第11号 令和7年6月12日(木曜日)
令和七年六月十二日(木曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 遠藤 敬君
理事 岩田 和親君 理事 尾崎 正直君
理事 木原 稔君 理事 篠原 豪君
理事 升田世喜男君 理事 屋良 朝博君
理事 美延 映夫君 理事 橋本 幹彦君
東 国幹君 江渡 聡徳君
大西 洋平君 金子 容三君
黄川田仁志君 草間 剛君
栗原 渉君 鈴木 英敬君
鈴木 隼人君 関 芳弘君
中曽根康隆君 広瀬 建君
福田かおる君 向山 淳君
山本 大地君 若山 慎司君
新垣 邦男君 五十嵐えり君
伊藤 俊輔君 おおたけりえ君
下野 幸助君 松尾 明弘君
池畑浩太朗君 空本 誠喜君
深作ヘスス君 西園 勝秀君
山崎 正恭君 赤嶺 政賢君
…………………………………
外務大臣 岩屋 毅君
防衛大臣 中谷 元君
防衛大臣政務官 金子 容三君
政府参考人
(法務省大臣官房審議官) 内野 宗揮君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 林 美都子君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 熊谷 直樹君
政府参考人
(外務省大臣官房参事官) 石川 誠己君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 森友 浩史君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 森 真弘君
政府参考人
(国土交通省大臣官房技術審議官) 魚谷 憲君
政府参考人
(国土交通省航空局次長) 蔵持 京治君
政府参考人
(海上保安庁警備救難部長) 山戸 義勝君
政府参考人
(防衛省大臣官房長) 萬浪 学君
政府参考人
(防衛省大臣官房衛生監) 針田 哲君
政府参考人
(防衛省防衛政策局長) 大和 太郎君
政府参考人
(防衛省整備計画局長) 青柳 肇君
政府参考人
(防衛省人事教育局長) 青木 健至君
政府参考人
(防衛省地方協力局長) 田中 利則君
政府参考人
(防衛省統合幕僚監部総括官) 小野 功雄君
政府参考人
(防衛装備庁装備政策部長) 坂本 大祐君
政府参考人
(防衛装備庁技術戦略部長) 松本 恭典君
安全保障委員会専門員 飯野 伸夫君
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委員の異動
六月十二日
辞任 補欠選任
草間 剛君 東 国幹君
鈴木 英敬君 広瀬 建君
中曽根康隆君 若山 慎司君
福田かおる君 山本 大地君
五十嵐えり君 おおたけりえ君
池畑浩太朗君 空本 誠喜君
同日
辞任 補欠選任
東 国幹君 草間 剛君
広瀬 建君 栗原 渉君
山本 大地君 福田かおる君
若山 慎司君 大西 洋平君
おおたけりえ君 五十嵐えり君
空本 誠喜君 池畑浩太朗君
同日
辞任 補欠選任
大西 洋平君 中曽根康隆君
栗原 渉君 鈴木 英敬君
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六月三日
平和、命、暮らしを壊し、市民に負担を強いる軍拡、増税に反対することに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一六六五号)
同(志位和夫君紹介)(第一六六六号)
同(塩川鉄也君紹介)(第一六六七号)
同(辰巳孝太郎君紹介)(第一六六八号)
同(田村貴昭君紹介)(第一六六九号)
同(田村智子君紹介)(第一六七〇号)
同(堀川あきこ君紹介)(第一六七一号)
同(本村伸子君紹介)(第一六七二号)
同月十日
次期戦闘機の共同開発と輸出を止めるよう求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二〇六五号)
同月十二日
戦争準備の軍拡は中止し、憲法、平和、命、暮らしを守る政治への転換に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二三八六号)
同(志位和夫君紹介)(第二三八七号)
同(塩川鉄也君紹介)(第二三八八号)
同(辰巳孝太郎君紹介)(第二三八九号)
同(田村貴昭君紹介)(第二三九〇号)
同(田村智子君紹介)(第二三九一号)
同(堀川あきこ君紹介)(第二三九二号)
同(本村伸子君紹介)(第二三九三号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
国の安全保障に関する件
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○遠藤委員長 これより会議を開きます。
国の安全保障に関する件について調査を進めます。
去る令和五年四月二十七日の防衛省が調達する装備品等の開発及び生産のための基盤の強化に関する法律案に対する附帯決議に基づき、同法の施行状況及び課題について政府から報告を聴取いたします。中谷防衛大臣。
○中谷国務大臣 令和五年四月二十七日の衆議院安全保障委員会における附帯決議に基づき、防衛生産基盤強化法の令和六年度までの施行状況及び今後の課題を御報告いたします。
まず、施行状況についてです。
令和五年十月一日に法律を施行し、同年十月十二日に基盤強化に関する基本的な方針を策定、公表しました。
次に、装備品安定製造等確保計画を、令和五年度に三十六件、約九十八億円、六年度に百二十一件、約二百三十四億円を認定しました。
また、指定装備移転支援法人として、令和六年二月十六日に公益財団法人防衛基盤整備協会を指定し、令和五年度及び六年度の予算で約八百億円の基金を設けました。
これに基づき、装備移転仕様等調整計画は、令和六年度に一件、約十五億円を認定しました。
なお、令和七年度に入り、当該基金を更に四百億円積み増すとともに、新たに二件、約十億円を認定していますが、そのうちの一件はオーストラリアの次期汎用フリゲートに関するものであり、この案件に関しましては、更に追加の認定を行うべく、現在複数の企業と具体的な調整を進めております。
さらに、装備品等秘密の制度について、事業者向けの事前説明会や負担軽減措置を講じた上で、令和六年四月一日に施行しました。
最後に、指定装備品製造施設等の取得及び管理の委託、いわゆるGOCOですが、令和六年度までには実績はございません。
続いて、今後の課題を申し上げます。
第一点目として、装備品安定製造等確保計画に関しては、事業者の要望は旺盛であり、事業者の声に広く耳を傾けつつ、同計画に基づく財政措置を講じてまいります。
二点目として、装備移転仕様等調整計画に関しては、計画の認定を着実に積み重ねるべく、相手国政府や企業と積極的な調整を進め、装備移転の案件形成を進めてまいります。
以上をもって国会への報告とさせていただきます。
続きまして、中国軍機による自衛隊機への特異な接近についてであります。
六月七日土曜日及び八日日曜日に、太平洋上の公海上空において、P3C哨戒機に対して、中国の空母「山東」搭載のJ15戦闘機が追従しました。この際、中国軍機は、水平距離約四十五メートルまでの接近や、針路前方約九百メートルを横切るといった特異な飛行を行いましたが、これは偶発的な衝突を誘発する可能性があることから、深刻な懸念を表明し、再発防止を厳重に申し入れたところであります。
防衛省・自衛隊としては、警戒監視活動等に万全を期してまいります。
以上です。
○遠藤委員長 以上で報告は終わりました。
―――――――――――――
○遠藤委員長 この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付のとおり、法務省大臣官房審議官内野宗揮君外十七名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○遠藤委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。黄川田仁志君。
○黄川田委員 自由民主党の黄川田仁志です。
昨日、日本学術会議法が成立いたしました。私は内閣委員会で日本学術会議と防衛関係の研究について質問してまいりましたので、このことに関連して本委員会で質問させていただきたいと思います。
日本学術会議は、二〇一七年に軍事的安全保障研究制度に関する声明を発出しました。この声明を基にして、学術会議は、大学等の各研究機関に対して、軍事的安全保障研究とみなされる可能性のある研究について、技術的、倫理的に審査する制度を設けることを大学等に求めました。また、学協会等に対してガイドライン等の整備を求めました。この声明をきっかけに、防衛装備庁が取り組む安全保障技術研究推進制度に対する大学などからの応募が減少いたしました。
しかし、二〇二二年、内閣府特命担当大臣から、この学術会議の防衛研究に関する態度について当時の日本学術会議の会長に質問したところ、会長からは、もはやデュアルユースとそうでないものを単純に分けるのは困難、その扱いを一律に判断するのは現実的ではないという回答を得ました。この見解が転機となりまして、二〇二三年以降は防衛装備庁の安全保障技術研究推進制度への大学等からの応募が回復し、今、増加傾向であるということでございます。
防衛生産・技術基盤は防衛力そのものと位置づけられております。その防衛生産・技術基盤の基礎となるのが大学などの研究であります。ですから、私は、安全保障技術研究推進制度への応募数を更に増やす必要があるのではないかと考えております。そのために防衛省、防衛装備庁としてまだやれることがあるのではないかと思っております。
そこで、防衛省に御質問させていただきたいと思います。
現在、防衛省として、大学の研究者が安全保障研究に取り組みやすくなるよう、どのような働きかけや環境整備を行っているのか、御説明ください。
○松本政府参考人 お答えいたします。
安全保障技術研究推進制度につきましては、大学等における独創的な研究を発掘し、将来有望である芽出し研究を育成することを目的として創設したものであり、防衛装備品そのものの開発を目的としたものではないことなど、制度の趣旨を正確に御理解いただけるよう、各大学等の研究者への丁寧な説明を継続しておるところです。
また、大学からの要望を踏まえまして、研究者による主体的な活動を支援する補助事業を令和七年度から新設することにしましたところ、この制度改善によって大学等からは前年度比で約三倍となる百二十三件の応募をいただき、制度創設以降最多の応募件数となりました。
今後も様々な場を活用して各大学等の研究者に対する説明を継続するなど、安全保障技術研究推進制度を始め、防衛省の様々な取組において各大学等の研究者と連携できるよう、引き続き努力してまいりたいと思います。
○黄川田委員 ありがとうございます。
いろいろと努力なさっているということでございますが、ここで私が一つ取り上げたいのは、そうはいうものの、まだ一部の大学がいまだに防衛関連の研究に後ろ向きであるということであります。
確かに制度への応募は回復、増加傾向にありますが、依然として一部の大学等の中に安全保障に関する研究に対して慎重あるいは否定的な姿勢が根強く残っていると聞いております。実際に現場の研究者からは、防衛省の制度に応募できない、あるいは、防衛に関わると誤解を受けるといった声が聞かれております。これは、二〇一七年の声明及びそれに基づくガイドラインの影響がいまだに各大学などの組織内に強く残っているのではないかと考えます。
そこで、私は、二〇二二年の学術会議会長の回答内容を防衛省はもっと丁寧に大学や研究機関に説明するべきだと思っております。防衛研究が必要不可欠なものであり、誤解に基づき忌避するのではなく、前向きな関与が求められていると改めて伝えていくべきではないでしょうか。防衛省の見解をお聞かせいただければと思います。
○松本政府参考人 お答えいたします。
防衛省では、様々な機会を捉えまして、研究者が所属する大学等に対し、安全保障技術研究推進制度を始めとする防衛省の研究開発制度や、各制度において大学等に期待することなどを継続的に説明しているところです。
特に、安全保障技術研究推進制度については、防衛省職員が研究内容に介入することはないこと、研究成果の公表を制限することはないこと、特許権等の知的財産権は研究者に帰属すること、秘密を研究者に提供することはないことなどの制度の趣旨を正しく御理解いただけるよう、大学等に丁寧に説明してまいりました。
加えまして、我が国の科学技術力が相対的に低下しつつあることや、安全保障と科学技術が密接不可分であって、特に、諸外国においては国防当局と科学技術当局が密接に連携協力して国全体の科学技術力向上に努めていることなどを御説明して、大学等において防衛当局との連携に御理解いただけるよう、引き続き様々な努力を重ねてまいりたいと思います。
○黄川田委員 引き続きよろしくお願いいたします。
最後に、防衛と民生の研究の融合についてお伺いします。
現在なお、防衛の研究と民生の研究がそれぞれ独立した世界のものと扱われる傾向があると強く感じています。しかし、技術革新が進む中で、衛星コンステレーション、ドローン、AI、量子技術など、多くの先端技術が明確なデュアルユースの対象になっております。これからの時代、防衛と民生の研究分野は明確に線引きされるものではなく、むしろ、互いに連携し、人的交流や共同開発を進めることで大きな成果を生み出せると考えます。そのためには、大学、民間の研究所や、企業、特にスタートアップ企業などとも積極的に連携していくことが重要であります。
防衛省としてこのような技術融合や人材交流をどのように推進していくお考えか、現時点での取組方針をお聞かせください。
○松本政府参考人 先生御指摘のとおり、衛星コンステレーションやドローンなど、防衛装備品を構成している技術の大半は、例えば情報通信技術、宇宙の技術、半導体の技術、先進素材、エネルギー、こういった通常の民生技術であります。そのため、防衛と民生で連携協力しながら重要技術に投資し、育成し、活用していくことが必要です。
例えば、民生分野の技術が防衛分野で活用されて、それが高度に発展し、民生分野にフィードバックされ、社会の発展に大きく貢献していく。あるいは逆に、防衛分野への投資が民生分野にも波及し、それが社会の発展に寄与して、それがまた防衛分野にも戻ってくる。そういった好循環が自律的に発生していくようなエコシステムの構築が必要になっていると考えています。
このため、例えば、この取組の一環として、昨年十月に創設した防衛イノベーション科学技術研究所におきましては、革新型ブレークスルー研究のプログラムマネジャーとして外部の専門家を採用し、防衛用途に必ずしも限らない自由な発想の下で研究を進めていただいているところです。
また、本年三月、AIやバイオ等の分野における最先端の技術を有する国内外のスタートアップを対象として、米国DIUとともにピッチイベントを開催しました。これによって研究者同士あるいは企業との新しい交流の場を提供し、次の研究開発につなげていくことを目的に実施しておるところです。
このような様々な取組を行うことによって、幅広いスタートアップやアカデミアの方、防衛産業ではない方も含めて、いろいろな方と協力して、交流して、連携して、我が国の科学技術力それから防衛力の発展に努めてまいりたいと思います。
○黄川田委員 時間ですので終わります。
どうもありがとうございました。
○遠藤委員長 お疲れさまでございました。黄川田君の質疑は終了いたしました。
次に、空本誠喜君。
○空本委員 日本維新の会の空本誠喜でございます。今日も質問の機会をいただきましてありがとうございます。しっかり質問させていただきます。よろしくお願いいたします。
今日は防衛生産基盤強化法に係る審議もさせていただきたいんですが、私の地元、広島県呉市におきまして、防衛省がこれから製鉄所跡地を多機能な複合防衛拠点として整備、開発するということを地元にお伝えいただいておるところでございます。そして、そこにおいては国が一括購入するということでございますけれども、その前に、どういうふうな利用の在り方かということで、ゾーニングについて今防衛省から簡単な素案が出てきているところでございます。
また、呉には自衛隊全体の海上輸送群も新たに配備されまして、新たな基地となり、国の防衛力の強化という意味では大変重要な位置づけになろうかと思っております。
その点において、新たにこれから整備していくわけでございますが、この基盤強化法においても支援がこれからなされるというふうに私は考えているんですが、こういう支援がされることになったときに、その可能性と在り方について防衛省から御説明をお願いします。
○坂本政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘の防衛生産基盤強化法の適用につきましては、呉地区自衛隊のみならず、民間企業も今誘致を進めているところでございまして、様々な企業の方々と意見交換を進めております。この企業の方々に対して基盤強化法の措置の対象になる可能性があるところでございます。
その上で、この基盤強化法を始めとします各種の財政上の措置につきましては、企業の誘致が具体的になった段階で、企業の皆様方から御要望があれば、その内容をしっかり伺った上で適用について検討することになろうかと思います。
いずれにいたしましても、企業の方々と意見交換を今後も丁寧に実施してまいりたい、そのように考えております。
○空本委員 是非しっかり民間企業の方々の誘致をお願いしたいし、そして、その方々がしっかりとここで製造できる、若しくは研究開発ができる。
さらに、今、ゾーニングの青写真をいただいているんですけれども、防衛省、海上自衛隊若しくは輸送群がここでいろいろ配備、整備をすると思うんですが、民間企業がたくさん入ってこないと、今、呉市、広島県全体が人口流出全国ワースト1なんです。呉市の製鉄所がなくなったことによって、さらに瀬戸内海地域、山口県もそうなんですけれども、人口流出が激しいんです。そういった意味で、製造サプライチェーンを瀬戸内海にもう一度取り戻してくる一つの起爆剤になるかもしれません。
それも、防衛産業のみならず、例えばAIデータセンター、こういったものも造り、さらには、近くには、大崎上島に大崎クールジェンという一番最先端の石炭ガス化燃料電池複合発電、IGFCという新しい火力発電所もございます。これはNEDOと中国電力、電源開発が一緒に開発してきたものでありまして、国が後押ししているものです。
皆さんは、これから石炭火力はもう駄目だと見ていらっしゃるかもしれませんけれども、インドとか中国は、今、古いタイプの火力発電所、それも石炭を使っているんです。そういったところでCO2を削減するのであれば、カーボンニュートラルを目指していくのであるならば、日本のすばらしい石炭火力の技術、CO2を削減した技術があるんです。こういったものを海外に輸出することもあるかもしれません。
そういった意味での起爆剤として、ここを、近くの竹原市とか大崎上島町、呉市、一体となった開発、防衛産業のみならず民間産業の起爆剤として考えていただきたい。それを防衛省さんが誘導いただければ。
