衆議院

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第4号 平成31年4月2日(火曜日)

会議録本文へ
平成三十一年四月二日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 秋葉 賢也君

   理事 伊藤信太郎君 理事 金子万寿夫君

   理事 武村 展英君 理事 とかしきなおみ君

   理事 堀内 詔子君 理事 生方 幸夫君

   理事 小宮山泰子君 理事 古屋 範子君

      秋本 真利君    大岡 敏孝君

      勝俣 孝明君    菅家 一郎君

      木村 弥生君    笹川 博義君

      高橋ひなこ君    武部  新君

      百武 公親君    福山  守君

      古田 圭一君    三浦  靖君

      務台 俊介君    石川 香織君

      長尾 秀樹君    堀越 啓仁君

      山本和嘉子君    横光 克彦君

      西岡 秀子君    富田 茂之君

      田村 貴昭君    細野 豪志君

    …………………………………

   環境大臣         原田 義昭君

   環境副大臣        城内  実君

   環境副大臣        あきもと司君

   防衛副大臣        原田 憲治君

   環境大臣政務官      勝俣 孝明君

   環境大臣政務官      菅家 一郎君

   政府参考人

   (内閣府日本学術会議事務局長)          山本 茂樹君

   政府参考人

   (水産庁増殖推進部長)  保科 正樹君

   政府参考人

   (気象庁地球環境・海洋部長)           大林 正典君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  森下  哲君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  正田  寛君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房米軍再編調整官)         三原 祐和君

   環境委員会専門員     関  武志君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二日

 辞任         補欠選任

  武部  新君     大岡 敏孝君

  山本和嘉子君     石川 香織君

同日

 辞任         補欠選任

  大岡 敏孝君     武部  新君

  石川 香織君     山本和嘉子君

    ―――――――――――――

三月二十六日

 石綿による健康被害の救済に関する法律の抜本的改正等に関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第四一九号)

四月二日

 動物虐待事犯を厳正に処罰するために法の厳罰化を求めることに関する請願(石破茂君紹介)(第五四九号)

 同(大西宏幸君紹介)(第五五〇号)

 同(田村憲久君紹介)(第五五一号)

 同(武村展英君紹介)(第五五二号)

 同(松本純君紹介)(第五五三号)

 同(生方幸夫君紹介)(第五七四号)

 同(下条みつ君紹介)(第五七五号)

 同(高木陽介君紹介)(第五七六号)

 同(中野洋昌君紹介)(第五七七号)

 同(江田康幸君紹介)(第六〇一号)

 同(奥野総一郎君紹介)(第六〇二号)

 同(近藤昭一君紹介)(第六〇三号)

 同(下地幹郎君紹介)(第六〇四号)

 同(谷川とむ君紹介)(第六〇五号)

 同(西岡秀子君紹介)(第六〇六号)

 同(堀越啓仁君紹介)(第六〇七号)

 同(山本和嘉子君紹介)(第六〇八号)

 同(鰐淵洋子君紹介)(第六〇九号)

 同(太田昌孝君紹介)(第六四九号)

 同(柿沢未途君紹介)(第六五〇号)

 同(櫻井周君紹介)(第六五一号)

 同(田嶋要君紹介)(第六五二号)

 同(長尾秀樹君紹介)(第六五三号)

 同(馳浩君紹介)(第六五四号)

 同(松田功君紹介)(第六五五号)

 同(務台俊介君紹介)(第六五六号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 自然環境保全法の一部を改正する法律案(内閣提出第三三号)


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     ――――◇―――――

秋葉委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、自然環境保全法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣府日本学術会議事務局長山本茂樹君、水産庁増殖推進部長保科正樹君、気象庁地球環境・海洋部長大林正典君、環境省地球環境局長森下哲君、環境省自然環境局長正田寛君、防衛省大臣官房米軍再編調整官三原祐和君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

秋葉委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

秋葉委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。務台俊介君。

務台委員 おはようございます。自由民主党の務台俊介でございます。

 本日の質問の機会、新元号の発表の翌日ということで、とてもありがたいと思っております。

 令和という新元号、切れがよく、発音しやすく、また、万葉集から引いたということで、改めて我が国の歴史文化の豊かさに日本人自身が自分の国に誇りを持つということにもつながる、そんなふうに感じました。海外の反響も大きく、早速、チベット語でレイワは希望という意味があるんだ、そんな情報ももたらされております。

 季節の移り変わりを詠んだ歌からとったということで、歴史文化に加えて環境面でも世界をリードするんだ、そういう意味がこの新元号に込められている、私はそんなふうに受けとめたいと思います。そのことを申し上げて質問に移りたいと思います。

 サイエンス20、S20という国際会合についてまず伺いたいと思います。

 ことしもS20の第三回会合が行われ、日本学術会議の会長を議長として開催されたと伺っております。

 ことしのテーマは、「海洋生態系への脅威と海洋環境の保全 特に気候変動及び海洋プラスチックごみについて」が掲げられておりました。三月六日に東京で会合が行われたと伺っておりますが、残念ながら、マスコミの取上げ方はそんなに大きくはなかったというふうに記憶しております。

 この場の議論と提言について、簡単に御紹介いただきたいと思います。

山本政府参考人 お尋ねのサイエンス20でありますが、G20各国の科学アカデミーが一堂に会して、気候変動や海洋プラスチックごみの海洋生態系への影響ととるべき対応について議論し、科学的根拠に基づく政策の推進、国際協力のもとでの調査研究活動の推進等を盛り込んだ共同声明を採択したところです。

 サイエンス20の共同声明はG20への提言を目的としておりまして、採択の後、G20大阪サミットの議長である安倍総理大臣及び関係閣僚会合の議長であられる原田環境大臣に、それぞれ山極日本学術会議会長から手交をしたところです。

務台委員 G20への提言のために今回開かれたということで、その提言は原田環境大臣にも手渡されたということでございます。

 ことしの六月に、気候変動問題そして海洋プラスチックごみ等について、まず長野県軽井沢での関係閣僚会議、そしてさらにG20大阪サミットが予定されておりますが、環境大臣として、この科学者の知見であるS20の提言をG20の場でどのように生かしていくのか、お考えを伺いたいと思います。

原田国務大臣 御指摘のように、せんだって行われましたサイエンス20、S20の提言をしっかり踏まえて、これからのG20に向けての準備に取りかからなきゃいけないというふうに考えております。

 ことしのG20では、持続可能な成長のためのエネルギー転換及び地球環境に関する初の関係閣僚会議を長野県軽井沢で行うことになっております。

 S20の提言においては、海洋プラスチックごみ問題の解決に向けて、科学的知見の集積や研究開発の推進、代替素材への転換等の対策など、おおむね六項目が指摘されたところであります。

 我が国としては、提言で指摘されている科学的基盤の強化も踏まえて、実効性のある取組の推進をG20の場で打ち出して、新興国を巻き込んだ国際的な議論をリードしていく必要がある、こういうふうに考えているところであります。また、今後策定する海岸漂着物等処理推進法の基本方針やプラスチック資源循環戦略においても、これらの対策をしっかり取り込み、積極的に取り組んでまいりたいと思っております。

 とりわけ、海洋プラスチックごみについては、出している量は発展途上国は圧倒的に多いわけでありますけれども、しかし、まずは途上国、先進国一緒になってこの問題を考えなきゃいけないというふうに考えているところであります。G20の場をその場にしていきたい、こう思っております。

務台委員 ぜひ、この機会に環境政策が大きく進んだと言われるようなサミットにしていただきたい、そのように思います。

 さて、S20の提言の中では、「海洋における保護区域の設置は、生物多様性と生息場所を保護し、雇用を生み出し、炭素を貯蔵し、枯渇した水産資源を回復させ、気候変動に対しての復元力を高めることにつながる。」と書かれ、海洋保護区、MPAの意義を認めつつも、生物多様性とSDGs目標達成を支える手法としてはまだ活用されていないというふうに指摘されております。これまで我が国が海洋保護区域の設置を積極的に検討していなかったのではないかというような指摘でございますが、これについて、なぜそうだったのかを伺いたいと思います。

 見方によっては、G20の環境大臣会合が六月に開かれるので、それまでに何としても制度を導入しておかないと立場がないというようなうがった見方も行われかねないんですが、その点についての御見識を伺いたいと思います。

正田政府参考人 お答えいたします。

 環境省におきましては、愛知目標が採択されました生物多様性条約第十回締約国会議、COP10が開催されました翌年の二〇一一年度から、さまざまな科学的情報や多数の専門家からの意見を踏まえ、生物多様性条約の、生態学的、生物学的に重要な海域の基準を基本といたしまして、生物多様性の観点から重要度の高い海域、これを重要海域と呼んでございますが、これを抽出する作業を進めまして、二〇一六年に公表したところでございます。

 その後、これらの地域の保護のあり方を検討するため、沖合域の生態系及び我が国の法制度の適用に係る基礎的な調査等を進めてきたところでございます。

 こうした結果を踏まえまして、二〇一七年度には多様な分野の学識者や関係省庁とも意見交換を重ね、沖合域における海洋保護区制度について、二〇一八年度に審議会及び専門家による検討会での審議、検討を行ったところでございます。

 これらを経まして、二〇二〇年が目標年となってございます愛知目標や第三期海洋基本計画も踏まえ、新たな保護区制度の創設を行うこととして、自然環境保全法の改正案を今国会に提出したところでございます。

 このように、二〇一〇年の愛知目標設定以降、継続して海洋保護区の指定に向けた作業を進めてきたところでございます。

務台委員 連綿とした作業が継続されてきたということはわかりましたが、できるだけこういう面については前倒しで作業するということが必要ではないかというふうに思います。そういう意味で、大変さはわかりますが、もう少しスピード感を持った対応ということもあるのではないか、そのことをあえて申し上げさせていただきたいと思います。

 以下、海洋保護区について伺います。

 我が国は、国土面積の約十二倍の管轄海域を有する、世界六位の領海及び排他的経済水域を有する、まさに海洋国家でございます。そこには三万種類以上の生物が分布する多様な生態系が存在し、世界の全海洋生物種類の一四%がいるというふうに伺っております。

 過日、我々の政策グループの視察で、JAMSTECの施設を見させていただきました。まさに海洋が我が国にとって知られざる新たなフロンティアだというふうに再認識しました。

 このフロンティアを保全、活用するに当たり、開発と保護を両立させるという問題意識が必要だと考えますが、愛知目標で海域の一〇%を海洋保護区に設定するとした趣旨をまず確認したいと思います。

 その上で、現在、我が国が八・三%という現時点の設定割合、これの自己評価についてもあわせて伺いたいと思います。

城内副大臣 二〇一〇年に開催されました生物多様性条約第十回締約国会議、COP10で愛知目標を議論した際には、保全すべき海洋の割合につきましてさまざまな数値の提案がございました。例えば、主に中国、アフリカは四から六%、ノルウェー、アイスランド、カナダ、フィリピンなどは一〇%、そして主にEUが一五、コスタリカが二〇%、四つの提案が当時ございました。

 また、海洋保護区の設定が当時は限定的だったという状況がございます。世界の海洋の二・四%、各国の管轄権内水域に限ってはまだ五・九%が保護区に設定されておりました。

 こうしたことを踏まえまして、海洋保護区の拡大に向けた当面の目標として一〇%が採用された経緯がございます。

 当該目標の目標年次であります二〇二〇年が近づく中で、これまで我が国の管轄権内の海域のうち海洋保護区の設定は八・三%にとどまっており、愛知目標の達成にはまだ至っておりません。

 昨年十一月にエジプトで開催されました生物多様性条約第十四回締約国会議、いわゆるCOP14の閣僚会合に私は参加いたしました。その際、各国の閣僚等と意見交換した際に、愛知目標に掲げられました面積目標を更に超える海洋保護区の設定に積極的な意見を聞くことができました。

 世界有数の海洋国家として、取組がおくれております沖合域におきまして海洋保護区を設定することにより、まずは確実に一〇%の目標を達成し、我が国の自然環境の保全を図っていくことが重要であると認識しております。

務台委員 ありがとうございます。

 イギリス、アメリカ、オーストラリアなどの海洋保護区の設定割合が現在大きく、カナダ、ロシア、中国などが低いという現状にあると思いますが、これはなぜそうなっているのか。見方によると、保全よりも開発を優先する、そういう各国の事情が背景にあるのかなというふうにも感じますが、この点どうか。

 そして、こうした各国の事情とも関連するんですが、二〇一八年五月に閣議決定された第三期海洋基本計画では、設定の進んでいない沖合について、海洋保護区の設定に各省連携して取り組むとされております。保護区の設定についていろいろな役所が利害関係があると思うんですが、そういう各省の立場は一体どうだったのか、この点について伺いたいと思います。

正田政府参考人 お答えいたします。

 まず、各国の海洋保護区の設定状況についてでございますが、例えば海洋保護区の設定割合が高いと御指摘のあった国々におきましては、百万平方キロメートル以上の大規模な海洋保護区の設定等も進められているところでございます。

 他方で、一部の国におきまして設定割合が低いということでございますが、その理由、背景につきましては、各国さまざまな理由があると考えてございますが、個別具体的な事情については承知はしてございません。

 ただ、いずれにいたしましても、愛知目標を踏まえまして、各国が海洋環境の保全に向けて現在努力をしているところと認識をしてございます。

 また、関係省庁との調整についてでございますが、一般に、海洋保護区の設定によりまして漁業や鉱業といった海洋の利用に一定の制約がかかるということから、第三期海洋基本計画におきましては、海域の生態系の特性や社会的、経済的、文化的要因を考慮して海洋保護区の設定を推進するとなっているところでございます。

 こうしたことから、漁業、鉱業をおのおの所管し振興を図る立場にある水産庁や資源エネルギー庁にも参画をいただきまして制度の検討を進めてまいりました。その結果、関係行政機関と協議をした上で海洋保護区の指定をすること、こういったことを通じまして、海洋の利用、開発と環境保全を統合的に推進していくとしたところでございます。

務台委員 事業官庁はどちらかというと慎重なのかなというふうに推測をするんですが、資源を保全する観点からも、ともに協力してこうした課題に対応する、とても大事なことだと思います。

 ところで、現在の海洋保護区の設定でございますが、それぞれ根拠法の異なる各区域をまとめて海洋保護区としている、それが制度の今の現状だと思います。すなわち、自然公園、自然環境保全地域、鳥獣保護区、天然記念物、保護水面、共同漁業権区域などがそれであり、これらは必ずしも生物多様性保全に寄与するものばかりではないという指摘もなされていると承知しております。

 これらを合わせて領海及び排他的経済水域の八・三%という試算が本当に妥当なのかという指摘もあると承知しておりますが、政府の認識をお伺いしたいと思います。

正田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、我が国におきましては、海洋の生物多様性の保全や生態系サービスの持続可能な利用に貢献するものとして、第一に、自然景観の保護等、第二に、自然環境又は生物の生息、生育場の保護等、第三に、水産生物の保護培養等を主目的とする区域を海洋保護区として位置づけているところでございます。

 これらは、生物多様性条約第七回締約国会議におけます海洋保護区の定義や、国際自然保護連合、IUCNによります保護地域カテゴリーのガイドラインに沿って整理をしてきたものでございます。

 その結果、御指摘の八・三%という数値を試算したものでございまして、この整理につきましては妥当であると考えております。

務台委員 国際的なガイドラインから照らしてはめ込めるんだという御説明、了解しますが、その上で、今後の取組として、こうした取組の取扱いを改めて、海洋保護区の設定、管理について、各制度ごとのばらばらな管理ではなく、一元的な管理にしていくということも制度論としてはあり得ると思うんですが、こうした点についての見解を伺わせてください。

正田政府参考人 お答えいたします。

 我が国の海洋保護区につきましては、先ほど御答弁申し上げましたように、主目的や規制の対象は異なるものの、生物の多様性に資する複数の制度に基づく区域が含まれているところでございます。

 このため、まずは各所管省庁がそれぞれの目的に応じて海洋保護区を責任を持って設定、管理することが所期の目的の達成には効果的と考えてございます。

 その上で、政府全体といたしまして海洋保護区における生物多様性の確保を進められるよう、第三期海洋基本計画において海洋保護区の適切な設定及び管理の質的充実の推進が位置づけられていることを踏まえ、関係省庁と相互に連携、調整を図りながら取り組んでまいります。

 また、今後見直し予定の生物多様性国家戦略におきましても、同様に各省間の連携について位置づけていく方向で検討して取り組んでまいりたいと考えております。

務台委員 各省間の連携で対応していきたい、現実問題としてそれしかないのかなというふうに思いますが、長期的な観点に立って、その統合のあり方についてもちょっと頭の片隅に置いて検討していく、こういうことも必要ではないかと思います。

 今回の法律改正で、沖合海底自然環境保全地域を指定し、科学的調査を除き、鉱物発掘、鉱物探査、海底動植物捕獲等について許可制、届出制を導入するとされております。近隣諸国による我が国の排他的経済水域での目に余る活動が連日のように報道されておりますが、これらの活動に対して今回の法改正がどのように機能するのか、伺いたいと思います。取締りの手法、ペナルティー、その実効性の担保、こういった観点から伺いたいと思います。

