衆議院

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第4号 平成30年3月20日(火曜日)

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平成三十年三月二十日(火曜日)

    午前九時二十分開議

 出席委員

   委員長 松島みどり君

   理事 金子万寿夫君 理事 北川 知克君

   理事 関  芳弘君 理事 高橋ひなこ君

   理事 武村 展英君 理事 生方 幸夫君

   理事 柿沢 未途君 理事 江田 康幸君

      井上 貴博君    河井 克行君

      木村 弥生君    笹川 博義君

      武部  新君    中村 裕之君

      百武 公親君    福山  守君

      古田 圭一君    細田 健一君

      三浦  靖君    務台 俊介君

      近藤 昭一君    堀越 啓仁君

      横光 克彦君    下条 みつ君

      細野 豪志君    鰐淵 洋子君

      福田 昭夫君    田村 貴昭君

      玉城デニー君

    …………………………………

   環境大臣         中川 雅治君

   環境副大臣      とかしきなおみ君

   環境大臣政務官      笹川 博義君

   環境大臣政務官      武部  新君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 新川 浩嗣君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           早川  治君

   政府参考人

   (環境省大臣官房長)   鎌形 浩史君

   政府参考人

   (環境省大臣官房環境保健部長)          梅田 珠実君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            早水 輝好君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策統括官)           中井徳太郎君

   参考人

   (独立行政法人環境再生保全機構理事長)      福井 光彦君

   環境委員会専門員     関  武志君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 公害健康被害の補償等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一六号)


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     ――――◇―――――

松島委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、公害健康被害の補償等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として独立行政法人環境再生保全機構理事長福井光彦さんの出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として財務省大臣官房審議官新川浩嗣さん、国土交通省大臣官房審議官早川治さん、環境省大臣官房長鎌形浩史さん、環境省大臣官房環境保健部長梅田珠実さん、環境省水・大気環境局長早水輝好さん、環境省総合環境政策統括官中井徳太郎さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

松島委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。務台俊介さん。

務台委員 ありがとうございます。

 公害健康被害の補償等に関する法律の一部改正法案について御質問させていただきます。

 この法律ができた昭和四十九年の翌年に、私は長野県から東京に出てきて大学に入学しました。希望に燃えて上京した東京でございましたが、全てが快適とは言えない、そういう現実もございました。通学の満員電車、それから住居の狭さ、そして空気の悪さは特に辟易しました。

 私は、安曇野、松本という非常に空気のきれいなところで生まれ育ったんですが、長野県にいたときは鼻毛が伸びるということはございませんでした。ところが、東京に来ると鼻毛が伸びるんです。(発言する者あり)加齢ではないですね。そして、タオルで顔を拭くとタオルが黒くなる、そんな状況がございました。大気汚染の深刻さの兆候というのを改めて学生生活で初めて体験した、そんなことがありました。

 高校時代、私は、同世代の多くの人と同じように深夜放送を聞いておりまして、「オールナイトニッポン」というのがございまして、その中で、ソルティー・シュガーというフォークグループがありまして、「ハナゲの唄」というのが一時はやっておりました。鼻毛が伸びる、鼻毛が伸びる、一億人鼻毛で窒息死、そういう歌でしたが、大臣は御存じないとは思いますが。当時は随分ふざけた歌だなというふうに思っておりましたが、今から思えば、あの歌は、あの時代の大都市の局面を端的に映し出した内容であったというふうにも思っております。松島先生は御存じだというふうに思いますがね。

 しかし、当時、日本の各地では、より深刻な健康被害が生じていたということでございます。その健康被害に対する補償としては、本来、汚染原因者と被害者の間での個別の損害賠償として処理されるべきというのが本来の原則だと思います。その補償を迅速かつ公平に図ることを目的としてこの法律が構想されたということで、この質問に際して改めて私なりにこの法律制定の経緯を振り返ってみたところ、よく考え抜かれた完成度の高い仕組みであることに改めて感服させていただきました。

 その上で、この仕組みの考え方、これはさまざまな被害者救済に対する共通のルールとして展開し得るものという印象も持ちました。そして、そのシステム自体が、現在環境破壊、公害に悩んでいる開発途上国にも伝授できるもの、そういう思いを漠然と抱いた次第でございます。

 さて、今日、この法律が制定された当時と比べて、大気汚染の環境は大きく改善しております。その結果、被認定者の数、補償給付総額とも減少傾向にありますが、その推移の特徴について伺いたいと思います。

 この制度から外れる方は、ひところまでは治癒によるものが多かったと承知しておりますが、最近は死亡離脱が多い、そういう背景についてもお伺いしたいと思います。

 さらに、この制度の補償給付はいつごろまで続くものと見込まれているのか、その点についても伺いたいと思います。

梅田政府参考人 お答えいたします。

 昭和六十二年の法改正により全ての第一種地域の指定が解除され、その後新たな患者の認定が行われなくなったことから、ピーク時に約十一万人を超えていた被認定者数も、平成二十九年三月末で約三万四千人まで減少しております。

 補償給付総額につきましても、被認定者数の減少を反映して年々減少しておりまして、その所要見込み額が、昭和六十二年度の千九十一億円をピークに、平成二十九年度は四百十一億円となっております。

 御指摘のとおり、被認定者は死亡や治癒等により本制度から離脱することになりますが、最近の傾向といたしましては、被認定者の高齢化に伴いまして死亡による離脱の割合が増加傾向にあり、平成二十八年度におきましては、全離脱者一千八十二名のうち、約七四%に当たる八百二名が死亡による離脱となっております。

 なお、本制度による補償給付につきましては、最も若い被認定者の方、三十歳でございますので、今後数十年にわたり補償給付等を継続する必要があると想定しております。

務台委員 将来、補償給付額が少なくなっていった折には、八千二百施設ものばい煙発生施設等の設置者の事務負担ということも考えれば、現行の、ある意味で精緻な制度の維持を行っていくというのは、将来、ある意味で過剰な仕組みのようになることも考えられると思います。そのような状況になった際の対応については現時点でどのような見立てを行っているのか、伺いたいと思います。事務負担に対する企業の側の現時点の声も踏まえて、お伺いさせていただきたいと思います。

梅田政府参考人 お答えいたします。

 ばい煙発生施設等設置者に御負担いただく汚染負荷量賦課金の申告納付手続につきましては、手続の簡素化や事務負担の軽減をばい煙発生施設等設置者や経済団体から要請いただいているところでございます。

 このため、独立行政法人環境再生保全機構におきましては、ばい煙発生施設等設置者の利便性の向上及び事務負担の軽減をする取組として、申告納付手続のオンライン化を進めており、毎年四月の申告納付説明・相談会やオンライン申告セミナーを通じて、ばい煙発生施設等設置者の利用を促しております。

 また、将来、補償給付支給費用等の必要額が減少し、委員御指摘のように、汚染負荷量賦課金の徴収に伴う徴収額のバランスが悪くなるような事態に至った場合の対応につきましては、現時点で予断を持っているわけではございませんが、制度の趣旨を踏まえた適切な対応方法につきまして、関係者や有識者の方々の意見を聞きつつ検討が必要となる場面も出てくるのではないかと考えております。

務台委員 補償給付の財源として、ばい煙発生施設等の設置者の負担に加え、自動車重量税の税収の一部が充てられております。

 PPP、汚染者負担原則からすると、ばい煙発生施設等の設置者の負担は当然だと考えられますが、自動車の重量税については、例えば因果関係がないと認められる北海道あるいは長野県の自動車保有者にも負担が求められることになります。

 この点については、制度設定時に議論され尽くした論点ではあると思いますが、そしてその上で一つの大きな割り切りがあったと考えられますが、当時の議論を今日的に振り返ってどうなのか、この点について伺いたいと思います。

笹川大臣政務官 御質問ありがとうございます。

 自動車に係る費用負担につきましては、まず一点は、個々の自動車保有者に公害健康被害の民事責任を問うことは一般的には大変困難であるということであります。

 その中で、自動車を総体として見た場合に、大気汚染に対する共同責任者としての立場に立つという性格が強いことを踏まえつつ、自動車重量税が、自動車の走行がもたらす諸社会的費用に充てることを一つの理由としてこの制度が創設されたものでありますので、これまで自動車重量税収の一部に相当する額を引き当てるという方式を採用したわけであります。

 ただ、今般の改正におきましては、平成三十年以降の自動車に係る費用負担のあり方についても中央環境審議会においても御議論をいただきました。この自動車保有者集団による費用負担方式の採用に関しては、その基礎となる諸事情は現在も変化がないとの御判断をいただきました。

 したがって、今日においても、自動車重量税からの引き当て方式については、必要な費用を公正かつ効率的に徴収し得る現実的に可能な仕組みとして合理的なものというふうに考えています。

務台委員 ありがとうございます。

 自動車重量税の税率は、本則税率と暫定税率から構成されております。そして、その自動車重量税の暫定税率は、現在、当分の間の税率とされています。しかし、そのことと、自動車重量税の収入見込みの一部を補償財源に充てることとは趣旨が異なると思います。公健法の制度の趣旨からすると、仮に暫定税率分がなくて本則税率分だけであっても、その税収の一部が補償財源に充てられるべきだと考えるからでございます。平成二十二年に重量税の暫定税率を当分の間とした折に、引き当て措置の改正をその時点で行わなかったのは、それを物語っているのではないかとも考えられます。

 このことを考え合わせますと、なぜ今回、引き当て措置の期限を当分の間としてこの時点で合わせたのか。十年あるいは五年くらいの延長で対応してもいいのではないか、そういう意見もあろうかと思いますが、これについてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。

梅田政府参考人 お答えいたします。

 第一種地域の指定が解除されました昭和六十三年よりも前に認定された最も若い認定患者さん、三十歳でございまして、今後数十年にわたり継続的に補償給付等が必要となっております。このため、本来、この引き当て措置につきましては期限を定めないことが望ましいものでございます。

 他方で、補償給付等に充てる交付金は自動車重量税を財源としておりますので、これまでは、自動車重量税の暫定税率の措置期限が到来するたび、本法に基づく補償給付等のあり方についても検討してまいりました。

 自動車重量税につきましては、既に平成二十二年度に暫定税率が廃止され、当分の間の税率が適用されることとなりました。

 こうしたような点も踏まえまして、全ての認定患者の方々へ補償給付等を安定的に行うため、引き当て措置について期限を定めずに当分の間とするものでございます。

務台委員 理想であれば、期限を定めない措置が理想であろうということでございますが、やむを得ない、当分の間ということで、期限を定めないという、実質的にそちらを選択したというふうに受けとめさせていただきます。

 一方で、この制度の運用状況は国会が適切にモニターするということも重要だと思います。ある意味で、ある一定の期間ごとに制度を見直す機会が国会の審議を通ずることで行われる、これも重要な観点ではないかというふうに思います。その意味では、当分の間ということで、制度の見直しに今後国会が関与する機会を逸しかねないという指摘もあろうかというふうに思います。

 そういった意見に対して、国会による関与の担保措置というのも考えていく、これは国会の側の意思なのかもしれませんが、政府の側のお考えも伺いたいというふうに思います。

梅田政府参考人 お答えいたします。

 公害健康被害制度の施行状況につきまして、環境省では、中央環境審議会に対して随時報告を行っており、審議をいただいており、制度の見直しの時期についてもかかる審議の中で見定めていくということになりますが、中央環境審議会における制度の見直しの結果、必要な場合には政府として法案として提出させていただくことになります。

 また、政府が環境の保全に関して講じた施策及び講じようとする施策につきましては、毎年環境白書として国会に提出しておりますが、本制度の施行状況も含まれているところでございます。国会においては、これらに対する御審議を賜りたいというふうに考えております。

務台委員 さまざまな局面で国会が積極的に関与する、これは政府の側というよりも国会の側の責任なのかもしれませんので、我々もしっかりやっていきたい、そういうふうに思います。

 現在、我が国の大気汚染の状況は大幅に改善されております。NO2、SPMについては、環境基準をほぼクリアしているというふうに承知しております。一方で、PM二・五のようなものについての目標達成度は、比較の上では高くはなく、全国のぜんそく患者の数は、厚労省の調査では百万人以上いるとされております。累次の公健法の審議の際にも、局地的大気汚染と健康被害の関係、自動車排ガスと健康被害の関係についての知見集積、その救済策の検討が政府に求められてきた経緯もございます。

 環境省でも、環境保健サーベイランス調査あるいは「そらプロジェクト」といった調査により、これまで作業を行ってきていると承知しておりますが、これらの点についての現時点の政府の取組を伺いたいと思います。

梅田政府参考人 お答えいたします。

 環境省では、平成八年度から環境保健サーベイランス調査を毎年度実施しており、これまでに、単年度解析によるオッズ比による検討において大気汚染とぜんそくについて有意な正の関連性を示す結果が得られたことが何度かあったが、常に有意な正の関連性を示すような一定の傾向として捉えられる状況にはないというふうに評価をされております。

 また、幹線道路沿道における局地的大気汚染と呼吸器疾患との関係について解明するため、平成十七年度から、局地的大気汚染の健康影響に関する疫学調査、いわゆる「そらプロジェクト」を実施し、平成二十三年五月に結果を公表いたしました。

