衆議院

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第3号 令和6年12月12日(木曜日)

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令和六年十二月十二日(木曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 遠藤  敬君

   理事 岩田 和親君 理事 尾崎 正直君

   理事 木原  稔君 理事 篠原  豪君

   理事 升田世喜男君 理事 屋良 朝博君

   理事 池畑浩太朗君 理事 橋本 幹彦君

      安藤たかお君    江渡 聡徳君

      勝目  康君    金子 容三君

      草間  剛君    小池 正昭君

      鈴木 英敬君    鈴木 隼人君

      関  芳弘君    高木  啓君

      土田  慎君    福田かおる君

      松本  尚君    森下 千里君

      新垣 邦男君    五十嵐えり君

      伊藤 俊輔君    重徳 和彦君

      下野 幸助君    松尾 明弘君

      阿部 弘樹君    深作ヘスス君

      角田 秀穂君    西園 勝秀君

      赤嶺 政賢君

    …………………………………

   防衛大臣         中谷  元君

   内閣府副大臣       瀬戸 隆一君

   外務副大臣        藤井比早之君

   厚生労働副大臣      仁木 博文君

   防衛副大臣        本田 太郎君

   防衛大臣政務官      金子 容三君

   防衛大臣政務官      小林 一大君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 岸川 仁和君

   政府参考人

   (消防庁国民保護・防災部長)           小谷  敦君

   政府参考人

   (外務省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化参事官)           斉田 幸雄君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 門脇 仁一君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房施設監) 茂籠 勇人君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官)           家護谷昌徳君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 寺田 広紀君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  大和 太郎君

   政府参考人

   (防衛省整備計画局長)  青柳  肇君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  青木 健至君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  田中 利則君

   政府参考人

   (防衛装備庁プロジェクト管理部長)        嶺  康晴君

   政府参考人

   (防衛装備庁調達管理部長)            藤重 敦彦君

   安全保障委員会専門員   花島 克臣君

    ―――――――――――――

委員の異動

十二月十二日

 辞任         補欠選任

  黄川田仁志君     高木  啓君

  鈴木 英敬君     安藤たかお君

  中曽根康隆君     小池 正昭君

  福田かおる君     勝目  康君

  向山  淳君     土田  慎君

  平岩 征樹君     深作ヘスス君

  山崎 正恭君     角田 秀穂君

同日

 辞任         補欠選任

  安藤たかお君     鈴木 英敬君

  勝目  康君     福田かおる君

  小池 正昭君     松本  尚君

  高木  啓君     黄川田仁志君

  土田  慎君     森下 千里君

  深作ヘスス君     平岩 征樹君

  角田 秀穂君     山崎 正恭君

同日

 辞任         補欠選任

  松本  尚君     中曽根康隆君

  森下 千里君     向山  淳君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 防衛省の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第九号)


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     ――――◇―――――

遠藤委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、防衛省の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付のとおり、内閣府大臣官房審議官岸川仁和君外十二名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

遠藤委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。伊藤俊輔君。

伊藤(俊)委員 立憲民主党の伊藤俊輔でございます。

 今日は給与法の改正について質疑をさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 まず、自衛官の充足率について、基本的なことを踏まえてお聞きしたいと思います。

 防衛省の資料によると、士区分の自衛官の採用状況は特に厳しい状況にあると思っています。採用計画に対する実際の採用者数を見ると、まず、三か月の教育訓練を受けた後に任期制の自衛官として任官される自衛官の候補生は、令和元年の七千三百五十九人から、令和五年には三千二百二十一人と大幅減。そしてまた、一般曹候補生の採用は、令和元年の六千六百四十七人から、令和五年には四千九百六十九人となっております。

 また、自衛官等の応募者数も、平成二十六年度の十万五千九百八十四人から、令和五年度には六万四千八百四十九人となっていて、若い世代の自衛官を確保するため、防衛省ではこれまでも様々な対策を行ってきていると承知しておりますけれども、依然として厳しい、改善に至らない現状だと思いますけれども、まず認識をお伺いしたいと思います。

中谷国務大臣 伊藤俊輔議員の御尊父であります伊藤公介衆議院議員には、私は若手議員の頃に大変御薫陶をいただいておりまして、大変お世話になっていますが、当時は国の人口ピラミッドが、団塊の世代ということで、非常に中堅の構図になっていましたけれども、最近は、人口減、少子化に伴いまして、特に高校卒業者の有効求人倍率の上昇などによって人材獲得競争が熾烈なものになっておりまして、その中で、自衛官の募集、採用も大幅に減少しております。特に、自衛官候補生及び一般曹候補生の採用は極めて厳しくなっておりまして、その中でも士の階級の充足は年々低下いたしております。

 人的基盤の強化のために処遇改善、募集活動の強化などの施策を実施しておりますけれども、まだ結果として表れていないということは、これまでの取組が必ずしも十分でなかったということでありまして、現在、任期制士の創設による自衛官候補生の廃止、自衛官任用一時金の増額、そして一般曹候補生に対する処遇改善を図ることなどによりまして、若い世代の自衛官の確保、処遇の改善を図っている最中でございます。

伊藤(俊)委員 ありがとうございます。私の父の時代から引き続き、よりよくなるように、いろいろ議論させていただきたいと思います。

 るる細かいこともお聞きしたいと思いますけれども、かねてから自衛官の候補生の広報の仕方を質疑させていただいてまいりました。

 一つ例を挙げて、任官前の三か月間の低い給与額が最初に出ている、こういうケースで、誤解を生んでいるんじゃないかという声があって、今パンフレット等は直っていると思いますけれども、先日ホームページ等で調べたら、低い給与がまだ先に出ておりました。是正してほしいとお願いしましたけれども、現状をお聞きしたいと思います。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年十一月の衆議院安全保障委員会におきまして、まさに委員から、広報における自衛官候補生の初任給の記載について御指摘をいただきました。これを受けまして、令和六年度の採用パンフレットの自衛官候補生の給与の記載は見直しました。また、ホームページの同様の記載につきましては、委員からの御指摘を踏まえまして、昨日修正をいたしたところでございます。

 引き続き、防衛力の中核たる自衛官の確保のため、関係閣僚会議の成果も含め、職業としての自衛官の魅力について、SNSや動画等を用いてより分かりやすく発信し、多くの方々に伝わるように努めてまいります。

伊藤(俊)委員 ありがとうございます。昨日お願いして、昨日スピーディーに改善していただいたということで、ありがたいお話でありました。これから体制がいろいろ変わっていくことも承知しておりますけれども、この間もできるだけ魅力的な広報の仕方を心がけていただきたいと思っております。

 その自衛官の候補生制度は、これから廃止していくような検討をされると聞いております。当初から、任期制の自衛官においては、任官後に支給される任用一時金の増額も計上されておりますけれども、自衛官候補生制度が廃止された場合、この増やした任用一時金も廃止になるのかということもお聞きしたいと思います。目減りすることがないように答弁を求めたいと思います。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 今般、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境や厳しい募集環境を踏まえ、任期制士を当初から自衛官として採用する新たな任期制士を創設し、自衛官候補生の身分を廃止することにより、若い世代の自衛官の確保、処遇の改善を図ることとしています。

 自衛官任用一時金は、自衛官候補生から二士に任官する際に支給される自衛官候補生独自の制度であるため、自衛官候補生制度の廃止に合わせて自衛官任用一時金も廃止されます。

 なお、新たな任期制士は、入隊当初から二士の自衛官として採用されることになり、自衛官任用一時金がなくとも、入隊当初の年収は一般曹候補生と同等になります。

 自衛官候補生は、二士として入隊する一般曹候補生より初任給が低く抑えられており、他の公安系公務員と比べて給与面で見劣りすることから、採用活動において不利となっています。今後は、任期制士を当初から自衛官として採用することにより、初任給が一般曹候補生と同等になり、採用面での不利な状態の要因の一つが解消されると考えております。

 新たな任期制士について、広報、周知を含め、募集活動を積極的に行うことにより、可能な限り多くの応募者を獲得し、採用者数を増加させていくよう努める所存です。

伊藤(俊)委員 目減りしないということで理解させていただきました。給与額が上がり、また、賞与、ボーナスも出るということで、多分計算上は目減りしないという認識で、分かりました。

 以前から、警察官等と比較しても低水準だということとか、あるいは、実際に自衛官として採用されないのではないかといった誤った認識を持たれたりとか、いろいろありましたので、是非よく検討していただきたいと思います。また、目減りしないように改めて気をつけていただきたいと思っております。

 そして、充足率の低下の原因として、中途退職者が多いということも指摘されております。自衛官の中途退職者数は、令和元年度から令和五年度までで一・三四倍増加しています。

 令和五年度より、民間会社を活用して調査研究事業も実施し、アンケートも取っているというふうにお聞きしておりますけれども、ちなみに、この調査結果、アンケート等は公表されているのか、これもお聞きしたいと思います。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 充足率の低下の原因の一つが中途退職者の多さということにつきましては、委員御指摘のとおりでございます。令和五年度の自衛官の中途退職者数は約六千三百名と近年では最多となっておりまして、防衛力の中核たる人材の流出は極めて大きな課題と認識しております。

 この調査結果につきましては、様々な場面におきまして防衛省の方から御説明をしてまいりたいと考えております。

伊藤(俊)委員 公表されていないということですか。

青木政府参考人 民間業者に委託して調査をしていただきました。防衛省としては、その調査結果はもちろん入手しておりますけれども、その調査結果報告全てを公表するということはしておりません。ただ、様々な説明の機会の場において説明をさせていただいているところでございます。

伊藤(俊)委員 実態に合った有効な施策を検討するためにも、できる限りの情報の公開と共有ができたら望ましいと思いますので、是非御検討いただきたいと思います。

 そして、引き続き、サイバーセキュリティー人材についてもお聞きしたいと思います。

 私も、これまで安保委員会でも度々、サイバー人材に関心を持って質疑をさせていただいてまいりました。サイバー人材の確保、拡充や、防大のサイバー・情報工学科の設置や、サイバー人材の留学への道や、高度人材確保のための、事務次官クラスの待遇ということになりましたけれども、その待遇の改善、そして、切れ目のない教育を可能とするキャリアパスや、官民で行き来ができるプラットフォームづくり、様々な質疑をさせていただいて、徐々に一つ一つ進んできているように感じております。

 まず、サイバー要員のコア要員が約四千人、そして総サイバー要員が約二万人、今目標に向かっていると思いますけれども、この数値の積み上げられた根拠というものを聞いたことがなかったので、是非、この根拠というもの、また、諸外国のサイバー要員の現状と比較していかなるものなのかということもお聞きしたいと思います。

家護谷政府参考人 お答えします。

 防衛力整備計画においては、サイバー攻撃を受けている状況下において、指揮統制能力及び優先度の高い装備品システムを保全し、自衛隊の任務遂行を保証できる態勢を令和九年度までに確立することとしています。

 サイバー専門部隊の約四千人体制の強化は、常時継続的にリスクを管理する枠組みの導入、自衛隊の装備品や施設インフラを含む情報システムの防護態勢の強化などの他の取組と併せて、防衛力整備計画の実現に必要な体制整備の一部を成すものであり、部隊の能力強化のために必要な要員数を根拠としています。

 また、サイバー専門部隊を約四千人に拡充することに加え、システムの調達や維持運営等、システムのライフサイクルを通じてサイバーセキュリティーを確保するために必要な業務に従事する隊員約一万六千人以上に対し、必要な教育等を行い、合計約二万人の体制とすることとしております。

 諸外国との比較でございますけれども、諸外国の軍のサイバー専門部隊の規模について様々な指摘があることは承知しておりますが、各国の軍のサイバー専門部隊が具体的にどのような任務を担っているかについては明らかでない部分も多いことから、サイバー専門部隊の規模を一概に比較することは困難です。

 他方、例えばロシアでございますけれども、参謀本部情報総局がサイバー戦を担当するとともに、サイバー部隊の要員数は約千人、北朝鮮は、軍偵察総局がサイバー戦を担当し、約六千八百人がサイバー戦に従事といった指摘がなされていると承知しています。

 いずれにしましても、防衛省・自衛隊としては、サイバー専門部隊の体制強化を始めとする各種施策を着実に進め、防衛省・自衛隊のサイバー防衛能力の抜本的強化に取り組んでまいります。

伊藤(俊)委員 防衛白書によると、米国では、二〇一八年に統合軍に格上げされたサイバー軍が六千二百人規模ということが記載されていました。イギリスでも、二〇二〇年に軍の国家サイバー部隊を設立して集約されている。そして、中国では、三万人のサイバー攻撃部隊、関連の戦略支援部隊が十七万五千人とも言われております。北朝鮮では六千八百人規模のサイバー部隊が運用中というようなことで、様々な諸外国の現状を踏まえつつ、日本がいかほどのサイバー人材、能力を有する方々が必要なのかというしっかりとした積み上げた議論をこれからも私も含めてしていきたいと思いますので、検討していただきたいと思います。

 自衛隊のいわゆるコア要員は、令和四年度末の約八百九十人から、令和五年度末には約二千二百三十名と、一気に千三百人増えていると承知しております。その一方で、次の年の令和六年度末には約二千四百十名を見込んでいて、約百八十人増、そして、その次の年は、令和七年度末までに二千五百七十人ですから、百六十人増を見込んでいる。そして、残りの二年間、令和九年度までに四千人ですから、約千六百人一気に集めなきゃいけないということで、千三百、百八十、百六十、最後の二年間で千六百。この計画性というか、なぜこういうふうになっているのかということと、一気に集まったこの千三百人の人材というのはどこからどのような技能を持った人材を集められたのか、お聞きしたいと思います。

家護谷政府参考人 お答えします。

 防衛力整備計画の下、防衛省・自衛隊のサイバー防衛能力の向上を図るため、サイバー専門部隊を、令和四年度末時点の約八百九十人から、令和九年度をめどに約四千人の体制に拡充することとしています。