正田政府参考人 お答えいたします。

 そもそも、外国人による漁業や鉱業に係る活動は、既存の関係法令に基づき規制をされてございます。

 今般新たに設置をいたします沖合海底自然環境保全地域におきましても、外国船舶について、許可を受けずに又は届出を行わずに規制対象の鉱物の掘採や動植物の捕獲等の行為を行った場合等は、罰則や措置命令等の対象となります。

 こうした外国船舶による活動につきまして、既存制度の規制に加えまして、追加的に抑止効果が発揮できるように、生物多様性の観点からのこの保護区の指定と規制内容を、環境省のホームページやパンフレット、関係業界への説明等を通じ、国内外にしっかりと周知をしてまいります。

 また、沖合海底自然環境保全地域の管理や取締りにつきましては、今後関係省庁と緊密に連携をして推進していくことでその実効性を担保してまいりたいと考えております。

務台委員 追加的抑止効果がしっかり出るようにやっていただきたいと思います。

 ところで、この地域の指定により、新たな規制対象案件がどの程度ふえるものと見込んでいるのか、国の内外の事業体による手続がどのように的確に担保されるのか、伺いたいと思います。

 例えば、中国、韓国などが、鉱物掘削、鉱物探査、海底動植物捕獲等の許可、届出を適切に日本に出すとは何となく思えないんですが、こういうものはちゃんと期待できるものかどうか。船舶立入検査、中止命令といった権限が導入をされておりますが、この制度を的確に周知し、実効性のある取締りができるものか。現時点の対応能力と今後の体制についての考え方を伺いたいと思います。

正田政府参考人 お答えいたします。

 規制対象案件の数につきましては、現段階では確かなことは申し上げられませんが、沖合域における鉱物の掘採や探査、海底動植物の捕獲等を規制するということでございますので、陸域や沿岸域に比べると相当程度少ないものと予想されるものの、一定程度の規制対象案件が発生すると見込まれます。

 また、国内外の事業体による手続を的確に実施させるために、今後、申請書類等の作成の手引を作成し、関係省庁の協力も得て周知を図ってまいります。

 さらに、制度の周知に当たりましては、環境省のホームページやパンフレットの活用とあわせまして、国連環境計画の世界自然保全モニタリングセンターが管理をしてございます世界保護地域データベース等、環境省以外の組織が提供する媒体も積極的に活用して、国内外に広く周知をしてまいりたいと考えております。

 また、沖合海底自然環境保全地域の管理を的確に行うため、本年度から環境省本省の海洋生物多様性担当ポストの設置をしたことに加えまして、引き続き環境省において人員や体制の確保に努めることとするとともに、今後、関係省庁と緊密に連携して取り組んでいくことで実効性を担保してまいりたいと考えております。

務台委員 ありがとうございます。

 現行法では、禁止規定又は命令規定に違反した者に対する罰則としては懲役又は罰金が規定されております。今回の改正法では、外国船舶については懲役刑を外し、罰金額を引き上げるということにしております。それで果たして抑止効果があるのかと疑問に思うんですが、この点を伺いたいと思います。

 仮に懲役刑を外すのであれば、罰金刑をもっと上げて、ペナルティー効果を、抑止効果を高める、そういうことも必要ではないかと考えるが、いかがでしょうか。

正田政府参考人 お答えいたします。

 現行の自然環境保全法におきましては、例えば、自然環境保全地域内において中止命令違反を犯した者について、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処するとされておるところでございます。

 一方で、国連海洋法条約第二百三条の規定におきまして、海洋環境の汚染防止等に関する法令違反であって外国船舶によるものに対する罰則については、一定の場合を除くほか、金銭罰のみを科することができる旨の規定が置かれてございます。

 そのため、当該規定を踏まえまして、外国船舶における違反行為に対しては罰金刑のみを科すこととし、あわせて、罰金額は、抑止力を維持するため、例えば現行の百万に対して十倍の一千万とするなど、大幅に引き上げることとしたものでございます。この罰金の引上げ額につきましては、同様に国連海洋法条約の規定への対応を行った他法の例に倣ったものでございます。

 また、沖合海底自然環境保全地域の制度そのものや、実際に指定される地域とあわせまして、この罰則につきましても国内外に周知していくこととしており、抑止効果は十分あるものと考えております。

務台委員 この法律が施行された後の運用の実態を見て、仮に罰金額がこの程度では抑止効果がないということであれば、改めて考える機会を持ってもらいたい、そんなふうに思います。

 細かい点で恐縮ですが、法案に定める特定行為の中で、鉱物探査、海底動植物の捕獲、採取について、経産大臣、農水大臣の同意を得て定める方法と限定している規定について伺いたいと思います。

 同意というのは非常に厳しい縛りですよね。立法論としては協議でもいいのではないか、私はそのように感じて、党の部会でもその点申し上げました。同意という強い縛りをつけた理由を伺いたいと思います。もし関係省庁の同意が得られない場合に、環境省はどのように調整作業を行うのか、この点についても伺いたいと思います。環境省としての立場が、同意という手続を経ることで弱められているのではないか、そのように感じますので質問させていただきました。

正田政府参考人 お答えいたします。

 その前に、先ほど御答弁する中で、国連海洋法条約第二百三条と申し上げましたが、第二百三十条の誤りでございました。おわびして訂正させていただきます。

 ただいま御質問いただきました点でございますが、沖合海底保全地域において規制対象となります鉱物の探査や動植物の捕獲等につきましては、漁業や鉱業と密接な行為であることから、当該業を所管しております農林水産省や経済産業省の専門的知見を踏まえ、相互に連携協力して制度を運用する必要がございます。

 このため、特に丁寧に調整を行うことが必要であることから、規制対象となる行為の方法を環境大臣が定める際に、農林水産大臣や経済産業大臣の同意を得ることにより、関係省庁が一体となって、責任を持って沖合海底自然環境保全地域の保全に取り組む仕組みとしたものでございます。

 規制対象となる行為の具体的な方法につきましては、海底の自然環境への影響の有無という観点から整理する、こういう考え方は両省とも共有しているところでございまして、両省の同意を得て、必要な規制を講じることができると認識しているところでございます。

務台委員 今回の沖合海底自然環境保全地域の指定については、まず小笠原方面の沖合地域を想定していると伺っております。

 私は、中国の海洋進出を見るにつけ、南西諸島の沖合、これを優先すべきではないかというふうに思っております。

 原田大臣は、最近まで党において東シナ海資源開発に関する委員会の委員長をお務めでした。私はその下で事務局長を仰せつかっておりました。特にこの地域の課題について、原田大臣、問題意識をお持ちだと承知しておりますが、この点について、何で優先しないのか、その点の判断の妥当性を伺いたいと思います。

原田国務大臣 非常に大事な質問でありますし、また、委員のお考えもお聞きしたところでありますが、今回、法改正によるこの指定というのは、あくまでも沖合海底の自然環境の保全を目的としたものというふうになっておりまして、その他の目的で指定を行うことは適当でないと考えているところであります。

 実際に指定する地域については、これは小笠原地区でありますけれども、中央環境審議会におきまして出された答申の考え方を踏まえて、我が国の管轄権内水域の中で最も深い海溝や、最も高密度に海山が分布している小笠原方面の沖合域を当面優先して検討していく予定であります。

 その後も、沖合海底の自然環境の保全の観点から、必要に応じ検討を進めていくということになると考えております。

務台委員 原田大臣がそうおっしゃるのであれば、そうかなというふうに思います。

 冒頭引用申し上げましたS20の提言では、将来的に、海上風力発電、深海、海底資源の開発、北極海航路の開発を通じて、人類が海洋環境へ与える影響は増しているとも指摘しています。そうした観点に立つ科学者の科学的助言を踏まえ、これらの開発活動に対する海洋環境、海洋生態系へのストレス要因を削減していく活動が重要であると考えます。

 科学的知見を海洋政策、海洋環境政策にどう生かしていくか、お考えを伺いたいと思います。

勝俣大臣政務官 海洋保護区の指定に当たりましては、国際的にも、現在の科学的知見をもとに予防的な広がりを持って指定した上で、科学的知見の充実等を踏まえ、順応的な見直しを行うことが推奨されております。保護区の指定後も継続的に科学的知見を蓄積し、保護区の管理や見直しに活用していくことが重要であります。

 このため、自然環境保全法改正案では、関係行政機関や独立行政法人等に対し、科学的知見の提供等の協力を要請することができる規定を新設するほか、科学的調査に必要な予算を環境省でも確保するように努めてまいります。

 これらの取組を継続的に行いまして、得られた科学的知見を、沖合海底自然環境保全地域の指定や管理、さらには、委員御指摘のありました海洋生態系へのストレス軽減策への検討へ積極的に活用してまいりたいと思います。

務台委員 ただいまお話をいただきましたが、保全活動の範囲が広がり、指定範囲も広がると考えられますが、海洋保全関係の予算というのが本当に、資料でも出させていただきましたが、こんなに少ないのか、そういうレベルでございます。ぜひこれをふやしていっていただきたいと思います。

 愛知目標、生物多様性国家戦略二〇一二―二〇二〇、ともに二〇二〇年に終期を迎えます。今後、目標達成状況の評価や我が国の生物多様性状況の総合評価を行うとともに、次期国際目標と生物多様性国家戦略の策定が必要であると考えられますが、これからの取組姿勢を大臣に伺いたいと思います。

原田国務大臣 環境省としては、生物多様性の世界目標である愛知目標の達成年、二〇二〇年に向けて、沖合域への海洋保護区の設定等を通じ、取組を進めていく所存でございます。

 また、二〇二〇年に、来年でありますけれども、中国で開催される生物多様性条約第十五回会合、COP15では、現在の生物多様性の世界目標である愛知目標に続く新たな世界目標、ポスト二〇二〇目標が採択される予定でございます。

 我が国は、COP10議長国として愛知目標を取りまとめた経験を生かして、愛知目標のもとで進められている取組が更に発展して継続的に行われるよう、新たな目標の議論に積極的に貢献していきたい、こう考えております。

 加えて、ポスト二〇二〇目標の議論や、今年度から実施しております我が国の生物多様性総合評価の結果等を参考に、生物多様性国家戦略の改定に向けた検討もしっかりと進めていく所存でございます。

務台委員 今回の法改正が、総合的な生物多様性の確保、ひいては地球環境保全に向けて重要な一歩となるよう機能することを期待して、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

秋葉委員長 次に、長尾秀樹君。

長尾(秀)委員 立憲民主党・無所属フォーラムの長尾秀樹でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 自然環境保全法一部改正案ということでございますけれども、沖合域の生物多様性の保全の強化を図るために海洋保護区の設定を行うという法案の背景であります。

 そこで、関連すると思われますので、沖合域の生物多様性の保全という観点から、先日、沖縄県今帰仁村の沖合にて死骸で発見されたジュゴンについてお聞きをいたします。

 ジュゴンは、トキと同じ絶滅危惧種1A類、すなわち、ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いものであり、国の天然記念物であります。

 沖縄本島周辺ではこれまで三頭確認されておりましたが、その三頭のうち二頭は現在行方不明となっております。一頭は二〇一五年から、もう一頭は二〇一八年から。三頭目は最近まで生存が確認できていたのですが、先日死骸で発見されたという大変ショッキングな報道がございました。

 絶滅の危険性が極めて高いジュゴンが、なぜ行方不明になっているのか、なぜ死んだのか。死因についてはまだ調査中とのことであります。確かなことは、辺野古沖が死んだジュゴンの餌場となっていたということと、生息域が辺野古に土砂を運ぶ運搬船の航路と重なっていたということであります。

 このことから、ジュゴンの死は、辺野古沖の米軍基地建設の影響による疑いがあるとの指摘があります。

 防衛省としては、ジュゴンの死について、情報収集中であり、辺野古沖米軍基地工事の影響はないというふうにしておられますが、そこで防衛省にお聞きをいたします。

 情報収集中という点については、どのような情報を収集しているのでしょうか。また、どのような体制で調査をしているのでしょうか。そして、現在はどういう状況なんでしょうか。また、いつごろ一定の結論が得られるのでしょうか。お聞きをいたします。

三原政府参考人 お答え申し上げます。

 死亡が確認をされましたジュゴン、いわゆる個体Bでございますけれども、これにつきましては、これまでの確認状況を踏まえると、工事地域から遠く離れた、沖縄本島の西海岸にあります古宇利島沖を主な生息域としておったものと考えてございます。

 今後、今帰仁村が主体となって、関係者立会いのもと解剖が行われる予定と聞いておりまして、引き続き、今帰仁村などから情報を収集していく考えでございます。

 また、部外の専門家から成る環境監視等委員会の指導助言を得ながら、この個体Bのこれまでの確認状況、古宇利島の海草藻場の状況、土砂運搬船の航行状況等について整理するなど、今後、必要な検討を進めていく考えでございます。

 事業に当たっては、現在実施しておりますジュゴンの調査といたしまして、航空機、これはヘリコプターでございますけれども、ヘリによる生息確認、監視船による監視、それから水中録音装置による監視、それから嘉陽周辺海域における海草藻場の利用状況の調査、そういったことをやっておりまして、これらにつきまして、環境監視等委員会の指導助言を得ながら適切に実施しておるところでございます。

 これらの調査において、嘉陽沖が主な生息域であります個体Aにつきましては、先ほど先生からも触れられたところでございますけれども、昨年の九月十一日に嘉陽沖で確認をされて以降、確認されておりません。あるいは、これまで利用してきた海草藻場においても、十二月の調査以降、いわゆるはみ跡が確認をされておらない状況でございます。

 また、古宇利島沖から辺野古沖までの間を行き来するなど、広範囲で確認されていた個体Cについては、平成二十七年の六月二十四日に古宇利島沖で確認されて以降、確認をされておりません。

 これらの調査結果については、これまでも環境監視委員会に報告をいたしまして、その資料を公表してきたところでございます。

 今後実施する調査についても、適時適切に公表してまいりたいと考えております。

 以上です。

長尾(秀)委員 死因究明のためのジュゴンの解剖がこれから行われるということで、環境省も立ち会う予定であるということですが、これについて環境省にお聞きをいたします。

 立ち会うというのは、死因究明に関して環境省としてどういう役割なのか、お聞きをいたします。また、今回の死因究明に関し、解剖の立会い以外に、環境省として行うことについて教えていただきたいと思います。

正田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、現在、今帰仁村において冷凍保管されておりますジュゴンの死体につきましては、今後、解剖等が行われる予定でございますが、現時点では、日程等の詳細は決まっていないものと承知してございます。また、この解剖につきましては、今後、今帰仁村から研究機関等に協力を要請し、関係者立会いのもとで実施する予定と承知してございます。

 環境省といたしましては、関係機関の一つとしてこの解剖に立会いをしまして、死因を始めといたしまして、専門家の所見をまず直接把握してまいりたいと考えてございます。あわせまして、当該事項に関しまして、関係者から情報の収集を行っているところでございます。

長尾(秀)委員 だから、環境省としては、なぜ死んだのかというよりも、なぜ守れなかったのかという視点で死因を究明していただかなければならないというふうに思います。

 これまでも、環境省としては、沖縄本島周辺海域に生息するジュゴンの全般的な保全方策を検討してきていると承知をしておりますが、結果として、一頭、保護することができなかったということでありますので、これまでの保護策が十分であったのかということが検証されなければいけないと思います。

 防衛省は、工事の環境への影響があるかないか、そういう視点で調査をしておられるんでしょうが、環境省としては、それだけではだめなのではないかというふうに思います。保護区制定なども含めて、保護方策を見直すべきであるという観点で、環境大臣にお聞きをしたいと思います。

 今後、どのようにジュゴンを保護していくお考えでしょうか。また、予防的原則に基づき、新たな保全、保護対策を検討し、早急に施策を講じるべきと考えますが、御見解、御決意をお聞きいたします。

原田国務大臣 御指摘のように、我が国に生息するジュゴンは生息数が極めて少なくなっている、大変心配しているところでありますが、これまで相次いで発生した、漁網による死亡事故といいますか、漁網によって捕獲したときにはもう死んでいるということでありますので、その死亡を未然に防ぐということが一番重要であると認識しておるところであります。

 そのため、環境省としては、網にかかってしまったジュゴンを生きたまま救出するための漁業者向けの訓練や、漁業者を含む地域住民の皆さんの理解を得るための普及啓発活動等にも取り組んでいるところであります。

 現在行っている取組を引き続き進めていくと同時に、今後、必要に応じ取組内容についても検討をしたい、こう考えております。

長尾(秀)委員 環境省は、種の保存法を始めとして、今回、この自然環境保全法も所管をしております。それらの法の趣旨と理念に従って、早急に新たな保護対策を検討して講じることを強く要望しておきます。

 ジュゴンの質疑の最後に、行方不明の二頭についてお聞きをいたします。

 沖縄防衛局は、地域を分けて調査を行っていると聞いております。しかし、海はつながっております。この調査方法では見つからない可能性も高い、調査域を拡大すべきという指摘がなされていました。沖縄県も、防衛局に対して、環境影響評価の事後調査として範囲を拡大してジュゴンの生息を調査するよう求めておりましたが、防衛局の見解は、事後調査として行う性格のものではないということで、要望に応じてこられませんでした。

 しかし、三月二十八日に開催された環境監視等委員会で、委員から、辺野古への土砂運搬船との関連や、回遊状況の確認など工事との関係を調べるべきとの意見があり、今後三カ月間程度、範囲を広げて生息を調査する方針が示されたと報道をされました。

