衆議院

メインへスキップ



第2号 令和2年3月10日(火曜日)

会議録本文へ
令和二年三月十日(火曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 鷲尾英一郎君

   理事 伊藤信太郎君 理事 勝俣 孝明君

   理事 高橋ひなこ君 理事 とかしきなおみ君

   理事 福山  守君 理事 金子 恵美君

   理事 関 健一郎君 理事 江田 康幸君

      秋本 真利君    畦元 将吾君

      上杉謙太郎君    上野 宏史君

      金子万寿夫君    繁本  護君

      武村 展英君    百武 公親君

      古田 圭一君    細野 豪志君

      堀内 詔子君    務台 俊介君

      八木 哲也君    池田 真紀君

      柿沢 未途君    近藤 昭一君

      篠原  孝君    堀越 啓仁君

      横光 克彦君    古屋 範子君

      田村 貴昭君

    …………………………………

   環境大臣

   国務大臣

   (原子力防災担当)    小泉進次郎君

   経済産業副大臣      松本 洋平君

   環境副大臣        佐藤ゆかり君

   環境副大臣        石原 宏高君

   環境大臣政務官      八木 哲也君

   防衛大臣政務官      渡辺 孝一君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 曽根 健孝君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 土谷 晃浩君

   政府参考人

   (経済産業省産業技術環境局長)          飯田 祐二君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        南   亮君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 上田 康治君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  近藤 智洋君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            小野  洋君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  鳥居 敏男君

   政府参考人

   (環境省環境再生・資源循環局長)         山本 昌宏君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策統括官)           中井徳太郎君

   環境委員会専門員     小池 章子君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十日

 辞任         補欠選任

  繁本  護君     上杉謙太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  上杉謙太郎君     繁本  護君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 環境の基本施策に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

鷲尾委員長 これより会議を開きます。

 環境の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房参事官曽根健孝君、財務省大臣官房審議官土谷晃浩君、経済産業省産業技術環境局長飯田祐二君、資源エネルギー庁資源・燃料部長南亮君、環境省大臣官房審議官上田康治君、環境省地球環境局長近藤智洋君、環境省水・大気環境局長小野洋君、環境省自然環境局長鳥居敏男君、環境省環境再生・資源循環局長山本昌宏君、環境省総合環境政策統括官中井徳太郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鷲尾委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鷲尾委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。畦元将吾君。

畦元委員 自由民主党・無所属の会、衆議院議員畦元将吾です。

 環境の基本施策に関する件、大臣所信に対する質疑の機会をいただき、ありがとうございます。

 大臣におかれましては、連日大変に御苦労さまでございます。

 また、政府におかれましては、新型コロナウイルスの対策において連日連夜御対応されていることに心より感謝いたします。一日も早く落ちつくことを祈念しております。

 では、質疑に入らせていただきます。

 最初に、広島県で実施されている実証試験中の最先端技術を持つ石炭火力発電関連についてお伺いしたいと思います。

 少し石炭火力の背景に触れますが、資料一を見てもらえればよろしいかと思うんです。

 二〇一六年のデータですけれども、世界における石炭火力発電の位置づけの資料という形で配付しております。この資料から見てもわかるように、世界の発電電力量の四割が石炭火力で、大きな役割を占めております。世界のエネルギーの安定供給やコストの観点から一定の石炭火力発電は必要と考えております。

 資料二をごらんください。

 中国電力と電源開発の共同出資の大崎クールジェンという会社があるんですが、現在、広島県大崎上島町で、石炭ガス化燃料電池複合発電、IGFCの実証試験をしております。

 既に、石炭をガス化しコンバインドサイクル発電と組合せをした最も発電効率の高い酸素吹きIGCC技術、一般的にIGCC技術は空気吹きIGCCですが、こちらは酸素吹きによって効率を上げております。

 このような新たな技術による石炭火力発電を行っているだけでなく、発生したCO2を分離回収し、更に燃料電池を組み合わせた発電の効率化、IGFCも実証実験をしております。石炭を圧力というかガス化する際に水素が出てくるんですが、それを水素電池として、両方で動いているようです。これは、超超臨界圧以上の発電効率と大幅なCO2の排出量の削減につながります。超超臨界圧、USCとも言いますけれども、その比率で見ますと、それより更に三割のCO2排出量を低減でき、電力効率も一五%から三〇%向上していると聞いております。

 二〇二〇年から実証試験の予定ですけれども、現在、設計、試作に入っておりますが、CO2やカーボンリサイクルの実現に向いて動いております。カーボンゼロということと同じことなんですが、不要なカーボンというかCO2や出たものを再利用できないかということを考えています。

 資料三をごらんください。

 さらに、石炭火力発電から回収したCO2を有効するカーボンリサイクルを目指し、実証試験の準備段階に入っております。

 裏に写真なんかもあるんですけれども、例えば、石炭火力発電で発生いたしましたCO2を液体化いたしまして、場合によってはタンクローリーとかで運ぶと言っておりましたが、そういうことをしまして、CO2を植物や農作物の光合成に有効利用できることも考えられます。CO2、二酸化炭素濃度が高いほど光合成の速度は速くなると言われております。現在、カゴメ株式会社と中国電力とで、そういうことができないかということで今順次準備をしている段階と聞いております。

 カーボンリサイクルも環境にとって意義があると考えております。環境にマイナスになるカーボンゼロを目指す世界において最先端の実証試験施設と考えております。

 リサイクルというと、なくさないという考えになるかもしれませんが、出たものを再利用させて有効に使う、ある意味、日本の新しい技術として世界に向けれるのではなかろうかと考えております。私は、このような脱炭素化に向けた日本の技術を早期に実現させ、導入を進めることが重要と考えております。

 現在、最初にお配りしました資料二のところの右下に予定が書いてあるんですが、そのリサイクルも二〇二二年には実証試験がある程度まで終わるという段階におりまして、その前段階、先ほど申しました、分離をさせる、そこはもう既にできておりまして、動いております。今何をしているかというと、二酸化炭素を液体化させるというところの、どうしたらできるかとか、そういうところの実験をしております。

 では、政府のこういうカーボンリサイクルのこれからの見解を、政府の御意見を伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。

南政府参考人 お答え申し上げます。

 広島県の大崎上島では、委員御指摘のとおりでありますが、高水準の高効率石炭火力発電技術の確立を目指しまして、石炭をガス化した上で燃焼させて発電いたしますIGCC、これは石炭ガス化複合発電技術でございますが、これの実証事業を行っておりまして、これまでに、従来のUSCの石炭火力発電に比べましてCO2を約一割削減できるという見通しが立っております。また、今年度は、IGCCにCO2分離回収設備を設置し、昨年十二月からCO2回収に係る実証試験を開始したところでございます。

 さらに、今後、IGCCに燃料電池を組み合わせてさらなる高効率化を目指すIGFC、石炭ガス化燃料電池複合発電技術の実証試験も実施する予定と聞いているところでございます。

 また、先ほど委員から御指摘ございましたが、昨年六月に閣議決定しましたパリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略に基づきまして、CO2を資源として再利用するカーボンリサイクルの研究開発を推進するため、今、広島県の大崎上島で実証拠点の整備に取り組んでいるというところでございます。

八木大臣政務官 あわせて、環境省の方からもお答えいたします。

 今御指摘の大崎クールジェンについては、IGCC技術を用いた石炭火力発電の高効率化を図るとともに、CCUS関連技術の実証事業等にも取り組んでいるものと承知しているところであります。

 まず、IGCCを含む石炭火力発電については、エネルギー基本計画において、高効率化、次世代化を推進するとともに、よりクリーンなガス利用へのシフト、非効率石炭のフェードアウトに取り組むなど、長期展望した環境負荷の低減を見据えつつ活用していくエネルギー源であるとしておるところでありまして、IGCCはこの方針に沿った技術であると理解しておるところであります。

 また、長期的には、パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略において、石炭火力発電を含む火力について、その依存度を可能な限り引き下げることとしております。

 その上で、CCUSについては、長期戦略に基づき本年一月に策定した革新的環境イノベーション戦略において、世界のカーボンニュートラルや過去のストックベースでのCO2削減を可能とする革新的技術の一つとして位置づけられているところであります。

 先月、環境省は、CCUS・水素に関する国際シンポジウムを開催いたしました。私もそこに参加いたしまして、CCUSの技術と水素の技術について、双方を両輪とし、掛け合わせることで大幅な二酸化炭素の削減を目指し、ワンチームとなって対策に取り組む必要があるという旨の発言をさせていただきました。

 今後とも、脱炭素社会の実現に向けて、CCUSの早期の社会実装を目指した技術実証を着実に進めてまいりたいと考えております。

畦元委員 ありがとうございました。今後ともよろしくお願いします。

 ただ、回答はいいんですが、一つ確認してほしいことがあるんですが、IGFCだと、中国電力から聞いたところによると、USC比で約三〇%の削減ができるという形で正式な文書で出ておりますので、たしか一〇%はIGCCの間違いではないかと思います。(南政府参考人「IGCCで一〇%」と呼ぶ)あっ、IGFCの現在は三〇%減というふうにお聞きしております、済みません。

 では、次の質問に移ります。

 我が国による輸出支援についても、国際的に厳しい意見があると理解しております。環境大臣所信表明でもお話しされた石炭火力輸出支援の方針、いわゆる四要件に関して見直しについての議論が開始されるとの発表もありました。

 環境省としては、今後、具体的にどのような検討を進めていくのか、小泉環境大臣にお伺いいたします。

小泉国務大臣 おはようございます。

 改めて、畦元先生からの御質問、ありがとうございます。

 今先生から御質問ありました四要件、これにつきましては、ベトナム・ブンアン2の石炭火力発電という案件を契機としまして関係省庁間で議論を行いました結果、この四要件の見直しについて、関係省庁で議論して結論を得ることで合意しました。

 今後、パリ協定の目標達成に向けて、六月に予定される次期インフラシステム輸出戦略の骨子の策定、ここにおいて、この四要件の見直しについて関係省庁で議論して結論を得ることになります。

 この関係省庁での議論を前向きなものとするように、環境省としても、パリ協定の目標を踏まえつつ、世界全体のカーボンニュートラルの達成に向けて、まずは環境省内に検討会を設置をして、そこでファクトを積み上げるとともに、有識者等からの提言などを踏まえて、環境省としての四要件の考え方をまとめていきたいと考えております。

畦元委員 ありがとうございました。

 これからの我が国の厳しくも明るい未来が見えたような感じがします。引き続き、日本の国のために、大臣、よろしくお願いいたします。

 では、最後の質問に移ります。

 環境問題として、大崎クールジェンの実証試験が行われている石炭火力の脱炭素化、ゼロカーボンに向けた技術だけでなく、現在、フロンの排出抑制のための取組も、温室効果ガス削減に向けた我が国のすぐれた取組の一つと考えております。

 資料四、五をごらんください。

 フロンの回収率は、十年以上、三割程度に低迷し、直近でも四割弱。昨年この取組を強化するためにフロン排出抑制法を改正した法律が、ことし四月より施行されると思います。これにより、二〇三〇年度にフロン使用機器の廃棄時のフロン回収率七〇%達成を目指すと聞いております。

 改正法の施行に向けた今後の取組について政府にお伺いいたします。

佐藤副大臣 お答え申し上げます。

 フルオロカーボン、いわゆるフロン類でございますけれども、オゾン層の破壊物質でありますクロロフルオロカーボン、いわゆるCFC等から、最近ではハイドロフルオロカーボン、HFCへの転換が世界的に進んでおります。したがいまして、この結果、日本では、近年CO2などの温室効果ガスの排出量は減少はしておりますけれども、その一方で、CO2に比べて温室効果の高い、いわゆるHFC、ハイドロフルオロカーボンの排出量が年々増加しておりまして、地球温暖化防止の観点からもこの対策の強化が必要であるというところでございます。

 そのために、委員御指摘のとおり、昨年の六月の法改正によりまして、廃棄物・リサイクル業者が機器を引き取る際にフロン回収済みであることを引取り証明書によりまして確認する仕組みの導入をいたしましたのと、それから機器廃棄時のフロオロカーボンの回収義務違反に対して直接罰を設けるということなどで、フルオロカーボンの回収が確実に行える仕組みというものを強化しております。また、回収作業時に、回収残、未回収の残っている部分ですけれども、これに対する対策につきましても引き続き技術的な検討を行っているところでございます。これらによりまして、現在四割弱の回収率でございますが、二〇二〇年度に五割、二〇三〇年度に七割に上げることを目指しているというところでございます。

 本年四月にこの改正法施行になりますので、これに向けまして、昨年より、国主催で説明会の実施、それから法の運用を行う自治体に向けましてはマニュアルの提供などを進めてまいりまして、引き続き、改正法の実効性を上げるために、実際の指導監督を行います都道府県が効果的、効率的に指導監督できますように職員のスキル向上などを目指してこういったものを行いまして、関係省庁や関係団体とも連携して改正法の周知に努めるなど、施行に向けて万全を期してまいりたいというふうに考えております。

畦元委員 ありがとうございました。引き続きよろしくお願いいたします。

 これで私の質疑は終わります。ありがとうございました。

鷲尾委員長 次に、古田圭一君。

古田委員 自由民主党、中国ブロック比例の古田圭一でございます。

 きょうはどうぞよろしくお願いいたします。

 まず最初に、新型コロナウイルス対策について伺いたいと思います。

 中国で発生した新型コロナウイルスの感染は、現在、日本国内におきましても日々感染者が発生している大変な状況であります。政府も、水際対策、入国規制、武漢市からの帰国支援、ダイヤモンド・プリンセス号対応、さらに、国民の皆様にも、企業などへの時差出勤、テレワークへの協力、全国的なスポーツ、文化イベントの中止、延期又は規模縮小などへの対応、また、全国全ての小学校、中学校、高等学校、特別支援学校への休校などの要請も行われています。これらの要請は国民に対して大変な御負担をおかけしております。

 二月二十九日の安倍総理の会見でも、終息への道のりは予断を許しません、険しく厳しい闘いが続いていく、そのことも覚悟しなければなりません、本当に大変な御苦労を国民の皆様におかけをしますが、改めて、お一人お一人の御協力を深く深くお願いする次第であります、しかし、私たちは必ず乗り越えることができる、そう確信していますと発言されておられます。

 国民の皆様が協力することへ御理解いただくには、政府の取組についても御理解をいただく必要があります。環境省も政府の一員としてどのような体制でどのような取組を行っているのか、小泉大臣にお伺いしたいと思います。

小泉国務大臣 古田委員からは、環境省のコロナウイルス対策ということで御質問いただきました。ありがとうございます。

 環境省におきましては、政府の対策本部が設置された一月三十日に、私を本部長とする環境省新型コロナウイルス感染症対策本部を設置をして、関係者間で連携して対策を講じています。

 環境省が主催をするイベントも全般的に見直しを行いました。三月三十一日までに予定している百人以上が集まるイベントは原則として延期又はインターネットを活用したウエブ開催としたほか、特に注意を要する三月十五日までのものは規模にかかわらず延期又はウエブ開催というふうにさせていただきました。

 また、環境省でのテレワークと時差出勤につきましては、ネットワーク回線を三倍以上に増強したほか、時差出勤の選択肢を七時から十一時半までの十パターンに拡充をしました。これは、今までは五パターンでした。そして、全ての職員がそれを実施可能となるような必要な環境の整備を行っております。

 さらに、環境省が所管をする廃棄物処理、これにおきましては、処理業者等が実施すべき感染防止策や新型コロナウイルスに関連する感染性廃棄物等の適正処理に関する基準の徹底などを図り、廃棄物の処理が滞ることのないような対策を行っております。

 加えて、多くの方が訪れる国立公園、国民公園などでも、消毒液の設置に加えて、感染のおそれがある場合の帰国者・接触者相談センターへの連絡を呼びかけるチラシを日英中、三カ国語で作成、掲示をしています。国立公園のビジターセンター等は危険情報の提供等は継続していますが、一部の展示施設は地域の状況を踏まえて閉館をしています。

 なお、新宿御苑につきましては、感染防止策を徹底した上で開放を継続いたしますが、桜の最盛期の土日などには、例年非常に多くの方に御来園いただきまして、多いときには七万人を超えるということを聞いております、そして入園券の事前購入、このチケットです、そして年間パスポートなどによる入園待ちの行列の解消策を講じるとともに、レジャーシートを使用した集団での飲食などは御遠慮いただくなど、しっかりと対策を講じてまいります。

 引き続き、しっかりと状況を注視しながら、政府一丸となって取り組んでまいります。

古田委員 新宿御苑の入園待ちの人に対しても対策をとっておられるということで、今後もきめ細かな対応をよろしくお願いしたいと思います。

 大臣の答弁の中で、廃棄物処理についても言及がありましたけれども、人が生活する上で必ず廃棄物が発生し、病院等で業務を行う上でも廃棄物が発生することから、廃棄物の適正な処理の確保というのは非常に重要だと考えております。

 今般、新型コロナウイルスの流行に当たっても、家庭から廃棄される使用後のマスクやティッシュ等の廃棄物に加え、病院等から廃棄される廃棄物など、新型コロナウイルスが付着している可能性のある廃棄物を適正に処理していくことが必要だと思います。

 廃棄物の処理が滞ることがないよう対策を行っていかないといけませんけれども、今後の取組について、具体的な内容についてお伺いしたいと思います。

小泉国務大臣 古田委員からは、御指摘のとおり、大変重要な、廃棄物の処理という、日々の国民の生活や経済活動を支える社会インフラについての御質問をいただきました。

 特に、病院などから排出される廃棄物の適正な処理は、病院などの業務の遂行、ひいては国内の新型コロナウイルス感染症対策の観点からも非常に重要だと考えております。

 環境省では、地方自治体等に対して、病院などから発生する廃棄物については、法令に基づく処理基準及び感染性廃棄物処理マニュアル、これを遵守するよう改めて通知をするとともに、廃棄物処理業者において実施すべき感染防止策や家庭などから出る使用後のマスクなどの捨て方などを、廃棄物処理における新型インフルエンザに関する対策ガイドラインに沿って行うように周知をしたところであります。また、「廃棄物処理における新型コロナウイルス感染症対策に関するQ&A」を新たに作成をしまして、今、環境省のウエブページで公表しているところであります。

 現場においても、これまで、クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号やチャーター便で武漢から帰国された方々の滞在施設における廃棄物が円滑かつ適正に処理されるように、自治体、民間事業者、関係省庁と密に意思疎通を図り、現場の疑問や不安を解消しつつ、個別のケースごとに丁寧に対応してきました。

 また、病院などの感染性廃棄物を始め、廃棄物を処理する現場での感染防止や作業の安全に必要となるマスクや防護服、これらなどは市町村や事業者において一定の備蓄をしていますが、今後不足する状況も考えられることから、その確保について関係省庁と連携して対応しています。既に、マスクの一部については、関係省庁の協力で調達先を廃棄物処理の事業者団体にあっせんしましたが、こうした現場の課題にしっかりと取り組んでまいります。

 廃棄物処理に係る業界団体等の関係者と密にコミュニケーションをとって、新型コロナウイルスの問題が廃棄物処理業者の経営に与える影響を注視をして、新型コロナウイルスに関する廃棄物が適正に処理されるよう必要な対策を講じてまいります。

古田委員 大変心強い御回答だと思います。しっかり取り組んでいただきたいと思います。

 次に、東日本大震災及び東京電力福島第一原子力発電所事故からの復興についてであります。

 東日本大震災からあすで九年が経過し、十年目を迎えます。今月四日には双葉町、五日には大熊町、そして本日、富岡町において帰還困難区域の一部地域の避難指示が解除されました。これは、帰還困難区域の解除としては初めてとのことであります。また十四日には、震災により被害を受けたJR常磐線の富岡駅から浪江駅の区間の運行が再開し、これにより九年ぶりに全線で運転が行われることになります。

 このように、震災からの復興に向けた取組が着実に進んでいる一方で、復興庁が公表している原子力発電所事故の被害を受けた自治体の住民意向調査によりますと、自治体によっては、戻らないと回答した方が五から六割程度となっております。また、戻りたい、まだ判断がつかないと回答した方も三から四割程度いらっしゃるということであります。

 東日本大震災からの復興は、引き続き重要な課題であります。環境省は、除染や中間貯蔵施設の整備、汚染廃棄物処理など、被災者の安心した生活を取り戻す施策を数多く担っていますけれども、震災から十年目を迎えるに当たり、進捗状況についてどのように評価され、今後どういった思いで復興に向けて取り組むのか、小泉大臣に改めて復興に向けた決意を伺いたいと思います。

小泉国務大臣 東日本大震災からの復興は、私、今までも、復興政務官、そしてまた党の立場でも取り組んでまいりましたが、これまでも、そしてこれからも、私としても、また環境省としても、最重要の課題です。

 環境省の事業について言えば、除染特別地域や汚染状況重点調査地域の面的な除染は完了して、除去土壌等の輸送が進捗したことにより仮置場の約半数は解消されるなど、復興再生に向けた取組は進捗をしてきています。しかしながら、私自身、東日本大震災の発災以降、継続して現地を訪問して復興の現状を見てきましたが、福島の復興再生の取組は、これからもまだまだ課題は多くあると感じています。

 環境大臣に就任して以来、昨年十一月には帰還困難区域を抱える自治体の皆様から今後の復興の道行きに対する御懸念の声をいただき、先月、飯舘村を訪問した際には、一日でも早く復興の事業を進めてほしいという切実な声をいただきました。このような地域の皆様の声に触れ、九年の年月が経過する中で、中長期的な見通しを示すだけではなくて、地元の皆さんに復興に向けた取組の進捗を実感していただけるような、今できることを、小さくとも一つ一つを積み重ねていかなければならないと改めて強く感じています。

 こうした思いから、先日、福島県の除去土壌を利用した鉢植えを私の環境大臣室などに設置をしました。この取組は小さな一歩かもしれませんが、一歩一歩そういった取組を積み重ねていくことが重要な一歩につながるというふうに考えています。こういったことを契機としまして福島の復興に向けた理解の醸成を図って、そして、福島の復興とは福島の課題ではなくて日本全体で取り組むべき課題である、そういった国民的な理解にもつなげていきたいと思いますし、最近、特に風評そしてまた風化、これに対する懸念というのが改めて強くなっているような気もします。

 今回、コロナウイルスの関係であしたの政府の追悼式は中止ということは理解をいただかなければいけませんが、こういったことも、このまま風化が進んでしまうのか、そういったふうに心配をされる方々に対して応えていくには、環境省が負っている役割を一つ一つ着実に実行に移していくことが不可欠だと考えております。

