衆議院

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第18号 平成29年5月19日(金曜日)

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平成二十九年五月十九日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 平  将明君

   理事 石川 昭政君 理事 北川 知克君

   理事 高橋ひなこ君 理事 冨岡  勉君

   理事 福山  守君 理事 太田 和美君

   理事 福田 昭夫君 理事 江田 康幸君

      井上 貴博君    井林 辰憲君

      伊藤信太郎君    木村 弥生君

      小島 敏文君    佐々木 紀君

      助田 重義君    田中 和徳君

      比嘉奈津美君    藤原  崇君

      堀井  学君    前川  恵君

      菅  直人君    田島 一成君

      細野 豪志君    松田 直久君

      斉藤 鉄夫君    塩川 鉄也君

      小沢 鋭仁君    河野 正美君

      玉城デニー君

    …………………………………

   環境大臣         山本 公一君

   環境副大臣        伊藤 忠彦君

   環境大臣政務官      比嘉奈津美君

   環境大臣政務官      井林 辰憲君

   政府参考人

   (内閣官房内閣人事局人事政策統括官)       若生 俊彦君

   政府参考人

   (復興庁統括官)     関  博之君

   政府参考人

   (環境省大臣官房長)   森本 英香君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 早水 輝好君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   中井徳太郎君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局環境保健部長)       梅田 珠実君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  亀澤 玲治君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 山本 達夫君

   環境委員会専門員     関  武志君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十九日

 辞任         補欠選任

  前川  恵君     佐々木 紀君

同日

 辞任         補欠選任

  佐々木 紀君     前川  恵君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第六二号)

 特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第六三号)

 地方自治法第百五十六条第四項の規定に基づき、福島地方環境事務所の設置に関し承認を求めるの件(内閣提出、承認第二号)


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     ――――◇―――――

平委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律案、特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律の一部を改正する法律案及び地方自治法第百五十六条第四項の規定に基づき、福島地方環境事務所の設置に関し承認を求めるの件の各案件を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案件審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣人事局人事政策統括官若生俊彦君、復興庁統括官関博之君、環境省大臣官房長森本英香君、環境省大臣官房審議官早水輝好君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長中井徳太郎君、環境省総合環境政策局環境保健部長梅田珠実君、環境省自然環境局長亀澤玲治君、防衛省大臣官房審議官山本達夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

平委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。福山守君。

福山委員 おはようございます。自由民主党の福山でございます。

 きょうは、発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 時間も少ないので、すぐ質問に入りたいと思います。

 まず、福島地方環境事務所の件についてお伺いをいたしたいと思います。

 本年三月に発覚した福島環境再生事務所職員の不正事案については、地元を初めとする関係者の信頼を揺るがすものであります。

 また、先日は大臣は、福島事務所の件につきまして、職員のやる気を高めるためにも雇用の安定性が必要と答弁をされておりました。不正事案の再発を防止し、ひいては地元住民の期待に応え、福島の復興の道筋を立てていくためには、組織全体を見直し、管理体制を強化していくことが必要ではないかと思いますが、御答弁をお願いいたしたいと思います。

森本政府参考人 お答えさせていただきます。

 まず、ことし三月にございました福島県環境再生事務所の職員の不正事案につきましては、大変申しわけないというふうに考えてございます。

 この事案も含めまして、今後、環境省は、新しいステージ、復興のステージに入ってございます。そういった意味で、復興のステージにしっかりと環境省が取り組んでいくことは重要だというふうに考えてございます。

 特に、そういった環境省の除染であるとか中間貯蔵であるとかという取り組みにつきましては、地元の方々の理解と御協力がどうしても必要だというふうに考えてございます。そういった意味で、福島県、あるいは地元の市町村、さらには住民の方々とよく連携して、コミュニケーションして取り組んでいく必要があるというふうに考えてございます。

 そういった観点から、今回、福島地方環境事務所というのをつくらせていただきたいと考えてございますが、その体制のあり方については、改めて見直して、その充実強化というのを図ってまいりたいというふうに考えており、関係部署ともよく相談してまいりたいというふうに考えてございます。

福山委員 福島関係、まとめて後でちょっと所見を述べたいと思っております。

 その次に、福島環境再生事務所を地方環境事務所へ格上げするに当たり、職員の教育も含め、どのような方針で国民の信頼を得ながら適切に業務を遂行していくのか、考え方を聞きたいと思います。

森本政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の不正事案に対応しまして、事務次官が、福島環境再生事務所職員全員に向かいまして訓示をさせていただきました。また、全職員を対象とした倫理保持についての個別指導というのをさせていただきましたけれども、新しい体制のもとで、研修等を充実させていただいて、改めて綱紀粛正、公務員倫理の徹底というものに努めるとともに、引き続き、地元を初め関係する皆様方の御理解と御協力が得られるよう、一層努力してまいりたいというふうに考えてございます。

福山委員 私は、東日本大震災の発災後に環境大臣政務官を拝命いたしまして、福島の復興、創生にかかわる業務を経験いたしました。

 福島事務所の体制はもとより、今、本省を含め環境省全体の体制は、他の省庁と比べて非常に脆弱なような気がしております。これは、この前、大臣も御答弁でおっしゃっておりました。

 今、環境省の構えは、地球温暖化対策に関して、特にパリ協定が昨年十一月に発効してから、このパリ協定の実現に向けた世界の潮流を我が国がリードをしていかなければいけない、いくためには、各省庁の連携が今後さらに大切であろうかと思っております。今後、より一層強力に取り組んでいくことが必要であります。

 このためには、福島事務所はもとより、本省も含めた省全体の抜本的な体制の改革が必要ではないかと思いますけれども、大臣の所見をお伺いいたしたいと思います。

山本(公)国務大臣 福山委員御指摘のとおり、環境省の体制というのは他省庁と比べましても脆弱であろうと思っております。それにもってまいりまして、昨今、非常に業務の範囲が広がってまいりました。その広がった業務というのがほとんどマンパワーを必要とする業務でございまして、そういう面からいくと、今の人員体制というのは極めて脆弱であろうと思っております。

 先般、水俣へ行ってまいりまして、水俣にも環境省の職員が数十人配置をいたしておりますけれども、では、水俣のそういう環境省の職員を福島が足らないから福島に持っていく、そうすると水俣の方々はやはり落胆をされるだろうと思います。水俣を見捨てるのかというお声にもつながりかねない。であるから以上、水俣は水俣で、ある程度の体制を維持していきたいと思いますし、その上で、福島にはまだまだマンパワーが必要だということを考えていくときに、福島を充実を図っていきたい。そうすると、全体のやはり充実を求めていかなければいけないんだろうと私は思っております。

 所掌がふえてきたということを政府全体で共有していただきまして、環境省のそういう意味における充実をやはり政府全体で後押しをしていただきたいな、かように思っておるところでございます。

福山委員 福島そしてまた環境省全体の今後の話をお伺いいたしましたけれども、私、政務官を拝命して入ったとき、いろいろお話を聞いたのは、当時、環境省が福島の除染を担当して、数名からスタートした体制だった。今、約六百名体制で、これを格上げするということで、入った当時、中間貯蔵施設を担当いたしまして、本当に、いろいろな地域の皆さんの思い、そして復興に関する私たちの思いも、いろいろなことが交錯いたしました。

 今、比較的順調に進んでいるのかなと思っておりますけれども、まだまだフレコンバッグがあちこちに積んでおりますし、これから搬入が本格的に始まるというときでございます。そういうことも含めて、福島の皆さんが、環境省が除染とか中間貯蔵の中心になってやってくれたという思いが、今は私はすごく持っていただいていると思います。そういう意味で、この福島の事務所が格上げされる中で、しっかりした体制を、大臣みずからそういう薫陶をしてやっていただきたいなと思います。

 そしてまた、地球温暖化という、本当に大きな、国際的なパリ協定が批准をされました。やはりこういう中で、環境省だけでなしに各省庁との連携というのは非常に大きなものと思います。

 先般、大臣がサワラの話をしておりました、北海道の。実は、私も連休後半に気仙沼の方に行ってまいりました。そのときに、市場に行きますと、サワラがいっぱいとれているんですね。これは瀬戸内海の魚と言われておりました。それが気仙沼でいっぱい揚げられております。

 そして、そのときに、組合長さんに、えっ、サワラですねと言いますと、ええ、これ、うちはたくさんとれるんですけれども、青森もたくさんとれるんですよと。青森は、大間のいわゆるクロマグロがやはりいろいろな漁獲高の基準がございますので、それでサワラを売り出そう、そういうふうな、まさに地球温暖化の最たるものだと思っております。

 そういう水産あるいは農業、それだけじゃなしに、経産関係、いろいろな形に全て網羅いたしますと思いますので、これまた大臣がそのあたりは調査会の会長をやられておりましたので、私が言うよりも、釈迦に説法でございますけれども、どうかしっかりそのあたりは組織全体を導いていってほしいなということをお願いいたしまして、次の質問に入りたいと思います。

 まず、廃掃法に入りたいと思います。

 我が国最大の不法投棄事案である豊島事案について、本年三月末に豊島から除去が終了し、今後は無害化処理や地下水の浄化などの取り組みが進められることとなっております。

 同じ四国出身として、大臣に、豊島事案の現状について所感と、今後の廃棄物・リサイクル行政に向けた決意をお伺いいたしたいと思います。

山本(公)国務大臣 豊島の一件というのは、我が国のいわゆる廃棄物行政というもののやはり仕組みを変えるきっかけになった大きな事件であったろうと思っております。

 振り返ってみますと、豊島の一件があって、いわゆる産廃特措法が成立をしていくわけでございまして、やはり大きなきっかけになった豊島、随分時間がかかりましたけれども、一応来月完了するという報告を受けております。私にとりましてもやはり感慨深いものがございます。

 ただ、これをやはり我々は考えておかなければいけないのは、二度と再びあのような、不法投棄に大小はないんですけれども、豊島の場合は極めて大規模な不法投棄であったろうと思っております。そういう大小にかかわらず、やはり不法投棄というものは根絶していくように行政が指導していく必要があろうかと思っておりまして、豊島の今回の、長い時間かかりましたけれども、完了という報を受けまして、私は非常に感慨深いものを感じております。

福山委員 そうですね、私も、香川県の問題でございましたので、このニュース等、常に見て、こんなひどいことがあるのかということで、本当にあのときは怒りを覚えたものです。

 不法投棄されたものの中には、いわゆる劇薬指定とか、そういうものもあって、いろいろと、これも後で、ドラム缶が積んであったり、いろいろなことを私もニュースで拝見しまして、本当に大変な状況だなと。これからリサイクル法あるいは廃掃法、いろいろな形で頑張っていただいておる、大臣はそのあたりは本当に精通しておられますので、しっかりと今後ともよろしくお願いを申し上げます。

 豊島事案の教訓からも、適正処理は廃棄物処理法の基本であると考えます。廃棄物処理法改正案では、電子マニフェストについて、特別管理産業廃棄物を想定した一部義務づけを定めるとともに、バーゼル法は、特定有害廃棄物の不適正な輸出の防止が一つの柱となっており、有害物質を含む廃棄物についての取り扱いが今回の改正に共通するテーマであると考えております。

 今般、水銀に関する水俣条約について、EUが条約を締結し、条約の発効が決まったと聞いております。我が国は、水俣病を経験したことも踏まえて、水銀廃棄物対策について世界をリードしていくようにしっかりと対応していくべきであると考えます。

 そこで、国内の水銀廃棄物処理についてどのように取り組んでいくのか、考え方をお伺いしたいと思います。

中井政府参考人 お答え申し上げます。

 水銀に関する水俣条約を受けまして、水銀需要の減少が見込まれる中、これまで有価物として取り扱われていました水銀につきまして、今後は廃棄物として処理されることが想定されます。このため、こうした廃水銀等を新たに特別管理廃棄物として規制対象に追加し、埋立処分を行う場合の基準として、硫化、固型化により安定的なものにすることを定めました。また、産業廃棄物のうち、水銀を高濃度に含む汚泥などにつきましては、水銀を回収すること等を義務づけることとしております。

 さらに、一般家庭や医療機関等で使用されなくなった水銀血圧計、水銀体温計等につきましても、短期間で集中的に回収、処分していくことが望ましいと考えております。このため、市町村及び事業者団体等と連携しながら回収事業を実施しているところであります。

 引き続き、水銀廃棄物対策を着実に実施してまいりたいと考えております。

福山委員 この水銀対策については、やはり、水俣病という大きな問題がございましたし、世界を引っ張っていくような行政をしっかりとやっていってほしいと思います。

 続いて、先週末に仙台においてスクラップの火災事故が報じられておりましたが、最近、そういうスクラップの火災事故の発生状況とか、今回の廃棄物処理法改正による規制強化を踏まえて、具体的に火災防止がどのように進められていくのか、お伺いしたいと思います。

中井政府参考人 お答え申し上げます。

 全国各地におきまして、雑品スクラップに起因すると考えられる火災が頻発しておりまして、今年度に入って発生したものだけでも、福岡市や仙台市における事案があったものと承知しております。

 雑品スクラップには一般に使用済み電気電子機器が含まれておりますが、こうした機器は、本来の用途での使用が終了しており、これを保管または処分する者にとって、本来の用途での使用ができるように適切に管理するインセンティブが働かないため、ぞんざいな取り扱いを受けることにより生活環境上の支障を生ずるおそれが高いものでございます。このような性質は廃棄物と共通するものであることから、今般の廃棄物処理法改正案におきまして、使用済みの電気電子機器に関する規制を行うこととしております。

 改正案では、有害使用済み機器の保管等を行おうとする者は、政令で定める保管等の基準を遵守しなければならないこととしております。考えられる火災事故の原因といたしましては、リチウム電池の破砕による発火等の可能性が報告されておりまして、こうした報告も踏まえつつ、今後、その基準において、火災の発生防止を含めて検討し、生活環境保全上の支障を防止してまいりたいと考えております。

福山委員 このような廃棄物の火災というのは、ある意味、非常に難しい問題も含んでいると思うんです。そういう形の中で、しっかりとした火災防止の整備をこれからもしっかり指導して、こういうことがこのように起こらないような形をしっかり組んでいってほしいことをお願いいたしたいと思います。

