衆議院

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第6号 令和7年4月10日(木曜日)

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令和七年四月十日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 遠藤  敬君

   理事 岩田 和親君 理事 尾崎 正直君

   理事 木原  稔君 理事 篠原  豪君

   理事 升田世喜男君 理事 屋良 朝博君

   理事 美延 映夫君 理事 橋本 幹彦君

      金子 容三君    黄川田仁志君

      草間  剛君    工藤 彰三君

      島田 智明君    鈴木 英敬君

      鈴木 隼人君    関  芳弘君

      田畑 裕明君    土田  慎君

      中西 健治君    深澤 陽一君

      福田かおる君    松本  尚君

      向山  淳君    吉田 真次君

      新垣 邦男君    伊藤 俊輔君

      下野 幸助君    鈴木 岳幸君

      松尾 明弘君    萩原  佳君

      平岩 征樹君    西園 勝秀君

      山崎 正恭君    赤嶺 政賢君

    …………………………………

   外務大臣         岩屋  毅君

   防衛大臣         中谷  元君

   防衛副大臣        本田 太郎君

   防衛大臣政務官      金子 容三君

   防衛大臣政務官      小林 一大君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  室田 幸靖君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  門前 浩司君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  平井 康夫君

   政府参考人

   (内閣官房内閣情報調査室次長)          七澤  淳君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 石川 泰三君

   政府参考人

   (公安調査庁総務部長)  渡部亜由子君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 大河内昭博君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 熊谷 直樹君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 高橋美佐子君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 濱本 幸也君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 石川 誠己君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房長)   萬浪  学君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房衛生監) 針田  哲君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房施設監) 茂籠 勇人君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官)           家護谷昌徳君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  大和 太郎君

   政府参考人

   (防衛省整備計画局長)  青柳  肇君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  青木 健至君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  田中 利則君

   政府参考人

   (防衛装備庁装備政策部長)            坂本 大祐君

   政府参考人

   (防衛装備庁プロジェクト管理部長)        嶺  康晴君

   安全保障委員会専門員   飯野 伸夫君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十日

 辞任         補欠選任

  江渡 聡徳君     工藤 彰三君

  草間  剛君     中西 健治君

  鈴木 英敬君     松本  尚君

  中曽根康隆君     深澤 陽一君

  向山  淳君     土田  慎君

  五十嵐えり君     鈴木 岳幸君

  池畑浩太朗君     萩原  佳君

同日

 辞任         補欠選任

  工藤 彰三君     田畑 裕明君

  土田  慎君     向山  淳君

  中西 健治君     草間  剛君

  深澤 陽一君     島田 智明君

  松本  尚君     鈴木 英敬君

  鈴木 岳幸君     五十嵐えり君

  萩原  佳君     池畑浩太朗君

同日

 辞任         補欠選任

  島田 智明君     吉田 真次君

  田畑 裕明君     江渡 聡徳君

同日

 辞任         補欠選任

  吉田 真次君     中曽根康隆君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 防衛省設置法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一六号)

 国の安全保障に関する件


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     ――――◇―――――

遠藤委員長 これより会議を開きます。

 国の安全保障に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付のとおり、内閣官房内閣審議官室田幸靖君外二十名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

遠藤委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 今日は、別の委員会とも重なっておりまして、冒頭の質問に御理解をいただきましてありがとうございます。

 早速、質問に移らせていただきます。

 安保三文書に基づく住民避難について質問いたします。

 政府は、三月二十七日、先島諸島の住民など約十二万人を九州・山口に避難させるための初期的な計画を公表しました。

 八十年前の侵略戦争で、沖縄は凄惨な地上戦の場となり、県民の四人に一人が犠牲になりました。地上戦を生き延びた人々が、戦争の準備ではなく外交で平和を築く努力を訴える中で、島々にミサイルを配備し、当時の住民疎開をほうふつとさせる計画を出してきたことに、言葉では言い表せないほどの怒りと不信が渦巻いております。

 まず、内閣官房に伺いますが、住民の避難先として九州・山口を選んだ理由は何ですか。

門前政府参考人 お答えいたします。

 我が国を取り巻く厳しい安全保障環境の中、万が一の事態に備え、平素から関係機関が連携して様々な訓練、検討を行っておくことは重要であり、先島五市町村からの離島避難の検討においては、県域を越える広域避難を検討するための訓練上の一つの想定として、御指摘のとおり、九州・山口各県を避難先として設定しているものでございます。

 この理由でございますけれども、国民保護基本指針におきまして、沖縄県の住民の避難については、国は、九州各県を始めとする地方公共団体との広域的な連携体制を整えることとされていること、九州・山口・沖縄九県において武力攻撃災害等時相互応援協定が締結されており、県域を越える住民の避難、受入れを検討する余地があることでございます。

赤嶺委員 疎開ですよね。沖縄戦のときも九州に疎開いたしました。疎開先に行きたくないというのが疎開した先輩たちの言い分です。ヤーサン、ヒーサン、シカラーサン、ひもじい、怖い、寂しい、寒い、こういう非常に重い思いを抱いていて、戦争の準備ではなく平和の準備をというのが強い県民の願いであります。

 そこで、防衛大臣に伺いますが、先日、防衛大臣は、アメリカ製の長距離巡航ミサイル・トマホークを佐世保基地のイージス艦「ちょうかい」に配備する方針を明らかにしました。長射程化した一二式地対艦誘導弾の配備先は決まっていないとしていますが、大分県の湯布院駐屯地の第八地対艦ミサイル連隊に配備し、弾薬庫の増設が進む大分分屯地に貯蔵することが取り沙汰されています。

 さらに、佐賀空港にはこの七月に陸上自衛隊のオスプレイが配備され、航空自衛隊築城基地、新田原基地では、司令部の地下化や、普天間基地の緊急時機能を移転するための滑走路の延長、弾薬庫の増設などが進められてきています。南西諸島への出撃、攻撃拠点としての強化が進められているのがこの地域であります。

 防衛大臣に伺いますが、先島諸島に戦火が及ぶような事態であれば、九州・山口に及ぶ可能性も十分にあるのではありませんか。住民が安全に避難できる場所ではないのではありませんか。

中谷国務大臣 有事につきましては、具体的な対応を予断するということは困難でございますけれども、あらゆる事態を想定した上で、事態がいかなる状況であっても、まずは住民の生命、安全、これをしっかりと確保するために、我が国に対する武力攻撃に十分先立って住民の迅速な避難を実現するということが何より重要だと考えております。

 そこで、先島諸島から避難住民の受入れ先につきましては、やはり九州・山口各県を想定して検討が行われているわけでございますが、これは、県域を越える広域避難を検討するための訓練上の一つの想定であるというわけでございます。

 他方、実際この事態時に避難先はどうするかということにつきましては、そのときの状況に合わせて、国の対策本部が恐らく政府の方に設けられますけれども、その対策本部が実際の情勢に応じて総合的に判断され、決定することになります。

 いずれにしましても、防衛省としましては、関係省庁と連携を深めまして、引き続き、国民保護の実効性を高めてまいりたいと考えております。

赤嶺委員 有事の際には九州・山口も戦火を逃れられないんじゃないかという質問でした。答えはありませんでした。有事になってみなければ分からない、そういう答えでありました。とんでもないことであります。

 台湾有事という特定の事態を想定して避難計画を具体化しているのは明らかであります。有事になってみないと分からないという言い逃れは許されません。

 内閣官房に伺いますが、九州・山口に戦火が及んだときに、避難した先島住民、九州・山口の住民はどこに避難するんですか。

門前政府参考人 お答えいたします。

 先般公表させていただきました九州・山口各県での受入れ検討でございますけれども、沖縄先島からの五市町村の住民約十一万人につきまして、九州・山口各県の八県三十二市町で受け入れる計画とさせていただいているところでございます。

赤嶺委員 いや、この計画の中身というよりも、九州や山口が有事になった際に、戦火が九州・山口に及んだ際に、沖縄からの避難、まあ疎開ですよ。あるいは、九州・山口の人たち、これはどうするんですか。どこに避難するんですか。

門前政府参考人 先ほど御答弁申し上げましたとおり、九州・山口各県を避難先として設定させていただいておりますのは、国民保護基本指針や武力攻撃災害等時相互応援協定を勘案しまして、訓練上の一つの想定として設定しているものでございます。

 先ほど防衛大臣からも御答弁ございましたけれども、実際の事態発生時に要避難地域や避難先地域をどう設定するかにつきましては、国の対策本部において、そのときの実際の情勢などに応じて総合的に判断されることとなるものでございます。

赤嶺委員 要するに、それ以上のことは何も考えていないということですよね。

 現に、九州・山口の方でも基地が強化され、南西諸島への後方部隊として軍事体制が強化されている。こういう中で、結局、今の国民保護計画、そういうところまでは考えていないと。

 自治体の関係者からも、机上の空論だという批判が相次いでいます。国がやると言うからつき合っているだけという声が出ています。大体、基地が集中する沖縄本島は屋内避難です。現実性を欠いた計画になっているということをまず指摘しなければなりません。沖縄戦の体験者が、今頃疎開の話を政府が持ち出してくるなんてばかばかしいというようなものを、保守的な立場の人たちからも怒りを持って報道されておりました。

 次に、住民避難と軍事行動の関係についてであります。

 政府は、先島諸島の空港、港湾を使って自衛隊の部隊展開と住民避難を同時に進める考えを示しています。しかし、自衛隊や米軍が使用する空港、港湾は、国際人道法上の軍事目標として扱われ、攻撃が正当化されます。

 一九四四年、一〇・一〇空襲が沖縄でありました。米軍の五次にわたっての攻撃で那覇市の約九割が焼失いたしました。当時の政府は、学校や病院、民家などが攻撃対象になった四次、五次の攻撃については、アメリカ政府に国際法違反の無差別攻撃として抗議しています。ところが、那覇港などが攻撃対象になった一次から三次までの攻撃については抗議しておりません。

 外務大臣に伺いますが、これは当時の那覇港が軍事物資の主要な積み上げ港だったために軍事目標に該当し、抗議の対象から外さざるを得なかったということではありませんか。

岩屋国務大臣 一九四四年に、当時の重光葵外務大臣から須磨駐スペイン公使に対する、那覇空襲に関する対米抗議の件と題する公電の決裁が行われた公文書が存在しているということは承知しております。

 その上で、当時の状況については様々な見方があり得るということで、御指摘のような歴史的な事象に関する評価につきましては、一般的に専門家等によって議論されるべきものであることから、政府として、本件抗議に関する認識についてお答えすることは差し控えたいというふうに思います。

 なお、軍事目標に当たるか否かは、実際に武力紛争が生じた場合において、その時点における状況等で判断する必要があるため、一概にお答えすることは困難であると考えております。

赤嶺委員 当時の那覇港が軍事物資の積卸しをしている場所であって、攻撃の対象になっているというのは、衆目が一致する、歴史家が一致する、また、県民の体験からいっても、そのような認識は持っているのであります。軍事利用されている空港、港湾が攻撃された。

 住民避難に不可欠な空港、港湾を自衛隊や米軍が使用することになれば、軍事目標として扱われ、攻撃されても抗議さえできないということになるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

岩屋国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、実際に軍事目標に当たるか否かは、武力紛争が生じた場合において、その時点における状況で判断する必要があると思いますので、繰り返しになって恐縮ですが、一概にお答えすることは困難であると考えております。

赤嶺委員 防衛大臣に伺いますが、住民避難が必要になるのは、政府が台湾有事に介入する体制づくりを進めているからであります。そのために、米軍や自衛隊が南西諸島の島々に展開して攻撃を繰り返すという、まるでそこに住民の暮らしがないかのような許し難い計画を立てようとしています。

 沖縄戦で戦場になったのは軍隊が展開した島であります。軍隊が展開しなかった島には米軍も攻めてこなかった。

 なぜ、今、島という島を戦場にするような計画を立てるんですか。住民への被害を最小限に抑えるという視点さえ欠落しているのではありませんか。

中谷国務大臣 あらゆる脅威や事態等に対して備えをしなければなりませんけれども、まず、住民への被害を最小限にするという観点におきましては、武力攻撃より先立って、住民の迅速な避難を実施することが重要でありまして、国民保護措置の実施に当たりましては、関係機関と連携して対応していきたいと考えております。

 よく沖縄戦のお話もされますけれども、あのときは、軍隊が住民を盾にし、また住民とともに移動することによって、かえって住民の被害が大きくなりましたけれども、今回、住民の避難につきましては、政府は先立って住民を安全なところに避難していただくということで、政府の全ての機関がそういうことを誘導して計画を立てていく、そして地元の自治体にも協力していただくということが住民避難の一番の基本でございますので、あらゆる事態を想定の上、そして各種訓練等を行うとともに、関係省庁、地方自治体との連携を強化して、国民の命、平和な暮らしを守るために万全を期してまいりたいと考えております。

赤嶺委員 島々を戦場にする計画が展開されていて、今度は住民を守るんだと言っても、誰も信用できるものではありません。

 武力攻撃の可能性を低下させるための抑止力と言っておりますけれども、安保三文書自体が、抑止に失敗して、日本に脅威が及ぶ場合があることを認めています。一旦戦端が開かれれば、取り返しのつかない事態になります。

 政府がやるべきことは、この地域で絶対に戦争を起こさないために、米中双方に緊張緩和と対話を働きかけることであります。どんなことがあっても住民に被害が及ばないようにすることです。ところが、それに逆行することばかりやっています。政府は戦争を起こさないための平和外交に徹すべきだということを強く申し上げておきたいと思います。

 終わります。

遠藤委員長 お疲れさまでございました。これにて赤嶺政賢君の質疑は終了いたしました。

 次に、伊藤俊輔君。

伊藤(俊)委員 立憲民主党の伊藤俊輔でございます。

 引き続き、質問させていただきたいというふうに思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず冒頭、ちょっと質問の通告はしておりませんが、今日は、岩屋外務大臣、いらっしゃっておりますが、昨日、トランプ大統領が、相互関税九十日間の一部停止ということを発表されて、一〇%税率引下げを承認したという報道がありました。

 外務大臣の、政府の受け止めを一言いただきたいと思います。

岩屋国務大臣 委員御指摘のとおり、米国時間の九日、米国政府は、相互関税の一部について適用を九十日間一時停止することを認める旨、発表したと承知しております。

 我が国は、これまで様々なレベルで我が国の懸念を説明するとともに、措置の見直しを強く申し入れてまいりました。こうした中で、今般の米国政府による発表については、これを前向きに受け止めているところでございます。

 同時に、今般の一時停止の対象になっていない一律一〇%分の相互関税並びに鉄鋼、アルミニウム製品及び自動車、自動車部品に対する関税について、引き続き米国に対して措置の見直しを強く求めてまいります。

伊藤(俊)委員 ありがとうございます。

 より慎重な対応を求めたいというふうに思います。

 関連して、米国の輸送機C17の導入についてもお伺いしたいというふうに思います。

 二日の日米首脳会談において、石破総理が、米国製の大型輸送機C17の機種名を挙げて、トランプ大統領に、日本には同機の購入をする意欲があるというふうに伝えられたと報じられております。

 トランプ大統領は提案を歓迎する姿勢を示したというふうにありますけれども、米国とのやり取りはどのようなものだったのか、外務大臣にお伺いしたいと思います。

岩屋国務大臣 首脳会談の内容でございますので詳細に関しては控えさせていただきたいと思いますが、総理からは、我が国は防衛力の抜本的強化に向けて主体的に取り組んでおり、引き続きこのような取組をしっかりと進めていくという旨を説明されて、米側からこれを歓迎するというやり取りがあったということでございます。

伊藤(俊)委員 一方で、中谷防衛大臣の記者会見では、C17は製造を中止し、部品を含めて全ての調達ができない状況にあるというふうに聞いている、本気でこれを求める認識のある人はまずいないと思うという答弁を述べております。