 また、三月二十五日の参議院予算委員会において、岩屋防衛大臣は、我が党の有田議員の質問に対して、見つかればしっかりと保護できるよう対応を考えたいと答弁をされました。

 曖昧な表現でありますので、改めてその内容について確認をしたいと思います。しっかり保護できるよう対応というのは、どのような対応策を想定しておられますか。考えるということは、検討し、必要な策を講じるということであると理解をいたしますが、それでよろしいですか。また、見つかればということですが、見つけるための方策について再度お聞きをいたします。

原田副大臣 お答えを申し上げます。

 先ほども御答弁させていただきましたように、普天間飛行場代替施設建設事業においては、事業の実施に伴いましてのジュゴンへの影響を回避、低減するため、監視船による事業実施区域へのジュゴンの接近を常時監視、警戒をいたしております。また、航空機、水中録音装置によってジュゴンの生息状況を確認、そして海草藻場のジュゴンのはみ跡調査をすることにより、利用状況を確認いたしておるところでございます。ジュゴンの餌場である海草藻場の生育範囲拡大への取組などの保全措置も行っておるところでございます。

 委員御指摘の岩屋大臣の発言につきましては、ジュゴン個体A及びCについて、引き続き、これらの保全措置を、部外の専門家から成る環境監視等委員会の指導助言も踏まえながら適切に行っていく旨を発言されたものと承知をいたしております。

 なお、ジュゴンにつきましては、環境省とも情報を共有しつつ、適切に対応してまいりたいと考えております。

長尾(秀)委員 今回のジュゴンの死について、安倍総理は残念だという一言で済ませておりますし、菅官房長官は、防衛省で情報収集をしている、工事が与えた影響を調べていると繰り返すだけであります。

 しかし、結果としてジュゴンが絶滅をするということになったら、日本という国がこの環境を破壊したということになってしまいますので、ぜひそういう認識を持って、国際的な批判を浴びることのないように、ジュゴンの絶滅を危惧する声は国際的に高まっておって、沖縄のジュゴンは国際的に保護が求められているという見地から、行方不明の原因とされるような工事の中止、行方不明の二頭に関して早急に調査、新たなるジュゴンの保護策を求めて、この点の質疑は終わります。

 続きまして、今回の自然環境保全法改正案の質疑に入りますが、その前に、今回のこの改正案では、沖合海底自然環境保全地域の指定及び管理等をするに当たっては、環境省は、関係行政機関と連携しなければならず、特定行為の手法を定める際には、経産大臣及び農水大臣の同意まで得なければならない。従来から指摘のある環境行政の縦割りの弊害が起きることのないよう、環境省として環境保全の手腕が期待されているというふうに考えております。

 そこで、法案の中身の質問の前に、類似の事例として、国立公園等の現状についてまずお聞きをしたいと思います。

 国立公園は環境省により管理をされておりますが、約六〇%は林野庁が所有する国有林であり、環境省が保有する土地はわずか〇・二%であります。また、国立公園等の森林のうち約五四%が保安林に指定され、森林法に基づき林野庁が所管をしております。

 国立・国定公園の風致又は景観の維持とその適正な利用のために利用調整地区を指定し、利用調整地区には環境大臣又は都道府県知事の認定又は許可を受けなければ立ち入ってはならないという利用調整地区制度が設けられております。

 林野庁は、保安林による水源の涵養、土砂の崩壊その他の災害の防備、生活環境の保全、形成といった、自然公園法とは異なった公益目的を有するため、両者の政策的矛盾などから、利用調整地区の指定が難航することがあるという指摘がございます。例えば、屋久島国立公園においては利用調整地区の指定には至っておりません。

 環境省として、利用調整地区を指定する予定が進められない公園があるのかどうか、具体的にお聞きをいたします。

正田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘ございました利用調整地区制度でございますが、これは、利用者による風致景観に及ぼす影響を回避するため、特別地域又は海域公園地区内において立入り人数等の調整を行う地区を指定するものでございます。現在、知床国立公園知床五湖地区及び吉野熊野国立公園西大台地区の二地区に指定をされてございます。

 この利用調整地区の導入に当たりましては、一般の立入りが調整されるため、土地の活用が相当に制限されることとなる、こういうことを踏まえまして、土地所有者等の財産権を尊重する観点から、原則として土地所有者等の同意を得ることとしておりますが、現在、国有林内で利用調整地区の指定が予定どおり進んでいないという事案はございません。

長尾(秀)委員 私としては、そういうふうに難航している要因は、林野庁の森林生態系保護地域という制度との関係だと思います。自然公園法の利用調整地区は、区域内への立入りを人数制限しながらも、原始の自然を体験できるよう活用する目的でありますけれども、林野庁の制度は、原則人手を加えず、自然の推移に委ねるものであると。どちらかというと、私は、森林の生態系保護を優先すべしと考えておりますけれども、いずれにしても、森林の適切な保全は自然公園法においても森林法においても法目的に沿うものであります。

 施業方法によっては、景観保護上、好ましくない場合が発生することが想定されるため、環境省及び林野庁その他における調整が必要となるということで、環境省としてもしっかり取り組んでいただきたいと思います。

 次に、もう一点、従来から国立公園の現場でも、管理をする自然保護官の少なさと予算不足が指摘をされております。しかも、自然保護官は許認可というデスクワークが主務となるため、米国やカナダのように現場の巡視、自然解説等、いわば現場の活動が制限をされているため、国立公園等の管理を十分に行う体制を見直すことも考慮しなければならないと思っております。

 自然保護行政を形骸化させないために、今後も省庁間の協議に基づく政策の連携を図ることを前提に、環境省が国立公園内の国有林を保有、管理すべきという意見もあります。さらには、米国のように、国立公園内の土地を管理者である環境省が一元的に所有することを検討するべきであるという提言もありますけれども、原田環境大臣の見解をお聞きいたします。

原田国務大臣 我が国の国立公園は、すぐれた自然の風景地を保護するため、自然公園法に基づき、土地の所有形態にかかわらず地域を指定し一定の行為規制を課す地域制公園制度を採用しているところでございます。

 御指摘のように、アメリカ、カナダ等は、政府の国立公園当局が全ての国立公園を土地から所有して管理する、そういう大々的な制度を採用しておりますけれども、我が国のやり方はそういう国とは多少違っているところであります。

 このため、民有地も含めて国土の五・八%という広大な面積を国立公園として指定、管理することが可能となり、さらには、自然と人の暮らし、文化と一体となった日本流の国立公園ならではの魅力を生み出しているところでございます。

 こうした日本流の制度の特性を生かして、国立公園の自然環境の保全と適正な利用がしっかりと図られるよう、環境省として必要な体制や予算の確保に努力し、かつ、関係機関や地方自治体、地域住民の皆様と連携協力してまいりたいな、こう思っております。

長尾(秀)委員 では、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。

 そこで、今回のこの自然環境保全法改正案について何点かお聞きをいたします。先ほどの務台委員の質疑とも重複する部分があるかと思いますが、お許しをいただきたいと思います。

 まずお聞きをしたいのは、特定行為の方法、規制に関する点であります。

 ただいま質問いたしました自然公園法関連だと、すぐれた環境の積極的利用を図るとされておりますが、自然環境保全法では、生態系の保護又は自然環境の適切な保全という意味合いが強いのだろうと思います。

 自然環境を保全しようとする際には、海洋の鉱物資源や水産資源の活用を推進しようとする省庁や業界の方々との間に理解、納得が得られないということが生じるということが考えられます。法律案では、自然環境保全地域における規制対象となる特定行為のうち、鉱物の探査及び海底の動植物の捕獲等に関する行為について、前者については経済産業大臣の同意、後者については農林水産大臣の同意を得て、それぞれ規制対象となる特定行為の方法を環境大臣が定めることとされております。

 沖合域の海底における人為活動が海洋の生態系にどのような影響を与えるかについて、漁業関係者、鉱物資源開発者及び有識者などを含めた幅広い関係者から資料の提出や説明を求め、慎重な判断を行った上で特定行為の方法を定める必要があると思います。

 そこで、経産大臣又は農水大臣の同意を求める趣旨についてでありますけれども、環境大臣が沖合海底自然環境保全地域における自然環境の保全に影響を及ぼすおそれがあるなど環境への影響が懸念される特定行為として定めるべき方法と判断したにもかかわらず、経産大臣又は農水大臣の同意が得られない場合、環境省としてどのような方針で調整をするのか、お答えください。

正田政府参考人 お答えいたします。

 沖合海底自然環境保全地域において規制対象となります鉱物の探査や動植物の捕獲等につきましては、漁業や鉱業と密接な行為でありますことから、当該業を所管しております農林水産省や経済産業省の専門的な知見を踏まえまして、連携協力をして制度を運用していく必要があるところでございます。

 このため、特に丁寧に調整を行うことが必要であることから、規制対象となる行為の方法を定めるに当たりまして、農林水産大臣、経産大臣の同意を得ることにいたしました。こうした仕組みをとることによりまして、関係省庁が一体となって、責任を持って同地域の保全に取り組む仕組みとしたものでございます。

 規制対象となる具体的な方法につきましては、さまざま議論してまいりましたが、その中で、海底の自然環境への影響の有無という観点から整理をしていくこと、こういう方針につきましては両省とも共有をしておるところでございまして、今後、両省の同意を得て、必要な規制を講じることができるものと考えております。

長尾(秀)委員 ぜひ環境省のリーダーシップを発揮していただくことを期待したいと思います。

 二点目にお聞きをしたいのは、沖合海底自然保全地域を指定する基準についてであります。

 平成二十八年四月、環境省は、科学的なデータ解析や専門家からの意見等に基づいて、我が国周辺海域の生物多様性を保全していく上で重要度が高い海域を重要海域として公表いたしました。

 本法律案第三十五条の二第一項は、沖合海底自然環境保全地域として指定することができる区域を、自然的社会的諸条件から見て自然環境を保全することが特に必要なものとすることとしております。自然的社会的諸条件から見てというのは、曖昧な表現だと思います。また、自然環境を保全することが特に必要なものであるか否かをどのように判断をするのか、環境省の見解をお聞きします。

正田政府参考人 お答えいたします。

 沖合海底自然環境保全地域につきましては、我が国周辺海域の生物多様性を保全していく上で重要度が高い海域として抽出、公表いたしました重要海域の情報を基礎といたしまして、自然的社会的諸条件を考慮して自然環境を保全することが特に必要なものを候補地に抽出し、指定する予定でございます。

 この自然的社会的諸条件につきまして具体的に申し上げますと、まず、自然的条件といたしましては、海山、熱水噴出域、海溝等の特徴的な海底地形、地質や、こうした自然の現象に依存する脆弱性や固有性の高い生態系の有無、また、社会的条件といたしましては、海洋基本計画におきましても、開発、利用の面も考慮しつつ保護区の設定に取り組むとされていることを踏まえまして、漁業等の操業状況でございますとか資源掘採の可能性等、こういったことを考慮いたしまして、同地域の指定を進めてまいりたいと考えているところでございます。

長尾(秀)委員 三点目に、これも曖昧な表現に思えるわけですが、第三十五条の四第五項にある、自然環境の保全に影響を及ぼすおそれがある行為についてであります。

 法律案では、沖合海底特別地区内で特定行為をする許可を受けるためには、特定行為に伴う海底の形質の変更が当該地区における自然環境の保全に支障を及ぼすおそれが少ないことが要件の一つとなっております。また、特定行為を政令で定める場合は、自然環境の保全に影響を及ぼすおそれがある行為であることが要件となっております。

 このように、環境への悪影響が具体的に生じていない、おそれがある段階における行為ということですので、いわゆる予防的アプローチで規制対象とするということになるんだと思います。生態系の実態に即した一定の合理性、信憑性のある科学的データに基づいておそれの有無を判断しなければ適正な規制とは言えないということで、関係者の理解を得ることが困難となることが想定をされます。

 環境省として、おそれがある段階における行為、いわゆる予防的アプローチをしっかりと貫くことができるかどうか、どのような場合であれば許可を得ることができるのか明確にしておくべきであるということですので、自然環境の保全に支障を及ぼすおそれがあるか否かの具体的な判断基準の考え方及びその公表の方法についてどのように考えているのか、お聞きをいたします。

正田政府参考人 お答えいたします。

 沖合海底自然環境保全地域において、保全計画で指定する沖合海底特別地区におきましては、特定行為に伴う海底の形質の変更が同地区における自然環境の保全に支障を及ぼすおそれが少ないものであること等を、申請者から提出される行為やその環境影響に係る情報も踏まえ、許可の可否を判断していくことを想定してございます。

 具体的に申し上げますと、行為を行う場所や方法の確認に加えまして、例えば、鉱物の掘採でございましたら、適切な環境状況の監視能力を有しているかどうか、海底動植物の採取等につきましては、他の場所では目的が達せられないこと、こういったことを想定してございます。こうした許可条件につきましては、環境省令において定める方針でございます。

長尾(秀)委員 それでは次に、ゾーニングのあり方についてお聞きします。

 近年の海外における大規模な海洋保護区では、生態系に応じたきめ細かな規制により環境の保全を図っております。

 例えば、オーストラリアのグレートバリアリーフ海中公園では、保護の必要性や利用形態により海域を七段階のゾーンに分け、それぞれのレベルに合わせた規制がされております。また、国際海底機構による、環境的に特に重要な海域などでは、資源利用等との調整を図るエリアから、鉱物や土砂の掘採、採取等を原則禁止するエリアまで、複数の規制段階を擁する区分けにより、海洋保護区の海域の指定、いわゆるゾーニングをしております。

 海域においては、海水の動きや生物の分布及び移動パターンなどが陸上と比べて複雑であります。海域独自の方法でゾーニングを行う必要があり、例えば、水とともに移動しやすい赤土や農薬、食害生物の大発生に備えるためには、広目のバッファーゾーン、緩衝地帯の設定が必要であるなどの指摘もあります。

 本法律案による沖合海底自然環境保全地域のゾーニングは、沖合海底特別地区及び沖合海底自然環境保全地域の区域のうち沖合海底特別地区に含まれない区域という二つのみであります。

 なぜ国際海底機構レベルのゾーニングにしなかったのでしょうか。生物多様性の保全と生態系サービスの持続的な利用との調整を図るため、生態系の実態に即した、より適切な、きめ細やかなゾーニングを今後検討していく必要があるのではないかと思いますが、この点についてお聞きをいたします。

正田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、現行法に基づく自然環境保全地域につきましては、特別地区と普通地区の二種類のゾーニングでございまして、おのおの許可制又は届出制による規制措置を講じているところでございます。

 本法律案におきましても、中央審議会による答申を踏まえまして、沖合海底自然環境保全地域のうち、攪乱による影響を受けやすい生態系が存在している、具体的には、海山、熱水噴出域、海溝等の周辺の区域を局所的に沖合海底特別地区として指定し、それ以外の区域との二種類に分けるゾーニングの制度としてございます。

 その上で、沖合海底特別地区については許可制により、それ以外の区域につきましては届出制により、申請者から出されます書類等、こういったものを踏まえながら、環境影響等を把握しながら保全を図ろうというものでございます。

 こうした二種類のゾーニングにより、沖合海底自然環境地域につきましても適切な管理を行っていくことができるものと考えております。

長尾(秀)委員 それでは五点目、海洋保護区の制度を推進するための組織のあり方についてお聞きをいたします。

 我が国においては、平成二十三年に策定をされた海洋生物多様性保全戦略におきまして、「海洋生態系の健全な構造と機能を支える生物多様性の保全および生態系サービスの持続可能な利用を目的として、利用形態を考慮し、法律又はその他の効果的な手法により管理される明確に特定された区域。」というふうに定義がされております。その上で、政府としてさまざまな区域を海洋保護区としております。

 しかし、各区域の指定目的は、自然公園ではすぐれた自然の風景地の保護、利用増進、自然海浜保全地区では自然状態の維持、将来にわたる海水浴や潮干狩り等に利用される海浜地等の保全、生息地等保護区では国内希少野生動物の保存、保護水面では水産動植物の保護培養、共同漁業権区域では漁業生産力の発展等など、各区域により異なっております。

 海洋保護区に該当する区域の設定及び管理の主体は、各区域の根拠法で区域ごとに定められております。

 海洋保護区制度により生物多様性の保全及び生態系サービスの持続的な利用を今後推進するためには、環境の保全等を任務とし、生物多様性等の分野に精通している環境省が中心となって、海洋保護区の制度の運用に特化した組織や、例えば、漁業、港湾、運輸、観光、防災、海洋エネルギー資源開発など、海洋保護区制度を推進するに当たって協力を求める必要のあるそれぞれの分野の関係者との連携を強化するためのネットワークの構築などが重要ではないかというふうに思います。

 今後、海洋保護区制度の推進のために新たな枠組み又は組織を検討する必要があるのではないかと思いますが、その点、環境省の見解をお聞きします。

城内副大臣 我が国の海洋保護区には、自然景観の保護等、自然環境又は生物の生息、生育場の保護等、水産生物の保護培養等など、主目的や規制の対象は異なるものの、生物の多様性に資する複数の制度に基づく区域が含まれております。

