衆議院

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第2号 令和7年11月18日(火曜日)

会議録本文へ
令和七年十一月十八日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 前原 誠司君

   理事 東  国幹君 理事 大野敬太郎君

   理事 本田 太郎君 理事 篠原  豪君

   理事 下野 幸助君 理事 渡辺  周君

   理事 和田有一朗君 理事 橋本 幹彦君

      安藤たかお君    五十嵐 清君

      江渡 聡徳君    小野寺五典君

      坂本竜太郎君    塩崎 彰久君

      関  芳弘君    高見 康裕君

      土田  慎君    長島 昭久君

      中曽根康隆君    中谷  元君

      福田かおる君    福田 達夫君

      森下 千里君    新垣 邦男君

      池田 真紀君    重徳 和彦君

      升田世喜男君    柳沢  剛君

      屋良 朝博君    阿部  司君

      福田  徹君    金城 泰邦君

      山口 良治君    赤嶺 政賢君

    …………………………………

   外務大臣         茂木 敏充君

   防衛大臣         小泉進次郎君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 松本 恭典君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 野村 恒成君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 山本 文土君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 宮野 理子君

   政府参考人

   (外務省総合外交政策局長)            有馬  裕君

   政府参考人

   (外務省領事局長)    實生 泰介君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           畑田 浩之君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房長)   小野 功雄君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 寺田 広紀君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  萬浪  学君

   政府参考人

   (防衛省整備計画局長)  伊藤 晋哉君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  廣瀬 律子君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  森田 治男君

   政府参考人

   (防衛省統合幕僚監部総括官)           上田 幸司君

   政府参考人

   (防衛装備庁装備政策部長)            小杉 裕一君

   政府参考人

   (防衛装備庁プロジェクト管理部長)        家護谷昌徳君

   安全保障委員会専門員   飯野 伸夫君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十八日

 辞任         補欠選任

  高見 康裕君     五十嵐 清君

  福田 達夫君     福田かおる君

  吉田 真次君     坂本竜太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  五十嵐 清君     高見 康裕君

  坂本竜太郎君     安藤たかお君

  福田かおる君     森下 千里君

同日

 辞任         補欠選任

  安藤たかお君     土田  慎君

  森下 千里君     福田 達夫君

同日

 辞任         補欠選任

  土田  慎君     吉田 真次君

同日

 理事和田有一朗君同月十四日委員辞任につき、その補欠として和田有一朗君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 国の安全保障に関する件


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     ――――◇―――――

前原委員長 これより会議を開きます。

 理事の補欠選任についてお諮りいたします。

 委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

前原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 それでは、理事に和田有一朗君を指名いたします。

     ――――◇―――――

前原委員長 国の安全保障に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付のとおり、外務省大臣官房審議官松本恭典君外十五名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

前原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

前原委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。東国幹君。

東(国)委員 おはようございます。それでは、安全保障そして我が国の防衛に関しての質疑をさせていただきたいと思います。

 小泉大臣、御就任おめでとうございます。

 そしてまた、高市内閣においては、安全保障の問題というのは本当に大きな推進をしている政策の柱であります。組閣以来、小泉大臣は各国を回って国防大臣級との外交交渉等々も行っていたと承知しておりますけれども、特に我が国の安全保障を考える上では、日米同盟というのはやはり基軸として大事な大事なパートナーであると踏まえております。

 先月の二十九日でありましたか、小泉大臣はヘグセス・アメリカ戦争長官と会談を行ったわけなんですけれども、そのとき恐らくインド太平洋地域の安全保障情勢について意見交換を行ったと承知しております。日米同盟の確認、防衛予算の増額、三文書の改定、様々な交渉を行ったというふうに承知しているところでありますけれども、そのヘグセス長官からの反応、あるいはその会談の成果、これをまずお伺いしたいと思います。

小泉国務大臣 おはようございます。本日もどうぞよろしくお願いいたします。

 今、東委員からお話をいただきましたように、私は、就任して間もない時期でありましたけれども、先月二十九日、アメリカのヘグセス戦争長官と日米防衛相会談を行いました。それから間もなく、マレーシアにおきまして今月一日に二回目の日米防衛相会談を実施できたことは大変意義深いことだったと思っています。東京におきましては、約六十分間、極めて率直で実りのある会談を行いまして、急速に厳しさを増すインド太平洋地域の安全保障情勢について率直な意見交換を行い、長官とともに力強いリーダーシップを発揮して日米同盟の抑止力、対処力を一層強化していくことを確認しました。

 そして、今、三文書の改定等お話が東委員からありましたが、我が国として主体的に防衛力の一層の強化及び防衛費の増額に引き続き取り組んでいく決意を伝え、三文書の改定に向けた検討を開始したことなどを説明しました。これに対してヘグセス長官からは支持が表明をされました。

 なお、同日、会談後に共同記者会見を行いましたが、その中でヘグセス長官からは、アメリカから日本に対して何かを要求したことは一切ない、こういった発言があったこと、そして、アメリカ側のプレスの質問に答える形でヘグセス長官からは、日米は相互尊重、共通の価値観、互恵的関係に基づき情勢認識も共有しており、日本に何をすべきかを指示する必要はない、こういった発言があったことも含めまして、私は、かなり意思疎通、個人的な信頼関係の構築といったことについてもいい形の会談を行うことができた、そして内外に対して日米が揺るぎない姿勢を示すことができたのではないかと捉えています。

東(国)委員 そこで、我が国としても対GDP比二%水準を目指すということでありますけれども、その中において、二%といっても、私がちょっと注目したいのは、補完的な取組、そういう予算枠があるんですよね。これは、御承知のとおり、防衛予算ではないかもしれないけれども、科学技術の発展であるとか海上保安庁であるとかあるいは防衛に資する予算として、高規格道路もある、港湾の整備もある、空港の整備もある、即応機動体制といって、北から南へ、南から北へ部隊を移動するにしても民間の飛行機を使い、民間の船舶を使い、そして公共インフラを使う、そういうことになっているものですから、防衛予算ではないかもしれないけれども各省庁の予算でそれをあてがわれるということでありますけれども、公共インフラに関しての整備、その考え方について、今後をちょっとお伺いしたいと思います。

萬浪政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の公共インフラ整備の取組につきましては、これも御指摘がございました研究開発やサイバー等々と併せまして、現行の国家安全保障戦略に基づいて総合的な防衛体制を強化することを目的に、防衛体制そのもののほかに進めるということとなっているものでございます。

 この取組におきましては、自衛隊のほか、海上保安庁も含めまして、平素から必要な空港、港湾を円滑に利用できるように、これまでで全国十四空港、二十六港湾を特定利用空港・港湾としまして、民生利用を主としつつ、円滑な利用に資する整備を実施してございます。また、あわせて、これも御指摘がございましたように、特定利用空港・港湾と自衛隊の駐屯地等とのアクセスの向上に向けて、道路のネットワークにつきましても整備を実施しているというところでございます。

 本取組を通じまして自衛隊、海上保安庁が空港、港湾、道路といった公共インフラを平素から円滑に利用できるようにすることは安全保障環境を踏まえた対応を実効的に行うために極めて重要であると認識してございまして、この取組を更に推進してまいりたいと考えてございます。

東(国)委員 公共インフラ等々の予算なんですけれども、増額しているというふうに承知していますけれども、かなり私は重要だと思いますので、今後の取組と予算の確保を期待したいと思っております。

 それと、防衛力の充実に関してなんですけれども、これはどこの分野でもそうなんですけれども、人手不足というものがかなり顕著であります。しかも、我が国の傾向としては、警察、海上保安庁であったり、そして自衛隊もそうであります。治安を守る、安全、安心を担保する、そういった公職についてなかなか希望者の皆さんがいない、少ない、そういう現状でありますけれども、自衛隊に関しましても二万四千から二万五千人の欠員となっております。待遇面の改善等々、これをやはり一つの大きな政策として推進しようとしておりますけれども、どの点を重点的にしていくのか、お伺いしたいと思います。

廣瀬政府参考人 お答えいたします。

 防衛力の中核は自衛隊員であり、その自衛隊員の人材確保は至上命題です。そのため、自衛官の処遇、生活、勤務環境の改善、新たな生涯設計の確立等に係る各種施策に取り組んでいるところです。

 令和七年度において、過去に例のない三十を超える手当等の新設、金額の引上げ等を行っており、例えば、高卒で自衛隊員の二士となった場合の給与額についても過去最高額に引き上げております。給与面の処遇改善については、中間層を含めた処遇改善につながる手当の拡充、若年定年退職後の給付金の引上げ、基本給である俸給の引上げといった施策を一体的に進めてまいります。

 加えて、若い世代のライフスタイルに合った生活、勤務環境の改善や、女性自衛官の活躍の更なる推進のための生活、勤務環境の構築は不可欠であり、具体的には、隊舎居室の個室化、WiFiなどの通信環境の整備、女性用トイレや浴場、女性用区画の整備など、全ての自衛隊員が職種や年齢、性別、勤務地を問わず、その能力を十分に発揮し、安んじて任務に専念することができるよう、環境の整備に取り組んでおります。

 防衛省・自衛隊としては、現場の自衛隊員一人一人が国防という極めて崇高な任務に誇りと名誉を持ち、士気高く任務に精励することができるよう、自衛隊員の処遇改善のための各種施策をスピード感を持って推進してまいります。

東(国)委員 待遇面での改善、細かく御答弁をいただきましたけれども、概算要求されている中でいわゆる北方手当というのがあるんですね。いろいろな自衛隊の皆さんの手当があるんですけれども、私の住んでいるところというのは厳寒そして豪雪地域、極めて厳しい自然環境なんですけれども、この北方手当が概算要求されている。現在防衛省が考えている内容等々もお伺いしたいと思います。

廣瀬政府参考人 お答えいたします。

 北海道の防衛体制が重要であることは論をまたず、特に道東、道北の駐屯地はその要です。

 現在、防衛省としては、厳しい現場で勤務する隊員の処遇改善のため、各種手当を含む給与、生活に必要な備品等の整備、隊舎の建て替え、更新といった様々な取組を一体的に進めております。

 その上で、御指摘の手当は令和八年度概算要求に盛り込んだものでございます。北海道の官署の中でも、特に北方からの脅威に対処する際の最前線に位置し、沿岸部で脅威を押しとどめるための対処や、道央、本州からの増援部隊の前線の活動拠点の役割を担う留萌、名寄、遠軽、美幌、別海の五つの駐屯地の部隊で業務に従事する職員を対象としております。

 現在、来年度政府予算案の編成過程において関係省庁と調整を行っているところですが、防衛省としては、引き続き本手当についてしっかりと説明していくとともに、同時に、その他の様々な取組も一体として、北の守りを担う自衛隊員の処遇に必要な取組を推進してまいります。

東(国)委員 この手当に関しては、辺境地に関する手当が平成の世からだんだん下がっていって、そしてまた北方手当というのが盛り返していく、そういう面ではかなりやはり重要な手当だと思うんです。同じく大臣にもお伺いしたいと思います。

小泉国務大臣 東委員には、北海道の隊員に対する後押し、いつもありがとうございます。

 今般の道東、道北の隊員に対する手当の要求のベースにあるのは、我が国北方における周辺国の活発な軍事活動に強い関心を持ってしっかりと北の守りを固めていかなければならないという問題意識であります。

 例えば、ロシアは、ウクライナ侵略を行いながら、北海道を始めとする我が国周辺において、単独の行動訓練や中国との共同航行、飛行、各種訓練を実施するなど、活発な軍事活動を継続しています。昨年九月には、ロシア軍機が一日のうちに三度にわたって北海道礼文島北方の我が国領空を侵犯しました。

 このように我が国北方において周辺国が活発な軍事活動を行う中で、この五つの地域は、北海道の厳しい自然環境の下で、オホーツク海から日本海に至る長い海岸線、天塩山地や北見山地といった厳しい地形を含む広大な区域を守る北方の最前線の活動拠点であり、その体制整備をしっかりと進めることが必要だと考えております。このような私自身の認識を含めて、関係省庁に本手当の必要性をしっかりと説明して理解を得るように事務方に指示したところであります。

 なかなか厳しい折衝をやっていると聞いていますが、今の答弁も含めまして、事務方に対してはしっかりとそういったことに理解が得られるようにということの思いは伝えてありますので、引き続き私自身も先頭に立って、北の守りを担っていただいている自衛隊員の処遇に必要な取組を推進していきたいと思います。

東(国)委員 大変心強い御答弁、ありがとうございました。

 残余の質問を用意していたんですけれども、時間になりましたので、これで終了させていただきたいと思います。これからの政策の推進に御期待を申し上げ、質疑を終わらせていただきます。

前原委員長 次に、渡辺周君。

渡辺(周)委員 立憲民主党の渡辺でございます。

 小泉大臣とは三国会連続で同じ委員会におります。また、立場は違えど、安全保障の問題につきまして引き続き前向きな提案をしながら是非議論を進めてまいりたいと思っております。

 大臣の所信に対する質疑ということでございますが、所信にはなかったんですけれども、冒頭、今連日報道されている熊の問題について。大臣は、農水大臣をつい直前までなさっていた、そして環境大臣もなさっていましたから、様々なことについて、熊のことについても、あるいは山林の今の現状だとかいろいろなことについて御意見を持っていらっしゃるかもしれませんが、そういう総合的な立場から是非いろいろ伺いたいと思います。

 秋田県の鹿角市に自衛隊が派遣をされまして、十一月五日から十一月の三十日まで、陸上自衛隊によって、現在、秋田県から示された地域において、箱わなの運搬ですとか、駆除後の熊の運搬でありますとか、ドローン等による情報収集を実施しているわけでございます。十一月三十日までということなんですが、今年の熊の特性は、専門家によりますと、冬眠をしないで人を怖がることもなく町中まで出てきていると。全国でいろいろな事例がありますけれども、事と次第によっては自衛隊の派遣を延長されるということはあるんでしょうか。

小泉国務大臣 まず、渡辺委員におかれましては、過去、三国会連続で大変お世話になりました。

 そして、安全保障の分野では長年継続的に取り組まれている渡辺委員ですから、自衛隊の本来任務、これについては御承知の上でのお尋ねだと思います。

 今回、秋田県につきましては、秋田県知事、元自衛官であります、この秋田県知事からやむにやまれぬ思いで要請がありました。

 そもそも自衛隊は何でも屋ではありません。やはり本来任務である国防を担うべきで、そのための活動に支障が出るようなことがあってはならない、ほかの行政機関が対応できるのであれば、また、ほかの主体があるのであれば、そこがまずは出るべきだと。こういったことがあった上で、当時はまだ警察がライフルを撃つという判断もしていませんでした。そして、なかなか、現場の状況、猟友会の皆さんも、箱わなは約二百キロありますから、相当活動で疲弊をされていて、もう限界だと。こういった中での御要請で、熊に対する駆除をしてもらいたいというわけではなくて、その駆除をやっている方々の後方支援、こういったことをやってもらいたいという要請でありました。

 つきましては、秋田県の今回の状況の特異性なども含めて、今回は自衛隊ができることはやらせていただくという形で、十一月三十日という期限の中での県との合意の下で、今、活動を展開しております。

 もちろん、様々、熊の習性ですとか変わってきた行動などを含めていろいろな状況はあるかもしれませんが、自衛隊の任務、職責また命を預かる大臣として、期限を幾らでも延ばしますよということは私は軽々に申し上げるべきではないというふうには思っていまして、政府としてパッケージができた中で、関係省庁を含めてこれから出ていった中で、対応できる環境ができて自衛隊が引くということが私は一つのあるべき姿ではあるんだろうというふうに思います。

 ただ、今の状況を見て、もちろん今までにないような状況が生まれています、そういったこともしっかり見ながら、基本的な自衛隊の役割などについて県民、国民の皆さんの御理解を得られるような丁寧な説明も併せて必要だと考えております。

渡辺(周)委員 もちろん、今大臣がおっしゃったような、自衛隊は何でも屋ではないというのは分かっています、秋田県知事からはやむにやまれぬということももちろん分かっています。これまでも、鹿の駆除でありますとか様々な形で、また、名目は違いますけれども、鳥インフルのときには災害派遣という名前で自衛隊が出て殺処分をしたこともありました。ですから、自衛隊が様々な事例に応じて対応することはよく分かっておりますし、また、それが本来任務ではないということももちろん分かった上で伺っているわけですが。

 先日、大臣は日本テレビのインタビューで、隊員の命も守りながら、派遣を決めた責任者として最後まで任務を果たすというふうにおっしゃっています。

 十六日には、秋田県鹿角市の自衛隊の活動地域から一キロのところで、おとといですけれども、田んぼで女性が襲われた。まさに、米を作るのも果物を作るのも東北では命懸け。東京の真ん中にいる私どもにはちょっと想像できないですね。ここだけで議論しているのではなくて、やはり現場の状況の深刻さの上で柔軟に対応すべきではないかと私は思うんですね。その点について、つまり、派遣する明確な基準があったわけでも撤収する明確な基準が今回はあるわけでもないので、そこのところは総合的に勘案して是非御判断いただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

 この問題を余り長くやるつもりはないんですけれども、今年だけじゃなくて来年以降も他県から、奥多摩であろうが、私ども静岡県でもそうなんですけれども、熊の目撃等が連日のように報じられています。例えば、一回派遣した以上は全国から、青森県からも岩手県からも長野県からも依頼があれば今後は対応するのかどうか、この点についても御見解を伺いたいと思います。

小泉国務大臣 まず最初に、私がテレビのインタビューで最後まで責任を持ってという発言を渡辺委員から御紹介をいただきましたが、この中の私の思いというのは、県との合意の中の十一月三十日の最後までという思いでお話をさせていただいたのがまずは基本的にはあります。

 一方で、渡辺委員がおっしゃったような、今、これは秋田だけではありませんが、熊の出没が増えている地域の皆さんの生活が一変しているというのは事実であります。私も自民党の秋田県の選出の議員などからも聞いていますけれども、今、家を出る前にあえてドアの鍵を開けない状態でガチャガチャッと音を出して、それから開けないと熊がいたら危ないということで、そういった朝出るときから生活が変わっているし、スーパーにも出るのでスーパーが自動ドアの電源を切って手動になっている、こういった現状も含めたことになっていますので、間違いなく平和が脅かされている、こういった状況に変わりはないと思います。

 一方で、来年どうなるかということは今から予断を持って何かを申し上げるべきタイミングではありませんが、来年のことも含めて政府全体でパッケージをつくって、各省庁の連携の中で取組を発表したというふうに捉えています。

 ちなみに、我々防衛省・自衛隊としては、自衛隊のOBなどに対して狩猟免許、猟銃の免許の取得などを含めて広報も含めた後押しをしっかりとしていく、こういった役割もありますので、その中で適切な役割を果たしていくことが筋なのかなというふうに考えております。