また、前回の安全保障委員会の質問の際に、この製鉄所跡地においては、呉市は、ちょうど八年ぐらい前、西日本豪雨災害がありまして、完全に陸の孤島になりました。陸路が閉ざされてしまいました。けれども、そのときに一つの道路、東広島呉道路というのがありまして、それが三日後に復旧した。そういうこともありまして、道路の基盤整備も併せて是非お願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
次の質問に行かせていただきたいと思います。
実は、この週末といいますか、日曜、月曜に、日本維新の会の有志のメンバーで、和田有一朗議員、高橋英明議員、西田薫議員と私、空本誠喜の四名で、西南諸島の防衛の在り方ということで視察をさせていただきました。今回、石垣の駐屯地、与那国の駐屯地をしっかり見せていただきまして、防衛省の皆様、駐屯地の皆様には厚く御礼申し上げます。
そういった意味で、石垣島とか与那国島は、まさに台湾の有事を視野に入れながら防衛力を強化していかなければならないと考えております。
そこで、中国の海警が押し寄せてきていますが、海上保安庁の今の石垣島、与那国島での活動状況、まずは石垣島について教えていただければと思います。
○山戸政府参考人 お答えいたします。
石垣市における海上保安庁の体制でございますが、同市に石垣海上保安部及び石垣航空基地を設置しており、巡視船艇等を十七隻、航空機を五機配備し、これらの定員は七百十九名となっております。これらの勢力により、尖閣諸島を含む周辺海域の監視、警戒等を実施しております。
○空本委員 続きまして、石垣市、与那国町、島における海上自衛隊の拠点はどうなっているか、その拠点整備をどうされるつもりか、防衛省から御説明をお願いします。
○青柳政府参考人 お答えいたします。
大小多くの島々が点在する南西諸島におきましては、現下の厳しい安全保障環境を踏まえた対応を行うに際しまして、海上自衛隊の艦艇や新編した自衛隊海上輸送群の艦艇を活用して部隊や装備品を迅速に南西地域に展開させる必要がございます。
そのため、各島嶼の港湾を自衛隊の艦艇が利用できるようにすることは極めて重要であると考えておりまして、例えば、御指摘の石垣港を令和六年四月に特定利用港湾とするなど、自衛隊による円滑な利用を可能とするための取組を進めているところでございます。
今後とも、各港湾を自衛隊の艦艇が円滑に利用できるよう、御指摘も踏まえながら不断に検討していく考えでございます。
○空本委員 石垣については、海上保安庁さんも海上自衛隊も港湾があって、そこには立ち寄れるという状況でございますけれども、与那国島については、町からの要望もいろいろあるようですけれども、例えば、ナンタ浜に面する祖納港の整備が今遅れている。県の事業でやられていらっしゃると聞いていますが、資材の高騰とか人手不足がありまして、県の発注工事が不調に終わっているとお聞きしています。
そういった意味で、住民の皆さんの安全確保という観点からも、生活に支障がないようにするためにも、町長さんからは新しい港の整備という要望もあるようでありますが、まず既存の祖納港をしっかり整備していくことも大事なのかなと思っております。
そこに、余り大きな船は着けられないと思いますけれども、せいぜい、護衛艦の中である程度小さい百九メーター級「あぶくま」ぐらいのクラスがあると思いますが、そのぐらいは着岸できるような形のものを造るべきかなと思うんですが、与那国町においての海上自衛隊の港湾整備、若しくは国土交通省さんとしての整備、こういったものを併せて、防衛省さんはどうお考えでしょうか。
○青柳政府参考人 お答えいたします。
戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面する中で、海上自衛隊についても、南西方面で十分な活動ができるよう、各種拠点の整備はこれまでも行ってきているところでございます。
まず、長崎県の佐世保地区に艦艇部隊の基盤となる佐世保地方総監部が所在している。このほか、沖縄県の勝連地区に沖縄基地隊が所在しておりまして、艦艇及び航空機部隊への燃料、食料、物品などの補給、整備の後方拠点を行っているところでございます。
加えまして、九州本土と沖縄本島の中間地点に位置しまして、南西方面への後方支援の拠点として適した位置にあります奄美大島、古仁屋港でございますが、ここにおきまして拠点整備を進めることとしております。
このため、現時点で石垣や与那国に海上自衛隊の拠点を整備する計画はございませんけれども、南西地域の防衛体制については、今後とも不断に検討を行ってまいりたいと考えております。
○空本委員 防衛力を強化、強化ということで西南諸島の島々にということも、沖縄県の皆さんにいろいろ配慮は必要だと思いますが、まずは与那国町の住民の方々の生活を考えながら、あわせて、今、与那国駐屯地におきましては、平成二十八年、大臣がちょうどいらっしゃったときに駐屯地が開所したわけでございますけれども、そういった中で、そういう駐屯地も、これからミサイル防衛を少し強くしていこうということならば、海上自衛隊も着岸できるような形で使わせていただく。それは町にも御理解いただきながら、沖縄県にも御理解いただきながら進めるべきだと思いますので、是非よろしくお願いしたいと思います。
最後に、この西南諸島においてはミサイル防衛はこれからどうなるんでしょうか。与那国、石垣の配備状況はこれからどうなっていくのでしょうか。御説明をお願いします。
○青柳政府参考人 現下の安全保障環境の中、ミサイル等の経空脅威から重要施設等を防護する防空能力の強化を含む南西地域の防衛体制の強化は、我が国の防衛にとって喫緊の課題であると認識してございます。
この観点から、巡航ミサイル等に対処可能な中距離地対空誘導弾、中SAMと申しますが、これを運用する陸上自衛隊の地対空誘導弾部隊を二〇二〇年三月に宮古島駐屯地に、二〇二三年三月に石垣駐屯地に配備したところでございます。
また、与那国駐屯地におきましても、今後、地対空誘導弾部隊を配備する予定でございまして、現在、部隊配備に向けて用地の取得を進めている、こういう状況でございます。
○空本委員 石垣島は、長距離の射程のものは不要かと思いますが、中距離のものを持って防衛という意味で強化する必要性は高いと思いますので、今、敵基地能力の話もございますが、そういったことをある程度国内では考えなきゃいけないかもしれませんが、沖縄においては、県民の皆様、また石垣市、さらには与那国町、宮古島市、こういった地域の方々の御意見をいただきながらしっかりお願いしたいと思っております。
次に、これは中谷大臣に前回の安全保障委員会でお願いした内容でありますが、自衛隊の航空学生、若鷲への修了式での革手袋の贈呈が具体的に今進んでいるところと聞いております。また、いろいろな基地におきまして贈呈が行われたと聞いております。例えば、下総の航空基地、この間、修了式があったと聞いておりまして、海上自衛隊若しくは航空自衛隊の航空学生においてはうまく進んでいると聞いております。防衛省の皆様には感謝申し上げます。
ただし、陸上自衛隊の陸曹航空操縦学生においてはまだ進んでいないと聞いておりまして、あわせて、陸海空の航空学生、今、航空事故もありまして、パイロットになる方々のモチベーションを高揚していただくためにはこういったものも必要かなと思っております。
そういった意味で、自衛隊航空学生、陸海空の学生さんに対しての革手袋の贈呈についての具体的な段取り、申請をどういうようにして、受理をどういうようにするのか、御説明をお願いいたします。
○萬浪政府参考人 お答え申し上げます。
まず、制度のお話を申し上げますと、部隊等に対する寄附につきましては、部隊の任務遂行に必要な物品は国費を支弁して取得することが原則でございますので、任務で使用する革手袋等を受け取ることは困難でございます。
他方、違う制度になりますけれども、隊員個人に対する物品の贈与につきましては、自衛隊員倫理規程に反しない場合は受け取ることが可能でございます。
御指摘の各自衛隊の航空学校の修了式における革手袋の贈呈につきましても、その申出があった場合に、贈与の理由、対象の範囲などを確認させていただき、また、金額、頻度なども総合的に判断させていただいて、個人として受け取る形を取ることが可能になろうかと考えてございます。
いずれにしましても、自衛隊に対する物品の贈呈につきましては、皆様方のお気持ちに対応しまして受け取れるように、引き続き部隊等に確認、周知をしてまいります。
○空本委員 ありがとうございます。防衛省の皆さんがしっかり考えていただきまして、そういうふうな贈呈、航空学生の皆さんもすごく感謝していると聞きました。これからの防衛力の強化というのは人員の強化であります。そういった意味で考えていきたい。
ちょっと池畑議員の時間をいただいて少し延ばさせていただきたいと思います。
最後に、任期制自衛官の任期満了後の大学への編入制度の検討、これも前回の安全保障委員会で質問させていただきました。その進捗状況について、文部科学省、防衛省、御説明をお願いいたします。
○青木政府参考人 お答え申し上げます。
防衛省は、退職予定の任期制自衛官に対し、退職日のおよそ一年前から様々な再就職支援を行っており、職業訓練においては約百四十の訓練科目を設けております。退職自衛官のセカンドキャリアを見据えた大学進学を含む多様な進路選択の機会を確保するため、現在、職業訓練の科目として大学通信講座を追加することについて、自衛官としての任務への影響を踏まえ、その可能性を検討しております。
防衛省としては、引き続き、隊員のニーズを踏まえつつ、文部科学省を始め関係省庁や関係機関と連携し、再就職支援の一層の充実を図ってまいります。
○森友政府参考人 お答え申し上げます。
若年自衛官のセカンドキャリアを見据え、大学進学を含めた多様な進路選択の機会が確保されることは望ましいことと考えております。
文部科学省としても、大学への編入学等にもつながる、通信制大学も含め、大学と連携した任期制自衛官の課程内外での学習機会の検討につきまして、防衛省における検討内容を丁寧にお伺いしながら、適切に協力してまいります。
○空本委員 任期制の自衛官の皆様は、経済的な事情によって大学進学ができなくて、逆に、自衛隊に入っていただいて国防を担っていただくという方々でございます。そういった方々からいろいろな声を聞きました。この中継をネットで見てもらいながら、現職の自衛官の皆様に意見をいただいたんです。そうすると、若い女性自衛官の方から、そういうものがあれば私もそれで行きたかったわということもありました。これは生の声です。
自衛官の皆さんはこれからでも、若い方々は大学に行っても、編入してもいいかもしれません。そういった意味で、これから入る自衛官の方々も現職の自衛官の方々も、セカンドキャリアの在り方として大学進学をもう一度考えるということもありかもしれません。そういった意味でしっかりお願いしたいと思います。
最後にお願いだけしておきます。有機フッ素化合物の問題でございます。
これは質問通告しておりませんのでお願いだけしておきますけれども、私の地元東広島市は米軍の川上弾薬庫がございまして、そちらの方におきましても有機フッ素化合物が検出されてしまいました。
しかしながら、地元の皆様にしっかり丁寧な説明をさせていただき、風評被害にはつながっておりません。健康調査もしっかり自治体が行っていただきました。ただし、米軍の方からはどこが発生源だということをまだ開示されておりませんが、防衛省から丁寧な形で米軍の方にこれからもお願いし、情報開示をいただく。
そして、お願いしたいのは、発生源が特定された場合は、住民の方々また自治体さんにおいては、上水道がこれまで井戸水だったんです。それを引いてきて、その費用負担が発生しています。そういったものは防衛省が何らかの形で支援いただく。市に支援。また、個人が新たに引くわけでございますから、井戸水を使えないようにしたのは有機フッ素化合物ですので、費用面での負担軽減、支援もしっかりお願いしたいと思います。
これをもちまして質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○遠藤委員長 お疲れさまでございました。これにて空本誠喜君の質疑は終了いたしました。
次に、池畑浩太朗君。
○池畑委員 日本維新の会、池畑浩太朗でございます。兵庫県の西播磨、中播磨から参りました。今回も質問の機会をいただきましてありがとうございます。
今回は、防衛省が調達する装備品等の開発及び生産のための基盤の強化に関する法律について防衛大臣から先ほど説明いただきました。また、戦闘機等が接近した、飛んできたということに対しまして、大変問題だと思っております。また、それにおいて、日々警備に当たっていただいている皆さんに対して誠に感謝したいと思います。
その中で、装備品等については空本議員が大方質問していただきましたので、私は、四月四日に中谷大臣に自衛官の再就職先支援について質問させていただきました内容について改めて質問させていただきたいと思います。
三月四日の予算委員会での私の質問に対して、石破総理も、自衛官と農林水産業は親和性の高いものだが、退職自衛官の方々が農業、林業、水産業に就業される機会が余りない、それは自衛官の方々に対してこういう仕事がありますよという御紹介が十分にできていないということもあるんだろうという見解を言われました。また、農業大学校においては、石破総理は、じゃ、授業料の減免等々ができるかどうかは考えていかなければならないが、大きな課題だと思いますというふうに答弁をされました。
四月四日、青木人事教育局長より、就農を希望する退役自衛官に対して、地方農政局等とも調整しながら、農業の業種説明会、農業インターンシップを実施しているとの答弁をいただきました。
早速、六月六日に、全国の都道府県の農林水産部長宛てに、農林水産業における退職予定自衛官の活躍促進についてという内容で文書を出していただきました。農林水産省は江藤大臣から小泉進次郎農林水産大臣に替わりましたので、今、関係閣僚会議等、防衛省と農林水産省の間で就農に関する申合せ等などを進めていただきたいと思います。
そこで、自衛官募集に苦労されているということはよく聞いておりますが、その中で、自衛官は、退職、退官した後、大臣からも以前答弁いただきましたが、かなり多くの募集が来るとお聞きしておりました。その中で、リスキリングもできる農大で技術、座学、機械の操作、農業経営学を学べるというのは大変有効だと思っております。
そこで、質問をまとめさせていただいたんですが、農業大学校側の受入れで、元々、農業高校や地元からの募集以外に、自衛官としての枠を設けるべきだと思っております。農林水産大臣にもこれからよく聞いていきたいと思いますが、前段の質問も含めまして、今の段階で中谷防衛大臣がどういうふうにお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
○中谷国務大臣 防衛省・自衛隊におきましては、退職予定の自衛官の希望、ニーズに基づきまして再就職支援を行っております。
これまで、就農を希望する退職予定自衛官に対して、業種の説明会、農業インターンシップを実施しているところでございます。
昨年末に関係閣僚会議で取りまとめられました基本方針に基づきまして、退職する自衛官が自衛隊で培った知識、技能、経験を生かすことができるように、関係省庁と連携して業界に対する退職自衛官の活用の働きかけを行っております。
一昨日も官邸で全閣僚出席の下に、自衛官の再就職、処遇改善のための検討会議が行われまして、その場におきましても小泉農林大臣から新たな提案もございましたけれども、六月六日に、小泉大臣と私と農林水産業の関係団体等の皆様との間で、退職予定自衛官の更なる活用に向けた申合せを行ったところであります。
また、同日、農林水産省、林野庁、水産庁、そして防衛省の連名で、都道府県の農林水産部長に対して退職自衛官の農林水産業への就職促進を依頼する文書を発出いたしました。具体的には、農業経営・就農支援センターが行う相談等がございますが、特に農業大学校、林業大学校、漁業学校等における受入れ体制の整備について強くお願いしたところでございます。
これまでの取組を一層促進しまして、各都道府県の農業大学校における退職予定自衛官の研修受入れや就農先のマッチング支援など、退職予定自衛官の就農を促進していくことで、引き続き、自衛官が就農できる環境を整えていくために全力を挙げて取り組んでまいりたいと思っております。
○池畑委員 早速動いていただきましてありがたいと思っています。
今質問させていただきました内容の中で、農大で勉強したい方々はほかにもたくさんいらっしゃいますので、是非、自衛隊枠をつくっていただきたいと思っております。
これは、農業をしたくても、座学もできます、先ほど言いました技術も学べます、ですけれども、なかなか機械の運転ができない生徒たちが多いというふうにお聞かせいただきました。その点、自衛官の方々はずっと機械を運転してきたわけですし、そういったところに関してはすごく強みがあると思います。
農業は農作業ではなくて農業経営でありますので、農業の経営を二年間そこで勉強していただくのに、是非、自衛官枠を、林業、水産業の学校もそうですが、総理が言われた授業料減免も大事だと思いますが、それプラスアルファ、別枠で募集をかけることで、元々そこに行きたかった子たちも一緒に入れる形もつくっていただきたいと思います。
それでは、次の質問に移らせていただきます。
先週、家族会の総会並びに懇親会に参加させていただきました。家族会の皆さんは、ここでお伝えするまでもなく、募集にも大きく関わっております。先ほどの質問も募集にこだわった質問でありましたけれども、私がいました伊丹とか宝塚も、自衛官のお母様が迷彩服で幼稚園に迎えに行くとか、コンビニで迷彩服の自衛官をお見かけするのは全然普通だったんです。
その中で、全然問題はないと思うんですが、家族会の方が、お子様が埼玉から神奈川に通勤しているとお聞かせいただきました。その中で、これはあらかじめレクチャーをいただいたんですけれども、自衛官の制服を着ながら通勤するのはどうだというようなお話をいただきました。
最近は、警察官がコンビニに警察の制服のまま入ってくるとか、そういったことも皆さんお見かけしていると思いますが、そのお父様は家族会の副会長でありましたけれども、自衛官の制服を着ながら通勤されることに対して、アピールになるんじゃないかという話をしていらっしゃいました。募集が少ない中で、身近に感じることも大事ではないかということでありました。
制服着用の規則等は承知をさせていただいておりますけれども、現場でそういったことも自分たちの判断ということもありましたけれども、通勤に自衛官が制服を着ることについての今の段階での見解についてお聞かせいただきたいと思います。
○青木政府参考人 お答え申し上げます。
