衆議院

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第4号 令和3年5月21日(金曜日)

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令和三年五月二十一日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 若宮 健嗣君

   理事 小田原 潔君 理事 大塚  拓君

   理事 長島 昭久君 理事 宮澤 博行君

   理事 山本ともひろ君 理事 重徳 和彦君

   理事 村上 史好君 理事 浜地 雅一君

      井出 庸生君    岩田 和親君

      江渡 聡徳君    大野敬太郎君

      鬼木  誠君    門山 宏哲君

      塩谷  立君    竹本 直一君

      中谷  元君    西田 昭二君

      西銘恒三郎君    原田 憲治君

      山下 貴司君    柿沢 未途君

      篠原  豪君    武内 則男君

      本多 平直君    屋良 朝博君

      佐藤 茂樹君    赤嶺 政賢君

      杉本 和巳君    大塚 高司君

    …………………………………

   外務大臣         茂木 敏充君

   防衛大臣         岸  信夫君

   財務副大臣        伊藤  渉君

   経済産業副大臣      長坂 康正君

   防衛副大臣        中山 泰秀君

   政府特別補佐人

   (人事院総裁)      一宮なほみ君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  松本 裕之君

   政府参考人

   (内閣官房小型無人機等対策推進室審議官)     島田 勘資君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  山内 智生君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 宮沢 忠孝君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 大鶴 哲也君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 石月 英雄君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 有馬  裕君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           長野 裕子君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           安居  徹君

   政府参考人

   (経済産業省通商政策局通商機構部長)       黒田淳一郎君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房衛生監) 椎葉 茂樹君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房施設監) 杉山 真人君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房公文書監理官)          齋藤 雅一君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  岡  真臣君

   政府参考人

   (防衛省整備計画局長)  土本 英樹君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  鈴木 敦夫君

   政府参考人

   (防衛省統合幕僚監部総括官)           加野 幸司君

   安全保障委員会専門員   奥  克彦君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十一日

 辞任         補欠選任

  岩田 和親君     鬼木  誠君

  大岡 敏孝君     井出 庸生君

  大西 宏幸君     西田 昭二君

  照屋 寛徳君     武内 則男君

同日

 辞任         補欠選任

  井出 庸生君     大岡 敏孝君

  鬼木  誠君     岩田 和親君

  西田 昭二君     大西 宏幸君

  武内 則男君     照屋 寛徳君

    ―――――――――――――

五月十八日

 緊急出動のある自衛官の官舎の改善に関する請願(谷公一君紹介)(第八七六号)

 同(小田原潔君紹介)(第九二一号)

 本土からの辺野古埋立て用の土砂搬出計画をやめることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第九八二号)

 同(川内博史君紹介)(第九八三号)

 同(屋良朝博君紹介)(第九八四号)

 同(近藤昭一君紹介)(第一〇三一号)

 戦争法(安保法制)を即時廃止することに関する請願(藤野保史君紹介)(第一〇二五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国の安全保障に関する件


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     ――――◇―――――

若宮委員長 これより会議を開きます。

 国の安全保障に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官松本裕之君、内閣官房小型無人機等対策推進室審議官島田勘資君、内閣官房内閣審議官山内智生君、警察庁長官官房審議官宮沢忠孝君、外務省大臣官房参事官大鶴哲也君、外務省大臣官房参事官石月英雄君、外務省大臣官房参事官有馬裕君、文部科学省大臣官房審議官長野裕子君、経済産業省大臣官房審議官安居徹君、経済産業省通商政策局通商機構部長黒田淳一郎君、防衛省大臣官房衛生監椎葉茂樹君、防衛省大臣官房施設監杉山真人君、防衛省大臣官房公文書監理官齋藤雅一君、防衛省防衛政策局長岡真臣君、防衛省整備計画局長土本英樹君、防衛省地方協力局長鈴木敦夫君、防衛省統合幕僚監部総括官加野幸司君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

若宮委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

若宮委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。原田憲治君。

原田(憲)委員 おはようございます。自由民主党の原田憲治でございます。

 質問の機会を頂戴いたしましたので、何点か質問をさせていただきたく存じます。御配慮いただきまして、ありがとうございます。

 まず最初に、新型コロナウイルスの蔓延に伴いまして、ワクチン接種があちらこちらで始まっております。大規模接種センター、これは大阪にも設置されておりますけれども、このことについて質問をさせていただきます。

 医官、看護官約百名が、そのほかにも民間の看護師の皆さんも派遣をされるということでございますが、私、ちょっと心配をしておりますのが、自衛隊の病院というのは、一般診療も全国の自衛隊病院において行っておられます。防衛医大の所沢の病院でありますとかあるいは中央病院でありますとか、そういったところへ影響は出ないのかどうか、この点についてまずお尋ねしたいと思います。

椎葉政府参考人 お答えさせていただきます。

 今回の大規模接種センターの設置、運営につきましては、防衛医科大学校病院や自衛隊中央病院等の恒常的な業務や新型コロナウイルス患者の受入れ業務等に影響を及ぼさないよう、ワクチン接種に専念するためのセンターを別途設置いたしまして、センターには全国の自衛隊の部隊に所属する医官、看護官等、更に民間看護師二百人も配置する予定でございます。

 新型コロナウイルス感染症対策は国家の危機管理上重大な課題でございまして、防衛省・自衛隊におきましては、国民の命と平和な暮らしを守り抜くため、大規模接種センターの設置、運営に向けて全力を挙げて対応してまいります。

原田(憲)委員 ありがとうございます。影響はないということであります。

 次に、その接種会場で対応に当たる医官、看護官を含めまして、自衛官というのは、いつ何どきどこへ派遣をされるか分からない任務に就いておられるわけでありますけれども、自衛官の皆さん、大規模接種センターで任務に当たる方も含めて、自衛官として予防接種を受けておるのか、どのような状況になっておるのか、その点についてお伺いをいたします。

椎葉政府参考人 お答えさせていただきます。

 防衛省・自衛隊における医療従事者等の新型コロナウイルスのワクチン優先接種対象者が約一万四千人でございますが、それらに対する接種でございますが、三月八日より開始されているところでございます。このうち、先週の金曜日、五月十四日でございますが、これまでに、自衛隊の病院等におきまして、医療従事者九千八百四名に対する一回目の接種が終わりまして、六千二百三人に対する二回目の接種が行われたところでございます。

原田(憲)委員 今のは医官とか看護官に対してだと思いますが、一般の自衛官、その人たちに対しての予防接種というのはどうなっておりますでしょうか。お答えいただけますか。

椎葉政府参考人 お答えさせていただきます。

 国の方針が、まず医療従事者を最優先にする、その次に六十五歳以上の高齢者を優先する、それが終わりましたら、基礎疾患のある方、そして高齢者施設に従事する方を優先する、その後が一般ということで、自衛隊員は一番最後になる予定でございまして、自衛隊員について、ワクチン接種につきましてはまだの状況でございます。

 以上でございます。

原田(憲)委員 ちょっとそれは問題だと私は思います。いつどこで、感染症の起こっておるようなところ、例えば、今、九州の方でも豪雨災害が起ころうというような豪雨が降っておる状況です。そんなときでも災害派遣で出ていかなくてはならない。その自衛官の皆さんが、派遣をされた災害派遣の先でもし感染するようなことがあったら、これは大変なことですから、是非その辺のところはお考えをいただきたいと思います。

 政府の方針はそうかもしれませんけれども、岸大臣、どうでしょうか。やはり、自衛官として優先的に接種を受けられるような体制は私は必要ではないかと思うんですが、もしお答えいただけるようでしたらお願いします。

岸国務大臣 原田先生の御認識はもっともなところであると思います。

 これから夏場にかけて様々災害対応も出てくるかと思います。緊急な場面もあると思いますけれども、そうしたとき、昨年においては、予防接種なしでもしっかり対応して、自衛官には感染がない形で乗り切ることができましたけれども、今、ワクチンがまだ十分行き渡っていないような状況でございますけれども、今後、ワクチンの供給状況等々に応じまして、そうしたことも検討の余地があるかどうか、しっかり考えてまいりたいと考えております。

原田(憲)委員 大臣、ありがとうございます。是非そのように対応していただきたいと思います。現在も自衛官の中で感染者が出ておる状況でございますので、その辺のところも併せてお願いをしたい、このように思います。

 今回の大阪の会場、これは、大阪国際会議場、中之島のところにあります。私もよく利用するホテルの隣に立地しておるところでございまして、最初は、公共交通機関でその会場までお越しをいただくということで、私鉄の延伸線もその近くまで来ております、駅も設置をされております、それから市バスも走っておるんですが、今回、この大阪の会場は、大阪駅あるいは南海電鉄のなんば駅から大阪市バスを大阪市の方で走らせていただくということになったようであります。

 それはそれでありがたいんですが、実は、お願いをしたいのは、今、このコロナ禍で、バス事業者、特に観光バスの業者の皆さんが困窮をしておる状況であります。今から市バスを観光バスに替えろというのは無理と思いますし、その用意は自治体のことでありますから、大阪市のことでありますから、防衛省あるいは国がどうこうという問題は、対応はできないと思いますが、もし、更にということになれば、ほかの駅、あるいは兵庫県や京都府といったところも範囲になっておりますので、そこからの足として交通機関が必要だということになれば、観光バスの方を利用していただいたら、もし防衛省として対応していただけるようだったらそのようにしていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

岸国務大臣 済みません、私自身、ちょっと大阪の方の土地カンがいまいちはっきりしないものですから、はっきりしたお答えもできないんですけれども、防衛省として、より多くの方々にワクチンを受けていただく、このことが一番重要なことでございますので、そのために、関係省庁や自治体と連携を取りまして、できること、可能なことについてはどういったことがあるか、しっかり引き続き検討を行ってまいりたいと考えております。

原田(憲)委員 ありがとうございます。是非よろしくお願いをしたいと思います。

 ところで、今回のワクチン接種会場に自衛隊が出動されますけれども、その根拠というのは、今回、災害派遣ではないとお聞きをしておりまして、根拠はどうなっているのか、お聞かせいただけますでしょうか。

椎葉政府参考人 お答えさせていただきます。

 自衛隊病院につきましては、自衛隊法二十七条第一項及び施行令四十六条の規定に基づきまして、隊員それから隊員の被扶養者の診療に支障を及ぼさない限度において、防衛大臣の定めるところにより、これらの者の診療を行うことができるとされているところでございます。

 これらの者以外の者につきましては、訓令におきまして、防衛大臣が診療を行う必要があると認める者が含まれております。

 この防衛大臣が認める者につきましては、長官通達によりまして、病院において診療を受ける部外者の診療につきましては、防衛大臣の承認があったものとみなすということで、そういう規定を踏まえまして、自衛隊東京大規模接種センターにつきましては、自衛隊中央病院が行う診療として実施するものでございます。

 また、自衛隊の部隊におきましては、医務室の規定がございまして、こちらにつきましては、幕僚長が診療を行う必要があると認める者の診療を行うことができるとされておりまして、大阪の大規模接種センターにおきましては、医療法に基づきまして診療所の開設許可を得て自衛隊の医務室として設置され、陸上幕僚長の承認を受けて部外者の診療を行うものということでございます。

原田(憲)委員 ありがとうございます。

 何か無理無理、自衛隊を、自衛官を、医官、看護官を出動してもらうために理由づけをしたのではないかなと思うところもあります。

 今、自然災害に対する災害派遣、これは当然のことだと思いますけれども、そのほかにも、最近、えっ、これ、自衛隊の仕事と思うような派遣が多いように思います。

 例えば、豚熱あるいは鳥インフルエンザ、こういうのが起こりますと、本来、農水省の関係で対応すべきことではないかと思うんですが、いきなり、ともかく人手が要るから自衛隊に頼もうという形で、災害派遣という形で自衛隊が派遣をされるという事案が多くなっております。これは本当にいいんでしょうか。自衛隊の本来任務に支障が出ておるんじゃないか、私はそのように思ってならないんですね。

 自衛官の皆さんも、特に私、激励に行ったところの部隊で対応を見せていただきましたけれども、本当に過酷な状況ですよ。ともかく豚を追い立てる、そして処理した豚を運び出す、後の床の掃除もしなければならない、こんなことが自衛隊の任務かと思うようなことでありました。指摘をしておきたいと思います。

 大臣にお尋ねしたいんですが、今私が申し上げたようなことで、災害出動という名前で、本来の自衛隊が行うことではなくて、ほかの皆さんが対応していただいてもいいのではないかと思うような事案が多いように思うんです。これは本当の自衛官の士気にも感じてくる。自衛官の皆さんは使命感に燃えて任務に当たっておられますのでそのようなことはないとは思いますけれども、是非この辺は、他の省庁ともしっかりと議論をしていただきたいと思います。岸大臣、いかがですか。

岸国務大臣 自衛隊としては、各種事態が発生した場合に、即応態勢を維持していくということが必要でございます。災害派遣を実施するに当たっても、かかる体制に支障が生じることのないように留意をしてまいっておるところでございます。

 一方で、気象の変動等々、大雨の影響や、地域防災力の低下、こういったことがございます。自衛隊の災害派遣を取り巻く環境というものが大きく変化をしている。また、大規模、長期化、こうした多様化する状況にある。

 災害発生の当初においては、被害状況が不明であって、いかなる被害や活動にも対応できるように最大の態勢を取って対応するということが必要なわけですけれども、生活支援等々について、これは委員も御指摘のとおり、自治体、関係省庁、こうしたところと協力しながら、役割分担というものを明確にしていく、その上で我々の支援を行っていくということが重要であるというふうに考えております。

 引き続き、自衛隊としても、災害対応に対しては適切な形で対応を実施してまいりたいと考えています。

原田(憲)委員 ありがとうございました。

 時間が来ましたので終わらせていただきますが、是非、岸大臣、災害派遣という名前のとおりの派遣が自衛官に対して行われるようにお願いをして、終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

若宮委員長 次に、浜地雅一君。

浜地委員 おはようございます。公明党の浜地雅一でございます。

 まず、自衛隊の皆様方が、大規模接種センター、いよいよ接種が開始をされます。岸大臣におかれましては、様々報道もございましたけれども、非常にアナウンスメント効果として、当然、ワクチンが促進されるという部分もございますが、やはりこれだけ大きな接種会場があると、アナウンスメント効果としての国民の安心にもつながろうかと思っております。

 そして、これは自衛隊の皆様方が行うわけではございませんが、私の地元福岡でも、自治体主体で大規模接種センターの設置が始まっております。これはやはり、自衛隊の皆様方が率先して東京、大阪につくられた、それを見て各自治体も行うわけでございますので、ここは成功するかしないかということが、今後のワクチン接種にとって非常に大きなものになろうと思っておりますので、是非、公明党もしっかりとこの点を応援をしてまいりたいと思っておりますので、冒頭一言、お話をさせていただきました。

 今日は、私、少し、宇宙またデブリについてお話をさせていただきたいと思っております。

 衛星コンステレーションがこれから様々企画をされております。これは軍事だけではなく、御案内のとおり、現在は通信事業者を中心に既にコンステレーションの計画が実施をされております。アメリカのスペースX、今、一千三百八十五基、小型衛星を飛ばしている。また、イギリスのワンウェブ、百四十六基でございますけれども、これが将来的には、スペースXの方は一万二千基のコンステレーションになる、また、ワンウェブの方は七千二十基、今後、コンステレーションとして衛星を行うということでございます。これに加えて、当然、米国でも軍事としてのコンステレーション、日本でもこの検討が始まっているというふうに聞いております。

 現在のスペースデブリの状況を見ますと、安保委員会の皆様方は見慣れた資料かと思いますが、資料一にございますとおり、現在、左側、二万の、約十センチメートルのデブリがございます。十センチのデブリといっても、これが当たれば衛星は機能を失うような大きなものでございまして、御案内のとおり、これより小さな人工の物体も多く存在するわけでございます。

 現在二万でございますけれども、これから、先ほど申し上げました民間のコンステレーション等が順次投入をされていきますと、予想のシナリオとして、左側に示されていますとおり、PMDといって、適切に破棄をしたとしても、今後、二二一五年には、これから六倍、約十八万個以上の個体が、スペースデブリ、浮かんでくることになりまして、非常にデブリだらけになるという予想でございます。

 しかも、その破砕率、どれだけ小さく細かくやるかというのが、百分の一程度であれば、仮に廃棄処理が適切に行われたとしても、これから十二倍、約三十五万個以上のデブリが発生するということでございます。

 そして、現在、二万しかないと言ったらおかしいんですが、二万のデブリの中においても、日本の衛星が軌道を修正しなきゃいけないという軌道修正判断会議、これは三十五日間で一日行われているそうでございまして、実際に六回、現実にぶつかりそうだったので軌道を修正した。幸いなことに衝突事案はまだないわけでございますけれども、現在、この二万のデブリの状態でも三十五日に一回、軌道を修正するかどうかの会議が行われておりますので、やはり、今後、このデブリの処理、また宇宙全体の管理というものは大事になってこようかと思っています。

 しかし、宇宙については、皆様御案内のとおり、なかなかルールづけが行われていないということでございますが、一つ、国連の中に、資料二にございますとおり、宇宙空間平和利用委員会という国連の常設機関がございます。ここが一つの、これから国際スタンダード、国際ルールを作っていく上でのやはり司令塔になろうかというふうに私自身は思うところでございます。

 その上で、長期的持続性ガイドライン、LTSというものが二〇一八年六月に決定をしたわけでございますが、当然、国連の会議ですから、コンセンサス方式です。ここにありますとおり、二十八のガイドラインを作ろうとしたんですが、二十一のガイドラインについては合意が得られたそうです。しかし、七つのガイドラインについては合意が得られなかった。

 その七つについて私も外務省に問合せをしてみますと、一番はやはり、宇宙空間を専ら平和的目的で行うことの公約、これはなかなか合意できない。また、宇宙物体の能動的除去、スペースデブリの除去も含むというふうに思いますけれども、これについての手続の遵守であったりとか、又は、今、衛星は登録をされておりますけれども、登録をされていない非登録物体に関する手続をどうするか。そして、一番大事なことでございますが、安全保障を損なうような情報通信技術の利用を排除するための取組というものが合意が成らなかったというふうに聞いております。

 そこで外務省にお伺いしたいんですが、なぜ、この七つのガイドライン、合意をできないような今の背景があるのか、そして、日本としては、今後どう宇宙空間の利用、特に国連COPUOSにおいてどうリーダーシップを取っていくのか、外務省にお答えいただきたいと思います。

大鶴政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国は、宇宙空間の持続的かつ安定的な利用の確保を重視しておりまして、今委員御指摘の国連宇宙空間平和利用委員会、通称COPUOSと呼んでおりますけれども、ここにおけます議論を始めまして、国際的なルール作りに積極的に関与をしております。

 御指摘ございましたLTSガイドラインは、そのCOPUOSに設置されましたワーキンググループで長年にわたり議論を行いましたその結果、合意が得られた二十一のガイドラインにつきまして、二〇一九年のCOPUOSの本委員会において採択されたものでございます。

 まさに委員御指摘のとおり、この過程で、七つのガイドラインについては合意に至りませんでした。一つ一つの、それぞれ反対、賛成について詳細に述べることは差し控えますけれども、この背景としましては、やはり宇宙利用国が非常に増えてきているという中で、各国の利害関係が非常に錯綜それから複雑化してきているということが背景にあるというふうに分析しております。