 このお考えに、認識に変わりはないか、中谷大臣の見解もお伺いしたいと思います。

中谷国務大臣 日米間の首脳同士のやり取り等につきましては、我々はその内容をまだ聞いておりません。

 したがいまして、これにつきまして日米間でいろいろと検討されているやに聞いておるわけではございますが、御承知のとおり、C17というのは大型輸送機でありまして、もう既に米国では生産が終わっておりますし、我が国におきましては、多くの選考過程でC2の輸送機を主に今整備しておりますので、この点につきましては、また新たな状況等を踏まえまして対応することといたしておりまして、現時点でこれに対応しているということはないということでございます。

伊藤(俊)委員 大臣のおっしゃるとおりだと思いますので、精査をしていただきたいというふうに思いますし、また、これから、総理もパッケージを示してという話がありました。こういう中にC17というものが含まれるのか、あるいはこれからのFMS等の装備品の購入の更なる増加につながるのか、こういった交渉の中でどういうお考えを持たれているのか、一言お伺いしたいと思います。

中谷国務大臣 防衛力の整備につきましては、我が国自身のことでありますので、我が国自身が判断してまいります。

 ただ、総理のお考えの中には、いろいろと幅広く、例えば国際貢献にして、緊急事態の際にやはり大量に邦人が日本に帰国する必要もあれば、また自衛隊員が活動中にすぐ引き揚げなければならない、そういう事態にやはり大型の輸送機なるものが保有されるのが適切ではないかというようなお考えも持っておられるようでございます。

 その点につきましては、現時点で防衛省で具体的に新たな大型輸送機を導入するということは、現時点における整備計画の中に入っておりませんので、現状のまま認識しているということでございます。

伊藤(俊)委員 これまでも、FMSの購入の中で型落ちになったり、様々なことがありますから、是非、日本に適しているか適していないか、様々なことをより慎重に、大臣はよく承知だと思いますけれども、検討していただきたいというふうに思います。

 それでは、次の質問にしたいと思いますが、先月、私は地元は東京・町田市ですが、町田市でも自衛隊に入隊を予定される方々の歓迎会が開かれて、今年も地元で二十六名程度、新規で入校される、入隊される方々がおります。本当に御家族の皆様にも大切なお子さんを自衛隊へと、自衛官へと後押ししてくださっていることにも、その理解にも本当に感謝を申し上げたいというふうにも思いますけれども、現場では中谷防衛大臣のビデオレターも放映されて、皆さん真剣に聞いていただいておりました。

 これからの自衛官、あるいは自衛隊に入られるような若い方々にやりがいを持って本当に活躍していただけるように、あらゆる必要な待遇の改善をしつつ応援したいというふうに切に思いますけれども、その上で、自衛官の生活、勤務環境の改善を中心に幾つか質問したいというふうに思っております。

 質問の順番を入れ替えさせていただきたいと思いますが、まずは廠舎から質問させていただきたいというふうに思います。

 訓練中の部隊等が野外の訓練等で一時的に宿泊するような場所、簡易宿舎という意味合いの建物でありますけれども、昨今、老朽化を指摘する声が多くあります。ぼろぼろにさびたトタンでしたり、外壁もそうですけれども、劣化したりさびている状態、あるいは補修された形跡が見て取れないような内部の壁、あるいは塗装が落ちていたりカビだらけの状況や、あるいは亀裂が入っている状態、内部の備品等についても、かなり劣悪な写真等も見受けられるという状況であります。

 隊員の健康等も考えると非常に危惧するんですけれども、隊舎等に比べてこの廠舎というのはなかなか注目されていないところだというふうに思います。このようないわゆる劣悪な環境に身を置く、これは訓練の一部だ、こう言われるときがあるんですが、これは我慢すべきものなんだというふうに考えているのか、まず防衛省にお伺いしたいと思います。

茂籠政府参考人 お答えいたします。

 廠舎の整備については、昨年十二月に取りまとめをした基本方針に基づく生活、勤務環境の改善にも資するものであることを踏まえ、着実に建物改修等の老朽化及びその耐震化を講じていく、こういう必要があると考えております。

 防衛省におきましては、廠舎の整備も含め、自衛隊の施設の強靱化に向けて取組を着実に進めてまいりたいと考えております。

伊藤(俊)委員 なかなか着実に進んでいないので質疑させていただいているつもりであります。

 中谷防衛大臣もまさに現場、レンジャー出身でありますけれども、当時こういう演習場の廠舎を使用されたことがあるだろうというふうに思いますけれども、当時はどんな現状だったか、経験上、今日、写真も、添付の資料をつけましたけれども、四枚目ですかね、最後から二番目の一番下のマットレス、非常にぼろぼろな状態であります。こういう状態が今現状あるんですけれども、当時経験された中谷防衛大臣、一言、経験も踏まえてですが、お伺いしたいと思います。

中谷国務大臣 私が訓練したのは昭和六十年代でありまして、もう四十年前の自衛隊でございますので、かなり厳しい環境の中で、とにかく訓練だけは一生懸命やりましょうということで、本当に土日返上で演習場へ行って訓練しました。そこで寝泊まりをするところが廠舎というところでありまして、だだっ広い部屋にもうベッドだけたくさん置かれて、そこで一週間とか二週間とか泊まりながら野外の戦闘訓練などを実施したという経験がございます。

 非常にそういうのが我々としては当たり前であるというような認識でございましたが、やはり、生活環境を整えようということで、現在では、こういった寝具とかあとはマットレスとか、そういうものにつきましては全て更新して、衛生に気をつけて、変な虫が寄ってこないとか快適に眠ることができるとかというようなことで、こういった生活環境の改善には現在のところ力を入れて実施しているということでございます。

伊藤(俊)委員 改善に向けてということだと思いますけれども、今マットレス等々の話がありました。常時新しいものに、あるいは更新していくということだろうというふうに思いますけれども、隊舎の方が今、令和六年度から予算が増えて先立ってスタートしていると思うんですが、この廠舎においては、事前に防衛省にもお尋ねして、いただいた資料によると、いわゆる隊舎内の寝具の更新が順次終わって、それから廠舎の方を手がけていくような書きぶりでありました。

 そして、隊舎でもう使えないもの、あるいは不良品なもの、あるいは劣化して交換せざるを得ないもの、様々出てくると思うんですが、それを使い回すということはないだろうと思いますけれども、今どういう状況か、廠舎のマットレスの新品への交換を検討していただいているのか、お聞きしたいと思います。

嶺政府参考人 お答え申し上げます。

 まさに委員御指摘のとおりでございまして、まず、隊舎内の方は、全ての寝具を対象として規格の見直し、入替えを九年度までに完了させます。それと、今まで損耗更新、破れとかで滞っていた分についても七年度中に更新を完了させる、これは御指摘のように隊舎の方でございます。

 廠舎でございますけれども、これも、隊舎の方の更新によって発生したもので状態のよい寝具を活用する形で、これは我々国の責務として順次更新を行っていく計画ということでございまして、引き続きこのような形でまずはやっていく計画になっておりますけれども、当然ながら、我々は、今後も隊員が自らの能力を十分発揮できますよう、生活、勤務環境の改善に取り組んでまいりたいと考えております。

伊藤(俊)委員 隊舎の方は時間があれば後でやりたいなというふうに思っておりますが、廠舎においては、特に内部にある寝具等、これは本来は国の責務で整えていかなきゃいけないもの、更新していかなきゃいけないものという認識だろうというふうに思っているんですが、現状は、管理が行き届かないのか、どこかで廃棄されたようなものを持ってきて使っているとか、そういうお声がありますし、そういうところがあるとお聞きしております。

 なので、写真にあるように、かなり劣化しているような劣悪なものが使われているという現状が見受けられるわけでありますけれども、今回いただいた資料だと、国の責務で更新していきますというお言葉がありました。改めて確認したいんですが、これからも、中にある寝具等を含めて、これは国の責務で更新していくということでよろしいか、そこだけお聞きしたいと思います。

嶺政府参考人 お答え申し上げます。

 まずは、更新によって発生した、隊舎で使用していた状態のよいやつをまず活用するということがございます。その上で、国の責務として順次更新を行っていく所存でございます。

伊藤(俊)委員 国の責務でということですから、そこは明確に隊員の皆さんの適切なものに替えていっていただきたいというふうに思いますが、隊舎の状態がいいものというのが、本当にどういうものが使われるのかということが懸念されますけれども、しっかりと、より新品に近いようなものを、いいものを使っていただきたいとお願いしたいというふうに思っております。

 これまでなかなか整ってない現状を見ると、廠舎のそういった更新が結果的に少し後回しにされてきたということだと思いますので、隊舎の後というと、どれだけ後になるのか、何年度になるのか分かりませんが、恐らく二百棟を超える廠舎があるというふうに承知しています。

 ほとんどが、百七十棟を超える廠舎が昭和に建てられているような建物だと思いますので、恐らく建て替えも、三棟ぐらいしかできていないというお話だと思いますので、遅れているという話ですから、内部も含めて、是非更新をできるだけ早急にしていただきたいなというふうに思っております。

 改めて、廠舎の建て替えの計画等を加えて聞いておきたいというふうに思いますが、これからの、先ほど言ったように、二百三棟だと記憶していますが、そのうち、古いものが百七十棟ぐらい昭和に建てられているということですから、建て替えが必要、あるいは修繕が必要としているのが何棟ぐらいあって、いつぐらいまでにそういうものを着手していく計画があるのかということをお聞きしたいと思います。

茂籠政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のように、廠舎の方は今約二百棟ございます。先ほど申し上げましたように、防衛省の基本方針に基づきまして着実に隊舎の改修、老朽化、耐震化対策、こういうものを講じていく考えでありますが、現在、先ほど委員御指摘ありましたように、二百三棟のうち三十四棟、約二割が事業化に着手したところでありまして、その中に、令和七年度は、十四棟分の廠舎の建て替え、必要な設計、工事に係る費用として約五億円を計上しているところでございます。

伊藤(俊)委員 ありがとうございます。

 その計画の中に北富士の演習場も入っているかと思いますけれども、令和六年度に四棟の建て替えに係る調査、設計を契約し、現在履行中だというふうに承知しております。令和七年度にはこの経費が計上されていないように、見受けられなかったんですけれども、この北富士の演習場の廠舎の整備がいつ完成する見込みか、お聞きしたいと思います。

茂籠政府参考人 今委員から御指摘いただきましたように、北富士の演習場の廠舎、六年度に四棟の建て替えの調査と設計の契約を行ったところでございます。その設計業務というのは令和七年度中に完了する予定をしておりまして、次年度以降にその工事費の要求をするように今考えているところでございます。

 ですので、今、次年度以降のことなので、確たることを申し上げることはできないんですけれども、八年度以降に着実に工事の方を進めていきたいというふうに考えております。

 以上でございます。

伊藤(俊)委員 なるべく計画どおりにできるように進めていただきたいとお願いしたいというふうに思います。

 そして、その廠舎のうち、約二百以上あると思いますが、そのうちの三つが令和に入ってから建て替え完了したとお聞きしておりますけれども、恐らくその中の一つが長崎県の大野原演習場にある廠舎かなというふうに承知しております。

 外見はすごく新しく、きれいになったんですが、以前から、その内部、今日、多分資料の一番最後につけさせていただいておりますが、以前から、シャワーが使えないというふうに指摘されてきたところでありますけれども、訓練を終えて廠舎に戻ってもお風呂に入れないという話、仕方なく洗面所の冷水で浴びたという声もあります。

 廠舎の建て替えは大事でありますが、同時に内部も改善しないとと思いますので、まずこの水が出ない、シャワーが浴びられない、こういう現状を是非改善していただきたいなというふうに思いますけれども、大臣、よろしくお願いします。

中谷国務大臣 九州の大野原演習場の例を出されましたが、私も現役の頃はここで訓練しました。このときはシャワーなどなくて、ただ、入浴施設はありましたので、訓練が終わった後は入浴したという経験がございます。また、自衛隊もテントなどで入浴することもできておりますので、そういった風呂に入った記憶はございます。

 ただ、改善をやはりしていこうということで、現在、こういった廠舎におきましても、入浴の施設とかシャワーの完備とか、こういったことにつきまして改善が図られるように計画し、逐次実施しているところでございます。

伊藤(俊)委員 当時はなかったという話もありましたが、是非進めていただけるようにお願い申し上げたいというふうに思います。

 そして、こういう訓練をする際に、日米で共同で訓練をするときがあると思います。そういったときに、参考までにですが、米国等が共同のときにどういう環境で宿泊や、これは野外テントの場合もあれば、米軍基地が近いときには米軍基地にということになるかもしれませんが、おおよそこの日本における廠舎とこういう状況とを鑑みて、米軍と共同でやるとき、野外テントなんかはかなり広くて割と清潔な環境だという写真も見たことはありますけれども、そういうことをもし分かる範囲で、比較してどんな感じか、教えていただきたいと思います。

茂籠政府参考人 今委員から御指摘がありましたように、日米共同訓練の際は米軍の宿泊施設については個々の訓練ごとに異なりますので、一例として、先ほど委員言われましたように、米軍基地であったりとか自衛隊の外来宿舎であったりとか、あと天幕を活用している、そういうふうに承知しております。

 日米共同訓練においては、日米の隊員が必ずしも同じ宿泊環境に置かれている、そういうわけじゃありませんので、防衛省として単純に比較をすることはできないんですが、廠舎の整備については、やはり大変、防衛力を発揮するのに対して不可欠な人的基盤の強化につながるので、引き続き施設の強靱化の中でちゃんと取り組んでいきたいというふうに考えております。

 以上です。

伊藤(俊)委員 比較をするのはなかなか難しいですが、日本の自衛隊の皆さんが、そういうのをいろいろと経験してむしろ士気が下がらないように、是非環境の改善をしていただきたいなというふうに思っております。

 るるいろいろ申し上げましたけれども、五年間で防衛費が四十三兆円、こういう大きな規模の中で、やはり自衛官、自衛隊の現場のこういう待遇改善は非常に重要でありますから、是非後回しにせずに着手していただきたいということと、こうした現状を見ると、やはり自衛官、自衛隊を目指そうという方々もちゅうちょしてしまうこともありますし、また、隊に入ってからこういう環境を経験して辞めてしまう方がいるとすれば、非常に残念なことだと思いますので、是非、そういったことを、現状しっかりと環境の改善に努めていただきたいと切にお願いしたいというふうに思いますけれども、最後、大臣に見解をいただきたいと思います。

中谷国務大臣 自衛隊の生活改善また施設の改善に対して、委員の方から、もっとしっかり進めよというお話は、非常にありがたい話でございますので、それに沿って努力をしてまいりますが。

 現在、防衛力整備計画で施設の強靱化ということを進めておりまして、必要な経費につきましては約四兆円を見積もっておりまして、廠舎を含む既存施設の更新を集中的に実施していく。また、冷暖房とか洗濯機の設置とか、そういったことをやりまして、隊員の負担を減らすような改善を進めておりますし、建て替えとか改修、老朽化、耐震化対策等をいたしております。

 おっしゃるように、やはり人的基盤というのが自衛隊の一番必要なことでありますので、しっかりとこういった環境整備をしまして、人的な防衛力を発揮できますように、そのためには自衛隊の施設の強靱化というのは何よりも必要でございますので、今後力を入れて進めてまいりたいというふうに思っております。

伊藤(俊)委員 現場を十分経験されている中谷大臣ですから、是非後回しにせずに、本当に大事にここを考えていただきたいというふうにお願い申し上げたいというふうに思っております。

 時間が迫っておりますが、最後一問だけ、陸自が隊員に配付されているSeikinパンフレットというのがあります。令和六年度が熱いと書いてあるんですが、様々、隊舎の中も改善していくということが書かれております。

 その中で、今日添付した資料の一枚目ですけれども、不良品とか様々、マットレスもかけ布団もシーツも枕も全部、全数替えますよ、新品になりますよというように言われている一方で、この書きぶりを見ると、破損の著しいもののみ交換とか、修理の不能品を全数更新と書いてありまして、これは何か全部交換しないんじゃないかという感じも受け止められますが、先ほど何かここで、程度のいいものだけは廠舎にというような話もありました。是非これは、福利厚生を含めて、すごく大事ですから、きちんと新品に替えていただきたいということと、あわせて、今日二枚目につけたものは、これは防衛省からのパンフレットですが、新品に替えるだけではなくて、マットレスを見ると、これは多分、大谷さんが宣伝していたようなと思われるような、同じか分かりませんが、マットレスが載っていたり、規格を見直しする、要はグレードも上がると。