 その結果、幼児調査及び成人調査において、自動車排出ガスへの暴露との関連性があるという一貫した結論は見出せておりません。学童調査におきましては、元素状炭素及び窒素酸化物の個人暴露量推計値を指標とした主要な解析等において、自動車排出ガスへの暴露とぜんそく発症との間に関連性が認められることが指摘されました。あわせて、暴露量推計などに起因する不確実性や関連性の程度を確定づけることの困難性についても指摘されております。

 「そらプロジェクト」の報告書において、「そらプロジェクト」により蓄積された科学的知見と結果を最大限に活用し、より効果的な環境保健サーベイランス調査となるよう留意することが必要であるとされたことから、調査方法を検討することを目的として、有識者によるワーキンググループを設置し、検討を行っているところでございます。

務台委員 引き続きその作業を的確に進めていただきたい、このように思います。

 冒頭にも申し上げましたが、公害対策で苦しんだ日本が編み出した公健法という公害被害の補償システム、これを、現在世界で環境破壊、公害に悩んでいる開発途上国にも出していくべきではないか、こういうふうに考えておりますが、我が国の経験に基づく社会システムの一つとして、開発途上国での本システムの展開について、政府のお考えを伺いたいと思います。

とかしき副大臣 公健法には二つの特徴がございまして、一つ目は、激甚な公害の状況や社会情勢等を背景に、民事責任を踏まえつつも制度的な割り切りを抱え、また経済的な理解も得ながら制定されたものである。二つ目の特徴が、国、地方公共団体、さらに独立行政法人などが緊密に連携しながら制度を運営するという、世界の中でも希有な制度であり、これは日本の中でも誇れる法律の一つである、このように考えております。

 発展途上国でこれを御利用いただけるということで御提案いただきましたけれども、発展途上国も、お国によっていろいろ状況はさまざまであります。ただ、我が国の経験とか、この制度に対する考え方、これは発展途上国の皆様にも大変有益である、このように考えております。

 ということで、環境省といたしましても、発展途上国からの訪日の研修とか、発展途上国への職員の派遣、さらに国際会議等の機会を通じて、情報発信を心がけているところであります。

 ありがとうございます。

務台委員 希有な制度ということではあるでしょうが、非常に社会的に有用な制度であることも事実なので、地道で結構ですので、こういうシステムを日本が持っているんだ、それをしっかりと宣伝、PRしていっていただきたいと思います。

 最後になりますが、この制度により、健康被害者は資金面の不安が軽減されております。そして、安定的な救済を得ることになっていて、皆さん大変喜んでいる、安心しているというふうに思っております。政府としても、今後、この救済を最後までやり遂げる、その決意を伺いたいと思います。

中川国務大臣 認定患者は現在もなお約三万四千人おりまして、最も若い方は三十歳でございます。このため、今後数十年にわたり継続的に本法による補償給付等が必要でございます。

 本制度の財政的な基盤を整備し、安定的な制度運営を可能とする今般の改正は、まさに認定患者の方々にとっての安心に直結するものであると認識いたしております。

 環境省としては、今後とも、本制度を安定的に運営し、公害健康被害対策に真摯に取り組んでまいる決意でございます。

務台委員 重要な法律改正でございますので、できるだけ早い段階でのこの法律の可決を期待して、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

松島委員長 次に、福田昭夫さん。

福田(昭)委員 民進党所属、無所属の会の福田昭夫でございます。

 本日は、公害健康被害の補償等に関する法律の一部を改正する法律案について、何点か政府の考えをただしてまいりますので、簡潔にお答えください。務台委員とかなりダブる点があるかな、こう思っております。

 まず、費用負担についてでありますが、一つ目は、汚染原因者を工場等と自動車に特定した理由についてであります。

 昭和四十四年の第六十二回国会で公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法が、昭和四十八年の第七十一回国会で公害健康被害補償法が制定され、汚染の原因となった事業者の負担により補償等を行う公害健康被害補償制度が創設されたということになっておりますけれども、その汚染原因者を工場等と自動車に特定した理由について教えていただきたいと思います。

梅田政府参考人 お答えいたします。

 補償給付等に必要な費用につきましては、本制度の基本的性格が民事責任を踏まえたものであり、また、公平の見地から、汚染に対する汚染原因者の寄与の程度に応じて分担いただくことをその基本としております。

 まず、固定発生源、この負担分につきましては、一般家庭等、汚染寄与度が小さく零細な施設を含めた全ての発生源から個々に徴収することは不可能に近いことなどから、硫黄酸化物を一定量以上排出する汚染の寄与度の大きい工場等から賦課金を徴収することといたしました。

 また、移動発生源の負担分につきましては、航空機などの自動車以外の発生源は全体としての汚染原因物質の排出量が小さいことなどから、汚染寄与度の大きな自動車から負担いただくこととしたものでございます。

福田(昭)委員 何となく二つ目の質問も答えてもらったような気もいたしますが。

 それで、二つ目ですけれども、費用負担の割合を、工場等の固定発生源と自動車の移動発生源、それぞれ八対二にした理由についてお伺いをいたします。

梅田政府参考人 お答えいたします。

 工場等の固定発生源と自動車の費用負担割合は、現在の補償給付等の対象が昭和六十三年三月の第一種指定地域解除前の大気汚染の影響によるものとして認定されたものであることから、指定解除前までの大気汚染に係る寄与度に基づいて定められております。

 この寄与度の割合でございますが、健康被害への寄与度の大きい硫黄酸化物及び窒素酸化物の発生源別の推定排出量、この割合を勘案して定められたものでございます。

 制度が創設された昭和四十八年度から昭和六十二年度の平均で、おおむね工場等の固定発生源が八に対して自動車が二となっているという推定排出量の割合、これを根拠として負担割合を定めたということになってございます。

福田(昭)委員 それでは、部長さん、その当時、八対二としたときの汚染物質の発生量は、例えば硫黄酸化物だとか窒素酸化物など、どれぐらいの量が当時発生していたんですか、八対二を決めたときに。

梅田政府参考人 お答えいたします。

 制度発足時の八対二の根拠となる排出量、どのぐらいの量があったかという御質問でございます。

 今、済みません、手元に具体的な排出量の数字がないんですが、これは、全国で硫黄酸化物、窒素酸化物、例えば燃料をどのぐらい使用したかというようなデータであったり、あるいは実際にモニターをしている数字などを使いまして、それを推計することによって、全国量、推定排出量というのを計算する計算方法がございます。それによって、それぞれ硫黄酸化物と窒素酸化物、工場等由来と自動車由来のものを計算しまして、その割合をパーセントで出してきたということで、具体的な排出量そのもののデータは、恐れ入ります、今持ち合わせておりませんが、パーセントということであれば、これは一貫してほぼ八対二の割合で推移してきているという状況でございます。

福田(昭)委員 なかなか納得できる説明じゃありませんけれども、これ以上追及しませんが、どうしても、汚染原因者を工場等と自動車に特定した理由、これをやはりしっかり、私は余り明快じゃないんじゃないかな、こう思っているわけであります。今後またわかりましたら教えていただきたいと思います。

 三つ目でありますが、そうしたことから、工場等の汚染負荷量賦課金の計算の根拠と、それから、現在、企業がそれについてどの程度理解しているのかについてであります。

 中央公害対策審議会において、大気汚染と健康被害との因果関係の科学的評価、あるいは指定地域などについての答申があり、昭和六十二年、第百九国会で公害健康被害補償法が改正され、第一種地域の指定が全て解除されましたけれども、既に認定された患者に対し引き続き補償ができるように、解除時の納付義務者である工場、事業場、事業所等から汚染負荷量賦課金を徴収するようになったという話でありますけれども、その計算の根拠と、そして、依然として同じような割合で企業に納めてもらっているわけでありますが、その現在の企業が、その賦課金に対して、やむを得ないなといって理解をして納めてくれているのかどうか、その辺についてお伺いをしたいと思います。

梅田政府参考人 お答えいたします。

 汚染負荷量賦課金につきましては、制度創設時の検討において、健康被害への寄与度の大きい硫黄酸化物及び窒素酸化物のうち、技術的に排出量の把握が個々に可能であった硫黄酸化物に着目して徴収することとしております。

 昭和六十三年三月の地域指定の解除後は、過去の硫黄酸化物累積排出量、これを基準として賦課する方式を基本としつつ、指定解除によって大気汚染が進行することのないよう汚染防除のインセンティブに留意することとされたことを受けまして、徴収額の六割を過去の硫黄酸化物の累積排出量に応じて過去分として徴収し、四割を排出抑制のためのインセンティブ、現在の分、現在の排出量分として前年の排出量に応じて徴収する、そのような計算式を設けまして徴収をさせていただいているところでございます。

 そして、企業の理解度ということでございますが、汚染負荷量賦課金の納付義務者の方々の理解度につきましては、毎年、汚染負荷量賦課金の申告納付時期である四月に、独立行政法人環境再生保全機構と協力をいたしまして全国百カ所程度で説明会を開催しているほか、機構におきましては、電話等による相談受け付け等により納付義務者の御理解を得る努力をさせていただいております。

 こうした努力によりまして、汚染負荷量賦課金の申告納付率、これは近年九九・九%以上を維持しておりまして、納付義務者の御理解が得られているものというふうに考えております。

福田(昭)委員 企業の方々が理解をして納めてくれているということであれば、きっと何の問題もないのかもしれません。

 それでは次に、自動車重量税の引き当て措置の延長についてであります。

 先ほども質問の中にありましたので、二つまとめてお伺いをしたいと思いますが、一つ目は、当分の間とする理由についてであります。自動車重量税の税率の特例措置と合わせて引き当て措置の期間を当分の間とする理由について。そして二つ目、当分の間の期間はどの程度の長さを考えているのか。恒久的な意味合いを有するのか、それとも、先ほどもちょっと答弁がありましたが、当分の間が示す期間をどの程度と考えているのか、教えていただきたいと思います。

笹川大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 先ほど来お話がありましたが、第一種地域の指定が解除された昭和六十三年よりも前に認定された最も若い方が三十歳ということであり、今後数十年にわたり継続的に補償給付等が必要であります。このため、本来、引き当て措置については期限を定めないことが望ましいと考えたわけであります。

 他方で、補償給付等に充てる交付金は自動車重量税を財源といたしておりますので、これまでは、自動車重量税の暫定税率の措置期限が到来するたびに、本法に基づく補償給付等のあり方について検討してきた経緯がございます。

 自動車重量税につきましては、既に平成二十二年度に暫定税率が廃止をされ、当分の間の税率が適用されることとなりました。

 こうした点も踏まえて、全ての認定患者の皆様方への補償給付等を安定的に行うために、引き当て措置についての期限を定めずに当分の間とするものであります。

 ただ、先ほど、重ねての御説明になりますが、最も若い方が三十歳ということでありますので、そういうことを考えますと、今後数十年という期間は必要であろうというふうに考えているわけであります。

 ただ、財源としている自動車重量税のあり方が大きく変更されるなど、また諸事情に変更がある場合には再検討を要しますが、補償給付等を行う必要がある間は本措置を継続することを想定いたしております。

 ありがとうございます。

福田(昭)委員 そうすると、非常に今の状態だと不安定な状態になるかと思うんですね。

 それから、更に問題なのは、次の質問の中に入ってくるんですけれども、新規認定者をもうやっていないんですよね。しかし、ぜんそく患者はどんどんふえているという中で、新規認定者がふえていない中で、しかも、さらに、工場等や自動車の排気ガスなどが大幅に改善されている中で、この制度をどこまで続けていくんだというのは非常に問題があるんじゃないかなと思っていますが、その点については何か考えていることはありますか。

笹川大臣政務官 ありがとうございます。

 確かに、工場につきましても非常に環境に配慮し、同時にまた、自動車産業におかれましても環境に配慮したそれぞれの技術開発を進めておりますので、先生からの御指摘ということも我々も承知をいたしておりますので、いずれにいたしましても、そこのところを含めて、検討の要するときが来ればしっかりと検討してまいりたいというふうに思っております。

福田(昭)委員 それでは次に、制度の見直し時期についてでありますが、一つ目は、新規認定者の認定と被認定者数の推移についてでありますが、先ほど務台委員の質問で大体お聞きしていますのでこれは省略したいと思いますが、当初は十一万人もいたそうでありますが、現在は三万四千人程度と聞いております。

 しかし、新規認定者を、第一種地域の指定を解除した以降、新規認定をしていないわけでありますのでそういった意味では数が減るというのは当然の話だと思いますが、ただ、年齢別の数字を見ると、本当に、若い人がなっているというので、その辺は何が原因なのかというのが問題なのかなと思っております。

 それで、二つ目でありますが、大気汚染と健康被害との因果関係の究明にかかわる疫学調査の実施についてであります。

 これも先ほどありましたけれども、平成八年度から環境保健サーベイランス調査、平成十七年度から学童コホート調査、平成十八年度から幼児症例対照調査、平成十九年度から成人を対象とする疫学調査など、たくさん実施してきましたけれども、残念ながら、残念ということはないのかもしれませんが、自動車排出ガスへの暴露とぜんそく発症との間の関連性があるという一貫した結論が見出せず、自動車排出ガスへの暴露とぜんそく発症との関連性が認められたものの、関連性の程度を科学的に確定づけることは困難であるという報告が出されておりますが、調査中ということでありますけれども、今後調査をして、この疫学調査を続けて、しっかり特定することができるんですか、大気汚染と健康被害との因果関係ですね。