 環境省というのは水俣が原点だというふうによく言いますが、福島も今後の環境省にとって大切な原点の一つだと思っています。環境省は常に福島とともにある、その思いを忘れずに、内堀知事がよくおっしゃる、苦渋の決断をした地元の方の思いとそして信頼、この言葉を忘れずに、これからもしっかりと復興に取り組んでいきたいと考えております。

古田委員 小泉大臣には、ぜひリーダーシップを発揮していただきまして復興に取り組んでいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 次に、海洋プラスチックごみ問題についてお伺いしたいと思います。

 私の地元の山口県は三方海に囲まれておりまして、海洋漂着ごみも非常に多く来ております。平成二十九年の漂着ごみモニタリング調査によりますと、調査対象となった十地点のうち、さまざまなプラスチックごみがある中、重量ベースでは漁具が非常に多いということであります。

 二〇五〇年までに海洋プラスチックごみをゼロにすることを目指す大阪ブルー・オーシャン・ビジョンの実現に向けて実効性のある対策を講じる必要があると思いますけれども、今有料化で焦点の当たっているレジ袋だけじゃなくて、重量ベースで割合の高い漁具についても早急に対策を講じる必要があると思いますけれども、政府の具体的な取組についてもお伺いしたいと思います。

小野政府参考人 お答え申し上げます。

 委員が御指摘されましたとおり、陸域からのごみの海洋流出の抑制と並んで、漁具の対策というのは極めて重要であると考えております。

 このため、政府といたしましては、まず、漁具の使用中の流出防止を図るために、非意図的な流出を可能な限り防ぐため、漁業者団体を通じ、漁業者による操業前後の点検など漁具の適正な使用管理が行われるように徹底をしております。

 また、使用済み漁具の適正処理、リサイクル等につきましては、水産庁及び環境省が共同して漁業系廃棄物処理計画策定指針及び漁業系廃棄物処理ガイドラインを更新し、周知する、あるいは、環境省の事業を活用いたしまして、漁具を含むプラスチック製品のリサイクルなどの技術開発及び設備導入の支援を行うなどの対策を行っておるところでございます。

 引き続き、関係省庁と連携いたしまして、漁具の海洋への流出の防止に取り組んでまいりたいと考えております。

古田委員 しっかり対策をお願いしたいと思います。

 時間が参りましたので、これで終わります。どうもありがとうございました。

鷲尾委員長 次に、横光克彦君。

横光委員 立国社の横光克彦でございます。

 本当に皆さん御苦労さまです。おはようございます。

 冒頭、一言申し上げたいと思います。

 新型コロナウイルスの国内感染の拡大は依然としてとまっておりません。そういった中で、今コロナウイルス対策をやっております政府の取組に対しましては、我々も全力で後押ししてまいりたいと思っております。

 過去何度も、世界でも日本においても、あらゆる感染症、こういったものを克服してきたわけです、人類は。そういった中で、今回非常な、今厳しい状況になっているんですが、大臣におかれましても、発信力のある閣僚のお一人として全力で取り組んでいただきたいと思っております。

 また、先ほどから大臣から御説明がございましたが、環境省におかれましては、本当に、新型コロナウイルスに関連した廃棄物処理に対して万全の対策を講じていただきますよう、冒頭お願いを申し上げます。

 それでは、質問に入らせていただきます。

 ここ数年、世界じゅうで異常気象による大きな災害が発生し続けております。我が国におきましても、二年前の西日本豪雨災害で約百九十万トン、昨年の台風十五号、十九号などでは約二百十五万トン、これは災害廃棄物の発生量です。

 二〇一八年の一兆六千億に続いて、二〇一九年も、我が国での損害保険支払い額は一兆円を超える規模になっております。物すごい規模になっているんですね。また、二〇一八年、二〇一九年度に環境省が災害廃棄物などの処理に交付した補助金、これは二年間で合わせて一千億円に上る見込みです。この額は当初予算の二百五十倍の額になるんですね。

 それほどに激しい自然災害が頻発しているという状況でございます。一たび大きな災害が起きますと、自治体やコミュニティーの再開のためには、膨大な労力、そして時間、そしてまた金が必要となってくるわけでございます。

 そのような中で、長崎県壱岐市では、昨年九月、自治体の気候非常事態宣言を出しました。国内初でございます。地球温暖化を回避するための脱炭素化の実現に向けて、日本各地の自治体で次々と同じような宣言を出しておりますし、自治体でできることや、住民や他の自治体にも呼びかけが続いております。

 実は、私の地元の大分県別府市でも、昨日、気候非常事態宣言が議会で採択されました。これは特徴的なのは、この請願を出したのが、APU、立命館アジア太平洋大学の留学生なんですね、タイから来ていた。この留学生が出した請願が、別府の議会では全会一致で採択した。こういう非常に特徴的なことがあって、地元では大変今話題となり、また関心も高まっている、そういった状況でございます。

 県レベルでも、長野県や神奈川県でも事業が進んでおります。大臣も所信で、ゼロカーボン宣言をする自治体を、ことしじゅうに日本の人口の過半数を目指すと述べられました。まさに気候変動というより気候危機の状況だと考えるからだと私は思っているんです。

 大臣、まず、このような自治体の気候非常事態宣言の動きに対するお考えをお聞かせいただければと思います。

小泉国務大臣 今横光先生から御指摘の気候非常事態宣言については、世界的にこの宣言の取りまとめを行っている事務局、クライメート・エマージェンシー・デクラレーションというのがあるんですが、そこによれば、本年に入って宣言を行う国、自治体等が増加した結果、現在、十カ国、約千四百五十の自治体等の宣言が登録をされているということであります。

 その千四百五十、十カ国、このうちの日本からは、昨年九月に表明を行った、横光先生が今名前を挙げていただいた長崎県の壱岐市を始め、現時点で十三の地方自治体及び地方議会がこの事務局に登録をされているということであります。また、この事務局においては、未登録であるが類似の宣言を独自に行っているものとして、環境省では二つの地方自治体及び地方議会を把握をしています。これがまさに先生が今名前を挙げられた鎌倉や長野県の千曲市議会なども当たります。

 そして、今先生が御紹介いただいた御地元の大分県別府市が今回宣言をされたということは今私も知りましたので、先ほど私が申し上げた数字がプラス一になるんだろうというふうに思います。

 こういった動きは、まさに先生おっしゃったような、気候変動という言葉が気候危機、このフェーズに変わってきている認識が日本各地で広がりつつあることだと私は受けとめています。

 そして、象徴的な一つは、昨年の台風被害を受けた長野県が、この気候非常事態宣言に加えてゼロカーボン宣言を同時に宣言をされたというのは、私は象徴的なことだと思います。

 そして、先日、東京の小池都知事ともお話をしましたが、東京都は昨年末にゼロエミッション東京戦略、これを策定をして、この戦略をもって気候危機行動宣言というふうにしています。これは、知事の話からすれば、これを宣言に終わらせず、行動に変えることが重要だというお考えのもとで気候危機行動宣言という名前にしているということであります。この戦略においては、現在の気候変動の状況を、気候非常事態との表現とは異なるが、むしろこれを超えて気候危機と表現をしているということであります。

 環境省としては、まさに、このゼロカーボン宣言をした自治体も含めて、こういった自治体をしっかりと後押しをして、国全体の脱炭素化に向けて後押しをしていきたいと考えております。

横光委員 ありがとうございます。

 大臣、今、別府市が気候非常事態宣言を発したということをお話しになりましたが、議会で採択されて、これが執行部に上がってこれから発するというだけで、まだ、議会で全会一致で採択されたという御報告でございます。

 また、私たち立憲民主党も、先般、気候危機対策調査会を発足させまして、脱炭素化、そして再生可能エネルギーのさらなる拡充を目指して政策の取りまとめを行ってまいりたいと思っております。

 さらに、国会としても、気候危機対策に取り組む決意を示そうと、先般、超党派の議員連盟が発足しました。自民党から共産党まで含めて、超党派の議員連盟が発足したわけでございます。そして、この国会で気候非常事態宣言の決議を目指しております。どうか本委員会の皆さん方にもぜひとも御協力をお願いを申し上げたいと思っております。

 次に、大臣が昨年参加されましたCOP25におきまして、日本はまたもや化石賞を受賞しました。受賞というより押しつけられた賞であり、大臣には何の責任があるわけでもありませんが、やはり本当に恥ずかしい賞だと思っております。

 大臣は所信で、国際社会の現実においては、石炭政策に関する前向きなメッセージがなければ、ほかにどれだけすぐれたことを言ったとしても何も伝わらないんだと述べられました。本当にそのとおりだと思います。先般、記者会見で大臣は、ベトナムの石炭火力発電所の建設計画に触れました。非常に大きな一石を投じたと思っております。まさにこれこそが大臣の言われる前向きなメッセージだと思っております。

 そこで、まず、我が国のエネルギー基本計画について御質問をいたしたいと思います。

 次期エネルギー基本計画の見直しは来年の二〇二一年から、来年のこの見直しは、これまでと違って、大きな時代の転換期に当たり、我が国が世界に恥ずかしくない、本当に胸を張って発表できるような新たなエネルギー計画を出せるかどうかが問われる大変重要な見直しになると私は思っているんです。

 環境省及び環境大臣は、このエネルギー基本計画の見直しにどのような形で携わっておりますか、お聞かせください。

小泉国務大臣 今、横光先生からは、エネルギー基本計画に対する環境省の関与ということで御質問いただきました。

 次回のエネルギー基本計画、またエネルギーミックスの見直しに向けた検討の進め方はまだ現時点では決まっておりませんが、二〇一五年に現在のエネルギーミックスが策定された際には、温室効果ガス削減目標については環境省と経産省の合同審議会、そしてエネルギーミックスについて資源エネルギー庁の審議会、これで並行して検討が進められるとともに、それとあわせて政府内での調整も進められた、こういった経緯が二〇一五年のときはありました。

 その結果、二〇三〇年度二六%削減目標を掲げる約束草案が地球温暖化対策本部において、エネルギーミックスが経産省において、それぞれ相互に整合的なものとして同時に決定をされました。

 また、現在のエネルギー基本計画については、資源エネルギー庁の審議会において検討が進められ、それとあわせて政府内での調整も進められ、環境省を含め各省との協議を経た上で、二〇一八年に閣議決定をされました。

 こうした政府内の調整過程において、環境省は地球温暖化対策を所管する立場から関与した、そういうふうに承知をしております。

横光委員 今御説明がございましたが、このエネルギー基本計画の見直しのプロセスは、やはり資源エネルギー庁が中心となって進むということは間違いないですね。お聞かせください。まあいいです、うなずいてくれたので。そういった形で進む。

 そして、資源エネルギー庁が審議会でまとめた数値、二〇三〇年に向けてのエネルギーミックス、こういったものをまとめて、そして、その後、環境省やあるいは外務省や農水省やいろんな閣僚が入って、それをもとに論議をされるんだと思うんですが、その中で最終的には閣議決定ということで発表になるんですね。

 そうしますと、今大臣の説明もございましたけれども、このエネルギーミックスの数値に対して、本当にこれでいいのかという意見を言う場というのはあるんですか。お聞かせください。

小泉国務大臣 エネルギー政策の所管は、まさに経産省、資源エネルギー庁でありますから、まずそこが所管をするということの中で、我々環境省として考える地球温暖化対策の観点など、そういった意見は日ごろからさまざまな形で伝えていますし、意見交換もするところでもあります。

横光委員 いや、それももちろん重要です。しかし、今の我が国に対する国際的な風当たりが強い原点はどこにあると思っていますか。私は、日本の三〇年目標のエネルギー計画の石炭火力あるいは化石燃料、これの二六%あるいは五六%という、この数値が国際的に激しい批判を受けているというふうに思っているんですよ。

 ですから、これを変えることができるかどうかというのが、これからの見直しにとって最大の課題だと思うんですが、そういった数値とかいうことに対して、環境省あるいは外務省、そのあたりの意見をエネ庁としっかりと論議していかない限り変更はできないんですよね、土台は、エネ庁が審議会でつくった数値が基本になるわけですから。

 そういったところに対する危機感は大臣はお持ちですか。

小泉国務大臣 危機感があるからこその、大臣就任以降の私の石炭火力に対する政策について、より前向きなメッセージを国際社会に送らなければいけないというたび重なる発信、発言に加えた実行、アクションだと思います。そして、それが、今回の四要件の見直しについて議論をすることで関係省庁と合意ができたこと、これは間違いなく国際社会には国内以上に響いていると思います。

 この国際社会の中ではインフルエンサーと言われる方々がいますが、その方々が今このニュースにも注目をする中で、日本が今後、より脱炭素の方向にどのように向かっていくのかをつぶさに見ています。

 今先生からはエネルギー基本計画の話がありましたが、まず、この四要件の見直しについての議論を、六月の輸出のインフラの戦略の骨子、この策定までに実りある議論をして、そして、エネルギー基本計画の見直しは、現時点でどのようにということはまだ決まっておりませんが、一応、スケジュールとしては来年を見据えているということは私も耳にはしますので、まず、こういった目の前のことからしっかりと議論をして、実りある形につなげていくことが非常に大事なことではないかなと考えております。

横光委員 このエネルギー計画の数値ですけれども、先ほど申しましたように、二〇三〇年、二六%の石炭火力を動かす、それで、化石燃料全般を入れると五六%がそういったエネルギーの中心になっているんだという日本の基本的なエネルギー計画、これが今、世界では信じられないような状況になっているんです。

 もう世界では、この二〇年代にイギリスやフランスはゼロにしようとしているんですよね、この石炭火力発電。あるいは、ドイツでさえ二〇三八年にはもうやめようと。カナダも三〇年だと。そのときに日本はまだ二六%。これを変えることができるチャンスが来年の見直しなんですよ。そのときに、やはり環境省はしっかりと、本当に脱炭素化、あるいは温暖化危機のためにはこの数値では絶対にだめなんだということはわかっていると思うんですが、それをはっきりと交渉段階でやってほしい。

 私は、これまでも見直しは三年ごとにあったと思うんですが、やはり経産省に押し切られてきたんじゃないかという気がしてならないんです。だから、大臣が、今度非常に発信力のある方が登場したわけで、大臣の声はほとんど多くの人たちの国民の声に近いわけですので、堂々と経産省に発してほしい。

 つまり、私が申し上げたいのは、この二六%、石炭火力発電の数値をできるだけ下げて、その足りない分を再生可能エネルギーで補っていく、そういった世界からもそれなりに評価できるような見直しをしなければ大変なことになるという気がするんですが、そのことの数値のこと、今私が申し上げた数値のことについては、御意見はどうですか。

小泉国務大臣 先生と思いは同じです。そして、数値については、まさにエネルギー基本計画、エネルギーミックス、そういった中で決まっていくものだと思いますが、方向性について、どのような考え方なのかということがしっかりと国際社会に届いていかなければいけません。

 そして、そのスケジュール感で申し上げると、来年のエネルギー基本計画は、ことしの十一月のCOP26、このグラスゴーを考えたら、このCOP26にいかに臨むかということが最重要なわけです。そこを考えて、まずは、この四要件の見直しの議論が六月をめどにしていこうということになったことは、そのスケジュール感を見据えた上でも、私は非常に意味のある重要なことだと考えています。

横光委員 確かにそのとおりだと思います。

 輸出関係の四要件の見直し、これも六月だって、もう時期がありません。しかし、ここに大きな一石を投じて、そういった関係閣僚たちが動き始めたわけですね、論議が始まる。ここでいい結果を出すことがCOP26につながると思うんです。

 それと別に私が心配をしておりますのは、エネルギー計画の土台をつくる経産省、エネ庁のこれまでの流れは、どうしても、エネ庁のホームページを見てもわかりますように、エネ庁のホームページでは、石炭火力発電への取組について、自国も含め石炭は重要なエネルギー源として選択せざるを得ない国があり、安定した供給を行うことができるエネルギー安全保障、これが一つ。それと、安価でとりやすいという経済性にある。この二つを中心に、石炭火力発電推進、維持の理由にしているんですよ。

 エネ庁にとっては、それは業界団体とかいろんなこともあります、努力はしておるでしょうけれども、やはり石炭火力のレベルはこれだけ必要なんだということを主張する原点がここにあるんですね。

 確かに、他国からの需要もあるでしょう、安い石炭もそのとおりでしょう。しかし、だからといって、我々が目指す、我々というより世界が、パリ協定が目指す脱炭素社会と真逆の、CO2をまき散らす石炭火力発電をこれまでどおり推進していいのかということです。

 需要があるからといって気候危機を広げるような石炭火力を他国に輸出してもいいのかということです。輸出するなら、再生可能エネルギーのノウハウでしょう。勘違いしているんじゃないですかね、皆さん。ここを変えない限り、先ほど言いましたように、日本に対する世界の風当たりはとまりませんよということを言っているんです。

 だから、これまで資源エネルギー庁の言う、必要性が、需要があるからとか安価な経済性があるからという、そういった理屈を押し通してエネルギー基本計画が見直しできない可能性があるから心配しているんです。

 しかし、今、大臣、状況は大きく変わりつつあるんですよ。大臣ももちろん御認識していると思います。

 まず第一に、三日前の日経新聞の報道では、東京大学やイギリス金融シンクタンクの試算では、何と欧米では、再生エネルギーのコストの方が石炭より安くなるという試算が出ている。また、日本でも、新規石炭火力発電のコストは、二〇年代後半、今二〇年ですが、この後半にも、太陽光や風力よりも新規の石炭火力発電の方が割高になる、そういう調査結果が報じられているんですね。

 つまり、これは、エネ庁の言う安価で経済性という理屈が通らなくなる。こういったことが実際に起きてくれば理屈が通らなくなる。電源構成に組み込むよりどころとしている価格の優位性も崩れていくわけですよ。そういったことが今始まりつつあるんですよ。もうそういった時期がすぐそこまで迫っているんですよ、この試算では。

 ですから、次のエネルギー計画の見直しには、何としても環境省としては、こういった声をバックに、さらに、政治の方でも、また先般、与党の公明党の山口代表も、今国会の参議院本会議で、石炭火力発電について新増設を認めないなど、大胆な政策に取り組むときだ、こう打ち出されました。この山口代表の発言は、大臣にとって大きな私は力になると思うんです、このエネルギー計画の見直しに向けて。そういったこともある。また、自民党の皆さん方も、脱炭素社会のためにも再生可能エネルギーにシフトすべきだというお考えの議員もたくさんいらっしゃいます。

 そういった今流れが大きく変わってきているんです。ですから、ここの、経産省の言う安価な、経済性があるからという理屈もだんだん通らなくなる。それから、政府の方も、与党でもいろんな脱石炭火力をすべきだという声も上がる。いろんな形で状況が変わりつつあるんです。こんなことはめったにないと思うんです。でも、今変わりつつある。

 恐らく、小泉さんが大臣になったからつくったんじゃなくて、小泉さんが大臣になったから、そういった流れが自然に私はできたんじゃないかと思うんですよ。それほどの見えない力がおありなんです、私から言うと。ですから、このチャンスを逸してはならないということなんです。

 まだ来年だからというお話でございました。確かにまだ来年です。論議はこれからでしょう。しかし、それぞれの省で着々と準備を始めなきゃなりませんし、環境省も始めていると思います。

 ですから、このチャンスを逃せばまた三年後ですよ、二〇二四年になる。この環境の問題は、一年であっという間に動いていく、進んでいく、悪い方に進んでいく。ですから、四年後になるとどうなりますか、日本の今のままのエネルギー基本計画で。あの電源構成で本当にいいのかということが問われる私は二〇二一年の、来年の見直しだと思うので、しつこくしつこく申し上げているんです。

 私は、次期エネルギー計画の策定で、電源構成の見直し、今の、二〇三〇年代を目標にされた二〇一五年につくられた電源構成の見直し、これを変えるということはそう簡単ではないと思っています。容易ではありません。容易ではありませんが、この電源構成を変えることは決して不可能ではないとも思っているんです。今の時代の流れからして、今のような大きな動きの中から、決して不可能ではないと思っている。

 仮に、先ほど申しました東大やイギリスのシンクタンクの試算どおりいけば、再生可能エネルギーのコストは安くなるわけです。石炭火力の方が高くなる。そうすると、石炭火力の電源構成の数値、エネルギーミックスを下げても、結局、再生可能エネルギーをその分上げても、経済界に与える打撃とかいうのを皆さん本当に心配されている、この打撃も相当弱まると思いますし、いろんな形で変わりつつあると思うんですよ。

 ですから、どうかこれからの、四要件はまた後でやりますけれども、四要件と別に、電源構成、来年のエネルギーミックスでは、環境省としては、やはり石炭火力の電源、エネルギーミックスはこんなに高い必要はないんだ、基幹電源として必要であってもここまで要らないと。これを大きく下げて、その分再生可能エネルギーを大きく上げていけば、私は十分これからのエネルギーは賄えると思っています。

 そのあたりの決意を、大臣、来年の、まだ来年のことですけれども、基本計画に臨むための決意をお聞かせください。

小泉国務大臣 まるで与党の先生から応援をいただくか、若しくはそれ以上の横光先生の温かいエールをいただいて、大変うれしく、ありがたく感じています。ありがとうございます。

 今、エネルギー基本計画の話がありましたが、まず大事なことは、ファクトに基づく議論をすることだと私は思います。

 先ほど自民党の畦元議員始め、石炭の議論もありましたが、よく、日本の中では、最先端のものと従来型のものでの、じゃ、排出係数で見たらどれぐらいの数字が違うのかという、そういったことも、ファクト、数字に基づく議論がやはりしっかりされるべきだと思いますし、また、海外に対して日本のものを出せば世界全体のCO2の排出につながるというような意見がよく見られますが、それに対しては、一方で、経産省の審議会の中で、そんな単純な話ではないという委員の方もおられて、日本がもしも支援をしなければ再エネとかに置きかわっていたものの、支援をしてしまった結果、四十年間の石炭火力のロックインがされることによって、結果としては世界の排出量がふえるというような見方もあるわけです。

 いずれにしても、ファクトに基づく議論をすれば、おのずと方向性というのは議論が前向きに進むと私は思います。ですので、よく環境省とエネ庁というのはばちばちにぶつかるような関係性で捉えられることが多いですが、敵ではありませんので、実際に、COPについては環境省が中心となってはいますが、ロジ部隊は経産省、農水省、国交省、一緒になってやります。そして、私は、エネ庁そして経産省の中にも再エネの部隊もいますし、前に向いて行きたいと思っている、そういったメンバーは多くいると思います。

 そういった関係者とも実りある議論をデータとファクトに基づいてしっかりすれば、今我々が基本的な立場として思っている再エネの主力電源化、そして化石燃料、石炭を含めて、できる限り依存度を下げる、こういった方向性を前向きに議論できるのではないかな、そんなふうに感じております。

