衆議院

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第2号 令和5年3月9日(木曜日)

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令和五年三月九日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 鬼木  誠君

   理事 大塚  拓君 理事 國場幸之助君

   理事 宮澤 博行君 理事 若宮 健嗣君

   理事 伊藤 俊輔君 理事 篠原  豪君

   理事 三木 圭恵君 理事 浜地 雅一君

      江渡 聡徳君    大岡 敏孝君

      木村 次郎君    小泉進次郎君

      鈴木 憲和君    武田 良太君

      渡海紀三朗君    中曽根康隆君

      長島 昭久君    細野 豪志君

      松島みどり君   山本ともひろ君

      新垣 邦男君    玄葉光一郎君

      重徳 和彦君    渡辺  周君

      浅川 義治君    美延 映夫君

      河西 宏一君  斎藤アレックス君

      赤嶺 政賢君

    …………………………………

   外務大臣         林  芳正君

   防衛大臣         浜田 靖一君

   防衛副大臣        井野 俊郎君

   防衛大臣政務官      小野田紀美君

   防衛大臣政務官      木村 次郎君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 岩本 桂一君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 池上 正喜君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    河邉 賢裕君

   政府参考人

   (財務省理財局次長)   彦谷 直克君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官)           上田 幸司君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 茂木  陽君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  増田 和夫君

   政府参考人

   (防衛省整備計画局長)  川嶋 貴樹君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  町田 一仁君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  深澤 雅貴君

   政府参考人

   (防衛省統合幕僚監部総括官)           大和 太郎君

   政府参考人

   (防衛装備庁長官)    土本 英樹君

   安全保障委員会専門員   奥  克彦君

    ―――――――――――――

三月八日

 防衛省設置法の一部を改正する法律案(内閣提出第一九号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 防衛省設置法の一部を改正する法律案(内閣提出第一九号)

 国の安全保障に関する件


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     ――――◇―――――

鬼木委員長 これより会議を開きます。

 国の安全保障に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房審議官岩本桂一君、外務省大臣官房参事官池上正喜君、外務省北米局長河邉賢裕君、財務省理財局次長彦谷直克君、防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官上田幸司君、防衛省大臣官房審議官茂木陽君、防衛省防衛政策局長増田和夫君、防衛省整備計画局長川嶋貴樹君、防衛省人事教育局長町田一仁君、防衛省地方協力局長深澤雅貴君、防衛省統合幕僚監部総括官大和太郎君、防衛装備庁長官土本英樹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鬼木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鬼木委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。細野豪志君。

細野委員 おはようございます。細野豪志でございます。

 今日は、質疑の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。

 時間が限られておりますので、早速入りたいと思います。今日は防衛大臣にお伺いいたします。

 所信を聞かせていただきました。その中で、ロシアのウクライナ侵攻について、国際秩序の根底を揺るがすものである、こういう御発言がありまして、そして、我が国に関して、欧州で起きていることは決して他人事ではありません、人ごとではありません、こういう御答弁がありました。

 まずお伺いしたいのは、大臣は、今回のウクライナに対するロシアの侵攻、侵略を御覧になって、東アジアにおける教訓はどういったものかということについて、最も重大なところはどこだとお感じになっているか、お伺いしたいというふうに思います。

浜田国務大臣 今般のロシアによるウクライナ侵攻については、その軍事的背景として、ウクライナはロシアによる侵略を抑止できる十分な能力を保有していなかったこと、また共同して侵攻に対処する意思と能力を持つ同盟国との協力の重要性、そして脅威は意思と能力の組合せで顕在化するところ、意思を外部から正確に把握することは困難が伴うことといった点に着目をしておるところであります。

 その上で、インド太平洋地域、とりわけ東アジアにおいてもこのような事態が発生しないよう、相手に攻撃を思いとどまらせるような抑止力として、今後不可欠となる反撃能力を含め、防衛力の抜本的強化が必要だと考えております。

 また、これにより、日米同盟の抑止力、対処力を更に強化し、武力攻撃そのものが発生する可能性を低下させていきたいと考えているところであります。

細野委員 大臣の御答弁、非常に的確にお答えをいただいたと思います。

 一つは、同盟国がなかったということであります。ウクライナはNATOには加盟をしておりません。したがって、様々な武器の供与などは、もちろん日本も含めて、日本は武器は供与しませんが、様々なサポートはするわけですけれども、共に戦ってくれる国はないということが一つ。

 そしてもう一つ、抑止力が十分でなかったという御発言がございました。ロシアからすれば、もちろん戦争になれば多くの犠牲を生むわけでありますけれども、自国に対して何か被害が来るということはないわけですから、そこも含めて抑止力が十分でなかったという御答弁だったというふうに理解をします。

 大臣にお伺いしたいのは、我が国は、今回、いわゆる反撃能力というのを持つということで、かなり大きな予算を来年度の予算でも計上しているわけですね。このいわゆる反撃能力、スタンドオフミサイル能力というものが東アジアにおいても抑止につながる、そういう考え方をお持ちかどうか、ここを確認をさせていただきたいというふうに思います。

浜田国務大臣 今回、三文書改定に当たっての考え方とすれば、反撃能力というのは抑止につながるということで、我々は今回、これを認めたというところでございます。

細野委員 明確に御答弁いただいてよかったと思います。

 国会での議論の中で、日本がミサイルを持つ場合に、どういう場合にこれを行使をするのかということについて例示をすべきだという議論があります。

 これまでの安全保障の議論としては、そういう議論があったなというふうに思うわけですけれども、実際に我が国が持つということになりますと、恐らく、恐らくというか、武力攻撃事態、すなわち、戦争が始まって、そしてその中でこのミサイルをどう使っていくのかという議論、若しくは、存立危機事態になって、この存立危機事態においてどういうふうにこれを米国と連携をしながら使っていくのかという極めてデリケートな問題になるわけですね。

 ここで、具体的にどういう場合にミサイルを使いますよと例示をするということは、取りも直さず相手に戦略を明らかにすることになると思いますので、そこはしっかりと政府の中で検討していただいて、同盟国とも連携をしていただく。もちろん様々な、こういうことが必要になるということについては説明が必要だということは思いますけれども、例示については慎重に考えていただいて、本当に戦略的にこれをどう使うか、抑止力のためにどういうふうに活用できるかということで議論を進めていただきたいというふうに思います。

 もう一点御質問をさせていただきたいことがございます。それは援護の問題でございます。

 去年の防衛三文書の改定、私も初めて議論に加わらせていただいて、非常にいい議論だったと思います。中身も濃かったと思います。ただ、例えば国家防衛戦略の文書や防衛力整備計画を見ておりますと、いわゆる退職後の自衛官の援護の問題というのは極めて薄い。

 皆さんも御存じのとおり、自衛官は、多くの隊員が五十代半ばで退官をいたします。その後の生活は自らやっていかなければならないわけですね。実は、募集も今自衛隊は苦労しておりまして、様々募集に関わっている方と話をしていますと、警察や消防はある程度人生をそこで、仕事としては全うできるわけですけれども、自衛官の場合には五十代半ばで次の人生を歩まなければならない、このことが募集にもやはりマイナスの影響を及ぼしているというふうに思います。

 そこで重要になっているのが若年定年退職者給付金でございまして、若年で定年をした場合について、一定の生活保障という形で月に二十万円ほどの給付金が出ております。これは様々な経緯の中で創設をされて、非常に役立っている制度なんですが、実は、再就職をする場合に給与の上限というのが設定をされる形になっておりまして、総額である一定を超えますと、つまり高い給料を民間でもらえるようになると、この給付金が減らされる制度になっているんです。

 私も、地元に自衛官が多いものですから、いろいろなお手伝いをすることがあるんですけれども、給料は大体月二十万円でいいですよ、それ以上もらうと給付金が減らされるので、生活レベルが同じですからということになるんですね。そうすると、何が起こっているかというと、自衛隊時代に有能な隊員で、様々な能力を生かして民間で頑張れる人が、そういう仕事に就いてもしようがないんですよね。より高い生活レベルを求めて充実した第二の人生を送る自衛官の、そのインセンティブを下げているというふうに思います。

 私の提案は、仮に、再就職後、いい仕事を見つけて給料をもらえるようになった、そういう自衛官についても若年定年退職者給付金は変えない、これだけは固定をしておく。税金がそこに大量に投じられることはありません、変わらないだけですから。これをやるだけで、自衛官の第二の人生、相当また開けてくるというふうに思いまして、是非、今回の防衛費の増額の中で、大臣には前向きに検討していただきたい、そう考えておりますが、いかがでしょうか。

浜田国務大臣 若年定年制の下にある自衛官の退職後の生活基盤の確保は、自衛官が将来への不安を解消し、在職中に安んじて職務に精励できるようにする観点から重要であると考えております。

 その上で、一般の公務員よりも若くして退職を余儀なくされる自衛官に対しては、再就職支援に加えて、若年定年制から生ずる不利益を補うための若年定年退職者給付金を支給することによって退職後の生活を支えているところであります。

 防衛省としては、退職自衛官の再就職支援の一層の充実を図ることは重要であると考えております。私の下に設置した防衛省・自衛隊の人的基盤の強化に関する有識者検討会において検討いただくとともに、防衛省・自衛隊としてもしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

 委員御指摘の点、我々も重く受け止めて、今後も努力をしてまいりたいというふうに考えております。

細野委員 米国の軍人には、一般公務員とは別の軍人年金がございます。医療も非常に充実しています。米軍があれだけ命を懸けて仕事をするのは、これだけの一生面倒を見るという仕組みが国家にあるからなんですね。もちろん、米軍と自衛隊は性格的に違うところがございます。ただ、自衛隊が担っている任務の重要性を考えると、もう少し充実した仕組みをつくるべきである。それをしっかりと今回の防衛政策の転換の中で実現すべきである。そのことを是非お願いをして、質問を終わりたいというふうに思います。

 ありがとうございました。

鬼木委員長 次に、河西宏一君。

河西委員 おはようございます。公明党の河西宏一でございます。

 本日は、時間もございませんので、早速ですが質問に入らせていただきます。

 本日は、反撃能力に関連してお伺いをいたします。

 大臣も所信でお述べになりましたように、変則軌道の極超音速ミサイルなど、北朝鮮は弾道ミサイルの急速な能力増強を図っているわけでございます。

 したがいまして、私も今、地域で御説明に回っておりますけれども、我が国の抑止力が相対的に低下をしているということで、昨年閣議決定された安保三文書の中でも反撃能力導入が明記をされたところでございます。

 これは念のための確認でありますけれども、反撃能力、必要最小限度の自衛の措置ということでございますので、安保戦略におきましても、憲法及び国際法の範囲内で、専守防衛の考え方を変更するものではない、また、武力行使の三要件を満たして初めて行使される、また、先制攻撃は許されないなどと明記をされたところでございました。この点は、与党のワーキングチームでも、浜地理事を始めといたしまして、公明党が主張し、また明記をしていただいた点でもございました。

 この考え方を踏まえた上で、実際に我が国あるいは密接な関係にある他国に武力攻撃が発生する、その三要件の下で反撃能力を含む武力行使に至るプロセスにおいて、国会の関与はどのように行われるのか、御見解をいただきたいというふうに思っております。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 反撃能力を含む武力の行使について、事態対処法上の手続の観点から申し上げますと、政府は、武力攻撃事態等に至ったときには、事態の経緯、事態の認定及び武力の行使が必要であると認められる理由、対処に関する全般的方針、対処措置に関する重要事項について、対処基本方針として閣議決定いたしまして、国会の承認を求めることとなっております。

 この際に、武力の行使の三要件の第一要件である武力攻撃の発生についても判断されるほか、個別の事態の状況に応じ、反撃能力を含めた一連の武力の行使が必要である理由をしっかりと記載することとしております。これにより、国会承認について御判断いただくのに必要な情報が提示されることになり、国会の関与を得て反撃能力が運用されるものと考えております。

河西委員 ありがとうございます。

 対処基本方針の段階から、原則国会承認が必要であるということでございます。

 ただ、国民の皆様からは、実際の有事で国会承認を得る余裕が本当にあるのかという御意見もいただくわけでありまして、当然の御指摘であります。

 そこで、今日確認をしたいのは、我が国の抑止力、これは、反撃能力とともに、ミサイル防空能力の向上、これとセットで整備をしていくことが重要ではないかという点でございます。

 国家安保戦略の反撃能力に関する書きぶりを確認をいたしますと、「飛来するミサイルを防ぎつつ、相手からの更なる武力攻撃を防ぐために、我が国から有効な反撃を相手に加える能力」というふうに明記をされているわけでございます。

 ここにつきましては、党内議論でも防衛省の方に確認をさせていただきましたが、まず、飛来するミサイルをBMD、弾道ミサイル防衛で撃ち落とす、その上で、更なる攻撃を相手方に思いとどまらせるために、スタンドオフ防衛能力等を活用した反撃能力を保有するというふうな考え方であると理解をしております。

 他方、総理も、先日の参議院予算委員会の方でも、反撃能力を、盾のための能力と表現をされました。

 そこで、大臣にお伺いをいたしたいと思いますが、今回の戦略文書の、飛来するミサイルを防ぎつつに込められた我が国の防衛の考え方、反撃能力の位置づけについて、先制攻撃は許されないと明記した点との関連も含めまして、御見解をいただきたいと思っております。

浜田国務大臣 反撃能力の行使に関して、現実問題として、相手側のミサイルの発射、特に、第一撃を事前に察知し、その攻撃を阻止することは難しくなってきていることは事実であります。

 また、政府としては、第一撃を撃たせないことが最も重要であると考えており、ミサイル防衛と反撃能力、この二つの能力により、日本にミサイルを撃ち込もうとしている相手に、目的を達成することは容易ではない、攻撃はやめた方がいいと思わせる、そのような抑止効果を得られるものと考えております。

 こうした観点も踏まえ、国家安全保障戦略においても、ミサイル防衛網により、飛来するミサイルを防ぎつつ、相手からの更なる攻撃を防ぐために、我が国から有効な反撃を相手に加える能力を保有すると記載したところであります。

 また、武力攻撃が発生していない段階で自ら先に攻撃する先制攻撃は許されず、それを行うことはないことは、これは言うまでもないことであります。

 先ほど申し上げた事態対処法に基づく手続なども含め、反撃能力を含む我が国の武力行使については慎重に判断するものと考えております。

河西委員 明快に御答弁をいただきまして、ありがとうございます。

 いずれにしましても、我が国の抑止力を高めていくためには、これまでクローズアップをされてきておりますスタンドオフ防衛能力とともに、弾道ミサイル防衛の能力、これを十分に高めていくことが非常に重要であるというふうに考えております。

 そこで、確認でございますが、今後、防衛力整備計画に基づきまして、この弾道ミサイル防衛、今まさに言われております極超音速ミサイルを始めとした新型のミサイルに対応するために、どれぐらいの予算をかけて、何をどのように強化をしていく方針なのか。ここが十分でなければ、今回保有を目指している反撃能力、その意義や抑止力も乏しくなるわけでございまして、国民の命と暮らしを守り抜くことは困難であるというふうに考えますが、大臣の御見解をいただきたいというふうに思っております。

浜田国務大臣 委員のお話にもありますが、近年、我が国周辺では、ミサイル関連技術とミサイル運用能力が飛躍的に向上し、質、量共にミサイル戦力が著しく増強され、我が国へのミサイル攻撃が現実の脅威となっております。

 こうした中、御指摘のとおり、ミサイル防衛能力を不断に強化していくことが極めて重要だというふうに考えます。

 このため、防衛力整備計画では、イージス艦やPAC3に加えて、警戒管制レーダーや地対空誘導弾の能力を向上させるなど、ミサイル迎撃能力の更なる向上に努めることとし、このために必要となる契約額は、五年間で約三兆円と見積もっております。

 統合防空ミサイル防衛能力の下で、このようなミサイル防衛と反撃能力を組み合わせて、ミサイル攻撃そのものを抑止してまいりたいというふうに考えております。

河西委員 ありがとうございます。

 それに関連をいたしまして、併せて確認でございますが、この反撃能力による抑止力を高めていくためには、相手方の軍事施設、これを常時監視をしていく能力が必要だというふうに考えております。また、どの施設に対して反撃すれば効果が高いのか、このターゲティングに関する平時からの分析、これは様々情報の、衛星の十分、不十分等ございますので、これを日米で連携協議しておくことが極めて重要であるというふうに考えますけれども、この点について、政府の見解をいただきたいと思っております。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 反撃能力につきましては、国家防衛戦略におきましても、弾道ミサイル等の対処と同様に、日米が協力して対処していくこととしており、また、御指摘の情報の収集や分析を含めて、日米共同でその能力をより効果的に発揮する協力態勢を構築するとしているところでございます。

 米側との協力の細部につきましては、今後日米間で議論していくものでございまして、また自衛隊の運用にも関わるものであるため、詳細にお答えすることは現時点でできませんが、我が国に対する武力攻撃を抑止できるように、しっかりと連携いたしまして、日米同盟の抑止力、対処力を一層向上させていきたいと考えております。

河西委員 ありがとうございます。

 是非着実なお取組をいただきたいというふうに思っております。

 最後、一点、端的にお伺いいたします。

 防衛関係費ですが、五年間で四十三兆円ということで、これは従前の一・六倍でございますけれども、歳出ベースで計算しますと二・五倍ということで、これは非常に大事な点だというふうに思っております。いわゆる新たな投資に挑む計画になっているということで、今回の特徴が表れている。

 防衛省から受注する民間サイドのお話を伺いますと、高く評価する一方で、これまで受注が少なかった数年間、ほかの仕事を受注をしてきて、これからシフトチェンジしていかなければいけない、本当にこれだけの仕事をやり切れるのかといった御不安もいただくわけであります。

 そこで、最後、大臣にお伺いしたいと思いますが、この防衛関係費の効果的、効率的な執行、これに対する不断のPDCA、どのように取り組まれるのか、御見解をいただきたいと思います。