 いかがですか、その見通しなどはありますか。

梅田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のように、環境保健サーベイランス調査によりまして、平成八年度から毎年この状況を、大気の汚染の状況とそれからぜんそくの関連ということを見ているところでございます。これを継続して行うということは何よりも重要で、今のところ、常に有意な正の関連性を示すような一定の傾向として捉えられる状況にはないと評価されておりますが、これは引き続きしっかりとモニターをしていくことの重要性を感じているところでございます。

 そしてまた、幹線道路沿道における局地的大気汚染と呼吸器疾患ということについてのこの関係を解明するという必要があることから、平成十七年度から「そらプロジェクト」を実施しております。

 この「そらプロジェクト」の報告書におきまして、「そらプロジェクト」によって蓄積された科学的知見がさまざまございます、その結果を最大限に活用し、より効果的な環境保健サーベイランス調査となるように留意することが必要であるというふうにされたことから、調査方法を検討するということを目的として、有識者によるワーキンググループを設置し、検討を行っているというところでございます。

 今後とも、このワーキンググループにおける検討結果を踏まえ、環境保健サーベイランス調査の改善を図ってまいりたいというふうに考えております。

福田(昭)委員 相当難しそうでありますけれども。

 三つ目でありますけれども、そんなことを踏まえて、大気汚染によるぜんそく等の健康被害を救済する制度の創設についてであります。

 現在、我が国の大気環境状況は大幅に改善されてきております。平成二十六年の厚生労働省の患者調査によると、全国のぜんそく患者数は推計で百万人以上と言われておりますが、これは環境省と厚労省がやはり連携して、しっかりこのサーベイランス調査なども進めて、新たな制度を創設する必要があるのかどうかということを検討する必要があるんじゃないでしょうか。いかがでしょうか。

とかしき副大臣 ぜんそくは、大気汚染のみならず、さまざまな原因で発症する疾患でございます。環境省といたしましては、環境保健行政を実施する立場から、環境汚染に起因する健康影響について対処させていただいております。

 大気汚染につきましては、窒素酸化物や浮遊粒子状物質の濃度の低下傾向が見られていると、先ほど委員の方からもお話しいただきましたけれども、という傾向があります。環境保健サーベイランス調査におきまして、大気汚染とぜんそくの関連性については一定の傾向として捉える状況にはないと、有識者会議にはこのように評価をされているところであります。このような結果を踏まえますと、新たな医療費助成制度を創設するような状況にはないのではないか、このように考えております。

 今後とも、そうは申しましても、環境保健サーベイランス調査、これを継続いたしまして、地域住民の健康状態と大気汚染の関係を注意深く観察していきたい、このように考えております。

福田(昭)委員 そろそろ終わりにしたいと思いますが、この公害健康被害補償制度、大気汚染系でも、汚染原因者が費用負担するということになっております。

 そこで、環境省全体に、大臣も含めて申し上げたいのは、公害対策の基本は、やはり汚染原因者が負担をするということなんですね。そうすると、私がよく追及しております東京電力福島第一原発事故の放射性廃棄物についても、汚染原因者である東京電力が費用負担も含めて廃棄物を引き取る、そういう責任があるということを改めて指摘をして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

松島委員長 次に、堀越啓仁さん。

堀越委員 立憲民主党・市民クラブの堀越啓仁でございます。

 本日は、また諸先輩方から格段の御配慮をいただきまして、質問に立たせていただきます。ありがとうございます。

 さて、早速法案に入りたいところなんですけれども、やはり、今回露見いたしました財務省の公文書改ざんの問題については一言ちょっと触れさせていただきたいというふうに思います。そして、旧大蔵省の御出身で、理財局長も務められた中川環境大臣にぜひその御所見を伺いたいというふうに思っております。

 今回、財務省によります公文書改ざんの件、とりわけ、行政府が虚偽の資料を国会に提出して、そして虚偽の資料をもとに議論が一年間にわたり行われていた、このことについてどのような見解をお持ちなのかという点と、そして、仮に、ないと思います、中川環境大臣始め、副大臣、政務官、そして役人の皆さん、私は大変信頼をさせていただいております、その上で御質問なんですけれども、もし仮に中川環境大臣の所管省庁でこういったことが起こった場合にどのように対応されるべきであると考えておられるのか。そして、こういったことはないと思いますが、環境省におかれまして公文書の改ざんがないこと、こういったことを調査されるといったお考えがあるかどうかについてお伺いをさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

中川国務大臣 財務省における決裁文書の書きかえ問題に関しましては、環境大臣としてのコメントは差し控えさせていただきたいと思います。

 その上で、公文書は、健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源として、主権者である国民が主体的に利用し得るものでございまして、行政機関としてその管理の適正を確保することが重要であると考えているところでございます。

 最近の公文書管理や決裁文書の取扱いをめぐる諸問題に鑑み、環境省としても公文書管理のあり方について、適正な取扱いを確保する観点から、今般、修正履歴等が残る電子決裁のより一層の推進、行政文書の適切な所在管理の徹底につきまして、総括文書管理者である官房長より各職員に向けて指示を行ったところでございます。今後とも、適切な公文書管理の確保について厳正な取組を進めてまいりたいと考えております。

 公文書管理に関しましては、環境省においては、現時点では公文書管理法等に定められたルールに従って適正な取扱いを行ってきているものと考えております。したがいまして、現時点で網羅的な調査が必要とは考えておりません。ただ、仮に、今後、個別具体的な課題が生じるような場合には、速やかに各課題に対応した調査などの具体的な対策を講じていく必要があるものと考えているところでございます。

堀越委員 ありがとうございます。

 先ほど中川環境大臣の方から御答弁いただいた中で、公文書というものは国民の共有の知的財産である、そしてこれを説明責任を果たすためにしっかり管理をしなければいけない、これは公文書管理法第一条に書かれているところだと私は承知しております。

 この公文書管理法は、私、出身の群馬県で内閣総理大臣でございました福田康夫元内閣総理大臣が大変尽力をされてつくられたものであるというふうに承知をしております。

 おっしゃるとおり、やはり公文書というのは、国民の共有の知的財産であり、民主主義の根幹であると思います。

 今回、こういったことが起こってしまったその背景に、誰が何のために、どうして起こしてしまったのかということ、これは与野党問わずしっかり言及していって明らかにしていかなければいけない問題であるということ、私も公共のために働く国会議員の一人として、このことを強く皆さんにお訴えをさせていただきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。

 そして、そうしましたら、早速質問に入らせていただきたいと思いますが、公害健康被害の補償等に関する法律の一部改正案に係る質問を始めさせていただきたいと思います。

 我が国では、戦後の高度経済成長の中で、四大公害病に代表される深刻な公害問題が発生し、多くの方々が健康被害を受けられました。このうち、工場からのばい煙、自動車からの排出ガス等による慢性気管支ぜんそくなどの健康被害を受け、地域指定が解除された昭和六十三年三月までに認定された方々に対しては、公健法に基づき、補償給付等が行われています。

 今回の改正は、自動車重量税の収入見込み額の一部に相当する金額を、旧第一種地域に係る指定疾患に関する補償給付の支援に要する費用及び公害保健福祉事業に要する費用に充てるため、独立行政法人環境再生保全機構に交付することを当分の間行うこととすることを内容としています。

 旧第一種地域において認定された患者の方々の補償給付等に係る移動発生源の負担分については、その財源を自動車重量税に求めてきました。そのため、これまで、自動車重量税の暫定税率の見直しに合わせて公健法の改正が行われてきたという経緯があると聞いています。

 これまでは、例えば五年ですとか十年という期限の定めのある延長が行われてきましたが、今回の改正に関しましては、当分の間とされております。改めて、自動車重量税の税率の特例措置と合わせて、今回、引き当て措置の期間を当分の間とする理由について、まずお伺いをしたいと思います。

 そして、当分の間の措置が講じられることによって、これが恒久的措置となると考えていいのか、また、認定された患者の方々にとって、どのような効果があるのかについて確認をしておきたいと思いますが、政府の見解、よろしくお願いいたします。

中川国務大臣 第一種地域の指定が解除された昭和六十三年よりも前に認定された最も若い方は三十歳でございまして、今後数十年にわたり継続的に補償給付等が必要でございます。このため、本来、引き当て措置につきましては期限を定めないことが望ましいものだと考えております。

 他方で、補償給付等に充てる交付金は自動車重量税を財源としているため、これまでは、自動車重量税の暫定税率の措置期限が到来するたび、本法に基づく補償給付等のあり方についても検討してまいりました。

 自動車重量税につきましては、既に平成二十二年度に暫定税率が廃止され、当分の間の税率が適用されることとなりました。

 こうした点も踏まえ、全ての認定患者の方々へ補償給付等を安定的に行うため、引き当て措置について期限を定めずに当分の間とするものでございます。

 今般の改正は、今後の確実かつ継続的な補償給付の実施に資するものでございまして、認定患者の方々にとっての安心に直結するものであると考えております。

 ただ、今後、この認定患者の方々の状況や、財源とされております自動車重量税、その他もろもろの情勢の変化が起こった時点におきまして、改めて財源を含めた補償給付のあり方を検討する場面が来る、そういうことも想定されますので、そのときにはしっかりと対応してまいりたいと考えております。

堀越委員 安定的に補償するために期限を定めない方が望ましいと考えておられる。私も、今回、こういった形で引き当て措置の期限が当分の間とされていることについては、何ら異論ございませんし、むしろ、安定的に補償されていることに関しては、本当にありがたいのではないかな、そう感じておられる方々は非常に多いのではないかなというふうに思っておりますので、この点について、今後も、また再度見直し等々の時期も来ると思いますので、その際に、苦しい思いをされておられる方々がいらっしゃらないかどうかという調査も含めて、徹底的に調べていっていただきたいというふうに思っております。

 今回の改正により、引き続き第一種地域において認定された患者の方々の補償給付等の措置が適切に実施されていくことは重要なことであると思いますし、他方で、ぜんそくなどの呼吸器の慢性疾患では病気そのものを完全に取り去るということが非常に難しいというところが性質としてあるというふうに認識しています。

 そこで、まず旧第一種地域で認定された患者の方々のうち、ぜんそく等が治癒してこの制度から離脱された方々はどの程度の割合でいらっしゃいますのか、その件に関して確認をしたいと思います。参考人の方で結構でございます。

梅田政府参考人 お答えいたします。

 平成二十八年度で申しますと、何らかの理由で制度を離脱された被認定者の数は千八十二名でおられまして、そのうち約二六%に当たる二百八十名が治癒等により離脱をされております。

 また、制度を離脱される理由につきましては、年による変動があるんですが、昭和五十年度から平成八年度まで、この期間を見ますと、昭和五十年度を除き、治癒等による制度離脱が過半数を占めておりました。平成九年度から平成十七年度まではおおむね五〇%前後を推移し、平成十八年度以降は徐々に治癒等の割合が低下しておりまして、近年の治癒等の割合はおおむね二〇%台から三〇%台となっているところでございます。

堀越委員 二〇%から三〇%、年によっての変動があるとは思いますが、いわゆる通常の風邪ですとか肺炎等々とまた全然違う問題ですので、これが長期間に及ぶ、あるいは完全な治癒が難しいというのは、当然私もうなずけるかなというふうに思います。

 その上で、離脱される方々が非常に少ないという状況を考えますと、ぜんそく等で呼吸機能が低下し、日常生活で何らかの支障を来すようになった患者さんがよりよい日常生活を送れるようにするために、治療方法そのものは、当然ですけれども、必要だとは思いますが、私は作業療法士というリハビリテーションの仕事を、医療、介護、急性期、回復期の現場で十二年間行ってまいりました。そういった観点から、やはり、呼吸器疾患へのリハビリテーション、患者さん自身が自分の能力を知るということが実は非常に重要で、実際、例えば運動であれば、運動強度というのがございますので、自分の能力に合わせて運動を選択するということは可能なんですけれども、しかしながら、生活となりますと、これは連続して行われている生活行為という作業の繰り返しになりますので、なかなかこれを選択することが難しいという実情がある中で、やはり生活そのものに苦労を抱えておられる方々はたくさんいらっしゃるというふうに思っております。

 しかしながら、作業療法士、理学療法士、一部、言語聴覚士や看護師、こういった呼吸器疾患のプロフェッショナル、専門家が生活そのものに介入することによって、実際、生命の質、生活の質を高めていくということは達成可能だというふうに認識をしています。実際、医療や介護の現場でよくあるのが、やはり、苦しいからやらない、やらないからできなくなってしまう、いわゆる廃用症候群というようなものというのが、どんどん悪循環にはまっていってしまう、こういうものもありますので、専門的な介入がこういった方々は必要になるんじゃないかなというふうに思っているわけでございます。

