衆議院

メインへスキップ



第9号 令和元年6月6日(木曜日)

会議録本文へ
令和元年六月六日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 岸  信夫君

   理事 大岡 敏孝君 理事 武田 良太君

   理事 中谷 真一君 理事 宮澤 博行君

   理事 山本ともひろ君 理事 本多 平直君

   理事 渡辺  周君 理事 浜地 雅一君

      江渡 聡徳君    小田原 潔君

      小野寺五典君    大西 宏幸君

      大野敬太郎君    北村 誠吾君

      国光あやの君    熊田 裕通君

      高村 正大君    鈴木 貴子君

      中谷  元君    浜田 靖一君

      宗清 皇一君    和田 義明君

      青柳陽一郎君    篠原  豪君

      寺田  学君    前原 誠司君

      佐藤 茂樹君    赤嶺 政賢君

      下地 幹郎君    広田  一君

      照屋 寛徳君    長島 昭久君

    …………………………………

   外務大臣         河野 太郎君

   防衛大臣         岩屋  毅君

   総務副大臣        佐藤ゆかり君

   経済産業副大臣      磯崎 仁彦君

   防衛大臣政務官      鈴木 貴子君

   政府参考人

   (内閣府国際平和協力本部事務局長)        岩井 文男君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 加野 幸司君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 安藤 俊英君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 齊藤  純君

   政府参考人

   (外務省総合外交政策局長)            鈴木  哲君

   政府参考人

   (外務省総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長)   吉田 朋之君

   政府参考人

   (外務省欧州局長)    正木  靖君

   政府参考人

   (外務省経済局長)    山上 信吾君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   阪田  渉君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  槌道 明宏君

   政府参考人

   (防衛省整備計画局長)  鈴木 敦夫君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  中村 吉利君

   政府参考人

   (防衛省統合幕僚監部総括官)           菅原 隆拓君

   政府参考人

   (防衛装備庁長官)    深山 延暁君

   安全保障委員会専門員   奥  克彦君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月六日

 辞任         補欠選任

  和田 義明君     宗清 皇一君

  青柳陽一郎君     寺田  学君

  重徳 和彦君     広田  一君

同日

 辞任         補欠選任

  宗清 皇一君     国光あやの君

  寺田  学君     青柳陽一郎君

  広田  一君     重徳 和彦君

同日

 辞任         補欠選任

  国光あやの君     和田 義明君

    ―――――――――――――

五月三十一日

 本土からの辺野古埋め立て用の土砂搬出計画をやめることに関する請願(志位和夫君紹介)(第一二三六号)

六月四日

 緊急出動のある自衛官の官舎の改善に関する請願(宮川典子君紹介)(第一五五七号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国の安全保障に関する件(平成三十一年度以降に係る防衛計画の大綱及び中期防衛力整備計画)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

岸委員長 これより会議を開きます。

 国の安全保障に関する件、特に平成三十一年度以降に係る防衛計画の大綱及び中期防衛力整備計画について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府国際平和協力本部事務局長岩井文男君、外務省大臣官房審議官加野幸司君、外務省大臣官房参事官安藤俊英君、外務省大臣官房参事官齊藤純君、外務省総合外交政策局長鈴木哲君、外務省総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長吉田朋之君、外務省欧州局長正木靖君、外務省経済局長山上信吾君、財務省主計局次長阪田渉君、防衛省防衛政策局長槌道明宏君、防衛省整備計画局長鈴木敦夫君、防衛省地方協力局長中村吉利君、防衛省統合幕僚監部総括官菅原隆拓君、防衛装備庁長官深山延暁君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

岸委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

岸委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。中谷元君。

中谷(元)委員 自由民主党の中谷元でございます。

 きょうは防衛大綱、中期防についてお伺いしますが、昨年末、大綱、中期防を策定されまして、敬意を表したいと思いますが、あくまでもこれはスタートラインに立つわけでありまして、これからこの内容をいかに早く、着実に実施するかということがポイントであります。

 特に、F35、イージス・アショアなど非常に高額な米国の装備品の導入が決められましたが、これを着実に整備していくための予算の裏づけ、これは中期防で二兆円の節約と付記されていますが、これは大丈夫でしょうか。

 特に、中国の軍事拡大、東シナ海、南シナ海、太平洋、インド洋での活動が活発になってまいりまして、抑止力を構えるためにはスピードが大切だと思いますけれども、果たして今のペースで間に合うかどうか。この点についてはいかがですか。

岩屋国務大臣 まず中谷先生には、元大臣として、今後の大綱、中期防の円滑な遂行に向けて御指導をよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 今、予算的にも大丈夫かというお尋ねでございましたけれども、実力としては二十七兆五千億ほど認めていただいているんですが、予算の執行としては二十五兆五千億程度をめどにするということでございますので、大変厳しい節約の努力をしなければいけないということはもう御指摘のとおりでございます。

 五年間に新規契約する物件費の総額は十七兆一千七百億円ということを今般明記をいたしておりますので、防衛省としては、この中期防に定められた所要経費によって、我が国を取り巻く安全保障環境に適切に、迅速に対応できる防衛力を整備するために全力を尽くしてまいりたいと思っておりますし、また、一層の効率化、合理化を図りまして、経費の抑制にしっかりと努めてまいりたいというふうに考えております。

中谷(元)委員 大綱では多次元脅威に対して防衛力を整備するということで、特に南西諸島は、単なる島嶼防衛ではなくて、長大な列島線防衛でありまして、全域において海上、航空、水陸機動力の発揮が必要でありまして、この統合両用戦機能を維持して、継戦体制、戦略後続機能の構築が必要でございます。

 そこで、宮古島に中距離の多目的誘導ミサイルと迫撃砲を配備をいたしました警備隊、これが三月末に設けられましたが、これの部隊に配属する火薬庫に関する報道では、この中距離多目的誘導ミサイルと迫撃砲の全弾薬を島外に撤去したということであります。

 この三月末に空の発射機と軽装備で対処を強いられる隊員が勤務についており、火砲やミサイルなしでどう戦えばいいのか、配備された隊員は有事の際の初動対応を担っている部隊でありますが、大変困惑をし、苦労していると聞いております。

 事務方は一体何をしているのかと申し上げますが、こういった安易な妥協で継戦能力を制約することがないようにしっかり対応すべきでありますが、この問題についてどう対応されるんでしょうか。

岩屋国務大臣 南西地域の防衛については、先生おっしゃるように、単なる島嶼防衛ではなくて、海域、空域、ゾーンとしてしっかり守る体制をつくっていかなければいけないというふうに思っております。

 それがために自衛隊の部隊も順次配備をさせていただいているわけですが、ただいま御指摘の宮古島の駐屯地における弾薬の保管につきましては、当初、駐屯地には小銃弾等を保管するという地元の方々に対する事前の説明とは異なる形で中距離多目的誘導弾や迫撃砲弾が搬入をされていたことで、非常にお地元の不信を買ってしまったということも事実でございます。

 したがいまして、最終的には保良鉱山地区につくる火薬庫に集約をしていくわけでございますけれども、やはりここは信頼回復が非常に大事だというふうに考えまして、一旦島外に保管することにさせていただきました。

 御指摘の即応性につきましては、平素からの警戒監視体制に万全を期すことによりまして、緊急事態の兆候が仮にある場合には緊急的に弾薬を輸送するという方策を既に確立をしております。こういった体制をしっかり構築することによりまして、部隊の即応性には決して影響が生じないように万全を期してまいりたいと考えております。

中谷(元)委員 影響がないようにということですが、このようなことでは本当に任務が果たせません。ですから、非常にみっともないことでありまして、必要なものは必要だとやはりしっかり説明をして了解をいただく努力をしておかなかったわけでありますので、早急にこれが配備されるようにお願いをする次第でございます。

 次は策源地攻撃能力について。

 これは拒否的抑止と懲罰的抑止という考えがありますが、これはやはり幅を広げて抑止体制をより強固にすると考えますが、島嶼防衛用の高速滑空弾等のスタンドオフミサイル、これにはその能力を保有をさせるかどうかということであります。

 というのは、アメリカのあの新しいNPRという「核態勢の見直し」の中で拡大抑止に失敗した場合の記述があって、不確実な未来に備えるヘッジ戦略、これは、リスクを低減し克服するために不可欠であると書かれております。しかし、大綱では、日本の防衛に米国の拡大抑止は不可欠であるとしか書かれておりません。肝心の米国は拡大抑止に失敗した場合ということも考えているわけであります。

 したがいまして、我が国の防衛においても、周辺国の核ミサイルの配備が格段に進む中に、核抑止また攻撃的な軍事力の行使というのは米国に依存する体制にありますが、米国の拡大抑止が破れた場合を考えて、我が国の拡大抑止は、拒否的抑止から懲罰的抑止と考えて策源地攻撃の能力を可能としておく必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

岩屋国務大臣 核抑止については、米国の拡大抑止によるコミットメントというのを累次の機会に確約をしてもらっているわけでございますけれども、各国の早期警戒管制能力、それから各種ミサイルの性能は著しく向上してきておりますので、こういう状況を踏まえたときに、自衛隊員の安全を確保しつつ我が国への攻撃を効果的に阻止することが可能になるように、スタンドオフ防衛能力を強化していくことが必要だというふうに考えているところでございます。

 一方で、我が国としては、いわゆる敵基地攻撃を目的とした装備体系を整備することは考えておりませんで、敵基地攻撃を行うことは想定いたしてはおりません。これについては、引き続き、日米の役割分担の中で米国の打撃力に依存をしていくということになります。

 新しい大綱のもとにおきましても、これまでのこういった日米間の基本的な役割分担を変更することは考えておらないところでございます。

中谷(元)委員 しかしながら、アメリカの肝心の「核態勢の見直し」では、拡大抑止が機能しなかった、失敗した場合という記述があります。これについては真剣に考えておかないと、今、INF条約の撤廃について、中国が、この条約をしている間に物すごい体制をつくっているんです。

 例えば、ロケット軍の要員が十万人、ICBMが二百発、中距離弾道ミサイルが三百発、短距離弾道ミサイル千百五十発、巡航ミサイル三千発、こういったINFの対象となるミサイルが二千発も中国に保有されているわけです。

 その中でも、DF21D東風、これは空母キラーと呼ばれています。東風26はグアムキラーと呼ばれています。また、長剣10というのは射程千五百、日本の米軍基地がターゲットとなっております。また、極超音速巡航ミサイルYJ12、18、これも非常に今開発をしておりますが、こういった日本を射程にする弾道ミサイルのほかに地上発射と空中発射の巡航ミサイル、これは一体どれくらい保有をしているんでしょうか。

 そしてもう一つは、航空機からの巡航ミサイルの発射、これはH6Kの爆撃機から千六百キロ射程の空中発射巡航ミサイルの訓練弾、これが目撃をされておりますけれども、こういった存在について防衛省はどの程度把握されているんでしょうか。

岩屋国務大臣 先生御指摘のように、中国が、継続的に核・ミサイル戦力や海上・航空戦力など軍事力の質、量を急速に強化してきていることは事実だと認識をしております。

 ただいまお尋ねの空中発射型のものも含めた巡航ミサイルの数については明らかにはされておりませんけれども、その上で申し上げれば、中国は、各種弾道ミサイルに加えて巡航ミサイル戦力を増強していると見られ、このうち、射程約千五百キロメートルとされる長距離巡航ミサイルCJ20については、二百五十発ほどが配備されているという指摘があります。

 また、空中発射型巡航ミサイルのプラットホームとなる航空機についても、このCJ20を六発搭載可能とされるH6K爆撃機が百機配備されているという指摘がございますし、新型のステルス爆撃機を開発中という指摘もございます。

 これ以上は我が方の情報収集・分析能力を明らかにするおそれがありますので控えますが、いずれにしても、中国のミサイル戦力の動向については、引き続き強い関心を持って注視をしてまいります。

中谷(元)委員 いずれにしてもこのミサイルにおいては、反撃能力をしのぐ飽和攻撃を仕掛けるのに十分な規模の、ミサイルの領域で中国の優位が当分続くんじゃないかと思います。

 一方、ロシアも、アバンガルド計画に従って、SS19、これの核弾頭を極超音速滑空弾に交換し始めると聞いておりますが、これは、通常、ICBMであると弾道ミサイルでありますけれども、このSS19の飛翔経路はこれとはちょっと違って、直進をするような動きもできるということで、これは弾道ミサイルの定義から外れる。そうしますと、STARTの条約の対象となるICBMではなくなるんじゃないかと思いますが、新STARTで定義する弾道ミサイルはどういうものなのか。これについて防衛省の見解を伺います。

岩屋国務大臣 今、中谷先生から御指摘がありました、アバンガルドと称する極超音速滑空兵器をロシアが開発中と承知をしております。また、このアバンガルドについては、ロシアが保有するSS19などの大陸間弾道ミサイル、ICBMに搭載することを想定しているという指摘があることも承知をしております。

 一方で、この新型兵器の性能の詳細については明らかにされていないところですけれども、こういった極超音速滑空兵器は、弾道ミサイルに搭載されて発射され、大気圏突入後、マッハ五から二十程度の極超音速で滑空飛翔、機動して目標に到達する兵器だとされておりまして、通常の弾道飛翔と比べて低い軌道を長時間飛翔し、高い機動性を有するとされております。

 こういった新しい兵器を国際社会の中でこれからどう扱っていくかということはこれからの議論だろうと思いますが、私どもとしては、年内にも実戦配備される計画があるとされているこのロシアの新しい兵器の動向を引き続きしっかりと注視してまいりたいと思っております。

中谷(元)委員 こういうことを念頭にこの中期防では、イージス・アショア、これの導入も検討されておりますが、こういったものにもやはり対応できるようにしてもらいたいんですが、その中で特にレーダーが、LMSSR、これを採用し契約したと聞いております。

 まず、当初期待されていた日本製の部品の採用、これがなくなったと聞いておりますが、これは本当でしょうか。

 また、将来、試験施設をつくって試験するように求められたと報じられていますが、これはまだ完成していないんですか。その場合に、本当に迎撃できるかどうか。そのことについて日本側がまた何らかの負担をしなければというような報道もございますけれども、新たな負担、投資が必要になってくるのか。

 それからもう一つ、ベースライン10ではなくてベースライン9を使うと聞いておりますが、もう米国も将来はSPYレーダーでベースライン10を使うと聞いております。海上自衛隊のイージス艦も10になっていくというような流れにありますが、こういったベーシックが違ったまま運用されても大丈夫なんでしょうか。

 あわせまして、こういった巡航ミサイルにどう備えていくかということについてお伺いします。

岩屋国務大臣 このイージス・アショアのレーダー、LMSSRについては、当初、日本側企業の参画の提案はありましたけれども、時間とコストの観点から、それは見送ったところでございます。

 それから、御指摘の、試験のための施設の要、不要も含めて今米側と議論をしているところでございまして、引き続き、日米間で具体的な性能確認の方法について協議を行ってまいります。

 したがって、要るか要らないかというところが決まっておらないものですから、現段階では費用についてはお答えできる段階ではございません。

 それから、もう一つのお尋ねは、ベースラインが違うのに対応できるのかというお尋ねだったと思いますが、今、米海軍が建造中の最新型の駆逐艦につきましては、新たなレーダーであるSPY6を搭載するため、このレーダーと互換性を有するベースライン10となる予定でございます。

 その上で、我が国が導入するLMSSRを搭載するイージス・アショアはベースライン9を搭載する予定でございますが、異なるベースラインの海自イージス艦が相互に情報共有、連携ができるのと同様に、今後開発されるベースライン10を搭載するイージス艦と弾道ミサイル防衛における情報共有、連携について支障が生じることはございません。

中谷(元)委員 この点についてはもうどんどん時代が進化しています。特にAI、これについて米国は、AIセンターをつくって、無人機とか画像解析とかレーダーとかどんどん研究していますので、ぜひ日本もこの共同研究に入って、ぜひこういった技術の習得をお願いしたいと思います。高い買物をしても日本企業が入れないと非常にもったいない話であります。

 それからもう一つ、統合運用の中で、今回の大綱でも、常設の統合司令部、また、南西の統合司令部、後方支援の拠点地などの創設についての記述があります。

 現在、佐賀空港でオスプレイの配備についても非常に長期間かかって難航して、このたび木更津の駐屯地に暫定配備をお願いしているところでありますが、本当に地元の皆さんの協力体制というのは大事で、こういった理解があるというところに所在しなければならないということで、木更津の皆様方の対応には大変ありがたいものがあると期待をいたしておりますが、じゃ佐賀がまとまるまでということでありますが、もう五年近くになって、全く佐賀の漁協に動きがありません。

 やはりこれは西日本に拠点が必要であって、南西の防衛も列島線防衛の一環でありますので、この両用作戦を続けるというと、やはり南西諸島の近傍の、近からず遠からずというところにこういったオスプレイの部隊とか統合の後方支援拠点が必要と書かれております。

 そういった地元の要望という点におきましては、四国の西部の宿毛市が、長い間、高知県とともに自衛隊の誘致をお願いしているところでありますけれども、早急にやはりオスプレイの飛行部隊また統合後方支援部隊を受け入れてくれる適地を幅広く検討すべきではないかと思いますが、この点はいかがでしょうか。

岩屋国務大臣 まず、オスプレイの暫定配備につきましては、先般、木更津市への御説明を開始をさせていただいたところでございまして、お地元の先生を始め、大変お世話になっております。丁寧に説明を行い、御理解をいただいてまいりたいと思っております。

 一方、先生御指摘の佐賀空港への配備につきましては、先般、佐賀県知事さんが有明海漁協の皆さんとの話合いをスタートしていただいたところでございますので、防衛省としても、側面からこの交渉を支援すべく、全力を尽くしてまいりたいというふうに思っておりまして、その間は木更津駐屯地で暫定配備をさせていただきたいということを先月二十四日に木更津市などに説明したところでございます。