渡辺(周)委員 この質問の最後に、さっき申し上げたんですけれども、東京のど真ん中で我々が頭の中で、あるいはニュースを見ながら判断するようなことではない、自然が相手ですから、ですのでいろいろなことも想定しておかなきゃいけないわけでございます。丸腰で隊員が行く中で、本当に熊の撃退スプレーだけで可能なのかなと。もちろん後方支援ですから、箱わなの輸送ですとか、あるいは猟友会の方とパトロールを一緒にするとか、それが今回与えられた任務ではありますけれども、しかし、大臣がインタビューでおっしゃったような、隊員の命も守りながらといったときには何らかの武器の携行ということも検討すべきじゃないかと思うんですね。丸腰で行って、もし襲われたときには何とかしてくださいというわけにはいきません。

 これは別にむやみやたらに銃を撃てというわけではないんですけれども、やはり現役隊員の方々が何かをできるようにする、行くときに少しでも万が一のときに抵抗する最後のすべを持っているべきだと思うんですけれども、その点についてのお考え方はいかがでしょうか。

小泉国務大臣 私も、率直に申し上げて渡辺委員と同じ思いを持っておりました。ですので、実際、統幕長、陸幕長などとも派遣前に話をしました。

 その結果、地元の猟友会の方々との意見交換の中で、万が一のときに備えて銃を持つ、若しくはナイフ、こういったことで仕留められればいいんですけれども、そうではなかった場合に、手負いの熊になった場合にこれほど危険なものはない、こういったことや、自衛隊員がそもそも熊を撃つ訓練などしていないということと、今回の活動は、約二百キロ近くある箱わなを自衛隊員が運び、その周りを自衛隊員も守り、そして猟友会の方々が銃を持って構える、こういった形のチームで活動している中ですと、そこは役割分担をやった方がいいだろうという判断が最終的に猟友会の皆さんの判断も含めてあったと聞いています。

 特に、よく熊スプレーと木銃の扱いについて御指摘などをいろいろいただきますが、これについても、先ほどの、もしも万が一手負いの熊になったらということも含めた猟友会の方々からの、距離を取って熊スプレーで対応するというのが現時点で一番いいのではないか、こういった助言なども含めた最終的な判断だと聞いております。

 ただ、渡辺委員と思いは同じで、隊員の命を守ることが私としては最優先ということを考えたときに、今後武器の携行を排除するものでは全くないということは申し上げておきたいと思います。

渡辺(周)委員 排除するものではないということで、若干安心しました。

 私たちも、ここで議論するんじゃなくて、やはり現地に本来はここにいるメンバーも当然行くべきなんだろうなと思いながら、都会の真ん中、東京の真ん中で議論をしているよりも、現地に我々も行って、猟友会の方々を始め自治体の方々やあるいは現地の行政機関の方々、住民の方、いろいろな方といろいろな意見交換をしながら、何が求められているかということも一緒に考えていきたいなと思います。

 それでは、所信に対する質問に入ります。

 所信の中で小泉大臣がおっしゃった、台湾周辺における威圧的な軍事活動を活発化させているというふうに触れております。また、中ロの戦略的連携による現状に対して大変な強い危機感を持っている、これはそのとおりでございます。全く認識は一緒です。

 昨年の自民党総裁選で、フジテレビですが、台湾有事、台湾有事といっても何をもってして有事かということについては今日は触れませんが、いわゆる台湾周辺における威圧的な軍事活動が活発化してエスカレートした場合、この場合に、邦人の救出について前提となる同意を得る相手国は中国政府か台湾かという問いに対して全員が台湾と答えた。それもあって、茂木当時の総裁選の候補者、現外務大臣は、独立国であるか否かということよりも、まず何ができるかということだと。そして、小泉大臣は、防衛大臣となられて今はどうかを伺うわけですが、当時、シミュレーションを行う必要があるというふうに答えていらっしゃいます。

 ここで伺いたいんですけれども、いわゆる邦人救出について前提となる同意を得る相手国は中国政府か台湾かということを、その状況によって変わるということで理解してよろしいでしょうか。今もそのお考え方は同意を得るのは台湾だということで、当時の総裁選でのお答えは今も変わっていないということでよろしいでしょうか。

小泉国務大臣 自衛隊法第八十四条の三に規定される在外邦人等の保護措置は海外に広く滞在する邦人等の保護を目的としており、お尋ねの当該外国の権限ある当局については、この法律の目的を踏まえ、その時々の状況に応じて個別具体的に判断すべきものと考えております。

茂木国務大臣 今の小泉防衛大臣と同じ考え方であります。

渡辺(周)委員 この問題は、かねてからずっと、私も様々なシンポジウム等に出まして議論をしたときに必ず言われる、議論をするときに必ず出てくるのは、やはり何といっても、台湾海峡の両岸の当事者間の話合いが平和的に解決される限りの場合は、これはいわゆる二つの中国の問題として、もっと言えば、中国の主張を台湾が受け入れた場合には、いわゆるこれは内戦の一環そして反乱への制圧であって、これは国内問題として、我が国が支援する法的効果というのは失われるわけなんですけれども。

 この場合、私どもとしては、どの時点でエスカレートしていった場合、邦人の退避と、実効支配をしているのは、台湾政府に対する様々な日本が持っているアセットの派遣については当然打合せをしなきゃいけない、ただ、権限的なものといえば、正統政府は中国の北京であるということを考えれば、どのような形でこの整合性を取るかということについて、ずっとこれまでも識者の方々がいろいろ指摘をしてきています。

 この点について、小泉大臣はフジテレビの討論の中で、我が国だけでできること、できないことをシミュレーションを行う必要があるというふうに答えているんですが、防衛大臣になられて、こういうシミュレーションは行いますか、あるいはもう既にやっていますか、いかがでしょうか。

小泉国務大臣 今、渡辺委員がいろいろな仮定を置いてお話をされていますので、台湾有事という仮定の質問についてお答えをすることは差し控えます。

 その上で申し上げれば、防衛省・自衛隊は様々な状況を想定して、部隊運用に加え、制度、政策に関する点を含め、在外邦人等の保護を円滑に実施するためのシミュレーションや訓練を行ってきています。

 一方で、こうしたシミュレーションや訓練の内容の詳細については、緊急事態における自衛隊の対応に関わるものでありますから、お答えが困難であることも御理解をいただきたいと思います。

 いずれにせよ、海外に渡航、滞在する邦人の保護は政府の最も重要な責務の一つであります。防衛省・自衛隊としても万全を期してまいります。

渡辺(周)委員 我々も、前原委員長も私も、政権を取ったときに野田政権で尖閣を国有化しました。あのときも、中国から大変な反発、リアクションがありました。当然のことながら、その後、今日に至るまで日中関係というのは非常に微妙な、だからこそ今もいろいろなことが起きていますけれども、ただ、だからといってフィクションであると思っていたことが現実になったときに慌てることがないように法の空白を埋めなきゃいけないし、そして、今一体何が穴埋めできていないか、一体何に対して我々の現状の中で脆弱かということは、常に安全保障の議論というのは穴埋めをしておかなければいけないわけでございます。

 そういう意味では、別に手のうちを何もさらけ出す必要もないんですけれども、あらゆる可能性について、例えば、ここからは私の独り言として申し上げれば、二つの中国を認めない、中国が正統政府だというのは日本と中国の話の中で決まっていることだ、だとすれば、日中共同宣言の中にある、だから口を出すな、これは中国の問題なんだ、もし邦人を退避させたいんだったら北京の了解が要る、若しくは、ましてや日本の護衛艦やあるいは政府専用機を含めた航空機が飛んでいくことは北京の了解なしにはあり得ないというようなことにもしなったら果たして我が国はどのような対応をしなきゃいけないんだろうということは、常日頃から考えておかなければいけないことだというふうにずっと問題意識としては是非共有して、この新しい内閣においても、中国から何かを言われそうだからそういうことについてはできるだけ安全保障の議論を避けようなどということがないようにですね。

 私は、当然のことながら、これはいつ起きるかということを念頭に置いて、台湾海峡の問題、中国と台湾の問題、そして我が国の、やはりその場合にはまず邦人退避で何ができるか。先島諸島にいる方々はどう避難させるかということは訓練もされていて、いろいろなことが起きていますけれども、では実際に台湾にいる人たちをどういうアセットで退避させるかということはもちろんなんですが、その場合の法的な問題、外交的な問題、そうした問題もこれは相当やっておかなければいけないことだと思いますので、是非またこういう建設的な議論をこの委員会でさせていただきたいと思います。

 十分しかないので、もう一つの大臣の所信の中にございました空母の話ですね。本年六月に空母二隻が同時期に太平洋で活動したという話、これは非常に警戒するべきことでございまして。

 いわゆる第二列島線に位置する小笠原の近海、中国の空母「遼寧」というのと「山東」というのが第二列島線の東西で活動していた、そして、ここには中国が採掘をしようとしている、これは我が国も確認していますけれども、いわゆるレアアースが南鳥島の沖には埋蔵されているということの期待が大変言われておりまして、レアアースを南鳥島沖で採鉱しよう、深海底にレアメタルがある、これは中国もそうだし、我が国も埋蔵を確認しています。

 ですから、ここで当然、軍事的な活動をしながら権益を狙ってくる中国に対して我が国は、小笠原の有人の諸島は硫黄島と父島と南鳥島、あと母島もありますけれども、この四つのうちの母島以外には自衛隊の施設がございます、私も全て行きましたけれども、そういう意味で、中国も狙ってくる第二列島線に位置する小笠原諸島近海の警戒監視あるいは拠点整備、これはこれからますます必要になってくるんじゃないか。

 かつて、動的防衛力の整備ということで、南西諸島にシフトします、南西諸島のいわゆる警戒監視強化、自衛隊の拠点整備、これと併せて、今申し上げた南鳥島、硫黄島、それから小笠原はどちらかというと医療支援、病人輸送が主な任務になりますけれども、こうした施設に対して私たちは更なる拡充をして、中国が狙うレアアースが眠っている太平洋へ防衛省としても国を挙げて関与を強めていかなければいけないというふうに危機感を持ちますけれども、大臣はいかがお考えでしょうか。

小泉国務大臣 その思いは全く同じです。

 今、渡辺委員が御指摘のとおり、中国は遠方の海空域における作戦遂行能力を着実に向上させています。先ほど御紹介があったように、本年六月に初めて硫黄島より東側の海域での中国空母一隻の活動や空母二隻の太平洋側での活動を確認、公表いたしました。さらに、今月には三隻目の中国空母「福建」が就役をしています。こうした周辺国等の動向も踏まえれば、委員が御指摘のとおり、太平洋防衛の強化は喫緊の課題だと捉えています。

 ちなみに、現行の防衛力整備計画におきましても、太平洋側の広大な空域を含む我が国周辺空域における防空態勢を強化するため、太平洋側の島嶼部等への移動式警戒管制レーダー等の整備を推進することとしています。その上で、安全保障環境の変化が様々な分野で加速度的に生じる中で、更なる防衛力の強化と変革が必要であります。

 今後の防衛力の内容につきましては、来年中の三文書の改定に向けて、我が国の主体的判断の下、国民の命や暮らしを守るために何が必要なのか、安全保障環境を踏まえて具体的かつ現実的に議論を積み上げてまいりたいと思います。

渡辺(周)委員 問題意識は、私も同じ思いを持っております。実際、与党時代に、私も防衛省で三役をしたときに硫黄島にも南鳥島にも小笠原にも行きました。御存じのとおり、南鳥島は絶海の孤島でございます。そしてまた、硫黄島は当時よりももっと噴火して、いわゆる厚木の空母艦載機訓練が今度は硫黄島に行き、それもまたできなくなる、だからこそ馬毛島も急がなきゃいけない、今は岩国で訓練は代替しているわけなんですけれども、ここは本当にいまだに生きているところでございます。硫黄島というところに何らかの新しい整備拠点をつくるのは、これはなかなか、例えば港を造るとか、相当難しいんじゃないのかなというふうに実は思うんですね。

 そういう現状を考えると、当然のことながら、中国が今狙っている、これは常態化すると思います。そのような文書を今日は説明する時間はないんですが、既に、レアアースの採掘をめぐって、軍と資源開発をセットにしてやろう、レアアースの中国の優位性を日本に突き崩されることがないように、彼らは独占を引き続きしようと。ということで、今後、軍と一体になってやってきたときに、日本の今申し上げたような小笠原の近海における我が国の施設は残念ながら今のままではとても太刀打ちできないんじゃないか、ですから当然ここに、演習もそうなんですけれども、何らかの警戒をもっと更に強めるための整備を考えるべき。

 もっと言えば、可能かどうか分かりませんが、最近できた西之島という島があります、まだ噴煙が上がっているかもしれませんが、例えばここが活用できないのだろうか、あるいは小笠原諸島にあるそれ以外の無人の島がありますけれども、こういうところを活用できないのだろうか、こういうことも含めて様々なことを考えていかないとですね。中国が、資源開発、特に、例えば沖ノ鳥島なんかも、あれは島じゃない、岩だと言って認めていない、彼らの独特の考え方で、あれは日本のEEZの及ぶところではないんだということを言っています。まだどんなことをまたこれから展開してくるか分かりませんけれども、第二列島線への我が国の関与につきまして是非もっと力を入れていただきたいと思います。大臣、どうですか、この点。

小泉国務大臣 今、防衛力の強化が早急に求められているところで、渡辺委員からも後押しの思いを述べていただいたことは大変心強く思っています。

 特に、渡辺委員、そして前原委員長を含め、当時の与党時代に防衛の政務を含めて機微な情報に触れた立場の方が、私や、そして今、与党席にも歴代の防衛大臣の方々、渡辺委員を含め野党の中でもそういった方々が、機微な情報に触れた責任として、いかに、なかなか国民の皆さんに説明をしたり国会で答弁をするには制約や限界がある中でも、その重みを、そして緊張感を含めて理解を得られるような説明を共に与野党を超えて果たしていくということがいかに重要か、私も今痛感をしておるところです。

 どうかこれからもそういった後押しを与野党の垣根を越えていただきながら、日本の国民の命、そして領土、領海、領空、平和な暮らしを守るために皆さんとともに防衛政策の強化に努めてまいりたいと思います。

渡辺(周)委員 所信の中でも、所信に限らずですけれども、必ず、今我が国を取り巻く安全保障環境は戦後最も厳しく複雑だということが何度となく出てきますし、また、防衛力の抜本的強化という言葉もとにかく何回も出てきて、例えば九月の有識者会議の報告書を見ても、びっくりするぐらい、抜本的強化という言葉が一ページに四回も五回も出てくるんですね。具体的にどうするかとなった場合に、領土、領海に対して、我が国の一番脆弱なところに是非、今後の中で小笠原近海の周辺の強化を是非ともしっかりと具現化していこう、そのことをここではお訴えさせていただきまして、また次の機会に質問をさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

前原委員長 次に、重徳和彦君。

重徳委員 立憲民主党の重徳和彦です。どうぞよろしくお願いいたします。

 高市総理が就任早々、鮮烈な外交デビューを果たされました。私はこの週末、昨日まで韓国に、日韓議連、超党派で行ってまいりました。本委員会におきましても、長島委員が議連の幹事長でいらっしゃいましたし、和田理事もいらっしゃいましたし、中谷先生もいらっしゃいました。そういうメンバーで行ってきたわけなんですけれども。そこでは、日韓関係については李在明大統領も高市総理に会うまでいろいろ心配していたけれども心配事は全て消えたというようなコメントを残したということが、議連の場でも先方の韓国の議員側からもしきりに言及があったということで、本当にトップ次第というところが非常にあるなということを感じてまいりました。

 一方で、今、中国との関係では、高市総理の予算委員会での答弁をめぐって中国が敏感に反応しております。今も外務省から金井アジア大洋州局長が中国に向かわれて、今日にも中国の政府高官と会談をされるというふうに報道されているところであります。特にやはり経済面で、安全保障はもちろんなんですが、経済面での影響は経済に携わっている全ての日本国民の皆さんが心配していると思いますし、折しも七月―九月のGDP速報値も年換算でマイナス一・八%という数字で、中国との経済関係に悪影響が出てくると非常によろしくないことになるというふうに思っております。

 そこで、まず金井局長が現地でどのように事態の打開に向けた第一歩に手をつけるのかということもありますが、そう容易にそれだけで進展するとも思いません。しかし、一方で、今申し上げましたように経済などへの悪影響は非常に深刻になりかねないので、できるだけ早く事態を打開していただきたいと思います。こういうときに自民党の皆さんは、幅の広い、中国とも話ができる方が中国と対話をしたりとか、いろいろな形で事態を打開してきたと思います。二十二日からはG20もあります。そこで日中の首脳会談も行うというのがいいのではないかというふうに思います。こういったところで、百戦錬磨の茂木大臣、これからの事態の打開に当たっての展望をお答えいただきたいと思います。

茂木国務大臣 重徳委員の方からお話がありましたが、御指摘の中国の反応につきましては、今、金井アジア大洋州局長が中国の方に行っておりますが、これまでも我が方から、高市総理の答弁の趣旨と我が国政府の立場について、中国政府に対しては様々なレベルで説明をしっかりと行っているところであります。

 また、中国側の一連の措置、今は観光の自粛であったり、どちらかといいますと、経済のお話が今ありましたが、人的交流、これを一部制限する、こういう形でありますが、政府としてそういった影響がどうなっているのか見極めながら、引き続き状況を注視して適切な対応を取ってまいりたい、このように考えておるところであります。

重徳委員 小泉大臣からもコメントがあればお願いします。

小泉国務大臣 まず申し上げておきたいのは、十一月七日の衆議院予算委員会における高市総理の発言は従来の政府の立場を変えるものではないということであります。その上で、今般の一連の中国側の反応については、首脳間で確認した戦略的互恵関係の推進あるいは建設的かつ安定的な関係の構築、こういった大きな方向性とも相入れないものだと考えております。

 外交上の対応につきましては、今、茂木外務大臣から御答弁があったとおりでありますが、防衛省としても、引き続き平素からの警戒監視に万全を期すとともに、我が国周辺の軍事動向に対して強い関心を持って注視しながら冷静かつ毅然と対応していく考えであります。

重徳委員 トップの発言が元になった案件でありますので、トップ同士で決着をつけるというのは一つ有力な選択肢だと思いますが、G20における日中の首脳会談の見通しについて、外務大臣からあればお願いします。

茂木国務大臣 この週末、南アにおきましてG20の首脳会談が行われるわけでありますが、そこにおけます様々なバイ会談も想定されますが、現在において、どういうバイ会談を設定するか、決まっていることはございません。

重徳委員 冒頭の質問はここまでとしておきたいと思います。

 さて、新たな総合経済対策というのが今週中にも政府の方でまとまるという方向だと聞いております。その中で、防衛費に関しましては対GDP比二%水準の前倒し措置ということなんですが、補正予算には幾らぐらいの金額が計上される見込みなんでしょうか。

小泉国務大臣 安全保障関連経費の対GDP比二%水準は、金額としては十一兆円程度であります。その上で、この二%水準に必要となる金額は、令和七年度当初予算においては九・九兆円を計上しており、単純計算ではその差は一・一兆円程度となりますが、いずれにせよ補正予算の具体的な内容については引き続き精査を進めてまいります。

