衆議院

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第3号 令和2年4月7日(火曜日)

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令和二年四月七日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 鷲尾英一郎君

   理事 伊藤信太郎君 理事 勝俣 孝明君

   理事 高橋ひなこ君 理事 とかしきなおみ君

   理事 福山  守君 理事 金子 恵美君

   理事 関 健一郎君 理事 江田 康幸君

      秋本 真利君    畦元 将吾君

      上野 宏史君    加藤 鮎子君

      金子万寿夫君    神田  裕君

      繁本  護君    武井 俊輔君

      武村 展英君    百武 公親君

      古田 圭一君    細野 豪志君

      堀内 詔子君    務台 俊介君

      八木 哲也君    池田 真紀君

      柿沢 未途君    近藤 昭一君

      篠原  孝君    堀越 啓仁君

      横光 克彦君    古屋 範子君

      田村 貴昭君

    …………………………………

   環境大臣         小泉進次郎君

   環境副大臣        佐藤ゆかり君

   環境副大臣        石原 宏高君

   防衛副大臣       山本ともひろ君

   環境大臣政務官      八木 哲也君

   環境大臣政務官      加藤 鮎子君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)            更田 豊志君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           矢作 友良君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            松山 泰浩君

   政府参考人

   (環境省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官)           奥田 直久君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  近藤 智洋君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            小野  洋君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  鳥居 敏男君

   政府参考人

   (環境省環境再生・資源循環局長)         山本 昌宏君

   政府参考人

   (環境省環境再生・資源循環局次長)        森山 誠二君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策統括官)           中井徳太郎君

   政府参考人

   (原子力規制庁次長)   片山  啓君

   環境委員会専門員     小池 章子君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月七日

 辞任         補欠選任

  金子万寿夫君     武井 俊輔君

  百武 公親君     神田  裕君

同日

 辞任         補欠選任

  神田  裕君     百武 公親君

  武井 俊輔君     金子万寿夫君

    ―――――――――――――

四月六日

 大気汚染防止法の一部を改正する法律案(内閣提出第五一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 大気汚染防止法の一部を改正する法律案(内閣提出第五一号)

 環境の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

鷲尾委員長 これより会議を開きます。

 環境の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として経済産業省大臣官房審議官矢作友良君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長松山泰浩君、環境省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官奥田直久君、環境省地球環境局長近藤智洋君、環境省水・大気環境局長小野洋君、環境省自然環境局長鳥居敏男君、環境省環境再生・資源循環局長山本昌宏君、環境省環境再生・資源循環局次長森山誠二君、環境省総合環境政策統括官中井徳太郎君、原子力規制庁次長片山啓君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鷲尾委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鷲尾委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。秋本真利君。

秋本委員 自民党の秋本真利です。

 質問の機会を与えていただきました皆様に感謝を申し上げて、早速質疑に入りたいというふうに思います。

 今、コロナウイルス、まさに国難と言ってもいいような形でありまして、国を挙げて、いや、もう世界を挙げてこの危機に立ち向かっていかなければならないわけであります。

 その中で、国連のグテーレス事務総長は、コロナももちろん危機だが、温暖化対策も忘れてはならない大変な危機である、世界を挙げて取り組まなければならないという発言をしております。

 コロナももちろんですけれども、地球温暖化対策も喫緊の危機でありまして、まさに国を、世界を挙げて取り組まなければならない課題だと私は認識しておりますけれども、小泉環境大臣の認識を確認したいというふうに思います。

小泉国務大臣 全く同感です。

 今回、収束後を見据えた反転攻勢とかV字回復とか、そういった言葉がよく出ていますが、そのときに、今までの、もとの経済社会構造に戻るという形での反転攻勢やV字回復ではいけない、脱炭素型にいかに経済社会構造を転換する、そういった反転攻勢、そしてV字、こういった方向に歩みを進めていけるか、こういったところが一番肝要だ、そう考えております。

秋本委員 つい先日、NDCの新しいものが日本から提出をされ、その中で、マスコミ等の報道のスタンスは、中身が何も変わっていない、ちょっとだめじゃないかというような報道のスタンスでありましたけれども、私は、かなり頑張って、政府一体の中でも環境省が頑張って、小泉大臣がかなり御苦労されて、とどまらない削減に向けて努力を続けていくというところが入ったんだろうと。そのことによって、エネ基等に掲げているほかの目標に縛られることなく、この秋の温対計画を定めて、その都度、新しい目標を出したことによって、国際社会に向けて日本のもっと高い目標を出し続けることができるという意味では、私は、かなり踏み込んだ、小泉大臣の汗をかいたものが実になったのではないかというふうに評価をしたいというふうに思っております。

 ただ、その中で、石炭火力というものは、私は、減らしていくというメッセージをやはり世界に向けて出して、日本のスタンスというものを疑いのないものにしていかなければならないというふうに思っております。

 その中で、ちょっと私も、同僚、あるいはこの中でも全く違う考え方を持っている方もいるので、発言するのもちょっと心苦しいんですけれども、クリーンコールというものは存在するのかということを二月の予算委員会の場でも小泉大臣とやりとりをしましたが、私は、クリーンコールというものは存在しない、ダーティーか、よりダーティーかだけだというふうに大臣に質問をして、大臣もそのとおりだというような答弁をしていただいたわけでありますけれども、あれから一カ月、二カ月たちますけれども、大臣の認識に変化がないのか、改めて確認をしたいというふうに思います。

 IGCCというのは、この間、経産省がこの場に来て、三割CO2が削減されるねというふうに言っていましたが、もともとその三割のスタートがUSCの八百二十グラム・キロワットアワーなんですよね。ここから三割削減して、キロワットアワーで五百九十グラムになりますよ、三割、三割と聞くとすごい削減できているねと思うけれども、スタートが八百二十グラムですから、キロワットアワーで五百九十グラム排出することになります。

 一方で、今の、一般的に、もう商用化されているLNGのガス発電はキロワットアワーで三百四十グラムぐらいです。これが、もっともっと技術が進化していくと二百八十グラム程度になるというふうに言われているわけですから、今も二倍から二・五倍ぐらい、将来にわたっても二倍以上石炭火力というのはLNGよりもCO2を排出するということが明らかなわけでありますから、石炭火力の中で、USCからIGCC、IGFCになって、二割、三割減できるといっても、そこに何の意味があるのかというふうに私は思います。

 やはりダーティーなものはダーティーであって、クリーンコールというものは存在しないというふうに私は思いますけれども、大臣の認識をお伺いをしたいというふうに思います。

小泉国務大臣 今、二点御質問をいただいたと思っています。一つはNDC、もう一つが石炭ということであります。

 NDCについては秋本先生に大変御評価をいただいて、ありがとうございます。これは、なかなか、日本の中だと、気候変動というのは、環境政策は、たたく対象として取り上げやすいというのはあると思いますね。しかし、国際社会の関係者は正確に見てくれています。現に、国連の気候変動枠組み条約の事務局長のエスピノーザ事務局長からは、今回の日本のNDCの提出については、野心の向上の意図を含む日本のNDCの提出について感謝という形でツイートがされたことでありますから、よく、報道でもある、二六%を変えていない、据置きだということのみで批判をするというのは全く当たらないと思います。

 そもそも、ここまで調整で努力をしなければ、二六%据置きだけでNDCを出すということになりかねなかった。それを、二六%にとどまらない、意欲的、野心的な数値を目指すというところまで含めて、そして、温対計画の見直しに着手、その後にNDCの提出をもう一度COP26までにするということを、明確に政府の中で共有をすることができたということは、私は間違いなく前向きな一歩だというふうに思います。

 そして、石炭については、今先生がクリーンコールの話をされましたが、COPのような場でそういった言葉は伝わらないと思います。間違いなく、そこは、日本の中では、いわゆる旧来型の石炭火力と比べたらベターだという形でのいわゆるクリーンコールという議論があるのは、日本の中ではそういう議論があるのかもしれません。ただ、なかなかそれは、国際社会に行って言えるかというと、それはまた違う議論があるのではないかという思いは私は変わりません。

 そして、例えば、UNEP、国連環境計画の十年報告書には、バランスよく移行することが必要であるが、石炭火力発電のフェーズアウトは欠かせないというふうに記載をされておりまして、また、火力の燃料種ごとのCO2排出係数を比較すると、先ほど先生が触れられたIGCCであってもLNG火力の約二倍である、そういうふうに承知をしています。

 いずれにしましても、大事なのは、ようやくこの前、四月の一日に、関係四省庁と石炭火力の輸出四要件の見直しの議論の方向へ向けたファクト検討会を環境省で開催をして、四省庁集まって、オブザーバーとしても参加いただいて、有識者の方々の出していただいた新しいデータ、ファクトなどに基づいた議論をやっています。

 ですので、こういった場で、立場を超えて、しっかりとファクトに基づく建設的、前向きな議論を積み上げていって、日本のより脱炭素に向かう政策をつくることにつなげていきたいと考えております。

秋本委員 今大臣から、心強い答弁だと私は思いましたけれども、ありました。

 その中で、図らずも、NDCを提出する際の政府の裏舞台を、裏側を話をしてくださいました。何もしなければ、二六%据置きでそのまま出すはずだったんだぞということでした。だから、私が言ったとおり、環境省あるいは小泉大臣の汗をかいたという実が、制限に縛られない、さらなる努力を積み重ねて、その都度、国際社会に新しいNDCを出すということもにおわせるようなことが書いてあるわけですよね。

 その中で、私、自民党の経産の方の部会に行ったときに、経産省の役人が、このNDCのことを平場の自民党の我々のような議員に説明するときに、今回一回出せば五年間出さなくていいんですよ、今回出したものもそんなに今までと変わりません、目新しい部分はそこまでありませんというような説明をしたので、私は、一番最初に手を挙げて、そこにかみつきました。

 何を言っているんだということで、五年を待たずに見直すというふうに書いてあるじゃないか、温対計画等を出したら、新しい、よりブラッシュアップしたものを出すんだということを書いてあるわけだから、自民党の部会に来て、五年間次を出さなくていいなんて、そんなふざけた発言をしないでくれということで私は強く抗議をして、慌てて経産省の役人も、いや、そういうつもりで言ったんじゃありませんということで訂正をしていましたけれども。

 ともすると、小泉大臣に対して、あるいは環境省に対して、逆側のプレッシャーがかかる可能性がありますので、そういったものをぜひはねのけて頑張っていただきたい。

 という中で、小泉大臣にお伺いしたいのは、デビュー戦といってもいい国際会議に行ったときに、小泉大臣に、日本の環境をつかさどる大臣として、石炭火力、あなただったらどう減らすのかという問いをされてニュースになっていましたけれども、今改めて石炭火力をどういうふうに減らすんだというふうに聞かれたときに何と答えるか、お伺いをしたいというふうに思います。

小泉国務大臣 まず、石炭火力をどう減らすのかということについては、今、政府全体としても、可能な限りその依存度を引き下げる、そういったことは、これは環境省の思いだけではなくて、政府全体としてはこの思いを持っています。そしてなおかつ、再エネの主力電源化、このことについても、これも環境省だけではなくて政府全体の思いとして統一されているものであります。

 じゃ、その中で、環境省がどのように具体的に石炭火力を減らしていくということをできるか。

 これについては、一つは、電力事業分野のレビュー、これは非常に大事なツールだと思っています。そういったことについても環境省ができることをしっかりやるとともに、環境アセス、これについても、経産大臣に対しては、二〇三〇年の目標と整合した道筋が描けない場合の事業実施の再検討などを含む厳しい意見を提出してきましたので、今後も厳しい姿勢で臨んでいきます。

 そして、私が大臣になってから新しい一歩というのは、まさに先ほど触れた、石炭の政策全体の中で、じゃ、どこだったら前向きな一歩が踏めるのかという実現可能性を探ったその一つが、輸出の四要件の見直しに対する問題提起だったわけです。それが、関係四省庁の合意を得た形で今後議論を、ファクトに基づいて、六月のインフラ輸出戦略の骨子に向けて進んでいるということは、間違いなく国際社会に対しても響いていることだと感じています。

秋本委員 そうした中で、CCSというものが、一つこのCO2を減らす方策として国際社会でも、そして日本政府も掲げていて、国際社会では、二〇五〇年ごろに一四%ぐらいはCCSによってCO2が削減されるんじゃないかということが言われています。

 IGCCもIGFCもCCSをつけて、大崎クールジェンだとか磯子とかでやっていますが、私は、CCUSを研究開発することについては、積極的ではありませんけれども、まあいいんじゃないかというふうに思いますけれども、私は、このCCUSを前提にした政策をごりごり進めていって、その道しかないというのではいかぬな、やはり複数シナリオをつくっていかないといかぬのではないかというふうに考えている一人でございます。

 なぜかというと、この先、政府参考人に聞きますので大臣には聞いておいてほしいんですけれども、CCUS、CCSというのは、一九七〇年代、八〇年代から、十年後、二十年後、三十年後ぐらいにこういう技術ができるから、CO2をキャッチできるから大丈夫だよということをずっと言われてきたんですね。大臣とか私が生まれたころから言われているんですよ、これ。それで、今どうか、完成していないじゃないですか。

 これって何かに似ていません。私は第二の核燃サイクルだと思っています。まあ、核燃料サイクルよりは実現するかもしれない確率というのはもちろん高い、EORとかがあるので一部実現しているような技術もありますけれども、しかし、コストまで含めて考えたときに、このCCSが本当に社会に実装されるというのは、ちょっと首をかしげたくなるし、相当先の未来になるんじゃないかというふうに思いますから、これを二〇三〇年だとか五〇年のシナリオにはめ込んで、フィックスしてこれありきで歩んでいくと、あるとき振り返ったときに重大な選択について誤ったんじゃないかということになるんじゃないかという私は懸念を抱いています。

 大臣が総選挙のときに私の地元に来て演説してくれた言葉の中で私がすごく今でも覚えていることがあるんですが、福島の復旧復興、若い我々の世代のような政治家、三十年後、五十年後に責任が持てる我々こそがしっかりとそのことについて考えていくべきだというような演説をしてくださったわけであります。ありがとうございます。まさに私はあれが心に響いたわけで、だから今でも覚えているわけですけれども、今回のこの地球温暖化、こういう政策についても全く同じだというふうに思うんですよね。

 だから、七〇年、八〇年代のころに二十年、三十年後にできるぜという技術が今でもできていないわけだし、実際に、エネ庁が掲げている目標も、はっきり年限を明言したのは、二〇二〇年に実用化しますよと言ったのがエネ基で、ついこの間のエネ基で、十年後ろ倒しにして二〇三〇年ごろというふうに言い直しています。

 また、環境省と文科省が主管している低炭素社会づくり行動計画、これは二〇〇八年の七月に閣議決定されたわけですけれども、これも、二〇〇九年度以降に大規模実証に着手し、二〇二〇年までの実用化を目指すというふうに言っていたんですよね。コストについても、そのころに二千円ぐらいにするよと。今、二千円どころか、八千円とか一万二千円ぐらいを目指しまっせというぐらいのレベルなんですよね。

 大臣にはぜひその辺少し注意して見ていただきたいなというふうに思います。

 経産省にお伺いをしたいというふうに思いますけれども、私が言った今の年限というようなものに間違いがあるのかないのか、イエスかノーかでお答えをいただきたいというふうに思います。

矢作政府参考人 お答え申し上げます。

 CCSの導入時期につきましては、平成二十年七月に閣議決定いたしました低炭素社会づくり行動計画におきまして、二〇二〇年までの実用化を目指すというふうに記載されてございます。

 また、平成三十年七月に閣議決定いたしましたエネルギー基本計画におきましては、東京電力の火力電源入札に関する関係局長級会議取りまとめ等を踏まえ、二〇二〇年ごろのCO2回収、有効利用、貯留技術の実用化を目指した研究開発等を進めるというふうに記載してございます。

 さらにまた、昨年六月に閣議決定いたしましたパリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略におきましては、とりわけ石炭火力発電については、商用化を前提に、二〇三〇年までにCCSを導入することを検討するというふうに記載してございます。

秋本委員 ということなんですよ、大臣。

 それで、大臣が今くしくも一つ前の答弁で、電力分野のレビューをしっかりやっていきますよ、経産大臣と約束した合意がありましたよね。あの中でも、二〇二〇年CCS実現という前提に基づいているんです、あの合意って。だから、私はあの合意そのものをもう見直すべきじゃないかなと。

 それで、今、大臣、二〇三〇年八〇%と言っていますよね。あの目標を達成しようと思ったら、二〇五〇年ごろ八〇%減というものを実現しようと思ったら、大体、四十年前後動きますから、二〇一〇年以降、つまり三・一一以降ぐらいにいっぱい中型の火力とか動いていますよね、あれにCCSをつけなかったら実現できませんよ、八〇なんて。大臣が言った二〇五一年にゼロなんというのは全然達成できません。

 CCS、本当に、じゃ、実現するのかというところなんですけれども、まさにアセスもやるよと言っていましたが、大臣、このCCS、今アセスないのは知っていますか。アセスなしで今できているんですよ。これは、海洋汚染防止法に基づいて、より厳しいというところも一面ではあるのでわからなくはないけれども、環境省は今検討をしています、このことについて、どうするのかということについて、アセスをCCSにつけるのかどうかを。これは大臣にもぜひ注意深く注視をしてもらいたい。