自衛官の制服着用につきましては、自衛隊員の品位を保つ義務として、自衛隊法五十八条一項において、「隊員は、常に品位を重んじ、いやしくも隊員としての信用を傷つけ、又は自衛隊の威信を損するような行為をしてはならない。」とされております。また、同条二項におきまして、自衛官は「制服を着用し、服装を常に端正に保たなければならない。」とされ、自衛官服装規則第六条におきまして、「常時制服等を着用しなければならない。」とされており、原則として自衛官は制服を着用することとなっています。
他方で、自衛官服装規則におきまして、例外として、営舎内に居住する自衛官が勤務していない場合及び休暇を与えられている場合、営舎外に居住する自衛官が自衛隊の施設に出入りする場合及び自衛隊の施設外にある場合、警務等の職務を遂行するのに必要とする場合等は制服を着用しないことができるとされております。
したがいまして、通勤時の制服着用は禁止されておらず、通勤時を含め、勤務時間外において制服を着用するか否かは各自衛官の判断に任されているところでございます。
○池畑委員 レクを受けているときも、現場ではさほど不自由を感じないというか、通勤に制服を着ようが着まいが余り感じたことはないんだけれどもという話だったんですが、募集を少し担っておられる家族会の方々の意見にありました。通勤の中で是非制服を着ていただきたい、そして、それを皆さんが不思議がらないような環境をつくっていきたいというお話でありました。
私はいろいろな意味でそれは大切なことだなと思いましたので今回質問させていただきましたが、是非とも自然な形で、自衛隊の基地があるところは何も不自然はありませんが、募集に関して一万人以上減っているということは、認知も含めてしていただかないといけないことだと思っております。
我々は、今、家族会の方々の意見を聞かせていただきまして、私もそれに関しては大事だなと思っておりますので、今後ともそれに対して、意見でありますが、皆さんの中でそういったこともあるのかなと認識していただきまして、制服を着ていくことが面倒くさいと思われる自衛官もおられるかもしれませんので、現場にそれを強要するということではありませんけれども、東京近辺また関東辺りは電車で通勤される自衛官の方も多いと思います。そういったことも、ひとつ、自衛隊の中でどういうようなことが現場であるかということも踏まえて是非聞いていただいて、アピールの一環にしていただければいいかなと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。
それでは、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
○遠藤委員長 お疲れさまでございました。池畑浩太朗君の質疑は終了いたしました。
次に、橋本幹彦君。
○橋本(幹)委員 国民民主党の橋本幹彦でございます。
私が当選してから七か月たちまして、この間、臨時国会と通常国会でこれで都合十回目です。中谷大臣と討議させていただくことになりました。
この間、いろいろなことが進みました。自衛官の処遇改善も歴史的な第一歩を踏み出すことができたというところで、石破総理と中谷大臣のリーダーシップには感謝申し上げますし、私もその審議にいささかなりとも携われたことを本当にうれしく思っております。
一方で、本質的な議論はなかなか進まなかったところが残念なところでもあります。
つい先日は、六月七日から八日にかけては、中国の空母「遼寧」が日本の排他的経済水域を航行して、いわゆる第二列島線に到達しました。あるいは、海自の哨戒機に対して大変挑発的な飛行をした。あるいは、もう撤去されましたけれども、ブイの設置があったのもこの間でありました。
こういった状況において、吉田統幕長は、昨年令和六年八月三日、産経新聞の取材に対して、現在の防衛力では国を守ることはできないのではないか、そういう大変な危機感を表明されました。昨年と今が大きく変わったとは私は余り思っておりませんが、吉田統幕長は大変聡明な方だと思います。この率直な発言は大変勇気ある発言だと思います。大臣も私も防大卒ですけれども、防大の教育だと、できません、やれませんと言うなという教育を私自身は受けましたけれども、できないことはできないとはっきり認めた方が今後の課題が明らかになるし、スムーズになっていくのではないかと思います。
このように大変な時代にあって、この一年間、まず、大臣として総括されて、防衛力の整備ですとか、事、隊員の士気ですとか、知的基盤、ここについてどのような進展があったか、是非総括ですとかお考えをお聞かせいただければと思います。
○中谷国務大臣 橋本委員におかれましては、自衛隊出身ということで、この委員会等でも自らの経験や考えに基づいて積極的に発言をし、そして議員活動もされているということで、敬意を表したいと思っております。
特に自衛隊の本質的な在り方についても質問いただいておりまして、こちらとしても真摯に考える機会を得ているわけでございます。
これまでの成果といたしまして、私も防衛大臣を三回させていただいておりますけれども、最近は国民の理解、納得、共感も非常に高くなっておりまして、自衛隊も相当高度な行動訓練もできるようになりました。
そういう点におきましては、議会を通じて安全保障についての認識が、理解が進んできたと思っておりまして、日頃の委員の先生方の御発言や御質問に対しては、非常に内容のある議論を通じて防衛の理解をいただく機会になっているのではないかと思っております。
○橋本(幹)委員 先日は陸上自衛隊の総火演もありまして、私も十一年ぶりに実地で見ました。大変感銘を受けました。
十一年前、私が防大一年生のときに見たときには、最後のクライマックスでは富士山の形に砲弾を着弾させていたわけであります。それ自体はすばらしい技術だとは思います。ただ、一緒に見ていた防大の同期と話していたときには、これは何なんだろうか、大変すばらしいかもしれないけれども、花火大会のようだった、そういうような感想を抱いたわけですけれども、先日十一年ぶりに見た総火演はそれとは全く違う様相でありました。いろいろ具体的な指摘はあるかもしれないですけれども、シナリオをしっかり練って、ドローンであるだとか、そういった新しい脅威というところも、島嶼防衛というところも含めてしっかりシナリオが組まれていた。
私は、この十一年間の変遷を見たときには、国の守りというのは、火薬の量だとか装備品のすばらしさとか、そういうものだけで決まるものではないということを改めて感じました。いろいろな国民があれを見てどのように感じたかは分かりません。ただ、戦の本質というのは知恵であって、防衛力も無尽蔵にあるわけではないです。火薬も無尽蔵にあるわけではないです。どのように効果的にそれを投射していくのか、使用していくのか、こういったところが国の守りをいかに固めていくかというところでは極めて重要だ。
そういう意味で、総火演を十一年ぶりに見まして、知的基盤の強化といいますか、どのような事態を想定していくのか、どのような備えをしていくのかということが大事だと思いましたけれども、大臣は、この総火演の話もしましたけれども、こういった点についてはいかがでしょうか。
○中谷国務大臣 橋本委員が十一年ぶりに見た総火演の印象をお話しいただきましたけれども、私も同様にせんだって参加しまして、非常に大きく変わったなと。どういう点が変わったかというと、昔は一般の希望される国民の方々が非常に大きなスペースで見学されていたんですけれども、今回は、学生とか自衛官とか教育中の隊員がほぼ前列に座って一番よく見ていましたし、その割合もほとんど教育を重視した演習内容になっておりました。
そういう意味では、ショーアップしていくという段階から、より隊員さんのための演習、教育の本質に立ち戻った演習がされるようになったというのが私の実感でございまして、今後とも、こういった演習は何のためにやるのか、それは実戦において役に立つ、そして強い自衛隊になっていくべく、隊員の教育のための演習であるという本質に立ち戻っている訓練になっているんじゃないかという気がいたしました。
○橋本(幹)委員 ありがとうございます。
この委員会で何度か防衛大学校の話をさせていただきました。防大の改革、さきの卒業生も大変いろいろな思いがあって改革をなさったということを大臣はおっしゃいました。私もそれを踏まえて改めていろいろと話を聞くわけですけれども、確かに改革を頑張ったという努力はあったかもしれません。ただ、それが本当に、この今の複雑な安全保障環境で、存在ではなくて行動していく自衛隊を目指していくときに、果たして本質的な教育の改革だったのだろうかというと、私はそうではないのではないかと思います。
私が防大生のとき、学校長は国分良成学校長でございました。そのときに大変印象深い出来事がありまして、ビブリオバトルという書評合戦の競技会がございました。このときに、言ってしまえば乗りと勢いの発表をした学生がいまして、それに対して学校長が大変激怒されまして、知性と教養がないというようなことを述べられた。それが私が一学年のときです。それで、二学年以降、私はビブリオバトルの競技会に携わって、知性と教養とは何なのか、乗りと勢いではないそういった態度とはどういうものなのかということをいかに浸透していこうか、考えたわけでございます。
例えば、防衛大学校では、大臣のときはどうだったか分からないですけれども、学生に書棚が割り当てられて、そこに教科書ですとか参考書ですとかいろいろなものを載せるわけですけれども、書棚に並べるときに、背の順に並べろと指導されるんです。背の順にすると確かに見栄えがいいです。先日も、この安全保障委員会で信太山駐屯地の視察に行ったときに、隊員の隊舎を見たときも、プライベートのスペースにおいても背の順に本は並んでいました。そういう教育というのは自衛隊のどこでもあるんだろうなと思います。
ただ、防衛大学校、アカデミックを追求しようというときに、本をジャンル別に並べるのではなくて、背の順で必ず並べなさいと。私は民俗学者の柳田国男が好きで、柳田国男全集を防大の書棚に置いていたのですけれども、そのときも、一巻から十巻まであるわけです。それが、一巻から十巻で並べさせてくれればいいものを、太さでやっていく。
今例示したものは細かな話かもしれませんし、本質的かと言われるとそうではないかもしれないですけれども、こういうところに私は自衛隊の知性に対する態度が表れていると思います。
知的基盤の話をしますと、どうしても多くの国民ですとか内局の皆さんの理解もなかなか得難いところではあるんですけれども、仮に、最高の素材がそろっていて、設計図があって、大工さんがいて、それで建築物が建つわけですけれども、どんなにいい素材があっても、どんなにいい装備があっても、しっかりとした設計図といい大工さんがいなければ、それはしっかりとした建物にならないわけです。
是非、頭脳の面、知的基盤の面をしっかり整備していただきたいという思いですけれども、ただ、何度も確認させていただきました。私が提出を求めた資料によれば、博士号を持つ幹部は僅か十七名。そして、自由な議論の場であった「陸戦研究」ですとか、そういった平場での議論の冊子も廃刊になってしまった。こういったことも含めて、私は知的基盤が軽んじられているのではないかと思いますが、大臣の御見解はいかがでしょうか。
○中谷国務大臣 防衛大学校の教育等につきましては、現在も模索をされて改革をされている最中でございますが、私も橋本委員と同じように、本質とは何かということで、見栄えとか表面ではなくて、本質的に幹部自衛官として何を学んでどういう素養を身につけるかという点におきましては、常に現状を見ながら変えていくところは変えていくべきだ。
特に、最近聞いているのは、学生から意見を十分聞いて、学生の主体的な自治、運用に努めているということでございまして、そういう点では、自己研さんがし得るような体制に変わりつつあるのではないかと思っております。
四年間の授業においても、内容的には一般教養とか社会科学とか自然科学とか、そういうものを学ぶ中で、内外の文献を理解して、課題として研究して演習を行うということも求められておりますし、今は、教官と自衛官の教官と学生が力を合わせて指導する体制になりつつあるということで、自衛隊、防衛大学校においての内容も実際に変わりつつあるのではないかと認識しております。
○橋本(幹)委員 ありがとうございます。
私もそうだと思います。見てくれも大事です。整理整頓も大事かもしれないですけれども、過度にやり過ぎるのはどうかと思います。それもできて、本質的なところもできて、それだったらいいと思うんですけれども、人間ですから限界があります。
例えば、防大生は朝六時に起きて二十二時に消灯です。この間、課業も詰まって、あるいは校友会もあって、学生舎生活もあってという中で、みっちりとした日程でやっているわけですけれども、さらに、例えば月例の観閲式訓練、そういったときには早朝からパレード訓練を五時に起きてやるわけです。あるいは、そういった訓練がなかったとしても、毎朝、授業が始まる前は課業行進をして、ちょっと乱れていたら上級生からいろいろ指導されて、それでやっと授業に入っていく。
そういう中で、結果として、何度か国会でも議論になったか分からないですけれども、授業中に寝てしまう防大生もいる。これは恐らく今も変わらないんだろうと思います。授業中に寝る防大生が問題になったときに大体防衛省がやるのは、学生をしっかり指導します、それだけなんです。そうではなくて、学生の生活環境であるだとかスケジュールであるだとか、こういったところを見直すのが本当の改革ではないかと思うわけです。
米国の士官学校に倣って防大の初期に槇学校長がつくったというような話も何度かしました。その当時の米軍の士官学校と今の米軍の士官学校は環境が全然違います。
例えば、米軍の士官学校では、アカデミック期間とトレーニング期間、学問を追求する期間と訓練をやる期間は別で分けて、学問をやる期間については、生活規律であるだとかそういったところは余り問わずに学問に専念してもらう。でも、トレーニングの間は厳しい訓練をやっていく。そういう緩急といいますか、区別をしてカリキュラムをやっているわけですから、こういったところに是非防衛省の皆さんには、青木人事教育局長には目を向けていただきたいんです。
学生が頑張ってやっています、あるいは、大体防衛省によると、やっています、やっていますと言うんですけれども、それが変わっていないから言っているんです。
トイレットペーパーの問題だってそうです。これは昭和の時代からずっと言われて、そのたびに国会で問題になって、これは問題ですよねと言って、やります、予算をつけますと言う。でも、毎回毎回トイレットペーパーを買う。私もトイレットペーパーを買いました。こういう組織の文化とか、そういったところに疑問を呈さざるを得ないわけであります。是非これは抜本的に変えていただきたい。
先ほどの中谷大臣の覚悟ですとか意気込みは大変私も受け止めましたけれども、是非内局の皆さんも真剣にそれは考えていただきたいと思っております。もし青木局長から何かありましたらお願いいたします。
○青木政府参考人 お答え申し上げます。
大臣が答弁したとおり、時代の流れに沿って変えるべきところは変えていくことは必要だと思っております。他方で、変えてはならないところもあると思いますので、そのバランスも見ながら変えていく。
また、変革につきましては、既に大臣が御発言したように、学生自ら学生の感覚で変えるべきだというような提案が防衛大学校になされて、そこで議論されているというふうに、風通しがよくなってきているという実情もございますので、そういったところも踏まえながらしっかりと対応していきたいと思います。
また、この夏から米国の士官候補生学校に留学生を送ることになりまして、先日この委員会でも法案を通していただきましたけれども、そういった諸外国の状況もしっかりと見ながら、我々も時代に合わせて変えていく必要があると考えております。
○中谷国務大臣 今、パレードについての所感を述べられましたが、私もパレードの訓練を受けた者でありますが、今思えば、繰り返し繰り返し演練をすることによって身につくことがありまして、特にパレードなどは、指揮官と学生ということで、指揮能力とか動作、歩き方とか敬礼の仕方とか、そして、士気の高揚も目的としておりまして、何といっても、団結という意味においては、ああいうことを繰り返しやっていくことによって知らないうちに身につくわけです。
したがいまして、今思えばああいうパレードの訓練は特に無駄ではなかったということで、様々な要素があろうかと思いますけれども、そういう中で適切な内容に変えていったらいいんじゃないかと思っております。
○橋本(幹)委員 パレードについて、ありがとうございます。
私はパレード廃止原理主義者でございますけれども、ただ、それでも私は中央観閲式に出たんです。防大三年生のときに朝霞で訓練をやりました。大変長い訓練期間でありましたけれども、大臣がおっしゃったように私もそれで学ぶことはありました。それは、決してパレードに対して批判的な意見だけではなくて、自分自身の修練にもなった。そして、それは指揮官としての素養の向上にもなった。その効果は認めます。
ただ、パレードの目的でよく言うのが、隊員の士気向上とか団結の強化とかそういうことを言うわけですけれども、はっきり言って、長い時間パレードの訓練をやると士気が下がるし、団結もしないわけです。私はパレードに懐疑的な立場だったけれども、中央観閲式をやって、それはやるからには真面目にやろうということでやったわけですけれども、ふだんパレードをやるべきだと口先だけでやっている人たちの士気がどんどんどんどん下がっていくのは目に見えていたわけです。
パレードを全くやるなとは言わないですけれども、ただ、何のためにやるのかというのは頭を使って考えた方がいいと思います。思考停止で、士気が向上するとか団結が強化されるとかそういうことを言うのではなくて、パレードをやるときはやる。びしっと決めるときは決める。だけれども、そればかりやっているのではなくて、基本教練ばかりやっているのではなくて、総火演が進化していったように、あるいは、ミッションコマンドという言葉も自衛隊でもよく使われるようになりましたけれども、本当にこういう精神が浸透していくには、ただミッションコマンドという言葉があればいいというものではないと思います。それは、深い理解と、精神に対する理解もそうです、そういった広い教養があって初めてミッションコマンドの有用性が理解できるわけですけれども、今、部隊では、ミッションコマンドという形は、これが分かりやすいから使っている。今までやってきたことは変えないけれども、こういった言葉がはやっているし、米軍でも使っているし、だからこれを使うんだ。それで部隊の行動が本質的に変わるものではない。そういうような受け止めがされているように私は思います。それはいろいろな方から話を聞いてそう思います。何のためのドクトリンなのか、何のための知的基盤の強化なのか、私には全く分かりません。それではただの言葉遊びにすぎないわけです。
だからといって、私は、ミッションコマンドの定義を隊員一人一人が覚えるとか、そういうことを言いたくはないです。それも外形的な話だと思うのです。そうではなくて、知性と教養を高めていく、知的基盤を強化していく。これが行動する自衛隊のために本当に必要な要素であると思いますから、見てくれの話を大臣に冒頭していただきましたけれども、本質的なところを自衛官自身も考えていただけるような環境を整えるのが人事教育局長の役割であると思いますので、是非、志高くやっていただきたいと思います。
