衆議院

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第7号 平成31年4月9日(火曜日)

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平成三十一年四月九日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 岸  信夫君

   理事 大岡 敏孝君 理事 武田 良太君

   理事 中谷 真一君 理事 宮澤 博行君

   理事 山本ともひろ君 理事 本多 平直君

   理事 渡辺  周君 理事 浜地 雅一君

      江渡 聡徳君    小田原 潔君

      小野寺五典君    大西 宏幸君

      大野敬太郎君    北村 誠吾君

      熊田 裕通君    高村 正大君

      鈴木 貴子君    津島  淳君

      中谷  元君    浜田 靖一君

      宮内 秀樹君    和田 義明君

      青柳陽一郎君    宮川  伸君

      前原 誠司君    中野 洋昌君

      赤嶺 政賢君    串田 誠一君

      重徳 和彦君    吉川  元君

      長島 昭久君

    …………………………………

   防衛大臣         岩屋  毅君

   防衛副大臣        原田 憲治君

   防衛大臣政務官      鈴木 貴子君

   防衛大臣政務官      山田  宏君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  山本  仁君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  山内 智生君

   政府参考人

   (内閣府国際平和協力本部事務局長)        岩井 文男君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局電波部長)         田原 康生君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 大鷹 正人君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 加野 幸司君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 塚田 玉樹君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 安藤 俊英君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 宇山 秀樹君

   政府参考人

   (財務省理財局次長)   富山 一成君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官)         三角 育生君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局次長)       林  俊行君

   政府参考人

   (国土交通省航空局交通管制部長)         飯嶋 康弘君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房長)   武田 博史君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 宮崎 祥一君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 森田 治男君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  槌道 明宏君

   政府参考人

   (防衛省整備計画局長)  鈴木 敦夫君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  中村 吉利君

   政府参考人

   (防衛省統合幕僚監部総括官)           菅原 隆拓君

   政府参考人

   (防衛装備庁長官)    深山 延暁君

   安全保障委員会専門員   奥  克彦君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月九日

 辞任         補欠選任

  大野敬太郎君     津島  淳君

  熊田 裕通君     宮内 秀樹君

  篠原  豪君     宮川  伸君

  佐藤 茂樹君     中野 洋昌君

  下地 幹郎君     串田 誠一君

  照屋 寛徳君     吉川  元君

同日

 辞任         補欠選任

  津島  淳君     大野敬太郎君

  宮内 秀樹君     熊田 裕通君

  宮川  伸君     篠原  豪君

  中野 洋昌君     佐藤 茂樹君

  串田 誠一君     下地 幹郎君

  吉川  元君     照屋 寛徳君

    ―――――――――――――

四月八日

 戦争法の廃止を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第七七三号)

 緊急出動のある自衛官の官舎の改善に関する請願(中谷元君紹介)(第七七四号)

 戦争法(安保法制)を即時廃止することに関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第八二四号)

 同(畑野君枝君紹介)(第八二五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 防衛省設置法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一四号)


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     ――――◇―――――

岸委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、防衛省設置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官山本仁君、内閣官房内閣審議官山内智生君、内閣府国際平和協力本部事務局長岩井文男君、総務省総合通信基盤局電波部長田原康生君、外務省大臣官房審議官大鷹正人君、外務省大臣官房審議官加野幸司君、外務省大臣官房審議官塚田玉樹君、外務省大臣官房参事官安藤俊英君、外務省大臣官房参事官宇山秀樹君、財務省理財局次長富山一成君、経済産業省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官三角育生君、国土交通省水管理・国土保全局次長林俊行君、国土交通省航空局交通管制部長飯嶋康弘君、防衛省大臣官房長武田博史君、防衛省大臣官房審議官宮崎祥一君、防衛省大臣官房審議官森田治男君、防衛省防衛政策局長槌道明宏君、防衛省整備計画局長鈴木敦夫君、防衛省地方協力局長中村吉利君、防衛省統合幕僚監部総括官菅原隆拓君、防衛装備庁長官深山延暁君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

岸委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

岸委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。小野寺五典君。

小野寺委員 自由民主党の小野寺五典です。質問をする立場が余りなく、緊張して質問をさせていただきます。

 きょうはまず、普天間飛行場代替施設建設事業、いわゆる辺野古移設についてお伺いをしたいと思います。

 先週、四月五日でありますが、国交省は、行政不服審査法に基づいて、沖縄県の埋立承認の撤回を取り消すとの裁決を行ったと承知をしています。これまで国会では、あるいはこの委員会では、この地盤に関する話題がたびたび取り上げられ、B―27と呼ばれる調査地点で地盤の強度に関する試験が実施されていないという指摘や、水面下約七十メートルから九十メートルの間に未改良の地盤が残る、軟弱地盤があるのではないかというような指摘がたびたびございました。

 この点、国交省は、今回の裁決に当たり、鑑定人の鑑定の結果も踏まえて検討を行ったと聞いていますが、このような軟弱地盤等への対応についてはどのような見解があったのか、お答えいただきたいと思います。

林政府参考人 お答えをいたします。

 委員御指摘のとおり、今回の裁決に当たりましては、行政不服審査法に基づきまして、審理委員の求めた鑑定の結果を踏まえて検討いたしました。鑑定を行っていただいたのは、地盤改良や地盤工学に係る専門的な知見を有されており、研究実績等が国際的にも評価されております日下部治氏でございます。

 この鑑定の内容でございますけれども、その内容についてちょっと御説明をいたしますと、音波探査や合計七十六カ所のボーリング調査、あるいは土質試験、この結果から得られる情報によりまして、B―27の地点を含め、護岸の安定性の検討に必要な地盤の性状を把握することができること、また、B―27の地点におきまして、地盤改良工事がなされる地盤の下部である水面下約七十メートルから九十メートルの深さにかけて未改良の地盤が残されても、安定性を確保した護岸の施工が可能であること、また、この地盤改良工事に採用されますサンド・コンパクション・パイル工法につきましては、施工実績も豊富な一般的なものであること、さらに、この工法により改良された地盤の下部に未改良地盤が残されるケースも決して特殊なものではなく、現在では対策も確立されているなどとされておりまして、鑑定では、こうしたことから、地盤改良工事等を行うことによりまして、護岸及び埋立地について、所要の安定性を確保して工事を行うことが可能であるとされております。

小野寺委員 ちょっと委員に再度確認いたしますが、この鑑定人であります日下部先生は、今回のこの工事に関しては、十分技術的にも工事をすることは可能だという判断をされたということでよろしいんでしょうか。

林政府参考人 お答えをいたします。

 委員御指摘のとおりでございまして、護岸及び埋立地につきましては、所要の安定性を確保して工事を行うことが可能であるとされております。

小野寺委員 私はこの委員会でたびたび話を聞いていて、技術的にこれが工事ができるかどうかということの大分議論があったと思うんですが、今回のこの裁定の中で、日下部先生の、専門家でありますので、意見として、これは十分可能だということであります。ですから、ここでのいろいろな議論はありますが、やはり、専門家のしっかりとした知見での対応が大変重要だと私は思っております。

 今回の裁決を受けて、十分建設可能だという技術的なことは出たと私は思いますが、防衛省としては、この普天間飛行場の代替施設建設事業について今後どのように進めていくのか、大臣にお伺いしたいと思っております。

岩屋国務大臣 ただいま国交省から裁決理由についての説明がございましたけれども、私どもがこれまで申し上げてまいりました地盤改良工事の工法それから環境保全のための対策について、妥当性があるというふうにお認めいただいたというふうに認識をしております。

 したがいまして、私どもとしては、辺野古への移設事業を着実に進めさせていただいて、この二十三年来の課題である普天間の全面返還という課題を、ぜひ一日も早くなし遂げてまいりたいというふうに思っております。

小野寺委員 今回の事業の一番の目的は、普天間の危険性の除去ということ、返還をしていただくということ、そして、その際に議論になったのは、辺野古移設に対して工法的にできるのかということと、あるいは、環境面で十分対応できるのかということだと思います。

 先ほどの国交省の専門家の審議会の審議委員のお話であれば、これは工法的には可能だということでありますし、ぜひ防衛省におきましては、地元にこのことをより丁寧に説明していただいて理解を得る努力をしながら、着実に普天間飛行場の移設について努力をしていただきたいと思っております。

 次に、防衛予算についてお伺いいたします。

 実は、防衛予算、これは一つの目安として、対GDP比ということ、これを従来から使っております。今、この防衛予算については、特にNATOの基準等で対GDP比どうなんだという議論がたくさん出ているというのは、私ども、承知をしております。特にNATOでは、これはさまざまなNATOの会議の中の議論を見ますと、二〇二四年までに国防費を対GDP比二%にふやすことを目標に各国が努力するという合意があると聞いております。

 このような応分の負担をめぐって、今、米国と欧州諸国の間で議論が行われております。

 実は、このNATOにおける国防費というのは、NATO基準に基づいて算定されております。これは、我が国が行っています従来からの対GDP比の防衛予算の計算の方法とは異なると私は認識をしております。

 現在、我が国の防衛関係費、対GDP比は大体〇・九%程度と承知をしておりますが、これは、中期防の対象経費のみを前提とした計算となっております。

 ただ、各国におきましてNATO定義の運用というのはさまざまな議論があると思いますが、例えば、私がもし日本の防衛予算等についてNATO基準に合わせて考えてみますと、当然、SACOの再編経費はもちろんでありますが、恩給、PKOの関連経費、そして、海上警察であります海上保安庁予算なども入るのではないかというふうに考えております。

 こうしたものを含めて、いわば安全保障に関する経費の水準として試算をした場合には、対GDP比、新たな中期防期間中にこのNATO基準という考え方で合わせて計算すればどのような水準になるか。これは事前に通告をしておりますので、ぜひその積算について防衛省の方からお知らせいただければと思います。

岩屋国務大臣 これは、我が国はNATO加盟国ではもちろんございませんので、NATO定義に基づいて所要経費を整理してはおりません。

 これまでもそのように申し上げてきたんですけれども、先生から事前にそういう御提案がありましたので、確かに、NATO定義といっても、運用は今先生御指摘のように各国で一律ではありませんので余計になかなか計算がしづらいというふうに申し上げてきたんですが、今御指摘がありましたように、恩給費、PKO関連経費、海上保安庁予算など安全確保にかかわる経費を含めて、簡便な方法で機械的に試算をしてみますと、このような安全保障に関連する経費の水準は、経済状況や経費の水準によって幅はありますものの、今般の中期防の期間中にはおおむね一・一%から一・三%程度になるのではないかと考えております。

 いずれにしても、今後の我が国の防衛力強化については、あくまでも中期防に従って、自主的に、着実に実施をしてまいりたいというふうに考えております。

小野寺委員 今、多分初めてだと思いますが、我が国の防衛費、これはずっと従来から我が国としては対GDP比ということで、この水準というのは、今後もこの目安というのは一つの指標になるのではないかと思うんですが、ただ、国際的には今いろいろな議論が行われています。

 特に、主に今アメリカと欧州諸国で議論されているのは、NATOにおける基準での対GDP比という数字になりますので、今後、国際的なさまざまな議論をする場合に、やはり、もう一つの数字としてNATO基準における日本の防衛費の対GDP比を持つ必要があると思っていますし、今、大臣の方にあえて積算をしていただきましたら、一・一から一・三%ということになります。

 これは、日本の基準とそれからNATOの基準と、当然二つの対GDP比の数字があるのは当たり前だと思いますが、やはり、一つの物差しとして一・一から一・三%ということ、これを、一つの国際的に説明する中でも持っておく必要ではないかというふうに思っております。

 今後、もし国際会議の場あるいは相手国から日本の防衛費についての数字を求められた場合に、そのとき、相手側はやはりNATO基準で積算をしておりますから、日本側としても、日本で積算している今までの対GDPの数字と、そして、NATOの基準に合わせればこういう数字だということ、こういう数字をしっかりと活用することが必要だと思いますが、防衛省の考えを伺いたいと思います。

岩屋国務大臣 今般、先生から御提案ありましたので機械的に計算をしてみたんですけれども、この数字をどういうふうに扱っていくかというのはもう少し政府全体で検討させていただきたいと思いますが、ただ、おっしゃるように、日本の場合はもう本当に防衛費というのを厳格に計算をしておりますけれども、国際会議では、いわゆる安全保障上、予算だけが基準ではありませんけれども、どのくらいの貢献をしているのかという議論になったときに、参考数値としてやはり持っておくことも必要ではないかなと思っておりまして、今後、扱いについては更に検討させていただきたいというふうに思っております。

小野寺委員 ありがとうございます。

 今回、あえてNATO基準での積算での数字ということを防衛省から出していただきました。その努力に感謝をいたしますし、そしてまた、この数字はあくまでもNATO基準に合わせた数字であって、従来から政府が出している、目安としての日本の防衛費というそれにはかわらない話なんだと思っています。

 その中で今多くの国民の皆さんが心配しているのは、やはり防衛予算の増額ということ。

 これはどうしても、安全保障環境が厳しい、あるいは新しい装備を導入せざるを得ない、こういうことが積み重なっているということの中で仕方のない方向かもしれませんが、ぜひ、この縮減の努力、そしてまた、FMS調達がやはりふえているということがありますので、さらなる米側に対してのこの削減の努力あるいは透明性の確保、これを求めていただきたいと思いますが、今後、この防衛予算の進め方について、あるいはFMS調達につきまして、改めて防衛大臣からお考えをお伺いしたいと思っております。

岩屋国務大臣 FMS調達の改善に関する取組は、小野寺前大臣のときから開始をしていただいておりまして……(発言する者あり)いやいや、特に小野寺大臣のときには取組を強化していただきまして、それを今受け継いで、米国と協議を重ねているところでございます。

 そして、中期防につきましても、三つの数字で縛りがかかっておりまして、実力としての約二十七兆五千億、しかし、予算を執行する上では二十五兆五千億、さらに、契約額では十七兆一千七百億円ということでかなり厳しい縛りでございますけれども、これを達成すべく、FMSの改善も含めて、経費の縮減、コストの削減に最大限の努力を行ってまいりたいというふうに決意をしております。

小野寺委員 ありがとうございます。ぜひその努力をお願いしたいと思います。

 最後、一点だけお願いがございます。実は、宮古の弾薬の問題であります。

 今回、さまざまな地元の理解を得るという意味で、一度部隊内に配備した一部の装備の弾薬を島外に出すということ、これを決断されたということであります。

 ただ、どの部隊もそうでありますが、通常、初動で使う弾薬というのは、当然、その装備のそばに一緒に置いて対応するのが通常だと思います。これはどこの部隊でも同じでありますので、今後、地元の理解を得る形で、継続的に使うような大規模な弾薬は新たにできる弾薬庫の方に装備する必要がありますが、初動で使うもの、これはやはり一緒に保管するということ、これが基本でありますので、ぜひこれは地元への丁寧な説明をして、理解を得る努力をこれからもお願いしたいことを申し添えて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

岸委員長 次に、青柳陽一郎君。

青柳委員 おはようございます。立憲民主党の青柳陽一郎でございます。

 本日は三十五分の質問の時間をいただきました。ありがとうございます。

 法案の質疑に入る前に、長期契約法について数点確認をさせていただきたいと思います。

 けさのこの安全保障委員会の理事会に、長期契約法の効率化の検証結果が、三十年度末までに出す、こういうことでしたので、その検証結果がけさの理事会に提出されたそうでございますが、この検証の結果について簡単に御報告をいただきたいと思います。

武田政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛省としてお出ししております「特定防衛調達に係る国庫債務負担行為により支出すべき年限に関する特別措置法(長期契約法)に基づく長期契約による効率化等について」という資料がございますが、この資料は、この頭書きに書いてございますように、「防衛省内で、これまでの長期契約について、その経費の縮減効果を総括するとともに、調達の安定化に関する評価を行った結果、現行法の有効期限を五年延長する今回の改正法案を国会に提出することとした。本資料は、このような判断に至る長期契約に関する成果をとりまとめたものである。」ということをまず申し上げた上で、一つに、「調達コストの縮減効果」ということを書いてございます。

 この具体的内容につきましては、この四年間、この法律に基づいて合計七件の契約を実施いたしまして、「合計で約七百八十七億円の契約額の縮減を実現した。」ということでございます。