浜田国務大臣 今般の防衛力整備計画では防衛予算の相当な増額を見込んでおり、各事業を的確に執行してこそ防衛力の抜本的強化が達成されると考えております。

 このような問題意識から、防衛省が一丸となって防衛力の抜本的強化を着実に推進していくため、本年一月、私の下に防衛力抜本的強化実現準備本部を立ち上げました。予算が成立した暁には、その進捗管理を徹底し、防衛省一丸となって、予算の効果的、効率的な執行に努めてまいりたいと考えております。

 今般の防衛力整備計画の検討に当たっては、防衛産業とも緊密に意思疎通を行い、各事業は十分に実現可能なものと考えておりますが、御指摘のような点も含め、課題があればしっかりと検討し、対応してまいりたいと考えております。

河西委員 終わります。ありがとうございました。

鬼木委員長 次に、玄葉光一郎君。

玄葉委員 おはようございます。玄葉です。

 まず、日韓、特に旧朝鮮半島出身労働者問題についてでありますけれども、その前に林外務大臣に、韓国に対する日本の基本的な姿勢、基本的な考え方というものを伺いたいというふうに思います。重要な隣国である、こういうふうに政府は度々おっしゃっているわけでありますけれども、何が具体的に重要だというふうに考えているのか、まずそのことをお聞かせください。

林国務大臣 日韓は、国際社会における様々な課題の対応に協力していくべき重要な隣国であります。特に、今の戦略環境を踏まえますと、日韓、日米韓で緊密に連携していくことの重要性、これは論をまたないと思っております。

 昨年十一月に日韓首脳会談におきまして、両首脳間で、北朝鮮問題、また、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて連携していくことを確認をし、また、旧朝鮮半島出身労働者問題に関しても、ニューヨークでの両首脳の指示を受けて外交当局間の協議が加速しているという状況から、この間の発表につながったわけでございます。

 国交正常化以来築いてきた友好協力関係の基盤に基づいて、しっかりとこの日韓関係を発展させていきたいと考えております。

玄葉委員 韓国の、いわば林外務大臣の中での位置づけというか、あるいは日本外交の中の位置づけというのは、やはり、時々の外務大臣、あるいは時々の総理で変わる面があると私は思っています。重要な隣国であることは多分どの政権でもほとんど変わらないのですけれども、人によっては、重要な隣国以上の存在だと考える政権もあれば、逆に、そうでないと本音ベースでは思っている政権もあるかもしれません。

 私は、韓国というのは、今もお話もありましたけれども、かなりの程度価値観を共有する、米国とも共に同盟国だというふうに思っていますし、東アジアの将来の秩序というのは日韓の協力なしではあり得ないとさえ私は思っているんです。

 もっと踏み込んで言えば、本来だったら日米豪韓ぐらいの、一種の戦略的な四角形を形成すべき、その一角になるべきくらいの国ではないか。

 要は、何が言いたいかというと、私は、重要な隣国以上の国という位置づけを私の中では実は持っているんですけれども、林外務大臣はどういう御認識ですか。

林国務大臣 玄葉委員と余り違ったことを申し上げているつもりはないわけでございますが、先ほど申し上げたように、今までも隣国として大変大事な国であったことは論をまたないわけですが、特に、安全保障環境が現在のような状況になってきている中で、日韓、日米韓の戦略的連携を強化するという意味では、従来以上にこの重要性は増してきている。先生がおっしゃったこととそんなに違わないと思っております。

玄葉委員 慰安婦問題などで度々ゴールポストが動いたり竹島の問題があったりして、根深い懸案というのは間違いなくあるし、感情的なものも両国には横たわっていると思いますけれども、私は、日本として、一般論として申し上げれば、若干包容力を持って向き合う隣国なのかなと。やはり、可能な限り組み込んでいくことが、私たちが望む東アジアの秩序をつくる上で、あるいは対中国を考えた上でも大事なんじゃないか。

 私は、自分の言葉ですけれども、時に戦略的寛容が必要じゃないかというふうに思っていて、今回よく原理原則を曲げずに合意したなと思いますけれども、基本的な姿勢として、そういう姿勢で私は韓国と向き合った方がいいと思います。

 ですから、冒頭申し上げた言葉で言えば、重要な隣国以上の存在だと思いますけれども、改めて問いたいと思います。

林国務大臣 まさに、先ほどの繰り返しになってしまうかもしれませんが、我々として、一九六五年の国交正常化以来築いてきた友好協力関係、これがあるわけですから、この基盤に基づいて日韓関係を健全な形で更に発展させていく、これが大事だと思っておりまして、そういう意味で、韓国側と引き続き緊密に協力をしていかなければならないと考えております。

玄葉委員 もう一言。重要な隣国以上だというふうにお考えですか。

林国務大臣 重要な隣国であると申し上げておりますので、それ以上というのがどういう意味になるのか、ちょっとなかなかまだ理解をしておらないような状況でございますが、先ほど申し上げましたように、安全保障面、北朝鮮への対応等を念頭に置くと、日韓、日米韓の戦略的な連携を強化していくということの重要性、これは論をまたないというふうに思っております。

玄葉委員 そこで、元徴用工の問題でありますけれども、尹大統領の考え方、日韓改善に向けた思いが色濃く反映された内容だというふうに思います。

 他方で、様々な御指摘があるように、原告団の中でも、韓国の中で、受け入れる家族、受け入れない家族いるようでございます。革新政党の反発もあるようでありまして、確かに、指摘があるように、またゴールポストが動くんじゃないか、蒸し返しの可能性があるんじゃないかということでございます。

 今のうちに、何とかゴールポストが動かないような縛りというか、可能な限りの仕組みをつくれないかというふうに思いますけれども、外務大臣はどのようにお考えですか。

林国務大臣 韓国政府が発表した措置を実施をする保証みたいなものがあるのか、こういう御質問だというふうに理解をしておりますが、韓国政府は今、原告の理解を得るべく最大限努力をする、こういうふうにしております。

 大事なことは、措置の実施とともに、日韓の政治、経済、文化等のいろいろな分野における交流、これが力強く拡大していく、これを期待をするところでございます。まさに、この措置の実施とともに、この交流が力強く拡大をしていく、これは大変大事なことだと思っております。

玄葉委員 具体的にどうするかですよね。尹大統領が来日される、そういう報道もございます。恐らくそうなんでしょう。

 それで、例えば、経産省は輸出規制の問題で動き出したという報道も聞きます。あるいは、米国からは、安全保障の面で、日米韓の核抑止協議体、拡大抑止の協議体のようなものをつくれないかという働きかけがあるとかないとかという話もございます。あるいは、我々のときというか、もう十年以上前からいろいろ動き出していたGSOMIAがいわば止まっているわけですから、これをどうするかという問題もあると思います。

 今のうちに、何をどこまでやるのか、包括的な合意にパッケージでしてしまうという考え方は当然あると思いますけれども、いかがお考えでしょう。

林国務大臣 まさに今回こういう韓国側の発表があったわけでございますので、先ほど申し上げましたように、政治、経済、文化等の分野においての交流の拡大、こういうふうに申し上げました。それぞれの分野でしっかりと交流を拡大させていく、そのことが、健全な形で日韓関係が発展していくということにつながっていくんだろうというふうに思っております。

玄葉委員 具体的に何か検討しているものがありますか。先ほど申し上げたようなGSOMIAの話であるとか、あるいは、日米韓で拡大抑止の協議体をつくるとかつくらないとかという報道もありますけれども、具体的に検討していることがあれば述べてください。

林国務大臣 委員御案内のように、GSOMIAは防衛省が中心になってやっていかれる、一般論としてそういうことであろう、こういうふうに思っておりますし、そのこと自体の重要性は私も認識をしておるところでございますが、今、特に何か具体性を持ってこういう準備をしているということを申し上げる段階ではないというふうに思っておりますのと、それからもう一つは、拡大抑止、その報道は承知をしておりますが、今の段階で何か申し上げることは持ち合わせておりません。

玄葉委員 防衛大臣、GSOMIA、もし何かあれば。

浜田国務大臣 御指摘の韓国政府の方針についてはまだ承知をしておりませんが、防衛省として、日韓GSOMIAは、日韓間の安全保障分野における協力と連携を強化し、地域の平和と安定に寄与するものと認識をしており、本件に関する韓国側の検討状況を注視をしているところであります。

 その上で、北朝鮮で弾道ミサイルの発射を繰り返すなど、現下の厳しい地域の安全保障環境を踏まえれば、本協定が引き続き安定的に運用されていくことがますます重要となってきております。

 防衛省としては、本協定の下、今後とも必要に応じて情報共有を行っていく考えでおります。

玄葉委員 広島サミットがありますけれども、こうなってくると、もう韓国を招待しない理由がない、そういう状況に入ったと思います。当然、韓国を広島サミットに招待して、日韓あるいは日米韓、それぞれ開いたらいいと思います、クアッドも開いたらいいと思います。当然そういう考え方で進んでいくというふうに理解してよろしいですか。

林国務大臣 サミットの招待国等につきましては、まだ決まっていることはないところでございます。

玄葉委員 何か韓国を招かない理由があるんでしょうか、教えてください。

林国務大臣 招かない理由や招く理由という以前に、まだ検討を続けておりまして、何かここで申し上げるような決まったことがないということでございます。

玄葉委員 私は、招かない理由はないと思いますので、その機会を活用して、先ほど申し上げたように、様々なマルチの会合を、あるいはバイの会合を展開されたらよろしいのではないかと思います。

 次に、ちょっと飛ばすんですが、インテリジェンス能力のことに入ります。

 政府のこの戦略三文書、安保三文書、熟読いたしましたけれども、やはり足らざるところが幾つもあると思うんです。

 その中の一つは、例えば、予算委員会でも申し上げましたけれども、海底ケーブルの防護の問題であるとか、原発防護の問題であるとか、様々あると思うんですが、今申し上げることもその一つではないかと思っています。

 インテリジェンス能力について、国家安全保障戦略では、情報収集能力の大幅強化、特に、人的情報収集、統合的な形での情報集約の体制整備というふうに書かれています。この問題、外交力とか安全保障において決定的に重要だと考えますけれども、具体策が何も書いていないということであります。

 一体、人的情報収集能力強化のために具体的に何をどうするおつもりなのか、統合的な形での情報集約の体制をつくるために具体的に何をどうするおつもりなのか。今、公開情報を共有できないくらい縦割りだと言われているわけでありますが、それらについての具体策を是非お聞かせください。

林国務大臣 今委員から御指摘のありました、昨年末に決定された国家安全保障戦略でございますが、情報機能の強化について、人的情報、公開情報等、多様な情報源に関する情報収集能力を大幅に強化するなどとされていること、これを踏まえまして、外務省としても、情報機能強化のための予算、人員の充実強化に鋭意努めてきております。

 具体的に、予算でございますが、令和五年度政府予算において、国際情報統括官組織については、前年度の約七億五千二百五十四万円から増額をいたしまして、約八億四千百八十五万円、これを計上しております。

 これに加えまして、御案内のように、外務省は、世界全体に実館ベースで百五十四の大使館と六十七の総領事館、十の政府代表部を設置して、幅広い情報源、人脈を有しておりまして、外務省の強みであるこれらの在外公館を通じて、日頃から情報収集、分析の強化に取り組んできております。

 さらに、インテリジェンスにおける、今お話のありました公開情報でございますが、この活用は極めて重要という認識の下で、令和四年度の補正予算また五年度の政府予算案において、AIを活用した公開情報収集、分析のための新たな予算、これを合計で約三億三千万円計上しております。

 国際情勢に関する情報収集、分析能力の重要性、今委員から御指摘があったように、ますます高まっていくと思われますので、外務省としても、引き続き様々な形で情報機能の一層の強化を図ってまいりたいと思っております。

玄葉委員 果たして今のような予算措置だけでインテリジェンス能力の大幅強化につながるのかというと、私は甚だ心もとないなというふうに思っています。かなり抜本的な改革が必要な面もあるのではないかというふうに思うんです。

 それで、もう一つ通告しておりますけれども、日本として、外務大臣、あるいは防衛大臣でもいいと思うんですけれども、本格的な対外情報機関というものを創設するという考え方に対してどのようにお答えするかということをお聞かせをいただきたいなというふうに思います。

林国務大臣 今お話のありました対外情報機関の設置について、様々な議論があるということを承知しております。

 重要なことは、国家安全保障戦略も踏まえながら、外交、安全保障政策を支える有益な情報を政府一体となって収集していくことだと考えております。

 我々、こうした考え方に基づいて、政府全体の情報機能の更なる強化に向けて、先ほども触れましたような、在外公館のネットワークが構築してきた人脈、国際情勢分析、こうしたことに関する知見を活用しながら、この対外情報の収集、分析にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

玄葉委員 様々な議論がある、そういうことで流されているわけでありますけれども、この考え方自体、林外務大臣としてどういうふうにお考えになられるかということです。

林国務大臣 国家安全保障戦略において、国際社会の動向について、外交、軍事、経済にまたがり幅広く正確かつ多角的に分析する能力を強化するため、多様な情報源に関する情報収集能力、これを大幅に強化するとされております。

 こうしたことも踏まえて、体制また能力の強化に向けて、政府全体で必要な検討を進めてまいりたいと思っております。

玄葉委員 私の拙い経験からいっても、かなり、危機管理における有益な情報というのは本当に大事だなというふうに思います。

 今行われているのは、恐らく、かなりの程度、属人的な情報収集で、すごく得意な人がある国に行って、その国で情報を的確に収集して外務大臣に送ってくるというケースは時々あると思います。でも、これはかなり属人的だ、チームでうまくそれができているという感じではないなというふうに思っているんですね。これを本当にどうしたらいいかということを、もちろん、国民の知る権利とか国会のコントロールとか、そういうこともバランスを取りながらですけれども、やはり真剣に考えなきゃいけないんじゃないか、もうそういう時期に入ってきているんじゃないかと思うんです。

 それで、今、外務省に籍だけ置いているというか、CTU―J、国際テロ情報収集ユニットというものが二〇一五年十二月から設置されているというふうに承知していますが、これは、トップは、警察庁、外務省に籍を置きながら、官邸直轄の組織で、百名弱、テロ情報に特化している、秘密工作はやらない、こういうことのようでありますけれども、この組織に対して外務大臣はどういう評価をされておられますか。

林国務大臣 この国際テロ情報収集ユニット、CTUでございますが、シリア邦人人質事件やパリ連続テロ事件、それぞれ平成二十六年と二十七年でございましたが、こうしたテロ情勢を踏まえて、我が国のテロ情報収集、集約体制の抜本的強化、これが必要であるという認識で平成二十七年十二月に設置されたところでございます。今委員がお話しになっていただいたとおりでございます。

 CTU、これは情報関係各省庁の要員で構成されておりまして、その発足後、今お話があったように、官邸を司令塔として、政府一体となって、官邸等の情報関心を踏まえた情報収集、これを精力的に行っていると承知しております。CTUが収集した情報、これが速やかに関係省庁等に共有されて、即座に官邸による意思決定に反映される、そして、関係省庁による分析、国際テロ対策、これに有効に活用されているというふうに思っております。

 引き続き、このCTUが精力的に活動することにより、官邸を司令塔として国際テロ情報の収集を行って、また、テロに対する国際連携、これも強化して、テロの未然防止や発生した場合の有効な対処、これにつなげていきたいと考えております。

玄葉委員 ちなみに、林外務大臣は、例えば、米国、あるいはイスラエルとか英国とか、いわゆる対外情報機関を持っていますけれども、日本はそういう対外情報機関というのを持っているというふうに認識されていますか。

林国務大臣 CTUでございますが、テロの未然防止及び仮に発生した場合の有効な対処のために設立したものでありまして、対外情報機関、これを新たに設置したものではないというふうに考えております。

玄葉委員 ですから、現状は、日本には対外情報機関はない、こういう認識だということですね。

林国務大臣 先ほど、外務省等でやっております活動は御説明したとおりでございますが、委員がおっしゃっている、大きな組織をつくって専門にやっているという意味で何か持っているかということであれば、そういうものはないということでございます。

玄葉委員 そうだと思うんです。ですから、私は、問題意識として、日本国も、かなり機微な話ではあるけれども、そういうものを真剣に考える時期に入ってきているんじゃないかということなんです。

 そのときに、いろいろな手法があり得ると思うんですけれども、一つの方法として、必ずしも私が勧めているわけではありませんけれども、今申し上げたCTU―Jという組織を対外情報機関に発展させるべきだという意見もあるのですけれども、そういう意見について林外務大臣はどうお考えになられますか。

林国務大臣 先ほど申し上げましたように、対外情報機関、これは政府全体で必要な検討を進めてまいりたいと申し上げました。今委員がおっしゃったことがその検討の対象にならないというふうに申し上げるつもりはないわけでございますが、様々な議論があるというふうに申し上げたとおりでございます。

玄葉委員 このことについて、私、必ずしも今の政権に強い問題意識があるように思えないというか。本当だったら、戦略三文書、この安保三文書を作るときに、政権に強い意思があれば、恐らくこの問題も具体的に書き込んだんじゃないかというふうに私は考えるんですね。

 これは政治の世界だと思います。官僚では書けません。政治がどういうリーダーシップを取るのか、判断するのかということだったのではないかというふうに思っていまして、これは、林外務大臣、是非、このことに対する関心を強く持っていただいて、御検討いただけないでしょうか。

林国務大臣 大分昔の話になりますが、党の方で、まだ町村先生がお元気な頃に、委員ももしかしたら御存じかもしれませんが、イギリス等に出張までしてそういうことに対する情報収集をやって、いろいろな検討をしたときに私も実は末席におりましたので、こういうことの必要性については十分承知をしておるわけでございますので、少し古くなった私の経験かもしれませんが、改めて、委員からの御指摘も踏まえて、しっかり取り組んでまいりたいと思っております。