 このため、各所管省庁がそれぞれの制度の目的に応じまして海洋保護区を責任を持って設定、管理することが所期の目的の達成には効果的と考えられます。

 その上で、関係省庁が相互に連携、調整を図っていくことは大変重要でありまして、政府全体として海洋保護区における生物多様性の確保を進めることは、二〇一八年五月に閣議決定されました第三期海洋基本計画に位置づけられておりまして、その実施を関係省庁との連携のもとでともに進めてまいります。

 また、今後見直し予定の生物多様性国家戦略におきましても、同様の各省間の連携についてしっかりと位置づけていく方向で検討して取り組んでまいります。

長尾(秀)委員 それでは、六点目は、外国船舶による違法行為の阻止、罰則の妥当性についてお聞きをいたします。

 中国船によるサンゴ密漁問題を背景といたしまして、外国人漁業の規制に関する法律及び排他的経済水域における漁業等に関する主権的権利の行使等に関する法律が平成二十六年に改正をされました。

 その主な内容は、違法操業の罰金を、個人に対する罰金刑として最高額の三千万円以下と定めるとともに、違法操業の疑いがある外国漁船が立入検査を拒否した場合の罰則を新たに設け、三百万円以下の罰金とするものであります。

 こうした厳しい規制がなされているにもかかわらず、平成三十一年一月から二月にかけて、小笠原諸島近海の我が国の排他的経済水域内において中国漁船の活動が確認されるようになり、海上保安庁の停船命令を無視した船長が逮捕される事案が相次いで発生をいたしました。また、同年二月には、韓国が竹島の領海や接続水域において、我が国に無断で採泥など海底での調査活動を行っていたことが明らかになるなどの事案が発生をしております。

 本法律案では、外国船による違法行為に対し、国内事業者に対する罰金より高額な罰金刑を科すことにより、違法行為を未然に防ぐこととされておりますけれども、この点、十分な抑止効果が期待できるのかどうか、環境省の見解をお聞きいたします。

城内副大臣 現行の自然環境保全法では、例えば、自然環境保全地域内におきます中止命令違反を犯した者につきまして、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処することとされております。

 一方で、国連海洋法条約第二百三十条には、海洋環境の汚染防止等に関する法令違反であって外国船舶によるものに対する罰則について、一定の場合を除くほかは金銭罰のみを科することができる旨の規定が置かれております。

 そのため、当該規定を踏まえまして、外国船舶における違反行為に対しましては罰金刑のみを科すこととし、罰金額は、抑止力を維持するため、例えば現行の百万円に対して十倍の一千万円とするなど、大幅に引き上げることとしたものであります。この罰金の引上げ額につきましては、同様に国連海洋法条約の規定への対応を行った他法の例に倣ったものであります。

 また、沖合海底自然環境保全地域の制度そのものや、実際に指定される地域とあわせまして、罰則についても国内外に周知徹底していくこととしており、抑止効果は十分あるものと考えております。

長尾(秀)委員 それでは、七点目、沖合域における海洋保護区設定の際の近隣諸国等との調整、連携についてお聞きをいたします。

 海洋の連続性、海流の存在、大気からの汚染物質の流入、海洋生物の広域にわたる移動などを踏まえますと、海洋環境は、我が国のみで保全することは不可能であり、諸外国との連携及び協力の強化を図っていく必要があります。

 現在、中国は、東シナ海において一方的に資源開発を進めております。東シナ海を挟んで向かい合っている日中それぞれの領海基線の間の距離は四百海里、約七百四十キロ未満であるため、双方の二百海里までの排他的経済水域及び大陸棚が重なり合う部分については、日中間の合意により境界を画定する必要がありますけれども、国連海洋法条約及び国際判例に照らせば、このような水域において境界を画定するに当たっては、中間線をもとに境界を画定することが衡平な解決になるとされております。

 他方、中国側は、東シナ海における境界画定について、大陸棚の自然延長、大陸と島の対比など、東シナ海の特性を踏まえて行うべきであるとしております。中間線による境界画定は認められないとした上で、中国側が想定する具体的な境界線を示すことなく、大陸棚について沖縄トラフまで自然延長している旨主張をいたしております。

 環境省が抽出をしました重要海域の一つには、南西諸島と沖縄トラフの一部を含む海域もあり、今後、同海域を海洋保護区に指定することもあり得ると思います。また、米国のマリアナ海溝海洋ナショナルモニュメントは、我が国の排他的経済水域に接しております。

 そこで、こうした場合を含め、沖合域における海洋保護区の設定を推進するに当たり、近隣諸国等とどのように調整を行っていくのか。自然環境保全法において、海洋保護区の拡大に当たって、近隣諸国間での相互理解及び調整や連携が一層求められると考えます。これらの点について、環境大臣の見解をお聞きいたします。

原田国務大臣 沖合海底自然環境保全地域は、沖合域の自然環境の保全を図るために、我が国の管轄海域内において指定を行うものであります。

 一方、沖合域の生物多様性の保全について御審議いただいた中央環境審議会からの答申においては、「隣接する他国の海洋保護区との連携・協力を検討することが適当である。」こういうふうにも示されているところでございます。同答申で、優先的、先行的に保全を図る海域の一つとされている小笠原方面の沖合域付近には、米国の海洋保護区が設定されております。

 このような区域も含めて、連携協力について今後しっかりと検討しなければならない、こう考えております。

長尾(秀)委員 しっかりと連携協力ということでやっていただきたいと思います。

 質問は以上で終わりますけれども、愛知目標は二〇二〇年に対象期間を終えます。また、生物多様性国家戦略二〇一二―二〇二〇も、二〇二〇年に対象期間を終えます。今後、目標達成状況の最終評価や我が国の生物多様性の状況の総合評価を行うとともに、次期国際目標及び次期生物多様性国家戦略の策定に向けた検討が行われることとなると思います。

 政府は、沖合海底自然環境保全地域の指定により、海域の一〇%が保護地域などにより保全されるという愛知目標の達成につなげるというふうにしておられます。

 一方で、近年の海洋ごみ対策を始めとする海洋汚染の防止に向けた国際社会の動向などからすると、今後の国際的議論では、より大規模な海洋保護区の設定の要否が議論されることもあり得ると思います。

 そこで、ポスト愛知目標など、今後の国際的目標における海洋保護区のあり方についての国際的議論及び我が国の次期生物多様性国家戦略における海洋保護区の位置づけに関する具体的な方針を持って取り組んでいく必要があると思います。

 二〇二〇年までに海域の一〇%を海洋保護区に設定ということを達成するとしても、イギリスやアメリカなどと比べて設定状況は低い状態であります。小笠原方面の沖合域ばかりでなく、現時点でも、資源開発、利用の可能性が低いということのみならず、予防的アプローチも大切にして、日本にとって生物多様性の観点から重要度の高い海域を順次海洋保護区として今後とも拡大すべきであるというふうに考えております。

 このたびの自然環境保全法の改正は大変意義が深いというふうに考えております。環境省、政府に加えて、都道府県での自然環境保全法の理念、目的を推進するということが求められていると思います。省庁間ばかりでなく、さまざまな分野の方々からの理解を得ながら、環境省としてしっかりと取組を図っていただきたいということを要望させていただきまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

秋葉委員長 次に、堀越啓仁君。

堀越委員 立憲民主党・無所属フォーラムの堀越啓仁でございます。

 本日も質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。

 今回のこの自然環境保全法一部改正案における質問、自称自然系国会議員として取り組んでおります私としては、思いを込めて、しっかりと実のある質問をさせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。

 昨日、務台委員の方からも触れておりましたが、やはり新天皇即位に伴う元号、これが令和ということが発表されました。この出典はまさしく我が国最古の歌集である万葉集でありますけれども、この万葉集、もう皆さん御存じのように、四千五百余りの歌が集められているものになるわけですが、そのうちの三分の一が日本の植物を詠んだものになっております。

 そういった意味で、四千五百の歌の中の千五百がまさしくそれに該当するわけでございまして、はるか万葉の時代と同じく、この令和の時代も、美しい日本の四季折々の自然を心から愛して、そして寄り添うことができる、そうした時代になることを私も一国民として心から祈りたいというふうに思います。

 そして、質問に入らせていただきます。

 まず、総論部分に関してなんですが、COP14の成果について伺いたいと思います。

 COP14は、昨年の十一月、エジプトのシャルムエルシェイクにて、人間と地球のための生物多様性への投資を主題として開催をされました。国、事業者、国民などのさまざまな主体が生物多様性の保全と持続可能な利用の重要性を広く認識し、そしてそれぞれの行動に反映させること、いわゆる生物多様性の主流化や、二〇二〇年以降の新たな生物多様性の世界目標の検討プロセスなどが議論されておりました。

 特に、この生物多様性の主流化という概念は、二〇一〇年、愛知県名古屋で開催されたCOP10で採択された愛知目標にも盛り込まれていたものでありまして、本法案審議に通じる部分が非常に大きいと私は考えております。

 生物多様性の保全と持続可能な利用を、国、事業者、国民などが日常生活を含めさまざまな社会経済活動の中で取り組む、組み込むということ、これは、生物多様性に配慮した社会経済への転換を地球規模から身近な市民生活レベルにまで突き詰めていくことは、やはりこの生物多様性の保全に直結するものではないかと私は考えております。

 そこで、我が国からも城内環境副大臣が日本政府代表団体として、COP14、出席をされました。人類及び地球のための生物多様性への投資に関するシャルムエルシェイク宣言が採択されましたが、COP14の成果について、それに対する御見解と、今後、生物多様性の主流化、これは我が国においても推進していく必要が本当にある課題であると私も考えておりますので、その点についての意気込みをぜひお伺いしたいと思います。

城内副大臣 まず、堀越啓仁先生が、自然系国会議員、環境派国会議員として我が環境省の環境行政に大変御理解いただいていることに対しまして、深く感謝申し上げたいと思います。

 それでは、質問に答えさせていただきます。

 昨年十一月にエジプトで開催されました生物多様性条約第十四回締約国会議、いわゆるCOP14におきましては、御指摘のとおり、生物多様性の主流化に向けたさらなる努力の必要性を確認するとともに、二〇二〇年以降の新たな生物多様性の世界目標、いわゆるポスト二〇二〇目標の検討プロセスを決定したところでございます。私も閣僚級会合に出席いたしましたが、非常に有意義な会議であったというふうに認識しております。

 生物多様性の主流化を我が国で推進していく上では、私たちの暮らしが生物多様性の恵みにしっかりと支えられていることを十分に認識し、委員御指摘のとおり、生物多様性への配慮を社会経済的な仕組みの中に組み込んでいくことが重要であります。

 環境省といたしましては、民間事業者が生物多様性の問題に取り組む際の考え方を取りまとめましたガイドラインの活用などを通じまして、生物多様性の主流化を国内のみならず国際社会全般でより一層進めてまいりたいと考えております。

堀越委員 ありがとうございます。

 自然系国会議員にも、城内副大臣、触れていただきまして、ありがとうございます。

 そして、さきの臨時国会では、「いぶき」二号の件に関しましても御答弁いただきまして、本当にありがとうございました。

 先ほど副大臣おっしゃるように、やはり生物多様性の主流化というのは、現在、日本においてはまだまだ傍流化しているところであるというふうに思っておりますが、やはりSDGsが掲げている持続可能な開発目標に関してもこの点非常に重要でございますし、環境インフラという点においてもこれはやはり進めていく必要があるというふうに思いますので、ぜひ、環境省、環境行政、強いリーダーシップをとっていただいて進めていただければというふうにお願いを申し上げたいと思います。

 そして、次に、COP15に向けて伺いたいと思います。

 先述の愛知目標は来年の二〇二〇年に対象期間を終え、そして、中国においてCOP15の開催が決定されております。そこでは新たな生物多様性の世界目標が採択される予定でありますし、生物多様性条約において策定が義務づけられた我が国の生物多様性国家戦略二〇一二―二〇二〇も対象期間を終了するわけでございます。

 今後、政府においては、愛知目標の達成状況の最終評価、また、我が国における生物多様性の現状に係る総合評価を行うとともに、次期世界目標及び国家戦略策定に向けた検討が行われることと思います。

 私は、ここで、二〇二〇年以降のポスト愛知目標など、生物多様性の主流化を踏まえ、国際的議論に積極的に取り組むべきと考えております。

 そこで、我が国として、来年のCOP15で新たな生物多様性に関する世界目標の採択に向けた国際的な議論、そして次期生物多様性国家戦略に関する検討にどのような方針で取り組んでいくのか、環境省の見解を伺いたいと思います。

城内副大臣 お答えいたします。

 二〇二〇年に中国で開催されます生物多様性条約第十五回締約国会議、COP15でありますが、におきましては、先ほどお答え申しましたように、現在の生物多様性の世界目標である愛知目標に続く新たな世界目標、いわゆるポスト二〇二〇目標、これが採択される予定であります。

 我が国は、COP10議長国として愛知目標を取りまとめました経験を生かしまして、愛知目標のもとで進められている取組が更に発展して継続的に行われるよう、新たな目標の議論に積極的に貢献してまいります。

 例えば、COP14で決定したポスト二〇二〇目標の検討プロセスでは、国連の地域区分ごとにワークショップを開催することとされております。我が国は、世界で最初となるアジア太平洋地域のワークショップを一月に愛知県名古屋市で開催し、私も初日に、ホスト国でありますので、参加したところでございます。

 加えて、ポスト二〇二〇目標の議論や、今年度から実施する我が国の生物多様性総合評価の結果等を参考に、生物多様性国家戦略の改定に向けた検討もしっかりと進めていく所存であります。

堀越委員 ありがとうございます。

 城内副大臣におきましては、元外交官、そしてさらに外務副大臣を務められた前職を生かしていただいて、ぜひ交渉力を発揮していただければと思いますので、今後とも、国際会議に臨まれて、引き続きの御活躍をお願い申し上げます。

 続いて、今回の自然環境保全法の改正案は沖合域の海底における生態系の保全を図るものでありますが、やはり陸域の生態系保全も、当然のことながら非常に重要だと私は認識しております。

 森は海の恋人という言葉もあるとおり、海域の生態系は陸地の生態系の大きな影響下にあり、つながっているということであります。豊かな森がなければ豊かな海というものは全く育っていかない、そう言わざるを得ない状況であると思います。

 陸域においては、原生的な自然と都市との中間に位置し、人間の働きかけを通じて、多様な野生生物が暮らす良好な環境が形成、維持されてきました、それが里地里山であると思います。

 里地里山には多くの絶滅危惧種が生息し、また、食材や木材などの自然資源の供給、良好な景観、文化の伝承の観点からも重要な地域であると思います。

 環境省では、里地里山を重要な自然環境の一つであると位置づけて、生物多様性保全上重要な里地里山を五百カ所選定しております。

 この五百カ所選定されているうち、私の生まれ故郷であります群馬県甘楽郡秋畑那須という地域がございまして、ここに「ちぃじがき」という里があるんですが、これも非常にすぐれた里山でございます。

 そしてもう一点、私の今現在の選挙区でございますけれども、桐生の鳴神山にも、重要な里地里山の一つとして選定をされております。この鳴神山は、以前私も登ったことがあるんですが、レッドリストにも登載されているカッコソウという植物がございまして、日本全体でここにしか存在しない、そういった植物がある、非常に貴重な場所でございます。

 さきに挙げました秋畑那須の集落というのは、「ちぃじがき」と呼ばれる、小さい石を組み合わせた石垣で囲まれた段々畑が非常に美しい里山なんですが、もともとここではソバをたくさんつくられていたんですね。しかし、当然、時代の流れと、そして専業農家さんがどんどんどんどん少なくなっていって、里山の景観を保全するのが難しくなってきたということで、若い人たちや地域の皆さん協力をし合って、知恵を出し合って、今、現在、荒れた段々畑をよみがえらせてソバをつくっております。

 ぜひ、大臣、「ちぃじがき」、行っていただければと思いますので、そばはおいしいので、よろしくお願いします。

 そして、こうしたいわゆる自然の景観を守る里地里山のように、人の手が入っているからそれが守られる、そういう地域というものも当然多いということがここで挙げられるというふうに思います。

 自然環境保全法というものは、いわゆる人為の影響をほとんど受けていない自然環境の適正な保全を図る法律であります。しかし、先ほど「ちぃじがき」の例にも挙げさせていただいたように、人手が加わることによって環境が形成、維持されてきた、こうした里地里山というものもありますので、これを同法に組み合わせることによって、生物多様性をより一層保全することが私はできるというふうに思っております。

 そこで、里地里山における生態系の一層の保全を図るために、人の手が入ることで保たれる自然環境の保全を目的とした保護区を新たに創設する必要があるのではないかと考えておりますが、環境省の見解を伺いたいと思います。

勝俣大臣政務官 ありがとうございます。

 長い歴史の中で、さまざまな人間の働きかけを通じて形成され、多くの命を育む豊かな里地里山は、次世代に残すべき自然環境の一つであり、生態系サービスの持続的利用の観点からも重要であります。

 環境省では、平成二十七年に、国土全体の生物多様性を保全する上で重要な里地里山、先ほど委員御指摘のとおり、御地元の「ちぃじがき」の里を含む五百カ所を重要里地里山として選定をし、里地里山の重要性を全国に発信するとともに、特徴的な取組事例の紹介などを進めているところでございます。