 続きまして、パリ協定の発効など、低炭素社会に向けた取り組みが非常に重要でありますが、環境産業である廃棄物業界においても積極的に取り組みを進めるべきであると思いますが、廃棄物分野における温暖化対策の取り組みと今後の方針はどのようになっておるのか、井林政務官にお聞きしたいと思います。

井林大臣政務官 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、一般廃棄物、産業廃棄物を問わず、廃棄物分野における温暖化対策の取り組みは大変重要だと考えております。

 環境省におきましては、市町村等や民間企業が廃棄物処理施設の整備を行う際に、温暖化対策に資する取り組みへ財政的な支援をさせていただいております。具体的には、市町村等に対しまして、循環型社会形成推進交付金等により、高効率な廃棄物発電を行う施設についてはより財政支援を手厚くするなどの支援をしております。

 また、廃棄物処理のエネルギーの利用の高度化ですとか、廃棄物の最終処分場における太陽光パネルの設置など、低炭素化に係る各種マニュアルの整備等の技術的な支援もさせていただくとともに、極めて先進的な事例につきましては、モデル事業として水平展開をするように支援をさせていただいています。

 今後とも、こうした取り組みを一層推進しまして、また、廃棄物の排出抑制も進めまして、廃棄物処理における地球温暖化対策を総合的に推進してまいる所存でございます。

福山委員 廃棄物のリサイクル、各基礎自治体そして都道府県にいろいろな通達の仕方があると思います。やはり協会と一体となるような形でいかないと、それが基礎自治体の場合、なかなか下に通じない、あるいはそのあたりの理解度の問題も出てこようかと思いますので、そのあたりの体制を、さらに政務官がしっかりと陣頭指揮をとってこの問題について対応を願いたい、かように思っております。

 次に、バーゼル法についてお伺いをいたしたいと思います。

 我が国は、静脈産業の国際展開を始め、アジア地域に加え、アフリカ地域でも適正な廃棄物処理のさまざまな活動をしていると承知しております。伊藤副大臣もみずから各国に足を運んでいると伺っております。廃棄物・リサイクル分野における国際貢献について、副大臣の決意をお伺いいたしたいと思います。

伊藤副大臣 福山委員にお答えを申し上げます。

 現在、アジアを初めとした途上国、新興国では、経済成長と人口増加に伴いまして、廃棄物管理が大きな課題となっております。先進的な技術を有する我が国の循環型産業の国際展開は、こうした国の廃棄物問題の解決に貢献するだけでなく、拡大する巨大な海外市場を狙うこともできるものでございます。

 こうしたことから、環境省では、二国間協力、多国間協力、そして高度な技術を有する事業者への支援に取り組んでまいったところでございます。

 本年一月に私が訪問いたしましたインドネシアでは、環境林業大臣に対しまして、廃棄物発電導入を包括的にサポートする支援プログラムを御提案申し上げ、好意的に受けとめていただいたところでございます。現在、これに基づきまして、廃棄物発電ガイドラインの策定支援や、訪日研修による人材育成などを実施いたしているところでございます。

 先般、五月の連休に、加盟五十周年となりましたアジア開発銀行の総会が行われました。ここで、我が国の財務大臣は、新たに各国の協力を得まして大きな基金をつくって、これをどういうふうに使うかといえば、高度な環境技術を有したさまざまなことについて支援をしていくということも発表していただいたところでございまして、こうしたことも含めまして、我々はアジアでもしっかりと展開をしてまいりたいと思っております。

 また、アフリカでは、昨年八月、ケニア・ナイロビで、TICAD6の開催に当たりまして、環境省としても初めて廃棄物処理の必要性について多くのアフリカの国々に御説明を申し上げ、次のTICAD7にはこうしたことをパイロット事業化していくことについて進めてまいりたいということを考えているところでございますが、この具体化のプロセスといたしまして、本年四月に、JICAとともに、モザンビーク共和国マプト市に、アフリカ二十四カ国、横浜市、UNEP、UNハビタットなどをお招き申し上げて、アフリカのきれいな街プラットフォームを設立したところでございます。このプラットフォームは、アフリカの町をきれいにし、公衆衛生をよりよい状態にすることによって投資ですとか観光を呼び込むことを目指していく、アフリカでも初めてとなる大変重要な取り組みと考えております。

 環境省といたしましても、技術、制度の整備、そして人材育成等、協力させていただく項目は有機的に連携をさせて、より一層細かい国際協力に取り組み、世界の循環型社会構築に貢献をしてまいりたいと考えているところでございます。

 以上です。

福山委員 今、伊藤副大臣の方から、東南アジア、そしてまたアフリカ、いろいろな状況をお伺いいたして、私も非常に心強いです。

 やはり、こういうことを言ってはあれですけれども、アフリカ、東南アジア、公衆衛生上あるいは環境上、非常におくれているところがございます。こういうところで、日本のそういう技術とか今まで持ったいろいろなプラントを持って、日本が行って、そういうことも協力しながら、なおかつ成長戦略としての、環境産業としてのそういう位置づけもできる、そういう意味で、私も非常に感銘を受けました。

 そういうふうな形で、私は、これから環境省も、先ほど組織的に言いました、経済産業省とかいろいろ含めた中で、一緒になってやはりこういうものは進めていけば、環境省自体の重要性が非常に、なお増すように思います。伊藤副大臣には、しっかりとこれからもよろしくお願いいたしたいと思います。

 続きまして、今回の法改正では、韓国における鉛蓄電池の不適正事案対応も踏まえた措置が盛り込まれていると承知をしておりますが、このような事案が二度と起きないよう、具体的にどのように対応するのか、伺いたいと思います。

中井政府参考人 お答え申し上げます。

 近年、我が国から韓国向けの使用済み鉛蓄電池の輸出が増加している中、昨年六月、韓国におきまして、使用済み鉛蓄電池のリサイクルに当たり環境上不適正な処理を行った韓国の使用済み鉛蓄電池のリサイクル業者十一社が摘発されました。

 本事案に対応するため、先行的な対応として、バーゼル法等の省令、告示等を改正いたしまして、使用済み鉛蓄電池の輸出につきまして、OECD加盟国向けであっても環境大臣が環境汚染防止措置の確認を行えるようにし、本年六月から施行するとともに、今般のバーゼル法改正によりまして、輸出先での環境汚染防止措置につきましてより的確な審査を行うために、環境大臣の審査基準を明確化することとしてございます。具体的には、審査に際して、処理施設の構造や排ガス、排水対策等の環境保全対策、輸出先での環境関連規制の遵守状況等を確認することを想定しております。

 これらの措置を通じまして、我が国から輸出されました特定有害廃棄物等が輸出先国において環境上不適正に処理されることのないように努めてまいりたいと考えております。

福山委員 よろしくお願いいたしたいと思います。

 続いて、今回の法改正では、近年増加傾向にある、輸出先国で有害廃棄物とされているものを、特定有害廃棄物などに追加するという内容も含まれているものと承知をしております。この改正によりシップバックはなくなるのか、このあたり、どうなっているでしょうか。

中井政府参考人 お答え申し上げます。

 シップバックの主な原因といたしましては、バーゼル条約の規定により、有害廃棄物の対象範囲につきまして各国に一定の裁量が認められておりまして、その範囲が我が国と輸出先国で異なる場合があることが挙げられます。

 今回のバーゼル法改正に基づきまして、輸出先国の規制対象物を我が国の規制対象物に加えることで、規制後に輸出承認の手続を経ない輸出がなされた場合には、バーゼル法の措置命令や外為法の罰則等の対象となるため、不法取引に対する抑止力が働き、シップバックを減らすことができると考えております。

福山委員 続いて、国際的な資源循環が非常に活発化をしてきております。過去五年で、有害廃棄物の輸出が二倍、輸入量が五倍にふえております。今回のバーゼル法の改正でも、不適正な輸出の防止や輸入にかかわる認定制度の創設が掲げられており、しっかりとした執行体制を築くことが非常に重要であります。こういうときに、先ほどから組織論がございますけれども、税関としっかりとした緻密な連携ができるようにしなければ、やはりこのあたりは非常に難しいと思っております。

 そのためにも、地方環境事務所の体制を、特にこういう有害物質でございますので、しっかりとしなきゃいけない。そのあたり、どうでしょうか。

中井政府参考人 お答え申し上げます。

 バーゼル法を適切に執行し、不適正な輸出入を防止するとともに、認定制度の円滑な運用を図っていくためには、地方環境事務所の果たす役割は重要でございます。

 近年の輸出入の増加傾向を踏まえますと、今後ますます地方環境事務所の業務は増加すると考えられることでございまして、委員御指摘も踏まえまして、関係部署と相談しながら、執行体制の強化について検討してまいりたいと考えております。

福山委員 きょうはいろいろ、廃掃法あるいはバーゼル法あるいは福島事務所等の問題について御質問させていただきました。

 環境省のこれからというのは、社会全体が本当に求めるものであると私は思っております。きょう質疑された内容でないもの、例えば、海洋漂着物の問題、マイクロプラスチックの問題、本当にいろいろ私も気になる環境問題がございます。そういうことも含めて、これから環境省、先ほど、一番最初に大臣にお伺いいたしましたけれども、組織体制を、そういういろいろな方向に対応できるような、しっかりとした、充実した環境省全体の組織を、そして、福島の復興復旧を願う地元の皆さんの期待に応えるべく、これからも大臣を先頭にしっかりと頑張っていただきたいことをお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 どうも御清聴ありがとうございました。

平委員長 次に、福田昭夫君。

福田(昭)委員 民進党の福田昭夫でございます。

 本日は、福島地方環境事務所の設置に関し承認を求める件と、関連する特措法及び特措法に基づく基本方針の見直しのポイントなどについて指摘をして、今後の有識者懇談会でぜひ議論していただくよう提案をしたいと思いますので、もし答弁がありましたら、その場合は簡潔にお答えをいただきたいと思います。

 まず一つ目ですが、福島地方環境事務所の設置により期待される効果等についてであります。

 先般、福島復興再生特別措置法の一部を改正する法律案が成立をいたしました。その中で、帰還困難区域に復興の拠点づくりをするということになりましたけれども、しかし、よくよく考えてみますと、最前線で頑張っていただかなくてはならない関連する町職員、町役場の職員の不安については全く触れられていませんでした。

 最近になって、そうした声が上がってまいりました。帰還困難区域を抱えている町内等においては、町職員の若い人たちが、放射能の心配がある地域に戻るか戻らないか迷っているというような話が伝わってまいりました。そうした中で、町執行部の強圧的な態度に苦情も出ているようであります。それは、町へ住居を構えないような人間は町役場に要らないみたいな話があって、大変、若い人たち、例えばでありますが、郡山から二時間二十分かけて今の臨時の役場に通っている人など、そうした苦労をしている人などは、どうしようかということで迷っている、悩んでいるというような話も出てきております。

 ぜひ、そういった意味では真偽のほどを確かめる必要があると思いますが、残念ながら、福島地方環境事務所も、あるいは復興庁の出先機関も、これは自分たちの役割にないということなので、大臣、ぜひ、復興の本部の中で、こうしたこともしっかり踏まえた上で福島の再生に取り組まれるよう、これはお願いをしておきたいと思います。

 回答は要りません、どこも担当していないというものですから。しかし、一番大事なことだと思います。もし、復興の拠点をつくってそれぞれ戻るということになれば、町役場の特に若い職員が帰ってこなくて、どうやって復興の拠点が成り立つのかという問題になってきます。

 それでは次に、二番目、放射性汚染物質対処特措法及び基本方針の見直しのポイントについて申し上げておきたいと思います。

 環境省は、今月中に除染作業が全て終了する見込みなので、それをもって特措法の施行、進捗状況を改めて再点検する、そういう方針のようでありますので、事前に、私の方からは、特措法の問題点と基本方針の問題点を指摘しておきたいと思っております。

 まず一つ目、特措法、平成二十三年の八月二十六日成立の、第五条に規定する原子力事業者の責務についてであります。

 第一点は、原子炉等規制法との整合性についてであります。

 原子炉等規制法では、廃炉に伴う高レベルの放射性廃棄物は国、低レベルは原子力事業者が最終処分の責任を負うと規定されているわけでありますが、しかし、特措法では、原子力事業者は、「誠意をもって必要な措置を講ずるとともに、国又は地方公共団体が実施する事故由来放射性物質による環境の汚染への対処に関する施策に協力しなければならない。」と後退しております。まさに原子力事業者の責務が原子炉等規制法とは異なっているということでありまして、これは整合性がとれておりませんので、これはしっかり、これが最大の問題だと思っておりますので、今後、整合性がとれるように見直しをすべきだと思います。

 第二点、特措法制定時の衆議院環境委員会における指摘事項についてであります。

 平成二十三年八月二十三日火曜日に行われた環境委員会での質疑では、自民党の吉野正芳委員、今の復興大臣でありますね、それから公明党の江田康幸委員、今も理事でおりますけれども、ともに、汚染を除去するのは全部国と東電なんだと指摘しております。国と東電なんだと指摘しておりまして、そのときの環境大臣、江田五月環境大臣も、第一義的には事業者、つまり東電に責任があるが、国も国策として進めてきたので、国が責任を持って対処すると答弁をいたしております。にもかかわらず、原子力事業者の責任が曖昧となったままであります。なぜなんでしょうか。

 そして二つ目であります。特措法に基づく基本方針、平成二十三年十一月十一日策定に位置づけられた指定廃棄物の処理についてであります。

 第一点は、事故当時の東京電力社長の福島県議会における発言、平成二十三年九月七日についてであります。

 当時の東京電力の西沢俊夫社長は、福島県議会において、県、立地町の合意が前提だが、放射性廃棄物を原発内に受け入れることを検討する、国とも相談して対応すると表明しております。しかしながら、現状はそうなっていません。どうしてでしょうか。きょうは、そのときの新聞を持ってきました。しっかり福島民報にそのことが報道されております。