 防衛省としては、現在、陸自オスプレイを高知県宿毛市に配備する計画はございませんけれども、宿毛市からは、自衛隊の後方支援の根拠地としての誘致の御要望をいただいております。大変ありがたいことだと思っております。

 現時点で後方支援のための新たな拠点を設置するという計画があるわけではありませんけれども、今後の後方支援のあり方について、どのような施策が適切か、まさに御指摘のとおり、幅広く研究、検討してまいりたいと思っております。

中谷(元)委員 ありがとうございます。

 最後に、このたびのシャングリラの会合において、日米韓、日韓、これの会談が開かれて、三カ国では、北朝鮮の完全な非核化を実現するため三カ国が連携を強化していくと一致したこと、非常にこれは重要なことだと思います。

 日米韓の結束が乱れれば北朝鮮の非核化はより困難となる。また、日韓の関係も、これは米国とともに同盟国なんです。やはり、安全保障で運命共同体であります。今、やはり北朝鮮の問題により対峙するためには、韓国としっかり話をして、危機管理として、常に正常に機能できるようにしておかなければなりません。

 そういう点で、日韓の会談が開催されたということ、また、レーダーの照射には抗議をして再発防止を求めていますけれども、特に、韓国軍が外国の艦艇が近づいたら火器管制レーダーを照射して警告するという新たな運用方針を設けたということについては、隣国同士で無用に緊張を高めるような措置でありまして、この措置の撤回を求めることも大事なことでありますが、いずれにしましても、今後、日韓の防衛協力についてはいろいろなレベルで私も進めていくべきものだと思いますし、共同訓練、国際観艦式への招待など、目に見えた日韓の防衛協力が必要でありますが、大臣として、今回の日韓の防衛相会談において、いかなる考えで行って、どういうことを話し合って、今後どうされるのか。最後にお伺いをさせていただきます。

岩屋国務大臣 さきのシャングリラでの安全保障会合で、日米韓の会合に先立ちまして日韓の防衛相会談を、非公式という形ではありましたが、行いました。

 これは、中谷先生がおっしゃるように、北朝鮮を始め、地域の安全保障上の課題に対応するためには、日韓の防衛当局間がぎくしゃくしていると、それによって日米韓の結束に乱れが出ているといったような誤ったメッセージを発することは決してよろしくないというふうに私は考えておりました。

 したがいまして、日韓の防衛相会談、非公式な会談では、もちろん、言うべきことは申し上げました。先般のような事案の再発防止を強く求めました。すれ違った点もありましたけれども、あのようなことがないようにしていこうということでは一致を見たところでございまして、あの日韓の非公式の会談の後、日米韓を行いましたので、非常に私はスムーズな話合いを行うことができたというふうに考えております。

 北朝鮮のCVIDの問題も、表現に、というかニュアンスに多少の違いはあれども、国連安保理決議をしっかり遵守させなければいけないということでも日米韓が結束していくことで一致を見ましたので、日韓の防衛当局間の関係は、今後とも、適切に判断して前向きに動かしてまいりたいというふうに考えております。

中谷(元)委員 どうもありがとうございました。

 今後とも大綱の実現に全力を挙げてください。どうもありがとうございました。

岸委員長 次に、篠原豪君。

篠原(豪)委員 おはようございます。篠原豪でございます。

 きょうも質疑の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 早速質問に入らせていただきますけれども、先日、シンガポールで開催されたアジア安保会議で米国防総省は、南シナ海の軍事基地化をほぼ完了し、台湾にも軍事的な圧力を強化している中国を念頭に、インド太平洋戦略に関する報告書を発表しました。

 これに対して岩屋防衛大臣は、来日したシャナハン米国防長官代行との会談で、改めて、「日米が掲げる「自由で開かれたインド太平洋」構想の実現に向けて、関係国と協力を強化することを確認した。」と報じられています。

 我が国は、これは専守防衛を防衛の基本方針としているため、核抑止力や敵基地攻撃能力はアメリカに依存していますけれども、安保条約上、我が国は、その見返りとして、米国への基地提供を行うことになっています。

 しかし、我が国の経済力が高まり、他方で、大戦後の米国の圧倒的な地位が現在までだんだん力が落ちてきているというようなところが揺らいでくると、これが物、物というのか、基地とお金と人、日本が基地とお金、これを物として、米軍が人というものを交換をという日米同盟の非対称性の克服、これが課題というふうにされるということになってきたのがこれまでの流れだと思います。

 興味深いのが、過去を見ますと、我が国の初の防衛大綱の成立に中心的な役割を果たした当時の久保防衛局長が、「現実にアジア海域における米第七艦隊の存在は、日本を含む米国のアジア同盟国に対する公約履行のあかしとなつている」と述べています。

 これはつまり、インド太平洋を管轄区域とする米第七艦隊がある種の国際公共財として観念されることで、これ以降、在日米軍、とりわけ米第七艦隊に日本が協力することが、まさに日米同盟の非対称性を克服する鍵となってきたというのがこれまでの流れだというふうに思っています。

 このことを冒頭述べさせていただいたのは、インド太平洋地域で展開されている日米防衛協力のあり方を考えていく上で、その原点が専守防衛を維持するためのものであるということを確認するためであります。これまでそういう流れなんです。

 したがって、これは、集団的自衛権を容認した平和安全法制、とりわけ、我が国に対する武力攻撃のおそれがないにもかかわらず自衛権の発動を許容する存立危機事態、これは専守防衛に相入れないので、関連規定、これをしっかりと見直していかなければいけないというふうに思うんです。

 このことについては、外務大臣、ちょっと所感をいただいてもよろしいですか。

河野国務大臣 専守防衛とは、相手から武力攻撃を受けたときに初めて防衛力を行使し、その態様も自衛のための必要最小限にとどめ、また、保持する防衛力も自衛のための必要最小限のものに限るなど、憲法の精神にのっとった受動的な防衛戦略の姿勢を言うものであると思います。

 新三要件のもとで許容される武力の行使は、あくまでも自衛の措置としての武力の行使に限られており、我が国又は我が国と密接な関係にある他国に対する攻撃の発生が前提であり、また、他国を防衛すること自体を目的とするものではありません。

 したがって、憲法の精神にのっとった受動的な防衛戦略の姿勢である専守防衛について、その定義、そして、それが我が国の防衛の基本方針であることにいささかの変更もございません。

 平成二十六年七月一日の閣議決定においても、我が国は戦後一貫して平和国家として歩んできており、専守防衛に徹してきた旨、そして、このような歩みを確固たるものにしなければならない旨明記しており、こうした点を踏まえれば、御指摘は当たらないと思います。

篠原(豪)委員 我々の立場は、やはり、専守防衛を守るためにこの非対称性の解消に向けてしっかりと克服をするということを考えているんだということでありまして、この非対称性の克服が、その目的が、今おっしゃってはいらっしゃいましたけれども、存立危機事態は経済的危機事態も含まれていますので、武力攻撃のおそれがなくても武力攻撃をやるということも政府の定義がありますので、専守防衛を守るために日米同盟が必要だという我々のこの論理を、これを壊してしまえば大変なことになるので、この観点からこれから質問をさせていただきたいと思います。

 まず問題となるのは米艦防護です。日米防衛協力についてお伺いします。

 自衛隊法の九十五条の二、武器等防護を根拠に、米軍艦艇のみならず、豪州軍の、オーストラリアの艦艇を、平時やグレーゾーン事態において、さらには、放置したら日本が攻撃されるおそれのある重要影響事態における後方支援活動において警護することを想定しているようですけれども、あくまでも自己保存的な武器使用にとどまるとしながらも、現場の司令官の判断次第で、武力行使、したがって集団的自衛権の行使にもなりかねないという危うさを持った規定ではないかと考えています。

 それでまず伺いたいのは、米艦防護の件数等について伺います。

 二〇一七年五月一日に房総半島沖で海上自衛隊の護衛艦「いずも」が米海軍の貨物弾薬補給艦の防護を開始をし、二日にかけて四国沖まで一緒に航行したのが最初であると報道されました。写真も新聞に載ったのは覚えていらっしゃる方も多いんじゃないかと思いますけれども、今日まで何件の警護を行ったのか、訓練の実施と実際の運用に分けてお答えください。

 また、警護が日本海側あるいは第一列島線や南シナ海の九段線の内側で行われたことがあるのか否かを教えてください。

槌道政府参考人 米軍等の武器等防護につきましては、米軍に対しまして、平成二十九年、一昨年、共同訓練の機会に、米軍の艦艇に対しまして自衛隊の艦艇が一回、米軍の航空機に対しまして自衛隊の航空機が一回、合計二回の警護を実施いたしました。また、昨年、平成三十年には、共同訓練の機会に、米軍の艦艇に対して自衛隊の艦艇が三回、米軍の航空機に対しまして自衛隊の航空機が十回、また、弾道ミサイルの警戒を含む情報収集、警戒監視活動の機会に米軍の艦艇に対して自衛隊の艦艇が三回、計十六回の警護を実施いたしました。

 公表している内容は、今後の米軍等の活動に影響を与えるおそれのない範囲で、米側と調整の上、可能な限りの情報を公開したものでございます。

 お尋ねの、警護の実施場所を含めましてこれ以上の詳細につきましては従来よりお答えを差し控えさせていただいているところでございますので、その点、御理解をいただければと思います。

篠原(豪)委員 日本海側あるいは第一列島線や南シナ海の九段線の内側で行われているかどうかというのは言えないということでありますけれども、こういったことも、なかなか実態はどうなっているんだろうということが国民の皆さんに見えないので、そこは、でき得る限りこれはしっかりと伝えていただくことも大事なんだと思いますので、きょうはもう時間がないのでそれ以上聞きませんけれども、ここは議論するところじゃないんです。議論は必要なんですけれども、そういうことはお伝えしておきます。

 自衛艦の対応ぶりです。一昨年、北朝鮮が弾道ミサイルを立て続けに発射し、米朝間で一触即発の緊張が高まる中で、警戒中の米イージス艦を海自の護衛艦が防護することを想定した場合、二〇一三年の一月に発生した東シナ海における中国海軍レーダーの照射事件のような事態が起こるのではないかということを想像しています。つまり、海上自衛隊の護衛艦艦長は、警護対象の米艦に射撃管制用レーダー波が照射されていることを察知をし、それにどう対処するべきかを判断するという想定です。

 この場合、照射された米艦は国際法的にはこれに対して攻撃しても正当防衛と認められますけれども、自衛艦はどのような対応ができるのかということ。

 仮に、レーザー照射時点で自衛艦がレーダー照射母体を攻撃した場合、国際法ではどのように判断されるのか。そして、ミサイルが実際に米艦に向かって発射された場合、これを撃ち落とすのは自己保存的な武器使用と言えるのか。

 いずれにせよ、攻撃された場合や攻撃が予測される場合に撤収や避難を行うようでは警護したことにならないんだと思うんですけれども、このことについてお答えいただければと思います。

岩屋国務大臣 自衛隊法九十五条の二に基づく警護の実施に係る判断は、米軍等の活動の目的、活動区域、自衛隊の部隊運用、活動区域における戦闘行為の発生の可能性など、あらゆる状況を勘案して防衛大臣が個別具体に判断するものでございます。

 したがって、一概にお答えすることは困難でございますけれども、その際の国際法との関係について一般論として申し上げますと、本条による武器の使用は、自衛隊と連携して我が国の防衛に資する活動に現に従事している米軍等の部隊の武器等を武力攻撃に至らない侵害から防護するための極めて受動的かつ限定的な必要最小限の行為となるものでございまして、国際法上認められるものと考えております。

 イタリアの国際人道法研究所が、米国からの英国等との実務家の参加を得て平成二十一年に取りまとめた交戦規定ハンドブック等の文書におきましても、これは非常に権威のあるものだと承知をしておりますが、他国の部隊に対する武力攻撃に至らない侵害を現場において排除することは認められ得るという考え方が示されているところでございます。

 それから、先生の最後の御質問は、ミサイルが実際に米艦に向かって発射された場合にこれを撃ち落とすというのは自己保存的な武器使用と言えるのかということだったと思いますが、これは、自衛隊法第九十五条二の武器の使用は、武器等の退避によってもその防護が不可能である場合など、他に手段がない、やむを得ない場合でなければ武器を使用することはできない、また、防護の対象の武器等が破壊された場合、あるいは、相手方が襲撃を中止し、また、逃走した場合には武器の使用ができなくなること、正当防衛又は緊急避難に当たる場合でなければ人に危害を与えてはならないことなどの厳格な要件が満たされなければならないということになっておりまして、非常に限定的、受動的、必要最小限のものでございますので、このような厳格な要件を満たす場合には、警護に当たる自衛官は本条に基づいて武器の使用を行うことができるわけでございますから、警護をしたことにならないという指摘は当たらないと思っております。

篠原(豪)委員 限定的、極めて抑制的であるけれども、結論としてはいずれもできるということですね。はい、ありがとうございます。確認させていただきました。

 そうすると、中国海軍のレーダー照射事件では、海上自衛隊の護衛艦「ゆうだち」艦長の判断で抑制した行動をとり、大事には至りませんでした。また、警護は現に戦闘行為が行われている現場では実施しないことになっていますが、そこが戦闘現場か否かの判断も艦長の判断に委ねられております。

 つまり、自衛艦艦長の判断次第で武力紛争に発展するか否かが決まるということは、戦前の軍の暴走というのが歴史上とめられなかった教訓があるので、そういったことも考えた場合に、従前の謙抑的な規定ぶりを排除した安保法制は、これはよろしくないんじゃないか、欠陥なんじゃないかというふうに考えておりますけれども、防衛大臣いかがでしょうか。

岩屋国務大臣 そもそも国際的な武力紛争が発生しておらず、また、周囲にその兆候も認められないという状況において、自衛隊が米軍等の部隊とともに活動している現場で突発的に戦闘行為になる、すなわち、国際的な武力紛争の一環として行われる、人を殺傷し又は物を破壊する行為が突発的に発生するということは想定されません。

 しかし、状況の変化によって戦闘行為であると認められる武力攻撃が発生するおそれがある場合には、自衛隊法九十五条の二によりこれに対処するということがないように、防衛大臣は速やかに警護の中止を命ずることになります。

 したがいまして、警護の実施場所が現に戦闘行為が行われている現場であるか否かの判断が艦長に委ねられているということではなくて、また、艦長の判断次第で武力紛争に発展するか否かが決まるという御指摘は当たらないものと思っております。

篠原(豪)委員 これは、確認させていただくのは大事なので確認させていただいています。国会審議ですから、法律にどういうところがあるのかということはやはりちゃんと議論していかなきゃいけないということだと思います。今の現状だけ見て、それは当たらないんじゃないかという話ではないと思うので、引き続き続けさせていただきます。

 国会監視の必要性、平和安全保障法制では、この米艦防護を実施するかどうかの判断を防衛相に委ねています。国会報告は必要とされておらず、二〇一六年末に政府が決めた運用指針によると、速やかに公表するのは、警護の実施中に特異な事象が発生した場合などに限られています。特異な事象が発生した場合。

 このままでは、国会も国民も知らないうちに海上自衛隊の艦艇が海外に派遣されて米艦を防護し、あるとき突然戦闘状態に入ったと発表されるということが起こらないとは言い切れない。

 政府はなぜ速やかに公表するのを米艦の実施中に特異な事象が発生した場合などに限ったのかを御説明いただければと思います。あわせて、国会報告の規定を入れなかったについても御説明いただければと思います。

岩屋国務大臣 米軍等の武器等防護に係る警護の実績につきましては、国民の皆様に説明責任を果たすという観点から、運用指針に基づきまして、先ほども報告いたさせましたように、一昨年及び昨年の実績を公表してきております。

 他方で、その内容につきましては、今後の米軍等の活動に影響を与えるおそれのない範囲で、米側と調整の上、可能な限り情報を公開することとしているものでございます。

 その上で、運用指針において、具体的に侵害が発生した場合など特異な事象が発生した場合は速やかに公表することとしていますが、これまでの警護においてはそのような特異な事象は認められていないところでございます。

 なお、法律上、警護の結果は国会報告の対象とされてはおりません。運用指針に当該規定はありませんけれども、国民の皆様に対する説明責任を果たすという観点から、引き続き、適切な情報公開に努めてまいりたいと思います。

篠原(豪)委員 別に、国会報告の規定を入れればいいんだと思うんですよ、内容はその程度はありますけれども。ですので、規定を入れなかったということについては、これもしっかりとまた考えてやっていきたいというふうに思います。

 次に、中国のA2AD戦略の問題についてこれはお伺いをします。

 中国は、このA2AD戦略によって、陸、海、空、水中アセットの長射程、高性能ミサイルの装備化を今推進しています。

 その代表的なものが、陸上から発射する射程千五百キロメートル程度の対艦弾道ミサイル、静粛な在来型潜水艦キロ級が装備する射程三百キロのシズラー超音速対艦巡航ミサイルなどがありまして、これらの対艦ミサイルは、米海軍の水上部隊等が装備をする対艦ミサイルより射程が長く、アウトレンジによる集中攻撃が可能で、米空母にとって大きな脅威になっています。

 このため、これに対抗しようとすると、中国の対艦ミサイルより射程が長いミサイルを装備をして、中国の対艦ミサイルが発射される前にミサイル発射母体を撃破又は無力化するアウトレンジ戦術をとること以外に方策がないことになります。

 したがって、東シナ海や南シナ海で米艦等の防護を行う場合には、敵基地攻撃が可能な長射程の巡航ミサイルを装備し、相手が対艦ミサイルを発射する前にミサイル発射母体を撃破又は無力化するアウトレンジ戦術をとることになりますけれども、政府は、こうした行為が専守防衛と相入れるかどうかということについてどう考えているのかということを伺います。