 環境省が掲げている数字は、一億立米を最低日本の中に三カ所ぐらいつくって、そこに注入していきますよということを世の中にも打ち出していますけれども、一億立米ものCO2を地中に注入するに当たって、アセスは必要ないよね、さらに、モニタリングとかも今現在では五年なんですよ、五年。大臣、核廃棄物、何年モニタリングが必要だかわかりますよね。CO2は地中に埋め込んで、今五年ですよ。五年ごとに見直すということになっているんですが、諸外国では何十年というものを打ち出しています。

 この辺は、逆に言うと五年でいいのかということと、五年で更新させられて五十年、百年やらされるんじゃ、企業側だってコストの計算ができないわけですよ。ということは、採算性の計算ができないから実現しないということにもなりかねないわけですよね。私は推進したいわけじゃないから、そこは別にがりがりやりたくないですが。

 それに、今、大臣、公表はしていないようですけれども、そこまで秘密の情報じゃないようなので私申し上げますが、今、約一億立米を貯留するという有望ポイントが環境省の方で約全国で十カ所まで絞り込まれていますが、この十カ所がどこだかわかりません。さらに、そこの十カ所の地元の住民に住民説明をしていません。漁協とかにはしているようでありますが、一般の市民には何も知らされずにこれが進んでいて、今もうまさに最後の調査ぐらいのところまで来ていますが、大臣、これは知っていましたか。

 しかも、環境省の目標では、二〇二一年度末までには、あと一年後ぐらいには、この場所を選定するということになっているんですよね。これはできますか、本当に。私はできないんじゃないかなというふうに思います。

 一方で、大崎クールジェンのようなところでCCUをやりますよと言っていますが、CCUをやったときに、メタネーションをして、メタンにしてということも言われていますが、あれは、文科省とそれこそ環境省さんが一緒につくった報告書で、ノルマル立米で三円ぐらいまで落とさないとコストが合わないよねというのを政府が報告書で出しています。

 一方で、経産省が二〇三〇年以降に将来の中長期の目標として掲げているメタネーション、メタンのときの価格、目標数値、大臣、幾らだか知っていますか。将来のですよ、経産省が掲げている目標が二十円ノルマル立米です。

 二十円ノルマル立米を政府として数十年後に掲げていて、一方で環境省、文科省は、メタネーションでノルマル立米三円にならないと元が取れないよねとうたっているんですよ。二〇三〇年、五〇年にそれは実現しますか。だから私は第二の核燃サイクルじゃないかという懸念を持っているので、CCSをつければいいよね、バラ色だね、IGCC、IGFCでCCS、CCUをやればバラ色の未来が待っているねというのが、私は大きな間違いだというふうに思います。

 この点について、政府にお伺いをしたいというふうに思います。

近藤政府参考人 申し上げます。

 我が国におけるCCUSの取組でございますが、経産省におきまして、苫小牧の石油精製プラントから発生するCO2を陸域から海底下地層に圧入する実証事業、そのほか、環境省と経産省が海底下地層のCO2貯留適地の調査などを進めております。

 CCUにつきましては、御指摘のような多くの論点を着実に乗り越えていって、達成すべき課題であると認識をしております。

 環境評価制度の制度整備につきましては、CCSが現在実証段階ですので、今後の実用化のめど等で得られた知見を踏まえて、どのような取扱いをするか今後検討いたします。

 貯留適地調査でございますけれども、現在、音波による探査を地元関係者と実施しているところでございますので、今後、候補地点を絞り込み、詳細な調査を進める際には、必要な情報を開示しつつ丁寧に進めてまいります。

 また、貯留適地調査は当初の予定より進捗におくれがございます。限られた予算の中で最大限の調査を進めており、早期に結果を得られるよう、引き続き取り組んでまいります。

 もとより、脱炭素社会の実現のためには、徹底した省エネや再エネの主力電源化に取り組むとともに、こうした政策を総動員してもなお排出されるCO2を回収して有効利用する、あるいは貯留するCCUSの技術的開発などのビヨンド・ゼロを可能とする革新的イノベーションの社会実装等の問題点を乗り越えつつ、取り組んでまいりたいと考えております。

秋本委員 早口で答弁していただいて、本当にありがとうございます。

 ということなので、大臣、もっと言いたいこともあるんですが、ぜひ今質疑でやりとりしたことを頭に、片隅にでも置いていただきたいなというふうに思います。

 最後にお伺いをします。

 私の地元に、指定湖沼になっていて、日本一汚い印旛沼がございます。これはやはりきれいにしていかなきゃいけないんだろうと思いますし、ぜひ環境省のお力もかりて取り組んでいきたい課題だというふうに思っていますけれども、環境省の考え方を聞いて、これで質問を終わりにしたいと思います。

佐藤副大臣 委員お地元近くの印旛沼についてでございますが、湖沼水質保全特別措置法に基づく指定湖沼として、同法に基づく湖沼水質保全計画が千葉県によって策定されまして、水質改善に向けた各種の施策を総合的に進めているところでございます。

 生活排水対策としましては、平成二十七年度から令和二年度までの間に、下水道の普及率については八〇・九%から八二・二%に、そして、高度処理型合併浄化槽の設置については、三千百八十基から四千四百五十六基にすることを目標に掲げて取組を進めております。

 これらの取組によりまして、印旛沼流域におけます汚濁負荷量は減少はしておりますけれども、水質の有機汚濁を示す指標でありますCOD、化学的酸素要求量でございますが、これについては現行の計画目標値十三ミリグラム・パー・リットルに対して直近のデータでは十五ミリグラム・パー・リットルと超過をしている現状でございます。

 水質が改善しない要因として、流入する汚濁負荷に加えて、水底の泥、底泥の影響や植物プランクトンの増殖による有機物の増加などが考えられまして、環境省では、この湖沼の水質改善に向けて水質汚濁メカニズムの分析も行っているというところでございます。

 環境省といたしましては、いずれにしましても、この湖沼水質保全計画に基づく取組に加えまして、メカニズム分析による知見の成果も活用して、千葉県を始めとして、関係自治体、関係省庁と連携して、印旛沼の水質保全施策を総合的に進めてまいる所存でございます。

秋本委員 これで時間なので、一、二問通告したにもかかわらず質問できなかったことをおわびを申し上げて、終わりにしたいと思います。

 ありがとうございました。

鷲尾委員長 次に、近藤昭一君。

近藤(昭)委員 おはようございます。立国社、立憲民主党の近藤昭一でございます。

 きょうも質問の機会をいただきましたことを感謝を申し上げたいと思います。

 それで、きょうは、原子力規制委員会における情報公開のあり方ということで質問したいと思います。

 この原子力規制委員会、原子力委員会設置法ということで、議員立法でありましたが、この環境委員会で論議をされて成立をした法律であります。ということで、私もそれにかかわりまして、きょうは、その当時のこともいろいろと思い出しながらといいましょうか、考えながら質問させていただきたいと思います。

 まず、きょう取り上げる課題というのは、関西電力、関電ですね、高浜、大飯、美浜の三原発、福井県でありますが、これに関連してであります。

 二〇一八年十一月の二十一日の原子力規制委員会の会議でありますけれども、大山噴火時における想定される火山灰の最大層厚の想定、これに関する評価が過小と認定をされたわけであります。新しい所見だということであります。それを規制にどう反映するか、許可の取扱いをどうするか、これを諮ろうということになりました。そして諮られたのが、十二月の十二日の原子力規制委員会の会議であります。

 そこにおきまして、関西電力から、高浜、大飯、美浜火山対策について関連する資料が出されたわけであります。そこで議論されたのは十五分ほどであったということであります。

 そして、それに関連して提出された案があったわけでありますけれども、その案が一つの案だったわけであります。その案において一案だけが示されたということであったわけであります。

 しかし、ここで、毎日新聞でありますけれども、この十二月の十二日の会議の前に事前の会議があったようだということで報道がありました。非公開の事前会議であったということであります。そこで同社は、関係する全文書の情報公開請求を十二月の二十六日に行ったわけであります。しかし、それに関連しては、廃棄済みで不開示ということになりました。しかし、その後、表題を明示して、翌二〇一九年でありますが、五月の二十四日に再請求をしたということであります。

 そうしたところ、非公開の事前会議で配られた、お手元に資料を配付をさせていただいていると思いますけれども、一、二案併記、二つの案が併記をされた資料。一案については、文書指導で関電に設置変更許可を求める案であります。そしてもう一方は、関電に火山灰想定の再評価をさせる、こういう案であります。そして、その間、職員の人たちの間で交わされた約四十通のメールがありました。これが公開をされたということであります。あったわけですね。

 その後、それに関連して、ちょっと時がたちますけれども、ことしの一月の八日、記者会見で、原子力規制委員会の更田委員長はこういうふうに述べられたわけであります。どういうことかというと、意思決定はしていない。先ほど申し上げましたように、十二日に提出された案というのは一案だけだったわけです。一つの案だけだったわけであります。しかし、十二月の六日、事前会議で配られた資料が情報公開で出てきて、そこには二案があったということであります。事前会議では二案あったものが、本番の会議では一案になっていた、こういうことであります。

 それに関連して、まあ、二案が一つになったんだから、ある種の意思決定がされていると私なんかは思うわけでありますけれども、そのときに、更田委員長の記者会見の内容は、意思決定はしていない、選択はしていない。二案を一案にした、これを意思決定と言うのは、毎日新聞を指名するわけですが、毎日新聞との見解の相違だ。また、それに関連して記者さんから質問があったと思うんですが、事前の会議について記録を残していないのは別に問題がないんだ、公文書管理法違反にも当たらないんだ。その資料に基づいて議論をしなかった。つまり、情報公開で提出された二つの案のことですね、その二つの案については議論しなかったと記憶している。そして議事録もないんだ。こういうふうに答えておられるわけであります。

 そこで、きょう更田委員長にお越しいただいておりますので、そのときの会見のことはそうした経緯でよかったのか、その間の経緯はそれでよかったのかということをお伺いしたいと思います。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 大山火山の噴出規模見直しに係る経緯でございますけれども、委員の御紹介いただいた経緯はごく最終段のものでありますけれども、まず、二〇一五年に、原子力規制委員会は、この大山火山の噴出規模について、安全研究としての知見の見直し、これを開始をいたしました。そして、二〇一七年六月に、安全研究を踏まえた規制の対応の報告を受けるとともに、さらに、二〇一八年三月に、関西電力による調査結果、それから原子力規制庁の見解について報告を受けて、議論をしております。さらに、公開の会合におきまして、関西電力からの追加調査結果についての意見交換を二〇一八年に二回開催をしております。その上で、二〇一八年十月には、みずから越畑地点におきまして現地調査を行っております。その上で、二〇一八年十一月二十一日に、意見交換会及び現地調査の結果について報告を受け、これを新知見として認定し、規制の強化を行う必要があるという意思決定をしております。

 そこで、規制上の意思決定をしましたので、最終的な、事務的な手続について詰めるように事務方に指示をしております。同日の午後の記者会見において、私自身、メディアの前で関西電力に再評価を求めることになるだろうという見通しを述べております。

 その後、最終段階に、規制の強化を行うという意思決定を行った上で、最終段階で手続上のふぐあいによって事業者に足元をすくわれることのないように詰めるという観点から、あえて成立し得ない案も含めて十二月六日にブレーンストーミングを行っております。そして、最終段階として、十二月十二日に報告徴収を行うということになったのが経緯でございます。

 十二月六日はあくまでブレーンストーミングでありまして、二案のうちの一案を選択したという御指摘は当たらないと考えており、また、答弁の修正も必要ないというふうに考えております。

近藤(昭)委員 経緯といいましょうか、私が今指摘をさせていただいたことだけではなくて、その前にも経緯があったんだ、そういう中で議論されてきた。そして、結論といいましょうか、今私がお聞きしたことでいうと、やはりブレーンストーミングであって、決して意思決定をしていない。

 ちょっと、もう一度そこを確認したいと思います。ですから、記者会見の中では、更田委員長は、今もおっしゃいましたけれども、資料に基づいて議論はしなかった、あくまでブレーンストーミングであって、ですから、この議事録も残していないのは公文書管理法違反に当たらない、こういうふうに記者会見で述べられたということでよろしいですか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 一貫して申し上げておりますが、原子力規制委員会の意思決定は、全て公開の委員会の会議の場で委員の議決により行い、この委員会の場以外で意思決定を行うことはあり得ないということであります。

 二〇一八年十二月六日の打合せ、ブレーンストーミングにおいて二案から一案を選択するという意思決定を行っていないということをこれまで答弁をしておりまして、その認識には変わりはなく、答弁を修正する必要はないと考えております。

 また、公文書管理においても瑕疵はなかったというふうに考えております。

近藤(昭)委員 実は、そうした記者会見がありました後に、これに関連して、何回か委員会での質疑が行われておるわけであります。

 ことしになりまして、先ほど、記者会見は一月の八日であったということなんですね。そこで、今おっしゃられたようなことを委員長はおっしゃられたわけであります。しかしどうなんだということで、二月の二十五日、衆議院の予算委員会の第一分科会であります、ここで川内博史委員が質問したわけであります。ガイドラインについて、行政文書の管理に関するガイドラインに関連して質問しています。

 幹部のレク等、政策立案や事務及び事業の実施の方針等についての説明、意見交換等を行う打合せはなるべく、まあ、なるべくという言葉になっていますが、残すべしとしている。ですから、ガイドラインに違反しているんではないか、反しているんではないか、また、公文書管理法の第四条にも反しているんではないか、こういうふうに川内委員が質問しているわけであります。

 そして、その後、三月の十日にもまた委員会で取り上げられることになります。これは参議院の内閣委員会でありました。杉尾秀哉委員が質問をしております。

 そこで、これはもう一度更田委員長の答弁になるわけでありますけれども、二つの案が示された記憶もなければ、見た記憶もない、記録もなければ、記憶もない、こう答えられた。そして、今答えられたということでありますが、委員会でも答えられている。十二月の六日はブレーンストーミングで意思決定は行っていない、委員会以外の場では意思決定はしない。今おっしゃったことですね。事実関係の説明のみと答えられましたということであります。

 しかしながら、その後、これはこの委員会質問がもう行われた後でありますが、毎日新聞がニュースサイトで音声録音を公開をしました。この音声録音というのは、先ほど、事前会議、二〇一八年の十二月の六日ですね。六日の音声の録音がこのニュースサイトで公開をされたわけであります。そして、その公開された録音をもとに、またこれは国会の委員会で取り上げられることになりました。

 まずは翌日であります。まずはじゃなくて両方とも翌日なんですけれども、衆議院の原子力問題特別委員会であります。

 お一人は斉木委員でありますが、斉木委員の質問はこういうふうに言っておられます。

 ごめんなさい。ちょっとここに録音がないのはあれですけれども、斉木委員の質問に対して委員長は、その録音を聞いて、私の発言等々を聞いていると、録音のことです、私の発言等々を聞いていると、その資料が、その資料がというのは、先ほど申し上げた二つの案であります、その資料がそのときの議論の対象であったとしても不思議ではない、いかにも私が言いそうなことでありますと。つまり、事前の委員会の議事録はないということでありますけれども、録音が公開されたんです。そして、その録音を聞かれた委員長は今のようなことで、資料があったとしても不思議ではない、いかにも私が言いそうなことである、こういうふうに答えられた。

 そして、同日、同じ委員会で日吉委員が質問されております。日吉委員は、そのときに、つまり、明らかに議論をして、そこで決定を行っているんではないか、こういう観点から質問しました。

 そして、その会議、事前会議で更田委員長が文言の修正を提案といいましょうか、言っているんですね。ここはこう修正した方がいいんじゃないかということであります。

 そこで、日吉委員が、ここをこういうふうに修正しているんではないか、こういった指摘に対して、委員長は、日吉委員が指摘した文言の修正、これは噴火履歴が見直されること、こういう文言があって、そこの関連なんですね、その修正については、経緯としてそのようなことはあり得る、ブレーンストーミングにはあえて成案とならないようなものも加える。先ほども言及されました。一案のことですね。これは配られていないんだろうと答弁しています。

 そこで、日吉委員は改めて、虚偽の答弁、意思決定はしていないという答弁にはならないんではないか、こういうふうに言っているわけであります。それに対しても、先ほども報告されていましたけれども、そんなことはないんだと言っている。しかし、日吉委員は、録音を聞きながら、文言の修正とか、あるいは二案が示されていることとか、そうしたことが、最終的には、一案しか最終的な委員会には提示をされていない、これは明らかに意思決定をしているのであって、委員長が意思決定などしていないということは虚偽だ、虚偽答弁ではないかということで、委員会で指摘をした。しかし、更田委員長はそんなことはないと答弁をしたわけであります。

 そして、その後、その委員会の質疑が行われた後の四月一日になります。その後の記者会見、いわゆる原子力規制委員会の記者会見ですね。そこで、委員長は、資料をもとにした議論は認められました。資料をもとにしたことは認めたということであります。そして、今皆さんのお手元にも配りましたような二案、一、二と書いた選択資料が配られたことも認めたということであります。そして、修正をしたことも認めたということであります。しかし、これは、今も答えられましたが、一案は委員会に出すようなものじゃないんだ、議論はしたが、意思決定などはしていないと答えられたわけであります。

 そこで、改めてお聞きします。ちょっと長くなりましたから、委員の皆さんにも経緯を知っていただきたいということでお話をしましたが、そういったやりとりがあって、委員会でも質疑が行われて、そして四月の一日に記者会見が改めて行われたということであります。

 ということで、改めて、意思決定はしていないのだが、国会では虚偽の答弁はしていない、訂正するつもりはない、こういうことでしょうか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 訂正をする考えはございません。