 そして第二点は、「事故由来放射性物質による環境の汚染への対処の基本的な方向」における原子力事業者の位置づけについてであります。

 資料の一と二をごらんいただきたいと思います。

 特に1の1において、資料の二になりますけれども、1の1ですけれども、「関係原子力事業者(事故由来放射性物質を放出した原子力事業者をいう。)が一義的な責任を負う。」と書いてありますけれども、2で、まさに特措法に基づいて、「関係原子力事業者は、」「国又は地方公共団体が実施する施策に協力しなければならないものとする。」と。特措法にこれは戻ってしまうんですね。これでは原子炉等規制法と矛盾したままということになってしまうわけであります。

 次に第三点でありますが、第三点は、「指定廃棄物の処理に関する事項」に唐突に位置づけられた都道府県処理についてであります。

 資料の三の3(3)をごらんいただきたいと思います。

 ここに、指定廃棄物の処理については、下から二行目でありますけれども、「また、指定廃棄物の処理は、当該指定廃棄物が排出された都道府県内において行うものとする。」と、唐突にここに出てまいります。何の理由もありません。どうして各都道府県内で行うのか、何の理由も書いてないんです。ですから、これは、特措法の五条が東京電力の責任を曖昧にしたために、結局こうした処理方針がつくられてきたということになるんだというふうに思います。

 そして第四点目でありますが、第四点目は、「汚染廃棄物等の処理のために必要な施設の整備等」の中間貯蔵施設の位置づけについてであります。

 資料の三の6に、「事故由来放射性物質により高濃度に汚染された廃棄物及び土壌が相当量発生している都道府県については中間貯蔵施設を確保するものとする。」とありますけれども、実際には福島県のみ中間貯蔵施設を設置することになりました。福島県の中間貯蔵施設には除去土壌等も含めて最大二千二百万立米の廃棄物が貯蔵されることになっておりますけれども、しかし、そこに貯蔵される予定の指定廃棄物、特に十万ベクレルを超えるものは三万立米しかありません。二千二百万立米のうちわずか三万、三万立米といえば多いんだと思いますが、二千二百万立米に比べれば本当に少ない、三万立米しかないという話であります。

 したがって、このことを考えれば、やはりこの点についても今回考え直す必要があるのではないでしょうか。

 次に、三つ目は、特措法に基づく指定廃棄物の今後の処理の方針、平成二十四年三月三十日策定についてであります。資料の四をごらんいただきたいと思います。

 その第一点は、「これまでの経緯など」で既成事実化された指定廃棄物の都道府県処理についてであります。

 資料の四の1をごらんいただきたいと思います。二段落目の三行目後半から、環境省の二人の課長通知により、指定廃棄物の処理を当該指定廃棄物が排出された都道府県内に行うことと、いつの間にか既成事実化されておりまして、これは大きな問題であります。

 そして、第二点、「基本的な処理の方針」に位置づけた最終処分場の場所選定についてであります。

 資料の四の2をごらんいただきたいと思います。上から五行目に、「なお、最終処分場の速やかな立地場所の確保の観点から、まずは国有地の活用を検討するとともに、国有地の活用が困難な場合には、関係する地方公共団体や関係原子力事業者などに必要な要請を行うことも含め、国が最終処分場の候補となる場所を選定する。」とあります。

 今、御案内のとおり、既に国が場所を選定した宮城、栃木そして千葉ではいずれも反対で、場所選定がデッドロックに乗ってしまっております。そうした状況の中で、まさに原子炉等規制法に基づいて、関係原子力事業者に最終処分を任せるべきではないでしょうか。

 もう御案内のとおり、環境省が再測定したらば、いずれの県の指定廃棄物もどんどんどんどん量が減っていくということがはっきり見えてきているわけでありますから、そうしたことを踏まえれば、これは、最終処分は、原子炉等規制法に基づいて、関係原子力事業者、つまり東電に最終処分を任せるということが必要なのではないかと私は指摘をしておきたいと思います。

 次に、第三点、同じく、技術開発の進展に応じた安全な処理方法の採用についてであります。

 資料の四の2をごらんいただきたいと思いますが、下から三行目ですね、「また、指定廃棄物の中間処理に関する技術開発の進展に応じてこれらの技術を取り入れた安全な処理方法を柔軟に採用し、指定廃棄物の処理を進めることとする。」とありますが、そのような技術開発はされているのかいないのか、確認しているのかどうか。ここはちょっと後でお答えを政府参考人からいただきたいと思います。

 と申しますのは、まだ私も確認していないんですが、私のもとには、元衆議院議員の方から、すばらしい焼却炉を開発したんだ、そんな話もあるものですから、ぜひその話が本当かどうか確認をした上で、もしその焼却炉が本当であればこの問題の解決に大きく資すると私は考えておりますので、環境省が把握をしているのかどうか、お伺いをしておきたいと思います。

 次、四つ目でありますが、四つ目は、「東日本大震災 復興加速化のための第六次提言」平成二十八年八月二十四日の、自民党、公明党策定についてであります。資料の五をごらんいただきたいと思います。

 こちらにおいては、まず、資料の五の1の6をごらんいただきたいと思います。福島県以外の五県の指定廃棄物の処理については、茨城県においては現地保管を継続、段階的処理の方針が決定された。これを承認しております。続いて、ここにはありませんけれども、群馬県も同様の方針が決定されております。宮城県、栃木県などにおいては、「自然減衰に長期間を要する比較的放射能濃度の高いものは長期管理施設を整備して集約する方針を維持する一方、」点々々と省略しますが、「自然減衰したものは、」「段階的に処理を進めること。」と書いてあります。

 こうしたことも指摘されておりますけれども、しかし、今回問題となっております、調査候補地が選定されている宮城県、千葉県、栃木県の現状についてでありますけれども、宮城県については、宮城県知事が、三候補地の選定結果を、三市町の提案も受け入れて白紙撤回をしております。これについては宮城県の与野党とも賛成をしております。そして、自民党の伊藤委員からも今回特措法の見直しの提案がありました。

 千葉県千葉市でありますが、千葉県は、千葉市が与野党一致して選定結果を返上しております。しかし、まだ県全体の動きはありません。

 栃木県でありますが、栃木県は塩谷町が選定結果を返上しております。自民党の西川先生も、上寺島の候補地は不適地だから反対だと宣言をいたしております。

 今までいろいろ指摘してまいりましたが、先ほどの技術開発の点はぜひ政府参考人に、また、山本大臣からは、何かコメントすることがありましたらぜひお答えをいただければありがたいと思います。まず質問を終わります。

中井政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の中間処理の技術開発につきましては、委員御指摘のとおり、平成二十四年三月三十日の環境省の、指定廃棄物の今後の処理方針の中に、「指定廃棄物の中間処理に関する技術開発の進展に応じてこれらの技術を取り入れた安全な処理方法を柔軟に採用し、指定廃棄物の処理を進めることとする。」とされているところでございます。

 指定廃棄物の中間処理につきましては、例えば福島県内では仮設焼却施設等におきまして順次処理を進めておるところでございますが、当該事業の中で、処理の安全性等に関する必要な知見の集積を図っておるというところでございます。

 委員御指摘の、個別の焼却炉の技術についての把握は現時点ではしてございませんが、今後、技術開発が進んだ場合には、指定廃棄物の処理を安全かつ円滑に進めるべく、技術の取り入れについても柔軟に検討してまいりたいと考えてございます。

山本(公)国務大臣 十分なお答えになるかどうかわかりませんけれども……(福田(昭)委員「時間がありませんから簡潔でいいです」と呼ぶ)はい。

 指定廃棄物につきましては、私は、現在の方針を堅持してまいりたいというふうに思っております。

福田(昭)委員 それでは、残る時間でちょっと紹介したいと思いますが、「環境と公害」という雑誌があります。これのことしの四月二十五日発行第四十六巻第四号に、エックス都市研究所というところの二人の研究者が、栃木県のことを中心に、この指定廃棄物問題の調査研究をいたしております。村山さんという方と高本さんという方ですかね。この中で、やはり私が指摘するようなことが書いてあります。

 「長期管理施設の必要性や立地選定に関する考察」ということの中で、やはり環境省は、各都道府県に放射性物質が飛んでいって稲わらやあるいは下水道汚泥や浄水場の沈砂にまじったんだから、出てきたごみは各都道府県が排出したごみだ、こういう解釈をして説明しています。しかし、そのことは県民から理解されないんですよね。それは、放射性物質を排出したのは東京電力第一原発だということをみんな知っていますから。知っていますから、だから、排出者責任というのがあるじゃないか。

 ですから、ここにも書いてありますけれども、やはり廃棄物の帰着は各地域だったんですね、環境省の考え方は。ところが、発生源は福島第一原発であり、このことが関係自治体や地域住民の意識が自区内の、つまり各都道府県内の処理の受け入れを受け入れがたいものにしている、これは第一の理由として書いてあります。私もこのとおりだと思います。ですから、これは環境省が言うように、セシウムが飛んでいった、それで、そこで出した指定廃棄物なんだからその都道府県内で処理しろという環境省の論法は、地域住民には通用しないということです。

 ですから、そこをしっかりよく考えて、原点に戻って、原子炉等規制法に基づいて、廃炉に伴って出てくる放射性廃棄物、特に、低レベルのものは原子力事業者が最終処分の責任を負うということになっています。ですから、今、東海原発が廃炉の作業に入りましたけれども、東海原発の低レベル廃棄物は東海第二原発の敷地にぜひ置かせてくれということで、原子力規制委員会に事業者から申請が出ております。

 ですから、今回の場合もそういう考え方が必要じゃないか。もし、第一原発の空き地、時間が来ましたのでやめますけれども、上に百ヘクタールもあいていますし、第二原発の敷地も十分土地はあります。そんなことを考えれば、最終的にはちゃんとそうした対策が必要ではないかということを指摘して、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

平委員長 次に、細野豪志君。

細野委員 私からは、今回、三点、この議案の案件となっている中で、福島環境事務所の設置に関して、これに特化をして質問させていただきたいと思います。

 まず、大臣にお伺いします。

 福島地方環境事務所をつくること自体は、仕事の量を考えれば、ようやくここまで来たなという感じがします。賛成いたします。

 ただちょっと、まず質問させていただきたいのは、地方環境事務所というのは、従来は環境政策全般をやってきたわけですね。具体的に申し上げるならば、国立公園の管理ももちろんやってきたし、さまざまな公害対策、環境問題なんかも扱ってきた。そういった中において、この福島の地方環境事務所に関しては、そういった業務はやらずに、放射性物質に関するものに特化をするという、これまでの考え方とは全く違う事務所になるわけですね。そのようにした理由をまずお聞かせいただけますか。

山本(公)国務大臣 細野委員御存じのとおり、環境省の地方事務所の役割というのは、従来は、大体、国立公園というものに対する目配りが地方事務所の役割であったろうと思っております。

 その中で、三・一一のあの事故が起きて以来、東北事務所の中において福島事務所というのを設置されて、そして今業務を行ってきた。

 ただ、福島事務所というのがずっと業務をやる中で、私もちょっとおかしいなと思っておりましたのは、あらゆる環境省の地方事務所の中で、圧倒的な人数を擁している事務所であります。そして、その圧倒的な人数がなぜ必要であるかといったら、福島の処理だということに、これはもう既に、マンパワーが全ての原動力だというようなことがあるから圧倒的な人員を擁している。

 であるならば、役割分担をさせた方がより効率的になるのではないか。福島事務所というのは、圧倒的人数を擁しながらも、福島の作業に特化していく事務所にする方が福島の方々も安心されるのではないか、そしてまた環境事務所の職員の方々もやる気が出るのではないかというふうに考えて、私どももそういう考え方で、福島事務所は福島の一件に特化した事務所だというふうに整理をしたわけでございます。

細野委員 福島環境再生事務所をつくったのは私のときでございまして、そこがここまで人員が大きくなったということに関しては、もう大臣御指摘のとおりです。

 ちょっと思い起こしますのは、最初の除染の予算をつくったときに、環境省の官僚の皆さんにちょっとたたき台をつくってくれと、予算を持ってきましたら百数十億の予算を持ってきたんですね。環境省というのはもともと規制官庁ですから、余り大きな予算は扱っていません。ただ、今回は国家的な大事業なので、私は、当時の担当者の方に、ゼロが二つもしくは三つ違う、兆単位の予算をつけないととても除染をやり切れないだろうということを私の方でお伝えをして、随分いろいろ考えた上で、数千億から兆の予算になるということでやり始めたのが一番初めのスタートだったんですね。

 そういう意味では、規制官庁ではもちろんあるんだけれども、プラスこういった問題に事業官庁として取り組むという体制がようやくできたのかなという気がいたしております。

 事前に環境省から聞いておりましたのは、国立公園なんかは、三陸の公園なんかはつながっているので、それを一元的に管理をするためには東北でやった方がいいんですという議論だったんですが、私は、答弁としては、今の大臣の答弁の方がむしろ実態に即していると思います。すなわち、福島の問題は非常に重たいので、それに特化をする事務所なんだ、その役割を担い切るんだという気概でぜひ取り組んでいただきたいと思います。

 ただ、ちょっと気になるのが、五百九十一人いるわけですね、人員としては非常に大きい。例えば関東の地方環境事務所、これが一番これまで大きかったわけですが、ここでも百二十一人。ほか、小さいところだと、地方環境事務所の中でいうと、それこそ五十名前後の事務所もたくさんある中で、もう断トツ大きいわけですね。これだけ断トツ大きいにもかかわらず、事務所長は指定職になっていない。これは、財務省とのいろいろなやりとりをやった末で今のところそうなっているということなのかもしれませんけれども、やはり、実際見ても規模が物すごく大きいですから、これはちょっと明らかにアンバランスだというふうに思います。

 大臣から御答弁いただいても官房長から御答弁いただいても結構でございますけれども、やはり、せめて管理体制を充実するという意味で指定職をとって、時限的な組織ということにはなっているようでありますが、少なくとも三十年以上かかるわけですからね。そういう意味では、現職という意味では、もうこれは恒久的な事務所だというふうに考えた方がいいと思います、現職の官僚の皆さんからすると。