 また、地域における多様な主体の連携を促進するための法制度、地域連携促進法により、主に里地里山保全活動の関係者間の連携協力のあっせんなどの体制を構築しているところでございます。

 さらに、地域の自然資本である森、里、川、海の適正な管理と活用に係る実証事業や、地域における活動経費の一部を交付する生物多様性保全推進支援事業等を通じて地域における取組を支援しているところでもございます。

 環境省としましては、里地里山の生物多様性の保全には、人為の影響を排除することより、各地域の特性に応じてさまざまな人間活動の働きかけが適切に行われるようにすることが重要であると考えており、引き続き、地域における多様な主体のネットワークづくりなどの取組を推進してまいりたいと考えております。

堀越委員 ありがとうございます。

 ぜひこれは、人の手が入ることによって自然環境の保全が果たせる、そうした地域というのは確実にございますので、更に進めていただければと思います。

 そして、私は、人の手が入ることによって守られる自然環境というものは、先ほどお話しさせていただいた、いわゆる生物多様性の主流化、持続可能な利用というのを官民ともに進めていくという、社会経済活動に落とし込んでいくという、まさしく生物多様性の保全であるというふうに思いますので、ぜひここはしっかりと進めていただければと思います。

 それでは、今回の細かな各論的な質問に入りたいと思います。

 まず、沖合海底自然環境保全地域の指定についてお尋ねします。

 本改正案で、沖合域における海洋保護区の制度として沖合海底自然環境保全地域制度をつくり、これによって、今後は沖合域における海洋保護区の指定の推進のための基盤が構築されると存じております。そして、中央環境審議会の答申によると、小笠原方面、やはり多い、有望である、選択肢とされていると承知しています。

 さきの愛知目標、個別目標十一では、海域の一〇%を保護地域等により保全することが盛り込まれております。政府は、小笠原方面の沖合域に沖合海底自然環境保全地域の指定をすることで我が国の目標は達成できる見通しとしておりますが、しかし、これで海洋保護区について目的が達成されて終わりとなっては当然なりません。今後、海洋保護区をより一層拡大、充実させることが私は重要だと思っております。

 そこで、小笠原方面の沖合域のほか、今後、沖合海底自然環境保全地域として指定することを考えている区域があるのか、環境省に伺いたいと思います。

正田政府参考人 お答えいたします。

 沖合海底自然環境保全地域の指定につきましては、今回の制度につきまして御議論いただきました中央審議会の答申におきまして、我が国の管轄権内水域の中で最も深い海溝や、最も高密度に海山が分布していることでございますとか、脆弱な生態系タイプが多様に存在していることでございますとか、こういったことを背景にいたしまして、小笠原方面の沖合域が有望な選択肢、こういった御提言をいただいたところでございまして、まずはこの御提言を踏まえまして、当面優先して同地域についての指定を検討してまいりたいと考えてございます。

 その他の沖合域につきましては、指定の前提となります自然環境の状況でございますとか、科学的知見の充実でございますとか、海洋資源の利用等、こうした自然的社会的諸条件に係る情報収集を引き続き行いまして、沖合海底自然環境保全地域の指定等に関する必要性の検討や調整を進めてまいりたいと考えております。

堀越委員 ありがとうございます。

 まさしく、その調査が本当に重要であるというふうに思います。

 小笠原方面の沖合域、本当に貴重な海底環境あるいは海底資源が存在していると私も承知しております。ぜひここはしっかり守っていただきたいともちろん思いますが、やはり、ほかの貴重な海洋保護区をより一層拡大、充実させていくことが何よりも重要でありまして、それは、ある意味では新しい時代の重要な資源になる可能性を秘めている海底資源、そういったものを我が国としてしっかり守っていくことにもつながるというふうに思っております。そのためには、先ほどもお話しさせていただきましたが、やはり調査が必要であるということ。

 ここで、ちょっと質問の順番を変えさせていただきまして、自然環境保全基礎調査について伺いたいと思います。

 どの区域における自然環境を保全していくことが特に必要か判断するためには、地形や地質、生態系などに関する十分な情報、データがあるということが大前提でございます。沖合域の生態系の実態を十分に把握しないまま沖合海底自然環境保全地域を指定することは当然不可能ですし、仮に十分な科学的情報に基づいて指定したとしても、生態系保護のために十分な実効性のある海洋保護区とはなり得ません。

 国は、本法の第四条に基づいて、おおむね五年ごとにこの自然環境保全基礎調査を行っております。この基礎調査、確かに行われてはいるんですが、海域に関しては、沿岸域の調査は行われておりますが、その一方で、沖合域の調査というのは進んでいない状況にあると私は考えております。

 沖合域における基礎調査というのは、やはり船舶等で海洋の調査を行わなければいけないというわけですので、必要な数の船舶を直ちに確保して調査を行うということは、予算的にも、さらに人員的にも非常に困難であることは私も承知をしています。

 そこで、現実的かつ実効的な方法として私が考えているのは、やはり、海洋の調査を行っている関係機関や船舶を所有する行政機関、例えば水産庁や国土交通省等に環境省から調査を委託するなど、ほかの機関との連携というのが非常に私は重要であるというふうに思っております。

 今後、どのようにして沖合域における充実した基礎調査、つまり科学的な調査を行っていくのか、環境省における具体的な方針を伺いたいと思います。

正田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘ございましたように、自然環境保全基礎調査につきましては、陸域や沿岸域、これを対象といたしまして生物多様性の状況の把握を進めていたものでございます。こういった地域に比べまして、沖合海底の生物多様性に関する情報は限られているところでございます。

 これまで、環境省におきましては、今回の制度の提案の前提となりますさまざまな科学的情報の収集や多数の専門家の意見の聴取を行いまして、生物多様性条約の、生態学的、生物学的に重要な海域の基準を基本といたしまして重要海域の抽出を行ってきたところでございます。

 沖合自然環境保全地域におきましては、これまでこのような形で蓄積してまいりました情報を踏まえまして、予防的広がりを持って指定を行いますが、引き続き、科学的知見を蓄積し、今後の同地域の管理や見直しに活用していくことが重要と認識してございます。

 このため、今回御審議いただいております自然環境法の改正案におきましては、関係行政機関や独立行政法人等に対し、科学的知見の提供等の協力を要請することができる規定を新設いたしました。これに加えまして、第三十五条の八でございますが、科学的知見の充実が国の責務とされていることを踏まえまして、自然環境保全基礎調査の拡充を含めて、調査に必要な予算を環境省でも確保するように努めてまいりたいと考えております。

堀越委員 ありがとうございます。

 正田局長の深海にかける熱意、本当に私、信じておりますので、よろしくお願いします。

 先ほど述べましたとおり、基礎調査、とにかくやはり大事だと思います。自然公園法またその他の自然環境の保全を目的とする法律、相まって自然環境を守っていこうとするものがこの自然環境保全法だと思います。

 この自然環境保全法の柱となっているのは、やはり、基礎調査があり、そして基本方針を策定し、そしてさらに、そこを指定する、保全していく、これが大きな三つの柱だと思っています。その中でやはり一番太い柱がこの調査だと私は思っていますので、この調査にしっかり予算を獲得していくこと、これが非常に重要でございますし、人員も配置していかなければいけないというふうに思います。

 そして、その人員についての質問に、次、移りたいと思います。

 沖合海底自然環境保全地域に指定した区域における保全措置について伺いますが、指定した後、同区域を実効的に保全するためには、継続した巡視及び厳格な取締りが求められると思います。

 しかし、残念ながら、環境省は、巡視、取締りに使用できる船舶を所有していないと思います。そのため、実際には海上保安庁などと協力をして巡視活動などを行っていくことになると思います。

 ただ、海上保安庁の船舶や人員も当然限られており、巡視などの範囲が広大になることが想定される沖合海底自然環境保全地域を十分に管理していくことは容易ではありません。沖合の海洋にも、私は、専門的な環境省のレンジャー、つまり自然系職員が必要だと考えております。

 そこで、今後、沖合海底自然環境保全地域の実効的な保全措置をどのような組織体制で行っていくのか、原田環境大臣の御見解を伺いたいと思います。

原田国務大臣 御指摘のように、専門的なレンジャー組織等までいくのが本当に大事だなとは一方で思いつつ、現在の沖合海底自然環境保全地域の管理や取締りは、関係省庁と十分緊密に連携して推進していくことでまずはその実効性を担保したい、これが大事ではないかと思っております。

 環境省の組織体制の中では、今月一日付で環境本省の海洋生物多様性担当ポストの設置をしたところであります。

 法の運用に当たっては、関係省庁との連携をより密接に行い、必要に応じ、適切な体制の確保に努めてまいりたい、こういうふうに考えております。

堀越委員 ありがとうございます。

 私は、やはり環境行政、環境省がもっと力を持っていただきたい。その思いを込めて、これは現実的に、今すぐというのはやはり当然難しいと思います、ただでさえ陸地においても自然系職員が少ないわけですし、広大なエリアを本当に一人や二人ぐらいで回っておられるレンジャーの皆さんの状況を鑑みれば、やはり厳しい部分は当然あると思いますが、やはり中長期的に見てみて、海で活躍していただく、特に我が国は海洋がほとんどですから、この海洋をしっかり守っていくレンジャーを創設していくというところも視野に入れながら、ぜひ関係省庁と連携をとりながらこの海の保全というのをしっかりと行っていただければというふうに、私の思いを述べさせていただきたいと思います。

 時間的に最後の質問になると思いますが、今回の改正案では、沖合の海底の生態系に着目した保護区を創設するということになりますが、沖合の表層や海中には、例えばウミガメなどの希少な動物が生息しております。

 現在行われている漁業資源管理や種レベルでの保存管理などは、回遊する漁業対象種などの保全のための取組であり、自然環境の保全を目的とするものではありません。また、例えば、いわゆる種の保存法では、保護の対象となる国内希少野生動植物種のうち、魚類では、現在、淡水魚しか指定されておりません。

 今後、沖合における生物多様性を保全していくためには、回遊する生物の生息域にも着目した保護区も必要かと考えております。

 そこで、海底だけではなく、表層や水中の生態系も保護の対象とする海洋保護区を設定する必要性について、環境省の見解を伺いたいと思います。

正田政府参考人 お答えいたします。

 沖合域の生物多様性の保全につきましては、中央環境審議会答申におきまして、「直接的な人為活動による、特有の海底を中心とした生態系に対する影響を軽減又は回避するためには、海洋保護区の設定が有効な手段となりうる。」とされたところでございます。これを踏まえまして、今回の改正法案におきましては、沖合海底自然環境保全地域制度を創設し、海底の地形に依存する生態系等を保全するため、海底を攪乱するおそれのある行為を許可等の対象としたところでございます。

 他方、同じく答申におきまして、回遊する漁業対象種や海生哺乳類等の保全については、関係する省庁が協力して漁業資源管理の取組や種レベルでの保全管理等を中心に行っており、今後も引き続きその保全に取り組むことが適当であるとされたところでございまして、現時点におきまして、沖合域における表層、中層を対象とした海洋保護区の制度の導入の必要性は高くないものと考えてございます。

 このため、引き続き水産庁等と連携いたしまして、沖合域の表層、中層における生物多様性の保全に取り組んでまいりたいと考えております。

堀越委員 ありがとうございます。

 私はこれは必要だと思っておりますので、また当然、調査等々進めていきながら、危険性があるものに関してはしっかりと保全をしていくというふうに進めていただきたいと思います。

 この自然環境保全法を一部改正する法律案、今回は海底にスポットを当ててそれを守っていく、これは私は非常に重要だと思っております。海底には未知の、これから新しい時代を私たちが担っていくために重要なものが資源としても存在しているということは承知しております。これをしっかり守っていくということは重要であると思いますが、やはり海の豊かさというものと陸地の豊かさを循環の中に位置づけていただいて、同時にやはり豊かな山あるいは川をしっかり守っていくんだということを、この環境行政の中で、自然環境保全法の中で盛り込んでいただけると、私は更に実効性が増すのじゃないかなというふうに思っております。

 当然、そうした海の保全を守っていくということ、環境保全を守っていくことは、豊かな一次産業を生み出すということにもつながるわけでございますので、そうした意味でもこの新しい仕組みを意識することが私は重要であるというふうに思っているということを述べさせていただきまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

秋葉委員長 次に、小宮山泰子君。

小宮山委員 国民民主党の小宮山泰子でございます。

 本日は、自然環境保全法の一部を改正する法律案の質疑をさせていただきます。

 まず、その前にでございますけれども、昨日、元号令和が発表されました。新しい時代を迎えることになり、希望とまた文化等が融和する、そんな新しい時代が迎えられればというふうに考えております。

 さて、一番最初でございますけれども、東京福祉大学と副大臣の関係についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 冒頭、今般、外国人留学生が三年間で千四百人所在不明となっているなど報道されております東京福祉大学に関して、あきもと司副大臣に確認をさせていただきたいと思います。

 副大臣は、同大学において理事、客員教授を務められた旨報道があり、また、同大学のホームページなどにも顧問として写真、挨拶文などが記載されておりました。ホームページ上の記載では現在では表示がなくなっているようであります。

 東京福祉大学との御関係について、肩書、現在も理事そのほかの役職が続いているのか、退任をしているのならば、いつまで務めていらっしゃったのか、報酬等の有無はどうであったのか、政治献金などの状況がどうであったのか、御説明をお願いいたします。

あきもと副大臣 お答えいたします。

 基本的に所管外のことでございますので、環境副大臣としてこれをお答えするのはいかがかと思いますけれども、せっかく先生からの御質問でございますから、私のプライベートのことでございますけれども、幾分お答えをさせていただきたいと思います。

 まず、私が理事に就任をしましたのは、二〇一四年の四月に、この学校法人の茶屋四郎次郎記念学園の理事に就任をいたしました。しかし、二〇一七年の八月に国交副大臣に拝命いただきましたので、もう理事としての職務を執行せず、休止をさせていただきましたから、学園の運営等には関与しておりません、以後は。

 そしてまた今現在においては、三月をもってこの理事を辞任させていただいておりますので、御確認をいただきたいと思います。

 また、あわせて、理事報酬の件でございますけれども、これにつきましても、副大臣在任中は理事報酬は辞退をさせていただいておりますので、一切いただいていないということであります。

 また、学園等からの政治献金につきましては、一切ございません。

小宮山委員 学園自体からはないかもしれないけれども、理事長なりとかはあったというような報道も確認はしておりますが、政治資金規正法に関して適切に処理されているというような記事も見受けられました。

 さて、あわせて、今回ですけれども、これから外国の方々が日本にさまざまな形で就職をされる、そういった時代に入ってきたんだと思います。もちろん観光に関しても入ることもあり得るかと思いますし、関係するところにあるんだと思います。

 留学生所在不明問題が報じられる中、この四月一日から、外国人労働者の方が新たに入ってこられるという状況が現実になっております。閣内でもいらっしゃいますので、この点に関しましてどんなふうにお考えになっていらっしゃるか、副大臣のお考えをお聞かせください。関与していたところでもありますので。関与していらっしゃった大学から多くの方が失踪されております。現状どうなっているのか、それは恐らく理事をされていた時代にも失踪されていらっしゃったと思いますので、この点、どうお感じになっていらっしゃるのか、お聞かせください。

あきもと副大臣 今御質問の、四月一日から外国人の労働者の皆さんが新たな特定技能の資格で日本にいらっしゃるということは、法律に基づいてしっかりと執行してもらって、日本人、日本もまた必要とする労働不足を補う、そしてまた、あわせて、外国人の皆さんも、日本に来ていただいて、それなりの技術を習得していただきながら、日本での幸せな生活を送っていただきたいという思いであります。

 そして、今御質問いただきました大学等の件につきましては、先ほど申し上げましたように、全く私は運営状況を存じ上げませんということを申し上げましたとおりでございまして、今、一連の話として、報道等で知っている限りでございますけれども、今、文科省自身が実地調査を行っているなどの報道もございますので、まず、その調査結果を踏まえて、大学の管理等に問題があれば文部科学省自身がしっかりと改善指導を行って、そして大学は適切に対応していかなくちゃいけないんだろうというふうに思います。

小宮山委員 ありがとうございます。

 ぜひ、これから、失踪された方々がどういった経路を経るか、特にこの福祉関係では女性が多いということで、やはり大変厳しい状況に置かれることもあり得るかと思います。内閣として、これはしっかりと、失踪した技能実習生、また、こういった留学生のことも対応していただくように、その責任、ぜひ全うしていただければと思います。

 さて、法案の方に移らせていただきます。

 こちらの方ですけれども、本法案は、世界有数の広大な管轄海域を有する海洋国家として、海洋環境の保全が国際的な潮流となって、沖合海底自然環境保全地域を指定し、生物多様性の確保の一層の推進を目指すものであると認識しております。

 そこで、特定行為の許可申請及び届出を行う者について伺います。

 外国の者、企業、団体、個人など、申請についてどのように扱うこととなるのか、確認しておきたいと思います。

 また、反社会的勢力などの除外について、あわせて、違反行為者、その関係者、別法人を設立しての申請などについてどのように対応することとなっているのか、業法などで担保されている旨伺っておりますけれども、確認のため御説明をお願いいたします。