 COPUOSにおきましては、このLTSのガイドラインの採択後も、同ガイドラインの具体的な実施及び追加的なガイドライン作成の可能性について議論をするためにワーキンググループが立ち上がっておりまして、我が国としましても、関係国と連携しながら議論を進めております。

 今後、官民を問わず宇宙空間の利用の拡大が見込まれる中、引き続き、宇宙空間における法の支配の実現及び安全の確保に取り組んでいく考えでございます。

浜地委員 今、キーワードで法の支配という言葉が出ましたけれども、海洋ではルールがあるのになかなか守られない状態でございますので、しっかりこの宇宙空間が、逆に、ルールがある海洋でなかなか守られない現状がある中で、宇宙空間はそういったルールがない中でございますので、まさにここはしっかりとやっていかないと、まさに我が国にとっても脅威でございますし、ここは本当に日本がリーダーシップを取っていただきたいというふうに思っています。

 そこで、日本がリーダーシップを取っているというところで、スペースデブリ除去の実証実験を、実は日本が、これは世界最先端だというふうに聞いております。

 資料三で、ELSA―dというものがございます。これは、小型のデブリをマグネットで取って除去する技術でございまして、今年の春の三月の二十二日に打ち上げが成功をいたしました。私が聞いているところによりますと、これは世界初の技術ということでございます。

 それともう一つ、大型のデブリの除去というのがこれから進もうとしています。資料四でございます。

 先日、中国のロケットがどこに落ちるか分からないというものもございました。ですので、この大型デブリというのは、ロケットの上段をしっかりそこに、要はくっついて、そのまま大気圏内に再突入して一緒に燃えるような技術だそうでございます。非常に、これは日本のベンチャー企業が優位性を持っているということで注目を浴びているところでございます。

 そこで、今日は文部科学省に来ていただきましたが、このデブリ、スペースデブリの除去についての我が国の実証実験の、まず取組、私、今簡単に御説明しましたが、どこが技術として優れているのか、そして、今後これを日本がリーダーとして展開をしていく、これでやはりビジネスでも成功しますし、当然、デブリの除去という、世界全体の、地球全体の問題についても日本がリーダーシップを取る大事な事業だと私は思っておりますが、文部科学省の方に御答弁をいただきたいと思います。

長野政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、宇宙空間の持続的かつ安定的な利用を確保するためには、スペースデブリ問題は極めて重要な課題とされております。

 我が国では、その課題解決のために、独自の技術を開発し、デブリを除去する技術実証の取組を進めているところでございます。

 委員御指摘いただきましたように、我が国における宇宙ベンチャーの一つであるアストロスケール社では、本年三月にデブリ除去技術実証衛星の打ち上げに成功しており、世界に先駆けて小型デブリ除去技術の実証に挑戦する予定となっております。現在、衛星搭載機器の調整などを進めており、今後、回転運動する小型デブリの模擬物体の捕獲などの世界初の実証を行う予定としております。

 本取組に対しては、国立研究開発法人であるJAXAが、衛星の試験に必要な設備の供与、またデブリの振る舞いに関する分析、評価など、必要な支援を行っているところでございます。

 また、JAXAでは、二〇一九年度から、世界初の大型デブリ除去技術の実証を目指した研究開発プロジェクトを進めておるところでございます。現在、アストロスケール社と連携し、デブリへの接近やデブリの振る舞いの観測を行う衛星の設計などを進めており、二〇二二年度に本衛星を打ち上げ、大型デブリへの接近及び観測技術などの実証を行う予定でございます。さらに、二〇二五年度以降には、大型デブリであるロケットの上段を除去する技術の実証を目指しております。

 文部科学省としましては、こうした取組を通じて、宇宙空間の持続的かつ安定的な利用を確保し、安全、安心な宇宙開発利用の実現に資するため、官民連携して、世界をリードするようなデブリ除去技術の研究開発及び実証を引き続き推進してまいる所存でございます。

浜地委員 是非お願いします。外務省においても、こういう取組を国際社会でもPRするとか、様々サイドイベント等ございますので、しっかりJAXAと連携して、日本の取組を世界に紹介をいただきたいというふうに思っております。

 最後に防衛大臣にお聞きをしたいと思っていますが、防衛省では、コンステレーション、特にHGV、極超音速滑空ミサイルについてどうするかという研究が始まっているわけでございます。まだ今年度の予算ではしっかり調査研究を進めていくということでございますが、私は、絶対にこれは、米国のコンステレーションに参加すべきだというふうに思っております。

 当然、迎撃手段としての確実性もそうでございますけれども、やはり、HGVは滑空段階で迎撃をする。今の弾道ミサイルは、米国の早期警戒衛星を使って、日本のレーダーで捕捉をし追尾をし、当然、最後は日本のシューターで迎撃をするわけでございますが、やはり、私が聞いているところによりますと、滑空段階で迎撃するには、衛星自体の探知、追尾情報だけでミサイルを誘導するようなシステムではないかというふうに聞いております。

 ですので、そうなりますと、全部米国に任せますと、結局、アメリカのシステムだけで、最後のシューターを撃つのは日本の装備かもしれませんが、追尾、そして迎撃のミサイルの誘導まで米国に任せっきりになるんじゃないかなというふうに、私自身、個人的には思っています。

 そうではなくて、やはり日本の上空については、しっかりと米国と連携を取りながら、米国のコンステレーションの一部かもしれませんけれども、しっかりと連携を取って、日本の主体性を出すためにも、私は、このコンステレーション、参加すべき、研究をいち早く進め、遅れずにやっていくべきだというふうに思っております。

 それと、もう一つ、この極超音速滑空ミサイルは、大体、滑空距離が三十キロから八十キロというふうに言われております。これはシューターの問題なんですね。

 SM3は大体五百キロから一千キロで迎撃をする、PAC3は大体三十キロに届かないんじゃないかというふうに私自身認識をしております。そうなると、滑空段階で迎撃するには、SM3やPAC3では、私は、ちょうど高度が、隙間があるんじゃないかなというふうに思うところでございますので、最後の、極超音速滑空ミサイルの迎撃手段としてのシューターについても研究を進めていただいて、やはり国民に安心をもたらしていただきたいと思っております。

 この米国コンステレーションへの参加の意義や、またHGVの迎撃のシューター装備について、この二点、最後、岸防衛大臣にお聞きをしたいと思います。

岸国務大臣 衛星メガコンステレーションにつきまして、米国の計画では、今御指摘の極超音速滑空兵器、HGVなどを宇宙空間から遅滞なく探知、追尾できる可能性がございます。

 防衛省では、米国との連携も念頭に置きまして、衛星コンステレーションを活用したHGVの探知、追尾システムに係る調査研究を今年度から実施をいたします。あわせて、HGVへの効果的な対処のための迎撃ミサイルの在り方についても、調査研究も、これも実施をいたします。

 引き続き、HGVへの対処を含めて、総合ミサイル防空能力の強化に取り組んでまいりたいと考えます。

浜地委員 時間になりましたので、終わります。

 ありがとうございます。

若宮委員長 次に、重徳和彦君。

重徳委員 立憲民主党の重徳和彦です。

 先ほど、自民党の原田委員から、自衛隊にどこまで本来業務外のことまでやらせるんだというようなテーマで御質問が行われました。似たような観点から、私は自衛隊の大規模接種について質問をしたいと思います。

 アエラと毎日新聞の記者が予約システムに架空のコードを入力して予約を取って記事を書いたという件があります。防衛省からは抗議文を出されたということでありますが、これがまたマスコミへの圧力なんじゃないかとか、本当にどんどん尽きない話なのであります。

 こういうのはやはり透明性が必要だと思います。ちょっと、通告していませんが、事実関係ですので。抗議文を、我が党として、どういうものを出したのかということについて提出を求めていると思いますが、これは提出されたんでしょうかね。昨日から求めていますが。

椎葉政府参考人 官房長名で発出しておるところでございます。(重徳委員「いや、提出を」と呼ぶ)提出……(重徳委員「委員会じゃなくて、我が党の。要するに、公表していないのかと」と呼ぶ)公表はしておりません。(重徳委員「公表してくださいということを言っているんですが」と呼ぶ)要検討とさせていただきます。

重徳委員 この抗議文は大臣まで決裁を取ったものだと思います。大臣としても、公表についてはどうお考えですか。公表していただけないでしょうか。

岸国務大臣 これは官房長名で、私も決裁いたしましたけれども、官房長名でそれぞれの会社宛てに抗議文を出させていただきました。

 これを公表するかどうかについては、今答弁ありましたけれども、今後検討いたしたいと考えます。

重徳委員 検討していただきたいと思います。

 このシステムについては、元々、サイトをパンクさせないため、予約サイトですね、パンクさせないというような考えもあって軽いシステムにしてきたということでありますが、今回の件も踏まえて、実在する市町村コードしか入力できないような改修を行うというふうに聞いております。

 しかし、接種券番号と生年月日を自治体のシステムとひもづけをしなければ、引き続き架空の番号で予約をできてしまうということでございます。

 これは、法律上、行政機関の個人情報の保護に関する法律に照らしても、恐らく個人情報の取扱いを含めて、防衛省・自衛隊のシステムにひもづけすることは法律上はできると思うんですけれども、ひもづけしないんですか。

椎葉政府参考人 お答えさせていただきます。

 全市町村が管理します接種券番号を含む個人情報をあらかじめ防衛省の方が把握し、入力される予約情報と照合する必要がございますが、こういったシステムを短期間で実現するには、国民の皆様に迅速にワクチン接種を受けていただけるようにする観点から極めて困難でございまして、そして何より、接種対象となる全国民の個人情報を防衛省が把握することは適切ではないと考え、採用しないこととしたところでございます。

重徳委員 お聞きのとおり、把握することが適切でない組織が個人情報も含めて取り扱わなきゃいけない、そういう状況に今置かれてしまっているということだと思います。

 それで、ひもづけがないと、結局、もし間違いがあったときに、入力ミスなのか、あるいは意図的な虚偽の予約なのか、分かりませんね。接種会場の現場でもちろん判断できません。

 記事でも指摘されておりますけれども、東京の会場でいえば、四都県以外の方が来たり、あるいは接種券番号が全然違う人が来ても、ここまで来たんだからと言われちゃうと、現場で絶対拒否するということが果たしてできるのかと。あるいは、最悪のケースですけれども、架空の予約で会場がいっぱいになってしまう、予約がいっぱいになってしまうということもあり得なくはないということであります。

 今、昨今の、国民の皆さんがみんな早期のワクチン接種を求め、一刻も早い予約を求めている、こういう状況の中で、やはり公平性、公正性というのが重視されます。

 したがって、現場判断が、いや、それは柔軟にやるべきだという考え方も一つですよ、現場は。だけれども、今度は、現場の判断が緩いと緩いでまた別の問題、安全性も含めて別の問題が広がってくると思います。

 そう考えると、結局、現場では厳しく、厳格に対応せざるを得ないと思うんですけれども、その辺のお考えはいかがでしょうか。

椎葉政府参考人 自衛隊大規模接種センターにおきましては、予約専用ウェブサイトによる予約、それからLINEによる予約の二種類により受付を行うこととしておりまして、当日予約は受けないこととしております。

 また、当日までに予約を行わずに来場した方につきましては基本的には接種できませんので、必ず事前に予約を行った上で来訪するよう、ホームページなどによりまして周知しているところでございます。

 その上で、接種センターに来場された際には、議員御指摘のように、接種者の、予約者の予約情報と持参された接種券及び本人確認書類を照合するなど、接種予約者の掌握を厳格に実施することとしているところでございます。

 新型コロナウイルスワクチンを確実に接種していただくためにも、必ず事前の予約を行っていただくとともに、接種センターでの接種券及び身分の確認については御理解いただきたいと思います。

重徳委員 現場において、本当にミスで違う番号を予約してしまった、本当にミスで間違えちゃった、こういう方もいると思いますが、しかし、それはシステム上はじけないんですよね。だから、現場で、あなた、違うんじゃないんですかと言っても、いや、私はこれこれこういう者でという中で判断せざるを得ないと。

 そのミスが意図的なものなのかどうかということも判断をできませんよね。そういうことも含めて、現場で判断できるんでしょうか。対応できるんでしょうか。

椎葉政府参考人 恐らく、意図的に来た方は市町村から配付されました接種券を持っておられないということで、接種券というのは大事で、それと本人確認の書類を照合するなど、接種予約者の掌握を厳格に実施することとして対応したいと思います。

重徳委員 現場判断、大変だと思います、これ。

 私、ちょっと更問いですけれども、自治体であれば、日頃から住民とも接しているし、個人情報も、今回のワクチン接種に関する個人情報、取り扱うべき立場だと思います。だけれども、自衛隊・防衛省といった組織、あるいは現場の医官、看護官の皆さんは、本来の業務なのかと言われると、やはりこれは相当の負荷が、負担がかかってしまうことだと思います。また、限られた人、予算、時間の中で、防衛省や自衛隊が、そもそも自治体とは別の大規模接種会場をつくって、予約システムまで一から作って、その上でワクチン接種をすることになっているわけです、今。

 ちょっと考えたんですが、人手が足りない、接種する打ち手が足りない、そういう自治体もあるじゃないですか、そういうところに応援に行くとかそういうことであれば、システムがどうとかいうトラブルに巻き込まれないと思うんですよね。そういうことの方が、本来、自衛隊、自衛隊病院で働いている皆さんが行く先、あるいはそういう人材の活用方法としてはよりいいんじゃないかと思うんですが、そういう検討はされたことはあるんですか。

椎葉政府参考人 この大規模センターでございますけれども、四月二十七日に総理の方から御指示が出て、その中で、特に東京都、埼玉、千葉、神奈川県は全国の高齢者の四分の一に当たる九百万人が居住しているということと、それから、大阪府にも人口が集中し感染拡大が顕著であるということで、これらの地域において感染拡大が継続した場合に他の地域への影響が極めて大きいということで、こういう大都市について、きちんと、そういう医官や看護官を、組織的な活動が可能な唯一の国の組織である防衛省・自衛隊が大規模接種センターを東京と大阪に設置し運営してほしいということでやったものでございまして、そういうばらばらにやりますと力が分散し、やはり集中が大事だということでございます。

重徳委員 これからいよいよ接種が始まりますので、現場の皆様方の負担感も含めて、本当にふだんの仕事と随分違うことまでやらなきゃいけない状態ですから、ましてや自衛隊の本来の業務というものがありますので、そこは十分に御配慮いただきたいと思うんです。

 そして、このオペレーションがきちっと最後までやり遂げることができるのかどうか、この辺については大臣が責任を持って行って、おかしいところがあったら適切に正す。

 そして、更に言えば、これから自治体は自治体で大規模接種会場を別途またつくろうという動きもあります。三十か所ぐらいでつくる意向があるというふうに聞いておりますが、そういうところに対しても、いわば先行事例ですから、そういったところに、今回、自衛隊の事例がどういうところがよかったか、どういうところは改めなきゃいけないのか、そういったことも含めて伝えていくべきだと思うんですけれども、大臣のお考えをお聞かせください。

岸国務大臣 今回の大規模接種センター、総理の指示に従いまして、五月二十四日から接種をスタートする、そのための予約を十七日からスタートしたわけでございますが、安心して接種をしていただけるような、そういう体制の構築に向けて、自治体と緊密に連携しながら、全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。

 全体の枠組みについては今衛生監からも答弁があったとおりでございますけれども、まず、ワクチン接種の主体はやはり市区町村でありまして、我々の役割というのは、一日でも早く多くの方に接種を受けていただく、その後押しをするというのが我々の役割だというふうに思っております。

 システムが自治体とつながっていないということ、これは当初から協議をしたんですけれども、さっきの理由でもって、なかなかつなげられない。その上で、じゃ、どうやっていくかということで、一番心配されたのは二重予約です。そうしたことについては、二重予約はしないでくれということを周知徹底するように、対策本部本部長、副大臣の方からも機会のたびに申させていただいたところなんですけれども。

 いずれにいたしましても、接種券とそれから本人の確認、これが非常に重要であります。これがないとなかなか、ファイザーに、モデルナというものが増えていく、更にほかのも増えていくような状況の中で確実な医療行為を実施するということにおいては、そういったことが必要になるんだというふうに思います。

 こうした形で、自衛隊挙げてしっかり取り組んでまいりたい、こういうふうに思っているわけですけれども、まず、運営に当たっては安全をしっかり確保していかなければいけないと思いますし、それから、ただいま委員からもお話がありましたけれども、ここで保有する能力やこれまで得られた知見、経験というものを十分生かしていきたい、こういうふうに考えておるところでございます。これからまた調整を加速してまいらねばならないというふうに思います。

 最後のとりでとしての自衛隊という位置づけで、この大規模接種センターを設置をいたしました。個々の国民の皆さんに可及的速やかにこのワクチンをお届けできるようにしっかり進めてまいりたい、こういうふうに考えております。

重徳委員 ちょっと時間の都合もありますので、次の質問に参ります。

 私、今、通常国会で安全保障委員会をもっと何度でも開催していただきたいというふうに、常々、委員長や与党筆頭にもお願いをさせていただいております。しかし、そうはいっても、今国会もあと一か月を切りました。そして、夏には予算概算要求というタイミングになります。非常に大きな、防衛装備品、買物の検討が今進んでいます。それは、イージス・アショア、陸上イージスの代替策でございます。

 そういう意味で、概算要求の前の大事なときに、今日はその代替策について検討状況はどうなっているかという質問をさせていただく予定で、通告もさせていただいておりましたところ、たまたま、今日の朝、朝日新聞に「代替イージス 二隻九千億円」という大きな見出しの一面記事、「防衛省試算 総経費 陸上の二倍」という大きな記事が載っておりました。

 私は、昨日事務方の皆さんと打合せをさせていただいたときに、現在、イージスの代替策についての検討、とりわけ予算規模はどのぐらいまで数字として出されているのかということについて改めて確認をしたんですが、昨年十一月に出された参考の数字、今日、資料の二として配らせていただいておりますが、いろいろなプラン、AからDまでのプランの中の、今、一応、基本的にはプランAの方向で検討が進んでいると聞いております。そこを見ますと、導入コストで二千四百から二千五百億円。二隻ですから、四千八百億円から五千億円といったところだと思います。それ以外の、それ以上の数字は何ら公表というか検討もしておりませんというようなレクをいただきました。

 ところが、今日の朝日新聞によりますと、昨年の十一月時点で、総コストの試算を、代替案検討状況の整理と題する内部文書でまとめていたと。そして、その金額は、維持整備コストとして、二隻で三千七百九十二億円から三千八百四十二億円プラスアルファという記事になっております。これを足し合わせると、つまり導入コストと足し合わせると、二隻で九千億円近い、こういう報道なんです。

 まず、この昨年十一月の内部文書、タイトルが代替案検討状況の整理という文書、これが存在するんでしょうか。これ、お答えいただけますか。

土本政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘の点につきまして、防衛省として、報道内容の逐一についてお答えすることは差し控えさせていただきたいと考えております。

重徳委員 差し控える理由は何でしょうか。

 この予算審議というものは、国会における最も重要なシビリアンコントロールだと思います。財政民主主義の観点からも、国会は、国民の代表として、予算の審議、納税者の立場からの予算の審議というのは最も重要なところであります。