重徳委員 防衛力を強化するという方向性については、これはどの党が政権に就いても同じ方向なのではないかと私は思っております。立憲民主党も、特に自衛隊の人的基盤については、党内最大の議員連盟が、自衛隊員応援議連という議連がありまして、いつも言っていますけれどもね、百数十人規模の議連がございます、人的基盤には力を入れているところであります。その一方で、よく小泉大臣も予算委員会などにおいても、極めて速いスピード感で新しい戦い方というものが登場する中で防衛力強化、整備というものが急務なんだという話をされていますよね。

 金額的にどのぐらいが本当に一番正しいのかというのは、これは実際に積み上げてみて、そして国会でもそれを審議する中で見出されるものだとは思いますが、全体的に言うと、私の印象論も含めてですが、十年ぐらい前はいわゆる従来の正面装備というものがあって、これをFMSで購入する、爆買いだとかアメリカから買わされているとか、こういうのが割と大きな問題になっておりました。ですけれども、その後、宇宙、サイバー、電磁波といった新しい領域があるんだとか、ウクライナの実戦を見ると無人機、ドローンというものが非常に多用されている、戦略的な戦争における成果といいましょうか結果を出している、こういうことも見て取れる、そして今やAIだということで情報戦が本当に大混乱、このような状況で、人もそれに備えて育てていかなければいけない、やることがどんどんどんどん増えるんですよね。

 二%水準に額ありきでするのもどうか、こういう議論もある一方で、まともに全部やろうとしていたら幾ら金があっても足りない、こういう状況になりかねないと私は率直に感じます。ですから、少しめり張りをつけた防衛費の計上ということも一方で考えていかないと、日本の厳しい財政状況の中で何をどこまでできるのか、何かに力を注ぐのであれば何かを削らねばならない、こういうことも考えておかないとですね。そして、それは国会も含めて一定の合意といいましょうかね、よくもんで予算を作っていくということをやらないと、あれもやる、これもやる、あれもやれ、これもやれ、これではやはり国としてももたないと思いますが、このめり張りについてどのようにお考えでしょうか。

小泉国務大臣 ありがとうございます。

 めり張りはもちろん、予算の効率的な執行なども含めて大事なことだと思っております。

 一方で、新しい戦い方と言われて、今、ドローン、これは各国の防衛大臣会合などでもドローンの話題が出ないことがないぐらいの状況でありますし、アメリカは最近、陸軍長官が、二、三年でドローンを百万機調達すると。このスケールで各国が動いている中で日本はどうするのかという課題もあります。

 また、新しい戦い方が急速に既存の戦いになってきていて、日本独自の新しい戦い方は何なのかということを構想して、それを実際に実現していくということが求められている中で、さらに、古い戦いと言われかねなかった戦車での戦いや、ざんごうの中でとか、こういったことも今現実にロシア、ウクライナの中で行われているということも含めて、新しい戦い方があるからこちらは完全に要らないかと言われると、そういったことでもない。

 いろいろな幅広い議論が必要だと思いますので、三文書の改定、この作業の中で、今の三文書の中ではAIに対する記述などは限定的なこともありますので、足らざるところは何か、そして、重徳委員がおっしゃったような、どのような形で国民の皆さんにも御理解いただけるようなめり張りをつける中で防衛力の変革を成し遂げていくのか、こういったことの観点はもちろん大切なことだと捉えています。

重徳委員 大切という言及に取りあえずとどまりましたけれども、これは財政を維持し健全化する中で取り組まなきゃいけない課題ですよね。そうすると、どんどんと新しい戦い方に備えて全部やりますみたいな方向性だと、めり張りをつけるにしても、どんどん拡大していくという方向になるとすると、やはり財源をどうするんだという話になると思います。所得増税も、これまでの計画の中でも既にいつかやるということには一応なってきたわけでありまして、これは、いつやるのかと聞いてもこれから考えるということなんでしょうけれども。

 ただ、小泉大臣が予算委員会でよく、機微な情報に触れる中で、要するに防衛大臣としてしか知り得ない情報がある中でどのようにこの厳しさを伝えていくのかが大きな問題なんだという問題意識を述べられたのを私は聞いておりましたが、やはり財源との兼ね合いで語らざるを得ないような場面も来るのではないか、すなわち、幾らお金があってもこれではこの厳しい安保環境に対応できない、これ以上は国民の皆さんに増税をお願いしないといけない、こういう局面だって来るんじゃないかと私は思います。

 それをしなくてもその中で収めるというのが基本線だと思いますが、世の中ももっと防衛力を強くしろ強くしろと言うけれども、誰かが負担してくれるんだろう、あるいは赤字国債で何とかなるんじゃないか、こういうふうにそれは一般の国民の皆さんは思われるかもしれない、だけれどもやはり政治家としては財政にもきちんと責任を持たなきゃいけない、そういう意味において、これ以上何かをやるためには国民の皆さんの負担も必要なんだ、こういう論もしかけていくことによって初めて、小泉大臣が伝えようとしていることが、ああ、自分たち自身の問題なんだというふうに国民の皆さんに伝わる面もあるのではないかと思うんですけれども、その辺り、何か所感があればお願いします。

小泉国務大臣 その思いは分からなくもないんですが、一方で、防衛力またそれに伴うものはコストなんだということだけの受け止めを変えたいとは思っているんです。

 今、これは日本維新の会そして自民党の間での合意の下で、その重みを踏まえて五類型の撤廃を含む対応についての議論、検討などが進んでいると思いますが、昨日、私はインドネシアの国防大臣を横須賀にお連れして、海上自衛隊の潜水艦そして護衛艦なども見ていただきました。日本の技術、装備などが必要とされているというところに対して我々ができることの余地を広げていく、こういったことは防衛力また防衛と経済の好循環を生み出すこともできる、そして、今までのデュアルユースがなかなか進まなかったということを開いていくことによって、国民生活の様々な面での利益、そういったことを還元していく、こういったことも含めた御理解をいただけるような説明も併せて大事なことだと思っております。

重徳委員 正面からのお答えではなく感じましたけれども。私が申し上げたことも、防衛力すなわちコストとまでは言いませんけれども、過去の歴史を見ても、戦争状態に入れば多額な、莫大な財政資金が必要になって、そのための戦費調達をどうするか、これは非常に大きな、国の経済を、国民生活を揺るがす話なので、その辺りについてはやはり財政との兼ね合いというのは真剣に頭に置いて予算編成に取り組んでいただきたいと思います。

 それから、今ちょうど導入としてはよかったんですけれども、五類型の撤廃の話、これは維新との連立協定の合意書の中に盛り込まれております。五類型、すなわち防衛装備の海外移転を認め得る案件として、今五つ、救難、輸送、警戒、監視、掃海に係る完成品を移転することは許容されているということですが、これはいわばポジティブリストになっているんですね。ですが、それ以外のことは許されていないのが現状です。これを撤廃し、防衛産業に係る云々の施策を推進するという合意書になっております。

 私はこの安全保障委員会に六、七年前からずっと委員であり続けておりますが、その当初から、日本の防衛産業の振興というのは、物づくりのメッカ、愛知選出の議員でもありますし、ここは非常に重要なところだと思っております。そして、防衛産業というものは防衛力そのものだというように所信の中でも小泉大臣は述べられております。それは全く賛同しているところでございます。最先端の技術開発を行うためにも、例えば海外の各国との共同開発をしていくことも大事だし、それはコスト削減のためにも販路拡大のためにも重要であるというようなことなのであろうというふうに思っておりますけれども。

 今までのところ、なかなか進まないとは言われつつも、しかし次世代戦闘機をイギリス、イタリアと一緒に共同開発するというGCAPが始まったところでありますし、「もがみ」型の護衛艦についてもオーストラリアに移転していくというようなことが決まってきたところでありますから、やはり日本がもう一つ大切にしなければならないことは、世界でどんな紛争があっても日本の兵器で人が殺されるということはないんだ、この平和のブランドというのは私は極めて重要な日本の象徴だと思っています。ここを維持せずして防衛産業の発展のためにというのは非常にジレンマなんですけれども、本当にぐっと耐えなきゃいけないところだと思っております。

 したがって、五類型については基本的にはこれを維持するべきだと考えておりますけれども、だけれども、やるのであれば、一つずつ、では何を加えていこうかという、ポジティブリストを一つずつ増やしていくとか、そういうことから考えるべきなのであって。これは維新さんに言った方がいいのかもしれないけれども、撤廃ということをずばっと書いちゃうと際限なく膨らんでいってしまう可能性がある、この辺りは国際的な日本のポジションとしてずっと先人が積み重ねてきた平和というステータスに対して非常に深刻な問題になりかねないと思いますが、この辺りは、小泉大臣、どのようにお考えでしょうか。

小泉国務大臣 まず、今の点につきましては、今日は小野寺安保調査会長もいらっしゃいますけれども、今後与党の中でも、五類型の撤廃などを含めてどのように進めていかれるか、こういった検討、議論も進むと思いますので、我々政府の立場としても、政府の関係省庁との連携に加えまして、与党ともよく相談をさせていただくことだと思っております。

 ちなみに、重徳委員からは、ポジティブリスト、こちらにすべきではないかというお話がありましたが、過去の議論において、重徳委員のような御指摘のお考えもあれば、ポジティブリスト方式は類型に該当するか否かの判断が難しいケースが生じ得ることや安全保障上重要な装備移転を適時適切に実施できないとの見方もあり、様々な御意見があるものと承知はしています。

 近年、同盟国、同志国との間で防衛装備・技術協力が拡大をしていますが、安全保障上の必要性に加えて、日本の装備品の高い技術力に対する世界からの期待があるとも評価でき、こうした観点からも地域の平和と安定に貢献することは重要なことだと思っています。

 なお、一例として申し上げれば、退役予定の護衛艦の調達に関心をお示しいただいた国もありますが、こうした同盟国、同志国との議論も踏まえながら、運用指針の五類型は今のままでよいのか、我が国にとって望ましい安全保障環境を創出できるのか、こういった点を不断に検討していく必要があると思っております。

重徳委員 現時点は与党での話を踏まえということなので、今の御答弁も含めてこれから注視していきたいと思っております。

 先ほど日韓議連の話をしました。日韓では、去年の六月、シャングリラ会合で当時の木原防衛大臣がいわゆる火器管制レーダー照射事案については再発防止対策を合意され、日韓の防衛交流、防衛協力というものが進んできたところだと思っております。

 と思っていたら、週末のニュースで、海上自衛隊と韓国海軍の共同訓練、月内開催が見送られた話とか、韓国軍の音楽隊が自衛隊音楽まつりへの参加を見送った、こういうニュースも入ってまいりました。順調に進みつつあるところかなと思っていたんですね。日韓議連でも非常に雰囲気がよくて、いわゆる政権政党が替わっても今までと変わらず外交、安全保障をしっかりやっていこう、こういう雰囲気だったんですけれども、今申し上げましたような事案が発生していることについて、こういうことも含めて今後の見通しなどをお話しいただければと思います。

小泉国務大臣 韓国との間では、共同訓練を含めて防衛協力・交流に関する様々なやり取りを行っていますが、その逐一についてお答えすることは差し控えたいと思います。

 ただ、先ほど重徳先生がおっしゃったように、様々なことがあって平たんな道ではなくてもしっかりと対話、交流をこれから続けていく、そういったことにおいて変わりはありませんし、地域の安全保障環境が厳しさと複雑さを増す中で、日韓そして日米韓、この連携がますます重要となってきているのは論をまたないところだと考えています。

 そして、これまで日韓、日米韓の防衛当局においては、大臣同士の間での意思疎通のほかにも、幕僚長級そして実務者級や現場の部隊の間、こういった様々なレベルで緊密に意思疎通を図り、防衛協力・交流を推進してきました。

 日韓においては、特に御指摘の昨年六月に日韓防衛当局間の懸案に対する結論が得られて以降、日韓間では防衛大臣の往来に加え韓国の練習艦隊の寄港など防衛協力・交流の推進に積極的に取り組んでまいりました。

 私も、先日、十一月の一日にマレーシアで安長官と日韓防衛相会談を実施して、今日は中谷先生がいらっしゃいますけれども、中谷大臣のときに九月に行われた防衛相会談の合意事項を着実に実施して推進していくことで一致したところでもあります。しっかりと連携、維持強化していきたいと思います。

重徳委員 日韓関係については、私自身も、今年の一月に尹大統領がちょっと政変があって混乱していた政局の中で韓国を訪問し、いわゆる議員外交という形で当時の野党、共に民主党の各議員とも話をし、結果、李在明大統領になったわけですが、これからどなたが大統領になってもしっかりと日韓関係を政府レベルにおいても維持できるように取り組もう、こういった議員外交に議連あるいは各議員の活動としても取り組んでいますので、これからも政府と一体となって健全な、良好な日韓関係をつくっていきたいというふうに思っておるところです。

 最後になりますが、私は一九七〇年生まれです。茂木大臣は少し先輩であります。小泉大臣は少しお若くございますけれども、いずれも共通するのは戦後生まれの政治家であるということであります。

 先日、十月十日に石破前総理が戦後八十年所感というものを出されました。それは、さきの大戦が避けられなかった、国内の政治システムはなぜ歯止めたり得なかったのか、こういう問題提起をされているわけでございます。斎藤隆夫衆議院議員の反軍演説、そして除名といったくだりもそこには書いてあります。軍事費が特別会計に計上されてなかなか手がつけられない状況だった話、政治家の暗殺が相次いだ話、特に国際協調だとか軍を統制しようとしていた政治家が多数暗殺された、こういう話もございました。

 そして、今日への教訓としては、文民統制というのは当たり前のように今はありますけれども、運用が大事なんだという話が述べられました。国会議員、議会人たるものはポピュリズムに屈しないこと、縦割りを乗り越えて政府をチェックすること、ジャーナリズムも使命感を持て、歴史に学べ、こういう話がありました。

 小泉大臣の所信では、我が国の安全保障環境は戦後最も厳しく複雑なものという言葉がございました。歴代大臣もそのように述べられていると思いますけれども。しかし、戦後、我々は戦争を体験したことはないわけですから、学ぶべきものは戦前しかないわけなんですね。

 そういう意味で、私、猪瀬直樹さんの「昭和十六年夏の敗戦」、これも韓国行きの飛行機の中で読破をいたしました。

 その中に登場するのは、昭和十六年、すなわち一九四一年ですね、開戦前の夏、総力戦研究所というものができて、そこには、三十代の若き、しがらみなき三十六人の官僚、民間人、軍人が集まって、結論的には、アメリカとの戦いには勝機はない、日米開戦は何としてでも避けねばならないんだという結論が出たにもかかわらず、実際には、鈴木貞一企画院総裁が時の内閣や御前会議への提言として、石油は南方を占領さえすれば、インドネシアの油田さえ押さえれば三年ぐらいはもつんだ、こういう話をすることで開戦に至ったということです。

 これはしかし鈴木さんが悪いという話ではなくて、開戦やむなしという空気に包まれていた、こういう中でちょっと言ってみたぐらいの感覚しか鈴木総裁は持っておられないのではないかと猪瀬さんは論評されているわけですけれども。このように、開戦するかしないかということは空気の中で決める、そして、開戦までは考えるけれども、どうやって終わらせるかは曖昧だ、これが日本だ、アメリカというのは戦争が終わった後にどうその国を統治するかということまで考える、この日米の違いがあるんだということも鋭く指摘をされているということでございます。

 長々申し上げましたけれども、私が思い起こしても、私が中学生ぐらいのときに学校の社会の先生が、君らは信じないかもしれないけれども、戦争を体験した先生たちがいなくなったら、あなたたちが大人になったら好戦的になって勇ましいことを言う人たちが必ず出てくる、こういう話もありました。政治家としては、今申し上げましたような、石破前総理や猪瀬さんの御著書なんかがむしろ大いに参考になるのではないかというふうに思いますが、小泉大臣と茂木大臣から、戦後生まれの政治家としてのこれからの取組についてお考えをお聞かせください。

前原委員長 時間が迫っておりますので、簡潔にお願いします。

小泉国務大臣 簡潔にということでありますが、平和国家の歩みをゆるがせにしてはならない、この思いは全く変わりません。一方で、平和を守り続けていくためのコストというものは非常に高くなっている現実を直視しなければならないということも思っています。

 この厳しい安全保障環境の中でも、今、自衛隊の隊員は二十四時間三百六十五日の体制の中で平和を守り続けるための任務に当たっています。そのことに一人でも多くの国民の皆さんに思いをはせて御理解いただけるように、平和を守るためにも防衛力の強化に御理解いただけるよう、大臣としての職責を果たしてまいりたいと思います。

茂木国務大臣 今年は戦後八十年を迎えるわけでありますが、我が国は、戦後一貫して平和国家としての歩みを進めて、世界の安定と繁栄に力を尽くしてきたわけであります。

 戦没者の方々の貴い命と苦難の歴史の上に築かれた今日の平和の貴さを我々の世代は重徳先生も含めて改めて胸に刻んで、戦争の惨禍を二度と繰り返さない、こういう揺るぎない決意というのを貫いていくことが重要でありまして、その意味でも、外交の力といいますか、外交によってどう物事を解決していくか、懸案を解決していくかということは極めて重要だ、こんなふうに考えております。

重徳委員 ありがとうございました。

 終わります。

前原委員長 次に、篠原豪君。

篠原(豪)委員 ありがとうございます。篠原豪でございます。

 引き続き質問をさせていただきます。時間も限られておりますので、端的にお答えいただければと思いますけれども。

 まず、大臣の地元と私の地元は実は隣同士でして、米軍の基地がありますが、浦郷の倉庫は私のところからでも距離にして三、四キロですので非常に近い。そういった中で、基地の方々からお話を聞く機会も多うございます。まずそこの点で教えていただいたことから伺っていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 在日米軍基地で働く基地従業員さんが、今、日本では二万五千名を超えています。その中で、横須賀米海軍の基地においても五千名を超える方が働いています。これらの方々は、在日米軍の円滑な基地運営を支えるために日本の援助で従事されて、雇用主は防衛大臣ですので小泉大臣ということになります。そして、使用者は米軍という形を取っています。公務員ではないという特殊な環境の下で、それでも日々懸命に仕事に従事をしていただいている。

 これらの基地従業員の方々の労働条件なんですけれども、国家公務員準拠というふうに一応されているんですけれども、実際には米軍の同意が得られないために非常に劣悪な環境になっていますよというお声をいただいております。労働組合も防衛省と何度も交渉をしているんですけれども、進展がないことが本当に多いということでございました。

 一例を申し上げますと、定年の六十五歳までの延長、そして傷病休暇の延長、祝日格差の話は昔からありますけれども、国家公務員の水準に準拠していないということがあります。

 そして、今特に問題とされているのが、改正育児・介護休業法について、これは改正された部分が基地の従業員さんにはいまだ非適用だということでございます。これは違反状態だということでありますので、従業員さんは改正の恩恵を受けられないんですが、どうにかなりませんかという声なんですね。