最後に、殉職者の顕彰について問いたいと思います。
顕彰の話も何度も何度もしてきました。私も言うだけでは駄目だなと思って、市ケ谷地区に足を運びまして顕彰碑に行きましたけれども、ふらっと行って参拝できるような、お参りできるような場所ではないわけです。市ケ谷の厳重な警備区域の中にありますから、国民が立ち寄って国のために殉ぜられた方々に敬意を表することができない状況であります。私は、やはりそれはおかしいと思います。
この話をすると、遺族の方の気持ちが大事だという話をよくされますけれども、では、遺族から組織的に意見集約しているのでしょうか。あるいは、遺族だけではありません、今任務に精励している隊員、こういったところからも意見集約しているのでしょうか。
これは意見集約すればいいというものではないとは思います。国家として命令して、その結果として命を失った方に対しては、国民として国家として敬意を表していく、そのためにやるものでありますから、是非この顕彰の在り方を見直していただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○中谷国務大臣 自衛官は、事に臨んでは危険を顧みずという意識を持って訓練をし、任務についているわけでございますので、任務中に不幸にして職に殉じた自衛隊員を顕彰することは大切なことでありまして、毎年、自衛隊の最高指揮官である内閣総理大臣が御臨席をして自衛隊殉職隊員追悼式を執り行っているわけでございます。これにつきましてはずっと恒例にしてきておりまして、今においては、殉職された隊員の御遺族の方々にも出席いただいて追悼の意をささげる場といたしております。
一般の方々にも必要に応じて御案内はさせていただいておりますが、より国民の皆様に広く分かる形で実施することができないかという委員の御意見も拝聴させていただきまして、今後とも追悼式の在り方について検討してまいりたいと思っております。
○橋本(幹)委員 ありがとうございます。その大臣の言葉を信じて議論の進展を期待いたします。
最後に、本日は知的基盤と名誉と誇りについてお話ししましたけれども、こういった本質的な議論を前に進めるためには、私はどうしても制服組の意見を聞くべきだと思っております。
例えば、統幕長、陸海空の幕僚長は毎週のように記者会見を開いて国民に直接語りかけているわけです。記者が質問できて、なぜ国民の代表たる議員が質問できないのか、私は理解に苦しむところであります。
四月十日の質疑でも、自衛官の論文発表は文民統制に触れないという答弁もいただきました。文民統制というのは自衛官の一挙手一投足を縛るものではないわけです。
四月四日に私が要求した資料、米国、英国、フランス、ドイツ、スウェーデン、各国の軍人が議会で答弁している、今お配りされた資料ですけれども、こういった事実も明らかになったわけです。
五月三十日の公聴会、黒江元事務次官は、国会でのルールが大事なんだ、国会で静ひつな場で議論できることが整うことがまず大前提ではないかというような意見もいただきました。
秘密会という形で私は意見を聴取すべきだと思います。それが政争の具にならない形で制服組の方々から直接意見を聞く。吉田統幕長は本当に聡明な方だと思います。私は吉田統幕長のような方から国会の場で直接話を聞くべきだと思っておりますが、委員長、御検討いただけないでしょうか。
○遠藤委員長 本件につきましても、真摯に本委員会でも理事会で協議をしてまいりたいと思います。
○橋本(幹)委員 ありがとうございます。
私の質問を終わります。
○遠藤委員長 橋本幹彦君の質疑は終了いたしました。お疲れさまでございました。
次に、篠原豪君。
○篠原(豪)委員 質疑の機会をいただきましてありがとうございます。
今日、私からは、まず、大臣から冒頭に防衛基盤強化法の御報告をいただきましたので、そのことについて簡単に触れさせていただくことから始めたいと思います。
この国会報告は、二年前に本法案が成立し、そのときに附帯決議で、これは我が国の防衛産業にとっても大事だし、大きな転換点にあるので、この法律を通して皆さんでしっかり力を合わせて、日本の国力も含めて、技術力も含めて高めていこうというものでございました。二年たったら国会に報告をということが附帯決議に盛り込まれていまして、これが本委員会で報告されたということは、今まで国会報告というのは、例えばペーパーで一枚ぽんと出してポストに入れたり、あるいは理事会で報告することはありましたけれども、理事会での報告は非公開でありますので、今回、安全保障委員会で、与野党そして政府の皆さん、委員長ともお話をさせていただいて、このような形になったことは大変意義があることだと思っています。ですので、皆様の御協力と我々の議論に対しまして敬意を表したい、私自身以外の方々に敬意を表したいと思いますので、よろしくお願いします。
その中で、まず、附帯決議の報告に挙げられた六項目があるんですけれども、この状況について、本報告のどの辺りに施行状況が対応されているのか、今日の報告では分かりませんでしたので、まずその点について、どのように対応しているかをお伝えいただければと思います。
○中谷国務大臣 附帯決議につきましては、令和五年四月にこの委員会で皆様方に決議をいただいたことでございまして、この附帯決議に従いまして、防衛省としましても、課題、施行状況については報告をするように努めているところでございます。
例えば、第一項から第四項につきましては、令和五年十月に公表した防衛生産基盤強化に係る基本方針においてそれぞれ明示をいたしております。
第五項につきましては、スタートアップ等の新規参入や、防衛イノベーション科学技術研究所の創設、また、民生先端技術の活用を進めまして、これを報告させていただいております。
また、十三項につきましては、オーストラリアへの「もがみ」型護衛艦の能力向上型の移転を始めとする防衛装備移転について、官民一体となった調整、交渉を進めるといった施策を実行いたしております。
今後も、装備品安定製造等確保計画、そして装備移転円滑化基金の認定も着実に進めつつ、防衛生産基盤強化法に基づきまして、我が国の防衛生産・技術、生産基盤の強化に努めてまいりたいと考えております。
○篠原(豪)委員 ありがとうございます。
もうちょっと詳しく二つお伺いさせていただきますが、防衛産業に対して新たな企業の参入等、これは、少数のプライム企業にたくさんの下請企業がピラミッド型に日本の場合はぶら下がっている防衛産業の構造がありまして、数が多いですし、いろいろと無駄も多いんじゃないか、あるいは、力を合わせた方がよりよいものができるんじゃないかという議論がずっとなされてきたところでございます。
この中で、新たな企業の参入、あるいは、既存の防衛関係企業を中心とした閉鎖的だった旧来の研究開発体制を見直して、先端技術や優れた民生技術を研究している多様な企業が参入しやすい環境をつくるようにしてくださいというお願いをさせていただいています。二年間でどのように対応されたのか、お伺いいたします。
○中谷国務大臣 防衛省としましては、従来の防衛産業だけではなくて、新たな企業の防衛産業への参入を促しております。これは、企業が有する優れた民生先端技術を装備品に積極的に取り込むことで、新しい戦い方に必要な装備品の取得を進めるためでございます。
例えば、企業の参入を促進するために、平成二十八年度より防衛産業参入促進展というイベントを毎年実施しております。
また、新規参入相談窓口を設けまして、新規希望企業に対する一元的なサポート、ワンボイスを実施いたしております。
また、先端技術を取り扱うスタートアップ企業との連携を重視しておりまして、具体的な施策といたしましては、例えば、経済産業省と防衛産業へのスタートアップ活用に向けた合同推進会を共催し、防衛省・自衛隊とスタートアップのマッチングを推進しております。
また、政府全体の取扱いに倣いまして、技術力のあるスタートアップ企業が一定の要件を満たせば随意契約を結ぶことを可能とする制度を昨年十二月に導入したところでございます。
こういった取組が功を奏しまして、現在、防衛省では、AI、無人機、ドローン、宇宙など、各種のスタートアップ企業との間で契約を締結いたしております。
また、防衛省も参加しておりますけれども、DSEIジャパンなどの展示会なども多くの企業が参加されるようになりまして、そういった点で、民間の優れた技術を持つ企業が非常に多く参画されるようになりましたので、今後とも新規参入を促してまいりたいと考えております。
○篠原(豪)委員 DSEIは幕張で行われたものを私も二日にわたって見せていただきました。ありがとうございました。非常に増えているし、海外の先端企業あるいはベンチャー企業みたいなところがゲームチェンジャーとして様々なものを造っていて、実際にもうウクライナで配備されていて、その方々も来ていただいて様々なことをお話されたことはよかったんじゃないかと思います。ただ、一方で財政もありますので、効率的に、しっかりと選択しながらやっていかなければいけないと思っております。
今日、課題ということの報告がありまして、ここで、装備品等の安定的な製造等の確保を実現するために、装備品製造等事業者による特定取組を引き続き促す必要があると述べています。特定取組の内容は具体的にはどういうものなのか、これまでの実績と問題点、課題について教えてください。
○中谷国務大臣 委員が御指摘いただきました装備品安定製造等確保計画につきましては、先ほど私が報告したとおり、令和五年度に三十六件、約九十八億円、令和六年度におきましては百二十一件、約二百三十四億円を認定いたしました。
その上で、装備品安定製造等確保計画におきましては四つの分野に分けておりまして、まず第一に供給網強靱化、第二に製造工程効率化、第三にサイバーセキュリティー強化、そして第四に事業承継等の四つの分野に分かれておりますが、これを五年度、六年度で見てまいりますと、まず、第一の供給網強靱化につきましては、三件、五億円、第二の製造工程効率化におきましては、百十三件、約二百四十八億円、第三のサイバーセキュリティー強化につきましては、二十七件、約一億円、そして、事業承継等につきましては、十四件、約七十七億円となっております。
この制度を実施しておりますけれども、課題としましては、装備品等の安定的な製造等の確保を実現するために、防衛関連企業の要望を幅広く聞きつつ、装備品製造等事業者による特定取組を引き続き促進していく必要があると考えております。
○篠原(豪)委員 防衛基盤強化法の報告と確認についてはこれで終わらせていただきますけれども、こういう国会での報告をしっかり委員会にしていただいて意見を求めることはとても大事なことだと思っていまして、それが今まで余りなされていないので、ここからもう一つ重要な課題になりますけれども、本年の四月四日に本委員会でなされた円滑化協定実施法案というのがございます。これに対する附帯決議の趣旨について、これは自民党さん、公明党さん、日本維新の会さん、国民民主党さん、立憲民主党、みんなで議論させていただいてつけさせていただいた附帯決議でありまして、今日は私の方から取り上げさせていただくことになっておりますので、取り上げさせていただきます。
今回の同決議の趣旨は、四月十八日に行われた防衛省設置法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議、正確には物品役務相互提供協定、ACSAですけれども、それに関連した決議と同様、今後、新たに円滑化協定が署名された際に、当該協定が本法第二条第一号に規定する円滑化協定に含まれることが想定される場合には、防衛省は、遅滞なく本委員会に報告し、意見を求めることということでございます。
ついては、政府に本趣旨を前提とした対応を求めたいと考えております。改めまして政府、防衛大臣の御決意をお伺いさせていただきたいと思います。
○中谷国務大臣 防衛省としましては、ただいま委員から御説明のありました円滑化協定実施法案に対する附帯決議の趣旨を十分尊重し、努力してまいる所存であります。
○篠原(豪)委員 我々が求めている意味は、国会に報告して意見を求めることとするということになっていまして、今までは意見を求めることと書いている附帯決議はなくて、意見を求める場が安全保障委員会の平場であるという認識で与野党で話をしてきていますので、そのことを我々が求めた際にはしっかりと委員会で、今まさに防衛基盤強化法もこうやって話ができるので国民の皆さんにも分かります。これは理事会では分からないわけです。そして、前向きな議論も課題もちゃんと話すことができるので、このことについて、委員長も一緒に言っていただきましたけれども、今後こういうことがあればしっかりと委員会で対応していただくということを最後にお約束いただければと思います。
○中谷国務大臣 大切なことは、国民が理解し、それに対して御意見を言っていただくというか、オープンになるということでございます。したがいまして、理事会ではなくて、委員会において報告を受け、質疑を受けるということでございますので、防衛省としましては、この附帯決議の趣旨を尊重しまして努力してまいる所存でございますが、具体的な委員会の運営に関することにつきましては委員会において御判断されるものと承知いたしております。
こういった附帯決議に沿って本委員会に報告をし、これに対して各委員から質疑があった場合には防衛省として丁寧な説明に努めていく考えでございますので、今後とも理事会で協議していただいて、委員会の場を活用していただきたいと思います。
○篠原(豪)委員 我々が与野党で話してきたのは、まさに委員会も含めてしっかりと話をするということでございましたので、今日も、再三になりますけれども、基盤法もこのように報告していただいて質疑ができることが大事だということでしたので、その点を今後もしっかりと我々国会の方も守って継続していくようにしたいと思っていますので、その際にはどうぞよろしくお願いします。
本論に入ります。
まず、私からは、国際秩序について、非常に不安定な状況になっている今の状態について改めてお話を伺いたいと思っています。
ロシアの軍事侵攻が三年四か月に及びまして、明らかに国際法を犯したロシアの責任が問われることなく戦闘だけが終結しても、力による現状変更のあしき前例となりますので、国際秩序が崩壊してしまう危険性があることを意味していることは、この通常国会でも外務大臣そして防衛大臣ともこれまで議論させていただいたところでございます。
ですので、ウクライナの独立と国家の主権が守られて、ロシアがこの侵略で何も報われることのない形で戦闘を終わらせること以外に法の支配に基づく国際秩序を守る方法はないと考えていますが、この点について端的に、これまでも岸田政権で林外務大臣以降、ロシアの行為は侵略であって決して許されるものではないというスタンスを政府は一貫して貫いていただいておりますので、この姿勢が変わっていないことを岩屋大臣においても、これは遠い国の話ではなくて、我が国の安全保障環境にも関わる問題として今国民の皆さんが認識してきていることだと思いますので、まずこの点について確認させていただければと思います。
○岩屋国務大臣 ウクライナにおける平和の在り方は、欧州のみならず、インド太平洋を含む世界の安全保障に大きな影響を与え得るものだと考えております。
また、力による一方的な現状変更の試みは、世界のどこであれ、決して容認できず、ここから誤った教訓が導き出されてはならないと考えております。
こういう問題意識を私自身も四月のNATO外相会合を始め様々な機会において発信してきておりますが、我が国としては、国際社会の結束の下に、早期の全面停戦、ひいては公正かつ永続的な平和の実現につながるように、今後とも国際社会と緊密に連携して取り組んでまいりたいと考えております。
○篠原(豪)委員 それはそれでしっかりと守っていくということで発信していただいていることは大変よろしいことと存じます。
ところが、トランプ大統領は、一月に再登場してからウクライナ支援に消極的で、侵略されたウクライナの頭越しに米ロで停戦協議を行おうとしているのはまずいんじゃないか。中東でもそういうことがありました。なので、そういう話も議論としてこれまで委員会でさせていただいたところですけれども、クリミアを含む領土奪還を目指している、二〇一四年にロシアが併合したところについての主張を非現実的な目標だと断言して、そして、NATOへの加盟を認めず、ゼレンスキー氏を選挙なき独裁者というふうに一時期非難して、停戦後にウクライナ大統領選を実施して新しい大統領を選ぼうということも考えていると報道等によって聞いています。これではマイダン革命以前の状態にウクライナを戻せというロシアの主張を追認するものになりますので、ロシアの違法行為を正当化することになるんだろうと思います。
二月二十四日にウクライナと支援国が、ロシアの侵略を非難して、戦闘停止とウクライナ領土の保全を求める決議案を国連総会に提出しました。ところが、アメリカはロシアなど十七か国とともに反対票を投じたんです。これは国際社会に大きな衝撃を与えたということになります。
この一連のトランプ政権の対応を、まさに反対票を投じたということも含めまして政府はどのように評価しているのかを改めてお伺いしたいと思います。
○岩屋国務大臣 米国は、トランプ大統領就任以来、ウクライナ情勢の打開を図るべくイニシアチブは発揮してきていると思います。ウクライナ、欧州、ロシアのそれぞれと首脳レベルを含めた協議を累次にわたって行ってきております。
今年一月から、米・ウクライナ首脳同士の接点は九回ございました。そして、米ロ間では四回の首脳電話会談が行われてきております。今協議が継続している最中ですから予断を持ってなかなか申し上げられないんですけれども、我が国としては、米国のイニシアチブは評価しつつ、また、欧州の外交努力も評価しております。
こうした取組が先ほど申し上げたように早期の全面停戦、ひいてはウクライナにとっての公正かつ永続的な平和の実現につながっていくことが重要だと考えておりますので、我が国としてもしっかり役割を果たしていきたいと考えております。
○篠原(豪)委員 とはいえ、トランプさんの停戦が意味しているものは、いろいろ心配されている中で、ウクライナへの軍事、財政支援を削減して停戦合意を受け入れさせる。現状のままではあり得るんじゃないかと心配している、そういうことを表明している国際社会の各国の方々もいらっしゃる状態がある。今ヨーロッパの話もされましたけれども、こうした停戦が実現した場合、それで事態が収束することはないんじゃないかと多くの方が考えているんだと思います。
プーチン大統領の目的はかつてのロシア勢力圏を回復させることだと思いますので、ウクライナ内政に介入して親ロシア政権を打ち立てて、次にバルト三国とかポーランドとか、我々はそういったところに行ってしっかりとお話を聞いてくるのも大事だと思っていますけれども、サイバー攻撃やハイブリッド戦術を強化してNATOの分裂を図って、旧東欧への影響力を確立するんじゃないかというようなことを言う方々もいるわけです。
