衆議院

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第13号 平成29年4月21日(金曜日)

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平成二十九年四月二十一日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 平  将明君

   理事 石川 昭政君 理事 北川 知克君

   理事 高橋ひなこ君 理事 冨岡  勉君

   理事 福山  守君 理事 太田 和美君

   理事 福田 昭夫君 理事 江田 康幸君

      井上 貴博君    井林 辰憲君

      伊藤信太郎君    大西 宏幸君

      小島 敏文君    助田 重義君

      田中 和徳君    比嘉奈津美君

      藤原  崇君    堀井  学君

      前川  恵君    菅  直人君

      田島 一成君    細野 豪志君

      松田 直久君    斉藤 鉄夫君

      塩川 鉄也君    小沢 鋭仁君

      河野 正美君    玉城デニー君

    …………………………………

   環境大臣         山本 公一君

   財務副大臣        木原  稔君

   環境副大臣        関  芳弘君

   環境大臣政務官      比嘉奈津美君

   環境大臣政務官      井林 辰憲君

   政府参考人

   (農林水産技術会議事務局研究総務官)       井上 龍子君

   政府参考人

   (水産庁増殖推進部長)  保科 正樹君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  亀澤 玲治君

   環境委員会専門員     関  武志君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十一日

 辞任         補欠選任

  木村 弥生君     大西 宏幸君

同日

 辞任         補欠選任

  大西 宏幸君     木村 弥生君

    ―――――――――――――

四月二十一日

 水俣病の全貌解明のため健康調査及び環境調査を行い、今後の水俣病対策に生かすことに関する請願(堀内照文君紹介)(第七九〇号)

 同(辻元清美君紹介)(第八二四号)

 同(畑野君枝君紹介)(第八二五号)

 同(阿部知子君紹介)(第八五九号)

 同(吉川元君紹介)(第八九九号)

 同(小川淳也君紹介)(第九〇八号)

 同(島津幸広君紹介)(第九三一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三三号)


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     ――――◇―――――

平委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、本案の審査に資するため、去る十九日に行いました東京都日野市の多摩動物公園における視察につきまして、参加委員を代表して、その概要を私から御報告申し上げます。

 最初に、多摩動物公園において、関係者から説明を受けつつ、佐渡以外で初めて繁殖に成功したトキや、昨年多数のペアの繁殖に成功したオガサワラシジミの飼育状況など、生息域外での保全の取り組みを視察いたしました。

 次に、冨田飼育展示課長から、都立動物園における野生生物保全について説明を受けた後、関係者の方々と意見交換を行いました。

 意見交換の場では、今回の種の保存法の改正で創設される認定希少種保全動植物園等制度により、動植物園間における譲り渡し等が規制緩和されることは、生息域外保全の推進に有効である旨の意見がありました。

 当委員会といたしましても、絶滅の危機に瀕する野生生物がふえ続ける中、生息域外保全の担い手としての動植物園等の役割が重要であるとの認識を改めていたした次第であります。

 最後に、今回の視察に当たり御協力いただきました全ての関係者の皆様に深く御礼を申し上げ、視察の報告とさせていただきます。

    ―――――――――――――

平委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本案審査のため、来る二十五日火曜日午前九時、参考人として公立大学法人大阪府立大学理事・副学長石井実君及び公益財団法人日本自然保護協会保護室室長辻村千尋君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として農林水産技術会議事務局研究総務官井上龍子君、水産庁増殖推進部長保科正樹君、環境省自然環境局長亀澤玲治君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

平委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。斉藤鉄夫君。

斉藤(鉄)委員 皆様、おはようございます。

 大変重要な種の保存法の改正案の審議のトップバッターを務めさせていただく光栄に浴しました。関係者の皆様に心から感謝を申し上げる次第でございます。

 では、早速質問に入らせていただきます。最初の質問ですので、まず基本的事項を確認していきたいと思います。

 生物多様性や、また絶滅危惧種に対して、それを保全していく種の保存法に対して、この重要性については、これはもう論をまたないと思います。

 その上で、復習するために、現行の種の保存法の内容と、それから、制定時以降、主な改正が二回か三回あった、このように聞いております、その内容について、まず確認をしたいと思います。

亀澤政府参考人 お答えいたします。

 種の保存法は、国内に生息または生育する国内希少野生動植物種についての捕獲等の行為規制、生息地等保護区の指定及び保護増殖事業の実施等とともに、国際的に協力して保存を図る国際希少野生動植物種についての譲り渡し等の行為規制等を規定する法律でございます。

 この法律につきましては、平成四年の法制定以降、主に三回の改正を行っております。具体的には、平成六年改正で、国内種及び国際種の個体だけでなく、器官及び加工品に係る規制を新設したこと、平成十五年改正では、登録関係事務等を実施する者について、公益法人に限っていた指定制度を対象を広げる形で登録制度に改め、また、直近の平成二十五年改正では、罰則の大幅な引き上げと、希少野生動植物種の個体等の広告を規制する制度の新設等を行ったところでございます。

斉藤(鉄)委員 まず、これまでの歴史といいましょうか、経緯がわかりました。

 それでは、改正法の内容について質問に入らせていただきます。

 まず、日本国内に生息している希少野生動植物種についてでございますが、我が国には、既知の生物種だけでも九万種以上の生物種が生息している。まだ知られていない種も含めると、三十万種を超える種が存在すると推定されているというふうに聞いております。この知られていないのが三倍以上あるというのをどうやって推定するのかというところを聞いてみたいところですが、そこに入っていきますと多分法案の内容とかけ離れていくので、これはまた自分で勉強したりしたいと思いますけれども。

 また、日本は、日本の特殊性といいましょうか、固有種の比率も高い。そういう意味で、世界的にも、生物多様性上重要なホットスポットと呼ばれているそうです。

 そうした我が国において、絶滅のおそれのある野生動植物に関しては、平成三年から、環境省によってレッドリストとレッドデータブックが作成されております。

 最新のレッドリストでは、もともと指定されていた三千五百九十六種に、本年三月に追加で指定された三十八種及び同じく本年三月に初めて指定された海洋生物レッドリスト五十六種を加えて、合計三千六百九十種もの絶滅危惧種が選定されております。

 この数は、平成十八年度から平成十九年度に公表された第三次レッドリストよりも五百三十五種増加しています。この増加の原因としては、環境省が評価の対象となる種をふやしたという事情も影響しているようですが、いずれにしましても、我が国の野生生物が置かれている状況は依然として厳しいということが明らかでございます。

 一方で、このレッドリストというのは、指定されることによって何らかの法律上の効果が生ずるものではない。法的な規制の対象になるのは、いわゆるこの法律、種の保存法の定める国内希少野生動植物種に指定されている種に限られます。そして、この国内希少野生動植物種に指定されている種は、現段階で二百八種にとどまっております。

 そこで、まず事実関係から確認したいと思います。

 レッドリストに掲載されている三千六百九十種の絶滅危惧種には、動物や植物から微生物までさまざまな生物が含まれていると承知しておりますが、具体的にはどのような内訳になっているのか。また、種の保存法では、国内希少野生動植物種として指定されている二百八種はどのような内訳になっているのか。この点をまず確認したいと思います。

亀澤政府参考人 本年三月に公表した環境省レッドリスト二〇一七では、動物については、哺乳類が三十三種、鳥類が九十七種、爬虫類が三十七種、両生類が二十八種、汽水・淡水魚類が百六十九種、昆虫類が三百五十八種、陸産の貝類が五百八十七種、その他無脊椎動物が六十三種で、合計千三百七十二種が絶滅危惧種として掲載されています。

 また、植物等につきましては、木や草やシダなどいわゆる普通の植物が千七百八十二種と圧倒的に多く、藻の仲間である藻類や菌類も合わせて、合計二千二百六十二種が絶滅危惧種として掲載されております。

 これに加えまして、本年三月に初めて公表した海洋生物レッドリストに掲載されている五十六種を合わせると、合計で三千六百九十種の絶滅危惧種が環境省レッドリストに掲載されていることになります。

 一方、種の保存法における国内希少野生動植物種としては、哺乳類が九種、鳥類が三十七種、爬虫類が七種、両生類が十一種、汽水・淡水魚類が四種、昆虫類が四十一種、陸産の貝類が十七種、その他無脊椎動物が四種、そして植物が七十八種で、合計二百八種が指定されているところでございます。

斉藤(鉄)委員 今、レッドリストと、種の保存法で指定されている動植物種の比較をしていただきました。

 今、だだっとおっしゃったのであれだったんですが、例えば哺乳類は、レッドリストでは三十三、種の保存法では九種ということで、大まかに言って三分の一。ところが、貝類でいうと、レッドリストは五百八十七なんだけれども、種の保存法では十七種ということで、これはもう十分の一どころか三十分の一ぐらいでございます。比率が違う。

 こうした、今回の種の保存法で指定が進んでいる種とそうでない種があるわけですが、種の指定がなかなか進まない理由はどうした理由があるのか、また、そうした課題に対して今回の改正はどのように手を打っているのかということをお聞きしたいと思います。

関副大臣 現行の国内希少野生動植物種制度につきましては、その指定に伴いまして捕獲の禁止などの規制を課しているところでございます。

 他方で、特に里地里山など身近な自然に生息、育成しております昆虫類や魚類等の種につきましては、このような厳しい規制がかえって環境の教育や調査研究、保全活動等に支障を及ぼしますために、一律に厳しい規制を課している現行の種指定がなじまないことが多いという課題がございます。

 今回の法改正によりまして、こうした厳しい規制がなじまない種につきましては、販売または頒布目的での捕獲及び譲り渡し等のみを規制する特定第二種国内希少野生動植物種制度を創設いたします。これによりまして、種の保存のための行為規制と、環境教育や調査研究、保全活動等の推進を両立させていきたいと考えているところでございます。

斉藤(鉄)委員 私も今回のこの法案を勉強してびっくりしたんですが、貝類や昆虫類で指定が進まないのは、技術的にも難しいからかなというようなイメージがあったんですが、そうではなくて、強い規制がなじまないから指定が進んでこなかったという、今御答弁にありましたけれども、ある意味でびっくりしたわけでございます。

 今回は、そういうことでこれまで指定が進んでこなかった種に対しても指定を進めるために、新しい類型を設けて、今副大臣からお話がありました、非常に、特定第二種国内希少野生動植物種、十五文字もあるんですよね、こういう長い名前の類型を設けることによって、現行法の強い行為規制になじみにくい種を指定できるようにするというのが今回の法改正の一つの大きなポイントであると。里地里山などの身近な自然に生息する種の保存を進めるために大変重要だということがよくわかりました。

 国内希少野生動植物種の指定については、前回の平成二十五年の種の保存法の改正における附帯決議におきまして、希少野生動植物種の指定は、科学的知見を最大限に尊重して実施することとし、当面、二〇二〇年までに三百種を新規指定することを目指し、候補種の選定について検討を行うこと、このような附帯決議を前回の種の保存法の改正でつけました。

 この三百種追加指定の目標は、その当時の法律ですから、あくまでも現行法の国内希少野生動植物種、いわゆる今回新たにつくる特定第二種ではないということが当然のことだと思いますけれども、この前回の法改正のときに附帯決議で決めた、三百種を早く追加指定せよという目標、この目標がどうなっているかということと、今回追加する特定第二種、この創設で指定を進める、この関係はどうなっているかということも踏まえて、環境省としての今後の種の指定の方針について教えていただきたいと思います。

亀澤政府参考人 お答えいたします。

 前回の種の保存法改正時に八十九種であった国内希少野生動植物種については、附帯決議において、二〇二〇年までに三百種の追加指定をするという目標が示されたところでありまして、現在までに、三年間で、年に約四十種ずつ、合計百十九種を追加指定する等、その目標達成に向けて着実に指定を進めているところでございます。

 二〇二〇年までの現行カテゴリーでの追加指定三百種を引き続き進めていくとともに、二〇二一年以降も、現行カテゴリーでの国内希少野生動植物種の指定を引き続き進めていきたいと思っております。

 二〇二一年から二〇三〇年までの十年間で、今回新設を考えている特定第二種国内希少野生動植物種と現行カテゴリー、その双方合わせて十年間でさらに約三百種を追加指定することを新たな目標としたいというふうに考えております。

斉藤(鉄)委員 前回の附帯決議の目標は目標で今順調に進んでいる、それとは別に、特定第二種も含めて、既存のものも含めてなんでしょうが、新たにまた二〇二〇年から三〇年、この十年間で三百種の指定を着実に進めていくということで、大変いいのではないかと思います。ぜひ進めて、頑張っていただきたいと思います。

 一方で、指定の数をどんどんふやすというのは、これはいいことなんですが、それを実効あらしめる、法律で規定するわけですからその実効性が問われるわけですけれども、それには予算や人員が必要でございます。

 種の指定はしたものの、その種についての保全のための効果的な対策が行われないのであれば、その指定の意味は薄れてしまうと考えておりますが、指定後、適切な保存を進めることはできるのかどうか。これは予算や人員ですから我々政治の責任もあるわけですが、環境省の考えをお聞きしたいと思います。

亀澤政府参考人 委員御指摘のとおり、追加指定を効果的なものとするためには、種指定の後、生息地等保護区の設定や保護増殖事業の実施等の適切な保全対策を実施していくことが重要と考えております。