正田政府参考人 お答えいたします。

 沖合海底自然環境保全地域におきましては、外国の者も規制対象となることから、外国の者も許可申請や届出が可能となります。

 また、御指摘ございました反社会的勢力の除外につきましては、自然環境保全法におきましては、業規制ではなく行為規制を行う性質の法律であることから、特段の規定は置いてございません。

 一方、沖合海底自然環境保全地域におきまして特定行為を適法に行うためには、鉱業法でございますとか漁業法等の業法に基づく許可を得ることが前提であり、当該業法においては、適格条項等により、反社会的勢力が排除されることとなってございます。そのため、反社会的勢力が適法に特定行為を行うことはできないところでございます。

小宮山委員 業法の方でしっかりと担保されているということで確認させていただきました。

 法三十五条の三第二項では、沖合海底自然環境保全地域に関する保全計画には、沖合海底特別地区の指定に関する事項も定めているものとされます。

 また、法第三十五条の四では、沖合海底特別地区の指定について、「することができる。」との表現となっており、必ずしも指定が必須とはなっていないようであります。

 沖合海底自然環境保全地域に関する保全計画の決定に際して、特別地域を指定しないことも妨げないこととなるのか否か、お聞かせください。

正田政府参考人 お答えいたします。

 まず、制度上から申し上げますと、沖合海底特別地区を指定しない形で保全計画を決定することも、妨げられるものではございません。

 今後、沖合海底自然環境保全地域の指定を検討するためには、攪乱による影響を受けやすく、特定の行為を原則禁止する沖合海底特別地区と、その周辺で届出により環境影響を把握する地区との二段階のエリアを設定し、保全を図ることが必要な地域を抽出し、指定していくことが重要であると考えております。

 保全計画の決定に当たりましても、原則として沖合海底特別地区を含む形となるよう調整してまいりたいと考えております。

小宮山委員 ありがとうございます。

 かなりの海底となりますので、さまざまなものが堆積していたり、あるということが海底の方はあり得るかと思います。

 そういったときに、鉱物の定義となりますけれども、金属質のものもあるかもしれません。海底に堆積したごみ、地上ではごみかもしれませんけれども、鉱物というものには含まれるのか、確認をさせてください。

正田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘ございました鉱物につきましては、鉱業法第三条において規定されるものを指してございまして、海底に堆積したごみは鉱物には含まれません。

小宮山委員 ありがとうございます。

 自然環境の保全に影響を及ぼすおそれの行為ということについて質問を続けさせていただきます。

 ごみの除去とか、また汚染物質の除去のような行為は、自然環境保全に好影響を及ぼすこともあり得ると考えますけれども、これらは特定行為から除外されることか否か、この点の見解もお聞かせください。

正田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のございました、ごみの除去でございますとか汚染物質の除去のような行為は、沖合域において一般的に実施が見込まれる行為ではないため、本改正案における特定行為としておりません。

小宮山委員 ありがとうございます。

 海底というものは、さまざま、まだわからない点がたくさんあるからこそ今回の法案の意義もあるかと思いますけれども、それでは、さまざま、海底と、また海洋水の活用が各地で進んでおります。

 海洋深層水は、二百メートル以上の深い海域から取水されている、ミネラル分が多い、また、二度程度、日本海側が低温であることも特徴であります。富山県、高知県、静岡県などで海洋深層水を取水しての事業への取組が行われているほか、米国ハワイにおいても日本企業による取水が行われております。

 海洋深層水の取水は特定行為に含まれるのでしょうか。

正田政府参考人 お答えいたします。

 海洋深層水の取水につきましては、海底の形質を変更することが見込まれないため、特定行為には含んでおりません。

小宮山委員 この質問をさせていただいているのは、北海道等でもそうですが、表層の水温等が変わりますと、地下にある生物の発育が変わる、それによって不漁になってしまっているという、今現在起こっていることでもございます。また、エルニーニョなどが起こると、その地下の様子は変わるというふうにも言われております。

 途中の取水をすることによって、地下への影響があるのかないのか。現在はそれは認められないということで特定行為ではないかもしれませんけれども、やはりこういったところの研究も必要ではないかというふうに考えますので、この点は指摘をさせていただきます。

 昨年成立の海洋再生可能エネルギー発電施設整備促進区域では、指定区域内の水深五十メートル未満の区域では着床型などの発電設備の建設が想定され、水深五十メートル以上の区域では浮体型の設備による発電が想定されました。浮体型であれば、水深の更に深いところであっても発電設備の設置を行える可能性があります。

 海底の環境保全を図りつつ、海上では発電を行うことも可能ではないのか。沖合海底自然環境保全地域と海洋再生可能エネルギー発電施設整備促進区域が同時に指定されることは妨げられないか否か、この点の御見解をお聞かせください。

正田政府参考人 お答えいたします。

 浮体式洋上風力発電に伴う海底へのアンカー等の設置につきましては、沖合海底自然環境保全地域における規制対象行為でございます特定行為には含まれておりません。したがって、沖合海底自然環境保全地域と海洋再生可能エネルギー発電施設整備促進区域が同じ海域に指定される可能性は排除されないと考えております。

 しかしながら、現在のところ、沖合海底自然環境保全地域を指定する水深二百メーターを超えます海域におきましては、さまざまな課題がありまして、浮体式洋上風力発電は計画はされておりません。

小宮山委員 現在の技術では確かに予定はされていないかと思いますが、将来的に技術革新等が起きたときには、当然、温度差等さまざまなエネルギーの発電量というのは見込むことも可能かと思います。推測もできます。この点に関しましても、ぜひ注視をしていただければと思っております。

 これは省庁がまたがってしまいますので、なかなか連絡調整も難しい部分はあるかと思います。この点も、環境省として、やはり環境保全を中心にするという意味において、重点を置いていただければと思います。

 さて、法第三十五条の六第一項に関して質問させていただきます。

 沖合海底自然環境保全地域に係る報告及び検査等についてです。

 立入検査の対象場所についてお伺いいたします。

 立入検査等を行うことができる必要な場所の範囲はどのように解されるのか。会社、団体、事業者などの建物、倉庫、役職員の自宅、所有車両なども対象に含まれるのか否か。外国船舶、外国事業者による特定行為などについて立入検査を行おうとする場合に、日本国内以外の事業所の建物、倉庫、役職員の自宅、所有車両、船舶なども対象とすることができるのか、お伺いいたします。

正田政府参考人 お答えいたします。

 沖合海底自然環境保全地域におけます立入検査や立入調査につきましては、海上において船舶に対して行うのが基本でございますが、必要に応じ、会社、団体、事業者などの建物、倉庫、役職員の自宅、所有する車両なども対象に含まれ得ることになります。

 一方、御指摘ございました外国領土にある事業所の建物等につきましては、我が国の法令の規定が及ばず、立入検査を行うことはできないため、外国船舶、外国事業者による特定行為につきましては、現場での対応が重要となるところでございます。

 このため、沖合海底自然環境保全地域の管理や取締りに当たりましては、今後、関係省庁と緊密に連携して推進をしていくことで実効性を担保したいと考えております。

小宮山委員 そうなんですよね。現場でしか対応ができないのが外国籍の対応ということになってしまいます。

 それでは、立入検査等は「その職員」にさせることができるとされておりますけれども、「その職員」の意味するところは何なのでしょうか。環境省の職員とも、船舶の船長そのほかの特定行為に関係があると認められる者の職員とも読めるけれども、この点、具体的実効性をとられるとおっしゃいました意味を御説明ください。

正田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘ございました条文におけます「その職員」の「その」は環境大臣を指すものでございますので、「その職員」につきましては、環境省の職員を指すものでございます。

小宮山委員 また後ほど聞かせていただきたいと思います。

 法第三十五条の九でありますけれども、関係行政機関の長等として、国の行政機関、地方公共団体、独立行政法人、国立研究開発法人海洋研究開発機構、JOGMECなどの長に加えて、海洋環境に明るい専門家など公的機関以外の人材や組織もこの目的を達成するために必要な協力を求められると想定されるということか、御見解を聞かせていただきます。

 あわせて、関係行政機関の長等は、協力要請に応じないという判断を行うことも妨げません。特段の罰則なども設けられていないこととなるのか、この点もお聞かせください。

正田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、協力要請の対象といたしましては、国の行政機関、地方公共団体に加えまして、国立研究開発法人海洋研究開発機構、JAMSTEC、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構、JOGMEC等の独立行政法人の長や、海洋環境に関する学識経験者等も想定をしております。

 これらの関係者に対し資料の提供や意見の開陳等の協力を求めていくことで、我が国が有する科学的知見を総動員して、沖合海底自然環境保全地域の自然環境の保全を進めてまいりたいと考えてございます。

 また、三十五条の九の規定でございますが、この協力要請はあくまで任意での協力を求める規定でございます。したがいまして、協力要請に対して応じなかった場合でも罰則等が科されるということはございませんが、可能な限り御協力をいただけるように努力をしてまいりたいと考えております。

小宮山委員 沖合海底自然環境保全地域の管理体制とモニタリングについてお伺いいたします。

 沖合海底自然環境保全地域における違反行為などの巡視活動は、海上保安庁及び環境省が連携して取り組むこととなります。

 海上保安庁は、管区ごとに、沿岸警備、領域警備、海上警備に当たる巡視船を保有し、業務に当たっています。また、水産庁では、平成三十年一月、漁業取締り関係業務を一元的に統括する漁業取締本部を設置し、二百名を超える規模の人員及び水産庁所有の官船七隻及び民間船三十七隻を用いる、合計四十四隻の漁業取締り船にて監視、取締り業務を行っております。

 環境省は、どのように巡視活動に取り組むことになるのでしょうか。あわせて、諸外国での巡視活動への取組の事例はどのようになっているのか、比較のため、お伺いします。

正田政府参考人 お答えいたします。

 沖合海底自然環境保全地域の巡視活動は、環境省における人員や体制の確保に努めるとともに、関係省庁と緊密に連携して取り組んでまいります。

 海外につきましては、我が国同様に、巡視船のような船舶でございますとか航空機など、人による監視に加えまして、例えばレーダーやセンサー、こういったものを用いる監視を行う場合もあるものと聞いてございます。

 今後は、こうした海外の取組状況の把握にも努め、巡視活動の充実に取り組んでまいりたいと考えております。

小宮山委員 大臣、この点に関しては、やはり環境省が独自で調べることというのはできず、ほかの省庁、またさまざまなところと連携をしなければならないんだというふうに感じております。

 そういう意味においては、恐らく、環境省の職員もさまざまな案件があり難しいこと、また、これから環境問題というのは世界的な方向に保全活動というのはしなければならない時代で、人員の確保等、まだまだ必要なんだと思います。予算も必要でしょう。そういった意味で、専門家などをふやす等、対策が必要かと思います。

 細かな通告はしておりませんけれども、この点、大臣のこの決意をちょっとお聞かせいただければと思います。

原田国務大臣 確かに、御指摘のとおり、環境省自身が、監視活動を含めて、みずから出かけていってそれを調査、確保するという、これが一番大事なことだと思っております。

 ただ、現状においてはそこまで行っておりませんで、保護区については、指定後の状況の把握に努めて、多くの管理や見直しを行っていくということは重要で、そのため、今回の法律案でも、そのことも入っておるわけでありますけれども、関係行政機関、水産庁、さらには海上保安庁、エネルギー庁、こういうところがしっかり今のところは調査をしていただいていまして、その情報等をしっかりいただくという体制にはなっています。

 ただ、委員御指摘のとおり、私どもがやはり、もっと強い立場から、みずからの立場から、そういう活動をしなきゃいけないなということをしっかり考えておりまして、差し当たりは、省内に専門家をどんどん育成するということから始めたいと思いますが、ぜひ御指摘のような方向で将来進んでいきたいな、こう考えております。

小宮山委員 時間の関係で先に進ませていただきます。

 将来的に、このモニタリングということは重要ではありますけれども、その手法として、無人や自動運転の船舶、水中ドローン類を用いてのモニタリング実施が行われるようなことになってくると期待しております。

 こうした分野に関しての研究開発にも積極的に取り組んでいただきたいと考えておりますが、この点に関しまして、御見解と、現状についてお聞かせください。

原田国務大臣 先ほど、中長期の方向についてはお話をしたところでありますが、効率的な状況把握の実施に向けて、国内外の事例の収集を進めるとともに、専門家や専門機関による知見も踏まえつつ、御指摘のように、新たな技術の活用についても積極的に検討してまいりたい、こう思っております。

小宮山委員 ぜひ、新たな技術、これがやはり海洋の調査また保全には重要かと思いますので、お進めいただければと思います。

 最後になりましたけれども、今回の質問をつくっている最中に感じていたのは、これからこの海底のさまざまな活用、生物などまだ未知なるものの活用等があります。これはある意味、自然界に手を入れる人間がいるということ。これは、自然環境の保護という意味においては本当に正しいことなんだろうかということを考えながら、質問をつくらせていただきました。

 自然環境の保全に関する問題は、特別なものではなくて、誰にとっても意味のあることだと思っております。大臣にとりまして、自然環境の保全に対する思いを、認識を、御決意を聞かせていただきたいと思います。

原田国務大臣 我が国は、奥山から里地里山、河川、湿地、沿岸、海洋に至るまで、多様で豊かな自然環境に恵まれております。この豊かな自然環境は、多様な文化や国民の安全で安心な生活を支える基盤でありまして、この生態系サービスを将来の世代に引き継いでいくことこそが大事なことであると認識しております。

 今回の改正は、海洋沖合域を対象に、新たに生物多様性保全の仕組みを創設して、自然環境全体を幅広く保全できるようにするものであります。

 それぞれの自然環境の特性に応じて、体系的にさまざまな保全策に取り組んでいきたい、こう思っております。

小宮山委員 ありがとうございました。

秋葉委員長 次に、西岡秀子君。

西岡委員 長崎一区選出、国民民主党、西岡秀子でございます。

 きょうは、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 早速質問に入らせていただきます。

 まず、自然環境保全法の一部を改正する法律案について質問させていただきます。

 我が国は、美しい海に囲まれ、日本の領海、排他的経済水域は世界で六番目に広い、まさに海洋国家日本であります。

 海洋基本計画のもと、生物多様性国家戦略二〇一二―二〇二〇に沿って、海洋保護区の設定や管理、また希少な海洋生物に関する情報の整備など、さまざまな取組がなされてきました。生物多様性の面から重要度の高い三百二十一の海域が既に一昨年公表されております。

 しかし、生物多様性条約締結国会議で、国際的に二〇二〇年までに海域の一〇%を保護区にするという愛知目標、またSDGsなど国際的な取組を生かした海洋環境保全の推進が、昨年策定されました第三次海洋計画にもうたわれておりますけれども、国際的に我が国の取組がおくれている状況ということは言わざるを得ない今の現状があると考えております。

 今回の改正は沖合域において環境保護区を設定するものでございますけれども、これまでの我が国の海洋保護区の設定状況について御説明をお願いいたします。

原田国務大臣 日本の管轄海域には三万種以上の生物が生息しておりまして、そのうち約二千種が固有種である、こういうふうなことを言われております。生物の多様性が非常に高い場所となっております。

 沖合域には海山、熱水噴出域、海溝等があり、地形、地質や自然の現象に応じて、固有性が高いものや種の多様性が高いものなど、さまざまな生態系が営まれているところであります。水深数千メートルの水圧にも耐えられる種や、光合成によらず必要な栄養を生成する種など、独特の生態を有する多様な生物種が確認されておりまして、深海の生物資源の活用可能性は極めて大きいものと考えられているところであります。

西岡委員 現在、日本の海洋保護区は八・三%でありますけれども、このうち、そのほとんどである八・一%が漁業法に基づく共同漁業権区域であり、水産資源保護が中心となっているものとなっております。

 愛知目標である二〇二〇年までに一〇%との期限を間近に控えて、取組が国際的にも大変おくれている状況の、その理由についてお尋ねをいたします。

正田政府参考人 お答えいたします。

 環境省では、生物多様性条約第十回締約国会議、COP10が開催された翌年二〇一一年度から、さまざまな科学的情報や多数の専門家からの意見を踏まえまして、生物多様性の観点から重要度の高い海域となります重要海域というものを抽出してまいりまして、これを二〇一六年に公表したところでございます。

 その後、これらの地域の保護のあり方の検討を図るため、基礎的な調査等を進めてまいりまして、こうした結果を踏まえまして、二〇一七年度には多様な分野の学識者や関係省庁とも意見交換を重ね、沖合における海洋保護区の制度につきましては、二〇一八年度、審議会及び専門家による検討会での審議、検討を行ったところでございます。

 これらを踏まえまして、二〇二〇年が目標年となってございます愛知目標や第三期海洋基本計画を踏まえまして、今回の沖合海底自然環境保全地域の指定等に係る新たな保護区制度を創設するため、自然環境保全法の改正案を今国会に提出したところでございまして、非常に丁寧に、今回、沖合の海洋保護区の設定に向けまして検討を進めてきたということで御理解賜りたいと思います。

西岡委員 現在、その保護区の指定につきましては、小笠原海溝の海域を決める方向であるというふうに伺っておりますけれども、今回の法改正で沖合海底特別地域とそれ以外の区域を設定して、それぞれ許可制、届出制に規制する方針となっておりますけれども、海底の形態を変更するおそれという定義については、具体的にどのような行為であるのか、その規制の対象についてお尋ねをいたします。