 一貫して申し上げておりますように、原子力規制委員会の意思決定は全て公開の委員会の場で行われます。会議の場以外で意思決定を行うことはあり得ません。

 また、その十二月六日、二〇一八年十二月六日の打合せ、これはブレーンストーミングと私たちは呼んでおりますが、ブレーンストーミングの場では、あえて成案とはなり得ないような案も上げて、時には、先ほども申し上げましたように、事業者に足元をすくわれないためにも、事業者側の立場に立って考えてみるというような、また、そうやって発言してみるというようなことをあえて行います。

 しかしながら、配付されておりますこの二案に相当する、関西電力に対して再評価を求めるという見通しについては、この十二月六日のブレーンストーミングに先立つ十一月二十一日の委員会後の記者会見で、メディアの前で私はもう既に見通しを述べております。

 事実上の意思決定というのはこの打合せの前になされていて、その後は手続について詰めている話であります。手続を詰める際も、一つが成案となることが、もう事実上、会見の場で申し上げていて、しかしながら、更に足元をすくわれないための詰めを行うというのがブレーンストーミングでありますので、そのブレーンストーミングの席上において、成案となり得ないような案も並べてみんなで議論してみるというのは、これはプロセスとしてあることだと思っておりますし、こういった部分に関して議事録がないということに関しては問題はない、ガイドラインにも反していないというふうに考えております。

近藤(昭)委員 今おっしゃった中にも、成案とはならないようなことも考えて、まさしく決定ではなくてブレーンストーミングだ、こうおっしゃられるわけであります。

 ところが、私は、果たしてそうではないというふうにしか思えないです。そして、それを裏づけるというか、私としては裏づけるというか。

 先ほど、情報公開されたという電子メールがありました。その中に、担当の規制企画課係長が十人に送ったメールがありました。法規あるいは審査部門の担当者十人に送ったメールがあったんです。そして、そのメールによると、長官、原子力規制庁長官のことであります、長官、次長、技監の三幹部と面談した際、感触が聞けたと連絡をしています。そして、今の資料は設置変更許可申請を出させる前提で書いていたが、つまり一案のことですね、それを前提で書いていたけれども、報告徴収、再評価命令をかける案、これは二案であります、この二つを書いて、どちらの案がよいか議論していく方向になりそうである、資料の方は私の方で修正し、十二日の委員会にかけることになると周知した、こういうメールが出てきているわけであります。

 つまり、もともとは一案であった、一案を前提として書いていた、しかし、長官、次長、技監の三幹部と面談した結果、感触が聞けた、これはちょっと微妙な表現だなと思いますが、しかし、大きな流れでは、一案であったものに二をプラスして、そして議論していく方向になりました、こう言っているわけであります。

 そして、関連して、毎日新聞が公開した録音によると、僕なんか、これはぱっと見たときに一の方がすっきりするんだけれども、一案ですね、出なかった方なんです、すっきりするんだけれども、法務上は難しいだろうなということは私にもわかるので、そこで、まず担当者の意見を聞かないと。いずれにせよ、どっちにしろ、差止め訴訟とかそういったものって大いに予想されることだよな。担当者は、はいと答えているんですけれども、一の場合は認めているわけさ、だよな、とりあえず、新たにわかった事実から言うと云々ということをおっしゃって、ここが少し、少しというか全く問題だと思うんですけれども、一の案について、差止め訴訟か何かだと基準に不適合という論理を生みやすいんだろうな、そうすると二なのかな。

 つまり、一を出すと基準の不適合だと、この関電の原発は。こういう論理を生みやすい、だから二なのかな、そういうふうなやりとりが出てきている。

 さらに、こういう言い方もしています。

 一の案が成立しない見解なのであれば、なかなか一という道は通りにくいよな。そこで、ただ、通りにくいけれども、正義として一でいくべきというのがあるんだったらなんだけれどもね、正義として一でいく道があるんだったらな、こういう言い方をしております。

 そして、二は正義にもとるんだということならさ、そんなもん、とまろうが、まあ原発のことだと思いますが、とまろうが何しようが、一でいくというのはあるんだけれども、そういう話ではなさそうだよね、一でなければ著しく正義に反するというところでもなさそうなので、そうすると担当者が、じゃ、二は正義だ、こういうふうに聞き返しています。そして委員長は、うん、このケースに対してはなと答えた。

 そういうやりとりがあって二案になってきたわけですね。

 ですから、電子メールで、第一案が前提であった、しかし、二案を加えるようになった。そして、委員長は、一案については、一案を正義とするならばなとか、一案をとると基準に不適合という論理を生みやすいんだよな、こういうことを言って、二つあったのを二案に絞った、こういうようなやりとりがそこで出てくるわけです。

 そこで、ここは私は小泉大臣にお聞きをしたいと思います。

 こうしたやりとりを見ていると、全く意思決定をしている、こういうふうにしか思えないのでありますけれども、大臣、いかがでありましょうか。

小泉国務大臣 原子力規制につきましては、専門的知見に基づいて、独立性の高い原子力規制委員会によって適切に実施されているものと認識をしています。また、原子力規制委員会の意思決定は全て原則公開の原子力規制委員会会議の場で行われているものと認識をしております。

近藤(昭)委員 大臣、専門家が議論しているということであります。ただ、日本の原子力規制というのは、残念ながらいびつな形で進んできたんです。

 よく言われるように、経済産業省のもとにあるエネルギー庁、その中に、推進のところも規制のところもあった。そして、三月十一日、東日本大震災が起きて、東電福島第一原発事故が起きたんです。御承知のとおり、福島では今でも三万人、約、約という言い方はよくないんですが、ただ、統計のとり方によってはちょっと違いますのでそういう言い方をしますけれども、三万人ほどの人が福島に戻れないでいるわけであります。

 万が一はないと言われていた。しかし、万が一があったわけであります。そして、そのことによって、今も多くの方が戻れないということに。そのことを受けて、原子力規制委員会設置法というのがこの環境委員会で議論された。なぜ環境委員会で議論されたかということであります。

 それは、いわゆる原子力を推進する経産省ではなくて、環境省だと。環境省は環境を守っていく、事故があったときに大変に、放射能汚染等々があって大きな問題になる、まあ、今も続いているわけであります、ということで、環境省のもとに置こうと。環境省のもとといいましょうか、今は、三条委員会として独立した委員会、しかし、それに関連して原子力規制庁というのが置かれていて、それは環境省のもとにあるわけであります。

 ですから、大臣にもう一度お聞きしたいと思うんです。

 原子力規制委員会というのは、そうした経緯の中で設置されました、厳しく規制をしていくんだと。専門家と言いましたが、残念ながら、日本の専門家というのは今申し上げたようにいびつな中で来たものですから、どちらかというと推進の側の専門家、推進をする中で専門家というのは生まれてきているんですね。ですから、ある意味で偏ったという、推進か規制かということでいうと、いささか推進の方に偏ったという中で専門家がいたんです。

 ですから、この専門家を指名するときにいろいろ議論があったんです。専門家、残念ながら推進の側に多い。でも、その知見というのは重要だ。だけれども、しっかりと規制をしていくために、そうした専門家の中でも、過去三年間のうちにどういう資金提供があったとか、こういうチェックをすることもありました。更田委員長、当時委員として指名されるわけでありますが、更田委員の、当時の委員のそうしたお金の受取なんかも公開をされているわけであります。

 そういう中で、しかしながら、私なんか、私というか、私の周辺でもいろんな意見があったんですね、更田委員を指名していいのかと。推進の側ではないかというふうな、実は残念ながらありました。しかしながら、知見を持っておられて専門家である。しかし、この三・一一が起きた後だから、この専門の知識をきっちりと使って規制の側で頑張ってもらいたいということだったんです。

 ということで、大臣にもう一度お聞きしたいのは、原子力委員会設置法案というものはいろいろと書かれているんです。ちょっと読みますけれども、「三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故を契機に明らかとなった原子力の研究、開発及び利用に関する政策に係る縦割り行政の弊害を除去し、並びに一の行政組織が原子力利用の推進及び規制の両方の機能を担うことにより生ずる問題を解消するため、原子力利用における事故の発生を常に想定し、」、原子力利用における事故の発生を常に想定してということです。原子力には万が一があるということです。万が一はないというような言い方をされてきたことに対して、原子力利用における事故の発生を常に想定しろと。

 そして、常に想定する、まあ、起こらないかもしれないな、今は大丈夫じゃないかなと。例えばこのことでいうと、関電も頑張ってやるんじゃないかなと。すぐに規制を、いわゆる原発をとめなくても、ちょっと待ってこれを直してもらえばという、今回のことでの問題になったことでありますが、そうではなくて常に想定しろと。

 「その防止に最善かつ最大の努力をしなければならないという認識に立って、確立された国際的な基準を踏まえて」、国際的な基準、このことが基準です。今回の問題になった、火山灰の積もる想定であります。「踏まえて原子力利用における安全の確保を図るため必要な施策を策定し、又は実施する事務を一元的につかさどるとともに、その委員長及び委員が専門的知見に基づき中立公正な立場で独立して職権を行使する原子力規制委員会を設置し、もって国民の生命、健康及び財産の保護、環境の保全並びに我が国の安全保障に資することを目的とする。」と。

 大臣、今のやりとり、今非常にそっけなく、そっけなくと言うと失礼かもしれないが、短く答えられましたけれども、私は、今の更田委員長がこの間やられたことというのは、やられたというか、今回は明らかに二案を一つに絞っている。そして、もともとは、さっき申し上げたように一案だったと私は思うんです。そして、原子力委員会設置法のことは常に想定をしてということが書かれているわけであります。

 そういうことを考えて、改めて大臣の考えをお聞きしたいと思います。このやりとりを聞いていて、本当に、原子力委員会の、今の設置法の第一条の精神がきちっと生かされているかということであります。

小泉国務大臣 近藤先生が今何度も強調された、常に事故を想定をという、そういった部分につきましては、今私は環境大臣であるとともに、環境大臣と、この規制委員会の関係でいうと、環境省の外局、独立した三条委員会ということになりますが、私はもう一方で、内閣府原子力防災担当大臣、その立場では、まさにこの万が一、福島の教訓を決して忘れることなく、避難計画そして緊急時対応、これについては完璧はない、終わりはない、そのもとで地域の自治体の皆さんなどと協力をして、万が一を常に想定した計画づくりをやっています。

 そういった立場として、今先生から、原子力規制委員会、この設置法第一条に書かれている内容が今も生きているか、そういう御指摘でありました。この第一条に書かれている設置の趣旨につきましては、近藤先生が御紹介をいただいたとおりでありますが、二〇一二年九月の十四日から約七年半経過して、現在においても変わらないと認識をしております。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。

 私は、今回のことは、議事録が残されていなかったとか、議事録が残されていなかった中で録音と電子メールのやりとりが出てきた。更田委員長は、相手のことも考えながら、足元をすくわれないようにとおっしゃいましたけれども、私はやはりそれは問題だと思うんです。そして、そういうことがあったとしても、それは公開された中でやるべきだと思うんです。公開された中だけで議論をすればいい。

 先般、ちょっと長くなって申しわけないですが、NHKの番組にもありましたが、当時の原子力の規制の関係者が、そうした会議の中で、時に密室でいろんなことが行われてきた、そういう密室で行われてきたことが、ねじ曲げていった。

 自分としては、そうした中で、このやりとりが公開されたときに、ちゃんと自信を持った、自信を持ったというか、公正な発言だったかどうか、そのことを肝に銘じなきゃいけない。密室だからいいということではなくて、やはり、それが公開されても議論にたえる、そういうものでなければいけない。

 私は、そういうことでいうと、今のあのやりとりというのは、とてもそうしたものにたえられるものではないと思うんですよ。あれが正義かどうかとか、これが不適正であった、原発がとまることになるんじゃないか、そういうようなことを言っているということは問題だと思います。

 長くなりましたが、きょうはこれで終わります。ありがとうございました。

鷲尾委員長 次に、関健一郎君。

関(健)委員 共同会派の関健一郎です。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 冒頭、新型コロナウイルスでお亡くなりになった方々に心からお悔やみを申し上げますとともに、今、回復に向けて治療されている方々の一刻も早い回復をお祈りします。

 また、自粛の要請を受けて、飲食店関連を始め、ありとあらゆる業種に深刻な経済的な打撃が生じています。要請と迅速な給付はセットだと考え、一刻も早い負担の最小化に向けた取組をこの委員会を通してお願いをし、ただしていきたいと思います。

 早速、ちょっと質問の順番を変えて、新型コロナウイルスに関連して質問をさせていただきます。

 新しい段階に入って、やはり毎日を普通に暮らす皆さんからも不安の声が高まっています。そうした中で、看護師さんとか医療従事者の皆さんも、この人たちはプロだから大丈夫だろうとこっちは勝手に思っていましたけれども、やはり同じように不安を抱えておられます。

 そして、環境省の縄張り、管轄としては、廃棄物の処理など、これにも新型コロナウイルスに関連して新しく変わっていく側面があるんだと思います。

 そこで伺います。廃棄物の処理について、今後、全ての国民の皆様が知っておくべき捨て方、そういう方法があると思います。新型コロナウイルスに感染した疑いがある人がいる、若しくは自分がかもしれない、若しくは家族でいるという人たちが、どういうごみの捨て方をしたらいいのか、また、そういう患者さんが来たときに、お医者さんはどういう対応をしたらいいのか、これは周知をしておく必要があります。環境省としての見解を伺います。

小泉国務大臣 関先生から、家庭での新型コロナウイルス対策、特にごみの捨て方、こういったことについて御指摘をいただきました。ありがとうございます。

 三月の二十七日に、これはホームページ、また、私の方でも発信をさせていただきましたが、このように、皆さんに見ていただけるかわかりませんが、チラシを作成しまして、一般的に御家庭で、ごみの捨て方という形を紹介をさせていただきました。

 ポイントは何かといいますと、例えば、鼻をかんで、そのティッシュとかマスク、これをどうしたらいいのかな、特別な管理が必要なのかなと思っている方がいるかもしれません。ぜひ、ごみに直接触れない、そしてごみ袋はしっかり縛って封をする、そしてごみを捨てた後は手を洗う、こういった基本的なことでありますが、こういった内容を盛り込ませていただいて、チラシをつくらせていただきました。

 こうしたごみの捨て方を守っていただくことは、御家族だけではなくて、皆様が出したごみを扱う市町村の職員、そして廃棄物処理業者の方にとっても、新型コロナウイルスなどの感染症対策としても有効であります。

 これからも、ツイッターなど、環境省はやっていますし、各種広報媒体を通じて、このチラシの周知を繰り返し行うことなどを通じて、今、きょうにも緊急事態というような報道もありますが、総理もその表明をされていますが、御家庭で過ごす時間がふえる中で、御家庭でのこういった対応というのをしっかりと届けることができるように環境省としても全力を尽くしてまいりたいと思っています。

関(健)委員 今、繰り返しと大臣おっしゃいましたけれども、一回やったからみんなわかっているでしょうという話では残念ながらなくて、この宣言が出るたびに、何か恐ろしいことになっているのかなと、何となく漠然とした不安とか恐怖にさいなまれている方も少なくないわけです。ですから、政府として繰り返し、万が一自分の身内にそういう方が起きたら、若しくは自分がそういう疑いがあるかなと思ったときにはこういう対処をしてねということを、あらゆる形で、わかりやすく説明をし続けることが一つの安心情報の提供としてやるべき責務だと思いますので、引き続きの発信をお願いいたします。

 そして、もう一つ環境省の管轄として、国立公園とかがあると思います。

 私は、前の仕事をしていたときに、SARSが感染拡大をしたときに、香港が観光立国でもあるので深刻な打撃を受けました。そして、もう破滅寸前までいっているという認識のもと、政府が何をしたかというと、一段落した後じゃないんです、この段階で収束をしっかりと宣言することができたら、再開に向けたスタートダッシュを、政府を挙げて観光戦略をやりますからね、だから、その分皆さんちょっと御協力くださいということを、政府がメッセージとして強いメッセージを出していました。

 これは各国の政府が成功例としていろんなところで紹介されたりする例なんですけれども、環境省としても、先ほど大臣がおっしゃいましたが、反転攻勢、これはもうおっしゃるとおりだと思います。反転攻勢のときに、もとに戻るのではなくて、環境省が常に提示している循環型社会の実現とか、そういうものにどうやって結びつけるか、はたまた、今まで知られていなかった国立公園の魅力、こういうものをどうやって国民の皆さんに、また世界の皆さんに知っていただくかということが一つ大事な要素だと思います。

 国民の皆さんに、ひとまず収束したら大々的にやりますからねというメッセージを発信すべきだと思いますが、御所感を伺います。

佐藤副大臣 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、今回の新型コロナウイルスによりまして、国立公園でも国内外の観光客が大幅に減少しておりまして、宿泊施設等の観光事業者に大きな影響が生じております。今後、感染による影響が長引きますと、事業継続ですとか雇用確保ができなくなるおそれというのもございます。

 このため、環境省では、新型コロナウイルス収束の前の段階におきまして、国立公園への観光客の受入れ環境の整備などを前倒しで行っていくということで、事態が収束した暁には、観光地として、利用の復活だけではなく、委員御指摘のとおり、さらには反転攻勢、そしてV字回復に向けて、この状況が好転していくように努めてまいりたいというふうに考えております。