 そのため、今回の改正法案では、生息地が明らかとなって乱獲を招くことのないよう、種名を公表しない生息地等保護区の指定を可能とするなど、生息地等保護区の指定をしやすくするための改正も盛り込んでいるところです。さらに、所有者不明の土地であっても保護増殖事業の推進のために必要な木の伐採ですとか外来種の捕獲等が実施できるよう、改正法案で措置したいと考えております。

 本改正法案をお認めいただいた暁には、これらを着実に実施していくために、必要な人員と予算の確保にも努めてまいりたいというふうに考えております。

斉藤(鉄)委員 そういうソフト面もあるわけですね。よくわかりました。着実に進めていただきたいと思います。

 ただいまのやりとりの中でも取り上げました特定第二種国内希少野生動植物種について、引き続き質問していきたいと思います。

 改正法案で新設する特定第二種ですけれども、販売や頒布を目的とした捕獲や譲り渡しのみを規制するということです。ですから、自分が行って、自分の趣味の範囲で捕獲するというのは、これは規制の対象になっていないということだと思いますが、現実に、里地里山に分布するような種に関して、実際にどのような種がどの程度の値段で販売されているんでしょうか。それを教えてください。

亀澤政府参考人 里地里山に分布する絶滅危惧種のうち、サンショウウオ類、タナゴ類、クワガタムシ類、ゲンゴロウ類等が、一個体当たり数千円を超える値段で販売されているのを確認しております。

 販売や頒布は、大量の個体を捕獲、採取する動機となり得るものであることから、規制が必要というふうに考えているところでございます。

斉藤(鉄)委員 かなり高価な値段で実際それが譲り渡し、頒布されているということで、それを目的に採取、捕獲する人たちが当然出てくるというのも現実問題としてわかる話でございます。

 その譲り渡しや頒布を目的とした、そういう捕獲、採取を規制するということですが、簡単に想像してわかることですが、それをどう見分けるのか。

 そういう規制の対象になるような行為をしている人を見つけて、例えば、あなた、何やっているんですか、これは違反ではないですかと聞いたとしても、いや、私の個人の趣味で捕獲しているんです、とっているんですと言い逃れることができるのではないか、実質的な規制ができないのではないか、こういう危惧も、心配するわけですが、規制をつくる以上は、きちっとそこの線引きができて、悪いことをした人は必ずその罰を受ける、規制の対象になるというふうにしなくては、かえって混乱を招くことになると思います。この点はどうなんでしょうか。

亀澤政府参考人 お答えいたします。

 捕獲個体が実際に販売または頒布された場合に、種の保存法違反として取り締まるのはもちろんですが、その場合、その個体の捕獲にまでさかのぼって取り締まることが可能と考えております。その場合の捕獲につきましても、趣味のためなどと釈明した者についても、販売または頒布されたと確認された場合には違反とすることができるというふうに考えております。

 また、実際に販売または頒布されていない場合に、捕獲の現場で販売または頒布目的かどうかを判断するには、捕獲等を実施した者の行う事業ですとか、捕獲数、捕獲の方法、あるいは、その場所に捕獲のために何回来ているかといったそういう捕獲態様等から総合的に判断したいというふうに考えております。

 現場における取り締まりにつきましては、警察等とも連携しつつ対応していきたいというふうに考えております。

斉藤(鉄)委員 今の段階ではそういう答弁しかないと理解できます。警察等と連携をとりながら総合的に判断ということだと思いますが、この点、法の実効性あらしめるためにもしっかりやっていただきたい、このように思います。

 次に、動物園、水族館、植物園の役割について質問させていただきます。

 今回、絶滅危惧種等に対して、動物園、植物園、水族館等と連携した生息域外における種の保存の推進ということで、役割が動物園、植物園などに与えられることになりました。

 このことについて質問させていただきたいと思いますが、一昨日、私も多摩動物園に委員長とともに行かせていただきました。大変勉強になりました。

 動物園に視察に行くと言ったら、党内の国対の会議で、え、動物園に視察といって皆から驚かれましたが、いや、オガサワラシジミの保全を見に行くんだと言ったら、みんな貝のシジミを想像しまして、私も実はそうだったんですけれども、行って、チョウチョウだったのにびっくりした、非常にそういう知識の浅い状態で行ったのを恥じておりますけれども、大変動物園の方が熱心に希少種の保全に取り組まれている姿に大変感動をいたしました。また、意見交換もさせていただきまして、いかに重要な役割を動物園、植物園、水族館が果たしているのかということもよく理解できたわけでございます。

 この多摩動物園については、いろいろなものを見せていただきましたが、特にトキについては、二〇〇七年に、佐渡トキ保護センター以外の施設では初めてトキの飼育を開始し、これまでに累計五十五羽が巣立って、そのうち三十三羽は佐渡で既に放鳥されているということで、その取り組みには目を見張るものがありました。

 今回の改正法案では、そうした動植物園また水族館などの取り組みを後押しするために、動植物園や水族館を環境大臣が認定して後押しする、こういう制度を創設することになっておりますが、この制度を創設することにした背景や制度の狙いについて、改めて伺いたいと思います。

亀澤政府参考人 近年、生息域外保全等は、国際的にも動植物園等が果たすべき重要な役割の一つであると認識されつつあります。一方で、動植物園等からは、動植物園等が生息域外保全に取り組むことの社会的な位置づけが明確になっていないことが、その取り組みの必要性を内外に説明する上での大きな支障の一つであるというふうに指摘されております。

 このため、動植物園等の認定制度の創設によりまして、環境省との積極的な連携を図るとともに、生息域外保全等に関する動植物園等の公的な位置づけの明確化と社会的な認知度の向上等を図ることが、動植物園等における生息域外保全等の取り組みの推進に効果的と考えております。

 また、動植物園等では、近親交配を避けるために頻繁に個体を他の動物園等との間で移動させておりますが、これまでは、その移動のたびごとに、環境大臣による譲り渡し等の許可を受けなければ移動させることができませんでした。

 新たに創設する認定制度では、認定された動植物園等につきましては、譲り渡し等の規制を適用除外とすることにしておりまして、繁殖等のための個体の移動を今後はより一層円滑に行うことができるようになるというふうに考えております。

斉藤(鉄)委員 今回、多摩動物園の担当者の方も大変期待しているということでございました。

 そこで、全ての動植物園や水族館が対象になるのではないと思います、ある基準を設けて、その基準を満たしたものになると思うわけですけれども、その基準はどういうものか、また、実際に基準を満たす動物園などはどの程度あるのかということについてお聞きしたいと思います。

亀澤政府参考人 お答えいたします。

 動植物園等からの認定申請があれば、飼育、栽培等の計画が適切か、適切な能力を持つ職員の数が十分か、計画に沿った取り組みを進めることが可能な施設を有しているか、そういった観点に基づき審査することを想定しております。

 また、希少種の繁殖に貢献しているかどうか、繁殖させた個体を野生復帰に活用しているなどによって野生の生息、生育状況の維持改善に貢献しているかといった、そういう観点についても考慮したいというふうに思っております。

 この認定制度の対象となる動植物園等は、国内希少野生動植物種または国際希少野生動植物種を飼養、飼育、栽培しており、かつ望ましい取り組みを実施している園館ということになりますが、実際の申請受け付け及び審査を実施してみないとわからない部分はありますが、およそ七百園館ある全国の動植物園等のうち、おおむね一割程度になるのではないかと今のところ想定をしているところでございます。

斉藤(鉄)委員 おおむね一割程度ということで、かなり厳しい基準なんだなということを感じた次第ですが、ここもしっかりやっていただきたいと思います。

 次に、これまでは国内でしたけれども、国際希少野生動植物種の流通管理についてお伺いしたいと思います。

 象牙については、近年、登録を受けずに違法に取引を行うなどして摘発される事例が発生しているとニュースなんかでも我々は見るわけですけれども、国内の象牙の違法取引の現状はどうなっているのか、お伺いします。

亀澤政府参考人 警察庁の資料によりますと、象牙に関連した種の保存法違反の検挙件数は、平成二十五年で一件、平成二十六年一件、平成二十七年は三件、平成二十八年六件となっております。種の保存法違反全体の検挙件数は、平成二十五年八件、平成二十六年十七件、平成二十七年二十二件、二十八年二十九件であり、象牙に限らず、種の保存法違反の検挙数全体が増加しているところでございます。

斉藤(鉄)委員 そうした現況も踏まえて、今回の改正案においては、象牙事業については届け出制を登録制とすることにする、規制の強化を図るということになっております。

 この点、象牙の流通規制に関しては、国際的な動きとしては、昨年秋にワシントン条約の第十七回締約国会議が開催され、象牙の密猟や違法取引を行っている国内市場の閉鎖を締約国に求める決議が採択されたと認識しています。閉鎖です。

 象牙については、我が国で古くから印鑑や装飾品等に利用されていた経緯もありますが、こうした決議を受け、また、アメリカや中国等の諸外国の対応も踏まえ、我が国の国内市場を閉鎖する必要はないのかと考えているところでございますが、今回の改正法案は我が国の対応として十分なものになっているんでしょうか、その点をお伺いします。

比嘉大臣政務官 これまで我が国では象牙の大規模な違法輸入は報告されておらず、ワシントン条約ゾウ取引情報システムの最新の報告においても、我が国の市場は密猟や違法取引に関与していないと評価されています。

 しかしながら、象牙の流通管理の強化に対する国際的な要請も踏まえ、これまで行ってきた国内市場の適正管理を継続することを基本としつつ、今回の改正で象牙事業について届け出制から登録制にするなど管理の強化を図りたいと考えております。

 これにより、象牙の国内市場の管理は十分なものになると考えております。

斉藤(鉄)委員 まず管理の強化から進めるということでございますね。わかりました。

 では、最後に大臣にお伺いいたします。

 今回の法改正は、これまで、平成四年にこの法律ができてから過去に三回の改正があったということを最初に報告を受けましたけれども、それに比べてもはるかに大きな規模の抜本的な改正だと思います。そういうこの今回の種の保存法の改正案につきまして、大臣のお考え、また決意をお伺いします。

山本(公)国務大臣 野生生物の種の保存は、私は、人類共通の解決していかなければならない喫緊の課題だと思っております。

 そういう意味において、今回の改正法案は、必要な措置を最大限盛り込んだものだと思っております。

 お認めいただいた暁には、全力を挙げてその着実な実施に取り組んでまいりたいと思っております。

斉藤(鉄)委員 どうもありがとうございました。終わります。

平委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 質問に入る前に、ちょっと、この委員会の出席状況がこれでいいのかと率直に思っております。そもそも、委員会が成立している、定足数に達しているのかどうか、確認していただけますか。

平委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

平委員長 速記を起こしてください。

 塩川君。

塩川委員 こういった法案についてこの出席状況というのは、法案の役割そのものを非常に軽んじているんじゃないか、特に与党側のその責任というのは極めて重いということは指摘をしておくものであります。しっかりとした、法案を進める上で、委員会の出席状況というのは大前提ですから、この点についての与党に対する猛省を促したいと思っています。

 それでは、種の保存法の改正案について質問をいたします。

 きょうは、国内に生息する希少野生動植物種の保全に関連して質問をいたします。

 この間、種の保存法の改正に当たって、さまざまな専門家の方や自然保護団体の働きかけもあり、よりよいものにしていく取り組みが行われてきたところであります。

 今回の法案では、国内希少野生動植物種の提案募集制度の創設を行うとしておりますが、この提案募集制度というのはどのようなものなのか、どのような経緯で今回の法改正に盛り込まれたのか、この点についてまず環境省に確認したいと思います。

亀澤政府参考人 お答えいたします。

 前回、平成二十五年六月の種の保存法改正時の附帯決議におきまして、希少野生動植物種等の指定に関して、国民による指定提案制度の法定の検討が求められたところであります。

 この附帯決議を踏まえまして、平成二十六年度より、環境省のウエブサイト等を通じて、国内希少野生動植物種の選定に関する提案の募集を開始いたしました。

 また、附帯決議のほか、これまでの運用も踏まえまして、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律あり方検討会及び中央環境審議会において御議論いただいた結果、国民による指定提案制度の法定が必要との結論になりました。

 今回の改正案におきましては、希少野生動植物種保存基本方針に国内希少野生動植物種に係る提案の募集に関する基本的な事項を盛り込んだ上で、環境大臣が提案の募集を実施したいというふうに考えております。

塩川委員 実際には省令で定めるということになるわけですけれども、この省令でどういうことを書き込むのか、今既に実施をしているというその提案募集制度、その内容以上のものというのは含み得るのか、その辺はどうでしょうか。

亀澤政府参考人 募集の方法、それは、例えばネットを使うとか、そういう具体的な募集の方法等を規定することを考えております。

塩川委員 こういう国内の希少野生動植物種に当たっては、もちろん指定について広く提案募集を求めるということが極めて重要であります。

 同時に、やはりそれにとどまらずに、生息地の保護区の指定ですとか保護増殖事業計画の策定のように、実際にその種の保護を図っていく上で、その環境、何よりも生息域を確保する、それに伴うような支援策、計画を立てる、こういうことも含めて具体的な提案募集制度にしていくということが重要ではないかと思うんですが、その点についてはどのように考えているのか、お聞かせください。

亀澤政府参考人 今回は種指定に関する提案制度を法定化することを考えておりますが、生息地の保護区の指定とか、保護増殖事業計画の内容につきましても、提案等があればそれを踏まえて対応していくということは運用上していきたいというふうに考えております。