 基地の安全性についても、衛生面については、アスベスト含有の可能性がある建材について検査しないまま作業をしたり、粉じん高所作業についても、日本の法令があるんですが、それが守られない形で今行われているということで、前近代的なことが残っているんだよということでございまして。

 こういった状況は、大臣、全部横須賀基地の話なんです。我々の地元の横須賀基地の話なんです、具体的な。でありますので、この機能がやはり最大限に、基地従業員の方々は日々献身的に日米同盟を支えて、米軍を支えているわけですよ。そういった方々の労働条件が劣悪だということになれば、最近定着率も余りよくないということでありますし、魅力的な職場に是非していただきたいというんですが、政府が前向きに本当に捉えてくださるのかという声が上がっていますので、このことについて、雇用主であられる小泉防衛大臣から基地従業員の方々に、また横須賀ですから、その横須賀の皆様方に、これらの問題を解決していくかどうか、米軍に働きかけていただけるのかどうか、このことについてお答えをいただければと思います。

小泉国務大臣 篠原先生は隣の横浜ですから、御事情をよく御存じの上での御質問だと思います。

 なかなか、自民党ですと、労働組合の方々とのおつき合いというのは皆さんと比べたら余りないかもしれませんが、横須賀はちょっと事情が違いまして、在日米軍の横須賀基地の道路を渡って向かい側に全駐労の事務所があるんです。私はそこの中にも入れていただきまして、そこで労働組合の皆さんから、今、篠原先生がお話をされたようなことも含めて、お話を伺ったことは何度もあります。

 これは私が防衛大臣になる前から、米軍基地の中で働いていただいている日本人従業員の皆さんというのは、まさに同盟を現場で支えていただいている大切な方々なんだ、米軍にとっても、この方々の存在がなくなったらそもそも米軍も困るでしょう、こういった思いで、少しでも働き方そして労働環境の改善、こういったことが前に進まないか、私も思いを持ってまいりました。

 ですので、今御指摘のありました六十五歳までの定年年齢の段階的な引上げ、そして傷病休暇の延長、祝日の更なる追加、介護休暇の更なる有給化、改正育児・介護休業法の適用など、引き続きアメリカ政府との協議をしっかりと行い、駐留軍等労働者の雇用の安定や適切な労働環境の確保に努めてまいりたいと思います。

篠原(豪)委員 日本政府が基地従業員の雇用主ですから、国内労働法を適用する主体である以上、米軍でなくて日本政府がしっかりと基地労働者の権利保護を主体的に行うというのは大事なので、今おっしゃいましたけれども、在日米軍基地の機能をきちっと発揮していただくためには、ここを足下で支えている従業員の方々、これを最大限発揮させるためには本当に大事なので、大臣におかれましては、くどいようですけれども地元の問題でもありますので、くれぐれも小泉大臣の時代にしっかりと御対応いただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

 質問の順番を、今質疑がありましたので、変えさせていただきたいと思いますが、原子力潜水艦についてお伺いをしていきたいと思います。

 原潜についてなんですけれども、小泉大臣が民放の番組で、原子力潜水艦の導入について、周りの国々は原潜を持つ、今までのようにディーゼルか、それとも原子力かの議論をしていかなければならないくらい日本を取り巻く環境は厳しくなっていると述べられていまして、前向きな姿勢を表されたんじゃないかというふうに報じられています。

 九月に、防衛力抜本強化に関する有識者会議というところがあるんですけれども、ここで、原潜は既存のディーゼル潜水艦に比べ航行可能時間が圧倒的に長く機動性に優れるといった作戦上の利点があるため、防衛省設置の今の委員会や有識者会議において、ミサイルの垂直発射装置ですね、これはVLSというんですけれども、この搭載の潜水艦について、原潜導入を念頭に、次世代の動力を活用するよう検討するということを提言して、自民党と日本維新の会が結んだ連立合意でも、次世代の動力の活用の潜水艦保有を推進するというふうに書かれているんですね。

 私も、先ほど大臣が基地に行かれて潜水艦を視察していただいたという話がありましたけれども、「じんげい」に乗せていただきまして、「たいげい」型潜水艦で、昨年就航した一番新しいやつなんですね。軍司令にも来ていただいて、艦長と日本の周辺の動向について意見交換をして、また、指揮所の新設備も触らせていただいたり、御説明を受けて、これは新たに設けられた女性の区画もありますので、そういったところも見てきたところでございます。

 その上で今日は議論をさせていただきたいんですが、日本周辺では確かに中国とロシアが原潜を保有しています。北朝鮮も弾道ミサイルを発射できる原潜の開発を目指しています。韓国やオーストラリアもアメリカから導入するということになっています。周りの国が導入したから我が国も導入するというのは、根拠が、ちゃんとお話しいただかないとよろしくないというふうに思っていまして、今の状態ではいささか乏しいと考えています。でありますので、例えば中国やロシアなどの潜水艦の追跡活動に支障があって原潜でないと捉え難いとかいった、原潜導入の明確な理由、検討する理由を国民の皆様にお示しいただければと思います。

小泉国務大臣 あらゆる選択肢を排除せずに、そのメリット、デメリットも含めて、国民の命と平和な暮らしを守るために何が必要かを議論する、検討するということは、潜水艦の次世代動力を何にするかということに限らず、あらゆる議論にとって当然のことではないでしょうか。

 今、周辺国が原子力潜水艦を持っている。そしてまた、韓国やオーストラリアについてはこれからアメリカの協力の下で原子力潜水艦を保有していく。だから日本が持った方がいいと言っているのではなくて、こういった周辺の戦略環境の変化を踏まえた上で、では日本は潜水艦として今までのようにディーゼルなのか原子力なのか、そういったことも検討する必要はあるという、決め打ちをしているわけではなくて、議論する必要性を私は申し上げております。

 国民の皆さんにも、こういった日本を取り巻く環境についても、共に認識を近づけるためにも、私は議論は引き続きやはり必要なことだと思っております。

篠原(豪)委員 ですので、例えば、具体的な、どのようなことが必要だから、太平洋のように広大なところでは水深も深いです、潜航時間も長いから、だからこれは機動性に優れる原潜の優位性が際立つことになるからとか、普通にお答えいただければ僕はいいことだと思っていて。というのは、今のお話だと、僕は原潜の話を今日しますので、また違うときには違う話をさせていただきますけれども、国民の関心事ということでお願いをさせていただいたところでございます。

 やはりメリットとデメリットが当然ございます。日本は、原子力潜水艦に使用される高濃縮ウラン、HEUですけれども、発音が悪かったら申し訳ないですけれども、これは核兵器の製造にも転用可能です。なので、平和国家を建前とする日本の外交を今度はそこの部分もどう考えるかということも、艦艇の能力だけじゃなくて、そういうところも一緒に話をしていかなければいけないということで伺っていきたいと思います。

 原子力潜水艦は、核燃料を今申し上げましたように濃縮することで小型、高出力、長寿命の炉心が可能になるので、燃料は今申し上げましたHEUを使うんですけれども、アメリカやイギリスでは事実上ほぼ兵器級に相当する約九〇から九五%の濃縮度が長年用いられてきたというふうに報告されています。

 原潜を今持っている国はどこかというふうに冷静にもう一度見直してみると、これは核保有国のアメリカ、イギリス、フランス、ロシア、中国と事実上の核保有国と言われているインドの六か国だけなんですよ。この高濃縮ウランの活用と核保有国の彼らがやっていることというのは矛盾がないんです。自分のところで核も持っていますし、高濃縮ウランを使っている。非核保有国の日本が原子力潜水艦を導入して、燃料に事実上の兵器級核物質である今の高濃縮ウラン、HEUを用いるとなると、現行の法制度、国際約束、原子力政策の根幹とは、今までの方針とは矛盾を、根幹からちょっと違う話になってくるので生じていくというところの議論を乗り越えていかなきゃいけないということになります。

 原子力基本法の第二条には、基本方針なんですけれども、原子力の研究、開発、利用は平和の目的に限り行うと明記をしているので、潜水艦動力への利用はこの平和の目的に反するのではないかということはずっと言われてきました。

 この平和の目的は、一九五〇年来、一貫して非軍事目的と、まあ、だからあれですね、シビル・ユーズ・オンリーと書いてあるんですよ、と解釈されており、法改正なしに自衛隊が原子力を用いることは現状は明白な違法になるということです。でありますので、この法律の看板である原子力の平和利用を守りながら例外を認めさせる修正を行うことが論理的に認められるのかどうかということを現時点でどう考えていらっしゃるかということを、政府の見解をお伺いします。

萬浪政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの点も含めまして、先ほどの委員御質問の際に一つおっしゃっていただいた中で、九月に防衛省から委嘱した防衛力抜本強化有識者会議の提言書、報告書が出ましたけれども、報道では、これは原子力推進を意味しているものである、あるいは全固体電池あるいは燃料電池であるというふうに報道されてございますけれども、報告書そのものの中には、書かれたものをそのまま申し上げますと、VLS潜水艦についてですけれども、長距離、長期間の移動や潜航を行うことができるようにすることが望ましく、これを実現するため、従来の例にとらわれることなく、次世代の動力を活用することの検討も含めて、必要な研究云々というふうに書いてございまして、防衛省が受け取りました報告書の中でも原子力推進というふうに書かれているわけではございません。

 それを踏まえて、先ほど大臣からございましたように、あらゆる選択肢について検討しているということでございまして、検討の中に入っているというだけでございまして、特に動力について特定して何かをやっているというものではないという点が一つでございます。

 あともう一つ、今委員御質問いただきましたように、原子力基本法第二条、平和の目的に限りというふうに規定してございます。これにつきましては、従来の国会答弁におきましては、船舶の推進力として原子力の利用が一般化していない現状においては、自衛艦、自衛隊の船の推進力としては認められないという答弁が当時あったということでございます。

 ただ、いずれにしましても、繰り返しになりますけれども、現時点で次世代の動力といったものについて具体的に決まっていることはございませんでして、特定の動力を念頭に具体的な検討を行っているものではございません。

 以上でございます。

篠原(豪)委員 次世代の動力で、萬浪さんね、決まったものじゃないけれども、では何にするんですかという話であって、原子力の話が今出てきているので伺っているので、政府はそういうふうに今は答えなきゃいけないかもしれませんけれども、その仮定だと質問が成り立たないので、引き続き、こういうふうになっていくんだろうというふうに言われていますので、伺っていきたいというふうに思いますが。

 もし検討するときに原子力があるとするとしましょう、次世代の動力ということで。そうした場合に、今度はNPT、核不拡散条約についても、日本は非核兵器国なんですよね。これに加盟しているので、全ての核物質をIAEAの包括的保障措置の下に置く義務があります。

 原潜の動力の今言った核燃料は軍事利用のために保障措置から除外できるため、形式上は実はNPT違反じゃないんですよね。でも、実質的に核兵器転用する潜在能力を保有するということになるので、こうした事態をそのままにしてこのまま進めると、日本の非核国家としての信頼というのが今までありますから、ここを根底から損ねるおそれが出てくるというのは非常にまずいんだろうというふうに思っています。我々は唯一の戦争被爆国でありますので。ということに対してどのようにお考えをなさっているのか、今度は外務大臣。外務大臣には、二〇二一年まで外務大臣をやられていて、ずっとやり取りさせていただいてきましたので、久しぶりに御質問させていただくことをありがたく思っております。

茂木国務大臣 御質問ありがとうございます。

 篠原委員がおっしゃるとおりに、NPTそのものは、核兵器その他の核爆発装置の製造、取得を禁止しておりますけれども、原子力潜水艦はこの禁止の対象には含まれない、これはおっしゃるとおりであります。

 その上で、我が国は唯一の戦争被爆国として、引き続き国際社会と緊密に連携をしながら、核兵器のない世界の実現に向けて、核兵器不拡散条約、NPT体制を維持強化するための現実的かつ実践的な取組を進めていく考えであります。

 濃縮度の話がありましたけれども、原発等でいいますと三%ぐらいのものが、確かに、核兵器になりますと、これが九〇%を超えるという形でして、原子力潜水艦、これを使うときにどれくらいのパーセントになるか、これはいろいろな考え方があるところでありますが、いずれにしても、次世代の動力につきましては、何かを排除するということではありませんけれども、現時点でこれでいくというのが決まっているものではないと考えておりまして、同時に、今、日本を取り巻く安全保障環境が極めて厳しくなる、こういった状況の中で、新しい戦い方そのものが新しくなくなっているという状況の中でどうしていくかということは真剣に考えなければいけないと思っております。

篠原(豪)委員 日本は分離プルトニウムを、今三%とおっしゃいましたけれども、大量に保有しています。日本は非核保有国の中で使用済核燃料を再処理してプルトニウムを回収する唯一の国なんですよ、権利を持っている。日本だけなんです、実は。長年の再処理で得た分離プルトニウムの保有量は今数十トンとなっていて、これをどうするんだという話も一方であるんですけれども、今日はそこはおいておいて。

 濃縮ウランを得るために新たな濃縮施設の導入を、潜水艦を造るとなると今度は今言ったように上げていかなきゃいけないので、また別の施設が必要になるんです。イランの状態とかを見ていただければ、それを持つことが海外からどう見られるかということになっていくんだと思うんですけれども。まさに、高濃縮ウランを得るためにそういったものに踏み込むと、保有している核物質が軍事転用されるんじゃないんですかという懸念が周辺国から高まるわけですね、現にイランはそれで今こういうふうになっているわけですから。

 韓国、中国、北朝鮮と、アメリカとも外交摩擦を増幅する可能性があります。例えば、予算委員会であのような御発言があったりして、それで中国とも今、何とか今週末でうまくいけばいいなと私も思いますが、周辺の国が注視していますから。その中で、新たなこの濃縮施設の導入は、IAEAと特別協定を締結しないと恐らくできないんだろうと思います。三%ならいいんですが、それで日米の原子力協定の改定も必要になってくるんだろうというふうに思います。ですので国際的な承認を得なければいけないです、やっていくのであれば。そういったことに対してどのように対処するのか、見通しがあるのかということについて、あるいはお考えについて、茂木外務大臣にお伺いさせていただきたいと思います。

茂木国務大臣 確かに、日本は長年、再処理されました分離プルトニウムを大量に保有しております。IAEAの査察も受けるという状態でありまして、また、仮にこれを高濃縮するということになってまいりますと、IAEAの保障措置に関する特別協定を締結したり、また、委員御指摘のような形の、日米の原子力協定、これを改定すること、こういったことも必要になってくるかと思いますけれども、高濃縮するためには、まず大前提として、濃縮施設、これを建設しないことには、造らないことには高濃縮はできないわけでありまして、日本が現在そのような計画を持っているわけではございません。

篠原(豪)委員 ありがとうございます。

 自分たちでやる、こういうことになれば、国際世論がプルトニウムを回収する権利を疑問視するし、いろいろなふうに形成されていくということは考えなきゃいけないですし、今おっしゃったように施設を造らなきゃいけないので、果たして現実的にできるのかということになってくる。

 そうすると、原潜の導入の方法がどうなるかということになれば、新たに原潜を導入する韓国やオーストラリアは自前で造る能力、ノウハウを持っていませんから、アメリカで建造した原潜を導入するということになったんです。原潜導入を当面実現する道は、今のお話を聞いていると、やはり米国製の原潜の購入以外には現実的には難しいんだろうと思います。

 さらに、オーストラリアも、米豪英の安全保障の枠組み、AUKUSを通じて原潜導入が進んでいることもあり、日本も先端技術分野の協力が進むAUKUSを介してするのが最も、入れる場合にはそういうことも検討されるんだろうと思いますけれども。

 アメリカのNSC、国家安全保障会議のミラ・ラップフーパー上級部長、この方は東アジアとオセアニア担当なんですけれども、この方は、二〇二四年の四月九日ですから一年ちょっと前に、原子力潜水艦に関する協力は今後も加盟国を拡大することはないと言っているんですね。アメリカとイギリスとオーストラリアがそうなんですよ、それ以外に拡大することはないと言っているんですが。

 他方で、原潜を扱うアメリカの造船所が今どうなっているかというと、建造能力が労働者の不足などで著しく低下している状態にあります。必要な隻数の生産に支障が生じているからこそ、政府が新しい政権になって造船能力を上げて海外とアライアンスを組んでやっていくんだみたいなところは、恐らくこういうところに影響しているんだと思いますけれども、現実を見るとそういうことになっていて。

 しかるべき期間に、日本が原潜を造るというときに、今後三文書を作っていくとかということもおっしゃっていますけれども、これに対して、日本がこうした状況できちっと、導入をするといっても本当に実際できるのかどうかということが大きな次の課題になっていくので、その辺のことについて、小泉防衛大臣に、今どのように考えていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。

小泉国務大臣 先ほどから篠原先生は原子力潜水艦に一定の前提を置いて、日本政府はそれなんだということが前提かもしれませんが、そんなことはありません。今、あらゆる選択肢を排除せずに議論することが必要だということが述べていることなので、そこは御理解をいただきたいと思います。

 昨年アメリカのNSCの上級部長が、原子力潜水艦に関する協力は今後もアメリカ、イギリス、オーストラリア以外に参加国を拡大することはないという発言を紹介されておりますが、今、現実を見れば、トランプ政権になってアメリカ自身の変化が起きています。

 そして、この発言、私は全文を、この上級部長の発言を承知しているわけではありませんが、既にアメリカが韓国に対して原子力潜水艦の建造の許可を出したことが明らかになったように、篠原委員が紹介されたアメリカの立場というものも、これは去年の発言ですよね。なので、トランプ政権になってからの安全保障政策においても、しっかりと、急速に変化していることを受け止めた上で、日本が自前の防衛力をどのように持っていくかということは、あらゆる選択肢を排除せずに検討することが必要だということは、私は御理解いただけるように説明を尽くしてまいりたいと思います。

篠原(豪)委員 私も、別に原潜だけの話をしているわけじゃなくて、あらゆる選択肢の中で今日は、原潜について今話題になっているので、その部分についてはこういう可能性があるんだということを伺っています。

 先ほど昨年の話というふうにおっしゃいましたが、あれからトランプさんになって、ヘグセスさんとお話をされて、GDP比はどうするかという話もありました。これまで、三文書の改定につきましては、政府は二%はそれは数字ありきじゃないということをずっと言ってきたんですよ。それで三文書を皆さんに説明し、実際に二%だったわけですよ、いつの間にか変わっている。

 今回、三%、三・五%、五%の話がありますが、安保改定の文書の内容が分からないということがあって、そしてどうなっていくのかということを国会で議論をしっかりと政府とさせていただくのが我々の役目ですから、その意味で聞かせていただいていますし、今後とも活発な、有意義な議論を両大臣とさせていただければと思っていますので、そのことを申し上げまして、今日の御質問とさせていただきます。どうもありがとうございます。

前原委員長 次に、阿部司君。

阿部(司)委員 日本維新の会、阿部司です。

 安全保障委員会で初めての質問となります。小泉大臣、皆様、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 本日は、国産ドローンの開発強化と安全保障について質問させていただきたいと思います。