玄葉委員 是非よろしくお願いします。

 それで、反撃能力ですけれども、反撃能力について、私個人の意見はともかく、党としての考え方は、結論だけ言えば、認め得る反撃能力もあれば認められない反撃能力もある、極めて私は現実的な最終結論だと思っているんですけれども、そういう考え方を私たちは持っているわけであります。そして、是非、政府からは、反撃能力の必要性あるいは合理性についてクリアカットな説明をいただきたいということであります。

 残念ながら、三文書のどこを読んでも反撃能力の必要性についてつまびらかな説明がございませんので、是非、今後、こういった委員会等を通じて分かりやすい言葉で御説明をいただけるとありがたい、また国民の理解も更に進むのではないかというふうに思っております。

 それで、度々、今日も出ておりましたけれども、一つは、私は、認め得る反撃能力、大いにあると思っているんですが、ただ、やはり第一撃を日本側が最初に撃つということに対しては極めて慎重な方です。いわば戦争をしかける側に回るリスク、これは度々、私、申し上げていますけれども、やはり大き過ぎるということなんですね。

 先ほどもお話ありましたけれども、いわゆる今の軍事技術でなかなか正確に捕捉するのは難しいんだ、だから、基本的には、第一撃を受けて、それで反撃すると。逆に言うと、その反撃能力を持つことで抑止して第一撃を防ぐ、こういうイメージで私は考えておられるのかなと思っているんですけれども。

 やはり、基本的に、第一撃というのは、よほどのことがない限り、絶対とは言いませんよ、絶対とは言いません。明らかに日本国を狙って、そして、その狙ったミサイルについて日本国がほぼ確実に撃ち落とせるということだったら、それは別に憲法上も国際法上も認められていますから、明らかだというときはあり得ると思うんですけれども、ただ、普通なかなかそういうことは私はないと思っているので、だから、やはり、そうでない第一撃というのは、基本的に、私たちがこれまで整備してきた、あるいはこれからも整備するであろうBMDで撃ち落とすんだ、もっと言うと、米国の打撃力に頼るんだ、そこの部分は、第一撃についてはと。

 原則はそういう考え方だと私は整理した方がいいんじゃないかと思うんですけれども、防衛大臣、いかがですか。

浜田国務大臣 御指摘の反撃能力の行使に関し、現実の問題として、おっしゃるように、相手方のミサイルの発射、特に、第一撃を事前に察知し、その攻撃を阻止することは難しくなってきていることは事実であります。

 こうした状況を踏まえ、国家安全保障戦略においても、ミサイル防衛網により、飛来するミサイルを防ぎつつ、相手からの更なる攻撃を防ぐために、我が国から有効な反撃を相手に加える能力を保有すると記載したところであります。

 その上で、具体的な運用については、実際に発生した状況に即して、武力行使の三要件に基づいて、弾道ミサイル等による攻撃を防ぐために、他に手段がなく、やむを得ない必要最小限度の自衛の措置としていかなる措置を取るかという観点から、個別具体的に判断することとなると考えております。

 いずれにせよ、第一撃を撃たせないことが最も重要であるところであります。ミサイル防衛網により、飛来するミサイルを防ぎつつ、我が国から有効な反撃を加える能力を保有する、この二つの能力によって、現状に比して、相手の戦略的、戦術的な計算を複雑化させ、日本にミサイルを撃ち込もうとしている相手に、目的を達成することは容易ではない、攻撃はやめた方がいいと思わせる、そのような抑止力効果を得られるものと考えております。

 また、武力攻撃が発生していない段階で自ら先に攻撃する先制攻撃は許されず、それを行うことはないということは言うまでもありません。

 我が国の武力行使については、事態対処法の手続にのっとって、対処基本方針を閣議決定し、国会の承認を求めるなど、国会の関与を得て運用されるものですが、こうした手続などを含め、反撃能力を含む我が国の武力行使について、慎重に判断するものと考えております。

玄葉委員 私は、第一撃、BMDで迎撃するというのがベースだと思っていますけれども。

 ちなみに、迎撃の成功率はどのくらいですか、日本のBMDは。

浜田国務大臣 今ちょっと手元に資料もございません。お答えすることをちょっと控えさせていただきます。

玄葉委員 もちろん、これからの技術の変化とかもありますけれども、いわゆるアメリカの実験で公表されているのでいうと、大体八割ぐらいはきちっと命中しているんですね。一〇〇%、百発百中なんてことはあり得ないですけれども。

 ですから、私は、第一撃は原則はこちらから撃たないよというのを首相は宣言してもいいんじゃないかと思いますけれども、どうですか、防衛大臣。

浜田国務大臣 無論、あらゆる状況を判断することになろうかと思いますが、極めてそこは慎重に対応したいというふうに思います。

玄葉委員 慎重にというのは、第一撃を撃つことを慎重に、こういうことですか。

浜田国務大臣 あらゆる状況を判断してということでありますので、我々とすれば、第一撃というものは、我々はあくまでも反撃能力でありますので、これは、相手の出方、そういった状況を踏まえて対応していくことになろうかと思います。

玄葉委員 時間なので終わります。どうもありがとうございました。

鬼木委員長 次に、渡辺周君。

渡辺(周)委員 立憲民主党の渡辺でございます。

 所信に対する質問をさせていただきます。

 所信の中で防衛大臣が、ロシアのウクライナ侵略について、「国際秩序の根幹を揺るがすものであり、国連安保理の常任理事国が核兵器による威嚇とも取れる言動を繰り返す前代未聞の事態となっています。また、インド太平洋地域におけるロシアの軍事動向等は、中国との連携と相まって、安全保障上の強い懸念であります。」と強く言い切っております。林外務大臣も、「G7を始めとする国際社会と緊密に連携しながら、対ロ制裁とウクライナ支援を強力に推し進めていきます。」というふうに、ロシアに対する強い姿勢を示されました。

 そして、当然、ロシアのみならず、我が国を取り巻く安全保障の急激な環境の変化で、年末に防衛三文書が出されて、今後、大変大きな額の防衛予算を含む国家安全保障戦略が進められるということの中で、昨年の三文書と同時期に、いわゆる防衛財源の議論がございました。防衛財源の議論の中で、復興所得税と、そしてたばこ税、法人税。時期は、二〇二四年以降の適切な時期だということで、時期は明記しないけれども税目は決まりました。

 その中で、たばこ税を引き上げるということについて、今回、ちょっと、日本たばこ産業、以下JTと申し上げますが、ロシアでの事業について是非問いたいと思います。

 まず、今日は財務省にも来ていただいていますので、事実確認として。

 JTは、二〇一八年にロシアのたばこメーカーを千九百億円で買収し、現在、ロシア国内の四工場で従業員四千人でたばこを製造している。ロシアの市場というのは大変大きな市場でして、JTは、紙巻きと加熱式合わせて三七%のシェアを占めて、ほかの外国のたばこメーカーに比べ首位の座。ちなみに、販売数量は百八十四億本。日本は百四十五億本であります。

 この認識に立って、現在もロシアで事業継続をしているということでよろしいのでしょうか。

彦谷政府参考人 お答え申し上げます。

 JTからは、現在、ロシア市場における新規の投資やマーケティング活動を停止した上で、国内外における制裁措置、規制等を遵守し、ロシアにおける事業運営を継続しているところと聞いております。

渡辺(周)委員 今お話ありましたね、国内外における制裁措置、規制等を遵守しと。よく分からないんですけれども、いずれにしても、ロシアでウクライナ侵攻後もビジネスを展開しているということでございます。

 なぜ財務省かというと、これはもう皆さんも御存じのとおり、JTの筆頭株主は財務省でありまして、三三・三五%の株式を持っている。

 そこで、財務省に代わってお答えをいただいていくわけですけれども、今、この現地法人、ロシアにおけるJTの現地法人の利益、収益はロシアの国庫に幾ら入っているか、それは分かりますでしょうか。

彦谷政府参考人 お答え申し上げます。

 JTから聞いておりますところによりますと、同社の現地法人は、たばこに係るたばこ税及び付加価値税や法人税等を負担しております。その多くは担税者である消費者から徴収しているたばこ税及び付加価値税でございまして、その金額は二〇二〇年度において同国の国庫歳入の約一・四%に相当する額というふうに聞いております。

渡辺(周)委員 今、金額はおっしゃられないけれども、国庫に入っているのが歳入の一・四%に当たるというふうにお答えがありました。

 これは実は、ロシア市場における納税額という、額は出ていないんですが、JTのインターナショナル・ロシアという現地法人が、二〇二〇年度において、たばこ税等で、恐らく法人事業税とか、あるいは、ワーカー、従業員のひょっとしたら所得税も、給料から納めている税金もあるんでしょうけれども、これを合わせて一・四%だというふうに書いているんですね、現地法人のホームページで。

 これは、当時のロシアの歳入から、一・四%、これはルーブルだったりドル換算だったりしますから、当時の円レート、今、便利なんですよね、ネットで二〇二〇年の円とルーブルのレートだとか当時の為替が出てくるので、平均して約三千億円。約三千億円が、これは私の計算ですけれども、現在は円安になっていますし、現在の為替でいくと三千四百億円ぐらい。

 今も事業を継続しているということで、実は、たばこ税、値上げしているんですよね。ちょっと詳細な数字は分かりませんけれども、実はたばこ税を上げているんですね、ロシアは。当然、戦費調達もあるのかもしれません。所得税も上がっているかもしれない。

 となってくると、今も事業をやっているということは、JTインターナショナル・ロシアが製造し販売しているたばこは、ロシアの国庫に三千億円ぐらい、あるいは現在だと三千四、五百億円の税金が入っているということで、これはもう大変な問題だと思います。

 これは、民間企業が純粋な民間企業ではなくて、JTの筆頭株主は財務省でありますから、財務大臣ですから、日本政府ですから。日本政府が、たばこ税の増税を決めて、二四年以降の適切な時期に防衛増税の財源とすると。そのたばこを作って売っているのが侵略国。我々が脅威と、先ほどお二人の大臣が所信の中でおっしゃられた、非常に、現状を力によって変更しようとする、このまさに脅威国、侵略国に対して、日本政府が筆頭株主である企業が莫大な税金を納めている、これは最大の矛盾じゃないかと思うんです。

 大体、税制大綱の中で出てきた、たばこ税の増税で一本当たり三円、大体二千億円となれば、二千億円を防衛費に充てても、三千億円ロシアの国庫に入っているじゃないか、三千五百億円入っているじゃないかと。

 これは、財務省に聞くのは大変申し訳ないんですけれども、最大の矛盾じゃないかと。結果、ロシアの軍事費用に充てられていると言っても過言ではないと思いますけれども、どういう認識でいますか、その点について。

彦谷政府参考人 お答え申し上げます。

 JTにお伺いしているところ、先ほど申し上げたとおり、新規の投資等を停止しているところでございますけれども、現在、JTにおいては、ロシア市場におけるたばこ事業の運営の在り方について、グループ経営からの分離を含めた選択肢の検討を行っている、そういう状況というふうに聞いております。

 JTグループの事業展開につきましては、国際的な活動を行う上場企業として、現在のロシア・ウクライナ情勢や国際社会の動きなどを踏まえ、JTの自主的な経営判断により適切に対応していただくべきものというふうに考えているところでございます。

渡辺(周)委員 ロシアにおけるたばこ事業については、新規の投資やマーケティング活動を停止した上でというふうに、新規の投資はしていない、新たな市場開拓等のマーケティング活動はしていないけれども、先ほどお答えがありましたように、現在もやっているわけです。だから、当然現在も税収として、納めているわけですね。

 ロシア市場というのは非常に魅力的で、このJTさんの売上収益の大体全部で一一%、調整後の純利益、営業利益でも二二%を占めるという大変な、ウクライナ侵攻後に幾つかのほかのたばこメーカーが撤退していますから、非常にJTのシェアというのはどんどん広がっている、ある意味、ドル箱でございます。そこから撤退するというのは、当然、最大株主である財務省にとっても非常に痛いのかなと。当然のことながら、財務省から歴代の事務次官が要職に就いていらっしゃって、会長に就かれたり、今はJTの副会長が財務省から行かれているということで、純粋な民間企業ではなくて、相当なこれは、長く時間をここに割けませんけれども、当然のことながら、非常に日本政府が影響を持つ企業であることは間違いないわけなんですね。

 繰り返しになりますけれども、日本政府が筆頭株主である企業がロシアでビジネスをやって、ロシアに三千億円、防衛財源にする以上の額を実は納めている。これは何に使われているかはもちろん分かりませんけれども、少なくとも、こんなことがありながら、国民には大衆課税であるたばこ税は増税します、だけれども、ロシアで事業をやって、ロシアのもしかしたら兵器に回っているであろう三千億を超える税額を納めていますと。何だそれはという最大の矛盾ですよね。

 この点について、やはりG7の主催国である我が国として、これはちょっと、実はJTさんも、株主総会で、昨年の四月には、侵攻が始まった直後に、報道ベースだと、株の売却だとか撤退だとかを検討しているというけれども、その後、実はまだ、先ほどお答えがあったように、一年たったけれども変わっていないんですね。事業は続けているわけです。

 その点について、やはりこれは最大の矛盾だと思いますが、ここで、G7の主催国として、せめて、筆頭株主であるJTのロシアでの事業について、やはり何らか考えていかなきゃいけないと思うんですが、外務大臣、いかがお考えですか。

林国務大臣 御指摘のありました日本たばこ産業株式会社ですが、財務省からも答弁がありましたように、現下の情勢を踏まえて、全ての新規の投資及びマーケティング活動等、これを停止しておりまして、ロシア事業の今後の在り方について様々な検討を行っており、国内外のあらゆる制裁措置と規制等を遵守した上で事業を継続していると承知をしております。

 同社における今後のロシア事業については、国際的な活動を行う企業として、現下のウクライナ情勢や同社を取り巻く状況を踏まえて、同社において適切な判断、対応をしていくものと認識をしております。

 その上で申し上げますと、我が国は、一刻も早くロシアが侵略をやめるように、G7を始めとする国際社会と緊密に連携して、厳しい対ロ制裁を迅速に実施してきております。現下の情勢を踏まえれば、ロシアとの関係で新たな経済分野の協力を進めていく状況にはないわけでございますが、既存の民間事業については、それぞれの企業において事業ごとに検討がなされていくと考えております。

 政府としては、引き続き、G7を含む各国と連携しながら、関連企業等とも意思疎通を図りつつ、適切に対応してまいりたいと考えております。

渡辺(周)委員 例えば、最近の報道ですと、ヤンマーがロシア事業から撤退するとか、いろいろありました。その経営判断は経営判断として、今まで事業をやってきたものを、あるいはこれから撤退するというのは、民間の経営判断は尊重しなきゃいけないと思いますけれども、繰り返しになりますが、三割以上の筆頭株主が日本政府ですから、日本政府が持っている企業がロシアに税金を納めている、片っ方で、日本国民から、そのロシアの脅威に対して防衛を増強するために増税するんだ、これは説得力がないですよ、全く。

 だから、そこは是非、外務大臣、政府の中で問題意識を共有していただいて、そこについてはせめて、撤退しろと言えるのかどうか、あるいは、停止しろと、何らかの形でやはり私はめり張りをつけるべきだと思うんです。恐らくJTさんも、株主総会ではいろいろ言っているけれども、判断に迷っているんじゃないか。やはり何らかのことは考えなければいけない時期に来ていると思います。

 最後に、浜田大臣、所管ではないのは分かっていますが、このやり取りを聞いていて、どんな感想をお持ちか、ちょっとお答えいただければ。

浜田国務大臣 私がお答えする立場にはないというふうに思うわけでありますが、いずれにしても、政府としての対応、これからいろいろと議論があるものと考えます。

渡辺(周)委員 この点については、また財源確保等の話の中で是非しっかり訴えたいと思います。

 ちょっと時間がありませんので、幾つかはしょって質問します。

 通告よりもちょっとはしょりますけれども、所信の中でも、あるいは国家防衛戦略の中にも出てきますが、同志国という言葉が出てきます。同盟国は分かるんですけれども、今まで同志国という言葉は余り一般的に聞いたことがなかった。国家防衛戦略の中で、十五ページ、同志国との連携というのが出てきますし、そしてまた、整備計画の中にも同志国という言葉が出てくるんですが、防衛力整備計画の防衛装備移転の項に、防衛装備移転の推進については、「同盟国・同志国との実効的な連携を構築し、力による一方的な現状変更や我が国への侵攻を抑止」云々とあるんですね。

 先ほど申し上げました国家防衛戦略には東南アジア諸国や中央アジアの諸国を例示していますが、この同志国の定義、線引き、例えば、アメリカは同盟国である、あるいはNATOの国々であるとか、あるいは、これからオーストラリアとの協定を結ぶことの法案が出てきますけれども、こうした国々が準同盟国といってもいいですが、同志国というのは一体どういう線引き、どういうカテゴリーになるのか、その辺をちょっと教えていただけますでしょうか。

浜田国務大臣 同志国という用語については、一般には、ある外交課題において目的を共にする国を指す言葉として用いられていると承知をしております。

 いずれの国が同志国に当たるかについては、それぞれの外交課題において、我が国と目的を共にするかという観点から個別に判断されるものであります。

 いずれにせよ、国家防衛戦略にも記載しているとおり、我が国の防衛体制の強化や日米同盟の抑止力、対処力の更なる強化に加え、同志国等との連携の強化を進めてまいりたいと考えております。

渡辺(周)委員 外務大臣にも伺いますけれども、外務大臣も所信の中で、日米同盟の強化、同志国との連携ということで、詳しくは触れていないけれども、さらに、一か国でも多くの国々との連携を強化すべく、自由で開かれたインド太平洋というビジョンの実現に資する取組を推進していきますというふうにあります。

 同志国というのを、例えば、先ほど申し上げたような、防衛力整備計画の中に出てくる、一方的な現状変更を試みている、あるいはもう既に行っている国に対して国連機関で決議をしたと。例えば、二〇二〇年六月、国連人権理事会で香港国家安全維持法に対して賛否を問うたところ、反対は二十七、賛成が五十三ということがございました。あとは、昨年、二〇二二年の四月には、国連総会にて、国連人権理事会のロシアの資格停止。総会で投票したところ、賛成が九十三。ロシアの資格停止に賛成九十三、反対した国は二十四、棄権が五十八。十月七日には、国連人権理事会で新疆ウイグル問題の人権状況の討論を行うという動議を出したところ、賛成したのは十七、反対が十九、棄権十一で、結果的に否決されたということでございまして。