 内部文書とありますし、一億円単位の数字まで報道には出ておりますけれども、しかし、一億円単位のところまで数字を出す必要まではないかもしれません、もしかしたら。しかし、その金額たるや、維持整備コストだけで二隻で三千七百九十二億円から三千八百四十二億円。つまり、三千数百億とか四千億近いとか、こういった規模感も示さずに、そして、この報道によりますと昨年十一月時点の数字ですから、その後十二月に政府は陸上イージスをやめて、海に、船に転じるという閣議決定をされているわけです。

 こういう意味でも、果たしてどういうことを根拠に、つまり、これだけのコストがかかるにもかかわらず閣議決定をしたのかどうかという、判断は政府部内で勝手に行われたんだとすると、国会への報告を余りに怠り過ぎじゃないかと私は思いますが、どういう理由で差し控えるんでしょうか。

土本政府参考人 今委員の御指摘の点でございますが、ちょっとお時間いただいて、考え方を少し説明させていただきたいのでございますが。

 まず、イージスシステム搭載艦につきましては、これも委員御案内と思いますが、運用構想の詳細、搭載機能、艦の設計等について検討を進めていく中でその総経費を精緻化していくため、現時点で例えばイージス・アショアの総経費と比較をすることは困難であるということは、従来から御説明しているとおりでございます。

 ただ、今後、総経費の精緻化に当たりましては、厳しい財政事情等も踏まえてしっかり精査してまいりたいと考えております。

 その上で、先ほどちょっと委員の方からも御指摘ございました、あと、本日の配付資料にもつけていただいております十一月の中間報告の概要でございますが、大きく、導入コストと維持整備コスト、この二つのパーツがあるかと思います。

 総経費の考え方といたしまして、まず、導入コストにつきましては、昨年十一月の中間報告等を踏まえて示しました洋上プラットホームの各プランの導入コストが参考になりますが、これらは、その時点で、米側、米国政府及びロッキード・マーチン社でございますが、これらや国内事業者から入手可能な情報を基に仮の要求性能を設定して検討結果に基づいて試算した数字ということで、例えばプランAであれば二千四百から二千五百億円以上といった、ある意味、あくまで経費の規模感というものを示させていただいたものでございます。これはあくまで経費の規模感であり、また、それらをそのまま事業化するものではないということは、累次、国会の場でも御説明してきたところでございます。

 もう一つの、維持整備費でございますが、これにつきましては、海上自衛隊のイージス艦の維持整備の実績とか米国から提供された情報など、一定の情報は有しておりますが、搭載する装備品の細部仕様とか運用の形態、これらによりまして、様々な要因によって、この維持整備費等については経費は変動するという性格のものでございます。

 そういう性格に鑑みまして、当然のことながら、昨年の十一月の時点では、維持整備費については、具体的な、先ほど言いました導入コストでは規模感というものはお示しさせていただいたところでございますが、維持整備費については数字を表すことは困難だということでございまして、先ほど申しましたように、今後、それらはこれから精緻化していくということでございます。

 先ほど申しましたように、海自、イージス艦の維持整備の実績とか米側から提供された情報など、いろいろな一定の情報というものはありまして、我々も内部では検討はさせていただいているところでございますが、防衛省の検討の細部、内部に関わることについて具体的に御答弁することは差し控えたい、そういうことでございます。

重徳委員 お答えになっていないと思います。いろいろな変動要因があるのは当然のことでありますが、規模感を示すということすらできないという理由にはならないと思います。

 そして、ここから先は事務方の御答弁は要りません。岸大臣にお答えいただきたいと思います。

 この朝日新聞の記事であります、三千数百億円、四千億円近い維持整備コストの規模感について、省内で報告を大臣はちゃんと受けておられましたか。この数字かどうかは別として、維持整備コストについての規模感は大臣の耳には入っていましたでしょうか。

岸国務大臣 委員のお尋ねの件でございますが、報道を前提とした件にはお答えは差し控えさせていただきたいと思いますが、様々なイージス代替艦の課題につきましては、逐次報告を受けているところでございます。

重徳委員 昨年、河野前大臣が、ブースターが落下するというリスク、そしてそれを改修するには二千億円程度かかるというふうに、なぜ二千億円という数字が出てくるのかもよく分かりませんが、そういう数字を根拠として陸上イージスを断念するというふうにおっしゃって、断念をするという判断をされました。

 そのときの一つの根拠として、二千億円という数字がありました。金額で全て決めるものではないと思いますが、このイージス代替策における維持整備コストが二千億円よりも大きいか小さいかとか、大幅に、この報道のように大きいという規模感なのか、そういったことについて情報を、報告を得た上で大臣は、昨年の十二月の閣議決定、そしてその後のイージスシステム搭載艦の検討を今進めておられるんでしょうか。

岸国務大臣 イージス・アショアについて計画を断念したきっかけとなったブースターの落下でございますが、これは、当初想定していたソフトウェアの改修のみではそれができない、そして、ハードウェアを含むシステム全体の大幅な改修が必要、相当のコストと期間を要することが判明をしたということでございました。

 そして、それをかけても、よりいいシステムができるというわけではないわけですよね。というのは、能力的に。そういうようなことにお金をかけるということではなくて、イージスの代替案を模索するということになった経緯だと思います。

重徳委員 今大臣、余計なことをおっしゃったと思いますよ。

 陸上のイージスと今進めておられるイージスシステム搭載艦、この機能を比べて、どっちがいいかという判断をしなきゃいけないと思うんです。ブースターを改修することで陸上イージスがよりよくなるなら、それはまあ、それにこしたことはないですけれども。

 仮に、陸上イージスの元々の機能を維持するためだけだとして、その機能水準は、船のイージスと比べて、例えば運用する期間、年間、二十四時間三百六十五日運用できるのが陸上イージスであって、船にするとやはりいろいろなことがあって、試算によっては年間の三分の一ぐらいしか稼働しないという試算もあるわけであります。それから、陸上自衛隊と海上自衛隊、運用する側の問題も、負担、負荷という問題もあります。そういうことを含めて、どちらがいいか、価値のある二千億円なのかどうかということが問題なんだと思います。

 質問は、ブースターを改修するために、仮に二千億円としましょう、それよりも多いのか少ないのかとか、大幅に多いのかとか、そういった規模感を情報として得た上で今のイージスシステム搭載艦の検討を進めているのかどうかということです。お答えください。

岸国務大臣 失礼しました。先ほど申しましたのは、お金のかけ方としてそれが正しいのかどうかということだったんですけれども、済みません、そういう意味では適切にお答えしていなかったかもしれません。

 その後の代替案の検討状況について、これは今委員が御指摘の点等、総合的に勘案して進めてきたものであります。もちろん、様々な状況というのはございます。代替の地理的な場所等も検討もいたしていましたけれども、地上で進めるのは非常に難しいという状況も一方でございました。

 そうした中で、代替案としての、イージスシステムの搭載艦二隻を保有するということに総合的に判断をしたものでございます。

重徳委員 総合的にという言葉しか答弁にないような御答弁ですけれども、やはり我々国会議員としては、唯一ではありませんが、何よりも重要なことの一つとして、予算の使い方、税金の使い方であります。その規模感も含めて総合的に判断されたんだとすれば、その規模感もお聞きになっていたのでしょうと思いますよ。その規模感を全く示すことなく今検討が進められていることが問題なんだと思うんです。

 今からでも構いませんが、維持整備コストの規模感というものを直ちにお示しいただけないでしょうか。これは大臣の御判断でお願いします。

岸国務大臣 今後、必要な検討を進めて、適切にお示ししていきたいと考えております。

重徳委員 そうはいっても、私、これは報道ですから、これに基づいての答弁というのはないとは思いますけれども、ないというか、適切ではないとおっしゃるのかもしれませんが、少なくとも四千億円近いというこの維持整備コストを前提に考えると、私はそもそも、今、船に載せようとしているプランそのものをこのまま続けることに対して大きな疑問があります。

 この配付している資料は、本当はもうちょっとたくさん添付資料がついているんですが、先日、自民党の、公明党もですかね、与党の部会に提出をされたものでございまして、そこにも去年十一月の数字以外何ら示されていないんですよ。こういう状況の中で、大臣が総合的に判断したからということのみをもって、ひたすら船の上に載せることという方向に突き進むというのは、余りに私は、リスクがある、引き返しがつかない、取り返しがつかないことになり得ると思います。

 その意味で、私は、今度の概算要求も含めて、陸上イージスに立ち返るということもゼロではない、船しかあり得ないということではないんだということを、少しでも含みを持たせるような方向にできないものかということをお尋ねしたいと思います。

 もう引き返しのつかない段階に来ているとは、私は思いません。税金の使い方として、数千億円、一兆円近い、あるいは超えるかもしれないというお金を、こんな、総合的に判断して、国会議員には全く示されない、すなわち国民には全く知らされないままもうひた走るというこの姿勢は、今ならまだ改めることはできると思いますが、大臣、全部今の段階で引き返せと言っているわけじゃないです、船の検討をチャラにせよと言っているわけじゃないです、しかし、引き返す余地も全くないのかどうかということについてお尋ねしたいと思います。

若宮委員長 申合せの時間が経過いたしていますので、答弁は御簡潔にお願いいたします。(重徳委員「大丈夫です。会派内の融通をしていますから」と呼ぶ)分かりました。

岸国務大臣 イージス・アショアの代替案としての、ブースターを海に落下させるという観点から、レーダーと指揮通信システムを陸上に、迎撃ミサイル垂直発射装置、いわゆるVLSを洋上に配備するという陸上案も検討を行ってまいりました。

 しかし、この陸上案については、昨年六月の、イージス・アショアの配備に適している代替地を見つけることが困難な見通しであるという旨を発表いたしまして、それ以降、更に省内において調査を継続しましたけれども、適切な代替地がなかった、こういうことであります。

 また、陸上にレーダーを配置して洋上にVLSを搭載して配備する案についても検討を進めました。迎撃の成否は、イージスウェポンシステムそれからVLSの間の通信に左右されるという課題があります。

 また、配備地によって、VLS側に追加で装置が必要となってまいります。結果、全体の経費が増加する可能性があるということ。

 加えて、洋上にVLSを配備する場合に、常時持続的な防護体制は、定期整備や気象、海象の影響を受けることとなって、海上案と同様の問題を包含するといった論点が存在するということを確認したところでございます。

 このため、陸上案は困難性が高いというふうに考えられ、イージス・アショアの構成品を移動式の洋上プラットホームに搭載するという方向で検討を行い、その結果、昨年の十二月に閣議決定において、陸上型のイージスシステムに代えてイージスシステム搭載艦二隻を配備するということとなったものであります。

 いずれにしましても、我々として、イージスシステム搭載艦について、可能な限り早く運用開始に至れるように努めてまいりたいと考えております。鋭意検討を進めてまいりたいと考えます。

重徳委員 経緯はもう分かっているというか、役人答弁みたいなものですから、必要ありません。

 鋭意検討を進めるという中に、全くもう陸上イージスはゼロなのかどうかという、そこだけお聞かせいただけないでしょうか。

 維持整備コストの規模感すら、我々は示されていないんです。大臣が把握されているというのであれば、それも含めた判断だということでいいのかどうか。そして、それならば、その規模感は我々にきちっと示して、我々を説得できるような判断なんだ、陸上イージスはあり得ないということをはっきり言うべきだと思いますし、陸上イージスはあるのかないのか、これだけお答えください。

岸国務大臣 陸上イージスについては、今、検討の対象とはしておりません。

重徳委員 そこは、昨年六月に判断されたのは河野大臣でありまして、そのときにおける責任者は河野大臣ですが、今、その御判断を、検討の対象外だというふうにおっしゃった岸大臣がその責任を全てしょわれるということでよろしいでしょうか。

岸国務大臣 このイージスシステム搭載艦の計画を進めるに当たり、私がそういった旨を判断したところでございますので、私の責任の下で、今、防衛省全体として進めていることでございます。

重徳委員 次の屋良委員の時間に食い込んでしまいましたので、最後に一つだけ確認です。

 先ほどの答弁で規模感を示すということを言われましたが、いつ頃ということを教えてください。そして、委員会に提出をしていただきたいと思います。

岸国務大臣 今、先ほどもお話ししましたけれども、詳細の検討を進めているところでございます。それが済み次第、できるだけ早いタイミングでお示ししていきたいと考えます。

重徳委員 委員長にもそのようにお取り計らい願いたいと思います。

若宮委員長 後刻、理事会で協議させていただきます。

重徳委員 じゃ、以上で質問を終わります。ありがとうございました。

若宮委員長 次に、屋良朝博君。

屋良委員 立憲民主党、屋良朝博でございます。

 今日は少し歴史を振り返るということを試みてみたいと思いますけれども、それはなぜかというと、先月の十二日で、普天間の返還合意から四半世紀が過ぎたということです。当時の橋本龍太郎総理と駐日本のアメリカ大使、モンデール大使との間で普天間返還が合意された、それからはや二十五年がたってしまったというのが四月十二日でございました。

 この間、様々な検討がなされて、沖縄の負担軽減策が様々試みようとされたんですけれども、なかなかそれがうまくいかなかった。

 その一つとして、沖縄の海兵隊千五百人を山口県の岩国基地へ移転するプランがアメリカ側から提案されたというふうな報道が、二〇一二年の二月、三月、かなりの量で出されておりました。

 そのときの地元の中国新聞のコピーを今提出させていただいて、参照していただいておりますけれども、まず、その話が出たら、県知事が、そして岩国市の市長が強く反対して、その報道が出たということで不信感をあらわにしたというふうな内容でございます。その裏を見てみると、地元の国会議員も反発をしているというその記事の中に岸大臣のコメントも載っておりまして、やめてくれよというふうな中身になっております。

 この真意については後ほどお伺いしますけれども、まずは、その事実関係が、当時しきりに報道されていた表面上の動きと日米間の実際の協議についてなかなか僕らは分かっていなくて、本当にそういった話があったのかどうかということもよく分かっていないんですけれども、それについて、政府は今、現時点、そういった事実があったのかというふうに問われたら何と答えるんでしょうか。これは事実関係なので、事務方でも結構です。

岡政府参考人 お答え申し上げます。

 委員から御指摘がございました二〇一二年当時の報道の関係でございますけれども、米軍再編に関してそのような報道があったことは私どもも承知をしておりますけれども、日米間におきましては、当時、在沖米海兵隊を岩国に移転することについて具体的な協議を行っていたわけではないというふうに承知をいたしております。

屋良委員 当時、岩国市が出した、政府とのやり取りを踏まえたというか、政府から外務政務官、防衛政務官が、当時は民主党政権なんですけれども、岩国に来て岩国市長と面談し、岩国市が発表した報道資料というのがございました。これは昨日レクに来ていただいた方にもお示ししたんですけれども、その中に、局長協議が行われて、日米間のですね、アメリカ側に対し、日本政府として、岩国への在沖海兵隊の追加的移転を地元にお願いするつもりはない旨改めて明確に伝えたところ、米側から、日本政府の立場を理解した、米国政府としては、空母艦載機の厚木から岩国への移転が極めて重要であると考える旨の回答があったというふうな説明を岩国市長は受けているんですね。

 これは、何でそういうふうなやり取りを局長間でやらないといけないのかというのがちょっと僕は分からなくて、そういった事実が全くないのであれば、特に日米の政府の事務方の代表がそんな言葉のやり取りをする必要なんて、さらさらないわけですよ。それについて、もし説明することができればお願いします。これも事務方で結構です。

岡政府参考人 今委員から御指摘ございました岩国の方の地元で出されている報道資料につきましては、昨日、レクの際にいただいたところでございます。その中に、確かに、委員から御指摘のございましたとおり、三月八日に行われた日米間の局長級協議において云々ということで説明があったところでございます。

 その当時こういう協議が行われた背景等について、現時点で必ずしもつまびらかにしないところはございますけれども、局長級というものに限らず、日米間では常に様々なレベルでいろいろなやり取りをしているところでございます。今日御提示のあった報道自体が、この紙面を見ますと二月八日といったようなものでございますから、こういう報道が出ますと、それは当然、その際にいろいろな形で日米間でやり取りをするということはあり得ることかなと思います。ただ、そこはどうしても推測になりますので、確定的に今申し上げることはなかなか難しいかと思っております。

屋良委員 そうすると、報道を受けたのでこのような言葉のやり取りがあったというふうな説明で今よろしいですか。もう一度お願いします。

岡政府参考人 時系列的な経緯としてそういうこともあろうかという推測として申し上げましたが、先ほど申し上げましたように、確定的に申し上げるのは難しいかと思っております。

 いずれにいたしましても、岩国の側、地元の側から出された報道資料、委員から御提示のあったものに、三月八日に行われた日米間の局長協議において、米側に対し云々ということで、日本政府の考え方、そしてそれに対する米側の回答があったということがあり、それを地元に御説明したということであるというふうには認識をいたしているところでございます。

屋良委員 ちょっと不思議な回答だったというふうに思いますけれども、まあ、火のないところには何とかということじゃないのかなと思います。

 当時は、物すごくいろいろなメディアが報じていたので、それを受けての様々なリアクションがあったということですね。その事実確認はちょっと今日はそこに至らないというふうな気がしますので、そういった不確実な情報を基に様々な反応が現れたということですね。

 今回お示ししました新聞記事でも、知事や市長、そして岸大臣、現在の大臣までもが反応せざるを得なかったというふうな状況が生まれていたということをまず確認させていただきたいんですけれども、その新聞記事によりますと、大臣はこうおっしゃっております。岩国はもうリミットが近い、こういう話が出ること自体が問題だ、米国が正式な協議にのせようとしたら、政府には即座に断ってもらわないと困る。その真意をお聞かせください。

岸国務大臣 岩国基地、私の地元でございますけれども、私、従来から、基地負担については、岩国も含めて、全国的に全国民が分かち合っていかなければいけない、これが必要だというふうに考えておりまして、その考え方については今も変わっていないところでございます。

 その上で、二〇一二年、平成二十四年ですけれども、この時点で岩国基地は既存の米海兵隊部隊がおりました。それに加えて、普天間飛行場からのKC130の空中給油機の移駐というものが、また厚木からは空母艦載機が、移駐が日米間で合意されたという状況にあったわけであります。

 それに加えて、米国政府が日本政府に対して、沖縄の海兵隊を岩国に移転するよう打診しているという旨の報道があったということを受けて、岩国としてはもう既に目いっぱい受け入れるべきところを受け入れている、こういうふうに考えておったわけですから、これ以上の負担については受け入れることは困難である、こういうふうに考えたものですから、やめてほしい、こういうふうに述べたところであります。

屋良委員 この反応というのはごく一般的だと思うんですね。沖縄の負担軽減はやはり進めないといけないという政治的な意思はありながら、しかし、御地元の事情を考えると、これまた地元の政治上の理由でなかなか、もろ手を挙げて、よっしゃ、うちが引き受けようというふうなことにならないというのがこれまでの歴史だったんじゃないかなというふうに思います。