 具体的に、「装備品等の調達」、「装備品等の維持・整備役務」ということで分けて書いてございます。

 また、二番目として、「調達の安定化の効果」といたしまして、長期にわたる契約を締結する場合には、企業としても将来の調達予定数量が確約をされ、人員、設備の計画的な活用ができるなど予見可能性が高まるために、装備品等の製造に係る企業の撤退を抑制する効果が期待でき、長期契約を締結する前後における下請企業の撤退数は実際に抑制されていることを確認しているということを書いてございまして、また、「長期計画の実施状況」につきましても、調達が確定をされることによりまして、製造企業等におきましては、部品等の供給の途絶リスクを回避し計画的な防衛力整備に資することとなったことに加えまして、現在までのところ、長期契約の履行は、必要な生産ラインが中長期的に維持されていること等により、契約に従い予定どおりに実施されているということが書いてございます。

 そして、三の「まとめ」におきまして、「こうしたことから、長期契約は、我が国の防衛に必要な装備品等及びその整備に係る役務の効率的・安定的な調達に資するものであり、着実な防衛力整備に向けて引き続き必要な制度である。」ということを書いてございます。

 また、四に「附帯決議への対応」ということで書いてございますが、これは、法律ができたときに衆参の委員会におきまして附帯決議が決議をされておりまして、その概要を記載するとともに、それぞれの附帯決議の内容について防衛省として真摯に取り組んでいること、すなわち、対応状況について記載をしているものでございます。

 簡単でございますが、以上でございます。

青柳委員 念のために確認をさせていただきますけれども、今回のこの検証結果の報告に、念のため確認ですけれども、FMSに対する記載や評価はありますか。

武田政府参考人 お答えいたします。

 法律ができて七件の契約を実施いたしましたが、いずれも国内企業を対象とするものでございまして、FMSを対象とするものはございませんでした。

 したがいまして、四年間の総括、成果、評価といたしましては、FMSの対象事業については書かれてはございません。

青柳委員 ないんですね。ですから、今国会での法律で改正してFMSでの調達というのは初めて調達されるわけですから、新たにまたFMSでの調達についての効果の検証はしっかり行っていただきたいというふうに考えますけれども、大臣、それは行っていただけますか。

岩屋国務大臣 それはもう青柳先生のおっしゃるとおりだと思っておりまして、今般初めてFMSに長期契約法を適用させていただくわけですから、これはしっかり検証してまいりたいと思っております。

青柳委員 ありがとうございました。

 もう一点伺いますけれども、先日の本委員会での質疑で、FMSでの調達について、見積り、契約、契約の履行、納品、精算という流れがあって、そうした流れの中で、一括発注することで精算手続が円滑化されて事務作業の軽減につながるという議論がありまして、また、大臣も、そのとおりだという御答弁、議論がありました。

 これは一定理解がもちろんできますけれども、でも、言われているFMSの問題は、精算手続の円滑化の問題よりも、むしろ、入り口の見積りや契約、そして納期のところの問題の方が多く指摘されているわけでありまして、一括発注して精算手続が円滑化されれば非常に効率的なんだということだけではないんだと思います。

 イージス・アショアの事例でも、これは長期契約法の調達ではないんですけれども、導入費用のところで見ても、当初は八百億円程度と答弁されていたものが三十一年度予算では結局千七百五十七億円というふうに増額されているわけですから、更にこれにミサイルや維持運用費を加えれば、総額は五千億円を超えるんじゃないかというふうに言われているわけでございます。

 F35Aについても、二〇一二年度から見ると、一機当たりが九十六億円から、二〇一六年は最大一機当たり百八十億円に増額されているわけです。

 それぞれいろいろな理由があると思うんですけれども、いずれにしても、精算手続より見積りや契約のところの方が金額のぶれが大きいんじゃないかと思いますけれども、大臣は、もう一度その点について御答弁をお願いしたいと思います。

岩屋国務大臣 これも先生の御指摘のとおりで、確かに、契約をまとめれば精算の事務手続量が減りますので、それはスピードアップするということですけれども、ある意味それ以上に大事なのは、全体のコストのコントロールだというふうに思っております。

 御指摘のイージス・アショアについては、当初は従来型のレーダーを搭載したシステムを考えていたのであります。そのときに一番最初の見積りとして約八百億円ではないかと説明をしていたわけですけれども、レーダーをLMSSRという最新鋭のものに変更したために、そこは費用が上昇しているわけでございます。

 また、米国は年二%程度の物価上昇があるなど、平成二十七年、二十八年のイージス艦用のイージスシステムの調達時との状況の違いも影響していたかというふうに思います。

 それからF35Aについては、これは平成二十四年度から平成二十八年度にかけて取得価額が上昇しておりますけれども、為替の影響のみならず、国内企業が参加するFACO機に切りかえたことによって、日本固有の経費が追加されたことによるものでございます。生産数の増加に伴いまして、FMS分のドル建ての価格は継続的に低下をしてきております。

 いずれにしても、御指摘のとおり、調達における見積りから契約に至るプロセスにしっかりと我々注力していかなければいけないというふうに思っておりまして、装備品の取得の検討段階から必要な価格情報を入手できるように、米国政府と引き続き緊密に連携をしてまいりたいというふうに考えております。

青柳委員 ありがとうございます。ぜひお願いしたいと思いますが、今の御答弁の中でイージス・アショアに関するところは、八百億円から……(発言する者あり)いいですか。

岸委員長 続けてください。

青柳委員 済みません。よろしいですか。では続行させていただきます。

 今の御答弁の中で、イージス・アショアは、これは事務方で結構ですけれども、八百億円から千七百五十七億円に増額されているわけですけれども、大臣の御答弁では、レーダーの選定とそして物価の上昇ということを今理由に挙げられましたけれども、千七百五十七億円のうち、レーダーに係る費用はどのぐらいで、物価の上昇はどのぐらいだったというふうに防衛省は算定されているんでしょうか。

鈴木政府参考人 お尋ねがございました八百億円と三十一年度予算段階でございますが、これは、三十一年度の予算につきましては、委員御指摘の額、これは一千七百五十七億円、これが計上されてございますが、これはイージス・アショア本体二基分の取得価額でございまして、これは、一基当たりというか、二基分と申しましても、全体としての二基というよりも一部欠ける形での二基でございますので、三十一年度予算段階におきましては、一基当たりは千二百二億円というものでございます。

 この八百億円と一千二百二億円との差でございますが、これは、レーダーを変更したということは大臣からお話しあったものでございます。

 ただ、レーダーそのものの取得費用のみならず、レーダーとシステムを適合させるためのハード、ソフトの変更ですとか、それから、レーダーの機能発揮を確認するための費用、というのは、レーダーには起因しておりますけれどもレーダーそのものではないという必要経費、それから、物価の上昇も米国は年二%程度の上昇がございますので、これもかなりの効果というか、上昇要因になってございます。

 それから、八百億円というときに御説明したときのイージスシステムの費用が、平成二十七年度、二十八年度のイージス艦のイージスシステムの調達というのは、これは、まとめ買いをした結果として安くなっているということでございます。

 こうしたことがこれらの差になっているということでございます。

青柳委員 配備についても伺いますけれども、報道等によれば、我が国を射程におさめる数百発のミサイルが実戦配備されている状況に対応するためというふうに説明しているとの報道があるんですけれども、こうしたイージス・アショアを巨額な予算で配備し、さらに、一発当たりのミサイルも相当高額なミサイルを配備していくわけですけれども、であれば、数百発を射程におさめる状況に対応するためにこのイージス・アショアを新たに一から導入するのであれば、現在配備されている、あるいは、またふやしていくイージス艦に搭載するミサイルをふやしていくことの方が効果的ではないかという指摘が多くあるんですけれども、これについて大臣はどうお答えになりますでしょうか。

岩屋国務大臣 我が国のミサイル防衛システムは、先生御案内のとおり、イージス艦による対応とPAC3による対応、上層、下層両方での迎撃を組み合わせた多層防衛の体制をとっておりますけれども、このイージス・アショアについては、上層での迎撃によって我が国全域を防護するということを考えております。

 そして、拠点防護のためのPAC3は、その数をふやしたとしてもイージス・アショアの役割を代替できるとは考えておりませんし、それをやろうとすると、それこそ膨大な費用がかかるというふうに考えております。

 北朝鮮はいまだに数百発の、我が国を射程におさめるミサイルを実戦配備しているわけでありますけれども、今日の国際軍事情勢、あるいは見通せる限りの国際軍事情勢を考えたときにも、ミサイル防衛というのは、我が国の防衛力の一つの大きな柱になるんだろうというふうに考えております。

 最近はもう発射手段等が非常に多様化、発達をしておりますので、なかなか兆候を事前につかむということが難しくなっているということを考えれば、やはり、今までの装備にイージス・アショアを加えて、二十四時間三百六十五日切れ目なく防護できる体制をとっていくことが必要ではないかというふうに考えているところでございます。

青柳委員 大臣がおっしゃる北朝鮮の脅威、数百発と言われるわけですから、しかも、どこから、いつ、どうやって発射されるかなかなかつかみにくいという状況になっているということであれば、それに対して、数百発、本当に我が国が迎撃ミサイルを保有しているのかどうかということも、これはなかなか明かしていただけませんけれども、そうした点で本当に万全と言える体制をとれているのかどうかについては、また今後とも注視してまいりたいと思います。

 それでは、防衛省設置法等の一部を改正する法律案の法案の審査の方に移ってまいりたいと思います。

 まず、そもそも自衛隊、自衛官の定数というのは法律で規定されているわけですから、これはとても重い規定で、重い組織だというふうに思っています。

 こうした重い組織の組織を改編していくということと、ACSAという、定員とか組織とかとは全く関係ない法律を今回一本に束ねて提出して、そして、これは別々に採決するんじゃなくて、同時に一括して採決して賛否を決めるということ、このこと自体に大きな違和感があるんですけれども、今回この法律を一つにくくったというのは、どういう根拠で、そして、どういう権限とどういう手続において行われたのかについて御説明をいただきたいと思います。

岩屋国務大臣 御指摘のように、本法律案は、自衛官定数等の変更、それから部隊の改編、これに加えて、日本とカナダ、日本とフランスとの間のACSAの実施に係る根拠規定を整備するものでございます。

 これらの事項はいずれも自衛隊の任務の円滑な遂行を図る施策の一環でございますので、そういう意味でいうと趣旨、目的は一つなんだろうというふうに思っておりまして、こういう提案の仕方、あるいは審議していただくあり方というのは、平成二十二年以降、こういう形にさせていただいているところでございまして、自衛隊の任務の円滑な遂行を図るという意味で趣旨、目的が一つであるというふうに御理解いただきたいと思っております。

青柳委員 いや、余り理解できなくて、自衛隊任務の円滑な遂行でしたら、防衛省が設置する全ての法律がそうだと思いますので、ちょっと非常に苦しい答弁じゃないかなとは思いますが……(発言する者あり)そうですね、意味がわからないというこういう声も多く聞かれますので、審議は続行させていただきます。

 航空自衛隊部隊の改編についてちょっと伺いますけれども、今回、警戒航空隊を警戒航空団に改編していくということですけれども、まず、その目的と背景についてお伺いします。

鈴木政府参考人 まず、近年の我が国周辺の活動、周辺国の活動として、太平洋上などにおきまして、我が国の地上レーダーから監視することが困難な区域への進出が見られること、それから、探知が難しいステルス戦闘機の開発、同時に、多数の航空機の我が国周辺への飛行、それから、航空自衛隊の各方面隊の境界を越えた広範囲、長時間にわたる飛行など、その量と質の両面において活発化しているという状況でございます。

 警戒航空隊は、従来、E2C十三機、E767、いわゆるAWACSでございますが、これを四機等を保有し、地上のレーダーサイトからでは把握し切れない周辺国の航空機等の監視を行う部隊であり、この部隊の活動性の重要性は高まっているというふうに思ってございます。

 今回、警戒航空団に改編した場合でも主要装備品の数自体は変わりませんけれども、E2Cが、情報精度が高い最新鋭のE2Dに順次入れかえるということでもございますし、AWACSも情報収集能力が格段に向上する事業等を実施しておりまして、この部隊で扱う情報量は大きく増加することになってございます。

 このようなことから、警戒航空隊を警戒航空団に格上げしてその任務に必要な司令部機能等を持たせることは、広大な我が国の防空体制を構築する上で、まず実施しなくてはならない警戒監視体制の強化の一環として必要不可欠であるというふうに考えてございます。

青柳委員 もう一度、参考人で結構ですけれども、今、我が国周辺環境の厳しさが質、量ともに厳しさを増しているということでした。それに対応する警戒監視業務を強化していくということでしたけれども、今御答弁のとおり、装備品の数は変わらないという御答弁がありましたが、数を変えずに警戒航空隊を警戒航空団に改編すれば、どうやって警戒監視体制が強化されるのかについて、念のため、もう一度わかりやすく御答弁をいただきたいと思います。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 E2C、これが最新鋭のE2Dにかわってございます。このまさに一機一機の順次の入れかえでございますが、その個体一機の性能が格段に違ってございます。こうしたことから、その得られる情報量が変わってくるということでございます。

 AWACSについても、これは機体そのものは変わりませんけれども、そうした機能向上のための事業、これが実施されておりますので、そうしたことで、取り扱う情報量というのが格段に変わってございます。

 それから、こうした警戒隊司令、これは今一佐でございますけれども、警戒団になることから団司令となりまして、将補がつくということになります。

 こうした非常に多くの情報量を取り扱う難しい業務調整、こうしたものが、それぞれのいわゆるスクランブル等を実施する航空団というのもございます。こちらの司令、これとの調整、今はそちらは将官でございます。こちらは、警戒隊司令は一佐でございますので格がちょっと落ちるわけでございますけれども、今後は、同格である各航空団司令と一層円滑に連携することが可能になっていくという状況でございます。

青柳委員 その、警戒監視能力を高めるということでございますけれども、例えばそれでは、有事が実際に起こる、あるいは危機が実際に高まるといった場合に、例えば、巡航ミサイルとか攻撃機に対する対処方針というのも変わってくるんじゃないかと思いますけれども、警戒監視能力が高まることによって、例えば日米の共同交戦能力ということも保有していくということにつながるのかどうか。あるいは、日米が一体で巡航ミサイルとか攻撃機を撃ち落としていくという可能性があるのかどうか。例えば、そういう有事が、あるいは危機が起こった場合というのは、どういう事態認定をしていくのかということについて教えていただければと思います。

槌道政府参考人 事態認定ということでございますのでお答えさせていただきますが、自衛隊と米軍の具体的な対応につきましては、個別具体的な状況に応じて判断するという必要がございますので一概に申し上げることは困難でありますけれども、あえて一般論として申し上げますと、我が国に対する外国の航空機による攻撃あるいは巡航ミサイルの発射につきまして、我が国への武力攻撃と判断された場合には、自衛隊法第七十六条に基づく防衛出動の枠組みで自衛隊は対処するということになります。

 また、その際、日米安全保障条約第五条に基づきまして、日米が共同して対処することになろうかと思います。

青柳委員 そういう状況になれば日米が共同して対応するということでよろしいんですよね。もう一度、そこだけ確認させてください。

槌道政府参考人 我が国に対する武力攻撃ということでございますので、もちろん、我が国が防衛出動によって対処するわけでございますけれども、日米安保条約がございますので、その第五条に基づいてアメリカが対処し、日米が共同して対処するということになります。

青柳委員 はい、わかりました。

 それでは、サイバー防衛体制のあり方について伺います。

 サイバー防衛は、領土、領海、領空を守るのと同様に今後の大きな課題だと認識していますけれども、今回の改正で、共同の部隊、情報本部の役割と定数をふやしていくということでございますけれども、例えば、主要国や中国とか北朝鮮と比較して質、量とも本当に十分なのかどうか、あるいはどのように人材を獲得していくのか、そして育成していくのか、あるいはシステムの調達はどうやっていくのかについて、大きく御所見を大臣からお聞かせいただきたいと思います。

岩屋国務大臣 サイバー防衛隊の規模につきましては、平成三十一年度に約百五十名から約二百二十名に増員することとしております。そのほか、各自衛隊のサイバー関連部隊等の増員によりまして、自衛隊全体のサイバー関連部隊等の規模は、平成三十一年度に、約四百三十名から約五百八十名に拡充することといたしております。