 例えば、我が国が国連で賛否を問うような、こうした議決の中で一致できなかった結果、棄権というのはなかなか、そのときの、例えば国連人権調査会がどこまで調査をしたかということについて、まだその報告を待ってとかいうエクスキューズもあると思うんですが、少なくとも、どこか価値観を一緒にできる国でなければ、なかなか同志国と呼べないんじゃないかと思うんですけれども、その点について、外務大臣、いかがですか。

林国務大臣 同志国という用語、これを一般的にどう使っているかということでございますが、先ほど防衛大臣からもお話がありましたように、ある外交課題において目的を共にする国を指す言葉、そういうふうに用いられているわけでございます。

 今委員から国連人権理事会ですとか国連総会のお話がございました。まさに、それぞれのイシューについて、必ずしも同志国が、いつも同じ人たちが同志国で、必ず同じ行動を取るというわけでもないわけでございますが、我々としては、国連を含む国際場裏において、なるべくそういう、我々と同じ考えを持つ国、同じ投票行動を取る国を増やしていくように努力をする、これが大事なことではないかというふうに思っております。

渡辺(周)委員 特に、防衛大臣、同じ質問ですけれども、防衛装備移転の推進については、「同盟国・同志国との実質的、実効的な連携」と。防衛装備を移転する、これは、ある意味では運命共同体的なことを他国に委ねる、渡す部分もあるわけですから、やはり相当慎重に国選びをしなきゃいけない。

 とにかく、アジアだとか中央アジアであるとか、あるいはアフリカも書かれておりますけれども、例えば中国に対して非常に多額の債務を持っている国々があります。対外債務で、一番中国に対外債務を抱えている国はジブチなんですね。ここに自衛隊の施設がある。この問題についてはまた別の機会にやりますけれども、そこに我が国は例えば基地を抱えている。何年か前に、中国の写真を撮っていたら拘束されたという報道がありましたけれども、このことは今日はやりませんが、いわゆる国連の公の場で賛否を問うときに一緒の結論を出せなかった。だって、同志というのは志と書いてありますから、同じ志を持つ国でないといけない。少なくとも、近い価値観を持っていなきゃいけない。

 あわせて、そうした中国の影響力を非常に受けている国々、我々が戦略的に大事だと思う国は、当然、中国も同じように要所要所に駒を打ってくる。札束を積んで、インフラを造って多額の借金を負わせて、返せなくなったら、そこを借地させろといって半永久的に使うようにする。やはり、一帯一路という名前で駒を打ってきた中で、日本が後発で様々ないわゆる能力構築の支援なんかをして、果たして本当にどこまで、まあ、食い込めるという言い方がどうかは分かりませんけれども、効果的なのだろうかと。

 その点については、やはり私は戦略的に線引きするべきだと思います。特に能力構築については、あるいは防衛装備の移転については。いかがですか。その点について、大臣のお考えを聞かせていただければ。

浜田国務大臣 委員の御指摘の点、我々とすれば、かなり慎重に対処していかなければならないというふうに思っております。

 しかしながら、我々、あらゆる国に対して全てこれを、いろいろな、移転とかそういうことを考えているわけではなく、あくまでも、慎重な情報収集をし、そしてまたそれがどこまで効果的なものになるのかということを判断しながらやっていかなければなりませんし、まだ、装備移転に関してはこれから議論が行われるところでもありますので、そういった点も含めて、我々も慎重に対処していきたいというふうに考えております。

渡辺(周)委員 是非、これは外務省も、ODAも非ODAもそうですけれども、いや、中国からもいろいろいただいております、日本からもいただきます、何かあったときには棄権しますみたいな、どちらにもつきません、若しくは、中国には逆らいませんということで、果たして本当に戦略的に日本が、外交的にせっかくよかれと思ってやったことが結果として中国と両てんびんにかけられて無駄になることがないように、これはODAにおいても、今回、この防衛予算の中で、非ODA的な様々な諸外国との協力関係についても、そこは是非一定のめり張りをつけて検討して選択をしていただきたいと思います。

 ちょっと時間がなくなってきました。

 トマホークミサイルについて伺いたいんです。

 湾岸戦争のときに、これは国会図書館で調べてもらったら、湾岸戦争でトマホークミサイルが使われたのは二百八十八発。そうすると、四百発というのはとんでもない数だな、我が国としては過剰な購入ではないかと思うんですが、多分、四百発とした根拠は何かと聞いても、はっきり答えられないので答えないでしょうし、いつから運び込むかと言っても、手のうちを見せるからお答えしないというふうに言われるのかもしれませんが、問題は、この四百発をどこに保管するんですかと。つまり、これから水上艦と潜水艦を改装して載せるとしても、四百発もあるトマホークミサイル、湾岸戦争でも使い切れなかったものをどうするのかという点についてはどうお考えでしょうか。

 あわせて、もう一つ。防衛力整備計画に出てきます、輸送機に搭載するスタンドオフミサイル。新たに取得する輸送機はスタンドオフミサイルを搭載するとありますけれども、これは、アメリカの海軍特殊部隊が使っている、ガンシップと呼ばれる、いわゆる戦闘機としても輸送機を位置づけるのかどうなのか。

 その辺についての二つの点について確認をさせていただきたいと思います。

川嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 ミサイルにつきましては、当然、艦艇に積むべきものは艦艇に積みますけれども、それが全てではなくて、当然のことながら、艦艇に搭載しないミサイルは火薬庫に保管する、こういうことになろうかと思います。

 また、航空機からミサイルをという話でございますけれども、これは我々も、様々な手段でミサイルを使用することができるような能力を身につけておく必要があるということで、例えば、戦闘機といったようなミサイルを抱いておって当然の航空機ではないようなもの、例えば輸送機などにミサイルを積みまして、そこからミサイルを発射することはできないものかどうかという研究について、今後進めていきたいというふうに考えてございます。

渡辺(周)委員 それは、念頭には、アメリカ空軍の特殊部隊のみがC130という武装を施した戦術輸送機を持っているんですね。これは攻撃機や戦闘機の弱点を補完するもので、輸送機ですから、弾薬を大量に積んで、連続射撃ができる重火器を持つ、そういうものも含めて検討をしているということですか。

川嶋政府参考人 済みません、私が申し上げたのは、重火器というわけじゃなくて、ミサイルの発射母体として例えば輸送機といったようなものを使うことができるんじゃないかということで、その研究を進めていこうという機運があるということでございます。

渡辺(周)委員 それじゃ、時間がなくなりましたので、あと二問まとめて質問します。

 今のスタンドオフミサイルに加えて、今回の防衛戦略の中でやはりいわゆる無人アセットが出てきますが、ドローンが戦争を変えたというふうにこのウクライナで言われています。

 もう端的に一問だけ伺いますが、これは識者の方との勉強会で出た話で、総務省がドローンに割り当てた周波数帯というのは二・四八から二・四九ギガヘルツで、実は、ドローンに割り当てられているこの狭い周波数帯は、GPSやスマホやWiFiなどと混雑した状況で、混信と呼ばれる状態が起きやすいんだ、そのように識者は指摘するんですね。この無人アセットに力を入れていく整備計画と総務省の電波割当てとの調整というのはどうなっていくのかということが一点。

 もう一点聞きたいのは、自衛隊の生活環境向上がこの中にありますけれども、先般、朝霞駐屯地に、立憲民主党の自衛隊員応援議連で、重徳先生始め皆さんと行ってきました。そうした中で、この住環境の整備、それから、かつて、割当て以上のパンや納豆を食べたからといって、那覇だとか入間で処分対象になったんですね。こんなの、かわいそうだから。腹が減っては戦はできない。なのに、パンを一個のところ二個取ったとか、こういう事例も報道されました。停職十日間とか。

 つまり、当たり前ですけれども、こういう、衣食住、特に食と住の環境がどう変わっていくのか、最後にここは大臣に答えていただいて、その前のスペックについては事務方からお答えいただければ結構です。

上田政府参考人 ドローンの関係についてお答え申し上げます。

 まず、委員御指摘の周波数がございましたけれども、自衛隊が使用する無人機の周波数は、御指摘の周波数帯には限られておりません。総務省との間で、他の無線局との混信が生じないように調整をいたしまして、使用しているところでございます。

浜田国務大臣 委員御指摘のとおり、自衛隊員の生活、勤務環境の改善は重要であり、これに必要な施設整備等を進めてまいりたいと考えております。

 例えば、空調については、寒冷地も含め全国に冷房を設置できるよう、令和四年三月に隊舎の整備基準を見直し、逐次整備を進めているところであります。令和五年度予算案においては約四百二十九億円を計上しており、早急に対応が必要な空調設備について、当該年度に集中的に整備を行うつもりでおります。

 女性自衛官については、令和十二年度までに全自衛官数の一二%以上とすることを目標としており、これに対するトイレや浴場等の整備も、女性自衛官の採用、養成、配置に合わせて進めております。令和五年度予算案において約五十七億円を計上しているところであります。

 隊舎等の自衛隊施設の耐震化対策については、令和九年度までに、全国の自衛隊施設のうち、おおむね八割の施設で措置される予定であります。

 また、施設整備のほかには、艦艇やレーダーサイト等で厳しい任務に従事する隊員を含め、自衛官の給与面の処遇の向上を図るべく、自衛官の超過勤務の実態調査などを行い、適正に処遇してまいります。

 いずれにしましても、今般私の下に設置した防衛省・自衛隊の人的基盤の強化に関する有識者検討会の提言もいただきながら、自衛隊員の人的基盤について強化をしてまいりたいと考えております。

 そして、御指摘のありました、今回の自衛隊員の支給される食事の件についてでありますけれども、おっしゃるとおり、食の方は大変重要な要素であると考えております。

 自衛隊の食事は、一日に摂取するべきカロリーや栄養素を定めた栄養摂取基準に基づいて提供しており、地元産品の活用や隊員の要望が取り入れられたメニューを提供するなど、様々な工夫を凝らしております。その結果として、アンケートを実施したところ、多くの隊員が満足している旨回答しております。

 また、予算面においても、令和三年度末に栄養摂取基準の見直しを行うとともに、令和五年度予算案では、前年度から約十四億円増の約三百八十七億円を計上しております。

 こうした中で、規定された以上の食事を取り処分をされた隊員がいることは委員の御指摘のとおりであり、再発防止のために教育を徹底するなど、再発防止に努めているところであります。

 いずれにせよ、自衛隊員の食事は、必要な予算を確保した上で、隊員の嗜好も踏まえ、工夫をして提供しているところであり、引き続き隊員の食事の充実に努めてまいりたいと考えております。

渡辺(周)委員 私、最後に言ったのは、けしからぬと言っているんじゃなくて、もっとたくさん食べさせてあげてと。アメリカの空母の中の乗組員の食事なんかを見ても、すごい。もう食べ放題、取り放題みたいな。やはり、その点については、再発防止というよりも、こんなことがニュースにならないようにしていただきたい。

 最後に、国家防衛戦略の中に出てくるのが、「生活・勤務環境の改善」と、たったこれだけしか書いていないんですよ、防衛力の中核である自衛隊員の能力の基盤の強化で。ですから、その点については、今後またいろいろ考えを指摘させていただきたいと思いますが、是非、ブラック企業などと呼ばれないような、そういう組織にしていただきたい。そのためにも自衛隊を議連として応援していますので、よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

鬼木委員長 次に、新垣邦男君。

新垣委員 立憲民主党・無所属会派、社民党の新垣邦男です。よろしくお願いします。

 南西諸島の自衛隊増強や反撃能力の保有など、専守防衛の概念を骨抜きにした安全保障関連三文書と、五年間で総額四十三兆円という歳出規模ありきの防衛費増額、そのための軍拡増税に、私は反対をいたします。

 今、沖縄県民は大変な思いをしております。先島諸島を始め本島においても、自衛隊基地が増強され、ミサイルの配備や弾薬庫の設置が着々と進められているからであります。七十八年前の沖縄戦の地獄がまたやってくるのではないか、あるいは、沖縄が再び捨て石にされるのではないかという恐怖が日々の生活の中で徐々に増幅されているのが県民の実感だと思います。

 このような沖縄の状況を踏まえて、本日は、県民が抱いている不安や疑問について質問させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 まず初めに、沖縄の基地負担軽減について伺います。

 今国会でも、辺野古移設による普天間飛行場の返還など、地元の基地負担の軽減に取り組むとの所信が、防衛、外務両大臣から語られました。

 沖縄の基地負担というのは、米軍基地があるがゆえの事件、事故、日常の訓練などから引き起こされる航空機騒音、環境汚染など、多岐にわたっております。

 そこで、浜田大臣、林大臣にとって、軽減すべき沖縄の基地負担というのは具体的にどのようなものなのでしょうか。これまで政府が軽減してきた基地負担、あるいはこれから政府が軽減していく基地負担について、事例を挙げてお示しをいただきたいと思います。

浜田国務大臣 沖縄県においては現在でも多くの米軍施設・区域が集中し、沖縄の皆様には大きな基地負担を担っていただいていることを政府として重く受け止めており、沖縄の基地負担軽減を政権の最重要課題の一つとして取り組んでおります。

 これまでも、普天間飛行場の空中給油機十五機全機の岩国飛行場への移駐、オスプレイの沖縄県外への訓練移転、米側に騒音規制措置の遵守を求めるなど、航空機の騒音を軽減するための取組を進めるとともに、北部訓練場の過半、約四千ヘクタールの返還等を実現したほか、嘉手納以南の人口密集地域に所在する米軍基地について、その約七割の返還計画を発表し、これに基づいて返還を進めているところであります。とりわけ、住宅や学校に囲まれ、市街地の真ん中にある普天間飛行場の固定化は絶対に避けなければならないと考えております。政府としては、辺野古への移設も着実に進めていくことで、普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現していく考えであります。

 その上で、本年一月の日米2プラス2においても、米側との間で、在日米軍再編の着実な実施や地元への影響を軽減することの重要性を再確認しているところであります。

 基地負担を軽減するためには、日米間で確認した計画を推し進め、目に見える成果を一つずつ着実に積み上げていくことが重要であると考えており、引き続き、沖縄の基地負担軽減に全力で取り組んでまいりたいと思います。

新垣委員 今防衛大臣から御回答がありましたが、どうもちょっと県民の認識とは少し違うのかなと私は思っております。

 おっしゃるように、大幅に返還したよというお話をいただきましたが、果たしてそれで、事件、事故が減った、あるいは、航空機騒音が減った、悪臭が減った、そういう実感はないんですね、沖縄にとって。逆に、今、訓練機が多くなって、朝から晩まで、早朝から深夜まで訓練が強化されている。そういう状況になると、面積の問題とかではなくて、沖縄県民が訴えたいのは、要するに、基地負担が軽減されて生活が楽になった、そういう感触があればいいんですが、なかなかそうはなっていないというのが現実であります。

 その辺、少し、大臣の思いがあれば、よろしくお願いします。

    〔委員長退席、國場委員長代理着席〕

浜田国務大臣 委員のおっしゃるとおり、沖縄県民の皆様方の思いというのは御指摘の点がかなり大きいかと思うわけでありまして、我々とすれば、まだそれに対してお応えができていない点が多分にあるというふうに私自身も認識をしております。

 引き続き、しっかりと意見を聞きながら、我々として、やれることをしっかりやっていきたいというふうに考えております。

新垣委員 やはり県民が、さすが国がやることは言っていることとやっていることが一緒だなと思われるような、そういう思いを抱かせるような取組をやっていただきたいなと思います。

 次に、国の最大の責務は、国民の生命と財産、そして国の領土、領海、領空を守ることにあるというのは、各政党会派、一致した認識だと思います。浜田大臣も所信で、防衛省・自衛隊は、日本と日本国を守る最後のとりでとして、しっかり国を守ると力強く述べておられました。また、今年の元旦の地元紙インタビューで、南西地域への攻撃に対する抑止力、対処力を高めることが沖縄県民や国民の安全、安心につながるとも語っておられます。

 そこで、浜田大臣にお聞きしたいのですが、南西諸島における武力攻撃事態など有事が発生した場合に、まさしく生命と財産が危険にさらされるのが、そこで暮らす国民、すなわち先島諸島に暮らす沖縄県民あるいは島民、あるいは観光や仕事で滞在している県外在住者です。有事になって、この方たちを守る最後のとりでも防衛省・自衛隊と考えていいんでしょうか。

浜田国務大臣 国家安全保障の最終的な担保は防衛力であり、所信で申し上げたとおり、防衛省・自衛隊は、日本と日本国民を守る最後のとりでとして、しっかりと国を守るための体制を構築してまいりたいと考えております。

 当然ながら、南西諸島や先島諸島の住民を含めて、国民を守り抜くため、必要な防衛力の抜本的強化をお示ししているところであります。

 南西地域の防衛体制の強化について、具体的に申し上げれば、陸自第一五旅団の師団への改編、侵攻阻止に必要な部隊等の、南西地域に迅速かつ確実に輸送するための各種輸送アセットの取得の推進、持続性・強靱性を強化するための補給処支処の新編等の取組を進めてまいりたいと考えておるところであります。

 その上で、何よりも重要なことは、我が国に対する武力攻撃を抑止していくことであります。御指摘のあったようないろいろなことに対して、あらゆる状況を生起させない、我が国に対して一発たりともミサイルを撃たせないよう抑止力を強化することが必要であります。

 このため、我が国の防衛力を抜本的に強化して、これにより、日米同盟の抑止力、対処力を更に強化することで、武力攻撃そのものが発生する可能性を低下させていきたいというふうに考えているところであります。