こうした欧州におけるロシア勢力圏の拡大がアメリカへの信頼性を著しく低下させていて、欧州における抑止体制を破綻させることになるということを、トランプ政権が周りにもいっぱいいらっしゃいますから気づかないことはないんだと思うんです。本当にこれを容認しているのかという疑問が湧いてくるわけです。
バンス副大統領のブレーンのアメリカのノートルダム大学のパトリック・デニーン教授という方がいらっしゃいまして、彼はこう述べているんです。
朝日新聞の五月二十日の朝刊にあったんですけれども、トランプ政権が今、デンマーク自治領グリーンランドやパナマ、カナダなどへの権益を主張しているのは、アメリカの勢力圏だという発想があるからです。だから、ロシア側の主張する勢力圏も理解できる。ウクライナでの停戦をめぐる今後の交渉では、ロシア語が話されているウクライナの地域はロシアの勢力圏であることを認める帰結を迎えることでしょう。事実上、帝国によって世界が再編される。それがポストリベラル時代のレアルポリティークだと書いているんです。
これを単なる知識人の意見と見ることができないのは、トランプ大統領が一月二十日の就任演説で、アメリカ合衆国は再び自らを成長する国とみなす、富を増やし、領土を広げ、新しく美しい地平線に旗を掲げる国だ、そこまで言っているんです。ですので、トランプ大統領によるロシアのウクライナ侵略をめぐる停戦交渉が実現した途端に、我々が考えなきゃいけないのは、大国が分割支配する勢力圏を軸とした新しい世界が始まる可能性があるということだと思うんです。
このことについて、私はこういうふうに考えていますし、恐らく防衛大臣もうなずいていらっしゃいますので考えていらっしゃると思うんですけれども、民主主義は百五十年とか百年ずっと形は変わっていないんですが、様々な、ハイブリッド戦だとかサイバーだとかコミュニケーションツールだとか、全て技術ツールが変わってきて、今こういう世界を迎えている中で、今私が申し上げたようなこと、トランプさんの主張はまるで十九世紀的な帝国主義の世界観じゃないかと思うんですけれども、こうした世界観を避けられない現実としないようにするためにも、こういう力の論理が再び台頭する時代だから、これを回避するためにどういうふうにしなきゃいけないかという議論をさせていただきたいんですが、このことについて外務大臣はどう思われているか、お伺いします。
○岩屋国務大臣 世上、様々な見方があり、様々な議論が行われているということだと思います。
しかし、大切なことは、法の支配に基づく国際秩序というものがしっかり堅持されなければならないということだと思っておりまして、間もなくカナダでG7サミットも行われますが、そこにはトランプ大統領も出席される予定だと承知しております。様々な地域情勢、国際情勢がテーマになると思いますが、その中でウクライナについても議論されることになると思います。
ここで大事なのはG7が結束を保つことだと思っておりまして、我が国の役割は、米国の意見も聞き、欧州の意見も聞きながら、G7の結束をしっかり図る結び目になっていくことだと思いますので、そういう考え方をもって総理にも臨んでいただけると承知しております。
○篠原(豪)委員 世界を見渡しますと、この環境に対応するために、欧州は、戦略的に自律化する、お金をかけて自分たちで守ろうみたいなことにもなってきていますし、我々は、そういったNATOの各国としっかりと話をして、アメリカと対抗できる勢力圏、パワーを持っているのはヨーロッパなので、アメリカ以外でですね、というふうに一つ大きなところですので、そういうことも大事にしていただきたいと思っていますし、本来であれば、こういったトランプ・リスクがどういうふうに台湾海峡に及ぶのか、そういう議論も今日はしたかったんですけれども、時間がないのでさせていただけないので最後の質問に移らせていただきますけれども、その文脈で、インド太平洋地域で多国間協力を目指す中谷防衛大臣のオーシャン構想について伺いたいと思います。
この中谷防衛大臣のオーシャン構想は、ワンシアターの構想を同志国、同盟国と一緒にやっていこうということで、対中国を念頭に東シナ海や南シナ海をやろうということでございます。この意図は、トランプ政権のインド太平洋地域への関与が不安視されている中ですので、同じような文脈にあるんだろうと思います。
ただ、これが、日本が主導してフィリピン、韓国などの同志国と、アメリカの関与が弱って、力の空白をカバーしたいという思惑があると聞いていますけれども、これはまさに今日の附帯決議と国会報告以外で話したかったところに全てつながるところの一つであるんですけれども、このことで、アメリカに匹敵する国際的な影響力を持ち、戦略的自律性の確立に向けて踏み出したNATOとの連携など、対中抑止、ルールに基づく国際秩序の回復、アカウンタビリティーの実現、国際公共益の増進にとって大きな意味を持つということは私もそう思っているんですが、このオーシャン構想の正確な意味と、こういった観点からどのように今までのお話を評価されているのかも含めて、中谷防衛大臣にお伺いします。
○中谷国務大臣 このオーシャン構想というのは、せんだってシンガポールで行われましたアジア国防大臣会議において提唱したものでありますが、インド太平洋地域におきましても力による現状変更とか力による支配が行われることはよろしくなくて、何とか国際秩序が保たれるようなルールができないかということで、二つの精神を呼びかけております。
一つは、開放性、包摂性、透明性を確保しながら協力、連携を進めていくということで、三つの柱を立てました。一つは、ルールに基づく国際秩序を回復していく。二つ目は、アカウンタビリティーを強化する。三つ目は、国際公共益を増進していくということでございます。
二つ目の精神としましては、その上で、各国がインド太平洋全体を俯瞰的に捉えて、それぞれの主体的な取組の間で協力と連携を強化し、シナジーを生み出すことで、インド太平洋地域全体に新たな価値と利益をもたらしていくということ。
この二つを各国の防衛当局がより立っていくべき精神として改めて確認することを呼びかけたものでございます。
この精神に立ちますと、共通の価値と利益を共有する各国の防衛当局が二国間や多国間の協力、連携を多層的に強化していくことがインド太平洋地域の平和と安定にとって重要である。つまり、欧州大西洋とインド太平洋の安全保障は不可分でありますので、こういったインド太平洋地域の平和と安定に貢献する欧米諸国との連携をも強化していく必要があるということで、こういう提唱をしたわけでございます。
○篠原(豪)委員 オーシャン構想をおっしゃって、その前にワンシアター構想で、見ると、有事を想定させる、心配されるような理解もあるので、これはフィリピンとかアメリカとかインドとの防衛相会談でワンシアターの話をされていて、そういうふうに変えてきたんじゃないか。
インド太平洋構想とどこが違うんですかというのは皆さんもうちょっと聞きたいという声が強いので、しっかりと丁寧に説明していっていただきたいですし、三つもあると何がどうなのかよく分からないし、誰が元々その言葉を決めたんですかとか、どういう構想をどの時点で政府が大きく変えたんですかという話に当然つながるので、外国に対してもしっかりと説明していかないといけないので、そのことをお願いさせていただきたいと思います。
日米同盟は我が国の基軸ですから、今のような不安定なときこそ同盟をしっかりと堅持して、我々が中堅国も含めて法の支配であるとか世界的な秩序を守るということをしっかりとやっていく責務があると思います。今日は時間になりますので終わらせていただきますけれども、是非そのことを、G7もあります、様々な機会がこれからあると思います。韓国もまだ防衛大臣も決まっていないですし、外務大臣も決まっていませんけれども、日韓間の電話会談では総理とも話をして、しっかりとこれまでつくってきた形をやっていくという話も聞いていますので、お二人の大臣の責務は極めて大事なところにあると思っていますので、そのことを強く要望させていただきまして私の質問とさせていただきます。
今日はありがとうございました。
○遠藤委員長 これにて篠原豪君の質疑は終了いたしました。お疲れさまでございました。
次に、松尾明弘君。
○松尾委員 立憲民主党の松尾明弘です。本日もどうぞよろしくお願いをいたします。
私の方からは、赤坂プレスセンターに関連してちょっと幾つかお話を伺いたいというふうに思っております。
赤坂プレスセンターと呼ばれている在日米軍の施設が、衆議院の青山宿舎の駅を挟んだ反対側、港区の六本木に、在日米軍の施設として赤坂プレスセンターというものがあります。そこにはヘリポートも設置をされておりまして、定期的にヘリコプターの往来と離発着というものが行われております。これに関しては、港区の周辺住民を始めとして、その航路の下に住んでいる住民からも、この騒音等について不安の声というものが上げられているというふうに理解をしています。
まず、ちょっと一般論としてお話を伺いたいのですけれども、東京の都心の上空をヘリコプターが飛行するに当たりまして、どのような法的な規制があるのかということをまず教えてください。
○蔵持政府参考人 お答えいたします。
航空法においては、都心上空を飛行するヘリコプターを含む航空機に特化した規制はございません。一方で、一般的な飛行のルールとして、航空機及び地上又は水上の人又は物件の安全を確保するため、航空法では、離陸又は着陸を行う場合を除いて最低安全高度以下の高度での飛行を禁止しております。
具体的には、有視界飛行方式の場合には、人又は家屋の密集している地域の上空では当該航空機から水平距離六百メートルの範囲内における最も高い障害物の上端から三百メートルの高度以下で飛行してはならないことなどの規定が設けられております。都心には高い建造物が多く存在することから、これに留意して飛行することが必要となります。
以上でございます。
○松尾委員 ありがとうございます。
今おっしゃったとおり、安全を確保するということが目的で航空法の規制がされていて、都心は人口が密集しておりますし、高い建造物がたくさんあるといったエリアであるということは言うまでもありません。
飛行する高さについてですけれども、航空機とかヘリコプターが離発着する施設、空港であったりヘリポートの周辺には制限表面というものが設定をされ、その高さを超える、その表面を超える建造物を建設する場合には特例承認というものをやらなければいけないというふうに規定をされているというふうに理解しております。
日本国内に幾つもヘリポートはあると思いますけれども、日本国内に存在をしているヘリポートについて、制限表面に係る特例承認というものを受けている高層ビル、こういったものの有無及び内容、特例承認を受けなければいけないという仕組みになっているその法の趣旨、目的も併せて教えてください。
○蔵持政府参考人 お答えいたします。
公共用ヘリポートの周辺において航空法に基づき特例承認がなされている物件等につきまして、二〇二四年十二月一日時点で調査を行いましたところ、該当する物件はございません。
あと、御質問の制度の趣旨でございますけれども、空港周辺における航空機の離着陸の安全を確保するため、航空法では、進入表面、水平表面、転移表面等の制限表面を規定しておりまして、これら制限表面を突出する建築物等の設置を制限しております。
それぞれの制限表面について、進入表面は、進入の最終段階及び離陸時における航空機の安全を確保するため、水平表面は、空港周辺での旋回飛行等、低空飛行の安全を確保するため、転移表面につきましては、進入をやり直す場合等の側面方向への飛行の安全を確保するために必要なものとして設定されているところでございます。
○松尾委員 今、特例承認を受けているヘリポートの周辺の建物はないというお話でしたが、赤坂プレスセンターの周辺には高い建物は当然あるわけですね。六本木ヒルズであったりとかミッドタウンであったりとか、そういった高い建物はあるんですけれども、それらについても特例承認は受けていないということでよろしいでしょうか。
○蔵持政府参考人 お答えいたします。
赤坂のプレスセンターのヘリポートにつきましては、航空法の適用を受けないヘリポートとなっておりまして、特例承認も受けていないということになります。
以上でございます。
○松尾委員 航空法の適用を受けていないその根拠について教えてください。
○蔵持政府参考人 お答えいたします。
赤坂プレスセンターのヘリポートにつきましては、日米地位協定の実施に伴う航空法の特例法により、適用が除外されているということでございます。
○松尾委員 特例承認は受けないという航空法の特例があるということは理解をしました。
建物についてはそういうことで、一方、当然ヘリポートがあるわけで、先ほどお話ししたとおり、ヘリコプターがそこを離発着しているんですけれども、東京の都心を離発着すれば、当然、港区から出れば、在日米軍のヘリコプターが通過、飛行していくことになるのですが、先ほど一番最初にお話しいただきました航空法の飛行の高さ制限があると思いますが、その航空法の運航の規定というものは、在日米軍のヘリコプターはきちんと遵守をして飛行されているのでしょうか。国交省と防衛省と両方教えてください。
○蔵持政府参考人 お答えいたします。
航空法は、民間航空機のみに適用される国際民間航空条約の規定等に準拠しておりまして、航空機の航行の安全等を図るための方法を定めるために制定されたものでございます。
国際民間航空条約の適用を受けない米軍機につきましては、日米地位協定の実施に伴う航空法の特例法により、民間航空機の円滑な航空交通を確保するためのものを除き、航空機の運航に関する規定などについて適用が除外されておりますが、我が国の公共の安全に妥当な考慮を払って活動することが当然の前提になっているものと認識しております。
委員御指摘の米軍のヘリコプターの飛行は、国際民間航空機関のルールや航空法と整合的な米軍の規則に従い、安全を最優先に配慮して行われているものと承知しております。
○田中政府参考人 お答えを申し上げます。
米軍機の飛行の詳細でございますけれども、私ども防衛省として詳細について把握をしているわけではございませんけれども、米側からは、赤坂プレスセンター周辺におけるヘリコプターの運用に当たっては、安全面に配慮を払うとともに、周辺への影響は最小限になるように努めている、こういった御説明を受けております。
さらに、この赤坂プレスセンターにおける航空機の運用に関しまして、米側の説明でございますが、全ての飛行運用を安全に実施しており、国際民間航空機関、ICAOのルールや日本の航空法と整合的な米軍の規則に従って行われている、米軍は日米安保条約、日米地位協定及び日米合同委員会の合意に従い、引き続き全ての航空機を安全に運航する、基本的にビルなどの障害物がない都立青山公園側からヘリポートにアプローチをしている、赤坂プレスセンターの周囲にはヘリコプターが安全に進入するために必要となる空間が存在しており、全ての飛行を安全に実施している、こういった御説明を受けております。
いずれにいたしましても、防衛省といたしましては、赤坂プレスセンター周辺におけるヘリコプターの運用に当たっては、周辺住民の方々への影響は最小限となるよう、米側に対して今後とも働きかけを続けるなど、適切に対応してまいりたいと考えております。
○松尾委員 在日米軍にどのように運用していますかと問い合わせれば、整合的にやっていると答えるのは当たり前だと思うんですね。本当にきちんと日本の航空法等の国内法規に整合的に運用されているのかどうかということについて、国交省なり防衛省なり、日本の政府としてきちんと確認はされているのでしょうか。
○蔵持政府参考人 お答えいたします。
米軍ヘリコプターについては、航空法の規定のうち適用が除外されている規定に関しての状況は把握しておりませんが、我が国の公共の安全に妥当な考慮を払って活動することが当然の前提となっているものというふうに承知しております。
ICAOのルールであるとか航空法と整合的な米軍の規則に従って、安全を最優先に配慮して航行がなされているものというふうに承知しているところでございます。
○松尾委員 実際にどのように飛んでいるかというのをきちんと把握をされないままに、ただ相手が言っているから大丈夫だろうというのは余りにも無責任じゃないかなというふうにも感じるところです。
先ほども、青山公園の上を通るから大丈夫なんだという米軍の説明があったとありましたけれども、当然、青山公園は公園ですから、港区で道路で遊ぶわけにはいかないので、多くの子供たちが遊んでいる場所なんですね。そこを通っていくから大丈夫だという説明で、はい、分かりましたというのは余りにも無責任じゃないかとも感じるのです。
今、全然この飛行の状況も把握をされていないという状況について、ちょっと中谷大臣、何か御意見等あったら、お考えがあったら教えてもらえますか。
○中谷国務大臣 米側からも説明を受けておりますが、一応、プレスセンターにおいて、統一施設基準に基づいて必要な表面を設定しておる、特に進入と離陸に関係する表面は障害物のない方向に設定をされているという説明がありました。
また、運用につきましても、基本的にビルなどの障害物のない青山公園側からヘリポートにアプローチをしている、全ての飛行運用を安全に実施しており、ICAOのルール、そして国内法の航空法と整合的な米軍の規則に従って行っている、そして、プレスセンターの周辺には安全に進入するために必要な空間が存在しており、全ての飛行を安全に実施しているということで、特に、政策研究大学院大学等は米軍の運用において支障になっていないということでございます。そのような説明を受けております。
○松尾委員 という米軍の説明は確認されているのですかという話を先ほどからしているので、それはきちんと安全に配慮をして運用するように進めていただければというふうに思っております。
先ほどからお話をしているとおり、先ほど私は六本木ヒルズとかミッドタウンという例を出しましたけれども、港区内では今高層ビルがどんどんどんどん建設をされています。特に、二〇〇〇年以降に高層建築の規制緩和がされたという影響もありまして、港区を始めとする都心部において、これまで以上に高層ビルが多数建設をされているわけです。
これらの高層ビルがどんどんどんどん都心に建設をされることによって、在日米軍のヘリコプターを始めとして、日本のヘリコプターも同じだと思いますけれども、ヘリコプターが東京の上空を飛行することによってリスクが上昇しているのではないか、増大しているのではないかというふうに考えられますが、その点についてどのように評価をされているのかというのを教えてください。
○蔵持政府参考人 お答えいたします。
航空法では、空港周辺における民間航空機の離着陸の安全を確保するため、進入表面、水平表面、転移表面等の制限表面を規定し、これら制限表面を突出する建築物等の設置を制限しているところでございます。