岩屋国務大臣 今、先生は特定の国や事象を対象にしてお尋ねでございますが、我が国の防衛政策は特定の国を対象としてこれに対抗していくという発想には立っておらないところでございますけれども、その上で申し上げますと、諸外国における軍事技術の著しい進展等によりまして、海上部隊と航空部隊による連携した武力攻撃が行われる場合は、その脅威が及ぶ範囲は侵攻してくる部隊の周囲数百キロに及ぶ状況になっていると認識をしております。

 自衛隊の部隊は相手の脅威の及ぶ範囲内に入って対応せざるを得ないということになるわけでございまして、こういう状況を踏まえまして、隊員の安全を確保しつつ侵攻してくる部隊に対処すべく、新たな大綱、中期防のもとでは、脅威の圏外から対応可能なスタンドオフ防衛能力を強化していくこととしたわけでございます。

 このスタンドオフ防衛能力は、あくまでも、相手から武力攻撃を受けたときに、これを排除するために必要な範囲で使用するものでございまして、軍事技術の進展に対応しつつ自衛隊員の安全を確保していくという、我が国の防衛を全うするために不可欠なものでございまして、これは必要最小限度の自衛権の行使であって、また、専守防衛の方針にも反するものではないというふうに考えております。

篠原(豪)委員 これはちなみに、近い将来、南シナ海での航行の自由作戦を実施している米艦を警護するということは考えているんでしょうか。

岩屋国務大臣 自衛隊法の第九十五条の二、すなわち米艦防護をどのような場所で適用するかということについては、対象となる米国軍隊等の部隊が自衛隊と連携して我が国の防衛に資する活動に現に従事しているかどうかということなどについて個別具体に判断すべきものであって、あらかじめ申し上げることは困難だと思っております。特定の区域、海域が法的に排除されているわけではありません。

篠原(豪)委員 まあそうですね。

 外務大臣、専守防衛について、このことについて何か今の防衛大臣と違うことがあれば、あるということで言っていただきたいですし、そのとおりだということなら、そのとおりだということでお答えください。

河野国務大臣 特に違いはございません。

篠原(豪)委員 次に、CECについて伺います。ごめんなさい。ちょっと空中給油は時間の関係で済みません。

 日米防衛協力を進めるに当たっては、大きな懸念事項が、今、共同交戦能力、このCECの運用です。

 防衛省は二〇二〇年に、敵ミサイルの位置情報を味方のイージス艦や航空機と共有するシステム、共同交戦能力、CECの運用を始めるとしています。

 CECは、衛星を介さずに瞬時に大量のデータを共有し、自衛艦のレーダーが敵ミサイルなどの位置を探知しなくても、味方レーダーが捉えれば迎撃できるシステムで、主な迎撃対象は、海面上の低空を水平飛行する巡航ミサイルや航空機とされています。

 在日米軍はイージス艦やE2Dの早期警戒機に搭載済みで、防衛省は、二〇一八年七月に進水式を行いました最新のイージス艦、これは「まや」に初めて搭載をし、そして、今後、最大十三機導入する予定の航空自衛隊の早期警戒機E2Dや陸上自衛隊のイージス・アショアにもこのCECの搭載を検討しているというふうにされています。

 問題は、まず、システムの日米の一体運用について伺いたいんですけれども、システムを日米一体で運用するケースで、内閣法制局は一九九七年に、他国軍への情報提供をめぐり、特定の国の武力行使を直接支援するために、偵察行動を伴うような情報収集を行い、これを提供することは、他国の武力行使と一体となると判断される可能性があるとの見解を公表しています。他国の武力行使に直結する偵察情報の提供が憲法九条に反する武力行使との一体化に抵触する可能性を指摘したものであります。

 CECによる日米連携が実現し、この米軍の情報をもとに自衛隊が攻撃を行う事態が現実味を帯びた場合、日本政府は合憲性を確保するためにどのような対策を考えているのか、お伺いをいたします。

岩屋国務大臣 まず、我が国に対する攻撃が発生して我が国が自衛権を行使しなければならないというときに、自衛隊の部隊が米軍から提供された情報をもとに射撃を行うことに関しては、憲法上の問題はありません。

 また、武力行使の一体化の問題が生じ得るのは、そのような事態に至っていない状況となるわけですけれども、この点につきましては、日米両国が平素から軍事情報を含め相互に必要な情報交換を行うことは当然のことであって、自衛隊が米軍に対して情報を提供したとしても、それが一般的な情報交換である限りにおいては、米軍による武力行使との一体化の問題を生ずるおそれはないと従来から政府は答弁をしてきているところでございます。

 他方で、例えば情報の提供に特定の行動が伴う場合には、例外的に他国の武力の行使と一体となると判断される可能性があるということも従来から答弁をしてきております。

 そこで、我が国がCECを導入した後の米軍との共同の運用につきましては、現時点で具体的に決まっているわけではありません。

 その上で申し上げますと、CECは、射撃指揮に使用可能な精度の高い探知・追尾情報をリアルタイムで共有するシステムでございまして、CECに基づいて自動的に攻撃が行われるというわけではなくて、攻撃方法の決定や攻撃実施の対応は、実際に射撃する側が独自に行うものでございます。

 したがいまして、このようなシステムを通じて情報を米軍に対して提供したとしても、それが一般的な情報交換の一環としての情報提供である限り、米軍による武力行使との関係で問題を生ずるおそれはないと考えております。

 こうした点も踏まえまして、今後、具体的な運用についてしっかり検討してまいりたいと思っております。

篠原(豪)委員 CECは日本も独自システムの開発に乗り出していまして、それは何の違いがあるのかとかその目的は何なのかということも、これからそれは聞いていかなきゃいけないと思うんですが、最後に一問、北朝鮮についてお伺いします。最後です。

 LMSSR、先ほど中谷議員からもお話がありましたけれども、このイージス・アショアに搭載するLMSSRは、イージス艦のレーダーの二倍以上となる千数百キロメートルの探知距離を持つと言われています。したがって、秋田に設置するとかいろいろ言われていますけれども、北方領土のロシア軍の様子が手にとるようにわかるようになり、その情報が自動的に米軍にも通報されることになると思うんです。

 これは河野外務大臣にお伺いしたいです。一つだけ、最後の質問です。

 ラブロフ外相との会談でこの辺が懸念になっているというのがあるのかどうかというところ、非常に気になるんですけれども、いかがでしょうか。

河野国務大臣 ロシア政府がどう思っているかということをお答えする立場にはございませんが、いずれにしろ、このイージス・アショアというのは我が国の防衛のシステムでございますので、ロシアが特に懸念する必要はないというふうに考えております。

篠原(豪)委員 時間ですので終わりますけれども、引き続き、またこういった機会があれば議論をさせていただきたいと思います。

 きょうはありがとうございました。

岸委員長 次に、寺田学君。

寺田(学)委員 寺田です。

 イージス・アショアの件について質問をさせていただきたいと思います。

 本題は、先ほど防衛省から提出された「イージス・アショアの配備について 秋田県・秋田市ご説明用」というこの資料の中身についてですが、岩屋大臣とはちょっと一個だけやらなきゃいけないことがありますので。

 私、差しかえでこの場に来て、イージス・アショアの件、何回かやっていますけれども、前回の答弁とその行動についての説明を聞きたいと思います。

 前回、この場に来たときに、イージス・アショアの契約の時期について質問しました。そのときに岩屋大臣ははっきりと、契約時期については地元の皆様の御理解を得るというのは前提と答弁をされました。

 まず事実確認ですが、その答弁をされたかどうか、御認識を聞きます。

岩屋国務大臣 そのように答弁いたしました。

寺田(学)委員 それでは、現在、地元の理解は得られておらず、調査結果を報告するという段階ですので、大臣が御答弁された前提というより前の段階ですけれども、イージス・アショアの契約はされましたか。

岩屋国務大臣 イージス・アショア本体二基の取得に係る契約を本年四月二十六日に米国政府と締結をいたしました。

寺田(学)委員 答弁内容と違うじゃないですか。

岩屋国務大臣 地元の御理解を得ていくというのは、このイージス・アショアの配備全体について申し上げているところでございまして、例えば、先生お地元の秋田県への説明は今始まったばかりでございまして、配備地として決定を見ているわけではございません。

 今回の契約で取得するイージスシステムは配備先の事情に影響されるものではありません。また、契約に当たっては地元に通知をさせていただいておりまして、そのときに特段の御異論はなかったものと認識をしております。

 ということは、今回の契約についても、そういった意味の御理解はいただいているものというふうに考えております。

寺田(学)委員 大臣、大臣の人間性は知っていますよ。大臣になられてから、そうやってごまかすことしかしていないじゃないですか。そういった意味でのという言い方をした以上は、違う意味で質問がされていたことはわかっているわけでしょう。当たり前でしょう。その前後を見てみればわかりますよ。大臣ははっきり言われていますよ。イージス・アショア、そのことに対して地元の理解、設置をすることの理解を得られるのが前提なんだと、その契約時期についてはっきり述べたじゃないですか。

 それなのにもかかわらず、その答弁を無視して契約したのでどういうことなのかと言ったら、また言いわけしかしないじゃないですか。全く信用性ないですよ。

岩屋国務大臣 私の答弁の言葉が足りなかったのかもしれませんけれども、イージス・アショアの契約から本体を整備するまで五年、六年という歳月がかかるわけでありまして、配備地について御理解いただけるかどうかという説明は今始まったばかりでございます。しかし、契約はさせていただくということはお地元に連絡をさせていただき、特段の御異論がなかったと承知をしておりますので、そういう意味では御理解をいただいているものと考えております。

寺田(学)委員 詭弁です。事情変更することを絶対許さないと言っているわけじゃないですよ。するんだったら、したで、ちゃんと正直に話してください。そういう姿勢が問われているということですよ。

 そうやって何でもかんでもすぐごまかして、結局のところ、虚偽答弁じゃないようなことを言うからこそ、あなたの言葉が信じられないと言っているんです。国会で答弁しているんですよ、大臣として。正式な答弁ですよ。その答弁と違う行為をしたなら、ちゃんと説明しろと言っているだけです。

 本題に移ります。

 イージス・アショアの配備について、秋田県に対して、適地であるということで説明を受けました。その資料の内容に関して私も、この分厚いもの、さあっと読みましたけれども、疑問点だらけです。

 その中で、きのう、防衛省の方が地元の県議会、市議会に出向いて説明したときを含めて、問題になっていることをちょっと説明をしていただきたいというふうに思います。

 武田先輩を含めて、ぜひ与党の皆さんにも少し注目してもらって見てもらいたいんです。防衛大臣経験者の方々、副大臣、政務官の経験者、現職の方々、いらっしゃいますけれども、こういうことが今地元に対して説明をされているということをぜひとも、中谷・元大臣もぜひ見てください。

 お手元に資料をお渡ししました。ちょっと本当に見てください。山のようにある資料の中から数枚だけピックアップした、一番最初です。

 他の国有地の検討、要は、イージス・アショアの設置を新屋演習場という、秋田市の住宅街の目の前なんですけれども、そこに設置する上で、他の国有地を検討しましたということのこれは概括表です。

 その上で条件を決めているんです。まずは日本海側に向いていること。そして一キロ平方の土地が確保できること。大臣、ちょっと聞いてください。この点も私は疑問を持っています。今回、秋田の件に関しては、民有地と県有地の購入を提案している以上、国有地に限定する必要はなくなっているんですよ、みずから防衛省として。

 ただ、そのことはまず後で議論するとして、この概括表の中で条件をつけているんです。不適とした理由、候補地がなぜ不適なのかということを、遮蔽条件、インフラ条件、その他のことで絞っていっているんですよ。その一番最初の遮蔽条件というところで、約九つ、バツがついています。武田先輩、見てください。

 一枚めくると「説明資料の正誤表」と出てきます。これは何かというと、この遮蔽条件が、要は、その国有地からの遮蔽物の角度を見たときに、イージス・アショアを設置するには不適であるということを示すために防衛省がこの資料の中で示した角度が「旧」というところです。十七度、十五度、十五度、十五度、十七度、十五度、十五度、二十度、十五度。

 このことが、きのうの説明の段階で突如として、誤りがありました、この隣の九つ全ての角度が間違っていたという資料を出してきました。

 一つずつ確認します。いつ間違いに気づきましたか。

岩屋国務大臣 一昨日でございます。

寺田(学)委員 なぜ気づいたんですか。

岩屋国務大臣 地元のメディアの方が実際に実測をされて、防衛省が示しているデータとは違うんではないかという指摘を受けたというふうに承知をしております。

寺田(学)委員 自分たちで気づけていないんですよ。もし地元紙からの指摘がなければ、このような正誤表も出てきていないんですよ。

 単純な言い間違いとか単位の間違い、書き間違いじゃないですよ。新屋演習場に置くことが適地とするために他の候補を落としていくような作業、大事な話ですよ。なぜ間違えたんですか。

岩屋国務大臣 直ちに原因を調べさせましたけれども、遮蔽の角度を計算するために地図のデータをもとに断面図を作成していたところですけれども、今般の誤りは、断面図における高さ、縦軸と、距離、横軸の縮尺が異なっていたことに気づかないまま計算するという人為的なミスによるものでございます。

 防衛省としては、こうしたことが調査結果あるいは検討結果全体への信頼性、信憑性を失墜させかねないものであって、大変申しわけなく思っております。二度とこのようなミスが生じないよう、再発防止を徹底してまいりたいと思います。

寺田(学)委員 自分でも気づけず、地元紙に言われて初めて知って、今の説明は何ですか。九つ全部ですよ。

 ちょっと資料が多いので皆さんに配っていないですけれども、本当に計算で間違えていますか。

 じゃ、この間違えて最初に出された旧数値、間違えて出された計算式を直ちに出してください。

岩屋国務大臣 今手元にはございませんが、調べて出せるものがあれば出させていただきます。

寺田(学)委員 出せるものかどうかなんて議論の余地がないでしょう、間違えた計算式でこの数字が出たんですから。その計算式を出してください。具体的に何の数字をはめて、どのようにしたらこの十七度、十五度、十五度、間違った数字が出てきたか。計算式を出してください。そんなもの出せないわけないでしょう、数字が出ているんですから。それが出せないんだったら、勝手につくった数字でしょうと推測されますよ。計算式をまず出してください。

岩屋国務大臣 計算式というほど複雑なものではなかろうと思います。断面図における高さと距離の縮尺が異なっていたということでございます。

寺田(学)委員 計算式を出してください。

岩屋国務大臣 出せる資料があれば出すと先ほどから申し上げております。今手元にありませんので。

寺田(学)委員 今出せと言っていませんよ。いや、きのうのレクの段階では言いましたよ。

 ただ、大臣みずから言っていますよ、単純な計算なんだと。計算によってこの誤った数字が導き出されたんだったら、その計算式を出すのなんて簡単でしょう。きょう出ていない時点で僕はおかしいと思いますけれども、それは今そこまで言いませんよ。

 出してください。いいですか、断言してください。そんなもの、指示すれば出せるでしょう、こんなもの。

岩屋国務大臣 出させていただきます。

寺田(学)委員 いつまでに出しますか。

岩屋国務大臣 手元にございませんので、精査の上、できるだけ早く出させていただきます。

寺田(学)委員 申しわけないんですけれども、大臣みずから単純な計算式だと言っているわけですよ。既に数字が出ているわけですよ。間違った原因も、今御答弁されましたよね。わかっているわけですよ。そんなもの、どうやって間違えたなんてすぐわかりますから。今週中に出してください。今週中に出してください、いいですか。今週中に出せるでしょう。手元にあるでしょう。

岩屋国務大臣 見てみないことには判断ができませんので、できるだけ早く出させていただきます。

寺田(学)委員 聞きたいことが山ほどあるので、できるだけ早く。まあ、出すということは断言されましたのでやりますけれども。

 もう一つ、事実確認というか認識確認をしますけれども、おとといの夜ですか、地元紙の指摘によって気づいて、きのう急遽、県議会の方に訂正表、二枚目の添付資料ですけれども、出されましたけれども、一番最初にこの厚い資料を出したのは五月二十七日、知事と市長に対する説明です。

 事実確認というか認識確認しますけれども、知事と市長に対しては誤った事実の説明をしたという認識でよろしいですか。

岩屋国務大臣 その段階ではそういうことになりますので、直ちに正しい情報を提供させていただいたところでございまして、また、おわびにも上がりたいというふうに思っております。

寺田(学)委員 まず一点。大臣、適地ということで原田副大臣が知事と市長に来られましたけれども、あなたが来るべきですよ。

 特に今回は、こんな資料全体の信頼を失う大きな誤り、それが誤りなのか、申しわけないですけれども、計算式が出るまでは捏造の可能性だってあると思っていますよ。そういうような事態ですから、大臣みずから秋田に来て事情を説明する。

 それとともに、前大臣の小野寺大臣にも確認しましたけれども、小野寺大臣は現場に来られていますよ。岩屋大臣は、適地と秋田に言っているにもかかわらず、まだ見ていないでしょう。住宅街の目の前ですよ。来ることを約束してください。

岩屋国務大臣 秋田にしても山口にしても、適切な時期にお邪魔させていただきたいと考えております。

寺田(学)委員 優しく言っている間にちゃんと行ってくださいよ。

 今回、こういうようなずさんなことを県民に示したんですよ。過ちがあった場合に説明に上がるのは、それは早ければ早いほどいいでしょう。お忙しいと思いますけれども、できるだけ早く秋田に来て説明しませんか。そしてまた、現場を見ませんか。お約束してください。