 令和五年度末には航空自衛隊のサイバー運用隊を新編等しましたが、これにつきましては、その他の部隊等に勤務しておりました通信員として教育を受けている人たちに対して、一定の素養を持っておりますので、これに付加的な教育を加えることによって部隊に配置して、約千三百三十人の確保につなげたところでございます。

 さらに、令和九年度末までの間に更に千六百人の要員を確保する必要がございますけれども、陸海空自衛隊の学校における課程教育、部外の教育機関の活用、外部人材の活用などの取り得る手段を全て取ることでこれを実現することとしております。

伊藤(俊)委員 計画性の説明は今余りなかったんですけれども、普通に考えれば、千三百、百六十、百八十、残り二年間で千六百、もう少し積み上げた確保のやり方があるのではないかという気もしますけれども、四千人は大変なことだと思います。千三百人の人材がサイバーに精通した、自分で任務遂行可能な人材のレベルだと承知しております。いわゆるレベル三以上ということだと思いますけれども、どの部署からどれだけの人材が集まったのかという内訳みたいな資料がもしあれば改めて教えていただきたいと思います。

 これまで、入隊の段階からサイバー分野に関する業務に継続的に従事できる切れ目のないキャリアパスが重要だということを質疑でもさせていただいてまいりました。徐々にキャリアパスが見えやすくなってきたという実感を私も持っているんですけれども、最初の入口の高等工科学校のところも非常に重要ですから、これから教育の拡充等もされるということで、期待をしつつ、前回は減っていましたけれども、今回はまだ募集中だということで、改めてまた次回にも現状をお聞きしたいと思いますが、関連して、防衛省におけるサイバー人材の留学についても一つお聞きしたいと思っています。

 現在、幹部の自衛官のキャリアパスで海外留学は可能だということで、それ以外の准曹士の、幹部になる前のキャリアパスでは留学の実績が今はないということを承知しております。できないとはなっていないと聞いていますが、ただ実績がないということで、是非、現場でも留学の経験があっていいんじゃないかと思いますけれども、その道を検討していただけないかなというふうに思います。

家護谷政府参考人 お答えします。

 委員御指摘の部外の教育機関における教育は、サイバー人材の育成に当たり、隊員の能力向上を図る上で重要な手法の一つであると認識しています。この際、幹部自衛官だけでなく、准曹士も含め、サイバー要員が実践的な知見、経験を深める機会を確保することは極めて重要であると考えております。

 委員の御指摘も踏まえまして、幹部自衛官、准曹士といった階級にかかわらず、サイバー要員の留学機会を拡充してまいります。

伊藤(俊)委員 是非、新たな道が開けるように検討していただきたいと思います。

 そして、人材確保の一つとして、今、防衛省では防衛省サイバーコンテストが開催されております。毎年約三百名から五百名ぐらいの参加だとお聞きしております。

 これまで採用につながった実績を見ると、令和三年度で一名、令和四年度はなし、そして令和五年度で三名、令和六年度で一名と承知しておりますけれども、これだけサイバーに精通した方が参加している中で、どれだけの採用につなげる対策をされているのかをお聞きしたいのと、更に採用につなげられるようなアプローチをしていただきたいと思いますが、答弁をお願いしたいと思います。

家護谷政府参考人 お答えします。

 防衛省サイバーコンテストは、外部サイバー人材に防衛省・自衛隊における勤務に関心を持ってもらうことも狙いの一つとしております。

 令和三年の第一回コンテストの参加者数は約二百三十名でしたが、令和六年二月、今年二月の第四回コンテストは約三百十名まで参加者が増加いたしたところでございます。

 これまでの参加者の中から合計で五名が採用されておりまして、サイバー専門部隊である自衛隊サイバー防衛隊や整備計画局サイバー整備課などでその知見を生かして活躍しておるところでございます。

伊藤(俊)委員 いい機会だと思いますし、サイバーに関心のある、能力のある方が集まってくるところだと思いますので、是非、採用に向けてより一段のアプローチができるように対応を取っていただきたいと思っております。

 そして、これまで、官民を行き来できるようなプラットフォームが必要だということも求めてまいりました。今回防衛省サイバー人材総合戦略に記載されたリボルビングドアというのが官民を行き来できるようなプラットフォームだと承知しております。

 書きぶりを見ると、防衛省や自衛隊を離職されたアルムナイの再採用が推進されている、それが主要に書かれているような印象でありました。民間からの人材を積極的に獲得するという意思が余り感じられないような感じもしましたので、その認識をお伺いしたいと思うのと、かねてから、機密保持やセキュリティーの在り方、どれほど柔軟に行き来できるようにするのかということも課題だと思いますけれども、大臣にお聞きしたいと思います。

中谷国務大臣 伊藤議員からもかねてから、優秀なサイバー人材を防衛省で確保するのは喫緊の課題であるということで御指摘をいただいておりました。

 そのために、七月に防衛省サイバー人材総合戦略というものを公表しまして、離職した職員を再び採用する取組に加えまして、部外人材の更なる活用を推進するという考えから、リボルビングドアの取組を記載したところでございます。

 これにつきましては、部外のサイバー人材を採用する際も、セキュリティークリアランスの付与に関して必要な確認をまず行うという措置をしっかり講じた上で、非常勤のサイバーセキュリティーアドバイザーの採用、また、事務官等や自衛官への経験者の採用、そして、サイバー予備自衛官の拡充、並びに官民人事交流制度の活用などの取組を通じまして、サイバーの専門的知見を持つ部外の人材の取り込みを実現してまいりたいと考えております。

伊藤(俊)委員 これまでも民間からの活用で様々な施策がありますけれども、このリボルビングドアというのがより機能すれば官民が行き来できるようなすばらしいプラットフォームができると思いますので、様々な課題はあると思いますけれども、是非前に進めていただきたいと思っております。

 そして、民間からの活用という意味も含めて、民間にももう既にサイバー人材を育成する機関というのは多々あると承知しております。以前にも質疑をさせていただいたときに余り具体的な答弁はなかったんですが、防衛省として民間にそういった機関が幾つあるのかという情報収集をどれだけされているのか、把握されているのか、もし件数等も分かれば内情をお聞きしたいと思います。

 重ねて、それらの機関に対しては、アプローチや連携、あるいは採用につなげられるような取組をされているのか、併せてお聞きしたいと思います。

家護谷政府参考人 お答えします。

 防衛省においては、現在もサイバー要員の教育に当たりましてセキュリティー企業への研修なども実施しているところですが、どこの研修先がいいかといった情報につきましては継続的な収集に努めておるところでございます。

 委員の御質問にありました、我々が何件あるのか、どれほど把握しておるのかということでございますけれども、いろいろと改廃とかもございますので、網羅的に何件というところまでは承知しておりませんけれども、その時々でどこがいい教育を提供するのかということに関しては、常時継続的に情報の把握に努めておるところでございます。

 また、サイバー関連の講座を持つ大学等にサイバー要員を留学させておりまして、こういったところも通じまして教育機関の把握にも努めておるところでございます。

 さらに、この一環としまして、サイバー関連の講座を持つ専門学校に我々の職員を派遣いたしまして説明会を実施しておりまして、若者に対して直接的なアプローチを行っているところでございます。

伊藤(俊)委員 具体的な数値等はありませんでしたけれども、まだまだ把握が足りないのではないかという認識を持っております。人材確保のためには、民間の人材、そういったところの機関にも是非アプローチしていく必要性があるんだと思いますけれども、是非そういったことも収集していただく努力を続けていただきたい。そして、現状何かあれば別途教えていただければと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 時間が迫っておりますので数問飛ばさせていただいて、自衛隊の奨学生制度について一問お聞きしたいと思います。

 令和五年度予算において奨学生の枠を四十名に拡大したものの、令和五年度では十九名でありました。令和六年度は、一回目、二回目の募集をする予定でありましたけれども、一回目で最大五十名、十名増やして五十名、今回は募集の枠が広がりましたけれども、五十名、一回目で満たす募集があったとお聞きしております。二回目の募集自体がなくなったというふうに承知しております。

 その現状と、一方で、実際に入隊される方は毎年十人弱にとどまっているというふうに承知しております。少ないという感じがしますけれども、令和七年度予算の概算要求では〇・五億円計上されておりまして、この学資金を現在の月額五万四千円から引き上げるというふうに聞いておりますけれども、併せて現状と学資金の引上げについてもお聞きしたいと思います。

中谷国務大臣 この制度は、実施しておりましたけれども、認知度に課題がありまして、現在、令和五年度末の入隊者は八名であります。この学資金の貸与者は、五十名枠がありますけれども、二十一名にとどまっておりました。

 したがいまして、優秀な人材を確保する観点から、さきの通常国会におきましては、これを自衛隊奨学生制度として分かりやすい名称とした上で、文系の大学生、高等専門学校の学生なども募集対象に拡大し、そして、自衛隊奨学生制度につきましては、民間の奨学金ポータルサイト、ターゲティング広告なども積極的に活用しまして制度の周知、魅力の発信に努めてきております。その結果、現在選考中でありますけれども、この奨学生の予算上の上限人数である五十名を確保できる見通しがついております。

 早期から優秀な人材を確保していく必要があるために、令和七年度の予算概算要求につきましては、学資金の額を月額五万四千円から月額八万円に引き上げるということを要求いたしております。

 また、民間企業も含めた人材獲得競争が熾烈になる中、一人でも多く専門的な知識、技能を有する優秀な人材を防衛省の方で獲得できるように努めてまいりたいと思っております。

伊藤(俊)委員 ありがとうございます。

 かねてから、この貸費学生制度という名前が奨学金、奨学生でいいんじゃないかという質疑をさせていただいて、今、自衛隊奨学生に名称が変わった。分かりやすくなってよかったと思っております。また、今回五十名確保できる見込みだということで、すごく望ましいと思いますし、五万四千円から八万円に上がるということで、より魅力的になるんだと思っております。

 この自衛隊奨学生制度というもの自体が、自衛隊への勤務を希望する者が学生である期間、奨学金を受けて一般の大学で学業を修めて、卒業後には国家公務員特別職、いわゆる幹部が約束される本来魅力的な制度にもかかわらず、利用者が少なく、実際に入隊される方は十人弱にとどまっているということですから、是非ここの更なる拡充と、募集に力を入れていただきたいと思っております。

 そして、時間が迫っておりますけれども、最後にFMSについて一問お聞きしたいと思います。

 会計検査院の調査によると、二〇二三年度は、円安の進行により、当初想定されていた六千六百八十八億円から七千九百二十八億円に支払い額が増えたということで、一千二百三十九億円も支払い額が増えており、多額の為替の差損が生じております。また、契約の翌年度以降に支払う後年度負担の金額も、推移を見ると、二〇二三年度末時点で九兆四千五百五十八億円となり、二〇一九年末と比較しても二倍に膨らんでいるということも明らかになっております。

 防衛省は為替のリスクというものをどのように考えているのか、この差損を生じた場合に誰がどのように負担しているのかということ、そして、今後アメリカの状況もいろいろと変わってきますけれども、更にFMSの調達の増加も懸念される中で、このようなリスクへの対応を現実的に考えなければいけないのではないかと思いますけれども、大臣の認識をお伺いしたいと思います。

遠藤委員長 中谷大臣、時間が過ぎております。簡潔にお願いいたします。

中谷国務大臣 会計検査院におきましては、御指摘いただいたことを指摘をいただきました。

 その上で、現在、FMS調達におきましては、契約書に相当する引き合い受諾書、LOAと申しますけれども、そこでドル価で契約して、支払い計画を日米政府間で合意した上で調達を行っております。

 この支払いに際しては、支出官事務規程等に基づきまして、支払い計画で定められたドル価に年度ごとに定められた為替レートであるいわゆる支出官レートを乗じた円価を日銀に通知することとされておりまして、会計法令上、防衛省として為替予約取引などの為替変動を考慮した取引を介在させる機会がないわけでございます。

 したがいまして、この件につきましては、現状の制度を実施する上において一層の効率化、合理化を徹底しまして、計画に従って四十三兆円程度の範囲内で必要な防衛力の強化をしっかり行っていくということでございます。

伊藤(俊)委員 誰がどのように負担しているかという明確な答弁がなかったものですからあれですけれども、是非、こういうリスクがあるということを改めて念頭に置いて対策が必要だと思いますので、引き続き議論させていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

遠藤委員長 次に、五十嵐えり君。

五十嵐(え)委員 この度の衆議院選挙で東京三十区で初当選させていただきました五十嵐えりと申します。よろしくお願いいたします。

 初めての国会質問になるんですけれども、主権者である国民が、選挙で選出した代表者を通じて、軍事に関する予算、法律、そして行動の最終的判断、決定権を持つというシビリアンコントロールの趣旨からしても、国会での議論は重要だと思っております。

 その上で、防衛政策については地域の住民の皆さんのお声が大事だと思っておりますので、今日は、この間お聞きしてきた市民の皆様からのお声を率直にぶつけさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 冒頭に確認させていただきたいと思います。

 十二月十日に日本被団協がノーベル平和賞を受賞されました。被団協の代表の田中熙巳さんは演説で、核兵器の保有と使用を前提とする核抑止論ではなく、核兵器は一発たりとも持ってはいけないというのが原爆被害者の心からの願いですとおっしゃっております。

 ところが、いろいろ調べさせていただいたところ、二三年二月十八日の時事ドットコムの記事で、中谷大臣が、非核三原則の持ち込ませずについて見直す必要性があるというようなことを御地元の国政報告会でおっしゃった。非核三原則はいつまでも通用するのか、せめて、持ち込むということは現実的ではないかなどと述べたという記事を拝見いたしまして、確認させていただきたいと思っております。

 この度の衆議院選挙でも非核三原則を見直すべきだという主張の方がいらっしゃって、市民としても非常に不安を感じておりますので、この点、大臣のお考えを確認させていただきたいと思います。

中谷国務大臣 その発言は、かつて岡田外務大臣が委員会等で答弁された内容に沿ったものでございます。

 政府としては、基本的に、我が国自身の防衛力を強化していくとともに、日米安保体制の、核抑止力を含む米国の拡大抑止の信頼性をこれまで以上に強化していくということでございまして、その趣旨は、非核三原則は堅持した上で、米国の拡大抑止に係る意思決定のプロセスについて米国との意思疎通を行うことの重要性、趣旨に基づいた発言でございます。