また、この制限表面のうち、水平表面等につきましては、仮設物、避雷設備、地形又は既存物件との関係から航空機の飛行の安全を特に害しない物件のいずれかの物件で、空港の設置者の承認を受けたものについては、特例承認として、制限表面を突出する設置を認めておるところでございます。
この点、委員御指摘の赤坂プレスセンターのヘリポートは、米軍の運用する飛行場であり、日米地位協定の実施に伴う航空法の特例法により、航空法の制限表面等の規定が適用されていないところでございます。このため、航空法を所管する国土交通省としては、同ヘリポート周辺における高層ビル等を把握する立場にはなく、建築状況については把握をしていないという状況でございます。
○松尾委員 航空法の適用がないからといって、物理的にビルがどんどん建てば、やはり客観的には状況は変わってくるわけですね。その航空法の適用はないという日米地位協定の合意ができたのも、かなり昔、六十年以上も前の話で、東京の状況というのは大きく変わっているわけですから、少なくとも、法律の適用があるかないかは抜きにしても、客観的な状況の変化に応じて、どのように今リスクが変わっているのか、変わっていないのかというのは評価をするべきだというふうに考えますので、是非客観的な状況の把握、そして評価についてもお願いしたいというふうに思っております。
このように、やはり都心の上空を在日米軍のヘリコプターが自由に飛び回って、その状況が全然分からないというのは、東京で暮らしている人々にとってリスクが非常に高い、そして不安であるというような状況であるのは、やはり間違いないというふうに考えます。
こういった状況を考えると、やはり在日米軍に対して、ヘリコプターの運航停止というものを含めて、リスクを軽減するための措置というものをきちんと日本政府として申し入れるべきだというふうに考えますが、中谷大臣のお考えを教えてください。
○中谷国務大臣 現在、プレスセンターにつきましては、米軍の都心への要人の輸送とか広報の拠点とかの役割を果たしているということでございます。
それにつきまして、当方から、プレスセンター周辺におけるヘリコプターの運用に当たっては、安全面に配慮を払うとともに、周辺への影響が最小限になるように努めていると承知しておりまして、米軍の方に、引き続き安全面に最大限配慮して、地元住民に与える影響を最小限にとどめるよう、強く求めているわけでございます。
日米合同委員会等の協議の場がございますけれども、その場でこのやり取りにつきまして議論はできる状況でございますが、内容につきましては双方の合意がなければ公開されないということになっているために、特定の議題に係る議論の有無をお答えすることは困難でございますが、防衛省としては、引き続き、米側に対して、安全面に配慮して、地元の皆様に与える影響を最小限にとどめるように求めてまいりたいと考えております。
○松尾委員 今、日米合同委員会の中で求めていく、議論するというようなお話がありました。
私、その前は、ヘリコプターの飛行について、若しくは運航停止についてというお話をしましたが、そもそも、東京都心のど真ん中に在日米軍の施設があるということ自体がいかがなものかという意見も多々あるかなというふうに承知をしております。
日本政府と在日米軍との間で、この赤坂プレスセンターの敷地をそもそも返還してほしいというような協議といったものがこれまでなされているのでしょうか。これまでなされた協議の有無と、時期や回数等について、話せる範囲で教えてください。
○田中政府参考人 お答え申し上げます。
先ほども大臣から御答弁ございましたが、赤坂プレスセンターにつきましては、米軍にとって、都心へのヘリコプターによる要人等の輸送、それから都心の重要な広報拠点ということで、現時点において返還は困難であるという認識でございます。
その上で、一般に、日米合同委員会、それからその下部の委員会での議論につきましては、日米間の忌憚のない意見交換や協議を確保するため、日米双方の合意がなければ公開できないということになっております。特定の議題に係る議論の有無についてお答えをするということは困難であることは、御理解をいただければと思っております。
いずれにいたしましても、防衛省としましては、引き続き、米側に対して、安全面に配慮をして、地元の皆様に与える影響を最小限にとどめるよう求めてまいりたいと考えております。
○松尾委員 とはいえ、平成十九年四月には一部返還がなされていて、そのときに、交渉の内容であったりとか結果は、もちろん返還されたわけですからそういったものについては公表がされているわけなので、一から十まで全て公表できないというのも、それもまた違うかなというふうに思われます。
繰り返しになりますけれども、赤坂プレスセンターの返還というものはやはり日米の関係の中でも重要なものかなというふうに思っておりますので、是非この返還交渉というものを進めていただきたいというふうに思っておりますが、赤坂プレスセンターの返還についてのお考えを防衛大臣と外務大臣それぞれからお伺いできますか。
○中谷国務大臣 これまでも、プレスセンターにつきましては、東京都や港区、港区議会から、基地の縮小、また返還の要請をいただいております。
他方で、このプレスセンターは、米軍にとりましても要人輸送、広報の拠点などの役割を今果たしているということで、現時点において返還は困難であるということでございますので、この点は御理解いただきたいというふうに思います。
引き続き、防衛省としましては、米側に対して、安全に配慮して、地元の皆様に与える影響を最小限にとどめるように要望してまいります。
また、交渉の内容等も、日米双方の合意がなければ公表できないということでございまして、これまで外務省において公表された議事録五件の中に、赤坂プレスセンターの関連の合意というのは含まれていないということでございます。
○岩屋国務大臣 ただいま防衛大臣からお答えがあったとおりでございますが、外務省としても、現時点においては返還は困難だと承知をしております。
外務省としても、引き続き、米側に対して、安全面に配慮し、地元の皆様に与える影響を最小限にとどめるように求めてまいりたいと考えております。
○松尾委員 是非前向きに取り組んでいただきたいと改めて申入れをしたいと思います。
これまでの大臣を始め政府の答弁の中でも、やはり、日米間の合同委員会での交渉の内容について全然明らかにすることができないというようなことが繰り返し述べられております。外交に関連する事項ですから、公表できるもの、できないものがあるということは当然私も理解をしていますし、一から十まで一〇〇%ということは申しませんけれども、やはり、日米間の特に日米合同委員会におけるやり取りというものが余りにも情報公開が少ないのではないかなというふうに私は問題意識として持っております。
まず、前提としてお伺いしたいのは、日米合同委員会の関連文書と呼ばれている合意文書であったり議事録、こういったものについて、これまでどのくらい、何通ぐらいが公開されていて、それは全体の中のどのぐらいの割合に当たるのかということを教えていただけるでしょうか。
○熊谷政府参考人 お答え申し上げます。
日米合同委員会の合意事項や議事録でございますが、これらは日米双方の同意がなければ公表されないということに日米間で合意しておりますが、一方で、最終的に日米で一致する場合には公表するよう努めてきているというところでございます。
このうち、日米合同委員会合意につきましては、具体的な割合について申し上げるというのは困難なのでございますが、そのほとんどが、施設・区域の提供、あるいは返還、これに関する事項でございまして、これらについては、従来から、米側と協議の上で、その全文又は概要を公表してきております。
件数ということで申し上げれば、例えばでございますが、去年、昨年におきましては百件以上、これを公表しているというところでございます。
それから、議事録でございますが、外務省のホームページにおきまして、これまで五件を公表しております。
日米合同委員会の開催実績の詳細については、日米双方の合意がなければ公表されないということになっておりますので、議事録の総数に占める割合というものについて明らかにすることは困難であることについて御理解をいただきたいと思います。
○松尾委員 総数、割合が分からないと、その五件がどのぐらいの意義を持つのかというのがなかなか評価しにくいところなので、是非、それについても明らかにするように、これから努めていただきたいと思っています。
一応、念のためお伺いしますけれども、これまで、公開をされない過去の議事録であったり、公開されていない文書というものは、全て、破棄はされないで、保管は、保存はされているということは間違いないということでしょうか。
○熊谷政府参考人 お答え申し上げます。
文書管理規則に従って、しかるべく保管をされているということでございます。
○松尾委員 先ほども申し上げましたけれども、この日米合同委員会の関連文書については、可能な限りこれから公開をしていくということが必要ではないか。
特に、先ほどから繰り返し答弁されているみたいに、米国の同意がなければできない、合意がなければ公開できないということであれば、やはり、アメリカに対して、もっと情報公開をしていくべきだということを積極的に働きかけていくべきではないかというふうに考えますが、その点について大臣のお考えを教えてください。
○岩屋国務大臣 一九六〇年、昭和三十五年の日米合同委員会合意において、日米合同委員会の議事録は、日米双方の同意がなければ公表されないとしております。これは、日米間の忌憚のない意見交換や協議を確保するためであります。
一方、同意があるものについては、できるだけやはり公表していかなければならないと思っております。
国民の皆様に、日米間の様々な外交上のやり取りについて、できるだけ丁寧に説明する観点からも、今後とも、最終的に日米間で一致するに至った合意のうち、公表できるものは公表するように努めてまいりたいと思います。
○松尾委員 私が言いたいのは、その合意したものを公表するのは、そういうルールだから、そうだと思うんですよ。もっと公表するように、合意を重ねられるようにというんですかね、合意ができるように、もっと働きかけていくべきではないか。これまでと同じ運用ではなくて、より一層、合意をして、公開ができるように努めるべきではないですか、そういったお考えを伺いたいというふうに思っています。
先ほど、一九六〇年の合意に基づいてとおっしゃいましたけれども、そこから六十五年たっているわけですよ。これまでもこの委員会の質疑でも再三出てきておりますけれども、その間に、やはり、日本もアメリカも状況は当然大きく変わっていて、法制度だけを取っても、日本でも、情報公開法であったりとか公文書管理法という、情報公開、公文書の公開に向けた法律というものも制定がされているわけです。
今日もこの委員会で一番最初に大臣の方から防衛生産基盤強化法について報告されましたけれども、こうやって公開の場できちんと情報が公開されて、それについてきちんと開かれた場で議論がされる、そこに対して民主的なコントロールがなされるということが、先ほど大臣も話していた国民の理解が大切だということにやはりつながっていくわけだというふうに思っております。
繰り返し言われている、今の東アジアの状況が戦後最も厳しいということもそうだと思います。そして、日米間の同盟が非常に重要だということもそのとおりだと思います。だからこそ、情報公開をきちんとして、国民の理解を求めるということが何よりも重要だというふうに私は考えています。なので、六十年前の合意があるからといって思考停止になることなく、可能な限り情報開示をしていくべきだというふうに考えますが、改めて、ちょっと大臣のお考えを教えてもらえますか。
○岩屋国務大臣 現在の運用については、他国との信頼関係が損なわれるおそれがある場合には、情報公開請求に対して、行政文書を不開示とできると定めた情報公開法の趣旨とも整合的なものと考えておりますけれども、先ほど、公表できるものは公表するよう努めてまいりたいというふうに申し上げましたけれども、公表について合意ができるようにも努めてまいりたいと思います。
○松尾委員 もう繰り返しになりますけれども、情報公開は大切ですので、是非よろしくお願いします。
ちょっと時間もあるので、話は全然変わりまして、最後にもう一件だけお話しさせてください。
先ほどから話しております米軍のヘリコプターが、赤坂プレスセンターと主に横田基地、福生市にあります、西の方にある横田基地と往来をしているので、東京の都心の上空を飛行している羽田空港の着陸便、南風の日の午後に北から南に着陸していく着陸便と、少なくとも平面上ではルートが交差をしているわけです。
航空機とヘリコプターのルートが交差をしていると、当然、観念的にはそこで何らかの事故が起こるという可能性はあるかなというふうに思われるんですね。その中で、今年の一月にワシントンで起きました旅客機とヘリコプターが衝突をして墜落をするといった事故もあるので、人がやることですから、何事も可能性はゼロではないというふうに考えられます。
このワシントンのヘリコプターと旅客機の衝突事故を踏まえて、同じようなことが羽田空港の着陸便と在日米軍のヘリコプターとの間で起こり得るのかどうかという観点から、この一月に起こった事故の原因がどのようになっていて、その状況と東京の状況というものが、何が同じで何が違うのかというところを教えてください。
○遠藤委員長 それでは、蔵持航空局次長、時間が参っております。端的にお願いいたします。
○蔵持政府参考人 お答えいたします。
本年一月に、米国ワシントン近郊のロナルド・レーガン・ナショナル空港付近において、同空港に進入中のアメリカン航空の子会社が運用する飛行機と訓練飛行中の米軍のヘリコプターが衝突し墜落する事故が発生し、米国の事故調査当局が原因を現在も調査中であるということでございます。
事故原因を含め、詳細は調査中であるため、米軍ヘリコプターの飛行経路と羽田空港到着機の飛行経路が交差している状況がワシントンにおける当時の状況と共通点がどのようにあるかという御指摘については、言及することは現段階では困難でございます。
いずれにいたしましても、ワシントンの近郊で発生したこの衝突事故でございますが、到着機が最終進入中に空港近傍で発生しておりますが、我が国においては、そのような着陸直前の低高度で航空機を交差させるような運用は行っていないということで、同様の状況は発生しないものと考えております。
国土交通省といたしましては、引き続き、当該事故の情報収集を進めるとともに、米国の当局の調査状況等も踏まえまして、必要に応じた対応をしてまいりたいと考えております。
○松尾委員 状況が変わるのは分かりますけれども、残念ながら、世界中でぽつぽつと航空機事故やヘリコプターの事故が起こっていて、あらゆる運航は当然安全だと思ってやっているけれども、それでもやはり起こるわけです。
東京の上空で同じようなことを起こすわけにはいきませんから、やはり安全確保のためには最大限の努力を重ねていただきたいということを改めて申し上げますし、先ほど来述べている情報公開も是非進めていただきますようお願い申し上げまして、私からの質問を終わりとさせていただきます。
ありがとうございました。
○遠藤委員長 これにて松尾明弘君の質疑は終了いたしました。お疲れさまでございました。
次に、新垣邦男君。
○新垣委員 立憲会派、社民党の新垣邦男です。
本日は、いわゆる基地負担軽減とよく政府はおっしゃっているんですが、米軍基地による地元住民、沖縄県民の負担軽減について、様々な角度から防衛、外務両大臣に質問をしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
その前に、実は先日、去る六月九日に、読谷村親志の米軍嘉手納弾薬庫地区内にある、陸上自衛隊第一〇一不発弾処理隊が運用する不発弾保管庫で爆発事故が発生をしております。大変びっくりしたんですが、一九七二年の復帰以降、同処理隊の任務中の事故は初めてとのことなんですが、爆発した不発弾の数や種類、隊員のけがの状況、事故の原因など、現時点で分かっている情報を明らかにしていただきたいと思います。
○小野政府参考人 お答えします。
お尋ねの件につきましては、六月九日午前、米軍の嘉手納弾薬庫地区に所在する沖縄県の不発弾一時保管庫の敷地内におきまして、陸上自衛隊第一〇一不発弾処理隊が回収をし保管していた不発弾の状態を確認していたところ、米国製七十五ミリ砲弾と推定される不発弾一発の一部が破裂する事故が発生をいたしました。この事故によりまして、陸自隊員四名がやけど等のけがを負ったものの、いずれも生命に別状はございません。現在までのところ、周辺地域の被害は確認されておりませんが、御心配をおかけしております。
既に、陸自第一五旅団に副旅団長を委員長とします事故調査委員会を立ち上げまして、事故原因等の調査を進めているところですが、安全管理を徹底するとともに、事故原因の究明やそれを踏まえた再発防止策に全力を尽くしてまいります。
沖縄県下におきましては、まだ多くの不発弾等が地中に埋設されているということでございまして、不発弾等に関する対策は非常に重要なものだと認識をいたしております。防衛省・自衛隊としても、今後とも、安全かつ確実に不発弾処理を実施していく考えでございます。
○新垣委員 不発弾処理でこれまで事故がなかったということで、県民としては、大きな事故ではなかったので、大惨事じゃなくてよかったなと思っているんですが、さっきお話があったように、まだまだたくさんあるんですよ。ですから、これは今後、細心の注意を払いながら対応していただきたいなと思っています。よろしくお願いします。
それでは、米軍基地の負担ということについてですが、よく政府は沖縄における米軍基地の負担とおっしゃるんですが、基地負担というのがどのように定義をされているのか、その中でどのような基地負担というのが認識をされているのか、そしてその基地負担というのをどうやって軽減していこうと考えているのか、具体的にそれがあれば列挙していただきたいと思います。
○田中政府参考人 お答えを申し上げます。
まず、沖縄の基地負担の定義でございますが、これについては確たるものがあるというふうには承知をしておりません。
他方、主として、例示として挙げさせていただければ、米軍施設・区域が所在することによる様々な制約でありますとか、航空機の離着陸や射撃訓練による騒音などの生活環境に影響を与える問題の発生でございますとか、米軍による事件、事故の発生、こういった地域住民の方々への物理的、精神的な影響であるというふうに私どもとしては認識をしております。
その上で、沖縄の基地負担の軽減につきましては、政府の最重要課題の一つとして全力で取り組んでおり、沖縄統合計画に基づく米軍施設・区域の土地の返還、在沖米海兵隊の移転、在日米軍による訓練移転を中心に施策を進めておるところでございます。また、米軍機の運用に伴う騒音、それから米軍人による事件、事故を始めとした諸問題についても、解決に向けて進展させるため、あらゆる努力を傾注しているところでございます。