塩川委員 一体的に提案というのはあり得るわけですから、ぜひ、そういったことを含めて積極的に公募を求めるし、それを受けとめるという体制を整えていただきたいと思っております。

 今回の改正では、科学委員会の法定化を行うということも盛り込まれております。希少種の指定に当たっては、中央環境審議会にかえて、「野生動植物の種に関し専門の学識経験を有する者の意見を聴かなければならない。」としています。これを科学委員会と呼ぶというふうに承知をしておるんですが、この法改正に至る経緯を含めて、この科学委員会というのはいかなるものかについて説明を求めたいと思います。

亀澤政府参考人 科学委員会の法定化につきましても、前回、平成二十五年六月の種の保存法改正時の附帯決議におきまして、専門家による常設の科学委員会の法定の検討が求められたところでございます。

 この附帯決議も踏まえまして、種の保存に関する法律のあり方検討会及び中央環境審議会において御議論いただいた結果、科学委員会の法定が必要ということになりました。

 今回の改正案におきましては、今般新設する特定第二種国内希少野生動植物種を含め、より幅広く国内希少野生動植物種の指定等を推進することとしておりますことから、野生生物の種に関してより専門性の高い学識経験者で構成される科学委員会の意見を聞くこととしたいというふうに考えております。

塩川委員 こういった科学委員会の体制というのは具体的にどういうふうになっていくのか。外来生物法における専門家の会合などもあるわけですけれども、どういうイメージでつくられるのかについて、今、具体化、検討されていることがあれば紹介してもらえませんか。

亀澤政府参考人 科学委員会の具体的なメンバーについてはこれからということになりますけれども、イメージといたしましては、それぞれの分類群、哺乳類とか爬虫類とか、それぞれの分類群ごとの種の専門家から構成するということを考えております。

塩川委員 これまでの中央環境審議会においては、当然、大臣からの諮問があって、その大臣の諮問に対して検討を行い、それを答申で返すという形になるわけです。科学委員会についてはその辺はどのように考えておられるのか。

 やはり、それぞれの分野における専門家の議論ということであれば、もちろん、諮問、答申に相当するようなやりとりというのもあるでしょう、それにとどまらず、やはり、科学委員会として独自に議論を進めていく、そういうことを含めて、独自に積極的な意見や提案を行うということも可能とする、こういうスキームも重要ではないかと思うんですが、その点はどうでしょうか。

亀澤政府参考人 お答えいたします。

 科学委員会におきましては、国内希少種の指定に限らず、その種に関する個体数の回復の目標ですとか、あるいは今後の保全対策とか規制の運用の方針等を含めた、それぞれの種の保護管理の全体的な方針等についても御議論いただきたいというふうに考えております。

塩川委員 そういった議論を踏まえて、諮問あるいは要請によらず、独自の判断で国に対して意見、提案を行うということを可能にするものと考えていいんですか。

亀澤政府参考人 専門的な立場からの御提案とか御提言をいただくということは可能だというふうに考えております。

塩川委員 科学委員会については、二〇一三年の法改正時の附帯決議ですとか、また中環審の答申においても、種指定の優先度と個体数回復などの目標、必要な保護管理計画などを勧告する、専門家による常設の科学委員会の法定化を求めています。

 ですから、この点をもう一回確認したいんですけれども、こういった生息地等の保護区の指定や保護増殖事業計画の策定に関して、中環審の意見聴取が規定されているんですけれども、この生息地等保護区の指定や保護増殖事業計画の策定について、科学委員会が勧告するなど関与する、こういうふうに改めるということについては考えないのか。

亀澤政府参考人 生息地等保護区の指定につきましては、土地利用の規制という社会的な要素があること、また、保護増殖事業計画につきましては、関係機関による効果的、効率的な事業の進め方について検討するものであることから、希少種の専門家だけではなく多様な関係者の意見を幅広く聞くことが重要と考えております。

 したがって、これらにつきましては、幅広い関係者で構成される中央環境審議会の意見を聞くことが適当というふうに考えておりますが、先ほど申し上げましたような、個体数の回復の目標ですとか、そういう種ごとの保護管理の全体的な方針等を科学委員会で御議論いただいて、そこから提案等があれば、それを中央環境審議会の意見に反映させていくということは積極的に対応してまいりたいというふうに思います。

塩川委員 そういった科学委員会における議論や結論について、やはり中環審がしっかり受けとめるという体制については確保いただきたいと思うんですが、その点、どうでしょうか。

亀澤政府参考人 科学委員会による専門的な見地からの御議論、御提案等については、審議会の中でも反映できるようにしてまいりたいというふうに思います。

塩川委員 先ほどの議論もありましたけれども、やはり絶滅危惧種の数、レッドリストの数に比べて、こういう希少種の指定の数が非常に少ないということがあるわけですけれども、そういった理由が何なのかについて御説明いただけますか。

亀澤政府参考人 保護増殖事業計画は、特に生息環境の改善や野生復帰等の事業の実施が必要な種を対象に、積極的な事業の実施による保護効果が高いと考えられる種から優先的に策定を進めてきております。

 また、生息地等保護区の指定の方は、地域の関係者や土地所有者等と調整を行い、時間をかけて丁寧に進めていく必要があります。

 そういう中で、国内希少野生動植物種につきましては、前回の種の保存法改正時の附帯決議を踏まえて、二〇二〇年までに三百種の新規指定をすることを目指して、平成二十六年度以降、年間四十種程度を指定してきております。

 三百種の新規指定という目標達成に向けて、まずは種の新規指定を進めることを優先して取り組んでいることもありまして、指定種数と比べると保護増殖事業計画の策定数や生息地等保護区の指定数が少ない状況が続いている状況でございます。

塩川委員 その質問の前に、絶滅危惧種の数、レッドリストに載っている数と希少種の指定の数と大きな乖離があるよね、指定種の数が非常に少ないという理由についてまず説明してもらえますか。

亀澤政府参考人 レッドリストに載っている種から法に基づく指定をする場合には、最新の生息状況とか保全の状況等を確認して、それらのデータをそろえた上で指定の作業を進めていくことになりますが、そのデータをそろえるのにそれなりの時間を要しているというような面は確かにあるかと思います。

塩川委員 非常に労力がかかる、人手の問題も当然そこに限りがあるという問題が出てくるわけです。こういった希少種をふやすという点での取り組みに注力するということ、その体制づくりということも求められていることです。

 それと同時に、生息域における保全策が欠かせないわけで、こういった現在の国内希少野生動植物種の二百八種に対して、保護増殖事業計画が六十三、生息地等保護区が九カ所にすぎない。その点について、先ほど説明もありましたけれども、本来、しっかりとした生息域における保護なしには種の保護を図ることができないわけで、こういう保護区の指定、保護増殖事業計画の策定、これをどう進めるのかについて、やはり今真剣に考える必要がある。

 この点で大臣にお尋ねいたしますけれども、このように、特定の希少種の保護というのは生息地の保護、回復なしには成り立たないわけですし、生息地の保護、回復と一体となってこそ保護増殖事業計画が成り立っていく、こういう点でも、保護増殖事業計画や生息地等保護区、これを進めていく上で、環境省としてどのように取り組むのか、この点についてお答えをいただきたいと思います。

山本(公)国務大臣 御指摘のとおり、国内希少野生動植物種の保全を効果的に進めるためには、種の指定後、生息地等保護区の設定や保護増殖事業の実施等を着実に進めていくことが重要であろうかと思っております。

 本改正案をお認めいただいた暁には、新たな生息地等保護区の指定や保護増殖事業計画の策定を実施していくためにも、必要な人員と予算の確保に努めてまいりたいと思っております。

塩川委員 その実際の人員や予算の確保というのがどうなるのか。例えば、昨年度までに比べて今年度というのがふえているのかどうなのか、あるいは今後の見通しがどうなのか。この法改正が成立した上で、こういった人員や予算面での拡充の見通し、この点についてはどのように受けとめておられますか。

山本(公)国務大臣 私の経験上、やはり法というものが、一つの形ができ上がってくると、今申し上げた人員なり予算の確保には極めて有効な手段になってくると思っております。

 したがいまして、この改正案が成立をした暁には、今まで以上といった表現はおかしゅうございますけれども、力を入れてまいりたいと思っております。

塩川委員 実際に、その保護増殖事業費というのも年間三億円ぐらいということですから、国の予算全体で考えれば本当にまさにわずかな額であります。そういう点でも、予算の必要な組み替えにおいて十分確保できる、そういう取り組みとして、やはり広く国民の理解も求めながら、人員や予算措置の拡充ということについて取り組んでいただきたいということを求めておきたいと思います。

 それと、こういった希少種の指定について、附帯決議において、二〇二〇年までに三百種の新規指定を行う、こういうことで取り組んでいるわけですけれども、今、この間の環境省におけるこの種の指定についての目標がどのようになっているのか、その辺についての考え方とあわせて説明してもらえますか。

亀澤政府参考人 前回法改正時に八十九種であったものを二〇二〇年までに三百種追加指定をするということで、附帯決議で盛り込まれているところですが、これまでの三カ年で、年四十種ずつ、合計百十九種の追加指定を行いました。今後、二〇二〇年までに三百種の追加指定を達成したいというふうに考えております。

 さらに、その先、二〇二一年から二〇三〇年までの十年間で、今回新設する特定第二種のカテゴリーで百五十種、さらに現行カテゴリーで百五十種、合計三百種を二〇二一年からの十年間で指定をしていきたいという目標を立てております。

塩川委員 予算、人員の話というのがあったわけですけれども、希少種の指定について、目標を持って行うと。同時に、そのためにも、生息域の保全を図るという点で、生息地等保護区の指定についての目標、これを持つというのは、環境省としては具体化する考えはありませんか。

亀澤政府参考人 生息地につきましては、全国各地、いろいろなところでそれぞれの事情もありますし、生息地等保護区の数を数値として目標とすることは難しいというふうに考えておりますが、一つ一つの種ごとに生息地等保護区の指定を着実に進めてまいりたいというふうに思っております。

塩川委員 やはり生息域の保全を図るということなしに種の保存を図ることはできないという点でも、ふさわしくこの保護区の指定について目標を立てていく、こういうことが、種の指定の目標を持つ以上は当然伴うものではないかということを指摘しておきたいと思います。

 この点でも、やはり生息地保護というのはなかなか課題があるというのは共通の認識でもあろうかと思いますが、資料でお配りしましたけれども、朝日新聞の報道で、「「種の保存法」実効性に課題 生息地保全か地域振興か 難しい調整」、こういう見出しが立っている記事があります。ここでは、「種の保存法の保護対象、ベッコウトンボがすむ大分市沿岸の工業埋め立て地に二〇一四年、丸紅がメガソーラー発電所を建設した。生息していた四ヘクタールの池と周辺の草地にも太陽光パネルが作られ、生息地は一・五ヘクタールに減った。」ということが報道されております。

 環境省にお尋ねしますが、このベッコウトンボというのはどのような種であって、この希少種指定に当たっての経緯について説明を求めたいと思います。

亀澤政府参考人 ベッコウトンボは、体長四センチ程度の明瞭な褐色斑があるトンボでありまして、周辺に草地が広がる池や沼地に生息をしており、昭和のころには、宮城県及び新潟県以南に広く分布をしておりました。その後、各種開発や湿地の乾燥化等による植生の変化、外来種であるアメリカザリガニによる捕食圧等により大幅な減少を続け、人による採集圧も確認される状況でございました。

 平成の初めには数県程度、その中でも一部地域のみにしか残存しないという状況になり、種の存続に支障を来す程度に絶滅のおそれが高まったということで、平成六年に国内希少野生動植物種に指定をしたところでございます。

塩川委員 このベッコウトンボに関する保護増殖事業計画の策定や生息地等保護区の指定はどうなっていますか。

亀澤政府参考人 生息地等保護区につきましては、全国で数カ所、五カ所、六カ所程度の生息地しかなかったわけですが、その中で、代表的な生息地でもあった鹿児島県薩摩川内市に位置する藺牟田池というところで、池及びその集水域にある周辺湿原を含む百五十三ヘクタールを生息地等保護区に指定したところでございます。それは平成八年です。

 あわせて、同じ平成八年に、その藺牟田池の保護区全体を対象区域として、ベッコウトンボの保護増殖事業計画を策定して、生息地の維持とかオオクチバスの駆除などを実施しているところでございます。

塩川委員 この大分市の事例についてですけれども、生息地がもう五つの県に限られているような状況で、その中で、生息地も十に満たないという状況だというふうに聞いております。環境省は鹿児島県の藺牟田池を種の保存法に基づく保護区に指定しておりますが、大分市ではそうなっておりません。

 この大分市の事例について、環境省はどのように現状を把握し、どう対応されてきたのか。この点についてお聞かせください。

亀澤政府参考人 この記事にあります大分の事案について経緯等を申し上げますと、学会から環境省の事務所に検討会設置の要望があったわけですけれども、その検討会が開かれなかったのは事実でございます。

 種の保存法では、保護区指定をされている区域ではありませんので、直接的な対策を事業者に求める法的手段がないというような状況であったことも関係しているかと思いますが、環境省といたしましては、事業者に対しまして、ベッコウトンボの生息に対する配慮をお願いするとともに、専門家から意見を聞くように伝えたところでございます。