小泉国務大臣 済みません。ちょっと補足をさせていただくと、関先生おっしゃるとおりで、収束をした後にいかに反転攻勢をするか。その中には、今までインバウンド、インバウンドというふうにやってきましたが、インバウンド、もちろん来ていただくことは大事です。しかし、これからは、改めて、国民の皆さんにより国立公園に親しんでもらう、そういった打ち出し方も大事だというふうに問題意識を持っています。

 そして、この収束がまだ見えない中では、この前、観光事業者の、国立公園の周辺の皆さんとビデオ会議でやりましたが、あった声としては、V字回復を目指して反転攻勢というのはありがたいけれども、そこまで生き延びられるかどうかが不安であると。

 そういった声に対して環境省は何ができるかを考えて、今般の経済対策の中には、異例なことではありますが、観光事業者の皆さんの雇用の維持、確保を環境省としてもどのように知恵を出せるかということも考えた対策も打ってありますので、しっかり切れ目なく支えていきたい、一緒になって収束の後の前向きなキャンペーン、そして反転攻勢をできるような環境をつくってまいりたいと考えております。

関(健)委員 人間、我慢して、我慢して、我慢して、それは日本人の国民性として、しっかり要請にも皆さん我慢をしていただいていますけれども、じゃ、出口、その暁にはというのがやはり見えないと、今本当につらい時期が続いている多くの人たちにもそういうメッセージになると思いますので、環境省だけでなく、出口戦略というのをしっかり収束の暁にはやりまっせというのをぜひ発信していただきたいと思います。

 そして、反転攻勢、これも反転攻勢シリーズの質問をちょっとさせていただきますけれども、やはり日経新聞なんかでも、最近急に、最近というか、ここ一年、二年ですけれども、環境関連に割く紙面の割合がとてもふえてきているというのは皆さんよく御存じというか、肌で感じておられると思います。

 その中でも、ある学者の意見で、私はこれは傾聴に値するなと思ったのは、今回の新型コロナウイルスの影響でサプライチェーンがずたずたに分断された、もう一回、気候変動とかそういう分析枠組みからサプライチェーンとかを見直す取組、地球への負荷が減る新たなサプライチェーンの再構築というのをしていく必要があるのではないかという指摘をしている学者がいました。そのとおりだと思います。

 収束の暁には、収束してから、はい、やりましょうではなくて、今この段階で切れ目なくやっていく必要があると思います。既に、死ぬほど、自分の会社は潰れちゃうかもなという経営者の中の皆さんでも、逆に、このときを利用して一歩前に新しい事業をやってみようという方々もやはりいます。そういう方々の後押しをすべきじゃないかという質問を今からさせていただきます。

 一つは、チリでアルグラモという企業があります。これはグラム売り、はかり売りという意味なんですけれども、かつては、自動販売機みたいなものに、自動販売機で、缶じゃないというか、自分の、例えば洗剤であったらマイ洗剤ボトルを持ってがちゃんとやると、だだだだだっと洗剤が入るわけです。そして、このマイボトルの中にICが入っていて、一回とる、それで一回使い終わりました、そしてまたそこに行くと、あなた、これを使ったのは二回目ですね、その分デポジットがされていくという仕組みなんですね。

 考えてみれば、この国の昔の八百屋さんみたいなものですけれども、今は、いろんなものがそこの自動販売機の中で、食料とか若しくは洗剤とか石けんとか、そんなものが買えるようになっているわけです。

 これが、所得の低い人たちに対して、海外での話ですけれども、実はプラスチック包装とかそういうものが価格に転嫁されているので、そこの部分を削るだけでも負担軽減になるんじゃないかという発想からこのビジネスが始まったんですけれども、今は、電気自動三輪車にその自動販売機が載っかって、いろいろな世帯、世帯を訪問していくようになったわけです。

 これは実は、日本でどういうふうにカスタマイズできるかというと、独居のお年寄りとか、なかなか買物に行くことができない御夫婦とか、そういうところに仮にこの電気自動三輪車が行って、やることができれば、これは今までのプラごみとかそういう発生の抑制にもつながるほか、地域のコミュニティーをもう一回、再びつなぎ直す、そういう役割も果たしていくんじゃないかという指摘が上がっています。

 こういうときにこそ、例えば、今こういうときで、病気、新型コロナウイルスも怖いし、私、なかなか外に出にくいの、マスクも買えないしなんというお年寄りも結構いるわけです。こういうときこそ、そういう事業に対して、例えば独居のお年寄りに持っていってあげるとか、そういうことをやって、かつ、エコなんですよという事業に対しては積極的に支援をしていく必要がありますし、今こそチャンスだと思います。チャンスという言い方は違いますね、今こそ、そういう人たちの、かゆいところに手が届く機能を構築すべきだと思います。

 環境省の御所感を伺います。

佐藤副大臣 委員御指摘のとおり、これから、サプライチェーンの御指摘でございますけれども、サプライチェーンのグローバルな見直し、そして国内回帰という御指摘がございましたけれども、地産地消、地方創生、そしてまた地球温暖化対策等の新しい横串を通しながらサプライチェーンを見直していくということは大変有意義なことであるというふうに考えております。

 そうした中で、国内の循環資源を利活用するビジネスというのは、サプライチェーンの再構築の中でもこれはライフサイクル全体で環境負荷の低減につながるということで重要な観点ではないかというふうに考えておりますし、この資源循環分野におきましては、二〇一七年末に中国が廃プラスチックの禁輸措置を行いまして、それによりまして国内で処理しなければいけない廃プラスチックの量が増大をしております。これを受けて、環境省では、国内での資源循環体制を整備すべく、一七年度からプラスチックのリサイクル設備の導入支援を行っております。

 また同時に、今回のこのサプライチェーンの見直しの方向でございますけれども、生産設備の国内での投資を行おうとする事業者に対して再エネや省エネ設備の導入を促すことも重要でございます。

 環境省では、温室効果ガスの排出削減のための設備の導入に対して補助を行っておりますが、加えまして、導入設備による排出削減量をJクレジットとして売買可能なクレジットに認証をするという制度がございまして、これを後押しをしておりますけれども、この新たなサプライチェーンの国内回帰という観点におきましては、更にこのJクレジットを、利便性を高めるために、デジタル技術などを導入しまして、ブロックチェーンなどで使い勝手をよくしていくということで、最終的にグリーン投資の拡大にこれがつながっていけばありがたいというふうに思うところでございます。

 さらに、環境の事業を促進するという意味では、民間の資金が動員されるということも大事でございまして、そういう意味では、やはり、環境省としましては、ESG金融のハイレベルパネルというものがございますが、これの開催を通じて、ESG金融の主流化に向けても取組を進めてまいりたいというふうに思います。

関(健)委員 今ESGの言及がありましたけれども、おっしゃるとおりだと思います。こういうときに、先ほどアルグラモの話をさせていただきましたけれども、東京都で秋から始まるようですけれども、この前、委員会で詰めかえという話をさせていただきましたけれども、今度は、その詰めかえでプラスチックを削減させるというレベルにとどまらず、例えば、アイスクリームが、袋と紙で普通買うわけですけれども、これは、その仕組みを使うと、アルミの溶けない入れ物に入ってくるわけです。それで、アイスを届けました、そうすると、そのプラスチックと紙ごみの分の負荷が減ってアイスが届くわけです。これをもう一回掃除して返す。そうすると、昔のおうちに届いていた牛乳瓶と同じ理屈なんですね。

 ですから、今、日本人というのは、そういう再生、循環型の仕組みを遺伝子として持っている国ですので、このきっかけにもう一度循環型社会を見直すという姿勢、そのための後押しを環境省はすべきだということを指摘して、次の質問に移らせていただきます。

 最後、ちょっと時間がなくなっちゃいましたので、レジ袋有料化についてさせていただきます。

 これは現場が大変混乱をしています。なぜなら、その例外規定がたくさんあるからです。厚みがあるもの、これはコスト四倍とか五倍するそうです。そして海洋生分解性、これは、市場が確立していないから、業者さんに言わせると、どこで買っていいのかわからぬ。そして、であれば、バイオマスプラスチックにいくわけですけれども、バイオマスプラスチックを、民間の皆さんが今電話をすると、価格未定、納期未定、どのぐらいの量かはわかりません、こういう答えが返ってくるんだそうです。これは今深刻な影響が出ています。

 伺いますけれども、この状況では、そういう皆さんは今までと同じレジ袋に頼らざるを得ません。そうすると、そもそもの目的だったライフスタイルの変革を実感してもらうということにつながらないのではないか、認識を伺います。

小泉国務大臣 今、関先生については、現場が混乱をしているという話はありましたが、ことしの七月の施行に向けて、この七月を待たずに既に動き出している企業、取組はいっぱいあります。先ほど、例えば例外のあるものについても言いましたが、そういったものを扱ってもなお有料化をする、そういった取組も一部のコンビニなどでも起きています。そういったことはしっかり後押しをしつつ、ライフスタイルの変革に向けて、世の中の景色が今変わりつつあると思いますので、これは後押しをしていきたいと思っています。

 ですので、今予定しているとおり、本年七月の有料化施行で支障ないものと考えていますが、関先生おっしゃったように、今後も事業者や国民の皆さんの状況を丁寧に酌み取って、足元の今のコロナ対応、こういったことをしっかり対応しながらも、まさに持続可能な社会に向けてライフスタイルを変革していく機会でもある、そういうふうに捉えて進めてまいりたいと考えております。

関(健)委員 最後にもう一回聞きます。

 七月の実施を延期をして、もう一回しっかり仕切り直して、買物からプラごみがなくなるという環境を整え直した方がいいんじゃないでしょうか、認識を伺います。

小泉国務大臣 予定どおりやりたいと思っています。その上で、しっかりと意義、そして、中国に廃プラを出せなくなって、全体九百万トンあるうちの、このレジ袋というのは本当に一部だけれども、一人一人の意識をこの問題にも持ってもらうということがまさにこの問題なんだ、そして、海外でも多くの国が何らかの規制なども入れている、こういったことも改めて伝えていくことが大事だ、それを認識して進めてまいりたいと思っております。

関(健)委員 終わります。

鷲尾委員長 次に、柿沢未途君。

柿沢委員 柿沢未途です。

 かわいいマスクで失礼します。

 どうでもいいことのようで結構大事なことをちょっと、通告外ですけれども、お伺いをしたいと思うんです。

 このマスクなんですけれども、南三陸ミシン工房といって、南三陸町で家を流されたお母さんたちがミシンでお裁縫を覚えて、今、一流のファッションブランドや、ふなっしーの縫いぐるみや、あとSMAPも応援している、これはSMAPの星なんですね、ファイブスターなんです、こういうものをつくっている、そうしたところなんですね。

 震災復興の政務官をやられた小泉さんですから、今、緊急事態宣言が出ます、緊急事態宣言が出たときに一番大事なのは、私は外出を制限することは大事だと思いますけれども、要はうつさなきゃいいわけですよね。うつさないためにはどうするか。特に若い人たちに、自分自身がもう感染者だと思って行動することだと思うんです。

 そういう意味でいうと、まだまだ若い人は自分は大丈夫だと思って、マスクをつけないという人が見られるわけですよ。皆さんも使い捨て用のマスクをされていますけれども、安倍総理が言うとおり、私たちは、飛沫を飛ばして人にうつさないことがマスク着用の目的ですから、布マスクで十分なんですね。布マスクだと、こういうかわいいものがつくれるんですよ。篠原先生がばか受けしていますけれども。

 あえて言えば、ファッションリーダー的な存在の小泉さんだから、ぜひ閣内でこういうものを、多分長期戦になります、ぜひ若い人がつけられるように、少し世論を喚起する、こういうお仕事をされてみたらいかがかというふうに思うんです。

 全く通告外ですが、御答弁お願いします。

小泉国務大臣 柿沢先生が今されているものが若者好みかは、一人一人の好みがあるとは思いますが、その上で、私も、いろんなマスクが今ありますから、布マスクとかも含めて活用してみたい、またいいデザインのものがあったら、それ以外にも紹介をしていただければと思います。

柿沢委員 昔、環境大臣でクールビズなんてやられた方がおりまして、今も何かテレビに大分登場されていますが、こういう形で一種ファッショナブルにトレンド化すると、この着用や社会の慣習が変わるということはあるんだと思うので、ぜひやっていただきたいと思います。私はこれはかわいいと思います。つけている顔はちょっと若者受けかどうかわかりませんけれども、マスクは若者に受けると思います。まあ、それはどうでもいいです。でも、これは結構大事なことだと思いますので、ぜひ問題提起していただきたいと思います。

 質問に移ります。

 三十年後、五十年後に責任を持てる政治家だ、さっき秋本さんの御質問で小泉さんのことをそういうふうに御紹介をされていました。私もそういう思いで、きょうは質問させていただきたいと思います。ちょっと巨視的な話になりますので、しかも、環境省をしょって大臣答弁要領のペーパーを読むという形でなくて、ぜひお話をしていただきたいと思いますので、私はあえてきょうは大臣と言わずに小泉さんと呼ばせていただきます。なれなれしいやつだと思わないでいただければというふうに思います。

 新型コロナウイルス問題ですが、健康上、経済上のダメージを受けている人たちにお見舞いを申し上げると同時に、頑張ろうということを申し上げたいと思います。

 きのうも厚生労働大臣と議論したんですけれども、休業補償の問題というのは、実は、経済支援の問題ではなくて、公衆衛生上のリスクを最小限にするための協力のためにあるんだ、だから、これは、経済産業省の問題ではなくて、公衆衛生を守ることを預かる厚生労働大臣としてもやらなきゃいけない問題ですよ、こういう話をさせていただきました。全てはつながっているんだというふうに思うんです。

 それで、環境省なんですけれども、実は環境省こそ、この新型コロナウイルスの感染拡大、グローバルパンデミックの原因をつくっているいわば私は主犯じゃないかと思うんです。

 人間の活動により、それまでサンクチュアリーだった生物多様性の楽園への侵食が起こり、そこに踏み込んだ人間が未知の病原菌や風土病やウイルスの運び手になる、そして生息地域が全く違う人類にそれを感染させてうつしていく。また、地球温暖化により平均気温が上がった地域で、今まで見られなかった生物や植物が移りすんで、定着して生態系を乱していく。何か知らないうちにアライグマやハクビシンが農村や郊外で見なれた生き物になっているわけですね。逆に、そこが適した地であったはずの動植物が気温上昇によってすめなくなって姿を消していく。南米の農産物輸出がふえるとともに、猛毒アリのヒアリが貨物船で積み荷と一緒に日本に上陸したり、今までいなかった生物がウイルスを運んできたりするわけです。

 地球の定常的な生物多様性の配置を踏み越えて、赤道を越えたり、他の動植物の楽園を壊しに行ったりしているのをとめず、放置し、ややもすれば助長してきた経済活動によって地球全体の気象状況にまで変化を与えて、人類が絶滅するかもしれないような自業自得的な事態に直面をしているわけです。デイビッド・ウォレス・ウェルズの「地球に住めなくなる日」というのが世界的なベストセラーになるような時代なわけです。そのツケが回ってきているのが、今の新型コロナウイルスの世界的な蔓延、流行なのではないかと思うんです。

 だから、私は、環境省がめぐりめぐって主犯ではないかと思うわけです。もちろん、日本だけじゃない、環境省だけじゃありません。しかし、根本的な原因を断ち切れないということについては、まさに環境省がグローバルにその原因をつくり出している、その営みをとめられていないということにあるというふうに私は思います。これをどうにかしないと、新型コロナウイルスがおさまっても同じような疫病や公衆衛生被害がまた続発していくことになる。

 まず、そういう意味では、気候非常事態を何とかしないといけないと思います。世界の人々の声も高まっている。私自身が、RE一〇〇の、自然エネルギーへの大転換にこだわっているのも、私もそれが理由です。やりたいけれどもなかなか難しい、こういうことを言っている場合ではないというふうに思います。

 環境大臣としての小泉さんに、ぜひ、前例にとらわれない対応をして、そして、三十年、五十年後の地球に責任を持ってもらいたいというふうに思いますけれども、御答弁をお願いします。

小泉国務大臣 大変大事な御議論の提起、ありがとうございます。

 今、柿沢先生から、この主犯は誰かという議論がありましたが、我々全員考えなければいけないことだと思うんですよね。

 今回、コロナウイルスによって、もう一つの危機である気候危機、これが置き去りになることがないように、我々しっかりとこのことを忘れずに取り組んでいきたいと考えていますし、今、これだけ人と物とお金の流れが停滞、停止、寸断をされていることが、もう一度、収束後に、戻っていくときに、決して今までどおりに戻ることなく新たな歩みを進めることができるように、まさに今こそそういったことを考える時期であろうというふうに思います。

 先生が、感染症の、人の動きによっての拡大、本当は住んではいけないところまで入っていったからみたいな話もありましたが、今、コロナとはまた別の感染症でありますが、蚊が媒介をする感染症については、この七十年ぐらいの間に北限が関東地方から一気に青森県ぐらいまで上がっていますし、そういったことも受けて、環境省がしっかりと、この大きな流れを見据えた中で、決して経済によって環境が置き去りにされることがないように、水俣などの原点を忘れることなく取り組んでいきたいと考えております。

柿沢委員 約束どおりというか、全くペーパーを見ずに御答弁をいただいて、本当にありがとうございます。

 資料をつけさせていただきましたけれども、三月十九日にNHKのBS1スペシャルで、「ウイルスVS人類 未知なる敵と闘うために」、こういう番組がありました。

 テレビの感想を聞くわけじゃないんですけれども、国立環境研究所の五箇公一さん、この写真、余りにビジュアルがユニークなので、つけさせていただいているんですけれども、この一番右側のとっぽいおっちゃんが五箇さんなんですけれども、言っていることは、まさに今私が申し上げたことそのものなんです。