 これを見ると、すごくいいものがみんな入るんだみたいな感じに見えるんですが、是非、消極的ではなくて、環境の改善として、本当にここに書かれているように改善していただきたいというふうに思いますが、全数新品に交換ということでよろしいのか、最後にお聞きしたいと思います。

遠藤委員長 嶺プロジェクト管理部長、簡潔にお願いいたします。

嶺政府参考人 お答え申し上げます。

 全数新品ということはなかなか難しく、お答えするのが難しいところなんですけれども、可能な限り更新を進めてまいりたいというふうに考えております。

伊藤(俊)委員 ありがとうございます。終わります。よろしくお願いします。

遠藤委員長 伊藤俊輔君の質疑は終了いたしました。

 次に、屋良朝博君。

屋良委員 立憲民主党の屋良朝博でございます。よろしくお願いいたします。

 先ほど沖縄戦の状況をお話しされておりましたけれども、やはりフィリピンも、悲惨な、凄惨な戦場となって、多くの犠牲者が出た国であります。

 その中に、今も残されている無国籍となった残留日系人二世の方々がいらっしゃるということで、先般、石破首相は、参議院の予算委員会で、我が党の塩村あやか参議院議員の質問に対して、日本訪問を求める二世を日本に招き、親族捜しを支援する意向をお示ししましたというふうな報道もされております。その際、来られた日系二世の方々と首相自ら面談もしたいというふうな意向も表明されております。

 今現在、その日系二世の方々がどのような状況にあるのかということを分かっている限りで教えてください。

大河内政府参考人 御質問いただきましたフィリピン残留日系人でございますけれども、第二次世界大戦前にフィリピンに職を求めて移住された日本人の労働者の方々が、第二次世界大戦とその後の混乱の中で、戦死や米軍によって本邦へ強制送還された結果、フィリピン人の配偶者の方とそのお子様の多くはフィリピンに取り残された、こういう状況でございます。

 そのうち、お子様につきまして、いわゆるフィリピン残留日系人、こういうふうに言われているところでございます。特に、一九八〇年代以降、日・フィリピン関係の改善とともに徐々に反日感情が和らいだ、こういうことを受けまして、残留日系人が一体となって国籍確認を求める動きが出てきておるところでございます。

 日本政府といたしましても、一九九五年以降、日系人会の協力を得て、実態調査等を通じた身元確認や国籍取得を進めてきたものでございます。現時点におきまして政府が把握してございます御存命のフィリピン残留日系人の総数は百三十四名でございまして、平均年齢は約八十三歳、このように承知してございます。

屋良委員 ありがとうございます。

 前回の予算委員会で総理がこの問題に触れられた、その後の外務省の取組、進展があれば教えてください。

大河内政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘ございましたとおり、日本政府といたしましても、このフィリピン残留日系人の方々の高齢化が進む中におきまして、希望する方々の一日も早い国籍回復、そして一時帰国に向けた支援を進める必要がある、このように認識しているところでございます。

 こういう観点から、日本政府としても、できる限りのことを行うということで、これまでも実態調査に関する予算の拡大、そして実態調査の内容を証明する証明書の発行といったような取組を進めてきているところでございまして、今御指摘いただきました一時帰国に関しましても、親族捜し等を通じて国籍回復に必要な情報を得るために非常に重要な機会の一つだ、こういうふうに考えてございますので、引き続き、関係者の切なる声を踏まえまして、この思いにお応えできるよう、政府としても可能な限り努力していきたいと、これを検討しているところでございます。

屋良委員 是非、実現に向けて外務省で取り組んでいただきたいところでございます。

 現地で彼ら日系二世の方々をサポートされている市民団体等々からもお話を聞いてございます。外務省は、現地の大使館が窓口になってかなり熱心に丁寧にサポートされているというふうなことがあって、それが功を奏して、最近、沖縄の関連の方が一時帰国を実現されて、さらに、奇跡的だと思いますけれども、国籍も回復されたというふうなケースも地元で大きく報じられておりました。

 先ほど八十三歳という平均年齢、フィリピンは平均年齢は大体七十歳ぐらいだというふうに、ネットで検索したら、そういうふうに記載されておりました。

 実は私、大学がフィリピンでございまして、フィリピンに関しては人一倍サポートしていきたいというふうに願っている者の一人なんですけれども、是非とも今年、高齢化が進んでいて、時間がかなり限られているということの現状もありますので、戦後八十年の今年こそ、父親の出身地である日本の土地を一度でもいいから踏み締めてみたいというふうな願いを、彼らは、先ほど反日感情という言葉も出ましたけれども、戦後すぐに、素性を隠さないと現地の人たちの反日感情の中で生きていられないので、逃げ回って、貧困との闘いもかなり厳しかったというふうな現状があって、ようやくここまで生き延びてきたという方々なので、大臣、彼らの祖国の土を踏みたいという願いをかなえてあげたいというふうなことを是非ともみんなで共有して、戦後八十年の今年こそ、その取組、日本政府の一つの、その意欲を、フィリピンも大事な友好国なので、是非ともそれに対応していただきたいと思いますけれども、大臣、一言お願いします。

岩屋国務大臣 私も、参議院予算委員会の総理と塩村委員のやり取りを拝聴させていただいておりました。

 委員おっしゃるとおり、フィリピン残留日系人の方々、高齢化が進んでおられますので、そんなに多くの時間が残されているわけではないと思いますので、一刻も早い国籍回復あるいは一時帰国に向けた支援をこれからもしっかり進めてまいりたいと思いますし、そのとき総理も答弁されておられましたが、それが実現した際には是非お目にかかりたいというふうにおっしゃっておられましたので、そういうことが一日も早く実現しますように努力してまいりたいと思います。

屋良委員 大臣、答弁ありがとうございます。是非とも、今年こそやって、日本政府がこういうふうに取り組んでいるんだということを内外に発信していければというふうに思います。

 次の質問に移ります。

 無人偵察機MQ4Cの嘉手納配備が、二日ぐらい前ですかね、正式に大臣の口から発表されました。

 地元への説明がどのように行われたのかということについてお伺いします。

中谷国務大臣 この点につきましては、まず、トライトンというのは無人の偵察機でありまして、地域の状況が、非常に、情報収集とか現場の警備上必要でございまして、米側において総合的に検討した結果、海洋監視能力の確保を最も達成し得る展開先として、嘉手納飛行場が選定されたという説明を受けております。

 運用の可能性につきましては、米軍の運用に係ることでございますので、お答えすることは困難でありますが、ほかの飛行場も含めて米側において総合的に検討した結果、我が国の周辺に、海洋監視能力の確保という目的を最も達成し得る展開先として、嘉手納飛行場が選定されたということの説明を受けているわけでございます。

 地元への説明等につきましても、八日に地元の三市町に説明をしたということを、今も報告を受けております。

屋良委員 八日というと、大臣が公表される一日前ぐらいですかね、前日あるいは当日ぐらい、もう本当に間がないと思いますが、沖縄県には事前に説明はされたんでしょうか。お願いします。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 地元への御説明の関係でございますが、先ほど大臣から御答弁ございましたけれども、米側との間での様々な調整、これが整った段階でできるだけ速やかに御説明をするという考えの下、先ほどお話がありましたように、四月の八日、一昨日に御説明させていただいております。

 個々の自治体との間でのそういうやり取りでございますが、平素から緊密に連携しておりまして、様々なレベルで、いろいろなやり方でやり取りを行っております。個々のやり取りにつきましては、相手方との関係もあるため、お答えについては控えさせていただければと思っております。

屋良委員 伝えたか伝えなかったかだけでいいんです。お願いします。

田中政府参考人 それぞれの自治体との関係では、先ほども申しましたように、いろいろなやり取りを平素からさせていただいております。繰り返しで恐縮でございますが、そうした個々のやり取りの態様、内容については、やったかやらないかも含めて、控えさせていただければと思っております。

屋良委員 私が聞いたところ、当日までやっていないということを聞いているんですけれども。

 比較として、鹿屋市にもトライトンは一時配備されておりますよね、二〇二二年十一月から一年間。これは、もう十か月前以上、その年の一月には既に地元に通知し、説明会も五回やった、鹿屋市のホームページで確認することができるんですけれども。これは、沖縄側では地元説明はしない、しないでいいというふうに判断されたというのは、何か理由があるんでしょうか。

田中政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員から、米空軍MQ9の海上自衛隊鹿屋基地への一時展開の際のプロセスについて御指摘がございました。

 この際でございますが、まず、鹿屋基地につきましては、米軍基地ではなく自衛隊の施設でございます。これまで、米軍のアセットの展開を比較的長期間にわたるものについては受け入れた経験もございません。さらに、鹿屋についてはそうした経験もないということで、米軍に関する運用の基本的な事項、地位協定に関わる問題であるとか、そういったものについて御説明する必要があったということでございます。加えて、地元の鹿屋市の方からは、住民説明会を実施してほしいという明示的な御要望をいただいていたこと、こういったことを総合的に考慮した結果として、鹿屋市においては、委員が御指摘いただいたような対応を取らせていただいたということでございます。

屋良委員 恐らく、その際、運用時間とか騒音とか、そういった影響等々も質問があって、丁寧に、五回にわたる地域住民への説明会ですよ。詳細にわたって説明がされたというふうに思うわけですね。

 ところが、沖縄の嘉手納では、沖縄は全体的に負担が大きいから、政府として沖縄の負担軽減に取り組みますというふうな建前ではありますよね。ところが、説明もしない、その直前になって、ほぼほぼ無期限に配備しますということって、余りにも乱暴じゃないかというふうに思います。

 確かに、自衛隊の施設であってというふうな、いろいろ調整するマターは多いかもしれませんけれども、しかし、住民の感情は、自衛隊の基地であろうと、米軍基地であろうと、周辺に住んでいるわけですから、同じなはずですね。そこでこれだけの違いが出ているというのが非常によく分かりづらい。

 大臣、これは大丈夫ですか、民生安定の見地から。しかも、施設を安定的に提供しないといけないというお立場であるはずなんですね。それで、沖縄では、説明会もなしに、二日、三日前に、発表する前に地元に説明する。沖縄県にちゃんと説明したんですかと聞いたら、沖縄県に説明しているかどうかも言えないという、これはちょっと納得いかないと一般的には思うんですけれども、いかがでしょう、大臣。

中谷国務大臣 こういった展開に当たりましては、基地負担の観点から、地元の影響を局限するということは必要でございます。

 トライトンにつきましては、実は、昨年、一時展開をしておりまして、その際、非常に音が静かな無人機でございますので、騒音に係る苦情はほぼなかったという結果報告を受けております。

 米側からも、もう既に、日米合意で、航空機騒音規制措置に基づいて地域の周辺の影響を局限する運用に努めるという説明も受けております。

 その上でのトライトンの展開でございまして、私も記者会見で発表いたしましたけれども、その直後の八日に、沖縄、嘉手納、北谷、沖縄県にしっかり説明いたしておりますので、防衛省としても、説明責任を果たす一環として、広く住民の方々にも御覧いただけるように、現在、沖縄防衛局のウェブサイトに資料も掲載しております。

 そして、現時点において住民説明会を実施する予定はありませんが、嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会、これと密接に連携しながら、引き続き、説明、また適切な情報提供に努めてまいりたいと考えております。

屋良委員 先ほど、沖縄県にはなさったということで、それをさっと言ってくれればいいのに、何でそこを隠すのかというふうな、事務方の説明はちょっとおかしいなというふうに思いましたけれども、そこは大臣にちゃんと答えていただきましたので、ありがとうございます。

 鹿屋では、地元から要望書を大臣宛てに受けて、これが配備された二〇二二年の、七月だから、四か月前ですよ、四か月前に地元から要望書を受けて、当時、岸大臣ですけれども、いろいろと合意されていると。日米地位協定の見直しについてなどというその文言なども、この要望書の中に入っているし、九州の防衛局長と鹿屋市長の間で交わされた協定には、情報の提供も逐次地元自治体にやることとか、それから騒音対策もしっかりとやることなどなど、一時移駐でありながら、そういった対応をされているということと比べると、やはり、今回のトライトンは無期限配備ですよ。無期限の配備で、なおさら丁寧に対処しないといけないはずであるのにもかかわらず、このような対応をなさるということが、果たして、施設提供者として、適切なやり方、適切な判断だったのか。地方協力を求めるのであれば、そこはしっかりと、確かに、沖縄は負担が重くて、新たな負担となると、それは敏感に反応しますよ。それを恐れているのか、それを面倒くさいと思っていらっしゃるのか分かりませんけれども、この対応は余りにも違い過ぎる。

 これは、ちょっと、皆さん、この対応を見る限りにおいては、差別的じゃないかというふうな言葉も使いたくなるぐらいですよ。こんなに施設を沖縄に集中させておいて、こんなに、負担軽減に努めていますよというようなことを繰り返し繰り返し政府はおっしゃっているにもかかわらず、今回のこの対応、言っていることとやっていることがこんなに真逆なことというのが本当に今回のケースでよく分かりました。

 これは今回が初めてじゃないですね。先ほどもフィリピンの話をしましたけれども、フィリピンのピナツボ火山が噴火して、フィリピンにあるクラーク空軍基地が使えなくなった。それで、三五三特殊作戦群が一時移駐という形で嘉手納に来たんですね。このときは、航空機も何機も来て、多分百単位ですよ、部隊が移動してきて、一時移駐ですから、避難的な配備ですからというふうな移転でした。ところが、それが、これから常駐になりますというふうに方針が転換しましたということの地元説明はどのようにやったかというと、外務省からファクス一枚ですよ。

 当時、私、地元を新聞記者として取材していたので、こんなことってあり得るのかと。一つの部隊がまとまって移動してくるということですよ。それを、一時移駐という前提で入ってきて、常駐が決まったらファクス一枚。地元の説明はどうしているのということを前回思った。

 今回も、それが全く同じ。こういうことが本当に許されるのかということです、いつまでも。しかも、なぜトライトンが嘉手納じゃないといけないのかということ。何か、総合的に米側が判断したと言っていますけれども、日本側は、ちょっと待ってください、少し地元の説明もあるので、負担軽減を今やっているところなので、そこはちょっと調整できませんかというふうな交渉というのは全くなかったんですか、大臣。

中谷国務大臣 このトライトンというのは無人機でありますが、目的は、偵察とか情報収集とか、上空を飛んで下の状況を把握するという任務がございますので、武器を積んだり爆撃したり、そういう航空機ではございません。

 また、騒音もほとんど出ずに、昨年、一時展開をしておりましたけれども、その際、地元からの苦情はほぼなかったというようなこともございました。

 そういうところで、嘉手納で運用するという報告がございましたので、直ちに記者会見は実施したわけでありますが、その直後に地元の三市町と沖縄県に説明をさせていただきましたし、今後とも、三市町連絡協議会とはまた密接に連絡を取ってまいりたいというふうに思っております。

屋良委員 分かるように、地域住民が。外務省もちゃんとやってくれているな、防衛省もちゃんとやってくれているなというようなことが分かるようにやらないと、これはちょっと、いつまでたってもこういう状況が続いていきますよ。

 何か、やはり、腫れ物に触るような対応かもしれませんよ。それがずっと、不信の溝をどんどんどんどん深くしていくような、そういうやり方で、本当に、この防衛施設提供業務をこれからもずっとやっていくんですかということだと思いますよ。

 それは、配備される米軍にとっても余りに不親切じゃないですか。反基地感情がどんどんどんどん増幅していくようなやり方をやっていて、それでこっちにちょっと駐留してくださいと言われる米側も私は気の毒だなというような気がしております。

 なぜ嘉手納かということが、最初の方で米側の総合的な判断、南西諸島の監視警戒というふうなことをおっしゃられたんですけれども、地理的に考えると、お配りした資料の一番目なんですけれども、トライトンの航続距離って一万五千キロあると理解しておりますけれども、その中で戦闘行動範囲というのはおよそ三分の一だと一般的には言われていますので、約五千キロとした場合に、二枚目の資料で、アジア太平洋地域の地図に行動半径を落としてみると、余り変わらないんですよ、沖縄であっても、鹿屋であっても、山口県の岩国であっても。若干、沖縄の嘉手納の方が広くなるぐらいで。だけれども、インドの国土の上を少しずれるぐらいであって、それほど変わらない。南西諸島は全てカバーできるということなので。