 ウクライナでは、今なお戦争が続いておりますけれども、小型無人航空機、いわゆるドローンが戦場の様相を一変させております。こうした中、我が国の防衛においても、ドローンの活用とそれに対する防御能力の強化は喫緊の課題であると思います。特に、サプライチェーンの強靱性確保そして安全保障上の機微技術の保護の観点から、国産ドローンの開発、調達は極めて重要な意味を持っていると思います。

 現在、世界のドローン市場、こちらは中国企業が民生用で約七割のシェアを占めていると言われております。防衛装備品として使用するドローンが他国の技術に過度に依存することは、有事における継続的な運用ですとかサイバーセキュリティーの観点からも大きなリスクを抱えることになります。

 そこで、まず基本的な事実関係から確認をさせていただきたいと思います。現在、陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊で保有しているドローンのうち、国産ドローンの比率はどの程度でしょうか。防衛省にお伺いいたします。

小杉政府参考人 お答えいたします。

 陸海空自衛隊が保有するいわゆるドローンの国産比率につきましては、令和七年九月末現在で約三割となっております。

阿部(司)委員 三割という御答弁でした。

 三〇%、この数字は、裏を返せば、約七割のドローンが外国製に依存しているという状況ということになります。政府におきましてもこの状況に危機感を持っていることと思いますけれども、この三〇%という現状から国産比率を更に高めていくために今現在取り組んでいる具体的な施策について、防衛省にお伺いいたします。

小杉政府参考人 お答えいたします。

 無人アセット防衛能力につきましては、防衛力整備計画におきまして、二〇二七年度までに無人機の活用を拡大し、実践的に運用する能力を強化するということとしてございます。

 無人アセットの防衛能力の強化に当たりましては、安価かつ高性能な機体を取得することに加えまして、安定的な調達や状況に応じた迅速な改修や整備が可能な体制を構築することが継戦能力の保持等の観点から重要でございます。これは先ほど委員が御指摘いただいたことと同じでございます。

 このような体制を構築するためには、無人アセットの生産、技術基盤が国内に存在することが望ましいと考えております。現在、国内の生産、技術基盤の構築の検討のための情報収集を積極的に行っているところでございます。

 具体的には、現在、スタートアップ企業を含みます約八十社の国内外の無人アセットの関連企業に対しまして、国内生産、技術基盤についての情報提供依頼を発出いたしまして、企業に個別にヒアリングを実施し、情報収集を進めております。得られた情報を活用し、関係省庁と連携しながら、無人アセットの国内生産、技術基盤の構築に向けた検討を行っているところでございます。

阿部(司)委員 ありがとうございます。

 いわゆるリクエスト・フォー・インフォメーション、RFI、こちらは、情報提供の要請なんかも通じて国内企業の技術力ですとか生産能力を把握して調達につなげていくという、この取組を進めているということでございました。確かにRFIを取得するなどは重要な第一歩であると思いますけれども、ここで考えなければならないのは、防衛装備品としての調達だけでは国内ドローン産業の基盤を十分に支え切れないということであります。

 例えば、アメリカでは、国防総省の調達に加えて、警察、消防、インフラ点検、農業など、民生部門での巨大な市場が存在し、それが防衛産業の技術開発力と継続的な技術革新、そして何より企業の経営基盤の安定化につながっていると思います。我が国においても、防衛省の調達だけに頼るのではなく、民生部門でのドローン活用を大幅に拡大することで国産ドローンメーカーの競争力を高めて、結果としては防衛装備品の質の向上とコスト低減につなげていく、この好循環をつくり出していくことが結果として我が国の防衛産業基盤を強化することにつながると考えますけれども、大臣、御認識をお伺いいたします。

小泉国務大臣 民間の市場、これをいかに拡大していくかということが重要だという認識は阿部委員と全く同じであります。

 特に、高市内閣は危機管理投資ということで、十七分野のうち一つは防衛産業。この防衛産業の中で、所管は私の防衛省のところと赤澤大臣の経産省という形になっております。その中で、やはりドローンというのは一つの分野であろうと思います。

 最近、防衛装備庁の方で技術シンポジウムを開催しまして、そこで赤澤大臣にもビデオメッセージを寄せていただき、そこに参加をしていただいたスタートアップ、そして民間企業や大学、有識者の方々に、防衛省だけではなくて経産省も含めて一緒になって、防衛産業の市場拡大、こういったところについても力を入れるというメッセージを発出したところであります。

 ドローンについては、先ほどのアメリカの百万機の調達など、世界は目まぐるしい状況でありますので、日本が自前で国産ドローンをどこまで強化できるか、大事なところだと思いますので、しっかり防衛省としても取り組んでまいりたいと思います。

阿部(司)委員 ありがとうございます。

 小泉大臣にも、民生部門での活用が防衛基盤の強化につながるという点で御賛同いただいていると思います。

 それでは、本日、経済産業省にもお越しをいただいております。産業政策の観点からお伺いをさせていただきたいと思います。

 ドローン産業を見てみますと、技術革新のスピードが極めて速く、アメリカ、イスラエルなどでは機動力のあるスタートアップ企業が次々と革新的な技術を生み出して、それが国の安全保障にも貢献していると認識をしております。

 我が国では、優れた要素技術を持ちながらもドローン分野のスタートアップが十分に育っていないという現状だと思います。資金調達ですとか、実証実験の場ですとか、あとは初期需要の創出、こうした面で様々な課題を抱えているスタートアップが多いと聞いておりますが、国産ドローン産業を本気で育成するのであれば、スタートアップへの支援が不可欠ではないかと思います。経済産業省として、ドローン分野のスタートアップ支援、どのようにお考えか、お聞かせください。

畑田政府参考人 お答え申し上げます。

 ドローンにつきましては、防衛用途のほか、インフラ点検、災害対応、それから物流なども含めた多くの分野で社会インフラ機能を担うことが期待されております。こうした観点からも、国内でのドローン産業の基盤を育成することがますます重要となっておりますし、そのためにスタートアップの力を生かしていくことが重要であるということも御指摘のとおりかと思っております。

 経済産業省では、災害対応を含め、また関係省庁等の行政上のニーズも踏まえつつ、ドローンの開発について、中小企業イノベーション創出推進事業、こうした制度の中で支援を行っているほか、経済安全保障重要技術育成プログラム、こうしたものでも被災地における救援活動のための情報収集などで複数の小型無人機が自律制御また分散制御を行えるようにする技術開発を行うなど、こうしたことによりましてスタートアップ支援を通じてドローンの産業基盤の育成に努めております。また、このほかにも、無人機のサプライチェーン強靱化という観点からも生産基盤の強化について検討を行っているところでございます。

 引き続き、防衛省を含めました関係省庁と連携して国産ドローン産業の育成に努めてまいりたいと考えております。

阿部(司)委員 ありがとうございました。

 確かに様々な取組を今もされていると思いますけれども、まだ点の支援にとどまっているんじゃないかなと思います。スタートアップが真に成長していくためには、資金支援だけじゃなくて、政府調達の優先枠の設定ですとか、あとは実証実験を行いやすい環境整備ですとか、何より規制改革、こちらが必要になってくると思います。

 最後に、小泉大臣にお伺いいたします。

 本日御議論させていただいたように、国産ドローンの育成は単なる産業政策じゃなくて、我が国の安全保障にも直結する重要な課題です。防衛省、経済産業省、そして規制改革を行う部署が一体となって省庁横断的に取り組むべき課題だと考えます。

 防衛大臣として、関係省庁との連携を強化して、国産ドローン産業の育成を国家戦略として推進していく御決意をお聞かせください。

小泉国務大臣 今、経産省の参考人の答弁を聞きながら、頭は全く同じで、合っているなというふうに思いました。使う言葉は、経産省は無人機と言って、私たちは無人アセット防衛能力と言ったりとかはありますけれども。

 いずれにしても、先日、赤澤大臣とも、危機管理投資の一分野である防衛産業、これを私と赤澤大臣で力強く推進していこう、そういったことを確認したところでもありまして、防衛装備庁のイベントに経産大臣である赤澤大臣のビデオメッセージを寄せていただいたことも今までなかったことだと思います。

 この思いは、やはり民間企業や様々な学術機関も含めて今までの発想を超えて、防衛省だけじゃなくて経産省も含めて幅広いプレーヤーで、防衛産業、そしてドローン、無人アセット防衛能力、こういったことを日本がもっと力をつけていく意思を政府としても持っているんだ、こういったことを伝えるべきだという思いであります。

 阿部委員と思いは同じでありますから、今後、与党の一員として後押しをいただければ幸いです。

阿部(司)委員 是非ともよろしくお願い申し上げます。

 ありがとうございました。終わります。

前原委員長 次に、橋本幹彦君。

橋本(幹)委員 橋本幹彦でございます。

 安全保障委員会、小泉大臣、茂木大臣、そして前原委員長という陣容になりました。総理候補の皆さんでございますので、この安全保障委員会の場も大変深い議論ができるようになってきたのではないかなと思っております。

 また、小泉大臣は、私が実は初めて選挙に行ったときの候補でありました。十八から二十二までの間は横須賀市民でございましたので。防衛大学校におりました。前原委員長も、私が今度は政治に入っていくときの選考委員長でありました。そのときは同じ党におりましたけれども。そういうことで、私も先輩方にいち早く近づけるように頑張ってまいりたいと思っております。

 外交、国防の議論というのが、かつてないほど国民の関心が高まっているところであります。そんな中で、巷説を聞けば勇ましい議論というのも見えるわけであります。勇ましい選択をすれば解決するんだという風潮があるやに思って大変憂慮しているところであります。是非落ち着いた、地に足がついた議論をできればと思っておりますけれども、大臣には、そういった議論の場を提供する、土台を提供する大きな力が備わっていると考えています。

 小泉大臣が就任されてから記者会見だけではなくてXやフェイスブックやインスタグラムで精力的に発信されていますけれども、まず、発信に当たってどういった工夫をされているのでしょうか。

小泉国務大臣 かなり発信については我々防衛省、私個人も努力はしていますが、最近、茂木外務大臣の、外務省の更新などを見ていますと、我々防衛省はまだまだ外務省からも学ばなければいけないことがあるなというぐらい、動画投稿も含めて非常に積極的に外交の現場のことを国民の皆さんに伝えておられます。

 私も思いは全く同じで、例えば、今私が大臣として先日公表したXでの投稿では、ロシアの戦略爆撃機が日本の領空に近づいたということをXで、私のアカウントでやりましたが、これは今までは統幕のアカウントでやっていたんですね。だけれども、戦略爆撃機と言われても、一般の方にはそれが核兵器を搭載できるということはすぐにはなかなか伝わりづらい。私のアカウントでは、核兵器を搭載できるということも含めて、できる限り平易で分かりやすい、こういった発信に努めています。

 それはやはり、現下の日本を取り巻く安全保障環境の厳しさと現実を多くの国民の皆さんに共有していただかなければ、日本の防衛力強化に対する理解も深まらない、こういった思いから、できる限り隊員の苦労やそして貢献、こういったものもお伝えしたい、そんな思いから発信には努めているところであります。

橋本(幹)委員 大臣の発信、私も大変心強く拝見しております。特に、今隊員の話もされました、その大臣の発信が、もちろん心ある幕僚の皆さんの心強いサポートもあっての発信だろうと思いますけれども、それが今の困難な募集状況にも好影響を及ぼすのではないかなとも期待もしています。

 他方、やはり発信のところは本当に難しいと思います。一歩間違えて国民感情を誤った方向に導きましたならば、古く歴史を訪えば日比谷焼き討ち事件のようなこともありましたけれども、そういった大きくなり過ぎた国民感情というのは歯止めが利かなくなってきますから、是非その点を御留意いただきながら今後も発信していただければと思っておるところでございます。

 そしてまた、発信と同時に静ひつな環境での議論も大事だと思っております。先ほど渡辺周理事から台湾有事についての質問がありました。フィクションが現実になったときに慌てるようなことがあってはならない、そのような問題意識からの問いかけでありましたけれども、小泉大臣からも与野党を超えて理解を深めていただくことが大事であると答弁もいただきました。

 小泉大臣、あるいは委員長なんですけれども、今こそ、この安全保障委員会、大変重要な案件を持っております、秘密会を開くべきではないかと考えております。そして、制服組の高官の皆さんも来ていただいて、各党各会派の議員から忌憚なく質問を受ける場を設けるというところが必要なのではないかと考えております。中には公開されない議論に何の意味があるのかと言う方もいらっしゃるかもしれませんけれども、それは、国民の代表たる国会議員が政府と制服組も含めて信頼関係を築いていくというところがまず議論の第一歩なのではないかと考えている次第でございます。

 まず、大臣に伺います。資料十四、令和七年四月十七日、安全保障委員会議事録です。中谷元防衛大臣が、安全保障委員会はシビリアンコントロールの一つ、制服組の答弁や秘密会などは国会の決定に従って対応すると答弁されました。小泉大臣もこの認識は継承されるでしょうか。

小泉国務大臣 今、橋本委員が御指摘の委員会において中谷前防衛大臣も述べられたとおり、国会はシビリアンコントロールにおいて重要な役割を果たしています。また、自衛官の国会答弁の必要性を含め、国会の質疑や内容等についてはあくまで国会において御判断をされる事項であると考えております。

橋本(幹)委員 それでは、国会の決定に従って対応されるというところも含めて継承されるか、確認です。

小泉国務大臣 これは、橋本委員は制服組、自衛官に国会答弁に立ってもらうべきだという考え方が前提だと思うんですけれども、制服組、自衛官の方から現場のことも含めて話を聞くことの重要性と必要性、このこと自体を否定するものでは全くありません。

 現下の安全保障環境の中で隊員の課されている任務の重さ、そして負担、一方で採用が、一万五千人を年間で採用しなければいけないところ、一万人も集まらない。こういった状況の中で、仮に国会答弁ということが新たな制服の皆さんがやらなければいけないことに加わったときに、どのような形でそれが運用できるのか、それは果たして本当に国益に資することになるのか、自衛官の任務遂行上支障がないのか、こういったことについて、私はやはり議論されなければいけないことがあるんだろうと思います。

 私は、こうやって防衛大臣として答弁に臨んでいる立場からすれば、背広、制服、事務官、自衛官、両方からしっかりと説明を受けた上で皆さんに御答弁させていただいているところでありますので、現在の中でも、技術的なところは参考人が補佐をしますけれども、しっかりと必要な説明は大臣を筆頭に果たしていければと思っております。

橋本(幹)委員 資料十八、これも令和七年六月十二日の安全保障委員会での質疑でありますけれども、例えば、陸海空の幕僚長あるいは統合幕僚長は記者会見を開いています。記者の皆さんは直接質問できるわけですね。ただ、他方、国会議員はできないわけです。国会は国権の最高の機関というふうに定められているわけですけれども、もし大臣の今おっしゃったところをそのまま受け取るとしたら、こういった記者会見の対応はそれこそ御負担になっているのではないかなと思うわけです。

 私も、むやみやたらに呼びなさいと言っているわけではないんです。毎回毎回の安全保障委員会の質問で呼びなさいと言っているわけではなくて、こちらの議事録にも書いてありますけれども、例えば秘密会という形、あるいは公聴会のようなやり方もあろうかと思います。米国でもヨーロッパの国会でもそのような形でやっているわけであります。

 もちろん、私も、もとより現場に負担をかけるというところをしたくてやっているわけでありません。あるいは、何か揚げ足取りをしたくて呼ぶべきだと言っているわけではなくて、真に現場を直視した議論をするべきだという問題意識から提起しているわけでございます。

 是非とも、小泉大臣、国会から求めがあったときには真摯に御検討いただければと思いますが、いかがでしょうか。

小泉国務大臣 国会の御判断に基づいて我々が対応する、それは当然のことだと思います。

橋本(幹)委員 委員長、是非、前の遠藤委員長のときにこの問題提起をしたときにも本件については理事会、委員会を通じて協議していきたいということであります、引き続き協議いただけますでしょうか。

前原委員長 理事会で諮らせていただきます。

橋本(幹)委員 ありがとうございます。

 この議論の土台を確認したいと思っております。資料二、令和七年度自衛隊指揮官幹部会同、内閣総理大臣訓示です。ここで石破前総理大臣が文民統制について言及しています。

 引用しますけれども、「文民統制とは、軍事に対する政治の優先を意味するものとされておりますが、これは政治が一方的に意思を示すことを指すものではありません。我が国防衛のため、自衛官諸官が、法制度や装備、部隊の運用について、専門家としての立場から政治に意見を述べること、これは諸官の権利であるとともに義務でもあると私は平素から考えております。政治を補佐する立場でありながら何も言わないことはあるべき姿ではありません。文民統制を機能させるため、諸官が専門家の立場から積極的に意見具申されることを期待します。」という訓示をされております。

 これは大変踏み込まれたなとも思いますけれども、ごくごく当たり前のことを言っているにすぎないと思っております。

 小泉大臣に伺いますけれども、この石破前総理の認識というのも大臣としては共有されるでしょうか。

小泉国務大臣 今御紹介がありました本年六月の令和七年自衛隊指揮官幹部会同において、石破前総理大臣が文民統制について訓示で述べられたとおり、文民統制とは民主主義国家における軍事に対する政治の優先を意味するものであり、私としても同じ認識であります。

 我が国においても自衛隊が国民の意思によって整備、運用されることを確保するため、国民を代表する国会、内閣や防衛大臣が自衛隊を統制する責務を負うこととし、各レベルでの厳格なシビリアンコントロールの制度を採用しています。

 戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面する中においても、引き続きこうした自衛隊に対する文民統制の制度を厳格に運用していく考えです。

橋本(幹)委員 ありがとうございます。

 文民統制に対する正しい理解というのは、厳格なコントロールというところだけにとどまらないと思います。先ほど申し上げた国民と政府との信頼関係を築いていくという観点からも文民統制というのは理解されつつあります。かつてのようにクーデターを軍隊が起こすのではないかということで文民統制、これは昔からあった議論ですけれども、それだけにとどまりませんので、是非文民統制についても、石破総理の訓示を継承されるということでありましたけれども、その認識に基づいてあるべき組織というところを目指していただきたいと思っているところであります。

 なぜこの言葉にこだわるかといいますと、文民統制という言葉が自衛隊の知的基盤を規定していると考えるからであります。残念ながら、小泉大臣の所信には知的基盤についての言及はありませんでしたけれども。

 ここで、お尋ねします。小泉大臣としては、自衛隊の知的基盤の重要性、どのようにお考えでしょうか。

小泉国務大臣 知的基盤というもので橋本委員が何を指しているかというのは恐らく、これから詳細な説明があるのかもしれませんが、例えば学術論文、こういったところなどに自衛官が対外的に発信をする、そして論文など、こういったものを掲載する、こういったものがもしかしたら橋本委員の念頭にあるのかもしれませんが、シビリアンコントロールとの関係で申し上げれば、委員が御指摘の点について、例えば学術論文の掲載だとしたら、こういったことを含めて、対外的な意見表明それ自体が文民統制上問題であるとは考えてはおりません。