 先生お尋ねの、諸外国の軍のサイバー関連部隊の規模についてですが、さまざまな指摘があることは承知しておりますが、各国の軍のサイバー部隊が具体的にどのような任務を担っているかについては必ずしも明らかでないという点がありまして、単純に比較するわけにはいかないと思っておりますが、交換情報等によれば、米国は約六千二百人規模にする予定であると承知しておりますし、中国はサイバー攻撃部隊の人員が三万人とも言われております。ロシアは、サイバーセキュリティー担当の部隊の人員が約千名、北朝鮮においては、サイバー戦を担当する人員が約六千八百人といった指摘があると承知をしております。

 防衛省・自衛隊としては、各自衛隊のサイバー関連部隊の拡充によって能力を抜本的に強化していかなければいけないと思っていますけれども、その方法については、三十一年度からサイバーに関する各自衛隊共通の教育課程を新たに実施する、それから、高度な専門的知見を有する外部の人材を活用するために、三十一年度予算において、部外力の活用に係る予算を計上しているところでございます。

 こういう取組に加えまして、自衛隊のシステム、ネットワークの抗たん性の向上、情報収集機能や調査分析機能の強化、実戦的なサイバー訓練環境の整備など、さまざまな取組を通じてサイバー防衛能力を強化していきたいと考えております。

青柳委員 ありがとうございます。

 今、数についての御答弁ありましたけれども、日本は今、IT業界ですらもう人材不足の状態で、現状でも十万人以上不足していると言われていて、非常に人材の確保が難しい。

 IT業界であれば、それこそ、外国にオフショアで出したり外国人を採用するということもできるんですけれども、防衛省ではそうやって外国人を採用することはできないと思いますが、実際に、優秀な人材あるいはIT人材と言われている人を、サイバー人材を獲得できるめどは本当に立っているんでしょうか。

 しかも、IT人材は流動的だし、非常に高額な報酬で雇われているわけですけれども、その数の御答弁はありましたけれども、獲得できるというめどは立っているんでしょうか。

鈴木政府参考人 サイバー人材の育成、確保につきましては、自衛隊の中にサイバーに関するまず共通の教育課程を設けて、要するに、中できちっと育てていくということも一つ重要な視点だと思ってございます。

 それから、外からの人材の確保ということで、高度な専門知識を有する外部人材の活用ということで、これは採用というよりも活用でございますので、そうした能力をいかに確保していくというか、活用させていただくのかということで予算を計上させていただいているということで、こうしたものの組合せによって、サイバーの人材育成、確保についてきちっとやっていきたいというふうに考えてございます。

青柳委員 それから、今大臣の御答弁にあったように、中国はサイバー攻撃部隊で三万人規模、それから北朝鮮は、これは韓国の国防白書の指摘によれば、六千八百名のサイバー戦闘要員を運用しているということでございました。

 特に北朝鮮は、実際に国連の北朝鮮制裁委員会の専門家パネルでも、日本にサイバー攻撃をもう既に仕掛けて、先般、大きな事件となったコインチェックの問題では五百億円規模の損害をもたらして、これが新たな北朝鮮の収入源になっているという報告も、これは国連に北朝鮮パネルが、専門家パネルがもう報告しているわけですけれども、この北朝鮮のサイバー攻撃に、先ほど六千八百名という数字がありましたけれども、もう実際に現に損害が出ているという指摘になっている、レポートになっているわけですけれども、こうした北朝鮮のサイバー攻撃に対する大臣の御見解をお聞かせいただきたいと思います。

岩屋国務大臣 大綱にも明らかにしたように、本当にこういった新領域、宇宙、サイバー、電磁波といった領域での能力の獲得というのは急務だというふうに我々も考えております。

 民間経済に対する攻撃なども含めては、御案内のとおり、NISCというものが中心になって、そこに防衛省も協力をするということになっているわけですが、私どもとしては、相手方が攻撃に際してサイバー空間を利用する能力を妨げる能力、あるいは被害を極小化する能力、こういったものを早急に獲得をしていかなければいけないというふうに思っておりまして、予算も人員もまだ限られている中ではありますけれども、その能力獲得のために最大限努力をしてまいりたいと思っております。

青柳委員 最後に、もう時間がなくなりましたので、ACSAについて一問、ちょっとまとめて伺いますけれども、今回、日本・カナダ、日本・フランスのACSAを締結するということですけれども、フランスを加えると、英国、オーストラリア、フランスの三カ国はACSAとGSOMIAと防衛装備品・技術移転協定の三協定を結んでいる準同盟国となるんですけれども、その準同盟国を英国、オーストラリア、フランスにしている意図は何なのかということと、オーストラリアについては、中国の海洋進出の脅威に直面しているということもあるので共通の利害があると思いますけれども、安倍政権が掲げる自由で開かれたインド太平洋構想ということを考えれば、このフランスや英国よりも、むしろインドや韓国との対応というのが重要になってくると思うんですけれども、今回、カナダとフランスをやり、準同盟国を三カ国にふやすんですけれども、その狙いと、それから、安倍政権が掲げる構想でいけば、むしろインドや韓国が重要だと考えるんですけれども、こうした点について大臣の方針をお伺いしたいと思います。

岸委員長 岩屋防衛大臣、時間が超過していますので簡潔にお願いします。

岩屋国務大臣 フランス、カナダとはこれまでもさまざまな防衛交流を行ってきておりますし、2プラス2などの枠組みを通じても、しっかりと防衛協力、ACSAも含めてやっていこうという話をしてきております。

 インドとの間では、先般の日印首脳会談において、ACSAの締結について交渉を開始することについて一致を見たところでございますので、これからしっかり進めていきたいと思っています。

 日韓関係は御案内のとおり非常に厳しい関係が続いていますけれども、防衛交流のパイプはしっかりつないでいきたいというふうに思っておりまして、韓国とのACSAにつきましては、政府として総合的に勘案しながら、GSOMIAは既に結んでおりますけれども、これから検討していきたいと思っております。

青柳委員 終わります。ありがとうございました。

岸委員長 次に、本多平直君。

本多委員 立憲民主党の本多平直です。

 きょうは防衛省設置法等の一部を改正する法律案の質疑でございますが、青柳委員からも指摘をさせていただきましたが、法案の出し方についてしっかり考えていただきたいと思うんですよ。

 我々は、この今回のサイバー防衛隊にかかわる自衛官の定数の異動、そして警戒航空団の創設、格上げの問題については賛成をしたいと思っている部分がございますが、残念ながら、このACSAなど安保法制が関連をしてくる部分についてこういうふうに一緒に出されますと、反対をせざるを得ないという状況が今後も続きます。

 皆さんは衆参で今多数をとっているからこういうふざけた出し方をしているんだと思いますけれども、こういうふざけた出し方をして万が一ねじれちゃったりもっと伯仲していると、航空総隊の格上げとかサイバー防衛隊の増強という大事なこともできなくなる出し方をしているということをしっかりと認識をしていただきたいというふうに、この出し方の問題については指摘をしておきたいと思います。

 それでは質問をさせていただきます。

 ちょっと法案と関係ない点なんですが、先日の伊丹空港へのオスプレイの緊急着陸、先日の質問の際にはまだ詳細がわかっていないということでした。警告灯が点灯した、それでおりて、安全を確認したから飛び立っていったということなんですが、これは、何でもないのに警告灯が点灯しちゃったのか、何らかの事情で警告灯が点灯して、そこの部分を修理をして飛び立ったのか、どちらなのかは確認できているんでしょうか。

岩屋国務大臣 先般のあの伊丹の事案につきましては、整備員による点検の結果、安全性に問題がないことが確認された上で離陸したものというふうに承知しておりますが、私どもとしては、米側には、新たな情報が得られた際には関係自治体に速やかに情報提供をしたいということで、引き続き連携をしっかり図ってまいりたいと思っております。

 今般のものは、パイロットが飛行中の航空機に何らかの通常とは異なることを示す兆候を察知した場合に、周辺地域等の安全を確保する観点から最寄りの着陸可能な場所に速やかに着陸を実施するものであって、いわゆる予防着陸ということだというふうに認識をしておりますが、これは安全確保の一つの手段であるというふうに承知をしているところでございます。

 いずれにしても、米側に対して確実な整備、点検、安全管理の徹底等について申入れを行っているところでございます。

本多委員 予防着陸の是非について私は質問をしているんじゃないんです。なぜこういう予防着陸が起こったかを、やはりオスプレイは、全国で、この機種を特定して皆さん不安の声が多いんです。一般的な反対とかじゃなくて、オスプレイは危ないんじゃないかという声が多い機種が伊丹空港という民間空港に緊急の着陸をした事案なので、きちんと、どういうことが起こったのかを、別に関係自治体とか、言っていないせりふも言わなくて結構なんですけれども、防衛省として、また我々衆議院の安全保障委員会として知っておきたいということで、どういうことが起こったのかということを、では、確認できていないということでいいんですね。

岩屋国務大臣 米側からの説明によれば、パイロットが、コックピット内の警告灯、どの警告灯であったかということは承知をしておりませんが、点灯を確認をしたため、念のために、安全手順に従って同空港に着陸をしたというふうに聞いております。

本多委員 たまたま伊丹があったから問題になっていないんですけれども、民間の土地とかにおりた場合は危険なこともあり得るんですよ。だから、警告灯がついた理由とか、どういう理由だったのかということは把握した方がよろしいんじゃないんですか。

 それを把握していただきたいと思うんですけれども、いかがですか。

岩屋国務大臣 予防着陸をした後、整備をした結果、異常がないということを確認して離陸をしたというふうに聞いておるところでございます。

本多委員 異常がないのに警告灯が点灯したことは問題なんじゃないんですか。だから、どういうことが起こったかをでき得る限り米国に説明していただくべきだと思うんですよ。特に皆さんが不安だと思っている機種が混んでいる民間空港に緊急着陸した事案、もうちょっと説明を米国に求めるべきだということなんです。

 何が起こったのか。何もふぐあいがないのに警告灯がついたら、それは危ないじゃないですか、こういうことをしなきゃいけなくなるんですから。予防着陸が必要になっちゃうわけじゃないですか。

岩屋国務大臣 追加の情報があれば速やかに入手をしたいというふうには思っておりますが、今のところ、整備、点検した結果、異常はないことを確認したので離陸をしたという報告を受けているところでございます。

本多委員 追加の情報を私は求めてほしいとお願いしているんですが、防衛省から米軍に求める気はないということでよろしいんですね。

岩屋国務大臣 既に航空機の整備に関して日米間の協議の場を設けておりますので、そういう場等を通じて、追加の情報がもしあれば、入手をしたいというふうに思っております。

本多委員 もしあれば入手をしていただきたいと思いますけれども、求めないというとんでもない答弁と思いました。

 不安に思っている方がいる、それに対して丁寧に説明しないと、結局、防衛を害するという話をこれから宮古の話でしますよ。

 この件も、小さな案件かもしれませんけれども、国会でもこういう疑問が出ている。しかし、あれば私たちにも提供を必ずしていただきたいと思いますけれども、小さなことから一つ一つきちんと原因を確定していかないと大きな事故につながっていくという危険から申し上げていますから、何で警告灯がついたんだということぐらいしっかりと聞いて把握をしていただきたいと思っていますが、そういう答弁をいただけなかったということで大変……(岩屋国務大臣「いやいや、もう一回やります」と呼ぶ)では、もう一回お願いします。

岩屋国務大臣 いや、基本的には追加の情報を求めているんです。もしあれば、ぜひ報告してもらいたいということです。

本多委員 民間空港にこうやって緊急着陸をして、何もなかったからといって飛び立っていって、理由も、求めているのに今言われていないわけですよ、どっちなのか。若干のふぐあいがあって直して飛んだのか、こっちも問題だし、問題ないのに警告灯が点灯してこんな予防着陸が必要な事態を招いたのか、どっちかさえまだ情報を入手していない状態なわけですよ。

 しっかりと求めて、この件は小さいことかもしれませんが、不安の観点から、それから、実際のふぐあいがもしあったら直さなきゃいけないわけですから、米軍にきちんと求めていただきたい。しつこくやりたいと思いますので、お願いをしたいと思います。

 さて二点目ですが、宮古の話、先日、委員会の中で方針を転換されて、大きく報道もされています。

 本当に、あの日は住民に皆さんは不適切とか言っていますけれども、テープを聞くと、うそ、虚偽と言われても仕方ない説明の仕方を防衛省の職員の方がされているわけです。そこを重く見て、宮古にはもう一つつくらなきゃいけないから、ここで住民の方のこれ以上の不安をあおったら大変になるということで大臣が判断されたことは僕は了としたい、正しい判断されたと思いますけれども、一方で、先ほど小野寺委員が指摘をされたように、とんでもないことが起こったわけですよ。

 こうやって正しく説明をしないことで、千代田の方に今自衛隊の基地はもうオープンをして、自衛官がいるわけです。発射装置はあるけれども、弾は移す、弾はない。このことが、皆さんはよく装備に関する御質問には答えられないとかと私たちに全く何も答えませんけれども、これはなぜか答えていただいているわけですよ。あそこに駐屯地があって、発射装置はあるけれども弾はない。それで、新聞の大きな見出しにもなっているわけですよ。これ、防衛のあり方としてとんでもないことになっているということなんですよ。

 私は、だからすぐ戻せなんて言うつもりはないんですよ。説明をちゃんとしない、説明を何とかごまかそうと思ってやると、今、自衛官の皆さん、どういう気持ちでこの駐屯地にいるんですか。発射装置はあるけれども弾はない。そして、そのことが新聞の見出しになっている。外国も知っている。ふだんは何も説明しないけれども、今回の件は国会でも明らかになっている。こんな状態で駐屯している自衛官の皆さんの気持ちをどう思われますか。

 説明をちゃんとしないということがこんな大きな事態を招いているということについての責任をどう感じていらっしゃいますか。

岩屋国務大臣 御指摘の件については我々も、しっかり緊急の事態に対応できる措置をとらなければいけないと思っておりまして、そのように指示を既にいたしております。

 しかし、今般の説明が当初不十分であったことは事実でございます。一昨日、私も隊旗授与式に行ってまいりました。そこで、市長さんや議長さん、議会の皆様、あるいは千代田区の区長さん並びに住民の皆様におわびを改めて申し上げ、もう既に私が到着した段階では、弾薬を島外に搬出をしたということも報告をさせていただきました。

 私としては、まずは信頼回復、信頼をしっかり得るということが大事だというふうに判断をいたしまして今回そういう措置をとりましたけれども、それに際しましては、緊急事態等が発生して必要な場合には迅速に宮古島に必要な装備を搬入できるよう、体制をしっかり整えるように指示をしてきたところでございます。

本多委員 別な島から弾を運んできてということはあり得ないと僕は思うんですよ。

 今回、説明が足りなかった二つの弾薬について、防衛省の方からも説明を聞きました。私は、これはきちんと説明してここに置かせてもらうべきだったというふうに思いますよ。

 問題になっている大きなミサイルの方、保良地区に置こうとしているものについては、反対の皆さんの気持ちもあるし、これはしっかりとまた更に議論しないといけないですが、今回皆さんがうそをついたせいで置けなくなった二つの方は、当然あの基地にあるべきものがうその説明をすると置けなくなっているという、反対側の皆さんからしたらうそをつかれたと思いますが、今宮古島に駐屯している自衛官の皆さんから見たら、とんでもない目に遭っているという逆の面もあるということを私からもしっかりと指摘をしておきたいと思います。

 だから、説明というのは本当に丁寧に、正直にきちんとしないと、意見の分かれるものもありますけれども、まあこれは置かせてもらえて当然だろうというようなものも置けなくなるという、そういう大事なことなんだということをしっかりと指摘をしておきたいと思います。

 次に、きょうもこの法案には定員の話も出ています。今、私、今後の防衛のあり方については、定数をしっかりと確保していくということは大事な問題だと思っています。

 予算委員会でも、総理がこれに関して、私から見るとかなりピントのずれた、自衛官の募集のために憲法を変えるとか、一生懸命自衛官の募集に関して協力をされている自治体を協力をしていないと言い放ったり、逆効果のようなことをされて非常に自衛隊の皆さんも迷惑なんじゃないかなと思いましたけれども、でも、私もこの定数の問題は大事だと思っています。