五十嵐(え)委員 今、核抑止力を強化しという御発言があったかと思うんですけれども、田中さんは核抑止力自体をやめてほしいという魂の叫びをおっしゃっていますので、その点については政府としても核廃絶を目指して真剣に取り組んでいただきたいと思います。

 次に、この間有権者の皆様からお聞きしてきたお声について質問させていただきたいと思います。

 私は東京三十区というところで当選いたしまして、東京三十区は府中市がございます。府中市には航空自衛隊の府中基地がございます。近隣の方々にいろいろお伺いしますと、府中基地では毎年納涼祭や音楽祭などが開催されていて、音楽隊もいらっしゃいます。災害救助を学ぶということで、府中市役所から令和六年度については百名ほど研修をされていると伺っております。

 地域の皆様にとっても、府中基地が近くて自衛隊員が近いからこそ身近に感じていらっしゃることでもありますし、日頃、本当に命懸けで国民の命と財産を守るための職務を遂行されている組織ということでもあり、本当に身近に感じながら、敬意を持って考えられていると伺っております。

 その一方で、府中基地が近いからこそ、日本の防衛政策については不満があるといったお声も聞いていますし、非常に関心も高いんだという意識を持っております。

 一番大きな御不安というのが防衛費倍増です。突如防衛費が四十三兆円に増えたという点については、現状、生活が苦しい国民の方もたくさんいる中で、なぜ防衛費だけ四十三兆円に増やすのかという声についてはたくさんお聞きしてまいりました。

 今回も、防衛費四十三兆円のうち、自衛隊員の給料については余り多くなく、多くがミサイルや潜水艦などの防衛装備品などに支払われると伺っています。

 今回の補正予算を拝見させていただきましたところ、補正予算八千二百六十八億円のうち、給与法の改正で給与が上がるのは三百八十八億円にすぎません。急増した防衛費のほとんどが防衛装備品や基地の施設整備などに費やされることについて、理解に苦しむというようなお声をたくさん聞いてまいりました。

 そこで、確認させていただきたいと思います。この補正予算の中身を拝見いたしまして、教えてほしいんですけれども、自衛隊の運用態勢の早期確保に三千三百六十九億円という記載があるんですけれども、これを補正予算で組まなければいけない緊要性について伺いたいと思います。

寺田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員のお尋ねの装備品に関しましては、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境において、自衛隊の運用態勢を早期に確保するため、航空機や艦船、弾薬などの装備品の調達の加速等に係る経費として三千三百六十九億円を計上しているところでございます。

 これは、例えば、本年八月に中国軍機による領空侵犯、九月には中国軍空母による領海に近接した海域の航行等、我が国周辺の海空域においてこうした事案が短期間に立て続けに起きておりまして、警戒監視能力の重要性が高まっていることなどを踏まえまして、これらの装備品の運用態勢を早期に確保することとした緊要性の高い経費でございます。

五十嵐(え)委員 確認させていただきたいんですけれども、元々契約で支払う予定のものを前払いで払ったという事実はあるんでしょうか。教えてください。

寺田政府参考人 お答え申し上げます。

 令和六年度補正予算案におきましては、自衛隊の運用態勢を早期に確保するため、今申し上げましたように航空機とか艦船、弾薬などの装備品の調達の加速等に係る経費を計上しておりまして、そのうちには令和六年度までに締結した契約に関するものも含んでございます。

五十嵐(え)委員 早期に装備品を取得するために早めに払ったものがあるという理解でよろしいでしょうか。

 問題意識として何を申し上げたいかというと、川崎重工の裏金問題です。

 これは今年の七月に報道もされていますけれども、報道内容によりますと、川崎重工は、海上自衛隊から請け負った潜水艦の修理で、取引先企業との間で架空取引を行い、捻出した裏金を飲食などに不正に流用していたと公表しています。その金額は十数億円に上るというお話もありますし、記事によっては六年前からあったというお話もありますし、二十年前から続いているというお話もあります。

 川崎重工ですけれども、令和五年度の防衛省、国との調達における契約の実績を調べましたところ、三菱重工が二百五十五件で一兆六千八百三億円、川崎重工が百五十五件で三千八百八十六億円で、業界二位の取引金額となっております。川崎重工に対しては、潜水艦や哨戒機、輸送機、ヘリコプターなどの防衛装備品を製造してもらって調達しているということでよろしいでしょうか。

 それで、現在、この不正な疑惑については特別防衛監察をされていると伺っています。そこで、今回、先ほど教えていただいた航空機や弾薬等の先に企業に払っているもののうち、川崎重工が入っているのか、川崎重工が入っているとして、幾ら、何に払うのかということについて教えてください。

寺田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げました令和六年度までに締結した契約に関するものということで、その中で、川崎重工業が製造する装備品の取得に係る経費といたしまして、例えば、C2輸送機三億円、P1固定翼哨戒機四百七十七億円等が含まれております。

五十嵐(え)委員 今、主要なものでということで教えていただきましたけれども、大体四百七十億円ぐらいを今回の補正予算で前倒しで払うというようなことになっている。これは、前回の安保委員会とかいろいろ議事録を拝見させていただきまして、予算を執行停止すべきだというお話もあるんですけれども、それはされないということでしたし、さらにその上で、特別防衛監察の調査結果もまだ出ていないんです。調査結果が出ていないことについても四百八十億円ほどを補正予算を組んで先に払うといったことについて、これは国民の感覚とかけ離れているんじゃないかなと思うんです。

 防衛省が払った契約のお金が過大請求されている疑いもございますし、その先で、契約違反というか、不正に使われた疑惑もまだ残っているにもかかわらず、補正予算を組んで、物すごい金額ですね、四百八十億円、これを先に払うといったことの妥当性については非常に疑問があると思っています。

 かつ、防衛省は百社に対しても自社点検を促していると聞いています。この結果もまだ出ていないと伺っていますし、今回の補正予算の中で払われる企業の中にはそういった会社もあるのではないかと認識しています。なので、補正予算を組んで、まだ調査中の企業に対して先にお金を払うことの妥当性については極めて疑問に思います。

 かつ、いろいろ調べていったところ、仮に、調査をした結果、入札の指名停止になったとしても、今回も随意契約であるように、結局、やむを得ない理由があるということで随意契約してしまうということであれば、事実上、不正が発覚したとしても変わらずに契約は続けてお金を払い続けることになります。

 こういった感覚は、自民党さんはこれまで裏金問題がたくさんありましたけれども、今、国民の生活が厳しい中で、裏金とか、防衛費が増えた中で、数千億円の税金を払っている企業がこういった不正をやっているにもかかわらず、これを見過ごしてそのまま何事もなかったかのようにお金を払うというのは国民の理解は得られないと思っています。

 特別防衛監察が終わるまで予算の執行停止ができないのも問題ですけれども、前払いするのは問題ではないかと私は思っています。調査結果が出るまで、せめて前払いは控えるべきではないでしょうか。見解を伺いたいと思います。

寺田政府参考人 お答え申し上げます。

 川崎重工業との潜水艦修理契約に関しましては、現在、防衛監察本部における特別防衛監察等を実施して、その事実関係を明らかにするため、現在調査を進めているところでございます。

 防衛省といたしましては、この調査により判明した事実関係を踏まえて適切に対応を講じてまいる考えでございまして、現時点では予断をせず、安全保障環境の変化への的確な対応のために必要な経費を計上させていただいているところでございます。

五十嵐(え)委員 今、結果を踏まえて適切に対応というふうにおっしゃいましたけれども、多分変わらず、不正が見つかったとしても随意契約で契約は続けられると思うんです。それは国民の理解は難しいんじゃないかということを伝えさせていただきたいと思います。

 次に、府中基地について伺いたいと思います。

 冒頭、私は府中市を含む東京三十区というところから今回初当選させていただいて、市民の方に府中基地の印象をいろいろお伺いすると、非常に身近な存在で、音楽隊もあって、極めて平和で安全で、親しい存在だと思ってきたというふうにおっしゃっているんですけれども、これが何となく雰囲気が怪しくなった、二〇二二年頃から何となく府中基地は危ないんじゃないのみたいな雰囲気があるというお話を伺っています。

 その一つが、今日資料としてお配りさせていただいております二〇二二年十二月三十一日の読売新聞の記事でございます。何が書いてあるかというと、府中基地については電磁パルス攻撃の対策を取るというようなことが書かれています。

 電磁パルス攻撃とは、いろいろ議事録も検索させていただきましたけれども、高高度での核爆発により強力な電磁波を発生させて、電子機器に過負荷をかけて誤作動させたり損傷させたりするものだということで、核爆発を伴うような攻撃だというふうに認識しております。

 二二年に改定された安保三文書の防衛力整備計画の十ページで、主要な司令部等を防護し、粘り強く戦う態勢を確保するために電磁パルス攻撃の対策等を実施するというふうに記載がございまして、まさに府中基地はこれに当たるということです。主要な司令部等に当たりますし、粘り強く戦う態勢を維持ということで、特に府中基地がそういった重要な施設になっているということでございます。

 前提なんですけれども、この読売新聞に書かれている記事が事実かということと、実際に電磁パルス攻撃が起きた場合に近隣の市民にどういった被害が生じるのかというのをどのように認識されているのかについて伺いたいと思います。

茂籠政府参考人 お答え申し上げます。

 一般的に、電磁パルス攻撃とは、瞬時に強力な電磁波を発生させ、電子機器に過負荷をかけ、誤作動させたり損傷させたりすると承知しております。

 施設整備では、自衛隊施設での電磁パルス攻撃対策は、例えば、電子機器等を保管する施設内に外部から電磁波が侵入することを防ぐため、シールドや電源の防護装置を設置する等の必要な措置を講じる、そういうことをしておりますが、市民に対する被害については、施設外のことですので、今の時点でお答えできないのを御理解いただきたいと思います。

五十嵐(え)委員 施設外とのことですけれども、この電磁パルス攻撃によって攻撃された場合の市民に対する被害を把握していらっしゃる関係の担当の部署はあるんでしょうか。その点だけ教えてください。

茂籠政府参考人 お答え申し上げます。

 電磁パルス攻撃の態様やその時々の状況により一概に申し上げることは困難であるが、一般論として申し上げれば、万が一攻撃を受けた場合には、自衛隊が適切なアセットを用いて自衛隊施設も含め被害情報収集を行い、司令部を置いてその情報の集約を行うこと、そういうことを考えております。

 以上です。

五十嵐(え)委員 今の御答弁を聞くと、被害が起きた後に自衛隊として収集するというようなお話だったかなと思っています。

 いろいろな記事を読みますと、例えば、電磁パルス攻撃によって、飛行中の旅客機が制御機能を失って落下したり、ほかには、体内に埋め込んだ心臓のペースメーカーが動かなくなって亡くなってしまったり、病院も、非常電源が尽きた後に電気が使えなくなって、救えるはずの命が救えなくなるといったような大惨事が起きるという記事もございますし、政府機関や専門家の研究でも、攻撃を受けると最初の一週間で数百万人が命を落とすというような記載もあります。

 こうした極めて危険な攻撃だと私は思ったんですけれども、なぜ施設だけその対策をして、市民には現時点で、府中基地がこういう対策をしているという何の事実も全く周知してもらっていないですし、今の御答弁でも、こういう範囲に対してこういう被害が出るということも教えてもらっていないですし、なぜ、市民を放置して、府中基地だけ対策をしなければいけないのかという点については非常に疑問に思います。

 なぜ私はこの点を質問するかというと、私は衆議院選挙に出る前は都議会議員をしておりまして、何を言いたいかというと、東京都は、国民保護法に基づくミサイルが飛んできたときの避難訓練を実はすごく積極的にやっていらっしゃって、ミサイルが我が国に飛んできたときに堅固な建物に逃げてくださいねというようなリリースだったり、パンフレットだったり、チラシだったり、小池知事も記者会見で、もしミサイルが飛んできたら、都民の皆さん、逃げる、離れる、隠れる、NHKですよというようなことを物すごくアピールされているんです。実績も伺ったところ、東京都も国と協力して国民保護法に基づく避難訓練を何度かやっているんですけれども、全てがミサイル防衛、ミサイルが飛んできたときの逃げる訓練だというふうに伺っております。

 ミサイルが飛んできたことに対する避難については物すごく訓練もやるのに、電磁パルス攻撃というのがこんなにも危険であるにもかかわらず、なぜ放置されているのか、私は非常に疑問に思っています。

 実際、東京都はNHKと言って、あと、緊急一時避難施設も人口カバー率一〇〇%になりましたとか言ってすごく大々的に宣伝もしているんですけれども、実際にいろいろ中身を私も総務委員会で質問したところ、例えば、練馬の駅で避難訓練をしたことがあるんですけれども、参加された住民の方が六十人しかいなかったんです。予算も百五十万円ほどで、時間は何と十分ほど。駅員も一名参加したのみ。練馬区民は七十五万人います。練馬駅の利用者は一日三万五千人います。その六十人の十分の訓練でどれだけ効果があるのかなと思いますし、今年も中野区で実施しておりまして、そのときの参加人数も八十名ほどです。このような訓練でどれほどミサイル攻撃から身を守れるのか非常に疑問があるにもかかわらず、この点の訓練はすごく一生懸命やっているんです。

 しかも、私が都議会にいたときに、二〇二二年の九月三十日に小池知事は、緊急一時避難施設のカバー率が一〇〇%になりましたというふうに記者会見したんですけれども、その四日後に都内で初めてJアラートが鳴ったんです。結果、これは誤報だったんですけれども、そのときに皆さんがちゃんと緊急一時避難施設に逃げたかといいますと、東京都の島嶼部二町七村に百二の緊急一時避難施設があるんですけれども、使用した人数はいずれもゼロです。