橋本(幹)委員 ありがとうございます。

 防衛予算をGDP対比二%に引き上げるという大きな方針を所信でも述べられました。私も現場におった人間であります。短い期間ではありましたけれども、航空自衛隊の航空機整備の現場におりました。そのときはGDP対比一%のときでしたけれども、部品も足りない、弾薬も足りない、人手も足りないという中でありましたので、防衛予算を増やす必要性というのは痛いほど分かっているわけです。

 ただ、二%に増やすというときに、果たして予算執行を適切にできるんだろうかという問題意識があります。現に、今のまだ二%に至っていない段階でも予算は残しているわけであります。全て使い切ることが必ずしも花ではありませんけれども、ただ、今まで一%の範囲内で多くを人件費、糧食費で占めていた時代から、二%になるとかなり装備品にも使えるようになります。先ほど防衛予算を費用ではなくて投資として考えていくべきだという発言もありましたけれども、この二%の使い道を考えていくためには、やはりこれは防衛省・自衛隊の知的基盤をしっかりと整えていかなければならない。

 先ほどからドローンの話、原子力潜水艦の話もありましたけれども、他国も議論しています。それは言葉としては必要性というのは多くの方は理解しているんだと思うんですけれども、では導入してどのように運用していくのか、ここが一番の肝であります。大きな兵器、高い兵器を買って使い物にならなければ、全く意味がないわけですから。

 今、論文の発表の話についても言及いただきました。そういう平場での議論、どのように我が国を守っていくのかという議論を、是非自衛隊の中でもこの議論を高めていただいて、知的基盤というのを強固にしていただいて、そして装備品を要求するときには何で必要なのかというところを国民にも分かりやすく説明していく、あるいは防衛産業の皆さんとも対等に渡り合っていける、そういった体制を築いていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

小泉国務大臣 私は、橋本委員がおっしゃりたいことの意図を正確に理解しているとすれば、今、例えば元自衛官の方がテレビなどの様々な言論の場に出ていかれて、その方々が実際の自衛官生活そして自衛官人生を基にした様々な具体的なお話、そして専門性の高い議論を展開していただいている方が増えてきたこと、そういったことは国民の皆さんの安全保障の認識を深める上で極めて重要な役割を担っていただいているのではないかなというふうに思っております。

 一方で、恐らく橋本委員の頭の中には、自衛官一人一人の専門性を上げていく、そういったキャリアパスをどのように我々として整備することができるかということも恐らく念頭にあるのではないかなと思います。

 例えば、私の地元横須賀に防衛大学生としておられた橋本委員ですから、横須賀という町が、自衛隊の施設などが集約をされていて、かなり役割を担っている面が大きいことは御承知だと思います。サイバーにおいても、陸上自衛隊の通信学校、これは今サイバー学校に変わりましたし、高等工科学校もサイバーやAI・ロボティクスの専修コースがあります。そして、橋本委員が在学された防衛大学校においても今サイバーのコースが始まりました。

 こういったサイバーの分野で例えばキャリアパスを一貫して歩みたいものの、キャリアパスをどのように自衛隊として整備を、防衛省として整えていくかなど、様々な専門性向上に向けた我々の知恵や制度の改善というのは、今後、三文書の改定の中も含めて、不断の取組が必要なことは私は思いとしては同じだと理解をしています。

橋本(幹)委員 大変心強い答弁をいただいたと思います。

 その上で、やはり自衛官の学校も大事です、あるいは人事も非常に大事だと思っております。専門性を高めた人材を、より専門性を高めていく、あるいはそれを適材適所で使っていくというところがまだまだ防衛省は弱いのではないかなと思っております。

 例えば装備品、国内の産業に要求するにしても、官の側は二年でローテーションしていくわけです。ただ、民の側はずっと同じ担当者がいますから、やはり民間企業の方が専門性が高い。そういう構図の中で、必ずしも適切に装備品の要求ができていないこともあるのではないかというところでもあります。

 是非とも、人事の話、大変分かりづらいですし、陸海空でも相当違います、職種によっても全然環境が違います。同じ航空自衛隊でも、私は航空機整備でしたけれども、パイロットともやはり全然環境が違うわけです。是非、こういった特殊性に基づいて丁寧な議論をしていただきたいと思うところであります。

 自衛官の処遇改善という言葉がよく石破政権の頃から聞かれるようになりました。これは大変私としてもありがたいな、重要なことだなと思うわけですけれども。

 では、さきの国会で自衛官の処遇改善を議論するときに防衛省はどういう議論をしていたのか。それを示すのが、資料三から続く「資料要求に対する回答について 防衛省」と書かれた資料です。これは、私が防衛省に求めて、二週間かけて作っていただいた資料であります。御協力いただいたことは本当に感謝しておりますけれども。例えば、さきの国会で自衛官の処遇改善が進みましたと。ただ、こういうモデルケースとか、具体的に、幹部だったら、現場の人間だったら、この職種だったらどれぐらい手取りが増えるのかというところのシミュレーションはなかったわけです。ないまま法案を提出しようとして、そのまま議論をしようとしていた。これは一体何をやっているんだろうかと。

 もちろん処遇改善はいいんですけれども、やるのであれば、どのようにしたらそういった専門性が育っていくのか、どのようにしたら人が集まっていくのか、そういったところを真剣に考えていただきたいですし、何か金額ありき、処遇改善ありきで考えるのではなくて、どのように組織があるべきなのかというところをいよいよ検討していただきたいと思いますが、大臣の所信、いかがでしょうか。

小泉国務大臣 ありがとうございます。

 先ほど自民党の東委員からも道東、道北の手当の話があったとおり、こうやって現場の声に即した自衛官の処遇改善、これにつなげていくことは、我々、防衛力を上げなければいけない担い手として、人材の確保は至上命題でありますから、これは極めて重要だと捉えています。

 自衛官の基本給である俸給は、毎年人事院勧告に準じた給与改定を行っておりますが、今年の人事院勧告は、中間層も昨年を大幅に上回る給与引上げが勧告されています。これにより、部隊の中核を担う三十代や四十代の隊員の給与も年収で二十万円以上増加し、全自衛官の給与が過去最高の額となります。

 また、人事院勧告とは別に、昨年末に関係閣僚会議において策定された基本方針を踏まえ、独自の自衛官俸給表の改定に係る検討を進めています。

 具体的には、自衛官の俸給は、警察官などに適用される公安職俸給表をベースに、その約一割を超過勤務手当相当分として上乗せして作られておりますが、これまで一度も見直しが行われてこなかったこの給与体系について、自衛官の任務や勤務環境の特殊性に見合った給与とするため、自衛官の勤務の実態、諸外国の軍人の処遇のほか、公平性、公正性を確保するため、部外の専門家の御意見を踏まえ、令和十年度に自衛官の俸給表の改定を目指すこととしています。

 こういった外国の軍人との処遇の比較、そういったことや、今私が一度も見直されてこなかったと言ったこの給与体系、こういったことについても手をつけていきますから、現場で働く隊員の皆さんに、ようやく声が届くようになった、そういうふうに思っていただけるように、私として全力を尽くしたいと思います。

橋本(幹)委員 独自の俸給表になっていますから、人勧どおり、人事院勧告どおりというところで、俸給表を改定しますと言われても、それは日本全体が上がっている話ですから、是非それは自衛官の特殊性というところを重んじてやっていただきたいと思います。

 他方、公平性ですとかそういったところも述べられましたけれども、ただ上げればいいという話でもないと思います。他国の処遇というところもお話をされましたけれども、他国をまねるのが毎回毎回正しいとは思いませんけれども、例えば米国では軍人は終身雇用なのかという問題もあります。

 今、定年が短いからそれを延ばしていこうという話もありますけれども、逆に米国ではそういう意味では日本よりも短いわけです。ただ、長く任務に就かれた方についてはそれなりの処遇をもって接していく、あるいは途中で軍から離れていく者についても再就職についてはリスキリングも含めてしっかりと行っていく、こういった施策、総合的なパッケージとして処遇がなっているわけであって、ただただ海外の給与水準を見て、これぐらいなのではないかということではなくて、是非それはフルパッケージで見ていただきたいし、先ほど申し上げました組織の在り方、組織文化の在り方も含めて、令和十年度まで時間がありますから、しっかりと検討していただければと思いますが、その辺りの御見解はいかがでしょうか。

小泉国務大臣 もちろん、生涯設計を自衛官の皆さんがしっかりとできるようなキャリアパスや再就職支援、こういったものについても今強化を進めております。

 一方で、今の橋本委員のお話を聞きながら、アメリカの例も出されておりましたが、終身軍人ではないという話をされました。こういった中で我々が考えなければいけないのは、私もアメリカに三年間生活をしていたこともありますが、世の中の軍人や退役軍人に対する理解が全く違いますよね。その方々に対する社会全体としての様々な敬意の表し方。例えば、空港で制服を着た軍人の方がいたら、その方が先に空港で税関を通るとか、そしてまた、外国の例を挙げれば、制服で公共交通機関を利用する軍人の方には公共交通機関の料金は無料化とか、こういったことがあるわけですよ。

 ですので、私は防衛大臣として、処遇改善に力を尽くすとともに、社会の中で自衛官の皆さんが誇りを持って、そして自衛官の家族も胸を張って生活できる、仕事に邁進できる、そういった環境を、あらゆる方々の理解や御支援もいただきながら、御協力もいただきながら強化できないか、私なりに模索をしたいと思います。

橋本(幹)委員 いろいろな観点があろうかと思いますけれども、一つの観点として、私は、修士号、博士号をどのように人事管理上見ていくかという問題があろうかと思います。今でも修士号、博士号を持っている幹部もいますけれども、これは組織的に管理されたものではありません。ただただ、たまたま修士、博士を持っている方がいる。

 他方、これも何度も言いますけれども、他国をまねることが全ていいとは思いませんけれども、ただ、他国の軍隊を見ますと、高級幹部になるにつれて、修士、博士と過程を経て、知的基盤も教養も養いながら重要な任務に、要職に就けるようにしていくということもしているわけです。

 是非、修士号、博士号、ここについても組織としてどのように向き合っていくか検討を進めていただければと思いますが、いかがでしょうか。

小泉国務大臣 今、必要な隊員に対しては、国内外の教育機関において、修士号そして博士号の学位を取得させるなどして、そこで得た専門的な知識を生かせるようなキャリアパスを歩ませていますが、恐らく橋本委員の問題意識はまだまだ足りないというところだと思います。

 防衛省・自衛隊として、任務の円滑な遂行のために、自衛官の専門性を生かす適切な人事管理に努めていきたいと思います。

橋本(幹)委員 パレードについて伺います。

 資料一、令和七年七月三十日、観閲式、観艦式、航空観閲式の不実施についての防衛省の告知です。私も、この安全保障委員会で、パレードをやめるべきだということを何度も取り上げてまいりました。これについて前進したこと、大変ありがたいと思っておりますし、英断だったと思います。

 何かを始めるというときにはそういったことはみんな熱量を入れるんですけれども、やめるということについては大変勇気の要る話だと思います。なぜ取りやめになったのか、今後不実施となったのか、そこについて、今お配りしているこのお知らせに書いてあることは承知していますから、どういう意義があるのか、大臣のお考えをお聞かせください。

小泉国務大臣 防衛省では、毎年、全国から多数の部隊を集結させ、観閲式等の行事を実施してきました。他方で、これらの実施に当たっては、例年、準備を含めた一定期間、全国から多数の人員、装備を集結させる必要がありました。例えば、観閲式では、全国の部隊から、約五千名以上の人員を一か月間程度、装備品を二か月間程度、観閲式のために差し出していました。

 その結果、各部隊では練成訓練の時間を削減しなければならず、練度の維持向上に影響が出るおそれがあるほか、こうした行事のために人員、装備を割き続ければ、安全保障環境が一層厳しさを増す中、今後、警戒監視任務を含む各種任務に影響が出るおそれもありました。

 そこで、観閲式等の実施については、これまでも様々な御意見がありましたが、本年七月三十日、今後も観閲式、観艦式等の行事を毎年実施することは将来にわたって隙のない我が国の防衛態勢を維持する上で困難であると判断し、我が国を取り巻く安全保障環境が大きく変化しない限り、観閲式、観艦式、航空観閲式は実施しないことといたしました。

橋本(幹)委員 今の御答弁ですと、人手不足だからもうやりませんというところがつまるところかと思います。それは一つあるのかもしれませんけれども。

 私も以前パレード廃止原理主義者だというふうに言いましたけれども、何で原理主義と言っているかといいますと、そもそも人手があっても不要なことはやらないというのがまず第一だと思います。観閲式、中央観閲式、私も出ました。それはそれで意味がある、全く意味がないとは言わないですけれども、ただ、果たしてこの今の時代、日本国民が求めている自衛官像なのか、あるいは国民に理解を求めたい自衛官像なのかというと、私はずれていると思っています。

 戦い方も大分変わってきています。ナポレオンの頃の時代の話ではないですから、こうした隊員が一堂に会して隊の威容を見せるというところ、これはこれで大事な観点だとは十分理解した上で、ただ、そこにどこまでのコストをかけるべきなのかというところは、是非、安全保障環境が変わったとしても検討いただきたいところであります。

 時間が迫っておりますので、質問を幾つか飛ばしまして、インテリジェンスの話をしたいと思います。

 高市政権において、このインテリジェンスの強化というところは非常に大きなトピックとなっております。私も党内で取りまとめをやっておる中でありますけれども、インテリジェンスといえば、外務省、防衛省、ここの果たす役割は非常に大きいと思っております。もちろん内閣情報調査室が束ねているというところはあるのかもしれないですけれども、高市総理の大臣指示書の中では、各大臣への指示としては、外務大臣にも防衛大臣にも指示がなかったと思います。

 今後、インテリジェンスの強化、外務省、防衛省としてどのように取り組まれていくのか、その方針をお聞かせいただきたいと思います。

茂木国務大臣 四年ぶりに外務大臣に就任したんですが、この四年間を見ても、国際状況は非常に複雑化そしてまた不透明化をしております。

 ロシアがウクライナに侵略する、こういったことは余り想定をされていなかった。更に言うと、ロシアと北朝鮮の軍事協力が進む、それによって北朝鮮に機微な情報が入り、そして日本にとって脅威が高まるというのも想定されていなかった。十月七日に、確かにイスラエルとハマスの間、険悪な雰囲気でありましたけれども、急にあんな攻撃が起こるということも想定をされていなかった。こういった中で、これがまたエネルギーの安定供給にも影響してくる。

 こういった意味で、我が国の国益を守り国民の安全を確保するためにインテリジェンスの強化は非常に必要なことであります。

 そういった中で、今、国家情報局そして国家情報局長を創設する、こういったことを含めて検討が進められているところでありますけれども、与党とも緊密に連携をしながら、早急に論点を整理して、情報分野における政府全体の機能強化の検討を進めていきたいと思っております。

 外務省としても、特に強みであります在外公館、例えば中東地域を見ると、イスラエルでイスラエルの専門家、パレスチナの専門家、それぞれがいてそれぞれから情報を取る、こういったこともやっているわけでありますけれども、こういったものも活用しながら、引き続き様々な形で情報収集、分析の強化に今まで以上に取り組んでまいりたいと思っております。

小泉国務大臣 今、茂木外務大臣からお話がありましたけれども、防衛省として申し上げれば、我が国周辺での中国、ロシアの軍事活動の活発化や北朝鮮の核・ミサイル開発など、我が国周辺の安全保障環境は厳しさと不確実性を増しており、こうした状況に適切に対応するためにも、情報機能の強化、インテリジェンスの強化は必要不可欠だと考えています。

 このような問題意識の下、防衛省においては、現行の防衛力整備計画に基づいて、画像情報収集のための衛星コンステレーションの構築や情報戦機能の拡充など、情報収集、分析等に関する能力強化に取り組んでいます。

 なお、私自身、着任後、インテリジェンスブリーフィングも含めて機微なブリーフィングを日々受けている中で、情報機能の強化、インテリジェンス機能の強化が待ったなしだということを痛感しております。しっかりと関係省庁とも連携する形で、防衛省としてもその機能を強化すべく努めてまいります。

橋本(幹)委員 最後に、インテリジェンスの問題というのは安全保障の問題です。どこか国内ではスパイ防止という言葉がよく好まれて使われますけれども、スパイ防止というと、多くの方が想定するのが例えば007であるだとか、何かちょっとほかの犯罪の延長にあるのではないかというような感覚があるんだと思うんです。情報泥棒ではないですから。インテリジェンスというのはまさにこれは安全保障の議論であって、それを中核で担われているのは外務省と防衛省ですから、他の省庁とも連携を深めながら、是非もっと外務省、防衛省にはリーダーシップを発揮していただきたいと思っております。

 特に、防衛省は自衛隊情報保全隊もあります。なかなか表になっていないこともたくさんあるわけであります。表で話せない、議論できないことも多々ありますけれども、ただ、その難しさを乗り越えて、是非この議論に防衛省としても全力で臨んでいただきたいと思う次第でございます。

 私からの質問を終わります。

前原委員長 次に、金城泰邦君。

金城委員 公明党、金城泰邦でございます。

 今日は、委員長におかれましては質問の機会を与えていただき、また、委員の皆様にも御協力、感謝申し上げます。ありがとうございます。

 安全保障委員会、初めての質問でございますので、防衛大臣、外務大臣にはしっかりと答弁をしていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

 まず初めに、防衛費の増額について伺いたいと思います。

 先ほど来、様々議論が展開されております。高市総理は、所信表明の演説において、現行の国家安全保障戦略に定めるGDP比二%、これを令和七年度本予算と補正予算を合わせて今年度中に前倒しして達成するということや、来年中の安保三文書の改定を目指すことを表明されました。防衛大臣の所信表明でも同様なことが示されておりました。これによりますと、自由民主党としては、安保調査会での議論を今週にも開始して、来春にも提言を取りまとめ、政府はそれを基に来年末までに改定する段取りということが報道ベースで報じられているところでございます。

 公明党としましては、与党の一員として現行の安保三文書の策定に関わってまいりました。四十三兆円という額について、しっかりと国民に約束した四十三兆円の枠を守り、二〇二七年度までに達成すべき防衛力の強化を確実なものとする責任を持っております。

 二〇二三年度から二〇二七年度の五年間の防衛関係費を四十三兆円程度として、二〇二七年度の防衛関係費は八・九兆円程度としております。仮に来年末までに安保三文書を前倒しで改定した場合には、現行の安保三文書を廃止し、二〇二七年度の防衛関係費は新安保三文書を基に計上されるのでしょうか。あるいは、これまでの政府答弁のとおり、現行の安保三文書での五年間で四十三兆円という枠は堅持していくというふうに考えてよろしいでしょうか。これを防衛大臣に伺いたいと思います。

小泉国務大臣 今のお尋ねにお答えをしますと、令和八年度予算は現行の防衛力整備計画等に基づいて編成を行ってまいりますが、来年中に三文書を改定した後は新たな三文書に基づいて防衛力の強化を進めることになると考えています。