 その中で、この三月、四月、防衛大学校卒業、入学の時期ですけれども、任官拒否が非常に、過去一度、バブルの時期に多い時期があったんですが、それを超えて大きな任官拒否が出たという報道を見ましたが、これをどう受けとめられていますか。

岩屋国務大臣 先般の卒業式に私も大臣として参加をしてまいりました。

 卒業生四百七十八名のうち任官辞退者は四十九名でございます。本年度卒業生に当たる平成二十七年度入校者数のうち、中途退校者は五十九名というふうになっております。

 任官辞退者からは、毎年度、辞退の理由について聞き取りを行っているようですが、辞退の理由は、他業種への希望、あるいは大学院等への進学、あるいは身体的理由などが主なものだというふうに承知をしております。

 いずれにしても、幹部自衛官となるべき者を養成するこの防衛大学校において任官辞退者が出るということは極めて残念なことでございまして、ぜひ全員がそろって任官して、幹部自衛官として誇りを持って職務に取り組むことができるような体制をつくるために、これからも全力を尽くしてまいりたいと思っております。

本多委員 任官拒否にスポットが当たるんですけれども、実は任官拒否だけじゃなくて、入学したけれども卒業式までに退学している方も相当数いらっしゃいます。

 又は、任官拒否をするとあの晴れやかな卒業式に出られない。前日、何か小さな会があるらしいですけれども。では、晴れやかなあれを出た後、幹部候補生の学校に入って一年以内に退学する方も相当いるということを把握されていますか、大臣。

岩屋国務大臣 防大卒業後に幹部候補生学校入校中に、約十名から、多いときで三十名程度の退職者が発生しているというふうに承知をしています。

本多委員 ここはいろいろな問題があると思うんです。私なんかは、そういうことをはっきり明示している学生さんはいないですけれども、このデータの上がり下がりを見ると、強引に海外派兵をやろうとしているときにふえるんですよ。

 今回の学生さんは、入る前はあの安保法制の騒動はない時期に入られて、安保法制で強引に自衛隊の任務を大きくふやしたことを途中で見て、そういう……(発言する者あり)景気ということをやじで言っている方もいらっしゃる。

 いろいろな事情はあると思いますよ。私はそういうことも一つの理由として考えた方がいいと思いますけれども、もっと大事な理由として、この防衛大学校とか自衛隊の中に、とんでもないいじめの体質、ずっとこれは直すべきだということを指摘をされてきて、相次いでいるわけですよ、防衛大学校の中の。まあ、三十年前の体育会だったらこういうこともあったかなと笑っていたかもしれませんけれども。

 今、私、この内容を読むと、あえて読み上げたくないんですけれども、今、ブラック企業というのもあちこちにありますけれども、体育会でそういう何か似たようなところもあるかもしれないですけれども、こんなひどいのは余り聞いたことがないんですけれども、この防衛大学校のいじめの事案、これで退学している方とかが多い。これは相次いでいるんですよ。

 抜本的にやらなきゃいけないと思うんですけれども、大臣いかがですか。

岩屋国務大臣 その前に、任官辞退者には、先ほど申し上げたように、全員から聞き取りを行っていますけれども、主な理由は先ほど申し上げたような理由が多くて、平和安全法の話や海外派兵等に言及した者はいなかったということを申し上げておきたいと思います。

 それから、いじめの問題についても、本来、リーダーとなるべき者を養成する学校においてこういう事案が生じるということは、極めて遺憾なことだというふうに思っております。

 私にも報告がしっかり上がっておりますので、防衛大学校長を委員長とするハラスメント防止委員会を今設置をしてもらっていまして、しっかりとこの問題に対応するように私からも直接申し上げたところでございます。

 こういう事案の根絶に努めていきたいというふうに思っています。

本多委員 しっかりといい人材に自衛隊に入ってもらうためには、防衛大学校もそうです、きょうは時間がなくてできませんでしたけれども、海上自衛隊で相次いでいる自殺の事案、これも、今後また時間をつくってきちんと取り上げたいと思います。

 もちろん、ほかの企業でもいろいろな問題はありますけれども、どうも自衛隊に特有の問題もあるのではないかと。まだきょうは頭出しにとどめますけれども、そういう心配もありますので、人が足りない足りないと言って、憲法を変えれば人が入ってくるとか何か言っていますが、そういった問題ではなくて、きちんと地に足のついた待遇の改善を、そして、こんなおかしな、前時代的なことが起こらないようにしていくということがまず優先だと私は思いますので、しっかりとそこは取り組んでいただきたいと思います。

 MFOについては時間がなくなって、準備をいただいた方、申しわけありません。

 以上で質問を終わります。

岸委員長 次に、渡辺周君。

渡辺(周)委員 国民民主党の渡辺でございます。

 通告にはありませんが、今の本多委員の質問を受けて、更にちょっと伺いたいんです。

 伊丹空港へのオスプレイの、予防着陸という名前の不時着なのかどうか、真相はわかりませんが、四月一日の十三時五十五分に予防着陸をした。この際、第一報は沖縄防衛局から、このオスプレイが普天間基地の所属で、岩国基地から厚木基地に向かっていたということで、沖縄防衛局から伊丹空港に一報があった。最大二十分、七便に遅延、おくれが出たということなんですが、そして、それから四月二日、翌日の十三時四十五分、ほぼ一日、丸一日、離陸するまでありました。

 ここで、自衛隊は、その際、駆けつけたんですか。つまり、伊丹空港に予防着陸してから、自走しながら滑走路の脇に行った。当然、沖縄防衛局から伊丹空港に一報を受けて、伊丹空港から、あるいは沖縄防衛局から防衛省に連絡が入って、その際、自衛隊は駆けつけたんですか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、四月一日の午後二時ごろ、事案が発生をいたしました。これを受けまして、近畿中部防衛局の職員が伊丹空港に駆けつけております。近畿中部防衛局から伊丹空港周辺の自治体、大阪府ですとか兵庫県あるいは近隣の市に対して情報提供を行っているところでございます。

 同時に、委員御指摘のとおり、当該オスプレイは普天間基地所属でございますので、沖縄県と宜野湾市に対しましても沖縄防衛局から情報提供を行っているというところでございます。

渡辺(周)委員 その際、駆けつけた防衛省は、その機体のそばまで行ったんですか。つまり、機体の保全ということで、米軍が、乗組員なりがいわゆる立入り規制をしたのか。それとも、そばまで行って防衛省は確認できたのかどうなのか。その点はいかがですか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の事案に関しましては、特に米側は立入り規制等は行っておりません。伊丹空港の通常の駐機スポットにオスプレイを駐機をさせたということでございまして、近畿中部防衛局の人間も搭乗員などから話を聞くということを行っているところでございます。

渡辺(周)委員 そこに米軍は来なかったんですか。あくまでも、米軍の関係者はそのオスプレイの乗組員だけということですか。

中村政府参考人 お答えを申し上げます。

 整備の関係の米軍の人間が後ほど駆けつけたというように承知をしております。

渡辺(周)委員 それはどこから駆けつけられたんですか。いや、それによって、そのまま、つまりフリーズしたというか、何もしないまま、防衛省側がそこで米軍に先んじてヒアリングすることができたのかどうなのか。

 それと、乗組員は、当然、まずは自分たちの上司である米軍のしかるべき立場の人間が来るまで話ができないということだったのか、そこはいかがですか。(発言する者あり)

岸委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

岸委員長 速記を起こしてください。

 岩屋防衛大臣。

岩屋国務大臣 詳細は、ちょっと御通告がなかったので、調べてわかり次第、報告させます。

渡辺(周)委員 じゃ、今わかるだけで。せっかくひそひそと打合せ話をしていたんだから、もし答えられるなら。

中村政府参考人 失礼いたしました。

 沖縄の司令部から近畿中部防衛局に対しまして情報の提供がございました。同時に、当該オスプレイのクルーからも、現場に駆けつけた人間、近畿中部防衛局の人間でございますが、話を聞くということができております。

渡辺(周)委員 そこに至るまで、予防着陸してから離陸するまで丸一日あるわけですよね。その間、近隣の都市対策協議会、十市協というんですか、伊丹市の市長をトップとして、周辺の自治体に対して情報提供がおくれたということで、その後、国土交通省や防衛省に対して、あるいは伊丹空港の管理会社に対して、抗議文なるものがあったというふうに聞いております。その間、地元の自治体に、これこれこういうわけで不時着をして、どれぐらいの間、オスプレイが伊丹空港に駐機することになるというような報告は、いつごろ出されたんですか、地元のいわゆる自治体に対して。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたとおり、事案の発生は一日の午後二時ころでございます。その三十分後に、我々、両防衛局から関係の自治体に対しまして情報の提供を行っております。

 その後につきましても、提供可能な情報がありました際には、随時、関係の自治体の方に情報の提供を行っているところでございます。

渡辺(周)委員 やはり、例えばこうやって詳細をちょっと聞くと、防衛省が本当に把握していたのかどうかということで、もちろんこの点について我々も、米軍のある程度ハードルがあるということは承知をしております。ですから、国内の自衛隊機が何かあったときにはスムーズにいかないということも、これは悲しいかな、現実だということはわかっているわけなんですが、それにしても、実はこのオスプレイは、その前の週にも鹿児島県の沖永良部島の空港に着陸をした。何年か前には大分空港にも予防着陸した。これは大臣の地元であります。そうすると、これは構造的に何かあるんじゃないのか、何でこんなしょっちゅう民間空港に予防着陸をすることになるのか。そのために空港の使用が制限されるなり、遅延するなりのことがあるわけでございます。

 その点について、やはり近隣の自治体はそうなんですけれども、まさにオスプレイというものが余りにも、まつわるいろいろな、今回のような予防着陸が起こるようなことが多過ぎるということで、我々日本側がおくれをとって、何か米軍の説明なり米軍の報告なりを待っているのではなくて、そこのところは速やかに、原因についてあるいは状況について、日本側がそこは一分でも一秒でも早く正確な情報を得て、地元の自治体にやはりそこは日本の政府側が説明をするというようなことを徹底すべきだというふうに思いますが、その点については、大臣いかがですか。

岩屋国務大臣 そのようにしていきたいと思います。

 今般も、防衛省からさっき説明がありましたように、職員を派遣し、関係自治体へ情報提供をしているわけでございますけれども、そういったことが速やかに行われるように一層徹底をしてまいりたいと思います。

渡辺(周)委員 後ほど、詳細な、その時点の時間的な経過によってどういうことがあったかということについては、後日なりあるいは理事会なりにぜひクロノロジーを提供していただきたいと思いますが、委員長、お取り計らいをよろしくお願いします。

岸委員長 後刻、理事会で協議いたします。

渡辺(周)委員 それでは、法案の質疑に入る前にちょっと伺いたいことがございます。

 いよいよ二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックまで五百日ということで、もう既にいろいろな地域の自治体なんかも、私の地元も実はきのう、自転車競技があるものですから、地元の調整室のオープニングセレモニーがあって行ってまいりました。もう既にどこの自治体もそうですけれども、いよいよ東京オリンピック開幕まであとどれだけというようなカウントダウンが始まって、期待がだんだん高まっているわけなんでございます。

 そこで、防衛省も、自衛隊法第百条の三、運動競技会に対する協力ということで、自衛隊法の施行令の中で百二十六の十二というところに、この運動競技会の範囲というのが書かれておりますよね。ここにはちゃんと明記されているんです。オリンピックとアジア競技大会、国民体育大会、そしてワールドカップサッカー、この四つが書かれているわけなんです。

 先般、一月でしょうか、組織委員会の方から防衛省に対して、防衛省に警備の要請があったということでございます。これについてはどのような、警備といっても大変幅が広いものですから、その点について、どういう中身を要請されたかということについて伺いたいと思います。

武田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、本年一月十七日でございますが、東京オリパラの競技大会組織委員会から私ども防衛省に対しまして、東京大会の運営に係る協力についてという依頼がございました。

 具体的に申し上げますと、国際テロやサイバー攻撃の脅威の高まり等、セキュリティーをめぐる情勢は時代とともに変化している中において、競技大会の安全を確保し、観客等が安心して大会を楽しむことができるよう、また、一層安全、安心で確実な大会運営を実現するために、二つの依頼事項がございました。一つは、会場内外の整理を始めとする大会運営に係る各種協力、二つ目に、組織委員会が維持管理する情報システムのサイバーセキュリティー対策に係る協力、この二つの依頼がございました。

 私ども防衛省内におきましては、この東京におけるオリパラ競技会の成功に向けまして、防衛大臣を長とした防衛省・自衛隊二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会及びラグビーワールドカップ二〇一九特別行動委員会を設置いたしておりまして、この場や関係部局等においてさまざまな、この競技大会の成功に向けた協力の検討をしておるところでございます。

 先ほど申し上げた二点の依頼事項については、現在防衛省内において鋭意検討を進めておるところでございまして、この時点におきまして申し上げる段階にはないことを御理解いただきたいと思います。

渡辺(周)委員 今触れましたけれども、自衛隊法施行令の百二十六条の十三、「運動競技会の運営についての協力の範囲」ということで政令で定められております。そこに列記されておりまして、「一 式典に関すること。」「二 通信に関すること。」「三 輸送に関すること。」「四 奏楽に関すること。」音楽です、多分ファンファーレとか、そういう防衛省による音楽による支援ということなんでしょうけれども、五番目が「医療及び救急に関すること。」それで六番に「会場内外の整理に関すること。」七番で「ほか、」「運営の事務に関すること。」とあるんです。

 警備という言葉が出てこないんですが、今のお話ですと、「会場内外の整理に関すること。」ということでこの警備を読む、あるいは、サイバーセキュリティー対策も含めて、サイバーセキュリティーの点についても、この「内外の整理」という防衛省の施行令の百二十六条の十三に書かれているようなことで読むということですか。それとも、何らかの形で施行令の改正が必要だというふうに考えますけれども、そこはいかがなんですか。

武田政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げたように、組織委員会からの御依頼については、会場内外の整理を始めとする大会運営に係る各種協力ということでございまして、私ども、この内容、すなわち、具体的にどのような協力をするか、できるかにつきまして、組織委員会と綿密に調整を現在いたしておるところでございます。

渡辺(周)委員 これからちょっと他の例を含めて申し上げるんですけれども、七年前、前の前のオリンピック、ロンドンで行われたオリンピック、このときには、民間の警備職員が最終的に確保できなくて、イギリス軍の兵士が、二週間前に三千五百人の増員をするというようなことになった。これは、世界最大の警備会社と契約をして依頼をしておったんですけれども、やはり民間の警備会社ができることと、想定される脅威の度合いによって当然専門性が必要な警備というものが出てきますので、結果的には一万八千人のイギリスの軍の兵士が動員されることになりました。

 ここで伺いたいのは、自衛隊はどれぐらいの数を警備、内外の整理ということで当てはめれば、どれぐらいなら出せる、あるいはどれぐらいを出してほしい、具体的な数字の人員のやりとりはあるんでしょうか。

武田政府参考人 お答えいたします。

 繰り返しになりまして恐縮ではございますが、現在、競技大会への協力の具体的内容につきまして競技委員会等と鋭意調整をしておるところでございますので、どのくらいの隊員を競技大会の協力ということで派遣等をするのかについては、現在、固まったものはございません。

 いずれにいたしましても、この競技大会の成功に向けまして最大限の協力をしていくということでございますので、現時点の状況については御理解をいただきたいと思います。

渡辺(周)委員 最初に申し上げましたけれども、もうカウントダウンが始まっていて、もう五百日を切っているわけですよ。

 先ほど申し上げたように、これはイギリスの例なんですけれども、民間の警備会社は、いろいろな、テロであるとかそういうことを、先ほど組織委員会からの要請にあったテロ対策ということを考えれば、民間の警備会社、今回オフィシャルスポンサーになっている、例えばセコムであるとかALSOKであるとか大手二社がおりますけれども、しかし、やはり第一義的には警察が当然やるんだろうけれども、あえてそこで組織委員会が防衛省に求めてきたというのは、民間の警備会社でも警察でもできないことを、先ほど武田さんがおっしゃったように、これはテロということがもう明記されているわけですよ、テロ対策。

 となると、これは、会場内外の整理といって入場者の交通整理をするというレベルの話ではないということが当然求められているわけですから、この点について、テロ対策を対応できる部隊というのは、もうある程度知れている、数としても制約されているわけですから、それはある程度、もう来年の話です、これについてはいつまでに結論を出そうという話はあるんですか。