    〔國場委員長代理退席、委員長着席〕

新垣委員 なぜそういう質問をするかというと、やはり、石垣、宮古、与那国、もう自衛隊が配備をされ、さらに、これからミサイルが配備をされていくということで、後ほど若干触れたいんですが、国民保護の問題もしかりです、一体、自分たちの命はどうなるんだという心配を今非常にしているわけですね。

 そこで、仮にミサイルが数千発撃ち込まれても、この島民の皆さんの命、沖縄県民の命、そして沖縄に来ている皆さんの命、生命財産を守れるんだろうかという不安が当然あるわけですよ。その辺は大臣としてどうお考えなのか。

浜田国務大臣 先ほども申し上げたとおりでありますけれども、しかし、あくまでも日本国民を守るという責務が我々にはあるわけでありますので、あらゆる事態に遭遇したとしても、我々は、過去に沖縄であったようなことを、あってはならないことだというふうに思っております。

 我々とすれば、しっかりと県民の皆さん方の不安を払拭するだけの行動をできるように整えてまいりたいと思いますし、また、今後とも、沖縄に対する思いをしっかりと体現できるように、あらゆる方法を取って、御理解いただけるように努力してまいりたいというふうに思っております。

新垣委員 先ほど、ミサイルを一発も撃たせないんだという御発言がありました。是非そうしていただきたいなと思いますし、また、後ほど林大臣にも外交のお話をお聞きしたいと思います。

 先日、米シンクタンク戦略国際問題研究所、CSISがまとめた、中国の台湾侵攻を想定した机上演習の結果報告書について伺いたいと思います。

 これは地元紙にも掲載されていて、同報告書によると、台湾有事になれば、沖縄にいきなり数千発のミサイルが撃ち込まれ、嘉手納基地配備の軍用機に至っては離陸前に九割が破壊されます。米軍は何とか台湾防衛に成功こそすれ、日米で艦艇数十隻や航空機数百機を失い、人的被害も数千人に及ぶというシナリオを複数描くなど、衝撃的な内容でした。これは、県民の皆さんは非常に驚いて、こういうことになるのかという不安を強く持っております。

 そこで、浜田大臣はこの報告書を、米シンクタンクの報告書をお読みになったと思いますが、私は、一たび台湾有事になれば、先島を始め沖縄本島まで壊滅的な被害を受けるのは間違いないと悲観しておりますが、防衛大臣の受け止め方は先ほどの御答弁だという認識でよろしいんでしょうか。

浜田国務大臣 台湾有事という仮定の質問にはお答えすることは困難でありますが、いずれにせよ、台湾海峡の平和と安定は、我が国の安全保障はもとより、国際社会全体の安定にとっても重要と考えており、台湾をめぐる問題については対話により平和的に解決されることを期待するというのが従来からの一貫した立場であります。

新垣委員 この辺は是非沖縄県民に、丁寧に説明するといつもおっしゃっているんですが、なかなか県民は受け止められていない、聞いていない。マスコミが先行して、ミサイルがどんどん配備されていく、そういうことを聞かされると、当然これは不安になりますよ。どうなるんだろうということですから、是非その辺は、更に丁寧にというんですか、本当に足しげく通っていただいて、どうなるんだ、ミサイルを撃たせないんだよということも是非訴えていただきたいなと思います。

 あわせて、沖縄の地元紙アンケートでは、県内四十一市町村長のうち三十七人が台湾有事の危険性が高まっているとの認識を示しております。さらに、三十人が、武力衝突回避に向けた政府の外交努力が不十分ではないかという回答がございました。

 外務省は台湾有事を始めとする武力衝突回避のためにいかなる外交努力を行っているのか、具体的にあれば、林大臣にお伺いしたいと思います。

林国務大臣 台湾海峡の平和と安定、これは、我が国の安全保障はもとより、国際社会全体の安定にとっても重要でございます。我が国の従来からの一貫した立場は、台湾をめぐる問題が対話により平和的に解決されることを期待する、こういうものでございます。

 この点、これまでも、一月の日米首脳会談を含めて、米国、またG7との間で、台湾海峡の平和と安定の重要性について一致をしておるところでございます。

 また、先般ミュンヘンで行われた会談におきましても、私から王毅外事工作委員会弁公室主任に対しまして、台湾海峡の平和と安定の重要性、改めて強調したところでございます。

 台湾海峡の平和と安定を確保するために、我が国として、こうした立場、これを中国側に首脳レベルを含めて直接しっかり伝えるとともに、米国を始めとする同盟国、同志国と緊密に連携しながら、各国共通の立場として明確に発信していく、これが重要であり、今後ともこうした外交努力を続けていきたいと考えております。

新垣委員 やはり外交が一番重要だという認識を持っておりますので、是非、更に強化をなさっていただいて、よろしくお願いしたいと思います。

 国民保護の話ですが、海外からの武力攻撃を想定した国民保護法に基づく図上訓練が来週三月十七日に予定をされ、沖縄県や先島諸島の五市町村に加え、内閣官房や国土交通省、自衛隊、さらに、民間の船舶会社や航空会社も参加するようであります。

 報道で知る限りなんですが、先島地方の住民は九州に避難し、本島地域の住民は屋内避難とするようですが、先島地方の全住民や観光客らを九州に避難させるために必要な輸送力、そして日数というのはどのくらいを想定しているのでしょうか。また、図上訓練において自衛隊の輸送力というのはどの程度考慮されているのか。また、軍民分離の原則をうたうジュネーブ条約との関係で考えた場合、自衛隊は住民輸送にどのぐらい関与できるのでしょうか。武力攻撃事態や武力攻撃予測事態設定後も自衛隊による住民輸送は可能なのかどうなのかをお聞きしたいと思います。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 武力攻撃より十分に先立って住民の迅速な避難を実施することは何よりも重要でございます。そして、住民の避難をできる限り迅速に行うためには、平素から関係機関が連携して検討、訓練を繰り返すことが重要であると認識しております。

 今月、御指摘の、国、沖縄県、先島諸島の五市町村等が協力して、武力攻撃予測事態を想定した図上訓練を実施することとしております。

 訓練の内容につきましては現在も検討中でありますが、令和四年十二月の沖縄県から沖縄県議会への報告によりますと、平時の二倍を超える県外への輸送力、一日約二万人を確保することを想定した上で、具体的な関係機関の役割などについて訓練することを検討していると承知しております。

 この数字の中には自衛隊のアセットを用いた輸送は含まれていないものと承知しておりますが、武力攻撃事態等においては、防衛省・自衛隊も、保有する航空機及び船舶による避難住民の輸送を含め、国民保護に係る措置をしっかりと実施していく必要があると考えており、こうした訓練を通じまして、地方自治体を含め、関係機関との連携向上を図ってまいりたいと思います。

 そしてまた、軍民分離を規定するジュネーブ条約との関係で、自衛隊は住民輸送にどれぐらい関与できるかという点でございます。

 ジュネーブ諸条約第一追加議定書第六十七条1については、文民保護組織、文民を保護する組織に配属される軍隊の構成員及び部隊について、紛争の間他のいかなる軍事上の任務も遂行しないことなどを条件として、尊重され、また保護されることと規定しております。

 他方、これはジュネーブ諸条約上の文民保護組織としての保護を受けない自衛隊の部隊が住民の避難誘導等に当たることを否定するものではなくて、軍事行動から生ずる危険から住民を保護するために住民の誘導等を行うものであることを踏まえますと、直ちに国際人道法に反しているとは言えないと考えております。

 こうしたことを踏まえまして、防衛省・自衛隊といたしましては、武力攻撃事態においては、一般に、警察及び消防等といった関係省庁と連携しながら、被害状況の確認、人命救助、住民避難の支援等の国民保護に係る措置を実施することを考えているということでございます。

新垣委員 済みません、何か、ちょっと分かったような分からぬようなあれですが、要するに、基本的には自衛隊は関与しないけれども、国民保護、そういう状況を見て自衛隊も輸送能力を発揮するという話なんですか。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 ジュネーブ諸条約上は、軍民分離だということで、軍の関係者が住民の保護、誘導を全くできないということではないということでございまして、これまでも政府として答弁してきているとおり、軍事組織が住民の避難誘導等に当たるとしても、これが軍事行動から生ずる危険から住民を保護することを目的としたものであることを踏まえますと、こうした行動、自衛隊が住民の避難等の活動に当たるということが直ちに国際人道法に反しているとは言えない、こういうことでございます。

新垣委員 是非、でき得る限り自衛隊としてもそういう輸送には全力を出していただきたい。

 実は、国民保護は、当然自治体が作成しなきゃいけないんですが、これまでは自治体任せだというような話があるものですから、県内首長の皆さんは非常に心配しているんですね、有事の想定というのはどうすればいいのかと。恐らく、無理に作ったとしても、それが現実的な対応になるのかどうか分からないということですので、是非その辺は自衛隊としても協力するんだということを明確に言っていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 更に質問ですが、両大臣を始め官僚の皆さんは、事あるごとに、沖縄の基地問題について、地元にも丁寧に説明し、理解と協力を得られるよう努めるとおっしゃっておりますが、地元の理解や協力を得るには、やはり信頼関係の構築が非常に重要だろうと思っております。そのためには、正確かつ詳細な情報提供が不可欠であります。先ほども申しましたが、なかなか情報が入ってこない、不安が先行してくるということになっているんだろうと思います。

 石垣島では、去る日曜日の三月五日午前、防衛省・自衛隊は、公道を使用し、市民が抗議する中、約百五十台の車両を陸上自衛隊石垣駐屯地に搬入をしました。その中には、安保関連三文書で改良した長射程化スタンドオフ防衛能力を獲得することが盛り込まれた、一二式地対艦ミサイルの発射機なども含まれております。

 防衛省にお尋ねしますが、宮古島同様、石垣市にも一二式地対艦ミサイルが配備をされるのでしょうか。石垣駐屯地は三月十六日に開設予定で、十八日には海上自衛隊の船舶で弾薬が運び込まれると報道されておりますが、これも事実なのかを確認したいと思います。さらには、石垣市の港湾使用許可はもう既に得ているのでしょうか。そのことも併せてお尋ねしたいと思います。

川嶋政府参考人 防衛省におきましては、三月十六日、間もなくでございますけれども、石垣駐屯地を開設することといたしてございます。このため、石垣駐屯地の開設に向けまして、配備部隊の活動に必要となります装備品、車両、弾薬等の搬入など、諸準備を行っているところでございます。

 これまで、開設に必要な装備品等、あるいは地対艦誘導弾や地対空誘導弾の発射機を含む車両につきまして搬入が完了してございますが、弾薬輸送につきましては、輸送の安全を確保するという観点から、その詳細についてはお答えを差し控えたいと考えてございます。

 また、よく説明しろという御指摘でありましたけれども、この石垣駐屯地の開設に当たりましては、石垣市民を対象といたしました説明会を三月二十二日に実施する予定でございます。この説明会を通じまして、駐屯地の施設や自衛隊の活動概要について説明させていただきまして、理解を深めていただきたいというふうに考えてございます。

 南西地域の防衛体制の強化は喫緊の課題でございまして、引き続き、安全に配慮しつつ、石垣駐屯地の開設に向けた諸準備を行ってまいりたいというふうに考えてございます。

 また、先生先ほど、地対艦誘導弾につきまして、いわゆる長射程のというようなお言葉もございましたけれども、現在石垣島に持ってまいりました地対艦誘導弾、これにつきましては通常の一二式のSSMでございます。

新垣委員 済みません、時間がないので、ちょっと質問を入れ替えたいと思います。

 安保関連三文書に基づいて、陸自石垣駐屯地の開設とミサイル部隊配備以外にも、沖縄県内における自衛隊配備が加速化をしております。

 具体的には、うるま市にある陸自勝連分屯地へのミサイル部隊の配備、与那国への電子戦部隊や地対空誘導弾部隊の配備、陸自那覇駐屯地における第一五旅団の師団への格上げ、陸自沖縄訓練場への補給処支処整備のほか、北大東村への空自警戒管制レーダーの配備も検討されているようです。また、去る一月の日米2プラス2では、米軍嘉手納弾薬庫地区の陸上自衛隊による共同使用の拡大が確認をされております。

 県と基地所在市町村でつくる県軍用地転用促進・基地問題協議会の会長として一月二十七日に防衛省や外務省などに要請書を提出した玉城デニー知事は、安保関連三文書について、沖縄に関わる事項も多く記載されていると指摘をして、政府の計画を地元に詳しく説明するよう求めております。

 そこで、防衛省にお尋ねしたいんですが、実は、これは大変沖縄市の皆さんが心配をして、是非それは聞いてくれということなんですが、沖縄訓練場への補給拠点設置や嘉手納弾薬庫内で共同使用が認められた火薬庫三棟は、何か建設されるということを聞いているんですが、どの辺りに位置するのか、そして、地域住民との位置関係を踏まえた説明をお願いしたい。要するに、もしやるのであったら説明会も開催してほしいという要望なんですね。これについて。

川嶋政府参考人 南西地域の防衛体制の強化は喫緊の課題でございます。したがいまして、事態が発生したときにおきまして、平素から南西地域に配備されている部隊及び南西地域に展開した部隊の活動を迅速かつ継続的に支援するため、沖縄訓練場の敷地の中に補給処支処を新編することを計画をしてございます。また、平成十五年から共同使用を行っております嘉手納弾薬庫地区におきまして、既存の火薬庫を追加的に自衛隊が共同使用することを本年一月の日米2プラス2の共同発表において公表されました。

 今後のことにつきましては日米間で詳細に調整がなされていくというふうに承知しておりますけれども、防衛省としては、引き続き、お伝えできる情報につきましては御地元の自治体等に適切に説明させていただきながら、本件を進めてまいりたいというふうに考えてございます。

新垣委員 目まぐるしい状況変化があるものですから、是非、そういう計画があれば、しっかり地元市町村民には、県民には説明をしてください。今本当に沖縄県民はぴりぴりしております。そういうことを是非理解していただいて、対応方よろしくお願いしたいと思います。

 終わります。

鬼木委員長 次に、美延映夫君。

美延委員 日本維新の会の美延でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 私は、昨年十二月二十六日、防衛省OBに特定秘密を漏らしたとして、海上自衛隊一等海佐であった井上高志氏を防衛省が懲戒処分とした特定秘密等漏えいの件について御質問を申し上げます。

 井上一等海佐は、情報を専門に取り扱う海上自衛隊の情報業務群の司令だった二〇二〇年の三月に、横須賀市の司令部庁舎で、自衛艦隊司令官も務めた海上自衛隊OBに、日本を取り巻く安全保障状況についての説明、その説明の中には、特定秘密に指定されている情報や、自衛隊法で機密扱いの訓練情報や部隊運用が含まれていたということなんですが、この件について、浜田大臣の率直な御意見をまず伺わせていただけますでしょうか。

浜田国務大臣 現職の幹部自衛官による秘密の漏えいは、こうした情報を適切に保全管理すべき防衛省・自衛隊への国民の信頼を損ないかねないものであり、極めて遺憾であると考えております。

 また、衆参両院の情報監視審査会による勧告は、特定秘密保護法施行以降初めてのものであり、防衛省としても深刻に受け止めております。

 大切なことは、このような事案が再び発生することのないよう再発防止を徹底することであり、私の指示に基づき速やかな各種取組を進めるとともに、副大臣を長とする再発防止検討委員会において、より実効性のある施策について、防衛省全体で検討を進めております。

 我が国の防衛を全うするためには情報保全の徹底が必要不可欠であり、今後、再発防止策にしっかりと取り組み、信頼回復に全力を尽くしてまいりたいと考えているところであります。

美延委員 信頼回復、しっかりやってもらわなあかんということなんですけれども、今、大臣からもお話がありました再発防止策なんですけれども、本事案は、平成二十六年の特定秘密保護法施行以来初の特定秘密漏えい事案であるわけでして、我が国の防衛に必要な秘密情報を適切に保全すべき防衛省・自衛隊において、秘密情報の漏えいは、これは絶対にあってはならないことなんです。

 かかる事案が生起されたことを深刻に受け止めて、同様の秘密情報漏えい事案を根絶するために、再発防止に関する防衛大臣指示を発出するとともに、防衛副大臣が長として、再発防止検討委員会を立ち上げ、再発防止の徹底を図るということを今大臣もおっしゃいましたが、再発防止検討委員会は、既に立ち上がって、再発防止に向けてどういう動きをしているのか、教えていただけますでしょうか。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のように、現在、副大臣を長とする再発防止検討委員会におきまして、より実効性のある施策につきまして、情報監視審査会からの勧告の内容も十分に踏まえながら、防衛省全体で検討を進めているところでございます。

 具体的に申し上げますと、まず第一に、同種事案の有無の調査、第二に、情報保全に関する意識の更なる徹底を図るための保全教育の在り方、第三に、退職する防衛省職員に対する教育及び退職した元防衛省職員に対する広報の在り方、第四に、元防衛省職員との面会における対応要領、こういったことにつきまして集中的な議論を行っているところでありまして、本年三月末までにスピード感を持って検討を進めているところでございます。

美延委員 今、三月末までということをお伺いしたんですけれども、これはちょっと通告していませんでしたけれども、ということは、その時点で、こういうことになったということで御報告があると認識してよろしいんでしょうか。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申しました四点につきまして集中的な議論を一通りまとめて行いまして、三月末までに検討を取りまとめていきたいと考えているところでございます。

美延委員 ということは、この安保の委員会にもしっかり御報告があると認識してよろしいわけですね。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛省としてしっかりと取りまとめを行いまして、対外的に、また国会も含めまして御説明させていただきたいと思っております。

美延委員 了解いたしました。

 この防衛省OBは、井上さんに対して、講演する機会も多く、正確な情報を知りたいなどと言って情報を求めたとされていますけれども、特定秘密を要求したわけでもなく、また、得た情報がOBから他国に流出した形跡もないため、不問に付されるという見通しと伺っています。

 そもそも、私は、日本にスパイ防止法がないのが大問題だと考えております。情報を求めた者も情報を渡した者も同様に厳しく罰しなくては、国の重要な情報を守れないと考えております。

