのは、先ほどお話しした沖縄防衛局の田中局長の発言は、これは学者や周辺住民から、余りにも医学的に無知であり、爆音に苦しむ住民らに対する暴言であると怒っており、来る十五日金曜日、防衛局前で大規模な抗議集会も予定されており、私がこれまで接した沖縄防衛局の局長の中では一番悪い局長であり、即刻更迭をすべきだ。

 そもそも、嘉手納爆音というのは瞬間的なものじゃない。だから、そこをしっかり、被害に苦しむ町民に思いをいたして、岩屋大臣の権限で田中局長なんか更迭したらいかがでしょう。

岩屋国務大臣 非常に真面目な男なんですけれども、やはり何といいますか、話し方とか言葉の選び方とか、局長に限らず、沖縄の防衛局の諸君には、くれぐれも懇切丁寧に誠心誠意対応するように私からしっかり申しておきたいと思います。

照屋委員 終わります。

岸委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時九分散会


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