 ずっと協議して、最後にもう少し何とかなりませんかと、イギリスの例じゃないけれども、どんどんどんどん軍に対する要請がイギリスの場合はふえた。日本でいえば自衛隊・防衛省に対して今後どんどんふえていって、当然、運営側も過剰な期待をされて、法に基づいて防衛省・自衛隊は協力するわけだから断れないだろうということになったら、法にもありますけれども、本来の業務に支障を来さない程度で協力をするんだというふうに書いてありますけれども、どこかで数字的なめどなり、時期的に区切った方がいいと思うんですけれども、そこのところはいつごろまでに結論を出されるおつもりですか。

武田政府参考人 お答えいたします。

 東京オリパラの競技大会の協力につきましては、委員御指摘のこと以外にも、例えばブルーインパルスの展示飛行でございますとか、朝霞訓練場の、競技大会の射撃競技会場としての一部使用などがございます。

 これらにつきましては、いつまでに決めるという期限はないわけでございますが、当然のことながら、大会が開始される前までに必要な準備等もございますので、しかるべき時期に決めてまいりたいというふうに思っております。

渡辺(周)委員 今、民間の警備をされる方々というのは非常に求人倍率が高くて、人手不足社会の中で、なかなかこれは確保できるかどうか。

 東京オリンピックに関しては、民間で一万八千人の警備規模、そして全体では五万人ぐらいの警備が必要ではないかという中で、警察でありますとか、あるいは海上保安庁、国土交通省も、オリパラに向けての協力については、海上保安庁は、沿岸部での競技もある、海の側の水際を非常に警戒するということでは、当然、そこにも書かれているわけなんですが、引き算をしていきますと、相当自衛隊に負うところが大きくなるんじゃないかというふうに思うわけでございます。

 これは早急に、やはりある程度の具体的な中身を詰めていかないと、もうあっという間に日が来ますので、そしてまた、本務に、本来の業務に影響が出ないのは何人までかということは、早急にやはり枠を決めるべきだというふうに思います。

 そこで、その先、テロ対策ということになりますと、これは当然、予行演習なんかも必要なんです。これは、イギリスのロンドン・オリンピックのときには予行演習をやった。いわゆる爆発物のにせ爆弾を持って、それが会場にたどり着けるかと予行演習をやったら、実はやすやすと入ってしまったというようなことが、実は問題点としていっぱい、ロンドン・オリンピックのその後のレポート、警備業界なんかのいろいろレポートを出されているものを見ますと、やはり相当予行演習をやってもなかなか成果が出ていなかったということなのでございまして、その点については相当な時間をかけて、決められた方々はやはりそれなりの訓練も必要だと思います、予行演習も必要だと思いますから、それはぜひとも徹底してやっていただきたいと思うんです。

 そこから先、懸念するのは、では、どういう警備までを、任務を任されるのかということでございます。

 例えばロンドン・オリンピックのときは、実は会場周辺のビルの屋上に地対空ミサイルまで配備をした、あるいは、航空機によるテロもあるかもしれないということで、ロンドンの近郊の空港には迎撃機が待機をしたというようなところまで実は行われていたんです。

 日本は、例えばの話、要請によっては、地対空ミサイルを持ってオリンピックの競技場の周辺にいるなんということはあり得るんですか。大臣、いかがですか。

 いろいろな可能性を考えた場合、まさにテロ対策というのは、やっても取り越し苦労はないわけでありまして、どこまでを本当に自衛隊が警備できるのか、あるいは我が国の一般常識の中でできるかということについては、そういう検討はされたことはありますか。

槌道政府参考人 今お尋ねの、まず、自衛隊法の百条の三でございますけれども、これはあくまでも、この法律をごらんいただいてわかるように、こうした事務を協力するということでございます。

 他方、渡辺先生御指摘の、例えば対空ミサイルを発射するとかということになりますと、これは、この法律に基づく対処というのは困難だろうというように思います。

 したがいまして、この要請に基づいて行う事務というのはこの範囲ということでございますけれども、今おっしゃったような対空警戒ですとか、そういうものが必要かどうかということについては、仮に必要があるとすれば、それぞれの自衛隊法の別途の規定に基づいて、その法律の根拠条文に照らして判断して対処するということになろうかと思います。

渡辺(周)委員 確認ですけれども、その場合、施行令を変えて、警備ということを入れる。その警備の範囲はどこまでかということはちょっとまた改めて議論しますけれども、会場内外の整理なんというところでは、とても地対空ミサイルをもって警戒することは、これは内外の整理ではないわけであります。

 ただ、組織委員会は、あくまでもテロ対策、過去のオリンピックを見ても、このテロ対策ということを考えて、もちろん一義的には警察だということにはなりますが、さらにその脅威の度合いによっては、民間でも警察でもない、自衛隊の力をかりなきゃいけないというようなことになった場合は、当然、施行令を変えてでも、これは警備ということで、そこまでも考えなければいけないということになるんじゃないですか。いかがですか。

岩屋国務大臣 今局長から説明させていただいたように、自衛隊法によるこういう競技への協力というのは、あくまでも会場内外の整理ということにとどまるということですけれども、その他のもし具体的な脅威が発生した場合は、他の規定、法令に基づいてしっかり、当然自衛隊は対処することになるわけでございますが、会場警備については、渡辺先生おっしゃるように、一義的には警察あるいは民間の警備員によってなされるものでありますけれども、やはり人員的に非常に足りないという状況の中で、防衛省ができるサポート、警備のサポートみたいなことはしっかりやらせていただきたい。

 他の脅威については、他の法令、規定に基づいてしっかり対応できる体制は整っているというふうに考えております。

渡辺(周)委員 また改めての機会に、これはもうちょっと具体的になってきた時点でまた伺いたいと思います。

 もう時間がないので次の質問に移りますが、次に馬毛島の話をちょっと伺います。

 二〇一一年、我々の政権のときですけれども、日米合意で馬毛島が明記されました。FCLPの場所として、訓練場所として鹿児島県の馬毛島が適地であるということが明記をされまして、以来、今日まで大分時間がたっております。

 地権者でありますタストン・エアポート、九九%の土地を持っているタストン・エアポートという会社と、当時のいろいろな交渉のいきさつについては、私どもも当事者として断片的には聞いております。

 昨年度、二〇一八年度の末までに、ことしの三月三十一日までに、百六十億円という、我々が当初想定していた金額をはるかに超えるような額で購入がされるというような一部報道がございましたけれども、ここへ来て、どうも交渉相手の方のまたいろいろ、代表がかわるようなことが、これは一部報道で、週刊誌の記事ではありますけれども、あった。

 実際どういう状況になっているかはわかりにくいんですが、この馬毛島の取得に向けての状況というのは、現状、どうなっていますか。そこのところを大臣に伺います。

岩屋国務大臣 今先生御指摘のタストン・エアポート社との間で売買契約の締結に向けて引き続き協議を行っているところでございますが、今お話しもあった先方の状況などもございまして、この段階で見通しについてお答えすることは差し控えさせていただきたいと思いますが、私どもとしては、できるだけこの協議を急ぎ、売買契約の締結を行いたい、こういうふうに考えております。

渡辺(周)委員 あわせて、この馬毛島から遺跡が出てきたと。それも相当古代の遺跡が出てきて、それも実はこの買収計画に影響するのではないかというような話もありますが、その点についてはどれぐらいの時間がかかるんですか、この遺跡調査に。それは、地元自治体からは何か話があるんでしょうか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、馬毛島におきまして、古墳時代から江戸時代のものと見られる土器ですとか人骨が見つかっております。これを受けまして、本年の二月に、馬毛島のございます西之表市が馬毛島葉山王籠遺跡について現地調査を実施したというように承知をしているところでございます。

 西之表市による調査ですとかその後の市の対応につきまして市側から説明をまだ受けていない状況でございますので、その影響につきまして、防衛省として現段階で予断することは困難な状況です。

 いずれにいたしましても、先ほど大臣から御答弁申し上げましたとおり、防衛省といたしましては、FCLP施設の確保は安全保障上の重要課題と考えているところでございますので、売買契約に向けた協議を進めるとともに、早期に恒久的な施設を整備できるよう取り組んでまいりたいと考えております。

渡辺(周)委員 遺跡の調査の結論を待ちながら、そしてその間に、交渉相手であるタストン・エアポート社の、いろいろ契約の交渉当事者がかわられたりしているということで、時間があるのかもしれませんけれども。

 あわせて、現在訓練が行われている硫黄島についてちょっとお伺いしたいのは、私も三度ほど行きました。副大臣時代に行ったんですから、もうかれこれ七年も前になりますけれども、実際、あそこにある二千六百五十メートルの滑走路は、もう相当、硫黄島という島は生きていますから、御案内のとおり、沖合にある、アメリカ軍によって沈められた船が隆起とともに海の中から姿をあらわしてくるわけですよ。前に来たときにはこのぐらいしか見えていなかった沈船が、相当な土地の、島自体の隆起によって姿をあらわしている。当然、滑走路ももう大分でこぼこになってきている。中には亀裂が入っているところもある。

 果たしてこれは、いつまで硫黄島の滑走路というのが使えるのだろうかというふうに、その場でも現地の司令とも話をしたことがあるんですが、相手は火山島、硫黄島は火山島です、実際硫黄も噴出しているし、島自体も隆起をしているというところで果たしていつまで安定的な訓練ができるかどうかということについては、非常に最近は私は情報を持っていないんですけれども、今の硫黄島というのは、あと何年ぐらい使えるんですかね。そこはどのように見通していますか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、硫黄島は火山島でございます。最近、非常に隆起現象が活発になってきておりまして、滑走路も影響を受けているところでございます。

 他方、FCLPと申しますのは、非常に安定した平らな滑走路を必要とするところでございますので、我々、必要に応じて補修作業を行っているというところでございます。

 したがいまして、滑走路がいつまでということにつきましては、確たることを申し上げることは現時点ではできませんけれども、その補修作業によりまして、現時点でFCLPの実施に支障が生じているというところではございません。

 他方で、これはもう委員御案内のところかと思いますけれども、硫黄島につきましては、現在、空母艦載機の拠点であります岩国飛行場から約一千四百キロメートル離れておりまして、その往復の際に機体にトラブルが発生した場合に緊急着陸用の飛行場を確保できないというような問題ですとか、あるいは、天候の影響によって硫黄島で訓練できない場合に、例えば、住宅密集地である厚木飛行場で行われるような可能性というのも残されておりますので、我々、恒久的なFCLP施設の整備というものが喫緊の課題であるというように考えているところでございます。

渡辺(周)委員 ぜひ、委員長に提案ですけれども、理事にも、一回みんなで硫黄島にこの委員会で行きませんか。いっぱいここで議論してもなかなか、いや、私はもう三回も行っていますけれども、ぜひ行って、硫黄島というのはどんなところかということは、やはり安保委員会で当然私は見ておくべきだと思いますので、ぜひ後刻、理事会で御協議をいただきたいと思います。

 最後、もう時間が五分前ですので、法案に触れる時間が少し減ってしまいましたけれども、今回の法案にありますサイバーの問題について、領土、領海、領空、これは明示的にわかるんですけれども、サイバーの領域というのは、一体どこからどこまでなのかということが明示ができません。

 それだけに、防衛省が今後対応するに当たって、領土、領空、領海を守るのは、一義的には警察権だけれども、次は当然、自衛権として防衛省が出る、防衛省・自衛隊が出る。

 ところが、サイバーの領域というのは、ある一部の自治体が攻撃されても、日本全国に大きな影響を与える、あるいは、防衛省とは違う官庁にサイバー攻撃を受けた場合に、例えば交通網が麻痺をしたり、原発が麻痺したり、もし誤作動するようなことになった場合には、これは防衛省所管ではないけれども、国家にとっての一大事。

 そこで、一つ大臣に伺いたいんですが、このサイバー領域というのは、第一義的にどこの省がやるのか。つまり、国土、領土、領海、領空を守るのは防衛省です。しかし、サイバー領域で、今回の法案に出てくるポンチ絵を見ても、自衛隊・防衛省のシステムを外部攻撃からどのようにして守るかという絵はありますけれども、日本国に対するサイバーの攻撃というのは一体どこがやるのかということについては、防衛省なのか、それとも政府全体で今後検討していくのか、その点についてはいかがですか。

岩屋国務大臣 基本的には政府全体ということだと思います。

 その司令塔がNISCということになるんだと思いますし、当然、防衛省は関係省庁としてそこに協力しますが、ただ、私どもが身につけなきゃいけないのは、相手方が武力攻撃においてサイバー空間を利用する能力を妨げる能力というものを確保しなければいけないというふうに考えているところでございます。

渡辺(周)委員 そこで、ぜひ、今後検討していくのは、いわゆるサイバー領域における周辺事態というか、サイバー領域におけるグレーゾーン事態というか、そこのところは検討されていますか。

 つまり、この問題というのは、私ども、では答えを持っているかといったら非常に難しいことなんですが、その点については、サイバー空間における、サイバー領域における周辺事態あるいはグレーゾーン事態に対して今後どう取り組んでいくのかということが一点。それが一つの立法事実となって今回の法案が出てこなければ、本末転倒だと思います。

 もう一点は、二問目の質問、もう時間がないからあわせて伺いますが、大臣と昨年夏に、これは情報監視審査会で御一緒しました、イスラエルに行って、コペンハーゲン、フィンランドに行きました。フィンランドのヘルシンキでは、いわゆるハイブリッド攻撃、ロシアからのハイブリッド攻撃です、インターネット等、あるいは国内を分断させるさまざまなことを使って、それは、このハイブリッド攻撃がロシアにとっては兵器化しようとしている。サイバーもです。

 ということで、我々も相当いろいろなやりとりをしましたけれども、こうしたハイブリッド攻撃に対して、いわゆる国論を二分するような、あるいは選挙に介入するような、いわゆる今まで想定していた軍事攻撃とは違う形での国内騒乱状態をつくるというような今のハイブリッド戦について防衛省がどう認識をされているのか。あるいは、政府や防衛省の経験値をどう日本政府の中で共有するかというここについては、大臣、せっかく行った仲として、その辺どんなふうに感想を持って今防衛大臣として取り組んでいるのか、二問目として伺いたいと思います。

岩屋国務大臣 サイバー空間におけるグレーゾーン事態への対処というのはやはりなかなか難しいけれども、しっかり検討しなければいけない課題だと思っておりまして、更に研究を加速したいと思っております。

 それから、ロシアによるクリミア攻撃のときなんかはまさにそういうハイブリッド戦だったと承知しておりまして、もうそういうふうに軍事技術がそこまで変わってきているということをよく認識して、まさに、多次元な防衛力をしっかり構築するために努力をしてまいりたいというふうに考えております。

渡辺(周)委員 終わります。

岸委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 週末に東村高江で起こった問題について最初に伺っておきます。

 集落を取り囲むように米軍ヘリやオスプレイの着陸帯が建設をされた東村高江で、住民が抗議活動のために設置していたテントや掲示物などが米軍に撤去されました。事前の警告もなく、住民が不在になった三日の夕方から翌朝までの間に撤去されていました。住民からは、全国の支援による思いのこもったものだ、米軍なら問答無用が許されるまさに治外法権だ、こういう怒りの声が上がっています。

 米軍は、沖縄の地元紙の取材に、昨年六月から沖縄防衛局と協議していたと答えています。防衛省、これは事実ですか。米軍には何と言っていたんですか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の件でございますが、北部訓練場の施設・区域内に昨年六月から設置をされておりました御指摘のテントでございます。今月の三日、米軍が撤去したというように承知をしております。

 日米間では、このテントが設置をされました当初の昨年の六月から、その取扱いについて協議、議論をしてきたところでございます。米側とのやりとりの詳細については差し控えさせていただきたいと思いますが、米側は早期の撤去を求めていたところ、日本側は沖縄県に是正措置を依頼してきたというところでございます。

赤嶺委員 米軍がテントを撤去できる根拠は何ですか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 米軍は、日米地位協定に基づきまして、施設及び区域内におきまして、「それらの設定、運営、警護及び管理のため必要なすべての措置を執ることができる。」とされているところ、今回の措置も、この地位協定に基づいて実施をしたものというように説明をしているところでございます。