 先ほど着床式の構造物の設置のことについても小宮山委員より質問がございましたけれども、例えば漁業の全国底びき網漁業の関係者からも大変不安の声が上がっていると聞いております。さまざまな関係団体とどのように協議、連携を図っていかれるのか、このことについてもあわせて、その取り組む体制についてもお尋ねをいたします。

正田政府参考人 お答えいたします。

 沖合海底自然環境保全地域におきます自然環境の保全を図るために、海底の形質を攪乱するおそれのある行為といたしまして、具体的には鉱物の掘採でありますとか探査、さらには漁具を海底に設置して動力船で曳航する行為、こういったものを考えているところでございます。

 いろいろ各方面との調整というのはこれは必要であると考えてございまして、まず地域の指定におきましては、関係行政機関の長と、それぞれ、漁業でございますとか鉱業を所管する農林水産省、経済産業省を含めまして、その辺の調整をいたしまして、必要な情報交換を図りながら、指定区域の段階で、その社会的条件というのもございますので、進めてまいりたいと考えてございます。

 また、具体的な運用につきましては、そういった各省庁の協力を得ながら取組を進めてまいりたいと考えてございます。

西岡委員 また、あわせまして、沖合域において、継続した生物多様性に関する基礎調査、調査のデータを収集していくこと、また整備をするということが大変重要であると考えておりますけれども、このことについて、絶滅種、希少生物も含めてどのような体制で取り組まれるか、お尋ねをいたします。

正田政府参考人 これまで環境省では、これは陸域や沿岸域を対象とするものでございますが、自然環境保全基礎調査等、こういったものを進めまして、各施策の基礎になりますような生物多様性の状況というものを把握してきたところでございます。

 自然環境保全基礎調査におきましては、これは自然環境保全法に基づきまして行っているものでございまして、全国的な観点から我が国における自然環境の現状等を把握するためということでございます。こういったデータは、把握したものにつきましてはオープンにしているところでございます。

 また、絶滅種等につきましてもレッドリストというものを作成してございまして、これにつきまして、専門家の意見等、またいろいろ情報収集いたしまして、逐次見直しを行ってございます。

 沖合域につきましては、そういった意味では、非常に陸域、沿岸域に比べましてまだまだ情報が少ないところでございまして、先ほど申し上げた、まず重要海域を抽出する上でも、少なくとも、今現在ある知見というものを合わせまして、専門家の御意見等も踏まえたものでございまして、今回、法律の中でも、関係行政機関等に対しましてそういった協力を求めるという規定を置いたところでございます。また、国全体としても、そういった海洋の調査研究を進めていこうという規定も置いたところでございまして、こういったものを活用しながら、知見の充実には努めてまいりたいと考えてございます。

西岡委員 やはり沖合海域、海底についてはまだまだわからないことがたくさんあるというふうに思いますので、これからこの調査、データの収集、整備が大変重要であるというふうに思いますので、このデータを蓄積していって、生物多様性を保護するためにどのような方向が一番いいのかということについての基礎的なデータでございますので、この法改正を契機として、一層この調査研究を推進していただきたいというふうに思っております。

 先ほどから、海洋における海洋の保全と産業利用の両立についてお尋ねがあっておりますけれども、当然、海底鉱物資源もございます。それプラス、さまざまな海底にある深海生物が科学分野へ大変活用されるものが期待をされているという部分もあると思っております。

 開発と保護のバランスをどのようにとっていくかということが大変これから大きな課題となると思いますけれども、このことについてどのように取り組まれるかということ、基本的なところをお尋ねさせていただきます。

原田国務大臣 委員御指摘のとおり、まさに環境の保全と産業利用の両立ということを図っていくことが重要だろうと思っております。

 法の運用に当たっては、関係省庁を始め各方面としっかり調整をして、とりわけ第三期海洋基本計画、昨年の五月にこれは作成されたものでありますけれども、この第三期計画に掲げられた持続可能な開発、利用と環境保全の統合的な推進の実現を図ってまいりたい、こういうふうに思っております。

西岡委員 ぜひそのような方向で進めていただきたいと思っております。

 また、先ほどからもございましたけれども、陸域も含めた海洋環境保護のあり方という視点も大変重要だと思っております。海底の生態系にはまだまだ解明されていないところも多く、これからの調査研究を待つところもあるというふうに思いますけれども、今回の改正が単なる数合わせ、一〇%を達成するというようなことではなくて、実効性のあるものにしていくことが大変重要であると思っておりますので、原田大臣を中心に、ぜひ一層この方針で進めていただきたいと考えております。

 次に、私の地元がかかわる質問をちょっとさせていただきたいと思っております。

 主に九州、山口地方でたびたび発生をいたしております、あびきという現象がございます。私の地元長崎市で主に一月から三月にかけて頻繁に発生をしている現象でございます。別名、気象津波とも言われております。

 去る三月二十一日に、大規模ないわゆるあびきと言われる現象が起こりまして、道路の冠水による通行どめ、列車の見合せ、床下浸水など、大規模な被害が出ました。

 あびきとは、網が流れるというところから派生した言葉であるというふうに言われておりますけれども、船舶の流失等、大変深刻な被害が過去起こっております。

 この簡単な発生メカニズムについて御説明をお願いいたします。

大林政府参考人 お答えいたします。

 あびきは、沖合で気圧の急変により発生した波長の長い波が湾や港に伝わることにより潮位が短時間のうちに昇降を繰り返す現象で、副振動とも呼ばれます。あびきの発生は、委員から御紹介もありましたとおり、冬から春にかけて多く、急な潮位の上下動により、長崎県など九州西岸では、船舶の転覆や家屋の浸水などの被害が発生することがございます。

 先般の三月二十一日には、あびきの発生が大潮の満潮の時間帯に重なったということもあり、長崎地方気象台及び福岡管区気象台の調査によりますと、長崎市で家屋の浸水や交通障害などの被害が発生したことを確認しております。

西岡委員 過去、山口県、鹿児島県また熊本県においても大きな被害が出ておりまして、一九七九年三月には、長崎港で観測史上最大の二百七十八センチの潮位を観測いたしまして、波にのまれて女性が一人亡くなられております。

 このような小さな副振動は全国各地でも実は起こっておりますけれども、湾の形状や海港、港の形状によって大変狭い海域で起こると言われておりまして、短期間に異常な状態で潮位が上下動する、急変をするという現象でございます。

 このことについて、東京大学があびきを研究していただいておりまして、その研究成果を防災へ応用しようという取組を二〇一七年よりされております。長崎港と五島列島を結ぶカーフェリーがあるんですけれども、このカーフェリー二隻に高精度GPSを搭載して、海面水位の変化を観測して、あびき発生時の潮位変化を観測することにより、より潮位変化の激しい津波をいち早く検知できないかということで、それが将来的には確実な津波予測につながるのではないかということで取り組まれているということがございます。

 この取組について、今現状どのような、例えば研究成果等が出て、国として連携をとられているとかそういうことがあれば、ぜひ教えていただきたいと思っております。

大林政府参考人 お答えいたします。

 あびきは、現在の技術では予測の難しい現象でございます。そのため、気象庁では、潮位観測データを常時監視し、あびきが発生した場合には速やかに副振動に関する潮位情報を発表するなど、注意を呼びかけているところでございます。

 委員から御紹介ありましたとおり、東京大学では、例えば九州の長崎湾で発生するあびきの前兆現象を捉えるための研究が行われているものと承知しております。

 このような研究により、将来的にあびきの監視、予測に活用できるような成果が得られれば、それらの成果も活用いたしまして、さらなる監視、予測技術の改善に努めてまいりたいと思っております。

西岡委員 ありがとうございます。

 あびきにかかわらず、地域特有のさまざまな現象というものは全国各地で起こっておりますし、このことにおいてさまざまな被害が発生をして、時にこのことが大規模なさまざまな被害を及ぼすということもございます。これは、冠水、浸水、また船舶の流失を始め、農業、漁業への被害、場合によっては人命にかかわる事態も発生する状況でございます。

 そのような地域の防災リスクについて、関係地方自治体と連携して、その発生メカニズムの解明、調査研究、そのことをもって、この被害を最小限にするための予報システムの構築など、また、必要な場合においてはハードの整備も含めて、全国の被害状況について国としても努めて把握をしていく必要があると考えます。

 原田大臣も福岡でございますので、この全国的な、さまざまな地域的な災害の特徴について国として十分把握をした中で、その知見を深め、少しでも防災の観点から被害を最小にする取組というものが大変必要だと考えておりますけれども、このことについて、大臣の御所見をぜひ最後にお伺いしたいと思っております。

原田国務大臣 実は、先ほどのあびきについては、不明にして今日まで十分勉強していなかったです。改めて学ばせていただきました。

 こういう地域特有な災害というのは、全国的なものとあわせて、しっかりまたそのための対応をしていかなきゃいけないなと。これは、直接、間接的には気候変動、地球温暖化の問題にも関係しているものと思いますから、そういう観点からしっかりまた対応していきたい、こう思っております。

西岡委員 ぜひ、国としても、その地域の災害の状況も含めて把握をしていただくような、今そういうシステムというのはないという状況だと思いますので、そのような地域の特有の災害についての把握ということもぜひお取組をいただきたいと思います。

 これで質問を終わります。ありがとうございました。

秋葉委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 自然環境保全法の改正案について質問します。

 今回の改正は、保全地域に沖合海底域を加えることで、沖合海底域における開発行為を規制し、生物多様性を保全するものであり、必要なことと考えます。より積極的な運用が必要という観点から質問をします。

 まず、原田大臣にお伺いします。

 愛知目標の、海域海洋保全区の一〇%目標というのは、来年、二〇二〇年までであります。その後の国際会議等々で目標値が上がることは十分予測できる話であります。率直に言って、一〇%目標は低いのではないか。小笠原諸島を保護区として設定するということでありますけれども、国際目標達成のための数合わせに終わらせてはいけないというふうに考えます。

 原田大臣は所信で、G20議長国として、世界に対し、向かうべき未来像をしっかりお示しするためにも、引き続き、人と環境を守るという根本的な使命を果たすべく、全力を尽くしてまいりたいと述べられました。

 この目標の設定について、更に大きな海洋保護区を設定すべきだと私は考えますけれども、いかがでしょうか。

原田国務大臣 二〇一〇年に開催された生物多様性条約第十回締約国会議、COP10で、愛知目標、日本の名前のついた目標が設定されたところであります。国際的に保護区の設定が限定的だった当時の状況も踏まえて、海洋保護区の拡大に向けた当面の目標値として一〇%が採用されたものと認識をしております。

 当該目標の目標年次である二〇二〇年が近づく中で、これまで、我が国の管轄権内の海域のうち、海洋保護区の設定は八・三%にとどまっております。愛知目標の達成にはまだ至っておりません。このため、自然環境保全のための保護区制度がない沖合域において海洋保護区を設定できるようにすることで、まずは確実に一〇%目標を達成し、我が国の自然環境の保全を図っていくことが重要であると思っております。

 また、我が国は、COP10の議長国として愛知目標を取りまとめた経験を生かして、愛知目標のもとで進められている取組が更に発展して継続的に行われるように、来年開催されるCOP15において新たな目標の議論に積極的に貢献し、その結果も踏まえて、将来的な海洋保護区の設置については、その検討や調整を進めてまいりたいと思っております。

 何とするところは、まずは一〇%目標をしっかりとまた達成する、まだ大分余地がありますので。あわせて、来年度中国で行われるCOP15におきましては、今までの国際的な目標一〇%でいいのかどうか。私どもからすれば、更にそれにつけ加える目標をやはり率先して推進していかなきゃいけないな、そういうふうに考えているところであります。

田村(貴)委員 環境省にお尋ねします。

 小笠原諸島の西之島、これはどうでしょうか。海底火山の活動によって生じた火山島であります。自然の摂理を現在進行形で確認できる貴重な海洋資源でもあります。周辺海域は海洋保護区の対象としてこれは検討されるのか、そうしたところは検討されているのか、教えてください。

正田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘ございました西之島につきましては、海洋島における独特な生態系の形成過程を知るための貴重なケースとなり得るものであり、これを保全していくことは重要と認識をしてございます。

 このため、現在のところでございますが、環境省におきましては、平成二十八年六月に西之島の保全のための上陸ルールを公表いたしまして、最小限の人員、頻度で計画することでございますとか、外来種を持ち込まないよう荷物ごと海に入った上で上陸する等の協力を呼びかけているところでございます。

 また、平成二十九年五月より、生物、地質等に関する専門家による西之島の価値と保全にかかる検討委員会を立ち上げて、保全のあり方の検討を行っているところでございます。

 今後、上陸による総合学術調査を今年度中に実施した上で、地元や関係行政機関との調整を図りつつ、西之島の保全方法について丁寧に検討を進めていきたいと考えております。

田村(貴)委員 自然環境保全法における保全地域に海域として指定されているのは、西表島の崎山湾そして網取湾のみであります。海洋保護区制度における保全地域八・三%のうち六・九%、そのほとんどを占めるのは海洋水産資源開発促進法による指定海域であります。

 そこで、水産庁にお尋ねします。

 海洋水産資源開発促進法による指定海域によって、自然環境やそして生態系は十分これは保全されているのでしょうか。

保科政府参考人 お答えいたします。

 海洋水産資源開発促進法に基づく指定海域は、海底の地形、海流、餌料生物の分布その他の自然的条件がすぐれているため漁場として効用が高く、かつ漁業生産において重要な地位を占めるものとして政府が定める海域でございまして、当該海域において海底の改変や掘削などを行おうとする者は、農林水産大臣又は都道府県知事への届出が義務づけられており、全国で三十一の海域が指定されております。

 また、届出された内容により、当該海域の漁場としての効用を保全するために必要があると認めるときは、必要な勧告をすることができることとなっており、自然環境や生態系を毀損する行為に対して一定の抑止力としての機能をしていると考えております。

田村(貴)委員 さて、その抑止力となっているかというところなんですけれども、続いて、「平成二十九年度 我が国周辺水域の漁業資源評価 第三分冊」というのが出されていますけれども、水産庁に、ここで、イカナゴ漁の、その減少と要因について記述されている部分があるので、ここで紹介していただけますか。

保科政府参考人 瀬戸内海のイカナゴにつきましては、漁獲量が一九八〇年に過去最高の七万三千トンに達しましたが、二〇一七年には過去最低の約千三百トンまで減少しております。

 御指摘のありました「平成二十九年度 我が国周辺水域の漁業資源評価」には、一九八〇年代の備讃瀬戸、これは岡山県と香川県の間の海域でございますけれども、この漁獲量の急減は、一九六〇年代から一九七〇年代にかけて急増した海砂の採取やしゅんせつによる生息場所の荒廃、減少が原因の一つとして考えられている旨の記載がございます。

 つけ加えて御説明させていただきますが、二〇〇五年には海砂の採取が終了した東部でも、近年漁獲量は減少しておりまして、この原因といたしましては、イカナゴは夏の高水温時期に砂に潜る夏眠というのを行う習性がございますけれども、高水温によりまして夏眠中に多くが死滅したという可能性が考えられております。

 また、最新の研究では、春から夏にかけての餌不足でイカナゴの成熟率や産卵量が顕著に減少するということが明らかにされておりまして、全ての原因が明らかになっているということではございません。

 このため、水産資源調査・評価推進事業によりまして、引き続きイカナゴの資源の調査を行い、原因の解明を進めてまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 大激減ですよね。びっくりしましたね。七万三千トンあったものが千三百トンに減少した。その原因が海砂の採取によるものである、そして、二〇〇五年にはその採取も終了したんだけれども、海砂は掘ればなくなる性質が強いため、ここを生息の場所としているイカナゴは回復に至っていないということであります。

 イカナゴは、ブリやサワラなど中型、大型の魚種の餌にもなっている。瀬戸内海の生態系を保つ上でも重要な魚種でありますけれども、こういう状況になった。

 海洋水産資源開発促進法による指定海域では、人為的行為によって環境変化に歯どめがかかっていない、歯どめがかかるものとなっていないと言わざるを得ません。重要海域を抽出しながら、実際に保護区としている海域の保全がされているのか、これは環境省に今問われているところだというふうに思います。

 環境省にお尋ねします。

 重要海域と指定され、漁獲量減少に人為的行為が影響を与えている海域は、水産庁任せにするのではなくて、沿岸域も含めて、自然環境保全法の地区指定をもっと積極的に行うべきではありませんか。いかがですか。

正田政府参考人 お答えいたします。

 今回の改正法案の前提となりました中央環境審議会の答申におきまして、回遊する漁業対象種や海生哺乳類等の保全につきましては、関係する省庁が協力して漁業資源管理の取組や種レベルでの保全管理等を中心に行っており、今後も引き続きその保全に取り組むことが適当であるとされておるところでございまして、例えば漁獲可能量の設定等による漁業資源管理の取組が重要だと考えておるところでございます。

 また、環境省におきましては、自然環境保全の観点から、地域の自然の特性やそれぞれの地域の保全の考え方があろうかと思います、こういったことに応じまして、例えば自然環境保全地域や自然公園を始めとする適切な保護区の指定でございますとか、地域に応じた多様な主体の参加するような保全の取組でございますとか、地域に応じた取組の促進というものを関係省庁と連携しながら取り組んでまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 失われたものはもう戻ってこないんですよね。ですから、新たに海洋保護区の指定が要るのではないかというふうに言っているわけであります。