 そこで、呼吸器リハビリテーションを必要としているぜんそく等の患者の方々に適切にリハビリテーションを行ってもらうには、指導する理学療法士、作業療法士、看護師などの専門性の高い医療従事者を確保していくことが必要になると考えております。やはり人材確保には難しい側面が同時にあると考えております。

 そうした中で、環境再生保全機構では、予防事業の一環として、呼吸リハビリテーションを指導する理学療法士や作業療法士、看護師等の医療従事者の育成を行う研修を実施していると聞いておりますが、この育成事業は非常に大切であると考えますが、これまでの実施状況、成果をまず確認したいと思います。

 また、大気汚染によるぜんそく等の健康被害を防止していくためにも、ぜんそくに苦しむ患者さんの要望を十分に踏まえた上で、環境再生保全機構が取り組む育成事業等などの公害健康被害予防事業を充実していくことが大変重要だと考えておりますが、同事業の充実に向け、今後どのように取り組んでいくつもりがあるのか伺いたいというふうに思います。よろしくお願いします。

笹川大臣政務官 議員におかれましては、作業療法士としての御経験がありますので、その経験に基づいて本制度に対して御関心をお寄せいただきまして、ありがとうございます。また、その経験を生かしての、また今後とも御指導をよろしくお願いしたいというふうに思っております。

 改めて、環境再生保全機構が実施する予防事業においては、ぜんそく等の疾病を患者自身が自己管理することを重視いたしております。患者教育に従事する看護師、作業療法士等の医療従事者の育成を積極的に行っておりまして、具体的には、地域の医療機関等で患者教育に従事するために、指導に必要な基礎的な知識及び実技等を習得していただく研修、また、患者を教育指導する、より専門性の高い指導者としてのスキルを習得していただくために、医療機関での臨床実習等を行う研修等を、医療従事者を対象として実施をいたしております。

 加えて、これらの研修を受講できない皆様方には知識の習得や、既受講者の受講内容の復習を在職、在宅でも学習できるeラーニング学習支援システムを運用させていただいております。

 環境省としては、これからも環境再生保全機構と協力をしながら、予防事業を担う人材としての医療従事者の育成にしっかりと取り組んでまいりたいというふうに思っております。

 ありがとうございます。

堀越委員 笹川政務官、ありがとうございます。作業療法士にも触れていただいて、本当にありがとうございます。

 実は、この作業療法士は、私、初めての国会議員でございまして、作業療法士の地位的な向上に向けても私の責任は非常に重いかなというふうに思っておりまして、実は私がもともと現場として働いておりましたのは脳卒中の分野でございます。急性期、回復期、ICU、ストロークケアユニット、こういったところで、医療の現場で、作業療法士としてリハビリテーションの現場で携わってまいりました。しかしながら、呼吸器疾患に関しましてはまた別の分野になりますので、私のもともと専門としていたところとジャンルが違うところではあるんですね。

 この作業療法士という視点は、いわゆる作業というのは、手作業のような作業とは全く違うものでして、生活行為そのものを作業として捉えるものでございます。つまり、例えば片麻痺になられました、そうしたらば、ズボンをはきます、ズボンをはいてトイレに行く、あるいはトイレに行った際には扉をあけなければいけない、こういった作業の繰り返し、生活行為に必要な行動そのものが作業であるというふうに捉えるのが作業療法でございます。

 そういった点においては、やはり慢性呼吸器疾患の方々、生活をしていく、買物に行く、屋外に出る、あるいは階段を上る、そういったときに苦労を感じておられる方々がいらっしゃるわけでございまして、本質的に呼吸器疾患の改善に関与することはできませんが、しかしながら、その運動負荷を調整すること、生活様式そのものの中に入り込んでいってその苦労を取り除いてあげるということは、作業療法士だからできることであるというふうに私たちは認識をしておりますので、ぜひこういったところに関しても深く介入をさせていただいて、一人でも多く、苦しんでおられる、生活されておられる方々の楽な生活、生活の質の向上ということを目指して尽力をさせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。

 時間ももうあとわずかになっておりますので、最後、一点だけ質問をさせていただきたいんですが、ぜんそく等の疾患にかかり苦しんでいる多くの人々がいる現状を考えれば、こういった疾患について、先ほどの副大臣の御答弁の方にもありましたとおり、ぜんそく等々の原因の究明と効果的な予防、回復方法、やはり政府一丸となって取り組んでいく必要があると考えております。

 環境省の取組によりまして、今、大気の状況は非常にいい状況だと私は認識しています。実際、私が東京に上京してきた十数年以上前の状況と比べましても、今の大気の状況は非常によくなっていると思います。正直、私は下仁田町というネギとコンニャクの名産地でございます群馬県の片田舎で生まれた、育ったわけでございますので、東京の駅に着いた途端にもう鼻をつままなきゃいけない、そういうイメージを持っておりました。しかし、今は大分改善されてきているのは承知しておりますが、こういった中で、今後、政府が一丸となってどう取り組んでいくのか、その点について一点御質問させていただきたいと思います。

松島委員長 質疑時間が終了しておりますので、手短にお願いします。

とかしき副大臣 いろいろ適切なアドバイスをいただきまして、ありがとうございます。

 環境省といたしましては、今後も、環境保健サーベイランスの調査、これを継続いたしまして、地域の住民の健康状態とか、あと、大気汚染の関係、これを注意深く監視していくこと、これは大切だと思っております。

 そして、調査の内容の改善も、その時々に合わせて改善していこうというふうに考えておりまして、今着手する予定が、局地的大気汚染を考慮するための暴露評価手法の確立とか、あと、評価対象物質にPM二・五とか光化学オキシダント、これを追加しよう、こういうふうに考えております。

 ということで、なるべくそういった環境汚染で健康被害を起こさないように、いい環境をつくっていくのは私たち環境省の仕事でございますので、いろいろいただきましたアドバイスを参考にしながら、これからも積極的に取り組んでまいります。

 ありがとうございました。

堀越委員 ありがとうございました。

松島委員長 次に、柿沢未途さん。

柿沢委員 きょう、公害健康被害の補償等に関する法律の一部を改正する法律案、大気汚染地域におけるぜんそくや、水俣病、イタイイタイ病等の公害による被害者、遺族に対する補償としての給付措置を規定しているものであります。

 大気汚染によるぜんそく等の被害者への補償給付としては、これは財源として自動車重量税の税収の一部が充てられております。これを自動車重量税の暫定税率に合わせて当分の間延長しようというのが今回の法律案であります。先ほど来お話が出ております。

 暫定税率の廃止をめぐっては大きな議論になったわけです。もともと道路整備の促進のために暫定的に本則税率を上乗せした課税が行われてきたのが、五十年以上もそのまま暫定の状態が続いて、道路特定財源として使われてきた、このことに問題があったわけであります。

 道路特定財源は一般財源化されたわけですが、にもかかわらず、道路整備のために設定をされた暫定税率は撤廃をされず、しかも、終了年限を示さずに、当分の間、改められて、今に至っている、こういうわけであります。

    〔委員長退席、北川委員長代理着席〕

 今回の法律案もそれに合わせるわけですけれども、私は、この制度の必要性とは別の問題として、この当分の間税率というものに大変問題を感じておりますし、また、自動車の排ガスを原因とした大気汚染によるぜんそく等の被害に対して、自動車重量税の税収から補償給付を行うという措置を当分の間ということで延長していくというのは、本当はもっと議論が必要なのではないかというふうに思っております。

 もう補償制度の開始から四十五年。当時は、自動車の排ガスによる健康被害というのは深刻な社会問題だったわけであります。

 当時、上京してきてこうだった、東京の話をいろいろいただきましたが、私は東京の下町出身ですから、ずっとそこにいたわけですけれども、最近聞かれなくなりましたけれども、私たちが小学生のころは光化学スモッグ注意報というのが出て、それが出ると校庭で遊べなくなるということがあったというふうに思うんですね。最近になって、この光化学スモッグ注意報、全然聞かれなくなったなというふうに思うんですけれども、とかしき副大臣、また笹川政務官、大変、同じ思いをされたようで、しきりにうなずいておいでですけれども、そういう世代の記憶として残されているわけであります。

 一方で、排ガスによる被害が深刻な地域とされた第一種指定地域は、先ほどお話がありましたとおり、昭和六十三年に全て解除されていて、そこから三十年の歳月がもう過ぎているわけです。被認定者も時の経過とともに減少して、ピーク時の十一万人が今や三万四千人まで減っている。補償給付の総額についても、一千七十六億円から、この資料を見ると、平成二十八年度では三百九十億円まで減っているわけです。

 これは、被認定者補償給付費総額とともに両方とも最終的にはゼロになっていくわけですから、本来、制度自体の見直し時期を明示すべきときに来ているはずではないかと思います。

 言葉は悪いですけれども、今回、当分の間という言葉に乗っかって、漫然と期限の定めのない自動延長の道を選んだようにも見えるわけです。五年なら五年、十年なら十年、区切って、制度のあり方、負担のあり方、総合的な見直しを行う必要があるのではないかと思いますが、大臣はいかがお考えでしょうか。

    〔北川委員長代理退席、委員長着席〕

中川国務大臣 御指摘のように、昭和六十三年の第一種地域の指定解除以降は新たな認定を行っておりませんので、被認定者数、補償給付総額とも今後減少していくものと考えられるわけでございますが、指定解除前に認定された最も若い方は三十歳でございまして、今後数十年にわたり継続的に補償給付等が必要でございます。

 例えば、将来、認定患者数の減少等に伴う制度的な課題が顕在化するような場合には、制度の趣旨を踏まえた適切な対応方法について、関係者や有識者の意見を聞きつつ検討が必要となる場面も出てくるのではないかと考えております。

 見直しの時期につきましては、中央環境審議会に対して公健法の施行状況等を報告し、御審議をいただくことで見定めてまいりたいと考えております。

柿沢委員 お金は入ってくる、そして給付の総額は減っていく、こういうことになっていくわけですので、制度としての調整は不可避であると思いますので、私は年限を区切ってそうした見直しを行っていく必要性があると思いますけれども、制度そのものの趣旨に反対しているわけではありませんので、そこは誤解なきようお願いいたします。

 排ガスを出した自動車が、それにより生じた健康被害の補償の財源を自動車重量税で負担をする、原因者負担の原則にのっとった仕組みだったわけでありますが、今や自動車というものそのものが大きく変わろうとしているわけです。言うまでもなくガソリン車からEVへのシフトであって、排ガスを出さない車がやがて主流になっていくわけです。EVに供給される電力も、パリ協定のコミットメントを受けて、私も指摘してまいりましたが、化石燃料を使わないクリーンな自然エネルギーに急速にシフトしていくことになるはずです。そうでないと、環境省は困ってしまうわけです。

 そうなると、内燃機関でガソリンを燃やして排ガスを出す今までの自動車の既成概念では語れないものになっていくわけです。排ガスを排出する大気汚染の原因者として自動車に負担を求める根拠自体が、いずれ成り立たなくなっていく。その意味でも、私は制度の見直しの議論は避けられないというふうに思います。

 ガソリン車からEVへのシフトは、世界的な流れとして急速に進んでいます。フランスとイギリスは、二〇四〇年にガソリン車、ディーゼル車の販売を禁止する方針を発表しております。ドイツでは、二〇三〇年、ガソリン車、ディーゼル車の内燃機関を搭載した車の販売を禁止する連邦議会の議決が行われて、これを欧州のスタンダードとすべきとEUに働きかけているということであります。脱炭素社会に向けて、ガソリン車、ディーゼル車からの退出が目標として世界じゅうで示されているわけです。

 とりわけ中国ですが、自動車販売台数がアメリカの一・六倍に当たる年間二千八百万台、世界全体の自動車販売台数の三割を中国が占めている。世界の自動車メーカーの動向にも大きな影響を与えるのが中国です。この中国、EV始め、新エネルギー車の製造と販売を一〇%以上とすることを自動車メーカーに義務づけたNEV法、ニューエネルギービークル規制法というのを施行しておりまして、二〇一九年から既に義務づけがスタートするということであります。深刻な大気汚染の問題に苦しんできたことが、ガソリン車、ディーゼル車を禁止することに向けた中国の意欲的な姿勢につながっているというふうにされています。

 日本もいわば自動車立国であり、こういう制度をつくるように、大気汚染、自動車排ガスの問題に苦しんできた国ですから、根本解決というわけではありませんが、世界の動きにおくれをとることなく、むしろ世界の動きを先取りしてガソリン車、ディーゼル車の禁止とEVへのシフト、これを、年限を定めて国の政策として明確に打ち出すべきではないかと思いますが、大臣の御見解を伺います。

中川国務大臣 電気自動車、EVを始めとする次世代自動車の普及促進は、大気汚染対策、地球温暖化対策の両面から非常に重要な施策であると認識しております。

 政府としては、平成二十九年六月に閣議決定をいたしました未来投資戦略や、平成二十八年五月に閣議決定をいたしました地球温暖化対策計画におきまして、二〇三〇年までに乗用車の新車販売に占める次世代自動車の割合を五から七割とする政府目標を掲げておりまして、積極的に、EVを含む次世代自動車の普及促進を図ってきております。