 秘密情報の漏えいは、国の安全保障上に関わる大問題と考えます。したがって、これを海自一佐ほか数名の処罰で終わらせてはいけないと思います。現職のみならず、OBの方にも同様に退職金の返還を求めるなどの処分が必要と思います。もしOBが不問に付されるとしたら、これは身内にはかなり甘い処分と思われますが、政府の御見解を聞かせていただけますでしょうか。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 調査の結果、元自衛艦隊司令官が、機微な情報を日常的に取り扱う情報業務群司令であった元一等海佐に対し情勢ブリーフィングを依頼すること自体について適切ではなかったと考えております。加えて、元自衛艦隊司令官は、元一等海佐が実施した情勢ブリーフィングに機微な情報が含まれていることをその職歴から認識できたものと考えております。こうした観点から、道義的な責任は免れ得ないものと考えております。

 その上で、調査の結果、元自衛艦隊司令官は、本事案が発生した令和二年三月末当時、既に自衛隊を退職し民間人であったことから、法令に基づく退職手当返還処分ができなかったものでございます。また、道義的責任は免れ得ないものの、法令違反が確認されていないため、当時民間人であった元自衛艦隊司令官に対し退職手当について自主返納を要請することは非常に困難でありまして、この点、じくじたる思いでございます。

 今後このようなことが二度と起こらぬよう、再発防止検討委員会で実効的な取組の検討を進めてまいりたいと思っております。

美延委員 今、道義的な責任はあるとはっきりお認めになったわけです。

 私は、実は、国会議員になる前に大阪市会議員を長く務めておりまして、大阪市で同じような、OBの方が関わっているような事案がありました。そのときに、私の記憶では、OBの方も自主的に、それはもう、確かにおっしゃったように、ルール的には無理だったんですけれども、自主的に退職金の何がしかを返納していただいたという記憶があるので、そういうことも相手方に言ってみるというのも、やはりこれは責任の取り方の一つではないかと思うんですけれども、これもちょっと質問通告していないんですけれども、いかがでしょうか。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 退職金の自主返納を求めるというようなやり方があるということは一般論として承知しておりますけれども、やはり、元自衛艦隊司令官が、本事案が発生した令和二年三月末当時、既に自衛隊を退職し民間人であったところでございますので、法令に基づく退職手当返還処分ができなかったものでございますし、また、退職金の自主返納というのは自主的に御本人が判断するものだと思いますので、防衛省の立場から何らか働きかけをするということはなかなか難しいものかな、こういうふうに思っておるところでございます。

美延委員 まあ、難しいといえばもうそれまでなんでしょうけれども、そこはやはり、先ほど言われていたように、その部門にいらっしゃった方ですから、これがどういうことかというのはもう初めから分かってされていて、道義的な責任もあるというようなことなんでしょうから、もうちょっとそこは、私は、いや、無理ですと言い切るのはいかがなものかなと思います。

 こればかりに関わっていられないので、ちょっとここはもう一度、是非、防衛省の省内でも考えていただきたいと思います。

 その退職したOBの方に対してなんですけれども、「防衛省を退職された皆様へ」ということで、ホームページに載っておりました。ちょっと読んでみます。

 一、今般、海上自衛隊一等海佐が、かつて上司であった元海上自衛隊自衛艦隊司令官に対して実施した情勢ブリーフィングにおいて、特定秘密、秘及び取扱い上の注意を要する情報を故意に漏らし、特定秘密の保護に関する法律及び自衛隊法第五十九条第一項(守秘義務)に違反したことが判明しました。

 二、同様の漏えい事案を根絶するためにも、防衛省を退職された方については、今一度以下の点につきまして、御確認をお願いいたします。

 (一)防衛省職員に対し、守秘義務に違反する情報提供を求めることがないよう御留意ください。

 (二)守秘義務は、退職後も在職中と同様に負っておりますので、在職中に知ることのできた秘密を漏らさないでください。

というような、ホームページに、私も拝見させてもらったんですけれども、これは余りにも簡単過ぎないでしょうか。もうちょっと詳しい文書、地域の会の会則でももうちょっと、いろいろ厳しいこととか、これはしないでくださいというようなことが書いてあると思うんです。

 これは余りにも簡単過ぎると思うんですけれども、いかがでしょうか。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 本事案発生の一つの要因は、元自衛艦隊司令官と元一等海佐が過去に職務上の上下関係にありまして、元一等海佐は元自衛艦隊司令官からの依頼を断りにくい状況があったことでございます。

 このため、御指摘がありましたように、本事案公表に併せて、既に退職した元防衛省職員に対し、現役の職員に対する接触の注意喚起について直ちに周知すべく、当座の措置としてホームページに掲載したものでございます。

 委員御指摘の元防衛省職員に対するより具体的な周知の方法につきましては、現在、再発防止検討委員会において議論しておりますので、その検討の結果について、より詳細に、具体的に示していきたいなというふうに思っております。

美延委員 今回の事件について、私の見解なんですけれども、上意下達が絶対のいわゆる自衛隊組織は、活動もどうしてもブラックボックス化しがちで、だからこそ上層部の不祥事についても広く国民に情報を開示し、これはやはり第三者機関による調査が絶対必要だと思うんですが、今まで議論したことも踏まえて、浜田大臣の御見解をお願いいたします。

浜田国務大臣 特定秘密等の情報に係る事項については、我が国の防衛に影響を与えるおそれがあることを踏まえ、漏えいの有無を含めて、その内容は厳格に取り扱われるべき性質のものであります。こうした認識の下に、本件事案に対する調査は、海上幕僚監部において厳格な情報管理を行い、慎重に実施をしたものであります。

 さらに、副大臣を長とする再発防止検討委員会においては、同種事案の有無の調査を含む検討内容について厳格に管理し、実施しているところであります。御指摘の第三者機関による調査等は考えておりません。

 その上で、再発防止検討委員会においては、防衛監察本部の長であり元高検検事長である防衛監察監も委員として参加するなど、客観性を担保しながら、省全体として検討を進めております。

 こうした体制の下、スピード感を持って迅速かつ徹底的に議論を行い、より実効性のある具体的な再発防止策を検討してまいりたいと考えております。

美延委員 第三者機関は考えておらない、でも、トップが元自衛官の方ではないからということで、それで私は担保できるのかどうかというのは非常に疑問ですけれども、まずは、御報告していただけるということも伺いましたので、またその御報告が出た際に、私もこれに対しては議論させていただきたいと思います。

 これに関してはこれで一応終わります。

 次に、大型弾薬庫の新設について大臣に伺います。

 去る二月十五日に各社が報道して、二月十七日に浜田大臣自身が記者発表した大型弾薬庫の新設なんですけれども、現在、日本国内には、北海道を中心に約千四百棟の弾薬庫があると聞いております。長射程ミサイルを保有するであろう大型弾薬庫は、二〇三五年までに全国で約百三十棟を整備するとされ、政府は、今年度予算五十八億円を計上して、陸上自衛隊大分駐屯地と青森県むつ市の海上自衛隊大湊地方総監部に二棟ずつ、計四棟を新設するということです。さらに、ほかの自衛隊施設に大型の弾薬庫を六棟程度整備する計画で調査を進めることになったと聞いております。

 また、大型の弾薬庫のみならず、通常の弾薬を保管する弾薬庫なども、海上自衛隊の横須賀地方総監部や舞鶴地方総監部、そして沖縄県宮古島の陸上自衛隊城辺保良訓練場や鹿児島県瀬戸内町の陸上自衛隊瀬戸内分屯地に整備する計画とも聞いております。

 安保三文書の中の国家防衛戦略及び整備計画においては、自衛隊の十分な継戦能力の確保、維持を図る必要があることから、必要十分な弾薬を早急に保有することは、私もこれは大賛成であります。

 今回のこの弾薬庫の整備の詳細の公表は、自衛隊の抑止力、対処力を向上させることで他国の武力攻撃そのものの可能性を低下させることができる一方、ロシアのウクライナ侵攻でも、ロシアがウクライナの弾薬庫を攻撃目標としたように、他国からしてみると、弾薬庫が優先攻撃対象になり得るという観点から、まさに相手に手のうちをさらしてしまうことになり、非常に微妙なところでもあります。

 この整備の詳細の公表の線引きについて、大臣のお考えを聞かせていただけますでしょうか。

浜田国務大臣 委員から御指摘にありましたように、国家防衛戦略においては、自衛隊の十分な継戦能力の確保、維持を図る必要があることから、必要十分な弾薬を早急に保有することとしております。このため、弾薬の取得量に見合う火薬庫の確保を進めることとしております。

 令和五年度予算では、先ほど御指摘ありました陸上自衛隊大分分屯地や海上自衛隊の大湊地方総監部における火薬庫の新設に係る経費を計上し、関係自治体等に様々な形で情報提供をさせていただいております。

 また、火薬庫の建設工事に際しては、建築基準法など関係法令に従い、関係自治体に適切に情報提供を行いながら進めてきているところであります。

 他方、個々の火薬庫に実際に保管する弾薬の種類については、その詳細を示すことにより自衛隊の能力が明らかになるおそれがあるため、以前から具体的にお示しをしておらず、これは今回の火薬庫についても同様であります。

美延委員 今、大分大臣から御答弁いただいたんですけれども、やはり弾薬庫の新設というのは居住されている方々に一定のリスクを与えることになります。そういう意味で、弾薬庫の新設整備を行うに当たっては、地元の方々の理解が不可欠であることは言うまでもありませんし、政府は、地元住民のみならず、地方自治体との調整を丁寧に行う必要があると思いますが、最後にその見解をお聞かせください。

川嶋政府参考人 御答弁申し上げます。

 令和五年度予算では、大型弾薬についても保管できる火薬庫として、大臣からお話ありましたように、陸上自衛隊大分分屯地あるいは海上自衛隊の大湊地方総監部における火薬庫の新設に係る経費を計上しております。関係する自治体、御地元の自治体に対しては、整備内容等について説明させていただいたところでございます。

 今後も、火薬庫等の整備に当たりましては、防衛施設が所在する御地元の関係自治体に対し、様々な形で情報提供をさせていただく考えでございます。

美延委員 ありがとうございました。終わります。

鬼木委員長 次に、三木圭恵君。

三木委員 日本維新の会の三木圭恵です。

 本日は、質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 それでは、早速質問に入らせていただきます。

 まず、日韓関係についてお伺いをいたします。

 日本と韓国は徴用工訴訟問題において、日本は、韓国の問題であり、韓国自身が解決すべきとの立場であることは、申すまでもなく、一九六五年の日韓請求協定で完全かつ最終的に解決していることであり、それを蒸し返して韓国の大法院で原告が勝訴したということは、もう明らかに国際法違反だと私は思っております。だからこそ、今回の徴用工訴訟問題で、韓国内で解決することは当然といえば当然のことであり、我が国は一切関わらない、そして、バーターで韓国に何かをするということはしないというスタンスが私は正解であるというふうに考えております。

 そこで、岸田総理が、歴史認識において、一九九八年の日韓共同宣言を含め、歴史認識に関する歴代総理の立場を全体として引き継いでいると述べるにとどめられた、官邸で記者に語られたことに対して御質問をさせていただきます。

 政府として、総理として、また、林外務大臣として、歴史認識の立場は変わりませんよ、前にあることは前にあったとおりです、徴用工訴訟問題解決のために何か日本が新たにするわけではありません、前にあったことは前のとおりのままですということを述べるだけで、新たにおわびや反省を示す談話や宣言等々は出さない、そういう発信、発言はしないということでよろしいでしょうか。林大臣にお伺いいたします。

林国務大臣 日本政府は、一九九八年十月に発表されました日韓共同宣言を含め、歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継いでおります。

 今回の機会にこれを改めて確認したものでございます。

三木委員 確認をするだけで、新たなものはもう出さないということでよろしいんですか。もう一度、念のためにお伺いさせていただきます。

林国務大臣 今委員から御指摘があったとおりでございます。

三木委員 次いで、日本の立場として、朝鮮人戦時動員は強制連行、強制労働ではないということもはっきりとお示ししていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。

林国務大臣 日韓間の財産請求権の問題、これは日韓請求権協定により完全かつ最終的に解決済みである、この日本政府のこれまでの一貫した立場に変更はないわけでございます。

 今般、韓国政府により発表された措置、これは韓国の財団が判決金支給を行うというものでございまして、日本の一貫した立場を損なうものとは考えておりません。

三木委員 何か質問と答弁が合っていないような気がするんですけれども。

 私は、やはり、その強制労働、強制連行という言葉が今後使われること自体がもう日本の国益を損なうというふうに考えておりまして、令和三年四月十六日に、我が党の馬場伸幸代表が、「強制連行」「強制労働」という表現に関する質問主意書を提出しております。

 その中で、お答えの方は、「御指摘のような「募集」、「官斡旋」及び「徴用」による労務については、いずれも同条約上の「強制労働」には該当しないものと考えており、これらを「強制労働」と表現することは、適切ではないと考えている。」という質問主意書のお答えがありますので、今後、そういった日韓関係の諸問題が現れたときに、是非とも日本はこういう立場を取っているということを外務省としても発信していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

林国務大臣 旧朝鮮半島出身労働者の朝鮮半島から内地への当時の移入の経緯、これは様々でございまして、一概には言えませんが、自らの自由意思による個別渡航のほか、募集、官あっせん及び徴用があったものと考えられます。

 これらはいずれも強制労働ニ関スル条約上の強制労働には該当しないものと考えておりまして、これらを強制労働と表現することは適切ではないと考えております。

三木委員 御答弁ありがとうございます。私も全く林大臣と同じ見解でございます。

 次に、韓国財団が拠出した賠償金の返還を日本企業に請求する求償権が放棄されていないことから、韓国外務省関係者は、現在、求償権の行使は想定していないとしていますけれども、今までも、これで終わりですよ、これでもう一切請求してきません、言えば、抗議はしてきませんというようなお約束を日韓間でいろいろとやってきたことは、本当に多いと思うんですね。

 一九六五年にそういったことはもう既に全部解決済みだというふうに、日本の立場としてはそうでありますから、今回求償権を行使されたとしても、これは毅然としてはね返すべきではありますけれども、政府として、どう考え、今後の交渉というのにどのような姿勢で挑むのか、教えてください。

林国務大臣 今般発表されました措置につきまして、韓国政府は、原告の理解を得るべく最大限努力するとしておりまして、今後、国内のプロセスを行い、本件措置を着実に実施していくことを期待をするところでございます。

 外交上の詳細なやり取りについてお答えは差し控えますが、これまで、懸案を解決して日韓関係を健全な関係に戻すべく、外交当局間で継続的に意思疎通を実施してきたところでございます。

 その過程で、日本政府としては、日韓間の財産請求権の問題は日韓請求権協定により完全かつ最終的に解決済みである、この一貫した立場に基づいて対応してきております。

 いずれにしても、本件措置の趣旨に鑑み、求償権の行使については想定されていないものと承知をしております。

三木委員 求償権の行使を想定していないということですけれども、これはもう日本は全く関係ございませんので、そういった強い態度は、ここは譲らないで、よろしくお願いをいたします。

 次に、徴用工訴訟問題とは無関係だとは言われておりますけれども、今後、日韓の経済団体が若者の交流拡大の基金をつくる案があるとされています。しかしながら、その内容は、被告企業が加盟する経団連が呼応措置として留学生の奨学金事業などに取り組むというふうにされております。

 無関係だとするならば、なぜ同時に行う必要があるのか、また、韓国が打ち出した解決策に呼応する形を取れば、日本がこの徴用工訴訟問題に関わりがあると認めることにはならないのか、そういった懸念は政府の中にないのか、見解はいかがでしょうか。

林国務大臣 経団連の今後の活動内容につきまして、政府としてコメントする立場にはございません。

 いずれにいたしましても、今回の発表を契機とし、措置の実施とともに、日韓の政治、経済、文化等の分野における交流が力強く拡大していくことを期待をするということでございます。

三木委員 これは若者に対する交流拡大の基金ということですけれども、それ以外にも、韓国向けの輸出規制強化について、これは今まで無関係としてきたけれども、これを解除に向けて二国間対話を行うというふうになっております。

 いろいろと、徴用工訴訟問題を韓国が韓国の中で解決することにおいて、日韓が様々交流を始めます。今まで滞っていたところを仲よくしていきましょうということだと思うんですけれども、また同じように、先ほどの、呼応措置としてこれをやるということであれば、韓国は韓国内でこの問題を解決する、日本は一切関係ないんだよというスタンスを取りながらも、やはり、解決してくれたんだから代わりに日本はこれをしましょうというような立場と取られるのではないかという懸念があると思うのですが、重ねてお伺いいたします。いかがでしょうか。

林国務大臣 韓国向けの輸出管理の運用見直しでございますが、安全保障の観点から輸出管理を適切に実施するために行ったものでございまして、旧朝鮮半島出身労働者問題とは別の議論でございます。

三木委員 お答えとしては、別の問題だ、別の事象だというふうにお答えされると。それは当然のことだと思うんですけれども、これを蒸し返してくるときの手法というのが、こういうふうに日本は呼応したよねと言われる可能性があるんじゃないかということを私は常日頃から懸念しております。

 やはり今までのやり方、韓国の政府の打ち出し方というのが、日本がこういうふうに言ったから、こういうふうに呼応しましたよね、日本もこういうことをお返しとしてしてきましたよねというようなことを言われて、さもその事実があったかのような報道ぶりや向こうからの要求が多々あったと私は思います。

 今回、政権が替わってもこういったことが全て保証されているというふうには私は考えられないので、これを政府としてきっちりと、きっちりと韓国の方に外交として伝えていただきたいというふうに思います。

 日韓請求権協定、日韓基本条約、当時のお金で五億ドル、経済支援を日本は韓国にしているわけですね。二〇〇九年に、韓国政府は、徴用工の未払いの賃金、これも、経済支援、この五億ドルの中に含まれるということを韓国政府自身が述べているわけですね。だから、国民が受けるべき補償を韓国政府が違うところに使ってしまったというのが事実であると私は思っておりまして、今回の徴用工訴訟問題は国際法違反で、日本は、言ったら、巻き込まれ事故の被害者だと私は思っています。