岩屋国務大臣 今般のミスについてはまずおわびを申し上げておりますし、また、現地の担当者にも適切に対応するように指示をいたしております。

 秋田、そして山口、適切な時期に私も必ずお邪魔させていただくつもりでございます。

寺田(学)委員 本当に疑っていますよ、防衛省のこと。秋田の人たちは人がいいんですよ。いろいろなことは目をつぶっていられますが、こんなに県民をばかにしたような資料を出されたら、さすがに県民だって黙っていられないですよ。設置することの是非のもうはるか前の段階の、信頼関係の問題ですよ。皆さんが言う説明が信用たり得るものなのか、そういうことが問われているんですよ。もう少し深刻に考えてください。

 今回、二枚目の資料にある正誤表、大きな誤りがありました。九つ全部です。結局、ここで誤った、ないしは、もしかしたら捏造された数字によってはじかれたことで、この地域の検討というのはされていません。その後のフィルターです、インフラの条件、機能、役割の条件、住宅地からの距離の条件、そういうことが検討されていないんです。きのうのレクの段階でも、精査していませんと私は受けました。

 ただ、きのう、県議会の段階では、きのうの朝、突如としてこういう正誤表を出したにもかかわらず、この色がかかっているところと白いところ、十度以下というところの基準を引いているようですけれども、この十度以下に関して、一切この本体資料にないような、インフラ条件が整っていません、そういうような新たな事実をその場で口頭で加えて不適地だと説明したと聞いています。

 いいかげんですよ。はっきり言って、この調査は最初からやり直すべきですよ。それが信頼回復の第一歩ですよ。

 大臣、二つ聞きますけれども、まず一個目から。再調査しませんか。

岩屋国務大臣 他の国有地の検討におきましては、遮蔽条件を満たした国有地について、インフラ条件や機能、役割等の条件を満たすか否かを検討することとしております。つまり、遮蔽条件を満たしていない国有地については、その他の条件については判断を下していないということでございます。

 他方で、遮蔽条件を満たしていない国有地につきましても、これまでの過程において、必要に応じて現地確認や関係省庁へのヒアリングなどを実施しておりまして、インフラ条件等のデータの蓄積はしているところでございます。

 今般のデータの修正に伴いまして、周囲に遮蔽物となり得るものがある八カ所の国有地のうち四カ所につきましては、遮蔽の角度だけでは配備候補地になり得ないとの判断ができなくなりました。

 したがいまして、これらにつきましては他の条件との関係で検討することになりますが、これまで蓄積してきたデータに鑑み、これらの国有地については、いずれも、インフラや機能、役割の観点から配備候補地にはなり得ないものと現時点では考えておりますけれども、速やかに内容を精査し、お地元に説明をさせていただきたいと考えております。

寺田(学)委員 いろいろ御答弁されましたけれども、最終的に、資料二枚目に色かけではない白地の十度以下の部分は、遮蔽物があるからと言って不適とはできなくなりました、データの誤りを正した結果。その四カ所は、さまざま今までのデータが蓄積されているのでインフラ条件等で適してはいないと考えていると御答弁でしたね、うなずかれていますけれども。そのことを一枚目の概括表に書かれていますか。書かれているか書かれていないか聞いているんです。書いていないでしょう。

岩屋国務大臣 精査して地元に改めて説明をさせていただきますと申し上げております。(寺田(学)委員「書いているかどうか聞いているんです。全然関係ない話」と呼ぶ)

岸委員長 もう一回、寺田君。

寺田(学)委員 この一枚目の概括表に、そのインフラ条件が不適になるんだということはバツになっていないでしょう。書いていますかと聞いているんです。

岩屋国務大臣 書いていないので、精査をしてまた改めてしっかりと説明をさせていただきます。

寺田(学)委員 それではいいですか、言葉の整理をしますけれども、この遮蔽条件二ということでバツになった八つのうち四つは実はバツじゃなかったということが、地元紙の指摘によって再計算した結果、そうなったわけですよ。そのことが、他の要件、インフラ要件ですけれども、で不適に当たるかどうかをしっかり再調査されるでよろしいですか。

岩屋国務大臣 蓄積したデータをもとに精査をして、その結果をしっかりとまた説明をさせていただきます。

寺田(学)委員 最初からデータは持っているんですか、じゃ。

岩屋国務大臣 先ほど申し上げたように、その他のインフラでありますとかさまざまな条件についてのデータは、検討の過程で得ております。

寺田(学)委員 本当にいいかげんですね。大臣、開き直って言うところじゃないですよ。(岩屋国務大臣「いいかげんじゃない。開き直ってない。事実だもん」と呼ぶ)開き直って言うところじゃないですよ。

 あなたたちがやったことがどういうことかともう少し真摯に考えてくださいよ。こんな住宅地の目の前にいきなりイージス・アショアを置くと言われて、住民が本当に困っている中で、ほかに置くところがないんですと言った資料が全くのずさんだったということですよ。出し直しですよ、こんなもの、はっきり言って。誠意ってそういうものですよ。人間関係の信頼関係ってそういうものでしょう。

 八分しか残りないので他のことに行きますけれども、今回、こんなずさんな調査結果を示した上で、その上で、新屋演習場に配備するために、県有地の取得というのを提案されました。一部、民有地も入ります。この時点で、国有地に絞って他の地域を調べている時点でどうかしていると思いますけれども、まず、その部分の議論は後に置いておいて、県有地の取得というものを、提案をみずから防衛省がされました。

 これははっきりさせたいんですけれども、県有地の取得がかなわない場合は、この新屋演習場にイージス・アショアを設置することはありませんか。

岩屋国務大臣 まずそのお尋ねにお答えする前に、私どもとしては、今回のこの調査におけるミス、計算におけるミス、本当に申しわけないことだと思っておりまして、信頼を回復するために最大限の努力をしてまいりたいと思っております。

 お尋ねでございますけれども、県有地を取得しない場合でありましても、イージス・アショアを、仮に、新屋演習場において安全に配備、運用することは可能だというふうに考えております。これは、レーダーの施設とVLS、ミサイル発射装置の保安距離につきましては、演習場の敷地内にこれらをおさめる形で配備することが可能であるためでございます。

 しかし、緩衝地帯を確保すると、レーダー施設とVLSは現在の敷地境界付近に配置することになりますので、警備に万全を期すという観点から、可能な限り敷地境界から施設までの距離を確保することとさせていただきたいと思っておりまして、したがいまして、その演習場西側一帯の県有地を取得させていただきたいと考えているところでございます。

 取得できない場合であっても、配備、運用が可能であるというふうに考えております。

寺田(学)委員 言葉をちゃんと詰めて言います。配備可能かどうかじゃないんです。政府として配備するかどうかを聞いているんです。

 二百三十メートル、二百五十メートルの説明は私も聞いています。安全に装備品として設置することは可能ですけれども、今回、もろもろのことを、政治的なことですよ、知事からの話、住民から防衛省が受けたと感じている話を含めて、県有地の取得を提案されているわけです。この提案自体が必ず必要なものなのか、必要じゃないものなのか。これは防衛装備品として聞いているんじゃないです。政治判断として県有地の取得は必ず必要だと考えているのか、それがなくとも設置し得るのか、することの判断ができるのか。できると言うと誤解を生みますね。防衛大臣として判断するのかしないのか、そのことを聞いているんです。端的にお答えください。

岩屋国務大臣 県有地の取得ということになりますから、知事さんはもとよりですけれども、議会の御判断もいただかなければいけないというふうに思います。今その説明を始めたところでございますから、仮定の御質問に今お答えするのは適切ではないと思います。

 私どもとしては、議会の御判断もいただいた上で県有地を取得させていただいて配備することが望ましいと思っておりますけれども、今から御判断をいただくことだろうと思いますので、これ以上は控えさせていただきたいと思います。

寺田(学)委員 仮定のことに質問できないって、これは全部仮定ですよ、設置した場合どうするかという話じゃないですか。何を言っているんですか。

 もう一個、違う角度で聞きますけれども、県有地の売却は県議会の議決が必要ですけれども、県有地売却の県議会の議決をもって住民の理解を得たと判断することはあり得ますか。

岩屋国務大臣 何をもって地元の理解を得るかというのは、これもいつも、何というか、水かけ論争みたいになりますけれども、さまざまな角度から総合的に判断しないといけないと思いますので、県議会の御判断だけをもってというわけにはいかないのではないかと思っています。

寺田(学)委員 さまざまな要素を総合的に勘案して地元の理解というものを判断されるのはわかっています、御答弁どおりなので。そのさまざまな要素の要素が何であるかということははっきりさせた方が私はいいと思います。

 知事と市長の了解というものはマストですよね。これははっきり言ってください。

岩屋国務大臣 要素をあらかじめ全部例示するというわけにはいかないと思いますが、知事さんや市長さんの御理解を得るということは前提だろうというふうに考えております。

寺田(学)委員 あなたの前提という言葉に信頼性がないことは最初の質問でやりましたので、マストかどうかということを聞いているんです。

岩屋国務大臣 今、そのようにお答えしたと思います。

寺田(学)委員 マストかどうか、必ず必要かどうか聞いているんです。イエスかノーです。

岩屋国務大臣 何度も申し上げますけれども、地元の御理解というのはさまざまな角度から総合的に判断しなければいけないと思っておりますが、知事さんや市長さんの御理解を得るということは前提になるというふうに思います。

寺田(学)委員 いろいろ議論が分かれるところはいいですよ、さまざまな御答弁の仕方があって。知事と市長の判断自体をはっきり言えないのは……(岩屋国務大臣「今言ったじゃないですか」と呼ぶ)じゃ、はっきり言ってください。

岩屋国務大臣 さまざまな要素を検討しなければいけませんが、お地元の首長さん、知事さんや市長さんの理解を得るということは前提だと思います。

寺田(学)委員 山口県の阿武町の町長ははっきりと反対をしていますけれども、これは、地元の理解をその阿武町に関しては得ていないという判断でよろしいですか。

岩屋国務大臣 残念ながら阿武町については、今、町長さんがしっかりと御理解いただいているという段階ではないというふうに思っておりますが、引き続き、御理解をいただくべく努力をしてまいります。

寺田(学)委員 質疑時間が終了したのであれですけれども、今、秋田の県知事が、来年中、秋田の市長が、一年、二年、もしかしたら三年、判断までかかると言っています。この資料の中には、その地元の理解を得てから、副大臣の答弁もありますけれども、県有地の工事に入って、工事は五年かかると言っています。単純な計算でも、最大で判断が三年かかって、そこから工事して五年といったら八年ですよ。もう次の中期防と防衛大綱ですよ。

 そういう現実を踏まえた上で物事を判断していただきたいし、冒頭申し上げたこともそうですけれども、信頼関係は完全に失墜していますので、直ちに秋田に来てしっかりと事情を説明することから始めていただきたい、現地を見ることから始めていただきたい、そのことを言って終わりたいと思います。

岸委員長 次に、前原誠司君。

前原委員 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。前原です。

 きょうは防衛大綱、中期防についての質問が主ということでございますので、そもそもの話から少しさせていただきたいと思います。

 前々回だったと思いますけれども、岩屋大臣とお話をいたしましたが、もちろん自衛隊の自前の能力を向上させるということも大事でありますが、それだけではなかなか日本は守れないということで、日米同盟を強化していく、維持強化していくということは大事なことであります。

 その中で、私が何で日米同盟が必要なんだと聞かれたときにお答えをすることについて中身を申し上げれば、それについて評価をいただきたいんですが、まずは、核を含めた抑止力、日本は核を持っていませんから。それから、さまざまな打撃力も含めた抑止力。それから二つ目には、矛と盾の関係と言われている、いわゆる敵基地の攻撃能力。それから三つ目は、情報収集能力。これは、衛星の数、あるいは分析、あるいは後で質問いたしますが、情報収集のためのヒューミントの組織、こういうものも含めてアメリカは絶対的に優勢であろう。それから四つ目は、装備です。こういった装備というのは、装備をつくる能力を持っている企業がある。

 こういうことでありますが、この四つ以外に岩屋大臣が、日米同盟関係においてこれが日本には足りなくてアメリカにはあるから日米同盟が必要だというものがあれば、おっしゃってください。なければ、それを前提にしてお話をしていきたいと思います。

岩屋国務大臣 いきなり難しい御質問ですけれども、おおむね、前原委員がおっしゃったような米国の能力、質的にも量的にもというものが同盟の前提になっていると思いますけれども、あえて言うと、米国というのは世界全体にさまざまな拠点を持ち、プロジェクション能力が非常に高い。それは日本を守るということだけに限った能力ではございませんけれども、ともに自由で開かれたインド太平洋を目指していこうというパートナーとしては、米国との関係が最重要であるというふうに、そういう意味からも考えているところでございます。

前原委員 おっしゃる点については私も同意をいたします。

 その上で、今回の防衛大綱で、私は常に申し上げているのは、アメリカの力をかりることは大事だし、日米同盟関係は重要だけれども、しかしながら、みずからの主体性、自主性というものをどう高めていくかといったことが大事でありますが、今回の防衛大綱、これは、どこが主体性、自主性が高まったというふうに言えるものですか。

岩屋国務大臣 新しい領域について、これも最終的には米国としっかり連携協力をしていかなければいけない分野でございますけれども、宇宙、サイバー、あるいは電磁波といった新領域について、我が国が本格的に自分たちの能力を獲得すべく努力をしていくということを銘打っているわけでございますから、これも自主的な努力の一環というふうに御理解をいただきたいというふうに思います。

 それから、これまで以上に防衛交流、あるいは、防衛関係を友好国との間で拡大していこうという努力も、これも日本の主体的な取組だというふうに思います。

 あるいは装備に関しても、将来戦闘機につきましては、「国際協力を視野に、我が国主導の開発に早期に着手する。」というふうにしております。これも我が国の主体的な取組の一つではないかというふうに思っているところです。

前原委員 おっしゃるように、宇宙、サイバー、新たな領域というものと、それから、他国の日本みずからの防衛交流の拡大、それから、後で伺いますが、装備、こういったものについての主体性がより強まっているということについてはおっしゃる面もあると思いますが、まず、先ほど私は四つ申し上げました。核を含めた抑止力、それから敵基地攻撃能力、そして情報収集能力、そして装備ということでありまして、私も大臣も恐らく前の二つについては、なかなかこれは難しいなという思いを持っておられると思います。核を持つわけにはいかない。持つべきではない。そして、敵基地攻撃能力については、これは相当慎重に判断をしなくてはいけないという中で、今回の防衛大綱については、この二つは当然ながら外れているわけです。

 となると、この情報収集能力やあるいは装備というものについて、どういう観点での主体性を増すかということについて考えたときに、不断の努力をやはりやっていかなくてはいけない、こういうふうに思います。

 その中でまず情報でありますけれども、衛星で情報収集をするということについて、日本は自前の衛星というのは数が限られていますよね。そして、私も外務大臣をやらせていただいた経験からすると、他国から購入しているわけですよ。アメリカとかフランスとか他国から購入しているということでありますが、これはやはり一次的にみずからが情報収集をできる能力というものを高めるということは大事です。他国は全部日本が欲しい情報をくれているかどうかもわかりませんし。

 そういう意味では、一義的にみずからが情報収集をできるという意味においては、まず一つは、衛星というものについて今回は基本的に入っていませんね、防衛大綱については。情報収集能力の向上ということについて。新たにこの分野について力を入れるということは入っていませんね。

 それからもう一つは、この情報収集をどう分析し、政策決定に生かしていくかということが大事なんです。

 大臣も御存じだと思いますけれども、日本には内閣情報会議というのがあるんです。内閣情報会議というものがあって、その下に合同情報会議というのもありますけれども、これは、隔週に集まって話をして意見交換をするということなんです。

 例えばイギリスにはJICというのがありまして、これはジョイント・インテリジェンス・コミッティーというんですけれども、合同情報委員会あるいは統合情報委員会、こういう両方の訳がありますけれども、これは、各情報機関、例えば外務省は外務省、防衛省なら防衛省、警察なら警察、あるいはイギリスにはMI5とかMI6とかがあるわけですけれども、そういった情報機関が集めた情報について、例えばテロ情報とかいうものは、法律で定めて上げなきゃいけない、そのJICに。そして専属のスタッフも持っていて、そして、分析をし政策にそれを反映させるということで、この情報収集については、一義的な情報をしっかりと受け取り、縦割りに情報機関が陥らずに情報をちゃんとみんなで共有をして、そして分析をし、そして政策決定に反映をする、こういうものがあるわけですけれども、私は、こういう点からすると、まだまだ日本の先ほど申し上げた自前の主体性、そして自主性を高めていくということについては足りない部分があると思うんです。

 この点についてどう考えられますか。

岩屋国務大臣 前原先生がおっしゃるのは、言うまでもなく、インフォメーションという意味ではなくてインテリジェンスという意味の情報ということだろうと思います。

 防衛省の中にも御承知のとおり情報本部がございますし、そこはそこで私はしっかり仕事をしてくれているというふうに思っております。また、主要な国には防衛駐在官が派遣されております。

 防衛省は防衛省として、インテリジェンスに関する能力を高めるべくこれからもしっかり努力をしていきたいというふうに思っておりますが、政府全体としては、これは先生御指摘のように、イギリスのような仕組みになっているかどうかはなかなか判断が難しいところですけれども、やはり、外務省そして我々防衛省、経産省等々の情報が今は内閣に集約される形になってもおります。

 しかし、インテリジェンス能力全体が我が国は十分であるかどうかといえば、まだまだ課題はたくさんあると思いますので、防衛省としても、我々ができることをしっかりやっていきたいというふうに思っています。

前原委員 私が今質問をしているのは、防衛省の中でしっかりやられるというのは、これは当たり前のことであります。それはしっかりやっていただかなくてはいけませんが、しかし、防衛省が集める、大臣のお言葉をかりると、インフォメーションというのは限られているわけですよ。