 この点で、漁業について確認しておきたいことがあります。

 自然環境保全法の地区指定を行う際、特別地区における漁業行為については、漁業を行うため必要であれば、工作物の設置や海底の形質変更などの行為は除外されます。一方、熱帯魚等、農林水産大臣の同意を得て指定する動植物の捕獲については、事前に漁業者との調整があるということであります。

 これは、特別地区以外であれば、なりわいとしての漁業行為については、調整はあっても指定に際して支障となるわけではない、そういう理解でよろしいのでしょうか。

正田政府参考人 お答えいたします。

 自然環境保全基本方針、これは自然環境保全法に基づいて定めているものでございますが、この基本方針におきまして、自然環境保全地域の指定に当たっては、農林漁業等地域住民の生業の安定等の社会的諸条件にも配慮しながら指定を図るものとされておるところでございます。

 具体的に申し上げますと、漁業関係団体への意見照会やパブリックコメント等を通じまして、同地域の指定や、採取、捕獲について規制を行う動植物種等について調整を行うこととしているところでございます。

 なお、今回御提案してございます沖合海底自然環境保全地域につきましても、同様のプロセスによりまして、漁業との調整を図りながら同地域の指定を進めることを見込んでおるところでございます。

田村(貴)委員 海洋保護イコール禁漁と捉えている漁業者の方もおられるわけであります。特別地区に関しては、指定を行う際に、何が規制されるのか、漁業者に丁寧に周知した上で調整を行い、積極的に沿岸域を保護していただきたいというふうに考えます。

 続いて、沖縄県のジュゴンの保護に関して質問します。

 先月十八日に、沖縄本島北部の今帰仁村の沖合で、ジュゴンが一頭死亡した状態で見つかりました。生存が確認されている三頭のうち一頭が死亡しました。残念でなりません。

 ジュゴンは、国際自然保護連合、IUCNのレッドリストに危急種として指定されており、国内でも、環境省のレッドリストで絶滅危惧種に指定もされています。文化財保護法の天然記念物にも指定され、水産資源保護法、鳥獣保護管理法において保護指定がされています。厳重に保護がされるべき動物であります。

 そこで、環境省と防衛省に尋ねます。

 沖縄の沿岸に生息するジュゴンの保護における政府の責務について、その基本的な立場について簡潔に説明をいただけますでしょうか。

正田政府参考人 お答えいたします。

 ジュゴンにつきましては、今御指摘ありましたとおり、環境省のレッドリストにおきまして、絶滅危惧1A類、すなわち、ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高い種に選定をされております。また、鳥獣保護管理法に基づく希少鳥獣等に指定されておるところでございまして、保護を図る必要があるものとして、環境省としてもこれまでも取組を行ってきたところでございます。

三原政府参考人 お答え申し上げます。

 普天間飛行場代替施設建設事業、こちらは沖縄防衛局が事業者でございますけれども、この事業におきましては、事業の実施によるジュゴンへの影響を回避、低減するということを目的といたしまして、関係船舶が、ジュゴンが頻繁に確認される区域内をできる限り回避して航行することとしているほか、生息状況の把握及び工事海域への来遊の監視に努めるなど、部外の専門家から成る環境監視等委員会の指導助言をいただきながら、ジュゴンへの影響につきまして最大限配慮をして工事を進めているところでございます。

田村(貴)委員 そこで、防衛省に質問しますけれども、ジュゴンの個体Bが死んだわけでありますね。沖縄防衛局の第十九回環境監視等委員会では、個体Bについて、委員から、工事の影響を確認する必要が指摘されたと報じられています。

 古宇利島の藻場の状態や土砂運搬船の影響についてはどういうふうに認識されていますか。

三原政府参考人 お答え申し上げます。

 死亡が確認をされましたジュゴンの個体Bでございますけれども、これにつきましては、これまでの確認状況を踏まえますと、工事区域から遠く離れた沖縄本島の西海岸にございます古宇利島沖を主な生息域としていたものと考えてございますけれども、今後、今帰仁村が主体となりまして、関係者が立会いのもとで解剖が行われる予定と承知をいたしております。引き続き、今帰仁村などから情報を収集していきたいと考えております。

 また、部外の専門家から成る環境監視等委員会の御指導等々を得ながら、個体Bのこれまでの確認状況あるいは古宇利島の海草藻場の状況、また、土砂運搬船の航行状況について整理をするなど、今後、必要な検討を進めてまいりたいと考えてございます。

田村(貴)委員 土砂運搬船の航路とジュゴンが回遊しているところは、軌を同じくするところもあるわけですよ。埋立土砂を積んだ運搬船は、名護市の西側から東側に回るわけです、辺戸岬を回遊して。ジュゴンBは、古宇利島を離れて、辺戸岬を回っていたことも確認されています。ここにやはり因果関係があると見るのがこれは常識的な考えではありませんかね。こうしたことをしっかり踏まえて、今から、なぜ死んだのか、そして、ジュゴンの生態はこの工事によってどう影響を受けているのか、ここはしっかり検証していただきたいと思います。

 重ねて防衛省にお伺いします。今度は個体Aについてです。

 嘉陽沖で生息していた個体Aは、今、確認されなくなりました。はみ跡が確認されなくなったのはいつですか。藻場を利用しなくなったのはいつと捉えていますか。最後に個体Aを確認したのはいつですか。答弁してください。

三原政府参考人 お答えいたします。

 辺野古、この大浦湾の西部でございますけれども、それから嘉陽、安部の各海域における海草藻場の利用状況調査において、平成三十年十一月の十二日から十五日の調査におきまして、嘉陽海域において二十五本のはみ跡が確認をされてございましたけれども、十二月六日から九日の調査及びそれ以降の平成三十一年一月、二月、三月の調査において、ジュゴンのはみ跡は確認をされてございません。

 したがいまして、平成三十年十一月十二日から十五日の調査で確認されたはみ跡につきましては、前月の十月十七日の調査完了以降に残されたものであると考えられることから、嘉陽沖が主な生息域である個体Aにつきましては、十月十八日から十二月五日の間に嘉陽海域の海草藻場を利用しなくなったものであると考えてございます。

 また、御指摘の生息状況につきましては、航空機による調査において、個体Aは平成三十年九月十一日に確認をされて以降、生息は確認をされておりません。

 この個体Aは、嘉陽海域の海草藻場を利用しなくなった時期は、工事の護岸の造成など水中音を発するような工事は実施をしておりませんで、また、嘉陽海域における海草藻場の分布状況についても、平成三十年七月から十月までの調査時から大きな変化が見られないということなどから、個体Aが確認をされず、嘉陽海域の海草藻場を利用しなくなっていることについては、工事による影響とは言えないというふうに考えてございます。

 なお、この考え方につきましては、部外の専門家による環境監視等委員会において指導助言を受けたものでございます。

 以上です。

田村(貴)委員 恐るべき認識だと言わざるを得ませんよね。工事とは全く関係ない、言い切っていいんですか。

 この時期は、先ほどおっしゃいました、防衛省も認識しているじゃないですか。去年の九月の十一日の確認が最後と。十月十八日から十二月五日の調査開始までの間に藻場を利用しなくなったと。この時期というのは、土砂埋立ての区域の護岸が建設されている途中であります。そして、十二月は沖縄防衛局が土砂投入を始めた時期であります。新基地建設工事が個体Aを唯一の安住の地から追い出す結果となった、こう見るのが自然じゃありませんか。ほかに何か要因は考えられますか。あんな大規模な工事をやっているわけですよ。

 個体Aがいなくなったのは、基地建設工事の影響であります。工事を直ちに中止し、原因究明と、そして生存確認、保護に当たるべきだと思いますが、まず防衛省、いかがですか。

三原政府参考人 お答え申し上げます。

 嘉陽沖が主な生息域でございます個体Aが確認できなくなった時期に行っておりましたのは工事再開に伴う復旧作業に限られまして、護岸の造成など水中音を発する工事は実施をしておらなかったということから、個体Aが確認されていなかったことについては工事による影響とは言えないというふうに考えてございます。

 また、古宇利島沖から辺野古沖までの間を行き来するなど、いわゆる個体C、広範囲で確認されておったものでございますが、これが最後に確認をされた古宇利島沖は事業の実施区域から遠く離れておるということから、工事の影響とは言えないと考えてございます。

 これらにつきましては、環境監視等委員会の指導助言を受けたものということでございます。

 普天間飛行場の代替施設建設事業におけるジュゴンの保護につきましては、この環境監視等委員会の指導助言をいただいてやってきたものでございまして、引き続き、環境保全には最大限配慮をして工事を進めてまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 現実の問題として、真実として、個体Bは死亡した、個体Aと個体Cについては確認されていない。防衛省は、保全の義務を負っているわけですよ。辺野古の新基地建設がジュゴンの生態系に影響を与えない、これは大前提でしょう。そして、いなくなったんでしょう。

 このジュゴンは、もとの、Aだったら嘉陽の藻場に戻ってきてほしくないと思っているんですか。いなくなったままでいいと思っているんですか。戻ってこないといけないんじゃないんですか。どうなんですか、そこは。このままでいいんですか。

三原政府参考人 お答え申し上げます。

 考え方といたしましては、嘉陽沖において個体Aが確認をされなくなったということにつきましては、先ほど申し上げたところでございますけれども、工事で水中音を発していない時期にいなくなっておるということから、工事による影響とは言えないというふうに考えてございます。

 この考え方は、部外の専門家の方々からの指導助言を受けた上でのものでございますので、もちろん環境保護には最大限の配慮をしていくということでございますけれども、工事の影響であるとは言えないと考えておるところでございます。

田村(貴)委員 何と無責任な。何と無責任な態度なんでしょう。

 原田大臣、今、政府は、沖縄県民の土砂埋立反対の明確な民意に反して、毎日土砂投入しているわけですよ。これ、土砂投入は水中音しますよね。そうしたら、帰ってこれなくなるじゃないですか。二十二万台のダンプカーに相当する土砂を今投じているわけなんですよ。これは、N3からN5、わずか小さなあの護岸に囲まれた区域、ここだけでもダンプカー二十二万台。これ、毎日投入して埋め立てていくわけでしょう。こんなことしたら、ジュゴンは帰ってこれませんよね。環境省、それでいいんですか、こんなことやらせておって。

 少なくとも、工事をとめるべきですよ。工事をとめて検証すべきじゃないですか。観察を行うべきではないですか、経過観察。そのためには工事をとめないと観察できないじゃないですか。もとの藻場に安心して戻ってこれるかどうか。戻ってきたんだったら因果関係がはっきりするじゃないですか。今すぐ工事をとめる必要があるんじゃないですか。防衛省、いかがですか。とめないんですか。

三原政府参考人 お答え申し上げます。

 大変恐縮でございます、繰り返しの御答弁になりますけれども、先ほど申し上げた理由から、工事による影響とは考えておらないというところでございまして、海上工事をやめるべきではないかという御指摘については、なかなかそうは申し上げられないということでございます。

田村(貴)委員 これは、沖縄県民も、それから多くの国民も納得するところではありませんよ。現に個体が死んだ。現に個体がいなくなって確認できていない。もう長くそこにすみ続けていた天然記念物、希少生物がいないんですよ。工事による影響に決まっているじゃないですか。

 環境省、種の保護法、これで指定すべきだと我が党の塩川鉄也議員も、二〇一七年の種の保存法改正の審議のときには強く要求をいたしました。保護地域、保護区域の設定を通じて生息環境の改善、個体数の回復を図る措置を行うべきだと求めたんですけれども、他法で措置されている、環境省はそういうふうに言っています。

 結局、他法で適切に保護されていないじゃないですか。死なせてしまった。他の保護法法制で担保がされていないということになったら、これは、種の保存法によって指定を行い、直ちに規制に入るべきではありませんか。いかがですか、環境省。

正田政府参考人 お答えいたします。

 ジュゴンにつきましては、国内的には鳥獣保護管理法の対象になっており、個体の捕獲、殺傷が原則禁止となってございます。また、国際的には、ワシントン条約において附属書1に掲載されており、商業目的での国際取引が禁止されております。このため、既にこれらの法令により必要な規制はなされていると考えているところでございます。

 種の保存法に基づく国内希少野生動植物種への指定等につきましては、指定による施策効果を勘案しつつ、今後、その必要性について検討してまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 いなくなったらいなくなったでもうおしまい、死んだら死んだでそれでおしまい、そんな感じでいいんですか。今こそ人為的な行為を、きょうの法案の一番の大事なところでしょう、人為的な行為が環境を破壊するものであり環境を変質させるものであったら、ここをちゃんと縛っていく、これが法のたてつけじゃないんですか。それが、もうこんなことになってしまったらしようがないという立場でいいんですか。私はそれは絶対許されないことだと思いますよ。

 辺野古の沿岸とか大浦湾とか、こうしたところをやはり海洋保護区として指定していくべきです。

 原田大臣、一番最初にお伺いしたことなんですけれども、海底保護区、これをつくっていくのは大事なんですね。賛成です。小笠原海域も、当然なことだと思います。もっと広げていきたい。

 今、やはり、イカナゴの話もしました、ジュゴンの話もしました。身に迫って環境が変異している、異質な状況に陥っている、そして生態系が激変している。こんなところは、やはり重要海域、重要海洋保護区として指定していくべきではないかと思いますけれども、お話を聞いていて、大臣、所感があれば。

原田国務大臣 沖縄の案件につきましては、これは沖縄防衛局の方が適切に対応していただいているものと認識しているところであります。

 いずれにいたしましても、これから、小笠原を含めてどこを指定するかについてはしっかり検討していかなきゃいけない、こういうふうに考えております。

田村(貴)委員 米軍基地建設のための埋立てによって環境破壊など、言語道断と言わなければなりません。

 通告していますけれども、この自然環境保全法の基本となる基礎調査、これについては充実、体制を強化していかなければならないと思いますけれども、これは純増で体制補強していくつもりなのか、最後、このことだけお聞きしたいと思います。

正田政府参考人 お答えいたします。

 自然環境保全法改正案におきましては、関係行政機関や独立行政法人等に対し、科学的知見の提供等の協力を要請することができる規定を新設するほか、三十五条の八で科学的知見の充実が国の責務とされていることを踏まえまして、自然環境保全基礎調査を始め、調査に必要な予算を環境省でも確保するように努力してまいりたいと考えております。

 また、環境省の体制につきましても、本年度から、環境本省に海洋生物多様性担当ポストを設置したところでございます。

 さらに、法の運用に当たりましては、関係省庁との連携をより密にいたしまして、必要に応じ、適切な体制の確保に努めてまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 十分充実させて、必要なところの海洋保護区を広げていっていただきたい、そのことを強く要求して、質問を終わります。

 ありがとうございました。

秋葉委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

秋葉委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、自然環境保全法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

秋葉委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

秋葉委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、とかしきなおみ君外四名から、自由民主党、立憲民主党・無所属フォーラム、国民民主党・無所属クラブ、公明党及び日本共産党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。堀越啓仁君。

堀越委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 趣旨の説明は、案文を朗読してかえさせていただきたいと存じます。

    自然環境保全法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。

 一 沖合海底自然環境保全地域の指定に当たっては、海山、熱水噴出域及び海溝等を中心として、可能な限り多様な生態系が含まれる区域が指定されることとなるよう配意すること。また、絶滅のおそれがある種が存在する可能性がある場合における種の保存法に基づく科学委員会や多様な利害関係人など、幅広い意見を聴取した上で検討すること。

 二 沖合海底自然環境保全地域の保全措置の実効性を確保するため、改正法第三十五条の六の規定に基づく立入調査等を機動的に行うなど、同地域の保全活動を関係者等と協力して行うよう努めること。

 三 我が国の生物多様性保全上重要な海域を後世に引き継ぐために、沿岸域を含めた我が国の周辺海域について、自然環境保全基礎調査による調査を充実させ、海洋保護区の指定の推進を図ること。また、的確な調査の実施のために十分な予算及び人員を確保するよう努めること。

 四 海洋保護区の設定に当たっては、平成二十八年四月に環境省が公表した「生物多様性の観点から重要度の高い海域」を踏まえ、沖合域に限定することなく、幅広く海洋保護区化を推進するよう努めること。また、持続可能な漁業と生物多様性保全の両立を目指した保護区の創設など、我が国における海洋保護区の在り方について幅広く検討すること。

 五 海域の生態系と密接なつながりを持つ陸域の生態系については、絶滅危惧種の多くが里地里山に生息・生育することから、人の手が入ることで保たれる自然環境の保全を目的とした保護区の在り方についても検討を進めること。

 六 保護区の設定による生物多様性保全が有効であるかを検討した上で、改正法の施行五年後を目途に本改正内容の見直しを検討すること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

秋葉委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

秋葉委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、政府から発言を求められておりますので、これを許します。原田環境大臣。

原田国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その趣旨を十分に尊重いたしまして、関係省庁とも連携を図りつつ努力してまいることをお誓いを申し上げます。よろしくお願いします。

    ―――――――――――――

秋葉委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

秋葉委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

秋葉委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時八分散会


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