 そういう体制をつくるべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。

森本政府参考人 お答え申し上げます。

 今、細野先生からお話がありましたように、事務所の組織体制については、東日本大震災の後、新たに対応するということで逐次増強ということで、かなり組織が急拡大した。したがって、その間にも、先ほども御指摘がございましたけれども、不祥事があるというふうな弱さのある体制でございます。

 そういった意味で、地元の信頼のもとで事業を進めていく、これは根本でございますので、今先生御指摘のあった組織管理体制の強化、所長の格付であるとかといった管理職の適正な格付を踏まえまして、人員の充実とか体制の強化などについて前広に関係部局と相談しなければなりませんので、相談しながら、末端まで管理が行き届くような管理体制を整備していきたいというふうに考えてございます。

細野委員 ちょっとはっきりしないんですが、きちっと指定職の事務所長を置くように環境省としては努力する、そういう理解でいいんですか。

森本政府参考人 お答え申し上げます。

 そのとおり、そういう形で要求させていただいて、努力したいと思います。

細野委員 もう一点気になるのが職員の採用なんですね。

 大体半分ぐらいは本省から行っているということですから、これは安定的に仕事をしていただける。ただ一方で、実際には、農水省の地方局の方であるとか、国交省の地方整備局の方であるとか、私のときもそうですけれども、相当かき集めて、事業をやるにふさわしい体制をつくる努力をしてきた。

 当初は仕方がなかったと思うんですけれども、依然として三年の任期つき採用ですね。これは、私はもはや限界だと思います。

 これまで環境省には、地方の環境事務所で採用するという仕組みはありませんでした。他省を見ますと、例えば国交省なんかは多くは現地採用ですね。現地の、その中で非常に能力を上げて重要な役割を担っていただいている。

 特に福島に関しては、現地で三十年という期間はあるわけだから、これは、中核になる職員は、任期つきではなくて正規の職員としてしっかり雇うということをやらないと、とてもやり切れないと思いますよ。

 ここも環境省としてしっかり努力をしていただきたい。努力をするというよりは、きちっとそういう制度をつくってもらいたいと思いますが、官房長、いかがでしょうか。

森本政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、約六百人のうちの約六割ぐらいがいわゆる任期つきの職員という形になってございます。そういった人たちがやる気のある職員として福島で腰を据えていただくということはとても大事だと考えてございますので、今御指摘のありましたように、恒常的な定員での措置を検討するということで、そこで働く方々がやる気を持って力を発揮できるように、関係者とよく相談していきたいというふうに考えてございます。

細野委員 ここは大臣にも一言御答弁いただきたいんですけれども、やはり地方環境事務所にするというのは、これは法律に基づく非常に重要な役割を担うということですから、形式は整ったわけですね。ただ、実態は、まだ私はそれに即した形になっていないと思います。

 大臣はよくお考えになった上で今回提案されているんでしょうから、実態を伴う、そういう人の採用なり管理体制をつくっていただきたい、その努力をしっかりしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

山本(公)国務大臣 御指摘のように、所長の身分、そしてまた任期つき職員の問題等々、私はほかの委員の方々の御質問に対しても同様な答弁をいたしておるんですけれども、環境省の省益のために何かを考えるのではなくて、政府全体としてこの問題を考えていただきたいということをたびたび申し上げております。まさに環境省のこの福島再生事務所のことにつきましては、政府全体としてこの問題を考えていただきたいということを再三申し上げているわけでございまして、ぜひまた御理解を賜りたいと思います。

細野委員 では、次の問題に移っていきたいと思うんですが、福島地方環境事務所で行う業務の中の一つに、放射線健康管理というのがございます。これも、当初はどこの役所がやるか大議論があったんですね。健康問題ですから厚労省という考え方もあったと思います。また、事故の原因をつくった経産省という考え方もありましたが、正直言って、どこの省庁もやや腰が引けて、この問題に取り組まなかったんです。

 大変恐縮なんですけれども、私は原発の事故も担当していましたので、やはりこれはやるなら一元的にやった方がいいだろうということで、当時の南川次官とも随分議論をして、我々でやろうということにしたんですね。そういう意味では、当時の環境省は本当に大変だったと思うんですが、本当によくやってくださったと思います。

 ぜひ、ここも完結する体制をつくっていただきたいと思うんですが、ちょっとまずお伺いしたいのが、この健康管理については、環境省ももちろん担当するんだけれども、実際の調査は福島県の県民健康調査がやっている、そういう状態になっているわけですね。

 きょうは、担当の環境保健部長に来ていただいていますが、これは、国が全体を見るんだけれども、実態の調査は県がやっているというこの役割分担は今どうなっているのか、まずお答えいただけますか。

梅田政府参考人 お答えいたします。

 東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理は、震災からの復旧復興の重要な柱の一つと認識しております。

 福島県民の中長期的な健康管理を可能とするため、国は平成二十三年度に福島県が創設した福島県民健康管理基金に交付金を拠出しておりまして、福島県は当該基金を活用した県民健康調査を実施しております。

 この県民健康調査でございますが、空間線量が最も高かった時期における外部被曝線量を推計する基本調査と、そして詳細調査である健康診査、甲状腺検査、心の健康度、生活習慣に関する調査、妊産婦に関する調査の計五つの調査を実施しております。

 委員御指摘の役割分担ということでございますが、環境省では、この福島県が実施しております県民健康調査につきまして、財政的そして技術的な支援を行うとともに、例えば甲状腺検査を行う医師、技師への検査技術の研修を行うなどの人材育成支援を行っております。また、健診を受けた、あるいは健診にかかわらず、住民の方々の健康不安対策として、理解の増進や相談に対応するようなリスクコミュニケーション事業にも取り組んでいるところでありまして、引き続き必要な対策の推進に努めてまいりたいと考えております。

細野委員 わかりました。

 そこで、部長にお伺いしたいんですが、甲状腺の検査、相当精力的に、福島県の方、やっておられます。なかなか地域によっては受けていただけないという方もおられますけれども、子供さんについては、特に浜通りなどではかなり受けていただいているという状況です。

 これは頻繁によく報じられるところで、さまざまなうわさが飛び交うんですが、甲状腺がんがふえている、こういう情報がかなり行き交っていますね。技術的なサポートを国としてしているということですが、私の理解は、それこそ被曝による甲状腺がんが福島で広がっているような状況ではない、外と比較もしていただいているというふうに承知をしていますが、環境省としては、そこはどう捉えているんでしょうか。

梅田政府参考人 お答えいたします。

 甲状腺検査の結果の評価につきましては専門的な知見が必要でございますので、医学等の専門家の意見が重要だと考えております。

 例えば、環境省が開催した専門家会議の中間取りまとめでは、先行検査で発見された甲状腺がんについては、「原発事故由来のものであることを積極的に示唆する根拠は現時点では認められない。」とされておりますし、また、福島県が開催しております検討委員会の中間取りまとめにおきましても、これまで発見された甲状腺がんについて、「放射線の影響とは考えにくい」、これは平成二十八年三月の時点でございますが、そのような評価がされております。

 また、昨年ですが、国連科学委員会がその白書において、福島では線量が大幅に低いので、多数の放射線による甲状腺がんの発生の可能性を考慮に入れる必要がない、そのような評価をしているところでございます。

 いずれにいたしましても、福島県の甲状腺検査につきましては現在も継続中でございますので、環境省としては、引き続きその動向を注意深く見守っていきたいというふうに考えております。

細野委員 今の分析が決してお手盛りであってはいかぬと思うんですね。客観的に福島県の状況と福島県以外の状況を比較した上で、本当に被害がないのかということについては常に冷静な目で見て、その上で、やや私が不足していると思うのは、そういう説明をきちっとするというところは率直に言って不足をしていると思います。当然ですけれども、ネガティブな情報というのは拡散しますね。一方で、国としてやっていることというのは、ついつい正当化をしているんじゃないかというふうに見られがちです。そこはきちっと冷静に判断をした上で、しっかり説明することをやっていただきたいと思います。

 その上でお願い申し上げたいのは、やはりこれからはきちっとそういうコミュニケーションをとっていくということが重要だと思うんですね。今度、新しく格上げをする事務所になるわけですが、そういうきちっと地元の皆さんとコミュニケーションをとれるような体制ができているのかどうか、これはぜひ確認をさせていただきたい。

 その上で、もう一つ申し上げたいのは、福島県民の皆さんの健康寿命をできるだけ延ばすことももう一つの目標にしたらどうかと思うんですね。

 確認をしますと、二〇一三年の時点で福島県民の健康寿命というのは男性が全国で四十一位、女性が三十五位となっていて、これは原発事故とは全く関係ない客観的な数字として決して高くはないんですね。健康管理をきちっとやることによって、むしろ福島県民の方が健康寿命が長くなる、ひいては、そもそも長生きになるということは、非常にこれは県民にとっても明るいニュースだし、さらには世界に対しても、日本が困難な状況を克服した、福島県民が困難な状況を克服したという前向きなメッセージになると思いますので、そこを目指していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

梅田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の健康寿命ということです。健康寿命、計算の方法はいろいろあろうかとは思いますが、福島県の今実施されております県民健康調査、これをきっかけに、これらの調査の中で、例えば、健康診査の後の対応として、避難区域等市町村において健診結果説明会や健康セミナーを開催するということですとか、また、市町村が実施する行事において健康セミナーのコーナーを設置して、医師による講話や健康相談、血圧、血糖測定などを行い、今後の健康管理に役立てていただくというような活動も行っております。

 このような取り組みを通じまして、将来にわたる県民の方々の健康の維持や増進を図る、そのような福島県の県民健康調査が適切に行われるように、環境省としては、引き続き必要な支援を行ってまいりたいと思っております。

 また、委員御指摘の、放射線の不安に関してということは、これはまた、福島県の地方環境事務所、そしてその管轄下の放射線健康管理事務所において、地元で地域の住民の皆様を身近な場所で支えて対応していく相談員の方々の活動を、科学的、技術的な面から支援していくという活動を行っております。

 引き続き、住民の皆様に寄り添いながら取り組んでまいりたいと考えております。

細野委員 こっちの活動は、非常に息の長い活動が必要だと思います。ついつい我々も、予算の大きい除染であるとか中間貯蔵であるとか廃棄物に目が行きがちなんですが、福島県の皆さんにとっては、それと同等かそれ以上に重要な問題が健康だというふうに思いますので、環境省として責任を持ってしっかり取り組んでいただきたい。これは要請申し上げます。

 次に、廃棄物の問題、伊藤副大臣、済みません、ちょっとよろしいですか。エコテックセンターについてお伺いしたいと思います。

 これは、富岡町に今、創設、つくる準備が進んでいるということですが、楢葉町から搬入するということで、この二つの町が主にかかわりますね。浜通りの生活のごみの焼却灰の処分場ということで、これは、大変いろいろなことを乗り越えてここまで来ました。富岡町に、以前、遠藤町長というのがおられまして、この方は取りまとめをやっておられた町長さんで、亡くなったんですが、本当に苦労しながら、最後、決断いただいたんですよ。

 もう五年半たっていて、当初からすると相当おくれている。しかし一方で、浜通りの処分場の横にはもう灰が相当たまっていて、最終処分できませんからね、それぞれの地区では。しっかりやってもらわないかぬ。

 いろいろ、現地にも副大臣が入られて、大変御苦労されているというふうに思いますが、ちょっとその辺の、説明できる範囲で、どのようにお考えになっているのか、どのあたりまで来ているのか、そこをまず御説明いただけますか。

伊藤副大臣 細野委員にお答えをしたいと思います。

 ただいま委員が御指摘のとおり、大変長い間にわたって大勢の皆様方の御尽力のもとに、今日を迎えさせていただいております。

 本事業は、平成二十七年十二月に、まことに苦渋の決断で福島県、富岡町、楢葉町に御容認をいただき、その際にいただいたお申し入れに基づきまして、昨年四月に施設を国有化し、昨年の六月には国と県そして二町との間で安全協定を締結させていただきました。

 その後、処分場内で既存の廃棄物を埋め立て直す等の準備作業を進めるとともに、地元行政区との安全協定の締結に向けた調整を行わせていただきまして、富岡町の二つの行政区とは、昨年、安全協定を締結したところでございます。

 他方、楢葉町の地元行政区のうち、繁岡行政区においては、本年四月の臨時総会において、安全協定を締結していただくとの結論に至りませんでした。

 これを受けまして、一昨日、鈴木福島県副知事も御同席をいただいた上で、松本楢葉町町長と面談をさせていただきまして、本事業の必要不可欠性を踏まえまして、地元行政区との安全協定が締結できない状況でございましても、必要な準備を進めた上で、特定廃棄物の搬入をさせていただきたい旨の御説明を申し上げてまいりました。

 松本町長からは、廃棄物の搬入時期については国の判断であるので、引き続き、地域住民が安心できるよう、安全に事業を進めてほしいとのコメントがございました。

 環境省といたしましては、今後も引き続きまして、繁岡地区などの地元の方々の安全、安心の確保に最大限の配慮を行いながら、事業の実施に向けて着実に準備を進めてまいりたい、かように考えております。

 以上でございます。

細野委員 松本町長も、事故が起こったときは議長をやっておられて、その後、直後に町長になられて、もう長くやられていますよね。非常に責任感のある方で、富岡と楢葉でいろいろお互いに難しい面があったんですが、そこまで来ていただいたというのは非常に重いことだと思います。

 大臣、副大臣にはこれはもう釈迦に説法だと思うんですけれども、このエコテッククリーンセンターというのは初めての国立の処分場になるわけですね。これまで、処分場というのは地方自治体がやる、それを規制するなり許可をすることを環境省がやってきた。今回は国が直接やるわけですから、全く性質が違うわけですね。逆に言うと、それだけ深刻だというふうにも言えると思います。

 ですから、そこは全く意識を変えていただいて、搬入の時期は、いろいろ、ややまだ納得していただけていない方もいらっしゃると聞いていますので、私の方から、さらに詰めて、ここまでにどうだということは言いませんが、しっかり本当にこれはやり切っていただきたいということを最後に申し上げたいと思います。