 では、外務省なら外務省がインフォメーションを持っている、あるいはそれをインテリジェンスに変えている部分もあるでしょう。あるいは警察もそうだし、あるいは麻薬とかそういうことについて言うと厚労省とか、あるいは入管ということについては法務省とか、さまざまな役所があるわけです。あるいは海保だって警察機能を持っている。国土交通省です。

 だから、こういうものを政府全体としていかに情報共有をし、そして、高い情報収集能力、統合能力、分析、政策決定に変えていくかということについて、国務大臣ですよ、防衛大臣は。つまりは、自分の省の中でそれを高めるということは当たり前のことであって、国務大臣としてそういうものをしっかりと高めていくということについてイニシアチブを発揮されませんかと。

 今回の防衛大綱には少なくともそういう観点というのが私は抜け落ちているというふうに思うんですが、いかがですか。

岩屋国務大臣 前原先生の問題意識はしっかり共有させていただいているつもりでございますけれども、そういう政府全体のインテリジェンスに対する取組方を大綱、中期防に記すことが適切かどうかということはあろうと思いますが、これからもしっかりその点に留意をして、政府全体のインテリジェンス能力を高めるべく、我々としても、言うべきことは言っていく、提案すべきことは提案をしていきたいと思っております。

前原委員 外務大臣、いかがですか。

河野国務大臣 専守防衛をうたう日本でございますから、それはウサギのような長い耳が必要だということはそのとおりなんだろうというふうに思います。もちろん、耳だけでは生きていけませんから、歯や爪というのも持っていなければいけないんだろうと思いますが、基本的には長い耳が必要だ。その長い耳をきちんと活用するためには体の各部分がきちんと結合されていなければならないというのは、委員御指摘のとおりだと思います。

前原委員 ぜひ、お二人の大臣は国務大臣として、そういう政府全体の要は情報収集能力、分析能力を高めて、そして、それぞれが言ってみればタコつぼに入らないような形での、言ってみれば日本全体のレベルを上げていくようにリードしていただきたいということを要望しておきたいと思います。

 二つ目は装備です。具体的に次期戦闘機の話をさせていただきたいというふうに思います。

 F4の後継機がF35です。F15については、改修して残すものとF35にかえるものというのがある。そして、F2については、これは二〇三五年ぐらいからですか、退役が始まるということで、新たな後継機の選定が行われて、先ほど大臣が答弁をされたように、この防衛大綱には「国際協力を視野に、我が国主導の開発に早期に着手する。」ということが書かれているわけです。この書かれていることを言ってみればお題目にしないために、幾つかやはり私は整理をしておかなきゃいけない点があるというふうに思っているわけです。

 つまりは、気合いはある、意志はある、だけれども結果的にはそうなりませんでしたというのでは、これは防衛大綱の信憑性にもかかわる話ですので、こう書いた以上は、次期戦闘機というのは、やはり日本が主体的にかかわるということにならなきゃいけないというふうに思います。

 その上で、幾つかのやはり反省も含めて考えなくてはいけないわけですが、まず事実確認で、事務方でも結構ですから御答弁いただきたいんですけれども、他国との協力を前提として、つまりは自前だけでつくるというのはなかなか難しいということで、関係国の軍需産業に情報提供依頼書をもう発出をしている。その結果として、大体三つに絞られてきているのではないかという一部報道があります。

 一つは、米空軍のF22の機体をベースにF35の電子機器を搭載した混合型の高ステルス機、二つ目は、F15の技術を活用した派生型、三つ目が、イギリスの空軍の主力戦闘機ユーロファイター・タイフーンの次世代戦闘機、これはテンペストというんですか、これを共同開発する、こういう三案にほぼ絞られたというふうに報道されていますが、これは事実でありましょうか。

深山政府参考人 お答え申し上げます。

 事実関係として申し上げますと、将来戦闘機に係る検討の一環といたしまして、これまで、国内外の企業からさまざまな情報収集を行ってきております。

 このうち、既存機の派生型、派生型というのは既にあるものの改造型というべきものですが、これについての情報を得るべく、米国や英国の企業に対して情報提供依頼、RFIと申しますが、これを発出しまして、米ロッキード・マーチン社、米ボーイング社及びイギリスBAEシステムズ社から回答を受領しておるところでございます。

 ただ、これは、いわゆる海外から来た派生機型ということに関しましてはこういうものであるということでございます。

 現在、これらの回答内容を確認、分析しておるところでございます。

前原委員 私が一番初めに申し上げたF22の機体をベースにするというのが、これはロッキード、それからF15の派生型がボーイング、それからユーロファイターの次期戦闘機テンペスト、これがイギリスのBAEシステムズということで、今、深山長官がお答えをされたところというのはほぼ報道内容と合致しているんだということはわかりました。

 じゃ、その上でこれからそういうものを中心に選定作業に入っていくんだというふうに思いますが、F2の後継機として今まで防衛省が重要であるという条件を幾つか出されていると思うんですが、時間の関係上、私が申し上げます。

 まず一つ目は、将来の航空優勢に必要な能力、二つ目、次世代技術も適用できる拡張性、三番目、改修の自由度、それから四番目、国内企業の関与、五番目が開発、取得コスト、こういうこと。これはこれで大臣、よろしいんですね。はい、もう結構です。

 この中、全て重要なんですけれども、私がきょう特化して質問したいと思うのは、やはり改修の自由度というものをどうやって担保していくかということなんです。

 以前、この場で私、F35について、特に百五機の追加購入機について苦言というか、問題提起をしました。全部FMSに変わったじゃないかということで問題意識を私はここで申し上げました。確かに、我々が決めた組立て型というのも、単なる組立てです。したがって、じゃ、重要な情報とか機密情報に触れられるかというと、なかなかそれは触れることができない。

 しかし、まずはこれは三菱重工というところが組立てを行うということの中で仕事をすることができるということなんですが、先ほどの話からすると、改修の自由度ということからすると、大事なことは、いかにこの機密情報にアクセスできるか、そして、そのアクセスできるものについてみずからが改修することができるかということがすごく大事なことだというふうに私は思っております。

 まず事実確認いたします。これも事務方で結構ですが、米政府は、F35のエンジンなどの部品やミサイルを制御するために機体に組み込んだソフトウエアについて機密を解除する意向を示しているという報道がありますが、これは事実ですか。

深山政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のような報道があることは我々も承知しています。

 これにつきましては、F35は我々現有の装備品でございますので関心を持っておりますけれども、現在までのところ、報道には濃淡がございますけれども、少なくも私どもは、その全てを開示してくれるというようなことがなされたということは承知しておりません。

前原委員 長官の正直な御答弁で、全ては開示ということは、一定の程度のものについては、報道の部分というのはそれは間違っていない部分もあるんだと思いますが、問題はここからなんです。

 おっしゃるように、問題はここからでして、要は、別の報道では、このF22をベースとするものについても、開発、生産については五〇%以上日本の企業にかかわらせるというような話もあるというふうに聞いておりますが、ただ、それでも五〇%を超えたらいいというものじゃなくて、つまりは、みずからが自由に、先ほど大臣が、私が質問する前に、国際協力を視野に、だけれども我が国主導の開発に早期に着手する。私が列挙させていただいた、これは防衛省が言っておられるように、この後継機で大切だと考える条件というのは、改修の自由度も含めた五条件をずっと防衛省としておっしゃっているわけです。これがしっかりやはり担保されなければいけないということなんだろうと思います。

 ここで専門的なことに入っていくことは私は差し控えたいと思いますけれども、しっかりそういう意識を持って、パーセンテージの問題ではなくて、まさに防衛大綱に書いてある「我が国主導の開発」というものは、技術も含めて、そして、そういう機密情報も含めてしっかり我々が関与し、そして、改修というものの自由度が担保されるものでなければいけないということはやはり防衛大臣に明言していただかないと、この防衛大綱に書いてあることというのは私は空文化すると思うんですが、いかがですか。

岩屋国務大臣 将来戦闘機については、先ほど前原委員がもう既に五つの我々が重要視している点について触れていただいておりますが、これを実現するために、開発に当たって我が国が主導的な役割を果たす、すなわち、我が国主導の開発であることが必要だというふうに考えております。

 したがいまして、今、さまざまな情報を集め、検討しているところでございますけれども、やはり、航空機の統合、インテグレーションにかかわる部分に日本がかかわっていなければ、これは改修の自由度も将来ないということになろうかと思いますので、そこが極めて重要なポイントだと思っております。

 既存機の購入というのはもう選択肢からは排除されていくということだと思っておりますが、また、派生機についても、今申し上げた我が国主導の開発そして改修について我が国が主体的、主導的にやれるということでなければ、その提案を受け入れるというわけにはいかないというふうに考えております。

 しかし、同盟国米国との間では、我が国がどのような航空機を開発しようとも、相互運用性というのはもう絶対に必要なことでございますから、それはもうしっかり意見交換をしてまいりたいと思いますけれども、重ねて申し上げますが、我が国主導の開発を目指してまいります。

前原委員 大事なところで少し曖昧になるんです。もちろん、具体的に議論が煮詰まっていかない限りは、その主体性というものがいかなるものなのかということについてはなかなか具体的に言えないということはあるというふうに思いますが、もう少し定性的に、この主体、我が国主導の開発というものがどういうことなのか、やはりそこをしっかりリードしていただかないといけないというふうに思います。

 恐らく、今改めて質問しても同じような御答弁だと思いますので、少しそこを整理していただいて、今御答弁されたことを更により具体的に踏み込んで、つまりは、アメリカとの交渉にもかかわるわけですよ、ここは。最後は政治決断になる可能性はあります。私が心配しているのは、防衛大臣がそういう意図を持っておられても、最後は総理が、そのとき誰が総理をやっているかわかりませんが、総理がアメリカの大統領と簡単に決めちゃって、それで気がついたら主体性が持てないようなものになっていたというのが一番私はいけないと思っていますので、やはり、防衛省として、あるいは防衛大臣として今は責任を持ってやられるお立場として、どういう意志で、防衛大綱に書かれた我が国主導性というもの、そして、五つの先ほど大切だと言われた要点を担保するかというその政府の見解をこの委員会に提出をしていただけませんか。委員長。

岸委員長 後刻、理事会で協議いたします。

前原委員 ぜひ防衛大臣、それは前向きに考えていただけませんか。

岩屋国務大臣 これから、各国というか、候補になり得る選択肢について子細にやりとりをしていかなければいけないというところでございますので、あらかじめ余り詳細をつまびらかにするのもいかがなものかなというふうに思いますが、もう前原先生の問題意識はよくわかっておりまして、我々も、刻々と変わり行く安全保障環境に適応する戦闘機をつくるために、そのソースコードにアクセスができない、自由に改修ができないなどということでは、これは将来戦闘機をつくる意味がないというふうに思っておりますので、そのことはしっかりと腹に据えて取り組んでいきたい。

 ただ、物すごくチャレンジングな事業であるということは承知をしておりますので、しっかりとした決心がなければできないというふうに思っております。

前原委員 いや、だからこそ、その意志を示してほしいと言っているわけです。

 もう時間がないですから私が申し上げるだけにしておきますが、やはり、日本の防衛産業がついてこれるかどうかということなんですよ。例えば政府がそういう意志を持っても、今の日本の防衛産業というのは、これは何度かここでもやらせてもらいましたし、同僚議員も言われているように、果たして大丈夫か。三菱重工ですら全体の売上げの六%ぐらいでしょう。だから、そういうようなところで本当に我が国主導の、今の国際環境に、しかも十年先、二十年先に対応できるようなものがちゃんとつくれるのかということも含めて、しっかりリードしてもらわなきゃいけない。

 そしてまた、やはりアメリカあるいはイギリスどちらにしても、他国が日本に対してそういったソフトウエアとか、今大臣がおっしゃったソースコードとか、そういうものを開示しようと思ったときに、特定秘密保護法だけで大丈夫なのかといったところは、逆の、提示する立場からするとあると思うんです。

 そういうものをまとめた上で、しっかりとやはり日本としての方向性をちゃんと位置づけて、そして防衛産業をまとめる。そして、アメリカやイギリスの懸念というものも払拭する。その中で、防衛大綱に書かれている我が国の主導性というものをどう担保するか。そういう文書をまとめていただきたいということを申し上げているわけです。

 何も、微に入り細に入り、何か細かいことを決めろじゃなくて、やはり、そういう問題意識の中で本当に我が国主導の次期戦闘機をつくってもらいたい、我々としてつくりたい、そういう思いを、ぜひ問題意識をまとめてもらいたいということですので、委員長は理事会で諮るということでしたので、大臣、ここは前向きに考えていただきたいと思います。

 さて、残りの時間は、米中問題、そして日本のかかわりということについてお話をしたいというふうに思います。

 これはもう皆様方、この委員会でも何度も話をされていますし、私もさせていただきましたけれども、完全な覇権争いですよ。技術覇権、それがいわゆる軍事技術にも転用できるということの中での覇権争いに入っているということであります。そして、どんどんどんどんハードルをアメリカは上げていっているということだと思います。

 アメリカのポイントは私は三つあるというふうに思っていまして、対中政策は関与から競争にシフトして、そして、軍事力や産業力、第三国への地政学的な影響力をめぐっても競争が行われているというのがベースにあって、そして三つ、先端技術や知的財産を次世代の軍事力や産業力の構築にどう生かすか、それから、米国で生み出される先端技術や知的財産から中国が不当に利するのをどう封じるか、それから、米国の利益を不当に損ねる政策の停止を中国当局にいかに確約、履行させるか、これがもうアメリカの対中政策の三本柱に私はなっている、こういうふうに思っているわけであります。

 そこで、トランプ大統領はこの五月十五日、今月の十五日に大統領令を出しまして、ファーウェイを念頭に、米国に情報通信技術面から安全保障上のリスクを引き起こす中国企業との取引を禁じる方針を打ち出した。これは日本企業も当然影響が出てくるわけでありますが、こういった、いわゆる特定の企業を踏まえて、そして取引を禁じるということについて、きょうは経済産業副大臣が来られていますけれども、日本政府としてのスタンスをまずお聞かせいただきたいと思います。

磯崎副大臣 お答えをさせていただきたいと思います。

 今委員御指摘のとおり、トランプ大統領、情報通信技術などに対する脅威に関する国家緊急事態を宣言をされまして、米国の国家安全保障を脅かす取引を禁止する大統領令に署名した、このことは承知をしているところでございます。

 この内容につきましては、既にアメリカの政府調達につきましては、ファーウェイを含む五社、これは明記をされているというふうに認識をしておりますが、この民間への拡大につきましては、これから百五十日以内に商務省が、具体的な対象の技術であるとか国であるとか主体であるとか許可基準、こういったものを公布をしていくということでございますので、民間への拡大については、現時点では、ファーウェイ等の特定の国、これが限定されているわけではないということでございます。

 そういった意味では、国としての考え方ということでございますけれども、やはり日本の国、米中の貿易、これがどういう状況にあろうとも、やはり日本の国、きちんとセキュリティーを守っていく、こういう考え方はやはり常に米中の関係にかかわらず持っていなければいけないということでございますので、日本の国としましては、国際の情勢とか技術革新の動向等を注視をしながら、安全保障上の観点から外為等々の取扱いについてはしっかりと取り組んでいく、そういうスタンスでございます。

前原委員 違う観点で質問いたします。

 米連邦議会は、二〇一八年の八月に外国投資リスク審査近代化法というのを定めて、外国主体による安全保障上の支障が出かねない対米投資を規制する対米外国投資委員会の権限を強化しました。それから、輸出管理改革法というのを制定して、商務省による新興技術の輸出管理を強化する、こういう措置もとり始めています。

 このことについては御存じだというふうに思いますが、この中身について言うと、例えば対米外国投資委員会、審査対象なのは、バイオテクノロジーとか、AI、測量技術とか、先進コンピューティングとか、ロボットとか、こういったものが入ってくるわけです。これについて厳しく外国企業というものを、特に中国を念頭に置いて、より管理を厳しくしていく。

 もっと言えば、これは副大臣の所管ではありませんが、例えば中国人の留学生についてもその背景をしっかりと調べるような、本当に中国に対して、先ほどお話ししておった三つの観点での言ってみれば選択というか、言ってみれば、スクリーニングをしっかりやるということなんです。これは同盟国に対してもそういうことを求めてくる可能性というのは私はあると思うんです。

 このように、つまり、これは別にアメリカから言われてではなくて、先ほど副大臣が御答弁されたように、米中の問題にかかわらずということをおっしゃいましたよね。アメリカが何をしているかというと、要は、覇権争いをしているということもありますけれども、その裏側にあるのは、技術の窃盗であるとか、あるいは、後で佐藤副大臣に伺いますけれども、5Gなんかの問題で、今のまま野放しにしておくと、完全にコントロール下に置かれる、あるいは物事が全て引き抜かれる、あるいはハッキングなどの言ってみれば攻撃を受けやすくなる、これに対する防御という形でこういうものを強化していっているわけです。

 こういう認識の上で日本もそういったいわゆる必要性というものを感じるかどうかということを、別にアメリカから言われてではなくて、日本独自に、それについてこういう輸出管理というものをより強化するということについてはどうお考えですか。

磯崎副大臣 お答えをさせていただきたいと思います。

 まず、日本の国とアメリカとで法制度が違っておりまして、日本の国は、貿易も投資も御存じのとおり外為法で規定をしている。アメリカの場合には、輸出につきましては輸出管理改革法、ECRA、それから、投資については米国外国投資委員会、CFIUSですか、こういったところが所管をしているということでございますけれども、まず輸出入のところにつきましては、これは今委員御指摘のとおり、例えばそのエマージング技術であるとか基盤技術、こういったものを追加をするために今商務省の方で作業中というふうに認識をしております。