 その結果、事業者の方で、ベッコウトンボの生息地を当初の計画よりは広く残すとともに、モニタリングや生息環境の整備などの対策を実施していただいていると承知しております。

塩川委員 やりとりの中で生息域を当初より少し広く残したということなんです。

 二枚目に写真をつけてあります。丸紅が計画をしているソーラーパネルですけれども、非常に、もう一面にソーラーパネルなんですが、その中に五角形であいている部分があるわけですよね。ですから、下の写真でいえば手前の方にあるわけですけれども、一面に敷き詰められたソーラーパネルの中に、手前の方に五角形が残っているというのが、この生息域を保護するということになっているんですが、もっと本来は広く生息域があったわけですけれども、こうなってしまうと大変寂しい思いがするわけです。

 これで本当の意味でこの保護が成り立つのかということを率直に受けとめているんですが、この報道でも、日本トンボ学会が環境省に検討会の設置を求めたが開かれなかったというふうに書かれているんですが、環境省の対応というのはこの点でどうだったのかと率直に思うんですが、この点についてはどうですか。

亀澤政府参考人 保護区になっていないということもあって、法的に対応を求めるには限界があるというようなことだったかと思いますが、保護区外でありましてもできるだけの配慮をしていただけるよう、今後は環境省としても必要に応じて調整役を果たすなど努力をしてまいりたいというふうに思います。

塩川委員 大臣にお尋ねいたします。

 この種の保存法に基づいて貴重な種の保護を図っていく、こういう取り組みにおいて、やはり本来、生態系ですから、何か特定の種だけ守ればよいということではなくて、多様性を保全する上でも、生息域全体をどう保護していくのか、そこには多様な希少種も含まれる、そういった意味で、生息地の保全とこういう開発との関係について、私はやはり、こういった生物多様性の観点から、しかるべく開発行為に対して合理的な規制をかけていく、こういうことが大変重要だと思うんですが、この点についての大臣のお考えをお聞かせください。

山本(公)国務大臣 長く環境に関心を持ってきて、いつも思いますことは、何十年たってもやはり変わらないのかなという気がいたします。

 それは、開発か保護かという観点からの環境行政でございまして、私は、前の委員会でも申し上げたと思いますけれども、生物の種の保存ということに関して言えば、南方熊楠が言ったように、やはり一度失ったものは取り戻すことは不可能だと。彼は不可能という言葉を使っておりますけれども、そういう観点からいきますと、今回の種の保存法、ぎりぎりの世界で、私は何とか守り抜きたいという世界をこの法改正の中でつくっていきたいなというふうに思っているんです。

 そういう中で、さっき動物園の例が出ましたが、本来、動物園で種の保存を図るというのは、これはひょっとしたら違う行為なのかもしれませんけれども、そうでもしてやはり種の保存を図っていくということ、大切さを動物園というところで私は改めて感じておりまして、環境委員会の皆様方が多摩動物園に視察をされたことに心から敬意を表したいと思っております。

塩川委員 いわば生息域外保全というのは次善の策であって、やはり生息域での保全、保護をどう図るかということなしに、何か切り離して生息域外保全でもないわけで、それは、多摩動物公園に私も視察に行きました、当事者の皆さんがまさにその点は非常に大きな課題、考えているところだということをおっしゃっておられたというのも、その点があるからだと思います。

 そういう点でも、いかに生息地の保全を図っていくかという点では、自然保護団体からいろいろな御提案もございます。生息地等保護区とは別に、土地所有者や管理者の方の自発的な意思に基づいて環境大臣が指定するような認定生息地等保護区を創設するとか、また、生息地等保護区の土地が民間地の場合、保全に協力することによるインセンティブを設けるとか、アセス等のリンクの問題ですとか、こういった点についてもぜひ積極的に受けとめて具体化を図っていく、こういう取り組みを求めて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

平委員長 次に、松田直久君。

松田委員 民進党・無所属クラブの松田でございます。おはようございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 せんだってといいましょうか、多摩動物園の方へ視察にお伺いをさせていただきました。やはり視察というのは、現場を見るということは大事だなということを改めて感じたんですけれども、現場の方々が、限られた予算の中で、親しまれる動物園をやりながら、自然保護、種の保存に尽力をしていただいておるというようなことを見させていただきまして、やはり、いろいろな意味で、現場をしっかりと見ていただく、わかっていただくということが非常に重要だということを強く感じました。

 大臣は、そういう面では、いろいろなことで御経験とかいろいろな視察へ行って現場を十二分に御承知いただいておるわけでございますけれども、大臣以下、どうぞ机上の論にならないような形で、現場をできれば重視していただきたいなということを、まず感想だけ申し上げたいと思います。

 それでは、質問に入らせていただきます。

 大臣、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律の目的と役割について、先般本会議で質疑をさせていただきましたけれども、確認をさせていただきたい、このように思います。

 改正法案の趣旨説明で、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律が、環境教育や調査研究等に支障を及ぼし、かえって保全につながらないことが懸念されるため、こうした効果的な保存を進めるための新たな制度が求められていますと説明をいただきました。

 本法の第五十三条「地方公共団体に対する助言その他の措置」の二では、「国は、最新の科学的知見を踏まえつつ、教育活動、広報活動等を通じて、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関し、国民の理解を深めるよう努めなければならない。」としていて、国民の理解を深めるための手法として、一つ教育活動を挙げています。

 環境教育のために絶滅のおそれのある野生動植物の利用に言及するものではないとは思いますが、そもそも種の保存法が環境教育にどのような支障を及ぼしているのか、答弁の趣旨を伺いたいと思います。

 さらに、動植物園等を認定する制度の創設によりまして、環境教育の場の提供の一助となるとは理解はしますが、絶滅のおそれのある野生動植物を動植物園等で展示することで、教育効果としてどれほどの効果を想定されているのか。

 また、関連して、動植物園は、先般少し話題になりましたけれども、心ない発言で世間から注目された、私としては残念なんですけれども、専門分野に真摯に取り組む多くの学芸員によって支えられているわけでありますけれども、調査研究という観点から、学芸員の役割について、あわせて大臣にお伺いをさせていただきます。

山本(公)国務大臣 松田先生の御指摘のとおりだと私も思っておりまして、現行の種の保存法においては、国内希少野生動植物種として指定された種については、基本的に捕獲及び譲り渡し等が禁止をされております。

 例えば、虫を一匹捕獲しても厳しい罰則が現行法ではかかります。したがいまして、子供たちが虫とりをすることもためらわれることもございます。環境教育に支障を及ぼすおそれがあるというふうに考えております。お互いの子供のときを考えてみましたときに、虫をとって罰則されるということがあったでしょうか。

 だけれども、基本的には、やはり、我々が目指している法律というのは、先生が御指摘された多摩動物園の、オガサワラシジミはやはり小笠原にいるものなんです、本来は。それが本当の姿なんだろうと私は思っております。しかし、やはり子供たちの環境教育を考えていくときに、昆虫採集といいますか、そのことをすることによってやはりファーブルは生まれてきたんだろうと思いますし、そういうことを考えていくときに、情操教育も含めて、環境教育というのは非常に大事な、私は子供たちの成長過程においての必要な時期だというふうに思っておりますから、環境教育に支障を及ぼすということに関しては、私どもは何とか排除していきたいというふうに思っております。

 それから、学芸員のことでございますけれども、今回の種の保存法の改正に関する分野について申し上げれば、例えばレッドリストを作成する際や国内希少野生動植物種の保護増殖を進める際に、博物館の学芸員を含むさまざまな専門家の助言を踏まえながら進めており、多大な貢献をいただいているものと認識をいたしております。

 私の経験上、学芸員の方々の知識それから知見は極めて貴重なものだと私は思っております。

松田委員 この間の視察で、学芸員の方々は、ほとんど兼務、それだけ一本で仕事をやられているという方は皆無みたいで、兼務でやってみえるということでございまして、そういった面で、それに特化した仕事をしていただくのが一番いいんでしょうけれども、なかなか現場はそういうわけにいかないということで、そういう現実ということ、もちろん御承知でしょうけれども、御承知をいただければ、このように思います。

 次に、種の保存法の三条に関連した質問の、財産権の尊重等に関して、先般御答弁をいただいた内容が、憲法が保障する国民の財産権を尊重すべきであることを明らかにしたものであり、削除、変更の必要はないという御答弁。私からの質問は、人間の諸活動がこのとうとい地球の生態系の上に成り立っている観点からすれば、生物多様性、生態系の保全を優先的な価値として考えるべきではないかなという趣旨のものであります。

 本法第一条の「目的」では、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存を図ることにより、生物の多様性を確保するとともに、良好な自然環境を保全し、もって現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的とする。」とも規定していますし、さらに、自然環境保全制度の枠組みで本法の上位法に当たる生物多様性基本法には、財産権のいわゆる尊重等の規定はない。ありません。

 そこで、大臣の御答弁の、憲法が保障する国民の財産権を尊重は、私も理解はしておりますが、財産権に係る憲法二十九条では、「財産権は、これを侵してはならない。」「財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。」「私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。」としています。

 この公共の福祉に適合するように法律を定めるの考えと、上位法たる生物多様性基本法との整合性を踏まえると、改めて、生物多様性、生態系の保全を優先的な価値として考えるべきではないかと私は考えますけれども、大臣の御所見をいただきたいと思います。

山本(公)国務大臣 絶滅のおそれのある野生動植物種の保存が、生物多様性保全上の基本的な施策であり、また環境省にとって重要な公益であることは言うまでもございません。

 そうした前提のもとで、この法律による土地利用の制限などの行為規制等が国民の生活に大きな影響を与える可能性があることから、法の適用に当たって、国民の財産権を尊重し、住民生活の安定等にも配慮するという当然のことを規定したものと認識をいたしております。

 こうした事情は現在も変わりはないため、本規定を削除することは妥当ではないと考えております。

松田委員 大きな意味で、公共の福祉というのは一体何なんだろうということでいえば、今大臣の御答弁をいただいたわけですけれども、私は、トータルでいったら、公共の福祉という面では、種の保存というのは非常に重要なことである、これも大臣も御認識をしていただいておると思うんですね。

 種の保存法の成立時は平成四年ということでありまして、時代の背景からすれば、守りより、物をつくっていくというか、産業優先という時代の背景はわかるとしても、やはり公共の福祉ということを適合していく、そういう面では、生態系の保全、生物の多様性というのは要するに上位に考えられるものだ、優先して考えられるものだ、私はそういうふうに思うんですけれども、環境省におかれる公共の福祉という観念というんでしょうか、一体、公共の福祉というのをどういうふうに考えていらっしゃるのか、お聞きをしたいと思います。

山本(公)国務大臣 何度も申し上げますけれども、私は、今回の種の保存法で生物多様性を維持していくということを大前提に考えております。そういう中で、やはり生物が生育する環境というのは、どうしても個人の所有地もしくはそういうところが浮かび上がってまいります。

 そのときにいつも思いましたことは、文化財保護法というのがございます。文化財に指定されることを随分拒否される建物の持ち主がいらっしゃるということは皆さん方御存じだろうと思います。

 一度文化財に指定されてしまいますと、個人の所有物に対して非常に制約がかかって、そういうことで、大変、築二百年、三百年たった建物が文化財に指定されることを拒否されるという持ち主の方がいらっしゃることを考えていくときに、今先生の御指摘のように、私は、種の保存ということを大前提に考えておりますけれども、それが生育する場所によっては、どうしても個人の財産権との絡みが生じてくるということだけは現実として否めない事実なんだろうと思っております。

松田委員 言われておることは、それは私もわからぬではないんですけれども、例えば、都市計画法なんかでもこういう規定がない。まして、こういう種の保存で財産権をとっぴにつけられたというところに、もう少し環境省がリーダーシップをとって、そこのところはやはりこれから考えていっていただきたいなというふうに思いますので。

 次の質問に入らせていただきたいと思います。

 国内希少野生動植物種の解除についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 国内希少野生動植物解除について、国内希少野生動植物種が個体数の回復により環境省レッドリストカテゴリーから外れ、ランク外と選定された場合、指定を解除します。また、カテゴリーが準絶滅危惧へとダウンリストし、次のレッドリストの見直しにおいても絶滅危惧2類以上に選定されない場合、希少野生動植物種保存基本方針の規定を踏まえ、解除による種への影響も含めた指定解除について検討を開始します。その際、特に解除による個体減少の可能性については十分な検証に努めるとしています。

 そこで、この解除について実態を伺います。

 平成二十七年度には、オオタカの国内希少野生動植物種解除について、オオタカが過去二回のレッドリスト改訂で準絶滅危惧であったことを踏まえ、オオタカを種の保存の国内希少野生動植物種から外すことについては検討が公表されましたが、その後の進捗について伺いたいと思います。

 また、解除した場合の影響について課題が挙がっていると思いますが、その対応についてもあわせてお伺いをいたします。

亀澤政府参考人 オオタカにつきましては、個体数の一定の回復が見られることから、レッドリストにおいて絶滅危惧種から外れておりまして、現在は、国内希少野生動植物種の指定の解除について検討中でございます。

 解除された場合のその後の対応につきましては、仮に国内希少野生動植物種の指定が解除されましても、鳥獣保護管理法に基づいて捕獲規制が継続をされるほか、鳥獣保護管理法に基づく流通規制、これを新たに行うことについても検討したいというふうに考えております。