 時間も五分を切りましたので、最後、大臣にお伺いしたいんですが、今回、環境省の組織改編として、環境再生・資源循環局という新しい局が誕生する。廃リ部というのは長年親しんできましたから、ちょっとまだ名前がしっくりきませんが、拡大をして、格上げになって局になるというのは非常にいいことだというふうに思います。

 ちょっと大臣にお伺いしたいのは、これで総政局も含めて五局になるわけですね。これで当面、環境省の体制としては一段落というか、整ったという理解でよろしいんですか。(発言する者あり)ああ、そうか、総政局がなくなるのか。五局ですか。済みません、では、ちょっと。

森本政府参考人 大変恐縮です、ちょっとだけ補足させていただきたいと思います。

 総合環境政策局が総合環境政策統括官という形になります。したがいまして、正確には、四局プラス一統括官という形でございます。

山本(公)国務大臣 新しい体制になるわけでございますけれども、私は全く、局という言葉はなくなったんですけれども、今言われた統括官、彼に、彼といいますか、多分個人になるんだと思いますけれども、彼に大いに役所の中でコントロールタワーとしての機能を発揮してもらうように期待をいたしております。

 限られた人員の中で環境省らしい効率的な運営ができるようにちょっと考えていきたいなというふうに思っております。

細野委員 失礼しました。四局ですね、四局は維持するんだけれども中身が変わるということですね。ただ、いずれにしても、体制が拡充することは間違いないと。

 時間も限られていますので、最後に申し上げたいのは、やはりこれだけの役割を担うとなると、さっき福島の事務所の話もしましたけれども、環境省全体の人員の問題は少しそろそろまた考えた方がいいと思いますね。

 確認をしましたら、大体、採用が二十人、ここ数年それぐらいで来ているようですけれども、事務官が六、七人ですね。これは管理体制も含めて、よく年次で何年入省で何人とか言うと、環境省の場合、残っているのは、上の方は一人とか二人なんですよね。やはり、そこも含めて、ややふえてはいるものの、採用体制は見直された方がいいと思います。

 また、特に人員が不足しているのは、この環境委員会でも何度か出ていましたけれども、レンジャーですね。やはり現場のレンジャーが余りに数が少ない。ここの拡充もしていただいた方がいいと思いますので、新しい体制になるわけですから、人員の体制についても充実していくということについて最後決意を伺って、質問を終わりたいと思います。

山本(公)国務大臣 ありがとうございます。

 私も、レンジャーは特にふやしたいというふうに思っております。

 各地の国立公園等々を回るときに、やはりレンジャーの多いところというのはうまく管理ができているなということを感じました。ああいう国立公園の管理こそまさにマンパワーだというふうに思っておりますので、レンジャーはぜひふやしていきたいと思っております。

細野委員 いろいろ幅広く質問させていただきましたけれども、福島の事務所の整備がされたこと、さらには、環境省として本省の体制も強化されたことは、おそらく環境委員会のメンバーはみんな高く評価をしていると思いますので、あとはそれに見合った役割をしっかり省を挙げて果たしていただきたい、このことを最後に申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

平委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 きょうは、福島地方環境事務所承認案件について質問をいたします。

 福島環境再生事務所はどういう組織か。これは、放射性物質汚染対処特措法、いわゆる除染特措法に基づいて、除染や中間貯蔵施設の整備、また指定廃棄物等の処分を行っている、こういう組織だと承知をするものですが、それでよろしいでしょうか。

森本政府参考人 お答え申し上げます。

 今の福島環境再生事務所、福島復興法に基づく帰還困難区域における復興事業に係る除染工事、それから、先ほどからお話ありました放射線に関するリスクコミュニケーションのような事業もございますけれども、主としては、先生がおっしゃるとおり、放射性物質汚染対処特別措置法に基づく業務を実施する事務所でございます。

塩川委員 大宗はこの特措法に基づく業務を行っているということであります。

 今回の福島地方環境事務所の設置は、昨年十二月に閣議決定をされました原子力災害からの福島復興の加速のための基本指針にあります、「放射性物質汚染対策については、」「推進体制の一元化・充実を図り、柔軟かつ突破力に満ちた解決力の向上を目指した組織改革を行う。」という方針に基づく、その措置の一つだというふうに承知していますが、そのとおりでよろしいでしょうか。

森本政府参考人 お答え申し上げます。

 復興・創生期間に入って、復興も新しいステージを迎えたという中で、御指摘の基本方針、これも踏まえた組織改革ということでございます。

塩川委員 基本指針を踏まえた組織改革ということです。

 後段、用語のことでちょっと気になるのが、推進体制の一元化、充実を図る、ここはわかるんですけれども、「柔軟かつ突破力に満ちた解決力の向上を目指した組織改革」という、柔軟はわかるんだけれども、突破力というのは何なのか。何を突破するんですか。

森本政府参考人 お答え申し上げます。

 先生おっしゃるように、ここは放射性物質の汚染対策ということを進めるものでございます。これを進めるに当たりましては、先ほども申し上げましたが、地元ともよく連携をして進めていく必要がございます。かつ、本省、地方事務所が一体的な体制で取り組むことも必要でございます。

 そういった意味で、今私どもが抱えております、引き続き行う除染あるいは中間貯蔵施設の整備を着実に進めるといった課題を乗り越えるという意味で、突破力という言葉を使わせていただいているというふうに理解をしてございます。

塩川委員 課題はあるわけで、それは連携して一体的に取り組めばいいわけで、何か突破するような障害物としてあるのかという、そこがよくわからないんですけれども、これはもともと自公の提言を踏まえているものですから、与党の皆さんに聞いた方がいいのかもしれませんが、この点は、実際の仕事として、中身として問われていくことだろうと思います。

 それで、実際の中身の話ですけれども、資料もお配りしたわけですが、現在の福島環境再生事務所の職員、この実員の構成がどうなっているのかについてまず説明をしていただけますか。

森本政府参考人 お答え申し上げます。

 福島環境再生事務所の実員でございますが、二十九年四月一日現在では、総数が五百六十人でございます。常勤職員数は五百六十人でございます。

 その内訳でございますが、環境省のプロパー職員が六十二人、各府省から出向していただいている職員が六十七名、再任用職員が二十八名、それから任期つきの採用職員が三百七十三名、その他、自治体等からの出向職員十七名、官民交流採用職員が十三名、以上となってございます。

塩川委員 ごらんいただければわかるように、非常に多くの組織、団体から集まっていただいているのが福島環境再生事務所ということです。そういう点では寄り合い世帯ということで、いろいろ現場での御苦労も多いところだと思います。

 同時に、これを拝見しますと、いわゆる常勤職員というのは限定的で、任期つき職員が三百七十三人ですとか、再任用職員が二十八人とか、雇用期間が限定された職員が大半を占めているわけであります。こういう組織をまとめ上げるのは非常に大変ではないかなと思うんですが、その点についてはいかがでしょうか。

森本政府参考人 お答え申し上げます。

 おっしゃるとおり、いろいろな形で職員の方に来ていただいて仕事をしてございますので、そういった意味では混成部隊でございますけれども、しっかりとコミュニケーションをする、あるいは研修をする、そういった形での連携を進めていきたいと考えてございます。

 ただ、正直申し上げれば、今先生が御指摘のように、体制の充実というのは常に必要なことであろうというふうに考えてございます。

塩川委員 資料の二枚目をごらんいただきたいんですが、これも環境省につくっていただいた資料ですけれども、福島環境再生事務所定員推移のイメージ図になっています。ですから、それぞれ年度が書かれていますし、人数が縦軸で出ているわけですが、このように定員はふやしてきています。同時に、それぞれの任期というのは非常に限られているということですが、このイメージ図について少しポイントを説明してもらえますか。

森本政府参考人 お答え申し上げます。

 この表で申しますと、左の一番下の方から進んでいただければよいかと思いますが、福島環境再生事務所は、平成二十四年の一月の設立時には定員四十名ということで始まってございます。その後に、除染、指定廃棄物対策、中間貯蔵施設に関する業務、業務量の増加に応じて順次定員が措置されているということでございます。例えば、二十四年の四月一日からは百七十人というのが増加されまして、その任期については二十四年の四月から二十六年の三月三十一日までの三年間という形になってございます。

 なお、こういった定員につきましては、東日本大震災の復興特別会計というもので措置されているということで、その全てが時限の定員であり、最長で平成三十二年度までの措置というふうになっているものでございます。

 以上でございます。

塩川委員 お話ありましたように、定員は積み上げています、ただ、復興特会で措置をされているということで任期については時限ですと。最後は、復興特会が廃止をされるとされています平成三十二年度末までということが今説明としてもありました。

 要は、福島環境再生事務所の定員ということで、私はやはり二つ問題があると思うわけです。

 一つは、三年任期での職員が五百四十二人というふうに、大半を占めているわけですよね。もちろん、業務量についてはそれぞれの分野ごとで上がり下がりはあるでしょう。しかし、一貫して続く仕事も当然あるわけですし、そういったときに、三年任期が大半を占めて、あと五年、六年任期がわずかということで、いずれも短い任期というのは、非常に仕事としても限定的にならざるを得ないんじゃないのかということが一つ。

 もう一つが、時限定員ばかりで恒常定員がないわけです。先ほどの説明にありましたように、平成三十二年度末を超える任期というのは設定をされていません。仕事は本来続くはずなのに、そこで全部切れているということです。

 そこで、まずお聞きしたいのが、三年任期というのが大半を占める理由は何なのか、お答えください。

森本政府参考人 お答え申し上げます。

 この事務所で進めております除染あるいは指定廃棄物対策というのは、我が国としてもこれまで経験したことのない事業でございました。それに取り組むに当たりまして、どれだけの業務量がいつまで続くのかということが容易に見通せなかったということから、おおむね三年ごとの定員措置ということで、三年ごとにその必要性を見直すということにしたものでございます。

塩川委員 でも、冒頭確認しましたように、特措法に基づく業務を中心として担うというのがこの福島の環境再生事務所であって、それはもちろん、除染や、中間貯蔵施設の整備や、指定廃棄物の処理、大まかにこの三つの業務があるわけですけれども、上がり下がりがあっても全体とすればボリュームのある仕事をしていくということは明らかで、定員がふえているところにそのことがはっきりあらわれているわけですよね。

 そう考えたときに、何で三年で区切る必要があるのかというのは率直なところなんですけれども、もう一回。

森本政府参考人 これまで、おっしゃるとおり、そういう形で定員措置させていただいてきたということでございます。

 先生の御指摘も、私どもは実態として、例えば、やる気のある方とかを考えますと、三年目になるとその先が見えないというのでは申しわけないという気持ちはございますので、そういったところについて、よく関係部局と相談をしていきたいというふうに考えてございます。

塩川委員 いや、それはきちっと、どうするのかということをはっきりさせるべきです。

 そういう意味では、復興庁という組織も、これ自身は時限の組織であるわけですけれども、復興庁にお尋ねしますが、復興庁の職員の任期というのはどうなっているんでしょうか。例えば三年で区切るとか、そんなふうになっているのか。その点、お答えください。

関政府参考人 お答えいたします。

 今お話ございましたように、復興庁の設置期限、これは平成三十三年三月三十一日までとされております。復興庁のいわゆる定員でございますが、これも復興庁の設置期限までのものということにしております。

 なお、私ども復興庁では、民間の方の派遣とか、それから、期間的に、一定の期間の期間業務で現地に入っていただく方等ございますので、それぞれ個別の方の任期はそれぞれそれに応じて定められているということでございますので、全員が三十二年度末までということではございません。

塩川委員 ですから、個々にローリングで回っていくようなポストはあるけれども、基本は三十二年度末までの任期という設定だということですか。

関政府参考人 お答えいたします。

 復興庁の設置期限が三十二年度末ですので、当然ながら、それぞれの職員の定員の任期限、職員の期限も三十二年度末ということでございます。

塩川委員 ですから、基本は、別に三年で切っていないんですよ。もちろん、個々の人の事情がありますから、ローリングでほかの人がまた来るとかという形にはなりますけれども、基本は、復興庁の設置法が三十二年度末に廃止と書いてありますから、それに合わせて後ろの期限というのは設定はしているわけだけれども、三年刻みという必要はないんですよ。

 そういう点でも、環境省の福島環境再生事務所の業務について改めて環境省に聞きますけれども、復興庁においても、分野ごとに業務量の多寡はあるけれども三年程度の短期の時限定員は設定していないわけで、福島環境再生事務所も同様にこういった短期の時限定員をやめることで、やはり意欲のある方に中長期の見通しを持って働いてもらう、こういうことというのは当然行うべきことだと思うんです。三年刻みみたいなことはもうやめるということをはっきり言っていただきたいんですが。

森本政府参考人 二つございます。

 一つは、福島環境再生事務所の仕事、これまでは除染というのが中心でございました。これからは、除染というのは、フォローアップ除染、それから帰還困難区域の除染というのが中心になってございますので、量的には相当減ってくるという形がございます。その一方で、中間貯蔵施設への輸送というのがございますので、その関係の人が必要だということになってこようかと思います。

 そういった意味で、定員の総数としての変化は緩やかでございますが、その内訳は少し変わってまいりますので、それを踏まえた定員構成というのは必要かと思います。

 その一方で、今先生御指摘がありましたように、やる気のある方がずっとやっていけるということからすると、三年任期というものを全てについてはめていく、あるいは大半についてはめていくというのは、おっしゃるとおり、見直すべきところだというふうに考えてございますので、そういった仕事の内容の変化と、それから職員の方々のやる気というものを考えた上での職員管理というものを考えて、この三年ごとの定員措置というものについては、しっかりと関係部局と相談をして見直していきたいというふうに考えてございます。

塩川委員 ぜひそういう対応でお願いしたいと思います。

 それともう一つ、三十二年度末という期限を切っているという話なんですけれども、復興庁にお尋ねしますが、そもそも福島の復興再生の事業というのは、別に平成三十二年度末までのいわゆる復興・創生期間で終わりにならないはずですよね。

 この点については政府はどういう立場なんですか。

関政府参考人 お答えいたします。

 平成二十八年三月に閣議決定されました復興・創生期間における東日本大震災からの復興の基本方針でございますが、ここでは、「福島の復興・再生は中長期的対応が必要であり、「復興・創生期間」後も継続して、国が前面に立って取り組む。」という方針を決定しているところでございます。