横光委員 ありがとうございます。最後のお言葉、非常に心強く思いました。

 その前のファクトの件、これはもちろん大事ですよ。環境省もCCUSで取り組んでいますよね。もうすごい技術革新ですよ。先ほど畦元議員もいろいろと説明がございました。

 しかし、経産省が示しております次世代火力発電技術の高効率化、低炭素化の見通しの構成では、約三割のCO2が削減できるとしているんです。しかし、この見通しは、はるか先の見通しなんですよ。次世代の高効率な火力発電と言われていますが、現在進められております新規石炭火力発電の多くは、お地元の横須賀と同じタイプのものなんです。CO2の排出は一割弱しか削減されないんです。

 ですから、こういった現実もありますし、確かに、ファクトでいうと、それぞれ頑張っていることはそのとおりですが、やはり全体的には石炭火力発電を下げるしか脱炭素化の道は開けない、このように思っているんです。

 私はさっき言いましたけれども、日本の重厚長大事業、いわゆる景気回復したときの時代というのはもう終わったんです。ですから、そういう人たちのところの基幹的なエネルギーとしては、私は石炭火力は必要だと思っていますし、その分だけ残していけば、あとは新しいエネルギーで、きれいなエネルギーで大きく世界は変わっている、日本も変わる、そういった可能性があるので、どうか業界団体の皆さん方ともしっかりと話しながら、この問題に取り組んでいただければと思っております。

 また、先ほど四要件のことがございました。これをちょっと確認いたしますが、大臣、非常に大臣の発言というのはすごいなと思ったのは、やはりああいうことを勇気を持ってやれるということ。脱炭素社会に向けて一歩を踏み出したと大臣はおっしゃいましたが、そのとおりだと思うんです。

 ですから、確認をいたしますが、四つの要件を見直すことを合意したわけではないんですよね。見直しの協議をすることに合意を決めた段階なんですよね、今。ですから、これから六月に向けて協議を始め、そして六月に結論を得るんですよね。そういう流れだと思います。

 しかし、大臣の一言で動き始めたことは事実でございますので、こういった議論をした結果、もし見直しができなければ、せっかくのこの大臣の勇気ある発言が全く無意味になってしまう可能性がありますので、大臣、この発言をおっしゃった以上、実際に見直しの実現に全力投球していただきますことをお願い申し上げます。六月まで時間がございませんので、どうか風穴をあけてください。よろしくお願いを申し上げます。それはもういいです、私の希望でございます。

 それから、ちょっと時間がなくなってきたんですけれども、どうしても立憲民主党としてはこの問題に触れなくてはなりません。これは大臣が完全な所管というわけじゃないので、お答えはそんなに望んではおりませんけれども、それでも説明させてください。

 あしたで、三月十一日で東日本大震災から九年を迎えます。いよいよ十年目に入るんです。この時期に、日本世論調査会が十日前、二月二十九日と三月一日に電話ではなく調査員が直接面接して実施した東京電力福島第一原発に関する世論調査で、深刻な原発事故が起きる可能性があると答えた人は八四%、原子力規制委員会の審査に合格した原発の再稼働について、安全性が向上したとは思わないと答えた人が五六%、原発を段階的に減らし、将来ゼロにすべきだと答えた人が六三%という結果が出されました。

 一つの世論調査の結果でありますが、全てではございませんが、事故から九年を迎える今も、国民の不安や不信は消えていないというのがこの調査結果だと思うんですね。

 こういうことを踏まえて、原子力規制庁の責任者、そして原子力防災担当大臣としてお尋ねいたしますが、第一に、原子炉建屋直下に活断層の可能性があると指摘されている日本原電の敦賀第二原発、ここの審査に使う地質データを日本原電が書きかえた問題です、大臣も御存じかと思いますが。非常にこれは問題だと思っております。まず、活断層のあるところには原発は建てられないという大前提があるんですが、そこの地質のデータを書きかえたということが起きてしまいました。

 先般、規制委員会の皆さんともお話ししたんですが、これはとんでもないことだと、これが事実であるならば。そういった、まだまだ情報を全て集めて出してくれたわけじゃないので、まだ論議はしていませんけれども、これはもし全部が出てきてしまえば、改ざんという言葉ということになれば大変なことになる。地域住民の生命にかかわる可能性があるその地層の数値を変えたわけですからね。こういったことが大問題となっております。

 早急な情報収集を対応していただきたいと思いますが、大臣はこの問題についてどうお考えですか。

小泉国務大臣 敦賀原発二号機の資料の問題については、原子力規制委員長が会見等で、日本原電の説明に納得していないし、十分な説明ないしは説明方針が示されたとは思っていませんと厳しいコメントをされていることは承知をしています。

 一方で、原子力規制については、専門的知見に基づいて、独立性の高い原子力規制委員会によって適切に実施されているものと認識をしています。

 このため、個別の原子力事業者にかかわる審査内容等について、私からコメントすることは差し控えたいと思います。

横光委員 ありがとうございます。

 もう一つは、同じ日本原電の、これも私は何度も質問しているんですが、東海第二原発の話です。

 確かに、一応、新規制基準は適合だという、規制委員会としてはオーケーを出しましたよ。オーケーを出しましたが、まだまだ多くの課題が残っているわけですね。いろんな課題があります。

 例えば、新規基準のための安全対策のために膨大な金がかかった、しかし原電としては金がない、その分を何と東電が資金援助をするということが決まったんですね。これは私としては到底納得できないんですね。なぜならば、現在、東電は福島原発事故を起こして国の管理下に置かれていて、東京電力は実質的な債務超過であると思っているんです。その一方で、さらに、被災者の賠償も取り組まなければならない。

 そういった中で、ほかの原発の再稼働のために資金援助をするということは私は到底納得できないのですが、答えられる範囲で結構ですので、大臣、お答えいただきたい。

小泉国務大臣 今御指摘の点につきましては、事業者のことですから私からのコメントは差し控えますが、先ほど横光先生からも、大臣の所管じゃないかもしれませんがということで御前提があった上で、原子力政策の役割分担というのは、まず、エネルギー政策の一環としての原子力の利用、これについては経産省、そして、事故リスクへの備えの観点からは、原子力施設や放射線に関する専門的、技術的事務については原子力規制委員会、その上で、私が原子力防災担当大臣として担当するのが、地域の原子力防災体制の充実強化、そして、関係省庁や関係自治体との総合調整と支援等が必要となるものを主に担当しています。

 そういった観点から、先生が先ほど世論調査の話をされましたが、万が一、そして事故は起きないという安全神話ではなくて、この万が一のときにも、避難計画づくり、こういったことに対しても完璧や終わりはないというその認識のもとに、しっかりとした避難計画づくりをやっていくことが私の役割として非常に重要なところだと考えております。

横光委員 ありがとうございます。

 担当の避難計画についてはこれから出てくると思いますが、しっかりと吟味してくださいね。よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

鷲尾委員長 次に、近藤昭一君。

近藤(昭)委員 おはようございます。立国社の近藤昭一でございます。

 きょうは、質問の機会をいただきましたこと、感謝を申し上げたいと思います。

 また、冒頭、本当に新型コロナウイルス感染症が大変に広がりを見せているということであります。そして、亡くなられた方もおられて、お悔やみを申し上げますとともに、多くの方が感染をされている厳しい状況であるということであります。当然、この問題は与党も野党もなく、しっかりと取り組んでいかなくてはなりませんし、与党と野党だけではなく、全ての総力を挙げて、いわゆる行政、また政治、また民間、一体となってやっていかなくてはならないと思います。

 そういう意味で、内閣の一員である小泉大臣におかれましても、環境省の立場として、またしっかりと取り組んでいただきたい。

 実は、ちょっときょうは胸にバラをつけておるわけでありますが、私は愛知県選出でありますけれども、愛知県は花卉生産が非常に多くて、特にバラは日本一の生産量を誇っています。ただ、まずコロナ感染症を、広がりをとめていく、解決をしていくということが大事でありますが、そういう中で、花卉、バラの利用等々、さまざまイベントが中止あるいは規模が小さくなっている中で、そうしたことで生産農家が大変に影響を受けているということであります。

 政府におかれましても当然そうした対策もしていただいているわけでありますが、改めて、私も地元の皆さんに、また全ての皆さんに寄り添ってという思いで、きょうはバラをつけておることを御理解いただきたいと思います。

 それで、やはりこの時期でありますので、気候危機に対する、ある種テーマが絞られてくるようなところがありますが、私は私なりで、少し重なる部分もありますけれども、私の観点から質問させていただきたいと思います。

 まず最初は、NDCの引上げについてということなんです。

 昨年十二月、この委員会で、私もCOP25に関連して質問させていただきました。二〇三〇年の二〇一三年比二六%削減という目標の見直しについての質問でありました。そのときに大臣は、二六%削減というこの現在の目標達成には、それでもまだ道半ばの状況であります、これを野心的に引上げしておくことにつきましては、関係省庁を始めさまざまな方面と調整が必要でありまして、どのような形で議論するか、そしてそのタイミングについてよく考えていく必要がある、こう答弁されているわけであります。

 それで、この間、政府の中でどのような議論が行われてきたのか、また、先般の所信表明でも二月中のものがまだおくれているということでありましたが、いつのタイミングで提出するおつもりで検討されているのか、お聞きしたいと思います。

    〔委員長退席、伊藤(信)委員長代理着席〕

小泉国務大臣 ありがとうございます。

 胸元にきょうはお花を関先生も近藤先生も入れておりますが、しっかりとそういったさまざまな社会の影響、これを見て、政府一丸となってコロナ対策を進めていきたいと思います。ありがとうございます。

 NDCについて、いつまでにというお話がありましたが、これもファクトを申し上げますと、二月というのが締切りだ、提出期限だと言われている中で、世界約二百カ国の中で二月までに提出をしているのは四、五カ国にとどまるということです。

 そういった中で、一番日本として大切にしなければいけないのは、いかに国際社会に前向きな評価をしてもらえるような中身として提出ができるかという観点に基づいて、関係省庁と丁寧な議論を行っております。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。

 残念ながらといいましょうか、現状ではまだそういう状況である、国際的な約束の中で一定の締切りがあったわけでありますけれども。ただ、今大臣もおっしゃるように、しっかりとした提言、目標を掲げていくということでは理解をさせていただくといいましょうか、ぜひしっかりと議論していただきたいということであります。

 ただ、そういうことで申し上げますのは、やはりタイミング以上に重要なものは中身であると思います。そして、先般の委員会でも私も言及させていただきましたが、目標をしっかりと高いものに上げて提出できるかどうかということであります。

 日本の環境NGOは、一・五度C目標と整合する目標とするためには、二〇三〇年までには一九九〇年比で四五から五〇%以上の削減が必要だ、こうしておるわけであります。今、ファクトの問題もおっしゃられましたけれども、御承知のとおり、気候変動という言葉よりも、気候危機のまさしく危機的な状況なんだということが世界的な認識だと思うんです。そういう意味では、そうした危機にあるという事実に基づきましても、科学的な要請として高い目標を立てろということが私は状況であると思うのであります。

 そういう意味で、今回の提出のタイミングで、大臣は、削減目標をまさしくどういうふうに考えておられるのか、引き上げる考えでおられるのか。また、その際に、ことし始められる予定でまだ始まっておりませんが、地球温暖化対策計画、また、これも先ほど来も質問がありましたが、来年予定されているエネルギー基本計画にどのように連動させるのか。

 私は、やはり、今のエネルギー基本計画というのは、残念ながら、非常に、志が決して高くない目標だと思っているんです、再生エネルギーの導入。そしてまた、残念ながら、その中に原子力発電のことも入れているということであります。

 そうしたところで、今、NDCのこと、また、そういう中でエネルギー基本計画ともどのように連動させていかれるのか、お聞きしたいと思います。

    〔伊藤(信)委員長代理退席、委員長着席〕

小泉国務大臣 まず、NDC、この二六%の目標ということに御指摘も最初ありましたが、現実問題として、パリ協定の目標達成、これは二度未満、そしてできれば一・五度未満、こういったことの目標達成の上で、今、世界各国が出している達成目標を達成したとしても、この目標には届かないというのが今の現実であります。そういった中で、パリ協定の目標を、野心を更に引き上げるような声が日々高まりつつあるというのが今の状況です。

 そういったことからすると、私も、気持ちとしては常に野心の引上げをしたいというふうに思っていますが、二六%削減という高い目標の中で、それを確実な達成をする上でどのようにできるかということを、まさに真摯な、誠実な議論を関係省庁ともやっていかなければいけないと考えています。

 そして、エネルギー基本計画また地球温暖化対策計画、これの連動、これがどうなるのかという御指摘も二つ目としてありましたが、地球温暖化対策計画については、現在、関係府省において見直しに向けた検討作業を進めているところです。そして、NDCを検討する上では、地球温暖化対策計画やエネルギー基本計画との関係についても関係省庁ともよく調整をしていきたい、そう考えております。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。

 大臣の言葉にあった野心の引上げということであります。つまり、削減目標はしっかりと上げていく、こういうお考えだと理解します。

 やはり、この間、私も、さまざま国会での議論あるいは取組の中で、きょうも非常にテーマになっているんですけれども、石炭火力発電所の問題。世界から、なぜ日本は石炭火力発電の取組にこんなに前向きというか前のめりなんだ、こういう批判はあるわけであります。

 そして、そういう中に、どうしても私は、エネルギー基本計画が、再生可能エネルギーの導入が、目標が決して高くない、低い、こういう状況がやはりあるんだと思います。やはり目標を高くといいましょうか、高いとか理想的とかではなくて、現実の問題として今は気候危機でありますから、理想を求めるとかということではなくて、まさしく現実的に必要なことだと思います。そういう中で、やはりエネルギー基本計画がしっかりとつくられているということが大事だというふうに思っているんです。

 そういうことで、少し話を違う観点からお聞きしたいと思うんですが、市民参加のプロセスということであります。

 パリ協定十二条では、「締約国は、気候変動に関する教育、訓練、啓発、公衆の参加及び情報の公開を強化するための措置のこの協定に基づく行動の強化における重要性を認識しつつ、適当な場合には、当該措置をとることについて協力する。」こう定めているわけであります。気候変動対策を進める上では、市民参加のプロセスや情報公開が重要であるとの認識に立っているわけであります。

 これを日本の気候変動政策を進める上でも重視した政策の形成プロセスが必要だと考えていますが、二〇三〇年までの目標や政策をどうするかという極めて重要なNDC、先ほども言及させていただきました、の検討において、これまで公開された議論が一切ありません。政府内だけで調整されていることはパリ協定の規定にも反するのではないかと思うわけであります。

 直ちに市民参加のプロセスを立ち上げNDCの検討をすることが、まあ、締切りが迫っているというか超えているところでありますが、まだ提出されていないという中で、そして、今大臣も、これはしっかりと検討していくんだということをおっしゃった中で、私は、今からでもこのNDCの検討にそうしたプロセスが必要だと思っていますが、いかがでありましょう。

小泉国務大臣 まず、この検討プロセス、その内容は、NDCについては、このプロセスも含めて関係省庁間で調整を進めているところでありますが、先生が今触れられたパリ協定の第十二条、気候変動に関する教育、訓練、啓発、こういったことが非常に重要だということは、私自身も、環境大臣としてのやらなければいけないことの一つは、まさにこれを体現する取組であろうというふうに思っています。

 特に、この気候変動に関する教育ということや理解については、私は、大臣就任以降、強烈に感じているのは、国際社会と日本の中での議論のすさまじいギャップであります。やはり、日本の国内はエネルギー政策というと原発、しかし、国際社会は石炭、こういうふうな大きな差があります。

 そして、まず、先ほどの石炭についても、今、気候変動の関係者と話すと、やはり経済性という部分についても、座礁資産という言葉がキーワードになります。

 こういったことなども含めて、なぜこれほどまでに日本の中で気候変動というのは盛り上がらないんだろうかということも含めて、私は、あのCOP25において、石炭の議論を真正面から受けとめるという形で、日本の中で、こんなにもこれってたたかれるんだということから議論が始まって、今この国会でもこれだけこの石炭という議論がされているということ自体が、今、国際社会が脱炭素化に向けて議論をしているところと合わせていくという、そこの部分については非常に重要なので、この十二条を引かれたところというのは、思いは共有するものであります。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。

 そういう深い認識を持っていただいていることに感謝というか、大事だと共鳴させていただくとともに、ぜひその思いを大臣におかれましては形にしていただきたい、こういうふうに思います。

 まさしく、今、小泉大臣もおっしゃったように、国際的な議論と日本の国内の議論が違うのではないか、このとおりだと思います。ですから、冒頭申し上げましたように、この問題に非常にフォーカスがこの委員会でも当たっているということです。

 そういうことで、私も、少し重なるんですけれども、石炭火力輸出について質問します。ブンアン2のことであります。

 先月の二十五日、大臣は記者会見で、また所信表明でも、海外の石炭火力発電事業への公的支援に関する日本政府の石炭火力輸出支援四要件の方針見直しについて、六月までに関係省庁で議論し、インフラ輸出戦略の骨子において一定の結論を得る、そしてエネルギー基本計画とも関連づけていく、こう方針を示されたわけであります。

 しかし、関係各省との調整の結果、ベトナムで進められているブンアン2石炭火力発電事業は、日越首脳レベルで協力の確認がなされた案件であることから公的支援は実施すると大臣が言及されたその同日であります、早々に、国際協力銀行、JBIC、そして日本貿易保険、これが、ブンアン2の環境アセスメント報告書等を公開をしました。そして、支援の検討に入っていると早々に発表したわけであります。

 大臣も御承知のとおり、今おっしゃったように、非常に石炭火力発電所の輸出は大きな批判を浴びているところでありまして、これは改めて、先ほど大臣もおっしゃいましたが、世界の議論と違うんじゃないかということで、私は批判が大きくなっていると思っているんです。

 そういう意味で、大臣が記者会見の中で言及をされるわけでありますが、二〇一七年、一八年の日越の首脳共同声明です。ただ、私も改めて読みましたけれども、日本の公的金融機関による金融的な支援を約束したものと私は理解しがたいんですね。そういう意味で、大臣は四要件について見直しをすると発信されているわけでありますけれども、ただ、今のこのブンアン2のことでいうと、私は非常に、大臣がどのように考えておられるか、残念ながら危惧を持っているわけであります。

 そういう意味で、公的金融機関が支援の検討に入ったことをどのように捉えているのか。

 ブンアン2というのは、私の理解であります、もともと、日越の協力の中で、民間の活力も導入しながらこれを進めていくということだった。そして、ほかの国も当初は融資を考えていた。しかし、外国の銀行がまさしく、先ほど大臣もおっしゃった、国際社会の中での議論とは違うのではないかと、国際社会の中で、他国の銀行が撤退をする、しかし日本が残る。そして日本も、民間の銀行は、これはいかがなものかと。大臣も所信の中でおっしゃっているわけです、いわゆるESGを意識して、金融によってこうしたことを進めていくんだと。

 金融を抑制する、そういうところに、環境を重視しないようなところに融資をしない、こういう動きの中で、民間が融資を撤退をしたりしている中で、なかなか、逆に言うとブンアン2に取り組むところがない。だから、私は、日本の公的なところがどういうふうに考えて融資しようという姿勢でいるのか、非常に懸念を持つわけであります。

 大臣、いかがお考えでしょう。

小泉国務大臣 今御指摘あったベトナムのブンアン2、これについては関係省庁の協議の結果、この案件については、日越首脳会談共同声明で協力を確認していることなども踏まえて、公的支援を実施する方向と整理されたというふうに認識をしています。

 私は、この問題について問題提起をしたときに、やはり四要件と言われるものの存在自体を多くの人に知ってほしいと思いました。今ではこの四要件が当たり前のように、この環境委員会では、四要件といえば、ああ、あのことだというようになったことが、次の前向きなステップにつながるのではないかと思います。

 ですので、個別のプロジェクトに対して思うところはそれぞれあります。そして、まさにそれを思うからこその問題提起をきっかけとして、個別のプロジェクトではなく、四要件というものの仕組み自体を、見直しについての議論を関係省庁で合意をできたことは、私は、間違いなく前向きな評価だと受けとめて今国際社会は反応してくれているわけでありますから、これから、その問題意識に基づいて、まさにどのような見直しについての議論をしていくか、こういったことが非常に重要になってくるのではないかな、そう考えております。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。

 まさしくこれまでの、残念ながら、国際的な動向の中で石炭火力はやはりなくしていこう、こういう大きな国際的な潮流の中で、しかし日本はこの四要件をもって輸出をしてきた、輸出の方針を持ってきている。それを、小泉大臣がリーダーシップを発揮されて見直しということに入ったということは、私は非常に大事なことだと思います。

 ですからこそ、やはり、これは先ほど来から申し上げておりますように、気候変動、気候危機という状況であるので、一刻も早い見直し、そして、それをもってして、私は、このブンアン2というのは今からでも考え直すべきではないか。

 公的資金を投入するということですけれども、その公的資金で何らかあった場合に、もちろん民間が損害を持っていくということも、これはまた別の大きな問題ではありますが、でも、だからこそ民間は、他国の銀行も含めて、ここに出資をするということは、撤退あるいはためらっている。こういう中で公的なものが出ていくというのは、それはそれでやはり国民にとって、何かあったときに、何かあったというか、私は二つあると思います。

 一つは、やはり高効率であっても、これは先ほど同僚であります横光議員の指摘にもありましたが、三〇%の削減というのは、より高効率というのはまだ実現をしていないわけでありますし、比較して一〇%程度というか、もちろん一〇%でも少なくなれば。ただ、大臣も御承知のとおり、高効率のものが実現をしたとしても、いわゆる今の最新型のLNGよりはやはり排出量は多いわけであります。当然、再生可能エネルギーよりは多いわけであります。

 そうすると、そうしたものを私は、これは横光議員の指摘にもありましたが、日本の環境技術、大臣の所信表明の中にもありました。私も改めて、国会で仕事をさせていただいている中で環境委員会に所属をする時間も長いわけでありますが、やはり、日本の誇るべき環境技術、いっとき、風力も太陽光も日本が世界一だというような時期があった。しかし、残念ながら今はそういう状況ではない。

 私は、それはやはり、国内でのそうしたことの利用とか、そしてそれをまた輸出するとか、特に国内利用だと思います、国内利用を高めていく中で技術を高める、単価を安くしていく、そういう中で世界に出ていく。残念ながら、それが進まなかったことによって、風力にしても太陽光にしても、今日本は世界一ではないわけであります。もちろん、洋上風力とか、あるいは蓄電池等の技術、こういうところはまだ、まだと言ったらあれですが、頑張っているところであります。