 また、指定解除後のオオタカの生息状況の変化を定量的に把握する必要があるというふうに考えておりまして、特に生息密度の高い東日本を中心にモニタリングエリアを設定して、営巣数とか繁殖成績等を定期的に調査していくということを考えたいというふうに思っております。

松田委員 いわゆる、解除されるから放っておくということではないという御答弁だった、こう思いますけれども、やはり、そこにはきちっとした項目で、いろいろな意味できちっとした調査項目とかそういうことを具体的につけ加えるというんでしょうかね、そういうことをして見守っていくということ、もちろん考えていらっしゃるとは思いますけれども、そういうことをやっていただくように要望させていただきたい、こう思っています。

 次に、国内の希少野生動植物種における生息地等保護区の指定は、現在七種九地区しか指定をされていません。保護区の指定を今後ふやす方針なのか、ふやす方針はないのか、その考え方を伺いたいと思います。

 また、各都道府県でレッドリストをもとに各地のレッドデータを取りまとめていますが、生息地等保護区、地域指定という観点から、地方自治体にはどのような役割を求め、環境省はそれに対してどのような支援をできるのか、考えているのか、伺いたいと思います。

亀澤政府参考人 法律に基づく種指定につきましては、数値目標を設けて指定の推進をしていきたいというふうに考えておりますが、指定しっ放しということではなくて、指定した以上、保護区の指定、保護増殖事業の策定等も着実に推進をしていきたいというふうに思っております。

 それから、生息地等保護区と地方公共団体の関係でございますけれども、種の保存法に基づく生息地等保護区は、指定の際に関係地方公共団体の意見を聞くことになりますが、法律上、環境大臣が指定し、その後の管理は環境省みずからが行うことになります。

 ただし、現実に指定をされております九カ所の生息地等保護区のおよそ九割が公有地となっておりますことから、その管理には地方公共団体の協力が欠かせないというふうに思っております。

 環境省といたしましては、地方公共団体を含む地域協議会等に対して、生息地等保護区の生息環境の維持を図っていただく場合には、生物多様性保全推進支援事業というのがございますので、それによりまして、生息環境の維持に係る経費の二分の一以内を交付金によって支援をしていくということができることになっております。

松田委員 各県、あわせていろいろな市町村と連携をとっていくということでございますので、しっかりとお願いをしたい、このように思います。

 続いて、保護増殖事業計画について質問させていただきます。

 大臣は、事業の実施による保護効果が高いと考えられる種から優先して、保護増殖事業計画の策定を積極的に進めると御答弁をいただきました。

 現在六十三種ある保護増殖事業計画には、事業の目的、事業の区域、事業の内容とありますが、計画としながら、取り組み時期とか期限などの時間的な考え方が盛り込まれていません。実施期間等を盛り込む必要はないのかということをまず質問させていただきたいと思います。

 また、本計画の事業内容の進捗の確認と評価の方法はどのように実施されているのか。さらに、これまでの保護増殖事業計画が、御答弁にあったように、事業の実施による保護効果の高いと考える種から優先して保護増殖事業計画が策定されたのであるのか、お伺いをいたします。

 そして、基本的に、現在六十三種ある保護増殖事業計画は、これはちょっと少ないのではないか。また、事業の区域を示すことから、各都道府県の、地方自治体の役割はどのように求め、それに対して環境省がどのように支援ができるのか。

 以上、あわせて質問をさせていただきたいと思います。

亀澤政府参考人 保護増殖事業計画の中で、期間的な、時間的な目標を入れていないということに関しましては、相手が生き物であるということもありまして、その時々の生息状況等を常に把握しながら着実に進めていくという手法をとっていきたいというふうに考えております。

 そのほか、保護増殖事業計画に具体的な数値を入れた達成目標などは記載しておりませんけれども、保護増殖事業計画のもとに事業の実施計画を作成している例があり、その中で達成目標などを記載している例もございます。現在実施計画を策定していない種につきましても、今後順次作成を進めていきたいというふうに考えております。

 そういう保護増殖事業計画なりあるいは実施計画の進捗状況の確認とか評価につきましては、毎年、種ごとに保護増殖事業検討会というのを、専門家に参加していただいて開催をしておりますので、専門家の意見を踏まえながら、毎年の状況を確認して、その後の計画を進めていきたいというふうに思っております。

 保護増殖事業計画につきましては、指定二百八種のうち六十三種と少ない状況ではありますが、今後、種の指定を進めるだけでなくて、保護増殖事業計画の策定についても積極的に策定をしていきたいというふうに思っております。

 また、保護増殖事業計画の中で、国だけでなく、地方公共団体あるいは民間団体等との連携につきましてもしっかり書き込んだ上で、現場での連携を図って種の保護増殖を進めていきたいというふうに思っております。

松田委員 局長、相手が生き物であるから逆に時期とかそういう期限などが、逆に生き物だから必要じゃないかなというふうに僕は思うんですよ。相手が生き物だからそれはちょっとできませんよという話ではないのではないかな、僕はこう思っていますが。

 この保護増殖事業について、今のところ、何か目標を達成したとか、こういうふうなことでうまくいきましたよというような事例があったら教えていただけませんか。

亀澤政府参考人 種の指定をして、保護増殖事業計画を定めている中で、例えばタンチョウにつきましては、保護増殖事業がおおむね計画どおりに進んでいるというふうに考えております。

 タンチョウは、昭和二十七年の調査では三十三羽しか確認されませんでしたが、その後、地元の住民の方々、あるいは北海道、国などによる給餌などの保護活動によって個体数が回復をしており、平成二十八年の調査では千八百羽以上まで回復をしてきている状況であります。

 一方で、現在の越冬地につきましては、給餌によって集中をし過ぎているという面もありまして、それに伴って、農業とか畜産業への被害の発生、感染症の拡大のリスクなどが懸念をされていることから、新たに平成二十七年度からは、越冬地の分散化を目的とした給餌量の削減を実施しているところでありまして、今後、給餌量の削減について計画的に進めてまいりたいというふうに考えております。

松田委員 今、タンチョウの例を挙げていただきました。この計画をある程度達成できて、終了するということになってくると、終了時期とか、なかなか難しい。地元の方々、今まで頑張ってこられた方々、NPOの方々等々の、その辺の御理解というか調整というのはなかなか僕は難しいとは思いますが、そこはしっかりと現場の意見を聞いていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 次に、国内希少野生動植物については、捕獲と譲渡規制、生息地等保護区の指定、保護増殖事業の実施、保全施策の三本柱になっています。しかし、種の指定と同時になされるのは捕獲と譲渡規制だけで、生息地等の保護区の指定と保護増殖事業の実施は、法規上、必要があると認めたときに行うこととされています。

 現在、国内希少野生動植物種に指定されている二百八種のうち、生息地等保護区が指定されているのは七種九地区のみ、保護増殖事業が実施されているのは六十三種のみです。

 ちなみに、種の指定に関しては、前回改正時の附帯決議を受けて、環境省は国民からの提案を受け付けるようになりました。これにより、平成二十六年には三十五種三十八件、平成二十七年には十二種十四件の提案があり、このうち十二種が国内希少野生動植物に指定をされたということで、これは非常に大きなことだったと評価をさせていただきたいと思います。

 今回の法改正では、今まで運用で行われてきたこの取り組みを法定化することとしており、このように国民から提案を募集すること、またNPOの方々とか、いろいろ提案することは、多様な主体と連携した種の保全により一層進めるためには有効な手段というふうに考えます。

 そこで、現在必要に応じて行われることになっている生息地等の保護区の指定と保護増殖事業の実施についても、皆さんから深く提案を受け付けてはどうかというふうに考えますけれども、御答弁をいただきたいと思います。

亀澤政府参考人 生息地等保護区や保護増殖事業についての提案に関してでございますけれども、現在でも、土地所有者等から生息地等保護区の指定とかあるいは保護増殖事業計画の策定について具体的な提案があった場合には、それを踏まえて検討していくという考えは持っております。

 あわせて、今回の改正法案の中には種指定の提案制度を盛り込んでいるところでありますが、種指定の提案の機会にあわせて、保護区の指定とか保護増殖事業計画の策定についても提案をいただければ、積極的に対応してまいりたいというふうに考えております。

松田委員 何遍も現場、現場と僕は申し上げているんですけれども、やはりそのエリア、エリアではもちろん地域の方が一番詳しいわけですよね。ですから、そういった面で、やはりこういう意見を提案をいただくとかいうことは非常に大きいですし、やはり、提案があって、その提案はしっかりと、いろいろな地域にも反映できる部分も僕は出てくるんだろう、このように思いますので、ぜひともあと二つにおいても考えを持ってやっていただきたいというふうに思っております。

 次に、国際希少野生動植物の登録制度についてお伺いをさせていただきます。

 まず、さきの代表質問において、不正流用を確実に防止するために、これまでの登録票と一見明らかに違うものにすべきではないかという質問に対して、御答弁では、最初の登録者は、その時々の所有者と必ずしも一致せず、所有者がかわるたびに登録票を書きかえることは煩雑であることから、煩雑であることから、登録者の氏名等を登録票に記載する必要はないとの考えを示されました。

 所有者は特定するべきであり、いかに煩雑であろうと明確にするべきではないか。煩雑だから登録票に氏名を記載しないという、ちょっと僕は、煩雑だからというのは、どうも頭に血がおさまらないというか、どうもおかしいなと思っているんです。

 改めて、不正流用を確実に防止するために、所有権、所有者を明らかにする登録票へ氏名等記載についてお伺いをさせていただきたいと思います。

亀澤政府参考人 登録票につきましては、今回の改正案で、個体識別番号、登録年月日等の記載を新たに義務づけることとしておりまして、それによりまして、所有者がかわっても個体と登録票の一対一の対応関係が明確になるというふうに考えております。これによりまして不正流用を防止できるというふうに考えているところでございます。

 あわせて、現行の法律でも、国際希少野生動植物種の個体等を譲り受けたり引き取りをした場合には環境大臣に住所、氏名等を届け出することになっておりまして、それは登録機関の方でデータベース化をしておりますので、所有者を追跡することは可能となっている状況でございます。

松田委員 所有者を確認することができると言うけれども、現場では所有者の確認ができないトラブルというのは幾つも実際あるわけですよね。だから、それはできていないということで、そこは一つ、一考といいましょうか、システムをやはり見直していくべきだ、こう思いますので、煩雑だからできないというのはそれに当たらないと思いますから。

 時間がございませんので、次の質問に入らせていただきたいと思います。

 次に、国内希少野生動植物種の指定に関して伺いたいと思います。

 国内に生息、生育する希少野生生物については、レッドリストに掲載されている絶滅のおそれのある絶滅危惧1類、2類のうち、人為の影響により生息、生育状況に支障を来しているものの中から国内希少野生動植物を指定し、個体の取り扱い規制、これが一つ目ですね、二つ目、生息地の保護、三つ目、保護増殖事業の実施など、保全のために必要な措置を講じています。

 前提に、環境省レッドリストに掲載されている絶滅のおそれのある種のうちとしていますが、環境省版レッドリストでは、日本に生息または生育する野生生物について、生物学的観点から個々の種の絶滅の危機度を科学的、客観的に評価し、その結果をリストにまとめたものです。

 そもそも、人為の影響により生息、生育状況に支障を来しているものの中から国内希少野生動植物種を指定するとしていますが、人為の影響により生息、生育状況に支障を来しているものの定義について伺います。また、人為の影響以外で生息、生育状況に支障を与えるものはどのようなものがあるのか、あわせて質問をさせていただきます。

亀澤政府参考人 今御指摘のありました人為の影響による支障につきましては、各種の開発のほか、捕獲、採集、里地里山における耕作放棄あるいは管理放棄、さらには外来種の持ち込みなどを初め、人の行為に起因する種の存続への障害というふうに捉えております。

 それから、人為以外の影響の事例、全く人為がかかわっていないということであれば、例えば地震とか噴火等がそれに当たるかというふうに考えております。

松田委員 少し苦しいというか、意地悪な質問なのかもわかりませんけれども、ほとんど人為なんですよね、考えてみたら。CO2の問題で、平均温度が上がったりとか、または北極、南極の氷が解けるとか、ほとんどやはり僕は人為だと思います。

 ですから、あえて人為の影響によるということで定義をお伺いしましたけれども、そういった面で、環境を壊しているという原因はやはり人間に、人にあるんだということは、やはり我々含めて新たに認識もきちっとしなくてはいけませんし、そういう面で取り組み方もまた違ってくると思いますので。私の考えですけれども、そういうふうに思います。

 次の質問に入らせていただきます。

 現在、我が国においては、動植物園等を直接規定した法律はなく、その社会的な位置づけが明確になっておりません。そこで、今回の法改正では、適切な施設及び能力を有する動植物園等を当該動植物園等からの申請により認定する制度が新たに創設されることとなりました。

 一方、現状では、全ての動植物園等が種の保存や環境教育に取り組んでいるわけではなく、狭いおりの中で複数の動物を飼育したり、適正な生活環境を確保できない施設もたくさんある。社会的には、適切な飼養へ、改善や動物福祉の充実も求める声もあります。また、その一方、地域に密着し、住民に愛され、小さい子供が自然に触れ合える、規模の小さい動物園もございます。

 そこで、今回の法改正で公的機能を有する一部の動植物園等を認定する制度を創設する前に、全ての動植物園等において適切な飼養が行われ、国民に生物多様性、生態系の保全の認識を全国各地に広げられるよう、動物園や水族館に特化した法整備を行う必要があったのではないかというふうに考えるわけですけれども、御所見というか御答弁をいただきたいと思います。