 新型コロナウイルスの感染の原因、これは気候変動ですよね。それを引き起こしているのは、巨視的に見れば、南北格差から始まる経済格差を埋めようとする中での工業発展という、そういったものが途上国で物すごい勢いで、かつての先進国以上に速いスピードで起きている。生物多様性のホットスポットと言われるエリアのど真ん中でそういうことが起きているので、開発と破壊、森林伐採、そういったものが急速に進む中では、閉じ込められてきたウイルスたちが新たなすみかとして人間というすみかを得て、それが北と南でつながることで北の人口密集地に入り込む、これが一九八〇年代以降ずっと続いている。こういうことで、グローバル化、それでウイルスが便乗している。

 そうした、手をつけてはいけない自然に人間が侵食を果たしてしまったがために、こうした問題が起きている。このままいくと人間社会はもう崩壊しか筋道がなくなってしまうのではないか、こういうふうに深刻に受けとめなきゃいけないということが、今回のコロナウイルスが教えてくれていることなのではないか。

 こういうふうに指摘をされているんです。

 写真を見ると、五箇さんというのはなかなかユニークな方なんですけれども、本当に、これはまさにそのとおりだと思うんですね。

 この発言を見ていただいた上で、この新型コロナウイルスの問題というのは、公衆衛生や経済支援の問題にとどまらない、地球環境と人類とのかかわり方、共存のあり方、こういう問題ではないかというふうに思いますけれども、小泉さん、そういった点について、ちょっと視点を高く置いて取り組んでもらいたいと思いますけれども、ぜひ御見解をお伺いしたいと思います。

小泉国務大臣 環境省の、国立環境研究所の五箇さんのことを取り上げていただいて、ありがとうございます。大変ユニークで、また思いの熱い方だと私も伺っておりますが。

 五箇さんの思いは、そう言いたくなる気持ちはわかりますよね。このコロナが直接的に気候変動とどうかというと、それはまだわかりませんが、ただ、大きな流れの中でいうと、我々が直視しなければいけないことは、この地球との関係、そして我々人間の活動のあり方、これが問われているというのは間違いないと思います。

 私自身も、自戒を込めて言えば、環境大臣になる前にこんなに考えたことはなかったです。そして、私がなって、今環境大臣として私が見ている景色そして感じていることを一人でも多くの方に共有をしてもらいたい。そうすれば、より多くの方が、なぜ気候変動に対してここまでの取組をしなければいけないのかということを理解してもらえるんじゃないかと思っています。

 今、コロナの中で、これだけの自粛と、今後、緊急事態となったら、生活の中でもさまざまな手間や負担があると思うんです。しかし、これをきっかけに、むしろ、地球に責任のある暮らしをするためにはこれぐらいの手間は楽しもうというぐらいの、そういう考え方への変化をどのように後押しをして根づかせていくことができるかというのも非常に大切なことだと思っております。

柿沢委員 それなら、五箇さんみたいに語ったらいいと思うんですよ。

 これをチャンスという表現をするのは非常に誤解を与えますけれども、しかし、確かに、気候変動の問題、気候非常事態の問題について、日本人あるいは日本社会、日本の経済界の意識、私は、日本の官界、政界の意識が最もおくれていると思いますけれども、おくれていると思いますよ。

 しかし、そこを、この新型コロナウイルスで社会に恐怖と不安が広がっているときに、ここが根本的な原因なんじゃないかという問題提起をすれば、そこに目が向くきっかけになるかもしれない。そういう意味では、今おっしゃられたことをぜひ実践していただきたいというふうに思います。

 実践という点でお伺いをしたいと思います。

 人間の活動のあり方をまさに問われているということを、今、小泉さん、答弁で話されました。じゃ、どうかということなんですけれども、資料の裏面につけておきましたが、東京オリンピック・パラリンピックの競技施設について、持続可能性に配慮した開催を約束していながら、違法かつ持続不可能な方法で伐採された熱帯地域の木材や合板を使用して会場建設に利用している、こういう実態がNGOから批判をされています。

 国産の杉材で、国立競技場、外は美しく装飾をされていて、木材がふんだんに使われて、木場を選挙区とする私もうれしい限りなんですけれども、しかし、その九つの競技場で使われた三十一万枚のうち三分の二に当たる二十一万枚の型枠パネルが、インドネシアのカリマンタンとかマレーシアのサラワクの熱帯林の木材が伐採されて使われている、こういうことであります。

 あと、国立競技場で使用した北海道産の木材も、カラマツ三百本、組織委員会の調達基準に反して地元のアイヌ団体に無断のまま伐採していて、抗議を受けるという事態も起きています。

 また、私たちが住んでいる住宅のフローリングにも、これは合板ですが、大半がボルネオ、カリマンタンの熱帯林が使われています。私たちが日常的に使用しているコピー用紙も、これはもともとの熱帯林を皆伐して、そして、パルプ用材を植林したインドネシアの人工林の木材が原料に使われています。そこはもともとスマトラトラとかスマトラゾウの生息地、それを全部皆伐して人工林にしてしまったということなんですね。

 このような、森林の持続可能性の維持に地球規模で反するような活動を日本企業の一部が行っているこの実態を、先ほど来の答弁を踏まえて、小泉さん、どう思われますか。

小泉国務大臣 今、柿沢先生、資料につけていただいているような報道があるのは承知をしています。

 国立競技場については管理をしているのが日本スポーツ振興センター、そして、有明アリーナについては東京都が管理をしているということですから、環境省としては今このお尋ねの点について直接回答する立場にはありませんが、環境省としては、オリンピックなどに関する木材の調達については、大会組織委員会が作成をした調達基準に基づいて適切に取り組んでいるものと認識をしています。

 また、木材や木材製品の流通及び利用一般について言えば、農水省、経産省、国交省が所管をする通称クリーンウッド法、これに基づいて、地球温暖化の防止、自然環境の保全などを含む森林の有する多面にわたる機能に悪影響を及ぼすことのないよう、政府全体で対応をしています。

 環境省としては、このような中で、事業者のための生物多様性民間参画ガイドライン、これを作成をして、これを通じて、環境に配慮した持続可能な森林経営を促すことを目的としたFSCなどの認証制度を国内企業に紹介するなど、普及啓発に取り組んでいるところです。

 このほか、国などの機関が木材や木材製品などの調達を行う場合には、グリーン購入法において、原木の生産された国又は地域における森林に関する法令に照らして手続が適切になされたものであることを調達基準としております。林野庁が作成したガイドラインに準拠して、その確認を行うこととしているところです。

 環境省としては、先ほど申し上げましたが、持続可能な木材利用についての普及啓発を進めるとともに、グリーン購入法の適切な運用に努めて、環境負荷の低減を図るとともに、事業者に対して、環境負荷低減に資する製品、サービスを購入することの重要性を周知をすることで、適切な対応を促してまいります。

柿沢委員 今の答弁を聞くと、あれという感じがだんだんしてきちゃうんですよね。ほかの省庁の所管であるとかいう話が出てきたりとか、残念ながら、冒頭の御答弁とやや、かなり受ける印象が違ってきてしまうと思うんです。

 環境省のウエブサイトでは、国際フェアトレード認証とかレインフォレスト・アライアンス認証とかいった、地球環境と生物多様性を配慮した企業活動に対する認証制度の紹介をしています。さっき出たFSC、CoC認証とか、森林認証を紹介するページもあります。

 日本で木材を扱う企業でこういった認証を取っているというところはどのぐらいあるのか、伺います。

佐藤副大臣 お答えいたします。

 委員御指摘の森林認証制度、特に、木材や森林等に直接関連する国際的な認証制度として、言及いただきましたFSC認証ですとか、ほかにPEFC認証などが主要なものとしてございますが、これらの認証制度を管理している第三者機関の情報によりますと、我が国における木材の加工、流通に関する認証の取得状況として、FSC認証については、二〇二〇年四月時点で千五百四十六件、PEFC認証については、二〇一九年十二月時点で八百九十三事業体、五百四十七件であると承知をいたしております。

柿沢委員 そうであるにもかかわらず、場合によっては、熱帯林の違法伐採された木材が国内で実際に木材として使われているという実態があるわけです。私は、もうこの際、木材版のフェアトレードの基準、できれば法規制を日本の国として設ける必要があるのではないかと思います。

 EUには木材規則があります。アメリカでは改正レーシー法というのがあります。オーストラリアでは違法伐採禁止法というのがあって、いずれも、木材調達における伐採からサプライチェーンまでの合法性の担保、そして違法伐採木材を使っていないことの証明を罰則つきで求めています。

 世界では熱帯雨林の減少等の問題が発生して、東京都の面積の二十四倍という森林が毎年消滅をしています。日本の国土は七割森林なわけです。森林環境税という新しい税金までつくって、伐採期を迎えている国内の森林循環を進めていこうというときに、海外で違法伐採されているアジアの熱帯林の木材を平気で輸入して使っている場合ではないというふうに思います。

 木材版のフェアトレード法規制、結果的にこれは、国産材の利用に誘導していく、そういう副次的な効果もあると思います。ぜひやるべきだというふうに思いますが、見解を伺います。

小泉国務大臣 まず、先生がおっしゃったような、例えば海外で違法で伐採されたようなもの、そういったものが流通することのないようにということで生まれた一つがクリーンウッド法でもあると思いますが、木材の活用のあり方を含めた林野行政については、政府全体の中では農水省、林野庁が取りまとめているところですが、環境省としては、じゃ、木材の活用のあり方を含めた林野という部分にどういう役割があるかというと、環境省は公共調達の観点からグリーン購入法に基づく対応をする、これが環境省としての役割です。

 ですので、グリーン購入法において、国などの機関が製材等の調達を行う場合には、原木の生産された国又は地域における森林に関する法令に照らして手続が適切になされたものであることを調達基準としていて、林野庁が作成をした木材・木材製品の合法性、持続可能性の証明のためのガイドラインに準拠して、その確認を行うこととしていますし、事業者、また国民の皆さんによる環境物品などの選択に資する情報提供なども、環境省としてはグリーン購入法においてしっかりとやっておりますので、今後も、公共調達における環境負荷の低減、持続可能な事業活動、そしてライフスタイルの実現を後押しをしていきたいと考えています。

柿沢委員 次の質問に移ります。最後です。

 生物多様性について、ちょっとタブーを犯してお聞きします。

 尖閣諸島の魚釣島、ここは固有種が数多く生息している生物多様性の宝庫なんですね。環境省の絶滅危惧種に指定されているセンカクモグラ、そしてセンカクサワガニ、オキナワクロオオアリ、ウオツリナガキマワリ、虫とか、センカクツツジといった植物もあります。

 かつて魚釣島に人間の手によって放されたヤギが野生化して繁殖して、島の植物が食い荒らされて、今は島の三割以上が食害による裸地になってしまっています。生態系に大きな影響を生じて、数多くの固有種が存続が危ぶまれています。固有種ではありませんが、アホウドリも絶滅危惧種で、ここには生息しています。

 しかしながら、この一帯、尖閣諸島については、領有権の問題等があって、現状把握及び調査、保全、これがほとんど行われていない状態であります。ヤギの駆除も行っていない。貴重な固有種、絶滅危惧種をこのままでは守れない状況になっています。

 このため、魚釣島への上陸調査を求める、許可を求める声がありますけれども、日本固有の領土に学術調査のために上陸するのを拒否する理由はないというふうに思います。

 かつて、自民党の石原伸晃幹事長が、予算委員会でこの上陸調査を訴えています。いわく、日本固有の領土に絶滅危惧種の調査、保護のために上陸することは私は何の問題もないし、これは人類の共通した願いではないかと思いますということであります。

 環境大臣小泉さんにぜひ見解を伺いたいと思います。

小泉国務大臣 柿沢先生から、センカクモグラなど、尖閣諸島の中のことについても御指摘いただきましたが、このセンカクモグラの調査につきましては、昭和五十四年、一九七九年に、沖縄開発庁による現地調査によって初めてその存在が確認をされたということです。その後、平成二十年と平成二十七年、環境省の調査によって、航空写真や人工衛星画像の解析によって植生図を作成をして、生息環境の把握に努めています。

 そして、このセンカクモグラにつきましては、過去に上陸調査の要望がありましたが、政府の方針として、尖閣諸島及び周辺海域の安定的な維持管理という目的のために、原則として、政府関係者を除き、何人も尖閣諸島への上陸を認めないとの方針をとっているところであります。

柿沢委員 踏み込んだ答弁をいただけなかったですね。残念です。終わります。

鷲尾委員長 次に、池田真紀君。

池田(真)委員 立国社の池田真紀です。

 よろしくお願いいたします。

 本日、この後、緊急事態宣言が出されようかというような、こういう緊張感のある中での、直前のこの一般質疑ということであります。

 しかし、この環境委員会、法案がたくさんあるというような、閣法がたくさんあるというときは本当に慌ただしいような国会になる一方で、今国会は一本ではないかというような状況でありますから、この後、法案ということになろうかと思いますけれども、これが終わった後でも、幅広い環境行政、地球温暖化に伴っていくさまざまな問題や海洋プラスチック問題、災害廃棄物や自然保護、大気汚染防止、あと、東日本大震災のその後の対応、さまざまな対応が、まだまだ議論すべきことがたくさんある環境委員会であります。

 振り返ってみれば、この新型コロナウイルス肺炎の拡大、感染拡大、これをもしかしたらもたらしているのでないかと言われている気候変動にもつながってくるようなものを阻止したかもしれないというような環境国会だったねと言われるような国会になるような運営もぜひ求めてまいりたいと思いますので、それをまず期待させていただきたいと思います。

 まず初め、前半なんですが、新型コロナウイルスに関連した質問を幾つか、確認ということになろうかと思いますが、そもそもの新型インフルエンザ特措法ないし新感染症法等で定められている環境省管轄のさまざまな計画、対処ということで確認をさせていただきたいと思います。

 まず初めには、一般家庭ですね。廃棄物処理のお話といたしましては、一般家庭の話と、そして産業廃棄物と分かれているかと思いますが、まずは、多くの国民の皆さんに関係して、一般家庭から出る廃棄物、いわゆる家庭ごみ、一般ごみ、これに関して、どのような取決めがあるのかどうかというところであります。その確認をさせていただきたいと思います。

山本政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、廃棄物の処理は、日々の国民の生活、経済活動を支える必要不可欠な社会インフラということで、家庭ごみの適正処理を滞ることのないように継続する、これが非常に重要と考えております。

 そのため、今回の家庭ごみに関しましても、先ほど大臣から答弁申し上げましたように、新型コロナウイルス感染防止対策として、感染した疑いのある方の御家庭におけるごみの捨て方、そういったものをチラシを作成して、ホームページやSNS等により公表、周知をしているということでございます。

 それから、家庭における適正な排出について、自治体、それから関係する事業者の方々についてもしっかり周知をするとともに、それから、廃棄物処理体制をこういった危機においても継続するという事業継続計画が重要でございますので、これも、新型インフルエンザが流行したときにこの作成例をつくって、こういった事業継続計画をしっかり持ってということがありましたので、今回、それも改めて作成例を見直して、周知を図るということとしております。

 それから、実際に処理を行う廃棄物処理事業者の方々のマスク等の確保についても調整をしているというところでございます。

池田(真)委員 私のその後の質問、三つ全部まとめてお答えいただいたような感じなんですが、まずは気をつけてまとめて捨ててくださいねということと、それと、あとは、一般家庭の皆さんに関して言えば、そういう周知ということでとどめておくと。

 あともう一つは、大事なことは、今、事業継続のことはまた後でと思ったんですけれども、せっかく御答弁いただきましたので、この事業継続、非常に重要だと思っています。いかなる場合においても国民生活に必要不可欠なサービスでありますので、それがごみ収集であるかと思います。その中での、この事業継続はやっていくんだよというようなお話がありました。

 しかし、自治体によっては、マスク、完備がされていなかった、あるいは、国の方でも、政府の方でも、さまざまな備蓄の状況を把握していなかったというようなことも報道によってわかったというような状況でもあろうかと思います。

 このマスク、ディスポーザル、何でもいいんですけれども、あらゆる必要な防護服、これらについての調整というのは環境省が責任を持ってやっていただけるということでよろしいでしょうか。これは再度の確認です。

山本政府参考人 御指摘のとおり、廃棄物処理事業者が安心して処理をしていただくためには、そういった保護具、防護具の確保というのが重要でございまして、日々、関係の業界団体と連絡をとりまして、何がどのくらいあって、いつ不足しそうだというような情報を日々収集してございます。それに基づきまして、必要な防護具につきましては、政府として確保すべく、政府部内での調整を行っている。

 これまで、実績としても、マスクの確保先を確保して、実際に業界団体にあっせんするといったようなこともしておりますので、引き続き、処理の滞ることのないように、政府としてしっかりと努めてまいりたいと思います。

池田(真)委員 あと、一般の国民の皆さんにぜひとも安心していただくためにも非常に重要なので、ちょっとしつこくて申しわけないんですけれども。

 この事業継続を行っていく際に、これから、例えば、市町村が直接やっているところ、あるいは事業所に委託しているところ、あるかと思いますけれども、その方々が感染をしたり御家族が感染をして、働く人たちが少なくなってしまうということも想定をし得るわけですよね。そこも含めての事業継続計画だと思います。