 やはり、大臣、余り、米側が総合的に判断したからこうやりますというふうな説明をこれからもずっと繰り返すと、政府が言っている負担軽減という言葉の意味が非常に軽くなる、希薄になっていくような気がしますので、是非ともそこは、大臣、ちゃんとした対応を、負担軽減の言葉の意味を具現化するようなことをやっていただきたいなというような気がします。

 もうそろそろ時間も押し迫っていますので次の質問に行きますけれども、日米首脳の共同声明が発出されておりますけれども、この中で、普天間飛行場の移設、返還をめぐり辺野古が唯一の解決策という文言が消えました。

 これは私、びっくりしたんですけれども、外務省にいろいろ尋ねてみても、これは意味は変わりません、全体の意味は変わりません、この言葉が抜け落ちただけですよというふうなことを説明されるんですけれども、ただ、共同声明って、普通に理解しているのは、一言一言、一言一句、かなり調整して、生かす言葉は生かす、削ろうとするところは、お互いの利害関係もぶつかるでしょう、それで調整していくものだというふうに理解するんですけれども、これはなぜ消えたんでしょうか、もしお分かりであれば教えてください。

岩屋国務大臣 一般論として、共同声明は、その時々で表現が変わるものでありまして、必ずしも文言の一言一句が過去の文書と全く同一であるわけではございません。

 御指摘の在日米軍再編に係る唯一のという文言について申し上げますと、辺野古移設が唯一の解決策であるという認識は日米間の大前提として繰り返し確認してきていることでございます。

 今般の共同声明におきましても、辺野古移設を含む沖縄統合計画に従った在日米軍再編の着実な実施ということを確認しておりまして、唯一のという文言の有無にかかわらず、辺野古移設が唯一の解決策という立場に変更はございません。

 一日も早い普天間飛行場の全面返還の実現のために、引き続き米国と緊密に連携していきたいと考えております。

屋良委員 そこで気になるのが、今後、日本政府が公式に発出する文書とか、公式見解として、日米間で共同声明で確定した言葉遣いを無視して、日本側が独自に唯一の解決策ということを発出することが今後もできるのかどうか、見解だけ教えてください。

岩屋国務大臣 先ほども申し上げましたとおり、辺野古移設が唯一の解決策であるというのは日米間の基本認識といいますか大前提でございますので、その立場に一切変更はございませんので、今後ともそのことをしっかりと認識として継続してまいりたいと考えております。

屋良委員 もうそろそろ時間なので、次の資料三についても少し議論したかったんですけれども、時間がないのでちょっと紹介だけしておきますと、これは、アメリカ側が地元で行った、海兵隊が地元で行ったブリーフィングで紹介されたスライドの写しです。これで、辺野古はドリームと書いてあるんですね、夢。それで、普天間の問題については不朽の政治的道具というふうに書いてあるわけですね。

 この認識の違いがもう余りにも違い過ぎて、そういった前提があっての、今回、唯一の解決策という言葉が削られたんじゃないのかなというふうに思ったりもした次第でございます。今度また折を見て質疑させていただきたいと思います。ありがとうございます。

 それから、次の質問も用意していたんですけれども、済みません、御準備いただきまして。また次に回させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。

遠藤委員長 お疲れさまでございました。屋良朝博君の質疑は終了いたしました。

 次に、升田世喜男君。

升田委員 立憲民主党、諦めない男、升田世喜男です。どうぞよろしくお願いしたいと思います。

 先月の三月の二十四日に統合作戦司令部というのが発足されました。これは、陸海空自衛隊の指揮を一元化すると同時に、米軍等の運用や作戦面でのいわゆるカウンターパート、こういう役割を担うわけでありますが、そこで改めてお伺いいたしますけれども、発足の動機、目的を大臣にお伺いしたいと思います。

中谷国務大臣 自衛隊も発足しまして七十年近くになりますが、発足当時から、自衛隊の運用につきましては、陸海空を一元化して一つの司令部の下に運用していこう、指揮していこうというのが本来の目標でありまして、そのことについてずっと検討してきたわけでございます。

 段階的に、統合運用ということで、統合運用部というものをつくったり幕僚監部をつくったり、そのような逐次変化をしてまいりましたが、その中で意識が一緒になってきたということで、この時期にJJOC、統合作戦司令部を新設しようということに至りました。

 そのきっかけになりましたのは、政府の三文書の中にも、日米同盟の対処力、抑止力を一層強化していく、そして防衛力を抜本的に強化していくと。そういう意味において、平時から有事まであらゆる段階においてシームレスに領域横断作戦を実現できる体制を構築するということもありまして、防衛省としまして、今回司令部を発足したということでございます。

升田委員 中谷大臣、これでもって何が改善されるんでしょうか、あるいはどんなことが期待されるんでしょうか。

中谷国務大臣 発足直後に全国各地で山火事が発生いたしました。こういった対応等につきましても、陸海空の運用能力を総合して適時適切に運用することも必要でありますし、また同時多発事態ということで、ミサイルが飛んできたり、ほかで大事故が起こったり、そういう際も自衛隊がしっかり動いていけるという意味においては、やはり指揮を一元化しておくということで非常に効率的に、迅速に、正確に自衛隊が運用できるようになりました。

 同時に、今回、ミャンマーで地震が発生しましたけれども、これも、外務省の方でJICAを派遣されましたけれども、やはり人道的な観点ということで、物資を届けたり、そういうことも非常に迅速に計画がされたということで、こういった統合作戦司令部が発足ができて非常によかったというふうに思っております。

升田委員 統合作戦司令部の発足、私も大変いいことだ、こう思っております。遅かったんじゃないですか、むしろ。ここに何かしらの私は理由があったんじゃないかなとちょっと懸念しているんですよ。もっと早くあった方が、例えば東日本大震災のときも、政治的なサポートで大変だった、そういう声も聞いております。あるいは、一九九〇年、湾岸戦争がございました。三十五年前です。このことを考えれば、今できたというのは、国を守る観点からはちょっと遅いんじゃないかなと思うんですね。何か特別な理由があったんでしょうか。

大和政府参考人 お答え申し上げます。

 今般創設された統合作戦司令部は、近年、我が国を取り巻く安全保障環境が急速に厳しさを増していることを踏まえ、平素から有事まであらゆる段階においてシームレスに領域横断作戦を行うために、陸海空自衛隊の一元的な指揮を行うことができるよう創設したものであります。

 統合作戦司令部の発足が遅かったのではないかといった様々な御意見があることは、よく承知をしております。

 ただ、今回ようやく発足いたしました。そして、この統合作戦司令部は、自衛隊の領域横断作戦の中核として機能してまいります。

 引き続き、自衛隊として実効的な対処を行えるよう、万全を期してまいりたいと思います。

升田委員 一般論として、複数の組織が一つになると、指揮命令がむしろ混乱、内部が混乱するとか、あるいは、意思決定に関わる人が増えるものですから、これが足かせになるとか、こういうことも想定されると思うんですね。

 混乱を生じないためにどんな対策を練っていますか。

大和政府参考人 お答えいたします。

 昨年、統合作戦司令部の創設に係る規定の整備を含む防衛省設置法等の一部を改正する法律が成立し、公布されたことを受けまして、事務次官及び統合幕僚長を議長とする統合作戦司令部創設会議の下、統合作戦司令部の創設に向け、防衛省・自衛隊が一丸となって緊密に調整を進めてまいりました。例えば、具体的な指揮命令の在り方などについて検討を行い、また創設後の運用を見据えた訓練も行うなどの非常に綿密な事前準備によって、創設後の統合作戦司令部が即座に、かつ円滑に運用を開始することができたというふうに評価しております。

 今後、新しい体制の下で統合運用の実績を積み重ねていく中で、運用要領の見直しなども含め、引き続き、統合運用の実効性向上に努めてまいります。

升田委員 中谷防衛大臣にお伺いしたいと思うんですが、米軍のスキルというのは圧倒的だと思うんですね、いろいろな面で。

 ただ、一方で、我が国は独立国家でありますから、この日本の指揮権の独立性というのをしっかり担保していかなきゃいけません。

 この辺はいかがですか。

中谷国務大臣 その辺の基本は、日本の自衛隊というのは、内閣総理大臣を最高指揮官として、その指揮統制に及ぶというふうになっておりますので、そこが狂うことはございません。

 なお、米軍とは常に意思疎通、情報交換しながら、いろいろな調整をやっていきますが、最終的に自衛隊を動かすのは私の命令、そして内閣総理大臣になりますので、指揮は一元化していくということでございます。

 それから、非常に年月がかかったということにつきましては、やはり自衛隊の中に、内局の政策を担う部分と自衛隊の運用をする部分が、二つ、幕僚監部と分かれておりまして、非常に、どのように運用するかというのは長年の課題でありました。

 しかし、検討する結果、そういう統合幕僚監部並びに司令部ということで、内幕一体として、お互いが相まって運用していくということで、設置法にも明記をしまして、こういった内局の部分と運用の部分と、それを両方が協力してやるということで、統合司令部の発足に至ったということでございます。

升田委員 今大臣から、決意あるというか、明確な答弁をいただいたのでほっとしておりますが、独立性と、冒頭申し上げた、これまでの組織が一本化というのは、言葉では簡単だけれども、現実、なかなか難しいのはよく分かります。最後はやはり大臣のリーダーシップだと思いますので、しっかり取り組んでいただければ、こう思います。

 次に、インテリジェンスに関することで何点か質疑をさせていただきたいと思うんですが、まず、端的に教えてほしいんです。内閣情報調査室、外務省国際情報統括官組織、防衛省情報本部、公安調査庁、警察庁、それぞれの人員をちょっと教えていただけませんか。

七澤政府参考人 お答えします。

 内閣情報調査室、内調と呼称しておりますけれども、本年四月一日現在における定員でございますが、内調本室が二百六十八名、内調に設置されております内閣衛星情報センターが二百三十八名となっておりまして、合計五百六名となってございます。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 外務省国際情報統括官組織の令和七年度の定員は八十四名でございます。

大和政府参考人 お答え申し上げます。

 情報本部は、各種情報を収集、集約し、国際軍事情勢等、我が国の安全保障に関わる動向分析等を行う組織であります。

 我が国の防衛を全うする観点から、軍事動向を常時継続的に情報収集することは不可欠であり、それに必要な情報本部の定員として、令和七年度においては約二千六百七十名を確保しておるところであります。

石川(泰)政府参考人 お答えいたします。

 警察庁警備局の定員につきましては、本年四月一日現在で五百七十三人となっているところでございます。

渡部政府参考人 お答えいたします。

 公安調査庁の令和七年度定員は千八百三十人となっております。

升田委員 大体、多分合計すると五千七百名を超える人数かと思うんですが、これは他国と比べてどのぐらいの位置関係にあるんでしょうか。お答えできますか。

七澤政府参考人 お答えします。

 各国の体制は様々でございまして、一概に言えることでもございませんし、また、なかなか情報機関の体制というものは各国が明らかにしていないところも多うございますので、なかなか一概に申し上げられないというのが答えとさせていただければと思います。

升田委員 人数でもってこれは比べるというのは、確かに一概という言葉遣いは理解できます。

 ちょっと古い資料によると、アメリカは二十万人だそうです。だけれども、一方で、イギリスは二千人ぐらい、ドイツは六千人。これが、十年かな、十五年前のある新聞記事に掲載されていた人数であります。

 今、サイバーテロもあって、情報収集というのはとても大事な分野でありますので、しっかりと国を守るための適正人数というのをしっかり捉えながら、私は対応してほしいなと、要望というか御注文をさせていただきたいと思います。

 思い起こしてください、二〇〇一年の九月の十一日に世界同時多発テロがあったんです。これから世界は、インテリジェンスというか、情報に関するものを徹底的にやらないと国を守れないという機運が世界中に高まったと僕は思うんですね。日本もここはしっかりとその目線を持ってもらいたいと思います。

 さて、次に、情報がうんと上がってきました、情報コミュニティーがどのように機能しているかというのも大事でございます。この辺はいかがですか、外務省。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 国際情勢が不確実性を増す中、我が国の国益を守り、国民の安全を確保するためには、情報の収集、集約、分析が極めて重要と認識しております。

 このような認識の下、二〇二二年末、令和四年末に決定された国家安全保障戦略では、人的情報、公開情報等、多様な情報源に関する情報収集能力を大幅に強化することとされました。

 外務省としましては、その強みである在外公館なども活用しつつ、情報収集、分析の強化に取り組み、引き続き様々な形で情報分野における機能の一層の強化を図ってまいりたいと考えております。

升田委員 インフォメーションとインテリジェンスの違いを教えてください。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 インフォメーションとは、一般に、情報、報道、ある事柄についての知らせを全般的に指すものと承知しております。

 他方、インテリジェンスとは、一般に、ただいま申し上げたインフォメーションのうち、知的に加工、集約されたものを意味し、また、専門書等では、政策決定者の需要、ニーズに合致するインフォメーションを指すなどと定義されていると承知しております。

升田委員 大変高度な答弁だな、こう思います。

 スマホで今日の天気はどうかなと見たら、あっ、午後から雨が降る、これはインフォメーションです、情報。じゃ、傘を持っていこう、これはインテリジェンスです。分かりやすく言えばそういうことなんですね。高度な答弁をありがとうございます。

 それじゃ次は、インテリジェンスのリテラシーについて質疑させていただきたいと思うんですが、我が国は専守防衛が国是でございます。私はインテリジェンス分野というのはとても大事だということを再三述べさせていただいておりますが、ただ、残念なことに、インテリジェンス、スパイ、諜報、何となく暗いというか、余り近寄ってはいけないんじゃないのという、まあ、平たい言葉で言うと、何かやばいなというイメージがあります。

 私は、決してそうじゃないと思うんです。やはり情報があるから守れるし、想像もできる、こういうことだと思う。とすると、このインテリジェンスに対して国民の理解と協力、これを喚起というか涵養というか、これをつくり上げていかなきゃいけない、こう思うわけであります。

 このリテラシーの取組については、これは中谷そして岩屋両大臣にその見解をお伺いしたいと思います。

中谷国務大臣 情報につきましては本当に、昭和の時代以前は、探偵とか内偵とか、何か町の見知らぬところに事務所があったり、非常にそういう暗いイメージがありましたが、やはり情報というのは国民が共有する非常に大事なものであるというような認識で、情報公開とか個人情報保護法とか法律も整備されて、しっかりと国家としても情報を扱っていこうという時代に今なりまして、ましてや、情報機器の発達によりまして、今はもう世界的にこういったことを更に高度に活用するということで、情報活動、これを行っているわけでございます。

 その中で、先ほどインテリジェンスというお話がありましたが、やはり情報がないと組織が動きませんので、政府の中でも各省に情報コミュニティーというものをつくって、それぞれの省で情報を集めて、それを内閣全体でまとめて活用していこうということで、今NSCもできましたが、情報の中でも、外務省や防衛省、警察、こういった情報をまとめて活用していこうということで、内調を中心とした情報コミュニティーというものをつくって活用するようになりましたので、どんどんとこういう形で、国家としても情報を正しく、そして明るく使っていくというふうな時代になったんじゃないかなというふうに思います。

岩屋国務大臣 委員御指摘のとおり、国際秩序が今大きく揺れ動いており、また日本を取り巻く安全保障環境も非常に厳しい中にあって、インテリジェンスというのはますます重要性を増してきているというふうに思います。

 外務省の場合は、もちろん特化した組織を持っておりますけれども、二百を超える在外公館等も活用して、しっかりと情報収集そして分析を図っていかなければならないし、その能力を一層高めていかなければいけないというふうに思っております。

 一方で、リテラシーということに該当するかどうかは分かりませんが、やはり民主主義国家でありますので、情報組織とデモクラシーというのは常にいい意味の緊張関係を保っていなければならないというふうに思いますので、そういうことにもしっかり留意していくことが必要だと考えております。