塩川委員 ですから、復興特会に合わせる、この復興・創生期間というのは五年後から十年までという線の引き方になっているわけですけれども、復興特会の十年とそこは符合しているわけです。先ほどの話の中にも、三十二年度末でこういう任期が区切りがあるというのは、復興特会との関係でそうなっていますという説明でした。

 そこで、定員にかかわることなので、内閣人事局にお尋ねをいたします。

 この福島の復興再生に取り組む福島環境再生事務所の業務というのは、平成三十二年度末では終わらない、その後も継続する仕事であります。

 福島環境再生事務所の定員について、平成三十二年度末までという終期を、終わりを設ける、そういう合理的な理由というのはあるんですか。

若生政府参考人 お答え申し上げます。

 福島環境再生事務所の定員、これは先ほど来御説明がありましたように、復興特会により措置されているということで、その期限であります最長三十二年度までということで一度区切りをさせていただいて定員をつけさせていただいているということでございます。その範囲の中で、環境省の要求も踏まえまして、業務の内容や作業の段階に応じて定員の時限を付しているということでございます。

 他方、これまで、福島環境再生事務所において時限が到来した定員につきましても、その時々の業務状況を踏まえまして、これは適宜、時限の延長を行ってきているということでございまして、三十二年度以降につきましても、先ほど来お話がありますような今後の業務量の見通し等を踏まえまして、そのときの状況をよく踏まえて、環境省ともよく相談しながら適切に対応してまいりたい、かように考えてございます。

塩川委員 事務所の方が三十二年度末ですぱっと切られているというのは、復興特会からお金が出ている、その復興特会の期限が三十二年度末だからだという理屈ですけれども、重ねて内閣人事局にお聞きしますが、この福島環境再生事務所の業務というのは、冒頭確認したように、中間貯蔵施設の整備、管理を初めとして中長期に及ぶものであって、基本はやはり放射性物質汚染対処特措法に基づく業務を行っているんですよ。特措法の仕事というのは平成三十二年度末で終わらないんですよね。

 この特措法に基づく除染や中間貯蔵施設の整備や指定廃棄物などの処分の費用は、汚染者負担原則に基づいて、賠償の一環として東電に求償するとなっている。ですから、復興特会から出ているお金というのはあくまでも立てかえ払いなんですよ。だから、復興特会が廃止されたからといって賠償の一環である除染等の仕事が終わるわけではありませんし、東電への求償が終わるわけでもありません。

 ですから、福島環境再生事務所の業務の財源はそもそも東電の賠償にあるわけですから、復興特会の廃止期限に合わせて定員の終期、終わりを設ける必要はないはずだと思うんですが、どうですか。

若生政府参考人 中長期的な課題であるということは十分認識しております。その財源をどうするかも含めまして、今後の事務所の体制につきましては、まず環境省の方でどういう形にしていくのかという検討が先行すべきだと思っておりますので、それを踏まえまして、私どもの方としてもきちっと検討してまいりたいというふうに思っております。

塩川委員 環境省の検討を踏まえてということですから、大臣にお尋ねいたします。

 今お話ししましたように、定員について三十二年度末で切れます、それは復興特会に基づくお金が出ているからですという理屈なんですが、私が今説明しましたように、この事務所の業務の大宗というのは特措法に基づく仕事なわけですよね。

 特措法に係る経費というのは、汚染者負担原則に立って東電に求償するわけですよ。それを、事前の一時立てかえ払いで復興特会から入っているだけであって、業務そのものは続くし、当然のことながら、そういった一連の特措法に基づく仕事であれば東電に求償を行うということになるわけで、三十二年度末でこの事務所の定員を区切るということはもうやめたらどうか。ずっと恒常的な定員として要求するというのは、それこそ特措法を所管する環境省として筋が通った要求じゃないですか。その点ぜひお答えください。

山本(公)国務大臣 今後も業務が長期にわたると見込まれるポストについては、その定員について、恒常的な定員での措置を検討してまいりたいと思っております。

 先ほど官房長が言っておりましたように、とにかくやる気のある職員が現場で力を発揮できるようにするという観点から、関係者とよく相談してまいりたいというふうに考えております。

 同時に、この福島の今回の、六百人になんなんとする部下を擁する所長の待遇という面も同時に考えて、組織としてやはりおかしいと私は思いますので、そこらも含めてぜひ考えていきたいなと思っております。

塩川委員 先ほどのイメージ図でも、三年の任期と同時に、五年、六年というのもあるわけですよ。それはやはり、一定、恒常的な仕事があるからそういう人を張りつけるという趣旨でしょうけれども、それが全部三十二年度末で切れているんですよ。

 この先も続くはずなのに三十二年度末で切る必要はないでしょう。そこのところは、引き続き仕事があるんだから、今後のところについて三十二年度末という線の引き方はもうやめる、恒常的な仕事についてはきちっとした定員要求をしていくということをぜひ環境大臣としてはっきり申し上げる必要があるんじゃないかと思うんですが、改めて。

山本(公)国務大臣 きょうは復興庁や内閣府も来ていただいておりますので、とにかく政府としてこの問題は考えていただきたい、環境省のためではないということだけは申し上げておきたいと思っております。

塩川委員 ぜひ、何よりも原発事故被害者のために行っている仕事ですから、そのために全力を挙げるということこそ求められているということを申し上げたい。

 それで、一方、この今回の組織改革を行うことを決める方針である昨年十二月の基本指針というのは、帰還困難区域の中に特定復興拠点を整備するための除染及び汚染廃棄物の処理に要する費用について、原因者である東電に負担を求めず、汚染者負担の原則に反して、国が費用を負担することを掲げている。東電に負担を求めず、国が費用を負担する、こういう方針があるということはそのとおりですね。

森本政府参考人 そのとおりでございます。

塩川委員 福島環境再生事務所は東電の汚染者負担原則に基づいてその業務を行ってきたのに、私は、その原則がこれでゆがめられるということを指摘したい。

 そうなると、結局は、インフラと一体的な整備云々ということで、公共事業を行っていくという趣旨に当然なってくるわけですけれども、いわば公共事業官庁へと変わっていき、変質をし、原発事故被害者への賠償措置の一端を担うという組織の性格が損なわれることになりはしないのか。私は、原発事故被害者、住民に向き合う姿勢が根本的に変わる契機となりかねないという懸念を持つわけですが、この点についてはいかがですか。

森本政府参考人 現在の環境再生事務所におきましては、先ほど申し上げましたように、特措法の仕事もございますけれども、それ以外に、リスクコミュニケーション等々、いわゆる求償でない事業もやってございます。

 ただ、非常に重要なことは、先生がおっしゃるように、この福島の事務所が地元の方々の心に寄り添って取り組んでいくということかと思います。そういった点については揺るぎがないように今後取り組んでいきたいというふうに考えてございます。

塩川委員 いや、私がこの点で強調したいのは、そもそもこの特措法に基づく業務、なぜ東電に求償するかといえば、賠償の一環として、汚染者負担原則にのっとって責任を持ってやりなさいよということを決めたというのが特措法なんですよ。だから、帰還困難区域であれ、汚染された土壌とかを除去するのであれば、これは当然、東電に求償する話なんですよ。それを何か、賠償がどうのとか、余計な理屈でそれを回避するようなやり方で、公共事業で、国の予算で手当てをする。

 そこは、根本的に原発事故被害者に向き合う姿勢を変えることになってしまうんじゃないのか、これが問われているんじゃないかということを言いたいんですよ。そうは思いませんか。

森本政府参考人 今回、福島復興法というのが国会で議決をいただきました。その中で、帰還困難区域における除染については、事業と一体としてやるということで決めていただいたというふうに私どもは理解してございます。したがいまして、今後、福島環境再生事務所、今回つくります地方環境事務所につきましては、除染特措法及び福島復興法に基づいて取り組んでいくということでございます。

 ただ、いずれにしましても、先ほど申し上げましたように、地元の方々の気持ちに寄り添ってやっていくというところについては揺るぎなく進めていきたいというふうに考えてございます。

塩川委員 福島環境再生事務所の業務については、きょうの質疑の中でも多々問題点があるという話がございました。

 今でさえ、除染事業をゼネコンに丸投げして、下請除染作業員の危険手当のピンはねとか過酷な作業環境を事実上黙認してきたことが作業員や地元住民の方から厳しく批判をされてきたわけであります。また、職員が除染事業での収賄罪で起訴されたり、共同事業体、JVの一次下請の偽装除染を告発されながら隠蔽していたことなど、福島環境再生事務所への住民からの厳しい批判が続いております。

 私は、ここにあるように、公共事業的な性格を持つ仕事ということになったことが、そもそもの賠償の一環として行ってきた、いわば原発事故被害者のための仕事を大きく変えることになる、組織の性格が根本的に変わることで、原発事故被害者である住民の当然の要求を軽んじ、住民の不信がさらに広がることになりかねないということを指摘したいと思います。

 最後、大臣にお尋ねいたしますが、私が思うのは、国費を投じる公共事業となりますと費用対効果の議論が持ち上がる、戻る人数が少ないとなれば事業の縮小とか廃止につながるとか、住民が求める全エリアの除染が行われないことにもなりかねない。これは賠償で行う除染と違うんですよ。

 このような基本指針に基づいた福島地方環境事務所の設置というのは、住民が求める全エリアの除染に応える組織となる保証はないと考えますが、大臣、いかがですか。

山本(公)国務大臣 私は、今、塩川先生がおっしゃったことと全く違うことを考えているわけでございまして、何度も福島へ足を運ぶ中で、皆様方が何を求めていらっしゃるかということを自分なりにそしゃくさせていただきながら、今回の福島の事務所の格上げを考えたわけでございます。

 そうすることによって、私が、福島の方々が何を求めていらっしゃるかということ、つまり、一日も早く、一日も早く帰りたいという思いに応えるためには、現場の事務所がとにかく今以上に働くことが目的である。であるならば、格上げすることによってやる気が職員に生じてくるならば、私はこれはいいことだと思って、今回の格上げをやるわけでございます。

 若干、公共事業と、いろいろな言葉をお使いになりましたけれども、やはり従来の公共事業とは違うんだ、今回、帰還困難区域で行おうとしている公共事業というのは。やはり、さっき申し上げましたように、一日も早く帰りたいという住民の方々のお気持ちに沿う公共事業だという、であるならば、全く従来の公共事業に対する考え方とは違うんだということだけは、私は申し上げたいと思っております。

塩川委員 原発事故被害者への賠償の措置の一環であるこういった除染について公共事業に置きかえるということは、私は、原発事故の責任を曖昧にするものだ、こういう立場では、原発事故被害者、住民の皆さんの意に沿った施策につながらないという懸念が強くあるということを申し上げ、突破力という言葉がありましたけれども、住民要求を拒むような突破力であっては決してならないということを申し上げて、質問を終わります。

平委員長 次に、小沢鋭仁君。

小沢(鋭)委員 日本維新の会の小沢鋭仁でございます。

 廃掃法についてきょうは質疑をさせていただきたいと思いますが、私のきょうの質問は、ある意味で産業政策的観点からいわゆる循環型社会あるいはまた廃掃法を見るとどうなんだろう、こういう観点で質問をさせていただきたいと思います。

 今回の改正案を見ても、ある意味では、規制の強化、こういう話が色濃く出ているわけであります。親会社が子会社と一体としてやれる、こういう話は、ある意味では、いわゆる産業政策、育成という意味では一歩前進かな、こうは思っておりますけれども。

 私は、ずっと環境政策をやってくる中で、静脈産業を育成しろ、静脈産業を活性化しろ、海外輸出も大いにしろ、こういう話を、この委員会でも申し上げてきましたけれども、言ってきたつもりでいます。ついでにもう一つ言うと、環境金融という分野も大いに推進しろ、こういうふうに言ってきたつもりでいるんですけれども、そういった観点でこの廃掃法を見ると、いわゆる運送業という点で見ると、さまざまな規制があるわけですよね。

 現在のいわゆる運送関係というのは、一般的に物すごく進んでいますよね、宅配を見ても。そういった点でこの廃掃法の運送という部分を見たときに、例えば、一般廃棄物処理業と産業廃棄物処理業を重複して許可を受けている会社というのは今日いっぱいありますけれども、そういったものに関する運搬、処理については明確に区分がされていて、共同運搬、共同処理については基本的にできないですよね。

 今、普通の運送業は、各社相互乗り入れ、あるいはまた荷物置き場の共同運営、いっぱいあるわけですけれども、この廃掃法の分野だとそれができない。理由は何なんでしょうか。

中井政府参考人 お答え申し上げます。

 一般廃棄物の処理につきましては市町村に統括的な処理責任がございまして、また、産業廃棄物の処理につきましては排出事業者に処理責任がございます。一般廃棄物と産業廃棄物のそれぞれの処理責任を明確化し、適正な処理を確保する観点から、一般廃棄物と産業廃棄物は区分して処理することとされておるものでございます。

小沢(鋭)委員 区分して対応するという話はあってもいいと思いますけれども、ちゃんと区分をしていれば、共同運送とか共同処理という話もできるんじゃないですか。少しそういった工夫はされたらいかがかと思いますが、いかがですか。

中井政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し述べさせていただきましたように、廃棄物の処理責任の明確化、また適正処理の確保の観点から、一般廃棄物と産業廃棄物は区分して処理することとされてございますが、例えば、車両での運搬、このようなことをケースとして捉えますると、一般廃棄物と産業廃棄物を同一の車両で運搬することにおきまして、その当該運搬をする者が一般廃棄物と産業廃棄物の両方の収集、運搬の許可等を有している、こういうこともあろうかと思います。それを有しておって、それぞれの、一般廃棄物、産業廃棄物の処理基準を満たしておる場合において、これを共同で車両で運搬するということを廃棄物処理法が禁止しておるものではございません。

小沢(鋭)委員 禁止しているものではない、こういうことで、できる、こういう理解でよろしいですか。きちっとそういった区分をしていれば、共同運送ができるということでよろしいですか。