 今後とも、関係省庁と連携して取組を加速してまいりたいと考えております。

 さらに、来年度、間もなくですが、の早い段階に、長期低排出発展戦略の検討を政府全体として始めるわけでございます。その中で、環境省としては、こうした次世代自動車の普及促進について更に議論をしてまいりたいと考えているところでございます。

柿沢委員 関係省庁と連携してという話があるんですけれども、これは、石炭火力の問題もそうですし、この間の建物、住宅の省エネ基準の問題もそうなんですけれども、関係省庁と連携しということになると、どうしても目標が残念ながらトーンダウンしてしまう傾向にある。環境省は、あえて言えば、この問題、恐らく、先導的な、意欲的な目標を掲げることができるとすれば、環境省が高い目標を設定する、そこをやっていく役割を果たすほか私はないのではないかというふうに思うんです。

 結果として、環境省の方が、環境省としてはそう思うけれども、関係省庁と連携したらこうなりましたということを繰り返しているうちに、世界の動きからだんだんだんだんおくれてしまう、こういうことにもなっていると思いますので、私は、こういうことについては、ぜひ環境省は、ちょっと、各省庁とのけんかも辞さずやってもらいたい。そうでないと、結果的に国益を損失することになるというふうに思うんです。拍手もいただいてしまいました。ありがとうございます。やらせではありません。

 きょうは、環境再生保全機構の理事長にもお見えをいただいていまして、ありがとうございます。

 公害健康被害補償給付ですけれども、これは、自動車重量税からの引当金や工場からの賦課金といった原因者負担の原則に基づいた財源が、環境省が所管する独立行政法人環境再生保全機構に一旦納められて、そこから地方自治体により認定された健康被害の被認定者や遺族に支払われる、こういう仕組みになっているわけです。

 この環境再生保全機構なんですけれども、PCB廃棄物処理の支援やアスベストの健康被害の救済制度も事業として受け持っておられますけれども、年間予算、六百億、五百億円台ぐらいですかね、そのうち、やはり、今回の大気汚染による公害健康被害への補償関連の事業が四百億円ぐらい占めていますから、機構の事業の大半がこの事業であると言って過言ではないというふうに思うんです。

 ところが、この部分は、先ほど申し上げたとおり、補償給付の対象人数も給付総額もピーク時の三分の一近くまで減ってきているわけです。しかも、新規の認定患者がいない以上、やがてゼロになっていく、こういう見込みであるわけです。

 ところが、この環境再生保全機構の職員数を見ますと、常勤職員数は、平成十八年度から二十三年度まで十三人減ったものの、それ以降は、今に至るまで百四十八人、こういう数字で、実は減っていないんですね。主要な事業が小さくなっていくのに職員数に増減が見られない、これは一体どうしたことなのか、お伺いをしたいというふうに思います。

福井参考人 環境再生保全機構の福井でございます。今の委員の質問に回答させていただきます。

 当機構の職員数につきましては、公害健康被害補償業務を担当する部署を含む全体として、平成十八年度の百五十六人から平成二十八年度百四十人へと、十年余りで十六人削減させていただきました。

 公害健康被害補償業務にかかわる職員数としましては、平成十八年度の二十四人から平成二十八年度には二十人へと四人の削減をしております。また、平成二十五年度には、西日本地域の公害健康被害補償業務を担当しておりました大阪支部を廃止したところでございます。

 その後、平成二十八年十月に、当機構の業務としまして公募型の研究開発資金の配分業務が追加されたことによりまして、八人を増員いたしまして職員数は百四十八人となりましたが、引き続き業務の効率化に努めてまいりたいというふうに考えております。

 なお、公害健康被害補償業務においては、現在でも、全国約八千二百の工場などから補償給付に充てるための汚染負荷量賦課金を徴収しまして、認定患者の方々に四十一の地方公共団体を通じて給付しておりますけれども、オンラインの申告手続を促進するなど、継続的に業務の効率化に取り組んでおります。

 以上でございます。

柿沢委員 百四十人に減らした、その後八人を増員した、それで百四十八人だということであります。

 そのことについてこれからお伺いをしたいと思うんですけれども、今少しお話が出ましたが、環境再生保全機構には、環境省がやっていた環境研究総合推進費、この配分業務が平成二十八年十月より業務移管されております。環境省の目的に資する研究テーマを公表して、産学民官の研究者から提案を募って、採択された研究課題に研究資金を配分するというものであります。

 公募から研究実施の一連の流れ全体が機構に移管されたのは平成二十九年度分からでありますけれども、それに当たって環境再生保全機構への運営費交付金の増額分、平成二十九年度予算で幾らになっているか、お伺いしたいと思います。

中井政府参考人 お答え申し上げます。

 環境研究総合推進費に係る経費につきましては、機構におきまして勘定区分して経理されておりまして、平成二十八年度、委員御指摘の、十月からというところなんですけれども、これにつきましては、二十九年度からの競争的資金移管のための体制整備のための予算といたしまして、一億七千七百七万五千円計上されてございます。競争的資金の相当分も含めましてこの機構に交付されるようになりました平成二十九年度につきましては、五十二億二百九十一万三千円となってございまして、対前年度比は五十億二千五百八十三万八千円の増となってございます。

柿沢委員 これは、その前の年度は十七億円台ですから、そこから五十億円どおんと運営費交付金がふえているんですよ。

 何が言いたいかというと、つまりは、もともとほとんど事業の大宗を占めていた公害等健康給付の事業、これははっきり言えば先細りになっていくわけですね。

 その一方で、環境省から、環境省の目的に資する研究資金の配分業務が五十億の運営交付金とともにこの環境再生保全機構に出される。その先も見てみると、環境省のOBがたくさん理事を務めておられる、専務理事も含めて、そういう一般社団法人に、この分野に関する管理、支援業務として一・六億円が一者応札の競争入札で仕事が発注されていたり、どうも、この機構とあるいは環境省関係者の仕事を維持するためにこの仕事が出されたのではないか、そういうふうに勘ぐりたくなってしまうような一連の流れなんですよね。

 こういう誤解を受けないように、しっかりとこれから説明責任を全うしていただきたいということをぜひお願いをしたいというふうに思いますけれども、もう一回ちょっと御答弁いただいて、終わりたいと思います。

中井政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の環境再生保全機構につきましては、役人のOBの理事は今はいないという状況でございます。それだけはまず御確認させていただきます。

 それで、環境省がやっておりました環境研究推進費という業務につきまして、実は、平成二十年度に成立いたしました研究開発力強化法等によりまして、これは、公募型の研究開発の効率的推進を図ることとした競争的資金業務は独立行政法人に行わせるべきというようなことがございまして、こういう御指摘の中で、環境省本省で進めておりましたこの事業につきまして、本省でも合理化などの努力はしてきたところではございますが、二十七年の八月の中央環境審議会の答申におきまして、この環境研究総合推進費につきまして、予算の弾力的な執行等による利便性の向上の改善などのことを求められることになりました。これを受けまして、この法の趣旨にものっとりまして環境再生保全機構に移管したという状況でございます。

柿沢委員 理事を始め、機構の皆さんも引き続き頑張ってください。

 以上です。ありがとうございました。

松島委員長 次に、鰐淵洋子さん。

鰐淵委員 公明党の鰐淵洋子でございます。

 本日は、公害健康被害の補償等に関する法律の一部を改正する法律案について質問させていただきます。

 日本で初めて公害病に認定されましたイタイイタイ病でございますが、一九六八年に患者と遺族が原因企業を提訴してから本年三月九日で五十年になりました。イタイイタイ病は、富山県の神通川流域で発生、鉱山からの未処理のまま流されたカドミウムに汚染された食べ物や水を飲んでいた方の骨がもろくなり、ひどくなるとせきをしただけで骨折をするという、まさに痛い痛いと言って亡くなっていったことでイタイイタイ病と名づけられた公害病でございます。

 提訴される前年の一九六七年五月二十六日に、当時の公明党の矢追秀彦参議院議員がこの問題につきまして国会で初めて取り上げました。質問に当たりまして、矢追議員は何度も現地に赴きまして、被害者宅を一軒一軒訪ね、被害者の声を聞いて回ったと伺っております。この矢追議員の質問が世論を大きく動かしまして、一九六八年五月には、厚生省がイタイイタイ病を日本で初めて公害病に認定いたしました。そして、これが大きな突破口となりまして、熊本県の水俣病など、ほかの公害病認定へと大きく波及していくことになります。

 経済発展の陰の部分に光を当てまして、患者の苦しみに寄り添い、救済していくという、このような取組が政治の役割であると思いました。五十年がたちましたが、このような経験を忘れずに、これからもこの政治の役割を果たしていかなければならないと思います。国民の命と生活、健康、そして環境を守るために、公害における環境省の役割について大臣に御所見をお伺いしたいと思います。

 あわせまして、今、改めてこの日本の経験を世界に発信しまして、公害問題への取組を促すことが重要と考えます。今後の世界の公害問題に対する日本の役割について、あわせてお伺いいたします。

中川国務大臣 今先生から御指摘いただきましたように、我が国はかつて激甚な公害を経験いたしました。大気汚染防止法、水質汚濁防止法等の規制制度により環境は改善いたしましたが、多くの公害健康被害者の方々が今なお苦しんでおられます。環境省は、二度と激甚な公害が起きることがないよう、引き続き、公害関係の規制制度を強力に運用していくとともに、公害健康被害対策に真摯に取り組んでまいります。

 世界に目を向けますと、経済発展を背景に、大気汚染や水質汚濁などの公害にまさに直面している国々がございます。我が国は、かつての公害経験を踏まえて、公害防止技術や制度などをそれらの国々に伝えてまいりたいと考えております。また、水銀に関する水俣条約など、地球規模の環境汚染を防止する多国間の枠組みにおいて積極的にリーダーシップを発揮することで、世界における我が国の役割を果たしてまいりたいと考えております。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 私も、この法案を通しまして、改めて環境省には国民の皆様の命、健康、生活を守る大きな役割があることを実感をいたしました。ぜひとも引き続き、中川大臣の強いリーダーシップで、このお取組につきまして、また役割についてしっかりと役割を果たしていただきたいと改めて強く要望させていただきたいと思います。

 我が国の公害病の歴史を振り返りますと、先ほども御紹介しましたイタイイタイ病を始め、水俣病、四日市ぜんそく、新潟水俣病といった四大公害病が発生し、重大な社会問題となりました。

 これらの深刻な公害によりまして健康被害を受けた人々を救済するため、昭和四十二年成立した公害対策基本法において公害被害救済制度の確立の必要性が明文化され、昭和四十四年には公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法、いわゆる救済法が制定されました。

 救済法は、当面の緊急措置として医療費等の給付を行うという行政上の措置を行うものでございましたが、医療費については健康保険の自己負担分を給付するにすぎず、患者救済措置としては不十分なものであり、財源にも問題がございました。さらに、健康被害者は日々治療を必要としますので、公害による健康被害に対する迅速な補償制度が求められていました。

 こうした状況に対処するために、昭和四十八年に公害健康被害補償法が制定され、汚染の原因となった事業者の負担により補償等を行う公害健康被害補償制度が創設されたと承知をしております。

 その後、昭和六十二年の法改正によりまして一種地域の指定を解除し、昭和六十三年から新規の患者の認定は行っておりません。

 現在に至るまでの認定患者の人数の推移、年齢構成等の現状と、今後の見通しについてお伺いをしたいと思います。

梅田政府参考人 お答えいたします。

 昭和六十二年の法改正によりまして第一種地域の指定を解除し、昭和六十三年から新たな患者の認定は行われなくなったことから、昭和六十三年のピーク時に約十一万人を超えていた認定患者数は、平成二十九年三月末で約三万四千人にまで減少しております。

 現在の年齢構成といたしましては、新規の患者認定がなくなり三十年が経過していることから、認定患者さんの高齢化が進んでおりまして、約三分の一に当たる一万人以上の方が七十歳以上です。一方で、比較的若い世代の方々もおられます。三十代が約七千人、四十代が約九千人おられまして、三十代と四十代で認定患者のほぼ半数を占めているという状況でございます。

 今後の見通しといたしましては、認定患者数の減少は続くものの、最も若い方が三十歳であること、また、本制度が民事責任を踏まえて現物支給と定期的支払い金による補償を行う制度であることから、少なくとも今後数十年にわたり補償給付等を行う必要があるというふうに想定をしております。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 ただいまの答弁の中でも、今なお旧第一種地域におきまして認定患者は約三万四千人、また、最年少で三十代ということで、七千人の方がいらっしゃるということでございました。

 こうした認定患者に対しましては、健康被害の回復、生活の安定において長期的で安定的な補償制度の運用が引き続き必要とされていると思っております。今回の法改正で当分の間と改正されますけれども、この当分の間と改正する理由についてお伺いをしたいと思います。

梅田政府参考人 お答えいたします。

 第一種地域の指定が解除された昭和六十三年よりも前に認定された最も若い方が三十歳であるということで、今後数十年にわたり継続的に補償給付等が必要です。このため、本来、この引き当て措置につきましては期限を定めないことが望ましいものでございます。

 他方で、補償給付等に充てる交付金は自動車重量税を財源としているため、これまでは、自動車重量税の暫定税率の措置期限が到来するたび、本法に基づく補償給付等のあり方についても検討してまいりました。