 なぜなら、そもそも、アメリカが日本側にそういうふうな打診をしているよという、これが、確からしさはさておき、ということを前提としたリアクションあるいはコメントだとすると、今、政府が繰り返し主張なさっている、海兵隊は沖縄でしか運用できないんだから、沖縄の中でしか、整理縮小とか施設を移転して沖縄の中だけで処理してくださいよというふうな話と前提が全く違ってくるわけですね。

 そこで、海兵隊って沖縄の基地の七割を占めているので、海兵隊が沖縄に駐留するかしないかということは、沖縄の負担軽減を考える上では本当にとても重要なファクターなんですね。

 その海兵隊は、そもそも沖縄にいたのかというと、沖縄にいなかった。海兵隊は、岐阜、山梨、静岡、大阪、奈良に分散配置されていた。それが一九五〇年代に沖縄にやってきたんですけれども、その経緯について政府はどこまで把握しているのか、お答えください。事務方で結構ですよ。

岡政府参考人 昭和二十五年、一九五〇年が朝鮮戦争勃発でございますけれども、その後、日本に派遣されておりました米海兵隊、これは日本各地の米軍施設・区域に分散して配置をされていたわけでありますけれども、これが、朝鮮戦争がその後停戦された、それに伴いまして、一部の部隊が米国に戻るとともに、今委員からもお話がございましたけれども、例えば岐阜県あるいは山梨県といったところに駐留していた部隊が昭和三十一年頃に沖縄に移駐したというふうに承知をいたしております。

屋良委員 朝鮮戦争のさなかに海兵隊が日本に配備されたと今おっしゃいましたか。済みません、確認だけです。

岡政府参考人 私ども、ちょっと歴史を確認したところ、朝鮮戦争勃発後、日本に派遣されておりました米海兵隊が、日本各地の米軍施設・区域に分散配置されていたものの、朝鮮戦争の停戦に伴い、一部部隊が米国に戻るとともに、先ほど申し上げたように、沖縄の移駐ということがその後行われたというふうに認識をしております。

屋良委員 これは、一九五三年なので、朝鮮戦争の停戦後、朝鮮半島の情勢を警戒するために海兵隊が日本に配備されたというふうに私は記憶していますけれども、それが違っていたら後ほど訂正してください。

 それがなぜ沖縄にやってこなければいけなかったのか。停戦状態なので、引き続き朝鮮半島は警戒対象だったんですね。だけれども、何で北朝鮮から距離が遠い沖縄に、本土で分散配置されていた海兵隊が沖縄に集中的に移転してきたのかということの理由について、もし把握していれば教えてください。事務方で結構ですよ。

岡政府参考人 ただいま委員御指摘の点につきまして、まさに一九五〇年代の頃の話ということになりますので、私どもとして理由ということを確定的に申し上げることはなかなか難しい面はあろうと思いますけれども、その当時からアメリカは沖縄を太平洋地域の防衛上の重要な拠点というふうに認識していて、米海兵隊は東南アジア地域への対応など地域の安全保障に重要な役割を担っていた、そういう考え方があったということであろうかというふうには思っております。

屋良委員 引き続き、これ、何か文献とか記録はありますか。お答えください。事務方で結構ですよ。

岡政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども、いろいろな過去の資料等あるいはホームページに出ている資料等、いろいろ調べておりますけれども、第三海兵師団のホームページの中には、例えばということでございますけれども、一九五三年八月、当師団は、当師団ですから今の第三海兵師団ということになろうかと思いますが、当師団は、極東地域を防衛している第一海兵師団を支援するために日本に到着した、一九五六年三月、当師団は沖縄に移動し、一九六五年まで即応態勢を維持した、こういったような記述があるというふうに認識しております。

屋良委員 やはりそうですよ。一九五三年だから、朝鮮戦争停戦後に日本にやってきているんですね。それは第一海兵航空団を支援するため。それは朝鮮半島に駐留していた部隊ですよ。それを支援するために日本にやってきた、これが事実ですよね。

 五六年に、何で三年しかいなくて、まだ緊張状態は続いていたはずなのに。在韓米軍はずっと駐留していたはずですよ。それが何で沖縄にやってきたのか。ここのところをちょっとはっきりさせていただきたいというのが私の希望でありまして、なぜかというと、そこがはっきりしないと議論が続かないんですよ、沖縄のものって。時間がそのときにぴたっと止まっちゃって。そのときから、沖縄じゃないと駄目だというふうな概念ができ上がっちゃって、負担軽減とみんなで言うけれども、それをどこかに移そうとしたら、みんなこぞって反対しているというのが現状じゃないかというのが私の現状認識なんですね。

 だから、歴史をしっかりと踏まえた上の議論をしていかないと。先ほど政府委員の方が説明されたのは、どうも、その当時からアメリカは極東の重要拠点として沖縄を重要視していてというふうなくだりになってしまっているけれども、実際は、だから、第三海兵師団は第一航空団を支援するために岐阜、山梨、静岡などに配置されていたというのが事実ですよ。

 それは何で沖縄にやってきたのか。第一航空団って、じゃ、そのときは韓国にいなかったのかどうかですよ。そこのところがもし分かっているのなら教えてください。

岡政府参考人 細部につきましては、まさに歴史的な経緯というところもございまして、今の時点で詳しく何かお答えできるようなところがあるわけでは必ずしもございません。

 他方、アメリカの、まさに一九五〇年代の沖縄、その当時、例えばアチソン国務長官の演説などでは琉球諸島という言い方になりますが、やはりそういったところは重要な防衛上の拠点を保持している、これは一九五〇年のときの演説でありますけれども、そして、琉球諸島は太平洋の防御線の重要な一部であり、これは保持されるべきであり、保持され続けるだろうという、これはちょっと歴史的なものでありますので、その当時の言い方ではありますけれども。

 そういったことで、やはりアメリカとして、太平洋地域の防衛上の重要拠点という認識は持っていたのではないかというふうに認識をしております。

屋良委員 僕は今、部隊の話をしていて、戦略的な話ではないということをまず断っておきたいと思います。必要があって師団とかが配備されていて、それが何で沖縄に移転してきたのかということを今質問しているわけでありまして。それは、確かにはっきりしていないんですよ。そこは防衛上あるいは戦略上、なかなか説明ができないというのが事実だと私は認識しておりまして。

 五〇年代に何があったかということをちょっと振り返ってみますと、反基地闘争が各地であったんですね。石川県の内灘、長野県の浅間山、群馬県の妙義山、これが五〇年代、ずっとあちこちで。それから六〇年代の安保闘争にとエスカレートしていくわけですね。そんな中だったんですよ。最後のとどめが砂川闘争。そんな中で沖縄に海兵隊がやってきたという社会的な情勢ですね。

 これが直結していたかどうかというところがまだはっきり学説的に分かっていないところでありますけれども、そういったことを、多分そうじゃないかと推測するような論文はたくさん出ております。

 その中で指摘されている、取り上げられる文献の一つとして、アメリカ国務省がまとめた、日本における米国の軍事的立場の再考、一九五六年十二月。米軍駐留の政治的コストが看過できないほど高騰した場合、沖縄を主要基地として保持し続けると書いてあるんですよ。

 その文書の中には、不可視化ということが出てくるんですね。アメリカの駐留、これは負担ですよね。負担を不可視化する、日本国民の目に見えなくしてしまう、それでもって沖縄にやってきたというふうなのが、多分、歴史的な、社会的な背景にあったはずだと。

 そこで、非常に注目される資料が、十年ぐらい前にですか、アメリカ公文書館から見つかっておりまして、これは、一九五〇年代の、海兵隊が沖縄にやってくることがほぼほぼ決まりかけた頃の沖縄駐留のアメリカ総領事館、スティーブスという方が書いた書簡があります。アメリカ・ワシントンの国務省の本庁に何通か手紙を書いているんですね、同僚に。その中身が、沖縄に海兵隊が来るその理由については誰も分からないと書いてあるんですよ。当時の陸軍次官ですら分かっていなかった、これには驚いたというふうに書いてあるんですね。

 このスティーブスが心配したのは、確かに当時から沖縄は戦略拠点として言われているんだけれども、別に海兵隊がいたわけじゃなくて、陸軍と空軍が主力部隊だったんですよ。もう既に沖縄という島は基地であふれていたわけですよ。そこに海兵隊がやってくる、これは大変だと思ってスティーブスは心配になって、これはどうなっているんだとワシントンに何度も問い合わせたり、これは厳しいよというふうなことを一生懸命手紙で訴えて、ちょっと考え直してちょうだいよというふうに言っておった。

 なぜかというと、海兵隊がやってくると、新たに沖縄の土地を接収しないといけない。銃剣とブルドーザーという言葉が今残っていますけれども、銃剣で住民を家屋から追い出して、それでもってブルドーザーで田畑を潰して基地にしちゃった、これが歴史の事実であります。

 それが行われたんだけれども、そういった事態が起きるということをスティーブスはとても心配して、そうすると沖縄の基地の問題というのはずっとこれから解決不能になってしまうというようなことを予見した。まさに今、そのとおりになっているというのが沖縄の実態ではないのかというふうに考えております。

 だから、なぜ沖縄にという問いかけというのは物すごく重要でありまして、それに答えがないうちに、ちゃんと答え切れないうちに沖縄の地理的優位性とか抑止力とか安全保障上のというふうな言葉を使うというのは、僕は非常に、歴史に背を向けて、今だけの都合よい、新しい、歴史を修正するような動きを今政府が一生懸命やっているような感じがします。

 普天間の返還合意をしたときの橋本総理とか、当時の梶山静六さんとか、物すごく一生懸命やってくれていたというのが、私たちの、私の印象であります。ところが、今どうかというと、例えば、普天間のオスプレイの飛行訓練の一部を佐賀県の佐賀空港に移転しようというふうに、菅総理、当時、官房長官として一生懸命試みたんですよ。ところが、それもみんな反対した。それで実現しなかったということじゃないですか。なので、沖縄の普天間の問題も含めて、沖縄の基地の集中というのは、そうした歴史的な、政治的な妥協が生み出した歴史の悲劇だ、私たちにとっては悲劇だというふうに思っております。

 沖縄の海兵隊の移転などが決定的に恐らく決まったであろうと思われる日米間の交換公文が、岸大臣のおじい様であります岸信介首相とアイゼンハワー、共同コミュニケというのが出されておりまして、その一部ですけれども、アメリカ合衆国は、日本の防衛力整備計画を歓迎し、よって、安全保障条約の文言及び精神に従って、明年中に、この共同文書が一九五七年、だから明年中に、五八年までに日本国内の合衆国軍隊の兵力を、全て、陸上戦闘部隊の速やかな撤退を含み、大幅に削減すると。陸上兵力については撤退をする、兵力は大幅に削減するよというふうな共同コミュニケを出しているわけです。

 海兵隊は地上兵力なんですよ。日本国の領土からどこかへ撤退するよ、全て日本国外に持っていきますと。当時、沖縄は日本国の外でありました。アメリカの占領下でありました。そこに持ってきたということに今なっているというふうに考えれば、これは軍事的、戦略的な理由じゃなく、極めて政治的な判断であり、沖縄に負担を集めてしまったということが大きな、沖縄の基地問題の基本、本質的なことだと思うんですね。

 これは、私の分析が正しければですけれども、非常に重いテーマです。これは岸大臣にどうにかしろと言ったって、もう時もたっているし。しかし、少なくとも、岸大臣がいつもおっしゃっている沖縄の負担軽減、それをいま一度全国民で分かち合うときだと、大臣、四月十四日の本会議場での私の質問に対してそのようにおっしゃっていましたね。これをどうやって具体的に進めていくかということがないままに、これが唯一だとか抑止力の維持だとか、そういったことを言われても、これはなかなか協力しにくいなというのが一般的な感情だと思いますよ。

 大臣、もしお考えがあれば。

岸国務大臣 先ほど一九五〇年代のお話が出ていましたけれども、米国が沖縄を太平洋地域の防衛上の重要拠点、当時から、私は、そういうふうな認識をしていたんだろう、米海兵隊は東南アジア地域への対応など地域の安全保障に重要な役割を担っていたと承知をしております。

 いずれにしても、政府として、安全保障上の極めて重要な位置にありますこの沖縄に米軍が駐留することは、日米同盟の抑止力の重要な要素であって、我が国の平和と安定を確保する上で極めて重要なものである、このように考えております。

 そして、基地負担の、全国で分かち合わなければいけない、負担をですね、この考えは先ほども述べましたけれども、今も私もそう思っております。そういうつもりで、岩国においてもKCの受入れとか、あるいは厚木の空母艦載機を受け入れてまいりました。

 今、岩国でいえば、人口の約一割がアメリカ、米軍の関係者なんですね。それぐらい、米軍の関係者が岩国において大きくなってきているというのは事実であります。そして、岩国の例えば市議会の皆さんとかも、全国で沖縄の基地負担を分かち合うべきだ、こういう考えの下でいろいろな組織化を進めてきた、そういう経緯もあるんだと思います。

 いずれにしろ、沖縄のことを正しく理解をしていかなければいけない、こういうふうな思いを今強く思っているところでございます。

屋良委員 大臣、ありがとうございました。後半部分のお言葉を是非全国に広めていっていただきたいということを申し述べまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

若宮委員長 次に、杉本和巳君。

杉本委員 維新の杉本和巳です。

 質問に早速入らせていただきますけれども、今日、各質問を聞いていますと、宇宙、概算要求、歴史を振り返るというお言葉があって、私の方は、また歴史をちょっと鑑みながら質問をさせていただきたいと思っております。

 マザー・テレサが戦争という言葉を忌み嫌われて、一方で平和という言葉を好まれたという話があって、反戦というような表現の会合には出席を拒んだというようなお話が過去ありましたので、ここにいる皆さんは、侵略戦争は否であって防衛は大事であるという共通認識を持ってくださっているという思いを共有しながら、ちょっと質問に当たらせていただきたいと思います。

 まず、岸大臣に伺いたいんですが、昨日、日経新聞に掲載され、一昨日インタビューを受けられたところの中で、これは報道が正しいかどうかは別なんですけれども、岸大臣は、従来と抜本的に異なる速度で防衛力を強化しなければいけない、GDPとの対比で考えることはない、我が国を守るために必要な経費をしっかり手当てする、こうおっしゃってくださっていて、昨日、加藤官房長官に、どなたか質問をこの件についてされていたりしていましたけれども、一%枠というのにこだわらないというタイトルでこの記事はありましたが。

 こういった点の中で、ちょっと過去を振り返ると、実は、ナチス・ドイツの話になって恐縮ですけれども、太平洋戦争時の、終戦の前の年の四四年の段階で、ナチス・ドイツは新兵器開発として、ジェット戦闘機、リモコンで飛ぶ爆弾、ロケット機、熱線により敵飛行機を撃墜するロケット弾、ジグザグコースで逃げる船舶の音を追跡し、命中させる魚雷、ホーミング魚雷、こういったものなどの開発計画を持っていたというようなことを聞いております。また、ヒトラーは、余り言いたくないヒトラーという名前ですけれども、六週間以内に実戦に使用できる兵器以外の研究を許さなかったということです。

 一方で、ロスアラモスのマンハッタン計画、オッペンハイマー、後に後悔の弁を述べていたりもされるんですけれども、原爆というもの、私も絶対、是認しているわけでは全くありませんけれども、原爆というものの開発については、五十万人の、まあ、延べの人数でしょうけれども、予算規模でいって、現在価値で見て二兆円。こういった旧ナチス・ドイツとアメリカの研究開発というものに対する姿勢の違いといったものが、この原爆という点を見るだけでもあると思います。

 昨日かおとといか、自民党の国防部会で防衛省が言ったやに、これも確認できていませんけれども、二〇三五年をめどにAIを搭載した無人戦闘機の導入を目指すというようなことをおっしゃったというような報道も、確認できておりませんが、あります。

 こういった点、鑑みますと、戦後七十六年たった今日、今日も浜地さんが質問されていましたけれども、いわゆるゲームチェンジャーというものをしっかり研究していくことが、我が国が本当に防衛といったものを考えていく上で絶対に必要なことであるということを感じております。

 そういった意味で、研究開発費の大切さという点と、研究、この予算額といった点についてちょっと大臣に伺いたいです。ちなみに、防衛関係費の物件費、その他の、当初予算のところで見ますと、令和元年度は二兆六百八十三億円、令和二年度二兆一千四百六十一億円、令和三年度二兆一千百五十三億円が計上され、これは、脚注にその他の内訳ということで、維持費、基地対策経費等、研究開発費、施設整備費等、その他、こういうものの、今申し上げた項目の総額が今申し上げた金額なんですけれども、一体この金額の中のいかほどが研究開発に使われているのか確認させていただきたいし、それが十分なのかどうか、あるいは、まだ十分でなければ、今後は増やしていく御意向があるのかどうか、この辺りを岸大臣に伺えればと思います。

岸国務大臣 昨日の日経新聞のインタビュー記事の話がございましたけれども、そもそも、今、我々として、GDPの一%枠というような設定をしているわけではございませんが、一方で、様々な財政上の制約、それから、その中で必要な防衛予算を確保してきているというのが実態だというふうに思っております。

 その中で、近年、軍事技術が大変急速に進展をしています。そうした中で、戦闘様相というものも大きく変化をしている。防衛装備につながるような技術基盤を強化していくことがこれまで以上に重要になってきています。

 防衛省として、ゲームチェンジャーとなり得る最先端の技術に対して重点的な投資を行っていく、これは必要なものというふうに考えております。

 ゲームチェンジャーとなり得る技術、例えば、極超音速の技術とか高出力レーザー、高出力マイクロ波等の高出力エネルギー技術、こうしたものが該当し得るというふうに想定をしています。それらに該当する研究開発の予算としては、必要な額を計上しておりまして、令和三年度予算において、極超音速技術について九十億円、高出力エネルギー技術には三十三億円を計上しています。

 先ほどお話がございましたけれども、全体の研究開発費について、毎年度必要な予算を計上しておるところですが、令和三年度においては、契約ベースで過去最高となります二千百十六億円を計上したところでございます。

 御指摘の資料において示されています歳出ベースで申し上げますと、令和元年度で千二百八十三億、令和二年度が千二百七十三億、令和三年度で千百三十三億となっております。必要な予算の確保に努めているところであります。

 防衛省としては、ゲームチェンジャーになり得る先端技術への投資や現有装備品の後継となる装備品の開発などを通じて技術的優越の実現を図るとともに、技術基盤の強化のために必要な研究開発費を引き続きしっかり確保してまいりたいと考えておるところであります。

杉本委員 ありがとうございます。

 ちょっと余談になるかもしれないですけれども、原爆投下に当たって、イギリスとアメリカはケベック協定というのを結んでいて、それにのっとって対日使用をあっさり決定したというような情報があったりします。これは非常に我が国にとって痛ましいことであったわけでありますけれども、逆に、これから質問させていただきますが、いわゆる普遍的価値を共有する国々とは、今おっしゃっていただいた、予算は更に増やしていただきたいですけれども、その普遍的価値を共有する国々とは共同研究等も進めていただければというふうにお願いをしておきたいと思います。

 次に、茂木大臣にお運びいただいて、質問をさせていただきます。

 直近、今朝のニュースで、九時二十二分にNHKが配信したようですけれども、イスラエル側が停戦を承認したというか、そういったニュースが、今日の、発効は日本時間の二十一日午前八時ということのようですが。このイスラエルとパレスチナ・ガザの衝突、非常に気になっておって、止まってよかったなという思いですが、暫定的な形なのでまた戦が始まってしまって、戦という言葉は使いたくないですけれども、衝突が始まってしまうことを懸念しております。