 もともとこの分野につきましては国際的な国際輸出管理のレジームがございますので、アメリカの方で、例えば商務省で、エマージング技術であるとか基盤技術、こういったものを追加をした場合には、アメリカ国内で、これを国際輸出管理レジームの方で国際的に同じ歩調をとるようにというこういう動きが出てくるというのは当然予想されるところでございます。

 そうなった場合には、当然、日本におきましても、やはりこの国際輸出管理レジームの中で当然私どもも議論をしているところでございますので、その議論に加わって、これを国内の規制に反映をしていくということになっていくんだろうというふうに思っております。

 また、FIRRMA、外国投資リスク審査近代化法につきましては、これは既にアメリカにおきましては、機微技術に関しては先行的に実施をしているというふうに承知をしております。

 これにつきましても、これからそれが、今まではいわゆるマジョリティー規制だったのがマイノリティー規制にもなっていくということで、審査の対象が拡大をするというアメリカの考え方だろうというふうに思っておりますけれども、ただ、基本的には、輸出管理等々につきましては、その個別の内容に日本が追随していくかどうなのかということにつきましては、外交にかかわる問題でありますから、コメントは差し控えさせていただきたいなというふうに思っております。

前原委員 総務副大臣に伺いますけれども、特定の企業を日本は名指しをしておりませんが、今のしかし日本の考え方、また日米関係、そしてトランプ大統領の大統領令を含めて考えると、5Gのいわゆる基地を含めて、中国企業が参入することは可能ですか。

佐藤(ゆ)副大臣 お答えいたします。

 現時点では、外国企業、国籍によって条件は付しておりません。

前原委員 いや、わかっていますが、事実上できますかという話を聞いているんです。

佐藤(ゆ)副大臣 外国の国籍によってそれを除外するような規定はございません。

前原委員 時間がそろそろ差し迫ってまいりましたので、最後に一点だけ指摘をしておきたいというふうに思います。

 中国というのは、二〇四九年が建国百年なんです。そして、その百年に向かって、例えば一帯一路、これは言葉をちょっと選んで言わなきゃいけませんが、戦前の日本がとっていた大東亜共栄圏に私はイメージがダブるわけです。一帯一路ということで、みずからの言ってみれば影響力エリアを拡大していくということ。それから、中国製造二〇二五ということで世界一の製造強国になる。そして三つ目には、それを踏まえて軍事力はアメリカも上回り、それを完成させることが中国の夢だと。

 そして、気になるのはもう一つありまして、そのときにはやはり分断国家ではいけないだろう、こういう話がいわゆる習近平の理論的な基盤をつくっている軍部からは出ているわけです。つまりは、それまでに台湾も統一しなきゃいけない、こういう話です。

 我が国の中国と台湾にかかわる話というのは、これは日中共同声明を含めて四つの文書で規定されているということでありますけれども、今後、日米同盟関係、そして、アメリカと台湾の関係法を含めたさまざまな難しいハンドリングを迫られることになるだろうというふうに私は思っています。

 具体的に今これがどうなのかということを申し上げることはできませんけれども、防衛大臣や外務大臣、今されている中で、アメリカチーム、中国チームというものに分けられるような世界情勢ということがこれは出てくると思います、今の技術分野も含めて。

 では、そういう中にあって、米中のかけ橋になるあるいはバランスをとると口で言うのは簡単でありますが、これはなかなか難しい状況になってくるというふうに私は思っています。

 今度議論するときには、こういった機微に触れたところもこれから日本は直面をしていかなくてはいけない。それがまさに今の米中新冷戦の大きな背景にあるんだということを私は申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

岸委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 初めに、米軍機の部品落下の問題から質問をします。

 今月四日午後三時三十五分ごろ、沖縄県浦添市内の中学校のテニスコートにゴム製の切れ端のようなものが落下する事故がありました。テニス部員二十数人が部活動の中で、一人の生徒の足元の三十センチほど前に落ちてきたとのことです。

 米軍は、昨日五日、落下物が米軍普天間基地所属の大型ヘリCH53Eのプロペラの部品であることを認めたと報じられています。具体的に、どのような部品で、落下した原因は何だったんですか。

岩屋国務大臣 ただいま先生御指摘の事案は、四日十五時三十五分ごろに、浦添市の浦西中学校内のテニスコートに、普天間基地所属のCH53Eのブレードを保護するためのテープの一部が落下したものであると承知をしております。

 米側からは、第一海兵航空団において、当該ブレードテープを使用している全ての航空機を点検し、劣化が見つかったものについてはテープを取り除く又は取りかえるという説明を受けているところでございます。

 我々としては、引き続き、米側に対して安全の確保を強く申し上げていきたいと思っております。

赤嶺委員 つまり、劣化した部品を放置して飛行している、そういうことですか。これは許されるものじゃないですよね。

 一昨年十二月には、普天間第二小学校の校庭にCH53Eの窓が落下をいたしました。あのとき、米軍は、再発防止策として、全ての整備員に対して品質管理や整備に関するブリーフィングなどを実施し、整備員が技能基準を満たしていることも改めて確認した、このように当時述べておりました。にもかかわらず、また事故が繰り返されております。

 これは、防衛大臣、米軍の再発防止策が機能していない、そういうこと、明らかではありませんか。こういう認識、防衛大臣は持っておられますか。

岩屋国務大臣 先ほども申し上げましたが、今般の部品落下を受けまして米側は、次回の飛行前に、ブレードテープがついている全てのCH53Eを点検し、劣化が見つかったものは取り除く又は取りかえるというふうに承知をしております。

 また、米側からは、ブレードテープというのは、ブレード自体の耐用年数を延ばすための保護対策であって、航空機の飛行にかかわるものではないという説明を受けておりますが、米軍の運用に当たりましては、安全の確保が大前提でございますので、引き続き、安全確保に万全を期すよう求めてまいります。

赤嶺委員 今の言い方だと、まるで米軍はそういうことはあってもいいんだというように、私、その答弁、聞こえましたけれども、そうですか。

岩屋国務大臣 米側に対しては、改めて、点検整備及び安全管理を徹底するように、再発防止策を講じるよう申し入れたところでございます。

赤嶺委員 これだけ事故が繰り返されている以上、米軍の再発防止策は機能していない、こういうことは明らかだと思います。

 日米両政府は、これは岩屋防衛大臣になってからだと思いますが、飛行安全に関する専門家会合も設置をしました。これも全く機能していません。事故が起こるたびに小手先な対応であります。そういうことではなく、抜本的な対応策を考えるべきです。

 この地域は、普天間飛行場の南側から離発着する米軍機がふだんから頻繁に飛行するところであります。もうこれ以上、普天間の危険性を放置することは絶対に許されません。人命にかかわる重大事故が起こる前に政治が決断をするときであります。

 大臣、住民の安全を最優先にして、辺野古の問題とは切り離して、普天間基地の運用停止に踏み切ることを真剣に検討すべきではありませんか。決断すべきであります。

岩屋国務大臣 辺野古につきましては、やはり、抑止力を維持しつつ沖縄の負担軽減を図る、普天間飛行場の返還をなし遂げるという意味で唯一の解決策だというふうに思っておりますし、累次にわたる日米間の会議、会談を通じても確認をしてきているところでございます。

 さきに行った日米2プラス2、また、先日行った日米の防衛相会談でも改めて確認をしたところでございますので、それは御地元の御理解を得ながら進めさせていただきたいと思っておりますが、先生おっしゃるような普天間の危険性の低減、騒音等の問題の解消についても、2プラス2あるいは日米防衛相会談を通じても改めて申入れをさせていただいたところでございます。

 引き続き、防衛省としても最善の努力をさせていただきたいと思っております。

赤嶺委員 日米間で辺野古唯一ということを決めるものですから、二十年たっても、普天間の危険性、事件や事故は繰り返されているわけです。その上に、普天間飛行場というのはどんどん強化されているんですよ。宜野湾の市長には負担軽減と言いながら、どんどん強化しているではないか。強化しておいて、負担軽減だ、辺野古は唯一だ、そんなことは納得できません。

 やはり、住民の命を第一に考えて、辺野古と切り離して、普天間基地は運用停止すべきであるということを強く申し上げておきたいと思います。

 新防衛大綱、中期防にかかわって、南西諸島への自衛隊配備について質問をいたします。

 防衛省が配備を進める地対艦誘導弾について、陸上自衛隊武器学校の教範で、誘導弾が直接火炎に包まれた場合の対応として、発火、爆発等の反応が起こるまでの時間を約二分間とし、一キロメートル以上の距離又は遮蔽物の陰などに避難することを定めていることが報じられました。私もこの教範を取り寄せて見ましたが、確かにそのように書かれております。

 これは防衛省に伺いますが、宮古島の保良鉱山地区、石垣島の平得大俣地区に設置する予定の弾薬庫から周辺の民家や農地への距離をそれぞれどのぐらいと認識していますか。何らかの異常が発生した場合に住民の安全をどのように確保する考えですか。

鈴木(敦)政府参考人 御指摘の火薬庫の設置に当たりましては、火薬類による災害を防止し、公共の安全を確保することを目的としております火薬類取締法などの関係法令に基づき整備しているというところでございます。

 保安距離については、火薬類取締法施行規則第二十三条には、火薬庫はその貯蔵量に応じ火薬庫の外壁から保安物件に対し保安距離をとらなければならないというふうに規定されておりまして、火薬庫から近隣の施設までの距離というものは法令に規定される保安距離以上、こうした距離を確実に確保しているということでございます。

 私どもも、今後の火薬庫の設置に当たりましては、こうした火薬取締法の関係法令に基づき適切に対応してまいりたいというふうに考えてございます。

赤嶺委員 保安距離を聞いているんじゃないんですよ。保良地区の弾薬庫あるいは石垣の平得大俣地区の弾薬庫が、設置する場所と一番近い農地や民家はどのぐらい離れているんですかということを聞いているんです。

鈴木(敦)政府参考人 お答え申し上げます。

 保良の地区の設置につきましては、これからまさにその設置を、具体的にまず用地を取得させていただきまして、そこにこうした火薬庫を設置するという作業を施すということでございますので、そうした意味におきましては、現時点におきまして、そこからの距離が幾らかということはちょっとお答えしかねるというところでございます。

赤嶺委員 一キロ以上離れていますか。いかがですか、石垣も含めて。

鈴木(敦)政府参考人 先ほど委員御指摘されましたいわゆる武器学校の教範でございます。これにつきましては、これはいわゆる自衛隊員に対する教育資料でございます。これは、誘導弾が直接火炎に包まれた場合には一キロ以上の距離をとる旨、そうした記述があること、これは事実でございます。ただ、これはあくまでも、火薬庫であるとかそういう場所ではなく、いわゆる火薬庫的な、適切な隠蔽物のない場面を念頭に置いたものでございまして、誘導弾が火薬庫に保管されている場合というものを想定しているものではございません。

 火薬庫の安全性に関しましては、火災については、取り扱う隊員に対しまして、安全管理に必要な教育、必要な警備体制、それから、その周辺は火気厳禁であるですとか、さらに、火薬庫内の照明の設備、火災の着火源となります電気火花を防ぐものですとか、静電気を完全に除去しなさいとか、さらには、避雷針の保護ということで、火災が発生しにくいように設置、運用されております。

 万が一の場合におきましても、その被害が限定されるというような形になりまして、こうしたことが、先ほど申し上げました火薬取締法の関係法令に基づき適切に対応するという内容でございまして、教範の内容は、こうした火薬庫に置く場合のものとは異なるものでございます。

赤嶺委員 何で鈴木さんは聞いていることに答えなくて、別の話に話をそらしていくんですか。

 いわゆる保良地区と一番近い民家や畑、平得大俣地区の弾薬庫と一番近い民家や畑、一キロ以上離れていますかと。目視できますよ、すぐ。目視ですぐわかることですよ。離れていますか、離れていませんか。

鈴木(敦)政府参考人 先ほど申し上げましたように、正確な距離は、場所がまだ確実に確定をされておりませんので申し上げられませんけれども、まさに一キロ以上とか、そういう大ざっぱなもとで申し上げれば、一キロ以上離れているということはないと認識しております。

赤嶺委員 きのう調べていただいたら、保良地区が百五十から二百五十というようなことを言っているわけですよ。石垣の場合が百五十、距離がです。

 さっき、弾薬庫は非常に安全対策をしっかりやっているから、この一キロの、火炎に包まれたときには当たらないという話がありましたが、誘導弾を搬入したり、実際にこの間、一旦宮古の弾薬庫に搬入したものを今度は搬出したわけですよ。そういう際に、何らかの異常が発生した場合にどうなるんですかという問題が出てきます。

 一キロメートル以上の距離を確保していなければ安全は保証されないということになると思いますが、これは、弾薬庫の機能の問題じゃなくて、搬出や搬入の場合にそういうことが起きたらどうなるか、住民の安全は確保できないんじゃないかということでありますが、大臣いかがですか。

    〔委員長退席、山本(と)委員長代理着席〕

岩屋国務大臣 全国にあまた、自衛隊の部隊、施設がございますけれども、基本的に、弾薬を置いていない施設はない、部隊である以上はそうなわけでございます。そういう意味でいいますと、搬出時の危険性というのは全ての部隊に言えることで、そういうことがないように、安全管理を徹底しているところでございます。

 今度、宮古につくらせていただく予定の火薬庫につきましても、その安全管理についてはしっかりと、先ほど局長からお答えしたとおりの、しっかりとした安全管理のもとにつくらせていただきたいというふうに考えております。

赤嶺委員 弾薬庫の話をしているのではなくて、搬出、搬入の際にこういうことが起きたらどうするか。そういうことが起きないようにするというのは当然でありますけれども、教範には、起きた場合にどうするかという対処も書いてあるわけですよ、皆さんの教範の中に。そういうときには一キロ以上離れて逃げろと言うけれども、それが起こる、起こりかねないような場所から百五十メートルしか離れていないような住民は安全の確保のしようがないじゃないか、これが皆さんの教範の中から明らかになったことではないかというぐあいに思います。

 石垣島への自衛隊配備についてでありますが、防衛省が三月、造成工事に着手した平得大俣地区で、国の特別天然記念物のカンムリワシの営巣活動が確認をされました。

 防衛省は当初、昨年十二月からことしの三月までに行った調査で、他の雄を追い払ったり、あるいは林の特定の場所に出入りするなどの営巣活動、これが確認されなかったことから、営巣木はない、このように判断し、工事を着手いたしました。ところが、四月の調査で営巣活動が確認をされました。そもそも、カンムリワシの営巣期は四月から七月とされています。三月までの調査で営巣活動が確認されないのは、これは自明のことです。

 住民が求めていた環境アセスを行わず、ずさんな調査で工事に着手した防衛省の責任は極めて重大だと思いますが、大臣はどういう認識ですか。

鈴木(敦)政府参考人 石垣島への陸上自衛隊の配備に関しまして、四月二十四日から二十六日の間に行いました環境モニタリング調査、これは、工事を進めておるにも際しまして、環境について常に細心の注意を払うという意味におきまして、こうした環境のモニタリング調査を行っております。

 この中で、駐屯地予定地周辺で、御指摘のように、カンムリワシの営巣活動が確認されました。したがいまして、四月二十六日から一時的に、その現場における作業、これを控えるということを行いました。それと同時に、石垣市当局や有識者にその旨を連絡しまして、今後の対応について意見を伺ってまいったというところでございます。

 この件につきましては、五月七日及び五月十七日に有識者から、現在の工事中のエリアは営巣場所から離れているため工事を継続しても支障はない、ただし、大きな機械音が突発的に出るような作業は避けるべきだというような御意見をいただきまして、こうしたカンムリワシの繁殖に影響がない保全対策、作業内容を石垣市当局との間で確認した上で、五月二十五日から現場における作業を再開しておるというのが現状でございます。

赤嶺委員 まあ本当にひどい話なんですよ。最初は、営巣木はないと。あるはずもない時期に調べて、ないと。あったらあったで、専門家に聞いたら、いや、工事やってもいいと言って工事をやっている。

 私も専門家に聞いてみたんですよ。私の専門家は、石垣島で活動している日本野鳥の会石垣島支部の小林事務局長ですが、営巣活動が確認されたことについて、生育環境が整っており営巣は当然だ、これまでの調査がいかにずさんだったかは明らかになったと。平得大俣地区というのは、カンムリワシの本当に生息環境に恵まれているところなんですよ。あそこにないなんていうことがそもそもおかしいわけですよ。防衛省の対応を厳しく批判しております。その上で、人が動き回るだけでも営巣に影響が出かねない、一切の工事をやめてほしいというのが本音だが、少なくとも、ひなが巣立つ九月まで工事はとめるべきだ、このように述べております。

 ところが、防衛省は、先ほどの答弁にありましたように、五月二十五日、工事を再開いたしました。重機も使っております。工事エリアが営巣場所から離れているため工事を継続しても支障がないという、沖縄本島で聞き取りをした専門家の意見を根拠に挙げております。意見を聴取する専門家を石垣島ではなく沖縄本島から選んだのはなぜですか。

鈴木(敦)政府参考人 私ども、この問題につきまして、環境とカンムリワシにつきましての専門家という中から、今回御意見を伺った方、この方が最も適切であるという認識のもとに、この方に御相談をさせていただいたというものでございます。

赤嶺委員 防衛省に都合のいい専門家を選んだのか。

 その専門家というのは、カンムリワシに関する研究論文の発表など、あるんですか。どういう専門家ですか。名前とその専門家の実績、成果、これを答えてくれますか。

鈴木(敦)政府参考人 この有識者の個人の氏名等を公表させていただくことは、その方の中立的な立場の意見というか、そういうものを確保する観点から、お答えすることは控えさせていただきたいというふうに考えてございます。