 その際に、事業を縮小して継続をするのか、それとも、他の方を雇用、応援をした上で予定どおり行っていくのか、これはどういうふうになるんでしょうか。

山本政府参考人 特に、家庭から出てくるものに関しては市町村が統括的に処理をする責任がございますので、まず市町村におきまして、それぞれの事業者の方が維持できるように、それぞれの事業者でできる工夫というのをやっていただくことになるわけですが、それがもし立ち行かなくなった場合にどういった形でバックアップするのかというようなことも含めて、その事業継続計画の中で整理をしていただくようにお願いをしております。

 更に言えば、今回、改めて事務連絡をして、何か困ったことがあったらすぐ環境省に連絡をいただくようにしておりますので、そういった市町村だけで解決できないようなものについては、都道府県あるいは国としても積極的にバックアップしていきたいと考えております。

池田(真)委員 ありがとうございます。

 地方自治法の関係で技術的な助言というところと、プラス、具体的な、現実的な支援といったものが非常に重要になろうかと思いますので、ぜひお願いしたいのと、あと、もし、日常の中で、今、たまたまなんですが、日本ではとてもいい季節でありますが、これが真夏だったりとかすると、廃棄物、一般家庭から出るごみ、例えば週三回のものを週に一回にしなければいけないような事態になったときに何を優先していくかというようなことを、市町村さまざまというようなことにもなろうかと思いますので、その辺は環境省も、技術的な助言、加えて国民の皆さんへのPR、これは即座にといいますか、ぜひともお願いをしたいと思います。

 ここは続けてなんですが、ごみ問題、廃棄物処理といたしまして、産業廃棄物のことにもちょっと触れさせていただきたいと思います。

 本日から、都内では、新型コロナウイルス肺炎の感染者の軽症の方々については、宿泊施設等、ホテル等での療養というような措置がとられるということでございますけれども、そうなりますと、指定廃棄物の収集先がふえるということになります。

 今の人員で大丈夫なのかどうかというようなところも含めて、お答えいただけますでしょうか。

山本政府参考人 お答えいたします。

 事業系の、特に医療機関から出てくるような廃棄物につきましては、特に感染性廃棄物が中心となりますけれども、こういったものの処理体制を確実に維持することが重要だということで、従来から特別な基準、特別な許可を持った業者さんが当たっておりまして、その方々に遵守していただくべきものはマニュアルとして周知しておりますが、今回、今御指摘ありましたように、コロナ対応ということで、それも累次にわたり周知、あるいはいろんな留意点をQAで示すなどとしてやってございます。

 それから、特に今回、新型コロナウイルス感染ということで、広がってきたということで、扱う業者さんもふえてくるということがありますので、いろいろ不安に思われるところがありますので、先ほど、住民向けのチラシもありますけれども、こういった事業者の方々に周知をしていくためのチラシというところ、感染性廃棄物を取り扱う際の留意点などをわかりやすくまとめたチラシなどもつくっております。

 基本は、これまでの感染性廃棄物と同様の処理を行っていただくということでできますので、今のところ、そういった感染性廃棄物を取り扱っている事業者の方々とも連絡をとっておりますが、今の段階ではそういった十分な対応ができているということですので、引き続き、そのあたりは情報収集をしながら、しっかりと注視していきたいと考えております。

池田(真)委員 環境省としては、今までの経験ということで、災害ごみの対処等も行っておったということもあるので、今の十分な計画ということが実行されるようにというふうには思いますけれども。

 ただ、想定外を想定していくということが非常に重要かと思いますので、改めて、指定感染の、例えば産業廃棄物の部分について、これから万が一拡大した場合には、指定の業者さんだけでは行き届かなくなってしまうような場合が万が一発生した場合に、事業を縮小するということよりも事業を継続していくという観点において、急遽、緊急雇用するのにも非常に時間や手続が必要になりますので、一定の知識や研修、補填をした上で、ボランティアということではなく、きちっとした回収に臨んでいただきたいというふうに思います。

 最後に、新型コロナウイルスというような、これから緊急事態宣言が出されるという直前でありますので、小泉環境大臣から、この事業についてはストップしないといいますか、あらゆる方法があろうかと思いますけれども、一言、継続の御意思、いただければと思います。

小泉国務大臣 この緊急事態、それと国民の生活に不可欠なインフラでもある廃棄物の処理、この体制が揺るぎなくしっかりと行われるように全力を尽くし、また万全の対応をしていきたいと思います。

 今、山本局長からもお話がありましたが、さまざま、今までにない状況ですから、これからもいろんな課題が出てくるかもしれません。そういったことにもしっかり対応して、国民生活、経済社会の活動はこの緊急事態の中では大きな影響を受けると思いますが、その中でも適切に最低限の必要なインフラがしっかりと機能するように全力を尽くしてまいります。

池田(真)委員 次、廃棄物関係が続いておりますけれども、災害の廃棄物なんですが、災害廃棄物関係についてちょっと一つだけ確認をさせていただきたいと思います。

 今、事業継続計画があったように、災害においても、災害ごみについて市町村の計画策定を行うということになっています。この策定率が非常に低いといいますか、まだ到達をしていないということが課題になっていたかと思いますけれども、この問題についてどのように、環境省が直接ということではないんですが、環境省が後押しをどのようにする予定なのか、現段階でのお考えをお聞かせいただけますでしょうか。

    〔委員長退席、伊藤(信)委員長代理着席〕

山本政府参考人 お答えいたします。

 災害廃棄物の適正処理を図る上で、御指摘のありました処理計画を市町村でつくるということは大変重要でございまして、こちらにつきましては、昨年度末で、見込みですが、約五二%、市区町村の数で。ただ、これは、二年前の二七%から比べれば大分伸びたけれども、まだまだ策定を推進しなければいけない状況というふうに認識しております。

 環境省といたしましては、そのために、計画策定の具体的な標準的なワークシートをつくったりとか、あるいは、特に中小規模の市町村では策定が技術的に難しいということもありますので、そこは都道府県を巻き込んで、都道府県のリーダーシップのもとに計画を一緒になってつくるというようなことをモデル事業として支援をしてございます。このモデル事業で、昨年度も百六十九の市町村を支援をして計画策定を進めたということもありますので、今年度も引き続き、策定の支援をしっかりとやっていきたい。

 それに加えまして、まだ計画ができていないからといって災害は待ってくれませんので、特に初動対応というところに着目して、ことしの二月には、災害時の初動対応の手引というのをつくりまして、今現在、それを周知しているところでございます。

 今年度も災害が起きる可能性があるということで、あらゆる市町村において災害対応力を上げていただく、初動対応をしっかりしていただくということで、そういった手引の周知もあわせてしっかりと進めてまいります。

池田(真)委員 ぜひ後押しを、計画をつくりっ放しではなく、実践して見直していくということが重要になろうかと思いますので、あと、また、小さな町村等は、広域連携も含めた新たなモデルなんかもちょっとチャレンジしていただければありがたいなというふうに思っておりますので、お願いしたいと思います。

 次ですが、ちょっと昨年のお話で大変恐縮なんですけれども、台風十九号の後、その一連の大雨の際に、除染廃棄物の流出、フレコンバッグの、ありました。

 小泉大臣にはもう質問させていただいてありますけれども、その後のことということで、点検をしましたということで、三月十七日付の報告を、環境省の皆さんからまとめをいただきました。

 十二月から点検をして、二月にまとめたものですということでありましたけれども、この取組について、非常によかったなと思う内容というか、早期に今回点検ができたということで、今度梅雨が来る前には必ずこれは早目に対処しましょうということが具体的に示されて、さらには、市町村等任せにしないで環境省の皆さんが直接足で現場を確認されたということが何よりも一つの成果だと思いますので、ぜひそれを前に進めていただきたいというふうには思っています。

 しかし、こんなに一生懸命やってくださっている環境省、この前のフレコンバッグが流れたことによってこの取組につながったわけでありますが、その軌道修正力は物すごいと思うんですが、ただ、大臣、やはり、大臣の十月の最初のときの、参議院での質問だったと思います、私は、たしか、一つのフレコンバッグの現場にいる日に委員会で発言をされたというふうに間接的に記録で見ていますけれども、そのときに、まだいろいろなものが観測もされていないし、数もわからないし、調査も、線量の調査もなされていないような状況だったんですが、環境に影響はないというような発言をされました。

 それが私はとても残念でならなく、小さな子供に、血が流れていたら、それは安心だよ、大丈夫だよと、落ちつかせるために、安心させるために、それは一母親だったらそういうことはやる。だけれども、この問題は、やはり、今わからないものはわからない、緊急事態、災害時においては、今どういう状況なのかというのを刻々とアナウンスをしていく、それが安心につながっていくんだというふうに思っています。

 ですので、あのときの微妙な曖昧な発言というものは、今さら撤回と言ったところで大臣が撤回していただけるとは、なかなか見込みはないかなと思っているんですが、ぜひ、そのことを含めて、今後のあり方で結構です、大臣の御発言について御所見をいただければと思います。

    〔伊藤(信)委員長代理退席、委員長着席〕

小泉国務大臣 池田先生からは軌道修正力は評価するという御発言がありましたが、今回、まさに先生方の御指摘も真摯に受けとめたこともあります。

 そして、私自身も、毎年どのような災害が起きるかわからない、まさに気候危機の時代というのはそういう時代ですから、この雨季に、梅雨の前までに、また同じようなことを繰り返してはならない、そういった強い危機感のもとに、関係の部局と議論をし、対策を講じたところであります。

 先生から、今後ということでありましたが、今回、台風十九号で、四カ所の仮置場から合計九十袋、大型の土のう袋が流出をしたこの事案は、地域住民の方々に不安を与えかねないものであることはもとより、除去土壌などの管理に対する環境省自身への信頼にかかわる大変大きな問題だというふうに考えておりますので、大変遺憾です。

 ですので、応急対策、早期搬出を進めるとともに、全ての仮置場などの管理を抜本的に強化するための対策を事務方に指示したところであります。

 流出のあった四つの仮置場に置かれている大型土のう袋のうち、大雨などが発生した場合に流出するリスクの高い袋については、搬出計画を前倒しにして、早期の搬出を完了しました。

 そして、全ての仮置場を対象として実施した総点検の結果、流出防止等対策が必要とされた十二カ所の仮置場に対して、環境省、福島県、関係市町村が連携、調整して、除去土壌などの早期搬出、流出防護柵の設置といった対策を、梅雨の時期が到来する前のことし五月末までに実施することとしています。

 引き続き、同じようなことが起きないように、しっかりと注視をして取り組んでまいります。

池田(真)委員 環境省は、同じようなことが起きないように、今回しっかりと点検作業していただいたというふうに私も思いますので、これをこの次は実行していくというところを、我々みんなでチェックをしつつ、そして後押しをしなければいけないと思います。

 遺憾だなというふうに思うのは、環境省に対してではなくて、大臣が、根拠なき、環境に影響はないという発言も、やはりここは慎重に、そして的確に、正直に、その場でのアナウンスを繰り返し繰り返ししていただいた方が、私は、国民の環境省においての信頼といったものにつながるんだというふうに思いますので、そこはちょっと考え方が違うかなというふうに思います。

 最後の質問でございますけれども、残るところのお時間ですが、中身の議論に踏み込んでいけませんので、やはりこれも大臣の発言から、現在のお考えがいかがなのかなというところでお伺いをしたいと思います。

 これはトリチウムの関係なんですが、福島第一原発の汚染処理水を海洋放出するしかないという前環境大臣の発言についてですが、前環境大臣は、誰かが言わなければならないというような、自分はその捨て石になってもいいという強い覚悟のもとでそのような御発言があったというふうに皆さんも御承知のとおりだというふうに思います。

 一方、小泉環境大臣、着任をされてすぐに現地視察ということで行かれたということでありますけれども、そのときの御発言が、長年の苦労といったものは現場の皆さんにあるんだ、簡単には石は投げられないということをおっしゃっていらっしゃいました。この問題を最も心配しているのは福島の漁業者だというような発言もおありになっています。

 もちろん、今、現段階で、この問題をどうしていくかということは、刻々と、一歩一歩、調査をされて、そして、一つの結論に向かって議論がなされて、方針に向かっているということは承知をしておりますけれども、そういった時の流れを経て、現段階で大臣はこの心境にお変わりはあるのか、そして、方針について何かお考えがあるのかということ。あるいは、これから議論を進めていく上で留意をしてもらいたいこと、大臣としてのお考えをお聞かせいただければと思います。

小泉国務大臣 私が、特に漁業者の皆さんなど福島の現地の方の声をしっかり聞いてもらいたい、それをないがしろにすることなく検討を進めてもらいたい、この思いは全く変わりません。

 そして、きのうですか、意見を伺う場ということで、福島で開催をされ、環境省からは石原副大臣に出席をしてもらい、直接その声を伺い、私も石原副大臣から報告を受けました。

 この議論が、検討が進んでいく中で、環境省は福島の復興に大きな責任を抱えています。中間貯蔵、除染、そしてまた前向きな復興についても、今プロジェクトを、いろいろなことをやっています。

 そういった中で、大変重要な問題に対してどのように臨むかということを考えたときに、最初から環境省がスタンスを決めて向き合うということが果たして本当にいいのか。しっかり、まずは、漁業者の皆さんを含めて、現場の皆さんの声を伺うことが大事だ、そういう姿勢を政府の環境省という立場で持つことも私はとても重要なことだと考えていますので、そういった発言をしていました。そして今も、そのことの重要性は変わりないと思いますので、環境相はモニタリングの調整会議の議長も務めています。

 このような検討が進んだ暁に、環境省が果たすべき役割がそのときに来たら、環境省として全力を尽くしてまいりたいと思います。

池田(真)委員 大臣の御発言って、やはり非常に重たい、一国会議員以上にとてもとても重たい。さらに、発信力のある大臣でもありますので、何をしてくれるんだろうというすごい、また期待も非常に多いわけであります。一方で、期待が大きいというとその後のこともありますから、やはり今回、気持ちの変更とか、あるいは何を具体的に進めていくのかというのは、大臣として非常に明確にスタンスを発信を常にしていただきたいなというふうに思っています。

 私も、現場の視察をさせていただきました。金子理事に一緒に連れていっていただきました。そして、試験管に入ったものでしたけれども、渡されたので、あけようとしたら、だめ、やめてくださいと言われたようなものだったので、ああ、まだだめなんだなと思いながら、本当に環境に影響がないようにということの結論に導くまでに、決してはしょることなく、いろいろな解決策を、意見が対立したとしても、環境面からぜひ強い発信と、そして結論に導いていただきたいというふうにお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

鷲尾委員長 次に、古屋範子君。

古屋(範)委員 おはようございます。公明党の古屋範子でございます。

 冒頭、私からも、新型コロナウイルス関連、一問質問してまいりますので、よろしくお願いいたします。

 連日、新型コロナウイルス感染症患者が増大をする中で、安倍総理は本日にも新型インフルエンザ特別措置法に基づく緊急事態宣言を発令されるという方針を示されております。この新型コロナウイルスのオーバーシュートへの危機感が大変高まっております。感染拡大が更に加速すれば、イタリアまたスペインのような医療崩壊を招きかねないという、ぎりぎりのところに来ていると思います。

 私の地元、神奈川なんですけれども、クルーズ船の問題がありましたので、早くから一般病院でこの新型コロナウイルス感染症の患者を受け入れておりました。専用の病床もない、また呼吸器の専門医もいない、そういう中で重症患者を受け入れて懸命な治療が行われておりました。防護服もマスクも足りないという中で、重症患者で人工呼吸器を装着したその方々に複数の薬をカクテル療法で用いて、無事にその人工呼吸器を取り外すところまでいったというようなリポートも公開をされております。

 病床を、ある程度解消しないとなかなか受入れも難しい、そのような中で、私も、医療資材の不足とか病床の解消に対する予算措置、このようなものを、現場の県会議員と医療関係者の声を聞きながら、一つ一つ厚労省に対応を求めてきたところでございます。

 初めに、環境省における新型コロナウイルス関連の政策、主な取組についてお伺いをしてまいりたいと思います。

 また、医療機関、検査機関から、この感染症の診断、治療、検査等に使用されたマスク、防護服など医療器材が感染症の廃棄物として排出をされております。感染した者に対する、防護服を着用せず診療した場合、医療従事者が感染するおそれがある、医療の提供ができなくなるということが想定をされます。こうした診療時防護服、マスク、不可欠なものでございます。

 この医療従事者を感染から守るためのこうした医療用廃棄物が山のように積まれているというのが現状でございます。こうした医療機関等から排出をされる感染症に係る廃棄物の適正処理、医療及び廃棄物処理従事者の感染予防に不可欠である、安全な、またそして安定的な廃棄物の適正処理がどのように行われているのかについて質問いたします。

 また、一般家庭からも、ティッシュであるとか鼻水やたんが付着したマスクなど、こういうものが一般廃棄物として排出をされます。この一般廃棄物処理について、国民の生活を維持するため不可欠なサービスであります。今後、感染症が拡大をしていく中で、ごみ収集と一般廃棄物の処理についてしっかり継続をしていくことが求められております。この点について答弁を求めます。

奥田政府参考人 私の方から、まず、環境省の全般の取組についてお答えをしたいと思います。

 環境省においては、大臣を本部長とする環境省新型コロナウイルス感染症対策本部を設置しておりまして、大臣の御指示のもと、関係部局が一丸となって対応に当たっております。