 普遍的価値の外交という観点とこのイスラエル、パレスチナ問題について伺いたいと思いますが、またこれは歴史を遡って恐縮ですが、ベルリンの壁ができましたけれども、あれができたときに、地下に百四十五メーターの地下道が造られて、五十名以上の人が自由主義社会に脱出したということがあったようです。

 また、昭和二十年の出陣学徒上原良司少尉、大正十一年長野県生まれ、慶応大学経済学部の御出身の、お言葉、遺書の一部を紹介させていただきますと、全体主義の国で戦争に勝つことはできません、自由主義と言われるかもしれませんが、まあ、彼自身がということですが、自由主義の勝利は明白だと思われます、人間の本性たる自由を滅することは絶対にできません、こう書かれた後、出陣されて亡くなったというようなことがありました。

 バイデン大統領が、自由主義でないような、あるいは普遍的価値を余り持たないような国を別の表現で言われていますが、トータリタリアンというか、全体主義、こういったものと、価値観を異にする日本国としていかに普遍的価値を共有していくことが、いわゆるこの日本の防衛、安全保障の上で大切かという点を一点伺いたいのと、併せて、今回のイスラエルとパレスチナの、停戦にはなりましたけれども、ここにエジプトの仲介というのがあったようですけれども、アメリカもいろいろ発信が大統領からあったようですが、日本としていかに意見を表明し、あるいは表明する予定で今後あるのか、この点を伺えればと思います。

 ちょっと余談ですけれども、前外務大臣の河野さんのときに結構提案をさせていただいて、実現できていないんですが、ヨルダンの国王のアブドラ二世を国会に呼んで、我々の、もうちょっとイスラエル、パレスチナ問題に対する認識を国会議員も深めた方がいいのではないかというようなやり取りを実はさせていただいておりました。そんな意味からも、このイスラエル、パレスチナ問題を含めて、普遍的価値の大切さを御答弁いただければと。お願いします。

茂木国務大臣 ヨルダンのアブドラ国王を国会にお呼びするかどうかは国会においてまさにお決めいただくことだと思いますが、実際にお話をしてみて、地域の事情についてヨルダン国王はよく御存じだな、歴史的な経過であったりとか、それぞれどういう利益であったりとか問題を抱えているか、そして、今それによって衝突が起こっているか、こういったことについても非常に高い見識をお持ちである、こんなふうに考えております。

 また、杉本委員がおっしゃった普遍的な価値、民主主義、また、法の支配、人権の尊重、こういった普遍的な価値を多くの国々、人々と共有していく、このことがまさに地域そして世界の平和、安定、更に繁栄につながっていく、こんなふうに考えております。

 その上で、今般の事案につきまして、イスラエル政府の発表によりますと、イスラエルは、エジプトの提案、エジプトは前回もそうでありましたが、こういったときに停戦、これに仲介努力をされているわけでありますが、エジプトの提案を受け入れて無条件の停戦に合意をいたしました。また、パレスチナの武装勢力も同様に停戦を受け入れた、こういう情報もあるところであります。

 我が国は今般の停戦合意を歓迎するとともに、米国やエジプト等、関係国による停戦に向けた仲介努力に敬意を表するところであります。

 恐らく、イスラエル、パレスチナの問題、これは武力によって解決されることはない、そのように考えておりまして、お互いの交渉によって、また話合いによってのみ解決される問題である、これが政府としての基本的な立場であります。

 我が国は、今般の合意が持続的な停戦と長期的なガザの安定につながることを強く期待をいたしております。我が国としても、これまでも国際社会としっかり連携しながら、事態の鎮静化に向けて外交努力を行ってきたところであります。

 私も思い出しますけれども、二〇〇二年だったと思いますが、ガザ地区に行きまして、当時、アッバス議長、ガザ地区に行きますので、かなり、何というか、いろいろなところに穴が空いているというか、テロ事案等々も起こっている、こういう中でアッバス議長とお会いしたのを、鮮明な記憶に今残っているところでありますが、当事者間の信頼醸成、これが極めて重要だと思っておりまして、これに向けた取組を継続していくとともに、緊急の人道復興支援、こういったニーズも現地で高いわけでありまして、これを含め、積極的な役割を果たしていきたいと思っております。

杉本委員 ありがとうございました。

 極めて我が国にとって大切な中東地域、あるいは、地球儀を俯瞰する外交という中で、政府、外務省の御見解を伺えたとありがたく存じます。

 もう時間が余りないので、次は事務方の方に、前々からちょっと質問しようと思って、できていなかったんですが、いわゆる日報問題というのがあって、大分もう忘れてしまって、いろいろな事案が起きるので忘れてしまうんですが、改めて、現時点できちっとやはり総括をして、現行どうなっているのかというのを確認しておくというのがこの安保委員会の責務ではないかなとも思っております。

 日報問題は、南スーダンPKOやイラク派遣においてあったかと思いますけれども、現状においての総括、現行、運用状況は問題ないのかという点を事務方の方に確認をさせていただければと思います。

齋藤政府参考人 お答え申し上げます。

 南スーダン日報の問題につきましては、日報は行政文書に該当しないなどの不適切な認識に基づいて行われた情報公開請求への対応を契機といたしまして、それらとの整合を図るため、不適切な対外説明が継続されました。

 また、イラク日報の問題につきましては、大臣の命令や指示の伝達、関係部局間の連絡調整等が不十分又は欠落していたことなどを背景といたしまして、国会議員からの質問や資料要求、情報公開請求に対しまして不適切な対応をいたしまして、それを速やかに正すことができなかったものでございます。

 これらの問題により、国民の皆様の大きな不信を招く結果となりましたことは、大変申し訳なく思っております。

 国民の皆様の信頼を回復できるよう、再発防止策といたしまして、日報の管理及び情報公開請求対応の統合幕僚監部への一元化、チェック機能の強化のための情報公開査察官の新設、行政文書管理、情報公開等に関しますeラーニングの継続的な実施、電子媒体化された行政文書を一元的に管理できる体制の整備に向けた取組、そして、大臣の指示、命令等を確実に履行するための通達の発出などを実施しているところでございます。

 防衛省・自衛隊といたしましては、公文書管理に関する政府全体の方針も踏まえながら、引き続きこれらの再発防止策を徹底してまいります。

杉本委員 ありがとうございます。

 ますます信頼と期待が高まっている防衛省・自衛隊さんでいらっしゃるので、過去の失敗というか反省はしっかり忘れることなくお願いをしておきたいなと思います。

 もう時間がないので、私の歴史研究とかいうのからちょっとだけ披露させていただくと、リトルボーイとファットマンという表現は皆さん御存じだと思うんですが、実は、リトルボーイという言葉は、その前に名前が別にあって、暗号名シンマンという、痩せっぽちという意味があって、ファットマンと対比される形で名前がつけられていたというのが一つあったということを御披露しておきたいと思います。

 あともう一点、皆さんよく御存じかもしれないんですが、いわゆる終戦和平工作というようなことの中で、昭和二十年四月十五日の早朝に、元英国大使の吉田茂氏が憲兵隊に検挙された事実があったということで、これは皆さん御存じかもしれませんが、私も勉強不足だったんですが、改めて、吉田茂元首相がこういった和平工作を中心的にされていたということを御報告しておきたいと思います。

 以上です。

 以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

若宮委員長 次に、篠原豪君。

篠原(豪)委員 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。大臣のお二人の皆さんにも、そして副大臣の方々にもいらしていただいて、お忙しいところ、ありがとうございます。どうぞ、質疑させていただきますので、よろしくお願いします。

 まず、米中対立と科学技術をめぐる覇権争いについてお伺いをしてまいりたいと思います。

 今日は、米中対立とそれに伴う経済安保についての質問をメインとしています。

 やはり、今日の世界情勢を理解する鍵が米中対立にあると言って過言ではないと考えますが、その米中対立には二つの側面があるんだろうと思っています。

 一つは、地政学的な覇権の問題です。

 アジアの経済規模は、二〇一〇年には北米や欧州を超えました。二〇年代の半ばには世界経済の三分の一を占めるというふうに考えられています。大きく伸びたのは中国でありまして、一八年には世界経済の一六%を占めるまでになっていますし、我が国も一番の貿易相手国であるということでもございます。ASEANやインドも、二〇年代までには経済規模で日本を超えるだろうとされています。

 その意味で、インド太平洋地域はまさに世界経済の中心になりますが、そのインド太平洋地域に、中国が一帯一路の巨大経済圏構想に象徴される勢力圏構築に乗り出しています。これはもう前々から何度も質疑の中でお話をさせていただき、またいろいろと議論もさせていただいています。

 そしてもう一つの側面が、科学技術をめぐる覇権争いです。

 科学技術は世界を急速にどんどんと今変えようとしていますけれども、特に新興技術が二十一世紀の安全保障と産業の鍵になると考えていまして、アメリカや欧州諸国、中国は競って大規模な投資を続けています。

 中国は、今の段階で、アメリカや欧州諸国、特に中国はハイテク分野やAI分野でアメリカと互角の戦いをしておりまして、この分野も覇権争いが先鋭化しています。日本も、日米同盟がありますので、日米同盟を基軸とする我が国は、当然、こうした世界情勢と無関係ではいられないということでございます。

 そこで、今日は、米中対立の第二の側面である科学技術について質問していきたいと思います。

 二〇一八年の三月二十二日に、USTR、米通商代表部の報告書に、中国の知財侵害として四つの手口が挙げられています。

 一つが、外資規制で技術移転を強制する、強要するやり方です。

 まず一番目に、高い関税で輸入品を締め出して、中国市場に入りたい外国企業には国内生産を求めます。次いで二番目に、中国企業との合弁会社の設立を条件として、合弁会社は、例えばバッテリーなど中核技術の知財を保有しなければ製品を売れないという規制を設けます。そして最終的には、技術を中国側に渡さなければ事業ができないというふうな仕組みに仕向けていくということでございます。これを述べている。

 当然、多くの日本企業が中国に進出しているわけですから、日本企業にもこうした手口の被害があった例はあったと考えます。

 そこで、まずお伺いします。

 政府としては、こうした中国の知財侵害にどのように対抗してきたのか、ここまでの歴史的な経緯も含めて、外務大臣と経産副大臣にお伺いします。

茂木国務大臣 通告を受けておりませんが、御質問いただきましたのでお答えをさせていただきたいと思いますが……(篠原(豪)委員「いや、しています」と呼ぶ)受けていないです。答えますから大丈夫です。

 強制的な技術移転、これは極めて重要な問題だと思っておりまして、WTO等々の場におきましても、そういったことがあってはならない、こういった議論を進めておりますし、また、中国に対しても、そういった懸念、国際社会からも、多くの企業からも示されている。

 中国は今や世界第二位の経済大国となったわけでありまして、国際社会の様々なルール、通商の分野でもそうでありますし、技術の分野でも、そういったことを中国も大国としてしっかり守っていくことが重要だ、こういう話をさせていただいております。

長坂副大臣 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、我が国にとりまして重要な市場でございます中国において、内外無差別な投資規制が確保されるとともに、日本企業が適切に知財を保護管理しながら事業活動を行える環境が整備されることは重要であると認識をいたしております。

 こうした観点から、これまで日本政府にとりましても、様々な機会に中国政府に対し要請を行ってきたことなどによりまして、中国においては、外資参入規制は二〇一七年にネガティブリスト化されるとともに、その対象が年々縮小されてきていると承知をいたしております。行政手段を利用した強制技術移転要求の禁止についても、昨年一月に施行されました中国外商投資法において明文化なされたと承知をしております。

 さらに、先月、今国会で御承認をいただきましたRCEP協定におきまして、関税について中国が八六%の品目を撤廃することを約束、中国における現状の外資参入規制が、改悪できないものとして約束され、技術移転要求の禁止が明確に規定され、中国も当該規律を約束といった成果があったところであります。

 今後、RCEP協定発効後に、中国が協定で約束した内容をしっかり履行するか注視していくとともに、日中間でのバイ協議などで、更なる外資参入規制緩和や、地方政府まで含めました強制技術移転要求禁止の運用の徹底について中国政府に求めてまいりたいと考えております。

篠原(豪)委員 ありがとうございます。

 それで、今のに続くんですけれども、第二の手口として、米国企業が中国企業と、今のレポートですね、技術協力契約を結ぶときには中国企業間ではかけない厳しい規制をかけるといったこと、また、第三の手口として、先端技術を持つ米国企業を買収するに当たって中国政府が資金援助をするというようなことも指摘されているんです。

 これは日本に対しても同様でございまして、これはアメリカのレポートなので自分の国のことを書いているんですけれども、他国の会社、企業については皆同じようなことをやっているのだと思っています。

 これについても、日本政府としては同様の事態に対してどのように対抗してきたのか、これは法整備などの検討も含めて教えていただければと思います。

長坂副大臣 先ほど御答弁いたしましたとおり、日本企業の知財の保護は重要であると認識をいたしております。

 中国におきまして、外国企業が中国企業に特許のライセンス契約を行う際の内外差別的な規制が存在しておりました。中国政府に対する日本政府からの累次にわたる要請や、米国、欧州のWTO提訴などを踏まえ、二〇一九年三月に当該規定は撤廃されております。また、中国政府による企業への市場歪曲的な非商業的援助につきましても、日中政府間のバイ協議で是正を要請してきているところでございます。

 引き続きまして、日本企業にとってより公正で公平な事業環境が実現されるように、経済産業省といたしましても、外務省等と連携しながら尽力してまいりたいと考えております。

篠原(豪)委員 買収については、中国の国有企業が日本の民間企業を買収することがあるとすれば、それ自体問題だと思うんですけれども、これを防ぐ手だてがあるのかと聞いたら、これは何か財務省さんの管轄だということなので、今、財務省さんとも連携していただかないとこの問題は解決しないんですよ。ですので、その点も含めてちょっと教えていただければと思います。

伊藤副大臣 御答弁いたします。

 これは、外為法上、国の安全等を損なうおそれがある業種を指定業種として定めておりまして、外国投資家が指定業種を営む上場会社に一%以上投資をする場合や指定業種を営む非上場会社に投資をする場合は、原則として事前届出を求めております。これはもう既に改正している法案です。

 当該届出は事前審査の対象となり、国の安全等の確保の観点から、国の安全等に関わる技術や情報が流出する可能性などを考慮して、財務大臣及び事業所管大臣が審査をすることとなっておりまして、この際、問題があると認められる場合には取引中止の勧告、命令を行うことができるようになっております。

 なお、この事前届出書において投資後の経営関与方針等を記載することが求められており、仮に、審査が終了し、投資が実行された後においても、その内容に反した行為が認められた場合には、虚偽届出として罰則の対象となるほか、必要な措置を行うよう命令することが可能となっております。

 投資実行後においても、事前届出書に記載された内容が遵守されているか、事業所管省庁と連携して適切に確認をしてまいりたいと考えております。

篠原(豪)委員 ありがとうございます。

 これは御存じだったらで結構なんですけれども、実際にそれが行われた、政府の指導によってですね、勧告もそうですけれども、あるいは刑罰もあるということだったんですけれども、その点についてはいかがということについて、もし分かれば教えていただければと思います。

伊藤副大臣 済みません、今分かる範囲でいきますと、ちょっと今、年次まで分からなかったんですが、中止勧告は一件あったと承知をしております。

篠原(豪)委員 分かりました。そういうこともやっているということで、じゃ、また今度、後ほど教えていただければと思いますので、よろしくお願いします。ありがとうございます。

 情報等々の話もありましたが、まさにその書かれている四つの手口の、今三つ目が終わったんですけれども、四つ目なんですけれども、米国企業へのサイバー攻撃というのが言われています。米国では、人民解放軍の攻撃を受けて鉄鋼や原発などの米国企業から情報漏えいがあったということです。

 日本でも、JAXAへのサイバー攻撃に関して、警察庁の松本長官が、攻撃に中国人民解放軍の部隊が関与した可能性が高いというふうに述べました。国内の約二百の企業などへの一連のサイバー攻撃がティックと呼ばれる集団によって実行されたということも指摘していまして、その背後には、青島市を拠点とする軍の戦略支援部隊、六一四一九部隊が関与した可能性が高いと説明したというふうに報道されています。

 この一連の事件の全貌、恐らくここまで発表したというのは初めてだろうというふうに思っています。ですので、今回、なぜここまで解明ができたのか、そして、なぜあえて中国という名前も名指ししてやることができたのかということについて、これを御説明いただければと思います。

宮沢政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの件につきましては、平成二十八年から二十九年までの間、合計五回にわたり、住所、氏名等の情報を偽って日本のレンタルサーバーの契約に必要な会員登録を行った事件につき、四月二十日、警視庁が、中国共産党員の男を被疑者として、東京地方検察庁に書類送致したものと承知をしております。

 本件事案を通じて契約された日本のレンタルサーバーは、JAXA等に対するサイバー攻撃に悪用されることとなりました。その後の捜査等を通じて、約二百の国内企業等に対する一連のサイバー攻撃が、ティックと呼ばれるサイバー攻撃集団によって実行され、当該ティックの背景組織として、山東省青島市を拠点とする中国人民解放軍第六一四一九部隊が関与している可能性が高いと結論づけるに至ったものです。

 個別の事件の捜査内容についてはお答えを差し控えますが、警察においては、事件捜査はもとより、民間事業者等との連携、海外治安情報機関との連携等を通じ、サイバー攻撃の実態解明を行っているところです。

 本件事案については、こうした実態解明を通じて、中国人民解放軍の関与の可能性が高いと結論づけるに至ったことから、その旨を公表したものですが、サイバー空間における脅威は極めて深刻であり、今後とも事件捜査を推進し、その結果や解明された事項を適切に公表すること等により、被害の未然防止、拡大防止を図ってまいります。

篠原(豪)委員 ありがとうございます。

 多分、国名まで、人民解放軍というのを名指しをして捜査情報を出してくるということは、これまで余りなかったことじゃないかと思っています。

 やはり、日本が何か攻撃を受けたときに、自前で、例えば同盟国に頼るとかじゃなくて、ちゃんとしたことが、情報収集も含めてできていくということが大事だと思っていますので、引き続きしっかりやっていただきたいというふうに思いますし、精度もどんどん上がっているんだと思いますので、高めていっていただければと思います。ありがとうございます。

 次は、中国のIT機器の問題についてお伺いをいたしたいと思います。IT機器ですね。

 経済安全保障では、この中国IT機器の問題、アメリカのトランプ前大統領がファーウェイに対して製品の排除を強力に求めたことは記憶に新しいことですけれども、正確に言えば、5Gという次世代インフラに関して、ファーウェイが市場で圧倒的な力を持って、このまま市場原理に任せておけば、何を心配したかというと、中国製品が世界の市場を圧倒していく、そして西側諸国の企業が市場から駆逐されるのではないかという懸念があったということでございまして、これに対して、この5Gインフラが中国企業に依存するという状況が生まれた場合に、この通信インフラを通じて交換される情報が中国に筒抜けになってしまう可能性があるんじゃないかみたいなことが言われてきています。