 この点について、私は総務委員会で東京都に対して、なぜ使われなかったのかについて検証すべきじゃないかと言ったんですけれども、東京都は、SNSでもっと告知しますとか、リーフレットを配りますとか、余り本質的じゃないなということがございました。

 かつ、例えば、ミサイルの頭のところに核が積んであったら東京都としてはどうするんですか、地下シェルターも造ると言っているので、核が飛んできた場合にはどうするんですかと聞いても、様々な武力攻撃事態を想定し、万全の体制を整備するのは国の責務だといって答えてくれなかったんです。

 なので、本当に東京都として意味があるのかなと思いますし、国も共同でやっているということでしたので確認させていただきたいんですけれども、国としても都と共同でやってきたこういうミサイル防衛避難訓練については意義があるということでよろしいんでしょうか。また、今後どのように実施されるかについても伺いたいと思います。

小谷政府参考人 お答えいたします。

 東京都におきましては、平成十七年度から令和五年度までの訓練ということで、国との国民保護の共同訓練は十件行っておりまして、そのうち、弾道ミサイルを想定した訓練は三件で、その他、テロ等を想定した訓練を七件行っているところでございます。

 御指摘がありました中野区での訓練につきましても、これは実動訓練でございました。まず一つには、弾道ミサイルが飛来するということを想定した住民の避難訓練を行いましたが、その後、ミサイルが落下して、化学物質が載っておってその被害が発生したということで、例えば消防によります住民の救出、救助の訓練などを行っているところでございます。

 国民保護訓練につきましてこれまでの効果はどのようなものがあったかということでございますけれども、武力攻撃事態、緊急対処事態などに際して的確かつ迅速に国民保護のための措置を実施するためには、平素から十分に訓練をしておくことが重要でございまして、消防庁は内閣官房と連携し、地方公共団体と共同で国民保護訓練を実施しているところです。

 これまでの訓練の効果として、関係機関相互の連携の深化であるとか、住民の避難に関する手順の具体化、避難行動についての住民の理解などが一定進んでいると承知しております。

 今後も様々な事態を想定した様々な訓練を積み重ねることが重要であると認識しておりまして、消防庁としては、引き続き内閣官房と連携し、地方公共団体に対し、訓練の必要性を丁寧に説明した上で、訓練の実施に向けた働きかけを行い、全国各地のより多くの地域で、地域の実情を踏まえ、様々な事態を想定した訓練が実施されるよう、引き続き積極的に取り組んでいきたいと考えております。

五十嵐(え)委員 様々なということでしたけれども、弾道ミサイルに対する避難訓練に都として非常に偏っているという点については指摘させていただきたいと思います。なぜ、このようにミサイル防衛だけ一生懸命訓練して、電磁パルス攻撃対策は、施設はするけれども市民には知らせないというのは非常に理解に苦しみます。

 府中基地に核爆発による電磁パルス攻撃の対策が必要なら、市民にも知らせて近隣の住民に対策をさせるべきではないか、時には訓練も必要ではないかと思いますけれども、お考えをお聞きしたいと思います。

小谷政府参考人 御指摘も踏まえまして、国民保護に関する取組はいろいろなものを積み重ねて徐々に強化していくものだと思っております。まさに抑制的な抑止力としても国民保護というのは重要な分野でございますので、今後とも一歩一歩進めていくように取り組んでいきたいと思っております。

五十嵐(え)委員 府中基地の近隣に住んでいる方の不安を払拭するような御答弁ではなかったなというふうに認識いたしました。

 それで、もう一点、時間がなくなってしまったんですけれども、なぜ府中基地の近隣の市民が急に二〇二二年以降不安に思っていらっしゃるかの二点目が、今日の資料でつけさせていただいたんですけれども、二枚目の重要土地等調査法に基づく指定です。こういうふうにエリアがくっきりと一キロで区切られたことによって、まさにここに住んでいる方から、府中基地は今まで音楽隊もあって平和な基地だと思っていたのに、これを見ると、重要な司令部ということで狙われる可能性があるところだということが分かったとおっしゃっている方がいらっしゃって、これは地域の住民にとっては結構ショッキングな絵なんです。攻撃目標になるというようなことを示す図で、かなりショッキングな絵でございます。

 これも市民の方にいろいろ伺いますと、昨年の十二月十一日に注視区域と言われて、一月十五日、一か月しかないままに施行されてしまった。このエリアに住んでいる人口の数は令和五年十一月時点で約六万人おりまして、府中市民は二十六万人おりますので四分の一以上が該当していて、この中には学校もありますし、マンションもありますし、病院もあるにもかかわらず、よく教えてもらっていない。市からも、防衛省など、国に対して住民説明会などを求めているというふうに伺っていますけれども、国からの周知も極めて足りない。

 私も議事録をいろいろ拝見させていただきましたけれども、リーフレットを作ったり広報誌に載せたりというようなことをしている、かつ、コールセンターを設けているから大丈夫だというようなことをおっしゃっているということは認識しているんですけれども、府中市からはそれでは足りないと言われているのが事実でございます。

 もっと周知してほしい、徹底してほしい、住民にもっと知らせてほしいという声がありますけれども、この点についてどのように取り組まれていくのか、お考えを伺いたいと思います。

岸川政府参考人 お答えいたします。

 重要土地等調査法の運用に当たりましては、令和四年九月、この法律が施行されたときからコールセンターを開設いたしまして、地域住民の方々や事業者の方からの個別の問合せなどには丁寧に対応しているところでございます。

 また、委員の方からも御紹介いただきましたリーフレットの配布に加えまして、広報誌、チラシなどを活用しているほか、どこが区域の境なのかということを御自身でも調べられるようにということで、今年の六月二十六日より内閣府のホームページにおきまして重要土地ウェブ地図を公開しているところでございます。

 ちなみに、府中市の方におかれましても、重要土地等調査法について、内閣府からのお知らせといったことでホームページで御紹介していただいていると承知しております。

 こうした取組によりまして地域の住民や事業者の方のニーズに対応しているものと考えているところでございます。

五十嵐(え)委員 それでは足りないという御指摘だったんです。

 時間がないので終わらせていただきたいと思います。

 防衛政策には住民の理解が必要ですけれども、府中基地周辺の市民の方が不安に思っていらっしゃいますので、その点について国としてきっちり説明して理解を求めるようにしていただきたいと思います。

 質問を終わります。ありがとうございました。

遠藤委員長 次に、下野幸助君。

下野委員 三重二区で今回初当選させていただきました立憲民主党の下野幸助です。私も前職は鈴鹿市選出の県議会議員で、四期十三年務めておりまして、三重県の方には久居駐屯地、明野駐屯地ということで、防衛省の職員ともいろいろ意見交換もさせていただきました。

 また、私は現在四十八歳ですけれども、学校を卒業してから、二十代、今から二十年ほど前は内閣官房職員として働いておりまして、防衛省の職員や自衛官、外務省職員などの皆様と海外情報調査の仕事も一緒にさせていただきました。

 そのような中、今回初めて安全保障委員会で質問を行うということで、重責を感じつつ、感謝をもって質問させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、最初の質問です。防衛省の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案について質問させていただきます。

 皆さん御承知のとおり、自衛官は特別職ながら国家公務員であるため、民間企業との均衡を基本とする人事院勧告に沿って給与水準を定めることになっています。

 他方で、人口減少等が急速に進展し、募集対象者の増加を見込むことが厳しく、優秀な人材を確保するために、自衛官の処遇の向上が喫緊の課題となっております。給与法改正の趣旨も理解しておりますが、かつてない厳しい安全保障環境にある中、びほう策、その場しのぎであってはならないと思います。

 そこで、自衛官独自の処遇等の改善について、石破総理の下で関係閣僚の会議が開かれて、年内に取りまとめると聞いておりますが、防衛省としてはいつ頃をめどに抜本的な自衛官給与の改正を行う予定なのか、大臣にお尋ねいたします。

 続けてもう一点お伺いをさせていただきたいと思います。

 自衛隊の特に中間層の方々は、年齢的なものもありますけれども、自衛官の場合には特に階級が厳格になっているため、定年を五十六歳あるいは五十五歳で迎える階級一尉以下の方々についてお伺いしたいと思うんです。

 石破総理が十一月二十六日の閣僚会議で、再就職は極めて大変ということで、定年が五十六歳になった場合、定年時に子供がまだ高校生や中学生だったりする中で、勤め先がないのであれば、そういうところへ就職するのはやめようということになり、募集もなかなか大変なところがありますということを述べていらっしゃいます。それにもかかわらず、五十六歳で定年退職を迎える一尉以下の方々について、今回の改正法案で特別の配慮はないと思います。

 そもそも、人事院勧告という経済情勢に左右される給料体系でよいのか、国防という国家にとって重要な任務に当たる自衛官が安心して職務に専念できる給与体系にすべきではないのか、そういったことを元自衛官でもある中谷防衛大臣にお伺いしたいと思います。

中谷国務大臣 初めての質問に立たれましたが、当選おめでとうございます。前議員の中川議員とは、私は憲法とか安全保障法制でかなり突っ込んだ議論をさせていただきました。その後を継がれていますので、どうぞよろしくお願い申し上げたいと思います。

 御指摘のとおり、自衛官の処遇につきましての御指摘がありましたけれども、今、安全保障環境が非常に厳しさを増しているわけでありますので、今、募集困難とか、また、厚生におきましては処遇改善や、人事面において検討しているところでございます。

 お話がありましたとおり、官邸におきましてこういった自衛隊の処遇、勤務環境の改善につきましての議論を行っているところでございますけれども、必要なのは、自衛官にとりまして名誉それから誇りを感じることができる処遇を確立していくことであります。そのために、その任務、勤務環境の特殊性に見合った給与とするための改善をするということで、現在実施しております勤務実態調査、諸外国軍人の給与制度の調査を踏まえて、公平性、公正性を確保するための部外の専門家の御意見も聞きながら、自衛官の給与体系の在り方について速やかに検討を進めて結論を得たいということで、今作業をしているところでございます。

 続きまして、中間層、三十代、四十代に対する処遇が不十分だという御指摘につきましては、そのとおりだと認識しております。

 自衛隊の給与制度は、民間準拠を基本とする他の国家公務員の給与を参考にすることで、給与制度の信頼性、公平性を確保しつつ、自衛隊の任務の特殊性等を踏まえた俸給表、手当制度を独自に設けているわけでありますが、今年の人勧におきましては、民間給与の状況を反映して、初任給、若年層に特に重点を置きつつ、中間層を含む全ての職員を対象に引上げの改定を行うことを内容にいたしております。

 自衛官につきましても、人勧を尊重した一般職の国家公務員の給与改定に準じた、初任給、若年層に特に重点を置きつつ、中間層を含む全ての自衛官を対象に引上げ改定を行うものであります。その上で、俸給のほか、航空手当、乗組員手当、災害派遣手当といった任務の特殊性を考慮した独自の手当も併せて支給することによりまして、自衛官の処遇を確保しているということでございます。

 いずれにしましても、自衛官の任務、環境の特殊性が適切に評価されて、自衛官という職業を選択したことに対して誇りと名誉を感じることができるように、処遇面の改善を行ってまいりたいと考えております。

下野委員 大臣、端的にもう一回だけ確認させていただきたいんです。

 自衛官としての名誉、誇りは私も本当に大切だと思うんですが、一方で給与を考えたときに、先ほど民間に準拠して人事院勧告ということがありましたけれども、これからの厳しい安全保障環境と自衛隊の皆さんの給与を考えたときに、これはずっと人勧準拠という考えを尊重し続けるのかというところをお答えいただけますでしょうか。

中谷国務大臣 この点につきましては、現在、石破総理を議長といたしまして、自衛官の処遇・勤務環境の改善及び新たな生涯設計の確立に関する関係閣僚会議を設けまして、関係省庁と連携して取り組んでいるところでございます。

 これは、給与のみならず、募集とか広報とか、退職後の就職とか、そういった生涯設計も踏まえて今検討をいたしておりまして、この点につきまして、先ほども言いましたけれども、俸給のほかに各種手当、危険に従事する手当とか、そういった任務の特殊性を考慮した独自の手当も併せて支給するということで、こういった点で処遇においてそれに準じた収入があるように今検討しているところでございます。

下野委員 各種手当があるということですが、質問を更に進めさせていただきたいと思います。

 お手元に資料をお配りさせていただきました。自衛官の階級と年齢構成という資料一を御覧いただきたいと思うんですが、左が平成元年、三十五年ほど前、右側が令和六年四月末の自衛官の階級、年齢構成別のグラフになります。青が幹部の方々、オレンジが准・曹、幹部を補佐する方々、そして緑が士ということで、若い層です。平成元年のときはピラミッド構造に近いような形でございましたけれども、今は円柱型、要するに、幹部の方々、幹部を補佐する方々、青とオレンジのラインと緑がほとんど同じ形で円柱型になっているということでございます。そういったことで、精強性を保つために、しっかりと若い人たちの雇用を進めていかなければならないと思います。

 続けて、裏面の資料二を御覧いただきたいと思います。自衛官の実際の応募者数と採用者数の推移というところで、特に懸念しているのは、先ほどの表のところの士、若手の職員です。左下の自衛官候補生の採用状況を見ていただくと、ここ五年間で四四%減、しかも、昨年の自衛官候補生は、計画数一万六百二十八名に対して、実際に採用されたのはたった三〇%の三千二百二十一名ということになっています。

 そういった意味で、今、大臣から関係閣僚会議三回というお話もありましたし、いろいろ手だての検討はしていただいているんですが、正直なところ、自衛官を目指す若い方が、三万円程度の今回の賃金アップ、あるいは、採用が厳しい任期制の士の確保のために新しい自衛官制度を設けるようなことも聞いておりますが、改めてこういう状況を鑑みまして、この状況を打破するための政策を前に進めていただきたいと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

中谷国務大臣 現状につきましては御指摘のとおりでございますが、現在、充足率が九〇%なんです。陸海空自衛隊におきましては、定員にきちんと達していないと任務が達成できない、いざというときに作業ができない状態になってきておりますので、これにつきまして、少子化、高齢化が非常に進行しておりますので、この人手不足についてどうするかということであります。