亀澤政府参考人 環境省では、平成二十五年度から二十七年度にかけて、専門家や関係団体から成る検討会を開催し、動植物園等を全体を所管する制度の創設も含めて検討をいただいたところでございますが、動植物園等には、種の保存のほかにも、教育あるいは調査研究、レクリエーション等、幅広いさまざまな役割があることから、環境省では、種の保存という目的に絞った上で、一定の基準を満たしたものについて認定し、規制緩和等を行うことで、動植物園等の種の保存に果たす公的な位置づけを明確化するとともに、種の保存へのインセンティブを付与することが適当であろうという結論になったところでございます。

松田委員 時間がないので、次の質問に入らせていただきます。

 平成二十七年度から、生息状況の悪化等によりカテゴリーの再検討が必要な種については、時期を定めず必要に応じて個別に見直しをしよう、行うとしているわけであります。この見直しにより、本年三月には、第四次レッドリストの第二回目の改訂版、環境省レッドリスト二〇一七を公表しました。

 初めに、レッドリスト二〇一五の公表から、絶滅のおそれのある野生生物の選定・評価検討会、分科会の開催頻度について伺いたいと思います。

 絶滅のおそれのある野生生物の選定・評価検討会、分科会の開催が多くなればなるほど、レッドリストの改訂が頻繁に実施されることになるはずですが、今回の二回目の改訂版の発行までの経緯を考えて、検討会、分科会の開催は適正であったのか、また、分科会の回数をよりふやせば、絶滅のおそれのある野生生物の選定、評価が適正に行われるのか、伺いたいと思います。

 さらに、生息状況の悪化等によりカテゴリーの再検討が必要な種について、この再検討が必要な種の判断はどこが行うのか、また実際に行ったのか、伺いたいと思います。

亀澤政府参考人 レッドリスト掲載種の選定につきましては、各分類群につきまして、それぞれ年一回程度分科会を開催するとともに、必要があれば具体個別の議論を行う小規模な会合を実施するなど、それぞれの種の生息、生育状況の変化に伴う絶滅の危険度の変化について議論を行っていただいております。これに加えまして、分科会等での議論を総括的に審議する検討会というのを年一回開催しているところでございます。

 また、その検討会、分科会での議論を受けて、国内希少野生動植物種の指定に向けた検討会を別途開催しておりまして、さらにその後、法制局の審査を含めまして、種の保存法の政令改正等の作業が必要となるということになっております。

 そういうことを踏まえますと、検討会の開催回数を増加させたからといって、それが直接、種指定の加速化に必ずしもつながるものではないというふうに考えております。

 なお、レッドリストの再検討につきましては、平成二十七年からは、それまで五年ごとに行っていた全種見直しに加えて、随時見直しというのを行っておりますが、このレッドリストのランクの随時の再検討につきましては、その対象の種は、あらかじめ限定しているものではなくて、各分類群からの専門家から成る分科会等からの提案に基づいて検討しているところでございます。

松田委員 ちょっと御答弁が長かったので、もう一つどうしてもお聞きをしたかったことがあるんですけれども、時間が来ましたので、最後、大臣にお聞きしたかったことがあったんですけれども、申しわけないですけれども、これで終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

平委員長 次に、田島一成君。

田島(一)委員 民進党の田島一成でございます。

 きょうは二十分頂戴をいたしましたので、あれもこれもと問いたいところではございますが、きょうは、特定第二種国内希少野生動植物種、それと、先ほど来質問にも上がっておりましたけれども、生息地等保護区に絞ってお尋ねをさせていただきたいと思います。

 また、きょうは、財務副大臣を初め、他の省からもお越しをいただいております。御迷惑をおかけいたしますけれども、よろしく御答弁の方、お願いを申し上げたいと思います。

 やっと種の保存法の審議に入りました。本来ならば、もっと早くに手をつけていただいてもよかったなというのが正直な思いでありますし、ことしはとりわけ環境省所管の閣法が随分たくさんありますので、もっともっとじっくりと議論をさせてもらいたいというのが私どもの本音でございます。

 一昨年、皆様の同意をいただいて、琵琶湖保全再生法というのを全会一致で成立させていただき、今、地元と環境省、また関係省庁で協議をし、琵琶湖保全再生計画が順次つくられているところではありますが、ここ琵琶湖にあっても、実は琵琶湖独特の固有種というのがございます。琵琶湖にしかいない、ほかの湖や河川には見られないという固有種、これが実は五十種類以上あるというふうに言われておりますが、その五十種のうち、絶滅危惧種の1A類、いわゆる、ごく近い将来には絶滅の危険性が極めて高いと言われている種類が三種類ございます。アブラヒガイ、ホンモロコ、そしてイサザという種類であります。

 ホンモロコ、イサザ、川魚になじみのない方は聞きなれないかもしれませんが、我々滋賀県民にとっては、このホンモロコの炭火焼きなんというのは、もう絶品中の絶品でございまして、イサザというのも、つくだ煮にすれば、もうどこの家庭でも必ず食卓に上っていたものでありますが、こうした滋賀県民の食文化を支えてきた食材、固有種が絶滅危惧1Aに指定をされ、もう私たちも、いずれ近い将来、口にすることができなくなるんだろうな、そんなふうに地元民としては思っているところでもあります。

 こうした、琵琶湖だけではなく、さまざまな固有種を抱えるところが絶滅危惧種に指定をされ、どのようにしてこの数をふやしていくべきか、繁殖させていくべきかを考えていくいい機会になりましたので、導入部分ではありましたけれども、ちょっと地元のことを皆さんにお伝えさせていただいたところでございます。

 この絶滅危惧種の、今多くなってきているそのフィールドとしてやはり挙げられるのが里地里山であります。今回、里地里山、今に始まったことではありませんけれども、いわゆる中山間地域と言われる地域では、人口減少、さらには、管理が放棄されていることによって、絶滅危惧種がどんどんふえてきているという背景にもつながっております。

 そんなことを考えて、今回、特定第二種国内希少野生動植物種による、里地里山の希少野生動植物種の保全をどのようにして進めていくのかに大いなる期待を寄せているところでもありますが、残念なことに、第九条の捕獲等の規制や第十二条の受け渡し等の規制は適用されていないことから、それこそ、第三十六条の生息地等保護区の指定がどれほど進められるのか、それを進めることによってどう実効性を上げていくのかが課題になってきているのではないかというふうに私は認識をしております。

 現在、七種九カ所のみにとどまっているという現状からすると、大いなる期待を寄せたいところではありますが、なぜこの国内希少野生動植物種の種指定が進まないのか、これの理由を幾つか私なりに調べてみました。

 環境大臣の諮問に基づいて中環審が答申する形でしか種が指定できないということに問題があるというふうに私は思ったところでもあります。それも環境省サイドも認識をいただいて、今回のこの改正案では、第四条において、政令立案に当たって、野生動植物の種に関し専門の学識経験を有する者に意見を聞く、いわゆる科学委員会の法定化をされたということについては、私自身、非常に高く評価をしているものでもあります。

 しかし、残念なことに、第三十六条、生息地等保護区の指定に当たっては、関係行政機関との協議、また中環審、地方公共団体の意見を聞くだけにとどまっているというのもこれまた事実であり、やはり残念だな、せっかくですから、この生息地等保護区の指定についてもこの科学委員会等々に意見を聞くべきだというふうに私は実は考えるところでもあります。

 そこで、まず環境省にお伺いをしますが、この特定第二種国内希少野生動植物種の指定に関しては、今後、環境省としてどのような目標をお立てになっていらっしゃるのか、お答えいただけませんでしょうか。

亀澤政府参考人 お答えいたします。

 前回、平成二十五年六月の改正時に八十九種であった国内希少野生動植物につきましては、附帯決議におきまして、二〇二〇年までに三百種の追加指定という目標が示されたところでありまして、これまでの三年間で、年に約四十種ずつ、合計百十九種を追加したところでございます。

 まずは、二〇二〇年までに現行カテゴリーでの三百種の追加指定に注力をしたいというふうに考えておりますが、その後の二〇二一年以降につきましては、この現行カテゴリーでの国内希少野生動植物種の指定を引き続き進めるとともに、今回、新設を考えております特定第二種の新たなカテゴリーでの指定を推進したいというふうに考えておりまして、具体的には、二〇二一年から二〇三〇年までの十年間で、現行カテゴリーで百五十種、特定第二種という新しいカテゴリーで百五十種ということで、合わせて三百種を二〇二一年からの十年間で追加指定をしていきたいということを考えております。

田島(一)委員 指定の目標の数字と計画は理解できました。

 では、その指定をした種の保全についてどのように図ろうとお考えか、お答えいただけますか。

亀澤政府参考人 国内希少野生動植物種につきましては、種の指定だけでなくて、生息地等保護区を指定することによって、その生息地や生育地を守っていくことが種の保存にとって大変重要であるというふうに考えております。

 特に、新しく新設を考えております特定第二種のカテゴリーにつきましては、生息地等保護区の指定がより効果的であるというふうに考えておりまして、この特定第二種に関しましては、里地里山というところに複数種、複数の希少種が生息をしている場合も多いというふうに考えられますので、複数の特定第二種の指定種、それを対象とした生息地等保護区を指定することも含めて、積極的に指定を推進してまいりたいというふうに考えております。

田島(一)委員 今、複数の特定希少野生動植物種がいれば何か優先的にやっていくみたいな、そんなふうに受けとめたんですけれども、それが一つの条件に今後なっていくのかどうか。もう少し平たく言えば、生息地等保護区の指定について、今後まずどのような目標を立てようと考えていらっしゃるのか、そこからちょっとお聞かせいただきたいんです。

 特に今回の、先ほど申し上げた第二種国内希少野生動植物種については、捕獲等規制さらには譲り渡し等規制を課さないので、この保護区の指定を進めていかないことには、なかなか保護の実効性というものが上がっていかないんじゃないかというふうに私は思うわけであります。

 種の指定の計画、目標は、先ほど答弁されたとおりでありますけれども、実際にこの保護区の指定については、種の指定の目標と同様な形で、何カ所ずつ今後指定をしていこう、そういう目標をお立てになられるのかどうか、そこをお聞かせいただけますでしょうか。

亀澤政府参考人 生息地等保護区につきましては、その指定によって土地利用に対する行為規制がかかることから、土地所有者等利害関係者との合意を丁寧に進める必要があるということもありまして、生息地等保護区の指定数の目標、数値目標を立てることはなじまないというふうに考えております。

 一方で、特定第二種につきましては、田んぼ周りなど里地里山に生息する淡水魚類とか昆虫類、あるいは両生類など、そういうものが複数、里地里山に生息をする場合がありますので、一種ずつの保護区ではなくて、複数種を対象として保護区を進めることも考えていきたいということでございます。

田島(一)委員 保護区の指定がなかなか進んでいないという問題に移りたいと思うんですけれども、これまで、環境省が土地所有者と交渉を行った上で中環審が答申するというような形で地域指定がされてきた、地域指定がその方法でしかできなかったというところにやはり問題があったんだと私は思います。

 生息地等保護区というレベルよりも、もう少し、例えば土地所有者が積極的に、自発的に意思を出していただいた、そういう、もう少しやわらかいような形の、例えば認定生息地等保護区みたいな、もう一つ違うカテゴリーというものを制度化していくという考え方は、お考え、あるかないか、お聞かせいただけませんでしょうか。

亀澤政府参考人 土地所有者等から保護区の具体的な指定の提案があった場合には、積極的に指定の検討を進めていきたいというふうに考えております。

 あわせて、今回の改正法案では種指定の提案制度を盛り込んでおりますが、その種指定の提案にあわせて、保護区指定の提案もあれば、それについても積極的に対応していきたいというふうに考えております。

田島(一)委員 それでは、きょう農水省の方からもお越しをいただいておりますので、環境省と農水省、両方にお尋ねしたいと思います。

 里地里山の保全という観点では、もう既に我々も法律をつくっているところでありますが、この里地里山における希少野生動植物種、動植物の保全に対して、それぞれの省ではどのような対策をとっておられるのか。また、今回の法改正をきっかけとして、さらに強化をしていくというような予定はあるのか。農水省、環境省、それぞれからお答えをいただけませんでしょうか。

井上政府参考人 お答えいたします。

 農林水産業は、持続的な営みを通じて里地里山といった自然環境を形成し、生物多様性の保全、利用に貢献しています。このため、農林水産省では、農林水産省生物多様性戦略に基づき、生物多様性を重視した取り組みを推進しているところです。

 具体的には、一、農業の有する多面的機能の発揮の促進に関する法律に基づき、多面的機能支払交付金及び環境保全型農業直接支払いにより、水田魚道の設置、ため池の外来種の駆除、コウノトリやトキを初めとする希少野生動植物の生息環境の形成に資する冬水田んぼの取り組み等に対して支援を行うとともに、二、森林・山村多面的機能発揮対策交付金により、野生動植物が生育、生息する里山林を維持するための活動や、侵入した竹の伐採、除去等の活動に対して支援しているところでございます。

 このような持続的な農林業の営みへの支援等を通じて、引き続き、多様な野生動植物と共生する農林水産業を推進してまいりたいと考えているところでございます。

関副大臣 環境省の方では、種の保存法に基づきまして国内希少野生動植物種に指定しました種につきましては、必要に応じまして、保護増殖事業計画の策定や生息地等の保護区の指定を行うこととなっております。