 ですから、そういう意味でも、そういう意味というのは二つの意味で、一つは、現地にとっても、よりCO2が少なく、排出が少ないものをやはり輸出していく。まさしく輸出していく、世界のことを考えて。そしてもう一つは、そうした技術によって世界に貢献していく。まさしく大臣も、もう一度、日本が環境立国なんだ、環境日本だということになるようにということでおっしゃっているわけでありますから、私は、この問題についてはしっかりと取り組んでいただきたいと思います。

 ですから、もう一度お聞きしますけれども、今、関係省庁と見直すということに、始まるということは非常に重要だということでありました。そういうことで、環境省でも会合を設置するという意向を示されているわけでありますよね。そういう中で、今後さらに、どのように検討されていくのか。具体的には、内閣官房に設置されるインフラ海外展開に関する新戦略策定に向けた懇談会の検討があるわけでありますが、そうしたものと、環境省、経産省の検討と、どのように調整をされていくのか、もう少し詳しくお話しいただけるとと思います。

小泉国務大臣 今、この四要件の見直しをどのようにということで御質問いただきましたが、まず、環境省内に検討会、この中でしっかりとファクトを出したいというふうに思います。そこでファクトを積み上げて、有識者などからの提言などを踏まえて、まず環境省としての考え方、これをまとめたいと考えます。

 そして、六月に予定されている次期インフラシステム輸出の戦略の骨子の策定に当たって、検討会の提言などを踏まえて、関係省庁と議論をしたい。

 そういったファクトの中には、今先生がおっしゃったような、低排出と言われるものが実際数字からするとどうなのか、そしてまた、四要件の中にもある我が国の高効率のという部分も今海外と比べてどうなっているのか、そういったことを一つ一つ、データ、ファクトに基づいた議論を積み上げて、関係省庁と誠実な話合いをしていくことが非常に重要であるというふうに考えます。

 そして、これはインフラ輸出戦略の骨子の策定に合わせてということでもありますから、やはり大事なのは、これから海外に日本が何を売っていくのかというところでは、私は、間違いなく柱は、環境インフラ関係はより伸ばせるというふうに思います。

 そして、今、日本が世界から、なぜこれほどの石炭に対する批判があるのかといえば、私の理解は、これは期待の裏返しもあると思っているんです。これほど技術がある日本にもかかわらず、例えば先ほど横光先生がお話しされましたけれども、なぜそれだけの技術の日本が、もっと再エネで海外の国の脱炭素化支援をやらないのか、こういう期待の裏返しもあると思いますから、まさにそういったことをどのように日本が売れる柱として育てていけるかということも、あわせて、国内マーケットに閉じていると、日本は人口減少とマーケットのシュリンクもありますから、まさに世界をどう捉えていくか。地熱なんかは世界で七割のシェアを持っていますから、そういったことも含めて、今後、よりよいインフラ輸出の形につなげていくことも議論をしていきたいと考えております。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。

 ぜひファクトに基づいて、ただ、私が心配している、あるいはここでも多くの議員が質問するのは、ファクトに基づいていけば石炭火力を推進するのは問題ではないか、だけれどもなかなかそれが撤退できない、そこが問題だと思っているんです。だからこそ、そういう中で四要件を見直すということに着手していただくということが重要でありますし、そうしたことをNDCの目標も高く掲げてやっていただく、基本計画を見直すということが大事で、まさしく形にしていただきたいということです。

 最後、簡単に一つ質問をさせていただきたいと思います。環境影響評価のことなんですね。

 辺野古新基地建設に関連して、工事対象となっている一部の海底が軟弱地盤であることが判明しました。防衛省は、当初、環境影響評価を受けたときとは全く異なる工法で工事を行おうとしております。これは環境影響評価をやり直すべきだと私は考えるんですが、環境省の見解は、事業に着手した後は、このように大規模に工法が変更されても、アセスの手続のやり直しは必要がないというものでありました。

 これではアセスの意味が全くないということになりますが、こうした、工事のやり方が途中で大幅に変更になったが環境影響評価を変えなかった事例が過去にあるのか、このことをお聞きしたいと思います。

小泉国務大臣 環境影響評価法において、事業に着手した後は、事業者は、事業の実施による周辺環境の状況を把握するための調査を行うとともに、その結果を踏まえ、環境の保全についての適正な配慮をしていくものとされており、本事業に既に着手している現在においては、環境影響評価の手続をやり直す必要はないと考えております。

 辺野古における工事の実施に際しての環境配慮については、事業者である防衛省沖縄防衛局において、環境影響評価の手続を踏まえ、適切に行われるものと認識をしています。

 なお、法において、事業者は事業の実施後に報告書を作成し、環境大臣等に送付する手続が規定をされております。このため、仮に、環境保全措置の内容に変更が生じるような大幅な工法変更があった場合は報告書に記載がされるものと考えています。しかしながら、平成二十五年四月の法改正による報告書制度の導入から現時点に至るまで、工事が完了し、環境大臣に報告書が送付された事業はないことから、事業着手後にそのような工法変更を行った事例の有無は承知していないということであります。

近藤(昭)委員 ありがとうございました。

 質問時間が終了したので、最後、私の懸念だけ、ぜひ共有していただきたい。

 環境影響評価の条文を見ると確かにそうなんです、着手した後、着手する者がということになっているわけです。ただ、なぜ環境影響評価をするかというと、やはりそういうことによっていかなる影響があるかということを予測し、防ぐということだと思うんです。

 そういう意味では、私は、今後のあり方として、これはぜひ大臣にも共有していただいて、やはりこのあり方というのは見直さなくてはいけない、こういうふうに思っている、このことをお伝えしたいと思います。

 きょうは、関健一郎議員の提案もありまして、バラをつけさせていただいて質問させていただきました。本当にコロナ対策にしっかりと協力して取り組んでまいりたいと思います。

 どうもありがとうございました。

鷲尾委員長 次に、篠原孝君。

篠原(孝)委員 国民民主党の篠原孝でございます。

 環境委員会ではしばらくぶりに質問させていただきます。初めてなので、大臣、政務三役の方も御就任おめでとうございます。委員長も、ちょっと党は移られたようですけれども、また一期生からやるのかと思ったら、そうじゃないんですね。おめでとうございます。

 我々は応援団ですから。さっき、気がつかれましたか。近藤さんの後ろから二番目の質問のときに、こちら側から拍手は起きないのに、私と横光さんだけが拍手したんです。応援団の証拠で、その延長線上で質問したいと思います。

 きょうは、所信に対する質疑ですので、細かいことは質問しません。質問というよりも、一緒に議論をして、そして環境問題について考えていきましょうという提案をいっぱいさせていただきます。

 グレタさん、グレタ・トゥンベリさんのかわりに、成りかわって質問したいと思います。

 彼女は十七歳、私は一桁の数字と二桁の数字を逆にした数字で、わかりますか。気がついてみたら、大臣とグレタさんは二十二歳、大臣と私は二十二歳違うんです。そういう世代間の差があるんですけれども、私は多分グレタさんとの方が気が合うと思います。彼女が考えていることと、みんな、ほとんど一緒なんです。

 彼女は気候変動問題、地球環境問題のジャンヌ・ダルクと言われています。小泉進次郎さんは、ひょっとすると自民党のジャンヌ・ダルクになるかもしれない人です、もうなっているのかもしれませんけれども。彼女は本当に地球環境問題のことをいっぱい考えていると思います。

 やはり、今、何で世代のと言ったかというと、これは世代間闘争なんですね。私と同じ、私よりちょっと上ですけれども、ちょっと変なことをよく言うトランプ大統領、七十三歳ですよ。今の人たちはぜいたくし過ぎているんじゃないかという疑問がグレタさんにはあるんですよね。

 どういうことかというと、皆さん、地球環境問題というと環境のことばかり言っているように勘違いしていますけれども、実は違うんです。生き方自体を改めましょうという強烈なメッセージを彼女は送っているんですね。だから、環境問題からもう一歩進んで、環境を侵すだけじゃない、そっちも壊しているけれども、地球には限りある資源しかない、その資源を今の人たちがぜいたくに生活をするために使うのはやめてくれ、そういうことまで言っているんですよ。

 多分、若い世代、一番近いですよね、閣僚の中では。私はよく知りませんけれども、男性では戦後一番若い大臣。共感しまくっておられると思いますけれども、このグレタさんの考えについて、一般的な、ジェネラルな質問ですけれども、どのようにお考えでしょうか。

小泉国務大臣 グレタさんは、九月の、ニューヨークで、国連本部の中で、目の前でスピーチを聞きました。間違いなく、各国首脳のスピーチと比べても彼女の存在感は際立っていた。その言葉の重み、熱の込め方、強烈に印象に残っています。

 そのグレタさんが言っている世代の責任、これは、彼女がよく言っている、科学者の声に耳を傾けろ、そして、今彼女がさまざまな発信をされている中で、クライメートジャスティス、こういう言葉も、気候正義というふうにも訳されますが、この世代間の思いのギャップというのは相当やはりあるだろうと思います。

 私自身も、今先生から二十二歳違うという話がありましたが、もう今の時代、二十二歳違うと何世代も違うという理解の方が正しいと思います。私は今三十八ですけれども、三十前半の世代ともまた違うのではないか。それぐらい時代の変化は激しいので、そういった中で、グレタさんのあの危機感、それを共感する部分をしっかりと政治は受けとめて、形にしていかなければいけない、そういうふうに考えております。

篠原(孝)委員 それでは、具体的なことを伺ってまいりたいと思います。

 グレタさんに共感すると。でも、そんなに変わりないんですよね。結局、先祖返りして、私とグレタさんはほとんど変わらないと思います。ギャップを全然感じないんですよ。

 だから、資源を大事にとか、人のことを考えるとか、経済的利益だけを追求するんじゃない、そんなのは当たり前のことで、日本人がみんな持っている価値観ですよ。ちょっと違う人たちもたまにはいるかもしれませんが、基本的にそういう抑えた国民ですよ、日本人は。だから、そこに戻っているだけの話じゃないかと思うんです。

 それで、大臣、レクをいつされたかわかりませんが、資料、念入りなのをつくったんですけれども、配られている、僕のところにちょっとないから持ってきてください。それを見ながら聞いていただきたいんですけれども。

 デモ。大臣に聞いて、知らなかったら知らないでいい。気候、フライデーストライキ、ストライキ・フォー・フューチャー、将来のための、金曜日にデモをやっている。僕はそれに、十一月下旬から上旬にかけて、日・EU議員連盟というのの一員として行って、そして、新EU委員長が誕生のときにいたんです。

 それで、その後、グリーンニューディールですかをやったりして、その場面に出くわして、そのときに金曜日があったので、大臣がマドリッドに行っておられているそのころですけれども、そのときに、向こうの外国の新聞を見ていたら、その人たちが、通販の大手アマゾンに向けて大デモをしているんですよ。我々もちょっとデモに遭いまして、飛行場に行く道路を封鎖する、これはおわかりだと思います。飛行機はいろいろ環境汚染しておるので、飛行機を使わないようにと言っています。アマゾンになぜデモをしかけているかというのをおわかりになりますでしょうか。質問のレクのところで議論がありましたでしょうか、わからないというならわからないでいいんですよ。

小泉国務大臣 事業の運営、経営の中で、CO2の排出が多い、そういうことに対する配慮をもっとしろ、そういった声、これがまさにフライデーストライキ、フライデーズ・フォー・フューチャー、そういった動きの一環が、まさにアマゾンに向かってデモをする、抗議をする、そういったことと捉えています。

 また、日本の中でも最近、今までとは違うなと思ったのは、石炭に関する融資をやめない、そういった大手の金融機関の前で若者が活動する、声を上げる、そういったことも最近あったことも、やはりこういう動きが出てきたかというふうに注目をしているところでもあります。

篠原(孝)委員 余り違わない、大体大臣もほとんど一緒ですよ、価値観は。

 簡単なんです。アマゾン、こっちにも通販会社があります。通販でもって、やたら購買意欲をそそって、そして余計なものを買わせる。買った後もまたひどい。お店に行って、見て、コミュニケーションをして買うんじゃなくて、通販で、車で行く。日本でいえば宅配ですね。これは、地球環境を相当汚していると思うんです。そういうやり方はやめろと言うんです。彼女たちというか彼女の仲間、それからベジタリアンとかビーガンの人たちが生き方を変えようと言うんです。

 アメリカにブラックフライデーという安売りをする日があります。中国でダブルイレブンですか、十一月十一日は独身の日というので、何か去年は一日で五兆円の売上げを上げたそうですけれども。これも過剰購買意欲をそそって余計なものを買って、安売りで。

 これをよく考えてみると、先ほどの、先祖返りと同じというのはどういうことかというと、江戸から明治にかけて日本に来た人たちがいっぱい紀行文を残しているんですね。その中にいろいろあるんですが、日本はきれいだというのがある、子供を大事にする、大八車が通ってもみんなでよけて通る、それから、意外なんですが、働かないというのもあるんですよね。

 そうした中で、豪商の家に招かれて行くと、大名屋敷に行くと、シャンデリアもないし、立派な家具を置いていないんですね。何かごちょごちょっと変なものがかかっている、掛け軸なんですね。非常にシンプルな生活をしている。物を持っていないんです。そういう国民だったんです。

 それを、大臣もアメリカに留学しておわかりでしょうけれども、アメリカ人の学生は、その学期に使う本しか買っていないし、ユーズドブックを使っているんですよ。日本の学生なんか、読みもしないのに本がだあっとあって、読みもしないなんて言っちゃいけないですね、置いてあって格好つけている。それから、電気製品が山のようにある。ところが、今、シンプリスト、ミニマリスト、必要な最小限のものしか買わないというふうになってきている。それはまたいい考え。だけれども、それは先祖返りしているだけなんです。そういうふうになっているんですよ。

 そして次に、質問ですけれども、質問というか、皆さんも聞いていただきたい、資料を見ていていただきたいんですけれども、三番目に、航空機を使わない。

 グレタさんは、大臣が行っていたときと同じときにニューヨークに行っているわけですね。その後、マドリッドじゃなくてチリだったので、そのまま居座ったんです。だけれども、いきなりマドリッドになったので、だけれども、往復、大西洋を横断するのに両方ともヨットで行っているんです。

 そういうのがあって、フランス政府はそういうところは積極果敢ですよ。もうヨーロッパ内の出張は飛行機で行くな、列車で行けというふうにしているんですね。CO2を出すのを計算すると、飛行機が一キロ移動するのに五十六グラム、鉄道十九グラム、バス五十六グラムです。だから、環境に優しい移動をしろということを言っているんですよね。

 ちょっと昔になるんですが、「X JAPAN」のファンの総理大臣がおられました。よく知りませんけれども、何か党の宣伝にも使っていました。同じようにロックバンドの、僕はよく知らないですけれどもコールドプレイ、世界じゅうで公演しまくっているロックバンドが、ワールドツアーをもうやらないと宣言した。プロモーターたちは真っ青です。理由は簡単なんです、同じなんです。物すごい機材を積んで行く、観客も大勢来る、どれだけ環境を壊しているか、音楽活動でもうこういうことはやめよう、こういう動きがある。ああいう歌手の人たちは鋭敏で感受性が強いから、我々凡人よりもずっと早く世界の潮流を感じ取ってやるんです。今までもそういうグループがいっぱいありましたけれどもね。

 私は、日本国政府も、航空会社は真っ青になるかもしれませんけれども、なるべく鉄道で、なるべく環境負荷のない交通機関で出張するようにということを小泉大臣が声をかけてやってもいいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

小泉国務大臣 そういう観点で、飛び恥というふうに言われる言葉も、フライトシェームというふうに言いますが、これが今話題になっていることも承知をしていますし、欧米、ヨーロッパとかはすごいなと思うのは、航空会社が宣伝で、飛行機に乗るのを控えましょうというのを航空会社がやるんですよね。それで、もし行かれるんだったら電車の方を選びましょうと。これ、状況は、日本の航空会社も、私は、航空会社は国境を越えてビジネスをやっていますから、こういったことはよく承知をしているはずだというふうに思います。ですので、私としても、CO2の排出というのは、航空業界はパリ協定の中の部分とはまた違いますが、前向きな取組が出ることを期待をしています。

 私も、航空機とか電車とかだけではなくて、今テレワークなども含めて環境省の中で相当働き方改革を進めているのは、例えば、地方の環境事務所で、現地でレンジャーがいて、レンジャーが地元の例えば県庁だったり役場に打合せとかで行くときに片道四時間とかかかるところがあるそうなんです。そうすると、四時間移動して会議に出て、四時間でもう一回戻って、一日それで全部終わっちゃうんですね。だけれども、これはテレワークでやらせてもらえれば、テレカンですよね、そこまでの時間も、移動も、時間の使い方もよっぽど改善されるはずです。

 ですので、こういったことを含めて、やはり働き方から、生き方からの見直しが問われているという認識は、私は全く同じです。

篠原(孝)委員 それじゃ、ちょっと私の資料を見てください。

 済みませんね、各省によって違うんです、大臣の質問のレクをいつやるかという。資料を今初めてごらんになっていると思いますので、前もってやれば、答弁の打合せのときに見ていただきたかったんですけれども、一ページ目、「物の輸送を少なくする」というのはこれだけあるんです。

 大臣が言われたフライトシェーム。一番下に書いてあります。こういう考え方がずっとあるんですよ。

 一番上は、身土不二。有機農業です。体と土は二つに分かれない。後の、私のつくった地産地消に行くんです。

 スローフード。ファストフードに対する嫌みです。

 それで地産地消、旬産旬消。これは私がつくった言葉です。英語でも、多分、ヤフーUSAやグーグルにも出ていると思いますが、プロデュースローカリー・コンシュームローカリー。わかりますね、その場のもの、そして旬。これは大したことはないんです。先祖返り。地のもの、旬のものを食べろと、そこらのじいさん、ばあさん、みんな言ってきたことなんです。これが一番健康にいいんだし、いいやり方なんだと。

 もっと言えば、トランプ大統領がバイ・アメリカン、ハイヤー・アメリカンと言ったのも、この考えにのっとっているんですよ。アメリカ人の使う車はアメリカでつくったものにしろ、メキシコでつくったものを持ってくるなんてとんでもないといってNAFTAも反対している。これをやると、わかると思いますけれども、八木さんならすぐおわかりになると思いますけれども、実は、あれは工業製品も地産地消にしろということなんです。そういうことなんです。

 これは、一九八七年に使って、ここで拙い英語でプロデュースゼア・コンシュームゼアとか言っていますけれども、ネーティブスピーカーに、もっと格調高く言えって、今はこれを使っています。

 それから、カーボンフットプリント。これはカナダやなんかで使っていたんですが、ついている、ついていない、この意味わかりますね、環境関係の人なら。これは数値化できているんです。

 バーチャルウオーター。沖大幹さんがやりました。

 それから、また私が考えて、一ひねりして、フードマイレージ、ウッドマイレージ。これはもうどこにも載っています。環境白書にも載っています。問題はグッズマイレージ、物。韻を踏んでいるんです。これは国際分業、自由貿易論に反するんです。私はこっちが勝っていくときだと思うよ。

 さっき大臣が言われた、KLMが、航空会社なのに、もうやめていい、そしてバスで行ってくださいと、アムステルダムとベルギーの間は飛行機を飛ばさないと、近いところは、言ってきているんです。

 イギリスはもっと立派で、一坪運動とかをやり出す国です、環境を守るために。だから、エアフレーテッドラベル、物に、そんなのだったら僕は売るなと言いたいんですけれども、これは飛行機で運ばれてきた果物ですよというラベルを張っているんです。マークス・アンド・スペンサーって、イギリスで生活された人だったら、ここで言うとセブンイレブンかジャスコみたいなところです。それが世界航空機関から環境賞というものをもらっているんです。環境のいいことをしたんだと。

 日本人にはそういう感覚が余りないんです。ぜひそういうふうにやっていきたいと思います。大臣、やはりそういうことを積極的に私は言っていっていただきたいと思います。

 ほかの人たちがいっぱい石炭火力のを聞きましたから、そっちもお聞きしたいと思いますけれども、価値観の変化というのは大事でして、環境をこれだけ大事にしてやっていこうというふうになっているんだから、根本を変えなくちゃいけない。

 向こうは、本当に、大臣も気がつかれていると思いますけれども、ベジタリアン、ビーガンって、この人たちはみんな有機農業ですしエコロジストなんです。何で肉を食べなくなるかというと、これは農林部会長をやっているときにさんざん聞かれたと思いますけれども、鳥肉を一キロつくるのに穀物三キロか四キロ、豚は七キロか八キロ、牛は十三キロか十四キロ、そしてふん尿が出る。牛の場合は更にメタンガスを出す。だから、オランダのエコロジストたちは、もうオランダで畜産を縮小しろと言ってデモをして歩いているんです。

 それからもう一つ、ふん尿がたまってにおいが非常に強烈になってきて、ちょっと風向きが悪くなったら都市の中でもふん尿のにおいがする。日本でも、余り言いたくないけれども、過密飼育しているところはそうなりつつあるんです。やはり自然の循環の中でやらなくちゃ、過剰に過密飼育したりしたらよくないんですね。そういうふうになってきているんです。そういうことを私は考えていかなくちゃならないと思うんです。そうしたときに、どこから直していくかというのを、いや、いろいろなのがあると思います、環境に優しいというのは。

 きょう、私がこの資料をつくったときに、一番後ろの方を見て、これは後で説明しますけれども、ちょっとミスがあったんです。そうしたら刷り直せというのもあったし、出しちゃいけないところがありましたけれども、ちょっと余りそれはSDGsに反するので、手間をかけて悪いんですけれども、直させていただきました。

 それで、根本からやっていかなくちゃいけない、いきなり法律に何とかというんですが。大事な憲法改正論議がありますけれども、公明党が前から環境権を書けというふうに言っています。

 次に、二ページ、三ページの資料を見ていただきたいんです。

 加藤三郎さんという環境庁時代の最初の、初代の地球環境部長です。今でいうと環境省の審議官ですね、国際関係担当の審議官。この方が、やめられた後、環境文明研究所というのをつくっていろいろ活動してこられました。その方たちがこうやって憲法に環境を追加する提案をされています。よくこれを見ていただきたいと思います。全然こういう議論が憲法調査会とかなんかでも行われないんですけれどもね。

 何でこうするかというと、ちょっとPRみたいになって恐縮ですけれども、三ページを見てください。私、大臣にちょっと会って立ち話をしたときに申し上げましたけれども、環境委員会、環境にしつこくかかわっているんです。これを見てください。