今後とも、地元の皆様の御意見や御要望をしっかりと承りながら、沖縄の基地負担軽減に向けて、より一層取り組んでまいりたいと考えております。
○新垣委員 今、局長から、確たるものはないということなんですが、県民からすると、年々基地負担が増大しているのではないかと。人権の問題、そして特に女性に対する暴行事件も相次いでおります。何度要請してもなかなか解決しない。ですから、基地負担を軽減するということが一体どういうことなのかをもう一度真剣に考えていただかないと、県民は納得しないんじゃないかなと私は思っていますので、そのこともまた併せてお願いしたいと思います。
両大臣にお尋ねしたいんですが、日米安保条約は、第五条と第六条で、米国は日本を防衛する義務を負い、日本はそのために米国に施設・区域を提供する義務を負うと定めておりまして、これは条約の根幹、最も重要な部分であるとされております。日米安保体制を維持するために、米国に対する基地提供の義務を果たす際に生じる犠牲や負担が沖縄側に大きく偏っている、憲法が保障する法の下の平等及び差別の禁止に反して、沖縄県民、とりわけ基地周辺住民の幸福追求権や平和的生存権が脅かされているのではないかと思っているんですね。
過重な基地負担によって憲法に定めるこれらの権利が侵害されている、私はそれが実情だと思っているんですが、外務、防衛両大臣はどのようにお考えなのか、御見解を伺いたいと思います。
○岩屋国務大臣 沖縄県には、委員御指摘のように、多くの米軍施設・区域が集中しております。県民の皆様に大きな基地負担を引き受けていただいていることを重く受け止めております。したがいまして、沖縄の基地負担軽減は政府の最重要課題の一つでございます。
外務省としては、沖縄を始めとする地元の負担軽減に全力で取り組んできておりまして、在日米軍再編、米軍の運用や日米地位協定をめぐる課題について、米側及び関係省庁とも連携して一つ一つ取組を進めてきているところでございます。
当然、一般的には、日米地位協定あるいは日米安保条約を含む条約については憲法が条約に優位すると解してきておりますので、しっかりとそのことを念頭に、引き続き沖縄の基地負担軽減に努めてまいりたいと考えております。
○中谷国務大臣 基地や区域の返還につきましては、日米間で合意をいたして策定された沖縄統合計画に基づきまして、政府の責任においてこれまでも移設工事を着実に進めてきているところでございますので、一日も早い返還を実現してまいります。
なお、負担軽減ということに関しましては、返還のみならず、跡地利用にかかる非常に高い期待がございます。
また、沖縄の海兵隊のグアム移転も着実に進めていくほか、在日米軍の訓練移転もしっかり取り組んでまいります。
そして、委員が御指摘されました米軍機の運用に伴う騒音、また米軍人による事件、事故を始めとした心理的重圧などの諸問題についても、これは解決に向けて進展をさせていくためのあらゆる努力を尽くさなければならないと思っておりまして、負担軽減に向けまして、より一層進めてまいりたいと考えております。
○新垣委員 今、両大臣から御回答いただいたんですが、なかなか実態はそうなっていないというのが県民の認識じゃないかなと思っています。
今、外務大臣からお話があったんですが、私は常々、県民の過重な基地負担を名実共に軽減するには、やはり日米地位協定の改定、とりわけ、少なくとも第三条の基地管理権を日本側に移譲するしか方策はないのではないかと思っているんですね。しかし、外務省は、日米地位協定を改定することなく、運用改善や補足協定で対応していく姿勢を崩しておりません。これも何度も、地元からは、地位協定の改定がないと問題は全く解決しないのではないか、そういう思いは強くあるものですから、お聞きしているんです。
憲法九十八条は第一項で、この憲法は国の最高法規である、第二項で、ただ、「日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。」とあるんですが、日米安保条約、それに付随する日米地位協定、最高法規である憲法に定める国民の権利というのは、防衛大臣として、どちらが優位にあるのか、どういうお考えなのか、そのことをまずお聞きしたいと思います。
○岩屋国務大臣 先刻も申し上げましたけれども、日本国憲法と日米安全保障条約及び日米地位協定を含む条約につきましては、政府としては、一般には憲法が条約に優位すると解してきております。日米地位協定は日本国憲法にのっとって日本国の内閣として国会の御承認を得て締結したものでございますので、そういう意味では、憲法と当然整合していると考えているところでございます。
地位協定の改正については今与党の中でも議論が行われておりますが、そういう議論もしっかりと踏まえて、同盟の強靱性また地元の理解を含めた持続性を高めていくという観点から検討し、対応してまいりたいと考えております。
○新垣委員 今、岩屋外務大臣が当然憲法が上位だろうというお話なんですが、なぜそれを聞いたかというと、沖縄では憲法より地位協定が上じゃないかと思うわけですね。
というのはなぜかというと、もう毎日が基地被害というんですかね、そういうものがある、逆に、憲法で定められている幸福追求権、平和的生存権が本当に脅かされているのが日常だろうと思っています。ですから、せめて地位協定の中で、先ほど松尾委員からもあったんですが、やはり改定できるものは早く改定すべきじゃないか、せめて人権や生活が守られるようにしないと、これはもう大変なことに今後なるんじゃないかな、そういう心配を県民が抱いているものですから、こういう質問をさせていただいたんです。
是非とも、今後、外務省として地位協定の改定に向けての、今自民党の中で議論をされているというんですが、やはり政府としても真摯に私は取り組んでいただきたいと思います。
次に、戦後八十年の節目に沖縄戦を契機とした過重な基地負担の軽減を図る法整備を目指した動きが今年に入って県内の市町村議員の中で持ち上がっております。
先月には沖縄から市町村議会議員有志が上京して各党に要請をしたところなんですが、議員有志一同は、戦後八十年の節目に沖縄の基地負担軽減のための法整備を求める意見書を県内の全市町村議会に提案をし、可決するよう働きかけております。先頭を切って、私の選挙区にあるんですが、中城村が五月二十九日、そして私の地元、北中城村も六月六日に同意見書を全会一致で可決をしております。意見書は、基地負担の公平化に向けて、仮称なんですが、沖縄基地縮小法を国会で制定することを求めているんですが、基地返還の中で代替施設が必要となった場合は、国会で特別法を制定するなどして、民主的に問題解決を図ることも要望をしております。
こういう中で、両大臣は中城村議会で可決された意見書をお読みになっていると思うんですが、その所感をお伺いしたいと思います。
○岩屋国務大臣 御指摘の意見書、要請というのは承知をしております。
これは政府というよりも全政党に対して行われていると承知をしておりますので、各政党において受け止めて御検討いただければと思いますけれども、政府としては、沖縄の基地負担軽減は最重要課題の一つだと思っておりますので、沖縄統合計画に基づいて、引き続き、普天間飛行場も含めた嘉手納以南の米軍施設・区域の返還に向けて全力で取り組んでまいりたいと考えております。
○中谷国務大臣 この返還に加えまして、やはり跡地利用、いかに活用していくかということも非常に重要なことでございますので、この統合計画の推進につきましては、地元の皆様方の声をしっかり聞きながら、また協議をしながら、一日も早い返還を実現してまいりたいと考えております。
○新垣委員 私が感じるのは、こういう形で、今、県内の市町村議会、そして県議の皆さんたちが有志を募って、新たな沖縄の基地縮小法を国会で制定してもらいたい、せめてこういう動きを全国に発信していきたいと思うほど現実は非常に厳しい状況にありますので、是非政府としても真摯に受け止めていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いをいたします。
次に、これはまた防衛大臣にお願いしたいんですが、嘉手納基地の旧海軍駐機場の件であります。
パラシュート降下訓練に顕著であるように、嘉手納基地において日米の合意事項に反する運用が頻発をしております。もう既に防衛大臣にも情報は行っていると思うんですが、SACO最終合意に基づき、嘉手納の旧海軍駐機場は、エンジン稼働など騒音が発生する運用は認められておりません。嘉手納町も常々、日米両政府に対して使用禁止を求めているというのが現実であります。
にもかかわらず、同駐機場では、四月下旬以降、連日の使用が確認をされ、五月八日は無人偵察機MQ9が一時間以上使用したことが確認をされています。この無人機の使用を受け、去る五月二十二日、當山宏嘉手納町長から、沖縄防衛局長、そして外務省沖縄大使に、直接、使用禁止を求める抗議要請文を手交したところなんですが、直近では、少なくとも六月二日以降、外来機のKC46A空中給油機二機による継続的な使用も確認をされております。
私は、余りにもずさんな運用であると指摘せざるを得ないと思っているんですが、中谷防衛大臣、旧海軍駐機場については、その使用禁止をいま一度日米間で確認していくべきではないかと思うんですが、いかがなんですか。
○中谷国務大臣 この旧海軍駐機場は、SACO最終報告におきまして、騒音軽減イニシアチブとして、滑走路南側に新たな駐機場を整備して海軍機が移駐した跡地でございます。
米側からは、日米合意を尊重して、他の駐機場が使用できない場合に限って使用するということとされておりますけれども、米軍の運用上、駐機が避けられない場合もあると承知をしておりまして、日米合意に基づいた使用になるように米側に求めているところでございます。
最近、外来の大型機である空中給油機が度々使用しているという報告を受けておりますので、こういった基本に基づいて、他の駐機場が使用できない場合に限って使用するということで、引き続き必要な運用を行いながらも、周辺の住民の生活とのバランスを取って騒音軽減に努めていくという説明を受けておりますので、この使用に際しましては影響を最小限にとどめますよう、引き続き米側に求めてまいります。
○新垣委員 今大臣からあったように、たしか地元では、新海軍駐機場という呼び名で新たに移設場所を造ったはずなんですね。結構莫大な費用をかけていると思うんですが、一体、そことの整合性というのはどうなっているのか、少し聞かせてください。
○田中政府参考人 お答えを申し上げます。
委員御指摘のとおり、旧海軍駐機場の使用につきましては、先ほど大臣から御答弁がございましたが、SACO最終報告における騒音軽減イニシアチブ、これに基づきまして、新しい駐機場への移転というものが行われております。
これにつきまして、米側からの説明によりますと、日米合意を遵守し、旧海軍駐機場の使用は最後のオプションとしつつ、周辺住民の生活とのバランスを取る努力をしていくということでございます。様々、運用上の所要によりまして、基地内の駐機場、そういったものを割り振って活用しているわけなんですが、そういった中での最後のオプションとしてこうした旧海軍駐機場の使用というものもあるということでございます。
こうした米軍の運用上の事情についても私どもとしてはしっかりと確認をしながら、旧海軍駐機場の使用が最小限となるよう、引き続き米側と緊密に連携をして対応してまいりたいと思っております。
○新垣委員 町長を始め地元が心配しているのは、こういう形で徐々に徐々に拡大していくんじゃないかと、黙っていると。せっかく旧海軍駐機場を使わないという約束があるのにもかかわらず、いや、米軍の都合で使わなきゃならないという話になると、約束が違うだろうと。これはもう信頼関係が崩れるという話になりかねないので、是非その辺は強く米側には申し入れていただきたいなというふうに思っております。
ちょっと済みません、質問を飛ばしますけれども、これは新聞にもあったんですが、与那国が無医地区の危険に陥っております。
与那国町の診療所を指定管理者として運営する地域医療振興協会、沖縄地域医療支援センターが、来年三月の期限をもって町との契約を更新しない意向であるということなんですが、当協会は、医師の派遣終了の理由の一つに台湾有事への懸念を挙げております。
直接的な表現ではないにせよ、政府が宣伝する台湾有事という言葉が不安をあおって、結果として住民福祉の安定が脅かされているのではないかと思うんですが、一点目、厚労省として、医師がいない地区にするのかどうなのか、そして、防衛大臣には、この理由の一つが台湾有事への懸念ということなんですが、そういうことをどう感じていらっしゃるのかをお聞きしたいと思います。
○森政府参考人 与那国町の診療所についてでございますが、当該診療所については、現在、委員御指摘のとおり、地域医療振興協会が指定管理者として運営を行っているところでございまして、令和八年度以降の取扱いについては、沖縄県、それから与那国町、地域医療振興協会において、今検討、調整が進められているものと認識しております。
厚労省においては、地域に応じた医療提供体制を確保するために、僻地の診療所の運営、それから医師確保について、これまでも必要な支援というのを行ってきたところでございまして、与那国島の診療所の在り方についても、今後関係者間で検討が進められていく中で、引き続き私どもとしても検討状況を注視するとともに、必要な助言、それから財政的な支援というのをしっかり行っていきたいというふうに考えているところでございます。
○中谷国務大臣 沖縄の離島における医療体制につきましては、一義的には沖縄県において検討されて、必要に応じて厚労省が支援をしていると承知しております。
与那国駐屯地の開設に当たりまして、二〇一二年の六月に、町議会において、地元住民の医療の充実に貢献していただきたいという要請決議が可決されておりまして、これを基に防衛省は駐屯地の自衛隊医官による町診療所への支援を行ってきているところでございますが、与那国駐屯地を始め自衛隊施設の安定的な運営、また部隊活動の円滑な実施に当たっては地元の皆様の御協力が不可欠でございまして、こうした考えの下に、与那国町の御意見をしっかり伺いまして、関係省庁と緊密に連携しつつ、引き続き防衛省として可能な限りの支援に努めてまいりたいと思っております。
なお、南西地域の防衛体制強化というのは、あくまでも我が国の抑止力、対処力を向上させるものでございまして、台湾有事をあおるという御指摘には当たりません。今後とも、必要な部隊、装備などの配置等につきましては、地元の皆様方に御理解をいただくように話をしてまいりますが、必要な施設整備もしっかり行ってまいりたいと考えております。
○新垣委員 撤退の理由の一つに台湾有事が懸念されているということなんですから、それはそうだろうと私は思っています。ただ、今後継続的に、医官の派遣制度の構築、あるいは、なくなった場合、駐屯地内の診療所の開放など、是非その点も検討していただきたいなと思っています。
最後に、去る五月三日、尖閣諸島周辺を小型民間機が飛行をし、海上保安庁から無線で、周辺を航行する中国船からヘリが飛び立ったため危険だと避難を促す警告を受けて引き返す事案が発生をしております。これは新聞に載っていたんですが。
これはどうなんですかね、民間機が尖閣に自由に飛んでいる、これは許可を得て飛んでいるんでしょうけれども、これは遊覧みたいな形で今やっていたらまずいだろうと私は思っているんですね。先ほども、冒頭、大臣からも、中国機の海自機への接近の事件があったという報告を受けているんですが、これは何とか止める方法を検討すべきじゃないかと私は思っているんですね。
レクで、航空局からは、これを止めるのは今の現状なかなか難しいということなんですが、今の安全保障に大変危機感を持っているということを常におっしゃっているわけですから、やはりそういう危険地域にはなるべく飛ばないという対応を考えた方がいいのではないか。これはもう防衛局も外務省もそうなんですが、国土交通省航空局だけでは厳しいと思うので、是非その辺をどう考えていらっしゃるのかなと思って、最後にお尋ねしたいと思います。
○魚谷政府参考人 お答え申し上げます。
一般的に、我が国領空における我が国航空機の飛行は、法令の制約を満たす限り妨げるものではございません。
先般の尖閣諸島周辺の民間機の飛行につきましては、その飛行目的が遊覧飛行である点も踏まえまして、関係省庁と連携して、不測の事態を防ぐ観点から、当該民間機の航行の安全を図る目的でその運航者との間で意思疎通を行いまして、飛行の安全性を考慮すべきである、そういう考え方をお伝えしたところでございます。
○中谷国務大臣 委員が御指摘のように、不測の事態を回避するということは必要でございますので、やはり、日中間におきましては、防衛当局間において適時の意思疎通を確保していくということで、ホットラインを開設しておりますが、このホットラインの適切かつ確実な運用を中国側との間でしっかりと確保してまいりたいと考えております。
○新垣委員 ありがとうございました。
終わります。
○遠藤委員長 新垣邦男君の質疑は終了いたしました。お疲れさまでございました。
次に、山崎正恭君。
○山崎(正)委員 公明党の山崎正恭です。
本日も質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
早速、質問に入ります。
九日の視察に参加させていただきました。今回の視察でも、自衛隊の人的基盤の強化について、川西、信太山、大阪地方協力本部、各所が処遇改善に様々な工夫をして自衛隊員の確保に取り組んでいました。
大阪地方協力本部でも、援護活動も一〇〇%というすばらしい取組でありました。また、女性隊員も増加しておりまして、そういったところ、かなり営舎の方もそういった配慮がなされていまして、これから女性隊員も広がるのかなというふうな感を持ったところでございます。
私の方からは、協議の中で、いわゆる、私が中学校教員時代に防災活動の出前活動に自衛隊の皆さんが来ていただいて、やはり、子供たちは、すばらしいな、頼りになるなというふうな形があったので、遠いようだけれども、そういった活動もどうかというふうな意見もさせてもらいました。
一方、尾崎委員からは、国際的な安全保障環境の厳しさから、保護者から本当に戦争になるのではないかという不安の声も聞かれる、そういったことも募集に影響していないのかというふうな意見も出されまして、現段階ではそういったところは把握していないというふうなお話もございましたけれども、ああ、なるほどなというふうに思いました。
そういった面も含めて、先日行われた参考人質疑において、元防衛事務次官の黒江参考人から、処遇改善の進展は歓迎すべきだが、これだけで人的強化につながるのか、解決できるのかはなかなか難しい面があるとして、これから必要なこととして、三点。自衛隊を支える社会的基盤を強化すること、自衛隊自身の組織を変革すること、官民協力を進めることとして、自衛隊の組織を変革することについては、人が少ない中で戦わないといけないので、自衛隊にしかできないことをやれる組織に。