赤嶺委員 防衛省もそのように考えているんですか。

中村政府参考人 米側はそのように説明を行っているというように承知をしております。

赤嶺委員 非常に曖昧でありますがね。

 米軍の管理権、米軍が主張をすると言っておりましたが、私も週末に改めて現地に行ってきました。米軍基地と道路の境界を示すくいがあって、テントはその外側、つまり、道路側に設置をされているんです。道路の管理者は沖縄県です。なぜ米軍が勝手に撤去をできるんですか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 このテントが設置をされておりましたところは、元来米軍の施設及び区域でございまして、沖縄県と共同使用を行っているという区域でございます。

赤嶺委員 共同使用を行っている地域で、米軍が勝手に県民の財産や私物や、あるいはそういう施設類を撤去したり壊したりできるんですか。そんなのできませんでしょう。米軍は誰から許可をもらったんですか。誰からももらっていませんよ。勝手に米軍が基地の外に出てきて行動をしたら、県民はどういう感情になるかわかりますか、防衛大臣。そんな勝手なことはできないでしょう。日本は主権国家でしょう。主権のあるところがこういうことをちゃんとやるべきじゃないですか。二度とやはりこういうことをやるべきではない。

 そもそもあの人たちは、オスプレイの着陸帯がつくられて夜も眠られないような騒音や爆音に苦しめられて、耐えがたい気持ちでああいう抗議の声を上げているわけですよ。沖縄の人が基地で苦しめられて、抗議の声も上げちゃいけないんですか。米軍のそういう勝手な行動を許すんですか。大臣、いかがですか。

岩屋国務大臣 御指摘のテント等が米軍の施設・区域内に設置されていたことから、同二十六日というのは、昨年の六月二十六日に沖縄防衛局から道路管理者である沖縄県に対しまして、必要な是正措置をとるように依頼を行ったところでございますが、その後、沖縄県からは、必要な措置について検討する旨回答を得ていましたけれども、その後、是正措置がとられることがなかったというところでございます。

 他方、今説明させていただいたように、米軍は、日米地位協定に基づいて、施設・区域内において、「それらの設定、運営、警護及び管理のため必要なすべての措置を執ることができる。」とされているところでございますので、今回の措置も、その地位協定に基づくものと説明をしているところでございます。

赤嶺委員 そこは共同使用区域ですよ。管理者は沖縄県ですよ。米軍じゃないですよ。

 米軍が、そういうところまで地位協定だからできると言っていたら、日本は主権がない状態になりますよ。絶対にそういうことは繰り返すべきではないということを防衛大臣は米軍に申し入れるべきであります。

 次の質問に移ります。

 次は、きょうは米軍の訓練空域の問題について確認をしていきたいと思います。

 沖縄県の上空には、日米地位協定などによって米軍に使用を認めている空域が二十カ所あります。沖縄の空の大部分が米軍の訓練空域で占められております。沖縄県によれば、面積は約九万五千四百十六平方キロメートルに及んでおり、北海道のほぼ一・一倍もの広さになります。これらの米軍空域に民間の航空機が入ることは制限をされており、民間機の安全な運航に影響を与えています。

 きょうは資料を出しておりますが、資料の一枚目の新聞記事にもありますように、米軍の訓練空域がパイロットにどれほど負担をかけているのか、詳しく報道されています。

 悪天候の際、雷雲を避けて飛ぼうとしても、そこには米軍の訓練空域が立ちはだかっている。管制に訓練空域内への進入を要請しても、時間がかかり過ぎて最善の回避方法がとれない。さらに、やむを得ず緊急時に訓練空域に突っ込む場合、もし事故が起きても、それは操縦士個人の責任だという管制官の声も紹介されております。

 防衛大臣、広大な米軍の訓練空域が民間機の安全な操縦、運航に支障を与えているという認識、これはありますか。

岩屋国務大臣 米軍の訓練空域の設定等につきましては、民間航空交通の安全の確保の観点等も踏まえつつ、米側と適切に調整を行っているものと承知をしております。

 その上で、米軍機の飛行に際しては安全の確保が大前提でございますので、事故などはあってはならないことは当然でございます。防衛省としては、累次の機会を捉えまして、米側に対し、飛行に際しては安全面に最大限配慮するとともに、周辺地域に与える影響も最小限にとどめるように申入れを行ってきておりますが、引き続き、民間航空機の安全の確保の観点等も踏まえて、強く求めていきたいと思っております。

赤嶺委員 余りにも広大な訓練空域の存在がそういう問題を引き起こしているわけです。

 それで、ただでさえ民間機に影響を与えているわけですが、今度は、米軍が新たに訓練空域を拡大していることが明らかになっています。

 資料の二枚目は、嘉手納基地の第一八航空団が二〇一六年十二月二十八日に作成いたしましたレンジ・プランニング・アンド・オペレーションズ、空域計画と作戦というぐあいに訳できると思いますが、これをお配りしております。

 ここには、米軍が沖縄周辺にアルトラブと呼ばれる訓練空域を設定していることが示されております。アルトラブとは、一定の空域の中に一定時間他の航空機が飛行しないようにする管制業務上の措置だ、このように国交省は説明してきました。このアルトラブが、既存の空域の一・六倍に及ぶ形で沖縄上空には設定されているわけです。これは米軍がホームページで公開している資料であります。

 この米軍資料の中身について、防衛省は米軍と確認しておられますか。

岩屋国務大臣 お尋ねの在日米空軍第一八航空団が作成した資料に、アルトラブ、空域の一時的留保に関する記載があるということは承知をしております。

 そして、この米軍のアルトラブにつきましては、国土交通省と米軍との間で調整し、設定しているものでございます。先生今お話しあったように、当該措置は継続的なものではなくて、時間の経過によって終了するものであると承知をしておりますけれども、これ以上の詳細は、できれば国土交通省にお尋ねいただければというふうに思います。

赤嶺委員 アルトラブというのは訓練空域ですから、防衛省が責任を負うわけですよ、そういう訓練空域を提供することについては。

 私は、去年の三月にそういう報道が出されてから一年間、国土交通省が発する航空情報、これをずっと確認してきました。そうすると、第一八航空団が作成した空域計画と作戦に示されているアルトラブ空域と全く同じ範囲、同じ高度の空域を米軍が使用するという情報が、日曜日を除いて毎日発出されております。沖縄上空では、米軍が常時アルトラブを設定し、使用しているということであります。

 米軍は、実質的に訓練空域を拡大しているということではありませんか。

岩屋国務大臣 アルトラブの設定については、米軍と国交省の間の協議で定められておりますので、そこは国交省にお尋ねいただきたいというふうに思います。

 沖縄周辺には自衛隊が使用できる常設の訓練空域というのが過去は存在していなかったものですから、米軍の訓練空域を使用してきたところですけれども、平成二十七年十二月には、国交省と自衛隊・防衛省が協議した結果、自衛隊用の臨時訓練空域が設定されたところでございます。

 米国と一緒に訓練をやる場合は、当然、米軍と防衛省・自衛隊は調整をいたしますけれども、あくまでも空域の設定に関しては国交省との間で行われているということでございます。

赤嶺委員 アルトラブ訓練空域は空の米軍基地なんですよ。沖縄には空も米軍基地があり、海にもあり陸にもあるというそういう超過密状態なんですが、まさに、アルトラブという臨時の訓練空域の設定は防衛省の所管であります。管制のやり方としていろいろ国土交通省は技術的なものをやっていると思うんですが。

 嘉手納基地のホームページを更に調べてみました。JOSC、沖縄合同調整機関という組織が嘉手納基地にあり、沖縄上空の訓練空域について、一部を除き、全てを管理、調整している、このように書いてあるわけです。資料の三枚目でありますが、そこには、自衛隊も連絡員を派遣している、こう述べられているわけです。

 それが三枚目の資料でありますけれども、このJOSCが管理する米軍訓練空域のユーザーのハンドブックがあります。このハンドブックは、航空自衛隊南西方面隊が、JOSC、沖縄合同調整機関に連絡員を派遣する、このように述べているわけです。ここにあるように、空自は米軍との訓練空域の調整のために嘉手納基地に連絡員を派遣している、そういうことではありませんか。

岩屋国務大臣 現在、航空自衛隊南西航空方面隊司令部所属の自衛官一名を嘉手納連絡調整官として米軍嘉手納基地の第一八航空団に派遣をしております。なお、この調整官は、在日米空軍との連絡調整を行うために平成二十年度から派遣をしているところでございます。

 そして、この連絡調整員は、航空自衛隊の所要のために空域の使用について調整することが役目でございまして、具体的には、南西航空方面隊は空自の所要を取りまとめ、JOSCに提出し、その結果を空自に伝えるという役割を担っているところでございます。

赤嶺委員 ですから、空自の訓練の調整、それと一緒に、嘉手納基地に派遣している連絡員は、アルトラブの設定、使用について米軍と調整しているんじゃないですか。

岩屋国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、アルトラブ、空域の設定そのものは、あくまでも管制業務上の措置として国交省と米軍との間で調整され、行われているものでございます。

赤嶺委員 アルトラブの臨時訓練空域の提供については防衛省の責任なんですよ、管制の調整については国土交通省がやるかもしれませんけれども。そうじゃないですか。

岩屋国務大臣 あくまでも空域の提供でございますから、所管は国土交通省です。

赤嶺委員 空域の提供は、空の米軍基地は防衛省でしょう。空域の管制の調整が国土交通省でしょう。そこは取り違えてはいけないと思いますよ。

 さらに、そのハンドブックに何が書いてあるかといいますと、米軍の嘉手納の空軍の全ての空域と射撃場について、要請の許可、却下は、第一八航空団のスケジュール担当官、在沖艦隊活動部のスケジュール担当官及び航空自衛隊の連絡員に通知されます、このように述べております。

 防衛省・自衛隊は、沖縄周辺の米軍アルトラブ空域、これらについて、いつ誰が使っているのか、これは把握しているのではありませんか。

岩屋国務大臣 それはしておりません。

 先ほど申し上げたのは、アルトラブというのはあくまでも空域の一時的な留保でございますので、これは国交省と米軍との調整によって設定をされているということでございます。

赤嶺委員 アルトラブという、空の管制に関することは国土交通省が調整しているはずですが、アルトラブの、訓練空域の臨時の提供、これはあくまでも米軍基地ですから。防衛省は、しかも連絡調整員を嘉手納に送っている。そして、送られた嘉手納の調整員については、米軍は訓練空域に関する全ての情報を提供している、こう言っているわけですよ。ですから、連絡調整員を通じて、アルトラブがいつどこでどんなふうに設定されるかということを、防衛省はちゃんと米軍と調整して把握しているんじゃないですかということであります。

 事は民間航空機の安全にかかわる問題であります。米軍の運用ということで非常に曖昧な答弁、あるいは国土交通省だというような話にはならないと思います。

 航空関係者でつくる航空安全推進連絡会議は、毎年行っている政府の要請で、悪天候空域の回避が困難であり、また、出発、到着経路の迂回を強いられているといって、軍事空域の縮小、これを求めています。これは防衛省がやらなければいけません。

 米軍の訓練空域は縮小すべきであり、ましてやアルトラブの設定など認めるべきではないということを強く求めて、ちょっと時間も少なくなりましたが、法案部分について質問をいたします。

 今回の法案では、早期警戒機などを使用する警戒航空隊の団への格上げが盛り込まれております。今後、現有の早期警戒機E2Cは全てE2Dに更新されることになっており、日米間の軍事一体化が一層進むことになります。

 二〇一四年に早期警戒機が配備された航空自衛隊那覇基地では、その後、二〇一六年に戦闘機部隊が二個飛行隊に増強をされました。年間約一万回だった自衛隊の着陸回数は一万二千回前後に増加しております。

 こうしたもとで、昨年は、F15戦闘機が管制官の待機の指示にもかかわらず滑走路に進入し、E2Cのタイヤの損傷で滑走路が一時閉鎖されるなど、民間航空機の運航に支障を与えるトラブルが相次いでおります。

 防衛大臣、自衛隊機の離着陸が増加するもとで事故が相次いでいることについてどのような認識を持っておられますか。

岩屋国務大臣 那覇基地が所在する南西航空方面隊における平成二十九年度の緊急発進回数が四百七十七回に達しておりまして、全体の半分以上を占めていることなどを含めると、非常に、先生御指摘のように、民航機の利用増加と相まって、那覇空港の過密化が進展をしている。実際に、国交省によれば、五年前に比べると着陸回数が約一万回ふえているというふうに承知をしております。

 そんな中で、昨年度は先生御指摘のような事案が起こりまして、これは民航機の正常な運航に影響を与え、また、周辺住民の皆さんに大変な御心配をおかけしたということを大変申しわけなく思っているところでございます。防衛省としては、今後このような事案が発生しないように、引き続き再発防止及び安全対策に全力を尽くしてまいります。

赤嶺委員 終わります。

    〔委員長退席、山本(と)委員長代理着席〕

山本(と)委員長代理 次に、串田誠一君。

串田委員 日本維新の会の串田でございます。

 先日、宇宙空間の質問をさせていただきましたが、先ほどからサイバー攻撃だとかハイブリッド攻撃だとかいろいろ出てまいりまして、そうなると日報などもいろいろと内容も変わってくるのかな、書き方も変わってくるのかなという、そんな感じもするんですけれども。

 昨年、イラクの日報問題というのが非常に問題になりまして、それに対する公開の容易にできるというような、そういうような作業が行われているというような話もありました。現在、どのような進捗状況なのか、お聞きをしたいと思います。

菅原政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、防衛省では、一連の南スーダンやイラクの日報をめぐる問題の再発防止策の一環として、行動命令に基づき活動する自衛隊の部隊等が作成した上級部隊への定時報告であって、防衛大臣又は上級部隊の指揮官の判断に資する日報の一元化、電子化や、これら日報の情報公開請求への対応を進めているところでございます。

 具体的に申し上げますと、防衛省の全機関から、PKO、海賊対処行動、国際緊急援助活動などの日報、約二百五十七万ページでございますけれども、これを統合幕僚監部に集約し、乱丁、落丁がないか一ページずつ精査するとともに、重複したものを整理した結果、現時点で、海外で活動した二十二件の活動等に関する約二十万ページ、これは日にちで申し上げますと約一万三千日分でございますけれども、の日報を統合幕僚監部において取りまとめたところでございます。

 また、既に御案内かと思いますけれども、昨年四月に、イラクに係る日報約一・五万ページを公開したほか、本年の三月までに、情報公開請求のございました南スーダンに係る日報約十一万ページの開示、不開示の決定通知を完了いたしました。

 現在、防衛省では、引き続き、情報公開請求のありましたその他の日報の開示作業を進めておりまして、さらに、統合幕僚監部に一元化した日報の電子化などを進めるなど、再発防止策にのっとりまして、情報公開請求等に迅速かつ的確に対応できるよう取組を継続してまいります。

 以上でございます。

串田委員 基本的に、なぜ日報というのは公開するんだろうかという疑問もあるんですけれども、大臣、この日報を公開する意義というのは何だと思われていますでしょうか。

岩屋国務大臣 日報とは、行動命令に基づいて活動する自衛隊の部隊などが作成した上級部隊への定時報告でございます。これは、防衛大臣又は上級部隊の指揮官の判断に資するものであって、当時の現場部隊の活動の状況や周辺情勢等が記載をされているところでございます。

 特に、海外のオペレーションというものはやはり後に検証される必要もあるというふうに思いますので、こういう貴重な一次資料を、情報公開請求や、あるいは国会議員からの要求等に適切に対応できるように、要は国民への説明責任を全うするということが必要だろうと思いますし、将来にわたって分析、評価し、今後に生かしていくということが重要だというふうに考えております。

 ただし、御案内のとおり、防衛省においては、やはり公開すべきでないという内容も含まれるものになりますので、そういうものは除いた上で公開に応じているということでございます。

串田委員 意義とともに、公開しない部分もあるというお話がありまして、まさに、そういう国民が心配している部分というのもあると思うんです。

 諸外国では、日報を公開しない国というのも多数あるというふうに聞いております。日報を公開するということで、こういう事態が発生した場合には日本の自衛隊はこういう行動を起こすんだという予測をさせてしまうというようなことになりますと、そういう行動を予測してそこに攻撃をかけるということがあり得るわけですから、自衛隊員の安全というものが守られないということもありますし、そもそも、そういうような予測をさせてしまうということは、これは戦略的に言うと、日本の安全保障に関しても非常に支障を来すというようなことがあると思います。