赤嶺委員 専門家というのは、我々の前に論文も見せて、氏名も明らかにして専門家と言えるわけでしょう。名前も明らかにできないというなら、やはり疑いは深くなりますよ。防衛省の都合のいい人を選んで都合のいいことを言わせて工事を再開している。本当、ひどいですよ。

 これは、突発的な機械の音がしたらおどかすと言うけれども、県知事は機械を使った工事そのものをやめろと。沖縄でそれをやってきたわけですよ、営巣期は。それを無視して工事を続けるために、名前も明らかにできない、論文もあるかないかも答え切れない、そういう専門家なんて信じられません。工事をすぐとめていただきたいと思います。

 今回の大綱、中期防の問題に入っていきますが、アメリカの軍事戦略について、四月の2プラス2の共同発表で、アメリカの国家安全保障戦略と日本の防衛大綱の整合性を歓迎した、このように述べております。

 アメリカのトランプ政権は、二〇一七年十二月に公表した国家安全保障戦略は、テロへの対応を重視してきたそれまでの戦略とは異なり、中国やロシアとの国家間の戦略的競争を重視する方針を打ち出しました。オバマ政権までは、軍事力の近代化には警戒感を示しながら、しかし、中国の平和的な台頭を歓迎し、建設的な米中関係を構築するところを基本方針といたしました。

 ところが、トランプ政権は、アメリカ第一を掲げ、中国やロシアをアメリカの力を脅かす修正主義勢力、このように位置づけて、軍事的に対抗していく姿勢を鮮明にしています。

 アメリカの国家安全保障戦略と日本の防衛大綱が整合している、そういうことですか。いかがですか。

    〔山本(と)委員長代理退席、委員長着席〕

岩屋国務大臣 新たな防衛大綱は、我が国の防衛力を抜本的に強化するとともに、日米同盟を一層強化する方針を示しております。また、米国の国家安全保障戦略などには、米軍の能力強化と同盟重視の方針が示されております。

 そういう意味で、日米の安全保障政策の方向性は整合していると考えておりますし、自由で開かれたインド太平洋というビジョンも共有できているというふうに考えております。

赤嶺委員 中国やロシアを修正主義勢力と位置づけているわけです。そういうアメリカの認識、これは日本も共有しているということですか。

岩屋国務大臣 我が国の大綱には、特定の国をそのような形で対象として示している記述は一切ございません。

赤嶺委員 トランプ政権は、国家安全保障戦略の策定以降、アメリカの圧倒的な軍事的優位を維持するために、核戦力と宇宙軍拡、サイバー攻撃体制の強化を推し進める姿勢を明らかにしております。日本も、それに呼応して、陸海空だけでなく、宇宙、サイバーなどの分野でも軍事体制の強化を推し進めようとしております。

 来日したシャナハン国防長官は、日本の防衛大綱は米国の防衛戦略を補完する、このように述べているわけです。ですから、そういうのが、日米が一体となって軍事体制を強化していったときに、当然、相手の方も軍事体制を強化すると思うんですよ。

 最後に外務大臣にお伺いしたいんですが、今、国連ではグテーレス事務総長が軍縮アジェンダをつくり、この間はマレーシアの首相が日本で、やはり大国同士が衝突をしたら犠牲になるのはアジアの小国だという意味のことも言っています。

 今、軍縮に向かうべきだというアジアの声と国連のそういう提案、これについて日本の外務大臣はどのように受けとめておりますか。

河野国務大臣 グテーレス国連事務総長が昨年五月に軍縮アジェンダというものを発表されました。我が国は、その軍縮アジェンダの中のCTBTの発効及び軍縮・不拡散教育の推進をリードする主導国という役割を担うことになるわけでございます。また、通常兵器の分野におきましても、軍縮アジェンダにおいて立ち上げが発表された「人命を救う軍縮」基金への拠出を率先して行うなど、取組を行ってきております。

 グテーレス国連事務総長や中満国連軍縮担当上級代表を始め国連と緊密に協力しながら、軍縮の幅広い課題について積極的に貢献してまいりたいと考えております。

赤嶺委員 本会議でも述べましたけれども、大綱、中期防を考えるときに、軍拡ではなくて軍縮、そして南西諸島に危険な基地はつくるべきではない、そういうことを強く申し上げて、質問を終わります。

岸委員長 次に、下地幹郎君。

下地委員 浦添、中学校の米軍機の部品の落下の件を一点だけ聞きたいんですけれども、概要はもう話がありますからそれでいいんですけれども、普天間第二小学校に落下物が落ちたときも、学校の上空を飛ばないようにという、そういうような方向性が出たんじゃないかと思うんですよ。

 だから、私は、この対策とかいろいろなものは、それは今のとおりやったらいいと思うんですけれども、学校の上空を飛ばないということを防衛大臣が米軍としっかり話をして、そのことだけ守らせたらどうですか、大臣。

岩屋国務大臣 今般の事案は先ほど申し上げたとおりですが、詳細についてはまだ承知しておりませんで、どういう飛行経路をとって、どういう形でその落下物が、テニスコートですか、校庭に落ちたのかというのは、ちょっと詳細はまだ承知をしておりませんが、いずれにしても、安全な飛行、運用というものを、本当にあらゆるレベルで累次にわたって申し入れておりますが、更に強く申し入れていきたいというふうに思っております。

下地委員 きのう防衛省が出した資料の中には、ちゃんとこのヘリコプターがどういう空路をやったかというのが出ているんですよ。

 私、一点だけ申し上げたいのは、もう学校の上空を飛ばないということだけを決めることができないのかということを、防衛大臣、これだけまず、対策というよりも、もう先ほど話がありましたように、対策は、何かあったら何回も何回も対策していますが、これは落下させたいと思って落下させているわけでもないので、一番の大事なことは、学校の上空を飛ばない、それを決めるということをやることが、一番、沖縄のこの浦添だとか宜野湾の小学校、中学校には安心感を与えることになると思うんですけれども、それを米軍としっかり調整するというお気持ちはありませんか。

岩屋国務大臣 米側においても、累次の事案の発生を受けて、また、日本政府からの申入れ等も踏まえて、外来機を含めて普天間飛行場を離発着する全ての航空機に対し、普天間第二小学校を含む全ての学校の上空の飛行を最大限可能な限り避けるよう指示を出しているというふうに承知しておりますけれども、このことが徹底されるように、あらゆるレベルでしっかりと申し入れてまいりたいと思います。

下地委員 もう一回文書を出してその徹底をさせてください。それだけお願いしておきたいと思います。

 それで、大綱のことについて質問させていただきますが、大綱の十二ページに、日米同盟の一層の強化に当たっては、我が国がみずからの防衛力を主体的に、自主的に強化していくことが不可欠というのが十二ページに書いてあるんです。今度は十三ページにもこういうことが書いてあるんですけれども、日米共同活動に当たり、装備、技術、施設、情報協力・情報保全等に関して協力を強化・拡大していく、こういうふうな、十二ページと十三ページに書いてあります。

 これは、私が出したきょうの資料がありますが、この資料は、アメリカの駐留米軍が持っている装備の金額なんです、装備の全ての。この金額と同じように、NATOにおいてはどれぐらいの装備をアメリカが置いているかといったら、四兆円ぐらいなんですよ、NATO全体で。だけれども、日本には十兆円規模の装備と人件費と運用維持費、これはすごく大きなアメリカの装備品が日本にあるわけなんです。

 私の考え方なんですけれども、今回の中期防の装備品の購入額って二十七兆円ぐらいあるんですよね、全てで。この二十七兆円の装備品を、日本が、さっき言った十二ページに書いてある自主的にというようなことをやるということになってきたら、私は、こういうふうな、自主的な力で装備をやっていくというようなことをやっていこうとするならば、日本がこれだけの装備を入れる以上は、アメリカの装備品を返しながら安全保障の役割をやっていくというやり方をすべきじゃないかと思うんです。

 中期防において、アメリカの装備品の関係と日本の自主的防衛との関係というのはどうなっているのか。なぜこれを聞くかというと、さっきの話のように、アメリカの装備品が多過ぎるものだから、結局、事件、事故、基地の負担というのがずっと残るんですよ。

 私たちは、米軍がもし今回のものでも、KC130空中給油機十五機とありますけれども、今回も買いますよね、四機ですか。こういうふうな装備品を買うんですけれども、その装備品を買うんだったら、先ほど言っているように、技術においても装備においても一体となってやるんだということも言っている以上は、岩国にあったり、沖縄にあったり、横須賀にあったり、横田にあったりするものをできるだけ返しながら、日本が補って安全保障の役割を担っていくという方向性があってしかるべきじゃないかと思うわけです。

 だから、今回の大綱においてそれをやらないと、私は、これから、八月に農業交渉を、TPP以外の交渉をやろうとしたり、また、十二月には自動車の関税の交渉をやろうとしたりとかということをやってくると、これだけのお金をアメリカ側へ入れていると、必ずどこかで、日本を守るために俺なんかもこれだけやっているんだ、十兆円超えるお金をやっているんだというようなことを材料にしながら商業交渉をやっていく、貿易交渉をやっていくという形になるのではないかと思うんですよ。

 また、私の私見ですけれども、米中が今これだけもめていますけれども、米中がもめている最大の要因は、私は、貿易の関税に関する交渉だけじゃなくて、実質は、アメリカの本音は、この交渉をもって中国の軍事力の拡大に対して歯どめをかけるところもどこかで話合いがされているんじゃないかと思うんですよ。そういうことを言う人はいますよ、ただ単に貿易交渉をやっているわけではないと。

 そういうふうなことなどからしても、我が国も自主的に物事をやっていって、国を守るというのを自分の力でやっていくことが、ある意味、さまざまな交渉においても主導権を持って物事を進められるんじゃないかと思うんですよ。

 せっかく中期防がこれだけの、二十七兆円の予算をかけて装備を行うと言うならば、この十兆円余りのものを五兆円規模まで落とすとか、そういうふうなことも想定したものにすべきではないか。それをやることで、沖縄や岩国やほかの地域の負担の軽減にもつながる。そして、日本が自力で装備を整えることで安全保障の安定は維持できる。こういうふうなスキームをつくるべきではないかと思うんですけれども、大臣いかがですか。

岩屋国務大臣 下地委員からは貴重な資料を提供していただき、また今は貴重な御意見もいただきましたが、この数字だけをもってなかなか判断、判定するわけにはいかないんだろうというふうに思っております。

 我が国を取り巻く安全保障環境といいますか北東アジアの安全保障環境というのは、むしろ、ひところに比べると厳しさ、不確実性が増してきておるんだと思いますので、米軍のプレゼンス、そして前方展開能力というのは、やはり引き続きこの地域にとっては、我が国のためのみならず重要だというふうに思っておりますので、日本が一生懸命、大綱、中期防で防衛力を自主的に整備すれば、その分を米軍の能力から差し引いていっていいという単純なものではないんだろうというふうに思っています。

 しかし、その一方で、日米が協力して、我が国の安全、北東アジアの安全、自由で開かれたインド太平洋を実現していくというのであれば、日米のリソースをどういうふうに役割分担して整備をしていくべきかということについては、先生おっしゃるように、不断に検討を重ねていかなければいけないというふうに感じた次第でございます。

下地委員 戦闘機F35、陸上配備型イージスシステム、早期警戒型E2D九機とか、空中給油機とかもすごく買いますね。

 だから、私が申し上げているのは、差引きというわけじゃなくて、そういう単純なことを考えているわけじゃないんですよ。できることは、やれることがあれば、ここはもう私たちがやりましょうというようなことを絶えず頭に入れながら中期防を考えるというやり方をしていかないといけない時代になってきているんじゃないですか。

 石垣にも宮古にも陸上自衛隊を配備する、与那国にも配備する、今まで以上に強化していますよね。そういうふうなことを強化していきながら、沖縄本島においての基地の仕組みは何ら変わらないというのではおかしいんじゃないかというふうに思っている人たちが多くいるんです。

 私たちも協力していますよ、全て。だから、中期防の中で装備をこれだけ購入する以上は、アメリカの要望においてやる以上は、先ほど書いてあるように、共同で装備も戦略も情報共有もやっていこうと大綱には書いてあるわけだから、それに伴った仕組みがあってもいいのではないか、負担軽減があってもいいんじゃないか、もうこれは日本がやるよというようなものが出てきて当たり前じゃないかというふうに私は考えているわけです。

 だから、ぜひ、みずからの国はみずから守るという、自国の防衛ということを旗頭としてやっているわけなので、そのことを丁寧に進めていただきたいということを改めて質問させていただきたいと思いますが。

岩屋国務大臣 地域の安全のためには、米軍と自衛隊、一体となって活動する場合もあるわけですけれども、我が国が防衛力を強化するのはあくまでも我が国の防衛のためでございますので、一体的に活動する場合もあるけれども、一体のものではないわけでございますから、なかなか、単純に機能を完全に切り分けることができるかというと、そうではない。やはり、我が国が持つべき能力についてはしっかり整備をしていかなければいけないと思いますけれども、先生がおっしゃるように、日米同盟が地域全体に果たす役割という観点から、どこに選択と集中があるべきかということについてはしっかり検討をしてまいります。

下地委員 最後になりますけれども、アメリカは、機動展開に対する軍事費というのは十二兆円ぐらいあるんです。世界じゅうに派遣する米軍の、そういう軍隊の維持費が十二兆円、毎年あるんですよ。だから、そういうふうなこともやられているんです。必ずアメリカも、財政赤字の問題とかいろいろなことをやったら、要望されてきます。この部分は日本がやれと言ってくることはもう目に見えていますから、今のうちから私たちの方がそういう計画をつくってやっておいた方がいいというふうに私は思います。

 ありがとうございました。

岸委員長 次に、広田一君。

広田委員 社会保障を立て直す国民会議の広田一でございます。

 本日は、社会保障ではなくて安全保障について質問をさせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

 まず、F35Aに関してお伺いをいたします。

 防衛大綱、中期防の改定に関連しまして、平成三十年の十二月十八日に、F35Aの取得数の変更について閣議了解がされました。取得数は四十二機から百四十七機に増加して、それに伴い、平成三十一年度以降の取得は完成機輸入によることとなりました。最も大きな理由なんですけれども、それは機体価格の低減でございます。百三十一億円が百十四億円に下がるとの答弁もございます。

 無論、取得価格を引き下げることは、我が国の厳しい財政状況を鑑みれば大事な要因だというふうに思いますが、ただ、このことについては、自国だけではなくて、やはり他国との比較、これをしっかり十分にされたのか。韓国やイスラエル、トルコ、オランダ、ノルウェーなど、既に完成品を調達している各国の単価、これはどうなっているのか、まずお伺いします。

深山政府参考人 F35を導入している他国における機体単価についてでございますけれども、報道等から計算をいたしますと、英国はF35Bタイプで日本円に換算いたしますと百三十二億円、豪州、オーストラリアはF35Aでございまして百七億円、イスラエルはF35Aで百二十三億から百四十億円、韓国はF35Aで百三十四億円となっておるところでございます。

 我が国におきましては御案内のとおりでございますが、本年度予算におきましては約百十四億円で予算計上しているところでございます。

広田委員 ただいまの答弁があったように、完成品だからといって、韓国の事例、百三十五億円等を見ると、決して安いわけではありません。これからさまざまな国際環境が変わり、ある意味、アメリカの言い値になってしまうわけでございますので、必ずしも完成品が未来永劫安いということは決して言えないということをまず指摘をしておきたいというふうに思います。

 その上で、平成二十五年三月一日の、F35の製造などに係る国内企業の参画についての内閣官房長官談話があるんですけれども、その中身について政府参考人から説明をしていただきたいと思います。

深山政府参考人 平成二十五年三月一日の内閣官房長官でございます。これは、F35Aの生産等に関します企業参画について述べておるものでございます。

 ちょっとポイントだけ、後段部分を読み上げますと、F35の部品等の製造への国内企業の参画は、戦闘機の運用・整備基盤を国内に維持する上で不可欠であり、また、我が国の防衛生産及び技術基盤の維持・育成・高度化に資することから、我が国の防衛に大きく寄与するものである。さらに、部品等の世界的な供給の安定化は米国等に資するほか、国内に設置される整備基盤により米国に対する支援も可能となるため、日米安全保障体制の効果的な運用に寄与するものである等ということ、これは後段部分のところでこういうことを述べまして、いわゆる、これに基づきまして、例えばFACOというような生産方式などを導入したものでございます。

広田委員 先ほど御答弁があったように、今回のこのF35の製造にかかわる国内企業の参画は、やはり、国内企業の参画によって、戦闘機の運用、整備基盤を国内に維持する上で不可欠であるということ、さらに、これらのことが我が国の防衛に大きく寄与する、こういったことに鑑みて決まったわけであります。

 その意味するところは、単に完成品を調達するより優先確保すべき安全保障上の国益があるんだ、こういうふうなことでありますので、このたびの政府はこれらの考え方を破棄したというふうなことでいいのか。この点については岩屋防衛大臣にお伺いします。

岩屋国務大臣 その前に、先生、先ほど長官から説明した各国の購入費用ですが、ベースが必ずしもそろっておりませんで、一概に比較することは適切ではないと考えているところでございます。

 それから、ただいまのお尋ねでございますけれども、官房長官の談話のとおり、F35製造への国内企業の参画はやはり必要だ、大事だという観点からFACOという仕組みでやってきたわけでございますけれども、しかしながら、我が国の厳しい財政事情のもとで防衛装備品の質と量を着実かつ迅速に確保するためには、F35Aの機体価格を一層低減することで効率的な調達を進める必要があるというふうに考えました。

 そのような考えのもとに、FACOという仕組みを取りやめて、平成三十一年度以降は、つまり令和元年度以降は、完成機輸入に切りかえるという苦渋の決断をしたところでございます。