升田委員 理解ある答弁でございましたので、大変ありがたいな、よかったなと思います。特に中谷大臣からは、明るくという言葉遣いがございました。これは、明るいということは本当に大事ですね。明るくというのは、やはり国民は大好きですから。

 私は、インテリジェンスにこだわる理由は、先ほども申し上げましたけれども、専守防衛であって、知の力で平和を守る、知の力で経済をつくる、そのためにインテリジェンスが大事なんだ、この問題意識で質問、質疑させていただいています。

 そこで、今度は人材育成なんですよ。これは今、どんな取組になっていますかね、この人材育成。もちろん、これは重要だと思うんですけれども、これもまた、人がいなければ絵に描いた餅になります。

 大変恐縮です、両大臣に御見解をお願いしたいと思います。

中谷国務大臣 防衛省は、国を守るということで、常に情報を集めながら脅威に対抗するということで、やはり防衛力の中核というのは自衛隊員でありますが、その自衛隊員が情報を収集し分析していくというために、やはり人材の確保、育成は極めて重要なことでございます。

 この認識に基づきまして、防衛省は、陸海空自衛隊と情報本部における教育、そして情報分析に関する各種研修、並びに専門性を考慮した人事配置などを行うことによりまして、情報に関わる人材の育成を図ってきております。

 今後とも、防衛省全体の情報機能の抜本的強化に向けて全力を尽くしてまいります。

 同時に、情報公開ということで、せっかくの情報をしっかりと国民の方にも活用していただけるように、その解析をするための人材を集めたり、またそのツールを活用したり、そういった意味の活用をしますが、そのためにもしっかりとした人材が必要であるというふうに認識しております。

岩屋国務大臣 先刻も申し上げましたが、外務省においては、国際情報統括官組織というものがございますが、これを一層拡充していかなければならないというふうに考えておりますし、世界全体に外務省は、百五十六の大使館、六十七の総領事館、十一の政府代表部を設置して、幅広い情報源や人脈を有しておりますので、これは外務省の強みであるとも思いますので、日頃から情報収集、分析の能力の強化に取り組んでいるところでございます。

 これを更に一層強化してまいりたいというふうに考えております。

升田委員 防衛、外務両大臣に認識を持っていただきたいのは、残念ながら我が日本はインテリジェンスに関する専門大学がないと思います。フランスは二〇一〇年にこれがつくられているんですね。ですから、人材育成に対することでもやはり大学、まあ、専門大学が一番理想でありますけれども、各大学におかれてもコースの中でしっかりと研究して、そういう人材を育てていかなきゃいけないなという認識を両大臣に持っていただければありがたいと思います。

 次に、自衛官の確保についてお伺いしたいと思いますが、時間の関係上、二問を一括でちょっと質問させていただきます。

 給料アップ、あるいは生活環境の改善、これは大賛成です。いいことだ、こう思っています。ただ、これだけで、じゃ、人員の確保ができるかといったら、いやいや、私は、そうじゃないと思うんですね。

 そこでお伺いしたいのは、ふだんから地域に対する、コミュニティーへのアプローチ、いわゆる自衛官を、あるいは自衛隊関係の人を、例えば農業であれ、例えば漁業であれ、人手不足のところに貢献として協力に行くというのをこつこつこつと長く続けておったならば、地域からはもう尊敬のまなざし、そこで子供たちがその姿を見て、自衛官格好いいな、ああ、俺は将来なりたいという、子供たちに憧れという感覚を持っていただくための私は何かしらの事業が必要だと思うんですね。

 そのためには、地域等のコミュニティーも大事だと思うんです。

 この辺について、中谷大臣、御答弁をお願いします。

中谷国務大臣 以前から、ボーイスカウトとか、そういった青少年の育成、発展のために進んでやってくれている方がいました。その方はやはり子供たちから見て非常に憧れでありまして、そういう方々がリーダーとして活躍をしていただきたいと思いますが、特に今の自治体の中でも、町内会とか防災組織というのがありまして、やはり、こういった地域の訓練をやる機会が増えてまいりました。特に地方自治体においても、危機管理監ということで、実際に際してしっかりと対応できる方々を採用していただいておりますけれども、そういった方々に対して、自衛隊が積極的に参加、貢献していくということにおいても非常に大事なことだと思いますので、できるだけ積極的にそういった活動に参画していくこと、そして、多くの活動を通じて、地元の皆様方に身近に自衛隊を感じていただけるように、こうした地域の活動においても活動できるようにしたい。

 そして最後に、お金を増やせば人は集まるかといえば、そういうことではございませんので、やはり、こういった地域のコミュニティーの活動を通じて、国を守る、そして安全を確保するというのは非常に崇高な仕事であるということで、こういった誇りと名誉も必要であるというようなことをそういった方々から感じ取ってもらえるようにすることも大事じゃないかなというふうに思います。

升田委員 最後の質疑なんですが、岩屋外務大臣に……

遠藤委員長 端的にお願いいたします。

升田委員 はい。拉致問題のことに対する決意をお伺いしたいんです。

 七年ぶりに帰ってきて、家族会の関係の会議に三回ぐらい出ました。七年前と空気が全く変わっています。鬼気迫るものですよ。本当に何とかしてくれ、いつまで待てばいいんだと。もう全然空気は変わっています。大臣の決意をお願いします。

岩屋国務大臣 まさにもう時間が残されていない問題だというふうに思っております。私も、あらゆる外交シーン、二国間会談であれ、多国間の会談であれ、必ずこの拉致問題を取り上げて、各国の協力をお願いしているところでございます。石破総理の決意の下に、政府全力を挙げて、一日も早い拉致被害者の皆さん全員の帰国の実現に向けて努力してまいります。

升田委員 終わります。

遠藤委員長 升田君の質疑は終了いたしました。お疲れさまでございました。

 次に、橋本幹彦君。

橋本(幹)委員 国民民主党の橋本幹彦でございます。

 今回の質疑では、国の守り、これを真剣に考えるということはどういうことなのか、大臣と議論を深められればというふうに思っております。

 まず、外務大臣に、基本的な国際情勢の認識について伺います。

 米国の対日政策は転換しているという認識はおありでしょうか。そして、以前も、三月二十一日にも同じ質問をしましたが、いまだに日米同盟を新たな高みに引き上げるべきとお考えでしょうか。

岩屋国務大臣 トランプ政権になりまして、現在課題となっております貿易や関税政策は別といたしまして、私は、大きな外交方針は変わっていないのではないかというふうに思っております。

 と申しますのも、石破総理との首脳会談もイスラエルに次ぐ二番目でしたし、それ以前に、私は、米トランプ政権発足翌日にルビオ国務長官と日米の外相会談を行いました。いずれの会談におきましても、自由で開かれた国際秩序の維持強化に向けて日米同盟がしっかり役割を果たしていくということが確認されておりますので、その意味では、大きく米国の外交政策が転換したとは考えておりません。

 私どもとしては、米国の引き続きの関与がインド太平洋においても必要だというふうに考えておりまして、その認識に立って、しっかりと意思疎通を続けていきたいと考えております。

橋本(幹)委員 私は、余りそうは思いません。米国の、日米同盟の安定性を信じる根拠というのも、揺らいでいるように感じます。

 今、関税の引上げですとか、いわゆるトランプ関税についての言及もありましたけれども、こういったディールの姿勢だけではなく、例えば、安全保障を担う体制も、トランプ政権になってから大きく変わっています。

 例えば、二月、制服組のトップ、ブラウン統合参謀本部議長が解任されました。四月に入って、NSAのホーク局長、そして、NSCの高官ら、NATOの軍事委員会の米軍代表だったチャットフィールド海軍中将も解任されました。先ほど、自由で開かれた国際秩序という言葉がありましたけれども、まさに今トランプ政権がやっていることは、これに反することではないんでしょうか。

 我が国は、自由で開かれたインド太平洋戦略ということを掲げております。これは、法の支配に基づくという言葉がキーワードになりますけれども、トランプ政権の人事、これは法の支配というより人の支配です。米国の安全保障政策の一貫性が揺らいでいる、あるいは、今日の米国がこれまでの米国の戦略の延長にはない。これに応じて日本も戦略を見直すべきときではないかというふうに思いますが、外務大臣、いかがでしょうか。

岩屋国務大臣 米国内の政権の人事については、コメントを一々することは控えたいと思いますが、大きな文脈で言うと、先ほど申し上げたとおり、日米間の基本的な考え方、つまり、米国の考え方は変わっていないのではないかと思います。

 私自身も、これまでルビオ国務長官と八回会談を行いました。恐らく、米国の同盟国の中では最多でお目にかかっているのではないかと思います。先般の日米首脳電話会談も、関税、貿易をめぐるものではありましたが、いち早く実現しております。日米同盟というものを基軸にして、このインド太平洋の問題や国際場裏というものに臨んでいこうという姿勢には変わりないんではないかなと思います。

 また、防衛大臣からお話があろうかと思いますが、防衛大臣会合も先般行われて、その方向性も確認されておりますので、日米同盟を、更に意思疎通を緊密に図って、更なる高みに引き上げていきたいと考えております。

橋本(幹)委員 国際情勢認識として、私は、もう混沌とした状況に入っているんだというふうに思っています。今の岩屋大臣の基本的な認識というところ、それの理由も分からないでもないですけれども、ただ、大きくパラダイムシフトしているときなのかもしれません。

 ここにおいて、我が国の平和と独立を守るということについては、我が国自身が、そして日本国民が、真剣になって考えなければならないところでありますけれども、どこか、この防衛、安全保障については、人ごと感が日本国内にもあるのではないかなというふうに思っています。それは、アメリカが守ってくれるに違いないとか、自衛隊が守ってくれるに違いないとか、いろいろなレベルがあるとは思いますけれども、その真剣味が、どこか日本国政府にも足りないのではないかなというふうなところが、私の問題意識です。

 このことに関連して、日本の主権が侵害されている象徴的な事例について伺いたいと思います。

 北方領土、ロシアによって不法占拠されています。竹島、大韓民国によって不法占拠されています。北朝鮮、国民が拉致されました。これらについて、毎回、質疑のときには、解決に向けて尽力しています、こういう働きかけを行っていますという姿勢はよく聞く話ですけれども、私が伺いたいのは、まず過去の反省、教訓です。果たして、不法占拠や拉致といった主権侵害を許してしまった過去について、日本政府としては、教訓はあるのでしょうか。

岩屋国務大臣 その前に、委員の御指摘を踏まえて申し上げれば、何も日米同盟だけで全てが解決するとも思っておりませんで、やはり、多層的、多重的な協力関係をしっかり築いていかなければいけないと思います。昨晩、NATOのルッテ事務総長、総理、中谷防衛大臣、私も同席して会談を行った取組もその一環でございます。

 お尋ねでございますが、北方領土につきましては、一九四五年八月九日、ソ連が、当時まだ有効であった日ソ中立条約に違反して対日参戦して、我が国がポツダム宣言を受諾して降伏の意思を明確にした後も攻撃を続け、北方領土を占領し、不法占拠したまま現在に至っているということでございます。

 また、竹島については、韓国が、一九五二年にいわゆる李承晩ラインを一方的に設定した後に、一九五四年には警備員を竹島に常駐させていることが確認され、現在に至っているということでございます。

 お尋ねの教訓について端的に申し述べることはなかなか難しいんですけれども、領土保全は政府にとって基本的な責務でございますので、我が国の領土、領空、領海を断固守り抜くという方針の下に、引き続き毅然かつ冷静に対応してまいりたいと考えております。

橋本(幹)委員 拉致についてはいかがでしょうか。

平井政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇〇二年に五人の拉致被害者の方々が御帰国されて以来、一人の拉致被害者の御帰国も実現していないことについては、痛恨の極みでございまして、誠に申し訳なく思っております。

 委員御指摘の教訓については、一概に申し上げることは困難でございますが、政府としては、拉致問題を含む諸懸案の解決に向けたこれまでの取組等について整理するとともに、北朝鮮情勢に関する情報収集、分析や国際社会との連携を行いながら、拉致問題を含む北朝鮮に対する対応について、何が最も効果的かという観点から不断に検討してきているところでございます。

 いずれにせよ、拉致被害者やその御家族も御高齢となる中で、時間的制約のある拉致問題は、ひとときもゆるがせにできない人道問題であるとともに、その本質は国家主権の侵害であり、政権の最重要課題であります。引き続き、全ての拉致被害者の一日も早い御帰国の実現に向けて、全力で果断に取り組んでいく所存でございます。

橋本(幹)委員 全くお答えになっていないと思います。教訓というところについて伺っているわけです。

 教訓というのは、先ほど、升田世喜男委員からインテリジェンスとインフォメーションの違いというところを確認されましたけれども、まさにインテリジェンスではないでしょうか。今お伝えいただいたのは、過去の事実や今後の取組については分かるんですけれども、果たして日本国政府の何が至らなかったのか、どういった対策を今後しなければならないのか、こういったところの教訓が聞こえませんでした。もしかしたらあるのかもしれませんが、ただ、昨日まで、いろいろな省庁からレクチャーを受けている中でも、そのようなことは感じませんでした。

 教訓をしっかり整理して、そして、安全保障を担う者に共有していく、認識を一にしていくということは、これは、拉致も領土問題も極めて重要であると思いますし、これは今後、安全保障を担う者が、防衛省もそうです、各種インテリジェンスコミュニティーもそうでしょう、そういったところがしっかりと我が国の平和と独立を守っていくためにも極めて重要なことであろうかと思います。

 この問題は大変根深いと思います。教訓が何なのかということは、もうこの時間では足りないと思いますからこれ以上言いませんけれども、教訓を出していく、過去に学んで真摯に反省していくという姿勢、これは、さきの大戦の敗戦に至る反省ですとか教訓といったところも、政府として余り整理していないのではないかなというふうに思いますけれども、こういったところを、戦後八十年というのであれば、是非今こそ見詰めていただきたいというふうに思っております。

 これに関連して、再三、自衛隊の知的基盤について私もお尋ねしてまいりました。そもそも、ちょっと私の今までの質問の反省でもあるんですけれども、知的基盤というのは何だったのかというところをしっかり確認していなかったなというふうに思います。そもそも、防衛省・自衛隊の言う知的基盤とは何なんでしょうか。

大和政府参考人 お答えいたします。

 知的基盤とは、一般に、体系化、組織化して蓄積された知的資産といった意味で用いられていると認識しております。

 防衛研究所や防衛大学校、幹部学校といった防衛省の研究教育機関では、安全保障政策に係る知的基盤としての機能強化のため、研究の質的向上に取り組んでいるところであります。

 こうした防衛省の研究教育機関では、安全保障などに関する様々な調査研究を実施しているところであります。

橋本(幹)委員 防衛大学校、防研、あるいは自衛隊の中の様々な教育機関も知的基盤であるという答弁をいただきました。

 ともすると、知的基盤という言葉、これは、文脈を見ますと、何か、国内産業の技術を守るですとか、防衛省外の要素が強い言葉のように思います。今までそのように使ってきたと思います。

 今回、防衛省内でも知的基盤というところは大変重要であるというところを確認できたことは、非常にありがたい答弁をいただいたなというふうに思っています。

 そして、その知的基盤を整えていくに当たって、先日もお尋ねしました、軍事学であるだとか作戦術であるだとか、こういったところについてどのような知的基盤を整備しているのかというところについて、これには当然、歴史を学ぶであるだとか、先ほど言ったような主権侵害の教訓であるだとか、こういったところも含まれるものだというふうに思いますが、こういったもの、学位の認定というのについて余り防衛省では奨励していない、修士号、博士号については組織的に育てていないというような答弁がありました。