 二〇〇三年七月時点ので、循環社会研究会、これは荏原製作所が、企業フィランソロピー、企業の社会的責任、CSRでもって、そこがお金を出して世の環境学者たちを集めて勉強会をやるというときに、私に声がかかったんです。見てください。皆さん大体御存じの方も多いと思いますが、加藤三郎さん。そして、下から三番目の三橋規宏さん、この方は日経の記者でして、ゼロエミッションという名前のついた本を二回書いているんです。そういう人です。僕とこの三橋さん以外はみんな理科系の学部で勉強された方です。

 これで相当しつこく、何年続けましたかね。途中で僕は、七月時点になっていますけれども、この九月に農林水産省をやめて、五十日間、選挙があって、国会議員になった。こんなんだから、大学の教授になってくれと言われていたんです、間違って政治家になっちゃって、今、後悔していますけれども。

 だから、ずっと僕は国会議員になってから環境問題を追い続けているんです。だから、僕のファンも結構、エコロジスト、昔のオールドエコロジストがいまして、ずっと活動をやってほしいと言ったので、国会議員になってもすると言って、環境委員会を希望してもなかなかそのとおりにならないことがありますけれども、やってきているんです。

 憲法論議の中で、環境大臣としてもしするんだったら、憲法にちゃんと環境が大事だということを位置づけてやっていくべきだというのも一つの動きを加速することになると思うんですけれども、こういうことを加藤さんの要望に応えてやっていったっていいと思うんですけれども、大臣の所見をお伺いしたいと思うんです。

小泉国務大臣 憲法に環境原則をという御提案を含めて、公明党さんの環境権とかさまざまな議論というのがあるのは承知をしております。

 そして、この加藤三郎先生の御紹介をいただきましたが、これを拝見すると、今の国際社会の議論と共通するな、似ているなと思うところは、プラネタリーバウンダリー、このロックストローム博士が提唱したことで今国際社会には根づいている議論が、地球の限界というものがあって、生物多様性とか気候変動とかさまざまなはかる分野があるんですが、このプラネタリーバウンダリーの議論が前提となって、低炭素ではなく脱炭素という議論が転換として今起きているということは、まさに先生が御紹介してくださっている、最初の権利と責務、生命の基盤であるこの地球を守らなければいけないということと、今国際社会で、例えばあるインフルエンサーの方が、ピッチがなければサッカーできないだろうということを言っているんですね。このピッチは何かというと、地球。つまり、地球がなければ経済活動だってできないんだ、こういった議論がまず前提の上での議論がなされているということと通ずるところが大変多いのではないかなと。

 そういったことを考えると、まさに先生がきょう何度も言っているとおり、これは、めぐりめぐって戻っているんだ、もともと言っているんだというところは、まさにそういうところもあるのではないかなというふうに思いますので、改めて、日本としては発信とか含めてしっかり強化していかなきゃいけないなということも感じています。

篠原(孝)委員 もう横光さんがさんざん褒めちぎっていましたけれども、こんなに発信力のある大臣はいないわけですから、絶好機ですから、憲法改正論議にも割り込んでいただきたいと思います。ただ、これを余りやると、じゃ、環境権やるから、九条に三項を加えるのもいいんじゃないかというのに、そんなふうに、変なふうに使われるとよくないんですけれどもね。だけれども、必要なものはリラックスして書き込んでいったらいいんだろうと思います。

 もしやるんだったら、私は絶対こっちの方が先だと思いますよ、世界の流れのところからいったってね。日本に、自衛隊の役割をちゃんと憲法で決めていないから、何やっているんだ、たるんでいるなんて、どこかの偉い国が、ぶつくさ文句を言う国がたまにいるぐらいで、世界じゅうは違うことを日本に期待しているわけで、日本の姿勢がここにあらわれたというふうになって、全然違うと思いますので、これはぜひやっていただきたいと思います。

 それから、石炭火力の質問はいろいろ用意しました。それで、皆さん、ダブってそういうものがあるかと思っていたけれども、そんなになかったのでちょっとやらせていただきますと、これは釈迦に説法ですけれども、国際社会は本当に厳しいわけです。もう二回、ニューヨークとマドリッドで経験されていると思います。相当うるさいんです。日本はぼけているんです。ぼけているなんて言っちゃ悪いですけれども、日本が世界で一番ビジネスがしやすい国とか、岩盤規制を打ち破って、ドリルになるって。

 今、日本にとっての岩盤は何かというと、経済成長、経済成長、そればっかり言っている人たちこそ岩盤なんです。わかっていないんです。今どき規制緩和でビジネス活動が自由にできるなんて、それを国是としている、それを一番の政策の柱にしている国なんてないと思います。

 EUが完全に環境にシフトして、環境が政治の中心になっているんです。グテーレス事務総長もそう言っている。日本を石炭中毒と名指ししている。化石賞というのは、大臣が言われるとおり、あそこはお祭りのような感じでNPOが勝手にやっているだけで、あんなに大げさにやる必要はない。それはそのとおりだと思いますけれども、国連事務総長が言い、国連環境計画が新設をやめろと。G7の中で平気で石炭火力をつくっているのは日本だけですよ。やはりこれはよくないと思います。

 もう皆さん触れられていますが、イギリスもフランスも廃止する、二五年、三〇年。ドイツは三八年ですかね。カナダもそうすると宣言している、やろうとしている。これを日本は、自分のところでつくるのはやめないわ、外国にも輸出しようとしているというので、それは原発と同じ、原発の方が、似たようなものですけれども、ちょっとましで、少なくとも国内ではもうつくらないと言っている。輸出といってやりましたけれども、どこも、原子力協定はできたけれども、実現しているものはない。

 私は、大臣がさっき答弁されていたように、環境技術日本、環境日本の復権は、環境関係の、環境をきれいにする、そういう技術の輸出だと思います。絶対に国民はみんな支持しますよ、大臣の石炭火力を少なくしていくということについて。期待していると思いますよ。

 さっき、地球環境について余り日本は盛り上がっていないと言うけれども、後で説明しますが、そんなことはないんです。場所によって、県民意識の違いによって、盛り上がっているところはいっぱいあるんです、人によって。心ひそかに、このままではいけないなとみんな思い始めているんです。それをどうやって引っ張っていくかというのが我々政治家の役割で、ここにいる委員の皆さんたちの役割だと私は思うんです。

 石炭火力をもうやめていくんだ、ダイベスト、座礁資産ですよ、原発も石炭火力も。もうやめていくべきだ。経済、経済でやってきた日本がやり方を変えると言ったら全然違った目で見られるようになると思うんです。そういうふうにぜひ大宣言をしていただきたいんですけれども、どうですか。

小泉国務大臣 まさにそういう議論をスタートするきっかけに、この石炭に関する四要件の見直しについての議論もつながっていけばなというふうに思っています。

 先ほど申し上げたとおり、今まで、日本でエネルギー政策をこの東日本大震災以降するときに、まずは原発ですよね。しかし、国際社会の中では、まずは石炭なんです。この石炭についての前向きな、脱炭素に向けた前向きなシグナル、そしてアクション、これがあるかどうかというものが物すごく大きいんですよね。これはきっと、COPなど、あの国際社会の場を踏んだ今までの歴代の環境大臣、政務三役、関係者はみんな痛感すると思います。

 ただ、ここで誤解してもらいたくないのは、国際社会や国連の評価のためにやっているんじゃなくて、日本にとって間違いなくそっちの方が利益になる、そういうふうに強みを発揮できると思うからこそ今取り組んでいるということを御理解いただきたいと思いますし、まさに再生可能エネルギーの普及など、いかに、国家の自立を目指すときに、みずからが供給を外国から受けることなく調達できるような、そういった能力、技術を高める先にあるのがまさに主力電源化だと思うので、そういったことをしっかりと一つ一つ前に進めていくことが大事だと思って、この議論を今、私の方からも各省とやっているところであります。

篠原(孝)委員 それでは、最後のページを開いてください。これをよく見ていただきたいんです。なかなか手間がかかっているんです。ちょっと間違いがあったりしていろいろ御注文がついて、まことに済みませんけれども。

 全委員と政務三役の皆さんの環境委員会の回数、これは計算するのが大変なんです、臨時国会とか。一年いたら、一年、常会と合わせてやったので、間違いがあるかもしれませんけれども、自分も何回やったか忘れている人の方が多いと思いますから、まあ、これでいいんだろうと思います。ちょっと手で直したところはお許しいただきたいと思います。

 ゼロカーボンシティー、これは所信で大臣がいろいろ触れられていました。これは、一番下、十六都道府県で七十三自治体、それぞれの皆さんの地元がどうかというのを、これは苦労をしているんですけれども、上野さんの参議院というのは入れ忘れです。済みませんでした。

 ただ、南関東なんですけれども、群馬で活動されているので、やはりそういうのをやらなくちゃというので群馬と太田市と入れたり、なかなか気を使ってつくったんです。気を使い過ぎて間違ったところもちょっとありますけれども。わかります。なぜこれを書いたかというと、地元でも皆さんやっていただいて、こういうふうにやっていただけたらいいんじゃないかなというのなんです。愛知三区、近藤さんのところ、ちょっと抜けちゃって済みません。愛知三区、入っていますかね、書いてありますかね、ちょっと入れたりしてあります。

 大事なのは、一番右側の方も大事なんです。「備考」。備考とささやかに書いてありますけれども、今問題の火力発電所がある、二十二基あって、そこはもうやめたところもあって、計画が進行中のところで、皆さんの選挙区のどこがあるかというのを。これ、今まで余りみんな遠慮して触れないんですけれども、横須賀の火力発電所の一号、二号の建設計画があるんですよね。エネルギーも、地産地消で、送電ロスを考えたら大消費地の近くにあるのがいいに決まっているんですよ。だけれども、そっちの方だけ考えていいのかというものなんです。

 これを考えていただきたいので、これを見ていくと、偶然ですけれども、務台さん、いますか。務台さんが頑張ったのか、長野県の意識が高いのか、どちらか知りませんけれども、県もちゃんと、ゼロカーボンシティーも宣言しているし、務台さんの選挙区で二つも町村がやっているんです。それで、気候非常事態宣言も県も自治体もやっている。減らず口をたたいている私の選挙区では、市町村は全然していないんです。これから帰って、小泉さんにこう注文したんだから顔を立てるためにやってくれと言って、市町村長さんちに頼んで歩きますけれども。これを見ていただけばわかると思います。

 こういうことも大事だと思う。やはり、環境問題は、グローバルですけれども、草の根でもあるんですね。外交になっています、完璧に、地球環境の。だけれども、やはり地元で実際に何するかというのが大事なんです。

 これ、皆さん余り気候変動について関心がないというのは、長野県は何でかわかりますよね。十九号の大水害で、これは大変だ、こんなのが何度もあっては困る、山の方の木がほったらかしになっているし、田んぼは休耕田が、休耕というか田んぼじゃなくて畑になって、田んぼが保水力なくなっていますし、というのが出てきています。

 そして、さっき、もう質問はいいですよ、別府市がきょうやったと。何か美しい話ですね。留学生が請願して、それを受けるという。国会も、請願をやたら拒否ばかりしていて受け付けませんけれども、もう以後、いい請願、みんな受け取るべきだと思います。環境関係の請願なんて、みんな受けてもいいようなのばかりじゃないかと思いますよ。金を出してくれとか、そういうのはまた問題がありますけれども、ここをやってほしいというのは受けていいんじゃないかと思う。これ、皆さん、来年の環境委員会で全部埋まるように頑張っていただきたい。

 それから、この回数というのも大事でして、これは大臣や政務三役が悪いんじゃありません。僕はびっくりしましたよ。五人の政務三役、今まで環境委員会に所属したことが一度もないんですけれども、不正確ですかね、ないんです。(石原副大臣「臨時国会だけ」と呼ぶ)臨時国会、だから、それは一回に、済みません、カウントしていないんです。

 これも問題で、私なんか、何となく、わからなかった、五回も来ている、五回も。農林水産委員会ばかり行っているみたいに思われるんですが、あそこは三回しか行っていない。ただ、分科員というか、党の会合には出ていますけれどもね。

 それで、これ、よく見て。

 だから、大臣のところでいえばいいですか。横須賀市、三浦市はゼロ表明できるはずです。それから、気候非常事態宣言もできるはずです。だけれども、一番は、一番右のことです、右端。これはいろいろありますけれども、地元だけに何か鋭いのをやっていただきたいんです。ぜひ、これ、発信力が物すごくある大臣ですから。

 それで、最後に、これは、質問じゃなくて、注文というか、アドバイスというかです。

 これは、お兄さんにも言ったことあるんですけれども、伸晃さんに。どういうことを言ったかというと、環境大臣から総理になってほしいと。財務大臣や外務大臣経験者が総理の道みたいに言っています。だけれども、小泉純一郎さんはそんなことはしていないで大臣になっている、安倍さんもそうですけれども。やはり、環境大臣経験者でないと総理大臣になれないというルートをつくってほしいと言って励ましたんです。お兄さん。知っておいてください。小泉さんにも同じことを言います。小池百合子さんには、余りぎらぎらされているので、わざと言いませんでしたけれども。

 メルケル首相、COP3のときに環境大臣で京都に来ているんですよ。コールズ・メードチェン、コールのお嬢さんと呼ばれていました。環境大臣を四年か五年やっているんですよ。ぜひやっていただきたい。外交で、女性のチリの議長さんとか、何か三十六回やっておられたと新聞にちょっとありましたよ。小泉さんならみんな寄ってくると思います、日本の有権者だけじゃなくて。そして、後は託すとか言われる。

 だから、長くやっていただきたいと思う。外務大臣は結構長く留任されるのと同じで、僕は、環境大臣は息が長いし、やっていただきたいと。

 それから、もう一つ大事なのは、これはチクりになるんですけれども、チクりというか、注文をつけるんですけれども、新型コロナウイルスの件で、三人行かれなかったと。これは、やはり非常に問題があるんですよ。森法務大臣が一番だめですけれどもね。あれは、入国禁止は法務省の所管ですよ。だから、ちょっと、どういう嫌みを言ったかといいますと、みんなも聞いていない、予算委員会の分科会ですけれども、書道展に行った、書道展に行かれたんだったら、いい字を見てきて、書道を習った字で立派な辞表を書いてくださいという嫌みを言いましたけれども。

 大臣には、僕は育休は大賛成です。それから、夫婦の間、子供を迎えて奥さんと一緒に過ごす。僕なんかは過ごしていないから、女房にぎゃあぎゃあ言われていますけれども。それから、趣味の寄席に行かれるのもいいと思います。ユーモアのセンスというのは政治家に大事ですから。僕は行かないのにそこそこあるんですけれどもね。

 ですけれども、日本で一番選挙に強い政治家の一人ですよ。昔は、大臣になったら、お国入りといって、めったに帰れなかったんですよ、交通手段もなかったし。そういうことはされないように。されるんだったら、いいんですよ、実績をつくって、いやいやと。横須賀市と三浦市に早く気候非常事態宣言をするようにとかそういうことをやられるんだったらいいけれども。選挙だって、調べたら、得票率が高いのは一に小野寺五典さん、八十何%、二番目が石破さん、三番目が小泉さんになっています。それから、れいわ新選組は、得票率の高い百位、百位まで、百番目まで候補者が出ている。その中にみんな、東京は全部入っている。神奈川は何か一つだけ抜けているんです。神奈川十一区です。

 れいわの人気も蹴散らすぐらいの人気がある方ですから、何をやったって構いませんから、思い切った政策を実行されることを切にお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。頑張ってください。

鷲尾委員長 午後一時十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十三分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時十分開議

鷲尾委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。堀越啓仁君。

堀越委員 お疲れさまでございます。立憲民主党・国民・社保・無所属フォーラムの堀越啓仁でございます。

 本日も、貴重な時間をいただきまして質疑に立たせていただきます。どうかよろしくお願い申し上げます。

 今回も、この通常国会、自然系国会議員として全力で小泉大臣とともに頑張ってまいりたいと思いますので、どうぞ引き続きよろしくお願い申し上げます。

 そして、先月、私のライフワークとしてこれまで取り組んでまいりましたアニマルウエルフェアについて、アニマルウエルフェアを考える議員連盟というものが設立をされました。私も、初当選以来、環境委員会で大変お世話になりました、前野党の筆頭理事でありました生方幸夫先生からお誘いを受けまして、呼びかけ人の一人として微力ながら尽力をさせていただきたいというふうに思っております。

 この議連ができたことにより、これまで以上にこのアニマルウエルフェア、日本の水準をやはり高めていきたいというところでありますので、これは議連が超党派の議連となっております、現職の大臣としてはなかなか難しいかもしれませんが、小泉大臣もぜひ関心をお寄せいただきたいと思っておりますし、この環境委員会に属しておられる委員の皆さんにも、ぜひどうかこのアニマルウエルフェアを考える議員連盟、御賛同いただければというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 それでは、限られました時間ですので、早速質問の方に入らせていただきたいと思います。

 今現在、多くの委員の皆さんから御発言がありますように、新型コロナウイルスの影響がいろんなところに出ております。私も、もともとは、議員になる前は作業療法士、リハビリテーションの現場で十二年間働いておりましたので、現状、現場で、医療や介護そして障害福祉サービス、こうしたところで働いておられる方々、あるいは利用者の皆さんやその御家族の方々、本当に大変な懸念、不安の中にいらっしゃっておりますし、昨今では、手指の消毒薬やあるいはマスク等の不足が現場では深刻な状況になっています。

 医療や介護、障害福祉サービス等々の現場では、当然ですが感染症というのはコロナウイルスだけではありませんので、そういった不足、必要なところに必要なものが早く供給されることをぜひ私の立場からもお願いをさせていただきたいと思っております。

 そして、環境の部分に関しては、実は大きな問題が、私はトピックスがあるのであろうと思っておりますが、なかなかそうしたことは触れられないような状況になっているのではないかというふうに思いますので、動物のことについて、感染症としての防護策に必要なところについてお話をさせていただきたいというふうに思っております。

 今回の新型コロナウイルスでも、過去のSARSと同じく、動物を利用する過程で起きている感染症であるというふうに思っております。ウイルスだけではなく菌も同じなわけですが、動物を介した感染症が社会の持続可能性を著しく脅かす、こうした事態がまさに今、日本の社会、世界全体で起こっている大きな私は課題であるというふうに思っています。

 この感染症がやはり蔓延することによって、経済を停滞させ、そして人権を奪うことにもつながり、更に言えば、不安を高め、消費動向、経済にも大きな影響を与えるということを今私たちはまさに身をもって痛感しているということだと思っております。

 そうした観点から、野生動物種の取引、消費を禁止するという動きが、先月の二十四日、中国で起こっております。いまだ多くの野生動物種が家畜であると不当にカテゴライズされて残ってしまっておりますけれども、まずは一歩前に進んだのではないかなというふうに思っております。

 では日本はどうなのかというと、一部の絶滅危惧種以外、野生動物の取引は一切制限がなく、エキゾチックペット、エキゾチックアニマルというような言葉で毎年何万頭以上が取引されているという状況があります。

 触れ合いイベントや展示施設では、人間が動物にさわって楽しむということさえ多々あるわけですね。さらに、拘束してほぼ動けない状況や必要な運動量が提供されないなどの劣悪な状況で展示されているアニマルカフェが近年では急増しております。また、たとえ動物園であったとしても、非常に狭いおりで異常行動を起こしたり、社会性のある動物が単独で飼育されていたりと、不適切な飼育が横行していると聞き及んでおりますし、実際、私もこの目で確認をさせていただいていることも多々あります。

 よく、象が狭いおりの中でゆらゆら揺れているシーンであるとか、あるいは、小動物が小さいゲージの中に入れられて、同じおりの中を行ったり来たりしている。これは一見すると、象さんがダンスしているねなんというので見たりもするんですけれども、子供たちに親が、お子さんが言ったりするんですけれども、動物にとっては非常にストレスで耐えがたい苦悩の中に、そういう常同行動という自然界には絶対にあり得ないような行動をとらざるを得なくなってしまったストレスの極限状態にある、こういう状況が、今の動物園だけではなく、展示販売されているそういった状況にも実は散見されるという状況です。

 当然ですけれども、こうした劣悪な飼育環境のもと飼育をされれば、動物はストレスになるわけですから、本来の免疫を低下させるということになる。そうすると、もともとウイルスや菌と共生して暮らしていた動物から感染症が発生することになりかねないということ。これは、今世界でも、ワンヘルスの概念からしても取り組まなければいけない、動物の福祉について取り組むということは人間の健康を守ることにつながるんだという概念が今世界ではどんどんどんどん高まりを見せていますので、こうしたリスクもあるということですね。

 そして、昨年の動物愛護管理法の改正における附帯決議では、ちょっと長いんですが読み上げさせていただきますけれども、家畜化されていない野生由来動物の飼育が限定的であるべき旨について周知徹底を図るとし、また、人獣共通感染症防止や動物の健康や安全の保持等の観点から、触れ合いを含む動物展示施設の飼養管理基準についても検討し、その結果に基づいて必要な措置を講じることが明記をされております。

 正直、今や、新型コロナウイルスが世界的に蔓延する状況下で、この程度の対策では全く私は不十分であると思いますし、明らかに予防は治療にまさる状況であるというふうに思っておりますので、この野生動物種の取引については厳格に制限をしていかなければいけないんだろうと私は思っています。

 そこで、野生動物種の取引について早急に、そして厳しく制限するべきと私は考えておりますが、これに係る政府の見解と、今後どのような対策をとられるのかをお答えいただきたいのと、また、この附帯決議にのっとって、野生動物種の飼養が限定的であるべき旨について環境省として周知徹底を行っているのか、また、何か動き始めている事項があれば、ぜひ具体的にお答えをいただきたい。

 あと一点、今年度、多くの畜産関係の触れ合いイベントが豚熱、CSFを理由に中止をされておりました。今、新型コロナウイルスが蔓延しておりますから、このイベント等々はやはり継続して中止にするべきであろうというふうに思っておりますけれども、動物の触れ合いイベントや展示施設における制限も早急に検討するべきだと思っておりますが、政府の見解を伺いたいと思います。

鳥居政府参考人 お答えいたします。

 環境省では、野生動物の飼養が一般的に困難であり、慎重に検討すべきであることなどについて、動物愛護管理法に基づく家庭動物や展示動物に関する飼養保管基準に定め、その周知を図っております。また、外来生物法や種の保存法に基づきまして、特定の種について各法令の目的に沿って取引等を規制しているところです。

 また、昨年度の動物愛護管理法の改正などを踏まえまして見直しを検討しております動物愛護管理基本指針において、動物との触れ合いを含む展示利用については、情操の涵養などの効用の発揮と、感染性の疾病の予防を含む動物の健康、安全の確保の双方の観点から、その取扱いに関する基本的な考え方を整理、検討することをこの基本指針に盛り込む考えでございます。