中井政府参考人 お答え申し上げます。

 一般廃棄物と産業廃棄物のそれぞれの処理基準を満たしている場合においては問題ないということであろうと思います。

小沢(鋭)委員 これは大変いいことだと思いますよ。なかなかまだ一般の業者の人たちはできないと思っておりますから、きょうの中井さんの答弁は、ある意味では、少しそういう業者に希望を与える答弁かな、こう思いますね。

 それからもう一つ、次の問題に入りますが、いわゆる新規技術の導入が大変困難である、施設許可の硬直性、こういう点が指摘をされます。

 今、高度な選別、資源回収、再資源化、こういった技術革新が進んでいるわけですね。しかし、そういった新しい技術を入れるときも、新規許可に大変時間がかかる、こういう話が出ています。これについてはいかがですか。

中井政府参考人 お答え申し上げます。

 産業廃棄物処理施設の設置許可申請に審査がかかる、この要する期間が長いという御指摘でございますが、これについて、平成二十七年度、都道府県等を対象にアンケート調査を行ってございます。

 その状況といたしましては、産業廃棄物の処理施設のうち、焼却施設と最終処分場につきましては、約六二%の自治体が半年以内と回答してございますが、そのうち最も回答が多かったのは百二十日から百四十日というところでございまして、全体の約二七%でございました。

 それ以外の施設につきましては、約八四%の自治体が半年以内との回答でございまして、そのうちの最も回答が多かったところは六十日から八十日というところでございまして、全体の約四八%という状況でございます。

 なお、この調査によりますと、実は、最長で五年程度かかったとか、二年程度かかったとかいうような調査の結果というのも、一部そういうのがあった、そういう自治体さんがいたということも調査結果として出ておりますが、この調査で五年という回答があったところに、自治体さんに詳細を確認いたしましたところ、当該期間に、五年というふうに答えたけれども、これは施設設置に係る事前の相談の期間も含んでおって、許可申請を受けてからの標準的な処理期間は百二十日程度ということだったということの情報も得てございます。

小沢(鋭)委員 自治体が実際は審査していますからということで今の中井さんの御答弁ありましたけれども、環境省として、そういった審査期間も短縮しましょう、あるいはまた、同じ機械でも八時間使っていた話を十二時間にしようとすると新規の許可が必要だ、こういう話も伝わってきているんですけれども、こんなばかな話はないのでありまして、新しい技術の導入といういわゆる投資意欲を湧かせるような、そういう対応をぜひとっていただきたいと御要請を申し上げておきたいと思います。

 時間がないので、次に移ります。

 ことしの、土壌汚染処理業についての改正案がありましたね。そこでは事業譲渡や合併、分割、相続による業の許可の承継が認められたわけですけれども、廃棄物処理業の事業譲渡や合併、分割については、一度廃止した上で新規の許可申請が必要とされていますね。廃棄物処理業の事業承継についても土壌汚染処理業のように柔軟に対応することはできないんでしょうか。

中井政府参考人 お答え申し上げます。

 廃棄物処理法におきましては、廃棄物処理業等からの悪質な事業者を排除するために、数次にわたる法改正を行い、厳格な規制を定め、廃棄物処理分野の構造改革を進めてまいったところでございます。

 仮に、廃棄物処理業を譲渡し、地位の承継を認める場合には、廃棄物処理業を取得し、欠格要件に該当するおそれのある者が、業を譲渡し欠格要件から逃れる等の不適正な事案も懸念されるところでございます。

 中央環境審議会の二月の意見具申におきましても、「これまでの適正処理対策に一定の効果はあったものの、廃棄物処理の構造改革は未だ途上にあり、」「更なる適正処理の推進に向けた取組を検討する必要がある」とされておるところでございます。

 こうしたことから、引き続き、適正処理の推進を通じたこの分野の構造改革を進めてまいりたいと考えております。

小沢(鋭)委員 ちょっとよくわからなかったんですけれども、要は、廃棄物の適正処理をちゃんとやるという話は当然のことながら、産業政策として、合併だとか分割だとかあるいは相続だとか、そういった話をやりやすくしていくという話は私はあっていいと思っておりまして、ぜひそういった観点もあわせて考えて対応いただきたい。

 時間がないので、次に進ませていただきたいと思います。

 家電リサイクル法との整合性の問題を質問いたします。

 マニフェストを今回電子化、こういう話が出ていますけれども、例えば、廃掃法でまず廃棄物を運んで、今度家電リサイクルのところに入っていくという話になると、家電リサイクル券とマニフェストと、二重になるわけですね。やはりこういう話は一本化、一気通貫できないんですか。行政単位が違うんだ、こういう話はお答えで出るかもしれませんけれども、いわゆる産業政策的に考えれば、運ぶものは一緒ですから、それは両行政でしっかり連携をとってやればやれるんじゃないか、こう思いますが、いかがですか。

中井政府参考人 お答え申し上げます。

 事業者が産業廃棄物の収集、運搬を収集運搬業者に委託する際にマニフェストを発行しなければならないことは、不適正処理や不法投棄を未然に防止するための廃棄物処理法に基づく義務でございます。

 一方で、事業者が家電リサイクル法にのっとって廃家電を小売業者に引き渡す場合には、家電リサイクル券により不適正処理等が防止されることから、マニフェストの発行は不要となっておるところでございます。

 事業者が家電リサイクル法にのっとっていた場合はマニフェストは要らないということにはなっておるんですけれども、しかし、各論といたしまして、事業者が廃家電を家電リサイクル法にのっとって小売業者に引き渡すのではなく、まず産廃の収集運搬業者に委託して製造業者等が指定する場所に持ち込む場合は、まだ家電リサイクル券が出てきていないという状況になりますので、この運搬過程におきましては、廃棄物処理法にのっとって行われるということでマニフェストが要るということで、家電リサイクル券がまだ出てきていないという状況の中では廃棄物リサイクル法のマニフェストで不適正処理を防止する必要があるので、これは両制度がちょっと並び立つというような状況にはなるということでございます。

 したがって、どういうケースがあるか、いろいろあるとは思いますが、事業者に対しましては、廃棄物処理法と家電リサイクル法がつくっております制度の趣旨につきまして丁寧に説明を行い、有効活用していただくべく、必要な周知に努めてまいりたいと思っております。

小沢(鋭)委員 もちろん、だから、そのまま家電リサイクルのところのシステムに入れば、それはリサイクル券一本でいいんですけれども、今、中井さんが後半で言ったように、まず廃棄物処理業のところに入って家電リサイクルに行くと二つ必要になる、こういう話でありますが、こういった話も、当初からわかっていることであれば一気通貫でできないか、こういう話でございますので、ぜひ御検討をいただきたい、こう思います。

 それから、あと、先ほど来からもいろいろ話が出ていますように、産業廃棄物は都道府県、一般廃棄物は市町村が運用とか指導とかをしているわけですね。そういった中で、やはり環境省の考え方とそれぞれの自治体の考え方が違っているものというのが結構あるようですね。

 それについて、全国産業廃棄物連合会から、いわゆる意見交換等の場の設定を要望されていて、そういった、まさに国、地方公共団体、産業廃棄物処理業界の三者による意見交換の場の申し入れを受けていると思いますけれども、ぜひやってもらったらいいんじゃないかと思いますが、いかがですか。

中井政府参考人 お答え申し上げます。

 中央環境審議会の循環型社会部会の廃棄物処理制度専門委員会におきましては、地方公共団体独自の規制や運用につきまして、国、地方公共団体、産業廃棄物処理業界の三者が意見交換等をする場を設置するようという御要請を関係者からいただきました。

 こうした御要望を踏まえまして、中央審議会において審議をいただきました結果、意見具申におきましては、国、都道府県等、排出事業者、産業廃棄物処理業者、消費者・市民等の関係者による意見交換等の場の設定等により、これらの措置の必要に応じた改善が可能になるよう検討するべき旨の内容が中央環境審議会意見具申に盛り込まれたところでございます。

 環境省といたしましては、現在、この意見交換の場のあり方や意見交換のテーマ等を検討しておるところでございまして、中央環境審議会の意見具申を踏まえましてしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

小沢(鋭)委員 検討はいいんですけれども、ぜひ、やるということで、そういう答弁だというふうに理解をさせていただきたいと思います。

 最後に、やはり冒頭申し上げましたように、業者が行政区をまたいで事業をしている、こういうふうに育ってきているわけですね。そうすると、各行政区単位でそれぞれの話のばらつきが出てくると、例えば、意図的に違反をしようというつもりはなくても、こっちの行政区のつもりで担当者がやっていたら、こっちでは違反になっちゃったみたいな話が起こり得るんだそうです。そうすると、一担当者が捕まっちゃう、こういうような話があって、本当にそういった意味では、何かびくびくしながら行政区をまたいだ話というのはやらなきゃいけなくなっている、こういう話を聞くわけであります。

 そういった意味では、さっき申し上げたように、業者も育ってきていますから、そういったことを念頭に置いて、環境省それから各行政区、連携を密にとって、そういった新しい時代に大いに伸びていく業者をさらにもっと活躍してもらうという観点で考えていくことが、いわゆる循環型社会という話を考える上では大変重要かなと思うんですが、大臣、ぜひそういった観点で、各行政単位と環境省で密に連絡をとってやっていただきたいと思いますが、御決意を聞かせていただければと思います。

山本(公)国務大臣 今、小沢先生が、業者は育ってきていると。私もそう思っておりましたところに先般の事故が出てまいりまして、改めて私は、この業界に対して、一つの物の考え方というのがやはりあろうかというふうに思っております。

 その中で、今、自治体との連携というお話がございました。

 私は、この問題、特に廃棄物の問題を考えていきますときに、自治体のお考え方、特に基礎自治体のお考え方、これは大事にしていきたいなと思っているんです。

 と申しますのが、数年前に私は空き家の議員立法にかかわりました。先生も今ごみ屋敷のことで頭を悩ませていらっしゃいますけれども、あのときに、私は地方自治体の方々と随分意見交換する中で、こういう意見がございました。まずは私ども条例で事に当たりたいと思いますけれども、その条例の上に来る国の法律というのがあると我々はできるんですという表現がございました。

 まさに廃棄物の世界も同じだろうと思うんです。現場においては、こういう法律があれば我々できるのになというお考えの方が随分いらっしゃるんだろうと思います。

 そういう意味において、国の法律というのは大切な役割だと思っておりますので、今回の改正法が地方自治体の方々の現場においての作業の処理に資するものであってもらいたい、そういう改正案になってもらいたいというような思いを抱いておりますので、先生のお考えにまた沿って頑張っていきたいと思います。

小沢(鋭)委員 大臣、ぜひ今のようなスタンスでやっていただければありがたい、こういうふうに思います。

 当然、廃棄物の適正処理は適正処理でやらなければいけないわけですけれども、同時にまた、そういった産業の皆さんが希望を持って新規投資も大いにやり、あるいはまた事業拡張も大いにやりという話になれるように御尽力をいただきたいと思います。

 最後に、ごみ屋敷に触れていただいてありがとうございました。各条例の上に国の法律があるというのが大事だという、まさに大臣のお言葉のとおりだと思っておりまして、ぜひとも環境省としても応援をしていただければありがたいということを申し上げて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

平委員長 次に、玉城デニー君。

玉城委員 自由党の玉城デニーです。

 きょうは、廃掃法、バーゼル法の法案審議ですが、それに関連して、いわゆる廃棄物の問題について、少し委員の皆さんと認識を共有しておきたいと思います。

 今、冒頭資料を配らせておりますのは、これは、渉外関係主要都道府県知事連絡協議会、略称を渉外知事会と申します。私は、このパンフレット、A4の各ページで、見開きでこうありますけれども、きょうは、その中から簡単に、表表紙と裏表紙、「米軍基地問題の解決に向けて取り組んでいます」という、その十五都道府県の渉外知事会の会員一覧と、そして全国にある米軍基地の状況、それから全国の米軍施設・区域一覧のみをプリントアウトして資料として出させていただいております。

 今回、こういうふうに米軍基地の渉外知事会の資料を持ってまいりましたのは、米軍施設の運用等に伴う日常の廃棄物処理について、少し政府の答弁をいただきたいという認識でこの資料を御用意させていただいています。

 手元には、これは二〇一五年七月の、相模原市の「米軍基地のごみ焼却、受け入れへ」という神奈川新聞の記事がありますので、まず紹介いたします。

 相模原市が、在日米陸軍キャンプ座間など市内の米軍基地から出される事業系一般廃棄物のごみ焼却を、初めて長期的に受け入れる方針を発表しています。これは、キャンプ座間内にある焼却炉の老朽化や、基地の機能強化、恒久化につながる施設建設を減らすという観点から、総合的に判断しております。

 キャンプ座間、相模総合補給廠、相模原住宅地区の三施設から出るごみで、一日当たり計九トン程度。キャンプ座間の焼却炉は一九八五年に運転を開始し、その後二〇〇二年に一部改修されましたが、施設は老朽化しているということで、在日米陸軍司令官と相模原市との間で協議をして締結をしたということです。一般的な事業系ごみ同様に、搬入されたごみの検査をしっかり行う、ルールにないごみがあれば指導や受け入れ拒否を行うなどと答えています。

 そして、近隣では、米海軍厚木基地のごみを大和市環境管理センターでやはり引き受けて、焼却をしております。

 それから、これは沖縄県の、これも二〇一六年二月の新聞報道です。

 米軍が排出量を公表していないため、県が事業者などへの聞き取りをもとにまとめた資料によりますと、県内の米軍基地から二〇一四年度に排出された一般廃棄物が二万三千六十四トン、前年比一〇・一%減だったそうです。米軍基地からの排出量は、二〇一四年までの五年間、二万トン台で推移しています。

 基地からのごみも受け入れている県内の最終処分場は容量が逼迫していることから、県は渉外知事会などを通して基地内での処理を働きかけるということで、実は渉外知事会でもそれぞれの分野に応じてこの問題が提起され、米軍と話し合うことになっているわけですね。