 まず、環境省の所掌である廃棄物処理に関しましては、処理業者等が実施すべき感染防止策、若しくは、新型コロナウイルスに関連する感染性廃棄物等の適正処理に関する基準等々について周知を図るなど、廃棄物の適正処理の体制が維持されるよう対応してきております。

 また、多くの利用者がある新宿御苑につきましては、感染防止策を徹底した上で開放を行ってまいりました。ただ、都内の感染状況に鑑み、三月二十七日より当面の期間、閉園としております。このほか、国立公園のビジターセンター等の施設についても、地域の状況を踏まえ、同様に閉館等の対応をしております。

 さらに、環境省内部でも、環境省の主催のイベント、会議等に関しましては延期又はウエブ開催としているほか、出勤が必須となる業務以外は原則テレワークとするなど、感染防止策に取り組んでいるところでございます。

 なお、これらの取組に関しましては、公衆衛生学の専門家の先生をアドバイザーとして委嘱をしておりまして、御助言をいただいているところでございます。

 引き続き、大臣を中心に、しっかりと状況を注視しつつ、これらの取組を更に強化していきたい、そういうふうに考えております。

 残りの質問については、循環局長の方から。

山本政府参考人 委員から御指摘ありました、特に医療体制の維持という観点も含めて、国民の生活、経済活動を支える不可欠なインフラだということで、適正処理を確実に維持する必要があると考えております。

 病院等から発生します感染性廃棄物につきましては、法令に基づく特別な処理基準、それから、それをしっかりやっていただくために感染性廃棄物処理マニュアルをつくっておりますので、それに基づいての適正処理を確保する。それから、新型コロナウイルスに係るそれ以外の廃棄物につきましても、廃棄物処理における新型インフルエンザ対策ガイドラインの内容に準拠して適正に処理するということで、地方自治体それから関係団体ということで、排出される事業者の方あるいは処理に当たる業者の方、それぞれに対して繰り返し周知をさせていただいております。

 また、そういった事柄が現場でしっかり浸透するように、あるいは住民の皆様方に御理解いただけるようにということで、先ほども御紹介したような、御家庭におけるごみの捨て方のチラシ、あるいは医療関係機関における感染性廃棄物を取り扱う際の留意点のチラシなども作成して、あわせて周知活動をしてございます。

 それから、先ほども申し上げましたように、廃棄物の処理の現場で必要となるマスク等の防護具につきましては、関係団体からの要望を随時受けておりまして、それを関係省庁と連携して確保に努めているというところでございます。

 日々状況が変わるということもありますので、緊密に関係者と連携を日々とっておりまして、そういった事柄に基づいて迅速に対応していくように、引き続き、危機感を持って対応してまいりたいと思っております。

古屋(範)委員 緊急事態が発令をされるという中ですけれども、国民の日常の衛生的な環境を維持をして、また健康、生活を守るために、医療廃棄物また一般廃棄物、ごみ処理等、この継続に万全を期していただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 次に、河川のマイクロプラスチック実態調査についてお伺いをしてまいります。

 公明党は、全国で約三千名の議員がいるんですが、その中で女性議員が九百名以上おります。その女性議員で、全国で多様な声を聞いていこうということで、ウイメンズトークという運動を行っております。二月の初め、公明党の山梨県の女性局でこのウイメンズトークを開催いたしました。マイクロプラスチック汚染の課題と対策ということで、学識経験者またNPO団体などからも御意見を伺いました。

 その中で、認定NPO法人スペースふうというところの永井寛子理事長のお話を伺いました。ここは、さまざまなイベントで、使い捨て食器を使うのではなく、リユースの食器を使うという活動を進めているところであります。

 今、さまざま食に関するイベントというのが全国各地で開かれております。それが終わりますと、大量の使い捨ての食器が出てきてしまうというのが現状です。少なくとも、地方自治体などが主催したり後援したりするような食のイベントであれば、そうした使い捨て食器を使わずに、リユースのものを使っていくようにすべきではないかというふうに考えます。

 この永井理事長の活動もありまして、山梨県の富士川町というところでは、条例もつくりまして、こうしたリユース食器を使う利用者は無料で使用できるというような取組を進めております。

 また、帝京大学、仲山英之教授からは、県内の各河川でのマイクロプラスチックの調査報告をいただきました。

 御存じのように、マイクロプラスチック、環境中に放出されると回収が不可能でいつまでも残り、有害物質を吸着して消化器系に入り込む可能性があるということです。調査をした河川のごみは、食品の包装袋、また硬質のプラスチック、発泡スチロールなどが六〇%以上を占めていた、河川では、洗濯などによるマイクロプラスチックの繊維物質が非常に多かったという結果報告をいただきました。海洋汚染問題というのは今クローズアップされているんですが、河川のマイクロプラスチック汚染の調査というのは余り全国的には行われておりません。今後この調査を進めていくべきだとの提言をいただきました。

 二〇一八年、原田環境大臣のときなんですが、こうした河川水中のマイクロプラスチックについて、その実態を把握するための調査を実施を予定しているというような会見がございました。マイクロプラスチックが海に流入する前に河川でどう食いとめるかということが重要だと思っております。当時の環境大臣が海洋プラスチック汚染の中で特に問題視をされているこのマイクロプラスチックの実態調査について、国として初めて国内の川でも調査することを明らかにされているんですが、その後の取組について環境省にお伺いをいたします。

小野政府参考人 お答えいたします。

 マイクロプラスチックの問題、非常に重要であると考えております。

 先ほど委員から御指摘ございました、マイクロプラスチックの河川における分布実態等に関する調査でございますけれども、世界的に見てもまだ標準的な調査手法が確立していないという状況でございます。

 このため、環境省におきましては、まず、河川におけるマイクロプラスチックの分布状況を的確に把握するための採取の方法、それから分析の方法等の検討、整理を行うことを目的といたしまして、先ほど委員からもございましたが、二〇一八年度末から実態把握も兼ねた形で調査を実施しているところでございます。

 具体的には、東京湾に流入する多摩川、鶴見川、荒川等の河川を対象にいたしましてマイクロプラスチックの分布実態の調査を行っております。また、採取、分析方法については、採取するときの、例えばネットの形状とか網の目の細かさとか、あるいは前処理のときのやり方、さらに、マイクロプラスチックを例えば顕微鏡なんかを使って判別する必要がございます、そういった判別の方法とか成分の測定の方法などの検討を行ってございます。

 環境省といたしましては、これまでの調査結果から得られた知見等を踏まえまして、今年度中を目途にいたしまして河川におけるマイクロプラスチックの分布実態の調査マニュアルを作成する予定でございます。その後、これに基づく分布実態の把握を行う、さらに、海洋へのマイクロプラスチックの流入削減に向けた効果的な対策の検討についても進めてまいりたいと考えております。

古屋(範)委員 環境省では、今年度中にこのマニュアルを策定をされて把握を進めていくということでございます。やはり、海に着目をするわけですけれども、そのもとである河川の汚染についてしっかり取り組んでいただきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。

 次に、石炭火力について質問をしてまいります。

 本年、通常国会の冒頭、公明党の斉藤幹事長も代表質問の中で、地球温暖化対策として石炭火力発電の新増設を禁止する対策が必要だということを申し述べております。

 四月一日、世界から厳しい視線が向けられております日本の石炭火力発電をめぐる輸出政策の見直しに向けて環境省としても本格的な議論が始まったと承知をしております。関係省庁の議論を進める上で、議論のベースとなる客観的な事実を整理するために、有識者を交えたファクト検討会の初会合が持たれました。

 これは、小泉環境大臣が環境省内で記者会見を開いて、火力発電所の輸出要件の見直しに向けて省内で検討会を立ち上げるという表明を実現したものと思います。ぜひ、国際社会からも非難を浴びている石炭火力につきまして、輸出の要件を厳しくする方向で関係省庁と議論を進めていただきたいと思います。脱炭素社会の実現のために日本のエネルギー政策をどうするのか、関係省庁の立場を超えて議論が進めていかれるよう、小泉大臣のリーダーシップを大いに期待しているところでございます。

 関係省庁で議論できるようになったことは、脱炭素化に向けて非常に大きな意義があります。パリ協定の目標達成に向けて、気候危機の回避に向けた議論をぜひ尽くしていただきたいと思います。大臣の御所見を伺います。

小泉国務大臣 古屋先生から御質問いただきました、石炭火力の輸出の四要件の見直しに関する議論をする有識者によるファクト検討会、これは四月の一日に第一回を開催をしました。

 このファクト検討会という名前に込めた思いは、やはりそれぞれ、関係省庁、さまざまな思い、立場があります。それがなかなか調整するのが難しいからこそ今までこれだけ、今のままでCOPのような場に行くと批判を浴びるというような、そういうことが続いていたんだと思います。

 じゃ、いかに関係省庁が同じテーブルに着いて、立場を超えて前向きな建設的な議論ができるか、どうしたらいいかと考えたときに、やはりそれはファクトベースの議論をしっかりやることであろう、そういった思いに至りました。

 ですので、今回、有識者の先生方にも入っていただいていますし、一回目には大変有益なデータなども提供していただきました。そういったことを通じて、立場を超えて、関係者が、関係省庁が、このファクトに基づいた国際社会の今の状況、そして技術的なこと、さまざまな観点から思いを乗り越えた議論ができる土台をつくる。そして、六月をめどに、輸出の、インフラ輸出戦略の骨子を策定することになっていますが、そこに対して前向きな形につながるようにこのファクト検討会を動かしてまいりたいと思っております。

古屋(範)委員 脱炭素社会に向けて、小泉大臣の強力なリーダーシップを期待しております。頑張っていただきたいと思います。

 時間がなくなってまいりました。最後に二問、まとめてお伺いをしたいと思います。

 二月の初めに、私は開所前の福島水素エネルギー研究フィールドに行ってまいりました。

 ここは、施設内にある約六万八千枚の太陽光パネルの発電した電力を使って、水を電気分解して水素ガスを発生させるという製造方法をとっております。この製造技術、パワー・ツー・ガスと呼ばれて、世界的にも非常に注目をされている施設でございます。年間で最大九百トン規模の水素を製造できるということで、延期になりましたけれども、オリンピックのトーチであるとか、あるいは、選手村からの選手の輸送にFCVを活用していくということになっております。

 まず、経済産業省の方に、二〇一七年に決定をされました水素基本戦略、これについて、その意義、重要性、利用促進についてお伺いをしたいと思います。

 また、引き続き、石原副大臣に、こうした水素の活用ということにつきまして、例えば、既にアメリカのロサンゼルスでは、港湾では、FCVのトラックのみ走らせるというような取組が始まっておりますし、また、セブンイレブンでは、FC小型トラックを実証実験として既に走らせるというような取組も進められているというふうに聞いております。

 本当にクリーンなエネルギーであるこの水素社会形成の推進についてお伺いします。

鷲尾委員長 答弁は簡潔にお願いいたします。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 日本が脱炭素化社会を実現していく上では、現在の技術を超えた非連続なイノベーションが不可欠だと考えておりまして、水素はその非常に大きなポテンシャルを持った技術の一つだと考えてございます。

 委員御指摘の水素基本戦略、二〇一七年の十二月に世界に先駆けてつくった国家戦略でございますが、水素、燃料電池の製造から輸送そして利用のところまで、さまざまな面についての技術のロードマップ、これから取り組むべき課題と方向性を示したものでございます。

 現在、これに基づきまして、燃料電池及び水素の利用に関しまして、例えば、燃料電池車の導入補助、水素ステーションに対する補助、技術開発、規制改革などに取り組んでいるところでございますし、委員にも御視察いただきましたが、福島県浪江町におきまして、再エネを活用しました水素製造の実証プロジェクトにも取り組んでいるところでございます。

 引き続き、しっかりとした水素社会実現のための取組を進めてまいりたいと考えてございます。

石原副大臣 お答え申し上げます。

 脱炭素社会実現のためには、再エネ主力電源化には、再エネの大規模導入とあわせてエネルギーをためることが必要であり、委員指摘のとおり、水素を利用してエネルギーをためる、いわゆる再エネ由来水素の利活用が切り札というふうに期待しております。

 再エネ由来水素は、環境省の事業により、つくり、使うことは実証ができました。ただ、現状ではコストが高いことが課題になっておりまして、本年一月に策定した革新的環境イノベーション戦略においても、この再エネ由来水素等の低コスト化の目標の一つとして位置づけているところでありますけれども、脱炭素社会実現のために、この水素の利用にしっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えております。

古屋(範)委員 ありがとうございました。以上で質問を終わります。

鷲尾委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 最初に、アスベスト飛散防止対策について質問します。

 本委員会で今後審議予定である大気汚染防止法の改正案については、石綿、アスベストの飛散防止を強化するための法改正であります。

 一月二十四日に中央環境審議会石綿飛散防止小委員会から、今後の石綿飛散防止のあり方についての答申が出されました。これに対するパブリックコメントには三千六百を超える意見が寄せられています。抜本改正を望む声とともに、規制強化が不十分との指摘が多いのも特徴です。

 例を挙げたいというふうに思います。大臣、聞いていただきたいと思います。

 まず、現在のスモークテスト等での確認は不十分であり、石綿の飛散による発がんリスクの把握のためには大気濃度測定が必要である、この意見が三百四十九件。レベル3建材の作業実施届の義務づけ、これは、不適切な作業を防止するために義務づけが必要である、これも多い。さらに、石綿の含有建材の有無についての調査、これは、事前調査は利害関係のない第三者による調査を義務づけるべきである。さらには、自治体や第三者による除去作業確認検査の義務づけも必要である。こうした、現場を知る人たち、それから市民からたくさんのパブリックコメントが寄せられています。

 大臣にお伺いします。

 今度の法改正に期待しながらも不十分との意見がこれほど多いことへ、大臣はいかが受けとめておられるでしょうか。

小泉国務大臣 田村先生御指摘のパブリックコメントにおきまして、石綿含有成形板など、これはいわゆるレベル3建材でありますが、これに係る作業の届出、第三者による事前調査、大気濃度測定などについても義務づけるべきといった意見があったことは承知をしています。

 これらの御意見は今回の改正に対する強い期待であると受けとめていますが、いずれも技術的、実務的な課題を抱えていまして、直ちに導入することは難しいと考えています。

 一方で、環境省としては、今回の法改正によって、石綿含有成形板等レベル3建材を含めた全ての石綿含有建材を規制対象とするとともに、直罰制の導入を含めた事前調査から作業後までの一連の規制を強化することにより、石綿飛散防止のための規制は大いに進展をし、現在の施行状況や課題を踏まえた効果的な規制強化であると考えています。

 今後は、まずはこの法案の成立に向けて御審議をお願いできればと考えております。

田村(貴)委員 法改正に盛り込まれようとしている直接罰についてお伺いします。

 規制強化として、違反に、改善命令などを経ず、直接罰を科すとしたこの内容について説明をいただけますか。

佐藤副大臣 お答えいたします。

 まず、今回の法改正でございますが、多量の石綿を飛散させるおそれが特に大きい違反行為に対して直接罰を適用するということにしております。

 具体的には、吹きつけ石綿等のいわゆるレベル1、2の建材の除去作業において、作業場を隔離しなかった場合や、作業時に集じん・排気装置を使用しなかった場合等を規定しております。

 御指摘のございました前室などですけれども、例えば、前室を設置しなかった場合や、集じん・排気装置の管理が悪い場合についても、規定されている措置を適切に行っていないとみなし、直接罰の対象になるというふうに考えております。

 今後、法の施行前までに、直接罰の適用の考え方などについて事業者や都道府県に対して周知をしてまいりたいというふうに考えております。

田村(貴)委員 届出を怠ったり、それから、作業基準に反した工事を行って石綿、アスベストを飛散させてきた例は枚挙にいとまがありません。総務省の勧告でもあったように、今回の法改正につながっていると思いますけれども、これらの規定で防げるのであろうかという疑問を私は持っています。

 この間、実際にあった違反行為を紹介したいと思います。

 昨年の五月から六月にかけて、鹿児島市内の百貨店、山形屋において耐震補強工事が行われました。請け負ったのは大手ゼネコン、大成建設。改修工事を始めたところ、猛毒の青石綿が大量に含有した吹きつけアスベストを発見したとのことであります。ところが、同社は、大防法で定められた対策をとらないまま、無届けで工事を続行しました。百貨店は営業中だったために、多数の来客者や従業員が暴露しています。鹿児島県労働基準監督署はことし一月二十日に、大成建設と同社の作業所長を労働安全衛生法違反の疑いで鹿児島県地方検察庁に書類送検をしました。大変悪質な事案だと言わざるを得ません。

 吹きつけアスベストを除去する際の飛散防止策について環境省に伺います。

 作業現場の隔離養生、集じん・排気装置を使用した現場の負圧化、また、作業員が作業現場に出入りする際にアスベストを洗い流すためのエアシャワーや更衣室などを備えた前室の設置が義務づけられていると承知していますけれども、確認します。

小野政府参考人 お答えいたします。

 現在の法律、現在の大気汚染防止法におきましても、委員が今おっしゃいましたような行為については作業基準に違反するものということでございます。

田村(貴)委員 この鹿児島のデパートの工事は、隔離養生と集じん・排気装置は設置されていたんです。しかし、前室を設けていなかったんですね。したがって、石綿がついたままの作業着で出入りをして石綿を飛散させたということになります。これは大問題であります。

 こうしたことがあってはならないというふうに思いますよ、後で見解を聞きますけれども。二十一日間もの工事の期間中に、営業中の百貨店で石綿がまき散らされたということであります。