 また、委員御指摘のありました人獣共通感染症につきましても、当然、動物との過剰な触れ合いというものがなされるとそういう危険性が高まるわけでございますので、今は、動物に触れたら必ず手洗いをするなどの普及啓発を通じて、その予防に周知を図っているところでございますけれども、今後、先ほど申しました基本指針を見直す中で、更に内容について充実を図ってまいりたいというふうに考えております。

堀越委員 ありがとうございます。

 この基本指針の見直し、これはぜひ厳格に進めていただきたいというふうに思っておりますが、やはり、触れ合った際に、予防策を講じる、手指の例えば消毒をする、その普及啓発は触れ合いイベント等の中でも行われているというふうには思いますが、その観点も本当に大事だと思います。必要だし、感染症拡大の予防策にとっては絶対に必要な観点なので必要だと思いますが、やはり、展示や、あるいは触れ合い動物の、その動物たちの管理、そのあたりについてもしっかりと指針を示していただければというふうに思いますので、引き続きよろしくお願い申し上げます。

 先ほどお話しさせていただきましたエキゾチックアニマル、エキゾチックペット、本当に今人気なんですね。これからも触れますけれども、その動物たちの中には希少な動物もいて、密輸の対象になっているというものも当然あります。

 私も、実は爬虫類、両生類、大好きなんですね。動物全般、基本的には好きなんですが、かつては、ギリシャリクガメであるとかベルツノガエルというのを飼ったことがあるんです。それを飼うときには、本当に専門書を読みあさって、今から十年前ですから、今みたいにエキゾチックアニマルがまだはやる前だったので、その飼養にかかる用具というのが非常に高価で高かったんですね。実際、その生体も当然高かったですから、これだけ高いものに手を出すのであれば、本来、原種が生態系の中でどんな生活をしているのかということもちゃんと学んで、もし病気やあるいはトラブルが起こったときにどこに相談していいのかということまで全部調べ上げてから飼っていたんですね。

 それぐらい、本来であればしっかりと飼育しなければいけないというものなんですが、今、本当に簡単に手に入るようになってきてしまっている。そして、用具も本当に安くなってきて、飼育の用具も安くなっているので、手が出しやすくなっているんですね。

 でも、これは感染症対策の観点からしても、どんな感染源になるかもわからないというところも十分考えられます。例えば、両生類であれば、今、カエルツボカビというのが世界で蔓延しているんですけれども、このカエルツボカビというのは両生類にとって非常に致死率が高いんです。

 生態系を脅かすこうしたものが、流通が促進されることによってどんどんどんどん感染源としてふえていく。これは当然、人間には影響ないわけですが、しかし、ウイルスやカビですから、どんな観点から人間に今度は影響を及ぼすような成長をするかというのもわかりませんので、これはどこが発生源なのかというのを特定するためにも、厳格にこうしたものはチェックしていかなければいけないということだというふうに思っております。

 そして、希少生物に関することについてちょっと次は伺いたいと思いますが、希少保全全般に係る、ワシントン条約附属書の掲載について伺いたいんです。

 九州南端から台湾にかけて連なる沖縄、奄美などの島々、これを南西諸島と呼んでおりますが、ここの地域でしか見られない固有の動植物というのは非常に多くて、日本在来の爬虫類九十五種のうち、約七五%に当たる七十一種がまさにここで生息しているんですね。特に、沖縄や奄美に生息する陸生爬虫類は、極めて高い固有種率を持っているのが特徴であります。

 この南西諸島は、現在、世界自然遺産の候補地で、その豊かな自然が世界的にも価値が高いと認められているところであります。しかし、残念ながら、その多くが今ペットとして、実は、そこにいる動物たちがペットとして捕獲されて、国内外に取引されている現状が報告されております。

 一般的に、固有種というのは、生育地や生育数というのは限られていますから、人間が商取引の対象にすることによって、当然ですけれども、絶滅のスピードを加速してしまうというものであります。

 実は、一年間に何と四万種がこの地球上から姿を消していると言われております。その取引の影響を受けている動物の一つ一つ、今注目されているのが、ちょっと二種類挙げさせていただきますが、トカゲモドキというのとイボイモリというのがいるんです。

 トカゲモドキってどっちなんだというふうに思われがちなんですが、これはヤモリの一種なんですね。イボイモリは当然イモリなんですが。今スマートフォンを持っていらっしゃる方はぜひ後でググっていただきたいんですけれども、トカゲモドキとイボイモリ、かわいいんですよ。かわいいんです。大臣、知っていますか。見たことないですかね。ぜひ見ていただきたいんですけれども、かわいいんですよ。これが今大きな問題となっていまして、日本のイボイモリが海外に違法に持ち出されてしまうという状況なんですね。

 国際自然保護連合、IUCNによりますと、トカゲモドキは六種が、イボイモリについては一種が日本の南西諸島だけで生息しておりますが、いずれも絶滅のおそれが高いとされておりまして、環境省所管の種の保存法においては捕獲や輸出が禁止されているということです。しかし、海外で取引が活発にされていることが確認されて、販売されている個体が密猟や密輸によって持ち出されている可能性も否定できないというような状況でございます。

 ここで、この問題を解決するために、国際取引のルール、当然ワシントン条約はありますが、昨年の八月に第十八回の締結国会議が開催されて、この日本のトカゲモドキとイボイモリに関係する国際取引の議論が行われたんですね。

 その内容は、日本以外の国に生息しているトカゲモドキ属全種とイボイモリ全種を新たに附属書2に掲載して取引規制をかけるというもので、全会一致されているんです。これは日本以外なんです。日本以外で規制が強まる。規制が強まるのはいいことなんですけれども、日本以外で規制が高まっているので、日本の固有種であるトカゲモドキとイボイモリは国際取引において無規制の状態になってしまっているんですね。

 海外で、中国やベトナムなどで生息していた種に対して規制がかかるということは、今度は日本のイボイモリやトカゲモドキに目が当然、密輸や密猟、向くわけでございますので、これは何とかしなければいけないということで、環境省の報道発表によりますと、政府はこの場で、締結国会議の終了後、日本は国内のトカゲモドキ属について附属書3掲載を予定していると表明しております。

 これは必要なことです。絶対にやらなければいけない。しかし、現在でもまだ掲載には至っていないということなので、自然系国会議員としては非常に残念で仕方がないんですが。

 そこで、確認させていただきたいんですけれども、この附属書掲載の予定を表明してから既に半年以上経過をしているわけですが、関係省庁と調整、ワシントン条約事務局への申請準備など、既に掲載に向けた対応が当然とられていると私は思っておりますが、このあたりの進捗状況について教えていただければと思います。

鳥居政府参考人 お答えいたします。

 国内のトカゲモドキ属及びイボイモリ属のワシントン条約附属書3の掲載につきましては、国内の関係省庁間及びワシントン条約事務局等と調整を進めているところでございます。

 具体的には、種名の記載の方法等かなり技術的なところで今調整を進めておるところでございますが、早期に附属書3に掲載されるよう、引き続き取り組んでまいりたいと思います。

 なお、現時点におきましても、種の保存法によりまして、トカゲモドキ属及びイボイモリ属は国内希少野生動植物種に指定されておりますので、輸出のほか、捕獲や譲渡し等が禁止されているところでございます。

堀越委員 もう少し早目に、いろいろ技術的なところの調整は大変なのだろうと思いますが、ぜひこれは早目にしていただかないと、希少な動物たちが違法に持ち出されてしまうというところに歯どめがかからなくなってしまうし、むしろ注目を浴びることになってしまいますので、ぜひ力強く進めてください。大臣、この点もぜひ主導していただければと思います。

 実は、二〇一五年十一月に、このトカゲモドキは日本から違法に持ち出されて、ベルギーの税関でそれが見つかって帰ってきたという例があるんです。これはパンダのマークでおなじみのWWFさんのホームページにも記載されているんですが、この帰ってきた例というのは本当にごくごく一部です。氷山の一角なので、違法に取引されている種が本当に多くなっている状況は引き続き起こっているという前提で、ぜひ厳しくチェックしていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 そして、続きまして、またちょっとがらっとテーマとしてはかわるんですが、同じようなテーマにも含まれますが、現在、政府が二〇二〇年夏の世界自然遺産登録を目指しております奄美大島、徳之島、沖縄の北部及び西表島における現地の取組状況について、希少種保全の観点から伺いたいと思います。

 この地域の世界自然遺産登録は、皆様御存じのとおり、前回は、IUCNから、飛び地の除去や十分な広さの生態系地域の確保、あるいは外来種対策、観光客がふえることによる環境負荷低減策など、さまざまな指摘事項が付されて延期になったという経過があります。

 環境省としても、この指摘に対して対応を講じていただいているものだというふうに思いますが、私も希少種の保全の観点から非常に気になっているところでありますし、密猟、密輸対策の連絡会議が設置されたと聞き及んでおりますので、改めてそのあたりを伺いたいと思います。

 この密猟・密輸対策会議は、昨年度に第一回が開催されてからまだ二回目が開催されていないというふうに承知しておりますが、今後いつ開催される予定なのか、また、この対策会議を通じて具体的にどのような施策を実行しようと考えているのか、お答えいただきたいと思います。

鳥居政府参考人 お答えいたします。

 環境省では、税関等の国の機関、県や市町村、さらには運輸、運送等に携わる民間事業者と密猟・密輸対策会議を組織し、沖縄及び奄美地域における希少野生動植物種の密猟、密輸対策を実施しております。

 具体的な密猟、密輸防止に向けた取組といたしましては、遺産推薦地四島及び周辺離島におけるパトロールや林道通行規制の実施、また航空機の乗客が手荷物として持ち込んだ場合等に対応するための運輸、運送事業者に対する希少種の判別講習会の実施、さらに希少種判別マニュアルの整備等の取組を進めているところでございます。

 なお、密猟・密輸対策会議は、沖縄、奄美それぞれの地域で毎年一回開催しております。ただ、ことしは、新型コロナウイルス感染症への対応を考慮しながら、できるだけ早期に開催したいというふうに考えております。

 また、来年度は予算を拡充し、密猟、密輸対策の取組を一層進めてまいる所存でございます。

堀越委員 貴重な自然資源、これは、希少種だから守っていこうというだけではなくて、やはり密猟、密輸に対しては、自然の、いわゆる日本が持っている資産ともとれるわけですから、そこはしっかり密輸・密猟対策会議を動かされて、早期に実現されたいと思います。

 また、やはり、密猟、密輸により実効性のある対策としては、レンジャーがとにかく足りないという状況を私もよく承知をしております。この自然系職員、つまりレンジャーの拡充、これもやはり重要な観点にこれからますますなってくると思いますので、ここもぜひ後押しをさせていただきたいというふうに思っております。

 当然、世界自然遺産の登録というのも、やはり、インバウンドの観点からしても非常に重要ですが、それによって自然が破壊されてしまって、結果的にインバウンドも手放していかなきゃいけないというような悪循環が高じてはいけないので、そこも含めて、ぜひ対応していただければというふうにお願いを申し上げたいと思います。

 そして、またこれもちょっとがらっとかわりますが、委員の方からも多々質問が上がっておりますが、やはり今は気候変動の時代を迎えております。近年、我が国では、豪雨災害、毎年のように発生をしておりますし、海外に目を向ければ、ブラジルの火災ですとか、オーストラリアでの森林火災、大変深刻な状況が繰り広げられております。このほか、台風、大雨、熱波や寒波など、世界各国で猛威を振るって、深刻な被害が相当続いております。

 これを受けて、小泉大臣も所信で触れられたとおり、気候変動の問題ではなく気候危機であるということの認識を皆さんでも共有をさせていただきたいというふうに思っておりますが、やはり二〇五〇年までに温室効果ガス排出量の実質ゼロを達成する必要が私はあるんだろうと思っていますし、皆さんとこの思いは共有できると思っております。

 しかし、残念ながら、我が国の長期戦略においては、二〇五〇年以降のできる限り早い時期に脱炭素社会の実現をすることが挙げられております。大臣の所信の中でも、二〇五〇年を視野にという意気込みで述べられておりまして、二〇五一年を含め、できるだけ早期の脱炭素社会の達成を目指すと述べられておりました。これは安倍総理の方からも発言があったわけですが、数字が示されているのは、これは少し前進ではあるというふうに思っておりますけれども、今そこにある気候危機に対処していくには、やはり、もはや脱炭素社会の実現時期を曖昧にしていい状況では私はないんだろうというふうに思っております。

 EUでは、欧州委員会が昨年十二月十一日に、気候と環境関連課題への取組を加速するために、新たな戦略として欧州グリーンディールを発表いたしました。これは単なる環境政策ではなくて、経済成長戦略の一環として位置づけられているもので、この欧州グリーンディールと整合的な形で今後さまざまな施策が打ち出されていく見込みであるというふうに思います。

 こうした世界の潮流をやはり踏まえた上で、我が党においても、先月、気候危機対策調査会を設置して、私、そちらで事務局長を仰せつかっているわけですが、やはり遅くとも二〇五〇年までに実質温室効果ガス排出ゼロを実現するために施策を講じなければいけないということで、今議論をスタートさせていただいているというところでございます。

 この気候変動問題は、もはや単なる環境問題ではありません。これはもう皆さんとも共有できていると思いますが、経済の問題であり、あるいは人権の問題であり、そして暮らしの安心にかかわるそうした問題と言わざるを得ない状況が昨今我が国にも降りかかってきているというところでありますので、やはりここで長期目標、二〇五〇年までに排出実質ゼロをちゃんと明確化して、その目標達成のために道筋を早期に示すことが私は重要であると思います。

 政府の見解をこのあたり伺いたいのと、また、イギリスでは、二〇五〇年までに温室効果ガスをネットゼロにする法律が成立して、排出実質ゼロ目標が法定化されてきています。我が国も、気候変動対策法案などパリ協定に沿った新法制定なのか、あるいは地球温暖化対策推進法を抜本的強化することによってそれを明記するのか、それは議論していく必要があると思いますが、私はそういったことが必要だと考えておりますけれども、政府の見解を伺いたいと思います。

小泉国務大臣 堀越先生から御指摘いただいた二〇五〇目標、これについては、私も、先月、イギリスのラーブ外務大臣とお会いをしたときに、やはりCOP26のホスト国として、各国、特に先進国の野心的な目標に対する期待感、これを伝えられたところでもあります。そして、イギリスは二〇五〇年のネットゼロに対する法制化を行ったということでありますので、まさにホスト国として、その意気込みを具体的な形で示しているんだろうというふうに思います。

 今、きょうの午前中の質疑でもあったように、環境と経済をどう考えるか、この関係の議論においても、やはり国際社会と日本の中での議論では差があるんだろうというふうに正直感じます。先ほど、ある方の発言という中で、ピッチがなければサッカーはできないという例え話をしましたが、地球環境を守らなければ経済活動はできないという、その理解、その認識というのが、大分、国際社会の中では強くなっている。

 そして今、日本の中でも、今、環境と経済の好循環という形の言葉を使っていますが、やはり一番大事なことは、環境と経済の中でもCO2の排出は減っていく、しかし経済は落ち込ませない、こういった考え方の中で、いかにその実例をふやしていくのかということが大切だと思っています。

 なので、私としても、このCOP26に向けて、国際社会の声と、そして日本の中の議論をどのように近づけていくのか、ここにおいては関係省庁との議論も不可欠でありますが、先生がおっしゃるような国際社会の期待の高まり、そして、今のままではパリ協定の目標達成ができないことは明らかでありますので、そういったことも踏まえた上で、しっかりと関係省庁と議論していきたいと考えております。

堀越委員 ありがとうございます。

 いつでしたかね、群馬県の山本一太知事、小泉大臣を訪問して、五つのゼロというのを群馬県として打ち出すということでありました。その項目の二つ目が、まさに二〇五〇年に温室効果ガスの排出量をゼロにすると群馬県としての取組を明言されたということで、私は本当に心強いことだと思っています。

 ここはやはり、ボトムアップでも必要でしょうし、国がその指針をしっかり力強く示していく、そうすることによって動いてくるものも当然ながら多いと思います。

 先ほどおっしゃったように、経済と環境というものをリンクして考えていったときに、まだまだ日本の企業やあるいは国民の皆さんお一人お一人、実は環境と経済がリンクしているんだということについて意識がまだ高まってきているとは言えない状況でありますので、これはやはり、私たち、環境行政が力を持つ方法は幾つもあるとは思いますが、それが例えば教育なのであるか、あるいは経済的に環境に配慮しなければビジネスチャンスも生まれないというようなことも含めて、環境省の方からも、経産省と連携をしてぜひ発信していただきたいというふうに思っています。

 今、世界では、いわゆるリサイクルエコノミーからサーキュラーエコノミーの方に転換をしているというところもありますし、更に言えば、今、企業が、ESG投資、どんどんどんどん投資先として拡大していく、受け入れられるようになるためには、環境への配慮を自社、大企業がやらなきゃいけないんだという高まりは大企業にはあるんですが、しかし、今、これを大企業側がサプライチェーンにまで求めてきている。つまり、環境に配慮した、温室効果ガスの排出削減に向けて取組をしているサプライチェーンから物を買って自社でつくるというようなところにまで転換していますので、これは日本の経済全体にとっての大きな影響を与えるものと流れが変わってきております。

 なので、私たちは、やはり環境が安定しなければ経済も成り立たないんだ。大臣もバッジをつけていらっしゃいますけれども、これはSDGsですね、まさに。自然資本というものをしっかり守っていくんだ、そうでなければ経済活動や人間の社会も成り立たないんだというこの構造をしっかりと訴えていっていただきたいというふうに思っております。

 そして、先の臨時国会で、私の一般質問で、小泉大臣より最後、リサイクルにかかわる御答弁をいただきました。このお話のちょっと続きをさせていただきたいというふうに思っております。

 我が国の二〇一八年度のプラスチックのリサイクル率は非常に高い数字になっているわけです。リサイクル率だけで見ると八四・六%、これは小泉大臣からも御答弁ありましたが、私は、この高いリサイクル率、実は中が大事だと思っていて、例えばプラスチックであれば、ペットボトルからペットボトル、あるいはプラスチック製品から別の由来の成分を抽出して何か別のものに使うというようなケミカルリサイクル。いわゆるマテリアルリサイクル、ケミカルリサイクル、ここが私は本質的なリサイクルのあり方なんだろうというふうに思っておりますが、この八四・六%のリサイクル率のうち、サーマルリサイクル、つまり燃やして熱回収をしている率というのは、当然、五七・五%と非常に高い。

 これはもう皆さん御存じのとおりだと思いますが、日本はこれをリサイクルと換算して高いリサイクル率を誇っているというふうにしておりますが、本来であれば、ケミカルリサイクルあるいはマテリアルリサイクルの率を見てリサイクルというふうに上げるのが、私は世界の基準に合わせるものなんだろうというふうに思っております。

 この議論についてはまた別途させていただくといたしまして、今回はペットボトルにちょっと注目をさせていただきたいんですが、今、ペットボトルの回収率というのは非常に高いんですね、九一・五%。ほぼほぼペットボトルは回収されている。しかし、回収されていないペットボトルというのもやはり実はそんなに小さい量ではないんじゃないか。

 例えば、回収されていないペットボトルは重量でいうと五・三万トン。ペットボトル、例えば一本が約五十グラムとすると約十・六億本に該当するということで、これは再資源化についても、安定的な国内循環を達成するために非常に忘れてはいけないところだというふうに思っています。

 さらに、プラスチックごみ削減を全体的にしていくためには、こうした回収率を上げていって再資源化を進めていくということは重要であるというふうに思っておりますが、ペットボトルの使用抑制、ペットボトル自体の使用抑制もやはり重要なんだろう。

 確かに便利なんです。消費者観点からすれば、衛生的であるし、持ち運びも楽だし、あるいは例えば備蓄がきくであるとか、そういった観点からも非常に重要なんですが、やはり廃プラスチックの輸入をどんどんどんどんアジア諸国が禁止してきているという状況の中で、この廃プラの問題についても向き合わなければいけないというのはもう当然のことながら、ふえ過ぎてしまっている今の使用量を削減していく取組というのもやはり重要なんだろうというふうに思っています。

 そこで、我が国においては、一九九六年三月まで、おおむね一リットル未満の小型サイズについては、散乱ごみに対する懸念から、一般社団法人全国清涼飲料工業会の自主規制で使用が自粛されておりました。しかしながら、一九九六年の四月以降、消費者のニーズに応じて小型ペットボトルが導入されることになった経緯があります。

 これも先ほどお話しさせていただきましたが、小型ペットボトルも、飲み切りサイズというような形で、携帯性もありますし、非常に便利ではあります。子供や御高齢な方々も扱いやすいですし、災害時の備蓄にも役立つというものであるのは承知しておりますけれども、一方で、小型のペットボトルになればなるほど、一リットル当たりのプラスチックの使用量は多くなるんですね。環境負荷も当然増大するものとなっております。

 そこで、我が党においては、小さなことかもしれませんが、会議の際に、小型ペットボトルによる飲料提供の廃止を行っております。小型ペットボトルの必要性を認めつつも、過剰な小型ペットボトルの使用については抑制を図る必要があるんじゃないかなというふうに私は思っております。

 この小型ペットボトル使用の抑制に向けた政府の見解を伺いたいと思います。

小泉国務大臣 先生おっしゃったとおり、やはり、リサイクルももちろん大事なんですけれども、リデュース、これがすごく大事だと思っています。立憲民主党さんの方でも会議の方でペットボトルの使用をやめたということですが、環境省でも今もう会議の方ではペットボトルは使っていません。

 そして、今、五百ミリ以下の小型のペットボトルの話がありましたが、私も同じような問題意識はあります。

 特に、最近、一〇〇%リサイクルのペットボトルというのが、幾つかの企業でも、特にお茶、そしてミネラルウオーター、こういった形で出てきました。ただ、小型のものでまだリサイクル一〇〇%のペットボトルというのは恐らくないんじゃないでしょうか。

 そういったことを考えると、やはり小型のものということに対しても業界には考えてもらいたいと思いますし、私がやはり懸念をするのは、国際社会とのずれというのもきょう何度も言っていますが、世界から関係者が来たときに、これからオリンピック、パラリンピックもそうです、やはり日本の中でこれだけレジ袋を使う。一人当たりの使用量は世界で二位です。そして、ペットボトルも当たり前のようにまだ出回ります。中では、リサイクルされていれば私はまだいいと思うんですけれども、残念ながら、ほとんどまだそこは普及はしていません。

 そういったことを含めたときに、やはりいかに、依存しなくてもいいところはプラスチックを依存しないような社会をつくっていく、そのまずはきっかけづくりとして、全体の量からすれば数%ですが、ことしのレジ袋の有料化、こういった中でも、理解を広げるキャンペーン、取組をしっかりとやっていきたいと考えております。