 このような状況で本当によいのでしょうか。知的基盤を整備していくに当たって、修士、博士、こういったものを軍事専門的な見地を分厚くしていく観点からも、作戦術といった、こういった運用を支えていく基盤をつくっていくためにも、あるいは、以前伺いました自衛官の使命について、我が国の平和と独立とは何なのか、国民の負託とは何なのか、ここについて、官僚的な答弁はあるんだと思います、ただ、そういった行政的な、官僚的な用語ではなくて、本当に、二十四万の自衛官、あるいは安全保障を担っている全ての人たちが、ああ、そうだな、日本国はこのために困難に立ち向かっていくんだ、そのように言えるためにも、知的基盤が必要だというふうに思いますけれども、その知的基盤の整備について、特に、修士、博士、ここが要だと思いますけれども、これについて、防衛大臣、意気込みを言っていただければと思いますが、いかがでしょうか。

中谷国務大臣 防衛省における知的基盤、これは非常に大事だと思います。

 その最たるものは、まず一つとして、防衛研究所、これを中心とする防衛省・自衛隊の研究、教育体制の見直しの強化を進める中で、ほかの大学とかシンクタンクだとか、やはり、防衛に関する研究を実施する、それから教育機関などへの講師の派遣やシンポジウムの開催などということで、安全保障教育の普及も仕事の一つであろうかというふうに思います。

 それから、防衛白書、これは毎年出していますけれども、その年における大きな変化を記述するとともに、やはり、周辺国の軍事情勢も防衛研究所などが発表しておりますので、こういったことで、防衛省なりにこういった知的財産を重要視しながら時代の変化に対応していく必要があろうかと思います。

橋本(幹)委員 「陸戦研究」という冊子がありました。これは廃刊になりました。「鵬友」という雑誌、これは航空自衛隊の方で長く発刊されていたものですけれども、これも廃止になりました。

 「陸戦研究」ですとか「鵬友」、ここには現役の自衛官が様々な論文を寄稿して、オープンな場で、安全保障をどのように考えていくべきなのかということを議論していたわけですけれども、これは知的基盤にとっては極めて重要な役割を果たしていたと思います。

 これはなぜ廃刊になってしまったんでしょうか。知的基盤を本当に大事にしていくということであれば、例えばそういう平場の議論ということも大事なんだと思います。

 防衛白書、これは国の公式見解です。それを落とし込んでいくこと、これも大事だと思います。ただ、現場にいる人間は、これは自衛官だけじゃないですけれども、何かインプットしたらそのとおり動くというものではないと思うんですね。

 よく、政治家はパレードが大好きですけれども、パレードをやっている自衛官のようなイメージでいるのではないかなというふうにも懸念しています。

 是非、こういう知的基盤に当たっては、平場の議論、「鵬友」ですとか「陸戦研究」におけるような、知的基盤を積み重ねる、まさに知的な営みというのは大事だと思いますが、このことについては、いかがお考えでしょうか。

中谷国務大臣 「陸戦研究」が廃刊に至った経緯は存じ上げませんが、非常に残念なことでもあるし、各陸海空でも研究機関がありまして、それぞれ研究をしている人もいます。

 それから、OBも、こういった論文を出して、積極的に発表している方々もいらっしゃいますので、そういった内外の安全保障に関する研究は、やはり、防衛省の中でも、またOBでも、非常に積極的に行っていくべきだというふうに思っております。

橋本(幹)委員 ありがとうございます。

 是非、積極的に行っていく環境をつくっていただきたいと思いますし、まず、この「陸戦研究」「鵬友」の廃刊というのは極めて象徴的な例だと思います。問題意識を持っていただきたいと思います。

 そういった平場での議論ということを大事にしていくに当たって、よく聞かれる言葉が、文民統制という言葉です。何か、自衛官が論文を書いて、それを意見だと受け止められて、それが政府の公式見解と何かちょっと文言が違うとか、そういうことを言われたときに、あれは文民統制に反しているではないかというふうに言われるわけですけれども、そもそも、そのような平場の議論を阻害するのは文民統制の趣旨なんだろうかと。私は、違うというふうに思うんですね。

 防衛省としては、文民統制はどういう性質のものであるか、そして制度的にはどのように担保されているとお考えでしょうか。

萬浪政府参考人 お答え申し上げます。

 文民統制、シビリアンコントロールにつきましてですけれども、定義といたしましては、民主主義国家における軍事に対する政治の優先、又は軍事力に対する民主主義的な政治による統制を指しまして、民主主義国家において確保されなければならない重要な原則であると考えてございます。

 これの中身につきましては、防衛白書等々にも載ってございますけれども、制度的な担保といたしましては、まず国会、あるいは内閣、防衛省、それぞれのレベルでございますけれども、国民を代表する国会が法律、予算の形で議決する等々の承認を行うという形でコントロールする。あるいは、内閣全体として、国の防衛に関する事務を一般的な行政事務として内閣の行政権に属させた上で、最高責任者である内閣総理大臣の下でやっていく。さらには、防衛省におきましては、文民統制の主体である防衛大臣が、副大臣、政務官等が防衛大臣を補佐する形で、自衛隊を管理運営していくというような形で、各レベルでの厳格な文民統制の制度を採用しているというものでございます。

橋本(幹)委員 そうしたときに、例えば「陸戦研究」ですとか「鵬友」に寄稿するという行為は、これは文民統制を侵すものではないと。その内容が、もちろん、平場の議論、いろんな意見があるんだと思います。当然、政府の公式見解に全く一致するものばかりでないと思いますけれども、そのような発表をしても文民統制を侵すものにはならない、そういう理解でよいでしょうか。

萬浪政府参考人 お答え申し上げますけれども、文民統制を侵すというお話ではないと思います。

 他方で、防衛省の職員、自衛官もそうでございますので、自衛官としてあるいは公務員としてふさわしくない行為であればよくないということで、対外的に発表するときには一定の手続を取っていただくということはもちろんございます。

橋本(幹)委員 航空自衛隊の大先輩の方が、一時期、論文を発表して、それが大問題になったということがございました。

 それはそれで、観点は分かります。ただ、その事象があった後、過度に、自衛官の知的基盤を整えていくという営みが鈍化したんじゃないかなという懸念をしております。

 文民統制はもちろん大事ですけれども、ただ、この文民統制という言葉が、余り、しっかりとした、確たる理解がないまま独り歩きする言葉ではないかなというふうに思っています。

 先日、精強性の定義についても伺いました。あるいは、名誉と誇りとは何かということも防衛大臣に伺いました。それに並ぶ、この文民統制という言葉は、何かみんなよく分からないけれども使っている言葉のうちの一つなんだと思うんですね。

 是非、安全保障委員会、これは専門的な議論をする場ですから、こういった言葉の使用については特に気をつけるべきだというふうに思います。それは国会の側もそうなんだというふうに思います。自衛官を統制したいというときに、何でもかんでも文民統制というのではなくて、文民統制といったのは今まさにお答えいただいたような観点の話であって、また、もしそれでけしからぬことがあったら、それはそれで、文民統制とは違う言葉を使うべきなんだというふうに考えております。

 文民統制という言葉、シビリアンコントロールという言葉ですけれども、これは、ただ一方で、極めて部分的な話なんだというふうに思っております。一般的には、政軍関係、シビル・ミリタリー・リレーションシップという言葉もあります。あるいは、もっと広く、軍隊と社会というような言葉もあります。

 これらは、こういう軍事的な研究をしていく中でも一般的に使われる用語ですし、海外でも使われる言葉だというふうに思いますが、防衛省としては、政軍関係ですとか、あるいは、軍隊と社会という言葉、これは使っているんでしょうか。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、軍隊と社会、こちらにつきましては、防衛省・自衛隊として、学術上の用語として特に統一的に定めたというものがあるわけではございませんけれども、委員も御指摘のとおり、教育等に際してこのような言葉が用いられていたということはございます。

 また、政軍関係についても、学術的な用語として防衛省として統一的なものを定めているものではございませんけれども、こちらも、防衛大学校等を含めまして、政軍関係に関するような講義、研究といったものは行われております。

 なお、一般的に、政軍関係という言葉は、学術的な研究等においては、国家と政治機関の軍隊の相互の関係、特にシビリアンコントロールについて述べる際に通常用いられているというふうに承知をしております。

橋本(幹)委員 この概念もあってこその文民統制、シビリアンコントロールなんだというふうに思います。政軍関係という広い概念があって、その中の一つを構成するのが文民統制であるので、ここの政軍関係とは何なのかというところ、これは必ずしも一意に決まる話ではありません。公式見解だけにそぐうものではないと思いますけれども、まず、軍隊と社会、自衛隊と社会と言い換えてもいいでしょう、自衛隊と社会という関係がどのようにあるべきかということがあって、その中で政軍関係、シビル・ミリタリー・リレーションシップがあって、その中で文民統制、シビリアンコントロールというものがある。

 そもそも、シビリアンコントロールの訳が文民統制なのか、シビル・ミリタリー・リレーションシップの訳が政軍関係なのかというところは、これも議論があるところだというふうに思いますけれども、この辺り、丁寧に積み重ねていかないと、何か、文民統制という言葉ですとか、そういった言葉が誤解されたまま進んでいくのではないかなというふうに思います。広く、軍隊と社会、自衛隊と社会の関係を規定するものの一つの要素が文民統制であるというところ、是非、認識を共有できればというふうに思います。

 軍隊と社会という話を申し上げました。今までずっと、パレードの話も何度かさせていただきました。

 パレードは、今、中央観閲式、朝霞で行っています。朝霞、東京に隣接しておりますけれども、埼玉県です。昔は朝霞ではなくて、首都で行っておりました。朝霞の限られた区域、それも招待者しか見られないような中で中央観閲式をやるということは、これは果たして軍隊と社会という関係を考えたときに適切なのかなというふうに思うわけです。

 パレードの在り方、そもそもパレードは何でやっているのか、これは一つの答えはないと思いますけれども、パレードの意義、防衛大臣はどのようにお考えでしょうか。

遠藤委員長 時間が参っております。中谷防衛大臣から答弁をいたしますので、お願いします。

中谷国務大臣 現在は、広報活動とか国民の信頼を得るためにということで、市中パレード、また各部隊でやっておりますが、もう既に自衛隊は国民の認知を受けておりまして、非常に期待が大きいわけです。

 ですから、パレードをやると、人、隊員を集めて、それの時間的なロス、それから、警戒とか警備とか駐車場とか、本当にこれは負荷になってきておりまして、本来の訓練とか業務を本当はやらなきゃいけないけれども、非常に重荷になってきておりますので、パレードをやるということ自体、今、防衛省の中で、続けるかどうか、これは検討させていただいております。

橋本(幹)委員 ありがとうございます。終わります。

遠藤委員長 お疲れさまでございました。橋本幹彦君の質疑は終了いたしました。

 次に、岩田和親君。

岩田委員 自由民主党の岩田和親でございます。

 今、私は自民党の国防部会長をお預かりしておりまして、安全保障環境が非常に厳しく複雑な中で大事な役目を果たしていく、この決意をまず申し上げて質問に入らせていただきます。

 まず最初に、日米同盟の現状認識についてお尋ねしたいと思います。

 先日三月三十日に日米防衛相会談が行われました。ヘグセス国防長官は、日本を模範的な同盟国と称賛しつつも、西太平洋において前面に立つ存在であるとして、更なる抑止力の強化を求めました。これに対して中谷大臣は、状況に即して判断、対応すると述べられたところです。

 また、アメリカの国防総省が策定した暫定国家防衛戦略指針が三月中旬頃に出された、こういう報道がございました。

 こういった点を踏まえて、従来の日米関係の枠組みと比較して、トランプ新政権における同盟の位置づけや安全保障観には変化があるとお考えでしょうか。また、変化があるとすれば、それは抑止構造や日米協力の在り方、特に対中国戦略にどのような影響を与えると認識されておられるのか、大臣の所見を伺います。

中谷国務大臣 せんだっての日米防衛相会談では、それぞれの東アジアに対する認識を議論いたしました。中では、中国による東シナ海、南シナ海でのあらゆる力また威圧による一方的な現状変更の試みを決して許さない、また、自由で開かれたインド太平洋を実現するために、日米及び地域のパートナーが緊密に連携することの必要性も確認いたしました。

 今、非常に厳しい国際情勢の中でありますが、改めて日米同盟の重要性、そして、この同盟を更なる高みに引き上げていくために訓練を重ねたり協力をするというような課題がございます。そういったことを一つ一つ積み上げて、日米同盟がしっかり機能するようにしていきたいということで認識が完全に一致いたしました。

岩田委員 今、アメリカとは関税の問題が大きな課題となっているところでありますけれども、もちろん日米同盟は極めて大事なことでございます。日本の安全保障に関してはもちろんでありますが、インド太平洋、世界全体の平和にとっても大事な日米同盟である、このように考えております。丁寧な、そして真摯な形でこれから関係強化を図っていただきたいと申し上げたいと思います。

 次に、北朝鮮軍の動向についてお尋ねいたします。

 北朝鮮軍がロシアのウクライナ侵略に加担、参戦していることが明らかになりました。核やミサイル技術を始めとする軍事技術の提供をロシアから受けるのではないか、また、ドローン戦術を取り入れるのではないかというような懸念があります。

 最新の実戦を通じて得られた戦訓が北朝鮮の軍事ドクトリンや装備、戦術の強化に反映されることは非常に大きな脅威です。現状の評価と懸念について伺います。

大和政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の北朝鮮兵士については、昨年、ロシアへ派遣され、その後、ウクライナに対する戦闘に参加したものと認識しております。

 北朝鮮の兵士の派遣については、例えば、ウクライナに対する戦闘の経験を通じて北朝鮮が戦術面での能力を強化する可能性があります。その動向については防衛省として重大な関心を持って注視しているところです。また、派兵を含む北朝鮮からロシアに対する軍事支援の見返りとして、ロシアの核、ミサイル関連技術が北朝鮮に移転するおそれについても深く懸念しているところであります。

 北朝鮮による核・ミサイル開発の進展は、我が国のみならず、地域の安全保障にとって決して見過ごすことのできるものではありません。北朝鮮の軍事動向は、我が国の安全保障にとって従前よりも一層重大かつ差し迫った脅威となっております。我が国としては、引き続き、米国、韓国などとも緊密に連携し、関連情報の収集、分析に努めてまいります。

岩田委員 もちろんウクライナ侵略自体が日本にとっては対岸の火事ではないわけでありますけれども、これによって北朝鮮のいわゆる軍事力がレベルアップしていくことは、まさに今そこにある危機なわけであります。しっかりと対応をお願いしたいと思います。

 時間の関係もありますので駆け足で質問してまいりますが、防衛産業政策について質問いたします。

 令和五年十月にいわゆる基本的な方針が示されて、この中の大事なキーワードとして予見可能性の向上がございます。これは確かに大事な観点でありますけれども、しかし、実際の発注においては、拡張性、すなわち、将来、生産規模が増加していく見通しであったり、継続性、長期の間隔を置かずに発注が続いていくこと、こういったことが乏しい場合は企業にとっては経済合理性が成り立たない、すなわち、防衛産業では事業を続けるという判断が難しい、そのような懸念の声も聞かれるところです。

 この点について、発注の在り方において企業側の経営判断に足る安定性が必要だと考えておりますが、これをどのように進めていくのか、お聞きします。

坂本政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、防衛事業における将来の予見可能性の向上は非常に重要でございまして、現在は、防衛力整備計画におきまして五年間の主要装備品の具体的な調達予定数量を明記しているところでございます。

 また、主要ないわゆるプライム企業との間では、大臣級あるいは長官級それぞれで意見交換の場を定期的に設けておりまして、今後の防衛力強化の方向性について継続的に説明、対話をしているところでございます。

 また、戦略三文書を受けまして、防衛技術の基盤の強化に関する今後の方向性を示す指針を示しておりまして、今後どのような分野で技術に投資をしていくのかといったところも明らかにすることによって予見可能性を高めるような努力をしているところでございます。

 いずれにいたしましても、事業者における予見可能性を高めるような措置は引き続き検討するとともに、今後の防衛力強化の方向性について事業者の御理解を一層深めてもらうべく、対話、説明を続けてまいりたいと考えております。