 お伺いしますけれども、今度の法改正で、前室を設置していないまま工事を行うことによって、これは直接罰の対象になるんでしょうか。

佐藤副大臣 先ほど一部分答弁申し上げましたとおり、委員御指摘の前室を設置しなかった場合でございますけれども、あるいは集じん・排気装置の管理が悪いといった場合、こういった場合につきましても、この規定されている措置を適切に行っていないとみなしまして、直接罰の対象になるというふうに考えております。

田村(貴)委員 法文上はどのように書かれていますか。

小野政府参考人 お答えいたします。

 ちょっと法文そのものは、大変長い部分なので若干はしょらせていただきますけれども、当該特定建築材料の除去を行う場所を他の場所から隔離し、除去を行う間、当該隔離した場所において環境省令で定める集じん・排気装置を使用する方法、これに従わなかった場合には直接罰の対象になるということでございます。

田村(貴)委員 ちゃんと法文上も前室と書いたらどうですか。これは集じん・排気装置がつくられていたにもかかわらず、前室がなかったために飛散したんですよ。

 ですから、こういう事件とか事案というのは教訓とすべきですよ。せっかく改正するんでしょう。直近のこういう事案なんかをやはり学習し、そして教訓としなければ、やはり未然に事故というのは防げないというふうに考えます。

 大成建設は、この手抜き工事の事実を、記者会見はおろか公表もしていません。誰も逮捕されていません。現場の公表もされていません。法改正するのであれば、実効力ある抑止力、これを明記すべきであります。

 続いて、もう一つの事例を紹介したいと思います。

 これは二〇一三年十二月に発覚した名古屋市市営地下鉄名港線の六番町駅での事故であります。一日七千人が利用する駅なんですけれども、空気一リットル当たり七百十本の青石綿が約二日間、構内に飛散したということです。なぜ起こったかといいますと、集じん・排気装置の管理が悪かったことが原因であります。

 今度の法改正によって、集じん・排気装置を使用しているんだけれどもその管理が不十分でアスベストが飛散した場合に、直接罰の対象となりますか。

佐藤副大臣 先ほど一部御答弁させていただきましたけれども、集じん・排気装置を使用しなかった場合等も直接罰として規定をさせていただいております。

田村(貴)委員 繰り返しになりますけれども、そうしたら、ちゃんと条文にわかるように書かないといけないと思いますよ。定められた基準を遵守すること等々の表現を置かないと、これはやはり法の抜け道になっていくわけなんです。周知すると言うけれども、やはり先ほど挙げた事例というのは重要な違反行為です。違法に罰則を科すというのならば、しっかりと条文に明記すべきだというふうに指摘をしておきたいと思います。

 それから、その直接罰の内容、副大臣、答弁ありましたように、懲役三カ月以下若しくは三十万円の罰金、これについても意見がたくさんあります。こういうことを言われた方もいます。罰金覚悟で違反行為が広がるんじゃないか、こういう指摘をする方もおられるわけです。手抜き工事やずさんな管理によってどれほどアスベストが飛散されてきたことでしょうか。

 重大な事故を防ぐためにも、今回の法改正で、私は、大気濃度の測定というのは、これはもう欠かせない事案だと思います。大気濃度の測定というのは、なぜ法改正で見送られたんでしょうか。

佐藤副大臣 ことし一月に、中央環境審議会の石綿飛散防止小委員会における答申が出ております。

 この小委員会におきます議論では、測定義務づけの制度化に賛成と反対の両方の御意見がございまして、結果として、測定の制度化には困難な課題が残っているため、関係者が協力をして課題解決に取り組み、今後、制度化について検討する必要があるというふうにされたと聞いております。

 環境省といたしましては、この答申を踏まえまして、まず測定の迅速化、それから評価の指標、そして指標値を超過した場合の措置などの、こうした残された課題について引き続き解決に向けた検討をまずしっかりと進めていくということが重要であると考えております。

 いずれにいたしましても、石綿濃度の測定の目的でもございます石綿飛散の監視という観点では、今般のこの大気汚染防止法の改正によりまして、直接罰の創設、それから作業結果の発注者への報告の義務づけ、そして隔離した作業所に設置する集じん・排気装置の正常な稼働の確認頻度の増加などの規制強化を行うこととしておりますので、これらの対策によりまして、並行して作業時の飛散防止も徹底をしてまいりたいと思います。

田村(貴)委員 そうはおっしゃいますけれども、解体作業の現場において、今大気濃度はどうなのか、工事途中のときの大気濃度はどうなのか、工事が無事終わって、その後飛散されていないのか、ここは絶対検証しなければならない話なんですよね。それを、別の施策でやっているから大丈夫などというのは通らない。現場で、アスベストを含むレベル1、2、3、この建材の解体工事は行われる。飛散防止策が最近の事例でもできていない、徹底されていない、それを検証するためにも、大気濃度の測定というのは、これは必須条件であります。

 パブリックコメントでも、これをなぜつけないのかという声がたくさん寄せられています。今からでも遅くはないと思います。これを実施するように、地方自治体と、そして第三者、専門家による知見も集めて、どうやったら客観的に飛散が防止されているのか、これはやはり検証しなければだめですよ。

 それで、最後に、諸外国の大気濃度測定義務づけの状況について教えてください。

佐藤副大臣 環境省で把握をしております範囲でございますけれども、諸外国で大気中の石綿濃度測定を義務づけている国としては韓国があるというふうに認識をしております。

 その他の国で申しますと、例えば英国におきましては、日本と同様に、ガイドラインにおいて大気中の石綿濃度測定の実施を求めているというふうに認識をしております。

田村(貴)委員 お隣の韓国では法に位置づけられていると。諸外国の例も、いろいろ聞いていますけれども、日本よりもしっかりとした制度になっているということは、法案審議のときにまた論議をさせていただきたいというふうに思います。今踏まえた点をぜひ法改正に生かしていただきたいということを要望して、次の質問に入ります。

 絶滅危惧種のジュゴンについて質問します。

 辺野古、大浦湾を含む沖縄本島北部の海域はジュゴンが生息している北限の海域であります。ここで、昨年、一頭が死亡しました。IUCN、国際自然保護連合は、昨年十二月十日に新たにレッドリストを公表し、南西諸島に生息するジュゴンの地域個体群が深刻な危機、絶滅危惧1Aに、つまり絶滅の危険度を最も高い水準に引き上げました。環境省のレッドリストも絶滅危惧1Aであります。国際的にも日本と同じ、同一の認識となったところであります。大変深刻な状況に今来ているという認識は、小泉大臣、環境省におありでしょうか。

 IUCNは辺野古、大浦湾を含む南西諸島の海域で生息調査が緊急に必要だとして、包括的な調査を日本国政府に求めているところです。その一つは、ドローンを使ったジュゴンの生息状況及びはみ跡と海草の調査、また、海水に含まれるジュゴンのDNA断片の調査であります。

 こうした調査は緊急度が非常に高い調査とされていますけれども、既に実施されたんでしょうか。

鳥居政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年十二月にIUCNの専門家グループが環境省に提出したジュゴンの調査計画では、目撃情報のあった地点におけるドローン調査、あるいははみ跡の潜水調査、また海草の調査、環境DNA調査、一般へのジュゴンに関する情報の共有と目撃情報収集等が提案されているというふうに承知しております。

 環境省では、従前から実施している沖縄島北部における漁業者と連携したはみ跡調査に加えまして、一昨年度に収集した西表島、波照間島等の目撃情報を踏まえ、さらなる目撃情報の収集や、これらの島におけるドローン調査、はみ跡の潜水調査、海草調査を昨年度実施いたしました。

 その結果、伊良部島及び波照間島で複数箇所のジュゴンのはみ跡と思われる跡や、ジュゴンと思われる生物の目撃情報が確認されたところでございます。

 IUCNからの調査提案も参考にしながら、引き続き、関係機関と連携しつつ、ジュゴンの生息状況の把握と混獲対策等の保護対策の実施に努めてまいりたいと考えております。(田村(貴)委員「答弁抜けています、DNAは」と呼ぶ)はい。DNA調査についても伊良部島で行いましたけれども、その結果、ジュゴンの組織断片については確認できませんでした。

 以上でございます。

田村(貴)委員 行ったというのであれば、繰り返し行っていただきたいと思います。

 DNAは、プライマーセット、このDNAを増幅して遺伝情報を解析するための試薬の開発は既にできています。そして、有効性があると言われていますので。しかも、航空調査や潜水調査に比べて労力や費用もかからず、繰り返しの調査により有効だというふうにも言われていますし、海外の研究者も協力すると言っています。

 客観的に緻密な調査をして、やはり生息状況をつかむ、そして、この個体が減少しているんだったらなぜ減少しているのかといった原因を突き詰めていかないといけないというふうに思っています。

 そこで、きょうは防衛省から山本副大臣にもお越しいただいております。

 IUCNの指摘なんですけれども、生息環境の劣化ないしは喪失の懸念も増加しつつある。中でも、沖縄島の辺野古周辺のジュゴン生息地における米軍基地の建設に伴う海草藻場の消滅が懸念されているとIUCNからの指摘があります。そして、日本自然保護協会は、ジュゴンの生息海域で進められている普天間飛行場代替施設建設事業を一時中止し、環境への影響を再評価することを主張しています。

 山本副大臣、辺野古の基地建設、これはとめて、調査を実施することが今必要であると考えますが、いかがですか。

山本副大臣 田村委員にお答え申し上げます。

 本事業では、部外の専門家で構成される環境監視等委員会の指導助言を得ながら、ジュゴンについて、ヘリコプター等による調査に加え、水中録音装置を用いた鳴音の調査や海草藻場のはみ跡の調査を実施、ジュゴンの生息状況の把握に努めているところでございます。

 その上で、工事用の船舶はジュゴンが頻繁に確認されている区域内をできる限り回避して航行することとしているほか、工事海域へのジュゴンの来遊の監視に努めるなど、ジュゴンへの影響について最大限配慮し、工事を行っているところです。

 引き続き、ジュゴンの生息状況に係る調査を行い、環境監視等委員会の指導助言を得ながら、ジュゴンへの影響について最大限配慮しつつ工事を進めてまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 最大限ジュゴンの生息に配慮しながら工事を進めるといいながら、ジュゴンが死に、そして行方がわからなくなり、個体数が減っているのは事実なんですね。

 前も委員会で私指摘しましたけれども、死んでしまった個体Bは、古宇利島と辺戸岬、ここを回遊する軌跡をとっていました。この流れというのは、土砂運搬船と軌を同じくしているわけであります。それから、今確認がされていない個体Aについては、二〇一八年十月十八日から十二月五日に藻場を利用しなくなったと、これは防衛省の方からの調査結果で明らかになっています。この十月から十二月、藻場を利用しなくなったという期間は、まさに辺野古基地の土砂埋立ての護岸が建設された時期と重なっているわけです。

 ですから、工事、そして土砂の投入、こうしたことによってジュゴンが安住の地から逃げなければならなかった、追い出されてしまったという一つの判断があります。

 こうしたことを踏まえれば、やはり、本当に数えるほどになってしまった絶滅危惧種をやはりもとの藻場に戻して、そして、安心して生息できるように、阻害となっているものについては一旦とめて調査をすべきだというふうに思います。

 私、今、個体B、個体A、そして防衛省の工事と連関させて言いましたけれども、やはり工事はとめるべきじゃないですか、一旦。いかがですか、副大臣。

山本副大臣 お答え申し上げます。

 御指摘の個体Bに関しては、確かに死亡が確認をされています。エイの尾の先端が腹部に刺さり、体内に到達をし、死亡が確認をされておりますので、大変残念だと思いますけれども、それが直接工事と関係がするかどうかというのは、私は承知をしていないところでございます。

 また、加えて、今委員御指摘の個体Aでございますが、嘉陽沖が主な生息域でございまして、先ほど委員の、確認できなかった時期ということでございますが、この際には護岸の造成など水中音を発する工事は実施しておりませんでした。したがって、その際に、ジュゴン、個体Aが確認されていないということについては、工事による影響ではないと考えております。

 いずれにしましても、専門家からの助言指導、今後の調査等々を踏まえまして、ジュゴンにも最大限の配慮をしつつ、工事を進めてまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 山本副大臣も小泉大臣も聞いていただきたいんですけれども、IUCNというのは、単なる自然保護団体じゃないんですよね。国際自然保護連合は、国家、政府機関、非政府機関で構成される国際的な自然保護ネットワークです。

 一九七八年に環境庁が日本の政府機関として初めて加盟しています。一九九五年に日本が国家会員として加盟している。日本政府も加盟しているんですよね。このIUCNがジュゴンの藻場、海草の消滅が懸念されているとし、そして、日本の自然保護協会が普天間飛行場建設事業を一時中止しと。やはり、この指摘は重く受けとめるべきだというふうに思いますよ。因果関係がわからない、とめてみて因果関係を検証したらどうですか。こういう指摘に対して、日本政府もIUCNの、国家参加しているわけだから、ちゃんとその中で解決していくスタンスを持っていただきたい、一員なんですから。どうですか、副大臣。

山本副大臣 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、国際自然保護連合、IUCNのレッドリストにおいて、昨年の十二月に南西諸島のジュゴン個体群が絶滅危惧1A類とされました。

 他方、我が国におきましては、環境省のレッドリストで二〇〇七年、平成十九年、既に絶滅危惧1A類に指定をしております。

 本事業における環境影響評価手続においては、ジュゴンについても再三申し上げておりますけれども、特に配慮した上で、環境への影響の予測、評価を行うとともに、ジュゴンへの影響について最大限配慮して工事を進めているところでありまして、引き続き適切に対応してまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 最大の配慮は工事を一旦とめることです。

 アメリカのNGO、ミッションブルーが、貴重な生態系が存在しているだけでなく、失われる危険性が最も高い保護すべき海域をホープスポットとして世界の海の百十カ所を認定しています。そのホープスポットに辺野古、大浦湾が昨年、日本で初めて認定されました。ミッションブルーを率いているシルビア・アール博士は、一九九〇年からアメリカ海洋大気庁の主任研究者として、湾岸戦争時のペルシャ湾原油流出事故を始め、数多くの海洋問題に取り組んできました。国際的にも影響力の大きい研究者であります。そのミッションブルーにはIUCNにかかわる多くの研究者が参加をしています。

 このホープスポットに日本が初めて、辺野古、大浦湾が認定されたということは、これはまた大きい意味合いがあると思います。そして、辺野古、大浦湾が注目されている、そしてジュゴンの生息が懸念されている、国際的にも権威ある世界の機関がここに注目を集めている今、やはり今重要な事態が差し迫っているのではないかと。絶滅危惧種に国際機関もそして日本政府も指定しているのであれば、こうした危機感を持って対応に当たっていただきたいと思いますけれども、最後に、小泉大臣、ジュゴンの生息、それから保護についてお話を聞かせてください。

小泉国務大臣 先ほど田村先生からは、ジュゴン、またIUCN、そしてNGO団体の活動等、お話がありました。

 環境省としても、IUCNの専門家グループ、このジュゴンの調査提案を一つの参考にして、引き続き、関係機関と連携をしつつ、ジュゴンの生息状況の把握、そして混獲対策、これは漁業用の定置網や刺し網にジュゴンがひっかかることへの対策などの保護対策の実施に努めてまいります。

田村(貴)委員 時間が参りました。終わります。

     ――――◇―――――

鷲尾委員長 次に、内閣提出、大気汚染防止法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。小泉環境大臣。

    ―――――――――――――

 大気汚染防止法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

小泉国務大臣 ただいま議題となりました大気汚染防止法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 大気汚染防止法においては、解体工事前の建築物の調査、石綿含有建材の除去作業の実施の届出、除去作業時の作業基準の遵守等の義務を規定しています。今般、前回の改正法の施行から五年が経過したことから、同法の附則に定める施行状況の検討を行ったところ、次のような二つの課題が明らかになったところです。

 一点目は、飛散性が相対的に低いことから、これまで規制対象ではなかった石綿含有成形板などの石綿含有建材についても、不適切な除去作業を行えば石綿が飛散するおそれがあることが判明したこと。

 二点目は、解体工事前の建築物の調査における石綿含有建材の見落としや、除去作業における石綿含有建材の取り残しによって、解体工事に伴い石綿を飛散させた事例が確認されたことであります。

 今後、令和十年ごろをピークに、建築物の解体工事は年々増加していくと見込まれ、これらの課題に速やかに対応する必要があります。

 本法律案は、こうした状況を踏まえ、建築物の解体工事に伴う石綿の飛散防止を徹底するための措置を講じようとするものであります。

 次に、本法律案の内容の概要を主に四点御説明申し上げます。

 第一に、これまで規制対象ではなかった石綿含有成形板など、全ての石綿含有建材を規制の対象とするための規定の整備を行います。

 第二に、不適切な解体工事前の建築物の調査を防止するため、当該調査の方法を定めるとともに、元請業者に対し、石綿含有建材の有無にかかわらず当該調査結果を都道府県知事に報告し、また、当該調査に関する記録を作成、保存することを義務づけます。

 第三に、吹きつけ石綿等が使用されている建築物の解体工事において、隔離等の飛散防止措置を講じずに除去した者等に対する直接罰を導入します。

 第四に、不適切な除去作業を防止するため、元請業者に対し、作業結果の発注者への報告や作業に関する記録の作成、保存を義務づけます。このほか、所要の規定の整備を行います。

 以上が、本法律案の提案の理由及びその内容の概要です。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。

鷲尾委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時九分散会


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