 さらには、米中間の対立が激しくなった場合に、中国企業から製品供給を止められたり、中国製品の中に埋め込まれたコードによって、これまでも報道等もされていますけれども、中国製品が社会的、経済的に不可欠なインフラを攻撃するような事態も想定されることを避けたいとする安全保障上の考慮から取られた措置というふうに理解しますが、我が国においても、こういった対策、中国に対しての、5G、ファーウェイの問題も含めて、どこまで進んでいるのかということをお伺いをさせていただきたいと思います。

山内政府参考人 お答え申し上げます。

 政府としては、今委員が御指摘のような特定の国、それから企業の製品を所与に一律に排除するという取組は行っておりません。

 一方、情報の窃取、破壊、情報システムの停止など、悪意のある機能が組み込まれるようなサプライチェーンリスクに対応するという観点は、サイバーセキュリティーを確保するという意味では非常に重要でございます。

 平成三十年の十二月に関係省庁において申合せを行い、特に防御すべき情報システムの調達を行う際に、サプライチェーンリスクの懸念について考慮してということで、一般の競争入札で価格だけということではなく、こういう点を考慮した調達というのを行っております。

 政府としては、引き続き、サプライチェーン対応を含めますサイバーセキュリティーの対策の充実強化に努めてまいります。

篠原(豪)委員 そうですね。サプライチェーンを再構築できなければ進まないということなので、そうした面をサポートする、支援することも同時に進めているのかということなんですけれども、あるいは、企業の責任に任せているのかということについてはいかがでしょうか。

山内政府参考人 お答え申し上げます。

 今申し上げた政府の申合せに関しましては、政府機関における情報システム、それから独立行政法人に対して、各政府機関がそれを遵守するということで行っているものでございます。したがいまして、例えば、重要インフラと呼ばれる方、一般の企業の方々に、今申し上げたこの運用というものをそのまま強制するというものではございません。

 一方で、サプライチェーンリスクの懸念ということについては当然承知をしていて、各企業の方々にもこれを御承知おきいただきたいということで、例えば、重要インフラにおける基準の中では、サプライチェーンに留意をすることということを書いた上で、その自主的な運用について、それを促すという形にさせていただいております。

篠原(豪)委員 ありがとうございます。

 じゃ、前者の方は行政指導であって、後者の方はまた違う形でということですね。分かりました。ありがとうございます。

 二年前になりますかね。当時、ドローンの話をちょっと委員会でさせていただいたことがありまして、DJIですよね、アメリカも、人権保護とか安全保障の観点から、ドローンの世界最大手の中国DJIに対する事実上の禁輸措置を発動しました。私も二年前のこの委員会で、日本の、例えばいろいろな機関が使っているということがあって、これは本当に大丈夫ですかみたいな話をさせていただいて、あれからもう、あっという間に二年たつんです。

 日本も、このDJIのドローン、それから国産への、それを契機に代替していくというふうに聞いていましたけれども、それがどこまで進んだのか。日本政府として、その後、中国製のドローンから情報が中国に流れている事実又はその危険性を確認したのか。そして、高性能の国産品がやはりちょっとなかなかできない、メーカーがちゃんと、日本独自ではですねという話も聞きますので、その辺についても、高性能の国産品が少ないので、代替が必ずしも順調に進んでいないというふうにも聞いていますので、こうした事態にこれまで政府はどうした対策を打ってきたのかということを確認させてください。内閣官房。

島田政府参考人 委員御指摘のとおり、ドローンにつきましては、飛行あるいは撮影情報の外部への漏えい、さらには機体の乗っ取りといったような可能性もあるということで、サイバーセキュリティー上の懸念が指摘をされているということはしっかりと認識をさせていただいているところでございます。

 中国製か否かといった個別の事案につきましては、セキュリティーの観点からお答えを差し控えさせていただきたいところでございますけれども、政府におきましては、こうしたリスクを回避するため、昨年の九月に、無人航空機の調達等に関する方針といったようなものを関係省庁間で申合せをさせていただいたところでございます。

 この申合せにより、今後は、政府機関等において、撮影データなどが窃取されれば公共の安全と秩序維持の円滑な遂行に支障が生じるおそれのある業務等に用いられるドローン、これを調達するに当たりましては、セキュリティー上のリスク対策をしっかりと講じるというふうなこととしたものでございます。

 また、製造の面でございますけれども、経済産業省及び新エネルギー・産業技術総合開発機構、NEDOにおきまして、ドローンを運用している関係省庁とも連携をしつつ、サイバーセキュリティー対策がきちんと講じられた、安全、安心なドローン、こういったものの開発を進めていただいているところでございます。本年度中の政府及び民間市場への投入が見込まれるというところまで現在来ているという状況でございます。

 具体的な代替の状況につきましては、セキュリティーの観点からお答えは差し控えさせていただきますが、こうした様々な取組を通じまして、政府一丸となってドローンのサイバーセキュリティー対策に万全を期してまいりたいと思ってございます。

篠原(豪)委員 中国製のドローンが世界の七割の市場を占めていて、日本もそこに、これまで一社しか依存することがなかったんだとすれば、安全保障上の問題の観点でようやく考え出したということだと思いますので、やはりこれはしっかりやっていただかなきゃいけないと思いますので、よろしくお願いします。

 ドローンだと、やはり数年前に起きたサウジアラビアでのドローン攻撃、十八機でしたっけ、という話があったんだと思います。犯人は分かっていないですね、まだ。その中で、ドローンというのは貧者の兵器とも言われていて、今や非国家勢力までも活用しているということでございます。多くの機体が星雲のように群れを成してやってくれば、これを迎撃ミサイルで撃ち落とすこともできないということで、実際、レーダーに映るかどうかも、非常に低空でちっちゃいので、それも怪しいし、分かったとしても、じゃ、どうやってこれを排除するのかということも、ドローンは一機十万円とか二十万円ですけれども、パトリオットミサイルは一発三十億円ぐらいするわけで、それが合理的なのかどうかという話も出てくるんだと思います。

 その辺も、これは分かれば教えていただきたいんですけれども、統合ミサイル防衛の一環としてそういったことが位置づけられているものと思うんですが、その中で、ドローンによる攻撃への対処方法というのはどういうふうになっているのかということをひとつ教えていただきたい。

 他方、自衛隊においてドローンの利活用を進めることは我が国の防衛に大きな意義を持つと考えますけれども、現在どのような進捗にあるのか、まず、分かる範囲で、防衛大臣に教えていただければと思います。

岸国務大臣 今のドローンの活用についてのお話がございましたけれども、自衛隊、今、各種の任務において長期化の傾向にあるということ、また、我が国における少子高齢化の進展があります。こうしたことを考慮いたしまして、無人化の取組というものを進めております。

 防衛省・自衛隊においては、いわゆるドローンを約九百機、今、保有をしております。災害対処などの各種任務を遂行するための情報収集、研究等の目的で使用しているということでございます。

 現在の中期防においては、常続監視体制の強化のために、海自における艦載型の無人機三機の導入及び空自におけるグローバルホーク三機の導入を進めるとともに、太平洋側の広域における洋上監視能力の強化のために、海自における滞空型無人機の要否について検討を行うこととされております。防衛省として着実に取り組んでいるところであります。

 いわゆる攻撃型のドローンにつきましては、現時点で具体的な取得計画はございません。

 いずれにしましても、我が国の防衛における無人装備の重要性を踏まえまして、技術動向や各国の運用状況も踏まえながら、必要な無人機の着実な整備、積極的な活用を進めてまいりたいと考えます。

篠原(豪)委員 先ほども少し申し上げましたけれども、サウジアラビアでは十八機のドローンが、衛星で緻密に操作されたと考えられているものが、石油基地を、石油精製所を攻撃をして大事態になったということがありました。

 日本も、もし分かる方がいらっしゃれば、統合ミサイル防衛をやっていますけれども、ドローンについて、空を飛んでくるものについてどのように今政府としては考えて、どういうふうに対処していくかというのをお答えできますか。

土本政府参考人 お答え申し上げます。

 近年、各国は、ネットワーク化された多数の小型無人機が群れを成して飛行する、先ほど委員の方からも御指摘ございましたスウォーム飛行に関する技術の開発に注力するなど、経空脅威というのは非常に多様化してきておりまして、自衛隊によるドローンへの対応というのは我が国の安全保障上重要な課題であると認識しているところでございます。

 具体的な対処方法につきましては、こちらの、自衛隊側の能力を明らかにすることとなるため、お答えは差し控えさせていただきたいところでございますが、防衛省といたしましては、例えばドローンを用いたテロ攻撃等から自衛隊施設を守るためのジャミング器材等の対処器材の取得といったことや、あと、ドローン攻撃に対応するための研究といたしまして、高出力マイクロ波技術や高出力レーザーシステムの研究といった高出力エネルギー技術の研究など、技術の進展に伴う様々なドローン攻撃に対しても万全の対応を図るための各種取組を行っているところでございます。

篠原(豪)委員 本当にどんどんと科学技術を、防衛に対して各国が投資をして新しい形を、これはもう攻撃も防衛もつくっていく中で、やはり日本もしっかりと備えていただきたいと思いますので、防衛大臣、是非よろしくお願いします。

 そして、中国の話をしてきましたので、一点、外務大臣にお伺いをさせていただきたいと思うんですけれども、やはり経済安全保障、日本は、先ほどの御答弁でもあったように、一番の貿易相手国であり、世界第二位の経済大国である中国との関係で御商売されている方々もいっぱいいらっしゃると思います。

 よく思うのが、日米同盟を基軸に、例えばアメリカが、いろいろな、中国と、アメリカと取引をしている企業に対して、そこに関わる国も、取引する国も輸出をしてはいけないとかやってもいいとかということを、大分厳しい状況になってきて、日本も、日米同盟がありますのでおつき合いせざるを得ないという点もあるんだと思います。

 他方で、経済的とか、環境分野とかでも見てみますと、アメリカと中国はつい先月も一緒に話をして、共にやっていこうみたいな話もしていて、いろいろな重層的なところで手を組んでやったり、あるいはそうじゃなかったりということがあって、各分野分野で自国の利益をしっかり考えているんだと思っています。

 日本もそういう国としてしっかりやっていこうというのは当たり前だと思うんですけれども、そういった中で、中国の問題、特に人権の問題もお伺いしたいんですけれども、中国による少数民族のウイグル族への弾圧や強制労働に関連して、欧米諸国が人権侵害であるとして対中制裁を強めるのに合わせて、企業側も、指摘されている中国からの原料調達を控える動きを見せている問題があります。

 これは一見、経済安保の問題ではないように思われがちなんですが、中国は、こうした原料調達の見直しを表明した企業に対して、不買運動や営業妨害を行っています。例えば、スウェーデンの衣料大手H&Mには、インターネットで、二度と買うなといった投稿が集まったり、通販サイトで商品が検索できなくなっちゃったりするというふうに報じられています。

 日本のファーストリテイリングも、過去に人権問題を懸念したことをネット上で批判されたことがありますが、こうした不買運動は中国政府の後押しなくしては不可能なお国柄だと思いますので、日本としても毅然とした態度を示していただく必要があると考えております。

 この点について、外務大臣にお考えをお伺いいたします。

茂木国務大臣 先ほど来の議論を聞いておりまして、若干混乱しているところで、答弁も含めてなんですけれども、あって、恐らく基盤インフラとサプライチェーンで若干違う要素がありまして、基盤インフラについてはいかに安全でオープンなものを国内また同志国等々で確保していくかという観点が重要なのに対して、原材料であったりとか様々な部品、半導体も含めてでありますが、それからレアメタル等々については、一国、一地域に依存する、こういうことに対する危険性というか、これをいかに多元化していくか、こういう観点が重要なのではないかな。

 こういったことを考えたときに、今、新疆ウイグル自治区につきましては、重大な人権侵害、これが行われている、様々な情報があるわけでありまして、我が国としても同自治区の人権状況については深刻に懸念をいたしております。

 我が国として、国際社会における基本的な価値であります自由、基本的人権の尊重、法の支配、これは中国においてもきちんと保障されることが重要であると考えておりまして、こうした我が国の立場については中国にも直接伝達をしておりますし、国際社会全体として働きかけをしていく必要があるのではないかなと思っております。

 中国の場合、先ほどの技術移転でいいますと、更に、指摘された四つの問題以外にも、国有企業の問題等々もあるわけでありまして、こういったことに対してどう、国だけではなくて企業も含めて、不買運動等々、対応していくかということが必要だと考えておりまして、なかなか、企業との個別のやり取りにつきましては、オープンにするということを前提にしないでやり取りをしていますので、個別の企業とのやり取りの内容についてはお話はできないところでありますけれども、在中国の日本企業の経済活動へどういう影響が出てくるか、この点も、関連情報をしっかりと収集しながら、その状況について適切に対応していきたいと思っております。

篠原(豪)委員 ありがとうございます。是非しっかりとした対応を、引き続き、オープンにできるところ、できないところもありますし、お願いをさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 最後に、ちょっと一つだけ、大規模接種センターの問題についてお伺いしたいと思います。

 今回の大規模接種センターですけれども、これは災害派遣じゃないですよね。なぜ、これを災害派遣じゃなくて通常の業務の延長にしたのかということをお伺いしたいと思います。これがあくまでも例外事態であるのか、それとも、こういったことを常態的に行われる可能性が今後あるのかということについてお伺いしたいということ。

 あと、オリパラも控える中で、今、この三か月間で、東京や大阪の接種センターに医官、看護官等自衛隊員四百四十名を充当するとなっていますけれども、交代要員を含めると三か月で延べ何名になっていくのかということがありますので、この点について教えていただければと思います。

岸国務大臣 ありがとうございます。

 なぜ今回のワクチン接種が災害派遣ではないかというお問合せでございますが、新型コロナウイルス感染症対策に係る基本的な対処方針としては、発症を予防し、死亡者や重症者の発生をできる限り減らす、そして迅速なワクチン接種を進めるとしているところでございます。

 市区町村のワクチン接種を国としても強力に後押しして、確保したワクチンが可及的速やかに接種されるように、東京と大阪に大規模接種センターを開設をいたして運営することといたしました。

 したがって、都道府県の知事の要請に基づく要請派遣とか、都道府県知事の要請を待ついとまがないと認められるような場合における自主派遣というものとは該当せず、自衛隊法二十七条に基づく自衛隊病院の果たすべき本来の任務として実施することが適当だということで判断したものでございます。

 それから、人員の件でございますけれども、合わせて四百四十名を配置することとしております。これは、医官、看護官のほか、支援要員を含めてということでありますが、三か月で、延べ人数でいいますと約四万人ということになります。四万人の自衛隊員が運営に当たるということになります。もちろん、またがって勤務される方もいるし、交代もあるということでございますけれども、人数的にはそういうことになります。

 オリパラ大会に対しての支援でありますけれども、支援を行う場合でも、当該支援とセンターの運営体制が両立し得るような形で適切に調整をしてまいっているところでございます。

篠原(豪)委員 ありがとうございました。

 去年のコロナ対策でも、一人も自衛隊の自衛官の皆さんは感染もしないできちっとやられたということは非常にすばらしいことだと思っています。他方で、やはり、災害派遣じゃなくて、今回は病院の延長でやっていますので、人員も含めて、ほかのところも回るのかという心配もあります。

 もう一点、あと、シビリアンコントロールの観点からも、これはすばらしい制度だと思いますね、災害派遣というのは。そういうことがある中で、今後どういうふうにこういう場合に対処していくかということを是非検討していただきたい、準備していただきたいというふうに最後にお願いしまして、私の質問とさせていただきます。

 今日は、大臣の皆さん、各副大臣の皆さん、ありがとうございました。

若宮委員長 次に、本多平直君。

本多委員 立憲民主党の本多平直です。

 ちょっと通告の順番を、大臣、少し変えながら質問させてください。

 今国会でちょっと議論したくて何度も通告していたんですが、これまで通告できなかった。今回、長距離ミサイルの開発を初めて日本では開始をいたしました。このミサイルはスタンドオフ機能を持つということで理解をしてよろしいですか。

岸国務大臣 今お問合せの件ですけれども、一二式の件だと思いますけれども、これはそういうことで結構でございます。

本多委員 以前から、戦闘機から発射をするミサイルの長距離化をしたとき、スタンドオフという説明を受けて、今度、日本が独自に開発を始めるミサイルもスタンドオフだという説明を受けたんですが、本当に素人的な質問で恐縮ですが、中国は、その我が国が保有を想定しているスタンドオフミサイルの射程のミサイルを持っていませんか。だから、スタンドオフじゃないんじゃないですか。

岸国務大臣 今お問合せの件ですけれども、中国もこのスタンドオフに該当するようなミサイルというものは持っている、こういうふうに考えております。

本多委員 スタンドオフという意味は、想定する敵国からの射程外、相手から届かないところから発射するから自衛官が安全だよという説明を聞いて、まあ、長射程化、別に絶対反対というわけじゃないですよ、私。ただ、いろいろな問題もある。相手から撃たれないというのでずっと説明を受けていたんですけれども、ある日考えたんですが、中国は届いちゃうんですよね、中国から。スタンドオフじゃないんじゃないですか。だから、スタンドオフじゃないですよね。

岸国務大臣 スタンドオフミサイルは、現行の中期防でも記載をされております。我が国への侵攻を試みる艦艇や上陸部隊等に対して、自衛隊の安全を確保しながら侵攻を効果的に阻止するために、相手方の脅威圏外から対処可能とする、こういうミサイルのことを指すわけでございます。

 我が国の防衛に当たりましては、敵の探知範囲や射程といった脅威圏の外から、すなわち敵に近づくことなく敵の水上部隊や上陸部隊に対処する能力を持つことが不可欠であるわけですけれども、この点、技術的な進展によりまして、各国の早期警戒管制能力や各種のミサイルの性能が著しく向上して敵の脅威圏が拡大しているということを踏まえますと、従来自衛隊が保有してきたミサイルの射程では、これを運用する自衛隊の部隊は、敵の水上部隊やこれらを支援する敵の航空部隊、こうしたものの脅威圏の内側において対処に当たらざるを得ないということになります。

 防衛省としては、さらに、このような認識の下で、隊員の安全を確保しつつ防衛をしていくために、スタンドオフの取得や研究開発を進めていくという考えであります。

 ですから、できるだけ、相手ももちろん同じような考えのスタンドオフを持っていますけれども、戦い方にもよるわけですけれども、脅威圏外から狙えるようなという意味で、スタンドオフということであります。

本多委員 私が申し上げたいのは、今、スタンドオフなんという概念はあり得ないわけですよ。今の時点でも中国は、今回開発が想定されている射程のミサイルがあります。それを例えば九州に設置したら、そこを撃てます。スタンドオフじゃないものを、何か議論を逃げるために、これは割とタカ派の論者も言っています、スタンドオフなんという言葉を使って逃げの議論をするんじゃないと。だから、言葉でごまかして長距離ミサイルをやるのはやめてほしい。正直な議論をしっかりしてほしい。

 私は、そのことを今日はこれ以上詰めませんけれども、スタンドオフと言っているけれども、スタンドオフじゃないんですよ。中国は長距離、中距離を持っているんだから、射程外じゃないんですよ。そう言って何か長距離ミサイルを正当化する、こういう論理だらけなんですよ。きちんと、少なくともこの安全保障委員会では、そういう正しい言葉の使い方で議論したい。