岩田委員 事業者にとってしっかりと事業として続けられる、この観点を持って対話を深めていただきたいと思います。

 準備している質問が全部できないと思いますが、人的基盤の整備について御質問をしたいと思います。

 昨今、自衛隊からの人材流出が問題であると指摘されております。もちろん、日本全体の雇用の流動化、こういった背景もあるかと思いますが、具体的に流出している人材の人数、年齢、階級、技術分野、キャリアなどの属性、主な要因について、現時点での把握状況をお聞きしたいと思います。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 自衛官の中途退職者数は、令和五年度は近年で最多の約六千三百名となりました。中途退職者のキャリア、技能、退職の理由、背景はそれぞれ様々でございますけれども、退職者のうち、若い士の隊員が約六割、曹の隊員が約三割、幹部が約一割となっております。

 人材流出防止の施策を講じるために行ったアンケートによれば、中途退職に至る要素として、達成感や成長感に関する不満がある、また、上司からの評価、フィードバック等の承認、称賛に関する不満、こういったものが挙げられております。昨年、関係閣僚会議で取りまとめられた基本方針におきましても、自衛官一人一人が働きがいを感じられる環境を構築していくこととされました。

 防衛省としては、これらを踏まえまして、現代にふさわしいリーダーシップを身につけた自衛官を養成するとともに、心理的安全性や自衛官一人一人のエンゲージメント、すなわち自発的貢献意識の高い組織づくりを推進し、中途退職の抑制に有効な施策を実施してまいりたいと考えております。

岩田委員 これは質問ではないですけれども、今、私の手元に、令和六年度版の白書からの数値ということで、自衛官などの応募と採用状況が出ております。自衛官候補生で陸海空合わせて応募者数が二万三十三名に対して、採用者数が三千二百二十一、応募者数に対して採用が結構少ないんだなという印象を持っております。これがどういうふうな状況なのかということは私もしっかり勉強していきたいと思いますけれども、えり好みをしているわけではもちろんないと思いますが、自衛隊の人材不足と言われている中で、こういったことも含めた様々な取組が必要だろうと思います。

 時間であります。最後に、人的基盤の整備は、今、大事な制度ができましたけれども、まだまだ序章であろうと私は考えております。人材流出もあり、これから定年延長、再任用、こういうことにも取り組んでいきますが、さらに、抜本的にやり方を考えるべき時期が来ているのではないか、このように考えております。多様な採用制度だったり、特に、米軍の予備役士官訓練課程のような、軍歴が社会的に評価されて民間とも行き来できるようなキャリアパスができる、そういうふうな在り方が求められているのではないかと思います。

 申し上げたような課題も含めて、人的基盤の整備の改善に向けたお考えをお聞きします。

中谷国務大臣 キャリアパスなど、非常に前向きな御提案をいただきましてありがとうございました。

 この件につきましては、政府の中で、関係閣僚会議で基本方針を定めまして、その実現に努めているわけでありますし、防衛省の中でも、人的基盤の強化ということで、あらゆる課題を推進すべく現在取り組んでおりますので、今後の対応等につきましても不断に検討してまいります。

岩田委員 質問を終わります。ありがとうございました。

遠藤委員長 お疲れさまでございました。岩田和親君の質疑は終了いたしました。

 次に、美延映夫君。

美延委員 日本維新の会の美延でございます。よろしくお願いいたします。

 今日は、まずF35戦闘機について伺わせていただきます。

 大臣は、本年一月に、令和六年度中に航空自衛隊新田原基地に配備される予定であったF35B戦闘機六機の納入が遅れて、配備時期が令和七年度になることを明らかにされました。この六機は、我が国が導入する予定である四十二機のF35B戦闘機のうちの最初の六機であり、将来的には、特別改修を完了させた「いずも」や「かが」に搭載して運用することが想定されております。

 防衛省は、F35B戦闘機の納入に合わせて空自新田原基地に発足させる予定だった臨時F35B飛行隊を当初の予定どおり三月二十四日に発足させましたが、肝腎の機体がないという状態であります。

 また、その後、令和六年度中に配備する予定だったF35A戦闘機三機の納入についても、四月にしたという話は聞いていますけれども、七年度にずれ込むことが明らかになって、結局、令和六年度にはF35A、B共に一機も納入されないという状況になってしまいました。

 そこでお伺いしたいんですけれども、このF35戦闘機の納入遅れの原因について、報道では、搭載するソフトウェアの開発が遅れているのが原因だと報じられているんですけれども、防衛省はアメリカ側から納入の遅れの原因と今後の納入の時期の見通しについてどのように説明を受けているか、まず教えていただけますか。

嶺政府参考人 お答え申し上げます。

 今般のF35の納入遅れについて、米側からは、委員の御指摘もありましたように、能力向上に係るソフトウェアの開発遅延のためということで説明は受けております。

 その上で、先ほどございましたように、F35Aにつきましては、四月一日に小松基地に配備が完了している。F35Bについては、現時点では未納入ではございますが、大きな遅延とはならない見込みという形で米側からは説明を受けております。

美延委員 大臣にお伺いしたいんです。

 大臣は一月の記者会見で、令和七年度に納入、配備される予定のF35A、Bの配備時期に影響を及ぼすものではないと述べられているんですけれども、令和六年度に予定されている機体の納入が遅れる見通しが明らかにされたのは今年の一月です。

 令和七年度に納入が予定されているものが影響ないと今の時点で本当に言えるのか、大臣の御所見を伺えますか。

中谷国務大臣 本年一月の記者会見において説明しました納入時期の遅れにつきましては、米側と調整状況等を踏まえた当時の見込みについてお答えしたものでありました。

 その時点において、六年度の納入遅延の原因でありましたソフトウェアの開発遅延が解消していたことから、令和六年度に納入を予定していた機体については遅延が生じるものの、令和七年度納入予定分については影響がないと米側から説明を受けたことを踏まえて、御説明を受けたところでございます。

 このような現状につきましては、せんだって日米防衛相会談がありまして、ヘグセス長官にこういった遅延が続いているという点を伝えました。

 今後とも、米側に対しても、予定どおりにF35の納入がされるように、調整をしながら要望していきたいと思っております。

美延委員 是非相手側の長官に言うていただきたいのは当然ですけれども、大臣は一月十日と二十四日の記者会見で、今後の納入の遅れに大きな影響はないと先ほども言われました。例えばこういう点で影響がある、こういうようにカバーするので大勢に影響がないとか、もうちょっと具体的に説明していただけますか。

中谷国務大臣 現在導入を進めているF35のほかに、航空自衛隊はF15、F2の二種類の戦闘機を運用しておりまして、F15は近代化改修をしておりますが、近代化改修に適さないものをF35に代替していくことといたしております。

 他方、代替されるF15についても、それまでの間は引き続き運用可能でありますので、こうしたものを含めまして、既に配備されている戦闘機のやりくりや運用の工夫等を通じて、直ちに我が国の防衛に影響を生じさせないように措置しております。

美延委員 是非そうしていただきたいです。

 これは質問通告していないんですけれども、率直な疑問として、例えば、民間同士で遅れたら、そこにはペナルティーがあるわけですわ。言うたら、日米両国でこんな大きな取引をしているにもかかわらずペナルティーがないというのは私は疑問で仕方ないんですけれども、その辺を大臣はいかがお考えですか。

嶺政府参考人 お答え申し上げます。

 FMSに関する件でございますが、F35の調達を含めますFMS調達における納入予定時期につきましては、実は、契約書に相当するLOAというものがございますが、この引き合い受諾書の中の標準条項におきまして、引渡しの予定はLOA作成時における入手できる最善の資料に基づく見積りということで記載されておりまして、いわゆる契約上の納期にはこれは当たらないということになっております。このため、約定した納入の期日は存在しないということになっております。

 したがいまして、例えば遅延損害金等が発生する余地がないと承知しておるところですが、しかしながら、米側とはしっかりと交渉して、早期の納入に努めてまいりたいと考えております。

美延委員 今の答弁は私は全く納得できません。

 要するに、契約の時点で、遅れたらどうするとかペナルティーをかけるとかいうのは契約として当たり前のことじゃないですか。その当たり前のことを全くしていないというのはどういうことですか。大臣、どうですか。

中谷国務大臣 私も同感でありまして、約束したことはしっかり守ってもらわなければならないわけでございます。

 しかし、契約したことについては早期に実現してもらわなければなりませんが、戦闘機に関しましては、GCAPのように日本独自で開発を目指してイギリスやイタリアと開発しておりますし、米国一国に依存しないような体制もこれから必要ではないかと思います。

美延委員 これ以上聞きませんけれども、今大臣も同感だと言っていただいたので、しっかりこれからやってください。

 次は、いわゆる納入の遅延を受けて、運用準備の遅れについて伺いたいんです。

 F35の納入遅延によって、パイロットや整備士の完全な準備が遅れると思います。特に、日本では、先ほどもありましたように、F15やF2の老朽化が進む中、この移行が急務であり、遅延が即応性に影響を及ぼすと思われますけれども、こうした訓練への遅延問題に対する防衛省の見解はいかがですか。

青柳政府参考人 お答えいたします。

 F35Aにつきましては、納入の遅れにより配備時期が令和七年度となったところでございますけれども、既に、先ほども先生からもお話があったように、四月一日に小松基地に配備が完了いたしてございます。

 F35Bにつきましても、大きな遅延にはならない見込みであることに加え、今後、F35Bを扱うこととなるパイロットや整備員については、三沢基地に所在するF35Aの実機やシミュレーターを用いた教育を実施することで錬成を行ってまいる考えでございます。これによりまして、納入の遅れによる隊員錬成への影響は最小限にできるものと考えております。

美延委員 次は、戦力的な影響の部分ですけれども、納入遅延による抑止力の低下が考えられます。南西諸島や東シナ海では中国の活動が本当に活発化しており、F35のステルス性や情報収集能力が期待されているところですけれども、遅延により一時的な戦力ギャップが生じると思われますけれども、このような抑止力の低下についてはどうお考えか、政府の御答弁をお願いいたします。

青柳政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げたように、F35Aにつきましては、納入の遅れにより配備時期が令和七年度となりましたが、既に四月一日には小松基地に配備が完了いたしております。

 F35Bにつきましても、現時点では納入時期は未定ですが、大きな遅延とはならない見込みです。

 いずれにいたしましても、防衛省としては、引き続き、F35Bの早期納入に向け、必要な調整を実施していく考えでございます。

美延委員 何回聞いても不安があるようなことは言えないということは一定理解できますけれども、そこはしっかりやってください。

 それから、このF35Bの戦闘機は、将来的に、特別改修を完了したいわゆる護衛艦「いずも」「かが」に搭載して運用して、南西方面への防衛体制を強化する方針であるとされているんですけれども、「いずも」は二〇二七年、「かが」は二〇二八年度と聞いています。こうした運用が可能になるのはまだしばらく先の話ですけれども、F35B戦闘機の納入の遅れが長引けば、軽空母に改修した「いずも」「かが」にF35B戦闘機を搭載して運用するという計画にも影響が出てくるのではないかと懸念する声も聞いております。こうした懸念について大臣はどのように考えているか、大臣の御所見をお願いいたします。

中谷国務大臣 「いずも」は令和九年度、「かが」は令和十年度までに改修できるように予定をいたしております。

 「いずも」型の護衛艦におきましては、F35Bを各種任務に対応可能な形で運用していくためには、これからの改修を経た後に艦上で試験や訓練を行う必要がございます。したがいまして、本格運用までには相当の期間を要するものであることから、今回の納入遅延がすぐに影響を及ぼすものではないと考えますが、いずれにしましても、このようなことはよくないわけでございますので、防衛省としましては、本格運用のための体制構築を可能な限り早急に進めてまいりたいと考えております。

美延委員 そこはしっかりよろしくお願いします。

 次に、先ほども少し議論がありましたけれども、統合作戦司令部についてお伺いいたします。

 トップに就任した南雲さんは、総理、防衛大臣の下で、総勢二百四十人の組織を、平時から有事に至るまで、各部隊を横断分野で指揮することになります。この統合作戦司令部は、陸海空、そして宇宙、サイバーなどの複数の領域にまたがる作戦を統合的に指揮運用する組織であり、現代の安全保障環境において不可欠な存在です。特に、我が国の自衛隊においては個別の自衛隊間の連携強化が求められており、統合作戦司令部の役割はますます重要になると思うんです。

 そこでお伺いしたいんですけれども、司令部の設立により、平時から有事に至るまでの段階で陸海空の自衛隊がシームレスに連携し、宇宙、サイバー、電磁波を含む領域横断的な作戦を展開できる体制が整うと思われますが、これにより柔軟な防衛対応が可能となり、事態の推移に応じた機動的な部隊運用が期待されております。特に、東日本大震災のような大規模な災害や、中国、北朝鮮といった近隣国の軍事的脅威への備えが強化されると考えております。

 そこで、政府に、統合運用の強化とシームレスな対応について、現時点での見解をお伺いいたします。

大和政府参考人 御指摘のとおり、三月二十四日に統合作戦司令部が新設されまして、平素から有事まであらゆる段階においてシームレスに領域横断作戦を実現できる体制を構築することができました。これによりまして、自衛隊の運用に関し、平素から部隊を一元的に指揮できるようになりまして、事態の状況や推移に応じた柔軟な防衛体制を一層迅速に構築することが可能となりました。また、統合による作戦や、同盟国、同志国の司令部との情報共有や運用面での協力を一元化できるため、統合運用の実効性が更に向上すると考えております。

 実際に、発足から二日後の三月二十六日には、国内で同時並行的に発生していた複数の山林火災への対処について、また、今月七日には、ミャンマー連邦共和国における国際緊急援助活動に必要な医療資機材などの輸送について、防衛大臣の命を受けて統合作戦司令官が指揮を執りました。

 防衛省・自衛隊といたしましては、統合作戦司令部の新設を含め、三文書の取組を着実に進めることで、我が国の防衛力を抜本的に強化するとともに、日米同盟の抑止力、対処力を一層強化していく考えであります。

美延委員 ありがとうございます。

 今、日米同盟の強化ということを言われているんですけれども、その観点から一つ伺います。

 司令部は米軍との連携を円滑化する役割も担っているということなんでしょうけれども、米国では既に統合司令部が確立されており、日本側でも同様の組織を持つことで、共同訓練や情報共有、作戦調整がより効率的に進むとされています。

 例えば、二〇二四年十月から十一月のキーンソード25や、二〇二五年のアイアンフィスト25などの共同演習の成果も踏まえ、日米同盟の抑止力と対処力が一層強化される展望にあるかと思うんです。

 そこで、今も言われていましたけれども、司令部設立による更なる日米同盟の深化について大臣の御所見を伺います。

中谷国務大臣 せんだっても東京でヘグセス国防長官と様々な話をいたしましたが、特に、統合作戦司令部の新設、日本側はもう既に創設しましたけれども、ヘグセス氏からは、タイミングを合わせる形で在日米軍の統合軍司令部へアップグレードするという発言がありました。

 このアップグレードの開始は、平時から緊急事態にまで至る相互運用性、そして、共同活動に係る協力の深化、促進に向けたものでありまして、統合作戦司令部と米軍の連携を専門に扱う部署が設置されたということで、これは一層緊密な連携につながるものでございます。

 そして、今般運用された在日米軍のアップグレードにつきましても、これは今後米国内で検討を経た上で段階的に進められるものでありますので、日米の作業部会等を通じて、抑止力と対処力がより強化されるように、しっかり協議、調整していきたいと考えております。

美延委員 大臣、ありがとうございます。それはしっかりお願いいたします。

 そこで、少し心配があるんですけれども、それは私も大賛成ですけれども、ただ、そうなると、いわゆる日本側の主体性は担保されるのか、それはどうでしょうか。

大和政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御案内のとおり、自衛隊による全ての活動は、主権国家たる我が国の主体的な判断の下、日本国憲法、国内法令等に従って行われるものであり、自衛隊及び米軍は各々独立した指揮系統に従って行動いたします。我が国法令上、日本国内閣総理大臣が最高指揮官として自衛隊を指揮監督すると定められており、自衛隊が米軍の指揮下に入ることはありません。

 さらに、日米防衛協力のためのガイドラインにおいて、自衛隊及び米軍の活動について、各々の指揮系統を通じて行動すること、また、各々の憲法及びその時々において適用のある国内法令並びに国家安全保障政策の基本的な方針に従って行われることが明記されており、こういった点は日米間の共通の認識となっていることから、日本側の主体性は担保されると考えております。