例えば、戦闘機能に特化した組織にしなければならないとか、無人装備等を使って人手を減らすとか、自衛隊の中で採用、教育、育てていくという一貫した人育ての考え方を修正するや、外部の有為な人材を使っていこうというふうな柔軟な人事制度。
他方、災害の発生が頻発しており、全部自前で対応する組織力は今日本にあるのは自衛隊にしかないので、高度化と若干反するようなローテクの部分、マンパワーに依拠しなければならないような部分の両方のバランスを見ながらが重要だというふうな御指摘がございました。
官民協力については、社会全体が人手不足なので、関係者が協力する、民にできることはアウトソーシングを進めるなどの指摘がございました。
要は、社会的背景から見てもなかなかこれから人集めは大変だろう、どうしても人員が減った中での想定が必要だ。その中で、無人装備、DXなんかを活用していく。そして、アウトソーシングを考えると、そういった分野への人材の活用と、もう一つ考えられるとしたら、将来的には、例えば災害救助に特化した組織を自衛隊以外につくっていく、これはなかなか難しいかもしれないですけれども、そういったことで、災害に特化した技術力のもっと高い集団ができるかもしれないということがあります。
他方、アウトソーシングできないという部分は何なのかと考えたときに、先ほどの話じゃないですけれども、本当に有事が来たときに、やはり逃げ出されては困りますので、本当に我々を命懸けで守ってもらおうというふうな、有事で守ってくれる本物の自衛隊員の育成というのはやはりなかなかアウトソーシングが難しくて、一貫した教育の中なのかなというふうに思ったことでした。
その中で、黒江参考人は、三点目の中の一番の柱として、自衛隊を支える社会基盤の強化としまして、自衛隊法には、自衛隊員が職務上の危険を回避してはならないという規定があり、これは言葉を換えると、当然、国民の代表である国会で決まった法律がそう言っているということは、国民が自衛官に対して、命を惜しんではならない、そういった義務を課しているということであり、こういうことをたくさんの人が認識しているのか、そういうまさに等身大の姿を国民の間できちんと認識を共有していただく必要があると指摘されています。
そう言われてみますと、本当に自衛隊の皆さん方が命を懸けて仕事をしてくださっているんだなというふうなことを改めて感じたところです。
そこで、黒江参考人は、そういうまさに等身大の姿を国民の間できちんと認識、共有していただく必要があるが、そのために教育であるとか広報が大事であり、その上での処遇の改善、それに見合った代償措置を自衛官に対して行うことが必要だろうと指摘されていますが、この指摘に対する見解と今後の自衛隊を支える社会基盤強化の取組について、大臣にお考えをお伺いします。
○中谷国務大臣 山崎委員におかれましては、日頃から、地元でもそうでございますが、全国的にも、自衛隊の在り方について、特に、国民の理解、納得、共感、これを得られるために積極的に御発言をいただき、自衛隊のアピールをしていただいておりまして、感謝を申し上げたいと思っております。
国民の理解を得るためにどうしたらいいのかということで、分かりやすい広報活動をまず積極的に行うということ、それから、地元では音楽隊の活動や防衛白書を発行しまして、各駐屯地において一般の方々に自衛隊の生活、訓練を体験していただき、隊員とじかに接することによりまして防衛省・自衛隊に対する理解を促進することを目的としまして、隊内生活体験というものも実施をいたしております。
このほか、SNS、ホームページを通じまして、様々な世代の方にお伝えをしている。特にX、ツイッターを始めとするSNSは、情報収集や情報発信の手段としては今社会で幅広く利用されておりまして、こうしたツールを活用して自衛隊の活動等について様々な情報発信に努めております。XやSNSの利点は一方通行じゃなくて双方向でございますので、こういう意味で、最近はユーチューブなども作っていただいて自衛隊の発信をしていただいているということでございます。
政府としましては、関係閣僚会議等で基本方針をまとめて処遇改善に努めておりますけれども、引き続き、国民の皆様に自衛隊の活動について御理解いただけますように、様々な広報活動を積極的に実施してまいりたいと思っております。
○山崎(正)委員 我々もしっかり発信していかなければならないですし、命懸けで守ってくれる人たちを我々政治家もしっかり守って、有事にさせないということが大事だなということを強く感じた視察でありました。
次に、五月九日に、公明党は平和創出ビジョンを発表いたしました。その中で、AI技術の軍事利用の規制について触れています。特定通常兵器使用禁止条約の枠組みにおける政府専門家会合での議論、交渉を前に進め、LAWSを禁止する、自律型の致死兵器システムを作らずに、技術的要件等の規制の具体策を国際社会の合意形成を図っていく中で、日本が主導的役割を果たしてもらいたい、また、自律型兵器システムやAI意思決定システムについては、国際人道法にのっとった国際ルール構築に向けた協議を進めるべきということを求めております。
そこで、外務省にお伺いしますが、こうした観点からも、二〇二六年のNPT運用検討会議において、日本は最善を尽くしてAIの軍事利用について認めない、特に、核兵器の運用へのAI関与及び判断を一切認めるべきではないということを強く訴えていくべきと考えますが、大臣のお考えをお伺いいたします。
○岩屋国務大臣 御党の平和創出ビジョンというのを私も拝見いたしました。大変有益な提言をしていただいたと思っております。その中にも、核軍縮及び核廃絶の観点から、核兵器の運用へのAI関与及び判断を一切認めるべきではない、こういう御指摘がございます。しっかりとこれを踏まえて今後の国際協議に臨んでいきたいと思っております。
本年三月に東京において開催された「核兵器のない世界」に向けた国際賢人会議第六回会合においてまとめられた提言の中にも、AIの軍事利用、特に核への応用に関連したリスクを低減すべしというものがございます。我が国としては、二〇二六年のNPT運用検討会議に向けて、引き続き、御党の提言も踏まえて、核兵器の運用へのAIの関与及び判断に係る議論を注視し、これに積極的に関与してまいりたいと考えております。
○山崎(正)委員 大臣、丁寧な御答弁、ありがとうございました。どうかよろしくお願いいたします。
以上で質問を終わります。ありがとうございました。
○遠藤委員長 これにて山崎正恭君の質疑は終了いたしました。お疲れさまでございました。
次に、赤嶺政賢君。
○赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。
まず、防衛大臣に伺います。
陸上自衛隊の幹部候補生学校の二〇二四年度の学習資料で、沖縄戦の旧日本軍第三二軍の戦いについて肯定的に評価していることが報じられました。具体的には、作戦経過の概要について述べた章で、圧倒的な空海からの支援を有する米軍に対して、孤軍奮闘三か月にわたる強靱な持久戦を遂行し、米軍を拘束するとともに多大の出血を強要して、本土決戦準備のために偉大な貢献をなしたのであると記載しています。その一方で、住民を根こそぎ戦争に動員したことや、沖縄県民をスパイとみなした住民の殺害、ごうからの追い出し、食料の略奪、集団自決の強制などについての言及はありません。
本土決戦を遅らせるための捨て石作戦について、反省どころか、偉大な貢献として描く教材が自衛隊の学習資料として適切でないことは明らかであります。大臣は、この資料について、どう認識していますか。使用を中止し、内容を検討すべきではありませんか。
○中谷国務大臣 私の認識としましては、沖縄で、さきの大戦の末期において、県民を巻き込んだ凄惨な地上戦が行われて、その結果、軍民合わせて二十万人もの貴い命が失われた。特に、本島南部一帯におきましては、多くの住民の方々が犠牲になったと認識をいたしております。
幹部候補生学校では、こうした認識の下に、嘉数高地、そしてひめゆりの塔、平和祈念資料館等において現地教育を行っており、沖縄戦において多大な犠牲が払われたこと、住民避難の実態についても理解をさせており、国民の生命と財産を守る幹部自衛官としての責任感、そして使命感の涵養に努めております。
私もこの現地戦術の研修を受けた一人でございまして、沖縄のこうした悲惨な歴史、これを十分認識しております。
防衛省としましては、この沖縄の人々の筆舌に尽くし難い困難と癒えることのない深い悲しみ、これらを胸に刻みながら、戦争の惨禍を二度と繰り返してはならない。そして、我が国は、憲法の下、専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国にならないとの基本理念に従いまして、さきの大戦の終戦までの経緯に対する反省も踏まえて厳格な文民統制を確保しております。こうした体制の下で活動している自衛隊と、旧憲法下で存在をしていた旧日本軍、これは全く異なるものであるということは言うまでもございません。
このため、幹部候補生が使用する沖縄戦史にかかる学習資料につきましては、御指摘の記載を修正することも含めて、学校において見直し作業を進めていると承知をいたしております。
○赤嶺委員 県民の動員は、沖縄戦の末期だけではないですからね。米軍が上陸する前から、沖縄県内に十六の飛行場を造るために学業を放棄させられ、あるいは飛行場造りに動員させられていますから、末期の県民動員という認識そのものが、防衛大臣、間違っていますから。
学習資料を見直すということでありますけれども、具体的にどのような内容に改めていくのかという問題です。
幹部候補生学校をめぐっては、昨年五月にも、沖縄の現地教育の要領で、日本軍が長期にわたり善戦敢闘し得たと評価していたことが問題になりました。繰り返されているんですね。
沖縄戦がどのような性格の戦争で、一般住民にどのような犠牲を強いたのか、日本の侵略戦争によってアジア太平洋諸国の人々と日本国民にどれだけの犠牲を負わせたのか、それがいかに人命を軽んじるものだったのかを学ぶことが、二度と同じ過ちを繰り返さないために、旧軍と断絶しているはずのものです。また、防衛大臣もそれは認められました。
自衛隊員に求められているそうした内容、これは、毎年指摘されながら、同じような考え方が続いている。しかし、あの戦争は捨て石作戦だった、住民を犠牲にした戦争であった、抜本的にそういう立場に改めていく必要があるのではないか。先ほどの大臣の答弁からしても、そうなるべきじゃないかと思いますが、いかがですか。
○中谷国務大臣 私も教育を受けた者の一人でありますが、あの作戦が捨て石であったとか、住民を犠牲にして当然であったとか、そういう教育は受けておりませんし、そういう考えも一切持っておりません。
とにかく、さきの大戦におきまして、県民を巻き込んだ非常に凄惨な地上戦が行われて、貴い命が失われたということで、その事実をやはりしっかり認識をすると同時に、自衛隊は昔の旧軍ではないんだ、やはり憲法の下に専守防衛に徹して、シビリアンコントロールの下に、平和の理念に従って活動していくというものが自衛隊であるという認識の下に勤務をしましたし、また現在もそういう教育をしているというふうに認識しております。
○赤嶺委員 大臣、後半は、旧軍と自衛隊は分離しているという点についても、後でちょっと質問しますが、あの戦争は捨て石作戦ではなかったんですか、違うんですか。大本営はどういう命令を出していましたか。三二軍はどういう命令を出していましたか。あれが捨て石作戦でないという大臣の認識、自衛隊の中の教育でそういう認識を持つに至ったんですか。もう一度答弁してください。
○中谷国務大臣 私の思いは、先ほど申し上げたとおり、さきの大戦において大変大きな犠牲があった、もう二度とそのようなことを繰り返してはいけないんだというようなことを認識いたしております。
幹部候補生の教育におきましては、幹部自衛官としての教育を行うわけでございますが、戦争による悲惨な歴史などはしっかりと教えているはずでございますので、そういったことを美化したり、それを評価するというような教育は行っておりません。
○赤嶺委員 美化するなんて、それはとんでもない話ですよ。ただ、大臣が自衛隊員時代の教育を受けて、あの沖縄戦は捨て石作戦ではなかったという認識を持っていると言うから、それを問いただしているんです。そこから改めていただきたいと思います。
三二軍は沖縄県民を捨て石にしたんですよ。大本営だって同じですよ。戦争前に十六の飛行場を造りながら、一つとて使わなかったじゃないですか。それだけ米軍と日本軍との間の圧倒的な力の差がありながら、あえて地上戦に臨んだ。それは、本土決戦を長引かせる捨て石作戦であったというのは明確であります。是非考え方をこの点で改めることを強く求めたいと思います。
それで、旧軍と今の自衛隊は違うんだというお話なんですが、私、疑問に思っているのが、防衛省が編集協力をしている「マモル」という広報誌がありますよね。これの二〇二二年三月号で、幹部自衛官五百人を対象に行った、好きな幕僚に関するアンケート調査の結果が掲載をされています。これによると、上位十人のうち六人を旧軍の幹部が占めています。この中には、満州事変を主導した石原莞爾も含まれています。第五位とされているのは、第三二軍の高級参謀だった八原博通氏です。南部に撤退しながら、持久戦を継続する決定を主導した人物です。
自衛官のコメントを見ると、アメリカ軍の嫌がる陣地戦、持久戦などを採用し、粘り強く任務を完遂しようとしたことからという意見が掲載をされています。当時の決定が多大な住民の犠牲を強いたことへの反省は全く感じられません。旧軍への肯定的な認識が自衛隊の中に相当広がっているのではないかという危惧を持ちます。
旧軍の加害の歴史についてきちんと伝えていないことがこうした現状を生んでいるのではありませんか。教科書を見直すといっても、実際にはそういう考えが広がっていることに危惧を持っているんですが、いかがですか。
○中谷国務大臣 御指摘をいただきました二〇二二年三月の「マモル」、この掲載記事は承知しておりますが、この記事は、防衛省による調査結果ではなくて、同誌が隊員の個人的意見を調査して集計したものでございます。また、人物の評価につきましても、これは人によって様々な個人的意見があるものだと思っております。
その上で、さきの大戦につきましての政府の認識としましては、平成二十七年八月十四日に閣議決定をされた内閣総理大臣談話で述べられたとおりでありますが、我が国は、憲法の下、専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国にならないとの基本理念に従い、さきの大戦の終戦までの経緯に対する反省も踏まえて厳格な文民統制を確保している。そうした体制の下で活動している自衛隊と、旧憲法下で存在していた旧日本軍、これは全く異なるものであるということは言うまでもございません。
こうした認識の下に、防衛省・自衛隊としては、隊員一人一人に対して、戦史又は隊史などの教育を行っている次第でございます。
○赤嶺委員 元陸上幕僚長の火箱芳文さんは、毎日新聞のインタビューで、陸上自衛隊は旧陸軍の思想や戦術を継いでおり、一命を賭して国を守るのは同じだと述べています。その上で、靖国神社に国家の慰霊施設を復活し、一命をささげた自衛官を祭るようにすべきだと主張しております。繰り返される自衛官のこういう発言は認められるものではありません。
次に、外務大臣に伺います。
昨年九月、米軍横須賀基地所属の米兵が、横須賀市内で乗用車を運転中、オートバイに衝突し、二十二歳の男性を死亡させた事件で、横浜地裁横須賀支部は、五月二十七日、禁錮一年六月、執行猶予四年の判決を言い渡しました。
重大なことは、この裁判の過程で、在日米海軍司令部が裁判官に、仮に執行猶予判決が言い渡され、確定した場合には迅速に米国へ移送すると書簡で事前通知していたことであります。代理人の呉東正彦弁護士は、一国の軍隊とか政府機関から裁判所に書簡が出てくれば、司法の独立を脅かすような圧力がかかるのは間違いない、日本人であれば実刑になってしかるべき事案だ、米兵だから忖度されてしまったのではないかと判決への影響を指摘しています。
米軍の方針に合わせて執行猶予つきの判決が出されたとすれば、これは司法の独立性に関わる重大問題であります。
外務大臣、米軍に要求の上、この書簡を提出していただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○熊谷政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の書簡に係る報道でございますが、私ども承知しているところでございまして、米側に対して事実関係を照会しているところでございます。
○赤嶺委員 照会して、提出していただけるんですね。
○熊谷政府参考人 お答え申し上げます。
現在、米側に対しまして事実関係を照会しているところでございますので、対応につきましては、この段階で予断を持ってお答えするということは差し控えたいと思います。
○赤嶺委員 外務大臣、一九五七年に群馬県の米軍演習場で薬きょう拾いをしていた女性を米兵が射殺する事件が起こりました。皆さん御存じの、いわゆるジラード事件であります。
日米両国で大問題になった事件ですが、そのときに、米側は裁判権を放棄し、日本側は最も軽い罪にするという密約を取り交わしていたことが米軍の公文書で明らかになっています。その後、この事件について、裁判所は執行猶予つきの判決を出し、米兵は本国に帰国し、自由の身となりました。当時と変わらない米軍の特権を保障する仕組みが温存されているのではないかということを指摘せざるを得ません。
書簡の存在を確認の上、大臣としても、書簡の提出、執行猶予になったら本国に帰ってしまって補償要求もできなくなるような実態、これを改めていくべきだと思います。
米兵が賠償責任に向き合わない現状に今はなっています。刑事で判決が出て、民事で裁判になったら、刑事で執行猶予が出ている米兵は、民事の裁判に応じずに全部帰ってしまうんですね。沖縄では、ほとんどそういう事件ばかりです。これじゃ、損害賠償を米兵に求めることもできなくなる。そういう意味でも、この検証をするためにも、この文書の提出を米側に求めていくべきだと重ねて外務大臣にも求めたいと思いますが、外務大臣の御意向はどうでしょうか。
○岩屋国務大臣 引き続き、米側に照会をしてまいります。
それから、一般に、日本の裁判所において被告に損害賠償を命ずる確定判決を得た原告が、外国の裁判所に対して日本の裁判所による確定判決の承認を求めて訴えを提起し、これが認められたときは、当該国の強制執行の規律に従って、その手続を取ることとなります。
こうした手続については、米軍関係者に限られず、広く適用されるものと承知をしているところでございます。
○赤嶺委員 米軍犯罪について、きちんと賠償責任が日本側から求められる、個人任せにしない、政府が責任を持つという点も含めて、今の文書を求めて質問を終わります。
○遠藤委員長 これにて赤嶺政賢君の質疑は終了いたしました。お疲れさまでございました。
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時十九分散会