 自動車重量税については、既に平成二十二年度に暫定税率が廃止され、当分の間の税率が適用されることとなっております。

 このような点を踏まえまして、全ての認定患者の方々へ補償給付等を安定的に行うため、引き当て措置について期限を定めずに当分の間とするものでございます。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 長期的で安定的な運用の制度ということで、そのために改正もするということでございましたが、その上でもう一つ確認をさせていただきたいと思いますが、今後、認定患者の健康回復や生活の安定の掌握、制度の適切なあり方など、国会で議論する時期がどうなるのかということでございます。

 当分の間と改正した後の制度の見直しの時期について、その考え方についてお伺いをしたいと思います。

梅田政府参考人 お答えいたします。

 現時点で具体的に想定しているものではございませんが、仮に、財源としている自動車重量税のあり方が大きく変更されるような場合、自動車に係る費用負担方式について検討を行い、また、例えば認定患者数の減少等に伴う制度的な課題が顕在化するような状況の変化ということが起こった場合には、制度の趣旨を踏まえた適切な対応方法について、関係者や有識者の意見を聞きつつ検討が必要となる場面も出てくるのではないかと考えております。

 認定患者の方々への給付を確実に行うことを第一に、必要に応じて見直しを行ってまいりますが、見直しの必要性につきましては、中央環境審議会に対して公健法の施行状況等を報告し、御審議をいただくことで見定めてまいりたいと考えております。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 環境省におかれましても、また国会におきましても、しっかりと今後注視をしていかなければいけないと思いますが、そういった重大な責任もあるかと思います。

 その上で、ちょっと大臣にも確認をさせていただきたいと思いますが、当分の間と改正することによって懸念されるということで、確認をさせていただきたいと思います。

 この法律は、恒久的措置の意味合いを有しまして、長期的で安定的な補償制度の運用であるということが重要なポイントであるかと思っております。今回の改正によりまして、全ての認定患者に対して最後まで給付を全うするということが大変重要であると思いますが、それが可能なのかどうかを含めて、大臣の決意、またしっかりとやっていくという決意と御見解をお伺いしたいと思います。

中川国務大臣 認定患者は現在もなお約三万四千人おられまして、最も若い方は三十歳ということでございます。このため、全ての認定患者の方々へ本法による補償給付等を行うためには、今後数十年にわたり制度を維持、継続していくことが必要でございます。

 今般の改正では、補償給付等の財源として自動車重量税収の一部に相当する額を引き当てる措置につきまして、期限を定めずに当分の間延長することといたしております。将来のいろいろな諸事情の変化によって見直さなければならない局面が来るということも想定されるわけでございますけれども、今回の改正によりまして、安定的な制度運営が可能になるというふうに考えているところでございます。

 安心、安全の基盤の確保は、環境行政の原点だというふうに考えます。今後とも、本制度の安定的な運営を通じた公害健康被害対策に真摯に取り組んでまいります。

鰐淵委員 ありがとうございました。よろしくお願いしたいと思います。

 激甚な大気汚染によりまして、深刻な健康被害を背景に、昭和四十八年に公健法が制定されまして、制度創設以来、公害による健康被害者の補償に大きな役割を果たしてきました。

 その後、昭和六十二年の法改正で第一種地域の指定が解除されました。この第一種地域とは、事業活動に伴って生じる相当範囲にわたる著しい大気汚染により、慢性気管支炎、ぜんそく、肺気腫等の非特異性疾患が多発していた地域で、例えば東京都の千代田区、中央区、港区、新宿区などの十九の特別区や、川崎市、四日市市、大阪市、守口市等の計四十一地域でございます。

 この昭和六十二年の法改正で第一種地域の指定を解除した理由につきまして、改めてお伺いしたいと思います。

とかしき副大臣 公害健康被害補償法、公健法でありますけれども、この歴史をちょっと振り返ってみますと、著しい大気汚染によるぜんそく等が多発している地域を指定し、一定期間居住した者がぜんそく等にかかった場合には、大気汚染との間に因果関係があるとみなして、そして制度的割り切りを行いまして、汚染原因者負担による補償を行う民事責任を踏まえた制度として昭和四十八年に制定をされたものであります。

 その後、大気汚染防止法に基づいて規制が講じられました。これによって大気汚染が改善してきました。その状況のもとで補償を継続して行うことは本制度の趣旨を逸脱するということで、昭和六十一年に中央公害対策審議会により答申がなされました。

 この答申を受けまして、昭和六十二年に法改正が行われまして、第一種地域の指定を解除して、新規認定は行わない、こういうふうにしたわけでございます。

 以上でございます。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 いろいろ現状を踏まえた上でそういったことが行われたということなんですが、一方で、最近の、近年の大気汚染の現状としてさまざま課題もあるかと思います。これも先ほども質問の中にございましたが、例えばPM二・五、こういったものに代表されるように、広域化もしておりまして、特にPM二・五といいますのは、肺の奥深くまで到達しやすく、人の健康懸念が大変に懸念をされております。

 このPM二・五の対応、今後、大気環境政策の重要な課題の一つになると思っておりますが、我が国におきます大気汚染の現状、特に旧第一種地域指定における現状と、今後の環境省の取組についてお伺いをしたいと思います。

早水政府参考人 お答えいたします。

 大気汚染の状況でございますが、主な大気汚染物質のうち、二酸化硫黄、二酸化窒素及び浮遊粒子状物質、SPMですが、この三項目についての平成二十七年度の環境基準達成状況は、これはもう全国でほぼ一〇〇%となっております。

 また、微小粒子状物質、いわゆるPM二・五については、近年、環境基準達成率は改善されてきている傾向にございます。

 また、光化学オキシダントでございますけれども、これは全国的に環境基準の達成率は低い状況が続いておりますけれども、注意報の発令日数については減少傾向が見られております。

 今後とも、より一層の大気汚染の改善を図るために、固定発生源対策あるいは自動車排出ガス対策の推進、それからPM二・五や光化学オキシダントの原因物質の一つとなっております揮発性有機化合物、VOCの削減等に引き続き取り組んでまいります。

 また、大都市周辺につきましては、自動車NOx・PM法というものもございますので、これも使いまして、対策を一層進めてまいりたいと考えております。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 大気汚染の問題につきましては、先ほども申し上げましたが、広域化もしておりますので、近隣諸国との連携もしっかりとお願いをしたいと思います。

 先ほども申し上げましたが、指定地域を解除した際に、大気汚染の影響による健康被害を予防するための基金を設けまして、公害健康被害予防事業が実施されております。地域住民の健康の確保を図るためにこの予防事業は大変に重要と考えますが、その内容、現状、課題はどうなっているのか、お伺いしたいと思います。

 あわせまして、それを踏まえて、今後どのように取り組むのか、お答えいただきたいと思います。

笹川大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 公害健康被害予防事業におきましては、旧第一種地域にそれに準ずる地域を加えた四十六の地域において、地方公共団体が行うということであります、健康相談、健康診査を通じたぜんそく等に関する相談と指導、それから機能訓練を通じたぜんそく等の自己管理支援等に対して独立行政法人環境再生保全機構から助成を行っております。

 加えて、機構がみずから行う事業といたしましては、ぜんそく等に関する調査研究、知識の普及、そしてまた、地域の医療機関で患者指導を行ういわゆる医療従事者の育成等に対する研修等を行っております。

 予防事業の課題といたしましては、主な財源が基金の運用益というふうになっておりますので、平成二十九年度の事業予算は約十億一千万を確保しているところでございますが、経済情勢の変化に伴う運用益の減少が挙げられております。

 このような財源の確保という課題に対しては、運用の工夫による運用益の確保、地方公共団体の実情や住民ニーズを踏まえた事業の重点化、そして、地域における普及啓発や人材育成等のソフト面を重視した、より実効性の高い事業へのシフトを進めることで対応いたしております。

 環境省としては、機構及び関係地方公共団体を始めとする関係方面の御意見を賜りながら、事業費の確保及び効果的な事業の展開に、引き続いて努力をしてまいりたいというふうに考えております。

 ありがとうございます。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 事業費の確保とかさまざま課題もあるかと思いますが、国民の皆様の健康、命を守る上でこの予防事業は大変に重要かと思いますので、引き続きしっかりとお取組をお願いしたいと思います。

 時間もなくなりましたので、最後、要望だけ申し上げたいと思いますが、これも前回私も質問で取り上げさせていただきましたエコチル調査でございますが、環境汚染による健康被害を未然に防止する観点からもこの調査は大変に重要かと思っておりますので、しっかりと長期的な調査にはなっておりますが、今後の大事な調査ということで、しっかりと取り組んでいただきたいということを最後にお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

松島委員長 次に、田村貴昭さん。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 まず最初に、今国会重大問題となっている公文書の改ざん事件についてであります。

 公文書の改ざんは、これは重大な犯罪であります。文書を改ざんし、国会に提出する、そしてそれに基づいて答弁が行われる。これは、行政府が立法府を欺くというゆゆしき事態であります。権力の分立、そして議院内閣制というこの国の統治機構の根幹を揺るがす事態であります。

 大臣にはこの認識がおありでしょうか。先ほどの御答弁で、公文書は国民共有の知的財産等々の答弁はそのとおりだと思いますし、伺いました。

 私は、内閣は、やはり憲法上、あらゆる行政権の行使について国会に対する連帯責任を負っているというふうに考えます。この事態に対して、大臣ですので内閣の一員でありますので、国会に対する責任をどのようにお考えになっておられるでしょうか。

中川国務大臣 公文書は、今先生も御指摘いただきましたが、健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源として、主権者である国民が主体的に利用し得るものでありまして、行政機関としてその管理の適正を確保することが重要と考えております。

 「内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負ふ。」という憲法の規定がございます。この規定は、内閣は、総理大臣のもとに一体となって政治を行う原則に立ち、その責任も一体として負う、そういう趣旨であるというふうに解されるわけでございまして、公文書管理のあり方につきましても、昨年末、内閣総理大臣決定により、行政文書の管理に関するガイドラインが改正されました。環境省としても、その内容を省内に周知するとともに、環境省行政文書管理規則等の改正作業を進めているところでございます。

 また、内閣法第三条により、環境行政等を分担管理する責務を有する環境大臣として、みずからの担当している行政分野において適正な公文書管理が行われるよう、厳正な取組を更に進めてまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 今度の改ざん文書の問題は、国民は安倍政権全体の問題として捉えております。それはもう内閣の支持率にもあらわれているところであります。

 大臣は、責任者の一人として、今、国民が、国会が求めている真相解明に向けて、まずは証人喚問、関係者の証人喚問を行うように、この場で強く求めておきたいというふうに思います。

 それでは、法案について質問に入ります。

 公害健康被害補償法に基づく大気汚染患者の救済は、一九八八年に新規認定が打ち切られ、そして、その理由として、国は、大気汚染が収束したというからであります。

 しかし、大気汚染はなくなったのでしょうか。一九九〇年代に入っても、今日に至るまで、ぜんそく等に苦しむ患者は数多く出現しています。お配りした資料の一は文部科学省の調査です。子供のぜんそく患者さんがふえています。もう一つは厚生労働省の調査です。ぜんそく患者は、減るどころかふえ続けています。

 国として大気汚染被害者の救済措置がないもとで、今、環境省はこの状況をどう見ておられますか。

梅田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、厚生労働省の患者調査の結果によると、近年、ぜんそくの総患者数は増加傾向にあると考えられます。

 ぜんそくはさまざまな原因により発生する非特異的疾患であり、環境省として患者数の増加の理由についてお答えをすることは困難ですが、科学的に十分解明されていないものの、原因としては、アトピーなどアレルギー素因者の増加、都市的生活様式の拡大による食生活や住環境等の変化、そして高齢化の進展など、さまざまな要因があるという指摘があると認識をしております。

田村(貴)委員 大気汚染も、この呼吸器系疾患の要因であることは間違いないと思います。NO2やSPM、この濃度というのは改善されていっています。しかし、それは近年になってからの話でありまして、PM二・五等の汚染は深刻な状況にあります。

 環境省の二〇一五年度の調査によっても、都道府県のPM二・五の測定状況では、一般局、自動車排出局における結果は、環境基準非達成が大都市を中心にまだまだ多いという状況であります。

 つまり、八八年以降も、大気汚染によるぜんそく患者さんはその後も出現し、子供の患者は全年代でふえているわけであります。自治体の医療費助成制度がないところでは、何の救済もない状況に置かれているわけであります。

 中川大臣にお伺いします。この状況、よしとされているんでしょうか。

中川国務大臣 ぜんそくは、大気汚染のみならず、今部長から答弁いたしましたが、さまざまな原因により発生する疾患でございます。環境省としては、環境保健行政を実施する立場から、環境汚染に起因する健康影響について対処しております。

 大気汚染につきましては、窒素酸化物や浮遊粒子状物質等の濃度に低下傾向が見られておりまして、また、環境保健サーベイランス調査において、大気汚染とぜんそくの関連性について一定の傾向として捉えられる状況にはないと有識者検討会において評価されているところでございます。