 ですので、今後、戦時中などに生じた事由に基づく請求権は、いかなる主張もこれはできないというふうになっておりますから、毅然とした態度で日本の誇りを守っていただくように強く林大臣に要望いたしますが、いかがでしょうか。

林国務大臣 先ほども申し上げましたように、日本政府としては、日韓間の財産請求権問題、これは、今お話があったように、日韓請求権協定により完全かつ最終的に解決済みであるという一貫した立場に基づいて対応してきておりますし、これからもしっかりと対応してまいりたいと思っております。

三木委員 よろしくお願いいたします。

 それでは、次に、レーダー照射事案について浜田防衛大臣にお伺いしたいと思います。

 韓国海軍艦が自衛隊の哨戒機に火器管制レーダーを照射した問題がございます。二〇一八年の十二月、韓国海軍艦が我が国自衛隊の哨戒機に火器管制レーダーを照射しました。非常に危険極まりない行為で、断じて許すことはできません。

 防衛省は、二〇一九年一月二十一日に最終見解を出したとしております。「防衛省としては、韓国駆逐艦による海自P―1哨戒機への火器管制レーダー照射について、改めて強く抗議するとともに、韓国側に対し、この事実を認め、再発防止を徹底することを強く求めます。更に、これ以上実務者協議を継続しても、真実の究明に至らないと考えられることから、本件事案に関する協議を韓国側と続けていくことはもはや困難であると判断いたします。」となっているんですね。

 しかしながら、韓国は、再発防止に努めるどころか、二〇一九年一月二十一日に最終見解を出していて、二〇一九年の二月に韓国軍が、艦艇上を低空飛行する自衛隊機向けに現場の判断でレーダー照射できる権限を指揮官に与えていたことが去年の八月に判明したと。結局、日本側が強く抗議しても、一月に強く抗議をしても、二月にそういう、指揮官に権限を与えていたという、全く逆のことを韓国はされているわけです。結局、日本が強く抗議しても何の効果もなかったということを意味しているんですね。

 これは、日米中韓など二十一か国が採択した海上衝突回避規範で指揮官が回避すべき動作として規範されているものであり、相手機にミサイルなどを撃つ前に標的の位置を測定し、照準を合わせるための行動で、武力衝突を誘発しかねない非常に危険な行為であると私は思います。

 この報道がされたのは、二〇二二年八月です。

 それで、浜田防衛大臣は記者会見で、この指針について、現在、韓国側に事実関係を確認を行っているところでありまして、事実に即して適切に対応していく考えでありますとおっしゃっているんですね。

 それで、その後、去年の八月から六か月弱たったと思いますが、どうなりましたでしょうか。

浜田国務大臣 平成三十年十二月二十日の火器管制レーダー照射事案に関する防衛省の立場は、平成三十一年一月に公表した最終見解のとおりであります。

 防衛省・自衛隊としては、再発防止も含めた懸案の解決のために、引き続き韓国側と緊密に意思の疎通を図ってまいりたいと考えております。

三木委員 全く私が質問の中で述べたことを浜田防衛大臣が今、答弁でおっしゃっていただいたんですけれども、結局、何の進展もないということでよろしいんですか。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘の火器管制レーダーの照射、これは本当に不測の事態を招きかねない極めて危険な行為でありまして、いわゆるCUESでも回避すべき動作の一つとして規定している、共通認識だということでございます。

 そしてまた、先生が御指摘いただきました報道等によりますと、日本用には特別のレーダー照射の基準を作った、こういうような話も出ておりまして、日本側としては、この件についての事実関係を明らかにするように強く申し入れていることも事実でございます。

 そして、いずれにせよ、我々としましては、韓国側の方と、再発防止も含めた懸案の解決のために緊密に意思疎通を図っていく考えでありますし、これまでもそのようにしてきたつもりでございます。

三木委員 これは外交上も問題を来すような、もう大きな事案だと思いますが、林外務大臣はどう思われますか。

林国務大臣 韓国によるレーダー照射事案に係る問題に対する日本政府の立場は、今、防衛大臣、また防衛省から述べたとおりだと認識しております。

 その上で申し上げますと、韓国は、国際社会における様々な課題への対応に協力していくべき重要な隣国でございます。特に、北朝鮮への対応を含めて現下の戦略環境を踏まえれば、日韓、日米韓で緊密に連携していくことの重要性、これは論をまたないところでございます。

 今般の韓国政府による措置の発表を契機として、措置の実施とともに、日韓の政治、経済、文化等の分野における交流が力強く拡大していくことを期待をしております。

三木委員 今、日韓関係が一歩前進したというふうに、日本も韓国もそういうふうに思われていると思うんですけれども、この時点で、防衛省が最終見解を出した時点ですよね、韓国側に抗議して再発防止を求めたが、韓国側はこの事実を否定し、防衛省に事実の歪曲の中止と低空脅威飛行への謝罪を求めたとあるんですよ。実務者協議の詳細について、韓国国防部が、事前の合意に反し、事実と異なる内容を一方的に明らかにし、防衛省の提案を無礼と非難したと。これは最終見解で書いてあるんですよね。

 一歩前進したと言う割にはこういうところは全然前進していなくて、日本もこういうふうな態度でやっているということは、私は非常に問題だと思います。こういったところもきっちりと日米韓で、安全保障環境が変わってきて一番肝になってくるのは防衛だと思いますので、その防衛のところでこういった問題がまだ残っているというのは、私はやはりいかがなものかと思います。

 防衛上の問題といえば、レーダーの問題もございますし、旭日旗の問題もありますよね。自衛艦旗に旭日旗を用いているわけですけれども、去年の十一月行われた国際観艦式で、参加した韓国海軍の補給艦は、国際儀礼にのっとり、自衛艦旗を掲げる「いずも」に敬礼したと。それはもう本当にありがたいお話だと思います。国際儀礼にのっとって、ちゃんと礼儀正しくやっていただいたと。

 しかし、李国防相は、自衛艦旗が旭日旗ではないと発言していて、非常に、これは不見識で、自衛隊に対しても、日本に対しても、非礼な発言であると私は思います。

 現在は本当に安全保障環境が著しく悪化しておりますので、韓国とも防衛上友好な関係を構築していかなければならないことはもう事実ですけれども、まず、基本的に、相手国に対して一定の礼儀、礼節というものがなければ、真の友好関係は私は築けないと思っております。

 レーダー照射に関しても、自衛隊が公開した音声データ、これはきっちりと、こちらがちゃんとしたことを、事実を公表していて、照射されたのも事実だし、警告もされなかったし、救助活動されているのも分からなかった、事前に通告はなかったということがもう事実として判明しているので、きっちりとここの問題も解決していただかないと自衛隊の士気も下がると思いますが、浜田防衛大臣、いかがでしょうか。

浜田国務大臣 御指摘の自衛艦旗については、自衛隊法等の国内法令により艦尾の掲揚が義務づけられており、また、国際法上も、国の軍隊に所属する船舶であることを示す外部標識に該当するものであります。さらに、自衛艦旗の掲揚は、昭和三十年代から半世紀以上の長きにわたって行っており、国際的な慣行として確立したものであり、韓国を含む参加国はこのような認識を理解しているものと考えております。

 そして、御指摘の点でありますけれども、これは、個々の問題について、まだ解決しているものでもないということは間違いのないことでありますし、当然のごとく、これは今後の課題だというふうに考えております。

三木委員 質疑時間が多分終了してしまいますので、レーダー照射に関しても、旭日旗に関しても、私は、やはり韓国により良識ある態度を日本として求め続けていくべきだと思いますし、防衛上、今後協力関係を保っていくためにも、やはり日本としても毅然とした態度で挑むべきだと思いますし、また、自衛隊員や日本の国民の誇りを損なうような外交そして防衛、こういったものはしてもらいたくないと思っておりますので、その点を両大臣によろしくお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

鬼木委員長 次に、斎藤アレックス君。

斎藤(ア)委員 国民民主党の斎藤アレックスでございます。

 本日も質疑をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、ちょっと通告の順番を変えて、最後に通告をさせていただいていた問題に関して、防衛装備庁長官にもいらっしゃっていただいていますので、最初にお尋ねしたいと思うんです。

 今、ウクライナに侵略をしているロシア軍が自衛隊の高機動車を使用している写真がネットに上がっていました。これは、ロシア軍のZマークが書かれている日本の高機動車があって、私もびっくりしたんですけれども、装甲車でもないですし、民生用も少しだけ造られている、民生用といっても省庁とかで使う用の車ですけれども、造られている車。ほぼ自衛隊専用の車が海外に、しかもロシア軍が使っているというのは、ぎょっとした国民の方も多いと思うんですけれども、ちょっとこの点に関して、経緯をどう把握されているのか、また、問題意識を持たれているのか、対応をどうしていくのか、再発防止策ですね、そういったところを、長官、よろしくお願いできればと思います。

土本政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の情報につきましては承知しているところでございます。

 他方、高機動車と指摘されている車両につきましては、防衛省でも画像を確認いたしましたが、外観上の類似性は認められたものの、画像だけでは自衛隊で売払いした車両と同一か否かは判断できませんでした。

 しかしながら、過去にも自衛隊専用車の類似品が転売されている旨の情報があったことから、転売防止策といたしまして、関連規則の改正を平成三十年及び令和四年に行ってきたところでございます。

 具体的には、高機動車やジープなどの自衛隊専用車を売り払う際には、転売防止をより徹底するため、売払いを請け負う業者に対しまして、平成三十年九月から、新たな入札条件といたしまして、第一に取引業者の登録、第二にフロン類回収業者の登録、第三に解体業の許可、第四に破砕業の許可、この四条件を全て満たす業者に入札参加者を限定しているというところでございます。

 さらに、令和四年七月には仕様書の改正を行いまして、転売禁止部位の解体、破砕の履行状況につきまして、業者に画像提供をしてもらいまして、防衛省側におきましてこれを確認する、こういうことも義務づけております。

 いずれにいたしましても、防衛省といたしましては、自衛隊専用車の売払いにつきまして、適切に実施されるよう努めてまいる所存でございます。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 日本国民であれば、また、ここにいる皆さんであれば、日本の高機動車がロシアに売られているはずはないということは分かるんですけれども、経緯についてはお答えいただかなかったですけれども、もちろん、別にロシアに売ったわけではなくて、第三国にスクラップとして売ったものが、どこかの経緯でロシアの手に渡って、修理されて使用されているというような認識だと思うんですけれども、その辺りは何か把握されているところはあるんでしょうか。

土本政府参考人 繰り返しの答弁になって恐縮でございますが、御指摘の高機動車と指摘されている車両について、防衛省でも画像を確認いたしましたが、外観上の類似性は認められたんですが、画像だけでは自衛隊で売払いした車両と同一か否かは判断できなかったというところでございます。

斎藤(ア)委員 分かりました、そういう答弁なんですね。分かりました。

 民生用が、多分、昔、数百台造られただけで、ほぼ自衛隊にしか提供されていない車両だと思いますので、間違いなく、これは実機を、実際の車体を検査することは不可能ですので、確実性を持って言えないことは分かるんですけれども、自衛隊で造られていた車が行ったという認識で対応いただいていると思いますので、しっかりと、今おっしゃっていただいた再発防止策を徹底していただいて。外交上も、また国民感情的にも、友好国が使っているならまだしも、まあ友好国が使っているのは全然構わないですけれども、ウクライナを侵略しているロシア軍が使っているというのは、見栄え上も感情的にも非常に複雑なものというか、嫌な気持ちがするものでございますので、しっかりと再発防止策を図っていただきたいと思います。

 防衛装備庁長官においては、もうこれで退室いただいても構いませんので、ありがとうございました。

 それでは、通告の上の方から、次、質問をさせていただきたいと思います。

 私、予算委員会も担当させていただきまして、来年度予算案の審議をずっと見させていただいておりました。防衛予算に関しては大幅な増額であり、また、防衛政策の大転換とも言える、そういった予算になっています。また、安保三文書の改定も、大幅な改定がありまして、大変国民の関心も高いし、また、国民への丁寧な説明が必要なタイミングだと思うんです。

 まず、改めて防衛大臣にお伺いしたいんですけれども、この防衛政策の大転換、我々国民民主党としては、反撃能力も含めて、抑止力を強化をすることは必要だという認識、立場に立っておりますので、その点に関しては同意をする一方で、やはり不安に感じる国民もたくさんいらっしゃる、これは間違いないことだと思いますし、その不安を感じることも、これは感じて当然の不安だというふうに思いますので、それだからこそ、しっかりと丁寧に説明をしていくことが重要だと思うんですけれども、そういった御認識であるのか、防衛大臣に改めてお伺いしたいんですけれども、いかがでしょうか。

浜田国務大臣 私どもとすれば、そういう努力というか、説明の責任というのを重く感じておりますので、今後とも、しっかりと答弁していきたいというふうに思います。

斎藤(ア)委員 ずっとそうおっしゃっていらっしゃるんですけれども、改めて予算委員会での議事録などを確認していますと、手のうちを明かすことになるので答弁を差し控えるといったことが、例えばミサイルを何発買うんだ、単価が幾らだというところにもそういったふうなお答えで、中身を明示しないということが繰り返されてきましたし、あるいは、存立危機事態で反撃能力をそういった際に使用するのかに関しても、そういったことに関しても、どういった行動を取るのかというのは手のうちを明かすことになるのでお答えできないというような答弁が繰り返されていて、我々としては、防衛力の強化には賛成な一方、こういった説明では、予算に関しては、やはり国会の予算のチェック機能が十分に果たせなくなってしまうので大変な問題だと考えております。

 また、存立危機事態といった集団的自衛権を行使する場合で、新しく調達する装備品、能力を使うときに、あらかじめ、こういったことをしますよということは、ある程度国民にも理解していただかないと、いざそういった作戦が行われたときに、国民がぎょっとしてしまって、何だ、こんなことは聞いていないと。それで、更に懸念をされるのは、そういった作戦に当たっていただいた自衛隊の制服組の方々が、何であんなことをしたんだということで、国民の皆さんから批判の矛先を向けられるようなことがあっては決してならないと思います。

 政府がシビリアンコントロールをしっかりと発揮して、こういった場合には、まあ、事細かにどういった作戦を行うかなんて、そんなことを開示しろとは求めませんけれども、しっかりと、ある程度、今の何も説明しない状況ではなくて、こういった場合には反撃能力を行使します、特に集団的自衛権の行使の場合にはしっかりと説明をしておくことが必要だと思うんです。

 基本的に、答弁というのは事務方から防衛大臣のところに上がってくると思うんですけれども、事務方から上がってきた答弁が、これでは不十分である、もうちょっとちゃんと説明するように答弁を差し替えるべきじゃないかというようなことで押し戻したことは、防衛大臣、あるんでしょうか。ちょっと教えていただければと思うんですけれども。

浜田国務大臣 今御指摘の点については、我々とすれば、役所からの説明というものを押し返したということはありませんが、しかしながら、ここはどうなのという形で、説明できる範囲というのをもう少し広くしろというような議論は常々話をしているところでありまして、そういう意味では、いまだにそういった形で押し返すというほどの状況はございません。

斎藤(ア)委員 こういった関連の質問は予算委員会の場でもありましたけれども、過去に質問されて、事務方が秘密にしたものに関して、大臣などの政務方で、これは秘密ではないだろうと言う例があったのかという当時の質問に対して、今までそういったことはありませんというようなことがあって、今、そのことに関して通告もしていませんし、質問はしませんけれども、やはり、国民の代表として選ばれた国会議員の皆様が大臣、政務官、副大臣などを務めているわけですから、ここは今、説明をもうちょっと丁寧にしなければならないという意識を持って、しっかりと日々の答弁などにも、また国民向けの説明にも取り組んでいただきたいと改めて申し上げた上で、一つ、お答えいただけないかもしれないんですけれども、やはり聞かせていただきたいのは、存立危機事態の際、集団的自衛権を行使をして反撃能力を行使をするということがあるのかないのかというところを改めて聞きたいと思います。

 例えばですけれども、米軍の艦船などが、まあ尖閣諸島が攻撃された、反撃をする、それは当然のことなので分かりますけれども、例えば日本の領海、日本の艦艇、領土でなくて、日本と密接に今連携をしている米軍の艦船などが攻撃を受けた際に、その攻撃をしかけた国に、日本が今回調達するスタンドオフミサイルを使って反撃することがあるのか、お答えいただきたいと思います。

浜田国務大臣 存立危機事態は、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態であり、これを排除し、我が国の存立を全うする、国民を守るために他に適当な手段がなく、必要最小限の実力行使にとどまる場合において、自衛の措置として武力の行使が許容されているわけであります。

 このように、存立危機事態は、他国の防衛のためではなく、あくまでも我が国の防衛のために我が国が主体的に判断し、認定するものであるというのが前提となります。

 その上で、事態認定後、反撃能力については、防衛出動に際して無条件に行使されるものではなく、武力の行使の三要件に基づき、弾道ミサイル等による攻撃を防ぐために他に手段がなく、やむを得ない必要最小限の措置としていかなる措置を取るかという観点から、実際に発生した状況に即して個別具体的に判断されるものであります。

斎藤(ア)委員 一応、私も聞いて分かったつもりですけれども、やはり分からない、これは一体何なのかとなってしまうと思います。(発言する者あり)そうですね。今、安全保障法制の質疑に戻ってしまったみたいな感じになっているんですけれども、国民はこれを聞いて分からないと思いますよ。

 つまりは、米軍が日本近海で作戦行動を取っているときに、ある国に攻撃をされたら、それに対して日本が反撃能力を行使することがあるということだと思うんです。もちろん判断はされるということだと思いますけれども、米軍から要請されて拒否するということが本当にあり得るのかどうかというのは相当疑わしいんですけれども、そういうことだと思うんですよ。答えていただけないので、反撃をするということだと私は理解した上で、ちょっと質問を続けさせていただきます。