 その上で、今後の防衛力の具体的な内容や、これを実現するための防衛費の水準につきましては、我が国の主体的な判断の下、具体的かつ現実的な議論を積み上げてまいります。

金城委員 防衛費の増額に当たっては、報道ベースなどを見ますと、防衛関連経費、これの対象事業の拡大も検討しているというふうに伺っているところでございます。防衛関連経費の中でしっかりと検討していかなければいけないのは、例えば、私の地元沖縄でございますが、南西シフト、今政府として取り組んでいる状況でございますが、特定港湾、特定空港、そういったものが防衛力強化の中で位置づけられております。

 しかしながら、特定空港、特定港湾に県民の皆さんが避難することを想像しますと、私は、昨年発生した台湾地震、この台湾地震が発生した際に沖縄県内の多くの道路で渋滞が発生しておりました。全然動けない状態。そういったことから見ますと、空港、港湾に到達するまでの間の公共道路、これをしっかりと整備していく必要も、併せて整備していかなければいけないというふうに思っているんですね。

 ですので、先ほど大臣の答弁にもありました今後の防衛費の拡充に当たりましては、そういった特定施設に連結する公共道路、例えば沖縄におきましては、名護東道路からの延長線、中部東道路の事業化、沖縄西海岸道路、そして南部東道路、こういったものを、はしごネットワーク、これも併せて整備する中で、特定空港、特定港湾にアクセスするものをしっかりと整えることができる、そういったことも想定していただきたいと思いますので、是非よろしくお願いしたいと思いますが、大臣、いかがですか。

小泉国務大臣 今、金城先生からは道路についてもお話がありましたので、お答えさせていただきます。

 現行の三文書の下では、総合的な防衛体制の強化のための取組として、研究開発、公共インフラ整備、サイバー安全保障、そしてOSAが挙げられており、例えば公共インフラ整備については、空港、港湾及びこれらに自衛隊の駐屯地等と接続する道路、これを対象としているところです。先日の予算委員会でもこういったことについては御質問をいただきました。令和八年度については現行の三文書に基づく取組を行っていきますが、同時に、我が国を取り巻く安全保障環境が日に日に厳しさを増す中で、新たな三文書についてスピード感を持って検討してまいります。

金城委員 御答弁ありがとうございました。

 続きまして、防衛装備移転三原則の運用指針の五類型の撤廃について伺いたいと思います。

 自民党と維新の会の連立政権合意書では、二六年通常国会において防衛装備移転三原則の運用指針の五類型を撤廃するとしております。この五類型の見直しは、これまでの日本が果たしてきた平和国家としての我が国の歩み、こういうものにどう影響していくのか、非常に懸念されるものであります。紛争当事国へ殺傷力のある兵器が供与されないような明確な歯止めが必要だというふうに考えております。

 今後、防衛装備品の五類型の見直しに当たっては、閣議決定等で変えていけてしまうことからも、国会における慎重な議論が必要だと考えております。例えばオーストラリア政府との契約締結を前に結論を出す、そんなこともあったならば、国会で議論を行う十分な時間がありません。ですので、政府はどのようなスケジュール感で見直しを行おうと考えているのか示していただきたいと思います。

小泉国務大臣 まず、五類型の話に触れる上で、当時与党の一角として公明党の先生方に大変な御尽力を賜りましたこと、私からも改めて感謝を、そしてまた敬意を表したいと思います。

 我が国が戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面する中で、防衛装備移転を更に推進していくこと、このことについては思いは同じだと思います。

 その上で、我が国からの防衛装備移転は、防衛装備移転三原則に基づいて、個別の案件ごとに厳格に審査し、移転後の適正管理が確保される場合に限って認め得るとしています。こうした基本的な考え方は維持しつつ、防衛省としては、防衛装備移転三原則の運用指針の見直しを早期に実現すべく、関係省庁そしてまた与党ともよく相談しながら検討を行っていく考えであります。

 スケジュールについてお尋ねがありましたけれども、自民党、日本維新の会の連立合意書の中では、五類型の撤廃ということで、通常国会においてという形の書きぶりになっておりますが、そういったことも含めて今後与党の中でも御議論が進むというふうに承知をしております。そういったこともしっかりと踏まえながら、我々政府としても適切な対応をしてまいりたいと思います。

金城委員 しっかりとした議論を求めたいと思います。防衛装備品が移転する、その結果として、巡り巡って我が国に、国民に不安を与えるようなことが決してないような取組が必要だと思っていますので、よろしくお願いいたします。

 続いて、非核三原則について伺います。

 去る国会での質問で、我が党の斉藤大臣が非核三原則について質問をしましたけれども、総理からの明確な回答がなかったというところから、質問主意書まで提示をしたことがあります。

 今回、茂木大臣におかれましては、所信演説で、核軍縮・不拡散については、NPT体制を維持強化し、核兵器のない世界に向けた現実的で実践的な取組を進めてまいりますということを強く述べられておりました。日本が国是として堅持してきた非核三原則、これは今後も維持していくという認識でよいのでしょうか。非核三原則が日本や周辺国の平和と安定に果たしてきた意義、役割について、外務大臣の言葉で答弁をいただきたいと思います。

茂木国務大臣 金城先生、公明党にはこれまで二十六年間、まさに平和の党として、日本の平和だけではなくて国際社会の平和を守っていくために様々な形で御尽力いただいたこと、改めて御礼を申し上げる次第であります。

 その上で、政府として、非核三原則を政策上の方針として堅持しているところであります。

 ただ、持ち込ませずについて詳細を申し上げますと、二〇一〇年、当時の岡田外務大臣によります答弁、この部分は引き継いでおります。

金城委員 これまで示してきた政府の姿勢、これをしっかりと堅持していく、そういうふうに受け止めております。平和国家としての普遍の価値であります、この非核三原則は。これをしっかりと今後も維持していただきたいということを申し述べたいと思います。

 質問が変わります。沖縄の現場で起きていることとしては、PFAS対策、これについて伺いたいと思います。浄水場におけるPFAS対策について伺います。

 私の地元沖縄では、沖縄県企業局が水道用水の供給事業を担っておりまして、四つの浄水場から水道用水が供給をされております。四つある浄水場の一つには北谷浄水場がありますが、PFAS濃度がほかよりも高いということで、通常の活性炭ではなくして、高機能の活性炭が導入されているところでございます。

 防衛省に伺いたいと思いますが、この高機能活性炭の導入費用には防衛省の補助金が支出されてきておりますが、水質基準を所管する環境省ではなく防衛省が補助金の支出を決定した理由と、支出されてきた年度別の補助金金額を教えていただきたいと思います。

森田政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛省におきましては、防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律第八条に基づきまして、防衛施設の設置又は運用により周辺住民の生活や事業活動が阻害されると認められる場合に、その緩和に資するために地方公共団体が行う施設整備に対して補助を行っております。

 お尋ねの北谷浄水場につきましては、令和元年度から令和五年度にかけまして、沖縄県が設備改良事業を実施する際に、沖縄県からの申請を受けまして、PFASによる影響を理由とするものではございませんけれども、米軍施設への水の供給により浄水場にかかっている負荷につきまして措置するとともに、米軍施設への水の供給を安定的に行うために、防衛省として沖縄県の取組に対して施設整備の助成として補助金を交付したものでございます。

 支出した年度別の補助金の金額につきましては、令和元年度に約五百万円、二年度に二千三百万円、三年度に約四億六千九百万円、四年度に約二億二千六百万円、令和五年度に約二億五千六百万円、合計約九億八千百万円となります。

金城委員 御答弁ありがとうございました。

 昨年の四月二十六日に沖縄県庁内で開催された政策会議、これにおける配付資料を見ますと、課題という項目がありまして、その課題の部分を読み上げますと、北谷浄水場の粒状活性炭は今後も定期的な取替えが必要であるが、維持管理としての取替えは防衛省補助の対象とはされていないということでありました。

 報道によりますと、活性炭の取替え費用には十六億ほど必要であるけれども、防衛省の補助がもしこれで得られなければ県が全額負担する必要があるために、ひいては水道料金の引上げにつながるというふうに示されておりました。

 防衛省が補助を打ち切ってしまったならば、それ相当の理由があることと推察をいたしますが、防衛省が補助を打ち切らざるを得ない理由又は根拠規定について説明をお願いしたいと思います。

森田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどお答えしましたように、この補助につきましては、防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律第八条に基づくものでございます。この補助につきましては、制度上、施設を整備するための費用を対象としておりまして、完成後の維持管理費につきましては本来その施設の管理者が負担すべきものであるということから補助対象とはしておりません。この点につきましては、補助の実施を決定するに当たりまして、沖縄防衛局から沖縄県に対してもしかるべく説明を実施していたところでございます。

 なお、この事業につきましては、沖縄県の事業計画どおりに設備改良事業としては完了したものでございまして、途中で打ち切ったというものではございません。

金城委員 ありがとうございます。

 補助金から話は変わりまして、ではなぜ北谷浄水場のPFAS濃度がほかよりも高いのか、この件について質疑をしたいと思います。

 沖縄県企業局のウェブサイトによりますと、二〇一七年度から二〇一八年度にかけて嘉手納基地周辺地下水調査業務委託を実施しまして、汚染の原因について分析調査を行ったところ、基地外の地下水上流部より基地内を通過した下流部の方がPFAS濃度が高いことが分かったそうであります。

 防衛省は、沖縄県企業局が行った分析調査結果を把握していますでしょうか。把握しているならば、どのような評価を行っているのか教えていただきたいと思います。

森田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の沖縄県企業局による調査、これは平成二十九年、三十年頃に行われた嘉手納基地周辺地下水調査の結果であると思いますが、これが公表されていることについては承知をしております。ただ、その詳細については把握しているものではなく、コメントについては差し控えたいと思います。

 その上で、PFASにつきましては、日本国内におきましてこれまで様々な用途に使用されてきたと承知しておりまして、現時点で在日米軍施設・区域周辺における検出と在日米軍との因果関係について確たることを申し上げることは困難であるというふうに考えております。

 防衛省としては、引き続き関係省庁や米側と緊密に連携しながら必要な対応を取ってまいりたいと考えております。

金城委員 私も実際、普天間基地の近くの川からPFASを含むと言われている泡消火剤の泡がたくさん流れている現場を視察したこともありましたので、これについては私も関心を持っておりますし、県民も多くの皆さんが関心を持っているところでございます。ですので、基地内からの発生の疑念についてしっかりと対応していかなければいけないという思いを持っております。

 先ほどありましたように、県の企業局では、根本的な解決のためには嘉手納基地内での調査が必要というふうに考え、二〇一六年六月、初めてとなる嘉手納基地への立入調査の申請を行い、その後何度も申請を行ってきたようですが、立入調査が認められたことがありません。なぜ立入調査が認められないのか、防衛省は県からの申請があったときに政府としてどのように対応してきたのか、確認したいと思っております。

 これは防衛省に伺いますが、これまでに米側に対して政府が立入調査の要請を行った回数を明らかにしていただきたいと思いますし、米側が要請をもし拒んでいるのであれば、米側のその拒む主張について、どういうふうに拒んでいるのか教えていただきたいと思います。

森田政府参考人 お答え申し上げます。

 沖縄県から嘉手納飛行場への立入りの申請につきましては、これまで様々な機会を捉えて米側に伝達しておりまして、引き続き関係省庁と連携しながら米側と調整してまいりたいと考えているところでございます。

 そのやり取りの詳細につきましては、相手方との関係もあり、お答えを差し控えることを御理解いただきたいと存じます。

金城委員 嘉手納基地では立入調査が認められていないのですが、神奈川県横須賀市のプレスリリースによりますと、横須賀にある米海軍施設では立入調査が認められて、日米共同でサンプリングまで実施したということがあるそうです。嘉手納基地との違いが余りに大きいのではないかと私は思っておりますが、どのような理由で嘉手納基地と横須賀で違いが生じているのか。これは、防衛大臣、地元のことでもあると思うので、防衛大臣に伺えればと思います。

小泉国務大臣 まず、環境補足協定におきましては、環境に影響を及ぼす事故についてアメリカ側から通報が行われた場合、日本国政府、都道府県又は市町村は、地方防衛局等を通じて現地視察を行うための申請を行うことができることとされています。

 御指摘の横須賀海軍施設における立入りについては、横須賀基地内の排水処理施設からPFOS等が基地外へ流出した可能性があるとしてアメリカ側から日本側に対し通報があったことから、環境補足協定に基づいて、二〇二二年十二月、国及び自治体で立入りを行ったものであります。

 また、普天間飛行場では二〇二〇年四月にPFOS等を含む泡消火薬剤が基地外に流出し、陸軍貯油施設では二〇二一年六月にPFOS等を含む水が基地外に流出したとしてアメリカ側から通報があったことから、横須賀海軍施設の事例と同様、環境補足協定に基づいて、それぞれ国及び自治体で立入りを行ったところであります。

 他方、沖縄県からの嘉手納飛行場への立入り申請については、沖縄県等による米軍基地周辺におけるPFOS等の調査結果を踏まえ、一九七三年の環境に関する協力に係る日米合同委員会合意に基づき申請されたものであり、横須賀海軍施設等への立入りとは根拠が異なります。

 なお、当該立入り申請については、これまで様々な機会を捉えてアメリカ側に伝達しており、引き続き関係省庁と連携しながらアメリカ側と調整してまいります。

金城委員 今の御答弁にもありましたように、日米地位協定また環境補足協定、こういった決まり事があるんですが、こういった協定が決して沖縄県民にとってプラスには働いていないケースが余りにも多いわけです。事件、事故もそうですし。そういった意味では、沖縄にとってプラスになるような協定へと、しっかりと今後見直しも、改定も見据えて取り組んでいただいて、米側とも交渉していただきたいということを望むものであります。

 ただし、協定の見直し、改定は時間がかかるものでありますから、今、目の前の沖縄の水の問題、この対応をどうするかということが大事だと思います。

 県の企業局がこれまで繰り返しPFOSの件につきまして嘉手納基地からの発生の可能性が高いのではないかということを言っておりますが、水道利用者の健康状態というのは、これを幾ら待っても結果が出ないというのでは、健康面に対する憂慮、これはずっと募っていくものであります。ですので、基地周辺の住民の安心、安全な飲料水の供給に寄与するということが大事だというふうに考えております。

 きれいな活性炭でなければ、浄水場も求められている役割を果たせないと思います。ですので、物価高の折ではありますが、お米以上にも国民生活に不可欠な水、この水に関わる料金値上げというのは何としても避けていかなければいけないと考えています。

 地元の声に寄り添える最善の解決策を国においても真剣に検討していただき、県と連携もしながら対応してほしいと強く期待するところでございますが、防衛大臣から見解を伺いたいと思います。

小泉国務大臣 北谷浄水場は、沖縄県中部及び南部の県民の皆様に水を供給する重要な施設であると承知しております。他方で、先ほど政府参考人から申し上げましたとおり、現時点で在日米軍施設・区域周辺におけるPFASの検出と在日米軍との因果関係は明らかではなく、費用負担について予断を持ってお答えすることは困難だということは御理解いただきたいというふうに思います。

 その上で、飲み水の問題は、命と健康に関わる問題であり、大変重要な問題であると認識しています。PFASをめぐる問題については、地域の皆様が不安を抱いていることを受け止めて、水環境中のPFOS及びPFOA、この指針値の設定や水道における検査の義務化に向けた取組など、政府全体で取組を進めていますので、引き続き関係省庁と連携して必要な対応を取っていく考えであります。

金城委員 水質の確保、値段の県民負担、こういったものにもしっかりと応えていただきたいと思いますので、今後ともよろしくお願いをいたします。

 質問が変わりまして、在沖米軍基地関係について伺いたいと思います。キャンプ・キンザーの返還スケジュールについて伺いたいと思います。

 キャンプ・キンザーは、二〇一三年に日米両政府が合意した沖縄における在日米軍施設・区域に関する統合計画、これにおいて敷地の約二百七十四ヘクタールの全面返還が示されたところであります。

 しかしながら、これまでに返還されたのは、二〇一三年に北側進入路の一ヘクタール、二〇一八年に国道五十八号線沿いの四ヘクタール、二〇一九年に第五ゲート付近の二ヘクタール、合計七ヘクタールしか返還されておりません。統合計画では、牧港補給地区の倉庫地区の大半を含む部分百二十九ヘクタールは今年度又はその後に返還可能、残余の部分百四十二ヘクタールは昨年度又はその後に返還可能と示されております。

 こういったことで、返還の進捗は遅れているというふうに言わざるを得ません。返還の遅延の要因を詳細に御説明いただくとともに、政府としてどのような対策を講じているのか防衛大臣に伺いたいと思いますし、また、返還スケジュール等について地権者や関係自治体にどのような説明がなされているか御答弁をいただきたいと思います。

小泉国務大臣 詳細に答弁せよということでありますから、説明させていただきます。

 牧港補給地区、キャンプ・キンザーにつきましては、平成二十五年の沖縄統合計画に基づいて返還に向けた取組を進めております。その結果、これまでに、北側進入路の返還、第五ゲート付近の区域の返還、国道五十八号線沿いの土地の前倒し返還、これらをそれぞれ実現しております。

 牧港補給地区のうち返還が実現していない区域の具体的な返還時期につきましては、現時点においてはそのめどをお示しできておりませんが、同地区には県内のほかの施設に集約する施設も多数所在しており、現在、移設先の工事、設計調査、配置検討等に必要な作業やアメリカ側との協議、調整等を進めている段階です。

 防衛省としては、目に見える形で沖縄の基地負担軽減を実現するため、沖縄統合計画を着実に実施し、牧港補給地区を含む土地の返還を進めてまいります。

 その上で、基地負担の軽減や跡地利用の観点から、沖縄統合計画に基づく土地の返還を早期に実現してほしいとの地元の皆様の声は大変強いものと認識しています。返還時期や見通しの御提示は極めて重要であり、可能な限り速やかにお示しできるように引き続き全力で取り組んでまいります。

金城委員 御答弁ありがとうございました。

 嘉手納以南の普天間基地やキンザーなど、こういった返還が、地元県民の皆様に将来に向けて希望を持てるような返還スケジュールといったものもしっかり示していただく必要があると思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

 次に、在沖海兵隊のグアム移転の今後のスケジュールについて伺いたいと思います。

 在沖海兵隊のグアム移転につきましては、二〇〇六年の再編実施のための日米のロードマップで示されております。その後、見直しが行われまして、防衛白書では、四千名以上の海兵隊の要員が移転することを日米間で確認されているというふうにされています。

 昨年十二月に防衛省と米海兵隊は、約百名から成る先遣隊が沖縄からグアムへの移転を開始したことを発表しました。グアムでの新基地キャンプ・ブラズ、これは今後、建物工事が本格化する見込み、沖縄から移転する米海兵隊等の宿営地として必要な庁舎、隊舎等を整備することとされております。

 沖縄からグアムへの海兵隊移転において、現在までに実施された部隊、人数、時期を御教示いただきたいと思います。また、今後の移転実施スケジュール、年度や段階ですね、これを明示していただきたいと思います。また、グアム移転計画を頓挫させずにしっかり予定どおり進めていくことについて、防衛大臣の意気込み、決意をお聞かせいただきたいと思います。