 このような状況を踏まえますと、ぜんそく患者に対する医療費助成については、環境保健行政の観点からの課題として捉えるべきものではないのではないかというように考えております。

田村(貴)委員 患者、患者団体は、やはり全国的な救済制度を求めているわけであります。

 救済に道を開かない国の姿勢は、この間、裁判によって次々と断罪されてきたのであります。全国各地で道路公害裁判が起こり、九五年の西淀川公害裁判の第二次から第四次訴訟判決を皮切りに、川崎、尼崎、名古屋南部、東京と、被害者、原告が五連勝しています。公害認定されていない未救済患者への損害賠償が司直の判断によって認められたところであります。

 そして、東京大気汚染公害訴訟の和解の流れの中で、国が環境再生保全機構に指示して、公害健康被害予防基金から東京都が実施する予防事業に充てるために六十億円が拠出され、東京都は、二〇〇八年八月に東京都公害健康被害予防基金を設置したのであります。

 画期的な東京の和解から、画期的な都の大気汚染医療費助成制度が二〇〇八年の八月に創設されました。六百人余りの原告が起こした裁判は、二〇一五年、九万人の都民が医療費助成を受けるまでに至りました。

 そこでお伺いします。

 国は、この東京都のぜんそく患者さんを救済してきた制度を評価しておられるのでしょうか。

梅田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の東京都の医療費助成制度は、昭和四十七年に十五歳未満の小児患者を対象として独自に開始された制度であり、東京大気汚染訴訟の和解に基づき、平成二十年に対象が全年齢に拡大され、その後、平成二十六年に、五年後の見直し期限を踏まえた制度の改正が行われております。

 このとおり、東京都において、その時々の状況を踏まえて評価、見直しがされているものというふうに認識しております。

田村(貴)委員 東京都の評価じゃなくて、国はどう評価しているんですかと聞いているんです。

梅田政府参考人 お答えいたします。

 これは、東京の大気汚染訴訟の和解に基づきということで、東京都が行うこととして設置、創設されたという制度でございます。また、それを東京都として評価、見直しをして実行されているというふうに認識しております。

田村(貴)委員 六十億円拠出して、何か冷たいですね。

 その東京都の医療助成制度も、基金の枯渇によって維持ができなくなってきています。二〇一五年からは新規患者の受入れをなくし、二〇一八年四月、つまり来月からは、月額六千円を超える医療費だけが助成されるようになるわけであります。

 お尋ねしますけれども、ぜんそく患者さんの医療費がどのぐらいになっているか、そういう調査はございますか。

梅田政府参考人 お答えいたします。

 公健法における被認定者につきましては、ぜんそく等の指定疾病に関する医療費は公健法において全額手当てをしておりますので、患者負担は発生しません。

 一方で、環境省では、毎年度、公健法により医療機関等に支払った公害診療報酬等の調査を行っております。平成二十八年度の一カ月分の医療費につきましては、入院外の公害診療報酬で平均約二万五千円、公害調剤報酬で平均約一万九千円でございました。

 また、平成二十八年度の療養の給付及び療養費の総額を被認定者数で除した額を見ますと、年額で約三十八万円、月額で約三万二千円でございました。

田村(貴)委員 患者さんにとって、受診とそれからお薬は非常に大事だということであります。

 でも、環境省としては、公健法の被認定者しか資料がないということですね。八八年以降の患者さんのこういう医療費についてはわからないということですね。

 そこで、資料二をお配りしています。大気汚染、公害患者の会連合会が全国の調査の結果をやりました。大変苦労されたんですけれども、自己負担のリアルな状況が読み取れます。

 全体平均でも月に七千四百三十二円。この一年に入院があった七十歳未満の人ならば一万三千四百九十三円という状況であります。これを東京都で見るならば、新しい年度から、多くの患者さんにおいて自己負担が生じると推察されます。加えて、どんなに症状が深刻でも新規認定は認められない。それは基金が枯渇したからであります。東京都は、制度を存続させたいとして、国とメーカー等への拠出を求めています。

 和解によってつくられた医療費助成制度を東京だけに負担させていいとお考えになっているんでしょうか。予防事業の必要性はもうなくなった、そういう認識に今立っているんでしょうか。答えていただきたいと思います。

梅田政府参考人 お答えいたします。

 東京都が行う予防事業、これにつきましては、環境省は、平成十九年の東京大気汚染訴訟の和解条項に基づき六十億円を拠出しております。これは、都が実施されました医療費助成制度とはまた別の、こちらは都の方の和解条項に基づき都としてやっておられるもので、環境省としては、都が行う予防事業に対して六十億円を拠出させていただいているところでございます。

 この東京都が実施する予防事業につきましては、毎年度の事業の状況の報告を東京都からいただいております。平成二十八年度は、道路沿道における大気汚染対策として沿道の植樹や低公害車の導入支援等の事業に基金を活用し、約二十七億円の残額があると聞いております。

 また、東京都からは、この基金を活用して、今後も大気汚染対策を中心に予防事業を進めていくこととしていると聞いております。

田村(貴)委員 ちょっと確認しますけれども、国が出した六十億円ですよ、そして都が予防事業をやっている。それは意義のあることとして受けとめているのか、和解だから仕方がなくお金を出したのか、どちらなんですか。

梅田政府参考人 お答えいたします。

 東京大気汚染訴訟の和解条項に基づいて、環境省、六十億円を都が行う予防事業に拠出をさせていただいて……(田村(貴)委員「予防事業の評価を聞いているんです」と呼ぶ)はい。

 これにつきましては、東京都と協力をして一層の大気汚染対策を推進、ぜんそく予防対策の充実に取り組んでいこうということで、そのように進めさせていただいているところでございます。

田村(貴)委員 意義あることですよね、予防事業は。そうですね。それをおっしゃっていただきたいんですよ。

 ぜんそくのコントロールは、早期の受診と適時適切な治療が必要とされています。近年、気管支の炎症を抑える吸入薬が開発されて効果を上げています。しかし、その薬価が高額のために患者さんは我慢してしまうとお医者さんがおっしゃっています。

 資料の三は、東京保険医協会の患者さんへのアンケートであります。東京都の医療費助成制度で症状が改善したとの回答は五二%にも上り、これは毎回の調査でも過半数を超える結果となっています。先ほどの質疑の中でも、公健法の患者さんの中でも、治癒等によって離脱したという方がこの間でも二、三割おられると。ちゃんと治療を受ければ症状は改善していく。ぜんそく病の患者さんはなくなっていくことも可能であるというふうにも今言われているところなのであります。

 現に、一九八五年以降、ぜんそく死、亡くなる方が最も多かったのは九五年の七千人だったんですけれども、七千人以上だったものが、二〇一〇年には約二千人まで減少しているところであります。

 東京都の世田谷に暮らすぜんそく病患者さん、七十歳代の方からお話を聞いたんですけれども、十年前に都の医療費助成制度ができて安心して病院に行けるようになった、そして症状も落ちついている、しかし四月からは自己負担が生じるので不安でしようがないというふうに語っていただきました。

 大臣に改めてお伺いしたいと思いますけれども、この東京都の制度を維持をさせて、そして医療費助成制度を全国にやはり広げていくならば、ぜんそく患者さんの症状は劇的に改善されてきます。これは、ひいては医療費の削減にも大いに期待できるところであります。

 救済制度は全国の患者さんの減少に大きな役割を果たします。都の十年の取組がこれを実証しています。患者団体が切望している新たな救済制度、これを立ち上げる必要があると考えますけれども、大臣、改めていかがでしょうか。

中川国務大臣 ぜんそくは、大気汚染のみならず、さまざまな原因により発生する疾患でございます。環境省としては、環境保健行政を実施する立場から、環境汚染に起因する健康影響について対処いたしております。

 大気汚染につきましては、窒素酸化物や浮遊粒子状物質等の濃度に低下傾向が見られておりまして、また、環境保健サーベイランス調査において、大気汚染とぜんそくの関連性について一定の傾向として捉えられる状況にはないと有識者検討会において評価されていることを踏まえますと、新たな医療費助成制度を創設するような状況にはないのではないかと考えております。

 環境省といたしましては、引き続き、環境保健サーベイランス調査を行い、地域住民の健康状態と大気汚染との関係を注意深く観察してまいります。

 そして、環境省としては、近年、ぜんそくの治療に関して、症状を悪化させる要因を取り除く自己管理の重要性が高まっていることを踏まえまして、予防事業について環境再生保全機構と協力して実施しているところでございまして、引き続き効果的な展開に努めてまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 その大気汚染とぜんそく等の病気との因果関係なんですけれども、調査も行われていると。

 そこで、環境再生保全機構がこう言っているんですね。現在の大気汚染の状況は、ぜんそく等の病気の主たる原因とは言えず、ここは言っているんですけれども、これらの病気に対して何らかの影響を及ぼしている可能性は否定できません。

 これらの病気に対して何らかの影響を及ぼしている可能性は否定できていません、そういう見解で、環境省、よろしいんですね。わかりますか。

梅田政府参考人 先ほども御答弁させていただきました、さまざまな要因が複雑に絡んでいるということで、科学的に必ずしも全てが解明されているわけではありませんが、さまざまな要因の一つとしてあろうかと思います。

田村(貴)委員 可能性は否定できませんとなっている以上、やはりしっかり調査をしていく、そして、可能性が否定できていないんだったらば、対策とともに救済がやはり必要であります。

 最後に、ぜんそくに苦しむ患者さん、その原因が自分にないとするならば、これは悲劇であります。救済制度を認めない理由はありません。やはり新たに制度を発足させるべきであります。新たな救済制度をつくるならばメーカーも負担に応じると原告や患者さんに語っているというふうにも伺っております。

 新たな救済制度をつくる、そういう判断を行うことを強く求めて、きょうの質問を終わります。

松島委員長 次に、玉城デニーさん。

玉城委員 自由党の玉城デニーです。

 私が最後の質疑者、質問者になりますが、重複する答弁もあろうかと思いますが、どうぞ、その点、また真摯にお願いをしたいと思います。

 さて、公害健康被害の補償等に関する法律の一部を改正する法律案ですが、この概要を見ますと、公害健康被害者の迅速かつ公正な保護等を図るため、汚染原因者等の負担により補償の給付を行う、大気汚染の影響による健康被害に対する補償給付等に要する費用の一部に充てるため、自動車重量税の収入見込み額の一部相当額を入れて、それを充てるのですが、それが平成二十九年度末で期限を迎えるということでの改正で、当分の間、それを補填できるようにする、入れるようにするとなっております。

 簡単に言うとこういうことなんですが、この補償給付のための財源は、汚染者負担の原則にのっとって、公害健康被害補償制度が汚染原因者と健康被害者との問題をいわば制度的に解決しようとするものであります。ですから、この補償に必要な費用についてはその全額を汚染原因者に負担させることとしておりまして、ばい煙発生施設等設置者約八千二百施設が固定発生源として八割、今般、約三百二十九億円、さらに、自動車約八千万台が移動発生源として二割、約八十二億円を負担するとしております。

 固定発生源と移動発生源の割合が八対二となっている、このような配分になった経緯について、まず御説明を大臣の方からお願いいたします。

中川国務大臣 工場等の固定発生源と自動車の費用負担割合は、現在の補償給付等の対象が昭和六十三年三月の第一種指定地域解除前の大気汚染の影響によるものとして認定されたものであることから、指定解除前までの大気汚染に係る寄与度に基づいて定められております。

 この寄与度の割合につきましては、健康被害への寄与度の大きい硫黄酸化物及び窒素酸化物の発生源別の推定排出量の割合を勘案して定められたものでございまして、制度が創設された昭和四十八年度から昭和六十二年度の平均で、おおむね工場等の固定発生源が八に対して自動車が二となっていることを根拠として負担割合を定めたものでございます。

玉城委員 昭和四十八年の答申それからその後の公害健康被害補償法、さらには、四十八年、四十九年、四十九年からは公害健康被害補償法が本格施行されますが、その前の、四十九年、五十年度に対して、四十八年度では法改正によって交付金に係る規定を導入され、五十年以降、十回にわたってこの負担の延長が行われてきております。

 制度発足以来、十回延長されてきた自動車重量税の収入見込み額の一部相当額充当ですが、平成二十九年度までの期限を、平成三十年度以降も当分の間という改正で、補償給付の費用として改正しようとすることについて、大臣に伺いたいと思います。

 この当分の間の期限とその根拠についてどのような見解でしょうか。

中川国務大臣 第一種地域の指定が解除されました昭和六十三年よりも前に認定された最も若い方は三十歳でございます。今後数十年にわたり継続的に補償給付等が必要になるというふうに考えます。このため、本来、引き当て措置につきましては期限を定めないことが望ましいものでございます。

 他方で、補償給付等に充てる交付金は自動車重量税を財源としているため、これまでは、自動車重量税の暫定税率の措置期限が到来するたび、本法に基づく補償給付等のあり方についても検討してまいりました。

 自動車重量税につきましては、既に平成二十二年度に暫定税率が廃止され、当分の間の税率が適用されることとなりました。

 こうした点も踏まえまして、全ての認定患者の方々へ補償給付等を安定的に行うため、引き当て措置について期限を定めずに当分の間とするものでございます。

玉城委員 期限を定めずに当分の間、しかも、安定的にこの補償給付を行うためということですが、では、ここで少し視点を変えて、その車のユーザーなどについていろいろと私も資料を調べてみましたので、少し紹介をしながら、次の質問、国交省に質問したいと思います。