 これにつきましては、令和二年から六年にかけて、定年延長ということを検討しまして、令和六年にかけて一佐から三曹までの自衛官の定年を二歳ずつ引き上げたところでございます。

 現在、官邸におきまして、自衛官の処遇改善等に関する関係閣僚会議において、処遇、勤務環境の改善について、新たな生涯設計ということで、様々な課題を議論しているわけでございますけれども、生涯設計という観点から、特に退職後の自衛官の就職やら定年の延長やらを一つのテーマといたしております。

 一般職の国家公務員の定年が段階的に六十五歳まで引き上げられるということも踏まえまして、採用のときに、自分たちは一体いつまで働けるのか、また、親御さんの御意見なども非常に大きな影響がございますので、自衛官の定年の更なる引上げにつきましての検討も行ってまいりたいと考えています。

下野委員 これから引き続き関係閣僚会議も議論していただくということでもございますし、今日の大臣のお話を聞いていると、要約すると三つの柱かな。総理もおっしゃっていますけれども、一つは採用面、もう一つは任期中の資格取得の簡素化等も聞いておりますし、やはり最後は退職をどうするかというのが一番大きなウェートを占めると思いますので、国をしっかり守っていただく自衛官に対して、それに見合う同等の対価を支払える体制づくりをこれからも構築していただきたいと思いますので、是非とも骨太の議論をしていただきますようによろしくお願いいたします。

 それでは、二点目の質問をさせていただきたいと思います。アジア版NATOについてお伺いをさせていただきたいと思います。

 我が党の野田佳彦代表が衆議院本会議で代表質問しましたが、私自身も日米同盟が日本の外交、安全保障政策の基軸であるという認識は持っております。そして、中谷防衛大臣も先般の所信で、同盟国、同志国との協力、連携を深めることは必要不可欠というお言葉もいただいております。

 その中で、石破総理は九月の総裁選でも、法の支配に基づく国際規範を形成し、地域の多国間安全保障体制の構築を主導します、つまりはアジア版NATOの構築を主導してやっていきますという公約を掲げられて総理になられているわけでございます。

 具体的な内容は、十一月二十八日に設置、開催された自民党のアジアにおける安全保障の在り方検討会で検討が進められておるということですけれども、これはなかなか中身が分からないんです。今後のロードマップ等、めど、今年度中なのかどうなのか、ここのところを教えていただきたいと思います。

藤井副大臣 アジア版NATOを含むアジアにおける安全保障、日本の安全保障の在り方につきましては、石破総理自身が、一朝一夕で実現するとは思っておらず、まずは喫緊の外交、安全保障上の課題に取り組んでいく必要があると繰り返し述べておるところでございます。こうした問題意識を踏まえた上で、先般、石破総理から、アジアにおける安全保障の在り方について検討するよう自民党に指示し、十一月二十八日、アジアにおける安全保障のあり方特命委員会の初回会合が開催され、議論を開始したものと承知しておるところでございます。

 この会合の予定につきましては、政府として自民党における会合に関する今後の予定についてお答えすることは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、いずれにせよ、日米同盟の抑止力、対処力を強化するとともに、その強靱性、持続性を高めていくとの観点から、また、同盟国、同志国との連携を更に深め、抑止力を強化する観点から、検討し、対応してまいりたいと考えております。

下野委員 今のお答えではなかなか中身がまだ見えてこない状況で、期限も答弁を差し控えるということですが、一方で、海外情勢を見ますと、本当に今不安定な状況でもございます。

 もう一度確認ですけれども、これは第二回の会合もまだ未定ですか。

藤井副大臣 第二回、次回の会合につきましても、政府としては、今後の予定について、自民党における会合でございますので、お答えすることは差し控えさせていただきたいと考えております。

下野委員 総理肝煎りのアジア版NATOということでございますので、もうこれ以上聞いても進めないと思うんですが、大きな柱でもありますので、しっかりとスケジュール感を示していただくことを要望いたしまして、この質問は終わらせていただきたいと思います。

 もう一点、日米同盟についてお尋ねしたいと思います。

 日本の地位の強化を主眼とする日米同盟ですが、これも選挙広報誌、石破総理の政権公約の中に、ここに一行、日米地位協定のあるべき姿を目指しますと書いてあるんです。あるべき姿ということについてもう少し教えていただけないでしょうか。

藤井副大臣 日米地位協定につきましては、政府といたしましては、これまで、手当てすべき事項の性格に応じまして、効果的かつ機敏に対応できる最も適切な取組を通じ、一つ一つの具体的な問題に対応してきておるところでございます。

 先ほど御質問いただきました同協定の改定について資料も出ているということでございますけれども、石破総理自身が、一朝一夕で実現するとは思っておらず、まずは喫緊の外交、安全保障上の課題に取り組む必要がある、党の中で検討するよう指示したというふうに繰り返し述べさせていただいておるところでございまして、総理の指示に基づきまして、先ほど申し上げましたアジアにおける安全保障のあり方特命委員会の初回会合が開催され、議論が開始されたものと承知しておるところでございます。

 いずれにいたしましても、党の議論も踏まえつつ、日米同盟の抑止力、対処力を強化するとともに、その強靱性、持続性を高めていくという観点から検討し、対応してまいりたいと考えております。

下野委員 地位協定のあるべき姿、方向性が見えてこないんです。

 例えば、他国の地位協定の状況などを鑑みますと、ドイツとか韓国では何回も改定を行って各国の国内法を遵守させておりますが、日本もそういった考えを持ってアメリカとの対等関係を今後も前向きに進めていくというお考えはないでしょうか。

藤井副大臣 繰り返しの答弁となって恐縮でございますけれども、今後自民党において議論を重ねていくものと承知しておるところでございまして、党における議論も踏まえつつ、日米同盟の抑止力、対処力を強化するとともに、その強靱性、持続性を高めていくという観点から検討し、対応してまいりたいと考えております。

下野委員 もう一点、時間も迫ってまいりましたけれども、韓国の状況についても最後にお伺いしたいと思います。

 今、尹大統領の戒厳令により、韓国国内は混迷を深めておりますけれども、今後の日米韓の動きについて注視するべきところを一言いただければと思います。

藤井副大臣 日米韓でございますけれども、我が国を取り巻く地域の安全保障環境は厳しさを増しておりまして、複雑化する国際的な課題に効果的に対応する上で、日米韓の戦略的連携はこれまでになく重要であると考えております。

 安全保障分野では、北朝鮮のミサイル警戒データのリアルタイム共有、複数領域における三か国共同訓練、フリーダム・エッジの実施を始め、具体的な協力が進展を遂げてきたところでございます。

 昨日も、十一日、日韓外相首脳会談を行いました。また、九日の北朝鮮に関する日米韓高官協議におきましても、様々な情勢が複雑化する中にあっても三か国が緊密な連携を確保し続けていることの重要性を再確認させていただいたところでございます。

 また、同九日、韓国の韓悳洙国務総理が談話を発出し、日米韓協力を強固に維持していくことが非常に大きくて重要な課題である旨強調したというふうに承知しておるところでございます。

 いずれにいたしましても、引き続き、安全保障分野での協力を含め、日米韓で緊密に連携して取り組んでまいりたいと考えております。

下野委員 時間が来ましたので終結いたしますけれども、韓国政権はいろいろ動いております。日米同盟、米韓同盟、そして、これらアメリカを介在した同盟関係を軸に今後も協力関係を維持、深化していただければと思いますので、よろしくお願い申し上げまして終了とさせていただきます。

藤井副大臣 先ほど、昨日、日韓外相電話会談と言うべきところを誤って答弁したようでございますので、訂正させていただきたいと思います。

下野委員 ありがとうございました。

遠藤委員長 次に、阿部弘樹君。

阿部(弘)委員 日本維新の会の阿部弘樹でございます。どうぞよろしくお願いします。

 今日は給与法の審議でございますので、そのことについてお話をお伺いしたいと思っております。

 まず、昨年七月に起きました海上自衛隊における潜水手当不正受給事案及び不正喫食の事案について。

 なぜこういう質問をするかというと、その事件が起きるきっかけというのが当然あるわけでございます。何らかの原因があるわけでございまして、もちろん不正はいけないことでありますが、そのことについて御質問させていただきたいと思いますが、まず最初に、この事案の概要について説明をいただけますでしょうか。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、海上自衛隊における潜水手当不正受給事案につきましては、潜水艦救難艦「ちはや」及び「ちよだ」に所属する隊員が潜水訓練の実績を偽り潜水手当を不正に受給していたほか、潜水員の勤務状況を管理する立場にある隊員や監督する立場にある隊員による事務手続の確認が不十分であったことが判明したものです。

 本事案につきましては、当事者による遵法精神及び倫理観の著しい欠如並びに自衛隊の使命の自覚や厳正な規律の保持といった基本的な心構えができていなかったことが要因と考えております。

 再発防止に向けた取組については、コンプライアンス教育や潜水手当支給に係る関連規則等の教育、不必要な計画外訓練の禁止などを徹底しております。また、潜水記録の客観性を確保するため、例えば、減圧室内の圧力等を表示、記録するシステムを使用しまして定期的にその記録と潜水記録を照合することなども含め、可能なものから速やかに実施しているところです。

 また、不正喫食事案につきましては、厚木航空基地隊の給食業務に従事する隊員が、基地内の食堂におきまして、食事の無料支給対象者でないにもかかわらず食事代金を支払わずに不正に喫食していたほか、これを監督すべき隊員が、部下隊員の不正喫食を認識しながらこれを看過するとともに、自らも食事代金を支払わずに不正に喫食したことが判明したものです。

 本事案につきましても、個人の遵法精神の著しい欠如によるものと考えております。再発防止に関する教育、啓発を図ることにより隊員の遵法精神に対する意識の更なる向上を図り、一層の服務規律の確保に努めているところです。

阿部(弘)委員 くしくも、海上自衛隊の案件が二つだったでしょうかね。

 ちょっと細かいところで大変恐縮なんですが、潜水艦乗組員の方々、当然、深いところに潜ればそれなりの病気、減圧症や高酸素症などにかかるわけでございますが、私は産業医でもあるわけなんですね、産業医の立場からすると、非常に危険な業務でありますし、この業務を行うことで当然後遺症が起きてくるわけでございます。

 そういった点についてはどのような取組をなさっているんでしょうか。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の事案につきましては、潜水艦の乗組員ではなく、潜水作業をする者、要するに、水に潜っていく者でございます。

 こちらにつきましては、飽和潜水あるいはスキューバを使って非常に深いところまで潜りますので、深く潜れば潜るほど、かなり時間をかけて、何日もかけて圧力を増していって、また戻るときに減圧をするということもしておりますけれども、その行程におきまして、しかるべく、深度であるとか減圧の状態に応じて手当を支給しているところでございます。

 また、潜水医学実験隊というのが横須賀にございますけれども、そちらにおいてしっかりとその訓練であるとか隊員の状況を確認しながらやっているところでございまして、潜水作業に関して隊員の生命身体等に問題が生じないような措置は取っているところでございます。

阿部(弘)委員 私の地元では、海女さんという、海に潜ってアワビやサザエあるいは魚をお捕りになる職業の方々がいらっしゃいます。全国各地にも同様の仕事をなさる方がいらっしゃいます。その方々は、大体水深二十メートルの深度まで、深いところまで潜っておられる。恐らく、自衛隊員の方々が潜水艦を救助するとなると、それよりはるかに深いところで潜っておられるというふうに推測されます。

 ですから、今の手当の範疇が私は少な過ぎるんじゃないかと。手当がそもそも少ないからこういう事案が起きたんじゃないかと思っているんですよ。

 潜水病というのは、さきに言いましたように、血中の窒素がある減圧のときに突然膨らんでしまうこと、あるいは一〇〇%の酸素をずっと吸い続けることで酸素中毒を起こす、これは生命にとっても非常に危険なことでありますので、そういう研究所の指導の下で行っていただくというのはありがたいことだと思っておりますが、もっともっと手当について幅広に取ってあげた方がいいんじゃないでしょうかね。そういうことをこの事案を通じて私は感じましたよ。こんな業務があれば、産業医の立場、もし産業医をお置きになっておられるとすれば、もっともっと厳しく、こういう業務に従事する、訓練であってもいろいろ、減圧のためのチャンバーについて、どういうチャンバーを何時間使用するのかということを、そして、チャンバーを使っているんだったらその間手当を出すのは当然じゃないですか。いかがですか。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 チャンバーという御指摘がございましたけれども、飽和潜水におきましては、減圧作業をするときに当然チャンバーに入ってやるわけですけれども、チャンバーに入ったときからカウントされて手当は支給されております。それで、潜ることにつきましても、深く潜れば潜るほど単価が高くなるという手当の仕組みでございます。

 また、生命身体に危険を及ぼす可能性があるものでございますので、例えば、そういった訓練は連続してやらないとか、月に一回、二回にするとか、そういったしっかりとした規律を医学的知見に基づいて海上自衛隊の方で作成しまして実施しているところでございます。

 いずれにいたしましても、こういった潜水作業におきまして事故が起きないように、しっかりと管理していくことは重要だと思っております。

阿部(弘)委員 ちょっとこのことばかりを質問しているとほかの質問ができなくなりますけれども、いずれにしましても、予算が限られていますから、限られている範囲内での手当になってしまっている。そのことが結局不正を招いた遠因にもなっているんじゃないかということも考えられますので、是非ともその辺をしっかり隊員の健康のためにお考えいただくということでございます。

 第二の質問のときにも、防衛出動手当のことがありますが、今回は給与表のことでございますから、委員会審議、手当については政令で定めるんでしょうか。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 自衛官に対する手当につきましては、例えば、一般職の国家公務員と同様に出ます扶養手当であるとか通勤手当、そういったものは別としまして、自衛官独自の手当といたしまして、特殊勤務手当、あるいは、特殊なポストに就いた場合、配置された場合につく手当がございます。手当によりまして、給与法等で定めているものでございます。