 これも予算委員会でありましたけれども、確かに、上陸部隊を、日本が反撃能力を出してとやるんだったら相当ハードルがあるので、とてもそんなことはしないだろうと思われるけれども、ミサイルだったら、反撃に対する、ハードルが下がるから、やはり、日本、反撃をしてくれということになると思いますし、それは、日本はこれからするという意味でミサイルを調達しているということだとも私は理解しています。もうお答えいただけないので質問はしませんけれども。

 こういったことは、大きく変わっているわけですね。日本と米国の関係も、日米同盟の在り方も、そして役割分担も、大きく、間違いなく変わっているわけでございます。

 それで、次の質問に移らせていただくんですけれども、日米同盟の形が大きく変わっていますので、まず外務大臣にお伺いしたいんですけれども、フォーリン・アフェアーズというアメリカの外交専門雑誌に、CSISのジャパン・チェアのクリストファー・ジョンストンという方が一月の十二日に出された論考があるんです。このクリストファー・ジョンストンさん、私は面識はないんですけれども、外務大臣は面識は。どうぞ、お願いします。

林国務大臣 CSISの皆さんと、たしか、ワシントンにこの間行きましたときに懇談をいたしましたが、そのときにいらっしゃったというふうに思います。

斎藤(ア)委員 この方がどういった方かというのはもちろん政府の方はよく分かっていると思うんですけれども、バイデン政権、オバマ政権の内部にもいたことがあって、日本の専門家、東アジア問題の専門家ということで、大変米国政府内でも影響力があるというふうに私は推察をしているんです。その方が、この論考の中で、日本の防衛政策の転換に伴って、日本の思いやり予算、米軍の日本での駐留経費の日本政府側の負担、つまり思いやり予算ですね、この思いやり予算の負担の分担に関して見直す時期が来たというふうに書かれているんですね。

 アメリカ側からも、日本の能力が変わった、役割分担が大きく変わったので、そもそも、これまで何か米国が日本を守るという片務的な関係だったものが、双務的に大分変わっている、日本もアメリカ軍を守ってくれるんだということに変わったということが理解の前提にあると思うんですけれども、だからこそ、この思いやり予算も変更する時期に来たんだということをおっしゃっているんです。

 日本の外務大臣である林外務大臣にお伺いしたいんですけれども、こういった防衛政策の大転換、双国の役割分担の変化に伴って、役割分担が変化しているかどうかは、政府がどう理解しているかはもうこの際聞かないですけれども、改めて、思いやり予算の負担の在り方、あるいは地位協定も含めて、大分、関係、役割分担が変わっていますので、このタイミングで、交渉し直すタイミングではないですか。米国からもこういったメッセージ、シグナルが発せられているわけですから、ここは絶好の機会だと思うんですけれども、いかがでしょうか。

林国務大臣 日米地位協定につきましては、これまでも米側と様々なやり取りを行いながら、事案に応じて、効果的にかつ機敏に対応できる最も適切な取組を通じて、一つ一つの具体的な問題に対応してきております。

 また、今お話のありました同盟強靱化予算、HNSでございますが、これについては、日米両政府の合意に基づきまして適切に分担されていると考えております。

 その上で、現行の特別協定期間終了以降の経費負担の在り方について予断することは差し控えたいと思いますが、今後とも、日本側の適切な負担の在り方については不断に検討してまいりたいと考えております。

斎藤(ア)委員 大幅に防衛予算を増やして、この予算は言うまでもなく国民の血税でございまして、防衛増税のお話も与党側から、政府側から出てきている中でございます。そういった中で、日本の役割が大きく増えるわけでございますから、日本の政府としては、国民が負担している税の使い方に関してはしっかりと精査をしていただかなければならないので、こういった意味では、思いやり予算に関してもしっかりと見直していく。

 私は、もう思いやり予算を払う段階でなくなってきている可能性もあると思いますので、これは、米国、相手がある話ですので、もちろん今の段階で予断を許さないと思いますけれども、こういったメッセージが米国政府関係筋からも発せられているということを踏まえて、しっかりと検討していただきたいと思います。

 日米同盟に関連してもう一つお伺いしたいんですけれども、やはり、自衛隊の能力が大きく変わっていく、反撃能力に関しても大幅に増強をされる、それ以外に関してもそうですけれども。そういった中で、日米の防衛作戦とか防衛協力の在り方というのは、やはり変わっていくのは当然だと思うんです。

 日米防衛協力の指針、いわゆるガイドラインの改正に関しては、先日、林外務大臣がワシントンに行かれたときもその話は出なかったということだったんですけれども、ガイドラインの改正、防衛大臣、これは特に必要ではないんでしょうか。こちらから何か働きかけることはないんでしょうか。いかがでしょうか。

浜田国務大臣 我々にとって日米同盟は不可欠であるというふうに考えておりまして、防衛力の抜本的強化は、日米同盟の抑止力、対処力を一層強化するものと考えております。

 日米の役割、任務、能力に関する議論をより深化させて、日米同盟の統合的な抑止力をより一層強化していくこととしておるわけであります。共同で反撃能力をより効果的に発揮する協力態勢の構築、より高度かつ実践的な演習、訓練といった取組を推進していくこととしておるわけであります。

 その上で、日米ガイドラインの見直しについては、まず、先般策定した戦略文書を踏まえ、日米の役割、任務、能力について日米で幅広く議論していきたいと考えており、直ちにその見直しが必要となるものと考えているわけではありませんが、いずれにせよ、日米ガイドラインの見直しの必要性についても不断に検討してまいりたいというふうに思っております。

斎藤(ア)委員 最初の、手のうちを明かす説明を控えるの質問とも関連するんですけれども、やはり、自衛隊がどういった行動を取れるのか、どういったことをしていくのかということは、もうちょっと国民に、もうちょっとというか大分、かなり、分かりやすく説明していただかないと、私も頑張って聞いていますけれども、やはりそれじゃ説明になっていないんじゃないかなと思うところも多いので、引き続きこの委員会で取り上げていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 以上で終わります。

鬼木委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 台湾問題について質問をいたします。

 先月十六日、予算委員会の公聴会が行われました。拓殖大学の川上教授は、台湾危機を前にして、日本がアメリカの戦争に巻き込まれる危険を指摘し、中国に対する信頼醸成措置やアジア地域の平和構築の必要性を強調しました。沖縄国際大学の前泊教授も、巻き込まれる危険を指摘し、沖縄を戦場にしないための対話プロジェクトや国連機関の誘致などの取組、アジアにEUのような組織をつくる構想などについて発言がありました。与党、野党が推薦した公述人の双方が、現状に強い危機感を持ち、絶対に戦争を起こさないための外交の重要性を強調したのが特徴的でした。

 外務大臣に伺いますが、台湾海峡をめぐって緊張が高まっていますが、これを戦争に発展させないために、日本政府としてどのような外交を進めていこうとしているのでしょうか。安保三文書には具体的なことは何も書かれていません。政府の具体的な方針を示していただけますか。

林国務大臣 台湾海峡の平和と安定は、我が国の安全保障はもとより、国際社会全体の安定にとっても重要でございます。我が国の従来からの一貫した立場は、台湾をめぐる問題が対話により平和的に解決されることを期待するというものでございます。

 この点、これまでも、一月の日米首脳会談を含めて、米国やG7との間で、台湾海峡の平和と安定の重要性について一致をしておるところでございます。

 先般、ミュンヘンで行われた会談におきましても、私から王毅外事工作委員会弁公室主任に対しまして、台湾海峡の平和と安定の重要性、これを改めて強調させていただきました。

 台湾海峡の平和と安定を確保するため、我が国として、こうした立場を中国側に首脳レベルを含めて直接しっかりと伝えるとともに、米国を始めとする同盟国、同志国と緊密に連携しながら、各国共通の立場として明確に発信していくことが重要でございまして、今後ともこのような外交努力を続けてまいります。

赤嶺委員 もうちょっと具体的に伺いますが、政府は、台湾問題について、当事者間の直接の話合いを通じて平和的に解決されることに期待するとの立場を表明してきました。これはどのような考え方に基づいてこうした立場を取ってきているのですか。

林国務大臣 この台湾海峡の平和と安定は、我が国の安全保障はもとより、国際社会の平和と安定にとっても重要でございまして、先ほど申し上げましたように、そういうことが重要だという考え方の下で、台湾をめぐる問題が対話により平和的に解決されることを期待するというのが我が国の従来からの一貫した立場でございます。

 かかる基本的立場を述べるに際しまして、その時々の情勢に応じて様々な表現を用いてきておりますが、今申し上げたような我が国の基本的立場は一貫して何ら変わっていないところでございます。

赤嶺委員 情勢に応じて表現はいろいろあるけれどもというお話でしたが、ただ、台湾問題は中国と台湾双方の当事者間の話合いで解決されるべき問題であります。この点、政府の見解もそれに沿ったものだと思っています。

 日本政府を含む国際社会が、武力ではなく平和的に解決されるべきだというメッセージは示すことはあっても、問題解決の具体的な方策について外から発言するようなことはやるべきではないと思いますが、大臣はどのように考えますか。

林国務大臣 御質問の趣旨を必ずしも正確に把握をしておるかどうか分かりませんが、我々としては、まさに今委員がおっしゃった、対話により平和的に解決される、これを期待するという立場、これが我々の立場ということを申し上げておるところでございます。

赤嶺委員 当事者間の話合いが大事だという点は、そのとおりであります。ただ、そういうメッセージを示すことはあっても、問題解決の具体的な方策について外からの発言をするようなことはやるべきではないというようなことを思います。

 この点に関わって、アメリカ政府の対応について伺います。

 トランプ政権は、二〇一九年六月、インド太平洋戦略を公表しました。そこでは、初めて台湾を国、カントリーと表記しました。一九七九年の米中国交正常化以降、アメリカ政府は一つの中国政策を取ってきており、台湾を国家と認定したことはありません。

 かつて、台湾の李登輝総統が、台湾と中国の関係を特殊な国と国との関係と発言して大問題になりました。現在の蔡英文総統も、台湾は既に主権国家であるというスタンスに立っており、中国側は強い警戒感を示しています。台湾の地位をどう位置づけるか、これは、この問題の核心であります。

 台湾を国、カントリーと表記することは、当事者間の話合いで解決されるべき問題を外から介入していることになると思いますが、大臣はどのように考えますか。

林国務大臣 今委員から御指摘のありました、米国防省の二〇一九年に公表したインド太平洋戦略におきまして、シンガポール、ニュージーランド、モンゴル及び台湾を合わせてフォーカントリーズと記載していると承知しております。

 日本政府として、他国政府が作成した資料の一つ一つについてコメントすることは差し控えたいと思いますが、その上で申し上げますと、米国は、長年にわたり一つの中国政策を取っておりまして、そのような立場に変更はないというふうに承知をしております。

赤嶺委員 変更はないと言いながら、違うことを言っているわけですよね。

 バイデン政権も同じなんです。二〇二一年十一月に、米中首脳会談が行われました。バイデン大統領は、会談後のぶら下がり会見で、台湾は独立している、自分で自分たちのことを決めていると述べました。しかも、従来の曖昧政策を転換して、台湾を防衛すると繰り返し発言しています。実際の行動でも、台湾に次々と武器を売却し、米軍による台湾軍への軍事訓練も行っています。川上教授は、バイデン政権が台湾に国連への加盟申請を促す可能性があることも指摘しております。

 要するに、アメリカ自身の思惑から、強大な軍事力を背景に、現在の状態を既成事実化しようとしているのではありませんか。こういうことを力による一方的な現状変更というのではありませんか。

林国務大臣 米国は、長年にわたり一つの中国政策を取っておりまして、台湾関係法も前提としつつ、台湾海峡の平和と安定や両岸の相違の平和的解決の重要性を強調しております。

 昨年五月の日米首脳会談の際でございますが、台湾に関する米国のこのような基本的立場に変更がないということを確認しておりまして、その後も、例えば、昨年十一月の米中首脳会談においても、バイデン大統領は、米国の一つの中国政策に変更はない旨述べていると承知をしております。

 いずれにいたしましても、台湾海峡の平和と安定、これは、日本の安全保障はもとより、国際社会の安定にとっても重要でございます。

 我が国としては、今後とも、米国を始めとする同盟国、同志国と緊密に連携しながら、両岸関係の推移を注視してまいります。

赤嶺委員 確かに、バイデン政権は、昨年の国家安全保障戦略、ここでも、一つの中国政策を維持すると、外務大臣がおっしゃったように表現しています。どちらの側からの一方的な現状変更にも反対し、台湾の独立も支持しないと述べています。

 しかし、現実にやっていることは、アメリカの軍事力を背景にした一方的な現状変更です。しかも、閣僚経験者や議会関係者が次々と台湾を訪問して、挑発的な発言を繰り返しています。ポンペオ元国務長官は、昨年三月、アメリカ政府は台湾を主権国家として承認すべきだと述べています。エスパー元国防長官も、一つの中国政策はもう必要ない、このように述べて、台湾に軍事費を増額するよう求めております。こうしたアメリカの対応が、緊張を高めるもう一方の要因になっているのではありませんか。

 昨年八月の中国による大規模な軍事演習も、ペロシ下院議長の台湾訪問が発端でした。当事者でない国が外から介入し緊張を高めるのはやめるべきだとアメリカ政府に言うべきではありませんか。

林国務大臣 他国の元閣僚等々の活動につきまして一つ一つコメントするということは、当然ながら差し控えたいというふうに思っておりますが、先ほど申し上げましたように、アメリカは、長年にわたり一つの中国政策を取っておりまして、台湾関係法も前提としつつ、台湾海峡の平和と安定、また両岸の相違の平和的解決の重要性を強調しておるわけでございます。

 こうしたことも踏まえながら、今後とも、米国を始めとする同盟国、同志国と緊密に連携しながら、両岸関係の推移を注視してまいりたいと考えております。

赤嶺委員 私たちも、中国による軍事的な威嚇や、ましてや武力の行使には絶対に反対です。しかし、だからといって、他国が一方の側に立って介入し、力を背景に押し通すことなど許されません。一つ一つに反応せよということではなくて、基本的には、やはり他国が介入している、それが問題を複雑にしている、これを改めるように、日本政府がちゃんとアメリカにも言うべきだと思います。

 こういうことをやれば、内政干渉になるばかりか、戦争の原因をつくり出すことになります。そのとき戦場になるのはアメリカ本国ではありません。この地域の国々です。日本政府は、この地域で絶対に戦争を起こさせない、そのために、米中双方に対して、緊張を高める行動をやめるよう働きかけ、当事者間の平和的な話合いの環境をつくることにこそ力を尽くすべきではありませんか。

林国務大臣 この台湾海峡の平和と安定、これは、今お話がありましたように、日本の安全保障はもとよりでございますが、国際社会の安定にとっても重要でございます。

 我が国としては、今後とも、米国を始めとする同盟国、同志国と緊密に連携をしながら、両岸関係の推移を注視をしてまいりたいと考えております。

赤嶺委員 今日は外務大臣のみの質問通告ですが、私の意見は防衛大臣もしっかり受け止めていただきたいと思います。

 今年一月の日米2プラス2の共同発表は、日米の戦略文書がかつてないほど整合していることを確認したと述べています。アメリカの対中戦略に追随して力による一方的な現状変更に加担するなど、これは絶対に許されません。

 政府は、これまで、サンフランシスコ平和条約により台湾を放棄した我が国としては台湾の法的地位について独自の認定を行う立場にないとの見解を示してきました。この立場には今も変わりありませんか。

林国務大臣 我が国は、サンフランシスコ平和条約第二条に従いまして、台湾に関する全ての権利、権原及び請求権を放棄しておりまして、台湾の領土的位置づけに関して独自の認定を行う立場にない、このような立場に変わりはございません。

赤嶺委員 日本は、戦争で台湾を奪い、中国大陸を侵略した歴史を持つ国です。その日本がアメリカにつき従って台湾問題に軍事的に関与するなど、絶対に許されないことを強く申し上げたいと思います。

 最後に、一点外務大臣に確認します。

 アメリカ政府は、先月五日、中国の高高度監視気球を撃墜したことを発表しました。外務大臣は、その二日後、七日の記者会見で、米国の立場を十分に理解していると述べました。一方、十四日には、米国の立場を支持していると見解を変えています。見解を変えたのはなぜなのか、理解と支持のどちらが日本政府の公式な見解なのか、明確にしていただけますか。

林国務大臣 事柄の性質上、詳細についてお答えすることは差し控えたいと思いますが、各種の情報収集、分析を踏まえて、米国の立場を支持するに至ったものでございます。

赤嶺委員 終わります。

鬼木委員長 外務大臣は御退席いただいて結構でございます。

     ――――◇―――――

鬼木委員長 次に、内閣提出、防衛省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。浜田防衛大臣。

    ―――――――――――――

 防衛省設置法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

浜田国務大臣 ただいま議題となりました防衛省設置法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明いたします。

 この法律案は、自衛隊の任務の円滑な遂行を図るため、自衛官定数の変更を行うとともに、地方防衛局の所掌事務に国際協力に関する事務を追加するものであります。

 以上が、この法律案の提案理由であります。

 次に、この法律案の内容について、その概要を御説明いたします。

 第一に、サイバー領域における優位性の獲得に必要な部隊の拡充を始めとする防衛省・自衛隊の体制の整備のため、海上自衛隊の自衛官の定数を百二十一人増加し、陸海空の共同の部隊に所属する自衛官の定数を百四十四人増加し、統合幕僚監部に所属する自衛官の定数を八人増加する一方、陸上自衛隊の自衛官の定数を二百五十五人、航空自衛隊の自衛官の定数を十八人、各々削減するものであります。なお、自衛官の定数の総計二十四万七千百五十四人に変更はありません。

 第二に、防衛装備品等の調達に係る品質管理業務を日米相互に無償で提供し合う米国国防省との枠組みに基づき行う業務を実施するため、地方防衛局の所掌事務について所要の規定の整備を行うものであります。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要でございます。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。

鬼木委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十四分散会


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