 在日米軍に係る環境問題については、国内環境法令と在日米軍の関係でいいますと、駐留を認められた外国軍隊には特別の取り決めがない限り接受国の法令が適用されず、日本に駐留する米軍についても同様ですが、一方で、一般国際法上、米軍や米軍人など、我が国で活動するに当たって日本の法令を尊重しなければならない義務を負っており、日米地位協定にも、これを踏まえた規定が第十六条で置かれています。

 そして、在日米軍施設・区域において生じた環境問題については、必要に応じて、日米地位協定に基づく日米合同委員会あるいはその下部組織として設置されている環境分科委員会の枠組みを通じて協議し、対処しています。

 在日米軍による環境保護及び安全のための取り組みは、在日米軍が作成する日本環境管理基準、頭文字を略してJEGSに従って行われることとされており、日米地位協定の環境補足協定においても、米国はJEGSを発出、維持するということが確認されています。

 さて、それでは質問に入らせていただきますが、この米軍施設内、主に事務所、住宅などから排出される一般廃棄物等、米軍施設内から排出される廃棄物の処理はどのように行われているか、適用されている規定、廃棄する場所の指定、処理責任、費用負担などについて、まず御説明をいただきたいと思います。

早水政府参考人 お答えいたします。

 在日米軍基地におけます廃棄物の処理につきましては、日米の関係法令のうち、より厳しい基準を選択するとの基本的な考え方のもとで在日米軍が作成する日本環境管理基準、JEGSに従って行われているということになっております。

 なお、在日米軍が処理を委託するなど、基地外の国内施設等で処理されるような場合には、廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づきまして適切に処理される必要があります。実際にそのように処理されているものと考えております。

玉城委員 この日本環境管理基準、JEGSは、より保護的な、日本、アメリカでより重たい方の適用を厳格に当てるということが言われております。

 その中には、さまざまありますけれども、チャプター1、第一章が概要、それから、ごみの問題に関しては、例えば、第七章、チャプター7が廃棄物、それから、その前のチャプター6が有害廃棄物、チャプター8が医療廃棄物管理、チャプター9が石油、油脂、潤滑油等々、それから、実はそれ以外にも、チャプター12、十二章では歴史的、文化的遺産、十三章では自然資源と絶滅危惧種など、非常により制度として厳格に守らなければならないというところが当てられているわけですね。

 では、続いてお伺いいたします。

 廃棄物処理に関するアメリカ側との協議及び調整等はどのように行われていますでしょうか。日米の関係機関における協議、回数、公表報告などは行われておりますでしょうか。確認させてください。

早水政府参考人 お答えいたします。

 在日米軍に起因しまして、廃棄物の処理の問題も含めまして具体的な環境問題が明らかになった場合には、環境分科委員会の枠組みを通じまして、在日米軍に働きかけるなど適切に対処することとしております。

 なお、環境分科委員会の協議内容につきましては、日米両国政府の合意なしには公表しないということとされておりますので、これを公にすることにより米国政府との信頼関係が損なわれるおそれがあることから、お答えすることは困難でございます。御理解いただければと存じます。

玉城委員 沖縄の二〇一六年二月の報道資料によりますと、米軍は二〇一一年を最後に米軍人軍属、家族の人数を公表しておりません、ですから推量で当てるしかないんですが、一一年六月末の統計では、米軍人軍属、家族は計約四万七千三百人が沖縄にいる。年度が違うため単純比較できないんですが、仮にこの人数で一四年度の一般廃棄物の一人一日当たり排出量を計算すると千三百三十五グラム、県民の二〇一三年度相当だと八百三十グラムの一・六倍になっているそうです。

 ですから、県外の米軍基地周辺自治体も同じ状況を抱えていることから、渉外知事会はこれまでも基地内処理を申し入れてきたということなんですが、さらに沖縄県側は、今後も策定していく廃棄物処理計画にも廃棄物の基地内処理を日米両政府に働きかける方針を盛り込んでいるということも報道されています。

 ですから、協議内容は公表されずとも、お互いが協議をしていることで動きが確認されているということが非常に重要です。米軍は、このJEGSの中でも、やはり、マニフェストをしっかり整備して管理し、それをきちんと保管して、この廃棄物の内容についても、厳格にそれを厳守するということが記されています。

 渉外知事会からの要請等について、では、政府側からは米側へどのような対応を求めていらっしゃるでしょうか。確認します。

早水政府参考人 お答えいたします。

 先ほどもお答えしましたように、在日米軍基地におけます廃棄物の処理につきましては、日米の関連法令のうち厳しい基準を選択するとの基本的考え方のもとで在日米軍が作成するJEGSに従いまして適切に処理されているものと考えております。

 なお、環境省では、米軍によるJEGSの作成に当たりましては、日本国内の基準が適切に反映されますように、国内環境法令について米軍に情報提供するなど必要な対応を行っているところでございます。

 環境省といたしましては、引き続き、このような調整などを通じまして、在日米軍基地における環境管理が適切に行われるように対処してまいります。

玉城委員 ありがとうございます。

 しっかり協議を申し入れるということ、積極的な姿勢をぜひ米側にはお示しをいただければというふうに思います。

 では、ここからは、自然環境に関する件について、少しまた政府側の考えを確認したいと思います。

 普天間基地の代替施設とする辺野古新基地建設に係る環境の問題について、幾つか質問させてください。

 先ほど紹介いたしましたJEGSの中のチャプター13、十三章では、自然資源及び絶滅危惧種についてもしっかり記されております。

 適用範囲、「本章は、自然資源及び、米国またはしかるべき日本政府当局により絶滅の恐れがあると宣言された動植物種の適切な保護、拡充及び管理を保証するために必要な計画やプログラムに対する基準を定めるものである。」ということがあります。その中には、特定外来生物、管理計画、自然資源、重要な陸域または水域、さらにはチャプター13の2・9では絶滅危惧種、日本の野生動植物における絶滅危惧種及び表にあらわす日本の天然記念物に掲げられた全ての動植物などもあります。

 それから、基準でいうと、「重要な陸地または水域をもつ軍施設は、しかるべき日本政府当局との調整の後、自然資源管理計画を作成する」とも書いております。非常に米側は、やはり国内法令などに準拠したJEGSの規定を置いています。これは冒頭でも申し上げましたとおり、日本、アメリカ、どちらかのより保護の強い方、つまり、より厳格に守らなければならないということを前提に置いているわけですね。

 ですから、例えば、今辺野古の新基地建設に向けてK9護岸の工事が進められておりますけれども、これからさらにその工事が進んでいくと、その海域、区域周辺における環境への影響は非常に大きいものがあるというふうに危惧いたします。

 お伺いいたします。

 辺野古新基地建設に使用されるいわゆる岩ズリそれから山土、山からとれる土、あるいは海からとれる砂、海砂等の県内、県外採取予定地について、採取先、採取もしくは使用予定の量などの計画について防衛省にお伺いしたいと思います。

山本政府参考人 お答え申し上げます。

 代替施設建設事業に必要となる岩ズリなどの埋立用材につきましては、平成二十五年三月、沖縄県に対し公有水面埋立承認を申請した際に、それまでの調査結果に基づき、必要な埋立用材の種類や使用量、調達が可能な埋立用材の採取場所とストック量を願書の添付図書に記載しているところでございます。

 具体的には、海砂約五十八万立方メートル、岩ズリ約千六百四十四万立方メートル、山土三百六十万立方メートルを採取することとしております。また、沖縄県外において岩ズリの調達が可能な採取場所として、徳之島地区、奄美大島地区、佐多岬地区、天草地区、五島地区、門司地区及び瀬戸内地区の計七つの地区を記載しております。

 なお、具体的な採取場所等につきましては、必要な調査検討を行い、適正な契約手続を経て、工事計画に即した安定、確実な調達が可能な土砂供給業者と土砂購入に係る契約を締結した上で確定することとしているため、現時点では決定をしておりません。

玉城委員 では、まだ採取先が詳しく決定はしていないということなんですが、採取先と持ち込み場所の生態系に関する外来種対策等についてはどのように対応する計画でしょうか。

山本政府参考人 お答え申し上げます。

 埋め立てに伴う外来種対策を含め、沖縄防衛局が事業者として実施した環境影響評価プロセスにおきまして、埋立土砂の供給元などの詳細を決定する段階で生態系に対する影響を及ぼさない材料を選定することなどによって環境保全に配慮することとしており、今後、必要な調査検討を行った上で、適正な契約手続を経て、採取場所等を確定してまいります。

 また、本件事業を進めるに当たっては、沖縄防衛局に設置をした部外専門家から構成される環境監視等委員会の専門家の指導助言をいただきながら、土砂採取地において特定外来生物が生息する可能性の有無や生息の可能性がある場合の防除策を調査検討するなどし、関係法令に基づき適切に対応することとしております。

玉城委員 二〇一六年八月、国際自然保護連盟、IUCNがハワイでの第六回世界自然保護会議において辺野古埋め立てに言及した、島嶼生態系への外来種の侵入経路管理の強化決議が採択されています。四項目にわたって採択されていますが、冒頭のaの項目だけ紹介します。

 「土砂が沖縄島の辺野古に運ばれる前に、混入する外来種を早期に発見する方法を確立すること、そして沖縄の地域の専門家や生物多様性保全活動に関するステークホルダーが勧める方法を取り入れること」というふうに、以下、合計四項目の決議が採択されています。

 伺います。

 採取先における環境への影響について、当然、持ってくれば持ってくる場所も環境の攪乱が行われますが、それを運ぶ先に、そこから運んでくるその場所、採取先でも環境への影響に大きな負荷がかかるというふうに思っておりますが、どのような評価や判断をしているでしょうか。

山本政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほども申し上げましたように、具体的な採取場所につきましては、必要な調査検討を行った上で、適正な契約手続を経て、工事計画に即した安定、確実な調達が可能な土砂供給業者と土砂購入にかかわる契約を締結した上で確定することとしているため、現時点で決まった計画はございません。

 その上で申し上げますると、土砂採取がそれぞれの採石場等により関係法令にのっとって適正に行われるべきことは当然のことと認識をしており、採取場所の決定に当たっては、工事の所要を満たしつつ、関係法令にのっとった形で対応していくこととしております。

玉城委員 岩ズリや土、砂などの採取の件に関しては、また後刻、委員会でもただしていきたいと思います。

 さて、最後に一つ大臣にお聞かせいただきたいと思いますが、沖縄防衛局の調査で確認されたこの辺野古、大浦湾の自然環境については、約五千八百種見つかっているうち、一千三百種は分類がされておらず、種が同定されると多くは新種や希少種の可能性が高いという報告が辺野古新基地建設問題対策課から出されています。

 そして、十八日、きのう木曜日、これは沖縄県の新聞で報道されたんですが、県自然保護課は十二年ぶりに「レッドデータおきなわ」を改訂し、沖縄で絶滅のおそれがあるか絶滅した野生生物九百九十一種を選定しています。今回の選定は、魚類や甲殻類、貝類を中心に一九九六年の初版から五百七種が増加しています。というふうに、「レッドデータおきなわ」は、環境省や国際自然保護連合の選定状況を参考に、県が独自の基準で作成する、絶滅のおそれがあるか既に絶滅した動植物のリストをつくり、野生生物の保護に向けた基礎資料として活用しています。

 先ほど申し上げましたとおり、辺野古、大浦湾には、まだ分類がされていない種だけでも千三百種あります。ですから、重ねて話をしておりますように、保護や保全が後手後手に回るのではなく、そこにもうある程度この種がいるんだということがわかっている時点で早目にしっかりと調査をし、どのような保護、保全がとれるかということの先手先手を打っていくことが非常に環境政策では重要だと思います。

 ぜひ、その学術調査や保全措置について、大臣の見解を最後にお聞かせいただきたいと思います。

山本(公)国務大臣 環境省では、御指摘のような分類がなされていない種についても、十分な科学的知見が集積されれば、絶滅のおそれを評価し、その結果をもとに環境省版レッドリストに掲載すべきかを判断してまいりたいと思っております。

玉城委員 ありがとうございます。ぜひ鋭意取り組んでください。

 質問を終わります。ニフェーデービタン。ありがとうございました。

平委員長 以上で各案件に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

平委員長 これより各案件を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。塩川鉄也君。

塩川委員 私は、日本共産党を代表して、地方自治法第百五十六条第四項の規定に基づき、福島地方環境事務所の設置に関し承認を求める件につき、反対の討論を行います。

 福島地方環境事務所の設置は、昨年十二月に閣議決定された原子力災害からの福島復興の加速のための基本指針にある、「放射性物質汚染対策については、」「推進体制の一元化・充実を図り、柔軟かつ突破力に満ちた解決力の向上を目指した組織改革を行う。」という方針に基づく措置の一つです。

 基本指針は、放射性汚染物質対処特措法に基づく除染、中間貯蔵施設整備、放射性指定廃棄物処理などに関する業務を一元化し、環境本省においては新たに環境再生・資源循環局を設置するとともに、福島においては福島環境再生事務所を福島地方環境事務所へ格上げすることで、現地の意思決定の迅速化及び体制強化を図るとしています。

 しかし、この基本指針は、帰還困難区域内の特定復興拠点を整備するための除染及び汚染廃棄物の処理に要する費用について、原因者である東電の賠償責任を免罪し、汚染者負担の原則に反して国が費用を負担することを掲げています。福島環境再生事務所は、東電の汚染者負担原則に基づきその業務を行ってきたのに、その原則がゆがめられることになります。原発事故被害者への賠償措置の一端を担うという組織の性格が損なわれることになります。

 賠償の位置づけが損なわれ、国費を投じる公共事業になれば、費用対効果の議論が持ち上がり、戻る人数が少ないとなれば事業の縮小や廃止などにつながり、住民が求める全エリアの除染が行われないことになりかねません。

 このような基本指針に基づいた福島地方環境事務所の設置は、住民が求める全エリアの除染に応える組織となる保証がありません。

 このことを申し上げ、反対討論を終わります。

平委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

平委員長 これより各案件について順次採決に入ります。

 まず、内閣提出、廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

平委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、内閣提出、特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

平委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、内閣提出、地方自治法第百五十六条第四項の規定に基づき、福島地方環境事務所の設置に関し承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

平委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました各案件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

平委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時三十六分散会


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