阿部(弘)委員 給与法で定めているんですか。例えば防衛出動手当、戦闘地に行く場合の手当というのは、これは政令じゃなかったですかね。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 一般に、手当そのものにつきましては法律で定めまして、その手当の具体的な額につきましては政令で定める場合が多いということになっております。

阿部(弘)委員 ちょっと不正喫食の方に戻ります。

 私は石垣島に視察に行きました。新しく国境の島で頑張っておられる方々。そうしたら、給食施設が倒産して、給食が支給されていなかった、支給はされているんですけれども、給食が機能していなかった。全国同じように、工場とか自衛隊とか学校とか、支給してある給食施設が機能していなかったんですが、非常にお困りでしょうと自衛隊の方にお聞きしたら、いや、困っているんですよ、弁当を食べているんですよと。弁当じゃ力が入らないじゃないですかということで、今、石垣島はどうなっていますか。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 石垣島の具体的な状況については把握しておりませんけれども、やはり駐屯地、部隊において、営内居住者に対して食事が提供されているという状況について、そこで、国による食事の提供に際して、今、行われていないというか、滞っているということは承知しておりません。

阿部(弘)委員 いや、この委員会に出席する直前にメールが来まして、新しい給食の会社と契約しまして滞りなく行われておりますということでございましたので、私も安心してここで質問したんです。

 それで、言いたい。基地の中に住んでいるところは一日三食食事が支給される。ただ、基地外にお住まいの方は食券を買って食べなきゃいけない。そんな面倒なことをせずに、これから状況が緊迫するところですから、日本維新の会は学校給食無償化を訴えておりますから、是非とも自衛隊の基地での給食無償化も考えられたらどうでしょうか。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 国が食事を防衛省・自衛隊に提供しているわけですけれども、それは、営内居住、営舎内居住あるいは艦艇内居住が義務づけられている自衛官、つまり、そこに、ずっと中にいることが義務づけられている自衛官につきましては、つまり、普通の他の一般の公務員であるとか外で暮らしている自衛官と違って勤務時間以外も拘束を受けている、そういった特殊な事情がございますので、営内居住あるいは艦艇内居住という特殊性を踏まえまして、国が食事を提供しているということでございまして、国による食事の提供につきまして一定の基準を設けて行っているところでございます。

阿部(弘)委員 ここで大臣に御質問しようと思いましたが、一問、二問、まとめて後に御質問させていただきたいと思います。

 次に、手当と現物支給の話ですね。

 先ほどの紛争地、例えばイラク戦争のときの紛争地手当というのはいかがの額だったんですか。額は聞いていないですか。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 様々な部隊の活動に伴いまして、例えば海外に派遣される部隊につきましては手当が支給されているところでございます。

阿部(弘)委員 勉強会のところでは、日額二万円という手当を、でも、紛争地で二万円。

 防衛省の方にお聞きしますが、自衛隊の方々が生命保険で、そして、紛争地に行った場合に保険が下りますか。そもそも、保険に入れますか。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、防衛省におきましては、共済組合で団体保険というのがございまして、そういった中におきましては、例えば、PKOに出た場合等でけがをしたり、何らかの事故に遭ったりした場合についても補償がされるということにはなっております。

阿部(弘)委員 戦前でいいますと、東邦生命という軍人保険がありましたけれども、そういうものがあるということであれば少しは安心いたしますが、やはり、先ほども、産業医の立場からすると、紛争地に行って生命の危機が非常に迫ってくるというところで、どのような対処方法があるか。せめて家族のために保険に入れるというのは非常に大切なことだというふうに思っておるところでございます。

 私は地元で神社の神主も行っておりまして、春と秋は、戦没者慰霊祭ということで、国のために尊い命をささげられた皆様方の戦没者慰霊を行っておるところでございます。その御功績についても未来永劫神社と皆さんで守っていこうと思っております。

 さはさりとて、何らかの不具合が生じた場合に、日本は身体障害者法というのができましたが、これは、軍人さんたちのまず心身障害が発生したときのための法律でございます。それから発生したものでございます。何らかの方策があってこそ、自衛隊を目指す方々がしっかりいて、そしてその後定年までお勤めいただくということを、私自身はそういう職場であってほしいと思っておるわけでございます。

 では、今日は、内閣府、それと厚生労働省からも副大臣がお見えでございますので、御質問させていただきます。

 内閣府は、健康危機管理庁、感染症対策ホームページを見ますと、新型インフルエンザが猛威を振るっていませんので、なかなか出番が少ないんじゃないか、会議はよく開かれておりますが。といいますのが、自衛隊は、ソマリア沖、あるいはスーダンPKO、エジプト・シナイ半島多国籍軍監視軍、アフリカ諸国PKO訓練というのを行っております。

 私は事前に厚労省にお話ししておりますが、疾病X、実は数時間前にその原因が少し分かってきたんですが、疾病Xというコンゴで発生した病気について。

 いつもWHOのホームページを御覧になっておりますか、健康危機管理局は。副大臣、お願いします。

瀬戸副大臣 必要に応じて見ているところではございますが、毎日見ているわけではございません。

阿部(弘)委員 じゃ、コンゴで発生した疾病Xの原因は何だったというふうにレクされておりますか。

仁木副大臣 お答えします。

 そのことについては、原因不明の病気に複数名が罹患し、死亡しており、調査を実施している旨の公表があったもので、先生が今おっしゃった、その先の情報については今のところ理解しておりませんが、十二月十日のWHOの発表によりますと、四百十六名が罹患し、三十一名が死亡しているということで、インフルエンザやマラリア等の感染症が原因として考えられるが、現地において調査が進められているというところの理解でございます。

 今後とも、厚生労働省としましては、引き続き、関連情報を積極的に収集するなど情報を注視していきたいと考えております。

阿部(弘)委員 いや、残念だな。これも十八時間前にちゃんと、マラリアの抗体陽性が十六分の十ぐらい出たから、マラリアじゃないかということをWHOははっきり言っていますよ。そんな危機管理局に国民は命を預けなきゃいけないんですか。内閣府、お願いしますよ。

仁木副大臣 阿部委員にお答えします。

 確かに、血中からマラリアの抗体価が検出されたということでございますので、WHOで、十二月十日の時点での、十二人の検体より十人がマラリア陽性であったというふうに認められております。

 ただ、こういった死因がマラリアによるものかという断定はまだできておりませんので、そこまでの理解はしているところでございます。そういう意味では、先生と同じレベルの情報は共有しているというふうに認識しております。

阿部(弘)委員 二〇二二年で、世界中に六十一万人のマラリアによる死亡。そしてコンゴでも、やはり相当数の、七万人程度の方が亡くなっております。

 私も、アフリカに、ケニアに行ったときにはマラリアの予防接種も受けて、副大臣はお医者さんじゃないから余り言うと失礼ですけれども、貧血があって、そして風邪様症状があったら、それを疑うというのは当然のことなんです。少なくとも、今質問しているのは、情報をすぐに取っていただいて、もう昨日の晩の時点では、それがブルームバーグ通信から発信されているじゃないですか。

 じゃ、モンキーポックスも二つの型がありますよね。私も最近はクレード2の方が非常に心配なわけですよ。従来の、性感染症と言われたようなクレード1のときよりもどんどんどんどん患者さんが広がっている。

 そういうところに自衛隊員が行っているから、そういう方々の健康対策、あるいは国民に対する情報を発信するというのは、どうすればいいんですか。健康管理局と厚労省で、一緒にしっかり国の安全保障を守ってくださいよ。いかがでしょうか。

仁木副大臣 お答えします。

 来年四月に向けて本格的な稼働をするわけでございまして、阿部委員がおっしゃるように、この情報の連携というのは非常に重要だと思っています。

 ただ、情報も臆測なのか信頼できる筋なのかという、決定的な情報、これは重要でございまして、今のところ、WHOそして在外公館を通じての、例えばコンゴで発生する事案でしたら、現地の厚労省的な立場の行政を通じた正確な情報でもって、例えば医療機関からの情報でもってそういう体制を構築することは今後の課題でございますので、阿部委員のおっしゃっている、この情報的な共有、そしてそれに対する対策を迅速に講じていくというのは私たちもわきまえておりますので、そういうスタンスで取り組んでいきたいと思っております。

 そういう意味で、このモンキーポックスに関しましては、実は、予防接種的なこともありまして、我が国も現地の方にそういったワクチンの提供等々も考えているところでございます。

瀬戸副大臣 お答えさせていただきます。

 本年八月にWHOが国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態を宣言したということでございまして、八月には、このWHOの宣言を踏まえまして、内閣感染症危機管理統括庁としましても、関係省庁の局長級の会議を開催しまして、そして、国内の検査体制や患者の受入れ体制を確認するなどしました。そして、国内で患者が発生した際にも適切な対応を取れるように準備しているところでございます。

阿部(弘)委員 ここは安全保障委員会ですから議論がそれてしまいますけれども、コロナ感染症のときの感染症従事手当というのはお幾らぐらいだったんですか。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 新型コロナウイルス感染症の拡大防止のために、令和二年でございますけれども、自衛隊災害派遣を行っております。これはダイヤモンド・プリンセス号における活動でございます。これにつきましては、日額四千円の災害派遣等手当を支給しております。

阿部(弘)委員 日額四千円で額が適当なのかどうかちょっとよく分かりませんけれども、ただし、新しく疾病Xのような感染症がパンデミックを起こした場合に、速やかに政令で手当が確保できるのか。

 どういうときに自衛隊の派遣を内閣府から依頼されますか。

中谷国務大臣 自衛隊につきましては、出動の要請があった場合に勤務しますが、例えば、災害派遣などは日額千六百二十円というふうになっております。しかし、東日本の大震災のときにおきましては、原子力災害派遣がありまして、そのときは手当額が日額最大四万二千円に引き上げられ、そして、令和二年には、非常に生命に著しい危険を伴う作業に従事した場合には通常の二倍の手当額、三千二百四十円を支給するというように、改善を図ってきてまいっております。

 このように、自衛隊の派遣等につきましてはそれぞれ派遣手当がついているわけでありますが、御指摘のように、非常に潜水艦の勤務が厳しいとか、自衛隊の各種の今の現状につきましてまだまだ至らないところがありますので、現在、先ほども申し上げましたけれども、官邸内で行われている自衛隊の処遇改善、この中で、手当の充実ということで、更なる充実を図ってまいりたいというふうに思っております。

阿部(弘)委員 時間が迫ってまいりましたので、次の質問を行います。

 やはり自衛官の希望者が少ない、そして途中で辞めてしまう、そういったことに鑑みまして、やはり職場を辞めた後の退職後の再就職というのも非常に大切なことなんですよ。

 そのことについても、自衛隊では、退職予定者の自衛官の再就職についてということで、いろんなお考えをお持ちのようでございます。非常にいいことだと思っています。

 私は、前の委員会は法務委員会でございまして、例えとしていいのかどうか分かりませんけれども、刑務所に入っておられる方の社会復帰のための職業訓練というのは非常に熱心になさっております。自衛隊員も様々な技能をお持ちの方でございますから、現職のときから退職を見据えて、いろんな技能を、職業訓練を行っておると思いますが、より一層そのことを深く考えていただくというのを、人事局長かな、それとも大臣ですかね。

中谷国務大臣 まさにそのことが重要であるということで昨日も省内で検討いたしましたが、現在は、官邸の中で全ての省庁が入って、退職後の自衛官の処遇、採用、勤務についてもう三回議論を行いました。

 その結果、例えば農林省においては農業に従事できるようなガイダンスを行うなど、それから地方自治体においても、警察官とか消防とか、そういう危機管理に従事するようなところへ行けるとか、また法務省、建設省も建設現場とか、そういう退職後の就職につきましては全省庁が協力をしていただけるということでありますので、省庁の協力を得ながら、自衛隊の退職後、全ての関係省庁と協力して少しでも道を開いてまいりたいというふうに思っております。

阿部(弘)委員 もうやがて時間が参りますのでこれで終わりますが、手当の充実、それと退職後の再就職支援、それと忘れてはならないのは、喫食の無償化。是非とも大臣にお願いしまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

遠藤委員長 次に、橋本幹彦君。

橋本(幹)委員 国民民主党・無所属クラブの橋本幹彦でございます。

 私は、千葉県立千葉高等学校を卒業した後に横須賀の防衛大学校、六十二期生として卒業いたしました。その後、任官しまして、奈良の幹部候補生学校、そして築城の第八航空団、浜松の第一術科学校、こちらに配属されました。三等空尉で退職するまでの短い期間ではありましたけれども、今なお、この自衛隊の教育というところには本当に感謝しております。

 特に、沖縄や硫黄島、こういったところで先人の足跡を学びまして、命を懸けるというある意味の尊さと、あえて申し上げれば、つらさや悲しさ、こういった心も骨身にしみました。また、航空自衛官の間には、航空機整備の職に奉職しました。日々、華やかではないかもしれないけれども縁の下の力持ちとなって職務に精励している現場の隊員、あるいは最前線で文字どおり命を張っている隊員を目の当たりにしてきました。

 また、そのさらに陰で歯を食いしばって日本の産業を支えている技術者や、厳しい予算の中で何とか抑止力を働かせていこうと努力されている関係者の皆さんの心を痛いほど感じてきました。

 同時に、現状の日本の国防はなかなか民主的な統制というのが行き届いていないというふうにも感じてきました。

 先ほど述べたような現場、最前線の方、技術者、光が実際当たっていません。同時に、精強性とは何なのかという根源的な問い、これもやはり我が国ではまだまだ議論が進んでいないところであるというふうに思っております。

 私も所属しておりましたから、時には厳し過ぎるように聞こえる発言もあるかもしれませんけれども、決して重箱の隅をつつくつもりは全くございません。むしろ、細部をじっくりと見詰めていって、国民の、官僚の、あるいは政治家の理解を深めていって本質を浮き彫りにしていく、そういった議論をできればというふうに思っておりますので、どうぞ御理解いただければというふうに思います。