 スタンドオフミサイルという言葉の使い方、ミスリードにしない方向で、今後使わないようにしたらいかがですか。

岸国務大臣 スタンドオフミサイルというのは我々だけが勝手に使っているような名称ではないわけでございます。一般的に、敵の脅威圏外から対処できるような、そういうミサイルのことをスタンドオフミサイルと称しております。実際に、敵の艦艇、上陸部隊等の脅威圏外から我々が攻撃できる体制というものをつくっていかなければいけませんけれども、そのときにスタンドオフミサイルというのが必要になってくる、このように考えております。

本多委員 私、国会図書館にも調べてもらいましたが、スタンドオフミサイルという商品はあるんです、兵器名として。政府や軍隊としてスタンドオフミサイルという制式名称を使っているのは私が調べた限りないので、いつか発見したら教えてください。きちんと正確な言葉で議論をした方がいいということを指摘をしておきます。

 もう一点、以前から通告をしていて、なかなか議論するチャンスがなかった問題をやります。

 防衛省が、例えば北朝鮮と中国、北朝鮮の軍隊の電波、これを傍受する、これは国際法上も問題ない行為だというふうに認識をしています。

 しかし、インターネットのメール、これは見ていると憲法違反になっちゃうんですよ、通信の秘密で。そういう理解でよろしいですか、大臣。

岸国務大臣 憲法上違反になるかどうかということを防衛省としてお答えすることは差し控えさせていただきたいというふうに思っております。

 防衛省・自衛隊による情報収集活動については、我が国の防衛に必要な情報を得るために行っているものであります。インターネット上のメールの傍受を含めて、一般の市民の監視を行っているものでは全くございません。

 防衛省・自衛隊による情報収集活動は、私の指揮監督の下で、法令を遵守して適正に行われております。その上で、私は、防衛省や自衛隊による情報収集活動の内容や成果について適切に適宜報告を受けて、指示を行っているところでございます。

本多委員 そういう答弁を、私、ほかの委員会でも繰り返されているのでこの問題をしつこく取り上げているんですが、警察がやっている通信傍受も、法令に基づいて、一定の犯罪を決めて、ルールを決めてやっているわけです。本当に必要なら、きちんと法令に基づかないと駄目だと思いますよ。

 そして、一般市民なんというのは区別がつきませんから。これは、アメリカでも広くやられているということが指摘をされて、アメリカでさえそれは制限を厳しくしているんですよ。

 これは、ルールがないままこんなことが内部で進んでいくというのは、私は非常に問題だということを、今日は指摘をするにとどめておきたいと思いますが、大臣、本当にこれは法令がないままできるんですか、防衛省は。

岸国務大臣 もちろん、防衛省として、法令を遵守しながら情報収集活動を行っているところでございます。

本多委員 インターネットメールも見ていいんですね、一般市民の監視じゃなきゃ。

岸国務大臣 先ほど申しましたように、一般市民に対する監視というものは行っていないわけですけれども、インターネット上のメールの傍受も含めて、法令に従って行っているということでございます。

本多委員 私は、一般市民だろうと何だろうと、残念ながら、今の日本国憲法の下では、もしそういうことをされているとしたら、それは憲法違反の行為だと思いますけれども、何かありますか。

岸国務大臣 ちょっと今言い方がまずかったので、訂正をします。

 防衛省・自衛隊としては、インターネット上のメールの傍受を含めて、一般市民の監視は行っていないということでございます。

本多委員 その日本語がよく分からないんですよ。含め行っていないんですね。一般市民とか言わなくて、インターネットメールの傍受は行っていないでいいんですね。確認します。

岸国務大臣 防衛省の行っている具体的な情報収集活動の内容につきましては、我が方の手のうちを明らかにすることになりますし、将来の効果的な情報収集活動の支障になるおそれがありますので、お答えを差し控えさせていただきたいというふうに思います。

 繰り返しになりますけれども、防衛省・自衛隊における情報収集活動は、我が国の防衛に必要な情報を得るために、法令を遵守して適正に行われているということでございます。通信の秘密を侵しているというものではございません。

本多委員 あえて、どういう情報源を基にこういうことを言っているかと言うと、またその情報源に対してどうこう言うので言いませんが、スノーデン・ファイルには、一般人のインターネットメールも広く傍受ができるソフトウェアをアメリカからもらったという記述があるわけですよ。それを、そういう根拠に基づいて聞いていますから。私、これは引き続き、やはり必要なら何らか法規制しなきゃいけない、法律で、やる必要があるならしなきゃいけないし、ないままやって、一般人のメールも防衛省で見れるという状況というのは非常に大問題だと思いますから、これは引き続き議論をしていきたいと思います。

 今日は、答弁納得しませんけれども、文章が、点の切り方でどうとでも読めるので、私は、憲法違反の行為をやっている疑いがあるというとんでもない話だと思いますので、指摘をしていきたいと思います。

 大臣、それで、そういう答弁を続けていますけれども、大臣にお願いです。さっきちょっと似たような答弁をされましたけれども、大臣は確認できるんです、そういうことをやっているかどうか。もう総選挙も近いですから内閣も大きく替わるかもしれません。この任期中にちゃんと大臣として、大臣だったら、どういうことをやっているのか、本多の言っている話はどういうことなんだ、どういう必要でどの程度まで、やっていちゃいけないと思うけれども、やっているのかどうかも含めて、私にその結果を報告しろと言わないのでいいですけれども、シビリアンの代表として大臣は知っていただけませんか、その状況を。

岸国務大臣 防衛大臣として、防衛省におけるそういった情報については適切に監督をしてまいりたいと考えます。

本多委員 強く、大臣だけですから、それをきちんと、何やっているのかを聞けるのは、是非お願いをしたいと思います。

 次に、ちょっと順番を変えまして、自衛官の待遇の問題に移りたいと思います。

 私、この任期、ずっと安全保障委員会に所属をして、予算委員会などでも質問をさせていただいて、自衛官の誇り誇りと前総理はおっしゃっている割に、非常に待遇が不適切だと。自費で身の回りのものを購入させているということを三年前の予算委員会で指摘をさせていただきました。

 安倍前総理も、これはひどいということで取り組んでいただいたんですが、今日、表を、資料をお持ちしました。三年前、一三・六%の部隊でトイレットペーパーの自費購入があり、まあひどいんです、ごみ袋も一二%、石けんも九%、食器洗剤一〇%、たわし、スポンジ一〇%、ビニールテープ一二%、自費購入させていたということなんですね。

 これ、実は間を抜いちゃったんですが、さすがに改善されていると思ってこの二月の予算委員会で聞いたら、まだ、トイレットペーパー、一・四%だか一・七%、残っていたわけです。

 ようやく、今日、成果として、全てのものが今回ゼロということでお出しをいただきました。野党議員からの指摘でも、二年かかりましたけれども、防衛大臣も御努力いただいてここまで来ましたけれども、これだけやるのに、五千億円のもの、何かこっそり九千億円になってまだ国会には言えないというお話らしいですけれども、こういうことに二年も三年もかかったというのはどういうことなんですか。

 私、もう一つ指摘した、陸上自衛隊の駐屯地に自家発電機がない。北海道の地震のときに気づいたんですよね。これも指摘したんです、同時期に。やっとこの三月末ですよ。やっていただいたことは評価しますが、二年、三年かかっちゃった。このことはどういう事情なんですか、こんな当たり前のこと。

岸国務大臣 委員から御指摘を受けた点について解決に時間がかかってしまったということは、様々反省しなきゃいけないところもあるかと思いますけれども、一つ一つ解決をしてきたところがございます。

 引き続きしっかり対応していきたいと思いますけれども、最新の令和二年度下半期の調査結果では、陸海空自衛隊においては、個人の嗜好や個人で所有するためといった官給にふさわしくないものを除いては、これらの日用品と事務用品の自費購入はなくなったことが確認をされたところでございます。

 それ以外の、隊員が演習等の活動を行う上で不可欠な物品についても、部隊が機能を発揮するための必要な数を支給、貸与しています。また、その保有状況に不足がないことを毎年確認して、これらの物品は適切に支給又は貸与しているものと考えておるところでございます。

本多委員 少し先回りして答弁を読まれちゃったんですけれども、大臣、ちょっと聞いてください。いいですか。

 このトイレットペーパー問題をやったことで、私も自衛官の皆さんから一定の信頼をいただいて、お便りが来るんですよ。いやいや、ひどいと。頑張ってくれたけれども、退職者もひどいし、海上自衛隊は手当が航海に出たら出るけれども陸自は出ないと、いろいろな切実な声。もちろん分からないですよ、匿名ですから。名前を出すわけにいかないですよね。でも、消印を見ると、リアルに、ああ、あそこかという消印、分かるので、これは陸上自衛隊の皆さんの切実な声だなということで私質問しました。

 実は、身の回り品は解決したけれども、演習に持っていく物入れとか。事務方と相当議論しました。事務方は、それは支給しています、支給しています、支給していますと言うんです。だけれども、こういうお便りは前から相次いでいるんですね。

 だから、私、今、これは事務方の言うことも取りあえず信じますけれども、こういう告発のお便りも、具体名とか言えない、時期とか言えないから、特定できないから水かけ論になっちゃうんですよ。あの時期のあの部隊のあれがと言えば一個一個直していけるんだけれども。

 だから、困っている自衛官の皆さん、こんな演習で使うものを自費購入なんてあっちゃいけないと思うので、今度は、身の回り品の、トイレットペーパーの次は、演習で使ういろいろな道具、具体的に書いています、ヘッドライト、演習物を入れる箱、遮光資材。自費購入禁止と言っている方の視察を受けるための準備で自費購入が実施されています、もう笑うしかありません。

 大きな組織ですから、おまえ何言っているんだと、古い慣習で上司にそう言われたら、報告が上がってこないんですよ、きっと大臣まで。市谷までも上がってこないかもしれないですね。

 だから、大臣、今日は事実関係は言わないけれども、三年前までトイレットペーパーでこんなむちゃなことがあった組織なんですよ、大きくて、いろいろな過去の経緯もあって、予算も少なくて。九千億は出るみたいですけれどもね。

 この予算の少ない自衛隊、こういう目配りを、大臣にしてほしい。その決意を、こういうことはないようにしていくという決意をちゃんと、情報が上がっていくようにする、その努力をしていただきたいと思いますが、いかがですか。

岸国務大臣 今お話のございました、例えばヘッドライトやボックス、野外ベッド、こうしたものについては、部隊で管理をし、必要に応じて隊員に貸与しております。必要な所要数は確保しているということでございます。また、演習等で使用する手袋等についても、一般用手袋、戦闘用の手袋を支給、貸与しております。

 ただ、現実問題として、ロジですね、どこかでたまっちゃっているケースというのも聞くわけでありますから、そうしたところは、目詰まりしないように、しっかり現場に届けるようにやっていきたいというふうに思っております。

 一部、帽子やTシャツ、ジャージや運動靴、こうしたものは私服の位置づけというものもあるんじゃないかなと思っております。支給あるいは貸与にふさわしくないものというのは除外して考えなければいけないかなというふうに思います。

本多委員 じゃ、ちょっと具体的な提案をさせていただきます。

 資料の二ページ目を見てください。特殊手当なんですが、爆発物の手当一万四百円とか、落下傘一万二千六百円とか、災害派遣三千二百四十円、一日、こういうふうに手当が決まっているんですが、私、びっくりしたんですよ。十八番、感染症看護等手当。今回、自衛隊の皆さん、コロナの関係で、本来業務なのか本来業務じゃないのか微妙なところですけれども、いろいろやっていただいています。その御努力に敬意を表しますが、日額二百九十円なんですよね。

 これは、もちろん特例でちゃんと出ているという説明は聞きましたけれども、大臣、今回これだけ出ているんですから。二百九十円というのは、多分、昔、結核とか、割と軽い感染症の対策のときの、つくったそのままになっているんですよ。今回のコロナの体験、出て、ほかの手当と、見てくださいよ、これ、縦で。逆に、エボラ出血熱の人と接触しても二百九十円なんですか。こんなの、やっていられないですよ、逆に。手当要らないですよ、こんなの。ふざけるなでしょう。

 本則の改正を検討いただけませんか。

岸国務大臣 今の、委員御指摘もございましたけれども、コロナウイルス感染症の対応に当たっては、従事する作業の特殊性に応じまして、災害派遣等の手当の特例として日額四千円を上限として手当を支給しているというところであります。

 委員の御指摘も踏まえまして、感染症への対応に従事する隊員への手当については、新型コロナウイルス感染症に対する今後の自衛隊の対応状況等も踏まえながら対応を検討してまいります。

本多委員 是非検討してください。コロナがどうなろうと、次にまた何が来るか分からないので、とにかく感染症の人の接触の手当二百九十円はおかし過ぎますから、特例じゃなくて、本則を変えてほしい。

 自衛隊のこういう手当は国家公務員を参考にしているので、人事院総裁にも来ていただいています。

 一般の国家公務員はどうなっているかと見たら、似た手当が、これは何番目ですかね、防疫作業手当。これも多分、昔の結核とかその程度のものを想定した額になっています。

 今回のコロナに鑑みて、いろいろな国家公務員の方もいろいろな現場で苦労されています。もちろん、今やっていることは特例で出ているのは分かっていますが、本則の検討を今年の概算要求までに、これは検討すべきじゃないですか、人事院総裁。

一宮政府特別補佐人 一般職の国家公務員につきましては、感染症の患者の看護等の作業に従事したときは、特殊勤務手当の一つである防疫等作業手当の支給対象とすることとしております。

 特殊勤務手当の手当額は、それぞれの業務の特殊性を踏まえて設定しており、感染症患者等に対応する作業に従事した場合の防疫等作業手当は、今御指摘のとおり、原則として一日二百九十円としておりますが、患者に接して行う作業については、感染リスク等による著しい精神的負担等が認められることから、加算措置により一日五百八十円の手当を支給することとしております。また、先ほども御紹介ありましたように、新型コロナウイルス感染症の対策、緊急措置等に関わる作業に従事している場合には、作業の態様等に応じて一日千円から四千円の手当を支給することとしております。

 一般職の国家公務員の特殊勤務手当については、いろいろ特殊性もございますので、これまでも、業務の実態等の変化に応じた見直しを行ってきております。御指摘の防疫等作業手当についても、人事院といたしましては、今後も引き続き必要な手当を速やかに支給できるように、適切に検討して対応してまいります。

本多委員 もっと前向きな答弁をいただけると思いましたけれども、これから、今この感染症のさなかにある、いろいろな国家公務員がいろいろな仕事をしているところで、日給二百円だか五百円だかそういう手当で、自分だけじゃないですよね、家族にも万が一感染させたらどうしよう、こういう思いでやっている人への手当、ほかとのバランスが悪いんですよ、ほかも低いんならいざ知らず。やってもらわないと、ああ、人事院ってそういう役所なんだなということをこの概算要求までに判断しますので、しっかりやってください。よろしくお願いします。

 さて、中山副大臣。イスラエルの何とかというのは、消去したんですか。

中山副大臣 諸般の事情を全体的に見て、政治家自らの判断として削除をさせていただきました。

 なお、今から四時間前に、十日から始まったイスラエルと武装勢力の停戦合意に、エジプトの提案に乗って、今停戦が発効しているということは非常に歓迎すべきことだと考えています。

本多委員 諸般の事情って何ですか。中身が間違っていたということですか。

中山副大臣 五月十二日に発信をした御指摘のツイッターは、あくまでも一政治家としての見解を申し述べさせていただいたものでありまして、公安調査庁の国際テロリズム要覧で国際テロ組織に挙げられており、我が国がテロリスト等に対する資産凍結等の措置の対象としているハマスが攻撃を行ったとの声明を発出したことを踏まえまして、こうした暴力行為は行うべきではないという趣旨で発信をさせていただいた次第であります。

 いずれにしましても、双方の民間人に多数の死傷者が生じておりました。こうした暴力行為はいかなる理由によっても正当化できない、このように考えておりました。

 また、イスラエル、パレスチナ両当事者の抱える問題は暴力によって解決されるものでは決してない、全ての関係者が最大限の自制を持って、今朝行われているこういった停戦の発効というものを前に進めていくべきだ、そのように考えています。

本多委員 あなた、貫くなら、ずっと載せたままにすればいいじゃないですか。

 A国とB国、国準でもいいですよ、紛争しているときに、日本の政府の防衛副大臣が片方に寄り添うと言ったら、今回の場合はあり得ないかもしれないけれども、近くの国だったら、ああ、そうなんだと攻撃の対象になるかもしれないような重大なことですよ。政府の方針に反することを十日以上載っけたままにして、挙げ句に理由も言わないで削除。政治家としてどうなんですか。むちゃくちゃじゃないですか。

 それから、今の、公安調査庁を呼んでおいてもよかったですけれども、小西議員へのメールで、いろいろなものを図鑑として載せただけで、当庁としての指定とか任命じゃない、評価を加えたものじゃないと公安調査庁は言っています。別に、公安調査庁の資料に載っていたというだけなんです。認定していませんからね、日本政府。

 外務省としてもそうですよね、ハマスをテロリストとして認定していないですよね、大臣。

茂木国務大臣 まず、外務大臣として答弁に立ちますので、ここは、イラク、パレスチナでの直近の状況については簡単に触れさせてください。(本多委員「いや、時間が」と呼ぶ)いや、それは御理解くださいよ。それは当然でしょう。

 イスラエル政府の発表によりますと、イスラエルは、エジプトの提案を受け入れ、無条件の停戦に合意をいたしました。また、パレスチナ武装勢力も同様に停戦を受け入れたとの情報があります。

 我が国は、今般の停戦合意を歓迎するとともに、米国、エジプト等の関係国による停戦に向けた仲介努力に敬意を表したいと思います。今般の合意が持続的な停戦と長期的なガザの安定につながることを強く期待をいたします。

 その上で、我が国として、テロ、これを、どの組織がテロであるか、これを認定するような法律はございません。

本多委員 公安調査庁も外務省も認定していないんですよ、大臣。訂正していただけますか。

中山副大臣 平成十五年の九月の二十六日、内閣総理大臣小泉純一郎殿宛てに、外務大臣川口順子、財務大臣谷垣禎一、経済産業大臣中川昭一、テロリスト等に対する資産凍結等の措置について、標記について、別紙のとおり閣議の了解を求めます、日本国政府。その文書の中に、以下のテロリスト等一団体を資産凍結等の措置の対象とすることとする、ハマス、イッザッディーン・アル・カッサームを含むと書いてあり、その当時、平成十五年九月二十九日、政府の資料によりますと、その説明において、今般、これまで軍事部門に対し資産凍結の措置を講じていたハマスに関し、最近の中東情勢の中で、ハマス政治部門の幹部からもハマスによるテロを容認、支持する発言が見られるように、ハマス政治部門と軍事部門を区別することがテロ対策上困難となってきていること等を踏まえ、政治部門を含むその全体に対し資産凍結等の措置を実施することとする、このように政府の見解で出ていると認識しています。

本多委員 そんな言い訳をするんだったら、削除しなきゃいいじゃないですか。

 それから、あなた、ハマスは今回の紛争で住民を人間の盾にしていると書いていますけれども、記者会見で答えていますけれども、外務大臣、そんな情報はありますか。

茂木国務大臣 まず、これまでのイスラエルとパレスチナ・ガザ地区の衝突によりまして、民間人を含め多くの死傷者が出ている、こういったことはあってはならない、強く非難をし、懸念を申し上げたいと思います。