 昨年、小野寺防衛大臣のころに、ちょっと黒塗りのことがありまして、私は、それを公表するということがいいかどうかという点は非常に慎重になるべきだ、ただし、こういう不祥事が起きたときにはそれを検証する必要があるので、インカメラ方式というのを採用すべきではないかという話をさせていただきましたところ、すぐ、元検事総長も含めたインカメラ方式の審理というものを取り入れていただいたんです。

 そういうような部分で、災害派遣などは、将来的な災害の派遣に関する検証、こういう災害の派遣方法がいいのか悪いかというのは、これは検証する必要があると思うのでそれは大いに公開すべきだと思うんですが、イラクのようなそういう紛争地域に行ったことに関する日報というのは、基本的にはやはり慎重にあるべきではないかというふうに思っているんですが、この点についての見解をお伺いしたいと思うんです。

菅原政府参考人 お答え申し上げます。

 自衛隊の現地部隊が作成したいわゆる日報は、情報公開法第二条に規定されております行政文書の定義、すなわち、行政機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書であって、当該行政機関の職員が組織的に用いるものとの定義に合致するところでございます。このため防衛省では、同法に基づきまして日報の開示請求があれば、他の行政文書と同様に適切に対応していく必要があると考えております。

 一方で、今御指摘がございましたように、日報の内容のうち、個人に関する情報にかかわる箇所、また、公にすると外国等との信頼関係が損なわれるおそれがある箇所、またさらに、公にすると自衛隊の任務の効果的な遂行に支障を生じるおそれがある箇所については、委員御指摘のような、我が方の手のうちを明らかにして隊員の安全を損なうということがないように公開しないこととしておりまして、現に、イラクや南スーダン日報、措置をとっておりますけれども、黒塗りという形で保全措置を講じているところでございます。

串田委員 まさに、その黒塗りのところがインカメラ方式というような形で、国民の要するに信頼を得られるような形はとる必要があると思うんですけれども、必ずしも公開が全ていいというわけではないということの、非常にその配慮というものをしていかなければいけないのかなと思います。

 一方で、同じような意味合いなんですが、公開をすることによっていろいろな、手のうちもそうですけれども、支障を来すようなこともあって、日報自体が真実を書くことをためらうのではないか。何らかの行動を示すような形になってしまうと、例えば、そこを今三点、個人のこととか支障があるとか、そういったところは公表しないとは言いましたが、全体的な流れ自体というものは読み取れないわけではないという意味で、そういったようなことも含めて真実を書かなくなってしまうと、今度はシビリアンコントロールを非常に阻害することになるわけです。

 昨年質問させていただいたのは、大臣のところに行くのは統幕資料なんです。非常に莫大な、これはパワポなんかでつくられているんですが、日報は。それが、モーニングニュースという名前かな、そこにまず要約をされ、更に幕僚資料になると、わずか二行になって大臣のところには届くんです。

 そういう意味では、日報の本当に生々しさというのは大臣のところに届かない可能性もあるので、その点は、いろいろな紛争地域の非常に切迫した時点のときには日報なども確認をしていただきたいというのはちょっとお願いをしたいんですが、先ほどの話に戻りますと、日報を公開するということになると真実をためらう可能性があるのではないかという疑念は払拭できるのかどうかをお聞きしたいと思います。

    〔山本(と)委員長代理退席、委員長着席〕

岩屋国務大臣 先ほども説明させていただいたように、また、先生からも御指摘あったように、日報というのはその全てを開示するということではなくて、開示が不適当な部分については伏せた形で公開をするものであって、全てが公にされるものではございません。

 また、防衛省では、海外での自衛隊の活動に当たりましては、現地の情勢報告等をさまざまな手段で把握する必要があります。例えば南スーダンのときは、メール、電話、派遣施設隊長とのテレビ会議などを通じて、適時にその報告を省として受けていた。そして必要に応じて、当時は防衛大臣などが現地を視察をしております。

 こういったことを通じて、上級部隊あるいは大臣が適切な判断を行うような取組を講じなければいけないというふうに思っておりますので、こうしたことを踏まえると、現場の部隊が真実を書くことをためらうというようなことは考えられないと思っております。

串田委員 最後の質問として、今、ためらうことはないという、私もそうは思うんですが、ただ、個々の個人に任せると、いろいろな意味で個人の感覚が入り込む余地があるんじゃないかなと思うんですが、現実に日報を作成するときというのは、その日報作成者というのが一人で、その一人だけの要するに判断ででき上がるものなのか、あるいは何かそこに、この日報でいいよというチェックみたいなものが働くのかどうか、そこをちょっと最後に確認させてください。

岩屋国務大臣 日報の内容は、任務の内容や部隊の種類、活動の種類によってさまざまでございますが、過去の日報の作成作業の詳細を一概に申し上げることは困難ですけれども、一般には、日報の作成というのは、複数の担当者がそれぞれ割り当てられた所掌に関する報告を作成し、上司等の確認を経て取りまとめられるというふうに承知をしておりますので、例えば、イラクや南スーダンのあの日報の分量等を見ると、単独で作成されるものではないというふうに御理解いただきたいと思います。

串田委員 終わります。ありがとうございました。

岸委員長 次に、重徳和彦君。

重徳委員 社会保障を立て直す国民会議の重徳和彦です。

 先ほど渡辺周先生がおっしゃっていたんですけれども、サイバー領域の安全保障というのは一体どこが担うんだというようなことで、安全保障といっても防衛省だけじゃない。

 このきょう配付しております資料、記事なんですけれども、まさに民間も含めてということだと思います。この記事、きのうの日経新聞なんですが、スパイ部品を官民で排除するという方針が出されたということであります。政府は民間企業と協力し、情報機器の部品などに特殊なソフトウエアを仕込むスパイ行為の排除に乗り出すということで、政府は月内にも対応指針をまとめて、その後、官民一体で排除していく、こういうことのようですけれども、この記事の事実関係をお願いします。

三角政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の報道におきまして、経済産業省が月内にもサイバーセキュリティー対策に関する指針を取りまとめた上で産業ごとに作業部会をつくるとされていることにつきましては、事実でございます。

 サイバー空間とフィジカル空間が高度に融合するソサエティー五・〇の社会ではサプライチェーンが複雑となることから、サプライチェーン全体でのサイバーセキュリティーの確保がより重要となってまいります。

 このため、昨年七月に閣議決定されましたサイバーセキュリティ戦略におきましても、「サプライチェーンにおける脅威を明確化し、運用レベルでの対策が実施できるような業種横断的な指針を策定する」こととしております。

 これを受けまして、経済産業省におきましては、サプライチェーン全体のセキュリティー確保に向けたサイバー・フィジカル・セキュリティ対策フレームワーク、これの検討を進めておりまして、月内にも取りまとめる予定でございます。

 さらに、自動車、電力など産業分野ごとに検討体制を整え、具体的な対策を検討し、任意のガイドラインの整備などを通じまして、産業界への実装を進めてまいる所存でございます。

重徳委員 今の話、経済産業省所管ということですけれども、安全保障上も極めて重要な取組なんだと思っております。まさに、経済と安全保障の切れ目がなくなってきているというふうに感じます。

 アメリカでは、去年八月に国防授権法、権限法などとも言われますが、国防授権法というのが成立して、よく言われているように、中国のファーウェイ、ZTEなどが政府調達から排除される、こんな状況になっております。

 日本でも、昨年十二月十日には、各省庁の申合せで、情報通信機器について、これは報道ベースの言い方ですけれども、事実上、ファーウェイ、ZTEを排除することになるなんということが報じられています。

 今回のこの経産省を中心とした取組も、アメリカの国防授権法における対策と歩調をそろえるような内容なんでしょうか。

三角政府参考人 お答え申し上げます。

 国防授権法と直接の関係ではございませんが、このフレームワーク策定に当たりましては、パブリックコメント、これを英語バージョンもつくりまして、そして国際的に意見調整を行っております。そういった中で、米国などを含めて、各国の御意見を踏まえた形で策定するプロセスを経ているところでございます。

重徳委員 パブリックコメントではそうやって広く意見を求めるということですが、今の御答弁だとわからないのが、米国政府から何かしらの具体的な対応策とか、こういう基準でセキュリティー対策をとることを求められている、こういうことはあるんですか。

山内政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど委員の方から御指摘のありました政府調達に係る申合せ、昨年の十二月に決定をしてございます。

 この政府調達に係る申合せでございますが、昨年の七月に閣議決定をされました新たなサイバーセキュリティ戦略等を踏まえたものでございます。したがいまして、他国の要請等に基づくものではございません。

重徳委員 そんな直截的なものではないという御答弁なんですけれども、アメリカは、かなりはっきりと中国の製品をあるいは企業を排除するということが政府あるいは議会においても明確だと思うんですけれども、日本の場合は、アメリカの要請ではないよと言ってみたり、必ずしも特定の国、企業を排除するわけでもないよと言ってみたり、これは逆に、日本国内の企業にとってはちょっとわかりにくい面もあると思うんですよ。

 だから、その十二月の申合せにしても今回の経産省の取組にしても、民間も一緒に取り組むということではありますけれども、いろいろと不安とか心配とか不透明感があるんじゃないかと思うんですが、そのあたり、民間企業の受けとめをどのように考えておられますか。

山内政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘のとおり、この政府調達に関する申合せは、特定の企業、機器あるいは特定の国を排除することを目的としたものではございません。この申合せ、平成三十一年度、まさに今始まったところでございます。

 したがいまして、この申合せの影響について、現時点でお答えするのはなかなか難しゅうございますが、関係省庁とも連携をして、その影響については引き続き注視をしてまいりたいというふうに思っているところでございます。

重徳委員 アメリカの方はどんどんどんどん進んでいて、かなり強力に輸出管理改革法なんというのが新しくできてきた。エマージングテクノロジーズと言うらしいんですけれども、新興の先端的な産業とか、あるいは基盤的技術については輸出を制限するというか、個別の技術として特定されたものについては輸出管理の対象になって、米国外に持ち出すとか、あるいは更に第三国へ、例えば日本が更に第三国に再輸出するようなことについてもアメリカの商務省の許可が必要だ、こんなようなルールもつくりつつあるという段階だと思いますが、こういった輸出管理のようなことも、これから流れとしては日本国政府もそこに乗り出していくような、そういうことが想定されるのかどうかについてお答えください。

加野政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員御指摘の米国輸出管理法でございますけれども、米国は現在、この輸出管理改革法の規定に基づきまして、新興技術ないしエマージング技術、そして基盤技術に関する検討を今まさに行っている段階ということでございまして、具体的な規制強化が現時点では行われるに至っていないというふうに承知しております。

 我が国といたしまして、米国の規制強化の動きにつきましては、委員御指摘の点も含めまして、引き続き注視をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。

重徳委員 わかりました。

 一つ具体的な話なんですが、あすですかね、四月十日に5Gの周波数の割当てが発表されるというふうに聞いておりますけれども、これに先立って、三月の末に中国政府、これは商務部と外交部ですが、牽制してきているんです。日本政府のやり方が明らかに公平性と妥当性を欠いたものであれば両国の信頼感に動揺を与えることは確実だと言ってみたり、それから、政治的干渉には反対しているということで5Gのネットワーク周波数割当ての結果に注目していく、こんなことが中国政府の方から言われているんですけれども、参加を求められているということなんですけれども、どのような方針で、あすならあすに臨むのでしょうか。

田原政府参考人 お答えいたします。

 我が国では、今御指摘ありましたように、明日予定しております通信事業者の5G用の周波数の割当てに向けて、ことしの一月に告示した5G用の電波の割当ての方針を示す開設指針というものがございますが、それに基づきまして、今大詰めの審査をしているところでございます。

 この開設指針におきましては、通信機器の調達に当たりましては、総務省が定めています情報通信ネットワーク安全・信頼性基準ですとか、先ほどの政府調達に関する申合せ、こういったものなどに留意すべきとしております。

 これは、申請者であります民間の通信事業者に対しまして、情報の窃取ですとか破壊、情報システムの停止等の悪意ある機能が組み込まれるサプライチェーンリスクを考慮した機器の調達を促しているというものでございますが、特定の国や企業の機器調達の排除を求めるものではございません。

 したがいまして、具体的にどのような機器を調達するかというものにつきましては、各通信事業者が判断して決めるものであると考えております。

 私ども総務省といたしまして、いずれにしましても、ネットワークの安全性、信頼性の確保が重要と考えておりますので、引き続き、通信事業者においても、しっかりとこういったサイバーセキュリティー向上に向けて取り組んでいただきたいと考えております。

 以上です。

重徳委員 こういう公式の答弁では、そういうことは一切触れられませんけれども、やはり相当に中国側は意識をしているというのは間違いないことだと思います。

 一方でやはり、例えば私の地元でも日中友好協会というのがあって、本当に仲よく日中両国でやっていこうよということを、多分この委員の皆さんみんな、そういう御地元を抱えていると思いますけれども、経済と安全保障が一体化してきているということ。

 それから、きょうはちょっとまだ大臣に御答弁を求めていませんので、一つ、まさに安全保障という観点からすると、やはり衝突のエスカレーションというものを避けるために、昨年六月、ようやく海空連絡メカニズムというものがスタートしたということなんですけれども、これの今のところの運用実績について。あと一つ、ホットラインを開設するという話もあったはずなんですが、それが今どんな状況かということも含めて御答弁いただけるとありがたいと思います。

岩屋国務大臣 御指摘のように、昨年六月、十年間近くに及ぶ交渉を経まして、日中間での当局間の間で海空連絡メカニズムの運用を開始したところでございます。昨年六月の運用開始以来、適切に運用は行われておりますが、その中身については控えさせていただきたいというふうに思っております。

 それから、ホットラインについても、開設を合意しているんですけれども、現在、中国側と技術的な詳細について調整を行っておりますし、また、技術的な詳細について調整を行わなければいけないというふうに思っておりますので、できるだけ早期に開設をしたいと思っています。

重徳委員 日中友好、大事なことなんですけれども、安全保障というのはより大事だというふうに私は思っております。これからもどうぞよろしくお願いします。

 ありがとうございました。

岸委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社民党の吉川元です。

 最初に、本日議題の法案、物品役務相互提供協定関連の自衛隊法及びPKO法の改正、これが含まれておりますが、戦争法と一体となって海外での武力行使に発展する道を開くもので、社民党は反対であります。

 自衛隊法改正によって、共同訓練や海賊対処行動、機雷等の除去処理、在外邦人等の保護、輸送などの場面で、他国への物品、役務の提供が可能となります。結果として、自衛隊員を殺傷の現場にさらし、武器使用の判断によっては戦闘行為に発展しかねない危険性を飛躍的に高めるもので、断じて容認できません。

 先ほど来、他の委員も質問いたしておりましたが、私もオスプレイに関連して何点かお聞きしたいと思います。

 オスプレイの緊急着陸が頻発をしております。去る四月一日には普天間飛行場所属のMV22オスプレイが大阪伊丹空港に、三月二十七日にも普天間飛行場所属機が鹿児島県の沖永良部空港に緊急着陸したばかりです。直近一年でいうと、昨年四月二十五日に普天間飛行場所属機が鹿児島県の奄美空港、六月四日に米空軍所属機二機が奄美空港、八月十四日に普天間所属機が奄美空港、そして十月二十五日に普天間所属機が奄美空港と、米軍基地外だけでもかなりの頻度で緊急着陸を繰り返しております。また、一昨年は、まさに大臣の選挙区、地元中の地元であります大分空港にオスプレイがこれまた緊急着陸をして、十日以上にわたって空港に居座るというそういうことも発生をいたしました。

 オスプレイの緊急着陸の頻度というのは他の軍用機と比べても余りに多いと思うのですが、他の米軍機あるいは自衛隊の固定翼機や回転翼機と比べてどうなんでしょう。また、私はやはりオスプレイはもう欠陥機だというふうに思いますが、岩屋大臣の御所見を伺います。

岩屋国務大臣 オスプレイは安全上の欠陥があるのではないかということですけれども、オスプレイは、平成十七年に米国政府がその安全性、信頼性を確認した上で量産が開始されておりますし、日本国政府としても、平成二十四年、米海兵隊のオスプレイの普天間飛行場への配備に先立ちまして、分析評価チームを設置するなどして、独自に安全性を確認したところでございます。