 これは日経MJの二〇〇七年の資料に基づくものなんですが、私たちが若いころは、十八歳になったら免許を取る、そして自分の車を持つ。これはもう最高の夢でした。私が一番最初に買ったのはセリカリフトバックという、アメリカのムスタングによく似た車で、友達が持っていた中古のものを安く譲り受けて、初めて社会に出て自分で車を買いました。しかし、それが自分の働く上でのステータスでもありましたし、仲間と一緒にドライブをする、その週末の楽しみのために平日の仕事を一生懸命頑張っていた、そういう思い出があります。

 ところが、自動車に興味がある、大変興味があるかあるいはある程度興味があるかということを、二〇〇二年と二〇〇七年でこの日経が調べたところによりますと、二十代では、二〇〇二年に七四・一%興味があると言っていた若い人たちが、二〇〇七年には五三・五%に落ち込んでいます。二〇%落ち込んでいます。

 そして、かつて私たちは、もう社会人になったらお酒のおつき合いをするということが当然だと思われていたんですが、自宅でビールなどを飲まない二十代は、二〇〇三年三九・四%だったんですが、二〇〇七年五〇・六%。半数が、家でもう飲まない、外でも、当然、おつき合いで軽く飲む程度だというふうに言っているそうです。

 さらには、免許の保有率、最近は免許を取らない若い人たちもふえているという話を聞きますが、免許の保有率、全国で見ますと、二十歳未満は、一九九一年に一九・六%だったのが、二〇一一年には一六・四%に落ちています。二十歳から二十九歳は、一九九一年八四・八%が、二〇一一年には八一・八%、これは全国です。つまり、車を必要としている田舎も含めた統計です。

 この警察庁の統計によりますと、では、都会、東京都では二〇一三年度のこの調査でどういう報告がなされているかというと、二十歳未満が、全国では一九・六%、免許を持っていたんですが、東京都は一一・九%と少なかったんですね。それが、二〇一一年になると七・一%まで減っています。

 つまり、もう、公共交通を使う、それから自転車を使う、車を相乗りで使うというふうに、若い人たちの車に対する考え方、免許を持つことすら必要ないという意識になってきています。

 そして、車を保有しない理由、つまり車を買わない、持たない理由、二〇一三年度国土交通白書によりますと、二十代から三十代の方、五六・二%は公共交通機関で十分、四二・七%は自転車、バイク、徒歩で十分、三八%は購入価格が高い、三九・一%はガソリンや税金などの維持費が高い、三三・五%は駐車場代などの費用が高い。現実的なそういう判断で車を持たないというふうになっています。

 そして、若い方のブログを読んでみますと、何百万円もする車を得ることでつくり上げていた権威性なるものは、誰でも無料で触れられるインターネットに取ってかわられていると言う方もいらっしゃいます。つまり、トータルで考えると何百万もする消費をしていても、車を買うという選択肢は若い世代にはない、SNSで十分であるという、この趣味の意識が変わってきているという現代性があるんです。

 そこで、私は、この質問の流れで、実は、この間、当分の間、期限を持たずに、更に必要である費用をこの重量税の当分の間暫定措置で組み入れようとする、その考え方と、若い人たちが、これから社会を担っていくであろう人たちの意識の変化というものが、大きく、この五年、十年先で変わってくるのではないかなというふうに考えているわけですね。

 巷間、よく私たちの友人の間でも、今もう若い人たちは車を持たないよねということを言われています。しかも、沖縄県では、いわゆる一般乗用車、排気量の大きい乗用車よりも、軽自動車を保有する割合がふえてきています。家庭で一台、二台持っていると、今までは子供たちの送迎用に少し大き目のワンボックスの車を持っていたお父さん、お母さんですら、子供たちを送迎する必要がなくなってくると軽自動車に買いかえていく。つまり、生活の賢さをそういう面で出そうという傾向が、私の周りでも顕著です。

 国土交通省に伺います。

 この費用負担、八割が固定発生源からの負担、二割が移動発生源、つまり、車を持っているユーザー、約八千万台の移動発生源からの繰入れというふうに見ているんですが、当分の間、期限を延長することということと関連して、それまでの個人自動車保有者の推移などについて、国土交通省ではどのように見ておりますでしょうか、御説明をお願いいたします。

早川政府参考人 お答えいたします。

 自家用乗用車の保有台数ということにつきまして、なかなか今後の見通しというのは私どもの方では難しいところがございますけれども、最近の推移について申し上げますと、一般財団法人自動車検査登録情報協会の資料によりますと、平成二十一年度末時点は約五千七百六十四万台であったところ、平成二十八年度末時点では約六千百二万台となっておりまして、この間も毎年〇・四%から一・二%、前年比増加しているところでございます。以前、御指摘がありましたが、例えば昭和五十年代とか平成初期には前年比七%、八%の伸び率であった時期もございますので、そのころに比べると、伸び率としては鈍化しているということは言えるのかなというふうに考えております。

玉城委員 この伸び率が鈍化していくということは、あわせて、例えば世帯数が少なくなっていく、つまり、高齢化人口に拍車がかかっていくと、高齢者の方々は免許を返納するということもあるでしょうし、さまざまな社会的な要因が、この車両重量税の代替のこの間の暫定繰入れに影響してくることは恐らく相当数考えられるのではないかなと思います。

 この当分の間税率ですが、車両重量の〇・五トンごとに、軽自動車を除く乗車定員十人以下の乗用車四千百円に対して、営業用は二千六百円です。軽自動車を除くトラック、バスは、車両総重量一トンごとに、自家用車が二・五トン未満が三千三百円、二・五トン以上が四千百円であるのに対して、営業用は二千六百円と割安になっているわけですね。いずれの種別も本則の税率は二千五百円で一律となっています。

 ここで、財務省にお伺いいたします。

 この税率配分に関する違い、差異についての御説明をお願いいたします。

新川政府参考人 お答えいたします。

 ただいま委員が御指摘になりましたように、自動車重量税の当分の間税率につきましては、自家用と営業用で差異を設けてございます。

 これは、平成二十二年度に、それまでございました自重税の暫定税率を廃止し、新たに当分の間税率を創設いたしました際に、基本的にその前の暫定税率においてこうした差異が設けられておりまして、基本的にはその取扱いを踏襲したものでございます。

 その上で、この暫定税率におきまして、こうした差異を設けた理由につきましては、暫定税率創設時、昭和四十九年あるいは五十一年にこれまた引き上げております、その当時の、例えばタクシー料金あるいは運送料金を通じた物価への影響等を考慮いたしまして、営業用の税率については一定の配慮をなした結果、こうした差異が生じたものと承知してございます。

 また、委員の御指摘にもございましたが、二・五トン以下のトラックの当分の間税率、あるいは、乗用車や二・五トン超のトラック等に比べて低くなっておりますのは、これも昭和四十九年の暫定税率創設時に、小型のトラック、こうしたものが中小企業あるいは農家に多く使用されていることに配慮がなされた結果と承知してございます。

玉城委員 では、もう一点伺います。

 この暫定税率の配分に関する今後のあり方については、財務省の方ではどのように検討していらっしゃいますでしょうか。

新川政府参考人 お答えいたします。

 この当分の間税率の取扱いを含めまして、自動車重量税全体の取扱いにつきましては、平成二十九年度の与党税制改正大綱においてその方針が定められてございます。

 多少長くなりますが、少し紹介をさせていただきますが、大綱におきましては、消費税率一〇%への引上げの前後における駆け込み需要及び反動減対策に万全を期す必要があり、自動車をめぐるグローバルな環境、自動車に係る行政サービス等を踏まえ、簡素化、自動車ユーザーの負担の軽減、グリーン化、それから、登録車と軽自動車の課税のバランスを図る観点から、平成三十一年度税制改正までに、安定的な財源を確保し、地方財源に影響を与えないよう配慮しつつ、自動車の保有に係る税負担の軽減に対し総合的な検討を行い、必要な措置を講ずると、多岐にわたる論点が示されたところでございます。

 この考え方を踏まえまして、今後、平成三十一年度の税制改正に向けまして、関係省庁とともに検討してまいりたいと考えております。

玉城委員 もう時間も少なくなりましたが、残余の質問を続けさせていただきます。今度は障害補償費についてお伺いいたします。

 本制度における補償給付等の被認定者、いわゆる対象者が約三万四千人おり、今後も継続的に必要となる状況に鑑みて改正しようとするものですが、被認定者又はその遺族に対しては、知事等から療養の給付及び療養費、障害補償費、遺族補償費ほかが支給されることとなっています。

 ここでは障害補償費について質問させてください。

 障害補償費は、健康被害をこうむったために働くことができなくなった場合に失った収入の補填と、慰謝料として精神的損害に対する賠償金が含まれています。障害の程度、性別、年齢層別に定型化されており、障害補償費の給付水準を示す給付基礎月額は、全労働者の性別、年齢階層別の平均賃金の八〇%を基準とし、中央環境審議会の意見を聞いて、環境大臣が毎年度定めることとなっています。

 まず、お伺いいたします。

 平成二十九年度の標準基礎月額で、年齢階層別に十層に分けられているうちの四十歳から四十四歳、四十五歳から四十九歳、五十歳から五十四歳、五十五歳から五十九歳までのこの月額を、性別ごとにお伺いしたいと思います。

梅田政府参考人 お答えいたします。

 平成二十九年度の障害補償費の標準給付基礎月額につきましては、四十歳から四十四歳は、男性三十二万一千二百円、女性二十二万四千円、四十五歳から四十九歳は、男性三十五万五千円、女性二十二万九千三百円、五十歳から五十四歳は、男性三十七万百円、女性二十二万五千九百円、五十五歳から五十九歳は、男性三十五万八百円、女性二十一万五千百円となっております。

玉城委員 この年齢層が十層全体のうちで基礎月額が多い理由は何でしょうか。

梅田政府参考人 お答えいたします。

 公健法に基づく補償給付額は、法律によりまして、労働者の賃金水準等を考慮して定めることとされております。中央公害対策審議会の答申により、賃金構造基本統計調査報告を用いて、性別及び年齢階層別に区分して定めることが適当であるとされております。

 このように、障害補償費の標準給付基礎月額は、賃金構造基本統計調査における賃金を反映するということの仕組みになっておりますので、ほかの年齢階層と比べて賃金が高いこれらの年齢階層の基礎月額が高くなるという状況でございます。

玉城委員 障害補償費という捉え方に鑑みますと、例えば、四十歳から四十四歳までの男女間で九万七千円、四十五歳から四十九歳だと十二万五千円、五十歳から五十四歳、十四万四千円、五十五歳から五十九歳は十三万五千円と、男女間で開きがあるんですね。このことについて、なぜ男性と女性で、この障害補償費という名目であっても差異があるのか、その根拠は何でしょう。

梅田政府参考人 お答えいたします。

 障害補償費の標準給付基礎月額、これは、賃金構造基本統計調査における賃金を反映するということを申し上げました。そのため、男性の賃金が高くなり、女性の賃金との格差が生じております。

 しかしながら、基礎月額につきましては、平成二十六年度の改定から、男女別に賃金推計アップ率を適用して算定することとしたこともありまして、近年は、男女間の基礎月額の格差は解消してございます。

玉城委員 ありがとうございました。

 質問を終わります。ニフェーデービタン。

松島委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

松島委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、公害健康被害の補償等に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

松島委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

松島委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、関芳弘さん外六名から、自由民主党、立憲民主党・市民クラブ、希望の党・無所属クラブ、公明党、無所属の会、日本共産党及び自由党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。堀越啓仁さん。

堀越委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 趣旨の説明は、案文を朗読してかえさせていただきたいと存じます。

    公害健康被害の補償等に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。

 一 ぜん息等の疾病にかかり苦しんでいる多くの人々がいる現状にかんがみ、当該疾病の種々の原因の解明と効果的な予防・回復方法の早期確立・普及に政府が一丸となって取り組むこと。

 二 各種次世代自動車の開発・普及の促進、エコドライブの推進、公共交通機関の利便性の一層の向上、交通流対策の促進等、自動車排出ガス総量削減に資する対策について、政府が一体となって取り組むこと。

 三 被認定者の高齢化・重症化に配慮した適切な施策を着実に実施するとともに、治癒等により被認定者ではなくなった者についても、公害健康被害予防事業等によるフォローアップに十分努めること。

 四 大気汚染の影響による健康被害を未然に防止するため、ぜん息患者の要望等を十分に踏まえながら、公害健康被害予防事業の充実に努めること。

 五 環境保健サーベイランス調査の調査対象を広げる等各種調査を精力的に行い、そこで得られた科学的知見に基づき、必要な被害者救済のための方途を早急に検討すること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

松島委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

松島委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、政府から発言を求められておりますので、これを許します。中川環境大臣。

中川国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その趣旨を十分に尊重いたしまして努力してまいる所存でございます。

    ―――――――――――――

松島委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

松島委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時四十七分散会


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