 特に、里地里山等に生息、育成する指定種につきましては、例えば、ミヤコタナゴやアベサンショウウオ、ベッコウトンボやハナシノブなどの保全のために、保護増殖事業計画等を策定いたしますとともに、生息、育成地でございます池や草原を生息地等保護区に指定するなどの取り組みを進めております。

 本改正法案をお認めいただきました暁には、新たに創設されます特定第二種国内希少野生動植物種制度のもとで、種の指定にあわせまして、多くの絶滅危惧種が生息、育成する場所の生息地等保護区への指定や保護増殖事業の実施を進めまして、里地里山等の二次的自然におけます保全の取り組みをさらに推進することができると思っておりまして、それに対しましての人員の確保、予算の確保に努めてまいりたいと思っております。

田島(一)委員 農水省さん、今回こういう種の保存法の改正を通じて、これまでからも多面的機能支払い、直接支払い等々もありますけれども、ぜひ、この種の保存という観点での切り口からの多面的機能支払いの充実に当たっていただきたい、このことを強くお願いをしておきたいと思います。

 今後、里地里山のあり方というのは、農水省も随分気にしていただいていると思いますけれども、人口減少、高齢化等々もあって、里地里山がいわゆる財産として相続の対象になってまいります。

 そうなりますと、開発業者、産廃業者などに転売されるというような可能性も当然出てまいりますが、この里地里山の希少種の保全を図るために、税制措置としてどのようなものがあるのか。さらには、希少種が生息、生育する里地里山を地方公共団体や公益法人等に寄附した場合の税制措置はどうなっているのか。きょう、財務副大臣にもお越しいただいておりますので、お答えいただけませんでしょうか。

木原副大臣 田島委員からは、希少種の保存に係る税制措置についての御質問をいただきました。

 財務省としましては、希少種の保存を図る観点から、種の保存法の規定によりまして管理地区に指定された区域内の土地を国または地方公共団体に売却する場合には、租税特別措置法において、譲渡益から一千五百万円の特別控除ができる措置を講じているところであります。

 また、里地里山に限らずでありますけれども、一般的に、地方自治体や公益法人等に対して土地を寄附した場合には、税制上の措置として、所得税や相続税に関する非課税措置や、所得税の寄附金控除という制度がございます。

 以上です。

田島(一)委員 いみじくも答弁でもおっしゃっていただきましたとおり、管理地区のみに限定した形で、租特法、譲渡所得税の免除等々が適用されているわけでありますけれども、生息地等保護区全体になかなかこれが適用されていないというところ、やはりこういうところにインセンティブを与えていただけると相当変わるのではないかなと私は思っているわけであります。

 生息地等保護区全体への適用というのはお考えいただくことはありますでしょうか。

木原副大臣 今委員の御指摘は、対象地域を管理地区以外にも拡大すべきということだと承知いたしましたが、管理地区というものは、産卵地、また繁殖地、餌場等、特に重要な区域でありまして、建築物の新築等を行う場合には環境大臣の許可が必要とされており、当該土地の利用に制限が設けられている一方で、それ以外の地区というものは、建築物の新築等を行うに当たっては基本的に制限はなく、本特例を含め、一千五百万円の特別控除が公的目的から土地の利用に制限が設けられているものを対象とした特例であることを踏まえれば、そうした制限がない地区にまで対象を拡大することについては現時点では慎重であるべきというふうに考えております。

田島(一)委員 ここが財務省とこの種の保存を議論している我々との意見の違いなんですね、認識の。

 特に重要な、餌場を初めとするところを例示、挙げられました。今回我々が議論しているこの希少種の生息地は、先ほど例示、挙げていただいた三つとほぼ横並びなぐらいの特に重要な地区だと私は思っております。

 当然、減免等々、税制措置を図るには慎重であるべきだという認識は私も持ちますが、ぜひ、重要な場所、特に重要な地域を今後認識していこうやというのが今この環境委員会の中での議論なんですね。財務省さんも、同じようなそういう感覚で、ぜひ、今行われている管理地区以外の生息地等保護区への波及という部分についても考えていただきたい。

 もう時間が参りましたので、これ以上申し上げても多分お答えがそう変わるとは思えませんので、省にお帰りいただいて、来年度以降の税制改正にぜひ役立てていただきたい。そのことを強くお願いして、きょうはここで終わります。

平委員長 次に、河野正美君。

河野(正)委員 日本維新の会の河野正美でございます。

 種の保存法改正に際しまして、さまざまな方々から御意見をいただいておりますので、そういった意見や心配事、懸念事項に沿った形で質問を進めてまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。

 まず、種の保存法が制定された一九九二年、環境庁と水産庁は覚書を交わしたことが明らかとなっております。覚書の趣旨は、種の保存法の対象から漁業対象の水産動植物を外すというもので、つまり、陸域と湿地や干潟に限定し、海の生き物を対象外とするものでありました。二〇〇二年には、この覚書が改定され、ジュゴンが対象となることとされております。

 四年前の種の保存法改正案の質疑において、参議院で水野賢一参議院議員が取り上げられ、その覚書は有効ではないと環境省は答弁されております。平成二十五年の五月だと思います。その後、きょうもおられます北川知克衆議院議員が、二十五年六月四日だと思いますが、やはり同じように質問され、覚書に法的拘束力はないという答弁を水産庁から得ておられると思います。

 そこで、お尋ねをいたしますが、この覚書は、いつ、誰が、どのようにして無効なものと判断したのか、その理由とあわせて事実関係を再度確認したいと思います。

亀澤政府参考人 お答えいたします。

 平成四年に種の保存法が制定された際に、環境庁と水産庁との間で覚書を交わしておりまして、ジュゴンを含め、既に水産資源保護法で捕獲規制等がなされている漁獲対象の水産動植物については、混獲されるものも含めて種の保存法に基づく国内希少野生動植物種に指定する対象から外すということになっておりましたが、平成十四年にこの覚書は適用されないことが確認をされたと承知をしております。

 詳細な経緯についてはわかりかねるところもございますが、その前年、平成十三年の国会における審議を契機として、改めて検討された結果、そういう確認が行われたものと認識しております。

河野(正)委員 本改正案が検討される過程で、環境省は昨年より、前回改正時の附則に従い、三年後の改正を行うための講ずべき措置に関しての検討会を開かれました。前回改正時に示された十一の附帯決議への対応が求められており、講ずべき措置において、その検討も行われたと思います。

 附帯決議の十において、「海洋生態系の要となる海棲哺乳類を含めた海洋生物については、科学的見地に立ってその希少性評価を適切に行うこと。また、候補種選定の際、現在は種指定の実績がない海洋生物についても、積極的に選定の対象とすること。」とされております。

 しかしながら、今回の検討会には海洋に関する専門家は選ばれておらず、海洋生物に関する議論は一切行われていなかったと思います。なぜなのか、これをお答えいただきたいと思います。

亀澤政府参考人 絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律あり方検討会におきましては、特に法改正が求められる事項として、里地里山の生物の保全等が議論の中心になったところでございます。

 しかしながら、最終的に答申を取りまとめいただいた中央環境審議会自然環境部会の野生生物小委員会では、現行の種の保存法でも海洋生物は対象となっていることを前提として、答申におきまして、海洋生物の絶滅危惧種の選定を進め、その結果を踏まえて、海洋生物の国内希少野生動植物種の指定を推進する必要性について、答申で記載されたところでございます。

河野(正)委員 この検討会での議論の結果、中央環境審議会に出された答申では、現時点では絶滅危惧種の選定が十分に行われていない、海洋生物については分布や生態等に関する情報が不足しているため、絶滅危惧種の選定が十分に行われておらず、指定が進展していないといった言葉が並んでおります。

 このような環境省の消極的と言える姿勢から、先ほどお示しした覚書がまだ生きているのではないかと懸念する声も聞かれております。本当に覚書が無効になっているのかどうか。そうであれば、種の保存法改正案に至る議論において、海に囲まれた我が国において、海洋生物に関する議論が著しく乏しい理由というのはどういったことなのか、環境省の見解を伺いたいと思います。

亀澤政府参考人 海洋生物につきましては、陸上の生物に比べて分布や生態等に関する情報が不足しているために、絶滅危惧種の選定等の作業を進めることができておりませんでしたが、平成二十四年度に海洋生物レッドリストの作成を開始いたしまして、当初の予定どおり、先月、海洋生物レッドリストを公表したところでございます。

 今後は、海洋生物レッドリストも踏まえまして、海洋生物の国内希少野生動植物種への指定を積極的に推進していきたいというふうに考えております。

河野(正)委員 我が国は、排他的経済水域を含めますと、四百四十七万平方キロメートルとなり、国土の南北約三千キロに比べると、非常に広い海域を有しております。種の保存法では、生息域について、第三章「生息地等の保護に関する規制」で定められておりますが、海洋生物の生息域は排他的経済水域を含む海域を想定していると考えてよいのかどうか、伺いたいと思います。

亀澤政府参考人 お答えいたします。

 種の保存法では、国内希少野生動植物種を本邦に生息しまたは生育する種としております。一方で、本年三月十七日に公表いたしました海洋生物レッドリストでは、その対象範囲を我が国周辺海域に分布する種としておりまして、周辺海域といたしましては、領海及び排他的経済水域というふうに明示をしているところでございます。

 種の保存法に基づく国内希少野生動植物種の指定は、レッドリストの評価結果を踏まえて行うこととしていることから、その対象範囲についてはそごはないものというふうに考えております。

河野(正)委員 国土と比べて非常に大きな海域を同法対象とする場合、それなりの人材や資金も必要であり、場合によっては対応するための専門組織も必要なのかもしれません。

 海洋については、平成十九年に海洋基本法が制定され、参議院国土交通委員会の附帯決議では、「生物多様性条約その他の国際約束を踏まえ、移動性動物の移動ルートを考慮した海洋の生物の多様性の確保等のための海洋保護区の設置等、海洋環境の保全を図るために必要な措置について検討すること。」を求めております。

 平成二十三年には海洋生物多様性保全戦略が策定されましたが、この公式サイトを見てみますと、二〇一三年の二月から更新がされていない、新着情報が四年前のままというふうになっております。果たして本当に戦略が動いて機能しているのか、疑問の声も聞かれるところでございます。

 海洋とその生物多様性の保全に対する環境省の考え方、今後の取り組みについて、環境大臣に伺いたいと思います。

山本(公)国務大臣 海洋は、地球の生命を維持する上で不可欠な要素であろうと思います。環境省では、海洋の生物多様性の保全と持続可能な利用を推進するため、平成二十三年三月に海洋生物多様性保全戦略を策定いたしました。

 これに基づきまして、日本の管轄権内水域における生物多様性の観点から重要度の高い海域を抽出し、平成二十八年四月に公表をしたところでございます。

 今後は、海域ごとの生態系の特性や社会的、経済的、文化的な状況を考慮しつつ、愛知目標の二〇二〇年までに沿岸域及び海域の一〇%を海洋保護区に設定し、適切に保全管理していくことが当面の課題と考えております。

 現在は我が国の海洋保護区は八・三%にとどまっていることから、今後、一〇%の目標達成を目指して取り組みを進めるとともに、海洋の生物多様性の保全を図っていきたいと考えております。

河野(正)委員 極めて広い海域を保護していくためには相当お金もかかると思いますが、せめてホームページの更新等はしっかりとやっていただきたいなと思ったところでございます。

 ことし三月二十一日、環境省は、絶滅のおそれのある海洋生物を掲載したレッドリストを初めて公表されました。四百四十三種が掲載されましたが、うち、およそ半分の二百二十四種はランクを判定できない、情報不足というふうに位置づけられております。

 今回、絶滅危惧種と判定されたのは五十六種でありますが、今後、国内希少野生動植物種への種指定の優先順位、それに伴う保護措置はとられるのか、また、既にレッドリストに掲載されているジュゴンはいつ指定となるのか、環境省の見解を伺います。

亀澤政府参考人 お答えいたします。

 海洋生物レッドリストにおいて絶滅危惧種と評価された種のうち特に保全が必要と思われる種については、今年度、まずは現在の保全の状況など、より詳細な情報を収集、整理した上で、平成三十年度から新たに国内希少野生動植物種に指定できるよう努力したいというふうに思っております。

 なお、ジュゴンにつきましては、鳥獣保護法により個体の捕獲、殺傷が原則禁止されているとともに、種の保存法による国際希少野生動植物種に指定されていることで、流通も禁止をされております。このため、国内希少野生動植物種に指定した場合の規制措置は既にこれらの法令で担保されておりまして、国内希少野生動植物種の指定による新たな保全上の効果は大きくないことから、直ちに国内希少野生動植物として指定することは現在は考えておりません。

河野(正)委員 ほかので、影響がなければもう指定しないということでよろしいんですか。検討はされないということでしょうか。

亀澤政府参考人 海洋レッドリストも公表いたしましたし、今後、海洋生物全体の指定に係る検討の中で、あわせて検討はしていきたいというふうに考えております。

河野(正)委員 しっかり検討していただきたいと思います。

 環境省によるレッドリスト公表と同じ日に、水産庁も、資源評価を行っている種と小型鯨類の九十四種を対象に、絶滅のおそれと判定をされておりますが、レッドリストの掲載には至っておりません。