 お聞きしたいことは山ほどあるんですけれども、今回の案件が自衛官の給与を上げる法案ですので、ここに関連して質問いたします。

 まず、この提案理由説明のところからですけれども、「人事院勧告の趣旨を踏まえて、」という言葉が何度も繰り返されています。この「人事院勧告の趣旨」とは何でしょうか。本引上げは民間との較差の是正というところが淵源、そういう理解でよろしいでしょうか。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 人事院勧告は、その時々の経済雇用情勢等を反映して、労使交渉等によって決定される常勤の民間企業従業員の給与水準と、常勤の国家公務員の給与水準、この二つを均衡させること、それが民間準拠ということでございますけれども、その民間準拠を基本としております。

 自衛官の給与制度につきましても、民間準拠を基本とする他の国家公務員の給与を参考にすることで、給与制度の信頼性、公正性を確保しつつ、自衛隊の任務の特殊性等を踏まえた俸給表や手当制度を独自に設けているというところでございます。

橋本(幹)委員 ありがとうございます。

 また同時に、今、自衛官の処遇等の改善に関する閣僚会議が行われておりますけれども、ここにおける議論との連接というのは、今回のこの給与の引上げというところと関係するんでしょうか。

中谷国務大臣 まさにそのとおりでございます。

 先ほどお話しされましたが、今、国会でも一番話題になっているのは手取りということで、やはり若い人にとっては給与や手当というのは一番大切なことでありまして、今、官邸の方でも、自衛官の給与や、また処遇、退職後の道について各関係省庁と議論を進めておりますので、こういう中で改善を図っていくというふうにやってまいりたいと思います。

 何よりも必要なのは、やはり誇りと名誉を感じることができる処遇を確立していくということでございまして、自衛官の任務、勤務環境の特殊性、先ほど潜水に対する指摘がありましたけれども、本当にそういう危険に際して十分に対応できていくだけの体制をしっかり取ってまいりたいというふうに思っております。

橋本(幹)委員 ありがとうございます。

 この若者の手取りを増やすというところ、是非これはもう国民民主党としても大賛成ですし、今回の法律案の概要を見ますと、二士、高校の新卒の隊員については初任給が二万五千八百円増える、自衛官候補生については二万一千九百円、防大生、防医大生が二万円、高等工科学校の生徒が二万百円ということで、非常に羨ましいなというふうに思う引上げではあります。

 先ほど、若者の手取りを増やす、これは国全体の話だと思います。誇りと名誉というところは自衛官特有の話だと思いますけれども、事この防衛省において若年層を重点に俸給ですとかボーナスというのが引き上がる意義というのはどういったところにあるのか、お考えをお聞かせいただければと思います。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 若年層ということでございますけれども、先ほど来本委員会でも議論されておりますけれども、自衛官の士の確保が非常に課題となっているところでございます。

 まさに士というのは若年層で成り立っているものでございまして、この若年層の給与が先ほど委員が御指摘のあったような幅で上がるというのは、非常に我々にとってもありがたいと思っておりますし、この採用市場におけます給与面での競争力が向上するというふうに考えております。

橋本(幹)委員 今この募集の話がありましたけれども、実際、この俸給等の引上げが募集状況に与える影響をどのように防衛省としては予想ですとか、受け止めされているでしょうか。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 近年の自衛官等の採用状況は、少子化や高校新卒者の有効求人倍率の上昇などによりまして、人材獲得競争は熾烈なものとなって、大変厳しくなっております。

 今般、委員御指摘のように、若年層、特に初任給が大幅に上がることになったわけでございますけれども、この引上げが具体的に募集にどのように影響するか、これはなかなか、あらかじめお答えすることは困難ではございますけれども、まさに若年層に重点を置いた引上げということから考えますと、若年層の募集によい影響があるのではないかというふうに強く期待をしているところでございます。

橋本(幹)委員 よく、特に士となる方、自衛官候補生等の募集については、消防ですとか警察、こういった公安職との併願をする方が多い。だから、こことの志望順位競争になっている。だから、併願して、その中で、本当は警察に一番行きたい、二番目は消防、三番目は自衛官という方がいらっしゃるかもしれないし、その逆の方もいらっしゃるかもしれない。この順位が非常に大事だというふうに思うんですね。

 今回、若年層、二士の初任給を引き上げることで、この志望順位競争というところが若干自衛官の順位が上がってくるのではないか、そういうような理解でよろしいでしょうか。

中谷国務大臣 委員がおっしゃるように、警察とか消防とか、今、自衛官の採用については熾烈な争いをしております。

 特に、警察とか消防は地元採用ですから就職したらずっと地元にいられるという点がありますけれども、自衛官の場合はやはり国の防衛ということで全国各地が勤務地になります。

 しかし、できるだけ、その地にいる人を基地とか駐屯地で仕事ができるような配慮もいたしておりますし、他の公務員と、やはり居住環境が、遜色がないような、差がないような状況で、おっしゃったように、給与、手当、それから営内に住む隊員さんの状況、例えば個室化とか、通信環境、今、WiFiがあるかないかというのは非常に大きな要素ですけれども、こういった整備、それから知識、技能、経験を生かした再就職の充実、並びに新たな生活設計の確立など、あらゆる面で、今、官邸の中で、ほかの関係省庁と就職先のお願いを精力的に重ねておりまして、この結果を受けまして、自衛隊の魅力化というところを充実させて、自衛隊の募集に生かしていきたいというふうに思っております。

橋本(幹)委員 直近、令和五年度の自衛官候補生の採用について、特に低い計画達成率となっております。従前ですと一〇〇%に近い、一〇〇%、九〇%あたりで推移していたものが、令和四年度には四三%、令和五年度に三〇%ということで、大変これは深刻な課題であるというふうに受け止めております。

 一方で、新規採用ということではなくて、中途退職というところでありますけれども、中途退職事由というところは防衛省は調査しております。その中で、調査結果を見ますと、処遇を理由に退職する、つまり、給料が低いですとか人事に不満があるだとか、こういったところを含めた退職事由というところを見ますと、二%ぐらいしかいない。

 ほかにも、この調査がどうなのかという話もありますけれども、実際、給与と隊員の確保というところは結びついているのかというところは果たしてこの数字を見ると疑問なんですけども、この辺りはどのようにお考えでしょうか。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 自衛官になる者も日本国民というか、同じ我々の若者でございますので、まさに今、日本の若者の職業に対する価値観、あるいは勤務先に対する帰属意識、そういったものが大分多様化してきておりまして、また、職業に求める価値、金銭なのか自分のやりがいなのか、そういったところも非常に多様化をしてきております。

 そういった中で、我々の自衛隊という職業が、まさに大臣がおっしゃっていますように、誇りと名誉があるものだ、自衛隊の仕事をやりたいんだというふうな意志を持って入ってきていただくということが重要だと思っておりまして、また、それに加えまして、様々な処遇をしっかりと改善していきたいというふうに考えております。

橋本(幹)委員 まさにおっしゃるとおりだと思います。俸給だけではないと思います。誇りと名誉という言葉がありましたけれども、もう少し砕けた言葉で言ったら、やりがいですとか、あるいは成長している実感ですとか、若者にとってはそういったところも極めて重要であるというふうに思います。

 是非、今、処遇改善のところで組織文化のところについても議論をいただいておりますけれども、表に出てくる、予算に出てくる数字であるだとか俸給であるだとか、そういうところだけに国会は注目しがちですけれども、一番大事なのはやはり入った後の組織文化だというふうに私個人としては思いますから、是非、ここの点も重点を置いて御検討いただければというふうに思っております。

 今、隊員の話、二士の話をしました。若者といえば、ほかにも防衛大学校の学生があります。先ほど、俸給と募集状況の関係を少し伺いましたけれども、防衛大学校の募集状況、採用達成率、ここは近年どのような推移をしているんでしょうか。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 今手元に具体的なちょっと数字は持ち合わせておりませんけれども、先ほどから委員が指摘されているように、士の採用達成率、そういったものと比べましては、防衛大学校の方は問題なく、おおむね一〇〇%の達成で採用計画どおりに学生は確保できております。

橋本(幹)委員 おっしゃるとおり、この二十年間で見ても、ほぼ一〇〇%を達成しているのが防衛大学校の学生です。

 ここに少し注目したいんですけれども、今回、防衛大学校の学生も大変給料は上がります、十五万一千三百円。これを云々言うという意図ではないんですけれども、ただ、ちょっと防衛大学校というのは、自衛隊も特殊ですけれども、自衛隊の中でも防衛大学校の学生は極めて特殊な身分にあるというふうに考えております。ですから、ここは、今回の給与の引上げ、俸給の引上げに反対する、そういう意味ではないんですけれども、一度整理が必要な事項であるというふうに思っております。

 その上でお尋ねしますけれども、まず防衛大学校の意義はどういったものでしょうか。

中谷国務大臣 橋本委員も私も防衛大学校で学びました。

 やはり、基本的には、幹部自衛官になるべき者の教育訓練をつかさどる防衛省の機関でありまして、卒業生は多く現場で活躍をされていますけれども、やはり現職の幹部自衛官にとって一番大切なのは、資質というか心構え、それから専門知識でありまして、防衛大学校では理工学と文科系とありますが、もう一つ、防衛学というのも学びます。四年制の大学でありますが、全寮制なんですね。ほとんど自由時間がない。しかも共同生活で一年生から四年生まで同じ部屋でやりますので、おのずとそういう組織学というか、集団的な中での行動も身につくということで、私にとりましては非常に勉強になりました。

 そういう中で、昭和二十七年に保安大学校として開校しまして、昭和二十九年に防衛大学校に改編されましたが、初代の槇校長先生が、よき武人の前によき人間たれ、そして真の紳士淑女にして真の武人ということで、非常に幅広い科学的思考と豊かな人間性を育むことを教育の目標として現在に至っております。

 現在は、久保学校長の下に、サイバーとか情報工学とかそういった教科教育を始めハラスメントとか、各クラブ活動等を通じまして、そういう団体における真のリーダーシップの在り方なども学べるということでありまして、そういう意味におきましては、幹部自衛官を育成するための大変重要な組織であるというふうに認識しております。

橋本(幹)委員 大変実感のこもったお答えをいただいて、ありがとうございます。私も、母校ですし、大好きでして、学生歌は今でも歌えるぐらい好きな場所であります。

 そういった、ちょっと自衛隊の中では特殊な位置づけにあります。自衛隊、いろいろな学校がありますけれども、例えば術科学校であるだとか幹部候補生学校であるだとか、こういったところは、どちらかというと、職業訓練の色がとても強いところにはなりますけれども、防衛大学校というと、どちらかというと、言葉はいいか分からないですけれども、放任的なといいますか、アカデミックフリーダムなところもありながら、訓練もやりながら学生舎生活もやる、校友会もやる、いろいろな要素があるわけですね。

 卒業してもなお、あまたいる公務員の中でもかなり特殊な身分になるなというふうに感じておりますけれども、防衛大学校学生は階級がついていません、特殊な、学生という身分になります。あるいは、俸給という名前ではなくて、学生手当という名称になっていますけれども、防衛大学校学生の身分ですとか学生手当、どういった立ち位置、位置づけにあるんでしょうか。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛大学校の学生は、常勤の国家公務員でございます。その職務は、教育訓練を職務としておりますので、その教育訓練という職務の対価、これに対しまして、常勤の国家公務員に対して給与を支給しているということでございます。

橋本(幹)委員 身分について是非お聞かせいただきたいんです。階級ですとか、あるいはどういった指揮系統に入っているかとか、これが定数に入っているのかとか、そういったところも教えていただけないでしょうか。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどもこの委員会でも議論がありました、自衛官候補生、また高等工科学校の生徒、それと防衛医科大学校の学生、それと並びまして防衛大学校の学生というのが学生という身分でございます。

 こちらにつきましては、今申し上げた者全て、自衛官ということではございませんので、階級はありません。

中谷国務大臣 一番大きな違いは、自衛隊員であるのか自衛官であるのかということで、卒業式に、任官するときに宣誓するんですね。そのときに、自衛官になりますということで、正式な公務員ということで国の防衛をするということですが、学生は学生という立場で、やはり自由に学び、そして教育を受けるということで違いがあるんじゃないかなというふうに思います。

橋本(幹)委員 ありがとうございます。

 今の大臣のお答え、私も共感するところであります。

 今回の法律案で、単身赴任手当が防衛大学校学生にも出るような改正になります。この単身赴任手当ですけれども、防衛大学校学生が単身赴任手当を受ける場合というのはどういった状況になるんでしょうか。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 今回のこの単身赴任手当ですけれども、これまでは採用された後に単身赴任をする場合に支給をされていたものでございますけれども、今回は、採用時に例えば大阪とかに住んでいて、採用されて東京に来る、あるいは横須賀の防衛大学校に来るときにも、御家族がいる場合であれば、単身赴任手当が出るということになるものでございます。

橋本(幹)委員 別に出すことに否定的なのではないんですけれども、ただ、是非必要であればとは思うんですけれども、ちょっと違和感があるんですね、学生に対して単身赴任手当を出すというところが。

 この単身赴任手当が出る状況というのは、恐らくこういうシナリオだと思うんですね。自衛官候補生の場合は考えやすいんですけれども、学生の場合は、十八で高校を卒業して、高校卒業後、結婚して配偶者がいて、扶養に入れて同居する、ということは、すなわち働いているし世帯を持っているということなんですけれども、この働いて世帯を持って、その後に防衛大学校に行くというところが余り想定されないのではないかなというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 正直申しまして、私も余りそれが適用されるということはないかなとは思っております。

 ただ、防衛大学校の学生も、十八歳というふうに限定しているわけではありませんので、もう少し幅がある、二十二とかですね、そういった方でも受験できることになっておりまして、また、合格すれば採用されます。一般の国家公務員でそういう制度をつくるときに、あえて防衛大学校だけそれを外すのかということを考えましたときに、余り例はないかもしれませんけれども、あえて外す必要はないのではないかということで、今回は防衛大学校の学生にも適用されるということでございます。