 我々としては、引き続き、国内の防衛生産、技術基盤の育成、高度化は重要であるというふうに考えておりますので、FACOでの経験をしっかりと生かして、次につないでいくことができるように努力をしていきたいと思っております。

広田委員 日本の厳しい財政状況等を勘案することはまことに重要なことだというふうに思いますけれども、今の岩屋大臣の御答弁は非常に苦しい答弁だなというふうに思います。国内の防衛産業をしっかりと育成、高度化していかなければならないというふうに言いながら、今回のような措置をするということは、私はもう、言っていることとやっていることが違うというふうに指摘をしておきたいと思います。

 次に、平成二十三年十二月二十日の機種選定結果の資料、これを見ましても、国内企業参画の確保は必須条件であったというふうに認識をいたしております。機種選定に必要な五点セットの一つであります提案要求書というのがあるんですけれども、この評価項目として、国内企業参画は重要な柱の一つであります。評価の枠組みの第一段階では、先ほど来お話が出ておりますFACO施設を国内に有することと、修理、整備基盤を国内に有することは必須項目でございました。

 この機種選定における必須項目の位置づけについて、これは政府参考人にお伺いします。

鈴木(敦)政府参考人 平成二十三年の次期戦闘機の機種選定、その当時におきましては、国内企業参画というのも、これも考慮して、一つの項目として評価を行いました。ただし、そのほかにも、性能ですとか経費ですとか後方支援とか、こういう三要素、別の要素もございます。

 こういう要素を入れますと、国内企業参画の評価が仮に要素でなかったとしても、F35Aが、先ほど申しました性能、経費及び後方支援の三要素について最高の評価を得ておりまして、選定の結果は変わるものではないというふうに考えております。

 いずれにいたしましても、当時の機種選定は、当時の状況を踏まえて的確に行われたものというふうに認識してございます。

広田委員 鈴木さん、確かに総合的に判断しているところはあろうかというふうに思いますけれども、先ほど申し上げたとおり、評価の枠組みの第一段階における国内企業の参画については、この必須項目を満足するかどうか、この評価を行って、当時は、このうちの一項目でも要求を満たしていない提案といったものは選外、つまり、その時点で選定から脱落する、こういうふうな位置づけだったというふうに思いますけれども、今の答弁と違うんですが、もう一度改めて答弁を求めます。

鈴木(敦)政府参考人 当時の機種選定結果につきましては、平成二十三年十二月の資料でございますけれども、評価結果といたしまして、第一段評価というのがございまして、これにつきましては、当時ございました三機種の候補機種、これが全ての必須要求項目を満たしたという前提のもとに第二段階評価というのに移りまして、性能、経費、国内企業参画、後方支援、こういう評価をして最終的にF35Aが選定されたという経緯でございます。

広田委員 つまり大臣、当時、国内企業の参画というものの評価が十分でなければ、その時点で選定から外さなければならない、こういう取決めになっているんです。それほど国内企業の参画というのは重要な位置づけなんです。今回、それを政府みずからが方針転換してしまった。これは非常に重要な転換をしてしまったんだと思います。

 これは、しっかりと国民の皆さんに説明責任を果たさなければいけないと思いますが、大臣いかがでしょうか。

岩屋国務大臣 当時の判断として、国内企業の参画が極めて重要視されたということは、そのとおりでございます。

 一方、その機種選定から七年以上が経過をいたしました。また新たな方針で追加の購入を百機を超えて行うという方針を打ち立てるに至ったわけですけれども、こういう検討過程の中で、さまざまな情勢を勘案して、柔軟かつ的確に今の安全保障環境に迅速に対応していくことが必要である、また、効率的な、できるだけ購入費用も低減をさせていく必要があるという調達の効率化ということを考え合わせた上で苦渋の決断をさせていただいたと先ほど申し上げました。ぜひ御理解をいただきたいというふうに思っております。

広田委員 時間が参りましたので最後にしたいというふうに思いますけれども、F35は当時から最新の技術が多用されていて、非常に、技術開示のハードルが極めて高いものでございました。当時、パートナー国であっても国内ライセンスを持っている国はなく、いわゆるFACOができたのがイタリアだけでございます。そのイタリアでも、これを取得するために七年間の交渉を要したということであります。そういった意味から考えますと、このFACOを有するということは、それほど重いものなんです。

 ですから、今回の決定というのは、私は、将来に禍根を残してしまう危険性が非常に高いですし、先ほど来申し上げているとおり、機種選定の信用性と信頼性も大きく傷つけることになりかねませんので、この点はぜひ御留意をしていただいて、今後の運用に努めていただくように強く要請をして、私の質問を終了いたします。

 どうもありがとうございました。

岸委員長 次に、照屋寛徳君。

照屋委員 社民党の照屋寛徳です。

 昨年十二月十八日に閣議決定された防衛大綱と中期防は、現防衛大綱の統合機動防衛力にかわる多次元統合防衛力を打ち出しました。

 社民党は、防衛大綱と中期防は、米トランプ政権の対日圧力に追従した高額兵器購入の拡大と、いわゆる戦争法に基づく、憲法の専守防衛を逸脱した軍拡計画そのものであると強く批判します。

 特に、防衛大綱及び中期防における海上自衛隊のヘリコプター搭載型護衛艦「いずも」型二隻の改修は、事実上の攻撃型空母にほかなりません。断固撤回を求めます。

 また、敵基地攻撃能力を有する、憲法違反の新装備の開発や技術開発を進めることは許されません。

 かかる立場で防衛大臣に尋ねます。

 去る四月二十六日、政府は、イージス・アショア二基の購入契約をアメリカ政府と交わしております。

 軍事専門家によると、北朝鮮から発射される弾道ミサイルは、東京へ向かうなら能登半島上空、大阪へ向かうなら隠岐島上空を通過しますが、二基の配備地点は、ハワイに向かう軌道の下の秋田市と、グアムへ向かう軌道の下の山口県萩市であります。

 大臣、これでは日本が全額を負担して米国の防波堤になることではありませんか。見解を求めます。

岩屋国務大臣 我が国の弾道ミサイル防衛システムの性能、能力及び配置につきましては、あくまでも我が国領域を防護する観点から決定をされているものでございます。

 今般のイージス・アショアの配備候補地につきましても、まず、バランスよく我が国全域を防護できる、遮蔽がない広くて平たんな敷地が確保できる、電力等のインフラの確保が見込めるといった観点から、秋田県の新屋演習場、山口県のむつみ演習場の二カ所を選定し、今、現地での御説明を行っているところでございます。

 このように、イージス・アショアの配備候補地につきましては、あくまでも我が国全域を防護するという観点から決定をしたものでございまして、米国を防護するために導入するという御指摘は当たらないと考えております。

照屋委員 防衛大臣、去る五月二十一日、米空軍嘉手納基地でパラシュート降下訓練が強行されました。パラシュート降下訓練はSACO最終報告で、天候などによる例外的措置を除き、伊江島補助飛行場で実施をすると日米間で合意をしております。

 ところが、沖縄気象台に確認したところ、その日の伊江島の天候は晴れで、風や波の高さも嘉手納基地とほぼ同じだったことが判明しました。嘉手納基地周辺の市町村長や住民は、相次ぐSACO合意違反の訓練強行に強い怒りを示しております。

 問題は、岩屋大臣が五月二十四日の記者会見で、米軍によるパラシュート降下訓練はやむを得なかったと容認姿勢を示したことであります。

 この問題については、去る三月十二日の当委員会で、私の質問に対し河野外務大臣が、「パラシュート降下訓練につきましては、SACO最終報告に沿って、基本的に伊江島補助飛行場が使用される、嘉手納飛行場はあくまでも例外的な場合に限って使用される」「この例外的な場合を拡大解釈することは許されるべきではない」と明言しております。河野大臣の答弁に照らしても、岩屋大臣の発言は余りにも情けなく、アメリカに隷属し、嘉手納基地周辺住民の命の安全と人権を否定するものであります。

 今、沖縄では、岩屋大臣の容認発言に強い憤りの声が高まっております。大臣の見解を求めます。

岩屋国務大臣 このパラシュート降下訓練については、SACO最終報告において、基本的に伊江島で行うということになっておりまして、それは全く私も同じ考えというか、その認識に変わりがあるわけではございません。

 二十一日、なぜ嘉手納で行ったのかという米側への問合せに対しまして、米側からは、二十一日は、海象条件、波が高くて救難ボートを運用できない状況だった、直近の訓練は二月二十一日に行われており、その後、気象、海象条件及びスケジュール調整等の事情によって既に五回の降下訓練が中止されてきている、資格維持の観点から、これ以上訓練を先延ばしすることはできないことから、例外的に嘉手納で訓練を実施せざるを得なくなったという説明があったところでございましたので、防衛省としては、今回の訓練は、あくまでも例外的に行われたものと理解をしたところでございます。

 今後につきましては、言うまでもなく、基本的に伊江島で訓練を行ってもらうべく、しっかりと米側に申し入れてまいります。

照屋委員 大臣、米側の説明をうのみにしてはいけませんよ。だって、五月二十一日の天候は伊江島も晴れ、風や波の強さも嘉手納基地周辺と変わらぬと沖縄気象台が発表しているんだもん。そういう点で、余りにも基地周辺住民は、三月の河野大臣の発言と岩屋大臣の発言の落差にがっかりしているんです。強くそのことを言いたい。

 最後に、先ほど赤嶺委員からも質問がありましたが、六月四日、沖縄県浦西中学校に落下したヘリ部品は、米海兵隊が普天間基地所属のヘリの部品であると認めました。大臣は、原因究明と再発防止策が講ぜられるまで、米軍に対し、飛行停止を強く抗議すべきではありませんか。見解を求めます。

岩屋国務大臣 これは、先ほど申し上げましたように、米側からは、当該ブレードテープを使用している全ての航空機を点検し、劣化したものは全部取りかえるという説明を受けているところでございます。

 我々としては、改めて、点検整備、安全管理を徹底するよう米側に強く申し入れてまいります。

照屋委員 終わります。

岸委員長 次に、長島昭久君。

長島委員 未来日本の長島昭久です。最後、よろしくお願いいたします。

 きょうは、先ほど照屋先生もお触れになりましたが、いわゆる空母の問題についてお伺いをしたいというふうに思います。

 先日、海上自衛隊のOBと航空自衛隊のOBとたまたまテレビで一緒になりまして、その番組で「いずも」の改修について議論をしたんですが、三つほど懸念が示されたものですから、ちょっと最初に大臣に御感想というか御意見を伺いたいんです。

 まず、プロの目から見ると、今回の「いずも」の改修というのは極めて中途半端、つまり空母と呼ぶには中途半端な代物だ、これが一点。

 それから二点目は、この改修によって、あるいはSTOVL機の運用によって、もしかすると我が国の防衛上大事なオペレーションに穴をあけてしまう、他の大事なオペレーションに穴をあけてしまう可能性があるのではないか。

 そこで三番目は、これはより深刻だと思うんですけれども、今回のこの「いずも」の改修というのはどういうプロセスでなされたのか。つまり、内幕一体の、いわゆるオペレーションズリサーチと言われているような彼我の戦力比較をした上で、それもスタティックな比較ではなくて、今後どうやってそれが、向こうの戦力が伸びていく、こちらの戦力がどうなっていくか、こういうダイナミックな、いわゆるネットアセスメントを通じてシナリオベースで、こういうふうになったときにはこちらの戦力がどうだ、こうなったときには何で対抗するか、こういうシナリオベースの運用検討を行って、十分行った上で今回の「いずも」の改修、運用という決定が下されたのかどうか非常に危うい、そういう感想がなされたんですけれども、それに対して大臣はどうお答えになりますか。

岩屋国務大臣 まず、「いずも」というのは現在も多機能な護衛艦なわけでございますけれども、これを改修し、STOVL機を運用することもできる護衛艦に変えた後も、多機能な護衛艦、多目的な護衛艦として運用したいというふうに考えております。

 そういう意味で、今、長島先生おっしゃった最初の、ちょっと性格が明確ではないのではないかという御指摘を招いているのかもしれませんけれども、御案内のとおり、今、「いずも」型の護衛艦というのは、警戒監視、哨戒活動、あるいは災害時の輸送機能、もともと艦艇の指揮に当たる機能、医療船としての機能、さまざまな機能を持っているわけですが、ある意味でいうと非常に欲張りなのかもしれませんが、それらの機能が引き続き果たせるようにしつつ、そこでSTOVL機を必要に応じて運用できるという機能をつけ足そうという、ある意味では非常にチャレンジングな……(発言する者あり)いやいや、しかし、それをぜひなし遂げていきたいというふうに思っているところでございます。

長島委員 まさに今大臣がおっしゃった、もともと多機能な艦艇なわけです。それに、今回、戦闘機を必要に応じて運用するようにする。それには当然理由があるはずなんです。なぜ今までの機能プラスアルファをせざるを得ないか、ここをきょうぜひ詰めたいと思っているんです。

 基本に立ち返って、我が国の防衛戦略を大臣としてどうお考えかということをまず伺いたいと思います。そこから説き起こして、我が国の防衛戦略はこれだ、今回は艦艇の話ですから、そこから導き出される海上防衛戦略はこれだ、そういう中で「いずも」の改修が必要だ、この三段論法をきちっと御説明いただければ国民の皆さんも納得していただけると思うので、ぜひお願いします。

岩屋国務大臣 時間もあるでしょうから簡潔に申し上げたいと思いますけれども、やはり現在の安全保障環境に照らして考えると、海上優勢、航空優勢というのは、言うまでもなく決定的に重要だというふうに思っております。

 今、我が国の太平洋側の守りという意味では、そういう意味ではまだ不十分な点がございます。しかし、太平洋側には硫黄島しか運用できる飛行場はない。そこに、「いずも」型を改修し戦闘機の運用が必要に応じてできるようにすれば太平洋側の守りも固めることができるし、STOVL機を運用することによって、現在は戦闘機の運用に使えない自衛隊の飛行場も、これは戦闘機の運用、STOVL機の運用ができるようになるという意味でいうと、防空能力それから海上優勢に大きく貢献することになるというふうに考えた次第でございます。

長島委員 それは、今大臣がおっしゃったのはまさにそのとおりなんですが、ちょうど私たちが政権のときに「いずも」と「かが」の予算化をしたんです。そのころは、二〇〇九年、一〇年、一一年、今から六、七年前の話ですけれども、そのときはこういった戦闘機の運用は考えていなかったわけです。航空優勢、海上優勢にしても、地上発射の戦闘機と、それから、例えば海上の優勢であれば、掃海活動を中心として対潜水艦戦をきちっとやっていく。

 日本の防衛というのは、我が国のエリアを守る、領土、領空、領海を守るということプラス、我が国は戦略打撃力を持たないという憲法解釈がありますので、そこは米軍の来援を待たなきゃならない。来援する米軍の基盤をきちっと確保しておかなければならないという意味では、当時も、恐らく今もそうですけれども、やはり潜水艦との戦いというのは結構大事なんです。そこにかなり勢力をそがれるので、これまで二、三機しかなかったヘリを倍以上に搭載できるこの「いずも」、「かが」、全通甲板の、空母のような形状のものを導入したわけです。

 今の大臣のお話は、プラスして、飛行場が少ない、あるいは飛行場が場合によっては攻撃にさらされる場合もあるので、あるいは太平洋上というのは、西太平洋上は基本的には硫黄島しかありませんので、そういうことに代替するためにこの「いずも」、「かが」を使おうという御説明だったんですけれども、されば、既にもういっぱいいっぱいになっている掃海、対潜水艦の作戦運用というのはどういう影響を受けるというふうにお考えになっているんでしょうか。

岩屋国務大臣 まず、民主党政権下においてこれは建造にかかっていただいたわけでございまして、当時の御努力に敬意を表したいと思います。非常に多機能な護衛艦として、非常に役割を果たしてくれていると思います。

 その重要な役割の一つが、対潜水艦戦といいますか、哨戒活動であることは委員御指摘のとおりでございまして、「いずも」を更に多機能に使っていくといった場合にそれがおろそかになるのではないかという御指摘だと思いますが、当然、そのようなことも我々は考えて、「いずも」が今まで受け持っていた哨戒機能というものを他の護衛艦において補充するなど、そこはすき間がないようにしっかりと運用方法を考えてまいりたいというふうに思っております。

長島委員 一つ考えられるのは、まあ、これははっきり言いますけれども、中国側の軍事力が相当大きくなっているんです。活動の範囲も相当広がっているんです。

 これもちょうど我々が政権のときだったんですけれども、二〇〇九年六月、初めて宮古海峡を中国の艦艇が艦隊で通過をして、それ以来、ほぼ常続化しています。それから、たしか二〇一三年だと思いますけれども、今度は上空を飛ぶようになった。最近ではH6という爆撃機も、あれは何か対艦ミサイルなんかも発射するようになった。つまり、掃海活動をやるにも、防空、艦隊を守っていくような機能も必要なので、ずばり言いますけれども、F35Bのようなものを必要としている、そういうお考えですか。これを最後にします。

岩屋国務大臣 STOVL機を運用できるようになれば、先生がおっしゃったような能力というか役割を果たすことができると思いますが、特定の国を相手にそういうことができると言っているわけではなくて、そういう能力、役割というものを獲得することにはなるというふうに思います。

長島委員 これは非常に難しいんですよ、トレードオフの話ですから。こちらを強化するとこちらが弱体化するということなので。

 引き続きこの議論をやっていきたいと思いますけれども、ぜひバランスのいい装備を取得をして、そして運用していただきたい、このことを申し上げて、終わりにしたいと思います。

 ありがとうございました。

岸委員長 次回は、来る十八日火曜日午後二時理事会、午後二時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十八分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.