 国際自然保護連合、IUCNで危急種と位置づけられ、座礁や混獲というリスクの高い状態にあり、県別のレッドリストで、神奈川、広島で絶滅危惧1類、大阪、三重、愛媛、長崎では危急種と指定されているスナメリでさえ、ランク外というふうになっております。

 このように、資源として活用されていない種も含めて、漁業の振興が主目的の水産庁に委ねられておりますけれども、本来のレッドリストの目的と合致しているのかどうか。また、今回の評価に当たり、新たに調査を行った種、その調査した時期をお示しいただきたいと思います。

保科政府参考人 生物多様性国家戦略二〇一二―二〇二〇の海洋基本計画等において、海洋生物の希少性等の評価に取り組むこととなったことを受けまして、平成二十四年度から海洋生物のレッドリストの検討を水産庁と環境省の共同で開始することといたしました。

 これに基づきまして、平成二十四年度に開催された海洋生物の希少性評価検討会において、評価基準を統一した上で、水産庁が資源評価を実施している種や水産庁が多くの知見を有する小型鯨類などについては、水産庁が評価及び公表を行うこととしたものでございます。

河野(正)委員 次に参ります。

 先日、資源の枯渇が懸念される太平洋クロマグロのうち、小型の魚の漁獲量が上限を超える見込みとの報道がありました。違法操業の影響もあるということであります。

 例えば日本海域を産卵場としているクロマグロに関して、既に、国際的には、初期資源量の二・六%だということが明らかになっており、本来であれば、絶滅危惧種の対象となり得ると思います。

 しかし、こうした回遊性の動物は、二国間、多国間の条約によってランクづけがされているとして、レッドリストの対象からは除外されております。一方で、移動する鳥類はレッドリストに含まれていますので、対応が矛盾しているようにも思うところでございます。

 ワシントン条約に掲載されている種でも、一部留保していることも踏まえれば、きちんとレッドリストの対象として位置づけるべきではないでしょうか。政府の見解を伺いたいと思います。

保科政府参考人 マグロ類のような高度回遊性魚類は、一カ国のみでは適切な資源評価や管理ができないため、国連海洋法条約の第六十四条において、関係する地域漁業管理機関で協力して取り組むというふうにされております。

 このようなことから、太平洋クロマグロを初め関係国が共同で資源評価を行っている種につきましては、我が国に限定した希少性の評価を別途行うことは適当ではなく、評価の対象とはしていないところでございます。

 なお、太平洋クロマグロに関しましては、中西部太平洋まぐろ類委員会で、WCPFCと称しておりますけれども、資源評価を行いまして、二〇一四年に、二〇二四年までに歴史的中間値まで資源を回復させるという暫定目標と、それを達成するために各国は、小型魚の漁獲を半減させる措置を決定しており、我が国もこの決定に基づき、二〇一五年から小型魚の漁獲の半減を実施しているところでございます。

河野(正)委員 日本が世界の中で高い消費をしておりながら、クロマグロが危ないという報道をよく見かけますのに、レッドリストなどでは絶滅危惧種とは位置づけられていないという状況は、国民的に見ると、わかりにくいのかなと思います。

 自然資源は、利用と保護の両立、共存が重要なのは当然のことと思いますが、ただし、現状では、漁業の振興を目的とした水産庁の持つデータ、保護、保全を目的とする環境省のデータとが並立しており、それぞれを安易に同一視するといったことはできません。

 本来、自然環境の保護、生物多様性の保全のため、あらゆる種類の動植物の状況を把握するべきであり、環境省と水産庁がばらばらに対応すべき問題ではなくて、環境省が責任を持って対応していただければいいのかなと思います。そして、透明性を高めるために、科学的情報を公開していくべきだと考えますが、山本環境大臣の見解を伺いたいと思います。

山本(公)国務大臣 海洋生物レッドリストの作成に当たっては、平成二十四年度に水産庁と合同で検討会を開催し、同庁が資源評価を行っている種や多くの知見を有する小型鯨類については、既に行われている資源評価を活用して水産庁が評価を行うことと整理をいたしております。

 評価基準や評価カテゴリー等は、合同検討会において決定された同じものを使用しており、環境省と水産庁が連携して取り組んでおります。

 その上で、おのおのの省庁が有している知見を最大限活用し、対象種について役割分担をすることで効率的かつ適切な評価ができていると考えております。

河野(正)委員 役割分担をしながらも、山本大臣におかれましては、しっかりとリーダーシップをとってやっていただきたいと思います。

 環境省は、本改正案の検討過程において、海洋生物の情報不足を指摘していましたけれども、実際には、法改正案の国会提出と相前後して、海洋生物のレッドリストが公表されております。

 前回の種の保存法改正案の審議における附帯決議で示された国会の意思を踏まえれば、海洋生物についての環境省の対応は積極的とは言えないという声があります。看過することはできないといった声も聞かれるところであります。本来であれば、海洋生物のレッドリストの公表を受けて、その最新の科学的知見を踏まえて、種の保存法の見直しをするために必要な検討をしていけばよかったのではないかと言われます。

 少なくとも、早急に海洋生物レッドリストの情報を踏まえて、種の保存法の再改正に向けた取り組みを進める必要もあると考えますが、環境省のお考えはいかがでしょうか。

亀澤政府参考人 お答えいたします。

 現行の種の保存法におきましても、海洋生物を排除するような規定はなく、海洋生物を国内希少野生動植物種として指定して保全を行うことは可能というふうに考えております。

 したがいまして、今回公表した海洋生物レッドリストを踏まえて法改正を行う必要はないというふうに考えておりまして、現行法の枠内でも、海洋生物を国内希少野生動植物種に指定すべく、今年度から作業を進めてまいりたいというふうに思います。

河野(正)委員 それでは、時間が来ましたので、また次回に持ち越しということで、きょうは、これで終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

平委員長 次に、玉城デニー君。

玉城委員 自由党の玉城デニーです。

 絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律について審議をさせていただきます。

 さて、一昨日、十九日に、環境委員会の理事、有志で多摩動物園に視察をさせていただきました。この多摩動物園では、非常に広範に、動物たち、鳥類、それからチョウ類など、幅広い研究と、そして社会教育の規範をしっかり務めていらっしゃるということで感銘を受けましたし、また、絶滅危惧種トキの飼育、それから、かつては小笠原の父島を初め各島々にいたオガサワラシジミという、本当に小指の爪ほどの、爪よりちょっと大きいぐらいのシジミチョウなんですが、その種の保存についてしっかり取り組んでいて、その効果があらわれているということを、委員長を初め私たち、非常にその頑張りについて大きな勇気をいただいたというふうに思います。

 ですから、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存というのは、さらにこれから、開発が先か、保全が先か、そういう議論はおいておいても、守るべきものは守る、それが地域であれ、種であれ、あるいは地球全体の環境に関することであれ、真摯に、そして、かつ早急に取り組まなければならないテーマだということを改めて感じた次第であります。

 そこで、きょうは、種の保存法の前段階として、私も自分の基礎知識を新たにしておきたいと思いますので、幾つか亀澤自然環境局長に質問をさせていただければと思います。大臣にも後ほどまた所感を伺いたいんですが。

 まず、我が国における一定規模の既存の動植物園及び水族館がどのぐらいあるのかということをお聞かせください。

亀澤政府参考人 お答えいたします。

 国内の動物園、植物園、水族館の正確な数は把握できませんが、おおよそ七百園館は存在するものと推定をしております。

 そのうち、公益社団法人日本動物園水族館協会に加盟している動物園は八十九園、水族館は六十二園、公益社団法人日本植物園協会に加盟している植物園は百十三園と聞いております。

玉城委員 動物園という定義について少し調べてみましたら、動物園とは、生きた動物を飼育、研究し、一般に公開する施設であり、法令上は博物館、場合によっては動物愛護管理法上の第一種動物取扱業の一種とされています。

 動植物園及び水族館等の管理及び運営等を規定する明確な基本法というものはあるんでしょうか。お伺いします。

亀澤政府参考人 博物館法に基づく博物館としての登録または博物館相当施設としての指定を受けている動植物園等が一部にあるほか、都市公園法の公園施設に該当する動植物園等もありますが、動植物園等全体を対象として管理、運営に係る規制等を規定した法律はなく、動植物園等を所管している省庁はないと認識をしております。

玉城委員 基本的なことだと思いますが、世界的な取り組みについて日本も取り組もうという場合に、基本的な施設、及び、そこで行われるであろう調査研究、ひいては専門的技術を持った方々の取り組みについて、拠点となる施設をいわゆる設置する、あるいは、理念としてそういうことを持つ、どういうふうにして運営するのか、誰が責任を持つのかというふうな基本的な法律がないというのは、非常に重要な、かつ、重大な問題だと私は思います。

 ちなみに、環境省の動物愛護管理法の部分で、第一種動物取扱業者の規制というのがあります。ここでは、規制を受ける業種、当然、都道府県知事または政令市の長の登録を受けなければならないわけですが、それによって規制を受けるのは、業として、動物の販売、保管、貸し出し、訓練、展示、競りあっせん、譲受飼養を営利目的で行う場合ということで、販売の小売業者、卸業者、それから、ペットのシッター、ペットレンタル業者、動物の訓練、調教業者に、動物を見せる業、動物との触れ合いの提供を含むものとして、動物園、水族館、移動動物園、動物サーカス、動物触れ合いパーク、乗馬施設、アニマルセラピー等々とあるわけです。

 ここで置かれている動物園、水族館が、つまり、ほかの業種と、なりわいを行うものというふうな形で位置づけられているだけで、それで果たして、今回の種の保存法の中にあるさまざまな改正について、特定第二種国内希少野生動植物種の制度を創設することとか、あるいは動植物園等を認定する制度を創設するということがあるんですが、大臣にお伺いしたいと思います。この認定希少種保全動植物園等を創設する意義、あえてそれを創設する意義ということについて、まず伺いたいと思います。

山本(公)国務大臣 従来、希少種の生息域外保全等は動植物園等の自主的な取り組みとして行われてまいりましたが、生息域外保全等に積極的に取り組む動植物園等の公的な位置づけの明確化と社会的な認知度の向上等を図ることが、こうした取り組みの推進に効果的であろうと思っております。このため、今回の改正法案において、動植物園等の認定制度を創設することとしたものでございます。

 また、新たに創設する認定制度のもとでは、認定された動植物園等については、譲り渡し等の規制を適用除外とすることとしており、希少種の種の保存に資する繁殖等のための個体の移動を効果的かつ円滑に行うことができるようになると考えております。

玉城委員 今回の法律案には、特定第二種国内希少野生動植物種制度の創設とあわせて、認定希少種保全動植物園等の創設をするということが今大臣の御説明でありました。としますと、認定希少種園以外の、先ほど亀澤局長が数を述べていただいた、それらの既存の施設に関する規定について、それぞれどのように規定を置くのかということは、どう受けとめればよろしいでしょうか。

亀澤政府参考人 希少種の保全という観点に限れば、認定希少種保全動植物園等以外の動植物園等を対象とした法律や規定はほかにはないというふうに認識をしております。

玉城委員 私がなぜ基本的なこういうことを聞くかといいますと、冒頭でも申し上げましたとおり、やはり、動物園の持っている、あるいは水族館、植物園もそうですが、その持っている社会的な公益性というものは非常に高いものがあると思います。それは、国民誰もが認めていらっしゃると思います。ですから、その公益性、公営性と法的な公平性において、そこにいわゆるレベルの違いを設定してしまうことについてのさまざまな疑念、懸念があるのではないかと思うんですね。

 ですから、本来なら、基本的な法律があり、その上で、種の保存をするために特定希少種園を指定させていただきますということであれば、やがて、基本法にのっとって運営している園も、我々の地域に実は希少種がいるんだ、それを守るためにぜひ我々も努力したいということでの取り組みに進んでいくと思うんですが、それをあえて分けて認定してしまうと、そこに高いハードルができるのではないか。ですから、そこで、公益性について非常に、一般の方々にもあらぬ誤解も生じるのではないか、運営する側にも、我々にはではもう予算はないのかとか、いろいろなそういう懸念が出てくるのではないかと思います。

 時間になりましたので、最後に、その点について亀澤局長からお伺いしたいと思います。

亀澤政府参考人 今回新たに設けようとしております動植物園等の認定制度の趣旨は、生息域外保全等に積極的に取り組む動植物園等の公的な位置づけの明確化と、それとあわせて譲り渡し等の規制の緩和でありまして、希望する動植物園等の申請に基づいて認定したいというふうに考えております。

 なお、今回の改正法による認定を受けていない動植物園等であっても、種の保存法の国内希少野生動植物種については飼育、栽培を規制はしていないことから、必要な許可等の手続を経た上で、生息域外保全を担っていただくということは可能と考えております。

 したがいまして、公平性等の観点からの懸念は生じないものというふうに考えておりますが、いずれにせよ、認定を受けた動植物園等はもちろん、それ以外の動植物園等も含めまして、積極的な連携協力を図り、希少種の生息域外保全に環境省としても取り組んでまいりたいというふうに思います。

玉城委員 ありがとうございました。

 いずれにいたしましても、基本法を設置し、それを所管する省庁が明確にその責任を持つ、そして、関係省庁と綿密に連携をしていくということが必要であるということを最後に申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。ニフェーデービタン。

平委員長 次回は、来る二十五日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時三十九分散会


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