 その上で、戦闘行為が行われる、また攻撃が行われる、その現場それぞれについて、なかなかその詳細を把握するということは困難だと思っておりまして、コメントは差し控えたいと思います。

本多委員 情報網を持っている外務大臣でさえ把握できない事態を、一個人でもいいですよ、中山副大臣はどうやって把握したんですか。一方の当事者だけ、そんな。一番、軍事作戦の中でもひきょうなやり口ですよ、人間の盾というのは。住民を周りに置いて、攻撃させないようにする。したという証拠はあるんですか。

中山副大臣 御指摘の私のツイッターに関して、ハマスが攻撃を行ったとの声明を発出したことを踏まえ、こうした暴力行為は行うべきではないという意味で発信をしたわけであります。

 いずれにせよ……(本多委員「いずれにしないよ」と呼ぶ)私は、双方の民間人に……

若宮委員長 今、答弁中ですから、ちょっと静粛に。

中山副大臣 多数の死者数が生じており、こうした暴力行為はいかなる理由によっても正当化することはできない、このように考えています。

 また、イスラエル、パレスチナ両当事者の抱える問題は暴力によって解決するものではない、そのように考えておりますので、今回のこういったエジプトの提案により和平が実現することを希求しております。

本多委員 たくさん言いたいことがありますけれども、あなた、我々はという主語で書いているんですよ。私はそう思うじゃないんですよ。普通に考えたら、日本政府と取られますよ。

 大臣、この部下、私は罷免すべきだと思う。いや、潔く辞任すべきだと思いますよ。

 最後に、韓国の外務大臣の方は削除したのかどうか。

 鄭外相、日本の正しい歴史認識なしには過去の歴史問題が解決できない、はあっ、本音は解決したくないんとちゃうの、そろそろええかげんにしいや。

 一防衛副大臣が隣国の外務大臣にこういう書き込みをしたら、こっちは削除しないんですかということを最後に聞きたいし、なぜか日経新聞には抗議しないで、朝日と毎日にソフトの問題で抗議しているようですけれども、この人に、私、辞めさせろとまでは言わないですよ、厳重注意ぐらいしたらどうなんですか。こんな、政府の方針と違う、事実確認もできない書き込み、何の説明もできないまま、国会で取り上げると言ったら前日に削除。あり得ないじゃないですか。厳重注意してくださいよ。

岸国務大臣 副大臣のツイッターについては、これは元々、個人の、議員個人としての見解を示したもので……(本多委員「あり得ないですよ」と呼ぶ)いやいや、質問されているから。

若宮委員長 答弁中なので御静粛にお願いします。

岸国務大臣 というものでございます。

 また、政治家自らの判断により、これは削除したものと考えておるわけでございます。

 副大臣のツイッターと、その後の記者会見や国会での答弁等を踏まえますと、暴力行為は行うべきではないという趣旨で発信をしたということは明らかであると思いますし、私としては、引き続き、中山副大臣にはその職責を全うしていただきたいと考えております。

本多委員 韓国。

中山副大臣 御指摘の五月五日のツイッターは、あくまでも一政治家としての見解を申し述べたものであります。

 両国間の懸案事項、たくさんあると思います。二〇一八年十月の韓国主催の国際観艦式における海自の自衛艦旗をめぐる韓国側の対応、同年十二月の韓国海軍駆逐艦による自衛隊機への火器管制レーダー照射事案、韓国海軍による竹島を含む周辺海域における軍事訓練、日韓GSOMIAの終了通告、それからこれに対する対応、韓国防衛当局側によるこうした否定的な対応が継続しているということから、日韓、日米韓の連携が損なわれることのないように、引き続き韓国側の適切な対応を強く求めていくことが重要じゃないかな、そんなふうに考えております。

 いずれにしましても、韓国が責任を持って対応していただく必要性があるという趣旨で発信を申し上げたものです。

本多委員 副大臣を辞めてからやってくださいよ。

 この人を厳重注意すらしないということは、政府の公式見解だということがよく分かりました。

 以上です。終わります。

若宮委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 初めに、宮古島の下地敏彦前市長が収賄の容疑で逮捕された件について聞いていきます。

 防衛大臣は、防衛省側の対応に問題があったとは考えていないと述べていますが、そうであるなら、下地市長との面談記録を始め、この問題に関わる内部文書を全て出すべきであります。

 候補地選定に至る経過で、下地市長との間でどのようなやり取りがあったか、面談記録を提出するよう求めておりますが、その存在は確認できましたか。

鈴木政府参考人 まず、地元自治体との意見交換の逐一につきましては、その内容の詳細を含め、個別具体的に申し上げることは差し控えさせていただいているということをまず御理解いただきたいと思います。

 その上で申し上げますと、面談記録につきましては、委員の方から御要望ございました各面談について、現在、確認作業を進めております。開示、不開示部分の確認作業等に一定の期間を要しますが、確認作業の上、提出させていただきたいと思ってございます。

赤嶺委員 面談記録も出さないでいて、市長と防衛省の側がどんなやり取りがあったかも隠していて、防衛省には何の落ち度もなかったということ、これは言えませんからね。当然、行政文書ですから作っておくべきものですよね。公開の対象ですよ。だから、疑われているわけですよ、防衛省は。面談記録が出ていない以上。そういうような態度は、やはりちょっと指摘しておきたいと思います。

 二〇一五年一月から三月にかけての面談の中で、下地市長が千代田カントリークラブの取得を働きかけた際の発言をまとめた防衛省の内部文書があります。先ほど局長は分からないと言っておりましたが、二〇一五年に宮古テレビが報道し、最近も様々なところで取り上げられています。

 その中には、千代田カントリークラブに係る調整状況というタイトルのペーパーがあり、市長の発言内容が記載されています。この内部文書の提出も求めております。これはどうなったんですか。

土本政府参考人 お答え申し上げます。

 報道されましたお尋ねの資料、今委員御指摘の資料につきましては、少なくとも防衛省としてこれまで公表した資料であるとは承知しておらず、どういった経緯で入手されたものか等も明らかでないため、資料の真贋や位置づけ、内容等についてコメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。

赤嶺委員 防衛省が自ら進んで発表するわけないじゃないですか。マスコミがスクープしたわけですよ。文書も映像や画像で示されています。答えられないというのは通用しません。

 下地市長に関しては、地元では早くから様々な疑惑が取り沙汰されてきました。私もこの委員会で取り上げてまいりました。

 防衛省が自らの対応に問題はないというのであれば、それを検証できる資料をきちんと公開すべきだということを強く求めておきたいと思います。

 問われているのは、自衛隊基地の受入れが、住民合意に基づくどころか、私腹を肥やすためのものだったのではないかという点であります。

 元々、千代田地区周辺の自治会は配備に反対の決議を上げておりました。弾薬庫を整備している保良の住民も、粘り強く反対の声を上げています。住民の意思を切り捨てて配備を受け入れた判断が、根底から壊れる事態であります。

 このような状況の下で、何事もなかったかのように保良部落への弾薬の搬入を強行するなどということはあり得ないと思いますが、大臣、この点、どのように対応されますか。

岸国務大臣 まず、捜査に関することについては、防衛省からお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。その上で、捜査当局からの要請等があれば、防衛省として協力をしてまいります。

 一方、宮古島への陸自部隊配備は、南西地域の防衛体制を強化するために不可欠であります。また、所在部隊の誘導弾、弾薬を島内に保管することも、抑止力、対処力を維持する上で必要であります。このため、これらの誘導弾、弾薬を保良訓練場に整備した火薬庫に保管するとの方針に変更はございません。

 陸自の宮古島駐屯地の保良地区に整備いたしました火薬庫については、先週、沖縄防衛局から宮古島に対し、誘導弾、弾薬の搬入を開始していく旨の御説明をしたところでございます。

 他方で、弾薬の搬入に係る具体的な日時等については、弾薬輸送の安全の確保の観点から、お答えは差し控えさせていただくことについて御理解をいただきたい、このように考えておるところでございます。

赤嶺委員 現在の宮古の市長さんは、市民の安全のためにもそういう防衛省の計画は公表しろと強く要求しております。同時に、宮古島への自衛隊の駐屯地の誘致、これは結局、蓋を開けてみたら、前の市長の私腹を肥やすためであったと。その経過について、防衛省は、警察から求められるだけじゃなくて、私は、面会記録の中身については、もうずっと以前から公開せよと言ってきております。あのときに公開していたら、こんなことにはならなかったはずですよ。だから、公開すべきであります。

 それから、マスコミの報道の中身についても、その真贋が分からないと言いますけれども、それをきちんと、そんな言い訳や弁解は許されないですよ、報道されていますから。そこもきちんと公開しない限り、防衛省はこの事件に無関係でございますとどんなに説明しても、これは納得できないということを申し上げておきます。

 次に、泡消火剤の流出事故の問題を質問をいたします。

 二月二十六日に、航空自衛隊那覇基地から泡消火剤が流出する事故が起こりました。防衛省は今、全国の基地、駐屯地でPFOSの処理を進めております。今回の事故は、PFOSを含まない泡消火剤への交換作業中に、配管が破裂して流出したものでした。

 私は、この間の質疑で、事故原因の徹底究明と、再発防止策の全省への周知を求めてきました。先日、防衛省から、これまでに三通の通知文書を出したことについて報告があり、文書そのものも御提出いただきました。

 大臣、いつ、どのような内容の文書を発出したのかを明らかにしていただけますか。

岸国務大臣 この件に関しまして、改めて、近隣住民の皆さんに御不安を与えてしまったことに対して、誠に申し訳なく思っておるところでございます。

 防衛省としては、今回の事故を踏まえて、一つ目として、PFOSを含まない泡消火薬剤への交換に際しましては、作業前に配管等の老朽化の状況等を改めて点検すること、二つ目として、泡消火薬剤のタンクや配管経路を洗浄し、洗浄水についても関係法令に従い適切に廃棄をすること、そして三つ目として、PFOSに限らず、環境や健康への影響を及ぼすおそれがあるような物質が流出などした場合に備えて、適切な処理方法をあらかじめ確認するとともに、地域住民への周知体制を構築しておくということ、この三点について、防衛省の関係機関に周知徹底したところでございます。

 今後、これらの対策によって、再発の防止に万全を期してまいりたいと考えます。

赤嶺委員 基地内の水路の上流からPFOSが検出されたことについて、再度分析を行う方針も明らかにしておりました。この点、今どういう対応になっていますか。

杉山政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の水路上流は那覇基地内に流入する敷地境界付近でございまして、その場所で検体採取を行い、分析を行ったところ、PFOSが検出されたものです。

 この水路につきましては、基地外から基地内に流入しているものであるため、今回分析した結果と那覇市の分析結果も含めて、今後、那覇市とよく相談してまいりたいと考えております。

赤嶺委員 契約も結んでいますよね。それはいつまでに分析を終了させて発表するということになっていますか。

杉山政府参考人 お答えいたします。

 再分析におけます水質調査の速報値を当初は四月二十八日までに報告するという形になっておりましたが、受注者の方から、新型コロナウイルスに関する緊急事態宣言に対応した会社の業務体制を取るため、速報値の報告日を変更したいという申出を受けまして、報告期日を五月十四日に変更したところであります。

 速報値につきましては五月十四日に受領したところでございますが、そのデータにつきまして、その結果を責任を持って説明できるように、現在、考察を加えているところでございます。

 今後、事前に那覇市にその内容についてお知らせをした上で、速やかに公表したいと考えております。

赤嶺委員 泡が付着した民家の洗浄に向けた事前調査を行ったというのが報じられております。どういう場所を対象に実施しようというのですか。

杉山政府参考人 お答えいたします。

 那覇市の住民の方から、今回の事案により、泡が自宅に飛散したので自宅を洗浄してほしいという要請があったため、航空自衛隊那覇基地の隊員がその方のお宅を訪問し、泡が付着した場所やその状況について説明をいただいたところでございます。

 現在、その方と、どの場所を洗浄したらよいかなどについて調整を行っているところでございまして、引き続き誠実に対応していきたいと考えております。

赤嶺委員 PFOSに関連して外務省に伺いますが、米軍がPFOSを含まない泡消火剤への交換を行う際に、配管の洗浄、自衛隊の今度の漏出の原因になったものですね、配管の洗浄、これは米軍は行うことになっていますか。

有馬政府参考人 お答え申し上げます。

 米側からは、泡消火剤の交換作業を行う際、適切に配管の洗浄を行っているとの説明を受けております。

 政府としては、PFOS等をめぐる問題全般に取り組む中で、在日米軍施設・区域におけるPFOSを含む泡消火剤の交換等の問題についても、引き続きしっかりと日米間で対処してまいりたいと考えております。

赤嶺委員 自衛隊が今度取る措置と同じように、配管の点検も行っていると米側から回答があったわけですね。

有馬政府参考人 お答え申し上げます。

 米側からは、泡消火剤の交換作業を行う際には配管の洗浄を行っているというふうに説明を受けております。

赤嶺委員 普天間基地では、二〇一九年十二月と昨年四月に、PFOSを含む泡消火剤の漏出事故が発生をいたしました。米軍は、事故後の対策として、普天間基地のPFOS含有の泡消火剤を全て交換する方針を明らかにし、昨年九月にそのための契約を行いました。

 ところが、微量のPFOSを含む製品に取り替えようとしていることが分かりました。昨年十一月の本委員会で、米軍が調達しようとしている泡消火剤の製品名とPFOSの含有量を示すよう求めましたが、今も明らかにされておりません。

 外務大臣、外務大臣も最初からこれに関わっておられますが、その後、米軍が取り替える製品名、そしてPFOSの含有量、これは分かったんですか。

茂木国務大臣 普天間飛行場において発生しました泡消火剤の流出事故、これは地元の住民の方々に不安を与える重大な事案と認識をいたしておりまして、事故発生直後から米側に対して厳重に抗議をするとともに、事故対応に当たって、環境補足協定に基づく立入り等を行ってまいりました。

 本件事故を受けまして、米側は昨年の九月に報告書を公表し、この中で具体的な再発防止策を示し、取り組んでいるものと承知をいたしております。

 米側として徹底した事故調査を行ったと認識をしておりますが、これまでも米側に対して、報告書に示された再発防止策が徹底されるよう申入れをしてきておりまして、引き続き、地元の住民の方々の懸念を払拭すべく、米側に申入れを行ってまいります。

 PFOS等をめぐる問題全般に取り組む中で、在日米軍施設・区域におけるPFOS含有消火剤の交換等の課題についても、しっかりと日米間で対処していきたいと考えております。

赤嶺委員 米軍は、取り替える契約は去年の九月に行っているわけですよね。作業も今年九月末までに終えるということになっているわけですが、私が伺っているのは、その作業に使っている製品名、これが分からないわけですよ。これを説明していただきたいということなんですが、いかがですか。

有馬政府参考人 お答え申し上げます。

 在日米軍を含む米軍全体として、現在所持しているPFOSを含む泡消火剤から、定量可能なレベルのPFOSを含まない、より環境に優しい代替製品への交換を進めているものと承知しております。

 米軍が普天間飛行場で新たに導入しようとしている泡消火剤の製品名については、米側に累次確認してきておりますが、米側からは、現時点では具体的な製品が確定しているわけではないとの説明を受けております。

 更に申し上げれば、米国の国防授権法におきまして、原則として、二〇二四年十月以降はPFOSを含むPFASを含む泡消火剤を使用してはならないと規定されており、これに基づいて、現在、米国防省は、米軍の所要を満たし、かつPFASを含まない代替品を開発するための調査研究を進めておると承知しております。

 現在米側が行っている交換は、二〇二四年の非PFAS化に向けた取組を進める中で、現時点でできる限りの措置として進められているものと認識しております。

赤嶺委員 私、製品名を聞いているんですよ。いろいろ周辺を説明してもらっても、それで納得できるわけないんですよね。何で、累次問い合わせているけれども、そういう製品名もちゃんと情報として提供できないのか。

 経済産業省にも今日来ていただいていますが、そもそも二〇一〇年にPFOSの輸入や製造を原則禁止して以降、日本国内で微量のPFOSを含有する泡消火剤の使用というのは、これは認められているんでしょうか。

安居政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねのPFOSは、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律におきまして、二〇一〇年に第一種特定化学物質に指定されておりまして、製造及び輸入が禁止されているところでございます。加えて、PFOSを使った新たな製品の製造やPFOSを含有する製品の輸入も禁止されております。

 ただし、第一種特定化学物質に指定される前に製造及び輸入された第一種特定化学物質を含有する製品につきましては引き続き使用することも可能でございまして、PFOSを含有する泡消火剤も同様でございます。

 また、ほかの化学物質を製造、輸入する際に、第一種特定化学物質が副生物として微量含まれる場合がございますが、その場合には、いわゆるBAT報告として事前に厚労省、経産省、環境省に報告をいただいた上で、環境汚染を通じた人の健康を損なうおそれ等がなく、その含有割合が経済的、工業技術的に可能なレベルまで低減されていると認められた場合には、製造及び輸入が可能となっております。

赤嶺委員 微量に含む場合には、化審法に基づいてちゃんと報告があり、そして審査の上やっていると。

 米軍の場合は、今経産省から説明があったような報告、審査の手続はどうなっていますか。

有馬政府参考人 お答え申し上げます。

 米軍が普天間飛行場で新たに導入しようとしている泡消火剤の製品については、米側に累次確認しているところでございますが、米側からは、現時点では具体的な製品が確定しているわけではないとの説明を受けているところでございます。

赤嶺委員 何で、九月までに完了すると言っているんでしょう、米軍は。全部取り替える、だから安全だと言っているわけですよね。製品名が決まっていないということは、まだ取替え作業もやっていないということですか。

 やる場合には、化審法に基づいて、ちゃんと日本の政府に報告し、審査も受けるということでいいんですね、その理解で。

有馬政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しで恐縮でございますけれども、米軍が普天間飛行場で新たに導入しようとしている泡消火剤の製品については、米側より、現時点では具体的な製品が確定しているわけではないとの説明を受けております。

 これ以上につきまして、仮定の御質問についてはお答えは差し控えたいと思います。

赤嶺委員 いや、製品は決まっていない、それ以上については仮定の質問だからって。使う場合にはちゃんと報告し審査を受ける、化審法に基づいてと、そういうことをさっき経産省は答弁で言っているわけですよ。仮定の問題じゃないわけですよ。

 外務大臣、結局、私は、この問題は、米軍に化審法が適用されていないために全て米軍任せになっていて、累次問合せしているけれども何も教えてもらえない。やはり米軍に化審法を適用し、日本の基準で審査できるようにすべきではないかと思いますが、いかがですか。

茂木国務大臣 いずれにしても、地元の住民の方々に不安を与える、こういう状況があってはならないと考えておりまして、米側に対しても、適切な対応をこれからもしっかり求めてまいりたいと考えております。

赤嶺委員 いずれにしましてもと言って、化審法に基づく報告や審査がどうなるか分からないまま安心せよと言われても、これは安心できるものではありません。米国にもちゃんと日本の国内法が適用するということを強く求めておきたいと思います。

 終わります。

若宮委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時四十分散会


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