小泉国務大臣 在沖アメリカ海兵隊のグアム移転は、インド太平洋地域における日米同盟の抑止力、対処力を強化する取組を推進しつつ、同時に、沖縄の基地負担を軽減する観点から重要な取組であります。

 昨年十二月に、在沖アメリカ海兵隊の日本国外への移転の第一段階として、第三海兵機動展開部隊の後方支援要員約百名の先遣隊による沖縄からグアムへの移転開始を発表いたしました。なお、この先遣隊の移転は既に完了したと承知をしております。

 今後、移転は段階的に行われますが、今後の具体的な計画につきましては、アメリカ側において、厳しい安全保障環境の下、インド太平洋地域における多様な事態に対応できる運用能力と体制の確保を考慮しつつ検討が進められていると承知しています。

 その上で、これまで日米両政府は、四千名以上の海兵隊の要員が沖縄からグアムに移転することを含め、在日米軍の再編を着実に進めることについて累次の機会に確認しております。先月の私とヘグセス長官の間での日米防衛相会談におきましても、既存の二国間取決めに従った在日米軍再編の着実な実施が極めて重要であることを確認したところであります。

 引き続き私の下で、アメリカ側と緊密な意思疎通を行いつつ、グアム移転の着実な実施に取り組む決意であります。

金城委員 御答弁ありがとうございました。

 グアム移転につきましては、報道ベースによりますと、米国側が沖縄からグアムに移転するということ、今後の情勢に鑑みますと、それでいいのか、元に戻すべきではないかという意見も出たということが報道ベースで出ております。

 実際、今臨時国会におきましても、高市大臣の発言の中で、台湾海峡関係、台湾の事態についての発言が今中国に対して非常に厳しい状況になっております。東京で見るとそういう意見はあるかもしれませんが、私のような沖縄県民からすると、中国を刺激して、やることによって沖縄の県民は非常に厳しい状況に置かれる。沖縄の視点ということもしっかりと踏まえていただきたいと思うんですね。

 私は今日、与那国の花織のネクタイを締めております。与那国もこういった伝統、文化、物産もしっかりとこれまで継続していて、ああいう国境離島の方々は今非常に不安を持っているんです。

 実際、私が与那国に行ったときも、漁師の方が、今日漁に出ようと思ったら放送が鳴って、今日はちょっと危険なので漁に出ないでくださいという放送が流れて漁に出られないというケースも幾つもあると。そういったことからしますと、沖縄県民の立場からすれば、変な摩擦をあおるようなことは政府として発言してほしくないという思いがあるんです。

 ですので、高市総理大臣のこういった発言に対しても、防衛大臣や外務大臣などからそういったことをしっかりと、特に外務大臣は鎮静化していかないといけない立場と思いますので、あおることによって沖縄の地域が危険にさらされる不安を増大させてしまうということがないように、政府内でもきちっとそういったものを是非総理にも申し入れていただきたいと思うんですね。

 これについては、両大臣から御意見を伺いたいと思います。

茂木国務大臣 今回の問題を含め、沖縄の皆さんには様々な不安であったりとか御負担をかけることが多い、こんなふうに痛感をしているところであります。

 確かに、日本と中国の間には懸案や問題があります。だからこそ話し合っていかなければいけない、話合いを通じて問題を解決していく。我が方としてそういった話合いについてはしっかりと高市総理の答弁も含めて説明もしておりますし、これからも対話についてはオープンでありたい、このように考えております。

小泉国務大臣 今、茂木外務大臣からありましたとおり、私も、マレーシアで日中防衛大臣会合を開催した折にお互い言うべきことは言い合いました、深刻な懸念も伝えました。その上で、対話と交流は戦略的互恵関係そしてまた建設的かつ安定的な関係の構築といった大きな方向性の下で進めていこうということを確認しています。

 そういったことをまず前提とした上で、防衛大臣の立場としては、中国が今月にも新たな空母を就役させたことも含めまして、警戒監視を決して怠らない、そういった務めを果たしてまいりたいと思います。

金城委員 御答弁ありがとうございました。

 今言った南西地域、日常的に海上においても海上保安庁の第十一管区の皆様がほぼ毎日、中国の側との接触に近いような状態の中で、緊張感の中で勤務をしているのが続いておりますので、そういった緊張感が高まらないよう、政府にとってはしっかりと配慮していただくことをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

前原委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 私も、先ほどの金城議員に続きまして、米軍嘉手納基地周辺の有機フッ素化合物、PFAS汚染について質問をいたします。

 沖縄県企業局が防衛省の補助事業を使って北谷浄水場に導入した、PFASを除去するための高機能粒状活性炭について、二〇二六年度以降に予定する活性炭の更新に同事業を適用できず、十六億円以上と見込む更新費用が全額県の負担になる可能性が高いことが報じられております。県民が支払う水道料金に影響するおそれも指摘されております。

 沖縄県企業局が、沖縄本島中南部の十七市町村、約四十五万人に水道水を供給する県内最大規模の北谷浄水場で高濃度のPFASが検出されたことを公表したのは二〇一六年一月のことです。それ以降、沖縄県や県議会、関係市町村や議会、そして市民団体、私たち県選出国会議員が汚染源特定のための基地への立入調査の実現を繰り返し求めてきましたが、十年がたとうとしている今なお、基地への立入りは実現していません。米軍が調査に応じないからであります。にもかかわらず、対策費用は県民に押しつけるというのは余りにも理不尽だと考えます。

 報道を受け、九月二十六日、衆参沖縄県選出野党国会議員でつくるうりずんの会として防衛省に要請を行いました。立入調査を早急に実現して、汚染源を特定して、対策費用の全額を米軍に負担させること、それが実現するまでの間は県が実施する対策費用を政府が負担することを求めました。

 まず防衛省に伺いますが、その後、省内での検討はどうなっていますか。

森田政府参考人 お答えを申し上げます。

 本年九月に、うりずんの会の先生方から金子前防衛大臣政務官に対しまして御要請をいただいたところでございます。

 まず、御要請をいただきました沖縄県からの嘉手納飛行場への立入り申請につきましてはこれまで様々な機会を捉えて米側に伝達しているところでございまして、引き続き関係省庁と連携して米側と調整をしてまいりたいと考えているところでございます。

 また、PFASにつきましては、日本国内におきましてこれまで様々な用途に使用されてきたということを承知しておりまして、現時点で在日米軍施設・区域周辺におけるPFASの検出と在日米軍との因果関係は明らかではなく、費用負担について予断を持ってお答えすることは困難であると考えているところでございます。

 いずれにしても、本件は重要な問題であるということは認識しておりまして、引き続き関係省庁と緊密に連携して必要な対応を取っていきたいと考えているところでございます。

赤嶺委員 防衛大臣、米軍基地立入りを求めて十年たって、十年たって何の進展もない。先ほど防衛大臣は日米合同委員会合意のことを、根拠はあるんですよ、根拠はあるけれども入れない、それは環境補足協定とは違いますよ。

 それで今度は、これまでの整備は、周辺整備法八条に基づいて、これは施設整備だから管理運営については対応できないというのを言っているわけです。維持管理費の負担は周辺整備法ではできないということですね、防衛省。

森田政府参考人 お答えを申し上げます。

 先ほど金城先生に……(赤嶺委員「短かく言ったらいい」と呼ぶ)はい、お答え申し上げましたけれども、周辺環境整備法の八条の規定に基づく施設整備の助成につきましては、施設の整備を対象としておりまして、維持管理に充てることは制度上できないことになっております。

 他方で、その他、例えば周辺環境整備法の第九条に基づく交付金等におきましては、関連自治体が交付された交付金の範囲内で、いわゆるソフト事業として公共施設の維持管理等に関する費用に充てることができることとしているところでございます。

 また、防音工事を実施した小学校等に対して、良好な室内環境を維持することを目的として、空調設備の電気料金等の一部に対して助成を行っている例がございますが、これは、航空機騒音がなければ窓を開けることができ、電気料金等が不要であることなどを勘案し、実施しているものでございます。

赤嶺委員 要するに、維持管理費用を負担している例はあるわけです。

 周辺整備法八条で維持管理費用は出せないということで、十六億円、今、どこが出すか、宙に浮いているわけですが、周辺整備法の法律に基づかないでも同趣旨の交付金や補助金を交付した例も過去に幾つもあります。

 例えば、米軍再編特措法に基づく再編交付金は、法律では市町村のみを交付対象としていますが、山口県には予算措置として毎年五十億円が交付されています。これはどういう経緯で交付されたんですか。

森田政府参考人 お答えを申し上げます。

 お尋ねの、再編関連特別地域整備事業と申しておりますけれども、駐留軍等の再編の円滑かつ確実な実施に資するために、再編によって地域の住民の生活の安定に著しい影響を及ぼす防衛施設が所在し、かつ再編に理解を示し協力を行っている県を対象としまして、山口県が行う住民の生活の利便性の向上等を図るための事業に係る経費に充てるため、平成二十七年度から令和九年度まで交付するものとして設けております。

 これにつきましては、山口県において、交付された範囲内で様々な事業に交付金を充てておりまして、防災に関する事業を始めとする施設整備事業その他の事業として、平成二十七年度から令和六年度まで合計約四百八億六千二百万円を充てているところでございます。

赤嶺委員 再編交付金は、米軍再編計画に協力する自治体のみを対象とし、協力が得られなくなれば容赦なく打ち切るという卑劣な制度であります。私たちは制度自体に反対の立場ですが、事実の問題として、法律の規定がなかったにもかかわらず、後から予算措置として都道府県にも交付されるようになっているということです。

 防衛大臣に伺いますが、防衛省は、周辺整備法八条は施設整備が対象だから活性炭の更新費用は補助できないとしていますが、今伺ってきたように、法律の規定になかったものでも予算措置として交付している例はあります。維持管理費用を負担している例もあります。基地への立入調査ができれば米軍が汚染源であることを特定できるのに、それができないために何の責任もない県民がその負担を負わなければならないというのは余りにも理不尽であります。防衛大臣の判断でできることであります。少なくとも活性炭の更新費用については防衛省が負担する方向で検討すべきだと思いますが、いかがですか。

小泉国務大臣 赤嶺先生のお尋ねは、先ほど公明党の金城先生から御質問いただいたことと同趣旨だと思いますけれども、先ほど金城先生に述べたとおり、北谷浄水場は沖縄県中部及び南部の県民の皆様に水を供給する重要な施設であると承知しています。

 他方で、先ほど政府参考人からも申し上げましたとおり、現時点で在日米軍施設・区域周辺におけるPFASの検出と在日米軍との因果関係は明らかではないので、費用負担については予断を持ってお答えすることが困難だということは御理解いただければというふうに思います。

 また、建設や設備の改良の補助対象となる施設についても、維持管理費については本来その施設の管理者が負担すべきものであることから補助対象とはしておりません。この点については、北谷浄水場の設備改良事業の補助の実施を決定するに当たって、沖縄防衛局から沖縄県に対してしかるべく説明を実施していたところであります。

 その上で、飲み水の問題は命と健康に関わる問題でありますから大変重要な問題であると認識しています。PFASをめぐる問題については、地域の皆様が不安を抱いていることを受け止めて、水環境中のPFOS及びPFOA、この指針値の設定や水道における検査の義務化に向けた取組など、政府全体で取組を進めていて、引き続き関係省庁と連携して必要な対応を取っていく考えであります。

赤嶺委員 公明党の金城議員と私、日本共産党の赤嶺が同じ質問をしている。これは、県民にとって今の防衛省がどんな説明を法律に基づいてやろうとも絶対に納得できないんですよ。大体、立入調査ができれば汚染源はすぐに特定できる話ですよ。調査の機会を奪っておきながら、それを理由に負担できないという説明は到底納得できるものではありません。

 先ほどからの答弁で、防衛大臣も、政府全体で検討する、こう述べていて防衛省の責任を逃げているわけですが、嘉手納基地周辺のPFASというのは民間事業者が引き起こした問題ではありません。日本に米軍を駐留させているアメリカ政府と、基地を提供している日本政府の行為の結果として起こっている問題です。

 そもそも、環境汚染は、汚染者負担の原則に基づいて、汚染の原因をつくり出した者が除去に要する費用を負担すべきです。これは、環境大臣も御経験なさった大臣であれば当然御承知のことだと思います。汚染が政府の行為によるものであれば、それに責任を負う省庁が負担するのが当然です。

 防衛省は、自衛隊施設周辺のPFAS汚染については、自治体や住民の要請を受け、排水路や井戸の調査を行い、施設外への漏出を防ぐために自ら自衛隊自身が活性炭を設置するなどの対応をしております。海上自衛隊の下総航空基地あるいは福岡の築城基地、ここで防衛省はPFASについてどういう対応をしておりますか。

森田政府参考人 お答えを申し上げます。

 防衛省といたしましては、自衛隊施設周辺自治体からの御要望を踏まえ、あるいは隊員等の飲料水の安全確保の観点から、自衛隊施設内の水源や雨水排水路などを対象に水質調査を行っているところがございます。その結果、水道水における暫定目標値あるいは指針値を超えるようなPFOS、PFOAが検出された場合には、状況に応じまして井戸の運用を停止、あるいは給水口への浄水器の設置、雨水排水路への粒状活性炭の設置などの対策を取っております。

 お尋ねの下総航空基地につきましては、関係自治体からの御要請を受けまして、今年三月に雨水排水路の排水口四か所及び湧水の二か所で水質調査を実施し、このうち排水口三か所で指針値を超えるPFOS、PFOAが検出されました。これを受けまして、下総航空基地では、関係自治体の要請を踏まえて本年九月から指針値を超えた排水口三か所において処理装置を設置し、PFOS、PFOAの濃度低減効果の確認をするということを行っております。

 また、築城基地におきましては、令和二年に環境省が実施しましたPFOS、PFOA全国存在状況把握調査におきまして周辺で百四十六ナノグラムのPFOS、PFOAが検出されたということが公表されたということがございました。その後、福岡県築上町におきましても追加調査を実施しましたところ、暫定指針値を超えるPFOS、PFOAが検出されましたので、築城基地に対して要請がなされました。これを受けまして、築城基地におきましては、基地内の井戸、浄化槽及び排水につきまして定期的に水質調査を行うとともに、雨水排水路等に粒状活性炭を設置し、濃度低減効果を確認するという作業を現在実施しております。

赤嶺委員 防衛大臣、今お聞きのとおり、自衛隊施設からPFASの漏出が確認されたときは、自らの責任として対策を取っております。防衛省は、現に汚染者負担の原則に基づいて対応しているということです。

 米軍基地も同じだと思います。基地の提供という国の行為によって起こっている問題です。そうである以上、汚染源が特定されるまでは防衛省の責任で負担する、これが当然ではありませんか。

小泉国務大臣 これは先ほど赤嶺先生にお答えをしたところにも御説明させていただいたんですが、まず、今回の在日米軍施設・区域周辺におけるPFASの検出と在日米軍との因果関係は明らかではないということ、そして、費用負担について予断を持ってお答えすることにつきましては困難だということは御理解いただきたいと思います。

 そしてまた、建設や設備改良の補助対象となる施設につきましても、維持管理費については本来その施設の管理者が負担すべきものであることから補助対象とはしておりませんということを沖縄防衛局から沖縄県に対してしかるべく説明を実施していたところだということも御理解いただきたいと思いますが、その上で、飲み水の問題は命と健康に関わる問題でありますし、大変重要な問題であると認識をしています。

赤嶺委員 こんな説明を繰り返し繰り返しやっても絶対に納得できないんですよ、これは。県議会でも自民党から私たちまで超党派で、活性炭の取替えは国が負担して当たり前だ、こういう具合になっているんですよ。ところが、皆さん、米軍との因果関係が分からないと言う。分からないなら立入りを認めればいいじゃないですか。十年かかって防衛省は立入りを、米軍を説得し切れていないのに、因果関係が分かりません、こんな答弁で納得できると思いますか。こんなひどい答弁でこういうやり方を取るのは絶対に許されない。

 時間もなくなりましたけれども、最大の問題は、外務大臣、汚染の原因をつくり出している米軍が何の対策も負担も行っていないことです。立入調査には一切協力しない、日本側の負担で浄化された水を米軍も飲んでいる、さらに、北谷町にはもっと水を供給しろと米軍側から要求されています。身勝手にもほどがあります。こんな無法が許されているのは、米軍の特権を保障した日米地位協定があるからです。外務大臣は、この理不尽極まりない地位協定、これをどうするつもりですか。

茂木国務大臣 赤嶺議員がおっしゃっているのは日米地位協定の第三条のことだと思いますが、これに基づきます在日米軍のいわゆる管理権につきましては、在日米軍が日米安保条約上の義務を履行するために我が国に駐留し、その円滑な活動を確保する上で必要なものである、このように考えております。

 同時に、この日米地位協定第三条の3には「合衆国軍隊が使用している施設及び区域における作業は、公共の安全に妥当な考慮を払つて行なわなければならない。」このように規定をされているわけであります。

 日米同盟の抑止力を維持しつつ、同時に米軍の円滑な駐留を確保するためには地元を含みます国民の皆様の御理解と御協力を得ることが極めて重要であると考えておりまして、こういった考え方に基づいて、米側に対して求めるべきことはしっかりと求めていきたいと思っております。

赤嶺委員 求めても実現しない、基地の立入りは実現しない、実現しないから基地とPFASの因果関係は分からない。汚染者負担を要求しても、いやいや、基地と何の関係もありませんよという答弁をして、しらばくれている。

 さっきは環境補足協定がありましたけれども、環境補足協定というのは、目の前であふれ出てきたときに初めて米側が通報するんですよ。我々は何度もあふれているのを見ていますよ。やはり地位協定そのものにメスを入れていかなければ、今、公共の安全なんか確保されていないですよ、外務大臣、地位協定の下で。

 この間、石破内閣のときに地位協定改定の特命委員会がつくられましたけれども、報道によると、参議院選挙の前までには自民党の特命委員会として提案も行う、地位協定の改定に向けてですね、という報道もありましたけれども、これはどうなっていますか。

茂木国務大臣 当時の石破総理の指示に基づいて設置をされました自民党のアジアにおける安全保障の在り方特命委員会の会合、これまで三回開催されたものと承知をいたしております。

 特命委員会においては、アジアにおける安全保障の在り方について様々な論点について議論を重ねてきたものと承知しておりますが、政府の立場として、自民党における議論の詳細であったりとか今後の進め方についてお答えする立場ではない、そのように考えております。

赤嶺委員 今日はPFASの問題を通じて地位協定の問題までやりましたけれども、防衛大臣、これは防衛省が防衛大臣の決意一つで、十六億円、引き続きやるということはできることですから。法律になくても山口県なんかでやっているわけですからね。そういう立場で臨んでいただきたい。

 これからも引き続き、沖縄県民が見た安保体制、安保条約、日米地位協定の不条理、これらについてもまたこの委員会で追及していきたいと思います。

 今日はありがとうございました。

前原委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三十四分散会


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