 また、平成二十六年、我が国もこのオスプレイを導入することを決定しましたけれども、その検討過程において改めて情報収集、分析して、安全な機体であることを確認をしているところでございます。

 なお、防衛省は、平成二十八年秋から、米海兵隊の教育課程に陸自のオスプレイ要員を派遣しているところでございます。これらの要員も、オスプレイは安定した操縦、整備が可能で、信頼できる機体であるという見解を持っているところでございます。

 国内における緊急着陸と申しますか予防着陸が続いていることについては、これは、地域住民に十分に配慮して最大限の安全対策をとるよう、米側に引き続きしっかりと申し入れていきたいというふうに思っております。

吉川(元)委員 今、大臣の方からは、アメリカの政府や、あるいは日本も分析評価をして安全性を確認した。

 では、何でこんなに緊急着陸するんですか。これだけ緊急着陸しているということは、逆に言えば、その評価なるものが実は間違っていたんじゃないか。

 その点についてもう一回考えないと、これは本当に大きな事故が発生をいたしますし、大臣のお膝元の大分空港で十日以上にわたってオスプレイが、しかも情報がほとんど提供されない。地域住民は非常に不安に感じているというふうに思いますので、しっかりもう一度、ペーパーの上でいろいろな、あるいは米軍から来てこれは安全ですよと言われて安全だと言うんじゃなくて、実態としてこれだけのことが起こっているということを深刻に私は受けとめるべきだというふうに思います。

 次に、陸上自衛隊へのオスプレイ配備について、昨年十一月に国内配備延期の発表がございました。

 まず、理由は何なんでしょうか。また、今後の見通しはどうなっているのか。それから、二〇一八年度中に米国から引き渡されるとされた五機はどうなっているのか。佐賀空港以外に木更津駐屯地を暫定配備先として検討している事実はあるのか。あわせて伺います。

鈴木政府参考人 御指摘の昨年十一月の公表は、陸上自衛隊オスプレイを、米国において行う教育訓練に活用するというものでございます。

 これは、佐賀空港における施設整備が完了するまでの一時的な処置について検討した結果、訓練基盤や支援体制が整っている米国において陸自オスプレイを使用して教育訓練を行うことが陸自部隊の能力向上に効果的であり、国内への輸送後も、より安全な運用が可能となるという考えによるものでございます。

 本年三月から、米国ノースカロライナ州に所在いたします米海兵隊ニューリバー航空基地におきまして陸自パイロット、整備員などの教育訓練を実施中であり、二〇二〇年五月までに約一年間行う予定でございます。

 この教育訓練実施後のその機体の取扱いについては防衛省におきまして検討中でございまして、木更津駐屯地も含め、国内における暫定配備等、今後の方針については決定をしておらないというところでございます。

吉川(元)委員 これは以前、私も九州防衛局に佐賀空港配備の問題で申入れ等々行ったことがございます。その際にも指摘させていただいたんですけれども、どこに置くのかも決まっていない、しかも大変危険なオスプレイについて、私は、やはりこの購入自体再検討すべきだというふうに思います。普通、車を買うときですら車庫証明が要るんですよ。その車庫証明すらとっていないオスプレイをもうどんどん買う、どこに置くのかもよくわからない。こんなでたらめなことをやっていたらそれはだめだというふうに私は思いますよ。

 次に、戦争法に基づく海外の邦人救出や警護活動に必要だとして防衛省が米空軍仕様のCV22オスプレイを導入する方針を固めた、こういう報道がありました。これは事実でしょうか。それから、陸上自衛隊への配備が決定している十七機の一部をこのCV22に置きかえるという理解でよろしいのでしょうか。

鈴木政府参考人 御指摘の報道は承知しておりますが、防衛省として、在外邦人救出等の任務のための、米空軍が運用しているCV22などの専用機の導入を検討しているとの事実はございません。

 なお、陸自が導入することとしているのは米海兵隊が運用しておるMV22を日本仕様にしたV22オスプレイ十七機でございまして、もう既に予算計上もさせていただいているところでございます。

 昨年十二月に策定した新たな中期防におきましても、これらのオスプレイ以外の追加的な導入というのは計画しておりませんというところでございます。

吉川(元)委員 去る三月十四日、琉球新報が、「オスプレイ整備業務に放射性物質の管理が含まれること」や、「米軍は、木更津駐屯地に追加の整備施設を設けず、山口県の岩国基地は整備場所に適さないと業者への回答で明かした」ことなどが報じられていますが、防衛省は事実関係について把握していますか。この放射性物質はどのようなもので、機体のどこに使われているのか。整備業務に当たる労働者や、あるいは事故発生時の市民や環境への危険性についてどのように認識し、対策をとっているのでしょうか。

深山政府参考人 お答え申し上げます。

 米軍による事業者への回答につきまして詳細を御説明する立場にありませんけれども、米軍が事業者に対しまして、オスプレイ整備業務に放射性物質の管理が含まれること、現時点で木更津駐屯地で追加の施設提供を受けていないこと、米海兵隊岩国航空基地は整備要求に適さないことを説明したと承知しております。

 また、航空機のエンジン点火装置に放射性物質が使用されていることは一般的でありまして、自衛隊で使用しているCH47JやUH1J等の航空機でも使用されておりまして、海兵隊オスプレイにおいてもエンジン点火装置に放射性物質が使用されていると承知しています。

 木更津における機体整備におきましては、エンジン点火装置の整備は通常行われず、事故は起こらないものと認識していますけれども、他の航空機整備事業の場合と同様、整備事業者は、放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律の規定に基づき、必要な手続を行った上で海兵隊オスプレイを適切に整備しているところでございます。

吉川(元)委員 時間が参りましたので終わりますけれども、やはりオスプレイは大変危険なものでありますし、また、先ほども言ったとおり、どこにとめるのかも決まっていないようなものを大量に購入する、これについてはしっかりと再検討をして、我々は中止すべきだということを訴えて、質問を終わります。

岸委員長 次に、長島昭久君。

長島委員 未来日本、長島昭久です。

 まず冒頭に、防衛省設置法改正案、賛成でございます。

 前回に引き続いて、沖縄の海兵隊の存在意義について岩屋大臣と議論をさせていただきたい、このように思います。

 お手元に、先週お配りをしたものプラスもう一枚、きょう準備をさせていただきましたけれども、海兵隊というのは編成と運用が非常に特殊でありまして、いわゆるMAGTFというんです、マリン・エアグラウンド・タスクフォースというこういう編成をするようになっておりまして、海兵空地任務部隊、こういうふうに訳しているわけですけれども、最初に四つの構成要素から成るということを書かせていただきましたが、きょう、わかりやすいと思いますので、三角形の図を皆さんにお配りしているので、ちょっとそこはごらんをいただきながら聞いていただきたいと思うんです。

 この三角形も四つのブロックに分かれていまして、一番頂点になっているのが司令部機能。それから、真ん中の長方形が実戦部隊です、地上戦闘部隊。それから左側の直角三角形が、これが兵たんの部隊です、ロジスティクス。そして右の三角形が航空戦闘部隊。オスプレイとか、あるいはAV8ハリアーとかこういったもの。この四つから成り立っている。

 この四つを伸縮自在に、小さいのは、MEUと言われている二千二百名の部隊、それから一番大きい場合には、二万人から五万人と言われていますけれども、MEFと言われているマリン・エクスペディショナリー・フォースということで、ここでちょっと大規模紛争、これはもう事態の大きさによって、巨大なものから、小さい、例えば非戦闘員の救出作戦とか、あるいは人道支援、災害救援、こういったものはいわゆるMEUと言われている海兵遠征部隊、二千人ぐらいの部隊で対応する。

 これが基本的には海兵隊の運用、編成ですが、この点、事実誤認ございませんか。

槌道政府参考人 それで間違いないと思います。

長島委員 その上で沖縄の海兵隊の特徴をちょっと見ていきたいと思うんですが、一般的に海兵隊の特徴を五つにまとめてあります。これは、香田洋二さんという元自衛艦隊の司令官をやられた海将、提督でありますが、彼が書いているのをそのまま引用させていただいております。

 第一番目は、陸と空の戦力が近傍に、近いところにまとまって所在して一体化した訓練をしている。常に一体的な訓練をしている。それから二番目は、洋上展開を支援するための海軍基地がこれも近くに所在する。三番目は、実戦よりも厳しい訓練の継続実施。常に厳しい訓練を実施しているということ。四番目は、自己完結性の高い作戦能力、そして、補給が途絶した場合でも一定期間継戦できるように、事前集積船などを使って戦うことができる。五番目が、先ほど言ったいろいろな、災害救援、非戦闘員の救出などの非軍事作戦あるいはテロの制圧、こういった非正規戦から本格的な戦闘に至る幅広い各種作戦に従事することができる。

 これが一般的に言われている海兵隊の特徴でありますが、これも事実誤認ありませんね。

槌道政府参考人 一般的な特徴としてはそのようなことだと思います。

長島委員 その上で沖縄の海兵隊なんですが、一つ特徴的に言えば、三番目に関するところですが、訓練場の制約が非常に大きいんです。

 これは海兵隊の元第三海兵遠征軍に従軍をしていた幹部のメモなんですけれども、沖縄に配備されたMEU、海兵遠征部隊、一番小さい部隊、の欠陥としては、この島に適当な訓練空域がないことである。沖縄での訓練空域の使用は非常に制限されている。この島では、飛行場は夜は閉鎖して、飛行作戦が地域住民に迷惑をかけないようにしなければならない。普天間海兵隊航空基地に配備されたヘリコプターは、どんな種類の火器を積み込むのにも、嘉手納空軍基地まで行かなければならない。訓練区域外の海にあるたくさんの漁業網のため、小船艇の作戦を行うことが危険であり、費用が高くつき、時にはほとんど不可能になってしまうのである。強襲水陸両用車両の作戦はキャンプ・シュワブ区域に限られており、また、沖縄では実弾砲撃の訓練は許されていない。こうした制限は、MEUが必要とするタイプの訓練とはまさに両立しない。

 これはかなり前からこういうことが言われております。これはちょっと紹介をしておきたいと思います。

 加えて、規模が小さいこと、これも私はかなり特徴的だと思うんですが、これは三角形を見ていただきたいんですが、MEU、MEB、MEFという形で横に並べてあるんですけれども、そもそも、3MEF、沖縄を根拠地としているアメリカの第三海兵遠征軍は、ハワイと沖縄に実戦部隊が分かれて配備されておりまして、沖縄には一万八千、ハワイには九千、約二万七千ですけれども、西海岸にある第一海兵遠征軍、カリフォルニア州のキャンプ・ペンドルトンに配備をされているわけですが、こちらは八万四千人です。相当小さい。

 加えて、ここを見ていただいてわかるように、現状の海兵遠征軍でも、ブルー、水色になっているところは沖縄に所在している兵力ですけれども、歩兵一個連隊はハワイに、これは赤になっています。それから、右の航空部隊の方も、岩国に固定翼の部隊は行っております。それから、ハワイにも一部行っております。

 これが、前回も申し上げましたけれども、今進められている米軍の再編、統合計画に基づく再編によってどうなるかというのは、一番右の三角形、これは私が今回作成をいたしました。

 これを見ていただいたら一発でわかるように、三角形の頂点の司令部機能と今普天間に展開しているオスプレイ航空部隊以外は、ハワイ、岩国、グアム、そしてダーウィン、散り散りばらばらになるんです。

 これで大臣、本当に抑止力を担うだけの戦力が沖縄に、即応性の高い戦力、しかも、沖縄の地理的優位性に基づく活動というものが本当に担保されるんでしょうか。

岩屋国務大臣 今、海兵隊の機能それから運用のあり方について、わかりやすく長島先生からお話をしていただきました。

 確かに、規模については、当初は沖縄に存在する部隊そのものはそれほど大きなものではないかもしれませんけれども、沖縄に高い即応性を有する第三十一海兵機動展開隊、いわゆる31MEU等の部隊が初動対応部隊として維持されるということによって、在沖の海兵隊が、今御指摘があったような増強部隊の来援のための基盤となることによって、種々の事態への柔軟な対応が可能になるというふうに考えておるところでございます。

長島委員 今、大臣は大変大事なこと、基盤となる、これは私も認めます。普天間の基地は確かに基盤になるんです。あれだけの広いエリアに小さい部隊しか沖縄にはいないけれども、しかし、何かあったときには本土から次々に来援部隊が来る、戦闘機部隊も来る、輸送機も来る、そういうものを全部吸収するだけのスペースが普天間にはあるんです。

 ところが、辺野古に行くと、前回、大臣もお答えいただいたように、戦闘機は運用しない。しかも滑走路も短くなる。運用できる航空兵力が少なくなるんです。ステージング、つまり、基盤をつくることすらできなくなる可能性があるということをぜひ御認識をいただきたいと思いますし、私はきょう何が言いたいかというと、米軍再編は、抑止力の維持と負担の軽減、負担の軽減、負担の軽減。負担の軽減が大きい声なんです。これは、赤嶺先生始め、沖縄の声としてはまさにそのとおりだと思うんです。しかし、日本全体の安全保障を考えたときには、負担の軽減、負担の軽減、負担の軽減でこんなに散り散りばらばらになったら、本当の意味で抑止力の維持が本当にできるのかというところを私はかねがね疑問に思っておりましたので、その点も踏まえてこれからアメリカとはきちっと議論していただきたいと思いますし、私はきょう結論まではいきませんでしたけれども、次回、一般質疑の中で明らかにしていきたいというふうに思います。

 この抑止力の維持という意味での抑止力、相手のパーセプションによるところが大きいわけです。この抑止力を維持する上で、今の沖縄の部隊、それから、日本全体、日米同盟のあり方についてやはりもう一回再検討する余地があるだろうと思っているんですが、最後に大臣、一言お願いいたします。

岩屋国務大臣 先生の御指摘も承りたいと思いますけれども、普天間については、やはり沖縄の負担を軽減をするということを重視して、なおかつ、海兵隊の持っているその即応性、機動性を損なわないようなプランをつくってそれを実行しようとしているところでございまして、やはり、そういう抑止力をしっかりと維持するということを念頭に置いてこれからの事業、作業を進めさせていただきたいと思っております。

長島委員 引き続きやらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

岸委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

岸委員長 これより討論に入ります。

 討論の申出がありますので、これを許します。赤嶺政賢君。

赤嶺委員 私は、日本共産党を代表し、防衛省設置法等一部改正案に反対の討論を行います。

 自衛官定数の変更は、主に、サイバー、電磁波領域における自衛隊の体制強化に伴うものです。

 今回、防衛省・自衛隊の情報通信システム・ネットワークを二十四時間態勢で監視、防護するサイバー防衛隊を中心に約七十名を増員するとしていますが、これは、兵器のネットワーク化が進行するもとで米軍との一体化を深める自衛隊のサイバー防衛能力を抜本的に強化しようとするものです。

 また、統合幕僚監部に電磁波領域企画班を新設し、電磁波領域の統合運用について検討するとしています。

 こうした体制強化は、領域横断作戦を打ち出した日米ガイドラインを具体化するものです。大国間の軍拡競争が激化するもとで、宇宙、サイバーを含む軍事態勢の強化によって圧倒的な軍事覇権体制を維持、確立しようとする米軍事戦略に日本を深く組み込むものであり、断じて容認できません。

 政府が昨年末に閣議決定した新防衛大綱、中期防は、相手のサイバー空間の利用を妨げる能力やレーダー、通信等を無力化する能力の強化に言及しています。憲法九条を真っ向からじゅうりんする敵基地攻撃能力の保有は絶対にやめるべきです。

 日加、日仏ACSAの関連規定は、カナダ、フランス両軍への平時の物品、役務の提供権限を整備するものです。憲法違反の安保法制と一体で、平時から有事に至るあらゆる段階で米軍の軍事行動を同盟国が支援する体制を強化するものであり、断じて容認できません。

 早期警戒機などを運用する警戒航空隊の団への改編は、ガイドラインに沿った、日米一体のISR、情報収集、警戒監視、偵察活動強化の一環であり、認められません。

 東アジアに平和的環境をつくり、軍縮に踏み出すための外交努力を政府に求め、討論を終わります。

岸委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

岸委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、防衛省設置法等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

岸委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

岸委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

岸委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十分散会


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