橋本(幹)委員 問題意識は、防衛大学校の学生の立場の特殊性が制度上曖昧なまま来てしまっているのではないかなというところなんです。

 単身赴任手当というのはその一つの最たる例なんですけれども、学生の身分で、それが、生徒もそうなんですけれども、例えば学校の中での権力関係というのはどうなっているのか、誰の指揮系統に入っているのかというところは、私も学生だったときに物すごく疑問だったんですね。結局、誰の命令を受けているの、誰の指揮に入っているのというところが非常に曖昧だったと思うんです。

 そういう中で、じゃ、この学生手当という名称でもらっています、学生手当、これはどこに対して手当が出ているのか。勉学に対して出ているのか、訓練に対して出ているのか、学生舎生活に対して出ているのか、校友会に対して出ているのか、はたまた全部に出ているのか。全部に出ているんだったら、それは全て任務なのか。この辺が非常に曖昧なまま。

 もっと細かなことでいうと、学生舎の中の学生間指導、これは、学生間の指導の在り方というのは毎年ダイナミックに変わっているとは思いますけれども、では、その学生間指導にどこまで法的な根拠があるのかは非常に曖昧だと思うんですけれども、その辺りの御認識はいかがでしょうか。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申しましたように、防衛大学校の学生は教育訓練が職務、広い意味ではそういうことになりますけれども、防衛大学校では三本柱ということで活動が行われているというふうに承知しております。一つ目は、一般教養、防衛学教育から成る学科、教育訓練、これが一つ目。二つ目が、学生舎生活。三つ目が、校友会活動。この三つが防衛大学校の三本柱ということで、四年間の学生生活においてこの三つをバランスよく積み上げていく、それによりまして、防衛大学校の設置目的である幹部自衛官となるべき者の教育、これが達成されるということで、防衛大学校の職員、先生も含めた職員や、また学生もそれに向けて学んでいるということだと思います。

 先ほど来申し上げておりますけれども、自衛官ではございませんので、指揮命令系統はございません。いろいろな話はありますけれども、四年生が物すごく偉くて、四年生が一年生を指揮命令する権限があるとか、そういうことではございません。あくまでも集団生活の中で学んでいくという形で関係がつくられているというふうに認識をしております。

橋本(幹)委員 もう時間が来ましたので終わりますけれども、三本柱というのも大変曖昧な言葉だというふうに思います。曖昧が全て悪いとは言わないんですけれども、ただ、その曖昧というところでずっと惰性で来たものが結果として防大のいろいろな問題として表出して、言いませんでしたけれども、そこが各陸海空にも波及しているというふうに思いますから、是非この点については今後も議論させていただければというふうに思います。

 以上で終わります。

遠藤委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 法案については賛成であります。

 オスプレイの飛行再開について質問をいたします。

 米海軍航空システム司令部の六日の勧告を受け、米軍の各軍が飛行を原則禁止する措置を取っていました。しかし、海兵隊だけが九十六時間という期限を設け、昨日飛行を再開しました。

 防衛大臣、今回の飛行停止は、十一月二十日に、アメリカ西部のニューメキシコ州の空軍基地で、オスプレイが墜落寸前で緊急着陸したことを受けて取られた措置とされておりますが、原因は解明されているのかどうか、いかがですか。そして、再発防止策は特定されたのですか。この点で伺います。

中谷国務大臣 昨日ですが、十一日に、普天間飛行場において、米軍のMV22オスプレイ、これが飛行して、海兵隊は、徹底的な点検を行った後、運用上必要不可欠ではないMV22オスプレイの飛行についても、一定の一時的制限を課した上で再開したという旨の説明をしていると承知しております。

 現在も、この件につきましては、日米間で状況についてのやり取りを行っているわけでありますが、引き続き、オスプレイの運用も含めまして、米軍に詳細を確認中であります。

 また、本件につきましては、今月の十日、オースティンが日本に来ましたけれども、その日米防衛相会談においても、私の方から、この飛行の安全性が最優先であり、情報提供を含めて緊密に連携していくことの必要性を改めて確認したところでありますので、引き続き、日米で協力をして安全確保に万全を期してまいりたいと考えております。

赤嶺委員 万全を期すといっても、原因と再発防止策について何の説明もなければ、万全を期すというのはただ気合を入れただけにしかならないのではありませんか。

 原因と再発防止策が明確になるまでは、海兵隊を含む全てのオスプレイについて飛行を再開しないよう、むしろ米側に求めるのが当然ではありませんか。こうした要請は行ったんですか。

田中政府参考人 お答えを申し上げます。

 防衛省といたしましては、オスプレイの安全性につきまして、これまでも累次にわたって米側に確認をしてきております。また、技術情報などを含めまして、日米間では平素から様々なやり取りを行っておるところでございます。

 先ほど大臣から御答弁がありましたけれども、現在、オスプレイの運用の状況につきましては、米側に詳細について確認しておるところでございます。

 委員御指摘の飛行の停止等につきましては、特段こちらから求めているところではございませんけれども、安全性について、様々な情報の提供、それからやり取りというふうなことでやらせていただいておる、そういうところでございます。

赤嶺委員 今の答弁も、アメリカに何も言っていないのと同じような話ですよ。原因も分からない。運用停止は求めません。しかし、オスプレイはトラブルを繰り返しているわけです。

 累次の話合いとかいろいろなことを言いますけれども、結局、原因も分からないまま飛び続けている。これだけトラブルが相次いでいるにもかかわらず、米軍の運用に一切物が言えない姿勢、これは到底許されるものではない、こういう具合に思います。

 陸上自衛隊のオスプレイについては、どうするんですか。

嶺政府参考人 陸上自衛隊のV22オスプレイにつきましては、安全確保を優先する観点から、現在、その任務飛行を除いて、十二月十日から一時的にその飛行を見合わせているところでございます。

 今後も、米側からの情報も踏まえながら、例えば飛行再開の時期等を適切に判断してまいりたいと考えておるところでありますが、現時点において、そのような時期につきまして、予断を持ってお答えすることは困難というところでございます。

赤嶺委員 自衛隊のオスプレイは飛行を停止しているわけです。しかし、海兵隊の飛行再開、普天間基地でも始まりました。これは、そのまま日本側が受け入れるという姿勢。これは到底納得できるものではないと思います。

 屋久島沖の墜落の事故調査報告書が公表されましたが、結局、根本的な原因は分かりませんでした。クラッチの不具合も全容解明には至っておりません。

 さらに、防衛省は、与那国島の事故について、エンジンの出力を上げるスイッチの押し忘れが原因としていますけれども、製造メーカーや海兵隊の方からは、これは部品を摩耗させる可能性があるため、このスイッチの使用を推奨しない、このように述べていることが報じられております。

 この点についての事実関係は分かったんですか。

中谷国務大臣 アメリカ側から、オスプレイを安全に運航、運用するためには、離陸時に必ずインテリム・パワー・スイッチ、これをオンにする必要があると確認をしており、頻繁な使用を奨励していないという御指摘は当たらないと認識しております。

 陸自のM22オスプレイについては、操作マニュアルに基づいて、離陸時に必ずインテリム・パワー・スイッチ、これをオンにするという操作手順を確実に行うことでその安全な運用を確保しております。

 陸自のみならず米海兵隊、米海軍、米空軍全てのオスプレイについても、同様の操作手順で運用されているというふうに聞いております。

赤嶺委員 一方で、製造メーカーや海兵隊は、部品を摩耗させる可能性があるため、このスイッチの使用は推奨しない、このように言っているわけですよ。肝腎なことは日本側は何も分からないまま飛行を続けているのが実態です。危険極まりない欠陥機オスプレイは、全面撤退すべきだということを強く申し上げておきたいと思います。

中谷国務大臣 そもそも、ギアボックスの内部ではギア等が高速に回転をしているために、ギア等の部品の摩耗は、インテリムパワー機能の使用の有無にかかわらず、運用する上で一定程度生じるものでありまして、ギアの摩耗が必ずしも機体の故障や事故につながるわけではないと考えております。

 その上で、米側から、インテリムパワー機能の使用はギア等の部品にかかる負荷の制限値を超えるものではなくて、またオスプレイの安全な運用に影響を与えるものではない旨、確認いたしております。

赤嶺委員 矛盾した情報が米側から入ってきているわけですね。ただ、日本はアメリカが言うとおりと。しかし、オスプレイは、防衛大臣が何と言おうと、危険な飛行、危険な事故、これが繰り返されているわけです。安全神話はもうオスプレイについては終わっております。

 改めて、全面飛行禁止、これを求めていきたいと思います。

 次に、辺野古新基地建設について質問をいたします。

 防衛省は、八月、大浦湾側のA護岸と呼ばれる新たな護岸工事に着手をいたしました。金属製のくいを二重に並行して打ち込み、その間に海砂を詰め込んで護岸を造るものであります。防衛省によると全体で約千本のくいを打ち込む計画になっていますが、これまでに終えたのは何本ですか。

中谷国務大臣 A海岸の工事につきましては、本年の八月二十日に着手をいたしました。

 この鋼管矢板の打設本数につきましては、八月は九本、九月が二本、十月が九本でありまして、本年十月末の時点における総数は二十本というふうになっております。本年十一月末時点における鋼管矢板の打設本数の総数につきましては、二十九本というふうになっております。

赤嶺委員 防衛省が軟弱地盤の改良工事に伴って沖縄県に提出した設計変更申請によると、A護岸は三年十か月で終える計画になっております。計画どおりに進めるためには一月当たり二十一本以上を打ち込まなければなりません。

 ところが、これまでは多い月でも九本になっているわけですね。十一月でもそうです。このままのペースでいくと十年はかかる計算です。計画どおりに終えることなどできないのではありませんか。

中谷国務大臣 先ほど陸自のM22と申しましたが、正しくは陸自のV22でありまして、訂正をいたします。

 そして、鋼管矢板でございます。

 御質問につきましては、本年八月二十日に着手したところ、工事の着手当初であるため、他の工事と同様に打設作業を慎重に進めていたということ、そして、A海岸の工事を開始して以降、夏から秋にかけて沖縄県に複数の台風が直撃し、接近したということによりまして作業可能日数が比較的少なかったということもありまして、これまでの鋼管矢板の打設ペースというふうになっております。

 今後は、台風シーズンが過ぎたということ、また作業を進めていく中で作業効率が高まってきたということが考えられることから、作業ペースも増加していくものと想定されますが、防衛省としては、一日も早い普天間飛行場の移設、全面返還を目指して、基地負担の軽減を図るために、辺野古の移設工事に全力で取り組んでまいる所存でございます。

赤嶺委員 中谷大臣も御承知だと思いますが、沖縄は台風の常襲地帯です。工程表を作るのに台風も計算に入れておくというのは常識じゃないですか。台風が来たから遅れましたというのは言い訳にもならないですよね。工事が遅れているわけです。

 しかも、設計変更後の工程表は今年一月が起点とされております。A護岸の完成までにはあと二年十一か月しか残されておりません。この区域は、防衛省が埋立区域1と呼んでいる場所です。設計変更申請によると、この場所は、A護岸の工事を終えた後に埋立てを行い、その後、飛行場の関連施設を整備する計画になっています。

 どのくらいの期間をかけて埋立てと施設整備を行う計画ですか。

青柳政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の埋立区域1の施工手順につきましては、地盤改良船を用いたサンドドレーン工法、これによります地盤改良を行いながらA護岸等の護岸を概成させ、外海と遮断した後に、埋立土砂を投入して埋立てを行うとともに、陸上地盤改良機を用いたペーパードレーン工法による地盤改良を行うということとされていると承知しております。また、飛行場関連施設につきましては、施設を整備する埋立区域の埋立て後、順次着手することとしてございます。

 その上で、普天間飛行場代替施設建設事業の工期につきましては、従来から申し上げているとおり、埋立工事に要する期間として八年、御指摘の飛行場関連施設の整備を含め工事完了までに九年三か月を要する旨を御説明してございます。

赤嶺委員 今私が聞いたのは1の区域なんですよ。全体の話じゃないんですよ。だから、1の区域でつまり埋立てにどのぐらいかかるのか、皆さんの工程表では。それから、飛行場施設の建設に何年かかるのか。それを答えていただけますか。

青柳政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の変更承認申請におきます工程表、これにおきましては、埋立区域1の埋立てに要する期間は一年六か月、飛行場関連施設の整備に要する期間は約四年と見込んでいるところと承知しております。

赤嶺委員 護岸工事の後に更に埋立てで一年半、飛行場施設の建設に四年がかかる、こういう説明でありました。この地域は大部分が地盤改良工事を必要としないところですが、それでも、全体はA護岸の工事を含めそこだけであと十五年以上かかるということになりかねません。

 私は、今年の通常国会で、水深が浅く軟弱地盤のない辺野古側の埋立工事でも、当初の防衛省計画の十倍、半年でできるものが五年もかかったということを指摘してきました。大浦湾側にはマヨネーズ並みの超軟弱地盤が広範囲に広がっており、韓国の事例を見ても、大変難工事になることは必至であります。

 完成まで十二年という政府の計画はまさに絵に描いた餅だと思いますが、現実を踏まえた工程表、これを出し直すべきだと思いますが、大臣、いかがですか。

青柳政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど大浦湾側の地盤改良が必要な工事についての御指摘もございましたけれども、これについては、一般的で施工実績が豊富な工法、これによって、我々は、地盤改良工事を行うことで十分安定性を確保して護岸等の施工が可能であることが確認されているということを従来から申し上げておりまして、したがいまして、我々は、こういう工法を用いながら、先ほど申しました期間の中でしっかりと工事を進めてまいりたいと考えてございます。

赤嶺委員 遅れているところがたくさん出ているわけですよ。それを今でも工程表どおりに完成させるんだというのは、まさに絵に描いた餅。しかも、普天間基地の返還のめどさえ政府は説明できないでいる。

 辺野古の新基地は普天間の危険性の除去にはつながらない。辺野古も中止し、普天間は即時無条件返還すべきだということを強く申し上げて、質問を終わります。

遠藤委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

遠藤委員長 これより討論に入るのでありますが、その申出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、防衛省の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

遠藤委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

遠藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時四十七分散会


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