 今回のJJOCの設立、在日米軍のアップグレードの開始によって日米間の指揮のアップグレードが行われるわけですが、こういった独立の各々の指揮系統に従って各部隊の運用がなされることは変わらないということでございます。

美延委員 それを聞いて安心いたしました。

 次に、人員と予算の確保について聞きたいんですけれども、今年のこの委員会でもずっと話題になっている人手不足というところは、せっかく統合作戦司令部をつくったわけですから、そこはしっかり人員を確保してもらわなあかんし、そこでしっかり訓練もしてもらわなあかんのですけれども、そこはいかがですか。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 統合作戦司令部は、平素から部隊を一元的に指揮することで、事態の状況や推移に応じた柔軟な防衛体制をより一層迅速に構築し、統合運用の実効性を向上させるための組織です。

 このような重要な役割を果たす統合作戦司令部につきましては、他の既存部隊の見直しや、無人化、省人化装備の導入等による所要人員の削減等の取組を通じまして、所要人員の確保に努めているところでございます。また、統合作戦司令部の職務に鑑みまして、自衛隊の統合運用にたけた人材の配置など、適材適所で人員配置を行っているところです。

 さらに、統合運用の実効性向上のため、委員御指摘のとおり、各種訓練を通じてしっかりとした体制構築に努めてまいりたいと考えております。

美延委員 人材が一番大切ですから、大臣、そこは是非よろしくお願いいたします。

 それで、このような人材育成とか、これから陸海空の統合、それにサイバーとか宇宙が入ってくるわけですから、いろいろ困難な問題とか難しい問題が出てくると思うんですけれども、その辺は大臣はどうお考えですか。

中谷国務大臣 サイバーも含めまして、本当に高度になってきております。このため、教育に力を入れるということで、特に、初級、中級幹部の段階において、自衛隊の幹部学校で統合教育の強化、統合幕僚学校での戦略教育の強化、そして、領域横断作戦を含む統合運用や他の自衛隊について学ぶ機会を拡大させております。

 また、他の自衛隊の主要司令部に恒常的要員を派遣するとともに、様々な統合訓練を通じて実施するということで、サイバー、宇宙などの取組もいたしております。

 これを御存じでしょうか。この前の日曜日に呉に参りまして、呉に自衛隊の海上部隊を、司令部をつくりました。これは、海上自衛隊が非常に人が少ないということで、これの指揮運用は主に陸上自衛隊が行う、こういう形で統合化を進めて輸送力を確保するというようなことで、工夫しながら、陸海空を統合しながらこれから運用に努めていきたいと思っております。

美延委員 実は、私も一か月ぐらい前に呉の視察をさせていただきました。そのときに、今大臣がおっしゃったようなことも全部拝見させていただきました。ありがとうございます。

 時間がないので、申し訳ないですけれども、質問を飛ばさせていただいて、最後に大臣に伺いたいんです。

 統合作戦司令部は日本の安全保障環境の変化に対応するために不可欠な組織であり、今後の防衛戦略の中核を担うことが期待されています。しかし、指揮統制の確立、人材育成、同盟関係の強化、新技術の導入、法的整備といった課題を克服しなければ、その効果を最大限に発揮することは難しいと思われます。これらの課題に対処しながら実効性のある統合運用体制を構築することが日本の安全保障をより強固にする鍵になるだろうと考えています。

 そこで、最後に大臣に伺いたいんですけれども、こういうことを踏まえた上で、統合作戦司令部の今後に向けて大臣はどうお考えなのか、お聞かせいただけますでしょうか。

中谷国務大臣 まさに、陸海空自衛隊の統合一元化の運用は創設期からの課題でありまして、七十年近くの年月がかかりました。

 なぜうまくいかなかったかというと、そもそも、警察予備隊ができた頃から、大臣を政策的に直接補佐する内局と、軍事的側面で補佐してくれる各陸海空幕、この二つが成り立っておりましたが、運用に関して、内幕がそれぞれの組織がありまして、大臣の下に一本化というのはなかなかできていなかったわけです。

 そこで、統合運用ということを議論いたしまして統合幕僚監部とか統合幕僚長をつくったわけでありますが、ようやく、この司令部で運用は任せる、統合幕僚長は個人的に大臣や総理の補佐をするというような形で統合運用を改めて整理しましたので、まさに内幕の一体化、お互いに相まって大臣を支えていくということで、内局も幕も協力して自衛隊を運用していくという意味においては、この統合司令部の創設は歴史的な意義があるものであります。

 この前のミャンマーの地震につきましても、もう既に資材を送り届けて今帰ってくる途中でありますし、連続する山火事におきましても、たくさんのヘリコプターを多様に運用して鎮火に至りましたけれども、こういった統合司令部をつくったおかげで、より自衛隊が機動的に運用できるようになったということでございます。

美延委員 今、大臣からるるお話がありました。

 もう少しお伺いしたいことはあるんですけれども、今日はここまでにして、また次回の機会にこれに関してはもう少し突っ込んでお聞かせいただきたいと思います。

 私もこれはいいことだと思いますので、是非進めていただければと思います。

 私はこれで終わります。ありがとうございました。

遠藤委員長 お疲れさまでございました。

 美延委員には大変度々と御配慮いただきまして、時間が合ってまいりました。

 次に、西園勝秀君。

西園委員 公明党の西園勝秀です。本日は質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 早速質問に入らせていただきます。

 四月六日、海上自衛隊呉基地で自衛隊海上輸送群の発足式が行われました。現下の厳しい安全保障環境において、陸海空自衛隊の共同部隊として海上輸送群を創設した意義は何でしょうか。また、海上防衛の中枢として歴史ある呉市において、新部隊の創設が、地域経済や雇用、防災機能の強化など、住民生活に与える影響は大きいと考えます。

 海上輸送群の創設の意義と地域への影響について中谷防衛大臣の御見解をお聞かせいただけますでしょうか。

中谷国務大臣 自衛隊は全国で活動しておりますけれども、何かあったときにすぐに現場に行くことを実現するためには、何といっても海上機動力の強化が必要でございまして、海上輸送群は自衛隊の機動展開能力を大きく向上させるものであります。

 先ほど申し上げましたけれども、海上自衛隊の要員が少なくなってきたということで、船の運用等につきましては海上幕僚監部だけではなかなか管理できないということもありまして、この度、海上輸送群をつくりまして、陸上自衛隊と海上自衛隊が協力して運用に当たるという形を取りましたので、共同の部隊として編成いたしております。

 まさにこれは統合運用の象徴というべきものでございまして、特に、呉は、海上自衛隊の艦艇部隊が配置される場所でございますけれども、地元の皆さんとともに協力関係を築かせていただきまして、海上輸送群におきましても地元に貢献できるように、是非御支援のほどよろしくお願いしたいと思います。

西園委員 丁寧な御説明をありがとうございます。

 中谷大臣におかれましては、現在の緊迫した世界情勢の中、また、トランプ政権との関係も大変御苦労の多いことと存じます。日本の防衛政策は重要な局面にあると思いますので、是非お体に留意しつつ、国益に資するかじ取りをどうぞよろしくお願い申し上げます。

 次に、特定利用空港・港湾について伺います。

 この制度は、自衛隊や海上保安庁が平時及び有事において空港や港湾を円滑に利用できるよう政府が必要な環境整備を行うことを目的とした、我が国の安全を確保するために重要な意義を持つものでございます。

 しかしながら、現状では、自衛隊や海上保安庁が日常的に利用している全ての空港、港湾が特定利用空港・港湾に位置づけられているわけではなく、制度の対象は限定的であり、必要な整備が十分に行き届いていないケースも見受けられます。その代表的な例が名古屋港です。

 名古屋港は日本一の輸出額を誇る経済の要衝であり、海上保安庁や自衛隊にとっても極めて重要な港湾です。しかし、二〇二三年七月四日にサイバー攻撃を受け、港の機能が一時停止し、三日間にわたり荷役ができないという深刻な事態が発生し、日本経済にも多大な悪影響を及ぼしました。この教訓を踏まえ、現在、国会では能動的サイバー防御に関する法案が審議されており、その中で空港や港湾がサイバー攻撃からの防御が不可欠な重要インフラとして明確に位置づけられています。

 であるならば、自衛隊や海上保安庁が日常的に使用する空港、港湾についても、平時からのサイバー防御体制を含め、安全保障に直結する施設として、より積極的な整備と運用を図っていくべきではないでしょうか。さきに述べた名古屋港やその他の空港、港湾についても特定利用空港・港湾の対象として拡充し、国としての関与を強化することは、平時の利便性の確保に資するだけでなく、有事における迅速な部隊展開や国民保護の観点からも極めて重要な取組であると考えます。

 以上の点を踏まえ、特定利用空港・港湾の拡充と必要な整備に関する政府の御見解をお聞かせ願います。

室田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、特定利用空港・港湾は、民生利用を主としつつも、自衛隊、海上保安庁の平素における利用をより円滑にしていくという観点から、それぞれの施設の整備あるいは既存事業の促進をやっていくことによって、空港、港湾の利便性を確保し、機能を強化することを目的にしたものでございます。政府としては、これまで十一空港、二十五港湾を特定利用空港・港湾としておりまして、今後も更なる充実化を図っていく考えでございます。

 具体的にどの空港、港湾をこの取組の対象にしていくのかにつきましては、自衛隊、海上保安庁のニーズ等を踏まえまして判断してまいりますけれども、引き続き、インフラ管理者たる自治体等との調整を丁寧に行いまして、公共インフラ整備の取組を推進してまいりたいと考えております。

西園委員 ありがとうございます。国の安全を守る重要インフラについては特定利用空港・港湾に位置づけていただくよう、是非よろしくお願いいたします。

 次に、特定利用空港・港湾の整備に必要な予算について伺います。

 トランプ政権が日本に対し、防衛費を対GDP比三%まで増額するよう求めているとの報道がございます。我が国は、昨年策定した国家安全保障戦略において、安全保障関係費を対GDP比二%に達するよう、必要な予算を積み上げていく方針を示しました。この中には防衛関連の公共インフラに関する経費も含まれていますが、必ずしも十分な予算が確保されているわけではございません。

 一方、我が国では、上下水道の老朽化対策や防災・減災対応など、公共インフラへの投資需要が急増しており、限られた公共事業費の中で防衛インフラの整備に十分な予算を確保することが難しくなりつつあります。特に、空港や港湾においては民間と共用するインフラが数多く存在し、自衛隊や海上保安庁が日常的に利用しているにもかかわらず、必要な整備が後回しにされているのが現状です。こうした状況を踏まえると、特定利用空港・港湾制度の活用をより一層積極的に推進すべきであると考えます。

 防衛省と国土交通省が連携し、必要なインフラ整備を戦略的に進めていくことは、自衛隊や海上保安庁の活動を円滑に行えるようにするだけでなく、民間の航空機や船舶の利便性を向上させる上でも極めて重要です。特定利用空港・港湾に関する整備予算を政府全体として拡充すべきと考えますが、この点に関し、中谷防衛大臣の御見解をお聞かせください。

中谷国務大臣 特定利用空港・港湾につきましては、民生利用を主としつつ、自衛隊と海上保安庁のニーズも考慮することで、安全保障の重要性も加味しながら、必要な整備、既存事業の促進を図るということでございますので、早期にこれを実現していかなければなりません。そのためには予算が必要でございまして、特に道路も含めて公共インフラの整備の取組を更に充実させてまいります。

 この前の能登半島の地震の例ではありませんけれども、いざ起こってからインフラの整備をしても遅いわけでありますので、特に港湾とか道路とか、緊急に対応する必要がある事業につきましては、早期に予算を獲得して、整備ができるように努力してまいりたいと思っております。

西園委員 中谷大臣、大変力強いお言葉、ありがとうございます。平時、有事においても日本の安全保障に資する特定利用空港・港湾の整備予算の確保を何とぞよろしくお願い申し上げます。

 次に、退職自衛官の再就職についてお伺いします。

 自衛官については、長年にわたり我が国の安全保障の最前線で任務を遂行されてきた方々であり、その豊富な経験や規律、組織的な行動力は退職後においても社会の様々な分野で大いに活用されるべきと考えます。しかし、一方で、定年退職後に再就職された方の中には、一年以内に離職するケースも一定程度存在するとの指摘がございます。これは、再就職先における職務内容や職場環境が自衛隊での経験と大きく異なることが一因であると推察されます。

 こうした状況を踏まえ、自衛官が定年後、民間の異なる分野で再チャレンジする際の不安を軽減し、円滑な移行を支援するために、公務員としての身分を一定期間維持したまま民間での勤務に従事できる、いわば官民交流制度のような仕組みを設けてはいかがでしょうか。その上で、当該勤務先で継続的な雇用が可能と判断された場合に初めて正式に退職する形を取ることで、民間就労への移行のミスマッチを防ぎ、本人の能力や経験がより適切に生かされるようになるのではないかと考えます。

 防衛省として、自衛官の再就職支援の実態をどのように認識しているのか、また、こうした身分移行の緩やかな制度設計についての御見解を伺います。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛省では、退職自衛官に対して様々な再就職の支援を行っております。

 その一つといたしまして、自衛官が退職する前に、自衛官の身分を持ったまま、自衛隊に所属したまま、再就職先を検討している企業にインターンシップとして、お試しというか、実際に勤務してみたり業務を経験したり、職業体験を行うようなことをしています。これは、自衛官の身分を持ったまま、自衛隊の組織にいる間にやるものですので、そういったことで、委員が御指摘のようなミスマッチをなるべく避けるようにしております。本人も勤務の実態を具体的に体験できることから、定着に有効ではないかと考えております。

 また、定年退職後に民間企業に再就職して一旦離れた者についても、これを改めて自衛隊で再任用するための法案をまさに今国会に提出しているところでございます。

 さらに、再就職後やむを得ず退職した自衛官に、一旦辞めた者に対しても再度就職支援を行うための制度の整備も検討しております。

 こういった施策を組み合わせながら、再就職支援、早期離職防止に努めてまいりたいと思います。

西園委員 以上です。ありがとうございます。

遠藤委員長 お疲れさまでございました。

 質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

遠藤委員長 次に、内閣提出、防衛省設置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。中谷防衛大臣。

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 防衛省設置法等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

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中谷国務大臣 ただいま議題となりました防衛省設置法等の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明いたします。

 この法律案は、自衛隊の任務の円滑な遂行を図るため、自衛官定数の変更、水上艦隊の新編その他自衛隊の組織の改編を行うとともに、自衛官の再任用に係る要件の見直し、航空管制官手当の新設その他自衛官等の人材確保のための制度の整備、物品役務相互提供協定に係る規定の整備、装備移転等に伴う装備品等の製造等を適切に実施するための規定の整備等の措置を講ずるものであります。

 以上が、この法律案の提案理由であります。

 次に、この法律案の内容について、その概要を御説明いたします。

 第一に、自衛隊の任務をより効果的に遂行し得る体制を整備するため、防衛省設置法及び自衛隊法の一部を改正し、自衛官の定数変更、陸上自衛隊の補給統制本部の補給本部への改編、海上自衛隊の水上艦隊等の新編、そして航空自衛隊の航空総隊の改編を行うことといたしております。

 第二に、人的基盤の抜本的強化に向けた自衛官等の処遇改善のため、自衛隊法及び防衛省の職員の給与等に関する法律の一部を改正し、自衛官の再任用に係る要件の見直し、航空管制官手当の新設、各種手当の引上げ、指定場所生活調整金や事業を営む予備自衛官に対する給付金の新設等を行うことといたしております。

 最後に、同志国等との協力強化に関する事項といたしまして、日本国の自衛隊とイタリア共和国の軍隊との間における物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とイタリア共和国政府との間の協定の署名を機に、自衛隊法及び国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律の一部を改正し、関連する規定を整備するほか、装備移転や研究開発のため、自衛隊法の一部を改正し、航空法や船舶安全法等を適用除外し、防衛大臣が、装備移転の対象として製造される航空機や船舶の安全基準等を定めること等の規定を整備することといたしております。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要でございます。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。

遠藤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、明十一日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十七分散会


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