堀越委員 質問時間が終了してしまいました。副大臣にもお答えいただきたかったんですが、申しわけありませんでした。

 国際社会とのずれ、これはやはり発信力のある小泉大臣だからこそできることも多々あると思います。協力させていただきたいので、ぜひ一緒に取組をさせていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

鷲尾委員長 次に、江田康幸君。

江田(康)委員 公明党の江田康幸でございます。

 本日は、小泉大臣の大臣所信に対する質疑をさせていただきます。

 冒頭ではございますが、現在、新型コロナウイルスの感染拡大が続いております。学校の休校やイベントの自粛、また外出自粛、さらには観光客の激減など、やはり国民生活や日本経済に大きな影響が出ているわけであります。政府におかれましては、感染拡大の防止を徹底して行っていただきたい、また、国民の健康、生活を守るためのあらゆる手段を講じていただきたいということを申し上げて、きょうは環境委員会でございますので、質問に入らせていただきます。

 まず、気候変動対策について質問をさせていただきたいと思います。

 昨年九月開催された国連気候アクションサミットにおきましては、六十を超える国そしてまた地域が、二〇五〇年までに温室効果ガスの実質排出ゼロ、カーボンニュートラルを実現する旨を表明するなど、多くの国から野心的な表明がなされた一方で、前向きな取組をしていないのではないかという我が国に対する批判がありました。また、その後のCOP25においても、グテーレス国連事務総長を始め多くの国々から各国がもっと野心的な目標を表明すべきという発言があり、各国に対して二〇五〇年のカーボンニュートラル実現という野心の表明を求める流れはますます強くなっている、そのように私は感じております。

 日本に対する批判は二つ。それは、今、国際社会の中で、二〇五〇年実質排出ゼロを表明できないことへの批判、それともう一つは、それを実現していく上においては大きな障害となる石炭火力の推進、これについて日本への批判がある、そのように思っております。

 大臣も所信表明の中で、幾ら我が国の気候変動に対する政策、取組を訴えても石炭批判の前にかき消されてしまう、そこに悔しさを感じるとおっしゃられているとおりで、私も悔しさを覚えるわけであります。

 この二点について、我が公明党は、今国会の本会議におきましても代表や幹事長の方から発言させていただきましたけれども、まずは二〇五〇年を視野に排出ゼロをやはり目指すべきだという提案をさせていただきました。また、そのために石炭火力の新設を禁止するような思い切った対策に転じていく必要があるのではないかということも提言をさせていただいたところでございます。大臣、ともにこれらを実現できる具体的な道のりを示していこうではありませんか。そのために、きょうもまた大臣と質疑応答をさせていただきたいと思います。

 一つは、革新的環境イノベーション戦略についてお伺いをさせていただきたい。

 この長期戦略は、G7で初めて、今世紀後半のできるだけ早い段階でカーボンニュートラルを実現するということを打ち出したものであり、画期的なものだと評価されてしかるべきものだと私も思っております。それに加えて、今年一月には、この長期戦略を実効性あるものとして、その道筋を国民や企業がわかりやすく認識できるものとして革新的環境イノベーション戦略を策定して公表をしたところであります。

 その中身でありますけれども、私も革新的環境イノベーション戦略は大変画期的なものと評価しているんですけれども、例えば、今CO2を多く排出する産業分野は多く言えば三つ、製鉄、そしてセメント、さらには電力、こういうところは格段のCO2を排出する産業界でありまして、これらはやはり、石炭を用いなければ、若しくは必ずCO2が出る、そういう製造工程を今までとっているからそのようになるわけであります。

 これらに対してこの革新的環境イノベーション戦略では、例えば製鉄においては、石炭、炭素のかわりに水素、それは再生可能エネルギー由来の水素が一番いいわけでありますが、水素を還元剤として用いて全くCO2が出ないゼロカーボンスチールをつくる、こういうことであります。これは、製鉄、鉄鋼の業界の皆様から提案があっている、すばらしいことだと私は思います。

 さらには、セメント。セメントは、その工程の中から必ずCO2は出るようになっております。そのCO2を分離回収してコンクリートに吸収させて、CO2吸収コンクリートを開発していく。これもまた大変画期的なことでありまして、年間四十三億トンが削減できる。先ほどの製鉄は年間三十八億トンです。我が国は年間十二億トンですから、はるかに削減量は大きいわけであります。

 最後に、電力。これは、批判を受けている石炭火力等があるかと思いますけれども、IGCCやIGFCというすぐれた高効率の石炭火力、ここからもCO2は出るわけでありまして、先ほどのように、三〇%の削減はIGFCではできるわけですけれども、やはりCO2が出る、それを回収してゼロエミッション石炭火力ができる、そういうことを示す技術であります。

 こういうカーボンリサイクルという画期的な技術を確立していけば、ほかにはCO2を大量に吸収する藻とか、そういうことから原料とするジェット燃料なんかもできるわけでありましょう。

 そういうような非常に夢のある、またCO2を削減できる、こういう具体的な戦略を我が国は持っているんだということを明確に世界に示していく、こういうことが非常に必要だと思っておりますが、このことについて、革新的イノベーション戦略について、どのように脱炭素社会またビヨンド・ゼロを達成されるのか。政府、特にきょうは経済産業省も来ていただいておりますので、環境省と経産省にお伺いをまずはさせていただきます。

近藤政府参考人 申し上げます。

 委員御指摘のとおり、脱炭素社会を目指すため、我が国が強みを有するエネルギー・環境分野において革新的なイノベーションを創出、社会実装し、世界に広げていくことが重要だと考えております。

 環境省といたしましては、再エネ主力電源化を図るために、再エネの中で最もポテンシャルが大きい浮体式洋上風力の普及を推進しておりまして、我が国では、世界に先駆けまして二〇一六年には既に商用運転を開始しております。

 また、あらゆる電子機器の抜本的省エネを実現させる窒化ガリウムや、鉄の五分の一の軽さで五倍強いセルロースナノファイバーといった革新的素材を活用したコンセプトカーを製造いたしまして、東京モーターショーにも出展いたしました。このように、革新的素材をさまざまな製品に実装させることで省エネも加速させてまいります。

 また、なお排出されますCO2につきましては、CCUS、委員御指摘の技術を進めておりまして、空気から直接CO2を回収するネガティブエミッション技術、DACと申しますけれども、これも潜水艦や宇宙船等で用いられている技術をもとにした開発、実証に着手しております。

 こうした技術を社会実装することにより、世界全体の温室効果ガス約五百億トンを超える削減を実現し、世界のカーボンニュートラル、ビヨンド・ゼロの達成を目指してまいりますし、イノベーションを実際に社会実装するには、地域と暮らしといった需要サイドのニーズを重視することが必要でありますので、環境省といたしましては、それらの観点を踏まえながら、経産省始め関係省庁、産業界と一体となってイノベーションを牽引してまいります。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 脱炭素社会を実現するためには、何よりも技術を導入するコストを社会実装が可能なレベルまで引き下げていくことが最大の課題であると私どもは思っております。

 今回の戦略におきましては、こうした問題意識に基づきまして、先生御指摘ありましたセメントや製鉄も含めまして、削減ポテンシャルが大きな三十九の技術テーマにつきまして、明確なコスト目標とそれから具体的なアクションプランを定めました。

 幾つか例を申し上げますけれども、今お話ありましたセメントは、世界の産業分野で排出ナンバーワン、日本で第三位でございますけれども、セメント製造工程で発生するCO2を回収して原料や土木資材として再資源化するセメント製造プロセス構築につきまして、実際の工場プロセス内等における技術開発を開始することにしております。

 それから、日本の産業分野では一位、世界では二位の製鉄でございますが、現在、高炉を用いた水素還元製鉄は開発に取り組んでおるんですけれども、今度、高炉を用いない全く新しい形の水素還元製鉄にも着手する予定になっております。

 それから、大気中のCO2は実は濃度が大変低いわけですが、これを直接分離回収するダイレクト・エア・キャプチャー、この技術開発には、現在公募しておりますけれども、ムーンショット型研究開発制度を活用して取り組んでまいりたいと思っております。

 こうした取組でございますけれども、国内だけではなくて世界の英知を結集しないとなかなか成果は出ないと思っておりまして、一月二十九日にゼロエミッション国際共同研究センターを立ち上げまして、センターのトップには、昨年ノーベル化学賞を受賞された吉野先生に就任いただきました。

 それから、まさに日本の取組を世界に知ってもらう、世界に発信することは大変大事でございますし、発信することで、日本でそういう研究をやっているのであれば一緒にやっていこうと、共同研究も組成されるわけでございまして、世界のリーダーを集めたグリーンイノベーションサミットを始めとする国際的に発信するゼロエミッション・イニシアチブにも取り組んでまいります。

 それから、最後でございますが、早期に府省横断の司令塔となるグリーンイノベーション戦略推進会議を立ち上げまして、研究開発や施策の進捗状況をフォローアップする体制をつくろうと思っておりまして、これは環境省さん始め関係省庁連携して取り組んでまいりたいと思っておりまして、こうした取組を通じてビヨンド・ゼロにチャレンジして、気候変動問題の解決に我が国が率先して取り組んでまいりたいと考えております。

江田(康)委員 ありがとうございました。

 この革新的環境イノベーション戦略は、環境省とともにある経済産業省が主要な省庁でございますので、両省から聞かせていただきましたが、時間がないので、皆さんもはっきりとわかるというところまではいきませんけれども、ここに環境イノベーション戦略があります。こういうのの中に、本当に夢のある、また、実用化可能というか実用化できるものが私は全部盛り込まれている、世界にも評価されるものだと思っております。

 私も一応科学者の一人として、この中身においては大変に大きな実現力を持っていると。世界の六百億トンのCO2、これを全部吸収でき得るこの技術であります。当然日本のゼロもでき得るというふうに私も思うわけでございますが、さらに、こうした技術のイノベーションだけではやはりまだ不十分と思われます。

 二〇五〇年排出ゼロを目指すという上においては、次に必要となってくるのが、やはり大量の民間資金が気候変動対策に投じられることがこの脱炭素社会を構築する上ではもう一つ必要になってまいります。そのためには、技術のイノベーションだけではなくて、金融のイノベーションとライフスタイルのイノベーションも欠かせない。この三本が柱となって進む必要があります。

 環境社会や企業統治にしっかり取り組んでいる企業に資金が集まるようになるESG金融が鍵となるとも思われます。このESG金融は、我が国においても急速に拡大して、二〇一六年に〇・五兆ドルだったESG投資残高は、二〇一八年には四・二倍の二・一兆ドルにまで成長しております。

 例えばグリーンボンドでいえば、東京都は、オリンピック競技施設の環境対策などに充てるために二〇一八年から東京グリーンボンドを発行しました。また、戸田建設は、洋上風力発電事業の資金を集めるために、二〇一七年に百億円、二〇一八年に五十億円のグリーンボンドを発行するなど、環境対策を積極的に行って、その姿勢をアピールする企業に民間資金が集まる好循環が生まれているところであります。

 先週、私は、世界のNGOである、世界のESG金融を推進しているクライメート・ボンド・イニシアチブというところのキドニーCEOにお会いしまして、環境分野の事業を推進するための投資の重要性について議論をさせていただいたところであります。大変に日本に期待していらっしゃいました。

 気候変動対策に真剣に取り組んでいるかがいよいよ企業の価値に直結する時代になってきております。そして、金融は、資金供給の担い手であるとともに、企業の評価や対話を通じて変化を促すことができるキードライバーとなるものであります。

 そこで、ESG金融の重要性、ますます高まっていると考えますけれども、大臣、どのようにこれらを推進していくかについてお伺いをさせていただきます。

小泉国務大臣 先生から御指摘いただきましたESG金融、これは、私が所信で述べた環境先進国日本としての復権、これにとって不可欠なのがESG金融大国日本だと思います。

 今、この二年間ぐらいでESG、この規模が日本の国内だけでも四倍の規模になってきました。世界全体で見れば三千兆円を超えるというふうにも言われます。

 きょう、私はこの後、委員会が終わってからESG金融のハイレベルパネルの方にも出席をしますし、環境省としては、先月、日本政府としては初めてとなるESGファイナンス・アワードという表彰制度、第一回をやりました。

 この場で大変印象的だったのは、受賞された企業の方々、約二十社いたんですが、私は全社のスピーチを聞きました。その中で非常に多かったのは、今まで地味にというか、CSRとかCSVとか、そういった部局でやってきたことがようやく報われた、大変励まされたという声が非常に大きかったのが印象的で、このアワードを主催をした立場としてはよかったなと思いました。それは、このESG、これこそがまさに、金融だけでなく経営の中での土台となってきて、この証左ではないかなというふうに思います。

 そして今、例えば日本郵船、こういった会社では、パリ協定の二度目標と整合するSBT、この削減目標を立てて、ゼロエミッションシップへの移行に向けたロードマップに基づいたグリーンプロジェクトに取り組んで、この資金を集めるためのグリーンボンド、これを発行しているところです。環境省としては、民間の側がグリーンボンドを発行したり、グリーンローン、この発行の支援などもやっていますので、このESG金融、しっかり環境省、大きく育てていきたいと考えております。

江田(康)委員 大変私は小泉大臣に期待を申し上げます。きょうもそのESGの大きな会合が行われておりますので、環境省はぜひとも、ESG金融大国日本、これをつくり上げていっていただきたい、それがこの二〇五〇年排出ゼロを実現する大きな環境の力になってくると思いますので、よろしくお願いをいたします。

 もう一つ、大臣にお伺いをさせていただきます。

 時間がなくなるといけませんので、先に石炭火力について私もお話をさせていただきたいと思います。

 こうしたすぐれた革新的環境イノベーション戦略や、また、こういうようなESG金融等々すぐれた取組を行っていても、先ほど、大臣が悔しい思いをされているように、我が国が石炭火力を使い続けていることによって各国の視線は石炭火力に集中してしまって、せっかくの取組が評価されないという状況が続いたところだと思います。

 今国会の代表質問で、先ほども申しましたけれども、石炭火力の新増設は禁止するなど思い切った政策をとっていくべきではないかと公明党は提言をさせていただきました。石炭火力のこのようなチャレンジングな取組がやはり石炭火力への依存をできる限り削減していくという、この長期戦略はそのように目標づけているわけでありますから、もう政府としてもですね、そのことが実現してくると思います。

 一方で、しかし、私も、党の方では地球温暖化対策本部の本部長であるとともに、総合エネルギー対策の本部長として、その双方を担っておりましてよくわかるわけでありますが、やはりエネルギーには安定供給、コストの観点が重要なんですね。

 いろいろ議論は、議論だけはできます。しかし、こういう国民生活を守る上において、このスリーEプラスSというか、そういうことは大変重要なんです。今あるこの石炭火力を直ちにゼロにするということは、これは困難でしょう。そういうところをしっかりと踏まえた上で議論を、またこの目標をしていかないといけない。我が党はそう思います。

 我が党は、先ほど自民党の先生の方から御紹介がありました広島の大崎クールジェン、これを視察もしてまいります。ここでは、最も効率の高いIGCC技術による石炭火力発電を行っているだけではなくて、発生したCO2を分離回収していく、そういうすぐれた石炭火力のカーボンフリーを目指す最先端の施設、これをつくり上げているところでございます。

 これに更に燃料電池を組み合わせればIGFCということになるんですが、このIGCCやIGFCプラスCCUS、大臣はプラス、掛けるが好きでございますので、私も、IGCCプラスCCUS、まあ掛けるとしてもいいです、これが大事だと思います。

 こうした技術を実用化する。そうすれば、石炭火力を含めて、今後やむを得ず発生するCO2を全部資源に変える。エネルギーに変えたり、こういうような繊維に変えたり、食べ物に変えたり、全部炭素ができるわけでありまして、それらに変えていく、こういう世界をつくっていくことが重要だと思います。

 さらに、石炭火力については、大臣は大変重要な発言をなされました。我が国による輸出支援についても国際的に厳しい意見があるというところから、大臣より、我が国の石炭火力の輸出支援の方針、四要件の見直しについても議論が開始されるということで、大変期待をしているところでございます。

 エネルギーについては各国ともさまざまな事情があるということなんですが、私としましては、この石炭火力については、やはり長期的に見れば、国内においても、国際的にも、IGCCやIGFCレベル、このレベルの石炭火力に、それにCCUSというカーボンリサイクルを組み合わせていく、この技術を最大限活用して構築することが、この石炭火力のカーボンフリーを目指していく、このことが世界の脱炭素化を目指す上で大変重要と考えます。

 一気に申し上げましたけれども、大臣の見解をお伺いをさせていただければと思います。

小泉国務大臣 江田先生から、大変前向きな、建設的な御提案だと思います。それをその御提案として受けとめたいと思いますし、きょうは経産省から飯田局長が来ていますから、多分一緒に受けとめているのではないかなというふうに思います。

 そして、私があの所信で申し上げた、国際社会で何を言っても石炭批判でかき消される悔しさというのは、飯田さんも共有しています。私、一緒になって、COP25に、飯田さん始め経産省の皆さんと、ロジ部隊をまさに一つのチームとなって組んでいる中で、あのマドリードでの日々で、まさに交渉の細部にかかわるところまで全部一緒に見ていますから、そういったところも含めて、この四要件の見直しについての議論も建設的な前向きな議論ができることを私としても努力をしていきたいと思います。

 そして、IGCC、また、IGFC、CCUS、一般的には何のことを言っているかさっぱりわからないと思いますが、これだけアルファベットが続きますから。ただ、こういう前向きなところが、国際社会には今の時点で幾ら石炭火力の高度な技術を言っても逆効果で、まさに、以前、秋本先生が言っていましたけれども、コールの中にクリーンはない、こういう国際社会の世論、これに対して日本が誇る技術を的確に指していくためにも、日本が踏める範囲の前向きな石炭政策の一歩というものがあることによって初めて国際社会にメッセージが届く、そういった認識のもとで、関係省庁とも前向きな議論をしていきたいと考えております。

江田(康)委員 大変重要な発言でございますが、私も石炭火力における発言の難しさというのはよく実感はいたします。

 技術的に、科学的に炭素を出さない、すなわち地球に優しい、二酸化炭素の影響はない、この状況をつくるということは、事実上、大変重要だと思うんですね。あらゆる技術をもってしても、我々が生活する以上、あらゆるところからCO2は出てくるわけでありまして、これはもう石炭火力だけではなく、ほかからも出てくるわけでありましょう。それらをこのCCUSの技術で、その排出をゼロに近づけていく、これは必要不可欠になってくると私は思います。そういう中において、世界も理解をすべきだ、そのように思うわけでございます。

 きょうは、環境委員会なんですが、私も、どちらの発言をしているかわからなくなってきましたが。ただ、やはり大変重要なんですね。その両面を議論していくということが大変現実的で、また説得力もあると思いますので。

 そういう中においても、我々は、提言いたしましたように、石炭火力は新設をなくしていくような大胆な施策も提案をしているわけですが、そういう中で、やはり、カーボンリサイクルというものとの組合せ、これは大変重要な視点だと思って、これからも議論を続けてまいりたいと思います。

 最後、時間になっておりますので、もう一つだけ。

 大臣がこれもまた大変重要視されて進められているところなんですが、近年、世界全体で、豪雨や熱波など発生して、災害の大規模化が懸念されているわけでありますが、こういう中で、我々国会としても、先ほども御紹介ありましたけれども、気候変動によって地球環境の持続可能性が根本的に問われる危機的な状況ということで、その危機克服を目指していく、この国会の気候非常事態宣言の決議を目指す会という議員連盟を発足させまして、私もその一員でございます。

 こうした気候変動問題への危機感は、地方自治体や企業にも広く伝わっているわけでありまして、二〇五〇年に実質排出ゼロを目指すことを宣言する自治体の数は昨年からふえておりまして、表明した自治体を合計すると、人口規模で五千万人を超えて六千万人に至る勢いと。その中に、私、熊本選出でございますので、我が熊本県も堂々とあるわけでございますが、この事業活動や経営の中には、気候変動の視点を組み込む、いわゆる脱炭素経営に取り組む企業もふえている。こうしたノンステートアクターの前向きな動きも推進力にしていく、これが政府としても脱炭素社会を実現していく上においては大変重要というふうに思うわけでございますが、これらの取組の加速に関して、どのように取り組んでいかれるか、大臣に最後にお伺いをさせていただきたいと思います。

小泉国務大臣 自治体や企業の、このノンステートアクターと言われる後押しをということでありますが、自治体は、まさに私が大臣になったときに四自治体だったゼロカーボンシティーが今は七十九自治体、人口規模でいうと二千万だったのが今は約六千万に迫る勢いまで来ました。

 ことし六千五百万人を超えさせたいという思いの中には、先生がお考えになっているまさに方向性にある、人口規模の過半数まで二〇五〇年までのネットゼロということを掲げるという状況になれば、ボトムアップという形でこの野心の後押しにつながる、そして、再エネが需要サイドから高まっていくということにもつながる、そういう思いが私にはあります。引き続き後押ししたいと思います。

 また、企業においては、TCFD、SBT、RE一〇〇、これも一般的には何のことかわからないかもしれませんが、TCFD、これは日本で賛同企業は世界一です。SBT、これはあと数社あれば、アメリカを超えて日本は世界一位です。RE一〇〇、これはちょっと、今世界で三位なんですが、TCFD、SBT、RE一〇〇、全部においてアジアで一位なのが日本です。

 この企業の取組、自治体の取組がまさに国際的には評価が高い、ノンステートアクターの日本での高まりです。こういったことがちゃんと、ステートとしての政府の取組とノンステートとしての企業や自治体の取組がしっかりと合わさっていくことによって初めてつながるのが国際的な評価だと思いますので、引き続き、企業、自治体、そして我々、全員が一致団結取り組んで、脱炭素社会、前向きに加速をさせていきたいと考えております。

江田(康)委員 今大臣が申されましたように、あらゆる手段、ノンステートアクターへの挑戦も含めて、我が国の気候変動対策を世界に理解させるように見せつけていこうではありませんか。

 きょうは、大変、副大臣の皆様、政務官の皆様にも質問を用意しておりましたが、できませんでした、申しわけございません。

 以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。

鷲尾委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 最初に、地球温暖化対策、脱石炭火力問題について質問します。

 小泉大臣は、所信で次のように述べました。石炭火力発電の海外技術輸出の四要件にかかわって、悔しい思いもしているという話もありました。予算委員会の二月二十五日の分科会では、大臣、見直しの方向性というのは厳格な方向で考えていく以外にないというふうにも述べておられます。

 厳格な方向での見直しというのはどういうことでしょうか。先ほどからの議論を聞いていますと、日本はこれから何を売っていくのか、私が聞いたところでは、石炭から再エネへの模索と探求を今からやっていくんだというふうにも受けとめました。見直す点というのは何なんでしょうか、端的にお答えいただければと思います。

小泉国務大臣 端的にということでありますが、まさに見直す点について関係省庁と議論をしていく。そして、六月のインフラ輸出戦略骨子、その策定の中に関係省庁の見直しについての議論の結果を反映をさせて、それがインフラ輸出戦略の骨子になるわけですから、インフラ輸出戦略のあり方につながってくる、そういった理解だと思います。

田村(貴)委員 論議して何も出てこなかった、一ミリも動かなかった、これでは絶対いけないということですよね。

 四省庁と議論をしていく、環境省が呼びかけになっているかわかりませんけれども、経済産業省、財務省、外務省、きょうは三省にもお越しいただきました。

 まず、経済産業省松本副大臣、お伺いします。

 経済産業省は、石炭火力輸出支援の四要件、これを見直すんですか、見直す方向にあるのでしょうか、見直すならばどこをどういうふうに見直すというふうにお考えでしょうか。

松本副大臣 今、小泉環境大臣からお答えがあったことに尽きると思っておりますけれども、石炭火力輸出支援の四要件につきましては、ことしの六月に次期インフラシステム輸出戦略骨子に取りまとめられることになっておりまして、それに向けまして、今後、関係省庁で議論をし、結論を得るということになっておりますので、その議論がまだ始まっていないような状況の中で何かお答えできるようなことはないということであります。

 我々といたしましては、今後関係省庁で議論をしていくことになるわけでありますけれども、大切なことは、我が国が世界の二酸化炭素の実効的な排出削減に貢献をするという視点であるというふうに考えております。

 石炭火力発電はガス火力発電に比しまして二酸化炭素の排出量が多いことは事実でありますが、他方、世界には、経済発展に伴うエネルギーの需要増大に対応をするため、経済性や自国内に資源が賦存することなどから石炭をエネルギー源として選択せざるを得ない途上国が存在するという現実もございます。

 こうした観点も踏まえつつ、関係省庁としっかりと議論をしてまいりたいと思います。

田村(貴)委員 見直しの方向性が経済産業省からは何も聞かれないというのは非常に私は残念であります。

 財務省、来られておると思います。

 同じ質問です。見直すつもりなのか、どこを見直すのか、教えてください。

土谷政府参考人 お答え申し上げます。

 石炭火力輸出支援の四要件の見直しにつきましては、今後関係省庁で議論していくことになりますので、その方向性につきまして、現時点で予断を持ってお答えすることは差し控えたいと思いますが、財務省としても、今後の議論にしっかりと参加していく考えでございます。

田村(貴)委員 外務省も来ておられます。

 同じ質問です。

曽根政府参考人 お答えします。

 今各省庁からもお話ありましたように、まさに四要件の見直しにつきまして、次期インフラシステム輸出戦略骨子に向けて関係省庁で議論をしていくということでございますので、現時点において当省の立場について予断を持ってお答えすることは差し控えたいと思いますけれども、外務省としても、しっかり議論に参加してまいりたいというふうに考えております。

田村(貴)委員 お聞きになりましたように、小泉大臣が個人的な思いも込めて見直しの方向性についてはきょう御発言がありました。しかし、一緒に協議するほかの三省は、何の問題意識もそして見直しの方向性も、何も示されていない。大臣、これは大丈夫ですかね。大臣のかけ声倒れになるのではないかなと私は心配するんですよ。

 これは政府一丸で取り組んでいかなくてはなりません。大臣は、所信の中で、国際社会からの批判に対して受け身となっている現状という言葉を言われました。まさに今受け身となっている現状が他の省庁から示された。これはもう急いで議論していかなければならないというふうに思います。またいろいろ質問させていただきます。

 環境省にお尋ねします。

 四要件の二ですよね、日本の高効率石炭火力への要請について。そもそも日本は各国から引く手あまたになっているんでしょうか。そういう要請はベトナムのブンアン以外にどこから来ているんでしょうか。

南政府参考人 お答えいたします。

 これまで、ベトナムから日本の高効率石炭火力発電の要請があったほか、他の国々からも日本の高効率石炭火力発電の要請が行われているところでございます。

 具体的な要請件数につきましては、相手国とのやりとりや企業の秘密ということにも関連してきますので、回答は差し控えさせていただきたいと思っております。

田村(貴)委員 ごめんなさい。経産省の方からですね、回答は。

 お伺いすると、このブンアン2以外にインドネシア、その程度なんですよ。今、石炭火力燃料関連事業から投資を撤退する、ダイベストメント、これが世界じゅうに広がっているところです。

 日本が技術支援するブンアン2の石炭火力事業は、現地ベトナムの出資者であった建設会社や冷蔵電気工業が撤退しています。融資についても、シンガポールやイギリスの銀行がファイナンスを禁止する方針を決定して事業から撤退をしています。

 財務省にお伺いします。

 日本のJBIC、これは財務省担当ですね、財務省担当のJBIC、国際協力銀行だけが融資を撤退しようとしないんですよ。各国が既に手を引いているのに、どうして日本は国際批判をこれだけ浴びながら輸出支援をやめると言えないんですか、お答えください。

土谷政府参考人 お答え申し上げます。

 今現在話題になっておりますベトナム・ブンアン2の件につきましては、関係省庁の協議の結果、日越首脳会談共同声明で協力を確認していること等も踏まえ、JBICも公的支援の実施する方針というふうになっているところでございます。

田村(貴)委員 ダイベストメントがなぜこれだけ広がっているのか。それは、石炭火力発電の価値が下がる、投資額を回収できなくなる座礁資産となる可能性があるからなんですよ。ですから、各国は賢明な判断を今しているわけですよね。そういうもう無駄となってしまいかねないような投資はやめるべきですよ。輸出支援はもうきっぱりとやめるべきであることを私は強く要求しておきたいと思います。

 それで、海外の輸出支援もあれなんですけれども、国内の石炭火力発電、これをどうするかというところがやはり問われてくるわけです。たとえ石炭火力輸出支援の四要件が見直されたとしても、国内の石炭火力発電が削減されないと温暖化対策は一向に進みません。その国内の石炭火力発電についてはどうでしょうか。稼働中が百二十四カ所あります。加えて計画中が二十二カ所あります。脱石炭へのかじを切らない日本に対して、国連のグテーレス事務総長は、日本を念頭に置いて石炭中毒という言葉を使っておられます。

 JERA、これは東電と中部電力の共同設立会社、このJERAが横須賀火力発電を稼働させようとしています。この横須賀火力発電のCO2の排出量について教えてください。

上田政府参考人 JERAにつきましては、今回アセスで審査したものについては、六十五万キロワットを二基、百三十万キロワットというふうに承知しております。(田村(貴)委員「年間」と呼ぶ)年間のCO2でございますか。(田村(貴)委員「年間のCO2」と呼ぶ)事業者から提出された資料によりますと、年間設備利用率八五%、これで稼働させた場合のCO2の排出量は年間約七百二十六万トンと承知しております。

田村(貴)委員 横須賀だけで年間七百二十六万トンなんですよね。

 資料を配付しています。JCM、二国間クレジットの資料であります。途上国へのすぐれた低炭素技術を普及させ、我が国の削減目標の達成に活用する、この二国間クレジットでありますけれども、現在、百五十九組のJCMがあるというふうに聞いております。

 日本が世界で貢献するCO2の削減量について教えてください。

近藤政府参考人 申し上げます。

 二国間クレジットでございますが、JCMのパートナーシップ国に対しましてすぐれた脱炭素、低炭素技術の導入を支援することで、パートナー国の温室効果ガスの排出削減を可能にするとともに、その削減分の一部を我が国の削減目標に達成するものでございます。

 地球温暖化対策計画におきましては、JCMを通じて、毎年度の予算の範囲……(田村(貴)委員「数字だけでいいです」と呼ぶ)削減のところは、百五十九件のJCMのプロジェクトにつきまして、二〇三〇年度までに累積で約千四百万トンの温室効果ガスの削減を想定しております。

田村(貴)委員 いい技術支援をして、二国間クレジットで千四百万トン、これはうまくいった場合ですよ、全部が動いて。しかも累計の数字ですよね。ですから、先ほど答弁がありましたように、JERAの横須賀、これは小泉大臣の地元なんですけれども、横須賀だけで七百二十六万トンでしょう。こちらはどうなるかわからないけれども、この横須賀分のCO2の排出、やはり帳消ししてしまいかねない、横須賀が動いてしまったら二国間クレジットを帳消ししてしまわないかという問題に行き着くわけであります。

 大臣は、日本のすぐれた数多くの取組が石炭批判の前にかき消されてしまっていることに悔しさを感じていますと述べられました。でも、かき消しているのは、石炭火力の削減はおろか新増設まで認めている政府自身じゃないんですか。これは大問題だとやはり思いますよ。

 もう一つ、小泉大臣は、JERA横須賀火力発電の稼働については厳しく言ってある、二〇三〇年度及びそれ以降に向けた本事業にかかわる二酸化炭素排出削減への対応の道筋が描けない場合、再検討することが重要と、これは去年の十月十一日、国会での答弁で言っておられます。

 そこで、お伺いしたいんですけれども、今、横須賀の火力の発電だけ二国間クレジットの対比で言いました。それから、今、環境省の試算では、石炭火力発電所の二〇三〇年度のCO2、これは現状において超えてしまっているんですよ。ですから、やはり今あるもの、今から計画中のものを動かしていったら日本の目標は絶対クリアできないんですよ。だからとめて削減するしかないじゃないかと言っているんですけれども、大臣、どうなんですか。

小泉国務大臣 まず、横須賀のこの火力発電については、先生おっしゃるとおりの答弁を私はしていますし、それは今も変わりません。

 まず、世界の潮流に逆行するような地球温暖化対策が不十分な石炭火力発電は是認できなくなるおそれ、これについて述べた上で、先生がおっしゃったように、本事業に係るCO2排出削減の取組への対応の道筋が描けない場合には事業実施を再検討することなどを含む厳しい意見を言っていると。

 そう言った上で、今、後段の、このまま稼働予定のものが全部できたら二〇三〇目標を超えちゃうじゃないかという、これは全体の設備容量の計算とかも含んでいるとは思いますが、いずれにしても、環境省としては、大事にしなければいけないと思っているのは、毎年、電力分野については事業レビューをやることになっています。これについても、しっかりと見て、今の現状を踏まえて意見をしていく、そういったことになると思います。

 いずれにしても、今、海外に対しての、なかなかかき消されてしまっている取組を前に進めるためにも、まずはこの輸出の四要件にかかわる議論を関係省庁で実りある形でしていくということが大事なことであると考えております。

田村(貴)委員 やはり数字は物すごく大事だと思うんですよね。COP26に向けてCO2の排出削減目標、この見直しが厳しく迫られているわけですから、早く数字を示して、そして世界に貢献する日本の役割を示さないといけないと思います。

 日本は、パリ協定に提出している現状の削減目標は、二〇三〇年度までに二〇一三年対比でCO2を十億四千二百万トン減らさなければならないわけです。そうなると、二〇三〇年度の電源構成比における石炭火力の割合は二六%ですね。環境省の試算によれば、排出量は二億二千万トンから二億三千万トンになるわけです。今建設されている石炭火力発電所を含めて全て稼働した場合の排出量は二億九千万トンになるわけなんですよ。提出したこの排出目標に比べて六千八百万トンもふえることになるんですよ。

 新規増設はやめると政府は言わないでしょう。認めないとも言わないじゃないですか。横須賀だって動かすし、今動いているものもずっと継続している。だから、ここが今一番問われているわけなんです。ここにメスを入れない限りは、やはり日本のCO2削減目標というのはちゃんと世界に示せないということです。

 私、政府の中でも、とりわけこの問題は経済産業省の姿勢と立場がやはり問われていると思いますよ。一・五度目標の二〇三〇年四五%削減、それから二〇五〇年ゼロ、実質ゼロ、これに向かって世界が一生懸命今頑張っている。日本はどうするのか、ことしそれが問われているわけなんですね。

 百を超える国が削減目標の見直しを表明しています。EUは五五%の削減に向けて法整備を進めています。二〇三〇年四五%、二〇五〇年実質ゼロ、これを実現するために、経済産業省、副大臣、この立場で経産省も目標を立てるんでしょうか。どうなんでしょうか。

松本副大臣 もちろん、国といたしましてこれまで立ててまいりましたそうしたさまざまな諸施策というものを我々としては念頭に置きながら、そして、経済産業省としても、それを実現するために全力を尽くしているところであります。

田村(貴)委員 COP26で日本の新しい削減目標を示せなかったら、これはもう日本は国際社会から何もしない国として更に強い非難を受けることは間違いないわけであります。

 大臣、同じ質問です。二〇三〇年四五%削減、二〇五〇年実質ゼロ、これ以外に道はないんですよね。そして、COP26に向けて、この国として、大臣が高らかに、この目標と日本の方針は合致したということを宣言できる、こういうふうに頑張ること、決意、表明していただけますか。

小泉国務大臣 田村先生から先ほど四要件の見直しの議論や今のNDC、そして二〇五〇目標、このお話がありましたが、私は前向きな一歩だと理解をしているのは、先ほど四省庁それぞれ、松本副大臣、そしてまた関係の審議官、事務方の皆さんからも御発言がありましたが、ほかの省庁から前向きな方向性がないじゃないかと先生おっしゃいましたが、まずは議論をしっかりしよう、そういうことになったということも関係省庁の努力の結果だと思っています。

 あとは、その議論の中で御評価いただけるような形になるかどうか、まさにそれは、これから同じテーブルに着いて、そして、経産省だけじゃなくて、外務省、国交省、農水省、私と一緒にマドリードにも行きました、そういった中で、あのCOPの最前線の出来事というのは共有している各省庁がいますから、その中でしっかりと前に進めていきたいと思いますし、パリ協定の目標達成には、今各国が出している目標のままではパリ協定の目標は達成できないことは事実でありますから、そういった事実を踏まえて議論をすれば、私は、関係省庁とも有意義な議論ができるのではないかな、そういうふうに考えております。

田村(貴)委員 何度も言いますけれども、大臣のかけ声倒れになりかねないという答弁をきょう聞きました。ですから、前に進めよう、小泉大臣はこう述べているわけですから、きょう来られた三省の皆さんは、前に進める見直しの方向性でしっかり合い議をしていただきたいと思います。

 時間がなくなってまいりました。きょうは沖縄の絶滅危惧種ジュゴンと、それから鹿児島県のマゲシカについて質問させていただこうと思ったんですけれども、きょう、マゲシカの質問をします。

 鹿児島県種子島に隣接する馬毛島に生息するマゲシカ、環境省にお伺いします。レッドリストでマゲシカは、生息地の現状、個体数の状況、存在を脅かす原因、要因について書かれていますけれども、そのくだりを紹介していただけますか。

鳥居政府参考人 お答えいたします。

 馬毛島のニホンジカは、環境省レッドリストにおいて、絶滅のおそれのある地域個体群に選定されております。

 レッドデータブックによりますと、生息地の現況は、開発に伴い森林伐採や整地が進行しているとされています。また、個体数の現況は、二〇一一年の調査による推定生息数は二百五十五から二百七十七頭で、二〇〇〇年の調査結果である五百七十一頭と比較するとほぼ半減しているとされております。存続を脅かす要因といたしましては、開発に伴う森林伐採等の環境改変が本個体群に影響を及ぼしているとされているところでございます。

田村(貴)委員 説明していただきました。

 資料をお配りしています。小泉大臣は初めてごらんになるかもわかりません。これが種子島から十二キロ離れたところの馬毛島です。無人島です。ここを防衛省が、百六十億円の、これは予算流用の形で島を全部買い取ってしまうと。そして、用地買収交渉が今進められています。つくる施設は自衛隊の基地なんですけれども、これは、大臣、御存じのように、FCLPなんですよ。米空母艦載機地上離発着訓練、これを米軍施設として提供するがために巨費を投じて今買収契約を行っているわけです。

 しかし、防衛省が買おうとしているこの土地、この島は、違法開発に満ちあふれた歴史を持っているわけなんです。一目瞭然の資料として予算委員会でも配らせていただきました。

 左の図が鹿児島県が作成した図なんです。このカラーの地図の中でグレーの部分、この灰色の部分は鹿児島県知事が林地開発を許可した場所なんです。ここは開発していいという場所なんです。ほかの色の部分、黄色とか赤とか青とか、ここの部分は、木の根っこを引き抜く、抜根さえもしてはいけない。届出がないわけだから林地として残っていなければならないんですよ。開発許可は得ていないんですよ。ところが、右のこの航空写真を見てみますと、これはもう巨大な十字架上の地面があらわになっているのが一目瞭然であります。林地はなくなってしまい、無許可の開発はもう明らかなんです。

 こうしたことで、先ほど環境省からレッドリストからの説明があったように、マゲシカの数が半減してしまったと。その原因は、森林伐採等の環境改変であると。今後、継続的な減少が見られた場合に絶滅のおそれがあるという状況に今接しているわけです。ぜひ、この島の固有生態、守っていただきたい。マゲシカを絶滅させないでいただきたいというのが私のきょうの質問であります。

 防衛大臣政務官、渡辺政務官、お越しいただいているでしょうか。政務官、御存じだと思いますね。この話は伺っているというふうに思いますけれども、どうなんですかね。これは軍事施設をつくるんですよね、全部。そして、FCLPをやるんですよね。耐えがたい騒音ですよ。そして、林地はもとに戻さない、原状復帰しない。それはなぜかといったら、森林法が民有地を対象にしているから、国有地として防衛省が取得したら何にもしなくていいんだ、こういう立場なんですよね、防衛省は。

 そうしたら、個々の固有種はどうなりますか、マゲシカ。今のまままた基地をつくって開発をし、今までの違法開発はそれを不問にするのであれば、これはもうこの島で動植物が生息できない状況を招いてしまうと思うんです。絶滅のおそれがある地域個体群を絶滅させてはいけないと思いますけれども、政務官、いかがでしょうか。

渡辺大臣政務官 お答えいたします。

 まず、防衛省といたしましては、我が国の安全保障のため、馬毛島に自衛隊施設、まあ基地でございますけれども、これを整備させていただきたいと考えております。この基地は、御存じのとおり、我が国の南西防衛、またFCLPを実施するということになりますと日米同盟の強化に大きく貢献する重要なものでございます。

 その上で、防衛省としては、馬毛島の環境の保全にできる限り配慮したいと考えております。

 まず、ことし一月から実施している環境調査におきまして、動植物の生息、生育状況につきまして調査を行っているところでございます。その調査を行った上で、施設整備を行うに当たっては、環境影響評価の実施を始め関係法令に基づきまして必要に応じて動植物の保全措置をとるなど、適切に対応してまいりたいと考えております。

 なお、鳥獣保護管理法上、馬毛島は鳥獣保護区に指定されておりますが、その規約は、規制は狩猟が認められないというものでありまして、防衛省が計画している施設の建設に対する規約はないと承知しております。

田村(貴)委員 鳥獣保護区と言われたんですけれども、これは、もしマゲシカが絶滅して、渡り鳥の中継地となっているんですけれども、この役割が基地をつくることによって果たせなくなってしまったら、鳥獣保護区を外されてしまうんですよ。愛知目標の鳥獣保護区の目標が含まれなくなってしまうんですよ。そういうことをやっていいんですか。これはいかぬですよ。だって、基地をつくる前のこの違法開発だけで鹿の頭数が半減したというんです、十一年間で。このまま状況を放置しておくならば、また個体は減っていくと言っているんです。この上に、耐えがたい環境破壊が行われるんですよ。

 小泉大臣、初めてごらんになったかもわかりません。私はこの問題をずっとやっているんです、国会で。それで、違法開発に違法開発を重ねて地権者の言い値で買ってやっている。予算の流用で、しかもこの違法開発は不問にしてやっていくというやり方は、これはもう絶対許されないと思うんですけれども、環境省としては、やはり絶滅危惧種とか、それからこうした地域固有の個体を守っていただきたい、これが仕事だと思うんですけれども、大臣、感想があればおっしゃっていただきたいと思います。

小泉国務大臣 先生御指摘のとおり、馬毛島は鳥獣保護管理法に基づき鹿児島県が全島を鳥獣保護区に指定しており、区域内における狩猟については知事の許可を受けなければならない。特別保護地区の指定はされていないため、工作物の新築や森林の伐採などは規制の対象ではないということであります。

 馬毛島において、今、防衛政務官が御答弁しておりましたが、自衛隊施設の整備計画があることは承知をしておりますが、具体の内容については承知していませんので、コメントすることは差し控えたいと思います。

田村(貴)委員 具体的な内容は聞いておられないと言ったんですけれども、きょう、私、ここで質問をさせていただきました。明らかにさせていただきました。これだけの問題があるわけなんですよね。そして、馬毛島の環境を大きく損なってしまうような軍事施設が今からつくられるということであります。これは環境省と防衛省としっかり合い議して島の環境を守ってもらわなくちゃいけませんよね。

 大臣、事務方を通じて、それ、指示してもらえますか。ちゃんと情報を共有してもらわないといけません。どうですか。

小泉国務大臣 まず、先ほど申し上げましたが、今、自衛隊の施設の整備計画があることは承知していますが、具体の内容については承知していませんので、そのことについてのコメントは控えたいと思います。

田村(貴)委員 事務方、どなたか答えられますか、馬毛島。馬毛島の環境が今こういう状況になって、そして防衛省が、FCLPの米軍施設、提供の施設をつくろうとしている、そして自衛隊の基地をつくろうとしている、これによって生態系が脅かされると私は言っているんですけれども、やはり情報は共有してこの対策に当たらなければいけないと思いますが、いかがですか。

鳥居政府参考人 お答え申し上げます。

 今大臣もおっしゃいましたけれども、私ども、まだ自衛隊設備の詳細について承知してございませんので、現在、この場におきましてコメントは差し控えたいというふうに思います。

田村(貴)委員 そういう姿勢だと、これは国際環境保護団体からやはりいろいろ厳しい意見が上がってきますよ。沖縄のジュゴンも同様、きょうはちょっと質問しませんでしたけれども、次回はさせていただきます。やはり環境省は、環境を守るという立場で、それを阻害するものについてはちゃんと戦っていただきたいと思います。

 それから、防衛省、このやり方はやはりむちゃです。西之表市は島の平和利用を探求しています。そして、FCLP、軍事施設の成ることについては反対なんですよ。この意向も酌まずに流用の予算をもって設計までやっていた、ゆゆしき事態になっていることに国民の多くの怒りがあります。

 この買収交渉は直ちに中止して、島の平和利用のために力を尽くしていただきたい、そのことを申し上げて、きょうの質問を終わります。

 ありがとうございました。

鷲尾委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時五十三分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.